航空機輸入に関する調査特別委員会 第2号
- 発言数
- 116 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1979/12/10
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 航空機輸入に関する件について調査を進めます。 この際、いわゆるロッキード・ダグラス・グラマン事件の公判状況について法務大臣から報告を求めます。倉石法務大臣。
○倉石国務大臣 ロッキード事件及びダグラス・グラマン事件の公判経過につきましては、刑事局長から御説明申し上げさせます。
○中山委員長 前田刑事局長。
○前田(宏)政府委員 まず、いわゆるロッキード事件の公判の状況につきましては、すでに昨年三月一日、五月十日、十月十八日の本委員会におきまして御報告をいたしておりますので、本日は、その後の公判の経過につきまして御報告を申し上げます。 まず第一に、丸紅ルートについてでございます。 この関係におきましては現在までに八十六回の公判が開かれ、本件の背景、本件に至る経緯、五億円の授受及び請託等の主要な事項に関しまして所要の証人調べが一応終了いたしましたが、一部の証人につきましては、捜査段階での供述を証言で覆したところがございまして、検察官といたしましては、同人らの検察官調書を刑事訴訟法三百二十一条一項二号書面として取り調べを請求しております。また、その間、かねて検察官から取り調べ請求をしておりましたコーチャン、クラッター両氏に対する嘱託尋問調書につきまして、昨年十二月二十日の第六十二回公判で採用の決定があり、本年に入りましてその取り調べが行われております。 本年四月十一日の第七十回公判からは、被告人質問の段階に移っておりまして、まず大久保被告人に対する被告人質問が第八十回公判まで行われ、引き続き十月十七日の八十一回から現在まで檜山被告人に対する被告人質問が行われております。 大久保被告人は、丸紅とロッキード社との関係、丸紅の全日空に対する大型ジェット機の売り込み状況など、本件の背景あるいは本件に至る経緯、田中被告人に対する五億円の贈賄の謀議及び同人に対する請託と賄賂の約束の経過、五億円を贈与した状況、米国上院のチャーチ委員会におけるコーチャン証言に対する丸紅幹部の対策状況など、本件の全般にわたりましてほぼ検察官の冒頭陳述書記載の事実に沿う供述をいたしておりますが、五億円の趣旨につきましてはやや明確さに欠ける供述をしております。 檜山被告人は、昭和四十八年八月二十三日、被告人田中の私邸を訪問して五億円の供与方を約束した事実は一応認めておりますが、右五億円はロッキード社から田中被告人への政治献金であるという供述をしており、五億円の趣旨を含め、贈賄の謀議、同人に対する請託などの本件の主要事項につきまして捜査段階での供述に反する供述をいたしておりますため、検察官は檜山被告人の検察官調書をもとに質問を行ったところでございます。 次に全日空ルートでございますが、この関係の公判は、本年十二月四日現在で合計百二十二回開廷されております。 全日空側の被告人に関する外為法違反事件及び議院証言法違反事件につきましては、検察側の立証をほぼ終了いたしまして、弁護側の反証段階に入っております。 次に、橋本、佐藤両被告人の受託収賄事件関係でございますが、請託の趣旨あるいは金銭の授受等の核心部分につきまして、贈賄側の重要関係者である若狭被告人に対する尋問、また若狭被告人らの取り調べ状況につきまして、取り調べに当たって検察官に対する尋問等が行われましたほか、その間、本年十月三十日の百十七回の公判におきまして、コーチャン、クラッター両氏に対する嘱託尋問調書が証拠として採用され、取り調べられているなどしておりまして、現在は、大型ジェット機の国内幹線導入についての行政指導の経緯等につきまして所要の尋問が行われております。 若狭被告人の尋問におきましては、同人は請託の事実につきまして全面的に否定し、またいわゆる三十ユニットの資金の橋本らに対する分配に関与した事実は認めつつも、供与の主体は全日空ではなく丸紅であるとし、その趣旨についてもほぼ全面的に否定する供述をしております。 次に児玉ルートでありますが、この関係の公判におきましては、児玉被告人の病気を理由に従来どおり同被告人が在廷しない状態で審理が進められております。 現在まで四十七回の公判が開かれておりますが、この間、コーチャン、クラッター両氏に対する嘱託尋問調書が採用決定されましたことは昨年十月の本委員会において御報告したとおりでございまして、その後、その調書は取り調べ済みでございます。 児玉被告人の関係では、所得税法違反等の核心とも言うべきロッキード社からのコンサルタント報酬及び同特別報酬の授受関係を含めまして、公訴事実全般につき所要の検察官側の立証をほぼ終了いたしまして、昨年十二月十四日の二十九回公判において弁護側の冒頭陳述がなされ、それ以後弁護側の反証段階に移っております。 弁護側の主張は、昭和四十七年以降ロッキード社からのコンサルタント報酬合計十六億七千五十万円のうち約十四億一千五十万円の受領を否定して、いわゆる児玉領収証なるものはすべて偽造されたものであるとするものでございまして、この主張に沿って弁護人申請にかかる約十名の証人尋問が行われました。 本年十月四日の第四十二回公判からは、相被告人であります大刀川恒夫に対する被告人質問に入っておりまして、その後第四十五回公判で大久保利春の証人尋問が行われました以外は右の被告人質問が現在まで続いておりまして、被告人大刀川は重要な部分において検察官の冒頭陳述書記載の事実と異なる供述をしておりますので、検察官としては、同人の捜査段階における供述との食い違いを指摘しながら質問を行っているところでございます。 最後に、小佐野被告人の関係でございますが、この関係では、現在まで公判が三十七回開かれておりますが、従前は、前回も御報告申し上げましたとおり、被告人の病状を考慮いたしまして公判はほぼ一カ月に一開廷とし、審理の時間も原則として午前中二時間程度とするというようなかなり時間的な制約のもとに審理が進められていたわけでございますが、昨年十月からは原則として一カ月に二開廷で、被告人の健康状態に応じて審理時間も午後に及ぶ場合もあり、公判は従前よりも迅速に進行している状況にございます。 公判におきましては、事件の背景事実に続きまして、小佐野被告人の公訴事実であります偽証の事実の核心をなす被告人とロッキード社との関係、トライスターの売り込みを援助するための全日空あるいは東亜国内航空の役員に対する働きかけ及びロサンゼルス空港でのクラッター氏からの二十万ドルの受領等の事実につきまして検察官立証はほぼ終了いたしております。 この間、児玉ルートについて述べましたとおり、コーチャン、クラッター両氏に対する嘱託尋問調書が採用決定され、取り調べられております。 現在は弁護側の反証段階に入っておりますが、弁護側の反証活動は、先ほど申し上げた事件の核心事実についていわばアリバイ立証に焦点を当てた活動をしておりまして、多数の弁護側証人の取り調べ請求あるいはクラッター日記の開示要求等がなされておりまして、この関係での証人の取り調べ等が行われておりますが、検察官側では検察官作成のロサンゼルス空港の実況見分調書の取り調べを請求するなどいたしまして、弁護側の立証に対する反証活動に努力しているところでございます。 以上が、いわゆるロッキード事件関係でございまして、次に、いわゆるダグラス、グラマン問題に関する海部八郎ら四名に対します外為法違反、議院証言法違反等被告事件の公判状況について御報告申し上げます。 右の事件は、東京地方裁判所の二つの裁判部で審理されております。すなわち、海部八郎、山岡昭一、今村雄二郎に対します外為法違反、私文書偽造、同行使、それから議院証言法違反、業務上横領、これらの各事件は、同裁判所の合議二十五部で審理されており、有森國雄に対する議院証言法違反事件は合議一部において審理をされております。 それぞれの公判状況は次のとおりでございます。 海部外二名の被告に係ります右の各事件につきまして、本年十月十二日に第一回公判が開かれ、公訴事実に対する認否、検察官の冒頭陳述が行われております。認否におきましては、被告人三名はおおむね公訴事実を認める旨の供述をいたしまして、検察官の冒頭陳述におきましては、私文書偽造、同行使に関連いたしますマクダネル・ダグラス社から日商岩井に支払われたRF4Eについての特別手数料約二百三十八万ドルの経理処理の背景事情といたしまして、日商岩井の松野頼三氏に対する約五億円の金員の支払い状況等について、また議院証言法違反に関連いたしましては、いわゆる海部メモの作成経緯等についての陳述がなされておるところであります。第二回公判は、去る十一月十六日に開かれまして、検察官申請の書証、証拠物の取り調べが行われ、次回には被告人本人の供述証書の取り調べ等が行われる予定でございまして、その後遠からず結審になるものと思われます。 有森被告人に対する議院証言法違反事件につきましては、本年十月二十六日に第一回の公判が開かれまして、同被告人は公訴事実を認め、同日検察官の冒頭陳述から検察官申請の書証、証拠物の取り調べをすべて終わりまして、去る十一月二十九日の第二回公判におきまして、被告人質問がありました後に、論告、弁論それぞれ終了いたしまして、次回に判決言い渡しの予定となっております。 以上でございます。 —————————————
○中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渋沢利久君。
○渋沢委員 きょうは、倉石法務大臣の例の発言については触れないつもりでおったわけですけれども、しかし——といいますのは、大臣のあいさつの中で一言何か釈明があろうものと実は思っておったものですから、伺っておりましたら一言もお触れになりません。先般の本会議で釈明をされたということで事終われりというお考えだろうと思いますけれども、しかしわれわれの理解では、同時に政府を代表して総理大臣が本会議においてあわせて釈明を行う、こういう申し合わせ等これあり、たまたま訪中でそれができないでいるだけのことだという経緯があるわけであります。それがなくても大臣の発言は、事ロッキード公判にかかわる部分で重大な疑惑を振りまいたわけで、発言を取り消したからということで実は相済まないほどの問題を残したまま、一応政治的な受けとめ方で釈明があったことは理解いたしておりますけれども、これは質問がなくても何か一言、これから重要なロッキード公判の段階に差しかかろうとするときですから、言うまでもなく今後法務大臣として、あなたはいささかもこの公判に対して不当な介入、不当な影響を与えるような言動を相慎む、あり得ないということを改めておっしゃるのが筋じゃないでしょうかということを大臣にひとつ申し上げて、意見を聞きたい。 あわせて刑事局長に、被告の有罪立証を目指して奮闘している現場の皆さんに、やはり法務大臣が就任後のいわば抱負を表明するというような一番大事な決意表明でもしようという部分で、あのような重大な発言をしているわけでありますから、これは現場の皆さんに大変な影響を与えたのじゃなかろうかという心配をかき消すわけにいかぬのであります。そういう心配はありませんか。状況をひとつ率直に報告してほしいと思う。大臣もひとつ……。
○倉石国務大臣 私の記者会見における発言というのは、私といたしましては、これは大変軽率なことであった、そこで御了承を得て本会議においてもこれを一切全部取り消しをいたした次第であります。 同時にまた、私はわが国の裁判並びに検察は非常に不偏不党、厳正中立であって、それにつきましては国際的にもよく知られておることであります。したがって、将来ともにこの裁判、検察が、国民の期待しておるような正々堂々たる仕事をしていただけるように全面的に協力をする決意でありますということを申し上げておるわけでありますが、そういう決意でやってまいるつもりでございます。
○前田(宏)政府委員 御指摘のような発言があったということでございますが、ただいま大臣もお答えになりましたように、それを明快に取り消されたわけでございますし、その後いろいろな機会に御本意をお述べになっております上に、過般の私どもの検事会同でも、ただいま大臣が申されたようなことを明言されておりますわけでございまして、私どもといたしましてはそのように十分理解している次第でございます。
○渋沢委員 このことについては、これ以上多くを触れません。 そこで最初に、ロッキード公判、丸紅部分で刑事局長に幾つか簡単にお尋ねてしておきたいと思います。 端的に伺いますが、田中元総理金銭授受の賄賂性の立証、これはできていると思うのですが、有罪へ向けて順調な公判の運びになっていると思うのです。そこらを含めてどうか、ひとつ御報告願いたい。
○前田(宏)政府委員 ロッキード事件の公判経過は先ほども御説明したとおりでございまして、検察官といたしましては起訴した事実につきましては最大の努力を払って立証活動に努めているところでございます。順調か順調でないかということになりますといろいろ見方もあろうかと思いますが、ちょうど先生御案内のように非常に微妙なところでございますのでその程度にさせていただきたいと思います。
○渋沢委員 公判の順序から言うと、檜山被告の尋問が済むと田中元総理の軒間に入る、こういうことになりますか。
○前田(宏)政府委員 公判の運びにつきましては検察当局はその推移に応じまして適切に応対するわけでございますので、いまおっしゃいましたように直ちに田中被告人の尋問に入るかどうかということは、いまはっきり申し上げられません。
○渋沢委員 結審の見通しについては来春とかどうとかいう話もこれありなんですが、いつごろの見通しでしょう。
○前田(宏)政府委員 先ほど、いわゆるダグラス、グラマン関係につきましてはある程度見通しが立っているようなことを御報告したわけでございますので、ロッキード関係につきましては検察官側立証も一部はおおむね済んでいるものもありますが、まだ途中のものもございますし、また弁護側の反証活動も十分予想されるところでございますので、いまのところでいつごろということは申しかねる次第でございます。
○渋沢委員 早急にといいましても来年の前半とか、桜の花の咲くころには結審ができるとか、あるいはずっと後半にずれ込む可能性があるとか、その辺の見通し、もう少し言うてください。
○前田(宏)政府委員 先ほども申し上げましたとおりで、児玉ルートと小佐野ルートと申しますか、その方が幾らか早いだろうというような見通しを持っておりますけれども、丸紅関係とか全日空関係はちょっと予測がつかない状態でございます。
○渋沢委員 それでは、時間も限られておりますので先へ進ませていただきますが、ダグラス、日商公判で若干質疑をさせていただきます。 まず、冒頭陳述で日商岩井と松野氏との最初の接触の経過というものが明らかにされております。そこでは日商の高畑会長、西川社長、海部、三者がF4E売り込みのために松野前代議士を利用する、こういう基本方針を合意をしているということ、その合意に基づいて、まず西川社長みずからが海部を伴って松野氏と会って、そしてしかも最初からF4Eファントムの売り込みについてその工作の努力方、支援方を依頼しているということが冒陳で明らかにされているわけであります。 そこでただしたいわけですけれども、この西川社長が海部氏を伴って松野氏に最初に会見をいたしましたときに、具体的にどういう——いわゆる冒陳では「F−4E売込みのための力添えを依頼し、」とこう表現されているわけですけれども、この部分をもう少し具体的に御報告願いたい。
○前田(宏)政府委員 御指摘の点でございますが、いままでの公判の段階におきましてはいまお読み上げになりましたような冒陳の概要のようなことは出ておるわけでございますけれども、これも委員御案内かと思いますが、西川社長につきましては健康といいますか、体のおぐあいが悪くて調べができないというようなこともございまして、いまお尋ねのような点は余り明快になっていないわけでございます。
○渋沢委員 しかし、冒頭陳述で言っているように、ファントムの売り込みのための力添えをこの最初の会見で依頼をした、こういう事実はもちろん明らかなわけですね。
○前田(宏)政府委員 若干技術的なお答えになるかもしれませんで恐縮でございますけれども、この辺のいきさつにつきましての証拠といたしましては海部被告人の供述ということになるわけでございますが、まだ海部被告人の供述調書というものは公判廷に提出されていない状態でございますので、現段階の公判状況ではまだ明快になっていないというふうに申し上げたわけでございます。
○渋沢委員 前の国会でも問題になりましたが、金を渡したこの航空機担当の責任者である海部氏、受け取った松野氏、この両者が最初に会ったのは西川社長ともどもお訪ねをしたこの最初の会見だということになるわけだと思うのですが、これが一つ。 それから、その後間もなく西川社長の指示で三百万円が届けられているわけですけれども、この金の趣旨、この二点でお願いします。
○前田(宏)政府委員 同じようなお答えで恐縮でございますが、その点も海部氏本人の供述によるところが大きいわけでございますので、冒頭陳述書に書いてありますことはいずれ立証されるわけでございますけれども、いまの段階ではまだ法廷に出ていない、こういうことになるわけでございます。
○渋沢委員 どうも木で鼻をくくったような答弁ばかりで残念ですけれども、もう少し率直に説明できる部分を説明してほしいと思うのです。 非常にはっきりしていることは、大事なことは、この高畑会長、そして西川社長、海部氏、この三者が松野氏の政治工作についてここに期待をし、依頼をする、こういうことで日商岩井のトップが事前に合議をした上でこのファントムの売り込みにかける、こういう前提で松野氏に会っている、こういう事情が非常にはっきりしているわけであります。したがって、その後の金員の支払い等ももちろんその目的趣旨に沿って行われたものであるということは間違いがないと思うのです。それはそのとおりですね。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの点はそのようなことになっていると思います。
○渋沢委員 つまり高畑会長が松野氏を政治家として後援をする、あるいはそのための献金の範囲を越えない、そういうものであるという説がこれありまして、しかし事実は全くこれと異なって、当初から高畑会長、西川社長、海部氏という日商岩井のトップの責任ある者の合議に基づいて、しかも目的が非常に明確になって松野氏への働きかけ、金員の支払いが行われた、こういう事実が明らかにされておるということが重要だと思っているわけであります。 同時に、冒陳の中で、松野氏の態度で幾つか明らかになっている点があります。 一つは、五億円が松野氏の要請に出発するものであることはもうすでに明らかなことですけれども、三億一千八百万円をすでに支払った後においてその残金の催促を松野氏の側からしている、こういうことも明らかになっているわけです。このことは、松野氏自身が五億円という金については売り込み工作の工作費あるいは謝礼であることを意識し認識しているということで初めて出てくる行為であることは明白でありまして、五億円の金が工作費であり謝礼であるという趣旨については、両方帳簿に載せないという確認を両者の間でしているとかいうようなことを含めて、この金の意味については十分松野氏自身が理解できる立場また理解していると判断できることがこの冒陳の中でも明らかにされているように受けとめるわけですけれども、そう受け取っていいですね。
○前田(宏)政府委員 先ほどの御質問に対するお答えにも関連するかと思いますけれども、先ほどの御指摘にありましたように、高畑氏あるいは西川氏等いわゆる日商側で幹部の方がいろいろと相談をされたということは事実でありましょうけれども、そのことについて松野氏の方でどれほど知っておられたかということになりますと、日商側の内部のことでございますから必ずしもはっきりしないということもあるように思うわけでございます。またいま重ねての御質問でございますが、金の授受ということはおおむね一致しておるわけでございますけれども、その趣旨につきましてはそれぞれ主観の相違といいますか認識の相違、そういうこともあり得るわけでございますので、冒陳自体でそういう認識が松野氏の側にあったということまで明確にされているわけではございません。
○渋沢委員 ここらはいろいろ議論もあるところだと思いますが、いずれ明らかになるであろうし、同時に議会の側で議論しなければならない問題点はすでに冒陳で明らかにされた部分だけで明白になっておりますので、きょう私は松野氏関係についてはこの程度にしておきます。 そして、冒陳の中で比較的はっきり出ているのはいまお尋ねした部分ですが、どうにも定かでない点がありますので、その点を幾つかお尋ねしてみたいと思うのです。 一つは、ドレスナー銀行の口座に金が送られているこの海部メモの一つにかかわる部分なんですけれども、中村長芳氏がローデシア鉄道関連の輸出承認の件で政府工作を行った謝礼として一千万円を要求した、こういうことになっておる。しかし、なぜ福田、松野両氏の名をかたるというようなことがここで中村氏の側からされなければならなかったのか、この辺の事情は全くわからない。本件は冒陳によれば、中村氏が日商側の委嘱を受けて通産省への工作をやった、その謝礼として中村氏がみずから取得する目的で要求のあった金員。なぜ福田さんとか松野さんという人の名前をかたらなければならなかったのかが理解のできるような形になっておらない。その点、ぜひひとつ説明願いたい。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの点は確かに若干不明確な点があるわけでございますが、私ども理解しておりますところでは、中村氏がそういう名前を出して海部氏に話をしたということはどうも事実のようでございますけれども、まさしく御指摘のように、なぜそういうことをしたのかというようなことになりますと実は必ずしも明白でないわけでございます。
○渋沢委員 この請求がありましたのが四十一年です。その前の年の四十年には中村氏の世話で例のアメリカのサンフランシスコ会談というのが行われているわけですね。岸さんを動かして非常に重要な会談を行っておる。日商の側では、そういう意味では中村氏の力量といいましょうか影響力といいましょうか、そういうものについては大変な評価があるだろうと思うのです。そういう段階であえて一千万の金の謝礼を、しかもそれは中村氏自身がそういう輸出承認についての働きかけをやってそれを成功させておるということであれば、特にこういう政治家の名前をかたらなければならないという理由がどうもわからない。中村民が二人の名をかたってそういうことを要求したということ自体が本当かどうかということを大変疑問に思うわけですね。この疑問は非常に自然だと思うのです。本当にそういう名前を利用したという性質のものなのかどうなのか、これはどうも腑に落ちない、ごく素朴な疑問だろうと思うのです。この辺もう少し御説明願いたい。
○前田(宏)政府委員 冒陳にあります「松野頼三及び福田赳夫両名の名を籍り、」というところを引用されてかたるというふうに御指摘になったかと思います。かたると言うといかにも非常に悪いような感じがするわけでございますが、「名を籍り、」というのはそういう名前を出してということ、またそれは必ずしも本当かどうかはっきりしなかったけれども一応そのとおりに受けとめておったという程度のものであるというような認識で書かれておるものと理解しております。
○渋沢委員 それはしかし、かたるということが大変きつい言葉に聞こえるかしらぬけれども、冒陳の説明によれば、中村氏が自分が働いた仕事で金が欲しくてその金を要求したんだ、要求の趣旨はそういうものである。しかし海部氏に対しては、日商側に対しては自分にその謝礼を払えということを言うかわりに、本件については両政治家が働いておるので、お世話になっておるのでこの二人に送ってほしい、こういう趣旨を説明して送らしているわけです。ですからこれは人間の社会の常識から考えればまさに大変常識に反した不徳な行為ですね。まさに名をかたったという表現に値する行為であろうと思うわけですね。なぜそういうことをしなければならなかったのか、本当にそういうことがあったのかということすら大変疑問に思いながら私はお尋ねをしたわけですが、いまの返事ではさっぱりわかりません。 ところで、そのドレスナー銀行の口座の名義人はどなたなんですか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの点はこれまでもお尋ねがあったかと思いますけれども、最終的には遺憾ながら判明していないわけでございます。
○渋沢委員 二回目の公判の検事調書の中の、これは中村長芳氏部分ということの中で言われておるのは、私が川部君が持っていたドレスナー銀行での口座番号を知っておったからそれを日商側に教えたと思う、こう言っているじゃないですか。それをわからないということはないでしょう。それは大変おかしい話だ。しかもそれは、冒陳の説明によれば中村氏が自分の謝礼として欲したものだ、福田氏と松野氏に送れと称して実際は自分の謝礼として要求したものだ。その送り先について中村氏は川部氏のこの口座を私が教えてやったんだという趣旨を言っておるじゃありませんか。
○前田(宏)政府委員 ただいまの中村氏の供述でございますが、明白にいま御指摘のようなことまでは出ていないようでございまして、教えてやったことは考えられるというようなあいまいと申しますか、不明確な説明になっているようであります。
○渋沢委員 それじゃ伺いますけれども、この一千万が送られたことは間違いないと思うのですが、名義人もわかっていない。それじゃどういう経路で中村氏の手に入ったのかという経路はどう確かめられておるのですか。それはわからぬことはないでしょう。
○前田(宏)政府委員 結局この冒陳に書いてありますように、ドレスナー銀行のこの口座番号のところに送ったということまではわかっておるわけでございますけれども、それがその後どういうふうになったかということ自体、実ははっきり把握されていないわけでございます。
○渋沢委員 大変重大な御返事をしていらっしゃる。それじゃ中村さんが入手したということにはなってないのですね。それはわかってないのですね。そうしますと、冒頭陳述は中村氏が自分の謝礼としてこれは送らせたものだ、こういうことを言っているのですね。そういう趣旨を検察の認識として報告しているわけですが、事実明らかなことは、名義人もわからない口座番号のところにその金が送られたということだけなんですか。それから先のことは何のお調べもしなかったのですか。調べてもわからなかったのですか。わからないはずはありませんけれども、もしそれが明らかでなくてどうしてこれは中村氏が送れと言ったものだと、決してメモにあるような福田、松野氏への送金ではなくて中村氏の謝礼金だと——それが言いたくて中村氏のものだということが冒頭陳述の中の文章もメモの解釈について言われているわけでしょう。これは中村氏の手に明らかにこういう経路で入ったということが立証されなければ、逆に言うとこれは福田、松野氏に送られたものでないという立証にもならないんですよ。そうじゃないでしょうか。
○前田(宏)政府委員 同じことの繰り返しのようで恐縮でございますけれども、その金が中村氏に渡ったのか、あるいはほかの人に渡ったのかということ自体は本件の犯罪事実そのものとは直接関係ないという前提でございまして、また実際に外国の銀行の調査ということは不可能に近いような困難なことでございまして、そこまでは解明されていないわけでございます。
○渋沢委員 それじゃちょっと刑事局長、お尋ねしますが、その辺は明らかにする必要がないものだとおっしゃるけれども、たとえばこの海部メモですね、ほかのものは非常に生々しくいろんなことが金の趣旨その他について説明があるんですが、これはもう何の説明もないのですね。よく読んでみるとこれは社内メモなんですね。海部氏から井上経理部長あての社内メモなんですよ。しかもこういう話があったからここへ送ってくれ、口座はここだ、幾ら送れというこのメモが、中村氏からその話を海部氏が受けてそれを社長にちゃんと相談しているんですね。そしてメモを書いて経理部長に出して、こういう趣旨だから出しなさい、その経理部長も、そのメモを受けてちゃんと社長に相談をして、そして送金の手配をしておる。つまり、社長も海部氏も経理部長も、会社ぐるみ責任者が合議の上で出したものなんです。しかも社内メモなんです。特別にうそ、隠しを必要とするようなメモでもなければ——よく海部氏のはったり性なんということが前の議会でも議論されましたけれども、全くそういう必要のないもので、もしうそを言えば、はったりを書けばすぐばれてしまうような性質のものであるわけです。しかし、いつものメモと違って、その金の趣旨、送金目的は明らかでないから、このメモをわれわれが議論いたしました際にも、果たして航空機絡みなのかそうでないかが不明確であった、非常に問題だったわけです。前後の状況などから考えると、何も書いてないということは、逆に言うと航空機かかわりではないかと考えるのがごく自然なんです。私などはそう思っていました。いまでもそういう疑いを残しています。特に書いてないのですから、ほかのはみんな書いてある。これは書かなくてもいいくらい、言ってみればその中身というのは、つまり航空機絡みということであるだろう。前の年の岸・フォーサイス会談というようなものからいっても、そういうことだと受けとめるわけです。ところが冒陳は、このメモの大事な部分を基本的にぴしっと否定をしているわけです。これは岸さんの要求ではなくて中村氏の要求であること、福田氏、松野氏への支払いではなくて中村氏への謝礼であるということ、航空機は関係なくてローデシア鉄道への輸出承認の別件であること、非常に明確に言い切っておる。そして中村氏が勝手に両政治家の名を利用して——かたりというとあなたは何かきついようにお受けとめのようですが、どう言ってもいいけれども、いわば日商自身を欺いて、偽って、この二人の先輩の名前を利用して、そこに金を送ってくれ、こういうようなことをやって現に送らせた、こういう中身であるわけです。こういうふうに冒陳は、検察は断定をしておられるわけです。これだけの断定をされる以上は、送金された金が一定のルートを経て確かに中村氏の手元に入ったということが証明されなければ、これは中村氏の、言い方は悪いかもしらぬけれども言い逃れかっくりごとかですね。いろいろな政治的な配慮でそのようなことに趣旨を変えた申し立てでないとも限らないという疑いを残している。そこはやはり検察の調べというものであれば、言ってみればメモのとおりであってほしくない、一番ほしくない中村氏の立場、その立場の中村氏の一方的なお話だけを聞いて、それで検察全体が、これは中村氏の言うとおり航空機かかわりでなしローデシア関係というような事実認識を断定的にされるというのは、これはちょっと理解がいかないのですね。これはだれが聞いたってわかりませんよ。もう少しわかるように御説明を願いたいですね。
○前田(宏)政府委員 先生おっしゃいますような意味で、検察当局としては当然のことながら、本来の疑惑に関係があるかどうかという観点からもそれなりに検討したというふうに思いますけれども、結論的には先ほど申し上げましたようなことでございまして、その辺は先ほど来申した程度にしかはっきりしていないということでございます。
○渋沢委員 もう時間がありませんのでやめますけれども、しかし、なぜそんなにこの部分にある種の政治家の名前が出るとかたくなになるのか、この程度のことすら明らかにすることができないのか、もう日本館であることも明らか、そしていろいろの金の流れがあることを言われているわけです。しかし、これは中村氏の申し立てだけがこのメモの中身を否定する検察の認定になっているという断定は、これは大変納得しがたい冒陳であるし、御説明であると言わざるを得ない。これはやはり関係者を国会に証人としてお呼びをしてただす以外には、事の真相を解明する——われわれは別に裁判所ではないですから、事犯の背景と流れというものを、汚職構造を解明することによって二度とこういう間違いを起こさせないようにするということが趣旨でございますから、そういう意味でただそうとするなら証人喚問以外にないという感じでございますが、もう一つ二つお尋ねしたいことがありますので、先に進むことにいたします。 次に、これはぜひ明らかに御説明を願いたいと思うのですが、いま一つの川崎重工の社長あての海部メモにかかわる部分で、冒陳が幾つかの指摘をしているわけであります。これで明らかなことは、まさにメモが指摘する日時、場所において岸氏、海部氏、ダグラス副社長のフォーサイス氏の会談が行われた事実、しかもその会談の趣旨は、日商岩井が防衛庁に対してF4ファントムを次期戦闘機として採用されるように支援方を岸元総理に働きかけるということ、こういう趣旨でこの会談が行われ、陳情がその趣旨どおりに行われたという事実、このメモの中で一番基本的な部分、大事な部分は冒陳も認めているところです。ただ、ここで幾つかの点を否定しているわけです。つまり、三次防での輸入機数とか国産化比率、国産契約社、そのシェアなどが決められたという部分がメモにあるわけですけれども、これはなかったこととして否定をされているのですが、これはいかなる調査と根拠によって事実無根とされておるわけでしょうか。
○前田(宏)政府委員 具体的には今後の立証段階で明らかになろうかと思いますが、それを抽象的に申し上げますと、この会談に関与した人たちの供述等によってそのように認めたということになると思います。
○渋沢委員 岸信介氏から何か上申書というのですか釈明文というのですか、出ておるということです。これは本人の自発的な御意思で出されたものですか、検察が特にそういうものを文書で説明を求められたという経緯でしょうか。
○前田(宏)政府委員 いまのお尋ねの点でございますが、一般論のようなことを申し上げて恐縮でございますけれども、従来から私どもの御説明といたしましては、捜査段階でどういう人を調べたとか、どういう人から書面を提出してもらったかとかいうようなことは、いずれ公判になって明らかになれば別でございますけれども、御説明を差し控えるという立場を持っておりますので、御了承願いたいと思います。
○渋沢委員 ますます貝のごとく口がおかたくなるので恐れ入るのですが、しかし事実無根とされるこのメモの中身でも、これは前の委員会でも指摘がありましたけれども、事の推移はまさにこのメモとほとんど変わらない状態で進んでいるわけです。これは驚くほどそういう状態になっています。改めて申し上げるまでもありませんけれども、国産の企業についてもまさにこのメモどおりの三社、そのシェアについても、五〇、五〇というのが計画では最終的に六〇、四〇、それが実際には六五、三五%というような三菱、川崎の分担割合になったようですが、まさに当たらずといえども遠からずです。機数においても、輸入四機、最低百機生産の百四機——この百四機というのは実際は百六機ということになっているようですが、いずれにしても、すでに明らかなようにこのメモの信憑性というものはきわめて高い。その後の推移からいたしましてもですね。 そういう状況にあるということと、特にこの海部メモというのは、ある面で一貫して意外と大事な部分を明確にしておるので私はむしろ驚くのですけれども、特にこの部分で私が非常に疑問に思っていますのは、川崎重工の砂野社長さんというのですか、この方は日本造船工業会の会長までやられた財界のかなりの大物と言われるような人だそうでして、何か書いたものを見ると、岸信介氏とも交遊があるというふうに言われているほどの方のようですが、そういう人に海部氏が手紙を出して、冒陳で言うように単に川重に大型のクレーンを売り込むためだけに、そして心証をよくするためだけにすぐにばれてしまうようなことを——これが全くうそはったりのたぐいのつくり上げた中身であるようなことがわかれば、日商岩井あるいは海部氏自身の信用をまさに失墜せしめるような、しかも相手の地位、立場からいってもその信憑性はすぐに明らかになるであろうというような、そういう距離において、しかもこれだけのものを生々しく具体的につくり上げるということはどう考えてもわからぬのですよ。あり得ないことだと思うのですよ。むしろ海部氏が指摘したとおりのことが事実はあったのではないかと思う方がごく自然で素直なんですね。メモを見た国民の市民感覚から言えばまさにそういうことです。そこで、冒陳はそういうものに対してどういう解明を与えるかということで非常に重要なわけですけれども、冒陳はこれを事実無根と言い、局長の説明は、それは関係者の話を聞いたということでそういう認識をしたということなんです。関係者というのはどなたなんですか。
○前田(宏)政府委員 先ほどもお答えをしておりますように、公判廷には海部被告人の捜査段階での調書がまだ出ていないわけでございますが、それらの供述が中心となってそのような判定になったものというふうに考えております。
○渋沢委員 二万ドル云々というような金の件につきましても、これは日商の商法というのか、海部商法とも言われるけれども、このやり方から見ればその特徴は、一つは徹底的な政治利用、一つは金に糸目をつけぬ手法というものに特徴づけられると思うのですけれども、そういうことから言いますと、あのアメリカの会談の持っている意味といいますか、位置というのは大変高いと思うのですね。これはある意味ではまさにこのアメリカの会談、岸・フォーサイス・海部会談がファントム売り込み工作のドラマの出発点だ、ここで窓が開かれた、ここで玄関のとびらが開いた、こういう図であることはその後の経緯から見て明らかなわけですよ、四十年というのは。前の年に実弟の佐藤氏が総理になり、岸さんの直系と言われる松野氏が防衛庁長官で入る、そういう直後の状況ですから、大きな政治工作というなら、最大の影響力を行使し得る人としてだれしも岸さんを選ぶというのは一つの常識だ。これはこの間の検事調書の中でも、有森部分では、海部氏を初め、日商の責任者がそういうことを明確に言っておるということを言うておりますね。まさにそのとおりだろうと思うわけです。ですから、着手金か謝礼金か何か知りませんけれども、ある程度のごあいさつがわりの金員の処置があったというような部分については、これもまたごくあり得ることだと受けとめるわけであります。どういう調査をされたわけでしょうか。事実がないということは、これもだれかの申し立てを承ってそれを了解した、先ほどのローデシアの中村氏の一件ではありませんけれども、中村氏がこうおっしゃったからそのとおりでしょうと御判断をした、こういう程度のもので、さしたる調査というか、口座の名義人すらお調べにならないか、おわかりにならぬかというようなお話ですから、そういうことでこのお調べをいただいたわけですか。
○前田(宏)政府委員 先ほど来の御指摘の中で、このメモ自体は、例のクレーンの売り込みに関して有利に運ぼうという趣旨だというふうに書いてあるわけでございますけれども、岸元総理とダグラス社の幹部を引き合わせたということにつきましては、冒陳のもう少し前の方で、そういう引き合わせをすることによって日商がそれだけの力を持っているということを示威し、印象づけておこうと考えたというくだりもあるわけでございます。 なお、こういうふうな冒陳の認定に至った関係証拠といいますのは、先ほど申し上げましたとおりで、やはりそのときに一番重要な立場にありましたのは海部被告人そのものであるわけでございますので、その辺の供述等を中心に置いてそのような認定になったというふうに理解しております。
○渋沢委員 先ほどのローデシア関連のことで私がお尋ねしたときに申し上げたとおり、こういうことは、実はもっときちっと明らかにしていくことで、かえって言われているところの政治的な疑惑を解明するといいますか、疑いを消していくことになる。はっきりさせないことにはますます疑問を残していく、こういうことになっているわけです。まさにいまの件などもそういうことだろうと思う。このある種の政治家の部分については、ますますかたくなるという感じが非常に強くするわけです。 この冒陳には書いてはいないけれども、読めば読むほど何か一つの印象が強くなってくるというもので私が一つ感じていますのは、どうも今度の事件の中で海部独走という印象や言われ方がかなりあったのですが、冒陳をずっと読んでみますと、全くそうではないということが一つ明らかになった。これは決してそうじゃなしに、まさに会社ぐるみの工作だということなんです。たとえば松野氏への最初の三百万も、これは社長の指示だ。松野氏から五億円の要求、これも社長と相談をしている。半分約束した返事も、これは全部トップや責任者が相談をしてやっている。五千万の資金も辻社長と四十四年にちゃんと相談をしている。四十五年の五億円の残金請求についても、ちゃんと辻社長と相談をして、承認を得て処理している。ドレスナー銀行についても先ほど申し上げたとおりですね。一貫して、どれを見ても海部独走じゃなくて、ちゃんと時のトップと、まさに企業ぐるみで対応しているのです。裏金づくりの処置までも、微細にわたって当時の社長あるいは財政責任者と十分な協議の上でやっている。決して海部氏の勇み足とか独走なんというものじゃない。独走や不正があるとすれば、まさに企業、トップぐるみの不正であり、独走なんです。こういうことが冒陳の中でも非常に鮮明になってきておる。しかし、裁判では、海部、山岡、今村という三人だけが訴追をされて、むしろ不当な裏金づくり等々に最終決定を与えた企業のトップの人たちの免責根拠は一向に定かでないというのがまた本件処理の一つの特徴のような印象を受ける。政治家部分についても、先ほど申し上げたように非常にそういう感じがするわけです。いまのまさに企業ぐるみの金員の支出工作ということについては、局長も同感でしょう。
○前田(宏)政府委員 いまおっしゃいました中で、独走という言葉がどういうふうになるかということになろうかと思いますが、当然のことでございますけれども、海部氏一人でできることではありませんので、またそれなりの金額でございますから、幹部にも了承を求める、また担当者の了承を求めなければ金も動かないということで、海部氏一人でいろいろなことができたというわけではなくて、御指摘のような事情のもとで行われたわけでございますが、全体を通じまして海部氏が指導的な立場にあったといいますか、中心的な立場にあったといいますか、そういうことはこの冒陳からもうかがえるのではなかろうかというふうに思います。
○渋沢委員 やはり関係者を再度国会にお呼びしてお尋ねする以外は、冒陳で説明し切れない部分、解明できない部分をただすことができないという感じでございますが、時間が参りましたので終わります。
○中山委員長 次に、長谷雄幸久君。
○長谷雄委員 ただいま法務省の刑事局長からロッキード事件とグラマン・ダグラス事件についての公判の経過についての御説明をいただきました。 そこで、法務大臣に初めにお伺いしておきたいと思いますが、この両事件について、公判の今後の見通しと、そして大臣の所感をお伺いしたいと思います。
○倉石国務大臣 この件につきましては、あとう限り厳正中立の立場で調査をいたしてまいりたい、そういう決意でおります。
○長谷雄委員 刑事局長にお尋ねをしますが、ボーイングの百五万ドルの追加手数料の件、この問題につきましては、日商岩井が日本航空にボーイング747SRを売り込んだ際に、ボーイング社から日商岩井が合計百五万ドルの追加手数料を取っている。これが実は帳簿に記載されていない簿外資産として米国内の銀行に架空名義で預金され、簿外経費として使用されたりしておった。この架空預金が発覚したのが昭和五十一年二月、この金の一部四十七万ドルが使途不明金として国税庁から重加算税をかけられていた。また、ダグラス社のRF4Eを日商岩井が防衛庁に売った際、ダグラス社から二百三十八万ドルの事務所経費を日商岩井は受け取っている。これについて、実質はダグラス社から日商に対して支払う販売手数料であり、日商の経理の際、この販売手数料であることが秘匿され、他の名目の収入金として日商及び米国日商の帳簿に計上されたりした。この金の一部四十五万ドルの経費操作に関して、山岡と今村の両氏が私文書偽造、同行使の事実で起訴されている。こうした不実記載の経理操作の事実や架空名義の預金の存在の事実について発覚が大変おくれている。このおくれたのはなぜか。この理由について検察当局はどう考えているか、これをお尋ねします。
○前田(宏)政府委員 どうも的確なお答えができないわけでございますが、いま御指摘もありましたように、いろいろと金の流れが複雑でございますし、架空口座もいろいろな形で置かれており、また外国にもあったというようなことでございまして、そういう関係から発見がおくれたのではないかということしか申しかねるのではないかと思います。
○長谷雄委員 法務大臣にお伺いしますが、ロッキード事件が発覚をしまして、政府は昭和五十一年二月十九日閣議口頭了解としてロッキード問題閣僚連絡協議会を設置をし、この協議会から「ロッキード事件再発防止のための対策について」というのと「ロッキード事件再発防止のための対策として今後検討すべき事項について」という二つを発表いたしておりますが、その後大平内閣になってから、ことしの五月二十二日、閣議了解に基づいて専門家会議を設置をし、同年九月五日、航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会が提言を四つの柱にまとめております。 ところで、去る十一月二十七日の大、平総理の所信表明で大平総理はこういうように述べておりますね。「政治倫理の確立につきましては、さきに明らかにしたところに従い、政治資金の明朗化、企業の自主的監視機能の整備、行政上の手続と責任の明確化、制裁法規の整備強化等を順次進めてまいる考えであります。政府部内でも早急に諸般の準備を進め、関係法規の改正については、成案を得次第、国会に提案する方針であります。」こう所信を明らかにしておりますが、この総理の所信表明が単なる希望的な意見を述べたものでない、実現に向けて強い意欲が込められているものだ、こう言えるためには、行政はこれに対して適切な対応を示していかなければならないと私は思います。 そこで、行政の対応について、きょうは法務大臣だけしか出席がないのですけれども、法務省所管事項につきまして法務大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
○倉石国務大臣 先ほどお話ございましたように、ロッキード事件に際しまして、五十一年十一月十二日のロッキード問題閣僚連絡協議会におきまして「贈収賄罪の規定の整備等」四項目に上りますロッキード事件再発防止対策が決定されました。さらに、五十四年九月五日、航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会におきまして「制裁法規等の整備強化」等四項目の航空機疑惑問題等の再発防止対策につきましての提言が行われましたことは御存じのとおりでございます。 法務省におきましては、これらの決定等に基づきまして、一つは贈収賄罪の法定刑の引き上げを内容とする刑法の一部を改正する法律案を第八十回国会以降提出いたしまして御審議願ってまいりましたが、第八十八回国会において廃案となりましたので、右の法律案を改めて次期通常国会に提出する予定でございます。 それからまた、国際的犯罪に対処するため、引き渡し犯罪を拡大して贈収賄罪を含めることを内容とする新日米犯罪人引渡し条約を締結いたしまして第八十四回国会において御承認を得るとともに、逃亡犯罪人引渡法の一部を改正するなどして国際協力体制の整備のため鋭意努力いたしておるところでございます。 それからまた、目下法制審議会商法部におきまして、会社法改正審議の一環といたしまして企業の財務及び業務の内容の開示及び監査制度の強化並びに取締役の責任の明確化等の方策について検討いたしておりますし、その答申が得られ次第、速やかに法律案を作成して国会に提出いたしたいと考えておる次第でございます。
○長谷雄委員 続いて法務省に伺います。 いまも大臣がお述べになりました中にありますが、この提言の第二の「企業倫理の確保のための対策」の1に、いま大臣がお述べになった「監査制度の充実等企業の自主的監視機能を整備強化する」こういう項目がございますが、これについて現在どのように検討を進めておられるのか、その実情の御説明をお願いしたいと思います。
○貞家政府委員 長谷雄委員御指摘のとおり、会社におきまして違法な財務処理が行われるようなことがありました場合に、これを早期に発見いたしまして、違法行為をした者の責任を追及するとともに、そういった違法行為が引き続いて行われることがないように、それを防止するということは健全な会社運営のためにもきわめて必要なことであるというふうに考えております。 そこで、法務大臣の諮問機関でございます法制審議会の商法部会におきましては、去る昭和五十一年以来会社法の全面改正審議を行ってきたところでございますが、昨今のこのような要請にかんがみまして、昨年七月の会議におきまして企業の自主的監視機能を整備強化するという大目的のための対策を早急に確立することが必要だということになりまして、そういった面での会社の業務執行に際しての違法行為の発見でございますとか、それを防止する制度の強化という点を中心にいたしました会社法の改正審議を促進するという方針が決定されました。そこで、現在はその決定に基づきまして、第一に会社の財務、業務内容の開示、それから第二に監査制度の充実強化、つまり監査役及び会計監査人の監査権限、地位の独立というような点、第三に取締役の責任を明確化するというような点を中心にいたしまして審議が行われているわけでございます。 この点につきましては、過去昭和五十二年以来、五十二年、五十三年にわたって審議内容の一部につきまして、それを基礎といたしまして法務省民事局改正試案を公表して各方面の意見を聞いておるところでございますが、今後会社の財務、業務内容の開示という点につきましても法制審議会の審議を踏まえまして法務省民事局としての試案を作成いたしまして、これを公表いたしまして各方面の御意見を伺う、そういたしまして、明年度からはさらに審議を続行いたしまして、できるだけ速やかに法制審議会の答申をいただく、それによって改正法の立案を早急に進めたい、かように考えておる次第でございます。
○長谷雄委員 次に、会計検査院にお伺いしますが、会計検査院の権限に関連する問題についてお尋ねをいたします。 会計検査院の任務は、憲法第九十条一項で国の収支決算を国会に提出する前に会計検査院の検査を経なければならない、こうなっております。この検査の範囲は国の毎月の収入支出を初め、国が資本金の二分の一以上を出資している法人などの経理と会計となっております。しかし、現行法では公社や政府関係金融機関などを通じて政府関係の資金が民間に行った場合は、融資した政府関係機関は検査の対象になっても、融資を受けた企業や法人は検査の対象になっていない。 そこで伺いますが、ことしの六月四日決算委員会でこの会計検査院法の改正問題に関連しまして、わが党の林委員の質疑に対する答弁の中で、大平総理と当時の田中官房長官との答弁の食い違いが林委員から指摘をされておりますのは御承知のとおりと思いますが、このことも踏まえて会計検査院のあるべき姿、特に権限についてどうあるべきものか、この点についての考えを承りたいと思います。
○三原会計検査院説明員 お答えいたします。 ただいま先生おっしゃいましたとおり、六月四日の総理の答弁を踏まえまして、政府としては今後この会計検査院の提示を受けた法案の内容を受けて処理を検討していきたい、このようなことで現在政府の方に処理をお任せしている段階でございます。会計検査院といたしましては、前後三回衆議院及び参議院において会計検査院の権限の強化、拡大を図るべし、このような決議の御趣旨を踏まえまして、昨年以来会計検査院の権限の強化に係る法律案の実現に努力してまいったわけでございます。 その内容は、いま先生おっしゃいましたとおり、公庫等の政府関係機関の融資先に対する調査権限を新たに持つ、こういうようなことを主たる内容としているわけでございますけれども、これについては法律論といたしましてもあるいは政策論といたしましてもなかなかむずかしい問題がいろいろございまして、結局現在のところより高い見地からの御判断をお願いするという意味で内閣の方に処理をお任せしているところでございます。 会計検査院といたしましては、そのような融資が結局国民から集めました資金によって行われている、したがってそれに対します検査の徹底を図ることはきわめて重要なことであるという認識を持っておりまして、そのような事情ではございますけれども、今後とも一層会計検査院の立場からできる限り法案の実現の方向に向かって努力してまいりたい、かように考えているところでございます。
○長谷雄委員 大蔵省にお伺いします。 外為法が今月の六日、衆議院の本会議で可決しましたが、そのうち現行法の二十七条に関連をしてお尋ねをしますが、いわゆる交互計算によって決済するには事前包括許可によって貸借記の制限を受けることになっております。ところで改正案では原則自由、有事規制をうたっております。このように法の基本的なあり方を変更するについてはしかるべき合理的な理由がなければならないと思いますが、この点についてはどうお考えでございますか。
○関説明員 ただいま私の方で外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律というものを今国会に提出いたしまして、御審議をお願いしているところでございます。この法律は、現在の外国為替及び外国貿易管理法等対外取引を規制している法律が戦後すぐにできた法律でございまして、原則禁止というたてまえをとっております。もちろん戦後三十年の間に政省令等で実態に合わせて相当程度自由化を進めてまいったわけでございますが、わが国の国際社会に置かれている地位が高まっていること等を考えまして、このたび対外取引を原則自由にする、しかし円相場が変動しましたり国際収支の黒字赤字が著しく大きくなったような場合、そういった異常な事態には規制することができる、こうした考え方で法律の一部改正をお諮りしているわけでございます。
○長谷雄委員 ところで今回、いわゆる日商岩井事件で、海部八郎と山岡昭一両氏の外為法違反被告事件の冒頭陳述によりますと、その中でこういうくだりがあります。「非居住者であるカリフォルニア・ファースト・バンク・ロスアンゼルスに当座預金していた日商岩井の金員を、米国日商岩井をして引き出させる行為については、大蔵大臣の許可を要し(外為法第三〇条第三号、外為令第一三条第一項第一号、第二項)、また、右預金引出し行為によって生じた日商岩井の米国日商岩井に対する債権を両社間の交互計算によって決済するについては、前記事前包括許可によって貸借記の制限を免除されていないので、日本銀行の許可を要する(外為法第二七条第一項第四号、外為令一一条第一項第七号)」その他、こう書いてあります。 ところが、さらにこの冒陳の中では、「海部及び山岡は、本件について右各許可を要することを了知していたものの、前記のように右預金が日商岩井の簿外預金であり、しかも大蔵大臣の許可を得ずに右銀行に預金していたことなどの事情から、右預金の引出し及び交互計算による決済について所要の許可を受けず、前記のように交互計算の借記の原因行為を偽って、前記事前包括許可による交互計算により決済した。」こうあります。 そこでお尋ねをしたいのですが、このように現行法では違法な事柄が、今回の改正案、特に十七条ですけれども、この改正案では適法なものとなる場合が出てくるのではないか、この点はいかがですか。
○関説明員 ただいま先生御指摘のいわゆる商社等の貸借記についての規制でございますが、今度の改正法が成立いたしましたときにも、改正法第十七条に基づきまして、特殊な支払い方法として政令等で引き続き規制をしていく、こういう考え方になっております。
○長谷雄委員 終わります。
○中山委員長 次に、安田純治君。
○安田(純)委員 いままで同僚委員がいろいろな観点からお伺いしましたけれども、私もこの冒陳に絡んで若干お伺いしたいと思います。 まず第一に、冒陳によれば、伊大知氏が昭和四十二年初めごろ海部に、第二次FX売り込みを成功させるには有力政治家の後ろ盾が必要であり、元防衛庁長官の松野頼三に支援を頼んではどうかと勧めたとされております。 一方、十一月十六日に開かれた第二回公判で朗読されたとされておる伊大知氏の調書では、四十年、四十一年ごろ、海部に松野に頼めと進言した、こう記述されているがごとく新聞には報道されておったようであります。 もし伊大知氏の調書のこの報道が正しいとすれば、松野氏は昭和四十年六月三日から同四十一年八月一日まで防衛庁長官であったわけですから、松野氏が長官在任中に海部からの請託を受けた可能性も大きいというふうになると思いますので、この第二回公判で取り調べられた伊大知調書のこの該当部分を明らかにしていただきたいと思うのですがいかがですか。
○前田(宏)政府委員 ただいまの点でございますが、伊大知氏が海部氏からそういう話を言われた——つまりどの航空機が売れるか、売れるためにはどうしたらよいかということを、マスコミの目で見たところを教えてもらいたいというような趣旨のことを言われたというのは、調書の上でも四十年から四十一年ごろということになっておりますが、いま御指摘の松野氏に会って頼んだらどうかということにつきましては、それと同時期ではなくて、その後そういう話をしたというふうに調書の上ではなっておるわけでございまして、その後というのは必ずしも明快ではないわけでございますけれども、何回か両者は会っておるようでございますので、冒陳でありますような時期にそういうことになったというふうに理解いたして矛盾はないのではないか、かように考えます。
○安田(純)委員 そうしますと、冒陳で言われている昭和四十二年初めごろというのには、時期の問題ですが、確たる根拠というか、そういうものはないというふうに伺ってよろしいのでしょうか。多分四十二年初めごろであろうという程度ですか。それとも何か、どこかの調書にそういう旨が出てくるのでありましょうか。
○前田(宏)政府委員 先ほど申しましたように、伊大知民の調書では明確な数字的なものは出てないようでございますが、その他の調書でこれから出てくるであろうことが予想されますものにある程度明確な日時というものが出てくるように思います。
○安田(純)委員 また、この伊大知調書について昭和四十二年夏、松野氏から塚田徹前代議士夫妻と同行してヨーロッパに行かないかと誘われたということも、新聞報道によるとそういうふうになっておるように報道されております。同年の九月二十日の出発前に伊大知氏が海部被告にあいさつに行ったところ、塚田さんに渡してくれと言われて五、六通の書状を預かった。同十月三日スイス、ジュネーブの銀行で塚田氏がその書状を銀行側に見せて、現金が入っていると思われる金包みを受け取った、このように報道されておるわけですが、新聞によっては四十二年夏、海部から塚田徹夫妻に同行してヨーロッパへ行かないかと言われたという報道もあるようであります。夏というと九月二十日ごろがどうなるかわかりませんけれども、この点の伊大知調書の該当部分はどうなっておりますか。明らかにしていただきたいと思います。
○前田(宏)政府委員 いまの部分の調書の概要は、むしろ委員が前段で御指摘になりましたとおりのようでございます。
○安田(純)委員 海部氏に松野氏への工作を伊大知氏が勧めたこと、それから塚田氏に日商から金銭などの授受があった事実など、伊大知氏は航空機疑獄の解明について重大な内容の一端を明らかにしていると思うのであります。 そこで、前に渋沢委員も申されておりましたけれども、こうした事実の解明について一連の本委員会における証人の喚問をお願いしたいわけですが、特に委員長にお願いしておきたいのですが、伊大知氏の証人喚問、これはぜひ御検討いただきたいということをこの際お願いしておきたいと思います。 次に、防衛庁人事についてでございますけれども、十一月十六日の第二回公判で朗読されました有森國雄氏の調書によれば、有森は、四十年ごろ海原氏がいる限りファントムを含むFXは可能性がないと思い、日商は人事工作をやろうとした。それで、岸事務所に近づいたのは佐藤政権にプッシュするためで、岸事務所では秘書の中村長芳氏が窓口だったとあるように新聞報道はされておるわけでありますが、この部分の有森調書の該当部分、これを明らかにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○前田(宏)政府委員 御指摘の点はいま委員が仰せになったとおりのようでございます。
○安田(純)委員 そうしますと、この有森調書の内容が正しいとすれば、日商は四十年ごろ人事工作をやろうとしており、また衆議院の法務委員会で五月二十九日に伊藤刑事局長が四十二年夏ごろのものと見られる第三海部メモ、いわゆる第三海部メモですね、それでは「防衛庁最高幹部人事更迭運動遂に成功し海原氏は防衛庁を出て」間は抜かしますけれども、「伊藤忠派課長級に到る迄移動され、ファントムに対する人事はこれにて出来上りました。」これは伊藤刑事局長によると、四十二年夏ごろのものというふうに見られておるようでありますが、いま申し述べましたような第三海部メモの記述とそれから有森調書の関係を見ますと、当然この中間に人事工作があると見るのが自然であると思いますが、これは冒陳には出ておらないように思うわけであります。有森調書に言う岸事務所への働きかけ、またさきの伊大知調書の記述ですね、四十年か四十一年ごろ海部に働きかけを進めたというような言い方、こうした流れの中にずっと位置づけて見ますと、きわめて合理的に説明がつくと思うのであります。ですからこの人事工作についてどのような捜査をされたのか、具体的に明らかにしていただきたいと思います。
○前田(宏)政府委員 御指摘の人事工作と称するものがいろいろと関心を呼んだことは事実でございますけれども、したがいましてその関係で仮に犯罪の容疑のようなものがあるかどうかというようなことはそれなりに吟味をしたと思いますけれども、結論的には犯罪とは関係がないということでございますし、本件の立証にはまた関係もないということでございますので、突っ込んだ調べはそういう意味でしておらないということでございます。
○安田(純)委員 しかし、一つ一つのいままで公判で明らかになった調書あるいは冒陳、それからこの第三海部メモ、いろいろなものをずっと一連の時間づけで見てみますと、これは人事工作が先ほど申し上げましたように中間においてあったと考える方が合理的ではなかろうか。それが取り調べの結果いわば犯罪の容疑なしとなったのか何かわかりませんけれども、事実が不存在というふうに認定されたのかどうかわかりませんけれども、ドロップアウトしていくとすればそれなりの相当具体的な捜査をされた結果であろうというふうに思いますけれども、いかがですか、それなりに捜査はされたことはされたのですか。
○前田(宏)政府委員 先ほどのようなことでございまして、当然いろいろと言われたことでございますから、捜査はいたしたわけでございますが、犯罪には結論的に関係がないということで、冒陳にも触れていないのもそういう趣旨からでございます。
○安田(純)委員 これは事実なしということであったのか、それともそうした人事問題については事実があったけれども、これは犯罪に該当せずということであったのか、そういう中身についてはどうですか。
○前田(宏)政府委員 先ほども申しましたように犯罪としてまともに取り組むということになりますと、詰めた捜査ということに当然相なるわけでございますけれども、間接と申しますか付随事情と申しますかそういうようなことでございますので、それなりに関係者から説明を聞いておるということは十分やっておるわけでございますが、その程度にとどまっておるということでございます。
○安田(純)委員 この点についても、私どもとしてはこの次元の流れといいますか事実の流れから見て非常に不自然な結論にならざるを得ないのであって、むしろ人事工作についてあったとするのが自然だし、それが犯罪を構成するかどうかという点についてはいろいろ考え方があると思いますけれども、われわれとしてはどうもこの捜査の点についてもそういう点では不十分といいますか納得のいかないところがあることを指摘しておきます。この点については、また引き続き別な機会にお伺いしたいと思います。 次に、先ほど渋沢委員も指摘されましたが、アメリカにおけるマークホプキンスホテル会談といいますか、この問題はきわめて重要な問題だろうというふうに思うわけであります。 冒陳では、マクダネル・ダグラス社幹部が岸氏との面談の席に加わるように手配方を海部は指示した、こういうふうになっておると思うのですね。有森調書では、海部から岸をマクダネル社に会わせるからフォーサイスの首になわをつけても引っ張ってこいと言われた、こういうふうに報道されております。多分、調査の該当部分は報道のとおりだと思うのですが、考えてみますと、ファントムを売り込みたいのがフォーサイスの立場でありますから、首になわをつけても引っ張ってこいなどという言い方があるのは、普通であればおかしいのではないか。むしろフォーサイスの方から喜んで岸さんに会いに来るというのが一般の自然だろう。ところが、有森調書によると、いま申し上げましたように、首になわをつけてでも引っ張ってこいと言われたというくらいですから、フォーサイスは何か渋っておった、あるいはちゅうちょしておったか、あるいはちゅうちょするのではないかというふうに思われるような事情があったのではないかというふうに推察する方が自然だ、こういうふうに思うわけであります。 なお突っ込んで言えば、これは邪推かもしれませんけれども、なぜ売り込み側に回るフォーサイスが首になわをつけてでも引っ張ってこいというような形で手配方を指示されるような状況にあったのかということを推察すると、これはその場で成功報酬の話が出るのではないかとフォーサイスが考えてちゅうちょしたのではないかということも考えられないことはないわけで、そうじゃないと、フォーサイスがなぜ渋ると海部が考えたのか、この説明がちょっとできないと思うのですね。したがって、捜査の過程で当然首になわをつけても引っ張ってこいということに絡んで、ある程度お調べになったと思いますが、その捜査の過程で明らかになっている事実があればお聞きしたいわけであります。 それから、この会談で何が話され、岸氏がどう答えたかということは非常に重要であるというふうに思うわけでありますが、それに関して当麻調書、これはやはり十一月十六日の公判で、新聞報道によると朗読されたように出ておりますが、このマークホプキンス会談に立ち会った部分については、どうも新聞報道では出ていないようであります。この点、出ておるかどうかということを伺いたいと思います。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの第一点の、首になわをかけてもですかつなをかけてもというような表現があったようで、そういう調書になっておることは事実でございますが、その趣旨についてはどうも調書上は明らかでないようでございます。したがって、逆に、委員御指摘のようにちゅうちょしているとかいうようなことも出ていないようでございますが、冒陳で、先ほども申し上げました部分で、何とかこの両者を会わせることによって日商が有力な政治家に関係を持っているということを相手方に示そうというような意図があったようでございますので、面談を確実なものにしようということではなかろうかというふうに思うわけでございます。 それから、当麻氏の関係でございますが、その要旨は冒陳でも書いてありますように、面談がありまして、資料等を見せて説明があったということに触れているだけでございます。 なお、いわゆる海部メモの中に「日商社員一名」が云々という言葉が出ておるわけでございますが、そのことにつきまして当麻氏が、あのメモの話が新聞に出たとき、そこに書かれている日商社員というのは自分のことだなと思ったというようなことを付随的に述べている程度でございまして、それ以上のものは出ていないわけでございます。
○安田(純)委員 取り調べに当たった検察官の考え方といいますか、調書のとり方にもよると思いますけれども、私ども、この当麻調書にはいま言ったように、首になわをつけても引っ張ってこいといったようなことがあれば、そこには、売り込みに火花を散らしておるはずのフォーサイスにしてみれば喜んでこなければならないのに、そういうことを海部が言ったというようなことは不自然に感ずるわけです。当然、このマークホプキンスホテルでの会談に立ち会った当麻氏に、その会談ではどんな話が出たのか、つまりフォーサイスがちゅうちょすべきような中身があったのかどうかということについて聞くのは自然ではなかろうかと思うわけです。したがって、この調書に、マークホプキンスホテルになるとぴたっとその中身についてはわからぬということでは、まことに納得いかないわけでありますけれども、先ほど渋沢委員が話されましたように、この会談はきわめて重大ではないか。この内容について、冒陳の根拠がその点でどうもはっきりしなくなるということを痛感するわけでありまして、そういう点で、後でまとめてお願いしますけれども、委員長にぜひ関係の証人を喚問するように御配慮願いたい。後から改めて申し上げますが、強調しておきたいと思うわけであります。 それからE2Cとの関係でございます。時間が来ましたので早く申し上げますが、冒陳では、「四五年春ころ松野から、当初所望された総額五億円の供与を要請され、辻社長及び山村経理総本部長らにこれを伝えたが、両名が難色を示したため、売込中の偵察機RF−4Eが採用される可能性が強くなっていること、F−4Eの増量計画により十分採算がとれることなどを説明し、辻社長の承認を取りつけた。」こういうふうに冒陳ではされておるようであります。これは松野へ支払うための財源上の能力の説明にはなると思うんですね。増量計画で十分採算がとれるとかあるいは採算性の問題について財源上の説明にはなると思いますけれども、そもそも松野へ支払う必要性の説明にはどうもなっていないように思うわけであります。この点辻調書では、このとき海部は軍用機の売り込みには政治家の力をかりなければだめだと言った、このように記述されていると報道されておるわけであります。このとき売り込まれていた軍用機はと言いますと、RF4E、それからF4Eの増量、冒陳に出てきますけれども、そのほかにE2Cがあるのではないか。グラマン社のチータム氏のたび重なる来日、代理店変更、これは四十四年八月ですか、時期ともほぼ符合することになります。E2C売り込みで松野氏に引き続いて動いてもらう意味を込めたとすれば、海部の辻社長への話も説得力を持ってくるわけであります。この点海部または辻氏に追及したのかどうか。一体調書にはE2Cの話は出てこないのかどうかということをどうも疑問に思うわけであります。 冒陳を何遍見ても、いま言ったように辻社長らが難色を示したときに、RF4Eが採用される可能性が強くなっているということと、F4Eが増量計画によって十分採算がとれるという財源上の根拠は出ているけれども、だからなぜ松野へ五億円払わなければならないのかということについて見ると、辻調書の政治家の力をかりなければだめだということとの絡まりで、だから払う必要がある、しかも財源的にはこういうふうに十分採算がとれるんだということにつながればぴったりすると思うのですが、その点調書にE2Cの話が出てきておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○前田(宏)政府委員 その点につきまして、いままで公判で出ておりますのは辻氏の供述調書の要旨であろうかと思いますが、その点は、先ほど来御指摘のように軍用機という言葉が出ておりますけれども、その中身といいますか種類といいますか、その点については具体的なものが出ておりません。
○安田(純)委員 これから証拠に出てくるのかどうかわかりませんけれども、代理店変更についても松野氏がかかわって、その成功報酬の性格をも持っていたとすれば、四十五年春に松野氏が支払いを要求して日商がこれに応じたこともなるほどと納得できる文脈になるわけであります。 その点からも、従来から要求しております代理店変更を示唆した高官の氏名を公表することが大事だと思いますけれども、公表していただけるかどうか。これは大臣にお伺いしたいのですが、本当はいわゆる青天白日発言について若干伺いたいと思いましたけれども、時間も来ましたし、本会議で一応のお話もありましたわけですが、こうした高官の名前の公表にはぜひ決断を持って取り組まれるようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○倉石国務大臣 諸般の経過から見まして、事務当局からお答えいたさせます。
○安田(純)委員 大臣の決意はいかがですか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの点が問題といえば問題になっているわけですが、従来私どもといたしましては、その点については犯罪になるかどうかという点を含めて鋭意検討したわけでございますけれども、犯罪の容疑はなかったということでございまして、そういう意味で申し上げるのはいかがかという立場をとっているわけでございます。
○安田(純)委員 時間が来ましたのでこれでやめますけれども、犯罪捜査あるいは裁判の遂行ということで、この委員会で刑事局長などにそういう面でお伺いするのはおのずから限界も出てくると思うのですが、当委員会はそういう問題よりもいわばもっと広い意味での追及、真相の究明というのが役目として課されていると思います。したがいまして、大臣にぜひその点を御考慮の上、単に今度の立件され裁判となっておる事件のいわば公訴事実といいますか、この委員会はそれに密着した部分だけの話じゃないわけです、むしろそれ以外のといいますか、もっと幅広い大きな問題だと思うのですね。ですから、いまの高官の公表などについては、別な立場から、真相究明の立場から、当委員会でぜひ大臣のお考えをお聞かせいただきたいということと、時間がありませんので、委員長に伊大知証人の喚問をぜひお願いしたいので、よろしくお願いしたいということで終わりたいと思います。最後に大臣一つ。
○倉石国務大臣 私は、裁判並びに検察を全面的に信頼いたしておりますので、ただいままでの経過につきましては、事務当局からお答えいたすのがきわめて妥当であろうと考えております。
○安田(純)委員 時間が来ましたので、後の機会に伺います。 終わります。
○中山委員長 次に、米沢隆君。
○米沢委員 私は、時間もありませんので、ロッキード事件や今回の航空機疑惑問題等、この種の再発防止対策の推進に関連いたしまして若干の質問を行いたいと思います。 先ほど同僚議員の方からもちょっと触れられておりましたが、去る五十一年十一月の例のロッキード問題閣僚連絡協議会が打ち出した再発防止対策の件でありますけれども、その後のこの対策の進捗状況は、私どもにはきわめて不満なのでございます。 そこで、官房副長官が御出席でありますので、この四つの再発防止対策の中で形になったものは一体何か、現に検討中のものは何か、二つに分けてかいつまんで御説明をいただきたいと思います。
○加藤(紘)政府委員 お答え申し上げますが、その前に、先生おっしゃいましたのは、三木内閣の際に出されたものによる分類でございますね。その点については、ちょっと事務当局からお答えさせていただきます。
○長尾説明員 お答えいたします。 まず実施いたしたものにつきましては、一つは日米犯罪人引き渡し条約の適用罪種の拡大、これはもうすでに行っております。 それから収賄罪の法定刑の引き上げ、これは三年を五年にするというものでございますが、現在、次の通常国会に出させていただくというようなことで準備を進めております。 それから国連の経済社会理事会で、いわゆる多国籍企業についての不正支払いの防止協定というのが現在検討されておりまして、これにつきまして日本国政府としましても出席いたしておりまして、その協定案の作成に寄与しておるということでございます。 それから検討中のものでございますが、これはいろいろございまして、たとえば政治資金規制のあり方の問題とか、選挙制度のあり方の問題とか、こういう問題がロッキードのときに長期的な問題として取り上げられております。これにつきましては、今度再発防止対策協議会というのができたわけですが、そこではこの問題は直ちに検討すべき問題だというふうに提言で言っておりまして、現在事務的にいろいろ詰めておるということでございます。
○米沢委員 多国籍企業の行動の適正化に対する指導強化、それから行政指導、行政部内の方針決定等の意思決定の明確化、この二点についてはどうですか。
○長尾説明員 お答えいたします。 まず第一の多国籍企業の行動の適正化に対する指導強化という問題につきましては、OECDでその行動指針というのが採択されまして、これを通産省が国内の関係団体に配付いたして徹底させておるということでございます。 それから、たとえば行政の公正確保のための措置といたしましては、たとえば当時一番問題になりました運輸省におきましては、いわゆる運輸行政の総合点検をいたすということで、点検総本部をつくりまして、そこでいろいろと処理をいたしておるということでございます。たとえば省内にそういう不正が行われるようなことがあってはいかぬということで、いわゆる省内委員会とかそういうものもつくったとかいうようなことで措置がされております。
○米沢委員 先般来この国会に政府提案として出されておりました再発防止対策のほんの一部であります例の刑法改正法案、これはいまだに放置されておるわけです。これはどこが悪いかというと、政府・与党の取り組む姿勢に非常に問題がある、熱意がない、ここに帰着するのじゃないかと私は思うのです。 法務大臣、今度またこの提案をなされるそうでありますけれども、どういうふうにこれを成立させるように努力をされるのですか。 そして加えて、今度新しく出されましたこの提言によりますと、直接税の脱税事犯につき刑の加重と公訴時効期間の延長を図ると、新たに加えられておりますけれども、この部分はどういうふうに扱われますか。
○前田(宏)政府委員 ちょっと事務的なことで前もって御説明させていただきますが、第二の国税の方の刑の引き上げにつきましては、一応大蔵省の方の所管でございまして、罰則ということでございますから、私どもも御相談に乗りながら準備を進めている状態でございます。
○倉石国務大臣 私はかねてから汚職の再発防止につきましては真剣に取り組まねばならないと考えております。ことに私的諮問機関ではございましたが、航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の御提言もございましたので、これを前向きに受けとめて、法務省といたしましても、これを実効あらしめるためにできる限りの努力をしてまいりたいと考えておるわけでありますが、いまちょっと御指摘がありましたように、提言を踏まえまして、贈収賄罪の法定刑の引き上げを内容とする刑法の一部を改正する法律案、これは次期の国会に提出いたしたいと思っておるわけであります。御存じのように、この前の国会におきまして、この法律案につきましては、いろいろ国会の都合で廃案になったりいたしておりますが、これをどこまでも皆さんの御援助によって成立さしていただけるようにいたしたいと努力しておるところであります。
○米沢委員 大臣も御存じのとおり、この法案はもう何回も流されて、結局審議もほとんどなされてないというのが実態です。そういう中でまた今度出されて、本当に格段の努力をされないと、これはまた流される可能性のあるものでございます。御努力をぜひいただきたいと思います。 結局、この五十一年に出されました対策も、聞いてみればほとんど形になってない。したがって、私どもはこれはたなざらしにされておるという感じがするのです。今回またまた同じような内容で航空機疑惑問題等防止対策協議会が四つの提言を行っております。総理も再々この提言に対しましては、政府でやるべきことは直ちに着手せねばならぬ、こういうふうに前向きに表明されておりますけれども、さきの五十一年度の対策の進捗状況等を見ましたときに、また、大平総理大臣は、今度の疑惑が表面化して以来、この問題解明に取り組む姿勢は大変一貫して消極的だったと私たちは判断をしているわけです。そういうことを考えますと、今回の提言も同じような経緯をたどりはしないかという危惧の念を持つわけでありますけれども、内閣官房としてどういうふうに考えておられますか。
○加藤(紘)政府委員 お答えいたします。 所信表明等でも総理が申し上げておりますとおり、積極的に、前向きに取り組んでまいりたい、こう考えております。 そして、個々の具体的なケースにつきましては、先ほど三木内閣時代からの懸案のものについては長尾審議官から若干申し上げましたけれども、政治資金の明朗化につきましては、政党とも関係あることでございますので、各党とも御相談を重ねながら、政治資金規正法の改正の見直しを行い現在検討中でございますので、成案ができ次第御相談申し上げたいと思っております。 多国籍企業については、先ほど申し上げましたように、国連の審議にわれわれも積極的に参加しているという状況でございます。 それから、企業の自主的監視機構の強化の問題につきましては、法制審議会の商法部会でいま検討を進めていただいておりますところでございます。 それから、刑法の一部改正につきましては、いま法務大臣及び法務当局から説明がありましたとおりでございます。 私たちは、それなりにむずかしい問題でございますし、また、いわゆる政党に関係する問題でもございますので、国会の御意見を十分に聞きながら進めていかなければならないという段階でございますけれども、いまの準備作業を積極的に進めてまいりたい、こう考えております。
○米沢委員 言うまでもなく、こういう提言がなされても実行されなかったらこれは何にもならないわけですね。そういうことで、当時の田中官房長官ですか、全項目について実務的な検討に入って、できるものから実施に移す覚悟である、こういうような記者会見もされておりまして、形だけは積極的に取り組むという発言はなさっておるわけですね。しかし、この提言が今後第二次大平内閣としてどのように具体化されていくかというのが大変重要だと私は思います。 そこで、このような提言について、推進するに当たり、対策を強化するに当たり、どこが推進母体となって、だれが責任を持って、どのように推進方をプッシュするのか、これが第一点。それから、いまちょっと政治資金改正法についてはいま具体的に検討中だという御答弁をいただきましたが、その他次期国会に法案として形をなして提案されるものがすでに準備されておるものがあるかどうか。また、関連施策の予算要求の状態は一体どうなっているか。三点について御説明いただきたいと思います。
○加藤(紘)政府委員 刑法改正につきましては、次期の通常国会ということでございます。 それから、各民間の企業の自主的監査機構の強化につきましては、法制審議会の審議を待たなければなりませんので、この段階で明確に申し上げられません。 それから、多国籍企業につきましても、もちろん国連自身の審議がどの程度進むかにかかっていると思っております。 具体的にどういう内容がたとえば政治資金法の問題についてあるのかというような御質問でございますが、政治家の政治活動の部門と私人としての経済行為というものを明確に分けていこうというあたりを中心に検討を進めてまいっているという状況でございます。 それから、具体的に、近々もう予算編成になるのであって、そこで政府としてはその面についてどういう予算措置をとろうとしているかという後段の御質問でございますが、かなり大ざっぱに申しまして、法案、それから規制を強化するということが中心でございまして、特に予算面で大きく要求しなければならない筋合いのものではないと思っておりますので、正直なところ予算面についてこれといったものはないということは御了解いただけるかと思います。
○米沢委員 この推進については特別に機関はつくらないという総理の発言でありますけれども、一体どこが責任を持って各方面にわたってプッシュ方をやっていくのですか。何となく任しておくだけですか。
○加藤(紘)政府委員 幾つかの提言の中にはたとえば政治家の資産公開のような問題もございます。これは本来は政治家の活動にかかわる問題であり、またひいては政党の活動にかかわる問題ではないかなと思っておりますので、一義的には国会の場で御審議いただくことであろうと思っておりますけれども、政府としてもいろんな面で積極的に御協力申し上げるという姿勢でございます。 それから、政治資金法の改正とか刑法の一部改正というのは、政府全体で積極的にやってまいりたいと思っております。 政府部内のどこが積極的にやることなのかということは、個々の問題によって違いますし、内閣としても各省に督励して積極的に進めていきたい、こう思っております。
○米沢委員 この政治資金規正法の改正、個人の政治献金の明確化、それから政治資産公開制度、それから国会に倫理委員会を設けよとか、これは簡単なものですからね、ぜひ早急に検討方をお願い申し上げたいと思います。 それから、この提言には盛られておりませんけれども、政界の浄化対策といたしまして、私たちは、情報公開法の制定、オンブズマン制度の導入というのを提唱してきておるわけです。御案内のとおり政治、行政の国民への公開というのは私は民主政治の原点だと思います。公開とそれに基づく自由な批判にたえ得ることなくして本当の政治は出てこない。御案内のとおり、アメリカでは、ウオーターゲート事件の折情報の自由法というのを改正して以来、アメリカの民主主義における重要な機能を果たしておると思います。総理もこれについては前向きに検討する由の答弁をされておりますけれども、今後この情報公開制度の確立にどういうふうに取り組んでいかれるのか。
○加藤(紘)政府委員 いわゆる政府、行政の情報をよりもっと的確に公開せよという声は、アメリカの中でも非常に強くあって、情報公開法が六七年に制定されたということは御承知のとおりでございます。そしてまた、わが国内にもそういう声が非常に強くなっているということも十分承知いたしておりますし、総理も、累次この点については前向きのお答えを申し上げているはずでございます。 もちろん、政府としては、いままでいわゆる白書等でかなり現状をお知らせする努力をしておりますし、それから幾つかの法律、まあ百五十件ぐらいは、とにかく法律によって政府がやっていることを公開しなければならないという義務を負っているものもございますし、それについては義務に従ってやっております。たとえば公害関係とか都市計画等について、公開義務、公示義務がございます。しかし、それでは十分でないということも十分承知いたしておりますので、今後とも積極的にこの問題に取り組んでまいりたい、こう考えておりますが、ただその際、アメリカが六七年から現在までやってきている状況を見ましても、幾つかのメリット、デメリットがあるようでございます。具体的にはプライバシーの問題であったり、行政が握っております各企業の秘密の問題等があることは、米沢先生御承知のとおりでございます。かなり前向きにやりたい、こう思っておりますけれども、具体的にいまどういう形でやろうかということは、正直のところ、いままで政府部内のどこが担当するかもはっきりしていない新しい問題であったので、まずそれをいま大体決めつつありますので、その中で鋭意作業を続けておる段階でございます。もう少し時間をいただきたいと思います。
○米沢委員 この航空機の疑惑事件等の事件の究明とかあるいは再発を防止するという意味での情報公開というのは、白書などでは全然たえられないものでありますから、そのあたりはもう十分御存じだろうと思いますので、今後もこの情報公開制度の確立という点から懸命な努力をしていただきたいと思います。 それからもう一つ、オンブズマン制度につきましては、国政調査権の屋上屋を重ねることになるといたしまして否定的な姿勢を総理は示しておられますが、二度にわたる航空機疑惑事件の究明を通しまして、国政調査権が大変無力だ、それから、行政内部の自己監査的な従来の行政監察制度では監察に限界がある、これが私は明らかになっておると思います。そういう意味で、総理の方は消極的ではありますけれども、このオンブズマン制度にかわるものを何か考えられておるのかどうか。特に今度の提言には、第三項に、「行政の公正確保のための対策」として、予防的見地からの監察を行うような行政監察の制度を充実しろ、こういう提言がなされておりますが、この件に関して所信を伺って質問を終わりたいと思います。
○加藤(紘)政府委員 いま米沢先生がおっしゃったいわゆるオンブズマン制度についての検討につきましては、先生の御質問の中に二つのことが入っているように思います。一つは行政府内部の問題であり、もう一つは立法府にかかわる問題であろうかな、こう思っております。 御承知のように、スウェーデン等で言われておりますオンブズマンというのは、スウェーデン行政府というものが国王に従属するという形になっておって、国会の方に立法調査権がないということの代替として生まれてきているというそれぞれの国の固有の背景があって、その面から考えますと、国政調査権がある日本の場合には、オンブズマン制度というものを新たに創設するよりは、国政調査権がより機能するように行政府の方でも協力し、そして立法府の方でも考えていただくということの方がいいんじゃないか、新たな制度をつくってもそれが機能しないと問題は解決されないのではないかというオンブズマンについての余り積極的でない気持ちは、いまのところまだ変わっておりません。 それから、行政内部の監査の問題については、それぞれいままで機能があって、そして最終的には不服審判を経ての行政訴訟まで担保されているわけですけれども、いまある制度がより効率的に生きるように、政府部内でさらに一層の検討をいま続けているところでございます。
○米沢委員 これで終わりますけれども、特に国政調査権、立法府の問題ですが、守秘義務という大きな壁でほとんど大事なものが隠されてしまう、結果的には、国会は何しているんだという、こんな議論になる、国政調査権とは一体何だ、こういうことになる。これは立法府の問題としてわれわれも考えていかなければなりませんけれども、やはりオンブズマン的なものをもっと国政調査権を強化する意味におきましても考えていく。その点私は、政府の方でもある程度の御検討をなさって、立法府とタイアップして、こういう国会のあり方みたいなものを、もっと国民の皆さんに信用できるような方向に向けていくという義務もあるのではないかと思いますので、今後とも引き続き御検討をいただきたい、そう思います。ありがとうございました。 ————◇—————
○中山委員長 この際、申し上げます。 本委員会に付託になりました請願は四件であります。各請願の取り扱いにつきましては、先刻の理事会において協議いたしましたが、委員会の採否の決定は保留することになりましたので、さよう御了承願います。 ————◇—————
○中山委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。 航空機輸入に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時五十七分散会