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87回国会参議院1979/03/10

予算委員会 第4号

発言数
463
登壇者
38
会派数
5
開催日
1979/03/10

会議録

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十四年度一般会計予算  昭和五十四年度特別会計予算  昭和五十四年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。     —————————————

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十四年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行副総裁前川春雄君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) それでは、昨日に引き続き上田耕一郎君の総括質疑を行います。上田君。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 昨日の千島問題についての外務省の調査の報告を求めます。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 昨日は、貴重な資料並びに御意見を伺いまして御礼を申し上げます。  外務省としては、御趣旨に基づきましていろいろ調査し、検討した結果、見解を出しました。その見解については条約局長から報告いたさせます。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。  一九二二年の海軍軍備制限に関する条約、これはいわゆるワシントン軍縮条約と言われているものでございますが、その第十九条には、わが国が要塞及び海軍根拠地に関して現状を維持すべきであるという地域の一つといたしまして「千島諸島」が掲げられてございます。しかし、この条約には、この千島諸島がどこからどこまでを指すものであるかということを定めました条項はございません。また、このワシントン条約には、条約の一部をなす付属地図といったものは全く添付されておりません。  なお、昨日、上田委員が当委員会で提示されました地図は、ワシントン軍縮会議に関する「華府会議大観」という市販の解説書の巻末に説明のために添付された地図と承知いたしましたが、この地図はいかなる意味においてもワシントン軍縮条約第十九条に言う「千島諸島」の地理的範囲に関するわが国等の締約国の公式な立場をあらわすものではございません。  さらに、本件条約の交渉過程におきまして、ワシントン条約第十九条に言う「千島諸島」の地理的範囲に関しまして、関係諸国間で議論されたことがあるかいなかにつきましても、当時の交渉記録に当たり調査してみましたところ、私どもの記録から見る限り、この点が関係諸国間で議論された形跡は全く見当たりませんでした。  いずれにいたしましても、昨日も当委員会で政府側より御答弁申し上げたとおり、ワシントン軍縮条約は、そもそも領土の帰属を決定することを目的としたものではございませんで、特に第十九条の規定は、各締約国が自国の領土及び属地のうちどの部分につき軍事構築物の現状維持を約束するかだけを決めるためのものでございまして、領土の帰属そのものを主題とした日魯通好条約第二条や、樺太千島交換条約とはその基本的性格が全く異なるものでございます。したがいましてワシントン軍縮条約第十九条に言う「千島諸島」の地理的範囲がどのようなものであったといたしましても、そのことによって北方領土問題に対するわが国の従来の基本的な立場というものは、何ら影響を受けるものではないと考えている次第でございます。  以上です。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 一晩で調べていただいて、その点は評価いたしますが、しかし、私は、率直に言って、まじめな調査でもまじめな見解でもないという感じです。私がきのうあれだけ問題を出したのは、何もここで論争で勝ってというつもりはない。千島問題をどう解決するか、その点で私たちの調べた資料も全部提供して、本気で研究してもらいたいという意味だった。  で、お伺いします。きのう私はちょっと名称を言い間違えましたが、外務省の外交史料館ですね、外交史料館にあるMT二四三の九という五分冊のとじ込みを調べてくれましたか。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) 全部調べました。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 きのう私は二つの地図を提示した。一つはこの手書きのものです。これは外交的文書なんです。しかし、これは手書きですので、参考のために先ほど言いましたこの市販のものも提示した。この市販のものはワシントン条約後です。先ほど言いましたこの本に付録としてあるのですね、これは市販のもので参考です。決定的なものはお見せしたこの手書きのもので、委員会が終わってからも欧亜局長にもちゃんとこれをお見せして性格説明したのですが、いまの五分冊の第二分冊目にこの手書きの地図が、とじ込みがあるはずですけれども、確認しましたか。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。  確認いたしました。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いたしましたね。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) その中にございました。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 それでは、市販の地図は先ほどの解釈のとおりだとしても、この手書きの地図に千島とアリューシャン——赤線で丸が引いてありますね。この性格は、ワシントン会議の外交文書の五分冊のつづりの中にあるのですから、そういう外交関係の文書であると——ちゃんと番号まで振ってあるのですけれども、どういうものでしたか。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。  私どもは、その地図を外交文書というふうにはみなしておりません。条約交渉におきましては、交渉当事者がその自分の理解を容易にするために各段階で種々の図面を作成するということはあり得ることでございまして、これは普通にやっていることでございます。事務当局が内部の説明であるとか、あるいは自分の心覚えのために市販の地図にいろいろなことを書き込むということはよく行われることでございまして、こういう目的で使用された地図が別に領土問題に関する政府の公式な立場をあらわすものではないことはもとよりでございまして、また、これが外交文書ではなく、先生のおっしゃいますファイルというものの五分冊というものは全部が外交文書と——一般的な広い意味では外交文書かもしれませんけれども、しかし、いわゆる日米ないしは日米英間の交渉における外交文書ではない、単なる一つの資料であるというふうに考えているわけでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 しかし、とじ込みの中にある一つの資料だということをお認めになった。  この太平洋の軍備制限区域問題で、この条約で最終的に何が問題になって、どう妥結しましたか。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) いろいろと議論されたわけでございまして、日本の場合におきましては千島のあたりを入れるか、アメリカの場合でございますとアリューシャンを入れるかというような議論が行われたようでございまして、結局においては、ここの第十九条の三項に——三号でございますか、三号に書いてございますように、「千島諸島」というものも入っているということでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 ですから、一つの資料で、明らかにこの手書きの地図には「制限日領」と書いてあるのです。日本の領土で制限する場所と。沖繩と千島に丸がついているのです。これ確認しますか。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) お答えいたします。  私どももきのう調べまして、同じ地図をここに持っておりますけれども、そこで千島の範囲と申しますか、千島がこの条約の対象になるところとして印がつけられているわけでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 それで十分なんですね。  それで、きのう、外相は歯舞、色丹にかかっているじゃないかなんて言われたけれども、そういうことが問題で、これは北海道の一部で明らかなんですね。問題は、このワシントン条約に言う英文でザ・クリル・アイランズ、日本文で言う「千島諸島」の中に、南千島が外交上、条約上の概念として入っていたかどうかということにあるんです。  それで、いまじゃお伺いしますが、ワシントン条約に言う「千島諸島」というこの条約上に使われている概念からは択捉、国後が除かれていたのかどうか、この点明確にお答えください。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) その点につきましては、先ほども冒頭の御答弁で申し上げたとおり、いずれであるかということを判断する資料は、資料の中には調べた限りございません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 答弁になってない。除かれていたのかどうかということです。軍備増強してもいい地域になっていたのかどうか。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) 除かれているということははっきりしておりませんし、含まれているということもはっきりしていないわけでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 赤線で丸がしてあるじゃないですか。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) それは地図に関しましては赤線で丸がしてあります。ただし、その場合には、あの地図の中には、非常に概略的な地図でございまして、歯舞、色丹も含まれておるということになっているわけでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 南千島を聞いているんです。南千島はどうか、入っていますか。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) その囲んだ中には、いわゆる南千島と申しますか、国後、択捉等も含まれております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 先ほどの調査報告で何らの議論もなかったと、国際的にね。議論ないのはあたりまえなんですよ。千島諸島と言ったらあすこだとみんな思っているんだから、国際的にもそう思っているんだから、だれも議論するつもりはないんです、アメリカも日本も。  それで、政府にお伺いしますが、この千島の問題、択捉、国後問題で国際司法裁判所に提訴することはお考えですか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) そのようなことを考えたこともございますが、ソ連は国際司法裁判所の強制管轄権を受諾しておりませんので、まず、その点についてソ連と合意をする必要がございますが、その点についてソ連が合意をすることはないと認められますので、現在のところ、そのような試みはいたしたことがございません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 考えたことがあるというなら、じゃ国際司法裁判所で、ある地名の範囲がどのぐらいになっているかということが争われた場合の先例ですね、これはどうなっていますか。考えたことがあるというんだから、そのぐらい調べたことあるでしょう。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) 国際司法裁判所でその地理的な名称に関しまして、その範囲が争われたという例は必ずしもわが北方領土の場合にぴたりと合致するかどうかはわかりませんけれども、たとえばデンマークとノルウェーとの間のグリーンランドの事件などがございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 その際、先例となったのはどういうふうに決まりましたか。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) この事件は一九三三年に常設国際司法裁判所で判決が下ったわけでございますけれども、ノルウェーの慣習的意味に使われておりますグリーンランドという言葉は、ノルウェーの主張では、グリーンランドという言葉は単に地理的意義で用いられてはおらないで、西岸の植民地あるいはその開拓された区域だけ、つまりデンマークが実際にやっていた地域のみを意味するものであるということを主張したに対しまして、デンマーク側は、そんなことはないんで、グリーンランドという慣用的な地理的名称はグリーンランド全土であるということを主張いたしまして、そして裁判所では、このグリーンランドという慣用的な地理的な名称が確立していることについてはもう当然であって、それが事案となっているのではなく、そのことについてはノルウェーとデンマークとは全然争いがない。でデンマークの十八世紀の立法行政措置におきますグリーンランド——これはかぎ括弧のグリーンランドでございますが、というのは、慣用的な地理的な名称よりは、限定されている地域を指すというノルウェー側の主張は立証されなかったというふうに決定したわけでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 これは非常に有名な問題で国際法辞典の中にもあります。そこから導き出された先例としてこの点が重要だとして、最後に「地図において慣習的に用いられる地名は、反証がないかぎり通常の意味に解するべきことを明らかにしたこと。」、こういう先例なんですね。これが国際的先例です。いま条約局長もお認めになった。  ところで、この千島列島という、じゃ地図で慣習的にどう用いられているかと言うと、われわれは戦前教科書で、全部択捉、国後は千島だと、南千島だということを習った。そのことはお認めになる。江戸時代でも、ここに私北方領土という古地図集を持っておりますが、これは江戸時代の内外の、日本の、ソ連の、また国際的な北方領土に関する古地図が全部載っていますけれども、この中には択捉、国後はクリルあるいは千島でないという地図は一つもないのです。そうすると、いまの国際司法裁判所の東部グリーンランド事件については反証がない限り地名は地図で用いられているとおりにしろということになっているのですが、反証を挙げることができますか、択捉、国後は千島でもクリル・アイランズでもないという地図がどっかにありますか。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) グリーンランドに関しますデンマークとノルウェーとの国際司法裁判所での争いについて先ほど御説明したわけでございますけれども、その前に私も言いましたように、果たしてこのケースが日本の北方領土のケースに全く当てはまるものであるかどうかということは少し違うんではないかということを申し上げているわけでございまして、このグリーンランドの事件におきましては、デンマークとノルウェーとの間にはグリーンランドという慣用句が地理的に確立しているということについては、ノルウェーとデンマークとの間では何らの争いもなかったわけでございます。日本の場合に、この北方領土に関して申しますと、日本の放棄いたしました千島列島というものにつきましては、これは昨日来議論しておりますように、平和条約第二条(C)項によって日本が放棄したわけでございまして、このサンフランシスコ条約にはソ連は参加していないわけでございます。  で放棄した千島列島がどの範囲であるかということにつきましては、これは条約当事国である日本及び連合国の考えている千島列島であるべきはずでございまして、日本とソ連との間には何らそのことについて、ソ連は放棄したのはここなんだということを決める権限は、条約の当事国でございませんので、ないわけでございます。したがってデンマークとノルウェー間のグリーンランドの問題は、一つの何と申しますか、領土的帰属が争われたという国際司法裁の例として非常に有名なものでございますけれども、この北方領土の問題には必ずしも当てはまらないケースであるということが言えると思います。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いや、私の質問は、最近のものじゃなくて、戦前あるいはサンフランシスコ会議までの間に、択捉、国後は千島でないという地図、そういう反証一枚でも挙げられますかと言うんです。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) ただいまも御説明申しましたとおり、日本が国後、択捉は千島列島に含まれていないということは多年来申しておることでございまして、それについて何らのチャレンジもこの平和条約の当事国からはなされていないわけでございます。したがって何らの反証を挙げる必要もないわけでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 そういう地図があったら戦前のもので、サンフランシスコ会議までのもので、一枚でもあったら出してほしい。出せなかったら出せないと言ってください。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) 地図に関しまして、どんな地図があるか私も余り承知していないわけでございまして、この御質問に対しては、あるともないとも申し上げることはできません。ただ、私が承知しておる限り、先生のおっしゃるもの、つまり千島列島でございますか、千島列島の列島というのが国後、択捉に若干かかっているような地図は見たことがございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 条約局長さえはっきり言えない。ないんですね。  それで、じゃワシントン会議のときに、その軍備制限区域のあの討議が、千島の範囲については国際的に当然の前提として何の議論もなかったと、当然北千島、南千島は含まれるというのが当然の前提だったと思いますが、いかがですか。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) 先ほども御説明申し上げましたとおり、この交渉の記録を続んでみましても、関係国間でその点についてはっきりとどこからどこまでであるというものを論議されたという形跡は全然見当たらないわけでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 何らの疑念がなく択捉、国後は千島だったんです。そんな問題だれも持ち出すつもりはない、持ち出す可能性も一なかった。  一八五五年と一八七五年の条約で千島、樺太についてどういうふうに決められ、どうなりましたか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 昨日も部分的にちょっとお答えいたしましたが、まず一八五五年の安政元年の日本国魯西亜国通好条約でございますが、これの第二条には「今より後日本国と魯西亜国との境「エトロプ」島と「ウルップ」島との間に在るへし「エトロプ」全島は日本に属し「ウルップ」全島夫より北の方「クリル」諸島は魯西亜に属す「カラフト」島に至りては」云々とございます。  それから樺太千島交換条約でございますが、これには第二款に「全露西亜国皇帝陛下ハ第一款ニ記セル樺太島ノ権理ヲ受シ代トシテ其後胤ニ至ル迄現今所領「クリル」群島即チ第一「シュムシュ」島第二」云々とございまして、「第十八「ウルップ」島共計十八島ノ権利及ビ君主ニ属スルー切ノ権理ヲ大日本国皇帝陸下ニ譲リ而今而後「クリル」全島ハ日本帝国ニ属シ東察加地方「ラバッカ」岬ト「シュムシュ」島ノ間ナル海峡ヲ以テ両国ノ境界トス」、すなわち、この二つの条約によりましてシュムシュ島からウルップ島までの十八島がクリル群島であるということ、そしてウルップ島と択捉島の境が日露の境である、この二つのことが明瞭になっておると考えております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 一八七五年の条約は、きのうも宮澤局長はフランス語が正文だと言われました。フランス語のところはクリール・ケル・ポセド・アクチュエルマンというふうになっていましてね、「皇帝陛下が現実に所有するクリル」となって関係代名詞になっているんですよね、これがフランス語の正文です。そうしますと「たばこを吸う日本人」という言葉と同じようなもので「皇帝陛下が所有するクリル」なんですよ。「たばこを吸う日本人」という言葉から、たばこを吸わない人は日本人じゃないなんということは出てこない。それと同じことだと思うんですね。関係代名詞でかかっているでしょう。

伊達宗起外務省条約局長

○政府委員(伊達宗起君) この樺太千島交換条約の第二款でございますが、「現今所領「クリル」群島即チ」というところでございますが、フランス語では「皇帝陛下が現在所有しているクリルと言われる諸島」というふうに書いてございまして、これはいろいろとりようがあるのかもしれませんけれども、私どもから見れば、これはむしろ「クリルと言われる諸島」と言って定義をしたものでございまして、その定義で形容的に自分が所有している、つまり「ロシアの皇帝が現在所有しているクリルと言われる諸島」と言っているわけでございまして、そして十八の島を挙げているわけでございます。したがって先生のような御解釈はここからはダイレクトに出てくるものではないのではないかと私は考えているわけでございます。  また、「たばこを吸う日本人」ということでございましたけれども、たばこを吸わない日本人もいらっしゃるという御意味だろうと思うんでございますけれども、たとえば私が何か交換をするときに、「私の家を君に差し上げる」と言った場合の「私の家」というのは、これは形容的でございまして、家そのもの全部を指しているわけでございまして、これもいろいろと物の言いようになるのではないかと思うわけでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 聞けば聞くほど詭弁に詭弁を重ねている。ワシントン条約についても、地図についても、条約についても詭弁に詭弁を重ねているんですね。私はもう政府の見解は完全に崩れたと思いますが、外務大臣、首相、どうですか。見解を改めて国際的に通用するものを出し直してほしいと思う。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 上田委員の意見の重点は、ワシントン条約、これについてある民間の刊行物あるいは外交文書に載っている地図、それを基点にして千島の地域を言っておられるわけでありますが、この会議は、御承知のとおり、軍備制限の会議でありまして、千島諸島ということではありますが、千島諸島の地域でございまして、要塞であるとか、その他の軍備施設を制限すべき地域を示したところであります。したがいまして御承知のごとく歯舞、色丹、知床半島等もこれに入っておるわけであります。だから千島というわけではありません。当時、国内においても、これに参加した国々も、千島というのがどっからどこまでかなどということは必要ではなくて、この周辺にある日本の軍備施設を制限するということがその重点であったわけでありますから、この条約の地図によって千島がどうのこうのという根拠にはならない、こういうことであります。条約局長が答えた見解には、これを変更する意思はございません。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 関連。  いままでの質疑でも非常にはっきりしてきたと思いますが、南千島、すなわち択捉、国後、これは初めから日本の歴史的領土で一度も他国の手に渡ったことはないところです。北千島も、きのうの政府側の答弁でもはっきりしておりますが、一八七五年の条約で平和的に樺太と交換されたものです。でカイロ宣言に言う日本が暴力や貧欲で略取した地域でないことは、これは明らかです。ところが、なぜこの日本の歴史的な領土を、これをサンフランシスコ条約で請求権まで放棄したのか。これはヤルタ協定に基づいてやったのか、この点を伺いたい。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 昨日、上田委員の御質問にお答えいたしましたとおり、この千島とは、日本が暴力ないし貧欲で略取したものではないわけでございますが、日本が敗戦という大きな憂き目を見た後で、再び名誉ある国際社会に入るためにこの調印をいたしたサンフランシスコ条約、この中に書かれておったわけでございまして、これを日本としては拒否するわけにいかなかった、したがってこれを受けて権利、権原を放棄したわけでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 ヤルタ協定との関係は。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) ヤルタ協定は、日本が何ら関与したものではございませんので、これに対して縛られるとか、その条項を受けたとか、そういうことはございません。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 しかし、とにかく一九四五年のヤルタ協定で千島列島はソ連に引き渡されている。スターリンは、この日本の無条件降伏に際して、国民への呼びかけというのを同じ年の九月二日に発表しております。それによりますと、日露戦争の敗北の報復であるというふうに述べている。これはツァーの戦争の仕返しという誤った考えがスターリンにあって、この不公正な処理を行った背景の一つだと見なきゃならぬと思います。カイロ宣言の領土不拡大という原則に背いた千島のソ連への引き渡しは、第二次大戦の不公正な戦後処理であったというふうに見なければならないと思います。こうした不公正、これがまさに正されなければならないというふうにわれわれは考えますが、政府の方はどうですか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) サンフランシスコ条約は、日本政府が責任を持って調印をいたし、国会の批准を経て発効いたしたものでございまして、これはこれで日本政府としては誠実に履行していくべきものであり、現に履行しておるわけでございます。今後とも、この態度は変わりません。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 不公正な戦後処理を正せと言っているんです。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 日本共産党は、そういう不公正な戦後処理をやっぱり正す、正々堂々と国際的にも訴えて進むべきだと思うんですが、そのためにいまのサンフランシスコ条約の二条(C)項の廃棄が安保条約廃棄とともに必要だと、一つは国際法上の前提、一つは政治的な前提だと言っている。しかし、歯舞、色丹は千島列島じゃない、北海道の一部なんですから、われわれは、歯舞、色丹についてはソ連との平和条約交渉の前にも、非軍事的な措置、非軍事化する、歯舞、色丹が返ってきても軍事基地をつくらぬということを明確にした上で、歯舞、色丹の返還はソ連と話し合いを始めるべきだと思いますけれども、その点、政府はいかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 日ソの間に行われた共同宣言に明確にその点は記してありまして、平和条約締結と同時に歯舞、色丹を返すということがうたわれておるわけであります。平和条約締結と同時と明記してあります。いまこの段階で歯舞、色丹だけで折衝しますことはあとの国後、択捉に対する足がかりを失うおそれもありますので、歯舞、色丹だけ切り離して折衝する考えはございません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 足がかりを失うとおっしゃいましたけれども、先ほど申しましたように、千島列島の範囲というのは戦前も戦後も明確だったのですよ。サンフランシスコ会議のときにも、きのう申しましたように、吉田全権もダレス全権も明確にしている。きょうはもう時間がありませんから、文書は幾らも出せませんけれども、吉田全権がアメリカあてにこんなに文書を出した。その中でも千島と歯舞、色丹という言い方で書いているのですね。これは吉田さんの回顧録にもはっきり書いてある。  そうしてそのときの国会では西村条約局長が、択捉、国後は千島に含まれないのではないかという質問に対しても、いや南千島、北千島、これがサンフランシスコ会議の千島列島という意味だということを明確に国会で答えている。それを四年たって、択捉、国後は含まれないというふうな、どこにも通用しない、そういう詭弁を持ち出してやっているのでは何にも返ってこないんですよ、択捉、国後も歯舞、色丹も。ですから、われわれは千島列島全部を放棄したんだと、いや北だけだと、そんな放棄の範囲を言っているんじゃないんですよ。そうじゃなくて、国際的に通用するこういう議論で正々堂々と国民的なコンセンサスをつくってやらなければ、択捉、国後も歯舞、色丹も北千島も何ら解決しない、そういうことをわれわれは言っているのであります。  政府は、せっかくわれわれが問題を出しましたのに、依然として見解を変えないようです。しかし、園田外務大臣は、二月十五日の沖特委で、立木委員の質問に対して、大事な問題ですからもう一遍勉強いたしましょうと、そういうことをお答えになりました。改めて、これらの問題ですね、きのう出したばかりですけれども、われわれも今後も追及しますけれども、真剣に取り組んでいただきたい。この点を最後に外務大臣、首相からお伺いして私の質問を終わりたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) いろいろ答弁をいたしましたが、終始一貫をして北方四島に対する日本政府の方針は変わりはございません。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 共産党の御主張は御説明を伺いましてよくわかりましたが、政府がただいまとっておりまするサンフランシスコ条約に対する態度、北方四島に対する態度をそれによって変えるつもりはありません。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 以上で上田君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 次に、柄谷道一君の総括質疑を行います。柄谷君。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 総理にお伺いいたしたいと思います。  総理は、さきの施政方針演説の中で、信頼と合意の政治を強調されました。私は、この考え方は、信義なきところに信頼は生まれず、信頼と互譲の精神なきところに合意は形成されないと理解いたしておりますが、いかがでございますか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり私も理解しております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 そのとおりだとすれば、あなたは、三月一日、民社、公明両党との党首会談で当初予算の書きかえに難色を示された。しかし、会談が進む中で最終的には検討を約束された。そして、党首会談後、予算の書きかえを前提として、三党間の政審会長会談、国対委員長会談が持たれた、このような経緯からするならば、翌二日の首相裁断は公党間の信頼を裏切る背信行為ではないかと思うのでございますが、いかがですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういう御提案がございました。この民社、公明両党からの御提案は大変魅力のある御提案でございまして、十分検討に値すると存じまして鋭意検討いたしたわけでございますが、これをいまの段階で受け入れることは適切でないと考えましてお断りをすることにいたしました。しかし、そのことは信義を裏切るというような性質のものでは毛頭ないわけでございまして、そういういわれなき誹謗はひとつ御遠慮をいただきたいと思います。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 いま、総理は、いわれなき誹謗と、こう言われたのでございますけれども、この党首会談には、両党の党首のほかに、書記長、副委員長、国対委員長、政審会長も同席いたしております。すると、われわれ両党の最高首脳部八名が、予算書きかえを前提とした交渉が政審会長会談等にゆだねられたと、こう理解したのは、ひとりよがりの判断であったと言われるわけですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは過程でございまして、そういういろいろな角度からあなたの方も検討したでございましょうし、自民党の方も検討いたしたわけでございますが、一たん了承いたしましてそれを変更したというならばそれは背信に通じますけれども、私どもはそんなことをした覚えはありません。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 先日死去されました保利前衆議院議長の座右の銘は、「百術は一誠に如かず」と、こういう言葉であったと聞いております。まことに感服すべき言葉でございます。総理は、いま、形式的には背信行為ではないと、こう言われるのでございますけれども、むしろ私はそういう予算書きかえに応じないというお考えであるとすれば、党首会談のときにこそその所信を明確にされることが公党間の信頼を保つ前提であると思うのでございます。いかがですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほどお話がありましたように、皆さん、公明、民社の両党におかれましても党の名誉をかけて御提案になったものでございます。私どもといたしましても、予算案に御賛成いただけるということは、これは大変魅力のある御提案でございまして、何とかこれができないものかということを鋭意検討することこそ信義にこたえるゆえんだと思うのでございまして、時間をかけて検討いたしましたことは、両党の信義にこたえこそすれ、背信のとがを問われるべきものとは私は毛頭考えません。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 それでは、魅力ある提案だと思ったと。そこで検討したと。しかし、最終的には応じられなかった。すると、総理が予算書きかえをすべきでないと、こう決断された理由は、予算修正を行うと大蔵省主導型という従来のパターンがくずれるということを懸念されたゆえんなのか、自民党内の派閥絡みの問題であるのか、それとも他の野党に対する気がねであったのか、この点を明確にしていただきたい。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 予算案は、私ども、政治責任をかけて、自信を持って、ベストの案としてわれわれとしては御提案申し上げているわけでございまして、まず第一に、予算案の修正という点につきましては、形式的であれ、実質的なものであれ、これはわれわれが歓迎するところではないわけでございます。両党と自民党との間で実質的な修正につきましてお話がございまして、われわれとしては原案で何とか御理解をいただきたいと思いましたけれども、両党の御主張されるところにも理由がございまするし、それを尊重いたしまして予算の実行過程におきまして適切に対処すべきであろうと考えたのでございますが、形式的な修正ということは、初めから両党に対しましてもたびたび申し上げておりますように、形式的修正というのは応じがたいものであるということはたびたび首脳部にも私は申し上げておったわけでございまして、これをやるにつきましては、よほどのことがない限り、予算を編成し提案いたしました私どもとしては応じられないことでございます。すなわち、政権の責任上形式的修正ということは何としても避けたいという気持ちが一つございます。それからもう一つは、予算を成立させていただくということはできるにいたしましても、その時期が問題なんでございまして、こういう内外とも微妙な段階でございますので、予算案は予定どおり成立をさしていただきまして、新たな年度からその誠実な計画的な執行に当たらしていただくということが望ましいわけでございまして、言いかえれば、暫定予算ということ、そういう道はありまするけれども、これはできるだけ避けなければならぬと考えておったわけでございますが、もし形式的修正ということを万々やむを得ずのむといたしましても、暫定予算をそれによって避けられるかという自信がどうも私の腹には落ちなかったわけでございます。かたがた、この際せっかくのお申し出でございますけれども、形式的修正は拒否せざるを得ない、しかし実質的修正につきましては誠意をもって対処するということで両党に対する信義にこたえ得るのではないかと存じておる次第でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 どうも納得できないのですね。その予算書きかえにはなかなか難色を示されたと。これは当然でございましょう。しかし、最終的には検討を約束されたわけですね。さらに、その後持たれた国対委員長会談でも、暫定予算を編成せずしてという前提で予算委員会修正等の方法も真剣に検討されてきた。こういう経緯からすると、いまの総理のお答えに私は納得いたしかねるのでございます。  しかし、この問題ばかりをやっておったのでは時間を要しますので、私はあなたの裁断は二つの大きな問題点を残したと思うのです。一つは、予算委員会において予算案が修正されても本会議で逆転可決をすればよいというその選択は、これは総理の信頼と合意の政治という信条とはうらはらに力による政治に転じたということを意味すると思うのです。第二には、部分的とはいえ委員会中心主義という現国会の原理を傷つけるものであったということでございます。この点に対しては反省はございませんか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 前の総選挙の後、衆議院におきましてはその結果を踏まえて各委員会の構成が決められたわけでございまして、予算委員会は与党が少ない委員会として構成されたわけでございます。したがって、予算案につきまして野党のいずれかが賛成をしていただかないと予算案は否決されることはそのときからもうはっきりいたしておるわけでございまして、力によってやるとかやらないとかというような問題ではなくて、そういう仕組みになっておるわけでございまして、いかんともいたしかねるわけでございます。  第二の点でございますが、委員会中心でございますが、私は、委員会の審議は大変重要だと考え、これを尊重いたしまして鋭意その審議に対応して政府として全力を挙げなければいかぬと考えておるわけでございまして、委員会におきまして十分の御審議をお願いし、それで公正な手順を経て委員会としての結論を出していただきまして、これを本会議で問われるということでございまして、委員会、本会議とも私どもは当然全力を挙げて対応して審議にこたえなければならぬと考えておるわけでございまして、いずれの点におきましても私は間違ったことをしたとは思っておりません。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 私はただいままでの答弁に了解するわけにはまいりません。しかし、総理がいかに答えられようとも、今回の首相裁断が公党間の信頼を失わしめたということと、私がいま指摘した二つの問題について大きな問題点を残した、与野党伯仲の国会の中で今後幾多の重要課題を取り上げていかなければならないこの時期に、総理の裁断はきわめて大きな問題点を残したということだけを指摘して、質問を次に進めていきたいと思います。  大平政治に対する国民的信頼を獲得する道は、まず今回のグラマン・ダグラス問題について疑義解明に確固たる姿勢をとることであろうと思います。総理も施政方針の中でこれに触れられておりますけれども、改めて総理の決意をお伺いいたしたい。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 昨日も本委員会におきましてお答え申し上げましたように、政府としては、本問題について、真相の解明、そしてそれを踏まえての公正な処理に当たらなければなりません。捜査当局は捜査をすでに開始いたしております。防衛庁初め関係当局は、この真相の解明に鋭意当たっておるわけでございます。これはこれからも続けてまいらなければならぬと思っております。  一方、国会におきましては、国政調査権が発動されて、両院におきましてこの御審議が始まっておるわけでございますが、政府は法令の許す範囲において最大限の御協力をしなければならぬと存じまして、SECの公開資料を入手し、それを御提出申し上げることを初めといたしまして、あらゆる御協力を今日までもやってまいりましたが、今後もやってまいるつもりでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 それでは、通産大臣に商社の行動基準についてお伺いしたいと思います。  今回の問題は、まさに商社疑獄、日商疑獄とも言える問題でございます。昭和四十八年に、買いだめ売り惜しみ、これを契機として商社の社会的責任が問われた。前回のロッキード事件でも再びこのことを繰り返した。しかし、再度いま問題が起こっている。私は、商社の行動をこれ以上野放しにすることは許されないと思うのでございますが、通産大臣、いかがですか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) 昭和四十八年のあの問題を反省しまして、日本貿易会において商社の守るべき行動基準と申しまするか、そういったものをつくり、また、各社にも各社としての商行為の行動基準、これをつくらせておるわけであります。通産省としては、事あるごとに、本当にそういうことが的確に行われておるかということは見ておるわけであります。特に、土地であるとか、生活関連物資であるとか、こういったものに、資本力に任せて何でももうかればいいというようなことの行為には出ないように、特にまた、国際的には、商業道徳を守ると同時に、昔は士魂商才という言葉もありましたが、日本の事業活動、商業活動というものが国際的にも信頼を得られるような行動をとることを要請しておるわけであります。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 四十八年、日本貿易会が策定した総合商社行動基準に準拠して、各総合商社で行動基準が定められた、それはそのとおりでございます。しかし、果たしてその行動基準が守られているかどうか、ここに問題があるわけです。国税庁の調査によりますと、資本金一億円以上の会社における使途不明金、これは五十年、五十一年、五十三年の三年間で七百七十三億円に達しております。このうち、国税庁が調査して使途が判明したのはわずか七十五億円、七百億円に及ぶ金が依然として使途不明でございます。また、大手総合商社の使途不明金はこの五年間で二十八億円にも上っております。さらに、日商について見れば、過去五年間で六十四億円もの申告漏れがある。さらに、日商のボーイング機売り込みに絡む使途不明金五十五万ドルが子会社である米国日商にプールされ操作されている。私はまさに灰色の支出であり黒い会計であるとこの事実から断定せざるを得ません。この事実を、通産大臣は、ただいまの答弁でございましたけれども、どう受けとめておられるか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) 国際的にもあるいは国内的にも疑惑を招くような商行為があったことは遺憾な問題だというふうに思います。ただ、問題なのは、これをどう取り締まっていくのか、新しい法律でもつくったらどうかという御意見が衆議院などで民社党のお方からございましたが、これは、たとえば外為の管理法であるとか、あるいは所得税法であるとか、いろいろな法律で規制しておるわけでありまするから、そういうものでまず現在取り締まることは可能である。通産省としては、行動基準に照らして十分正しい商活動が行われるようにということを行政的に指導していくことは、これは私できることだと思います。商社と申しましても、多岐にわたりますですね。貿易もあれば、卸売もあれば、金融もあるというわけで、一定の法律で優良な商社までしばっていくということになりますると、自由な活力のある商行為、商活動というものが非常に制限されることもあるわけでありまして、これは慎重ならざるを得ないというお答えをしたわけでありまするが、悪いものについては当然各法律を駆使して取り締まっていく。現に、すでに問題になっておるとおりでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 この際、総合大手十社の社会的責任を明らかにするために、その使途不明金の内容を各社別に御発表願いたい。

磯邊律男国税庁長官

○政府委員(磯邊律男君) ただいま先生御指摘ございましたいわゆる十大総合商社の四十八年分以降五年分の使途不明金、税務上で否認いたしました使途不明金は二十八億円となっております。ただ、これを各社別の内容ということになりますと、私たちの方で調査いたしました結果の個々の会社の内容になりますので、この御答弁はお許しいただきたいと思うわけでありますが、つけ加えて申し上げますと、この二十八億円の中で私たちが最終的にその使途先を追求して解明できたものは一%にすぎない、九九%というのが依然として解明不能分となって当該商社の方の法人税の計算で所得に加算されて税金を徴収していると、そういう状態で、われわれとしてもこの解明に対しては非常に苦労しているということを御認識いただきたいと思うわけであります。  ただ、重ねてお願いいたしますけれども、個々の商社の個別的な内容にわたることでございますので、各会社ごとの使途不明金の御答弁はお許しいただきたいと思います。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 私は、守秘義務という名のもとにこれらの灰色の支出、黒い会計がベールに覆われる、これはまことに問題であろうと思うのでございます。いま、通産大臣は、現行の行動基準及び現行法に基づいて監督を強化すると、こうお答えになったのですけれども、しかし、現実は、現行法を駆使しても、また現に行動基準があっても、このような問題が発生したということはもう現実なんですね。いままでの現行法や行動基準では対処できなかったということがいま現実としてあらわれているわけです。とすれば、私は、この際、単なる自主的な行動基準ではなくて、商社法の制定を検討すべきではないかと、こう思うのですが、いかがですか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) 先ほどもちょっとその点に触れましたように、必ずしも悪い商社ばかりではありませんね。それからまた、事業の範囲というものが非常に多岐にわたっておりますね。通商関係、卸売、金融、まあその他数えれば際限がないくらいいろいろな行為があります。したがって、それを法律で縛ることが国際的に特に経済的先進国の立場で国際的な競争場裏に立っていく上に一体活力をそがないであろうか、この点を憂慮するものであります。したがって、悪いものは悪いものとして処罰する法律がいまでもあるのですから、そういうものを十分駆使すれば足りるのではないか。悪い商社は当然反省をしていただかなければならぬし、また、現在欠点のない会社も、これを他山の石として十分行動基準に沿う形で自粛していただく、当然なことだと考えます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 いまこの場で商社法の制定を図るという答弁はむずかしいでしょう。しかし、現行法を洗い直しすると同時に商社法の制定について検討をすると、それだけのお答えもいただけないのですか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) 私どもの意見は申し上げたとおりでありまするが、せっかくの御提案ですし、そういう欠点ある商社が出てきたことは遺憾でありまするから、そういう面をひっくるめまして十分誤りなきように検討してまいりたいと思います。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 今回のダグラス・グラマン問題については、多くの疑惑を残しております。しかし、私は、この具体的な疑惑解明は集中審議及び特別委員会において行いたいということで、本日はシビリアンコントロールの確立と再発防止に限って質問をしたいと思います。  E2Cの導入によって領空内に侵入する他国機を早期に発見することができる、それはそのとおりでございましょう。問題はその後の対策でございます。かつて昭和五十一年九月六日のミグ25戦闘機の函館強行着陸、その際を振り返ってみますと、地上レーダーで不明機を発見したのが十三時十分、スクランブル指令が発令されたのが同十六分、二十分にファントム二機がスクランブル発進をしております。その後、地上レーダーからこれが消えまして、約三十分間機影がつかみ得なかった。そして、十三時五十七分に函館空港に着陸した。これが防衛庁が発表している事実関係でございますけれども、しかし、このことが防衛庁運用課に電話連絡されたのは一時間後でございます。また、防衛庁運用課長より総理府の秘書官に電話連絡があったのは一時間十分後でございます。そして、最終的に総理大臣に口頭連絡が届いたのは五時間後。また、当時防衛庁長官は名古屋出張中であってその所在がわからない。やっと名古屋発の「ひかり」の車中でこのことを伝えた。こういうことが当時ロッキード特別委員会で明らかになっております。  また、総理大臣の防衛出動命令が発令されるまでの奇襲対処に関して、自衛隊の武器使用について、三月六日、わが党の吉田議員の質問に答えて、従来の刑法に基づく正当防衛論を変更して、自衛隊法八十四条に基づく必要な措置として対処すると、こう方針を変更されておりますけれども、これらについて、シビリアンコントロールの中心であるべき国会がまだ完全な合意に達したとは言えないのでございます。私は、E2Cの導入以前の問題として、これらに対するシビリアンコントロールを確立することがまず安全、防衛の基本であると思うのでございますが、防衛庁長官のしかとした回答を求めます。

山下元利自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。  シビリアンコントロールが現在のわが国の防衛にとりましての一番大事な原則であることはもう御指摘のとおりでございまして、私どもはその原則に従ってまいりたいと思いますが、特に国会の御審議というのがシビリアンコントロールの大きな眼目であることも申すまでもないところでございます。したがいまして、その御趣旨を体して私どもは防衛の責任を果たしているわけでございますが、ただ、御指摘の二点について申し上げますと、ミグ事件のときの情報伝達につきまして当時報告に時間を要したことは、レーダーから消逸したためその後の対応等に時間を要したこと等、また、いまお話しございますように、すでに政府から御答弁申しておりましたような事情によることでございますけれども、私どもは今後その情報伝達の整備ということにつきましては自来十分努力いたしておりますし、その運用の改善については留意しておりますので、文民である私また内閣総理大臣がやはりシビリアンコントロールの大事な機能を果たしておるわけでございますので、十分その点については遺憾なきを期したいと思う次第でございます。  なお、三月六日の衆議院予算委員会におきまして、いわゆる奇襲時の武器使用につきまして新見解をというお話がございましたけれども、これは従来からの考え方を整理いたしまして明確にいたしましたわけでございます。この点につきましてはまたお尋ねによって申し上げますけれども、従来からの考え方を整理して申し上げたということでございますので、御理解賜りたいと思う次第でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 従来の方針そのままだというのですけれども、これは従来の答弁からしますと大きな方針の変更なんですね。統一見解はそのために出されたと、こう思うのです。私は、議会に防衛安全に関する専門委員会を置く、これは近代国家としてシビリアンコントロールの原則であると思うのであります。わが党はこのことを昭和四十年以来一貫して主張しているのでございますけれども、いまだ国会に委員会の設置は見られておりません。これはまあ国会の問題ではございますけれども、防衛庁長官、このことに対してどう思われますか。

山下元利自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山下元利君) 文民統制、シビリアンコントロールにつきましては、国会の御審議、国防会議、そうしてまた防衛庁長官は文民であること等がございますが、そのことによりましても御理解賜りますように、国会におきますところの御審議がシビリアンコントロールの大事な眼目であることは申すまでもないところでございます。ただ、国会のことにつきましては、私どもは国会の御判断にまつわけでございますからその御判断によるわけでございますけれども、いまの防衛委員会の問題につきましては、そうした国会の御審議がシビリアンコントロールの機能を十分に発揮していただくためにおきましても、それら委員会が設置せられまして御審議をいただければこれは結構なことであると私は考えておりますけれども、いずれにいたしましても国会の御判断によるものでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 与党自民党総裁としての総理のお考えをお伺いします。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、国会に防衛あるいは安全保障に関する専門の委員会ができまして、議論が深まり審議が充実してまいることは、シビリアンコントロール確立の上から大変望ましいことと私は考えております。したがいまして、自由民主党といたしましても、そういう方向に向けて各党と協力してその実現を図りたいものと考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 それは、総裁として、自民党にいま言われた趣旨を十分に徹底される、こう理解してよろしゅうございますね。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) さよう御承知願って結構です。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 それでは、次に、いまシビリアンコントロールの一つとして防衛庁長官は国防会議に触れられました。現在の国防会議は形骸化していると私は思うのでございますが、いかがに御判断になっていますか。

山下元利自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山下元利君) 御見解ではございますが、決して形骸化しているとは思いません。ただ、その運用の改善等につきましては、従来ともに国防会議事務局においても研究されておるようでございますので、それらにつきましては検討してまいらねばならぬと思っております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 昭和四十七年十月九日、文民統制強化の措置として、通産大臣、科学技術庁長官、内閣官房長官、国家公安委員長を加えることを決定されておりますが、まだ法律改定は行われておりません。いかがですか。

山下元利自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山下元利君) 御指摘のとおり、昭和四十七年十月九日に閣議決定いたされました「文民統制強化のための措置について」を受けて、そして国防会議事務局としてその準備を進められたことは承知いたしておりますし、その内容といたしまして、いま御指摘のような構成員を新しく加えることも入っておると承知いたしております。  しかし、この法案提出につきましては、ただいまもまだ提出されておりませんけれども、実は当該改正だけでなく、その際に、基本的に国防会議のあり方、あるいは権限、組織等についてもあわせて検討すべきであるとの指摘もあったことなどから、これらの点を含めまして国防会議事務局においてさらに検討されていると承知している次第でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 国防会議の審議事項が制限されております。したがって、今日まで領海十二海里下の問題、ミグ事件、在韓米軍撤退問題、尖閣列島問題、ないしは国後、択捉両島のソ連軍事基地化の問題これらの問題は国防会議で取り上げられておりません。それで形骸化していないと言われるのでございますか。

山下元利自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山下元利君) 国防会議は、申すまでもなく、国防に関する重要事項を審議する機関として従来からその審議に当たりまして、わが国内外の政治、経済、軍事情勢等を含めて審議してまいっております。したがいまして、形骸化という御見解ではございますけれども、私どもは、国防に関する重要事項を審議する場合におきましてそうしたことを含めて審議いたしておりますのですが、今後とも国防会議の運用の改善を図りまして、総合安全保障の観点から幅広い審議を行い、その運営の充実強化を図ってまいらねばならぬことは当然でございます。そのように心がけたいと思っておる次第でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 国防会議が本来であれば基本方針を示し、これに基づいて防衛庁が計画をつくり、三自衛隊が具体的行動計画をつくる、これが正常な姿ですね。しかし、いま実態は防衛庁の追認機関となっているわけですね。年開催の回数も一回ないし二回でございます。この点いかがですか。

山下元利自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山下元利君) この性格につきましては、御見解もございますが、追認機関というふうなことではないと思うわけでございます。ただ、国防会議の開催日数については、御指摘がございましたけれども、これらの国防会議の決定に至る過程におきましては、参事官会議、幹事会、あるいは国防議員懇談会などの各段階におきまして慎重な審議が行われているわけでございますので、ただ国防会議の開催回数のみをもって実は形骸化しておるのではないかという御指摘は当たらないと思うわけでございます。私どもは実質的なこうした審議によりまして十分国防会議の機能を果たしていただいていると思うわけでございますが、ただ、今後ともそうした総合安全保障の観点から運用の改善を図っていかねばならないことは申すまでもないことであると思います。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 外国の例を見ますと、いわゆるわが国における自衛官、これは国防会議に陪席をいたしまして、必要な意見を述べ、また設問に答えなければならぬと、こういう運営がされております。わが国にはその制度はございません。この点はいかがですか。

山下元利自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山下元利君) わが国におきましても、国防会議の構成等に関する法律、もうこれは御承知のとおりでございますが、その第六条によりましても、「議長は、必要があると認めるときは、関係の国務大臣、統合幕僚会議議長その他の関係者を会議に出席させ、意見を述べさせることができる。」とはっきり書かれておるわけでございまして、議長が必要であると認めるときは、その会議に出席させ、意見を述べさせることができるわけでございまして、実際にも自衛官の最高位である統合幕僚会議議長がこの会議に出席いたしております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 現在の事務局体制は十分の機能を発揮する体制とお思いでございますか。

山下元利自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。  先ほど来申し上げましたとおりに、現在、国防会議が国防についての重要事項を審議いたしまして、文民統制の原則に立ちまして十分な機能を果たしていると思いますけれども、ただ、私先ほど申しましたように、総合安全保障の観点からいろいろ運用の改善を図ることが必要であると申しておりますので、そうした観点からいたしまして、いろいろ組織、機構、運用等についての改善の一環といたしまして事務局のあり方についても検討されていると承知しておる次第でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 総理にお伺いいたします。  私は、昭和五十一年七月十四日のロッキード特別委員会で、防衛委員会の設置とあわせ国防会議の改組、これをスウェーデン平和研究所の事例等も引きつつ具体的に質問をいたしました。いま防衛庁長官の答弁がございましたけれども、わが国のいわゆる国防会議が果たしてそれでは完全に機能を発揮しているか、なお多くの問題を残していることは事実でございます。その際、時間の関係でその議事録の詳細は読みませんけれども、当時の坂田道太防衛庁長官は、「先生の御提案は私非常に同感でございます。」と、こうお答えになり、井出一太郎官房長官も、「ただいま専門の坂田長官から御答弁がありまして、私もこれには異論はございません。御意見のほどは十分に傾聴に値するものと、かように存じます。」と、こうお答えになっております。政党政治の一貫性、継続性という視点から、総理大臣の国防会議改組問題に対するお答えをいただきたい。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御案内のように、国防会議の議員の充実につきましては、いままでも科学技術庁長官なり通産大臣なりにお願いして審議の充実を図っておるところでございますし、また、事務局関係におきましても、制服の意見を聞くとか、いろいろいま御提議がございましたようなこと、これは気をつけてまいらなければならぬことと思っております。シビリアンコントロールの一つの大きな柱でございますので、いまの御所見も十分体しまして、この審議の充実、権威を高めるために努力をいたす所存でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 ぜひ真剣な御検討を賜りたいと要望いたしておきます。  次に、事件再発防止対策についてでございますが、五十一年の十一月十二日、政府は、ロッキード問題閣僚連絡協議会で再発防止のための対策を決定いたしております。その後の実施状況を見ますと、収賄罪の法定刑の引き上げ、これが衆議院で継続検討になっている。それから日米犯罪人引き渡し条約の適用罪種の拡大が行われた。実現したのはこの二つだけでございまして、その他の項目は、この関係閣僚会議の決定にもかかわらず、全然進展していないというのが実態でございます。時間の関係で個々の指摘は省略いたしますけれども、外務、防衛、法務、関係各大臣より、その後の進展状況について御説明をお願いいたします。

古井喜實自由民主党法務大臣

○国務大臣(古井喜實君) 五十一年の二月でありましたか、再発防止について閣議で閣僚協議会をつくるということが決まって、そこで、まああのときは真相究明ということに力を入れよう。それからその年の十一月に、再発防止についていろいろな問題を閣僚協議会で検討して決めた。そのものがいまお話しの点じゃないかと思うのであります。  それにつきまして、きょうまでの経過は、いま御指摘のように、賄賂罪の刑罰を強化する、それに伴って時効の期間も延長すると、こういうことが一つ出てきました。これはもう国会に改正案を提案して、まだ可決に至りませんけれども、継続審議になっておる。これから解決しなきゃならぬという問題として国会にかかっておるわけであります。  それからアメリカとの間に犯罪人引き渡し条約、これを新しいものをつくりまして、これは国会の御審議を経て日本側の手続は済ませて、アメリカにいま持ち込んで向こうで上院で審議をしている。日本側の手続は済んでしまっておるわけであります。それに関連して、日本の犯罪人引き渡し法、これももう国会で可決をしていただいております。そういうこともございますし、全部が全部実行しておるわけでもありません。  それから犯罪捜査の問題になりますというと、司法共助の実際問題がありまして、これはケース・バイ・ケースで、ダグラス、グラマンとくればそれについて資料をもらうと、それは円滑にいっておりますので、これで当時考えておったその辺のことはスムーズに実行できると、こういう状況でありますけれども、問題が広範でありますから、ことに多国籍企業の問題については、国連の経済社会理事会で腐敗防止をどうしてやるかという行動規制の協定案をいま審議しております。こっちからも参加させております。  そういうことを続けておるということでありますけれども、また今回のダグラス、グラマンと、こう出てきました。こういう、三に関連して、それでよいのか、足らないのか、国会でも御議論がありますし、これから国会でも御審議いただこうし、政府側でも関係の者がみんなで知恵を持ち寄ってもう一遍考えなきゃならぬのじゃないかと、そういうことだと思っております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 他の大臣の答弁の前に、あの閣議決定では、周旋第三者収賄罪の新設、賄賂罪の推定規定の新設、多国籍企業の行動適正化のための商法の改善、これがうたわれているのですが、どうなっているのですか。

古井喜實自由民主党法務大臣

○国務大臣(古井喜實君) いまの賄賂罪関係の改正案としては、さっき申し上げましたような、つまり刑を加重する、それから時効期間を延ばす、そういう問題の改正案がいまは出ておりまして、そのほかの、推定規定であるとか、それから周旋第三者収賄罪の問題とか、そういうものはいままでの提案の中には含まれておらぬ、まあ残っておるわけで、また国会の御意見もあろうし十分検討してみなきゃならぬと思いますけれども、きょうまでの経過はそういうことになっておるわけでございます。

山下元利自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。  防衛庁といたしましては、特に機種選定等につきましては、もう純粋に防衛的な見地から技術的、専門的に検討して不正のないように努力いたしておる次第でございますが、特にいまの御指摘もございますが、ロッキード事件の経過にかんがみまして、調達の厳正な適正化を期するために、航空機のような特に調達規模の大きい装備品等につきましては、誓約書を提出させる、また価格調査を強化する、そしてまた代理店契約書を提出させる等をいたしまして、不正行為が絶対に介入しないように努力いたしている次第でございます。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 外務省関係は、法務大臣からお話しがありましたが、まず犯罪人引き渡しの条約その他があるわけで、米国とはすでに署名を行い、承認をいただいたところであります。近時、犯罪が多国間にわたり、かつまた複雑化してきましたので、他の国々との犯罪人引き渡しということについては、具体的なことはまだ出てはおりませんけれども、これは相手国の実情、犯罪の様相を捜査当局ともよく連絡をして検討をしているところでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 総理、お聞きのように、五十一年に決められた政府の再発防止策は、その検討が遅遅としておくれておるわけですね。私は、さきのロッキード事件といい、今回のダグラス・グラマン問題といい、すべてSECなどアメリカの各種行政委員会から問題が起こって、日本の政治は事後的にこれを追うというのが実態でございます。果たして独立国としての主体性が那辺にあるのか、国民は率直な疑問を持っていると思うのであります。  そこで、あの閣議の前回の決定を進めますとともに、お伺いしたいのでございますが、北欧を初め多くの国で取り上げておりますオンブズマン制度、すなわち立法府による行政監察機構ですね、これの確立、さらに、アメリカ等では、ロビイスト法、すなわち院外運動取締法とも直訳すべきでございましょうか、こういう法体系をつくりまして、いわゆる国政調査権というものを実質的に強化しつつ、これらの問題に対する監視体制、立法府としてのチェック体制を整えておる、こういうことでございます。これらの制度を、わが国として、国情は違いますけれども、日本的なものを取り上げて、いわゆる機構的にも国政調査権を強化する、これに対して決断をされるべきではないかと思うのですが、これも総裁としての御意見をお伺いします。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、それぞれの国柄が違いますので一概に言えないわけでございますが、オンブズマン制度を日本に導入するかどうかという問題は、結局国会の国政調査権にかかわる問題だと思うのでございます。現在国会においては国政調査権をフルに御発動になっておるようでございますので、この状態を見まして、国会がどのように御判断されるか私は存じませんけれども、特に国政調査権に絡んでいま直ちにそういう制度を導入しなければならぬものだというようには考えられませんで、国会が国政調査権の行使の過程におきまして御判断される問題ではないかと思います。  それからロビイストの立法でございますが、そういう立法があるということは私まだ聞いたことはございませんが、そういう議論があるということは聞いておりますけれども、これはこれまた国情が違っておるわけでございますので、直ちに日本でそういう制度が必要かどうかにつきましては十分の検討が必要ではないかと思っておりまし一て、日本といたしましては、先ほど御指摘がございましたように、三木内閣のときにできましたあの再発防止策というものを促進してまいる、実行を促進してまいるということが当面われわれの任務でないかと思いますが、さらに大事なことは、法務大臣からも御答弁申し上げましたように、当面、いま真相の究明が大事なんでございまして、真相の究明ということに全力を挙げるのが当面の任務じゃないかと存じまして、これと並行いたしまして、すでに決まっておりまする再発防止策を進めてまいるということが当面のわれわれの任務じゃないかと心得ております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 当面の任務は、当然、事実の究明でございます。しかし、それだけで終わるものではない。われわれは具体的案を用意しております。したがってこれは自民党総裁としても、いわゆる国政調査権強化の具体的方法はいかにあるべきか、これは各党が真剣に話し合って、この再発防止のための万全の体制を行政的にもまた立法府としてもこれを確立する、そうすべきだと思うのでございます。総裁としてまた総理としての善処を強く求めておきたい。  そこで次に、行政改革に移りますけれども、総理は安上がりの政府という発言を、いわゆるチープガバメントを、安上がりの政府というこの表現を簡素で効率的な政府と、こう改めて、統一的にこれから使うと、きのう申されたわけです。それでは、現状は総理の言う効率的で簡素な政府にいまなっているとお考えでございますか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) われわれの方から安上がり政府と言うたことはないのでございまして、世間でそう言っておりますから、そういう言い方よりは簡素で効率的な政府と言ってもらいたいということを申し上げたわけでございます。私どもが変心いたしまして、こういう慣例語をいままで使ってきたけれどもこうしたいのだというようなことではないことは御了承いただきたいと思います。  それから第二に、いまの事態、いまのあるがままの政府のあり方というものは、そういう簡素で効率的な要請にこたえおるかというと、私はそうは思っていないわけでございまして、勇気を持ってこの簡素化と効率化のために努力しなければならない、国民の期待もまたそこにあると思っております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 総理は熱心な勉強家であり、読書家であると私は聞いております。ゼロベース予算、この発想に関する書籍をお読みになりましたか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) どういう本を言っておるんでしょうか。そういうゼロベースというタイトルを持った本はまだ読んだことはありません。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 現在の行政改革に関する政府の発想は、一言で言えば増分査定主義なんですね、その中からスクラップ・アンド・ビルドの発想も生まれてきておるわけです。しかし、すでにアメリカ等におきましては、そろばんでいけば御破算に願いまして、一切を無に帰して、これからの厳しい減速経済下の行政体制はいかにあるべきか、このような発想の転換が連邦政府においても十三の州においても行われていると聞いております。また、サンセットロー、日没法といいますか、一つの案件は六年をもってそこで再チェックされる、チェックするのは立法府である、こういうこともマスキー上院議員の提案によっていま議会の中で議論されていると聞いておるのでございます。  今後、現在の体制はまだ満足すべき状態ではない、こう言われるんですけれども、私は、このゼロ発想、これに立つ行政改革を行うというその総理の姿勢でなければ、これからの行政改革というのは行われるべきものではない、こう思うんですが、いかがです。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 全く同感でございまして、ゼロ査定ベースにいたしまして、相当勇気を持って当たらないと、とても財政の再建というようなことは所期しがたいと考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 いま総理は、ゼロベースの発想というものに立って、決断を持って行政改革に取り組みたい、こういう決意を表明されたと私は理解します。  そこで、行政管理庁の長官に伺うわけでございますけれども、今日まで四たびに及ぶ行政改革の答申はほとんど実効ある成果を上げていない、こう思うのでございますが、この事実をどう認識されておりますか。

金井元彦自由民主党・自由国民会議行政管理庁長官

○国務大臣(金井元彦君) いままで数次にわたりまして、行政改革についての閣議決定、その他のことがございましたが、柄谷さんのおっしゃる、やってるやってないというのがどういう標準かわかりませんけれども、私はやはり相当な成果は上がっておるんでないかと、こう思っております。こういう改革はやはりかなりの時間を要するものであります。ただ、機構等において非常に目立つものをやるということは、これはあるいは十分できてない点があるかもしれませんけれども、実質質的には私はかなりできておるんじゃなかろうか。一例を挙げますならば、総定員法をつくって、そうして約十年にわたって総定員はふえておらないというふうなことは、私はやはり評価されてしかるべき点ではなかろうか、こんな感じを持っております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 私は、何もやってないということを言っているわけじゃないんですね。いままでの発想の増分査定主義という観点からの対策が進められている、これは私もわかっております。しかし、二期にわたって行政改革の委員を務められました佐藤功教授は、答申以来行政改革の名に値するものは一つもなかった、こう述べておられますし、大蔵省出向の榊原英資埼玉大学助教授も「行政改革の貧困」というものを論文として記述されておるわけです。国民の側に立って見れば、やはり行政改革というものはまだ遅々として進んでいないのではないか、これは国民大多数の考えですね、認識ですね。いま総理はゼロベースの発想に、立とうと、こう言われたんですね、その決断を持って臨もうと言われたわけです。したがって、そういう視点からして、今後、管理庁長官として具体的にどのようなことをやっていこうとしておられるのか、これをしかとお伺いいたしたい。

金井元彦自由民主党・自由国民会議行政管理庁長官

○国務大臣(金井元彦君) ただいま御引用になりました佐藤教授のお説とか、恐らくこれはかなり基本的な表明とそれの実現というものが明らかでないというふうな点でなかろうかと、こう思うんでありまして、私もさようなことが思い切ってできることを希望はいたしますけれども、しかし、現実の行政といたしましては、やはりそこには長短相伴うものでありますので、相当な困難があろうかと、かように思います。  ただいまゼロベースの問題が御提議になりまして、総理もその発想について御賛成に相なっておりますのは、私はこれは非常に結構なことだ、かように考えております。ただ、それでは機構を基本的に変えるかどうかという問題につきましては、これは相当慎重に検討しなければならぬじゃないか。ただいまといたしましては、一昨年の暮れの閣議決定並びに本年一月の閣議了解等に基づいて、絶えず行政の簡素化、効率化を進めていく、しかし、大きな機構の改革等につきましては、これはそれと別途にひとつ検討をいたしたい、かように考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 いままでの総理及び長官の意向を聞きまして、私は二つの提言をここでしたいわけです。  それは、一つは、昭和三十九年の臨時行政調査会に匹敵する強力な調査会を発足させまして、民間のエネルギーと英知を結集しつつ具体的改革案づくりを行うべきではないか、これが一つでございます。第二に、国会の中に行政改革のための特別委員会を設置いたしまして、行政改革に対するコンセンサスづくりと国会の監視体制を強めるべきではないか、この二つでございます。  行政改革ということになりますと、官僚の抵抗があるのはこれは当然でございます。この中でいま総理の決断を実践していこうとするためには、この二つの手法を取り上げる以外に実りある成果を期待することができない。この趣旨に立って質問するわけでございますが、総理大臣の勇気ある、決断ある回答を求めます。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 行政整理、行政改革というのはみんな賛成するんです。総論賛成でもう国民も賛成だし、どなたに聞いてみても、それは結構だから、やるべしやるべし。それじゃあなたのところをこうしてくださいと言うたら、それはもう待ってくださいと言う。各論反対です、これは。ですから、これはもう大変むずかしい仕事である。それはいま金井長官から申し述べたとおりでございまして、国会、衆議院におきましても国会議員の定数を減らしたらどうかという勇気のある御提言をなされた人もありましたけれども、まず国会がそれじゃ定員を思い切って減らしていただくことに御同感いただけるというようなことになりますと、これは大変な前進だろうと思うんでございますが、柄谷さんがそれに御賛成されるかどうか、問題は、しかし、しかくむずかしい問題でございます。したがって、私どもといたしましては、ゼロベースに立って相当勇気を持って臨まにゃいかぬと。われわれが何ぼ勇気を持って臨みましても、やっぱりこれを受けとめる側におきまして、これをどうしても仕上げてやろうという理解がなければこれはできないことでございますので、国会を初めといたしまして各方面の協力を得なければならぬと存じます。  で、そのことのために、いまあなたは二つの御提案をなされて、そういうことをしないといけないんじゃないかということでございますが、根本は、私はみんなで自分のもう足を切り、手を切りながらやらぬとこれはできないことだということが第一だと思うのでございまして、審議会をつくるとか云々とかというようなことで済むのであるならばもうできておったはずだと思うのでございます。で、その点はひとつここでお願いをしておきたいことと思います。いま御提言になりました二つの御提言につきましては、そういう角度から十分検討さしていただきまして、いまもいろいろの制度を構えて対応いたしておりますけれども、これでそういう新たな接近方法を考えるかどうかということにつきましては政府で特に考えさしていただきまして、この前進に資したいと考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 次に、税制問題に入りますが、大蔵大臣は現状を公正な税制が確立されていると、こう認識されておりますか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 公正な税制が確立されておるかというお尋ねでございますが、従来とかく問題として取り上げられておりましたのは租税特別措置法の各種の政策税制でございます、御承知のとおりでございます。で政策税制の中の六割余りのものは中小企業対策でございますとか、少額貯蓄の優遇策とか住宅対策とかというもので、問題は、そういったものを外した幾つかの貸し倒れ引当金のような各種の特別措置であろうと思いますが、こういうものはここ数年漸次圧縮してまいりまして、ことしも三十項目にわたって廃止、縮減をやってきておるわけでございまして、特に従来から問題として取り上げられておりました社会保険診療報酬の是正も御提案申し上げているような状況でございます。漸次、私は公正な税制の実現が期せられるような段階に来ておると考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 それでは具体的に伺います。  医師優遇策については診療報酬適正化と関連のある問題である。これは十分承知しておりますが、国民の大きな批判を受けていることもまた事実でございます。若干の改善を今回行っておられますけれども、その見直しを今後行う用意があるかどうかお伺いします。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) これは二十五年間手がつかないでまいりましたものでございまするが、今回、若干のとおっしゃいますけれども、相当の前進ができたんではないかと考えております。社会情勢のだんだんの変化に伴って毎年これからも見直そうと思っておりますが、さしあたっては現在の手直しのままで進みたいと考えて御提案を申し上げておる次第でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 それじゃ見直しの時期的目途をいつごろに置いておりますか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) これは来年、再来年ということじゃなくて、当分ということで審議をお願いをしている段階でございます。しかし、社会情勢の変化に伴って果たしてこれでいいかどうかということは、ほかの特別措置についても同様でございますが、常時、見直ししてまいりたい、こういうことでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 不公正税制の改革を行ってもなお国家財源を健全にするということは非常にむずかしい、これは私も承知いたしております。問題は、その方法でございますけれども、財政健全化の時期的な目途をいつに置くかによってこれは違ってまいりますね。それからもう一つは、政府の意図いたしております一般消費税以外に改革の余地があるかないか、これによっても違ってまいりますね、これは大臣そのとおりだと思います。  そこで、われわれは、五十五年——来年度より法人税の改正と富裕税の創設、これを衆議院においても主張してきたところでございます。これらに対する大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 法人税の税率の引き上げにつきましては、政府税制調査会でも従来から議論のされてきたところでございますが、大体、実効税率は先進国のものに近くなってしまっておりまして、特に今回の特別措置の改正によりまして相当近いものになってまいりまして、若干の引き上げを行いましても、そう大きな税収にはならないと考えております。特に今日のような景気の段階においてこれを引き上げることは私どもは妥当でないと考えておる次第でございます。  それから富裕税でございますが、前々からいろいろ御議論ございましたことは十分承知いたしておりまして、私どもも、また政府の税調におきましてもいろいろ検討をしてきておるのでございますが、幾つか問題があるのです。これは全く御承知のことでございますけれども、課税対象の把握の問題、評価の問題、不表現資産だけ——土地、家屋だけがつかまってほかのものが逃げるようなことになりますと、かえって課税の不公平を生ずるものですから、そこら辺の問題をどう片づけるかということでいま議論が進んでおる次第でございまして、いま直ちにこれを採用するというようなところまでは考えておりません。  こういった幾つかの問題を仮に取り上げるにいたしましても、今日の財政収支のアンバランスは決定的でございますので、先ほど御指摘がございましたような租税特別措置のいろいろな問題も取り上げ是正をしていくと同時に、やはり五十五年度におきましては早い時期に一般消費税の導入をお願いして、財政収支のアンバランスを是正していくことを考えなきゃならぬかと考えておる次第でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 その大蔵大臣の姿勢は本当におかしいんですね。法人税の引き上げは景気対策と重大な関連がある、したがって慎重にと、こう言われますね。それから富裕税の創設は税の把握が非常にむずかしい、したがって慎重にと言われます。私は午後の質問の中でも指摘いたしますけれども、一般消費税はそれ以上に大きな、まだ解明しなければならぬ問題点を残しているわけですね。これもより慎重に取り扱わなければならない課題じゃないですか。そういう問題が抱えているものの中で、法人税の改正と富裕税の創設は慎重に、幾ら問題があろうとも一般消費税だけは五十五年からと、これはちょっと片手落ちの発想じゃないでしょうか、いかがですか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 消費税につきましては、目下、大蔵当局におきまして案の内容を詰めておりまして、いろんな問題が提起されております。そういった点に対する御質疑に答えられるような準備を目下進めておるような状況でございまして、先ほど来申しておりまするように、今日の大きな赤字財政の再建を図るためには、若干の法人税の増徴をやったり、あるいは仮に特別措置の政策税制的なものに思い切ったメスを入れてみても、とても再建できる状況にないということを先ほど来るる申し上げておる次第でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 私は、これは総理にお伺いしますけれども、大平内閣の内政問題に関する姿勢は、一つは行政改革をいかにして断行するか、これ一つですね。第二には、国民の中にある税に対する不公正感、これを払拭するための税制改革をどうすべきか、この二つだろうと思うんです。これは避けて通れない政治的な重大課題ですね。この二つの問題の態度をあいまいにして一般消費税の導入を先行させる、これはきわめて私は大きな問題を抱えることになる、こう思うんです。この点に対する総理のお答えをお伺いいたしまして、委員長、まことにあれでございますが、残余の質問を午後に譲らしていただきたい、こう思います。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 一般消費税の導入ということをやるには、前提条件としていろんなことが考えられなければならぬわけでございまして、第一に歳入、歳出をよく吟味して十分洗って、そしてしかもなおこれだけの欠陥がある、アンバランスがあるということをまず見きわめなければなりませんし、それを埋めるにつきまして既存の税制ではどうもいけない、いろいろやってみるけれどもなお足らない、既存の税制を、それでは増税をすることと新税を構えることとどっちがいいかというような点につきましても十分議論をせにゃなりませんので、私ども何もそういうことを抜きにいたしまして導入をお願いしておるわけじゃないので、ことしは導入を差し控えまして十分そういう点について議論を深めていただきまして、五十五年度われわれは導入を希望いたしておりますので、ことしはその議論を徹底的に深めていただきたいとお願いをいたしておるわけでございます。  富裕税の問題、法人税の増徴の問題等につきましても、一つの手段として十分吟味せにゃなりませんが、財政当局におきましてはそういう点はいろいろ吟味してみるけれども、これではとても間に合わないので、それにはまたいろいろの問題があるので、いろんな点を考えて一般消費税の方がベターじゃないか、より少なく悪いんじゃないかということを考えておると思うのでございますが、そのあたりはまだ国会に十分御理解をいただくだけの手順を踏んでおりませんので、本委員会、大蔵委員会等を通じましてできるだけ議論を深めていただきまして、政府も十分その御審議に対しまして資料を提供し議論を深めていただくことに御協力申し上げますので、その点をひとつ御理解をいただきたいと思います。  それから、そういう税の不公正を是正すること、それから行政改革によりまして国民の負担をできるだけ少なくする、国民に対するサービスをできるだけ低廉なものにしていくということは、私の内閣ばかりじゃなく、政治の本来いつでも追求しなければならない課題だと思いますが、このように財政が困窮いたしておりますときに、とりわけそのことは鋭角的にわれわれの責任として迫ってきておる問題だと心得ております。その点につきましてはあなたと全く同感に存じます。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時から委員会を再開し、柄谷君の質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      —————・—————    午後一時二分開会

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十四年度総予算三案を一括して議題とし、柄谷君の総括質疑を続けます。柄谷君。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 次に、一般消費税の問題について質問をいたします。  物価をめぐる環境はきわめて不安定な要因を抱えております。一般消費税を導入いたしますと、理論的に税率の二分の一程度に相当する物価上昇は避けられない、こう政府も予測されております。一般消費税導入によって物価高騰、そしてインフレの引き金になる危険があるのではないか、こう思いますが、いかがですか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 御指摘のとおり、現在の大蔵省の試算では税率の半分程度の消費者物価の値上がりがあるだろうと推算をいたしている次第でございまするけれども、五十五年度をいまから的確に見通すわけにはまいりませんけれども、これは物価というよりも税のはね返りということで御容認いただかなければ、国債の増発によって起こるインフレマインドに比べたら国民経済に及ぼす影響ははるかに小さいんじゃないかと私どもは考えている次第でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 一般消費税と物価対策に関する経企庁長官の御所見を伺います。

小坂徳三郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(小坂徳三郎君) お答え申し上げます。  いま大蔵大臣からお答えしたのが一般論でございまして、私は、現在経企庁としましては物価の抑制には全力を挙げておるところでございますが、この一般消費税というものがどういう形で、どの時点で、そして具体的にどのようになるのかということがまだはっきりと決定をされてない。先ほど総理からも御答弁申し上げたように、これから大いに議論をしよう、こういうところでございますので、いまの時点で私はこれが物価政策あるいは物価へのはね返りということについてはまだ計算をしておらないわけでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 通産大臣にお伺いいたしますが、構造不況業種またはきわめて競争の激しい中小零細企業、さらに小売業界等におきましては、この消費税を価格転嫁しがたい現状でございます。したがいまして、もし価格転嫁ができないということになりますと、自己負担が一層強いられる結果になりまして、すでに減量経営の極に達しておりますこれらの産業におきましては大きな産業問題として問題が派生するのではないか、こう憂えられております。構造不況業種対策及び中小企業及び流通対策の関連から一般消費税をどう理解しておられますか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) ちょっと、通産大臣がお答えになる前に私から一言申し上げておきたいと思うんですが、中小零細企業の価格転嫁がむずかしくなりはしないかというようなこと、まさに御指摘のとおりだと思います。それで、今度政府税調で考え、私どもがいま検討しております案は、二千万円以下の売り上げの零細企業につきましては納税義務を免除することにいたしております。その数は、これは五十一年度の統計で推算いたしたものでございまするが、納税義務者となる事業者、——法人、個人を含めてでございますが、現在の五百十四万余の事業者のうち大体三分の一程度、あとの三分の二が納税義務を免除されることになります。それからさらに、二千万円を超えて四千万円くらいの売り上げの人には税率を軽減するような方策を講ずることにいたしておる次第でございますので、中小零細業者に対する影響はそういうことで私ども極力軽度にするように考えておる次第でございます。  それからもう一つ大事なことは、競争条件が一体撹乱されはしないかという問題でございますけれども、大体三分の一程度の中小零細企業の売り上げは、やはりこれは五十一年度の資料によるものでございまするけれども、総売上額の大体三、四%程度、残りが二千万円超の売り上げの事業者のもの、こんなふうに考えておりますので、いま御心配の中小零細業者に対する取り扱いは相当慎重にやっているつもりでおります。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) 構造不況業種に対する価格転嫁の問題というのは、やはりそれぞれの業界から私どもいろいろ陳情を受けるわけでございます。いまの二千万以下の免税措置であるとか、あるいは四千万円までの緩和措置であるとか、いろいろ考えておられるようでありまするが、これは今後閣内でまとめてまいりまする上に妥当なやはり結論に到達しなければならない。やっぱりこの種の税金というものはわかりやすいということが必要なんですね。世の中によく、さっきの行政改革じゃありませんが、総論賛成、各論反対なんというようなことになりますが、いまのところは総論まさに反対と。しかしこれがだんだん、総理が言われるように、議論を続けていくうちに、ああなるほどそうか、こういうものならわかったというように各論においては理解が深められる。これが望ましいわけでありまするので、私ども特に業界を担当しておる省庁としましては、十分わかりやすく、しかも簡略であるという原則が貫かれる形で調整をしてまいりたいというふうに考えます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 構造不況業種関係につきましては、その施策いかんによりまして一層優勝劣敗を促進する。そのことがまた現在でも深刻な構造不況業種の雇用面にも大きな影響を与えるであろうということを指摘いたしまして、これは労働大臣に篤と留意おきを願いたい、こう思います。  そこで、いま大蔵大臣の答弁によりますと、一定規模以上の業者に課税するという方式でございますから、同一商品でありましても購入先によって税の取り扱いが異なる。そうなりますと、この制度は税の中立性というものを逸脱する危険が生じてくるんではないかとこう思いますが、いかがですか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) いま御指摘のございましたとおり、中小零細の業者の場合にはそこのマージンにかからないという程度の価格の差は出てくるわけでございますが、その品物の製造者なり卸屋で払っておる税はそのまま続いてきておるわけでございますから、結局は零細企業の小売屋のマージンの差とそれに対する税率の分だけが安くなることになるわけでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 それは私は、税の中立性という点から問題があると同時に、同一商品によりましても購入先によりまして購入価格が違う、こういう問題を起こすわけでございます。そうなりますと、それは商品の価値体系というものに影響をいたしまして、消費者といわゆる小売り流通段階との間の摩擦を生ずる危険がある、思うんですが、通産大臣この点どう思いますか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) これやっぱり調整しなけりゃならぬ問題だと思うんです。一応一律と言っておりまするが、たとえば同じ商店街でも売り上げの少ない二千万以下の店で買えば税金——ごくその部門だけですからわずかでしょうけれども何円か違う。ちょっと大店舗へ行けば高いなんというようなことが、同じ商店街にあってにらみ合いになったり競争が激化するような形は好ましくありませんね。ですから、やっぱりそういう面もこれはきめ細かに対策する必要があるというふうに思っております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 戦後設けられました取引高税は、利益を計上しているいないにかかわらず、徴税されたことを含めまして小売業者に多くの犠牲を強いました。わが国では一般消費物資の価格の上に税を上乗せするということは、その体系は皆無に等しいわけでございます。したがって、いま通産大臣も申されましたけれども、小売段階における消費者と事業者との間のトラブルが起こる、それは結果して税の一部または全部を流通業者が負担せざるを得ない、こういう状態に追い込められる危険が生じてくると思うのでございます。流通政策の上から、通産大臣これをどう思われますか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) 間接税方式をとるわけですが、これはいまあなたの御質問を含めまして、さっき私も答えましたような具体的な問題をどう処置するのか、これはやっぱり今後の法制定の段階で十分論議をして、そういうことがわかりやすく徹底する必要がありますね。留意したいと思います。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 新聞によりますと、大蔵省は消費税の事務処理のために八千人の増員を行う必要がある、こういうことが報ぜられております。これはいわゆる国の側だけでございまして、やはり業者、各産業においてもこれに対応する態勢をとらなければならないわけでございます。そういう意味の徴税コストの問題についてどのようにお考えでございますか。これは国及び民間、両方お願いします。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 徴税コストが高くつきましたのでは、せっかくこういう税をやった意味がなくなります。そういう意味で、先ほど御指摘のございましたような戦後の取引高税のような厄介なことをやるつもりは毛頭ございません。各法人個人につきまして、売り上げから仕入れを引いて、そして法人個人の申告期に、年一遍になりますか二回になりますかこれからの問題ですが、法人個人の法人税、所得税と合わせて申告納税をしてもらう。こういうやり方をやるつもりでおりますから、納税者の手間というのは非常に軽く済むことと考えております。  それから、国税関係の職員の増員でございますが、私どもはこういう際でございますから、もう増員なんかはできるだけやらぬように、ぜひ現行の定員の範囲内でやっていきたいと思うのでありますが、内部事務の処理くらいのものは若干あるいは要るかもしれませんけれども、そう大幅な増員をすることは現在考えておりません。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 大蔵省の試案によりますと、税の逆進性を緩和する意味で食料品等は適用除外をする、こういうお考えのように承りますけれども、しかし所得の低い層ほど税負担率が高くなる、このことだけは否定しがたい事実であろうと思うのであります。これは税の逆累進性を持つ性格でございます。この点をどう理解されますか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 間接税全般について言えることでございますけれども、従来から理論的に逆進性の問題が取り上げられております。そういう点から、今度一般消費税を導入するに当たりましては、食料品だけは全面的に非課税にすることにいたしまして、逆進性を極力緩和したいと考えておる次第でございます。これはヨーロッパ各国でやっておる食料品の免除よりも相当大規模なものでございます、現在予定しておりますのは。  それから、逆進性の問題は消費税なら消費税だけでやっぱり考えるべき問題ではなくて、税制全般の中で、つまり所得税との組み合わせの仕方で考えたり、あるいは歳出全般について、特に福祉対策の歳出予算がどういうことになるかというようなことで、総合的に私どもは考えていかなきゃいかぬと考えておりますし、それから現在五割近い税収を付加価値税で賄っておりますECの各国——フランスはもう七割近いのですが、こういう国々でも、いまのように生活の弱い方に対する対策としては、一方において年金福祉対策があるから、まあそういうことをあわせて考えてわれわれはこの税をやっておるのだということをはっきり申しておるのが現状でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 経企庁長官に伺いますけれども、不況克服の一つの大きな要因として個人消費の増大、これが必要なことは私から申し上げるまでもないわけでございます。しかし、一般消費税はやはりデフレ効果を持つ、需要抑制の効果を持つという一面は否定しがたいと思うのでございます。景気対策との関連における経企庁長官の所見、特にタイミングの問題について経企庁長官はどのようにお考えでございますか。

小坂徳三郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(小坂徳三郎君) まず私は、物価への影響ということは現在は試算も何もできないわけですけれども、どうせ税がかかるなら上げてもいいじゃないかという一般心理の方がむしろ私は非常にこわいと思っております。しかし、これも今年度ではないので——今年度といっても五十四年度ではないので五十五年度でございますから、それまでの間にそうした問題に対する理解その他が国民の間でいただけるように努力をするということの中から、いわゆる税が上がるから売り値を上げろというようなことの起こらないようにするということが一つと、また、やはりそのときの時点でまた収入がふえればよろしいのですが、税の上昇率とスライドでない場合が往々にして多いですから、そうしたことによって原則的にはあるいは基本的に見ればデフレ的効果だということも言えるかと思います。しかし、われわれはその時点でこうした一般消費税というか——私は間接税と思っておりますけれども、間接税をかけなければ日本の財政が困ってしまうし、お考え以上に悪い状態でございますから、それを直したいと思う政府の考え方も御理解いただかなきゃならぬのですが、その時点までにやはり私は着実な経済成長を繰り返していく。なるべく高けりゃ高いほどいいと言えばそれまででありますけれども、六%前後の経済成長をやる中で、日本の経済も大きくなりましたから、そうしたいわゆるいろいろな負担がそう重荷に感じなくなるような、そうした私は経済体制をつくるのが最も理想的ではないか。そうした中で着実に一歩一歩努力をするということで、そのデフレ的効果があるかないかということは、その時点でまた判断をさせていただきたいと思います。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 総理にお伺いいたしたいと思います。  私はいま幾つかの一般消費税にかかわる問題点について設問をいたしました。しかしまだ、ただいままでの答弁で完全に国民の疑問というものにこたえ得る答弁は得られなかったと私は思うのでございます。  また、富裕税、法人税の増税についてもいろいろの面を配慮しなければならぬと大蔵大臣はお答えになっておるわけです。一般消費税といえども同様ですね。したがって、私はこの際、いま私が申し上げましたのはほんの一部の設問でございますけれども、これらの問題点がやはり解明されるということが前提であって、それらの解明なくして消費税だけを五十五年度から導入する、これを不動の方針とするということには問題があると思うのです。いかがでございますか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 一般消費税という構想は一つの手段でございまして、目的は財政の再建ということでございます。それから、財政再建に当たりましては、手段としてほかにもいろいろな手が考えられるわけでございますが、そういう中での優劣の議論が深められなければならぬと思います。また、その中で一般消費税というものを取り上げるにいたしましても、前提としていろいろやらなきゃならぬことがございますことはかねがね申し上げておるとおりでございまして、あらかじめカテゴリカルにといいますか、何かわれわれが頭から決めてこれをどういうふうにするんだなんという態度はとらないわけでございまして、仰せのように、いろいろな点につきましての議論をしていただいて御納得をいただかなければならぬわけでございまして、政府はそういう努力をいたしますので、国会の方におかれましても十分の御審議を願うようにお願いしたいと思います。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 次に、エネルギー問題について御質問いたします。  わが国の石油消費の約一七%を占めますイランが、昨年十二月以降きわめて不安定な政情にございます。このために、通産省の発表いたしております各石油会社に対する調査、これによりますと、船積み状態、さらに到着状態ともに当初計画よりも相当減少いたしておりまして、一月末備蓄見通し八十五日強、二月末日八十二日強、三月末は八十一日強となるであろう、こういう推定を発表されております。そのとおりでございますか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) そのとおりであります。ただ、そのほかに公団備蓄七日分、これがあるわけです。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 しかも、このような状態に加えまして、メジャーから各石油精製会社に対する供給カットの通告は一五ないし二一%と、きわめて大きなものがあると新聞では報ぜられております。しかも、民族糸資本に対するカット率はさらに大きい、こういうことが指摘されているわけでございます。また某メジャーは、本年一−三月の供給に当たりまして、当初のカット数量から若干の値上げと引きかえに一〇〇%供給を約束したけれども、旬日を経ずしてこの確約を破棄いたしまして、大幅カットを通告したとも報ぜられております。このような現状に対する通産大臣としての所見と対策をお伺いします。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) メジャーなどのいろいろな要求があったなどという報道の中には、確かなものもありまするし、ややデマを上乗せしたような情報的なものもあります。そこでいまお話しの点でありまするが、御承知のように、一−三月の最需要期を私どもは最も心配したわけです。ことしは七千四百五十万キロリットル、これだけのものを輸入計画として見ておったわけであります。それに対して、各社からの持ち寄ってまいりました数字が、初めは七千二百万キロリットル、これがどうやら三月末には七千四百万キロリットル可能である。七千二百万キロリットルというのは去年の一−三月の総需要量でございます。その段階で、私ども景気は持続させなければなりませんし、これと同じウエートでうらはらになっておりまする雇用の安定、これも確保しなければなりませんので、大口使用者には今後節約面その他で全面協力は得なければなりませんが、大口規制はしないということに踏み切ったわけであります。  そこで今後の見通しいかん。四月以降でありますね。三月末は、先ほどお話がありましたように、おおむね八十一日強、八十日ぐらいは確保できる。IEAの協約によりますると、わが国は五十四年度からは八十五日分を持たなければならない、こういうことになっております。しかし、先ごろのIEAの理事者会議、これに私どもの天谷エネルギー庁長官が出てまいりまして、いわゆる不時のための備蓄である、したがって、この備蓄の根底を崩さない範囲で、特にスポット物が値上がりをしておりまするので、この値上がりを緩和したり、不時のために備えたこの備蓄分を取り崩すということはその国々の判断において行うべきではないか。同じような理由をエネルギーのない西ドイツにおいても強調したそうであります。そして特に国際的にも内需喚起を迫られ、景気の浮揚を迫られておる日本などにおいては、そういうことがあってもやむを得ないではないかということで了承をされた。そして、結論としては一日二百バレル足りない。そこで、石油の消費量によってそれぞれの国々によって節約という話も出ましたら、この機会に五%参加国十九カ国が歩調を合わせれば節約は可能であるということで、五%節約というものが提示されたわけであります。もう昨日来、この五%節減の通産省側の試案については申し上げましたので繰り返しませんが、おおむねめどを持っておる次第であります。きょうも大分この予算委員室は涼しくなりましたね。この程度で決してしんぼうのできないものでありませんから、民間などもこういうふうにやっぱりしっかり協調してもらえば、冷暖房差を縮めることによってやっぱり八百万キロリットルぐらいの節約ができるのですね。暖房だけでも十九度に抑えれば六百万キロリットル台の節約ができる、これが一番効果的なんです。テレビの深夜放送をいじるとか、そういうことよりも、もっとこれがやっぱり大事なことだという認識に立っておるわけでありまして、来週中には省エネルギー・省資源対策推進本部の議に供しまして、国民の、また企業の全面的な節約、協力を仰ぎたい、こういうふうに考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 省エネルギーの対策を進めなければならない、これはもう当然のことでございます。しかし、ここでお伺いするのですけれども、見通しとして三月末八十一日ぐらいになるんでしょう。ところが、二月十五日に通産省は、四月一日以降八十五日に備蓄をふやすという基本告示をされておりますね。四月分足りないわけですよ。このまま放置しますと、安定供給を縮小するか、それともスポット買いをする以外に、二月十五日に告示された基本計画を推進するということは不可能でございますね。  そこで御質問をするんですけれども、いま通産大臣の言われたような態度であるとすれば、この二月十五日の告示にかかわらず、備蓄法八条によりまして、その各社別備蓄の割り当ては当然そこで再考慮がされると、こう理解していいんですか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) いまお話にありましたように、確かに少なくなります。しかし、それに七日分政府が持っておりまするから、つじつまは合うわけです。四月からは——まあ、九月までが上半期ですが、十月までは日本の場合は非需要期ですね、従来その間に最盛期の冬分の積み増しをしていくわけですが、この積み増しがどうなるのか、これはイランの情勢待ちというわけです。しかし、世界的に総需要量の足りない分、これは一日二百万バレルである、五%ひとつ節約をしよう、こういうわけですから、本来ならば何とかつなぎとめられるわけであります。買い急ぎ、買いだめがなければ、いまのペースで続けていきましても五百日から六百日は大丈夫であります、こう天谷エネルギー庁長官は国会でも御答弁をしておるわけでありまして、何かうわさには、ちり紙がなくなるぞとかなんとか、そんな話がもうすでにあるという、何か週刊誌かなんかでしたが、これは全くでたらめでして、これはもう私ここで正式に否定しておきたいと思いまするが、そういうことはございません。ですからIEAにおいても、今度は静かに対応しよう。この前の石油ショックのときにはいささか消費者があわて過ぎた、そのために、もうけたのはメジャーを初めとする石油関連業者であって、消費者は被害者であった、今度は静かにいきましょう。そういうためにIEA機関というものもできまして、お互いに相互扶助でいこうということ、今度の節約方途も、世界的なレベルで、参加国は先進国が多いわけですから、使用国ですから、節約をしていこう。  それからもっと言えますことは、なるほどスポットものというのは高うございます。しかし、これは全使用量から言いまするならば三、四%足らずのものであるというふうに私ども説明を受けております。そのとおり間違いないようです。したがって、そういうスポットものは高くっても、今後の節約態勢というものが世界的レベルでしっかり行われればそんなに先行き不安はない。それから、前の石油ショックのときとは、IEAの申し合わせなどによりまして備蓄法もできたりして、備蓄の度合いが違うんですね。あの石油ショックのときには、日本の場合は、民間だけでしたから五十九日分弱、今度の場合は九十二日分強と、こういうわけですから、これは使用量から言ったら日本としてはまあまあ備えをしておった、こういうことは確かに言えると思います。  それから石油ショックのときは、OPECと消費者というものがまるっきり反対の、利害相反する立場で対立的でしたね。ところが今度の場合は、OPEC諸国の信義にかけて、イラン以外の国は増産もいたしましょうということで、サウジアラビアを初め増産に協力しておってくれる。値段の点はさっきお話がありましたように多少高くなっておりまするが、それは、八百五十万バレル・日産レベルを九百五十万、一千万に増産をした、その分はいわゆる一〇%アップ後の分という計算で多少値上げをすることを理解してもらいたい、これはやっぱり一つの事情のようにも思えます。  そういうわけでありまするから、備蓄を上手に使いながら、価格の激変ということについても、非需要期に向かいまするので緩和対策をとってまいりたいというふうに思います。  各社をどういうふうに処置するのか。これらにつきましては、必要があれば事務当局からお答えをさせます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 通産大臣、あの二月十五日の基本計画告示は、タンカー備蓄を別にして八十五日にしなさい、こういうことですね。実際はしかし八十一日分しかない。  そこで、いまの大臣のお考えをこう確認してよろしゅうございますか。備蓄法八条によりまして——タンカー備蓄は別ですよ、それ以外の備蓄量についていきなり八十五日にするという基本計画どおりではなくて、そこらは十分に実態に応じた各社別割り当てを行う。その際、民族系資本等はメジャーからのカット率が大きいわけですから、それらも十分配慮された現実的な各社に対する指示が行われる、こう理解していいですか。

天谷直弘資源エネルギー庁長官

○政府委員(天谷直弘君) お答え申し上げます。  八十五日と一応告示をいたしましたけれども、当面四−六月につきましては情勢もはっきりしていない点がたくさんございますので、八十日くらいまでは備蓄量を減らしたいという申請があればこれは弾力的に対処をしたいというふうに考えております。八十日をさらに割るというような八条一項の申請がございました場合には、どういう事情で減るのかということをよく調査した上で対処をいたしたいと思っております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 最近の原油価格の値上がりはまことに憂慮すべき状態でございます。三井物産が今度再開いたしました原油は、バレル当たり大体五ドルアップだと、こう新聞に報道されておりますし、三月六日付のニューヨーク発共同によりますと、アルジェリア、リビア、ベネズエラ、イラク等も大幅な値上げを通告し、もしくは今後通告をする予定である、こう報ぜられているわけです。仮に原油価格が二〇%上昇したとしますと、これ一兆円ですね。約その倍の影響がわが国の経済にあらわれてくる、もしくは異常な物価上昇を招く危険があらわれてくる、こういうことだと思うんであります。これはまことにいま重大な岐路に立っていると思うんでございますが、外務大臣としてのいわゆる石油外交の姿勢と、そして今後どのような具体的対策を講じられようとしておるのか。OPECの理事会間近でございます。明らかにしていただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 先進民主国の国々は、石油資源に対してはそれぞれ備蓄があるから懸念は要らぬとは言いながらも、これは諸般に対する考慮であって、将来に対する資源に対して非常な懸念と関心を持っておるところであります。特に、一九八五年になったならばこれは非常な事態が来るという考え方を持っておられるようであります。  一つは、石油資源に対しては、産油国と消費国の態度でありますが、いままでのように、売る方、買う方という利害の対立的な関係ではなくて、両方が協力をして、現在の資源をどのように有効に使うか、そのためには、省エネルギー、新しいエネルギーの開発、代替エネルギー等の問題についても、産油国と消費国が協力をしてこれを解決をしていくという姿勢が大事であると思います。  なおまた、量のほかに価格の問題が御指摘のとおりあるわけでありまして、この価格の問題も、いまや産油国はただ上げればよいというわけではなくて、個々の価格の変動に従って世界の基軸通貨の変動があるわけでありますから、値段を上げた、一方はドルが不安になってきた、実質はかえって困る、こういうようなこともありますので、価格あるいは価格を上げる時間、一挙にぴっと上げずに、国際経済を考慮しながらやるという気持ちも産油国の中に大分出てきたわけでありますから、こういう国々とも事前に連絡をしてお互いに協力をしてやろうという方向に切りかえることが  一つと、もう一つは、やはりその資源の出場所を多角的にいろいろ各方面に準備をしておくことが必要である。もう一つは、御承知のとおり、石油が重質油にだんだん変わってきておりますから、これに対する対応の処置等をやりつつ、未来に対する資源の問題については通産大臣とよく相談をしてやりたいと考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 いま外務大臣の言われたようになれば問題はないのでございますけれども、しかし、このまま推移しますと、石油価格の急騰を招きまして再びパニック状態が訪れてくる、こういう危険をはらんでいると思うのでございます。したがって、そういう場合には、石油業法による標準価格制度を再適用するというまでの決意を持って臨むべきではないか、この点をお伺いします。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) 急上昇を私どもは極力避けたいという決意で臨んでおるわけです。それは、さっきから繰り返しておりまするように備蓄があるということですね。それからもっと申しますと、四十八年のあのショック以来、たとえば日産百二十万バレル程度と言われる北海油田の掘削が成功しましたね それから百四十万バレルと言われるアラスカ石油があるんです。まあこれはアメリカはよそへ出しませんが、アメリカの輸入分がそれだけプラスするわけですから、したがって、いま日産二百万バレル足りない分というものは、数字の上では、まあ経済は一方では成長しておりまするものの、大体とんとんになっておるというわけですね。で、五%全体の使用量に足りない。足りないということになりますと、いまの、暴騰するんじゃなかろうかとか、先行き入手困難になるんでなかろうかという不安があるわけです。特にああいう不安定要因の多い中近東地方に依存をしておるという点、いろいろ不安はあろうと思いますが、全体の需要から言うならばそんなに不足はしていない。しかも、ここで二百万バレル分、一日五%を世界的レベルで節約しようと、こうやるわけですから、したがって、その値段の激変を緩和する方途というものは今後もIEA段階においてしきりに協議されなければなりませんし、また冷静にわれわれも対処していく、どうしてもこういうことが必要だと思いますね。したがって、備蓄分で値段の調整を図っていくということであって、いまにわかに標準価格を決めるということを決定するのは早過ぎるんじゃないかというふうに私どもは思っております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 いまそういうことが言えないということでございますけれども、そういう事態が発生した場合は、いま私の指摘しましたことも十分配慮されまして、パニック防止のための万全の対策を政府が講ぜられるように、これは強く希望をいたしておきたいと思います。  雇用政策で最後にお伺いしたいわけですが、政府は十万人雇用創出を図るということでありますけれども、発表された新雇用政策大綱についてそのお考えをお伺いしたい。

栗原祐幸自由民主党労働大臣

○国務大臣(栗原祐幸君) 十万人雇用創出の眼目になりますのは、まず中高年齢層ですね、これに対しまして大幅な雇用開発給付をいたしたい、いままでの率からいきましても、あるいはいままでの期間からいたしましても大幅な拡大をいたしたい、これが一つであります。それからいま一つは、雇用保険受給者等で新たに職業につくという場合に、これを雇い入れました企業主が教育訓練、これをする場合に、その企業主に雇用開発給付金、これを大幅に出す。これを制度を一つ出す。いま一つは、特定不況地域の離職者に対する給付金制度、これを活用する。そういうことで大体十万人を予定しているわけでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 政府は五十四年予算で、雇用問題政策会議、さらに雇用発展職種研究開発委員会を設置するということを提案されております。私は、広く各界の衆知を集めるためにこの種の機関が設けられたことは評価するのでございますけれども、これらを有機的に結合させていく必要がある。と同時に、雇用創出を進めていくためには地域機構というものの設置が必要である。そこで私は、今後この運用に関して有機的結合をいかにして図っていくか、これに対しては当然労使の意見が尊重されなければならないし、いかなる地域にこの地方機構というものを設けるべきか、この選択に当たっても、同様、民間産業労使の意見が尊重されるということでなければならない、こう思うんでございます。いかがですか。

栗原祐幸自由民主党労働大臣

○国務大臣(栗原祐幸君) 雇用創出のために衆知を結集いたしたい、そういうことから、雇用問題政策会議というのをつくろうということで予算の御審議を願っているわけでございます。しかし、それぞれの労働団体あるいは各政党からもいろいろとお話がございまして、過般の衆議院における予算修正の際に各党からいろいろ御意見があり、それに対しまして自由民主党から回答をされ、その結果を踏まえまして、私どもはそれを慎重に——慎重といいますか、誠意を持って検討いたしまして適切に対処いたしたいと考えておりますが、いま柄谷さんのおっしゃったとおり、いろいろ中央だけで雇用創出はできるものじゃございません。地方の意見も十分聞かなきゃならぬ。また労使の意見も十分聞かなきゃならない。そういうことで、各種審議会、各種の制度を有機的、総合的に活用して雇用創出の万全を期したい、こう考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 われわれはすでに具体的な雇用創出機構法案を用意しておりますけれども、当面いま大臣の言われた施策で問題の推進を図るとしても、私はその推移によりまして、やっぱり立法化という問題を将来検討しなければならないであろう。これは意見として私は申し上げておきたいと思うのでございます。  次に、定年制の問題でございますけれども、五十二年度の予算と実績を見ますと、定年延長奨励金は予算に対して五・六%しか消化されていないわけですね。しかも昭和四十三年の定年五十六・四五歳から十年たちました五十三年時点で五十七・五八歳、いわゆる十年間で一歳しか延長されていないわけでございます。これは行政指導による定年延長というものがいかにむずかしいか、また、現在の当面している産業界の実態は、多少の奨励措置をつけられてもこのことに応ずるような安易な体制でないかということを物語っていると思うのでございます。この点に対してわれわれは立法化を要求しているわけでございますが、大臣の所見をお伺いいたします。

栗原祐幸自由民主党労働大臣

○国務大臣(栗原祐幸君) 定年延長奨励金等がいままで余り消化されていないじゃないかということにつきましては、確かに金額等におきまして非常にこれ魅力がなかったと思うんです。そこで、五十四年度の予算には大幅な定年延長奨励金というものを出すように御審議をいただいているわけでございます。しかし、行政指導だけでどうにもうまくいかぬじゃないかということでございますが、私が申し上げるまでもなく、定年制延長、定年を延長するということ、そのネックになりますのが例の年功序列の賃金体系でございます。それから退職金制度、職員管理等の問題がございます。このネックを打ち破らない限りにおいてはどうにもならない。それには一体どうするかという問題でございまして、私どもはそれは労使の話し合い、労使がこの点について本当に話し合いをする。しかも、最近は労使の間でこの問題について打開をしようという動きがある。この間もここへおいでになりました下川さんなどは、すでに関西の方におきまして労使が協調いたしまして実質的な定年延長をやろうということでございますから、そういった雰囲気といいますか、機運というものを、行政サイドからいたしましても大いに助長していかなきゃならない。また、私どもは過般経済団体の代表者の方々にもこの問題について訴えました。また、きょうは午後六時半から通産大臣と私が労働界の方々にお会いいたしまして、この問題についても協力を呼びかけるつもりでございます。  ただ、法制化の問題等について考えろというお話でございますが、先ほど申しましたとおり、そういった問題等につきましては、過般の予算修正の際に各党と自由民主党との間でいろいろとお話し合いがあり、私どもはそれを踏まえて適切な処置をしていきたい、こう考えている次第でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 厚生大臣にお伺いしますが、年金成熟度、及び今後六十歳及び六十五歳の人々が全人口に占める比率、これがどのように推移していくと把握されておりますか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 厚生年金保険におきましては、昭和五十三年度の被保険者に対する老齢年金受給者数の比率は六・〇であります。今後、急速に成熟化が進んでまいりまして、昭和六十五年になりますと一二・七%、昭和八十五年になりますと二八・二%になる見込みであります。  また、国民年金におきましては、五年年金あるいは十年年金のように、政策的に短期の拠出期間で年金の支給が受けられる措置を講じておりますために、被保険者に対する老齢年金受給者の比率は、昭和五十三年度におきましては一四・九%、さらに昭和六十五年におきましては二二・一%でありまして、昭和八十五年には二四・五%になる見込みであります。その意味では非常に現状において、まだ諸外国に比して成熟度の低い状況でありますけれども、今後、人口の高齢化、また受給者の増加に伴いまして成熟化のスピードは非常に早くなると、そういう見通しに立っております。  なお、今後の人口についてのお話でありますが、六十五歳以上の人口の全人口に占める割合は昭和五十二年度で八・四%でありました。昭和六十年で九・七%、昭和七十五年で一四・三%、昭和百年で大体一八・一%となって、その後は大体同じ割合で推移すると思われます。また、六十歳以上の人口の全人口に占める割合でまいりますと、昭和五十二年で一二・二%でありますが、昭和六十年には一四・一%、昭和七十五年におきまして一九・八%、昭和百年で二三・三%となりまして、以降は大体同じような割合で推移する見通しであります。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 いま厚生大臣が述べられましたように、わが国の老齢化のスピードは欧米の三ないし四倍の速度をもってこれから進んでいくわけでございます。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 時間が参りました。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 しかし、定年延長の方は遅々として進まない。まことにこれは重大な老後不安というものを形成していると言わなければなりません。私たちはいま直ちに定年法をつくって、直ちに施行せよと言っているんではないんですね。問題はハウツーの問題なんです。われわれは三年ないし五年後に定年をこうするんだよというガイドラインを立てて、それに向かって労使が自主交渉によって、いま大臣の申された問題点の解明を図っていく。そのことが最も適した方策ではないかということを提言しているのでございます。老齢化のスピードは待ってはくれません。しかも、老後の生活不安は一向解消されておりません。この点を私は指摘いたしまして、今後、予算修正の過程で述べられた立法化の検討について、政府も真剣になってこれに取り組まれるように要望いたしておきたい。  なお、雇用問題につきましては多くの問題点を残しておりますが、これらは私は集中審議の際に改めて申し上げることといたしまして、時間が参りましたから私の質問を終わります。(拍手)

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 以上で柄谷君の総括質疑は終了いたしました。     —————————————

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 次に、玉置和郎君の総括質疑を行います。玉置君。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 総理、こうして総括をやらしていただいてありがたいことですが、予算修正ですね、予算修正に際してあなたが公民のああした話し合いを拒否されて、それで今日に至った、そのときの考え方、これをお聞かせください。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政府としては、五十四年度のいま御審議いただいておる予算案をベストなものと心得まして、その成立を期待いたしておるわけでございます。したがって、まずこれを形式的にせよ実質的にせよ修正するということは、政府にとって名誉ではございませんし、できたらこれは避けなければならぬと考えたわけでございます。  それから仮に、しかしながら、物事は話し合いの上で国会の運営はやっているわけでございまして、国会運営の立場からどうしても修正ということを考えなければならぬということになった場合におきましても、第二に考えなければならぬことは、予算の成立が年度の初めに確定いたしておるということでありたいと願うのが私の念願でございまして、予算はいずれ修正するであろうがということでは困る。したがって、言いかえれば、暫定予算は避けなければならぬが、いろいろな修正のやり方によりましては、暫定予算を避けられる展望が一〇〇%明らかでないということでもございましたので、これはわれわれは避けなければならぬ道だと考えた次第でございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 しかし、実質的には話し合いの線でいろいろ考えられたんでしょう。どうなんですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりです。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 そうすると、結局は形式修正、それをやった場合にいろいろおくれてくる、そういうことは大変な影響が出るというふうなことをお考えになったわけですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 形式的な修正はどうしても避けなければならぬと考えたわけです。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 実質でお譲りして、妥協して、形式で反対をしてと。形式で反対をして、公民がこの予算委で賛成しない、また本会議でも賛成しない、そういうことのウエートはどっちにかけたんですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 予算案に御賛成いただかなくても、修正を避けるべきだと私は考えました。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 総理、なぜこういうことを言うかというと、総務会で私はただ一人あなたのやったことに反対した。それはなぜかと言ったら、戦後三十年の日本の政治の中で、野党が、しかも有力な野党が防衛予算を含めた予算案に賛成をするということ、このことの考え方はなかったんですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは大変ありがたいことだと思います。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 あなたはいまありがたいことだと言った。ありがたいことだと思われることをなぜ拒否したんですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) それはそれなりにありがたいこととして評価いたしますが、それに対して払わなければならない代償と比較勘案いたしましてお受けすべきでないと考えたんです。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 大蔵大臣、いままで暫定予算、この十五年間で組んだのは何回ありますか。

長岡實大蔵省主計局長

○政府委員(長岡實君) お答え申し上げます。  四十年度から本年度に至るまでで八回でございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 その八回のちょっと日数を挙げてちょうだい。

長岡實大蔵省主計局長

○政府委員(長岡實君) 四十二年度六十一日間、四十三年度十六日間、四十五年度十八日間、四十七年度三十日間、四十八年度十一日間、四十九年度十日間、五十一年度十日間、五十二年度十六日間でございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 ちょっと五十一年度間違っておるぞ。

長岡實大蔵省主計局長

○政府委員(長岡實君) 間違いでございます、四十日でございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 総理、このとおりですよ。暫定予算を組んだのは過去十五年間で八回あって、これだけの日数を組んだんです。なぜ日本の防衛、安全保障を考えて話し合いに応じなかったんですか。どうもいかぬ。大蔵大臣はどういうふうに進言したんですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 暫定予算を組むというととはよい先例ではないと思います。できたらそれは避けなけりゃならぬと考えておるわけでございます。  それから第二の問題は、せっかく賛成の意思表示をしていただいておるというその意思表示は大変ありがたいのでございますが、われわれに対してそれだけの好意を寄せていただいているんでございましたならば、われわれが願っておる無修正で、形式的修正なく御賛成いただきたいものと私は思うのでございまして、むしろ公明さんと民社さんに対しましては、そのことをずいぶんお願いをいたしたわけでございますが、どうしても形式的修正にこだわられたわけでございます。そこで、それはひとつ私どもといたしましては、実質的な修正に対しましてはできるだけ私の方も誠意を持って進めますけれども、形式的修正をどうしてもしろということに対しましては、どうも釈然としないものがございましたのでお断りをしたのでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 それは総理、虫がよ過ぎる。私が考えたって虫がよ過ぎる。無修正で賛成せいなんて、そんな話し合いはありますかいな。話し合いというのは、どっちか歩み寄らなければいかぬですよ。どっちを選択するかということなんですね。あなたの方は暫定予算を組むことに、形式修正したら暫定予算を組まなければならぬからということで反対している、それでこういうかっこうになった。私はいま何が大事かということですよ。この与野党伯仲というときには、むしろ私はある面においては歓迎すべきだという考え方を持っておるんです。与党が圧倒的に強いというときはいろんなやり方があった。しかし伯仲の際には、本当に国会というのは腹を割って話し合いをしなかったら動かない。そこに議会政治の本質というのを見出すんじゃないかというふうな考え方を持っておったので、私は今度の場合は大蔵省の、大蔵大臣それから主計局長ぴったりやったということを聞きました。それから、どこかの野党も何かぐずぐず言うたと聞いた。後で笑っておるのは大体そんなところだ。  しかし、こんなことでだめですよ。それは防衛予算二兆九百五十億、これを含めて賛成をする。そのかわりこれだけのものをとるという形式修正なんだ。それはやっぱり大事なことですよ。それだけにあなたの選択は私は間違っておる、自由民主党の党員としてあなたの選択は間違っておる、こういうことを総務会で言ってきました。それは後で述べる憲法九条の解釈、これにも歩み寄りを示したと言っても言い過ぎではない。そういうふうな立場から今度この問題について、あなたのもう一回意見を聞いておきたい。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私は衆議院の予算審議を通じまして野党に大変感謝いたしておるんです。まず衆議院の予算委員会の審議が大体スケジュールどおりやっていただいたこと、そして暫定予算を避ける配慮をしていただいたこと、これは玉置さんと同様に私も野党の配慮に感謝いたしておるわけでございます。したがって問題は、予算案に対する賛否という限界の判断に係ってあなたと私との見解が分かれておるわけでございまして、私はもしわれわれの力が足らなくて、どうしてもその修正をのまなければ成立しないということでございますならば、私もあえてこれは野党の方々の言い分を聞かなければならぬと考えたのでありますけれども、成立は私どもの力でできるわけでございまして、問題は野党の御協力は、これがスムーズに充実した審議を通じて、ちゃんとした手順を経まして成立をさしていただくことに対する御協力、これは十分いただいたわけでございますので、その点は非常に感謝いたしております。防衛予算も含めまして全予算の審議が秩序正しく行われて、暫定予算を避けられたということに対しまして、私は全野党に敬意を表しておる次第でございます。そしてこのような措置を、そういう判断、そういう感謝を込めてこの措置をとりましたことに私は悔いはないんです。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 憲法ですけれども、この前の国会で真田長官が憲法論議、これはまあやっていいじゃないかという話がありましたね。いまでもそういう気持ちは変わりませんか。

真田秀夫内閣法制局長官

○政府委員(真田秀夫君) 昨年の当予算委員会におきまして、玉置委員に対しまして、私は、ただいまおっしゃいましたように、憲法自身の中に改正規定条項があるくらいだから、なるほど九十九条は公務員に対して憲法の遵守及び擁護の義務も課しておりますけれども、そのこととそれから憲法の中身についていろいろ検討をして改正論議をするということとは全く別のことである。したがって、それは憲法の改正について研究をして十分御論議になるということは一向差し支えない。ただ、改正されるまではそれは遵守しなければならないことは、これは申すまでもないということでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 総理は。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 同様な見解を持っております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 この委員会では、私はきょうは前文だけ問題にしたいとこう思いますが、その憲法前文に「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」云々とこうありますね。これについて日本国憲法は帝国議会の議を経たものであって国会ではなかったんじゃないかと、こういう議論がいろいろあるんですね。それから貴族院は正当に選挙されたものじゃないじゃないかという議論もある。これはどうなんですか。

真田秀夫内閣法制局長官

○政府委員(真田秀夫君) お答えを申し上げたいと思いますが、憲法の前文に、ただいま御指摘になりましたように、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」云々という規定がございます。この規定の実は読み方といたしまして二通りございまして、この「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」というのは、それは日本国憲法が代表民主制をとるんだよということをここで宣言しているんだという見方と、それから日本国民はこの憲法を制定するについて、「正当に選挙された国会における代表者を通じて」この憲法を確定したんだという読み方と、二つあるわけでございますが、どうも前者の説を甲説といたしますと、甲説もかなり学者の中には述べていらっしゃる方もございますが、どうも文脈からしまして乙説といいますか、後説、後の説ですね、乙説の方が一般的な考え方だろうと思われる次第でございます。そこで、そうすると、それじゃ「国会」と書いてあるではないかと。この日本国憲法が制定された沿革は、まさしくこれは帝国議会の議決を経て行われたわけであるから、これはおかしいではないかということになるわけなんですが、なるほど非常に読みづらいんです。読みづらいんですが、しかし、憲法の上諭を見ますと、旧憲法の七十三条によって「帝國議會の議決を経た」というふうに書いてございますし、事実もそのとおりでございますので、やはりこれはやや読みづらいけれども、これは帝国議会というふうに読むべきであると考えるわけなんです。  そこで次は、それでは貴族院はどうだと、正当に選挙された院ではないではないかという疑問が出るわけなんですが、どうもこの条文の前文の主眼は、衆議院に重点を置きまして、それで衆議院の議決を経ているぞということをここで言っているんだろうというふうな読み方もできるわけなんで、それでこの憲法制定議会が開かれる前に、すでに衆議院議員選挙法の改正がございまして、選挙権及び被選挙権の要件である年齢の引き下げとかあるいは女性にも選挙権を与えるというような改正もすでに行われておりまして、まさしく全国民を代表する正当に選挙された衆議院議員で構成される衆議院の議を経たという点に力点を置いてこのような条文になっているんだろうというふうに解釈するわけでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 長官ね、これは佐藤先生の本ですけれど、衆議院と貴族院の関係、あのときの関係をもうちょっと言ってください。これは貴族院と衆議院の関係、あのときの。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) もうちょっとわかるように説明してください。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 ちゃんと紙を渡しておるから知っとるはずです。

真田秀夫内閣法制局長官

○政府委員(真田秀夫君) 衆議院と貴族院との関係でございますか、この憲法制定議会における。それは旧憲法の改正手続という方法をとりましたわけでございますから、天皇の発議といいますか、によって政府が帝国議会に提出いたしまして、そして衆議院でかなりの修正が行われまして、修正可決の上、貴族院に送付され、貴族院においてその衆議院の修正部分も含め、さらに二カ所ばかりの修正を加えて衆議院に回付し、そして衆議院においては衆議院の独自の見解で委員会を省略して本会議において回付案を可決して、そこで帝国議会の議決が行われたと、こういう経過になっております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 いまの答弁でいいです。  私が言いたかったのは、この佐藤さんのような方が、貴族院は衆議院の意見に反して行動しなかったから云々というところがありますね。それをあなたが、そんなことはないと、貴族院の修正を衆議院はうのみにしたんだと、一つも直さなかったじゃないかということを肯定したですから、これでいいです。  次に、「平和を愛する諸国民」というのはどこの国民ですか。

真田秀夫内閣法制局長官

○政府委員(真田秀夫君) 「平和を愛する諸国民」という言葉が前文には出てきているわけなんですが、これは特定の国を指して、どこの国民は平和を愛する、どこの国民は平和を愛しない国民だというような色分けをして書いている条文ではございませんので、これはやはり世界じゅうのすべての国は平和を愛する国であるということを期待をして、そしてこのような表現をとっているものであろうというふうにしかお答えのしようがないわけでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 そうしたらね、「公正と信義」というのがありますね。「公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と。こういうことを総理できますか。現実の政治家です、あんたは。日本の政治の頂点になる人です。この願望と現実はどうなんですか、総理。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 願望は常に必ずしも満たされるとは限りません。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 そうすると長官、あなたのこの見解を問いますが、前文の、こういう「平和を愛する」から「保持しようと決意した。」、現実の日本の政治の中で、これはおかしな表現であるということを言い得ますね。どうですか。

真田秀夫内閣法制局長官

○政府委員(真田秀夫君) 「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」するということがおかしな表現であるとは私は思わないわけなんで……

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 そうじゃない、現実の問題。

真田秀夫内閣法制局長官

○政府委員(真田秀夫君) それは、ただいま総理がお述べになりましたように、これは理想といいますか、願望といいますか、そういう形であるべきだと、世界じゅうが、ということを述べ、そして日本もしたがってそういう信頼をもとにして日本の存立を図るのだというその理想を書いているわけなんで、ただ遺憾ながら、現実には第二次大戦後世界じゅうどこかで何らかの形の紛争が行われておるというのが現実でございます。したがって、条文自体がおかしな条文だとは私は思っておりません。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 長官、総理がいま、これは現実から見たらおかしなことだと言っとるんだよ、私らも思うんだよ。あなたもさっきそう言ったんだよ。これはおかしいなと言ったんだよ。だから、こういうとこで答えるとき——本音を言いなさい、本音を。本音は、なぜかと言ったら、やはり前段にあるように、こういうおかしなことが戦後三十数年間そのままになっとるんですよ。それで私がここに持ってきとるのは、結婚式の引き出物ぐらいにたくさんある憲法調査会の資料、これがこれだけある。縦にしたら四十センチぐらいある。総理ね、憲法調査会の昭和三十三年から昭和三十七年までやられたこの貴重な資料が、国会で使われて論議されたことがありますか。

真田秀夫内閣法制局長官

○政府委員(真田秀夫君) 憲法調査会の最終報告、それを正面から取り組んで論議の対象にしたということは、どうも私の知っている限りではございません。ただ、断片的に憲法調査会の報告のある一部を引用して議論になったことはあります。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 総理、これはいま長官も言ったように、これだけの膨大な貴重な税金をかけてつくった報告書、これが国会でまともに論議されたことがないんです。これは不思議なことです。そして戦後三十年ずっとこのまま来た。やっぱりこれから防衛論議をやっていく中でもいろんなことをやっていく中でも、必ず憲法問題に抵触するんです。それを避けて通ろうとしておるんです。そこに問題があり過ぎるということを指摘したい。それはどう思いますか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 長い時間をかけまして多くの権威によって論議された憲法調査会の議事録というものは、わが国会が持っておるとうとい知識、財産であると思います。したがってこれは、憲法的秩序をわれわれが考える上におきまして、いつも顧みてしかるべき資料であると考えます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 非常に貴重な資料だということは認めますね。では、これに基づいていろいろと国会の中で論議をしていくことがいいことだと思いますか、悪いことだと思いますか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国会における論議をやりなさいとかやっちゃいけないとか言う私は立場にございませんけれども、国会においてそういう論議が行われ、そしてそういった貴重な資料がいろいろ活用されることはあってしかるべき状態であると思います。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 あなたは自由民主党の総裁、自由民主党の党是の中にちゃんと自主憲法制定をうたっている。それだけに自由民主党の総裁として、いまあなたの言われたことを党内においてどのように進めていくか、そういう姿勢についてお聞かせを願いたい。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは自由民主党の方の論議で、国会で論議すべきことではないと思います。けれども、せっかくの御質問でございますが、そういう問題につきまして自由民主党内におきまして問題の提起がございますならば、真剣に検討しなけりゃならぬことだと思います。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 まだいろいろありますけれども、きょうはもうこれで憲法問題やめます。  続いて、きのうから共産党の人の話を聞いておりまして、まあ大変変わったものだなあと実はびっくりしております。最近日本共産党がソ連と仲よくし出した。そうすると、ソ連の敵のように見られておる中国に対して、ああでないこうでないと言い出した。あげくの果ては、北方四島の見解についてまで、まああそこまでよく言えたものだなあ、地方統一選挙を前に控えてあんなことを言ったらみんな落選するがなあとも思うぐらいのことまで言い出した。それに対して外務大臣どう考えますか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 共産党の意見として拝見、拝聴いたしました。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 慎重な答弁をなさる外務大臣としては、拝見じゃございませんで、これは拝聴だと思いますが、もう少し突っ込んで腹の内を割ったらどうですか。そうでないとこれはとんでもないことになりますよ。あのまま聞きおいただけで日本の国会が済ましたら、これはまた中華人民共和国からいろんなそしりを受ける。平衡感覚を失ったらいかぬと思うんですね、ぼくは。どうですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 意見は承りましたが、日本政府の見解は明確に申し述べておきました。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 そこで総理、大事なのはゾルゲ事件ですよ。これをいま国民に知らせるべきです。ちょうど私はタイムリーの問題だと思いまして——これだけあるんです、ゾルゲが。ゾルゲがこれだけ。それはなぜゾルゲをやり出したかというと、高村坂彦君がこの前総務会へ来まして——私は宮本顕治氏の資格争訟の問題を総務会で討議、再確認してもらった。そのときに彼から電話がかかってきまして、非常に大事なことだと、それだけに重光葵さんの「昭和の動乱」を読みなさいというので私は読んでみた。そうしたら、この「昭和の動乱」の中に、簡単に言いますとこういうことが書いてある。「ソ連が、コミンテルンの世界にわたる組織を通じて、日米交渉の破壊を策することは当然のことである。コミンテルンの政策は、日本のソ連に対する力を減殺せんがために、日支の衝突を誘起し日本の北進を転換して南進せしめ、更に日米の戦争に導くことにあった。この目的のために、支那における共産分子は勿論のこと、日本をはじめ欧米における第五列的共産勢力は最も有効に働いた。」と。これです。これでぼくは、よしこれは調べてみようというので、このゾルゲに関する——これが一番詳しいと思います、四冊、 これを国会図書館から持ってきて読んでみた。非常に興味しんしんですよ。それは松本清張の小説を読むよりもっとおもしろい。しかし非常に大事なことが書いてあるんです。そこで、ゾルゲ事件の概要について法務省。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) お尋ねの事件につきましては、判決書原本及び事件記録が散逸いたしておりますために詳細が定かでございませんが、私どもの部内資料等によりますと、御指摘の事件は、ソ連共産党諜報機関に直結した当時のいわゆる赤色スパイ事件ということでございまして、昭和十六年十月に検挙され、同十八年から十九年にかけて判決が確定しております。  要するにこの事件は、ソ連赤軍の諜報機関であります同赤軍第四本部の指揮統制のもとに、駐日ドイツ大使顧問リヒャルド・ゾルゲを中心とする外国人四名及び尾崎秀実を中心とする日本人約三十名が、昭和九年ごろからわが国の政治、外交、経済、軍事等、各般にわたる機密を探知収集し、これを短波無電、写真フィルム等により、赤軍第四本部を通じてソ連政府、同国共産党中央委員会及びコミンテルン本部等に通報漏洩していた、こういうものでございまして、捜査の結果、関係者は、国防保安法、軍機保護法、軍用資源秘密保護法、治安維持法違反で起訴されまして、主犯のゾルゲ及び尾崎が死刑、その他二名が無期懲役、また十二名が二年から十五年の有期懲役にそれぞれ処せられたことがうかがわれます。  以上のとおりであります。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 捜査の端緒と、それから検挙の経過。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 公刊物等にいろんな捜査の端緒に関する報道がなされておることを承知いたしておりますが、何分、申しわけないことでございますが、事件記録が散逸しておりますので、責任あるお答えがいたしかねます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 総理、外務省に一九五七年の十月——これは元号で言いませんよ、西暦でいいです。これ外務省がそう書いておるんだから。というのは、これはアメリカにウィロービーが一たん持っていって、それで返されて、外務省の省内記録としてとめておるんです。この中に、捜査の端緒、検挙の経過、これが載っておるんですよ。それは法務省は持っておるはずですけれども、どうですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 私どもといたしましては、著名な事件でございますから、散逸しました記録を捜しておるわけでございますが、いまだ発見できません。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 これは外務大臣、あなたのところからくれた資料です。この中に皆載っている。あるんです。私いま読みましょう。ここが大事なんで、日本共産党とのかかわりだからここは抜かすわけにいかない。「昭和十五年六月以降、警視庁において検挙に着手せる日本共産党再建準備委員会事件の首魁、治安維持法違反被疑者伊藤律、当時二十九歳は、俊敏にして共産主義に対する信念堅固なるものあり。検挙後数カ月にわたるも犯行を自供せず。取り調べ困難をきわめたるも、警視庁の峻烈にして一方恩情ある取り調べに対しついに翻然転向を決意し、漸次その犯行を自供するに至れり」といって、伊藤律が転向してこの全貌をしゃべるわけですね。それに基づいて次々と検挙されていくんです。その中に、検挙された重立った者の中に、日本共産党と中国共産党とアメリカ共産党とどういうかかわりがあるんですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) これまた公刊物には書いてあることを承知しておりますが、記録が先ほど申し上げましたようにございませんので、責任ある御答弁ができません。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 公安調査庁は。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 念のために公安調査庁にも照会しましたが、資料の持ち合わせがないようでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 これだけ重要な問題で、ちゃんと私が事前に通告して、この書いたものまでおまえのところに渡したじゃないか。それ、持っておるやろう、これを見なさい。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 公刊物のコピーをちょうだいいたしておりますが、その内容を私ども法務省の立場で確認できませんので、申しわけございませんが御勘弁願います。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 それじゃこれどうしたらいいの、こんなことで承知できませんよ。ゾルゲ事件というのは、いまソ連と日本共産党のかかわり合いをめぐっての非常に大事なときに、そんなにナマズかウナギのように逃げられてたまったもんじゃない。わしら腹をくくってやっておるんだ。今晩からまた共産党の妨害が始まるんだ。それを腹をくくってやっておるのに法務省が逃げるというのあるもんか。これは理事がちゃんとやってくれ。法務大臣。

古井喜實自由民主党法務大臣

○国務大臣(古井喜實君) お話の資料の問題ですけれども、何さま時間がたっておりますので、いまあなたがおっしゃってから調べたところでは、資料がよく調べがつかぬと、まあこう言っておるんですから、この上調べろとおっしゃるんならもうちょっと時間をかけて古いものを調べなきゃならぬのですけれども、現状は、おっしゃったこの瞬間まででは十分調べがつかぬと、こういうことでありますので、私が歩き回ったところでわかるわけじゃありませんから、やっぱり担当の連中が一生懸命調べたところを事実とするほかないと思います。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 これはおかしなことを法務大臣承りますよ。宮本顕治さんのあの問題が衆議院であったときに、昭和八年ごろからの記録が全部出たんですよ。なぜ出ないんですか。ゾルゲが検挙されたのはいつですか。なぜ出ないんですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 連合国軍によります占領中に散逸をいたしておりまして、その行方を捜し求めておるわけですが、まだ把握に至っておらないのでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 外務省にウィロービーが返してきたのがちゃんとまとまっておるじゃないか。そんなことで承知できない。ちゃんとしてくれよ。大事なことです。これが根本だ。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまのような御指摘もありますから鋭意捜しておりますが、まだ見つかっておりません。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 いつまで捜すんだ。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほども申し上げましたように、著名事件でございますのでずいぶん前から捜しておりまして、今後とも力を尽くして捜していきたいと、こう思っております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 外務省に省内の資料としてちゃんと印刷物で私の手元に出るやつが、何で法務省にないんだ。法務省というのは、そんな過去の重要な、著名なこういう大事な事件の資料をどこかへ集めるということをしないのか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) たとえば判決原本は永久保存でございますから、先ほどちょっと御引用になりました宮本顕治氏にかかわります判決原本等はあるわけです。ところが、このいわゆるゾルゲ事件につきましては判決原本そのものも散逸をいたしております。したがいまして、私どもは当時、戦後確かに検察当局にありました確定記録、それから判決原本そのものの所在を一生懸命捜しておるわけでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 ぼくの、このゾルゲ事件の全容を書いたこの本ですね。この中には、占領軍のウィロービーが、一たん関係のやつを全部持ってアメリカへ送るんです。それをまた送り返してくるんです。その送り返したエキスがそれですよ。だから全部返ってきておるんです。どうですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) エキスはただいま御指摘のように見せていただいたわけでございますが、私どもは判決原本及び裁判記録そのものを何とか捜し出したいと、それに基づきませんと公の場で責任あるお話ができませんので、そういう意味で一生懸命捜しておるわけでございますが、まだ発見できておりません。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 だから、こういうふうな本は、幾ら言ってみたって空鉄砲を撃っているようなもんか、どうなのか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) どういうふうに表現したらいいかわかりませんが、私どもで責任を持ってその内容について肯定も否定もできないという意味におきまして、責任を持ってお答えができないと、こういうことでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 さっき、それならゾルゲ事件の概要についてあなたが説明してくれたのは、それはどこから持ってきたんだ。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 部内資料に基づきまして、ほんの粗筋、骨のところを申し上げたわけでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 骨の粗筋にこれがないのか、諜報機関員の十七名の者の名前が出ていないのか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 起訴されました者の氏名と判決結果、これはわかっております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 それなら名前を言えよ。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 順次申し上げます。  リヒアルド・ゾルゲ、死刑。マックス・クラウゼン、無期懲役。ブランコ・ド・ヴケリッチ、無期懲役。尾崎秀実、死刑。宮城与徳、これは病死のため宣告がありません。小代好信、十五年。田口右源太、十三年。水野成、十三年。山名正美、十二年。船越寿雄、十年。川合貞吉、十年。川村好雄、死亡のため宣告がありません。久津見房子、八年、北村トモ、五年。秋山幸治、七年。アンナ・クラウゼン、三年。安田徳太郎、懲役二年執行猶予五年。西園寺公一、懲役二年執行猶予三年。  以上でございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 委員長、これ注意してください。これだけ言わなかったらこういう名前も出てこないというのはどういうことですか。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 答弁してから。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 いや、政府が協力する姿勢があるんですかないんですか。どうなんです。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 当時起訴されました者の氏名についての御質問があれば、お答えするとただいまのとおりでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 ここに挙がっておる被検挙者の身元、罪名及び主要人物の経歴その他、これ全部あるんです。記録があるんです。それは、この男はかつて日本共産党員であったとか、これは中国共産党と関係があったとか、アメリカ共産党員だったとか、こういうのが全部あるんです。これがわからないとこの話の進め方はなかなかむずかしい。こういうことについて協力をこれからしていただけるのか、どうですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 極力判決原本及び記録を捜しまして、それが発見されましたら、それに基づいて正確にお答えいたします。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 それを発見される可能性はあるのかな。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) ひとりわが国のみならず国際的にも著名な事件でございまして、現在散逸はしておりますが、必ずどこかにあるんじゃないか、こういう確信を持って捜しておるわけでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 そうしたら、捜してくれるという努力をするということ、もう一回確認してくれ。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 鋭意捜します。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 いつまで。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 見つかるまで捜します。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 ぼくは、まあ法務省はそれでいいと思います。そのかわり、E2Cに対しても、ああいうものに対してもやっぱり毅然とした態度でやってもらわにゃいかぬ。法務省というのは私はそれでいいと思う。本当にいまのような刑事局長の態度でいい。それだけに、私の方から言いますが、日本共産党員であった方が、アメリカ共産党員、中国の共産党員、その背後にモスクワのコミンテルンの指令があってこのゾルゲ事件というのは仕組まれていくんです。そういうときに、この日本共産党員が一体どういうふうな動き方をしたのか、アメリカの共産党員がどういう動き方をしたのか。これは日米は戦わなくてもよかったようなものが戦わされたという記録がここにはっきり出てくるんです。それだけに、総理これは非常に重要な問題です。単に私の質問をいま時間かせぎで逃げたらいいというような問題ではない。だから総理から、この貴重な資料を早く法務省が責任を持って捜して国会に提出をする、この委員会に資料として提出するということのお願いをしたい。どうですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 鋭意努力いたします。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 委員長からももう一回、この資料要求を私はしますから、これは法務大臣に対してしかと申しつけてください。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 後刻理事会で協議いたします。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 参議院法制局長、来ていますね。——私は前に法務委員会で宮本顕治さんの資格争訟の問題をやりました。これはそのままになっていますが、私が同僚議員である宮本顕治氏の議員としての資格、これに疑いを持っておる。このことについて、前に法務委員会でも述べましたが、私のそういったやり方というものは合法的であるかないか、見解を聞きたい。

杉山恵一郎法制局長

○法制局長(杉山恵一郎君) 憲法五十五条に「両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。」という規定がございまして、そして、それを受けまして、国会法、それから衆議院規則、参議院規則に詳細な規定がございまして、ある議員が法律で定める議員の資格——選挙資格その他でございますが——を備えているかどうかについて争いがあって、その院の他の議員から議院に対してその点についての裁断を求めるという場合にはこの資格争訟という手続で議院が裁断をするという制度になっております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 それじゃ皆さんわからぬですよ。これはやっぱりみんなにわかるように条文を読んでください。私とあなたの間ではすぐわかるけどね。やっぱり条文をよく読んで、これはできるんだということを。

杉山恵一郎法制局長

○法制局長(杉山恵一郎君) 国会法及び議院規則の資格争訟についての手続を概略御説明をいたしますと、他の議員の資格について提訴しようとする議員があります場合には、所定の要件を備えた訴状及び副本一通を議長に提出をいたすことになります。訴状が提出されますと、十人の委員で構成される資格争訟特別委員会というものが参議院では当然に設置されることになります。議長は、議院に諮って審査期間を定めまして、訴状を当該委員会に付託いたします。それと同時に、その訴状の副本を被告議員に送付しまして、その際に委員会の審査期間とともに期日を定めて答弁書の提出を要求することになります。被告議員は答弁書を提出するわけでありますが、答弁書が提出されますと、議長は直ちにこれを委員会に送付いたします。委員会では、訴状とそれから答弁書とによって審査をいたします。被告議員は、訴状の副本の送達を受けた段階で弁護人を二人以内選任することができます。その一人については国費で負担をいたします。被告議員及び原告議員は、委員会の許可を得て委員会に出席して発言をすることができ、また、委員会は、必要があれば被告議員または原告議員を招致して尋問することができます。そのようにして審査が終わりますれば、委員の過半数で結論を出します。   〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕 そうして、委員会から議長あてに審査報告書が提出されます。その審査報告書は、印刷をして各議員に配付いたします。最後に本会議で被告議員の資格の有無について議決で判決をいたします。この場合に、議員の資格がないと決定をするにつきましては、出席議員の三分の二以上の多数の議決が必要でございます。なお、被告議員は、その資格がないことが証明されるまでは議院において議員としての地位及び権能を失うことはございませんけれども、当該資格争訟に関する会議においては、弁明はできますが、表決には加わることができない、こういう制度になっております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 最後のところ、その理由は付さないでいいという……。

杉山恵一郎法制局長

○法制局長(杉山恵一郎君) それから判決には理由を書く必要がございません。そして、その判決書の謄本は、被告議員と原告議員に送付いたします。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 これは国務大臣の人もよく聞いてもらったらいいのですが、憲法第五十五条の精神を受けて国会法があって、そのまた国会法を受けて参議院規則があるわけです。その憲法第五十五条というのは、議員の最終の資格判断は、これはそれぞれの院がするんです、院がすることになっている。これは、総理、おわかりですか。これはみんな知らない。皆国民主権だから国民が判断するのだと思っておるんですが、憲法第五十五条はそうじゃない。それだけに、同僚議員であろうが、とにかくその資格について疑義が生じた——私の場合を言いますと、私は自由民主党の本部から頼まれてある市長選挙の応援に行った。自民党の公認候補が出ておるところでありまして、そこの党員が、私に、ここで現職市長をやっつけるためには宮本顕治氏のあのリンチ殺人事件と称されるものをやってくれということだった。そこで、私は、自由民主党の宣伝カーに乗って地元党員の要望にこたえてやった。やったら、途端に録音テープでとられて東京地検に名誉棄損で告訴された。選挙前ですから私はこれを誣告罪で訴えた。これが始まり。そしてまた、今度はある紙面でしゃべったら、また告訴された。大宮でしゃべったら、今度は平田藤吉君から埼玉地検に告訴された。私はいまたった一人で応戦中であります。自由民主党というのは冷たい党でありまして、弁護料から始まって調査費用も一銭も出さない。みんな自己負担であります。りっぱな党だと私は思っております。それだけに、私は、私の資格云々をされておるときに宮本顕治さんが幸か不幸か議員になってこられた。公党の委員長です。私も一時はやめようと思った。こんなばからしい自分で負担せんならぬことはやめようと思った。まあ共産党からもそういう誘いがあった。もうやめようやないか、ああ、やめようやめようと言っておったときに袴田さんが出てきて、リンチ殺人事件、宮本は人殺しであるということを言い出した。こうなったら私は引けない。真実は一つです。宮本さんの言うとるのが正しいのか袴田さんの言うとるのが正しいのか、私の名誉棄損に関することである。そこで、私は、両者の証人喚問要求をあなたが幹事長のときに総務会で提案をしている。自由民主党の党議で証人喚問要求を支持するということを決めていただいた。そこからここに発展をしていくんです。それだけに私は引けない。  それで、いま局長が言いましたように訴状をここに準備してきた。「訴状 原告議員玉置和郎被告議員宮本顕治」——要領だとか理由だとか書いておる。これを出すことになろうかと思います。こういう議員間の争い、法に基づいての争いでありますが、そういうものについて総理はどう見ますか。政治の頂点にある方です。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) まず、玉置先生はわが党の有力なメンバーであられます。わが党の中でその問題につきましていろいろな経緯があったようでございますので、私はまあそういう経緯をもう一度検討していただいて、大事なことでございますので、あなたもあなたの愛する党との関係において、その問題の取り扱いを党とよく御相談をいただきたいものと思うのでございまして、党の方にも私から申し上げておりますので、その経緯をよく踏まえてよく検討をしていただきたいと、ただいまの段階はそう思います。それから先どういうことになりますか、まず私の希望といたしましては、党内で十分吟味さしていただくのが至当ではないかと思います。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 まあ大平総理にしたら珍しく積極的な発言であると、私はこう受けとめまして、心強く思っております。  そこで、次に公取委員長にお伺いしますが、私は最近の日本医師会のやり方はどうも社会正義に反するのじゃないかと思っております。きょうはその道の権威の橋本厚生大臣とそして渡辺国務大臣がお見えでございますので、両者にそれぞれお伺いをしていきたいと思います。  徳洲会病院と茅ケ崎医師会とのトラブル——医師会は、自分の気に入らないと、とにかく医療行政に協力しない。保険医の総辞退、予防接種のボイコット、学校保健医の辞退、休日当番のボイコット、まあこれだけならまだと思いましたところが、今度選挙に絡んで自由民主党の国会議員何十名を落としてみせるというようなことを堂々と文言で発表するようになった。これは行き過ぎだと思いますが、総理、どうですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本医師会は名誉あるわが国の開業医のつくられておる団体でございまして、その医師会がとられる政策、態度につきましては、私はとやかく申し上げる資格はございません。ただ、わが党との関連におきまして、若干の意見の相違があったり、いろいろないきさつがございますことは承知いたしておりますけれども、相互の理解と信頼と相互の尊敬を通じまして問題を解決していかにゃいかぬと考えておるわけでございまして、一々の経緯につきまして私は詳しく事情を承知いたしておりませんけれども、医師会との関連の問題につきましては、そういう精神で処理していかなければならぬ、もし問題の提起がございますならばそうしなけりゃならぬと考えております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 現実、新規に開業しようとするお医者さんに対して、既存の開業医の方々が総ぐるみになってその開設を反対される。   〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕 徳洲会の問題においてもそうです。それは行き過ぎじゃございませんか。大臣、どうですか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 徳洲会病院の問題でありますが、確かに茅ケ崎で非常に混乱が起きておることは私も承知をいたしております。ただし、同時に、大阪府にすでに幾つかの徳洲会系の病院はあるわけでありますが、大阪府医師会と徳洲会との間に問題は起きておりません。また、沖繩県に徳洲会病院進出が決まっておりますが、沖繩県医師会と徳洲会病院との間に何らのトラブルがあるということを私は聞いておりません。ですから、私どもは、徳洲会というものが年中無休、二十四時間オープン等の方針を掲げて病床不足地域に進出を図っておられるということ自体について、これがその方針どおり救急医療に協力をしていただける病院であるとすれば、決して否定すべきことではないと、そのように考えております。ただ、同時に、地域が医療の中で混乱が起きるという事態は好ましくないことでありまして、これはどちらがいい悪いを言えばお互いに言い分のあることでありましょうけれども、地域の実情を一番よく御承知であり、病院開設の許可権限をお持ちの知事さんが実態に応じてやはり両方の言い分を十分聞かれた上で御調整をいただくことが望ましいと、そのように考えております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 大臣、その知事さんに対して、おれたちの言うことを聞かなかったら今度は推薦しないよ、応援しないよというのを私は何カ所も知っておる。あんたは岡山だけであとは知らないかもわからぬ。私は全国区ですからよく知っておる。この問題でそういうことを前大臣は耳にしたことはございませんか。新規開業を妨害するというようなことであんたのところへ来たことがあるでしょう。どうですか。渡辺厚生大臣のときだ。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 具体的に私のときは審議会をボイコットするというような申し入れはありません。私が就任したときにはもともとボイコットされておったわけであります。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 それは、渡辺さん、あんた聞き違い。あんたのボイコットじゃない。あんたはもう初めからボイコットされておるのはわかっておるんだから。そうじゃなしに、新規開業をしたいというお医者さんが、これは国家試験を通ってそして正規の医師として開業できる資格を持っておる。そのある町で開業しようとする、これは歯科医師会もあるんです。歯医者さんもある。私は具体的に知っておるんだよ。そういうことはあんたのときはなかったかということです。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 個々のケースだと思いますが、大臣のところまでは上がってきておりませんでした。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 これは、公取委員長ね、至るところであるんです、この新規開業妨害というのは。(「あるある」と呼ぶ者あり)これはいまここでも野党の人があるあると言っていますが、みんな知っておるんですよ。知っておっても、物をよう言わぬです。私は一つの恐怖だと思う、これは。政治家が勇気がない。とにかく自分の票を減らされる、引き落とされるということでみんな口を開かないんです。私はこれは大変な問題だと思いますよ。こういう医師会のやり方に対して、どうしたらいいかということを考えてみた。そしたら、ちょうど、公正取引委員会が社団法人日本建築家協会に勧告書を出してある。これはどういう根拠ですか。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 建築家協会に関する独占禁止法違反容疑事件につきましては、現在審判中でございます。建築士も広い意味での自由業でございまして、自由業に独占禁止法の適用があるかどうかという問題は古くからある問題でございますが、時代の変遷とともに自由業に対しても独占禁止法を積極的に適用するという考え方が浸透してまいりまして、そういう考え方の一つのあらわれとして建築家協会の事件を取り上げたわけでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 行き過ぎた建築士会に対して勧告書を出すんですから、もっと行き過ぎて社会的問題が起こっておるこの医師の方々に対する問題、特に日本医師会に対する問題、これについて——その前にお伺いしたいのですが、医師も自由業の範囲から外していくという傾向、ここに独禁懇のいろいろな解説を持ってきていますが、これには消極説と積極説とそれから折衷説があります。積極説は言うに及ばず、折衷説においても、開業医が共同して新規開業を妨害するような場合には、その限りにおいて事業者と見て差し支えない、こう書いてある。それだけに、ぼくはこれは世界的な傾向だと思いますが、世界の先進諸国においてそういう傾向は見られますか。どうですか。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 自由業に対する独占禁止法の適用の問題につきましては、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、昭和二十二年に独占禁止法が日本に導入されました当時は、いまお話がございました、どちらかと言えば消極説が強かったようでございます。ただ、時代の進化とともに自由業に対しても独占禁止法を積極的に適用したらどうか、まあ積極的に肯定的な適用ができないまでも、ケース・バイ・ケースの適用をしたらどうかという考え方が強くなってきているのが現状でございます。ただ、いまお話がございました都道府県医師会あるいは市町村医師会等の行動でございますが、これが事業者団体としての行動であるかどうか、医師なるがゆえに直ちに事業者であるということは申しにくいと思います。たとえば大病院等に勤務している医師もおられますから、医師が即事業者とは言いにくいと思いますが、たとえば開業医ということになりますれば、これは事業に近くなってまいりますから、いわゆる独占禁止法の対象にし得るというふうに考えております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 外国の例はどうですか。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 諸外国の例でございますが、アメリカ、カナダ、イギリス等について申し上げますと、諸外国におきましても、医師などの事業に対する法律の適用につきましては、必ずしも一様ではございませんが、おおむね適用を肯定する流れの中にあるというふうに考えます。アメリカでは、医師、弁護士、建築士などの事業にも独占禁止法を適用いたしておりますし、医師が共謀して医療団体の医療活動を妨害した行為につきましてはシャーマン法違反とした事件がございます。カナダでは、従来商品のみを規制の対象といたしておりましたが、一九七五年には法律を改正いたしまして、医療サービスなどにつきましても規制の対象といたしております。それからイギリスにおきましては、医師、弁護士、会計士などの自由業につきましては、制限的協定、カルテルは登録の対象としないと、つまり緩やかな考え方をとっておりますが、たとえばボイコット等の行為につきましては、一九七三年以降、会計士、獣医師、弁護士等につきまして適用が可能であるかどうかの調査をいたしておるというところでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 厚生大臣、支払基金における、医師会傘下の医者と非医師会の医者と、その扱いについていろいろわれわれ耳にするんですが、どう聞いていますか。これは渡辺さんに聞いたらいいな。渡辺さん、あんた調べたんだ。答えてちょうだい。あんたあちこちで、テレビでやっておるし、やっておるんだから、やっぱりここで答えてちょうだい。文言に残すべきだ、これは。国務大臣として答えなさい。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 案件として正式に上がってきたことはないんです。そういうような風評は幾つか聞いたことはあります。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 案件として上に上げられないような非常に力の強い医師会なんですね。これをやっぱり公取委員長ね、認めにゃいかぬです。非常に強いんです。もしそういう上に上げるようなことがあれば、その開業医は大変なことになってしまう。必ずやられるんです。報復されるんです。私は、渡辺さんを支持してそして四チャンネルでやったその後、医師の人が何人か来られていろいろと教えてもらって、なるほどな、これはいかぬなと思った。そして、いろいろ探し回った結果、公正取引という社会正義をどうしても守っていくという、そして弱者を守るという、こういう立場の公取にいろいろと考え方を聞いて、さらにわれわれの意見も付して、これから検討していただくということをお願いしたいと思って、きょうお願いしたわけです。  そこで、もう一つ言っておきますが、こういういろいろなうわさが立っておる医師会でございますので、もし医師会が事業者団体として認定をされたならば——もしという区別をしておるんですよ、もしという。それはなぜかというと、医師会のことについてはいろいろな圧力がかかる、もうありとあらゆる圧力がかかる。だれがどうだということは言いません。それだけに、この圧力に屈することのないのは、私は公正取引委員会であり、明敏をもって鳴る橋口公取委員長であろうと思いますので、どうかひとつ、重ねて聞きますが、医師会が事業者団体ともし認定をされたら、その行為は独禁法第八条各号で問擬される対象となり得るということを、私はそう思いますが、どうですか。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 日本医師会の定款を拝読しただけでございますが、この定款を見ます限り、直ちに事業者団体としての認定をし得るか、それに基づいて届け出義務を課するということができるかどうかはいささか疑問があるというふうに考えます。ただ、実体をよく承知いたしておりませんから、また実情をよく調べたわけでもございませんから、この席で日本医師会なり都道府県医師会が事業者団体にならないということを申し上げるのもまた十分な根拠はないと思いますが、ただ、申し上げたいと思いますことは、やはりこの問題は主としてすぐれて医療行政の問題ではないか、競争政策の立ち入る余地が全くないとは申しませんけれども、第一次的に競争政策の対象にするということは必ずしも適当でないというふうに考えております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 委員長ね、それはおかしいですよ。十分資格を持った方が憲法に保障された開業しようという権利ですね、それを集団によってささないようにしておる事実がある。あちこちにある、それが。そういう事実が幾つか出てきた場合には、あなたはどう考えますか。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 先ほどは事業者団体として独禁法違反になるかどうかと、こういうお尋ねであったわけでございますから、したがいまして、日本医師会なり都道府県医師会なりが事業者団体に該当するかどうかにつきましては、なおよく実体を見る必要があるということを申し上げたわけでございまして、たとえば医師会がお互いの福利厚生を行うとか、あるいは技術の研修を行うとか、あるいは学術の研究調査を行うとか、こういう団体でございますと、これは事業者団体とは言いにくいと思うわけでございます。  したがいまして、次の問題として、事業者団体としての行為ではなくて、医師の事業者と申しますか、事業者が共同してボイコットするという問題でございまして、そういう問題につきましては、これは事業者団体としての行為ではなくて、医業の行為として適当かどうかという問題であるわけでございますから、第一次的にはやはり医療行政の問題ではないかというふうに思います。  しかし、次の問題として、それでは全く独禁法の問題がないかといいますと、それはないとは申し上げておりません。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 私たちは、個人の資格を持ったお医者さんがある町で開業したいと言ったときに、周囲のその町ぐるみのお医者さんが、日本医師会の構成員ですよ、妨害をする、反対をする、ささない。それでいろいろな圧力をかける。たとえば医院を建築しようとする、そうしたらその建築許可について市長に圧力をかける、議会に圧力をかける、そういう事例は幾つもあるじゃないですか。それすら医道と見るんですか、医療と見るんですか。どうですか。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 建築の妨害とかいうことになりますと、これはちょっと独禁法の問題ではないと思いますけれども、たとえば製薬会社からの医薬品の供給を共同で妨害するというようなことがあれば、これはおっしゃるように独禁法違反の問題になると思います。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 いまの薬の共同購入からボイコットするという事例は今度出します、あなたのところへ。具体的事例を出しますので、どうかひとつ検討していただきたい。  厚生大臣、そんなことを聞いたことはないですか。あんたに聞くのは気の毒かな。渡辺さんでもいいですよ。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) いろいろのお話、新しい話もいままでうわさとして聞いた話もございますが、具体的に私どものところまで上がってくるようなケースとしては承知をいたしておりません。ただ、私どもに言いたいことをおっしゃるのは実は医師会だけではありませんで、たとえば財政調整をやるという話を党の方でなすった途端に、健保連は政財界挙げてたたきつぶすと私の前で断言をして帰られました。ですから、言いたいことをおっしゃるというケースはあちらこちらにあると思っております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 そこで、総理ね、新自由クラブとの話し合いで、あなたは、党の総裁としてか総理としてかわかりませんが、拒否された。あの新自由クラブの医師税制に対する要請というものはなぜあなたは受け入れられぬのですか。どうですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 新自由クラブの御要請は、いまの社会保険診療報酬に対する課税特例、それはわれわれの今度の改正を満足とされない、したがって三年をもって廃止の方向で改定するということをはっきりさせろということでございます。その気持ちはよくわかるわけでございまして、私ども、いまの改正案がベストなものとは思っていないのでございますが、この種のことをやるにつきましては、激変を緩和するという意味で当分こういうことでやる、その間にもっと見直すということでなければならぬと思っております。思っておりますが、三年でたとえば必ず見直して改定するということをここで約束するということにつきましては、まだ党内でそこまで熟していないわけでございますので、お気持ちはよくわかりますけれども、私どもはそれは検討するということで御理解願えますまいかとさんざんやったのでございますけれども、先方の立場もあられまして、完全に意見の一致を見なかったことは大変残念に思っております。けれども、こういう課税特例というものを将来見直して改定の方向で考えていこうというそういうことにつきましては両党同じ方向で問題を考えておると存じております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 まあ総理の立場がおありでございますのでそれなりの判断をされたと思いますが、ここでもう一つ聞いておきますが、医師会の意に反して開業した医者、これが地方医療協議会で保険医の指定が受けられないとかといううわさを聞きますね。それから次に、医師会に加入していない開業医は、支払基金の審査、いわゆる保険の点数の査定が特に厳しいとか、それから医師会のやり方に反対する開業医は、県の監査に対する立ち会い、監査やその後の処分、こういうところに問題があるというようなことを聞いていますが、これは現実に私の友人で医師会に入っていないのがおるんです。夫婦が医者です。それからよう聞いておる。もういじめ抜かれておる。しかし、もう歯を食いしばって夫婦ががんばっておる。そういう実態について、渡辺さん、あんたいろいろこの問題で権威になったですけれども、それでずいぶんあちこちで講演料をかせいでおるらしいが、とにかくこの問題はあんた権威として答えてください。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) この医師会の問題は、まあ私の経験からすれば、厚生大臣だけ責められてもどうにもならないんですよ。一番困るのは、厚生行政に協力しないと、これが一番困るわけです。審議会は医者がたくさん入っていますから、たとえば医療保険審議会などは三分の一は診療側ですから、三分の一退場すれば何にも決められない。法律ではそこで決まらなければ何もできないということになっておりまして、これはやっぱり厚生大臣だけ無能だ無能だと言われましても法律を直してもらわぬことには、そういうように理由なく半年も三カ月も出席しないという場合には別に差しかえて委員を任命するというようなことでもやってもらわぬと、それは何もできません、実際は。ですから、まあ厚生大臣のできるのはもう医療費を上げないでしらばくれているぐらいしか実際はできないという実態もありまして、それからそういう案件はいろいろ聞いてはおりますが、現実には上に上がってこないというのも事実です。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 総理ね、いま渡辺さんが言ったように、これはやっぱり法律の問題です。仮に公取の独禁法が適用になってそして八条違反だというので罰金を取られたと。そしたら、直ちに医者は医師の資格を取り上げられるのか、開業はできないのかと言ったら、そうじゃない。ちゃんと医道審議会だったか何かにかかって、そしてそこで審査をしなかったらだめなんですね。まあうまいこと法律をつくっておる。これはだれがつくったのかといったら、これはやっぱり保守党ですよ。自由民主党です。私は今度これを調べてみて、本当にこの辺で反省せにゃいかぬなと思った。こんなことを言えるのはそうざらにない。みんな言いたいと思ったって言えないですよ、医師会の問題は。やっぱり選挙して当選してこなかったらバッジをつけられないですからね。そういうことになった場合に、だれが言い得るかといったら、私たちは医師会の票なんか一票もなくとも悠々当選する。そういう者が皮切りになってテープを切って、そして大衆世論を動員して改正をしていくという、これがやっぱり政治の姿勢だと私は思う。特に、現在だけでも十兆円産業と言われておる。ほっておたらすぐ二十兆円になるんですよ。渡辺さんの言葉じゃないが、しばらくたったら四十兆円になるという大変な成長産業です。それだけに、この辺で総理としても、いままでのやりとりを聞かれて、やっぱり法律の問題だなと、国会の問題だなと、こう思われたら、率直にそう思うと。そうでないのなら、そうでないと、わしにはわしのやり方があると、医師会を刺激しないように、そして、まあ武見さんの健在の間は——まだ元気ですからね、というふうなことをお考えになるのかどうか、この辺は大事な決断ですからね、きょうの私たちのやりとりの意見は貴重な意見として腹に置くということになるのかどうか、それを聞かしてください。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) きょうのやりとりを拝聴しまして、大変私も教えられるところがございました。まあ法律の問題とばかり言えませんので、やはりこれはできることなれば関係者が十分な理解を持って現実的に問題を処理していく環境をつくらなければならぬと思うのでございまして、立法の問題は大事でございますけれども、現実の行政の信頼をつなぐことも大事だと思います。そういう点を気をつけながらこの問題の解決に当たらなければならぬと思います。私は、日本の民主主義はそうお粗末なものじゃなくて、熱心にわれわれが当たりますと国民の理解、支持、共感が得られるのじゃないかと思っております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 総理、重ねてお願いしておきますが、この問題はやっぱりあるところでけじめをつけにゃいかぬと思いますよ、この日本医師会の問題は。それでないと、政権政党はいよいよ信頼を失う。大事なときへ来た。だから、もうこれ以上答弁を求めませんが、総理の勇断、これを私は要望しておきます。  次に、日本は海洋国家です。それだけに、海洋を通じて物が運ばれてくるわけです。またこっちからも出ていくわけです。この海洋における有事、これについて五十年の三月七日に私は木村睦男当時の運輸大臣に聞いておるんです。海洋において有事の場合には、あなたは運輸大臣としてどういう措置をするのかと言うて聞いておるわけですね。その前に私が聞いたのは、確保すべき必要物資の種類とは、二番目にその量、その質、三番目に優先順位、次に考えていくのは予想される各事態に対応する計画、これは外交、国際経済の交流の基本策定にも最も重要ですと。それから次には物資輸送の船舶、乗員、施設、どういうふうにして行くか、そのためには船団の組み方、コンパインの組み方、海上輸送の統制の計画、こういうものをやってもらいたい。それからもう一つは、回避航路の設定をせなければならぬ、現在の航路だけではだめだと、こういうふうに言っておるわけですね。すでにこういうことをアメリカもイギリスも皆やっておるじゃないか、なぜ日本だけやらないのかと、こう言って迫った。そういうことを迫って木村さんに聞きましたら、いままでそんなことは考えたこともないということです。  これはそれぞれ大臣にお聞きしますが、運輸大臣はこういう話は引き継ぎのときにありましたか。どうですか。

森山欽司自由民主党運輸大臣

○国務大臣(森山欽司君) 格別の引き継ぎはありませんでした。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 格別という上に文句がついたですが、格別でなかったら何かあったんですか。

森山欽司自由民主党運輸大臣

○国務大臣(森山欽司君) あなたがきょう御質疑をされるということで国会の速記録を読み直しました。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 通産大臣はこれでお引き継ぎがありましたですか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) ありません。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 そうしたら、農林大臣は。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 私の方は、特別な引き継ぎではございませんが、かねて狂乱物価のときにこりまして、事食糧の問題ですから。したがって、御承知のとおり米は二百万トンの備蓄をすると。ところが、これは五百七十万トンもあり過ぎて、むしろ多過ぎるということであります。小麦については約二・六カ月分九十二万トン、大豆については約七万トン、ほぼ食用の大豆が一カ月分、トウモロコシ、えさについては大体五十万トン、大麦四十五万トン、この程度の備蓄は用意をしてあります。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 文部大臣は、こういうことを何かお引き継ぎありましたですか。学校だとかそういう問題について、前大臣から、こういうことを有事の際には考えておきなさいよというようなことがありましたか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○国務大臣(内藤誉三郎君) 前大臣から別に引き継ぎを受けておりませんけれども、お話のように日本の国は国土が狭いのですから、国民が自国を愛し、国を守るという心情や知識を持つことは国民として当然備えなければならない大切な要素だと私は思っております。このために、学校教育においては、特に社会科や道徳において、わが国土に対する認識、わが国の歴史に対する正しい理解を深め、国民としての自覚と自国を愛する態度を育成するとともに、憲法及び国際政治の中で各国間の主権の尊重や平和の必要性について認識させ、わが国の安全の問題について考えさせることにいたしております。これらの指導を通じて、みずからの手でみずからの国を守るという意識を高めていきたいと考えております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 これはまあ自治大臣に聞いても、何もやっていないのはわかっていますからね。それから防衛庁もこういう海洋有事の際については何にもやっていないんです。これはもう調べたとおりでよくわかります。  そこで、総理ね、三木総理大臣がこう言っておるんですよ。「それはやっぱり政府の責任でありますから、そういう場合を考えて、いろんな体制というものは常に持っておく必要がある。そのために政府自身がいろんな計画を立てることは当然のことだと思っております。」ということで、またさらに私がずっと言って、「私の全責任において、そしていろんな各省にまたがっておる所管事務を総合してそういう場合の体制は整備することは申すまでもございません。」と、こう言ったんですね。今度は福田さんになった。福田さんになって、私は市民防衛を含めてどうするんだと聞いた。そうしたら、最後にこういうことを言ったんですね。「重要な問題でありますので、何とか工夫努力をいたします。」と、こう言ったんです。いま聞いてみたら、三木内閣のときも福田内閣のときも何にもやっておらぬ。そして、西沙なら西沙で、まあ今度はああいうことでうまくいったですが、一時心配をされましたベトナムを支援するところのソ連、シーパワーを持っておるところの米軍がそれに絡んできてあの西沙海域で紛争が起きた場合に、日本の船舶はあそこを安全で通航することはできませんよ。もう常識です。そういうことはいまや国際情勢の変化に従って——私はこれは五年前に言っておるんです。それだけに、ようやくこの問題は国民の中にもこれは大事な問題だなということがわかってきた。いま聞いたところ、何にもやらない。いずれも自由民主党の内閣ですよ。あなたはそれについてどう思いますか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは総合的な安全保障の問題だと思うのでございますが、政治の究極の目標は日本の国の安全を保障してまいるということでございまして、歴代の自民党政府がやっていることもつまるところそのことに結実されていったことと思います。幸いにいたしまして、その間、事なく日本の国民の生活が防衛できたことは大変幸せであったと思います。それには、政府ばかりじゃございませんで、国民一人一人が自覚をされまして、その持ち場持ち場、立場立場で自重した行動をしていただいたからだと思うのでございまして、そういうことを全体として保障してまいる政治の責任というのは重大だと思うのでございます。したがって、歴代の総理も、それは非常に重大な問題で、そこに政治の力点を置いてやっておりますというお答えがあったのではないかと思うのでございます。これは総論でございます。  現実にいまお尋ねになっておりますのは、各論といたしまして海上防衛のお話であろうと思うのでございまして、海上防衛ということになりますと、七つの海に日本の港に向けて多くの船がこの瞬間でも航行しておるわけでございまして、世界じゅうが平和でないと、とても日本の生存は保ち得るものではございません。したがって、日本の外交の最大の力点はそこに置かなければならぬことでございまして、歴代の外交もまたそこに力点を置いてやっていただいたおかげでそういうヒッチが起こらないで今日まで来ておると思うのでございます。したがいまして、いままでの体制に一段の緊張を持って対処してまいって、総合的な安全保障をあらゆるところで保障してまいるように私どもとしては最善の注意を怠ってはならないと考えるのでございます。そのために、現在やっておることについて不備な点がもしあれば、それを改めていくことにちゅうちょしてはいけないと思っております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 総理、それは何の答えにもならぬですよ。それはちょうど防衛白書に書いておる防衛庁の見解と同じようなもので、そんなことで安心して私ははいそうですかと下がれない。少なくとも、いま言ったように、海洋有事の際に確保すべき必要物資の種類、そうしてその量、その質、どういうふうに備蓄をするのか、どっちから優先順位で入れてくるのか、それからそれに使うところの船団の組み方、その航路が危い場合には回避航路の設定をどうするのか、あたりまえのことじゃございませんか。アメリカなんかは、これはあなたの方の秘書官に渡しましたから読んでいただいておると思いますが、ちゃんと有事の際にははめ込むということになっていますよ。全部計画の中にはめ込まれる。七つの海に運航している船舶は全部はめ込まれるようになっている。日本はそれができないんですか。しかも、これは三代にわたる自由民主党の内閣総理大臣に聞いて、やる、やる、やると言って、ちっともやっていない。こんなことで自由民主党に安心して一億一千万の国民は政治を任せられますか。いま私が言ったごく簡単なこの問題、こういう問題について一体大平内閣としてどう受けとめるのか、具体的にどう受けとめるのか、それを言ってください。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 大変巨大な規模を持った問題でございまして簡単に答えることはできませんが、そういう問題について政府の思想をまとめてみる、具体的な政策を組み立てていくというのは容易じゃないと思いますけれども、あなたがいま御提議になったようなことを政府が取り上げてやるかどうかというような問題につきましては私もひとつ考えてみたいと思います。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 考えてみるって、具体的にどうするということはいまないんですか、頭の中に。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは大きな計画でございますから、目八体的に卒然として答えろと言うてもちょっと私の能力の及ぶところじゃございませんが、そういう問題を政府として取り上げるということがまず決まらなければなりませんし、決まったならばそれは膨大な仕事になると思うのでございますが、まずそういう問題をこの際政府として取り上げるかどうかというような点につきまして篤と一遍考えさしていただきます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 もう一回、執拗ですけれども、これは大事なことだから。考えるのか、それとも取り上げるのか、取り上げて検討するというのだったら私はこれ以上追及しません。取り上げて検討していく、早急に検討していくという大事なことですよ、これは。大きな問題と言いますけれども、あなた、日本の国の北海道から沖繩まで政治的にはあなたが一番頂点に立っておるんですよ。あなたが大きな問題を考えなかったらだれが考えるんですか、私が考えるんですか。あなたが一番大きな問題を考えられるんですよ。しかも、日本国というのは、周辺国家もある、あらゆる国とも仲よくしていくということも考えなけりゃいかぬ。あなたが考えるんです。あなた自身が御判断なさるんですよ。遅疑逡巡することは私はこの問題はないと思う。どうですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) それはそのとおりでございまして、これまでも自民党政府はそういう責任を負ってきたし、現に負っているわけでございますし、現に国民生活を支えておりますし、いまの開放体制というものでこれをわれわれは支えてきたわけでございまして、それをあなたはいま計画化していくと。有事の際にそれに対してこういう計画を加味してやっていかないと危ないと、そういうことをいま取り上げて具体的に計画化していくべきじゃないかという御提言でございますが、これはこうなりますと国を挙げて大きな大計画の組み立てをやらにゃいかぬわけでありまして、いまの開放体制でいまあなたの言うような要請にはそれなりにこたえておると私は思いますけれども、しかし、それはもっと具体的に有事の際にどういう物資がどれだけ必要か、それをどういうルートで確保するか、その場合の船便のつくり方までやってみるということでございまして、そういうことをやる必要があるかどうか、国として取り上げていかなけりゃならぬものかどうか、そういう基本について私に少し考えさしてもらいたいと申し上げておるわけでございまして、そのことが大事でないとかなんとかいうのでなくて、私の言うことは、一遍そういう問題を取り上げていくかどうかという問題につきまして考えさしていただきたいということです。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 あなたの先輩の福田内閣の福田赳夫さん、そのまた先輩の三木さん、これが国会で私のこういう問いに対して答えたことが結局うそを言ったということになるのですか。どうですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私の先輩がうそを言ったとは思いませんで、そういう問題は非常に大事な問題だと思うと、それでそれに対して責任を持って取り組まにゃいかぬということをちゃんと申し上げておると思うのでございまして、現在のわれわれがとっておる体制自体であなたの要請にこたえられるかどうか、あなたの言うように具体的なプログラムを持たないといけないものかどうかというところまではそのお答えはないようでございますが、私は、そういう点、少し考えさしていただきたいと申し上げているのです。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 あのね、総理、防衛計画を審議する防衛会議か国防会議、国防会議があなた議長でしょう。それで、国防会議は、一つの諮問機関、まあいろいろ相談する機関だと思いますが、それを受けて内閣がやることらしいんですが、こういう計画も全体を含めて国防会議に諮ってみるというふうな、こういう考え方はどうですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) それはちょっと国防会議の議題にはなじまない問題でございまして、もっと大きな国家計画だと思います。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 そうすると、閣議ということになるわけですか。ぼくは、国防会議というのは、いまのように専守防衛の武器を買ったりそういうことをすることだけじゃないと思うんです。本当は、国防会議というのは、こういう広い範囲の日本の安全保障、国民生活、これを考えてやるのが国防会議だと私は思っておるんです。以前はそういうような方向に来ておったらしいですよ、さっき聞いたら。最近は、もうとにかく四次防だとかそんなことばっかり言い出した。それだけに、もう一回、国防会議の最初考えたあの時点に立ってこういった問題についてやってみるという考えはないですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) いまの国防会議はもっと専門的な分野だと承知しておるんで、あなたの言われる総合的な安全保障をあずかるような法制にはなっていないと思うのでございまして、あなたの言うようなことを考えるとすれば、もっと次元の高い大きな仕組みが要るのではないかと思います。しかし、そういうことの具体的な論議に入る前に、一体、いまの開放的な自由な体制でいま国民の需要を充足しておるけれども、これでは非常に不安だから、それに対して何らかの措置を具体的に講じないといけないものかどうか、いけないとすればどういう面があるのか、そういう点はもう少し考えさしてもらいたいということを私は申し上げているんです。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 総理、執拗に聞きますけどね、それならどこであなたがだれと相談してやるのか。あなた一人でやるんですか、この問題は。そうじゃないでしょう。閣議でしょう。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 閣議にかけるにつきましてはまあいろいろ用意をしてかからにゃいかぬのでございますから、私自身が政府部内で検討さしていただきまして、あなたの言われる趣旨をもう少し、玉置さん自身からももっと詳しく聞かないと、簡単な御質問だけでは、大きな問題でございますから、もう少し研究さしてもらいたいと思います。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 政党内閣ですから、総理、これはあなたのいままでのこういう考え方、開放経済の中で云々という、その中でこういう海洋有事の際にはどうするかというようなことを党の中に機関をつくってやるというのも一つの方法だと私は思うんですよ。どうですか、それは。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) それでございましたらば、あなたが党内でそういう問題を提起していただきまして、党の方で御検討いただくことも一つの方法かと思います。私は、きょうの質疑を通じまして問題の提起がありましたから、私は私の立場で検討してみます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 次に、これはもう最後になると思いますが、中国問題を聞きます。  中国の経済というものを私は前のここの委員会で慎重にやらなかったらえらいことになりますよという一つの警告を発したのですが、まず中国経済を見る場合には、何としてもその人口構成、これは農民が八〇%、それだけに農業というものが振興しない間は中国経済は本当の底力のあるものにならないと思いますが、この中国大陸の農業問題について農林大臣はどう考えますか。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、日本の農林大臣で、中国の農林大臣じゃないものですから、詳しいことはわかりませんが、やはり食糧問題が一番大切ではないかという想像はいたしております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 その食糧問題でいまどういう状態ですか。——だれに聞いたらいいですか、これは。やっぱり外務大臣ですかな。農林大臣、あなた専門じゃないの。

柳谷謙介外務省アジア局長

○政府委員(柳谷謙介君) お答えいたします。  御承知のとおり、中国は一九七六年からいわゆる国民経済発展十カ年計画というものを立ててこれをもとに遂行しているわけでございますけれども、この計画の中での農業の目標というのは、一九七八年から八五年まで年平均四ないし五%を成長させると、そして八五年において食糧の生産を四億トンと、このように立てておるようでございます。ただ、いろいろな観察者、研究者の見るところ、この計画が順調にいくかどうかという点についてはかなり懐疑的な見方もあるようでございますけれども、その点はまあ必ずしも中国の場合は十分の資料もないことでもありますし、他国の問題でございますから、余り立ち入ってコメントするのはいかがかと考えております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 資料がないことはないですよ。人民日報にちゃんと書いておるじゃないか。人民日報に書いたものをあなたのところで分析して、それを答弁してください。

柳谷謙介外務省アジア局長

○政府委員(柳谷謙介君) 人民日報その他種々のところに出ておりますので、もちろんそれらを踏まえて私ども検討しておりますが、その中でも必ずしもいわゆる西側の諸国において見られるような意味での細かい資料までが手に入らないということもございまして、どうしてもある程度推計が入ることはやむを得ないわけでございまして、そのような意味におきまして、現在、十カ年計画の農業関係の部門が一体どの程度順調に通行しているのか、あるいは最近一部に伝えられますように、この十カ年計画、これは例の四つの現代化路線の骨格をなすものでございますけれども、これについても、一部手直しあるいは見直しというような動きも最近伝えられております。その見直しがどのような見直しになっているかということについては、必ずしも資料が十分でございませんので、確たることは申し上げにくいということを申し上げた次第であります。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 これはあなたに資料をやったんだから、資料を読めばわかるんだ。中国の発表にみる農業の現状はきわめて深刻である、農民に生産意欲は欠如している、農民に対する不合理な負担が重過ぎる、幹部の農民に対する悪徳はひど過ぎる、農村支援の工業品による収奪は大きい、生産隊の所有権と自主権は何ら保証されていない、農業生産発展に関する経済政策の転換とか、こういろいろ全部人民日報に書いておる。それだけにこういうことに対して、もう一回聞きますが、本当に農業の十カ年計画の遂行というのは私は達成は困難であると思いますが、どうですか。

柳谷謙介外務省アジア局長

○政府委員(柳谷謙介君) 議員の御指摘ありました資料等は、私どももできるだけ拝見して勉強したつもりでございます。いま御質問の点は、八五年までに果たして四億トンという目標が達成できるかどうかという点でございまして、これは七八年から八五年の平均の伸長率が四・三%ないとこの四億トンが達成できないという数字になるわけでございますけれども、それ以前の八年間の伸長率、これもある程度一部推測を伴っておりますけれども、三・六%という数字がございます。したがいまして、これは機械化あるいは土地改良ということによって何とか四・三%程度の成長率を達成してこの四億トンという目標を達成しようというのが中国側の基本的な、少なくともこの十カ年計画における基本的な考え方だろうとは思いますけれども、いろいろ統計資料はやはり私どもの目から見て十分でございませんので、現時点においてこれがそのとおりに達成されているかどうかという点については十分の自信を持たないということを申し上げているわけであります。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 工業建設計画指標についていろいろな計画が盛られております。石炭生産量とか、石油生産量だとか、発電量だとか、セメント生産量だとか、こういうものについて、通産大臣、どう考えますか。

宮本四郎通商産業省通商政策局長

○政府委員(宮本四郎君) 中国の国民経済発展十カ年計画におきます工業関係の概要は、一九八五年までの期間におきまして工業生産総額の年率伸長率を一〇%以上と考えております。主なものは、たとえば、鉄鋼の三千万トンを六千万トンに、石炭の五億トンを十億トンに、あるいは石油の、現在九千万キロリッターと言われておりますが、これを五億キロリッターぐらいまでに引き上げたいというふうな、非常に大きな希望のもとに、たとえば大型の鉄鋼基地等、その他数は省略いたしますが、非鉄金属の基地とか、石炭の基地とか、大型の油田、ガス田、さらには大型の発電所、鉄道の新幹線、港湾と、こういうふうなことで非常に広範囲な建設計画を持っているわけでございます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 それはわかっておるんですよ。宮本さん、それはわかっておるんで、これが達成できるかどうかということにウエートを置いているんです、質問は。

宮本四郎通商産業省通商政策局長

○政府委員(宮本四郎君) 現在の中国の経済の情勢、そういうものをいろいろ情報をとっておりますが、たとえば、技術者が非常に足りません。労務者は数はおりますけれども中堅層の管理能力を持った者がなかなか乏しいと、よって日本にいろいろ技術協力をしてほしいとかいう申し出もございます。さらにはまた、これを動かす場合におきまして、資金が非常に必要になってまいりますが、特に外国から機材を輸入する場合におきましては外貨を必要といたしますが、その辺も問題があろうかと。要するに、幾つかの問題は非常に深刻なものがあろうかとは存じます。しかしながら、こういう計画に向かって非常に力を入れて計画を実行中と理解いたしております。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 私は、この問題点ですけど、総理、問題点をしぼりますと、こんなことになると思うんですよ。基本建設投資額は過大過ぎるということです。もうここで議論しません。それから二番目には、中国の保有する外貨は少な過ぎるということです、この計画に比べて。次は、中国の対外貿易による外貨収入の増大は見込めないということです。それから華僑送金による外貨の収入は年々減少を伝えられている。これは皆人民日報から取ったやつです。それからさっき局長が言いました技術水準の立ちおくれと技術者の圧倒的不足です。それから農業建設計画についてはさっき答えたとおりです。そしてもう一つ残念なことには、自国の威信のために全く経済計画を無視すると思われるような戦争をしかけるという、こういうふうな中国大陸です。それだけに、私は、このままでいったらいかぬなということを前もって言っておったんです。それがやっぱりいろいろな反応が出てきて、いま日中貿易そのものに大変なかげりが出てきておる。私は、そのことよりももっと大事なことは……

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 玉置君、時間が参りました。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 パール博士が東京裁判でこう言っておるんです。これが大事なんです。日華戦争が戦われている最中にアメリカは中国に武器その他の援助を行ったのではないか。交戦国の一方に対し援助するということは、他の一方の国に挑戦したと同じ意味を持つものである。すなわち参戦状態にあったもので、アメリカはこのときから日本との戦争を覚悟していたと、これは非常に大事なことです。これは東京裁判で述べたことです。だから、私は、中国大陸に傾斜していくときには、やっぱりそれを敵と思っておるソ連の経済、それに対する日本の支援、力添え、そういう平衡感覚を持つべきだというのがもう従来からの主張です。外務大臣、最後にどう思いますか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) まず、日本と中国の経済の問題でありますが、中国の軍事近代化を除く近代化には協力する約束をしております。しかし、ここで慎重に考えなきゃならぬ問題がたくさんあると思います。現状、経過等はもう御承知でありますから省略いたしますけれども、日中友好条約と同時に、日本でも中国でも両方の貿易のブームが何となしに興ってきた。そして、どちらかというと、過早に、周密に計画しないでいろいろな大型プロジェクトの契約がどんどん出てきた。そこで、いまこれが停滞をしていると、こういうことでありますが、やはりここで両方とも着実に考えなければならぬ。それは、おっしゃいました膨大な人口があるにもかかわらず農業生産は低い。それからまた基幹産業はおくれておる。かつまた、経済の中心である運搬その他の設備もおくれておる。そこで、第一には外貨が少ない。そこで、国内では御承知のとおりに外貨の獲得に努力をしております。かつまた、華僑の方からの送金も期待しておりますが、これもうまくいかない。そこで、借款ということに自然移ってくるわけであります。ところが、その借款の信用、抵当というものがまだなくて、推定された地下資源というものを担保にして金を借りようというわけでありますから、なかなかむずかしい問題がある。かつまた、中国側からいっても日本側からいっても過早にやらずに、もっと着実に慎重に考えなきゃならぬ問題があるが、中国側からいっても、大型のプロジェクトばかりじゃなくて、もっとじみちに、小さい農業生産の振興とか、そういうことから両方がもっと具体的に相談すべきことであって、やらなければ本当の協力はできない。かつまた、ソ連に対する平衡感覚を失ってはならぬということは御発言のとおりだと存じます。

玉置和郎自由民主党・自由国民会議

○玉置和郎君 終わります。(拍手)

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 以上で玉置君の総括質疑は終了いたしました。     —————————————

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 次に、福間知之君の総括質疑を行います。福間君。

福間知之日本社会党

○福間知之君 総理ちょっとお聞きをいただきたいんですけれども、「本当に国民に対して訴えかけるべき内容があるならば、筆端おのずから文字をほとばしらせ、言々句々、TVのコマーシャルを圧倒するに足る迫力を生ずべきではないか。一国の政策がTVの長編ドラマより面白くないというのは、社会的にみて本来不思議なことのはずである。政策はつまらないという通念が生じたのは取り扱い方が間違ってきたからだ。一国の政策は血わき肉躍る情熱の所産でなければならない。時代閉塞の状況下においても、この状況を打破する持続的な情熱が政策立案者に要請される。」、これはことしの初めに、ある経済研究家の人が政府当局のある種の政策について、特にこれは経済関係ですが、述べたところの見解なんであります。なかなか、総理はもちろんのこと、国政に参加するお互いの立場としては含蓄がある中身だと思います。  ところで、総理は、今回のこの予算案につきまして、総理のいわゆる政治的な理念から言って、この予算案はその性格なり中身について、どういう姿のものになったとお考えですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) いまの国民の願望、それからわが国の世界に対する責任ということ、それからわが国の現在の財政的な力量という点を勘案いたしまして、一つには、現在のせっかく安定してまいりました物価安定基調を崩さない予算でなけりゃならぬ、第二には、せっかく回復の兆しが見えてまいりました経済の回復を定着した軌道に乗せなけりゃならぬ、第三には、外国からいろいろ指摘されておるわが国の経済の対外的な責任をともかく果たさなければならぬ、第四には、財政再建の糸口をどうしてもつかまなければならぬという、もろもろの要請を入れましてできました予算でございます。  性格がはっきりいたしませんけれども、今日の事態は鮮明な性格を持った予算をつくれるような事態でないと判断いたしまして、そういうようなもろもろの要請にともかくもこたえながらいかなければならない一つの転換期の予算であるというように私は考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 安上がり政府改め簡素、効率化を進める政府ですか、その政府としての大要的なこれはいわば政策ですね、この予算というのは。そういう意味でいま総理がおっしゃられたように、今日の局面ではその性格は非常に鮮明に打ち出されるということはむずかしい、いわば過渡的な転換点における性格の予算だと。この意味は一面私はうなずけるんです。したがって新経済七カ年計画とか、あるいはまたそれに基づく長期の財政展望というものがこれから必要になってくる、こうは思います。  そこで、その出発点とも言うべきことしの予算ということについて、総理が文化の時代だとか、あるいは地方の時代、こういう言葉を就任当初に発せられましたが、その哲学は私は全く大賛成で、問題はその裏づけであります、裏づけのお金とか具体的施策であります。その点が問題なんでありまして、新しい時代への出発という出発点に立ったこの予算の中で、総理のそういう文化社会の建設、あるいはまた地方の自治、分権の確立、こういうあれはどの程度これに盛り込まれていますか。結果としてよりも、総理の意欲として予算編成に当たってはどれほどの御努力をなされましたか、それを私は一点疑問に思っているんです。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) 高度成長期が終わりまして、われわれは低成長の時代を迎えたと思います。したがって高度成長期に可能であったことということが今日そのまま可能であるというわけではございませんで、経済的成功あるいは生活水準の向上というようなことが大きく期待できない時代になったということ、したがって足るを知る精神でつましいところでがまんしてもらわなければならぬ時代になったけれども、しかし、われわれは経済的成功が一番大事な至上の目的であるわけではないじゃないか、やっぱり経済の外にわれわれの生きがいを発見することもできるのではないか、したがって、これから大変御苦労いただかなけりゃならぬけれども、それは必ずしも無理なお願いではないのであるという趣旨のことを私は申し述べたわけでございます。  地域時代になりましたことは世界的な傾向でございますが、だからといって地域主義に基づいて大きく予算がつけられる財政状態かというとそうでもないわけでございまして、地域時代には地域時代として、その時代に即したことを考えていかなければならぬけれども、しかし、その場合でも豊富な財源をもって満足のいくようなことをいまわれわれは期待できるかというと、そういうものでもないという趣旨で、文化の問題であるとか地域の問題とかというような問題を取り上げて、国民の理解を得ようと努力をいたしておるところでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 総理、誤解をされちゃ困るんですが、いまの御答弁の前段はともかくとして、後段の地域主義とか地方の分権の確立とか文化の一層の創造とかいうふうなことについて、たとえば財政の規模が大きくなって、その中の分け前を地方へよけい持っていくのが地域主義、分権じゃない、私はそんな認識はしてない。かねがね総理も大蔵大臣でよく御存じのとおりでありまして、問題は、地方交付税交付金の配分のあり方、事務の配分の仕方、いろんな点が課題として残っているわけですね。あるいはまた文化の面で言えば郷土芸能、伝統的な芸能、あるいは博物館その他絵画館施設の整備等もこれは金がかかるわけですね。そういう面で今度の予算はほとんど目新しいものはないんじゃないのか、総理はどういう意欲でそのスローガンを具体化されたか、これをお聞きしたわけです。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま申し上げたように、そういう文化重視、地域重視というようなところにわれわれの生きがいがあるということでございまして、その施策を十分予算で裏づけいたしまして、これにこたえるような財政的な状況ではございませんことは先ほど福間さんにもお断りしたとおりなんでございまして、時代の見方といたしまして、考え方といたしまして、こういう考え方でこれからいかなければならぬのじゃないかということを申し上げたわけでございまして、そのためにわれわれはこういうみごとな予算を組みましたとは宣伝していないわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。

福間知之日本社会党

○福間知之君 じゃ少なくとも総理の政治的な理念、理想というものは、先ほど来申し述べたような目標は今後積極的にひとつ予算面でもその他の施策でもやってはいく、そういう決意だと受け取ってよろしいですか。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) あくまでも追求していかなけりゃならない道標だと思います。

福間知之日本社会党

○福間知之君 大蔵大臣ね、今度の予算でかなりいままでの膨張的な傾向にブレーキがかかったと、こういうことは一応うなずけるわけであります。しかし、GNP比率で一般会計の規模を見ますと、五十三年度が一六・三であるのに今度は若干高まって一六・六です。私は、規模が大きくなったから日本の財政と国民総生産との比率が外国との比較において見た場合に高い政府になったと、こうは申しませんけれども、少なくとも形の上ではそういう推移になっております。で今後日本的な一つの福祉社会を目指していくということが長期ビジョンである限り、私は、その安い政府というものを、少なくともそれを代表する、象徴する予算の規模で見てみて、その額が大きい小さいで判断すべきではない、問題はその中身である。むしろこれから福祉社会を重視していくとなれば、安い政府という言葉に対するに大きな政府、高価な政府、そういうものにならざるを得ないのじゃないかと、世界各国の現状から見て。いかにお考えですか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 御指摘の点でございまするが、何せ問題は財源でございます。それで福祉社会を重視させることは私どもとしてもこれはもう異論のないところでございますけれども、いまの現状では四割までが借金で賄わなきゃならぬような状況でございますので、経常費その他をいろいろ削って、当面は公共投資重点に、次いで福祉ということでやっておりまするけれども、今回、お手元に差し上げております経済企画庁の新七カ年計画でも、六%台の成長ではあっても社会福祉対策の経費が最高の伸びというようなことになっておりますので、今後、財政の乏しい中でもできるだけ福祉対策に重点を置いてまいりたい。しかし、昔と違ってもう中成長になるんですから、そう大きな財政規模はこれは期待することはむずかしいんじゃなかろうか。極力、中身をコンパクトにして不要のものを圧縮していくような方向で行かざるを得ないと考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 大蔵大臣に再度お尋ねしますが、今度の予算を通じていわば財政再建の足がかりができたと、こういう御認識ですか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 決してことしお示しし、御審議をいただいておる予算で完全な足がかりが私どもできたなんとはうぬぼれておりません。まあ一歩踏み込んだと、いままでなかなか手がつかなかった経常費の圧縮にもある程度成功いたしましたし、また歳入面ではなかなか手がつかなかったいろんな特別措置の仕組み圧縮にも手がつきましたから、そういう意味で財政再建の足がかりがある程度できた、こういうふうに考えておる次第でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 去年のちょうどいまごろに予算委員会をやったときに出された中期的な収支試算ですね、AからEまでのケースがありましたけれども、今度の予算はそのいずれにも当たっていない。一年でそれは崩れちゃっているわけです。今度また新しく一月に出されましたけれども、これは私また遠からずかなりの修正を必要とするんじゃないかと思うんです。もちろんそういうものは流動的ですから固定した観念で見ようとは思いませんが、しかし、問題は、日本における予算編成のあり方というものはどうも膨張的な傾向、積み増し的な方式、そういうものから脱却し切れないでいる。そこに問題があるんじゃないかと思うんです。これは私ども野党は常にそういう指摘をしていますが、政府・与党の方で本格的にこれは考えてもらわにゃいかぬ。分捕り合戦みたいなやり方はとんでもない。いまはそういう時代じゃないということであります、高度成長時代ならいざ知らずですけれども。そういう点をどこまで反省されていかれるかお聞きをしたいんですがね。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 大変力強い御声援をいただいて感謝いたしておる次第でございますが、われわれも、従来の惰性を断ち切って本格的に財政の再建を考えていかないと、後世の子孫のために大変なことになるぞというある程度危機的な認識を持っておる次第でございまして、ことしは財政再建のための足がかりとしての諸施策は十分できなかった点もありますが、これから毎年毎年ひとつ着実にメスを入れてまいりたいと思いますので、どうかひとつよろしく御支援をいただきたいと存じます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 もう時間がありませんので、また大蔵委員会あたりで少し論議をしたいと思います。  現在、年明けごろから例の国債の暴落が続いていますけれども、これについてどういう御認識を持っておられますか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 一月に入りましてから六分一厘債が下落いたしました。それで、これは六分六厘債と比べると、あるいはほかの事業債等と比べると、どうも低落の状況がある程度心理的なものがあるんじゃないか、もう少し市場の実勢とにらみ合わせて考えなきゃいかぬということでやってきたんですが、二月から今月に入りまして下げ幅が大きくなったわけでございます。で私どもとしましては、やはり市場に金融緩和の底入れ感があって、ある程度先行き長期金利が上がるのじゃないかという期待感を持っておるのと、それから国債の大量発行という心理的な要因と絡まってこういうような異常な下落が六・一債についてできたんじゃなかろうかということでいろいろ検討いたしました結果、市場の実勢としてはこの程度上げなきゃいかぬという幅が〇・四%くらいでございますので、先般、やっと方針を決定いたしまして、目下、シンジケート団で発行の準備をいたしている最中でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 もう一つ、具体的に納得できないんですけれども、〇・四%という数字がいま言われましたが、その前段の説明から一気に〇・四%ということがなぜ適切なのか。市場実勢との乖離ではほぼ一%あるわけですね。その点を私は再度お伺いしたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 事務当局から数字的な説明をさせます。

田中敬大蔵省理財局長

○政府委員(田中敬君) ただいま大臣がお答え申し上げましたとおり、一月以降、長期債の下落が続いておりましたが、これは説明いたしましたとおり、大量の国債のみならず、一般地方公共債等を含めまして大量の国債、地方公共債が発行される、しかもそれが長いものだということで、長期資金の需給バランスが崩れてきたということ。それともう一つは、やはり金利の底打ち感ということで資金が長期資金から短期資金へ指向していったというのが基本的な原因であろうと思います。  しかしながら、この一月、二月の実勢を見てまいりますと、二月の十日前後から二月の末にかけまして急速に各種債券の利回りが上がってきております。これは当時二月の初中旬あたりから物価に対する警戒感ということが言われ始めまして、それをもとにしまして投資家あるいは市場心理というものが、先行き金利の引き上げが行われるんではないかと、一般的に。こういう心理的要因が入ってまいりましたために、二月の十日以降は急速に利回りを上げてきたという要因がございます。  で、私どもは、市場の実勢を見ます場合に、現在、店頭気配あるいは上場価格、市場というものは、いわゆる日本式利回り計算というのをやっておりますけれども、これ以外にいわゆる直利方式と申しまして、流通価格が九十五円五十銭でございます場合に、クーポンレートが六・一であるということになりますと、いわゆる九十九円五十銭投下しまして、それの利回りが幾らになるかという単純な計算方式もございます。あるいは日本式の計算以外に欧米で使われている流通利回り計算方式もございます。いまのように急速に価格が下げてまいりますと、日本式の利回り計算と申しますのは、いま申し上げました直利にプラスいたしまして市場価格が九十四円あるいは九十五円であるといたしますと、償還額の百円との差が五円あるいは五円五十銭出てまいります。これが利回り計算上年々均等に入ってくるという計算をいまの日本式利回り計算はやっております。そういうことになりますと、流通価格のアンダーパー分が非常に大きくなりますと極端に流通利回りが上がっていく、表示される流通利回りが上がっていくという特性を持っております。これらの特性も考慮しまして、別途、直利方式でございますとか、戦前日本でも使っておりました現在の欧米式流通利回り計算ということをやってみますと、六・一%国債あるいは六・六国債というクーポンの異なります国債の平均的な実勢利回りというものがある一点にほぼ集中されてまいります。こういうことも勘案いたしまして、理論的にはそういうふうな面もながめましたが、主として私どもが実勢〇・八ないし〇・九開いておるにもかかわらず、〇・四%の引き上げにとどめましたのは、実勢、いわゆる金利底打ち感あるいは長期資金需給のアンバランスからくる実勢というものは〇・四程度であり、残りの分は先ほど申し上げましたように、二月の中旬以降急速に起こってきた先高金利期待感であろうというふうに分析をしたわけでございます。  大臣も申しておりますように、政府・日銀とも、現在、当面、長期金利あるいは金利の全面改定を行うことを考えておりませんので、〇・四%の引き上げを行えば、そういう心理的要因が払拭されれば、市場はある程度安定した金利感をつかんでくれるであろう、こういう趣旨で〇・四%に  いたしたわけでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 金利を高くして国家財政の負担を重くしなければ売れないというのでは困るのであって、私は必ずしも一%近くでなきゃいかぬとは申しませんが、初めて昔使った欧米式直利の利回りを採用したということにも少し疑問が残るし、それから要するに中期債が二割ぐらいであって、長期債、十年ものが八割だと、こういうところにもいや気がきているんじゃないか、そんな気がしますので、果たしてそれで思惑どおりいくのかどうか。特に、これからの発行の月ごとの一つの計画があれば、お聞かせを願いたいと思います。

田中敬大蔵省理財局長

○政府委員(田中敬君) 月ごとの発行計画でございますが、私どもは、昭和四十一年、国債発行以来、月ごとの発行は月々の資金需給あるいは金融情勢等をながめまして決定いたしております。資金余剰月と言われるような月には大量発行し、むしろ揚げ超、いわゆる資金不足月には発行額を少なくするというような調整をいたしております。  来年の月々の状況につきましては、現在のところ予測いたしかねますけれども、おおむね四、五、六というのは資金余剰月でございますので、やはり上期に若干傾斜的に発行することになろうかと思います。  これは十年利付債シ団引き受け分について申し上げたわけでございますけれども、明年度におきましては二兆七千億円に及びますいわゆる中期債の公募入札をいたすことにいたしております。この公募入札をどういう方法で、月々どれくらいのロットで行うかというものも今度新しく当面する問題でございます。金融情勢の繁閑を見ますと同時に、二年、三年、四年という公募でございますと、二年、三年、四年先に借りかえという問題が起こってまいります。借りかえ債の公募、あるいはその借りかえ時期に発行する新規国債の公募、これの償還日あるいは利子支払い日というようなものをどういうふうに組み合わせるか非常にむずかしい問題でございますので、今月中に結論を得たいということで目下検討を進めておるところでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 いま一番大事なときであろうと思います、金利を変更するということで。したがってそこは慎重にやっていただく必要があろうと思いますが、これ以上無理なことを申しても仕方ないと思います。  時間がありませんから先に進みますが、最近、都市銀行で新種の預金、高利回りの預金を出そうという動きがあるようですが、これについて当局はいかが対処されていますか。

徳田博美大蔵省銀行局長

○政府委員(徳田博美君) 最近、都市銀行に限らず、地方銀行その他で預金者のためにより有利な貯蓄手段を開発しようという動きがあるわけでございます。この点につきましては、金融制度調査会においても、昨年来いろいろ議論がなされておりまして、やはり国民の間に収益性と流動性を兼ね備えた貯蓄手段に対してのニーズがあるわけでございますので、それに対してニーズに適応したような新しい預金を開発することは、これは必要なことではないかというような前向きの御意見が金融制度調査会でも出されているわけでございます。ただ、しかし、新しい貯蓄手段の導入ということになりますと、従来ある貯蓄手段との間のいろいろな問題もございますので、その辺の関係をもいろいろ慎重に検討しながら、この導入について前向きにいろいろ考えてまいりたい、このように思っております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 銀行局長、これはやっぱり郵便貯金とか、CDを四月から発行しますが、それとの関係で銀行側としては要請が強く出てきたわけですか。

徳田博美大蔵省銀行局長

○政府委員(徳田博美君) この新種預金につきましては、議論がなされておりますのは金融制度調査会でございますが、金融制度調査会の議論におきましては、金融機関の立場というよりも、国民の間に先ほど申し上げましたようなより利回りが高く、かつ流動性もあるという預金について非常にニーズがあるということがはっきり出てまいりましたので、それに即応した貯蓄手段を開発するのは金融機関としての一つの仕事ではないか、そういう角度で取り上げられているわけでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 いつごろをめどに発行を考えていられるか、そのための準備期間はどれぐらい要りますか。

徳田博美大蔵省銀行局長

○政府委員(徳田博美君) 仮に、いまいろいろ考えられておりますような貯蓄手段を開発することになりますと、コンピューターその他の準備がございますので、導入を決定いたしましてから半年ぐらいの期間が必要でございますが、しかし、いつ導入するかということについては、先ほど申し上げましたように、各種貯蓄手段との関係もございますので、その点をいまいろいろと検討している段階でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 外為法とか外資法の改正についても検討が進んでいるようですが、いかがですか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 外為法、外資法は、今度の国会に御提案申し上げようということでせっかくいま準備を進めておる最中ですが、考え方は原則自由の体制をとって、ただ、事あるときには制限ができるような規定を置きたい、こういう考え方で、いませっかく各省で詰めをやっておる最中でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 これは何かやはり銀行と証券会社との間でかなり意見の対立があるように思うんですけれども、当局はどうお考えですか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 銀行と証券会社という関係ではございませんで、従来、外国為替銀行の制度がございました。これがなくなりますと、万一の際のいろんな規制ができませんものですから、これはそのまま存置する方向でいま検討しております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 最近のジョーンズレポートでも取り上げられて御案内のとおりですけれども、在日の外銀に対して差別があるやに受け取られている向きがあって、これの改正が叫ばれているんですが、いかがですか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) ジョーンズ報告でいろんなことを言っているものですから各方面に大変心配をかけておるんですけれども、これは非常なアメリカ側の誤解に基づく点が多いんじゃないかと思うんです。  外銀の国内における支店や事務所の設置についても、特別の場合があれば制限いたしますけれども、原則は自由でございますし、預金の獲得についても制限をいたしておりません。問題は、長期三銀行につきまして金融債を発行さしておりますね、あれは日本の法律によって認められておるので、こういう日本の特別の法律のあるものはやはり郷に入っては郷に従ってもらわなければなりませんから、これは認められませんけれども、それ以外のものは原則としてもう自由にいたしてオープンドア・ポリシーをとっておりますので、先般参りましたブルメンソール財務長官にも、いろいろ誤解を受けておるが、何か文句があったら書き出しておいでよと言ったけれども、何も私には言ってきておりません。

福間知之日本社会党

○福間知之君 いまの問題は、対外経済摩擦がいま重大な問題になっていますから、誤解があるとすればそれはないようにしてもらわなければ困るし、はなはだわれわれとしては迷惑なんであって、今後善処を要望したいと思います。  それから次に、銀行法の改正でございますけれども、すでにこれは五、六月ごろに金融制度調査会から答申がある、こう目されていますが、主な内容について御説明願いたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 基本的には、資金の流れが国内的にも大変変わってまいりましたので、そういった資金の流れに対する経営体制、効率的に適応する体制をつくるということが一つと、それから、やはりもうこういう時代でございまするから、社会公共のために奉仕するという考え方をとってもらわなきゃなりませんから、こういった二つの基本理念に立って、五十年間手をつけなかった法律でございますので、いろんな細かい点を改正しようということでございます。  個々の問題につきましては、政府委員からお尋ねがございましたら答えさせます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 資金の流れとか時代の新しい様相に対応するためということで、昭和三年にこれはつくられて、その後はほとんどフルモデルチェンジをやっていない、マイナーチェンジ程度だと、こう承知しておりますけれども、業務の範囲というのが問題になるようですけれども、これは銀行局長いかがですか。

徳田博美大蔵省銀行局長

○政府委員(徳田博美君) 先ほど大臣から申し上げましたように、金融機関が社会的公共性を発揮するためには、やはりいままでの過保護というような体制から脱却して、適正な競争原理を導入いたしまして、そのために金融機関自体の自主的な創意工夫あるいは厳しい自己努力を進めてもらう必要があるわけでございますが、そのためには、やはり業務範囲につきましても、余り大きなかきねをつくりましてお互いの競争について手足を縛るということは適正ではございませんので、ある程度かきねを低くして、本質に触れない範囲において適正な競争を行わせるという方向は考えられているわけでございます。そのような方向に従って金融制度調査会でもいろいろ審議が行われているわけでございまして、そういう大きな線に沿っていろいろな改正が行われる、このように考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 銀行局長、CDの位置づけはどうなりますか。

徳田博美大蔵省銀行局長

○政府委員(徳田博美君) CDにつきましては、昨年来金融制度調査会で御審議いただきまして、昨年末の金融制度調査会の総会におきまして基本的な要綱が一応示されまして、その線に従って導入を検討することということになったわけでございます。したがいまして、いま具体的な案を詰めている段階でございまして、早ければ四月中、遅くとも五月中ぐらいにはこれが具体化するのではないか、このように考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 銀行法との関係。

徳田博美大蔵省銀行局長

○政府委員(徳田博美君) 現在、金融制度調査会でお示しいただいた案は、現行法の範囲内でやるということになっております。ただ、現行の範囲内におきましては流通性その他で若干問題のある点もございますので、今後の方向としては、これは銀行法とは関係なく、別に法律改正を検討するということも一つの方向として示されております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 銀行法でもう一点、例の週休二日制に関して、いわゆる十八条改正問題ですが、これはしかと今度はやっていただけますか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(金子一平君) 週休二日制の問題はかねて国会でも取り上げられております。これはもう先進国ではほとんど各国がやっておることなんでございまするけれども、特に日本で今日までおくれてきましたのは、大企業の相当部分は二日制をとっておりますけれども、まだ中小企業にそれが徹底していない。そこで、ある程度国民的なコンセンサスを得ないと困るという問題が一つと、それから郵便局その他の他の金融機関との横並びの問題がいま論議されておりまするけれども、私どもといたしましては、次の銀行法改正の機会にぜひ一つまとめて御提案申し上げたい、こういう積極的な気持ちを持っております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 これはもうここ数年の長い懸案ですから、ぜひひとつ総理大臣いかがですか、御所見は。

大平正芳自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま大蔵大臣がお答えしたとおりでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 次に、景気の問題で少しお聞きしたいんですけれども、最近の種々の指標では確かに景気が上向きつつある、こういうことは確認できるわけですけれども、私、どうももう一つわからないのは、減量経営という、言葉は悪いですが、はやりの言葉で、各業種、企業、ミクロの立場ではいわばぜい肉を落として、いわば人員も削減し設備も廃棄し、生産を縮小方向に持っていって業績を維持していく、こういうことと景気のマクロでの回復ということと、これはどう結びつくのか。これは経企庁なり、大臣なり、宮崎局長等に一遍説明を願いたいんです。

小坂徳三郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(小坂徳三郎君) マクロで見ます十月−十二月などのいわゆるGNPの伸びは、年率にすると、七%に来ているわけです。これは私ら少し大き過ぎるじゃないかとさえ思うくらいなんですが、いま福間委員の御指摘のように、諸指標は大変堅実に上昇に向かっております。  一方、減量経営の問題でございますけれども、これは前々からいろんな面で問題になっておって、これは一番大きなショックが、結局、円高に対応したことで、特に大企業がそうだと思いますが、そうした中で初めてこの百九十円台近辺の円高に対応する態勢が産業界にできたわけで、その間の非常に私は残念なことでありますが、一種の犠牲打だったと思うんで、こうした減量経営というものについても、先般来通産大臣あるいは労働大臣がいろいろな面で経営者側と懇談をされて、この時点で減量経営に対しての方向転換を要請されているわけでございますが、この事態がもう少し実るのには、私も残念なことでありますが、あと数カ月はかかるのではないか。その間に、われわれとしましては、もうちょっと日本経済そのものの足取りが明確になり、もう少し確実な拡大方向がとられるということを期待し、その方向に大いに力を入れて、数カ月後にはこうした問題に対しての改善が見られるという方向をぜひとりたいと思っているわけです。

福間知之日本社会党

○福間知之君 長官、いわゆる民間の設備投資の動意が少しは見られるということですが、民間の設備投資ですね、これが来年度中、来年度の後半ごろになるんですか、かなり本格的に動き出すという見通しはどうなんですか。

小坂徳三郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大建(小坂徳三郎君) これはつい最近日銀で短観と称する経営者の景気感を聞いたのでございますが、それによりますと、景気回復よくなってきたというのが過去数年来なかったさま変わりを示しておりまして、こうした雰囲気の中で当然また設備投資も起こると思うんですが、現時点では、まだ在庫積み増しという段階が経済界では全般的にいま行われているところだと思います。これが次に設備投資に移行する時点は、われわれとしましては、これも余り早くあってはならないのであって、五、六月ごろの時点というところからだんだん拡大していく方向がいいのではないかと思っていますが、期待はしております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 もう一点、景気との関係で物価ですけれども、宮崎局長が、あるインタビューで、物価は心配だと、要注意だが悪性インフレになるという危険はない、こう断言されていますけれども、先ほどの国債の大量発行の問題とも絡み、あるいは設備投資が動き出した場合のクラウディングアウト等を考えた場合に、果たしてどうなるか。

小坂徳三郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(小坂徳三郎君) 私も宮崎局長の考え方に賛成しておるわけでございますが、やはりそうした可能性は幾らでも現在のいろんな情勢からは推測はできるわけでありますから、実は、この物価政策というのは決め手がなかなかないのは御承知のとおりであります。したがいまして、こういう問題に対処しては、大きな問題の把握も十分大事でございますが、きめ細かく、細かい問題についても、適時、早目早目に手を打っていくということが必要だと考えておりまして、そうした意味で、先月に物価対策の総合的推進という方向を政府として決めまして、現在、それを各省庁において実践をしてもらいつつありますが、これなども、少し早目早目に手を打つということの一つの行政的措置でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 円高のメリットはもうことしは余り期待できない。昨年、一昨年でそれぞれ三〇%、二〇%円高メリットがあって、輸入物資では恐らく四兆円を超える割り安になった。ことしはそれが期待できない。また、一方、石油の値上げですね、あるいは公共料金、あるいは不況カルテルが継続すればそれも影響するし、大企業法人の過剰流動性などが物価上昇要因にはね返るとなると危険がありますので、ぜひひとつ監督官庁は先手先手で情勢を把握されて手を打っていただきたい、これは要望しておきたいと思います。  それから、最近総理府が発表した家計調査なんですけれども、ちょっと私の時間がありませんが、総理府の方、質問通告していますので、その問題点を少し結果分析からお聞かせ願いたいんです。

島村史郎総理府統計局長

○政府委員(島村史郎君) 最近、私どもが発表しております家計調査の結果によりますと、大体の特徴といたしまして、一つは、収入の方からいきますと、妻の収入が比較的にふえているということでございました。それからエンゲル係数が逐次低下してきております。それから主婦なんかの要するに購入態度が、下がった食料品をたくさん買って、上がった食料品はわりに買わないというような傾向が非常に顕著に見られます。それからサービス関係の経費が非常に増加してきているというようなことが主な特徴でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 私の知る範囲でも、光熱費がかなり増加している。これは通産大臣御留意を願いたいんですが、対前年比で六・六%くらいふえているようですね、ちょっと大きいと思います。それから、いまもお話があったサービスに対する支出、これはパーマとかクリーニングとかレジャーとかいろいろあると思うんですが、これから雇用とも関連の深い第三次部門でございます。そのコストが高いということでございます。もちろんそれは消費者、需要者、国民全体が負担していかなければならぬ分野であるとは申しまするが、結局、その部分が相対的に高くなり過ぎれば、これは幾ら付加価値を高める努力をしても、家計はどちらかというとゆとりがなくなるということに通ずるわけですがね、そういう点を通産大臣はいかがお考えですか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点は確かにあると思うんです。それは電気製品の発達などもありますが、電気使用量、これがそのピーク時、四十八年のあの高度成長のときより四%近く使用量がふえておるわけですね。石油は高くなったということで、大体横ばいで足かけこの六年間推移してきましたが、確かにそういう点ではふえておるわけであります。  それから、いま個別に御指摘のありましたサービス料金の高騰などということは、これは需給の原則で決まっていくわけでありまするが、十分私どももしさいに目を向けていきたいというふうに考えます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 通商白書で自動車その他の民生部門のエネルギーの消費量というのが日本は大体二〇%弱ですね、欧米では三〇%以上になっているんです。国民一人当たりの消費量におきましても、日本はアメリカなどから見れば少ない、こういう統計はあるようですけれども、産業、運輸部門なんかに比べてみて、高水準で民生部門の消費量が推移をしているということを私は注意すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) これもアメリカなどはああいう大陸ですし、わが国は比較的狭隘な土地であるということ。それから新幹線もありますね、大量輸送手段も発達いたしております。そういう差でありまするが、今後、エネルギー節約の問題とあわせ、当然、これは自粛してもらわなければならないと思います。

福間知之日本社会党

○福間知之君 これは総理府にお聞きしたいのですけれども、日本の物価の国際的な水準といいますか、また私たちの所得における国内における購買力、こういう面で国連の調査その他がございまして、すでに資料を通知してありますが、御検討いただきましたでしょうか。

佐々木孝男経済企画庁調査局長

○政府委員(佐々木孝男君) 御承知のように、生計費の方の比較につきましては、まず生活様式が違うというようなことから消費構造が違いまして、なかなか厳密な計算ができない。先ほど御指摘の国連のものにつきましても、かなり大胆に物を選んでやっているわけでありまして、特に質も入れますと同一の物というものを比較するのはなかなか困難であります。そういう意味で、正確に計算をするということが非常にむずかしいわけでございますが、個別の品目で見てまいりますと、これは御承知のように大体食料品を中心として日本の物価が高い、そういうことから全体といたしまして円レートで換算したものよりも購買力が低いということは言えると思います。

福間知之日本社会党

○福間知之君 時間がありませんから、これはもう省略します。  次に、いわゆる東京ラウンドの進捗ぐあいについてお尋ねをしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 御承知のごとく、東京ラウンド交渉において、東京ラウンド政府調達国際規約の線に従って、米国は米国供給者から日本の政府調達の機関の市場を開放しろというのが要求であります。そこで中央省庁に加えて電電公社その他の要求が出ておるわけでございまして、事情はよく御承知でありますから簡単に申し上げますけれども、日米の関係はこの問題をめぐって相当緊迫した状態にあり、特に米国議会においては課徴金の問題、あるいはそのほか保護貿易台頭の機運がなかなか強く出ております。しかしながら、一方、わが方から言いますると、この電電公社の問題等は、ようやく築き上げた日本の電気技術が崩れるおそれが非常にあるし、かつまた、この電電公社の背後には大企業から零細企業まで関連産業は非常に膨大なものがありますので、なかなか簡単にこれを決めるわけにはまいりません。  そこで、わが方はありとあらゆる努力をし、相互理解を深め主張すべきは主張してやっておるところでありますが、いまなお担当審議官及び電電公社の技術者等を米国に派遣をして相互理解を深め、両方の接点を模索しているところであります。また、しかしながら、一方、言えばサミット、東京ラウンドのことを考えますると、早急にこれを何とか解決する必要はある。必要はあるが、わが方の事情は、簡単にそう多くは出せないというのが現状であります。新聞等には原則を了承したとか、方針を出したとかということが書いてありますが、これは全く誤報でありまして、いまそのような方針や原則を出すべきときではなくて、最後の折衝と努力をすべき段階であると考えて、せっかく努力中でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 外務大臣のいまの決意はよく理解できます。しっかりやっていただきたいとは思いますが、ところでいまの話に出ました電電なんです。わが党小柳委員が初日にお尋ねしたんですが、あともう一つはっきりしないという印象です。  また、電電の総裁はインタビューで少し時代錯誤のような話をしておりましたが、きょうお呼びしていますので、電電公社としての問題意識を改めてお聞きをしたいと思います。

秋草篤二日本電信電話公社総裁

○説明員(秋草篤二君) お答えします。  二日前の、この当委員会で小柳先生の御質問にお答えしました。いまの御質問の何か時代錯誤的なお答えをしたというのは私がでしょうか。

福間知之日本社会党

○福間知之君 そうです。

秋草篤二日本電信電話公社総裁

○説明員(秋草篤二君) どういう点で、ちょっと御質問……。

福間知之日本社会党

○福間知之君 それはあなたのインタビュー記事を見ますと、電電公社としては少しひとりよがり過ぎるような発言があるんです、事実とすれば。だから、そのことを責めているわけじゃないのです。むしろ、この事態に対する正確な認識の上に立って、この門戸開放が電電公社としてはどういう影響を受けるのかということを正確にお聞きをしたいわけです。

秋草篤二日本電信電話公社総裁

○説明員(秋草篤二君) この前詳しく私申し上げたつもりでございますが、第一点は技術上の非常な問題がございます。第二点は経済的の問題つまり高くつくだろう。この理由はこの前申し上げましたから、きょうは御質問があれば申し上げますけれども、いま電電公社の使う通信機材というものは随意契約というものがほとんどでございます、通信機材につきましては。世界各国、先進国におきましては、ECグループはもちろんのこと、アメリカはこれは政府ではございませんから民営でございますから除外されておるというものの、アメリカ、カナダというものも非常に大きな電話王国でございます。これも皆電電公社以上に随意契約で通っております。これは別に約束してやったわけじゃないのですけれども、やはり通信事業というものは民営にしろ国営にしろ非常に独占性の強い事業でございますので、そうした独占企業で使う機材を競争契約に出すということは、絶対いけないというわけじゃないと思いますけれども、これはなじまない。結局、売る方、つくる方から見ても非常にお困りになるのだという方も私は見られると思います。もちろん買う方から見れば、やはり一つの技術のパターンを通して技術者の設計から始まって建設、保守というものに長く続くものでございますから、やはりこれが一番貫かれる大きな思想だと思っております。  現に英国も十二、三年前に電電公社というものができまして、いまは純粋の国営ではございません。しかし、一九六九年、いまから十年ほど前に、この随意契約というものは少しおかしいのではないかという国会の世論がございまして、目的は技術力をもっと強化する、あるいは国際競争力、体質を強化するという趣旨でございましたけれども、二年やって結局品質が非常にばらつきが多いということと納期が非常におくれる。しかも納期がおくれますので電話の積滞も二年、三年たつうちに倍にもふえてしまった。非常にこりごりだということで、二年してまたいまは随意契約に戻っている。これは理屈ではございません。世界各国がやはり随意契約というものをとっているというのが常識ではなかろうか。その理由は、この前、小柳先生に詳しく私御説明しましたから、もし御質問がございますれば、また重ねて詳しく申し上げます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 これはちょっと困ったんですね、私時間がないので、これはむしろ総裁に読んでもらいたいぐらいですけれども、これは総裁の発言記事なんですがね、その随意契約という言葉自身もおかしいと思っているとか、あるいは明治時代から一つの閉鎖社会で事業を続けてきたこの公社として、交通あるいは運輸事業に比べて識者でもわかりにくいとか、いわんや国会議員でも通信関係の方は別にしてなかなか何のことかわかってもらえないとか、公社内部でも仕事が分化しているせいかなかなか問題がわからないとか、こういう発言をされているんですよ。これじゃ説得力がありませんと私は言いたいわけです。仕方がないから一つ一つ具体的にお聞きをしたいと思うんです。  アメリカ、ECにおける電気通信機の入札の方法はどうですか、国別に言ってください。

前田光治日本電信電話公社技術局長

○説明員(前田光治君) お答えいたします。  米国は、先ほど総裁がお答えいたしましたように、公衆電気通信事業の運営形態は民営でございます。かつ複数の会社がやっておるという事情でございますが、その最も代表的な、約八割以上のアメリカの電話を運営しておりますATT、あるいはベル・システムと言われておりますが、ここでの物品の購入形式には競争入札という形態はございません。  それからヨーロッパ諸国におきましては、国営もしくは公社営でございますが、ここにおきましても、自国で十分な製造能力を有しております国国は、それぞれ実体として随意契約ですべて調達をしておるように存じております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 現在の電電公社における国内の納入業者の数、大体規模別の数と、メーンの機材に対して何社ぐらいがかかわっておるのか、メーンでない分野はどれくらいの企業がかかわっておるのか、あるいはまた従業員がどれくらい参加しているのか、あるいは二分の一、三分の一輸入をふやせば失業者はどれくらいになるのか、そこらをお聞きしたい。

長田武彦日本電信電話公社総務理事

○説明員(長田武彦君) お答えいたします。  現在、電気通信資材を公社に納入しておりますメーカーは約二百社でございます。これらの二百社の従業員の総数が約六十万名というふうに承知をしております。このうち中小企業、いわゆる資本金一億円以下あるいは従業員三百名以下という中小企業は、いま申し上げました二百社のうちの約半数に当たります約百社でございまして、これらの会社並びに大企業に出ております物品につきましても、実はこれらは相当個々の細かい部品等は下請等を使うというようなケースが非常に多うございまして、非常にすそ野の広い産業と言えるんじゃないかと思うわけでございますが、そういうものと合わせまして、大体、電気通信資材約六千億を発注しておりますうちの約二割に当たります物品が実は中小企業の手を経ておるというふうに私どもは理解をしております。その従業員の数は約十万名程度であろうかというふうに承知をいたしております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 仮に、いま貿易摩擦の解消の一助として電電の一部を開放するとした場合、電電はいまの六千二百数十億円の昨年実績納入額、そのうちのどれくらいを開放してもよいとお考えですか。

秋草篤二日本電信電話公社総裁

○説明員(秋草篤二君) その問題は、外交場裏で大木審議官なり、牛場代表がこれから詰めなきゃならない非常に大事な問題でございますので、ちょっとまだ私たちの口から言明するということはお許し願いたいと思っております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 じゃ、いいです。これに時間をとっていられませんので、政府の方にひとつ要望しておきます。  いまの貿易摩擦解消で、アメリカ側の方も現在の三十五億ドルを七十五億ドルぐらいにしろと、こういう要望をしてきております。電電が仮に、これは私不確聞でわかりませんが、その六千何百億の実績のうち、三分の一あるいはそれ以下、三分の一としましてもこれは二千億でございます。これはかなりの額でございますからね。いま電気通信機材における日米の格差は三千万ドル強であります。これは日本円に直して六十億円強であります。これはしたがって百億とか二百億に持っていくのは私はいいと思うし、それは五百億でもいいのかもしれません。そこは高度の政治判断でやっていただきたい。  さらにまた、逓信病院の機材とか、通研の研究資材とか、余り日本の通信網のメーンにかかわるもの以外でやれば私は可能だと思うし、これはひとつ、それぞれのお立場はありましょうが、十分吟味をされて——全く無傷でというわけにはこれはいくまい。電電のかたくなな態度はおのずから限界があると思いますので、助け舟をやっぱり出していかなきゃいかぬ、こういうふうな感じがしておるわけでございます。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 非常に的確な貴重な御意見を承りましたが、これに対して、ただいま最後の折衝をやっております私でございますから、どのようなことを考えているかということを判断されるような答弁はできません。ただ、非常な的確な正しい、しかも公平な御意見を承りまして、それが無にならぬように努力をいたします。

福間知之日本社会党

○福間知之君 厚生省にお尋ねしたいと思いますが、最近、一般家庭から排出される廃棄物が量的にも質的にも大変変化があるし、これの処理という問題がかなり地方自治体レベルでも問題になっているようですが、いかがですか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 恐らく御指摘の一般家庭からのごみと言われるもの、いわゆるその家庭廃棄物の中でも粗大ごみに類するものを指しておられるん、だろうと思います。  確かに市町村が処理すべき粗大ごみの処理というものが、廃棄物処理整備五カ年計画に基づいて計画的な施設整備を図ってまいっておりますが、なかなかいろいろな問題が現実にあることは私どもも承知をいたしております。しかし、計画的な施設整備を図るということで、五十三年度末までにすでに全国で二百九十八基を整備しておるわけでありまして、市町村からの整備要求があるところについては全部いままで処理をいたしてまいっております。  粗大ごみの処理方法につきましては、可燃性の粗大ごみは破砕をする、それから不燃性の粗大ごみは圧縮をしてしまう、混合した粗大ごみは破砕するということで処理をいたしておりまして、その中においても磁性金属の回収等の処理技術は一応私どもは完成をいたしておると考えております。  ただ、そこで残りますものが、その粗大ごみを破砕し、圧縮、資源化等を行ったとしても残る残渣物の処理でありまして、これにつきましての埋立処分地の確保が必要なことは間違いがありません。現在、市町村が処理をいたします埋立処分地に対しましては国庫補助金を交付をし、処分地確保対策を進めておりますし、また、非常に量的に多く、処分地確保が著しく困難であると思われる首都圏あるいは近畿圏等の大都市部におきましては、市町村が共同で利用できる広域的な処分地の確保が図られるように、いわゆるフェニックス計画というものを推進をいたしておるところでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 大臣、そのいわゆる粗大ごみは確かに問題なんでして、それがいま各業種を通じて流通段階で問題になっているということについて御理解されていますか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) たとえば家庭電気製品等を販売をする企業が、使用済みのものを商慣習として下取りをするというようなケースを御指摘であろうと思いますが、これは事業活動の一環でありまして、これらを販売店、問屋等が廃棄する場合、これはむしろ産業廃棄物としての処理対象でありまして、処分の責任はそれぞれの業者がきちんと責任を持って処置すべきものだと私どもは考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 そこは一つの問題点ですし、議論をここでする時間がありませんが、そうじゃなくても一般の民家が困っているということであります。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、一般の家庭から排出される粗大ごみにつきましては、先ほど申し上げましたとおりに、市町村から設置要求がありましたところをすべていままで設備をつくってきておる、補助しておるわけでありますし、そういう意味で、私どもが考えておりますのは、家庭から出てまいりますごみの処理の責任、これは確かに市町村ひいては国という段階で処理をしていくべきものでありますけれども、企業から出されるものは、やはり産業廃棄物としてそれぞれの企業が処理していくという形態で考えていくわけでありまして、一番問題の最終処分地につきましても、私どもとしては、これからも努力をしていきたいと考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 時間がありませんので、これは行政面で今後相談をしてやっていけばいいと思います。  次に、通産省にお聞きしたいんですけれども、省エネルギー政策の立場に立つと同時に、騒音だとか公害だとかという問題とも関連して、最近、電気自動車の研究開発あるいは普及の計画を通産省を中心にやってこられたんですけれども、また、工業技術院でもかなり高性能の電気自動車などができてテストをあちらこちらでやっている、こういう情報を知っているんです。業界においても、電気自動車とか、あるいは電池自転車ですね、こういうものの開発が進んでいますが、今後の交通体系の整備、あるいはまた省エネルギーという観点からどのようにこれを考えておいでですか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(江崎真澄君) 通産省としましても、過去六年間にわたりまして、いまお示しの工業技術院で五十七億円かけて御承知のように開発ができました。ところが、どうもガソリン車の二、三倍かかるというんですね、まだ試験段階のせいもあり、試作段階のせいもありましょう。これが経済的にペイするような形でできることを大いに望むわけでありまするし、長時間持つ高性能な電池の開発とか、そういった面には今後といえども大いに協力をしたいと思います。そういった年次計画等、もし必要があれば、事務当局からお答えをいたさせます。

森山信吾通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(森山信吾君) 電気自動車につきましては、ただいま大臣から答弁のございましたように、四十六年から五十一年まで六カ年間にわたりまして工業技術院の大型プロジェクト制度で研究開発を進めたわけでございまして、その成果を受けまして、現在、民間企業十社によります技術研究組合が組織されておりまして、昭和五十七年度を目標にいたしまして、経済性のある実用的な電気自動車の研究開発を進めておるところでございます。  なお、御指摘のございました電池自転車につきましては、特に国による開発は考えておりませんが、先ほど申し上げました電気自動車の一環といたしまして開発をいたしております高性能電池の開発等を利用いたしまして、この電池自転車の普及についても努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。ただ一点問題がございまして、電池自転車につきましては道路運送車両法あるいは道路交通法等の調整の問題があろうかと思いますが、そういう関連法規との調整を経た上で、この商品としての開発研究には通産省として努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 電気自動車、電池自転車に限らず、要するにマイカーの激増を少しでも緩和するというためには、中量級の交通機関、バスもその一つです、トロリーバスもそうでしょう、地下鉄などはその最たるものです。そういうものを充実するという、都市の再開発とあわせて、交通機関の整備という場合の重要なこれは視点だと思います。最近、あちらこちらでそういう工事が始まっておりまして、現実には工事で渋滞を受けて困る。反面、これはかなり必要なことなんだということで納得しなきゃならぬのですけれども、大いにひとつそういう点は大胆に私はやっていただきたい、こういうふうに思います。  それから、厚生大臣、ちょっとお聞きしたいんですが、年金の見直しに関しましていろいろ取りざたされているんですが、今回の衆議院段階における一部増額修正に伴って五年ものの年金についても変えなきゃいかぬ、十年ものはしかし影響が多いから無理だ、いろんなことが出されているようですけれども、すっきりしないんですね。明快なひとつ見解を表明していただきたい。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 福間君、時間が参りました。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 衆議院の予算審議の過程におきまして、与野党の間にいろいろなお話し合いがありましたことは私どもよく存じております。その過程において、公明党、民社党と自由民主党の間におきまして福祉年金の増額を行う用意があるという話が交わされましたことも承知をいたしております。そしてその結果として、自由民主党から、社会労働委員会における国民年金法改正案の審議の過程において与野党の合意ができれば福祉年金を増額をする用意がある、その場合において五年年金等経過年金についても手直しをする用意があるということを回答されたという事実はよく存じております。ですから、私どもは、それを踏まえまして、国会の御審議の結果を待ちながら対処をしてまいりたい、そのように考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 最後に。  その対処してまいるのはもちろん結構だし必要なんですが、十年年金も五年年金の倍払っておって、いまのまま放置されれば今度の改正では五年年金に対してわずかに一・一八倍にしかならない、これはちょっと気の毒じゃないか、こういう意向があるんですがね。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) しかし、私どもといたしましては、ことし——これは経過年金ばかりではございません、厚生年金もそうでありますが、五%未満であれば物価スライドはやらないということを、特例的に五%以下の物価上昇でも物価スライドをいたしたわけであります。そうした中で与野党の間で交わされたお話し合いの結果でありますから、私どもは、国会の御審議の結果をもって対処をいたすということ以上、いま申し上げることは差し控えたいと存じます。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 以上で福間君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)  次回は明後十二日午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会

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