商工委員会流通問題小委員会 第1号
- 発言数
- 58 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1979/12/07
会議録
○中村小委員長 これより商工委員会流通問題小委員会を開会いたします。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 このたび、私が流通問題小委員長に選任されました。小委員各位の格別の御協力をお願い申し上げます。 流通問題に関する件について調査を進めます。 本日は、特に著作物の再販売価格維持契約制度について、参考人として日本書籍出版協会理事長下中邦彦君、日本出版取次協会会長石川度治君、日本書店組合連合会会長松信泰輔君、日本雑誌協会常務理事相賀徹夫君、以上四人の方々に御出席を願っております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 参考人各位には、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。 参考人各位には、本問題についてそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。 なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ五分程度取りまとめてお述べいただき、次に小委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、発言の際は小委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は小委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知願います。 それでは、まず下中参考人にお願いいたします。
○下中参考人 書籍出版協会の理事長の下中でございます。 出版物の再販制度についての出版業界の考え方は、昨年の十月十一日に橋口公取委員長の出版物の再販制度の見直しに対する御発言がございまして、それに対して出版業界としての見解を十月三十日に取りまとめております。この見解は現在も変わりませんので、念のためにちょっと読ませていただきます。 出版物再販制度についての出版業界の見解 公正取引委員会委員長は、十月十一日「再販売価格維持制度を全廃する方向で、当面は書籍とレコードの流通状況を調査し、独占禁止法改正をめざす」旨を言明したとの新聞報道が行われている。 右の内容について、委員長の言明と報道との懸隔の有無はともあれ、長年にわたり出版業界が読者の利便を優先し運用してきた出版物の再販制度を、改訂あるいは撤廃しようとする動きが公正取引委員会内にあることは事実であろう。しかもその動きが、出版流通の現状や、再販制度運用に対し理解不足のまま進展し、また撤廃ないしは特定した結論を前提として進められる気配のあることに、われわれ出版業界は大きな危惧を抱くものである。 もとよりわれわれ出版業界は再販制度に甘んじ、出版流通の円滑化・合理化をないがしろにするものではない。しかしながら、現在業界が事実として抱えている出版流通の欠陥や歪みは、再販制度とは別な要因から生じているものであり、業界相協力し日夜改善の努力を行っているところである。またかりに再販制度の廃止が欧・米諸国におけるひとつの潮流であるとしても、出版流通形態の彼我の差や、国情の違いを無視して、一律に論ずることは危険であり、わが国の現行再販制度は読者に実益を供与しているとの確信のもとに、出版業界は再販制度を堅持し励行している。 文化財の公正な伝達を保全し、読者の利益を擁護するため、現行の出版物の再販制度の廃止の方向に対し、われわれ出版業界は強く反対するものである。 これは、十月三十日に出版業界の見解を出版物公正取引協議会として取りまとめたものでございます。現在もこの見解は業界が一致して堅持しているところでございます。 出版物、ことに書籍につきましては、私ども日本書籍出版協会で毎月二回「これから出る本」という情報を発行しておりますけれども、書籍協会の会員社の書籍の点数だけで月に約千点余り、日に約七十点近い新刊の書籍、新しい商品が出版されているのが現状でございます。一方では、書籍協会で「日本書籍総目録」というものを年刊で発行しておりますけれども、つまり現在流通している書籍は、今度の一九七九年版に記載されている点数だけで二十四万点に近い点数でございます。毎日毎日新商品が出ると同時に、これだけ数の多い出版物を流通させるということになりますと、単純な流通システムというものがなければとてもこれを流通させることはできません。そのために再販制度で認められている再販売価格維持制度を適正に、しかも有劾に活用して出版物の流通を行っているというのが現状でございます。つまり出版物の定価というものをまず決めて、それを基本にしていろいろな流通を行っている。たとえば出版物の運賃込み正味制度というものがございまして、運賃をプール計算して全国に出版物を流通させる。ですから、日本は狭い国土ではございますけれども、北は北海道から南は沖縄まで非常に幅の広い、距離の長い中で、どこの地域でも同じ定価で出版物が安心して選択しいかえるそういう制度は、やはり再販制度の効用によって成り立っているということがございます。しかも、この再販制度によりまして、出版物の流通のいろいろな取引条件とか商慣行というものが非常に緻密に練り上げられているというのが現状でございまして、もしこういうものを廃止したりあるいは基本的な線で手直しをするようなことになりますれば、一カ所を手直ししても非常な混乱が起こる。混乱が起こった際に出版物が、たとえば非常に質が低下するとか、あるいはある場合には出版物の定価が高くなるとか、そういうおそれがございますし、仮にその混乱を乗り切ったとしても、乗り切った後で果たして本の定価が安くなるのか、あるいは本の質がよくなるのか、あるいは本の流通制度がよりよくなるのか、そういう保障は何もない。われわれの予測ではむしろ否定的であるということが現状でございます。 一方、それは流通制度だけではございませんで、たとえば著者の印税と申しますか、著作者に対する報酬も、たとえば定価の一割というようなことを基準にして、すべての著作者が喜んで著作物を出版社に提供するというような、外国から見ますと非常にうらやましがられるような慣行も行われているということもお認めいただきたいと思います。 十二月六日発行の週刊文春で、井上ひさしさんという作家が、消費者の立場あるいは著者の立場から、この出版再販問題をいわば感想として批評しておられますけれども、本の定価は非常に安い。また本は定価によって買われるものではない。本の中身によって買われるものだ。しかも、たとえば国語辞典などを取り上げてみますと、百種類余りの国語辞典が発行されている。それはそれぞれの社が、それぞれの著者が工夫をこらして製作されているもので、そこではすでに非常に厳しい価格競争が行われている、そういうことをお述べになっておられます。そういう意味からしても、この再販制度が出版物の定価を高くして押しつけているという事実は全くない、そういうことをおっしゃっておられますけれども、私どももそういう確信のもとにいままで出版事業を進めてきたということを申し述べたいと思います。 以上、五分でございますので……。
○中村小委員長 参考人の方々にお願いを申し上げるのですが、実はきょう一時から本会議がございますので、時間の制約があります。皆さん方に御意見をお述べいただいてから質問の時間、それが終わりますと若干懇談の時間をとりたいと思っておりますので、五分以内をぜひひとつ厳守して御協力をお願いしたいと思います。 次に、石川参考人にお願いいたします。
○石川参考人 日本出版取次協会の石川でございます。今回の再販の問題を正しく御理解をいただきたく存じますので、私から出版業界の現状につきまして簡単に申し上げます。 現在出版社は約三千社ほどありますが、毎月十社程度新しい出版社がふえております。これらの出版社から、昨年は書籍の新刊が二万八千二百七十七点、重版を含めますと三万八千八百三十七点が発行されております。それで一点当たりの発行部数は九千七百部でございました。これの平均定価は七百八十七円で、前年に対しまして二二%の上昇率でございます。出版界におきましては、価格の競争は出版社が定価を設定する段階におきまして大変厳しい競争が行われております。そのため平均定価の上昇率が至って低いのであります。 一方、小売書店は全国に三万店以上ありますが、その売り場面積は平均いたしますと十八坪程度であります。一日平均百二十点ほどの新刊、重版が発行されておりますので、この程度の売り場面積では、その全部を店頭にそろえることは至って不可能なことでございます。現在流通しております書籍は二十四、五万点程度と推定されるのでございますが、これをすべて店頭に陳列することは大型書店でございましても困難でございます。小売書店のマージンは大体二〇%程度でございまして、小売書店の段階で価格競争が行われるような業界の取引制度には現状はなっておらないのでございます。現在の取引条件のままで小売書店が価格競争を行えば、その経営は至って不健全なものになると思うのでございます。 次に取次でありますが、取次協会に加盟しております社が四十八社ございます。取次の社数はほとんどふえておりません。取次のマージンは通常八%程度と言われておりますが、これは取り扱ったものが全部売れた場合のマージンでありまして、五割返品があった場合にはそのマージンは四%でございます。また、三割しか売れなかった場合には二・四%のマージンしかないのでございます。この実質マージンの中で取り扱う全体の運賃、荷づくり費、販売諸経費、代金回収費、返品整理費等を負担しておるのでございます。このように取次のマージンは売り上げに対するマージンでありますから、売り上げの比率によってマージンの多少があるのでございます。したがって、過大な返品は取次にとりましても大きな負担でございます。そのために、返品を減らすことに最善の努力を払っているのでございます。 日本の出版界の場合はそのほとんどが見込み生産でありまして、また、売れ残った場合には返品ができるという委託制度でございます。返品の原因にはいろいろ考えられますが、企画と内容の問題あるいは発行部数が適当であったかどうかという問題、また、発行した時期が適当であったか、あるいは類書があったかというような問題、あるいは読者に周知できたかどうか、宣伝の問題、また、価格が適当であったかどうかというように、いろいろ返品の原因はあると思うのでございますが、これを改善することと読者の注文に迅速に応ずることが出版界全体の今後の大きな課題であると思うのでございまして、一段とこの改善に努力をいたしたいと思っております。 再販の問題に関連いたしまして御理解をいただくために、現状につきまして簡単に申し上げた次第でございます。 以上でございます。
○中村小委員長 次に、松信参考人にお願いいたします。
○松信参考人 書店組合連合会の松信でございます。 公取は、現在いろいろな形であらわれている出版流通のひずみは、再販運用の行き過ぎであるというふうに言われておりますけれども、私どもは、現在本の流通に幾多の問題点のあることは率直に認めますが、流通のひずみは多かれ少なかれどの業界にもあることでありまして、これが必然的に再販制度と結びつくということは全く理解に苦しむ次第であります。再販制度と流通のひずみは無関係であると私どもは思っています。もし両者に大きな関係があるとすれば、それは読者にとって非常な大きなプラスをもたらす関係であります。 その一つを言いますと、この再販制度があるがために出版、取次、書店とも規模、格差拡大に歯どめがかかっているということが言えます。つまり再販制度をなくすということは、業界内の競争を非価格競争から価格競争に移行させるということでありまして、つまり出版物を資本力による競争にすべて任せるということになるわけでありまして、一般物質商品ならいざ知らず、出版文化の普及発展という一面を持っている業界にとっては理解に苦しむところであります。たとえば、具体的に言いますと、書店は大書店が有利となり、大都市、大ターミナルに集中をして地方との出版文化格差を生ずる。取次はいまのような形式的な寡占から実害を件う実質的な寡占へ移っていく、また、出版社は大手マスプロ出版社のシェアがますます拡大をして、これがため専門書を出している中小出版社の経営が困難となり、相対的に出版物の品質の低下を招くことになると思います。 次に、昨今の石油事情等による紙等の物価の値上がりを考えますと、再販を外すことによって必ずしも値下がりということは考えられない。逆に値上げの危険性が生ずる。これは第一次オイルショックのときに奥付が外され、在庫品がどんどん値上げをされたあの状況を見ても御理解をいただけると思います。いま緊急なことは、出版物に奥付をつけ、それに定価を必ず表示させ、それを必ず守るということが現時点においては定価の上昇を抑える一番大事な問題であろうと思っております。 昨年の暮れに公取が主要国における出版流通実態の調査というレポートをお出しになりましたが、これを拝見いたしますと、主要国における流通コストは販売価格において四〇%から五〇%を占めております。わが国の流通コストは、これは書店、取次合わせてでございますが、三〇%にすぎないわけであります。この理由は、わが国は流通経路が非常に簡素化されている、輸送が集約化されている。これは大取次の機能が十分に発揮をされているということであります。それのほかに定価販売が古くから定着をして、定価に対して流通マージンを一定の比率に抑える商習慣があり、これがため流通段階において見せかけ価格や投機的要素の介入を許さない、全国均一の負担になっているというものであります。流通コストの比率がその国の出版流通の合理性を示すバロメーターであると私どもは思いますが、そうだとしたならば、わが国の流通は再販制度によってきわめて合理化されており、したがって本の価格が低価格で提供されているということであると思います。 また、流通のひずみにつきましては鋭意改善をしつつあります。先ほど書協の下中さんがおっしゃいました情報流通、これは物流の基礎であります。いま書協を中心として全力を挙げてこれの改善を行いつつあります。それから、お客様の注文品が遅いということに関しまして、客中心の注文は一般の補充注文と区別するシステムを確立し、これを十月から新しく発足させております。これがため、北海道においては三週間かかった入荷期日が二週間に繰り上がったという報告が入っております。なお、新刊委託は取次がコンピューター配本によってやっておりますが、それの運用の改善も行っておりますし、それから通産当局で御指導の、出版物の共同倉庫等の研究も逐次行われております。 つまり再販制度は、委託制度とともにわが国の出版を世界の一流出版国に育て上げた大きな二本の柱でありまして、現行の制度を過当にいじり過ぎることによって法定再販そのものの基盤が崩れ、骨抜きになるということがもしありましたらば、これは非常に重大な問題でありまして、私どもは大変心配をしているところであります。ちなみに、現在の再販契約及び委員会規約条文は、過去六年、長い間公取から御指導をいただきまして、昨年六月に公式に提示されたものをそのままことしの九月から実施に移しているものでありまして、これによって過去の再販制度の行き過ぎは十分是正されるものと思っております。 なお、一つつけ加えさしていただきますが、公取から景品つき販売は割引ではなくて景表法によるべしという御指導がありますが、景表法というのは過大な景品をつけて過当競争をして、消費者に不利益を与えるために、景品の額を規制をするという精神の法律であろうと思います。公取さんのいままでの私ども業界に対する指導は、再販である出版物は景品等はなるべくつけないで、低い定価で抑えるべきである、こういう指導を長年私どもはいただいているわけでありまして、その趣旨からこの二〇%の中で一〇%以内の割引ができるなんという景表法をこれに適用されるということは、私どもは反対であります。 以上、終わります。
○中村小委員長 次に、相賀参考人にお願いいたします。
○相賀参考人 相賀でございます。 独禁法において著作物と言われる出版物は、新聞、雑誌、書籍であります。これらの出版物が南北二千キロの国土のどこでも同時に同じ価格で享有できる、これは並み並みならぬ国の政策の結果であり、世界に例を見ないものであろうと思います。たとえば書籍小包制度というのがあります。また新聞、雑誌の第三種郵便制度というものがございます。また国鉄の新聞雑誌特別運賃制度というものがございます。これらは距離に関係なく、一定料金で文化、報道を享有できる制度でございます。新聞、雑誌、書籍の定価販売も、これらの政策を受けて長年業界において努力してまいったものでございます。 独禁法においてもこれを受けて、著作物の保護の上からも法定再販の可能性を認めたものと私どもは類推いたしております。特に新聞においては、公正取引委員会告示において定価の割引等を厳に禁じております。一つの制度において、対立する考えやそれによって生ずる弊害は必ず存在すると思います。私は、再販制度の弾力的な活用こそ明治以来百年の国民の教育、文化向上の実りを継承するものであると、出版人の一人として強く信じております。 その点からも出版物の再販制度について常に見直すことは大いに必要があると存じますが、今日もいろいろと問題提起がありますけれども、特に強調したい点は文化の差別をしてはならないという点であります。読み捨てられるような文化は再販から外すなどという論議には大いに疑問を感じております。言論、出版の自由の上からも差別すべきものではないと思います。また、よって生ずる過大な返品、その資源のむだ遣いというようなことが言われますが、私どもの社の小学館の過去三年間の書籍の年間における断裁率は、年間の製作冊数に対して二%以下であります。また小社の過去三年間の雑誌の返品率は一五ないし一六%でありまして、この返品されたもののほとんどすべてが再生紙として活用され、故紙再生利用率は日本が世界第一というふうにも聞いております。 出版界ほど競争の激しい業界は少ないのではないかと思い、競争原理の上にのみ出版社は存在していると思います。今後一層われわれは全国の読者の支持を得られる出版物を、より早く、より広く、より安く提供する努力を続けてまいりたいというふうに思っております。 最後に一言つけ加えさせていただきますが、出版流通対策協議会という組織がございます。この組織は、約八十社の小規模出版社から構成されております。すべて十名以下の人員の出版社でございます。この協議会から、特に再販が外されますと、自分たちの出版物は全く世に出ることができないという強い要請がございましたことをつけ加えさせていただいて、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○中村小委員長 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○中村小委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺三郎君。
○渡辺(三)小委員 時間の関係がありますので、一括して御質問申し上げたいと思いますので、それぞれお答えをいただきたいと思います。 最初にお伺いしたいと思いますのは、公正取引委員会が、いまの参考人のお話にもありましたように、この再販問題についての見解を出して、その後具体的な行政面からのいろいろな考え方、これを業界にも出したようであります。これに対応する四団体の見解、これがことしの具体的には二月以降、いろいろ変遷があったようでありますけれども、最近はどのような形になっているかというのが第一問であります。 それから次に、具体的な内容になりますけれども、返本率の問題についてお伺いをしたいと思います。これは端的に、主要な諸外国と日本とを引き比べてどのような実態にあるか、これが第二問であります。 それから第三問は、返品をした後の処理。公正取引委員会の委員長の商工委員会などにおける答弁を聞きますと、返本したものについては大部分は裁断をされる、そしてまたそれが少なからざる資源の浪費になっているのではないかというふうな印象を受ける答弁も行われておりますが、きょう御出席いただいた参考人それぞれの見解、一体これについてどう考えておられるか、こういう問題であります。 さらにまたこれに関連をしまして、実態は全部が全部裁断されるわけじゃないわけですから、そうでないものについては最終的にはどのような処理になっているのか。いわゆる市場に還流といいますか、再還流といいますか、そういうふうな形で処理されているものがどの程度の率になっているのだろうか、その場合の価格問題などはどのようにお考えになっているのだろうか、この点もお伺いをしたいと思います。 それから最後に取次店の問題でありますけれども、寡占化した取次店の問題、これはやはり読者も非常に大きな関心を持っておりますし、それから業界自体もやはりこの問題については何らかの改善措置を講じなければならない、このように認識なさっておると思うのです。ですから特に二大取次の寡占的な状況、これについてどう今後対処をされようとしているのか、あるいは大書店と中小書店との間の差別的な取り扱い、こういう問題についても流通面での改善のお考えがあるのかどうか。 ずいぶん多岐にわたりましたけれども、大体以上次々にお答えをいただきたいと思います。
○中村小委員長 それぞれお答えいただきますが、先ほど申し上げましたような時間的制約がありますから、要点を簡潔にひとつお答えをいただきます。 最初に下中参考人。
○下中参考人 目下四団体で構成しております出版物公正取引協議会の専門委員会と公取の事務局と折衝しておりまして、つまり出版物再販価格維持契約書の条文の詰めを行っております。それからもう一つは、出版物再販価格維持励行委員会の規約の条文についても折衝を行っておりまして、大分意見の交換が進みまして、もう少しで決着がつくだろうということを私ども望んでいるのでございます。 返品の問題でございますけれども、出版物は先ほど申しましたように毎日毎日何十点という新刊が出版されます。しかもその購入というのは、それを手にとってながめてから購入を決定するということで、いわば委託制度というのは、出版物は展示販売をする基本的な性格を持っている、しかし全国の書店の展示能力、つまりスペースですとか、その展示能力には限りがあるわけでございますから、必然的に前に出た本は返品するということで循環しているという形になります。循環して、過去に出版された出版物が二十四万点ということで、出版社の倉庫の中にあるいは取次店の倉庫の中に保存されるわけでございます。それがいろいろな口コミと申しますか、自分が読んだけれどもこれはよかったぞということで、注文という形で徐々に徐々にこれは売れていく。先ほど相賀さんがおっしゃいましたように、小学館の場合にはつまり一年間の生産物で断裁するものは二%、平均して大体五%ぐらいがあるいは断裁される、そういうふうに推量して大過がないのではないか、そういうふうに考えております。
○石川参考人 最初に、公取の方から公取修正案というのが励行委員会規約の面と再販の契約書の条項で出されましたので、その後、業界と公取の流通対策室とが中心になりまして、業界の意見も申し上げて、現在その折衝中でございます。修正案に対する業界の意見を出しまして、このように修正案を改正していただきたいというようなことでただいま折衝中でございます。再販についての私どもの基本的な見解につきましては、意見の相違があるわけではございません。その精神は十分承知しておりますので、この条文の内容等につきましていろいろ折衝をいたしているわけでございまして、できるだけ早く解決をいたしたいと思っております。 それから、返品率の問題につきましては、お手元に資料を差し上げてございますが、返品率がこの資料の括弧の中に載せてございます。ただ、この二、三年返品率が大分高くなってまいりましたので、業界としてもこの返品の問題は大きな問題でございますので、返品率の改善につきまして最大の努力をいたしておりまして、昨年あたりから順次返品率がまた減ってまいりまして、ことしは約二%ぐらい改善をされております。 それから、返品されたものの処理の問題でございますが、これは出版社さんが一番よく知っておられることでございますので、先ほどの御返事のとおりだと思います。 それから次に、取次の寡占の問題でございますけれども、寡占であるかどうかは別といたしまして、寡占によって一体どういう弊害が出ているか。私どもはそういった弊害はないと思っておりますが、もし具体的にどういう弊害があるという御指摘があれば、それを改善することには一向やぶさかではないわけでございますので、寡占の結果どういった弊害が出ているかということをいろいろ具体的に御指摘がございますならば、即時に改善いたしたいと思っております。
○松信参考人 重複を避けまして私の気のついたことだけ申しますが、本というのは本来委託であるべきである。あらゆる作品、著作物が著者の努力によって出版をされるわけでありまして、それが書店の店頭に並んで分類、陳列され、その中から選択されて買われていく。全くの見込み生産でありますから、当然本の普及というためには委託制度というのは重要欠くべからざる制度でありますし、委託がある以上は返品があるのは当然であります。返品がないというのは、戦争中私は経験しておりますけれども、言論出版統制下においてのみ返品のない出版があるというふうに私は思っております。 ただ、問題は、返品の量が多いか少いかということですが、たとえば三二%とか三〇%書籍の返品があると言われておりますが、このうち一〇%は常備寄託、つまり預かったものの一〇〇%入れかえという部分が入っているわけです。当然あるべき返品が一〇%あるわけです。これはあるのが正しいのです。それを引くと二二%とか二〇%という数字になるわけであります。たとえばカメラ業界あたりは、これは買い切り商品でありますが、買い切り商品の業界においても一五%ぐらいの返品があると言われております。これは何によって生ずるかというと、やはり金融返品とか見込み違い返品とか故障の返品とかというものがある。この委託が必然性の業界において実質二〇%の返品ということは、率としてはそう驚くほどの率ではない。ただ量としては確かに大きな量であるの外これは減らさなければいけない。もし流通上の欠陥によってこれが生じている部分があれば、これはもう直さなければいけないというふうに思っております。諸外国の返品率は、公取さんの調査などを拝見しましてもやはり各国ばらばらでありまして、いまのところ私はちょっとお答えができない状態であります。 それから返品後の実態は、一部際物等は当然書籍でも裁断をされますが、その他のものは大部分再出荷されて、おのおのそれを必要とするところへ行って消費者の手に渡るということで、委託、返品、再出荷という調整機能によって出版物はその生命を全うするので、これが三十何%もあるんだそうだ、それが全部紙くずになってしまうんだそうだ、これは国家のロスだなんて、こんな単純な、実情を知らない議論はおかしいというふうに私は思っております。
○相賀参考人 公取委とのいろいろな話し合いというものを今後積極的に進めてまいりたいと思いますが、それにつきまして出版業界の実態というものをぜひ御理解していただきたい、ぜひその御努力をしていただきたいと思います。いろいろな投書などもあるかと思いますが、それだけによらずに、ぜひ生の出版業界の実態をよく見ていただきたい、そして、独禁法において例外規定的な取り扱いでございます再販というものを、私どももまた正しく運営できるように御指導いただきたいと思います。 返品の問題につきましては、いまも、たとえば常備寄託も結果的には返品になるということでございますが、これは売るために陳列してあるものでもございます。そういう点で、返品とは何かという問題がどうも明確にとらえられていない。最終的に出版社において返品されてもう売れなくなったものというのは、先ほど申し上げましたように業界では大体五%以下であるというふうに考えられております。私どもの社では書籍が大体年に三回転ぐらいいたしておりまして、返品されたものがまた出ていく、そして書店の店頭に並ぶ、こういう形が繰り返されているわけでございます。ですから、それをある時期で切りますと、確かに新刊書で三割返品が来る場合もあります。しかし、それは直ちにまた出荷され、年間のトータルでは、最終的に断裁されるものは二%であるということでございます。 以上でございます。
○渡辺(三)小委員 いまそれぞれお伺いしたわけですが、私がお聞きをした内容に対する御回答といいますか、これはまだちょっと再質問したい内容がたくさんあるのですが、時間の関係がありますから、一たん質問を打ち切って、後の懇談の際にさらに内容を詰めてお伺いをする、こういうことで質問を終わります。
○中村小委員長 森田景一君。
○森田小委員 公明党の森田景一でございます。 年末のお忙しいところ、参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。 貴重な時間でございますので、順不同になりますけれども、最初にお尋ねしたい参考人の方々、それから質問の内容を申し上げておきますので、ひとつそれに沿ってお答えをいただきたいと思います。 最初に取次協会の石川参考人にお尋ねしておきたいわけでございますが、取次の寡占化あるいは優越的な地位を利用した取次方法が出版物の流通をゆがめているという意見があるわけでありますが、これらの声にはどのように対処をしていかれるお考えであるか。それから第二点は、先ほどもお話ありましたが、自由定価の品は結果的に買い取りと同じ扱いになるのではないかという意見があるようでございます。この点につきましてどういうお考えをお持ちか、お答えいただきたいと思います。 それから書籍出版協会の下中参考人にお尋ねいたします。二点ございます。 一つは、取次がいまやっております代理権、この代理権をとってしまったら出版社は個々の書店と直接契約する、こういうことになるわけでありますけれども、この点についての御意見をお聞かせいただきたいと思います。第二点は、公取が自由定価制を主張している根拠としまして、出版社は返品分もあらかじめ原価に含んでいる、そういうふうに言っているようでありますけれども、そのとおりであるかどうか、先ほどお話もございましたけれどもお聞かせいただきたいと思います。 それから、日本書店組合の松信参考人に四点ほどお尋ねしたいと思うのです。 第一点は、公取からの通告がありましたけれども、これをどのように評価していらっしゃるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。第二点が、再販実施を期限つきにという見解もあるようであります。そうなりますと消費者は自由定価になって好ましいという意見を持つ一方で、本屋さんとしては安心して本を置けない、こういう御意見もあるようであります。この点についての見解をお聞かせいただきたいと思います。第三点は、世間には割引本が少しぐらいあってもよいではないかという声もあるようであります。そうなると雑誌をもって生計をしている零細書店などは生活に困る、こういう御意見があります。この実態についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。第四点は、書籍流通に新しい動きがあるようであります。たとえば文庫本専門店とかあるいはスーパーで書籍を販売する、こうした新しい動きは今後の阻止できない流れになることも考えられると思うのでありますけれども、これらに対してはどのように対処なさるお考えでいらっしゃるのか。以上の四点につきましてお聞かせいただければ幸いだと思います。 時間の関係で、最初に皆さんに御質問申し上げました。よろしくお願いいたします。
○石川参考人 最初の御質問でございます寡占によって優越的な地位を利用していろいろやっているのじゃないかというようなことでございますが、私の方ではそういった優越的な地位を利用して不当なことをしている気持ちは全然ございません。ただ、誤解を受けている面があるといたしますと、先ほど私が申し上げましたように、取次のマージンというのは売り上げマージンでありまして、取り扱いマージンではございません。ですから、九割売れるものは七分二厘のマージンがある。しかし、三割しか売れなければ二分四厘のマージンしかない。その二分四厘で全国への運賃、荷づくりの諸経費を全部負担するわけでございますので、そういうことはとうてい負担できません。マージンの補完的な意味で取引条件に多少差があるということはございますが、それは決して平均的なマージンより多い条件ではございませんので、そういう優越的な地位を利用して不当なことをしているという事実はございません。そういうふうに確信を持っております。 もう一つの御質問の万一自由価格になった場合に買い切りになるかどうかという御質問でございますが、買い切りになる比率は高くなるのではないかというふうに推定はいたしますが、すべてが買い切りになるとは思ってはおりません。ここら辺は、そういった状況になりませんとまだ判断いたしかねるわけでございます。 以上でございます。
○下中参考人 再販売価格維持契約、つまり、独禁法二十四条の二の除外項目に基づきまして、メーカーである出版社と販売者である書店あるいは取次と契約を結んで、その価格維持をするわけでございますけれども、実際問題として、厳密に言えば一品一品商品ごとに契約を結ばなければならない、あるいは書店の数にいたしましても三万店ある、そういうことになりますと一品一品契約を結ぶことはとても不可能だということで、いわば取次に代理権を与えるという形で、公取さんが言われますとわりに包括的な契約になるということでございます。しかし、その独禁法二十四条の二の精神は十分理解しているつもりでございます。 それからもう一つは、返品を本の定価に見込んでいるのじゃないかということは、ございません。なぜかというと、返品はロスにならずに何とか回転して売れるわけでございますので、原価の中には、いわばその先行投資の金利とか倉敷料、つまり倉庫に保管する費用を経費として見込む、そういうのが原則でございます。ただ、本によりましては、非常に少部数のものですと非常な割り高になりますので、思い切って三年分を最初につくる。三年間保管することを覚悟してつくる、それに基づいて定価をつける、そういうこともございます。
○松信参考人 最初に第一項、公取の通告に対するところをどう評価しているかということでございますが、現行の再販の制度は、先ほど申し上げたとおり、昨年出された公取の御指導をそのまま受け入れて実施しているわけであります。ところが、ことしの九月に、そのとおり移行した時点において、公取さんから、そのときと状況のいろいろ変化があるので、これをたたき台として話し合いでもって直していきたい、こういう御意見でありまして、これは、私どもは通告とは理解をしておりません。公取さんも通告ではないとおっしゃっておりますので、御理解をいただきたいと思います。ただ、条文の修正点がいろいろ提示されておりますが、その一貫して流れているところが実情にそぐわないと思いますのは、本というのは書店が出版社を選択することはできないわけです。うちはどこの出版社とどこの出版社とどこの出版社のものの書店だということは、どこの何のジャンルを選定するかということはできますけれども、出版社を選定することはできない。つまり、書店というのは完全な共同販売制なんですね。ところが、あの独禁法というのは縦の系列の考え方なんです。こちらは完全な共同販売制なんです。その共同販売制の中に、これが一年後に再販から外れるとか、この出版社のこれとこれはこれだなどということは、事実上再販そのものを崩壊させるということで、私は法律はよくわかりませんけれども、実態からして、どうもよそは系列または系列の複合である、この業界は完全な共同販売である、そこで実態にうまくそぐわない線が底流にあるのではないかというふうに私は思っております。 それから、期限つき再販のことがありましたが、これは公取さんの御報告にもありますとおり、イギリスでは再販が厳格に行われておりますが、一年後には再販を外してよろしいという規約があるわけであります。しかし、イギリスの場合は買い切り制度であります。しかも小売マージンが四〇%近くあるということです。日本は委託制度でわずかに二〇%しかない。全く事情が違うということであります。で、返品条件につき買い切りで本当の委託じゃないという考え方もありますけれども、買い切りよりもまだ出版社の委託制の方がひもつきの要素があるわけです。それを小売の一存で動かすというのはちょっと問題ありということです。まして、小売の犠牲において返品するより割引しなさいと公取さんがおっしゃっている。これは書店の犠牲において全部割引をしろということで、これは私どもは納得ができないわけです。それで、出版社が定価を半分に下げてこれで売りなさいというのは、それはいまの独禁法でそのとおりである。私どもはそのとおりに売らしていただいております。ただ、小売に出したものをわずかなマージンの中で割引競争させようというのは、これは全く書店の生活権を無視した暴論であろうと私は思っております。この割引本があってもよいではないかというのも、それと全く同じ見解であります。 それから、本の流通の新しい動きをどう考えるかということですが、先ほど石川さんが三万軒あるけれども十八坪平均ぐらいだということで、ここに問題があるわけでして、本の種類が多いのにどこの本屋も売れる本だけ並べるから、効率のいい本だけ並べるから、あるものはあるけれどもどこへ行ってもないものはない、こういう状況でありまして、これを専門化をしていく必要があろうということです。それで、まずできるところ、そろばんに合うところ、たとえば雑誌の専門店というのはスタンドという形で一番最初にあるわけです。それから文庫、これも成立をするわけです。それから児童書、これも成立をするわけです。あるいは学参、これも成立するわけです。ところが社会科学、自然科学というものは、取引条件からしてそれだけでは本屋の経営は絶対に成立しないわけです。なぜかというと、仕入れ掛け率が高い、回転率が非常に悪い、返品ができないものが非常に多い、それが専門書の専門店化を妨げている一つの要素でありまして、これは今後取引制度の抜本的改善ということを含んでいかないと、奥行きの深い全国専門店的な配置というものは実現がむずかしいであろうと思います。 ただ、スーパーはこれまたちょっと状況が違いまして、自由価格を導入いたしますと、スーパーは本だけで飯を食っているわけではないわけですから、本を目玉として奥さん方を引き寄せておいてほかのものを売るといったら、近所の書店はそれで全滅であります。だから、割引というのを本の専門店の概念だけでお考えになられては困るんで、本を部分的に扱っているところがこれを使われると、全国の書店の生活基盤が全部崩れるということであります。私どもは自由価格のものはあってもいい、この出版社は自由価格、これは定価、それはあってもいいと思います。いいと思いますけれども、その中へ部分的な再販だとか期限つきで再販、そういうややこしいことを入れられると、これは非常に問題を起こして崩壊につながるので反対である、こういう意見であります。
○森田小委員 それじゃ持ち時間も切れましたので、以上で終わります。
○中村小委員長 次に、安田純治君。
○安田(純)小委員 各参考人には大変お忙しいところ御苦労さまでございます。 いろいろといま各同僚委員から質問がありましたので、私は時間の関係で若干の点だけお伺いしておきたいのですが、一つは、再販契約書の改正案というか修正案が公正取引委員会から五十四年二月と五十四年十月十一日ですか、二回提案があったわけです。それで、最初の提案については、取次店の方も出版も小売の方も、これはそのまま従ったのかどうか、従わないので第二の修正案がことしの十月十一日に出たのか、その辺いかがでしょうか。まず出版、取次、それから小売と御三人にお伺いしたいと思うのです。
○下中参考人 かつてございました、これは非常に古くからあったものでございますけれども、その再販売価格維持契約書の契約条項が少し強過ぎるという公取の御指摘がございまして、ずっと折衝を重ねてまいりました。出版業界でも四者それぞれの立場がございまして、その御指導に不満もございましたけれども、最終的に意見を一致させまして、指導の線をほとんど一〇〇%近い線で受け入れる、公取さんのおっしゃる線で受け入れるから、もし御意見があれば聞かしてほしいということを申し上げたわけでございますけれども、それがじんぜん日を過ごしても何ら御指摘がございませんので、それでは自主的にこれを実施いたしますということを公取の当局に申し上げたわけです。その後、しかし現状においてもう一度見直しをしたいということで修正案が提示されたというのが実情でございます。
○石川参考人 いまのお答えと同じです。
○松信参考人 私も、月日を入れますと六年の経過を経て古い規約の改正の行政指導が行われた、それが昨年の六月に案が決まって公取さんから提示をされた、それをことしの一月にそのままお受けいたします、御意見があったら御指導をいただきたいと申し上げて公取さんに提出をした。ところが、その間にそれに対しては御返事がなかったので、ことしの九月にそれに移行をした、こういうことであります。
○安田(純)小委員 そうすると、その後……。
○松信参考人 その後、いろいろ状況の変化もあるし、読者からの意見もあるしということだろうと思いますが、それを受け入れたことは前進であると公取さんは評価をしてくださったわけです、結構ですと。ただし、その後いろいろな状況の変化があり、問題が起こっているので、これを今度は再出発のスタートとして、これに対して意見を申し上げる、そちらへボールを投げた、だからそちらから投げ返してくれというのが公取さんのおっしゃり方であります。
○安田(純)小委員 次に、下中参考人にお伺いしたいのですが、いま言われたような経過で公取からまた修正案みたいなものが提示された。これに対して五十四年十一月二十一日に出版物公正取引協議会会長下中さんの名前で「出版物の再販価格維持に関する委員会規約・契約についてのお願い」というのを出されておりますね。この中で、一番最後の方に「短期日に結論を出すようにいたしてまいりたいと存じております。」こういう文章があるのですが、回答について公取委からタイムリミットを設定されたとか、はっきりしたことじゃなくとも、何かそういう必要があったのかどうか。
○下中参考人 私からお答えしてもよろしいのですけれども、いま公正取引協議会の専門委員会というのをもう少ししぼった形で組織しております。その専門委員会の委員長が石川さんでございますので、その後の折衝の結果を石川さんからということでよろしゅうございましょうか。
○安田(純)小委員 私、単純に伺っているのです。要するに、十一月二十一日に公正取引協議会の会長下中さんの名前で公取にお願いというものを出しておる。その中でいろいろ述べておりまして、最後に懇談会で詰めていきたいというような話で、「短期日に結論を出すようにいたしてまいりたいと存じております。」というふうにお願いがなっておるわけですね。そこからちょっと疑問に思うのですが、公取から何日までに返事をよこせとか、何かタイムリミットが、確定的な期日でなくても、あるいはそれに類する何か……。
○下中参考人 そういうことはございません。
○石川参考人 先ほどお話申し上げましたように、現在私どもの方の専門委員会と公取の流通対策室を中心としまして折衝をいたしておりますが、それについていつまでに解決しなければならないというようなタイムリミットは示されておりません。
○安田(純)小委員 そうしますと、先ほど来の同僚委員の質問やいままでの御議論の経過をずっと見ましても、相当これは重大な問題だと思いますね。この問題について短期日に結論を出すようにしたいというふうに言われたのは何か理由がありますか。
○下中参考人 なぜかと申しますと、つまり古い契約を新しく九月から実施し直そう。もうすでに大分進行しておりますけれども、契約書の組みかえをこれから実施するわけです。そうすると、それがまた修正案ですとまた直さなければならない。それは困るので、なるたけ短時日に決着をつけたい、その希望を述べたわけでございます。
○安田(純)小委員 終わります。
○中村小委員長 これより懇談に入ります。 〔午後零時三分懇談に入る〕 〔午後零時二十一分懇談を終わる〕
○中村小委員長 これにて懇談は終わりました。 参考人各位には貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。 —————————————
○中村小委員長 質疑を続行いたします。 小委員長より、著作物の再販制について公正取引委員長に若干の質問を行います。 公正取引委員会は、従来から再販制の弊害を除去するため、独占禁止法の運用を強化し、再販指定商品の縮小に努めてまいられました。このことは、消費者保護の観点からも、また再販制の適正な運用という見地からも適切な措置であったと評価するものであります。ところが、最近公正取引委員会は流通関係実態調査の一環として、出版物の再販制を中心とする取引実態を調査し、数件にわたる再販制実施上の検討を指示したようであります。まず実態調査に基づく公正取引委員会の出版物再販制に関する問題意識と指示事項の内容及び趣旨、指示の性格について伺いたいと思います。 独占禁止法において著作物の再販制が認められているゆえんは、著作物が普通の商品と異なる特殊性を有し、定価販売の商慣習が定着し、競争阻害のおそれが少ないという点にあると解されております。もちろんこれが制度本来の趣旨を逸脱する場合には当然その是正を図ることが必要でありますが、公正取引委員会の昭和五十二年の調査においては、最近の出版物の定価、マージン、リベート、広告宣伝費等の状況は他業界と比較し全体としては特に過大と認められず、一般消費者の利益を不当に害することとなる場合に該当する状況ではないと述べております。また、出版社の意思の反映という点については、公正取引委員会の一連の調査においても、出版業界の意見を聞いても再販制改善の必要なしとする意見が最も多く、再販契約を締結していない出版社でも再販制を続けた方がよいとするものがほとんどを占めております。公正取引委員会としては、事態の認識を変更されたのか。現在の著作物の再販制が制度本来の趣旨を逸脱していると考えているのか、伺いたいと思います。 言うまでもなく、著作物の再販制は一定の要件のもとに独占禁止法の適用除外となるものでありまして、もとより義務的な制度ではないことは明らかであります。したがって、仮に業界全体として著作物の再販制を義務化しているような実態があるとすれば、法の趣旨を明確化し業界に対し必要な改善を要求することは当然であると思いますが、その場合においても定価販売の慣行に根差す再販制の崩壊を招き、著作物の流通に混乱を生ずるようなことは厳に注意すべきであると思います。その意味において公正取引委員会の数点にわたる指示事項に問題はないのか。むしろ公正取引委員会としては再販制本来の趣旨を明示し、具体的には業界の自主的な対応を待つことが適当ではなかったのか、所見を伺いたいと思います。 公正取引委員会の指示事項のうち、個々の書店の景品つき販売規制を撤廃するという趣旨は、実質的な値引きと認め、景品による競争を促進することになり、著作物の性格から好ましくないと考えざるを得ません。公正取引委員会の真意を明らかにしていただきたいと思います。 以上に対して簡潔にお答え願います。
○橋口政府委員 出版業界と公正取引委員会の関係でございますが、昭和二十八年に法律改正によりまして再販制度が認められたわけでございまして、それ以前はいわゆる法律上の再販制度というものはなかったわけでございます。それ以後は、やはり再販制度のもとにある出版物の価格とかあるいは流通の状態につきましては深い関心を持ってきたわけでございますし、また再販を励行するための組織というものを出版界は持っておったわけでございます。そういう点から申しまして、公正取引委員会の数少ない業界との接触の形態を持っておりましたのが出版界でございます。 途中経過は省略いたしますが、いま小委員長からお話がありましたように、昭和五十二年に調査したわけでございますが、これは昭和四十八年、九年の狂乱物価の際に本の定価が急激に上昇する。しかも上昇する定価につきまして、本体に表示しないで、カバーとかあるいはサックに表示をするということに対する消費者の苦情が強かった経緯等もありまして調査をしたわけでございます。実際にまとまりましたのは五十二年ではございますが、調査の対象となっておりますのは狂乱物価からやや後の事態を反映したものでございます。したがいまして、五十二年の調査の中にも実は再販売制度につきましての提言もあるわけでございまして、一般的に再販が強制されておるような実態は好ましくないという判断も示しております。ただ、おっしゃいますように、狂乱物価の際の本の定価が、本のマージンとかあるいは利益率等から見まして不適正なものではなかったということを言っておるわけでございまして、逆に申しますと、再販制度がありますがゆえに公権力が価格に介入する必要が生じてまいるわけでございまして、これは著作物以外の、たとえば指定商品であります化粧品等につきましても、価格の問題に対して公正取引委員会は物を言うことがどうしても要請されるという性格でございます。これは、市場経済のたてまえから申しまして、価格に対して公権力が介入するということはよほどの場合に限定されるべきでございますし、ことに書籍のように文化的な商品であります場合に、国が価格に介入せざるを得ないというようなシステムそれ自体には基本的に問題があるというのが私どもの見解でございます。 ただ、五十二年に調査をいたしました以降の変化といたしましては、昭和五十二年の十二月に改正法が施行になったわけでございまして、私ども独禁政策の立場で申しますと、昭和五十二年十二月二日を境としまして事態は一変したというふうに考えております。同時にまた、産業構造の変化等の事態を考えますと、従来独禁政策の目がともすると製造業に強く向けられておりましたのを、製造業以外の非製造業にも向ける必要がある、こういう時代的な認識を持っておるわけでございます。非製造業の中でもなかんずく流通問題が一九八〇年代を控えての大きな課題だというふうに考えておるわけでありまして、そういう点から申しまして相当な品目につきましての流通機構、流通過程の改善について検討をいたしておるわけでございます。その中の一環として出版物を取り上げたわけでございまして、出版物に関しましては、われわれの従来の行政体験から申しまして、あるいは個人の生活体験から申しまして、生産、流通、販売、すべてに問題があるのではないか、こういう問題意識で出発したわけでございまして、したがいまして五十二年の価格についての調査のとりまとめの後も、一切それによって出版物についての問題はなしというふうに判断したわけではございませんで、それ以後も実は三つの調査をいたしております。 第一は、昭和五十三年に行いました消費モニターに対するアンケート調査でございまして、これは八百名を超えるモニターに対しまして書籍の出版の状況についての調査をいたしたわけでございます。調査の内容につきまして申し上げる時間がございませんが、その中にも約一割程度のモニターから、書店において値引き販売を受けているという報告が来ております。いずれにしましても消費者モニターに対する調査というものをいたしましたのが第一点でございます。 それから第二点は、主要国における出版物の流通の実態調査をしたわけでございまして、これは再販問題につきましていろいろ問題が議論として出ます際に、出版界の方からよく言われますことは、スウェーデンにおきまして再販制度を廃止したために非常な混乱が生じたということを言われるわけでございます。われわれとしましても再販制度を廃止するというふうに決めたわけではございませんが、書籍の流通について調査いたします場合には諸外国の実態を調査する義務があるわけでございますから、これは昭和五十三年から約一カ月かけまして英、米、独、仏、スウェーデンの実態を調査したわけでございます。この実態調査の後もいろいろ進展がございまして、最近の情報によりますと、フランスにおきましてはいわゆる推奨販売価格制度というものを設けておったわけでございまして、これは一種の定価でございますけれども、この程度の価格で売ってほしいという推奨販売価格制度がございましたものが、最近ではそれすら廃止された。メーカーの仕切り価格のみを決めるということで、末端の定価について生産者が物を言うということは最近なくなったようでございます。いずれにいたしましても諸外国の調査を行いましたのが第二点でございます。 それから第三点は広範な調査でございまして、版元、取次、それから書店に対しましてアンケート調査をいたしたわけでございまして、この取引実態調査につきましておおむね分析が終わっておるわけでございますし、その実態調査の結果に基づきまして、現在出版社と取次の間、取次と書店との間の取引につきましてヒヤリング調査をいたしておる段階でございます。 この第三番目に行われました広範な調査の結果を見ますと、出版界におきましてはすべての出版物が再販契約の対象になっていなければいけないという、義務再販と申しますか包括再販と申しますか、そういう誤った考え方が強く浸透いたしておるわけでございまして、小委員長がおっしゃいましたように、法律の規定に基づきまして再販契約をいたします場合には生産者の意に反してはいけないということでございますから、あくまでもこれは版元である出版社の意思によって左右さるべきものであるにもかかわらず、出版界の意識としましてはすべての著作物が再販制度による定価販売でなければいけない、こういう意識が浸透いたしておるわけでございまして、これは戦後二十八年にできましてから四分の一世紀を経過いたしておりますだけに、かなり根強くそういう意識があるようでございます。したがいましてわれわれとしましては、再販制度を決めております独禁法の精神に立ち返って、まず生産者の意思に反して流通段階で再販制度を行うということは、これは原則的にやめてもらうことが必要だという考え方を持っております。それからまた、一般消費者の利益を害するような再販は適当でないということでありまして、これも小委員長最後におっしゃいましたような、たとえば割引券の問題等にも関連があるわけでございます。そういう法律の二つの原点に立ち返ることと、それから再販を維持するためには何をしてもいいということではないわけでございまして、さっきもちょっと触れましたように、約一割程度の値引きの事実があるわけでございますが、仮にある書店がきわめて小範囲に値引きをいたしました場合に一切の出荷を停止するというような、そういうバランスのとれないような制裁行為を行うようなことは好ましくないわけでございまして、これは五十二年の調査ではそういう事態はないということになっておるわけでございますからその点は杞憂であると思いますが、要するに再販を維持するために許される正当な行為に限定すべきである、こういう基本的な考え方に基づきまして、現状におきまして出版の流通について何がしかの前進を行うことが必要であるし、また可能であるという考え方のもとに、おおよそ五つの提案をいたしておるわけでございます。 第一点は、再販励行委員会の名称を変更することということでございます。これは励行という言葉に問題があるわけでございまして、再販励行委員会というのが、本部が東京にございますし、各県には地区の再販励行委員会というものがあるわけでございまして、これは書店が中心になって運営されているようでございますが、この再販を励行するというのは、いままで申し上げましたような趣旨から申しまして励行するというのは本来適当でないことでございます。また同時に、共同で再販を維持するというのは、これは当然法律違反でございますから、したがいまして励行という名称について変更してほしいという提案をいたしておるわけでございます。 それから第二点としましては、出版社の意思を尊重するというのが法律の趣旨でございますから、すべての出版物が再販の対象になっているというのは適当でない、その点について考慮すべきであるということを提案いたしております。これが第二点でございます。 それから第三点としましては、出版社によって再販商品にすべきである、そういう意思表示がありました場合には、そのことを書籍に何らかの表示をしてほしいということでございます。これは現在化粧品等につきまして、千円以下のものにつきましてはマル再という表示をいたしておりまして、再販商品であることを明らかにいたしております。千円超のものにつきましては非再販でございますから、それと区別するという意味でマル再という表示をいたしております。こういうことも念頭に置いて何らかの表示ができないかということを申し上げておるわけでございます。 それから第四点は、再販に期間を設定できないかということでございます。これは現在の再販制度はいわば永久再販でございまして、一たん書籍が出版されますと、一たん消費者の手に渡って、消費者から古本屋に安く払い下げられた、それによって古本屋で書籍を手にする場合に初めて値引きが行われているということでございます。つまり永久再販でございます。それに対しまして何らかの方法で再販に期間を設定することはできないか。イギリス等ではそういう制度があるわけでございまして、再販制度のもとにおきまして一定期間たちまして書籍が売れない場合に、一定の価格で買い取りを出版社に請求しまして、出版社がそれに応じない場合には値引き販売をして差し支えないというような制度がございます。したがいまして、再販に期間を付することはできないかということが第四点でございます。 それから第五点は、景品つき販売の規制をやめることということでございまして、これは小委員長からおっしゃいました問題に関連いたしまして、多少詳しく御説明申し上げますと、われわれは定価販売と景品とは別のものだというふうに考えております。つまり景品は値引きにあらずという考え方を持っておるわけでございまして、これは同じような再販商品であります雑誌につきまして景品の制限という行為をいたしております。つまり過大な景品をつけないようにという制限行為を現にいたしておりますし、同じような再販商品である新聞につきましても、景品の制限をいたしておるわけでございますから、再販制度あるいは定価販売と景品というものは両立し得る、景品は値引き販売じゃないという考え方を持っておるわけでございます。 以上が提案をいたしております五点でございまして、小委員長から詳しく御質問がございましたので一応お答えいたしましたが、あるいは抜けている点があろうかと思いますから、御指摘があればさらにお答えいたしたいと思います。
○中村小委員長 次に、粕谷茂君。
○粕谷小委員 五分ぐらいの時間しかありませんから、私の方も簡単に言いますからひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。 いままでいろいろ小委員会で審議をしてきまして私が感じたことですが、いま橋口さんから、全部を再販の網にかけておくのはおかしいじゃないか、一部外してもいいじゃないかというような御意向が示されたのですが、あなたは日本の業界の二重構造というのは十分御承知だと思うのです。もし一部に再販を外すようなことが行われたとすると、おとり商品とか目玉商品に使って低廉な価格でそれをスーパーなどで販売したということになると、一般の単品扱いの書籍店はどういうふうになるかお考えになったことがありますか。
○橋口政府委員 いまのお話は、またスウェーデンのことを申し上げますと、外国のことを言うとすぐおしかりを受けるかと思いますけれども、実はスウェーデンで再販を廃止するという問題が起こりましたときに出た議論と全く同じ議論が日本でも起こっておるわけでございます。その一つは、再販制度を撤廃すると書店がつぶれるというのがございます。それからもう一つは、再販制度を撤廃いたしますと、いい学術書とか良好な出版物の出版が行われなくなる。第三点は、出版物の価格が高騰する。この三つの批判があったわけでございます。 ところが、実際に再販制度を撤廃した今日のスウェーデンの状態を見ますと、書店がつぶれたという例はございませんし、むしろ書店はふえておるわけでございます。しかもA級書店がふえておるという事態があるわけでございますから、いまおっしゃいましたような事態は、たとえばあらゆる書店が値引きをするとか景品販売をするとか、書籍、雑誌を問わずすべてについて何かそういう過当な競争を行うということが一体生ずるかどうかということでございまして、そういう形の異常な競争は生じない、むしろそういうことになることによりまして、それはいま再販を撤廃するということを決めてあるわけじゃございませんから誤解があるとまずいのですけれども、たとえば図書券とか割引券をもう少し自由に出すことにしましても、これはおのずから書店の専門化なり機能分化なりが招来されるわけでございまして、これは申し上げますと大変長くなりますが、とにかく毎日七、八十点の新刊書が出される……(粕谷小委員「もう少しかいつまんで言ってくれないかな。私の質問する時間がなくなってしまう」と呼ぶ)ですから、私どもの結論として、いまおっしゃったような極端なことは起こらないと考えております。
○粕谷小委員 それではもう一つ聞きますが、景品は価格の値引きではない、あなたはこういうお話をしているのですが、それはあくまでも形式論であって、実態から言えば景品を購入するお金も、いろいろな経費に充てるものもそこの店主のふところから出ていくのじゃないでしょうか。そういう実態を考えたときに私はこんなふうに思うのです。再販というのは、金利とかさっき倉敷料なんという話も聞きましたけれども、そういうものを加味したもともと非常に厳しい価格をつけていると思うのですよ。だから値引きする余裕がないというのが本来再販価格ではなかろうか、私はこう認識しているのです。そういう中で公取の委員長が、まだ想定ですが、一〇%以内くらいは景品をつけてもいいじゃないかと言うことは、業界に対する認識がちょっと違うのじゃないだろうかと私は思っているのですが、いかがですか。
○橋口政府委員 いまおっしゃったようなことが広範に起こるかどうかということだと思うのです。いま先生おっしゃいましたように書店のマージンもそう多くないわけでございますから、そんなに広範に景品をつけることはできないであろうと思うのです。したがいまして、新聞はやや事例が違うと思いますけれども、たとえば雑誌につきましては、景品競争が多くて弊害があるということで景品はやめようということにしてあるわけです。つまり書店の経営が立ち行かなくなるような広範な景品の付与は起こらないと思っているのです。むしろ、いま年に一回程度四団体が共同でやっているサービス週間というのは、業界としてやっているものですからよろしいということなんですが、たとえば地区の商店会の一員でありながら、地区で行う割引券とかサービス券というのがございますね、そういうものにも書店だけが参加しないという姿があるわけでございます。したがいまして、私どももそう極端なことを考えているわけではなくて、少しずつ自由化の窓をあけていくことはできないかということで、ございます。
○粕谷小委員 これは私が考えている事柄ですが、もし一部外すことになると、コミックとか雑誌ということになりはしないであろうか。いま日本の書店は大部分これによって生計を維持しているということを私どもは聞いているわけです。そういうものがスーパーなどでぼんぼん値引きして安売りされた場合に、その被害を受ける書店の実態は大変なものじゃなかろうか、私はこういうふうに認識しているのです。 そこで、過日この商工委員会で、あなたの前の委員長の当時に大店法を非常に厳しく改正したわけですが、それはどういうことを目的に、あるいはどういうことを意図して行われたか、あなたの認識をここでお聞きしたい。
○橋口政府委員 ある種の流通革命はあらゆる分野に進行しているように思うわけでございます。いま私ども不当廉売等で指導要請をされてやっている事例が幾つかございますけれども、たとえば牛乳の例を考えてみますと、牛乳についてもスーパー等での安売りがあるということで、牛乳の専門店が立ち行かなくなるというので不当廉売の是正の指導をいたしております。しかし考えてみますと、冷蔵庫が発達し、パックという制度ができ、しかも新鮮な牛乳が毎日届けられるという生活習慣がなくなってきたことを考えますと、牛乳の専売だけで生計を立てるのはなかなかむずかしいということでございます。そういうふうに全体として社会的な、文化的な環境が非常に変わってきていると私は思うわけでございますから、いまコミックとか劇画のことをおっしゃいましたが、たとえば月刊誌等につきまして、その月どうしても手に入れなければならないと思う人は買うわけでありますが、いい論文とかいい企画がありまして、月おくれでも買いたいという希望を持っておりましても、月おくれの雑誌は普通の書店では絶対に手に入らないわけですね。したがいまして、私どもが言う販売の改善というのは、一例で申し上げますと、たとえば書店の中に月おくれ雑誌のコーナーを置く、そういうようなことも私はぜひやっていただきたいと思うのです。 したがいまして、先生のお言葉に対して申し上げるわけじゃございませんが、私どもの改善提案を極端な形で受けとめるようなことは実はしていただきたくないわけでございまして、あくまでも、少しでも消費者の利益に還元されることはないかということを一生懸命探しておるわけでございますから、そういう意味ではわれわれの善意を御理解いただきたいと思うわけでございます。
○中村小委員長 次に、渋沢利久君。
○渋沢小委員 時間が余りにもありません。五分でやれというのはどだい無理な話なんですが、したがって中身よりも手続論といいますか、公取のこの問題についての対応姿勢というものについて、簡単に伺いたいと思うわけです。 まず、この間の五点にわたる修正提案というのですか、これは公取の通告というような性質のものなんですか、どういう内容のものですか。
○橋口政府委員 これは別に通告とか、この通告に従わなければすぐ法的措置をとるとか、そういうものじゃございませんで、改善の提案でございます。ただ、これは事務局が提案したというものではなくて、委員会で検討した結果に基づいて提案をしているものでございます。
○渋沢小委員 委員長も御存じのように、前議会から再販問題は当該委員会でもかなり議論があったわけです。われわれは特に、あなたが先ほど言われた幾つかの調査の結果というものを早く出してほしい、ぜひ議会の方に見せてほしいという発言を各委員からしてきたところです。つまり、あなた方の方は、こういうアンケートなりいろいろな調査に基づいてきちんとした分析をして、その上で再販問題についての対応を出したい、何も再販を外すと言い切っているわけじゃないという趣旨の説明を一貫してされてきたように思うわけです。そういうさなかに、先ほどの話からいっても、特に第三の新しい調査についてはまだまとめの最中だというふうに伺っておるわけですね。その結果については私どもは報告を受ける機会も持っていない。しかし、そういう形の中で業界に対しては、いろいろ伺ってみると、すでに去年具体的な提案を公取として出される、それに対して業界は受け入れる、その方向でやりますということを先ほど参考人からも伺ったのだが、積極的に、前向きに、公取の正式な提案を受けて、そしてそれに取り組むということを打ち出しておられる。ところが、最近になってにわかに修正提案をされる。その修正提案の五項目というのは、われわれもまだ伺っていない第三の諸調査の結果を取りまとめた総合的な、いわば最終的な公取の追加提案、修正提案という形で提案されている。いま、通告ではなくて提案だ、こういうお話であるが、どうも私どもが伺っているものと、実際の業界に対するあなた方の対応というのはかなり開きがあるように思うのです。しかもいきさつの中で、一たん出したものをまた短い期間の間にかなり中身の違ったものを提案されるというような姿勢は、公取ともあろうものの業界に対する対応の姿勢としては大変不信を招くような態度じゃありませんか。提案をして、相手が受け入れると言っているものを、一年もたたぬうちにかなり内容の違った提案をされておる。そういう手続といいましょうか、姿勢といいましょうか、お上の姿勢がにじみ出ているような感じを受けました。この点についてどうお考えか。これが一点。 それから内容の点では、委員長からも御質問がありましたように、どうも中身は部分再販、限定再販、一時再販ですね。景品つきの問題についても、あなたはそうおっしゃるけれども、実質的な値下げ、値引きになっていかない保障は全くない。あなたの一つの見方でしかない。いまの段階ではそう思う。そういうことを含めてかなり荒っぽい、つまり事実上再販骨抜きと言わざるを得ないような中身のものを、再販制度については調査の結果を待ってじっくり対応するとおっしゃっておるあなた方が、事実上は再販骨抜きの指導を提起されておるように思う。その手続といい、中身の唐突さといい、大変唐突感を持って私ども聞いておったわけです。そのことについて伺いたいと思います。
○中村小委員長 本会議の予鈴が鳴りましたので、意見はまずおいて、いまの質問に対して的確に答えてください。
○橋口政府委員 いまの点について申し上げますと、実は、出版界の方と折衝いたしておりましたら再販励行委員会の問題がございました。これは、それだけを去年の十月にお話し合いをして、出版界の公正取引協議会の方からことしの二月に指導を受け入れても差し支えないというお話があったわけでございまして、その間、さっき申し上げました調査というのはずっとやっておるわけでございます。それから出版界の方でも、われわれをお呼びになったりおいでになったりしていろいろ討議をしておるわけでございますから、その間全然行政上の積み重ねがないというわけではないわけでございます。二月に励行委員会について指導を受け入れるとおっしゃったのに対しての回答がなくて、その後いろいろな調査を継続して十月になったということでございますが、私どもとしましては、その間一年あるわけでございますから、一年の間の調査なりあるいは出版界との事実上の接触というものがあるわけでございます。ただ、要するに十月の初めに指導いたしましたときに、私も後から聞いたことでございますが、共同通信社が新聞に流して、これが地方に大変大きく出て、全国三万の書店の方がびっくりされたという経緯があるようでございますから、そういう点についての配慮は今後ともしなければならないと思いますけれども、われわれとしましては、法によって与えられた行政の範囲で出版界と接触をしてきておるわけでありますから、決して唐突でもなければやみ討ちでもない。決していい例ではございませんが、たとえば昭和四十八年に化粧品についての再販制度を一挙に変更して千円以下にした、そういう荒っぽい、なたで首を切るような措置はとっておりません。
○渋沢小委員 時間がないので、最後に一点だけ聞きます。 とにかくこの種の問題は、あなた方がどういう権限をお持ちになろうと、まさに万機公論に決すべき性質のものですよ。関係業者団体に限らず、広範に意見を徴してそしてお決めになって決して遅いものではありません。議会でもわれわれはかなり時間をかけていろいろな問題提起をしているさなかであるし、各方面の関心が高まっているときですから、そういう点では各般の意見を集めて慎重に対応するという姿勢に欠けるという印象を持ちますよ。その五点の修正案の中身は一体どういう判断、基準によっておやりになったのですか。私ども議会人としても大変不愉快です。ですから、そういう点であなたの意見を最後に伺っておきます。余りばかにしちゃだめだよ。
○橋口政府委員 いや、民主主義でございますから、手続に慎重を期するのはもちろんのことでございます。ただ、私どもとしましては、現状を一切変更しないという考え方には残念ながらくみすることはできないということを最後に申し上げておきます。
○中村小委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十八分散会