大蔵委員会 第1号
- 発言数
- 460 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1979/12/05
会議録
○増岡委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 国の会計に関する事項 税制に関する事項 関税に関する事項 金融に関する事項 証券取引に関する事項 外国為替に関する事項 国有財産に関する事項 専売事業に関する事項 印刷事業に関する事項 造幣事業に関する事項 の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○増岡委員長 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。 先刻の理事会で協議いたしましたとおり、それぞれ小委員十六名よりなる 税制及び税の執行に関する小委員会 金融及び証券に関する小委員会 財政制度に関する小委員会 金融機関の週休二日制に関する小委員会を設置することとし、各小委員及び小委員長は委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。 なお、小委員及び小委員長の辞任の許可並びに補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○増岡委員長 次に、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府より提案理由の説明を求めます。竹下大蔵大臣。 ————————————— 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する 法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○竹下国務大臣 ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府は、最近における国際経済情勢及び開放経済を目指すわが国の基本的な姿勢にかんがみ、対外取引を原則自由とする法制に改めるとともに、対外取引の一層の自由化と手続の簡素化を図ることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。 このような趣旨から外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を第八十七回国会及び第八十八回国会に提出したところでありますが、遺憾ながら成立を見るに至りませんでした。しかしながら、わが国の置かれている国際的な立場等にかんがみ、この法律案を早期に成立させることが強く望まれるところでありますので、ここに外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を提出することといたした次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一に、対外取引が自由に行われることを基本原則とする旨を法律の目的に規定することといたしております。 第二は、資本取引の原則自由化であります。 資本取引につきましては、現行の原則禁止のたてまえを改め、特段の定めがある場合を除き、自由に行い得るものとするとともに、制限し得る資本取引の範囲及び要件を明確にするものといたしております。すなわち、わが国の国際収支の均衡を維持することが困難になるとき、円相場の急激な変動をもたらすことになるとき、またはわが国の金融、資本市場に悪影響を及ぼすことになるときには、このような事態に適切に対処するため、資本取引に対して制限を課することができることといたしております。また、一定の貸し付け、証券の発行、募集等特定の資本取引について事前届出制とすることとし、国際金融市場に悪影響を及ぼし、またはわが国の国際的信用を失うことになるなど、一定の要件に該当する例外的なものに限り、その内容の変更の勧告等を行うことができることといたしております。 第三は、役務取引等の原則自由化であります。すなわち、現行の原則禁止のたてまえを改め、鉱産物の加工等ごく一部のものを除き、自由に行い得ることといたしております。 第四は、対内直接投資等の原則自由化であります。すなわち、現行の外資に関する法律を廃止して外国為替及び外国貿易管理法に統合するとともに、対内直接投資等及び技術導入契約の締結等につきまして、現行の許認可制を改め、事前届出制とすることといたしております。この場合におきまして、わが国経済の円滑な運営に著しい悪影響を及ぼすようなもの等につきましては、その内容の変更の勧告等所要の措置を講じ得ることといたしております。 第五は、支払い等の原則自由化であります。すなわち、支払いまたは支払いの受領につきまして、現行の原則禁止のたてまえを改め、原則自由とすることといたしておりますが、勘定の貸記または借記等特殊な方法によるものにつきましては許可を要することといたしております。このほか支払い手段等の輸出入及び債権回収義務についても原則として自由とすることといたしております。 第六は、外国為替等審議会の設置であります。すなわち、外国為替及び対内直接投資等に関する重要事項を調査審議するため、大蔵省の付属機関として外国為替等審議会を置くことといたしております。 以上、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその内容の大要を申し上げました。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○増岡委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 —————————————
○増岡委員長 これより質議に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
○沢田委員 最初に、大臣、どうもおめでとうございます。若干不安定な基盤に立っておられるようでありますが、ひとつ大蔵大臣としては、それを克服して国民に寄与していただくよう、まずもって願ってやまない次第であります。 それで、連日の会議でありますから、お疲れでもあろうかと思いますが、短い会期でありますので、質問に対しては誠意を持ってひとつ御回答いただくよう、まずもって願ってやみません。 最初に、銀行局長の方においでをいただいておりますが、先般公定歩合の引き上げが行われました。それに関連して、従来は預金金利も連動して引き上げてくる、こういうことでありましたが、この空白国会のために、われわれもそれを主張し、あるいは国民の損害といいますか、言うならば不利益に取り扱われている条件を回復する場面がなかったわけでありますが、これまた便々とこのまま見過ごしているということは、だれのためにやっていることなのか、あるいはまた何の目的のためにそのまま据え置いているのか。現在の月曜日でいきますと、コールレート七・七五、こういうふうに十一月段階で出てきている状況であります。そういう状況の中で、新しい貸し出しだけに限るとしても、そのまま預金金利が据え置かれているゆえんは、これは国民が納得できない問題であります。なぜ銀行当局は、これは郵政もありますけれども、連動をするという措置をとらなかったのか、その点明らかにしてほしいと思います。
○米里政府委員 公定歩合と預貯金金利との関係でございますが、私どもは、公定歩合と預貯金金利というものはかなり性格の異なったものだというように考えております。 申し上げるまでもなく、公定歩合というのはきわめて短期的な金融政策の手段でございまして、常に機動的、弾力的に操作すべきものであろうかと思います。一方、預貯金金利につきましては、現在個人預金で言いますと、約八割が定期預金という状態になっておりまして、公定歩合の変動に比べて、性格的に安定的なものであろうかと思っております。 こういった両者の性格の相違もございまして、従来とも公定歩合の上げ下げ両方の場合に預貯金金利が連動しなかったという例があるわけでございます。要は、そのときそのときの金融情勢あるいは金利バランス、長期金利も含めました金利バランスというものを総合的に判断いたしまして、公定歩合の引き上げあるいは引き下げに伴いまして、同時に預貯金金利を動かすということになりますと、長期金利も含めました金利体系全体が動くということに相なりますが、公定歩合の上げ下げに伴いましてそういった金利体系全体を動かすことが適当かどうかということをそのときそのときの情勢によって判断してまいるということであろうかと思います。 今回の公定歩合の引き上げに当たりましては、御承知のように、その趣旨は卸売物価の一層の高騰を未然に予防するという性格のものでもありますし、あわせて為替レートに対する影響ということも考えて実施いたしましたので、公定歩合の引き上げに伴いましてすぐに金利体系全体を動かすということがいかがであろうかという考え方から、当面、長期金利を含めました資金需給の実勢全体の推移を見守るということにした次第でございます。
○沢田委員 結局、いま言った総合的にとか、適当にとか、いかがであろうとか、だれに通っているのかわかりませんけれども、このことによって、現在のマネーサプライも同じでありますが、卸売物価はどうなったのか、では円安はどうなったのか。とにかくその条項に照らしてみても、いまあなたのおっしゃっているような納得できる——国民は、なぜ金利が上がらないで済まされたのか、言うならば、だれをもうけさせているのかということになれば、結局は銀行関係、金融機関関係が新たに利益を出して、ボーナスがうんと出る、そういう形にあなたが一生懸命骨を折っている、こういうことにしか理解しがたいわけであります。公定歩合を上げたから結果的には卸売物価は下がった、あるいは円安が円高に、円高というか適正な金額になった、そうなら、また話は別ですよ。しかし、依然としてその状態は変わっていないのですよ。それなのに、いまあなたのおっしゃっているように総合的判断とか、適当にどうの、こういうことで国民が了解すると思いますか。 だから、そういう点についてはやはりもう少し連動、必ず連動するということではないにしても、とにかく企業が借りたりあるいは個人が借りたりする場合には、いずれにしても金利が高くなるわけですから、そして営々として積んでいる金を新しく定期預金にしようと思えば金利が下がる、こういう条件は理解しがたいものがあるわけで、国民に、もう少しがまんしてください、こういうことになります、この点は御無理でしょうけれども、こうなんですと、そうわかりやすいことで言ってくれませんか。銀行関係だけの話じゃないのですから、国民の一人一人に、あなたの利息が上がらないのはこういうわけです、こういうことをひとつ明確におっしゃっていただきたいと思う。
○米里政府委員 ただいま申し上げました金融情勢、金利バランス総合ということを例を挙げて具体的に申し上げたいと思いますが、御承知のように、わが国の預貯金金利が上がりますと、それに伴いまして利付金融債あるいは貸付信託というものの金利が上がることになります。そういたしますと、長期プライムレートも上がるということになります。長期プライムレートが上がりますと、同時に、それと並行して政府関係金融機関の基準金利が上がるということになります。一方、政府関係基準金利につきましては、郵貯の金利が上がりますと運用部の預託コストが上がって、そういったコストの面からでも政府関係金融機関の基準金利は上がらざるを得ないということになるわけでございます。 そこで、現在長期貸出金市場の実勢を見てみますと、長期プライムレートは四月、七月の公定歩合の上げに伴いまして七・一%から八・二%まで一・一%、二回にわたって引き上げられております。この長期プライムレートに基づきまして長期を貸し出します金融機関が企業と折衝いたすわけでございますが、これは長期貸出金市場の需給の実勢から見まして、なかなかその長期プライムレートが適用されにくい。長期の資金需給はそれほどは詰まっていないという状態で、ようやく二回目の長期金利上げの八・二%のプライムに上げる折衝をいま企業と金融機関でやっておるということになるわけでございます。そこで、預貯金金利を上げますと、そういったものが全部上がることになります。そういたしますと、政府関係基準金利も上がってしまう。政府関係金融機関の基準金利も、現状そのものから見ますとなかなかそういった八・二以上のものに持っていくというような長期資金需給の実勢にないというふうに私どもは見ておりますので、もちろん短期の公定歩合が上がりまして、第三次公定歩合の引き上げが次第に長期貸出金市場の需給の実勢にも影響してまいるかと思いますが、そういったことも含めまして、いましばらく資金需給全体を見てから長期金利を含めた金利体系全体を改定するかどうかを検討してまいりたい、こういう考え方でございます。
○沢田委員 重ねてで申しわけないのですが、いましばらくという言葉はどういう意味なんですか。
○米里政府委員 現在のところ、長期金利を改定するという考え方はすぐにはございませんけれども、いま申しましたような需給の実勢、これは短期、長期も含めましての金融市場全体の動きを見まして、実勢がかなり詰まってきて実質金利が上がるような状態になれば金利体系全体を改定することを考える場合もあろうかと思います。
○沢田委員 じゃ国民的な立場に立って、恐らく金融情勢全般をながめて安定を図ろう、こういう意図だということをたとえばわかったとする。しかし、国民一人一人にとってみれば一方の借りる場合の金利が高くて預金の金利が安い。これについてはあなたも認めておられるのでしょうね。これはあたりまえだという考え方ですか、それともやはりある意味においてはそういうことも条件を緩和していかなければいかぬということはたてまえだ、しかし、いまこういう状況だから上げられないんだということなのか、上げないのがあたりまえなのか、その辺の感覚だけひとつおっしゃっていただきたい。
○米里政府委員 御承知のように、公定歩合、それからそれに連動いたしております短期プライムレート、それから預金金利、典型的には一年定期の金利だと思いますが、この両者の関係は時期によりましていろいろになっております。そのときそのときの情勢によって幅もそれから上下の関係も種々でございまして、どういう形が最も望ましいということは必ずしも申せないかと思います。そういったことで固定的な両者の関係というのは私はないように思っております。
○沢田委員 いまの解釈では、おれの方で適当にやっているから任せろ——私も国民の代表の一人として物を言っているわけだ、それがあなたのおっしゃっているようなことで国民が了解すると思いますか。現状はどうなのか、現在がまんしてもらいたいのか、それがあたりまえなのか、それとも上げてやりたいけれども上げられないのか、その辺の論理だけは、これは大蔵大臣、どうですか。銀行局長みたいなお役人では、だれを相手に仕事をしているのかさっぱりわからぬ。国民としてもう少しわかりやすく、なぜ公定歩合が上がって金利が上がり、預貯金の金利が上がらないのだ、この素朴な質問に対して大蔵大臣どうお答えになられますか。いまの答弁では答弁になっていないのですから、ひとつお答えをいただきたい。
○竹下国務大臣 元来、金利政策というものは、原則的には、私も、いま銀行局長からるる申し述べましたように、金融メカニズムのもとで総合的に判断されるべきものである、このように思っております。しかし、いま沢田委員御質問の中にございましたいわゆる一年もの等から勘案いたしましての預金の目減りとでも申しましょうか、そういう問題が素朴な国民感情の中に存在するということは私も理解できるところでございます。 ただ、そうした素朴な国民感情に対して心情的に理解できる問題が直ちに金融メカニズムをオーバーするだけの状態にいまあるのかないのか、こういうことになりますと、その辺がやはり先般公定歩合引き上げが決定されたときに預金金利が据え置かれた一つのゆえんのものではないだろうか。だから、やはりその状態というものはいろいろな推移の中に判断を下すべきものであって、私は金融メカニズムの中にのみこれを押さえ込もうとは思いませんけれども、原則的には金融メカニズムの中にあるべきものであって、いま沢田委員御指摘のような問題を政治としてどのように判断していくかということも、その推移の中では考えられ得ることではないかというふうに思っております。
○沢田委員 これだけで時間をとるわけにまいりませんが、最後にそういういまの国民的な視野という立場も十分考慮して、これからも、いま言ったようなあいまいな答弁といいますか、おれたちは雲の上でやっている仕事だ、国民はわからぬでもいいのだ、おれたちに任しておればいいのだという姿勢ではなくて、もっと理解しやすい条件というものをつくると同時に、このことによって金融機関その他が不当なと言っては恐縮でありますけれども、たとえば、年末を控えて一般民間企業その他と著しく相違のあるようなボーナスが出る、そういう事態を起こさないように、ボーナスを出す気でやることは結構なことでありますけれども、一般民間企業と比較をして著しい差異を生じないような、いわゆるバランス、均衡——不平等というものを是正するような配慮というものは同時にひとつ行っていただきたいと思いますので、これを要望して次に入りたいと思います。 この前、外為法はもう議論をいたしてまいりましたので、この間事務当局においてもいろいろと御検討なさっておられると思いますので、前段の部分は省略をいたします。 ただ、ここで挙げている有事規制というのは、法を全体として見れば原則自由になったけれども、いろいろなあっちで手を縛り、こっちで足を縛る、そういう形になってきていて実質的には空になっているのではないか、極端に言えば。そういうようなことも理解できるわけでありまして、この国際収支の均衡や貨幣価値の急激な変動、市場への悪影響という三条件というものは今日的な条件においてどう解釈をされているのか。この前の、これは五月ごろでありましたが、審議をいたしました条件と今日の二百五十円台の円安という状況というようなものの変動幅も出ているわけであります。また、国際収支も現在二百億ドルを割るか割らないかという状況にもなってきているわけでありますので、それらの辺を考えて国際収支の均衡と貨幣価値の急激な変動、市場への悪影響と言われている三条件に対する認識なり解釈は今日の段階でどういう判定をなさっておられるのか。これは国際金融局長にお伺いをいたしたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 前回御審議をいただきました際に、当方から御答弁いたしました線と変わっておりません。 付言さしていただきますと、ただいま御指摘の今度の改正法案二十一条の二項の三つの要件でございますが、四十六年のニクソン・ショック以降顧みてみますと、まず四十六年大量の投機的な資金が入りまして十二月に円が切り上げられたわけでございますが、この間に外為のマーケットが非常に混乱したというようなことがございました。それから四十八年の二月にはオイルショックを契機といたしましてフロートに移行したわけでございますが、そのときに国際収支の大幅な赤字というような事態に直面いたしておるわけでございます。それから三番目のケースといたしましては、わが国の国内金融市場、資本市場の悪影響というような問題でございますが、国内の金融政策に対して海外からのインパクトが逆の方向に働くというようなケースであるわけでございます。こういうような過去の事例を申し上げたわけでございますが、この二十一条の二項の条文の解釈につきましては、前回御審議の際に当方から御答弁いたしました線と全く変わっておりません。 それで、現在の条件にかんがみてどうであるかという御指摘でございます。前回は確かに五十二年一月ごろからの経常収支の黒字、外準も非常に増加しておった。本年当初では三百億を超えておった。それに対して、ことしの春ごろから経常収支が赤になりまして、御指摘のように、一昨日発表いたしました外貨準備では二百一億というように急減しておるというような事態に立ってどう考えるかということでございますが、基本的な線は、この法案の改正理由で申し上げておりますように、二十四年、二十五年に法律ができました当時に比べましてわが国の経済事情が非常に変わっておるということ、それから国際環境が非常に変わっておるということ、こういうような基本的な流れに立って考えてみますと、ことしの五月に御審議をいただきましたときと現在かなり情勢は変わっておりますけれども、その基本的な改正理由の点においては変わりないというように考えております。したがって、今回の有事というような問題につきましても、基本的な線は変わっておりません。
○沢田委員 百八十円が二百五十円ということですから、倍近くではないが、ややそのぐらいに激動しているわけです。これも「急激な変動」に入らない、それから三百三十億ドルぐらいあったものが二百億ドルぐらいに、これは五割減ぐらいしているわけですね。五割ぐらい変動しても、これも「国際収支の均衡」という言葉には該当しない。こういうことで、解釈を一つずつ積み重ねていく以外にないのでありますが、そういうことになりますと、いまの御答弁では有事規制をする限界というものはそういうような判例をある程度積み重ねていって決めていく以外にはないのだ、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○加藤(隆)政府委員 もう一つ、言い忘れたのでございますが、国内の市場がどういうふうに受け取るか、あるいは海外の市場がどういうふうに受け取るかというようなのも問題になります。 ただいま御指摘にありましたように、法律解釈といたしましては、この文言に沿った解釈というのはございますが、経済的な実質議論というようなものも当然のことながらあわせて考えていかざるを得ない。その場合には、ただいま四十六年度以降の例で申しましたが、こういうような事例をよく分析いたしてこの抽象的な三要件を決めたわけでございますが、そういうことから考えまして、現実とこういう法律の条文との総合的な判断ということであろうと思います。
○沢田委員 では次に行きますが、当時からの答弁で、審議会でもそうでしたが、最初は政令、省令の改正でやったらどうか、こういう意見もあった。しかし、諸外国との関係もあるから、やはりこの法律を改正することが批判を免れるためにも必要な条件であろうということでこの法律改正に踏み込んだ。ではあるが、政省令の改正の準備は現在どういう方向でどういうものになっているのか。また、たとえば、この法律が成立した場合に対する政省令はこういうものです、こういう具体的なものは今日提示できないのですか。
○加藤(隆)政府委員 これも前回の御審議のときに御議論になっておりますが、現在、五月、九月と二回機会があったわけでございますが、その後事務的に内部作業は進めております。それで基本的な考え方は、法律の一条に書いてございますように、自由を基本とするというようなこと、それから取引に対しては必要最小限度の管理、調整というような法の趣旨、これを踏まえまして、政省令の作業過程におきましてはこの精神に沿った作業をやっております。 ただ、ただいまどういうものにでき上がるのかということを御提示できる段階にまだ至っておりません。基本的には、法律の一条の精神に沿った方向で作業はいたしております。それから規制等の要件につきましても、国民の皆さんにわかりやすいように、そういうようなことを心がけて作業をしております。
○沢田委員 私は抽象的に言ったのですが、当時の委員会の審議ででも多くの事例が出されて、そういう事例に対応してそれを補足したり、あるいは監督したり、あるいは取り締まったり、あるいは許認可の事務に十分な対処の仕方をしたり、こういうことで、私は重複してここで述べようとは思いませんけれども、とにかくロッキードの問題を初めとしてたくさんな問題が出たわけです。ですから、そういうことについては、少なくともこの委員会に再提出、国会に出すには、こういう万全の措置を講じましたから心配はありません、そういう姿勢が望ましかったのではないかという気がするので、あえてここで、準備をされている内容の方向づけだけでも、あるいはメモ的なものであってもいいのですが、それを示して、そういう前回の委員会の審議に当たっていろいろ指摘をされた点はこういう形で処理をしていきます。それが政府の誠意ではないですか。
○加藤(隆)政府委員 私も全くそう思いまして、夏以来鋭意努力いたしたわけでございますが、何せ御承知のような関係者との調整その他がございます。私どもの方の基本的な考え方は、ただいま申しましたように、できるだけ自由化の方向にいくということ、それから国民にわかりやすくするということ、もう一つは、現在の法律、政令、省令、通達の複雑な組み込みがいろいろあるわけでございますから、そういうようなものをできるだけ簡単にするということ、こういうような方向で作業をやっておりますが、その作業の過程で関係者間の調整に手間取っておりまして、残念ながら、まことに申しわけないわけでございますが、ある程度概略のものであっても御提示できるのが本来でございますが、何とぞ御容赦をいただきたいと思います。
○沢田委員 これは容赦するとか容赦しないとかというものではなくて、この前の委員会審議で、こういう場合はどうなるのだ、あるいはこの還流方式をチェックするのはどうするのだ、いろいろな具体的なものを出して提示した。少なくともそのうちのこれは解決しました——いまのお言葉では全部、関係者があってゼロです。少なくともこの問題だけは解決しましたからお答えできます——全部なしというのは若干委員会軽視というか委員会をなめているというか、とにかくそういうそしりを受けても仕方がないのではないかと思う。この出てきた時期からはもう一年以上もたっているわけです。そうして、準備しますと言っているわけです。その中で、委員会においては、こういう場合もあるのだから、この自由化によって支障を生じないようにしなさい、そういうことをいろいろと意見も述べ、具体的な例も挙げて今日やってきた。ところが、それがその歯どめは一つもかかりません。かかるのか、かからないのかもわからない、まあ検討させてください、法律だけは通してください、後はまた後でしらばくれよう、それは少し虫がよ過ぎる話ではないですか。 また、前の委員会のそれぞれの同僚議員が言った発言を無視するような態度は許されることではないと思う。いままで言われた言葉に対して政府は誠実な態度で臨んでもらいたいと思いますが、いかがですか。
○加藤(隆)政府委員 全くそのとおりに思うわけでございます。それで、前回の御審議の際のいろいろな御意見、そういうのを踏まえて作業をやっておるわけでございますが、ただいま申しましたように、ある程度のものであってもお見せしたいと思ったわけでございます。この審議の御意見なども取り入れまして、鋭意できるだけ早くそういうふうな方向に持っていきたいと思っております。
○沢田委員 では別な角度からまた聞きますが、どういう問題とどういう問題がネックになって調整がつかないでいるのか、こういう問題とこういう問題はまだ話がついておりません、折衝中です、それを逆に挙げてくれませんか。
○加藤(隆)政府委員 たとえば交互計算の問題、対外借り入れの自由化をどういうふうにするかというような問題、対外貸し付け、それから居住者間の外貨取引をどうするか、幾つか議論をしつつあるわけでございます。
○沢田委員 可及的速やかに、これもまたなめられたというような結果が出ないように、これはわれわれもずいぶんとおとなしい言葉で言っているつもりでいるのですが、何も言葉が荒っぽくなることがいいとは思っておりません。思っておりませんが、もう少しそれは謙虚な立場で対応していただくよう、なるべく速やかな期間に提示をしていただきたい、こういうふうに思って次の問題に入らせていただきます。 この法律ができたら施行するのはいつなのですか。予定しているところをひとつ明らかにしていただきたい。
○加藤(隆)政府委員 附則に書いてございますように、公布の日から一年以内というふうに、改正法案でも前回と同文でお願いしておりますが、ただいまの五月ころから勘定いたしますと、当然のことながら一年以内というのが約五、六カ月ずれてきておるわけでございますが、ただいま申しましたように、政省令の要綱の要綱というようなものもまだお示しできない段階にあります。いろいろ議論をしておりますと、ある程度そういうものが固まっても、なおかつ、御承知のように為銀制度を根幹に置いておるものですから、こういう確認事務に従事する人たちの実施を図る上でのいろいろな周知徹底、説明、そういうようなものにもやはり時間がかかるというような問題がございまして、私が着任して以来、作業の日程表をつくらせたわけでございますが、そういうことで、この法文の附則にございますような期間を一応御了承いただき、なお作業の進捗によりまして、五月に通ったならばというようなところまではまいりませんが、できるだけ早く細部に至るまで完備をいたしたいと思っております。
○沢田委員 いろいろな言い回し方はされたけれども、諸準備その他でやはり一年かかります、こういうことですね。——首を振っているから、返事だけはしておいてくれませんか。
○加藤(隆)政府委員 そういうことでございます。
○沢田委員 結果的には、この政治の空白は官僚の空白をもつくったということで、きわめて嘆かわしいと思うので、これは大蔵大臣もさらに気を引き締めて部下を督励していただくように。結局、便々と二年間日を過ごした、こういう形が生まれてくるわけでありますので、その点は特に要望をしておきたいと思います。 次に、この法律の罰則なのでありますが、いわゆるこの法律が適用されまして、いろいろな罰則、三十万が百万に上がりました。また、特に気になるところは、その三倍以下となっていて、三百万以下になる、そういうことに結論的になりますね。そうすると、今日の大手の企業その他が三百万以下の罰金で驚くだろうか。罰金をかけられたということは、感情的な意味においていやな感じはいたしましょう。しかしながら、実質的に何千億という、あるいは二兆円という大型なものが動いている中で、その百万円の三倍以下という罰金が果たして現在の経済情勢あるいは貿易取引、そういうような条件の中で適正な価値と考えておられるのかどうか、その点ひとつお伺いをいたしたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 この罰金の問題は、委員御承知のように、法務省と相談いたしまして、類似例その他の総合的なバランスを見ながら判断をして決めていくわけでございますが、七十条に書いてございますように、「罰金は、当該価格の三倍以下」というような表現も入っておるわけでございます。
○沢田委員 そうすると、当該価格というのは、具体的に言うと、不当な貿易、不当な資本の投資あるいは資本の借り入れ、その借り入れた総額に対して三倍という解釈である。要するに、その取り扱いをしたどこまでが不当なものであるかということの限界の解釈はあるにしましても、不当だと認定されたいわゆる市場価格あるいは買い入れ価格、その価格の三倍以下、こういうふうな解釈をして間違いない、こういうことでよろしいのですか。
○加藤(隆)政府委員 念のために、お手元にございます七十条をちょっと読み上げてみますが、ただし書き、二十八ページでございます。「ただし、当該違反行為の目的物の価格の三倍が百万円を超えるときは、罰金は、当該価格の三倍以下とする。」違反行為の目的物の価格でございます。
○沢田委員 目的物の価格は、市場価格をいうのか、その簿記価格をいうのかわからぬけれども、その辺は市場価格、いわゆるこっちで認定した価格、こういうことで解釈をしていいんですか、こういうことを言っている。
○加藤(隆)政府委員 裁判の結果の額でございます。
○沢田委員 裁判が終わるまではわからぬということですか。——わかりました。 それでは次に、行政処分については、今後どういうふうな方法を考えておられるのか、その点明らかにしていただきたい。
○加藤(隆)政府委員 現在も、許可をいたします場合に、許可の有効期間とか、あるいは条件、その他の付款をつけております。そして、ケース・バイ・ケースで適宜行政処分を、いまの付款に基づきましてやるというたてまえでやっております。ほとんど例がございませんけれども、そういうような仕組みは一応できております。
○沢田委員 罰則を受けた場合には、行政処分は並行的に伴うと解釈していいですか。
○加藤(隆)政府委員 さようでございます。
○沢田委員 その行政処分の内容は、取引を停止させるとか、たとえば三カ月とか六カ月とか、今後そういう取引はいけないとか、そういう基準はできているんですか。
○加藤(隆)政府委員 ただいま申しましたように、許可の付款にそういう文言が入れてありますが、具体的な例がほとんどございません。したがって、考え方といたしましては、ケース・バイ・ケースで考えるという考え方で来ております。今後もそういうふうな考えでやっていくことになると思います。
○沢田委員 同じく罰則の関係で、法人に対する罰則でありますが、法人に対する罰則を別に設ける意思はないかどうか。これはあくまでも代理人及びその個人が罰則を受けるという立場になっております。その法人自体が罰則を受けるという条件はないのかあるのか、その点明らかにしていただきたい。
○加藤(隆)政府委員 それぞれの罰則条文は、元来が個人だけでなくて、法人をも処罰の対象としております。もう一つは、いま御指摘の七十三条で両罰規定があるわけでございます。
○沢田委員 両罰規定の場合には、法人の罰則は個人が払えと言ったって、もちろん払えっこないですね。たとえば、一億のものをして三億のものを罰金を払えったって、個人で払えっこないです。結果的には、法人というものがかわりをするというかっこうになるでしょう。しかし、この法律上では、個人も受けますよ、しかし連帯して法人も受けますよ、こうなっている。そうなると、個人の罰則と、加えて法人の罰則というもので両罰されるということに解釈できるわけです。そうすると、この法人の罰則というものは、法人全体が支払う罰金ということになるわけでありますから、これはわりあいに簡単だと思うのです。ところが、個人が払うということはほとんど不可能でしょうから、結果的には両方払うということになりかねないですね。台帳からいって、その個人の罰金を会社が肩がわりをする。現在の道路運送みたいなかっこうでは、そういう形が多いですから、会社の分で払う、会社はまた会社の分で払う、こういうふうに解釈して間違いありませんか。
○加藤(隆)政府委員 七十三条は御指摘のとおりでございまして、繰り返しますが、法人の従業員等が違反行為を行った場合には、その業務の主たる法人等につきましてもあわせて罰し得る規定になっておるわけであります。今回の罰金額を引き上げましたことから見ましても、法人に対する罰則は強化されたというふうに考えております。
○沢田委員 問題は、先ほど、有事規制と貿易自由化に伴っていわゆる自由の中のコントロールをしていく場合に、いままで言われたような還流だとか、いろいろな腐敗であるとか、不正であるとか、そういう事例が多かったから、その多かった事例にかんがみてその罰則というものをチェックポイントとして、遺漏のないような措置を講じるべきだというのが各委員の意見であったわけですね。だから、それに対応する立場というものでいくと、たとえば松野さんの例を出すと、五億であったか何千万であったかわからぬけれども、五億なら五億を還流したらば十五億払う、こういうふうに解釈して間違いないですか。十五億であるかどうか、十五億以下ということですから、その三倍以下、こういうふうに法律は書いてありますから、十五億なり十四億なり十三億払う、こういうことに——五億全部贈ったわけじゃありませんからわかりませんけれども、一億だったとすれば三億以下、三億以下というのはまた一億もあるわけですね。その辺はどういう解釈をしているわけですか。
○加藤(隆)政府委員 前回の当委員会の御審議の際もそういう問題につきまして質疑が行われたわけでございますが、この法律のねらいは、もう申すまでもないわけでございますが、そういう罰するところに目的があるんではなくて、国際為替なり国際経済なりの円滑な運営を確保するという観点にあるわけでございまして、六十八条、六十九条の検査の規定にもその精神があらわれております。ちょっと蛇足でございますが、申し上げておきたいと思います。 それからいまの御意見でございますが、それぞれの具体的な問題はしばらくおきまして、先ほど御答弁いたしましたように、ケース・バイ・ケースで裁判の結果によって議論されるというふうに考えております。
○沢田委員 細かい問題で若干つけ加えて質問していきたいと思いますが、基準の外国為替相場というのが省令で決まっているようでありますが、これはいま現在幾らと定めておられるのですか。
○加藤(隆)政府委員 アメリカ合衆国通貨一ドルにつきまして、本邦通貨二百六円でございます。
○沢田委員 この関税法でいくと、三百八円というふうに規定されておりますが、それが昭和五十何年かの改正でなっておりますが、この二百六円というのはいつ改正したのですか。
○加藤(隆)政府委員 本年の、五十四年七月一日から五十四年十二月三十一日までの間において適用ということで、本年六、七月だったと思いますが、大蔵大臣の告示によりまして決めております。
○沢田委員 そうすると、現在の基準外国為替相場というのは二百六円として定めてあって、結果的に現在の二百五十円というような数字は異常な数字だ、こういうことに理解して間違いないですね。
○加藤(隆)政府委員 この条文は、確かに御指摘のように、固定相場の時代の条文そのままをフロートの時代に持ち込んできておるわけでございます。 計算のやり方を御説明いたしますと、年の後の方のレートでございますが、二つに分けて計算しております。一月から六月までの間に決めますのは前年の六月から十一月まで、それから今回の二百六円の場合には七月から十二月までの適用でございますが、これは前年の十二月からことしの五月までというような計算をしておるわけでございます。
○沢田委員 この基準外国為替相場は有事規制の中の参考になるのですか、ならないのですか。
○加藤(隆)政府委員 なりません。
○沢田委員 次に、もう一つは外国為替管理令、この第三条に取引の非常停止という条項があって、これは改正するのかしないのかまずお伺いするわけですが、国際経済の事情に急激な変化があった場合において、通貨の安定を図るため緊急の必要があると認めるときには、一カ月を超えない範囲内においてこの取引の非常停止を行う、こういう規定づけがされておるようであります。これはこのまま残るのですか。それとも、この外国為替管理令は、さっきも言った政省令の改正の該当項目に入っているのですか、入っていないのですか。
○加藤(隆)政府委員 法律の方の第九条に、取引の非常停止ということで現行法と同文が入っております。それを受けましてただいまの政令があるわけでございますが、これは変える考えは持っておりません。
○沢田委員 一カ月を超えない範囲ということの判断は正しいと思いますか。
○加藤(隆)政府委員 これも、法律論でございませんが、四十六年以降、御承知のように五回これが発動されてマーケットを閉鎖した例がございます。大体一カ月を超えてはいないわけでございますが、一応いままでの経験からいってこの条文の発動が絶対一カ月でいいのかということは申せませんが、こういう非常停止というような措置というものは一応のめどとしてこんなところあたりが経験的ではなかろうかと思いますが、もちろん、条文の目的としている異常事態ということはどういうことかわからないわけでございますから、適当であるというような断言はできません。
○沢田委員 時間の関係がありますから、ちょっと意外な問題でお伺いしますが、この外国為替法に関連して、当分の間として、歯舞、色丹、国後、択捉を除くということを昭和四十七年の五月に決定をされたままでありますけれども、この点は、法令関係としてなぜ外為の関係の規則に入れてあるのか、その理由をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 これはまことに技術的な問題でございまして、御承知だと思うのでございますが、たとえば引揚者給付金等支給法とか、関税法の百八条とか、関税定率法の二十三条とか、そういうところと同文が入っておるわけでございます。考え方は、当然のことながらこの規定の実効がないというような考え方でこういうような整理を一般的にやっておるわけでございます。
○沢田委員 現在の世界の状況その他から見ても、これからも日ソの友好とかというものを考えていく立場から見ても、歯舞、色丹あるいは国後、択捉に在住している人たちへのたとえば物資の供出であるとか、そういうことは起こり得るわけであって、これを除いておくということはもう今日段階においては外して、一応窓口をあけていくという姿勢が必要なのではないか。あくまでもこの規制で縛ってしまって、これはもう除外だというふうにしていくのではなくて、いつでも開ける条件をつくっておくということが——現在の、一方では北方領土返還だと、こう言いながら、一方では外為の方で全部閉鎖をしているということは論理が一貫しないのではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
○加藤(隆)政府委員 これは技術論で申しわけございませんが、法律上は適用になっておるというところでただいまの御指摘の点は担保されているのではないかと思います。六条にあるわけでございますが……。
○沢田委員 じゃ、なぜわざわざこの中に、外国為替及び外国貿易管理法における附属の島に関する命令、最終改正は昭和四十七年五月大・通令第二、大・通令ですから、ここで外せと言えば外せるわけですね。北方領土返還をわが国が主張し、あるいは日ソ友好を考えていこうという中に、この外為法の中でわざわざ歯舞、色丹というのを、当分の間、除いておくという考え方は余りに閉鎖的ではないか。だから、もし本邦で支障がないんだったら、これはいま直ちにでも除いて、やはり開放的な立場に立ってこれからも折衝していくということが必要なのではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
○加藤(隆)政府委員 法制審議の際にそういう議論をいろいろやりまして、先ほど申しましたような他の法律、これは法律の質が違いますけれども、そういうようなものとのバランスを考え、基本的にはこの法律の言う適正な執行の確保というような観点から考えて、これを現行法どおり外したというような経緯でございます。
○沢田委員 だから、現在の法律を、現在というか、現在のこの提案されている法律を私どうこうしろと言っているんではない、それは政府としての論理の一貫性を欠くではないか、あるいは国民的な負託にこたえていく論理の一貫性にも欠けるではないか、やはり間口を広げておくということが必要なんじゃないか。そして間口だけは広げておいて、これは何も法律じゃないんだから、あなたの方でこれは一応門戸を開放していきますと、こういう姿勢をとれば、これは除くという条文でなくなっていくだけの話ですから。 ですから、四十七年のいきさつはどうであってこうなったのかわかりませんけれども、その点は別として、現状においては、こういうことで閉鎖的な外為の法律をつくっていくということ自身が日本の国の姿勢として誤解を招くことになるんじゃないか、あるいはわれわれの主張と背馳するものになるんじゃないか。ですから、ぜひこれは大蔵大臣もよく勉強してもらって、こういうものを今日わざわざ残しておく理由はない、またあるべきでない、ぼくはこう思うのでありまして、できたら、法律じゃないんだから、これは撤回します、あるいは善処してとにかくなくしますと、その程度はひとつ進めていただけませんか。
○加藤(隆)政府委員 そういう議論もした上で、先ほどの繰り返しになりますが、一般的な考え方で残したという経緯がございます。 御指摘は、経緯は経緯で、そういうお考えでございますが、一般的にこういう取り扱いをやっておるようでございますが、そういうことでお許しいただければと思います。
○沢田委員 これは許すわけにはいかないのですよ。だから、とにかくこんな通達くらいな程度で、こういうものを日本の政府がこういう形において除いていくという発想それ自身を解除していかなければいかぬのじゃないか。なぜこういうものだけを、特に、第六条の第一号の「附属の島とは、」こういうふうに言って、そのうち、当分の間これは除くんだぞ、こういう言い方は、これは現在の外交方針とも、あるいは日本のこれからのあり方とも関係して、当分の間だけ除くから以下の部分を削っておけばいいんじゃないか、どうですか。これは通達ですから、これは法律論ではないですから、これは考えて善処していただけませんか。
○加藤(隆)政府委員 先ほど他の法律を引き合いに出したわけでございますが、こういうその法律の有効性が及ばない、実効を伴わないというような観点から、私どもの法律だけというようなわけにもなかなかいかないんではないかと思います。 御指摘の御趣旨は全く同感なんでございますが、そういう若干形式論になりますが、バランスを考えなければいかぬのではないかと思います。
○沢田委員 これは外務委員会じゃないですからなんですが、尖閣列島にしてみたって、それは本邦のものだ、これは昔の地図にあるんだ、あるいは中国のものだと、いろいろ意見は出ていますね。しかし、みずから排除していく論理はそれはないと思うのですよ。みずからこれはもう全然別なんだというふうに排除していく論理はないんじゃないか。そういうことを自分で、この島はわれわれの管轄外ですということをどの条項であろうとなかろうと決めていくという論理は、少なくともわれわれとしてはこれは四島は日本のものなんですという解釈でいっていいんじゃないですか。しかも、法律じゃない、通達なんだ。そういうことからいって、それをわざわざ除いていくという排除の論というのはどうもわれわれ納得できないんですが……。
○加藤(隆)政府委員 繰り返しになりますが、法律的には排除してないわけでございまして、たまたま対外取引というような観点から考えた場合に実効がないということ、それから他の法律とのバランスというようなことでさような取り扱いをさしていただいておるわけでございますので、私も全く同感なんでございますが、そういうような取り扱いをしていくということだと思います。
○沢田委員 では、その点の善処を今後期待をいたしまして、あと残された時間わずかでありますから、次の問題に移ります。 次に、輸出貿易管理令の中に、本邦の公共機関から友好の目的で他の国の公共機関へ寄贈する貨物、これは要するに免除規定の中に含まれております。ここで言う公共機関から他の国の公共機関に寄贈する貨物というのは、今日の情勢でいくと、KDDのような問題も起きておりまする今日、明確にしておく必要がある。そういうことで、本邦の公共機関というのは何から何を言うのか、それから他の国の公共機関というのは何を言うのか、ひとつお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
○宮本政府委員 ただいま御指摘のように、輸出貿易管理令の別表第二の第九号の二という規定がございまして、ここでは国、地方公共団体またはこれらの設立した学校、研究所等わが国の公共機関、こういうふうに書いてございまして、これが外国にある同様の機関または国際連合、赤十字などの公共機関に友好の目的で寄贈する貨物、これは御指摘のように輸出令上の手続を免除いたしているわけでございます。 私ども、ここに国の機関、地方公共団体、それからこれらの設立した学校、研究所、この辺非常にはっきりいたしているわけでございますし、国際連合または赤十字、今度はまた先方のそういう機関というのもはっきりいたしておりますが、解釈といたしまして、御指摘の若干不分明かと思われる点につきまして、公社、公団等——日本の場合におきましては特別法により設立された特殊法人はこれに該当する、こういう解釈をいたしておる次第でございます。
○沢田委員 そこが問題なんですね、一番最後のところが。いわゆる特殊法人みたいなものを公共機関とみなすかみなさないかということについて、きわめて重要な解釈が生まれるわけです。ですから、いま言われた前の方の問題は別に問題がない、一番最後の項目だけは、これはとにかくいままでもいろいろな抜け穴となって利用されてきた経緯もありますから、この点の公共機関の規制については厳格に——時間の関係で、例を挙げてもいいんですが、挙げる時間もありませんから、ひとつ厳格に解釈をするという構え方だけはとってもらえますか。
○宮本政府委員 この輸出貿易管理令という法令の趣旨からいたしまして、制度として設けておるわけでございますけれども、その制度の範囲内において御趣旨に沿うて善処したいと思います。
○沢田委員 時間がないですから終わります。
○増岡委員長 山田芳治君。
○山田(芳)委員 時間がきわめて限られておりますので、数問について御質問を申し上げたいと思います。 先ほども若干質問があったと思いますが、この法案が八十七国会に提案されたときの国際収支の状況と現在の状況が非常に異なっている、また、先行きも非常に不安であるという状態の中でこれを立案をしたところの根拠というものは変わっていないんだというお話が先ほどありましたが、必ずしもそういうふうに見られるかどうかについて、私は若干の疑問を呈したいと思うのであります。 その第一は、これが立案された当時は、新聞その他でも言われておりましたが、先進国首脳会議があり、手持ちのドルも、かつては二十億ドルぐらいであったものが、二百億ドル、三百億ドルという状況で、国際的な摩擦というものが非常に懸念されるという中で、原則は禁止であるものを実際はできるだけ自由化をしているという法体系を、いまの貿易の状況のように、原則は自由だが若干の制限を加える方向に変えていくとともに、法形式として過去のものであるので、統合して一本のものにしたらよいだろうと言われておるわけであります。ところが、御案内のように、外貨の保有は二百億ドル程度でありますけれども、六月二十六日以降のジュネーブにおけるOPEC総会において一バレル当たり二十二ドル、今月のカラカスにおけるOPECの会議では恐らく二十七ドル、二十八ドルあるいは三十ドル前後と言われている石油価格であります。いま大体三百三十億ドルぐらいでしょうから、五〇%上がれば百億ドルを超える外貨の持ち出しになる。今年度はどの程度の収支になるかわかりませんが、今後は赤字基調に転換していくのではないか。こういう状況でありますから、当時、相当急いでこの法案をつくって、妥協してできた法案だと言われておった内容のものであるわけでありますが、その背景というものは変わっているのではないかと思うのであります。同じものをそのまま出されているということについての積極的な理由をもう一度お聞かせいただきたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 先ほども沢田委員からお話があったのでございますが、法律の条文的に考えてみますと、結局、新法になりますと後戻りができないわけであります。旧法の場合からなぜそういうふうにしたか。例示がよくありませんが、イギリスの今回の自由化というのは、法律はそのままにしておいて、英国銀行の規則を取っ払った。これだと戻れるわけでございます。われわれの法律が、そもそも戻らないという考え方で改正をしたということはどういうことかといいますと、心配であることは事実なのでありますが、要するに、実態がどういうふうになってももう後戻りしないのだというふうに、原則自由でいくのだと判断したわけでございます。その判断の背後には、御指摘のように、当時黒字が非常に大きかったとか、サミットで議論したとかということがあったかと思いますが、基本的には二十四年、二十五年からのわが国経済の実力の強化とか国際環境の変化、要するに、相互依存関係が非常に強くなってきておる、自分の国だけで勝手なことをやっては生きていかれないということを踏まえて、もう後戻りしないのだという法律構成をしたということ。それから考えますと、OPECの問題なり国際収支の赤字なり、大変気になるわけでございますが、この改正法案を作成すると踏ん切ったときの決意というのは、後戻りしないのだということでできているということに、実態は変わらないのだという表現で申し上げたわけでございます。
○山田(芳)委員 確かに帰らざる川だと言われているように、一遍踏み切りますと、西ドイツの為替銀行廃止のように後で非常に困るというような問題もある。そこまでは思い切っていないということで適当だと私は思いますけれども、国際収支の問題は、はっきり申し上げて、石油というものが商品ではなくて戦略物資だという規定がなされている今日、為替が日本の経済の反映であるとするならば、日本の為替事情、日本の経済は完全に石油上の楼閣だ——砂上の楼閣と言われますが、石油の上の楼閣だと言われて非常に不安定な様相を呈している。国際摩擦という意味では、これだけ赤字になってくるのでありますから、あの当時のような国際摩擦ということはいまは払拭し切れて、むしろ逆に日本が赤字基調国家になっていくのではないか、こういうふうに私は思うのでありますが、そういうときにあえてこの自由化の法案を出されたということについて、それでは具体的なメリットがどこにあるのか。私は後で申しますが、この自由化そのものについて若干の疑問を呈して、いままでの多くの質問者あるいは八十七国会で審議された内容と若干異なった立場に立って質問をしようと思っておるのでありますが、そういう立場からいって、この法案をこの臨時国会で通すということにおける積極的なメリット。何で臨時国会にこの法案が出てきたのか。八十七の場合は、東京サミットもあることだし、外貨も非常に多い、リセッションが多い、そういうふうな立場も理解できたわけでありますが、現在は逆ではないか、急がなくてもいいではないかと思うわけであります。その点とともに、それならばこの法案が成立することによって具体的にどういうメリットがあるのか、法形式を変える、自由化をしたということが形式的に言えるというだけでなしに、具体的にどうかという点を問いたいのは、はっきり申し上げて、すでに現実にたてまえ禁止だけれども、政令、省令等によってできるだけ自由化してきているわけですね。そういった法形式だけの意味における禁止を自由にするというだけでなしに、この法案を変えて——これは政省令が一年以内にということになっているわけですけれども、これを立案されてからもう一年たつわけですから——先ほどから政令、省令の案はないとおっしゃっている、それは非常に微妙でありますからないでありましょうけれども、具体的にというのは、そんな細かいことは言わなくてもいいのでありますが、現実の為替関係の事務なりいろいろありますね。為替銀行その他が報告をしたわ、通関の統計の上で判断をしていかなければならないためにいろいろの行政事務の委任を受けている、そういうものは残っていくわけでありましょう。だから、必要最小限度のものはいまでも残しておかなければいけないし、今後も残さなければいけない、また有事規制もしなければいけない。それならば、この法案をいまの段階で通してどういう具体的メリットがあるのか、私どもにわかるように説明をしていただきたい。
○加藤(隆)政府委員 一つは、ただいまも申しましたが、国際間の相互依存関係が非常に高まっておる。その場合にリシプロカル、互恵的な考え方がかなり出てくるわけでございます。わが国はえてして閉鎖的であるという指摘がある。そういう場合に、法律の第一条に原則自由であるというような国家意思を表明する。その場合に、相手国からいろいろな逆の閉鎖的なことをやられた場合にそれに立ち向かえるというようなこと、言うならば、フェアに経済運営をやっていくということを世界の中に宣明することによっていろいろな困難を乗り切れるというようなことが言い得るわけでございます。 第二点は、イギリスの今回の自由化のときにも、与野党の間で議論がなされておるわけでございますが、経済全体をできるだけ市場経済的に持っていく、そういうようなことが生産性の向上なり、ひいては国民生活の向上につながっていくというような考え方があるわけでございますが、これが果たしていいかどうかという議論もそれは出てきておりますけれども、基本的にはやはり経済運営というのを自由にやっていくことが自国のプラスになるということは言い得るのではないかと思います。特に、わが国は海外に原材料を依存し製品を輸出していかなければ食っていかれないわけでございますから、そういう場合にフェアでないというような言い方、これは経済運営全体にとってぎしぎししたものをもたらすのではないか。 そういうような二点から考えまして、現在の状況という問題がどう考えられるかということでございますけれども、それはさておきまして、なぜ臨時国会に出したのであるかということが三番目に問題になるわけでございますけれども、これはやはり国際的にオイルショックの後いろいろな調整過程を経て、日本の黒字調整過程においてわれわれがはっきりそうした自国の利益というような観点に立った政策宣明をしたわけでございますから、これは一刻も早く成立して体制を整えなければいかぬじゃないか。 御指摘のような問題については、第四点になるわけでございますが、有事の規制というような考え方は根幹にあるわけでございますし、それを支える為銀制度というものは従来のように置いておくというようなこと。 それから第五点には、いろいろ実質的に自由化をしたということがあるわけでございますけれども、その間、政省令あるいは通達で関係者に非常に事務的なロードをかけておるということ、わかりにくいというようなこと、こういうようなことの払拭ということも、こういう経済法規の改善という角度から考えますと、意味のあることではなかろうか。 そんなような大体五点ほどを考えまして、一日も早く成立をさしていただくことを念願して提案したわけでございます。
○山田(芳)委員 そうしますと、さしあたってどうという問題ではないけれども、いままで言うてきたことでもあるし、全般的にその方が開放経済というか、そういう日本の立場を明快にするということを印象づけるということであって、これが通過したから直ちに具体的にどうするということの具体的なメリットというのはどうあるか、もうちょっと答えてください。
○加藤(隆)政府委員 基本的には、具体的なメリットと申しますと、一つは技術的な問題がございます。たとえば、先ほども申しましたけれども、対外取引の決済規制を整理できるとか、あるいは海外からの借り入れの平時の自由化が図れるとか、こういう技術的なメリットはかなりたくさんあります。御指摘の点は、そういうことでなくて、政策的に考えてどういうメリットがあるかという点もあろうかと思いますが、これは何と申しましても、関税の問題もしかりでございますが、フェアでないという言われ方は国際場裏で生きていく際に非常にマイナスになっていくことは事実でございます。国際収支が赤であれ黒であれ、やはり保護主義的な雰囲気が高まっている際に、互恵主義の原則で突き進んでいくというようなのは政策態度としていろいろな面で非常に強い態度で出れるのではないか、そういうふうに私は考えます。
○山田(芳)委員 先ほど言いました技術的ないろいろな取り扱いは、法律改正をしなくても、お話のように通達やその他でやっていける部分があるのじゃないかというふうに私は思うので、私が聞いたのは、そういう技術的な問題ではなくて政策的な意味である。したがって、具体的にどういうような内容が政策的にあるかということを聞いたわけですが、その点がいま必ずしもあるわけではないようなお話でありますから、私はそれほど急ぐほどのものではないのではないかという感じはいたしておったわけであります。 きて、それはそれといたしまして、資本の自由化に伴いまして、最近は経済の安全保障ということが盛んに言われるわけであります。 アメリカにおいても、口では非常に自由化、門戸を開放せよと言いながら、自国においては保護主義が非常に強く見られている。ガットの義務免除規定を採用して農産物の輸入を抑えてみたり、食肉につきましても、一定量を超えたような場合には輸入の制限が国内法でできるのだ、こういうようなことをやっているわけですね。そういう中で、EC諸国もまた可変輸入課徴金というものを採用して国内農業というものを保護することができる、こういうふうになっている。だから、開放経済、自由経済と言いながら、それぞれの国はそれぞれの国の立法政策に応じて農業というものを保護しているというのが、私は国際的な先進国という国においての実態ではないかというふうに思うわけであります。 先般、これは新聞の報道によるものでありますけれども、日本が、米が余っているので米を輸出しようということで、食糧庁がいろいろと交渉したのでありますが、御案内のように、アメリカは第一回の日米農産物定期協議の中で、アメリカの商業ベースの米輸出を阻害するおそれが強いと言って、日本の緊急避難ともいうような、余っている米を輸出しようとしたのに対して、非常に強い抵抗を示したということが出ております。 このように、競合するものになってきますと、自由だ、開放だ、こう言いますけれども、現実に輸出というものに対して、自由であるべきものを抑えていこう、しかもこれはガットに違反をしているのだ、こういう言い方でありますけれども、国内法の中における問題については、いろいろ問題はあると思います。 日本の食管制度というものが補助金を出しているのだというふうに認められるなどということは、私どもは考えられないのでありますが、この点についてひとつ、農林水産省からも来ていただいておりますので、この辺の事情を少し説明をしていただきたい。口では自由化、まことに結構なんでありますが、内容はいわゆる国の経済安全保障の問題については、私は自由化というような次元でとらえるべきではないのではないだろうかというふうに思うわけであります。そういう点について、最近の実情を含めて、どういう考え方であるのかということをひとつ説明をしていただきたいと思います。
○赤保谷説明員 まず最初に、日本からの過剰米の輸出の問題でございますが、先般日米の農産物定期協議がございまして、そのときに、わが方の過剰米の処理、転作を進めながら過剰米の処理をしていくということが非常に重要な問題になっております。これはいまのところ臨時的に過剰米を処理するということでございまして、いま先生のおっしゃいましたような非常に緊急的な問題である、そう続く話ではありませんという事情をよく御説明をいたしまして、御納得をいただくように努力をしているところであります。 それから、農産物の輸入問題でございますけれども、御承知のとおり、農産物につきましてはできるだけ国内で供給をする、自給力を確保する。そうは申しましても、土地資源その他の条件がございまして、どうしても輸入に依存しなければならないものがかなりあるわけでございます。そうではございますけれども、輸入につきましては、国内の需給動向というものを踏まえまして、国内の農業生産の健全な発展を損なわないように、一般的に申し上げますれば、健全な発展と調和のとれたような形で進めていくという考え方でいままでも進めてまいりましたし、今後ともそういう考え方で進めていきたいと考えておるわけでございます。
○山田(芳)委員 それで、百万トンぐらい出したいと言ったのが、結果的に二十万トンぐらいしか出せないという実態になっておると聞いておるのですが、今後どういうふうになりますか。
○赤保谷説明員 そういう御質問ではないと思いまして、所管でもございませんので申しわけございませんけれども、たしか毎年二十万トンずつ五カ年間で百万トンを輸出したい、全体の余剰米の処理は四百八十万トンでございますけれども、それは工業用に回したり飼料用に回したり、あるいは輸出用にするということで計画を立てておりまして、輸出につきましては、たしか五カ年間で百万トンの計画でございましたが、ことしはいろいろな国から引き合いが多うございまして、数字はちょっとはっきりしておりませんけれども、すでに六十万トン以上その成約ができておるというふうに伺っております。
○山田(芳)委員 いま、一つの例を申し上げたので、結構です。 大蔵省の方にお伺いをしたいのですけれども、いまのように、農業関係については先進国が非常な保護貿易主義をとっているのではないか、そしてこちらが輸出をしようとすると、いろいろと難癖をつけてチェックをしていこうというふうになっていると私は思うのですが、こういう点についての大蔵省としての考え方はいかがですか。
○加藤(隆)政府委員 大蔵省というと範囲が非常に広がりますが、国際金融局の領域で申しますと、御承知のように、外国からこっちに金が入ってくる、投資があるという対内投資の問題、それから外へ対外投資をする場合、こういう場合に農林水産業が問題になるわけでございます。これはもう御承知だと思いますけれども、現行でも例外四業種ということで農林水産に対しては個別審査になっておりますが、改正法でも事前届け出で、状況によっては変更なり中止の命令勧告ができるようになっております。外へ出ていって生産物がはね返ってくる、そういういわゆるブーメラン効果のようなものについても、現行法とほとんど同じぐらいの強さの措置がとれるようになっておるわけでございます。
○山田(芳)委員 時間がありませんので、また一般質問の際に伺いますが、いまお話に出たブーメラン効果ですが、通産省の方もいらしているのですが、もう私は要望だけ申し上げておきます。 私は京都の選出でありますけれども、丹後の機業なんかにおいて、いわゆる外国へ投資をして、そこで技術開発したものが逆輸入されるということで、大変な問題が常に起こっておる。現在は、韓国ではなくて台湾あたりから非常に多いということであります。こういう点についても、国内の農業、中小企業という、自由化の中においてはともすれば取り残される産業についての保護というものをもっと考えながらやっていかなければいけないという点を私は申し上げたいのであります。 時間がありませんので、あと二、三の質問を申し上げたいのですが、銀行局の方においでいただいているのですが、金利の自由化の問題をちょっとお伺いしたいのです。 八十七国会の質疑討論集を読みますと、会議録を読みますと、どうやら、こういう形で外国からはどんどんレートの違う金が入ってくる、金利の自由化の環境づくりをしております、こういうふうに言うておる。私は、日本のいまの経済というものが少なくとも財政金融を中心とするフィスカルポリシーなりミックスポリシーいう形で行われるとするなら、日本における金利の自由化ということは政策的に無理なのではないか。いま預貯金のレートを上げるとかという議論もありますが、上げる上げぬにしても、日本は同一の金利でやってきているわけです。自由化をするということについて、この法律が通った後の環境づくりをやって、将来自由化に持っていくのだというふうに、会議録では当時の徳田銀行局長が答弁をされている。むしろ私は、そうではない、金利の自由化ということはすべきではないのではないか、してはならないという政策をとるべきではないか、こういうふうに思うのですが、大蔵大臣、いかがですか。
○米里政府委員 金利の自由化の問題でございますが、私どもは、基本的には金利は自由化される方がより望ましいのではないかというふうに考えております。 最近におきます経済、金融の国際化という問題もございますし、あるいはまた資金の適正配分というような問題、あるいはまた金融政策の有効性の確保といったような観点から、大きな方向としては逐次金利の自由化を進めていくということが正しいのだと思っておりますが、ただ、御指摘のように、金融にいたしましても、日本の社会経済の構造の上に成り立っておるということであろうかと思います。したがいまして、白紙に物を書くわけではございませんので、日本の経済あるいは社会構造の特殊性というものも十分踏まえながら、個々の金利の自由化に当たりましては、それが自由化した場合にどういったデメリットがあるのかということも十分考えなければならぬというように考えておりますので、自由化ということに当たりましては、今後は何を自由化するのが適当なのか、あるいはどういうタイミングでやるのがいいだろうかということを、社会経済構造も踏まえながら十分考えてまいらなければならないというのが基本的な考え方でございます。
○山田(芳)委員 ちょっと議論をしたいのですが、もう時間がないので、また別の機会に譲りますが、そうしますと、私は、やはり強い銀行は非常にいいけれども、中小のいわゆる専門金融機関、これがどうしたって、いまでも貸出金利は高いんですからね、そんなことをしたら、それはますます預金が、都銀なり地銀なり、まあ最近は非常に郵便局に集中しているという話もある、そういうところへは集中するけれども、いわゆる弱いところ、これは銀行法の改正なり中小企業専門金融機関制度の改正があるでしょうから、またそこで論議されると思うけれども、私はそういう状況になるんじゃないかということを非常におそれるわけです。そういう傾向はないのかどうかということが一点。 それから、もう時間がありませんから最後に一問だけ。 最近こういうことが言われています。円安でございまして、ことしの初めに、たとえば百万ドルの米国の債券を買うと、まあ一ドル百九十五円十銭で買った、ところが最近は二百五十円、またたく間に六千三百五十四万円のもうけ、すなわち四十数%も安くなっている。これはいわゆるリーズ・アンド・ラグズというものなんですが、こういうことの実態というものが把握できるのか。もしくは、これは有事規制の対象にどうせなるのでありますけれども、すでに行われているじゃないかということが盛んに言われているのですね。まあ法律改正して有事規制というようなことでありますけれども、現実の実態をつかむのがなかなかむずかしいんじゃないか、また具体的に言いたいのでありますが、もう時間を超過しておりますからやめますが、こういう点について大蔵省はどういうふうに考えているか、この二点、ちょっと質問して終わりたいと思います。
○米里政府委員 最初の御質問についてお答えいたします。 おっしゃいますように、預金金利の自由化ということは、これは私は非常にいろいろ問題があるというように考えております。おっしゃいますような大金融機関と中小金融機関に与える影響というものも大きなものがあろうかと思いますので、これは非常に慎重でなければならないというのが私どもの考えでございます。
○山田(芳)委員 第二番目。
○加藤(隆)政府委員 私でいいですか。——この前、十一月の上旬でございますか、一回チェックをしてみたわけでございます。いろいろ分析しますと、やはり輸入予約が非常に大きいわけでございますね。これが、いまの御指摘のリーズ・アンド・ラグズなのか、ヘッジなのか、スペキュレーションなのか、この辺非常に判定がむずかしいわけです。本来、リーズ・アンド・ラグズだとかヘッジというのは、通常の経済活動として企業側としては当然考えるわけでございます。したがって、これを全部だめだというようなのはいかがかというふうに基本的には考えるわけです。その場合に、スペキュレーションとどこが違うのか、それで非常にこれは困るわけです。それでいろいろな分析をやってみますと、前回のときにはほとんど実需に基づくものでございました。 したがって、今度は、十一月の二十七日に五項目というのを出したわけでございますが、あれは二つの柱で成り立っておりまして、一つは、為銀、商社、証券会社、それぞれの日々の取引に対して、しっかりした情報を把握したい。それからもう一つは、できるだけ金を入ってくるようにしたいということで、インパクトローンとか円転の規制の緩和とかというのをやったわけでございます。それで、二十八日から、それぞれ物によって報告の提出期限が異なっておりますが、まだ出てきておりませんけれども、こういうようなものは、御指摘のように、常時監視していく。そして、いまおっしゃったような非常な投機的な動きがあれば、しかるべき手を打つというような体制はとっておりますし、とらなきゃいかぬと思います。 繰り返しになりますけれども、リーズ・アンド・ラグズと、ヘッジと、スペキュレーションと、どう違うかというあたり、これはいろいろどこの国でも議論になるところでございます。それだけを申し上げておきます。
○山田(芳)委員 そういうことで、自由化ということは、国際全体の開放経済というか貿易というものにとって非常に必要だということはわかるわけですが、いろいろの問題点がある。そういう点を何点か挙げて申し上げたわけでありますが、時間がございません、いずれまたゆっくりひとつ私も勉強をして、質問したいと思います。大臣も、なかなか国際金融はむずかしゅうございます、ひとつ一緒に勉強したいと思うので、いろんな問題点があったら大胆にチェックをしてもらいたいということを条件をつけて、私の質問を終わります。
○増岡委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十三分休憩 ————◇————— 午後一時六分開議
○増岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。宮地正介君。
○宮地委員 私は初めに、この法案の問題について少しお伺いをしてまいりたいと思います。 この外国為替及び外国貿易管理法の改正については、さきの国会でも当大蔵委員会で議論をしたわけでございますが、新大臣にもなりましたので、若干の重複はあろうかと思いますが、改めて質問をさせていただきたい、こう思うわけでございます。 そもそもこの外為法の改正につきましては、前福田総理のボン・サミットにおける対外的な公約という問題がはしりとなりまして、日本が国際的な経済社会の中においてその役割りを果たしていくための開放経済体制、こういうものの一つの目途のもとにこの改正案がさきの国会で提出をされてきたわけであります。 私は、まず大蔵大臣にお伺いしたいのは、この法案が延び延びして、時間的な経過がたって今日に来たわけでございますが、そうした前総理の国際的な公約という信義の問題、国際的な政治的な信義というものについて、この法案を審議するに当たりまして新大臣としてどのように考えておられるか、まず伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 まず、福田総理、あるいは大平総理になりましてからのアメリカにおきますプレスクラブでの発表というようなものは、国際的公約ということでは必ずしもなかろうとは思います。国際的な会議等でコミットしたものであるとは理解しておりませんが、国際的に公表した問題ではある、このように思っております。したがいまして、これが遅延しておるということは決して好ましいことではない、やはり態度でもって開放経済への志向をあらわす重大な一つであるという考え方の上に立って早期成立をお願いをしておる、こういうことであろうかと思います。
○宮地委員 国際的な公約という問題ではない、開放経済体制に向かってのものである、こういうような言い回しで大臣はいま答弁されましたけれども、これはとりようによっては私は非常に重要な御発言ではないかと思うわけであります。 わが国の今後の国際社会の中に占める責任と役割り、そういう中で経済摩擦をできるだけ少なくしていこう、先ほども国際金融局長は、フェアでないと言われるので、何とかフェアにしたいということを再三にわたっておっしゃっていたわけでございます。 そういう点で、いまの大臣の御答弁は、政治家としても、そうした公式的な問題であるかどうかはともかく、一国の総理がそうした場で公表をし発言をしたということは、各国としてもその信義を非常に大事にしているのではないか、こう私は思うわけです。その信義という点について、大臣としては、果たすという役割りについては全く関知しない、こう考えておられるのかどうか、もう一度伺っておきたいと思います。
○竹下国務大臣 あるいは私の表現に足らざる点があったかと思います。窮屈な条約等の物の考え方から国際的にコミットしたものではないという意味のことで申し上げましたので、そもそも国際場裏で公表したその人は、それぞれ時の内閣総理大臣でありますし、国際信義の上からも、これが早期に形となってあらわれる一つのポイントであろうかと考えております。
○宮地委員 そこで、そうした一つの流れの中において今回の改正が再びこの臨時国会に提出をされたわけでございます。客観的な経済情勢の変化については後ほどまた触れるといたしまして、言うなれば今回のこの法律というものが原則自由、有事の規制という基本的な考え方に立っての改正であり、いままでの原則禁止、例外自由という立場から基本的考えを変えたように御説明をされているわけでございますが、その点について私は具体的にこの法律案を詰めていろいろ研究してまいりますと、言葉じりが何か変わって、その実質的な本質の一つのものというものは余り変化が見られていないのではないか、本質論でございますが、そういう感じがするわけでございます。そういう点について局長の所見を伺っておきたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 第一条にはっきりと、対外取引は原則自由とする、さらにそれを踏まえまして、実際の調整に当たってはできるだけ必要最小限度にとどめるということを明文でうたっております。 〔委員長退席、稲村(利)委員長代理着席〕 実質論の議論でございますが、私どもといたしましては、この一条の目的に沿ってこの法案の文言もそうなっておると思いますし、それから、この法律に基づきます政令、省令、通達を作成いたしますときにも、この法の精神によってやろうと考えております。
○宮地委員 たとえば為替管理の全面自由化という問題を一つの目途としてのこの法案が出発であるというとらえ方に立つのか、いわゆる完成に近いものである、こうとらえるかによっていろいろ判断、客観情勢は異なると思いますが、たとえば貿易決済の自由化に関するものにいたしましても、具体的に交互計算方式、この自由化をめぐって大蔵省、通産省の間にその見解あるいは仕事のなわ張りといいますか、取り扱いといいますか、そういう点についていろいろ対立的な論議が行われた、このようにも私は聞いているわけでございます。 まず、きょうは通産省が見えておりますので、この点の経過、経緯というものについて少し説明をしていただきたいと思います。
○宮本政府委員 ただいま御指摘の点でございますけれども、私どもがこの法律の原案を作成する過程におきまして、最近の国際経済情勢、さらには開放経済体制を目指すわが国の基本的な方向、こういうものについては当然認識は一致いたしておりまして、その限りにおきましては、原則自由の新しい法案に改めていくべきである、手続その他なお一層の自由化を進めるべきである、こういうことについては全く意見の一致があったわけでございます。 ただ、具体的にそれをどういうふうにやるかということにつきましては、いろいろ議論はいたしました。議論はいたしましたけれども、先生御指摘の対立というようなことは、私はなかったと考えておる次第でございます。
○宮地委員 たとえば、いま申し上げた交互計算方式の自由化をめぐって、具体的にその取引の利害関係の一番絡み合うのが、外為銀行と商社の取引との関連であろうと思います。この点については、ただいま通産省の局長さんは、完全な一致を見た、こうおっしゃいましたけれども、本当にそのような見解をお持ちなのか、この点について大蔵省、通産省の局長の見解をただしておきたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 ただいま通産省の方から御答弁がありましたが、議論の過程というのはございましたが、結論におきまして一致をいたしております。
○宮本政府委員 ただいま国際金融局長のお答えいたしましたとおりでございます。議論の過程では議論はございました。
○宮地委員 皆さんのこの法案によりますと、いま申し上げました交互計算の、輸出入取引については具体的に一番大事な、現在の一取引百万円以下のものに限り認められているものについては、今後貸借記が認められる範囲を拡大する方向で検討する、こういうふうに非常にぼかしてあるわけですね。ここのところもう少し具体的に、どのように考えて調整をされたのか伺っておきたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 文字どおりの意味でございまして、考え方といたしましては、ただいま宮地委員がおっしゃいましたように、この為替管理法の有事規制の根幹に為銀制度というのを置いておく、その為銀制度の円滑なファンクションを損なわない範囲で、いまの貸借記、この法案の十七条でございますけれども、広げる方向で考えるということでございます。
○宮地委員 その広げるのをどの程度まで広げようと検討されているのか。全然まだ漠然と、字のとおりただ広げる、煮詰まってないのかどうか、その点お伺いいたします。
○加藤(隆)政府委員 まだ煮詰まっておりません。
○宮地委員 その点が非常にあいまいもこであるわけです。ということは、逆に言えば、自由経済の開放体制という方向に向かっての改正でありながら、国内的には銀行対商社の関係で、それはある程度同じ民族の国民としての経済的な立場というものの理解はできると思いますが、たとえば外国の企業などの場合、相当こういうものに対しては不満の声が強いということも聞いているわけでございます。その点については、むしろ開放経済体制の方向ということに逆行しているのではないか、こういう異論もあるわけでございますけれども、その点についてはどういう考え方に立っているか伺っておきたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 基本的には、御指摘のように開放経済に向かっての前進という角度で具体的な問題も議論しております。
○宮地委員 基本的にはわかるのです。たとえば、いま具体的にこの私が申し上げております交互計算方式の自由化という問題をとらえたとき、たとえば具体的に、商社の方は通産省がいろいろと行政指導しておる。為銀については大蔵省がしておる。たとえば外国の企業については、やはり商社と同じような、こういう場ですから、通産省はいま歯を食いしばって踏ん張ってますけれども、外へ一歩出れば非常に不満の声は持っておるわけです。たとえば、私が聞いたところによりますと、大体一ドル一円ぐらいの、送金をする場合の手数料というものが取引において為銀に入っている。往復ですと倍になるわけですね。これが相当な額の取引になりますと、莫大な手数料になって、その経営的な一つの大きな、圧迫とは言えませんでしょうけれども、支出になっている。こういう不満が外国企業あるいは特に中小の商社の間では強いのです。あなたは、交互計算方式の自由化についても基本的には開放経済体制に向かってやっておる、それは理解はします。しかし、事務的、実務担当に詰めていきますと、やはり非常に大蔵省の歯どめといいますか、力というものが相当働いておる。その点の調整、配慮というものがどの程度——抽象論では局長の言っていることはわかるのですけれども、今後具体的に進めていかれようとしているのか、その点伺っておきたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 ただいま宮地委員が読み上げられました文章に書いてあるとおりでございまして、いま百万円というものを拡大する方向で検討しよう。それで、かなり前から議論いたしておりますが、基本的には、たとえばこういう例もございます。 最近時、十一月二十七日でございますか、商社の方にも資料の提出を求めたわけでございますが、これはいかにも大蔵省と通産省がけんかばかりやっておるようなふうにとられるといけませんが、そういう場合でも通産省の方と打ち合わせまして商社の方からも取る。それで、両省は従来、現実にむずかしいというような点があったかもしれませんけれども、ただいまのところは、この外為管理法の精神、あるいはわが国の直面している国際情勢、そういうものについて全く認識が一致しておりまして、具体的な例として卑近な例を申せばそういう例もございます。
○宮地委員 また、有事規制について皆さんの方の概要の御説明をいろいろいただいて私も少し研究さしていただいたわけでございますが、たとえば、資本取引の原則自由という三項目があるわけですね。この有事規制というものが万事運用という形になっているわけですね。これはある意味では行政指導側に対する裁量が非常に大きくいまだに残存している。むしろ運用規定を策定するくらいのことが、これは客観的立場から見て当然ではないか、こういう意見もあるわけです。この点についてはどういうふうに考えておられるのか。あくまでも万事運用論でいくのか、万事運用論は少なくして、できるだけ法的規定というものを明確にしていくのか、この点についての考えを少し伺っておきたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 有事規制の例で申しますと、法律にどういうことを規定するか、それから行政府の運用にどういう範囲を任すかということを当然のことながら考えるわけでございますが、今回の改正法案に明らかに出ておりますように、有事規制の場合の要件あるいは規制のかかる取引の形態あるいは決済方法、そういうようなものはあくまでも法律にはっきり書くことによって国民に明確にする。それをどういう場合に発動するか、この基本的な考え方は二十一条にはっきり書いてあるわけでございますが、そういう要件のもとに発動する。その基本的な考え方は、審議会において御議論をいただいて、一応はっきりしておく。毎日のマーケットをながめまして、それをどうするかというようなことは行政府にお任せいただく、こういうふうに、一つは法律のかっこうでどういうものをどういうふうに明確化しておくかということについて申し述べますと、そういうふうになっております。 それから二番目に、それを実際のマーケットとの関係でどうするかという問題になるわけでございますが、御承知のように、このごろは電信、通信が非常に発達しておりまして、たとえば某国の大臣が発言したことは即時三十分後くらいには全世界に及ぶというような情勢になってきております。為替の市場というのは非常にナーバスでございまして、特に最近時のように国際的にいろいろな問題が起こっておりますと、大した材料でないにもかかわらずそれを材料にして過剰反応を示す。フロート制というものがそもそもそういう性格を持っている点もございます。 そういうようなことを考えますと、具体的な運用に当たってはどうしても臨機応変、適時適切な機動的な仕組みにしておいていただかないと、かえって法のこういう原則自由、有事規制というようなことは、国民経済的に見てマイナスになるというような問題もあるわけでございます。いま申しましたように、二つの点からお考えをいただいたらどうかと思います。
○宮地委員 逆の見方をすれば、有事規制の乱用の可能性が残されるということなんです。 また、この外国為替等審議会の問題にいたしましても、等ということで改組するわけでございますけれども、これは結果の報告ということが中心で、あなたがおっしゃるようにタイミングよくスピーディーにこの問題を処理するということで、すぐ審議会にかけて審議会の御相談のもとにスピーディーに対応していく、こういう事務的経過ではないわけでしょう。皆さんの方が有事規制というものを運用して、その結果について御報告を求め了解をとる、こういう形になっているわけですね。そういうことを考えると、私たちは有事規制の乱用を避けるためには、できるだけ詰めた、そうした厳正な規定というものをやはりつくっておく必要があるのではないか、こう思うわけですが、この点についてはどうですか。
○加藤(隆)政府委員 審議会の問題でございますが、基準をおつくりいただく、基本的な考え方を審議会でおつくりいただいておく、その基準なり基本的な考え方に基づきまして行政府の機動的な行動にお任せいただく、それで事後にただいまお話がございましたように、審議会に御報告するというような仕組みをとらせていただきたいと考えているわけです。
○宮地委員 そこで、たとえば資本取引の原則自由において、昭和五十二年の秋あるいは昨年の急激な円高、こういうような問題で外為市場が混乱するような場合には有事規制にする——最近の円安の動き、こういう問題については、この範疇として考えておられるのか、円安問題についてはどのように見ておられるのか、この点について具体論として伺っておきたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 その前にちょっと、ただいまの答弁の中で基本的な考え方というのと基準という言葉を両方使いましたが、訂正させていただきたいのですが、基本的な考え方を審議会で決めていただきます。 いまの御質問の、最近時の円安の原因でございますが、予算委員会でも御議論がございましたように、基本的に考えますと、経常収支の赤字、物価の上昇というような地合いが基本にあるわけでございます。そこへイランを中心といたします石油の問題が起こってきておる、それで為替市場が先ほども申しましたように行き過ぎた反応を示しておる、こういうようなことで円安という問題が加速されておるというように認識しております。 その場合、この改正法案との関係でそれがいわゆる有事規制に当たるのかどうかという点になるわけでございますが、ただいま申しましたように、日日のマーケットがちょっとした通貨当局の発言に対してきわめて過剰反応いたすというようなところを申し上げたいわけでございますので、これがこの法案の有事規制に当たるかどうかという点については差し控えさせていただきたいと思います。
○宮地委員 差し控えるということで、具体論に入るとぼかされるわけでございます。 ちょっと一点だけ、角度が違うのですが、最近信用金庫の間でも外為業務の取り扱いを非常に強く要望しておる。相互銀行まで外為業務をやらしておるけれども、おれたちにもどうか。恐らく最近の信用金庫の仕事の大変な縮小化に伴っての要請ではないかと思うのです。これについて大蔵省として非常に前向きに検討しているような話を聞いておるわけですが、ちょうど外為問題が出ておりますので、ちょっと角度を変えて恐縮でございますけれども、この点について確認しておきたいと思います。
○米里政府委員 信用金庫の外国為替業務の問題、制度論でございますが、現在金融制度調査会で中小企業金融専門機関全体にわたりまして、そのあり方及び個別の制度改正が必要かどうかというようなことについて審議をいたしております。この審議の対象は非常に広範にわたっておりまして、各業界からの御要望事項ということもその中で取り上げられますし、あるいはまた銀行法改正に伴う中小金融機関の横並びの問題もございます。あるいはまた、今後非常に厳しい環境の中で中小金融専門機関の健全経営を図っていくためにどうすればいいかというようなことも検討されるかと思います。目下そういうことで金融制度調査会で鋭意検討中でございます。この信用金庫の外国為替業務取り扱いの問題につきましては、今後金融制度調査会の審議を待たなければなりませんが、私ども調査会の事務当局といたしましては、中小企業側のニーズという点、あるいはまた信用金庫サイドの外国為替経験者の状態あるいはまた訓練状況、そういったことを総合的に勘案いたしまして、できるだけ前向きに検討していきたいと考えておる状態でございます。
○宮地委員 これはぜひ前向きに取り組んでいただきたい。また、次の通常国会にはいろいろと法案の提出もあるように聞いておりますので、その中で検討をさせていただきたい。 話を戻しまして、先ほどの円安問題に少し入ってまいりたい。 大蔵大臣に私率直に承りたいので、どうか事務当局の皆さんは答えないでいただきたいのですが、現在の日本の円・ドルの需給実勢、これについて現在の円相場は必ずしも実力の相場ではないのではないか、こういう大変な経済専門家の方々の意見があるわけでございます。その点について、現在の円安に対して大蔵大臣は円の実力をどのように受けとめておられるか、大変むずかしいので恐縮でございますが、聞いておきたいと思います。
○竹下国務大臣 宮地先生にちょっと時間をいただきまして、私が国際金融問題についての発言について非常に気をつけておる背景を簡単に申し上げますと、実は昭和四十六年、私はたまたま佐藤内閣の内閣官房長官でありました。そのときに三百六十円がいわゆるスミソニアンレートで三百八円になりました。それからフロートしたわけでございますけれども、そのフロートの段階におきましては、日本がいろいろな発言をしますと、すぐそれがダーティーフロートじゃないか、本当にきれいなフロートじゃないではないかというようなことが言われておった当時であります。その後いろいろ推移して、今度大蔵大臣になってみますと、自国の通貨価値を維持するために国際金融にそれぞれの国が介入していく、日本国のみならず、アメリカを初めとして、むしろその方が今日あたりまえのような情勢になっておるということを私、実感として最近感じておるのであります。 私がある時期に、イラン問題の起こった時期でございますけれども、当分冷静に受けとめていくべきだ、こういう表現をいたしましたら、それに対して新聞社の皆さんが平静とはどういうことかと言いましたので、興奮しないことだ、こう言ったのです。そうしたら、その興奮しないという言葉がどういうふうに翻訳されたか別といたしまして、ロイター電に伝わりまして、それで国際金融の仕事をしております私の友人から、おまえ何にもしないと言ったそうだな、それは大変な影響を与えることだから厳に慎まなければならぬぞ、こういう忠告をされたという実例がございます。事ほどさように今日の国際金融問題は過剰に反応するとでも申しましょうか、そういう感じがいたしてなりません。 したがいまして、いまの円安相場がわが国の実力であるかどうかというようなことに的確に答えるというのは非常にむずかしい問題であろうと思うのであります。確かに、最近の物価動向を見ますと、消費者物価は比較的安定して推移しておるというものの、卸売物価は原油の上昇等の影響などが出て上昇を続けておりますし、先行き警戒を要する問題であります。こういう局面のもとで円安相場がわが国経済全体に与える影響については、心理的要素が国内的にも国際的にもございますので、確言するということは非常にむずかしい問題だ。評論家によりましては、いわゆるイラン問題等の過剰な心理が働き過ぎておるから実力ではないという表現をする人もございます。私もその辺はよく理解しておることでございますけれども、円の実力は大体この辺だというようなことを表現することだけは、最近の電気通信網の完備とでも申しましょうか、非常に与える影響が多いわけでございますので、きわめて抽象的になって、いわゆる冷静に見守っておって、私自身が幾らが妥当であるとかと言う状態のものではないというふうに御理解いただければ幸いであるというふうに思います。
○宮地委員 大蔵省はこの二十七日に、円安阻止といいますか、対策として緊急五項目を発表になったわけでございますけれども、これは結果的には投機的な動きに対する監視強化をしたものではないか、このように思うのですが、この点についてはどうなんですか。
○加藤(隆)政府委員 先ほども申し述べましたが、五項目のうち三つは、いま御指摘のように為銀、証券会社、それから商社の為替の取引等につきましてフォームを決めまして、提出期日も決めまして、監視体制を整えるという観点で決めたものでございます。あとの四番、五番というのが、外国の金が入りやすいようにする、従来もありましたものをさらに広げたというようなことでございます。これは今回の改正法の精神もございますが、完全自由化の方向に行くのでございますけれども、わが国のように貿易関係が経済に非常なウエートを持っている場合、やはり海外取引の動向については常時的確な把握をしなければならない、そういう意味合いにおきまして、最近の円レートの動向、国際収支の動向から見て、そういう体制をこの改正法案を待つ前にも整備をしておきたい。確かに、問題が起こりましたら有事即応、機動的に適切な措置をとろうということを前提にいたした対策であることは事実でございます。
○宮地委員 これは非常にむずかしい問題ですけれども、緩やかな為替管理というような感じの見出しで報道している新聞社もあったわけでございます。私はこの問題については深く触れませんが、ただ開放経済体制に向かっての一つの法案が出され、片一方でこうした円安対策の中でやむを得ず為替管理、何か一見進んでは戻しているような、そうした感じを受けるわけですが、やはり国民生活防衛という立場からは円安対策というものは緊急に必要であろう、そういう面では私も容認はできるのではないか、こう思うわけです。 ただ、私たち一番心配しますのは、今回の円安の基本的背景、先ほどからお話ありましたように、一つは経常収支の悪化、また国内物価の上昇、輸入インフレ、そうした形でさらに石油情勢の混迷、またこの十二月にはカラカスのOPEC総会で再び原油価格の引き上げというような、こういう情勢を見てまいりまして、卸売物価が大変な勢いで上がってきておりまして、われわれ国民生活に与えるこれからの影響、これは非常にシビアに受けとめていかなくてはならないのではないか、こう私たちは考えているわけでございます。特にこの年末年始は何かと生鮮食品を中心とした、また毎年見ておりますと別の国内的にも物価の値上がりの大変強い時期でもございまして、たまたま消費者物価については、いま若干落ちつきを数字の上で示しておりますが、この二けたの卸売物価の値上がりがいよいよ消費者物価に転嫁されてくる可能性が十分来春ごろには予知されるわけでございまして、そこに相まって、どうも来年度の予算編成を見ておりますと、相次ぐ公共料金の値上げがメジロ押しにやってくるような感じもするわけでございます。 まず経済企画庁から、この円安を中心とした現在の経済環境に対する物価対策といいますか、これをいまどのようにやっておるか、また、今後こうした経済の厳しい環境の中においてどう対応されようと考えておるか、この点について伺いたいと思います。
○赤羽説明員 お答え申し上げます。 物価の現状につきましては、消費者物価がこれまでのところ比較的落ちついた推移をたどっておるのに対して、卸売物価の急騰が見られる、こういう御指摘はそのとおりでございます。私どもそういうような情勢を前にいたしまして、物価の現状というものを大変シビアに考え、厳重に警戒中である、この点も先生と認識を同一しております。そういうふうな認識に基づきまして、去る十一月の二十七日に物価問題に関する閣僚会議というのを開いていただきまして、物価対策の総合的な推進について八項目について決めていただいたということでございます。 ちょっと技術論になって恐縮でございますけれども、現在卸売物価の上昇は、十月の数字で申しますと、一年前に比べまして一四・五%になっている、それに対して消費者物価が四・二%である、その差が一〇%以上ある、こういうふうな一〇%以上も差があるということになりますと、今後卸売物価が消費者物価の段階に及んでくる、こういうことになりますと、消費者物価は大変な上昇になる、あるいは二けた近いものになるのかもしれない、こういうふうな見方が一部にあるわけでございます。現に先週も一部の新聞にそういうふうな見通しを経済企画庁がしている、こういう報道がございましたけれども、私どもは、そういうふうなことは多少誇張された見方である、こう考えております。 これはどういうことかと申しますと、たとえばわかりやすいために例を申し上げますと、洋服というものを考えてみますと、消費者物価でいいますと、たとえば二万円なら二万円という形で入っておる。ところが、卸売物価になりますと、その原料になりますところの混紡の生地、洋服地というものも入っておる、さらにその原料である糸も入っておる、さらに、さかのぼりましてエチレンでありますとかナフサ、さらには原油といったような原料まで入っておる、これが卸売物価でございます。そのために、輸入原料の値上げ、この原油の値上げというものが、極端に言いますと十数回にわたって重複計算される、こういう形で卸売物価がきわめて大きな上昇率を遂げる、こういう技術的な問題があるわけでございまして、そのあたりのところを勘案いたしますと、卸売物価と消費者物価の乖離が十ポイント以上もある、これを過大に考えるということは問題ではないか、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、私どもは先日決めていただきました八項目をこれからは着実にかつ厳正に実行していきたい、こういうふうに思います。 特に公共料金につきましては、公共料金の改定、調整という面に当たりましては、まず公共料金企業の経営の合理化というものを要請いたしまして、その前提に立った上で厳正な査定、こういうことで対処していきたい、こう考えておる次第でございます。
○宮地委員 非常にいまの問題大事なんで、大蔵大臣、これからの物価動向に対してどういうふうに取り組んでいくか、また大臣としての考え、所見を伺っておきたいと思います。
○竹下国務大臣 いま経済企画庁からお話がありました先般の物価関係の閣僚会議の中で、私どもに直接関係のある部分がございましたのは、公共事業の執行の問題ということであります。すなわち、物価上昇というようなものに大いに警戒をしなければならないとき、五十四年度の公共事業費の執行状態をどのような形でやっていくか、それは早急に関係省、特にシェアとして大きいのは建設省になりますけれども、それらと協議を進めるべきである、こういうことになっておるわけであります。したがって、その問題につきましてはいま検討に入ったばかりでございますので、どのような形でやるかということについては、ここで明瞭にお答えする段階にございませんけれども、そのお決めになりました閣僚会議の中の公共事業予算執行上の問題についての物価対策への配慮ということは大いに念頭に置いて、引き続き、それもそうのんびりでなく進めなければいかぬ課題が一つであります。 それからいま一つは、恐らく宮地さんおっしゃっています来年度予算に関連する公共料金という問題のことも御関心があろうかと思うのでありますが、来年度予算編成に対しまして、もちろん、かつて言われました公共料金というものがもろもろの消費者物価引き上げの引き金になる、あるいは牽引車になる、こういう状態ではなくして、最近は私は後追いしておるという感じを持っておることは事実でございます。したがって、いわゆる受益者負担の原則というようなものに立って、公共料金の問題も五十五年度予算編成に当たっては当然その査定の対象にしていかなければならぬというふうに考えておるところであります。 しかし、念頭にありますのは、それがもろもろの消費者物価の牽引車になるようなものであってはならぬという気構えはございますが、これから鋭意検討して詰めてみたいというふうに考えております。
○宮地委員 時間も限られておるのですが、一点だけ、ちょっと大事なことを大臣に伺っておきたいのです。 特に、円安傾向から来る国民生活への、物価、インフレへの影響、これにどう対峙するかということに大蔵大臣として、また日銀総裁としてのこれからの重要な指導性が求められる、私はこう思うわけです。きょうは日銀の方は来ておられませんが、たとえば日銀と各国の中央銀行によるスワップの強化という問題、あるいは協調介入などによる第二の円防衛体制、あるいは、先ほどもちょっとお話が出ておりましたが、第四次の公定歩合の引き上げが、いま大臣少しお話しになりましたが、むしろ公共投資の繰り延べ、こういった面の財政金融面の引き締め強化、いわゆるインフレ退治あるいは円安対策、こういう面の日程というものが当然これから上ってくるのではないか、こう思うわけですが、この点について大臣として御見解をお持ちでしたら、お話しいただければありがたいと思います。
○竹下国務大臣 スワップの問題と二国間協調介入の問題につきましては国金局長からお答えをいたしますが、私としてみて申し上げますのは、第四次の公定歩合の引き上げの問題でございますが、公定歩合という問題に対する基本的な考え方といたしましては、私は、日銀の持つ専権事項である、したがって、金融行政全体を監督する立場にあるとはいえ、私からその予測をするということはもとより避けるべきだと思っております。ただ、きのう来の日銀総裁の意見を聞いておりますと、もちろん公定歩合を予測して予言するという行為が行われるわけのものではございませんけれども、いまのところ考えていない、とにかく第三次公定歩合の引き上げの影響がどのように出てくるかということをいま慎重に見守っておるところであるというふうなお答えをなすっておると言うにとどめておきます。 それから公共事業の繰り延べの問題でございますが、先ほど申しましたように、どの程度、どのような形ということについていま本当に詰めたばかりでございますので、その内容につきましては、恐らく後日御発表できる段階に立ち至るのではなかろうかというふうに思っております。 〔稲村(利)委員長代理退席、委員長着席〕 それが時期といたしまして、たとえば来年度の経済見通しの時期でございますか、五十五年度の大蔵原案の時期に示すべきものか、あるいはその後にやるべきものかということについては、いま少し議論をしてみたいと思っているさなかでございます。
○加藤(隆)政府委員 スワップとか二国間の協調介入という問題でございますが、御承知のように、スワップにつきましてはすでにスキームはできておりますし、各国間の国際金融についての協調体制につきましては、過日もミラー財務長官が述べておりますが、主要国間で常時意見の交換をやっております。 御指摘は、そういうものを発動するかどうかというようなことをおっしゃっているのだろうと思うのですが、先ほど申しましたように、非常にナーバスな問題でございますので、現在そういうスキームはあるということを申し上げるにとどめさせていただきたいと思います。
○宮地委員 最後に来年度予算編成の問題に若干触れましたので、恐らく予算委員会等で十分に審議されたと思いますが、これは特に国民の願いでありますいわゆる福祉切り捨てとか教育切り捨てという問題。そのいま一番大きな国民の問題であります義務教育教科書の無償化の問題に対する取り扱い、あるいは七十歳以上のお年寄りに対する老齢医療の無料化の問題に対する取り扱い、あるいは児童手当の現在の問題に対する取り扱い、これはどうも大蔵省は財政エゴといいますか、この洗い直しをして、八〇年代というのは福祉国家日本をつくっていく重要な開幕の年ではないか、そのときに、こういう重要な福祉の切り捨て的な財政エゴの予算編成をちらつかせておるということは、まことにこれは国民の怒りを買うのではないか。私たち、当然そうしたような問題については断固大蔵省とも闘っていくという決意を持っているわけでございますが、大蔵大臣、この点について、本当にそうした福祉切り捨て、また教育切り捨て——特に義務教育の無償化は、御存じのように憲法二十六条に保障されたそうした問題として実現したわけでございますので、こうした論議をいま起こしているわけでございます。この点についての大臣の所見を誠実に伺っておきたいと思います。
○竹下国務大臣 ただいまの御質問でございますが、このどこにアクセントを置くとかいう問題は別といたしまして、財政再建が緊急の課題であることは御案内のとおりであります。したがって、五十五年度予算においては、福祉、教育予算というものに限定したという考え方ではなく、すべての財政支出について厳しい見直しを行って、財政再建の第一歩を足したいという考え方が基本にあるわけであります。 ところで、わが国の社会保障制度等は、国際的に見ましても遜色のない水準に達しておると最近言われるようになっておりますものの、やはり今後の高齢化の進展等に伴いまして、現行の給付水準をそのまま維持していくことだけでも確かにその費用負担は大幅に増大していくことが予想されるわけであります。したがいまして、今後社会保障等を推進していくに当たりましては、従来にも増して、制度の合理化でありますとか、給付と負担の公平化というようなものを着実に図っていかなければならぬというふうに考えております。 五十五年度の予算編成に当たりましても、以上の基本的な考え方に立って、福祉ということを私は軽視する考えは毛頭ございませんが、それに配慮をしながら制度、施策の適正化を検討してまいりたいというところでございます。 具体的に御指摘になりました老人保健医療の問題でありますとか、児童手当、教科書無償等の問題については、いま政府部内で慎重に検討を行っておるところでございまして、各界とか、あるいはいろいろな懇談会とか審議会とか、そういうようなところの意見に十分耳を傾けて、国民の納得が得られる、御理解がいただけるような結論を出すように努力しておるところでございますので、確かに、財政制度審議会等で、新聞にも報道されましたように、そういう指摘があったことは事実でございますが、総合的に判断をして、精いっぱい、いま宮地先生おっしゃった断固として闘っていただかないような努力をしようというふうに思っておるところでございます。
○宮地委員 時間が来ましたので、終わります。
○増岡委員長 正森成二君。
○正森委員 今度の外為法の改正で、経常取引あるいは資本取引の原則自由、有事規制の法体系になったわけであります。私どもが心配いたしますのは、これによって大商社などの為替投機が進むのではないかということであります。もしそうだとすると、大企業の社会的責任が問われているときに、今度の改正は非常に問題点を生ずることになるというように思うわけですが、その点について、まず原則的なお考えを伺いたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 大商社云々ということでございますが、午前中も御議論がございましたけれども、現在もリーズとかラグズとかヘッジだとか、そういうようなものは経済的な活動として当然起こり得まずし、起こってしかるべきだと思うわけでございますが、スペキュレーションとか、そういうような問題が今回の改正法案によって増幅されるかどうかという、そういうことかと思いますが、この点は現行法の場合と比べてどうであるかということになるわけでございますが、原則的に考えて、今回の改正法によってそれが増幅されるというようなことはないと考えております。
○正森委員 結局、お答えは現行のもとでもいろいろ行われておるので、今度の改正によってそれが増幅されることがないと言うにとどまるわけですね。 しかし、たとえば、現行ではニクソン・ショックのときや昨年の円高のときには相当為替投機が行われたと承知しておりますが、それを防ぐことができなかったというように承知しているわけです。投機の主役を演じたのは、いま局長が言われたようにリーズ・アンド・ラグズあるいは輸出前受け金及び海外短期資金の取り入れ等でありましたが、承知しておるところでは、今回の改正では、標準決済をなくして、また一件五十万ドルという輸出前受け金の規制も外す、あるいは商社の交互計算の範囲を拡大する、海外短資取り入れは原則自由にするというようなことだと思うのですね。 そうしますと、昭和五十三年の輸出入の合計額は、統計によりますと千七百六十八億ドルでありますから、仮に一カ月分のリーズ・アンド・ラグズが生じただけでも百五十億ドルぐらいの外貨の流入になるということですから、これは為替相場の維持というようなこともむずかしくなって、投機を非常にやりやすくする、あるいはあおるというようなことになるのではないかというように思うわけですが、こういう予想される事態に対してどういうようになさるおつもりですか。
○加藤(隆)政府委員 ただいまのお話しの輸出入を足して十二で割って百億以上になるではないかというお話でございますけれども、そういう計算は確かにございます。しかしながら、現実の輸出入の代金決済方法を見ますと、輸出入契約で定めておりまして、決済方法を早めたりおくらせたりするといたしましても、これに要する資金調達の問題もあるわけでございます。 したがって、現実的な経験値で見てみますと、たとえば御指摘の五十三年三月の場合、これは非常に円高にいったので輸出前受けが起こったわけでございますが、約六億四千万ぐらいだったわけです。前年の同月で約五億ぐらいであった。したがって、多いときで、ピークで六億、七億、最近時におきましては二、三億というような感じ、そういうようなことでございますので、貿易量の輸出入に対して月平均という、そういう当たりはございますけれども、決済方法、輸出入の契約によりまして、経済法則が働くわけですから、そうむちゃくちゃなことはできないというのが実際の結果でございます。
○正森委員 そうすると、いまこの法案に規定されている有事規制の条項を適切に作動すれば十分に対処し得るという御見解ですか。
○加藤(隆)政府委員 そういうふうに考えております。
○正森委員 この問題については、後で外国為替等審議会の構成の問題とも絡んで、もう一度簡単に触れたいと思います。 次に私が御質問をしたいのは、対外直接投資についての規制でありますが、一番問題になるのは、資本の直接対外投資によって外地に製造業をつくる場合に、ブーメラン現象でその製品がわが国に還流してくる場合に、いかにしてわが国の産業を保護するかという点であります。そういう点について若干の規定があるようですが、それで十分にやれるのかどうか、簡単にお答えを願いたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 簡単に御答弁いたしますと、十分やれるというふうに考えております。
○正森委員 法案を見ますと、たしか二十三条関係だと思いますが、わが国の特定の産業部門の事業活動その他わが国経済の円滑な運営に悪影響を及ぼすことになる場合には、一定の規制ができるというようになっておるようですが、このことを指しているわけですか。
○加藤(隆)政府委員 そうでございます。
○正森委員 そこで伺いたいと思うわけですが、わが党の不破書記局長が一年余り前の予算委員会の総括質問で質問したことがあります。そこでも引用しておいたことでありますが、五十二年版の「わが国企業の海外事業活動」という調査によりますと、たとえば韓国に進出した企業、これは大体四四%ぐらいは製品を日本へ輸出しておるという数字が出ております。繊維の場合ではそれがもっとひどくて、韓国と日本と合弁でつくった繊維企業、つまり日本の資本輸出になるわけですが、現地で売るのは一六%、日本へ輸出するのが六八・五%ということになっておるわけです。しかも、なぜこういう現象が起こるのかといいますと、繊維というのは最低賃金法でも地域別、業種別の最低賃金が一番しかれているところでありますが、韓国の労働賃金が日本の最低賃金の三分の一から、繊維労働者の場合には五分の一だ。たとえば七五年のレートで見ますと、日本で繊維労働者が平均して十一万三千八百七十八円のところを、韓国では二万三百九十円ということになっているわけですね。そのために、たとえば昭和四十六年と五十一年を比較すると、韓国からの繊維の輸入が八倍以上にふえ、日本の総輸入量の四割を占めておるという状況で、繊維産業が非常な打撃を受けたというのは非常にはっきりしているわけですね。そうしますと、あるいは法案の改正という見地から言うと、改正前でもそうだったんだから、改正後それが特に悪くなるわけではないという言い方もできるかもしれませんが、わが国の繊維という古来からの産業を一つ例に挙げたのですが、そういう点から見ると、やはり非常に重要な問題になると思うのですね。こういう問題について、大蔵当局は資本輸出の規制という点でどういうように考えておりますか。
○加藤(隆)政府委員 ただいまの繊維というような産業を中心にいたして考えてみますと、当然のことながら、現行法の場合から申しますと、大蔵省の告示によりまして御承知の制限四業種というかっこうで繊維が入っております。これは許可を要することになっておりまして、その場合、海外投資の割合で見ますと、確かに繊維は非常に高い方にあります。これをどういうふうに許可をするかという実際の問題でございますが、私どもといたしましては、申請者から事前の打診がなされました段階で関係省庁と連絡をいたすという体制をとっております。それで、改正法になりました場合どうなるか、これも当然のことながら、この法案に書いてございますが、事前届け出、その段階で大体同様な効果が出るような行政措置がとれるようになっております。
○正森委員 私、きょうのお昼ごろで非常に失礼ですが、質問をするということで申し上げておきましたが、繊維を例にとって、直接投資の五十三年度末の投資金額、あるいは最近五年間における繊維の申請件数と許可件数、金額等について、おわかりであればお答え願いたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 二十六年から五十四年九月までの数字をいま手元に持っておりますので、それを申しますと、件数で八百七件、金額で十四億九千百万ドルでございます。
○正森委員 同じように、私どもで質問をしたわけですが、わが国の繊維に非常に大きな打撃を与えておるときに、従前の法律であっても、わが国の経済に重大な悪影響を及ぼすおそれあるときには自動承認をしないという規定があったのですが、この規定を使った例があるかということで質問もし、またわが党も調べましたが、それは一件もないということになっておるのですね。そうしますと、大臣にも聞いていただきたいのですけれども、幾ら法律がありましても、またわが国の一つの産業が大きな打撃を受けておっても、それが一度も作動したことがないということに仮になるとすれば、これはいままでの規制の仕方でも非常に問題だったけれども、今度のように原則自由というようになれば、ますますもってわが国の産業に重大な影響がくるんじゃないかということで、有事規制といいましても、それが有効に働かないのではないかという懸念が一部産業で持たれているわけなんですね。それについていかがお考えになりますか。
○加藤(隆)政府委員 私どもの方の領域で申しますと、要するに国際金融、為替の管理という面あるいは対外投資、対内投資、そういう国際金融の領域で申しますと、ただいま申しましたように、現行の制度がある。現行の制度において、先ほど申しましたように関係省庁と連絡して対処しておる。改正法案になると、改正法案は若干の方向性が違いますけれども、同一の効果が出るように仕組まれておる。したがって、そういう問題があれば発動ができるようになっておるというふうに御理解いただいていいと思います。
○正森委員 お答えの帳面づらは非常にうまくいくようになっているのですが、実際問題として、事実上わが国の資本が韓国の五分の一の労働力を利用して物を生産して、生産したうちの七〇%近いものをブーメラン現象でわが国に逆輸入するという形で産業に重大な影響を与えているわけですね。そうしますと、今度の法案の規定の仕方の場合には、これは私の読み方に誤りがなければ、わが国経済の円滑な運営に悪影響を及ぼすということになれば、当然「円滑な運営に悪影響を及ぼすことになること」に該当すると思うのです。そうすると、これについては当然一定の規制が作動し始めなければならないと思うのですが、いかがです。
○加藤(隆)政府委員 法律の構成は、おっしゃいましたように、二十三条の三号で「我が国の特定の産業部門の事業活動その他我が国経済の円滑な運営に悪影響を及ぼすことになること。」という場合には「内容の変更又は中止を勧告することができる。」ようになっております。
○正森委員 そこで、いま私が指摘したような場合にも、いままでの規制の仕方では作動しなかったということになれば、一体、円滑な運営に対して悪影響があるという基準をどのように考えておられるのですか。いま私が挙げたような例をもってしても、なおかつ自動承認でないというように行ってこなかったということになれば、どの程度に至ればこの条項を作動させることになるのか、おおよその解釈の基準を伺いたいと思うのです。
○加藤(隆)政府委員 具体的な個々のケースの問題であろうと思うのでございますが、それが先例がない、それはなぜであるか、こういう御質問だと思うのです。 これは結局、途上国対策とか、そういうもっと広範な角度からの産業貿易政策の問題だろうと思うわけでございます。為替管理あるいはこの領域、もう少し広い立場の判断からそういうふうになっているのだろうと思うのです。
○正森委員 そのときの政府委員が非常に苦労してお答えになった答弁は、その「繊維関係につきましては、仰せのような深刻な事態があり得るということでございまして、場合によりまして申請を取り下げるよう行政指導をするという方法をとっておりまして、現実に出てきたものを不認可にしたというものはございませんが、事前の措置でもちまして一応の対策をとっておる、こういうことでございます。」こういう答弁で、悪く言えば逃げているわけですね。 そうすると、事前措置で不許可というような形はとらなかったけれども、変更させるとか、取り下げさせるというようなことは、これはしているのですか。
○加藤(隆)政府委員 先ほどその趣旨のことを申し上げたのですが、申請者から事前に打診がある、その段階で関係省庁と協議をいたしまして処理を行ってきておるというのが実情でございます。
○正森委員 一応の答弁は伺いましたが、わが国の産業あるいはそこで働いている労働者に対する悪影響を防止するについては非常に心もとないような感じがします。なぜなら、正式に作動した例が少なくともこれまではなかったのですから。 そこで、もう一点伺いたいのですが、以上のような資本の対外進出というのは、わが国の産業自体に非常に悪影響があるだけでなしに、資本取引で対外資本投資が進むということによってわが国の雇用に非常に悪い影響を与えるというのが指摘されているわけであります。 これもわが党が予算委員会の質問に当たって取り寄せた資料によりますと、わが国の相当な企業百社について、減量経営による従業員の減少数、及び同一会社の海外子会社における従業員の増加数、これを調べてみますと、百社で七四年三月から四年間に十七万三百五十八名が国内で減少し、海外では十一万五千七百二十五名、これがふえておるということが起こっているわけですね。こういうことになって、わが国の失業者数の増大、あるいは減少しないということに対しても非常に関係があると思われるような事態については、今度の法改正によって、どういう措置が場合によってはとり得ることになっているのですか。
○加藤(隆)政府委員 これも先ほどの問題と同じ方向性になっておるというふうに申し上げるわけでございますが、この問題は確かに予算委員会で集中審議の際に通産大臣がお答えになっておりまして、通産省が来られておりますので、宮本局長から御答弁をいただいた方がいいと思いますが、私もこれはいろいろ考えてみたわけですが、今度逆のケースで日本の自動車産業がどんどん出ているわけでございますね。それでクライスラーがどうとか、こういう問題があるわけです。ですから、先ほどの問題と同じなんですが、確かにそういう全般的な問題との兼ね合いで、にもかかわらず特定の産業が非常に困っている場合にどうするか。ですから、一般論的になかなか議論できない問題ではないかと思うのです。雇用問題の場合も、こっちは減ることは確かです。ただ、向こうに輸出できることによって、向こうが日本の品物をまた買うとか、あるいは相互に、こっちは自動車を買ってもらう、そのかわり向こうから小麦を買うとかいうような、先ほども御議論になった互恵とかフェアとか、そこいらと本当に痛いところをどうするかということの兼ね合いであろうと思うのですが、法律はしっかりできておりますから、あとはそういう全般の判断にかかわってくると思います。
○正森委員 局長は、法律はしっかりできておるというので胸を張られたわけですが、われわれも、いままではいまの法律よりももっとそういうのを保護するようにできておるのにできなかった、それが今度大きな御宣伝で、原則として自由にするということになれば、そのたてまえからいって、ますます国内産業に悪い影響が出るのじゃないかということを指摘しておきたいと思います。 そこで、次の、質問に移りますが、本法の改正について私どもが聞いておりますところでは、銀行、特に外為銀行と商社との間に非常に意見の相違があったというように言われておるのですが、もしあったとすればどういう点にあり、それはどういうように調整されたかについて御答弁願いたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 これは先ほども御議論がございましたのですが、具体的な例で言えば、特殊な決済方法、十七条のところでございますが、より具体的に言えば、貸借記の交互計算の問題です。確かに為銀の方は、手数料が入る、自分の商売の範囲というのを従来どおり確保したい。商社の方は、できるだけそういうのは自由にしてもらえば楽になる。先ほどいろいろ御議論ありましたように、通産省との間あるいは関係省との間で懇談会を六回持ちましたし、両省の間でも議論を尽くしまして、基本的には為銀制度を中核に置きながら、できるだけ自由化の方向に行こうというようなところで意見が一致を見ておるわけでございます。 具体的にどうするか、現在百万円であるものを金額を拡大する方向で考えようというようなところで決着しておるわけでございます。
○正森委員 たしか主要外為銀行十四行の外国部長クラスで構成する二水会というのがありますね。
○加藤(隆)政府委員 そういうのがあるやに聞いております。
○正森委員 そういうのがあるやに聞いておりますと、大分遠いことのように言われましたが、その二水会というのがこの外為法について要望書を出しておりますね。「二水会の外国為替管理の自化に関する要望」、相当なものですから全部は読みませんけれども、それを見ますと、たとえば「自由化についての基本的な考え方」の(3)のところを見ますと、「原則自由の法体系の下で有事の規制を有効に働かせるためには、対外取引を把握しうる機構とメカニズムの存在が前提となります。この観点から長い経験と知識を有する外国為替銀行が必要最小限の形でこのメカニズムに関与するのは現実的かつ合理的でありましょう。」とか、あるいはIIIの「現行残存規制の改定方向」というところの2を見ますと、「貨物代金の相殺」というところがあります。「貨物代金について相殺、交互計算が規制されているのは、前項1と同様為替決済の総額主義の立場、すなわち対外受け払いが個々に全額において把握さるべきとの観点より、是認されましょう。」云々というようになっているわけですね。 こういうのを見てみますと、六回にわたって行われました外国為替・貿易法制懇談会審議報告というのにほぼ全部取り入れられておるということで、これはやはり外為銀行筋の意向が非常に反映されたというように見ていいんじゃないですか。そしてそれがまた大蔵の、外為銀行を通じていろいろなデータを把握して有事規制に敏速に対応できるようにしたい、しかも外為銀行を使えば大蔵としては費用要らずであるというのと合致しているんじゃないですか。
○加藤(隆)政府委員 ただいま御提案しております法案がそういうふうにアセスメントされるという問題と、それから意見が一致してそうなったというようなアセスメント、両方があると思うのでございますが、為銀が意見が通ったとか、あるいは貿易界の方が意見が通ったとか、そういうことではないと思います。お互いに議論をし合って現実的な解決が図られたのだろうと思います。
○正森委員 それでは伺いますが、交互計算の貸借記ですね、それについての枠の拡大ということが言われているのですが、まだその具体的な内容をわれわれは承知していないわけです。しかし、その内容こそ、今後非常に種々な面で問題になり得ることだと思うのですね。ですから、国会の審議ですから、可能な範囲でその内容を、政令なり省令なりお決めになると思うのですが、御答弁願いたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 拡大する方向で検討するというところまででとどまっております。
○正森委員 それでは、国会としてはこの法案を通すときに非常に不安といいますか、通せないんですな。貸借記について、あるいはその他の交互計算に乗せ得るものについてどれぐらいのものであるかということがわからなければ、広い意味で言えば、銀行と商社との間に、結論的には一致したのでしょうが、いろいろ意見の相違がありましたのも、そこらをめぐって問題があった。 いまここで法務省が来ておりますからちょっと質問したいと思うのですが、それとも関係してくるわけで、そこにこそ、今度の法改正が現実面としてどういう影響を取引に対して持つであろうかという一番大きな問題があるのですね。それを現在検討しておるだけでは、国会に白紙委任状を渡せというようなものですな。巷間でも百万円というのをどのぐらいにするとかいうことが言われているわけでしょう。だから、大臣が先ほどお答えになった、日本の対米為替がどれぐらいが妥当であると考えておるかというのは、そういう質問には慎重の上にも慎重を期したいという御答弁がわからぬではないですがね。二百二十円が妥当であるというようなことを言うたら、もう大変なニュースになってしまうのですからね。しかし、いま私が質問しているような問題は、それほど国金局長みずからを偉いと思わずに、あなたが答弁をしてもそれほど為替相場に影響があるとも思わないから、ちゃんと答弁してください。
○加藤(隆)政府委員 ただいま検討中でございまして、先ほどのところで現段階ではとどまっておるということでございます。
○正森委員 大蔵大臣、これだけ聞いても答えないのです。そんなことで私は、国会でこの法案よろしゅうございますと言えますか。大まかなところでこういうように現在の交互計算のところをしたいと言うのならともかく、検討中だ検討中だといったら、白紙で判を押せというようなものでしょう。大臣はこの国会の大蔵委員会にこの法案を出しておる、それでいいと思いますか。また、国民の代表であるわれわれがそれでよろしいと言って賛成できると思いますか。
○加藤(隆)政府委員 ただいま御提出しております法案には「政令で定めるところにより」というふうにお任せをいただくということに提案をしておりまして、その中身につきましては、御指摘のように現段階で国会に申し上げるべきかどうか、そういうことでなくて、まとまっておれば申し上げるということは先ほども御答弁しておるわけでございますが、目下検討中でございますので、この「政令で定めるところにより」という法文どおりでお願いいたしたいと思います。
○正森委員 それは物事の順序が逆なんですね。国会を尊重するなら大体まとまってからこの法案を提出すべきなんで、まず通すだけ通せ、白紙で全部任せろ、そして通ってしまったらおれたちは考える、そのときは国会と無関係に行政当局が決めるんだというのでは、国会が国権の最高機関であるということにならないじゃないですか。もっとまとまってからこの法案をもう一遍出し直したらどうです。
○加藤(隆)政府委員 この十七条の規定は御承知のとおりでございまして、そういう具体的な点はいま詰めつつあるということでございまして、くどくなりますが、拡大する方向で検討するということで御容赦願いたいと思います。
○正森委員 御容赦できないから聞いておるわけであります。 それでは、押し問答のようですから、一応次の質問に移りたいと思います。 法務省が来ておりますね、法務省に伺いたいと思いますが、外国為替管理法違反ということで世間の耳目を引いた刑事事件が幾つも起こっているのは御承知のとおりであります。具体的に事件の名前は申しませんけれども、この規定によりまして裁判所に起訴された方はたくさんおられます。たとえば例を挙げますと、田中角榮氏、榎本敏夫氏、檜山広氏、沢雄次氏、それから全日空の青木、植木、藤原、若狭氏、皆そうであります。また児玉譽士夫、それから大刀川といった人もやはり外為法違反ということになっておるわけですね。それを一々挙げますと大変ですから、ひとつ児玉氏の例を引いてみたいと思います。 時間の関係がありますので私が申しますが、たとえば五十一年五月十日の起訴によりますと、児玉譽士夫に対しては、被告人は法定の除外事由がないのに、昭和四十八年五月中旬ころから同年六月中旬ころまでの間に、世田谷区等々力六の二九の二〇の自宅において、居住者であるジョン・ウィリアム・クラッターから非居住者であるアメリカ合衆国バーバンク所在のロッキード・エアクラフト・コーポレーションのためにする支払いとして、現金合計四億四千万円を受領し、非居住者のためにする居住者に対する支払いの受領をした。外為法二十七条第一項第三号とか、あるいは時間の関係で申しませんが、株を買うたとか保管したとかいうようなことを香港において行っているわけですね。これは外為法の三十二条ないし三十三条違反というようになっておりますが、これは私が指摘したとおりですか。
○根來説明員 仰せのとおりでございます。
○正森委員 それでは、海部八郎あるいは山岡氏は同じく外為法違反ということでございましたが、それについて簡単にどういう内容だったか言ってください。
○根來説明員 山岡、海部両被告人に対する公訴事実の要旨でございますけれども、要するに、日商岩井の米国日商岩井に対する三十万ドルの債権を日商岩井の米国日商岩井との交互計算勘定にボーイング社との約定に基づく仲介あっせん手数料として借記させて、もって非居住者との勘定の借記をしたということでございまして、いわゆる外為法の二十七条一項四号、七十条七号に該当するものとして起訴されております。
○正森委員 そこで大蔵省に伺いたいのですが、いま指摘されたような児玉譽士夫あるいは海部八郎、山岡等の外為法違反は本法の改正によってどうなるわけですか。もし、改正された後に同様なことをやっていたらどうなるのです。
○加藤(隆)政府委員 今度御提案しております法律の附則に書いてございますように、従来の分は従前どおりということでございます。
○正森委員 いや、私が聞いているのは従来の分は従前どおりということではなしに、仮にこの法案が通った後、来年ぐらいにそういう行為があったらどうなるかという意味で聞いているのですよ。
○加藤(隆)政府委員 これは十七条に書いてございますように、特別の対外取引の支払い方法というところで十七条に基づきます規制がかかっておるわけでございます。
○正森委員 十七条に定める規制がかかっておるというのは、具体的にはどういうことなんですか。
○加藤(隆)政府委員 「居住者は、勘定の貸記又は借記による方法その他の政令で定める特殊な方法により、」これはたとえばいまの貸借記とか延べ払いだとか、そういうようなことでございますが、「居住者と非居住者との間の取引又は行為に係る債権債務の決済のため、支払等をしようとするときは、政令で定めるところにより、主務大臣の許可を受けなければならない。」という規制がかぶっておるわけでございます。
○正森委員 「政令で定めるところにより、」こうなっておりますが、重ねて伺いますが、児玉譽士夫がロッキードから本邦において何億円という金を受け取った事実、あるいは日商岩井が三十万ドル貸借記に載せて本邦へお金を入れたというようなことは、今度の改正法案によって外為法違反になるのですか、ならないのですか。
○加藤(隆)政府委員 先ほど申しましたように、従来のケースの場合は、附則によりまして従前の例によるということでございます。
○正森委員 私が言うておりますのは、従来の場合は従前の例によるということを聞いているのじゃなしに、今後どうなるのですかと聞いているのです。
○加藤(隆)政府委員 これはこの十七条の許可にかかわっておるわけでございまして、そういう考え方で検討しておるところでございます。
○正森委員 ここでもやはり検討しておるところであるということが入るのですが、検討した結果どういうような扱いになさるおつもりなのですか。
○加藤(隆)政府委員 この法案の第一条の規定があるわけでございますが、それと第十七条の「主務大臣の許可を受けなければならない。」こういうような観点から検討をいたしたいと思っております。
○正森委員 私が質問前にあなたの下の課長から伺ったところでは、主務大臣の許可というようなことを考える場合には、これは私が聞いた聞き方が悪ければ申しますが、「大蔵大臣の許可を要する資本取引」というのがたとえば二十一条等についてありますが、そういうことの場合には考えるということだというように聞いたのですが、そうですか。
○加藤(隆)政府委員 ちょっと御質問の趣旨がわからないのでございますが、二十一条の「大蔵大臣の許可を要する資本取引」というのと十七条の「主務大臣の許可を受けなければならない。」これは法律的には同じ表現になっておるわけでございます。二十一条の一項の「大蔵大臣の許可を受けなければならない。」こちらもそういう表現になっておりますが、それはそういう意味では同じでございます。
○正森委員 そうすると、結論としてはどうなるわけですか。
○加藤(隆)政府委員 この改正法案の十七条に基づきまして、必要に応じまして許可を受けなければならないという構成になろうと思います。
○正森委員 そこで大臣に伺いたいと思いますけれども、必要に応じて大臣の許可を受けなければならないということになろうかと思いますという答弁でしたが、従前の外為法の場合には、ばっちり外為法違反になったのですが、いまの国際金融局長の答弁でも、その点がどうなるのか、押し問答しましても確としてわからないわけなんですが、考え方としては、児玉のような行為あるいは海部、山岡等のああいう行為になった背景として、ボーイングから裏で仲介手数料を取り、それを違法に国内へ運び込むというようなもとの行為そのものが違法なんであって、それを外為法で取り締まるというのは、これは少し外為法に本来の法の目的以外の過大なことを期待するという考えもあり得ると思うのです。私はそういう考えも確かにあり得ると思いますが、そういう説をとるためには、こういうもとになる行為をきちんと取り締まれるという体制がある場合には、それは考えとして成り立ち得ると思うのです。 そこで、いままで国会の中で審議をされてきましたところによりますと、経緯ではこういう点があるわけですね。答弁の中で大平総理は、証券行政のあり方について、立法政策上考えなければならない、証券局の権限と実体を強化するのがよいのか、現状の方がよいのか、十分検討する。これはSECとの関係で聞かれた質問に対して答えておられるのです。また、当時の大蔵大臣も、証券局の役割りあるいは公認会計士制度のあり方について、これは検討するというように言われたと思うのです。これは企業のディスクロージャーとの関係も含めて言うておられることだと思うわけであります。 御承知のように、アメリカでは一九七七年に外国不正慣行防止法というのができて、いろいろ不正取引について規制をするように踏み切っておることは御承知のとおりであります。 そこで、大臣に国務大臣として伺いたいわけですが、私も外為法で何もかもすべてこういうものを規制するというのは、外為法の目的そのものではないと思うのです。しかし、それ以外の法によって企業に自粛を求める、あるいは目に余る不正行為がないようにするというには、これまで総理大臣や大蔵大臣が御答弁になっておりますが、わが国としても考えなければならない点があると思うのです。そういう点についていかがお考えか伺って、ちょうど時間になりましたので、質問を終わらしていただきたいと思います。
○竹下国務大臣 正森さんも御指摘になりましたとおり、為替管理は主として国際収支の均衡でありますとか、あるいは通貨の安定を図るために国境を越えた資金の流入流出を管理するということをねらいとするものでございますので、犯罪防止を一義的な目的とすることには無理があろう、こういうお考えでありますが、まさにそのとおりだと思います。したがって、海外犯罪規制法とかいうような仮に仮称といたしますと、そういう御趣旨は私として十分理解のできることであります。 ただ、いま大蔵大臣として考えますと、大蔵省のみでこれは結論を出すべきものでないから、やはり政府全体として検討すべき課題であろうと考えます。したがって、あえて国務大臣というお言葉もお使いいただきましたので、政府全体の中で検討をしてみたいということをお答えいたしておきます。
○増岡委員長 竹本孫一君。
○竹本委員 最初に、大臣に要望という形で申し上げておきますが、先ほど提案理由の説明がございました。そこで書いてあることは私も同感でございますが、この改正法律案を「第八十七回国会及び第八十八回国会に提出したところでありますが、遺憾ながら成立を見るに至りませんでした。しかしながら、わが国の置かれている国際的な立場等にかんがみ、この法律案を早期に成立させることが強く望まれるところであります」、こう書いてある。これは私が強く言ってきておるところなんですね。私に言わせますと、あなたはそのとき大臣でなかったわけですから、責任はないかもしれませんが、政府全体としては、八十七回国会以来通すべきチャンスと時間があったにかかわらず、これを党利党略と言っていいか悪いか知りませんが、選挙その他の関係でことさらに引き延ばして、ここに書いておるように、国際的な立場をほとんど考えないかのごとき取り扱いであった。これは非常に遺憾でございますので、今後法案の成立等については、もう少し真剣に取り組んでいただきたいし、ことに国際関係については、日本は御承知のように自由化の問題については努力が足らない、後ろ向きである。私はたびたび申しましたが、ステップ・バイ・ステップではないのだ、ステップ・バイ・ノー・ステップだと外国が言っておる。そういうような中で、日本のように次々おくらせていくということはなおさら問題であるということを考えまして、私は外為法を早く通せということを言っておったわけでございますので、今後そういうことのないように、特に強く要望しておきたいと思いますが、大臣いかがでございますか。
○竹下国務大臣 政府として、提案した法律案が早期に国会で御審議をいただいて御協賛いただくという期待を持ちながら絶えずおるということは当然のことでありますが、いま竹本先生の御質問、私どもの姿勢に対しての御要望というものは、そういう形式的な期待ということより別に、あえていままで流れに原因を探索してみれば、政府自体の政治的環境等に置かれた立場から熱意が不足しておったのじゃないか、こういうことであろうと思うのでございます。私ども、別に当時大臣であったわけではないにいたしましても、やはり自由民主党内閣というものの継続性の中にそれは当然反省しなければならない課題であると思っております。これからもたくさんの法律案を提案して国会の審議にゆだねるわけでございますが、それらに対しましては十分熱意を持って対応していくということは、かたくお誓い申し上げることができると思います。
○竹本委員 次に、今回の法律は海外取引すべて原則自由ということで大変結構だと思うのでございますが、ただ、問題の考え方として、従来のように外貨が余っておるときと、いまのように外貨がどんどん減って、後で詳しく申し上げますが、減り過ぎて困るといったような心配のあるときとでは、非常に取り組み方というか考え方、前提条件を変えなければならぬではないかということも心配をいたしておるわけであります。 そこで、そういう問題に関係して、いわゆるセーフガード、有事規制という問題に関連をいたしますけれども、今回の法律でも第二十一条にそういう規定があると思いますけれども、大体この三つの場合を想定して、先ほどもこれはいろいろ議論がありましたが、今回の法律はセーフガードの問題についても、原則自由の問題については別としまして、セーフガードの問題についても法的な規定としては十分整っておる。いかなる場合にも心配はないという安全保障があるかどうか。この点ちょっと伺っておきたい。
○加藤(隆)政府委員 いかなる場合にもという問題でございますけれども、たとえば先ほども御議論になりましたが、九条の「取引の非常停止」という条文、それからただいまお話に出ました二十一条の二項の三つの発動要件、こういう仕組みになっておるわけでございますので、絶対にということはどうもむずかしいかもしれませんけれども、絶対に近いまでになっておるというふうに考えております。
○竹本委員 私がそういう心配をするのは、最近における国際収支の状況というものが以前と違ってひどく悪い。大体ことしの十月までの動き等を見ておりますと、去年に比べまして輸入が二百二十億ドルぐらいふえたということが根本のようでございますけれども、基礎収支、総合収支、みんな去年と比べると差し引き勘定で二百億ドル以上悪化しているのですね。この勢いでもし悪化していくならばという心配をいたしておるわけです。十月については、特に長期資本収支というものが二十四億五千万ドルも赤字になっておる。それらのことも含めまして、先ほど申しました輸入の増加ということが中心でございましょうが、経常収支は、去年は百四十億ドルプラスであったものが、ことしは六十一億ドルですか赤字になっておる。基礎収支も去年は五十億ドル黒字であったものが今度は百七十億ドル近く赤字になっておる。したがって、総合収支も去年六十三億ドル黒字であったものがことしは百四十億ドルから赤字になっておる。すべてこれらをならして考えてみると、おおむね二百億ドル悪化しておる、こういうことですね。この悪化の状況は今後どの辺で改まるのかあるいはこのまま悪くなると考えておられるか、まずその点をひとつ伺っておきたい。
○加藤(隆)政府委員 ただいまの御指摘のような数字をいろいろな角度から分析し、それから、たとえば来年の三月までを見通しまして五十四年度の姿を想定する必要があるわけでございますが、二つに分けて考えますと、資本勘定の方は、確かに十月は二十四億三千七百万ドルと非常に大きくなっております。この中にかなり特殊要因が入っておる。こういうような資本勘定が今後どうなるのかという要因を考えますと、国際市場における資金のアベイラビリティーとか、為替のレートの先行きの問題とか、それから金利だとか、そういうようなものがかかわってくるだろうと思います。多分この資本収支の赤字というのはこの十月あたりがピークで、減っていくのではないかと考えます。 それから、経常収支の方でございますが、この大宗をなすものは貿易収支であるわけですが、貿易外が最近若干構造的な赤字要因を持っておる。運輸収入がなかなか伸びない、それから旅行収入も大きくなっておる、こういう要素がありますが、やはり何といいましても貿易収支が問題である。 貿易収支の中を分解してみますと、輸出、輸入の価格と数量が問題になるわけでございますが、一番の原因になっておりますのは、輸入の価格が非常に大きくなっておるというような分析が出てまいります。これは、何と申しましても輸入の三割を占める油の動向にかかわっておるわけでございます。したがって、そういう四月−十月なり一月−十月なりの数字をわれわれなりに分析をいたしますと、そういうふうに原因あるいは要因が探究されるわけでございますが、その上に立って三月まで見通してみるとどうなるのか、あるいは五十五年度に対して見通してみるとどうなるのかということになると思います。その場合に、やはり基本的には経済の活動水準がどうなるのか、世界景気、なかんずく日本の貿易相手国の経済情勢がどうなるのか、これは従来どおりの要素でございますが、先ほども御議論がございましたように、油の動向が非常に不確定要因を持っておるわけでございます。その油が最近かなり備蓄されているとか、あるいはいろいろな議論があります。これはプラスの要因になるわけでございますが、同時に、生産制限が行われるかもというマイナス要因もある。基本的には価格のアップ率がどうなるかというような問題が非常に不確定度が高いわけでございます。したがって、端的に申して五十四年の一月に七十五億の経常の黒といったのが、現に一月−十月ではもう相当大きな赤になっておる。申し上げたいのは、これは符号が間違えるぐらいにえらく揺れ動いているわけでございます。そういう現状に立って見通す作業をいま各省それぞれ、企画庁、通産省、私どもやっておるわけでございますが、なかなか作業がむずかしいわけでございます。不確定度が非常に高い。 ただ、言い得ますことは、輸出もだんだんと伸びてきておる。輸入の方も、まあ石油の動向にかかわっているわけでございますが、いままでのような調子でどんどん伸びていくかどうか。輸入はかなり数量も製品輸入なども伸びておるわけでございますが、こういうようなことから考えますと、多数説的に言いますと、経常収支も、十月というのはもう済んでしまいましたが、十一月あるいは十二月ぐらいをピークにしてだんだんと輸入が減り輸出が伸びるのではないかというような見方があります。少数説は、率直に申して、かなり深刻に考える説もあります。 私どもといたしましては、いま申し上げましたような現状分析、それからいろんな与件、そういうものを踏まえまして今後見通し作業をやるわけでございますが、率直に申して不確定要因が多いわけでございますけれども、基本的には、先ほど申しましたように、年内あたりが潮目の変わりどきか、赤字は続くだろうと思いますけれども、どんどんふえていくというような情勢にはないのではないかというふうに見ております。
○竹本委員 日本の円レートの問題ですけれども、これは去年あたりは二百九十円から百九十円近くまで約百円上がった、それがまた最近は大体百七十五円ぐらいまでいったところが二百五十円までいったというわけで、百円強くなってみたり、また五、六十円安くなってみたりして、これは経済界、輸出産業、輸入産業それぞれに非常に深刻な打撃を与えておると思うのですね。 そこで伺いたいのは、ダーティーフロートという言葉もありますが、大蔵省としてはそういうフロートの為替相場に対してはあくまでもダーティーなことはやらないというお考えであるかということと、あわせてこの二十一条に「外国為替相場」云々というのがありますね、その二十一条との関係においてはどういうふうになるか、この点を伺いたい。
○加藤(隆)政府委員 ダーティーかマネージングかというのは、先ほど大蔵大臣からお話がございましたが、あのフロート、四十八年の三月にフロートに移りました後、IMFで為替介入のガイドラインと申しますか考え方が国際間で合意されておるわけでございますが、御承知のように、乱高下を防止するという、必要があればむしろ介入すべきである、そういうふうに考えが変わっておるわけでございます。したがって、ダーティーとかマネージングとかという考え方でなくなってきておるということだろうと思います。 それから、現在のレートが一体どういうところにあるのか。率直に申して、若干油のいろんなニュースに振り回されてナーバスになり過ぎている面がある。円安の方にオーバーシュートしているのではないか。この場合、フロート制というのが円高にオーバーシュートし円安にオーバーシュートする、こういう問題に対して、それではどうやって措置できるのか、あるいは今度の改正法でどういう絡み合いが起こるのかという三番目の御質問があるわけでございますが、ただいま申しましたように、円レートのカレントな変動に対しましては乱高下防止という角度から積極的に介入していくというのが基本精神でございます。 それから、何と申しましても為替レートというのは内外経済の基本的な条件にかかわり合っている、こっちの問題の議論も当然になされなければならない。その場合に、この為替管理法との絡まり合いでございますが、この為替管理法の為替相場の変動というのは、どちらかといいますと、そういう経済政策的な側面と、それからもう一つはマーケットの方、国民の方からごらんになった為替市場の感じ方、こういうようなものを両方織りまぜながら、この有事規制——為替変動があった場合、これが有事であるかどうか、そういうような判断がなされていくものだろうと思います。
○竹本委員 具体的に申しますと、円相場の急激なる変動をもたらすことになるときと、この二十一条に書いておるが、百円強くなってみたり、五、六十円安くなったりすること、最近の例ですね。それはこれに該当するかという点はどうですか。
○加藤(隆)政府委員 これは五月の当委員会におきましても議論になったところでございまして、そういう何々円とか、そういうかっこうで具体性を持って考えるのではなくて、ただいま申しましたように、全体の経済政策の絡まり合い、それからマーケットの受け取り方、要するに国民サイドの受け取り方、そういう角度での判断によると思います。
○竹本委員 この点は、また機会を改めて議論をしなければならぬと思いますが、時間もありませんから次へ進みます。 そこで、一つエスクロ勘定の問題について。イランの石油輸入の問題、大体月に十億ドル前後輸入しているようでございますが、このイランから石油を買う場合に、エスクロ勘定をひとつ利用して、最近何か東京銀行をというようなことでいろいろ動きもあるようでございますけれども、御承知のように一九五〇年代でしたか、アングロ・イラニアン・オイルの国有化の問題でイランの石油が売りにくくなったときには、日本では東京銀行を中心にして円建てエスクロ勘定で買い付けたという実績も過去においてあるようですが、アメリカに七十万バレルどうするといったような問題もありますし、それからイランの事情等もいろいろ考えまして、日本は、この際、特にイランに対する関係においてはエスクロ勘定を設けて、これを中心にやって、買った石油の代金は東京銀行、第三者に寄託する、日本の輸出は、それを見返りにしてやるということになれば、一方では輸出も円建てになるし、さらに輸入も円建てでいけるということになるでしょうし、それから日本の円の国際的な機能を拡大強化することは絶好のチャンスでもあると思いますが、この点について政府はどういう考えでおられるか、承っておきたい。
○加藤(隆)政府委員 去年のベースで見まして、日本の輸入が約四十億ちょっと出ます。大部分が油でございます。輸出の方は鉄鋼製品が一番多いのですが、全体で二十七億ドルくらい、日本の方が赤になっているわけでございます。それで、このイランのいまの事件を中心にしての御提案でございますが、こういうのは政策的な問題の前に、それぞれの輸出輸入産業なり業者なり企業、そういう方々の現実日々の感情、それからその裏で決済を扱われる為銀の考え方、こういうようなのが最初の問題だろうと思います。これを政策的に云々ということはいかがであろうか、政策的にそういうのを促進するとか、チェックするとかというのはいかがであろうかと思います。経済の実勢に任せて、それぞれの企業の判断でやっていただくという問題だろうと思います。
○竹本委員 いまの点は、ちょっとアクセントが違うというか、考え方が逆立ちしているとぼくは思うのです。いまは、エスクロ勘定を設定して、やろうと思えばやれる条件になってきておる。だから、政府も、今後の円の位置づけの問題も考えながら、思い切ってそういうところに踏み切るべきではないかという政策提言をしておるのですから、政策的な立場でいろいろやってはならぬ、自然の勢い、自然体——大平内閣は何でも自然体が好きだけれども、そういうことでなくて、もう少し円の地位を強くするという意欲的な立場から、そしてまたイランに対する関係をさらに好転させるという政策的な立場から、もう少し積極的にやったらどうか。現にイランの中央銀行自身も、ドル離れの考えもあって円建てで、日本からの輸出はなるべく円決済をやってくれというような指導をしておるという話も聞いておるが、この際にそういうことをさらに推し進めるべきではないかという、政策的な、意欲的な考え方を持ってはどうかということを私は言っているのです。こういう意味での御答弁を願いたい。
○加藤(隆)政府委員 大変貴重なる御提案でございますが、いろいろ総合的に判断しなければいかぬ。現段階においては、先生のお言葉をかりれば自然体というようなのが現実的ではないかと思います。
○竹本委員 これは高度の政治性を要する問題でもありますから、本委員会で一々議論しても仕方がないと思うのだけれども、ただ、私は一つ提言として、いまこそ積極的にそういう努力をすべきである。大体、日本は金を買い入れるといったような問題にしても何にしても、国際経済に対する立ち向かい、対応ということについては、大臣、これは常に立ちおくれているのですよ。ですから、私はいま積極的に、もう少し国際的視野に立った考え方を持つべきではないかという御提言を申し上げておりますので、御留意を願いたいと思います。 さらにもう一つイランの関係で申し上げますが、イランだけではなくて、大体OPEC諸国が石油の輸出の関係で、少なくとも四百億ドルくらい黒字をかせいでいますね。そのドルを、いままでは要するにアメリカを中心に利用してきて、預けたり、土地投資をやったり、証券を買ったりしておると思うんですけれども、ドル離れの時期であるし、また日本が余りドル離れを推進するということになると、アメリカから余りよい感情を持たれないのではないかという政治的配慮も要ると思いますけれども、それにしても、そういう大きなうねりができてきておるのですから、この際に、これも高度の政治性を要しますが、OPECその他の余った金というか、余裕のある金で対日投資をさせる、あるいは対日証券投資をさせるというように——これは余りはでにやることができない問題かもしれませんが、政府としては考えておかれたらどうだろうという、これも提言であります。 という意味は、大体調べてみると、産油国のアメリカに対する投資というものは約四百億ドルですね。これをだんだんに、ドル離れの傾向とともによそへ振り向けていこうという努力をイラン自身がすると思うのですよ。あるいは、その他の産油国もするであろうと思いますが、そうした場合に、日本でいま一番困るのは、先ほど来お話がありますように油の問題でございますから、イランとの間において経済的に相互依存関係を深くするということは、日本の経済の安定感を確保する意味において非常に役立つ。その安定感を持たせる、確保するという意味から言えば、イランの方がたとえば日本に石油をストップする、そういう場合にはイラン自身が大いに被害をこうむるのだということになればいい。そのための方程式は、いまの間に、イランが四百億ドルも対米投資、証券投資だけでもやっているのですから、日本にそれを振り向けるように努力をしたらどうか。 それから同時に、大臣、日本の大きな財閥関係を大ざっぱに調べてみまして、どのくらい財産があるか。大体六千億ドル、百五十兆円くらいですかね。そういうときでございますから、日本の大きな財閥企業群の特定の会社の株式をもう少し開放して、そしてイランにも大いに持ってもらうということにすれば、その一割というわけにはいかないでしょうが、仮に一%でも六十億ドルというものが入ってくる。そのドルの使い方については、いまのようにドルが足らなくなる心配——足らなくなると言うと言い過ぎかもしれませんが、減っていく方の心配をしておるときでございますから、非常なプラスになるし、その活用方法については、必要とあればまた意見も申し上げますが、いずれにしても、向こうがドルをもてあましておる、特にアメリカとの関係においてはどこかへ振り向けたいと思っておるときでございますから、日本の百五十兆円ある財閥企業の少なくとも一割なり一%なり、まず手初めに開放して、イランに、あるいはOPECに持ってもらうという努力をすれば、経済的に、大きな言葉で言えば一種の運命共同体になるいいチャンスではないか。そういう意味で、先ほどもちょっと申しました証券の問題についても、資本の移動の問題についても、今度の自由化を機会にわれわれの考え方自体をもう少し国際的に自由な頭に切りかえて、外国からも大いに金を入れる、また日本の投資も大いにやる。まあ、いろいろ利害得失がありまして、多国籍企業というものは世界平和の害になるという意見と、世界平和にとってプラスになるという意見とあって、最近ではガルブレイスと都留重人さんが一つの議論をしたようでしたけれども、そういう両方の意見があります。私は、日本の金をアメリカに投資する、イランあるいはOPECの金を日本に投資してもらう、そういう国際的な資本の交流が深まっていくということは、お互いの平和と経済の発展のためにむしろプラスであるという考え方から、いまそういう努力をすべきではないかというふうに考えておりますので、御提言が中心でございますが、ひとつ政府のお考えも承って終わりにしたいのです。
○竹下国務大臣 いわゆる資産運用を目的とする株式取得につきましては、原則として自動的に認可しておりますし、また、今度の改正案が施行されるようになりますならば、その手続はさらに簡素化されるわけでございますが、いま直ちに特定国の株主または特定の政府を相手にいたしましてそれを特に促進するという政策は、総理の答弁をかりますならば、米国あるいはイラン、それぞれ日本としては友好関係にある国であるだけに、特定国というものを指向してのそのような促進策をにわかにとる状態にはない。しかし、要するに自由市場開放への一つの契機として、もっと大きな視野でそれを考えろという先生の御提言に対しては、謹んで拝聴させていただきまして、十分政策の検討の資料といたしたいと思います。
○竹本委員 終わります。
○増岡委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○増岡委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○増岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○増岡委員長 ただいま議決いたしました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して愛知和男君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。愛知和男君。
○愛知委員 ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、簡単にその趣旨を御説明申し上げます。 御承知のように、今回の外国為替及び外国貿易管理法の改正によりまして、資本取引は、特定のものを除き原則自由とすることといたしておりますが、いわゆる有事の場合には規制し得ることといたしております。 しかしながら、有事規制の発動は、機動性、機密性を必要とする等の理由をもちまして政府に任されているため、その運用いかんによっては自由化の本旨に反する事態を生ずるおそれがあると考えられます。 したがいまして、政府においてその基本的な考え方を明らかにし、その適正な運営を図るよう要請するとともに、外国為替が企業等の不公正な取引に利用されることのないよう、法律の運用について配慮するよう要望するものであります。 以下、案文を朗読いたします。 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 一、有事規制の発動については、外国為替等審議会の意見を十分尊重して、その基本的な考え方を明らかにするとともに、その適正な運営を図ること。 一、外国為替が企業等の不公正な取引に利用されることのないよう、この法律の運用について十分配慮すること。 以上であります。 何とぞ御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○増岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 お諮りいたします。 本動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○増岡委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付するに決しました。 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣。
○竹下国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましては、御趣旨に沿って十分努力いたしたいと存じております。 —————————————
○増岡委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○増岡委員長 次に、日本専売公社法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府より提案理由の説明を求めます。竹下大蔵大臣。 ————————————— 日本専売公社法等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○竹下国務大臣 ただいま議題となりました日本専売公社法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 昭和五十四年度の予算編成に当たっては、現下の厳しい財政事情に顧み、歳出の一層の節減合理化に努めるとともに、税収及び税外収入について、制度の見直しを行い、歳入の確保に努めることとしたところであります。 その一環として、小売定価が昭和五十年末以来据え置かれてきた結果、製造原価の上昇に伴い、売り上げに占める専売納付金の比率が相当の低下を見ている製造たばこについて、その小売定価を改定することとし、所要の改正を行うことといたしたわけであります。 また、現在の専売納付金制度のあり方等につきましては、従来から種々の議論があり、制度の改正の必要を生じております。 このため、昨年十二月の専売事業審議会の答申を踏まえ、製造たばこの価格形成方式の明確化、財政収入の安定的確保と日本専売公社の自主性の向上、その経営の効率化を図る見地から所要の改正を行うことといたした次第であります。 第八十七回国会及び第八十八回国会におきましても、このような趣旨により日本専売公社法等の一部を改正する法律案を提出したところでありますが、遺憾ながら成立を見るに至りませんでした。 御承知のように、昭和五十四年度予算は、現在すでに執行されているのでありますが、たばこに係る歳入はこの法律改正に基づく小売定価の改定が行われなければ、それに見合う分だけ不足することとなるわけでありまして、このような事態は一日も早く解消する必要があります。 このような状況にかんがみ、ここに日本専売公社法等の一部を改正する法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。 第一に、製造たばこの小売定価を改定するため、製造たばこ定価法において法定されている種類ごと、等級別の最高価格を、紙巻たばこについては十本当たり十円ないし三十円、パイプたばこについては十グラム当たり十二円、葉巻たばこについては一本当たり十円ないし四十円、それぞれ引き上げることとしております。 第二に、専売納付金制度の改正につきましては、現在、日本専売公社法において、専売納付金の額は、日本専売公社の純利益から内部留保の額を控除した額と定められておりますが、これを製造たばこの種類ごと、等級別に応じ、小売定価に売り渡し数量を乗じた額に法律で定める率を乗じて得た額から、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の額を差し引いた金額とすることとし、これにより、財政収入の安定的確保を図るとともに、小売定価に占める国及び地方の財政収入となる金額の割合を明らかにすることとしております。 なお、法律で定める率は、製造たばこの種類ごと、等級別に応じ、三一・〇パーセントないし五六・五パーセントと定めることといたしております。 第三に、専売納付金制度を改正することに伴って、日本専売公社の経営がその企業努力だけでは吸収し得ない原価の上昇によって圧迫されるおそれが生ずることとなることにかんがみ、現行の最高価格法定制を基本的に維持しつつ、たばこ事業において損失が生じた場合または生ずることが確実であると認められる場合で、たばこ事業の健全にして能率的な経営を維持するために必要と認める場合に限り、大蔵大臣は、あらかじめ専売事業審議会の議を経た上、法律で定める最高価格に一・三を乗じた額を限度として、物価等変動率の範囲内において、製造たばこの種類ごと、等級別に暫定的な最高価格を定めることができることとしております。 このほか、専売納付金制度の改正に関連し、輸入製造たばこの価格決定方式を明確化するため、関税定率法において、日本専売公社が輸入する製造たばこを無条件免税の対象から除くとともに、製造たばこに係る関税率を改定する等所要の改正を行うこととしております。 以上、この法律案につきまして、提案の理由及びその内容を申し上げました。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
○増岡委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 —————————————
○増岡委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
○島田委員 ただいま提案のありましたいわゆるたばこ値上げ法案は、八十七通常国会から曲折を経て今日に至っているいわばいわくつきの法案でありますし、国会においては、重要な対決法案としてわれわれは見てきたわけであります。 この際、三点ないし四点にわたって法案の内容で明らかにしておきたい点がございますので、限られた時間でできるだけ簡潔に質問をしてまいりますから、国民の皆さんの側から見てわかりやすく政府当局としても説明を願いたい、このように冒頭注文をつけておきたいと思います。 そもそも、消費者を初めとして、たばこに関連をいたします産業各般にわたりまして、今度の値上げによる影響は非常に大きい、こう言われておるわけでありますが、一つの疑問として、最近、成人人口が伸び率において非常に下降傾向にある、つまり、たばこは成人にならなければのまぬものでありますが、そうなると、当然喫煙者数も減ってくる、こう言われているのでありますが、最初に、喫煙者率の減少というのは、男女別にいたしましてどういう傾向をたどっておるのか、その点をお知らせ願いたい。 最近は一人当たりの喫煙本数も減少傾向にあると言われておるわけでありますが、一体その傾向はいつから始まって、将来どういうふうになっていくのか、見通しがあれば聞かせてほしい。とりあえず以上の二点について。
○泉説明員 御承知だと思いますが、わが国の成年男子の喫煙者率は世界でも高い方に属しております。一番高かったのは昭和四十一年当時、八三・七%でございました。それが四十三年の定価改定を行いました後七八・五%になり、五十年の定価改定でさらに下がってまいりまして、五十三年では七四・七%になっております。女子につきましては、過去最高はやはり昭和四十一年の一八%でございまして、これも四十三年の定価改定後下がったり上がったりいたしておりますが、五十三年の数字は一六・二%でございます。これから計算いたしますと、日本の喫煙人口は三千五百万人でございまして、この数字はここ数年余り変わっておりません。ただ、お話しのように、成年人口の増加が、四十年代でございますと二%台でございましたが、五十年代に入りましてだんだん低下してまいりまして、いまは伸び率が一・一%程度になっております。したがって、その点からいたしますと、今後は喫煙人口がふえるというよりも余りふえないと見ていいのではなかろうか、このように考えております。
○島田委員 さらに、たばこは適正な在庫を持たなくてはいけないわけでありますけれども、適正在庫というのは一体どれぐらいで、現在どれぐらいの在庫量があるのか。
○泉説明員 これは世界各国のたばこ製造会社でいろいろ数字があるようでございますが、私どもは、適正在庫は熟成に要する期間二カ年と見まして、二年分の在庫を持っていることが適当である、このように考えておりますが、遺憾ながら、現在のところ輸入葉たばこにつきましては大体二年分でございますけれども、国産葉たばこにつきましては三十四カ月分の在庫を持っております。適正在庫を二十四カ月といたしますと、十カ月分、それから本年産葉をいま買い入れておりますので、明年の三月末になりますと、約三十六カ月分、つまり適正在庫に比べまして十二カ月分多い過剰在庫になろうかと考えております。
○島田委員 さらに、最近の二、三年ないし四、五年の傾向で結構でありますが、たばこの販売数量があると思うのです。五十一年くらいからで結構でありますが、それをお知らせ願いたい。さらに、計画を持って年度の販売に当たるということになるわけでありますが、計画に対して実際の販売数は一体どれぐらいになっておるのか、その達成率はどれぐらいか。
○泉説明員 昭和四十年代におきましては、たばこの販売数量は年々五%ないし六%、多い年には七%もふえたのでございますが、昭和五十年に定価改定を行いまして、五十年十二月十八日でございますけれども、五十年度は本数にいたしまして二千九百二億本でございまして、対前年二%の伸びでございました。しかし、五十一年には、定価改定の影響を受けまして、二千八百九十億本と九九・六%になりまして、つまり〇・四%だけ本数が減ったわけでございます。五十二年度には三千十一億本と、前年減った反動もありましたでしょうが、四・二%増加いたしました。五十三年度には三千十四億本と、一〇〇・一%でわずか〇・一%、三億本しかふえなかったのでございます。 これはいろいろ原因があろうかと思いますが、一つは、もうすでにイギリスの王立協会から、たばこの喫煙は健康に害があるというようなことが発表されておりまして、喫煙に対して場所的にもあるいは時間的にも規制をしたらいいではないかということからいたしまして、その規制措置が広がってまいった。それから、日本でも五十三年の春ごろからいわゆる嫌煙権運動というのが起きまして、マスコミによってずいぶん喧伝されました。その結果、公共の場所であるとか、列車であるとか、あるいは歩道等におきまして喫煙の制限が行われたりなどいたしまして、このように減ってまいったものかと思います。ちなみに五十四年度に入りまして、四月から十一月末まででは約二・二%の増加に相なっております。
○島田委員 以上、私はたばこの販売をしていく上における基礎的な数字なりあるいは状況なりというものをお聞きしたわけでありますが、総体的に、いまのお話によればたばこの先行き必ずしも明るいという状況にはない、じり貧の状態になっている。そうしますと、在庫も異常にふえている。一般の商法上の常識から言えば、こういうときというのは、安売りしてでも売りさばいていかなきゃならぬはずなんですね。ところが、逆に二〇%以上値上げをするという、これは国民の皆さんが納得できないはずであります。納得できないのは当然なんです。最近、政府は物が余ってきたら上げていくという傾向が強いわけです。米だってそうですし、余っているのにどんどん消費者価格を値上げをする。ほかにもそういう例がずいぶんあるわけであります。そこのところが一般の立場から見て、いまのいわゆる政治のあり方についてもやはり問題として提起されておる一つの要因にもなっているのではないか。 そう考えますと、私は今度の大幅な値上げなんというのは、一体何を目的にしてやろうとされているのかというのは、このいわゆるたばこの非常に庶民性といいますか、われわれの生活にとって大変重要な嗜好品だと、こういう立場から言えば、国民の感情を逆なでするような形で値上げを強行しようとすることについて、私は何としてもこれは疑問なしとしないばかりか賛成いたしがたい、こう思うのですが、大蔵大臣、どうしてもこのたばこの値上げはやらにゃならぬという、そういうお考えに立っておるようであります。その辺のところは、財政当局の立場からだけではなくて、いま申し上げましたような、そういう実態にある中でのたばこの値上げというのが、一体国務大臣の立場において妥当だとお考えになっておるかどうか、まず所見を聞かしてほしいと思うのです。
○名本政府委員 ただいま先生御指摘のように、たばこの売れ行きというものはここのところ決して好調ではございません。横ばい程度でしか進んでいないということでございます。そこに値上げをいたすということはいかがなものであろうか、こういうことでございますが、前回の値上げが昭和五十年でございました。現在までに四年間の時間が経過いたしておりますが、その間にたばこの製造原価は、今年度のところまで見込みまして三十数%上がってくるであろうというふうに見込まれます。その結果、たばこの販売によって得られますところのいわゆる利益、現在の制度によりまして計算しました利益というものが、その率におきまして非常に低下を来しておるわけでございます。 そういう事態のもとにおきまして、片や専売公社の経営が今後も円滑に遂行していけるように適正な内部留保というものをとり、かつ所要の財政収入というものを上げてまいるということは大変困難な事態になってきておるわけでございまして、適正な公社の内部留保というものを確保いたそうといたしますと、一般会計に納付いたします専売納付金の額というものが低下する。現実に昨年五千五百億程度の専売納付金が納められたわけでございますけれども、今年仮に値上げをいたさないといたしますと、それよりも二、三百億円さらに減少するというようなことに相なろうかと思います。したがいまして、一方におきまして国の財政事情というものは非常に厳しい状況にあるわけでございます。そういうことでございますので、原価が上昇したことによるたばこ消費者が負担する負担の割合というものをこのあたりで回復させていただきたいということが、今回の値上げをお願いしておる理由であるわけでございます。 なお、二〇%程度の引き上げになっておりますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、原価としましては三十数%すでに値上がりをするという事態になっておるということでございます。今後値上げをいたしました場合の販売本数の成り行き、そういうものも見ながら平均二〇%の値上げというところでお願いをいたしておるというような次第でございます。
○竹下国務大臣 いまの島田さんの御質問は、最近の政府というのは大体余った物の値段を上げるのじゃないか、マーケットメカニズムに反するではないか、こういう端的な御質問でございます。 私もその理屈はわからぬわけではございません。いま、るる御説明しておりましたように、まさにたばこ専売納付金というものがわが国の財政の中に果たしてきた役割りは、もっぱらその財政問題というのが今度お願いしておる柱でありまして、と言って、値上げしなかったからみんなが倍もたばこを吸うようになるというものでもございませんので、その辺諸般の事情を勘案していただきまして御賛同を賜りたい、このように思っております。
○島田委員 三〇%コストアップしている中で、二〇%のごく内輪のお願いだからなんというようなお話があるわけでございますけれども、しかし、この種のたばこにしても、あるいは酒にしても、庶民と密着をしているこういう部分で値上げが行われるということになると、それに引きずられるようにいままで物価が上がっていく、こういう傾向があるわけです。その限りにおいては、きわめて牽引車的な役割りを果たすという点で、たばこの値上げというのは非常に有効な手だてだというように政府側は見ているようでありますが、それだけに一般国民にとっては生活費に及ぼす影響というものが大きいわけです。今度の値上げによって家計費に与える影響というものはごく少ないというふうな数字を発表しているようでありますけれども、それは端的な数字の割り返しで言えばそういうことでありましょうけれども、しかし、それだけで済まない。やはり家庭の中における家計費の圧迫というのは、単に数字だけで説明されても家庭の奥さん方は納得しておりません。小売価格が前年よりも下がりましたと幾ら政府が言ったって、買い物かご提げて買い物に行かれる奥さん方の実感としては、下がっているとは言ってないのであります。ですから、私どもはその点を非常に重視して、やはり国民の皆さんが生活の実感として物価は下がった、こういうふうに感じられるような政策というものが行われていかないといけないわけです。数字で幾ら説明したって納得できないような状況の中で、今度のたばこだって、実はこれしか家計費には影響を与えないのでありますと幾ら言ったって、皆さんはすとんと腑に落ちないばかりか、ますます不信感を強める、こういうことになるわけです。それは、喫煙人口は全体から言えば三千五百万人だそうでありますから、全部が吸っているわけではないので、吸っている人が応分の値段を払うのはあたりまえだ、そういう考えでたばこの値上げをおやりになるのだとすれば、私は、国民の生活感情というものを知らないやり方だ、こういうふうに思うのですが、今度の値上げによって与える影響は数字的に幾らと発表しておりますか。
○名本政府委員 今回のほぼ二〇%の値上げによります消費者物価への影響は、〇・三七%であるというふうに計算いたしております。
○島田委員 しかし、従来一%台の影響を与えるなんてことになったらこれはえらい影響なんですね。〇・七三ということになれば、ややそれに近いんじゃないですか。——〇・三七ですか。しかし、こういうたばこの値上げに伴って、消費者だけではなくて小売店を初めとする関連産業にもずいぶん大きな影響を与えていくと私は思う。特に、ノーマルな在庫は二年分、大体二十四カ月である、こういうふうにさっき説明がありました。しかし、現在は三十六カ月分ある。こうなりますと、この在庫を解消するためには、相当押し売りをしなければならない、こういうことになるわけですね。小売店だって、一年間の売り上げというものはやはりある一定のところで固定していて、そんなに大きくフレートしないわけです。この解消をどうしようとお考えになっているのか。恐らく小売店に対しても相当ノルマがかかっていくのではないか、そうやらないと在庫が解消していかない。そうなりますれば、たばこをもっとのめのめという話にならなければならぬわけでありまして、喫煙人口がこの辺のところから余り動かないとすれば、一人当たりのむ量をふやしていくということになっていくわけであります。それだって家計にはずいぶん大きく影響していくということになるわけだから、単純に二〇%上げたから〇・三七%の家計費圧迫で済むのでありますというふうな計算に私はならないと思うのですが、そういう幅広い検討というものがなされているのかどうか。たばこに限らぬのですけれども、いつでも、公共料金なんか上げると、家計費に与える影響はこれこれでございます、こう言って説明して、それで押しつけてしまう。しかし、実際にはそうならないで、次から次へとやはり家計費を大きく膨張させていくという結果、その要因を与えていくことになっているわけでありますから、この辺のところは、政府当局におかれてはかなり思い切った調査なりあるいは実態というものを広げて、精細に国民生活の実態というものを把握するということが欠けているのではないかと私は思うのですが、そういう点をこれからは力を入れて調査した上でたばこが与える影響を正確に国民に知らせるべきだ、こういうふうに思うのですが、こういうお考えはありませんか。
○泉説明員 お話しのように、たばこの値段を二〇%ほど引き上げますと、一つは、消費者は、これに対しましてあるいはたばこをやめる人もおりましょう、あるいはたばこの本数を減らす人もおりましょう、いろいろな影響があるわけでございますが、先ほどお話しの点では、私どもは毎年全国たばこ喫煙者率調査というのをやっておりまして、その際にたばこ代に幾ら支出しているかということの調査もいたしておるわけでございます。 それによりますと、五十三年五月に実施した調査では、男子は一月当たり五千百九円、女子は三千四百九十円を支出いたしております。もし、定価改定後も値上げ前と同じ銘柄のたばこを同じ量だけ吸うということにいたしますと、常喫者の定価改定後の一月当たりたばこ代は、男子の場合約千円、女子の場合六百円程度ふえることになるわけであります。しかしながら、従来の経験からいたしますと、喫煙銘柄をやや下級なものに移行する、それから本数も減らすというような人が出てまいりますので、そういう点を考慮しますと、実質的な一カ月当たりの負担増は、男子の場合七百円強、女子の場合五百円弱、このように計算されるわけであります。 先ほどお話しの、過剰在庫を抱えておるから、無理やりに吸え吸えと言って売るのではないかというお話でございますが、たばこは嗜好品ではありますけれども、そう無理やりに吸ってくださいというわけにはまいらないのでございます。過剰在庫の解消につきましては、一つは、たばこ耕作者の方の御理解と御協力を得まして耕作反別を減らしていく、そして品質のいいたばこをつくっていただく、これが基本でございまして、すでにここ三年ほど毎年耕作反別を減反してまいっておるわけでございます。もちろん、これを一挙に減らしますと、在庫解消はわりあい早くできるわけでありますが、やはりたばこ耕作農家の方々は長い間専売公社に協力して葉たばこをつくっていただいてまいっておりますので、急激に大幅な減反ということはできかねますので、現在までのところ、毎年廃減作の面積程度を目途に減反を続けてまいっておるわけでございます。(島田委員「総裁の御丁寧なのはわかるけれども、ちょっと時間ですから」と呼ぶ)その減反と品質のいい葉たばこをつくることによって過剰在庫を解消したい、このように考えておる次第でございます。
○島田委員 丁寧な御答弁だから文句を言うのは筋違いかもしれぬけれども、時間の限定もあるので次に移らせてもらいます。いまの問題は、私はすっきりと納得したわけではありませんが、時間の都合で前へ進まざるを得ません。 次は、ガットの提訴の問題であります。 一つには、どんな経緯があって提訴されたのか。これは余り詳しく時間をかけてお述べいただくような必要はありませんけれども、その点をひとつお聞きしたい。
○名本政府委員 製造たばこの輸入たばこにつきましては、五十三年の二月以来アメリカとの間で種々やりとりをしてきたわけでございますけれども、本年十一月十六日になりまして、アメリカ側が従来からわが方に対して言っておりました内容をもってガットの理事会に提訴をいたすということになったわけでございます。昨年、五十三年の二月には紙巻たばこの問題がまず出てきたわけでございますが、その後、葉巻、それからパイプというふうに出てまいりまして、葉巻、パイプの両方の品種のたばこにつきましては、アメリカの法律でございます通商法によりまして各業界がまずアメリカ政府に提訴を行っておる。そういうものを受けてアメリカ政府はガットに提訴をいたした、そういう背景でございます。
○島田委員 そうすると、提訴の内容について事実関係があると認めているのですか。
○名本政府委員 提訴の内容につきましては、制度的なものと、それから流通、販売に関するものと、大きく分けますと二つのものになると思います。 制度の方は、いわゆる価格の形成方式についてでございまして、これにつきましては、アメリカが言っておりますのは、輸入たばこについては国内たばこよりも言うならば高い専売納付金を納めさせておる、こういう言い方をいたしておるわけでございます。 この点につきましては、現在の制度が、関税は別途徴収するという制度をとりませんで、専売公社の利益処分でございます専売納付金で一括徴収するという形になっておるものでございますから、その中にいわば関税相当部分と国内税に見合うような部分と、これが混在しておるというのが現状でございまして、そのあたりにつきましても、従来からるるアメリカ側には説明をいたしてございますが、確かにガットの条文を見ますと、そのあたりにつきまして非常に現行制度は問題であると思われる筋もございます。 したがいまして、今回御提案申し上げております制度改正が行われますことが、このガットに対しまして非常にわが方の立場を強くする、ひいては全体のガットでの審議と申しますか、それに対して有利にこれを尊くことができるだろうというふうに考えておるところでございます。
○島田委員 私はちょっと不思議に思うのですが、わが国の専売法によるたばこというのは、この制度はいまに始まったわけじゃないわけですね。前からずっとあったわけです。いままでも何回かこのガット提訴という問題があったら、それは今日のような対応は必要だということになるのでしょうけれども、いままで別段こういう問題が国際的に話題になったことはないわけですね。いまよくよくガットの中身を調べて見たら、事実に抵触するようなところがありそうだ、いま監理官はそうおっしゃっているのですけれども、それはいまごろ気づくはずのものではない。それがいま、しかも、この法案は提案されてもう一年近くなるのですね、途中で廃案を繰り返しましたけれども。アメリカだって、ECだって、これはアメリカが中心になっているのでしょうけれども、この法案が通る通らぬということについては、それはいろいろあるでしょうけれども、現に国会に提案されて論議されているという事実はアメリカだって知っているはずだ。知っておるのに十一月の十六日になってガットに提訴をする、これは私はどうも納得ができない。アメリカ一流のいやがらせじゃないかとさえ思うのですね。それとも、ぼくは、うんと人悪く考えれば、なかなか国会を通らない、外圧でこの法案を早く通してやろうか、こんな意図があって、そこに政府も結託したとしたら、これはゆゆしき一大事だと思うのですが、そういうふうに勘ぐられるようなガットの提訴のやり方ですね。しかも、今年度中に解決つかなければ、年明けてからこいつひとつ問題にするよと脅かしている、どうも私はけしからぬと思うのです。大蔵大臣、変に思いませんか。
○泉説明員 お話しのように、わが国の輸入たばこの価格の決め方にガット条約上問題になりそうなことがあるということは、すでに以前からあったわけでございます。ただ、従来はアメリカのシガー業界あるいはパイプ業界は、国内でかなり売れ行きがいいものでございますから、あえて日本にまで進出しようとは余り考えておらなかったわけです。ところが、最近になりまして、アメリカ国内におきましてシガーの売れ行きが落ちてまいりました。何とか自分の業況を維持していくためには、外国へ出ていってかせぎたい、そこには日本といういい市場があるではないかということから、日本にシガーなりあるいはパイプをもっと買えということから言ってまいりました。ところが、わが国の場合には、五十年の定改後、先ほどシガレットにつきまして数字を申し上げましたが、シガー、パイプは大変減っておるのでございまして、したがって、アメリカが期待されるような市場の状況にはないわけであります。 そこで、日本が自分らの希望するようになかなか買ってくれないから、これは何とか日本のいまのやり方を改めさせる必要がある。ついては、通商代表は大統領に対して、日本のそういう措置に対する報復措置を講ずるように大統領に建言してくれということで、通商法の三百一条委員会に提訴されたわけでありまして、その提訴を受けまして、アメリカ政府はガット違反ではないかということで今回ガットの方に提訴してまいったということでございます。
○島田委員 さて、それでは政府がいま提案されているような改正によっていまの問題を回避することができるか、つまり、対応できるか、こういう点についてひとつお尋ねをしたいのと、さらに、今後問題はないのか、ここのところをしっかりきょうはお聞きをしておきたい、こう思うのです。
○名本政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、ガットに提訴になっております内容は二つございまして、一つは価格形成の制度に関する問題でございます。 この問題につきましては、今回のお願いをいたしてございます制度を改正いたしますならば、内国税相当部分は、内外無差別に平均しまして五五・五%程度のものを賦課するということになりまして、これは内外無差別になりますから問題ございません。それから、いわゆる関税に相当する分、これにつきましては、新たに関税率を専売公社が輸入しますものにつきまして徴収するという制度にいたしてございます。したがいまして、ガットの協定の、これは第三条でございますけれども、内国税相当部分について差別をすることを禁じておる規定なんでございます。関税を課することは、国内生産の保護という面から、これは当然認められることでございますので、この制度面からいきますと、この法律を成立させていただきますならば、アメリカの提訴の理由は全くなくなるというふうに考えます。 一方、それと、もう一つありますのが、流通関係についてでございます。 たとえば、輸入たばこに対します広告が日本の国内産のたばこに対する広告よりも厳しいとか、あるいは店の数が少ないとか、そういう点でございます。これは取引上の話でございまして、いろいろ、たとえば経費の問題であるとか、そういう問題もございます。現に昨年八月以来専売公社の方におきまして、これは取引上の話でございますので、われわれが出てまいりますよりは、アメリカのたばこメーカー、それから公社、そういう取引上の相互において話を詰めてまいる方がいいであろうということでアメリカ側も一たん同意をしたわけでございまして、話を何度かしておるわけでございまして、そこにおいて話がつきますならば、ガットにおけるアメリカの提訴というものもおのずから解消してくるであろうというふうに考えます。 したがいまして、そちらの方は相互の話し合いで話がつく問題、言うならば、企業がお金を出すかどうかというようなことにも絡んでくる問題であります。 しかし、この制度は、これは法律にかかる問題でございますので、今回の御提案申し上げておりますこの法律改正を成立さしていただきますならば、ガットの問題というのは非常に大きく前進をして解決の見通しは非常に明るいというふうなことであろうというふうに考えております。
○島田委員 そこで心配がありますのは、先ほどちょっと総裁が触れておりましたけれども、つまり国内産葉たばこの耕作者の立場というものが今度のこういう措置によって確立できるかどうか、たとえば、私はガットに提訴したという意図は幾つかあるというお話でありますが、もう一つ、日本に対して製品化されているたばこ、これをたくさん売りたい、こういう意図もあるだろうというふうに見るのです。外国葉ばかりではなくて製品としてどんどん上陸をしてくる、こういう状態を許すということになりますと、国内の葉たばこ耕作者に大変大きな影響を与える。そうでなくてもいま一年分余分にストックを抱えているという状態であります。一時期たばこが足りなくて奨励して耕作をふやした、こういう状態のまだ余韻の中にあるわけでありますから、まず第一には、日本の農業の大事な一環を占めている葉たばこ耕作者、これをどう守るのかというのは非常に重要な課題でありますが、この点について御心配はありませんか、私のような心配はないと言い切れるでしょうか。
○泉説明員 御存じのように、定価を引き上げますと、それにつれて一時的に消費が落ちます。もちろんその定改前には仮需要によって一月分以上の数量がよけいに売れますけれども、値上げが行われますと、その分を食いつぶしていく関係もありまして売れ行きが大変落ちるわけでございます。しかし、落ちましても、この前の五十年の値上げのときの経験でわずか〇・四%しか落ちなく翌年は回復したというような点からいたしますと、今後、一時的には下がりますけれども、長期的に見ればある程度ふえていく、もちろん、そのふえ率は昭和四十年代のように五、六%ではなくて一%ないし二%程度しかふえないと思いますけれども、〇・何%減って一%、二%ふえていけば、在庫を解消する方途がないわけではない。 ただ、いまお話しのように、十二カ月のような過剰在庫でありますので、どうしてもある程度耕作者の方に御協力願っていい品質のたばこをつくっていただく、そうしますと、反当収量が若干減ります。その若干減ったところで耕作面積の減と合わせまして過剰在庫をだんだんに減らしていく、公社としましては、国内葉をできるだけ使用しまして加工技術なり香料等の工夫をいたしまして、できるだけ国産葉を使い込んでいく、それによって過剰在庫を減らしていくという考えでおります。しかし、それはそう短時日のうちにはできません。かなり長い年数がかかるもの、このように考えております。
○島田委員 そうすると、ストックの解消に相当の努力が要るという現況にある中では、輸入葉はこれ以上ふやさない、こういう方針だというふうに受け取っていいですか。
○泉説明員 輸入葉につきましては、従来から在庫二十四カ月分ということを目途としまして、これは専売制でございませんので、買わなければならぬ義務はございませんので、当方の所要量だけを買えばいいということになっておるわけでございます。したがって、私どもとしましては、現在のところ、五十年、五十一年の国産葉の品質が悪かったものですから、それを補うためにいまのところ輸入葉の使用割合を若干ふやしておりますけれども、将来は輸入葉の使用割合は三三%程度にとどめるようにしていきたい、このように考えているわけでございます。
○島田委員 そこで、私は葉たばこ耕作の実態というものまで深くいま入る時間はないのでありますけれども、この葉たばこに関する限りは、あくまでも大蔵省所管、つまり専売公社である。耕して、つくる、収穫するところまで全部めんどうを見る。農林省がこれに直接的には全く関与していないみたいなかっこうですね。やはり六万ヘクタール以上ある耕作面積、しかも十一万数千戸に及ぶ耕作農民、これはいずれも日本の農地法によって農地を使ってたばこを生産しているわけです。この辺のところは、有機的に両省においてたばこの問題については話し合いなり連絡あるいは協調といったようなことが行われているのであろうとは思うけれども、農林省の農政のアウトサイダーに置かれているというのは、いつも私、不思議に思っているのでありますが、この辺のところがひとつ腰の入らない原因になっていやしないかという疑問も私は実は持っているのです。 きょうは農林省の芦澤課長が来ておりますね。芦澤課長の前にちょっと総裁に一言だけ。この辺は一つの歴史的な経過があるし、また専売法に基づくものがあるのだということはわかるのだけれども、しかし、全くアウトサイダーではないにしても、ややそういう感じがしてならない。農林省の畑作振興の立場から考えたって、これはらち外に置けないはずなんだけれども、その辺のところは一体いかがお考えになっているのか。
○泉説明員 いま島田委員のおっしゃられるように、葉たばこの専売制は明治三十一年からずっと続いておるわけでございまして、専売公社となりました後も専売制が続いておるわけでございまして、私どもとしては、耕作者の方にいい品質の葉たばこをつくっていただいて、それによって消費者の好まれるようないい品質の製造たばこをつくりたい、こういうことで耕作者の方の耕作指導等いろいろ配慮いたしてまいっております。もちろん農林省との間で十分打ち合わせをいたしておりまして、農林省との間でも、たとえば圃場整備事業というのを農林省でおやりになります。そのときにもたばこの耕作地を入れていただくとか、畑作の特定団地を形成される場合にその中にたばこも入れていただく、こういうことあるいは稲作の転換等につきましても農林省との間でいろいろ打ち合わせをいたしまして円滑にやってまいっておるのでございまして、決して農林省のらち外で勝手なことをいたしておるということではございません。
○芦澤説明員 ただいまの島田委員からの葉たばこの農業上の位置づけと農林省の対応の仕方という点でございましたけれども、私ども、葉たばこは先生お話しのとおり六万ヘクタール余、十一万戸農家が関与している非常に重要な農作物でございます。特にその生産額は、五十二年度で見ますと、二千四百三十億というようなことで、畜産物を含めた総合的な農産物の中で第七位を占めているというふうな非常に重要な農産物でございまして、これが農業経営に及ぼす影響あるいは地域の農村集落に及ぼす影響等は非常に重要なものでございますので、専売公社の方と十分連絡をとりつつ、わが省といたしましてもやはり生産の合理化、近代化、またそれを通して畑作経営農家の経営の改善を図っていくことが重要である、さよう考えておるわけでございます。 そのために、具体的には私どもの方で行っております特産畑作振興対策事業とか、あるいはまた農業構造改善事業、こういうふうな事業その他いろいろございますけれども、こういうふうな補助事業によりまして葉たばこ生産のための基盤の整備を行うとか、あるいはまた葉たばこの生産の合理化のための育苗施設だとか、農作業用の機械器具だとか、あるいは乾燥施設だとか、そういうふうなものの導入等を専売公社の方と連絡をとりつつ必要なところには行っておりますし、またそのほか、そういう補助事業以外にも、農業改良資金制度あるいは農業近代化資金制度、こういうふうな制度資金によりまして、農家が個々に経営改善を行う場合に必要な資金につきまして融通を行う等の措置をとって、その生産振興あるいは経営の安定に努めておるわけでございます。 今後も、引き続きそれらの点に留意しつつ対策を講じてまいりたい、さよう思っておる次第でございます。
○島田委員 総裁が勝手なことをしておるとぼくは言ってませんから、えらいまた勘ぐって——ぼくはむしろあなたの応援をするつもりで言っているのであって、そこまで御苦労になるのは大変だ、農林水産省何をしているのだという気持ちがぼくにあるからそういうお話をしたのでありまして、いま芦澤課長からそれなりの力を入れている。こういうお話でありますから、その点については今後輸入の問題等によってせっかくの葉たばこ耕作にかげりを与えるというようなことがあってはいかぬと思いますので、農林水産省も専売公社も、大いにひとつ大事な生産の段階における保護策というものはやはり力を入れてもらわなければならないのではないか、こんなふうに実は考えているわけであります。 最後になりましたが、実は大臣も新聞をごらんになっておわかりいただいていると思うのでありますが、十二月三日の毎日新聞朝刊の一面に、塩の民営移管というような問題で、これは行政改革、自民党調査会で検討を始めた、こういうでかい記事が載りました。これは、いままでもたばこだって民営という問題が背景にあって非常に大きな話題を呼んでいる、こういうことであります。同じ専売公社の所管にかかわる塩、これが行政改革の名のもとに民営移管というようなことが検討されようとしている。まだ具体化するとは言っておりませんし、具体化するにはかなりの曲折がまだ予想されるわけで、そう簡単にはいかないだろうと思いますが、すでに自民党の中でこの問題が近く討議に付される、こういうふうなマスコミの報道があるわけであります。マスコミの報道でありますから、その真偽を新聞を見てお尋ねするというのは不見識かもしれませんけれども、しかし、話題が話題だけに、しかもいまたばこの問題がこうやって国会で論議を呼んでいる、こういうさなかにあって、同じ専売公社の中にあります塩の問題がこういうふうに取り上げられるというのは大変なことなんでありますが、この点について政府当局としてはどのように受けとめていらっしゃるのか、そこをまず聞きたいと思います。
○竹下国務大臣 お説の十二月三日付毎日新聞に行政改革の一環として塩専売制の廃止問題が取り上げられておるという記事に基づく御質問であろうかと思います。決して報道機関の報道をもとに御質疑いただくのが不見識だとは思いません。それは結構だと思うのであります。 これは二つの角度から申し上げますと、一つは、塩事業の経営形態について昨年六月、もう委員御承知のとおりでございますが、公共企業体等基本問題会議意見書におきまして、「国内製塩企業の自立体制が確立する時期において、流通機構のあり方を含め、その廃止について検討」することが提言されて現在に至っておるわけでございます。そうして、大蔵大臣の私的懇談会でありますたばこ及び塩の専売事業問題懇談会において検討をお願いしているところでございますが、十二月三日付の毎日新聞が取り上げておりますように、自民党の行財政調査会でもこれについての検討を行うという意向であるということは私どもも聞いております。 塩事業の経営形態につきましては、最近における石油価格の高騰が国内製塩各社に与える影響、塩の流通問題等を、塩が国民生活に不可欠のものであるという事実の上に立って慎重に検討すべき課題であると考えております。 政府としても行政改革本部が、これは行政改革の面からの考え方でございますが、十一月二十八日に特殊法人の統廃合等について、閣僚レベルにおける協議、検討に即応しつつ、早急に具体案を検討し、年内に方針をまとめると決定されたことでございますので、当省所管法人である専売公社につきましても、目下検討を行っておるというのが現状でございます。これは従来の懇談会等からの意見の問題と、いわゆる行政改革計画の立案についてという政府部内の十一月二十八日の改革本部で決定したものとの両面からお答えしたわけでございます。したがって、大蔵省といたしましては、大蔵省専管の特殊法人といいますならば、国民金融公庫、輸出入銀行、それから開発銀行、それと専売公社、大物が四つあるわけでございます。それに対してどのような形で対応していくかということ自体に、私自身も明確な方向をいま定めるほどの準備ができていない。大蔵大臣になったほやほやだものでございますから、そのこともございますけれども、検討を要する重大な課題だというふうに考えておるところでございます。
○島田委員 大臣ほやほやと謙遜なさっているけれども、あなたは次の時代のいつか総裁という、その一人になっているといううわさがもっぱらでありますから、そういう立場でおっしゃることはきわめて重要な影響力と意義を持つのであります。実は前任の金子大蔵大臣、あるいはここにいらっしゃる総裁は、民営化、つまり経営形態については現在の姿が最も望ましいし、この方向で行くのだ、こう言い切っていらっしゃることから言うと、大蔵大臣は、いまのお話ではかなりニュアンスだけではなくて姿勢にも大きくかげりがあるように私は受けとめられるのです。しかし、いまの実態は、いわゆる外塩と内塩との格差が縮まってきた段階でという、こういう不文律みたいなものが一つありますな。いま、このお話が出たときよりもまだ広がっているという状態がある。こういういわゆる実態を考えるならば、私は当然いまの公社の経営を継続されるということは、もう否定しようのないことだと思うのです。 ただ、問題は、いまおっしゃっているように行政改革という立場から話が出てきている。しかも自民党の中で調査、検討がなされようとしている。そうすると、外堀を埋めて内堀を埋めてということに、あるいは予想される事態があるかもしれない。しかし、私はこの際、やはり諸般の状態を考えれば、この専売公社の存続というのがいろいろな意味で非常に大きな意義を持っているし、また目的もそれなりに明らかなんですから、ほかのいまお述べになった大蔵省所管の三つの問題と比較した場合でも、私は問題の質が違うと思うのです。外堀を埋め、内堀を埋められても毅然としてこれをはねのけていくという姿勢が貫かれないと、このたばこ値上げの問題が提起されて以来国会で論議されて、政府側の答弁として一貫してお述べになっていることと大きく違ってしまう。いまの御答弁で私は納得できないのですが、いかがです。
○竹下国務大臣 確かに、この記事を読んでみますと、自民党の調査会におきまして問題提起されておるということは聞いております。 ただ、行政改革の立場からの取り組み方につきましては、大蔵省の所管しておる、専管しておるとでも申しましょうか、他の共管の問題は別といたしまして、四つございますので、大蔵省だけが例外であるというわけにはまいらない。そしてまた、その場合に専売だけが例外なく取り上げるべきものであるとも私は考えておりませんので、いままさに着手したばかりでございますので、私どもの所管の公社、公団、事業団の統廃合の問題につきましては、いましばらく私にも慎重な検討期間をお与え賜りたい、このように思っております。
○島田委員 私は納得できませんけれども、時間が来ましたから、これで終わります。 しかし、この問題に関する限り、私はいまの大臣の御答弁では朝令暮改という感じがしてなりませんで、やはりこれは毅然として存続の方針に立って進めてもらわないと困ると思います。御答弁は要りませんが、それだけ言い残しまして、私の質問を終わりたいと思います。
○増岡委員長 川口大助君。
○川口委員 同僚議員がいろいろお尋ねをいたしましたが、私は若干角度を変えまして政府の所信をお聞きいたしたいと思うのであります。 まず、厚生省、お見えになっていますね。最近、たばこと国民の健康に関していろいろ関心が高まっておるわけでありますが、一体たばこというものは人体に害があるかどうか、厚生省としてはどういう御見解ですか。
○大池説明員 お答え申し上げます。 紙巻たばこの人体とのかかわりの問題でございますが、御承知のとおり、嗜好品ということで非常に国民に広く常用されているという実態がございまして、吸う立場、吸わない方、それぞれのいろいろな側面でその功罪については論議があると理解しております。 しかし、これを身体的な側面で、医学的な立場から見ました場合に、国際的にも国内でも活発に各種の調査研究がこれまでも行われてきております。また、現在も続けられておるところでございますが、そういった内外の医学的な所見を世界保健機関、WHOにおきまして一九七五年に専門委員会報告という形に取りまとめられておるわけでございますが、この専門委員会報告におきまして、主として統計的な手法を用いました疫学的な角度から、たばこと人体の幾つかの病気との間に関連が見出されており、たとえば喫煙者と非喫煙者、特に長期に多量喫煙しているいわゆるヘビースモーカーと全然お吸いにならぬ方との対比におきましては、死亡率、たとえば肺がんとか、慢性気管支炎等呼吸器の疾患、そのほか循環器系の疾患とか、あるいは妊産婦におきますところのいろいろな問題、こういった面におきまして、統計的に見て高率に喫煙者のヘビースモーカーの間で見出されるというようなことが取りまとめられておるわけでございます。そういう意味におきまして、人体とのかかわりにおいては、身体的には有害な影響が見出されているという実態がございます。
○川口委員 詳しい御説明はありがたいのですが、限られた時間でありますので、ひとつ端的にお答えを願いたいと思います。 厚生省では、人体に有害であると認めておるということですね、もう一回はっきり言ってください。
○大池説明員 お答えいたします。 いろいろな側面から議論があるわけでございますが、医学的なただいまの調査研究結果におきましては、好ましくない影響が認められるということを申し上げたいと思います。
○川口委員 私は厚生省はどう考えているかということを聞いているわけです。
○大池説明員 種々な疾病の発生あるいはその進行にとって望ましくない要素として理解をしておるところでございます。
○川口委員 それでは、担当者として望ましくないと認めておるものに対してどういう御措置をいたしておりますか。
○大池説明員 御指摘の点につきましては、健康教育、衛生教育というようなことを主として、私どもの対策の柱として各種の施策を講じておるところでございます。
○川口委員 なかなかお答えも困ると思うのですが、私はわりあいに客観的にお尋ねをしているつもりなんです。 厚生省は国民の身体を守らなければならぬわけでありまして、いまお話がありましたとおり、大体一年間に四万二千人の人がたばこの害のために余分に亡くなる、こういう統計さえ出ておるわけであります。そういう実態があるわけでありますから、たとえば、薬などの場合も有害と認められるものにおいてはそれなりの御措置をしておると思うのでありますが、事たばこに関する限りは単なるPRにとどめておる、こういうことですか、いま一度ひとつお答え願います。
○大池説明員 お答え申し上げます。 御承知のように、そういう規制の面におきましては、若年者の多量喫煙はかなり前、明治時代にすでに未成年者喫煙禁止法というようなことでそういう規制が行われておるわけでございますし、それから長年、多量の喫煙が有害であるということにつきましては、私どもも局長通知等もすでに出して、成人病予防とかその他あらゆる局面におきまして指導の中に織り込んで、たばこに関するそういう正しい知識をよく理解してもらうような努力をじみちにやっているところでございます。 〔委員長退席、稲村(利)委員長代理着席〕
○川口委員 それでは、たとえば輸入品で人体に害を及ぼすような品目、こういうものがあるというふうにわかった場合の一般的な措置ですが、厚生省はどういうふうな御措置をしているわけですか。
○大池説明員 ただいまの御設問の点につきましては私の所掌を離れてしまいますが、私の理解しておるところでは、医薬品、食品等につきまして明確に有害なものについては、こういったものを輸入しないような措置がとられておると理解しております。
○川口委員 それでは、担当外であるというのでどうもお尋ねしにくいわけですが、アメリカたばこの場合、アメリカたばこは害があるというふうにアメリカ政府が断定しておられることを御存じですか。
○大池説明員 いろいろの情報は私どもも収集しております。その一環といたしまして、アメリカにおきましても衛生教育というような観点からたばこの害のある側面についてのPRは非常に力を入れているということは理解しております。 先ほども御説明申し上げたところでございますが、一つの側面だけでこれはもう害がある、ないというふうに一概に仕分けて整理がむずかしい案件であろうというふうに考えております。
○川口委員 それでは具体的に申し上げますが、いわゆるアメリカたばこの特定品目について、有害であると断定されたものに対して厚生省はいまの段階では何ら処置を考えておりませんか。
○大池説明員 その有害であるという断定の意味の理解によってでございますけれども、私どもは輸入を禁止しなければならないほど有害であるという断定をされているということについては、現在ちょっと確認しておりませんが、いまのところそういうことは考えておりません。
○川口委員 しかし、日本のたばこには、先ほどお話あったとおりいろいろな諸病状があらわれるということは理解しているわけでしょう。日本のたばこについて、いまお説明あったような病気のもとになるということをおわかりの上で、アメリカたばこについては知らぬということは、厚生省としては若干怠慢——まあ担当ではないからと言われるといけませんが、もう少し関心を持ってよろしいものじゃなかろうかと思うのですが、いかがですか。
○大池説明員 先ほど来私どもが申し上げましたのは、日本のたばこによってこういう病気とつながるとか、外国のたばこではどうかというようなそういう区分けの議論でございませんで、紙巻たばこの多量喫煙の一般論として私どもは理解していることを申し上げた次第でございます。
○川口委員 なかなかかみ合わぬですが、大臣、初めてですが、ひとつよろしくお願いします。 いまいろいろ議論申し上げているのは、たばこ専売事業をすぐにやめるとかなんとかという問題ではないのです。やはりわれわれは国民の健康を守らなければいかぬ責務があるわけです。もし、悪ければ直さなければならぬわけですが、有害なものか有害でないものか、その認識の違いによって今後の対応が違ってくると私は思うのです。大臣は、このたばこというものが人体にどういう影響を及ぼしておるかということに対しての御所見を持っておられるなら、ひとつお話し願いたいと思います。
○竹下国務大臣 川口先生、私も先生との質疑は初めてでございますので、よろしくお願いします。 大変むずかしい質問でございまして、今日までいわゆる喫煙の健康に及ぼす影響というようなことで委託研究というものが行われておるようであります。したがって、これからも医学的研究の充実に努めていかなければならぬと思いますが、その成果が今日断定できるような形であらわれていないと聞いております。私個人の認識からいたしましても、何だか厚生省の話を聞いておりますと、これはたばこをやめた方がいいかなという気がしてみましたり、また、かつてやめようと努力しながら、みずからの持つ意志の薄弱さによってそれをやり遂げなかったことがあってみましたりいたしておりますので、嗜好品であるという角度のたばこ、それが健康に対してどのようなものであるかということにつきましては、所管大臣ではございますものの、確固たる見解というようなものが私にはいまございません。ただ今日、いわゆるニコチンとかタールとかいうものの持ついろいろな問題からして、低ニコチンとか低タールとかいうようなたばこの開発にも努力はされておるということは承っておりますが、まことに初めての質疑応答といたしましては歯切れの悪い話でございますけれども、まさに、大蔵大臣にたばこと健康についての見解を問うとおっしゃいますと、不敏にして正確な見解を持ち合わせませんと言わざるを得ないような実態であります。
○川口委員 先に進みますが、お願いですが、厚生省の方も担当でないとおっしゃるのですが、帰ったらひとつ大臣にお話をしていただきたいのですが、やはりこれほど人体に関係があるというふうにあらゆる専門的な学者があらゆる統計的なものを出しているのですよ。ですから、人体にどういう影響があるかということについて今後研究してくださるということをひとつお約束を願って、大臣に御報告をしていただくと同時に、大蔵大臣、ひとつこれを今後研究課題として勉強していただけませんか。いかがですか。
○竹下国務大臣 勉強させていただきます。
○川口委員 そこで総裁ですが、たばこ専売法の二十八条には、いまの議論からすると、どうも妙な条文があるわけです。それは、外国たばこは元来輸入してはならないものだ、ただし、健康上または習慣上欠くことのできないものの自家用はよろしい、こう書いてある。これは、たばこというものは健康上に欠くことのできないものというふうに思っておるのか。それは嗜好品なのか中毒なのか、その辺を私、見解を伺いたいわけです。
○泉説明員 この専売法第二十八条のただし書きの点は、旅行者が携帯輸入するたばこについて規定しておるわけでございまして、これについては「健康上又は習慣上欠くことのできない製造たばこについては、」ということになっておりますが、どちらかというと、習慣上たばこを吸っているから携帯輸入したいという方には携帯輸入を認める、こういうふうに御理解いただきたいと存じます。
○川口委員 私は「健康上」という方を伺っているわけです。「健康上」というのはどういうことなんですか。体によろしいということなんですか。
○小幡説明員 お答え申し上げます。 大体たばこに医学的効用があるか、こういった問題になるわけでございますけれども、これは先ほどいろいろ有害論ございましたけれども、精神的な効用というもの、たとえばストレスの解消になるとか、そういう面から見まして、その方が喫煙という習慣を定着しておられる場合に、これを一切やめるということになりますと、やはりそういった面で問題があるのではなかろうかというのが一つの理由だと思っております。
○川口委員 どうもそこがわからぬですよ、精神的な効用というのが。ぼくはたばこを吸わないけれども何ら痛痒を感じないのです。だから、精神的な効用というのは中毒なのか嗜好品なのかと聞いているわけです。私はある意味の中毒ではないかと思うのですよ。その辺はどうですか。
○小幡説明員 それではちょっとさかのぼりまして、たばこの有害論でございますけれども、先ほど厚生省から、あたかも疫学的な立場で害があるような御答弁がございましたが、私どももこの問題につきましては真剣に検討しております。昭和三十二年から医学の専門家に委託いたしまして幅広く検討しているわけでございますが、確かに統計的、疫学的なデータによりますと、喫煙というものは肺がんとか心臓病などに関連があるという指摘はございます。しからばそういった疾病と喫煙との因果関係はどうか。つまり、因果関係をきわめるという場合には、疫学的ないわば推定方法ではだめでございまして、それで医学の専門家が病理学的にいろいろと細かい検討を重ねているわけでございます。動物実験をいたしましたり、あるいは臨床医学の見地からいろいろやっているわけでございますけれども、いろいろむずかしい問題がございます。 なぜかと言いますと、喫煙が人体に作用を及ぼす仕組みというのは非常に複雑でございます。それからもう一つは、いろいろな要因がございます。たとえば大気汚染でありますとか、生活環境あるいは職業の問題、それからその人の遺伝的な体質の問題もございますし、既往の病歴の問題、それから年を加えると人間の体というのは変わっていくという加齢の問題、そういったいろいろな内的素因や外的要因が複雑に絡み合っておりますので、それを喫煙だけを特定要因として取り出しましてどうかということをきわめることは、いまの段階では非常にむずかしい。それで、私どもは内外の研究報告を専門の方にも見てもらいましたし、あるいは委託しております専門家の方々の研究データ、こういうものを総合して御意見を伺っておりますけれども、いまの段階では、疫学的にはいろいろございますけれども、病理学的にはまだこれは結論を得る段階には至っていない、そういうこと。それからもう一つは、たばこというのは嗜好品でございまして、新しいものではございませんで、長い歴史を持っておりまして、成人の間に広く定着しているわけでございますので、こういうことを考えますならば、まだ因果関係の科学的証拠は出ておりませんので、こういった段階におきまして特別の疾患を持った人、たとえば心臓病とか肺気腫のような疾病を持った方とか、あるいは吸い過ぎ、過度の喫煙、こういうものにつきましては疫学データでかなり濃い問題点が指摘されておりますので、こういった特定の疾患とか過度の喫煙は注意した方がいいと思いますけれども、一般的に言いまして、普通の健康な方の喫煙につきまして、これを一義的に有害である、こう決めることはどうかなと私ども思っておりますけれども、これは非常に国民の健康にかかわる重大問題でございますので、私どもは、この委託研究をさらに一層深く充実をして、何とかこういった問題に適切に対応していきたい、かように考えている次第でございます。
○川口委員 たばこには、余り吸わないようにと表示してあるそうです。とにかく毒と薬は紙一重ですよ。先ほど大臣がお約束したように、ひとつ十分に今後研究していただきたいというふうにお願いいたします。 次に、ガットの提訴の問題ですが、いろいろお聞きしたいと思いますが、同僚議員からお尋ねをしますので、一つだけお聞きいたします。 この中に、米国が日本に対して相応の報復措置をとることがあると書いてあるのですが、これは一体どういうことですか。
○名本政府委員 これは二つあるのでございますけれども、一つは、ガットの二十三条におきまして、ガットの協定に一国が違反しておりますときは、締約国団がその違反の事態が重大であるというように認めて、かつ、相当の措置をとることが適当であるというふうに認めましたときには、この協定に基づいております関税率の譲許というのがございますが、その譲許を停止するようガットとして認めることができる、許可することができるという規定があるわけでございます。これが第一点でございます。 それから、アメリカの通商法におきまして、通商代表部に提訴がありました節に、その通商代表部は、相手国の非関税障壁、そういうものがあって差別待遇をいたしておるというようなことが明らかになったときには、相手国に対する報復的な措置をとることを大統領に勧告することができるという規定、これはアメリカの国内法でございますけれども、あるわけでございます。 ガットのものは、国際条約でございますので、アメリカの国内法と違いまして、日本政府もそういうことがあることについてもちろん同意をした規定であるわけでございます。これがどういう内容のものとして出てくるかということは、現状においてはわれわれ推測することはできませんけれども、このガットで譲許いたしております関税率につきまして、その譲許というものの停止を許可することができるというのが報復の内容でございます。
○川口委員 現在輸入たばこは、金額にしてどのくらいですか。
○名本政府委員 本数で約三十億本、金額にしまして四百億円程度の輸入をいたしてございます。
○川口委員 仮にいまお話がありましたような報復手段がとられたという場合には、日本にどの程度の損害になりますか。 〔稲村(利)委員長代理退席、愛知委員長 代理着席〕
○名本政府委員 これは、アメリカ政府がどのような程度のものをどのようにいたしてくるか、全く予想もつきませんが、仮に何らかの手段を講じてくるということにいたしますと、これはアメリカのことですから全く推測でございますけれども、恐らく金額的に見て同じ程度のものについて何らかの措置をとってくるのではないかということは考えられるわけでございます。
○川口委員 そんなもの、全体から見ますると大した報復手段じゃないじゃないですか。ぼくはそう思いますよ。ですから、できるならば輸入しなければ、こういう問題は起きない。あなたの方のたばこは政府が認めるだけで、害がある、そんなたばこは要りません、こうなれば、これは何も問題がないでしょう。そうじゃないですか。
○名本政府委員 外国たばこを一切輸入しないということは、これは国内税相当について差別待遇をするというよりも、もっとより一層ガットの規約に違反することに相なろうかと思います。
○川口委員 そういうことですか。それじゃ先へ進みます。 五十三年度までの国庫納付金と利益積立金、これの案分といいますか、配分といいますか、その計算の基礎はどういうふうになっていますか。
○名本政府委員 先生おっしゃいます利益積立金と申しますのは、これは累積の金額でございますでしょうか。
○川口委員 いや、済みません、舌足らずですが、その年々の純益金があるわけでしょう。これを従来は国庫納付と内部保留というふうに配分しておったわけですよ。その配分の仕方です。
○後藤説明員 お答え申し上げます。 年次で申し上げますと五十年でございますが、たばこ事業益金額が七千九百三十五億円でございます。それに対しまして専売納付金が、五十年におきましては三千三百二十七億円……
○川口委員 いや、済みません、答弁中ですが、金額じゃなしに、案分の計算方法です。
○後藤説明員 わかりました。 計算の方法は、実は四十六年から大蔵省と私どもとの間で、納付金についての一定のルールをつくりました。それは、いわゆる国内総定価代金の五六%を第一種納付金といたしまして、残りの事業益金の三七・五%を第二種納付金といたしまして、第一種から地方消費税を引いたものと、いまの第二種を合わせたものを国に納めます、残りは公社の自己資本の資産手当てとしての内部留保に充てましょうというルールをつくりました。 それが五十年以降につきましては、オイルショックの後を受けまして、公社の益金率が非常に下がってまいりましたので、原則的には第一種を、いまの五六が途中で五二・五という時期がございますが、五〇%ということにしまして、第二種はやはり残りの事業益金の三七・五%というようなルールに変わりました。
○川口委員 時間がありませんので簡潔に。 五十二年度と五十三年度の計算の方法は違っていますか、同じですか。
○後藤説明員 特段変わっておりませんが、このいまの計算方法は、ある時期を通じての計算方法ということが基本的に了解になっておりますので、国旗の資金状況、それから公社の資金状況等見ながら三年間ぐらいの間には若干の調整ということは行っておりますが、基本的には変わっておりません。
○川口委員 と申し上げますのは、五十二年度の純利益金は約六千五百八十億、納付金が五千五百五十九億です。五十三年度の場合は六千五百四十億、純利益金が減ったわけですが、納付金は逆に五千六百五十九億と多くなっているわけです。これはどういうことかということをお聞きしておきたかったのですが、いかがでしょうか。
○後藤説明員 それは先ほど申し上げました点でございますが、実は五十二年度におきしては、先生先ほどの御指摘の事業益金から千二十八億内部留保いたしております。それで五十三年度は八百八十六億という内部留保にいたしました。
○川口委員 五十三年度の場合の内部留保が少ないということは、五十二年度より公社の財政がよろしいということですか。
○泉説明員 それはむしろ五十三年度の国の財政が苦しいから、公社の方に内部留保を減らしても専売納付金をたくさん納めてもらいたい。この五十三年度には別途特別の納付金もあったわけでございます。
○川口委員 わかりました。 次に、今回の値上げに伴う提案の理由がいろいろあるわけでありますが、私はこういう資料をもとにしてお尋ねいたします。 これによりますと、まず「前回の値上げ(五十年十二月)以来五十三年度末までに原価が約三割上昇し、」こうなっているわけですが、私が調べました試算によりますと、二割二分より上がってないのですよ。どうしてこういう資料を出すのですか。
○泉説明員 五十年から五十三年までは、いま先生のお話しのように二二%しか上がっておりませんが、五十四年の見込み、見込みだからいいかげんじゃないかというおしかりがあろうかもしれませんけれども、私どもの計算によりますと、五十四年の見込みでは三五%アップになるわけでございます。
○川口委員 ぼくはこの資料を聞いておるのです。この資料には「五十三年度末までに原価が約三割上昇し」と、こうあるわけですよ。ところが、ぼくの計算では、五十三年まで二二・二よりないのですよ。だから、どうしたことかと言っているのです。
○名本政府委員 お手元に参っております「成立が必要な理由」という書き物でございますが、これは実は五十三年度の決算ができる前につくりました資料でございます。五十三年度の予算におきましては、原価は三〇%をたしか超えていたと思いますが、これは製造原価、販売原価がございますけれども、いわゆる総原価におきまして三割を超えていたわけでございます。五十三年度の決算が動き出しましたところ、いわゆる円高の影響がかなり響いてまいりまして、結果的に、おっしゃるように製造原価という点でやってみますと、先生御指摘のように二二・一ないし二%というところに決算上落ち着いております。
○川口委員 だから、どうしてこういうものを出したかと聞いているわけですよ。二二・二よりないものをどうして三割と書いて出したかと聞いているのですよ。時間がないから簡単に言ってください。
○泉説明員 この提案をいたしましたときは、五十三年度の決算がまだ終わっておりませんでしたので、決算見込みの数字で出したわけです。そのときには三割程度上がるだろうということだったわけですが、いま監理官がお答えになりましたように、円高の影響でコストのアップがそれほどでなくて、五十三年度決算をしますと二二%にとどまっておった、こういうことでございます。したがって、いまならこの文書を書き直さなければなりません。
○川口委員 私はいまもらったのですよ。ですから、この二ページを読んでも「この間、たばこの原価は三割以上も上昇し、」こうなっているのですよ。私ども初めてたばこの値上げを審査するのです。こういう資料を出されるととまどっちゃうのですよ。 もう一つ、これによりますと、「毎月約二百億円ずつ減少し」と、こうある。私が計算したところによると、百五十六億よりないのですよ。それよりないのですよ。どうしてこう水増しの資料を出すのですか。
○名本政府委員 五十四年度当初予算におきまして、今回の値上げは五月一日を予定させていただきまして、二千二百億円余の増収を予定したわけでございます。その後、値上げの時期がだんだんずれてまいりまして現在に及んでおるわけでございますが、値上げの時期を境といたしまして、たばこの定価の変更を境にいたしまして、値上げの前にはいわゆる買いだめ、仮需要現象が起き、その後にはその買いだめをしたものを吸うということになりますので、売り上げががくんと落ちるということがございます。したがいまして、年度の区分がございますものですから、その区分の前後のところへまいりますと、いわゆる増収額、減収額というのはずれが生じてくるということが第一点でございます。
○川口委員 私の聞いている趣旨は、これは十一月にもらった資料なんです。十一月の資料ですよ。これには「毎月約二百億円ずつ減少し」と、こうなっているのですよ。いまの説明と全然違うのじゃないですか。トータルでそうなるかもしらぬけれども、資料は毎月二百億ずつ減ると書いてあるわけですよ。われわれはこれをもとにしていま審議しようとしているわけですよ。それではこの資料を出し直しますか。
○名本政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、この資料をつくりましたのは、五十三年度決算が確定する前の時点でございます。それをお持ちいたしましてそのまま御説明を申し上げたのは大変申しわけなく存じます。御説明申し上げました際に、その数字につきまして訂正をしつつ御説明申し上げるべきであったかと存じますが、それが行き届いておりませんでしたならば、この場をかりましておわびを申し上げますとともに、先ほど申しましたように、当時の数字から申しますと、毎月二百億円ずつ、ほぼその程度ずつ減少を見た。しかし、現在の時点で考えてみますと、先ほど申しました点が一つと、それからもう一つは、専売納付金率というのは年度を通じて掛けることになっておるものでございますから、そういう面からの差というものも十二月というようなときになってまいりますと、かなり響いてくるという面がございまして、数字は現時点で考えますと、確かに二百億よりも下回ってくるであろうというふうに考えます。
○川口委員 だから、それは値上げをしなかったために大体これくらいの減収になるというならわかるのですよ。毎月ずっと、こういうことは全然違うじゃないですか。大臣、これは資料を直しますか、差しかえますか。私はいま気がついたからいいようなものの、五百十一人の国会議員は知らぬのですよ。これを資料にして検討しているかもしらぬのですよ。差しかえますか、はっきりしてください。
○名本政府委員 その数字につきましては、この資料を差し上げた先生方のところに伺いまして、これはこの時点でこうであって、その後事態は変化してきておりますので、かくかくしかじかの程度になるでございましょうということを御説明させていただきたいと思います。
○川口委員 どうもこういうでたらめな資料では因るのですが、先へ進みましょう。 次に、この値上げの理由には、経営改善上避けられない、こう言っているのです。しかし、私の調査によると、五十三年度の純利益が六千五百四十五億もあるのです。これでも経営上足りないのですか。
○名本政府委員 専売公社の利益が六千億を上回るというのは、現在の仕組み上そのようになるわけでございまして、専売納付金が利益に計上されておりますので、専売納付金を差し引いたものが現実の公社の利益であるわけでございます。 そこで、専売公社の経営を円滑にしていくためにどれほど内部留保をとるか、あるいは国の財政をどう考えるか、そこらあたりのことから専売公社の経営、それから一方において財政状況というものも考えてまいらなければならない、そのために値上げをさせていただかなければならない。こういうことであります。
○川口委員 それでは別の角度からお尋ねします。 この五ページに、現行制度の表がございますね。これによりますと、専売納付金と公社の留保分を含めまして三二%になっていますね。これは五十三年でしょう。私の調査によりますと、五十三年の例をとりますと、純益は約一兆九千六百六十九億、これに対して納付金が六千五百四十五億、そうでしょう。ですから、専売納付金と公社留保を含めて、従来の例で言うと三二%しかないものが、納付金だけで三三・二七%あるのですよ。これでも経営悪化ですか。
○名本政府委員 先生の御指摘の数字は、売り上げの方が一兆九千億とおっしゃったと思いますが、この数字は製造たばこ売り払い代でございまして、この表で示しておりますものは言うならば定価ベースのものでございます。したがいまして、その間にいわゆる手数料その他のものあるいは輸出するもの、そういうものが入ってまいりますので、現実の国内定価代金と言っております本当の売り上げと申しますか、末端での売り上げ額、言うならばたばこの定価に本数を掛けたものは二兆一千億になるわけでございます。現在の専売公社の予算決算の経理は、手数料を除きましたところの、専売公社が現実に小売屋さんに売る価格で計上してございます。したがいまして、その数字を使いますとこの数字とは合いません。
○川口委員 ぼくはこの専売統計要覧から見たのですが、それじゃ次に進みましょう。 製造たばこ定価法というものを制定しているわけですが、これを制定した趣旨は一体どういうことですか。
○名本政府委員 製造たばこ定価法は、現在の財政法三条におきまして、租税を除くほか、特定の物品サービスにつきまして法律または国会の議決に基づいて定めるようにというふうに定めてございますが、この規定を受けまして定めてあるものでございます。
○川口委員 これとたばこ専売法の三十四条とのかかわりはどうですか。
○後藤説明員 製造たばこ定価法におきましても、四十年の改正によりまして現在の製造たばこ定価法ができたわけでございますが、これは一条でそれぞれの種類別、等級別の最高価格法定制をとっております。個々の銘柄につきましては、その最高価格の範囲内において品質、規格その他諸般の情勢を考えて大蔵大臣に認可申請をし、認可をいただいた上で公社が決定するという仕組みをとっておりますが、たばこ専売法の場合におきましては、はっきり三十四条で、公社が認可を受ける製造たばこについてはたばこ消費税というものもちゃんと含んでおるものですよ、専売法でございますので、いわゆる定価の性格について国民の皆さんの前にお示しをするということを織り込んだ法律でございます。したがいまして、この際、地方消費税も含めまして国、地方に納めます小売定価中の税率を決めましたので、この改正案では三十四条に専売納付金と地方消費税を含んだものですよということを宣言をしたということでございます。
○川口委員 簡単に言うと、これは上限を決めたものでしょう。そうですね。——上限を決めた定価法なんですが、今回法定価格の三割以内を場合によっては上げてもいい、この三割という根拠は何ですか。時間が余りないので簡単に言ってください。たくさん聞きたいので簡潔にひとつ。
○名本政府委員 三割増しを上限にいたしているわけでございますが、この三割増しは公社の経営が今後制度改正によりまして赤字になり得るとしたときに、原価が大体どの程度上がっておるかということを推計いたしまして、その原価の幅が大体その程度までいっておるだろうというふうに認められましたので、その原価をもとへ戻していただくということで三割にいたしました。
○川口委員 ということは、この資料によると大体四、五年は大丈夫だと書いてあるのですが、四、五年大丈夫ですか。
○名本政府委員 昭和四十年代の比較的安定した物価情勢のときにおきましてそういうものを想定いたしますと、おおむねその程度赤字にならないで済むであろうというふうに想定されます。
○川口委員 今回の値上げは五十年から四、五年ですよ。ですから、四、五年であるならば——時間がないから先へ進んでしまいますが、審議会などに答申をさせるようなことをしなくたって、今回も三割ですよ、さっき資料が違いましたが、とにかく三割、だから改定をした。またも三割という問題を見ると、むしろ三割上がった時点で考えてもいいんじゃないですか、今回だって三割上がった時点で考えているわけですから。その辺は一体どうですか。
○名本政府委員 先生おっしゃいますのは、つまるところ、定価決定につきまして特例を設けることについてのことと思います。これにつきましては、今回、専売納付金の率を決めるという制度改正によりまして、先ほど先生おっしゃいましたように、専売公社が現在六千億以上もの利益を持っておるという経営体質から、原価の上昇があった場合には、いかに経営努力をしても赤字に転落してしまうことがあり得る体質に変わることになるわけでございます。そういう制度改正による専売公社の体質の変化というものを考え、片や専売公社もまた企業でございますので、企業として能率的な経営をやっていっていただくということを求めるために、若干の定価改定につきましての弾力的な運用というものをお願いいたしたいというのが今回お願いしている趣旨でございます。
○川口委員 そこがわからぬのですよ。この七ページによると、「法定制の弾力化」を持たせることが「経営手腕をふるう余地を与える」ことになると書いてあるのですよ。「経営手腕をふるう」ようなことになれば値上げをしなくても済む。値上げの余地を残しておいて、それが「経営手腕をふるう」要素になるということは私は理解ができないのですよ。その点の考え方はどうですか。
○名本政府委員 値上げをいたしますと、たばこの売り上げが一時的に落ちるということもございます。それからまた、輸入たばこが入ってきて、市場におきまして、専売公社の製品である国内産のたばこと競争するということもございます。そういうふうな事態の中におきまして、まず今回納付金の率を法定するということは、従来でございますと、専売公社がいかに経営努力をして利益を上げても、それは専売公社に残るのではなくて、言うならば国が全部吸い上げてしまうということであったわけでございます。それを改めまして、国が一定の率で納付金を徴収する、残りは公社に残る。したがいまして、専売公社が合理化に努め、経営努力をいたした成果は公社に残るという制度を片っ方でまずつくったわけでございます。そういう制度のもとにおきまして、外国たばことの競争関係、それから値上げをすれば需要も落ちてくる、そういう状況の中におきまして、経営を健全にやっていくというたてまえのもとで専売公社がいかに経営という立場に立って価格問題を考えていくか。その際に、必要欠くべからざる、合理化によってもどのようにもできない原価の上昇による赤字部分というふうなものを、わずかではございますけれども、専売公社にフリーハンドを与えて経営に対処させることがぜひ必要であるというふうに考えたものでございます。
○川口委員 私の聞いている意味は、つまり「経営手腕をふるう余地を与える」、そのために値上げの幅を設けておくということの思想はどうかということを聞いているわけですよ。大臣どうですか。
○竹下国務大臣 私も正確に答弁できる自信はございませんが、私なりの考え方から申しますと、今度の改正の中で、まず地方消費税の問題と、そして専売納付金というものもこれを国税の一種としてとらまえた場合、それの比率を決めて、その後は労使の経営努力にまって、しかもその労使の経営努力がなされるところのいわば範囲とでも申しましょうか、そういうものがこの値上げの可能性の中に含まれておる、そういうふうな理解の仕方でいかがなものであろうか。したがって、いろいろ窮屈な問題が出てきました場合に、そういう幅の中でなお将来にわたっての値上げ等が抑制される可能性もあり得るというふうに理解できるではないかと思っております。
○川口委員 よくわからぬですが、一応先に進みます。 今度、これを円滑に進めるために審議委員、六人の特別委員の参加を講ずるような考えがあるのでありますが、しかし、審議委員というのは法律に定まっておりまして、委員長以下八人になっていますね。そうすると、この特別委員というのは、法律に定められておる八人プラス六人という意味なのか、そうでなくて八人以内だとすれば、現在任期がどういうふうになっているかわかりませんが、現在の審議委員を全部かえて新たに六人を選び直すというのか、その辺はどうですか。
○名本政府委員 現在、専売事業審議会の委員は、委員長の外八名でございまして、全体で九名でございますが、この方々はそのままにいたしまして——実は専売事業審議会令で、これは政令でございますが、特別の場合に別途特別委員を任命することができるという規定がございますものですから、その特別委員として、専売事業関係者、消費者の方々、そういう方をお願いいたしたいということでございます。
○川口委員 それから、この審議委員の任務ですが、これもやはり法律に決められておりまして、時間がないので法律を読むわけにいかぬですが、価格について答申する権限を与えるということは財政法三条の拡大にならないか、むしろ違反にならないかと思うのですが、この点の見解をひとつ簡単にやってください。なるか、ならないかでいいです。
○名本政府委員 財政法第三条の現在の規定は、法律に基づいて定めるという規定になっておりますので、種々検討いたしましたが、違反には相ならないというふうに考えております。
○川口委員 それでまだ疑問があるのは、専売公社法の三十四条の二では、予算の作成、そして大蔵大臣に対する提出、閣議の決定、国会への提出、こういう手順を踏むことになっているわけですね。しかも、これには事業計画や資金計画も含めるわけであります。さらに、三十四条の三にまいりますと、予算総則というものが出ておりまして、収入支出予算及び債務負担行為についても決められておるわけですね。そのほかに、三十四条の四にまいりますと、予算の流用等の経費についても指定されているわけです。 こうなってまいりますと、審議会にいかに価格の答申をお願いしても、それは必ず国会にかかることになるわけですよ。それではどうして国会の審議を省略して審議会にかけるようなことで事を済ませようとしたか、その魂胆がわからないのですよ。そこをひとつ説明してください。
○名本政府委員 特定の事業年度において赤字が発生するというようなことになりますと、先生がおっしゃいますように、一般的に申しまして、値上げをしたかっこうの収入支出予算を作成するということが行われるというふうに考えます。
○川口委員 ですから、審議会にかけてみても、それは事務的には可能かもしらぬが、しかし、法律的には何ら効果のないものだ。しかも、手続上も省略にならぬ、予算そのもの、流用そのものを国会に提案しなければならぬ仕組みになっておるので、何ら省略にならぬ、こう考えて私はお尋ねをしたわけであります。 次に、もう一つ大事なことは、六ページにこういうことが書いてあるのですね。「国鉄のように毎年のような値上げは考えられず、具体的には四〜五年に一度程度」だ、こう言っておりまして、しかも、「物価、賃金等の客観指数から構成される一定の方程式で引上げ限度が算出される」、こうなってまいりますと、裁量の余地というものはないものだと思うのですよ。それをどうやって裁量の余地のあるような運用をなさろうとするのか、その点は私、疑問であります。 時間が参りましたので、お答えを得られる時間がないのですが、意見だけ申し上げさしていただきたいと思うのです。非常に疑問です。ですから、これはやはり手数でありましても、あるいはいやな思いもするでありましょうが、やはり四年に一度ぐらい三割程度の、つまり値上げを必要とする場合は国会にお諮りするようにすることが正しい法律の運用のあり方である。また、現に先ほどいろいろ数字を申し上げましたが、そんなに財政的に苦しい立場になっておらぬ、仮に、今回値上げするような状態になったとすれば、そんな窮屈な状態に私はならぬと思うわけであります。 したがって、私、最後に大臣に申し上げますが、私の持論でありますが、国や地方団体の赤字の要因というのは、私は主に支出にあると思うのですよ。支出に原因があると思うのであります。でありますから、いま一生懸命歳入について御苦労なさっておるわけでありますが、歳出についての監視、監督、指導を怠りますと、何らこれは意味をなさないことになるのです。私は、かつてこの席から、この前に大臣に申し上げましたが、末端においては補助金の不正、あるいは地方団体においてはやみ旅費等があるということを二年前に指摘しておるのですよ。そういうものについて十分御配慮があっていろいろ対策を立てていただくならば、今回、世間に騒がれているような、あるいは国会で問題になっているような問題は起きなかったのじゃないか、こういうふうに思いまして、私の意見を十分おくみとりいただけなかったことに対し大変残念に思っているわけです。 今回も時間の制約がありまして、質問を打ち切らざるを得ないわけでありますが、どうかひとつたばこそのものに対しても、国民が安心してたばこを吸えるようなそういう供給の体制を整える。財政運営につきましても適切な運営を試みる、また、たばこ等の値上げ等につきましても、安易な便宜的な方法をとらずに、やはり正道を歩んだ法案の取り扱いをぜひお願い申し上げたいというふうに意見を申し述べまして、終わります。
○愛知委員長代理 柴田弘君。
○柴田(弘)委員 今回提案をされましたたばこの値上げ法案、いろいろとお聞きをしてまいりたいと思うわけであります。 大蔵大臣、いままで遠いところで大臣の姿を拝見をしておりまして、初めてこうして質問をさせていただく機会をいただきまして、非常に恵んでおる次第であります。どうかひとつ誠意を持って御答弁をいただきたい、このように思います。 まず、予算編成と物価の問題につきまして、今回のこのたばこ値上げ法案というものがどのような位置づけであるかということについて、私は数点にわたってお尋ねをしていきたいと思っております。 大臣も御承知のように、昨日、七月から九月にかけましての国民所得の速報が発表されました。成長率は前期に引き続きまして実質一・八%増の高い水準にあるわけであります。しかし、この実質成長の中身をよく見てまいりますと、個人消費の伸びが前期に比べまして減少する一方、経常海外余剰が大幅に伸び率を高めている、つまり輸出依存への傾斜を強めているわけであります。こうした輸出依存によって成長の落ち込みが仮にカバーできたといたしましても、恐らく海外からはかつてのあの失業の輸出と言われた批判が強まるのではないかと危惧するわけであります。 こうした海外からの批判を避けながら経済の安定成長を確保するためには、今後どのような経済運営というものを進めていくのか。財政面、特に昭和五十五年度予算案においてどう大蔵大臣として対応されるか、まずお聞きをしておきたいのであります。
○竹下国務大臣 いま御指摘になりました七−九月期国民所得統計速報、これは今後当然これを踏まえて経済見通しを立てていく貴重な指標の一つになるわけでございます。 したがいまして、来年の経済見通し全体に対する考え方の御質問でございますが、いまのところという前言葉を置いたといたしまして、とにもかくにも民需に支えられまして、一応拡大傾向をたどっております。そうしてまた雇用の改善も、漸次ではありますが、これもなされておるという意味におきましては、特に上半期の模様を見ますと、そうしたような感じがいたすわけでございますけれども、さて、その後の特に卸売物価の上昇等からいたしまして、これはまさに石油価格の高騰と円安という外的要因とでも申しますか、これが大きなウエートを占めておりますものの、いずれは消費者物価にこれが影響が出てくる。そういうことに対して、物価問題に対しては大いに警戒をして当たらなければならぬ。したがって、いまの時点で私どもが申しておりますのは、景気、物価両にらみという形の中で経済指標等を基礎にして、これから来年度の経済見通し等は、経済企画庁等からも詰めていくわけでございますけれども、特に物価というものに警戒を置きながら見通しを立てていかなければならぬ。その中の要因の 一つといたしましては、来る十七日に行われますOPECの総会というようなものも大いに関心を持って当たっていなければならない大きな要素の 一つである、このように考えております。
○柴田(弘)委員 いま大臣から御答弁をいただいておったわけでありますが、私は、やはり物価安定というものが今後の大きな一つの政府の政策課題である、このように考えます。大臣もいまいろいろとお話がありましたように、原油の高騰あるいは円安、こういった問題が今後大きな物価高騰の要因になってくるわけであります。それで、政府としてもすでに公定歩合の引き上げ等の措置をとって、こういった物価安定へのいわゆる一つの地歩を固めつつあるというふうに思うわけでありますが、しかし、さらに金融、財政両面からの引き締め政策というものを今後とっていかなければならないのではないか、私はこういうふうに考えます。 しかし、こういうふうになってきますと、国内需要が不活発になりまして、わが国の経済というのは輸出依存が強まる。こういったことで、やはり物価の安定が一番大事だ。ですから、こういった状況のときに先陣を切ってたばこ値上げ法案を提案されるということにつきまして、私は非常に疑問を持っているわけであります。いまいろいろと御質問があったわけでありますが、政府がいまやるべきことは、この物価安定のための対策にどう取り組んでいくか、先陣を切って公共料金ともいうべきこのたばこ値上げをしていくということですが、これは今後とも物価の高騰の大きな要因になってくるというふうに考えるわけでありますが、大臣、ひとつお考えを聞かせていただきたいと思います。
○竹下国務大臣 ただいま御審議いただいております法案は、言ってみれば、いま執行中であります五十四年度予算の財源として御審議いただいておるわけでございます。いま委員御指摘のとおり、これが五十五年度予算編成に当たって、あるいは電気料金等値上げ申請が出ておりますもろもろの公共料金に対するはずみをつけるではないか、こういう御意見でございます。公共料金全体に対しましては、受益者負担の原則を加味し、しかも直接五十五年度予算編成に関連する問題につきましては、それぞれの段階でいま検討しておることでございますけれども、私は、不徳のいたすところ今日まで廃案になっていたこの法案でありますけれども、もともと五十四年度の財源として予測をした法律案でございますので、これを提出したことによって各種公共料金へのはね返りのはずみあるいは牽引車になるというふうには理解いたしておりません。
○柴田(弘)委員 要するに、そのところに大臣の経済見通しの甘さがあるのではないかと思います。いま大臣からもお話がありましたように、卸売物価は一五・二%、消費者物価も、当初見込みの中に入るのではないかというふうに予測はされておりますが、先般発表されました東京都内の区部における消費者物価も、原油高騰を反映しまして非常に上がってきておると私は見ております。そういった状況のときに、他の公共料金にこれが波及しないわけはないと思う。あくまでも政府の提案によってこのたばこ値上げが強行されたという事実は、他の公共料金あるいはまた他のいろいろな石油製品の値上げに大きく波及してくるのではないかというふうに私は危惧をいたしておりますし、それが国民生活の大きな圧迫となってくるのではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。くどいようですが、大臣、もう一度答弁をいただきたい。
○竹下国務大臣 公共料金全体の問題は、五十五年度予算の査定の中で取り上げるものが幾つかございます。それとは別にいたしまして、電気料金等最後は政府が閣僚会議にかける問題もございます。この公共料金の値上げという問題につきましては、そのときどきの経済情勢を勘案いたしまして行い、また、民間からの申請のありましたものについては査定をする、こういうことになるわけでございます。 公共料金はだれしも上げたくないのでございますけれども、予測される公共料金の査定の問題等について、本年度の財源として考えたたばこ値上げ法の提出そのものがはずみをつけることはないのではなかろうかと思っております。
○柴田(弘)委員 じゃ、次の問題に移らせていただきますが、まず今回の法案提出、いわゆる財政収入の確保、こういった問題からお尋ねをしてきたわけでありますが、御案内のように、この法案がさきの八十七通常国会におきまして提出された時点においては、大蔵省の見通しでも一兆九千億と言われる今日のような税の自然増収が予測できなかったと私は考えております。また、逆に景気の動向によっては当初予算の十五兆二千七百億円を上回る国債発行さえも検討せざるを得ない、こういったような状況にあったのではないかと思うわけであります。こういった点から申しまして、財政再建が緊急の課題としてあるということは変わらないといたしましても、五十四年度においてはたばこの値上げによる財政収入は年度で二千二百億と言われておりますが、五十四年度内のこの後の年度末までの残りの月数では、一月から値上げをしても約六百億というふうに考えるわけであります。ですから、税の自然増収があったということによって、今後大きな家計負担あるいは諸物価にはね返ってくるといった現実を踏まえましたときに、いまここでこの法案成立を急ぐ必要はないのではないか、このように考えております。当初予算を審議されたときといま大臣もおっしゃいましたが、いわゆる民間主導の景気回復によって徐々ながら回復されてきておる、しかも、当初予算のときに比べて一兆九千億自然増収をもたらしたというこの現実を踏まえた場合に、当時と比べて経済の基本的な土台が変わってきておるのではないか、こういうふうに理解をいたしておるわけですが、大臣、どうですか。
○竹下国務大臣 五十四年度における自然増収が一兆九千億期待されておるじゃないか、そういうときにこの法案をさらに提出するというのは、むしろ自然増収等でそれらの財源の欠陥は補うべきであって、これをもって充てるべきではないではないか、こういう御趣旨の御質問でございます。 いま考えておりますことは、四割と言われる赤字、借金財政をしておる、だから、いち早く国の財政自体が自立回復するためには、まずこれを減らすことに思いをいたさなければならぬ、したがって、来年度予算におきましては今年度の発行額よりも少なくとも一兆円はどうしても減らそう、そういうことによって財政自体が、好況のときも不況のときもそれの下支えになり得る自前の力をつけていこう、こういうことを基本的な考え方にしておるわけであります。 したがいまして、一兆九千億——これは一兆八千億から九千億と申しておりますが、その上限をとったと仮定いたしましても、この中には国税三税の三二%になります地方交付税が入ってまいりますので、これらは当然のこととして地方へ差し上げなければならぬ、また、その他義務的諸経費の整理すべき問題もございます。そうして、残ったものをどうするか、こうおっしゃいますと、私どもといたしましては、やはり五十四年度の公債発行額の減額にこれをもって充てたい。まだ先の話でございますけれども、少なくとも早目早目にいわゆる借金財政からの脱却を図っていきたいという基本的考えを持っておりますので、自然増収は、差し引いたものはやはり公債減額に充てさせていただきたい、そして当初予定しておった歳入財源については引き続きこれが入るように御協力をいただきたい、こういうのが精いっぱいの気持ちであります。
○柴田(弘)委員 いま大臣のいろいろな御答弁をお聞きしたわけでありますが、公債の減額をする、これについてはやぶさかでございません。しかし、この自然増収というものは、所得税あるいは法人税の伸びが昨年に比べて堅調であった、つまり、言葉を変えて言えば、国民の皆さんの努力によってもたらされたものである、このように理解をいたしております。特に、この所得税につきましては、大蔵省でも言っておりますように、ことしは所得税の減税が実施されなかった、だから、この点が大きいんだ、このように言っているわけでありますが、この五十四年度の税の自然増収一兆九千億、これは国民的な利益とも言えるわけです。また、それが今後の経済運営にも大きくプラスになってくるということでありまして、こういった状況のときにありながら、国民に対して利益を還元するという意味からも、国民に今度は逆に負担をもたらすたばこの値上げについては、そしてまた他の物価に波及すると言われるこの値上げについては、私は理解に苦しむわけであります。ですから、今回のこの値上げについては、私は、このようなことを言って恐縮でございますが、大蔵省の財政エゴではないか、こんなように実は考えておるわけであります。 観点を次に変えまして、続けて御質問をしていきたいわけでありますが、先般大蔵省は五十五年度の財政試算を発表されました。いわゆる二つの骨格、フレームに分けまして、AとBを発表されましたが、この中の「税外収入等」の中にこのたばこの値上げを見込んでの増収というものは入っているのかどうか、これをまずお聞きをしておきたいわけであります。
○吉野政府委員 先日私どもが作成いたしました五十五年度の財政事情の試算でございますが、この性格から申しまして、歳入もそれから歳出もそうでございますが、個々の予算の内容をいわば査定的に積み上げてつくり上げたものではございませんで、平たく申しますと、いわばマクロ的に歳入と歳出の両側の事情をA、B両ケースに分けてお示ししたものでございます。 そういう性格とも関連するわけでございますが、御指摘の税外収入でございますが、これは御指摘のように、ケースAあるいはB、いずれも一兆九千億という数字を掲げてございます。これを五十四年度の税外収入の数字と比較をいたしますと、約六百億の増という数字になっているわけでございますが、この一兆九千億といいます税外収入の数字そのものは、ほかのものもそうでございますが、積み上げではございません。 そこで、この税外収入は、これも御承知のように、主たる内容は専売納付金あるいは日本銀行の納付金であるわけでございますが、いずれにいたしましても、まだいろいろ不確定要素が多うございまして、具体的に数字が積み上げられない。そこで、この試算におきましては、いろいろな状況を勘案いたしまして、一兆八千四百億というのが五十四年度の当初予算の数字でございますが、この五十四年度の数字とほぼ横ばいという考え方で置いたものでございます。いわば百億円単位以下を一兆八千四百から上の方に、平たく申しますと丸めて一兆九千億と仮に置いた数字でございます。その結果といたしまして六百億増という形になっているわけでございます。 御指摘の、しからば入っているかどうかという点でございますが、五十四年度の一兆八千四百億という数字それ自体が専売納付金を含んでございます。そのような意味におきまして、観念的にはもちろん五十五年度の一兆九千億という数字の中にも専売納付金は入っておる、こういうことでございます。
○柴田(弘)委員 二一%の値上げを予定しましたこの五十四年度のときは、値上げをするという前提のもとで、概略ですが、恐らくこの一兆八千四百三十一億の中には七千五百億円、五月一日の値上げを予定して税外収入を積算されたと思うのであります。五十五年度は一兆九千億、こういう形で出されたわけでありますが、この数字からいきますと、私は当然税外収入の中に値上げを見込んでこの一兆九千億を積算され、計上された、このように考えるわけでありますが、いかがなものでしょうか。
○吉野政府委員 計数的に幾らということはまだなかなかお示しし得る状況ではございませんが、私ども現に今日この専売公社法等の改正案の成立を強くお願いしているわけでございます。そういうこともございますが、いずれにいたしましても、考え方といたしましては、この一兆九千億の中に値上げに伴います専売納付金の増は入っているというふうに御理解いただきたいと思います。
○柴田(弘)委員 それで、大臣にお聞きしておきたいわけでありますが、何とか値上げを通してくださいというお気持ちは、いまもおっしゃった、私はわからぬでもないわけです。しかし、このフレームを出されたのは十一月三十日だと思います。現在まだこの値上げ法案を当委員会において審議をいたしております。この段階において、このフレームの中の税外収入の中にすでに値上げを見込んで試算をされ、発表されたということは、私はこれは国会軽視ではないか、こんなふうに考えるわけであります。 しかも、先ほど来議論がありましたように、この法案自体が法定制緩和あるいは財政民主主義というものを後退させるような内容を盛り込んでいる。こういうことをあわせて考えてまいりますと、私はこの法案の提案につきましては二重の国会軽視ではないか、このように言いたいわけでありますが、御所見はいかがでしょうか。
○竹下国務大臣 先ほど金丸国対委員長とちょっと話をしておりまして、あるいは聞き漏らしたことがあるかとも思いますが、一兆九千億の中に、税外収入の中に入っておるということは、やはり昭和五十四年度の予算の歳入として見積もり、それに期待をつないで、引き続き国会で御審議いただいておる、こういうものでございますので、政府として提案権を持ち、そしてその中に期待をしておる段階で、それを初めから抜いて出すということは、国会の審議にゆだねておる今日、ゆだねながらどうでもいいものを出したのじゃないかと言われると、かえってそれこそまた国会に対して失礼なことになるではないかという考え方も成り立つのじゃないか、このようにも思いますので、あくまでも五十五年度財政事情の試算として出しましたこのケースA、Bでございますが、それについて、これが入っておるということが国会軽視という批判には当たらないではなかろうかというふうに考えております。ただ、法案そのものでいわゆる法定主義に少しでもゆとりを持たすということについての御議論はまたこれは別の議論としてあろうと思いますけれども、試算に対する問題としては、私はそれはそれなりに、お互いの主義主張の相違もございますが、底辺ではそれこそ御理解いただける問題ではなかろうかという感じがいたしております。
○柴田(弘)委員 大臣、御答弁いただきましたが、それは大臣のお言葉として私はお聞きしておきます。これ以上この問題についてやりますと平行線でありますが、私はこれはやはり国会軽視ではないか、このように考える次第であります。 それから続きまして、先ほどちょっと申しました法定制の緩和という問題でございます。この問題に関連して、やはり大臣にお伺いをしておきたいと思いますが、本国会におきまして大平総理大臣の御答弁でも明らかなように、一般消費税の五十五年度導入を断念されました。このことにつきましては、もちろん、私たち従来から主張いたしておったわけでございますので歓迎をいたすわけでありますが、しかし、大蔵省は昭和五十四年度の税制改正の要綱、これは五十四年一月十九日の閣議決定でありますが、ここにおいて一般消費税については「昭和五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進める。」このようにされております。一般消費税の導入に非常に意欲的、積極的であったわけであります。しかし、こうした大蔵省の非常に強い意思にもかかわらず、この一般消費税の導入は総選挙を通して国民から拒絶をされました。この事実は国民が財政再建の必要性を認めるにしても、その方途について、特に大蔵省、財政当局が一方的に国民負担を強化することに強い反対を示したものである、このように私は考えるわけでありますが、大臣はどのようにまずお受けとめになっているか、表明をしていただきたいわけであります。
○竹下国務大臣 ただいま御指摘のように、財政再建の初年度、一歩を足するとでも申しましょうか、五十五年度予算には財政再建の手だてとして、いわゆる一般消費税以外の手だてでもってこれに対処していくということが決まったわけでございます。 しかし、大蔵省といたしまして、むしろ政府といたしましてと申しましょうか、今日まで、いま御指摘になりました五十四年の閣議決定に基づいて諸般の準備を進めてきたわけでございますけれども、それが今日の段階では、国民の拒絶という表現を委員はなさったわけでございますが、私の方から申しますならば、十分理解を得るに至らなかった、こういうふうな判断からいたしまして、財政再建初年度の手だてとしてはこれ以外のものでやる、こういうことを決めたわけでございます。
○柴田(弘)委員 それで、法定制緩和の問題に入っていきますが、この件につきましては、さきの八十七通常国会で本委員会でも相当重点的に審議を尽くされました。私も議事録を読まさしていただきまして、本当に皆さんがんばっていただいたと敬意を表するわけでありますが、しかし、これに対する政府あるいは公社の答弁というものは、私は率直に言ってきわめて説得力に欠けておる、法定制の緩和の必然性というものは認められない、このように判断をいたすものであります。 この法定制緩和は、法案を見てまいりますと、一・三倍以内ということで、三〇%以内ということでありますが、公社の経営状態あるいは物価変動率の範囲、そしてあらかじめ専売審議会に諮問をして一定の歯どめをかけ慎重に扱うという条件というものが付されておるわけでございますが、これは先ほど来大臣も御答弁になっておりますように、たばこの定価の問題、これは財政収入と切っても切り離せない、そういった性格を持っておりますので、この運用面におきまして財政当局の意思が私は大きな比重を占めるものと考えます。この面から言いまして、たばこの値上げに便乗をした法定制緩和を図るということは、これはやはり先ほど来申しております、国民にそれだけのより以上の負担というものをかけてくると思うのです。ちょうど、先ほど来質問いたしました一般消費税と同じく、国民に対して財政当局が一方的に増税を押しつけるものではないか、このような理解を私はいたしておりますが、とにかくさきの選挙において、大臣はいま理解を得るに至らなかった、こうおっしゃったわけでありますが、完全に拒絶反応を国民はしておると私は理解をいたします。ですから、こういった増税反対という国民の意思を尊重する意味からも、この法定制の緩和については、この際やはり削除をしたい、このように私は考えておるわけでございます。この法定制緩和の削除を含めまして、値上げの問題は先ほどで議論いたしましたので、それは済んだものとして、この問題について対処されるお考えがあるかどうかお聞きをしておきたい、このように思います。
○名本政府委員 法定制の緩和につきましては、これは財政法三条、それから三条の特例法を受けた現在のたばこ定価法の改正に相なるわけでございますけれども、これは今回別途同じ法律の中で別にお願いしてございます専売納付金の率を定めるという、その制度から出てくる問題に対する解決策であるわけでございまして、これによりまして国の財政収入を上げるということを目的とするものではないわけでございます。これを発動します場合の条件にもございますように、公社の経理に赤字が発生するという事態になったときに、公社の経営という面からこの条項を使わしていただくというものでございまして、国の財源の増加を図るということからこの条項を用いるということを考えているものではないわけでございます。 仮に国が専売納付金の増額を図るということをいたすといたしますならば、これは専売納付金の率、現在平均しましてほぼ五五・五%程度に相なりますけれども、この率を上げさせていただく、いわゆる増税になりますけれども、そういう法律改正を国会にお願いをいたすという運びになろうか、かように考えます。
○柴田(弘)委員 ちょっと理解に苦しみますが、要するに五五・五の納付金率の設定、これは理解ができます。それがどうして法定制緩和に結びつくのですか、一・三という。これは私は理解に苦しみますね。 この問題は、大臣、いわゆる増税に対する大臣の政治姿勢としてお伺いをしているわけでございまして、やはり大臣からも私は御答弁をいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 私の元来からの考え方から申しますと、やはりいわゆる特殊法人、公社、事業団とでも申しましょうか、それは、官僚機構の中でいろいろなものが行われておるわけでありますが、それに企業経営の活力というものを加味して、そのときどきの必要性によってできるものでございます、専売はもちろん古い歴史があるわけでございますけれども。したがいまして、経営の余地というものが私はある程度のものがあることによって、むしろ労使でございますとか、あるいは葉たばこの価格でございますとか、もろもろのそういうものの中に一つの許容した、何と申しましょうか当覇者能力というようなものがおのずからできることが、経済運営の活力というものとイコールするものではないか、こういう考え方の上に立っております。
○柴田(弘)委員 どうもその当事者能力というものがわかりませんですがね。 いま一つの問題は、法定制緩和、国鉄運賃の問題あるいはたばこの問題、さらに今後郵便料金等々、この値上げをいま検討されているというふうにお聞きをしておるわけでありますが、やはりこれは今後の財政当局として、あるいは政府としての経済運営、財政運営、そして特に国民生活の負担という問題で私は重大な関係を持ってくる、こういうふうに考えております。 〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、この法定制緩和というものがいわゆる他の公共料金に波及をして一つの慣例化をしてくるということに私は非常に大きな危惧を感じております。ですから、いま当事者能力云々という話がありましたが、私はそれではちょっと納得できません。こういったいまの点も含めまして、いわゆる主務大臣たる大蔵大臣としての御見解をお聞きしておきたいというふうに思います。
○竹下国務大臣 いま公社の立場からの考え方をちょっと聞いてみたものでございますので、それについて答弁がおくれたことをおわびいたしますが、私は、まず今回の法律改正によりまして、いわゆる納付金率というものが確定され、そして地方税が確定され、それから手数料が確定され、そしてそのトータルの中でそれが確定された後の中でいわゆる経営努力というものが行われるのには、やはりそこに幾らかの、何と申しましょうか、きちっと法律で縛ったものでないものが残ることの方が、経営全体の中で自己努力がなされたり、逆に言えば当事者能力というものがその限りにおいてはそれだけ付与されるということになりはしないだろうかという考え方であります。
○柴田(弘)委員 そうすれば、国会の審議ということとこれに関連してお聞きしていきますが、つまり三〇多以内であれば、これは国会の審議をしなくともいいわけですね。要するに、これはいま言いましたような三つか四つの条件を付帯して、そこまでの緩和措置がとられるわけでありますね。しかし、私は先ほど来申しておりますように、一つは、これは国会審議というものをこういったものについては国民生活に負担になるという問題において、やはりもっと慎重に取り扱っていかなければいけないと思いますし、しかも、これが国鉄がやり、今度公社がやる。これは郵便に恐らく波及してくるだろうというふうに私は思っておるわけですね。恒例化すると、これは大変なことになる。いかに当事者能力云々とおっしゃっても、やはりそういった安易な値上げの道を開く、こういったものについては、私は削除すべきではないか、このような考え方で御質問をしたわけであります。恒例化する、慣例化するということについて、いま一度大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○竹下国務大臣 各種公共料金についてのいわゆる法定主義の本質、なかんずく、恐らく柴田委員のお考えになっているのは独占企業ではないかとか、そういうような角度、したがってまた、すべてを法定主義の中に置くべきものであって、少しでも外に置くべきものではないという考え方だろうと思うのでございますが、いろいろな公共料金がございます。たとえて申しますならば、道路公団とか公社とか、そういうところのいわゆる利用料金がございます。そういうものは、大臣の認可に任せられておるというようなものもございます。したがって、私は公共料金に属するもの全部が全部法定主義であるべきであるという考え方はとっておりません。何回か申しましたように、むしろ専売公社そのものがどんなにしても赤字が生ずるような事態の中にある種の弾力値を持たしておくということ、そのことが少しでも経営努力というものにつながるものじゃないかというふうに、私は理解をいたしております。
○柴田(弘)委員 大臣、御答弁をいただきましたが、理解ができません。しかし、時間の関係もありますので、その次に進ませていただきます。 公社の総裁が適当かと思うのですがお聞きしておきますが、今回納付金率の法定化という問題があります。ここで、一つは公社の経営責任というものが明確になったということ、これは経営という問題におきまして一層厳しさを増してきたのではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。もしそういった経営の効果というものが上がらなければ、やはりコストの上昇ということを理由にしてまた安易な値上げに走る、こういった危険性があるのではないかというふうに考えるわけでありますが、公社の経営の合理化という観点から、ひとつこの問題についての御答弁をお願いいたしたいと思います。
○泉説明員 今回専売納付金率の法定化を行うということは、公社の損益というものがそれによって明確になり、公社の経営責任がはっきりするということはもう御承知だと思います。 従来は、専売公社がたばこ事業を行いまして、利益があった場合にはその利益のうちから納付すればいい。そうしますと、公社が経営努力を払って利益がふえたらふえたなりに納付金は納めなければいかぬ、公社が経営努力を余りしなくて利益が減ったら減った額の中で納付金を納めればいいということでありまして、どうも制度としておかしいではないか。公社としましては、もちろん利益の中から納めるという形の方が経営上は楽なんです。しかし、私はそれは消費者に対して、消費者が吸うたばこに一体税金相当分が幾らあるんだということを明示しないものでありますし、また公社の経営にとっても、そういう努力をしてもしなくても結果は同じだというような形でなしに、専売納付金を法定化することによって公社としては大いに厳しい状況になる、その厳しい状況のもとで経営努力をするんだということが大切だというふうに考えておる次第でございます。
○柴田(弘)委員 それで、その経営の努力という問題でありますが、先ほど来どなたかの質問に対して総裁もお答えになっておったわけでありますが、いわゆる国内産の葉たばこの過剰在庫の問題が非常に頭の痛い問題で、いつまでたっても、消化できるかわからないという問題があったわけでありますが、この過剰在庫につきましてお尋ねをしたいわけであります。 まず最初に、会計検査院がお見えになっておればお尋ねをしたいわけでありますが、私もこの昭和五十二年度の決算と検査を読ましていただきました。それからまた、いろいろな実情を私なりに調査をしていきますと、この過剰在庫の解消というものは非常に大きな問題があるわけでありますが、しかし、これをこのままよしということで放置しておく問題ではないと思うわけであります。それで、検査院の方から御答弁をいただきたいわけでありますが、この過剰在庫は一体ここ数年どのような推移を見ているのか、数量、そして金額についてお尋ねします。 それから、この検査院の報告にもありましたが、過剰在庫による資金の固定化、あるいはまた諸経費の負担というものはどれだけの金額的な負担になっておるのか、あわせてお尋ねをしておきたいわけであります。
○疋田会計検査院説明員 御答弁申し上げます。 まず第一点でございますが、私どもが持っております数値を申し上げますと、国内産葉たばこの過剰在庫の数量でございますが、最近五年間の数量と金額につきまして申し上げたいと存じます。 まず昭和四十九年度は二方九千トン、金額にいたしまして三百三十億円程度、それから五十年度は四万一千トン、金額にいたしまして五百八十億円程度となってございます。さらに、五十一年度につきましては七万三千トン、約千百二十億円程度となってございます。それから、五十二年度につきましては九万二千トン、約千五百十億円程度になってございます。さらに、五十三年度は十万五千トン、千八百二十億円程度になってございます。 それから、第二点の資金の固定化の関係でございますが、こういった過剰在庫によりまして資金が固定化いたしておりますために、金利負担などがふえているのではないかという御趣旨の御質問かと存じますが、私どもが理解いたしておりますのは、専売公社が保有しておられます葉たばこは、従来自己資金あるいは無利息の国庫余裕金の繰りかえ使用によって賄っておるわけでございまして、外部からの借入金に頼ってはおりませんでしたので、金利負担という問題は生じなかったものでございます。 それから、過剰在庫を抱えることによって増加する諸経費といたしましては、葉たばこの倉庫業者に保管、寄託することによります保管料が主要なものでございますが、このほかに、たるの購入費あるいは虫害防除のための経費等もございまして、これらを合わせまして、検査報告に特記事項として掲記いたしました五十二年度におきます金額は約二十一億円程度になっているのではないかと本院では推計しておるわけでございます。
○柴田(弘)委員 もう一つお聞きします。 検査をされまして、やはり過剰在庫がこのようにできた一つの原因、いろいろな要因はあると思います。私はその点も理解できるわけでありますが、やはり公社の作付に対する技術指導というものが事前の段階において行われなかったということもあるのではないか、このように私は理解をいたすわけであります。その点はいかがでしょうか。
○疋田会計検査院説明員 御答弁申し上げます。 耕作者の方々に対します指導が不十分であったのではないかという御質問でございますが、専売公社におかれましては、葉たばこの品質回復を図り、適正な収量となりますように目標収量というものを設定したり、あるいは適正な肥料、虫害の共同防除、こういったような耕作者の方々の指導に毎年きめの細かい努力をしておられるところでございまして、このような努力がより早く行われていれば、先生御指摘のとおり、これはある程度減少させることができ得たであろう、このように私ども考えております。しかしながら、その努力の足りなさというものが直ちに不当とは言えないと判断いたした次第でございます。
○柴田(弘)委員 どうもありがとうございました。 それで、公社にお聞きしますが、いま会計検査院の方から答弁がありましたように、過剰在庫が年々ふえてきておる、これは、先ほど来申しておりますように、いろいろな要因があると思います。が、しかし、やはりその中の一つとして、事前の段階においていま一歩公社が作付指導等々に十分な配慮をなされておるならば、こういった点も、全部とは言いませんが、解消されたのではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。 それといま一つ、こういった過剰在庫を抱えて、これを、先ほど来総裁も答弁なされておったのですが、香料を加味したり、技術を開発したり云々というお話であったのですが、やはりそういった一つの方向への努力というものも、もう一歩していかなければならない、私はこのように考えるわけであります。今後の公社としての取り組みいかんについてお尋ねをしておきたい、こういうように思います。
○泉説明員 公社がそういう過剰在庫の問題にもっと早く取り組んでおったらよかったのではないかとおっしゃる点はまことにごもっともでありまして、私ども反省いたしております。 ただ、言いわけがましくなりますけれども、たばこ耕作面積は、昭和四十一年を最高としまして、その後の農業人口の減少に応じましてどんどん減る一方だったわけであります。そこで、昭和四十八年から専売公社としましては第一次生産対策というのを講じまして、たばこ耕作農民にたばこ耕作の近代化をしてほしい、その近代化の施設整備のための補助金を出しましょう、そして耕作面積が毎年減っていくのを防いでいきたい、こういうことで始めたのであります。ところが、農業のことでございますから、そういうことは始めてもすぐ効果はございません。四十九年も減りまして、五十年になりまして——実は四十九年に葉たばこの値段を大変上げたもので、これはオイルショックの結果いろんな物価が上がったせいもありますけれども、それを上げましたためにたばこの収益性が高くなりまして、それじゃたばこをつくろうということで、五十年から耕作面積がふえてまいったのであります。したがって、耕作の近代化をやってほしい、減反が生じているのを何とか歯どめしてほしいと言って、その口の下ですぐに減反というわけにはまいらなかったのでありまして、ようやく五十二年から減反をするようにいたしたのでございます。その点、御指摘はまことにごもっともでございまして、私どもがもっと早くから手をつけておれば事態をそれほど深刻にさせ得なかったであろうということは反省をいたしております。 今後の対策でございますが、先ほども申し上げましたように、耕作者の方々の経営という問題がございますので、一挙に耕作面積を減らすというわけにまいりません。徐々に減らしながら、農家の理解と協力のもとにいい品質の葉たばこをつくっていただく、と同時に、公社の技術改善を行いまして、香料あるいは加工処理、まあ加工処理にも原料工場での加工処理と製造工場での加工処理といろいろございますが、いろいろ工夫をいたしております。それによって品質のいいたばこをつくっていく、そしてできるだけ国産葉の使い道を広げていく、こういうことによって過剰在庫をできるだけ少なく持っていきたい、このように考えておる次第でございます。
○柴田(弘)委員 どうかひとつ耕作者の皆さんの立場を御配慮いただきまして御推進をいただきたい、こういうふうにお願いをしておきます。 それから、次の問題は文部省にお尋ねをしておきますが、いわゆる非行化と喫煙という関係について文部省としてはどの程度の把握をなさっておるのか、この点をまずお伺いしておきたいと思います。
○菱村説明員 中学生、高校生がどれくらいたばこを吸っているかというのは、事柄の性質上大変捕捉しにくいわけでございますが、警察庁の五十三年度の調査によりますと、喫煙によって補導を受けましたのが中学生で一万七千人、高校生で十一万八千人と大変多い数字になっております。それから、これは部分的な調査でございますが、東京都の都立高校十六校の生徒に対しまして喫煙の状況を調べましたところ、男子で二三%、女子で八%が喫煙経験があるというような調査がございます。
○柴田(弘)委員 それで、いまは高校生の実態をお聞きしたわけでありますが、私、実は警視庁の方から中学生のたばこの喫煙度ということで一つの資料をいただいたわけであります。これは昭和五十一年の十月だったと思いますが、都内の中学校九校、生徒二千百七人を対象にしてアンケート調査を行った、そして、驚くなかれ、この中学生の三人に一人が喫煙の経験者である、こういう実態が浮き彫りにされておるわけであります。一年生では六・七%、二年生で一五・一%、三年生で一五・七%、このように高学年になればなるほど慣習としてたばこを吸っている少年は多くなっておるわけですが、喫煙経験者が三人に一人、こういう実態を見まして唖然といたしたわけであります。もちろん、文部省におかれましても中学生あるいは高校生に対してのそういった指導はいろいろなされておるわけでありますが、このような資料、あるいはいま補導件数のお話もありましたが、やはりこの補導件数も年々上がっておるわけであります。文部省としてもこの問題について相当な力を込めてやらないと大変なことになる、私はこういうふうに考えておるわけでありますが、現在の現状認識とあわせて、現在文部省が取り組んでおられるその取り組みだけでいいのかどうか、あるいはまた、今後何か抜本策というようなものをお考えになっているのかどうか、お尋ねをしておきたいわけであります。
○菱村説明員 御指摘のとおり、この中学生や高校生の喫煙は非行の問題とかなり関連が深うございますので、私どもも生徒の指導上大変大きな問題だと認識しております。いま、どういう形でこの喫煙問題について指導しているかという状況を申し上げますと、たとえば教科の指導では、保健体育の科目の中で、教科書などにもございますが、たばこにつきまして、呼吸器、消化器、循環器等に害があることとか、ないしは肺がんの原因になるようなこと、とりわけ心身の発達途上にあります未成年者に対しますその問題等につきまして記述をいたしておりますし、また、法律で未成年者には禁止されている旨の記述などもございます。したがいまして、保健体育の授業を通じてまず指導するということが一つございますし、何よりも喫煙問題は生徒指導の分野で大変大きな問題でございます。そこで重点的に指導している。特にホームルームなどではこの問題を取り上げまして討議するというようなことも多くの学校で行われているところでございます。 文部省としましても、生徒の喫煙問題というのは大変重要な問題でございますので、教師用の生徒指導の指導書などを発行しまして、その中でも指導上の問題点も取り上げております。それから、生徒指導講座とかカウンセリング技術講座というものを私どもで開いておりますが、その中でもこの喫煙問題について取り上げる、先生の学習を進める。さらには、全国各ブロックで生徒指導の連絡協議会をやっておりますが、そういうところで、各学校でどういう対策をとったらいいか、喫煙問題についてどのような対策が効果があるかというようなことの情報交換をいたしましたり、研究、討議を進めております。 これは学校教育の分野でも大変重要な問題でございますが、青少年の喫煙問題につきましては社会とか家庭との協力ということもきわめて大事であるというふうに考えております。
○柴田(弘)委員 失礼なことを言って申しわけありませんが、非常に困っていらっしゃる。いろいろやっていらっしゃるが、そういった喫煙実態というものが増加してくるという証拠から言えば、私は、非常にお困りになっておるだろう、お手上げの状態ではないか、このように思います。これ以上は申しませんが、どうかひとつこの点の抜本策について、今後、おっしゃったように、家庭あるいは社会、この連帯のもとにお願いをしたい、こう要望をしておきたいと思います。 それから、時間があとわずかになりましたが、健康と喫煙という問題について公社にお伺いをしておきますが、先ほどもお話がありましたように、多くの疫学的なデータから、肺がんなりあるいは呼吸器疾患、脳卒中等々が、健康と喫煙の関係において相関性がある、このように指摘されております。この委員会においても、さきの国会においていろいろと公社が行っておみえになりますいわゆる委託研究というものをやはり国民の皆さんの前にひとつ公表して、そして国民の皆さんの真の健康というものを守っていくのである、いや必要でない、こういったような議論があったように記憶をいたしておりますが、この委託研究をされたものについての公表についての考え方、あるいは今後の取り組み、これについて簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
○小幡説明員 お答え申し上げます。 公社が専門機関に委託しております医学的研究につきまして、研究資料を公開したらどうか、こういう御質問でございますが、この問題につきまして、この研究課題、いろいろございますが、いずれも非常に長期間を要する研究でございまして、従来はどういうふうにしたかといいますと、やはり課題がまだ研究途上でございますこと、それからもう一つは、非常に専門的、部分的、しかし基礎的なわかりにくい内容でございますので、まだ成果が完結してない途中の段階で切って外部に公表することは、かえって誤解を招くのではないか、こういう問題もございまして、専門の研究者の方自身もそのような御意向でございましたので、実は公社としては、積極的には公表しないで、研究者の方がそれぞれ自信を持って論文を学術誌とかそういった学会とか、そういうことで発表されるというような方式によっていたわけでございます。 ところが、やはり研究開始いたしましてから、もう相当期間がたっておりますので、そろそろこの辺で公表したらどうかという御意見もございます。また、一般に、御指摘のように喫煙と健康問題が非常に関心を浴びておりますので、一般の方に研究の状況をお知らせすることも必要ではないかということもございますので、実は何とかわかりやすく公表できないものかと考えているわけでございます。 そういうわけで、専門家の先生方とも相談いたしまして、そういった内容についていま詰めているところでございますが、方向といたしましては、研究の状況に応じまして、これを公表できるものは研究者の方の御協力を得て公表するような方向に持っていきたい、こういうふうに検討している次第でございます。
○柴田(弘)委員 時間も余りありませんので、その公表の仕方ですね、今後の問題ですが、具体的に何かあれば教えていただきたい。
○小幡説明員 二つばかりございますが、一つは、現在までの委託研究の経過、それから今後の展望というものをまとめましてわかりやすい内容のものをつくる、それでそれを公表するということ。それからもう一つは、毎年その年度の研究の実績が研究者の方から報告書になって概要報告ということで出てまいっておりますので、それが研究者の方が出していいという御理解が得られるならば、内容は非常にむずかしいものでございますけれども、それを出したらどうかと考えております。
○柴田(弘)委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。
○増岡委員長 多田光雄君。
○多田委員 大臣に質問の前に、私、質問をする立場をちょっと申し上げておきたいと思うのです。 それは、先ほど総裁の方からお話がありましたけれども、たばこをのむ人が非常に多いわけですね。それからまた、同じ嗜好品であっても、非常に日常性といいますか、酒のように昼日中から飲んでいるわけにいかないというものではない、どこでものんでいる、そういう性格ですね。そういう非常に大衆的といいますか庶民的な嗜好品だ。そして同時に、それが一〇〇%独占性を持った国の企業がやっている。そこで、このたばこの値上げあるいはまたその制度の改定問題が出ているわけです。ですから、これを判断する一つの態度として、やはりそういう国民的な嗜好品ですから、国民の暮らしとかあるいは国民の利益というものをきちんと守っていくことが必要だし、同時に、それに対して政府や当局者がどういう政治姿勢で臨んでいくのかということが、私はこの問題にアプローチするというか検討する場合に非常に大事な一つの見方じゃないかと思うのです。 あえて私はそれを冒頭に申し上げますのは、実は先ほど大臣がどなたかへの回答に、たばこのいまの値上げ分は物価の牽引車にはならないのだ、大きくないのだというような御回答だったんですよ。これは大臣として、とりわけ日本の財政その他を見る大臣のお答えとしては大変不適切で、国民に対して冷たいお答えだ、私はこう思うのです。なぜなら、確かに一つ一つの公共料金の値上げは全体から見ますと大きいものではないでしょう。しかしながら、その総体はやはり日本の物価を押し上げていく、プッシュする大きな柱の一つになっているということは、これは大臣も御否定にならないと思うのですね。そういう意味から、私はやはりこのたばこの値上げというものを謙虚にとらまえることがいま大事なときじゃないかと思いますので、あえて冒頭こういうことを申し上げたわけです。 そこで、ちょっとその点で、きょうは企画庁の物価局の坂井さんが来ておられますので、お伺いしたいと思うのです。前々回ですか、参議院の議事録を読ましていただいて、そこで公共料金が消費者物価に与える寄与率というものを述べておられましたけれども、その点もう一度、新しい国会ですから伺っておきたい、こう思うのです。 私のお伺いしたいのは、昭和五十年ごろからの消費者物価の上昇率と、それに対する寄与率ですね、これをひとつあなたの口からもう一度この場で述べていただきたいこと、これが一つ。 いま一つは、いま政府は来年の上半期ぐらいで相当公共料金を値上げしようとしております。それをどこまで公共料金としてつかむかということは、いろいろ異論もあろうと思いますけれども、すでにいろいろ発表になったり、また新聞などに公表され、また政府自身が口にしておられるものがどれほど物価に影響を与えていくのか、その二つを述べていただきたいと思うのです。
○坂井説明員 いまの御質問は、昭和五十年以降でございますか。
○多田委員 五十一年度でもよろしい。
○坂井説明員 五十一年度でございますか、それ以降の消費者物価指数の上昇とその中での公共料金の寄与度、こういう御質問でございますが、実はいま手元にその寄与度の詳細な数字がございませんので、至急調べまして、その方はすぐに後刻御回答申し上げますが、とりあえずここにあります数字で申し上げますと、昭和五十一年度におきましては、消費者物価指数全体といたしまして九・四%上昇いたしました。その中で、これは寄与度ではございませんが、公共料金が上がりましたその上がり率が一九・一%でございます。それから五十二年度は、消費者物価が六・七%上がりまして、公共料金部分だけとりますと一六・二%上昇いたしました。五十三年度は全体が三・四%上がり、公共料金だけをとりますと五・五%上がった、こういう結果が出ております。寄与度は後刻申し上げます。
○多田委員 五十四年の見通しはどうですか。
○坂井説明員 五十四年度は消費者物価全体といたしまして四・九%程度の上昇を見込んでおります。公共料金につきましては、これは逆に、申しわけございませんが、寄与度の方が出ておりまして、寄与度は大体一・五%程度というふうに私ども見込んでおります。 なお、現在までの推移で申し上げますと、たとえば東京都区部の消費者物価指数の速報値、これが十一月まで出ておりますが、一番新しい十一月の東京都区部のCPIの方が前年同月比で四・七%でございます。十月以前の指数はそれよりも大体低いレベルで推移しておりまして、今後いろいろと上昇要因が加わってまいりますけれども、年度全体としては四・九%、大体その範囲におさまると私どもは見ております。なお、公共料金につきましては、一・五という寄与度を先ほど申し上げましたが、現在までのところはまだ一には達しておりません。年度全体といたしましても、そう高いものにはならないと思います。 それから、将来の問題でございますが、いろいろと新聞紙上等で公共料金の値上げという問題が取りざたされておりますが、大部分のものはまだ関係の各省からの相談も来ていない状況でございまして、比較的はっきりしておりますのは、御案内のようにここに提案されておりますたばこ、それから別途提案されております健康保険法の改正に絡むものでございます。 さらに、国会の方には出てまいりませんが、すでに申請が出ておりますものといたしまして、一つは電力でございます。北海道電力が先般三八%程度の値上げ申請をいたしました。同じ日に沖繩電力が四六%ほどの値上げ申請をいたしました。これは通産省関係でございますが、これもまだ私どもの方に協議という段階には至っておりません。 それから、そのほか運輸省関係で国内航空運賃、この関係がすでに二九%ほど、これは社によって若干幅があるのでございますが、低い方は二〇%台、高い方は四〇%台でございますが、そういった申請がございます。これは現在運輸省で検討中でございまして、近く私どもの方に協議が参るものと思っております。 それから、その他、新聞報道程度でございますが、たとえばけさの新聞などでは、米、麦、さらに国鉄、郵便料、NHK受信料、さらに沖繩、北海道以外の電力とか大手ガス、こういったものを報道しておりますが、これはまだ申請率がどのくらいに落ちつくかも全く決まっておりませんで、私どもとしては、現在のところそれがどの程度の影響を持ってくるかということにつきましては、まだ具体的なことを申し上げる段階ではございません。 それから、いま資料が出てまいりましたので、前後いたしまして恐縮でございますが、五十一年度以降の公共料金の寄与度を申し上げます。 五十一年度、公共料金の寄与度は三・一%でございます。先ほど全体で九・四と申し上げたかと思いますが、その中の三・一でございます。五十二年度は公共料金の寄与度が二・二%、五十三年度は〇・九%でございました。五十四年度は先ほど申し上げましたように大体一・五の範囲内におさまるものというふうに見通しております。
○多田委員 やはり相当な影響があるのです。 同時に、私ここで大臣にもう一度申し上げておきたいのは、こういう公共料金の値上げがとりわけ所得の低い人ほど深刻に影響が出ているということですね。これはもう時間がありませんので、長々数字を述べられませんけれども、経企庁の出しているこの「物価レポート」七九年版ですが、これの公共料金の影響、家計に占める割合、こういうものを見てもはっきりするわけですね。 また同時に、たばこなんですが、これは大蔵の方で押さえておりますか。たばこが例の収入の五分位階級に分けて五十二年度で第一分類、第五分類でどれだけの違いがあるか、ちょっと述べていただけませんか。逆進性の点を言ってもらいたいのです。
○名本政府委員 五十二年度で申し上げてみますと、第一階層の方、一番低いところでございますが、月に千三百二十円、第二階層が千三百六十六円、第三階層になりまして千三百五十一円と下がります。第四階層が千百八十円、第五階層、最高のところで千三百四十三円、こういうふうな状況になっております。
○多田委員 それの収入比を見て逆進性を示してくれませんか。
○名本政府委員 収入比で申し上げてみますと、第一階層の方が一・一%、第二階層が〇・九、以下順にでございますが、〇・七、〇・六、〇・五というふうになっております。
○多田委員 大臣、いまの数字でも第五と第一の間には半分くらいの違いがあるわけですね。しかも、先ほど申し上げましたように、たばこは非常に庶民的なものだということになりますと、収入が低いほど影響があるということもはっきりしてきたわけです。 そこで私心配なのは、この経企庁の「物価レポート」七九年版にこういうことが書いてあるのです。「「料金制度」そのもので福祉の向上や社会的公正を図ることには、おのずから限界があることは当然です。政府としては、こうした個別的な物やサービスの料金体系で所得再配分を図るよりも累進的な税制や社会保障等を通じて所得の再配分を行った方が、国民経済的にみて効率性が高く、負担も公平となり、」こう書いているんですけれども、その累進性が最も大衆的な消費税であるたばこにおいてそうですね。それから「社会保障等を通じて」、こうありますが、いまの第二次大平内閣は、第一次もそうでしたけれども、福祉切り捨てという言葉が日常用語になるぐらい。福祉の切り捨てが行われていればこれがますます一般の庶民、勤労者にとって大きな負担になるということを私は冒頭に申し上げておきたいのです。ですから、たばこの二一%の値上げというそれにこだわらないで、それを含めて公共料金の値上げはこういう深刻な影響を国民に与えるのだということをまず大臣に申し上げておきたいと思うのです。 さてそこで、今回の法の改正には二つの目的があると私は思うのです。一つは、いま申し上げたたばこの二一%値上げ、もう一つは納付金率の法制化、それからいま一つは定価の法定制緩和の問題、こういう制度改定という二つがあると思うのです。大臣先ほど所信を述べられましたけれども、私もう一度確認しておきたいのですが、財政当局としてこの改正案に対して一番期待するものは何でしょうか。
○竹下国務大臣 一番、二番をつけるというわけにもまいりませんが、私は、この制度そのものの改正、すなわち、いわゆる税相当分が明らかになるという従来の御議論にかんがみてそういうことにしたという制度そのもの。それからいま一つは、やはり五十四年度の財政の上から、いわゆる収入として期待をしておる、この二つだろうと思うのです。一番、二番をつけるというわけにはまいりません。
○多田委員 やはり一番大きな理由は、どなたかがさっきおっしゃっていましたけれども、歳入の安定的な確保、これが財政当局として一番期待するものであり、また、その法改正のねらいであることは、先ほど大臣の提案理由説明の趣旨からもそれがうなずけると思うのです。そういう内容で納付金率の法定化が行われたというふうに私ども考えております。 そこで、納付金率の法定化が行われることによって、公社側としては一層働くのに励みができたということだろうと思うのですけれども、総裁、—その辺で納付金率の法定化をやることによって一番公社としてありがたいな、よかったなと思うのはどういう点ですか。
○泉説明員 まず納付金率の法定化ということは、公社経営にとりましては大変厳しいことでございまして、私どもとしてはそういうものとして受けとめております。ただ、納付金率を法定化されるということによりまして、公社経営の責任の明確化ということが行われますので、いままでは経営をうまくやったから専売納付金がふえたのだとか、あるいは下手だったから専売納付金が減ったのだとか、そういう評価の判定ができなかったわけです。今度はそういう点が、納付金率を法定化されることによって評価の判定ができることになります。その点は、私どもは評価いたしております。 ただ同時に、その成果を上げて専売公社の経営をうまくやった場合に、内部留保がふえるような形が望ましいと思うのです。これは定価改定を行ったときは内部留保はふえるのでありますが、年々のコストアップでだんだんと内部留保が落ちていって赤字になった場合には、先ほどお話がありましたような法定制の緩和をお願いしておるわけであります。どうしても年々内部留保が減っていく、これは公社の企業努力でそれを克服すべきこととは思いますけれども、物価の上昇あるいは賃金を上昇させなくてはならないといった問題がありまして、どうもその点は避け得られないということでございます。私どもとしては、経営責任が明確になったということだけを喜んでおる次第でございます。
○多田委員 経営責任が明確になったということを喜ぶだけであれば、その法定制緩和も私はそんなに意味がないんじゃないかと思うのですよ。ここでは、先ほど大臣も言われたけれども、甲乙つけがたい内容の制度の改正ということを言われていて、その制度の改正の中身は、納付金の五五・五%を法制化したということと、法定制を緩和したということが二大柱だと思うのですよ。ただ、総裁あえてそれに触れないというのは、実は一番大事なところに、何か御遠慮なさっているのか、触れておらないわけですよ。私は、それほど必要ないのであれば、法定制の緩和は要らないのじゃないかと思うのです。というのは、この間十二月三日、一昨日ですけれども、新聞を見ましたら、これは確認したわけじゃありませんけれども、このたばこ法案を通すので、与党の首脳部の皆さんが、野党の同調を得るのには法定制緩和を外してもいいんじゃないかというのが各紙に出ていたんです。これは大臣は御承知なんでしょうか、そういう中身のことは。おたくの党の首脳部の人たちがお話しされたということは。
○竹下国務大臣 私も新聞で承知したところでありまして、具体的にいわゆる党首脳の発言そのものを確認はいたしておりません。
○多田委員 私がそれを伺いましたのは、財政当局としてやはり五五・五%をばちっと安定して取れる、これで尽きると思うのです。問題は、それを保証する公社がそれを一体生み出してくれるかどうかということであって、主要なことは、法律で五五・五%といったら、財政当局として言えばこの法律の七割、八割の一番肝心なところを押さえたということになるわけです。ですから、与党の皆さんが、私は正直言って確認はできませんけれども、定価の法定制は緩和してもいいというふうに一歩譲歩されたということは、まさに与党、政府にとっては一番の勘どころを押さえたというように私ども考えるし、一般もそう考えているんじゃないかというふうに私は思うのです。ただ、国会の駆け引きの中でそれがどう使われようとしたかということは私は論じませんけれども。 そういう意味で大臣に一つ要望したいことは、いま時分の経済情勢の中で一〇〇%全部大臣がお取りになるというほど大臣は欲張っているわけではないと思うのですけれども、この際、私は法定制の緩和を外して様子を見ていくというのが非常に賢明な措置だと思うし、またそれが、後で申し上げますけれども、非常に大事なことだと思うのです。その辺、政府としても一歩御譲歩されるということはお考えになっておりませんか。
○竹下国務大臣 この法律そのものが五十四年度の歳入に充てるということから提案されたものであります。したがって、その形で今日提案し御審議いただいておる限りにおいては、政府としての態度は、原案どおり御承認を賜りたいということがまさにこの提案者としての姿勢ではなかろうかというふうに思います。
○多田委員 ですから、その提案者にお願いしているんです。一番肝心なところを吸われたわけですからね、少なくともこの法案では。ですから、私は定価の法定制緩和というものがどういう結果になるかということを二、三の点からなお申し上げておきたいと思うのです。 そこで、これは公社側に聞きたいのですが、もし今回二一%値上げしなければどれだけの純益の減になるのですか。これは大蔵省から出された参考資料によりますと、改定しなければ実効見込みとして五六・二ということになっていますね。これで間違いないのですか。
○後藤説明員 さようでございます。もし定改がないとするならば、今年度の益金率見込みは五六・二%ということに相なります。
○多田委員 公社が、たとえば民間、公営を問わず他企業に見られない純益を上げているということだけは、これはだれも否定できないと思うのです。それだけの利益を上げておりながら、しかも、今回二〇%アップする。これはここにもあるけれども、原価が上がって大変だというふうに書かれているのですが、繰り返し言いますけれども、大変な利益を上げて、そして利益を政府に納入しているわけですよ。これだけの利益を上げながらなおかつ値上げしていくというのは、一般の企業なら相当遠慮するところなんですよ。ところが、それを遠慮なさらないでさらに二〇%以上値上げして、しかも今度法定制緩和をやっていくと言う。これはやはり皆さんは国の要請だということでそれをおやりになるのだろうと私は思うのです。それ以外の目的はないと思うのです。まさに皆さん、いまはやりの隠し利益を上げるとかいうようなことじゃないと思うのです。やはり国の財政に寄与するということが至上命令として出ているからじゃないでしょうか。
○泉説明員 お話のとおり、私ども益金率としましては五六・二%を上げましても、地方消費税の方は税金としてはっきりいたしております。国に対する納付金の方は、本来税金相当分でありますけれども、それがはっきりしておらないので今回はっきりさせようということでございます。五六・二%でも、その九六、七%は国庫に納めなければならないのでありまして、私どもの方の利益として残るものではないのであります。したがって、もうけている、もうけているとおっしゃいましても、それは税金をかせいでおるのでありまして、その点どうか御理解を賜りたいと存じます。
○多田委員 私もおっしゃるとおりだと思うのです。税金かせぎのために、ともかく五五・五%の納付金率を皆さんは、涙を流しながらかどうかわからないけれども、それを御承認なさる。そしてそれが赤字を生みますからね、やがては原価が上がりますから。だから、当然法定制緩和で、三〇%以内を皆さんの裁量によって値上げしていくということをなさったわけですね。 そこで、私は大臣にお伺いしたいのは、問題はここなんですよ。やはり財政民主主義といいますか、今日の日本は、自民党なら自民党という党派が握っている政府です。その政府が、ある意味では恣意的と言えばおこられるかもわかりませんけれども、その政府がみずからつくってきた財政赤字の埋め合わせのために、五五・五%という最も大衆的な消費税に対して頭から枠をつくってしまう。そしてこれを納入しろと言う。ここにもうすでに——仮に値上げに三〇%の天井があったとしても、その間で値上げしていくならば、三〇を超す値上げをプッシュしていくわけですからね。私は、値上げの速度は速くなると見ている。国鉄の運賃の値上げをやられてから二年そこそこで四回も上げて、またぞろ値上げというのが出ているわけですね。これも物価の上昇範囲という枠だったわけですよ。それがインフレぎみでどんどん上がっていくわけですから、ある意味では当然とも言えるわけなのです。そうしてみますと、私はやはり財政民主主義という歯どめがどんなに大事なものであったかということを国民の立場からいっても強く反省していかないというと、国鉄で突破されて、さらにまたたばこでやられていくということになりましたら、財政民主主義じゃなくて、財政担当の一つの当局が思うように価格のつり上げをやって税金を取っていくということがまかり通るということになるのですね。私は、一番恐ろしいのはここだし、同僚議員がいろいろ御質問なさったこの法定制緩和の一番の心配はやはりここだと思うのです。この意味でも、少なくとも五五・五%を皆さんがいまこの法案で通そうとなさっている。われわれはこれには賛成できませんけれども、しかし皆さん通そうとなさっている。そうであるならば、せめて法定制緩和ぐらいの息抜きをやって様子を見るぐらいのことをおやりになるというのが、私はいまのようにインフレ高進ぎみで物価がどんどん上がって、国民の暮らしが年々大変になっていくという中にとるべき措置ではないかというように思います。これは先ほどもお聞きしたところですが、再度大臣の見解を伺いたいと思うのです。
○竹下国務大臣 いわゆる法定制緩和とはいえ、その法定制の原則を崩すということではなく、そこに歯どめはかかっておるわけでございますが、今度のいわゆる制度の改正の中で、一口に申しますならば、納付金というものを利益処分から損失処理に移すということを考えてみますと、公社というものにその経営努力の中で最低限の幅というものがあった方がむしろ値上げを促進していく要素にはならなくて、その中でさらに工夫、検討されるためには、むしろ私は多田先生とは若干反対の意見を持っておるわけであります。これは意見、考え方でございますが、と同時に、いま政府の責任で提出しております法案については、これが本院で理解をいただいて議了していただくことを期待しておるということを公式答弁としてはやはり申し上げなければならないことであると思います。
○多田委員 法定制緩和の問題について次にちょっと触れておきたいのは、果たして公社がそれを——これはいまの公社、総裁個人を言うのじゃなくて、一体そうなるのだろうかという疑問があるのですよ、大臣は、確かにそれは逆に物価上昇にはならないというふうにおっしゃるのだけれども。例としてはごくよくないのだけれども、先ほどたばこの害について報告しましたね。これもとてもおかしいと思うのですよ。どろぼうにどろぼうを逮捕させるなわをなわせたら、五年も十年もかかってできませんね。たばこを売らんかなの公社に対してそのたばこの害を調査しろなどと言うのは、言う方も酷だし、担当者もおかしい問題なんです。それに膨大な研究費がかかっているのですよ。ちょっと聞きたいのですけれども、どれくらいかかっていますか。
○小幡説明員 委託研究費でございますが、三十二年から五十四年度までの累計で申しますと九億二千五百万円でございます。
○多田委員 それだけの膨大なものを使って結果をいまだに発表しない。発表しない理由は、国民にむずかしいからとか、確とした部分が出ていないからとか、これでは理由にならない。私もいま同じ御回答を参議院の議事録で読んで噴き出してしまったのですよ。それは答弁者の責任じゃないのです。先ほど言ったように、委託すべきでないところに委託して、しかも委託される方も文句も言わないでやっているところに問題があるのですよ。私はこういう公社の姿勢では本当に信頼できないと思いますから、あえてこのことを申し上げているわけなんですよ。 そこで、これもこの間の国会のを見ましたら、総裁が国会審議に大変御迷惑をおかけする、そして国会にかけるとたばこの値上げが遅くなるのだというような御回答の一文がありました。まことに率直なお話でいいのだけれども、私は為政者としては逆だと思うのですよ。これだけKDDや鉄建公団や、大蔵にすらもいろいろな問題が波及しているときに、本当に大臣、為政者あるいはまた責任者がはっきりするならば、むしろ国会に出してそこで論議を仰ぐという積極的な姿勢が出ない限り、国民は信頼しないのじゃないかと私は思うのです。そういう意味で法定制緩和ということをやったということは、今日の政界、財界全体を含めたこの行政の汚職、不正経理というものを明らかにする政治姿勢、この問題がこういう面で伸びていくという意味でも、単に財政民主主義という——観念的だとおっしゃられるかもしれないけれども、それを言うだけでなく、当面する行政を本当に民主的なものにしていくという意味でも、私は法定制の緩和というのはよくないと思う。むしろ積極的に総裁が出して、時間がかかればかかっていいじゃありませんか。そして、現実に五年に一回なり七年に一回上げてきているじゃありませんか。上げてきて、いままでこれだけの膨大な純益を生み出しているのですよ。そうだとすれば、こういう大事なかんぬきは絶対外してはならない。この一つだけでも私どもはこの法律案には賛成できないというふうに考えております。そういう意味で私は先ほど政治姿勢について述べたのですが、大臣、いかがでしょうか。
○竹下国務大臣 いまの多田委員のお考えの中で、財政民主主義によるところの法定制緩和という問題とは別の角度から財政再建で国民にいろいろな理解を得なければならないときに、むしろ政府自体あるいは政府関係機関の中で法定制が緩和されたら財政再建に取り組む姿勢を国民の側が疑うではないか、こういうふうな趣旨に私はとったわけでございますけれども、私は一つの意見として承ったわけであります。 今度のこの専売公社法の改正というものについて見ますと、制度そのものの改正、すなわちまさに税制と税相当分の明確化というようなこと、納付金率を法定化したこと等から見ますと、法定制緩和の最小限の幅というものがそれに並行して論議されれば、むしろ理解を深めることができるのじゃなかろうかという認識に私は立っております。
○多田委員 時間がありませんので、もう一つだけ。 法定制緩和が今度は企業努力ということになりますから、内部留保、つまり利益を蓄積していくということ、その面では企業を担当している方は楽しみがふえると思うのです。おれの才覚によって利益がこれだけ上がったというような楽しみがふえるでしょう。しかし、その企業努力というのは、たとえばたばこの品質をよくするとか、宣伝をもっとやるとか、売れ行きをふやすということでしょう。実際にそれ以外にないのですから、そうなんですよ。あるいは、どうやってうまく経営をやって労働生産性を上げていくかということも含めての企業努力になるわけですね。そうすると、往々にして——往々どころじゃないのですね。まずそれが一番来るのは企業の中の従業員なんです。どこでもそうなんですね。国鉄でもあれをやられてから相当締めつけが強くなったというのは国鉄労働者の言うことだし、そして中間職制までがその成果を上げるためにきりきり舞いさせられてしまう。中には板ばさみになって助役で自殺する人が出てくる。これは出ているのですよ。私はこの点でも、いまの公社のやり方に若干意見があるのです。というのは、これも五月に参議院でわが党の渡辺議員がおたくの労働条件の質問をなさったときです。それをちょっとここで簡単に述べさせていただきますと、渡辺議員の指摘したのは、昭和四十六年三月の公社の調査結果で、調査対象二万二千人の労働者の中で頸腕障害などでの疾患を訴えている人が一千五百五十八人いる、そのうち女性が十一人に一人が障害を訴えている、うち認定されているのがたった二人だというのですね。これだけ訴えていて認定が二人というのは、ほかのものに比べてみてもちょっと少ないですね。そして認定業務、つまり業務上やるかどうかの権利は公社が握っているわけで、渡辺議員の具体的な数字の問題、あるいは医師の選択の自由も余り与えられていない。つまり公社の指定する医者の診療を申請者全員に半ば義務づけているということも出ているのですよ。これはよくやる手なんです。医師はお抱えの医師ですから、企業の言うなりにやるのです。こういう労働条件の中で、定価の法定制緩和をやって、さあ今度は企業努力だ、五五・五%をまず果たさなければならないという至上命令のもとで、同時に、企業のおもしろみも出てきた、総裁なんかも大いにまたひとつ老骨にむち打ってがんばられるわけでしょう、結構なんだけれども、それが今度は行くのはそこなんですよ。やはり価値を生み出すのは生産工程なんですね。そうすると、労働者に圧迫が行く。また、葉たばこの人々に対してもさまざまな影響が行くのは私は間違いないと思うのです。いまからもう手のひらを見るよりもはっきりしているのです。そのときの質問に対しても、余り総裁の御回答は私ども感心する態度ではなかったのですが、あの問題が出てから、公社としてそういう労災、職業病認定で何らかの手を打たれたでしょうか。
○石井説明員 お答え申し上げます。 先般の参議院で公社の業務災害、特に非災害性の疾病、いわゆる職業病に関しましていろいろ御議論がございました。私どもは職員の安全管理、健康管理は最大の関心事といたしまして、いろいろな面で配慮いたしておるつもりでございます。その結果、と申しましてはなんでございますけれども、たとえば四十八年と五十三年と比べますと、いわゆる業務災害の度数率というものがございますが、これが約半分以下になっております。強度率、これは休んだ日数を掛け合わせて出すわけでございますけれども、強度率は三分の一強ぐらいになっております。 先ほどお話がございました千五百人云々という数字は、これはいわゆる職業病としての頸肩腕あるいは腰痛ということではございませんで、頸肩腕部あるいは腰の部分に異常を本人の申告で訴えたものの総数でございます。私どもとしては従来から、先ほど申しましたように、そういった点につきましては労働組合とも十分話をいたしまして、そのための労働協約もつくり、またそれに基づきまして細かい細則等もつくりまして、そういったことがまず未然にないように、不幸にして発生いたしました場合には一日も早く治癒、回復できますように、いろいろな手だてを講じておるところでございます。
○多田委員 時間が参りましたので最後に大胆に…… 大変短時間ではしょった質問で恐縮でしたけれども、ともかく相次ぐ物価、公共料金の引き上げで、先ほど経企庁にも述べましたけれども、本当にもう目が回るぐらいの公共料金の値上げです。財政がシビアだということでいろいろな質問も続けましたけれども、息つくひまがないのですよ、正直言って。皆さんも大変でしょうけれども、受ける国民はもっと深刻な状況だというふうに思うのです。やはりどこかで息抜きをつくらなければならぬと私は思う。大臣がどうしても法定制緩和はやめられないというふうにおっしゃるのであれば、たとえば当面の法人税その他の中小企業に対する税率にしても、やはり中小企業、農民に対しては、何らかの恩恵措置をとってやるという措置なんかが私は非常に大事じゃないかと思うのです。たばこも上がる、今度は酒も上がる、国鉄もまた上がるのか、授業料も上がるのか、そしてとうとう灯油に至りましては大変な値上がりなんです。 ついでに、私は北海道出身だから大臣に御参考までに申し上げますと、今度の灯油の値上がりでどれぐらい一般の家庭の出費がかかるか、きょう私は道庁事務所に聞いてみたのです。東京では十八リットルの斗かんが基準になりますけれども、北海道は御承知のように二百リットルのドラムかんなんです。一家庭どれぐらい使うか聞きましたら、一冬に平均十本なんです。町工場並みなんです。大体十月の末から四月ぐらいまで。ことしの六月に六千二百円ぐらいでしたが、それがいま一万一千円超えていますからね。もう五千円から、高いところは五千五百円くらいの値上げ。そうすると、十本といいますと、灯油代だけで五万円からのおしなべての出費になるわけです。春闘で上がった賃金などは帳消しになるのです。そういう物価高であっぷあっぷしているわけですね。その中で、ぜひひとつ大臣にお考えいただきたいことは、この法律案の法定制緩和、これはぜひやめて、もう少し様子を見るというぐらいの措置をとっていただきたいし、それができなければ、何らかの措置をとる必要があるのじゃないかな、私はこう思っております。 大臣は島根県出身でございますね。きょう調べてみましたら、灯油の世帯当たり出費が大きいんですよ。島根も調べてみましたら、これは五十三年十二月ですけれども、東京の千三百二十九円に対して九千五百九十五円、世帯当たり出費が相当高いですね。同じように苦しんでいると思うのです。ですから、そういう意味でぜひ大臣に福祉あるいは減税その他の問題でしかるべき措置をとっていただきたい。あるいは寒冷地に対しては、寒冷地控除とかそういう措置もありますので、そういう何か息抜きの場所をつくる必要があると思うのです。何かございますか。
○竹下国務大臣 いま多田委員、本当に国民は息つく暇もないということでございますが、私も、就任早々日なお浅しとはいえ、息抜く暇もない状態でございます。御高見を承ることがむしろ私の勉強であって、この脳みその中をクリアすることになる。私も老骨にむちうってがんばります。
○多田委員 大臣から老骨と言われると、それじゃこっちは何と言っていいのかわからぬのでありますが、先ほど私の要望した点をぜひ御検討くださることを希望いたします。 私の後に正森議員が一言ありますので……。
○増岡委員長 正森成二君。
○正森委員 時間のようでございますから、私は一問だけにいたします。 製造たばこ定価法の一部改正によりますと、御承知のように、第二条で「大蔵大臣は、前条の規定にかかわらず、公社の一の事業年度のたばこ事業の損益計算において、損失が生じた場合又は損失が生ずることが確実であると認められる場合として政令で定める場合であって」云々となっていますね。この「政令で定める場合」というのは具体的にはどういうものを考えておられますか。
○名本政府委員 後段の、「確実であると認められる場合として政令で定める場合」ということでございますが、具体的に申しますと、たとえば前年度の決算がわずか数億円しか黒字が出ていない。それが翌年度になりまして、たとえば職員のベースアップでありますとか、あるいは減価償却、これは計算上もう当然出てくるわけでありますが、そういうものを勘案いたしますと、当然赤字になるという場合を想定いたしておるわけでございまして、現実の問題といたしましては、月々の損益試算を行いますから、そういうものを見て決めていく、こういうことに相なると思います。
○正森委員 同じ条文の中で、値上げの場合に「製造たばこの全部又は一部について、基準最高価格の額に物価等変動率を乗じて得られる額の範囲内において」最高価格を決めるというのがありますね。このたばこ関係については物価等変動率というのが出てくるのは初めてだと思うのですね。それについては政令で決めるということで、ちょっと読み上げてもわからないようなPQRSとか出てまいります。これは読んでもちょっと速記ができないから読みませんが、たばこの中に占める賃金に関係のある部分、あるいはたばこの葉たばこに関係のある部分等々四つぐらいに分類をして、それにアップ率を加重平均で掛ける、簡単に口で言うとすればそういうことだと思うのです。 そこで、参考のために伺いたいのです。今後物価変動率の範囲内で一・三を限度として上げられるわけですから、昭和四十三年に値上げをして、次に五十年に値上げをして、今度は五十四年ですが、仮に四十三年を基準年として五十年を考えますと、物価変動率は幾らになるのか、あるいは五十年を基準にして五十四年を考えると物価変動率は幾らになるのか、試案ができておれば、それをお示し願いたい。
○後藤説明員 大変申しわけございませんが、過去四十三年、五十年といった時点のいまお話しの計算はいまのところしておりませんので、後刻でも出したいと思いますが、考え方を申し上げますと、今後、私どもがいま試算しております一番基本になりますのは、やはり販売数量見込みですが、ことしは値上げをしますと三千二十億と見ておりますが、来年は三千億と落ちるだろうと見ております。それから一%、三千三十億、それから三千六十億というふうに販売数量は伸びるだろう。それで、いまのいろいろ総合的な原価のアップを見ますと、大体五%ないし六%アップで次期赤字になるのが五十八年と私どもは大体見込んでおります。赤字にならなければ財政法三条の趣旨を踏まえた法定最高価格制の暫定価格は決められませんので、それまでの値上げは一切できないわけでございます。 それで、いま先生御指摘の、政令等で、定めるもの、これは私どもの原価を分析いたしますと、これは卸売物価関連経費と消費者物価関連経費、それから賃金指数関連でございます。それから葉たばこ費でございますが、国内葉たばこ費も大きく分けますと、これは卸売物価と消費者物価、それと賃金関連になります。それぞれの関連経費を全部総計しますと、いままでの私どもの実績では、卸売物価関連がおおよそ三六%ぐらい、それから消費者物価関連が一六%ぐらい、それから賃金指数、これは葉たばこが大宗でございますので、葉たばこの半分は労働費でございますので、これが約四四%ということになります。使います指数は、これはあくまでも暫定最高価格の限度でございまして、卸売物価につきましては日銀の卸売物価指数、消費者物価は総理府のCPI、それから賃金は毎勤統計、こういう客観指数を使いまして、それのアップ率、ことしこの値上げが認められますと、この基準年から次期定改は五十九年になりますと、それまでの経年のアップ率を掛けまして、それでウエートは、公社の実際原価を疎明資料として私ども出しますので、そのウエートを何年か平均を大蔵省に採用していただく。それで、いま言った物価等変動率の範囲内か三割という限度がありますから、そのいずれか低い方の範囲内において暫定最高価格が決められる。その中で、私どもは今度は個別の銘柄の原価の上昇度合いとか消費動向で定価申請をする、そういうふうな段取りになります。
○正森委員 よくわかっておりますことまで御説明いただいたのですが、私が質問した趣旨は、次期の値上げは恐らく五十八年あるいは場合によっては五十九年になるだろうということですが、これは物価上昇率がどのくらいになるか、将来のことですからわからないですね。そこで、私は、参考のために値上げが行われた昭和四十三年、五十年、そして現在の五十四年をとって物価変動率というものを計算すればどうなるかというのを見れば、それとたばこの値上げ額との比較において将来どうなるであろうかという推測ができますから、資料を出してください、こう言ったわけです。事前に事務局に言っておりましたが、急には間に合わない、一両日かかるということですから、その部分についての質問を留保して質問を終わらしていただきます。
○増岡委員長 玉置一弥君。
○玉置委員 それでは、専売公社法の改定について質問をいたしたいと思います。 今回の改定の趣旨の中で、特に大きなところでいいますと、財政収入確保のために価格改定をしていきたいということと、それから専売公社の企業努力というものが明確になるように制度を変えていきたいという、その二点だと思います。 ところが、前回の総選挙、第三十五回総選挙におきまして、自民党から出されました新税増税構想というものが、選挙の結果を見てもおわかりのように、国民の批判を受ける状態になったとわれわれは考えております。そういうところからいきまして、非常に現在財政難と言われておりますその中身はよくわかるつもりでございますけれども、しかし、その前にやらなければいけないことがいろいろあるというふうに考えておりますし、また、大蔵省あるいは政府内部でのいろいろな打ち合わせ等でそういうお話がたびたび出ているようにお聞きしておりますけれども、そういう事態から考えますと、現在の総選挙前に出されました値上げ法案、こういうものを、やはり新税増税が国民から拒否を受けたというところから考えて、再考すべきではないかというふうに考えるのでございますけれども、その辺の観点から大蔵大臣の答弁をいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 玉置委員の御質問の趣旨は、私にも理解できるところが多々ございます。確かに、私どもの言葉といたしましては、先般の総選挙等を通じて政府が一つの新税を議論の対象にしておった。それが玉置委員は拒否されたという言葉をお使いになりましたが、私どもとしては十分な理解を得るに至らなかった、こういう表現をいたしておるところでございます。そういう厳しい中にありながら、なお選挙前に廃案になったこの専売公社法を同じものを出すというその神経、その考え方に対しての見解を問う、こういうことであろうと思うのであります。私ども同じものを提案しましたゆえんのものには、これが現在執行されております五十四年度の予算の歳入に挙がっておるものであるという考えがあることはもとよりであります。 いま一つは、これは政府のみでなく、御提案をすることをチェックする、これは与党の機関もございますわけでございますが、衆参を通じてかなりの時間この法案が審議された。そして一院は、一院とは本院のことでございますが、一応議了していただいたというような背景をも踏まえて提出に至った、こういうふうに御理解をしていただきたいと思います。
○玉置委員 途中で政府が変わったといいますか、与党こそ変わりませんけれども、事実上内容がほとんど入れかわっているわけですね。前任者、前政府が出した方針が拒否された、われわれはそういうように受け取っているのですけれども、それについて全く方針が変わらない、前回選挙前に打ち出された大蔵省なりあるいは政府与党としての方針というものが全く変わらないということだといまの感じでは受け取れるのです。ところが、大平総理あるいはその他の方々、聞きましても、十分与野党の話し合いの場でこれから行政を進めていきたい、そういうお話をされているということ、われわれそういうふうに理解しているわけでございますけれども、その辺をどういうふうに織り込まれていくのか、具体的に言っていただけば一番いいのですけれども、それでなかったら精神的な面でも結構でございますから、ぜひお聞きをいたしたいと思います。
○竹下国務大臣 確かに、政府の考えておりました新税が理解を得るに至らなかった。したがって、いわゆる言われております一般消費税というものを財政再建の手法としては五十五年度は用いないということは、変わったという一つの点でございます。 それから、総理が申しておりますのは、私もそばにおって聞いておるんでございますが、元来議会制民主主義というものは、これは話し合いの場であります。したがって、与党というものがいつもいわゆるマジョリティーのみを信じて突っ走るべき性格のものではないわけであります。そして、また、解散前に至るまで、あるいは五十四年の予算審議の際、私はたまたま予算委員長をしておりましたけれども、各党間で、部分連合という表現は必ずしも私はとらなかったのでございますが、部分合意の問題とかいうようなものが種々話し合われたわけでございます。したがって、私どもが、まあ大蔵大臣としてと申しますよりも与党の一国務大臣として申しますならば、議会制民主主義の基本というものは、あくまでも話し合いということであるし、そこにはいわゆる政策遂行上部分合意とかいうような問題も当然のこととしてあり得る。それを過去伯仲国会などによって、われわれの体質の中にもそれがしみ込みつつあるのではないか、こういう認識を持っておることだけを申し上げておきます。
○玉置委員 新税増税に対して、これからいろんな部分でまた議論が出てくると思いますけれども、そういう場合に、与党だけではなくて、ぜひとも野党の考え方というものをできるだけ事前にお聞きをいただきたい、そういうふうに感じるのでございます。 ところで、今回、専売公社の要するに原価上昇というものが専売納付金の額そのものの低下を招いているということが一つの大きな要因でございますけれども、原価上昇の中身、どういうものが要因となって圧迫されているのかということと、また、それに対してどのような経営合理化の努力を行われてきたかということを、専売公社の方にお聞きをいたしたいと思います。
○後藤説明員 総体的には、先ほどほかの委員の先生方からも御質問ございましたが、五十三年度実績では、五十年のこの間定改をいただきました年度から見ますと一二二%、それから五十四年度見込みでは一三五%という原価のアップに一応なっております。 この中で、私ども、総原価を一〇〇にいたしますと、大体販売管理費が、一般販売費だとか、管理費だとかが一七から一八%ぐらいでございまして、あと八二、三が製造関係経費でございます。それで、製造関係経費で申し上げますと、いまその八二の中の五〇%ぐらいが葉たばこ費でございます。それから材料費が一五、六%、人件費が九%程度、それから減価償却費とか、その他光熱水料等がございますが、これが約八%程度というような原価構成のウエートになっております。 それで、やはり何と申しましても総原価の五割、製造原価で申しますと、六割が葉たばこ費でございますので、いかにして葉たばこのロスを少なくするか、これはどこの国のたばこのメーカーでも一番頭を悩ましていることでございますが、ロスを少なくするかということと、出てきた葉滓と申しますか、そういうくずを再利用いたしまして、また、たばこの原料として使う、そういうことをやりまして、結局一本一グラムと平均考えておりますけれども、いまはそれを相当減らしてまいっております。そういうことが一つございます。 それともう一つは、やはり労働生産性というものをどうやって上げていくか。これは工場の統廃合等によりまして間接人員をできるだけ少なくしていくとか、それから直接従業員につきましても環境整備等健康問題にも十分留意をしながら、機械の効率化、性能を上げていく、それが労働生産性を上げていくというようなことになろうかと思います。これも過去からの数字で申し上げますと、四十三年ごろから考えますと、いま約二倍程度の労働生産性の向上になっております。四十五年から六年ごろで見ますと、製造業一般で大体一五〇から一五五ぐらいでございますが、わが社も大体差のない一六〇%ぐらいというような形になっております。 それからもう一つは、積極的な側面としては営業所等の統廃合とか、それから営業員の営業活動を充実して、一人当たりの営業売上高等を伸ばしていくということがやはり大変重要な問題であろうかと思います。この点につきましても、いまのところ職員一人当たりで見ますと、十年経過後は二倍にはなっております。 それから、さらには葉たばこの生産性を日本という限られた耕作条件のもとで、しかも平均的には一ヘクタールというような耕作面積の中で農家の経営の安定も考えながら、しかも労働時間も少なく生産性をいかにして上げていくかというようなこと、こういうことをもろもろやってまいっておりまして、細かい数字はちょっといま手元に持っておりませんが、生産から製造、営業各般にわたっての努力を傾注いたしておる次第でございます。
○玉置委員 製造原価の中で葉たばこが約五〇%、人件費が九%、材料費が葉たばこを入れて全体で見ますと六五%ということですね。ということは、外部的な要因が多いということになると思うのです。ところが、農産物である葉たばこ、これは現在は公社直接の買い付けというふうになっておりますけれども、農林省との関係においてどういうふうな連絡をとられているのかということ。 それから今後独自に、いままでの質問いろいろ見ていますと、葉たばこの価格については、非常に農政面のことも考えて、価格を決めるときにそういう考慮もしているというふうな回答があったように記憶をしておりますけれども、現在の葉たばこの買い付けの方法、買い付け価格の決定、いつごろどういうふうに決められるのか、そして買い付けのルートとしてどういうふうになっているのか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
○永井説明員 製造原価の中に占める葉たばこの原価の割合、先生御指摘のとおり大変多いわけでございまして、どういう形で葉たばこの収納をやっているのかという御質問でございます。 現在、葉たばこの値段を決めますのは八月に決めているわけでございますが、本来この価格は前年の十二月ごろに決めてまいったわけでございます。葉たばこの生産が始まります前に葉たばこの値段を決めていたわけでございますが、四十八、九年、例のオイルショックで大変値段が上がりまして、決めた後に物価の変動が余り激しかったものでございますから、途中で一年間は収納前にもう一遍値段を見直すということをやりまして、その後も物価の事情が安定しない、その他いろんな事情がございまして、ずっと八月に決めるということをいたしているわけでございます。 価格につきましては、専売法の第五条第三項に「生産費及び物価その他の経済事情を参酌して、耕作者に適正な収益を得させることを旨として」定めるということになっておりまして、その価格を定めます場合には、たばこ耕作審議会という審議会がございまして、総裁からあらかじめその審議会に原案をお示しいたしまして、その議を経て決めるという段取りになっております。現在まで、審議会から御答申をいただいた価格をそのまま総裁が決めるという形になっております。 それから、生産の問題につきましての農林省との関係でございますが、先ほど総裁からもちょっと御返事申し上げましたとおり、たばこの耕作が農家経営の中に占めるウエートは非常に高いわけでございまして、専売公社といたしましては、一方ではたばこの原料という立場からいろんな配慮をしてまいらなければならない点があるわけでございますが、それと並びまして、農家経営あるいは農業構造の中で一体たばこというものをどういうふうに位置づけたらいいかという点もあわせ考えまして、いろいろ公社独自に補助金の交付もいたしておりますし、また、国からいろんな改善事業に関連いたしましてたばこにもかなりの補助金が出ているわけでございまして、常時農林省と連絡をとりながら全体としてどういうふうに農家経営を持っていくのがいいかということを考えながらやっているということでございます。
○玉置委員 私の考えですけれども、現在の農政から考えて、農林省の管轄外にあります葉たばこが忘れられる可能性があるというふうにちょっとそういう危惧を感じるわけでございます。同じ農産物であり、また現在転作を非常に奨励している。そういう中で、兼業、専業含めて、ぜひとも葉たばこ生産者というものも一農家と見て進めていかなければならないと思うんです。そういう点から、ぜひ農林省管轄へ移してはどうかというふうに思うのでございますけれども、大蔵省としてはいかがお考えですか。
○名本政府委員 確かに、農産物に関しまして、大蔵省がここで葉たばこにつきまして、公社を通じてでございますが、わが省の所管の中にあるということでございます。葉たばこに対します取り扱いというものが農政全般の中でうまく調和していかなければならないというふうに私どもも考えておるところでございます。そのため、農林省と十分連絡をとりながら各種施策を進めておるわけでございます。これを農林省に移すということの可否でございますけれども、何分明治三十一年に葉たばこ専売が行われまして以来、現在まで非常に長い歴史を持ち、その間に専売局当時から専売公社、現在に至るまで葉たばこの耕作に関しまして各方面で専売公社におきまして研究を重ね、またそのための指導の要員というものの育成もしてきておるということでございますので、そしてまた、この専売は葉たばこ、それから生産、販売、全体が一つの専売制度の中に入っておるわけでありまして、専売制度といたしましてその三つのものがおのおの調和のとれた形で運営されていくということはまた大変大切なことであろうというふうに思います。現状におきましては、現在の形で農林省と十分連絡をとり、農業政策全般の中に十分うまく調和をとりながら進めていくのが適当ではなかろうか。そういうふうに考えておるところでございます。
○玉置委員 製造原価の五〇%を占める葉たばこということで、年々の価格の決め方が米価と同じく今度の改定によって上昇分を場合によっては国民に転嫁をされるということになりますね。そういうことからいきますと、やはり価格的にも政策部分というものをある程度明確にするという意味で、片方では農林省が買い付けて専売公社の方に支給をして価格を固定化する、要するに専売公社独自で農政部分をカバーしている面があるように思うわけでございますけれども、その辺をやはり全体の農政という意味で見て専売はあくまでもたばこ製造、だから、耕作については農林省というふうに責任分担といいますか。明確にされてはどうか、そういう気持ちから言ったわけでございますけれども、なかなか時間がかかることで、いままで明治何年からという非常に長い話でございますけれども、できるだけそういうように値上げの要因というものをこれから明確にしていかなければならないというふうに感じるわけで、そういう点からちょっと御指摘をしたわけでございます。 それと、九%の人件費ということで一般の製造業にしては非常に少ない、特に三分の一以下になっているというふうに感じるのでございますけれども、やはりこれから固定された人数でいきますと、どうしても人件費が上がってくる、こういうことも一つの値上がりの要因だと思うのです。通常の場合、人件費を削減するということが合理化にとっては一番大きな効果があるのでございますけれども、そういうことだけではなくて、今後十年間というか、十年とは言いませんけれども、先行き、この間の話では、年率五%を上げましたら五年後に欠損になりますというお話を聞いておるわけでございますけれども、どういうふうに合理化努力というものをお考えになっておるのか。それと行政改革の絡みでございますけれども、ことしから来年度以降財政支出の規模を抑えるということで行政改革ということに積極的に取り組んでいこうという方針を打ち出されておりますけれども、大蔵省として専売公社も含めた行政改革というものをどういうふうにお考えになっているのか、まず大蔵省の方からお聞きをいたしたいと思います。
○竹下国務大臣 行政改革に当たるところの基本的な考え方というものは、まさに国民の皆さん方に対して、財政とは入るをはかって出るを制するというわけでございますが、まず政府自身のやれることをやった上でないと国民の負担の理解と協力を求めることはむずかしいのじゃないか、こういう考え方から行政改革という問題が財政再建問題の大きな柱となっておることは事実でございます。 ただ、これはその行政改革の中身に至りますと、所管しておりますところのいわゆる特殊法人、公社、事業団あるいはまた地方支分部局の統廃合あるいは補助金の整理、そういうようなことがいま具体的な課題としてわれわれにも示されておるところでございます。それを大蔵省の中でどう受けとめていくか、こういうことでありますが、財政再建の一歩を足するに足るだけの実効を上げるためにいま鋭意検討しておるということでありますが、特にいま玉置さんおっしゃいました専売公社についての考え方という問題もお答えしなければならない一つの課題ではなかろうかと思ったわけであります。 この問題につきましては、いろいろ歴史があることでございまして、いろいろな御提言がなされて、いかにあるべきかということを目下検討しておるという内容のものもございます。しかし、新しく行政改革の方針として打ち出されましただけに、われわれも慎重ではあるが、これをネグって進むわけにはいかない、こういう気構えで今日検討を重ねておるところであります。
○玉置委員 非常に時間がかかることだと思います。というのは、特に行政機構は、組織は人なりということで、人で成り立っているわけでございまして、どうしても人を動かさなければならない。それと、今回だけではなくて前々からと思うのですけれども、人がいるために仕事がつくられているというふうな部分もあるというふうに感じるのでございます。そういう面から、仕事を中心に考えるというふうに発想を転換しない限り、なかなか進まないというふうに思うのでございます。しかし、他面では人が余るということは雇用対策というものが生じるわけでございまして、その辺から考えて、やはりある年数という長い目で見ていかなければならない。その間、財政的にどうするかという二つの問題があって、野党なりに非常に心配をしているわけでございますけれども、そういう意味から本当に早く思い切った方向を打ち出して手をつけていかなければ、いつまでたっても効果が出てこないということでございまして、またまた国民に増税新税の提示を行うということになれば拒否を受けるという事態に陥ると思います。そういう意味から、できるだけ早く具体的な方向というものをぜひ御提示をお願いいたしたいと思います。 それと、先ほどの専売公社としての独自の、今後の値上げをカバーでき得るくらいの合理化案、腹案、そういうものがどういうふうに考えられているのかということをお聞きをいたしておきます。
○泉説明員 専売公社といたしましては、四十三年に長期計画というのを立てまして、その後、中期計画、約五年程度の計画を立ててまいりました。現在のところ、五十一年中計というのが基礎でいま仕事を行っておるわけでありますが、私どもとしましては、もしこの法案をお認めいただいて定価改定を実施できましたならば、その後の情勢を踏まえてこの中期経営計画というものを五十六年度以降の計画としてつくってまいりたい、このように考えておりまして、その中におきましては、いまお話しのありましたような合理化計画を織り込んでいきたい。 これは、先ほど後藤から申しましたように、生産性につきましては、主としては高速機械によりまして能率を上げるということによってこの十年間で生産性を約二倍に上げております。今後もその努力を続けてまいりたい。それから葉たばこの生産については、耕作者に補助金なども出しまして、また耕作指導もいたしまして、できるだけ労働時間が少なくて生産性を上げていただくということを考えております。 また、販売の、面におきましても、逐次小売店からのたばこの希望につきまして電算機処理をいたしまして、そういう事務処理の時間を減らして営業活動を展開する、こういったことも織り込んでいきたい。 それから製造技術の面につきましては、私はそれほど詳しくないのでありますけれども、香料であるとか、あるいは熱処理を加えるとかいうようなことによりまして葉たばこをできるだけ品質を上げて、そのでき上がった製造たばこがよりいい品質のものとして消費者に評価されるような方向に持っていきたい。このような計画を立てていきたい、このように考えておるわけでございます。
○竹下国務大臣 ただいまの専売自体の問題でございますが、玉置委員からの御質問は、私、昨日もその御提言をいただいたのでございますけれども、これは総評、同盟を問わず、民間労組の方々が行政改革に対するある種の試案をお持ちになっております。そうして、話し合いをしているうちに、いまおっしゃったように、されば人減らしに伴ってそれを民間が吸収するだけの日本に経済体質があるだろうかというふうなことを考えますと、やはり国民に密着している政治家の一人としていろいろ考えなければいかぬ点があるということを私も痛感してきたばかりであります。 そしてまた、行政改革の一環として取り上げております各種補助金の整理というような問題につきましても、なるほどその補助金そのものが、あるいは業務委託費とか、そうした形でまさに人のためについておるというような性格のものもございます。これらをいま整理しておりますので、これを一括一律削減というものになじむのかどうかというようなことも十分検討の上で、いまおっしゃった趣旨で、できるだけ早い機会に計画を出したい、また補助金については予算原案をもってその答案としたい、こういうふうに考えております。
○玉置委員 合理化について、私も昔、合理化専門にやっていましたもので、ぜひこれだけは注意してもらいたいというものがあります。単に人を減らすということで、過大投資をまず避けていただきたい。これはあたりまえなんですけれども、それと、雇用面から考えて、人を異動させるあるいは減らしていくということは時間がかかるのでございますけれども、すぐさまできることがかなりあるわけでございまして、そういうことを考えますと、人が余れば余った人はどこか一カ所へ、あるいは違う安易な仕事、仮の仕事、そういうもので、わかるようにしていく、これが本当にやらなければというせっぱ詰まった意識を持たせることになると思うのです。ぜひ外から見てわかるような、そういう合理化をお願いいたしたいと思います。 それと、本日の一番重要なことなんでございますけれども、今回のいわゆる定価の法定制の緩和についてでございますけれども、これが二つの面で非常に納得ができないという気持ちがするのでございます。 一つは、三〇%以内の値上げを国会の承認を受けないでできるということでございます。これが非常に国会軽視といいますか、そういうところにあるというふうに考え、国会を軽視するということは結局は国民を無視するということになるわけでございます。まあ、一部の審議会委員という方が公平な目でもって審査をされるということでございますけれども、あくまでも法定制の中で対処していただきたい。これは、現在のたばこ価格は専売公社法で決められておりますけれども、価格が一たん決まれば、その中の税収の部分、幾らであろうと国民にとってはある程度の負担をしている。そういうことで、たばこ価格そのものが税金と同じ感覚で国民は理解をしているわけでございますけれども、そういう状態の中で、国会の承認なく安易に税金を上げることができるというふうに国民が理解をしてしまう、そういう危険があるのでございます。その辺はやはり十分考えなければいけないということと、あと一つは、先ほども申しましたように、経営合理化ということ、これが従来民間企業に比べて非常に進みが悪いといいますか、いま予算の制約というものもございますし、いろいろな要素があるわけでございまして、そういう中から進度が悪かった。それと、やはりこれが損益が明確になるということでございますけれども、たとえば合理化し過ぎて下がり過ぎた場合どうするかということもこの際明らかにしていただきたい。 それと、従来のいろいろな合理化活動が、自分たちで三〇%以内の値上げができるという部分が頭にあって、その意欲を減退させないかというふうに感ずるのでございます。条件的には前回の制度、前回というか現状の制度と同じだと思いますけれども、これがある程度値上げ値上げというふうになれてまいりますと、そういう危険があるのじゃないかというふうに思うわけでございます。こういう点から、今回の制度について、今後の決意、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 委員御承知のとおり、今度は制度そのものの改正でありまして、従来の国会論議等にかんがみて、価格形成方式を明確化しまして、このたばこの中で幾らが税相当部分であって、また幾らが公社の企業収益分であるかということが非常に明確になるわけでございますので、その限りにおいては、私は、その法定外のところに安易に食いつくことにはむしろならないのじゃないか。そして、その制度そのものをそのまま考えてみますと、それでもどうしてもやむを得ず赤字になったような事態になりましたならば、やはりある種のフリーハンドを与えておくということの方が私はむしろ経営努力をすることにつながるのではないかというふうに理解をいたしておるところであります。 と同時に、国会軽視の問題でございますが、したがいまして、これは無条件に独占体であります公社にフリーハンドを与えるものではなく、いま委員もおっしゃいました審議会等もございますが、いわゆるこの歯どめというものはそれなりにかかっておるというふうに御理解をいただければ幸いである、このように思います。
○泉説明員 私ども、法定制が緩和されたからといって経営がラフになるというようなことは毛頭考えておりません。先ほども申し上げましたように、中期経営計画をつくってその実施に努めてまいった結果、先ほど申し上げたような生産性の向上を見せておるわけであります。したがって、今後もそういった努力を続けていきたい。ただ、お話のように過剰投資になっても困りますし、また、人員の縮減ということは政府の御方針として決まっておりますので、私どもはもちろんそれに従って人員を縮減してまいるつもりでおります。そういう企業努力は今後とも続けてまいる所存でありまして、法定制緩和というのは、結局たばこ産業の中核として専売公社があるわけでありまして、その周辺にはたばこ耕作者もおれば、小売人もおる。関連のフィルターをつくっている人たちあるいはライスペーパーをつくっている人たち、そういった大ぜいの人たちがおられるわけでありまして、その大ぜいの人たちが、公社が赤字になったときどうなるのだろうという不安を持っておるわけでございます。 これはいままででございますと、専売納付金は益金の中から納めればいいわけですから、益金が減ったら納付金も減るということで片づいておったのでありますけれども、今後は納付金率が法定化されますので、納付金は納めたわ、公社は赤字になったというのでは、公社自身もそうでありますが、関連のそういった耕作者初め多くの人たちが大変心配することになるわけです。その心配をなくするために、赤字になったか、あるいは赤字になることが確実と認められる一定の条件の場合には法定制緩和を認めよう、これはそういった人たちを安心させるための一種のセーフガードであろうと私は思っておるのであります。やはりたばこ産業の中核体としての専売公社としては、そういう制度を認めていただくことによって、そういったいろいろな関係者との間で仕事をやっていく上において協力を得られることができるもの、このように考えておるのでございます。
○玉置委員 時間が参りましたので、値上げの際——値上げの際というのは変ですけれども、公社内部の原価だけではなくて、やはり二十五万人と言われております小売店、業者あるいは葉たばこ生産者、その辺も含めて、もしこの法律が通ったならばの話でございますけれども、十分考慮をお願いを申し上げて終わらしていただきます。ありがとうございました。
○増岡委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後八時十四分散会 ————◇—————