地方行政委員会 第9号
- 発言数
- 171 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1979/05/29
会議録
○委員長(永野嚴雄君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二十三日、長谷川信君が委員を辞任され、その補欠として坂元親男君が選任されました。 —————————————
○委員長(永野嚴雄君) 理事の補欠選任に関する件についてお諮りいたします。 神谷信之助君が一時委員を異動したことに伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(永野嚴雄君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に神谷信之助君を指名いたします。 —————————————
○委員長(永野嚴雄君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。 日本専売公社法等の一部を改正する法律案について、大蔵委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(永野嚴雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(永野嚴雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(永野嚴雄君) 地方行政の改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○志苫裕君 最初に、私はきょう主として金大中事件についてお伺いをするんですが、非常に重要な判断を伴う答弁もお願いをする予定でおるわけですが、こういうときには長官おいでになる方がよろしいんですが、きょう長官はどういう日程でございますか。
○政府委員(小林朴君) 長官は、ただいま陛下に随行されまして植樹祭に、愛知県の方に出張中でございます。
○志苫裕君 それは、長官は陛下が行くときには必ずついていくんですか。そういう慣例ですか。
○政府委員(小林朴君) 慣例でございます。
○志苫裕君 慣例ですか、じゃ、まあ災難というか天難ですな、これは。いずれこのことは後日にいたしましょう。 まず、金大中拉致事件に関するアメリカの公文書が公表をされたわけでありますが、これはアメリカ大使の通常の職務として行われたもので証拠能力もある、こう法務当局も認めておるものでありますが、これら一連の公表文書に対するわが国の捜査当局としての評価をまずお伺いをしたいと思います。
○説明員(柴田善憲君) 今回公開されました文書は、外国の公文書でございますので、私ども捜査をする立場の者といたしましても相応の敬意を払うべきものであると、このように考えております。 そこで、それではこの文書が捜査にすぐ役立つような中身があるであろうかという点を検討すべきものと考えております。とりあえずの検討でございますが、そういう意味では直ちに捜査に新たな手がかりを与えるような内容はないのではないかと、このように考えるわけでございます。いずれにいたしましても、現在外務省におかれましてすべての文書、その関係を総合的に調査検討中ということでございますので、私どもといたしましては、その結果を待ちましてさらに捜査的に詳細に検討をいたしまして、捜査上役立つものがないかどうか検討を続けてみたい、このように考えております。
○志苫裕君 申し上げるまでもないことでありますが、当時のハビブ在韓アメリカ大使の公電によりますと、事件発生の直後にためらわずにKCIAとコンタクトをとっておる。あるいは、その翌々日の十日には、KCIAが絡んでおる、こういう認識を示しておる。その翌日には、KCIAが犯人だとののっぴきならぬ証拠をつかんだと、こういう公電を打っておるわけでありますが、在韓アメリカ大使館が独自の情報活動によって非常に早い機会にKCIAの犯行を突きとめたことがこれらの一連の公電ではうかがえるわけでありますけれども、米大使館がつかんだ程度の情報というのは、日本の捜査当局もつかんでいたわけですか。
○説明員(柴田善憲君) このハビブ公電を見ましても、具体的な中身は書いていないわけでございますが、のっぴきならぬ証拠をつかんだ云々といったようなことは書いてあるようでございます。 そこで、私どもでございますが、日本の捜査の進行の中からは、今日に至るまでこの事件がKCIAの犯行であったともなかったともつかめておらないというのが実情でございます。
○志苫裕君 八月十一日の公電、すなわち大要は、金大中誘拐には恐らくKCIAが絡んでいるとの憶測に傾いておるというくだりが前段にありまして、後段の方では、この情報は日本側に伝えず、まあ彼らには——日本の捜査当局ということですが、彼らには彼ら独自の捜査で最善を尽くさせるべきだと、いわば日本の捜査当局に言及するくだりがあるわけでありますが、この文言を皆さんはどうお読みになりますか。
○説明員(柴田善憲君) 日本に提供すべきであるとは考えないという点でございますが、私どもといたしましては、これはアメリカ側の判断でございまして、米国が御指摘のような情報をわが方に提供しなかったと、それをわが方はどう思うかという——アメリカ側の判断でございますので、論評はちょっとむずかしいように読んでおります。
○志苫裕君 この情報は日本に伝えないというのはアメリカのことですから、それは論評ができないかもしれない。その次に続く文章は、彼らには彼らの独自の捜査で最善を尽くさせるべきだという種類の文言がありますよね。この部分の評価を聞いているわけだ。
○説明員(柴田善憲君) このハビブ公電によるまでもなく、日本の捜査当局としては最善の努力を当時から今日まで続けてきておるわけでございます。
○志苫裕君 参事官もそれ以上——ただ、読みようですけれども、続けて、アメリカ側がのっぴきならぬ証拠をつかむということにこの文章の筋書きはなるわけでありますが、まあ在韓米大使館の情報が日本に伝えられれば、一般常識としては、いわば新しい情報を日本の捜査当局も得るわけでありますから、捜査が進展をするということが考えられます。そうですね。
○説明員(柴田善憲君) どのようなものをのっぴきならない証拠云々とおっしゃっているのかはわからないわけでございますが、われわれ警察としては、その後、当初の捜査から今日まで、わが方の捜査を全力を挙げてやってきている。アメリカ側のこのような判断と申しますか、についてはやはり何も言えない立場と申しましょうか、アメリカはアメリカ側の決定、全くアメリカ側だけで決めるべき事柄というふうに考えますが。
○志苫裕君 通常この種の情報の交換というものはあるわけですか。特にこれでは伝えない、あるいは彼らに最善を尽くしてもらえという、そういう断りが入っているところを見ると、通常の場合はどうなんですか。
○説明員(柴田善憲君) 通常の場合におきましても、伝えるということはないと思います。したがってこれは、通常やっているけれども今回だけはストップしておこうと、こういう感じには読めないものだと思います。
○志苫裕君 まあそれはそれでなんですが、私の認識では、このくだりはやはり、情報が日本に伝えられれば当然日本の捜査はそれなりに進展をするわけで、進展をすることからくる日韓関係等についてアメリカが何がしかの配慮を加えた、こういうふうにも読めるわけでありますが、このことはいいです。いずれにしても、アメリカ大使館が独自の情報活動によってKCIAの犯行を突きとめたことがうかがえるけれども、日本の捜査当局ではそこまで至っていなかったというように理解をしていいんですね。
○説明員(柴田善憲君) その通りでございます。 まあこういうことでハビブ公電というものが公開されまして、この中にこういう文言もあるわけでございます。そこで先ほど申し上げましたように、現在の外務省の総合的な調査検討の結果を待ちまして、私どもといたしましてはこういう点も含めて捜査上の参考にしていくことを検討したいと、このように考えているわけです。
○志苫裕君 おいおいとまた後ほども伺いますが、やがて、こののっぴきならぬ証拠を突きとめたという公電後しばらくたちますと、一九七五年に入ると、金外相から、拉致事件に責任のあるKCIA要員の金東雲はKCIAから解任をされることになったと、こういう公電に——これは大使がかわっていましてスナイダー公電になるわけであり、それから出てくる幾つかの公電の中には、たとえば一月二十七日の公電には、金大中が七三年日本でKCIAに誘拐されて以来というふうに、もう金大中はKCIAに誘拐されたものという前提でこの文章が始まる内容になるわけでありまして、アメリカとしてはごく当然のことのように後半になると扱うわけでありますが、それにしても事件発生即このKCIA説というようなものにアメリカが取り組んでいく模様がわかるわけであります。それぞれの国の捜査当局や置かれた立場の違いでありますからこれ以上はお伺いできませんが。 ところで、ことしの五月十六日のワシントン発共同によりますと、当時アメリカで韓国部長をしておったレイナード氏は、要約しますと、米韓安保協議で韓国へ行って、その帰りに日本へ立ち寄って外務省の北東アジア担当官数人と会談をした際に、日本の外務当局は日本の警察の報告によってKCIAの犯行であることを知ったと、こう述べておるわけでありますが、この発言、お認めになりますか。
○説明員(柴田善憲君) 日本の捜査当局は、今日に至るもこの犯行が、KCIAがやったものかKCIAがやっておらないのか、つまりその点につきましては、残念ながら捜査的な証拠を得ておらないわけでございます。したがいまして、KCIAの犯行であるということを捜査上つかんでおらないわけでございますから、それを外務省に報告するということはあり得ないわけでございます。また事実、新聞では「報告書」ということになっておりますが、そのような書面を出したこともございませんし、また口頭その他の方法でそのようなことも外務省に対して通知したことはございません。
○志苫裕君 レイナード発言——レイナードの共同通信特派員とのインタビューに出てくる日本の外務省の北東アジアの担当者三、四人、これについて心当たりはありませんか。
○説明員(柴田善憲君) 心当たりはございません。
○志苫裕君 やがてこの事件は、いわゆる第一次政治決着、外交決着に向かうわけでありますが、そこでお伺いしますけれども、この捜査当局の捜査結果といいますか、情報といいますか、こういうものは韓国側にも当然伝えられて、通知をされていろいろな協力といいますか、そういうものを求めるということが考えられるわけであります。まあ日本は一時犯人出せとこう言っておったわけでありますから、そういう意味では、日本の捜査当局の情報というのは韓国側に伝えられたと、このように皆さんは承知をしていますか。 あるいは、この機会にお伺いしたいのですが、日本政府とこう一口に言っても、これセクションがあるわけでありまして、皆さんは特捜本部のようなものを設けられて、捜査本部を設けられて、そうしていろいろな活動をなさる。それはどこかで情報を集める。それから、警察と捜査当局からもう一つ別のセクションといいますか、上の方に移って、外交当局の方にいって、韓国との窓口が設けられるというふうに考えられるわけでありますが、私が冒頭にお伺いした、皆さんの捜査結果なり情報は当然韓国側との折衝に使われるという意味で、韓国側に通知をされる、あるいは知らされるということが考えられるんですが、そのいわば情報のルートというものはどういうルートなのか。で、皆さんのそういう情報は、正確にいわば韓国側に伝えられて日本政府の折衝に使われる、このように理解をしていますか。使われたと理解していますか。
○説明員(柴田善憲君) 最初の、韓国に対する関係でございますが、これは捜査上われわれが得ました資料、そのうちで捜査の照会に必要な事項に限りまして、韓国側の捜査協力を求める必要上外務省を通じまして韓国側に照会をしてきたというふうに承知をいたしております。 それから、警視庁に特別捜査本部があるわけでございますので、警視庁から警察庁がいまのような必要な事項の外務省への伝達の橋渡しをする、外務省は韓国へと、こういうことになっておるように承知いたしております。
○志苫裕君 捜査の照会に必要な事項については韓国側に通知をされるということですが、たとえば日本の警察当局は、金東雲の指紋が出たと、それこそのっぴきならぬ証拠からあれは犯人の一人だと、こう言っておるわけでありますから、したがって、金東雲についてはこれこれこれこれのいわば証拠があると、そういういわば韓国側への通知ですね。したがって金東雲が犯人だと、たとえばそういう伝え方というものはあるわけですか。そこのところは黙っておるわけですか。
○説明員(柴田善憲君) お尋ねの金東雲につきましては、指紋が合致したということは伝えてございます。その他いろんな方の個人資料などの要請等もする必要がございましたので、個人的なそういう関係の資料等もお願いをしてきたわけでございます。
○志苫裕君 捜査当局が必要とする事項の照会あるいは通知というふうなものが、先ほど述べた警視庁−警察庁−外務省−韓国と、こういうルートだと申し上げましたが、その間にたとえば閣僚会議とか、そういうものの手を通ってろ過をされるんじゃないんですか。
○説明員(柴田善憲君) この金大中氏事件は、当時も捜査中でございまして、現在も捜査継続中の事件でございます。したがいまして、捜査状況の説明等は、当時から捜査に支障のない範囲で国会ではいろいろ御報告申し上げてきたわけでございますが、御指摘のような報告はいたしておりません。
○志苫裕君 いや、御指摘のような報告はいたしておらないから聞いておるわけでありましてね。
○説明員(柴田善憲君) ちょっと言葉が足りなかったかと思いますが、お尋ねのような閣僚会議——閣僚協議会とおっしゃいましたか、等への報告等はいたしておらないという意味でございます。
○志苫裕君 そうすると、捜査当局——いわばこの場合捜査当局というのは警視庁、それからまあ警察庁も含みましょうか、それとストレートに外務省、外務当局ということですね。そう確認していいですか。
○説明員(柴田善憲君) 警察庁が外務省に直接捜査上必要なことをいろいろお願いしたわけでございます。
○志苫裕君 そこはわかりました。で、くどいようですが、その外務当局は捜査当局がまさに犯罪の捜査の照会に必要な事項、そういうものについて正確に韓国当局に伝える、照会をすると、またそのようにしたと、こう理解をしていますかと聞いている。
○説明員(柴田善憲君) 私どものお願いしたことは正確に韓国側に伝えていただいたと理解をいたしております。
○志苫裕君 それで、韓国側から必要な資料は得られたんですか。
○説明員(柴田善憲君) 得られたものもございます。返事がないままになっておるものもございます。
○志苫裕君 まあ肝心なところは得られなかったわけでありまして、だからいまだにのっぴきならぬ証拠というものになっておらぬのだろうと思いますが、 〔委員長退席、理事金丸三郎君着席〕 そこであわせてお聞きしますが、捜査当局が突きとめた金東雲以外の犯人といいますか、容疑者といいますか、これは何人ですか。
○説明員(柴田善憲君) 突きとめたという言葉でございますけれども、御指摘の金東雲につきましては、私どもとしましては、指紋、それから目撃証言等によりまして突きとめたと端的に言ってよろしいかと思います。それで、その他でございますが、現場におりました犯人グループは六人であったと思っております。しかし、六人から金東雲を除きました他の五人につきましては、だれであったのかという点につきましては、まだ捜査上の証拠を得ておらない段階でございます。
○志苫裕君 そうすると、五人についてはいずれも証拠を得ていない。もちろん捜査は証拠主義ではありますが、指紋が出なければ容疑者を特定をできないということばかりでないでしょう、あらゆる一般的な捜査の場合ですね。そういう意味で容疑者というものを——まあ私の突きとめたという表現は、たとえば、あれは容疑者だなと、したがってそれの資料をくれぬかと、韓国側等にですね。そういう照会をしたのはいますか。 〔理事金丸三郎君退席、委員長着席〕
○説明員(柴田善憲君) 捜査の手法からいたしますと、指紋が一番確実なことは御案内のとおりでございますけれども、その他諸情報あるいは目撃その他でもかなり間違いないというところまで詰めれる場合はあるわけでございますけれども、本件につきましては、残念ながらその程度に至っておる者もないわけでございます。したがいまして韓国側に、こういう者が浮かんでいるのだけれどもこれの指紋をよこさぬかといったようなことは、これまではお願いしたことはないわけでございます。
○志苫裕君 そうすると、現場グループは六人と思われる。そのうち金東雲は、いわばのっぴきならぬ証拠が出たから金東雲だが、あとの五人が、ただいまの答弁ですとすべてが韓国人であるかどうかも問題があるところでありますが、韓国人が含まれておるということは容易に想定をできるわけでありまして、韓国まで行ったわけでありますから。日本の小倉あたりにおったというのじゃないわけでありますからね。その中には相当数の韓国人が含まれておるというのはもう状況から見て容易に想定をされるわけでありますが。そうすると残りの五人については、だれ一人として韓国側に証拠の提供等を求めた者はないと、こう理解していいんですね。
○説明員(柴田善憲君) その五人というのは、五人という数としてわかっておるわけでございまして、何の何がしというような個別な認識はないわけでございます。したがいまして、言うなればちょっと照会のしようがないというふうに御理解いただいた方がよろしいかと思います。
○志苫裕君 わかりました。 それでは次に、いわゆる第一次、二次にわたって外交決着、政治決着という段階を迎えるわけでありますが、この政治決着あるいは外交決着に、捜査当局の捜査結果あるいは情報というようなものは一体どう反映をされた、どう生かされたと考えておりますか。
○説明員(柴田善憲君) この政治決着というのは、当時日韓両国間の全般的な諸問題を踏まえられまして、高度な政治判断で行われたものであると私どもは理解をしておるわけでございます。したがいまして、これに警察の捜査がどういう影響をしたかといったような点につきましては、われわれとしては判断を申し上げる立場にはないと考えております。
○志苫裕君 いわゆる政治決着は高度な政治判断に基づくものであるから、捜査当局の捜査結果がどう生かされたかは判断をできない、ということでありますが、少なくとも当時の捜査当局のこの院における発表などを見ても、私は当時のことを繰り返されないのできょう聞いておるのですが、少なくとも在日韓国大使館員であった金東雲については、まさに犯人である、当時の表現をかりれば、もうすでに逮捕を請求できると、こういう判断を持つ一人がそれに含まれておって、皆さんの方からすると立証するに足るものを持っていた。ところが、金東雲の容疑事実を立証するに足る確認を見出し得ずと、一口に言うと。どうも金東雲よくわからぬと、こういう韓国側の答えなどもあって政治決着になるわけです。 もっとも、第一次の政治決着というのはその辺も実ははっきりしていないのでありますけれども、しかし、それにしては、まあ高度な政治判断とはいうものの、捜査当局には捜査当局の判断主張というものがあっていいんじゃないですか。もっとも捜査当局も行政の一部であることを承知の上で、なお捜査当局は捜査当局としての立場がある。それまで寧日なく捜査に当たった者の自負もあるわけでありまして、また立場もあるわけでありまして、そういう意味では一体捜査当局の情報なり捜査結果が政治決着にどう生かされるか、どう生かされたかというものについては当然注視もすべきだし、しかもその後捜査も継続をするわけでありますから、やめちゃうのじゃないのでありますから、そうすれば、当然そういう判断、考えというものがあってもいいんじゃないですか。
○説明員(柴田善憲君) まず、第一次のいわゆる外交決着の関係でございますが、これは四十八年の十一月でございましたけれども、この際は、捜査当局としては、特に捜査当局に了承を求めなければいかぬという中身がなかったわけでございますので、警察としても格別の意見を申し上げる機会はなかったわけでございます。 で、五十年の七月二十二日の韓国側口上書に基づく政治決着の際でございますが、実は、その一年ぐらい前に、韓国側からすでに捜査の打ち切り通告がなされていたということ、それからその打ち切り通告のとおりに、すでに有用な捜査上の通報は現実にも何ももたらされなくなっておったといったようなことから、政治決着がなされましたとしても金大中氏事件の捜査に対しましては特に大きな変化をもたらすものではない、そういう判断をいたして、当時外務省にもその旨を通報したと聞いております。
○志苫裕君 参事官、いまの答弁は少し私は納得ができないんですが、もうすでに、特に第二次政治決着の段階になると、その前の年に韓国から捜査打ち切りの口上書などもきておって、もう情報も何ももらえない、そういう状況になっておったから、本件を引き続いて捜査をする上で、政治決着があろうとなかろうと特にとりたてて支障というものもないという判断ですが、私、いまちょっとその記録——これ捜すの大変ですが、当時の警察庁幹部は、政治決着は捜査の壁になったのではないかという質問に対しては、それはやっぱり政治決着は捜査の壁になりましたと、なりますと、こう答えておるのじゃないですか。
○説明員(柴田善憲君) 先ほど申しますように、この政治決着の時点では、すでに韓国側の方は捜査打ち切りを通告をしてきておると、現実にも何ら新しい通報はなされておらない。つまり、捜査の進展、実質的な究明という捜査の観点から見ますと、実は政治決着というものはこの捜査に何ら新たな制約を付加したものではなかった、このように理解をいたしております。
○志苫裕君 では、その点はまた後ほど尋ねます。 いずれにしても、私は、先ほど一連のこのアメリカの大使館での情報活動というものを引き合いに出しながら日本の捜査当局のいわば捜査の状況を聞いたんですが、KCIAが犯人であるともないともいまだに確証が得られないということで、先ほどのレイナード元韓国部長のインタビューの内容についてもお認めになっておらぬわけでありますが、それならあえて伺いますが、一九七六年の八月に、元警察庁長官——当時警察庁長官ということでしょうね、が、近畿警察官友の会のいわば高野山講演で、「KCIAの犯行であることは間違いない」、こう述べた印刷物も出回っておるわけでありますが、これについては皆さんはどうお答えになりますか。当時の警察庁長官です。
○説明員(柴田善憲君) この点につきましては、実はこれまでも何度か国会でもお答え申し上げている点でございますけれども、これは、高橋元長官が退職後に行いました講演でございます。その講演の趣旨というのは、長官が出版いたしました警察歳時記、これの話に行ったようでございます。その中で、金大中氏事件につきまして、わが捜査当局が非常によくやったということをまあ称揚すると申しますか、さらに後輩がんばれよという意味であのような発言をしたと本人は言っております。自分は何ら証拠があって言ったものではない、退職後の気やすさから、私的な推理をまじえて言ったものである、このように言っているわけでございます。
○志苫裕君 私は、高橋長官のやりとりも国会で行われていますから、一々やりとりしませんが、まあ人間はかみしもを脱ぐと案外本当のことを言うのでありましてね、かみしも着ている皆さんの方がどこか少しずつ粉飾決算をしているんじゃないかと私は思うので引き合いに出した。なぜこれを引き合いに出したかといいますと、あなたの先ほどのお答えが、政治決着もそんなに支障にならないようにお答えになり、その当時の高橋長官の、あれはKCIAの犯行なんだよというふうな状況と同時に、これを裏書きをするかのように、一九七五年八月一日の、今度は韓国大使館じゃなくて日本のアメリカ大使館のシュー・スミス公使からの公電が事情を物語るわけでありまして、ここではいろいろありますけれども、「日本の警察は宮沢の本件の政治的決着」——一九七五年の俗に言う第二次決着という意味だと思いますが、「日本の警察は宮沢の本件の政治的決着に対し未だ非常な不満を有しており、KCIAの直接の関与を証明すべく更に一層の熱意を持って動くこととなろう。」、こういう公電を送っています。これも当然正常な外交官の活動の職務に基づく活動として報告をされた書面でありますから、参議院の外務委員会における法務当局の答弁によれば、証拠能力のある文書ということになるわけでありますが、ここでは、あなたの答弁にもかかわらず、第二次政治決着に対して非常に不満を持っておるという公電を送っておるわけであります。これは一体どういう意味ですか。
○説明員(柴田善憲君) 私ども捜査当局といたしましては、政治決着は当時の高度な政治判断で行われたものと、このように理解しておりますことは申し上げておるとおりでございます。したがいまして、シュー・スミス公使が当時何を根拠にそのような報告をしたものか、これは私どもとしては全くわかりかねます。ただ、高度の政治的な判断によりまして行われたものに対しまして、警察が感情的に、満足しているとか不満であるとかというような立場にないことは、これはまた御理解いただける点ではないかと思います。
○志苫裕君 それはまあ、優等生の答弁はそういうことでしょう。私は、捜査当局としては、外交決着が純捜査上の立場からすれば大変な障害になって、それこそ俗に言う、せっかくいいところまで追い込んでおるのに大きな壁をつくられてしまったと、こう判断をするのがむしろ自然だと思う。諸外国にそういう例はないわけじゃない、幾つもあるのでありまして、通常の独立国としての外交であれば、私はそういう捜査の壁、それが政治の名を使おうと使うまいと、捜査当局にとってはやっぱり壁であり、その後の捜査を困難にし不満を表明をする、面と向かって言うかどうかは別としましてですよ。それがむしろ捜査当局としては自然じゃないですか。あべこべにあなたの答弁を国民の一人として受け取れば、あるいは捜査当局を叱咤激励をする国民の側から見れば、こんなに頼りにならぬ捜査当局はないということになりませんか。
○説明員(柴田善憲君) この事件は、御承知のとおり、国際的に起こった非常にむずかしい事件でございまして、そういう意味では、壁と言えば事件そのものの性格、特殊な国際事件であるという性格が壁ではないか。その壁が壁という形であらわれたのは、すでに政治決着の一年前の捜査打ち切りという通告になったのではないか。そういう意味では政治決着は新たな制約を捜査に付加したものではない、このように考えるわけでございます。
○志苫裕君 そうすると、いずれにしても一九七五年八月一日のシュー・スミス公電というものは根拠がないというのがあなたの答弁になりますか。
○説明員(柴田善憲君) 根拠がないと申しますか、このシュー・スミス公使の公電が何を根拠にそのように申されておるものかわからないということでございます。
○志苫裕君 捜査当局に心当たりなしということだな、そうするとね。いまの答弁聞きますとね。それはだから、私はいまちょっとそれ手元にないのでありますが、本委員会であるかどうかは別としまして、国会において当時の捜査当局からその旨述べられておるんじゃないですか。どんな表現であったか正確じゃありませんが、私の記憶によると、政治決着が捜査の壁にならないといったらうそになるという意味の発言をしていませんか。
○説明員(柴田善憲君) 先ほど来申しますように、捜査の壁というのは事件の性格そのものであると認識しておるわけでございます。その事件の性格からして、韓国側の捜査打ち切り通告がなされた、これが壁の具体的なあらわれではなかっただろうかと思うわけでございますが、ただわれわれとしましては、なお特別捜査本部体制も維持し、二十余名の体制で引き続いてあらゆる角度から捜査は続けておるわけでございまして、捜査そのものは決して放棄をしているわけではないわけでございます。
○志苫裕君 それはね、あなたの先ほどの答弁だとまあそうでしょうな。私は、非常に遺憾なのは、一番この事件をよく知っていたのはいわば日本の捜査当局、世界に冠たる日本の捜査当局であるはずだ。日本で起きた事件で、いわゆる現場は日本で、捜査したのは日本の当局で、指紋その他目撃者の証言等を持っておるのも日本の捜査当局。この事件の解明には一番いい地の利を得ていたわけですよね。にもかかわらず、どうも、韓国に照会をしたのは金東雲だけであとの五人は個別の認識がないわけだから照会もしてないと。ですから金東雲そのものについては、韓国はある文書では容疑がないと言いますけれども、もう一方では、まあ余りだちのいい公務員じゃないから解職したというような、いわば金東雲個人の素行にも及んでおるようでありますが、日本の捜査当局のいわば情報不足というか、捜査の不十分さというものが結局は相手側、韓国側に否定をさせる根拠にもなったんじゃないかと思って残念なんですけれども……。 そうすると、韓国側の捜査打ち切りという、この実は外交決着の一年以前のその状況で捜査当局としてはもうお手上げだと。それこそ政治レベルか外交レベルでやってもらわぬことにはそこから先へはもういけない、そういう状況にあったわけですね。
○説明員(柴田善憲君) 韓国側からの捜査打ち切り通告がありました以降につきましては、具体的、有用な捜査資料を全く得ておらないのは事実でございます。ただ、私どもといたしましては、その後も引き続いて捜査体制を維持し、新しい情報が入ってくるたびにその情報の裏づけ捜査をやる、あるいは膨大にございます既存資料につきましてさらに再捜査をやる、あるいは、たとえば今度の公文書交換問題が起こりましたようなときには、外務省の検討結果を待ってさらに捜査上何か深められないかという努力をするということで、引き続き捜査の努力はいたしておる次第でございます。
○志苫裕君 それでは、いましばしば捜査継続、引き続き捜査中と、こう言うけれども、いよいよ私のまとめになりますが、いま、本件をいわば立件をするに、捜査の上で残っている部分はどこですか。
○説明員(柴田善憲君) 金東雲元一等書記官につきましては、これは逮捕状が取れる程度に容疑を固めておるわけでございます。したがいまして、この金東雲元一等書記官につきましては、あとは取り調べということに捜査実務的にはなるかと思います。 その他、事件全体からいたしますと、先ほど来御指摘いただいております五人、これは何者であったのかという特定の捜査が必要であろうかと思います。と同時に、日本国から誘拐されたわけでございますので、韓国に至る連れ出し、まあ連行ルート、これの解明もまた大きな捜査の眼目であろう、このように考えておる次第でございます。
○志苫裕君 そうすると、いま残っておる捜査というのは、一つは金東雲の取り調べ。第二点は、残りの五人等が何者であるかを特定すること。三つ目が連行ルートということになったようでありますが、この金東雲の取り調べにしても、二、三の残りの五人の特定——五人全部かどうかわかりませんが。あるいは連行ルート。この一、二、三ともに韓国側の協力を得る、韓国側から話さぬ限り、いわゆる断定するに足る証拠は集まらぬわけですね。
○説明員(柴田善憲君) 先ほど先生御指摘のように、事件は日本国内で起こったわけでございます。また、目撃者あるいは連行ルートの周辺の人間と申しますか、その他いずれにいたしましても日本国内でも多くの捜査資料があり得るはずの事件でございます。したがいまして、私どもといたしましては、いまの共犯者割り出し、連行ルートの解明につきましては、私どものできるだけの努力を引き続いて続けていきたい、それを捜査の方針としてやっておるわけでございます。
○志苫裕君 日本で起きた事件だから、日本国内に資料があり得るはずの事件だ、そこのところをわれわれとしては精いっぱいやるんだという趣旨はわかりました。わかりましたけれども、連行ルート一つにしたところで、韓国の中のどこを通ったかも実は連行ルートだ。この連行ルートというのは、韓国の方に行ったわけですから、海を渡って向こうへ行っちゃっているわけだ。連れて行った人は向こうにおるかもしらぬ。また来ておるかどうかわかりませんがね。一応向こうにおるとしましょう。そうすると、残りの数人が向こうへ連れて行った。で、金東雲の取り調べもできない、通行ルートも、日本の国内に資料があり得るはずの事件だといっても、韓国という相手の国があるわけでしょう。韓国は捜査打ち切りだと言う。日本の外務当局との関係でも外交決着と。容疑者の引き渡しの要求もしないしということで一応これはけりがついているわけ。ですから、私が先ほどから——これは正直にお答えくださいよ。捜査継続中と言うけれども、政治決着がある限りしたがって捜査は継続をできない、捜査は進展をしない、こういう論理になるじゃないですか。いかがですか。
○説明員(柴田善憲君) 連行ルートの件でございますけれども、とりあえずは日本の領海までを何とか捜査的に解明できれば、事件的には一応立証はできたということになろうかと考えておるわけでございます。 それから、政治決着の問題でございますが、これは公権力の介入を証明する新たな証拠が見つかった場合にはこの政治決着は見直すことがあり得ると、このように理解をいたしておるわけでございまして、したがって、私どもは鋭意捜査を続けて事案の全貌の解明にさらに努力をいたしたい、このように考えて捜査をやっておるわけでございます。
○志苫裕君 参事官、これはもう少しフランクにやりとりしましょうよ。確かに政治決着は、新たな証拠が出ればこれを見直すということになっています。しかし、たとえば今度アメリカで公表された一連の文書、証拠能力ありということになっても、それは伝聞である限り確たる証拠にはならない、こういう御解釈だ。そうしますと、その証拠能力は持つが、伝聞である限り断定的な証拠にならないという論理でいけば、突き詰めて言えば、韓国側が、実はそうなんです、これこそこれこれのことをいたしましたと話さない限り——金東雲の指紋があってもだめなんですから。したがって韓国側が、これこれこうですと言って話さない限り、断定的な証拠は出ないわけですよ。で、韓国と日本との政治決着、外交決着というのは、そういうことはやめましたと言っている。犯人を調べさせろとかそういうことはやめましたと言っている。となりますと、どんなに百万遍——あなたそれはね、領海までのルートが解明されれば事件が何かわかっちまったようなことを言うけれどもね、それはもうそうじゃないでしょう。ですから、いろいろ捜査当局は鋭意捜査なさっておる、そのことを私はあえて疑いません。疑いませんけれども、事柄は海の向こうなんだ。外交という一つの手段が入らない限り捜査当局ではどうにもならない。状況証拠がどんなにあっても、それは断定をするに足る証拠でないという形になっちゃう。これはあなた当然じゃないですか。だからむしろ私は、外交決着がある限りこの断定するに足る証拠の収集、すなわち事実上の捜査の進展は得られないと、こうなるんじゃありませんか。
○説明員(柴田善憲君) 公権力の介入ということをどのようにして証明するかという問題だと思います。御指摘のような形での、つまり韓国側が公権力の介入を認めるという形でのその介入が明らかになるということもあり得ようかと思いますが、しかしまた、捜査の中から新たな証拠が出てきて公権力の介入という事実が出てくる、それを外務省の方にお渡しして公権力の介入であるという判断をしていただくということも捜査でもあり得るのではないか、このように考えておるわけでございます。
○志苫裕君 そうですか。第一項にあった金東雲の取り調べというのはできないんですよ。新たな証拠というのは、今度は金東雲を取り調べていろいろ皆さんか——まあ皆さんの証拠というのは指紋ですけれども、金東雲取り調べできないんですから、事件立件できないわけです。それから、その残りの犯人の特定といいましても、残りの犯人がわかったところで本当かうそかは取り調べなきゃわからぬわけですから、容疑者として認定できても取り調べてみないとわからぬわけですね。そういう証言が正確であるかどうかもわからぬわけでありますから。で、連行ルートも、だれが連行したのかということと結びつかなければ、ただルートだけわかったってこれはどうにもならない。道がわかったって、だれが歩いたかわからなきゃですね。という問題になってまいりますと、私はくどいようですが、外交決着、政治決着がある限り事件を立件できるような捜査は進展をしないと。外交決着の見直しというのは、新しい証拠、すなわち伝聞証拠じゃない断定するに足る資料です。断定するに足る資料は韓国側の協力を得なければできないでしょう。これぐらいはお答えになりませんか。
○説明員(柴田善憲君) 金東雲の取り調べと申し上げました意味は、金東雲につきましては、逮捕状が取れ、逮捕ができる程度に容疑が固まっておるということで申し上げたわけでございます。つまり金東雲につきましては、現時点では捜査のやるべきことは終わっておるということでございます。 そこで、捜査の重点が残りの共犯の割り出しそれから連行ルートの解明ということになるわけでございますが、先ほど来申しておりますように、残りの五人というのは何びとであったのか残念ながらまだ全くわかっておらないわけでございます。したがいまして、この五人の一人でも割れたような段階で、あるいは新たな証拠が入手できる可能性があり得る、また連行ルート等につきましても、これも日本国内を通っていったことは間違いないわけでございますので、これにつきましても新たな目撃者、新たな証言あるいは新たな物証が得られる可能性があると、このような意味で、われわれ独自の捜査でも新たな証拠を得る可能性があると、その証拠を得るべく鋭意捜査に努力をしている、このように申し上げておるわけでございます。
○志苫裕君 あなたはきょうはそれ以上の答弁は、譲らぬでしょうから、まあ堂々めぐりだね、鶏と卵みたいなものだ。新たな証拠を得るには韓国の協力があれば一番いい——それは政治決着によって阻まれておる——政治決着がある限り捜査は進展をしない、こう回るじゃないですか。そこから外れたところで何か一生懸命おやりになっているのかどうかわかりませんがね。それはあなたはまさに日本の捜査当局としては誇りと自信を持ってこれはやっぱり発言をすべきだと、このようにいまのやりとりから私は感じますが、それ以上恐らく進まぬでしょう。またここで、あれはけしからぬと言おうものなら、捜査進展しないなんて言おうものなら問題になるんでしょうが。 いまどんな捜査を続けているんですか。どんな体制ですか。
○説明員(柴田善憲君) 警視庁に特別捜査本部を置いております。要員は二十余名でございますが、必要があればさらに増員するという感じで捜査はいたしております。 ポイントは、先ほど申しましたようなところに、つまり共犯者の割り出し、連行ルートに置いて捜査をいたしておりますが、新たな情報を掘り起こす、すでに一度捜査したものにつきましてももう一度捜査をし直してみる、それから膨大な既存資料につきましての分析検討をやる、こういうことで捜査は続けておるわけでございます。
○志苫裕君 五月十三日の毎日新聞によると、三井次長は、いわゆるあの一連の公電ですが、そういうことはしばしば言われておったし、新しいことじゃない、これまでの捜査ではKCIAの犯行であるという証拠はないと、こう言っておられる。五月二十二日の参議院の外務委員会では外事課長は、新しい手がかりをこれで得たとは言えない、KCIA要員であるとの点について警察の耳には入っておるけれども証拠がつかめてないんだと。で、結局証拠をつかむために皆さんおやりになっているわけだ。 改めて聞きますが、その新しい証拠をつかむには韓国側の協力があった方が得やすいでしょう。望ましいでしょう。いかがですか。
○説明員(柴田善憲君) この新聞報道がされましたときに、新しいものはないというような趣旨で伝えられた発言がございますが、これは当時伝えられました、一つは金東雲が犯人であると、もう一つはKCIA、金東雲はそのKCIAの要員である、こういうことがあの当時伝えられた公電の中心であったかと思いますが、まあ第一点の方につきましては、御承知のとおりわが方がかねて割っておる問題でございまして、そういう意味では新しいものではない。それから第二点の、KCIA加担説と申しますか、KCIAがやったんだという説につきましては、実はその結論だけはいろんな機会にこれまで言われてきたわけでございますね。そういう意味で、結論だけ示されたという意味では新しいものではない、そういう気持ちでの話ではなかったかと思います。ただ、こういうことで今回多数の公電が公開されたことでもありますし、これは現在外務省の方でも詳細な分析検討を行っておるようでございますので、私どももその結果を踏まえてさらに検討をしてまいりたいと考えておるわけでございます。 韓国の協力が云々の問題でございますけれども、御承知のとおり、四十九年の時点ですでに協力しないということを言っておるわけでございます。したがいまして、新たな協力につきましては、自国民不引き渡しの原則などというものもあるようでございますし、大変むずかしいのではないかと。そういう意味では、先ほど来申し上げておりますように、この事件のむずかしさというのは非常に特殊な国際事件であるという事件そのものの性質から来ておるのではないか、このように考えておるわけでございます。
○志苫裕君 この点はそれ以上進まないようですね。 ところで、外国の情報機関の日本ての活動——KCIAのみならずでありますが、これは日本の捜査当局の対象になっておるはずであります。その点について説明をお伺いしたい。
○説明員(柴田善憲君) 外国の情報機関の問題につきましては、いろいろ本なんかにも書いてございますし、巷間も言われるわけでございますが、われわれといたしましては、具体的にどういうものであるかということは全く具体的に把握しているものはない、こういうことでございます。
○志苫裕君 これはこれでいいです。いずれまた引き続いてやりましょう。 最後に、この次に質問をするためにお伺いをしておきますが、去る四月七日、東京都知事選での太田候補に対していわゆる選挙妨害、暴行傷害等が加えられた事件が発生をしておるのでありますが、きょうは細かいことは聞きませんが、聞くところによると、公務執行妨害という形で送致しておるようでありますが、衆人環視の前で行われたわけでありまして、選挙が邪魔をされ、石を投げつけられたり棒で払われたりという傷害暴行がもう現実に発生しているわけでありますが、なぜ選挙妨害の方と暴行傷害が立件できないのか、そのことだけ聞いておきます。
○政府委員(小林朴君) 当時はなるほど現行犯といたしまして公務執行妨害罪で検挙いたしておりますが、ただいま新宿署の方に捜査の中心を置きまして、お説のような選挙の自由妨害、それから暴力行為等の処罰に関する法律に違反するかどうかと、そういう点を継続して捜査中でございます。で、それを全部ひっくるめましてこの事件解決を図りたいというのが私どもの方の方針でございます。
○志苫裕君 それは、いまやっておるというのはわかりました。 いずれにしても、石を投げたり、車を乱暴に突っ込んだり、青竹でなぎ払ったりですね。で、大騒ぎになって選挙の演説もまともにできない、こういう事実があったことは承知をしておるんでしょう、現場にたくさんおられたんだから。
○政府委員(小林朴君) そういう事実はその後判明をいたしております。おりますが、当時やはり立件をするということになりますと、たとえば選挙の自由妨害というものをとりますと、証拠を固める上で、今度は選挙運動者側の協力も必要になってくるというようなことで、警察官が静止をした、それに殴りかかってくる、ということが一番証拠上確保しやすいという点で、とりあえず公務執行妨害ということで逮捕をいたしたわけでございます。したがいまして、お説のようなものにつきましては、後日関係者の調べ等によりまして証拠を固めて犯人を明らかにするというような段取りになったわけでございます。
○志苫裕君 この次お伺いしますから、きょうはそれだけで結構ですが、いずれにしても、この次お伺いするまでに捜査がどの程度進展をしておるか、それはそのときに譲りますが、まあ殴り込んだ車は選挙カー、いわば確認団体の車であるとして、それが青竹などを、まあ凶器といえば凶器ですが、そういうものをも積んでそこに待機をしておるというのはこれは容易にわかっておるわけでありまして、ちょっと刑事局長にお伺いしたいのは、それは凶器だとしましてね、まあ選挙カーとはいえ凶器を積んでそこにいるわけだね。それで乱暴を働いているわけだ。確認団体、公職選挙法上の許された車という一方の保護がある。しかし、もう一方の法律によって、そんなものを持って殴り込んでもらっちゃ困るという法律もあるわけですね。この二つの兼ね合いというものは皆さんはどういうふうに考えるものですか。
○政府委員(小林朴君) 通常、竹が直ちに凶器というふうには断定をいたしませんので、使い方によりましてそれが凶器になる、また、場合によってはそれが旗ざおにも使われるというようなことでございまして、凶器の中にも本来人を殺傷する目的のためにつくられたものと、そうでなくて用法上による凶器という二つの面があろうかと思うわけでございます。旗ざおか、人を殴るための用意であったのか、その辺のところはこれから明らかにしていかなければならない問題だと思いますけれども、竹ざおが積んであったことがすなわち凶器が積んであったというふうには断定はできないということではなかろうかと思います。
○志苫裕君 後日にします。
○委員長(永野嚴雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十一分休憩 —————・————— 午後一時五分開会
○委員長(永野嚴雄君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、地方行政の改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○上林繁次郎君 私は、銃刀法関係についてお尋ねしてみたいと思います。 拳銃であるとかライフルあるいは散弾銃による事故、これが後が絶えないわけですね。そこでそういった状況を踏まえて、先般二月の十五日の衆議院の地行委員会で渋谷国家公安委員長が、「法の改正も含めて基本的な検討が必要だ、」こういうふうに述べているわけですね。で、その後具体的にどう検討し、これからこの取り締まりについてどういったことをやっていこうというお考えを持っているのか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
○政府委員(塩飽得郎君) 銃刀法の制度の基本的な見直しにつきましては、所持許可者の実態調査でありますとか、あるいは許可基準の運用実態などにつきまして、大阪の梅川事件の発生した後に、全国一斉検査なども活用いたしまして調査検討を加えている次第でございます。 一方、このような調査と並行いたしまして、一つは欠格者排除のための審査でありますとか、基準を厳しくすること、それからまた、真に銃の使用を必要とする者に限って許可を与えること、さらに、不適切な使用の防止のために、所持規制、管理、こういったことをより一層厳しくする方向で法令の改正の必要性も含めまして、その運用の基準などについて見直しを行っているところでございます。ただ、いまだ具体的な内容を申し上げられる段階には至っておりません。
○上林繁次郎君 そうしますと、いまおっしゃったようなことを、こういう事故が後を絶たないわけですから、一日も早くそういったことが絶滅できりゃそれに越したことはないわれわれとしてはそれを期待しているわけなんですが、そういう意味で、やはりいまおっしゃったようなことが考えられている。で、そういう時期が大体いつごろになるのかという問題こういった点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(塩飽得郎君) 制度の見直し自体につきましては、いま鋭意努力をしているところでございまして、ただ、これがいろいろ法律的な問題も絡みますし、実態の調査その他もございますので、いつごろということはちょっと申しかねますが、なるべく早い機会に私どもの方針というものをまとめてまいりたいと思っております。 ただ、とりあえずの措置としましては、現在許可を受けている者、あるいはこれから許可を取ろうとする者、そういった者に対する審査なり規制というものを厳しくして、少しでもぐあいの悪い人が介入するというふうなことのないように努力をしてまいるつもりでございます。
○上林繁次郎君 猟銃の許可数、どれくらい現在許可されているのか、数をひとつお聞かせ願いたい。
○政府委員(塩飽得郎君) 猟銃の許可につきましては、五十三年の一二月末現在で、ライフル銃が二万六千六百二十六丁でございます。それから散弾銃が七十一万一千九百八十八丁、そのほか空気銃がございまして、空気銃が十万九千八百二十三丁、合計しますと八十四万八千丁余りになります。
○上林繁次郎君 いまのお話しの中にありましたように、いわゆる申請される、それを審査して許可をする、その手続段階ですね、これがやっぱり甘いんじゃないかという考え方もあるようですね。ですからそういったことが考えられているわけなんですが、どうなんですか、現在のこの審査、こういうものはどういうような形で行われているのか、その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(塩飽得郎君) 猟銃の許可を受けようということで申請がございますが、そのときに審査をする内容としましては、申請時に、銃刀法の第五条、それから第五条の二の「許可の基準」に該当するかしないかという点を重点にして行われるわけでございます。その中身としまして、たとえば、精神病者であるかないか、それから、「他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」であるかどうか、これは五条一項六号の規定に該当するかどうかという点でございますが、さらに、たとえば「他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由のある者」が同居の親族の中にいるのかどうかと、こういった内容につきまして、これはいわゆる欠格条項があるかどうかということでございますが、申請の書面でありますとか、警察が保管している資料によりまして審査できるものはこれでチェックをいたします。また、そのほか申請者それから家族、それから近隣の人、職場の同僚等に対する面接調査なども行いまして、その結果に基づいて許可するかどうかというふうなことを審査をしております。
○上林繁次郎君 わかりましたけれども、その審査をする場合ですね、これを審査をして許可を出すと、これはいま一応の基準が言われたんですけれども、その判断の問題になりますと、これはまちまちじゃないかという感じがするんですね。この判断についてはどういう、何といいますか、基準というか、そういう者はいけないという。で、そう判断された者は、ということになる。ところが、全国一律に一人の人がやるわけではない。だから判断をする場合にそれがまちまちであるという問題が起きてくるのではないか、こんな感じがするんですが、この点どうでしょう。
○政府委員(塩飽得郎君) 許可に際して、許可するしないの判断で、精神病であるかどうかとかこういった者については診断書に基づいて判定がつくと思いますが、いまおっしゃる問題は、五条一項六号の解釈運用の問題であろうかと思います。「公共の安全を害するおそれ」があるかどうかというふうなことの統一的な判断というものがとられておるかどうかという点で御疑問があろうかと思いますが、この点につきましては、各都道府県公安委員会の判断に著しい不均衡が生じないように、一応の判断基準になるような事項につきまして、警察庁の方から各都道府県警察には示してございます。ただ、個々の事実の認定でありますとか、それから、こういったものを総合しまして銃刀法の五条一項六号に該当するかどうかということにつきましては、各都道府県の公安委員会にゆだねられておるわけでございます。そこで、警察庁から示した基準も実際の具体的なケースについてはどういう措置をとるかということが各府県の公安委員会の裁量によらざるを得ない面がございます。したがいまして、そういった面については今後ともなお一層判断基準等の統一に努めてまいりたいというふうに考えております。
○上林繁次郎君 現在、正規に許可をされている者、そのうちしかし犯罪経歴を持っている者と、こういうのはどのくらいあるんですか。
○政府委員(塩飽得郎君) 現在、猟銃等の所持許可を受けている者が全国で五十八万人ぐらいおります。それにつきまして、前科前歴を一応先般の事件以来緊急に調査をしておるわけでございますが、ただ、前科につきましては、一定期間内に罰金以上の刑を受けることがなくその期間を経過しますとそれが抹消されることになっておりますし、それからまた前科以外の犯罪歴につきましても、個別に検討調査をしませんと正確を期しがたいという面がございます。そういったことで現在まだ調査が完了しておりません。それで、許可を受けた者の中に前科前歴者がどれだけいるのかということにつきましてはただいまのところ申し上げる段階には至っていない状態でございます。
○上林繁次郎君 いまお尋ねした点については余りはっきりと把握されていないと、こういう御返事です。まあそういったいわゆる犯罪の経歴のあるような人たち、これは非常に可能性として、また事故、問題を起こすというそういう可能性が十分含まれていると、こう判断する以外にない。 そこで、今後の——まだ把握されていないんてすから、今後どうやってそういう人たちを把握をしていくのか、その方針みたいなものですね。これをどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(塩飽得郎君) 猟銃の許可の申請があった場合に、これは警察にいろいろ資料もございますし、それから、できるだけ材料を集めて、過去に前歴があるかどうかというふうな点については調べてまいりたいと思いますけれども、その方針としまして、一つは、所持の許可を受けている人に対してどうするか。もう一つは、新しく申請をしている人に対してどうするかというふうな点につきましては、今後ともなお個別的に具体的な人についてデータを集めてなお慎重に調査をするということで進んでまいりたいと思います。
○上林繁次郎君 まあついでと言っちゃ申しわけないんですけれども、いま申し上げたように、犯罪の中にも凶悪犯、いろいろあるだろうと思う。やはり非常に将来危険性があると、こう考えられる立場の人たち、こういう人たちもいるだろうと思うんですね。これまた判断の基準というものは非常にむずかしいということも言えるかもしれない。そこで、そういう前歴を持った人たちに対するこの銃の保持という問題については、これはよっぽど慎重を期さなけりゃいけないんじゃないかと、こう思うわけですね。そこで、これはある一定の期間を過ぎればそういう人たちにも与えられるようになっているんじゃないんですか。その辺がちょっとわからないんですけれども、もし、そうだとするとこれはまた非常に危険を生じてくるという可能性はある。だから、こういう人たちに対する規制というものが相当やっぱり厳しくなくちゃならないんじゃないかと、こんな感じがするわけなんですけどね。当然それは早く調査をしそして早く発見をする、そして適切な処置をとるという考え方が必要だろうと思う。ですから、そういった人たちに対する今後の方針みたいなもの、どういう姿勢で臨んでいくか、この点の考え方をひとつ聞かしてください。
○政府委員(塩飽得郎君) 前歴のある猟銃の所持者に対する今後の方針でございますが、やはり個々の人については時間をかけて十分な調査を遂げたいと思いますが、現在、今後の方針として考えておりますのは、一つは、現在すでに所持をしている者についてどうするかという点がございます。この点につきましては、いわゆる暴力的な不法行為のある前歴者につきましては、猟銃所持の必要性のあるなし、それから最近の行状等に関する再調査を行いまして、そしてその結果欠格事由に該当する事項が発見されました場合には積極的に取り消し処分をやりたいと考えております。また、それに至らなくとも銃を所持させることに疑問の生ずる者も出てまいりますので、そういった者につきましては他人に譲り渡すとか、また許可証を返上するとか、行政指導の面で積極的に進めてまいりたいと思っております。 それからさらに、新しく持ちたいという申請者の問題がございます。この新規に許可を受けようとする前歴者につきましては、やはり同じような措置でございますが、不許可の処分あるいは取り下げなどのことを積極的に進めまして、できるだけ許可しないという方針で臨みたいと思います。
○上林繁次郎君 先ほどの、猟銃等の許可数八十四万丁、こういうお話でした。まあこれは空気銃等を含めてということなんですが、このいわゆる銃の八十四万丁のうち、実際にこれが使われているという数ですね、どういうふうにそれを把握していらっしゃいますか、その点ひとつ。
○政府委員(塩飽得郎君) 猟銃七十四万丁のうちに使用されている銃はどれぐらいかと、あるいは使用されていない、これはいわゆる眠り銃と警察では称しておりますが、この眠り銃がどれぐらいかという点が、これは実は大変むずかしい問題でございまして、先ほど申しましたように五十八万人に対して所持の許可がありますけれども、許可したうち一体どれぐらいの銃が使われているかということについては掌握しかねるところでございます。ただ、御参考までですけれども、五十二年狩猟年度、この期間におきましては、大体四十五万人が猟銃によります狩猟免許を取得しております。五十八万人中の四十五万人ということになろうかと思いますけれども。したがいまして、その差であります十三万人ぐらい、銃の数にしますと十数万丁ということになろうかと思いますが、それが恐らくは狩猟外、たとえますと標的射撃あるいはその他の目的に使われたのであろうというふうに考えられるわけでございます。 なお、許可後に、その銃を使用しなくなったために譲渡あるいは廃棄されている、いわゆる眠り銃、これが昭和五十三年中に大体一万五千丁ぐらいございます。こういったことで、眠り銃につきましてはできるだけ排除していかなければならないというふうに考えております。そういった意味から一斉検査でありますとか、それから許可の更新の機会などを通じましてその使用状況というものを十分調査をして、眠り銃であると認められる場合には猟銃を他人に譲り渡すか、あるいは廃棄するか、その他の措置をとるように指導を進めてまいりたいと思います。
○上林繁次郎君 いまのお答え、それ以上とやかく言えないかもしれませんけれども、非常に危険だとは思いますね。一朝間違えば人を殺傷するという非常に危険なものなんですから、ですから、その人が狩猟ないしそのほかの目的——まあ狩猟以外にないと思いますがね、その目的をもって許可を受ける、そして自分のものになる。その目的はいわゆる狩猟をやるということでしょう。それが一年も二年も三年もほったらかしになっていて、それがそのままになっているという状態は、危険がいっぱいそこらじゅうにまき散らかされていると、こう言う以外にないと思うんですね。ですから、この辺の調査といいますかね、これをやっぱりがっちりやってもらわなきゃならぬであろうと、こう思います。そういう方向でやっていくということですから、がっちりやっていただきたいと思います。 それから、所持者の中で、盗まれたとかなくしてしまったとか——なくしてしまったというのはずいぶんうかつだと思いますけれども、いろいろな理由があるのかもしれません。で、盗まれた、なくなってしまった、こういうような銃がいまどのぐらいになっておりますか。
○政府委員(塩飽得郎君) 所在のわからなくなった銃、まあ行方不明銃と申しましょうか、昨年一年間で見てみますと、盗難などの理由で所在不明になった銃は、全部で百二十三丁ございます。いわゆる亡失が五十六丁で盗難が六十七丁でございます。それからそのほかに行方不明という銃が三十四丁でございまして、ここ数年間の傾向を見ますと、大体年間百五十丁前後が行方不明になっておるという実情でございまして、これが過去から累積されておりますので、昭和五十三年の十二月末の累積数字を見ますと、千七百十五丁となっております。ただ、このうち空気銃が八百九十五丁、約五二%含まれております。ですから、全部が猟銃とは限りません。それからこの千七百十五丁のうち盗難亡失というのが八〇%近く、千三百三十二丁ございます。 こういった行方不明銃は、いまおっしゃったように警察の監視外にあるということで、危害予防上も放置できない問題でございます。そういったことで、私どももこの解明のために積極的に追求捜査を行ってまいりました。その結果もございまして、昭和四十五年ごろはかなりこの行方不明銃の数が多くて四千八百丁ぐらいございました。それが現在徐々に減ってまいりまして千七百十五丁、三分の一ぐらいに落ち着いたところでございます。なおこれからも、こういった行方不明銃の追求捜査という点については努力をしてまいりたいと考えております。
○上林繁次郎君 拳銃による事故件数、またライフルだとか散弾銃、これによる事故件数、これは立て分けてみますと、拳銃による事故件数はこれだけだと、ライフルだとか散弾銃による事故件数はこれだけだとそちらでつかんでいらっしゃると思うんですけれども、それはどうですか。どのぐらいの比率といいますかね、その辺をちょっとわかりたいんですがね。
○政府委員(塩飽得郎君) ただいまその拳銃の事故の数字とかそういったものが手元にございませんが、御参考になろうかと思いますのでちょっと申し上げたいと思いますが、猟銃の事故についての数字はございます。これは昨年一年間で全部で百四十二件、百五十人ぐらいこの事故で亡くなったりけがをした人がおります。一年間を通じて大体それぐらいでございます。 また、事故ではございませんけれども、猟銃が自殺に使われたというのも六十一件ばかり発生しております。
○上林繁次郎君 事件に使われた銃——この間、東京地裁の書記官が撃たれましたね。あれは散弾銃だといっていますが——事件に使用された銃、その銃は自分が申請をして、そして許可を受けたいわゆる自分の銃である、こういうものが多いのか、あるいはまた、いま言ったように行方不明銃なんというのがありますね、眠り銃とか行方不明銃、いろいろありますね、そういうものが何かの形でそういう人たちの手に入ってそれが使われたのか。それはどういうケースが多いんですか。
○政府委員(塩飽得郎君) 猟銃を使いまして犯罪を犯したという事件そのものは、数字を見ますと五十年中が九十八件ございました。それから、五十一年が百四件、五十二年が百三十一件とだんだん増加してまいりました。ただ、五十三年中は八十五件と減少はしております。その中身を見ましても、殺人が二十件であるとかあるいは暴行十二件とか、かなりな凶悪犯をこれで犯しているわけですけれども、その銃が自分の銃であるかあるいは他人の銃であるかという点につきましては、ちょっと手元に数字がございません。これは恐らく盗難銃であるとかあるいは行方不明の銃であるとかいう数字がかなり多いのではないかと思いますが。 ただ、ことしに入りましてからも例の銀行強盗が何件か続きまして、現在までに六十五件ばかり発生しておりますが、それには猟銃が三件使われておりまして、そのうちの一件は大阪の事件で、これは自分の許可銃を使ったという点で、大変私どももその問題について銃の管理その他大いに反省をし、検討しなければならないと考えておる次第でございます。
○上林繁次郎君 私がお聞きしたいのはその辺のところなんですよね。自分が許可を受けて自分の銃であるという場合と、それから盗まれたとか行方不明になった銃だとか、そういうものが使われていわゆる犯罪が行われたと、どっちが多いんだということですね。どっちが多いんだということが私はちょっと知りたかった。やはりこれからいろいろな取り締まりをやっていく上についても、こういった立て分けがはっきりしていないと、いわゆる取り締まりについてもそこにいろいろなすき間が出てくる、こういう感じがするわけですね。そういう意味で私はこの点をはっきりと知りたいなと、こういうふうに思っていたわけなんですが、全くその辺のところはつかんでなくてわからないということですか。
○政府委員(塩飽得郎君) 許可銃であるかどうかという点につきまして、いま資料が手元に届きましたのでちょっと御説明をしますと、昭和四十八年から五十二年までの間で、銃砲が犯罪に使われた件数につきましては、許可銃——所持許可のある銃が五十四件、それから許可のない銃によるものが二十二件ということで、やはり許可のある銃の方が件数としては多いようでございますが、ただ、これは自分か許可を受けて自分で使ったという場合と、それから正式に許可のある、人の銃を使ったという場合と、いろいろあると思いますけれども、いずれにしましても許可のある銃が使われている件数が多いということで、このあたりも一つの問題点てあろうかと思います。——失礼いたしました。ただいま五十四件、二十二件と申し上げましたのは、五十三年の数字でございます。大変失礼いたしました。
○上林繁次郎君 いまのお話のように、いずれにしましても、拳銃にしろ猟銃にしろこれは人を殺傷する、そこに大きな問題があると思いますね。拳銃は所持することができないわけです、わが国では。猟銃、ライフル、こういったものは許可を受ければ持つことができる、許されている、こういう状況にある。ところが、この猟銃であるとかあるいは——猟銃というとライフルも含まれるんですか、こういったものによる事件、これが非常にふえてきている、という点が私は問題だろうと思います。そうすると、拳銃はなぜ持たせないのか、猟銃はなぜ持てるのか。両方ともいまのいわゆる社会情勢といいますか、その中で、この猟銃というものが人を殺傷する道具に使われているということは事実であると思う。だとするならば、いままでの拳銃に対する考え方、また猟銃に対する考え方というものをここで基本的に変えていかなくちゃならない時期が来ているんじゃないか、こんな感じがするんです、私は。その点はどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(塩飽得郎君) 拳銃と猟銃、これはどちらもその威力につきましては大変危険であるということには変わりはないと思います。そういったことで従来は、拳銃そのものはこれは本来人を殺傷するという目的でつくられた武器であるという観点から、法令に基づいて職務のために所持する以外は持たせないという——一部例外がございますが、そういう規定で進んできたわけですが、猟銃は、御承知のようにスポーツあるいは狩猟に使われるというふうな道具でございまして、そういったことからある程度認めざるを得なかった点があろうかと思います。 ただ、従来の猟銃についての考え方の基本の中には事故を防止しようという考えがあったと思いますが、このように犯罪に使われ出したという点はきわめて重大なことでございまして、これから先の猟銃を考える場合に、犯罪に供用されることをどうやって防ぐのかという点を中心にしてまた鋭意検討してまいらなければならないというふうに考えております。
○上林繁次郎君 確かに拳銃は、これは狩猟なんていうことには使えない、人を殺傷するという目的でもってつくられている、で、それはわが国では許されない。猟銃はそうではないんだ、目的が違うんだと。目的は違うけれども、現実はどうかと言えば、何ら変わりはないんです。何ら変わりはないというところに着眼をしないと、いわゆる結論から今度は物を考えていかないといけない。私はいまそういう時代が来ていると、こういう感じがするわけです。ですから、いままでのような考え方でもって、いわゆる適格条項、それに当てはまれば何でも許可してしまえばいいというものではなくなったんじゃないか、いまの世相から言ってですね。こういう感じがするわけですね。ですから、その辺のところ、やっぱり考え方がはっきりしないと、法改正にしましてもいわゆる抜け穴みたいなものができ上がってしまう、こう私は思うんです。そこで、きょうはこの問題を取り上げてお考えを尋ねてみようということで質問をしているわけですが、そこを私は強く申し上げておきたいんです。 で、そうなりますと、そうは言うものの現在はとにかく許されているということは事実です。いままで申し上げたのは今後の問題として十分に検討していかなきゃならぬわけですが、現在の状況は、申請をし許可があればこれを持っている。家庭によっては壁にこれをかけているなんていうようなところもあるでしょう。ですからその保管の問題が、現在の状況下においてやはり最も——そういう事故、事件というものをなくしていくためにはどうするか、許可を受ける段階、審査の段階、それ厳しくしなくちゃいけない、当然です。しかし相当抜け道も出てくる。さっき言ったように判断の仕方が違えば、こっちではだめなんだけれどもこっちでもって許可になったという場合だってないとは言えない、ばらばらの場合もある。ですから、この猟銃の管理という問題がやっぱり大きな問題として浮かび上がってくるだろう、いまの状況下では。将来また法改正でも行なわれて、いま申し上げたような考え方でもっともっと厳しくなってくるということであれば、またこれは別ですが、しかし、いまの状況下においてはやはり管理という問題は大きな問題であろうと、私は思う。ですから、その管理の今後のあり方についてどういうお考えを持っているのか、その点ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(塩飽得郎君) お説のとおり、許可した後の管理がどういうふうに行われているかという点については、私どもも大変関心を持って見ておりまして、今後さらにその適切な管理が行われるように指導してまいりたいと、こう思うわけですが、やはり管理自体が個人の私宅の中の管理ということで、手の届きかねる点もございますが、とりあえずは銃の一斉検査の機会であるとか、あるいは警察官が巡回連絡をしたときとか、その他いろんな講習会であるとか、あらゆる機会を利用して適切な管理が行われるように今後とも指導してまいりたいと思います。
○上林繁次郎君 私が申し上げているのは、いまお話しあったように、確かにいまは本人に管理が任せられているということですね。本人に管理が任せられているところにいろいろな問題が多発してくるという可能性があるわけです。と同時に、現実にそういうような状況下にあるということ、これは言えると思いますね。ですから、個人に対する管理の方法、そういったことについて、法的にもこうなくちゃいけないということが言われていると思います。しかし、言われているけれども現実はどうかと言えば、その中でいろいろの問題が起きている。先ほどから言っているように拳銃と猟銃とは何ら変わりがないんです、結論は。また現実は。だとするならば、やはりその管理の方法、それを個人に任せるというその管理の方法では私はとうてい徹底はできないんじゃないか、こんな感じがするんですね。ですから、個人に任せるという管理の方法ではなくて、国の立場でこれをどうするか、あるいは地域ぐるみでどうするかというようなやっぱり新しい方向、新しいしかも厳しい方法というものが選択されなければならないんじゃないか、そういう時期に来ているんだと、こういうふうに私は思うんですね。その点どうですか。
○政府委員(塩飽得郎君) ただいま御指摘のように、手元に置かないで公の機関なり適切な場所に管理させるということにつきましては、確かに盗難であるとかあるいは事故防止に大きな効果があると思われるわけでございます。 ただ、問題が幾つかございまして、一つは保管する施設が現在のところ十分確保されていない。それから、狩猟期間以外にも標的射撃というのが行われておりまして、この標的射撃のために銃を持たさなければならない場合がある。それからもう一つは、正当な理由づけをいたしまして保管してある場所から銃を持ち出した後は、どのように使われるかということをチェックする方法が大変むずかしいわけでございます。したがいまして、犯罪の用に供されてもそれをとめるのが大変困難であるというふうな幾つかの問題点はございますけれども、この保管につきましては今後とも確かにおっしゃるような大変ポイントをついた問題だと思いますので、慎重に私どもも検討してまいりたいと考えております。
○上林繁次郎君 いまのお話の中に、いわゆる集団的に管理というんですかね、国のサイドでもって管理の方法を考える、そうすると、その持ち出された後どうなるかわからないと。そういう考え方は私はうがった考え方じゃないと思いますよ。そこまでやったから必ずしも事件、事故は起きないんだというものではない。その事件、事故というものを最小限に抑えていく、そのための可能性、これを追わなきゃならぬ。そういう立場からいまお話しをしているわけであってね。当然、いわゆる個人に任せるよりも、そういうふうに一つの機関がこれを管理するということになれば、私はそう自由に個人がこれを持ち出すというわけにいかないんですから、当然その事故、事件というものは減少してくるであろう。完璧というものはないんですよ、いまの世の中に。ですから、完璧をねらったって無理だ。どういう方法が、この方法よりもこの方法がすぐれている、効果を発揮する、それを求めて進んでいく以外にないんだ。だから私はその点をいまお話しをしているのであって、そうやったって、おまえさんが言っているようにやったって、持ち出してその後結局どうなるかわからないんだよと、そんなことを言ったらもう切りがないですよ。 ですからその点を十分私は、まごまごしていられる問題ではない。事故が起きたときにあわてる、こんなことであってはならない。万全の対策をとこう言うけれども、またいつ、きょう夕方、またあした、どういう問題が起きるかわからない、猟銃等を使って。ですからこれ急がなきゃならない。ゆったりしているわけにいかないんだ、と私は思う。ですからそういった点を十分踏まえて、完璧とは言わないけれども、もっともっとより高い防止に対する可能性というものを求めて、そしてそれに向かってひとつ万全の対策を講じてもらうことを希望いたします。 それで、交通関係もいろいろとお聞きしようと思って来ていただいたんです。大分あるんです。これもまた一時間近くかかっちゃうんです。許されている時間が一時間です。で、まだ質問者がありますし、少し早いんですけれども協力いたしまして、これでもって終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○神谷信之助君 それじゃ、運輸一般京都地域支部の宮川運送分会及び同会社に対して、五月十四日及び十八日の両日にわたりまして、組合幹部らを初め組合側、それから社長初め会社側、これらについて、逮捕し強制捜査に踏み切った事件、これについてお伺いしますが、その逮捕者の氏名及び被疑事実及びその後の経過について、まず概略報告をしてもらいたいと思います。
○説明員(武士孝君) 警備局参事官の武士でございます。 まず、いまお尋ねのありました宮川運送という会社の概要につきまして、ちょっと御報告したいと思います。 この会社は、京都の右京区西院西溝崎町一番地宮川運送株式会社ということで、従業員が四十数名でありまして、昭和三十二年の十月十五日、資本金二千万円で設立されましたいわゆる運送会社であるわけですが、ここの会社で、昭和五十二年の九月十六日と言われておりますが、運輸一般京滋地本京都地域支部宮川運送分会という労働組合が結成されまして、一昨年の暮れでございますが、年末一時金等、賃上げの要求等をめぐっていろいろと労使間の交渉が続いておったわけでありますが、なかなか妥結に至らず、昨年の五月の一日から組合の方が無期限ストライキに入って現在に至っておるというふうに聞いておるわけであります。 それで、お尋ねの事件でございますが、会社側の方では、組合の方が五十三年の五月以来会社構内に無断で闘争本部を設置して常駐するなど、会社の敷地、施設を不法占拠しているということで、再三にわたりまして口頭、文書等による退去要請、警告を行ってきたようであります。しかし、組合の方ではこれを無視してきたために、会社側の方では、五十三年の十二月の中旬、会社による組合施設等の撤去方針を通告の後、ロックアウトを企図して、五十三年の十二月二十七日に、知り合いの土建会社である松本組というのがございますが、その人夫を動員して組合施設を破壊、撤去した。この撤去に際して会社側は、抗議、制止せんとした同労組員らに対して殴るける等の暴行を加え、八人の労組員にそれぞれ傷害を負わせたという事件であります。これか第一事件でありますが、これは会社側の方が加害者で組合の方が被害者であると、そういう事件であります。 この件につきましては、京都府警は、五十三年の十二月二十八日、組合側からの告訴を受理し、捜査をいたしました結果、本年五月十四日、宮川運送の人事部長ら被疑者二名を暴力行為等処罰に関する法律違反、傷害罪で、さらに五月の十八日には宮川運送の社長を暴力行為等処罰に関する法律違反で逮捕したということであります。 それから、一方組合の方では、組合施設が破壊、撤去されたことに憤激いたしまして、同十二月二十七日、同社構内同社事務所において会社側管理者らに暴行を加え、傷害を負わせるとともに、現金、フィルムを窃取したという事件が発生しております。これは組合側の方が加害者で会社側の方が被害者という事件であります。 この後者の事件につきましては、同府警は、昭和五十四年の一月十日、会社側からの告訴を受理いたしまして捜査した結果、本年五月十四日、全日本運輸一般労組京都支部宮川運送分会長ら三人を窃盗罪、傷害罪で、さらに五月の十八日には、同労組京滋地本オルグ一人を暴力行為等処罰に関する法律違反、傷害罪で逮捕したという事案でございます。 以上が事案の概要でございます。
○神谷信之助君 いま報告された内容について、具体的にひとつ尋ねていきたいと思います。 まず第一ですが、分会長の上野克守君ですね、彼の幾つかの——暴行傷害容疑でありますが、その第二の被疑事実として挙げています窃盗容疑の問題ですね、その内容を報告してもらいたいと思います。
○説明員(武士孝君) 第二の事案の窃盗容疑でありますが、この事件は、先ほど申しました第二の事件の方の過程で起きた事件であります。 当日の第二の事件といいますのは、会社側が加害者で組合の方が被害者であるという事件が、これは十二月の二十七日の早朝でございますが、それが終わった後、その二十七日の七時半ごろから九時ごろの間に、急を知って駆けつけた組合員のうち約半数——二十名くらいか、四名の会社役員に暴行を加えたというその過程で会社側の人から、いろいろ暴行の過程で現金を窃取したというような事件と聞いております。
○神谷信之助君 ちょっと、そのあなた方の言う事件の発生時間は違うんじゃありませんか。ここに勾留状の写しを持ってきていますがね、午前五時五十分ごろでありませんか。第二の事実というのは。
○説明員(武士孝君) 第一の事件は、ただいま御指摘のように非常に早い時間でありまして、その事件の過程で起きたことが、組合の方がこれは被害者の立場になる事件であります。これの状況は、ちょうど朝の五時半ころ、組合の方——これは捜査の結果最近わかったことでありますが、三十数名の会社側の方が雇った人夫が入構して、会社内に入って組合側の施設を破壊、損壊したわけですけれども、その際に、会社側の方が被疑者となった事件であります。
○神谷信之助君 京都府警からの報告がちょっと違うんでしょうね。上野君に対する勾留状を見ますと、その被疑事実は五つですね。第一と第二の被疑事実というのは「午前五時五〇分ころ」と。第三以降のは「午前七時二〇分ころ」、「午前八時すぎころ」、「午前八時一〇分ころ」というように、勾留状ではそういうように特定していますがね。桂署で勾留したやつですね、これ。だから、いわゆる第一の、会社側が加害者でそして組合側が被害者のときに起こったそういう窃盗事件と、こういうように勾留状に記載されていますよ。ごらんになりますか、これ、写しがありますから。
○説明員(武士孝君) 第一、第二の事件の過程での起きた事件というふうに報告を受けておりますが、現在なおこの事件を捜査を続けているという現状であります。
○神谷信之助君 ちょっと見てください。それは上野君の勾留状ですがね。いわゆる第一の事実は、五時過ぎから会社側がやってきて、そして第一の事実というのは五時五十分ごろでしょう。五時五十分ごろ、江口ですか、江口に組合側が抗議をして暴行をした、そしてそのころに窃取をしたと。で、第三の事実というのは七時以降になるわけでしょう、第三、第四、第五は。
○説明員(武士孝君) これを見ますと第一事件のころのようにうかがえます。私ども、第一、第二の事件の過程で——非常に混乱しておりますので——の事件というふうに報告を受けておりましたが、現在これまだ捜査を続けているという実情にあります。
○神谷信之助君 だから、あなた方の方の逮捕状の請求をされたいわゆる資料、それに基づいて逮捕状が発行されて、そして今度はさらに検事勾留を申請して、そのあなた方の資料に基づいて検事が勾留決定して勾留状をつくったわけでしょう、それは。そういうことですね。ですから、まさにその窃取をしたという行為は、その勾留状によれば五時五十分ごろ、いわゆるいまの報告によれば会社側が加害者であって組合側が被害者であるその時間帯に起こったということになるわけです。この点は確認できるでしょう、その勾留状を見れば。一見明瞭じゃないですか。
○説明員(武士孝君) この第一の事件の何か大変混乱した中で、組合の方が被害者としていろいろけがを負ったということについては、組合側の方がこれは大変お気の毒な立場にあるわけですが、この過程での窃取事案というのは会社側の方がむしろ被害者で組合の方が加害者と、そういうふうに理解いたしております。
○神谷信之助君 いや、問題は一点ですよ。第一の事実、いわゆる当初の事件、会社側が暴力団といいますか数十名動員してそして組合の事務所をつぶしたと。宿直の組合員に乱暴を働く、応援にかけつけた組合員にも乱暴を働く。このときには数は会社側の方が多数です。組合側は少数です。そのときに窃盗行為があった、窃取されたと。十万円ですか十二万円ですか、窃取されたということですね、その勾留状に書いてあることは。 そこで、その次お尋ねしますが、五月の十六日に京都の地裁の裁判官が行いました勾留の裁判に対して、同日弁護人から準抗告を行った。その準抗告に対して、京都地裁の第四刑事部裁判官が行ったその決定についてお尋ねしますが、その裁判所の判断の中で、「上野の第二事実窃盗を除く」と、その他の事項については嫌疑は十分と認めるが。言いかえれば、この窃盗については嫌疑不十分という判断をしている。この点は御存じですか。
○説明員(武士孝君) 詳しくは承知いたしておりませんけれども、いま御指摘のように、勾留状を請求する際に、勾留理由開示の公判でそのようなことがあったということも聞いておりますが、本人に対しては、十六日だったと思いますが、この暴行傷害の方で勾留がついておるわけです。で、その件だけについては、これは裁判所の判断の問題になりますが、私ども捜査機関としてはいまなおそれについての捜査を続行しておるというのが現状でありまして、勾留理由開示云々については私どもは言及を差し控えたいと思っております。
○神谷信之助君 この逮捕状請求のときに認められた容疑事実が、準抗告の決定の場合に嫌疑不十分というようになったという、そういう事例というのはよくあるんでしょうか。
○説明員(武士孝君) 私、嫌疑不十分という、そういうふうに理解いたしていないのですけれども。勾留をするについてその事実は除くというふうに理解しているのですが……。 そういう過去の事例がどうかとなりますと、私、ちょっと手元に資料を持ち合わせませんので、大変恐縮でございますけれども、過去どうだったかということになると、ちょっと調べてみないとわかりません。
○神谷信之助君 二、三日前、土曜日でしたか、事前にこの点についての調査は言ってあるんですかね。開示公判の決定、その写しありますよ。それで、前半はいわゆる容疑事実について嫌疑が十分か不十分かという判断を書いています。ですから、「各事案(被疑者上野の第二事実窃盗を除く一についての嫌疑は十分に認められる。」と。だからその他の四つの事実については嫌疑はまず十分だと。その上で、今度は嫌疑は十分だけれども勾留する必要があるかどうかという第二の部分についての判断が書かれています。ですから、まず嫌疑は十分なのか不十分なのかと、不十分であれば別に勾留する必要ないわけですから、そういうことをやったわけでしょう。それで、この窃盗の事実については除かれて嫌疑は不十分と。だから、勾留をするかあるいは不必要かという判断をする必要はないわけです。これはもうこの決定書明瞭です。そこで、逮捕状の請求をしてそれが認められないというのは、資料見ますと大体一%から〇・三%、ほとんどないわけですね。それで、それが準抗告の決定の段階で嫌疑不十分になったという例もきわめて異例だというように私ども聞いているんです。 ですから、こういうことになりませんか。いま五つの事実で上野君は逮捕状を執行された。しかし、もし窃盗という容疑ただ一つで逮捕状が請求されたと、他の事実はなかったとすれば、これは勾留する必要はないわけですから、一言うなれば誤認逮捕ということになるわけです。どういうことになるでしょう。
○説明員(武士孝君) 私ども逮捕するについては、相当な理由があるということで逮捕令状を裁判官からの発付を得て逮捕しているものであります。 また、勾留の問題は検察庁の問題になるわけでありますけれども、勾留理由開示の公判の状況等は、これは裁判所の問題でありますが、私どもは、本人釈放されておりますが、現在なお窃盗罪についてもほかの暴力事案とあわせて捜査を続けているという実情であります。
○神谷信之助君 私は非常におかしいと思う。いまの報告もそうですが、先ほども勾留状をごらんになってわかるように、府警本部がどういう報告をされているのか知りませんがね、相手側が多数で攻撃をしてきているときに、その社長の上着の内ポケットから金を盗み取ると、第一そういう行為自身がきわめて至難のわざですね。しかも、労働組合の幹部というのは、そういう闘争中でみんなが力を合わせて小さい組合ながらもがんばっているというた闘争の中で、そういう行為をなすということ自身あり得るはずがないほどのそういう事案であるにもかかわらずやられておるわけですが、私はこれはきわめて重大な捜査権乱用による人権侵害と言われても仕方がないものだというように思います。 そこで、この窃盗の件ですが、これは会社側の告発あるいは告訴に基づいて捜査当局の方で御捜査をなさったものだと思いますが、会社側の方からその点についての事情聴取はなさったわけでしょうか。
○説明員(武士孝君) 現在捜査中の事件でありますので、詳しく申しかねますが、当然必要な捜査をした上でのことであります。
○神谷信之助君 それじゃ、その会社側の告訴、告発に基づいて、それに対して必要な調査を行って、会社側についても調査をなさっているであろうということですね。それで、相手方の組合側に対しては調査をなさったんですか。
○説明員(武士孝君) 捜査については、組合側、会社側から大変膨大な告訴が双方から出ております。それらについて、組合側の方からいろいろと御協力もいただけない面もあるわけで、捜査については全力を尽くして現在やっておるところであります。それで、比較的固まった事件について、昨年の暮れのこの事件について強制捜査をもって臨んだという実情であります。
○神谷信之助君 大体こういう労働争議に関連をした刑事事件になりますと、組合側の方が捜査に協力しないとよくおっしゃるんですけれどもね。私は先週の土曜日現場へ行っていろいろ聞きました。任意出頭の申し出は全然なかった、いままで。逮捕されるまで。組合の方はそういう協力要請がある、あるいは出頭して事情聴取をするということであれば、積極的に協力する方針をもって臨んでいるんです。ですから、釈放されて以後、きのうからですか、出頭要請が始まっています。これにはどんどん協力をするということで出頭するということです。きのうも出頭しているはずです。だからあなた方のほうは、会社側の方のいろんな調査、告訴人についての調査はなさったけれども、組合側も告訴しているんですよ。しかしそれについては、被害届を出しただけで、それで後、協力いつでも応じますと言っても何ら出頭要請はない、そういう状態できているのですよ、逮捕まで。その点御存じですか。
○説明員(武士孝君) ただ、逮捕した事件についてだけ申しますれば、私どもできるだけ捜査は任意捜査を基本としてやるべきだと思いますけれども、事案の性質によっては強制捜査をもって臨まなければならないという事件も多々あるわけであります。本件の場合、集団による悪質な暴力事件でありますし、通謀または証拠隠滅のおそれも考えられましたので、本件については犯罪事実の明白なものについて強制捜査を行ったということでありまして、釈放後もなお補充捜査を行う必要がありますので、現在組合員を参考にして呼んで取り調べを行っているというふうに報告を受けているところであります。
○神谷信之助君 おかしいじゃないですか。会社側の方だけは任意出頭を求めていろいろ事情聴取をなさりながら、組合の方だけはそれは強制捜査でやるんだと。いま現在補充捜査をやっているんだと。あちらの方が先に暴力団を使ってやってきたんでしょう。あちらの方が集団的暴力行為をやったんでしょう。そちらの方は、会社側についてはいろいろと事情聴取をする、組合側に対しては密行捜査でやる、どういうことですか。
○説明員(武士孝君) 会社側につきましても、本件については強制捜査でやっておるわけでございます。
○神谷信之助君 それは通りませんよ。これは後で、次に事実に基づいて言いますが。 このとき逮捕されました中で、十四日に逮捕されました書記長の藤坂隆男君は、体が悪くて当日は脊髄の検査をするということで、京都の市民病院で検査を受けて、その結果では入院をするということになっておったのです。ところが、これも逮捕して、本人自身も体のぐあいが悪いと言ってもなかなか釈放しない。抗議の中でやっと事実確認をして、午後の二時ごろに釈放になったと、こうあります。これはきわめて人道上問題だと思うのですが、どうですか。そういうことは平気でやられるんですか。本人が言っても逮捕して、早朝に逮捕して、午後の二時ころまで——すぐ市民病院に聞けばわかることです。二時ごろまで釈放しないと、これ人道的に言っても大変問題だと思うのですがね、これはどういうふうにお考えですか。
○説明員(武士孝君) 藤坂なる被疑者につきましては、逮捕時、私ども本人が病気であるかどうかは存じませんでした。通常の姿勢で歩いておるわけでありまして、逮捕後初めて病気があるということが判明いたしたものでありまして、簡単な取り調べ後、当日釈放をいたしておるところであります。
○神谷信之助君 逮捕したとき、外見上はどういう状況にしろ、本人はそういう事情にある、検査をして入院を言われているということは警察官に言っておるわけですよ。だから逮捕と同時にわかるわけです。それは言いわけにすぎません。 次に、今回の逮捕の要因になりました、先ほど述べておられます五十三年十二月二十七日の事件について、警察側で把握をなさっている事実及びそれに対する警察側の対応について御報告をしてもらいたいと思います。
○説明員(武士孝君) 事案の概要は先ほど申し上げたことになるわけでありますが、当日、昨年の十二月二十七日のことでありますが、午前六時四分、一一〇番通報で、数十人の者が押しかけてきたと、けが人も出ているという一一〇番が——宮川運送の者だがというような表現のように聞いておりますが、そういう報告を受けてこの事件を認知したわけであります。そこで、私服三名と報告を受けておりますが、早速現場に急行をさせて状況を見さしたということであります。 そのときの状況は、会社の外から見ておるわけでありますが、大変広い敷地のようでございますが、外部からは何も特異な事案のようには思えなかったというようなことでありますが、その後、六時半過ぎごろでございますか、いろいろと照会——救急センターですとか病院等をまた別働の捜査員がいろいろ当たりましたところ、けが人が三名病院に運ばれたというようなことも認知して、私どもはこれは事件があったなということを知ったわけですが……
○神谷信之助君 それは何時ですか。
○説明員(武士孝君) 六時半過ぎだと思います。 それで、さらに七時ちょっと前のころですが、守衛の方へ連絡したところ、もう事態はおさまっておるというようなことの判断がありましたので、まあ何か事件があったとはわかったわけですが、これはもう現場措置ができませんので、事後捜査で臨む以外方法はないということで早速捜査を開始して……
○神谷信之助君 それは何時ですか。事後捜査は何時から。
○説明員(武士孝君) もうすでにその時点でこれは捜査を必要だということの判断は署長ができるわけです。それで捜査が始まる。で、捜査については、いろんな関係者に当たること、それから現場の実況見分もする必要があります。そういうことで、体制を組む、捜査員に任務を付与するというようなこと、幾つか手順を踏まなきゃなりません。それで、その日のうちに実況見分も一応はやったというふうに聞いておりますが、その後、翌日組合から告訴がなされるわけで、さらに年が明けて、一月早々会社の方からも告訴があるというようなことで、労働争議に絡む事件でありますし、双方から告訴も出ておるというようなことで、いろいろ捜査についても慎重を期して鋭意捜査を進めて今日に至って、先般のように強制捜査をもって臨んだというのが現在までの経緯でありますが、これ以外にも数十件の告訴が出されておりますので、現在鋭意捜査中であるというふうに聞いております。
○神谷信之助君 昨日の夕方に政府委員の方から報告を受けたところによりますと、どうやら何か物騒なことが起こりそうだというので、五時二十五分ごろに二十六名ほどの制服をその会社の近くに派遣をしたと、そしていまおっしゃったように六時四分に一一〇番があった。そして数名の私服を配置をしたと。で、調べてみたけれども、大変静かだったと。ここはよく誇大報告をするところなので、また例の、いつものことかということでおったところが、十時過ぎに病院の照会があって、それで三人が病院に入ったということがわかったと。そこで、十一時二十分に実況見分に入ったと、こういうように政府委員から報告があったんですが、いまの、ちょっと部分的に違うところがあるんですが、どうですか。
○説明員(武士孝君) 時間の点、制服二十六名がそう朝早くからというふうには私は報告を受けておりませんが、やはり部隊を編成して、これは秘匿配備だと思いますが、配備していたという報告は受けております。時間の点についてはちょっと不明確でございますが。それから、病院に収容されたという一報が入ったのが六時半過ぎで、もうわかっているというふうに聞いております。実況見分は、神谷議員御指摘のように、十一時過ぎ、それは間違いございません。
○神谷信之助君 先般、私帰りまして調べてみたんです。京都市の消防局に聞きました。そうすると、京都市の消防局は、六時八分に一一〇番センターに通報があった、そうして一一〇番センターの方から一一九番救急車の出動の方に六時九分に通報があって、すぐ出動して、そうして三名を六時十五分に収容して明石病院に入院させたと、こういう報告ですね。 ですから、ちょっと私きのう政府委員の報告を聞いて非常に気になったのは、五時二十五分に事前にそういう騒動が起こりそうだということで二十六名からの制服を配置をしておったとすれば、救急車が出動しているのですからね、わからないはずはないということが一つ疑点です。それから、六時四分に一一〇番があって直ちに数名の私服が走ったと、現場へ着いたのがどのくらいかかっておるのか知りませんけれども、六時十五分に収容しています。ですから、その後に行ったのかもわかりませんね、これはわかりません。ですから、まあ六時半ごろ病院の方から連絡があったんだろうという点はこれは理解できると思うんです、時間の点では。という状況です。 そこでちょっと私が不思議なのは、六時四分なり八分なり、いずれにしても一一〇番からそういう通報があって、そうして走って行かれた私服数名、仮に救急車が出て行った後にしましてもね、あのちょうど五条通りですが、九号線沿いの工場です。その九号線沿いでもうすでに何らか異常があったということを察知できる状態にすでになっているんですよ。五条通りに面して入口が二つあります。西門の方の入口、これは鉄パイプを組んで、組合の野菜の販売の売店、これをつくっているんですよ。それで、襲撃をしてきた暴力団の方は、この鉄パイプで組んであるそれを破壊をして、そうして会社の構内に入って、構内にある闘争本部をもう形もないほどにぶっ壊してしまったんですね。ですから、五条通り、いわゆる九号線からちゃんと会社の前を通れば、歩いて実際通ればわかるわけだ。そういう事態になっているんですよ。まあ十二月二十七日の事件ですから夜が明けるのは遅いですけれども、そこで何か騒動が起こったという連絡を受けて行かれた私服ですから、広い面積を捜査しているわけない。広大な面積だといいましても道路上から見ればわかる。それから、東門の方、闘争本部のありました方は、東門を入ってすぐのところに闘争本部があります。これが壊されているんです。ですから、六時半あるいは六時——現場に着いたのが何分かということはわかりませんが、いずれにしても桂署から向こうまでですと、車で行けば、あの時間ですから五分ないし七分くらいで走って行きますよね、桂署からで。ですから、そういうまだがさがさやっている事態だし、あるいは東門は確かに二トン車を門のようにして斜めに置いてありますけれども、車が一台通れるだけの空地はちゃんとあいてます。ですから、そこからのぞき込めば事態がどうなっているかということもわかるはずです。警察の対応はどうもこの点で私は理解しにくいんですが、いかがですか。
○説明員(武士孝君) 報告によりますれば、私服三名がばらばらじゃなくて、三名単位で周辺をいろいろ、周辺から中を見ていたという状況であります。で、労使間のいろんな問題であります。それまでもこの会社あるいは一般の市民の方か存じませんが、すぐ一一〇番がかかってくるということで、行ってみるとそういう救急車を呼ぶなどの事案でもなかったというのがいままでも二十数回あったというふうに聞いておりますが、本件の場合も、よもやそういうことはないと思いますが私服を状況を見にやったわけですが、何せ広いところで見通しが余りよくないところもあり、すべてを把握し切れるわけではないと。中に入るのについても、労使間の問題であり事態がおさまっているというふうに判断いたしましたので、これは事後捜査でやるべきであるという方針を立てたということであって、警察が何もしてなかったというわけではないというふうに私は思います。
○神谷信之助君 まあ報告はそういうようにきれいごとをおっしゃっていますが、参事官現場を御存じでありませんからね、私が言っていることについてもにわかには信じがたいかもしれません。しかし私は現場にはしょっちゅう行っていますからね。広大なところで見通しが悪いということはないのでね、広かったら見通しがいいんですよ。よく見えるんです。しかも、普通はちゃんと門があるといいますか、鉄パイプが組んであったところがつぶされているんですから、もうそこは出入りが自由にできる状況になっているんですから、ですから所轄の桂警察署からすぐ出動された方なら、日常問題の多いところですからね、御承知のように。現場の状況はよく御承知ですから、異常があったかなかったかはわかるはずです。しかし、これはいまここで言っても押し問答といいますか、ですから、この点はひとつ厳重に、そういうことのないようにやってもらいたいというように思うんです。ですから、一一〇番をしてももう間に合わないし、来てもそういう事態が起こっているということがわからないという状況のままで放置されているわけですね。 そこで、もう一つお伺いしますが、十二月二十七日に先ほど言いましたようにそういう事件があって、翌二十八日に組合側は告訴、告発を行いました。それで、その中に彼ら暴力団がやってきて、カメラ二台と現金十万円を盗んでいるんですね。ですから強盗事件として強盗容疑で告訴しています。これについては組合側は、桂署の求めに応じてすでに被害届けも出しています。これは一体どういうことになっているんでしょう。
○説明員(武士孝君) 捜査をいたしております。
○神谷信之助君 先ほどの、上野君に対する窃盗だけは早いこと捜査をなさって、そして上野君だという容疑者を特定をして逮捕までやっているんだけれども、カメラ二台、現金十万円、強盗ですわ、これは。強盗で告訴しているんです。これの方は被害届けを出したけれども、後何の事情聴取もない、そのまま今日に至っている。これはどうも理解できないじゃないですか。
○説明員(武士孝君) 先ほども申しましたように、双方から数十件の告訴が入り乱れまして、その一事案については双方が相関連するという内容もあるわけで、昨年の暮れ以来の主たる事件で、そういう中で告訴があっても、それをやはり犯人を逮捕するためには結びつきを見つけるためのいろんな捜査が加えられなければならないわけで、そのために鋭意苦労をして、現在やっとの思いで今回十二月二十七日の事件について強制捜査をもって臨むことができたという、現在のところ捜査がそこまでしか進んでいないというのが実情でありますが、引き続き鋭意捜査をしてまいりたいというふうに私どもは考えております。 それから、先ほどのことの繰り返しになりますけれども、局部だけを見て警察はどっちかでなく、全体の中での警察はどうあったかというふうに、何といいますか、そういう目で見ていただけたらと思うわけであります。一つの事件を固めるについて、告訴があったからすぐ逮捕できるものでもありません。これだけの事件をやるためには相当な捜査の努力が陰にあることを十分御理解いただきたいわけでありまして、私どもは引き続き捜査を重ねていくつもりでおりますが、二十七日の朝についても、あのとき現行犯をできる状態にはすでになかったわけでありまして、後はどうやってみても事後捜査で何とかして検挙できないかということであるわけで、まあ労使間のことでありますので慎重な、双方に十分公平な立場で関係者の取り調べももちろんしておるわけでありますが、最終的には事件をやっとここまで幾つかの中で持ってこれたという京都府警の努力についてもよろしく御理解賜りたいのであります。
○神谷信之助君 おっしゃるように、労働紛争の場合には、特に会社側が労働組合をつぶすという、そういう意図を持っていろんな挑発、攻撃をしてまいりますと、そういうトラブルが双方に起こったかのように見えます。そうして、これは両方が争っているんだから両方を平等に見るのがいかにも公平で正しいかのように捜査当局はよくお考えになるんですけれども、しかし私はそれが根本的に間違っていると思うんですね。この事案でもたくさんの告訴、告発が組合の側からも出ていますが、五十三年の十二月十一日付で出しました上野君らの告訴の事実をずっと見ましても、もうこれ、ここでは七つの暴力行為あるいは殺人未遂といいますかね、そういう問題も含めて告訴、告発をしています。暴行傷害、器物損壊、殺人未遂、暴力行為等処罰に関する法律違反ということで、七つの事実を出しているんです。 問題は、先ほどもちょっと御報告になりましたように、この宮川運送では五十二年の九月の十五日に労働組合が結成されまして、翌十六日に会社側に通告をしています。そして、会社側と何回か団体交渉をやって、十月の七日には両者の間で協約が締結されています。きわめて平穏に事態は進んだ。問題が異常になったのは、十一月の十日に江口昭を入社をさせてこれを人事部長にすると。そして十九日に、十月七日に結んだところの協定を破棄をする。一方的に破棄の通告をする。翌十一月二十日には臨時株主総会を開いてこの江口を取締役に就任させると。それから労働組合との団体交渉を制限をしたり、あるいはもう協約を破棄したということで、逆にいろんな制裁措置を加えて賃金を減らす。だから月収四万、五万しかもらえないという人がざらにできてくるんですね。出勤停止というようなことを盛んにやってくる。そういう攻撃をして、いわゆる兵糧攻めにして、そして労働組合をつぶそうという攻撃を行う。あるいはその中で、言うことを聞かぬといって、気に入らぬといってやかんを投げつけたり、あるいはなぐったりする。いろんな暴行、暴力事件が相次いで起こるんです。 この江口昭というのはどういう人間かといいますと、いまちょっと先ほど資料を持っておったのが見当たりませんのでなんですけれども、もうすでにここの会社に来るまでにそういうトラック関係、運送関係の小さい企業、そこに労働組合ができますと、そこの労務担当の責任者あるいは人事担当の責任者として入って、そうしてそこの労働組合をつぶしていくと、あるいは労働組合をつぶすことができなければ会社そのものをつぶしてしまう。こうやって、ここへ来るまで五つ六つの会社を次々と回っているんです。だから、名うての悪質な労務屋なんです。組合つぶし屋なんです。これが来てからですよ、問題が起こっているのは。それまでは別にどうということはなかった。確かに労働条件は悪いです。小さい中小企業ですから、就業規則やその他にいろいろな不備がある。ですから監督署にも相談をして、そしていろいろなそういう点の改善をかち取っていくために、実現をするために社長なんかとも話をして円満にいっていたんです。この江口昭という人間が入ってきた途端にこういうことになった。そうしてこれが相次いでそういう暴力事件を起こす。労働者も人間ですからね。二回、三回は黙ってますけれども、何遍も何遍もやられたら黙ってはおれぬですよ、あたりまえです。 彼らの方はどうです。確かに会社の方はいろいろの通告をして、組合の闘争本部の撤去やあるいは退去を通告をしているでしょう。本来ならそれはどうすればいいんですか。暴力団を雇って暴力的に破壊をしてもいいんですか。会社の敷地内に勝手に建てたんだから、それだけ通告したんだから、だからおれの方は暴力団雇って妨害するやつは殴るけるして形もないようにつぶしてもいいと、そういうことじゃないんでしょう。それは裁判所に出して、そして、何というんですか、仮処分の申請するのかどうか知りませんが、そういう執行命令か何かもらって、そうしてやらないかぬのですよ。そういうこともさっぱりやらない。逆にそういう暴行行為をやる。怒って抗議をするのはあたりまえです。それを今度はけんか両成敗。何ぼ殴られてもけられてもどんなことをやられても黙っとれというのか。警察は一体何をしてくれた、何ぼ言うてもそいつを押さえに来ないじゃないか、何遍告訴、告発してもつかまえようともしないじゃないか、一体だれを頼ったらいいのかと、こう言うんですよ。 だから私どもは、いろいろあるなと思うんですよ。そこでいろいろ聞いてみますと、やっぱり桂署とこの宮川運送とは何か関係があるんですね。大きい車を動かす場合は、レッカー車は宮川運送に頼んでいる、桂署は。九号線沿いですからよくあるんですよ。だから、そういう関係でのつながりというのは、桂署と宮川運送との間にはあるんです。ですから、たといえば五十三年の八月に組合側はストライキでピケを張っています。そうすると、八月の——日にちはメモを忘れたのでちょっと飛んでますが、早朝から桂署の私服が張り込み出しておると。少し離れたところに機動隊もやってきたと。きょうは何かあるなと思っておったら案の定会社側はトラックを持ち出してピケを破ろうと、こういう挑発行動をやり出したわけです。ですから組合側は、そういう挑発に乗らないということで、直ちにピケを解除して、そうして事故の発生といいますか、彼らの暴力行為を惹起をするのを未然に防いだわけです。組合の方は、その日会社側がそういう行為に出るということは全然知らない。警察の方の配置が来ているぞ、どうも何かありそうだということで、おかしいぞといっていたら、案の定起こっている。会社側がそういう行為をやるということを警察が知っている。知っているから来ているんだ。事前にツーツーでしょう。 これは、先ほど言いました十二月二十七日、政府委員から最初に報告があったのは、五時二十五分ごろから制服二十六名配置をしていたと、私の方にちゃんと報告してきたんです。いまのあなたの報告になかったけれどもそういう話だった。これもだから臭いじゃないですか。二十七日、組合の方はそんな動きがあるということは察知していません。ですから、闘争本部に宿直していたのはたった三名です。そこに入ってきたんです。寝ているものをたたき起こして、引きずり出した。社宅はすぐ横ですから、その物音で応援の数人が駆けつけた。彼らの方は——あなたの方では三十数人と言うのだけれども、まあ夜のことですからとにかくようけに見える。六十人ぐらい来たのじゃないかというようにわれわれ聞いています。その中でスクラムを組んで事務所を破壊をするのを防ごうとする。それに対しても殴るけるの暴行をやった。それでとうとう三名のけが人が出た。事案はこういうのですよ。 組合の方は、こういう問題に一体どうしているかと。ですから、昨年の暮れ、十二月の二十五日に京都の地方労働委員会に対して仲裁の申し立てをしています。それから告訴、告発もする。そうやって正当に法律で認められている権利を行使することによって、そしてまた何遍も何遍も繰り返し会社側に話し合いを申し入れて、忍耐強く平和的解決を求めているんです。会社がやったのは何ですか。常に一方的に破棄をし、そして一方的に暴力団を使い、あるいはピケに向かって車を走らせてきたりして人を殺そうとするような態度までとる。あるいは組合員を車に乗せて、十万円金をねじ込んで、組合を脱退せいと、そうしたら組合に借りている金も全部返してやると、そういう買収まがいの不当労働行為を公然とやっている。あらゆる法律に違反するような行為を次から次へやっている。だから、法を守って労働者の権利を守る、そのために隠忍自重しながら、しかし毅然として闘っている、これと、片一方はもう法律もくそもあるかと、そういうごろつき労務屋を雇って、そして暴力行為をほしいままにしている、そういうことが会社側のやり方。これを平等だと。同じように順番にやっていますと。会社も一人釈放したら組合の方も釈放します、そういうやり方じゃないですか。私は、こういう態度は許すことはできないと思うんですよ。 私はそういうことの報告を聞いていますが、法治国家で法の秩序を維持しなきゃならぬ、またそういう責任を持っているはずの警察ですから、こういうことがあってはならないことだと思うし、実際にそういうことになってはいかぬと思いますが、現実に先般調査した内容を見ると、これは大変ひどいことになっている。ですから、もう最後にしますが、ひとつ警察庁の方も、府警本部を通じて桂署が扱っているこの問題について、少なくともそういう批判を受けないようにしてもらわないかぬ。いま京都の多くの労働者は、京都総評を初め、こういうふらちなやり方に対して、共闘組織をつくって、そして警察のこういうやり方についても大きな抗議の運動というのが起こっています。私はこれは警察の威信にもかかわることだし、そして法治国家であるわが国のその背骨である民主主義を守る上からも、厳正に公正に——厳正に公正にと言うたら両方平等ということじゃないんです。先ほどの報告があったように攻撃しているのは向こうなんだから、それに対して正当防衛をやるんだ、黙って殺されるわけにいきませんよ。そのことをはっきり、事態の本質というのをつかまえてもらって、正しく法の執行に当たってもらいたい。このことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
○説明員(武士孝君) 答弁を補足さしていただきます。 正当防衛と言われますけれども、第二の事件においては、むしろ組合の方が管理者に向かって、事態が終わってから後殴りかかっていると。正当防衛とは認められません。 それから、暴力団暴力団と言いますけれども、松木組が暴力団であるという認定資料を私どもは持っておりません。 それから、労務担当の者が大変な労務ベテランということは聞いておりますが、その素性等については私ども把握いたしておりません。 それから、宮川運送と癒着と言われますが、そういう事実はございません。 それから、五十三年の八月のピケという問題について、会社側が正当な行為として出荷する場合に、それに対するピケにもおのずと限界がありますので、そのトラブルをめぐって不法事犯が起きないよう警察が配置につくのは当然の責務です。 以上です。
○神谷信之助君 ちょっと、最後に一つ。 いま、全部否定をされましたけれどもね。私が申し上げた事実について、よくお調べの上お答えになるのがいいんですよ。いいですか、私が先ほど言いました、たとえば窃盗の行為が、勾留状に書かれているそれと違ったでしょう、報告が。これも一例ですよ。私がいま指摘をした点について、だから私も最後に言っているでしょう、そういうことが事実でないことを期待はするけれども、また、そうしないと警察の威信にもかかわると思うけれども、しかし、もしそういうことがあったらならぬので、だから十分京都府警に対して調査をして指導をしてもらいたい、こう言っているんです。この点はっきりしてもらわぬとね。全部違いますよと。それはわかります。警察庁として、京都府警本部のとったことを一々全部指摘をされて、そのまま聞き逃しておったんでは、それはメンツもないし立場もないというのはわかりますが、ちょっと私はせっかちに過ぎると思いますよ。 それから、いまおっしゃいました中で——ぱっぱっぱっと言われた、聞いておるときはこれもこれもと思うたけれども、一遍に全部言われたからね、(「癒着癒着」と呼び者あり)癒着か——正当な出荷行為にピケットを張ればトラブルが起こるだろうと、だから配置をしたと、そうおっしゃるんですけれどもね、トラブル起こらぬかったでしょう。それは警察が出てきたから起こらぬかったというわけですから。正当な出荷ならそのことを組合側に、あしたはどうしても出すからピケットを解いてもらいたいと言われれば出しているんですよ、いままでは。あれは違うんですよ。正当な出荷行動のように見せかけてピケを暴力的に突破することによって挑発を起こす、こういうことですよ。 それから、昨年の暮れの、十二月二十七日の第二の事件、あれはもう別の事件やと。おさまってからやと。抗議に行ったんですよ、あれば。どんどんと朝出勤してきた労働者と一緒に。あるいは近所の人たちと労働者と一緒に。もう暮れですからね、近所の労働者で休みになって家におる人もおります。そういう人たちも、そういう事態を聞いて抗議に行っているんです。だからそれ暴力団の暴力行為と同じような言い方はだめだと思います。 それから松木組については、私は暴力団暴力団と言っていますが、これにも理由がある。京都における千曲製作所の事件、あるいは何とか鉄工の事件、それから病院の事件もあります。とにかく私が知っている限りで六つ、七つの争議に必ずこの松木組が出てきている。常に暴力を働いている。そういう松木組という建築会社であります。まあそれだけ申し上げておきます。 だから、これはここでがちゃがちゃやってもしようがないので、あなたの方はいままでの京都府警の本部の報告に基づいておられますから、ひとつ私が指摘をした点について改めて御調査をいただいて、そしてしかるべき形で、私また訂正を求められるなら求めていただいて結構ですから。
○委員長(永野嚴雄君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十三分散会