予算委員会第四分科会 第2号
- 発言数
- 411 件
- 登壇者
- 43 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1979/03/29
会議録
○主査(嶋崎均君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。 分科担当委員の異動について御報告いたします。 昨二十八日、粕谷照美君、馬場富君、小笠原貞子君、安値良一君、多田省吾君、小巻敏雄君が分科担当委員に選任されました。 また同日、多田省吾君が分科担当委員を辞任され、その補欠として相沢武彦君が分科担当委員に選任されました。 また本日、柳澤錬造君が分科担当委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君が分科担当委員に選任されました。 —————————————
○主査(嶋崎均君) 昭和五十四年度総予算中、労働省所管を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○安恒良一君 私は、労働省所管の中の雇用問題について質問をしたいのでありますが、割り当てられた時間が三十分ですから、その中で造船産業に関する雇用問題について質問をしたいと思います。 まず、わが国の産業全体がかなり上向いてきたのでありますが、依然として造船、重機が非常に低迷をしている、こういうことを私は承知をいたしております。そこで、そういう関係の中で最近造船の大手、中小を問わず合理化が進められております。造船の大手七社の合理化がどのような形において進んでいるのかということについて、ひとつ労働省、それからいま一つは、運輸省関係等で把握をされておるなれば説明をしていただきたいと思います。ただし、手元にいただいています数字はもうすぐわかりますから、一々読み上げられると時間がありませんから、結論だけで結構ですから、どういう形において造船関係の合理化計画が進んでいるのか、このことについて御説明願いたいと思います。
○政府委員(細野正君) 造船の七社につきましては、海造審の答申に基づきまして、設備の合理化に伴いましておおむね大体二万人ぐらいが余剰となるんじゃなかろうか、こういうことの判断を持っているようでございまして、それに基づきまして、現在までに約一万二千余の希望退職者の募集があった、こういうふうな状況で、したがいまして、造船の大手七社だけをとりましても、まだそういう意味での余剰人員が全部解消し切っていないということのほかに、関連の下請関係におきましてもこれに伴う合理化離職者が出る、そういう懸念が現し実にある、こういう状況でございます。
○政府委員(謝敷宗登君) 基本的に、大手の七社がわが国造船業の約五割強の分担をしておりますが、設備削減におきまして、五十四年度いっぱいでピーク時の四〇%を削減をし、さらにそれでもなお需給のアンバランスがありますので、ピーク時に比べて、ピーク時の三四%まで操業調整をせざるを得ない状況でございまして、五十四年度中はなお操業調整等の合理化の措置がとられるものと考えております。
○安恒良一君 いま希望退職が行われているということでしたが、私が把握しておる限りにおいては、希望退職だけじゃなくして指名解雇等が行われているようでありますが、そのことはちょっと後でお聞きします。いまの説明に対して私は不十分だと思いますね。 そこでまず、船舶局長にお聞きしますが、そういうような合理化計画の中で、造船産業の構造改善なり再建ということで、政府が五十四年度において船舶関係建造予算とか、それから、いわゆる財政投融資からの支出とか等々で、かなり手厚く造船関係のいわゆる産業構造の転換なり再建について保護政策をとられているようですが、これも手元に数字をいただいていますから数字は結構ですが、この数字のとおりであるというふうに確認をしていいでしょうか。その概略を説明していただきたい。
○政府委員(謝敷宗登君) 先ほどの御答弁、若干不十分であったかと思いますが、七社を含めまして全体で五千トン以上の特定不況産業であります造船業だけをとりますと、五十四年度を見ますと約二百七十四万トン、これは起工ベースでございますが、これが通常の仕事量と考えられます。それに対しまして、六百四十万トンまで設備を落としますが、このギャップがかなりございます。その間を何とか政策需要で埋めようということで、官公庁船、それから計画造船によります緊急の新規需要の造成、内航船の整備等々やってまいりますと約五十万トン弱の工事量がこれに積み重なります。したがいまして、これでやってまいりますと三寸二十万トン強になりますが、その他の工事も含めまして約四百万トン弱というのが五十四年度の見込みでございます。したがいまして、五十四年度予算においてお願いをしておりますこれらの措置は、きわめて大きな効果があるというふうに考えております。
○安恒良一君 いま船舶局長が、きわめて大きな効果があるということでありますが、この予算措置、効果を及ぼす措置というのは、いま急ピッチに合理化を進めておりますところの造船大手七社、もちろん中小にも仕事はいくと思いますが、そういうところにも大きな影響を持つと、こういうふうに承っていいでしょうか。
○政府委員(謝敷宗登君) 私どもは、官公庁船にしましても計画造船にしましても、それぞれ入札なり随契なり、あるいは計画造船等におきましては民間の個々の契約によりますから、全体として需給の過当なアンバランスが起こらないように操業調整で上限をそれぞれ指定をしております。したがいまして、その中で自然にそれぞれの各社が不当に受注が偏らないような仕組みを講じておるつもりでございますので、それぞれの造船所に需要が入っていくというふうに考えております。
○安恒良一君 いわゆる大手、それから中小問わず、率直に言ってその会社の造船能力でできるものとできないものもありますから、大体運輸省としては、大手、中小を問わず、官公庁船の建造であるとか、その他ここにも、時間がありませんから読み上げませんが、予算措置なり財政投融資措置なりされていることについて進めていかれると、それは影響があると、こういうことですね。はいわかりました。 そこで、今度は労働省に質問をしたいんですが、手元にいただいています大手のいわゆる合理化計画であります。いまさっき局長は、いずれも希望退職において合理化を進めておると、こういうことでありますが、私が調査をいたしましたところ、住友重機において希望退職をまず募集したと、ところが希望退職を募集したにもかかわらず一部指名解雇と、こういうことが行われているようですが、その状況について説明をしてください。
○政府委員(桑原敬一君) 住友重機につきまして幾つかの工場がございますが、工場ごとに若干申し上げてみますと、結論から申し上げますと、希望退職を前提にして進めておられますが、玉島造船所におかれましては希望退職の目標数に達しないということで、指名解雇が三月の十二日だったかと思いますけれども行われております。
○安恒良一君 いや、玉島だけじゃないでしょう、指名解雇が行われたのは。
○政府委員(桑原敬一君) 失礼いたしました。愛媛で一名、指名解雇が出ております。
○安恒良一君 そこで、労働大臣並びに労働省にお聞きをしたいんですが、私は、この合理化を進める場合にある程度労使で同意をしまして希望退職が募られるということは、いいことではないけれども、やむを得ないと思うのであります。ところが、そこで応募数に達しなかったからということで指名解雇がやられるということはまことに不当なことだと思うんです。しかも、いわゆる住友重機が希望退職をしましたときの募集要綱、私はこれは不当労働行為になりはしないかと思うんですが、第一類型は年齢による基準ということで、「大正十二年以前に生まれた者」、次は「社内共稼ぎの社員いずれか一方」、それから三番目、「過去五年間に減給又は出勤停止の懲戒処分を受けたことのある者、但し改俊の情の著しい者は除く。」とか、「過去三年間に事故欠勤、無届欠勤が一年につき三日以上もしくは通算六日以上の者、但し、勤怠の状況が著しく改善された者を除く。」とか、それから同じく、正当な理由がなくして配転とか職種変更、出向に応じられなかった者等々書いてあるわけですね。私から言わせると、総論的に言うと中高年の雇用がむずかしい、だから雇用対策をしなけりゃいかぬと言いながら、年齢によって退職基準をつくるとか、それから過去にいろんなことがあった人は、もうすでに懲戒処分なら処分を受けているわけですよね、受けて、それは清算が済んでいるにもかかわらず、また今回その人が対象になると、こういうものを出しているわけですね。そして、これはわれわれの参議院の社労の調査団が行ったとき、これは一応撤回しますということを言った。ところが、撤回を一応しておったんですが、今度いわゆる希望退職の数が出てこなかったときには、どうもこの基準に基づいてやっているようなんですよね。これはわれわれが行ったときに明らかに、われわれはこれは不当労働行為のおそれがあるということを浦賀では指摘をした。会社がそのときは、いやこれはもう撤回しました、純然たる希望退職でいきますと、こう言ったのにこういうようなことがされる。特に玉島の場合に、十八名のそのうち一名はやめましたが、正確に言うと十七名の指名解雇を行った。一方政府からは国家予算の中で手厚い保護を受けている。しかも、住友重機の経営状態、私調べましたけれども、いわゆる内部保留等を膨大に抱えている。ですから、何が何でも十七名がやめなければ会社経営に重大な支障を与えるというようなことは全然考えられない。こういうようなことが私はされるという点について、労働大臣、それから運輸省も、いわゆる造船業に対する監督官庁としてどのようにお考えなのか所見を承ります。
○政府委員(桑原敬一君) 本件につきましては、組合の方は不当労働行為であるということで地労委に申し立てておられます。したがって、この問題は具体的な事実に基づいて権限ある地労委で御判断がなされるかと思いますが、問題は、私ども聞いておりますのは、こういった整理基準については、関係の組合と十分話し合いをされて決められておるものと聞いております。また、組合ごとに何か整理基準をつくったということも聞いておりませんので、不当労働行為の問題は地労委で御判断になることではございますけれども、そういった労働組合法の七条との関係ではなくて、整理基準自体がいわゆる解雇権の乱用に当たるかどうかという問題になろうかと思います。またこの問題につきましても、裁判所に現在地位保全で提訴しておられますので、まあその辺の判断にまちたいと、こういうふうに思うわけであります。
○安恒良一君 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。私は大臣に、今日の雇用構造の問題の中で、中高年を中心とする雇用確保を進めなきゃならぬということで、政府はあらゆる積極対策を進めている、造船についても特別対策を進めていると。そういう中において、一方的にいま言ったような基準に基づいて——私は労使で協定して希望退職というところはやむを得ないと言っているんです。しかし、希望退職で数が満たなかったからといって、たとえば私は新居浜における高橋さんなんか絶対これは勝つと思いますよ。共かせぎだという理由だけで解雇なんですからね。婦人年とかなんとか言っているときに、共かせぎということの理由だけでやめてくれということなんですよね。それから十七名の方々についても、いわゆる会社側は、岡山地労委がかなり努力をされたようです。されたけど、五名だけは何が何んでもやめてくれと、こう言うんです。何が何でもやめてくれと言うんですからね。そういうような、理由が明らかでない一方的な指名解雇ということをされることについて、労働大臣としてどう考えられているかということで、労政局長が言っているように、そんなものはいま裁判に行っておりますからなんて、そんなこと聞かないでもわかっている。時間がもったいないわ。そこで私は大臣に指名したんだ。大臣そのことをどう考えるのかと、また運輸省としてもこういうようなやり方についてどう考えるのかという、考え方を聞いている。
○国務大臣(栗原祐幸君) 会社がどうしても人減らしをしなきゃならないと、その場合に、労働組合といろいろ話をする、基準になる条件があるわけですね。われわれからいたしますと、いま安恒さんがおっしゃったとおり、雇用を拡大したい、特に中高年齢層等の問題がございますからね。そういった意味合いで、そこら辺を配慮したいわけでございますけれども、また会社の内部においてはどうしても人減らしをしなければならぬ場合に、それなりに考えざるを得ないと。われわれとすれば中高年齢者について配慮してほしいという気持ちはありますけれども、経営上の問題あるいは労使の問題の中で、いろいろ条件といいますか、こういうことでいきたいというのが出てくるだろうと思うんです。それについて、経営の当事者でないわれわれとして、希望は言えてもそれはだめだということはなかなか言い得ない立場にあるわけでございます。ただ、一般的に言いまして、無理なことのないようによく労働組合と話し合ってもらいたいということを言っておるわけでございますが、ただいま御指摘のあったようなことは具体的な問題でございまして、具体的な問題について、いま私どもが個々に触れることは適当でないと思いますが、しかし一般論といたしまして、社会的常識に反するようなことについては慎んでもらいたいと、具体的なそれが不当労働行為であるかどうかという問題については労働委員会等の判断にゆだねると、あるいは裁判にゆだねるというのはやむを得ないのではないかと、こう考えております。
○安恒良一君 いや、組合と会社の間に協定されたものに基づいてやられることについて言っているんじゃないんです。協定されないままやられているんですね。そこで、いま労働大臣が言われたように、社会的常識に反するようなやり方ということ、これが社会的常識なのかどうかというのを聞いている。たとえば、いま私が言ったやつです。社内の共かせぎの社員のうち「いずれか一方」と、こういうわけですね。そういうことが社会的常識なのかどうかということなんですね。「いずれか一方」、共かせぎだったら必ず一人やめろと、こういうことなんだからね。それから「過去五年間に減給又は出勤停止の懲戒処分を受けたことのある者」ということでしょう。いいですね、しかし、それは懲戒処分を受けてその人はきちっと清策してあるわけですよ。にもかかわらずに、その人に今度は指名と、そういうことが労働行政を担当する労働省として社会的常識なんですかと聞いているんです。そういうことはいいんですか、悪いですかと聞いている。その点どうですか、いま言ったようなこと。
○国務大臣(栗原祐幸君) まさにそれがなかなかむずかしいところだと思うんです。どうしても、会社としてはこれだけの者にやめてもらわなきゃならないという場合の一応の基準として考えていると。これは第三者から見た場合と、当事者の立場に立って考えてみた場合とがあると思うんですよ。ですから、そういう意味合いにおいて、第三者から見た場合だけで物事が判断できるかどうかということが残ると思います。
○安恒良一君 まあ労働大臣は第三者と言えば第三者ですね。しかし、あなたは労働行政を担当している人間として、たとえば一つの例を言いますと、過去五年間に減給または出勤停止の懲戒処分を受けた人ということは、その時点でそういうことについて一つの清算がきちっと済んでいるわけでしょう。それに付加して、追っかけてまたそれが解雇基準になるということについて、第三者、第三者というけれども、あなたは単なる第三者じゃないんだよね。労働行政をつかさどる最高の責任者なんだよ。その立場からどう考えるかと聞いている。何も評論家的なことをあなたに聞いているんじゃないんだ。
○国務大臣(栗原祐幸君) 私も評論家的で物を言っているつもりはございません。もう現に係争中でございますし、不当労働行為として提訴されているようでございますので、ここで私が一つ一つのことについてお答えすることは適当ではないのではないかと。一般論として社会的常識に反するような行動については慎んでもらいたいというのが私の考え方であります。
○安恒良一君 そうするとあれですね、住友の問題はどうこうしても、こういう基準でやるということはやっぱり社会的常識に外れますね、一般論としてでもね。過去に、たとえば一つの懲戒処分なら懲戒処分を受けた者という者については、それはそれなりにちゃんとそこで処分をされて、本人もそれをしているわけですからね。ですから、そういうものは社会的常識として考えたときに、大臣、これはやっぱり常識に反しますね。あなたは住友のことは答えられぬとおっしゃるから、それじゃ一般論として聞きます。そうですね、どうですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) ですから、これも大変御不満のようでございますけれども、具体的なその会社の中のいろいろの問題と、総合的に解釈をして判断をされるべきものだと、こう考えています。
○安恒良一君 いやいや、具体的な会社のことは言えぬというから、私はこれからもまた出てくるおそれがあるから、どの会社と言っているわけじゃないんだよね。希望退職を募ったがだめだったと、数が足らなかったというときに、いわゆる共かせぎの人間であるとか、それから過去に何々があったと、あったということは、しかしそれはそれなりにちゃんと清算が済んでいるわけですからね、そういう人をねらい撃ちをするということは社会的常識に反するんじゃないですか、どうですか。あなたは、特定の会社だったら、それはいま係争中だから言われぬとおっしゃるから、わかりましたと。これは私はなぜこうやって心配するかというのは、造船というのは、これからもいわゆる希望退職が募られるわけです。ですから、こういうところに歯どめをお互いがきちっとしておかないと、労働省とても、これはいいことじゃないと思うから一生懸命解決の努力を地労委を通じてされたと思うんだ。されたと思うが、残念ながら折り合わなかったんだ。だから、そこで歯どめをかける意味からいっても、労働行政を担当する大臣としては、そういうようなやはり指名解雇のあり方というものは望ましくないなら望ましくないと、できるだけ労使で排除してほしいならほしいと、これぐらいのことあなた言えるでしょう。
○国務大臣(栗原祐幸君) おっしゃるとおり労使の間で十分に話し合って、円満な解決をしてほしいと、これが私どもの望むところでございます。
○安恒良一君 運輸省どうですか。
○政府委員(謝敷宗登君) 先ほど御説明申し上げましたように、私どもはまだ五十四年、五十五年というのは操業調整も実施をしておりますので、今後、先ほど申しましたような余剰人員の発生は避けられないと思います。この場合に、基本的には私どもはその当該企業の労使がぎりぎりの選択をする問題だと考えておりまして、個別の労使問題には介入する立場にはございませんが、基本的には労使の間で十分話をしながらぎりぎりの選択をしていただきたいと、こう考えております。
○安恒良一君 私は、まず労働大臣にあれしておきたいんですが、私はすでにこの二つの事例については全くけしからぬことだと思うんです。いわゆる住友重機の今日の経営状態の中で、希望退職をしたと、ほぼ目的を達している。ところがごく一部の数が足らないということで、全くこれは労使慣行から考えても理由にならない理由で、しかもねらい撃ちをしている。共かせぎの人間はだめだとか、それから十七名中最小限五名は何が何でもと言うんだね、何が何でもやめてもらいたい。こういうような、しかも世間的に考えましてだれが考えても不合理だと思うことを、一方的に大手造船の住友がやるということは大変遺憾なことだと思う。 そこで、これらの問題についてはこれからも裁判所で争われるとか、地労委で争われると、こういうことになっています。大変遺憾なことだと思いますが、どうか労働省としては、これから出てくるところの人員整理において、こういうことが一方的に強行されないような指導をぜひしてもらいたいと思う。それから、運輸省もいわゆる監督官庁として再建についてはいろいろ手厚い保護をしている。私は、造船不況の結果そのことは結構なことだと思います。しかし、いわゆる国家財政がかなり投資をされる、これは税金です。それなのに、労使関係において話が調わなければ会社側が一方的に強行する、そういうようなところについて私は国家財政を投資することは間違いだと思う。むだ遣いだと思いますね、むだ遣いだと。労使が意見が一致すればいい。意見が一致しないのに一方的にいま言ったような、だれが考えても世間常識に反するような解雇をやっていくというようなところに、国家財政を投資をするとか、もしくは国の船舶の建造を発注するとか、こういうことは私は国民の立場からいっても税金のむだ遣いだと思います。どうか、そういう点、そういうことが起こらないように十分な指導監督をしてもらいたいと思いますが、大臣並びに運輸省どうですか。実は運輸大臣にも来てもらいたかったんですが、ほかの委員会との関係もありますから、きょうは船舶局長に来てもらっていますから、そういうことを含めてひとつ答弁をしてください。
○国務大臣(栗原祐幸君) お説のとおり、非常に造船等不況業種においてのこういう人減らしという問題は重大な問題でございます。いまお話のありましたとおり、労使の間で十分に話し合って解決するように私どもも指導を徹底させたいと、こう考えております。
○政府委員(謝敷宗登君) 私どもも、少なくともこの二年、五十四年度、五十五年度まだ厳しい状態が続くと思いますので、労使がぎりぎりの選択をせざるを得ない状況にあることを十分承知しております。そういう場合には、できるだけ労使で、ぎりぎりの選択ではございますが、話し合いを続けて解決をしていただくということを希望をするわけでございます。ただ、船舶の発注等につきましては、私どもとしては切り離して考えるのが適当な問題ではないかと、こういうふうに考えております。
○安恒良一君 船舶局長ね、私がこう言っているのは、いわゆる労使でできるだけ話し合いをして解決をしていくということはいいんです。しかし、話し合いをしないまま一方的に、後から世間常識で、裁判所でその会社が負けたり、地労委で負けるというようなことをやっているようなところに、それについては、いやそんなことも構わないんだと、そういうことですか、あなたの言うこと。それとは関係ないと言うから。私が言っていることは、そういうようなことがないようにあなたの方も監督官庁として指導したらどうですかと、こう聞いている。あなたたちはいろんなことを指導しているじゃないですか、民間会社に対して。こんなときだけ逃げるんですか。私はそういう指導をしてもらいたいと、こういうことを言っているんですが、どうですか。
○政府委員(謝敷宗登君) 私どもは、総体的に雇用増を考えまして需要の創出に努力をしておるわけでございますが、たとえば個々の官公庁船、あるいは計画造船におきます民間の会社の発注、あるいは輸銀の資金を使います輸出船の発注、受注、こういった問題は、それぞれのところがそれぞれの条件に従って発注をするわけでございまして、基本的には安恒先生のおっしゃるとおり、ぎりぎりの選択のためには他の第三者を超えた非常に厳しい選択を迫られるわけでございますから、基本的には労使の間で詰めていただくことについて、私どもも今後とも十分会社とも、あるいは組合の意見も十分聞く機会もございますから、そういう努力はいたしますが、それが直ちに発注、受注という関係とはやや問題を異にする立場にありますし、異にする問題ではないかというふうに考えざるを得ないと思います。
○安恒良一君 いやいや、どうも結論の方だけにあなた重点を置いているが、私が言っていることは、まあ労働問題だから労働省が指導監督することは第一義的ですね。しかし、この種の不況産業の場合には労働省だけでは十分でないので、やはり運輸省も、もちろんこの官公庁の発注は運輸省所管だけではありません、防衛庁も文部省もありますけれども、しかし、船舶全体についての監督というのは運輸省の船舶局がやられているから、そこで、あなたきょうは大臣のかわりで来ているんだから、私は運輸大臣に聞いているつもりで言っているんですよ。運輸大臣としてそういうことが、いわゆる後から見て、全く世間常識に反するような解雇等が行われないような、人減らしが行われないような指導をしていただいたらどうですかと言った。それはできるでしょう、そんなこと。それとすぐ発注船と全部結びつけるからおかしい。それでなければ運輸大臣の出席を要求しますよ、私は。そういう答弁あれしてください。
○政府委員(謝敷宗登君) 基本的な立場は安恒先生おっしゃるとおりでございまして、こういった厳しい時期ですから、労使がそれぞれ十分話し合ってぎりぎりの選択をしていただくことについては、私どもも十分話を聞き、必要があれば双方の意見を聞きながら、労働省のお考えも聞き、あるいは地労委のあっせんの内容等も聞いていくつもりでございますが、そういう願いといいますか、期待でございまして、具体的な個々の問題となかなか結びつきにくいんじゃないかと、こう考えます。
○安恒良一君 それじゃ、もうこれで終わりますが、やはり船舶局長じゃ無理なようですね、この答弁は。 そこで労働大臣、ひとつ運輸大臣とお話し合いを願って、労働大臣の努力をされること、さらに運輸大臣もいま言ったような立場で努力をされれば、私は両省の協力のもとでうまくいくと、こう思いますから、きょうは森山さんはお見えになっていませんからやむを得ません。ですから、ひとつ労働大臣の方から、労働省としてもこういう努力をすると、しかし、それと同時に、監督官庁である運輸省がやはり横からそういう立場で努力されれば、労働省の努力はさらに実ると思いますから、そういうことをぜひ運輸大臣とお話し合いを願って、私はどうしても若干の人減らしというのはやむを得ないと、そういう場合にはあくまでも労使の合意に基づいたやり方でやると、こういうことで、後から裁判所なり労働委員会で、やったことが全く間違いだと、こんなことの言われることがないような進め方をすることについて運輸大臣とお話し合いを願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 私からも、しかと運輸大臣にお話をいたしまして対処いたしたいと思います。
○安恒良一君 以上で終わります。 —————————————
○主査(嶋崎均君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。 本日、安恒良一君が分科担当委員を辞任され、その補欠として田中寿美子君が分科担当委員に選任されました。
○田中寿美子君 私は最初に、日産プリンスに対して中本ミヨさんが起こしておりました定年差別訴訟問題のことをお尋ねしたいと思います。 経過はもう御承知のとおりですけれども、ごくかいつまんで申しますと、日産とプリンスが合併したときに、プリンスの方で定年差別なしに働いていた中本ミヨさんが、日産の就業規則、男子五十五歳、女子五十歳とするその定年差別の規則を適用されて、昭和四十四年一月、五十歳で解雇されたのに対して、日産の定年制は性による差別扱いで、これによる解雇は無効であるという主張で裁判で争ってきたものでございます。仮処分申請の段階では、一審、二審とも差別を違法とはしておりませんでしたけれども、昭和四十八年三月本訴訟の方では、東京地方裁判所の判決で原告が勝訴した。つまり差別である、日産の定年制は五年の差であっても合理的な理由はない、そういう不利益な取り扱いを女子従業員にすることは差別である、民法九十条違反ということで無効という判決をいたしましたですね。それに対して会社側は不満として、四十八年四月に東京高裁に控訴したわけでございますが、それから今日まで六年たって、この間の五十四年三月に東京高裁の判決があって、男女差別定年制は違法で無効という判決をしたわけでございますね。これに対して、私も聞いたところによりますと、会社側は不満としてさらに上告の手続をとったと聞いております。 労働大臣にお尋ねしたいのは、この東京高裁の判決、地裁並びに高裁の判決が、労働省の雇用における男女の平等の原則と労働行政の方針、それに沿っているものであるというふうにお思いになるべきだと私思いますけれども、労働大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、確認したいと思います。
○国務大臣(栗原祐幸君) これは予算委員会でも私お答えいたしましたが、判決が出た段階で、労働省といたしましても、これは妥当な判決だと思っておりますという趣旨を申し上げました。それはいま御案内のとおり、男女の定年制について差別をつけるべきでないと、また結婚退職制度というようなこともよろしくないということで、その解消を年次的にやっております。そういう趣旨からも一歩前進したこれは判決だと、そういうふうに見ております。
○田中寿美子君 労働大臣は、ですから今回の東京高裁の判決の線は妥当であるというふうに認識していらっしゃるというふうに確認したいと思います。 実は、三木内閣のときに、石田博英労働大臣のときですから昭和五十年ですが、私予算委員会で、この中本ミヨさんの定年差別の問題をお尋ねしました。そのときに石田労働大臣は、差別は一年でも二年でも差別であると、正しくないというお答えをしていらっしゃいますので、労働省の方針は一貫してそうであるというふうに私は確認したいと思います。 そこで、いま労働大臣も触れられましたけれども、国内行動計画の中で、男女の雇用における差別を解消するための年次計画を立てていると、特に前期重点目標というのを立てていらっしゃいますね。そして、五十二年度を初年度として五年間の間に差別の解消の行政指導をしていく、五十三年、五十四年度は四十歳までの定年差別の解消の行政指導をする、それから、五十五年、五十六年は五十五歳までの差別の解消の行政指導をするというのが労働省のいま発表しておりますところの国際婦人年、国連婦人十年の運動の中で国内行動計画をつくり、その中で雇用における差別を解消する前期重点計画ということで出していらっしゃるわけですね。ですから、五十五年、五十六年といいますと、まだ来年、再来年まであるわけですが、それまでの間に五十五歳未満の差別を解消するというふうな計画は一これは今回のこの判決は一年でもこれ差別だという考え方です。すでに歴代の労働大臣がそういう意思を発表していらっしゃるとすれば、五十六年までまだことしを入れて三年もあるのに、五十五歳未満だけを差別解消の対象としているというのはおかしくはないか。つまり、何歳であっても、今回は男子が六十歳なら女性も六十歳までということであるべきだという原則ですね、とすれば、一切の差別を前期重点目標としてはなくすように行政指導するというのが正しいと思うんですが、労働大臣いかがですか。
○政府委員(森山眞弓君) 石田博英労働大臣の当時に一歳でも差別であるというふうにお答え申し上げたのはそのとおりでございますし、一歳でも差別は差別であるという考えには変わりはございません。しかし、私どもの方で、年次計画をつくりまして定年の差別を解消していくという計画的な行政指導をやっていこうと思います場合に、その対象として、重点的に特にしぼって解消を全面的に図っていくという考えで、この年次計画はいま先生がおっしゃいましたような対象をとりあえずの対象としてとらえているわけでございます。しかし、それ以外のものでも、特に御相談があれば、また問題を発見いたしました場合には行政指導をするということはやっているわけでございます。
○田中寿美子君 国連婦人の十年というのは八五年までで、そして来年は中間の世界婦人会議が開かれるわけです。日本は先進国、工業国として、ある意味では先頭にいかなければいけないのに、男女差別問題、雇用における差別の問題は非常にたくさんあるということを、労働省みずから先般の労働基準法研究会の報告書の中でも認めているわけなんですね。それで、五十五歳、六十歳というのは、数としてはそのころまで働いている女性が少なかったりして、数は少ないかもしれない。しかし、今回の判決文にありますように、少なければ少ないだけ、それだけよほど合理的な理由がなければ非常に重要な問題とみなさなければいけない、合理的な差別であるという理由が見つからなければならないはずだと。ところが、女性の肉体的あるいは労働能力からいっても、六十歳までは仕事の内容いかんによっては全く男子と同じように働くことができるんだと、だから、今回の五歳の差別は不当であるという判決をしたわけですね。ですから労働大臣、この際、私は五十五年、五十六年というその三年間に、五十五歳未満の差別の解消というのを、もう少し今回そこを一歩進めまして——この行動目標というのは国連の方でも二年ごとに見直しをすることになっているわけですね。ですから、かつて仮処分のときに一審も二審も違法としなかったにもかかわらず、本裁判の第一審の判決から今日まで六年間たっている。その六年間の経過の中で、男女の雇用における機会の平等を推進しなければならないという国際的な世論も強い、国内も非常に強い、こういう中ですから、見直しをして、合理的な理由もないのに差別をつけているものについては、すべて定年差別は解消させるような行政指導をするというふうに大臣はお考えになっていただけないでしょうか。石田博英労働大臣は非常に私は勇断だったと思うんですね、きちんとおっしゃって。それがやっぱり非常に大きな力になったと思います、今度の裁判にも。ですから、労働大臣も、いま若い労働大臣なんだから、もうちょっと積極的な意見を出していただきたいんです。ですから労働大臣、時間がないんだから。
○政府委員(森山眞弓君) 先生のおっしゃいますとおり、一歳でも差別は差別であるということは先ほど申し上げたとおりでございますが、男女別に定年制を定めおります企業の定めている年齢を見てみますと、女子の場合は五十五歳未満というのが大変多うございまして、五十五歳以上がまだ半分になっておりません。五十三年度で四一・六%ということでございます。男子の場合は五十四歳以下というのは〇・三%にすぎませんで、ほとんど全部が五十五歳以上ということで、五十五歳というのが一つの大きな分かれ目になっているということは全体としては言えるわけでございます。したがいまして、先ほどのような、こちらから積極的に行政指導を行う対象としては五十五歳というのが一つの目安ではないかということで一応の目標にしているわけでございまして、それ以外のものも、おっしゃいますとおり必要なものにつきましては指導を積極的にしていくということは変わりございません。
○田中寿美子君 大臣の方が指導方針出さなければだめですよ。
○国務大臣(栗原祐幸君) 田中さんのおっしゃることは私もよく理解できます。特に、こういう判決が出たところだからというところでそれはわかります。ただ、これは御案内のとおり会社が上告しているわけです。そういうことでいま係争中になっておる。 それから、いま一つは、私も決して勇気がないとは考えておりませんが、ただ、何といいますか、勇気ある発言をするという意味が、具体的に定年延長というやつが進んでいく、具体的にどう進めていくかという問題と切り離して考えた場合、いま労働省が考えておりますように年次計画でいろいろのことを啓蒙しながら進んでいくというのも自主的ではないかと、こう考えております。
○田中寿美子君 まだ三年あるんですよね。だから、定年における差別を解消する指導をするということは、私は少しもおかしくない、労働省として当然やるべきことだと。それぞれの会社の女性が働いているその職種その他で合理的な理由がある場合はあるかもしれない。だから、そういうことを私言っているんじゃないんです。それで、数をおっしゃったけれども、しかし、五十五歳になって働いている人には非常に五年というのは重大な大事な時期なんです。だから、そこで差別されて解雇されるということは大変重大だと。だから労働大臣、もう一度よくその辺は考えて、いま男女平等、これこそ、サミット会議にいらっしゃるんでしょう、後で少しお尋ねしようと思っておりますけれども、婦人の雇用における平等の機会を主張している、運動している人たちからも、先回りしてあちらにちゃんと状況の情報提供しておりますよ。ですからただでは済まないと思います。ですから、労働大臣、もうちょっとその辺は、そんな行政機関がやることを細々おっしゃらなくても自分の方針というものを出していただきたい。だから、男女の雇用における差別を解消しようとするなら、定年とか、結婚、妊娠その他いろいろの種類の差別があるけれども、定年における差別はなくす方向を強力に、もう行政指導というのは五年間やったってそこに到達するものじゃないでしょう。やっぱり後々まで続くと思うんですね。ですから、せめて前期重点目標のところを、言葉を、差別定年を全部廃止する方向に向かって指導するというふうに言っていただきたいんですが、いかがですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 私もこの問題について重大な関心を持っておるんでして、ただステップ・バイ・ステップと、私は熟慮断行でございますから、いまのところこの問題については熟慮しているところでございます。
○田中寿美子君 最高裁に上告しておりますけれども、これ必ず勝ちます。原則が憲法十四条と、それから民法九十条、地裁の判決も今回の高裁の判決も非常にきちんとした原則を踏まえているんです。これを最高裁は踏みにじるはずはない。だから、私は特にそのことを要望しておきます。 それからその次ですが、労働基準法研究会の報告について、きょうは婦人労働者が一万人明治公園に集まって抗議集会を開くことになっているのを御存じだと思いますけれども、私はその内容をいま申し上げる時間がございません。ただ一点、基準法研究会の報告書は、あれは研究会がお出しになったものでございますなんと言って逃れることはできないです、これを書いた人は労働省の担当官ですから。これは有泉会長が私に直接そうおっしゃいました。全部婦人担当官が書いてくれました。ですから、それは労働省の政策であることに間違いないんですが、それで今後の問題点とその方向という主眼点のところに、男女の平等というのがばんと打ち出してありますよね、雇用における平等、あそこでは法制化もすると、しなきゃいけないし、救済しなきゃいけないし、行政指導もすると、いっぱい書いてある。そこにはいまの定年制の差別のこともみんな書いてありますね。だから、平等を打ち上げて、そしてその次に一般女子保護の撤廃、平等のためには女子保護を撤廃しなけりゃいけないという構成になっていて、そして一般女子保護と母性保護を分離して、そして妊娠、出産に関するところだけを分けてあるわけですね。ですから、私たちから言わせれば、あめを両側において真ん中にむちを置いているようなものだというふうに思っております。 それで、いまお尋ねすることは、これは労働省の担当官が私のところにいらしたときにおっしゃった言葉でもありますが、一般女子保護の撤廃と、それから男女平等とはワンセットです、ペアですよと、どっちかと言うわけにいかないと、保護を撤廃しなきゃ平等はやれませんよと言わんばかりの言い方ですが、そんな考え方は正しいとお思いになりますか。
○政府委員(森山眞弓君) どのような表現で申し上げたか、その表現が正しい表現であったかどうかは問題でございますけれども、この労働基準法研究会の報告書では、まず男女平等ということをうたっているというのは先生おっしゃったとおりでございます。男女平等というものを法律で決めるということになりますと、どのようなものが男女の平等であるか、法律的に考えてどのようなものが男女の差別であるかということをはっきりと明確にしなければならないということになるわけでございます。そうなりますと、女性に対する特別の措置、それが保護というふうによく言われるわけでございますが、女性に対する特別の措置が、男女の平等ということを一方で法律的に規定しながら、それと並んでいけるものであるかどうかということについてもう一度よく見直さなければいけない。そうした場合に、現在労働基準法の中に決められておりますいろいろな規定が、その場合に適切なものであるかどうかということは見直さなければならないのではないか、その中には不適切なものもあるのではないか、そういうものは平等というものを確保するときに同時に見直す必要があるという趣旨であると考えております。
○田中寿美子君 大臣どうですか。つまり、保護を取らなければ平等をやらないというようなことは言っていないということですか、そこを、ちゃんとしてください。
○国務大臣(栗原祐幸君) 総合的に考えろという趣旨だと思います。
○田中寿美子君 どっちかということじゃないですね。
○国務大臣(栗原祐幸君) 総合的に考えろと、こういうふうに私は理解しております。
○田中寿美子君 それでは、私は詳しくいま議論している時間がなくて、いつかそういう時間を欲しいと思っておりますけれども、現在の労働時間ですね、日本の。労働時間、年次有給休暇、週休二日制その他ですね、これは中央労働基準審議会が、すでに五十二年の十一月ですか建議をしておりますね、早く短縮せよと。これをいま行政指導でやっていらっしゃいますね、その行政指導というのはなかなかこれは徹底しない。ネックはどこにあるのかということも私は伺う時間が十分ありませんけれども、私がお尋ねしたいことは、現在のように時間外労働が三六協定で無制限にできるというたてまえのときに、時間外労働の制限を女子から外したら一体どういうことになるだろうかということ。それから、深夜業も、これは男女ともに非常に悪いというのでILOの調査もいま継続中、そういうときに深夜業の制限を外してしまうということになれば、食品とか電気機械とか、その他非常にいまそういう方向に動きやすい、すでに二交代三交代の労働をしているところでそういうふうに無制限に外していくようなことは、世界の先進国の労働条件の方向に逆行していくと思うのです。ですから、まず労働者全体の労働時間の短縮と、年次有給休暇を本当に継続してとれるようにするとか、それから週休二日制を法制化する意思はおありにならないのか、法制化できないネックは何かということ。余り長い時間ないものですから簡単にお願いします。
○政府委員(岩崎隆造君) 先生御指摘のように、中央労働基準審議会の建議並びに衆参両院の雇用の安定に関する決議に基づきまして、当面労働時間短縮問題については行政指導を強力に進めていきたいということでやっておるわけでございます。ただ、これを法制化するということになりますと、やはり現実に企業の規模あるいは産業の規模、ないしまた特に中小企業等におきましていろいろまちまちなところがあるので、これを一律にいまよりもきつい基準でもって強制するということが、直ちに妥当とするかどうか。この点については、労働基準審議会でも、当面は行政指導で成果を上げるようにという御指摘もありまして、私どもはそれを進めていこうとしておるわけでございます。ただ、三六協定などで時間外労働が天井知らずだというような御指摘がございましたが、その点につきましては、私ども従来の三六協定の締結の内容というものは、必ずしもその点の時間外労働の上限を規制するに十分でないという点も御指摘をいただきましたので、基準法の施行規則の改定を図りまして、ことしの一月からその点でまた行政指導をさらに進めていっているところであります。当面行政指導の成果を上げたいということに全力を尽くしたいと思っております。
○田中寿美子君 大臣ね、いまのような労働時間その他の状態で、女性の方の保護、特別措置というのを外してしまうということは非常に危険だというふうにお思いになりませんか。
○政府委員(森山眞弓君) 労働基準法研究会の趣旨といたしましては、いまの三六協定そのままが問題がないということを言っているわけではございませんで、男女とも時間外労働は必要最小限にとどめるべきであるということ。それから深夜業についても、男女ともに非常に健康に影響が大きいということを十分認識しておりまして、いま基準局長が申し上げたような問題点についても留意しているわけでございます。
○田中寿美子君 それで、女性の保護の項目を一つ一つ言っている時間がありませんのでいまはいたしませんけれども、特に時間外労働、深夜業の制限、こういうものに関して、現状のままのところへ女性を逆行させるということでなくて、反対にいまの女性の制限ぐらいまで男性を引き上げるという方向が私は望ましいと思うのですが、それをどうお思いになるかということと、それからILOの四十八時間労働の条約の批准すらできてない、一九一九年の。もう政府統計によれば四十時間前後の平均が出ていますね、あれは三十人未満入ってないから私は本物じゃないと思っていますけれども。ですから、ILOの条約の批准ができないのは一体どこに理由があるのか、そういうものをしないで済ましていくおつもりなのか、いつごろのめどを立てていらっしゃるかということを聞きたいのです。
○政府委員(岩崎隆造君) いま御指摘の時間外労働の上限の問題というのは、私どもも、いま婦人少年局長からもお話がありました、深夜労働も含めて、いまの男のままでいいのかどうかということには、そう必ずしも言っておりません。私ども、また深夜労働につきましても、実はILOで専門家会議などで検討が進められている。まだ全く結論の方向も出ておりませんけれども、そういうことで、私どもも見直すべきことは見直しながら研究会の報告の線というものを考えていかなければならないというふうに思っております。 ただもう一つ、ILOの一号条約がそもそも批准できていないじゃないかというお話がございます。この点は先生も御案内だと思いますが、結局、先ほども御指摘がありました時間外労働の規制の問題がネックになっております。このことは私ども基準法制定当時から、やはり労使が協定をすることによって労使間でチェックをするという機能を期待して、そういうことで法制化されているわけですが、その点がILOの条約ですと、何らか公的機関で上限の規制をしようということになっておりまして、実際には一週四十八時間、一日八時間というような大原則はもちろん実現をしておりますし、すでにそれを上回る基準が大部分のところでございますけれども、そういう点がありまして、先ほども申し上げました行政指導によって、その辺の上限をなるべく隠して時間外労働を縮小する方向でもって私どもは進めていきたいと、こういうふうに考えております。ただ、そのめどは現在の婦人の時間そのものでずばりいいのかどうかという点については、必ずしもそうも言えない事情もいろいろ実態によってはあろうかと存じます。その辺は慎重に方向を見詰めていきたいと思っております。
○田中寿美子君 実情は、大変中小零細企業あるいは下請企業なんかは、残業があってありがたいなんということを言っている状況であるということは非常に私は問題があると思いますけれども、少なくとも、きちんとそういう条約の批准もして、それに向かって合わせていくというような方向に向かっていただきたいと思うのです。 それから、男女平等法ですね、これは一体つくられる意思があるのかどうか。この基準法研究会の報告では、法制も必要だし、行政指導も必要だし、救済措置も必要だということは言われているけれども、労働省としては、そういうことについて、やつぱりこれは中央労働基準審議会にも、それから婦人少年問題審議会にもかかっているわけですから、いつの日か、それに対してどういうかの方針をお出しになるかと思うのですが、先般基準局長にお目にかかりに参りましたときに、余り男女平等法のことは御存じないみたいな感じもしたのですが、これはおつくりになる意思があるんですか、大臣どうですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 基準法研究会の報告書に基づきまして、関係審議会で労使の方々に入っていただきまして、十分に審議をしていただいて、それで結論を出したいと、こう考えております。
○田中寿美子君 それでは、残念ながら時間があれですので最後に、労働大臣、ワシントンの労働サミットに五月お出かけになるということを新聞紙上で見ました。これまで知らなかったというようなこともちょっと書いてあったのですが、今度は十一カ国、アメリカで開かれるわけですね。まあ先進国の中の先進国が集まるんだと思いますが、何らかの予定、日程といいますか、報告などをなさるのかどうか。先ほども申しましたように、すでに労働婦人の間では、あるいは一般の婦人たちの運動している人たちの間では、このことは早くから問題にしておりまして、日本の婦人労働の現状の報告書を送り届ける用意をしております。ですから、あるいはそういう問題が出たときに、一体労働大臣は、国連婦人の十年の中間にまさに近づきつつあることし、どういう報告をなさるおつもりなのか、この労働サミットの内容についておわかりのことがございましたら教えてください。
○国務大臣(栗原祐幸君) 五月の三日、四日に、ワシントンで先進国の労働大臣会議があるということで私も参ることになりました。議題は何かというと、議題は何もないんです。要するに、ざっくばらんに胸襟を開いて話そうということでございます。
○田中寿美子君 報告はなさるでしょう、何か。
○国務大臣(栗原祐幸君) 何も報告しません。するつもりもございません。
○田中寿美子君 そうしたら、婦人の問題が出たらどうなさるんですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) その時はその時で私の判断でやります。ただそのためには、何もないからといって何も勉強しないわけじゃないんですから。ですからどんな問題が出るかということはこれからよく勉強しまして……
○田中寿美子君 予想して想定問題集を持って行って……
○国務大臣(栗原祐幸君) 想定問題集を持って行くかどうかは別といたしまして、私はやはり日本の労働大臣であると同時に一個の政治家でございますから、気負ったつもりはございませんけれども、向こうの意見に対して傾聴すべきことは謙虚に聞かなきゃならぬ、また主張すべきことは主張したい。ですから、政治家としての見識が発揮できるように勉強したい。そういう意味で御鞭撻をいただければ大変幸せでございます。
○田中寿美子君 EC諸国でもOECDでも大変日本の労働条件やなんか問題になっているわけです。ですから、少なくとも男女差別の問題は日本独特のものがあるということも知れ渡っておりますので、その辺は森山さんによく相談してきちっとしたことを言ってきていただきたいと思うし、働く人の、婦人の声も聞いていただきたいと思います。 以上で終わります。
○片山甚市君 民営職業紹介事業の実態等について質問をいたしたいと思います。 長期にわたる厳しい雇用失業状況下の中で職安の行政は一層重要なものとなっておると思います。職安の関係の職員の御努力を多としながらも、その実態はきわめて不十分だと思っておるものであります。そこで、政策推進労組会議の離職者追跡調査報告、昭和五十四年の一月ですが、その報告によれば、再就職について職安を通じたもの一一・九%、また総理府の労働力特別調査、昭和五十三年の三月ですが、それではわずかに六・九%の利用状況であるということになっていますが、この理由を御説明願いたいと思います。
○政府委員(細野正君) 最近、先生も御案内のように、景気停滞の影響から求人が減少しまして、中高年齢者を中心として求職者の滞留傾向が見られるわけでございまして、確かに安定所の紹介が必ずしも容易でない状況にある点は御指摘のとおりなわけでございます。しかし、安定所としましては、所を挙げて求職者個々人に見合った求人を確保するということで、特別の求人開拓活動を現在やっておるわけでございまして、幸い景気が持ち直してきていることもございまして、有効求人倍率等もわずかながら上がってきている、新規の求人倍率はかなり回復を見ているというふうな状況のところまでこぎつけているわけでございます。 なお、先ほど安定所の就職の際に経由する率についての御指摘ございましたが、労働省の雇用動向調査によりますと、安定所経由で、安定所の紹介で就職する方の割合というのは二割程度という状況でございまして、これが全体をひっくるめての数字でございまして、先ほど御指摘の統計とは対象が異なっておりますのですが、全体としてはいま申しましたように二割強でございます。しかも、安定所では求人を公開しておりますので、この数よりは、こういう数字で見る以上に安定所の役割りというのは大きいんではないかというふうに考えているわけでございます。
○片山甚市君 自画自賛をされて、がんばっていただきたいと思いますが、これからの職安行政の改善というのには今後どのように進めていくのか、具体的な問題でお示しを願いたいと思います。
○政府委員(細野正君) 何といいましても、こういう厳しい雇用失業情勢でございますから、先ほど申しましたけれども、求人開拓を積極的にやる、そのための体制を整備するということが一番基本的な今後の行政の改善の方向であろうというふうに考えているわけでございます。そのほか業務の効率化、サービス化という観点から、全体としての再編整備が必要なんじゃなかろうかというふうな考え方で、これは先生も御存じかと思いますけれども、全国的に現在試行を実施しておりまして、その結果、結果が良好であるというものにつきましてはどんどんこれを実現するように採用してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○片山甚市君 そこで、近年産業界では、経営の効率化を求めるために事務処理や情報処理を外部に委託をする傾向が見られるのですが、業務処理請負事業の実態は、現在どのように把握されておりますか。
○政府委員(細野正君) 先生御指摘のように、企業等で外部に業務を委託するというふうなやり方は、これは世界的な傾向でもあるわけでございますけれども、わが国におきましても、御指摘のように増加しているようにうかがわれるわけでございます。 その中身は、実態必ずしも明確でないという点があるわけでございますけれども、たとえば、タイプ別に分けてみますと、タイプライターその他の事務処理を委託するやり方、あるいはキーパンチ等の情報処理を委託するやり方、あるいは清掃等のビル管理等の業務を請け負わせるというふうなやり方、いろいろなタイプがあるわけでございますが、この実情につきまして、たとえば行政管理庁が一昨年でございますか、行いました調査の結果によりますと、いま申しましたタイプ別にいきますと、事務処理型のものが約六十事業所、ビル管理型のものが約三千百、それから情報処理型のものが約九百四十、合計約四千事業所というふうなことが推定されているわけでございますが、もちろん、これが全部網羅しているというわけにはとてもいかないであろう、こう思っているわけであります。
○片山甚市君 そこで、この請負事業の運営実態というのを見ると、職安法第四十四条と四十五条で禁止されているところの労働者供給事業に該当するものがあると私たちは聞いておるし、把握をしているのですが、それらに対する規制や摘発については現在までどのぐらいありましたか。
○政府委員(細野正君) 先ほど申しましたように、それらの事業の実態というものが必ずしも明白でないものでございますから、そういう意味で、現在こういう問題についての全般的な規制ないしは行政指導のあり方等を含めて検討しているわけでございますが、その中であわせて実態等も十分把握して対処したいと、こういうふうに考えているわけでございます。
○片山甚市君 人材銀行というのがあるのを御承知ですか。
○政府委員(細野正君) 一部については承知しております。
○片山甚市君 どんな仕事をしていますか。
○政府委員(細野正君) 先ほど先生から御指摘ございましたような、いわば業務の委託というかっこうをとりまして、いろいろな職種の労働者を各会社に派遣するという仕事をしているというふうに承知しております。
○片山甚市君 人を集めてそれを人に貸して、出向さしてそこで仕事をさせるというように大体なっているように思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(細野正君) 御指摘のように、労働者を登録しておきまして、そして需要があった場合にそこに派遣するというやり方をしているように聞いております。
○片山甚市君 それは社会保険あるいはその他の労働者の年金等に関する処理はその会社が責任を持っておりますか。
○説明員(鹿野茂君) 先生おっしゃっております人材銀行というものにはいろいろの型があろうかと思われるわけでございます。一つは、先ほど局長から御答弁申し上げましたように、求職者を登録させ、そして需要に応じて派遣をするという形のもの、あるいはもう一つは、職業紹介に近い形で求人、求職のあっせんに近いような類似行為を行っているものがあるというふうに私ども聞いておるわけでございます。御指摘の派遣をしておりますような形の人材銀行については、いろいろの形がございまして、雇用労働者としてきちんと雇用契約を結び、社会保険を適用しているようなものもございますが、また反面、登録というような形ではっきりした雇用関係がない、したがって、社会保険制度、社会保障の適用等も不十分なものもあるというふうに聞いておるところでございます。
○片山甚市君 御承知のように、これから全国民が皆保険の時代、年金の時代へ入っておりまするですから、人材銀行におる方がどうだと言いませんけれども、そういうことがとぎれてくる、それが権利がなくなるということがないようなぐらいの監督が当然あるべきだと考え、答えてもらったらまた長々と言いわけをするでしょうから、答えてもらいません。 マンパワーというので、ジャパン株式会社というのがあるのを知っていますか。
○政府委員(細野正君) 承知しております。
○片山甚市君 どんな仕事をしていますか。
○説明員(鹿野茂君) マンパワーという会社は、先ほどちょっと御説明申し上げましたように、求職者を登録させておきまして、主として事務関係の仕事、あるいは情報処理の仕事について、需要先の企業から要望があった場合に求職されておる労働者を派遣をしているというのが実態でございます。
○片山甚市君 非常に、大きな会社にとって都合のいいことですが、マンパワーのサービスを導入すれば採用試験や広告費がゼロになり、またサービスを導入すればアクシデントや病欠のバックアップもできる、それから、短いピーク時の人員のオーバーをカットができる、女子社員の腰かけ就職で生ずるマイナスがカバーできる、ボーナスを出さなくてもよくなる、社員に負担のかからない完全週休二日制ができる、社員教育の手間や経費を省くことができる、夏季休暇など長期休暇を効果的にとれます、さらに、社員の通常勤務の作業効率を上げることができます、厚生施設や付帯経費をつくらぬでもよろしい。これはどういうことになるのか。御承知のとおり、会社の減量経営と言われる中で人間の切り売りをするところがある。こういうことで、ただし私の方は職業あっせんをしておりません、一行書けば済むような、そんな大体ペテン師みたいなものを野放しにしておいて、職安がありますよの、労働省がありますよの。私は言うのですよ、大きな組合とかという私が所属をしている全電通とか、国鉄とか、全逓とかいうような組合のことを考える前に、こういうような組織もできぬようなことを考えるのが労働省だと言っておるのです。常にあなたらは大きい会社、大きい組合のことばっかり、佐世保重工がどうなったのというようなことばっかり言っておる。こういうものについて一つも目を向けぬと、政治的な圧力があるやつにばっかり顔を向けておる。顔の向け方が違っておるんですよ。これはこういうことがあるんだが、私は質問時間と関係がありますから、こういうように民間で職業があっせんされて、それも悪い条件で切り売りされておる。あなたたちが知っておるのは、良質な一番最もよそに対しても恥ずかしくないようなところばっかり集めて日本の労働条件はこういうことです、労働者はこういうことです、五千五百万のうちみんなそうなっておるかのごとき宣伝をしても、労働大臣がサミットへ行かれても、日本からもっとおかしいようなのを出していますからね、先ほど田中さんが通告している。私らがどんどんどんどんあなたらの言うことと違うことを書いて説明してやりますよ、行ったら大変ですよ、針のむしろに座るようなことになりませんかと御忠告してましたね、これはうそでないですよ。この人は思い込んだら命がけの人ですからね、田中寿美子さんいうたら、党が決めたってなかなかうん言うような人と違うでしょう。従ってくれますがね、私長老ですから。そのつもりでお願いしたい。これは私の意見です。 質問時間の関係であれですが、こういうことを私が言うのは、労働大臣の許可を得て行う民営職業紹介事業所は、全国で約二千五百カ所もあると言われておりますが、その取り扱いの実績は年々増大していると私ども見ております。私が去る第八十回国会の社労委で、昭和五十二年の三月十日でも指摘したが、有料職業紹介事業は、ILO九十六号の条約批准、昭和三十一年の三月ですが、に当たりまして、当時の政府の答弁は、有料職業紹介事業、民営の職業紹介事業は全廃していくのが根本の精神であり、できるだけ遠くない期間内に実現したいと言い、二十年以上たった段階での八十回国会において本委員会での政府答弁は、北川政府委員です。現労働事務次官ですが、検討しているが、いま直ちに廃止することは考えていないと言っております。こんな調子で、これから先何でも政府がやり切れるような仕事になっておるのかどうか。民間で少々悪いことをしていても目をつぶって、その人たちに就職の機会を与えてもらっておればいいというふうに考えておるんじゃないか。いわゆる公共職業安定というのは、皆保険の時代、皆年金の時代を迎えたときに、年金がとぎれないようにしなきゃならぬし、さらに働くということについての喜びをきちんと持てるような職場環境をつくる、企業が公的な責任を持つという——持たないということを言っております、今度はね、それは後から言いますが。しかし、そういうようなことについての質問について、大臣からお答え願いたい。
○政府委員(細野正君) あらゆる就職について安定所が関与するのが望ましいかどうか、基本的にそれが望ましい側面もないことはないのでございますけれども、現在のように、非常に労働市場も拡大し、複雑化している中で、やはり安定所自体の機能も強化しなきゃならないが、同時に安定所がなかなか実施することが困難な紹介という部面もあるわけでございまして、そういう面についての一定の条件のもとで安定所の紹介というものを補完する、そういう役割りを民営の職業紹介事業が果たしているという面も、これも否定できない事実ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。そういう意味での、安定所で取り扱うことが困難な、特別の技術を必要とする職業分野につきまして、これを民間がやるという場合に、そういう意味での効果的な面もあると考えるわけでございますが、何といっても業務の適正な実施を確保することがその場合にどうしても必要でございますので、許可基準等につきまして、実情に即して厳正な方向で検討するということで、全般的なこの問題の検討の中で研究をさしていただいている状況でございます。
○片山甚市君 何年でも検討しておったら、そのうちに定年になってやめていくんですから、あなたたちは御都合がよろしいけれども、私たち御都合が悪いんです。職安では大体二〇%紹介をしている、もっと多いだろうというが、残りの八〇%は会社縁故、それと民間の職業紹介なんです。私は、会社縁故の問題についていま触れていないのは、それはそれなりの経営者の雇用する権能がありますから言いませんけれども、有料職業紹介は民営でありますから、お金を取っているということでありますから、明確にこれをやめていくべきだと言っているのであります。皆さんは、血液を売ったり買ったりするのが好きな国民です。いまでも売血で分画製剤をつくっておるんです。これはあなたの相棒の厚生省ですが、労働省とか厚生省というのは、血を売ったり買ったり、人を売ったり買ったりするのでなくて、人に働いてもらって、それに対して代価を払うという気持ち、ありがたいという気持ちがなければならぬ。そんな根性はもう一つもないと思う。私の断言ですから、これは。一方的な言い方ですから、そう言われぬように、私のまなざしを見て、なぜこれだけ何回も何回も言うのかということについて理解をしてもらいたいと思うのです。といいますのは、昨年七月、行政管理庁が行った民営職業紹介事業等の指導監督に関する行政監察結果に基づきます勧告は、業務処理請負業において、ビル管理のメンテナンスの分野で、中高年齢者が多く就職しているとなっているが、労働時間、賃金等の面で監督官からの是正指導がなされている例もあるようだが、その実態と是正内容、ビルメンテナンスの場合は、やはり五十五歳以上になった、通称言う定年になった方々が多いように見受けられるのですね。中堅になる外側の危ない仕事をするのは若い人がやっていますけれども、そういうことについてどのような指導をされたか、お聞きをいたします。
○政府委員(岩崎隆造君) 先生いま御指摘のとおり、行政管理庁の勧告で、業務処理請負業につきまして、労働条件の確保等の面で問題の発生が危惧されております。私ども、従来から問題のある業種等を中心にいたしまして、監督指導を通じまして労働条件の確保、改善に努めておるわけでございます。業務処理請負業につきましても監督指導を従来実施しておりますが、ただ、業務処理請負業いろいろありますけれども、それ全般について監督指導の結果の実態というものをまとめたものはございません。過去には東京など幾つかの局で警備業について工費監督を実施したことがございます。そのときの違反事項といたしましては、労働時間、休日、あるいは就業規則、健康診断等の面の違反が多く認められておりますので、そのことにつきましては、そのほかのビル管理業とか、あるいは情報処理事業というようなものにつきましても同様だろうということが推測されます。先生も御指摘のとおり、今後やはり中高年層の職場として、雇用情勢の厳しい中で、こういった面での雇用拡大というものも考えられます。私どもとしましては、来年度行政運営方針の一つの柱といたしまして、いま申し上げたビル管理、それから警備、それからコンピューターの保守管理というような業種につきまして、重点的に監督指導する業種に選定いたしまして、労働条件の改善に積極的に取り組もうということで、すでに地方局所に指示しているところでございます。
○片山甚市君 重ねて聞きますが、職安法施行規則四条違反のような実例について、具体的にどのような取り扱い方針を持って臨まれるか、いま御説明がありましたが、もう一度聞きます。
○説明員(鹿野茂君) 業務処理請負事業は、確かに形が労働者供給事業に類似しているということで、施行規則四条との関連で見ますといろいろ問題がある業種であると私ども考えておるところでございます。しかしながら、現在のところ、その業務処理請負事業についての実態について、私正確に明確に把握しているわけではございませんので、今後この実態の把握と、それからこれに対する規制のあり方というものを検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○片山甚市君 そうすると、ビルメンテナンス等について、管理の方法については、特別に立法的ないわゆる措置をとって、きちんとした体制を必要とする時代に来たと。従来ですとのっぽビルもございませんし、五階か六階か、十階建てぐらいのビルでありましたし、コンピューターも入っておりませんでしたけれども、これからこれらの業種については相当に厳しい規制が必要だ、規制というか、法的なものが必要だというふうにお考えでしょうか。
○政府委員(細野正君) 先ほど申し上げましたように、実態必ずしも明確でございませんので、いま実態調査を含めてそういうものを調査しつつ、かつこれに対する指導なり規制なりの方針を検討中でございまして、具体的には需給システム研究会というのを現在やっておりまして、その中で検討をお願いしているわけでございます。で、その中でいま先生御指摘になりましたような事情も含めまして、実情に即した規制の方針を打ち出してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○片山甚市君 先ほど申しましたように、民間の労働者の供給事業の中には、いわゆる目に余るものがあるということであり、幾つかありますけれども、先ほど言いました人材銀行、あるいはその以外に、先ほど名前を出しましたもの等については別途きちんとした究明をしていきたい、こう思っておるんですが、当局の方でもこれらの業種について十分な監督を今後していただき、ただ求人広告の中に一行だけ、就職あっせんをしないと書いておきさえすれば、大体法網をくぐって堂々と職業あっせんができるというようなことになっておる現状について改めてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(細野正君) 実情を踏まえながら、現在こういうものに対する規制のあり方について検討をお願いしているところでございますので、その中で方針を明確に打ち出してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
○片山甚市君 これらの業者の規制のあり方は、職安法の立法の趣旨と、現在の内外の経済の情勢からも、いま局長がおっしゃったように再検討の必要があると言われているんでありますが、その中心になるものは、第三次産業をあなたたちは広げていきたいと、こうおっしゃっておるわけです、雇用の拡大について。そうですね、労働省。それは労働大臣かわったからやめたかしらんけれども、前の労働大臣は、あほうの一つ覚えという昔の年寄りの言葉がありますが、寝ても覚めてもそんなことを言いよったんです。そうしたら、いつの間にか経済がよくなったとぬかして、緩んできたと、こう言いよるわけですね、おかしいことに。で、大体いいだろうと、人任せの話をするんです。ですから、私はこれについては賛成できませんで、実はこういう職安の問題についてはきちんとした公的なものが責任を持つ、そして民間の有料の職業紹介事業などというものに頼らないでやるという基本が貫かれる。ただ、特殊の例外、いろいろありましょうからそれは言いません。例外ならと言っておるんでないですよ、あなたたちが例外なんです。労働省職安事業が例外で、そして縁故採用や民間のタレント集めのような仕事の方が中心で、その方は人権が保障されてない。こういうことについては非常に残念だと思いますから、これについての御所見を今度は大臣から答えてください。
○国務大臣(栗原祐幸君) いまいろいろとお話を承り、また政府委員の方からもお答えをしたわけでございますが、本来職業紹介というのは国の行政でやる、これは当然であると。ただ、御案内のとおり、歴史的経済的な条件から民営の職業紹介というものも認めてきておる、その民営の職業紹介の中にいろいろ御指摘のような不明朗な点あるいは好ましくないもの等が出てきておると、それをどう規制するか、規制を含めてひとつ考えるべきじゃないかという御意見でございまして、これにつきましては全く同感でございまして、今後御趣旨に沿うようにひとつ行政をやっていきたいと、こう考えております。
○片山甚市君 大臣の御答弁を了として、繰り返して申し上げますが、民営職業紹介事業は、有料職業紹介所は現在二十七業種に限定されておりまして、手数料、徴収期間、許可基準等が設けられておりますが、指定以外の求職需要が増大していると言われているし、そういう実態にあると思う。まずそういう実態を、少し金がかかっても人権に関係しますから調べてもらいたい。タレント養成などは運営形態が職業紹介などになじまないということから、これからどのように対処するのか。タレント、タレントと言ってもテレビからいろんなものがありますね、自民党の代議士さんの中にもおって、国会で発言するよりもずっとテレビでかせいでいる方が多い人がおりますね、楽しそうに。二つともやれてあれはいいなあと思っている。私らみたいな貧乏人と天と地ほど違うと思いますが、名前は知りませんけれどもタレントと人が言うておる。これはタレント養成などに対する問題ですね、運営についてどうお考えになっておるか。
○説明員(鹿野茂君) 俗にプロダクションと言われております芸能関係の事業所につきましては、その事業の内容が、一つは興行部門という形で請負部分がある。それから、例外的に紹介という形でタレントのあっせんをするというふうに事業内容が分かれているのではないかと思っております。私どもの関与する部分は、その職業紹介という形でタレントをたとえば民間の放送会社にあっせんするというところについて、一定の許可基準のもとで運営を行っているわけでございます。先生御指摘の多くの芸能界における問題は、タレントの養成を含めまして、いわゆるプロダクションとしての興行をやるというところに問題が多いのではなかろうかというふうに考えているわけでございますが、私どもの職業紹介の分野から外れているということで、なかなかその部分については労働省として明確な方針というものは出せないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○片山甚市君 非常にむずかしいことでありますから、私が職業安定ということを個々的に求めるのは、そこに初めて国民に安らぎを国家が与えるという方針、民営職業紹介事業というようなものについて余り重きを置かないで。ところが、このごろの閣僚どもというか、人たちというか、産業屋どもというか、資本家の人たちというか、財界という、金さえもうけたら国を売ってもいいと思われる人たちの言動によればですね、職業安定所など使わずにいいというふうに考えているような風潮が見られる。そう思うから私は非常に残念だと思います。 そこで、民営職業紹介事業開始の保証金は昭和二十二年には五万円でございましたが、そのままでございますか。そうであれば手軽に事業が開設ができるようになると思いますのでこれは考えてもらわなきやならぬ。いま幾らになっておりますか。
○政府委員(細野正君) 現在も五万円でございます。
○片山甚市君 そうですね、皆さんも、国民の皆さんも聞いてほしいんです。昭和二十二年の五万円と、いまの五万円と、同じでプロダクションでも何でも開けるんですからね、委員長、大変です、これは。何ともないんです、それは。労働省もみんなぐるですよ、これ。こんなこと、それなら保険料は何ぼ上がったのか、昭和二十二年から賃金は幾らに上がったのか。焼け野原で私ら飯も食えない時分の五万円というのは大変なことであります。ちょっとぐらいは考えてください。どうです、大臣。私の申し上げるのは無理だと言ってください。そうしたらあなたは悪人になります。私が言うのはもっともだと言ったら善人になる。どちらでもいいから答えてください。いや、大臣答えてください。
○国務大臣(栗原祐幸君) 実態いろいろお聞かせ願っておりますけれども、よく検討して対処していきたいと、こう思います。
○片山甚市君 検討はせずに、これは改正をすべき要件だと、こう思っています。そして、そういうような悪質なものをなくしていくような条件を整えるという勇気がなければ、先ほどは何か田中寿美子先生には勇気のある男だぞと、こういうことでありますから。もうやめますから、済みません。 これらの事業所で、法令、通達に違反しているもの、法定外の金品を徴収しているものが数多くあるというようなことだが、実態について、監督をしてどういう御指導をされておるか。 もう一つは、職業行政が不十分なまま無許可の職業紹介、いわゆるもぐり業者がよく問題になっております。今日のように失業と雇用不安が増大している中では特に重大な問題であろう。えりを正して常にこれについては対処をしてもらいたい。これが一つの含みです。 最後にですが、労働短縮、これは大蔵に聞きます。労働時間短縮、週休二日制についてですが、大平総理が大蔵大臣のときに約束した銀行法十八条の改正による週休二日制の土壌づくりもできたと思いますから、これは大蔵省にお答えを願いたい。 そして、けさほど見ますと、「暴力団の“年収”一兆一千億円」「覚せい剤密売で四割」、その中に「労務者供給等」ということで、お金が百六十七億六千四百万円、こういうことをやってますね、労務者供給事業というのを暴力団がね。これはけさの新聞、三月二十九日にそういうものが載っておって、警察庁がこれについて検討しておる。日経も同じように一斉に、これは日経はさすがそんなこと書かないで、覚せい剤だけ書いて「大企業並み」と書いてありますが、「人夫供給」と書いて今度は百六十七億、それについてお答え願って、私終わります。
○説明員(鹿野茂君) 先生から御指摘いただきましたように、有料の職業紹介事業を行っている事業所につきましては、労働大臣が定めた手数料以外の金品は一切取ってはならないという形になっておるわけでございます。私ども、こういうふうな厳しい運営方針を持っておりますので、毎年定期的な検査、監査を行っているところでありまして、昭和五十二年度におきます第一線機関の監査件数は二千四百二十件ほどになっております。そのうち違反件数としては三十七件を指摘されているところでございます。ただ、残念でございますが、この三十七件の違反内容というものを克明に私ども報告を求めておりませんので、その内容についてははっきりいたしておりませんけれども、少なくとも、この法定というのか、労働大臣が定めた手数料以外の金品を取っているという事業所については厳しく指導もし、また場合によっては許可の取り消しということも考えざるを得ないという強い立場で指導を行っているところでございます。
○説明員(岡崎洋君) ただいまお話のあった中の金融機関の週休二日制の問題についてでございますが、その実施に至りますまでには幾つかのポイントがございますが、その一つのポイントとして銀行法の問題がございます。この問題につきましては、銀行のあり方の一環といたしまして、現在金融制度調査会という大蔵大臣の諮問機関で審議をしておりまして、その答申が本年半ばにはちょうだいできるであろうというふうに期待しております。したがいまして、私どもといたしましては、それを踏まえまして、銀行法改正の一環として次の通常国会に御審議賜れるようなスケジュールで鋭意努力をしたいというふうに考えております。
○片山甚市君 終わります。
○相沢武彦君 私、雇用保険法に関する問題でお尋ねをしたいと思いますが、最初に労働大臣にお尋ねしますが、現在の雇用保険法というのは、昭和四十九年の十二月に発足してすでに四年を経過しているわけですが、この間、長期経済不況、それから特定不況業種の発生、円高倒産、こういうことで深刻な雇用不安というものが表面化してきているわけです。そこで、大臣は現在の雇用情勢から考えられて、つくられた雇用保険法というものが現状に合致して効果を発揮していると評価されるかどうか、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(栗原祐幸君) いろいろ御意見もあろうと思いますけれども、総体的に見ますと、いまの雇用保険制度というのは、年齢別あるいは業種別、地域別にわたりまして比較的実情に合わせて保険給付というものが行われていると。なお、いま雇用保険法の一部改正等の御審議をいただいておりますが、その中に中高年齢者等の雇用開発給付金というような制度、大幅な拡充強化の線も取り入れておりますので、まあいろいろ御批判もあろうかと思いますけれども、われわれとしてはまあまあの線ではないかと、こういうふうに考えております。もし、詳細の御説明が必要ならば政府委員からいたさせます。
○相沢武彦君 いや、時間ないから結構です。実情に応じて改正すべき点はひとつ思い切って改正に取り組んでいただきたいと思うんです。 で、この法案が成立時には、衆参社会労働委員会で附帯決議がついたわけですが、この附帯決議についてどのようにこれまで取り組んでこられたのか。労働者の雇用条件、生活安定のための専門検討機関を設置して速やかにこの具体化を図るということになっているわけなんですが、それについて現在までどのような具体的な検討が加えられたのか御説明いただきたいと思います。
○政府委員(細野正君) お尋ねのまず附帯決議の関係でございますが、附帯決議に含まれております各項目につきましては、昭和五十年度以降その趣旨を十分尊重しまして積極的に取り組んでまいりまして、その結果大部分の項目についてはすでに実現を見ているところでございます。 例を挙げて申し上げますると、たとえば短期雇用特例被保険者の特例制度の実施に関連する通年雇用の促進等に努めることという関連につきましては、たとえば積寒給付金制度を設けるとか、この制度と通年雇用奨励制度とを並行しまして対策を進めるというふうなことをやったわけでございますし、それから、不払い賃金の救済制度につきましては、賃金の支払いの確保等に関するいわゆる賃確法等が成立するとか、その他いろいろな項目についてその実現に努力をしてきたわけでございます。 それから、専門機関の設置の件でございますけれども、この点は出かせぎ労働、建設労働等の問題についての専門機関という、そういう附帯決議になっていたわけでございまして、それにつきましては先生も御案内かと思いますけれども、安定審議会の中に建設労働部会というのがございますのと、それから雇用審議会に建設労働問題の専門委員会というものを設けまして、後で申しました雇用審議会の建設労働問題専門委員会の御審議の結果、建設労働の雇用の改善に関する法律案が作成をされまして、これが成立いたしまして、現在これに基づいて出かせぎの方々の主として就労される先である建設労働関係の雇用関係の改善にいま鋭意努力をしているというふうな状況でございまして、なお、その後のアフターケアにつきましても、引き続き先ほど申しました安定審議会の建設労働部会でやらしていただいているというふうな状況でございます。
○相沢武彦君 いま局長の御説明の中に出てきました短期雇用特例被保険者、いわゆる季節労働者と言われていますが、これについて若干お尋ねをしていきたいと思うんですが、現在この季節労働者と言われる方は全国で六十九万人いらっしゃると、そのうち北海道が一番多くて三十万人ぐらいと、こう言われているわけですが、そこで、北海道の季節労働者の実態について伺ってみたいんですけれども、現在の長期不況の中で季節労働者の人の人数が漸増しているようなんですけれども、最近五カ年で結構ですから、五カ年に限って統計上どのような数値で出てきているのか。それから、北海道の場合はそのほとんどが季節労働、専業になると思うんですけれども、兼業と専業に分けるとその比率がどうなっているんでしょうか。
○政府委員(細野正君) 北海道の季節労働者の数についてのお尋ねでございますが、四十八年ごろから、いま申し上げます数字は雇用保険の季節的受給者の数をほぼ季節労働者というふうに考えていいと思いますので、それで申し上げているわけですが、四十八年が二十五万九千、これがふえてまいりまして、ピークが五十年度で二十八万八千人でございます。これが、わずかながら今度は減少傾向にいま転じておりまして、五十二年度では約二十七万六千人というふうな状況でございます。 それから、北海道の出かせぎの方を専業と非専業に分けてみますと、専業の方が八五・八%ということで、圧倒的に専業の方が多いという状況でございます。
○相沢武彦君 四十九年の雇用保険法改正に伴って、季節労働者が受け取る失業給付、これはまあ一年間の暫定措置はついたんですが、従来の九十日分から一括五十日分の支給というように減額になったわけです。これは何回も委員会で取り上げられているわけですけれども、北海道の場合は積雪寒冷地で冬期間の雇用の機会が非常に少ないということで、労働者の人たちの生活が脅かされるということで、一時期大変北海道としては大きな社会問題にまで発展して、予算委員会の現地公聴会でもこの問題は大変深刻に訴えられた問題でございます。労働省としても、先ほどの御説明のように、いろいろその打開策に御苦労されているわけですが、五十年度以降労働省では、こうした季節労働者の人たちの雇用と生活の実態調査、これについてはどんな種類の調査をやられて、実情というものをどの程度把握をされているのか、念のためお尋ねをしておきたいと思います。
○政府委員(細野正君) 御指摘のように、季節労働者の問題は北海道にとっても重要な問題でございますので、一つには、再三担当者を北海道に派遣しまして、現地の実情の把握に努めるというやり方を一つとっております。 それから、五十二年度に北海道庁を通じまして季節労働者の実態調査を行っているわけでございます。この実態調査は、安定所の資料から、季節労働者の一般的な、性、年齢、就労地、就労産業等を把握するほかに、季節労働者を雇用する事業所における通年雇用の状況、それから通年雇用を阻害する要因一それから季節労働者に対する事業主の援助の状況等についての調査、あるいは季節労働者の通勤、出かせぎの割合、あるいは世帯の状況、冬期間の就労状況、冬期間の職業と生活に関する意識調査、それからさらに、いま市町村において講じている施策の内容等、かなり総合的な調査を実施したわけでございます。
○相沢武彦君 いろいろと調査をされたり、別途の対策を考えられてあるんですけれども、先ほどのように八五・八%という専業の季節労働者、しかも積雪寒冷地という、こういう地域の特性を考えますと、やはりこの冬期間の生活保障のためには、失業給付九十日支給ということをもう一遍考え直さなきゃならないんじゃないかと思うんですが、その点大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) これはよくもう御案内だと思いますが、九十日を五十日に直すといういきさつは、保険の論理からいってなかなかむずかしいというようなことがございまして九十日が五十日になった、いろいろ経過があって五十日になったものでございますから、いま私ども、お気持ちはわからぬわけじゃございませんけれども、五十日を直すということは適当でないと考えております。
○相沢武彦君 北海道の二十五万から約三十万近い人たち全部を、このまた九十日回復の適用ということは、保険給付の上からいって非常にこれはむずかしい問題だということは理解できるわけです。そこで、季節労働者といってもいろいろな方たちがいまして、特に、そのうち冬期間の就労に不利な条件の方、高齢、病弱、そういった人たちに限って一定限度の数、これを労働省として査定して、その人たちだけでも九十日支給ということをやれる特例措置を検討されるお気持ちはないかどうか、この点いかがですか。
○政府委員(細野正君) 先ほど大臣からもお答え申しましたように、季節労働者の方というのは、毎年予定された失業を繰り返されるということでございまして、そういう意味で、もともと保険という制度の適用上の問題のある方々でございまして、そういう意味で、これは各国ともこの季節労務者の方の保険上の扱いというのは非常に苦労しておられます。一番厳しい国なんかは、一度保険金を受給されると翌年以降はもう一切支給しないというような国もあるわけであります。つまり、必ず失業することが明らかであって、しかもそれが繰り返されていて、しかも料率きわめて低いところへ相当多額の保険金を出すということから、そういう意味で保険の原理にまずなじまないんじゃないかというような問題と、もう一つは、そのことがほかの被保険者との均衡上大きな問題を起こす、こういうふうなことで、季節の労務者の方については、いま申し上げたような適用自体についての実は大きな問題があるわけであります。そういう意味で、一番厳しい国に比べればはるかにわが国のとっている五十日一時金支給という制度は、そういう点から見るとかなり実情を十分考慮した制度になっているわけでございまして、そういう意味で、先ほどのこの法改正の経過等からも考えまして、ここでこの制度を改正するということはきわめて困難であるというふうに考えるわけでございます。
○相沢武彦君 従来よりも、この一括五十日支給でかえってプラスになったという方も大ぜいいらっしゃるわけですが、逆にそれでもって本当に生活がもう大変だと、食べていかれないという危機に陥っている人たちもいるわけで、これはもうごく少数だと思うんですよ、しぼっていくと。そういう人たちは何とか救済できないかというのが私たちの気持ちなんです。 そこで、現状この季節労働者の雇用安定のためには、先ほどお話しの通年雇用の実現ということが理想なんですが、昭和四十三年度から通年雇用奨励金制度というものが実施されましたけれども、四十九年度以降、北海道においてこの奨励金制度による成果、これがどの程度実績としてあらわれてきているのか、これを御説明いただきたい。
○政府委員(細野正君) 北海道の四十九年度以降の通年雇用奨励金制度の実績でございますが、支給対象人員、支給額について見ますと、まず、四十九年度が九千五百四人、三億八千万円、それから五十年度が六千五言十人、三億五千万円、それから五十一年度が五千二百六十八人、二億八千万円、五十二年度が四千七百二人、三億八千万円でございます。この人数で金額を割ってみると合いませんのは、先生も御案内のように単価がその間にだんだん上がってきているからと、こういうことでございます。
○相沢武彦君 民間企業が季節労働者を通年雇用という形で採用する場合、その前提として、冬期間の公共事業とか、あるいは地方自治体の単独公共事業というものが実際に行われないと雇用促進というのは無理だと思うんですね。 北海道開発庁来ていらっしゃると思うんですが、昭和五十年度以降北海道の冬期間における公共事業の発注状況、これは季節労働者の方の就労に役立つ形で行われているとは思うんですけれども、どの程度の効用があらわれているのか、数字の上でお示しいただきたい。
○説明員(野々山伸彦君) 五十年度から五十三年度までの国の直轄事業と、それから北海道が行います公共事業の合計で申し上げますと、冬期間でございますので十一月から三月までの受注状況を申し上げますと、五十年度は約五百三十一億、五十一年度が約四百十一億、五十二年度が約六百六十一億、五十三年度、これは若干予定を含みますが約六百六十四億で、過去の四カ年の平均で年間請負工事費の比率は約一四・五%でございます。
○相沢武彦君 建設省に伺いますけれども、冬期間も工事が可能になるように、昭和五十一年からですか、通年施工のための技術開発を促進するということで研究協議会を設置されて積極的にやっていらっしゃると思うんですが、その研究活動状況ですね、これについて御説明いただきたいと思うんです。特に北海道での見通しですね、いつごろこれが実用化になるのか、その点もあわせて御答弁いただきたい。
○説明員(萩原浩君) 先生御指摘のように、省では、積雪寒冷地域の冬期における自然条件というのは非常に厳しゅうございます。それを克服して建設事業を実施するということはなかなか大変であろうというふうに考えまして、昭和五十一年十二月に通年施工化協議会を設けまして調査研究に着手いたしておるものでございます。現在この協議会におきましては、公共土木工事の執行状況調査、それから同じく冬期の施工実態調査などを踏まえまして、気象特性調査をかなり綿密にやっております。さらに冬期施工対策工法調査というものをやっておりまして、このような基本調査をもとにいたしまして問題点を現在洗い出しておるというところでございます。 実は、この研究を始めましたところ、わが国では気象条件が非常に厳しい。この冬期の施工につきましては北欧諸国を主体といたしまして、各国で実施されておるようでございますけれども、そこら辺の実情も調査いたしましたところ、わが国の冬は、まず第一に風が非常に強い。北欧諸国ではせいぜい五メーターぐらいというのがわが国では二十メーターに達します。それから二番目といたしまして、雪の量がやはり非常に多うございます。そういう北欧諸国ではせいぜい三十センチから五十センチぐらいというところが、わが国では二メーターに達するということを予測せざるを得ない。それから三留目には、雪の質が非常に重いという問題がございます。まあこれは気温との関係もございますけれども、非常に雪の質が重いところが多い。こういう三つの条件のために技術的に非常に困難を伴うんだということが実はわかってきたところでございます。現在この技術開発を当面精力的に推進いたしまして、できるだけ早くこの通年施工が実現するようにというふうに努力いたしておるところでございますが、一応目安としましては、今後三、四年のうちにはすべての問題を解決してこれを実現したいというふうに考えておりますけれども、その前でも、一応解決できたものからは、順次取り上げていくというふうに強力に進めてまいりたいということで、いま鋭意努力いたしておるところでございます。
○相沢武彦君 どうしても冬期間は工事費が割り高になると思うんですが、目安としては三、四年の間に何とか、実用化を図りたい、そのとき、大体夏の間の工事費と比較して何割ぐらいのコスト局ぐらいで抑えたいと思っていらっしゃいましょうか。
○説明員(萩原浩君) 御指摘の点が私ども一番解決のための困難な問題であるというふうに認識してございます。非常に工費が高くなります。幾らでも工費を高くすればよいということであれば現在でももうすでに技術的な解明はできております。南極でのブリザードの中でも生活できるような技術は持っておりますものですから、それはできるわけでございます。やはりそこに一つの経済原則があって、一方で通年施工をするためのメリットというのは、冬期間においても社会経済的な活動ができるということのメリットがございますので、そのメリットと、工費が高くなるというデメリットの間にどのような妥協点を見出すかというのがまず解決しなければならない問題でございます。それの前提としての技術開発をいまやっておるところでございます。先ほど三、四年中にすべての問題をと申し上げました、そのすべての問題の中には、その妥協点をどこに見出すかということが非常に大きな問題の一つでございます。
○相沢武彦君 あらかじめ目標は決めてないわけ。
○説明員(萩原浩君) はい、決めてございません。失礼いたしました。
○相沢武彦君 まあ、お話にありましたように、積雪寒冷地の就労対策については、北欧——西欧の方ですね、先進国の間で非常に研究が進んでいるようで、それを実態調査されたと思うんですが、特に西ドイツでは雇用促進法によっていろいろときめ細かい施策、制度を実施しているように聞いておりますけれども、わが国でも、西ドイツのこの施策の中からわが国に導入できる部分もあるかと思いますが、そういうものを検討して、早期にこれは導入し実施すべきだと思いますが、この点についての検討についてはいかがでしょう。
○政府委員(細野正君) わが国の積雪寒冷地のその対策を検討いたします場合に、当然四ドイツの制度というものを実は検討をして、それを踏まえた上で現在やっているわけでございます。そういう意味で、現在、先生も御案内の冬期の雇用促進給付金とか、通年雇用奨励金とか、通年雇用設備設置資金等をやっておりますが、これはさきに申し上げましたように、ドイツの制度を参考にしながらこういうものを取り入れたわけでございまして、そういう意味で、各国に比べてもかなり充実したものになっているというふうに考えているわけでございます。ただ西ドイツの場合には、通年雇用対策の実施のために建設業関係の事業主にはかなりの大幅な負担をしてもらっているわけでありまして、したがって、いま申し上げました制度以外の西ドイツの制度につきましては、現在のままで直ちにわが国に取り入れるというのはなかなか困難な事情があるというふうに考えているわけでございます。ただ、全般的には西ドイツの制度をかなり取り入れて現在の制度ができているということでございます。
○相沢武彦君 冬期雇用促進給付金制度が五十二年度から実施されたんですけれども、その実績としてどの程度の通年雇用が定着したと、このように政府としてはとらまえられているんでしょうか。 それから、現在この制度を利用する要件としては、一月から三月までのこの冬期間に十日以上の就労というものが義務づけられているんですけれども、通年施工がまだしっかり確立していない時期に、一方的に民間企業に義務を強力に負わせるというのは、大変つらいんだという声も上がってきているんですけれども、これに対する労働省の見解はどのようになっているんでしょうか。
○政府委員(細野正君) 積寒給付金の支給の申請は毎年三月以後行われるわけでございまして、したがって五十三年度の実績というのはまだ把握できないわけでございますが、五十二年度につきまして見ますと九万七千人、このうち北海道が七万六千三百人でございますが、の労働者が制度の対象になっているという状況でございます。 それから、お尋ねのございましたこの支給要件の十日以上の就労義務というのを撤廃できないかと、こういうお尋ねでございますが、この積寒給付金は、結局この制度を通じまして通年雇用に結びつけていこうと、こういう趣旨でございますので、したがって、非常に短い期間のものについてこれを助成の対象にしましても通年雇用に結びつかないという問題がございます。それからもう一つは、ごく短期間季節労働者を雇われても、それがまた生活の安定にも必ずしも役立たないんじゃないかというふうなことから、やはり積寒給付金の制度の趣旨から見ますと、現在の十日以上というのは、やはり最低このぐらいは必要なんじゃないかなというふうに私どもは考えているわけでございます。
○相沢武彦君 この給付金制度は五十四年度終了ということで始まったんですけれども、期間の延長問題、それから対象業種の拡大、それから支給金単位のこのアップですね、これについて現在どこまで検討を進められているのか、それから期間延長について、単純延長にするのか、それとも現在の雇用情勢考えられて、ある程度恒久化の方向で考えられているのか、あるいは制度そのものを変更をさせるように考えられているのか、この点についてひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(細野正君) まず、業種の拡大とか支給額のアップの問題でございますが、これは現在御審議いただいておりますこの五十四年度予算の中で、関係の方々とも十分、何遍も何遍も事情をよく伺いまして、したがって私どもとしてはかなり大幅な額のアップ等をお願いをしているというふうなことでございまして、弾力的な運用には従来とも努めてきたわけでございます。 そこで、先生御指摘のように、この制度、三年間の暫定措置ということになっているわけでございますが、これを延長するのかどうかという問題は、五十三年の冬の利用実績も明らかになっていない段階でございまして、それから今後の季節労働者の冬期の雇用の状況等も見ながら、慎重に検討すべき問題であると思います。したがってまた、それに伴うその場合の業種の問題、単価の問題等も現在具体的に申し上げられるような段階ではないということをひとつ御理解いただきたいと思うわけであります。
○相沢武彦君 北九州の方では、特定地域開発就労事業というのを実施しておるわけですね。沖繩でも沖繩振興開発特別措置法によって就労事業というものが実績を上げているようですが、地域特性があるので北海道にはなじまない点も多々あると思いますけれども、北九州や沖繩における就労施策に準じた形で、北海道にも適用できるものを取り上げて実施するお考えが労働省としてあるのかどうか、この点いかがでしょう。
○政府委員(細野正君) 失業者を救済するために、国なり地方公共団体が特別の事業を起こしてやると、こういうやり方につきましては、従来の経験から見まして、なかなか再就職に結びつかないで、むしろ滞留の原因になるということが非常に致命的な一つの大きな問題でございまして、そういう意味で、北海道の道はもちろん、市町村におかれても、この制度について、非常に失業情勢が厳しい中で苦しくてもなかなかこういう制度をやらずにこられたというのは、そういう点についてのそういう懸念に対する非常に賢明な態度であったんじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味で、現在におきましても、むしろたとえば現在の予算でお願いしております開発給付金制度を活用して、民間にできるだけ雇用拡大をしていくというふうな、そういうやり方でいくのがやはり本来の道ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。そういう意味で、開発給付金の問題、あるいは公共事業の重点配分なり、あるいはそれの平準化の問題なり、あるいは先ほど建設省の方から御説明がありましたような通年施工についての技術的な研究なりというのは、そういう方向をむしろ今後やるべき問題じゃなかろうかなというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、先ほど申しましたように、特開就労事業というようなものを実施することについては、やはり非常に慎重でなきゃいかぬのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○相沢武彦君 私は、今回の予算の総括質問のときも、雇用問題いろいろ取り上げました。政府の御答弁で明らかになりましたけれども、全国の求人倍率からいっても、北海道はまあ全国最低の部門に入っていますし、それから就職率は全国最低ということで、特にこの冬期間の労働者の人たちの生活も大変なわけです。 そこで、現在この積雪寒冷地として北海道において通年施工が確立されていないわけでして、その地域特殊性というのを一番心配して、手厚い施策を講じられるように努力するのは、これは内閣の中でも労働大臣が一番重要な責任を持っていると思うわけですね。今後も各省と精力的に連携をとられて、北海道の各地の地方自治体に対しても応援体制をとるために、特にこの財政援助としての特別交付税の支給、こういうものを前向きに取り組む施策が必要だと思うんですけれども、これについて労働大臣として格段の御努力をいただきたいと思うんですが、最後に大臣の御決意を承って、時間が来ましたので終わりたいと思います。
○国務大臣(栗原祐幸君) 北海道の通年雇用というのは非常に重大な問題でございまして、そのためには公共事業の平準化ということが非常に大切なことです。それをやるためにも、建設省とか北海道開発庁、そういうようなところとよく連絡をとりまして万全を期していかなきゃならないと。なお、地方自治体に対しまするところの特別交付税の問題等につきましても、自治省にいままでも要請してまいりましたし、これからも強く状況に応じて適切な処置をとるように要望していきたい、かように考えます。
○小巻敏雄君 山林労働者などを中心にする振動工具による白ろう病などの問題についてお尋ねしたいと思います。 私は、三重県、和歌山県の南の方をよく歩くわけなんですね。あの地域は海が山に迫っておりますから、昔からの日本の基幹産業の米づくりには適地じゃないわけであります。海で働くか山で働くと、こういう状況のところです。ところが、この林業労働者、まあ昔は木びきうたもあれば、そんな牧歌的な営みがあったわけで伝統的な産業でありますが、これは非常に荒れておるですね。和歌山県あたりだと、林業労働者は昭和三十年ごろまでは五万人くらいあったというのですね。いまはそうですね、その後の二十年間で、昭和五十年くらいで五千人、十分の一になっていますよ。三重の方でも似通ったような状況があると、そしてその中では、もううたも何にもないのですね。大体チェーンソーの使用で白ろう病が広がった。これが低い率じゃないです、罹患率は。そういう状況で、一つは産業のピンチになっておりますし、そうしてこの罹患した人たちと、そのままでいけば罹病するであろう人たちの問題が非常に深刻な問題だと痛感をしておるわけです。物の本を読んでも、外国の例などを見ると、六、七十年も前からこの問題は一応振動病として出ておる。振動病の歴史は長いわけですけれども、わが国の対策の歴史は非常に短いというふうに思います。もちろん労働省で、労働災害に関しては特に累次にわたって通達を出されて、早期発見、早期治療、これらの問題に一定の措置を行っておられることは承知をしておるわけであります。それにもかかわらず、その恩恵を受けていない広範な労働者がまだ残されておるというのが現状だろうと私は承知をしておるわけであります。現状について、いま認定患者の数というのは、全国でどのぐらいあるものかと、その中身として国有林と民有林の中での認定患者数の配置というようなものはどういうふうになっておるのか、これをまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(野原石松君) いま先生おっしゃいました振動障害——チェーンソーを取り扱う作業者を中心に症例が見られるわけでありますが、最近のこの振動障害の認定の状況でありますが、昭和五十年度におきましては、これは民間の場合ですけれども、六百八十八名でありましたが、翌年の五十一年にこれが千百八十一名になり、さらに一昨昭和五十二年度におきましては、二千百七名というふうになっております。これはチェーンソーその他を含めまして、民間で振動工具を使っている作業者の中における認定者の数であります。 それから国有林関係でありますが、これは昭和五十年度には新規受給者が四百八名でありましたが、五十一年には二百一名、五十二年度が百九十五名、昭和四十年からのトータルで言いますと三千三百四十九名となっております。
○小巻敏雄君 まあこれを生み出す原因になるのは、チェーンソーの使用と思うわけですが、現在国有林及び民有林でのチェーンソーが稼働しておる台数というようなものはどんな割合になっておるでしょうか。
○政府委員(野原石松君) お答えいたします。 まず、民有林の場合でございますが、私どもが把握しておりますチェーンソーの台数は四万四千八百七十四台でございます。それから国有林関係でありますが、これは詳細な数は把握しておりませんが、約六千台というふうに承知しております。
○小巻敏雄君 まあ民有林の実態というのは、国有林に比べて非常に捕捉しにくいという実態があると思うわけです。認定患者の数は、私が、これは昨年の農村労連の大会などに出しておる資料、その他各県別ないしトータルを見て把握しておるものと大体合致しておるわけですね。国有林の場合にもそうであります。昭和五十三年度、ですから、いま言われた二千百の翌年段階で二千七百五十七というような数を挙げておりましたが、国有林の方については、その同じデータでは三千二百というようなものを挙げて、おおよそ六千名の認定患者のうちで約三千二百が国有林、二千八百が民有林と、こういう状況で把握をしておるわけでありますが、私の聞くところでは、国の方で六千台のチェーンソーが動いているというのは大体同じ数字であります。しかし、民有林の方では全部合算すると大体いま四万四千八百、大体四万五千というような数を挙げられておるのですが、その三倍ないし四倍のチェーンソーが実際に使用されておるというふうに現場の人は言うわけですね。それらのものを考えてみますと、実際労働者の数からいたしましても、この使用しておる機械の台数、まあ四万五千であるにしても、六千台に比べれば非常に多数が動いておるわけですね。そういう原因、発生の条件と、それから認定患者の人数とには当然一定の相関関係のある発生率なり係数というものが、いま学界か何かで出ているかどうかは別として、想定されるわけですね。そういう状況から見れば異常なアンバランスがあるというのが私の心打たれるところなんです。特に認定患者の出ているところというのは、大抵、数字を拾ってみますと一定時期から急激にふえるわけですね。そうして、認定患者のたくさんいるところが労働条件が悪くておくれたところかというと必ずしもそうではない。労働者の中に状況が周知され、そしてこれが健診を受けるなり、そういう活動に触れ始めるとふえてくるんですから、むしろ先進地域で認定患者数が多く、後進的な場所で認定患者数が少ないというのが、いわば労働状況における災害発生の方程式であるというふうに私には見えるわけであります。こういう状況の中で、労働省としては早期発見、そして早期治療ということのために、いま中心課題としてはどういうことを目指しておられるわけですか。
○政府委員(野原石松君) 確かにこの振動障害については早期に発見をし、早期に手当てをするということが大前提でございますので、私どもとしては、一つの手だては、やはり健康診断ですね、これを徹底してやると。その過程で発見をするということが大事でありますので、これは本来は個個の事業者の義務となっておるわけでありますけれども、それだけではなかなかこの徹底は期しがたいということで、数年前から巡回健康診断というものを実施し、これに対して適当な補助をするというようなかっこうでその徹底を図っております。これは林業関係ももちろんでありますが、それ以外、たとえば建設とか、あるいは採石業等でも振動工具を使いますので、そういう分野につきましても、最近はこの方式で健康診断の徹底を期しておるということでございます。 それからいま一つは、そういう診断機関が、全国的にはあってもそのばらつきがある、地域によってはなかなか手近なところにない、まあ治療機関もそういう問題があるわけですが、それで、その辺の体制を整備することが大事でありますので、これは労働省の力だけではなかなかできないということもございますので、厚生省、それから林野庁、この三者の間で連絡協議会を持ちまして、どうしたらいいかということをお互いに知恵を出し合って、その結果一応のコンセンサスを得ましたので、現在それを踏まえまして全国的にその健診、治療機関のネットワークを張ろうということで、その作業を進めております。昭和五十二年にそういった申し合わせができましたので、その後、かなり状況はよくなっているというふうに考えております。
○小巻敏雄君 これが、いかに早く全労働者までこの恩恵が行き届くかどうかというのが、今後産業自身の将来にも、労働者の生活にも決定的な影響をもたらすに違いない。その点では現地の状況は、なかなか健診を受けて要注意と言われても次に治療にいかないという問題、健診自身を受けない問題等、まだ非常に地域格差が高いというふうに思うわけであります。その点、ひとつ監督署に対する一層の状況の掌握と、それから対象全員掌握といいますか、この問題については努力をしていただきたいと思うわけであります。 この中で一つ端的にお伺いするわけですが、巡回健診をやられて、このことは飛躍的に状況の改善に有力な条件設定だと思うわけですけれども、これが健診結果というのは本人に対して知らされておるわけですか。
○政府委員(野原石松君) それぞれの受診労働者に対しまして健診結果を連絡しております。
○小巻敏雄君 いや、これは私が見ているところでは、どうも事業者に知らされている場合が多くて、事業者のところでとまってしまって、健診の結果が生かされていないという例が、特に認定患者数の非常に少ない県などは、そういう状況の中から健診の結果が生かされていないと思うわけであります。そういう状況があったらこれはよくないわけですから、完全にこれは、直接健診結果は本人に知らされるということは徹底して行っていただくということをお約束いただけるかどうか、その点お伺いしておきます。
○政府委員(野原石松君) いま先生がおっしゃったとおり、健診というのは、それの結果に基づいて適当な健康管理をやる、あるいは必要な作業管理を進めるということにねらいがありますので、当然先生のおっしゃったことの徹底を私ども第一線の機関に対して十分図られるようにしてまいりたいと思います。
○小巻敏雄君 三重県尾鷲地方に石材業者がいるわけです。ここのところでは、一昨年来、全体として全く触れていなかった健診というものに初めて触れたわけですが、約三百人の石材労働者、これはチッピングハンマーというようなものを使いながらやっておるわけですけれども、驚くべきことには、三百人のうちで六割以上が要注意ということになったわけであります。そして現実に、すぐさま認定を受けた者がその時点で八十人あったわけですから、三百人の中で。全員が全休療養に入れば、その石材業自身がその段階ではつぶれてしまうというようなことと、この状況に後継ぎがもう出てきていなくて、五十歳以上の非常に高齢の労働力であります。ここの状況について考えると、やっぱり工具、機械の改良というようなものが非常に急がれるんじゃないかということ。食品公害などならすぐ発売禁止とやるわけですけれども、この道具はどの程度使うかという問題であって、やめるわけにはいかぬということですから、この点についてはどういうふうに行われているのか。 それからもう一つ、小さな経営が多いので業者の方の理解が非常に立ちおくれておるわけですね。そして、現に個人個人の責任で、その地域に健診施設もしくは病院がないので、遠い津まで行っておるわけですね。これは百キロではきかぬのじゃないかと思いますが、そういう状況である。こういう状況に対しては、業者なんかに対する指導は地元の基準監督署がよく理解させなければならぬと思うんですけれども、こういう状況については御承知ですか。
○政府委員(野原石松君) いま先生がおっしゃいました三重県の尾鷲市を中心にした間知石の採石作業に従事しておられる方々に振動障害の症例が見られるという話でありますが、私どもは、チェーンソーで一番最初に振動障害の症例が見られたわけでありますが、それだけでなくて、いま話がありましたような削岩機等を使っている方々に対しても同じようにやはり振動が手に伝わるという問題がありますので、昭和五十年にこういったことに気を使ってもらいたいというガイドラインを設定してその徹底を図っているわけであります。その中で言っていることは、一つには、いま先生もおっしゃいましたように、工具を改良する、軽量機械を使うと、あるいは振動のないものを使いなさいというような点。それから、作業時間というものが非常に大きなファクターになりますので、これも余り長時間にわたって使わない、また一回の連続時間もできるだけ少なくするというような関係。さらには、操作のやり方、これに問題がありますので、これについても一定の標準的なやり方を示す。それから、手袋をはめるとか、あるいは耳栓を使うとか、こういう保護具によってかなり問題が解消いたしますので、そういった観点。それからさらには、体操をやるとか、それから健康診断ですね、先ほどもお話がありましたが、こういったことを内容とするガイドラインをすでに示しましてその徹底を図っていると、こういうことでございます。 それから後段については補償課長の方からお答えいたします。
○説明員(原敏治君) 先生御指摘の尾鷲地区の振動障害で認定された方々が津の病院等に通院しているという事実でございますが、この点については、御指摘のとおり多くの方々が津の病院に通って治療を受けているようでございます。その労災保険におきますところの診療費、医療費等の支給はすべて行っておるところでございます。
○小巻敏雄君 なかなかここでは、去年の夏ごろ、業者と、それから組合と、この人たちの間のトラブルがあったりいろんな問題があったわけであります。いま言われたように、津の病院まで通っておる者が完全に医療費の対象になり、労災を手厚く受けておるということであれば、全体が進んできておるんだと思いますが、私一つここで特にお伺いしておきたいのは、津までといいますと、尾鷲からこれはかなりの交通費もかかるわけですね、治療のためですから移送費というわけですか。これは何か四キロ制限を受けて容易に治療をすることができないという話を聞くんですが、いかがでしょう。
○説明員(原敏治君) 私ども労災保険の支払いに関しまして、入院して治療を受ける関係につきましては、どういう病院にいつどういう形で治療を受けるか、これは認定患者自身の選択するところによって支払いを行っていく体制をとっております。ところが、通院費の支払いにつきましては、患者の自由意思そのままに任せますと、制限がなくなりまして適切な通院費の支払いが行えない面が出てまいりますので、私ども、一般的には通院費は四キロ以内の病院に通院する場合に支払いをするというのを原則といたしておるわけでございます。ただ、そうは申しましても、四キロ以内にその疾病に関する適切な診療をする病院がない場合には、四キロを超えた場合でありましても最寄りの指定医療機関についての通院費を支払う体制はとっております。
○小巻敏雄君 実際、ここではようやく昨年ぐらいから、地元にある尾鷲市民病院というものですか、ここでいろいろ器具を購入する等健診の便宜を図るようにはなっておるようですけれども、専門医師がいないわけですね。そして、以前の段階から信用できる先生のところというと大体津に行っておったわけでありますし、そこへ行っても玄関払いを食う人もあれば、そこへ行って診てもらう人もあると。こういったふうな場合に、当然私は、四キロ以内に専門医師を持つ病院がないものですから、原則的には適切と認められれば四キロ以上でも特例に該当して支払いの対象になるものと思いますけれども、その趣旨はそういうことでよろしいわけでしょう。
○説明員(原敏治君) 先ほど申しました通院費の支払いに関しまして適当な指定医療機関があるかないかに関しまして、私どもの方の考え方は、診療科目や設備等を検討いたしまして適切な医療機関が四キロ以内にあるかないか、そういう判断をいたすことにいたしております。 津の場合、あるいは尾鷲の場合に、そういう判断で適切な治療機関があるかないかにつきましては詳しい調査は私どもまだいたしておりませんので、なお検討をさしていただきたいと思いますが、現状ではそういう考え方で実施をしているところでございます。
○小巻敏雄君 地元に適切な医療機関があるのに慾意的に遠くに行く場合には、いまの医療費とは別にして通院費は四キロ以内と、こういうことであり、適切なものがないと判断される場合には四キロを超えても最寄りのものについては支給の対象になると、こういうことでよろしいわけですね。——それでは、そういう点で当事者の利益を見ながら、また公正な状況で御指導をいただきたいと思うわけであります。 もう一つ、和歌山県に具体的な問題が発生をしておるわけであります。和歌山の場合には、昭和五十三年から県が非常に取り組みまして、県で健診については予算を組む。そういう状況の中で市町村も大きく協力をしておりますから、急速に認定患者数がふえて一定の前進を見ておるわけであります。そして、県が取り組んだという状況等見合わせながら県立和歌山医大が非常に協力的な姿勢でやっておりますから、専門病院についても検討されておる。現地でこういう状況があるわけです。 ただ、ここで新しく問題が、地方の労働実態の中から出てきておるわけであります。それは、この共同作業場の中で電動ミシンを使っておる。家内工業的なものですけれども、一定数の人たちが百人ばかりいると思うんです、一カ所に。この中で振動病に似通った障害が集中してあらわれてきておるわけです。こういう状況については御承知ですか。
○政府委員(野原石松君) 和歌山県が和歌山県立医大に委託をしまして、たしか今月の上旬、三月六日、七日だったと思いますが、西牟婁郡の中辺路町、先生御承知のところだと思いますけれども、そこでいまの電動ミシンを扱っておる、そして縫製作業をやっている婦人労働者の方々を対象に健康診断を実施したということは承知をしておりますが、また、この調査結果については現在のところ把握をいたしておりません。
○小巻敏雄君 白ろう病全体の伝統の中には、疾病に冒された人たちが非常に長い苦しい福祉の手の及んでこない放置された時代があったわけであります。ここでも調査にタッチされた方々の話を聞きますと、これは県費の調査で三月五日から三月七日までの三日間、一つのモデルとしてサヌキ縫製工場というところで働いている人を九十人対象にやっているわけですけれども、これは保健所の予防課長等数名が参加し、保健婦も行っておりますし、県の健康対策課も、大体万を超える県下の一つの領域ですから、それの問題のために徹底調査をやってみようということですけれども、症状としてはかなり似通ったものが出ておって、そしてその程度は、これが労災であるかどうかの認定は別として、いまから治療に行くならば白ろう病の場合のように重症化してしまう状況を招かないだろうと言っておるわけです。しかし、これの取り扱い上、労災認定その他では、いまのところは道がついていないわけですね。これは労災として処理をされることはできないわけですか、どうでしょうね。
○説明員(原敏治君) ただいま先生御指摘の電動ミシン使用をしておられる方々は家内労働者であるというような御指摘でございましたので、私ども家内労働者に関する労災保険の適用につきましては、法のたてまえから特別の危険、有害なものに限られておりますので、この電動ミシンを使用しているような方々、家内労働者の方々には現在労災保険が適用されていない、特別加入の制度も適用されていないという形になっております。
○小巻敏雄君 もし労災法の施行規則の第四章の二の中に、これが危険工具として認められるようなことがあれば、そのときに初めて恩恵を受けられるのであって、現時点ではその点でだめだと、こういうことになるわけですか。
○説明員(原敏治君) 御指摘のとおり、家内労働者の特別加入の範囲内の作業に挙げてない関係から、特別加入はできてないわけでございまして、これはこの法令との関係でございます。
○小巻敏雄君 ひとつ、この調査結果が発表されるその段になれば、それなりの現時点での評価も出てまいろうかと思うわけですけれども、こういう問題は、大量の被害者を出すに先立ってやっぱり状況把握をしていく必要があるだろう。振動工具の障害でも、七十年前から実際問題は出ておっても、たとえば戦時中なんかは被害者はかなり出したに違いないけれども、日本国では認定されておることはなかったわけであります。 ここで大臣にお伺いをするわけでありますが、ひとつ、この早期発見、早期治療については、いまもなお、国有林でようやく一定の定着があり、患者の発生の問題その他について時間規制等も相当行き渡っておる、経営者も大きいわけですから、国有林の場合には、親方日の丸ではないかもしれませんが、民有林の方ではまだ緒についたばかりだ。この点については、一つは、基準監督署等の労働省の機構に対して、通達でひとつ完全実施をどうしても一定の期間になし遂げていただきたいということと同時に、いまなおこの対象として認定できかねる全身疾患との関係等についても、今日の科学進歩の成果を行政に完全に生かしていただきたいということとあわせて、いまたまたま提起されておるわけでありますが、新しい状況での労働災害であるかないか、疫学的に立証するというのは非常にむずかしいことでありますから、こういう状況の中でのひとつ研究対象として、他省庁とも力を合わせて、これらの県の主体的な取り組みと現地の取り組みに対しては、これを日を当てる方向で御指導をいただきたいと思うわけです。労働大臣の所感を伺って質問を終わります。
○国務大臣(栗原祐幸君) いろいろと御意見を承りましたので、よく検討いたしまして適切に処置いたしたいと思います。
○小巻敏雄君 終わります。
○柄谷道一君 中高年齢者の雇用問題と同様、きわめて現在深刻な問題は身障者対策であろうと思います。昨年六月一日現在で調査いたしました労働省の統計を見ますと、民間産業において雇用身障者数は十二万六千四百九十三名、実雇用率は一・一一%、それから雇用率未達成企業は四七・九%と発表されております。それから公団、事業団等特殊法人は、一・八%の雇用率に対しまして実雇用率は一・二%、未達成法人は六六・三%に達する。また国、地方公共団体は、雇用率一・九%に対しまして実雇用率は一・八四%である。これはすべて労働省の指標でございますけれども、これを昭和五十二年度と労働省の前年同月度の実態と比較をいたしますと横ばいなんですね。改善の傾向は指標の上では全くあらわれていない。これが身障者雇用の実態であろうと思うのでございます。 そこで労働大臣にお伺いしたいわけでございますが、労働省の行政指導にもかかわらず雇用状態が一向に改善されない、こういう理由は一体那辺にあると把握していらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(細野正君) 先生御指摘のように、身体障害者の雇用の促進につきましてはいろいろな努力をしているんでございますけれども、結果的に数字としては、いま御指摘のようにほんのわずかの改善程度で横ばいというのが実態でございます。 その理由としていろんなことが考えられますが、一つは、やはり非常に景気が悪くて、そのために新しく人を雇うということがなかなかはかばかしくいかなかったという側面が大きく影響をしていると思われるわけであります。たとえば、いまお話しのように数字的に見ると確かに実雇用率自体はほとんど変わっていないわけでございますけれども、前年と比較してみますと、従業員数も減り、確かにそういう意味での身体障害者の数も前年に比べて減っているんですけれども、その減り方ははるかに身体障害者の方が少ないのであります。ただ何分にも一・何%という数字の話ですから、身体障害者の数の減り方がはるかに少ないとは言いながら、それが率としてはほとんどあらわれてきていない、ほんのわずかの上がり方にしかすぎなかったと、こういうことでありまして、そういう意味では身体障害者の雇用率を維持する上で、たとえば率の義務化の問題とか、あるいは納付金制度とか、その他の助成金の制度、そういうものがかなりの役割りを果たしたということが言えるのじゃなかろうかと、こう思うわけであります。 それから、たとえば学卒者については、非常に身体障害者の学卒に対する需要というものが高くなりました。そういう意味では事業主側にも学卒者等を採用する場合に身体障害者の人を入れようという、そういう意欲はかなり出てきているというその側面もございます。しかし、何といいましても、まだまだ身体障害者の雇用について、事業主側にもこれを雇う場合にいろいろな問題があるわけでありまして、そういう問題からの戸惑い、あるいは法制度に対する理解が十分でない点、その他もろもろの原因がありまして先ほど先生御指摘のような結果に終わっているんじゃないかと、こう思うわけであります。
○柄谷道一君 労働省がこういう現状を少しでも改善するために、昭和五十四年度、身体障害者等専任指導員設置助成金を改正する、さらに重度障害多数雇用事業所施設設置等の助成金を改正する、そのほか新規に十人以上の重度身障者等の雇用割合を十分の三にするとか、さらに特定重度身障者等雇用管理助成金を新設する、さらには身体障害者等の能力開発訓練委託助成金を増額する、このような姿勢を示されましたことを、私はこれは率直に評価をするわけでございます。しかし、ただこれだけの施策ではこの問題の解決を完全に図るということにはならないと思うんです。 そこで、身障者雇用納付金として企業が納付しております納付金でございますが、昭和五十二年度の実績を見ますと、この納付金九十六億五千八百万円に対しまして雇用調整金、報償金、助成金等を含めた支給金は十七億三千百万円でございます。五十三年度の実績見込みをとりますと、いわゆる収入として百八十七億四千八百万円納付金が入ってくる。それに対する支給金は八十七億一千五百万円と労働省は推定しているわけですね。この二年間だけでも納付金と支給金の差額が百八十億を超えるわけでございます。この残金の八十億円、これは企業から取り立てている金でございますから、一体この残金約八十億円はどのようにいま処理されているのでございますか。
○政府委員(細野正君) 御指摘の残金につきましては、雇用促進事業団の特別会計においてこれを管理しているわけでございます。
○柄谷道一君 私は、これただ金を積み立てておくだけが能ではないと思うんです。このような現状が続きますと私はむしろ企業側の方から、これは逆の現象なんですけれども納付金の金額を落とせと、こういう後向きの議論が出てくる可能性もございますし、事実その声もいま上がりつつあるわけですね。 そこで、いま局長の申されましたこの身障者雇用納付金事業特別会計というものを見ますと、人件費を含む事務取扱費として雇用促進事業団の身障部、これは私は当初労働省は身障者雇用促進事業団をつくろうとしたけれども、大蔵等の抵抗もあって雇用促進協会をつくった、いわばこれトンネルの一つの機関ですね。そのトンネル機関だけでも五十二年度一億六千六百万円が支出されております。五十三年度は二億九千九百万円の支出が見込まれているわけでございます。一方、それから流されてまいります身障者雇用促進協会は五十二年度五億二千二百万円、五十三年度は八億二千万円の支出が見込まれる。これは労働省の特別会計の予算そのままの数字を言っているわけですね。これ、相当大きな金額がこの納付金の中からそれぞれに支給されているわけでございます。 私はまあそこでお伺いするんでございますが、一体この雇用促進事業団の身障部、そして促進協会、この促進協会を例にとりましても、役員八名、職員四十五名を抱えておられるわけでございます。その業務内容の細部を聞こうとは思いませんけれども、当初この協会を設立したというこの労働省の意図が果たして現状生かされているんだろうか、その期待というものにこたえる業務内容がいま遂行されているのであろうか、そこに疑問を持つわけでございますが、どう評価していらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(細野正君) この身体障害者の雇用促進協会でございますが、業務自体は先生も御案内のように納付金の徴収、助成金等の支給という、いわゆる定型的な業務を行いますほかに、助成金その他の周知、活用の徹底あるいは身体障害者の雇い入れの促進に関するPR関係の業務が一つございまして、このために広報紙を発行する、ポスターをつくる、パンフレットを配布する、その他いろんなことをやっているわけであります。 それから、もう一つの大きな仕事は、コンサルタント業務及びいろんな既往の問題解決に資するための資料の提供という業務がございます。これにつきましても、コンサルタントを中央三人、地方各一人置きまして相談指導を行っておるわけでございまして、件数的に言いますと、五十三年度の上期で約三千二百件ほどの相談の業務を実施いたしております。それから講習会、それから雇用の好事例集あるいはガイドブック等を発行しているわけでございます。 それからもう一つ、身体障害者の雇い入れを促進するためには職域拡大なり適職等に関します調査、研究というものが非常に大きな役割りを持つわけでございまして、これに関する研究テーマを設けまして関係の専門のところに委託する等の調査研究を行って、その結果を行政機関なり企業あるいは事業主団体その他の関係者に配布をして参考に供しているわけでございます。 それからさらに、中央、地方を通じての雇用促進大会の開催、あるいは技能オリンピックについての開催、あるいは激励大会をやる、その他の行事関係の仕事についても重要な役割りを果たしているわけであります。そういう意味でかなり活動をやっていただいているとは思いますけれども、しかし、先ほど先生から御指摘ございましたように、身体障害者の雇い入れの促進という面から見ますと、効果が十分上がっているとはとうてい言えない状況にございますので、そういう意味で、私どもは今後一層この協会が活発に活動して効果を上げるように、一層指導監督をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○柄谷道一君 私は納付金の徴収、それから支給金の支給、こういう定型的な業務はこれはもう当然自動的、機械的にかつ行われていく問題ですね。いま局長の言われました後者のPR、コンサルタント業務、こういった問題にこそこの協会をつくったという趣旨がぼくはあったと思うんですね。で、私はパンフレットも全部取り寄せました。ポスターも見ました。しかし、仕事しておられることはこれ否定しませんよ。しかし、私は政治というものは何をやっているかということよりも、むしろどういう成果を上げたかという結果にその責任を負うべきだと思うんです。 そこで、はなはだ失礼でございますけれども、参考にお聞きしたいんですが、会長は元労働次官、専務は財界から出ておられます。常務はこれは労働省関係の方でございます。理事は大蔵、労働出身各一名、元社会党参議院議員、これによって構成されております。監事は行政管理庁と労働省関係から出ております。この八名ですね。たとえばこの会長の処遇は一体どういう処遇をしていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(細野正君) お尋ねの趣旨は給与の件かと思いますが、給与は七十九万五千円でございます。
○柄谷道一君 そこで、これはもうはなはだ私言いにくいんですけれども、むしろ与党の議員の方からもそういう声が上がっているんでございますけれども、その真偽は私はわかりません。しかし、その業務が役員、暇でしようがない、他の兼務すべき職がないだろうかというようなことが云云されたともうわさに流れ聞くわけでございます。約八十万円に近い給与というのは、これは相当の高額でございます。一体この会長さん、他の公職、どういう公職を兼務されていらっしゃいますか。
○政府委員(細野正君) 詳しい中身は、いま探しておりますが、現在兼職しておられるのは、たとえば経済審議会の委員等の審議会委員だけだったというふうに記憶しております。
○説明員(田淵孝輔君) ちょっと訂正さしていただきます。 審議会関係の委員を、賃金・物価・雇用問題懇談会委員、それから経済審議会委員、労働基準法研究会委員等を兼ねておられます。
○柄谷道一君 相当の公務を兼職されているわけですね。私は兼職は決して悪いとは言いませんけれども、いまの雇用実態、そしてこの協会をつくった期待というものからすれば、他に精力を割く以前にもっと期待にこたえるべくこの業務内容を充実するということについて、会長はやっぱり陣頭指揮をとるべき時期ではないだろうかと、こう思うんですね。 そこで、私はいまいろんなことを考えているんですが、その一つは、いま局長が申されましたように、身障者の雇用促進を図っていくためには国の施策を充実すると、これは当然のことでございますけれども、事業主、特に大企業のトップクラスに、いかに身障者雇用に対する正しい認識と理解を持たせるか、これが非常に大きな課題なんですね。パンフレットを配りましても、ポスターを出しましても、そういう事業主のトップクラスがその気にならなければ、これは促進されていかないのは大臣も十分御承知のところでございます。私は、こういう浸透活動の不足、そして浸透のために、相当の経歴を持っていられる会長であり、また理事各位もそうそうたる経歴の持ち主でございますから、そういう方々がむしろ全精力をひざ詰め談判で浸透していく。これは無限の仕事でございまして、そういう活動がやはりいままで不足してきた、それが効果を上げ得なかった一つの問題点ではないだろうか、こう思うんです。これ大臣からひとつお伺いしたいんです。
○国務大臣(栗原祐幸君) いま柄谷さんからの御指摘、具体的に私承知しておりませんけれども、一般論とすれば全く同感ですね。およそ組織をつくるという場合には、つくるところに意義があるんじゃなくて、それがどう活動するか、どう効果を上げるかというところに問題点があるわけでございまして、その点、いまいろいろとそういう御指摘をいただき、御疑念を抱かれているということ自体について、関係者は謙虚に反省をしなきゃならない、こう考えております。私もこれから、労働省の行政指導はもちろんでございますけれども、外郭団体といいますか、こういう関係団体の首脳ともよく会いまして、いろいろ事情を聞くと同時に、目的達成のために格段の御努力をいただくように私も強く要請をいたしたいと、こう考えております。
○柄谷道一君 あわせまして、いわゆるコンサルタント業務でございます。この協会を設立いたしました趣旨は、むしろ官庁が直接行うよりも自主的活動の方がより親身なコンサルタント活動が行われるのではないか、これが設立の趣旨だったわけですね。ところが、私は、いろんな人に聞きますと、どうも相談業務がお役所以上にお役所的ではないかと、こういうのをいろんなところから聞くんですね。ということは、私は、そういうコンサルタント業務、相談業務についても現状をもう一度洗い直して、いわゆる自主的事業として真に民間企業の相談業務に親身になって応じていく、対応していく、そういうやはり姿勢そのものを確立する必要があると、こう思うんです。その点に対する御所見をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(細野正君) この協会の設立の趣旨が、先生おっしゃいましたように、民間のそういう、かゆいところに手の届くようなそういう指導、相談ができるようにという趣旨でございますので、したがいまして、先生おっしゃいましたように、コンサルタント業務とかあるいは指導、相談業務とか、そういうものにつきまして一層親切に、しかも具体的な対応のできるような方向に私どもも協会に要請すると同時に、その運営等についても見守ってまいりたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。
○柄谷道一君 次に私は、身障者の雇用促進ということになりますと、障害別、障度別、このきめ細かい施策というものが必要だろうと、こう思うんですね。きょうは時間の関係で細かな資料を申しませんけれども、労働省発表の資料によりましても、たとえば言語障害者、それから聴覚障害者、それから肢体不自由者の中でもいわゆる下半身の肢体不自由者、こういうところはわりに雇用率はいいんですね。ところが、たとえば目が見えない、いわゆる視覚障害者、それから上半身の肢体不自由者、こういうところになりますと、なかなか雇用促進を図ろうとしてもむずかしい、こういういま壁にぶつかっておるわけなんです。そうしますと、私は、そういうせっかくつくりました協会が、調査活動、研究活動もその業務の一つに入っているわけでございますけれども、そういう障害別に、たとえば職域開拓の問題、さらには訓練の問題、さらには助成措置の問題、こういうきめ細かな研究というものをやはり実らして、それぞれ困難な壁がある、しかも現在雇用率がなかなか高くならない、そういうところに対してその研究結果を公表し、発表し、そしてこれに乗れるようなレールを敷いていく、そういうものでなければならないと私は思えて仕方がないんです。そういう施策を講じていきませんと、これは十把一からげ、画一的身障者対策ではなかなか雇用促進というものはなされるはずがない、こう思います。そこで研究調査活動に対するひとつ御方針についてお伺いをいたしたい。
○政府委員(細野正君) 先生がいま御指摘ございましたように、障害の部位、程度が雇用に非常に大きな影響を持っているわけであります。そこで私どもは、一つには、現在実態調査をやって一部集計中でございますけれども、どういう障害の方がどういう職場に実際に仕事についておられるかという、その障害の部位と、それから実際についておられる仕事との関連までわかるようなそういう調査をいまやっております。したがいまして、その結果、障害の部位、程度別にどういうところなら向くかというふうな、そういう調査的な、マクロ的なまず分析が一つ必要じゃなかろうか、こう思っているわけであります。その点についてはいま調査中でございます。 それからさらに、いま先生御指摘のように、その場合でも、そういう方々が雇用され、その雇用が継続され、ほかの職員の方と調和して仕事がずっとやっていけるというために、率直に申しましていろいろな問題もあるわけであります。そういう場合に、そういう意味での諸問題について、つまり、どこに向くか、どういう仕事ならやれるか、あるいはほかの一般の職員との間にどういう問題があり、それをどうしたらいいか、そういう各般の分野につきましてそれぞれテーマを設けまして、テーマ別にいろいろな委託研究をやっているわけでございますが、ただ、何分緒についたばかりでございますから、結局いろんなテーマ別の研究がそろった上で、かつそれの関連性についてのまた総合的な研究みたいなものまでやらにゃいかぬというふうに思っているわけであります。そういう意味で、逐年個々にやっておりますテーマが散発のためにむだにならぬように、全体として総合的な効果を上げるように私どもとしてもアフターケアをしてまいりたい、こういうとかうに考えているわけでございます。
○柄谷道一君 そういう職業開拓とあわせまして、職業選択の自由は、これは個人的な人権に属する問題ではございますけれども、しかし、たとえば通産行政の中では、中小企業分野法ということで、いわゆる中小零細企業の職業分野というものを確保しようという施策があるんですね。過般社労で通りまして、三十日の恐らく本会議に出ると思われます環境衛生法の一部改正につきましても、それぞれ大企業の進出が環衛業の中小零細企業に対して重大な影響を及ぼすという場合には調整の措置というものを講じようとしておるわけでございます。私は、そういう視点を考えますと、たとえば視覚障害者の場合に、その視覚障害者のいままで携わっておりました仕事の内容に晴眼者の進出というものもあるわけですね。たとえば、はり、きゅう、マッサージ、こういうところにいま晴眼者の進出ということが非常に問題になっている。ということになりますと、私は、これは厚生省の所管に属する問題かとも思いますけれども、十分労働省が厚生当局とも協議を進められまして、私は決して分野法のような法律をつくれという意味ではございませんけれども、そこに身体障害者の雇用というものを守っていくための何らかの国の調整というものが施されていくということが今後必要になるのではないか。ぜひその点を厚生省ともお打ち合わせをして施策を進めていただきたい、こう考えております。いかがでございましょう。
○政府委員(細野正君) 身体障害者の問題にしましても中高年齢者の問題にしましても、当初私どもは職種別に物を考えていったわけでございますけれども、それがなかなか実効が上げにくいということで、現在、たとえば雇用率等は、職種別ではなくて企業単位でかけるというやり方に実はしておるわけでございます。しかしこれも、ある程度だんだん進んでまいりますと、恐らく、身体障害者の問題について言いますと、いま御指摘のように、視覚障害のある方とか、その他の重度障害の方がやはり最後に残ってくる問題、あるいは高齢の方が残ってくるというふうなことになってくるわけでありまして、その段階で、もう一遍そういう職種別の迫り方というものがどうしても必要になってくるんじゃないかなという気がいたしまして、そういう意味で、現在の雇用促進法自体の施行の状況ともにらみ合いながら、今度は職種別の迫り方等も私どもも内々検討いたしまして、その上で厚生省等ともよく連携をとって実効のある対策を考えてまいりたいと、こう思っておるわけであります。
○柄谷道一君 私は非常にこれはいいことだと思うんですけれども、いま、民間産業の有力な数単産におきましては、労働組合自体が身障者雇用促進、これは同じ身障者とともに働く職場の組合員として、雇用促進のためにひとつ労働組合もその任務の一端を担うべきではないか、こういう雰囲気が出てきております。事実、そのことに対するシンポジウムが開かれましたり、また職場内の労働組合内部におけるPR活動が進められてきておる。これは私は非常に、身障者雇用促進という視点から見ると注目すべき問題の発展ではないか、こう思うんですね。労働大臣、いろいろな労働組合の幹部とお話しされる機会が多いわけですけれども、こういう問題もひとつ問題提起をされて、そして、同じ職場に働く組合員が身障者雇用促進に対して何を求めているのか、こういう声を十分吸い上げていただいて、そしてこれを、労働行政の中で取り上げるべきものは取り上げる、促進協会の業務の中で処理すべきものは処理していく、こういう話し合いを、これは労働時間短縮、定年延長等、労働組合の受け持つべき分野は非常に多うございますけれども、その一つの重要な柱としてこの問題を積極的に取り上げ、かつ意見を吸い上げる、この御努力をぜひお願いしたいと思うんです。いかがでございましょう。
○国務大臣(栗原祐幸君) 大変有益な御示唆だと思います。私はまだわずかでございますけれども、いろいろ問題を解決する場合に、法律で解決するとか、あるいは企業に対していろいろ行政指導するとか、労働組合に対してどうだとかと言いますけれども、全体として考えた場合に、もう政府も企業側も労働組合側も一体となってやらねばならぬというのがずいぶんふえてきたと思うんですね。たとえば定年制の延長の問題なんというのはまさにそれですな。それから高齢者の雇用の問題、これも私は全体の問題だと思うんですよ。労働組合まで含めての問題だと思う。身体障害者のいま御指摘になった点もまさにそれでございまして、私はそういう問題について積極的に労使に話していきたい。特にこの問題については労働側にも、あなた方の力もぜひおかりしたいということで話をいたしたいと思っております。
○柄谷道一君 時間が参りましたので、これで質問をやめたいと思いますが、私が質問いたしました趣旨は、現在の雇用促進協会無用論という趣旨に立って申し上げたわけでは決してございません。この促進協会の業務の充実をこいねがうという気持ちから、この設立の精神にもう一度立ち直って、大いにその機能を発揮してもらいたい、こういう趣旨から、あえて幾つかの問題点を指摘したわけでございます。期待が大きいだけに、やはりその期待にこたえられないということになりますと、結果としてそれが現在の機構そのものの洗い直し、必要か否かという存廃論まで発展することを私は本当に恐れるわけでございます。 いま大臣も答弁の中で触れられたわけでございますけれども、外郭団体ではございますけれども、身障者雇用促進、これは労働省としても重大な行政の柱でございます。これに関連する協会、それから雇用促進事業団の身障部の活動の現状、これに対しましても前向きでひとつメスを当てられまして、ぜひ私たちの期待にこたえる活動が一層強化されますようにお願いをし、期待を申し上げまして、私の質問を終わります。
○主査(嶋崎均君) 以上をもちまして、労働省所管に対する質疑は終了いたしました。 午後二時まで休憩いたします。 午後一時十五分休憩 —————・————— 午後二時開会
○主査(嶋崎均君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。 昭和五十四年度総予算中、環境庁及び厚生省所管を一括して議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○片山甚市君 当選以来五年になりますが、同じことを毎度申し上げて、厚生省の方々にはまたかとおっしゃる問題を申し上げたいのですが、実は血液事業の現況についてでございます。 血液の需給関係が改善され、順調であると聞いておりますが、そのとおりの状態なのかどうか、御説明をまず承りたいと思います。
○政府委員(本橋信夫君) 昭和五十二年におきます献血協力を申し出られました方は五百七十一万人でございまして、このうち五百五万人の方が献血をされまして、前年に比しまして約一〇%の伸びとなっております。この血液によって製造されました血液製剤は、全血製剤が三百十七万七千本、それから血液成分製剤が二百九十五万本でございます。このうちの全血製剤の中の保存血液の需要は対前年に比べまして約一〇%の減となっており、これに比べまして血液成分製剤が対前年度比約一・九倍という伸びを示しております。 なお、献血者の数は昭和五十一年以後毎年約一〇%の伸び率で伸びておりまして、献血に対します国民の理解と協力は着実に進展しているというふうに考えております。
○片山甚市君 そこで、冬と夏の需要増大をする時期に、特に供給量の確保のため努力しなければならないというのは地方なのか都市部なのか、どういうことか説明を願いたいと思います。
○政府委員(本橋信夫君) 年間を通じて見た場合には、やはり八月と十二月におきまして献血率が低くなる傾向がございます。これは、八月は夏休みということもございますし、また十二月は暮れを控えておりまして、そういう意味で献血率が低くなるというのは毎年の傾向でございます。 昭和五十三年、昨年の八月と十二月におきまして東京都内におきまして保存血液の不足が報告されたわけでございますが、これは血液成分製剤、いわゆる新鮮凍結血漿の製造が一部先行いたしましたために保存血液の供給に不足を来したというふうに考えられるわけでございます。全国的に見ました場合には、献血者の協力によりましておおむね需要にこたえられることができる状況にあるというふうに考えてようございます。
○片山甚市君 端的に言えば、大都市の者は協力せずに、田舎の人々の血をもらって、生き血を吸って生きておると、こう考えてよろしゅうございますか。簡単に言ってください、時間がないんだから。
○政府委員(本橋信夫君) 各地域ごとに血液の需要、たとえば病院、医療機関等が多いところは血液の需要が多いわけでございまして、私どもといたしましても、各都道府県内の需要だけでなくて全国的な血液需要の観点に立ちまして、ブロック別にそういう血液需要を勘案して対処をするようにということで指導をしております。
○片山甚市君 これは大阪の献血協会ですが、私理事をやっておるんですが、献血希望者が三十二万三千三百六十八人に対して献血者は二十七万六千三百六十人、不合格になった者もおりますから、検査の結果合格したのは二十五万二百二十七人です。そのうち保存血液というのは八万三千七百四十五本、供給体制をしたのは十一万二千九百八十三本で、実は二万九千二百三十八本近県からいただいてやっておるということになる、こういうような実情があります。新鮮血の方は製造が三万七百十三本、それに対して供給が二万九千三百五十三本で、千三百六十本余っています。成分製剤の方は二十九万九千百八十一本つくって、それで供給したのは二十七万一千三百二十一本ですから余っておるのは二万七千八百六十。そうすると、保存血液が足りなくなっておるというようなことでありますから、国及び地方、日赤の血液確保対策の重点は何か、それを簡単に述べてほしいんです。
○主査(嶋崎均君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○主査(嶋崎均君) 速記を起こして。
○政府委員(本橋信夫君) 血液需要量の増大に対処いたしますために、まず献血してくださる方々へ協力を得るために献血思想の普及に努めておるわけでございますが、現在の人口比全体で見まして四・五%をさらに伸ばすということをいたしまして、そうして所要量の確保に努めていきたいというふうに考えております。また、このために各都道府県の献血推進協議会の協力を得まして、各種献血組織による献血協力をお願いをしておるところでございます。また血液製剤の開発研究等に当たりましては、国立予防衛生研究所の血液製剤部門を強化するほか、基礎、臨床の血液専門家によるプロジェクトチームによる血液研究を推進することといたしておりまして、これが国の血液確保対策の重点でございます。
○片山甚市君 そこで、地域別採血量の表を見ると、格差が二倍を超えておるんですが、その代表的なので言うと、団結心の強い北海道では六・三%、どうでもいいというところ、佐賀、埼玉などは二・七%程度ぐらいでございますが、この問題点は何でしょうか。
○政府委員(本橋信夫君) この各都道府県の献血率につきましては、先ほども申し上げましたように医療機関の数等によりまして、地域的要件で格差が生じておるわけでございますが、国といたしましては、血液の確保につきまして、先ほど申し上げましたように、県内の血液需要だけでなく全国的なと申しますか、ブロック別の血液需要の観点に立ちまして、低率な県も一層献血を推進していただくというふうに指導しておるところでございます。
○片山甚市君 これからブロックでそんならやってくださいよ。何々県などやめて、自治体などと言わないで、関東ブロック圏とか近畿ブロック圏とか。都合のいいときは自治体と言い、市町村と言い、集めるときにはそうぬかすというかおっしゃって、それで今度は足らぬようになったらそんなことを言う。北海道はなぜ六・三%もするのか、そのいいところはなぜか、独立心があるからですよ。彼らは自分らで自分らの国を守ろうという気があるんですよ。大体寄せ集めのところとかどうでもいいところは少ないんでありますから、少し活を入れるようにすべきじゃないですか。出先機関が厚生省にもあるんでしょう。だからそういうようにやってください。それは頼んでもだめでしょうが、言うておきます。 その次に、自治体への要請もよいが、都市部では組織的協力が必要であると思うのであります。そのための対策がなされておるのかどうか。たとえば職業別献血状況のうち、公務員の内訳はどうなっておるか、血気盛んな青年の大組織である私の大きらいな大自衛隊、戦争になったら逃げると思うんですが、わらの兵隊みたいなもんだと思いますが、自衛隊などはもう人の足らぬときには——冬寒いときですね、暑いときは献血をするのはしんどいんです。あれみんな先ほどの話はうそです。忙しいんじゃなくて、商売にとってはニッパチ言うて暑いときと寒いときには仕事がないんです。そのときにちょうど血液が足りませんね。自衛隊は三十万もおいでなさる。これをなぜ使わぬか。ちょっとぐらいしてもあかぬから、防衛庁長官も呼んでやりたいところですが、橋本厚生大臣がおるからこれはよしなに伝えて、大体国を守るとぬかすんなら国民の血液ぐらいはちゃんと自衛隊が、毎日遊んで暮らしておるんじゃから、戦争がないんで暇で血が余っておるんじゃろう、ちゃんとせいと。それにこたえて、まず大臣がそれについては気持ちの上の答えをしてください。
○政府委員(本橋信夫君) ただいまの地方公務員等の献血状況でございますが、各官公庁の職場献血というものを積極的に取り入れておりまして、その献血は五十三年の実績で申しますと七十二万六千人でございまして、全献血者の約一七%でございまして、これは五十二年度の約一四%と比べまして三%増加をしておるわけでございます。 それから、御指摘のございました自衛隊について申し上げますと、昭和五十三年中に自衛隊の団体として、施設としてと申しますか、団体として献血協力を受けましたのが全国で延べ百八十八施設でございまして、約八万一千人、これは全自衛隊員の約三〇%に相当いたしますが、その方々の献血を受けておるわけでございます。これ以外に隊員が個々に献血をされておりますことは、この数字につきましては明確にいたしておりません。
○片山甚市君 毎朝点呼をとるたびに血液とったって、大体二百ccぐらいだとすっとするんですよ。マラソンするよりずっと体のためになるから、防衛庁長官を初め皆さんにそれを教えてやってくださいませんか、ひとつ。といいますのは、こんなことを言っておるわけです。日赤の一部の中には、年間採血量の人口比は国際水準に達している、あとは国民の理解を深める努力以外にない、一回の採血量二百ccを四百ccにふやしてほしい、こう言っておるようでありますが、いかがなものでしょうか。
○政府委員(本橋信夫君) わが国で現在実施をしております一回二百ミリリッターの採血量は、諸外国の例と比較いたしますと約二分の一と低いわけでございますが、御指摘のように一部関係者からその基準の見直しが要望されておるわけでございます。しかしながら、一般献血の中で一人一回当たりの採血量を増量するということにつきましては、わが国では主として移動採血車による献血の受け入れということが実施されておりまして、全献血量の約八四%、これは昭和五十二年でございますが、約八四%が移動採血車による献血の受け入れということになっておりまして、諸外国の献血の受け入れとは若干事情が異なっているというふうに考えております。また、この倍量の四百ミリリッターの採血につきましては、医学的には許容の範囲だというふうに言われておりますけれども、供血者の保護を初めといたしまして、その他のいろいろの条件等を考え合わせまして慎重に検討してまいらなければならない問題だというふうに考えております。
○片山甚市君 二百ccについてはいまのところ変える意思はない、もう隊員による、施設を中心とする採血じゃなくて移動採血であるから云々とこう言う。私は、やはり職業別にもっと系列的に集めれば、働く場所で、健康の者が五千五百万人も働いておるわけですよ。よそへうろうろ行かなくたって、そこでちょっとだけやったらいいんですよ。それをガソリンが余ってしようがないから、走り回ってうろうろする、そんなことはやめた方がいいと思いますから、もう少し協力を願いたい、これはもう意見ですからね。 そこで、血漿分画製剤についてですが、転用血、有償採血——というのは売血です——及び輸入血の現状について簡単に説明してください。
○政府委員(本橋信夫君) 血漿分画製剤の原料血液の現状につきましては、昭和五十三年は献血の血液で有効切れとなりましたいわゆる転用血というのが三万六千リッター、それから売血によります血液が約三万六千リッター、輸入の血漿によりますものが約八万六千リッターでございます。
○片山甚市君 新鮮血のいわゆる使用期間は何時間ですか。
○政府委員(本橋信夫君) 七十二時間でございます。
○片山甚市君 失礼しました。新鮮血におけるところの有効期間、製造上の時間で何十時間以内が有効ですか。
○政府委員(本橋信夫君) 新鮮血は七十二時間でございます。
○片山甚市君 二十四時間と違いますか……。 そこで、いまの例を言うと、大阪では一万六千リッター、転用血。これは三千六百五十円ぐらい国が金を出したのを千円でミドリ十字などの会社に売る。売血は一万七千リッターを買うておる。それから外国から三万一千リッター買うて薬をつくっておるということになりますが、輸入の激増の原因というのは何でしょうか。
○政府委員(本橋信夫君) 一つは転用血が次第次第に減ってまいりまして、現在昭和五十一年度は分画製剤の中に占めます転用血の比率が約四〇%であったものが、五十三年では二十数%に低下をしておるというようなことと、もちろん医療上の需要がこういう血漿分画製剤を必要としておるという事情がございまして、全体の総量も上がっておるということでございます。
○片山甚市君 輸入血液の増加については、国際的批判はありませんか。輸入血漿は結果的に製薬会社による商品化、コマーシャルベースの拡大強化につながるものであって、将来有償採血、いわゆる血の商人の復活の道を開くことにならないか。いや日本で買ってない、外国で買ったんだからいいじゃないか、売血というのはニグロの方々やその他の方々の、大体余り保証のない品物を買ってきておるというように、ラベルの張ってないのを日本では買っておるということになっておるのです。ですから、そんなんで大体薬をつくるということを認めておるというのが厚生省の態度ですね。
○政府委員(本橋信夫君) 本来、献血事業の中ですべて血漿分画製剤を含めまして賄うのが理想でございますが、ただいま申し上げましたように、血漿分画製剤の需要というのが非常に強い勢いで伸びておりまして、一部外国の輸入血漿に頼らざるを得ないという実情でございます。 ただいま国際的な批判の問題の御質問ございましたけれども、昨年のちょうど十一月に、国際製薬工業協会連合と申しますか、製薬工業協会の国際的な団体でございますが、それと赤十字国際連盟との合同会議がございまして、血漿分画製剤の需要等について討議をされたわけでございます。各国の血液需要に対して、そこでは特別な批判というものはなかったように聞いております。
○片山甚市君 それはめでたいことであります。 昭和五十年に血液問題研究会が発表いたしました血漿分画製剤に対する意見として、その製造については、たとえば公益法人のような組織で製造形態などを含めて早急に検討せよと言っておるのですが、やっぱりミドリ十字など金もうけをさせる会社を育成するだけで、また天下り会社をつくったために厚生省はやれそうもありません。非常に日赤を含めてでありますが、モノポリー日赤は血を集めるだけ、それで集めたら今度はいろいろ加工して金もうけをさせていく、GNPを上げるということです。 ところで、分画製剤の生産機能は、全供給量の日赤におけるものは何ぼか、ちょっとわかっておれば書ってください。単価はどのぐらいかかっておるのか、輸入の場合はどのぐらいか。
○政府委員(本橋信夫君) 血漿分画製剤の製造につきましては、高度な技術と施設が必要になるわけでございまして、現在先生御指摘のように、国内製造の大部分というのが民間企業に依存しておるわけでございます。日赤の供給しております血漿分画製剤は、アルブミンの量に換算をいたしますと国内での全供給量の一%以下でございます。
○片山甚市君 単価は。
○政府委員(本橋信夫君) 単価については、具体的な数字をつまびらかにいたしませんが、日赤がやっておりますものは若干高いんではなかろうかというふうに考えております。
○片山甚市君 大体数万円はかかるだろうと。輸入したら一万円ぐらいだと、こういうことで実はそれがいま盛んに議論があるようでありますから、私たちとしては、国民の健康のために、日本人が日本人を助けるために血液も出せない程度の冷たい国家はつくりたくない。橋本厚生大臣は私の説に賛成をしてもらえるものと思いますが、いかがですか。何としても外国から、アメリカの黒人やそういう方々から、メキシコの方々、スペインの方々、そういう方々から血液をもらって、そうして薬をつくるというのはどうも納得できない。そこから先どうするかということになると、はたと困っておるようでありますが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) むしろ私は、こういう角度から血液問題をお取り上げをいただいたことに対して敬意を表します。私自身もごらんのとおり十四回いまのところ献血をいたしておりますが、私は献血というものについてもっと国民の理解が進んでもらいたい。そして、少なくとも日本国内において必要な血漿分画製剤の原材料としての血液を、海外からの輸入に依存しなければならぬというような事態はできるだけ早くなくしたいものだと本当に思います。前から実は私は、国会に献血車を持ち込ませろと議運にも何回かお願いをしたことがございますが、うまくいきませんでした。むしろ、国会等におきましてもそういう角度から積極的な御協力を心から切望するものであります。
○片山甚市君 大臣の力強い発言があって、これから社会労働委員会、いろいろのところを通じてやります。 そこで、この血液問題のセンターに関係するいわゆる自動車などについての費用ですが、これは公益事業の補助金によっているのか、どのような団体の補助金をいただいておるのか、まずお答えいただきたいと思います。
○政府委員(本橋信夫君) 血液センターと、それから移動採血車の整備に当たりまして補助されております公益補助金は、日本自転車振興会及び日本船舶振興会の益金からの補助でございます。
○片山甚市君 こういうばくちのテラ銭からもらっておるようなことは恥ずかしいことで、金が余って外国からいやだと言っても物買えと言われておるときですから、余りそんなテラ銭からもらわないで、テラ銭はテラ銭のようなたぐいのものが使うものでありまして、われわれの血液にそういうものが使われることに賛成いたしません。しかしあなたはしたいとおっしゃる、それだけのことでありましょうから反対です。 そこで、本年度血液関係の予算は自己負担給付分について一億減となり、血液研究費として四千五百万円を計上していますが、差し引き五千八百万円減となっております。私は今日の血液行政が、国民に献血のPRさえしておればよいというのではなく、一歩進めて製薬業者依存や輸入依存からの脱却を図る具体的な策を講ずるために、もう少し、自己負担給付金が減ったことではなくて、こういうものについてはむしろふやしていくような努力が望ましい。そして、その施策が前に進んで初めて血の通った温かい国民の連帯がつくれる。言葉の上では温かい連帯と言うけれども、そうなってない、こう思いますがいかがでしょう。私の質問に答えてください。
○政府委員(本橋信夫君) 血液の自己負担金の減少は御指摘のとおりでございますが、ことしは血液研究を十分に進めてまいりたいというふうに考えておりまして、これは血液の有効利用につながるわけでございます。その他、献血思想の普及等につきましても最大限の努力を払ってやってまいりたいというふうに考えております。
○片山甚市君 新鮮血確保問題について聞きたいのですが、あとの議題がありますから省略した形で言いますと、国立の病院でも日赤の血液を使っていない。なぜならば、七時間以内でなければ新鮮血と言えないなどと言う。新鮮血というのは二十四時間以内なんですよ、いままでの話では。ところが、そういうようにして国立の、千葉でもあります、これ、表ありますが、議論をすると長くなりますから検討してもらって……。少なくとも国公立病院が自分の院内採血で事足りることにして、医師が金もうけ——あれやったらもうかるんですわ、金は取る、ふんだくれる。日赤からもらったら金を払わにゃいかぬ。こういうような大体国民的な全体のことを考えずにおのれのところの病院が成り立つことだけ考えるような病院ばかり、どろぼうを飼うとるようなものです。これはちょっと気をつけて見てください。 次にお聞きをいたしますのは、下垂体性小人症の治療対策について、難病対策に指定をしていただきまして年々充実をされていることについて、認識を持っていただいておることについてありがとうございます。 基本的な考え方としては、対象者が少ないものでありますから、調査研究の推進、あるいは医療の施設整備と要員確保、医療助成について積極的に進めてもらいたいと思っていますが、何しろほんのわずか、いま一握りのような感じであります。表面に出るわけにいきません。もう少し国が施策をしてくれれば患者も声が上げられるんでありますが、いまそういうことで、前の小沢大臣にも申しました。まだ橋本大臣には申し上げておりませんけれども、このことについてお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 下垂体性小人症の推定患者数、よく御承知のとおりに約千百七十名でございます。いま御指摘になりました趣旨としての、これも血液の場合と同じように脳下垂体の提供等について、国として積極的に取り組んでいく必要は私どもそのとおりだと考えておりまして、今後とも、現在成長科学協会の行っておる登録事業等についてできるだけの協力をしてまいりたいと、そのように考えております。
○片山甚市君 患者の悩みや苦しみを考えるとき、充実した研究体制による速やかな結論と、社会復帰に至るまでの完全治療体制の確立が求められているのでありまして、今日までとられました対策では経済政策のバランスの上に乗った程度のものとしか考えられません。そういう意味で、この本年度の予算には十分でなくても、これからこれについて一層力を入れてもらいたいと思いますが、いかがでしょう、大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 御指摘のとおりだと思います。御承知のように、四十八年以降、下垂体機能障害調査研究班が研究を続けられる中において、下垂体性小人症分科会を設けていただき、その中において成因、診断、治療方法等の研究を行っていただいておるわけであります。その中から出てきました成果をある程度すでに踏まえて現実に対応しておるわけでありまして、今後ともに努力してまいりたい、そのように思います。
○片山甚市君 下垂体性小人症については、私はすでに社会労働委員会で取り上げ、その問題点を指摘し、積極的に対策を求めてきたところでございますが、今日、成長科学協会や患者団体などの運動を通じて治療に必要な脳下垂体確保のための献体運動も逐次拡大されてきておりますが、推定患者数、輸入数、献体可能数、絶対不足数など簡単に御説明を願い、これからこの人々に対して安心感を与えていただけるようにお図り願いたいと思います。
○政府委員(本橋信夫君) 昭和五十四年三月現在におきます成長科学協会に登録されております下垂体性小人症患者は、先ほど大臣が申し上げましたように千百七十名でございます。現在、成長ホルモンの輸入は、スウェーデン、デンマーク、米国から年間約八百七十名分が輸入されております。したがって、現在約三百名分が不足をしておるわけでございますが、本年は新たにソ連から約百名分の治療に可能な医薬品の輸入が確保されるということになっております。したがいまして、それでもまだ不足をするわけでございますが、先ほどお話がございました成長科学協会等の行っております下垂体提供者の登録等々、この下垂体性小人症の治療に関します施策につきまして、特に医薬品の確保という点で最大の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○片山甚市君 最後になりますが、具体的に国による積極的なキャンペーンを図っていただきたい。二つ目に献体運動を含めた研究、製剤、医療の機構の整備を図ってもらいたい。たとえば災害事故死者との関連など法的、行政的整備を図って脳下垂体をいただけるようにしてもらいたい。そういうことで、昨年十月から公費負担の道が開かれましたが、十八歳までになっておるのを年齢制限の問題を解決してもらいたい、といいますのは、医師がこれならばいわゆる成長する、こういうような診断が大体できるときには、この個人差が大きいものでありますから、予算的措置もありましょうけれども、公費負担の対象になるように大臣としてお力をいただきたいと考えます。 そして最後に、就学児の健診の際に下垂体小人症のチェックを行っている地方団体があれば、知っておるなら言ってもらいたいのでありますが、私の方は、愛媛新聞で見ました。早いほど治療が効くということはよくわかっておりますから、できるだけ愛媛県のそういうものについてしっかりと採用してもらいたい。時間がなくて言葉が足りませずに気持ちだけ走りましたから、いま申しました具体案、国によるキャンペーン、いわゆる献体活動の整備を図ること、それから、その場合に法的に、交通災害などという言い方は正しくありませんが、災害で事故死をされたような方々には献体をしていただけるような、御遺族の方々に大変な御協力をいただく、ただし、その人がよみがえるんでありますから、その人が天に召されましても、その脳下垂体を差し上げることによって子供が大きくなっていくんですから死ぬんじゃないんです、自分が死んだら今度は生きるんだと、こんなような、まあイエスキリストの話じゃないけれども、七日間後によみがえるとは言わぬが自分がよみがえるのだというような、こういうような温かい血の通う厚生行政、法律もありましょうが、そういうことについて大臣から前向きにといいますか、私が申し上げていることを聞こうと思ったら一時間かかりますから、お答え願ってきょうの質問を終わりたいと思うんですが、大臣お願いします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 最初に、国によるキャンペーンにつきましては、成長科学協会とも御相談をしながら、今後とも必要に応じて協力をいたしていきたいと、そのように考えております。 また、二番目に御主張になりました下垂体提供についての行政的あるいは法的な制度化等につきましては、私どもとしても十分これから検討をしてまいりたい、収集が円滑に行われるように検討していきたいと考えております。 また、最後に御主張のありました公費負担の問題でありますが、これは私ども本当に二十歳まであるいは年齢を延長することについて継続治療の必要性とか、治療薬の供給量等十分考慮し、検討してまいるつもりでございます。最初に申し上げたように、こうした問題をお取り上げいただいたことにお礼を申し上げます。
○片山甚市君 終わります。
○秦野章君 この環境庁の予算の中で、産業公害という分野に応問題をしぼって、その中で、したがって、たとえば自然公園の整備とか、あるいは鳥獣保護のための予算とか、いろいろあるわけですけれども、産業公害の技術研究、技術開発費の予算というものは、これはまた人件費をどうする、施設費をどうするという問題があるのだけれども、研究所のたとえば施設をつくるとか、そういうのがあるのだけれども、それをひっくるめて、環境庁ができた以後どのような伸び率というのか、今日の現状とその経過を大ざっぱでいいから、最初にちょっと聞かしてもらいたい。
○政府委員(上村一君) 環境庁で所管しております公害防止関係の試験研究関係の費用でございますが、一つは国立公害研究所、それから国立水俣病センター関係の経費、それから環境庁自体の各部局で持っております研究費、それから各省庁の試験研究費というものを環境庁で一括計上しておりますものがあるわけでございます。その額は、昭和五十四年度で八十七億円を予定いたしております。その前の年の五十三年度では約七十八億円でございます。
○秦野章君 その前はわかりませんか。
○政府委員(上村一君) いま手元に五十三年度までの数字しか持ってまいっておりませんが。
○秦野章君 戦後の歴史の中で日本の産業経済が、人類始まって以来と言ってもいいような高度成長を遂げたという、そういう問題の背景の中で、社会的問題といいますかね、経済社会的な問題では公害問題というものがこの戦後史の中で一番大きなうねりをあらわしたと、こういうふうに私は思うわけです。恐らく水俣病なんかがその中心のように思うのでございますけれども、こういう歴史の流れといいますかね、そして問題提起は、われわれの社会は自由社会ですから、やはり企業は自分でもうけることが多少先行するという事情もあろうかと思いますが、役所も社会主義社会と違って常に予防ばかりを考える、先手先手を打ってきたかというと、必ずしもそうではない。私はそういう体制の中で公害問題が起きた。これは結局被害者が一つの力になったと思うんですね。そうして被害者に同調する勢力というものが公害問題というものを大きくクローズアップして、そうしてそこに裁判の問題が出てきた。公害四大裁判とか次々と出てきた。 そういう歴史の一つの流れの大きなうねりというものを感じて、その中で政治と行政がどう対応したか、今日はどう対応すべきか、こういう一つの歴史観を持って公害問題というか、環境行政というものは考えていかなければならぬというふうに私は思うのですが、こういう点についての大ざっぱに言っての、そういった私の申し上げたような経過といいますかね、大きな線は私はそう思うんですけれども、環境庁当局はどういうふうに見ておられますか。
○国務大臣(上村千一郎君) 秦野委員がおっしゃったような大きなうねりであろうというふうに私も認識しております。 具体的に申し上げますれば、御承知のように、昭和三十五年から四十五年にかけまして日本の高度経済成長がずっと伸びていった時期でございます。それに関連しまして、いま秦野委員がおっしゃったように公害という問題がずっと起きて、具体的には被害者からの要望というものが強くなってきた、それの動きがずっと出ておりましたので、昭和四十二年かと思いますが、公害対策基本法というものが策定された。そして、昭和四十五年にはいろいろとそういう声と申しましょうか、うねりと申しましょうか、そういうものが出てきた、四十五年にいわゆる公害国会というものをつくるようになった。そうしてそれを受けまして、四十六年に環境庁ができてきたということでございますので、行政というものが、結果的に言いますというと、後追いの状態に入っておったという、歴史的な目から見ますというとそんなふうに感じます。そして、その間に御指摘のような裁判というものが、訴訟が起き、裁判があり、そして判断が示される。そのたびにいろいろな新しい見解が出てまいっております。 そして、だんだんその期間が長くなるに従いまして、科学的知見と申しましょうか、それの経験というもの、また科学的判断というものが集積されてまいりますので、次第にある程度の行政的な物の考え方というものが固まりつつある。ですから、それが今後先を見ながらやっていこうという姿勢をとろうというような過程に、私は大きな点で見ますればそういう形になっておるというふうに思いますし、OECDの環境委員会などの日本に対するレポートなどを拝見しましても、いま秦野委員がおっしゃっているようなうねりを示しておると、こういうふうに思います。
○秦野章君 そのうねりの中で、司法機関の役割りというものが大きくあったように思うんですね。日本は行政裁判所がありませんから、普通の一般裁判所にこういう公害問題を持ち込んで裁いたという、大変司法機関には荷物の重い仕事があった。客観的に見て、司法機関の一つ一つの裁判については、私どももちょっとよけいなことを言っているなあという感じのものもないではない。しかし大きく見れば、確かに司法裁判所というものが大きな任務を持ってきたということは、これは否定できない事実で、ついに一部の企業の責任者がこの間も刑事責任を問われるということになった。私はこのことは、この歴史の流れにおけるそういった国家機関の行動というものは一応評価する。そういうことを前提にしながら、公害意識というものが大きなうねりでもって国民の中に盛り上がってきた。 これは日本だけじゃなく、国際的な問題でもあるかもしれませんが、特にアメリカと日本、特に日本の国民性からいくと、時にはこのうねりというものが社会心理的に、あるいは心情的にセンチメンタリズムに大きなうねりとなったということも私は認めにゃならぬと思うのです。化学肥料を使ったものは食べないとか、その程度のことはどうということないけれども、非常に潔癖な人が出てきて、そこまで考えぬでもいいじゃないかといったようなものも、理性的な見地からするならば、そういうところまで来たというこの事実はお認めになりますわね。
○国務大臣(上村千一郎君) 秦野委員が御指摘になっておられることは、私どももよく理解することでございます。 そこで、また日本の公害対策、公害行政というものにつきましては、大きな影響力を司法判断がしたということも、また、OECDなどの日本に対するレポートもそれを言っております。言っておりますから、おっしゃるとおりだと思います。そうしますというと、そこに科学的な物の考え方というものを相当柱にしていくということが、この公害対策に対するいわゆる秩序づけといいましょうか、そういうものが非常に柱になる。また、公害対策基本法第九条第三項にも、その柱となるべき精神を打ち出しておるという意味で、ただいま環境庁としましては、その科学的な判断、知見というものにつきまして大きな関心を持ち、推進をいたしておる、こういうわけでございます。
○秦野章君 このうねりの中に、私がちょっといま申し上げたのは、要するに社会心理的に一種の不安感といいますか、心情的に一つの大きな盛り上がりがあったということも認めにやならぬ。しかし、そのことも政治で私は無視できないと思いますけれども、一つの政治と行政の姿勢の中には、そういった大きな心理的なあるいは心情的なうねりの中にもかかわらず、言うならば、あらしの中であっても時にはそういう大衆の意欲、意識というものを一〇〇%これに迎合するというようなことは決して理性的でもないし、いささかのそこに勇気といささかの決断というものが伴って私は初めて政治であり、行政であると、こういうふうに思うわけです。これは総論ですけれどもね。そういう観点から、今日の段階をどう位置づけたらいいのかということで行政と政治の対応、具体策が生まれてくるんだと、こう思うわけです。結局、行政も政治も相対的なもので、ある程度そういうふうな関係で見ていかなければまずいだろう。その中でやっぱり一つの大きな柱、いま大臣おっしゃったように、科学技術のたくまざる進歩向上を図って、そうしてこれは永遠のものだと思うけれども、いかさまやっぱり日本の場合、当初おくれておったことは事実ですわね。それを取り戻すために相当研究費を投じて、科学技術というものが一つの柱になって、科学的判断、これも絶対ではないにしても、科学的判断は、これは大きな根拠ということになっていかなければならぬというふうに思うわけです。これは当然と言えば当然なんですけれども、それに関連して、私は、そういう位置づけの中から問題を考えてみますと、水俣病というのは、科学がほとんど証明をして、ある程度処理されてきたというふうに思うのです。 それで、いま一つの大きな問題はカドミウムの方ですね。カドミウムの問題については、あれは厚生省見解というのは四十三年でしたか、三年ですかな、最初に出たのは。四十三年の事態というと、正直言ってまあ行政後追い、科学技術後追いの段階だったと思うのです。しかしあの段階においては、ある程度政府もこれに対応せざるを得なかったということで、厚生省見解が出て対応したわけですね。そこで厚生省見解の対応の中のカドミウムとイタイイタイ病ですか、イタイイタイ病との原因論というものが厚生省見解の中にあるんだけれども、あの原因論というものについて、つまりこれは科学的な原因論ですよ。その後科学的知見も、とにかく何というか、いろいろとデータもたくさん出てきた、委託研究もやらした、国際的にもいろいろ出たでしょう。いずれにしても大変歳月を経ておりますから、科学的知見も変わってきていることは事実ですね。そこで、厚生省見解における原因論の科学的部分については、これを今日書けば、あの原因論を今日書けば、ああいうふうには書けなかったであろうと私は思うわけです。 なぜならば、この「カドミウムの慢性中毒によりまず腎臓障害を生じ、次いで骨軟化症をきたし」と、つまりカドミウムの慢性中毒によって腎臓障害を起こし、次いで骨軟化症を起こすということが、因果関係でぴしゃり割り切っている。因果関係でぴしゃり割り切っているということが、今日ではこうは書けないというふうに科学的知見というものが出てきたんじゃないか、こう思うのですがね。その点に限ってちょっと答弁をしていただきたい。
○政府委員(本田正君) 四十二年の厚生省見解は、いま御指摘のありましたとおり、カドミウムの慢性中毒であるということ、どういう障害が起こってくるかというと、腎障害がまず起こる。それに引き続いていろんな誘因といいますか、要因があって、そして骨軟化症に至る、こういうことでございます。当時この見解が出されましたのは、公害行政の立場からこういう見解が出されたというふうに見解の中にも書いてございます。 そこで、科学的に現在これが、この文章そのものが正確なのかどうかということでございますけれども、それは科学的ないろんな詰めをやってそれを当てはめていってみて、そして果たして正しいかどうかということに相なろうかと思うわけです。そこで、四十三年にこういう見解が出ました後に、いろいろ現在に至るまでいろんな分野でこのカドミウムに関する総合的な研究が継続されております。その中で、確かに御指摘のように、まずカドミウムあって腎障害が起こるかどうかという問題が一つ。それから、腎障害を経て骨軟化症が起こるかどうかというこの二つの段階に分けて考えてみますと、後者、つまり腎障害から骨軟化症が起こるということに関しては否定的ないままでの研究成果といいますか、完全否定ではございませんけれども、非常に根拠が薄いんじゃなかろうかという説が強うございます。したがいまして、まだまだそれを肯定するデータもあるわけでございますが、全体的に薄いんじゃなかろうかというところで完全じゃございません。そういう問題が残っておりますので、今後ともやはり研究は続けていく必要があろうかと思いますが、この文章そのものが現在書かれればどうかということになりますと、もう少し、どういう表現になるかはこの場では言えませんので、お含み置きいただきたいと思います。
○秦野章君 言えないことはないんだ。あなた自身が言っているように、ここではぴしゃっと因果関係を認めているけれども、因果関係については否定的見解が多くなったとおっしゃること自身が、すでにこの科学的部分についての見解はもう崩れたと判断せざるを得ないわけなんです。試みに、厚生省が委託をした財団法人日本衛生協会ですか、公衆衛生協会のこの答申の中のイタイイタイ病の原因論、これはいろんな学者を網羅して厚生省も委託研究をしてやらしたわけだけれども、この原因論のところちょっと説明してくれませんか。原因論よ、この(四)になっているけれども。——だれでもいいよ、時間がないから。急いで。
○政府委員(本田正君) この四十三年見解以降、昭和五十年に至りまして、それまでの研究成果を取りまとめるという見地から、このカドミウムの人体影響に関する文献学的研究というものを行ったわけでございます。その中で、厚生省の当時の見解が正しいかどうかという観点から検討されております。いろいろその後に行われました研究の成果から結論が導き出されておりますのは、厚生省見解を否定する科学的な根拠が現時点でないということに要約されるんじゃなかろうかと存じます。
○秦野章君 厚生省見解を、さっきあなたがおっしゃったように、因果関係というものは否定的見解がふえてきたと、むしろそっちの方が多いんだということになっているから、完全に否定はできないな、これ。ぼくは否定の証拠というものは永遠の問題だと思うんだよ。だけれども、現段階における科学的知見というものは明らかに腎障害は起こすということについてはかなり因果関係は肯定的なんだよね。そこから今度は骨軟化症を起こすという問題になってくると否定的見解の方が強くなったということはあなたおっしゃるとおりなんです。だから、ここにぴしゃっと、因果関係を割り切ったという厚生省の見解はやはり崩れたんだと、この年月を経て科学的知見にも努力した結果。これは認めざるを得ないでしょう、その程度なら。全面否定じゃないにしても、こういう書き方でいったという部分については崩れたと言わざるを得ない。
○政府委員(本田正君) そのとおりだと思います。
○秦野章君 いまあなた、日本公衆衛生協会のイタイイタイ病の原因論についてとうとう読んでくれなかったけれども、ここでは因果関係をほとんど否定しているんですよ。だけれども、学会というのは広いですから、それからまた、いろいろ実証的研究ということも大事ですから、こういったいろいろな、この中にももちろんそれも入っていると思いますけれども、そういうことも必要だと思いますから、広く、大げさに言えば世界的な知見だって導入せなきゃいかぬでしょう、学門の研究というものには国境はないんだから。だけれども、実証的研究の中でカドミウム地帯というものを厚生省が地域指定をやりましたね。地域指定をやったが、イタイイタイ病が全部出ているかというと、出ていないじゃないですか。そこのところはどうなっていますか、そういう実証的研究は。
○政府委員(本田正君) 要観察地域その他の地域につきまして、住民の健康調査というものを継続実施されております。この結果はいま取りまとめ中でございますけれども、いまのところイタイイタイ病の患者は出ていないということを聞いております。
○秦野章君 そういうような科学的な知見の発展といいますか、いろいろ勉強した結果、様相が変わってきつつあるというのがいままでのやりとりの中の私は経過だと思う。 そして今度次の問題は、結局、そういうふうに科学的知見が変わってきた。大臣もおっしゃるように、科学的知見というものは重要な柱だ、それは確かにそうだと思う。そうなってくると、行政とか政治の対応というものがある程度変わらざるを得ない。それはちっとも科学的知見が進んでいなかったと、ある程度進んだときと全然同じだということではないような感じがするわけですね。そこでこれは、そういうことも踏まえて、時間がないから私の方でしゃべってしまいますけれども、実は汚染米の買い上げの問題だとか土地改良の問題だとかいろいろあるわけですね。こういうものは初め決めたパターンというか、やり方と同じでずっとこう来ているという対応については、やっぱり多小見直していかなければならぬかなという感じがするんですよ、正直なところ。これは環境庁だけの問題じゃありませんから、そのために例の八省庁会議というものをおつくりになっていろいろ対応策を練りましょうと、こういうふうにいままでのいきさつ上なっていたと思うんですけれども、この八省庁会議、これはその後どういうふうに動いているかちょっと説明してください。
○政府委員(馬場道夫君) ただいまお話のございました関係省庁会議は四省庁でございます。四省庁会議でカドミウムの問題につきまして、カドミウムの健康への影響あるいはカドミウムの含有米の取り扱いの問題、汚染防止の状況等の、いまの土地改良の問題を含めまして、その対策等につきまして非常に多岐にわたっておるわけでございますが、そういうものを五十一年の四月から関係省庁の合意のもとで連絡協議会を開催をいたしておるわけでございます。
○秦野章君 何遍ぐらいやった。
○政府委員(馬場道夫君) ちょっと回数は正確なあれはございませんが、課長段階の会議を頻繁にやっております。検討に当たりましては、先ほども先生お話ございましたように、なかなか一省庁だけでは解決がつかない問題がかなり多いわけでございます。それからまた、米の問題につきましては、いろいろ最近の米の需給事情の問題等もございますし、大変いろいろむずかしい問題を含んでおるわけでございまして、そういう中でいろいろ議論をしておるわけでございますが、現段階でまだ結論的なものを申し上げる段階には至っていないわけでございまして、現在、鋭意関係者で検討を進めておるわけでございまして、そういう中で極力実行に移せるものは移していくという姿勢で現在やっておるわけでございます。
○秦野章君 私が五十年三月二十九日の予算委員会の分科会で質問したときに、小沢環境庁長官は、厚生省見解というのは当時の一つの知見であって、むろん完全なものじゃないんだと、疑問点を広げて今年いっぱいに何とか何らかの結論を出したいと、こういう答弁が実はあるわけですよ。そんなようなこともあって、まあ文献学的ないろんな研究成果というものが環境庁になっておやりになって出てきているんだけれども、その科学的な知見というものは確かに変わってきた、しかし、それに対応する行政は全然変わらないというのが現状で、それじゃいけないというので四省庁でもって会議を開こうということで、いまお話しのようなことで四省庁会議というものがあるわけだけど、実際は余りやってないんだな、何もやってないんだよ、正直言って。何遍やったか知らないけど、言えないもの、ほとんど私はやってない。これは環境庁だけが悪いんじゃないよ。ほかの役所もそれは責任があるんだけど、やっぱりやると言ったことはやらなきゃだめだな、これは。私はそういうようなことでひとつこれは大臣にお願いしておきますけれども、四省庁会議というもので大いにこの問題を詰めようと、変化に対応しようということでございますので、ひとつこれは結論はともかくとして、そういったやっぱり公約を履行していただかなきやならぬというふうに思うわけです。 最後に一つだけ、土壌改良に非常に金がかかって自治体が往生してるんですよ、金かかって。これは一つのやっぱり重大な問題だと思うんだが、それに関連して、一ppm以上のところは、これはひどいところは改良やらなきゃいかぬと。その周辺のちょっと疑わしいところはね、疑わしいところの方が恐らく範囲が広いんだろうと思うんだけれども、これもまあやるんだということにこれは第二号用地といいましたかな、名前がね。そういうところもやらにゃいかぬということになっているんだけれども、この科学的知見が変わってくれば、特に二号用地なんかの問題は一律にはいかぬけれども、やっぱり場所場所によってはその実証的研究に合わせて再検討していくということも、私は当然科学的知見も変わってきたんだし、するんならば、私は当然検討をする、つまり四十三年当時かなんか、そのころの当時と同じことであるのはおかしいではないかと、こう思うんですが、それはやっぱり再検討の余地は理論的には私は当然だと思うんですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(上村千一郎君) 秦野委員がおっしゃる筋はそのとおりだと思うんです。 たとえば、公害対策基本法の第九条第三項には、科学的判断を常に見て、それに応じて常にこの改善といいましょうか、そういうものを図っていくべきであるという規定があるんですね。ですから、姿勢はそのとおりだと思いますが、そこで二つ大体大きな問題があるというのは、一体その科学的な判断、知見というものがはっきりそのときから変わって確立したであろうかどうかということが一つある。それから、しかし科学的知見というものばその時代時代のいわば最高の知見であるんだから、いつまでも変わらないというものは歴史上あり得ない。そうすると、そこに判断時期、決断というものが入ってくると思うんです。それで、いま御指摘のように、どこで決断するのか、それからまたその科学的知見がどこで変わったと、確立したかという判断をするかということだと思います。お考えの筋、そういうものにつきましては、これはまあ私はそういうふうであろうと、こう思いますから、よく検討をいたしていきたいと思います。
○秦野章君 一言だけ。 私の質問に、五十年の末までに何らかの結論を出したいという環境庁の当時の態度は科学的知見だけじゃないんですよね、知見だけじゃない。科学的知見は永遠に一生懸命やる。行政の対応、そういうことを出したんだと思うんで、それからまた大分年月もたちましたから、どうぞひとついまの御趣旨で御検討願います。 これをもって終わります。 〔主査退席、副主査着席〕 —————————————
○副主査(太田淳夫君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。 本日、片山甚市君、小巻敏雄君が分科担当委員を辞任され、その補欠として和田静夫君、下田京子君が分科担当委員に選任されました。 —————————————
○相沢武彦君 私は、視力障害者の職業安定化対策について、厚生大臣並びに関係当局に質問したいと思います。 今回の予算審議に当たりまして、私は総括質疑を通し雇用問題を重点的に取り上げてまいりました。総括質問では、いわゆる雇用における年齢差別禁止法の法制化の問題、また定年制と厚生年金のリンクにかかわる問題、それから、各地におけるいわゆる雇用の地域具体策の促進、そしてきょう午前中、季節労働者の雇用問題につきまして御質問いたしました。そういうわけで、一貫して雇用、就労対策ということで今回の問題も取り上げたわけでございます。 最初に、統計に関して何点かお尋ねをしたいと思いますが、第一項目、目の不自由な方のうち、成人で就労が可能な年齢の範囲に入る人数というものは全国で何名ぐらいいらっしゃるのか。 第二項目、その人数のうち実際に職業についておられる方はどれぐらいにのぼるのか。 第三項目は、その職業を細分化して、たとえばあんま、はり、きゅうなどの職種を挙げた場合、ベストテンに入る職種はどんなものが挙げられるのか。 第四項目としては、あんま、はり、きゅうに職業として従事している人数がわかればお示しをいただきたいと思います。
○政府委員(山下眞臣君) 最初に、実は身体障害者の実態調査につきましては、昭和二十六年以来五年に一回という間隔でやってきておるわけでございますが、実は昭和五十年の時点でいろいろの事情がございまして調査が実施できませんでした。現在持っております詳細な資料は昭和四十五年時点のものでございます。今年度また調査をいたす予定にはいたしておるわけでございますが、以下主といたしまして昭和四十五年度の身体障害者実態調査に基づきまして御説明を申し上げたいと思う次第でございます。 まず、視力障害者のうちで就労可能な年齢の範囲に入る者は全国でどのぐらいかという第一点の御質問でございます。私どもの統計の整理もございまして、一応十八歳から六十歳までのこの間の年齢階層ということで見てみますると、視力障害者の全体の数字が四十五年の調査によりまして二十一万八千人でございます。そのうち十八歳から六十歳までの人が四四・五%、おおむね九万七千人と、こういう数字を把握をいたしておる次第でございます。 第二点のお尋ねは、就労可能な視力障害者年齢の中で、実際に職業についている者はどのくらいかと、こういうお尋ねでございます。視力障害者の中で職業についておられる方は四十五年調査で総数のうち約八万五千人、割合にいたしまして三九%の方が職業についておられるというふうに理解をいたしております。総数の中で三九%、八万五千人でございますが、これは、先ほど申し上げました就労可能年齢の方が大部分だと思うんでございますが、その割合で見ますると八七%程度の割合に相なっておるんではないかというぐあいに理解をいたしておる次第でございます。 それから第三点、視力障害者の方の職業を細分化してベストテンはどの程度のものかと、こういうことでございます。実は、この分類の仕方等がございまして、八通りまで分類しておりますのでそのあれで申し上げたいと思うんでございますが、一番が専門的技術的職業従事者ということでございまして、これはただいまお話ございましたあんま、はり、きゅう、これが中心的なもの、大部分でございますが、総数の三二・九%の方が、就業しておられる方のうちの三二・九%がこの部類に入る。それから第二番目が農林漁業の従事者で二九・四%でございます。それから第三番目が製造業の従事者、この方が一四・一%でございます。それから第四番目が販売、サービス従事者、これが一〇・六%でございます。それから第五番目が事務従事者、事務職というのが二・四%でございます。それから第六番目が採鉱、採石の従事者、これが一・二%、それから第七番目が、同率でございますが、管理的な事務従事者、この方が一・二%、八番目に、その他といたしまして約八・二%程度の方がおられる、というような実態調査の結果に相なっております。 それから、あんま、はり、きゅうを職業としている視力障害者はどのぐらいあるかということでございますが、これだけは実は衛生統計の方で新しいものがございます。昭和五十二年度の衛生業務報告によりますると、視力障害者の方であんま、はり、きゅう、マッサージ、指圧師の資格を持っておられる方は総数で七万三千六百九十四名、五十二年の衛生報告の数字でございます。 以上、四点をお答えを申し上げます。
○相沢武彦君 五十二年度で七万三千という数字が明らかになったわけですが、四十五年度調査でいきますと、この職種の分類は専門的技術職が三二・九%ということでしたね。これ、もしかことし調査した場合に、この専門的な技術職の比率が三二・九%よりも多くなるか少なくなるか、という予測については大体見当つきますか。
○政府委員(山下眞臣君) まず、身体障害者の総数自体、その中におきます視力障害者の方の数も同じでございますが、回を追います調査ごとに増加をいたしておりますので、その総数としての視力障害者の方が四十五年の当時の数字、先ほど二十一万何千と申し上げましたけれども、それより相当大幅にふえておられるであろうということは想像にかたくないと申し上げられると思うんでございます。ただ、その中であんま、はり、きゅう、指圧という職業の占める分野でございますが、これはいかがかということにつきましては、ちょっと全体の見通しが現在つきませんが、まあ第一位であるということは、そういう職業の中で失明者の方にとりましての非常に主要な職業の第一位になるだろうということはもう申せるんじゃないかと、こういうふうに推測いたしております。
○相沢武彦君 そこで、このあんま、はり、きゅうに従事している視力障害者の方たち、当然法律上の有資格者であると思うんですけれども、資格を得る手順やその期間について、どうなっているのか御説明いただきたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) あんま、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師の免許を取得いたしますためには、まず中学校卒業以上の学歴を有する君であって、文部大臣の認定した学校または厚生大臣の認定した養成施設において必要な知識、技能を一定年限にわたって習得して、かつ都道府県知事が行う試験に合格した上で都道府県知事に免許を申請することが必要でございます。なお、精神障害者など一定の者には、免許申請があっても免許を与えない場合がございます。 また、養成課程でございますけれども、あんま、マッサージ、指圧師の課程は二年以上でございます。はり師またはきゅう師の課程は四年以上でございますけれども、高等学校卒業以上の方でございますと二年以上となっております。また、あんま、マッサージ、指圧師と、はり師またはきゅう師の併合した、合併した課程は五年以上となっておりますが、この場合も高等学校卒業以上の者にあっては二年六カ月以上となっております。さらに、はり師ときゅう師の併合した課程は五年以上となっておりまして、この場合も高等学校卒業以上の者にあっては二年六カ月以上となっております。最後に、あんま、マッサージ、指圧師、はり師及びきゅう師の全部の資格の併合した課程は五年以上となっておりまして、高等学校卒業以上の者の場合には三年以上となっておりまして、その教育期間内に解剖学、生理学等、必要な知識と技術を習得することが法令上定められております。
○相沢武彦君 このあんま、はり、きゅう、指圧師について、視力障害者の方だけでなくて晴眼者の方も多数おられると思うんですけれども、最近の統計ではその人数が、このあんま、はり、きゅうについてそれぞれ何人ぐらいずつになっているのか、御説明いただきたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) 五十二年末の厚生省報告例の衛生行政業務報告で見ますと、あんま、マッサージ、指圧師は総員が七万六千百七十五人でございますが、そのうち視力障害者は三万八千二百二十四人でございます。また、はり師では総員が四万二千七百二十名でございますが、そのうち視力障害者は一万八千三百七十九人でございます。最後に、きゅう師につきましては、総員が四万一千三百九十三名でございますが、そのうち盲人は一万七千九十一名となっておりまして、それぞれ実数はふえておりますけれども、視力障害者の割合はここのところ若干低くなってまいっております。
○相沢武彦君 免許の取得については、文部大臣の認定した学校あるいは厚生大臣の認定した養成施設で、先ほど御説明のように二年ないし四年程度のそれぞれ必要な知識及び技能を習得して、都道府県の知事が行う試験に合格しなければならないということなんですが、この免許取得のために学校及び養成施設で学んでおられる実習生のうち、視力障害者の方と晴眼者の方の比率、これは昭和三十五年、四十五年、それから、ことし五十四年の統計ではどのように推移しているでしょうか。先ほど現時点での比較はお聞きしましたけれども、もう少し細かくお願いします。
○政府委員(佐分利輝彦君) 学生の中の視力障害者と普通の方の比率の実態は、文部省の所管しているものもございますので、なかなかむずかしいのでございますけれども、学生の場合にもあんま、マッサージ、指圧師の場合には視力障害者が約六割ぐらい、またはり師ときゅう師の場合にも視力障害者は約半数ぐらい、そのように考えております。
○相沢武彦君 視力障害者と晴眼者の資格取得について、最近の傾向としては、だんだん晴眼者の人の方の数がふえる傾向になってきているわけなんですが、これが余り急激に増加をして視力障害者の方たちがだんだんはじき出されるとか、あるいは受験あるいは資格を取ることがむずかしいというようになってくると、ちょっとこれは視力障害者の方たちについて社会問題にもなりかねないんじゃないかという心配をするんですが、養成段階で晴眼者について全く制限しないのか、あるいはある程度ふえ過ぎないような規制措置をとるという方向で考えられているものなのか、その辺のところをお伺いしたいことと、それから開業段階で晴眼者の方と全く同じ、対等のあれで競争するんでは、ちょっと分が悪いんではないかという気もするんですが、視力障害者の方について福祉対策といいますか、そういった点での特別措置等は実施されているものなのかどうか、あるいは今後考える必要があるというようにお考えなのか、以上二点についてお伺いしたい。
○政府委員(佐分利輝彦君) まず視力障害者の学生の数の問題で、先ほどのお答えに補足したいと思いますけれども、はり師ときゅう師については、実数はふえております。ただ割合は少しずつ下がっております。しかしながら、あんま、マッサージ師、指圧師については、実数も少なくなってまいっております。晴眼者の方が多くなってきております。 そこで、視力障害者保護のための規制措置でございますが、先生もよく御存じのように、昭和三十九年に法律が改正された場合に、十九条でその地域の実情だとかあるいは養成施設の実情、そういったものを勘案した上で、養成施設あるいは学校の認定をしないとか、あるいは学生定員の増加を認めないとか、そういうふうな規制ができることになっております。 さらに、最後の御質問の、実際に就業いたしました場合にどのような優遇措置があるかということでございますが、有資格者の間では特別に優遇措置はございません。ただ、最近一部の職種では無資格者がいろいろと勝手なまねをするようなこともございますので、その点の取り締まりにつきましては、過去においても二回通達を出しておりますし、また重要事項でございますので、毎年行われる衛生部長会議、担当課長会議において取り締まり方を強く指示すると同時に、衛生当局が警察当局にもよく連絡をとって、御迷惑がかからないように、また法律の適正な運用が図られるように努力をいたしております。
○政府委員(山下眞臣君) 養成ないしは無資格者の取り締まり等につきましては、ただいま医務局長からお答えいたしたと思いますが、開業に際しましての福祉という見地から社会局が所管をいたしているわけでございますが、一般的に身体障害者と視力障害者の就職につきましては、労働省におきましても非常に理解を示しておられますので、職業安定所等の協力を得まして、できるだけ配慮してもらうようにということでやっているわけでございますけれども、私どもの方におきましても、視力障害者の方で資格をお取りになって、さてこれから開業しようという場合におきまして、資金の問題がございます。世帯更生資金というのがございまして、その中に、特に身体障害者のための更生資金がございますので、これの貸し付けということは一つの融資の面の中心になっておるわけでございます。それから中には、視力障害の方で、みずから一人で自営をするというのがなかなか困難だ、あるいは雇用にもちょっとなじまないというようなケースもございますので、そういう場合につきましては、福祉施設といたしまして盲人ホームというのをつくっております。これはいわば視力障害者の方の、あんま、はり、きゅう、マッサージのセンターと申しますか、俗に言えばそういう形になるわけでございまして、そういうものに法人なり地方公共団体が施設をつくってあげて、そこで視力障害者の方がそういう仕事をされるとか、そこから出ていって仕事をされるとか、そういう施設の設置ということを推進をいたしておるところでございます。
○相沢武彦君 ちょっとここで観点は違うんですが、はり、きゅう志願者の新しい動きといいますか、最近、大学の薬学部を卒業した薬済師の方が鍼灸師を養成する専門学校に通学する例がふえてきたということを聞いているんですけれども、薬学部、薬済師の鍼灸師の志向という傾向はどんなことが理由になっているか、厚生省としてはつかんでいられるんでしょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 特にそのような理由をつかんではおりません。 ただ、薬済師の方々は日本においては若干過剰養成の状況にございますので、一部の方々が他の資格も取っておこうというような傾向が出ているのではないかと思っております。
○相沢武彦君 尾木さんという愛知県の薬済師会長が、その理由の一つとして、現状では薬済師の努めを十分果たせないからだということをおっしゃっておられます。まあ現在、医薬分業が不徹底であるということですね。それから、開業医中心の医療体制がある限り、患者さんに直接症状を聞いて薬を調合することがほとんどできない、それから薬済師は医師法で患者の体に直接触れて診療できないということなんで、このはり、きゅう授療の勉強をしている薬済師学生の人たちの声としては、将来、特徴ある薬局づくりがしたいんだ、はり、きゅう授療や漢方を兼ねた新しいタイプの薬局を経営してみたいとか、あるいは卒業したら心あるドクターとチームを組んで漢方診療所をやってみたいと、こういう声もあります。それから、大量に投薬をすることについての薬害その他いろいろ批判がありまして、それに対する反省、こういうことから、病院をやめて入学した薬済師さんもいるというようなことも聞いています。 まあそういったことで、薬済師さんが鍼灸専門学校に入学して資格を取ろうというのは、最近言われている東洋医学ブームとは別に、医師の下請から対等な協力者を目指すんだというまじめな考えなようで、これについて鍼灸関係者や薬学界でもそういった志向に対して期待をする声が強いんだということなんですが、厚生省としては、こういう傾向についてどのようにいまのところお考えでしょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 中国医学を中心といたしまして、そのような一つの傾向が起こっているということは、現在の西洋医学に対する反省からいたしますと、ある程度うなずけるものがあると思っております。しかしながら、先ほど来先生が御質問になっておりますように、特にはり、きゅうの方では視力障害者の生活も援護してあげなければならないというような大きな問題がございますので、余りそういう方々がたくさんこの分野に入っていらっしゃるということは問題が生ずるのではないかと思っております。しかしながら、初めに申し上げたような西洋医学に対する反省とか、そういった立場に立って考えますと、正規の学校または養成所を卒業して、試験を通って免許をお取りになるのであれば、これはやむを得ないことだと考えておりますし、また、一方においては、そういう方々が医薬分業が促進されることによりまして、本来の領域で十二分に活躍できるような施策を現に講じておりますし、また、今後もさらに強力に推進していく必要があるのではないかと考えております。
○相沢武彦君 あんまについて特にお尋ねしておきますけれども、知り合いの視力障害者のあんまさんたちの声としては、無資格業者の取り締まりという点について非常に強い声が上がっているようですが、この件に関しては、従来どのような措置がとられてきたのか、また今後の強化策についてはどのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) この問題につきましては、先ほども若干お答えいたしましたけれども、具体的に申し上げますと、三十二年と三十九年に通達を出しております。また最近においては、先ほども申しましたように衛生部長会議だとか、主管課長会議で強くその取り締まり方を指示しております。 具体的な方法といたしましては、無資格者がはびこりますのは旅館とかホテルとか、あるいは料亭と、そういったところでございますので、あらかじめその地域の有資格者のリストをそういった旅館、ホテル、料亭の営業者に渡しておきまして、無資格者を利用しないようにしてもらうといったことがございますし、またそういった営業方面、また業界方面等の協力も得まして、もしも無資格者がそのようなことをやっておりますれば本人を告発する、あるいはそういう人を雇ってやらしている人を告発するというような措置を講ずることによって、できるだけ無資格者の営業が行われないように努めているところでございます。 なお、この点について警察当局とよく連絡をとりまして、協力して実施をしておりますことは当然のことでございます。
○相沢武彦君 最後に、大臣から御答弁いただきたいと思いますが、視覚障害者の方に対する職域拡大の具体的対策なんですが、現状では、先ほど数字も上がりましたように、あんま、はり、きゅう、指圧師、こういったことに依存しなければ生計が成り立たないという方が非常に多いわけですが、しかし、昨今サービス経済時代とも言われる時代になりまして新しい職種もかなり出現してきているわけですので、大臣として視覚障害者の方に対する職業領域の拡大策として何か具体的な施策を打ち出す御用意があるのかどうか、この点について厚生大臣からのお考えを披瀝していただいて私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほどからお話がありましたように、視力障害の方々の職域というものが、従来日本の伝統的な分野として、あんま、はり、きゅうということに限定されてきた傾向があることは事実でございます。ただその中で、何とか新しい道を模索したいということで、たとえば、いままでにも国の委託事業として昭和四十四年から電話交換、交換手の方々の養成を始めました。また昭和四十八年から、今度はコンピューター要員として視力障害者の方々の逆に非常にすぐれた指先の感覚というものを生かしていただくということで、プログラマー、またキーパンチャー、こうしたものの分野への養成を図っております。さらに昭和五十年度から、かなタイプ指導員の要請によりまして、録音かなタイプ速記といった新しい職業分野の開拓にも着手いたしまして、これらはすでにようやく軌道に乗ったと言えるところまでまいりました。 それから、私どもとしては、せっかくこうして軌道に乗りました各分野で、ますますその職域が拡大されることを期待すると同時に、今後も労働省を初め関係各方面の協力を得ながら領域拡大について努力してまいりたいと、そのように考えております。
○相沢武彦君 終わります。
○副主査(太田淳夫君) 田中寿美子君の質問に入ります。
○田中寿美子君 厚生大臣、余りうれしい問題じゃないんで、私がいま問題にいたしますのは、売春における前借金問題、特に沖繩に関係してお伺いしたいと思うんです。 春は女性の人権を強調する期間なんです。婦人週間もありますし、婦人月間もあるし、婦人労働者の権利要求の時期でもあるわけであります。私は、この際人権意識を喚起するという意味でこの問題を提起したいと思うんですが、何も売春問題好きでやるんじゃなくて、私は生涯、婦人解放運動と取り組んできているものですから、女性の精神と肉体、その人格全体の尊厳が保障されない限り婦人の解放はないというふうに考えているわけなんです。 御存じのとおり、売春防止法は昭和三十一年に設置されて、三十三年完全実施になったわけなんですが、これは、国がこれまで公認していた売春制度を廃止させたものなんですね。ですから、管理売春という形態を禁止した。あのときは日本の婦人運動と、それから超党派の婦人議員の大変な協力が効を奏して、長い間のこの問題の一つの解決として売春防止法をつくったわけなんです。 私もあの当時は労働省におりまして、労働省の婦人少年局でこの問題の担当をしたものですから非常に深くかかわったわけなんですが、少なくとも、日本の伝統でありましたところの男性の性のはけ口として売春制度は必要悪であるという考え方を否定したし、それから、良家の子女をそういう制度を設けることによって守るという防波堤意識に対する否定という法のたてまえが貫かれたものですから、ですから、伝統的な日本の性のモラルに対する一つの警鐘であったと。ですから、実態としては、いわゆる自主売春といいましょうか、個人売春というのがいろいろの形で行われているし、あるいは場所を提供したり何かする形でいろいろな売春が行われておりますけれども、国家の意思として公認できないということになったものだと思います。ですから、売春防止法の精神というものを私はもっと見直さなければいけない。特に九条には、売春をさせることを条件にして前借金をさせることを禁止してあるわけなんですね。これは日本の憲法十三条の個人の尊厳、十四条の法のもとの平等、それからさらに十八条の奴隷的拘束からの自由、こういう原則にもそぐうものですし、それから、ことしは、私はいま外務委員会におりますが、国際人権規約を批准しようということで、いま衆議院で一生懸命に審議中なんですけれども、国際人権規約のB規約というのは、市民的及び政治的権利に関する国際規約なんでして、あの中の八条には、奴隷制度あるいは奴隷売買の禁止、苦役に服させることの禁止、強制労働の禁止などがございます。それから労働基準法にも、五条で強制労働の禁止、十七条で前借金相殺の禁止、それから二十四条で賃金支払いというのは通貨で直接全額をという原則がございますね。ですから、雇用関係にあるものでしたらそうしなければいけない。そういうたくさんの、法的に言えば日本にもちゃんとしたそういう、女性の肉体を搾取して売らせて、それにしかも前借金でもって縛っていくというようなことが禁止されているということははっきりしているんですが、最近私は、日本基督教婦人矯風会の雑誌の「婦人新報」というのがありますが、そこに報告されている高橋きくえさんの記事を読みまして、沖繩で前借金と売春の関係が本土復帰当時からほとんど前進していないという状況の報告があったわけなんです。 それで実は私も、沖繩の本土に復帰します直前にあすこへ、沖繩の売春問題の調査に行ったりしまして、あの当時の前借金の状況というのは、もう本土が売春防止法をつくった当時の比でないぐらいたくさん持っていたわけですね。ほとんどの、あの当時一万四千人ぐらいの沖繩の売春婦がいたと思うんですけれども、その九八%ぐらいは前借金に縛られている。そして管理売春の形が、日本の吉原とか、ああいう名前をとってあそこで行われている上に、基地売春というものが新たに加わっておりましたので、非常に複雑な様相を呈していた。本土復帰と同時に売春防止法が沖繩にもちゃんと適用されるようになったわけなんですね。にもかかわらず、その後私どもも少しその辺手抜かりだったなといま反省しておりますけれども、運動の面でですね。 まず厚生大臣、いま私が挙げましたところの女性の人権、肉体的、精神的な人格の尊厳を守るということについての国家の意思、これについてはもちろん御賛成でいらっしゃいますでしょうね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) もちろん賛成をいたします。
○田中寿美子君 それで売防法にもそれはちゃんとうたわれているわけなんで、一体これが、この法律一つで長い間の売春制度が、管理売春は一応なくした形になっても、違った形で行われるということもありますので簡単では本土でもございません。ですけれども、私が非常に問題だと思いますのは、売春問題に対して売春防止法の施行の一番の責任をとるところはどこなのかということがどうもはっきりしないんですね。私は、先ほども申し上げましたけれども、売防法ができます当時、労働省の婦人少年局に婦人少年問題審議会というのができまして、売春対策の小委員会が設けられました。それの委員長に神崎清さんがなられて、先日亡くなられましたが、私はその事務局をやった関係で、あの当時婦人の権利とか人権を守る意思に燃えて、婦人少年局が推進力みたいになって、厚生省や文部省や、それから法務省や方々に押しまくったような感じだったわけなんですが、その後、この法律が制定されました後、どこが一体一番これはこの売防法の施行の責任、実施の責任を持つべきところだというふうにお思いになりますですか。
○政府委員(山下眞臣君) もう先生に申し上げるのは釈迦に説法でございますけれども、売春防止法の中には、刑事処分もございますれば補導処分もある、あるいは保護更生というようなこともございます。そういう意味で関係する省庁は非常に多いと思うんでございます。私ども厚生省は、もちろん保護更生ということについてはもう全面的な責任を持って対処しなきゃならぬと、こういうふうに思っておりますし、刑事処分、補導処分ということになりますれば、やはり警察庁ないしは法務省というようなところでもやっていかなきゃならない。あるいは、この問題は教育の問題あるいは就労、その他の問題、こういう意味では文部省ないしは労働省というようなところも関係を持っておるということでございます。基本的にそれぞれの責任において最善を尽くして問題解決のために努力をしなきゃならぬと思っておるわけでございますが、そういった状況でございますことにかんがみまして、総理府の中に売春対策審議会というのが設けられ、かつまたそれらの全体の調整、総合調整というものに総理府が当たっておるということも、これまた先生もうよく御承知の事情にございます。 そういう事情でございまして、どこか一つだけここがということではないと私は思うんでございまして、全省庁が力を合わしてこの問題の解決に努力しなきゃならぬ、特に保護更生という見地につきましては、厚生省はもう責任を持ってこれに当たるということでなきやならぬと、かように理解をいたしている次第でございます。
○田中寿美子君 売防法ができました当時、そのできる以前から売春対策協議会というのが、連絡協議会ですか、各省間にあったわけです。それが相当によく強力に運営されていたと思うんですが、いまはそういうものがないんですね。審議会というのは、あれは単なる審議会なんですね。それで、非常に売防法というものが風化してしまったような状況にあります。 そこで、私は厚生省関係でお尋ねしますが、実は警察の方に沖繩の売春状況について実態をとっていただきたいということをお願いしましたけれども、ほとんどよくとれません。これはどうしてそんなにむずかしいかということは、十分お察しがつくと思いますが、非常にネックがいっぱいある。ことに暴力団とか何とかいうものがたくさんくっついておりますので、大変困難で、警察も苦しい立場にあるかと思いますけれども、実は、いまたとえば基地のカフェー、バー、外人バーですね、そういうところに働いている女の人も事実上管理売春の体制にあるわけなんです。それで、チケット制というのになっておりまして、アメリカの兵隊さんが入ってくると、チケットをそこのお店がお金で売るわけですね。そのチケットを女の人はもらうわけです。ビールを一本飲めば二百円分のチケットをもらう。ところが、チケットが千枚ぐらいにならなければ現金化してもらえない。そして、その際には半分は業者の方が取るというのがほとんど実情のようです、これらの報告によりますと。そうすると、これはほとんど管理売春も同じですね。しかも、前借金というふうに言わせないためには一般雇用契約を結んでいる。そうすると、賃金も与えないでおいて、チケットでもって半分は取っていく。そうすると、一千枚になるまでには生活費に困りますから、お金を借りるわけですね。それがまた、前借金と同じように借金として積み上がっていくという装置になっている。これはまさに売防法施行前の前借金とちっとも変わりないけれども、形を変えてそういうふうなやり方をしている。これはカフェー、バーだけじゃなくて、やはり前にあった特殊飲食店業のような地域もまたでき上がっているというような状況ですね。 こういうような状況の中から、女の人がもうたまりかねて逃げ出してくる。逃げてくる先というのは婦人相談所ですね。その婦人相談所は厚生省が指導していらっしゃるところなんですね。沖繩は第三次産業でほとんどやってきて、ことに復帰前はもっとひどかったんですけれども、それで、母子家庭なんかで非常に困る、あるいは夫が病気する、あるいは子供が病気するというとバーやカフェーにすぐ飛んで行けば、あるいはそういうサービスのところへ飛んで行けばお金を貸してくれる。そこでちょっと息をついでおいて働いているうちに、その借金がだんだんだんだんふえていくという制度になっている。もうどうにもこうにもならなくなった者が逃げてくる先が婦人相談所。そういうときに、私はこの報告を読むと、一昨年ですから五十二年ですね、五十二年の五月から昨年五十三年の十月まで婦人相談所で扱った前借金ケースは十件、いずれも未解決のままであるわけですね。どうしてそういうふうに未解決なのだと思いますか。婦人相談員というのは、私は大変な努力をしているりっぱな婦人たちだと思います。現にお目にかかった方たちも、私は現地でもありますので、大変な努力をしている。だけれど前借金を抱えて飛び込んできたこの女の人たちの前借金は、本来これは無効なんですね。 大臣御存じだと思いますけれども、昭和三十年に最高裁の判決が出ております。ですから、前借金無効で、本土に売防法が施行されましたときには業者も観念しまして、あの当時全国で四十億なんて言われておりますが、そんなに前借金があった、それを棒引きした。そのかわり本土の場合は転業資金を貸し付けたりしたわけです。ところが、沖繩の場合はもう九八%が前借金を持っていて、業者は本土の状況を見ておりますものですから、この前借金を棒引きされてはかなわないというのでいろいろな措置をとっております。前もって肩がわりしてしまう。銀行に肩がわりしたようなケースもあるわけなんですね。政府はあの当時前借金は無効という宣言をしているわけです。にもかかわらず無効の措置がとられないで、女の人たちは相変わらず前借金に苦しめられている。これを婦人相談員が手がけましても、どうして解決できないんだというふうにお思いになりますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 実はいま、私は逆に田中先生からその記事をもとに話を伺い直しまして、少々私も愕然としております。と申しますのは、私ども沖繩県から報告を受けました限りにおいて、確かに婦人相談員または婦人相談所に相談のありましたケースの中に、前借金のあったケースというものが昭和四十七年以降例年幾つかございました。一番多かった年、四十七年には二十二件、あるいは四十八年十四件、四十九年五件、五十年十一件というふうに幾つかのケースがあったわけでありますが、私どもが聞いております限りにおいて、沖繩県においての前借金で苦しんでおられるケースで、婦人相談所または婦人相談員に御相談をかけていただきましたケースについては、婦人相談所から、警察あるいは関係者と密接な連絡をとりながら業者と折衝をする、そしてその解決に努めておりまして、現在まで相談のあったケースはすべて処理がなされた、またはなされているという報告が沖繩県の方から参っておるわけであります。 ところが、いま実は、その雑誌の方に載っております記事の方は私は存じませんが、本年の三月九日の琉球新報に、五十二年五月から五十三年十月までの間に前借金に絡むケースが十件相談があったが、処理がなされておらないという記事が新聞にも出ておりまして、これは私どももびっくりしましたが、県の方も非常にあわてて琉球新報に照会をいたしたわけでありますが、いまのところその根拠がわかりません。私ども、なおいまの御指摘を踏まえて県の方にもより実情を把握するように努力を要請いたしますけれども、少なくとも現在、私どもの聞く限りにおきましては、警察当局の協力も非常に積極的に行われておるようでありますし、婦人相談員の方々に御相談のありましたこれらのケース、五十三年も三件あったわけでありますが、そうしたケースについては一応解決が図られてきておるというふうに報告を受けておりまして、なお、実態をもっと正確に把握できるように努力をいたしたいと思います。
○田中寿美子君 私は明日、警察からもう少し詳しいお話を聞こうと思っておりますが、前もろてはほとんど情報らしいものは入りませんでした。そのこととを、実は非常に沖繩というところだけ、まあ沖繩だけじゃないと思います。特に沖繩で暴力団や麻薬の関係などがありまして非常に困難であるということと、それから前借金の、つまり売防法九条の売春させることを条件として前借金させるというようなことの立証というのは大変むずかしいわけですね。事実上前借金みんな持っているけれども、それはいろいろの違う形に私は言いわけがされている。だから前借金のケースとして上がってきているものは恐らく非常に少ない。これ実は一番よく調べたのは日弁連なんですよね。日弁連が昭和四十九年に沖繩の前借金と売春の問題を非常によく調べておりますけれども、これなどでも、最初前借金の九条違反の疑いでつかまえるけれども、調べると事実上これは管理売春されている。だから、そっちの方が原因になって前借金ケースとしては数がもうゼロになったりなんかしているわけですね。ですから、前借金であるということを立証することは非常にむずかしいというか、非常に巧みに前借金でなくしてある。 たとえば厳密な意味の前借金じゃなくて、ちょっとお金を借りるというようなこともあるわけでございますからね。ですから、いろんな形で事実上は生活費などを次々と重ねていき、それからカフェー、バーの女の人たちは、逃げてきた女の人も言っていることなんですけれども、兵隊さんのペイデーなんかに休むと——ふだん休むと一定の罰金が取られる。五千円ぐらい取られる。それからペイデーの日に休むとその倍取られる。こういうのも、これは前借金とは呼べないけれども、これは売防法の精神から言えば全く大変な問題だろうと思うんですが、それがまかり通っている状況というのは、これはちょっと基地の売春というのは特殊なものがあってよけい困難にしていると思います。ですから、常識のようにしてそういうことが行われていて、警察が手を入れてそれを前借金のケースとしてつかまえるということは非常に困難で、つかまえた部分に関しては、私がいただいたのはこれ三件か四、五件のことなんで、これを処理したとも何とも書いてありませんけれども、処理するのについては警察も力をかさなければいけないけれども、婦人相談員の方は業者に会ったり大変な努力をなさるわけなんですね。ですから、私は本当に厚生省が婦人相談員に対して指導、助言といいますか、手をもっと差し伸べていただきたいと思うんですが、婦人相談員に対する指導というのはどんなふうにしていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(山下眞臣君) 厚生省の行います婦人保護事業につきまして、もう先生よく御承知のとおりに三本柱というふうに考えておるわけでございまして、第一の柱は、第一線で御相談に応ずる婦人相談員、それらのよりどころとしての婦人相談所、また収容を要する者につきましての婦人保護施設、こういったものがあるかと思うのでございます。その中で婦人相談員の皆様方につきまして、非常に御苦労をいただいて日夜業務に励んでいただいているということをよく承知いたしているわけでございます。年々その処遇の改善等にも努力をいたしているところでございますけれども、この上ともなお一層努力をいたしたいと考えておるわけでございますが、どういうことをやっておるかということでございます。厚生省の主催もしくは厚生省の後援というようなことで、婦人相談所長並びに婦人相談員の皆様方の会議でありますとか、協議でございますとか、そういった機会を通じまして労をねぎらい、かつまたいろんな情報交換をしながら働いていただくというようなこと等やっておるわけでございます。なお至らない点もあるかと思いますが、十分努力をさせていただきたいと考えております。
○田中寿美子君 婦人相談員の方たちの優秀な方は、本当に私は頭の下がるような努力をいたしております。これは本土の方でもですね。それで、ときとしては自分の家に逃げてきた人を泊めるようなこともあるし、本当に相当の犠牲を払いながら努力している。それから業者とは大変危ないこともやらなければならないような仕事をしているわけなんですね。 それで、数といい、それに報いる報い方といい、私は不十分だと思っておりますけれども、特に沖繩においてこの婦人相談員、恐らく相談員の方たちも余りそういう話はしたくないというふうに思うかもしれません。それはどういうところにそういうネックがあるというふうに、つまり警察も大変だろうと思うんですよ、どういうところにネックがあるとお思いになられますか。
○政府委員(山下眞臣君) 沖繩におきます婦人相談保護事業の実施体制、婦人相談所に職員十六名配置いたしております。相談員の皆様方は沖繩県下で八名、県の婦人相談員が五名、市の婦人相談員の方が三名という状況でがんばりていただいておるわけでございますが、御指摘ございました非常な困難なこと、あるいは暴力も絡み、あるいは非常に知能的な、何というかやり口なんかも絡むだろうと思いますし、いろいろな意味で非常な御苦労が多いものと思っております。何か一つ、これが困難の原因じゃないかということは、ちょっと勉強不足で私もあれしておりませんが。
○田中寿美子君 本土で前借金棒引きが一斉にできて、そして一応そういう姿は消した、それから管理売春も一応姿を消した、だのに沖繩の方だけはそういうことがなかなかできないというその理由ですね、それはどういうところにあるとお思いになりますか。
○政府委員(山下眞臣君) 一つは、やはり先生最初にお話ございましたように、本土の場合三十一年に法律ができまして三十三年完全実施。ところが復帰がおくれまして、沖繩の場合における法の発足というものが四十七年からであったということで、その沿革も新しゅうございます。また基地下であるというような状況に相当戦後長い間置かれていたというような各種の事情等もあろうかと、思うのでございます。いずれにいたしましても、御指摘ございましたようなことで、沖繩につきましては、特に全国的にこの売春防止事業に力を入れなきゃならぬと思っておりますが、沖繩につきましては特に意を用いまして今後連絡をとりつつやってまいりたいと、かように考えます。
○田中寿美子君 大臣、肉体を金で縛って前借金をふやしていって、そして事実上巧妙に操りながら管理売春と言わんばかりの状況で操っているこの状態、私やはりもう少しちゃんと認識をしていただきまして特別の措置というか、特別の力を入れていただきたいと思います。それで、私たちも婦人運動の中で、少し最近沖繩の問題について手を緩めていた感じがいたしますので、もう一度考え直したいし、政府も、県当局も、それから業者への指導も、それから婦人自身の考え方も、県民自身の考え方も、私はもう一度何といいますか問題を提起して、そして考え直しをしていただくようにしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 非常にいい御指摘をいただいたとお礼を申し上げます。私どももいま逆に御質問の中から教えられる点が幾つかありました。沖繩県から報告を受けておる限りの段階である程度安心をしておった点が私どももあろうかと思います。確かにいま御指摘のように、警察当局によって法的処分をしていただきましたケースも前借金というケースはほとんどありませんで、みんな管理売春の形態であります。それだけに、私どもとしてもそういう点にもう少し工夫をこらす必要があったのではなかろうかという反省をいまいたしております。今後県と十分に相談をしてまいりたいと考えておりますし、一層の努力をしたいと思います。これは実はたまたま本日の売春という角度から問題を御提起をいただいたわけでありますが、実は私どもは覚せい剤事犯につきましても、現在非常にその対策に苦慮しておる地域の一つでありまして、あわせて今後においての努力をしてまいりたいと、そのように思います。 〔副主査退席、上田稔君着席〕
○田中寿美子君 終わります。
○主査代理(上田稔君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○主査代理(上田稔君) 速記を起こして。
○太田淳夫君 それでは、まず大臣にお尋ねいたしますが、去る二十七日に、高田馬場駅ホーム事故について東京地裁は国鉄の手落ちを全面的に認めました。これを福祉の面から見ますと、たとえ目の見えない人であっても一人で歩く権利を有しておりますし、国等はこれに対して施策を講ずる義務があると、こう思うわけでございますが、大臣の所見をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先般の三月二十七日の東京地裁の判決というものは、私ども非常に大きな関心を持ってその結論を見守っておりました。心身障害者対策基本法の第二十二条に、御承知のように、心身障害者に対する交通施設その他公共的な施設の構造とか設備について適切な配慮がなされるように必要な施策を講ずべきであるとされておるわけでありまして、こうした趣旨からいきまして、当然視力障害者ばかりではなく、これは各種の障害皆共通するわけでありますが、そういう方々のための交通安全施策の整備について、国鉄初め関係各方面それぞれの立場で積極的に取り組むよう私どもも今日までもお願いをしてまいったところであります。私どもとしては、いまそうした関係から、非常に大きな関心を持ってこの判決を見守ったわけでありますが、厚生省自身としても、昭和四十八年度から三年間身体障害者福祉モデル都市構想を実施し、そしてその中で得てまいりました幾つかの結論を踏まえて、本年度から障害者福祉都市推進事業というものを新たにやり直そうとしておるところでありまして、今後なお一層の努力をしてまいりたいと思います。 なお、いま視力障害者、たまたま御提起がありましたわけでありますが、視力障害を持たれている方々を初めとして、だれか付添い、介添えの要る障害者の方々が外に出かけたいと思われるときに、御連絡をいただけばお伴をする、またお手伝いをするガイドヘルパーの派遣事業あるいは盲導犬育成事業等を今後ともに実施、推進していくことによってこれにこたえてまいりたいと、そのように考えております。
○太田淳夫君 次は、何点か陳情いただきました点から御質問したいと思いますが、まず障害福祉年金における所得制限の問題ですが、これは関係者の方から制限の緩和ないしは撤廃をしてほしいという要望が出ておりますが、この福祉年金、なぜ所得制限が必要なのか、該当の方々からそういった疑問がいつも提出されるわけですが、その点についても見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(木暮保成君) 福祉年金でございますが、国民年金が昭和三十六年にできたわけでございます。それで、従来厚生年金や共済組合に入っておりません残りの国民の方全部に適用するということで発足をいたしたわけでございますが、制度の基本的な仕組みは、掛金をしていただきまして、そしてお年をとられた場合、あるいは障害になられた場合に年金を出すと、こういう形であるわけでございます。ところが、昭和三十六年に発足いたしましたときに、すでに高齢になっておって掛金をしていただく期間が十分ないという方もおられますし、もちろんもうそのときすでに障害になっておられるという方もおったわけでございます。こういう方々につきましては、制度の中核でございます拠出制の年金のほかに、福祉年金を掛金なしに出すということにいたしたわけでございます。掛金なしの年金ということは、言いかえますれば国民の方々に負担をしていただいておる税金を財源に充てておりますので、老齢の場合も障害の場合も、一定限度の収入がある場合には御遠慮をしていただくと、こういうことでやってきておるわけでございます。
○太田淳夫君 次に参りますが、近年、福祉の充実が叫ばれてまいりました。その中で、お体に障害のある方々に対する施策の充実と、またそれらの方々が社会的に自立をされる、こういうことが重要な施策になってきているわけです。 ところで、法務省お見えになっていますが、民法第十一条には目の見えない人、耳の聞こえない人に対して準禁治産の宣告をすることができる規定がありますが、この民法第十一条の本来の趣旨を説明していただきたいと思います。
○説明員(青山正明君) 準禁治産者と申しますのは、御案内のように行為能力を制限されている者でございまして、独自に、単独に完全に有効な法律行為をすることができない、保佐人の同意を得なければ完全に有効な法律行為をすることができないとされている者でございます。この準禁治産者の対象者は、民法第十一条に書いてございますように心身耗弱者、聾者、唖者、盲者、浪費者ということになっております。このような方々に対して準禁治産宣告をすることができるとした民法の趣旨は、意思能力は持っておりましても判断能力の点において不十分な場合には、単独で法律行為をいたしますと、場合によっては財産上不利益を受けることがあるので、単独では法律行為をすることができないようにいたしまして、そういう方々を財産上保護しようということにあるわけでございます。
○太田淳夫君 この問題につきましては陳情も出され、法務委員会でも採択されております。 いま御説明ありましたけれども、この法律が、民法十一条か制定されましてからもうすでに——明治二十九年ですか、ですからもう過去のものになっているわけですね。しかも、この聾教育というものが、これは聾唖者から出された陳情でございますけれども、昭和二十二年に義務教育化された。しかも、明治二十九年ごろの日本とは非常に教育の状況とか、あるいは耳の聞こえない方々、話のできない方々、非常な相違ができているわけですね。この方々から自分たちのやはり社会的な自立を妨げ、また差別の原因にもなっている。実際にそういった事例があるからこの十一条から聾者、唖者という項目を削除してほしい、こういう陳情が出されてまいりました。大臣もせんだって閣議で発言もされているようでございますが、法務大臣、この改正作業はどのように進んでおりますか、また今国会にどのような提出をされるのかどうか、その見通しはいかがでございましょうか。
○説明員(青山正明君) 民法十一条中から聾者、唖者、盲者という文字を削るべきではないかということで請願が提出されまして、すでに採択されているわけでございます。御指摘のように、民法制定当時はともかくといたしまして、今日における視聴覚障害者あるいは言語障害者の方々の実情から申しまして、民法十一条に聾者、唖者、盲者という文字を入れておくことは必ずしも適当ではない状況になってきていると思われますので、現在私ども、この十一条を改正いたしまして、民法十一条中から聾者、唖者、盲者という文字を削るという改正をすることを準備中でございます。民法の十一条だけではなくて、ほかの幾つかの点につきましてもあわせて改正作業を進めておりまして、準備が整い次第、私どもの心づもりでは今国会中に法案を提出して御審議いただきたいというふうに考えております。
○太田淳夫君 この問題に対しましては、耳の聞こえない方々、話のできない方々、そういう方々ばかりでなくて、目の見えない方々からも陳情が寄せられておりますね。その中に、視力の障害によって生ずる行為と確認の方法にやはり問題が残ると、これは項を改めて別に規定されてしかるべきと考える、こういうような提言もされております。しかしその場合に、文言を誤りますと、現行の十一条の規定にも似た結果になるので、その点慎重にしてほしいという要望が出されておりますが、今回の改正については、日本盲人会連合の代表の方々からも十分意見を聞いて、先ほど述べられたような趣旨に沿った改正が行われるべきじゃないか、このように思いますが、その点もやはり勘案されておりましょうか。
○説明員(青山正明君) そのような各方面からの御意見を十分に伺いまして法案を準備したいと考えております。
○太田淳夫君 厚生大臣も、この問題は厚生省にもかかわってくる問題じゃないかと思います。そういう社会的に立場の弱い方々を何とかお守りしていく立場から、この改正の推進も厚生大臣からお願いしたいと思いますが、一言御所見を……。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いま太田さんから御指摘がありましたように、障害者団体の方々等からこの点は早くから指摘をされておりまして、私どもといたしましては、現在法務省として研究をしておられる方向として、聾者、唖者及び盲者を削除するという方向で検討されているということにつきましては、きわめて妥当な方向だと思います。聴覚障害者、視覚障害者についても健常者と私どもは当事者能力において変わらぬと考えておりますので、この検討の方向は妥当なものだと考え、そういう方向に早くいくことを心から願っております。
○太田淳夫君 じゃ次の問題に入りますが、次に手話通訳の問題について、これもかねてから陳情がされておると思いますが、特に厚生省関係の公共施設の職員には手話の研修を行わせるべきだと。特に、国公立病院等がございますけれども、国立病院が管轄でございますけれども、そこではさまざまな患者の来訪に対して万全の体制づくりが必要じゃないか、またそれがサービスの一環として推進を図るべきじゃないかと思うんです。また、しかもそれが耳の聞こえない方々、お話のできない方々、目の不自由な方々の社会復帰や雇用の創出につながってくる、このように考えますが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、太田さんの御意見として非常に私は的確な御意見だとは思うんですが、実行する段になりますと非常にむずかしい問題があろうかと思います。と申しますのは、これは厚生省ばかりではなく、どこでも共通でありましょうけれども、たとえば国立病院あるいは役所というところ、そう余剰人員を持って仕事をしている状況ではございません。そうなりますと、手話による会話の習得というものがそう短期間で習得できないものでありますだけに、実際にやろうとするとなかなかこれ困難があるんじゃないかと思います。おかげさまで、いま手話奉仕員の登録数も相当ふえてまいりましたし、手話通訳の方がi設置数もふえてまいりましたので、私どもとしては、もちろんこういう状況になる、いま御指摘のような状況になることは望ましいことでありますけれども、実態としてはなかなか困難があると思いますので、今後できるだけの検討はしてみたいと思います。
○太田淳夫君 それでは次の問題に移りますが、国民年金の特例納付の問題でございますが、国民年金特例納付は現在三回目が行われていますが、保険料一カ月分がこれ四千円ということでございますので、高いのではないかというようなお話も私たちのところに入るわけですが、こういうことを実態として御掌握になってみえませんでしょうか。
○政府委員(木暮保成君) 昨年法律改正をいたしまして、第三回目の特例納付をいたしたわけでございますが、その際、私どもの方からは月額四千円でやらしていただきたいということで御提案を申し上げたわけでございます。その四千円につきまして、高いのではないかという御議論をいただいたわけでございますが、結果的には四千円という原案で御承認をいただいたわけでございます。 で、私ども四千円という金額を考えましたのは、国民年金という制度自体が、国民の方々から長い間保険料を納めていただくということを基礎として成り立っているわけでございます。厚生年金の場合には職場単位に適用いたしておりまして、事業主に保険料を納める義務を課してございますので、まあ表現がどうかと思いますが、保険料が取りやすいわけでございますけれども、国民年金の場合には一人一人の被保険者の方々が自発的に保険料を納めていただく、こういうことの上に成り立っておるわけでございます。したがいまして、特例納付というようなことでいろいろ事情はあったと思いますけれども、過去に保険料を納めなかった方の処遇をいたします場合に、こつこつと保険料を納めてきた方とのバランスをどうしても考えなければならない。そういう観点に立ちますと、やはり現在の保険料よりも低い保険料ということではバランスがとれないのではないか。今度特例納付は二カ年間を期間としてやるわけでございますけれども、その二カ年間の最終年度の一般の保険料は四千円近くなるわけでございますので、その一般の保険料よりも低くならない程度ということでお決めをいただいたわけでございまして、国民年金の特殊な事情を御理解いただいて、この四千円でお願いをいたしたいというふうに思っております。
○太田淳夫君 過去二回の特例納付のときに、政府はこれに対して何らの施策も講じなかったわけですので、市町村は貸付制度を設けましてやらざるを得なくなりました。今回は最後の特例納付ということなので、政府も貸付制度というものをやると、こういうことをお聞きしておりますが、これはどのような制度か、またその実施時期とか貸付限度額あるいは利子等具体的に説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(山下眞臣君) 資金といたしましては世帯更生資金でございます。世帯更生資金の中には、生業資金、就学資金等々、各種の資金があるわけでございますが、その中の福祉資金というのを考えておるわけでございます。 現在の福祉資金の貸付条件は、貸付限度額十二万円、据え置き期間六カ月、償還期限三年、それから利子年三%という条件であるわけでございますが、実はこの世帯更生資金の各種の貸付条件等につきましては、例年、予算が成立いたしました段階で基準改定をいたしているわけでございます。今年度におきましても、予算成立しました後その改定を考えておるわけでございますが、ことしは特にこの特例納付に関する事項が盛り込まれておりますので、その改定の際に、その限度額等の問題につきまして十分検討をいたしたいと思っておるわけでございますが、もう先生よく御承知のとおり、この問題につきましては社会労働委員会におきまして、昨年附帯決議がつけられておるわけでございます。その経緯、趣旨等を十分考えまして定めたいと、かように考えておる次第でございます。 なお、時期につきましては、例年大体六月ごろになってしまうんでございますけれども、ことしは実はこの問題がございますこともございまして、大臣からできるだけ急げと、こういう御指示をいただいております。例年よりも早くいたしたいということで努力をいたしたいと考えております。
○太田淳夫君 そうしますと、五十四年度の予算書の中の世帯更生資金として十億円がプラスされている、これがそれに該当するわけですか。
○政府委員(山下眞臣君) 例年、世帯更生資金、新しく原資を追加いたすわけでございますけれども、二、三億程度の増加をしてきているわけでございますが、五十四年度におきましては、いまお話がございましたように三十九億ということで、例年よりも十億多く原資追加、国庫補助の追加をいたしているわけでございます。これは三分の二の国庫補助でございますので、その半分程度はまた都道府県でも原資追加をするというようなことで、その中でこの貸し付けを行うということでございまして、御指摘のとおり、ことしの世帯更生資金の原資の増加を例年よりも高くいたしております理由の大きな一つがこの特例納付のものであるというふうに御理解いただいて結構だと思っております。
○太田淳夫君 世帯更生資金貸付制度要綱の目的を見ますと、これは低所得者になっておりますね。この低所得者というのは具体的にどの程度の収入を指してみえますか。
○政府委員(山下眞臣君) これはまあ年金の所得制限なんかのように、何十何万円以下とか、そういう明確な決め方はいたしておりませんのでございます。ただ、考え方といたしましては、おおむね四分位に国民の所得を分けた場合の第一・四分位階層とか、あるいは市町村民税の均等割のみの課税世帯、所得割は納めておらぬ世帯というような程度のところを対象に考えまして、その地域の実情に応じて低所得者として貸付対象を選んでいくと、こういうやり方をいたしている次第でございます。
○太田淳夫君 そうしますと、今度できます貸付制度は、所得は低所得者以上の方、あるいは生活保護世帯にはこの制度は適用できないということになるわけですか、その点どうですか。
○政府委員(山下眞臣君) 低所得世帯、生活保護世帯、下の方のというか、低所得の階層の方にはお貸しを申し上げる、いわば所得税等も納めておるような比較的所得の高い階層の方をこの世帯更生資金は対象としては考えておらないと、そういうことでございます。
○太田淳夫君 まあ、これは御承知だと思いますけれども、富士銀行では五十三年四月一日から、あるいは横須賀市でも四月一日から、茨城県の一部では五十三年十月一日からこの特例納付のために独自で、あるいは一部の金融機関と連携をとって融資の方途を開いてきておりますね。これらがどういうものなのか説明願いたいと思います。
○政府委員(持永和見君) 先生御指摘の富士銀行の分でございますけれども、まず富士銀行の分から申し上げますが、富士銀行は融資額が十万から五十万、融資期間が三年以内、利率が年九%、融資条件が前年の収入百五十万以上の者ということと、それから勤続年数三年以上、または現住所での居住年数一年以上というような条件で融資をすることになっているやに伺っております。 それから、横須賀市でございますが、横須賀市は、市金庫の取り扱い銀行でございます横浜銀行、駿河銀行、協和銀行、横須賀信用金庫、三浦信用金庫、そういう市中銀行に対しまして、横須賀市が協力して貸し付けを行っているというようなかっこうになっておりまして、融資額が十万から七十万、融資期間が三年以内、利率が年七・七%、融資条件としては市内に引き続いて一年以上居住していること、あるいは本人または就業している子供というような融資条件でございます。 それから茨城県でございますけれども、茨城県は常陽銀行などを通じまして貸し付けを行っておりまして、融資額が五十万、融資期間が同じく三年でございます。利率が八・二二%あるいは七・九八%という大体八%前後ということで、これは年収八十万以上の人というような融資条件になっております。
○太田淳夫君 これは五十三年の四月二十五日の社会労働委員会でも、同僚の小平議員からいろいろ指摘をいたしてまいりましたように、政府の方の打つ手が遅いばかりに、こういった市町村で融資制度を考えざるを得ないわけです。ところで、これらの融資と政府の実施しようとしている融資に利子の差が見られるわけですね、先ほど政府は三%というお話でした。ですから、たとえば二十四万円を借りた場合、元利均等で返済するとした場合、どの程度の利息の差が出てくるかということをちょっと計算してみたんですが、世帯更生資金の場合には二十四万円の貸出額で借りて、年利が三%、元利均等月賦払いで六千九百七十九円ですから、元利合計で約二十五万一千二百四十四円ということで、利息は一万一千二百四十四円になります。横須賀市の場合は、これは利息が年利が七・七%ですので、利子は二万九千五百六十八円となります。茨城県の場合は、利息が八・二二ですので、利子が三万一千六百二十円。富士銀行の場合は、年利九%ですから利子が三万四千七百五十二円となるわけです。それぞれ世帯更生資金との差額を見ますと、横須賀市の場合は一万八千三百二十四円、茨城県は二万三百七十六円、富士銀行は二万三千五百八円ということになりまして、それぞれ利息が高くなっているわけですが、このような問題をどのように克服されていくかということをお尋ねしたいと思うんですが、たとえば利子補給制度を考えるとか、そういった点はどうでございましょうか。
○政府委員(持永和見君) 特例納付の保険料につきましては、先ほど来お答えしておりますように、従来こつこつと保険料をまじめに納めてきた人とのバランスも考えまして、できるだけ本人が自助努力をなさるのが基本的な線であろうかとわれわれは考えております。ただしかし、そういう場合に、どうしてもそういった保険料の財源と申しますか、そういうものがどうしても見つけることが困難な低所得、そういった低所得の人たちについては政府としても何らかの措置を考えるということで、先般の社会労働委員会でもいろいろと御議論をいただいたところでございます。 ところで、いまお話のございました横須賀市あるいは富士銀行のローンでございますけれども、これはあくまで民間のベース、民間金融のベースで行われているものでございますし、また、言うなれば私的なものでございます。したがって、それとあわせまして、一定の所得以上というような人も対象にしておるというようなこともございます。そういうことでございまして、そういう任意的な制度であるというようなことを考えますと、本当に困る人には世帯更生資金を充てるということが本来の筋であろうかと思いますので、こういう民間ローンにつきまして、政府として利子補てんを考えるというようなことは考えておりません。
○太田淳夫君 石川県の例ももうすでに御承知だと思いますが、この四月一日から利率は一・五%で貸し付けを実施するということですね。このように施策がおくれている間に地方公共団体では前回と同じようないろんな手を打っているわけですけれども、しかも地域によってまちまちな状態になってきておりますが、その点についての見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(持永和見君) 御指摘の石川県につきまして、ことしから県の単独事業としてそういった特例納付に対する融資事業をやるというような話を承っておりますが、これはあくまで石川県独自の単独のものだというふうに理解さしていただきたいと思っております。 政府といたしましては、先ほども社会局長からお答えいたしましたように、世帯更生資金の貸し付けをできるだけ早く実施するということで対処するということで御理解をいただきたいと思います。
○太田淳夫君 私たちも、この無年金者の方々が全国で百万とも二百万とも言われているわけですから、この方々に対して国民皆年金の立場から、このような特例を設けられることは決して私たちも反対しているわけじゃございません。むしろ大いにやっていただきたいわけでございますが、幾分にもまだまだ周知徹底が弱いような感じがするわけです。こういう特例納付を実施しなきゃならないほど現実には未加入者がいるし、まだまだ知らない方々もお見えになるんじゃないかと思います。 一つは、来年国勢調査を予定されておりますけれども、きょう総理府お見えになっておりませんので、厚生大臣にお願いするわけですが、ぜひとも年金の加入の有無を調査の項目につけ加えるようにひとつ働きかけていただきたい。 それから、そういった未加入者に対する厚生省のPR等の対策もさらに一歩も二歩も進めていただきたい。このことを最後にお願いして、質問終わりたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 第一点の国勢調査の項目の中に年金問題についての項目を設けるということにつきましては、御要望でありますから総理府に取り次ぎますが、私はこれは国勢調査の項目についてふさわしい項目であるかどうかについては、必ずしも太田さんと意見を一にいたしておりませんということも申し添えさせていただきたいと思います。 また、第二点の厚生省としてこの特例納付について、また年金全体についてもっと一層PRをし、普及徹底を図れという御指摘につきましては、私どももその点を感じておる部分が幾つかありますので、今後ともに努力をしてまいりたい、そのように思います。
○主査代理(上田稔君) 太田淳夫君の質問は終わりました。 ちょっと速記とめてください。 〔速記中止〕 〔主査代理上田稔君退席、副主査着席〕
○副主査(太田淳夫君) 速記を起こして。
○和田静夫君 私は、薬事法の改正作業の過程で仕入れ販売の記帳義務を販売業者にだけ課することは厚生省の流通介入であると判断をして、予算の総括あるいは一般の質問の中で意見を述べてまいりました。大臣との友情は別にいたしまして、いろいろ読んでみますと、橋本厚生大臣は昨年十二月十二日、日本医師会の常任理事会に出席をされております。そのときの議事録が日本医師会の雑誌の五十四年一月一日号に掲載をされている。これを見てみますと、「ブラック・マーケット対策を何らかの形でやりたい。私は、ひょっといま自分なりに考えているのは卸しというものを法制化して、記帳義務を課すことによって、ある程度たたけないだろうかというのが頭の中にあるんです」「ブラック・マーケット対策というものを何らかの形でやりたい。これが一つです。」武見さんは、そんなことじゃだめなんだよと、こう言っているんですが、それにもかかわらずまた後で続けられて、「しかし、記帳義務を課していくと、ある程度は防げますよ。」、こう言っている。で、武見さんは、「ぞろぞろメーカーがたくさんある限りだめなんだ。」と、こういうふうに言っていることになっているんです。そういう意味で、記帳義務を課すというのは流通介入ではないと大臣言われながら、あるいは大臣の意見であるかお役所の愚見であるか知りませんが、本当は、このお話を読む限りにおいてはやっぱり流通介入をするということになる。したがって、その意味では、介入したいという心構えで、そういう思想性をお持ちになって行政に当たっておられるということがこの座談会の中では明らかになる。私の読み違いではないと思う。したがって、私は省令などで将来記載義務を課するとすれば、流通介入を目的としない、また、そういう流通上の何らかの効果を引き起こさないということ、これをやっぱり大臣がはっきり約束をされておくべきだろうと、そういうふうに思うんですけれども。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いま引用された記事は確かにそのとおりでやりとりをいたしております。ただし、それと同時に、私自身がもう一つ思っておりますこと、そのもとにあります部分については、これはもう・和田さんよく御承知のように、ここ何回かいわゆるにせ薬というものが問題になりました。そして、それがにせ薬とわからないままに医療機関に流れた例もございました。私どもとしては、こういう事態は非常に心配なんです。そしてそれが正規の卸ルートで流れたものでないことも、これは和田さん御承知のとおりであります。そうすれば、やはりそういうものを、薬務行政を預かる立場とすれば当然考えていかなければなりません。その中で、私は、確かに卸の法制化というものを考え、そしてブラックマーケットというものの中でそうしたやみ薬が流れていく——にせ薬ですね、にせ薬が流れるような状態というのはやはり改善する必要があると思っております。ですから、これはよく議論になる現金問屋さんの話なんかにしましても、正規の商品を扱われて正規に流れている限りにおいては、別にそれを特にとりたてて問題にすることもないでしょう。しかし、現実にやはりにせ薬が流れるような事態というものはこれはとめなければならない、私はそう思っております。 ですから、いま御指摘になりましたような点につきましては、公正取引委員会等とも最終的な意見調整を現在やっておる段階でありますから、最終の結論を政府としてまだ出しておりません。ですから、その結論が出た段階において、どういうふうな意見を申し上げるべきか、その時点の最終案を待ってむしろお答えは申し上げたいと思います。ただし、やはりにせ薬がはびこっていくような、それが医療機関に流れるような危険だけは、どんなことがあっても防止をしなければならぬということもこの機会に私は申し上げておきたいと思います。
○和田静夫君 そこの部分については私は別に異論は言いません。その偽造薬品の問題については後ほど触れますが、警察庁にも来てもらっておりますから。問題は、やっぱりここで非常に重要に考えなければならないことは、流通に行政が介入をしないということですね。それは行政機構上、法令上、やっぱり私は当然のことでなければならぬと、こう思っているんです。したがって、結果として流通介入になるような手段でもって将来何らかの行政措置をとることは厳に慎まなければならぬ。 そこで私は、先日一般質問のときに中野局長が答弁されましたように、医療機関を含めて記帳義務を課すことの検討の約束があったわけでありますが、そういう意味では、逆に考えてみれば、販売業者など一部分だけに対する記帳義務については将来ともその構想はやめられる。一部分だけですね、一部分だけはそこに義務を課すということはやめられる。これは大臣、お互い政治の問題として判断をしたいので、大臣の御答弁を……。
○政府委員(中野徹雄君) 先般和田先生からの御質問がございまして検討いたしまして、一つには、医療機関というのは、現在の医薬品の流通過程におきましては、いわば最終ユーザーというかっこうになっているわけでございます。医療機関におきましては、御承知のように、医薬品の使途についてはカルテに記載されてその使途が明確になるという面もございますし、また医療法上もこのような問題についての規制はできる形になっております。私ども、いま現在の段階といたしましては、流通面は全部、たとえば遵守規定といったようなもので、その流通に当たっての遵守事項のようなものを省令で考えたいというふうに考えておるわけでございますが、医療機関に関しましては医療法の規定がございますので、またそのカルテの記帳義務もございます。最終ユーザーまで全部しばる必要があるかどうかという問題もあわせまして、これは、いずれにせよ省令段階の話でございますから、私どもとしては考えていきたいと思っております。 それで、ただ、先生の御指摘の中の全部にかけろという点は、卸のみならず、事柄の性質から申しまして薬局、一般販売業、すべてに同じような医薬品の特性に応じた規制を行うべきだと、かように考えております。
○和田静夫君 物価局長に尋ねますが、そういうような論議をずっとやってきまして、ひとつ私は、物価の面からこの問題をもう一遍見直しておく必要があると思っているのは、これは公正取引委員長も、前回の質問に私に答えて、記帳義務を課すことが薬価基準の高値安定を招くことになるかもしれないという懸念をお持ちなんですね。この高値安定は、二兆円もの売り上げのある医薬品には非常に大きな物価問題だろうと思うんです。保険料の引き上げにつながりますし、あるいは国民生活に大きな影響を与える、そういうふうに思います。したがって、物価官庁たる経済企画庁はどうお考えになりますか。
○政府委員(藤井直樹君) 私ども、やはり医療費の中の薬価の動きがどうなるかということについては、生活に非常に関係する問題として関心を持っております。そういうことで、従来とも薬価基準の動きについていろいろ私どもなりに勉強しておりますけれども、今回のお話は、記帳が安全性の増進にある、安全性の増進の観点から、問題の薬品が出た場合にそれをどう解消していくかというところに一つのポイントがあるように聞いているわけでございます。それなりに意義が大きいと思いますが、これがどういう形をとっていくかということについては、私どもとしては適正な競争によって価格が形成されていくということが、その場合確保されるということが望ましいのではないかと考えております。
○和田静夫君 文部省ね、先日時間の都合でお呼びしなかったんですが、そして厚生大臣に軽く一蹴されたわけですがね。記帳義務を課すこと、いわゆるやみ再販、大学病院への高値納入となっていることは現実なんですね、これは経営の悪化につながると思うんですが、おたくの方はそう思いますか。
○政府委員(西崎清久君) 大学病院の薬の購入でございますが、やはり品質管理の問題、安定供給の問題、それから低廉な価格の購入、こういう三つの問題として私どもはとらえているわけでございますが、薬の購入については、やはりそれぞれの地域の病院におきまして、それぞれの業者の方方の競争入札機会というものをセットいたしまして、そしてそれぞれの予定価格に応じて購入をしていくというシステムをとっております。したがいまして、地域差がそれぞれの地域においてあるということは事実でございますし、その価格が一般の価格についてどうかという点、先生の御指摘が非常に高いではないかという御指摘ではございますが、私ども調べております限りでは、市販価格よりはかなり低く入れておるという実情はあるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、今後も低廉な価格の購入という点については十分指導してまいりたいというふうに考えております。
○和田静夫君 あなたそういうことを言うんなら、大学病院の使用頻度の高い主要医薬品三十品目、その購入価格表を提出してください。国立病院だって公立病院だって結果的には高値で入れているということは、参議院予算の総括の質問の中で、総理を含んでちゃんと認めていることなんだから、あなた大学病院のでたらめなことを言ってもらっちゃ困るんですがね。
○政府委員(西崎清久君) ただいま先生のお話の点でございますが、資料を後ほど出させていただきますが、私ども全部の大学の資料を取り寄せておるわけではございませんので、いま手元にありますものの資料で提出させていただきたいと思います。 私、若干言葉が足りなかったかと思いますが、市販価格に比較しまして一〇%とか一五%とかというふうに安いという実情をとらえて、先ほどそのように申し上げた次第でございます。
○和田静夫君 それはあなたから三十品目のあれをもらってから私が全部反駁をしますから。 そんな話になりましたから、これ厚生省にもちょっと求めましょう。国立病院の使用頻度の高い主要医薬品の三十品目について、購入価格表出せますかな。
○政府委員(佐分利輝彦君) ただいまでもお出しできます。
○和田静夫君 それじゃ厚生省、文部省、後でいただきます、時間がありませんので。 そこで、私が一つ心配していることは、この流通への介入がそういう形で——まあ大臣の談話をそのまま読んでの話ですよ、ある意味での記帳義務につながるということになりますと、メーカーのやみ再販のそういう仕組みの強化あるいは国公立病院への高値の納入、それから薬価基準の高値の安定、そういう結果をもたらすということになろうと思うんです。三月二十三日に質問をいたしました国立横須賀病院あるいはいま文部省の関係の信州大学の例のように、国立大学病院の医薬品購入が現在のやみ再販体制、卸業者の談合により、三月十二日に渡辺参考人が私に答弁をされましたように、民間より高価格で購入される、こういう形になっています。ここはいまそれぞれ三十品目のものが出てきた段階で、もう一遍社会労働委員会かその他直接皆さん方と話し合って、どういう形でこの辺改善をするかというのは、入札のやり方の問題その他いろいろあるでしょうし、あるいは一部起こっている現金問屋を指名しながら排除をするというような問題もあるだろうし、その辺の改善の問題というのは、やっぱり両方でもって協議しながらやっていく必要があろうと、そういうふうに思いますから、ここは意見を述べておきます。 そこで、先ほど大臣が言われました偽造薬品、それからしばしば口にされます盗品が出回るということ、そういう理由が挙げられるわけですね。警察庁、この実態を報告をしていただきたいんですが、年何回ぐらい一体あるのか、それからその金額というのは一体どういう状態なのか。私はこれが記帳義務の法改正の理由にはならぬと実は判断しているんです。記帳によって盗難を予防することができるだろうかと思って考えてみれば、そんなことはできるわけがないだろう、盗難を扱うようなところを前提に考えてみると。それから、偽造行為というのはやっぱり人命に関する重大な犯罪行為でありますから、犯罪の発生や再発をどう防止するかが問題です、これは。偽造薬品の販売業者も同罪ですよ。したがって、偽造薬品と知って販売する者は、記帳義務を課したとしてもこれは記帳をしないでしょう。もし偽造薬品を知らずに販売したとすれば、それは管理薬剤師の重大な過失行為であるわけですから、そういう面から対策を講ずべきでありまして、その意味で一部にのみ記帳義務を課す、そのことが偽造薬品の発生のいわゆる流通防止という発想に短絡をするということにはどうもならないように思っているわけです。警察庁いかがですか。
○説明員(斉藤明範君) お答えいたします。 警察といたしましては、御指摘のとおり、国民の健康を侵害しまたは侵害するおそれの強い不良医薬品の製造、販売及びいわゆる健康食品ブームに便乗して食品等を医薬品として販売する事案がございますが、そういったものを重点に取り締まりを行っておるところでございます。五十三年一年間の薬事法違反の総件数は三百七十三件、ちなみに五十二年は三百八十六件、大体毎年その辺でございます。この中にはいろいろな違反が含まれておりますけれども、いわゆるにせ薬の販売に当たるものといたしましては、無許可販売百四十九件、医薬品の無許可製造二十三件、こういったところが中心に相なろうかと思います。一口ににせ医薬品と言いましてもいろいろございまして、全くのにせ的なといいますか、いわゆる健康食品を医薬品として売るようなケース、これが実は多いわけでございますけれども、そのほかに、承認されました成分をある程度変更といいますか、ごまかしてつくるといったような事案、あるいは全く無承認の医薬品に効能効果をうたって販売する事案、こういうのをひっくるめまして、にせ医薬品あるいは不良医薬品ということになろうかと思いますが、件数といたしましてはそういう状況でございます。 〔副主査退席、主査着席〕 なお、健康食品ブームに便乗してそういったにせ薬が出回るということが多いわけでございますが、この状況をちょっと申し上げますと、五十二年以降昨年の十月まで、いわゆる食品をつまり医薬品として販売した品目の数から言いますと、五十三品目もあるわけでございます。その中では新聞で報道されました霊原素アトムといったようなものがその典型的な事例でございます。 なお、医薬品が盗まれた事件というのがどのくらいあるかということでございますが、すべて本庁に報告をさしておるわけではございませんが、警察庁に報告のありましたいわゆる医薬品の盗難事件で未解決の事件といたしましては、五十三年中は三十九件、五十二年中は二十一件、ことしに入って十三件、合計しまして五十二年以降は七十三件という状況でございます。中身といたしましては、病院が圧倒的に多いわけでございますが、その中の医薬品目といたしましては、七十三件中鎮痛剤が四十七件を占めている。そのほかにごく一部ではございますが、モルヒネとか、麻薬と抗生物質といったようなものもございます。こういった盗まれたものが再び販売ルートに乗っておるかどうかにつきましては、私どもで具体的に把握はちょっといたしておりません。おおむね、この前も新聞に載りましたように、内部の准看護婦がいろいろその処方せんを偽造して持ち出して自分が使ったり、あるいは友人に流しておったりというようなことがほとんどでなかろうかと思っておりますが、それが正規の医薬品で販売店頭に出ておる場合については、なかなかこれはむずかしいわけでございます、正規の医薬品の場合に。ただ、去る三月の五日に佐賀県で薬品倉庫から百三万円相当の普通の医薬品が窃取された事件がございますが、これが出回っておるというようなこともちょっと当方といたしては現在のところ把握いたしておりません。 以上でございます。
○和田静夫君 いわゆる盗品があなた方の手によって解決をされた場合、そういう場合には現品はどうされますか。
○説明員(斉藤明範君) 実は盗難事件につきましては、公害課の主管でございません、捜査一課の主管でございますが、それは法に定められた手続によって正規の医薬品であれば処理をしているということでございますが、不良医薬品であればこれはもう没収ということに相なろうかと思います。
○和田静夫君 ちょっと質問の仕方がまずかったんですが、そのやっぱり行き先まで全部追っている——すでに故買されたものについて。
○説明員(斉藤明範君) その辺はちょっと主管課でございませんので、御質問に対する適切な答弁をいたす材料を持っておりません。申しわけありません。
○和田静夫君 大臣、回収についてなんですが、一つの病院に二つ以上の卸業者が同じ薬品を納入した場合、他の業者が納入したものまで回収されてはたまらない、そこでお互いにできるだけ遅く回収する方が得策であるとの考え方が、これは業者の実態でしょう。卸業者の実態でしょう。このことは、この前、参考人に来てもらった渡辺徹太郎さんもそういうふうに発言されているわけですがね。で、これが卸業全体の考え方であるとすれば、こういうような実態から考えてみても、私は記帳義務というのは回収に役立たないんではないだろうかというふうに考えているんです。これは素人の発想であるかどうか知りませんが、そこで、厚生大臣の言われる迅速確実な回収を行うと言うのならば、全薬品にやっぱりだれでもわかるような製造番号、製造年月日あるいは製造場所、そういうものを表記させる。そして、要綱第三の一による緊急措置命令の出た薬品、あるいはこの二の承認取り消し薬品については、これはメーカー公表の義務を課する、それからメーカーに医療機関よりの直接回収義務を課する、あるいは販売業者には回収の協力義務を課する、そういうことが、大臣が危惧されていることに対応するのには私ははるかに実効性があるんじゃないだろうか、そういうふうに思うんです。いかがですか。
○政府委員(中野徹雄君) 実は回収の問題というのは、普通たとえばメーカーから一次卸に参りまして、一次卸から二次を通すかどうか別としまして、医療機関に行ったとします。そういたしますと、医療機関から卸に返品され、卸からメーカーに返品をされる。そういう逆経路の回収を考えているわけでございまして、その場合に、たとえばメーカーから卸に渡した価格自身を自分の卸の当該メーカーに関するもらい分から引くといったようなそういう回収に伴う費用の問題も絡んでくるわけでございます。その意味におきまして、私どもはやはり連鎖的に動いていく医薬品を逆経路で回収をする、その間の決済を進めるというふうなことだけを考えておるわけでございます。それを全部メーカーに集めるというようなことは物理的にも方策として非常にむずかしい話ではないか。物流自身が全部卸を通じてやっておりますので、その物流経路を逆にたどるということしか実際上の方法としてはないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。現実にメーカー自身はそういう物流業務をやっておらないわけでございますから、そのルートをたどることが一番適切ではなかろうかと、かように考えております。
○和田静夫君 もう時間ですから、私が薬事法の一部を改正する法律案の作業過程で疑義に感じたことについての数点にわたって、今度の予算委員会の全体を通じて意見を申し述べてきました。したがって大臣、十分にこういう意見があったことをしんしゃくをされまして、そしてこの作業に当たっていただきたいと思います。よろしいですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは和田さんの御意見は十分承りましたし、この中において、発想は違ってもねらうところは同じような部分を考えておられる部分が多々あることもよく承知しておりますので、今後ともに十分私どもとしての参考にさしていただきます。
○下田京子君 私は、筋ジストロフィーなどの難病対策、これについてまず大臣にお尋ねしたいわけなんですが、大臣は所信に当たりまして、ことしは国際児童年でもあるというふうなことで、そういう中で「次代の社会を担う児童の健全な育成と資質の向上を図ることの重要性は、幾ら強調しても強調し過ぎることはありません。」、こうおっしゃられております。これは全く同感であります。 ただ、現実はどうかと言えば、いまだに病気の原因すらわからない、だから治療方法もわからない。同時に、こうした難病とあわせて障害者を抱えたお母さんあるいは子供たちが、心中事件、こういったことも相次いで起きている。御承知のとおりだと思います。 こういう中で、本当に子供が、児童憲章でもうたわれておりますように、人としてとうとばれ、なおかつ社会の一員として重んじられてよい環境の中で育てられるような、そういう難病対策、障害者対策というものが必要かと思うのですけれども、それらの施策を進めるに当たっての大臣の基本的なお考え方、理念とでも申しますか、私、お聞かせいただきたいと思うわけです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いま下田さんの御指摘になりました問題点は幾つかの要素を含んでおるかと思います。いま私の所信表明を御引用いただきましたが、事実そのとおりでありまして、ことしの国際児童年というものに当たって、日本の母子保健行政というものを根本的に見直すんだと私が申しております理由もそれにほかなりません。およそこれら難病といいますか、難病ばかりではなく一般の心身障害等も含めまして考えていきます場合に、一つはその発生を予防すること、またその予防が不幸にして実らなかった場合にはそれを診断し治療する技術を生み出すことというものは、これは基本的に必要な問題点であります。ですから、私は一方で心身障害児対策を進める、同時に母子保健対策を進める、それを国際児童年における厚生行政の一つの基本姿勢にするんだということを申しておりますのは、必ずしも、いまございます母子保健法等で時代の要請に十分対応し切れておらないという気持ちを私自身も持っているからでありまして、今後ともにそういう方向で進めてまいらなければなりません。 ただ、下田さんちょっと御指摘になりました中で、私は、難病の場合には必ずしも児童と限って考えるわけにはいかないと思います。これはむしろいわゆる特定疾患、現在四十三研究班をつくりながら研究に当たっておるわけでありますが、これはそれこそ子供さんにとっても大変な苦痛であると同時に、それは大人にも実は難病はたくさんあるわけでありまして、難病、いわゆる特定疾患対策というものについて、必ずしも私は児童行政からのみ考えるのは当たらない、これは従来からとってまいりました特定疾患対策という一つの延長線上で今後ともに対応していくべきものと、そのように思います。
○下田京子君 一般的に筋ジストロフィーなど難病対策と最初に申し上げましたから、そういう受けとめ方あったかと思うんですが、私は、特にことしは国際児童年であるというふうな中で子供たちの置かれている環境、その中でのこういった対策についてということの、それに当たっての大きく、子供だけじゃなくて、これは大人の方も含めた障害者対策あるいは難病対策の基本的な考え方、理念、そういったものをお尋ねしたわけなんです。大臣はいま発生の予防であるだとか、あるいは診断、治療と申されましたけれども、それは一つの対策上の問題であると思うんですね。私は基本的にこれらを進めていく上での考え方をこう押さえていただきたい、いわゆる理念、すなわち身体障害者福祉法、心身障害者対策基本法ですか、それから児童福祉法、こういった法律ございますが、いろいろ目的やらあるいは対策やら述べております。私は、大事なことはその中での個人的尊厳といいますか、こうした人たちも、子供も、すべてがやはり一個の人間としてとうとばれていく、そしてまた生きていく権利が保障されるというものでなければならないと思うんですね。こういうことをやっぱり基本に置いていろいろ対策も考えられると、そのことをお聞きしたがったわけなんです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変申しわけありません。ただ、実はそうした基本理念というものは私どもとしては当然のことでありまして、広く私どもが国民の福祉の向上を図っていく中で、心身障害児、心身障害者、もちろんひとしく幸せな生活ができるように環境をつくっていく、その中において私どもの役所として受け持つ部分は率直にいま申し上げましたような部分が中心でありまして、これは厚生省だけがいわゆるその心身障害児対策あるいは障害者対策というものを担うわけではございません。たとえば障害者の方々の生活の利便を考えれば、住宅建設の配慮が必要でありましょうし、交通安全対策も必要でありましょうし、またことしから養護教育、養護学校が義務設置になるわけでありますから、教育の面からの配慮も必要でありましょう。そうしたものは当然踏まえた上で、私どもの厚生省としての行政の中で考えるべき点と実は理解していまのように申し上げました。
○下田京子君 一つは安心しましたし、一つは問題意識を深めたんですが、なぜ安心したかと言えば、厚生省のお仕事をされていく上で、いまの難病対策にしても心身障害者の問題にしても、子供も大人も含めて個人の尊厳であるとか、人間として生きる権利であるとかということは行政の基本的な考えだと、これは当然だと、こうお話があったわけです。私はこの当然だという御理解大変大事にしていきたいんですが、しかし、片や本当にこの当然だと言われることが守られているというか、現実に生かされているんだろうか、個々の分野で、ということについてのいろいろ疑問を感ずるわけなんです。 それは、以下述べたい点は、実は私のところに一昨年なんですけれども、茨城県で当時中学二年生十四歳の香取裕君という少年から手紙が届いた。こんはみんな読むわけにいきませんので簡単に主なところだけ言いますと、「今日は、下田さんにおねがいしたいことがあるのでお手紙を書くことにしました。ぼくは、今年十四才になる筋ジストロフィー症の男の子です。」「生きている間は不自由にしばられ、しかもたった一回の人生が、空っぽのまま終ってしまうのかと思うと、ぼくにとって筋ジストロフィーという病気は、重荷だけど少しもくいてはいないつもりです。もし普通の体だったら、「生きる」ということをこんなに深く考えなかったと思うからです。たとえ短かくとも、自分の納得の行く人生を生きようと、これからもがんばって行くつもりです。」、こういうことで手紙が届いたんですけれども、この少年の発病経過等聞きますと、小学校一年のころに発病している。四年生のころに自分がどういう病気なのかということを大体自分でも理解していたようです。中学校に入ったらもう車いすにも座っておれなくて、教室に座布団を持ち込んでそこに座って勉強をする。 実はもう昨年十一月三日、文化の日に十六歳という短い命を断ったわけなんですけれども、もう死期が近づくと、それを自分でも理解してかどうか、とにかくもういろんなものを吸収しようとして、テレビは見る、新聞は見る、ラジオは聞く、もういろんな雑誌も見るというふうな生涯を送った。この少年のお宅がどういう状況だったかということなんですけれども、実はこの少年のお母さんは国立療養所などあるけれども、そういったところに入れるよりも、大体この病気に関しては何歳ごろまでなのかという、その命のあれがわかると、期間がわかると、できるだけお宅でめんどうもみたいし、できるだけ治療も受けたい、教育もしたいというふうなことで在宅で療育を続けてきたわけです。 私はここでお尋ねしたいことは、いま確かに国立療養所等々で研究されているというお話も聞いています。後で詳しいことはお聞きしたいと思うんですけれども、在宅しているこういった筋ジストロフィーの少年も含めて、難病にかかっている特に子供たちですね。療育——療養をしながら教育を受けるというふうなこと、これに一面ではやっぱりこたえていかなければならないんじゃないかと思うんです。そういう点で在宅療養、療育を受けているこの筋ジストロフィーの子供の数等具体的に調査しておられるかどうか。
○政府委員(竹内嘉巳君) 昭和四十五年の十月の実態調査では、在宅児が千百人、それからその調査時に国立療養所に入所しているのが八百人、計千九百人と言われておりますが、なおその後昭和四十八年三月に児童相談所を通じまして別に行政調査という形でいたしましたところ、千九百人が約二千百四十人程度というふうに、行政的にその後の数字として把握をいたしております。
○下田京子君 四十五年当時のときには、国立療養所に入所されている子供さんの方が少ないような数ですけれども、四十八年の調査ではどうなっているんですか。
○政府委員(竹内嘉巳君) 筋ジストロフィーの関係につきまして、その後ベッド数も増加をさしておりますので、現在の段階では千七百九十四というふうに私ども理解しております。
○下田京子君 そうしますと、全体で二千百四十ということで、国立療養所に入所されている子が千七百九十四ですから、その差が在宅というふうに思われますね。としますと、在宅の皆さんがどういうふうなかっこうで療育を受けられているかということについての御調査などはされていますでしょうか。
○政府委員(竹内嘉巳君) 調査と申しますよりも、行政上の援護対策ということになろうと思います。在宅対策は肢体不自由児の援護対策というものの一環として行っておりますけれども、経済的な援護措置といたしまして特別児童扶養手当、それから福祉手当の支給、それから必要に応じまして育成医療あるいは日常生活用具の給付並びに補装具の交付、それから、いわゆるホームヘルパーでございますか、家庭奉仕員の派遣、それから家庭における介護がきわめて困難な場合には、一時的にしかるべき施設に入所させるという方針、それから児童相談所等によります療育相談、それから国立療養所の委託ベッドヘの一時的な入所による指導訓練、そのほかに筋ジストロフィーの関係の親の会の方々の療育相談といったようなことにつきましても、国の方として補助金を支出する等によって充実を図ってきておるところでございます。
○下田京子君 ただいまのお話の中で、特にこういう病気を抱えられた皆さん方の医療についての、教育についての、そういう面でのいろんな相談、お話の中でも児童相談所あるいは相談活動などというのが出てきましたが、具体的にそのほか保健所なども対応されていると思うんですけれども、数はどの程度でしょうか。
○政府委員(竹内嘉巳君) 数と言われると、ちょっと御質問の趣旨が理解しかねますが、数と言われるのはどういう意味の……。
○下田京子君 たとえば児童相談所でしたらば各県ごとにしますと都道府県、一都道府県当たりどのくらいになっているか、保健所はどのくらいの数があるんだろうかとか、といいますのは、実際に病気にかかった子供を抱えたお母さんはどこに行くかといえば病院に行きますね。病院に行って、たとえばいまのような筋ジストロフィー症だと診断されたり、あるいはそのほかいろんな難病、そういうことになった、医療の問題でも相談しなければならない、これからの財政的なことも相談しなければならない、それから教育の問題だとか、いろいろあるわけですね。そういう話になりますと、大体いまの行政というのは縦割り行政であって、それは児童相談所ですよ、これは保健所ですよ、これは市役所ですよ等々になってくるというのが実態じゃないかと思うんです。そういう中で、いずれにしてもいまお話しになった都道府県当たり、あるいは全国的にどのくらいの数になっているか。
○政府委員(竹内嘉巳君) 児童相談所は全国で百五十六カ所というのが五十三年十二月末の数字でございます。また、保健所は現在八百五十八カ所というふうに承っております。 それからなお、先ほど私、答弁のときに申し上げましたように、筋ジストロフィーの親御さんの会が全国に一応支部をそれぞれお持ちのようでございまして、そういったところが国立療養所のベッドの方と連絡をとるとか、あるいは児童相談所、保健所とそれぞれ連絡をとりながら、その病状あるいは家族の方の御希望に応じた形での療育相談ということに配意はしているつもりでございます。
○下田京子君 児童相談所が全国に百五十六カ所、全国四十七都道府県だからどのくらいになるかということは推定できるわけですが、保健所が八百五十八というお話ですけれども、これは保健所全体の数でしょう。この中で、いま言った筋ジストロフィーなどの療育というふうなことの相談も受ける指定保健所となるとちょっと低いんじゃないかと思います。いずれにいたしましても、私はここで大臣に御検討いただきたいことなんですけれども、私たち共産党が社会保障の拡充計画も含めまして「日本経済への提言」、これをしました。それから、ことし三月一日に「医療改革をすすめるために」ということでも具体的な地域保健体制の問題だとか、いま言ったようなことを総合的な形で出しておるんです。その一つとしてなんですけれども、私たちが、これは児童相談所ですよ、これ保健所ですよというかっこうで患者さんが、あるいは家族が苦労することがないように地域の中に各市町村単位に、できたらばすべての市町村単位に総合福祉センターというふうなものを考えていただけないものだろうか、今後の対策なんですけれども。 それとあわせて、これは医療であるとか、それから教育であるとか、いろんな相談であるとか、総合的にやれるという意味を含んでいるんで、保健医療福祉総合委員会というふうな、仮称ですけれども、そういったものをタイアップしてつくっていく、こんな形でもって個々のいろんな相談に対応していただくことができないだろうかということですが。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 実は大変申しわけありませんが、共産党さんの発表された計画を私は読んでおりませんので、その内容そのものを把握をいたしておりません。ただ、私どもはむしろ国民の健康づくり対策全体をくるめての一環の考え方として、五十三年度から市町村における対人保健サービスを強化するために、すでに市町村保健センターの整備を進めております。この市町村保健センターは地域住民に密着した保健指導、健康教育、健康診査等の対人保健サービスを実施する拠点でありますけれども、同時に市町村保健センターというものが有効な活用をなされるというためには関連保健福祉担当者との緊密な連携を強化していく、こういうことはもちろんのことでありまして、現在までたとえば高齢者の方々や障害者の方々については、福祉施策の一環として県または市町村単位でそのニーズに応じた各種の福祉センター等を設置し、すでに生活相談、健康相談あるいはリハビリテーションの実施等のサービスを行ってきておるわけでありまして、これを全市町村に私どもが普及させていく過程において、既存のそうした関連施設とのバランスをとっていきたいと考えているわけであります。 こうした施設については、その地域の利用者の方々や、またその地域のニーズによって総合的なものを考えて、最もふさわしいタイプのものをつくっていくわけでありまして、恐らく私は共産党さんのおっしゃるセンターというのも、あるいはこれと類似をしたようなものをお考えなのかもしれないなと、いま考えておりますが、私ども自身がすでにいま御指摘になりましたような対応をする一つのベースとして市町村保健センターというものを進めておる、全市町村につくりたいと考えて、年次計画を持って実施しているということを申し上げておきたいと思います。
○下田京子君 読んでないということですから、これはひとつぜひお読みいただきたいということをお願いしておきますが、いまお話しになった市町村センターの話ですけれども、そこで私がいま話してきているような筋ジストロフィーなどを含めた難病対策の在宅患者さんの、あるいは家族の方のことも含めて、一体医療の問題から、あるいは教育の問題やら総合的なことを対応していただける機関なのかどうかというふうなことになると、これはいろいろとまたまた検討いただかなければならないことが多いんじゃないかと思います。 そこで時間もありませんから、在宅のそういう子供たちも含めまして、一つは、どちらにしても療養所に入る子も、あるいは家にいる子も含めて、療養と教育がやれるような体制ができればいいんですから、そういう体制をひとつ強化してほしいということと、それから、あわせてこの難病の場合には、何といっても病気の原因がわからないから治療が出てこないわけですから、そういう研究体制というのが非常にいま望まれていると思うんです。 特にこの少年も最後に言っているんですけれども、「ぼく達の病は待ってはくれないのです。治療法の発見が一日おくれればそれだけ病気は進行し助かる命も助からないかも知れないのです 日一日と弱って行く体に少しのあせりを感じながら治療法の見つかる日をくびを長くして待つこの頃です。」、こういうことを言われているわけなんです。難病という、そういう疾患にかかっている患者さん、みんなやっぱりこういうことをおっしゃられると思うんです。だから、要はそういうことに相談に応じてくれる、一方はそういうことに対しての具体的な研究体制をつくっていくということが重要かと思うんですね。そして総合的なことも含めた対応をしていただきたいということを最後に希望し、御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私の父親自身が小学校の三年生で発病いたしましてから十一年間の闘病生活を終わり、そして一応医学的に健康を回復した時点においては身体障害者になっておったわけであります。いまあなたが御指摘になりましたような問題は、私もその親の生活を通じてはだ身に感じておるつもりです。市町村保健センターそのものは、いまお話にありましたような親御さん方の御相談等に応じられる、また実質的に保健教育等もなし得る体系のものを考えております。 それから、いまお話しのとおり、研究が同時に並行していかなければならぬということは当然でありまして、精神神経筋疾患及び発達障害を研究する神経センターを国立ですでに対処をいたしたわけでありますし、また従来から四十三研究班をつくりまして研究に当たっていただいております。ただ、これは学問の分野の問題でありまして、私どももある意味ではいらいらしながらその研究の成果というものを待っておるわけでありますが、努力を一生懸命にいたしておるということだけは御理解をいただきたい。 最後に、文部省の方ともよく相談をいたしまして、現在文部省いろいろ努力をしていただいておりますが、在宅の未就学児童に対する、特に特定疾患等で通学のできないお子さんに対しての教育体制、これはいろいろ工夫をしていただいておりますけれども、なお一層の工夫をしていただくように文部省の方にも要請をいたします。
○下田京子君 総合的な対策としていまお話ありましたけれども、大変、施設にだけ入ればいいということでもない、かといって在宅でなければならないということでもありませんし、実際には原因等含めた、治療を含めた研究をやっぱり推進させていくことが大事だろうと思いますね。 そういう点で重ねて希望しまして、次に、同じ心身障害者の問題なんですけれども、扶養共済制度というのがこれは保険制度としてあるわけです。このことにつきまして、私が住んでおります福島県の南会津郡南郷村というところからのお手紙が参りまして、四十五年にこの制度ができたんだけれども、営々として、実際には親御さんが先に亡くなられた後の残された障害を持った子供の将来のことを案じて積み立てているわけですけれども、その際におりる保険金が二万円だ、それが変わらない、何とかその点での改善をしてほしいということが出ているわけなんです。この改善に対して、こたえて、あるいは現状を踏まえながら検討いただけないかということなんですが、どうでしょうか。
○政府委員(竹内嘉巳君) 心身障害者の扶養保険制度につきまして、これはお話しのように四十五年からスタートしているわけであります。これはもともとがいわば公的ないろんな制度に対する補完的な意味で、私的な、つまりプライベートな、私的な保障制度としての扶養共済という仕組みをとってきたわけであります。それだけにいわゆる厚生年金や国民年金のように物価スライドというようなことが制度的になかなかむずかしい面がございます。そういったことから、一部給付面におきましてかなり御不満などがあるわけであります。そういったことを考慮いたしまして、ことしの十月からということでこの付加保険という仕組みをとりまして、給付のいわば改善を一応予定をいたしてみたわけであります。現在のところ、この十月からのスタートを予定いたしまして、加入年齢がいままで四十五歳未満でありましたのを六十五歳未満まで引き上げる、給付額も月額二万円を、その付加保険の加入者はさらにプラス二万円で計四万円になるように、それから保険料につきましては、やはりその限りでは年齢に応じて千円から六千円程度までのいわば掛金額の計算ということで、この金額面につきましては目下計算中でございます。そのほかに、いまお話しのような葬祭料等につきましても、当然これは給付額に見合った形で葬祭料の引き上げを図るということで、現在、ことしの十月実施を予定いたしまして改善方式についていま取り組んでおるところでございます。
○下田京子君 現状の保険制度を十月から付加保険というかっこうでやるという、ただ料金が年齢等の問題もあって千円から六千円というふうな話ですけれども、基本的に私思いますのは、公的年金の引き上げ等ということが重要な柱になると思うんですね。ですが、こういった現在あるものについて改善を要望されている方々が大変多いということでもって、また付加保険制度をやるということなんですが、これだけでいきますと、実際には掛金がどんどん上がるけれどもどうなんだろうかという疑問もあるんですね。各都道府県なんかでは、それに対して所得に応じて軽減措置もされていること御存じだと思うんですが、そういう軽減措置を都道府県でやられているわけですから、後で資料なんかもいただきたいんですけれども、その都道府県でやられている軽減措置に上乗せして、国がいま行っている事務費補助だけじゃなくて、何とか対応していただくようなことは考えられないんだろうかということについてはどうでしょうか。
○政府委員(竹内嘉巳君) 先ほども申しましたように、心身障害者扶養保険制度と申しますのは、やはり公的な制度の補完としていわば加入者の方が生命保険を掛けて、それをいわばその社会福祉事業振興会が再保険者という形で各都道府県を事業主体としたこの扶養共済を実施しているわけでございます。そういう形でどうしても、いわば私保険のベースで運営されてまいっております。かつは、これも加入それ自体がいわば任意加入と申しますか、希望に応じてという意味で、何と申しますか、公的な強制加入方式をとっておりませんし、かつは自治体の中でも現在四十七都道府県中、東京都はこの制度とは別個に独自に実施をされております。それから、先ほどお話のあったような各都道府県ごとにいろいろと、たとえば生活保護を受けておられる方あるいは市町村民税を免除されている方、そういった段階ごとに減免の割合も都道府県ごとで相当食い違っております。そういった点からいたしまして、私どもも事務費の面だけじゃなくて実質的に保険料について上乗せをするという形よりも、何とか給付面で私ども自身も今後こういった制度の仕組みの改善ついて前向きで検討してみたい、こういう意味で努力はいたしてまいりたいと、かように考えております。
○柄谷道一君 厚生関係幾つかの大きな問題があるわけでございますが、きょうは、旧陸海軍従軍看護婦の問題について御質問いたしたいと思います。 まず第一に、厚生省は、昭和二十年一月一日現在の海外部隊留守名簿をお持ちだと思います。この留守名簿によって、二十年一月一日現在海外にあった者は、軍人、軍属、もちろんこれは従軍看護婦を含めてでございますけれども、その実態を把握しておられる、そしてこれは、引き揚げ時にそれぞれ引き揚げ港においてチェックがなされておる、こう理解いたしますが、間違いございませんか。
○政府委員(河野義男君) 陸軍看護婦につきましては、いま先生お話がございましたように、昭和二十年一月一日現在で留守名簿を作成しております。海軍につきましては、引き揚げ時に帰還者名簿を作成しております。
○柄谷道一君 その数は何名と把握しておられますか。
○政府委員(河野義男君) 陸軍の看護婦につきましては、ただいま申しましたような留守名簿によりますと、昭和二十年一月一日現在におきまして五千五百四十人でございます。それから、海軍の看護婦につきましては、引き揚げ時に作成された帰還者名簿によりますと二百一人、合計いたしまして五千七百四十一名、こういうふうになっております。
○柄谷道一君 といたしますと、現在厚生省では、二十年一月一日以前に戦地にいた、そして引き揚げが、終戦前に引き揚げてきた、こういう者に対しては把握する資料をお持ちでないということですか。
○政府委員(河野義男君) 二十年一月一日以前に内地に帰還された陸軍看護婦、それから、また引き揚げ時以前にもうすでに内地に帰ってこられた海軍の看護婦につきましては、留守名簿あるいは帰還者名簿は作成しておりませんので、その名簿によりましては実数を把握するということはできないわけでございます。
○柄谷道一君 そうすると、将及び兵については、それ以前の者も把握しておられるわけです。これは恩給の関係がございますから全部把握しておられるわけですが、なぜ従軍看護婦についてはそれ以前の実態を把握するような調査をしていらっしゃらなかったんですか。
○政府委員(河野義男君) 軍人につきましては、兵籍という各個人ごとの一貫した詳細な履歴資料があるわけでございます。まあそれはそれぞれ恩給その他の制度も当時ありまして、そういった必要もありまして、そういった資料が制度的にあったわけでございますが、軍属である陸海軍看護婦につきましては、いま申しましたような資料——そのほかの資料もございますけれども、軍人のような、そういった個人ごとの詳細な資料はないわけでございまして、そういった意味におきましては、軍人のように詳細な数、あるいはその各人ごとの履歴等は、いま現時点から把握するということはなかなかむずかしい問題であるわけでございます。
○柄谷道一君 まあ少なくても二十年一月一日には、陸海合わして五千七百四十一名の従軍看護婦がおられたということははっきりしているわけです。そこで、その海外部隊留守名簿を見ますと、本人の氏名、本籍、生年月日、役種、兵種、官等、等級、級俸、発令年月日、編入年月日、前所属、復員年月日、これが記載されているわけですね。あわせて、留守担当者の氏名、続柄、住所、給与留守宅渡しの有無、こういう欄が、私見るところみな欄がそろっております。そういたしますと、この追跡調査ということは、厚生省で可能でございますか。
○政府委員(河野義男君) いま申し上げましたような留守名簿あるいは帰還者名簿等におきましては、その限りにおきまして、その人の戦地における勤務の状況、それから勤務の期間その他把握できるわけでございますが、まあそれはあくまでその時点に戦地、外地におられた方、それからまたそれに記載されている期間について把握はできるわけでございますが、それ以前にもう国内に帰られた方とか、あるいはそれ以前の戦地における勤務期間等につきましてあるいは欠落している部分があるわけでございます。そういった部分につきましては、まあ本人の履歴についての申し立てとか、あるいはそれ以外の県に保管されております資料とか、あるいは病院自体の行動に関する資料、そういったものから身分あるいはその勤務期間等について把握するという方法をとらざるを得ないわけでございますが、それも今日三十数年たちまして、なかなか非常にむずかしい問題であるというふうにわれわれは認識しております。
○柄谷道一君 現在の恩給法及び援護法では、いま局長申されましたような実態でございますので、本人申し立てによる履歴書を提出をいたしまして、何らかのこれを証明する書式が整えばこれらの法の適用とされております。 したがって、これ、大臣、旧陸軍従軍看護婦に対してどのような措置をとるかとらないか、これはもう政治的決断に基づく問題でございますけれども、少なくても、仮に特段の援護措置をとろうということを決断すれば、実態の把握はきわめて困難ではございますけれども、そういう本人申し立てと証明ということを並行していけば、技術的な視点からだけとらまえればこれは決して不可能なことではないと、こう私は思うんでございますが、そのとおりでございますね。
○政府委員(河野義男君) 先ほど申しましたように、非常にむずかしい問題でございますし、絶対不可能とは申し上げませんが、中には欠落していてどうしても証明できない、確認できない、そういう部分も出てくるだろうと思いますけれども、まあいろんな方法をとりまして相当部分が確認できるというふうには考えております。
○柄谷道一君 元陸海軍従軍看護婦の会という会がございますけれども、これですでに三月十六日現在六百三名の実態を把握しておられます。これ、もう日々非常に増加をされておるわけでございますけれども、少なくても六百名を超える実態は自主的なこの調査によって判明しておるわけです。したがって仮に公報等で、まあ制度ができた場合ですよ、こういう制度がある、しかじかかくいう手続をとりなさいということで、その審査の結果、資格要件に適合すると思われる者についてはこれを適用していくということは、私は技術的には決して不可能ではないと、こう思うのでございます。 そこで、ちょっと現在の処遇についてお伺いしたいわけでございますが、従軍看護婦の中で、婦長、これ大部分は判任官以上であったと思うんですが、判任官以上の婦長につきましては恩給法の適用となる——まあこれは資格要件は当然ございますけれども、適用となる、こう理解してよろしいですね。
○説明員(手塚康夫君) 先生御指摘のとおり、通常の看護婦さんは雇傭人ということになりますが、婦長になりまして任官いたしますとそれは完全な恩給公務員になります。したがって、あるいは短期間であっても恩給公務員であるということは変わりございません。したがって、それについて年功的に一定年数あれば年金、恩給も出ますし、それから公務のため死亡あるいは障害を受けるということがあれば、恩給の方で処遇することになっております。
○柄谷道一君 厚生省にお伺いいたしますが、従軍看護婦の中で死亡もしくは障害を受けた者、これは援護法によって当然その対象になる、これはもう当然でございますね。
○政府委員(河野義男君) 軍属である陸海軍看護婦につきまして、戦争公務によって死亡された方あるいは障害を受けられた方につきましては援護法上の処遇があるわけでございます。
○柄谷道一君 それと、今度は国内におりましたいわゆる陸海軍看護婦の方でございますが、これはいわゆる旧令共済、旧陸軍共済に入っておられたわけでございます。厚生年金保険法附則第二十八条の二によりまして昭和十七年六月から二十年八月までの間、これは厚生年金の期間に通算される、これはもう法律で明確になっておるわけでございますけれども、国民年金の方はどうでございますか。
○政府委員(木暮保成君) 厚生年金の場合には、ただいまお話がございましたように、厚生年金ができましたときから終戦までの期間、厚生年金の被保険者期間とみなすだけではございませんで、その期間に係る定額の部分は年金額に加算するということにいたしております。 それから、国民年金につきましても、旧令共済は国民年金と通算をするということになっておりますけれども、国民年金は昭和三十六年の発足でございますので、いわゆる年金の通算のルールに乗せるということはいたしておりますけれども、終戦前の旧令共済の期間を厚年のように国年の資格期間として、金額は見ないということになっておるわけでございますが、これは終戦までの間に国民年金はなかったということの結果でございます。
○柄谷道一君 大臣、ここだけで時間をとれないわけでございますけど、いまお聞きのように、この年金通算のたてまえも、確かに国民年金の発足はおくれましたが、しかし、人によりまして、たまたま国内の看護婦さんをやっておられた、で、厚生年金の適用事業所にその後入られた、これは通算される。ところが、一般の国民年金の方に入られた方は、原則は通算だけれども、おくれて発足したということでこの旧陸海軍の看護婦であった期間はここで消えてしまう。それは私は国民皆年金、通算年金通則法の精神からいたしますと、きわめて形式論から言えばそのとおりになるかもしれませんけれども、一つの不公平といいますかね、何か割り切れないものをそこに残しているということは、これ大臣も篤と御理解おきを願いたいと思うんです。
○政府委員(木暮保成君) ちょっと御説明が足りなかったと思いますけれども、たとえば昭和十五年から昭和二十年まで旧令共済におられたというふうに仮定をいたしまして、終戦後厚生年金なり国民年金に入られる、こういうことでございますが、厚生年金と通算になります場合には被用者年金相互ということでございますから、両方通卑して二十年になると年金が出ると、この大原則に乗っているわけでございます。それから、国民年金に入られました場合には、被用者保険と国民年金を通算する場合二十五年でございますので、両方を通算しまして二十五年になりますとそれぞれ年金が出ると、こういうことなんでございます。その際、その厚生年金は昭和十七年からできておりまして、もし旧令共済がございませんと、当然厚生年金が適用になるという方々でございますので、単純に旧令共済の期間を厚生年金で見るだけではなく、定額部分だけでございますけれども、厚生年金の被保険者として定額部分を見ると、こういうことをしているわけでございます。ところが、国年の場合には三十六年の発足でございますので、昭和十五年から終戦までの間に国民年金の被保険者としてみなすということはできないわけでございます。そこで、こういう違いが出ておるわけでございます。
○柄谷道一君 この問題につきましては今後年金法の改正等もございますから、また深くひとつ議論を詰めてみたいと思うんです。 そこで、いま大臣お聞きのように、旧陸海軍の看護婦さんの方の中で婦長さん以上の方は恩給法で拾い上げられている。国内におられた陸海軍の看護婦さんは、内容いろいろ問題はありますけれども、いわゆる通算措置がとられている。ところが、戦地へ参りました従軍看護婦は、一たん陸軍共済を脱退した形をとって戦地へ赴いているわけですね。したがって、これは全く谷間に落ちこぼれていると、こう言わなければならないわけでございます。そこで、たまたま今回旧日赤従軍看護婦に対して特段の援護措置をとろうということに相なりました。私はいろいろ実態を挙げながら、去る三月十九日の決算委員会でこの問題について質問をいたしました。そのときに三原長官は、専門家でいろいろ検討をしたけれども——速記録ができておりませんから正確には言えないんですが、趣旨は、検討したけれども、野戦病院で働いた旧日赤看護婦と、陸海軍病院で勤務した旧従軍看護婦を同じに取り扱うことはきわめて困難であると、こういう報告を受けたので同様の措置をとらなかった、しかし、自分もかつての軍人として陸海軍従軍看護婦の方々の実態はよく知っておる、それを考えるとどうもすっきりした気持ちになれない、よって再検討してみたいと、こういう御答弁をいただいたわけでございます。改めて、これ厚生大臣としてなのか国務大臣としてなのかは私よくわかりませんが、橋本大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) すっきりしないのは私も同様であります。で、率直に申しまして、衆議院の援護法の審議の際にこの問題が取り上げられましたとき、実は、私は国勢調査の実施の中で何とか——これは御承知のとおり個人面接でありますから、国勢調査の実施の中で調査ができぬものだろうかという考え方もぶつけてみました。ところが、こういう考え方というものは国勢調査の項目にはなじまぬということで御協力が願えない状態になっております。また援護局として現在手持ちの資料、そしてそれ以降の日数を考えますと、いろいろ実際に業務をいたそうとすると大変困難な状態があることもこれは事実でございます。 〔主査退席、副主査着席〕 ただ、私も率直に申してすっきりいたしません。で、三原長官が再検討したいと答弁をされた席には私もおりまして伺っておったわけでありますし、また、いまお見えになっておられる方の中に、先日参考人として予算委員会にお見えになられて、参考人として当時の状況をお話しいただいた方もおられますが、そのお話も私も聞いておりました。ですから、私もそのときに御答弁を申し上げましたように、総務長官が再検討したいと言っていただいておるわけでありますから、会の方からこれまでに集められた資料もぜひ私どもにも貸していただきたい、そして、それを拝借しながら私どもも必要に応じて実態把握のための努力はなお続けてまいりたい、協力もいたしたいと、そのように考えております。
○柄谷道一君 まあ新聞報道を見ますと、十九日に私に御答弁願ったと同様の答弁が二十三日の予算委員会で粕谷委員に三原長官からなされたと、こういうふうに理解しております。 〔副主査退席、主査着席〕 そこで、私聞いておりまして、なぜ日赤従軍看護婦に措置したことが旧陸海軍従軍看護婦の方々に適用されないのかということですね。その一つの理由として挙げておられますのが、勤務場所の問題を一つの理由にされたと思うんでございます。いわゆる当時のニュアンスからいきますと、日赤従軍看護婦の方々はいわゆる野戦病院、兵たん病院というような前線に配置されておった。ところが、旧陸海軍従軍看護婦の方は後方の陸軍病院に配属されておったのではないかと、こういうニュアンスのことをよく言われるわけでございますが、六百三名の方の外地勤務の所属病院、部隊名を調べてみますと、陸軍病院だけじゃないんですね。兵たん病院にも配属されておりますし、野戦病院にも配属されておりますし、またそれよりもっと一線の部隊配属もあるわけです。陸軍病院とか兵たん病院といいましても、それは本院ばかりではなくて前線の分院に配属されておった方も多うございます。各個人の軍歴書記載の書式によりまして調べましても、その勤務場所が旧日赤従軍看護婦の方々と異なったということは、これは事実誤認であろうと私は思うんですね。この点に関する限り差はない。これが一つですね。 それから第二に、よく言われますことは、旧日赤従軍看護婦の方々はいわゆる男子と同じ赤紙召集であった、一方はいわゆる志願制であったということが言われるわけでございます。しかし、この日赤従軍看護婦の場合といえども、確かにこれはピンク色の、桃色の令状でございますけれども、しかし事情によってはこれをお断りすることができたわけです。罰則は何らございません。事実、家庭事情によって、その令状を受け取っても、事情を申し立ててこの令状を変更するということもなされたわけです。 一方、今度は志願だと言われる陸海軍の場合ですが、これはジョホールバル第三陸軍病院に勤務しておられました安達つねさんの手記をいただいておりますけれども、これは時間の関係で全部読めませんけれども、「昭和十七年いつもの様に立川陸軍病院へ勤務中或る日准尉殿に呼ばれ南方陸軍病院へ転属を命ずると云う紙片を頂きました。未だ年若き十八才の娘には何の意味か分らず兎も角南方へ行かされるなと直感致しました。二日後の十月十日近衛第一聯隊へ集結この時始めて東京第一陸軍病院及び第二陸軍病院の方々と合流靖国神社を参拝」、として広島の宇品港に集結、約三百人以上四百人ぐらいの方々が、「瑞穂丸」ですか、これに乗って南方に配属されたと。こういう手記があるわけです。 したがって、これは形式上志願制度といいましても、事実、軍命令による、軍の転属命令による派遣でございます。当時、実態をいろいろお伺いいたしますと、これに対する拒否権はございませんし、もちろん当時の戦時下の雰囲気として、命令を受ければ欣然として、家庭事情はまあ別として、戦地に赴く。これは当時の当然の国民感情であったと思うんですね。したがって、志願か令状かという議論も全く、形式論は別として、実体論としては相異なる何物もない。こうなりますと、同じ勤務の状態、そして同じ戦地に派遣された実体上の経緯からして、片や日赤従軍看護婦には国の特段の措置が講ぜられ、そして片や戦地にあった旧陸海軍従軍看護婦はこれに顧みられないということは、どうも心情的に考えまして、これはどうしても理解できないわけですね。 この点、いま厚生大臣もすっきりしないという御答弁があったんでございますけれども、私は、旧日赤従軍看護婦の場合で各党で話しましたときに、日赤従軍看護婦の問題ばかり前に出まして、そう各党間で陸海軍従軍看護婦に対する議論は詰めてなかったと思うんですよ。で、まあ当時軍隊の経験のない者、また余り病院にお世話にならなかった者からしますと、この野戦病院とか兵たん病院の看護婦さんというと、どの方が日赤なのか、どの方が陸海軍の従軍看護婦なのかわからない。私もお伺いしましたら、服装は全く同じで、片や星、片やキリの記章だけが違っておったということも承るわけでございまして、これは与野党間の話の詰めから、作為的ではなくて無作為に漏れておったのではなかろうか、これが実態ではないかと私は思うんです。この点いま私の申し上げました事情を十分に配慮されまして、これはまた必要によれば与野党間で話し合う必要が生ずるかもしれませんけれども、ひとつ厚生大臣、そして総理府長官、これが十分協議されまして、やはり日赤従軍看護婦に準ずる扱いをするというのが、私は国として当然その御労苦に報いる道ではないだろうかと、こう思うんでございます。大臣の御所見を伺いましょう。 —————————————
○主査(嶋崎均君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。 本日、相沢武彦君が分科担当委員を辞任され、その補欠として桑名義治君が分科担当委員に選任されました。 —————————————
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年、日赤従軍看護婦の問題が各党の中で話し合われました段階の中で、この問題が十分詰めていないままに、決して意識的ではなく、当時の事情を、ことに私どものような者は終戦が小学校二年でありますから、大変申しわけありませんが、決して作為的に忘れたのではなくて、話が詰められなかったという過程は、柄谷さんのお話のとおりでございまして、私どもとしても本当にだからすっきりしないんです。 ただ、一つちょっとここで申し上げさせていただきたいのは、勤務態様が違うとか、あるいは勤務が片方は前線であり片方は後方だったなどということは、厚生省はいままでも一回も申しておりません。厚生省は一回も申しておりません。この点だけははっきりさせておいていただきたいと思います。私どもはそういう言い方をしたことはないはずであります。先ほども総務長官の御答弁で再検討という言葉が出ましたので、私どももそれを受けてできる限りの協力をしてまいりたいと、資料等の収集につきましても友の会の方々の御協力もいただき、私どもとしてもある資料を最大限に使っての御協力をしてまいりたいと、こう申し上げておる気持ちも御理解をいただきたいと思います。
○柄谷道一君 私は特に戦時中の難難辛苦、これもさることながら、戦後これらの戦地におられました従軍看護婦の方々のなめられました辛苦というのは、これは大変なものであったと思うのでごございます。 これは南方第十二陸軍病院におられました熊谷みとこさんの手記も私いただいたわけでございますが、「八ケ月ルソン山岳州の逃避行」と、こういう命題を打っておりますけれども、まさに栄養失調の兵を抱え、みずからも栄養失調になりながら、しかもゲリラの銃弾の危険にさらされながら兵隊、将校の生命を守るために敢闘された。そうして時には人間が人肉を食い合うと、こういう悲惨な状態の中で軍医から短銃——ピストルを渡されて、そうしてこれを阻止してこいと言われたけれども、その本人に銃口を向けたけれども、その形相とその置かれておる実態の中で、ただ物も言えなかったという、本当にこれ私熟読いたしまして、私も軍人経験はあるわけでございますけれども、身につまされる思いでございます。この種の問題が、まあ戦後三十年いろいろな未処理事項を抱えて今日に至ったわけでございますが、たまたま日赤従軍看護婦の方に対して、国として温かい措置がとられるようになったというやっぱり報を聞きますと、同じ辛苦をなめた私たちがなぜ見落とされるのか、これを心情的に理解できないという気持ちは私は当然のことだと、こう思うんですね。 まあ与えられました時間が余りございませんので、本来ならばこの手記を読みながら大臣の一層の御再考を促したいわけでございますが、それができないことは残念でございます。いま大臣申されましたけれども、この短い時間の中で議論を詰めるということは私は不可能だと思うんです。よって、一度これ厚生大臣みずからが当該者の旧陸海軍従軍看護婦の方とお会い願いまして、それらの実態も大臣みずからが把握をされ、そしてその実態というものの上に立った対策というものにぜひ御努力を賜りたい。これは他の政党も当然そうだと思いますけれども、民社党といたしましても、政府のそのような姿勢と施策に対しましては激励と支援を、野党ではございますけれども全面的にいたすことを惜しむものではないわけでございます。このこと、ひとつ大臣お約束願えますでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) このことだけでなくて、ほかのことも政府にもっと御協力をいただければなお幸いであります。 しかし、そういう冗談は抜きにいたしまして、お目にかかってお話を伺うこと、決してやぶさかではございませんし、また、私の方から皆さんのお手持ちの資料を貸していただきたいとお願いをしておるわけでありますから、当然それをお持ちいただくときにもお目にかかれるでしょうし、お話を伺う機会はつくりたいと思います。
○柄谷道一君 この問題は当該者の従軍看護婦の方ばかりではなくて、同じ病院に辛苦をともにされました軍医、それから衛生関係の下士官、それから衛生兵、これらからも私の方に、自分たちと同じ苦労をなめてきたそのメンバーの中で、一部が国の恩恵を受け一部がそれからこぼれる、これは本当に不公正ではないかという陳情、嘆願が部外者の方からも相当多く参っております。まあ本日時間が参りましたので質問はこれで打ちとめますけれども、ぜひこの実態を大臣そして局長十分に御理解を願って、本当に御労苦に対する国としての適切な措置をお願いをしておきたい。総理府、これも頼みますよ。大蔵省呼んでいませんでしたので来ていることは存じませんでしたが、大蔵省これ頼みますよ。まあいま手を挙げられたので了解という意味と私は受けとめました。 これをもって質問を終わります。
○主査(嶋崎均君) 以上をもちまして環境庁及び厚生省所管に対する質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時十三分散会