予算委員会 第3号
- 発言数
- 577 件
- 登壇者
- 43 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1979/03/09
会議録
○委員長(町村金五君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和五十四年度一般会計予算 昭和五十四年度特別会計予算 昭和五十四年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和五十四年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行副総裁前川春雄君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認めます。 なお、出席時刻等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) これより質疑に入るわけでありますが、昨日御提案のありました、いわゆるE2C予算問題につきましては、理事会において協議いたしました結果、今後の当委員会の審査を踏まえて、国民の納得が得られるよう適切に対処してまいる所存であります。 ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) それでは、昨日に引き続き久保亘君の総括質疑を行います。久保君。
○久保亘君 最初に防衛庁長官にお尋ねいたしますが、早期警戒機導入に関する防衛庁の説明の中に、特にミグ25事件との関連を強く主張されておりますが、このことについてどういういきさつか、御説明をいただきたい。
○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。 早期警戒機導入の必要性につきましては、早くから痛感いたしておったわけでございますが、ちょうどいま御指摘のミグ25の事件が起こりまして、一層その導入の必要性が痛感されたわけでございます。
○久保亘君 E2Cは本来地上レーダーによる見通し線よりも低空を侵入する航空機を洋上において早期に発見しようとする目的のものだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(山下元利君) 御指摘のとおりと考えます。
○久保亘君 それならば、すでに防衛庁において把握されておりますミグ25の領空侵犯の航跡図がありますが、この航跡図によりますと午後一時十一分に北海道の陸地から西方百八十キロで発見をされたこの飛行機は、北海道の陸地に侵入するまで地上レーダーにおいて完全に捕捉されているのであります。このミグ25の航跡がレーダーから消えるのは北海道に侵入した後でありますが、そのことは間違いありませんか。
○政府委員(原徹君) ミグ25の場合は、最初にソ連のレーダーカバレージを逃れるために低空で来まして、それから高空に上がった。その高空に上がったのをわが方のレーダーサイトがキャッチをいたしたわけでございますが、北海道の領空侵犯をしてから低空におりたために、そのレーダーがロストをした、そういうことでございます。
○久保亘君 この早期警戒機導入に関する防衛庁の資料で示された最小発見線というのは、大体、陸中から外へ何キロのあたりを想定されておりますか。
○政府委員(原徹君) 最小発見線と申しますのは、ある重要な防護地点を守るために、どこで見つけなければ――要撃機が飛び立っても、その重要防護地点の前で会敵をしなければなりませんわけでございますが、そのためにどこで発見しなければならないかということを理論的に計算したものでございまして、これはちょっと何キロと申し上げるわけにはまいらないわけでございます。
○久保亘君 最初にこれはレーダーにかかりますのは百八十キロも日本の領空を離れた地点において六千メートルの高度でとらえて、これが領空侵犯をするところまでずうっとレーダーはとらえているのであります。そして千歳からスクランブルをいたしました飛行機は、一時十一分に発見した後、五分後には飛び立っておるのでありまして、それでこれは飛行機に遭遇能力がなかったのと、E2Cが仮に出ておったとしても、レーダーがこれはきちんととらえておるのでありまして、そのレーダーの欠陥を補うためにE2Cを導入しなければならないという理由はこのミグ25の事件に関する限りは成り立ってこないのでありますが、この点はいかがですか。
○政府委員(原徹君) 確かに、最初は高空で飛んでおりましたから、わが方のレーダーはとらえておったわけでございますが、そのレーダーがロストをしたというのは低空におりたためにロストをしたわけでございます。そういうことでございますから、いま普通の戦法としてロー・ロー・ハイという、低空で侵入する、ずうっと。だから初めから低空で侵入してくれば、初めからわからないということになるわけでございまして、その点が非常に大事だというふうに考えたわけでございます。
○久保亘君 それは理屈というものであって、そういう言い方をするとレーダーでは日本全土全部これはだめだということになるのでありまして、実際にはこのミグ25の侵入に対しては少なくとも地上レーダーが完全にその役割りを果たしているのであります。そして瀬棚上空でこれを見失うのであります。その見失ったときにはすでに北海道の上空におるのであります。そこから先は、それじゃ洋上索敵の役割りを果たすと言われておる艦載機であるE2Cに役割りが果たせるのかどうかということになれば、早期警戒機というのは洋上用のやつと陸上用のやつとは備えるレーダーが違うのであります。そういう点でも、これはE2C導入の理由として防衛庁が強調される理由は当たらない、ミグ25事件を強調される理由は当たらないと私は思うのです。いかがですか、防衛庁長官。
○国務大臣(山下元利君) 御見解ではございますけれども、超低空で侵入してくる飛行機があるとするならば、それは地上のレーダーでは捕捉し得ないことにつきましては政府委員から御答弁申し上げたとおりでございますので、私どもといたしましては、その欠陥がはっきりいたしている限りは、E2Cによりましてそれを埋めたい、このように思う次第でございます。
○久保亘君 それほどあなた方が言われるのでしたら、私は別の角度から質問いたします。 三十三年二月十七日、航空自衛隊による対領空侵犯措置が開始をされてから、今日まで実際に行われた領空侵犯が何件ありますか。
○政府委員(原徹君) 現実に行われた領空侵犯は七件でございます。
○久保亘君 二十一年間に、領空侵犯が実際に行われたのは七件でありますね。これにはミグ25を含んでおります。 五十二年度におけるスクランブルの回数と、日本の領空に接近をしてスクランブルを指令したその相手機の機数は何機になっているか、スクランブルの回数と接近してきた飛行機の数を示してください。
○政府委員(佐々淳行君) お答え申し上げます。 スクランブルの回数は、五十二年度四百九十六回でございます。会敵と申しますか、これは識別不能の飛行物体がございましたのでスクランブルをかけておりますので、この回数と同数でございます。
○久保亘君 スクランブルというのは必ずしも目的に対して一回ということにはなってないんじゃないですか。たとえば伊豆大島上空に領空侵入したと言われるときには七編隊出ておりますね。その場合にはスクランブルの回数は七回と数えているんじゃないですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答え申し上げます。 そのとおりでございまして、四百九十六回は四百九十六機ということでございます。
○久保亘君 四百九十六機ということではないでしょう。スクランブルはその倍出ておるんでしょうが。あんたは大体専門家かね、素人のようなことばかり言っちゃだめだよ。
○政府委員(佐々淳行君) 大変答弁が不正確で申しわけございませんでした。 正確に申し上げますと、四百九十六回対象がございまして、これに対して四百九十六回飛び上がっておりますのは二機編隊でございますので、飛行機の数はこの倍になります。 ただ、飛び上がって必ずしも相手の飛行機に接触をし警告をするということが毎回行われるわけではございませんで、御承知のように、自衛隊機にはこの防空識別圏に入りますときに通報をしてくる義務を課しており、かつ民間飛行機その他につきましては関係当局から御通報をいただいて、そこの領空を通る航空機については常時捕捉をしておって、それに記録をされていない飛行物体があったときに飛び上がる、こういう関係になっております。
○久保亘君 何をあんたは言うとるのかね。ぼくが言うとるのは、スクランブルを航空司令部がかけるときに、そのときに一つの目標に対して場合によっては三編隊も四編隊も出ることがあるだろう。だから実際に指令をかける、スクランブルを命令する対象となった相手の機数は何機かと聞いている。
○政府委員(佐々淳行君) 相手の機数については、相手が編隊である場合もございますので、ちょっと掌握しておらぬようでございます。
○久保亘君 そんなおかしなことはないでしょう。あんた、防衛白書の中にはちゃんと書いてあるじゃないか。防衛白書の中にちゃんと書いてあるものが、そういうものがよくわからぬというのはどういうわけだ。
○政府委員(佐々淳行君) 防衛白書に書いてございます接近回数は約二百回ということでございます。
○久保亘君 それならそう言えばいいんだ、初めから。二百回の接近機数に対して四百九十六回のスクランブルをかけた、つまり複数でかかっている場合もあるわけです。その接近機というのは大体どういう飛行機が多いですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答え申し上げます。 国籍としてはソ連が多いようでございまして、機種としては爆撃機が多いというふうに承知しております。
○久保亘君 ほとんど、私が調べておりますところでも、防衛庁から得ました資料や報告ではTU95D、TU16、IL38、こういう飛行機が主体と聞いておりますが、間違いありませんか。
○政府委員(佐々淳行君) そのとおりでございます。
○久保亘君 それでは、防衛庁長官、私お聞きしますが、昨年の十二月の二十八日から一月の十八日まで三回にわたって防衛庁はある週刊誌にPRをされております。ちょうど予算編成期に向けて国民に宣伝をされたんであります。 最初の十二月二十八日、「今日も、国籍不明機が日本の空に接近した。496回」という一ページにわたる広告があります。この中に「496。この数字は、昨年度一年間に、領空侵犯の恐れがある国籍不明機に対して航空自衛隊が実施したスクランブルの回数です。一日平均約1・3回。つまり一日に最低一機は、私たちが生活している日本の空に接近している」と書いてある。「しかし、不明機のほとんどは最新鋭のジェット戦闘機です。」と書いてある。どうしてこういう事実と違うことを防衛庁は国民に宣伝されるんですか。これはわざわざ、あんた、国費を使って宣伝しておるんだからね、しっかり答えてくれよ。
○国務大臣(山下元利君) はなはだ申しわけございませんが、私、ただいまのは初めて拝見するものでございますから、ちょっとしばらくお時間をちょうだいしたいと思います。――お答え申し上げます。 先ほど政府委員が御答弁申し上げましたのが正しいことでございますので、この点につきましては先ほどの政府委員の答弁で御了解賜りたいと思います。
○久保亘君 防衛庁長官のいまのお答えですと、政府委員の答えた方が正しいと、それじゃこれは間違いである、こういうことでございますか。
○国務大臣(山下元利君) 先ほどの政府委員の申し上げたことが正しゅうございます。
○久保亘君 じゃ、これは間違いだな。
○国務大臣(山下元利君) ただいまの答弁で御了解賜りたいと思います。
○久保亘君 それじゃね、防衛庁は昨年暮れからことし初めにかけて週刊誌に広告されたこの三回の広告料、ひとつ金額を示してください。
○政府委員(塩田章君) お答えいたします。一回につき約二百五十万でございます。
○久保亘君 一回に二百五十万かけて、こういう宣伝をやって、しかも事実と違うことを防衛庁が国民に伝える。オオカミ少年か、昔のどこかの大本営発表のようなことをやっておる。こういうようなことで国民の合意を得られると思いますか。
○国務大臣(山下元利君) 御指摘のとおり、国民の合意をいただくためには正しい御理解を得なければなりませんし、われわれもそのために努力せねばなりませんので、いま御指摘の点につきまして、先ほど政府委員の答弁申し上げたところと違う点につきましては、早急にその間の事情を調査いたしたいと思います。
○久保亘君 この防衛庁のPRは間違いであるということを長官ははっきり認められておるわけです。こういう特にE2Cの予算を審議をしろということで希望されておる防衛庁が、E2Cの導入と深い関係を持つこのPRに当たって真実でないことを国民に報道をして、それでもって国民の納得を得ようとするようなやり方は私は許せぬと思う。このことについての責任をあなたどうするんだ。
○国務大臣(山下元利君) 私、はなはだ申しわけございませんが、ただいまそれを御指摘によりまして承知いたしておるわけでございまして、事実は早速調査いたしますが、先ほどの政府委員の御答弁申し上げましたことと違う点につきましては、私は至極遺憾に存じておる次第でございます。
○久保亘君 いまE2Cの予算を含む予算案を私どもに審議を要求されておる政府の責任者として、大平総理は、こういう防衛庁のやり方をどうお考えになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 政府がとろうとする政策につきまして、国民の理解を求めるために、その責任におきましてPRをいたすということはやって差し支えないことと思いますが、その中に正確でない内容のものを含んでおるということになりますと、これは許せないことでございまして、事情をよく調査いたしまして善処をいたします。
○久保亘君 これは単に数字が違っているとかそういう問題ではなくて、明らかに防衛庁は一つの目的を持って真実でないことを国民に宣伝をされたんですよ、それはもう非常に明らかです。「突然、玄関の扉を叩く未知の来訪者」である。「誰かがチェックしなければ」ならない。こういう書き方で、だからE2Cが要ると言わぬばっかりの書き方なんだ。そしてその前提に立っている数字や機種などは全く都合のいい、うそばっかり書いてある。こんなものを私は防衛庁が遺憾でありますと言うただけでは納得できる問題じゃないと思う。
○国務大臣(山下元利君) 先ほどから申し上げておりますとおりに、やはり防衛上欠陥がある点は事実でございますので、それをそのような形で表現いたしている点は御理解賜りたいと思います。 ただ、事実につきまして、先ほど政府委員が御答弁申し上げましたことと違う点につきましてはまことに遺憾でございまして、私といたしましては、事情を十分調査いたしました上、対処いたしたいと思います。(「防衛庁が欠陥があるなんて認めることは問題だぞ」と呼ぶ者あり) ただいまの答弁を補足さしていただきますが、欠陥と申しますのは、先ほど来申しておりますところの早期警戒機能の欠陥でございまして、そういう防衛上欠陥のある点については埋めなけりゃならないということを申し上げているわけでございます。 いずれにいたしましても、そうした早期警戒機能が欠落しているという、そのわが国防衛上の欠陥を国民の皆さんに御理解していただくためにわかりやすく表現した点は御理解賜りたいと思いますが、説明におきまして事実と相違する点につきましては、十分事情を調査いたしまして対処さしていただきます。
○久保亘君 これはね、非常にショッキングな書き方なんだ。「国籍不明機が日本の空に接近した。」、毎日一・三回来とるんだということで、しかも「不明機のほとんどは最新鋭のジェット戦闘機です。」それがいかにも日本の領空に毎日一・三回ジェット戦闘機が入ってきているような書き方なんだ。こういうことで国民をおどかして合意を得ようとするような防衛庁の基本の精神が問題なんであってね、その数字が違っているとか、そういうものは御理解願いたいというような問題じゃないんです。
○国務大臣(山下元利君) 繰り返し御答弁申し上げておりますとおりに、この早期警戒機能が欠落していることは事実でございます。そういう欠陥を国民の皆さんに御認識願うという広報のあり方につきましては御理解願いたいと思いますが、その点につきまして十分でない点につきましては、御指摘がございましたので、直ちに事情を調査いたしまして対処いたしたいと思います。(「全然だめだ」「委員長、ちょっととめて」と呼ぶ者あり)
○委員長(町村金五君) 防衛庁長官の答弁を求めます。
○国務大臣(山下元利君) 御指摘の点につきましては、事情を早速調査いたしまして、正確を期するために十分調査した上、その訂正措置も含めまして十分措置を講じたいと思います。
○瀬谷英行君 関連でちょっと申し上げますが、いまの問題は、国民に対して週刊誌を使って誇大な宣伝をやったわけです。しかも、事実が違うということがこの国会でもって明らかになったわけです。したがって、このような誇大な宣伝に国費を使ったということの責任ということを明らかにしてもらわなきゃいかぬ。しかも、その責任者という者はいるわけですから、その責任者についてもしかるべき処置を講じてもらわなきゃいかぬ。すべてを含めて、この委員会の開会中に具体的にその処置をこうするということを報告をしていただきたいと思うのでありますが、どうですか。
○国務大臣(山下元利君) 十分実情を調査いたしまして、それにつきましてとる措置につきましては、本委員会御開会中に御報告さしていただきます。
○久保亘君 その問題は、ひとつ総理並びに防衛庁長官の方で明確な措置をとられて御報告いただきますよう強く要請をいたしておきます。 次に、このE2Cをなぜ選んだかということですね。E3Aが大体これは陸上用なのでありまして、本来ならばE3Aが、その性能上は、ミグ25と結びつけて考えるならば出てくるのであります。E2Cをなぜ選んだかというのは、私は、防衛庁が将来航空母艦を持ちたいということを展望して考えている、これは艦載機であるから。そういうことはないかどうか。
○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。 E2Cがアメリカ軍におきましては航空母艦で使われていることは御指摘のとおりでございますが、私どもとしてこのE2Cをわが国に導入するにつきましては、当然、陸上から発進するように機能もそのように仕様を変えておるわけでございまして、御指摘のように将来のことを考えてE2Cを導入したわけでは絶対にございません。そしてまた、E3Aでございますが、これは相当飛行機から、要するに陸海空につきまして統一した指揮ができる機能を持っておるわけでございまして、しかも金額から言いますと、このE2Cは八十億程度、E3Aは三百億程度かかるかと思うわけでございます。それは大変な機能ではございますけれども、わが国のいまの防衛の形からいたしますならばE3Aは必要ない、むしろE2Cによりまして早期警戒機能を見ればよろしい、このように考えておる次第でございます。
○久保亘君 私がそのことをお聞きいたしますのは、昨年の十二月にアメリカ議会予算局が極東、北西太平洋における「米海軍力平和時におけるプレゼンスの使命」と題する報告書を提出いたしております。この報告書の中に、横須賀を母港とする空母のほかに、第二の空母群を日本近海に持ちたい、持つべきだと、こういう報告書が出されているわけでありますが、これに先立って、ブラウン長官が日米防衛首脳定期協議のために昨年の十一月に日本を訪れております。防衛庁長官と協議をいたしましたのはわずかに一時間四十五分と言われております。その後、ブラウン長官は鹿児島に飛んだのであります。そして鹿児島からアメリカへ帰りました。それに先立つ五カ月前にマンスフィールド駐日アメリカ大使が鹿児島を訪れているのであります。このときにも当初の日程を途中で変更して、マンスフィールド・アメリカ大使は行動のわからない時間があるのであります、まあそういうことはどうでもいいんだけれども。アメリカが空母の基地をもう一つ日本近海に持ちたいということについて、防衛庁に何らかの接触がありますか。
○国務大臣(山下元利君) ブラウン米国防長官が昨年わが国を来訪されたこと、そしてまたその日程等については御指摘のとおりであると思います。ただ、いまのようなことにつきましては絶対なかったと思っております。そのようなことではございません。
○久保亘君 第二空母の母港について、アメリカが平和時におけるアメリカ海軍のプレゼンスの使命、存在の使命ということで報告書をまとめて提出しておるんです。その中に日本近海における空母の基地をもう一カ所と、こうなっているんです。もしアメリカからそのことを求められた場合に、日本側は横須賀以外に新たなアメリカ空母の基地を提供するということは絶対にあり得ない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(山下元利君) 政府委員から御答弁させます。
○政府委員(原徹君) ただいまのそういうお話は、私どもは承知いたしておらないわけでございます。まあ太平洋というお話であったのではないかというふうに――いまの報告書、日本近海と書いてあったのかどうか私はちょっと承知しない。太平洋ということで何かそういう議論があることは私は承知しておりますけれども、日本に対してそういうことはないのでございます。
○久保亘君 この報告書を見たことありますか。あなた専門家で答えておるから、見たかどうか言ってください。
○政府委員(原徹君) 私の記憶では西太平洋というふうだったか……
○久保亘君 いや、見たかどうかだけ。
○政府委員(原徹君) エキスと申しますか、要約したものを、そのものずばりではなくて、要約したものを見ております。
○久保亘君 この報告書の中には、横須賀を母港とする空母に加え、日本付近に空母をもう一隻展開することを米国は検討すべきだと指摘をしているのだそうでありますが、その点について見た人はだれもおらぬのですか。
○政府委員(岡崎久彦君) お答え申し上げます。 報告のテキスト、私は拝見したのでございますけれども、教カ月前のことなのでちょっと記憶がはっきりいたしませんのでございますけれども、西太平洋あるいは日本近海、そのあたりはっきりいたしませんけれども、いずれにいたしましても、これは一つの勧告でございまして、その勧告の結果が国防省でどう取り上げられたかという問題でございますけれども、今回発行されました米国の国防白書にはこの政策は取り上げられていないようでございます。
○久保亘君 これはアメリカ側からしますと、カムラン湾におけるソ連空母を含む海軍基地、それから北方領土における新たな軍事基地の設定、そういうものとの関係において、いまアメリカ海軍の北西太平洋における一つの配置ということについて真剣な検討が加えられているのではないかと私は思うんでありますが、その点について防衛庁が何らこの問題をきわめようとしていない。そういうことは、一体、防衛庁は何をやっておるんですか、この役所は要らぬのじゃないかと私は思うんだけれども。
○国務大臣(山下元利君) ただいまの米側の報告書につきましては政府委員からお答えを申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、絶えず日本の防衛には真剣に対処いたしておりますが、そうしたいまの御指摘のような具体的な問題につきましては全く承知しておらないことでございまして、そのようなことにつきましては、ただいまいかようと申し上げる段階ではございませんので、御理解賜りたいと思う次第でございます。
○久保亘君 いまいろいろ申し上げる段階じゃない、その点については詳しく承知していないというようなことで、一体、防衛庁は何を研究しているんですか。そういうような世界の全体の動きというものがわからないでおって、特にアメリカ海軍の考え方というのがわからないでおって、E2Cがいま必要だとかなんとかいうようなことは大人のおもちゃの議論をしているようなもんじゃないですか。
○国務大臣(山下元利君) 現在の国際情勢は流動的ではございますけれども、私どもは、昭和五十一年に策定いたしました防衛計画の大綱の前提となる情勢につきましては、基本的には変える必要はないと考えております。そのE2Cにつきましては、五十一年の防衛計画の大綱におきましても警戒飛行部隊ということをすでに明記いたしておるわけでございまして、したがいましてE2Cはその当時からもう必要であることははっきりいたしているわけでございます。そしてまた現在の国際情勢につきましては、私どもはあらゆる手段をもちましてその情報の収集に努めて遺憾なきを期しておる次第でございます。
○久保亘君 また、この問題については別の機会に少し時間をかけていろいろお伺いしたいと思っておりますが、E2Cに関する三番目の視点は、今回の予算に計上されましたE2Cの価格構成についてでありますが、最初にお伺いいたします。アメリカ海軍が八〇年に取得いたしますE2Cの価格を教えてください。
○政府委員(倉部行雄君) アメリカの議会の議事録によりますと、一九七九米会計年度の予算におきまして、E2C一機当たりのフライアウエー・コストは二千三百七十万ドルというふうに聞いております。
○久保亘君 次に、このE2Cをすでに四機購入をいたしましたイスラエルの購入価格を説明してください。
○政府委員(倉部行雄君) イスラエルの購入でございますが、支援費を含めまして一億六千三百万ドルということでございます。これは四機分でございますが。
○久保亘君 それで計算をいたしますと、今回政府が計上いたしました、防衛庁が購入したいと考えているE2Cの一機の価格と比較いたしますと、アメリカ海軍の購入価格というのは、これはもう問題にならぬぐらい安い。日本円に直すと四十六億円余りであります。それからイスラエルが買いましたのは、これは初度部品を含めて一機当たり七十九億程度であります。わが国の今度の予算に計上されたのは正確に幾らなんですか。
○政府委員(倉部行雄君) 初度部品を含めまして、単価でございますが、八十五億七千三百万円でございます。
○久保亘君 そうすると、少なくともイスラエルが購入した価格よりも六億の差がある。アメリカ海軍といたしますと、これは初度部品を外しても日本のやつは六十数億になると思いますから、二十億近くの差があるのであります。十七億ですね。(「十六億」と呼ぶ者あり)十六でも十七でもいい、二十億近くというんですから。それだけの差はこれどこから生まれてくるかですね。この価格差の要因となっているものを説明してもらいたい。
○政府委員(倉部行雄君) アメリカが各国に対しまして軍用機を売ります場合に、その価格の中身については必ずしも公表されてないわけでございますが、全体の価格、初度部品を含む、あるいは支援費を含んだような形での大まかなといいますか、そういう数字としてわかるものもございますので、いま御指摘があったような数字があるかと思いますが、その国によりましてその仕様が違うということもございます。たとえば米軍が使っている飛行機そのものを売る場合もございますし、日本のようにそれを相当改造しまして日本向けの仕様にして買う場合もございます。また、取得の時期によりまして器材費その他が上がるということもございます。また、生産をする場合にまとめるかどうかという生産機数の問題もございますので、必ずしも全体が同じ価格ではいかないという事情もあるわけでございます。 私どもの今度予算で御審議をお願いしております数字でございますが、先ほど御指摘がございましたように、アメリカの軍で調達しております価格が一機当たり、フライアウエー・コストといたしまして、これらの飛行機が、御承知かと思いますが、飛行できる標準状態のものでございますが、円に直しますと四十六億二千万円ぐらいでございます。それに対しまして、私ども現在予算要求いたしております価格が六十二億八千万円ぐらいでございますが、その差が十六億六千万円ぐらいあるわけでございまして、これは御指摘のとおりでございますが、これは実は私どもの要求しております日本向けの価格と申しますのは、基本的には米軍が調達している価格と同じなんでございますが、ただ、違いますのは、日本へ来ることによりまして、ただいま申しましたように仕様が異なってくる。いろんなソフトウエアの関係の改造でありますとか、あるいはFMSによりますところの米側の事務管理費でございます、これは三%でございますが、それが加わるとか、あるいはまた米軍で別途予算措置を講じております研究開発の分担金というものがございますが、この割り掛け分でありますとか、あるいは空輸のための費用でありますとか、あるいはアメリカでは防衛産業に対しまして官有のアメリカ政府が持っている施設設備を貸したりしておるわけでございますが、そういう費用の分担等がございまして、その分がこの十六億六千万円の内訳として、要因としてあるわけでございます。
○久保亘君 私たちは、国民の税金を使って買うかどうかを検討しようとしているんでありますから、ひとついま言われたことについての内訳を資料として御提示いただけませんか。
○国務大臣(山下元利君) 米軍が自己の用途に調達する価格とわが国が調達する価格との格差につきましては、御指摘のとおりございます。その内容につきましては、ただいま政府委員が御説明申し上げましたとおりでございます。ただ、これは政府間契約という方式をとりますし、また事柄の性質上、そのことにつきまして公表することは、両国政府の間の問題でございますが、これは差し控えさしていただきたいと思う次第でございます。
○久保亘君 そういうことでは予算の審議にたえられないわけです。その中身はどうなっているか、少なくとも外形で見る限り、アメリカ海軍なら四十六億で購入できるものが、日本の航空自衛隊が買おうとすれば六十三億もかかる。この十六億台の差というのは一体何なのだろうかということ、これは国民に説明がつかない。この資料を私は示すべきだと思う。
○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。 先ほど政府委員から御説明申し上げましたとおりに、これはもうアメリカにおきましても開発につきましては相当な予算を使っているわけでございまして、それを外国が購入する場合にはその開発を分担することは、これはまあ私どもは御理解賜れると思うわけでございます。ただ、それらにつきましてはアメリカの軍事に関することでございますので、そのことがどのような内容であるかにつきましては、これは公表はいたさないという方針も御理解賜れるかと思うわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、実は政府間契約でございますので、しかもアメリカの法令に従いまして厳正に実施されているわけでございます。また、われわれは十分調査団も派遣いたしまして、内容についてはしさいに調査いたしておりまして承知はいたしておりますけれども、そのことを、御指摘は私はごもっともと思いますけれども、やはりこうした事柄の性質上、そうしたことを一々開発分担金についてその中身を公表するということは、どうぞこれは差し控えさしていただきたいので、御理解賜りたいと思う次第でございます。
○久保亘君 私は、そういうことになりますと、アメリカと日本との武器の調達に関するFMS方式による取引というのは不平等だと思う。なぜかというと、あなたの方からE2Cを日本が買いたいということになれば、調達本部長を通じて国防省に対して引き合い書の発給を求める要請が出されるのでしょう、アメリカ政府に出されるわけだ。そうするとアメリカ大統領はこれを国会に報告して、国会が三十日間反対しなかったら認められることになっているんです。内容を全部アメリカの国会は知るんですよ。なぜわれわれの方はそれを知ることができないのですか。
○国務大臣(山下元利君) このFMS方式によりますところのいま御指摘のアメリカの上院、下院に対する同意を取りつけるということ、これはもう武器輸出管理法に従いましての手続でございまして、したがってそれは厳正に行われるわけでございますが、そういう場合におきましても一機分の価格が幾ら幾らということにつきましてはアメリカにおきましても一々申しておらないように承知いたしております。
○久保亘君 間違いありませんか。
○国務大臣(山下元利君) 間違いないと存じます。
○久保亘君 私がそういうことでどうしても不審をぬぐい切れないのは、かつてアメリカ下院の歳出委員会において論議をされたときにマクガイヤー国防次官補代理が証言をした内容がありまして、アメリカ軍にしてみれば、国防省にしてみれば、アメリカ軍がもう時代おくれになった、もしくは時代おくれになりつつある兵器を他の国に売ることによってアメリカ軍の兵器を更新していくことが可能になり、しかも、その古い兵器の市場を確保することによって新たな兵器を開発する資金も得ることができる、こういうことについて証言をしていることがあるんです。 私は、そういう意味においても、E2Cが一九九〇年代まで使用される見込みであるなどという防衛庁の説明というものに対しては、とにかく買わんがための誇大ないろいろな宣伝が行われているとしか見ようがないのでありまして、アメリカが一九九〇年代までE2Cを使うという保証はどこから出てくるんですか。
○政府委員(原徹君) 五十二年に調査団の派遣をいたしまして、そのときに米海軍の方でこれは一九九〇年代まで使うということを申しておりますので、それは大体間違いないことでございます。
○久保亘君 アメリカが言っておるから間違いないと言うが、過去にそういうふうになっておらぬことが多いじゃないですか。兵器というのは日進月歩と言われるぐらい次々変わっていくんです。このE2Cが使われ始めたのはかなり前のことです。三十年も同じ飛行機が使われるというようなことは、これは軍の常識としてあり得ないことです。しかし、きょうは時間がないから、そのことはまたやります。 今度は、価格に関連して、このE2Cの予算は対ドルレートでは百九十五円でセットされていると聞いておりますが、間違いありませんか。
○政府委員(長岡實君) 一ドル百九十五円で積算いたしております。
○久保亘君 いまレートは幾らですか。
○政府委員(長岡實君) 昨日の終値が二百三円六十銭でございます。
○久保亘君 そうすると、これは私が調べた限りでは三百八円の固定レートをやめました七八年度以降、その後、実勢を下回るレートで予算を審議したということはいままでありませんね。
○政府委員(長岡實君) 三百八円のレート以来、今日に至るまで、予算審議の段階でどの程度のレートでございましたかはっきりチェックをいたしておりませんが、とにかくここ数年間は円高傾向がだんだんに進んでまいりまして、そして百九十五円という支出官レートが決められまして、現在はそれよりも上回っておることは事実でございます。 ただ、外貨予算の組み方でございますけれども、これは年度を通じましていろいろの条件で円高になったり円安になったりするわけでございますので、一応、外貨関連予算は支出官事務規程の中に一定の基準を定めました支出官レートというものを設けるという仕組みになっておりまして、その支出官レートで外貨予算を組むという方式は従来と変わりなく本年度もとっておるところでございます。
○久保亘君 昨年は、実勢百九十五円のときに二百六十二円で予算を組まれておりますね。一昨年は、二百四十一円のときに三百八円で組まれております。ことしは、今日二百円を上回っているときに百九十五円で組まれている。これは大蔵省としては不都合ありませんか、大蔵大臣。
○政府委員(長岡實君) 先ほど申し上げましたように、外貨関連予算は支出官レートで計上をいたしておりますけれども、久保委員御指摘のように、過去において予算に計上いたしましたレートとそのときの実勢レートとの開きが比較的多かったこともございまして、五十三年度からであったと思いますけれども、予算編成時点の最近時六カ月の平均をとりまして、これを支出官レートとして予算の積算の根拠にいたしたわけでございます。 最近二百三円ということございますけれども、百九十五円は、ただいま申し上げましたように、五十三年の六月一日から十一月三十日までの平均が百九十五円でございまして、予算編成過程におきましては、事務的にどんどん詰めておりました十二月の最終日、十二月二十九日は百九十四円六十銭でございました。また、年が明けまして政府原案を概算閣議決定をいたしましたのが一月十一日でございますが、百九十六円三十銭でございました。その段階で、私どもは予算書を印刷に回さなければならないということで、やはり従来の方式による過去の平均からとりました支出官レート百九十五円で予算を組むことはやむを得ないのではないかということで編成を行ったわけでございます。
○久保亘君 また防衛庁へ返りますが、防衛庁、このE2Cを導入した場合に、関連地上設備というのは幾らになるのか。それから関連地上設備については今度の債務負担行為の中では考えられているのかどうか。
○政府委員(倉部行雄君) 五十四年度の予算案として私どもE2C関係でお願いしておりますのは、国庫債務負担行為の総額といたしまして約三百四十三億円でございます。これは初度部品と飛行機の機体本体を含めたものでございますが、そのほかに関連器材の予算を約二十一億円計上いたしておりまして、これは整備用の試験器材が中心でございます。そのほかには現在計上はいたしておりません。
○久保亘君 時間が非常に短くなりましたので、この問題についてはまた一般質疑等の機会に引き続きやることにいたしますが、今度は、現在問題となっておりますE2Cを中心にした航空機輸入をめぐる疑惑等に関連をして、最初に、お休みのようですから総理大臣にお尋ねいたしますが、ロッキード事件というのは、これはもう政治的な解明は決着したとお考えになっておりますか。
○国務大臣(大平正芳君) まだ公判が続いておるわけでございまするし、国会における国政調査も続いておると私は承知しておりまして、完結いたしたものとは思っておりません。
○久保亘君 ロッキード事件の全容を国民に報告するという三木内閣時代の政府の公約は、大平さんにもやっぱり引き継がれていると、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(大平正芳君) そのように心得ております。
○久保亘君 それから政治的、道義的責任というのには時効は存在しない、したがって疑惑がある限りこの政治的、道義的責任の究明ということは、刑法上の時効などとはかかわりなく、その解明が行われるべきものである、こういう理解はよろしゅうございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 問題についての刑事責任を問うべきかどうかという問題は、捜査が行われ、起訴が行われて公判を通じて決着がついてくると思いますが、普通の場合、一般の方々であればその問題はそれで一応の決着がつくと思いますが、あるいは公務員の場合あるいは国会議員というようなことになりますると、あなたの言われる民主社会におきましてそれだけで刑事責任が問われないという状態で一切合財問題が片づいたというようにはとれないのではないかと思います。 したがって、何かそこに、事案に即して政治的、道義的な問題というものは問われるということになるのではないかと思いますが、どういう程度、どのような方法でこれが問われるべきかという場合には、そのときどきのその事案の実相に照らして、あるいは国会においてどのようにそれを究明してまいるかということであろうと思うのでございまして、私は、一般的なそういう問題はそういうように一般的に理解いたしておるわけでございまして、具体的にこのケースをどうするか、こうするかということにつきましては、一つ一つまだ実体が明らかになっておりませんので、問うべきであるとか、問うべきでないとか、どういう方法で問うべきであるとかいうような点につきましては、自信を持って申し上げるまでの用意はまだございません。
○久保亘君 少なくとも政治家の政治的、道義的責任ということについては、刑法上時効で免責されたからといって、国会がこれを政治的に究明していくことについては免責されるものではない、このことは御理解いただけるんじゃないでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 政治的な問題は残ると思います。
○久保亘君 わかりました。したがってロッキードとあわせて今日問題となっておりますダグラス、グラマン等の航空機をめぐる疑惑の解明については、政治的、道義的責任の追及ということについては時効は存在しない、刑法上の時効がそのままそのことを免責するものではない、こういう立場でこの問題は解決されていかなければならぬ、私どももそう思っておりますし、総理もそのような御意見のようでありますから、その点はそれでよいと思います。 きょうは時間が非常に短いですから、ダグラス、グラマンのこの疑惑解明に関連して、私は、捜査上の問題について二、三お尋ねしてみたいことがあります。 最初に、日商岩井の島田常務の死亡について巷間他殺説などが流布されております。したがって、この際、島田常務のこの死亡を自殺と断定するまでの経過について御説明をいただきたいと思うのであります。
○政府委員(小林朴君) 日商岩井の島田常務が亡くなられましたのは、二月の一日の午前七時四十分ごろでございます。場所は、赤坂の日本交通山王ビル前の路上でございまして、この日商岩井のエアロスペース株式会社というのがこのビルの七階にございまして、この七階の、島田氏はそこの社長でございまして、七階の社長室の窓から飛びおりられたというような状況でございました。その後、日交ビルの管理人で田中とみ子という女性がこのビルの玄関のシャッターをあけまして路上を見たところ、下着姿のままで血だらけとなって倒れている中年の男性を発見をいたしました。それを一階の一吉証券の支店長の閑上信男という方に連絡がありまして一一〇番通報がなされたわけでございます。 で、警察の方では、それによりまして現場を検証いたしますとともに、他殺、自殺両方の線から見まして、慎重を期しまして司法解剖ということにするようにしたわけでございます。で、この社長室には、本人の机上にあて先の書かれた遺書が九通、それからあて先のない走り書きのメモ書きのものが数枚かございまして、そういう状況で自殺の一つの情勢というものが出ておるわけでございます。 で、御本人の前日の状況でございますけれども、若干会社の仕事の後で、ここへ午後の十時ごろに立ち寄られまして、まだ残業しておる社員がおったわけでございますが、社員にコーヒーを入れてくれということでコーヒーを飲まれまして、その後水割りのウイスキーなどを飲まれたようでございますが、先に社員が帰った後、本人は一人になられたようでございます。 で、その飛びおりられた時期が朝の七時ごろの状況ではなかろうかというふうに推定されるわけでございますが、解剖所見によりますと、慶応の医学部の法医学教室で斎藤教授の解剖によったわけでございます。で、死因は出血及び外傷性脳機能障害ということになっておりますが、頭部前額部、顔面、頭蓋底の骨折及び内部組織の挫傷、その他胸部とか両腕、下肢というところに複雑骨折がございまして、これは飛びおりられたときの傷だろうと思うわけでございます。そのほかに、右側の頸部でございますが、ここに切創、切り傷がございまして、それから左側の手首でございますが、ここにもやはり切り傷がございます。今度は左側の胸部に刺し傷がある、というようなことが死因になっておるようでございまして、この社長室の現場からは肥後守のナイフ、それから千枚通しによる刺し傷がございますが、その千枚通しというようなものが押収をされております。この傷にはいわゆるためらい傷というものが数条ついておりまして、よく自殺の場合に本人がためらってつける傷でございますが、そういうものがついておりまして、そういうものを総合勘案いたしまして本人は自殺であるというふうに断定をいたしておるわけでございます。
○久保亘君 いまの警察側の判断はわかりました。 それならば、島田氏が常時使用していた老眼鏡、それから社長室に入っていたときに締めていたネクタイ、こういうものは警察によって確認されておりますか。
○政府委員(小林朴君) ちょっと私報告を受けておりません。
○久保亘君 その自殺、他殺を判断するときに、解剖所見だけでなくて、現場の状況調査というのが非常に重要な要素になると思うのでありますが、私は、その点について一つの疑問が提起されているのでありまして、また落下地点における出血量は大変に少ない。飛びおり自殺の場合の普通の状況とすると、落下地点における出血が非常に少ないという特徴があると聞いておりますが、それはそのとおりですか。
○政府委員(小林朴君) そのとおりでございます。部屋の方に出血が相当ございまして、落下地点には出血が少ないという、そのとおりでございます。
○久保亘君 異常に少ないということで、その部屋には室内のじゅうたんの上に大量の滞留して固まったほどの血液があると言われておりますが、それも事実ですか。
○政府委員(小林朴君) 出血の量は、外へ向かって出ておるのが落ちた場合に非常に少ないということでございまして、体内には多量の血液が残っておるという状況だと聞いております。(「部屋の中」と呼ぶ者あり)部屋の中は相当の血痕がございます。
○久保亘君 この死因についてかなり不審を持つ人も多いわけでありまして、この司法解剖を要求されたのは警察ですか、検察ですか。
○政府委員(小林朴君) 検察庁と相談をしてやったわけでございます。
○久保亘君 それなら、私は非常に不思議に思うのは、当日の九時には所管の警察は自殺としてこれを発表されておりますね。なぜ、それじゃ検察と相談して司法解剖に回されたんですか、自殺と断定した後。
○政府委員(小林朴君) 慎重を期したわけでございます。
○久保亘君 慎重を期さなければならぬということは、それにふさわしい理由があったわけですか。正式に発表しているんだよ。
○政府委員(小林朴君) 特に重大な事件の最中の方でございますので、慎重を期したというふうに聞いております。
○久保亘君 この問題については、三月二日、さる民放のモーニングショーにおいて現場を再現するような形での放送が行われたり、その際、赤坂署長も出てこのインタビューに応じられておるようでありますが、赤坂署長は、右首に千枚通しの刺し傷があったということを言われたと、私は直接見とらぬですが、このテレビの画面を見た者からそう言われておりますが、そういうことがありますか。
○政府委員(小林朴君) 私も聞いておりませんが、刺し傷は、先ほど申しましたように、解剖の結果はないという状況でございます。
○久保亘君 じゃ赤坂署長が、担当の署長がそういうふうに言われたとすれば、これはどういうわけでしょうね。
○政府委員(小林朴君) この切り傷のことを言うたようでございますけれども、刺し傷のことは言ってないように聞いております。
○久保亘君 その点については、私、直接それを見たわけではありませんので、また、後刻、調べてみたいと思います。 それから通常の場合に、飛びおり自殺をした者の歯が欠けて飛んだりしておる場合には、それは発見されると聞くんですが、この場合に島田さんの歯が欠けておりますね。その歯は警察は発見することはできませんでしたね。
○政府委員(小林朴君) 歯が一本欠けておったということで、これは下顎骨と上歯がこう当たったときにそういう現象が起きるということは私聞いておりますけれども、その歯が後で回収されたかどうかということについては報告を受けておりません。
○久保亘君 これは、司法解剖の結果その他を総合して、慎重を期して、自殺と断定されたということにしては、その種の非常に重要な要素が欠けているんですな。それで特にネクタイやそれからめがねは、少なくとも警察署はこれがあったということは言っておられませんね。そういう点でも幾つかの疑問が残ります。 それから、当初、社長室をのぞいた人は、ズボンやくつ下などは部屋の中央に置いてあったと言っているんですね。ところが、その後、いろいろ言われる中では、くつ下の片一方は血のりで滑って、飛びおりるときに窓際のところでぬいで飛んだというふうに伝えられておりますが、これはどういうふうに知っておられますか。
○政府委員(小林朴君) そのくつ下がどういうふうな状況であったかは、大変推測が入っておりまして、よくわからないのでございますが、私ども写真で見ました限りにおきましては、衣類等は部屋の中央に置いてあるように写真では拝見をいたしております。
○久保亘君 この問題については、何かいろいろ状況として、私は、自殺が不審だということじゃなくて、状況としていろいろ疑問の残る問題について担当の局長は余り明確に承知されておらぬようだな。だから、もう少し私がいま提起したような問題について、どうなっておるのか少し調べていただきたいと思うんですが。
○政府委員(小林朴君) その点、早速調べてみます。
○久保亘君 次に、国家公安委員長にお尋ねいたしますが、昨日来、警察庁刑事局長と海部日商岩井副社長との関係についていろいろと報道がされております。これは事件の解明を公正に行うという立場からも、私どもは、報道されている事実についてこれは一体どういうことなのか、国家公安委員長の御発言をいただきたいと思うのであります。
○国務大臣(澁谷直藏君) お答えをいたします。 新聞等で報道されておりますので、直接本人に対して事実関係を聴取いたしたわけでございますが、本人は、昭和四十六年九月、千葉県下にある宅地を日商岩井から購入いたしております。昭和五十年三月、別の不動産会社から東京都内にあるハイツを購入いたしましたときに、自己資金のほか、さきに購入した千葉県下の土地を下取りに出し、その際、税務署の指導を受けて当該年度の譲渡所得の確定申告をしたのであります。ところが、最近になって、その税金関係の処理に疑義があるということで改めて確認したところ、修正申告が必要であることが判明しましたので、早速、本人から修正申告をいたした次第であります。 以上が事実関係でございますが、これらの土地、建物の売買等は全く通常の取引であり、また、税務関係につきましても、その都度、税務当局の指導を受け措置いたしておりますので、問題はないと判断をいたしております。
○久保亘君 事実関係は、国家公安委員長がいま報告をされたことだと思うのであります。ただ、法に基づく取り締まりを行われる立場の方が、私、つい法律を知らなかったものだからという談話をお出しになるのは余り穏当でない、こういうふうに思うのですが、国家公安委員長いかがですか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 御指摘の点は、恐らくこの税関係の確定申告をいたした際に若干のミスがあったということを御指摘されていると思うのでございますが、事実関係はただいま私が報告申し上げたとおりでございますが、とにかく刑事局長という重要な責任のあるポストにおるわけでございますから、その言動には十分慎重を期さなければならぬ、このように考えております。
○久保亘君 この事件の捜査過程において、ロッキード、グラマンの捜査の過程において、その捜査の重要な責任に立たれる方が、いろいろこの種の問題での指摘を受けるということについて、国家公安委員長の意見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(澁谷直藏君) 報道されておりまする土地、それからハイツの取得関係の事実関係はただいま私が申し上げたとおりでございまして、これは通常の商取引でありまして、そこに何ら不正というようなものはございません。 また、もう一つ、日商岩井の海部専務との関係が報道されておるわけでございますが、これはたまたま海部専務と小林局長が旧神戸商大の同窓であったということが言われておるわけでございまして、これはたまたま同窓であったというそれだけの事実でございますので、これを問題とするのは、これはむしろおかしいというふうに判断をいたしております。
○委員長(町村金五君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。 午後一時十五分から委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。 午前十一時二十九分休憩 ―――――・――――― 午後一時十七分開会
○委員長(町村金五君) 予算委員会を再開いたします。 昭和五十四年度総予算三案を一括して議題とし、久保君の総括質疑を続行いたします。久保君。
○久保亘君 質問の最後に、私は文部大臣にお尋ねしたいと思いますが、最近、私立大学の経営が乱脈をきわめ、そして不祥事件が相次いでおります。このことについて文部大臣のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(内藤誉三郎君) 私立大学の経営が乱脈をきわめているという御意見でございますが、私はそう信じていない。私立大学はそんなことではつぶれてしまいますから、一生懸命やっていると信じています。
○久保亘君 文部大臣は、そうすると――私は私立大学をみんなそう言っているのじゃありません。私立大学の大部分はあなたの言われることだと思いますが、特に医科・歯科大学等において経営の乱脈があり、不祥事件が相次いでいることをあなたはそれでは認められないのですか。
○国務大臣(内藤誉三郎君) 最近、一部の私立大学において経営をめぐる不祥事件が生じ、これらの学校法人の理事に政治家が就任した事例はあるが、これらの理事が不祥事に関したという事実は全くないと私は信じているんです。特に、学校法人の役員の選任については、学校法人が自主的に決定する事項であるが、学校法人の役員には、政治家であろうとなかろうと、学校経営の責任者としてふさわしい社会的信望があり学校経営に熱意を有する者が選任されることが望ましいと、そう信じている。ただ、いまお話しのように、私立大学をめぐる医科・歯科関係に若干そういう問題があることは私もよく承知しています。
○久保亘君 文部大臣は根本の認識を大分間違っておられるのじゃないかと思いますね。最近報道されるだけでも、医科・歯科大学をめぐる不祥事件というのは、経営者に関する不祥事件というのはかなりな数に上っているのじゃありませんか。ほんの一部であって大した問題じゃないと言って、そういうことであなた言い切れるような問題ですか。
○国務大臣(内藤誉三郎君) お話しのとおり医科・歯科関係をめぐる私立大学において不詳事件が起きていることは私もよく承知しているので、これはどんなに一部であってもこれを絶対に認めるわけにはいかぬと思いますから、これは速やかに是正するように文部省も全力を傾けてやりたいと思っています。
○久保亘君 どんなに一部であってもということにえらい力点を置かれるのは、文部省としてはそういう事実がかなりの場所に出ているということを認めたくないというお気持ちだと思うのですが、そのことはまあ文部大臣がそういう姿勢なら結構だ。そのことはまた別の機会にやりましょう。 ただ、私がここであなたにぜひ聞きたいのは、福岡歯科大学の場合には、設立の段階で大学設置審議会の委員を買収してそして贈収賄事件で逮捕された者たちが、初めからその学園の理事長や常務理事になっておるのじゃありませんか。そういう意味では文部省に責任がないというわけにはいかぬでしょう。
○国務大臣(内藤誉三郎君) お説のとおり、文部省は責任がないとは申しません。ですから、そういうことの二度と起きないように厳重に福岡歯科大学には注意をいたしたのでございます。ですから、理事の方々が全部辞任されたのであります。
○久保亘君 それは今度の事件に関して理事が全員辞任したのであって、最初の設置認可の段階で不詳事件を起こして逮捕された者たちが最初からその大学の理事者に座っていたということは、これは文部省に責任があるでしょうと言っているんです。そのことはどうですか。
○国務大臣(内藤誉三郎君) お説のとおりだとすれば文部省に責任があります。
○久保亘君 お説のとおりということを言われると、私は文部省として大変無責任だと思うのは、すでに昭和四十八年、国会において、この設立認可をめぐる不詳事件について衆議院文教委員会において論議が行われておるんです。その事件の概要も当局から説明が行われている。ところが、私が驚いているのは、最近問題になって出てくるこの学園の経営責任者たちというのが、当時逮捕された者たちです、この大学の設置をめぐって。こんなばかなものが何で認可されたのだろうと私は不思議でならぬのですがね。お説のとおりであればということで済む問題じゃない。
○国務大臣(内藤誉三郎君) 私は当時文部省にいなかったから事務当局から事情を聞いたわけでございますが、あなたのおっしゃるようにそういう事実が――ですから、これはまことに不届き千万だと、こういうことは二度と起きちゃいかぬと、私はそう信じております。
○久保亘君 当時文部省にいなかったからということでその責任を免れるとするならば、私はここではもう審議はできないと思うのです。
○国務大臣(内藤誉三郎君) 私が申し上げたのは、当時文部省にいなかったから事実を詳細に知らないという意味で、責任は絶対に文部省は負います。
○久保亘君 わかりました。 それでは、今日起きている問題について、当時大学設置審議会の委員を買収したという容疑により贈収賄の両者四名が逮捕されている。その逮捕された者たちが、今日その大学を設置して数年たったいま、業務上横領、それから不正入学、不正寄付金を納入させた、そういうようなことによっていままた問題が起きているわけですが、このことについて文部省は責任を絶対に負うということならば、当時このような者たちを役員としてこの大学を認可した文部省の責任はどこでどういうふうに明らかにしてもらえますか。
○委員長(町村金五君) 久保君、時間が参りました。
○国務大臣(内藤誉三郎君) すでに認可いたしたものでございますから、今後二度とこういうことの起きないように理事者側にも絶対に注意をし、そういう事態が起きた場合には文部省も重大な決意をする覚悟でおります。
○久保亘君 時間が参りましたので、また別の機会にこの問題については質問をいたしたいと思います。 私の質問を終わります。(拍手)
○委員長(町村金五君) 以上で久保君の総括質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) 次に、鈴木一弘君の総括質疑を行います。鈴木君。
○鈴木一弘君 初めに、総理にまずお伺いしたいのはダグラスの問題であります。 昨年七月ボーイング関係、十二月ダグラス関係、ことし一月にグラマン関係のSEC報告が出され、きょうまでSEC資料等も持ち込まれ、衆参両院の関係委員会の審議等も行われてまいりました。 しかし、捜査当局の捜査の現段階は一体どこまでいっているのか、今後の見通しはどうなのかということを、これは法務大臣ですか、伺いたいと思います。 また、ダグラス関係のSECの資料等はいつ引き渡しを受けるのか、これについての現状と見通しについてまず伺いたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) お答え申し上げます。 すでに御案内のように、SECの非公開資料を待っておるわけでありますが、グラマンの方はもう手に入れたわけでございます。今度はもう一つのダグラスの非公開資料を手に入れる、そういう話し合いになっておりまして、いま関係の者が向こうにもらいに行っておるわけであります。資料を点検したりしておる途中でありまして、さあ、今月のうちは少し無理かもしらぬと思いますけれども、これも持って帰ってくるだろうと思っております。 それからボーイングの方は、いまのところ幾らか怪しげなにおいもなきにしもあらずですけれども、いままでのところ犯罪の面では容疑がどうも弱いものですから、これについてはしばらく様子を見ておるのでありまして、もし必要があればまた資料を手に入れるような順序にしたいと、こういうふうに思っておるのがいまの現段階でございます。
○鈴木一弘君 捜査の現段階について報告をしていただきたいと申し上げたのですが、その方はいかがですか。
○国務大臣(古井喜實君) 捜査のことにつきましては、はっきりよく知っておる事務当局からお答えさしたいと思います。
○政府委員(伊藤榮樹君) 御承知のように、昨年暮れから本年初めにかけましてSEC資料の公表がございました。これを受けまして、東京地方検察庁が中心となりまして基磯調査に関する捜査に入りまして、すでに大臣から申し上げましたように、グラマン社関係のSEC非公開資料を入手し、これの分析、検討をいたしました。恐らく今月の中旬、ちょっと遅くなるかと思いますが、ダグラス社の非公開資料もわが国へ届くと思います。これらもしさいに分析、検討いたしまして、それに並行して行っております国内捜査の資料と合わせまして何らかの方針を立てていくと、こういうことであろうと思いますが、現在検察当局がやっております捜査は、具体的内容は申し上げるわけにいきませんけれども、かねがね国会での、特にこれまでの衆議院での御審議の結果、あるいはマスコミの報道等によりましても、商社をめぐるいろんな金の動きがあるわけでございます。 そういう意味におきまして、この航空機輸入にかかわります問題を広い視野でとらえて、そうして一つずつ的をしぼっていく、こういうような捜査を展開しておるわけでございまして、そういう意味におきまして、いわゆるロッキード事件のときの捜査とはやや趣を異にしておりますけれども、鋭意真相の究明に向いまして努力をしておるところでございます。
○鈴木一弘君 航空機部門だけでございますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) もとより捜査の端緒と申しますのが、ダグラス、グラマン両社からの航空機輸入の問題でございますので、それを中心として捜査をやっておるわけでございますが、先ほど申しましたように広い視野にわたって検討いたしておりますから、これらに関連する諸問題の中には検察当局が関心を持っておるものもあると、こういう状況でございます。
○鈴木一弘君 次に防止対策について伺いたいんですが、ロッキード事件にしても今回の事件にしても、アメリカの行政組織から出てきたSEC報告、こういうものによって日本の政界から官界が大騒ぎということになっております。日本にもそのSECの日本版というのがあっていいんじゃないか、行政組織としてそれに常時対応できるものがあってしかるべきではないかというふうにも考えられるんですけれども、これについて、総理、いかが御所見をお持ちですか。
○国務大臣(金子一平君) 御承知のとおり、アメリカのSECは、アメリカに不正支払い防止法なりあるいは政治献金の禁止法がございまして、その法律の番人というような立場で今日SECが活動しておるわけでございます。そうしますと、日本ではそれに対応する機構がないものですから、今後そういったものを政府全体としてつくるかどうか、どういうかっこうで置くか、これはかつて日本にございました証券委員会とは違った、準検察的なと申しますか、司法的な立場に立つものですから、機構全体の問題と絡めて、あるいはこれからのこういった問題の取り締まりを絡めて考えなきゃいかぬ問題と考えております。
○鈴木一弘君 国会の航空機購入問題の解明について、総理は、法令の範囲内において最善の協力をするということを申されております。いわば諸悪の根源とも見られる一番ポイントは代理店契約の公表でございますが、この代理店契約の公表についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。御協力をなさるとおっしゃったんですが、いかがでございますか。
○政府委員(橋口收君) 代理店契約は、独占禁止法の規定に基づきまして公正取引委員会に提出が義務づけられておりますが、事業者の秘密に関する事項でございますので開示権を与えられておりませんから、提出は御容赦をいただきたいと思います。
○鈴木一弘君 SEC報告では、代理店契約に基づくディスカウントの額を公表して指摘している。疑惑を解明しようとする国会に協力するというのであれば、特に政府購入にかかわる疑惑解明のために関係の代理店契約を出すというのはもう当然だと思うんです。いま出さないと言ったけれども、出さなくちゃ何が何だかわからないということになってまいります。SECの報告では、それに基づいて額を公表している。じゃこれはどうなりますか。
○政府委員(橋口收君) 先ほどもお答え申し上げたとおりでございまして、独占禁止法第三十九条の規定によりまして事業者の秘密につきまして開示権が与えられておりませんので、内容についての公表は御容赦いただきたいと思います。
○黒柳明君 関連。
○委員長(町村金五君) 関連質疑を許します。黒柳明君。
○黒柳明君 防衛庁にお伺いしますが、いま鈴木委員から代理店契約書のことで話がありまして、これが航空機問題に対しての解明の一番の要点だと思うんですが、聞くところによりますと、E2C、P3C、F15の代理店契約書は防衛庁は入手している。そうすると住商の分、またF4の分はどうなっているのか。これが一点。 それから二点目は、E2Cにつきまして、防衛庁は日商の方に代理店契約書を国会に提出しなさいと督促している、こう聞いておりますが、一部報道は、もう日商の方が国会に提出を決めた、こう言われておりますが、防衛庁が日商に接触した範囲においての日商の態度はどうなんでしょう。
○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。 いま御指摘の点につきましては、E2C、P3C、F15にかかわる代理店契約書は入手いたしております。その他の点につきましては政府委員の方から御答弁さしていただきます。
○政府委員(倉部行雄君) ただいま長官から御答弁がございましたように、F15、P3C、それからE2Cにつきましては、代理店契約書を、これは強制権限がございませんので他に公開しないという前提で私ども善意で提出を受けておるわけでございますが、そのほかに御質問ございました住友商事のS2Fの関係、それからF4ファントム、RF4Eの偵察機の関係につきましては開示ないしは提出を受けております。 それから、先ほどの報道に関してでございますが、私どもの方からはそういった事情がございまして公開は控えさせていただいておりますが、報道にありましたようなことにつきましては、私ども再三会社の方にそういった要請をやっておりまして、そういう感触からは、先ほどおっしゃったような感触は私ども受けておるわけでございます。
○黒柳明君 日商は提出する、こう決定したような感触を防衛庁も受けている、こう言うんですが、総理、先般の衆議院の予算委員会で日商の植田社長がこのE2Cの代理店契約について、GIの方がオーケーを言ったらこっちは出しますよと、こういうことがあった。それから超党派の議員団がGIのオラム社長に会ったら、これはもう日商がオーケーと言ったらいいんですよと、こう言って、くしくも代理店同士のオラムさんと植田さん両社長がオーケーですよと、こういうことになったんです。ですから、いま公取の委員長がおっしゃいましたように、従来はこれはもう各業者の秘密だ、こう言われていたんですが、E2Cについては両社長とも文句なく出して結構だ、こう言うんです。ひとつF15も、またP3C、ロッキードのときの問題、まだ解明されておりません。あるというんですから、これをひとつ出すことを、政治の力でやっぱり両メーカーと商社に督促したらどうでしょうか。そうすると、こういう疑惑というものがなくなるし、大平内閣の解明に対して全面的に協力するという姿勢がここではっきりするんじゃないでしょうか。E2Cだけは出る、これだけじゃやっぱり不都合だと思うんですよ。どうでしょう。政治の力がやっぱり介入しまして、国民に対して寸分の疑惑も与えないために、E2Cの資料が出る可能性が出てきた、ほかのもひとつ政治の力でアメリカ側と日本側に対して大平さんが説得する、防衛庁を説得させる、こういうことで前向きに検討していただけませんか。どうでしょう。
○国務大臣(山下元利君) これはるる申し上げておりますとおりに、第三者間の契約でございまして、私どもといたしましては、決してことさらに秘密を守ることはございませんけれども、第三者間のことでございますから第三者の方で善意で提出するということになるわけでございまして、こちらの方からそれを提出するということはこれは適当でないと思うわけでございます。
○黒柳明君 だから、これをもう第三者の両者が合意して同意するという――ですからE2Cだけ出ましてほかのが出ないんじゃこれもおかしなものでしょう。いまの答弁は、もう前回あることがわかっているんですよ。E2Cが出る可能性が出た現時点においてということですよ。大平さん、どうですか。
○国務大臣(山下元利君) 重ねて申し上げますけれども、これはあくまで善意で提出いたしておるものでございますので、そちらの方で提出してくることについてはとやかく申しませんが、こちらの方から提出するということはこれは差し控えさしていただきたいと思う次第でございます。
○黒柳明君 だから、これは運輸省もあるんですよ、いま防衛庁だけじゃないんです。だから総理はどういうふうに考えるか。総理はどう考えるか。
○国務大臣(大平正芳君) いま防衛庁長官が申し上げましたとおり、善意で提供を受けておるものでございますから、契約の第三者である防衛庁が提出すべき性質のものではございません。また、それを勧奨するという性質のものでもないと私は思います。
○黒柳明君 E2Cの資料だけが出る可能性があるというんですから、ひとつこれは本委員会で、このE2Cの分だけでも結構です、まず先行して提出することをひとつ検討していただけませんでしょうか。
○委員長(町村金五君) 理事会で協議いたします。
○黒柳明君 関連ですから、まとめて公取委員長とそれから法務省にお伺いしたいと思うんですが、先ほど公取委員長は三十六条を盾にしてこれは秘密ですからと、こうおっしゃいましたけれども、そうなると、あの六条の二項はどうなんでしょう、国際契約の提出について。ロッキードのときは、あの児玉譽士夫とロッキードとの契約書は出てこないんじゃないですか、国際契約。しかもその後、十大商社に対して国際契約があったら出せと、こう督促した。にもかかわらず、今度の日商岩井とハリー・カーンとの届け出は出てないんじゃないんですか、六条二項。三十六条を盾にとるなら、六条二項に対して違反しているこの日商岩井に対して罰則規定を適用しなきゃいけないんじゃないんですか。それが第一点。どうでしょう。 それから法務省、先日有森さんが告発されました。この有森さんは外為法違反、こういうふうなことで証言拒絶罪を適用されたんですが、捜査は証言拒絶罪だけじゃなくて、当然外為法についても、あるいはFX問題の金銭の授受があったようなうわさがありますが、これについてもやられるんでしょうか。あるいは金銭の授受については時効だというようなことも言われておりますが、もし、たとえ時効だとしてもこの灰色面は明らかにしなきゃならない、こう思うんですが、それについてはいかがでしょうか。 また、もう一つ、あのグラマン、ダグラスと政治家との接点において、金の流れが真実性が非常にあって、問題になっているのは西ドイツの某銀行に金が流れたということなんですが、これを解明するためには日本と西ドイツとの司法共助ということも考えられるんじゃないのか、この点いかがでしょう。 それからもう一点、最後に、法務大臣がくしくもボーイング、いまはちょっとこの容疑性が少ないけれどもこれからだと、こうおっしゃいました。そうすると、これからもうちょっと容疑が深まってくる、ボーイングの非公開資料も司法共助の網をかぶせて、こちらが入手するという可能性も将来あるのか。 法務省三点、公取一点、以上まとめて返事をください。
○政府委員(橋口收君) 第一点の児玉譽士夫とロッキード社の契約の件でございますが、公正取引委員会から督促をいたしたのでございますが、昭和五十一年十二月二日の届け出によりまして回答はできない、こういう返事がございました。児玉譽士夫の場合は事業者であるかどうかというところが多少問題がございまして、やはり事業者であるという認定で督促をいたしましたが、当該契約は存在しないから届け出はできないという報告がございました。 それから、日商岩井とハリー・カーン氏との契約でございますが、日商岩井は事業者であることが明らかでございますから、これは提出をすべきであるということで書面で督促をいたしたのでございますが、本年の二月二日、代表取締役植田某から公正取引委員会の戸田事務局長に対しまして、当該契約はすでに解除され、届け出の対象となる契約書がないから届け出はできない、こういう回答があったのでございます。で、御指摘にもございましたように、独占禁止法第六条第二項の規定によりまして、ほとんどすべての国際的契約または協定は公正取引委員会に届け出の義務が課せられておりますが、大変残念なことでございますが、必ずしもこの規定は一〇〇%励行されておりません。したがいまして、平素から届け出の励行について注意を喚起いたしておりますが、今回重ねての事件でもございますので、三月七日に公正取引委員会の戸田事務局長から日商岩井の代表取締役あてに再度警告を発しております。それに加えまして、社団法人日本貿易会会長水上達三あてに、やはり同じ戸田事務局長名で傘下の商社に対して届け出の義務の違反がないようにという忠告をいたしております。同じような措置は、三菱商事株式会社ら大手商社八社に対しましても同じような警告を発しておりまして、その備考には、この規定に将来違反した場合には罰則を科せられることあるべしということをうたってございますので、これによって当面の第一のステップはできたというふうに考えております。
○黒柳明君 日商だけは免罪ですか。将来ですか。
○国務大臣(古井喜實君) お答えいたします。 ボーイングの関係ですけれども、まああれは大韓民航に飛行機を売り込んだ、あれに日商がかかわっておるとかいうことがあるようでありますが、現段階ではこれについてダグラス、グラマンのようなああいうふうな資料をこっちに取り寄せる手続をする、まだそこまでの必要を感じておりません、新しいことが起こればそのときであります。 それから、西ドイツはわりあい司法共助に協力的であるようでありますが、まあしかし、もうちょっと詳しいことを事務当局からお答えさしたいと思います。 それから、有森さんの問題、これもあわせて事務当局からお答えいたします。
○政府委員(伊藤榮樹君) 昨日、衆議院の予算委員会の方から最高検察庁に対して有森氏に係る証言拒否罪の告発がございまして、即日東京地検に移されまして、直ちに検討を開始しております。これより先、福田赳夫氏から氏名不詳者を被告訴人といたしまして、いわゆる海部メモの内容、海部メモをいろんな方法で頒布したことについて名誉棄損という告訴が出ております。この二つの件は相関連いたしますので、一緒に捜査をやっていくことになると思いますが、いずれにいたしましても、有森氏に係る告発事件を捜査いたしますとなりますと、有森氏の言う昭和三十八、九年ごろから四十年前半にかけましての苦い思い出と申しますか、そういうものの存否、あるいは存在することの合理的な蓋然性と申しますか、そういうものの捜査をいたさなければならぬわけでございまして、その間の必要によりましては、古い話ではございますけれども、いわゆる海部メモと言われますものの真偽あるいはその内容に関連する部分、これにも検察としては関心を抱かざるを得ない事態になるのではないかと、かように考えておる次第でございます。しかしながら、まあ今後の捜査の推移によることでございます。 それから、まあ一般論といたしまして、西ドイツにあります銀行口座を調べる、こういうことに相なりますると、わが方が直接行って調べるわけにもまいりません。しかしながら、西ドイツとわが国との間はわりあい司法共助に関しまして友好的な雰囲気がございますので、将来検察当局が必要と認めますれば、しかるべき方法を講じて解明することは不可能ではないのではないか、かように考えております。 なお、ボーイングの問題につきましては大臣からお答えがございましたが、一言で申し上げますと、現在検察当局がこれまでボーイング社関連でいろいろ問題になっております諸点、これを捜査するにつきましては、いまのところ検察当局が持ち合わせております資料で、まあ俗な言葉で申し上げますが間に合っておると、間に合わないようになれば司法取り決めをするのにやぶさかではない、こういうことでございます。
○鈴木一弘君 E2Cの予算の問題でけさほど委員長から、今後の予算委員会の審査を踏まえ国民の納得が得られるよう適切に対処していくという話がございました。それに対して委員長に伺いたいのですけれども、一部新聞にはすでに参議院議長の判断を加えればよいというような報道がされておって、非常に甘い考えのような感じがする。やはり参議院独自の厳しい条件をつけるべきだと思うんですけれども、その点委員長に一言伺っておきたいと思います。
○委員長(町村金五君) お答えをいたしますが、某新聞に出ておりました参議院議長云々のことは、私どもはいまだ関知をいたしておりません。きょう冒頭申し上げましたようなことで、今後皆さんの御審議の経過を踏まえて適切な対処を参議院としてはすべきであろうと、こういうことにいたしておるわけでございます。
○鈴木一弘君 次は、物価について伺いたいと思います。 国民生活の安定、向上という点から、五十四年度予算について伺いたいと思いますが、国民生活の安定は、第一に物価の安定、第二に福祉の向上、いわゆる充実ということでありますが、この二つが必要ですけれども、今度の総予算、それから大平総理の話された施策、こういうものを見ますというと十分に盛り込まれていないんじゃないか、 〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕 国民の期待を裏切るものになっているんじゃないかということを私は思うんです。そういう観点から伺っていきたいと思います。 最初に五十四年度の消費者物価指数、その上昇率ですけれども、政府は四・九%と五十四年度は見ております。経済見通しの策定のときと現在ではもうすでに大きく違ってきております。したがって、全くさま変わっているだけに、政府自体もすでに衆議院の段階での審議の際や記者会見の際に、だんだんだんだん政策の力点を景気から物価に置きかえてきているような感じがするんですけれども、そういう方向を変えつつあるということは、四・九%が困難になったということをまず示しているんじゃないかと思いますが 四・九%は維持できると断言できましょうか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) お答え申し上げます。 四・九%の消費者物価上昇、これはわれわれの非常に大きな政策目標でございますし、また同時に、失業の数を減らしていくということ、あるいは対外調整をもう少しうまくやっていくというようなことが五十四年度における経済政策の基本でございますが、いまお尋ねの四・九%という数字は現時点において、やはりこれが世界的な情勢の変化等もございますから、これに対応してわれわれはやはりこれを守る努力をしなくちゃいけない。御承知のように、日本の経済はすでに二百三十兆円に達する巨大な規模になっておりますし、これは主として国民の経済活動、あるいは企業の活動というものがその基本になっておりますから、そうした意味におきまして、われわれとしましては四・九%という目標を達成するために特段の配慮をしなければならぬ段階であるという認識を持っております。したがいまして、こうした目標達成のために、二十二日に物価対策の総合的推進という政府内部の取り決めをいたしました。今朝もまた経済閣僚会議におきましても、この総合推進につきまして特段の前進と配慮を政府としてすることを申し合わせたわけでございますが、これはもちろん物価の状態に対する対策とともに、一方におきましては、やはり現在の景気動向が余りはね上がっていかないということがやはり大事な点でもございますので、息の長い成長というものをわれわれ考えておりますので、それらを相互に、幅の狭い選択の中から適宜適切に運営をしていくという基本方針をとって対処してまいりたいと思っております。
○鈴木一弘君 私は断言できるかと言ったんですが、対処していきたいということで、総理としては四・九%はどうしても維持したいと、この御決意はいかがなものですか。
○国務大臣(大平正芳君) まだ年度は始まってないわけです。これ精いっぱいやりまして、その目標達成に努力したいと思っております。
○鈴木一弘君 どうも政府は五十三年度のいわゆる実績見込み四%、その延長線上で四・九というふうに考えているんじゃないのか。五十三年度は当初、消費者物価指数の上昇を六・八%に見込んだ。それが実績見込みでは四・〇、まあ下方修正している。こういう点から考えて四・九が出てきたんじゃないかと思うんですけれども、五十三年度に見込んだよりもこういうふうに下がってきたその理由ですね、この要因を具体的にはどう考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) やはり第一に挙げるのは円高でございます。それから第二点には野菜が非常に豊作であったと申しましょうか、これが暴落したこと。三番目にやはり一般の消費者物価が安定したためにいわゆるサービス料金等がきわめて安定した。われわれはこの三つを基盤にして、原因と考えておるわけです。
○鈴木一弘君 私の理解では、いまの三つの中でまず一つ、円高は確かにそのとおりだと思います。五十三年度の場合の経済見通し、その策定したときのレートは二百四十五円、しかし現在のレートは二百三円ですね、先ほどの御答弁で伺いました。約四十円近いいわゆる円が上昇をいたしております。これは五十四年度の経済見通しの場合百九十円でございますけれども、大平総理大臣が衆議院で明言しておられますが、適正レートは約二百円とすると、その明言された二百円でいきますと五十三年度は四十円も円レートが、円が高くなっている。ところが五十四年度は二百円ということになりますと、ずっと動かないということですから、そうするといわゆる大幅な円高の上昇ということは期待できないし、またすべきではないというふうに考えられる。逆にそれよりも円安の危険性さえあるんじゃないか。国際収支の動向いかんではそうなってきます。そうなると、円安の場合は円高と違って直ちに輸入物価にはね返る。円高のときには輸入物価が下がってくるということがありませんけれども、円安のときにはすぐ上がって、卸売物価から消費者物価に影響してくる。こういうことは、最近の円高一服でもって卸売物価が十一月以降ずうっと上がっているということからでもはっきりしております。だから、いま御答弁のあった円高と、最近の生鮮野菜類の値下がりが、それが下げたということであれば、それが消えてしまった五十四年は一体どうなるんだということです。物価を安定させる要因はなくなってしまうのですけれども、どうなんですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 確かに、御指摘のように円高のメリットが五十三年度の消費者物価の上昇を大いに食いとめたことは事実でございますが、しかしやはりこれも一つのタイムラグがあると考えております。大体われわれの試算でございますが、五十三年度の円高差益と称するものは四兆二千億程度ではないかと思うんでございますが、これが実際に物価の面にまでずうっと浸透するのには相当タイムラグがございますから、今年の前半はいろいろの事態の変化がありましても、この基調は余り変わらないというふうに考えております。したがいまして、われわれはこうしたことを踏まえながら、早急にやはり四・九%の五十四年度の目標達成のための手段としまして、先ほど申し上げましたような総合政策の推進、これは単に消費者物価という形だけではなしに、全般の政策運営の中で、物価安定のための努力を払うということで、いま着々と各省庁におきまして具体的に問題を取り上げ、前進を図ってもらっておるところでございます。
○国務大臣(大平正芳君) ちょっと訂正を。誤解を解いておきたいと思うんですが、私が衆議院で二百円が適正レートであるというようなことを申したようないま鈴木さんのお話でございましたが、そういうことは申し上げてないんです。私が申し上げたのは、為替レートが余り乱高下することはよくない。したがって、われわれとしてはこのレートが安定するような方向で、各国通貨当局の協力のもとでやってまいらなければならぬということは申し上げた。その当時がちょうど二百円だったことは事実ですよ。で、こうなることがならぬようにしたいという――その当時たまたま二百円だったから二百円というのが適正レートである、ぼくはそんな大それた、適正レートが幾らかなんと言う自信はないわけでございますが、そういう文脈においてやりとりがあったことでございまして、適正レートが二百円だというようなことは申し上げたわけでないので、その点はひとつ御理解をいただいておきたいと思います。
○鈴木一弘君 私は消費者物価が五十三年度に安定したもう一つの理由は公共料金にあると思うんです。公共料金の値上げが、国鉄や地下鉄で上げられました。しかし一方で、電気だのガスというようないわゆる公共料金は円高差益の還元がありました。そういうことで大分消費者物価に影響があったんだろうと思うんですけれども、これから先はそうはいかないだろう。大体四月までで円高差益の、為替差益の還元は終わります。それから以後はもとの料金に戻るわけであります。据え置きと言ってもそういうことに戻っていくわけですから、この恩恵はなくなる。それに加えてこれから公共料金が上がってくるんじゃないですか。その点について、これから五十四年度で予定している公共料金について各担当の大臣の方からお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 五十四年度におきまして政府が予算面でお願いをしておるものは、タバコ、国鉄、健保の改正は御審議いただいているのですが、それが通ればということと、国立大学の授業料の問題、これが前半でございまして、これが大体〇・八%の消費者物価への影響を考えられるもの。それから、またもう一つは電力・ガス料金でございますが、もちろんOPECの値上げ等がございまして、これの影響は直ちに相当なものがあるかもしれないと思うのでございますが、しかし、前回の電力・ガス料金のいわゆる特別割引をこの三月で終わるわけでございますが、引き続いて五十三年度の電力・ガス料金に据え置いておくということが原則として政府と電力・ガス会社間において、北海道電力だけを除きますが、成立しておりますので、 〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕 これについては影響が〇・一程度の影響を考えておるわけでございます。その他のいわゆる公共料金的なものというものは、まだ申請がなされておらないわけでございますので、これらが申請されたとして、現在の物価水準を考えて、まあ一応のこれは全くの試算でございますけれども、それをまるめて申し上げますと、全体で〇・六くらいの上昇、したがいまして、この公共料金的なものの影響というものを一・五程度というふうにいま考えておるところでございます。それでございまして、これの一・五程度の公共料金の値上げの影響というものを背景にして、四・九%の消費者物価の上昇というふうにいま考えておるところでございます。
○鈴木一弘君 この公共料金では、きょうの日銀の発表でも、卸売物価が上がってまいりまして、御承知のように指数で二月が一〇四・八、そうして前の月に比べて〇・九%上昇している。十一月が〇・二%、十二月が〇・六、一月が〇・六ということですから、これは大変な上昇ということになります。そうして日銀の発表によれば年率二・四%の増加になるのではないかという、卸売物価としては大変上がるような数字です。総理は所信表明の中で、物価の安定は不断に堅持すべき目標である、今後の物価の安定基調の維持に万全を期していくと、こう二つを言っています。そうすると、こういう卸売物価の問題は、後で私やりますけれども、商品市況のところでやりますが、こういうように物価が安定しているときならば、公共料金の値上げということもあっても私は大きく響かないかもしれないけれども、卸売物価が上がってくる、商品市況が活発になってくるというふうになってまいりますと、これはそういうところで、いろんなものが上がってくる中で公共料金を上げることは、黙っていても加速度をつけるんではないか。そういう点で、ここのところで御決断をしていただいて、一年ぐらい凍結をするような方法は考えられませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 企画庁長官からお話がありましたように、四・九%の中で公共料金による引き上げ分というものを一応この程度と想定いたしております。この程度でございますならば、この程度の微調整でございますならば、物価の安定基調に響くことはあるまいということをわれわれは考慮をいたしまして予算に計上いたしておるところでございます。非常にべらぼうなことをやりますと、あなたが仰せのように安定基調を崩していくことになりますが、そういうことは政府はしちゃいかぬと思いますが、いま御提案申し上げておる程度でございますならば、何とかこれは安定基調の中で消化していけるものと私は思っています。
○鈴木一弘君 私は、どうもこういういまの状況から見ると、必ずや押し上げの原因になると信じておりますけれども、これは先を見ていかなくちゃわからぬと思いますので、この程度でやめます。 もう一つ、経企庁長官が挙げられた五十三年度の消費者物価のいろんな安定した要因、その中に、私は先ほど言われた中に欠けているものがある、それは全体の総需要の水準の問題です。五十三年度は成長率が七%から六%に下がる。ところが五十四年度は六・三%と今度は上へ見込まれております。そうすると、現在でも後半はかなり加速化された景気拡大の状況がございますし、それにつれて卸売物価や商品市況もかなり強く動いております。こういうように上がりつつあるということです。そういうことなんですから、これは六・三%を達成するということになれば、先ほども在庫がふえたという話がございました。そういうようないろんなことから考えると、在庫投資の急増が始まる、内需が強まる、そういうことで十分消費者物価を押し上げるのじゃないか。総需要の件では五十三年度とはさま変わりじゃないかと思うのですが、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) いまわれわれが非常に関心を持っておりますことは、五十三年度末における日本のGNPの伸び率でございますが、これが七%と言っていたものを、円高その他によりまして、円高によりまして特に貿易収支関係、輸出の減少、そうしたことに妨げられて六%程度に見込まざるを得ないというわけでございます。しかし、実体的に見ますと、国内における経済の伸びは大体八%近くなる予測でございまして、これが昨年の十月ごろからそうしたことが一応見とられておりまして、非常に顕在化してきたのが大体十二月ごろからでございますが、そうしたことを考えますと、国内の経済が大体七%から八%くらい伸びておるという事態は、むしろ今年度のわれわれの計画においてはもう少し低い伸びを考えているわけです。と申しますのは、いわゆる景気を政府主導型で引っ張るのではなしに、むしろ経済界や民間の力そのものによる緩やかな景気回復ということを期待しておりますし、無理な経済成長をここでドライブかけることはしないという基本方針に立っておりますので、われわれの予測では国内の伸びを大体六・六とか、細かい数字を言ってもあれでございますが、大体七%以下程度のところで緩やかに成長してほしいというふうに考えておりまして、その辺のところが前年度の経済政策と今年度の政策の大変違う点でございまして、それにいま御指摘のような世界情勢の変化から来るいろいろな物価押し上げの要因というものを、われわれもちろんそれを見逃しているわけではないので、そうしたことを含めながらも、緩やかな経済成長ということを期待しておるというわけでございまして、これが物価の安定には非常に重要な施策になるというふうにも考えておるわけです。
○鈴木一弘君 緩やかな成長と言うけれども、私は五十三年より五十四年の方がかなり、もはや初めの経済の成長率それ自体から違ってきているのですから、私はいまのような緩やかななんというふうにいかないのじゃないかという感じがします。そう考えると、総需要の問題で、五十三年より五十四年の水準が上がる、円高の影響はもう今度は利益は考えられない、しかも公共料金の値上げはまともに物価にはね返るだろう、こういうことになりますというと、五十三年度と同様に四・九に抑えるというような、五十三年度よりも上がっておりますけれども、五十四年度を四・九に抑えるという、そういう抑制する方法が私はないんじゃないかと思います。そういう点で、これは総理はどうお考えですか。効果がなくなっちゃっているんじゃないですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 総理のお答えになる前に私からちょっと申し上げておきたいと思いますが、結局物価を上げていこうということは、ある場合には企業が収益を大いに享受したいという意味もございましょう。それからまた、そうした物価高による利益を享受する国民層もたくさんあると思います。しかし私は、物価というものが結局はある一定限度を超して上昇することはすべての面で非常にマイナスだということをこの前の四十八、九年のいわゆるオイルショックの時代から国民は非常によく理解をしておられると思うんです。われわれはそれが国民の理解の中で物価政策を展開する以外に方法はないと思うんです。これを強制的なあるいは統制的な計画的な、そうしたプログラムの中で現在の経済運営を考えて物価を抑えていくということは、これは不可能に近いことでございまして、したがいまして、国民の御理解をいただくということが最大のわれわれとしての方針でございますし、また、こうした議会においてこのような議論がなされるということが私らにとりましては非常にありがたいことでございまして、もちろん満点に四・九が達成できるわれわれはつもりでございますが、それが不可能であるといういろんな事象が次々に起こっている事実、それが何もしないままにいわゆる物価上昇という形でそれをただただ受けとめていくというようなことでなしに、国民のいろんな理性的な御判断の中で、また行政府も、また国会もそのような方向で一致して進んでいただくということ以外にないというふうに思うわけでございます。ですから、努力は十分にひとつさせていただきたい、足らぬところはまたいろいろと御叱声を賜りたいというように考えます。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、予算編成当時と比べますと、石油供給に不安が出てきたとか、あるいは価格の上昇が予想されるとか商品市況が国際的に活況を呈してきたとかいろいろ、それからいま御指摘の政府のもくろんでおる公共料金の若干の値上げというようなものもありまして、鈴木さんが御心配になっていただくこと私もよく理解できるわけでございます。しかし、私ども敗北主義に陥っちゃいかぬと思うんでございまして、こういう険しい条件でございますけれども、これをどのように対処し克服して目標を達成するかということに全力を挙げにゃいかぬと存じております。 四月一日から新しい年度が始まろうとしておるときでございますから、年度が始まらない前にお手上げというようなことは、これは私ども絶対にできないことでございまして、私どもといたしましては、石油を初め物資の安定供給を確保していく。それから、とりわけ生活必需品、食料品等の供給の確保に非常に周到な配慮をしてまいる。不況カルテルその他のかげんも慎重に考えてまいる。経済運営について十分にやはり周到な配慮を加えながら何とかしてこの目標を達成していかなければいかぬ。そういうことでないと、ひとり物価政策だけでなくて経済全体を壊してしまうことになりますので、そういうことにならないように全力を挙げてやるつもりでございまして、十分ひとつ御協力を願いたいと思います。
○鈴木一弘君 お話はわかるんですけれども、五十四年二月二十六日に「物価対策の総合的推進について」ということで物価担当官会議が行われて、プリントがございます。 これ見ていくというと、いままでの対応と少しも変わらない。通貨供給量の伸びについてはよく注視する。それから石油製品については価格動向を従来以上に注視する。必要に応じては業界に要請をする。米の売り渡し価格の改定に伴う便乗値上げの防止に努める。家庭用の灯油やLPGの価格動向は調査、注視する。とにかくどれを見ても監視する、注視するだけです、これほとんど。だから本当にこれで効果があるのかと。私は何か手詰まりをなさっていらっしゃるんじゃないかという感じがしてならないんですよ。 そこで今度は、五十三年度にあった物価を安定させた要因がなくなってきて、五十四年度にはすでにもう新しい物価上昇の要因が来ていると。その一つは需要がものすごく急増していると。それに伴う需給ギャップが急速に減ってきています。こういうことから現在の生産能力指数一〇七、五十二年度の平均が一〇六・九ですから、そうするとほとんど生産能力は横ばいです。四十八年以降二ポイントなり三ポイント上がっていたものが現在はもうまるきり横ばいになっておるということは投資が停滞されている、いわゆる設備投資が停滞されているということで、生産能力がふえてないということです。 で、五十三年度後半の景気回復で現在需給ギャップが七%程度だと、五%になれば物価にはね返ると言われておりますけれども、そういうように縮まっていると思われておりますが、このことは最近の需要に対する程度の規模に企業の設備や雇用が、雇用労働者の整理やそういうものをやってしまったために、企業が急激な需要に対して生産をしていくということに応じ切れない、つまり弾力性がなくなってきているということを示しているのだと思うんですけれども、この点はどうお考えですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 労働大臣からお答え申し上げる方が適当かもしれませんが、私が見ているところは、現状においてだんだんと有効求人倍率が全国的にレベルアップしておるわけでございまして、まだそれは少しもいい徴候ではない。〇・六二、三というところでございますから、それでも〇・五の水準から少なくとも〇・一上がってきているということは全体の状態から見ると徐々に動き始めてきている。私、先ほどから繰り返し申し上げますが、やはりこういう非常に日本の現在の経済情勢というものが長い不況から徐々に脱出しつつある時点において、やはり急速な拡大とか急速な動きというものは厳に警戒を要すべきだと思います。それは非常な波乱を他に巻き起こしますから、したがいまして先ほどから繰り返して申し上げているように、徐々に、スローであっても着実に一歩一歩前に出る、われわれはそうした方向が最も好ましい成長タイプではないからというふうに考えておるわけです。 いま仰せられました需給ギャップ等につきましても、それは商品によりまして、業種によりましてなかなか大きいところもございますが、全般として見て需給ギャップがすぐ設備投資につながらない。あるいはその見通し等につきましてもなお逡巡する面もあるわけでございますから、そうしたことをむりやりに、たとえば金利を下げるとかいろんなことで引き出すということはいま必要のないことであって、もう少し様子を見つつ前半を滑っていくべきではないかというふうに思っております。
○鈴木一弘君 緩やかな成長と言うけれども、実際は大変急激な成長が来ているから、こういうふうに需給ギャップが急激に減っているんじゃないですか。ここのところの需給ギャップの減少についていままで何%ぐらいございましたですか。いま私は七%とにらんでおりますが、どういう御計算をなさっていますか。
○政府委員(宮崎勇君) 需給ギャップと申します場合には、先生御承知のようにいろいろの計測の方法があるわけでございまして、第一次産業あるいは第三次産業については非常に計測上の問題がございますので、一般に第二次産業の稼働率というのが一つの基準になります。現在一番新しい鉱工業の稼働率は昭和五十年を一〇〇にする指数で、昨年の十二月が一一五・二でございます。これを実際の企業の操業度と申しますか、実操業度ということに直しますと、大体八三程度だというふうに考えております。
○鈴木一弘君 通産大臣、いわゆる生産に弾力性を欠いてきたんじゃないか、需要に対する。その点はどうお考えですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 私、いまの調整局長の答弁が当たっていると思うんですね。きょうも経済指標の説明がありましたが、大体十二月に入っても一一七程度の鉱工業の稼働率なんで、これは昭和五十年を一〇〇としていますから、前は四十五年でしたね、五十年というのは非常に生産が低下したときですから、それに七を、本当は七・二ぐらいだといいますが、七を掛ける、そうすると八〇とか、いまの八三という説明のとおりになりますですね。ですから、もし高値を呼ぶようなことがあるならば、それだけの稼働率、もっともちょっと施設が古くなったというものもありましょう、石油ショック後休眠しているという意味で。しかし、まだ行政指導によって増産余力ありというふうに考えております。
○鈴木一弘君 ここで私はなぜ弾力性を問題にするかというと、この前の狂乱物価のときにトイレットペーパーであるとか、あるいは洗剤であるとか、買い占め売り惜しみがあって大変な気違いじみた現象が起きた、こういうことは再び起こしてはならないことだと思う。そのためには法律は整備されておりますけれども、これは法律だけでもっていいという問題じゃございません。やはりその危険性は需給ギャップに私はあると思うんです。その点についてはどう考えられますか、通産大臣に聞きましょう。
○国務大臣(江崎真澄君) ただいまもお答え申し上げましたように、まだ生産余力はありまするから、どうしても足りないものというのについては行政指導の余地が残されておる。それから不況カルテルなども一月二品目、二月二品目と、こう外してまいりまして、現在は四つ独禁法によるカルテルが残存いたしておることは御承知のとおりであります。これなど一部にはだんだんなだらかな回復路線をたどっておるものもありまするが、どうもやはりまだ全体から見るというと必ずしも楽観は許さない。しかし、これは独禁法の条件である需給ギャップのはなはだしさ、コスト割れのはなはだしさ、こういった条件に満たないということになれば、しさいに検討をいたしまして外していくようにすることも当然これは考えなければなりません。これはもちろん公取との相談の上の話でございます。
○鈴木一弘君 もう一つは、最近、いまの需給ギャップの縮小や何かから来たいわゆる需要の増加による商品の高騰の問題、この点について商品市況の最近の動きについてまず伺いたいのです。
○政府委員(島田春樹君) お答え申し上げます。 商品市況の状況でございますが、最近の各品種、商品を見まして、比較的上がっているものというものに御関心があろうかと思いますが、主要なものについて申し上げますと、綿糸につきましては、四十八年十二月末をピークにしまして、五十三年の初めごろまでは非常に低い水準で推移したわけでございますが、在庫調整も進みまして五十三年の三月ごろから市況は回復傾向に向かっております。昨年の夏は非常に猛暑であったということで、夏物の需要が非常に伸びたというようなところから在庫水準が低下したということもありまして、その後、最近の市況は非常に堅調に推移しているというのが状況でございます。それから梳毛糸でございますが、これも四十八年の三月をピークにして需要の頭打ち、合繊の代替というのが進んだということで、市況は長い間低迷したわけですが、その後在庫調整も進みましたし、それから、ことしの二月に入りましてから特に欧米で寒波が来たというようなこと、それから東欧諸国の備蓄の積み増し等というようなこともあるというふうに言われておりますが、原毛の買い需要が非常に旺盛になってきたということで、原毛価格が上がってきたということで最近強含みで推移しておるというのが現状でございます。 それから銅、鉛等の非鉄金属の国際価格ですが、これは御案内のように世界需給が改善をしてきた、それから過剰在庫が減ってきたというようなことで、上昇傾向に昨年からあるわけでございます。国内価格もこの国際価格の写真相場的な性格を持っております関係上、これを反映いたしまして上昇をしておるというのが現状でございます。 それから、棒鋼あるいは冷延薄板等の鋼材の関係でございますが、これも四十九年以降長い間低迷を続けてきましたけれども、五十三年に入りましてから公共事業の増加等を背景にして回復をしてきております。これも需要によりまして、鋼材の品種によりまして、あるものはたとえば冷延薄板のように比較的自動車と家電のような民需の伸びというものを背景にして伸びてきております。あるいは公共事業の増加に支えられてきている等、品種によって異なりますが、特に小棒につきましては輸入くず鉄の価格の上昇等もありまして強含みで推移してきておるということでございます。ただ、たとえば小棒につきましても、一月に上がりましたが、二月に入ってややまた弱含みに転じておるというような状況でございます。 以上申し上げましたように、品種により、品物によりまして上がってきております理由は必ずしも一律でございません。あるものは国内の何といいますか、消費の動向の変化によるもの、あるものは国際的な商品市況の動きを反映しているもの等、理由はいろいろあろうかと思いますが、大別しますと、いま二つ申し上げました国際的な市況の関係、もう一つは全体的に需要の何といいますか、地合いの回復というようなのが主な理由であろうかと思われます。
○政府委員(藍原義邦君) 合板について御説明申し上げます。 合板につきましては確かに昨年の十二月以降一月までには相当な上昇をいたしました。しかしながら、その後二月に入りましてまた大幅な下落をいたしております。 その原因を見ますと、上昇した原因には、御存じのとおり普通合板の原料の大半は南洋のラワン材を中心にしたものでございます。このラワン材が昨年の一月からことしの一月、二月まで、昨年の一月を一〇〇にいたしますと、一六六あるいは一九七というような非常に大幅に値上がりをいたしております。こういう原材料の値上がりが一つの大きな原因でございますし、あわせまして、四十九年来非常に不況でございましたから、その関係で在庫の積み増しも非常に少なかった、そのための買い増しという点も考えられるかと思います。しかしながら、一月下旬に、御存じのように日本木材備蓄機構から備蓄いたしておりました合板を緊急放出をいたしております。その後、先ほど申し上げましたように価格も相当下がってまいりまして、たとえば一月の中旬、一番ピークは千三百七十円でございましたけれども、これは十二ミリの厚物でございますけれども、現在ではこれが約千四十円という形で二五%下がっておるというような状況でございます。私ども、こういう関係で合板につきましては、主として原材料の値上がりを中心にいたしました値上がりがございましたけれども、今後この価格の動向につきましては十分見きわめてまいりたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 原皮とか杉の小幅の板とか、それはどうですか。
○政府委員(藍原義邦君) 国産材につきましては外材ほど値上がりはいたしておりません。
○鈴木一弘君 いまの話から、全体でもうほとんど上昇しているということで、日経の主要商品価格指数、これは十七種で四十五年を一〇〇としておりますけれども、昨年九月末以来本年一月末の約百日間で一〇・二%という上昇をしております。これは石油危機後においてその上昇幅と期間がいままでにないほど高いということでありますから、これはもう相当注意をしなければいけないと思う。 そこで一つ伺いたいのですけれども、現在気がかりなのは、独占禁止法によって不況カルテル、中小企業団体法による減産カルテル、こういうようにこれがいま花盛りになっているわけです。こういう点について、こういうふうに景気が持ち直してくると不況カルテル等が非常に目についてくるわけです。やはりインフレということを避けるためにもこういうカルテルの見直しをやるべきじゃないかと思うんですけれども、この点公取にちょっと伺いたいと思います。
○政府委員(橋口收君) 昨年の九月のピーク時にはカルテルの対象品目は九品目ございましたが、その後漸次解除されてまいりまして、現在進行中なのは四品目でございます。このうち三品目が三月末に期限が来るわけでございまして、品目別に申しますと、合成繊維、染料、アルミニウム地金というものでございます。合成繊維につきましては、勧告操短の期間を入れますと一年半にわたる長いカルテルでございます。それからアルミニウム地金につきましても昨年の九月から約七カ月ということでございます。また、合成染料につきましては、むしろ集中生産等による生産の合理化が必要でございまして、単なる生産制限カルテルでは事態の困難は脱却できないというような事情もございますので、私どもといたしましてはもうそろそろ卒業してもらいたいということを考えておるわけでございまして、当方の考え方は業界にも伝えてございます。 現在業界でいろいろ検討しておられるところでございますが、染料につきましては三月末に延長申請はしないということを決定いたしておりますし、合成繊維、アルミニウム地金につきましても当方の意向を十分伝えてありますので、まあ業界では賛否両論――延長すべきか断念すべきかということで論議があるようでございますが、三月の末も間もなく近づいてまいりますので、おおむね来週中には右か左かの結論が出ると思います。万一延長の申請をされるということであれば、全体として市況も回復いたしておりますし、コストも低下しておりますし、収支の状態もよくなっておりますので、厳重にまた慎重に審査をしたいというふうに思っております。 それから、四月に残りますのが両更クラフト紙でございますが、これも底値を脱却したやに見えるのでございまして、他の三業種に比べますと一番まだ市況がよくないということでございますが、それでもそろそろよくなってきつつあるような状況でございます。さっき花盛りというお話がございましたが、もう花はしぼみつつあるわけでございまして、私どもの希望としましては、これ以上の更新はやめにしたい、それから新しい申請もまずなかろうということでございます。 なお、蛇足でございますが、不況カルテルを結成いたしますと、これは生産の調整をやりまして在庫を減らして市況を回復するということでございますから、市価が上がること自体を否定するわけにはまいらないわけでございまして、問題は、その間に急速にまた大幅に高騰が起こるということのないように、これは注意すべきことだというふうに考えております。
○鈴木一弘君 通産大臣、いかがですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 先ほど私不況カルテルについて申し上げましたが、合繊、電解アルミニウム、両更クラフト、それから合成繊維用の染料――確かに業況は立ち直ってきておると思います。いま大体期限切れでストップということでございましたが、私ども、もう少ししさいに検討をいたしたいと思っておりまするが、まあ両更クラフトを除いてはおおむねよかろうか、いまの説明が当たっておるように思います。ただ、両更クラフトは相当な需給ギャップありというふうに見ております。
○鈴木一弘君 合板の減産カルテルについては、もはや期限が三月に来るわけですけれども、どうお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のように、合板の減産カルテルは去年の九月で終了いたしております。ただ、設備登録関係新増設につきましては大体年間二十四億平方メートル程度の製造能力があります。そこで、新しい設備をつくられたのでは困るんじゃないか、不況カルテル終わったばかりで、現在需要は大体十八億平方メートルぐらいでありますから、この設備の増設は当分抑制をしていきたいと、かように考えております。
○鈴木一弘君 商品市況の中で、先ほど非鉄金属についてはその価格の急騰の原因が国際的なものであるという話がありました。一説によると、ソ連、中国の大量買い付け、あるいは産銅国の治安の不良説、それから長期にわたる国際的な市況の低迷からの在庫減とか、こういういろいろなものがありますけれども、特にロンドンの非鉄金属相場、銅であるとか鉛であるとか、そういう相場が急騰した理由は一体どうお考えですか、いまの中に該当するんですか。
○国務大臣(江崎真澄君) わが国も鉛とかあるいは銅、こういったものはもう御承知のように五十一年から備蓄をいたしております。ただ、わが国といささか違いまするのは、欧州諸国などでは戦略物資ということで手当てをしまするので、大変暴騰したりすることもあるわけでございます。しかし、わが国においてもこの備蓄制度が活用されまして、過ぐる二月二十八日、市況が大分上がりましたので二万九千トン備蓄を放出した。したがって、今後この備蓄制度を活用して機動的に運用をしていきたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 いまのいわゆる相場の高騰については、ソ連、中国の大量買い付けというのはどうなんですか、その点はいま言われなかった、ヨーロッパというふうに言われただけでしたけれども。
○政府委員(天谷直弘君) お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、LMEにソ連それから中国が銅等の非鉄金属の買いに出ているということは、そう言われているわけでございますが、何分にもこれは取引上のことでございますから、かなり買っておるということは言われておりますけれども、その数量等についてはつまびらかにすることはできないわけでございます。しかし、買い付けの事実があるということは先生御指摘のとおりでございます。
○鈴木一弘君 まあ、非鉄金属等についても、先ほどの合板も何万枚も放出しております。そうして価格の安定ということになったんですけれども、これから先になると生産能力が落ちているからとても需要を賄い切れない。いまの御答弁に、ヨーロッパの国々では戦略物資として備蓄をしているというんですけれども、日本はそういうふうじゃなくて、いわゆる国民生活を守り、しかも安定的に低開発国である産銅国であるとか、鉛を産出するところとか、そういうところから買い付けていくと、そういう両面――そういう国々を助けることになるわけです。その二つの面から考えても、いままで民間備蓄でやって、民間備蓄でいざとなったとき放出していますけれども、これをアメリカとかスウェーデンのように政府備蓄というふうに考えるというのがもう非鉄金属についてはきているんじゃないかということが考えられるのですけれども、いかがでございますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 今後そういうことを考えていく必要があると私もかねてから思っております。まあしかし、現在の備蓄制度でどうにか日本の市況を冷やしたり、調整したりということはできまするので、御趣旨は検討してまいりたいと思います。
○鈴木一弘君 今後石油製品の値上がりが予定されておる、三月十六日から日本石油が一キロリットル当たり三千五百五十円、一四・六%の値上げを公表している、それで他がほとんど一斉に値上げをしていく、これがどうも話し合ったんじゃないかというふうに推測をされている向きもございます。この点、そういうことが言われるほど一斉に上がっているわけでありますけれども、これもやはり五十四年度物価を上昇させる大きな原因になるだろうというふうに私は感じるんです。その点で、これから供給見通しが十分でないのか、あるいは地方へ行くとガソリンが八十四円とか八十五円で売っています、それなのに値上げをしなければならない。値下げ競争をやっている最中に値上げをしなければならないという理由がさっぱり考えられない。どう考えてもわからないんですけれども、この石油について今回の値上げがどういうふうに影響するかということ。それからもう一つは今後どう確保していくか、あるいは需要を抑えるという方向に行くのか、五%だからあと二%ふやすとかということを言っておりますけれども、そういう方向をとる、その方法はどうするのか、冷暖房であるとか、そういうものの節約と言うけれども、一体どういうふうな方法でとっていくのか、この点ちょっと伺いたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) これは大変重要な御質問だと思うのです。で、一四・五%前後の値上げを三月末を期して行いたいという申請が出てきております。これについては従来の円高の問題――ここちょっと十一月以来円高が続いておりますね。それからもう一つは一月一日から五%の値上げがあった。それから値崩れがはなはだし過ぎたと、こんな理由で申請をしてきておりまするが、OPECの一〇%値上げのいわゆる複式計算の最終値と余りにも符節が合い過ぎる、何か世上便乗値上げのような印象があってはならぬぞということを警告的に申しておるわけでありまするが、これはもともと需給両者の話し合いによってこの値段は決まっていくわけでございまするので、果たして精製元売が言うような一四・五%前後の値上げが可能であるかどうかという点については今後大いに問題の存するところだと思います。もし仮に便乗値上げというような事態があれば、これはやっぱり通産省としては黙っておれないというわけであります。それから、値上げを一方で言っておるにかかわらず、小売屋のいわゆるスタンド、SSとこう略称していますが、ここで値崩れしておるということはおかしいじゃないか。まさに奇現象ですね。このことは全くどうも困った問題でありまして、昨年は油が大体世界的に五%程度余ったということが言われている。今度は逆に一日当たり二百万バレル、五%程度がイランの政変によって足りない。で、余ったというときの五%の世間に与える印象と、それから足りないというときの印象とではこれまた大変な心理的影響の違いがあるわけでありまするが、やや、昨年一年間を通じて見まするというと余った傾向にあったということが言えると思います。そればかりか、いま値上げをしようと言っておるときに果たして元売の値上げ分が小売屋さんで転嫁できるか、なかなかできにくい。それはどういうことかというと、いままでこれはそのシェア競争が激し過ぎたんですね。スタンドを力で買い取ったり、言葉が悪いかもしれませんが、ちょっと業績が悪いと乗っ取ったりてな式で、いまこの販売競争の結果、全国の給油所数は五万七千もあるということが言われております。こういうことが非常に影響して、しかもそれぞれ特約店があって銘柄別に宣伝はしておりまするが、何銘柄がどれだけの特徴があるかという点については、使用者側から言えばそんなに大きな差はない、こういうことがいま御指摘の原因になっておりまするので、私どももこのあたりについてはしさいに検討すると同時に、やはり小売屋さんのこのあり方をどう調整していくのか、鋭意検討をしておるというのが現状でございます。 それから、五%節約、がIEAにおいて決まったが、今後どういう対策をとるか、これはきのうからもここでも申し上げておりまするので余り詳細の説明は省略さしていただきますが、一月二十二日の省資源・省エネルギーの対策推進本部で決定いたしましたものによって大体三%程度の節約、いまやっておりますこの節約で三%程度。したがってあとは発電所あるいは製鉄所というような大口需要者に、油の規制はいたしませんが、石炭を混焼していただいて何とか一%程度のひとつ節約を求めようと、それからテレビの深夜放送をどうするかとかネオンをどうするかとか、いろいろ前の経験もありますが、あれは思ったほど効力がないという結果が出ておりまするので、やっぱりこの冷暖房――ちょっときのうから思っているんですが、どうも、これは一カ所で暖房しているのか、あの衆議院の予算委員室よりは参議院の予算委員室の方がちょっと暑い感じがします。これ下げなくちゃいけませんね。 ですから、いまこれはたまたまの話ですが、やはりチョッキを一枚着てもある程度、一度や二度は下げていいんじゃないか。いま二十度Cということで規制をしておりまするが、果たしてその程度かどうか。これはやっぱりまず官庁が模範ですから調べなくちゃいかぬと思っておりまするが、これは来週中にはもう――天谷長官が昨晩遅く戻ってまいりましたので、成案を得て、総理府総務長官のもとで節約方途の第二段階の取りまとめをいたしたい、こういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 五十四年の物価上昇も二つの原因をいままで言ってきました。いわゆる需給ギャップの縮小、二番目が商品市況の著しい高騰、三番目はやっぱり土地の値上がりだと思うんです、原因は。この一月三十日、国土庁で地価速報で発表しましたね、その地価についてちょっと言ってください。
○国務大臣(中野四郎君) お答えを申し上げます。 最近の地価の動向は、五十二年の一月から五十三年の一月までは公示地点を中心としまして大体平均二・五%でございまして、特に住宅地が三・三%、それから五十三年の一月から五十四年の一月、この調査に基づきますと全国平均五・一%、大体宅地が六・三%。三大圏の都心寄りのところが大体八%、東京圏が九・六%というような動向でございます。
○鈴木一弘君 農地の方はいかがですか、全国農業会議所が発表しているようですけれども。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 農地の方も住宅用地の価格の上昇の影響を受けまして、五十三年度の農地価格の上昇率は都市地帯が一三・八、水田でございますが全国が八・五、畑が全国で一〇・四、都市地帯で一七・五と。しかし平坦地はそれぞれ水田で六・九、畑は五・九と、こういうことになっております。これは宅地の影響であると、こう思っております。
○鈴木一弘君 こういういまの報告からしますと地価も消費者物価をはるかに引き離すほど上がっています。それから田畑についても同じです。価格の上昇はもう五十二年に比較すると比較にならないほど上がっていると言わざるを得ません。確かに宅地の先高とか、そういう買い急ぎとか宅地につられたとかいうことはわかると思いますけれども、だからこそ二月六日に土地融資の規制ということを全銀協の会長が言わなけりゃならなくなりました。この点総理、どうしてこんなふうになってきたのか。結局、宅地対策をなおざりにして公共事業だけをふやしたという政策のとがめじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 特に最近宅地の不足が目立ってまいりましたのと相呼応してマンションの建設あるいはミニ開発等が都市周辺で行われました。その結果が相当土地の値上がりに影響していると思っておる次第でございますが、一方におきましては、今度提出して御審議をお願いいたしております税制改正案でも優良宅地の供給につきましては、土地重課の基本は残しながら、ある程度税を軽減するというような措置を講ずるとともに、これは土地政策全般の問題として今後の規制のあり方をどうするかということを考えていかなきゃならぬと思っておるんでございますが、それにいたしましても、この値上がりの対策としてやっぱり金融面で相当考えなきゃいかぬということで、思惑に対する融資の取り締まりにつきましては、四十七年から三回にわたって銀行、金融機関あての通達を出しておるのでございますが、鈴木さんいま御指摘いただきましたように、先般、関係業界に仮需要のための融資に応ずることのないようにという警告を発しまするとともに、今後融資の実際がどうなるかトレースするような措置を講じた次第でございます。金融面その他におきましても全面的に地価の抑制に努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 日銀の副総裁がお見えでございますから伺いたいのですが、私はもう一つ注意しなきゃいけないのは、通貨供給量の増大だと思います。いわゆる現金通貨と定期性預金の合わせたM2、これの伸び率、平均残高の伸び率についてちょっと言っていただきたいのと、日銀券が昨年九月ごろからずっとふえている感じなんですけれども、最近の動向を発券高について言っていただければ、増加率について言っていただければありがたいと思います。
○参考人(前川春雄君) ただいま御質問ございましたマネーサプライにつきましては、現在マネーサプライの、いまお話がございました現金通貨並びに預金通貨及び定期性の預金含めましたM2の残高は大体一二・三%、一月の平均でございますが、前年に比べまして一二・三%の増加でございます。昨年の初めごろは一〇%増でございました。それが春先に一一%増ぐらいになりまして、夏以降は一二%台で推移しておるわけでございます。日本銀行券の方も昨年の初めごろは前年に比べまして平均残高でございますが、八%増ぐらいでございました。これが少しずつふえてまいりまして、現在のところ前年に比べまして平均残高で大体一一%台の増加で推移しておるわけでございます。
○鈴木一弘君 発券残高は幾らぐらいでございますか。
○参考人(前川春雄君) 毎日変わりますけれども、十三兆数千億でございます。
○鈴木一弘君 こういう点でこれが非常にふえてきている。とにかく一〇%を超える日銀券の発行の残高の増加率、マネーサプライの一二%を超える増加というのは、これは大変なことだと思います。恐らく一年間で一割ということになりますと、十四兆円近くのものというと約一兆四千億の金がふえるということでありますから、それがほとんどが一万円札ということでしょうからね。そうなると、着実に通貨の価値というものはどんどん下落していくことは目に見えております。こういう点で私どもは、これは下手をするとデノミネーションが起きるのか、あるいは新しい高額紙幣が発行されてくるのか、こういうことが考えられるわけでございますけれども、その点はどうお考えでございましょうか。
○参考人(前川春雄君) マネーサプライあるいは銀行券の適正な発行量と申しまするのは、これはなかなか計数的には計算ができないわけでございます。ただ、いまの経済活動、GNPの増加、大体名目では一一%ぐらいということでございますれば、それと比べましてそれほどいまの発行状況が多過ぎるというふうには私どもは考えておりません。ただ、もし物価の上昇が非常にひどくなりますると、大きくなりますると通貨発行高は非常にふえます。あるいは通貨発行高、マネーサプライの増加の方が物価の上昇に拍車するということは当然考えられるわけでございまするので、そういう点につきましては十分考えてまいらなければいけないというふうに考えております。
○鈴木一弘君 総理ここで、前の福田総理は大分デノミ論者でございましたけれども、総理はそういう点はどういうお考えでございましょうか。
○国務大臣(金子一平君) デノミをやるのにはやはり経済状況が安定しませんと、社会経済状況が相当安定する見通しが立ちませんと私どもはやるべきでないと考えておりますので、いまその時期にあらずと御了承いただきたいと存じます。
○鈴木一弘君 その時期にあらずじゃなくて、時期が来ればやるというようなふうに聞こえるわけですけれども、総理自身の所見を聞きたいんです。
○国務大臣(大平正芳君) いま景気を回復させ、物価の安定を図って、対外的にも責任を果たさなければならぬと、雇用の充実を図らなきゃいかぬというような問題で頭がいっぱいでございまして、デノミを考える余裕は持っておりません。
○鈴木一弘君 日銀副総裁何かお急ぎのようでございますので、国債のところで伺おうと思ったのでございますけれども、大量国債が今後ずっと発行されていきます。試算によっても、とにかく六十年までに百兆を超えるような、そういう大量国債の消化を無理やりやっていけば、だんだんだんだん民間を圧迫するということになるわけですけれども、無理やりやる方法あるわけです、消化を。 そこで、日銀に伺いたいのですけれども、国債の消化資金を確保する方法は二つある。一つは、いわゆる窓口規制を強化して、そうして民間資金を抑圧して、民間資金の需要に対してこれを抑えていくというやり方ですね。いま一つのやり方、つまりクラウディングアウトです。国債の発行を優先させるために民間の資金需要を全部抑え込んでいこうという、それで窓口を規制して国債を消化する金を確保する。あるいは、そうでなければ、売られた国債、その国債に対して政府・日銀が買い支えをして、オペレーション操作で通貨供給を増加させ、過剰流動性を起こさせるという、この二つです。最初のクラウディングアウトということになれば、経済はもう拡大できなくなりますし景気は後退になる。二番目のいわゆる金融機関が買った国債をどんどん買いオペレーションをしていけば、物価が高騰し、過剰流動性のためにインフレを招き、国民生活を破壊させる。いずれにしても、私はこれじゃ試算はだめだと見ているのですけれども、この二者択一しかないけれども、日銀に伺いたいのは、これはどういうふうに大量の国債の消化ということについてお考えでございますか、それとも第三の道を選ぶようになるんですか。
○参考人(前川春雄君) 大量国債が発行されるもとで、財政需要と、それから民間経済の資金需要といかに調和さしてまいるかということは、一番これからわれわれが当面する大きな問題でございます。この調整はなかなか容易なことではないわけでございまするが、私ども、マネーサプライの最近の状況を見ておりますると、マネーサプライの増加の要因の中で、大量国債発行に伴う対政府信用の要因がだんだんふえてきております。したがいまして、将来景気の回復に伴いまして、民間の資金需要が出てまいりまするときには、早速この両者が衝突することになるわけでございます。マネーサプライを適当に、適切にコントロールしてまいるということは、私ども中央銀行に与えられた非常に大きな職務だと思っておりますので、今後ともその点につきましては十分な配慮をしてまいりたいと思うわけでございまするが、マネーサプライの増加要因の大きなものは対政府信用ばかりでなしに、対民間信用、金融機関の民間に対する信用供与、これが要因としては大きいわけでございます。私ども、そういう事態になりましたときは、両部門の要請をできるだけ調和、調整してまいりまするために、民間資金需要が余り過度に大きくなるというようなことでございますれば、窓口規制あるいはその他の金融政策を活用いたしまして、そういう調整をしてまいりたいというふうに思います。また同時に、もし経済の回復が行われまして、民間資金需要をまた順便に図っていかなきゃならないという場合には、やはり政府の面におきましても、国債発行の量的な調節をしていただくとか、あるいは財政の規模についてお考えいただくとかいうことも私どもはお願いをしなければいけないというふうに考えております。 先ほど御質問がございました国債消化の方向として、民間資金需要を全部抑えて、国債だけを消化するという方法はどうかという御質問ございました。私ども全体の経済の運営のために金融はあるわけでございまするので、民間資金需要を全部抑圧するというようなことはとうてい行うべきでもございませんし、また行えないというふうに思っております。 もう一つの方法といたしまして御指摘のございました、日本銀行が国債を買い支えることによって消化の促進を図るという点でございまするが、日本銀行は確かに年々必要に応じまして国債の買いオペレーションということをしております。昨年も一兆二千億ぐらいでございますか、いたしたわけでございまするが、これは金融調節の目的のためだけにしておるわけでございまして、国債の価格支持あるいは国債消化を順便ならしめるためにしておるわけではございません。そういう意味で、国債消化あるいは国債価格支持のために日本銀行が買い支えをいたしますることは、それだけ通貨、マネサプライの増加を来すわけでございまして、必ずそれはインフレにつながるということでございますので、私どもはそういう手段に訴えることはどうしても避けるべきであるというふうに確信しております。要は、政府面の要請と民間の資金需要といかに調和してまいりまするか、これはなかなか数字的には申し上げることができませんけれども、そのときどきの情勢に応じて調整していくほかには方法はないというふうに考えております。
○委員長(町村金五君) 前川参考人には御多忙中のところ御出席いただきましてありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。御退席くださって結構でございます。
○鈴木一弘君 また物価に戻りますが、先ほどの政府の経済見通しでは、五十三年度は実績見通しが四%。五十二年度の六・七、五十一年度の九・四%ということからくると、非常に低率な感じなんですけれども、国民にとってはどうも暮らしが楽になったという感じを受けない。私は、生活実感としての物価値下がりの感情を国民は持てないんだと思うんですが、総理、どうお考えですか、その点は。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 数字の、いわゆる消費者物価指数は決して勝手につくったものでないことは委員も御承知のとおりでございます。国際的にも十分基礎のある関連の中でつくっておるものでございますから、その表示された額が必ずしも国民の生活実感とどうもそぐわないという点はこれは往々にしてあることでもございますし、また、やはりその原因と申しましょうか、特に、何が国民にとって、生活面から見て物価が下がったと言ってもそうは思わないというポイントは何かということを、われわれとしましては十分踏まえて政策を展開したい、そのように思っております。
○鈴木一弘君 昨年十月ぐらいので結構ですけれども、日本とアメリカ、イギリス、フランス、イタリアの対前年度比の物価の上昇率をちょっと言っていただきたい。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 私の手元にございますので比較しますと、前年同月比においての消費者物価でございますが、ドイツがやはりきわめて安定的な状態でございます。特に五十三年のいわゆる十二月までのデータを見ましても、五十年が六%、五十一年が四・五、五十二年が三・九、五十三年が二・六でございます。わが国は五十年が一一・八、五十一年が九・三、五十二年が八・一、五十三年が三・八でございますが、あと米国は五十年が九・一、五十一年が五・八、五十二年が六・五、そして五十三年が七・七でございます。イギリスはさらに激しい騰貴でございまして、五十年が二四・三、五十一年が一六・五、五十二年が一五・九、そして五十三年が今日まで八・三ということになっております。フランスも同じように現時点で九・三。でございますから、わが国の消費者物価の上昇率というものはドイツに次いで低率であるということを国際的に示しております。
○鈴木一弘君 確かにそのとおりなんですけれども、しかし国民にとってはなかなかそう感じない。結局、購買頻度の高い日常生活物資の家計負担が大きいということじゃないかと思う。そうするとパーセンテージの問題じゃないだろう。特に食料品価格について日本は際立って高い。アメリカの農商務省が調査した結果を私はここに持っておりますけれども、それを見ますというと、サーロインステーキの肉がキログラム当たりアメリカの約六倍の三十一・九ドル、そうなっておりますが、それは例外としても、それは特別な物ですからそんなものは食べる人も少ないことですから例外でいいと思いますが、肉類は諸外国に比べて二倍から三倍、バターや料理用の油もほぼ二倍から二倍半、そういうふうになっております。ただ、お米はほぼ同じ、やや高目の国際水準になっている。これが家計と物価との生活実感のずれをもたらしているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 委員の御指摘のとおりではないかと私も実感として思っております。したがいまして、こうした食料品、特に牛肉でございますが、これにつきましては、今回の「物価対策の総合的推進」の中におきましても特段の配慮を行い、農林省ではさらに下半期に五千トンの輸入を増枠するということを実践してもらっておりますが、しかし鶏卵とか、鳥、豚などはそれほど高くはないというところでございます。
○鈴木一弘君 農林大臣ありますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは御指摘のとおりでありまして、何ともこれは宿命的な問題なんです、実際は。何せ日本は土地が非常に狭いというところがまず根本的な問題です。しかしながら、いま長官からお話があったように、鶏卵のごときは世界の一番安いところと大体同じぐらいになっておる、自由化をしているわけですからね。それでも入ってこない。これなどは非常に生産性を高めてやっておる。したがって、物によっては生産性を高めていきますと、それほど、鶏卵のようにはいきませんが、いまよりもコストダウンはできるんではないであろうか、こう考えております。しかし、全体から言うとやはり食料品の価格は、問題は流通に問題があります。流通で六百万の人がおって ちょっとこれはもう人が多過ぎるんじゃないか。それから、やっぱりスーパーとか何か出てまいりましてかなりよくなりましたが、やはりそこの消費者が一日、二日分を買うという長い習慣があります。したがって手数もよけいかかる。外国では一週間分ずつ買うとか、肉類にしても何でも。したがって、そういうふうな消費習慣というものの違いもあります。いずれにしても、生産性を高めて生産者の生活を維持、拡大しながら、なおかつ流通には改善を特に加えて消費者の方に安くなるような創意と工夫というものは一層してまいりたい、かように考えております。
○鈴木一弘君 一月二十三日に総理府が家計調査報告を発表しておりますが、その中でいわゆる消費支出に占める食料費の割合、エンゲル係数、これはいかがになっておりますか。
○政府委員(島村史郎君) 昨年十一月の家計調査によりますエンゲル係数は三〇・三でございます。
○鈴木一弘君 これは所得の平均的な数値で三〇・三ですから、所得の低いところにいけば四〇とか五〇とかということになってくるだろうと思います。これに対して、確かに戦後徐々に下がってきてますけれども、国会統計によると、一九七五年の主要国の一人当たりの消費支出の構成を見ますと、米国は一七・八、英国が一二・四、西独が二七・〇、フランスが二四、カナダが二二・三です。つまり、各先進国というのは全部二〇になっております。それだけ国民が食生活で食費の切り詰めに日本は物すごく苦労しているということが言えると思うんです。私は指数よりもこの価格それ自体のことで言いたいんですけれども、先ほどの鶏卵やブロイラーのように安い物もある、これは本当に安いと思います。しかし、それ以外の食料品は、本当にアメリカの農商務省の調査のように、非常に高いということ、これ基本的な何か取り組みが必要だなということを思うんですけれども、これは基本的な問題としてひとつ総理に伺いたいのですが、どういうふうな方向をとるべきか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) われわれも基本的に取り組もうと思っておるわけです。しかし、先ほど言ったように、国家安全保障という問題を考えると、外国依存というばかりにはいかない。しかもその制限された土地の中でやるわけですからどうしても生産コストは高くつく。それは同じ鳥や豚を飼うにしても、えさは全部ほとんど輸入という状態でしょう。ですから、その船賃だけよけいかかるのは決まっているわけです。それから牛にいたしましても、いつも私が言うように、それはえさをたくさん食べる。オーストラリアあたりは山の中へ行って拾ってくればいいわけですからね。拾ってきて、そいつを屠殺にかけて――えさは食わせないわけですからね、あれは。日本の場合は十八カ月間もえさを食わしてそれで牛肉をつくる。全然これはもう比較にならない。何千町歩というところで放し飼いをしておるところと、本当に小さな庭のすみで、それで牛を飼ってえさをどんどんやっておるという状態なものですから、なかなかそこのところが非常にむずかしい問題なんです。問題なんですが、しかしわれわれとしては生産性を高めるということをやはり第一に考えていかなきゃならぬ。そのためには農地の移動、流動化というようなものも踏まえてかなりのこれは改革をしていかなきゃならない。そういうふうな方向を一遍にやるとしても、これはなかなかむずかしい。そんなに一遍に近代化したら今度は農家の方の就職難、勤めるところがないわけですから、だから時間がある程度かかります。かかりますが、そういう方向で近代化、合理化というものは大いに進めていく。 それよりも、先ほど言った流通問題ですね。これが一番問題なんですよ。ですからこの流通問題には極力われわれとしてもメスも入れますが、消費者の方もいろいろこの比較をして、どういうふうな買い方が一番得かというようなことについても御研究をいただくというようなことで、両々相まって私は極力いまよりも下げる方向に、――どんどんは下がりませんよ、これは。しかし、まあ少なくとも上がらないようにするにはどうするかということには最大の工夫をこらしてまいります。
○鈴木一弘君 いまの答弁をずっと聞いていまして、まあ生産性を高める、それはわかります。それに時間がかかる。流通機構に問題がある。消費者においてがまんをしてもらいたい。賢明な買い方をしてほしいと言っても、五百メートル範囲内ぐらいがマーケットの範囲ですよね。それ以上越えてというのは大変ですよ、安いところがあっても。そういうことから考えると、お話を聞いていますと、どうも全部時間のかかる問題についても、農地の問題につきましても、流通問題についても、前からこれは問題になっているんですが、一向に解決してこないじゃないですか。私はこれは政治の貧困それ以外にはないと思います。「国民食糧の総合的安定的確保は、政治の基本である。」こういうふうに総理は所信表明で言われていますよ。「安定的確保は、政治の基本である。」だから、わかります。で、各種農業保護政策もとられている。いろんなことが行われている。いまのように、これからどうやって生産性を高めるかということで苦労している。しかし農政自体、農家を守ることと同時に消費者を守ることでもあるんではないですか。 作家の開高健氏がブラジルを紹介した「オーパ!」という本の中で、肉の値段を上げるような政策をとった政府は、右翼であれ左翼であれ、たちどころに倒れると、こういうふうに述べております。それに比べると、世界に冠たる生鮮食料品の高価格国であるわが国の国民は実によくがまんをしているということです。一つには国民性の相違。一つには消費者運動がまだ未熟だろうと思うんです。しかし、いま一つは農政の効果に期待をしている。いつかは国際的水準の物が食べさしてもらえるだろうというこれは政治に対して私はそういう信頼を寄せているからじゃないかと思うんです。しかし、いつまでもいつまでも待て待てというわけにはこれいかないと思うんですが、その点についてのお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いつまでもいつまでもなんという話でなくて、これはことしからやると言っているわけですから。しかし、これはやっぱりそういう農林水産委員会やなんかでも生産者サイドの議論は多いんですよ。しかし、いまのような議論がやっぱり国会でたくさん出てくるということは大歓迎、大歓迎なんです。それがやりやすくなるということでありますから、私はそういうような議論はもっともな議論なんで、それをまともから受けましてそれでいろいろな施策を講じておるわけです。余り長話になりますからそれ以上申し上げませんが、しばらくの間大平内閣がどうやるかということをちょっと見てもらいたいと思います。
○鈴木一弘君 これは総理、どうなんですか。やっぱり国際水準、いまの話だと、しばらくちょっとという話ですが、ずいぶん長いような短いようなあれで、この点について本当に、基本的に、総理もこういうふうにはっきり申されているわけですからね、「政治の基本」だということを言われているわけですから、お考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 総理にではありますが、私は農林水産の問題はお任せをいただいておるわけでありますから、私の言ったことは総理の言ったことと同じであります。
○国務大臣(大平正芳君) 農業政策、食糧政策でございますが、これは大変むずかしい政策でございまして、洋の東西を問わず、また体制のいかんを問わず、この問題にはどこの国も骨を折って、しかもなかなか成果が上がらないという苦労を味わっておると思うんでございまして、とりわけ条件の悪いわが国におきましては、特に御指摘のようにいろんな問題があるわけでございます。 政府といたしましては、生産者の立場も考えなければいけませんし、消費者の立場も考えなければいかぬし、流通機構のあり方にも思いをはせなければいけませんし、また、日本の経済の外国との取り組み方についても考えなければいかぬ、非常に大きな問題を抱えておるわけでございまして、さればこそ、渡辺君のような有能な大臣をお願いいたしまして鋭意施策に当たっているわけでございますので、御鞭撻を願いたいと思います。
○鈴木一弘君 農林水産大臣にもう一度伺いますが、国際価格の水準に持っていくまでには何年ぐらいの計画でおやりになりたいと思っておりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは物によると思います。すでに鶏卵のごときは大体国際水準である。それから食パンなども大体国際水準なんですよ、外国の小麦を買ってきても日本は上手ですから。しかし、米を国際水準にしろとか牛肉を国際水準にしろとか言われましても、これはできません。したがって、全体のどれをするかということが問題ですが、極力そのように努力をいたしますが、全部のものを国際水準にしろと言われましても、食糧の安全確保という国家安全保障の点も考えるとなかなかそうはできません。できませんが、極力努力をいたします。
○鈴木一弘君 米は国際水準になってますよ。 物価調整減税のことで最後に伺いたいと思いますが、物価上昇に拍車をかける要因を考えると、こうなるというと、やはり最後に国民の実質所得を維持向上させていくためには、やはり四・九%の物価上昇がある、あるいはもっとそれ以上あるんじゃないかということであれば、これは物価調整減税をどうしてもすべきです。政府の計算でも千八百億円ということになっておりますから、その点でぜひ実現すべきだと思うんですが、これは総理の決断の問題でございますから。大蔵大臣はやらないと言うに決まってるんですから。
○国務大臣(大平正芳君) 物価調整減税をいたすべしという御主張に根拠がないわけではございませんし、またそれを主張されるお気持ちも理解できないわけじゃ決してございません。けれども、今日わが国の中央、地方を通ずる財政の問題はきわめて放置のできない状態になっておりますことは御案内のとおりでございます。言いかえれば、いまのわれわれが享受しておる生活水準は、そういう中央、地方を通ずる大幅な赤字の上に咲いた花でございまして、これは当然われわれが享受できる生活水準ではないと私は思うんでございます。今日それでもなお生活が大変苦しい状態で、税負担が過重であるというんでございますならば理解もできますけれども、今日わが国の所得に対する税は、先進諸国に比べまして、鈴木さんも御承知のように比較的低位にあるわけでございまするし、社会保険料を加えましても大変低位にあるわけでございます。したがいまして、この際こういう時期でございますから、物価調整減税に理由がないわけじゃございませんけれども、これを御遠慮いただいても私は国民の理解が得られるんじゃなかろうかと。また、そうしないと日本の経済――財政も経済も含めまして、全体の財政、経済をノーマルな状態に返すというようなことはとうていできないことでございますので、何とか御理解をいただきまして、そういうことのないようにお願いをいたしておるわけでございます。 そういうことであるばかりか、さらに進んで相当の新たな税負担をお願いしなけりゃならぬとさえ政府は考えておるやさきでございますので、物価調整減税、せっかくでございますけれども、今度の各党との間の政策のお話し合いの中でも、予算に絡んだ話し合いの中でも、私どもはかたくなに御遠慮を願いたい趣旨を申し述べておるところでございます。
○鈴木一弘君 第二に、国民生活の安定では福祉の問題でありますので、これについて伺いたいと思います。 今回は、国家予算の伸びに比べて社会保障関係費の伸びが小さい。もちろん、公共事業に比べてははるかに小さい伸びであるという、こういうことで、経済重視、福祉軽視の予算だというように考えられるわけです。 そこで総理に伺いたいのですけれども、各種年金の物価スライド分のアップ、それから生活保護費の引き上げ、これは大体物価上昇に見合ったもので、生活水準維持にすぎない。これは政府案の内容を見ればそうとしかとれないわけですが、公明、民社両党の予算修正要求に対して、自民党から回答がございました。「今後、社会労働委員会の審議を経、国会の結論が得られれば、老齢福祉年金の月額を八月から二万円に引き上げる用意がある。なお、その場合、老齢福祉年金以外の福祉年金、五年年金並びに福祉年金に連動する児童扶養手当等の引き上げについても、右に準ずる」というのがありますけれども、これを総理が、総裁の立場として自民党の中で積極的に推進をしていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 公明党とわが党との間に老齢福祉年金あるいはそれに関連した問題につきまして話し合いが行われて、文書でもって回答をいたしておりまする経緯は、よく承知いたしております。私どもは、それを踏まえた上で、適切に、誠意を持って処理しなけりゃならぬものと考えております。
○鈴木一弘君 これは大蔵省ですけれども、福祉年金の引き上げとか老人医療については、予算編成のときに、大蔵省は所得制限を強化しようとしましたね、本当ですか。
○政府委員(長岡實君) 五十三年度予算編成の段階でこの問題が出てまいりまして、私どもは老人福祉につきまして、現在六人家族の扶養義務者の年間所得、八百七十六万円が頭打ちになっておりますが、それを八百五万円まで下げたいと。ただし、御老人本人の所得の場合には百六十四万円を二百万円まで上げたいということを主張したことは事実でございます。御承知のように、五十三年度は、その百六十四万円を二百万円に上げる点につきましては五十三年度から実施いたしまして、八百七十六万円を八百五万円に引き下げることは、現状維持ということで据え置かれたわけでございます。 五十四年度予算編成の際にも、私ども財政当局といたしましては、やはり福祉といえども見直しを行いまして、できるだけ恵まれない方への措置を手厚くするために、財源をあらゆる面から確保したいという観点からこの主張を申し上げたことは事実でございますが、最終的に、ただいま御審議をいただいております政府案の内容は八百七十六万円そのままになっておりまして、引き下げにはなっておりません。
○鈴木一弘君 ですから、この福祉予算の抑制、先ほど申し上げた伸び率から見ても抑制されている。そうしていま一つは、編成時においては所得制限の強化というような福祉施策に対しての逆行、締めつけ、これは大平総理の言う公正で活力ある日本型福祉社会というものに見合うものでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど総理に対する御質問の中でお話がありましたけれども、年金の引き上げにいたしましても生活保護の引き上げにつきましても、物価上昇に見合う分のみであって、生活水準の改善になっていないという御指摘はこれは誤りであります。御承知のとおり、福祉年金にいたしましても、今回自由民主党と公明、民社両党のお話し合いがありましたことは私も承知をいたしておりますし、総理の御答弁のとおりにそれを受けての努力をいたしますが、現在の政府案におきましても物価上昇をはるかに上回る九・一%の改善をいたしておるわけでありますし、厚生年金、拠出制の国民年金にいたしましても、五%未満ではありますが特例のスライドをいたしました。また生活保護につきましても、一人当たり民間消費支出の伸びを基礎として八・三%の改定をし、しかもなおかつ家族の少ない御家庭について特に加算を加えておるわけであります。そういう状況の中でありますだけに、私どもとしては、総理の志向される日本型福祉社会というものの中で、本年度の財政状況の中におきましても最大限の努力をし、少なくとも福祉後退と言われる状況にはなっておらないと、そのように考えております。
○鈴木一弘君 四・九%の物価上昇と言うけれども、実際は先ほどからの論議のように、これをはるかに超えるおそれがあるわけですからね。その点も勘案して御答弁いただきたいと思います。 もう一つは、住民に直結する地方自治体では、国で福祉の政策、施策が、所得制限があったり打ち切られたりといういろんなものがございます。その影響がすぐあらわれる。自治体負担で施策を継続せざるを得ない。そうして苦しい財政の中で住民を守るためにやりくりをするというのがございます。この点自治大臣いかがですか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 生活保護費なりあるいは老人保護費、そういった福祉関係の予算の裏となる地方の負担分については、地方財政計画の中にこれを正確に織り込んで措置をいたしておるわけでございます。
○鈴木一弘君 私がここで一つの例をとって申し上げたいと思いますが、埼玉県の川口市で、所得制限で国の老人医療の対象外になった人、これが七十歳以上の人口の約一割おります、一割弱。人口の一割弱に及んでおりますが、この国の施策の漏れ。それからさらに、先取りをして福祉をやらなきゃならない。これはもう地方自治体サービスとしてどうしようもないわけです。そこで、六十八歳以上の老人医療のための支出もする。こういうことで川口市では苦しい財政の中から八千万円、約二千五百人の老人医療事業が行われている。これが実態でございます。こういう点は、私は大平総理に本当にわかってほしいと思うんです。やはり地方自治体というのはじかに住民の声を聞いている。そうすると、国で所得制限で切っても、実際にはもっとそこまで見てあげなければならない人たちが多くいるから、地方自治体ではやらざるを得なくなっているわけですから。こういう点はどうお考えでございますか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 国の財政あるいは地方の財政、これは車の両輪でございますが、これはやはり一定の基準を設けて全国画一的に行っておる、御承知のとおりであります。したがいまして、いま御指摘のように、国が定めておるその基準を超えてそれ以上の福祉政策をやるということになりますると、そういった分について地方財政の立場で全部これの手当てをするということはきわめて困難であります。
○鈴木一弘君 だけど現実は、いま自治大臣はきわめて困難なことと言うけれども、現実はやらないわけにはいかなくなっているわけですよ。この点は総理は、福祉の水準で自助努力による福祉社会ということを所信表明で言われておりますね。つまり地方団体の自助努力で福祉社会をつくれと、こういう意味にとってよろしいですか。
○国務大臣(大平正芳君) 現実にわれわれの福祉を支えておるものはわれわれは政治の力、政府の力によって支えておると思うのは大変なうぬぼれでございまして、本当は家庭が軸になりまして、また家庭を中心にいたしましたコミュニティーの中でのいろいろな相互扶助が基本になりまして支えられておると思うんでございます。だから、つまり政治のやる仕事はそれのお手伝いをどこまでできるかということだと、私はそう謙虚に考えるべきじゃないかと思っております。しかし、その政府がなすべきことは、だからと言って消極的であってはいけないわけで、できるだけ福祉に力点を置いて政治をやるべきことは申すまでもないことでございます。 それから第二に、あなたの言われる地方の問題でございますが、地方自治体との関係でございますが、仰せのように、いまのような画一的なものを末端にまで制度を適用してまいりまして、それがそれで間然するところなく問題が解決されておるとは私は思いません。やっぱりこれで地方の側から見ればこうすべきじゃないか、この制度ではこれは救われぬじゃないかというところは確かにあるんじゃないかと思うのでありまして、できるだけそういった地方の民に直接かかわりを持った場所で、そういう感覚を持って地方自治体が血の通った福祉行政をおやりいただくことは、私は大変大事だと思うんでございます。現にそうしてそういうことをやられておると思うんでございますが、これを制度的にどのように受けとめて、その財源をどのようにして処置するかということになりますと、いま自治大臣が申したように、いろいろ問題があるのでございまして、そのあたりは年々歳々いろんな順序を経て改善を加えてきましたし、今後もそういう努力は行っていかなければいけないんじゃないかと思っております。
○鈴木一弘君 最近発表された経済七カ年構想の中で、国民所得に対する社会保障移転が六十年度には一四・五%に一局まると、こうなっております。現実に五十年度から五十三年度の三年間で何%になったんでしょうか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 五十三年度は一二・三%でございまして、六十年度の一四・五%、二・二%の上昇でございますが、四十五年度から五十二年度までの増加分と申しましょうか、われわれ七年で計算しておりますが、五・二%の増分になっております。
○鈴木一弘君 とにかく、いま四十五年から五十二年という七年間をとりましたけれども、五十年から五十二年の三年間で八・五から一二・三というように四ポイントぐらい上がっておりますね。それに対して今度は七年間で、いまの答弁でも二・二ポイントしか上がらないということでは、しかも、その上大蔵省の財政収支試算、この財政収支試算によれば、社会保障の毎年度の伸びというのは一〇・九%ですね。これは五十年度より低いというふうになっているわけです。この両方あわせて考えますと、どうも総理の言う安上がりの政府という意図は福祉切り捨てと、こうとられるんですけれども、どうですか。
○国務大臣(金子一平君) いま鈴木さん御指摘の伸びですけれども、これは実は公共投資が一〇・一%の伸び、それから国債費を除く経常収支の伸びが九・四%でございまして、社会保障移転支出の伸び、いまお話のございました一〇・九は、実はこの年度間の最高の伸びでございます。その点だけちょっと申し上げておきます。
○鈴木一弘君 安上がり政府の件は。
○国務大臣(大平正芳君) いま大蔵大臣がお答えしたように私も考えております。そのように御理解いただきます。
○鈴木一弘君 私は、どうしてもこういう点から見て福祉軽視じゃないかと思うんです。 具体的に重度身障の問題について若干伺いたいと思うんですけれども、最近障害者を抱えた親子心中があったり、それから低年齢児の自殺、非行の事件があって、福祉、教育問題が大変質的変化と深刻さをあらわしていますね。こういう点では本当に政府の福祉に対する配慮というものもぐっと増していかなければならないと思うんですね。そういう点の現状認識はいかがお持ちですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは本当に私どもとしても非常に残念なことでありまして、知恵おくれの子供さんを殺したというような事件の発生というものはこれは理由のいかんを問わず本当に心の痛む、まことに遺憾な問題であります。ですから、こうした事件を未然に防止するためにも児童相談所などの公的機関あるいは児童委員、精神薄弱者相談員、また親の会の方々などによる相談指導等を行うと同時に施設の整備、また在宅心身障害児の対策の拡充などという児童福祉対策全体を進めていかなきゃなりません。ことにことしは国際児童年でありますだけに、私どもとしては今後ともに全力を尽くして努力をしてまいりたい、そのように考えております。
○鈴木一弘君 最近の新聞紙上に、「重度の障害の子と歩んで三十年、疲れ果てました。いま思うことは、生まれ出た障害児の安楽死の許される日です。この日を祈らずにはいられません。大きくしてしまえば親も子もつらいものです。そして社会もそっぱを向く現状であるならば、法律として先天性の障害児だけでも生まれてすぐ天国に連れていっていただきたいと思います。」こういう投書が見られました。それには後日の報告として同感の意見がたくさん新聞に寄せられていると書かれております。こういう国民の生存権を日本国憲法は高らかにうたい上げているのに、現実にはこういう問題が起きている。かといって親御さんたちの苦労を責めることはできない。こういうことで社会連帯の中でお互いにこれは助け合っていくという体制をつくっていく以外ないと思うんです。こういうような心境に親を追い込んでいった、自分の子供を安楽死させたい、三十年間めんどうを見てきてもう疲れ果てたという、この親をそこへ追い込んでいった、こういう実情について、どういうふうに責任をお感じでございましょうか。総理の所感を聞きたいんです。本当に腹の底からの話を聞きたいんです。
○国務大臣(大平正芳君) 安楽死の法制化というようなことを考えることは耐えられないことでございまして、そういうことに至らない前に、いまあなたも御指摘になりましたように、われわれなすべきことをなさなければならぬのではないかと存じまして、力の限り対策を立てて事態に対応していくべきでないかと思います。
○鈴木一弘君 いまここでの投書者も、いわゆる苦労には負けているということよりも、成人した後、そういうものを収容してくれる施設がないということに重点があるようです。そういうのをつくってくれということのようです。この後で寄付金を出したり土地や家屋を提供するという人が出たりしていますけれども、そういう障害者を自立させるための施設づくりがこういう一部個人の力や――それは大事でしょう。しかし一部の力や義援金だけに頼っているという行き方じゃまずいと思うんです。私も以前質問主意書を出したことがあります。というのは、五十人以上の施設にしか国庫補助が出ない。ところが現実は十人、三十人のものもあるし、市町村あたりでいろいろ話を聞いてみると、小規模でやっている方がめんどう見がいいという。また数多くつくることができる。ボランティアも可能でございましょう。こういう点からぜひそういうふうにしろというんですけれども、残念ながらそのときの回答は、国として大規模な施設をつくるよりも、地域の実情を最も的確に把握できる都道府県の段階で整備計画をつくって、計画的に整備を図ることが重要だということで、国の基本方針は何にも言ってくれない、そのときの厚生省の答弁では。それで責任は全部地方に押しつけたというふうに受け取れるんです。この考えは現在も変わっていないんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現行の身体障害者更正援護施設基準につきましては、障害者の地域的な密度から見て一市町村単位という小地域での整備には必ずしもなじまないということで、ある程度の広域的な整備を必要としておると私どもは考えております。ことに各種のリハビリテーション等を行いますためには専門職員の確保と同時に、相当程度のやはり設備が必要でありまして、こうしたものを考えてまいりました場合には、ある程度の規模はどうしても私どもとしては必要ではないかと思うんです。 それと同時に、もう一つは、その障害者の場合に、集団指導の効果というものも相当程度実はあるわけでありまして、こういう面を考えますと、やはり一定程度の定員規模というものは必要であろうと私どもはいま考えております。 ただ、同時にもう一つぜひ私がこの際に申し添えたいと思いますのは、鈴木さん御承知でありましたかどうかわかりません。実は私の父親は肢体不自由者でありました。それだけに私はいまの親御さんのお気持ちが逆に子供の立場としてよくわかります。そうして私は、一般社会の見る目が、そうした障害を持つ方々に向ける目が、何か一歩違った立場からのまなざしで見ている限り、そうした声というものは消えないと思います。私どもは厚生省としての全力は尽くしますけれども、同時に家庭教育の中においても社会教育の中においても、もちろん学校教育の中においても、障害を持つ方々に対する世間の目というものを変える努力というものはこれはお互いにしていかなければならないと、そのように考えております。
○鈴木一弘君 いまの話の中で、大規模な施設でなければ十分にできないと言うんですけれども、五十人以下のところの施設がすでにある。資金にも困ってしまって障害者が募金に出ている、こういうことも現実にあるんです。そういうことも事実を見て物を判断していただきたいし、またそういうように法というものは運用していかなきゃいけないんだと思うんです。 それから四十年代に実施された社会福祉施設整備五カ年計画、これは五十年までのものですが、特に重度障害者の施設整備は、他の施設について達成率が不十分です。四十九年二月の社会保障長期計画懇談会の意見でも、速やかに施設種類別の計画数を出し新計画の具体化を図れと、こういうふうにあります。新計画の作成を促進するようにここでは言っていますけれども、新たな整備計画をもう将来の展望持ってつくるべきじゃないですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いまの御指摘につきましては、その御批判は甘受をいたします。しかし、一応の水準に達する整備は私どもはできたと考えておりまして、今後の整備計画なり方針につきましてはいろいろな実情を踏まえながら、重度を中心に努力をしてまいりたい、そのように考えております。
○鈴木一弘君 大平総理は安上がり政府の考え方として、政府の国民に対する甘えと同時に、国民も政府に対する甘えがあると。それらが行政機構に重いものになり、そうして財政のピンチになったと。国民の側も政府の方も自制していかなければ、安くつく政治はできないと、こう言っておりますが、行政機構の整理、中でも高級官僚の天下り先の公庫、公団、事業団の整理、これは大いに結構です。だけれど、それと同時に福祉までも整理じゃ困る。福祉もその中に入れるということについては私は反対です。日本の福祉の施策は二十年以上も諸外国におくれております。ようやく本格化し始めたところですから、日本型福祉社会という言葉を使い、しかも内容があるようなふうに言っておられるならば、そういうふうにしてほしいんです。ところが実態は財政赤字を解消するために福祉費を切り捨てる。こういうようなことまで考えているということであっては、本当にこれは大平総理の真のねらいにならなかったのではないかというふうに思うのですね、いままでの態度というものが。その点はどうお考えでございましょう。
○国務大臣(大平正芳君) きのう園田さんの御質問にも答えましたように、安上がり政府というのはどうも実感として私どものねらっておる政府を表現する言葉として余り適切でないので、きょうの閣議でもその議論がございまして、簡素で効率的な政府というようにわれわれはいまから言おう、しようじゃないかと、鈴木さんもひとつその点は御理解をいただきたいと思うのでございます。その方が適切でないかと思っておるわけでございます。そしてその場合に、じゃ福祉行政をどう考えるかというと、私も福祉行政につきましては、やはり簡素でむだのないように実効を上げていかなければならない。行政の運営におきまして福祉行政だけは聖域であるとは考えません。やっぱりやり方を簡素でむだのないようにやっていくということによって、初めて福祉が生きてくるんじゃないかというように私は考えます。
○鈴木一弘君 何か福祉切り捨てみたいにちょっと聞こえるので非常に残念です。 ここで今度は国債の問題に移りたいと思います。 国債の消化が大変難航をしてきている。昨年七月ごろから市場価格が下落してきて、そうして六・一%の国債は八月に安値となり、その後盛り返したものの、一月二月に入って九十五円前後に暴落しております。これが先日また値上げになったわけでございますけれども、このため十二月はボーナス期だったけれども、国債消化にかなりの販売努力が要ったと聞いておりますが、そういう国債消化に黄色の信号がついたんじゃないですか。
○国務大臣(金子一平君) 一つには国債の大量発行をやることになりました心理的影響もございましょう。いま一つは、もう金融緩和がここら辺が底で、そろそろ上がるんじゃないかというような一部の期待感があった。そういうようなことから六・一国債が特に先月の中ごろから乖離幅が大きくなりまして、私どももその市場実勢をどう見たらいいかということで実はいろいろ検討を加えたのでございますが、先般、昨日も御報告いたしましたように〇・四%上げることにいたしまして、シンジケート団の方に話をしておる段階でございまして、私どもが今日の金融の緩和基調を、あくまで堅持するんだ、今日の金利体系をそう簡単に動かさないということが皆さん認識いただければ、まあだんだん落ちついてきて消化できるのじゃなかろうかと考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 六日に十年もの六・一%を六・五%に引き上げられましたですね。それで、それだけの対策で十分なのかどうかということです。いわゆる条件を変えていく、発行条件を引き上げていく、それと国債の多様化という、この二つについては前から言われてきているわけです。しかし、政府はやったのは、ここでようやく条件の変更です。これでまだまずいとなったら再び条件の変更を行うのですか。
○国務大臣(金子一平君) 鈴木さんも篤と御承知のとおり、今度は国債の多様化を思い切ってやることにいたしまして、従来三年ものだけでございましたが、二、三、四年ものの中期国債を出して、公募入札によってこれを消化するような方策をとって、しかも相当多額二兆七千億くらいになりますか、これで消化するようなこともいたしておりますし、預金部資金を動員いたしましてこれで一兆円くらいのものを、一兆五千億でございましたか消化することを考えております。シンジケート団の引き受けは本年度に比べると一兆円増加というようなことで考えておるわけでございまして、こういった国債の多様化をやりますから、やはりそのときどきの市場の実勢をにらみ合わせながら、それじゃ来月はどういう国債にしようか、再来月はどうしようかというようなことによって国債の消化を考えていくのが一番適切ではないかと考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 現在の国債の消化難は五十年度に五兆円、五十一年度七兆円、五十二年度九兆円、五十三年度十一兆円、五十年度以降毎年約二兆円ずつ国債の発行がふえてきているわけですね。そうして三年間で二倍以上にふくらんだ、こういうことにあるんですから、いま言ったようなことだけで果たして国債はもういいのかどうか。そんなことは市場は求めてないと思うのです、売れないということについては。もう国債はたくさんですと、こういうことを言っているんじゃないかと思うのですがどうでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 新年度は四兆円余り余分に出すことにいたしましたが、恐らく私はこれは限度だと思います。毎年毎年こんなことを続けるわけにはいきますまい。しかし、それはとにかく新年度の景気維持だけは何としてでもやらなければいかぬというかたい決意を持って、これだけの公債発行を決めたわけでございまして、国債の消化先につきましては、ただ単純に四兆円増加すればどこかでこなせるわということではなしに、一応消化先も考えながらやっておる。しかも、金利体系のある程度の自由化と申しますか、公募入札を思い切って進めるというような態勢をとっておりますので、今日のこの段階では私どもは十分に消化できるんじゃなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 都市銀行の実質預金増加額の中に占める国債引受額の割合について、ちょっと言ってください。
○政府委員(徳田博美君) 都市銀行の実質預金増加額に対します長期国債の引受額の比率でございますが、五十年度が二七%でございます。五十一年度が三八%、五十二年度が四四%、五十三年度は一月まででございますが四七%でございます。
○鈴木一弘君 いまのように実質預金増加額の中に占める割合がだんだん二七%、三八%、四四%となって、ことしはもうすでに四七%にいまいっているというわけですね。こういうことは大変なことだと思います。預金の増加した分のうち半分近くが国債に引き受けられている。これじゃ国債引き受けの水準というのは都市銀行ではいっぱいに来ていると、こういうふうに考えていいんじゃないかと思うんですが、どうですか。
○政府委員(徳田博美君) 都市銀行の資金繰りとしては、いま貸し出しに対する需要が一ころのように高くないわけでございますので、資金運用面といたしましては現在この程度の引き受けはできているわけでございますけれども、ただ引受額がそのまま国債の増加につながっているわけではないわけでございまして、他方、貸し出しもしなくてはならないわけでございますので、毎年引き受けた額の半分あるいは三分の一程度の額を一方で国債を売っているわけでございます。そのようにして資金調達をして貸し出しの資金需要に充てていると、こういう姿になっておるわけでございます。
○鈴木一弘君 私はその辺が、いま貸し出しに対して需要が一時よりも激しくないから消化ができたという話だったんですけれども、とにかくこれからどんどん内需が伸びてくるだろうと、これはわかっております、景気がよくなっていますから。そうすると、国債に向けられていた資金に対して、それを徐々に民間の方が必要とするふうに民間部門の方に動いてきますよ。そうすると、どうしても大蔵省の方で欲しいという金はなくなるわけですね。国債は消化できない。最近、電力債を初め事業債の発行が活発になっている。これはいわゆる民間の資金需要がふえてきているという証拠だと思う。ところが国債のお金も確保しなけりゃならないということで、これに対して十一月と二月に行政指導していますね。どういう指導をしましたか。
○政府委員(渡辺豊樹君) 事業債につきましては、発行会社の発行希望額があるわけでございますが、発行希望額は大体アンダーライターが四半期別にアンケートいたしまして、その数字を聞いております。したがいまして、希望額にはいろいろ変動がございまして、先生御指摘のように昨年の十一月には希望額が二千五十億円、実際の発行の実績は電力債、一般事業債合わせまして千三百四十七億円でございます。また本年の二月は希望額が千六百十億円、起債実績は千三百六億円でございますが、しかし、これは昨年の十一月、本年の二月だけではございません。昨年、毎月見てまいりましても、希望額よりも発行の実績は額としては少ないわけでございまして、これは現実には、実際に発行額を決めます毎月下旬におきまして発行会社とアンダーライターが協議いたしまして、市場の状況等を見ながら話し合いをして実績が決まるわけでございまして、したがいまして、昨年の十一月及び本年の二月につきましても、実際には発行会社の希望を充足する起債が行われたというふうに私どもは理解しております。
○鈴木一弘君 社債期間の短縮要請はしなかったんですか。
○政府委員(渡辺豊樹君) ただいま社債につきましては期限十二年、十年、七年の三種類があるわけでございますが、現実には十二年が中心でございまして、十年の社債の発行は行われておりません。あとは七年でございます。現在、社債の発行期限の短縮も議論すべきではないかということで、アンダーライターの方からは発行期限、たとえば六年というようなものを検討すべきではないかという議論はあるわけでございますが、現段階では発行会社の方に現実にまだ六年を希望するという動きは出ておりません。しかし、発行会社の方からそういう希望が出てまいりますと、期限六年の事業債の発行も行われるようになろうかと私ども思っております。
○鈴木一弘君 とにかく、私は報道で知っただけでございますけれども、大蔵省が社債期間の短縮要請、十二年ものを短くしろとか、あるいは行政指導で――いまの話のように電力債、十一月一千百億円の申し込みに対して、実績七百九十五億円というふうに圧迫をしているというふうに考えられる。こういう姿、国債発行を優先させるために民間部門の資金需要というものを圧迫している。いわゆる一種のクラウディングアウト、こういうものを起こしているんじゃないかと思うんですけれども、その点は大蔵大臣いかがですか。
○国務大臣(金子一平君) いまいろいろ御指摘のありました線は、三月債の金利をどうするかにつきまして決定するのが少しおくれたものですから、まあいろんな関係で発行の延期をお願いしたような点もあったかもしれませんけれども、元来、これはまだ私どもといたしましては、民間の需要がさほど大きくなっているわけじゃございませんので、抑えて国債だけ無理にはめ込むというような必要はこの際ないというふうに考えておる次第でございます。
○国務大臣(江崎真澄君) 先ほどの証券局長それから大蔵大臣の答弁が正しいんでございまして、私どもの方が電力会社を所管しておりますが、十一月債、これは御承知のように、さっきあなたの御質問にもありましたように、来年度のいわゆる電力料金を据え置くゆとりを持って、わずかでしたが使用料を還元いたしましたね。そんなことで十一月の場合は資金繰りに余裕があったと、そういうことで発行限度額を引き下げた、こういうことであります。それから二月は、この国債、事業債等々様子を見ようということで様子を見ておるという場面でありまして、われわれ通産省側としても不自由はないというふうに聞いておる次第であります。 それから、余談ですが、さっきの御質問で、ちょっとこの部屋が暑過ぎると言ったら一、二度これを下げましたね。これはまことに効果顕著というわけで、こういうふうに民間も節約してもらいたいものだというふうに思います。
○鈴木一弘君 大蔵大臣、いわゆる例の長期資金を賄う利付金融債の六・二%ものがございますけれども、それに対する影響というものは、国債の利子が動いたとき動いて出てきませんか。その辺はどうですか、五年もの。
○国務大臣(金子一平君) 利付金融債の方は五年ものでございますし、六分一厘債は十年ものでございますので、それはもう条件が違いますから、私どもは切り離して六分一厘債の引き上げに踏み切ることにしたと、こういうことでございます。
○鈴木一弘君 とにかく、先ほど商品市況の問題等も取り上げましたけれども、生産活動がこれから活発化することは必至ですね。そうすると、減量経営できて、借入金を返したりあるいはいろいろしてきたのを圧縮したりしてきたのが、大体一段落して九月ごろからどうも中小企業を中心に資金需要が増加してきていると、こういうふうに思われます。貸し出しがふえている。そうすると、五十四年に十三兆八千億円のいわゆる市中消化をやるわけですね、大量国債の。これはどうしても私は民間資金と国債との競合現象が起こるんじゃないかというふうに考えられるんですが、その点の見通しはいかがですか。
○国務大臣(金子一平君) 民間の活動が活発になって資金需要がうんと出てくるような段階になりますると、いまお話しのような問題が出てくると思います。しかし、資金需要にも繁閑がございまして、その間の調整をどう見ながら国債発行と一般の事業債の発行をやっていくかということが、これからのポイントになると思いますので、そこら辺は関係方面とも十分連携をとりながら、予定どおりの国債消化を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 今後六%の成長率を前提に大量の国債を発行する、これは財改収支試算ですね、そういう考え方は私は民間との競合というようなこと、あるいはいわゆる民間資金の需要を圧迫するというクラウディングアウトが起きるおそれがあるという点からなお認めにくい。試算では五十四年から五十七年まで毎年十五兆円台の公債金収入を見込んでおります。それが大量発行をする。六十年度までだと百二兆円の国債が発行されることになっている。大量の国債発行が始まったのが五十年度、だから現在の五十三年までの四年間で三十三兆円ですね。そうすると、それの三倍ですね、四年間の三倍。それから五十四年から五十七年まで今後出すのを見ていっても六十二兆円と約二倍、こういうように累積発行額が予定されていますけれども、こんなにたくさんの国債が円満に消化できる、こういう見込みがあるんですか、条件があるんですか。条件のあるなしにかかわらず消化ができるのかということですね、その点伺いたい。
○国務大臣(金子一平君) 確かにいま御指摘のございますとおり、今後、毎年引き続いて大量の国債発行ということは私はなかなかむずかしいと考えます。経済の規模がこれからうんと伸びるという際ならこれはまた別でございまするが、だんだんと安定成長路線をたどるということになると、おのずからそこに限界がございます。したがいまして、私どもは、一方において財政支出の合理化を図りながら極力減らすような方向に持っていきたい、そういう気持ちは財政収支試算をつくりながらも、私どもの考え方の基礎にあることを申し上げておきたいと思います。
○鈴木一弘君 いま五十年度から五十三年までの国債の発行額が累計で三十二兆円、それに対して五十四年から五十七年が六十三兆円と約倍になると、こう申し上げたのですけれども、これが円満に円滑に消化できるには、いわゆるいままでのように低成長による緩慢な景気拡大で民間資金需要が少ないときなら私はいくと思うんです。 そこで伺いたいのですけれども、五十年から五十三年までの過去四年間の経済成長率は幾らぐらいになっていますか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 実質で五十年が三・二、五十一年が五・九、五十二年が五・六、五十三年が見込みでございますが、六%程度、この平均が五・二%程度でございますが、一方名目の四カ年の平均が一一・一%程度であります。
○鈴木一弘君 いわゆる実質では五・二%の低成長、こういうことですよ。そういうことだから消化がいままでできてきた。しかし五十四年以降の七カ年構想ですね、あれだと六%ですね。だから、これより〇・八ふえるわけでございます。そうなると内需拡大ということになるし、民間資金の需要が定まってくると、さらにこれは消化が困難になる、こういうふうに考えられるんです。不可能じゃないですか、そうなると。
○国務大臣(金子一平君) 特に毎年大量国債の発行が続くというようなことになりますると、民間の心理もやはりこれはほうっておいたらインフレになるぞというような警戒心が出てまいりますからね、私どもとしてはどこかでこれは区切りをつけなきゃいかぬ。そういう意味において財政の再建をしっかりやって、一方においては一般消費税の導入というようなことを考えて歳入確保に努めまするとともに、けさほど来お話のございましたような行政の圧縮あるいは財政の歳出の圧縮等を考えて再建にしっかり取り組んでいかなければいかぬと思っております。
○鈴木一弘君 さらに景気が回復してくる、そして民間資金が活発化すると、いままで大量の国債を持っていた金融機関が当然売りに出ますね。これは間違いないと思います。そこで、これは聞きたいのですが、五十年度以降、先ほどは都市銀行を聞きましたけれども、全国銀行の実質預金増加額に占める国債増加額の割合はどうなっておるか、ちょっと聞きたいんです。
○政府委員(徳田博美君) 全国銀行で見ました保有有価証券残高の預金債券残高に対する比率を見ますと、五十一年度の上期は一七・八、下期が一八・〇、五十二年度の上期は一九・八、下期が二〇・〇、五十三年度上期は二一・五と逐年上昇してきております。
○鈴木一弘君 五十三年度上期はわかりませんか。
○政府委員(徳田博美君) 五十三年度上期は二一・五でございます。
○鈴木一弘君 また五十一年度上期の試算残高に占める有価証券比率はどのぐらいですか。六期前、どのぐらい伸びていますか。
○政府委員(徳田博美君) 五十一年度上期でございますね。
○鈴木一弘君 はい。
○政府委員(徳田博美君) 五十一年度上期は、残高の有価証券の伸びは、前期に対比いたしまして一二・六%の増加でございます。
○鈴木一弘君 私の調べたところでは、それに対して貸し出しが五九%と横ばいになっていますね。
○政府委員(徳田博美君) 貸出金のこれは伸び率でございますが、五十一年上期は四・三%の伸び率でございますが、期中の預金の預金債券の伸びに対する貸し出しの伸び、つまり限界的な預貸率は六〇%でございます。
○鈴木一弘君 こういう点から、やはりこれから民間に対する貸出比率を高めていくということになるというと、預金が急にふえない限りは伸びてきている有価証券を売る以外に手がないわけですね、国債はふえておりましたので。そういうことになります。そうすると、その中で大量に占めているのは国債である。これが売却されるということになると、今度は国債を収支試算で巨額なものを引き受けてもらおうと思っているけれども、本来は逆に、今度は向こうは売りたくてしようがないということになるわけですね。こういうように収支試算が見込んでいる巨額の国債引き受けの余地がまるっきりなくなってきちゃうというふうに考えるのが普通じゃないかと思うんですが、どうですか。
○政府委員(徳田博美君) 金融機関が貸し出しを行います場合には、先ほども申し上げましたように、引き受けた国債に対しまして、やはり貸出金を調達するために若干の売却を行うわけでございます。したがいまして、引き受けの率よりも保有増加の率は下がるわけでございまして、たとえば五十二年の下期で申しますと限界預貸率は、つまり預金の伸びに対する貸し出しの比率は六九でございまして、一方預金に対する有価証券の伸びは二三でございます。したがいまして、この数字で申し上げる限りは全体の中におさまっているわけでございます。
○委員長(町村金五君) 鈴木君、時間が参りました。
○鈴木一弘君 最後に、先ほど日銀の副総裁に私は聞きました。大量の国債発行をいわゆる無理やり消化をしようとすればクラウディングアウトを考えても、それをあえて行って民間への貸出規制をして国債を消化する資金を確保するか、そうでなければ民間資金に対して大量の買いオペレーションをやって買い支えをする以外にないだろうと、こういうことになりますと、これは収支試算そのものがもうぶっ壊れているということですよね。どうにもそういう方法しかないようでございます。そこで、西ドイツであるとかあるいはイギリスがやったように、財政再建計画、国会にぜひ五十五年までにはいわゆる新財政計画というものを出してもらいたい。そういう方向でいくのが本当じゃないか。あのようにきめ細かいものを出してもらいたいと思うのですが、いかがでございますか。
○国務大臣(金子一平君) 財政再建計画の必要性は私どもも痛感いたしておるのでございますが、これはなかなか実はいろんな仮定を置いていろんな計算をせなきゃいかぬものですから、簡単にできないのでございます。ドイツでもあの計画を立てるために数年かけておると言われておりますが、私ども財政制度審議会においてこの問題を昨年の九月からいろいろ御検討いただいておるのでございますが、やはり検討項目が多いものですから、まだまとまる段階まで至っていないことを大変残念に思いますが、こういうものを一日も早くつくってもらうように、また検討の材料として。しかし、申すまでもないことでございますが、経済の七カ年計画は六十年目標でできておりますが、毎年毎年の動きをどう見るかとか、いろんな厄介な問題があるものですから、そういう点も踏まえてこれから検討課題としてやってもらいたい、こういうふうに考えておる次第でございます。財政審議会にはそういうお願いをいたしております。
○鈴木一弘君 終わります。(拍手)
○委員長(町村金五君) 以上で鈴木君の総括質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) 次に、上田耕一郎君の総括質疑を行います。上田君。
○上田耕一郎君 私は、中国のベトナム侵略問題、カンボジア問題、それから千島問題、それからダグラス・グラマン問題、地方財政問題などについて質問させていただきたいと思います。 さて、中国のベトナム侵略ですけれども、私はもう事態は侵略明白だと思いますけれども、いかが事態を見ておられますか。
○国務大臣(園田直君) たびたびそういう質問をいただいておりますが、私も同じ答弁をいたします。 中越の問題では、日本はアンパイアになる立場ではなくて、これを平和解決にしたいというのが念願であります。したがいまして、ただいま、中国は、たび重なる武力侵犯に対する反撃、自衛戦だと、こう言っておりまするし、ベトナムは侵略だとこう真っ向から主張が対立しておるわけであります。その時期に、一方に偏して、どちらが正しい、どちらが正しくないと言うことは、これはこの事態を平和的に解決する日本の役割りとしてはやってはならぬことでありますから、私は、あえて覇権であるとかないとか、そういうことは、中国についても、カンボジアに対するベトナムについても言及しないわけであります。火事の最中に犯人を捜すことよりも火事を消すことが日本の立場だと、こう考えております。
○上田耕一郎君 残念ながら、おととい、日本共産党の赤旗特派員の高野記者がランソン市に入って、中国から銃撃されまして亡くなりました。きょうの朝日の夕刊を見ますと、朝日の井川特派員もランソン市内で迫撃砲でねらい撃ちされた、しかし、けがは幸いなかったというのですけれども、こういう非戦闘員ですね、明白に記者だとわかっている――カメラを持って帽子も違うんですから、そういう人に対する無差別の銃撃、砲撃、これはヘーグの陸戦法規にも違反している疑いが強いと思うのですけれども、こういう事態に対してどうごらんになっていますか。
○国務大臣(園田直君) 赤旗の記者が亡くなられたこと、謹んでお悔やみを申し上げます。やられた方はなかなか優秀な記者だったそうで、勇敢な記者であられたと存じます。 しかし、これを抽象的に申しますると、非戦闘員ならば非戦闘員の服装で、それはもちろん戦闘地域外で行動されなければ、こういう際にはなかなか間違いが起こると思います。撤退作戦をするのについては必ず支援行動が必要であります。その支援行動は弾道火器においてやるのか、あるいは迫撃砲またその他の方法でやるのか、なかなか大変なときでありますから、まことに残念なことであったと存じます。
○上田耕一郎君 朝日の記事では、撤退宣言の後、六日の夕べ、かつてなかったような猛烈な地上攻撃をかけているということまで書かれているのですね。これは、撤退作戦と言われていてもまだまだ事態は続くと思いますけれども、どういうふうに見ておりますか。
○国務大臣(園田直君) いま御発言の市街には、ただいまではすでにベトナム兵が入っておりまして、中国はこの市街からは完全に撤退しているようであります。撤退の過程においていろいろ問題があったことと推察をいたします。
○上田耕一郎君 明白な侵略の事態に対して、どうも等距離の態度に立って、なかなかおっしゃらない。 さて、中国が今度のベトナム侵略を行うのには幾つかの口実がありますが、一つはベトナムとの国境紛争であります。これでは昨年ハノイで華僑問題に関連して外務次官級の会談が行われておりましたけれども、その経過についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(柳谷謙介君) お答えいたします。 昨年八月から九月にかけましてハノイで開かれましたのが両国の外務次官級の会談でございますけれども、私どもの承知しておりますところでは、この会談はもっぱら当時非常に険悪化しておりました在越の華僑問題について話し合ったというふうに承知しております。
○上田耕一郎君 華僑問題ですけれども、中越国境のところで、国境閉鎖とか、それを三千五百人越えていったとか、国境問題に関連していたわけです。どちら側がこの会談を打ち切りましたか。
○政府委員(柳谷謙介君) この会談は、双方の意見がなかなか一致しないままに、九月二十六日に至りまして、中国側から当会談を一時休会にしようという提案を行って、自来会談は開かれておらないようでございます。
○上田耕一郎君 ベトナム側は会談継続を主帳していたので、会談を無期限中断をして打ち切ったのは中国側であります。 もう一つの中国側の口実は、制裁論であります。一つの国が世界じゅうを見渡して、あそこは懲罰すべきだ、制裁すべきだというように思うのは、また行動するのは、まことに前近代的な野蛮なやり方で、戦前の日本軍国主義の暴支膺懲ですね、あれと全く同じような大国主義、覇権主義だと思いますけれども、首相、こういうものをどう考えますか。
○国務大臣(園田直君) 中国は、終始、自衛権の発動であると言っております。
○上田耕一郎君 外務大臣はこの制裁論についてどう考えるかということ。
○国務大臣(園田直君) 制裁論は、個人であると国であるとを問わず、そのようなことは正当な論議ではございません。
○上田耕一郎君 二月七日、鄧小平副首相と会談された際、鄧小平副首相はこの制裁論を述べた。大平首相はその際どう述べましたか。
○国務大臣(園田直君) 私も同席をいたしましたから。 総理からは副主席に、私からは黄華部長に別席で、中国の中越紛争に対して日本は非常な懸念とASEANは非常な脅威を感じておる、したがってアジアの平和ということはわれわれの念願であるから、ここで事を起こされることは至極迷惑である、十分自重をしてアジアの平和に協力されたいということを強く要請し、警告を総理はいたされました。私も同様のことを黄華外交部長に要請をいたしました。
○上田耕一郎君 いや、強く、要請したというのがまことに怪しい。二月七日、衆議院予算委員会で、首相は「従来の態度を繰り返し述べられたという以上のものではございません。」「直ちに武力的制裁というようなものとは受け取れませんでした。」と、そうあなた答えている、同じ日の。不明を謝しますか。――いや、首相です、首相。首相の答弁ですから。
○国務大臣(園田直君) いや、私わかっておりますから。違ったら総理から訂正をしていただきます。 私は、委員会における答弁というのは、一外務大臣とかその他なら別でありますけれども、総理の発言というのはきわめて重大でありまして、判断の正しいことを誇ることよりも、その答弁がどのように影響するかということに思いを置いて総理は発言されるべきであろうと存じます。 今度の事件が起きてから、米国と日本は事前に理解を与えたということをベトナム側あるいはその他の一部の国は言いました。その後、これが了解をされて、日本は理解を与えていないと言ったら、わかった、認めた。総理がそれじゃ、いやこれはもう間違いなしに武力制裁が始まります、中国の武力行動が始まりますと、こう言ったら、まさしくこれは総理の発言は、諸国に、日本はああ言っているが事前に理解を与えたという誤解を受けたなら、これは日本のためにきわめて損失であって、私は、総理が知っておりながらそういうことはないだろうとおっしゃったことは、これきわめて重大な政治的発言であって、賢明なる答弁であると考えております。
○上田耕一郎君 総理、お答えください、あなたの御答弁だから。
○国務大臣(大平正芳君) 鄧小平副首相は、制裁ということは確かにお話がありましたけれども、武力制裁ということはおっしゃいませんでした。
○上田耕一郎君 朝日の二月二十四日には「「まさか、どうぞやって下さいとはいえないからね」ともらす政府関係者もいる。」というんですよ。で、あなたにそういうことを言って、その日の午後、鄧小平副首相は、本当は日本で最も懲罰を受けるべき田中角栄氏のところへ行って、懲罰をやる、中国は言ったことは必ずやるんだということまで言っているんです。政府の関係者の中に、どうぞやってくださいとは言えないけれども、それを暗黙に望んでいるという気分があったんじゃないんですか。
○国務大臣(園田直君) 自分の判断を他人に押しつけることは覇権行為であるということをしばしば言われますが、さようなことを考えるだれもおりません。おったら名前を言ってください。
○上田耕一郎君 この朝日の記者にちょっと聞いていただきたいと思いますね。 日本共産党は、この二月の五日に、武力によらず話し合いでの解決を中国側に申し入れてほしいという書簡を外相にお渡ししました。外相は中国側に伝えると約束してくれましたけれども、伝えてくれましたか。向こうはどう言いましたか。
○国務大臣(園田直君) 私は、どの党からでも、あるいは個人からでもそうでありますが、御指示を受けた場合には、できないことはできない、やることはやるとはっきり申し上げているはずであります。おしかりを受けるばかりでなくて、ほめるところはほめていただかないと、共産党の中国の入国問題でも、やれとおっしゃったからやって、すでに共産党の国会議員が初めて中国に入国をされたはずで、そういう場合には一言ぐらいごあいさつがあってしかるべきだと存じます。 なお、いまの問題は間違いなしに伝えました。向こうは黙っておりました。
○上田耕一郎君 橋本議員が入国できたことについては、わが党もその点について評価しております。 で、今回のこの中国のベトナム侵略は、社会主義の理念に反する覇権行為で、言うことを聞かない者は懲罰するというやり方は、かつて中国が日本共産党や日本国民に武力革命を押しつけて、それに従わない者は修正主義だ、日和見主義だと言っていろんな干渉をやった、あれと全く同じことだと思うんですね。中国は、文化大革命以来、対外政策についても社会主義の理念から非常にそれている。今回の誤りもそういう社会主義の理想や理念からそれたところに生まれている、そうわれわれは考えております。 昨年の臨時国会での日中平和友好条約の審議の際に、わが党は、繰り返し中国のこういう覇権主義的な行動の危険、これを指摘して、政府に対して注意を促したはずですけれども、日中条約の第二条、この覇権条項にどう書いてあるのか、また政府はその覇権ということの意味についてどう規定しているのか、もう一度お答え願いたいと思います。
○政府委員(伊達宗起君) お答えいたします。 日中条約の第二条には「両締約国は、そのいずれも、アジア・太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明する。」と書いてございます。 当時、去年の国会におきまして、この覇権の意味につきまして政府から説明を何遍もいたしているわけでございますけれども、その政府の解釈といたしましては、一国が他国の意思に反して力により自己の意思を押しつけようとするような行為が覇権を求める行為であって、これは国連憲章の原則にも反するものであるということを中国側にも十分申し伝えてあるわけでございまして、いま申し上げたところが政府の覇権の考え方でございます。
○上田耕一郎君 では、なぜ今度の中国のベトナムに対する行為がその規定に当てはまらないのか、明確にお答えください。
○国務大臣(園田直君) 中国は自衛権の発動であると主張し、ベトナムと真っ向から対立をいたしております。したがいまして、これは自衛権の発動であるかないか、こういうことは安保理事会その他で議論しているところでありますけれども、日本の立場としては、審判官よりも調停役をやるべきときであると考えておるからであります。
○上田耕一郎君 外相は、去年の国会で、自主的に判断すると言ったじゃないですか。
○国務大臣(園田直君) 自主的に判断することと口に出すことは別であります。
○上田耕一郎君 今度のような行動が覇権行為でなければ、覇権行為というのはなくなっちゃうですよ。二月二十八日の衆議院外務委員会では、伊達外務省条約局長は、国連憲章違反だとはっきり答弁しているじゃないですか。
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。 あのときの答弁のその私の申し上げました部分だけをお読みくだされば、そういうことになる誤解があるかもしれませんが、そのときの議事録をよくお読みくだされば、私は一般論といたしまして国連憲章のもとでの武力の行使は許されないものであるということを申し上げたわけでございます。
○上田耕一郎君 では、一般論じゃなくて、個別論としてどう見ますか。
○政府委員(伊達宗起君) ただいま園田大臣より申し上げたとおりでございます。
○上田耕一郎君 押し問答してもしようがないんですけど、覇権反対を入れた条約を中国と結んでいるのは世界で日本だけなんです。だから、その覇権反対、覇権を求めないということを約束して――日本だけなんですよ。その日本が今度の覇権行為に対して最も言わなければならぬ国際的な責任を持っているんです。何で抗議できないんですか。
○国務大臣(園田直君) 条約締結の際にも、その後においても、覇権に対するわが方の解釈、国連憲章ではなくて、国連総会における決議、こういうものをはっきり申し上げてあります。中国に気がねも何もしておりません。わが方は覇権とは言いません、覇権でないとも言いません。しかし、力をもって紛争を解決しようとし、軍隊を他国に入れることは間違いである、速やかに停戦、撤退、平和的な話し合いをされよということは当初から強く要請しておるわけでありますから、いささかも遠慮しているところはございません。
○上田耕一郎君 間違いであるなら、なぜ明白に抗議をしないのかということですね、そういう抗議が全然できない。で、平和を守るためには、侵略に対して明白に抗議するという態度が日本政府として必要なんですが、それさえできないという点には、やっぱりアメリカと中国に対するいまの政府の、アメリカべったりに続いて中国べったりの危険も生まれているというところに大きな問題があるということを指摘したいと思います。 さて、中国のこの不当な制裁論の一つ理由になっているのがカンボジア問題ですけれども、ポル・ポト政権が一月七日、八日に崩壊してカンボジア人民共和国が誕生しました。この事態、経過をどのように日本政府は認識しておりますか。
○国務大臣(園田直君) お答えをする前に、米国に気がねをし、中国に気がねをして抗議ができないということは、それはあなたの断定でありまして、自分の判断や意思を人に押しつけられては困ります。米国と日本のカンボジアに対する態度は明瞭に違っております。米国、ソ連に対しては、大国がこの事態を紛叫させるような介入をせざるよう自重されることをしばしば申し上げております。中国に対しては、あなたの行動は正しくない、直ちに軍隊は撤退しなさい、これが抗議でなくて何でありますか。これだけは申し上げておきます。 カンボジアにおける事態は急に変わって、今度は他国の軍隊が入ってもいいというようなふうに私には聞こえますけれども、少なくともカンボジアにおける事態は流動的であるということが一つ。もう一つは、安保理事会において、カンボジアにおける事態は外国軍隊の深い関与のもとにこういう事態が起きているということは多数の国々が指摘するところであります。
○上田耕一郎君 あなたそう言いましたけれどももね、先日、中国の外相と佐藤大使との会談内容、その際、黄華外相は日本政府がいまの中越国境紛争に関心を寄せているのに感謝する、そういうことを言っているんですよ。そういう程度だということを指摘しておきたい。 〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕 さて、カンボジア問題の事態の真相は、私どもは内戦とそれから国境戦争、この二つが事態の真相だと、二つの戦争が行われたと思いますが、ポル・ポト政権による大量虐殺の事態を政府は知っていましたか、また、いま知っておりますか。
○国務大臣(園田直君) カンボジアにおいてポル・ポト政権が余り評判がよくないことはよく承知をしておりました。しかし、よくないということと他国の軍隊が入ってこれに関与することとは別問題であります。
○上田耕一郎君 単によくない程度じゃなくて、ポル・ポト政権の人権侵害については、国連経済社会理事会人権委員会の小委員会に対して、七八年、国際法律家委員会並びにノルウェー政府から文書報告が国連に提出されておりますけれども、そのことを御存じですか。また、内容を説明してほしい。
○政府委員(賀陽治憲君) ただいま上田委員の御指摘の二つの報告書につきましては、御指摘のように、国連の人権委員会に提出されました。わが国は、現在、人権委員会のメンバーでございませんので直接にはこれを入手しておりませんが、御指摘のように、この報告書が来週以降の人権委員会で――第一回はどうも何ら審議されなかったそうでございますが、可能性としては来週以降審議されるようでございますので、私どもの方としましても、ジュネーブの代表部に訓令を発しまして、現在全文を取り寄せておりますが、それほど大部なものではないようでございますので近々入手できるのではないかと考えておるわけでございます。 中身につきましては、御承知と思いますが、カンボジアのポル・ポト政権がプノンペンで施政を行っております時期におけるベトナムヘの難民の状態、これを個々の証言、個人の証言の形でまとめたものであるというふうに推測をしております。
○上田耕一郎君 どうも日本国内で翻訳されているのに御存じないようですけれども、難民問題だけじゃなくて、処刑についても詳しい報告が出ております。七五年、ほとんどすべての士官、高級官吏、警官、諜報部員、税関職員、憲兵が処刑されている。大多数の場合、これらの人々の妻子も処刑されたと聞く。医師、技師、教授、教員、学生、生徒に対する即決の処刑もあった。それから僧侶も処刑されている。驚くべき処刑ぶりであります。いま伝えられているところによりますと、二百万から三百万人、人口八百万のうち殺されたのではないか。先ほど申しました、殉職しました高野特派員は日本人で最初にプノンペンに入りまして、その処刑の実情その他も確認しているのであります。こういう処刑は奴隷制度、全くもう社会主義とは縁もゆかりもないもので、こういうものに対しては人間の、人民の怒りが当然噴き上がるんです。これがポル・ポト政権があのように早く崩壊して新しい政権が生まれた一番深い原因だと思うんです。 その新政権をなぜ日本政府は承認されないのですか。
○国務大臣(園田直君) いまおっしゃいましたことは情報として私も全部聞いております。私は資本主義者でありますから社会主義国の内情というものは的確には知りませんけれども、しかし、そのようなことがあってはならぬということは、これは間違いはございません。 なぜ新しい救国戦線、新しい政権を承認しないか、きわめて流動的であって、しかもこの事態は他国の軍隊の関与のもとに行われたと、こういうこともありまするから、事態を見守っておるところでございます。
○上田耕一郎君 じゃポル・ポト政権との関係はいまだに持っているわけですね。
○国務大臣(園田直君) そのままでございます。
○上田耕一郎君 その政権はいまどこにありますか。
○国務大臣(園田直君) カンボジアの中で遊撃戦を展開していると聞いております。
○上田耕一郎君 カンボジアの中に日本政府の要員は残っておりますか。
○政府委員(柳谷謙介君) 現在、日本とカンボジアとの間の関係は、北京における双方の外交機関が接触を持っておりまして、カンボジアの中には日本政府の要員はございません。
○上田耕一郎君 政権はどうも山の中で遊撃戦をやっている、日本人は一人もいない、そうしたらカンボジアに関する報告は全部北京の佐藤大使、この人が兼任ですね、ここから報告を受けているわけですか。
○国務大臣(園田直君) そのとおりであります。
○上田耕一郎君 だから、先ほど中国べったりの危険があると言ったんですよ。中国筋の情報しかカンボジアについては政府としては取っていないんですか。
○国務大臣(園田直君) 中国からも、その他の国々からも情報は取ってはおりますが、北京ではカンボジアの大使とわが方の佐藤大使と接触をしているわけであります。中国から聞いているわけではありません。
○上田耕一郎君 北京のカンボジア大使はその遊撃しているポル・ポト政権と連絡をとってありますか。
○国務大臣(園田直君) 連絡はとれたという話であります。
○上田耕一郎君 実態はかくのごときありさまなんですね、そういう内戦が一つあったと。もう一つ行われた戦争は、ベトナムとカンボジアとの間の国境戦争であります。七五年以来、ポル・ポト政権はベトナムに対して国境を越えてさまざまな侵害をやり、農民の虐殺を行っておりますが、その事実についても日本政府は知っておりましたか。
○国務大臣(園田直君) 両方の言い分は、ベトナム、カンボジアの間でもこれまた真っ向から対立しておるわけでありまして、ベトナムはたび重なる武力攻撃、国境侵犯があったからやったと、こう言うし、片一方ポル・ポト政権の方は向こうの侵略だと、こう言っているわけであります。
○上田耕一郎君 わが党はベトナムに代表もおりますし事態を確認しておりますが、三年間に大小合わせて六千四百回ベトナムに侵入し、死傷者八千余人、数十万人が国境から疎開せざるを得ないという事態になっている。 さて、この国境紛争で話し合いが行われました。その経過とどちらが拒否したか、その点についてもお伺いします。
○政府委員(柳谷謙介君) お答えいたします。 この国境紛争についてベトナム側とカンボジア側との言い分は真っ向から対立している状況でございまして、それらを踏まえまして再々双方の間で接触が、接触と申しますか、提案の応酬があったわけでございますが、特に昨年七八年の二月にベトナム側から三項目の和平提案、五月にはカンボジア側から四項目の書簡、八月にはベトナム側からは二項目の提案、九月にはポル・ポト側からさらにポル・ポト首相の演説、十月にはベトナム側から外務省の声明と、こういうものが繰り返されたわけでございますけれども、その後、事態が悪化しまして、これでこの種の接触は終わっている状況でございます。
○上田耕一郎君 それは去年のことで、七六年から七七年に至る交渉経過を述べてください。
○政府委員(柳谷謙介君) ただいま申し上げました七八年のときのような具体的な提案を伴った交渉があったということは承知しておりませんけれども、その時点におきましても大小の国境の争いがございましたから、それなりの交渉はあったという可能性は承知しております。
○上田耕一郎君 アジア局長が事実を全然知らぬ。そういうやり方ではだめですね。 七六年の五月には予備会談が行われているんです。六月に首脳会談をやる予定で予備会談を実際にやったのに、その後、カンボジア側が多忙を理由に延期したんです。それで、翌年、七七年六月にもベトナム側が首脳会談を提案をした。そうすると、カンボジア側が返書を送ってそれもやらなかったんですね。そうして七七年の十二月に外交断絶をカンボジア側がやったんです。先ほど言ったのは、その外交断絶後の去年のことです。この経過を見ても、明らかにカンボジア側がこの予備会談、首脳会談――首脳会談の提案さえ拒否したということが明らかなんです。外務省は事実を知らぬのですね、経過もろくに調べていない。外務大臣、よくそのことを認識しておいてください。 それで、当時、そういう国境紛争があったことを知っていたなら、なぜ日本政府はベトナム、カンボジア双方に話し合いの提案を行わなかったんですか。
○政府委員(柳谷謙介君) お答えいたします。 いま御指摘のありましたように、前から双方の会談に国境問題についての見解の相違があったことは承知しておりますし、ベトナム側はベトナム側でカンボジア側の国境侵犯ということを前提にしていろいろ発言しております。カンボジア側はカンボジア側でベトナム側の国境侵犯ということでいろいろ発言しておりましたことは事実でございます。交渉が、具体的な提案の応酬があったというのを七八年として申し上げた次第でございます。
○上田耕一郎君 答えになっていないんですね。ベトナム、カンボジアに話し合い提案をしたかと。
○政府委員(柳谷謙介君) 事実関係がわかった限りにおいては、ベトナム側ないしカンボジア――主として北京でございますが、接触の際に、わが方がこの種の国境紛争というものが平和的に解決されることを望むという趣旨の話は当然しております。
○上田耕一郎君 外務大臣はベトナム側には話し合いを申し入れたと述べましたね、いつですか。
○国務大臣(園田直君) ベトナムには、外務大臣と会った際に強くこれは要請しております。カンボジア側のイエン・サリ副首相に直接私が言ってございます。
○上田耕一郎君 ところが、先日、予算問題に関する党首会談についての返事で、後から河本政調会長から聞かされたんですが、在中国のカンボジア大使館に対して一月六日に要望したと。一月六日というのはもうつぶれかけているときですね。こういうやり方では、本気の話し合い提案なんということは全くならないと思うんです。 さて、この国境紛争で、ものすごいベトナムに対するポル・ポト側の侵略に対してベトナム側が反撃を行った、ポル・ポト軍は二十三個師のうち十九師団、精鋭を動員して大打撃を受けたというんですね。この国境戦争がやっぱり国内の内戦のあの急速な発展にある間接的な影響を与えたことはあるでしょうけれども、この長い間の経過の中で話し合いさえ打ち切って、八千人も死傷者が出ていて、これに対する反撃を行ったという事態をベトナム側の侵略というように見るのは、全く事態を誤るものだと思いますが、いかがでしょうか。 〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕
○国務大臣(園田直君) 日本政府の方針は一貫しておりまして、ベトナムに対しても、紛争を力をもって解決すべきこと、軍隊を他国に入れること、これは間違いであって、反対であるということを強く申し入れております。
○上田耕一郎君 いまアジアの情勢は非常に流動的で、複雑です。八〇年代にかけてこういう状況がさらにいま発展するだろうと思うんですけれども、それだけに日本が自主的にアジアの平和、民族自決の擁護、自主性の堅持という大原則にしっかりと立って複雑な情勢に正しく対処することが必要だと思うんです。ところが、ベトナムに対しては、今後の経済援助については慎重にという言い方で凍結の気配さえ見せながら、中国側に対してはもう明確に侵略だということも言えないというのでは、この日中の平和条約も、一部で危惧されているように、米日中の政治同盟ではないか、準軍事同盟になるのではないかという危惧どおりに発展しかねないということさえあり得るんだと思うんです。 首相、いまのままの状態で、先日、鄧小平副首相と会談した際に合意された相互訪問ですね、首相が中国を訪問する、華国鋒首相が日本に来る、この相互訪問をそのままにこにこと実現するおつもりですか。
○国務大臣(園田直君) ちょっと一点、その前に。 いまおっしゃいましたアジアの平和のためにという御発言は全く私も同意見であります。だからこそ、一方の側に立って一方をたたいたり、一方の側に立って一方を非難することはアジアの平和のためによくないということで日本政府は終始一貫しているわけであります。 なお、中国に総理のお話がありましたが、お互いに相互訪問は外交関係のある国の当然の礼儀であります。私はベトナムから招待を受けておりますから、時期があったらベトナムにも行くつもりでございます。
○国務大臣(大平正芳君) 中国側から訪中の招請がありましたことは事実でございます。いつごろそれが実現いたしますかにつきましては、具体的に構想を固めておりません。
○上田耕一郎君 外務大臣は一方の側にだけは支持しないと言われましたけれども、侵略する側と侵略される側のこの双方から等距離というのでは平和は守れないんですよ、その点を明確にしておきたい。だから、中国からも招待されたら中国にも行く、ベトナムから招待されたらベトナムにも行くというのでは、アジアの平和も日本の自主性も守れないんですよ。中国が侵略戦争を続けている以上、こういう相互訪問などは再検討すべきだということが当然だと思いますが、首相、再度お伺いします。
○国務大臣(園田直君) 私はベトナムから招待されたら行きますと言ったんではなくて、招待されておりますから、時期を見てベトナムにも行くつもりでありますと、こう言ったわけであります。 上田委員の御意見は、どちらかを犯罪人と決めなければアジアの平和は解決されぬ、こういうことでありますけれども、それは後の問題でありまして、いま火事を消すことに日本はきゅうきゅうとしているわけであります。
○上田耕一郎君 じゃ、あなたは後でははっきり態度を述べますか。
○国務大臣(園田直君) これは国連安保理事会その他でだんだん明白になってくることだと存じます。両方がおれは悪くない、相手が悪いと、こう言っている最中でありますから。
○上田耕一郎君 私は、アジアの平和を守るという明確な決意で進んでいただきたい、これが国民の希望である、いまのようなあいまいな答弁では事態の解決になかなか寄与しないだろうということを言っておきたい。 次に、千島問題に移りたいと思います。 二月二十一日、参議院の本会議でも北方領土問題の解決促進に関する決議が行われました。わが党は上程そのものに反対しました。それは院の決議は全会一致という原則を破ったものだからであります。決議の内容については棄権いたしました。これはサンフランシスコ条約で千島列島の請求権までも放棄した、そのまま択捉、国後を要求するということについては大きな矛盾がある、そう考えているからであります。南北全千島を本当に返還実現させるためには、わが党が主張しているように、このサンフランシスコ条約二条(C)項、この廃棄を国際法に基づいて堂々と主張するということが必要だと思っております。 さて、この問題の根源は、いま述べましたサンフランシスコ会議で千島列島の領有権、請求権を放棄したことにあると思います。お伺いしますけれども、日本が降伏の際受諾したポツダム宣言には領土条項はどう書いてありましたか。
○政府委員(伊達宗起君) ポツダム宣言には、その第八項におきまして、「「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルベク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」と、そう書いてございます。
○上田耕一郎君 では、そのカイロ宣言にはどう書いてありましたか。
○政府委員(伊達宗起君) カイロ宣言は、関係部分だけをお答えいたしますが、 又領土拡張ノ何等ノ念ヲモ有スルモノニ非ズ 右同盟国ノ目的ハ日本国ヨリ千九百十四年ノ 第一次世界戦争ノ開始以後ニ於テ日本国ガ奪取 シ又ハ占領シタル太平洋ニ於ケル一切ノ島嶼ヲ 剥奪スルコト並ニ満州、台湾及膨湖島ノ如キ日 本国が清国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華 民国ニ返還スルコトニ在リ 日本国ハ又暴力及貪欲ニ依リ日本国ガ略取シ タル他ノ一切ノ地域ヨリ駆逐セラルベシ と、そう書いてございます。
○上田耕一郎君 千島列島は、この暴力、食欲で日本が奪取した地域に当たりますか。
○政府委員(伊達宗起君) 千島列島は、一八五五年の日魯通好条約及び一八七五年の樺太千島交換条約等によりましても日本国の領土であったわけでございまして、これは日本が正当なる外交交渉によって日本の領土としたものでございまして、「暴力及食欲ニ依リ日本国が略取シタル」地域には該当しないわけでございます。
○上田耕一郎君 カイロ宣言で、連合国は領土不拡大を言い、それに当たらないわけですね、千島列島は。じゃ、なぜサンフランシスコ条約でこの千島列島のすべての権利、権原及び請求権を放華したんですか。
○国務大臣(園田直君) 放棄したんではなくて、放棄させられたんであります。
○上田耕一郎君 だれによって、理由は何ですか。
○政府委員(宮澤泰君) 桑港平和条約は、日本が第二次大戦におきまして無条件降伏した結果、その後結ばれて、日本が名誉ある国際社会の一員として再び国際社会に復帰するために結ばれたものでございまして、このために暴力、食欲等によって略取したものでないこの千島列島もやはり放棄せざるを得なかったと、当時のそういう状況のしからしめたところでございます。
○上田耕一郎君 わからないですよ。ポツダム宣言にも、カイロ宣言とも違うわけでしょう。どういう状況ですか、それは。
○政府委員(宮澤泰君) 講和会議は、日本が積極的に意見を言い、あるいは条件をつけると、こういうことではございませんで、ただ、連合国側の作成しました条約に日本側として署名をする、こういうことを余儀なくされたわけでございますので、日本は、そのような状況のもとにおいては、略取したものでないものも断念せざるを得なかったわけでございます。
○上田耕一郎君 先ほど外相は放棄させられたと言われましたが、じゃ放棄したことは日本の国民的利益にそぐわなかったとお思いですか。
○国務大臣(園田直君) 当時の吉田全権はこのことについては主張したようでありますが、その主張は受け入れられなかったと、連合国で準備した条約に署名をするだけだということで、あの会議は終わったわけであります。
○上田耕一郎君 わが党の宮本委員長は、福田前首相また大平首相との会談でも、党首会談で、この千島の放棄ですね、これについては当時はやむを得なかったというようにあなた方が言うだけでなくて、これを正当化したり弁護したりすべきでないと、正当化したり弁護したりすることは民族の将来に二重、三重の害悪を生むだろうということを述べました。 さて、この請求権放棄ですね、これは千島列島の返還を要求する権利をも放棄したという意味を持ちますか。
○政府委員(伊達宗起君) サンフランシスコ平和条約第二条で放棄しております請求権は領土に関するものでございまして、これは……
○上田耕一郎君 領土に関するもの。
○政府委員(伊達宗起君) そうでございます。領土に関するものでございまして、これは返還を請求するようなことはできないものでございます。
○上田耕一郎君 ですから、この千島列島の領土を返還することができないというのを押しつけられたわけでしょう。ですから、この千島列島、南北両千島の返還をかち取るためには、このサンフランシスコ条約二条(C)項、これは南樺太も入っていますが、南樺太は、これは日露戦争で取ったものだからこれはソ連に返還するのは当然だと思いますけれども、この二条(C)項の千島列島に関する部分をやっぱり何とかしなければならぬ、これは国際法上不可欠の前提だと、千島返還をソ連に求めるためには、こう共産党はずっと主張しているんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(伊達宗起君) サンフランシスコ平和条約によりまして、名誉ある平和を回復する条約を日本は署名いたして約束をいたしたわけでございまして、これを一方的に放棄するということは国際法上許されないことであるというふうに考えます。
○上田耕一郎君 それでは、政府は、もう千島列島については永久に返還を求めないという立場なんですか。
○政府委員(伊達宗起君) 放棄いたしました千島列島はいまや日本のものでなくなっているという状態にあるわけでございまして、その帰属がどこであるかは連合国側においても何もまだ決まっていないというのが現状でございます。永久にと申されるわけでございますが、あるいはどこか何かの話によりまして、幸いにこれは日本国に、もとへ戻すというような話に将来なるといたしますれば、日本に戻ってきても、これはサンフランシスコ条約の違反ではないというように考えるわけでございます。
○上田耕一郎君 きわめていいかげんなあれですけれども、じゃ、なぜ日本政府は択捉、国後を歯舞、色丹とともにソ連に返還を求めているんですか。
○政府委員(宮澤泰君) 政府がしばしば明らかにいたしておりますように、歯舞群島、色丹島及び択捉、国後の通常四島は、日本政府が桑港条約で放棄いたしました千島列島の中には含まれておらない、こういう見解に基づくものでございます。
○上田耕一郎君 この見解を打ち出したのは、サンフランシスコ会議が済んでから四年後、一九五五年八月だ、初めてこれを打ち出した。第一次ロンドン交渉で松本全権に政府が言わしたわけですけれども、当時、この問題でアメリカ、イギリス、フランス三国に政府は見解を打診していますが、その内容を答えてください。
○政府委員(宮澤泰君) ただいまお尋ねの点のうち、米国政府の見解につきましては、先方の了承もあり、公表されておりますので、ここで御説明をいたしますが、英仏につきましては、これは日本の対ソ交渉中に先方の内輪の意見としてこちらに伝えられたものでございますので、公表は遠慮いたしたいと考えております。 アメリカの寄せました見解は、こちらの質問に答えたものでございますが、いわゆるヤルタ協定というものは、単にその当事国の当時の首脳者が共通の目標を陳述した文書にすぎないものであって、その当事国による何らの最終的な決定をなすものでもなく、また領土移転のいかなる法律的効果を持つものでもないと認めると、こういう点が一つ。それから米国は、歴史上の事実を注意深く検討した結果、択捉、国後両島は、北海道の一部たる歯舞諸島及び色丹島とともに常に固有の日本の領土の一部をなしてきたものであり、かつ、正当に日本国の主権下にあるものとして認められなければならないものであるとの結論に到達した。要点だけ抜いて申し上げました。
○上田耕一郎君 都合のいいアメリカのものだけ公表するわけですね。しかも、二十四年前のイギリス、フランスのものを公表を断るはずがないです、イギリス、フランスが。この中身は、あなたは公表されないけれども、当時の全権の松本俊一氏が「モスクワにかける虹」という本の六十四ページではっきり述べている。イギリス政府は、「米国の見解に同意を表明し得ない」という回答、フランス政府は、「サン・フランシスコ会議議事録は、千島の範囲に関し言及している。特に日本代表が国後、択捉を南千島として言及しているところに注意を喚起する。」と。だから、択捉、国後は千島でないというのはおかしいというフランス政府は反対の回答なんですよ。だからこれ出さないんでしょう。このいま私が述べたことは正確ですか。
○政府委員(宮澤泰君) ただいま御引用になりましたその本は日本政府の出したものでございませんので、日本政府としてはそこに書かれておりますことについて云々する立場にございません。
○上田耕一郎君 なかなかみごとな官僚的答弁で、私も敬服しました。 さて、それでは、このサンフランシスコ会議で吉田全権はこの問題をフランス政府が言うように述べていますか。
○政府委員(宮澤泰君) サンフランシスコ会議におきまして吉田全権は幾つかの点を言及されたわけでございますが、「第一は領土の処分問題であります。」という表題のもとに、「千島列島及び南樺太の地域は日本が侵略によって奪取したものだとのソ連全権の主張は、承服いたしかねます。」続いて「日本開国の当時、千島南部の二島、択捉、国後列島が日本領であることについては、帝政ロシアもなんらの異議を挾さまなかったのであります。」云々と、このように述べております。
○上田耕一郎君 そこは英文ではザ・サウス・クリルというふうになっていましてね。これはだから南千島とはっきり言っているんですよ。だから、フランス全権はそういう解釈をとった。 じゃ、このサンフランシスコ会議でアメリカ代表ダレスも千島列島の地理的範囲について発言していますが、どう述べていますか。
○政府委員(宮澤泰君) ダレス長官は、歯舞は千島には含まれないという種類のことを述べております。
○上田耕一郎君 私もそう思います。歯舞、色丹は、千島に含まれない、北海道の一部だ。しかし、ダレス長官も、つまり歯舞、色丹は含まれない、択捉、国後は含まれるということを合衆国の見解として述べている。これは、外務省の編さんした本ですよ。あなたの持っているのと同じものだ。日本全権もアメリカ全権も、つまり国後、択捉は千島だということを明白にサンフランシスコ会議で述べているのであります。だから、以上のことで、サンフランシスコ会議では国後、択捉は南千島だという解釈が確定されたのに、それから四年たって、日本は、国後、択捉は千島にあらずというまことに驚くべき国際的に通用しない論弁を持ち出して交渉を始めたのであります。 さて、政府にお伺いします。戦前、行政区画として国後、択捉は千島として扱われていましたか。
○政府委員(宮澤泰君) 行政上、地理上、国後、択捉島を千島国ないし南千島と、このように呼びならわしていた事実はございます。
○上田耕一郎君 じゃ、なぜ国後、択捉は千島にあらずとあなた方は主張できるんですか。
○政府委員(宮澤泰君) 私どもが言っておりますのは、日本政府がサンフランシスコ平和条約で放棄した千島列島、これは英文のテキストではザ・クリル・アイランズとございますが、その中には歯舞、色丹はもちろんでございますが、国後、択捉は歴史的にも有権的な文献から解釈いたしましても含まれていないと、こういう根拠によって主張するものでございます。
○上田耕一郎君 その有権的文献は何ですか。
○政府委員(宮澤泰君) 私どもが有権的文献として最も重視しておりますのは、先ほど条約局長がちょっと触れました一八五五年、安政元年の日本国魯西亜国通好条約と言われるものが一つと、さらに、同じくこれも条約局長が触れましたが、一八七五年、明治八年に結ばれました樺太千島交換条約の二つでございまして、この中に先ほど私が申しましたサンフランシスコ平和条約で使われておりますクリル諸島というものの定義が明確にされております。 それから有権的に、樺太千島交換条約、この条約は日本語とフランス語の両方で行われておりますが、日本語の表題は、樺太千島交換条約でございます。フランス語の表題はサカリン島とクリル諸島の交換に関する条約、この二つが日本語とフランス語で署名されたわけでございます。
○上田耕一郎君 つまり、国内的文献は全部択捉、国後は千島なんです。これは全部無視すると。有権的文献としてはいまの帝政ロシアと結んだ十九世紀の古い条約二つだけ出すわけですね。なぜ国内的文献は無視できるんですか。
○政府委員(宮澤泰君) 先ほども申し上げましたように、日本では、昔は、蝦夷ケ千島、あるいは千島国、南千島、北千島等の呼び名はございましたけれども、このような国際的な文献によって正確にクリル諸島と規定されておりますもの、しかも、千島樺太交換条約、日本ではその文献で正式に千島という言葉を使っております。私どもといたしましては、同じ国際的な条約たるサンフランシスコ条約を解釈いたしますときにも、このような国際的に有権的な文献であるものは最も有力な根拠であると考えております。
○上田耕一郎君 苦しまぎれの解釈なんですね。樺太千島交換条約でも、つまりロシアの皇帝陛下が所領としているクリル・アイランズと言っているので、クリル・アイランズの中のロシア領のことなんですね。 文献を言いますから、ぼくも古いのを一つ出しましょう。嘉永六年、プチャーチンというのが日本にこの問題で長崎に来ますよね。それで下田条約を結んだ当人。その人が、長崎に来て、幕府あての書簡を出した。「エトロフ島も亦之諸島中の一つにして」と幕府あての書簡でちゃんと言っているんです。これは有名なものです、プチャーチンの書簡、こういうものがちゃんとあるわけでね。だから、当時のロシアの地図、世界じゅうの地図を調べた学者がありますけれども、ロシア側では、クリル・アイランズと言ったら、やっぱり千島全部のことを言っていたわけですよ。とんでもない解釈ですね。 それでは、この二つの十九世紀の古い帝政ロシアとの条約以外に千島列島に関して定めた条約を日本は結んでいないんですか。
○政府委員(伊達宗起君) この一八五五年と七五年の条約以外に、私の承知しております限りは、千島を対象とした条約はないというように考えます。
○上田耕一郎君 日本が結んだ国際条約で、その中に千島列島という言葉が出てくる条約はないわけですね。
○政府委員(伊達宗起君) 千島列島という言葉が出てくる条約はないとまで私は断言できないわけでございます。ちょっと記憶にはございませんが、あるいは千島列島という言葉を使った条約があるかもしれません。その点は私も調べてみないとわかりません。
○上田耕一郎君 おかしな話なんですね。国内的文献は全部択捉、国後は千島なのに、千島でないというのを国際的文献に頼っているわけでしょう。ところが、あるかもしれぬと言う。それもろくに調べていないと。帝政ロシアの古い十九世紀のしか出していない。もし国際条約に千島列島というのがあって、範囲も合意されていて、どうなりますか、もしそういうことがあったら。
○政府委員(伊達宗起君) どういう条約に千島列島という言葉が使われている例を先生がお持ちであるかわかりませんけれども、仮に何かありましたとしまして、その条約の解釈によって、これは仮の話でございますが、千島列島という範囲が明確な規定がありとすれば、それは一つの考慮の対象になるものであろうと考えます。
○上田耕一郎君 考慮の対象ということはどういうことですか。択捉、国後は千島にあらずということではない新しい解釈をとるかもしれぬということですか。
○政府委員(伊達宗起君) 択捉、国後の問題の関連でございますが、千島列島がどこまでの範囲であるかということが問題となっているわけでございまして、その場合に千島列島の範囲を明瞭に定める――定めるといいますか、明瞭な解釈として千島列島の範囲が出てくるようなものがありとすれば、それは先ほど来先生が問題にしております千島列島の範囲を論議する際の一つの考慮の要素になるであろうということを申し上げているわけでございます。
○上田耕一郎君 まあ、外務省がそう言うので、われわれ調べたわけですよ。とうとう見つけたわけです。一九二二年、大正十一年、有名なワシントン軍縮条約ですね、これはワシントンで結ばれた。海軍比率五・五・三です。これを結んだときに、太平洋の島を軍備制限をしようということが大きな話題になったわけであります。経過はいろいろありますけれども、ぜひ外務省、もう一度調べてください。その結果、アメリカはアリューシャンを軍備制限しようと、日本は千島列島を軍備制限しようということになったんだ。ワシントン条約第十九条第日項に「太平洋ニ於ケル日本國ノ下記ノ島嶼タル領土及属地帥チ千島諸島、」とはっきり書いてある。これを軍備制限地域に合意したと。私は英文も調べましたが、英文にはっきりザ・クリル・アイランズと書いてある。いかがですか。有名な条約ですよ。――お答えがないので、もう一つ証拠を出します。 これは、外務省の公文書館がありますね。あそこにその関係の文書がとじ込んである。これがそのとき毛筆で全部書いた文書です。この中に地図が入っている。この地図に、これはコピーだから色がないけども、赤でアリューシャンと千島は全部丸で囲んであるんです。当時の外交書にはやっぱり同じような地図がもっと正確にあります。これをひとつ見てください、首相と外務大臣に。――この地図には明白に千島全部を赤で囲んであるんですよ。それで、アメリカ並びに日本側の防備制限区域と明確になっている。ワシントン条約で明確に千島列島はこの範囲だということが合意文書になっているんです。一九二二年です。そんな古い一八七五年の帝政ロシアとの条約とは違うんだ。先ほど見解を打診したアメリカ、イギリスは、ちゃんとこれの条約なんですね。
○政府委員(伊達宗起君) この地図の性質をもう一度、申しわけございませんがこの地図の性質をちょっともう一度先生の御説明を承りたいのでございますが。
○上田耕一郎君 こちらは、外務省の公文書館にとじ込んであるワシントン会議関係の文書です。指令その他のつづりです。これにこの地図がとじ込んである。最終的に妥協が成立した。これがその当時の外交関係の本に入っているものと全く同じものです。
○政府委員(伊達宗起君) この赤で囲ってあるのが……。
○上田耕一郎君 そう、赤で囲ってあるのが軍備制限地域。ここに書いてあるでしょう、日本防備制限区域、米国の防備制限区域と。
○政府委員(伊達宗起君) お答えいたします。 まあ条約というものはそれぞれいろいろな目的を持ってつくられるものでございまして、一八五五年の条約ないしは一八七五年の条約というのは領土の帰属ということを目的に明瞭に決められた条約でございます。ところが、この軍備の縮小ということにつきましては、別に領土がどこにあるかということを決めているわけではございませんで、軍備を制限する地域を定めたものであって、したがって、この地図も領土の帰属を明瞭に示しているものであるとは考えられません。
○上田耕一郎君 だめだめ、そんないいかげんな答弁じゃ。有権的根拠じゃないか。だめですよ、そんないいかげんな答弁では。千島列島の範囲をちゃんと条約で決めているのがあるじゃないですか。あなたは知らないと言ったけど、私はだから出して見せた。そんないいかげんな弁答はだめですよ。
○政府委員(伊達宗起君) お答えいたします。 ただいま上田先生より示されました地図はこの場において私も初めて見た図面でございますので、なおよくその図面につきまして調べさせていただきまして、考えた上で御答弁申し上げたいと思いますので、お時間をいただきたいと思う次第でございます。
○上田耕一郎君 これは重要な問題なんですよね。私ずっと質問してまいりましたように、もし別の千島列島についての国際的な条約があったら参考にしなきゃならぬと言ったでしょう。これは一九二二年、新しいんですよ。新しい条約なんだから、安政時代のものと違いましてね。そこで明確にアメリカ、イギリス、フランス、日本で決めているわけだから、条約で。この条約をどこを軍備制限区域にするかというので恐らく三国間の間で合意があったに違いないんです。だから、外交文書館でとじ込んであるわけだから。で、千島列島の範囲は日本として一九二二年の条約では択捉、国後はちゃんと入るという解釈で国際条約を結んでいたとしたら、択捉、国後は千島にあらずという論拠は全部崩壊するんですよ。私は、改めて、経過を全部調査すること、そして択捉、国後は千島にあらずといういままでの議論が崩壊したとすれば、政府はどういう根拠で返還を求めるのかと、新しい見解を委員会に出していただきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) いま局長が答弁しましたのは、上田委員がおっしゃいましたような事実を肯定してその上で新しい見解を申し上げると言ったわけではなくて、いま突然示された地図を残念ながら外務省は知らなかった、そこでさらに検討をして答弁をいたしますと、こう言っているんです。
○上田耕一郎君 その答弁が出てこなきゃ続かないですよ、私の質問は。
○委最長(町村金五君) 外務大臣、御答弁願います。
○国務大臣(園田直君) いま突如と言われたものでありますから、さらに検討して答弁したいと思っておりましたが、いま答弁しろということでありますから答弁をいたします。 いま示された地図は、軍備制限の目的のための地図でありまして、領土の帰趨を決定するための地図ではございません。その証拠には、いま拝見しました千島列島の赤い印の中には歯舞、色丹が入っております。これは米国、日本その他軍備施設の制限をすべき地域を規定するためのことでありまして、参考にはなるかもわからぬが、これによって領土の帰趨を決定すべきものではない。 以上御答弁をいたします。
○上田耕一郎君 六九年に国連で条約法に関するウイーン条約というのがありますね。これに「条約の解釈」というのがありまして、第三十一条でいろいろ決めてある。条約の中身についていろいろ解釈上問題が生まれた場合、その条約交渉でいろいろ生まれている合意とか文書とか、こういうものを見て決めるということになっている。アメリカと日本とでアリューシャン、千島列島、これは相打ちで軍備制限区域に決めたんだから、日本のワシントン条約の十九条にある千島列島はどの範囲かということを関係国で合意して決めたはずなんですよ。その証拠が外交文書館のだれでも見られるところにとじ込んであるんですから、ひとつ経過を全部調べて、それが明確だったら、千島列島の範囲というのはこの範囲だということで明らかなわけですから、いままでの論拠は全部崩壊しているのです。改めて。千島返還問題の歯舞、色丹、あるいは択捉、国後についての政府の新しい見解を、これまでと違うものを出していただきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) これが千島列島の領域を示すものであれば、歯舞、色丹は入っていないはずであります。歯舞色丹が入って赤い印をつけてあるということは、軍備制限の地域を示すものであって、日本国の領土の帰趨を示すべきものではないことは明確であります。
○上田耕一郎君 そうじゃない。だから、調べてから言えというんだ。十九条には「太平洋ニ於ケル日本国ノ下記ノ島嶼タル領土及属地」「千島諸島、」とあって、歯舞のことはこれは入っていないんだから。この書かれている千島列島、日本の領土、それがどの範囲かということを文書で確認しているはずですから、経過を調べて、あなたも初めてきょう見たのだから、よく調べてから答弁いただきたい。
○国務大臣(園田直君) だから、私の方では、上田委員がわざわざ苦労されて探してこられた資料でありますから、ここで突然答弁しては礼儀を失するから、もう一遍検討して答弁いたしますと、こう言ったら、それを答弁しなきゃ委員会は進められぬとおっしゃるから私はやむを得ず答弁しているんで、そういうことであればもう一遍十分検討して答弁をいたします。
○上田耕一郎君 じゃ、そうしてください、これ以上進まないですから。
○国務大臣(園田直君) 苦労されて調べられた質問に対して検討いたしました結果を答弁いたします。 いま拝見しました地図は、これは軍備制限のための目的につくられた地図でありまして、したがって、米領、日本領を赤字で引張ってありますが、その中に歯舞、色丹が明瞭に書いてございます。この地図のとおりだとすれば、歯舞、色丹も千島列島だということになります。そういうことで、そういう領土の帰趨を示したものではなくて、軍備制限の地域を示したものであるということを答弁いたします。これ以上は見解の相違でございます。
○上田耕一郎君 だから、調べてほしいというんです。アメリカ、イギリスと日本との合意範囲に、じゃ歯舞、色丹が当時入っていたのかどうなのか。千島列島ですからね。歯舞色丹のことは条約に書いてないんだから。それを調べてほしい。そうして答えてください、調べてから。
○国務大臣(園田直君) 文句で書いてなくても、地図には歯舞、色丹が明瞭に入っております、赤い点線の中に。
○上田耕一郎君 だから、経過を調べてください、そういうふうに簡単に推測で言わないで。
○国務大臣(園田直君) それならば、先ほど言うように、礼儀を尽くして検討しますからと。調べて返答しなければ委員会が進まぬというんだったら、私はここで答弁する以外に道はありません。
○上田耕一郎君 調べてからちゃんと言ってください。
○国務大臣(園田直君) こういうことは話し合いでいかなきゃね。こっちが礼儀を尽くしたら、あなたの方もそこは御理解を願わなければと私は存じます。
○委員長(町村金五君) 上田君に申し上げますが、もう少し調べたものは上田委員のもとに明日お届けすることとして、きょうの質疑はひとつ御続行を願いたいと思います。
○上田耕一郎君 これはしかし礼儀は私も尽くしたいと思いますよ。しかし、日本の主権の大問題なんだから。政府がずっと言ってきた国後、択捉、歯舞、色丹四島返還の論拠がこれで崩れたんだ。そういう大問題だから、ちゃんと出してほしいということです。
○国務大臣(園田直君) つぶれたとは思っておりません。あなたのおっしゃることと私の答弁と見解が違っておるだけでありますから、つぶれたというわけじゃございません。
○上田耕一郎君 だから、経過を調べてから言ってください。それでなければできないですよ。これから先を進めるわけだから。
○国務大臣(園田直君) どうか、それならば、もう一遍慎重に検討して答弁をしますから、これは留保して質問は続行していただきたいというのが私の希望でございます。
○内藤功君 委員長、議事進行について。 いま上田委員が指摘されましたように、この千島列島の中に択捉、国後が入っているという明確な地図がすでに出されたわけです。そして条約局長はこれはきょう初めて見たと、こう言っておるんです。国立公文書館に行ってこれを調べると言っているんですから、これを調べた資料を上田委員のもとに速やかに提出をしていただきたい、これが審議の前提でございます。そして、その後に――質問というのは論理的に組み立てられているのでありますから、それをまずお出し願うように委員長の方からも強く言っていただき、外務省当局も努力をしていただきたい、これが先決でございます。はっきり申し上げます。
○委員長(町村金五君) いまの内藤君のお話は、資料の提出と私はむしろ考えますので、これは外務省の方で早急に出させることにいたしますけれども、きょうの御審議はそれとは別問題でひとつぜひお続けいただきたいと思いますけれども、上田君、どうぞひとつお願いいたします。上田君、大臣の御答弁はかなり明快に私は行われたようにも思いますので、資料は資料として別途提出をさせることにいたしまして、きょうの御審議はひとつぜひ御続行願いたいと思いますけれども。
○上田耕一郎君 私はただ資料を要求しているんじゃなくて、このワシントン会議で日本の領土という千島列島について関係国間でどういう確認が行われたかをちゃんと出してほしいということと、もし千島列島の範囲に択捉、国後が入るということをこのワシントン会議の条約で明確にしてあったとすればこれまでの論拠が崩れるから、新たに政府見解を出してほしいということを述べました。この点はいかがですか。
○国務大臣(園田直君) さらに外務省にある資料を調査をすること、そして調査の結果を上田委員に報告をいたします。そこで私のいま申し上げている見解が崩れればあなたのおっしゃるとおりであるし、崩れなければ、あなたはそのまま質問はなされるべきでありますが、いずれにしても、きょうのところは、あとの質問を続行していただければありがたい、こういうことであります。
○上田耕一郎君 それでは委員長の指示に従いまして、別の質問に入ります。 千島列島返還の国際法上の前提は、つまり述べたように、サ条約二条(C)項を廃棄しなければならぬということですけれども、もう一つ政治的前提があります。これはやっぱり安保条約廃棄、日本が非同盟中立の国になるということがソ連に千島を日本に返還させ得るそういう前提になるんだ、そうわれわれは考えております。この点で、先一般、わが党が棄権した国会決議、これはソ連の択捉、国後における軍事基地建設に関する一月二十九日の防衛庁の発表から発展したわけですね。改めて択捉、国後における軍備増強なるものの正確な内容を答えてほしい。
○国務大臣(山下元利君) わが国固有の領土であります国後、択捉両島地域に、昭和三十五年以来、国境警備隊程度のものでありましたところが、昨年の夏以降、相当数のソ連軍部隊が増強され、基地が建設せられたということ、そのことが、私どもとして情報を収集しておりましたところ、結氷期を迎えて一応その動きが一段落いたしましたので、その機会において確信の持てるところにおいて公表した次第でありますが、国後島には地上部隊の数千名、強いて言えば旅団クラスの兵力が増強されております。
○上田耕一郎君 国後にある飛行場の滑走路の延長もありましたか。
○国務大臣(山下元利君) 国後島における滑走路は、従前のものと変わったということを確認しておりません。
○上田耕一郎君 二月五日のある新聞は、一面トップで、航空写真を撮って、三千五百メートル級の大滑走路に増強されているというのを書きました。翌日、他の新聞も二紙が書きまして、その後また一紙が書いて、日本の大新聞のほとんどがいままで二千メートル級の国後の滑走路が三千五百メートル、四千メートルになったと、あらゆる種類の飛行機が飛べるようになっている大飛行場が整備されつつあると、こういう報道があるんですけれども、それではこの報道は誤報でしょうか。
○国務大臣(山下元利君) 私は、その報道についてこの場においてとやかく言うことは差し控えたいと思いますが、われわれの持つ情報におきましては、従前のものが拡張されたということは確認しておらないのであります。
○上田耕一郎君 泊港の港湾施設はどうなっていますか、変化がありますか。
○政府委員(岡崎久彦君) 昨年夏以降、泊地域を含みます国後島南部及び中部地域におきまして新たに軍事施設、建物等が建設されている模様は存じておりますが、港湾施設の増強等、詳細については承知しておりません。
○上田耕一郎君 それでは、二月五日に政府がソ連大使に会って撤回を要求した新しい軍事的措置というのはどういうものなんですか。
○政府委員(岡崎久彦君) それは新たに配備されました地上軍及び軍事施設と推定されます建築物等でございます。
○上田耕一郎君 その建築物というのは、中身はどうですか。
○政府委員(岡崎久彦君) 中身は外部からはうかがい知ることはできません。
○上田耕一郎君 規模がわかれば。
○政府委員(岡崎久彦君) 前提といたしまして、これは総合的な判断でございまして、数千人程度の増強であろうということから、これは施設の規模から人数を推定したものでございますし、それから大体のその兵力の規模から施設を推定したものでもございます。
○上田耕一郎君 基地の建設といっても、ミサイル基地とかなんとかというんじゃなくて、数千人の人が入る兵舎ですか。
○政府委員(岡崎久彦君) 兵舎及びその他の建築物でございます。
○上田耕一郎君 どうも驚くべき話で、日本の責任ある大新聞が大飛行場が建設中だということを続々報道しまして、ところが、そうじゃないということです。ところが、政府の方はこれに対して誤報、違うじゃないかという指摘もそうしない。新聞も報道しっ放しで、わずか一紙が後でちょっとコラムで書いた程度にしてあるんですね。ところが、国会決議がわが党を除いた賛成で成立すると、自民党の金丸国対委員長は、この国会決議とE2C反対は自己矛盾だなどと述べ始めるわけですね。こういう誤報キャンペーンをE2C導入のために利用しようとする意図的なやり方だと思う。防衛庁は、この国後、択捉の軍備増強なる問題で日本側としても何らかの軍事的措置をとるつもりがあるんですか。
○国務大臣(山下元利君) E2C導入のための意図あるようなことではないかというのは、そのようなことは絶対ございません。 それから何でしたか、お尋ねは。
○上田耕一郎君 新しい軍事的措置をそのことで日本側としてもとるつもりがあるかどうか。
○国務大臣(山下元利君) 昨年の夏以来、その数千名の部隊並びにそれに関する施設が増強されていることはもう事実であります。私どもといたしましては、その昨年の夏以来の動きを十分に監視して、おさおさ怠りなく監視しているところであります。
○上田耕一郎君 政府のやっていることは、千島返還問題で国際法上の解釈もさっき明らかにしたように成り立たぬ言い方で、政治的にも本当に安保条約をなくして非同盟中立という方向にいかないで、こういうキャンペーンをやっているという点で、やっぱり国民の希望に逆行するものだと思う。 わが党は、そういうやり方でなく、本当の日ソ友好のためにも、またアジアの平和のためにも、正々堂々とこの問題を国際的にも提起する、国民的世論の一致を得て取り組む、そういうやり方で、困難な問題だけれども、南北千島の返還を実現するために努力すべきだと思いますけれども、首相の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(園田直君) ただいまの発言には明確にお答えをしておきたいと存じます。 四島返還その他の問題で、日米安保条約があるから困難であるから、これを廃棄をして非同盟の立場をとれということでありますが、これは絶対反対であります。私は、グロムイコ外務大臣に、日米安保条約は、日米安保条約を中心とする日米関係は日本政治、外交の基軸であるということを明確に議事録にも残してございます。日本は日米安保条約を基軸にして権衡の平和を追求するという考えには変わりございません。
○内藤功君 ちょっと議事進行について。 やっぱり資料を提出してください。それからでないと質問できません、後の質問が。
○委員長(町村金五君) 上田君、御質疑を御続行願います。
○上田耕一郎君 はい。この問題千島問題については、先ほどの経過もありますので、早くやっぱり政府の資料並びに見解を提出していただいて続行したいと思います。 それでは次に、地方財政問題についてお伺いします。 大平首相、田園都市構想のことを述べられておりますけれども、地方とともに大都市問題も避けられない深刻な問題になっておりますが、田園都市構想では東京など大都市問題についてどういう認識を首相はお持ちでしょうか。
○国務大臣(中野四郎君) お答えをいたしますが、田園都市構想は三全総に言う定住構想と方向を同じくしたものでありまするから、私から御答弁をしたいと存じます。 いまお尋ねの大都市をどういうふうにするかということでございますが、これはわが国の長期にわたる国づくり、いわゆる日本国土の見直しをしようというのでありまするから、過密過疎ということも十分勘案いたしまして、大都市だけ除くというのでなく、地方都市並びに農山漁村も含めて、これを将来のあり方として計画を立てようとしておるわけでございます。
○上田耕一郎君 首相。
○国務大臣(大平正芳君) 田園都市構想は、大都市それから地方都市、農山漁村すべてを含めまして構想いたしておるわけでございまして、大都市を除くというようなことは考えておりません。
○上田耕一郎君 経済企画庁、七二年度経済白書は、都心で千人の就業者がふえると三十四億円の追加的社会資本が必要としておりますが、この内訳と試算の根拠を聞きます。
○政府委員(佐々木孝男君) お答えいたします。 四十七年の経済白書におきましては、都心に千人の就業者が新たに増加する、その場合に新規の社会資本がどのくらいになるかということを試算しております。 その内訳は、地下鉄六・一億円、地上鉄道二・九億円、道路三・二億円、住宅及び周辺の社会資本二十一・四億円、計三十四億円が必要であると試算しております。で、このような計算はいろいろな仮定を設けてしたものでございまして、鉄道などにつきましては、混雑度というようなものも計算に入れましてかなり大胆な仮定の上に計算したものでございます。四十七年の経済白書をつくります過程におきましては、担当者がかなりの時間をかけましてこのような計算をいたしましたので、同様の方法で五十三年において行うことは短時間には非常に無理であると考えております。 さらに、四十七年当時と今日とを比較いたしますと、いわゆる成長率それ自体が非常に下がっておりますし、また、都市への集中という状況にも変化を来しておりまして、このような状況の変化をどう織り込むかということも検討しなければならないと思っております。しかし、こういう状況の変化というものを全くないものといたしまして仮に四十七年の数字をふくらます、こういうことでございますと、国民所得統計の政府投資デフレーターが当時から計算いたしまして約一・八倍になります。地価もほぼ同様に上昇しておりますので、おおよその感覚といたしましては、この程度の倍率で計算する以外にはなかろうと思います。ちなみに三十四億円を一・八倍いたしますと、約六十一億円になります。
○上田耕一郎君 つまり、いまの七八年に換算しると六十一億円という御返事がありましたが、これは最小限のことで、恐らくいろいろ計算する百億円ぐらいになると思うんですね。これは大変なことで、都市に人口が集中してくるとどういうことになるかということで、都心にビルがふえて千人もし就業者がふえると、社会資本がいまの金で恐らく百億円前後かかっちゃう、住宅を建てたり道路をつくったり。だから池袋のたとえばサンシャイン60のビルは、あれに全部もし人が入ると一万三、四千人収容ということになるんですね。そうすると、このビル一つふえることで約一千億円前後の社会資本の投資が必要になる。これは国と自治体が結局負担しなきゃならぬわけです。 そういう点を考えますとね、非常に大都市というのは資本並びに人口が集中して金がかかる、この首都東京には資本金五十億円以上の会社の本社の六割が集まっているわけですから。ところが、一方、収入は最近の不況で減っていると思う。長期不況で、法人二税に依存することの多い大都市圏の自治体の最近の税収減の状況はどんなふうになっているんでしょうか。
○政府委員(森岡敞君) 法人二税に大きく税収入が依存しておりますのは、最も端的なのは東京、大阪、神奈川、愛知四県だと思いますが、神奈川県、愛知県につきましては、おおむね全国の都道府県の平均の伸びとそれほど大きな変わりはございません。最近五年間の全国の都道府県平均で一・四七倍でございますか、大体その辺のところでございます。ただ、東京都は一・三八倍、大阪府は一・二九倍でございますので、この両都府は全国平均よりも相当落ち込んでおると。そのことはやはり御指摘のように法人関係税が大変税収入に大きなウエートを占めておるものですから、景気の状況によりましてそういう状態になっておるということでございます。
○上田耕一郎君 そういうひどい税収の落ち込みに対して、政府はどういう対策をとってきたでしょうか。
○政府委員(森岡敞君) この落ち込みの内容が、いま申し上げましたように、法人事業税あるいは法人税割の収入の減でございますが、これらにつきましては、減収補てん債という起債の発行を認めまして、それによりまして必要な財政収入が確保されるように、財政運営の円滑な執行ができますように措置をしてまいったわけでございます。
○上田耕一郎君 この赤字比率が市町村では二〇%を超え、都道府県では五%を超えると、起債制限団体に突き落とされるということになっていますが、この数字の根拠は何でしょうか。
○政府委員(森岡敞君) 地方財政再建促進特別措置法によりまして、いま御指摘のような起債制限比率を設けて、一定の割合以上に赤字がなりました場合には地方債の発行を制限することになっているわけでございますが、御指摘のように、県の場合には一般財源に対しまして五%以上の赤字が出た場合、市町村の場合には同様に一般財源に対して二〇%以上の赤字が出た場合になっておりますが、これは財政再建といいますのは、仮に一年間で赤字が消せるものでありますれば何も起債制限をする必要はございません。やはり二年とか三年以上ということでございましょう。 そこで、私どもが一般財源の中から消していける赤字、単年度で消せる分量というものはどの程度であるかということを過去の実績からとりました。そういたしますと、大体、県の場合二・五%、市町村の場合に一〇%ぐらいですと、これはまあ単年度で消せる。しかし、それ以上になりますと単年度では消せないということでございますので、その二倍、したがって五%、二〇%という数字を決めまして、準備期間を含めますと三年以上赤字を消していくのにかかるという基準を設けておるわけでございます。
○上田耕一郎君 国の場合は、建設国債を除く赤字債の歳入あるいは経常支出に対する比率はどうなっているんでしょうか。
○政府委員(長岡實君) 建設国債を除く公債の歳入全体に占める割合でございますか、いまのお話は。
○上田耕一郎君 はい。
○政府委員(長岡實君) 私どもは、特例公債の依存度という御説明を申し上げますときには、予算全体を経常部門と投資部門に分けまして、経常部門を賄う財源のうち特例債がどの程度を占めておるかということで御説明申し上げております。 その数字を申し上げますと、御承知のように、特例債を発行いたしましたのは昭和五十年度の補正後でございますが、その補正の段階でその特例公債依存度の割合は一三・九%、それから後は、当初予算で申しますと、五十一年度が一九・三%、五十二年度が一七・八%、五十三年度が一八・四%――ただし、これは五月分税収の取り込みをいたしておりますので、私どもは実質的には二四%程度の依存度と申しております。それから、ただいま御審議いただいております五十四年度の予算が二七・一%でございます。
○上田耕一郎君 先ほどの説明だと、市町村、県の場合には三年で取り崩しができると言っていますが、国の場合はこれ何年ぐらいで取り崩せるんですか。
○政府委員(長岡實君) 国会に御提出申し上げております財政収支試算によりますと、五十九年度に特例公債の依存から脱却したいという試算になっております。
○上田耕一郎君 大平首相にお伺いしますけれども、国の場合は国債依存度四〇%なのに無制限に国債を発行していいと、ところが都道府県には五%という厳しい制限ですね、これがついているのですね。ちょっとおかしく思われないですか。先ほどの大都市需要を満たすための起債をもっと認めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 御承知のとおり、国の財政が国民経済なり国民生活に及ぼす影響は非常に大きなものがあるわけでございまして、そのときそのときの社会経済情勢に応じて財政運営を図って、経済の伸長、国民生活の安定を図ってまいらなきゃなりません。そういう意味において、もちろん地方団体も国民生活に大きい影響を及ぼしますけれども、国家財政は際立って大きなウエートを占めておりまするから、これに起債制限の枠をはめるのは必ずしも適切な措置とはわれわれは考えておりません。
○上田耕一郎君 大都市の場合に、もっと起債を五%なんというのじゃなくて認めるべきではないかということなんです。これも答えてください。
○政府委員(森岡敞君) 国の財政の場合には申し上げるまでもないことでございますが、景気対策あるいは経済政策その他の観点からやはり公債の発行について伸縮性というものはかなり持ち得るものだというふうに私は思います。しかし、地方財政の場合、個々の地方団体の財政を考えますと、国と同じような形あるいは規模、状態で地方債を発行いたしますと、将来のその団体の財政というものは恐らく大変混乱をし破局に陥る懸念がございます。したがいまして国家財政と地方財政のその辺の基本的な違いというものは私はあると思うのでございます。そういう意味合いで、いまの赤字比率が五%、二〇%というのは、現在及び将来の地方財政の健全性を確保いたしてまいりますためにはやはり妥当なものではないか、かように考えております。
○上田耕一郎君 妥当と言いますけれども、実態にはいろいろ問題があるんですね。もう一つ、公債費が二〇%を超えると起債制限団体に転落するということがありますね。 ここで文部大臣にお伺いしたいのだが、人口急増都市がありますね。こういうところで小中学校建設に追われるわけですよ。財政的な問題があっても、人口がふえればやっぱり小中学校は自治体としては建てなきゃならぬわけでしょう。
○国務大臣(内藤誉三郎君) お説のとおり、人口急増の市町村では、やっぱりこれはどういう事情があっても学校を建てなきゃなりません。 そこで、従来から、文部省では児童生徒急増地域の施設対策を重点として進めておりまして、昭和五十四年度予算においては、一般公共事業費の伸び率は二二・五%ですが、公立文教は急増地域を含めて二九二%、非常に高率になっておりまして、総枠が五千五百三十八億を計上しております。そこで施設はどうかと申しますと、児童生徒急増市町村における小中学校の校舎の新増築事業に対しましては、昭和四十八年度から三分の二の高率補助を行っておりまして、昭和五十三年度においてこの措置は五カ年間延長して児童生徒急増対策に対処することにしたのであります。 それから用地関係につきましては、小中学校用地取得費については、児童生徒急増地域につきましては補助率三分の一の国庫補助を行っておりまして、さらに昭和五十四年度におきましては交付率を七割から七割五分に引き上げるとともに、事業量を大幅に引き上げて用地取得の円滑を実施しているのでございます。 このように、児童生徒急増地域における小中学校施設については、国庫補助制度の優遇と相まち、地方財政措置の充実と並んで、地方負担の軽減を図っているところでありますので、現行制度はおおむね妥当ではないかと考えております。
○上田耕一郎君 いろいろやっているんだが、とにかく建てなきゃならぬわけですね、人口急増地帯で。ところが、こういう人口急増地で学校建設その他にどんどん起債しなきゃならぬので、公債費が二〇%を超えて起債制限団体に転落した自治体があって、現に生まれているわけですね。この実態を報告していただきたいと思います。
○政府委員(森岡敞君) 先ほどお話しの財政赤字が一定割合以上になった場合に地方債の制限を受ける、もちろんこれは御承知だと思いますが、財政再建団体になって再建計画を出せば、それは別でございますけれども。そのほかに、地方債の運用につきましては、やはり私どもは健全な地方財政の運営ということを頭に置きまして、公債費が余り過大になりました場合には、地方債の発行についてある程度の抑制措置を考えていく必要があろうということで、地方債の詮議方針におきまして一定のラインを設けております。それがいま御指摘の公債比率が過去三年の平均で一般財源の二〇%を超えた場合。ただ、二〇%を超えました場合でも、二〇%から三〇%までですと、いわゆる一般単独事業などだけしか制限いたしません。三〇%を超えました場合には、これはもう大変な危険ラインでございますから、それ以外のものについても制限をいたす。ただ、災害復旧事業債などは別でございます。 いずれにしましても、そういう基準を設けております結果、現在どうなっているかと申しますと、県にはこういう団体はございません。市町村が八団体でございます。これらの八団体を見ますと、たとえば過剰投資をしたとか、あるいは用地の先行取得を余り過大にやり過ぎたとかいうふうな団体がほとんど、そういう特殊要因のあるところがほとんどでございます。また、今後もこれが爆発的にふえるというふうに私どもは見ておりません。ことに、いまお話しの義務教育施設債のようなものにつきましては、地方交付税の基準財政需要額に元利償還費を算入いたします。その公債費は起債制限比率を計算する場合の公債費から除外をいたしております。そういう状況でございますので、これが急激にふえていくという懸念は現在のところ私ども持っておりません。
○上田耕一郎君 たとえば大阪で五十三年度高槻市、それから五十四年度交野市、これがそういう状況になっているようですけれども、この状況どうですか。
○政府委員(森岡敞君) 高槻市の場合には二〇・三%でございますが、大阪周辺は高槻市以外にも幾らも人口急増団体がございますし、義務教育施設を急ピッチで建設しなきゃならぬという状態にあるところは幾らもあるわけでございますが、その中で高槻市だけが起債制限比率の二割を超えておるということでございます。これらにつきましては、高槻市の事業投資の内容につきまして、他の都市とは違ったやっぱり特殊な要因があるというふうに見ております。
○上田耕一郎君 これは朝日によりますと、この交野市は「六年間に小学校四校、中学校三校の新設に追われ、」等々ということで、やはりこれは大変なことだと思うんですね。それで、結局、人口急増で小中学校を建てなきゃならぬ、ほかの施設も建てなきゃならぬというのは市の責任じゃないわけですよ。ところが、市の責任じゃないことなのにやっていると起債制限団体に落ち込んじゃって一般単独事業もできない、もっとふえてくると厚生福祉事業も何もできなくなる、非常に冷たいと思うんですけれどもね。これは大蔵大臣、自治大臣、何とかならぬのですか、市の責任でないのに、こういう状況に落ち込むということは。
○政府委員(森岡敞君) 先ほど来、文部大臣からお話がありましたように、義務教育施設につきましては補助率その他相当な措置を講じておりますが、なお今後とも私どもといたしましては、その拡充をお願いいたしたいとは思っております。
○上田耕一郎君 小中学校建設には先ほどの若干のあれがあるというのはありましたけれども、あと高校建設の問題が出てくるわけで、補助金にひとつやはり問題があると思います。 文部大臣にお伺いしますが、東京、大阪で今後五年間高校をどのぐらい建設しなきゃならぬかということと、大都市で一校当たり高校の建設費、用地費を含めてどのぐらいかかるか、お伺いします。
○国務大臣(内藤誉三郎君) いまお話しのように、高校がどのぐらい要るか、高校の在籍者のピークは昭和六十四年度と推定されております。で、今後の高校の新設または学級数の見通しが非常に流動的なので、各県においていろいろ検討しておりますが、正確な数字はまだ理解できないんですが、教育委員会が生徒の増加数等を勘案して検討しております資料によりますと、東京都においては今後五十四年、五十五年までに約二十校程度、大阪府においては約十五校程度の新設を見込まれると聞いております。
○上田耕一郎君 大蔵省にお伺いします。 高校建設に対する国の補助はどうなっていますか、用地費問題も含めて。
○政府委員(長岡實君) 公立高等学校の新増設の補助の予算でございますが、高等学校の施設整備は、従来は地方公共団体の事務としてその財源は地方債及び地方交付税で措置してきたところでございますが、高校生の急増に対処するため、五十一年度から、高校生が急増しております都道府県に対して五カ年間の緊急対策として一定要件のもとに建物整備費について補助を行っております。予算額は、五十一年度四十億円、五十二年度百九億円、五十三年度百九十三億円、五十四年度二百二十四億円でございます。 なお、用地費補助につきましては、学校用地は建物と異なりまして非償却資産であることから、従来、その取得費は一般的には起債により措置されてきたところでございます。現在、国庫補助は、義務教育施設においてすら児童生徒急増市町村の公立小中学校の用地取得費に対して例外的に補助をしておるにすぎない実情にございまして、高校の用地に対する国庫補助は、私どもといたしましては考えておりません。
○上田耕一郎君 やっぱり大都市で数十億円かかるような高校建設、これは用地費は全く補助してないというような状況があるわけですね。裁判にまで超過負担問題がなりましたけれども、特に学校、保育所などの生活関連に大きいわけです。 昭和五十一年度、東京における超過負担は千九十六億円、補助金の不足額は五百八十九億円に上っている、そう言われているわけです。ところが、産業基盤関係は扱いがまるで違って、道路なんというのはもう至れり尽くせりの補助が出ていると思いますけれども、超過負担が出ないようになっているんじゃないですか。建設大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(渡海元三郎君) 御指摘のとおり、道路で超過負担は聞いておりません。
○上田耕一郎君 道路には超過負担が出ないと。 東京、大阪の最近の行政投資実績における産業基盤と生活基盤のそれぞれの国の財源負担率はどういうふうになっているでしょうか。
○政府委員(森岡敞君) 何を産業基盤とし何を生活基盤とするかという分類がむずかしゅうございますけれども、一応、土木、農林というふうなのを産業基盤とし、教育、民生などを生活基盤と考えてみますと、産業基盤整備の事業費のうち、東京都の場合、国費部分が二八%でございます。これに対して生活基盤整備が二二・八%程度でございます。大阪府は産業基盤整備が三四・四%、生活基盤整備が一二・五%でございます。このように数字が違いますのは、結局、それぞれの団体が行います単独事業の分量というものに左右されておるという面が多いと思います。
○上田耕一郎君 東京の産業基盤の国の比率、これはまあ分類が違うようですけれども、東京都の出した資料ですと、国の負担は六四%近い。生活基盤については国の負担が二九・七%。明らかに国の負担は産業基盤の方が厚いわけですね。これは高度成長政策のやっぱり名残であって、こういう補助金のあり方が生活基盤の比重の多い大都市財政を非常に圧迫している、打撃を与えているということは否定できないと思う。 総理にお伺いしますが、もっと生活基盤への補助を厚くすること、さらに自治体の自主性を生かすような総合的な補助金制度を導入すべき時期が熟しているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、公共事業、公共投資におきましては、産業関連から生活関連へだんだんと重心を移しつつございますことは、数字を御点検いただければ、御理解いただけると思います。今後、仰せのように、そういう方向にますます努力をしてまいらなければならぬと考えております。
○上田耕一郎君 残りは明日にさしていただきたいと思いますが。
○委員長(町村金五君) 上田君の残余の質疑は明日行うことといたします。 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十一分散会