予算委員会第一分科会 第3号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1979/03/30
会議録
○主査(糸山英太郎君) ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。 この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。 昨二十九日、和田静夫君が分科担当委員を辞任され、その補欠として片山甚市君が分科担当委員に選任され、また、同日、和泉照雄君及び片山甚市君が分科担当委員を辞任され、その補欠として宮崎正義君及び小野明君が分科担当委員に選任されました。 —————————————
○主査(糸山英太郎君) 昭和五十四年度総予算中、法務省及び裁判所所管を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○小野明君 地名総鑑の問題について大臣にお尋ねいたしますが、その前に、航空機輸入、導入に関する疑惑について、きょう大臣は、さっきニュースを見ておりますと、海部氏を告発する問題は目前の問題として受けとめるという御発言をなさっておられるわけですが、これはどういう意味の内容を持つものでございましょうか。
○国務大臣(古井喜實君) ただいまお尋ねの問題は、まあ海部さんが一つの焦点になっているということは大体常識みたいになっておるわけでありますね、私が直接関係者という立場だけから言うんじゃなくて。そこで、参議院の方で証人喚問をまた三十一日もされる、再喚問されると、こういうことでもありますので、この証人喚問の状況を恐らく検察、捜査関係の者も非常に関心を持って見ておると思うのでございます。それから、それが済みました後、参議院がこれに対してどう処置されるかですね。さらにもっとほかの証人などを呼んで突き合わしてみるとか、いろんなことをなさるか、あるいは海部さんに対して何らかの処置に出られるか、そういうことがまあ三十一日が済めばどっちのことになるかわかるだろうと。で、それのどっちにいかれるか、そこを見ながら検察の方は次の捜査の段階に入ろう、こういう姿勢でいまおるんではないかしらんと、そういうふうにいま思っているんです。
○小野明君 あのニュースで見ます限りにおきましては、海部氏の告発はこれは当然だろうと、こういうまあ誘導的といいますか、示唆的な大臣のお考えのようにお聞きをいたしたわけですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(古井喜實君) ただいまの点は、別にそういうふうに想定してというまでのことは私はむろんありませんし、捜査当局だってそうではないと思うのであります。ただ、まあ参議院が再喚問されてどういうことをされるかですね。二度も調べられる。どうされるか。まあ何かの態度に出られるんじゃなかろうかというような、まあ何でしょうね、こう何となしに想像というかですな、そんなところでありましょうね。当て込んでとか、こうやってというわけじゃありません。
○小野明君 刑事局長がお見えでありましたら、検察捜査の現況について簡潔にお知らせをいただきたいと思うのでありますが、大臣が報告を受けられております範囲内において、捜査の現況を御報告いただきたいと思うんです。
○国務大臣(古井喜實君) 実は、私は、具体の捜査活動につきましては報告を求めることもことさらいたしませんし、また、指図することもいたしませんし、具体の捜査活動はこれは検察当局が責任を持ってやる、これがよいことだと。さもないと、いろいろな弊害が起こったりすることもありますし、それでそういう態度をとっておるのであります。ですから、指図もしなければ、別に報告を求めるということもしない。ただ、何となしにじっとしていればおのずから感じでわかることも、それはあるんです。そういうことばありますし、それから物を言わなくたって、こっちの顔を見れば手綱を締めておるのか、いや、やることはやれと言っておるのかぐらいは、それはわかりますし、以心伝心のことは、それはそういう心の通いはあるかと思いますが、余り報告を受けたり指図はいたしませんのです、、正直に……。
○小野明君 職掌上、職権上、大臣は検察庁法によりまして一般的指揮権というものをお持ちでありますが、この問題に関する限り、要所要所において報告を受けるというようなことはなさっておられるんではございませんか。
○国務大臣(古井喜實君) ことさらこっちが求めまして、報告してくれと言ったこともありませんし、しかし、してもらわなくても大体のことは見当がつくというようなもので、具体の報告とか何か、そんな形式的なことは実際しないんです。そんな状況です。そんな下策はやらぬ方がいいと思っておりますから、これはやりません。
○小野明君 私は、そういう下策ということではなくて、職権上この重大な問題を把握される必要があろうかと思うんですが、その点では、いまの御答弁に対しましてはきわめて不満であります。報告すべきものはないというような感じで物事をとられるというのはいささか怠慢ではないか、こういう感じを持つものであります。 本日は主題とはずれますからその程度にいたしまして、次に、地名総鑑の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。 御案内のように「部落地名総鑑」が判明をいたしましてすでに四年を経過いたしておるわけでございます。これまで私ども社会党が繰り返し明らかにいたしてまいり、さらにまた法務当局もお認めになっておりまするように、この種の差別図書がその後も次々に継続して発見されておるわけでございます。今日では合計九種類の存在が確認をされておるところであります。その名称といたしましては、いろいろありまするが、一つは「部落地名総鑑」、いま一つは「全国特殊部落リスト」、次に「日本の部落」あるいは「特別調査報告書」、あるいはまた「マル特分布地名」、こういう種類がございます。さまざまでありますけれども、内容といたしましては、いずれも被差別部落所在地の新旧市町村名、大字、小字、部落の世帯数あるいは職業を含んでもおります。さらに、出身地区を調べることで、特定個人が被差別部落地区出身者か否かであることを判断できるように相なっておるような非常に悪質なものでありますことは御存じのとおりだと思います。これは、悪質な差別図書が続出をいたします原因はいろいろあると思うんでありますが、先般衆議院でも議論が行われておるようでございました。私は、原因の一つは、何といいましても、地名総鑑に対する真相究明が徹底的に行われていない、この真相究明があいまいのまま終わっているんではないか、このことから、この地名総鑑が再生産されるというような状況を生み出していると思うんであります。 そこで、去る二月二十七日の衆議院予算委員会の第一分科会におきまして、法務当局が地名総鑑の真相究明の努力と実態把握に関しまして、その実情を報告をされております。いま一度その後の進展状況と、今日どの程度の掌握を法務当局がなされておりますか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) いま詳しくお尋ねの点はお答えを事務当局からいたしますが、実際地名総鑑は、私も困ったもんだ、苦々しく本当に思っておるんです。いまおっしゃったように、もう九種類か出ておるとか、全部見たわけじゃないけれども、若干は私も見せてもらいましたよ。中には古い地名を書いたような、きょうは名前が変わっちゃっている、そんなのもありましたり、必ずしも現状に正確なものとも思いませんけれども、それが行われておるんですね。商売になるんですな、これが、ああいうものを出すのが。どういうことだろうか。事柄ははなはだ困ったものだというふうに思っておりますが、それはそれとしまして、お尋ねのいまのあたりのことを詳しくお答えさしたいと思います。
○政府委員(鬼塚賢太郎君) それでは、いわゆる「部落地名総鑑」及びこれに類似の差別図書の調査状況について申し上げます。 御案内のとおり、昭和五十年の十二月ごろでございましたか、初めていわゆる第一のリストといわれます「人事極秘・部落地名総鑑」という図書のあることが発覚いたしまして、人権擁護機関といたしましては鋭意その調査に努めました結果、今日におきましては、この第一のリスト関係についてはすべてもう調査が終了しております。ただ、この第一の図書の調査の過程におきまして、いわゆる第二ないし第六の類似図書があることが発覚いたしまして、その名称につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたような名称でございますけども、これにつきましては鋭意調査をいたしまして、順次真相が判明して、中には購入者に対するいわゆる啓発、処理も終了している部分もかなりあるんでございますが、ただ、発行者の一部にすでに死亡している者がございました。 これは正確に申し上げますと、第三、第四、それから第六の図書、これは発行者がすでに死亡しておりまして、その関係で多少、たとえば資料の入手先など、それからあるいは発行部数などの点がはっきりわからないという不明の部分がございます。それから第二の図書、それから第五、これにつきましては発行者が行方不明でございまして、しかも仮名を使っているというようなこともございまして、これも鋭意調査中でございますが、現在の段階では、まだその関係で多少明らかにならない部分もございます。 第七の図書、これはいわゆる本田リストと言われておりまして、本田某なる人が発行、販売した書物でございますが、この図書につきましては、これは衆議院でも申し上げましたことでございますが、当初、この本田が非常に非協力でございまして、そのために調査が難航いたしました。しかし、その後鋭意説得いたしまして、その後態度が非常に協力的になりました。その関係で、ことしになりましてから非常に調査が進展している面がございます。ただ、これは衆議院でも申し上げましたように、非常にいま微妙な段階になっておりまして、私ども当初の見込みといたしましては、三月中には大体全貌が明らかになるのではないかと思っておりましたが、これはむしろ本田の協力によりましてさらに深く真相がわかるというような予想もございまして、しばらくその判明の時期が先に延びましたけれども、それほど遠くない時期にかなりの真相がわかるのではないかということでございます。 それから第八の図書、これは先ほど先生もお触れになりましたことでございますが、単にその地区の名称を記載してあるだけでなくて、どのような方法をとれば同和地区であるということがわかるかどうかなどというような点まで書いてありますし、非常に悪質なものでございまして、これも鋭意調査中でございますが、これはまた昨年発覚したことでございますので、いま現在調査中ということでございます。 それから、第九の図書は、これは一番最近のものでございますけれども、これはいまのところ、第九の差別図書があるという投書があったということでございまして、果たしてそれが真実であるかどうかという点についてただいま調査しております。 現在そういう状況でございます。
○小野明君 衆議院段階におきますよりも若干調査が進展をいたしておるように思われるわけでございますが、御答弁にありましたように、やはり発行者が死亡しておる、あるいは行方不明というような見解を明らかにされておりますけれども、いま局長が御説明になりましたような事実と若干内容が異なる点がございます。私どもが掌握しております事実と異なっておる点があると思うのでありますが、その点について局長はどのようにお考えでございますか。
○政府委員(鬼塚賢太郎君) 先生がどのような事実を御把握になっていらっしゃいますか、ちょっと伺いませんと、その点どういうふうに考えたらいいか、申しかねるのでございますが。
○小野明君 第三、第四、第六につきましては発行者がすでに死亡しておるというお話でございます。さらに、第二と第五については行方不明といういま御説明がございました。私が申し上げたい、のは、第五の地名総鑑の発行者に関してであります。現在は東京の神田方面に在住をしておる、いまでも電話の代行業を行っておる、そういう商売をやっておるということを聞いておるわけでございます。これは、過般、部落解放同盟が対政府交渉を行いました際に法務当局が明言をいたしておるわけですね、第五の問題に関して。ですから、二、五が発行者が行方不明であるという、特に五の問題に関しましては、局長がいま御答弁になり、あるいは法務省と交渉の際に法務御当局が説明をされたことと、衆議院で説明されたことと異なっておるわけですね。第五の問題については事実はどういうことに相なっておりますか。
○政府委員(鬼塚賢太郎君) ただいまの御指摘の第五の図書につきましては行方不明ということを申し上げましたが、ここで、御指摘になりましたように訂正させていただきます。これは行方不明ということでございましたけれども、最近の調査によりまして、新橋にいますいわゆる一卓屋、あのビルの中に机一つ置きまして電話一つぐらいでやっているいわゆる一卓屋というのがございますが、それであろうということまでは判明しておりますが、まだその先はいま鋭意調査中ということでございます。
○小野明君 いま大臣お聞きのように、局長は、非常に重要な問題であるから鋭意調査をしておると、あるいは鋭意この問題はやられておると、誠心誠意取り組んでおるんだと、こういう御答弁は国会でなされておるわけでありますが、いま第五の問題で食い違いがあっておりますように、非常に粗雑な点があるわけですね。この差別の根深さといいますか、この根強さというものを私どもどうしても根絶をしなければならぬ、これは政府、国民全体に与えられた課題であると、そのように考えるわけですが、どうも局長答弁があいまいであるという点についても非常に遺憾でありますが、大臣、ひとつこの地名総鑑なるものを徹底的に調査をするということにつきまして、再度ひとつ大臣の決意をお伺いをしたいと思うんですが。
○国務大臣(古井喜實君) これにつきまして法的な根拠が、いまそういう出版はいけないとか、ないわけでありますし、ですから、調査も思うとおりいかぬ辺もあるんじゃないかと思うのであります。そういうことでありますが、できる限り事柄を明らかにして、間違いのないところを把握していくように努力をしていきたいものだと思っております。
○小野明君 大臣、法的にはいろいろ問題はあるとしても、基本的人権の問題ですからね、正確に徹底的にひとつ御調査をいただいて、これを根絶をするという点について、どうも大臣のいまの御態度ですと、これを根絶するという御意思がうかがわれないわけです。再度ひとつ大臣、御決意を伺いたいと思うんですが。
○国務大臣(古井喜實君) まことに事柄については私も根絶したいと、こう思うのでありますが、いまのようなわけで、ああいう出版にしましても、また別の角度から見ると、出版表現の自由という憲法の大切な原則に触れる点もあるものですから、法的根拠を考えるについても慎重にこれはしなければならぬという論議が起こるのもやむを得ぬ点もあると思うのであります。そうでありますると、どうも徹底せぬ点も起こるんじゃないか——いま許される範囲では何とかああいうことをなくしたいという考え方はそのとおりに思いますので、許されるできる範囲のことは最善の努力をしたいと、こういうつもりであります。
○小野明君 法的な規制の問題についていまのような憲法上の問題がありますことは私も承知をいたしておりますが、しかし、それを乗り越えていろいろ御検討されておるということも局長の御答弁で承っておるわけでございますが、ここに、大臣、また「ぬれ手にアワのリスト屋商法」武代典矢ですか、こういう本が出版をされておるわけです。これを読みますと、リストの種類あるいはリストづくりの組織と実態、かなり詳しく克明に暴露されております。これはごらんになっているかと思うんですが、私も読んでみましたが、かなり信憑性の高いものだと言わざるを得ないと思うわけですね。これによりますというと、リスト作製、つまり人別帳の作製に当たりまして情報の収集源は警察や公安関係であるということはほとんどもう間違いがない、その関係筋からこのネタが流されておるということが明らかにされておるわけです、この「ぬれ手にアワのリスト屋商法」というものによりますと。事実、地名総鑑の場合も警察あるいは公安関係から資料が提供されておるという疑いが持たれているわけでありますが、局長の御見解はいかがですか。
○政府委員(鬼塚賢太郎君) ただいま御指摘の図書がありますことは私どももっとに把握しておりまして、ただいま東京法務局におきましてその著者などについて調査いたしておるのでございますが、それによりますと、その著者自身が何か体験したとかというようなことではなくて、いろいろな情報を聞いて、それをそのように記したということでございますので、そのようなことがどの程度まで真実であるかということについては、まだちょっとわからない状態でございます。
○小野明君 私ども見ますと、まあ伝聞かもしれぬ、いろんなところで情報を収集して書かれたものでしょうが、かなり信憑性の高いものというふうに判断せざるを得ないわけですね。それで、興信所とか探偵社の顧問あるいは経営者には、元警察官とかあるいは元公安官などが非常に多いと聞いております。今日この種の職業に従事しておる元警察官あるいは元公安官の人数や実態等について局長の方で掌握されておるのかどうか、これをお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(鬼塚賢太郎君) 今回のこの一連の地名総鑑事件の発行者あるいは購入者等に非常に興信所関係者が多いことがわかりましたので、主としてこの購入企業に対する啓発の過程におきまして、その必要上、人権擁護機関といたしましても、実態の把握に鋭意努めて、これは現在も努めておるわけでございますが、その過程におきまして、確かに御指摘のような元警察官のような人もかなりおられるんではないかということはわかるのでございますが、何しろ、この興信所の業の実態と申しますと、大手はわずかでございまして、ほとんどがいわゆる、まあ言葉としては非常によくないんですが、いわゆる一匹オオカミと言いますか、お一人でやっている、あるいは非常に少数でやっておりまして、そして何か問題が起きますと、さっと転業をしたり姿を消してしまうということで、なかなかその実態についても把握しにくいものがございます。そのような事情でございますので、ただいま御質問のような点につきましては、まだ把握していないのが実情でございます。
○小野明君 ひとつぜひですね、局長、その実情について調査を進めていただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(鬼塚賢太郎君) これは啓発の関係で、いまそのような調査を行っておるわけでございますが、そういう事業内容というもの、あるいは業界の指導と申しますと、これは衆議院でも申し上げたんでございますが、どうも法務省の所管ではないのではないだろうか、これはいろいろな資料からそういうふうに考えられますので、私どもこれからもその啓発の過程におきます調査は続けますのでございますが、ちょっと所管以外のことまでは、いろいろ問題があると思いますので、検討課題にさしていただきたいと思います。
○小野明君 この第七の地名総鑑、つまり「マル特分布地名」に関しましては、購入先はほとんど興信所あるいは探偵社なんですね。で、企業が雇用あるいは縁談とかの問題で興信所、探偵社に調査を依頼に来るという関係から、差別図書がなければ問い合わせに答えられないと、こういうことからその必要性が生じてきておると、こういうふうに思われるわけですね。この種の営業に関する所管が、いま局長が言われますように、どこが所管であるかということがなかなか判定に困るということは一応わかるわけでありますが、差別図書を購入しておる興信所あるいは探偵社、これに対しまして、これは総理府が大体総括的に所管をされておりますし、総理府並びに法務当局が人権擁護にどう対処するかという観点からも、興信所あるいは探偵社の登録制あるいは認可制にするということを早急に検討をして、そうして結論を得てもらいたいと思うわけでありますが、いかがですか。
○政府委員(鬼塚賢太郎君) 興信所のいろいろな調査が野放しになっているような状況でございまして、その過程でいろいろな問題が起きておりますので、何らかのやはり対策が必要じゃないかと思いますのですが、ただいま先生も御理解なさっていますように、事が法務省の所管ではないということでございますと、所管がどこであるかということを早急にやはり確定いたしまして、その上で事を進めなければならないと思うわけでございますが、先般衆議院の予算委員会で総理府長官が、これは各省と協議して早くその問題を検討したいとおっしゃいましたので、私どももそういうふうにこの点で御協力申し上げたいと考えておるわけでございます。
○小野明君 そうしますと、興信所、探偵社などの登録制あるいは認可制という問題について前向きに検討をされるということでございますか。
○政府委員(鬼塚賢太郎君) 先ほどお答えいたしましたようなこれまでの実態長さの資料などもございますので、そういうものを提供いたしまして総理府の役に立てていただきたいというふうに考えているわけでございます。
○小野明君 次に、労働省お見えですか。——就職の差別についてお尋ねをしたいと思うんですが、身分差別によって、現在の社会の中にも職業、教育、結婚の自由、いわゆる市民的な権利が完全に保障されていないという最も深刻な問題があることはもう御案内のとおりであります。特に就職の機会均等、教育の機会均等などが部落問題解決の中心的な課題であると思うわけです。就職の機会均等に関して申し上げますならば、労働省が中心になって同和地区の就職保障あるいは雇用促進に積極的な役割りを果たしていただかなければならぬと思います。 この点については御異論はないと思うんですが、しかし、現実には地名総鑑が出回っておる。日本の大手の企業から中企業に至りましてほとんどこの差別図書を購入いたしまして、被差別部落大衆を企業から締め出すという就職差別に使用し、利用しておるという恐るべき実態が報告をされておるわけです。このことは、地名総鑑を購入あるいは使用をいたします企業の側に重大な責任がある。しかしながら、同時に労働行政上の大きな責任問題でもあるわけですね。今日の労働行政に大きな欠陥がある。しかも、基本的人権という基本的な点に欠陥があると断言せざるを得ないと私は思います。労働省としましては、この就職の機会均等ということを完全に保障していくために、具体的にどのように企業指導や対策を講じておられるのか、御見解を簡潔にいただきたいと思います。
○説明員(鹿野茂君) 先生から御指摘いただきましたように、この地名総鑑のような悪質な差別図書が発行され、また購入されるという一つの原因としては、やはり企業側における同和問題に対する正しい理解が欠けているということが一つの背景として考えられるわけでございます。私どもも、そういう意味で、同和地区の方々の就職の機会均等を確保するということで、雇用主というか、事業主に対する同和問題についての研修などもやってまいったわけでございますが、しかし、依然としてこのような悪質な差別事件が後を絶たないということで、さらに企業に対する雇用主研修を強化したいということで、昨年度から企業に対しまして企業内同和問題研修推進員制度というものを置くように、そしてその人たちに対して私どもで継続的、計画的な研修を実施することによって就職差別につながるような選考のあり方とかを是正さしたいというような形で、いま指導を進めているわけでございます。先ほど申し上げましたように、発足してからまだ間もないので、現在運用上の方針としては、百人以上の企業に対してこの研修推進員を設置していくという考え方で全国的に推進してまいっておるわけでございまして、現在ほぼ七五%程度の達成を見ているわけでございます。 私どもは、この制度によって企業に対する研修を強めると同時に、さらに来年度におきましては、この企業の規模の拡大を図って、全国の各企業が就職差別をすることのないような研修というものを進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○小野明君 最後に大臣にお尋ねをいたしたいんですが、きょうは三原総務長官がお見えでありません。しかしながら、先般衆議院の予算委員会におきまして、この地名総鑑事件に関連をいたしまして、この問題のまとめ役は総理府であること、これはもう既存の事実でありますけれども、総務長官が関係閣僚懇談会というものを開くという言明をなさっておるわけでございます。法務大臣としては、当然この関係閣僚懇談会の主要なメンバーに相なるわけでございますね。内閣の一閣僚であるからというような御発言もございましたが、この総務長官提唱にかかる関係閣僚懇談会、これをすでにつくられておるのか、あるいはいつ開催をするのか、あるいはつくられていないとすれば法務大臣はこの提唱にどのようなお考えであるか、あるいは積極的にこの関係閣僚懇談会を開きまして推進をされる御所見であるのかどうか。どうも相手が総理府総務長官でありませんので何ですが、当然重要なメンバーであるということから、ひとつ御所信のほどを承りたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) まだ関係閣僚懇談会をつくろうと、こういう話は受けておりませんですが、恐らく総務長官のところでその発議をすることを検討しておられるんじゃないかと、これは想像ですが、思います。そうあってもらいたいと思いますし、まあつくるとなれば、私どもの方も必ず参加をさしてもらいたい。私どもの方も、人権擁護ということは大切な仕事でありますからね。所管ということのみならず、この人権という考え方が私は少々まだ弱いところを持っておると思うんですよ。それで、ほかの機会にもそういうことを私はちょいちょい言うんですけれども、まあ人権尊重というところがわれわれの民主社会が発展してきた出発点ですからね、これは。そこの認識は非常に大切だと思うので、そういう提唱があれば大いに賛成をするし、参加をするし、また、できればわれわれの方としては極力前向きにこの事業を進めるようにいたしたい、こう思っております。
○小野明君 時間がありませんが、三原総務長官がこういうものを提唱なさるということを確約されておるんですから、大臣の方からいま関係閣僚懇談会構想に賛成であるという御意見が表明されました。ひとつこれをむしろハッパをかけるといいますか、提唱者の一員に加わっていただいて、早急に、このすでに九冊も出されております地名総鑑根絶のために、人権擁護のために積極的な一つの大きな役目を果たしていただきますように御要請を申し上げておきたいと思うのでございます。よろしゅうございますか。
○国務大臣(古井喜實君) これは、お話の趣旨はよくわかりますから、よく承って考えてみたいと思います。
○主査(糸山英太郎君) 以上をもって小野明君の質疑は終了いたしました。 次に、宮崎正義君の質疑を行います。宮崎正義君。
○宮崎正義君 外国航空機購入の予算に関する問題点として取り上げられておりますその一件であろうかと思われます件でございますが、三月二十八日の新聞によりますと、ハリー・カーン氏がグラマン社に対して名誉棄損で告訴し、損害賠償を要求する訴訟を起こしたとの報道がなされておりますが、検察当局はこの事実関係についての何か御承知のことがあれば御説明を願いたいと思います。
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘のように、ハリー・カーン氏がグラマン社を相手取って損害賠償の請求訴訟を起こしたということ、報道によって承知をしておりますが、まだ外務省においても詳細を確認していないようでございまして、報道で承知しておる域を出ませんが、検察当局としては、他国におきます民事訴訟の経緯でございますので、いずれ詳細がわかればそれ相応の関心は払うと思いますけれども、いまのところは、それと国内の捜査とは別の問題であるということで、厳正に事実を確定しながら捜査を進めていきたい、こういう姿勢でやっておるわけでございます。
○宮崎正義君 いま捜査においては別だというようなお話がちょっとあったわけですが、わが国の捜査上の中でやはり影響があるように私は思うんですが、いま訴訟問題等が起きるそのあれは、衆議院で、二月九日ですか、予算委員会の集中審議等がありました。そのときにもいろいろ問題が提起されているようでありますが、いずれにしましても、わが国のやはり捜査上の点において問題点があるんじゃなかろうかと思うんですが、その点どうでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 何分、先ほど申しましたように、内容を確認いたしておりませんので、軽々なお答えはできないわけでございますが、ハリー・カーン氏の本件問題に対する態度は何となく見えるような気がするわけでございます。したがいまして、将来必要が生じて、カーン氏などの事情を聞くというような必要が生じました場合に、それ相応の頭をもって話を聞かなければならぬ、そういう意味において捜査当局としては関心がある、こういうことであろうと思います。
○宮崎正義君 そうしますと、いまの御答弁によりまして、捜査する上において場合によればカーン氏とも会わなきゃならない、また、いろんなことも伺いもしなきゃならない、こういうふうにとってよろしゅうございますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) おおむねそのとおりでございまして、御承知のように、じみちな捜査をいま続けておるわけでございますが、その捜査の過程におきまして、国外におられる方でありましても、捜査上事情を聞く必要が生じますればしかるべき手段を講じて聞かざるを得ない、こういうふうに考えております。
○宮崎正義君 その点につきましては、いまカーン氏のことにつきましてはこれ以上申し上げませんけれども、この航空機の売り込みをめぐっての疑惑の中で、東京地検の特捜部で三月二十三日に、日商岩井の東京本社に対して外為法違反と有印私文書偽造容疑で第二次捜査を行われました。その目的と、現時点における捜査の内容、可能な限り明かしていただければ幸いと思いますが……。
○政府委員(伊藤榮樹君) 具体的な捜査の運びの内容でございますので大変お答えしにくいわけでございますが、とりあえず一般論をちょっと申し上げますので、お聞き取りいただきたいと思うのでございます。 俗に言います家宅捜索、すなわち私どもで申します令状を得て行います捜索、差し押さえにつきましては、捜索、差し押さえ許可状というものに、裁判官によりまして捜索すべき場所のほかに差し押さえることを許された品目の表示がなされるわけでございます。したがいまして、まず第一回に捜索をいたします場合には、その許可令状をもらいます時点における資料によって裁判官が差し押さえてもいいと思われた物が記載されておるわけでございます。ところが、関係者の取り調べが進みますと、それに伴って資料がふえます。したがって、裁判官に対して再度令状の発付を求めて、前回差し押さえることが許されなかった物件につきましても差し押さえすることが可能になるという場合が間々あるわけでございます。そういう場合には、新たな資料を添えて裁判官に新たな令状の請求をして、それによって、前回差し押さえできなかった物あるいは差し押さえし残した物、これを差し押さえる、こういうことになるわけでございます。 以上は一般論でございますが、今回の二十三日に行いました日商岩井の第二次の捜索、差し押さえも、この一般論によりまして御理解いただきたいわけでございます。で、そのことから御推察いただけると思いますが、山岡ほか一名を逮捕しました時点、すなわち十四日でございますが、その時点と二十三日の時点とでは、裁判官に提供し得る資料が相当異なってきておるといいますか、ふえてきておるといいますか、そういうことを御推察いただけるのではないか。したがって、二十三日に再び差し押さえました物件をも現在鋭意分析検討しておりまして、それと、諸般のいろいろな人からの事情聴取とか、そういうものを勘案いたしまして、勾留期限が四月四日に二人について切れますので、この二人についての容疑事実についての捜査の終結に向かって最後の詰めを行っておる、こういう段階でございまして、それと並行いたしまして、単にRF4E関係のものと、それからボーイングの関係のもの、この二つに関係します文書偽造、それから外為法違反のほかにも、御案内のとおり、広い角度からいろいろな面をこの航空機輸入問題について検討いたしておりますので、それらの検討結果といたしまして実を結ぶようなものがございますれば、ただいま申し上げた二人の処分というものと並行し、あるいは引き続いて捜査を進めてまいる、こういうことになろうかと思います。
○宮崎正義君 報道機関によって私承知するところですと、今回は機械第三本部建設部、これはマンションとか土地造成関係だとか、こういったところと、それから東京都内や埼玉県の飯能市内の営業用倉庫数カ所が含まれ、航空機部ばかりでなくて建設部まで機械第三本部ぐるみで行われたということになってまいりまして、いまお話がありましたように、また新たな捜査資料、裁判所に提供するものが必要になってくると、第三次の捜査もあり得る可能性があるようにも思えるんですが、この点についていかがでございましょう。
○政府委員(伊藤榮樹君) 理屈の上では仰せのとおりでございまして、極端に言えば、第三次、第四次の捜索ということがあり得るわけでございますが、先ほど申し上げましたように、十四日に最初やりまして、二十三日までの間に足かけ十日ちょっとあるわけでございまして、相当その間にその関係の捜査は進展したものと見なければならないわけでございまして、そういう点からしますと、二十三日の捜索ではおおむね漏れなく捜索、差し押さえが行われたのではないか、かように考えております。
○宮崎正義君 お二人の方が拘置をされておりますが、これはある意味においては証拠隠滅のおそれがあるためじゃなかろうかとも思われるんですが、またさらに取り調べが進みますと、今後の段階でございますから、それからどうするかということはちょっと御答弁もなかなかむずかしいと思いますが、その点について御答弁願えれば……。
○政府委員(伊藤榮樹君) 確かに、御指摘いただきましたように、非常にむずかしいお尋ねであるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、四月四日には二人の勾留期限が切れるわけでございまして、したがいまして、遅くともその四日の時点では二人については勾留中のまま公訴を提起するか、あるいは処分保留等で釈放するか、決めなければならぬわけでございまして、そういう意味では、現在東京地検が日限を切って対応を迫られておるのは、四日までに二人の人についてどうするか、それを決めなければならぬ、こういうことでございます。
○宮崎正義君 なかなかこれもまたむずかしい問題だと思うんですが、証拠資料の分析でございますね。これはダグラスとか、これはグラマンとか、あるいはその人方のそれぞれの証拠固めといいますか、そういう証拠資料の固め方ですか、その分析等は十分にはかどっていると、こう見てよろしゅうございますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) そのとおり御理解いただいてよろしいと思います。 証拠物につきましては、証拠物を分析、整理、検討する役割りのメンバーがおりますし、それからいろんな証拠関係を相互に見まして調整を図るといいますか、矛盾点などを指摘をするような役割りの検事もおりますし、分業しながら有機的に連携しながらやっておるわけでございまして、一般に御推察いただきますよりは、いろんなものの分析、検討というのはスピーディーにいっておるはずだと思います。
○宮崎正義君 もう一点、いわゆる海部メモの筆跡鑑定のこと等についてはどんなふうにお考えになっていらっしゃいましょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 海部メモそれ自体は、仮に作成日付ごろに作成されたものといたしますと、いまから中数年前のものでございまして、そこにどういうことが書いてありましても一般的に時効が完成しておるというふうに見なければなりませんので、そういう観点からは、検察当局としては、言葉が変でございますが、手の出しようもない問題であるわけでございます。しかしながら、衆議院の予算委員長の方から有森氏についての証言拒否の告発がございましたし、それから福田赳夫氏から氏名不詳者を相手取って海部メモによる名誉棄損の告訴が出ております。そういうことがございますし、また、このメモをめぐって国会での御論、議もいろいろあるわけでございまして、それやこれやを勘案いたしますと、検察としては特に有森氏の問題あるいは福田氏の告訴問題と取り組みますと、好むと好まざるとにかかわらず、海部メモの問題について取り組まざるを得ない状態にだんだんなりつつあると思うわけでございます。 さて、そこでお尋ねの鑑定——筆跡鑑定であろうと思いますが——の問題でございますが、一般的に申し上げますと、コピーの筆跡鑑定というものはまだ科学的に一〇〇%に近い鑑定ができるというふうには検証されておらないようにも思うのでございまして、もちろん、検察としましても必要が生ずれば筆跡鑑定等の措置もとると思いますけれども、やはり問題は鑑定だけで論じないで、いろいろ細かく、古いことでございますけれども、当時の状況を知る人に真実を語っていただくとかいうようないろんな方法でその海部メモの性格等を吟味していくのが捜査としては正道ではないかと思うわけでございます。もちろん、筆跡鑑定もそれだけで一〇〇%断定するわけにはいかないものであるとは言いましても、それなりの価値はないわけではございませんので、必要な段階になれば、そういうこともあるいは考えなければならぬかと思います。
○宮崎正義君 御案内のように、元北海道教育大学の教授金丸吉雄さんあるいは元警視庁勤務の町田欣一さん、東北大学教養部教授の黒田正典さん、この三人の方々に御依頼をしていられるようでありますが、いまのお話によりますと、検察庁としてもこの事件が煮詰まってくれば筆跡鑑定を行うようになるだろうというふうにおっしゃいましたけれども、それでそのとおりに解釈してよろしゅうございますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 実は、こういった毛筆によるものでない筆跡鑑定、これにつきましては、衆議院の予算委員会で御依頼になっておりますお三方、この方々がわが国において最も権威がある方々でございまして、そのほかには警察関係の研究機関等が考えられると思います。したがいまして、捜査上必要の生ずる時期によるわけでございますけれども、場合によっては、国会で御依頼になりました鑑定の結果、これをお見せいただくなり、そういう方法も含めまして鑑定の必要があればしかるべき措置をとると、こういうふうに申したわけでございます。
○宮崎正義君 このいわゆる海部メモの実体というものは、検察庁としては入手されていられるんでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) この海部メモと構われますものの本物というのを見た人はどうもいないわけでございまして、したがいまして、検察当局が承知をいたしておりますのも、そのコピー——そのコピーなのか、コピーのコピーなのかわかりませんけれども、そういうものでございます。
○宮崎正義君 そうしますと、メモの件におきましてもまだ暗中模索みたいな形ととってよろしゅうございますか、どうでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) まことにどうもお答えしにくいわけでございまして、特定の人をもうすでに調べたか調べないかというようなことも、本当は言うをはばかるわけでございますが、一部の報道等によってごらんのとおり、有森氏も調べを受けたやに報ぜられたりしておりまして、中身は申し上げるわけにまいりませんけれども、まあどうも暗中模索というわけでもなくて、だんだん模索がこう現実的な形になりつつあるという程度に御理解いただきたいと思います。
○宮崎正義君 明日はまた証人喚問になりまして、集中審議ということになりますが、それに譲るといたしまして、この件につきましての私の質問はこれで終わりたいと思います。 次には、外国人登録事務に要する経費の負担の問題につきまして質問をいたしたいと思います。 外国人登録の事務は、在来、国の事務であるということは、これははっきりしているわけでございますけれども、大臣も御案内のとおりだと思いますが、念のために申し上げてみますと、「地方公共団体が負担する義務を負わない経費」というのが地方財政法第十条四の三のところにございますが、「もっぱら国の利害に関係のある事務を行うために要する左の各号の一に掲げるような経費については、地方公共団体は、その経費を負担する義務を負わない。」と、このように明らかになっておりますが、これは自治省……。
○説明員(矢野浩一郎君) 御指摘のとおり、地方財政法第十条の四の規定によりまして、地方団体が負担する義務を負わない経費とされております。
○宮崎正義君 この超過負担、各都道府県が超過負担として悩まされているという、困窮しているといいますか、地方財政の窮乏している段階でどのような実態であるか、五十三年度でわかれば五十三年度、五十三年度が無理でありますれば五十二年度で全国でどれだけのその超過負担額を抱えているか、御答弁願いたいと思います。
○説明員(矢野浩一郎君) いわゆる超過負担そのものの金額と申しますのは、実はこれは技術的にはなかなか把握しにくいわけでございまして、単純に決算額と委託費の額との差額というわけでもないのでございまして、現実に超過負担の額なり、その内容を確かめるためには、関係各省と大蔵省、自治省と共同で実態調査をした上で確かめることになっております。したがいまして、その金額につきましては総体としては大変申し上げにくいんでございますが、昭和五十年度に地方六団体が調査をいたしました際、外国人登録事務委託費に係る決算額は十五億二千三百万円である、これに対しまして、その年度におけるところの委託費の金額が六億四千万円程度である、このような数字を出しております。もっとも、この中には人件費がほとんど占めておりまして、地方公務員の給与水準等から申しまして、この差額がすべて理論的な超過負担であるということでは必ずしもないかと考えております。
○宮崎正義君 そうしますと、その分割した内容というものはいま持っていられないということですか。
○説明員(矢野浩一郎君) 金額面から見ましても御理解いただけるとおり、若干内容に問題はあるかもしれませんけれども、現実問題としてかなり大きい超過負担が存在するであろうということは自明でございますし、また、地方団体側も、この点につきましては常日ごろから超過負担の解消に努めてほしいということで、このような調査もやっておるわけでございますが、特に問題となりますのがやはり人件費における本俸の違いということでございまして、この点につきまして、昭和五十二年度に、先ほど申し上げましたように、所管省と大蔵省と自治省と、三省の共同実態調査を行いまして、委託費の基準になっておりますところの本俸のレベルと、それから現実に地方公共団体でこれらの事務に従事しております職員の本俸のレベルと、こういったものを調査して、その差額を明らかにしておるわけでございますし、また、現実に市町村段階ではこの事務に専任の職員が相当従事いたしております。にもかかわらず、当時におきましては、委託費につきましては、まだ市町村分については専任の職員費を算定するという段階に至っていなかったわけでございますが、このときの実態調査におきましてそういった点が明らかになり、なお、これに基づく措置が五十三年度及び五十四年度において行われているという次第でございます。
○宮崎正義君 そうしますと、その十五億二千三百万のうち六億四千万ということは、八億八千三百万ぐらいですか、ざっと計算して、それが、国が払うべきものを国が地方に払ってないというふうに、端的にとらえればそれでよろしゅうございますね。
○説明員(矢野浩一郎君) 先ほど申し上げましたように、十五億二千三百万、昭和四十九年度べースの数字でございますが、それに対しまして委託費の金額が六億四千万でございます。内容がほとんどが人件費でございます。委託費の計算におきましてはやはりあるべき単価ということでございますから、必ずしも地方公務員における現実の給与ベースそのものをとらえるわけではなかろうかと思います。したがいまして、この差額がすべて超過負担であるということは断定できないかと思いますが、そのうちの相当部分が超過負担に当たると、このように考えられ、実態調査の対象になったわけでございます。
○宮崎正義君 その、何と言うんですかね、分割して個々に幾らだという内容を明確にしていかなければこれは討論できないと思うんですがね。大まかやかに言っても、どっちにしても結論的に言えば、八億八千三百万というものが地方財政の方に行かなきゃならないのが行ってないというふうに受けとめる以外にないと思うんですけれども、その受けとめ方でいいんでしょう。
○説明員(矢野浩一郎君) このような実態がございましたので、先ほど申し上げましたように、昭和五十二年度に調査をいたしました。そのときに、都道府県分におきましては、職員の本俸でございますが、行政職第一表の六等級三号俸というもので委託費が計算をされておりましたが、これはこの共同調査の結果適当でないということで、六等級七号俸、すなわち四号俸の差があるということでこの実態が明らかにされ、五十三年度の予算におきまして六等級三号から一挙に四号俸引き上げて六等級七号という内容になったわけでございます。また、市町村分につきましては、同じ年の調査で、これは七等級三号俸というもので従来算定をされておりましたが、これも実態を見てみますと四号俸の差がある、七等級七号俸に引き上げる、ただし、市町村分につきましては専任職員として見るということではなくて、これを基礎として時間外勤務手当で鎌入をする、措置をするということでございました。これはなお適当ではございません。昭和五十二年度の実態調査によりますと、これは登録人員五百人以上の市町村についてのみの調査でございますが、専任職員が二百四十七人存在するということが明らかにされておりましたので、引き続き、単なる時間外勤務手当ではなくて、専任職員で委託費を算定するようにということを法務省の御当局の方にもお願いを申し上げ、五十四年度、今回の予算編成におきましては、登録人口二千人以上、この一部でございますが、言二十九人分を専任職員で算定をする、こういうぐあいに改善をされつつあるわけでございますので、先ほど申し上げました開き、十五億二千三百万に対する六億四千万、この差はかなり縮まってきておる、こういうぐあいに考えております。
○宮崎正義君 いずれにしましても、相当の負担をかけているということだけは事実でございますね。それだけ念を押さしていただいて、大臣にも認識をしっかりしていただいて、それから次の質問に入っていきますが、法務年鑑によりますと、年々増加しているわけでございますね。四十八年が七十三万八千四百十人、総登録人員でございますね、これは各国全部合計したものが。そうすると、それが今度は五十二年度になりますと七十六万二千五十人というふうにこれに出ているわけであります。これは資料をもらったんですが、その資料をもらった分で、外国人登録事務委託費の示達した内容、それの一覧表をもらっておるんですが、都道府県別にこれが全部出ておりますが、たとえば北海道なんかはどれだけ行って、どれだけ北海道が超過負担で苦しんでいるかという、そういう実情なんかは御存じでしょうか。
○政府委員(小杉照夫君) ただいま御指摘の点でございますが、私ども先生に差し上げました資料によりますると、北海道に対する五十三年度の委託費合計額は約二千万円になっておると思いますが、五十二年十二月末現在における北海道全域における外国人登録の人員約八千八百人でございます。それで、ただいま御指摘の、どれだけ地方公共団体において超過負担をしておるかという実態、まことに申しわけございませんが、私自身現在知識を持ち合わせておらないのでございます。
○宮崎正義君 これは局長さんにこの数字を答えてもらいたいと言ってもなかなか大変でございましょうけれども、私の申し上げたいことは、都道府県別の、どれだけ超過負担で悩んでいるかという、その実態を知らなければいけないんじゃないかということを申し上げるために一つの例を北海道で取り上げたわけですが、それをずうっとおやりになっていないと私は見ているわけです。 それで、ずうっとこう見てみますと、これ、北海道で五十年度の決算で——決算でございますよ。法務省から八音十三万一千円の委託料が出ているわけです。そして支出が千五百二万七千円でございます。そうしますと、超過額が六百八十九万六千円ということになるわけです。で、今度は五十一年になりますと、委託料が少しふえておりまして八百六十五万九千円で、支出が千五百十六万八千円、超過負担額がちょっと減ってきているんです、六百五十万九千円と。で、五十二年度をまた例にとってみますと、委託料が千五十二万三千円で、支出が千六百五十二万六千円で、超過負担が五百九十九万三千円と、こうなっているわけですが、年々少しずつ額は上がっているようなんですが、少しずつ超過負担は減少はしているんですが、そうしますと、先ほどの自治省の矢野課長さんですか、課長さんが言われた、五十三年度以降から緩和をしていけるような、人件費の俸給制度でアンバランスのものをバランスをとっていこうというふうなお考えになってきますと、どの程度にこれが縮まっていくものか、算出なんかもこれは当然あってしかるべきだと思うんですが、そういう御検討はどうなんでしょう。
○政府委員(小杉照夫君) 私、実はこの問題につきまして、超過負担が各都道府県あるいは市区町村等においてどのような実態になっておるかということ、実は不勉強で、現在正確に把握いたしておりません。まことに申しわけないことと存じます。私どもといたしましては、確かに各都道府県等において超過負担があるという事実についてはかねがね認識しておるところでございまして、先ほど財政課長が申されましたように、昭和五十二年度におきまして、大蔵、自治、法務三省によりまして外国人登録事務に従事する職員の給与の実態調査というようなことも行いまして、その格差の是正ということにつきまして格段の努力をし始めておる段階でございます。現に、私ども年々大蔵省との予算折衝におきまして委託費増額のための努力を常に重ねておるわけでありますが、たとえば、過去五年間におきまする委託費の増加額というものを見てみますると、四十九年度の外国人登録数というものが七十四万六千名でございますか、それが五年後の五十三年度には二万一千名ふえまして七十六万七千名になっておりますが、ほとんど横ばいでございます。それに対しまして、四十九年度の委託費の総額は四億八千七百万円ばかりでありましたのが五十三年度の委託費総額は九億六千万円、ほぼ倍にふやしてきておるわけでございます。特にこの増加の傾向というのは、五十三年度及びただいま御審議をいただいております五十四年度においてかなり目ぼしいものがございまして、格差是正ないしは超過負担是正につきましてかなりの効果が上がり得るのではないかというふうに考えておるところでございます。
○宮崎正義君 いま御答弁なんですが、この程度では、先ほどの二百四十七名中百二十九名というんですから、人件費の問題だけにしましてもまだ相当な負担額があると思うんですね。そのほかの問題点を取り上げてみましても、いままで泣かされてきているわけですね、ずうっと。何年も何年も泣かされてきているわけです。それが積もり積もっちゃって、いまの地方自治体というものをこの窮地の中に追い込んでいるというんですから、思い切って抜本的な予算措置をして、ぼかっと、地方自治体の方にお金をちゃんと委託料として出すべきじゃないか。極端な言い方をすれば、そうでもしなければ地方自治体というものは浮かばれないと思うんです。御案内のように、七〇年代というのは、ことしはもう全部七〇年代の総括でありますと同時に、来年は八〇年代に向かっていく時代になってきます。これは総理もおっしゃっていられることなんですが、大臣も御案内だと思うんですが、中央集権から地方分権へと行かなきゃならない、三割自治という体制というものを今度は地方自治体制に確立を図っていかなければならないんじゃないかという時代に入ってくるんだというときに、この地方自治体の超過負担という問題について真剣に取り組んで、国自身がやるのを国自身がやってなかったということを明確にしながら対処しなきゃならないと思うんですがね。 こういうふうなことから考えまして、私はこの法務省の分科会で特にこの超過負担を取り上げましたのは、法を定めるところの総大将が法務大臣でございますので、まず法務省の方から率先してこの問題に取っ組んで、地方財政の、地方自治体というものの確立を図っていくような考え方を持っていくようにしなきゃいけないんじゃないか。先ほど自治省の課長も言っておりましたけれども、大蔵省との話し合いということもありますけれども、これはあくまでも大臣が声を大にして、予算折衝とか、あるいは自治大臣と大蔵大臣との話し合いをなさってやっていかれるようにされるかどうか、大臣の御所見をまず伺っておきたいと思うんですがね。
○国務大臣(古井喜實君) 私も、実はこの超過負担の問題は、いままで地方財政の問題ないし地方自治の全体の問題という角度から主に頭に持っておったようなわけで、われわれの法務省などが、まあ法というか、正義というか、正しいということか、そういうことを率先してやっていくべき、声を上げてやっていくべき場所じゃないかという点の認識は、あなたから話を伺っておって、ははあ、はっと思ったようなわけなんです。まあ大体さっきのような気持ちでおりましたのです。いまのような状態では地方財政はまいっちゃうだけだし、自治もくそもあったものじゃないし、もっと露骨に言うと、一体妙な補助金というか、補助金は全廃してもいいんで、それを自主財源として地方に配ってやって勝手に使えと、自治体を信頼して。そのぐらいまでいくべきものじゃないかぐらいの大づかみのことを頭に持っておりましたのでありますが、お話を伺って考えさせられる点もありますので、よく考えてみたいと思います。
○宮崎正義君 実は、大臣、ずいぶん陳情が来ているんですよ。これは大変なんです。それからこれがまた、超過負担の問題については、まだほかのものもいっぱいあるわけです。ただ、私は法務委員会のメンバーの一員として私が席におりますし、大臣も決断力の第一人者と言われて、すべての行政の面では通達、解脱をされているお方で、一番の先輩者であられるということで、この問題を取り上げて、まず法務省だけでもはっきり方向を決めていってもらいたいという気持ちの上で、あえてこの問題をきょう取り上げたわけなんですから、局長の御答弁もありましたけれども、まだ実態は本当にどれだけ困っているかということを調べてみないと、どれだけ今度は賄っていけばいいんだろうかという、その計算値といいますか、そういうふうなことをもっと私は自治省とそれから法務省と、そうしてその中に大蔵省を入れて五十二年におやりになったと言うけど、毎年少なくとも一回、二回ぐらいはやりながら行政改革をしていかなきゃいけないんじゃないかと。どうなんですか、その三省が集まってまずスタートを切って、法務省だけはこのようになった、このようにしたと言われるように、大臣御在席の間にひとつお考えを固めていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(古井喜實君) これはまあ率先してほかの超過負担も解消していく先駆者にでもなれたら大変意味が大きいと思いますし、よくお話の趣旨はわかりますので、検討さしていただきたいと思います。
○主査(糸山英太郎君) 以上をもって宮崎正義君の質疑は終了いたしました。 ほかに御発言もないようですので、法務省及び裁判所所管に関する質疑は、これをもって終了したものと認めます。 以上をもちまして本分科会の審査を終了いたします。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(糸山英太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 これにて散会します。 午後三時三分散会