大蔵委員会 第17号
- 発言数
- 131 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1979/05/22
会議録
○委員長(坂野重信君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 租税及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行理事中川幸次君及び同考査局長佐藤静君に参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(坂野重信君) 租税及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○和田静夫君 きょうは昭和四十九年十月二十五日の参議院決算委員会以来取り上げてまいりました大光相銀問題について論議を交わしたいと思うのでありますが、銀行局長ちょっと.おくれているようでありますから、その前に、二、三の問題を質問をいたしておきます。 第一は、いわゆる天下りについてでありますが、きょうは時間がありませんので、詳細は後日に譲るといたしまして、一、二基礎的な疑問をお尋ねをいたします。 大蔵省は予算委員会の要求にこたえて、毎年大蔵省から金融機関への就職者調べを提出をされております。その他、私の調査した資料と合わせて検討をいたしましたら、大蔵省の資料には大分記載されていない人がいるわけです。大物では吉國二郎、細見卓、村井七郎三和銀行、稲村光一長銀さんらですが、これはどういう理由でしょう。
○政府委員(松下康雄君) ただいま御指摘がございました大蔵省から金融機関への就職者調べでございますけれども、これを作成をいたしますときに、この表に載せる人の範囲につきまして次のように定めたわけでございます。 それは、第一に人事院の承認を経まして大蔵省の職員であった者が金融機関に再就職をいたしました者で、かつ、その金融機関の現職の役員としておられる人、この人々を登載をいたしたわけでございます。 そこで、ただいま御質問のございました具体的な人名についてでございますけれども、その中で吉國、村井、稲村の王氏につきましては、実はそれぞれこの金融機関に就職をされましたのは役所を退官いたしましてからもうすでに二年以上経過をいたしておりまして、その時点で再就職をされたわけでございます。したがいまして、これらの方々につきましては人事院によりますところの承認手続が必要でございませんので、そういうことでこの表に載せていないのでございます。 また、細見氏につきましては、これは人事院の承認を得て再就職いたしたのでございますけれども、顧問に就職をいたしまして、ただいま申し上げました役員の就職でございませんでしたものですから、そこでこの表に登載をしてなかったのでございます。
○和田静夫君 都銀には何か事件に関連したことが多いという感じがするんですね。地銀、相銀、信金も検察官及び各地の財務局から、すなわち直接的な検査監督者が天下っている。それは何か事件があった場合がどうも多い。 都銀について言えば、たとえば安宅産業の問題で借りを返すために住友銀行子会社の住友クレジットサービス、この会長に田中啓二郎さんが迎え入れられた。東京銀行はブラジルでのあの事件で借りを返す、そういう意味からか柏木雄介さんが頭取に昇格をされたと言われています。 まだまだありますが、きょうはまあやめておきますけれども、地銀、相銀、信金についても、きょう後から取り上げる事件との関係もありますが、事件との関連がどうも多いような気がするのです。事件ではなくて、トップが他の営利会社社長を兼任したことを検査で指摘をされる、天下りを受け入れる、そういう例もある。そうして一たん受け入れると大蔵のポストということになってしまう。後ほどの大光相互の場合も大蔵がこう続くということになる。 こうした事例を見ますと、組織を挙げての権限をある意味で巧みに利用した猟官運動だと言わなければならない、客観的に見ると。したがって、過去二十年、どういう理由で天下ったのか、天下りの周辺、この二、三年内の金融機関の問題点を記した資料を全部明らかにしてもらいたいと、こう思うのです。その上で再び細かく再度質問をいたしたいと思います。 少なくとも私はこの二、三年間、集中的に都市銀行、地方銀行、相互銀行、信金問題、まだまだ調査、追ってますから、この大光相互だってまる四年、足かけ五年かけたわけですから、それらのこととの関連において資料提出できますか。
○政府委員(松下康雄君) ただいまの大蔵省から金融機関への再就職の事情についての御質問でございますけれども、一般的に金融機関の側におきましても、自己の企業が大きくなりますにつれ、たとえばより広い視野で金融、経理、財務等に経験のある人材を求めるというような点から、大蔵省出身者に対しまして再就職を求めるというような事例はよくございます。ただ、いま御指摘ございましたような個別のいろいろな事案に関連をいたしまして、その事案にタッチをいたしましたたとえば公務員がその機関に再就職をするということは、これは再就職の制限におきまして、離職後二年間、その在官中に密接な関係のあった民間営利企業に就職することはできないという固い原則がございますので、これに従いまして、そのような事態が起らないように、また疑問のある場合には一々人事院の御承認を得るように処理をしてきておる次第でございます。したがいまして、御指摘のございましたような何らか個別の事案に絡んで、それを踏み台にして公務員が特定の金融機関に就職するというようなことはたてまえ上それはできないことでございますので、全体につきましては一般にいろいろ人材を求める事情はございますでしょうけれども、その点につきましてこれを一々内容について御報告申し上げるのは御容赦をいただきたいと存じます。
○和田静夫君 それじゃまあ、少なくとも私が大蔵委員会なり決算委員会なりで取り上げてきた諸金融機関との関係において疑問に感じている点をあなたから後刻徴したいと思うのです。それはよろしいですね。
○政府委員(松下康雄君) 個別の事案につきまして御説明を要する点ございましたならば、それぞれ御説明を申し上げることにいたしたいと思います。
○和田静夫君 どうも忙しいところありがとうございました。銀行局長、お見えになりましたから。 先日、この大光相互銀行の粉飾決算と思われる不正な経営内容というものが表面化をいたしました。発表もあり、報道もされました。 実は私は、大光相銀の問題につきましては、昭和四十九年十月二十五日、同年十一月二十七日、これは参議院決算委員会、そして昨年十月十七日、これは参議院大蔵委員会ですが、三回にわたって不良債権、不良融資を追及をいたしました。昨年には粉飾まがいの債権回収工作を行っていると私は調査結果に基づいて指摘をいたしました。 私が繰り返し大光相銀の問題を取り上げましたのは、田中金脈問題とこの銀行が関連しているというそういう特殊な例外であるからではありません。それどころか、大光相銀の乱脈経営は全国の金融機関、ひいては金融行政の象徴的な事件であるとさえ私は考えたからであります。 私は、これまでにもしばしば金融機関の経営にかかわる問題不正ないし不良融資の問題を取り上げてまいりましたが、それは個別の不正を容認できないということばかりではないのでありまして、金融機関一般の問題、ひいては金融行政の問題に深く根差したところから事件が生じていると実は考え続けていたからであります。 一言で言いますと、金融機関はつぶれない、金融機関は公共的性格を持つという神話に対して挑戦してきたのだと言えば、つい先日までは恐らく皆さんけげんな顔をされたに違いありませんが、大光相互の実態が明らかになった今日、そのことを否定される方はもういらっしゃらないと思うのであります。 しかし、金融機関はつぶれない、信用不安が生ずるから大蔵省が保護するという過保護行政のもとで何がはぐくまれてきたのか。あらゆる金融機関におしなべて許しがたい大衆べつ視の体質、そして一部の金融機関における一般の企業においても見られないほどの乱脈経営である。それを見て見ぬふりをしている監督官庁、大蔵省のセクショナリズムに根差した秘密主義であります。 乱脈経営は、大光相銀、東京信金、本日後刻質問をいたします実業信用組合ばかりではありません。大蔵省もその実情を知っている金融機関はまだ幾つもあります。 私はこれまで決算、地方行政、大蔵各委員会で取り上げてきた各金融機関の問題を責任を持って、警察やあるいは銀行や検察の答弁はありますが、なお調査し続けています。皆さん方のところで手を抜いていらっしゃっても、私は提起をした以上、逐次調査を完了をしながら質問をさらに続けていくつもりでいます。それは何年かかろうがでありましょう、議席がある以上。 大蔵、警察、検察各庁とも、何年前にあの事件については答弁してしまってあの委員会を糊塗することができたのだからこれで万事終われりというような態度ではなくて、それぞれ私は対処をしておいていただきたいと、こう考えております。 とにかく大光相互銀行に関するさまざまな救援、救済措置、これらの救済措置劇とでもいいますか、そういうものを見ていますと、帳じりは大蔵省が世話してくれるということになりそうであります。一般の企業ならとうに倒産しているところでありますから、大蔵省としてはあらゆる金融機関は絶対につぶさないという基本方針をお持ちのように見えます。 それならば、いつの時点で経営問題を摘発をされるのか、どう経営責任をとらせるのか、そういう問題に私はなろうと思うんです。大光相銀の場合はその点はきわめてあいまいなまま大蔵省が救済を講じていこうとしているようでありますから、これはなぜだろうかと疑問に思います。どういう基本姿勢でこの問題に取り組んでいかれるのか、まず説明願いたいと思います。
○政府委員(徳田博美君) 先生御指摘のとおり、金融機関は非常に社会的公共性の高い企業でございます。特に大蔵省といたしましては、現在金融機関が経済社会から要請されている諸機能を十分に発揮しているかどうかについて国民の皆様から信任を得ることが大事であるという前提に立ちまして、新しい金融効率化の行政を推進しているわけでございまして、金融機関に対しまして適正な競争原理を導入いたしまして、自己責任のもとに厳しい自己努力と創意工夫によって国民の負託にこたえるということを私たちとしては主眼としているわけでございます。 したがいまして、このためには過保護と言われるような行政はこれからはやらない、護送船団と言われるような行政をやらないで、もっと厳しい経営努力をしてもらうということをわれわれは考えているわけでございます。 ただ、現実にそのような問題に対処するに当たりましては、やはり金融機関はその一国なりあるいはその地域の信用秩序に関連する仕事をしているわけでございますし、また、国なりあるいはその地域経済の基本的ないろいろな仕事をしているわけでございますので、個々の金融機関のあり方についてはそのような見地からも配意が必要でございます。 大光相互の場合には、やはりその地域経済に占める位置であるとか、あるいは預金者の保護というような観点から、現在いろいろ問題点はございますけれども、これを健全な経営体制にまで速やかに移行させるよう指導するということをわれわれは考えているわけでございます。 しかしながら、別途このような状態をもたらしたことにつきましては、経営者に対しては厳しい責任の追及ということを考えてまいりたいと、このように思います。
○和田静夫君 いまも述べましたが、私は昭和四十九年から大光相銀の問題を取り上げてきたのでありますが、大蔵省はそのとき真剣に一体検査をされたのだろうかという疑問を持ちます。なぜそのときには債権回収には自信があるとの報告を受けておりますという通り一遍の答弁で済まされたのだろうか。大蔵省に反省の色がないことが私には不思議でなりません。私が指摘した時点なら傷はもっと浅かったと実は考えられるからであります。 で、焦げつき額の総額というのは幾らになりますか。
○政府委員(徳田博美君) 大光相互の資産内容につきましては検査によって把握しているわけでございますが、これは検査結果でございますので、申し上げることはお許し願いたいと思います。
○和田静夫君 数字はもうすでにわかっていることでありますからあれですが、簿外の債務保証が三十数社に対して七百四十億円と伝えられているわけです。この三十数社の大部分はすでに倒産ないし活動していない。七百四十億円のうちの大部分はこれは焦げつきではありませんか。
○政府委員(徳田博美君) 現在未計上の債務保証が昨年の九月末において七百四十億円あったわけでございますが、その内容につきましては現在検査が継続中でございますので、さらに分析を行っているところでございます。 ただ、その未計上の債務保証の対象になっている会社で不渡り処分を受けたものは検査日時点、あるいはこの三月末時点においてはないというように聞いております。
○和田静夫君 いま公認会計士などの検査が進んでいる事情についてはわからぬわけじゃありませんが、三十数社の明細ですね、活動中のものはこれはいろいろありましょうからイニシャルで結構でありますが、これは資料として後ほど出せますね。
○政府委員(徳田博美君) 未計上の債務保証の対象になっておりました会社につきましては、先ほど申し上げましたように銀行の不渡り処分というようなことはまだ行われておりませんので、この明細を出すことはお許し願いたいと思います。
○和田静夫君 銀行局長の答弁は一貫して、あなたが銀行局長になってからの答弁はそういう答弁が続いているんです。私もずっとこれいままでは大体がまんして黙認をしてきたんですが、しかし大光相互の事件が私が指摘したとおりの経過を踏んできた以上、平場であるから云々というような言いわけはもう通さないつもりです。 したがって、ここでいま数字を出せと言ったところで、まだ最終的に終わっているわけじゃありませんから、これは大臣に当然御答弁を求めるところでありますが、次官、これは処理の仕方はいろいろあると思うんです。理事会にそれを秘密として出すとか、いろいろのやり方はあると思うんですが、そのやり方については別として、影響がないと思われる部分について、活動中の会社の部分まで出せとは言いませんから、そういう関係については後ほど明らかにしてもらいたいと思うんです。いかがでしょうか。
○政府委員(中村太郎君) 大変むずかしい問題とも思いますけれども、十分検討さしていただきた いと思います。
○和田静夫君 これは次官、お互い政治家同士でありますから、検討の結果については私が述べた ことが尊重される、そういう態度を持しながら検討するということはお約束願っておきたいと思います。
○政府委員(中村太郎君) そういう方向で検討い たしたいと思います。
○和田静夫君 素朴な疑問でありますが、なぜこれだけ巨額の債務保証ができたのか、厳密なはずの銀行経理からいって不思議でならないわけであります。 報道によりますと、大蔵省出身の経理担当専務であった現社長の大塚俊二さんさえその存在を知らなかったということでありますが、それは事実でしょうか。債務保証というのには審査、稟議は行われていない、また行われる必要もない、そういう性格のものでしょうか。
○政府委員(徳田博美君) 債務保証につきましては、それが代位弁済の履行の請求があれば、その保証した金融機関が支払いを行わなければならないわけでございますから、一般の貸し出しを行うと同様の手続、審査が行われるものと考えております。
○和田静夫君 大塚さんは知らなかった−知っていた。
○政府委員(徳田博美君) 大塚社長はその事実を知らなかったと聞いております。
○和田静夫君 債務保証をしておいてそして手数料収入を計上していない。手数料を受け取っていないと判断ができます。もしそうすると、当然得るべき利益を得ていないことになります。また、巨額の債務保証を簿外に隠していたということは、これはもう当然有価証券報告書虚偽記載、粉飾決算に当たるのではないか。少なくとも大光の決算は経理基準にのっとっていないし、かつ、大蔵省の検査を欺罔したと言える。これらの点どういうふうに判断されますか。
○政府委員(徳田博美君) 先生御指摘のとおり、支払い承諾をしておきながらその手数料を取らなかったということは確かに問題であると思います。 それから、債務保証の金額をバランスシートの上に計上しなかったということは、これは必ずしも直ちに損益に結びつく問題ではございませんけれども、やはりそこに一つの問題があろうと思います。 それから、検査に際しまして提出した資料についてその記載がなかったということもこれもまた問題だと、このように考えております。
○和田静夫君 法務省、いま私が述べた点でありますが、経営責任者に背任の疑いがあるというふうに考えられますけれども、捜査されていますか。
○説明員(根來泰周君) 検察庁の方から現在この件について何らの報告はございません。 ただ、一般的に申し上げられることは、検察庁としては、犯罪の端緒を得た場合には関係官庁と御相談いたしまして適切な時期に捜査に着手する、こういうことでございます。
○和田静夫君 警察庁、これは同じ点はいかがですか。
○政府委員(小林朴君) いまの点でございますが、どういう目的でこういうことがなされたのか、特に背任の問題というのは個々のケースについて判断をするよりほかに手はなかろうと思います。それから、この決算全体がそういうふうなことで犯罪の容疑になるというようなものもあるようでございますので、そういう点をひっくるめまして、これから大蔵省の検査を待って捜査を開始するというふうに考えておるわけでございます。
○和田静夫君 大光の問題というのは、相互銀行の置かれている状況と私は無縁ではないと思うんです。いわば背伸びし過ぎた相銀の悲劇だと言えるわけでしょう。 そうしますと、今後も相銀経営上問題はまだ何一つ解決されていないことになりゃしないかと思うんですね。それから検査体制の見直し、債務保証のあり方などといういろいろの面から指摘をされているわけですね。現時点ではまだ突っ込んで議論はできないのでありますが、大蔵省がいま反省されている点、検討すべきだと考えられている点、時間の制約もありますけれども、少しまとめてお聞かせいただきましょうか。
○政府委員(徳田博美君) 債務保証のあり方につきましては、先生御指摘のとおり、いろいろな問題点が今度指摘されたわけでございます。したがいまして、債務保証のあり方につきまして、二十一日に通達を各金融機関に出しまして、三つのことを指示しております。 一つは、「債務保証を行うに際しては、債務者に対する事前審査を十分に行い、いやしくも債務保証が安易に流れることのないよう配意すること。」、二番目は、「債務保証については、その量が過大になることのないよう配意し、例えば預金・貸出金等との適正な均衡を保持するよう努めること。」、三番目は、「他の金融機関の保証を得て貸出金を実行する場合にも、通常の貸出金を実行する場合に準じた審査、管理体制を保持するよう配意すること。」、この三つのことを指示したわけでございます。 それから、検査のあり方につきましても検討を行いまして、現在次のような二つのことを考えております。 一つは、いままで金融機関を検査する場合には反面調査というものを実施していなかったわけでございますが、今後はこの債務保証につきましては、相手方の金融機関について問題があると思われる場合には、相手方の金融機関につきましても同時に検査官を派遣いたしまして調査を行いまして、より深度のある検査を行いたいということが一つでございます。 それからもう一つは、検査を準備するためにいろいろ資料を作成するため電算機を使用しているわけでございますが、今般のような金融機関相互間の取引につきましてこれを的確に把握するようなプログラムの開発を検討すること、この二つをいま考えておるわけでございます。
○和田静夫君 金融機関相互間の反面調査はしないという不文律がずっと続いてきたようでありますね。今度この事件を契機にしながら反面調査をやるということに踏み切られる。これは各金融機関からの反発というのは予想されますか。
○政府委員(徳田博美君) これは検査の対象となる金融機関につきまして疑義が生じた場合に行うわけでございますから、当然検査の一環として行うものというふうに考えております。
○和田静夫君 いままで反面調査というのは常識的にやられなかったというのをここで反面調査に踏み切られるということになるわけでありますが、法定その他の問題については単に行政指導でできる、そういうことですか。法律上その他問題のひっかかりはないということでしょうか。
○政府委員(徳田博美君) 反面調査をやる場合に、現在銀行検査は税務調査と違いまして反面調査権はないわけでございますけれども、したがいまして、反面調査をする先は検査という形ではなくて調査として協力をしてもらう、こういう形になると思います。
○和田静夫君 日銀も一定期間ごと、二年ごとですかね、考査をしていらっしゃいますね。大光相銀の粉飾決算を見破れなかった。現実には考査の値打ちがなかった。これはなぜでしょうか。
○参考人(佐藤静君) ただいま先生の御質問に対しましてお答え申し上げます。 その前に私どもが行っております考査——実地調査と申しておりますが、それの性格につきまして恐縮ですがちょっと御説明をさしていただきたいと思います。 日本銀行で行っております実地調査の性格は、これは私法上の契約に基づいて行っておるものでございます。したがいまして、法的な根拠に基づくものではございません。実際のやり方といたしましては、先方から資料を提出していただきまして、その提出されました資料に基づきまして口頭で説明を受けていろいろと伺ってまいると、こういうやり方をやっておるわけでございます。 今回の事件、はなはだ不幸なことでございましたが、そのような資料に未計上ということでございますので、資料に一切計上されていない、また帳簿、伝票のたぐいにも計上されていない、そういうような事情がございましたためにわからなかったものでございます。
○和田静夫君 たとえば日銀の考査についても、確かに簿外で操作をされていたからわからなかったとは言われるが、この相互銀行に関する限り、昭和四十九年十月二十五日に私が指摘をした時点で、一介の野党議員が物を言っているだぐらいの感覚で受けとめずに、まじめに受けとめて考査をやられるということになれば、ある意味ではもっと突っ込んだ結果が出たかもしれませんね。そういう反省はありませんか。
○参考人(佐藤静君) 今回のことに関連いたしまして、私どもとして先ほど申し上げましたような日本銀行の考査の限界というものを感じる。同時に、この限界をどのように乗り越えていくか、今後十分勉強してまいらなけりゃならないと、かように考えておる次第でございます。
○和田静夫君 大蔵省、いまの私の質問に対してどうでしょう。
○政府委員(徳田博美君) 大蔵省といたしましては、昨年の十月において和田先生からいろいろ御質問があったわけでございまして、そういうものを踏まえまして若干検査時期を繰り上げまして着手すること、これを行うことを計画したわけでございます。そして、検査に着手するための事前調査を特に綿密に行っていたわけでございまして、その過程におきまして未計上の債務保証があるということが把握できたわけでございます。 それを端緒といたしまして、各方面の資料を集めまして、ことしの一月十六日に検査に着手いたしまして、三月ごろに全貌を把握したわけでございます。
○和田静夫君 粉飾決算の上大蔵省の検査を欺罔する。この大光相銀のやり方が何年も続いてきたことから考えまして、検査のあり方あるいは考査のあり方について考え直す必要があるだろうと私は思うんですが、去る八日、当委員会でお尋ねをいたしました東京信金の五十二年度決算で償却されたミキ、清和関係分の担保工作の問題ですね。もうお調べになったと思うんですが、私は新しい資料も入手いたしておるのでお尋ねをいたしますが、これはどうなりましたか。
○政府委員(徳田博美君) 先生御指摘の東京信用金庫の問題でございますが、これはいろいろ三好建設から提供された担保に関連しての御指摘でございましたけれども、これについて、先生御指摘のような東京信用金庫と三好建設との間に取り交わされた文書についてはいまだ確認されておりません。したがって、仮にそのような文書があることが確実になりましたならば、それをもとにして再調査をしたいと、このように考えております。
○和田静夫君 次の問題に入りますが、大阪市北区の実業信用組合、この三月末の五十三年度決算でここは八億五千万円の赤字を出して、無配転落、破産寸前の乱脈経営でありますので質問をいたしたいと思います。 私は、昭和五十一年七月二十一日及び十月二十日の参議院決算委員会におきまして詳しくこの問題を取り上げました。そのとき後藤銀行局長はこう答弁をされたわけであります。二点だけ挙げておきます。 第一に、「大阪府とも今後とも十分連絡をとりまして、今後の基盤強化等々につきましては遺憾のないように最善を尽くしてまいりたい、」、第二は、「基本的にはやはり金融機関の経営者の責任というのは大変重いものであるという前提で、今後、具体的にどう対処されるかということをお考えになっているものと理解をいたしております。」、こういう答弁でありましたから、私は、あいまいな点非常に多かったのでありますが、不満ではありますが、行政の指導及び当事者の努力にゆだねたのであります。しかし、その後事態はいよいよ悪化しています。こういうところで問題として取り上げている時点だけは鎮静をするが、それが終われば問題はさらに悪化をするという方向をたどる。そして、その原因は金融機関を私物化する経営姿勢にある。あえて三たび質問をするゆえんです。 実業信用組合は大和ランド事件の捜査の終結をしましたあの昨年三月以降、月平均七千百万円の赤字を出しています。本年二月末で累積赤字は七億九千万円に上ります。この組合の出資金は三億九千七百万円でありますから、出資金の約二倍の累積赤字があるということであります。大蔵省はこの事実、私は実業信用組合関係者などから毎月の日計表を初め内部告発の資料を全部入手をして質問しているのでありますが、これはお認めになると思うんですが、いかがでしょう。
○政府委員(徳田博美君) 大阪の実業信用組合の今三月期の決算内容につきましては、まだ大阪の方から連格がございませんので内容の詳細についてはいまの段階では承知しておりませんが、先生御指摘のように、非常に厳しい内容になりつつあるというふうに聞いております。
○和田静夫君 累積赤字がこの出資金の二倍であるということは、出資者はとうていこの出資金を回収できないことになるんじゃなかろうか。まことに異常事態であろうと思うんです。 一年前の昨年二月末においては貸出金総額百五十三億七千万円、貸出金利息九億二千万円、本年二月末には貸出金総額が百四十一億四千万円、貸出金利息は四億四千万円と、こう激減をしています。私の資料によりますと、貸出金利息の平均利回りは八%でありますので実業信用組合の貸出金総額の五五%に及ぶ七十七億五千万円が焦げついていると推定されます。昨年同月は焦げつき四十六億円と推定をされますから、一年で一・六八倍です。七割近くも増加したことになる。焦げつきの七割増、貸出金利息の半減、この事態というのはこれまた異常ですが、いかが判断されますか。
○政府委員(徳田博美君) 数字の明細につきましては、先ほど申し上げましたとおり、まだ把握していないわけでございますけれども、先生御指摘のような推移であれば、これは金融機関として厳しい経営内容になっているというふうに判断します。
○和田静夫君 この二月末で損益勘定を見てみましたら、預金利息が五億八千万円、人件費四億五千万円、物件費一億八千万円であります。金融機関は貸出金利息収益を中心として成り立っているもので当然ありますから、貸出金利息は四億四千万円にすぎませんから、人件費を賄えないということに一見なります。一般の会社ならとうに行き詰まっているはずであります。大蔵省、この実業信用組合の経理はすでに破綻をしていると言ってよいのでありますが、これはいかがでしょう。
○政府委員(徳田博美君) 先ほど申し上げましたように、まだ三月期決算の数字はとっておりませんが、御指摘のようなことであればかなり厳しい、一般の金融機関の健全性という見地から見るといろいろ問題のある経理をしているということになると思います。
○和田静夫君 私が経理が破綻をしていると言ったのは、この組合が資金繰りに追われていると見られるからであります。 昨年二月において借入金総額が二十四億五千八百万円、借入金の利息が七千九百万円。本年二月は借入金総額が十六億三千五百万円、昨年より八億二千三百万円減っているにもかかわらず、借入金利息は逆に倍増して一億五千五百万円に上っているんですよ。私にはこの経理状態は金融機関のものとして大光相銀どころではない、大光相銀にもまして前代未聞であると思うんです。この点は明確にしなきゃなりません。その意味で、借入金、借入先の明細資料というのを大阪府を通じてやはり大蔵省十分に把握してもらいたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○政府委員(徳田博美君) 御指摘のような資料につきましては、大阪の方からとりましていろいろ検討してまいりたいと思います。
○和田静夫君 このような経営悪化をもたらしたのは、大和ランド事件を筆頭とする一連の不祥事であります。 すなわち、実業信用組合はそごう及び大和ランドと組んで八億円に上る架空のローンを設定をした。当時の専務理事及び常務理事が大阪地検に逮捕、起訴をされた。 大阪地裁での検察の冒頭陳述によりますと、実業信用組合は、当時前田治一郎組合長の関連をするイシズエ産業等に多額の焦げつきを出しておって、その穴埋めに大和ランドの架空ローンを共謀したのであります。地検はイシズエ産業など前田氏の関連する企業への不正貸し付けを刻明に捜査したのでありますが、実態をここで報告をしていただきたい。冒頭陳述書によりますと、前田氏の指示や共謀がはっきり指摘をされておりますね、法務省。
○説明員(根來泰周君) ただいま御指摘のあった大和ランド事件は、昭和五十二年の十二月から五三年の二月までの間に大阪地方検察庁の特捜部で検挙した事件であります。 起訴された人員は六人でございまして、ただいま御指摘のように、そのうちの二人は大和ランド株式会社の代表取締役等大和ランド株式会社関係者、二人は実業信用組合の常務理事等同組合の関係者、残る二人は百貨店、株式会社そごう大阪店の幹部ということになっております。 そして、この起訴事実の態様は三つに分かれておりまして、一つは伊勢スカイランドをめぐる実業信用組合の不正貸し付け事件、二つ目は近江の里をめぐる日本ハウジングローン株式会社からの住宅ローン貸付金詐取事件、それから三つ目は近江の里をめぐるそごうの住宅ローン貸し付けを引き当てとする前渡金不正支出事犯というふうになっております。第一番目の事件は背任であり、第二番目の事件は詐欺、第三番目の事件は特別背任ということになっております。 冒頭陳述で検察官がるる申し上げておりますが、この冒頭陳述の性格というのは、検察官が将来証拠によって立証すべき事項ということでございまして、現在のところまだ裁判所で認定された事実でないということをお断りしなければなりません。 まず第一の伊勢スカイランドの事件は、ただいま御指摘のように実業信用組合の組合長が土地を買いまして、その土地を関連会社のイシズエ産業という会社に売りまして、そしてイシズエ産業株式会社から大和ランドに転売されたといういきさつになっております。そしてこのイシズエ産業株式会社というのは、その売買代金というのは実業信用組合からの借入金等で賄っている。したがって、その借入金を回収するためには大和ランドの方からその土地の売却代金の支払いを受けなければならないというような事実関係から、大和ランドの資産状況ということに非常な関心を持っておりまして、注目しておったわけでございますけれども、大和ランドの方の土地の売却がうまいこといかないということで、実業信用組合の幹部がこれに関与しましていろいろ不正事犯を行ったということを冒頭陳述で主張しております。
○和田静夫君 前田組合長は、この事件当時いわゆる組合長であります。したがってこの前田治一郎氏の行為というのは、中小企業等協同組合法第百十二条に違反をしていると私は思う。このことは昭和五十一年七月の決算委員会で法務省の刑事局参事官も認められました。当時の後藤銀行局長は私のこの指摘に対しまして、「一応法規上はいまの百十二条違反ということに相なりますが、私ども金融機関を監督する立場といたしましては、まず、そういう不当と申しますか、違法な事態がございますれば、その事態の改善、事態を是正させるということにまず努力をいたすわけでございまして、それが改善されることが一番望ましい、こう考えております。」と答弁されました。私は、この言葉に実は免じて大蔵省及び大阪府の指導を待ったのであります。 いまから思えば、そのときに実は私は責任問題をもっと追及しておけば今日の破局的事態を避けられたのではないかと思います。検察、警察当局も、この事態を知りながらあえて前田氏の責任を追及をされなかった。大蔵省、大阪府と事態改善の措置を、まあ協議をされたかは知りませんが結果的にはとられなかった。そうした行政の姿勢こそが私は問題であったことを実は強く反省をしていただきたいと思うんです。したがって私は、現在の時点で再度この百十二条によって告発すべきであろうとさえ考えるのでありますが、大蔵省はどのようにお考えになりますか。
○政府委員(徳田博美君) 御指摘の点は確かに非常に問題でございます。この点につきましては、現在大阪府で強く指導を行っていると聞いておりますので、その結果を見守りまして、さらに是正を行うように指導してまいりたいと思っております。
○和田静夫君 銀行局長の答弁は答弁として私は理解をしないわけじゃありません。 しかし、先ほど読み上げましたように後藤銀行局長時代の答弁も同じだったんですね。そしてずるずるここまで来てしまったんですよ。したがって次官、これにはいま私が指摘したような形でもって大蔵省は対処されるように十分な協議があってしかるべきだと思うんです。いかがです。
○政府委員(中村太郎君) お説のとおりでございまして、そういう線に沿いまして十分調査検討いたしたいと思います。
○和田静夫君 これで質問の最後にいたしますが、実業信用組合の昨年度の決算は統一経理基準に基づいておらず、粉飾決算であります。昨年度、すなわち昭和五十二年度は実質上赤字なのに、五十三年三月に未収利息三億四千九百万円をふやす、計四億九千五百万円の未収利息を計上する、他方未払い利息は一億三千四百万円減らして、そして二億五千三百万円を計上、差し引き三千二百万円の黒字決算をした、すなわち約四億円余りの紛飾であります。配当四%はタコ配であります。このことはもう大阪府もすでに認めています。これは警察庁どういうふうにお考えになりますか、どういうふうにまた対処をされますか。
○政府委員(小林朴君) 大阪実業信用組合の件でございますけれども、私どもの方ではそれぞれ関心を持って現在見ておるわけでございまして、いずれにいたしましても監督官庁のはっきりした検査結果を待ってこちらの措置を決めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○和田静夫君 法務省は昨年の二月二十二日には大和ランド事件で先ほど言われたように専務理事、常務理事を起訴された。この問題については詳しく調査をされているわけであります。実業信用組合の経営についてはもう非常な、十分なといいますか、そういう調査が行われていますから、少なくとも取っかかりはあるわけでありますが、今後どういうふうに対処されますか。
○説明員(根來泰周君) ただいまのいろいろの御指摘の点につきましては検察庁によく伝えまして、検察庁の方は適切に対処していくものと思います。
○藤井裕久君 それでは時間が限られておりますので、問題を限定しまして質問を申し上げたいと思います。 それは酒類の問題についてでございます。と申しますのは、たばこの価格改定等を含む法律がいま衆議院で大詰めにきているわけですが、やがてはこちらの委員会に参ると思います。そして、いろんな角度から、健康問題だとか、あるいは価格のあり方の問題とか、いろんな問題について当委員会でいろいろ審議があると思うんでございます。そのたばこと並んで酒というのは非常に似た性質を持っております。財政物資として多額の税を負担しておるということとか、あるいは嗜好品として適度の飲酒とか喫煙というものはこれは憩いになるけれども、やはり過度のものになると健康の被害だとか、あるいは青少年の犯罪だとか、いろいろな問題も誘発する、こういう似た性質を持っておるわけです。 そういう意味で、いままでこの価格の改定とか増税というのはずうっと同じに扱ってきたわけでございますが、諸般の事情から昨年酒の増税だけが一年早く行われてたばこが一年おくれた、こういうことになっておるわけでございますが、そういうたばこの審議を前にいたしまして、一年前に審議されたこの酒類についてのいろいろな本委員会での論議がどのように具現しているかということについて伺いたい、こういう趣旨でございますので、よろしくお願いしたいと思います。 それで政務次官、去年の四月二十五日に酒税法等の一部を改正する法律の附帯決議が当委員会でありまして、実はこの酒税法等の一部の改正というのは与野党いろいろの党によって賛否両論あったんですが、この附帯決議は全会一致であったということは御承知と思いますが、その中に、「酒類の特性に配意し、正常取引を維持するため、必要に応じ流通等のあり方について行政上及び制度上の措置を講ずるよう努力すること。」、こういう事項があり、時の村山大蔵大臣が御趣旨に沿って十分配慮いたします、こういうことを言われたのでございますが、それについて十分御理解になっていらっしゃいますか、まず政務次官に一言伺いたいと思います。
○政府委員(中村太郎君) 正常取引に対する指導につきましては、国税当局におきまして綿密な対策を講じておるわけでございます。現在かなり成果が上がっているように私どもは感じておる次第でございますけれども、しかし行政指導ということになりまするとおのずから限界がございますし、あるいは即効性という点におきましても問題があるわけでございます。 しかし、さればと言いましてこれを直ちに制度化するということになりますると、本来が酒税の確保という観点から、特に酒類の取引関係にどこまで規制を加えるかというような基本的な問題がありますので、御趣旨を踏まえながらも、今後とも十分慎重に対処していかなければいかぬのではないかというふうに存じておるわけでございます。
○藤井裕久君 それでは、具体的に行政当局から伺うのが筋かもしれませんが、時間がありませんから問題しぼってこちらから伺います。 一つは、この附帯決議の中に「酒類の特性」という言葉があるんですね。酒類の特性というのは何かということはいろいろ論議のあるところでございます。当委員会の議事録をずうっとひもといてみますと、酒類の特性という中には、さっき申し上げたような財政物資であるということのほかに、やはりこれの過度の飲酒ということが健康問題にも非常に影響がある、アルコール中毒問題あるいはそのほかのいろんな健康問題にも影響がある。同時にまた、青少年の犯罪対策、不良化対策というようなこと、あるいは交通事故の大きな原因になるというようなこと、そういう特性がここの酒類の特性であるというふうに当委員会の論議が行われたように考えておりますが、行政当局としてはこの酒類の特性、われわれが決議した酒類の特性というのをどういうふうに理解しておられるか、これを伺いたいと思います。
○政府委員(矢島錦一郎君) ただいま先生お話しになりましたように、酒は御承知のように多額の酒税を負担している財政物資でございます。そういうことで、製造から小売の段階に至るまで免許制度がとられているというのもそういう趣旨であろうかと思います。それからまた、酒は嗜好飲料ではございますが、国民の消費生活にも非常に関係深い物資でございます。したがいまして、その消費を安定的に供給するということもまた必要であろうかと思います。いわば安定した価格で供給していくという面もございます。 しかも、最近では致酔性というものとも関連いたしまして、飲酒運転によります交通事故とか、あるいは未成年者の飲酒といったような社会的な問題も取り上げられてきておりまして、確かに適度に飲めばお酒は薬ではございますが、飲み過ぎればやはりそういういろいろな問題が出てくるというような面で、単なる嗜好品としての財政物資ということにとどまらないやはり特性があろうかと考えておる次第でございます。
○藤井裕久君 そうしますと、いまのいろいろ申し上げた特性の中にはおのおの法律があることはあるんですね。未成年者の飲酒防止だとか、あるいは道路交通法だとか、あるいは最近——昭和三十六年にできた酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止とか、いろんな法律があるわけなんですが、そういうおのおののサイドでいろいろと行政措置はとっているんだと思いますが、国税庁としても、どちらかというと国税庁は課税物品であるということに観点を置いていろんな行政を行ってきたのが現状だろうと思います。思いますが、こういうような他の法律の分野の問題は任せ切らないで、国税行政としてもそういうことに配慮するお気持ちがあるかどうかということを次に伺います。
○政府委員(矢島錦一郎君) お酒につきましては、確かに先生おっしゃるとおりいろいろな法律がございます。交通関係の問題、それからアル中問題にも関連いたしましていろんな各種の法律がございます。特に私どもは、酒でございますから酒税法というものを執行する立場にはございますが、同時に酒団法という法律もございまして、お酒の価格とか、あるいは生産規制の問題とか、いろんな問題も規定した法律もございます。そのほか公正取引委員会の所掌に属しますが景表法その他あるいは独禁法、いろんな問題がございますので、その中でそういうような各種の法律を守りながら、かつ、私どもといたしましては酒税の行政を扱っていきたいというふうに考えている次第でございます。
○藤井裕久君 そういたしますと、酒の特性というものは十分考えると、先ほどのお言葉の中にもあったように流通問題取引の正常化などについてもそういう点は配慮していかなくちゃならぬ、こういうお話があったわけですが、同時に国税庁は酒団法が所管の法律である、こういうお話なんでちょっと心配になるんですが、酒団法というのは「酒税の保全及び酒類業界の安定のため、」、「酒税の確保及び酒類の取引の安定を図ることを目的とする。」とありまして、いま話の出たような酒類のいろいろな特性ということについては「目的」の中に何も書いてないんですね。それでもそういうことはできるんでしょうか。
○政府委員(矢島錦一郎君) 先生がお話しのように、確かに酒団法の目的は酒税の、団体も含めまして安定を図るということにございまして、致酔性飲料であるというがゆえに酒団法の規定があるということではございません。
○藤井裕久君 そうしますと、つまり国税の行政の中にこの附帯決議にある酒類の特性というものを生かすには、本当にいま御答弁にはあったけれども、可能なんでしょうか。
○政府委員(矢島錦一郎君) 酒団法の規定には実はいろいろな規制がございます。 たとえば酒団法の四十二条の五号では小売りの価格カルテル、それから五号でやはり生産者の価格カルテル、清酒の生産カルテル、それから再販売価格維持契約、これは酒団法の八十六条の三にございます。そのほか不公正な取引方法の特殊指定という規定もございます。 しかし、こういうような酒団法の規定を発動するということにてきましては、現実問題といたしましては、ちょっとお時間をいただいて恐縮でございますが、不況カルテルの状況あるいは合理化カルテルの状況という段階で発動するためには、やはり酒類業組合からの認可申請がありまして、それに基づいて公取の同意を得て大蔵大臣が認可するということになっていますが、現在のこういうような、まあ現状と申しますか、種類により明暗は異にしておりますが、不況産業とは必ずしも言い切れないというような現状、それから経済情勢もどちらかといえば自由化の方向にいままで向かって来たという酒類業界の経済情勢、それから社会環境、それから酒団法を適用するに当たりましては要件とか手続が非常に限定的に規定されております。こういうふうな状況から申し上げまして、これを、法律を直ちに現在発動するということは非常に困難な状況にあるというのをまず前段として御説明申し上げたいと思います。 で、それならば酒団法の規定を踏まえまして、法律によらないで国税庁がどこまでできるかという問題でございますが、これもやはり法律の規定によらないではなかなかむずかしい、限度もあるという問題でございます。さりとて、酒類産業を私どもは所管しているわけでございますんで、やはり多額の税金を負担する財政物資であると、酒税保全という点からいきましても、酒類業界がこのままでどんどんやはり利益が減っていくということによりまして酒税の保全が危なくなってくるということも私どもとしては看過できない問題でございます。特に、酒類の総需要が停滞している中におきまして業界の安定を図るということのためには、やはり市場安定ということがぜひ必要でございます。また、そういうことに深い関心も持っておるわけでございます。私どもとしては、可能な限り指導をしてきたつもりでございますが、今後もそういう点に十分配慮いたしまして、十分な指導を行っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○藤井裕久君 まあ次官、いまのような話でございます。次官のさっきのお話にありましたように、とにかく行政措置でやっていって、そしてそれがなかなかむずかしければ法的なことも考えなきゃならぬというのがこの附帯決議の趣旨でもあり、いまの次官のお言葉からもそういうことは読み取れる。それで結構だと思うんですけれども、いま間税部長の答弁にありましたように、行政措置では限界があるという問題が一つあるんです。 同時にしかし、そういう限界があるけれども酒類の特性というものは十分考えながら、単に酒類の特性の一つである酒税の確保だけではなく、もう少し広い観点から行政的な措置を進めていきたいと、行政運営を進めていきたいと、こういうような答弁に私は理解しているんですが、次官、それでよろしゅうございますか。
○政府委員(中村太郎君) お説のとおりと思うわけでございまして、国税当局はそういう.方向で検討、指導をいたしておると思います。
○藤井裕久君 それじゃ、まあこの決議から一年たっておりますので、具体的にそういう気持ちをあらわして、いろいろ限界があるというお話でしたけれども、どういうことをやってこられたか、簡単に御説明いただきたいと思います。
○政府委員(矢島錦一郎君) 昨年の酒税法の改正のときに附帯決議をちょうだいいたしまして、私どももそれに従うべく懸命に努力してきたわけでございますが、特に価格の問題、附帯決議の三番目でございますが、「酒類の特性に配意し、正常取引を維持するため、」というような附帯決議の部分につきましては、酒というのはあくまでも自由価格ではございます。しかしながら、そういうことで市場安定問題は業界においてまず自主的に解決するのが望ましいというのが基本原則であろうとしてございますけれども、なかなか価格の問題も含めまして業界が非常に混乱しているという問題がございます。 この原因は何かということでございますが、酒類の需給状況が非常に過剰基調になってきたと、あるいは企業間格差が非常に強くなってきた、あるいは大手の市場行動にも若干そういう方向が出てきているということで、こういうような原因を中心といたしまして業界の努力だけではなかなか成果が期待できないという状況にございます。したがいまして、私どもも昨年の夏以来、附帯決議がついて以来、直ちにそういう業界の指導ということも着手いたしまして、たとえばでございますが、行き過ぎた競争でなくてやはり秩序のある競争をしていただく、それが正常取引につながっていくんだということで酒類業懇話会というものをつくっていきまして、それは中央も地方もございますが、それによりまして、もちろん独禁法の許容する範囲内の話でございますが、そういうものを通じまして正常取引を図っていくというのが一つの方向でございます。 それからもう一つの方向といたしましては、公正競争規約を締結を促進するようにお願いしているわけでございます。これは公取サイドの話になるわけでございますが、やはりこういうような公正競争規約を結ぶことによりましてルールのある競争を通じまして市場の安定を図っていく、あるいはその環境づくりを行っていくということが必要ではないかというふうに考えております。 具体的に申し上げますと、末端小売段階で市場の乱れというものを受けないようには、やはりメーカーとか卸売段階での環境整備が必要であるということが考えられますので、やはりその環境整備に重点を置くというような指導を行っておりますが、最近では、私どものお願いも大分浸透してきたというふうに、手前みそではございますが考えておるわけでございます。あくまでも業界が免許業者という自覚に立ちまして、そういう私どものお願いしている方向に、徐々ではございますが、改善されている方向にあるというふうに私どもは考えている次第でございます。
○藤井裕久君 これはもう十分おわかりと思うんですけれども、もう十何年前、私も第一線で酒類行政やったことあるんですが、やはり高度成長のころはどんどん酒類の消費量も伸びてどんどん免許業者もふえて共存共栄と、自由にどんどんやることがプラスだと、こういうことは事実あったと思うんですね。 しかし、こういう経済情勢になってきますと、そういうことでは酒類業界というのは中小零細、足の引っ張り合いということになるという側面が 一つあるのと、それからそういうふうになって酒類が非常に消費量が伸びてきて、いまヨーロッパに比べると一人当たりの消費量は半分ぐらいにきているわけですね。ヨーロッパ、アメリカでは非常にアル中問題というのが大きな問題になっている。そういう水準にいまや来かかっているわけなんですね。ここらでひとついまのこの酒類の特性というものをもっと配慮した、もっと秩序ある販売ということに配意したような行政をぜひお願いをいたしたいと、こういうことでございます。 それで、いま国税庁から公取さんのお話が出ましたもので、公取さんにそれじゃお話を伺いたいと思います。 私は、もう戦後の公取さんの行政は非常に自由経済に活力を与えるという意味で大きな功績があったと思っているんですが、酒の問題についてはいまのような事態になってくる、いま申し上げたような背景があるということになりますと、やっぱり余り一律、画一的に独禁法を解釈していただくのには無理があるんじゃないか。それが必ずしも国民生活なり国民経済にプラスになっていない面も出てきているのじゃないかと、こう思うんです。 そこで、先ほど来議論の出た中で「酒類の特性」ということが当委員会の決議であり、それについての内容はこうこうであるというお話が国税庁からも出たのですが、公取さんとしても、酒類の特性というものは先ほど来の議論のように認識をしておられるかということが一つと、そういう特性というものを何がしか公取の行政上に反映する気持ちがあるかということを伺いたいと思います。
○政府委員(伊従寛君) いまいろいろ御議論を拝聴しておりまして、酒類の特性については私どもはそのとおりだと思います。商品について特別の特性がある場合に、それを行政上できるだけ考慮するということも当然だと思いますが、やはり私たちにとりまして自由で公正な競争を促進するという立場からどこまで具体的にそういう考慮が払われ得るかということだと思います。 いまお伺いしておりました問題で、特に私たちの方に関係の深い問題というのが、たびたび酒類の販売について問題になりました不当廉売の問題また不当廉売に関係しました広告宣伝の問題ではないかと思います。 酒類の特性のうち特に致酔性について見てみますと、不当廉売については致酔性がある商品であるから不当廉売の規制の基準を考慮するということは、これはむずかしいのではないかと思います。不当廉売というのは、やはりこれは廉売する方の者がコストを割って販売するかどうかという基準でございますので、致酔性は直接関係がないわけ でございます。 それからもう一つの問題、宣伝広告の方法につきましては、これはやはり致酔性を持っている商品につきましては広告宣伝を全体として自粛するということになりますと、販売の段階におきましてもやたらな宣伝というのがほかのもの以上に厳しく規制されることも場合によってはあり得るのではないかと思います。こういう点でいま間税部長の申されたように、酒類の販売業において国税庁の方の指導もございまして、公正競争規約の申請の意向が出ておりますので、その場合にはこう いう致酔性の点につきましても全体としてどういうふうになるのか、それとの関係で販売面での広告宣伝の規制をどうできるかということを検討している最中でございます。
○藤井裕久君 そうしますと、いま二つ具体的な提案があった。不当廉売の問題と広告宣伝のあり方の問題、特に後者については若干のこれは考えもあるのだ、こういうお話ですが、やっぱり私はいろいろ広告もごらんになったと思うんですけれども、損をして売りたいとか、それからうちの目玉は酒だとかいうようなことにこの致酔性の酒類を持ってきて、商売の一つの柱にしているというようなことは非常に問題があると思うんです。 いまお話しのように、公正競争規約をもしっくるようなことになった場合、独禁法上厳密に解釈するとまたいろんな問題があるのかもしれません。あるのかもしれませんが、たとえば一般消費者だとかの利益を不当に害するというような解釈も、いまの致酔性から言えば弾力的に考えていいんじゃないかということも感じますし、不当な顧客の誘引ですか、というようなことも言っていますが、そこらについても解釈によってある程度の幅は十分あると思います。そういう御趣旨の答弁があったと理解したのですが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(伊従寛君) 具体的にどの程度に致酔性の問題が表示広告の規制に対してあらわれるかということはこの場で確言できませんが、致酔性の問題が表示広告の規制に関連してくるということはそのとおりであろうと思います。
○藤井裕久君 それじゃ、いませっかく公正競争規約の問題が出ましたから二つだけ具体的に伺いますが、この場合のアウトサイダーの規制はどうなるのかというのが第一でございます。 第二は、話によると非常に認定には審査時間がかかる、二年も三年もかかる、こういうお話でありますが、そこいらの実情はどうか、この二点だけ伺います。
○政府委員(矢島錦一郎君) 最初のアウトサイダーの問題につきましてでございますが、小売業界が公正競争規約を作成いたしまして公正取引委員会の認定を受けた場合は、私どもといたしましてはそれはやはり酒の小売業の正常な商習慣として定着するということになろうかと思います。そういうことをまた期待しているわけでございます。 アウトサイダーの規制につきましては、まず私どもの行政サイドといたしましては、公取とも協議しながらこれからまいらなければならない話でございますが、説得力のあるりっぱな規約をまずつくっていただく、その次にインサイダーがその規約を完全に守っていただいて業界の正常な商習慣をいわば確立していただく、それからアウトサイダーにも守っていただくというような手順になろうかと思うわけでございます。 したがいまして、そういうようなアウトサイダー規制の具体的方向につきましては、公正取引委員会とも十分協議いたしまして今後検討してまいりたいというふうに思うわけでございます。
○説明員(川井克倭君) お答えいたします。 アウトサイダーの規制に関しましては、ただいま間税部長お答えのとおりではないかというふうに思っております。国税庁の方とも十分協議して遺漏のないようにいたしたいというふうに考えております。 それから、公正競争規約をつくるのに二、三年かかるのではないかという御指摘でございますけれども、当方の人員等の関係もございますし、また、いろいろな業界で公正競争規約をつくりたいというものが続出しておりますので、その順位からいきますと一つのものをつくるのに二、三年かかるということが間々あることは事実でございます。 ただ、御指摘のようにお酒の問題につきまして、その特殊性からいまの段階でなるべく早い機会に何らかの手を打つべきであるということは、先生御指摘のとおりではないかというふうに思いますので、順位を繰り上げても十分急いでつくっていきたいというふうに考えております。 ただ、原案をつくる段階で非常に消費者の意に染まないというか、全く反するようなことがありますとこれはもめますので、原案をつくる段階で国税庁の方とも十分話し合ってスムーズな案をつくっていけば相当早い機会にできるのではないかというふうに考えております。 以上です。
○藤井裕久君 それじゃ間税部長にもう一つ伺いますが、いまのお話ですと、こういう公正競争規約ができて、しかもインサイダーが守るようになればいままで以上にアウトサイダーの規制は容易になる、やりやすくなる、こう考えてよろしいのですか。
○政府委員(矢島錦一郎君) 先生の御質問のとおりだと思いますが、やはりりっぱな規約が作成されまして、それが正常な商習慣として定着する、名実ともにやはり小売業界がそういうことを守っていくということになりますれば、組合員の違反者に対する組合の措置というものも行われるわけでございます。そういう意味では非常にやりやすくなるということでございます。 また、そういうふうな状況が一応でき上がりました段階におきまして、私どもも必要に応じて、組合と十分その意見も伺いながら支援してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○藤井裕久君 それでは公取にもう一回伺いますが、二つ問題提起された前者の方の問題でございますね。一般的な趣旨としては全くわからないことはないんです。特に大きな企業なんかであれば実質原価というものが不当廉売の基準にしておくことによってさらに競争を刺激して、それが消費者にも還元されて国民経済にもプラスになるという発想だと恐らく思うんです。ところが中小零細、これ合理化をサボっていてもいいとは全然思いませんし、特に免許業種ですから、そういう一つの特権なんですから、それにこたえるような合理化努力はひと一倍やらなければいけないと思うんですが、やはり大きな組織と違って、おのずから合理化努力には限界があることもこれまた事実だと思うんです。不当廉売の基準が実質原価だということになりますと、かすみを食って生きていろということなんですね、それが長期的に続くということは。短期的にそういうことがあるということはいろいろな経済の動きの中ではこれはあり得ることですけれども、長期的にそれが続くということは食うなということですよね。本当にそれでいいのかということを私は常に疑問に思っています。それが非常にプラスになる面もさっき申し上げたようにあることも事実ですが、零細企業に対してもそれが一律に適用になっていいのかということを非常にまだ疑問に思っているんです。そこをもう一度伺いたいと思います。 もう一つは、国税庁で通達を出していまして、通達の、不当廉売といいますか、行政指導をする基準が、それに若干プラスアルファになっていますね、管理費用がプラスになっています。こういうことが私は実際的じゃないかと思うんですが、こういうものが出てきた場合に、ある程度公取としては、公取プロパーの不当廉売の基準としてはいまの基準は譲れないとおっしゃっても、個々の行政が業界の実態、実情というものをよく見た上で若干の配慮をしている、またするということについてはどうお考えですか。
○政府委員(伊従寛君) いま御質問の第一点についてでございますが、先生の御指摘のとおり、やはり公取の方としましては、販売業者、小売業者にもいろいろこれは経営の仕方その他で効率のいいところと悪いところとある。効率のいいところはこれはある販売価格でも原価を割らない。なるべくやはりこれは原価を割らないでできればその競争は保護して、業界全体として効率化することがその業界の発展にとってもプラスであるということでやっておりますが、確かに零細業者が非常に多いとか、業態によって多少は変わる点があるかと思いますが、私の方としましては運用上多少は考えてましても、原則としましてはやはりコストを割ったものが、コストを割って他の業者を排除するような効果をもたらす場合が不当廉売であるという形でやっておりまして、これと別の緩和の措置としましては、中小企業等につきましては別にカルテルを一定の場合には許容すると、独禁法の不況カルテルよりもより緩い条件で許容するということを法制的にはとっているわけでございまして、先ほどから酒類につきましても出ておりますように、酒団法によって一定のやや独禁法の不況カルテルよりも緩い要件で認める形になっていると思います。 それから第二点でございますが、酒類につきましては財政物資であるというふうなことから免許制がとられております。免許制度がとられておりまして、当然その業界についての経営の状況については一定の指導がなされると思いますが、そういう観点から、廉売について公取の一般的な厳しい基準よりはやや緩やかな基準がとられて指導されるということはあり得ると思いますが、それはそれなりにうちの方としても考慮はいたすつもりでおります。 ただし、これはやはり余り私たちの方の基準と離れるということになりますと問題がありますので、これはどういう形で行われますかにつきましては、私たちの方でも国税庁の方からよく伺いたいと思っております。
○藤井裕久君 最後のいろんな点については若干疑義がありますけれども、ひとつ中小企業、零細企業の立場もよく考えて御検討を引き続きお願いしたいと思います。 最後に政務次官、いまのようなことでして、まず行政上の措置でやるんだということ、これはずいぶん努力はしていただきつつあると思うんです。しかしおのずから限界があると思います。もちろんこの中小企業一般を離れて、特に酒類は免許業種ですから、それなりの非常な自覚、責任というものは必要だと思います。しかし同時に、これがやっていけないような形ではいけないし、またそれをやっていけないはけ口としてめちゃくちゃな販売方法をやる、流通秩序を乱す、そのことが大きな社会的問題にも波及する、一番初め以来申し上げているとおりです。そういう実情があることをよく御認識賜りまして、できないときにはやはりここの附帯決議にもあるように、制度上の措置も検討するということになっておるという点もあわせて御認識をいただいておきたいと思います。 最後に御感想をいただいてやめます。
○政府委員(中村太郎君) 御指摘のように、酒税というものが非常に財政寄与率の高い財政物資であるということ、したがって酒造業者というものをやっぱり育成をしていかなきゃならぬ。しかし、さらばといって一方におきましては、消費者がそっぽを向くような形であってもいけない、こういう三つのことを踏まえながら附帯決議の趣旨に沿って十分指導してまいりたいと思いますし、足りない部分にはあわせて制度化の検討をいたしたい、こういうふうに考えております。
○矢追秀彦君 初めに、来年度予算編成についてお伺いをいたします。 新聞等の報道によりますと、来年度予算で政府としては基本的な構想を出しておられまして、いわゆるまあゼロベース予算といいますか、歳出を大変抑えると、こういうことを言われておりますが、この問題について具体的にお伺いをしたいと思います。 まず、経費の節減ですが、その経費の節減はどういう基本的な方向をお考えなのか。 私は、いわゆる経費の節減というのはそう大きな額は期待できない。三Kの合理化を言われておりますが、むしろこの問題の方が大変削るとすればたくさん削れるわけです。ただ、削ることについてはいろんな問題が出てまいります。そういった意味で、この経費の節減についてのまず基本的なお考えをお伺いしたいと思います。
○政府委員(加藤隆司君) 今回の作業は、例年ございます、八月三十一日までに各省から概算の見積もりをいただきまして九月からやります作業の前段階といたしまして、私どもはサマーレビューと呼んでいるわけでございますが、そういう予算の編成の正式のものではなくて、事前に勉強をやりたいと、その場合、なぜそういうことをやるかというのは、当然のことながら、第一点は、わが国の財政が非常に窮状にございます。財政を再建しなければ経済や生活の方も影響が出てくるんではないかという認識に立っているわけでございますが、やり方といたしまして、予算編成を前倒しするとかというような考え方でなくて、ひとつ事前の勉強のプロセスをつけ加えようじゃないかという考え方であるわけです。 その場合のやり方がいまの御質問にかかわってくるわけでございますが、原則として前年予算同額でやった場合にどういう問題がありますかと、その場合にどうしても出っ張らざるを得ない場合、何とか制度や何かを直したら前年同額の中に入らないでしょうかと、あるいはほかの経費をスクラップできませんかというような対話を各省と私どもとの間でやりたいという、そういうやり方であるわけです。 したがって、ただいまの御質問にございましたゼロベースというようなお言葉は、サマーレビューの中でゼロベース的な検討をしていただきたいという趣旨でございまして、一つは、まあ繰り返しになりますが、予算編成の前倒しではない、新しい作業の段取りを一つつけ加えたというような感じでございます。 それからやり方は、いま申しましたような、大体基本的な考え方は三点ありまして、前年の同額の中で五十五年度の概算要求をつくるとするならばどういう問題がありますかと。どうしてもはまらない場合には、はまるような方策としてどういうことが考えられますかと。あるいはどうしてもだめな場合に何年かかかってどういうことをやるのかとか、そういうような事前の勉強を私どもとの間でやりたいと。 それで、これはまあよその国の例を申し上げるのも何でございますが、アメリカがPPBSを導入する前の段階でスプリングレビューというのをやり出したわけでございます。これはたとえばことしの例で言いますと、ことしの三月ごろから五月にかけてスプリングレビューをやっているわけですが、これは一年以上も前広にやるわけでございます。十月から予算年度が始まりますが、十月から始まる予算年度のはことしの一月の大統領教書で国会に出ておるわけでございますから、ことしの三月から五月にかけてやりましたスプリングレビューというのは再来年の予算になるわけでございますが、大きな問題について事前にそういうような点検をやりたいというような、バジェットプロセスと彼らは言っておりますが、その中に新しい一つの手順を追加したというようなやり方をやった例がございます。 私どもの場合、いろいろ九月から十二月の間に時間が足りないという問題をかねて痛感しておるわけでございますので、そういう趣旨で前広に検討いたしたいと、そういうことでございます。
○矢追秀彦君 おやりになることを私は悪いとは言いませんし、大いに歓迎をしたいわけですが、やはりいま言われた底流には歳出を抑えていこうということがあると思います。これはもう当然のことだと思いますが、そのレビューをやるにいたしましても、やはり基本的にある程度の、ただゼロに抑えた場合どうなるのかではなくて、もう少し積極的といいますか、前向きな考え方の中での見直しがなければ、ただ数字をいじっただけに終わってしまわないかと、こう思うわけです。 それでお伺いをしておるわけですが、たとえば三Kを取り上げた場合、これはもうずいぶん議論がされてきておる長い長い歴史があるわけでして、果たして今度のサマーレビューでは三Kについてはどういう頭で見直しをされるのか。ただ幾らお金が出てどうなっている、幾ら入ってきている、それであればいつもやられていることですから、どういう方向で考えていけばこうなるということまでやらなければ私は意味がないと思うんですが、その点、特に三Kについていかがですか。
○政府委員(加藤隆司君) 三Kは、全体の経費の合理化の中で非常に大きな問題でございます。 それで、これは農林省におきましては農林大臣の指示が一月か二月ごろございまして、農林当局で農政全般あるいは食管、幾つかの勉強をされているやに聞いております。それから国鉄につきましても、運輸大臣が二月ごろ事務当局に命ぜられまして、目下広範な検討を進められております。それから政管健保を含めました医療費の問題、これも厚生大臣の方でかなり前から事務当局に勉強を命ぜられております。 それで、目下進行中でございまして、ときどき私どもと議論を取り交わしておりますが、多年にわたる問題でございまして、一つは特会なり経営体の合理化の問題、もう一つはそれらを取り巻く環境の問題、たとえば食管で申しますと、食管だけを解決することはできないので、農政全般の農業基盤から始まりましてもろもろの関連する問題があるわけでございます。医療費の問題につきましても広範な問題がございます。こういうような環境の問題それから財政援助のあり方の問題、大体集約しますと三点ぐらいの角度で問題点を検討することになろうかと思いますが、各省でそういう問題意識を持たれまして前からいろいろおやりになっておりますが、特に本年当初から精力的に検討を始められたやに聞いております。 そういうような検討成果が、私どもとしては六月末あるいは七月上旬をねらっておりますが、なかなか広範な問題含んでおりますので、私どものタイムスケジュールにうまく合うかどうかわかりませんが、私どもの方も独自に財政当局の立場から勉強しております。そういうような両方の勉強をぶつけ合わして、六月の中旬ぐらいから意見交換をしたいというような腹づもりでおります。 もちろんどの経費といえども手を触れないということではだめなので、あに三Kのみならず、全部の経費についてただいま申しましたような基本的な考え方で問いかけをいたしまして、各省の検討をお願いしているところでございます。
○矢追秀彦君 いまあらゆる経費と言われましたが、やはりその次に問題になるのは補助金だと思います。これもずいぶん議論をされてきて、依然としてなかなか国民の納得するような補助金のあり方になっていない。行管の方でも答申等も補助金についても出ておりますけれども、やはり現実はいろんな団体の圧力また強い要望等でずるずるきておるというのが現状であるわけです。この補助金の見直しも今回はおやりになると思いますが、これについてはどうですか。
○政府委員(加藤隆司君) 補助金は、御承知のように予算の大体三分の一ぐらいございますが、そのうち約八割ぐらいが法律で決められておりますし、約八割ぐらいが国と公共団体の関係の金になっておるわけであります。それでその他の補助金につきましては、オイルショックの後、特例公債をお願いしております各年度、かなり努力をいたして合理化を図ってきたつもりでございますが、さて、たとえば道路も補助金であれば生活保護費も補助金になっておるわけでございますが、そういうようなものをいわゆる補助金として整理できるかどうかという問題がございます。したがって、ただいまの三Kというのも補助金で大部分が占められておるわけでございます。 そういうような意味で補助金という取り上げ方は別途別の角度からいたしますが、そういう角度の取り上げ方よりも、全体の予算について、先ほど申しましたような前年同額にしようと思ったらどういう問題があるかというようなかっこうで、その場合どうしても、たとえば生活保護の補助金というようなものは削減できないわけでございます。そういうような議論をやっていくというような仕事の進め方でございますが、そういう基本的な線ではそういうふうにやると。別途従来の補助金整理の考え方はこれは引き続き進めていくと。だけれども基本的にはただいま申しましたような全体的な線から歳出の合理化を進めていきたいというふうな考え方でございます。
○矢追秀彦君 いろいろ言っておられますけれども、最終的にはこれからのことになるかと思いますが、たとえばいま道路の問題も少し出ましたけれども、国鉄と道路、現在では道路の方が完全に国鉄を、——道路行政と国鉄に対するあり方が結局今日のように国鉄離れ、特に貨物の場合はどうしても道路輸送が勝ってしまったと。国鉄の方は今回の値上げでますます今度は乗客も離れてしまうということになるわけですが、この後どうしていくのか大変むずかしい問題でありますけれども、じゃ国鉄これから、赤字のいろんな原因もありますけれども、いま当面するオイルを考えました場合、やはりディーゼルカーというものは大変な大きな負担になってきているわけです。 これはもうその点は御承知と思いますけれども、そういうような道路に対しては国は補助金を出し、極端に言うとただでつくったと、国鉄はお金を借りて線路を引いてそして走らせている。これはもう競争できないのはあたりまえで、こっちが赤字になるのは当然であるわけでして、そういうようなことをどうしていくのか、あるいはいま言ったディーゼルカーと石油との関係、また反面道路行政の方だって運送関係にしても石油の値上げと一いうものは大変こたえてきておる。むしろもっと石油が上がってしまうとかえって今度は国鉄へまた戻ってくるというような現象すらまた出てくるわけでして、こういった点で、同じ運輸省の中でも道路といわゆる国鉄を監督しておるところでは全然違ってきておるわけでして、そういう問題もあるかと思うんですが、そういう制度の見直しまで今回のこのサマーレビューで発展をしていくのかどうか、その点私は非常に疑問に思うわけです。いままでとにかくいろんなことを議論されても、結局最後の予算編成というのはいつも同じように年末になって大騒ぎをして、結局適当にバランスをとってきたと、足りない点は赤字国債をどんどん出して補ってきたと、そういうことばもう限界まできていることば私は前々から言っておるわけでして、今年度では実は遅過ぎるぐらいなんですけれども、このサマーレビューで制度の見直しまでいけるのかどうか、その点見通しはいかがですか。
○政府委員(加藤隆司君) 五十五年に片づきますような問題と何年かかからなければいけない問題、そういうような問題が恐らく議論の過程で出てくるだろうと思います。当然のことながら、制度の改正を要するものもあるわけでございます。 医療費の例で申しますと、二、三年前に厚生省の方でこういう段取りで検討しようという大筋はあるわけでございます。現在も健保法案というかっこうで国会にお願いしておるわけでございますが、これが第一次着手であるわけでございますが、いずれにしましても、制度改正になりますと法律というかっこうをとることになります。したがって、五十五年でいきなり解決のできないものも当然のことながらあろうかと思いますが、私どもは粘り強く、本年こういうサマーレビューを入れましたが、今後、たとえことしどういう、結末は必ずしも出すかどうかというところはやってみた結果によるわけでございますが、今後何年かこういうやり方を定着さしていくと、粘り強くやっていこうという決意を固めておるわけでございます。したがって、制度改正は当然のことながら含めて考えております。
○矢追秀彦君 次に問題になるのは新規政策でありますけれども、その新規政策についてどういう方針でいかれるのか。 必要である必要でないは、ただ単にその出てきた問題だけで私は判断、目先だけで判断するのは大変早計だと思いますので、これからの経済のあり方、その中においての新規政策にしていかないと、ただ政治的な何といいますか、アドバルーンのためにやるような政策では私は決していけないと思うわけですが、まずこの新規政策ですね、これに対していまのその見直しとの関係、スクラップ・アンド・ビルドになるんでしょうけれど、ビルドの方——スクラップの方は大体いままでおっしゃってきたわけですが、いわゆる新規政策についてはどういう方針で臨まれるんですか。
○政府委員(加藤隆司君) 具体的に御説明した方がいいと思いますので若干数字申しますと、五十四年の場合約四兆三千予算規模がふえておりますし、いわゆるアンコントローラー、義務的にふえていきます部分が、国会に資料お出ししておりますが、約二兆二千ぐらいあります。差額の二兆ぐらいが新規政策と仮に名づけてもいいかと思いますが、毎年そういうふうに経済社会の進展に応じまして新しい政策は当然のことながら出てまいるし、そういうものに財政当局もこたえていかなければなりません、と思うわけです。 今回のサマーレビューにおきましても、新規政策はゼロだという意味ではなくて、先ほどゼロベースの見直しと、根っこから見直しをしてくださいということと、それからスクラップ・アンド・ビルドという、要するに政策の優先順位の選択をやってくださいというその二つの考え方を言っております。したがって、新規政策についてはゼロということではなくて、ただいま申しましたような枠組みの中で選択の優先順位を検討願うというような考え方でございます。
○矢追秀彦君 いままで高度経済成長の時代はどうしてもパイを大きくするということで来たわけです。 オイルショックの後、本当であればパイを小さくするということになったかと思うんですが、民間のいわゆる力が弱ってきた、それを財政で補うんだということで大量の国債発行に支えられて予算規模を拡大し、そして財政で景気を刺激していくんだと、こういうことで今日まで来たわけですが、今度、そういった意味での——今後はやはり財政が景気を引っ張るというふうなことは来年度からまた変えていかれるのか……、そうなりますと、今度は民間に相当力を持ってもらわないと今後の安定した経済成長ができない。 となると、国民生活はだんだん質素に、ある程度それは質素にはしなきゃいかぬと思うんですが、やはり人間というのは欲望がありますので、きょうよりはあしたいい生活をしたい、ことしよりは来年いい生活をしたい、これはやはり人類というのは向上を目指しているわけですから、必ずしも何でもかでも節約をし縮小していくばかりが能ではない、かっこうはどうあろうとも、やはり中身は充実した生活向上がなければならぬと私は思うわけですので、これからの財政、特にいままでの高度成長期、それからオイルショック以後の低成長時代、そしてまたこれからは安定成長軌道に乗せなきゃならない時代、こういうふうに、しかし現在われわれの足元には再び石油危機が忍び寄ってきておると、こういう状況の中でその財政をだんだんだんだん縮小していくこと、ゼロベースということは縮小ということになるわけですから、それで果たして、民間の力が補えれば私は安定成長はできると思いますが、現在の状況、もちろん税収の伸びも期待はされておりますけれども、本当に力がついた上での税収の伸びではなくて、やはり合理化による、首切り等による何か減量経営の中における税収の伸び、利益の増大、さらにまた、インフレがそれに拍車をかけておるものだと私は認識をしておりますので、その点については本当の力がついていない。そういった時代に、来年度予算でいわゆるゼロベースなるものになってしまえばその点が非常にむずかしくなるんじゃないかと、こう思うんですが、その民間の景気をこれから伸ばしていく力、財政がいままで引っ張ってきた、これが今後どうなっていくのか、その点はいかがですか。
○政府委員(加藤隆司君) 二つございまして、財政が景気の調整の機能は当然のことながら大事な使命でございます。それから第二点は、ただいまお言葉の中にございましたが、五十五年度予算をこういうスタンスで編成するということではなくて、先ほど申しましたように、事前に時間をかけて勉強したいということでございます。もちろん、当然のことながらこういう基本的な考え方が私どもとしては予算編成の中に溶け込んでいくことは欲しておるわけでございますが、一応、作業の基本的な考え方としては、来年度の予算編成と今回のサマーレビューというものは必ずしも直接関係してない。事前に大きな問題について意見の交換をしたいということでございまして、現実の予算になりますと、経済情勢その他内外の情勢が非常に流動的でございますから、基本的には財政再建のためにゼロベースあるいはスクラップ・アンド・ビルドの考え方で前年同額的な姿勢は溶け込んで貫きたいとは思っておりますが、毎年毎年の予算は、そのときどきの情勢で性格なり規模あるいは歳入歳出の内容というのは決まってくるんだというふうに考えております。
○矢追秀彦君 次に、国際収支の問題少し伺いますが、経常収支が三月赤字に転じておるわけです、四月でもさらに赤字幅が拡大をしてきておる、こういう状況にありますが、この経常収支の経緯、これ御説明いただきたいと思います。
○政府委員(平尾照夫君) ただいま御指摘になりましたように、全体の国際収支の傾向を見るための季節調整後の数字では、経常収支ベースで三月が、約二億ドルの赤字で、続きまして四月が約五億ドル、こういう赤字になっております。 全体の基調としましては、昨年の中ごろあるいは秋までは非常に高い経常の黒字の水準が出ております。御承知のように、各国からかなり批判を浴びたわけでございますが、この水準が昨年末以降急激かつ顕著に改善をしてきておるというのが現在の国際収支、経常収支ベースの基調ではないかというぐあいに考えております。
○矢追秀彦君 季節調整前でも赤字を記録したわけですから、昨年の後半からずっと黒字幅というのは減ってきて、まあ赤字に転落してきたと。今後、日本のインフレ等の状況から考えましてこの基調は続くと見ておられるのか、また円安傾向というものはこれからもかなり続くと見ておられるのか、その点はいかがですか。
○政府委員(平尾照夫君) 今後の見通しは、これは世界経済の動向でございますとか、その他もろもろの流動的な要因がございますので、的確に推計をすることはなかなかむずかしいわけでありますけれども、第一に、最近の傾向的な黒字幅圧縮、あるいはまあ一時的に赤字になっておりますけれども、それの原因を見てみますと、第一に、このところいま御指摘のように、少し円安傾向になっておりますけれども、やはり五十二年、一昨年末以来の大幅な円高の輸出入への数量効果と申しましょうか、輸出を減らし輸入をふやすという効果が現に非常に強く出ております。それはなおかなりの期間続くのではないか。一般に言われておりますのは一年半とか二年ぐらいのタイムラグと、それが現に出ておるのではないかということが一つございます。 それから二番目に、昨年来、まあ一昨年もそうでありますけれども、国内の需要管理政策の効果が現在あらわれておりまして、国内需要がかなり堅調であるということによって輸入の伸びがしつかりしておるということが二番目にございます。 それから三番目に、これはまあ今後の問題でありますけれども、主要な輸出入である米国経済の成長がある程度鈍化するであろうというようなことから、わが国の輸出の市場の需要の伸びの鈍化が予想される。 それから第四番目に、これはまあかなり不確定な要因がございますけれども、すでに原油が値上がりをしておる、あるいは連れて一次産品価格が海外で上がっておるということから、輸入価格が上昇することがやっぱりしばらく続くんじゃないかというようなことから、数字はなかなか的確に予想はできませんけれども、いまの黒字幅の圧縮というか、改善基調はなお当分続いていくと。したがいまして、五十四年度全体では落ちついた水準になるんじゃないかというぐあいに思っておりますけれども、たまたま三月、四月の赤字がそのまま続いていくというぐあいにはなかなかいかないんじゃないかというぐあいに思います。
○矢追秀彦君 そこで政務次官にお伺いするんですが、こういう状況で、まあいままで日本は輸出が大変伸びて黒字がたまり過ぎてけしからぬということでたたかれてきたわけですけれども、かなり輸出の鈍化あるいは円安の傾向、まあいま言われたいろんな状況で現実に赤字も出てきておると。 したがって、これで手放し楽観ということはしては私はいけないと思いますけれども、東京サミット、またその前に訪日されるカーター大統領との首脳会議等におきまして、やはり日本も決して黒字でいい状況ではないんだと、こういうことで、いままでのような日本製品の袋だたきあるいは日本経済、日本のやり方はけしからぬというこの攻撃だけはぜひかわしていただかないと困ると思うんですが、それに対してこういった数字をもとにしたそういう説得ができるのかどうか、これが一つ。 それから、言われております東京サミット、まあジスカールデスタン大統領からも石油問題、エネルギー問題等言われておりまして、これは私もかなり賛成をしたいと思いますが、やはりこのオイルショックかまた起これば——私は現に起こりつつあるという判断ですが、厳しい状況でございますので、やはりこれを中心の議題にしてやるべきと思いますが、その二点についていかがですか。
○政府委員(中村太郎君) いまお説のありましたように、黒字幅がだんだん減少いたしております。大体政府見通しの程度に落ちつくのではないかという状況でございますし、五十四年度につきましても、いまいろんな不確定な要因はありますけれども、大体七十五億ドル程度に落ちつくのではなかろうかという見通しのようでございまして、いままでもこの数字の変更につきましては、国際場裏におきましてもいろいろな機会をとらえましてPRをしてまいったわけでございますけれども、たまたま東京サミット等もありますし、これからもいろんな対外関係の会議等におきましても十分納得の得られるようにPRしてまいりたいと、まいらなければいけないというふうに考えております。
○矢追秀彦君 もう時間ですから、最後に。 まあ原油の値上げあるいは一次産品、海外商品の値上がりによりまして卸売物価が急上昇をしてきております。公定歩合が引き上げをされましてかなり現実の利息も上がってきております。しかし、一向にこの公定歩合の引き上げというものがインフレの鎮静に役に立っていない。むしろ大手の会社は依然として自分たちの資金ば持っておりますから、資金需要というのもそう出てきていない状況にあるわけです。私はこの公定歩合の引き上げは、結局は庶民、住宅ローンなどを組んでおる庶民、あるいは中小零細企業の大変厳しい人たちにとってはこれはまずいということで反対をしてきたわけですが、いま現在上げられた後の状況で、まあ予防的措置ということをかなり言われて逃げてこられましたけれども、私はちょっと早かったのではないかと、こういう認識を持っておりますが、インフレに対してどれだけの影響があったと判断されるのか、これが第一点。 それから、今後インフレが依然として続くということは考えていかなきゃならない。私も再三、大蔵委員会あるいは予算委員会で、売り惜しみ買い占めさえ起こっておると、もうオイルショックと同じ状況時にあるんだと、こういうことを再三主張してまいりましたが、現にそうなりつつあるわけで、ただ前回のような急激でないだけに、形には一遍には出ませんけれども、じりじりと国民生活を脅かしてきております。この物価に対する対策、あわせて五十四年度予算の執行ですね、いろいろ言われております。おくらすとか、あるいは上半期にどこまでやるとか、いろいろ言われておりますが、これはやはり物価とにらんでやっていかれるのかどうか、その点も含めてお伺いをして終わりたいと思います。
○政府委員(米里恕君) 物価に対する現状は先生御指摘のとおりでございます。 御承知のように、四月になりまして卸売物価は前月比一・七と、かなりの上昇になっておりますが、その内容を見ますと、これまた先生がおっしゃいますとおり、かなりコスト要因が強いという状態になっております。一・七のうちいわゆる円安の影響、為替要因が〇・五ございますが、そのほかにいわゆる海外市況の影響によります契約要因が〇・三、合わせまして海外要因が〇・八ということでございまして、あと国内要因が〇・九と。 この国内要因の〇・九というのは、主として海外の素原材料、特に石油のアップ、原油価格の上昇に伴いましてその騰勢が逐次国内工業製品に波及してきておると、こういう形でございます。 で、まず公定歩合の問題でございますが、過日当委員会でも御説明申し上げましたように、今回の公定歩合の引き上げのねらいといいますものは、あくまでも現在の非常に緩和し「おった、いわば超緩和といわれるような金融情勢を一部是正いたしまして、それによりましてこういった海外のコスト要因が国内で騰勢を強める、国内要因によってその上昇テンポが高まるというようなことを予防的に阻止いたしまして物価上昇のテンポを極力抑制したい、こういう趣旨から引き上げたわけでございますが、したがいましてこの予防的な公定歩合、インフレ心理なり過剰流動性というものをできるだけ事前に抑えて、物価の上昇テンポを抑えようという趣旨の公定歩合の効果がどうであったかということは、なかなか直截には数字上申し上げることは困難かと思います。 しかしながら、こういった措置によりまして、ある程度海外要因のやむを得ない部分以上に物価が上昇していくということを、事前にそのスピードを抑えていきたいという趣旨は、一応公定歩合の先般の引き上げによりましてそれなりの効果を生みっつあるというふうに私どもは考えております。 で、二番目の御質問のお答えにもなりますが、こういった問題につきまして、特に原油引き上げを中心といたしました物価上昇というのは世界的な現象でもございますし、なかなか国内政策だけでこれを完全に抑え切るということはむずかしい点もあろうかと思います。しかしながら政府といたしましては、特に需給関係で物価の上昇が加速されるということを防ぎますために、供給増加が可能な部分についてはできるだけ供給力を増加していくというようなこと、あるいはまた、コストを価格に転嫁する際に生産性の向上によってできるだけ吸収できるようにするということ、あるいはまた便上値上げを厳しく取り締まるというような観点から、これらに対して担当各省別に調査監視の度を強めていく、あるいはまた、必要があれば業界に御協力を要請するというような措置を講じまして、去る二月の物価八項目及びその後の四月の公定歩合引き上げと相まちまして、総合的な対策でこれに取り組んでおるわけでございます。 今後につきましても、こういったコスト要因、特に海外素原材料の高騰からまいります物価上昇というものはなかなか楽観を許さない状態が続くかと思いますし、特に六月の御承知のOPEC総会で原油価格がどうなりますかというような問題もございますけれども、十分今後物価情勢には注意してまいって、国内要因によってそれが加速しインフレというような形にならないように注意してまいる所存でございます。 なおあわせて、これはあるいは主計局からお答えした方がいいかもしれませんが、五十四年度の予算執行につきましては、さきに決めましたとおり、上半期の契約率六五ないし七〇%ということで、機動的に今後の情勢を見ながら執行してまいるという考え方に変わりはないということを申し上げておきます。
○渡辺武君 最初に、日本銀行の中川理事さんに伺いたいと思います。きょうは御出席ありがとうございます。 今月の九日の日本経済新聞に出ている記事でありますが、日本銀行が国債買いオペ政策で新方式を採用することになったという記事であります。これによりますと、六月からですが、金融市場の繁閑にかかわらず、国債の買いオペを小口、頻繁に行うという方針を採用することにしたんだというふうに書かれております。そうして、こうした新方式を採用するに至ったその目的は、国債価格の乱高下を防いで価格の安定を図るためだということが書かれているわけですが、こういう新方式をとられるようになったことは事実でしょうか。
○参考人(中川幸次君) いま御質問いただきました点、私どもまだ実施はいたしておりませんが、お話しいただきましたような大体大きな点でいま検討いたしております。 若干敷衍して申し上げますと、昨年の一月までは日本銀行といたしましては、取引所の相場を基準にいたしまして買いオペをいたしておったわけでございますが、昨年の一月以降は入札で買い入れるということに改めまして、昨年じゅうは六月、八月、十二月の三回、合計いたしまして一兆二千億の買いオペを実施いたしました。 ことしに入ってからはまだ買っておりませんけれども、昨年三回買いましたのを反省いたしてみますと、資金不足の特に大きい特定の月に集中して買うということが一つと、それから、いままでのところは買い入れのオファーから買い入れが実行するまでに十営業日以上かかっておる。こういう点、たとえばそういうふうにかなりの期間が買いオペにかかりますと、その間取引が停滞するとか、あるいは一回に非常に多額の買いオペをいたしますと市場に撹乱的な影響が出てくるとか、望ましくない影響も見られましたので、これをもう少し何とかうまい方法はないかということを考えてきたわけでございます。 それで、余り市場に撹乱的な影響を与えなくて取引がスムーズにいくのを妨げないというためには、小口でそのかわりにときどき回数はふやしていくというふうにした方がいいんじゃないか。買い入れにつきましてもオファーから買い入れを実行しますまでに極力期日を短くするということは必要だということで、まずオファーから実行までに大体三日ぐらいでやるという方向で目下検討いたしておりまして、近く買いオペをいたしますときにはそういう方式でやるつもりでございます。 ただ、念のために申し上げておきますが、頻繁に買うということになりますと金額がかさむかという御心配もあるかと思いますが、私どもは昭和三十七年にいまの方式と申しますか、成長通貨というかあるいは年間の資金不足と申しますか、そういうものに対しましては返済圧力のかからない金で供給する。その対象としては国債が一番適当だということで.国債を成長通貨の範囲内で買ってまいったわけでございます。買い始めましてから昨年度までに大体十一兆弱買っておりますが、その間の銀行券の増発額は十二兆七千億、資金不足は大体十二兆円ということでございますので、一応そういうふうなめどの中に入っているということでございます。
○渡辺武君 さしあたりの小口の買い付け、買いオペですね、これの対象になるのはいま価格が低落しつつある六・一国債だというふうに考えてよろしゅうございますか。
○参考人(中川幸次君) どれを買いますかはそのときどきの情勢によりますので、固定的にはこれだということを申し上げかねますが、主として六・一%の国債を買うことが多いかというふうに思います。
○渡辺武君 私は、非常にこれは重大な問題だというふうに考えざるを得ないんです。なぜかと申しますと、従来日本銀行が買いオペをやる場合、成長通貨を賄うためだということが原則だったと思います。このために、先ほどおっしゃいましたように買いオペの時期も、特に金融が引き締まる六月とか八月とか十二月という時期に集中しておったんじゃないかと思うんですね。 ところが、今回はこの成長通貨とはかかわりなしに国債価格安定のために買いオペを行っている。これは買いオペ政策の根本的な転換を意味するんじゃないかというふうに思いますが、この点どうでしょうか。
○参考人(中川幸次君) 私どもの基本的考え方ばいままでと変わりございません。やはり大きく基本的な方針といたしましては、成長通貨の供給を賄うためにその範囲内において買うということでございまして、年度間通計、あるいは振り返ってみますと当然成長通貨の範囲の中に入っているというふうに、今年度についても当然そうなるというふうに考えております。 資金不足の月に必ずしもこだわらないという新聞記事でございますが、それは確かに小口、頻繁に購入いたしますと、回数も自然ふえるわけでございますので、あるいはその資金不足の、たとえて申しますと五月は月中全体としては金が余る月でございます。しかしながら、下旬以降になりますと金が非常に足りなくなって六月、七月一八月と金が不足の月が続きます。そういうときに、たとえば五月のそういう時期についても金融調節上買うことが適当であるというふうに判断いたしました場合には、買うこともあり得るということでございまして、原則といたしましては、やはりこれまでと同じように、大体資金不足のときに買うというたてまえは崩しておりませんので、たまたま月を見れば、あるいはそれが余剰月であることもあり得るかと思いますが、原則としてはやはり金が足りないときに買う、金融調節上の目的で買うという方針には変わりはございません。
○渡辺武君 この新聞記事によりますと、そういう小口買いオペによって資金に過剰が生まれた場合は、これは日銀の貸出金の引き揚げとか、あるいは売り出し手形などで資金を吸収するんだという趣旨も書かれているんですが、そういうこともお考えになっていらっしゃいますか。
○参考人(中川幸次君) 月に、月中全体を合計いたしました場合には、あるいは全体として資金不足が仮にある、そういうときに仮に買いオペを実施いたしたといたします。その場合にはどういうふうなかっこうになるかと申しますと、結果的に貸し出しが回収になったり、あるいは手形を買っておりましたのが、それが少なくなったりということはあり得るかと思いますが、それは私どもこういうふうな債券の買い入れとは関係なく、日常の金融調節は日銀貸し出しと手形の売りあるいは買いオペレーション、こういうことで調節いたしておりますので、国債を買ってそれで手形でその金を吸収する、そういう目的的な行為で買いオペをするということはございません。あくまでも金融調節を主眼に置いて毎日の操作を、調節をするわけであります。
○渡辺武君 私が特にこの問題を重要視しますのは、通貨価値の安定を主要任務とするはずの日本銀行が、これが国債価格の安定ということに中心を置いて、そうしてさしあたりは、いまおっしゃったような範囲での小口買い付けになるかもしれませんけれども、いずれもそういう方向に出てきている。これはやはり日本銀行の買いオペ政策の根本的な転換になるんじゃないかというふうに思いますね。 同時にまた、その小口買いオペによって資金の不足もしくは資金の過剰が生まれたときに、他の金融手段によってこれを補うという趣旨の御答弁と承ったわけですが、こうなりますと、国の公債政策から中立的でなければならぬ日本銀行が、これが国の公債発行政策に全金融政策を従属していくその第一歩になるのじゃないか。こんなことになりますと、私はいまのように大量公債発行の時代には、これはもうインフレーション高進は避けられないというふうに思わざるを得ないわけです。 それで伺いたいんですけれども、小口買いオペをやっても通常の成長資金を賄う範囲でやるから大丈夫だという趣旨のことをおっしゃったのですが、しかし、さしあたりの買いオペの対象である六・一国債ですね、これの発行残高はいま八兆八千億円にもなっておるわけですね。その大部分は金融機関が保有しているわけですよ。とうてい今年度成長資金の一応枠だと言われている一兆五千億円程度の小口買いオペでは六・一国債の暴落は食いとめることはできないんです。そうでしょう。特に夏以降クラウディングアウトのおそれがあるというふうにも言われている。そうなった場合に、六・一国債はもとよりのことですけれども、ほかの国債の価額の低落というのを私は避けることはできないだろうというふうに思いますね。 そうなったときに、日本銀行が早くも国債価格の安定ということにポイントを置いて、買いオペ政策はもとよりのこと、日銀の貸出金政策あるいは手形政策ですね、これについてもそこのところにポイントを置いてやるような方向に進んできている。端的に言えば、国債価格に従属するという方向に進んできているということになりますと、やがては私は日本銀行、大量の公債を抱え込まざるを得ないし、そのことによってインフレーションの高進というのは避けることができなくなるだろう。非常にこれは重大な問題だと思っていますが、警告を申し上げると同時に御見解を伺いたいと思う。
○参考人(中川幸次君) 御質問の、日本銀行は通貨価値の安定が任務じゃないか、私どもそのとおりに考えておりまして、そのとおりになるように努力しておるところでございます。 先ほども問題になりましたけれども、公定歩合を今般は予防的と申しますか、まだ消費者物価が相当安定している段階で引き上げて警戒的な引き締め姿勢を打ち出したということからもおくみ取りいただきますように、日本銀行といたしましては、何と申しましても通貨価値の安定を第一義的な目的として運営しておるわけでございます。国債の価格安定のために金融政策をやるつもりは毛頭ございません。 いまもお話ございました、市中銀行が持っている六・一%物を全部買うのじゃないかというふうな御疑問でございますけれども、私どもはあくまでも先ほどから申し上げておりますように、金融調節の必要の範囲内に限って買いオペをする、今後もそういうことを続ける方針でございますから、あるいは市中でそれが買い切れなくて残る場合というのは当然考えられるわけでございますが、私どもといたしましては、その場合にもあくまで金融調節の必要の範囲内に限って買いオペあるいは金融調節をしていくつもりでございます。そうして、できる限り通貨価値の安定を持続するということに努力してまいりたいと考えております。
○渡辺武君 どうもありがとうございました。 次に、大蔵省が先日閣議に出されました五十五年度予算編成についてのサマーレビューなるものについて伺いたいと思うんです。どうも英語ばっかり使っているので、何で日本語を使わないのかというふうに思いますがね、このサマーレビュー、何だかちっともわけがわからぬですよ。 それはとにかくとしまして、これの歳入を見てみますと、二十五兆四千億円と、こういうことになっております。大蔵省がこの春国会に提出しました財政収支試算、これの標準型の税収を見てみますと同じ金額になっているわけですね。これをやはりいわゆるサマーレビューなるものに採用したわけですか。
○政府委員(加藤隆司君) そのとおりでございます。
○渡辺武君 そうしますと、財政収支試算によりますと、五十五年度のこの二十五兆四千億円の税収を確保するためには、従来の税制では不十分で一兆二千六百億円のいわば新たな税収を考えているように数字は出ているんですね。 政府も五十五年度なるべく早い時期に一般消費税を導入したいというふうに言っておりますんで、恐らくこの一兆二千六百億円というのは一般消費税導入を予定してのことじゃないかというふうに思うんですが、この数字を今度のサマーレビューにそっくりそのまま使っているということは、このサマーレビューの税収も一般消費税導入を予定してのものだというふうに理解していいんじゃないかと思いますが、その点どうですか。
○政府委員(高橋元君) サマーレビューの中で税収二十五兆四千億として置いてございます。しかしこの二十五兆四千億は、先ほど主計局からもお答えがありましたように、二十五兆四千三百億という財政収支試算の税収を丸めてそこへとってきたわけであります。現時点で五十三年度の税収、それから五十四年度の税収、まして五十五年度の税収となりますと、ただいま足元の五十三年度の税収につきましても実績が正確に把握できるところまでいっておりませんので、五十五年度の税収としていかような金額を書くかということになりますと、決まった数字が実はないわけでございます。 そこで、いま委員からいろいろお話がありましたけれども、増税が込みであるとか増税が込みでないということ、そのことを特に意識しませんで、現在のところ五十五年の税収として公的に私どもが書きました数字がたまたま二十五兆四千三百億という財政収支試算だけでありましたので、その数字をここへ持ってきて置いたということでございます。 サマーレビュー全体は、御高承のとおり、歳出をいかにして節減を図っていくかということに主眼があるわけでございますから、財政収支試算で前提といたしましたような五十五年度の数字を置いても、なおかつ、歳出面で非常な努力が必要であるということを閣議にも各省にも訴えるためにつくられたものでございます。
○渡辺武君 新税創設によって一兆二千六百億円の新たな税収を確保しなきゃならぬということを基礎とした財政収支試算の税収、これをそっくりそのまま使っているわけですから、このサマーレビューもやはり一般消費税導入を前提としてのものだというふうに見ざるを得ないわけですね。 そこで伺いたいんですが、そういう一般消費税を予定した税収を前提としても、なおかつ、歳出の伸びをゼロとした場合に公債の発行額は十三兆三千億円になる、あるいは歳出の伸びを六・四%にすると十五兆二千億円の公債発行が必要だという形になっているわけですね。 それで伺いたいんですけれども、十三兆三千億円もの公債を来年度仮に発行したとして、消化の見通しはどうなんですか、非常に困難じゃないかというふうに思いますが。
○政府委員(田中敬君) ここに示されております五十五年度の十三兆三千億円という国債発行額は一応仮定の計算上出ておりますが、まだ五十五年度の経済金融情勢がどうなるか現在のところわかりませんし、現実的にどれくらいの国債が発行されるかも——これは単なる計数の試算でございますので、私どもも確とつかみ得ませんので、いまの段階でその消化が可能かどうかということをはっきりお答えを申し上げることは非常にむずかしいと存じます。 ただ一般的に申しまして、歳出その他がゼロということになりますと、公共投資等もみんなほとんど横ばいだろうという感じになります。そしてある程度の経済成長を図るとすれば、そこで民間資金需要というか、民間の設備投資等によるその成長の押し上げ要因というもの等々をカウントしませんと経済成長と見合っていかない。そうすると民間の資金需要というものを相当想定しなくてはならない。よってその十三兆三千億の消化というものがそちらの資金繰りとの関係で決してやさしいものではないということははっきり申し上げることはできると思います。
○渡辺武君 時間が迫ってきたんである程度はしょって伺わざるを得ないんですが、そうしますと、十三兆三千億円でさえも消化がなかなかむずかしいということなんですが、他面で歳出ゼロというのもこれはなかなか困難だと思うんですよ。 そうなってきますと税収をもっとふやさなきやならぬということになってくるんじゃないかと思うんですが、結局のところ、この財政収支試算で言っている一兆二千六百億円の新税による税収というのはもっとふやさなきやならぬということを言いたいのが一つの目的になっているんじゃないですか、この点どうですか。
○政府委員(加藤隆司君) 今度の作業の目的でございますが、先ほども矢追委員のときに申し上げたんですが、いろいろ財政の窮状から考えて、時間をかけて議論をしたいという趣旨でございまして、五十五年度予算をゼロにするとかどうとか、そういう予算の編成の前取りという考え方ではないわけでございます。要するに非常にいろんな多面的な問題が大きな経費にはあります。したがって、時間をかけて財政当局と議論をしたいというところに主眼があるわけでございますから、これが五十五年度予算に当然そういう基本的な考え方が溶け込んでいきたいと私は思いますが、現実の問題、五十五年度予算編成の問題は別途の問題でございます。
○渡辺武君 時間が来たんでまとめて伺います。 歳出の方ですが、歳出を仮にゼロとするというのがケースBに出ているんですけれども、しかし国庫債務負担行為だとか継続費だとか、特に防衛費やそれから公共事業の中でも大型公共事業に多いものですね、これをどうするか。これは五十四年度予算で国会の議決も経て承認されているわけですね、これを削る決意があるのかどうかということですね。 それから同時に、この国会に提出されました経済社会七カ年計画、これによりますと、公的固定資本の形成は今後七年間、年平均一〇%程度の伸び率だというふうになっているわけですね、これとの関連は一体どうなるのか。 それからもう一点、従来財政制度審議会などの答申によりますと、予算を二部門に分割しまして、そして経常支出はできるだけ抑えて、投資的経費はできるだけ確保し、伸ばせというのが基本的な方針だったと思うんですね。今後これが変わるのかどうか。 そうして私は、恐らく従来どおり投資的経費、これは伸ばして、できるだけ経常経費を削るという方向で出てくるんじゃないかと思うんですね。だから、ならして支出をゼロにするということではなくして、むしろ国債費、それから地方交付税ですね、これはいわゆるサマーレビューについても確保することを前提にしていますから、それ以外の経常経費ですね、特に社会保障費その他、三K赤字の話も先ほど出ましたけれども、国民生活に密着している側面での支出、これがゼロどころじゃなくてもっと削られる可能性があるというふうに見ざるを得ないんですが、その点どうですか。
○政府委員(加藤隆司君) 三点御質問があるわけでございますが、通じて共通の問題でございますが、お手元にたしか差し上げてございますもう一枚の方の紙に、「原則として前年度同額で五十五年度予算を編成することとした場合」に「どのような問題があるか。」ということ。それから、「上回らざるを得ない経費について、どのような当該経費の合理化・抑制方策があるか。」どうかと、それからほかの経費の削減ができないかどうかと、そういう問いかけをいたすわけでございます。したがって、いま御指摘の国庫債務負担行為は国会で議決をいただいておるわけでございます。その二年度目あるいは三年度目の歳出予算というのは、言うならば削減ができない経費でございます。実際問題も困るわけでございます。そういうような経費がある場合に、そういう経費が自分のところで幾らどういう理由であるかというのがこの一番の「どのような問題があるか。」というところで出てまいるわけです。その場合に、それを抑制する方策があるのかないのか。あるいは他の経費で削減をしてオフセットできないのかどうか、そういう問いかけをいたすわけでございます。 したがって、そういう基本的な考え方でございますので、二番、三番の御質問にも敷衍しますが、公共事業の例で三百四十兆だと、財政収支試算で五十四から六十で一〇・一という伸び率がございます。これをゼロにするのはおかしいではないかという二番目の御質問がございますが、この場合に、各省がそれは一〇なら一〇伸ばしたいという場合、そういう問題提起があるわけでございまして、ただ私どもの方は一〇伸ばすんならばそれをほかの経費で節減できないかどうか、そういうことを求めるわけです。それから、公共事業そのものも合理化の余地があるのかないのか、そういう問題があるわけでございます。それから国民生活が圧迫されるではないかという御指摘は、やはり公共事業の場合と同じで、各省がそれをどう判断するのかという問題にかかわるわけでございます。 それから第三点の、社会保障やなんか痛められるのかどうかという御指摘ですが、これはこの三番目に書いてございます歳出の優先順位の判断の問題があるわけです。それからそういうものは削れないという答えが来る場合もあるわけでございます。 そういうふうに、一つの、特定の経費を何と言いますか聖域化しないで全部の経費について各省が同じ立場に立って洗い直してくれないか、根っこからの見直しというのは、この経費はいい、この経費は悪いというような言い方ではないわけでございます。全部の経費をただいま言いました三つの角度からそれぞれ検討をしてくださいと、私どもの方は独自にまた勉強いたしまして対話をしたいという趣旨にあるわけでございます。
○委員長(坂野重信君) 本日の調査はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十三分散会 —————・—————