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90回国会参議院1979/12/06

文教委員会 第1号

発言数
188
登壇者
12
会派数
5
開催日
1979/12/06

会議録

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  開会に当たりまして、一言委員長としてごあいさつをさしていただきたいと思います。  今回、はからずも文教委員長に選任されました大島友治でございますが、かねてより本委員会はきわめて重要な委員会と認識いたしておりますし、私も大変重要な責任を感じて今回お引き受けいたしたものでございますが、何分にも私きわめて微力者でございまして、十分皆さんの御期待に沿えるかどうかわかりませんけれども、精いっぱい努めてまいりたいと思いますので、どうか諸先生方の積極的な御協力、御指導を賜りまして、本委員会の運営に当たりたいと思いますので、何分よろしくお願いをいたします。     —————————————

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  現在、本委員会の理事が二名欠員となっておりますので、ただいまから理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例によりまして、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に高橋誉冨君及び前田勲男君を指名いたします。     —————————————

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 次に、調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、教育、文化及び学術に関する調査を行うこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) この際、谷垣文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) このたび文部大臣に就任いたしました谷垣專一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、いかなる社会、いかなる時代においても、すべての事柄の基礎となるのは人間であると考えております。経済や社会の発展も、科学や文化の進展も、その根本において人間という問題を抜きにすることはどきません。そして、その人間を育てるものは教育であると思っております。  わが国が内外の諸情勢に対処しながら、その未来を切り開いていくためには、学校、家庭、社会を通じて、教育の機能を充実し、たくましく、かつ創造力のある心身ともに健全で、国際的に開かれた国民の育成を期していかなければなりません。同時に、世界に貢献し得る独創的、先駆的な学術研究を推進するとともに、わが国のよき伝統文化を継承しつつ、新しい文化を創造していくことが重要であると考えます。  このような考えのもとに、私は教育、学術、文化の振興のために全力を挙げて取り組む決意でありますが、まことに任重くして力の足らざるを痛感しております。何とぞ文教委員各位の御指導、御協力をよろしくお願いをいたしましてごあいさつとさしていただきます。     —————————————

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 ただいま文部大臣からきわめて異例ともいうべき短いごあいさつをいただいたので、どういう教育に対しますところの考え方をお持ちなのか、まあ時間の許す限り文部大臣の文教に取り組むところの姿勢の問題を中心にいたしまして、お尋ねをしてみたいと思います。  第二次大平内閣がスタートいたしましてから十一日目にして、ようやく専任の文部大臣が決まったということは、かつて私は知らないところの異常な事態だと受けとめざるを得ないのでございます。教育が国家百年の大計だと言われているように、国づくり、人づくりの基本の問題であるということは、これは論ずるまでもない、それだけに文部大臣のポストというのは、私はきわめて重要なポストだと理解をいたしておるわけでございますし、国民もまたほとんどがそういう理解に立っておると思うのでございますけれども、総理大臣がずっと今後兼任をされていくというなら別ですけれども、十一日間も言うならブランクがあったという、こういう事態を、十一日目にして任命をされたところの大臣はどうこれを受けとめられておりますか。まず所感をお聞きしたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 第二次大平内閣の出発に当たりまして、文部大臣の職が大平総理大臣の兼務のままで時間を過ごしてまいっておりましたことを、私たちも非常にどうなることかと思って心配をしておったわけでございますが、これはもちろん、政局のいろんな状況、あるいは総理としてのいろんなお考え方があってのことでございまして、私の口から申し上げるのは妥当ではないと思いますが、とにかく文部行政そのものの立場から考えてみまして非常に残念なことであったと。ことに非常に急いでいろんな問題を片づけていく必要のある、準備をしていく必要のある状況でございましたので、そういうふうに受けとめておったわけでございます。はからずも文部大臣の重責を命ぜられました私といたしましては、文部行政が一国の政治行政のいわば基礎的な問題、中長期の見通しを持ってやっていかなきゃならない重要な部門であるという認識を強く持っておるわけでありまして、組閣の際に専任の文部大臣がおくれて任命をされましたことを十分心得まして、文部行政の渋滞のないように努めてまいりたいと考えておるわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 文部大臣がなぜ空白になっておったかという理由を、大平さん自体十一月十日の記者会見で述べておりますね。首班指名で支援を受けた新自由クラブヘの配慮であったと言っている。そして、政党間での話し合いばかりで、こういう姿——いわゆる文相のポストでの連立のことでしょうね——の協力態勢は新自由クラブとの間にあってしかるべきだと、こう述べておりますね。これはまさにいま大臣のおっしゃったところのきわめて重要なポストが、これは政争の具に供されたということですよ。政党間の首班指名の取引の具に供されたということなんです。私はこういうことがあって許されていいものかどうか。特に、新聞紙上によりますと、あなたは大平派のブレーンの一人だと言われておる。言うならばあなたの派閥の領袖ということになりますかね、新聞報道によりますと。こういう事態をそのままに置いておいて、国民は一体これをどう受けとめるだろうか。そのことをどうお感じになりますか。ひとつ大臣という地位を離れて、あなたの個人的な感想でもいいですからお述べいただきたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 大平総理からお答えを願うのが一番適切だと思いますが、もちろん私といたしましても、こういう重要な文部行政の責任者の地位が早く安定して充足されることを強く希望をしておったわけでございます。諸般の政治状況その他に対しまして、総理自体がどういうふうに判断をされておったかということは、私にとりましても、国会における総理の御答弁等を拝聴して、そして、承っておる程度にすぎませんので、総理はそれなりの御苦労をされておったというふうに推測をいたしておりますが、文部行政の立場からいたしますれば、早く専任の責任者を充てんをされて、そして進められていくということが当然のことである、こういうふうに承っておるわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 いや、私はあなたに大平総理にかわって大平さんのお気持ちはどうですかということをお聞きしておるんじゃないんです。こういうのを客観的に見て、しかも文教という問題にいまから精力的に取り組まれようとするところの政治家谷垣さんの御感想はどうなんですかと、こういうことをお聞きしておるんですよ。大平さんがこう思っておりますということをあなたにお聞きしておるんじゃない。政治家谷垣さん個人としてこういう一連のものについてどうお考えになっておりますかと、お感じになっておりますかと、このことをお聞きしたいんですがね。けれども、まあそれが酷だというならばやめましょう。ただ、やはりこれは世論がこれをどう受けとめておるかということは、私はやっぱり謙虚に耳を傾けてもらわなきゃならぬ問題だと思うんですよ。  そこで、お聞きいたしますが、あなたが大臣に任命されたところの、認承されたところの翌二十一日に、これはたしか読売のコラム欄だったと思いますが、やはりこの種の問題についていろいろ批判をいたしておりますね。それをお読みいただいたことありましょうか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 新聞は拝見をしておりますが、いま御指摘の新聞につきましては、ちょっと私、あれがこうだったというふうな記憶はいま定かじゃございませんが、新聞はざっと目を通したつもりでおりますが、どういう記事であったのか、ちょっといまここでは定かに記憶がございません。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 じゃ、それなら参考のために私読んでみますから、その感想を聞きたいんですがね。これはコラム欄、「編集手帳」ですね。   オール・イズ・フィッシュ・ザット・カムズ・トゥ・ネットというのは英国のことわざ。網にかかるものは皆魚。転んでもただは起きぬという意味。このことわざに忠実に網にかかるすべてのものを魚にする術を心得ている人を捜すと、さしずめわが宰相大平氏だ。自民党全体がこけた総選挙でも自派の人数はちゃっかり増やした。新自ク問題で党内から猛反発されるとさっさと連立断念。空けておいた文相ポストには自派議員を起用して大臣のイス待ち行列を一人減らした。まことに巧妙かつ厚顔な手並みだった。もっとも、余りに鮮やかな手口なので、かえって、文相人事がこんなに手軽でいいかという疑問の噴出を、抑えることができない。ほかの閣僚も重要には違いないが、ことに国民の教育にかかわる文部大臣には、教育についての深い識見と、一時の政争の渦に巻き込まれない長期的な視野を備えた人物を選ぶべきだろう。もし理想の人が得られれば、何年でも大臣のイスに座り続けてほしい。ところが、その大臣の座が現実には、首相指名選挙の多数工作のえさにされ、釣った魚にえさをやる必要がないことになると、農業問題では専門家かも知れないが、文教政策で信を問うて当選してきたわけではない古手議員にハクをつけるために使用される。これでは国民の間に文部大臣を尊敬しよう、大臣の言葉に耳を傾けようといった気持ちが薄らいでいくのも当然だ。羽仁五郎氏提唱の文部省廃止論などにも共鳴者がどんどん増えていくの  ではないか。  こういう見方をしておるんですね。このことは単にこういうコラム欄だけじゃないんです。二十七日の投書欄にはまたこう書いてある。「派閥紛争が汚した文相人事 次代を担う青少年指導忘れて」と、こういう表現のもとに、六十八歳の無職の平井秀太郎さんが出している。しかもいま読みましたところの「編集手帳」を見ながらこの人は感想を述べておるわけでございますが、時間の関係上多くは申し上げませんけれども、ただ「今度のように、次代を担う青少年を主導すべき文相という最優先人事が、派閥紛争の緩衝器としてもてあそばれるに至っては、もはや憤りを抑えることはできない。」、こういうようなやっぱり結び方をしておるんですね。まあこれは二つの一つの見方ですけれども、世の中の大部分のやはり国民の今度の文相の空白、その後の人事に対するところの見方だと見て間違いないんじゃないんでしょうかね。しかも、この問題は単に有権者の皆さんだけじゃないんですよ。私が一番恐れるのは、この事態が子供たちの目にどう映っておるんだろうかと、ここのことを非常にまた恐れるわけでございますが、このことについても、これは十一月二十日の毎日新聞の「記者の目」というところで「首相は、この子らの声を聞け」ということで特集してございます。「文相のポスト 政争の具にするとは一という見出しなんです。それでこれは小・中学生四十八人が「文部大臣」というテーマでいろいろ書いておるわけでありますが、この一、二を、これは恐らく都合が悪いですから大臣はお読みになっていただいてないと思うんで、私ここで紹介いたしますがね、こう言っていますよ。中学一年生ですけれども、「大平正芳氏が反主流派と対立するから、このような事態になったのでは、ないだろうか。文部大臣が決まらないということは、未来の日本をしょって立つ我々にも大きな影響を与え、国民の多くに心理的な何かを与える。とすれば一刻も早く文部大臣を決め文部省を再開し、国民の不安を取りのぞくことに自由民主党は努めなければならないのではないだろうか」と。まあ大臣が決まらなきゃ文部省の店開きはできないと子供は思っておるかもしれませんけれどもね、こう出ておる。さらにこれが中学の三年生になると、これは大人以上のやはり鋭い物の見方をしておりますね。これは三年生の井阪ちえさんですけれども、「私たちの学校教育がすべて文部省で決められている。今文部省の一番上に立つ文部大臣が一つだけ決まっていないけれど、大平首相が新自由クラブの応援によって危うく総理大臣に就任できたが、そのかわりにという感じに新自由クラブの人を文部大臣に推薦する。というのは、なんとも身勝手で、不適当なやり方だと思う。私たちの教育を与える文部省の上の人を、首相が自分に入れてくれたからといって、それだけで推薦するなんて本当に適切な人選をしていないと思う。私はちゃんと学校教育を真剣に考えてくれる適切な人を選ぶべきだと思う。」と、こういう作文があるんですね。これは恐らく谷垣さんが決まらない前の空白の時期をとらえてのこれは作文なんでしょうけれども、ことごとくやはり大人ばかりでなくて、子供の目にもこの文部大臣のいすというのが政争の具に供されて、十一日間も空白があったということに対して、教育行政そのものに対するところの不信、一体教育とは何かというこの不信さを与えておるということは、私はこれはきわめて重大な事態だと言わなきゃならぬ。こういう事態を、私は少なくとも新任の文部大臣はどうこの国民の批判、子供たちの見る目を改めさせていくかということは、並み大抵の努力では私はできないと思うんですがね。相当な決意と実行力を今後のあなたの実績の中でつくっていただかなければ、これはやはり教育に対するところの国民のこの不信というのはぬぐい切れないものになってしまうと思うんですよ。そういう立場から、私はやはりいま私が披露申し上げたところの諸問題に対しますところの、谷垣さんのと申し上げるより、文部大臣のその決意と申しますか、考え方をひとつお聞きしたいんですがね。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) いま宮之原さんからいろいろとお示しをいただきました世論と申しますか、これはもう虚心に十分耳を澄まして、そして承っておかなければいけないことだと考えております。同時にまた、青少年の諸君を初めといたしまして、世間の方々が、文部大臣の地位という表現を通じて教育という問題、文部省というものの持っておる役割りの重大性というものを非常に強く考えていただいておるということに対しまして、そういう状況のもとで就任いたしました私といたしましては、十分なる顧慮を払い、そして今後の私自身の文部行政を担当してまいります上に、心構えとして考えていかなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 私は少なくともそういうごあいさつが欲しかったですね、通り一遍のごあいさつよりは。異常なやはり政治空白、文部行政空白という事態の中であなたは新任されたのです。それならば、最初のこの文教委員会の、教育の問題をあずかるところの委員会では、虚心坦懐に、そういうやはり世の中の目、教育に対する不信、この空白をどう取り戻すかということについて、どうしたいというお考えが示されてよかったんじゃないでしょうかね。それをだれがつくったところの作文かしりませんけれども、通り一遍のごあいさつでは、いま御答弁いただいたように、本当に新文部大臣はやられるだろうか、どうだろうかと、まだ若干疑念を持つのはあながち私一人でないんじゃないでしょうかね。  そこで、私はお聞きしたいんですが、この十一日間も空白があった。しかもその選出の仕方がいろいろ世の中の批判を浴びておる。だとするならば、私はやはり文部大臣がこの山積するところの文部行政の問題について、身をもって、率先をして実行する、その実践の中で、行動の中で、私はやはり示されない限り、この国民の不信、政治の空白、教育行政の空白というのは取り戻されないと私は思うんですがね。そういう立場からお聞きしますけれども、大臣は恐らく、ここに前文部大臣がおられますけれども、前文部大臣から当面するところの文部行政の課題、特に予算編成期でございますから、どういう問題がきわめて重要だということを申し送りと申しますか、引き継がれたんですかね、そこをちょっとお聞かせ願いたい。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 文部大臣の引き継ぎ自体は、総理から引き継いだという形になっておりますが、これは形式的にそういう形をとらざるを得ないわけでありますが、いま御出席の前文部大臣からも十分に引き継ぎを受けておるわけであります。当面いたしまするいろんな重要な問題がございますので、それをすべて並べて申し上げることもいかがかと思いますが、予算編成のもう時期に入っておることでもございますので、その引き継ぎをいたしましたことも十分心得まして務めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 新聞報道によれば、特に文部大臣のある新聞とのインタビューの中では、当面の予算課題の問題では、例の定数基準の是正の問題とか、教科書無償の問題だとか、こういうことはきわめて緊急の事態なんだという話を前の内藤さんからも聞いたので、全力を挙げたいという記事が載っておるんですが、そこらあたりのことは、内藤前文部大臣から重要な問題として、引き継ぎ事項としては引き継がれなかったんですか、どうですか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) いま御指摘を受けました義務教育の定員、学級編制の問題、これはもちろん当面いたしております重要な問題の一つでございますし、教科書の問題もまた同様でございます。内藤前文部大臣からもそのことについて経緯と、また同時に、それに対しての内藤前文部大臣からの御意見等を拝聴をいたしておるわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 それで、今後大臣は、いままでの空白なり、政治不信を取り戻すためにがんばりたいという御所見のようですけれども、具体的には、こういう問題を、当面のやはり大きな問題、しかも与野党をして何としてもやはりこれは実現してもらわなきゃ、防衛してもらわなきゃならないという、こういう課題を新しい文部大臣が体を張って実現をするということこそ、先ほど申し上げたところのいろんな諸問題にこたえるところのあなたの一番の課題じゃないだろうかと思うんですが、いかがでしょう。存念のほどを少しお聞きしたいんですが。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) いま宮之原さんから御指摘をされております定数基準の問題、それから教科書の問題、そのほかにも課題はいろいろあるわけでありますが、とにかく来年度の予算編成という問題に、これらの問題を具体化さしていかなければなりません。それぞれの問題の経緯はあるわけでございますし、また教育行政の性格上、そう目の前のことにとらわっておるわけにもいかない、中・長期の見通しのもとでやっていかなきゃならぬ、そういう性格があると存じております。もちろん、現在の財政の状況が厳しいということは、これはもう十分わかってはおりますが、文部行政を推進していきますためには、御指摘になりました問題、またその他の問題について、従来からの経緯も十分に踏んまえて、全力を尽くしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 言葉じりをとらえるわけじゃないですけれども、定数の問題とか、教科書無償という問題は、目先のことでしょうか。私は、やはり日本の教育、特に初等教育の今後のあり方に決定的な影響を持つところの、きわめて重要な問題ですからお尋ねしておるんですよ。いま大臣のお話では、こういう目の前のこともさることながらというお話なんですけれども、なるほど予算という問題では目の前でしょうけれども、事の事柄から言えば、これは本質的な問題じゃないでしょうか。大臣は、ただ予算の技術上の問題だという御理解でしょうか、そこらあたりをお聞かせ願いたい。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) いささか言葉が足りないことで誤解をされてはいけないと思いますが、私が申しておりますことは、文教の行政というものは、ある程度の見通し、長期の見通しを踏んまえてやっていかなければならない問題である。財政その他経済状況の変化というものは、これは目先いろいろ変わることもあるかもしれない。そういうものとは別に教育行政というものの筋を通した流れがあるはずであります。その立場からの議論をしていかなければならない。したがって、現在の財政状況等いろいろ困難な事情があることは承知はしておるけれども、文部行政のこれらの重要な問題については、今度の予算編成についてもそれを貫いてやっていかなければならないと、こういうことを申し上げておるわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 初めての大臣とのあれですから、もっと基本的な問題をお尋ねをしなきゃならぬのですけれども、大臣の言葉の目の前の問題がありますから、そこを中心にもう少しやはり具体的にお聞きしたいと思うのですが、その定数法の問題なんですが、新聞報道ではいろいろ私ども承知をいたしておりますが、現在の折衝の状況というのはどういうことなんですかね、これは初中局長からお聞きした方がいいんですか、だれですか、会計課長ですか、お聞かせ願いたい。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 小・中学校の学級編制及び教職員の配置基準の改善の計画を八月の段階で、五十五年度から九カ年計画ということで計画を立てまして、初年度である五十五年度の予算要求として、一万五千余の増員を要求いたしております。そうしまして、その後事務的には財政当局に内容の詳細な説明をいたしておりますけれども、御承知のような政局の動き等もありまして、現在のところ財政当局とそれ以上の事務折衝は進んでいないという状況でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 これ大臣にお聞きしますが、新聞報道によりますと、政府首脳は、この文部省の定数改善計画を凍結の方針を固めた、こう伝えておるのがあるんですが、政府首脳というと、大臣は入らないのかとも思いますけれども、大臣まで入ってからこういうことになったのなら、問題は非常に重要ですけれども、これは事実だとすれば非常に私は重大だと思うんですがね。その点どうなんですか、やっぱりこの問題は政治的な判断、処理の問題にずっとなってきておるわけだから、大臣からお聞きしたいと思いますが、こういう方針をもうすでに決めてあるんですか、内定しているんですか、どうなんですか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) そういう事実はございません。私もその新聞記事を拝見いたしましたが、文部省に関しまする限りそういうようなことは関知をしていないわけであります。政府首脳というのはどういうことを指して言っているのか私もよく存じませんが、これからの予算編成に際しまして、いろいろなそういうような情報が飛びやすいことも想像ができますが、まだ私たちの方にはそういう問題は何ら意志表示がございませんし、これからの予算折衝の段階においていろいろと主張し、また十分なる協議を遂げていきたい、こういうふうに考えておるところです。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 まだ固まっておらないということで、これはなかなか結構なことだと思うんですが、だとするならば、なお私はやはりこの問題についての大臣の相当な腹を固めたところの、今後の折衝ということを強くこれは要請申し上げなきゃならないと思うんです。就任されてからいろいろ事務当局からレクチュアも受けられたと思いますけれども、実はこの問題は、昭和四十九年の第七十二通常国会で、例の定数法の法案を決定をしたときに、衆参両院の文教委員会で、学級編制基準を四十以下に引き下げるべき旨の附帯決議がそれぞれ全会一致で上がってきておる経緯があるんです。そしてまた、前の国会においても、内藤さん時代にこのことは何としてもやりますということを前文部大臣はいろんな場で発言をされておられる。言うならば、その文部省の考え方なり、あるいはまたみんなの気持ちというのは、それこそ文教関係者は、与党、野党を含めて、何としてもこれはもう実現をさせてもらわなきゃ困る、こういうことで国会の中でずっと一貫して強い声として上がってきておるところの問題なんですね。しかも、まだこのこと自体が、いわゆる今日落ちこぼれとか、非行化とか、いろんなことが言われて、教育の荒廃云々という問題が取りざたされておる。その中で行き届いたところの教育をするためには、何としてもこのことは必要なんだというこの国民の声、こういうのが実は大きなやはり形になって、今日のこの問題を迎えておるわけなんです。それだけに、単に財政上の理由云々ということだけで、この問題が凍結をされたり、否認をされるというんでは、一体政府は、大平内閣は、教育問題をどう見ておるかという一つの大きな試金石にならざるを得ない。これが新聞に伝えられておるように、凍結でもされるということになるとするならば、私が先ほどしつこくあなたにお聞きしたところの十一日間の専任文相の空白、政争の具に供されたこれ、これをますます裏書きすることになっちゃうんですよ。私は、本当に大臣が先ほど来お尋ねいたしたところの国民のこの教育に対する、あるいは大平内閣の教育に関するところの不信というものを除去するとするならば、これをやっぱり物にせぬことには私は証明にはならないと思う、率直に申し上げて。まず第一の関門はそれだと思う。しかし、そのためには相当なやはり腹構えでやっていってもらわなければならぬ。そこらあたりの大臣の決意のほどを、ひとつ大臣のこの問題に対しますところのお考えとともにお聞きをいたしたいんですが、いかがなものでしょうか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) この問題は、先ほどのお話の中にもありましたように、今後の文部行政を進めていきます上の非常に大きな案件だと考えておりますし、また文部行政の長い流れの中で、ずっと一つの一貫した流れの継続を受けたものだと、こういうふうに私自身も受けとめておるわけでございます。また、先ほどお話がございましたが、四十九年の国会におきます両院の文教委員会における決議等も承知をいたしておるところであり、また同時にその決議の持つ重さもよく承知をいたしておるわけであります。したがいまして、まずこれからの予算折衝という形をとってこの問題の決をつけなければならぬわけでありますが、何とかしていま申されましたような趣旨のことが生きていくような、そういう結論を出したい、こういうふうに考えまして努力をいたす決心でおるわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 自治省はこれにまた反対だという意思表示をしておるようですが、反対の理由は何ですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 自治省の所管であります地方財政という見地からして、この問題は非常に財政負担がかかるというのがもっぱらの反対の理由のように私どもは承知しております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 大蔵省は自治省と同じように財政上の問題を強調しておるかと思うと、それ以外に教育効果の上でも疑問があると、こういうことをぬけぬけ言っていますわな、主計官あたりは。これ大臣は、教育効果上果たしていまの四十五人を四十人にして効果があるのかなという、こういう大蔵省当局あたりも教育論を振り回しておるようですが、その点文部大臣はどういうふうにこれをお考えになりますか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 宮之原さんにお答えするのには、いささかこちらの方が熟度がまだ浅いわけでございますが、両院のこういう決議が文教委員会であったという事実、また四十五人の現在の定数基準が策定をされました経緯、またそれからの流れ等々の状況から判断をいたしまして、これが一体どの程度それじゃ有効であるか、効率があるのかという問題は、まだ私には十分な返事をいたすほどの実は準備はございませんけれども、ごく素人に考えてみましても、たくさんの定数よりも少ない定数の方がより行き届いた教育ができるであろうということは、これは言えるわけです。ただ、一体どの程度であるか、どういうふうに、どれだけの効率があるかという問題につきましては、これは文部省としては十分検討をしておることと思いますが、私はまだちょっとそこまで宮之原さんに対してお答えをするのには、少し熟度が足りない感じを私自身は持っております。事務当局の方からでもひとつお答えをさしていただきたい、かように考えます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 大臣は率直に自分のことをお認めいただいて、それは無理からぬことだと思いますから、それ以上は申しませんけれども、実はここのところを私は大臣はうんとレクチュアを受けて、確信を持って、いわゆる新聞に出ておる政府首脳なり、大蔵大臣とやっぱりやってもらわなければ、とうてい一般のいわゆる財政の云々だけでこれやっちゃったんでは、向こうのペースに入っちゃうと思いますよ、これ。少なくとも文部大臣は教育効果を高めるためには、教育は国家百年の大計だと言うならば、いま財政がどれほど厳しくとも、いまこれが大切なんだと、十年、二十年後の日本の教育ということを展望したら、いまがしんぼうのしどころなんだと、こういうことになるんだという、教育の発展をさせるという、そこのところを私はやっぱり急速にいろいろ大胆の方も頭の中に詰めていただいて、私はその点文部当局はやっぱり大臣に、きちんとレクチュアと言うと失礼ですが、御進講申し上げる責任があると思うんですよ。そのことなくして、私はこれは単に予算折衝の財源問題のやりとりだけでは、これは負い目になっちゃうと思いますよ。だから、その点多くは申しませんけれども、少なくともいろんなデータの中でも明確に出ておるわけですね。たとえば、全国教育研究所連盟の調査結果も文部省はお持ちでしょうし、あるいは諸外国の例もお持ちでしょうし、あるいは教育現場での実際教育を担当しておるところのいろんな団体からのいろんなデータもお持ちでしょう。言うならば今日やはり教育不在と言われておるところの教師と子供一人一人とのコミュニケーションがない。子供をできるだけ少なくして、一人一人をやはり教師が接触をする中で、個別指導をしていくという中では、この学級定員という問題は、教育発展の中では欠かすことのできないところのきわめて重要な問題なんですから、そこのところを私は踏まえていただきたいと思うんです。こういうことを言って、農林出身の大臣に申し上げて失礼かもしれませんけれども、山本有三さんの「米百俵」という小説がありますわな。御存じでしょう。あの戊辰の役前後、長岡藩が焼かれて、米百俵を贈られた。これを何に使うか。そのときに、これをやはりその領民の皆さんが飢えておるというのでこれを配る、それは一時的には助かるかもしれない。それをやはり将来の日本をつくり上げるためには教育以外にないということで、教育の費用にこれをつぎ込んだという、ここのところですね。私はこれは米百俵ですから、これは農林関係でも関係あることの一つの例だと思って申し上げておるんですけれども、この問題のやはり本質的な理解ということを、文部大臣がきちんと腹におさめておいて折衝に当たっていただかなければ、なまはんかなことでは私は解決できないと思うんです。率直に申し上げまして、それならば、私どもは文部省から出されたところの九年計画で、これでいいかというと満足してないんです。これは。非常に問題点があるんです。いまの私の質問や、いろんな大臣に対するところの激励は、いや、文部省の案は一〇〇%だ、じゃあ支援してくれるかと、こうお感じになったらそれはちょっと早計だ。それはたとえば九年もかかる、ここにも問題がある。いままでの四次までのものは五年計画とか、いろいろなものがある。せめて小学校と中学校ということを考えれば、年次別ではやっぱり最長六カ年ですね、これは。そういう年次の問題もあります。あるいはまたこの案が、いま一番この定数を減らしてもらいたいという要請の声というものは人口急増地帯なんですよ、四十五名のすし詰めをやっているところは。ところが、この案はどうですか。過疎地帯で、その学校へ行けば平均して三十二名とか、三十名ぐらいのところからこれは始まっている。これ自体から言えば問題がないとは言いません。しかしながら、私どもはこのことにあえて目をつぶって、まず文部省の案で芽を出しておいてもらいたいと願いながら強く申し上げているところのゆえんは、いま申し上げたように、この問題がやはり日本の今後の初等教育のあり方の中に、きわめて重要な要素を与えるところの問題だから申し上げておるんです。したがって、私はこのことを文相が十分ひとつ踏まえていただいて、今後折衝に当たっていただきたい。もし財源上の問題があるならば、ぼくはいま文部省に要求されておるところの文教予算で何が何でもいまやらなければならないという問題も場合によっては予算の中にありますよ、私どもの方から言わせれば。あるいは現場の先生要らぬと言ったのを、無理やりに政治的な一つの物の考え方で押しつけてやっているところの主任手当の問題もあるでしょうが。どっちを選ぶかと言われたら、ここを選びますぐらいの大胆な発想を持って、私はやはり文部大臣は事に当たるぐらいの腹構えがなければできないと思うんですよ、これは。こういう私の主張に対しまして、文部大臣はどうお考えになりますかね。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 宮之原さんが長い教育の場における、あるいは政治家としての長い経歴の中で固められた御信念、それに基づきましての、ある意味におきましてはしっかりしろという御激励の言葉に対しては敬意を表するわけでございます。  いま出しております文部省の案というものが、やはり定数基準の問題が文部行政の中における非常に重要な問題であるという認識のもとに、しかもそれが長期における日本の教育行政の中の流れの中での役割り、これは十分私も及ばずながら理解をしておるつもりでございます。その立場に立って、具体的な今日の状況で、私たちの考えております案を実現していくために、全力を尽さなければならぬと考えておるわけでございますが、いまの段階は財政当局とこれからやる段階でございます。これを通すためにこっちの方は遠慮するとかいうような問題のまだ出る段階ではなく、これからどういうような処理をしていくか、私の方はひたすらこの問題を文部行政の重要な流れの中でやっていくんだということをはっきりさして、そして財政当局もまたこれに賛同をしてもらうような努力をやっていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 私もいまから皆さんが本格的な折衝に入ることは承知はしております。ただ、いま申し上げておるのは、何も折衝技術の問題について申し上げておるんじゃない。いわゆる相当な腹を決めてかからぬことにはなまやさしいことではありませんよ、不急不要のものを犠牲にするぐらいの腹構えでもってやらぬことにはだめですよ、それぐらい問題は重要ですよと、これを申し上げておるんですよ。そこのところをやっぱり理解しておいてやってもらわなきゃ困りますね。何もベテランのあなたに私ごときチンピラが、何も予算の折衝の仕方までいろいろ指図しようという気持ちはさらさらないですよ。問題はやはりきわめて重要な問題であるだけに、文部大臣としての腹構えと決意というものは、相当やっぱり固めてやってもらわなければきわめて厳しいんじゃないですかということを申し上げながら、言うならば激励を申し上げておるんですよ、これはあなたを。  続いてもう一つお聞きしたいんですが、それは教科書の問題ですよ。これは初中局長にこれまたお聞きした方がいいと思いますが、何か大蔵当局はこれをまた削減をするところの一つの題目としてすでに挙げられておりますね、新聞報道によりますと。しかも、それにかわるところの代案とも言うべきものとして、たとえば地方自治体の負担にするとか、あるいは所得制限をして、所得の低い層にだけ無料でやるとか、あるいは貸与をするとかという案を検討されておるらしいと、こう伝えておるんですけれども、そこらあたりの今日の情勢はどうなっていますか。ひとつざっくばらんに、こういう会合ですから説明してもらいたいんですよ。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 義務教育教科書の全額国費負担による無償給与というこの制度の問題につきましては、本年だけではございません。ここ二、三年、大蔵当局としては財政上の問題もあり、何とかしてこの経費を削減する方法はないかという御相談はございました。そして、現在大蔵省に、御承知のように財政制度審議会ですか、ございまして、いまの教科書の問題と、四十人学級の問題をともに大蔵省として御相談をなすっておる。したがって、その結論をまちたいということは申しておりますが、事務折衝の段階では、いま先生がお話しありましたような、低所得者階層に対する特別措置と、あるいは半額地方負担というようなことも考えられないかというような提案はございました。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 教科用図書検定調査審議会からこの問題についての建議が出ておりますですね。それによりますと、貸与制についてはだめなんだ、こういうことが中心にずうっと書かれておるようですが、それならば、この所得制限で抑える云々と、きわめてこの考え方が大蔵当局では有力だと伝えられておるところの、この問題に対するところの、これは反論にはなりかねるのじゃないだろうかと思って危惧をしておるんですが、そこらあたりどうなんですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 実はこの貸与制にしたらどうかということにつきましては、五十三年度の予算折衝の際に大蔵の方から提案がございました。このときはもっぱら貸与制の可否という提案でございましたので、その後予算折衝が終わりましてから、審議会の方にいろいろと御報告をしました際に、その話が出まして、そこで教科用図書検定調査審議会の中に、教科用図書分科会というのがございますが、その分科会で、それならば貸与制の問題を自分らでひとつ検討してみよう、こういうような発案がございまして、その結果として実は一年有半ほどかけまして、先般その結論を建議という形でいただいたというような経緯でございますので、この分科会においてその低所得者階層だけに対する給与はどうかというような点についての御審議は、その審議の経緯からしてなかったということでございまして、それはそのほかのやり方についてはどうかという判断を示していないということでございます。  そこで、文部省としては、しかし、いまの低所得階層の者だけに対する給与というようなことは、これはもうこの無償制度の本来の趣旨からして、義務教育無償というものは貧富の差なくすべての児童、生徒に給与するということに意味があるわけでございまして、本来の趣旨を逸脱するようなそういう施策はとうてい考えられないということは別途申し上げておるところでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 これは私は大臣もお読みいただいておるんじゃないだろうかと思いますがね、この建議は。もしお読みいただいておるならば、この問題に対しますところの御見解を承っておきたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 教科書無償の問題について、財政当局からいろいろなアドバルーンが上がっておるようでございますが、また同時に、先ほどの審議会の方からのあれもまた承っておりますが、いろんなそれぞれの案が出ておりますけれども、教科書を無償供与するという原則と申しますか、その立場から若干質の違う皆対策のようであると私は受けとめております。非常に生活困窮の方々のみにそういうものをやるというようなことにいたしましても、教科書無償の本質的なものから外れた対策、貸与制もまた不十分なように私は感じます。今後やはりこの施策は継続していくべきものと考えますので、そのための努力を財政当局にも十分納得をさせるべきだと考えておるわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 私は大臣のいまの考え方に非常に共感を覚えておるんですよ、率直に申し上げて。というのはこの建議案は、確かに貸与制の問題について、貸与はだめだという観点から書かれておりますけれども、やっぱり大臣がいみじくもいま質が違う云々とおっしゃったのは、残念ながらやはりこの建議案は、貸与制度の教育上の問題とか、管理上の問題、財政上の問題、教科書発行供給上の問題点は書いてありますけれども、肝心のやはり義務教育は無償であるという、この原則と申しますか、ここのやはり物の考え方というものはきわめてこれは薄い。確かに答申のちょっと上の方には書いてありますけれども、言わんとしておるところは下のところだけ書いておる。もし大臣が憲法二十六条の示すところの、義務教育は無償であるという、ここのところがやはり薄いんだという立場からの質の違うということだったら、全面的に私はその大臣の所見に賛成なんですよ。少なくとも、やはりこの教科書無償という問題も、そこのところを踏まえたところの折衝なり、あるいは主張というものがなければ、私はこれまた迫力を欠くものだと思うんですがね。そういうふうに私は大臣のいままでのお答えを理解したいと思うんですが、大臣、義務教育無償というこの意義なりをもっとちょっと敷街をしてお聞かせをいただきたいと思うんですがね。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 余り、まだ新米でございまして、詳しい中に入りたくないんですが、最高裁の判決等も十分承知しながら、教科書の無償供与は今後とも継続したい、その立場で予算折衝に臨みたい、かように考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 いや、教科書無償というものと、義務教育は無償というものと、私どもはやっぱり本質的に同一の基本理念に立たない限り、この問題処置できないと思っておるんで、そこのところをさっき質の問題でなかなかいいことを言われておったんで、もう少し大臣の造詣のあるところをお聞かせ願いたいと思ってお聞きしておるんですがね。ただ折衝に当たりたいではなくて、今度は折衝と離れてそこのところをちょっとお聞かせいただきたいんですよ。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 憲法の規定の解釈はいろいろあると思いますし、先ほど申しましたように、最高裁の判決自体、授業料の問題ということに限定をしておることも十分承知をいたしております。しかし、すでにこの制度が現実に動いておるわけであります。その精神の根底にいま言いましたものがあることも、これもまた十分推察のできるところでありますので、この問題については、これから新しくどうこうするという問題とは違う、そういう経過的な問題も含めまして継続をしていく、そのことが私は当然であろうと考えている、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 これ以上大臣からもっと教育の問題の基本的な問題についてはお聞きするのは無理かもしれませんけれども、私はこう思っておるんですがね。それに対して最終的にまた大臣のお考えをお聞きしたいと思うんですけれどもね。経過的な問題という私は受けとめ方では困ると思っておるんですよ、率直に申し上げて。いままであったんだからこれを続かすんだということでは。たとえば、三十七年の通常国会ですか、教科書無償に関するところの法案が出されたときには、私はその際の提案理由というのは非常に飽き足らない、きわめてまた一つの政治的な物の考え方というのがにじみ過ぎておると思っていたんです。なぜかと申しますと、いま古い資料もありますけれども、当時の提案理由でこう言っておるんですね。「教育を通じて、わが子が健全に成長し、祖国の繁栄と人類の福祉に貢献してくれるようになることにあると思うのであります。この親の願いにこたえる最も身近な問題の一つとして取り上げるところに、義務教育諸学校の教科書を無償とする意義がある」そこはいいとして、またその教科書もいろいろ批判があったが、新しい学習指導要領がつくられて、日本人としての自覚を持たせるような教科書が刊行されるようになったから、無償にすることによって、児童、生徒が国民的自覚を深めることに役立つんですと、こういう物の言い方ですね。この後段の提起などはまさに私は政治的だと思う。あのころから学習指導要領のあり方の問題、基準法の強化の問題ということは、相当これ議論の分かれるところの問題なんですよ。あれを通そうという一つの政治的な意図で、与党の皆さんを納得させようと思っているところの意図がにじみ出ておるかもしれませんけれども、余りにも私はやはりこういう考え方では、これは教科書無償云々というもののあれにはなっていかぬのじゃないでしょうか。あの指導要領というものが、今日いろいろ言われておる。たとえば学校教育におけるところの創造性、自主性を発展させなさいと言いながら、この指導要領の基準性の拘束性という問題について非常なやっぱり問題がある。それでいて何が一体できるかという議論さえもある。私はやはりこういう立場ではなくして、むしろ義務教育の無償というこの考え方というのは、日本国憲法のやはり基本的な物の考え方から出ておるところの問題ですよと、ここのところを踏まえていただかなきゃ困るんじゃないでしょうか。ややもするとやはり戦前の感覚でもって、親が就学義務を負わされておるところの見返りだから、義務教育については無償にしようとかというような物の考え方では私はだめだと思うんです。少なくとも日本国憲法は、二十六条ですべての国民に教育を受けるところの権利を保障しておるんですから、無償原則というのはやはりこの権利を保障するという立場に立たない限り、私はこの問題に対するところの物の考え方を間違うんじゃないかと思いますよ。そうでなければ、いわゆる一つの裁判の判例みたいに、いや義務教育というのは授業料を取らないだけで、これが無償なんだという憲法解釈をするところの人もまだおられる。そういうものの立場に立つ限り、私はこの問題は解決つかないと思うんです。そういう論理に立てば、財政が困難なんだから、一時ストップしてもいいじゃないかという論理さえも出てくるんですよ。この無償の原則というものは、それを単に授業料だけじゃなくて、いろんな施設設備の面、あるいは教材の面においてもどんどん広げていく、場合によってはこれをさらに高等学校教育のところにも進展をさせていくという一つのやはり展望、物の考え方の中からこの問題を私は処置をしなければ誤るんじゃないかと思いますよ。初中局長ときどき首をかしげたりしておるけれども、実はあなたの前の前任者、前の前の前任者だって、岩間初中局長もこの種の答弁をしておるんですよ。またその後文部省の方針が変わったというんならお聞かせいただきたいんですがね。この議事録は、四十八年の四月十七日の第七十一国会におけるところの本院文教委員会の議事録の一部です。当時の岩間初中局長はこう言っておる。    義務教育の無償範囲でございますが、ただいまのところ私どもは授業料をとらないというのが義務教育の無償の考え方であろうということでございます。しかしながら、義務教育の趣旨をよりよく実現いたしますために教科書の無償というものを始めたことは、これはもう御指摘のとおりでございます。   さらに、今後の問題でございますけれども、私どもとしましては、義務教育はできるだけ父兄の負担を軽くするようにということから、全体の一〇%でございますけれども、家庭が貧しくて義務教育に多大の費用というものをかけるわけにいかないような方々に対しましては、教科書のほかに、学用品でございますとか、通学用品でございますとか、あるいは医療費、給食費、それから修学旅行費、そういうものにつきまして、これを無償にするような方向で進んでいるわけでございます。それからさらに、これは国会でもやはりお取り上げをいただきまして、学校の教材を充実するということ。  さらに、今後年次計画を持ちまして教材の充実ということを無償の方向にやっぱりやっていくんですよと、こう言っておる。  この物の考え方は、裁判の判決が義務教育無償というのは、授業料を取らないことだけが無償なんですという物の考え方じゃないんですよ、大臣。どんどんどんどん、やはり財政の許す中でこれを広げていって、教材の面においても、器具の面においても、やはり国民がひとしく教育を受けるところの権利を保障できるようにやることが、行政当局のこれに対するところの物の考え方なんですということを明確に言っておるんです。ここのところを大臣踏まえていただかなければ、最高裁の判例どうだこうだというように、いわゆる裁判での授業料云々というところにとどまっておる物の考え方をあなたが持つ限り、一歩も前進しませんね、率直に申し上げまして。私は、先ほどあなたの説に賛成というのは、義務教育というのは無償だという、その無償というものが、どんどんやっぱり拡大をしていかなきゃならない、その一つの手だての中で、教科書無償というのが一つの段階の中で出されて、ようやく定着しておるんだから、これを確保すると同時に、さらにやはり、文部行政の責任者としては、これを拡大するところの方向に問題を進めていくと、ここのところを踏まえない限り、この問題に対するところの指導を誤ると私は思うんですけれどもね。私はそう思いますけれどもね、大臣はやはり、義務教育というのはあくまでも授業料を取らないことが無償だというふうに、狭い意味にお考えなんですか。どうなんですか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 宮之原さんの御趣旨、御意見はもう十分によく拝聴をいたしておりますし、私は、いろいろな解釈が仮にできるといたしましても、そういう、現実に制度自体が定着をしておるという事実は、やはりこれは非常に大きいと私は思います。今後の発展をどういう方向に持っていくかということについては、これはいろいろ議論が、財政上の問題等があると思いますけれども、憲法における、いまの無償の問題、それに対する解釈が仮にあるといたしましても、その後の経過がこういうことになっておるという、そのことと両方あわせて考えますと、これは非常に大きな意味があるというふうに認識をいたしまして財政当局と話を続けると、こう言っておるわけであります。さらに発展的にそれをどういうふうに持っていくかということにつきましては、十分に考えていかなきゃならぬと思いますが、いま提案されておる財政当局のいろいろな試案に対しましては、そういう考えで持っていきたいと、こういうふうに申し上げておるのでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 だから私は、せっかく谷垣さん文部大臣になられたわけですから、この機会にやはり、従来ずうっとやってきておるんだから、これをさらに続けさせてくれということだけじゃなくて、教育とは何かと、常にやはり教育の観点から物事を処していただく、また、そういう立場から強くこの無償の問題も正面に押し出してやっていただかなければ、これは国民の期待にこたえないんじゃないだろうかと、こう思って申し上げておるんですから、どうかこれは、いままでやってきておることだけで認めろと言うだけでは、ちょっと迫力を欠きます。率直に申し上げて。やはり、いろいろなこの義務教育というもののあり方の問題を踏まえながら、強力にひとつこの問題についてはやっていただきたいということを、私は御要請申し上げておきたいと思います。  なお、お尋ねいたしたい点は学校給食の問題ですよね。これは文部大臣のおはこのようですから、ちょっとまたお聞きしたいんですがね。これは新聞報道によりますと、文部大臣は二十一日ですか、記者会見で、米国流のパン食を学校現場にならしたことは政策的に失敗だったと思う、日本人は米を食べていくべきだというふうに、真正面からいままでの文部行政におけるところの学校給食行政のあり方を批判をされていらっしゃるようですが、その真意とか、あるいは根拠というものをどういうふうに踏まえておられるか、そこらをちょっとお聞かせ願いたい。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 戦後いろんな経緯があって、今日の学校給食の形態が出ておると思うんですけれども、私はその土地で生産されたもので生きていくと申しますか、それを摂取して生きていくということが人間の一番自然な生き方だという物の考え方を実は持っておるわけであります。日本の広い国土をいろいろと議論するわけにはいきませんけれども、やはり日本列島の自然状況、あるいはいままでの社会的な習熟度等を考えてみますと、これを、日本のようなモンスーン地帯においては水田によって米をつくるということがきわめて自然な、また適合した状況のものであるし、したがって、そこで住んでおる私たちは米を主食にして生きていくということが自然な生き方である、こういうふうに実は根底にそういう考え方があるわけでございます。もちろん北海道の方々で、いやそうじゃない、もっと違う食べ方があるというお考えももちろんありましょうし、それはそれで正しいと思いますが、大ざっぱに日本全体で考えますと、私はそういうふうに思うわけでございます。  それで、もちろんこのパン、あるいは小麦粉による給食の事実そのものが戦後の混乱した食生活の中で、アメリカからの一種の救血品のような状況から出てきておるという経緯がございますし、またそれを教育の場に取り入れて、教育的な立場から見て、また体育の状況等を改善する意味から言って、非常な苦労をしてまいっておるという経過は、それも承知をいたしておるつもりでございます。しかし、当初申しましたように、日本の食生活のあり方と申しますか、それを考えました場合に、米飯の給食ということはごく自然なことではないか、こういう立場から、現時点に立って考えれば、終戦後以来続いてきたパン食、あるいは小麦粉によるめん類等の供給もあろうと思いますが、これはいささか問題ではないかという趣旨を実は申し上げたつもりでございます。学校給食だけが児童の諸君の食生活でないことも心得て言っておるつもりでありますが、むしろ少年期、児童期における食生活というものが、教育の立場から見ていろんなしつけの上、あるいは学校教育の上に必要でもありましょうし、さらに子供のときに、日本のこれからの食生活を考えても、もう少し米飯の給食の度合いを進めていくのは、これはごく自然なことじゃないか。現在行われております週二回の計画がいま進行の途中でございますので、これをさらに進めていくということがいいことだということを実は申し上げたのでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 いや、それは農林省出身の文部大臣が、それは今日の食糧政策、あるいは米の問題でいろいろあるという政治的な背景の中、あるいは日本人の食生活の問題、そういう問題から米飯給食というものをもっともっと積極的に取り入れていきたいとおっしゃるなら、それはそれなりに意味がわかる。けれども、いままでのパン食中心の学校給食は政策的に誤りであったということになりますと、私は体育局長に質問したいんですけれども、今度はやはり文部省としては、今後大臣のように、いままでのものはみんな誤りだったからこう直すのだという新しい学校給食政策を出すということになりますかね。同時にまたいままではやはりあなた方も誤りだったと、こう思っておるのですかね。ちょっと局長の答弁を聞きたいね、これは。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) いま大臣がお答えになられましたとおり、わが国の学校給食で、わが国の国土で、土地で生産されるもの、それが取り入れられるということは、最も素直なことだということを大臣はおっしゃられたわけでございますし、また学校給食には経緯がございますが、パン、ミルク、おかずというこの仕組みの中で、児童、生徒の健全な体の育成、あるいは国民の食生活の改善にも寄与してきたということは事実でございます。この両面の課題をうまく調整していこうということで、現在週二回米飯給食を導入するということを、四十五年の実験学校を経ましてから、計画的ないま施策を進めておるわけでございまして、これにつきまして、大臣はそのことを含めて御回答されたことでございます。私ども、当面この年次計画による五十六年の完成を目指しております米ありパンありという、この給食の目標達成をしていきたいというように考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 文部省が学校給食の充実という問題で、一番新しい時期に方針というのを決めたのは、これは四十五年ですかね、そうですね。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) はい。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 そのとき以降ずっと米、めん類、パンのバランスをとれということをしきりに学校給食で指導されておりましたね。大臣の政策的にいままで誤りだったと、これは欠けておったのじゃないだろうかと、こういう物の考え方からすれば、それはやっぱり間違いなんで、米飯食中心にやはり学校給食を考えるべきだということに方針が変わっていくというふうに理解せざるを得ないのだけれども、いまの体育局長の答弁を聞いていると、四十五年時代からのずっとやっぱり基本的な物の考え方が重要で、それはあのときに五カ年間の実験をしながら徐々にいろいろ順序を立ててやってきておる。もうその結論が出たから今後ばっと大臣の言うとおりに変わっていくということになるのですか。あの方針はあくまで堅持されるというなら、大臣の言われたこととの調和というのはどうふうに保っていくのですか。ちょっとまた具体的にお聞かせいただきたい。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 私が申し上げております点は、決して日本で米が余ったから、余ったものを学校給食に回すという、そういう考え方で申し上げているのでは決してございませんので、そうではございませんで、いまの日本——いまのと申しますと少し語弊がございますが、これからの食生活、また従来の食生活、日本人の食生活を考えても、米がやはり主食であることはきわめて自然なことであるという考え方、パン食を全面否定するという考え方では決してございませんけれども、しかし、やはり食生活の基本にそういうものがあるということ。しかも、それは食生活に関して非常に大切な時期の児童、この時代にそのことをしっかりとひとつなじんでもらう必要がある。もちろんミルク等を給食に入れまして考えました場合に、それが米よりもパンになじみやすいというような事実もあり、また従来非常な食糧の状況の中でアメリカからの小麦粉の給食という形で進んできたということもこれはあるわけでございますし、またどういうものを食べなきゃならぬという強制ができる筋のものでないことも十分知っておりながら、私はしかし大切な児童の時代に日本の食生活の基本的な米飯というものをもう少し重視をしていく必要があるのではないか。それが五十一年からいま実施されておりまする学校給食における米の給食を、週二回をするというこの計画を確実に追求して完成さしていく必要がある、これを強く少し申し上げておるわけであります。完全な給食、体育をするためにという必要があることは十分存じておりますしいたしますが、それは日本の食生活の基本にある米飯というものを通じてもできることでございますしいたしますから、パン給食を全面否定するような考え方ではないのでありまして、もう少し子供の教育の中に、米飯の日本人としての食生活の重要性を具体的に考えていくような、そういう場をつくってもらいたい、こういうことを申し上げておるわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 そうすると大臣のこの学校給食に対するところの物の考え方はこう理解していいですか。日本人は米が主食なんだ、だからやっぱり学校給食でも米食というか米飯給食というものをもう少し重視をしていくべきではないかと、こういう考え方だというふうにいまの説明では受け取られるのですよね。そういたしますと、いままでのこの日本のパン食中心の学校給食にならしてきたのは政策的に誤りだったと、これはちょっと勇み足過ぎますね、どうなんですか。そのことが与えるところの影響が大さいだけに、そのことはきちっとはっきりおっしゃっておいてくださいよ、どうですか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) いま現実に週二回の米飯給食をやろうとして、実際はなかなかその達成度が遅々としておる点が多いと思います。まずこれをやっていくべき必要があるというのが私の考え方でありまして、その中に、従来からのいわゆる小麦粉給食という形で入ってきた中へ、もう一度日本人の食生活を考えた場合に、米をもう一度見直していただく必要がある、こういう主張を私がしたわけでございまして、いままでのやり方が間違っておるとか、間違っていないとかいう議論が、言葉がそういう形になって出ておったということであれば、これは少し行き過ぎであったと思いますが、いまの学校給食の考え方の、五十一年からの週二回というあの計画がまだなかなか達成されてない状況、せめてそのぐらいの計画がもっと早く達成されたい、こういうことを私としては申し上げておるわけであります。ことにそういうことを感じますのは、何と申しますか、案外なところで米の問題が少し軽く考えられておるんじゃないかという感じが私はいたしたものですから、そういうことを申し上げておるわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 私ね、その二十一日の記者会見の新聞を見まして、一社だけかと思ったら、みんな同じことを書いてあるんですよ、これは。いまの御答弁からすれば、これは間違いですね、ちょっと勇み足ですね。まさか私は、新聞が責任だとは言えぬと思いますよ。ここらあたりに、また谷垣さんがよく漫画で書かれておる、農林官僚のしっぽがついておるんだと、こう言われるところのゆえんじゃないでしょうかね。ぼくは文部大臣になられたんだから、こんなしっぽなんてきちっと切っちゃって、文部大臣という立場から、教育的な立場から、私は日本の食生活という立場から、もっともっと、いまおっしゃったように、週二日というのも、現実から見れば普及率、実施率が小学校で七六%ですね、中学校で八三%なんだから、これをまず今度はやれ、ここへ力を注ぎたい、これなら素直に理解できますよね。だから、そういうふうに物事はやはりいままでのいろんな経緯も十分踏まえてちょっと言ってもらわなければ、無用な混乱を起こしますから、その点だけはやはり今後のためにも、私はあえて御忠告を申し上げておきたいと思うんです。  そこで、お聞きしますが、これは体育局長、米飯給食を文部省は教育長を呼んで県別に直談判をしておるという記事があるんですが、そういう点ではまさに谷垣さんが、今日文部大臣になるのを早くに読んで、半年前からやっておられたかもしれぬけれども、これ四月二十日の記事ですけれども、「食べぬなら食べさせてみよう」という見出しのもとに、「米飯給食 文部省、推進へ攻勢 教育長を呼んで直談判」と、こう出ておるんですが、これはあれですか、先ほど局長にお尋ねしますと、四十五年の方針は変わらぬのだと、こう言いながら、一人一人呼んでやられておるという、この真意は何ですか。そのことをまずお聞かせ願いたい。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 米飯の導入につきましては、それぞれの地域、学校で大変な御理解と御努力を賜っておるわけでございますが、現状がなかなか地域差がございます。特に、大都市におけるこの面の導入につきまして、なお努力を要するということでございますので、私ども大都市の教育長を中心として、これへの努力をさらに御要請をしたということでございます。このことは学校給食に弁当持参でいいんじゃないかとか、いろんな問題もございますので、それぞれの地域で、それぞれの学校の実態に応じた具体の推進方につきまして御意見を賜り、五十六年は間近でございますし、また、今年度から従来三五%引きでありました米の価格につきましても、これを六〇%、あるいは初めて米飯を導入するところにつきましては七〇%引くということの価格の方の問題もそれなりの前進を見ましたので、この機会におくれておる教育長さん方に直接お願いを申し上げた、御依頼を申し上げたということでございます。私はこの米飯導入につきましては、各学校の、特に、先生方、あるいは給食の関係者の深い理解と協力がなくては実現しないという問題でございますので、そういう観点に立ちまして、教育長さん方にお願いもし、御激励もしたということでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 非常な地域差というのがございますね。栃木、千葉、香川、奈良、佐賀、沖繩なんかは九〇%、東京七二、神奈川二〇、大阪二七、兵庫四七というように、非常なやはり米飯給食の実態に差がある。それを埋めるためにというのはわかりますよね。けれども、どうも話を聞きますと、今度はお米になると六割引きがあるから、安上がりだからやれというふうにしか聞えませんわね、これ。問題は、米が安く入って、給食費も安くなるからそうやれということよりも、なぜ格差があるのか、地域差があるか、そこのところをやはり解明して手だてするということが先決じゃないですか。安くなったからお前たちやれやれと言ってみたってそうはいきませんよ、それは。口をあけて無理やりに押し込ませるわけじゃないのだから。  そこで、私は大臣にお聞きしますけれどもね、大臣の米飯給食への熱意はわかるけれども、こういう格差があるのです。五十三年の表を見ましても。一体どこに原因があるのか、そこのところを大臣はどういうふうにとらえていらっしゃいますか、これは大臣からお聞きしたい。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) いろいろ問題があるのだろうと思いますが、私は、一つには施設の問題もありましょうし、それから、従来パン食になれておる、そういう形のところもありましょうし、また、もっと考えようによりますと、果たして言ってみますと、米の供給そのものがおいしい米であったのか、あるいはそれが品質のまずい米であったのかというような問題もありましょうし、あるいは従事しておられる方々のいろんな炊事の問題もありましょうし、そういう問題が出てきておるのではないか、あるいは同じようないわゆる地方の府県におきましても、県ごとの差があるようにも思います。そこらももう少しいろんな事情、どういうとこであるかということの検討を私はいたしたいと考えておりますが、事務当局としてはそれぞれの県の状況も考えて、施策を指導しておるのではないかというふうに思っておるわけであります。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 ぼくは大臣、それは米飯給食に比重を置きたいというんなら、ただ日本人は米食でずっと食生活をしておるからやるべきだと言ったって、私は通用せぬと思いますよ。問題はやはりそれは安くなるということ、おいしくなるということも大事ですけれども、なぜ特に米飯給食というのが都会地でとまっておる、普及をしないか。やっぱりその障害点になっているところの問題を、精神論でいかぬのですよ、これ。一つ一つやはり皆さんが文部行政や予算措置の中で除去をしていくという、これがない限り幾ら農林省出身のあなたでもこうはいきませんわな。たとえば率直に申し上げて、いまのやはり米飯給食というのは手がかかり過ぎる、労働過重になる、設備もないというのが端的な声なんですよ。それならば施設を拡充するためには今度は予算これだけふやそうとか、給食関係の人が足りない。非常に労働強化になっちゃうんですよ、限られたところの給食関係の従業員だけでは。もし米食を普及させるとするならば、その人の補充もさせていく。手間のかからないような工夫をする、そういうものを待たなければ、それは日本人が米を食うべきであって、これはアメリカの小麥粉を食うというのはけしからぬと言って、国粋主義的な物の考えで、学校給食というのは批判されたんじゃ、これはだめだ。同時に学校給食というのは、そういうポリシー以外に、学校教育としてのやはり給食なんですから。よく現場の皆さんはこう言うんですよ。どうも文部省の大事な金でいろいろやられるんだけれども、いろんな政策の問題だけが先になって教育は後追いをしておる。これでは私はぐあいが悪いと思うんですよね。したがって、そこのところをきちんと踏まえたところのものをしない限り、幾ら大臣が言われたって、あるいはまた体育局長が大臣の意を体してやろうたって、肝心かなめのその隘路になっているところの問題点を除去してやらない限り、この問題の発展はありませんよ。そういうふうに申し上げておきますがね。  それで私はこの問題について最後にもう一つお聞きしたいんですけれども、先ほども体育局長は四十五年に出されたところの学校給食のやはり道しるべというものを基本にこうしておるというお話なんです。しかし、これは四十五年に保健体育審議会の答申が出ておりますわね。これに基づいておるんでしょう、体育局長。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 四十五年の保健体育審議会で改めて今後の学校給食のあり方につきましての御審議を賜りました。その中で学校給食の米飯導入につきましては、先生も御指摘のような種々の問題点もあるので、その辺の十分検討をしながら進めていくということで、実験学校の取り組みに入ったという形でございます。その実験学校を経まして、五十一年から年次計画で推進するということを改めて保健体育審議会の御意見を伺いまして、保健体育審議会の御答申で、米飯給食は、食事内容の多様化を図り、栄養に配慮した米飯の正しい食習慣を身につけさせるなど、教育上有意義であり、わが国の食糧資源を考慮した日本人の食生活を再認識して、これを積極的に推進すべきであるという御答申をいただきまして、これに基づきまして五十一年から年次計画の推進に入ったという経緯でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 だからこの答申を尊重してその筋でやっておられるわけでしょう。そのことは間違いないですね。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) はい。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 それで、そのことと関連してお聞きしたいんですがね。いま体育局長の方は米飯給食のところだけ言いましたけれどもね、ぼくはやはりこの全文を見て、たとえば学校給食の改善と書かれたところのものがあるのですね。こう書いてありますよ。これは「パン、ミルク等」と書いて、(3)ですけれども、学校給食は、成長期にある児童、生徒の発育に必要な栄養素を十分摂取できる食事内容とすることに主眼をおいておる。このため、食材料としては、牛乳、乳製品等が重きをなしており、主としてカロリーの摂取源としての役割りを持つ穀類については、小麦でも米でも栄養上さしたる違いはないが、米飯よりはパンの方が牛乳、乳製品に合う等栄養確保の上で容易であり、取り扱い上も便利である。このような事情から、学校給食においては、パン、ミルク、おかずの食形態を基本にし、特別の事情あるとき米を使用することもさしつかえないとしてきたのであるが、米は一般に美味で、おいしくて、また塩気の多いおかずを伴いやすいことなどからとかく過食になりやすく、食事内容の栄養的均衡を欠くおそれがあるので、米の使用基準を十分に指導し、精白基準の明示、米への栄養強化、おかずの充実云々と、こういうふうに特に重視しなければならない。この物の考え方、これはパン食というのが学校給食の主流なんですよという物の書き方なんですよ、だれが見たって。ただしかし、これに米飯給食ということも重視しなきゃならぬから、まず米の場合にはこうこうこういう欠陥があるから、この点を十分踏まえてやりなさいと、こう出ておるんですよ、これは。そういたしますと、これも変更しないと言う。大臣はまた今度米に少しウエートを置きたいと。こういうことになると下が混乱するのは無理ないでしょうが。一体どっちがほんまかということになるでしょう。ぼくはここにも大臣の就任翌日のあの言葉でさらには混乱を増しておることの要因があるので、私は何もここでこれをとっちめようという気はさらさらありませんがね、体育局長。この種の問題もやはりきちんと踏まえて、大臣の出す方針、一体どうすればいいかという問題をやはり明確に指導しておいてもらわなければ困りますよ、これ。それだけ申し上げておきます。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 先生御指摘のとおり、四十五年実験学校に入るときに、保健体育審議会にお諮りいたしまして御意見を賜りました。米飯の導入については、栄養面あるいは実施面で十分な手当をしていけということの御答申をいただきました。その結果、実験学校を続けてまいりまして、改めて五十年の十二月に学校給食における米飯導入についてという諮問をいたしました。その御意見の結果、先ほど読み上げましたとおり、米飯の導入について積極的な推進を諮るという方針をいただきまして、現在進めておるという経緯でございます。  なお、四十五年の御答申の中で、いま先生の御指摘されました日本人の炭水化物は米でも、あるいは小麦粉でも、いずれでもよいという考え方があるがという点は、三十六年に国民栄養審議会の方でそういう方針が出されております。それを受けて述べられておるものでございまして、これから米飯の積極的な導入また年次計画の目的達成のために、種々の施設設備の補助の増額、あるいは委託工場への設備補助等の問題、あるいは価格の問題もそれなりの前進を見ましたので、鋭意各方面の御理解、彼協力を得まして、その実現を図ってまいりたいと思っております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 ぼくは多くは申しませんけれども、大臣の言うことと指導の間にやっぱりギャップがあるということは事実なんですよ、大臣、どう言われようと。といってぼくはパン食がいいと言っているんじゃない。米飯給食を重視するのは結構だ。けれども、それならばそれに至るように、学校現場に混乱の起こらないような手だてをしながら、あるいは米飯給食は進展をしないところのいろんな隘路があるわけですから、そこのところをやはり除去しながらやっていくという、やはり実際に学校で学校給食を指導しておるところの先生方が、その立場を踏まえながらやってもらわなければ、思いつきに、大臣がかわったからといってぐりぐり変わって、あれはどういうことだろうかというようなことでは困る。そのことだけは申し上げておきたい。そういうことを申し上げたいものですからいままでお聞きしておるんですからね、そういうふうに御理解いただきたいと思うのです。  割り当てられた時間がありませんから、もう一つこれは聞いておきたいと思うのですが、これは給食の問題とは別です。  大学局長、放送大学の問題なんですが、御承知のように、八十七国会に提出されたこの放送大学法案は廃案になりましたね。それをまた次の通常国会もそのままに出そうというお考えなんですか、どうですか。次の通常国会はまた長期間だから、粘れば何とか通るんじゃないかというようなお考えなんですか、どうなんですか。端的にそこをお聞かせ願いたい。

佐野文一郎文部省大学局長

○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、前通常会で衆議院文教委員会において慎重な御審議を賜ったわけでございますが、廃案になっております。その後臨時国会に提出をいたしましたけれども、これも審議を経ないで廃案になっているわけであります。私どもとしましては、放送大学法案の内容については、前回法案を提出いたします際に十分に検討をして最善と考えられる案を提出をしているわけでございます。衆議院における審議におきましていろいろと問題点が指摘をされておりますけれども、そうした御指摘を踏まえた運用について十分留意をする必要があるということは私ども十分承知をいたしますけれども、法案の内容につきましては、大学局としては前回提出した法案と同一のものをできるだけ早く提出をし、国会において御審議を賜りたいと考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 大臣、ひとつ聞いておいてくださいよね。これはまた通常国会では重要法案の一つですけれども、こういう物の考え方が困るのですよ。あなたも長いこと官僚育ちですから同じ考え方かもしれぬけれども、最善の案だから手直しをする必要がない、そのことよりもまずどこに問題があったか、どこを手直しをしなきゃいかぬか。いわゆる国会でいろいろ議論するでしょう。そうすると、やっぱり問題点というのは指摘されたら、それは謙虚に受け入れて、いろいろな各党の意見を考えながら、修正できるものはしていって、よりよいものをまとめていくというのがこれは民主政治のあり方じゃないですか。それをいろいろ意見がありましたけれども、最善の案として考えてまた出しますと。それ出されても結構ですよ。しかし、またつぶれますよ、それだけ言っておきますから、いまのままだったら。来年の通常国会だって長くいつまでもやれぬでしょう、参議院選挙があるんだから。大体いつまでやったって六月の初めごろまでですよね。そういう中でこれは通りっこありませんよ。あれだけ問題点が指摘されているじゃありませんか。たとえば、やっぱり放送大学の設置母体となるところの放送大学学園の組織、機構の問題、こういう問題についても、ただ現在の特殊法人の形をそのまま持ってきてやろうとしたって非常に無理がありますよということを指摘されていることも局長一番御存じでしょう。あるいはまた文部大臣及び理事長の権限が非常に大き過ぎやしないかという問題、あるいはまた放送大学の成功によって、学習センターというものの整備等とも不可分であるけれどもどうかという問題。また一番重要な放送法四十四条三項との関係、あるいは現在あるところのNHK、民放というものにもう一つの国営放送というものができる。こういうやはり放送のあり方の問題、電波のあり方の問題からすれば、これは一文教の問題じゃないのですよね。だから、そこらあたりをむしろ皆さんの方としては、問題があれだけ指摘されているのだから、そういうものを謙虚に、検討すべきものは検討して、よりよいものをまとめて合意を得ていくというのが筋じゃないですか。政治情勢はそれぞれ伯仲の時代になっているでしょう。それを与党の皆さんだけにおすがりしてやろうとしたって、時代はそうはいきませんよ。しかも、これは単に野党の方から指摘されたところの問題点だけじゃない。与党の逓信関係の皆さんからも指摘されておるじゃありませんか。こういう事態を踏まえて私はやはり検討すべき段階にきていると思うのですよ。私は大臣が次は提案者になられますから申し上げておきますけれども、どうなんですか、やっぱりこれでいこうというお考えなんですか。ちょっとそこだけお聞かせ願いたい。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) まだがたがたしておりまして、実は放送学園の経緯その他、まだ私十分承知はいたしておりませんが、いずれ早急に経過も聞き、そして決心をしていかなければならぬ、かように考えております。いま宮之原さんからのお話は十分にお聞きいたしましたので、努力いたしたいと思っております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 大分長いことあれでしたけれども、大臣、教育の当面の課題というのは、特に予算折衝の中では教育の基本にかかわるところの問題が、今度ぐらい象徴的にあらわれているときはないのです。したがって、おわかりだと思いますけれども、それこそぼくは職を賭すぐらいの決意でもってやってもらわなければできないと思うのですが、最後にそこらあたりの大臣の決意のほどをお聞きして質問を終わりたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 篤とひとつ努力をさしていただきたいと、かように考えております。

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 本調査に対する午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後は一時三十分に再開することとして休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      —————・—————    午後一時四十七分開会

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査を議題といたし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 私は、きょうは、ある日突然父親を失ったり、あるいは母親または両親を失った交通遺児の教育問題について、お尋ねをしてみたいと思います。  最初に、厚生省の方から、全国に母子家庭がたくさんおられますが、その母子家庭の数並びに生活の実態はどのようになっているか、お尋ねしておきたいと思います。

伊藤卓雄厚生省児童家庭局母子福祉課長

○説明員(伊藤卓雄君) まず、お尋ねの母子家庭の数でございますけれども、五十三年八月現在の調査によりますと、全国で約六十三万四千世帯というふうに推計されております。このうち一世帯当たりの平均児童数は、この児童は二十歳未満でございますけれども、一・五六人という結果になっております。  母子家庭の生活の状況というお尋ねでございますけれども、これも同じ調査によりますと、母子世帯の五十二年中の年間所得でございますけれども、平均が百五十六万円となっております。この場合の母子世帯は、先ほど申し上げました、児童が二十歳未満だけでなくて、二十歳を超えている世帯も含まれておりますので、平均世帯が三・二人となっておる点だけ御注意願いたいと思いますが、これの平均所得百五十六万円に対しまして、比較する数字といたしまして、同じく五十三年に調査いたしました国民生活実態調査、これによります全世帯の平均所得を見てみますと、これが、同じく五十二年中の年間所得でございますが、平均三百三十六万円ということになっております。この場合の世帯人員は三・五六人となっておりますので、厳密に言いますとこの辺修正する必要があるかと思いますけれども、大ざっぱに言いまして、母子世帯の年間所得が一般の家庭に比べて二分の一以下ぐらいであるということが言えるのではないかというふうに思っております。  なお、支出の方を見てみますと、これも、ただいま申し上げました所得に対比した直接的な数字ではございませんけれども、別途私どもの方で厚生行政基礎調査という調査でやりましたものによりますと、五十三年の五月中の家計上の現金実支出額でございますけれども、これが全世帯の場合、これは月でございますが十五万二千円、これに対しまして母子世帯の場合が十万八千円強ということで、約七〇%ぐらいというふうに相なっております。  以上でございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 その母子家庭の中で、交通遺児の家庭はどのぐらいの数になっているか、お調べなったことがあると思いますが。

伊藤卓雄厚生省児童家庭局母子福祉課長

○説明員(伊藤卓雄君) ただいま申し上げました同じ調査の中で、交通事故のために母子世帯になった世帯数というのを区分しておりますけれども、これは先ほど申し上げました六十三万四千世帯のうちの五・九%に当たります三万七千世帯というふうに推計されております。これは、実は前回にやりました調査、五万五千世帯と推計されておりますのに比べて若干減ったという、実数においても減っておりますし、割合においても若干減ったという結果を得ております。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 交通遺児教育会からの資料によりますと、約六万世帯の交通遺児家庭があるという調査の判明がしております。いま御答弁をいただいたのは三十三万七千世帯、余りにも厚生省の調査の数と育英会の調査の数がかけ離れているように思います。この点はさらに再度正確な調査をしていただきたいと思います。  さらに母子家庭の中の、交通遺児の家庭の生活状況を詳しく厚生省の方で実態を掌握をされているかどうか、おわかりの点を御説明を願いたいと思います。

伊藤卓雄厚生省児童家庭局母子福祉課長

○説明員(伊藤卓雄君) 先ほどの数字の違いでございますけれども、これは私ども交通遺児の調査の方の手法を伺っておりませんので、ちょっと比較できませんけれども、私どもの従来から数度にわたってやっております母子世帯の数字では、先ほど御説明しましたような数字を得ておるわけでございますが、その中では母子世帯に至った原因別——死別であれば、その中の事故で亡くなったということやら、あるいは病死であるとかいう理由別はとっておりますけれども、それに応じて子供の数がどうなっているかというような区分まではいたしておりませんので、正確な数字は得ておりません。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 大変育英会の方の調査の内容と、厚生省の調査の内容に大幅な違いがあるということは、これは問題だろうと思いますが、さらに実態の調査を厳格にしていただきたいと要望しておきます。  それで、文部省の方にお尋ねしますが、この交通遺児の中で義務教育就学児童はどの程度に掌握をされているか、文部省の方にお尋ねします。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 文部省の方ではその交通遺児の数が義務教育段階で何人あるかという調査はございませんので、総理府においてそういう調査をされておるということを聞きましたその結果を承りますと、五十一年度で小学生が二万一千二百八十一人、中学生が一万六千六百六人、計三万七千八百八十七人というふうに通知を受けております。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 文部省の方では、交通遺児の現況、どの程度の人数になるかということを掌握をされていないというお答えですが、まことに残念な思いがいたします。  それでは義務教育就学児童の高校進学の状況、進学率ですね、進学率についてはどの程度になっているかお調べになっていらっしゃいますか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 交通遺児の数自体を調べておりませんので、そのうちから高等学校へどのくらい進学をしておるかという実態も調査はございません。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 もっともなお答えですが、もとがないわけですから、その進学率、それに応じてどのように対処していくかということが明らかでないことは当然なことだと思いますが、この点については交通遺児育英会の調査によりますと、この交通遺児の高校進学率は約七〇%、このように調査がされております。現在の一般の児童を含めた進学率は、全国平均で九四%と言われているのは御承知のとおりですが、中には一〇〇%に近い都道府県もあり、全入制に近いというような状態と言われますが、その中でも交通遺児は二五%ないしは三〇%近くも進学率が落いている。その問題、要因は一体どういうところにあるかということを文部省の方ではお考えでしょうか、お伺いいたします。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 具体的に調査をしたわけではございませんから、明確なお答えはできませんけれども、先ほど厚生省の方からお答えがありましたように、一般世帯平均の年収に対し母子家庭の年収が約半分という差があるという、その経済的なハンディキャップが交通遺児一般について、進学率を平均よりも大幅に低くしておるのではないかというふうに推測はいたすわけでございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 これは言うまでもなく、進学率が一般の予供たちに比べて非常に低いということは、当然一家の柱を失ったということから経済苦であることが明らかでありますが、現在、極端に進学率の低い交通遺児の進学に困難を来しているという、その経済的要因、その状況、あるいは交通遺児の進学状況等について、文部省で大臣あるいは局長が十分に現状を調査するように指示をされたことがないということがいま明らかになりましたが、これではまことに残念なことだと思いますが、今後この問題を文部省として慎重に調査をするお考えをお持ちかどうかお尋ねをしておきます。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) この問題に対しまして、そういう交通遺児の奨学金の扱いをどうするかとか、あるいはその他の措置があるかどうかという、いわば対策措置との関連で考えることでございますが、それらの仕事は大変恐縮でございますが、関係局間にまたがっておりますので、よく関係の局長等とも相談いたしまして、ひとつ検討さしていただきたいと思います。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 文部大臣、この問題については、いま局長からもお答えがありましたように、責任の所在が不明だということから、その実態が明らかに文部省としてはされていない。したがって、今後これらの気の毒な交通遺児の進学ということについては全く対策も当然考えられない。いままでは考えられなかったということだと思いますが、ここで私が申し上げて、そのように文部省が取り組んでなかったということが明らかにされ、また一般の児童に比べますと、経済苦のために進学したくもできないと、こういう現況について、もっと児童の希望、勉強したいという、進学したいという希望を大幅に取り入れていただくには、どうしてもこの経済問題に対して文部省が教育的な立場から援助の手を差し伸べていかなければならないと思いますが、そのお考えがおありかどうか。また、それについてはいま局長からもお話がありましたように、各方面に分担されてこの問題が明確に取り上げられてないという点も今後の問題として、援助並びに正確な対策を立てる上での取り組み方について、どのようにお考えになるかお伺いをしたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 交通事故によりまして不幸な家庭ができておる。そのまた大きなしわ寄せが遺児の上に来ておるということは、これはこういう世の中にありまして大変に気の毒なことであり、また注目をしていかなきゃならぬ点であることは、白木先生が御指摘のとおりだと思います。ただ、文部省の方といたしましては、その家元が交通事故による事故でどうなったか、あるいはそのほかの事故でどうなったかというような、いろんな問題があると思いますが、要するに十分に能力がありながら経済的貧困とか、経済的な事情で教育の機会が与えられないという、一般的にそういう形の取り組み方をいたしておるわけでございますので、原因そのものについて、交通事故そのものについての調査というものが少しおろそかになっておる感があるのは御指摘のとおりだと思いますが、原因のいかんにかかわらず、経済的な理由ということによって、能力がありながら就学が困難な学生、生徒、児童というものに対しては、当然これは教育に関係しておりまする文部省としても、十分に配慮しなきゃならないことでもあると思います。どういう方法をやるかということでございますが、日本育英会等の事業がこれにふさわしい仕事であると考えられますし、また日本育英会等の事業の中に、対象としてそういう方々が、家庭が出てくる。これはもう十分に考えられることでございます。ことにほかの災害等によっての状況よりも、交通遺児の関係は、病気その他のことなしに突然に非常に大きな衝撃が家庭に起きたわけでございますので、いろんなそういう進学のために援助をいたします際にも、そこらの点は重く考えて配慮をしていく必要があるのではないかと思います。大変にこういう新しい事故に対しての調査が不十分であることは残念に思いますが、これは文部省としての立場からだけの調査ではなかなか困難な状況があるのではないかというふうに考えておるわけでありまして、文部省の分野におきましては、極力これらの交通遺児に対しましての教育の機会が与えられるような努力を今後続けてまいりたい。かように考えておる次第でございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 これは大事な問題だと思いますので、これから文部大臣はよく認識をされて、まだ当委員会では大臣の所信表明を伺っておりませんから、でき得れば明快に所信表明の中で決意を述べられると大変ありがたいと思います。  そこで、交通遺児の救済あるいは援助ということについては、運輸省の方でこれが行われてるはずでございますが、現在運輸省は交通遺児の教育振興について、どのような援助を行ってこられたか、とりあえず項目だけで結構ですからお聞かせ願いたいと思います。

渡辺純一郎運輸省自動車局保障課長

○説明員(渡辺純一郎君) 運輸省といたしましては、交通遺児の高等学校進学のために交通遺児修学援助事業と授業料減免事業という二事業を行っております。  まず交通遺児修学援助事業でございますが、これは財団法人交通遺児育英会に対しまして、自動車損害賠償責任再保険特別会計から助成を行っております。  それから授業料の減免事業につきましては、都道府県に対しまして同様の助成を行っておるわけでございます。五十四年度予算で申し上げますと、前者が二億四千四百万、後者が一億九千三百万で、合計四億三千七百万円でございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 いまお答えいただいた中に、財団法人の交通遺児育英会に対して運輸省の方で補助金を出していらっしゃるということですが、その使用状況を過去三年ぐらいにわたって御説明を願いたいと思います。

渡辺純一郎運輸省自動車局保障課長

○説明員(渡辺純一郎君) 最近三カ年間におきます交通遺児育英会の補助金の使用状況を申し上げます。五十一年度、予算が一億九千万円に対しまして、使用額が一億八千二百万、五十二年度は、予算額二億一千万円に対しまして、一億八千八百万円、五十三年度、予算額二億二千八百万円に対しまして、一億七千四百万円となっております。この原因でございますが、これは交通事故の減少ということによりまして、交通遺児が減少してきたということ、それから自動車損害賠償の補償金額がアップしたということによりまして、借り受け希望者が減ってきたことによるものではないかというふうに思われます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 五十四年——本年度は二億四千四百万ですね。この高校生を対象とした奨学金のための補助金の補助率はどうなっているのですか。

渡辺純一郎運輸省自動車局保障課長

○説明員(渡辺純一郎君) 交通遺児育英会が行います高校生に対する奨学金の貸与事業に対する補助率でございますが、補助金交付要綱によりまして、三分の一となっております。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 そうしますと、この奨学金全体のうちの三分の一を運輸省の方で補助金を充てている。そうしますと、当然残りの三分の二は育英会が自己資金で賄っていかなければならない、こういうことになるわけですね。そうしますと、またその中には育英資金を出しているといいますが、この育英資金というのはなかなか基準の高い、成績がよくなければとかというような条件があって、なかなか交通遺児の方へ回りにくいという点もたくさんあるんじゃないかと思います。  そこで、本年度は二億四千四百万円、いま予算要求の最中ですが、来年度はどのように予算要求をされておりますか。

渡辺純一郎運輸省自動車局保障課長

○説明員(渡辺純一郎君) ただいまの質問にお答えする前に、交通遺児育英会が貸し付けをやっております対象は、特段成績等は問題にいたしておりませんで、交通遺児であることと、それから高等学校に在学しているということの証明があれば、さらに生活が困窮しているという条件があれば、すべての方が借りられるということになっておりまして、そのための予算不足というのはないような状況でございます。  それから、来年度の予算要求でございますが、来年度は四億三千五百万円という予算要求をいたしておるところでございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 そうしますと、先ほどの御説明だと、予算に対して使用額というのが予算に満たない、こういう経過も経てきているわけですが、さらに五十五年度で本年度の倍の予算を要求するという考え方ですね、根拠を御説明を願いたいと思います。

渡辺純一郎運輸省自動車局保障課長

○説明員(渡辺純一郎君) 来年度の予算要求といたしましては、今年度よりも貸与金額の単価を引き上げると、さらに補助率をアップするということで、結果的に補助金の金額が上がってきたわけでございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 そうすると、補助率のアップということもその予算要求の中に入っていると、こういう御説明ですが、先ほどは三分の一と、こういうふうに伺ったわけですが、それを大幅に改めるというお考えですか。

渡辺純一郎運輸省自動車局保障課長

○説明員(渡辺純一郎君) 来年度の予算要求の過程におきましては、交通遺児育英会と十分打ち合わせの上、補助率をアップして要求することにいたしまして、従来の三分の一を二分の一ということで積算して要求している最中でございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 この補助率を三分の一から二分の一に引き上げるという点については大変前向きであり、積極的な政府の、また運輸省のお考えを伺いまして、希望を抱いていけるわけですが、いずれにいたしましても、補助金の残りは育英会がボランティア、あるいはいろいろな方法を講じて、その資金を調達しなければならない、こういう現状です。そうしますと、来年度の四億三千五百万ですか、その要求が満たされたとしても、これに補助率を二分の一に改めたとしても、四億三千五百万という膨大な補助金を育英会は用意をしなければならない、こういうことになるわけです。これは大変な育英会の大きな悩みの種であろうと思いますが、さらに二分の一で事足れりとしているかどうか、あるいはさらにこれを将来にわたって四分の三に引き上げるというような考え方をわれわれは持っているわけですが、その点は運輸省の方はどうお考えでしょうか。

渡辺純一郎運輸省自動車局保障課長

○説明員(渡辺純一郎君) 交通遺児育英会は、民間の善意を基盤として育英活動を行うというのがその設立趣旨となっております。したがいまして、その育英会の健全な事業活動を助成するという意味で、国も応分の助成を行っているわけでございます。とりあえずはことし初めて補助率のアップということで要求したわけでございますので、当面はその実現ということで努力してまいりたいという考えでございます。さらに、助成を強化するということにつきましては、自賠責特会全体の規模、あるいは育英会の方の意向等も考慮しながら、同会の所管は総理府及び文部省でございますので、これら関係官庁と協議しながら慎重に検討してまいりたい、かように考えております。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 そこで、いま運輸省の方では、非常に積極的な交通遺児問題について経済的にも援助をしていかなければならない、こういうお考えを伺ったわけですが、文部省としては先ほどからのといいますか、今日までのこの問題について消極的な状態である限り、なかなかこの問題が進んでいかない、あるいは積極的に親を失い、柱を失って、進学したくもなかなか思うようにできないという交通遺児に対する教育問題の解消が前進しないように思いますが、この点文部省としては運輸省が三分の一の補助率を来年度からは二分の一に何としてもしたいと、それに努力をしたい、将来さらにこの補助率を高めたい、こういう考え方を示されているわけですので、文部省としても特段の力をこの問題に注いでいただきたい、このように思います。繰り返して恐縮ですが、今日までの文部省の取り組み方は全く傍観的といいますか、あるいはよく言えばこれはもう育英会に任してあるんだと、われわれはその母子家庭全体についての問題として扱っているんだと、こういうようなふうにうかがえますが、一般母子家庭と交通遺児の母子家庭とは若干その問題も考え方の違いがあってもいいんじゃないか、こういうふうに先ほども大臣がおっしゃったように、ある日突如としてその一家の柱であり、あるいは経済的支柱が失われてという、そういう母子家庭というようなことから、もう少し文部省としても積極的にこの問題に取り組んで、そして援助の手を差し伸べていただきたい、これが私の偽らざる願望でございます。至急実態の調査をすべきであると思いますが、そして真剣な対応策を明らかにしていただきたいと思うわけですが、この点、まあ細かい点についてはともかくとしても、文部大臣としての立場に立った以上は、明快なお考えを持つべきだと思いますので、お伺いをしておきたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 先ほども申し上げたと思いますが、文部省といたしましては、交通事故による遺児だから特別な扱いをするという形をいたしまするよりは、家庭の経済的な理由等で能力がありながら就学が困難な人たちに対する対策をどうするかと、こういう立場での取り組み方でいかざるを得ないのではないかと実は考えております。もちろん運輸省その他の分野で、交通事故等が多い関係もございましょうし、保険制度その他があるわけでございますので、そちらの方からのいろんな施策もやっていただいて、文部省といたしましては、事故の原因あるいはその理由のいかんにかかわらず、能力のある児童に対して経済的理由その他、そういう状況で就学の機会が狭められておる諸君に対しての対策を考えていきたい。もちろん、先ほど申しましたように、いろんな事故のうちで突然に家庭が収入源をなくするというような状況にありますことは、これは十分に配慮をした対策をしていかなきゃならない、こういうふうに考えておるわけでございまして、その立場で十分にひとつ今後努力をさしていただきたい、かように考えておるわけであります。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 一般の母子家庭と切り離して、特にという考えを持っているわけではないわけです。ただし、こういう気の毒な立場にある子供たちに進学の道を大きく開いてやらなければいけない。これも大きな教育行政の大事なことだろうと思います。ところが、いままでは全く文部省としてはお手上げと、こういうような状態でありますので、その点を含んで今後対策に取り組んでいただきたいと思うわけです。その面から当然この問題についてまだまだ——政府が育英会をつくって援助しようという方向にきているわけですが、それがなかなか十数万人に及ぶ交通遺児に徹底を欠くうらみがあるわけです。先ほども育英資金というのは、もうだれでも資格がある人には与えられるんだと、われわれは相当その育英資金というのは段階があって、条件があって、申し込んでも審査されて受けられるというようなふうに一般は考えているわけですけれども。ですから、そういう点で文部省は全国の中等学校等に通達なり、あるいは行政指導をして、交通遺児の奨学金制度の存在をできるだけ広範にPRをして、そして、そういう制度を十二分に活用して、経済苦で進学できないと、あきらめざるを得ないという児童に対して、温かい行政の手を差し伸べるべきだと、このように思うわけです。その点、今後の問題ですが、大臣のお考えを伺っておきます。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 十分に努力をしていきたいと思っております。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 ここに一人の、交通事故でお父さんを亡くした少女の作文があるわけですが、これは先日行われました交通遺児の全国大会で発表されたものですが、これは大阪の高槻市の第七中学の二年生の平井順子さんという少女の作文ですが、ちょっと御披露してみます。   お父さんが交通事故にあったとき、私は小学校の三年でした。そのとき私は、おとなりの友達の家へ遊びにいっていたのです。   事故のことを知って、お母さんと姉二人は事故現場へ行きましたが、私はその夜、友達の家に泊めてもらいました。   そう式のあった日、私はお父さんの事故のことについて、くわしく聞きました。事故は三重しょう突だったこと。お父さんの車が三台のまん中で、お父さんを車から出すのに、一時間ぐらいかかったこと。それから、お父さんが救急車の中で死んだということなど。   お父さんは長距離トラックの運転手で、家にあまり帰ってきませんでした。だから、お父さんが死んだなんて、あまり信じられませんでした。また、ひょっこりと家に帰ってくるような気がしていました。   でも、時がたつにつれてだんだん実感がわいてきて、悲しくなって、夜おふとんの中で泣いたこともあります。   お父さんが死んでから、家の中は急に変わりました。お母さんが働くようになり、家賃がはらえず。ひっこしをしたり、お父さんの事故のことで裁判があったり……。そうこうしているうちに時がたち、もう今年で五年になるのです。   その間お母さんは何回か職をかえて、今の薬品会社につとめるようになりました。薬品会社に入ってからは、高熱でうなされるようなことはなくなりましたが、そのかわり細い仕事なので、目がつかれたとか、肩がこるとか、よく言います。   そんなに働いても、お母さんのお給料は、ほんの少しです。今、一番上の姉は、働きながら高校に通っていますが、その姉のお給料が自分より高いといってなげいています。   私は、高校へ進学したくてたまりません。お母さんは「府立高校でないとあかんよ。府立に入れなかったら、就職しなさい」と、言っています。私の家は、とても生活が苦しいので、私立高校には、お金がかかりすぎて入れません。姉が二人とも府立に入ったのも、そのためです。私も一生けん命勉強して、府立に入ろうと思ってますが、そこは大変競争率が高いので、受かるかどうか心配でたまりません。でも高校へ行きたいのです。   好きでお父さんを亡くしたわけではないのに。たまたま私たちの父が交通事故で亡くなったというだけなのに。  こういう少女の作文が発表されておりますが、こういう勉学に希望、あるいは進学を強く希望する子供たちの気持ちを大臣はお聞きになって、再度これらのいま申し上げた問題について大臣のお考えをお聞きをして、私の質問を終わりたいと存じます。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 最近交通事故が非常に多くなり、交通関係の方々の努力で、漸次また事故が少なくなってきつつある、そういう傾向がありますことは喜ばしいことでありますが、しかし、基本的にそういう交通事故による悲惨な結果が起きないような努力をぜひやっていく必要があると思いますが、これは文部省の仕事とは少しらち外でございますので、私たちといたしましては、そういう状況の中から、進学のために希望を持ちながら進学のできないそういう人たちに対して、その方々の気持ちが実現するような努力を今後ともに続けさしていただきたいと考えております。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 ありがとうございました。重ねて大臣にもお願いをするわけですが、先ほど運輸省の方では、来年度のこの育英会に対する補助金の補助率を三分の一から二分の一に引き上げたい、そのために鋭意努力をする、こういう運輸省の方針ですので、ぜひともこれは教育行政にも深いかかわりのある問題ですので、文部大臣としてもその点ひとつ運輸大臣と協力して、この二分の一の補助率の予算獲得のために御努力を願いたいことを要望申し上げて、私の質問を終わります。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) いま白木先生のおっしゃいましたとおり努力をさしていただきますが、文部省の方も、育英会等の事業で、そういう育英資金を貸し出します金額、これは五十四年度——今年度からかなり改善をいたしておるわけであります。運輸省のいまの御発言その他に対しまして、私たちの方も力の及ぶ限り協力をさしていただきたいと思います。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 谷垣文部大臣にお尋ねをいたします。  大臣は、非党に教育にとっては大変な年代に文部大臣の地位につかれたと私は思うわけであります。特にことしの警察白書などをながめますと、非行少年の数ですね、これは戦後最高だと、こういう状況になっているのですね。いま戦後第三のピークと申しますけれども、三番目のピークが一番峰が高い。千人に対して、警察白書の指摘では、十四・何がしというような高率の数字があらわれておるわけであります。学力不足で、学校へ行ってはいるけれども、もうほとんど興味を失っておる子供の問題というようなのは、その非行とも密接に関係があるというのも定説になっておるわけですね。それから身体的な成長についても、これは戦後身長が伸び、体重もふえ、体位は改善されたと言うわけですけれども、今日では下向きのカーブがあらわれき始めておるわけですね。こういったふうな意味で、情緒の世界でも、体力の世界でも、そうしてまた学力修得の面でも、先が案じられるという状況が出ておる。これが有識者あるいは国民すべてが憂えるところになっておるわけです。  これを補う道は、ここ五年間、歴代文部大臣は四十人学級の早期実現なり、教育条件の整備によって、少なくとも現状維持をし、さらには高めていく方向へ持っていきたいというふうに続いて言うてこられたわけであります。その限りでは、私どもと文部大臣の間にも、状況の認識、必要な施策とは何かというような点で、国民合意を背景にして、一定の合意点があったと思うわけです。  ところが、財政は教育のニードを踏みつぶすというような危険が私どもから見れば感じられる大変なときに文部大臣に就任された。前大臣からも問題点の引き継ぎは受けておられると思うわけですけれども、今度は特にそれらの点の中での情勢認識と、大臣の任務というものについて、先ほど所信の表明はあったわけでありますけれども、大変短くもございましたし、改めてお伺いをしたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) このたび文部大臣に就任いたしまして、一層に文部行政の重要性は改めて心にしみておるわけでございます。  御指摘になりましたように、非行少年の数がふえるとか、あるいは情緒の不安定な状況、あるいは体力の関係等々の影響が、もちろん今日の状況の中でいろんな変化があるわけでありますが、いい変化もありまするけれども、一面そういう御指摘になりましたような点のところで非常に不安定なものがある。また、体格がよくなっても体力はそれに伴わない等々の状況があらわれておることは、非常に心配をいたしておる点でございます。これは、もちろん経済の変化、あるいは広範なこれに対しまする対策が必要であろうと思っておりますが、その中でも、ことに人間を対象といたします教育の分野におけるその責任は非常に大きい、こういうことを痛感をいたしておるわけでございます。  教育の流れは、一つの大きな流れとして歴代の文部行政が展開をされておるのでありまして、他の行政よりも一層中・長期の見通しを持った流れの中に、その行政が展開をされていかなければならない性格を教育行政は持っておると思っておりますが、それだけにいろんな制度の問題等の展開をいたしますについても、過去の経緯、これから進んでいくべき方向というものをよく見定めていく必要があると考えておるわけであります。制度の問題あるいは先ほども他の議員からの御質問等がございましたような点については、先ほど申し上げましたようなこの非常な時代で、しかも文部行政がこれからのそういう提起される問題に対する対策として、非常に大きな問題を抱えておるということをよく自覚して進んでまいりたい、こういうふうに就任に当たりまして心を決めておるわけでございます。いろいろと大きな問題につきまして、当委員会の委員の皆さん方の御審議、御協力を得なければ進んでいかない点が多いと思いますが、皆さん方の御指導なり、あるいは援助なりを受けて、責任を果たしてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけであります。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 いま文部大臣のお考えの中で、今日の社会では昔以上に学校の果たすべき役割り、社会の中で学校の肩にかけられている任務というものの比重が大きくなっておるというような御趣旨にお伺いしたわけであります。そういうことでしょうか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) もちろん学校の役割りが大きいことも事実でございますし、さらにもっと広範な形において、これの対策を考えていかなければならぬ。たとえば、文部省の所管として考えて、その中に入っております社会教育等、学校という場を離れた分野におきましても進めていく必要がある。学校教育の重要性は言うまでもない、こういうふうに考えておるわけであります。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 もちろん人間の生活というのは社会すべてで展開されるものであって、学校はその一部であるということは言を待たないところですが、私、今日の青少年の中にあらわれてきておる、たとえば非行とか、落ちこぼれの出現率が次第に増加しておるという傾向ですね。これを是正させる中では、ほかもあるでしょうけれども、当然家庭、それと社会環境と、その中における学校なんですね。しかし、学校の比重というのははるかに従来に比べて比重が高まっているという考えを持つわけです。それはなぜなら、やっぱり核家族時代という有史以来、国家形成して以後社会の単位としては初めての状況になっておるわけですね。従来家父長制の時代で兄弟が七人、八人、十人というような時代は、それは過去の時代ですから、長所もあれば、欠点の方も非常に大きかったと思いますけれども、子供が育っていく上では、孤独でなかったことは事実であり、職業に対する認識も、それから家族の中の秩序、社会的な訓練、おおよそ家庭とその周辺にあった働く場所の中で身につけていくわけです。人類発達というのは社会から切り離されてはあり得ないものですから。ところが、いまは大平さんも言われたように、都市というのは人間が住むに値しないところになりつつあると首相みずから言われたわけですが、私はそういう憂うべき状況は事実だと思うんですね。いま親はそれは一生懸命やっていると思いますよ。もう以前のようにかなりたくさんの子供を産んで、その中で成人するのは、幼児死亡から始まって、結核があり、あるいは戦争があり、成長するのは大体半分以下ぐらいのものですからね、以前は。いまは一人か二人か産んで、完全にそれを八十歳まで育てようというわけですし、それで自分の責任と負担において高等学校に出し、大学にやろうというわけですから、核家族でやるんですが、ローンで金を借り、そして共働きをして、日本の経済成長を高めながら、親の責任でやっておるわけだけれども、非常に従来と違って裸で社会の中にいるような、グループ、友達もなければ、遊ぶ場所もない、テレビの前と学校の教室を往復しているというような子供が非常にふえている。こういう状況の中で、子供の成長と発達にとって、学校の持つ比重というのは、従来の田園における大家族の時代ですね、家庭と地域社会というものからはるかに隔絶しておりますから、学校の方で高度経済成長の結果を社会に返していかなければ、私は民族の将来というのは次第に病にむしばまれていくというふうに思うんですが、そういうような点ではどうでしょうね。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 長い間教育の場で苦労をされた、経験の豊かな小巻先生の御質問でございますので、御意見でございますので、私が十分にお答えができないことをはなはだ残念に存じますけれども、確かに御指摘のありますように、非常に大きな変化が世の中全体にあると思いますし、家庭にもあると思います。御指摘のような核家族化されてきておるということも現実でございまして、それに対処するそれならば方法はどうだと。私はいろんな各方面からその問題は対処して追及していくべき問題だと思います。核家族になっておるから家庭はそのままでいいのかというと、そうではないと思いますし、住宅政策も影響するでありましょうし、あるいはまたいろんな職業の関係もございましょうし、いろんなことがあろうと思います。しかし、その中で従来の学校教育よりも、もっと学校における教育の意味が大きくなっておるんじゃないかという御指摘でございますが、確かに私はそういう点があろうかと思います。ただ、従来の学校教育の持っておった立場、役割りと、これからの学校教育が持つ立場、役割りというものがどういうふうに変化があるのかという問題については、これは私まだ十分に推測することはできませんけれども、大きな社会の変化、またその変化に対応する施策として、学校教育というものが重要であるということは、これはもう否定することもないことだと私は考えております。しかし、学校だけでその対策が可能であるかといえば、小巻先生もおっしゃっておるとおりに、まだまだほかの分野からのこれの接近は私は必要である。先ほどちょっと申し上げましたように、社会教育なんかの部門で、すでにいろいろな要望がございますこともそういうことではないかと思いますし、あるいは幼児教育の場においてどうするか、家庭教育の場においてどうするかという問題が提起されております。私にはそれに対するまだこういうことだと言うまでの確信を持ち得ないのは残念でございまして、これから先生方の御指導を得ながら、そういうものを進めていかなきゃならぬと思っておりますが、とにかく学校教育の場が、従来の持っております役割り、あるいは質が若干違う方面にかけましても重要になってきておるということだけは十分私も認識して進んでいきたい、かように考えております。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 もちろん学校教育だけで何もかも賄うことはできない。同時に従来の家庭の中で行われておったことが、学校が肩がわりしてなければならぬ要素とか、幼児教育の中でも、おじいちゃん、おばあちゃん、しゅうとめさんがいて、初めて子供を産んだときからお母さんは安心して育てたのが昔の状況。いまは核家族で、病院から出てきたら全く、産院から出てきたら未経験の中で本を読みながらやっておるわけですよ。だから、子供も神経質になりますしね。こういうような状況の中で幼児教育の問題が問われ直されておる。大体いまの家庭を見直すといったって、いかに谷垣先生が大きな影響力を行使されましても、いまからもう一遍大家族に家庭を戻すとか、もっとできることなら家父長時代から母系家族に戻すとか、そんなことはできっこないんですから、現状の中でやっぱり失われたものを社会が補償していかなければならぬ。これが四十人学級などの意味が、教育内容と、子供の発達の面から非常に言われている一つの大きな要素だと私は思っておるわけです。一人ずつの子供に対して大体マン・ツー・マンの影響力が及ぶようにということですね。それがなければ学校というのは、通信教育でも、ラジオでも、マスコミでもできるわけですね。こういう点で、私は今日の状況で四十人に移行し、一学級を三十五人にというふうに前進させていくことがなければ、現状維持をすることもできずに、やっぱり病弊が広がるというふうに社会を見なければならぬと思うんです。その点の認識はいかがですか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) その点につきましては、小巻先生と意見を異にするものではないのでありまして、文部省の方といたしましても、すでにその問題についての計画を立てておることは御存じのとおりでございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 文部大臣としては、この計画に対して、大蔵当局等からとかく教育効果についても定まった効果が期待できないとか、この際やめてもらおうとか、凍結してもらおうとか、いろいろな意見が出てきておるということは新聞紙も報じるとおりですが、先生としては少なくとも文部省が立てた計画を、昭和五十五年度予算からつけていくという点では、大蔵省に対して奮闘して実現をさせるというふうに約束をしていただけますか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) これは先ほども御質問のありました中で、答弁をいたしたわけでございますが、文部省といたしましては、すでにその方針を決定して、そして財政当局と交渉に入っておる、相談に入っておる。こういう段階でございます。従来の経緯等も踏まえまして、十分に努力をしていく決心でおるわけであります。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 適正規模の学級で授業をするのか、すし詰め過密の状況で授業をするのかというのは、子供の発達に直接影響を及ぼしてくるものだと思いますし、その適正規模もやっぱり社会の状態での違いも出てくるだろうと思うわけですね。この点局長の方にひとつここで念を押しておきたいわけですが、文部省としては適正規模の学級編制というのは、小学校、中学校、高校、それぞれ財政問題等が許すなら、どの辺が適正だというふうに考えておられますか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 大変むずかしい御質問で、文部省としてどのくらいが適正だというような見解を発表したことはいままでないと思うんですけれども、一方、教育学的に見て、それならどのくらいが最も教育効果を上げるのに適正か、こういうことについても科学的な判断といいますか、きちっと証明されたような適正度合というものはないことは御承知のとおりでございます。  ところで、現在小・中学校については最高限を四十五人にしておるわけでございますが、その四十五人についてはもう少し少なくした方がいいというのが従来の経緯であり、国会の審議もあることでありますし、また学者の現場における経験から見ての判断、あるいは現場の教員の意識調査等を見ましても、まあ四十人あるいはそれ以下という判断がございますから、それらの考え方にのっとって、現時点では文部省としては四十人が一つの妥当な基準であろうという考え方に立って予算要求をいたしておる、こういうことでございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 いま日本が到達目標として四十人学級というところでやろうとしておる。この点は国会でも去る昭和四十九年五月決議で、速やかに推進をするべしという超党派の決議をしました。いわばここまでは合意になっておるわけですが、それでは教育学的に見てどうか。私はほとんどすべての教育学者が、現在の日本の社会状況をヨーロッパ等と比較するなら、三十人以下が望ましいというふうに見ておると思うんですね。  資本主義国の教職員の世界会議、WCOTPというのがありますが、あそこの会長のイルバードという人が去年の総会で述べておるところでも、こんなことを言うておるのを私は書物で見ましたね。四十人あるというのはもうグループでなくて、これはクラウドというふうに表現してますが、群ですな、人間群ですな。それで二十人になるとグループというふうに表現して、今日の教育というのは四十人——群の教育になったら、これは子供が隣の子供と私語をして、話をすれば授業阻害者として懲罰を加えるような性格の集団になる。二十人ぐらいになれば、これは興味を特に敏感に反応した子供がわきに話しかけるというようなことは、みんなを励まし、そして相互影響を与え合ってよい効果を上げるようになる、そういうようなことも言っているわけです。今日の状況では、大体二十人のグループで授業をするというのが、発達した国の学者の通説になってきているというふうに見ていいだろうと私は思っております。文部省でもヨーロッパ調査をやられて、大臣官房調査統計課でやられた国際比較を見ても、どうですか、イギリス、フランス、ドイツ、それぞれ学級編制基準は何人ぐらいでやっていますか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 実態としての編制がどうなっているかということと、編制基準がどうあるかということと二通りあるわけですけれども、いま御指摘の編制基準としては、確かに初等教育、中等教育を通じて四十五人としているところはないようでございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 四十五人としておるところがないどころか、あなた方の資料で見ても、アメリカは三十人ないし二十八人になっておりますし、イギリスはこの表では初等科四十、中等科は三十以下、こうなっておりまして、実際現在は二十人台になって、これを目標にしてやっておる状況だとありますし、ここの一学級当たりの平均数を見ても、日本の場合には過疎学校も合わせて三十数人が平均になっていますが、この点は平均でもイギリスの場合で二十人そこそこになっている。フランスの場合などは、小学校で二十五人から三十人、中等教育では標準二十四人というようなのを挙げています。大変おくれた国の代表としてよくお挙げになるソ連などは、最高四十で、そして最低二十五、学年ごとに神経質に配当をつけてやっておるわけですね。日本の状況というのは、日本人は多数でやるのに適しておるというような特質かなんかがない限りは、大体二、三十年おくれていると見なければならぬと思いますが、局長その点はどうですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 全般的におくれておるということかどうか、御承知のように全国平均した場合に、過密の十県程度のところに四十一人以上の学級が集中しておって、かなり過密なダイヤになっておる。しかし、その他のところでは三十人あるいはそれ以下の学級というものも相当ございますから、全小・中学校生徒の教育条件の機会均等の整備という意味から言えば、一つの早急に解決すべき課題ではないかと、こういうふうに思っているわけでございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 私の考えでは、確かに日本では明治に出発したときには、中等教育は四十人学級編制でやっているんですね、昔の中学校。谷垣先生の御出身の福知山中学などできたときは一学級四十人でやっているはずです。私はお隣りの学校出身ですが、ぼくのおやじのときは四十人ですね、一学級。大正の初めに進学率が伸びたときに五十人にして、再び四十人に返らないと、こういうような状況になったわけです。これヨーロッパに比べて、日本の方が非常に過大学級を平気でやっていくのは、これは文部省が進めておるような学習指導要領なんかに書いてある、中身の到達を厳格にやらないで、子供は教えてさえおけば、一割か二割の人物をその上の学校へ上がるときにふるいにかけて、その学校を卒業する者の到達した学力というものを非常に軽視してきたから、わりあいぼくは五十人でもいいような感じになってきたんだと思うんです。つまり選別教育をやっておる場合には、マンモス学校でもわりに問題が出ないわけですね、その観点から見れば。全部の子供を、学習指導要領であなた方が書いたところに全員を到達させるという到達主義をとったら、五十人か四十人というのは、これは大変な問題になってくると思うわけなんですね。現在どうですか、中学校なら中学校での学習指導要領に書いてあることは、皆基本的に精選された、みんなの身につけるべきことだから、これには大体到達していますか、皆。どんな状況に認識してますかね。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 全国民の悉皆調査をしたことはないわけでございますが、率直に言いまして、数年前に国立教育研究所のサンプル調査などを見ましても、小学校の六年段階、中学校三年段階等の学力到達度というものを見ました場合に、必ずしも義務教育段階でそれぞれ修得しておらなければならない、あるいはおることが望ましいものを消化してない部分が相当あるというのは事実でございますし、高等学校へ入りましてから、高等学校の校長などの意識調査を見ましても、入ってくる子供がどうも基礎的、基本的事項が十分身についてないというような意識を持っておる校長も相当いるということは事実でございますから、それで今回の学習指導要領の改正でも、できるだけ小、中、高を通じて、内容を精選して、履修したことは確実に修得させるというような方向でやってもらいたいという改正を打ち出したのもそういう趣旨でございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 文部大臣、ひとつよく聞いていただきたいわけですが、今日教育学者、学校現場の教員たちと、親にとっても、とにかく学校へ行ってわからないところで座ってるんでは苦役になりますからね。この中から非行もふえてくるわけですが、完全に到達をし、履修しただけではなくて修得をさせるということが、特にこの十年くらいの大きく登場している教育上の要求であり、教育行政の責務になっているわけですね。前の海部文部大臣のときに、ちょうど大臣にお伺いをして、局長からも御答弁いただいたことがあるんですが、実はある時期には、生涯教育でやれば、いつでも必要に応じて人間というものは学力は身につくものだから、いわば中卒のときに数学がわかってなくても、化学がわかってなくても、電気屋になったら化学はわかるようになる。後でやれば間に合うというふうな、御都合主義の教育論がずっと出てきましてね、そして文部省もそれに乗せられたのか、学習指導要領で、もう中学校の三年生で二次方程式なんか大体教えるんだけれども、できない子供があったら落としたままで進めてもよろしいと、わざわざ学習指導要領に書き込んだというようなところまでの時代があったころから、青少年非行問題や、それから自殺問題、落ちこぼれ問題というのが、同じころから出てきているのであって、これUターンして、この見直しの学習指導要領を出したというような状況もあります。これを丁寧に学校で達成しようと思ったら、どうしても大体三十五人から二十人代のグループに持っていかなければ初期の目的を挙げられないというのが、大体いまの教育学者が言い、学校の校長会が望み、そして教職員諸君が望み、母親が理解しておるレベル、水準なんですね。だから、これに対しておくればせながら四十人をやると言うんですから、大臣、こんな財政難のときにわざわざいままで済んでおったことを、寝た子を起こすように数をふやすのはというのは間違っておるんですね。特に、それからここでお金の問題があるわけですね。財政難のときに多額のお金を要するというのがあるんですけれども、局長これ最終的に必要な金額はどのくらいになるわけですか、現在の状況で。最終的に必要な金額と、それから五十五年度に要求をされる金額はどういうものになりますか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) むしろ大ざっぱな計算の方がおわかりいただきやすいかと思いますけれども、いま予算の積算としては、大体小・中学校の先生の一人当たりの年間給与たしか四百六十万くらいに見ておりますから、それ掛ける人数掛ける年月というのが必要経費ということになるわけですけれども、今後九年間で、いまの計画では四十人学級の実現と、もう一つは専科教員であるとか、中学校の免許外担当教員であるとか、養護職員であるとか、事務職員であるとか、そういう者の増を合わせますと、十二万五千ということになりますので、それらの改善をもし単年度で一遍にふやすとすれば、国庫負担の必要額が二千九百五十五億、約三千億と、つまり総額としては約六千億の人件費の増と、こういう計算になるわけでございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 いま言われたように、国庫負担が三千億あれば、十二万五千人全部にやれるというわけですね。ところが、これでも単価を四百六十万円なんと言うて計算をされるわけですけれども、実際学級増のために必要なのは、大体新規採用者で数はふえていくわけですよ。だから九年計画なら九年間でふやし、一遍にやればどうかというのは、そのふえてくるのは決して四百六十万の年所得者がふえるんじゃないんですね。その半分以下なんですよ、実際に必要な経費は。そのために要するお金というのは、学卒の新規労働力を入れて、大体ふやしていくのは決まっておるわけですからね。だから現実に要す金は、この金額の半分以下になることは間違いないと思うんですが、どうですか、増員分について言えば。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) これは予算積算の技術的問題でもあるわけですけれども、要するに来年度の人間が十万人いるとしますと、その俸給段階別に積み上げ積算ではなくて、全職員の平均単価は幾らになるであろうかということを、昇給率等も見積って積算するのが予算要求でございますから、それを一人当たりにいたしますと四百六十万くらいになるということでございますので、確かにおっしゃるように、その四十人学級のために仮に千人とったと、その千人を具体的に見れば、ほとんど新採用じゃないかと。だからその新採用の分だけ見れば四百何万という単価は高いという議論はあるかと思いますけれども、予算全体としては、プラス四百六十万掛ける何人という積算になりますから、やはり予算の説明としては、いま私が申し上げた方が妥当ではなかろうかというふうに思うわけでございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 いま聞かれたとおりですから大臣、自信を持ってやっていただいたらいいわけでね。莫大な金が要る金が要ると言いますけれども、実際に計画を立てて、何年に何人ずつというのを一つずつ詰めて、リアルに計算をしたら、こんなに金は要りゃせぬのですわ。もう明確な問題です。それからトータルのこの十二万五千人の中には、その他のものも、四十人学級やらなくたって必要なものも皆入れてありますからね、それだけしぼり上げたら、一千億もあればずいぶんとやれるわけなんですね。こういう問題だということなんですね。しかもこれは、定数法からいえば、もう大体いまから十一年前に四十五人学級になって、これは段階的な措置で、四十人になるのはいつからかというのはみんなが期待して待っており、特にこの第五次計画の年期が切れる一年前には、わざわざ国会決議までやっておるのですから、もっと景気のいい、お金のあるときに、ほかの方に回さずにやっておくべきものだったわけであります。ただ、人口急増県等の校舎が間に合いにくいというのが、唯一の理由であった。これに対しては、国の方で格段の措置をして、当然、予算措置をする、こういうことをやっていけば行われるべきものであったと思うわけです。この点でも私は、莫大な予算を要するというふうに、ほかの予算まで突っ込んだ状況を挙げて、そしてこれを切るというようなムード宣伝をやって、特に、関係の深い自治体の、県知事とか市町村長に対して、これはとめることが必要だというようなキャンペーンをやるのは、私は事実にも反することだと思うわけです。この点はいかがですか。局長、そのとおりでしょう。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 人件費は御承知のように、いま申しましたように単年度で三千億の国庫負担の増ということでありますが、人件費の持つ性格として、その次の年度からそれプラスアルファの昇給率というものが人件費として重なってくるわけですから、やはりこの人件費を財政問題としてとらえる場合には、長期的に見てかなりの負担になるということは、これは事実でございますんで、最初の年を見りゃあ三千億じゃないかというふうにもいかないという点が私はあろうかと思うのでございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 いまの財政再建が必要だから、ここ数年は財政再建のために新しい支出はというのであって、十年も二十年も先で金が要ることは、今日の焦点じゃないんじゃないのですか。まして言えば、ことしの予算はトータル予算の中の何%になってますか、文部省の予算。——一一・三%と違いますか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) ちょっと確かめないで申し上げて恐縮ですけれども、従来の経験からいうと大体そんな程度だと思います。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 これは、数年前まではシェアが一三%台まで上がっておったのが、ここ引き続いて落ちて一一%ぐらいになっておるわけですね。一%というのは大体金額にして幾らになるわけですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 文部省予算が三兆八千億——約四兆近くでございますから、四百億くらいでございますか。——文部省予算に対して一%が四百億ですから、全予算に対しますと四千億ぐらいだと思います。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 この文部省予算のシェアが数年前のように一三%程度あれば、こんなものはやってもおつりがはるかに来るわけですよ、一%で四千億なんですね。だから、教育に対してこういうふうに国民的な期待と比重が高まっておるときに、トータル予算の中における文部予算のシェアが下がってきておるというような状況も、ひとつ大臣、よくながめていただいたら、数年前のように一三%ぐらいになっていけば、これはもうはるかに速い速度で、こんな九ヵ年計画でなくてやっていくことができ、さらに三十五人学級等についても展望することができると思うわけです。局長どうですか、そういうことになりませんか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) まあ国家財政の中における教育予算を一%上げるということは百分の一でございますから、教育を重視すれば当然じゃないかということかと思いますが、実際問題として、まあ予算でわれわれはわずかな金取るんでもえらい苦労しておりますんで、はなはだ事務的なことを申して恐縮ですけれども、まあ先生のような見方に立てばそうかもしれませんけれども、なかなか財政の問題というのは大きな課題であるということを私は身をもって感じさせられておりますので、失礼ですけれども、先生のおっしゃること、はいそうですというふうには簡単に申し上げられません。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 局長がそんな度胸のないことだったら、やられるに決まってますわ。それは大臣、私の申し上げたとおりで、数年前の予算シェアを取り返すというような点は、ひとつ先生大平派だそうなんですから、大平首相によく言うていただきたいと思うんですな。大平さんみずからが大都市は次第に人間が住むに値しないところになりつつある、しかし、香川県はそうじゃないぞと、こう言うておられますけれども、文部大臣の任務は、人口急増の大都市で、過密の小学校という状況を速やかに解消しなければならぬ点にあるんです。特にあなたの御出身の京都府なども、指折りの教育条件、その点では厳しいところですよ。まあ鹿児島県あたりまで行くと、実際単学級の学校が半分以上でしょう。しかし、京都府の場合には京都市がかなり多い、比率が高いですから、この政府の出した資料を見ても、たしか四十一人以上の今度の切り下げの対象になる学級数ですね、京都府もたしか三分の一を超えて現実に四十人以上の学級が存在しておる。大阪であれば七〇%近いというか、六〇%ぐらいあると思います。東京、神奈川、埼玉、これらの点全部非常に劣悪と言われる四十人以上の四十五人までの学級が、半分とか、三分の一の数に上がっておるわけです。こういう状況を並べてみると、これは機会均等の精神にも反するんじゃないかと思いますし、財政力は当然政策の決定があれば私は生み出すことができると思うわけです。こういう点から見ても非常に問題があるわけであります。ここで特に文部省の方がお出しになったのは、義務制の九ヵ年計画で、地域別、学年進行別に出されておる、これ自身に大きな私は欠陥と問題点を含んでおると思います。学年進行によりますから、一年生からやってくるときに、もう二年生から上はずうっとそのままの劣悪な状況で、同じ学校の中で並んでいく、これ一つを見ても私は機会均等の状況に同一学校内でも反するんじゃないかと思うんですが、私が特にここで一つお尋ねしておきたいのは高校問題なんですね。高校についてはいまどういう状況なんですか、文部省の到達しておる計画作成の状況はどうなのか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 高校の給与費は都道府県の全額負担でございますから、その関係は交付税の積算基礎の中に、教員の配置基準をどういうふうに改善していくかという課題になるわけで、その辺につきまして、いま自治省に要求をいたします文部省の最終案を取りまとめておるという段階でございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 その義務制の方でようやく九年計画で実施案をお出しになった。私は九年計画というのは当を得ていなくて、少なくとも五年以内ぐらいに従来どおりやり上げるべきだということを強く主張します。具体的な問題もあります。しかし、とにもかくにも九年間たてば、ようやく四十五人になってから二十年目に、ヨーロッパと二十年おくれで、後からながら四十人学級になるということを、それでもいろいろあちこちに気を使いながらお出しになったわけですね。ところが、高校の方をほうっておくというのは、私は筋が通らぬと思うわけであります。なぜ高校は四十五人でいいんですか。義務教育が四十人になった段階でも、高校は四十五人でいいというのは、そういう教育学上の意見なりその他何かあるわけですか。いかがですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 私どもは決して高校は四十五人のままでいいというふうには考えていないわけですが、今回の小・中学校の改善はいまの御指摘のように学年進行でやりますから、中学校の最終は昭和六十三年度になる、計画最後の年になると、こういうことでございます。一方過去の定数改善の歴史を見ましても、小・中学校の四十五人学級の実現というのは、第二次五ヵ年計画のときですから、あれは三十九年から四十三年でございましたね。高校はそれよりスタートを三年おくらせまして、四十二年から四十八年の七ヵ年計画で、普通科の四十五人学級という改善をやっておりますして、そこでちょっとオーバーラップしておりますけれども、考え方は、まず小、中をやって、その次に高等学校ということでやっておるわけでございますので、今回もちょっとそのインターバルは長くなりますけれども、高校の四十人学級の問題は、小、中の次という考え方でいかざるを得ないというふうに大体考えておるわけでございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 私は、同時に行う、さらに言えば高校の方を先にやらなくちゃならぬという要素も非常に強く働いておると思うんです。大臣、この点よく知ってもらいたいわけですが、小・中学校の場合は、京都府のような場合でも、四十人以下の学校が大体三分の二はあるわけですね、現在すでに。それだから多くの府県で、過密都市の問題なんですね、特に四十五人学級の問題は。ところが、高校の場合は全部四十五人なんですよ、これ。どんなに過疎の県でも四十五人の学級でやっておって、三十五人とか、二十人とかいう学級はないんですね。だから平均も四十五人なら、最高も四十五人になっておる。これが高校の実情であって、この点については、高校というのは非常に詰め込み劣悪な状況に置かれておるということと、本来どこの国でも、日本でも義務制が五十人のときに高校が四十人というふうに組んできたのが大体いままでの歴史的経過なんです。戦後新学制の発足をしたときに、高校の設置基準には定数のことはどう定めてますか。昭和二十三年だったと思いますが、局長どうですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 二十三年につくりました高学校設置基準では、一学級の生徒の数は四十人以下とする、ただし特別の事情があるときはこれによらないことができるという例外規定は設けてありますが、原則は四十人と、こういうことでございました。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 ぼくは外国の例もずっと見ているんですがね、フランスのように小学校の幼児教育のところを非常に重視して、小学校一年生や二年のところを二十五人ぐらいにして、高学年になったら三十人いてもいいというような特別例はありますけれども、多くの場合に基礎学級で三十五人であれば、高校へ来れば三十人なり、二十五人になって、職業課程はさらに二十人になると、こういうのが学級定数の決め方なんですね。日本の場合にだけ逆転しておるわけですね。こういうのは便宜主義も非常にはなはだしいものがあると思うわけであります。この点で一つの通念からしても、当然高等学校教育が所期の目的を遂げるためには、とりわけ学力の幅の広い子供たちをいま収容しているわけですね。この中で四十人にするというのは急務だと考えるわけですし、現実問題としてあの設置基準は生きているんでしょう、どうなんですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 生きております。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 だから、ただし書きはついているというものの、設置基準では高等学校は四十人とすと、これは当時の義務制がやっと六十人から五十人になった段階で掲げられたものである。しかも文部省は、私学の建設を認可し、これに指導助言する立場にあるんですね。同じく学校教育法に基づいてつくられた省令ですからね、いま私学を指導するときは文部省は設置基準でやっているわけですよ、そうでしょう。だから私立学校に対しては四十人学級でやれと、高等学校はもう当分の間四十五人でやっていって、義務制の方ができたらぽつぽつ考えようかというようなことでは、文部省は主張するべきことを主張していないと思うんです。だから、恐らく大臣もいままでそんなこと聞かれたことないんじゃないですか。ほかの、大蔵大臣だってみんな知りませんよ、そういうことを。だから文部省はちゃんと言うべきことを言わなければならないと思うんですがどうですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 二点お答えしますが、一つは私立に対する指導の問題は、いまの特例がございますから、各県で恐らく公立との権衡等を考えながら、県それぞれの認可基準をつくって判断をいたしておると思います。  それから小、中との関連で、高等学校はもっと四十人に早くすべきではないかという原則論のお話でございますが、私どもも高等学校についてできるだけ早く、よりよき教育条件を整備するという意味において、四十人にしたいという希望を持っておるわけであり、また努力もしたいと思うわけでありますが、ただ先生、高等学校の方については御都合主義とかとおっしゃられましたけれども、ただその点はちょっとこれ御説明したいんですけれども、高等学校の場合は確かに一学級の子供を何人にして、教育するかというのも非常に大きなファクターでございますが、同時に一つの学校の生徒数に対してどれだけの教員を配置するか。つまりいろいろ専門が分かれておりますから、どれだけの教員を配置するかというのも非常に意味があると思うんですね。そこでいまの設置基準の付表をごらんいただきますと、四十人にして九学級ですから三百六十人以下と三百六十人以上の学校に区分をいたしておりますが、その区分をして、教員の配置率を考えるその考え方が、大部分の学校で、やはり三百六十人以上の学校については、教員の一人当たりの授業時数を十八時間に見ているわけですね。それで、ところが現在の高等学校の先生の一週間当たりの勤務時間、授業担当時間を見ますと、これは五十二年度の調査でも十五時間になっておるわけでございますね。したがって、当該学校の全生徒に対する全教員の配置割合というので見ますと、四十人学級で編制した場合に、たとえば二十七学級になると、四十五人編制ですれば二十四学級だというような場合に、この標準法で四十五人学級の教員配置を考える場合と、いまの高校設置基準で四十人学級で教員配置を考える場合と、教員全体の配置の数は違いないんですね、ほとんど。ですからその事実もひとつ御認識いただきまして、私はそうかといって四十人にしなくていいんだということはさらさら申しませんけれども、そういう努力も一方でしておるということはひとつ御認識いただきたいと思います。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 その点は私も認めます。私が一九四〇年代ないし五〇年代で、現場にいたときは、平気で二十時間ぐらいありましたからね、それは週当たり。現在は確かにおおよそ十五時間程度になっておる。ただかような問題、府県立高等学校ですから、府県で四十人学級にしようと思っても、国が政策を出さなかったら、今日のような財政困難な状況下ではとうていそれを貫く政治力は知事にはないですよ。その点では国の行政誘導の姿勢ですね、そして速やかにその問題を文部省の所管において計画を策定して、そして閣議にかけるなり、記者発表して国民にも訴えるということを行われなければならぬ。いつまでに計画を上げるつもりですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 交付税積算基礎の決定というのは、従来の慣例ですと、大体国の予算折衝で最終的に詰められる段階で、それとの関連もありますから決めるということになりますので、そうわれわれの要求を明らかにするのを遅くするわけにはいきませんけれども、率直に言って、もうできるだけ早くひとつ決めたいというふうに思っております。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 端的に言えば、高校問題もやらなければならぬけれども、そのことによる財政支出と、そしてそのことによる校舎建設が間に合わないので、それを見ながら考えるということですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 高校の問題も、いま申しました教員の配置基準の改善という意味では、たとえば、今度の学習指導要領の改定によりまして、習熟度別学級編制というようなことをやれば、いまよりももうちょっと先生が要るんじゃないかというような意味での増員も考えなければなりませんから、そういうことも含めて検討しておるわけですけれども、ただ、四十人学級の問題というものは、いまの小、中と合わせて、今後の九年計画ということになりますと、非常にむずかしい課題だなあというのが率直に言っていまの考えでございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 高校の場合には、極論すれば募集数を減らしたら一遍にできるわけですね、いまの四十五人を一学級四十人ずつにすれば。ただこれは国民感情も許さないし、九十数%まで進学しておるところで、私学の方ですし詰めがふえては、国民的に見て、何にもなりませんから、この点はそれは即座にやれというのが無理があろうとも、少なくとも義務制に並行しながら進めてもらいたい。ここで念を押しておきますが、公立高校の新増設の補助金は昭和五十一年に初めてつけられて、五十五年で一応予算補助、年度切りの補助金になっているわけですね。そこから先も大丈夫ですかな。ちょっとここで念を押しておきますけれども、どうですか。

三角哲生文部省管理局長

○政府委員(三角哲生君) 現在の補助制度は、いま御指摘のように、五十一年度から五十五年度までのいわば時限的な緊急の特例措置でございますので、五十六年度以降の問題については、五十六年度の予算要求の際に検討をして取りまとめたいというふうに考えておる次第でございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 そんなことは聞かぬでもわかってる話ですよ。だから、いまの諸澤局長の話でも、高校の場合には、四十人学級編制にしようと思えば、募集数を減らさない限り、かなり莫大な新増設が必要だと、ところが現在はやりにくいと、こういう話があるわけだから、当然十年ぐらいは高校の新増設の必要度というのは続いていくものというお答えになっているわけですよ、こっちの初中局長の方はね。ところが、五十六年になったら考えますではなくて、文部省としては、当然これは引き継がれなければならぬ性質の補助金ではなかろうかと思うんですが、どちらからでもお答えいただきたいと思うんですが、どうですか。

三角哲生文部省管理局長

○政府委員(三角哲生君) ただいまの補助制度は、高等学校の生徒数の急増という状況にかんがみましての臨時の措置でございます。でございますから、一面これは財政問題という要素があるわけでございます。したがいまして、五十六年度以降どうするかということにつきましては、急増都道府県の財政の状況、それと国、政府側の財政の状況、こういったものの比較検討、勘案が必要になるかと思います。要は財源をどちらのサイドで手当てをするかということでございまして、これは申すまでもなく、高等学校につきましての手当は、本来は地方公共団体にやっていただくというのが原則なわけでございます。

小巻敏雄日本共産党

○小巻敏雄君 それは大臣がいつまでおやりになるかは、これは将来に属することですけれども、当初予算の審議が終わって、五十五年度予算が策定をされて、歩き始めて、夏がやってくれば、また翌年の概算要求の作業に入るわけですね。いまお聞きになったように、高校問題としては、従来行うべきことが行われなかったために、いま非常にしわが寄ってきておるわけですよ。それが財政難という事情で財務当局から非常に圧迫を受けるという現実にありまして、いまお聞きいただいたように、年来の懸案であり、まさにいまやらなければならない四十人学級というのが、なかなか財務の方からあれこれの問題が出ておるということですから、ひとつまとめてお伺いしたいのは、最後にこの点についての大臣の決意を再度お伺いしたいということと、もう一つ、補助金の整理特別措置法をつくって、いまから大なたをふるうのだ、こういうのを竹下さんが出してきているのを新聞なんかで見ているんですけれども、この補助金整理ということになれば、補助金の四分の一ぐらいは文部関係なんじゃないですか。ここには一体どういうものが俎上に上ってくるのか。補助金の中で文部省関係は公立高校建設もありますし、私学の経常費補助もあります。定通の修学補助金のような、修学奨励費のようなのもあります。実に私は補助金財政四分の一は文部省と思いますから、これも防衛してもらわなければならぬと思いますし、今日のところでどこが問題になるのか、こういう点についてお伺いをした上、展望についてお伺いをしたい。  それからもう一つ、公立文教施設はようやく数年前から老朽建てかえ等現実に行うものを、現実措置として四千五百点であったものを五千五百点にまで臨時措置として改善をしておるわけですね。こういうようなものも来年まで継続していかなければならぬという私は任務があると思うんですが、それらの問題をあわせてお答えをいただいて私はきょうのところの質問を終わりたいと思います。三点ですよ、よろしいですね。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 少し聞き逃したり、私の理解がまだそこまでいっていない点があるかもわかりませんから、もしそういうことがありましたら、局長の方から補足をさせますが、急増地帯の高校の増設の問題、特別措置の年限の問題ですね、五十六年からはどうするのだというような御指摘でもございます。正直言いまして、五十五年の予算の真っ最中、いまから頭の痛いときに、五十六年のことを話しますのは、少し場がちょっと悪いのです。正直言いまして。しかし、あの特別措置を決めました状況、決めざるを得なかった状況というものが改善をされておるわけじゃないわけですね。それですから当然これはやはり続けていくべきものだと私は考えます。また、その前にしかも五十五年の予算の山を越さなければいけないんですから、そちらの方にいま頭がいっておりますけれども、状況の変化はないわけであろうと思います。  それから、いろいろとこういう苦しい財政状況でございますから、財政当局がいろんなことをアドバルーンを上げて様子を見たり、自分の意志をあらかじめ主張するというやり方をやっていくのは、いままでもそうでございましたが、ことしの状況は、そういうますます状況が出てくることだと思います。  補助金等を特別措置でやるということも、これはどういう意味になるのか、私も存じませんけれども、一つ一つの予算を見直しをしてやっていくというのではとても大変だということで、一括してそういう法案を出すということも考えられる、そういう意味じゃないかと思うんですが、さて、それがそんなにできるかどうか、一律に全部補助率を減らせるというようなことが。これはそれぞれ大きくいろいろ問題が違ってくるものだと思います。文部省の関係におきましては、ことにどうにもならない義務的な補助金、補助率等もあるわけだと思います。ですから、これは文部省の立場から考えましても、いろいろと主張すべきものを主張していかなきゃならない、こういうふうに考えておるわけであります。  定数基準その他の問題につきましては、高校の問題もいま御指摘がございましたけれども、まずはとにかく小・中学の問題を来年度の予算のときにどういうふうに実現をしていくかということにいま総力を挙げる段階だと思います。  ただ、局長の方から話をしておりますように、交付税の算定基準の問題がございますから、その意味では速やかなこちらからの態度として交渉しなきゃならぬと、こういうことになると思います。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 まず、第五次学級編制及び教職員定数改善計画についてお伺いをしたいと思いますけれども、いままでは大体五カ年計画で行われてきたわけですけれども、この第五次に限りまして九カ年計画にしたという、その理由はどこにあるわけですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 条件の整備というのも、財政問題その他いろいろ各種の条件を考えなきゃいけないわけですが、その場合、一つは児童、生徒の増減傾向というものが、小・中学校合わせますと五十七年度までふえ続けるということでございまして、われわれの基本的な考え方として、もちろん四十人学級は実現したいわけですけれども、それはやはりある程度子供の減少傾向にあるときに、その傾向に乗って実施をするということにいたしたいと。それは一つには、たとえば教室の問題一つとってみましても、子供がふえるときに四十人学級をやろうとしますと、二重の負担になりまして、実際問題として市町村長さん等の協力は得がたいというような事情もありますので、そういうことを考えますと、まず小学校六年、その次に中学校九年と、それがちょうど子供の減少傾向に合いますので、それとあわせて従来の懸案であったいろいろの条件も改善することにいたしたいというのが考え方でございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 しかし、九年の計画というのは非常に長過ぎるような気もするわけです。といいますのは、九年の間にいろいろ情勢変化も出てくる、社会的な状況の変化も出てくる、そういうふうに考えますと、この計画は途中で何らかの見直しとか、そういうことはやられる考えはあるわけですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) これはあくまでもいまわれわれの計画でございますから、これが最終予算折衝の段階でどうなるか、それがまた具体的法律案として次の通常国会にかける場合にどういう形になるかということが、かいもくわかりませんものですから、その段階でいま先生が御指摘のような点も議論になる余地はあろうかと思いますが、いまのところはとにかくその計画をまず緒につかせたいと、こういうことでおるわけでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 私はこの計画の中の特に教頭代替定数、この項目について若干質問をしたいと思うんですけれども、昭和四十九年に教頭法制化が行われまして、それに伴って教頭の職務を実施するために必要な教員の定数をふやそうということで、いままで進めてこられたわけでありますけれども、しかしまだ十分な状態にはなっておりません。したがって、今度の第五次九カ年計画の中で、それはどのように計画をされておるのかお伺いをしたいと思います。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) いま御指摘のように昭和五十年度から五十四年度、本年度までの五カ年で、教頭定数の配置目標を十八学級以上の小・中学校に専任の教頭を各一名置くという目標で、四千六百七十名というものが措置されたわけでございます。そこで次の課題としては、かねて国会の御審議等もあったところでございますが、次の九カ年で六学級以上の小・中学校に専任の教頭が一名ずつ配置できるように増員をしていきたい、そのためには八千五十六名の増員を予算をつけたいと、こういうことでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 そうすると、この計画の三万五千二百七十七名のうち、教頭代替数八千幾らでしたか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 三万というのは……。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 資料をいただいておる中で、教員配置率の改善の総枠が三万五千二百七十七というのがあるわけですけれども、その中に教頭代替定数の分がいまの八千五十名ですか、含まれておるわけですね。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) そうでございます。御指摘のように三万五千二百七十七の八千五十六でございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 それの年度ごとの計画はわかりますか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) これは要するに四十人学級の実現というのと、生徒の自然増減に対応する増減というのは、これは動かしようのない数字でございます。そして一方、毎年度の増員数というのもほぼ均等にしなければいけないということが考えられますので、そこで結局いまの教員配置率の改善というようなところで、その辺のあんばいをとるということになりますので、毎年の増員数は一定いたしておりません。もしなんでしたら、いまちょっと手元に数字は持っておりませんが、考え方はそういうことで、合わせますので、そう大きな差はございませんけれども、不定な数で要求して八千名に達すると、こういうことでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 この計画を見ますと、最初の三年間は非常に遅々として進まない、すべてにわたって。そういうことが言えるわけですけれども、その辺も問題だと思いますけれども、私は一つ六学級以上という学校に限定をされておりますけれども、その理由をお伺いしたいと思います。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) これは学校の運営というものの考え方だろうと思うのでございますね。どんな小さい学校でも校長さんがあり、教頭さんがあり、学校の管理体制をしいて学校を正常に運営させるというような趣旨からいたしますれば、やはり六学級に区切らず、もう少し下にということがあろうかと思いますが、現在の小・中学校の教員の配置ぐあいというものを見ますと、やはりまだ次の計画でもそこまで考えるにはちょっと無理があるということで六学級と、つまり各一学年一学級編制になるところまでは置こうというふうに考えております。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 理屈の上ではそういう考え方も一応わかるわけですけれども、実態を調べてみると、六学級以下のところはどうかということになると、私はその理屈どおりにはいっていないと思うんですね。特に僻地の小規模校を調べてみますと、これは教頭の担任授業時間数は平均で言いますと、五十二年の学校基本調査では、小学校では週三・四時間、中学校では六・五時間ということが出ておるわけでありますけれども、ところが、僻地の小規模校においては、全国公立学校教頭会の五十三年度の調査の資料によりますと、大体教頭の担任授業時間数が週二十時間ないし三十時間というのがざらにあるわけです。それから教頭の職務というのは、校長を補佐し、校務を整理するというようなことが主になっておるわけですけれども、それに割く時間よりも、その担任授業時間数の方がはるかに多い人もかなりたくさんいる。それから同時に、教頭自身の勤務時間、これはほとんどが週六十時間前後である。一般教員の勤務時間が大体週四十四時間と言われておりますけれども、非常に過重労働といいますか、オーバーワークになっておるわけです。こういう状態が特に僻地の小規模校では顕著である。こういう点から考えますと、単純に六学級以上に一人の定数を認めたらいいという考え方はちょっと疑問に思うわけですけれども、この点についてどうお考えですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 実態からそういう御指摘があることは十分理解できるわけでありますが、その場合に、専任の教頭をずっとそういう小規模校に置くという考え方もあると思いますが、別に、たとえば教頭会の調査などでも、小規模校の教頭さんは、事務職員とか、養護とか、そういうのが代替配置されていないので、そういう仕事までやらされるというようなこともあるわけですね。それは、いまの実態としては、御承知のように全小・中学校の四分の三の学校にしか専任の養護教員、事務職員が配置されておりませんから、今度の改善では、それは原則として全小・中学校という要求になっておりますので、そういう点で、いわば教頭さんの本来やらなくてもいいような仕事を肩がわりするというようなのが一つと、それから小規模中学校の場合、免許外担当教諭というのが御承知のようにありまして、英語の免許状持ってないけれども、英語も持てという式のものが結局教頭さんのところへしわ寄せが来るということもありますので、中学校の場合については、そういう小規模中学校の場合の担当教員の増という形を一方で考えるというようなこともいたしておりますので、私どもの考え方としては、この際そっちの方の充実をひとつ考えていきたいと、こういうことでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 私が要望したいのは、確かに段階的に進めるという考え方で、希望数の多い学校からという考え方はわかるわけですけれども、実際にはその学校の置かれておる立地条件、あるいはその環境によりまして、教頭が週二十時間以上も担任授業を持たざるを得ないというような学校がある。そういうところをよく調査していただきまして、そういうところにおいてやはり無理のないように、それからせっかく教頭の職務というものも法制化されたわけでありますから、そういう職務も十分果たせるような環境づくりをしてもらいたいと思うわけです。だから、機械的にそういう何学級以上というふうな区切り方だけではなくて、実態を十分調べた上で、その運営の面において支障のないようにしていただきたい。この点を特に御要望したいと思いますが、いかがでしょうか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) お言葉を返して恐縮ですけれども、いまの教員の配置の基準から言っても、教頭さんがある程度授業を持つというのはわかりますけれども、そう一般の教員並みに持つというようなことはなくても済むはずだという一般論があるわけでございますね。しかし、実際の問題として、教員の資格その他の問題があって、おっしゃるようなケースもあるいはあるのかもしれませんから、そういう点は十分私どもも念頭に置きまして、また担当者の会議等の際にも、よく話も聞いたりいたしまして、今後案を進める上について一つの意見として十分念頭に置かしていただきたいと思います。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 もう一つの点は、ことしの二月の文教委員会で私が質問したことがあるわけですけれども、教員の定数標準法の中で、現在は校長の定数、それから教諭の定数、このように定められておるわけです。教頭というものについて特段に定数の定めがされていない。しかし、これも教頭法制化に伴って、私は、校長の定数、教頭の定数、教諭の定数というふうに分けて、定数を定めるべきものではないかと思うのです。そのときの私の質問に対しまして、諸澤局長は、第四次計画が発足した後で教頭の法制化ができたから、そのような定めはできていないけれども、今後計画を立てる場合にはそれは一つの重要な柱として考えると、このようなお答えをいただいたわけですけれども、この点についてどのように考えておられますか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○政府委員(諸澤正道君) 教頭の定数化というのは、御承知のように、現在教頭分として十八学級以下にも二分の一計上してあると。その二分の一をさらにプラスして、さらに教頭の定数が一とれるというような本来の要求どおりの計画になりますれば、いまおっしゃるように学校には各学校ごとに校長一、教頭一というふうな趣旨の規定を入れることは可能だと思うわけですけれども、その〇・一の扱いがどういうふうになるかということと兼ね合いになりますので、御趣旨はよくわかりますから、ひとつ今後予算折衝の段階でそれがぜひ実現できますように努力さしていただきたいと思います。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 最後に、この点については前の内藤文部大臣にも、いわゆる教頭職というものの重要性を考えて、教頭の本来の業務は校長を補佐する、校務を整理する、あるいはPTA、その他社会教育活動というような面があるわけでありますから、もちろん担任授業を持つことを全面的に否定するものではありませんけれども、そういう本来の教頭職が十分機能が発揮できるように、代替定数増、それからいまの定数標準法の中に教頭の定数もはっきり規定すべきだと、こういう方向について内藤文部大臣からも、これは全くそのとおりだからそういう方向で努力するというお答えをいただいておるわけですが、谷垣文部大臣のこの点についての抱負をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(谷垣專一君) 御趣旨拝聴いたしておりまして、十分承知をいたしましたので、検討を続けさしていただきたいと思います。

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後三時五十七分散会      —————・—————

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