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87回国会参議院1979/03/23

大蔵委員会 第9号

発言数
56
登壇者
10
会派数
6
開催日
1979/03/23

会議録

坂野重信自由民主党・自由国民会議

○委員長(坂野重信君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨二十二日、上田耕一郎君が委員を辞任され、その補欠として渡辺武君が選任されました。     —————————————

坂野重信自由民主党・自由国民会議

○委員長(坂野重信君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、税制調査会会長代理木下和夫君、日本大学教授北野弘久君、成績大学教授武田昌輔君及び東京経済大学教授市川深君の四名の方々に参考人として御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人の方々には御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案審査の参考にいたしたいと存じております。  これより、参考人の方々に順次御意見をお述べ願うのでございますが、議事の進行上、お一人十分程度でお述べを願い、参考人の方々の御意見の陳述が全部終わりました後に、委員の質疑にお答えいただくという方法で進めてまいりたいと存じますので、御協力をお願いいたします。  それでは、まず木下参考人からお願いを申し上げます。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 本日は、租税特別措置法の改正について、税制調査会会長代理としての意見を述べよという御下命を受けましたが、租税特別措置法をめぐる諸問題については、結局税制全体についてどのように考えるかということを離れましてはこれを考えることはできないと存じますので、昨年の十二月二十七日に税制調査会が提出いたしました昭和五十四年度の税制改正に関する答申を中心にいたしまして、大筋の考え方を申し述べることといたします。  まず、昭和五十四年度の税制改正に関する税調の答申の背景にある考え方でございますが、御承知のとおり、昭和五十年度以降のわが国の異常な財政危機の実態というものを離れてこれを論ずるわけにはいかないのでございます。およそ国民が公共的なさまざまの給付から受けますところの利益に対して応分の負担をするという財政そのものの基本的な出発点に立ち返りまして、昭和五十四年度を一つの手がかりといたしまして、今後財政の健全化を進めていくということが基本であると考えております。  ところで、税制調査会は去る昭和五十二年十月に、いわゆる中期答申、これは正式には「今後の税制のあり方についての答申」という題がついておりますが、このいわゆる中期答申におきまして、今後福祉その他の公共サービスを確保しつつ財政収支の不均衡を是正するためには、国民に対し一般的な税負担の引き上げを求めざるを得ないという判断に立ちまして、各種の方策を比較検討いたしました結果、最終的には一般消費税を導入することを検討せざるを得ないと提言したところでございます。そこで、昨年末の答申に際しましては、一層状況が厳しくなりました財政を背景といたしまして、この中期答申に提言されております一般消費税の早期導入の是非について検討を行ったわけでございます。  この問題につきましては、まず当面の景気との関連で単期導入は適当ではない、また歳出面における節減合理化や、いわゆる不公平税制の是正が不十分である、さらに所得税その他の増収手段によって対応する余地がないかどうかについて十分な検討が行われていない等の問題点が指摘されましたわけでございます。そのほかさらに、本税の導入が物価に及ぼす影響、あるいは税負担の逆進性等を理由にいたしまして、そもそもこの種の税を導入すべきではないという御意見もあったわけでございます。  税制調査会におきましてはこれらの点について検討を行ってまいりましたが、その結果、大体、次に申し上げるような点が大勢の意見として集約されたと考えております。  すなわち、まず、当面の経済運営との関係につきましては、税制調査会におきましても、特に雇用問題の重要性を考えれば、当面税負担の増加を求めることは行うべきではないという強い意見が述べられたところでありまして、しかしよく考えてみますと、大方の御意見に沿って申し上げれば、現在のように大量の公債に依存する財政の状況が続くということになれば、早晩インフレーションを引き起こすおそれがきわめて強い。また、もはや財政健全化をないがしろにしては経済の健全な発展と国民生活の安定向上を期しがたいという認識に立ちまして、今後は経済の安定的成長と財政の再建との両立を図っていくための努力を続けるべきであるということであったわけでございます。  次に、歳出の削減あるいは税負担の公平確保という問題との関係につきましては、国民に税負担の増加を求めます以上、この問題について格段の努力が払われるべきことは当然のことでございます。しかし、現在の財政収支の不均衡の規模から見まして、これらの努力、すなわち歳出の削減や税負担の公平確保のための措置だけでは問題の解決を期待し得ないことは明らかでございまして、このような意味から、この方向への努力を積み重ねることを前提といたしまして、どうしてもある種の新規の課税、すなわち一般消費税を導入せざるを得ないということになったわけでございます。  また、他の増収手段との関係につきましては、主として所得税に負担の増加を求める可能性が議論されたわけでございますが、現在のわが国の所得税の強い累進構造のもとにおいて、さらに所得税にかなりの巨額の増収を求めようといたします場合には、納税者の大部分、恐らく九九%に達すると思いますが、大部分を占めるところの中小所得階層に対して相当の負担増加を求めるものとならざるを得ないわけでございまして、実際問題としてはこれはきわめて困難であろうということでございました。また、所得税に大幅な負担増を求めます場合、負担感の問題はもとより、執行面における公平の確保の問題もあるという御意見もあったわけでございます。  さらに物価との関係につきましては、一般消費税導入の際、物価上昇が生ずることは避けられませんけれども、それ自体が増税の反映でございまして、通常の物価上昇とはこれを区別すべきであるという御意見や、また、大量の公債発行が続く場合にはインフレの懸念があるということと比較して、この新税の価格上昇をもたらす効果を検討しなければならないという御意見がございました。  さらに、負担の逆進性につきましても、食料品を非課税とする等の措置によって大幅に逆進性を緩和できるという御意見や、あるいは累進性とか逆進性の問題につきましては、税体系全体、さらには歳出を含めた財政全体として判断すべきであるという御意見もあったわけでございます。  このような御論議を経まして、税制調査会といたしましては、昭和五十五年から一般消費税を実施すべきであるという考え方を答申したわけでございまして、その仕組みの大綱を答申の別紙としてお示ししたわけでございます。  五十四年度税制改正についての税調の基本的な考えについて次に簡単に申し上げます。  まず所得税減税についてでございますが、前に申しましたような財政の現状、あるいはわが国の所得税負担の水準が国際的に見ましても決して高くない、相対的には明瞭に低いと言うことができます事実等からいたしますれば、五十四年度においては、物価調整減税を含めて所得税の負担を軽減しなければならないような状況ではないとされたわけでございます。  また、一般消費税の導入を図らざるを得ない状況のもとで、制度や執行の両面にわたって税負担の公平確保に一段の努力が必要であるという点は、審議の過程におきましてもほとんど異論がなかったところでございまして、答申において政府に対してこの点を強く要請をいたしております。今回政府が提案いたしております租税特別措置の改正案を見ますと、これらの点について政府においても努力された跡がうかがわれると評価いたしておるわけでございます。  さらに、財源の充実のために現行法のもとにおける国民負担の現状から見まして、負担を引き上げる余地のある税目については増収措置を講ずる必要がございます。このような観点から、揮発油税、航空機燃料税等の税率の引き上げを図るべきものと考えたわけでございます。  以上申し上げましたように、今回の税制改正全体の方向といたしましては、財政健全化のための増収を志向するものとなっておりますが、ただ、国民生活上及び産業政策上の観点から、緊急性の高いものについては、限られた財源をもって効果的に対処し得ることを前提として、例外的に、負担の引き下げのため所要の措置を講ずることはやむを得ないと考えられますので、このような見地から、地方税における個人住民税の課税最低限の引き上げや産業転換投資促進税制の実施を答申したわけでございます。  以上が五十四年度税制改正についての税調の基本的な考え方でございますが、最後に、具体的な項目について若干申し上げることといたします。  まず、社会保険診療報酬課税の特例についてでございます。税調といたしましては、「昭和五十年度の税制改正に関する答申」の中で具体的な是正案を示したところであって、「昭和五十四年度の税制改正に関する答申」でこれと別の考え方を打ち出しておるわけではございません。その後発表されました政府案を見ますと、私どもの意向というものを若干手直ししたものとなっておりますが、私どもの意向、すなわち、以前に出しました答申の線でなるべく早期に実現を図ることを強い表現で答申の中に書き込んでおるわけでございますが、この考え方を取り入れて若干の手直ししたものとなっておりますけれども、十分この思想は実現されるような案ができ上がっているものと解釈いたしております。  私個人の考え方を申し上げますと、中小保険医のいわゆる公共性、あるいは前の答申を私どもが出しまして以来四年余りの時日の経過の中で、医療費ばかりでなく物価等も上異いたしております点の事情を考慮いたしますれば、現在案として示されております手直しの程度も妥当なものと判断をいたしております。いずれにせよ、税調の方から再三にわたってその是正を答申し、長年にわたって懸案となっていたこの問題について今回ようやくその是正が図られることとなりましたことは、一つの前進と受けとめておるわけでございます。  次に、利子・配当所得課税につきましては、今回の改正では手がつけられておりませんが、この問題につきましては、昭和五十五年末に現行の特例措置の適用期限が到来することとなっております。税調におきましては、昨年九月からこれら所得の総合課税を可能とする条件についての検討に入っておるところでございます。今後さらに特別部会等の場を設けまして、細目にわたる審議を行いまして、来年度の税制改正の時点までには何らかの結論を出したいと考えております。  最後に、土地譲渡益課税についてでございますが、およそ土地政策の課題というものを税制だけで所期の目的を達成し得るものではないというのが基本的な認識でございます。また、税制調査会の空気は、概してこの譲渡益課税の負担緩和については慎重であったと考えております。しかし、たとえば最近地方公共団体が小学校の用地のような公共的な用地を入手したいと思いましても、税負担が大きいということを理由にして地主がなかなか手放さない、そのために入手が困難となっておる事実があることから、このような公的な土地の取得については一定の範囲内でその障害を除去する必要があると考えられました。また、優良な住宅地の供給につきまして、促進刺激効果というものを一定の範囲で税制に求めることも決して不合理ではないと考えられましたことから、現行税制の基本的仕組みは従来どおりかたく維持しながら、きわめて厳しい条件をつけた上で若干の調整を行うという結論に達したものでございます。  以上で私の発言を終わります。

坂野重信自由民主党・自由国民会議

○委員長(坂野重信君) それでは続きまして、北野参考人お願いいたします。

北野弘久日本大学教授

○参考人(北野弘久君) 日本大学法学部におきまして、税法学という学問をやっております北野であります。  初めに、今回の一部改正案の中の主な項目につきまして、簡単に私の見解を述べたいと思います。次いで、不公平税制一般につきまして私の見解を述べたいと思います。  まず最初に、個別項目についての意見でありますけれども、今回、社会保険診療報酬課税の特例措置の問題について若干の改正が予定されております。この制度の不合理性につきましては、政府の税調筋におきましても、つとに、実に昭和三十  一年以来指摘されてきたところでありまして、また、昭和四十九年五月三十日の京都の地方裁判所の判決の中におきましても、実に昭和三十九年度分の事案につきまして、その不合理性が指摘されてきたところであります。所得税法は、青色申告であるとか白色申告を問わないで、実額経費、実際にかかった経費を控除するというたてまえをとっております。したがいまして、納税者としましては、もし百円の報酬単価に対しまして九十円の経費が実際にかかったという場合には、本来七二%にとらわれないで九十円、つまり九〇%の経費を控除することができるたてまえになっておるのであります。したがいまして、社会保険診療報酬の単価の低さを課税上の特例措置によってカバーしょうという一般に言われる理由自体が、厳密には税制理論上成立しないというふうに私はかねてから考えてきたのであります。この点を別にしましても、社会保険診療報酬体系のあり方につきましては、抜本的に、科学的に検討されねばならないと思いますが、そのことと税制のあり方とは切り離して議論すべきであると考えております。  その意味におきまして、今日さまざまな問題を経まして、今回微温的な改正案が出されたのでありますけれども、私としましては、この改正案に対しまして厳しい批判をしなくちゃならないと考えておるのであります。今回の改正案では、表面上は収入金額が多いけれども、救急医療などをやっているためにむしろ多額の経費がかかるという、そういう医療事業につきましてはかえって不利になるというケースもあると専門家から伺っております。私としましては、このような特例措置はすべて廃止しまして、もし医療の公共性を税制上も考慮するというのであるならば、一定条件を満たす医療事業につきまして、医療特有の特別償却であるとか、あるいは準備金制度の導入を個別的に適用することの方が合理的であると考えております。  第二点としまして、所得税法におきまして規定するところの有価証券の譲渡所得非課税の措置、これは昭和二十八年以来の制度でありますけれども、全廃すべきであると考えております。そして、課税官庁におきまして適正な課税上のデータを入手したいと考える場合には、またむしろ入手せしめるべきだと思いますが、そのためにも証券業者を通ずる有価証券の譲渡につきましては、すべて所得税の源泉徴収——軽い税率でよろしいと思いますが、源泉徴収を義務づけることとすべきであると考えております。  三点目としまして、価格変動準備金を含む各種の準備金は会計理論上も費用性を持たないことは周知の事実でありますので、全廃すべきであると考えております。  第四番目に、昨年の法人土地譲渡益重課緩和に続きまして、今回個人の土地譲渡所得課税の緩和が予定されております。このような土地税制の緩和を行いましても、庶民のための土地の供給が行われるという保証は全くございません。いたずらに土地成金の税負担を軽減するだけであります。それはそのまま税法学上は不公平税制の拡大を意味することになります。昨年の土地税制の緩和が一つの大きな原因になりまして、最近における地価上昇の重要なファクターをもたらしておるということは否定できないところであります。  次に、不公平税制一般につきまして若干の意見を申し上げますが、政府は昭和五十五年度中におきまして一般消費税を導入することを決定いたしております。予定されておりますところの特殊日本型といわれる一般消費税につきましては、税の専門技術的な観点からもさまざまな不合理性がございます。この税の導入によりましてわが国の財政が健全化されるという、再建されるという保証は全くございません。のみならず、国民生活を根底的に破壊するであろうことは火を見るより明らかであります。財政の再建のためには歳出の合理化を行うとともに、この際、増税を行うよりほかに方法はないと考えるのでありますが、問題は増税の中身であります。私は不公平税制の是正という形の増税を行うだけで十分であると考えております。そのためには不公平税制の概念規定を明確にする必要があると考えておりますんですが、中小零細業者や一般大衆の税負担を軽減することは望ましい社会政策的な措置でありまして、ここで言う不公平税制ではございません。不公平税制というのは、そのような社会政策的な理由によらないで、憲法で規定されておりますところの応能負担の原則を不当にゆがめる税制上の措置のすべてを指すのであります。政府税調筋の言うところの不公平税制の範囲というのは、税法学的には余りにも狭いと言わねばなりません。このような税法学理論からいきますと、大企業の貸し倒れ引当金、これにつきまして後ほど御質問あれば詳しく申し上げますが、退職給与引当金等を含む引当金の多くは不公平税制であると言わねばなりません。法人税における受取配当金の益金不算入措置、同じく法人税における配当軽課措置、さらには所得税における配当控除制度等もまさしくいわゆる優遇税制でございまして、税法学的には不公平税制そのものであることについては多くを論ずる必要はないのであります。  以上の租税特別措置の整理に加えまして、私は資本金十億円以上の大企業に対しましては緩やかな超過累進税率を適用しなければ、税法学的には企業課税についての不公平税制の是正が行われたとは言えないと考えているのであります。  さらに、現代資本主義のメカニズムのもとにおきましては、大企業の担税力は必ずしも課税上の所得、税法上の所得、インカムに表現されるとは限らないのでありまして、むしろインカムに表現されない担税力が少なくないのであります。このような担税力をもキャッチするのでなければ、現・代における企業課税の公正が確保されたとは言えない、このように考えております。  現代における企業の隠された、あるいは隠れた担税力というものは財産に表現されておるのであります。そのために税務行政上の諸事情も考えまして、さしあたり資本金十億円以上の大法人に対しまして土地を中心とする国税としての財産税、これは固定資産税とは別でありますが、国税としての財産税を導入すべきであると考えております。税率は一%ないしは二%の税率だけで巨額の税収が確保されるのでありまして、これについての試算をわれわれは持っております。そこまでやらなければ、現代における企業課税の不公平税制の是正にはならないと、このように考えておるのであります。  現在の利子所得であるとか配当所得の分離課税措置も全廃されるべきであります。統計学的にも利子所得、配当所得の分離課税措置というものが貯蓄増強と余り関係はないということは政府税調筋のデータも示すところであります。大衆貯蓄擁護の税制上の措置としましては、私としては現段階では郵便貯金の非課税措置だけで十分であると考えております。したがいまして、分離課税措置はもちろんのこと、現行の少額貯蓄非課税制度にうきましてもすべて廃止すべきであると考えております。  以上のような学問的な意味における不公平税制の是正だけでどんなに控え目に見積もりましても数兆円以上の税収が確保されるのであります。したがいまして、私としましては、歳出の合理化と不公平税制の是正だけでわが国の財政の再建が十分にできると考えておるのであります。万一、これらの措置だけでは財政の再建ができないという場合には所得税、法人税等の一般増税を行う方法を選ぶべきであると考えております。このような所得税、法人税等の一般増税方法は一般消費税の導入による増税方法よりもはるかに国民生活に対してデメリットが少ないのであります。  以上、私の所見を申し上げます。

坂野重信自由民主党・自由国民会議

○委員長(坂野重信君) ありがとうございました。  次に、武田参考人にお願いいたします。

武田昌輔成蹊大学教授

○参考人(武田昌輔君) 成績大学の武田でございます。  昭和五十四年度租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして意見を述べさしていただきます。特に、企業減税の問題を中心に述べさしていただきます。  この改正の基本的な考え方といたしましては、まず第一に不公平税制の是正が取り上げられております。  すなわち、第一番目としましては社会保険診療報酬の特例の是正、それから企業減税制度の見直しといたしまして、次のものが含まれております。第一点は価格変動準備金の積立率の縮減、第二点は貸し倒れ引当金の繰入率の縮減、第三点は特別償却の一部の廃止並びに縮減でございます。  それから、第三項目といたしましては有価証券譲渡益に対する課税の強化が行われております。  さらに、第四の項目といたしましては交際費等の損金不算入に対する強化が行われております。  以上の措置に対しまして、これをいかに評価すべきであるかということが一つの問題点でございます。  私の意見といたしましては、質的にも量的にも本年度ほどこの租税特別措置の実質的な整理を行った年はないのではないかと、かように考えております。  すなわち、租税特別措置法の軽減措置の整理合理化が本格化いたしましたのは昭和五十年でございます。それ以前も若干ございますけれども、整理合理化ということが本格化いたしましたのは昭和五十年度であると考えられます。それ以来、その増収額を比較をしてみますと、本年度は最高でございまして、平年度二千九百四十億円、初年度で千七百八十億円でございます。過去において、昭和五十二年に平年度二千八百六十億円、初年度七百三十億円という相当の額の増額がございましたけれども、これは利子・配当等の適正化、つまり千七百五十億円でございますが、これが中心となっているわけでございます。  本年度改正は、従来から懸案であった社会保険診療報酬の特例を是正したことは私は一応評価できるのではないかと思います。この制度は十数年前から是正をすべきであるということが言われておったわけでございますけれども、現在まで延びておるということは、それだけにまたきわめてむずかしい問題が含まれているというように考えられるわけでございます。基本的には全廃をすべきであると思いますけれども、本年度においてはこの増収額を拝見しますと約四〇%これを削減を行っておるということでございますので、これまた一つの評価として認めるべきであるというように考えるわけでございます。  また、企業減税制度の中で価格変動準備金は事実上将来廃止をするという含みでの改正が、漸進的ではございますけれども、廃止をするということがこの法律案の中にございます。この制度は昭和二十六年にできた制度でございますけれども、事実上はそれ以前、大正七年から大蔵省取り扱いにおいて認められていたものでありまして、きわめて長い制度でございます。つまり、きわめて長い制度であるということは、それだけにまた効果も必要性も認められるということであったと思いますが、この激変緩和の措置として十年間で廃止をするということもまた妥当な措置であると考えるわけでございます。  また、交際費課税の強化の問題は、定額控除、つまり四百万円の控除、これを縮減をするということ、特に資本金基準の全廃をするというきわめて強力な態度で臨んでおりますことは、これまた評価に値すると思うわけでございます。従来は単に損金不算入の率を引き上げたということでございますけれども、今回はきわめて強力なものである、こう考えられるわけであります。  有価証券譲渡益に対する課税の強化の問題も従来から議論が存していたところでございまして、とりあえず一歩前進をせしめたことは適当であると思います。この制度は理論的にはすべて課税をすべきであるということは間違いのないところでございまして、問題は売買の事実の確認、あるいはキャピタルゲインとキャピタルロスとの相殺の問題等々きわめて実務実行上検討すべき問題がございますが、これはいわゆる基本的な廃止の問題と実行可能性の問題、これらの調整を図ることが適当であると思います。  なお、参考まででございますけれども、フランスでは一九七六年に株式に対する譲渡益課税を決定したのでありますけれども、実務上やり切れないといったような困難性というようなことから、これを延期をして、来年からまたこれを税制を置くというようなことも聞いております。  次に、積極的な減税の面におきまして産業転換投資促進税制が設けられたことでございます。最近の風潮といたしまして、政策減税はすべて悪であるという考え方がございますが、私は必ずしもそのようには考えておりません。少ない財源をもって有効適切な減税を行う、インセンティブを与えるという方式は、むしろ導入してよろしいのではないかと考えるものでございます。このことは諸外国における税制を見ましても、政策的なものはきわめて多いわけでございまして、また特にイギリスにおける自由償却制度などという、強力といいますか、きわめて効果の多い制度が採用されておるわけでございます。つまり、政策減税はすべて廃止をすべきであるということが最善であるという点については若干の問題があるということを指摘さしていただきたいと思います。  今回の租税特別措置法では、同居している自己または配偶者の直系尊属が老人扶養親族に該当する場合には、老人扶養控除現行三十五万円に五万円を加えるという制度が認められるものとされております。これはイギリスにおけるリリーフ・フォア・ドーターズ・サービスという制度、娘サービス控除といいますか、それに範をとったものではないかと考えられるわけです。  老年者年金特別控除、障害者を雇用する場合の機械等の割り増し償却については二年間延長することにされておりますが、福祉対策という面からも適当であると考えます。  最後に、今回の祖税特別措置法の改正とは直接には関係ございませんけれども、このいまの一般消費税について若干の意見を申し上げさしていただきます。  私といたしましては、結論を先に申しますと、次の認識及び前提をもとにいたしまして一般消費税の創設もやむを得ないものと考えるものでございます。  すなわち第一には、相当多額の財源が必要であるということ、第二点は所得税、法人税の増税ではとうてい賄い切れない。しかも、現下のような所得税減税のムードでは所得税、法人税の増税はなし得ない。第三点は、他に財源を求めるとしましても、富裕税その他実行上きわめて困難な問題があること。第四点としましては、これは言うまでもなく、不公平税制を是正いたしまして環境の整備を図ることが必要であるということでございます。もちろん逆進性の問題や税率並びにこれらに関する十分なる配慮が必要であることは言うまでもありませんが、課税方式としては仕入れ控除方式よりもむしろ私の意見ではインボイス方式の方が望ましいのではないか。きわめて簡明であると同時に、転嫁の問題、特に中小企業における転嫁の問題につきましても効果があると考えるわけでございます。  以上でございます。

坂野重信自由民主党・自由国民会議

○委員長(坂野重信君) ありがとうございました。  次に、市川参考人にお願いいたします。

市川深東京経済大学教授

○参考人(市川深君) 東京経済大学で税務会計学を担当しておる市川と申します。  租税特別措置法の一部を改正する法律案として提案されている項目につきまして要点を申し上げまして、次いで総括して意見を申し上げさしていただきます。  まず第一に、社会保険診療報酬課税の特例の是正でありますが、この是正に関しての法律案は、現行の法律よりも一歩前進いたしまして改正案として評価したいものでありますけれども、他方で医療保健業の機械等の特別償却制度の創設によりまして、一歩前進であるか否か疑問であると考えるものであります。  第二に、改正案は収入金額二千五百万円以下は現行どおり必要経費は七二%でございます。他方、給与所得者の必要経費に当たる所得控除は二千五百万円で一四・二%にすぎません。したがいまして、社会保険診療の必要経費繰入率は実に五倍であります。さらに収入金額五千万円以上の社会保険診療は、五十四年度分につきましては五七%でありますから、他方給与所得者の給与所得控除でありますと一二・一%でございます。したがいまして、社会保険診療の必要経費繰入率は四・七倍に当たるわけであります。社会保険等の必要経費繰入率は所得割り税額七二・七%納付する給与所得者と比較して著しく不公平であると考えるものであります。  第三に、昭和五十一年度中の所得一千万円以上の高額所得者は、千人につきまして一・九人にすぎません。昭和五十一年個人住民税で年所得二千万円以上の所得階層から逆進的税負担となっております。こうした現状からいたしましても、社会保険等必要経費繰入率についての特例の是正は妥当なものではなく、必要経費繰入率は切り下げるべきであると考えるものでございます。  次に、有価証券譲渡益課税の強化につきましては一応評価するものでありますが、早急に全額課税すべきものであると考えます。現行法人税がその前提とする法人擬制説の立場からいたしましても全額課税すべきであります。すなわち、法人の内部に留保されている利益分については、大ざっぱな前取りとしての法人税が課せられているにすぎないからであります。  ところで、この法人の内部に留保されている未配利益というものは株価騰貴となって反映するものでありますから、個人株主が譲渡し譲渡益を取得した段階で完全な総合課税を課する必要があるわけであります。これが法人と個人とを結ぶかなめになっていたという現行税法の立場の根拠からしてもやはり全額課税すべきであると考えるものであります。  次に、交際費課税の強化は同様に評価されるものでありますけれども、これも早急に全額課税すべきであると考えます。  交際費の内容は接待、供応、慰安、贈答でありまして、これらは費用性を持たず、損金として課税を免れた分は国庫補助金を受けたと同じ結果になるだけでなく、コストに含まれまして物価上昇の要因ともなるものであります。勤労者の社会生活上必要な冠婚葬祭費等が交際費として経費算入を認められていないことを考えましても著しく不公平であると考えるものであります。  四番目に、租税特別措置の廃止は異論ないところでありますけれども、さらに廃止する範囲は拡大すべきものであると考えるものであります。  総括といたしまして、租税特別措置法の項目はその種類も多く、一々それらの各項目につきまして意見を申し上げることはできませんので、今回改廃される項目と関連して意見を申し上げさしていただきます。  価格変動準備金の段階的整理が取り上げられておりますが、これとの関連で租税特別措置ではありませんが、貸し倒れ引当金の段階的整理を要望するものでございます。たとえば金融保険業の貸し倒れ引当金について見ますと、法人税法上の繰入率と実際の貸し倒れ率が乖離し、その差は企業の内部留保として用いられております。全国の銀行——八十六行でありますが、昭和五十二年三月期の貸し倒れ金合計額は百四兆五千四十七億円で、その貸し倒れ損失額は五十九億円にすぎません。貸し倒れ率はわずか〇・〇〇六%で法人税法上の引当金限度額は貸し倒れ損失額の百四十一倍に当たります。  次に、有価証券譲渡益課税の強化が取り上げられておりますが、これとの関連で株式プレミアム等の益金算入を望むものであります。  これは戦後資本取引として益金不算入となっております。周知のように、新株を額面を超える価額、つまり時価で募集する場合に生ずる額面超過金がこの株式プレミアムであります。これは株主の拠出額でありますが、資本ではなく、したがって配当もないわけでございます。これは資本、技術、市場あるいは信用利用などで超過利潤獲得により株価騰貴の基礎をつくり出しまして、その高い利潤率を創業者利得に転化したものでありまして、創業者利得の献呈者はレントナー化した中小資本家や大衆株主であります。  一例としてトヨタ自動車工業の例をとってみますと、昭和五十二年の一般公募の増資株数は三千七百八十六万株で、発行価額は一株九百五十円と九百九十円でございます。額面は一株五十円でありますから、株式プレミアムは一株について九百円と九百四十円でありますから、全体でプレミアムは三百五十五億八千百万円、これは無税で配当を支払う必要もありませんから、その金利負担は市場金利の五分の一から十分の一の超低金利であります。日産自動車について申し上げますと、株式プレミアムは五十二年度だけで二百二十八億八千万円でございます。  次に、有価証券の評価益の益金算入を望むものであります。  有価証券の時価が取得原価より下落した場合は評価損を計上いたしますが、これら資産の評価益は益金不算入となっております。これは予想の損失は計上しても、予想の利益は計上してはならないという会計上の保守主義原則の適用であります。今回の有価証券譲渡益課税の強化によって有価証券評価益の実現した分について課税されるといたしましても、資産が売却されることなく数代にわたって保有され続ければ、課税は無期延期されることになり、株式の場合には未実現のまま保存しながら系列的に企業を支配して別の種類の利益を非課税の形で得ていくことができます。また、有価証券評価損を普通所得から控除することを禁止する規定がございませんから、値下りや売却によって生じた損失を他の所得から控除し、値上がり有価証券を保有して評価益を未実現のままにしておくことができるわけでございます。有価証券の取引で差し引きして利益を得ても、損失を他の所得から控除するから、他の所得の合法的租税回避が可能となります。他方値上がりした評価益は非課税でございますから、膨大な富が免税で子孫に残されることになります。  これも一例としてトヨタ自動車工業の例を申し上げますと、保有する有価証券九億八千万株のうち一千万株以上所有する十七社、五億一千九百万株について評価益を算出いたしますと、二千四百三十五億七千万円でございます。日産自動車につきましては八百三十二億八千七十四万円となります。  要するに、日本の租税特別措置は企業、とりわけ大企業や個人の高額資産所得者に対する手厚い優遇措置として機能し、税負担の不公平が著しく、国民の不満もますますつのっております。  また、日本の租税特別措置は各国のそれらをすべてより集めた租税特別措置のデパートとでも言える広範囲に及ぶものでございまして、欧米諸国と実効税率を比較しても税負担の高低を論じ得ませんし、それら租税特別措置を加味して比較いたしましても、日本の法人税負担率は国際水準に近づいたとは言えないものでございます。たとえば昭和四十九年十一月政府の税制調査会の提出した資料によりますと、貸し倒れ引当金はイギリス、西ドイツ、フランスでは個別の債権につき具体的に判定することを要するものとされております。また、退職給与引当金はアメリカ、カナダ、イギリスでは会計上は引当金の計上が行われますが、税務上は認められておりません。支払い配当の軽減税率があるのは日本と西ドイツだけであります。法人の受取配当は、イギリスとカナダは日本と同じく益金不算入でありますが、西ドイツやフランスは益金に算入しています。また、交際費の損金算入制限も外国の方がはるかに厳しいわけでございます。  今回、租税特別措置法の一部を改正する法律案が、現下の厳しい財政情勢と最近における世界経済情勢にかんがみ、今次の税制改正の一環として税負担の公平確保の見地から租税特別措置の改廃をする法律案を提案をされておるわけでありますから、いま申し上げた点も含めて改正されることを期待するものであります。

坂野重信自由民主党・自由国民会議

○委員長(坂野重信君) ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の陳述が終わりました。  それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 いま市川先生のお話を伺っておりますと、大分政府税調の物の考え方と非常に違うということがかなり明瞭になったわけでありますけれども、市川先生にはもう少し一歩踏み込んで、こうした国税が、これは措置法及び法人税法両方だと思いますけれども、まあ非常に優遇措置とかあるいは資金の自己調達力を非常に認めているというような形に実はなっているわけでありますけれども、この地方税に及ぼす影響ですね。これがいま地方の時代とか言ってきておりますし、まあ福祉の立場から申し上げますれば、私は当然これからの高度成長から安定成長といいますか、あるいは低成長といいますか、まあそういう形になるし、政府税調あたりがまあ大変一般消費税を担いでいらっしゃるような気がするわけでありますけれども、そういう立場から見ますと、ますます消費税へウエートがかかってくるということになりますれば、福祉の問題というのは相当私は大きく拡大をしていかないと、やはり所得の再配分に大きなひずみが出てくると思うんですが、そういうことをやっていく点ではやっぱり地方の時代、あるいは自民党さんさえも最近は地域の時代という、その方と域と一字違えて地域の時代ということをも言い始めているんですけれども、そういう意味では私はこのいまの法人税なりあるいは租税特別措置法という、特に大企業への優遇的なものが地方税のはね返りが非常にこのために少なくなってしまっている。利子・配当にしてもそうですね。分離課税にしてもそこでもう切れちゃって、あとは県民の所得割りなり市町村民税の所得割りなんていうのがそこで切れちゃうわけですが、そういう意味では地方ではむしろ先ほども二千万円ですか、個人住民税では二千万円のところから非常に逆進性になるというふうに先生おっしゃっておられたわけでありますけれども、そういう意味では一番地域では逆な形で金持ちの方が金を払わない。特に最近の不況産業なんか見ますと、たとえば大きな造船会社は利益がないからもう最低の何ですか、法人の県民税ですか、それしか払わないで所得割りは払わない。しかし、実際やっていることはやっぱり鉄鋼を運ぶなり、あるいはその地域にそこの造船の労働者のいろいろな教育を初めとする福祉は地域の団体はやらざるを得ないんですけれども、しかしそれは個人の所得、従業員の所得税からくるところのそのはね返りの住民税のみでやっていて、実際企業の社会的な費用というものはほとんど払わないでいいという形がもう最近は出ていると思うんです。  これは私は、それじゃ造船会社が本当に資産も何にもなくてどうにもしようがないから払わないというならいいんですけれども、実際住友重機等を見てみましても利益は上がっているんですよね。上がっているけれども払わないというようなことも実際あるわけでありまして、そういう面でこうした措置法がただ国の税金だけでなくて、地方の税金を非常に少なくしてしまっているというような点があるんじゃないかと思うんですけれども、先生、その辺についてもずいぶん御研究されているようですけれども、その辺についてひとつ、もう一歩踏み込んで御意見を承りたいと思います。

市川深東京経済大学教授

○参考人(市川深君) ただいまの竹田先生の御質問でありますが、御承知のように、現在地方財政は破綻的な状況にあるわけでございますけれども、このやはり基本的な要因というものが地方財政制度そのものの仕組みにあるわけでございまして、いまも御意見にもありましたように、地方税の収入というのは国税である法人税、所得税に基づいて算出される仕組みになっております。したがいまして、この所得税並びに法人税というものが過小に算出されますと地方税も少なくなる仕組みでございます。その少なくなる仕組みと申しますのは、会計学の上でいきますと収益マイナス費用という形で課税所得を算出するわけでありますが、その本来収入になるべきものを租税特別措置並びに租税特別措置ではありませんけれども、その租税特別措置として扱わるべきもの、たとえば.先ほど例に挙げました貸し倒れ引当金、退職給与引当金は、これは租税特別措置ではありません。けれどもこれは租税特別措置としての性格を有するものであります。そういうものによって、たとえば収入につきましては、本来収入に算入すべき受取配当金というようなものは、これは収入には加えませんし、それから先ほど例を挙げました株を、いまトヨタの例でありますというと九百円で売れる、あるいは九百五十円で売れる、ところがそれを会社の経理の上では額面額の五十円で評価しておるわけであります。こういうものは本来益金に算入すべきものであります、収入に。これも算入いたしておりません。  それから今度は、本来費用にならないもの、費用性を持たないものをも費用に算入するわけであります。たとえば先ほど申し上げました交際費というようなものは費用性を持たないものでありますし、寄付金についても費用性ということは、それが生産に役立つという形であります。費用性を持たないものも費用に加えると。つまり、収入については本来収入に入れるべきものを入れないし、それから費用については本来費用に入らないものをも費用に入れると。したがって、その出てくる税金の課税の対象にする所得というものは実際よりも小さく算出される仕組みになっているわけであります。したがって、そういうところから地方税におきましても影響を受けまして、本来大きな企業から取るべきものが取らないという実態になっているわけであります。  他方、こういう不況になりまして、企業が利益が少なくなったりあるいは赤字を出したりいたしますというと税金を払わないわけであります。地方税についても同じであります。他方、地方からの行政サービスは受けるわけであります。行政サービスを受けながら、他方でその対価としての税を払わない、これが地方税、地方財政のこの危機的な状況の基本的な要因であると考えるものでございます。  まだ申し上げたい点はございますけれども、また御質問に応じてお答えしたいと思います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 北野先生にお伺いしたいと思うんですけれども、大変新しい発想を出されている、ここで開陳されていたことにつきましては敬意を表したいと思うんですが、その有価証券の譲渡益について源泉徴収をすべきだというお話でありますが、きのうあるいはその前にもここで議論されたわけですけれども、まあそのもとの金がわからない。たとえば古い株式等については、これは自民党の方から特に強調されたわけでありますけれども、昔持っていた、買った、まあ十年前、二十年前に買ったその価格が一体幾らで買われたか、この点が非常に、本人も恐らく覚えていないでしょうし、まあその当時のことでありますから恐らく記録も余りないだろうということで、一体何を基準にその益金というものを算出するのかということを大変おっしゃっておられたんですけれども、まあ先生のおっしゃられた源泉徴収する場合にも、益金に対して源泉徴収をされるということであろうと思うんですが、その辺は一体どういうふうに解決をしていくのか。まあこの辺が解決が明らかになってくれば、短期のものは比較的わかりいいと思うんですが、一番執行上困難だと思われる点はその辺になってくるだろうと実は思うわけでありますが、先生はその辺はどういうふうに考えてやったらいいのか、その辺ひとつ教えていただきたいと思います。

北野弘久日本大学教授

○参考人(北野弘久君) それじゃお答えします。  非常に重要な質問がございました、竹田先生から。これ非常にむずかしくないんです。簡単な問題でありまして、たとえば現在の原稿料等の報酬料金について、所得税法では源泉徴収を行っておりますが、取引金額ですね、つまり収入金額に対して源泉徴収を行っているわけです。必要経費幾らであるかということは一切問わないで、出版社は幾らの原稿料を払ったとか、幾らの講演料を払ったかと、その表向きの金額に対して一〇%とかという形で機械的に源泉徴収を行っているわけです。源泉徴収というのは税法上的には申告納税制度の補完的なもの、補う第二義的な制度でありまして、源泉徴収自体によって税金を取るということが目的ではないんです。源泉徴収を行うことによって税務官庁が、だれが幾らの収入があったかということのデータをキャッチするというそこに非常に重要な意味があるわけでありますから、私としては非常に低い税率ですね、一%でもよろしいと思いますが、あるいは二%でもよろしいと思いますが、非常に低い税率ですね。証券会社を通ずる有価証券の取引金額、売買金額、それを基礎にして源泉徴収を行えばよろしいと、あとは実際の経費幾らであったかというようなことは、納税者が個別に確定申告の段階で申告し精算をすればよろしいという。よく昭和二十八年の政府の答弁を見ますと、当時二十八年に有価証券の譲渡所得非課税の措置を導入したんですが、これはシャウプの法人個人一体という考え方を崩す考え方でありましたけれども、そのときの理由は二つございました。一つは、仮に課税をすることにしても、税務行政上非常に課税はむずかしいということが一つです。いま一つは資本の蓄積を阻害する、こういう二つの理由が述べられたのでありますけれども、私、最初の理由は、理由はないと思うんです。ちょうど新しい刑事訴訟法をつくったとき、自白は認めないんだったらどろぼうつかまえられませんと、人殺しつかまえられませんと、当時の警察官が言ったようなものでありまして、つかまえるのが税務官庁の仕事でありますから、それはやっぱりあらゆる手段を使って税務調査を行い、適正な課税をすべきでありまして、それは幾らの取得原価であったか、その株式の、それは納税者のいろんな調査を通じてわかってくることでありまして、現在でも白色申告者は記帳を行っておりません。記帳を行っていなくったってきちっと実際の課税の原則のたてまえで実務は行われておるわけでありますから、その辺のことは税務当局の科学的な調査手法の開拓によっておのずと解決すべき問題でありまして、それができないということは、私は努力の怠慢であると、このように考えております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 もう一つ、土地を中心とする財産税一%か二%ぐらいやったらどうかとおっしゃられるんですが、これで大体どのくらいの税収が見込まれるのか。  それからもう一つは、さっきの第一の質問の有価証券の譲渡について、収入金額に対しての源泉徴収額、これによって一体どのくらいの税収が見込まれるのか、その二つの点、もしおわかりでしたら、計算されているならひとつお願いしたいと思います。

北野弘久日本大学教授

○参考人(北野弘久君) まず最初の方の質問からお答えしますと、これは私どもの計算した数字によりますと、資本金十億円以上の法人に限定しまして、三年前の統計上のデータに基づいて計算しましたところによりますと、税率一%で一兆一千七百二十三億円、約一兆二千億円ですね。一%であります。二%ですとその二倍でありますから、二兆四千億円弱というふうになりますんで、私はこれを企業課税の公正さを確保することの一環として、つまり大企業、たとえば立法過程で自分たちに有利な税法をつくってもらう、そういう大企業はもはや行政の段階で租税回避などの工作をする必要はなくなってくるわけですね。ですから一種の立法事務費の租税回避に成功しますと、そういったものは所得にあらわれてこない。あるいは税務行政の段階で税務当局が大企業の調査について不十分であったと、手心を加えておると、いろんな政治的なプレッシャーもありますし、あるいは何と申しますか、大企業はきちっと専門家を抱えておりますから、担当税務係員のわずかの期間の調査だけでは十分に解明できないと、見放してしまう。一方中小企業は、一円でもオーソライズされないで調査を受けるという、そういうアンバランスがありますが、そのアンバランスというようなものも所得に表現されないでしまう。それから裁判過程におきましても大企業は有利な立場にあります。それから経済過程においても有利な立場にある。それから取られた税金を使う税金の使い道の段階ですね、国の歳出の段階でもさまざまな政策によって大企業は利益を受けるようになっております。そういうものなどは必ずしも税法上の所得に表現されないわけですね。そこで私は、それを補うためにも、少なくとも財政の再建が行われるまでは国税としてそういった財産税を取るべきであると、これは簡単であります、全部台帳に載っておりますから、土地を中心に考えますから。しかも評価額も簡単でありまして、相続税に評価額を基礎にしてやれば、きわめて簡単に徴税費用もほとんどかからないでやれるのであります。さっき武田参考人が、個人の財産税をやる場合には、税務行政上非常に問題が多いとおっしゃいましたが、それは不表現資産——表現されない資産を含む一般財産税を考えておられるからそうなりますんですが、私が考えておりますのは土地を中心とした表現された、しかも大企業だけのものを考えておりますんで、これは非常に徴税上簡単にできるのであります。  有価証券の方、ちょっといま数字を用意しておりますんで、探さないといけませんが、かなりの金額になると思います。後ほど探しまして、わかりましたらお答え申し上げます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 木下参考人にお伺いをしたいと思いますが、先ほど市川参考人のお話から考えますと、法人に対する課税というようなものが、まだかなり法人に対する課税ですね、法人からもう少し税金を取る可能性というものは私はかなりあるような気がするんですよ。私自体計算したことはございませんけれども、かなりある。しかもその影響するところは、また地方税にも関連して非常に大きいというところから見ますと、どうも政府税調が所得税を中心として、所得税をこれ以上取るのはなかなかむずかしいとおっしゃられて、特に中間的な層ですか、中小所得階層にはこれ以上というようなお話がありましたんですが、まずその法人税の増収の可能性というものは、これは前には税調でたしか法人税からもっと税金を取れる可能性があるというようなことをおっしゃっておられたんですけれども、その議論が何か最近はすうっと景気が悪いということで、その辺が薄くなってしまいまして、問題は所得税の方にウエートをかけた議論をすることによって、あんまり直接税による増収ということは考えられないから一般消費税だというふうに、そっちの努力がどうもあんまりないような気がしてしようがないんですがね。法人税の増収の可能性というのは去年の税調ではどのぐらい議論をされたのか、この辺の詳細をひとつお話しを木下先生からいただきたいと思うんですが。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 法人税の増税あるいは法人税から増収を得るという問題につきましては、かねてから税制調査会で懸案でございまして、毎年の税制の審議について常に問題が出てきておることでございます。  そこで、主として議論されました問題と申しますのは、これは私の私見も交えて申し上げますので、税調の委員の皆さんがすべて同じような考え方であるとは判断をいたしませんけれども、法人のレベルで課税をするということは、これは一種の税徴収のための、便宜の手段だと思います。税は、あらゆる種類の税は基本的には個人に全部かかってくるというふうに思っております。したがって、法人税は、現在のところ名前は法人税でございますけれども、法人の所得に対して課税される税でございまして、これは何らかの形で中期的には転嫁が行われると。たとえば、税負担がふえると製品の価格の引き上げ、あるいは行わるべき賃金の引き上げにブレーキをかける、あるいは配当を減少させるのに効果がある、あるいは内部留保を減らすというような形で、さまざまの形で転嫁が行われる。これを追跡してまいりますればすべては個人にそれはかかってくるわけでございまして、法人税を引き上げれば、あるいは法人の負担を引き上げれば後はすべて影響はないと考えるのは、現在の法人所得に対する課税の経済効果の分析としては間違っておるわけでありまして、すべて何らかの形で個人の負担になるという考え方を、私は少なくともとっております。  このような考え方は、言いかえれば法人税の税法上の議論ではございません。法人税の経済効果に関する議論でございまして、現在の国際的な法人税に関する経済効果の理論家が大体ほとんど一致して支持しておる立場でございます。  わが国の場合、税調でそれじゃどういう具体的な議論があったかと申しますと、法人税そのものの仕組みについて数年前非常に大きな議論がございました。この議論は、俗に申しますれば法人実在説と法人擬制説との対立と申してよろしいかと思いますが、御承知のとおり、シャウプ勧告は法人擬制説の立場に立っておると皆さんおっしゃっておられます。私は、これは法律の言葉としましては法人擬制説とか実在説という言葉を使うことは何ら支障はないと思いますけれども、法人課税の、法人所得に対する課税の経済効果の面から言えばこのような言葉はむしろ意味がない。  で、社会的に見ますと法人は確かに実在でございます。実在していないという人はおりますまい。しかし、法人税の行方を、その負担がどこへ行っておるかということを終局まで進めていけば、これは先ほど申し上げましたようにやはり個人の負担になるというふうに私ども考えているわけでございます。  したがいまして、それではまず第一に法人税を上昇さしたりあるいは低下さしたりするとそのインパクトはどこに来るかというと、確かに個人にまで行かずに、当面は、しばらく企業の経営そのものに影響を及ぼしますでしょう。少なくとも生産とかあるいは投資活動に対する影響というものがあらわれてくるはずでございます。たとえば投資税額控除をやれとおっしゃる議論の背後には、投資税額控除をやれば設備投資を刺激するというような議論をなさるのはまさにそれでございますが、実はわれわれはそういう中期的及び短期的な法人税の衝撃というものを別個に検討しなければならないと思います。  ところで、第一に私どもが考えねばならないと思います点は、企業活動が現在のように非常に国際化しておる。国際取引が非常に重要な部分を占めておるというときに、わが国の法人税だけ、外国の法人税の、大方の国でとっております法人税の仕組みと著しく異なった税制をとるということにはおのずから制約がございます。これは国際間の租税条約の、いわば租税の調整の問題にも関連をいたします。  私自身は、法人税につきましては、支払い配当と申しますものはちょうど資本費でございますので、やはり利子と同じように実は考えておられる経営者の方が最近は非常に多いというふうに思います。これは実態論でございまして、企業会計原則から言えばこれは配当というのはあくまで利益の処分だという考え方でございますけれども、それじゃ現在個々の大企業、特に巷間大法人と言われるところの経営者の方はほとんど株主ではないわけでございまして、その方々が一体配当をどう考えておられるかというと、まさに利子支払いと同じように資本費としてとらえている。その感じから言えば、これは利益処分ではなくて経費なんだという議論さえ実は出てくるわけでございます。そうしますと、これは法人税の仕組みと企業会計原則との間の調整というものがどうしても必要になる。法人の関係の方は企業会計原則を破壊してまで法人税の仕組みを変えることには反対の意向を示されます意味はそこにあるわけでございますが、実は私は、支払い配当は全額損金算入にして、そして受け取り配当は全部個人の段階ですっかり完璧にとらえるというのが、私の頭の中にある所得税と法人税との調整のあり方としてはベストだと思います。しかしこの意見を、たとえばヨーロッパの国々に日本ではこういう方向に進めるということを申しました私は経験がございますが、それは困ると、おれのところはそういう考え方はとってないと、そうすると国際租税調整上もう非常に困るというようなことがございます。米国でも実はいま申しました私のような考え方で法人税の改正をやろうとしましたが、途中で立ち消えになりました。  実はこの法人税と申しますのは、第一に、先ほど申しましたように法人そのものが負担すると思ったら大間違いで、これは何らかの形で個人に返ってくるという事実だけはやはり私どもは念頭に置いておかなきゃならない。  それから第二には、法人税の仕組みというのは所得税と密接に関連してこれを考えなければならないと、こういうことでございます。  そういう問題の上で、現行の法人税の仕組みをそのままにいたしまして増収の道はないかという御質問の本題でございますが、それはまず第一には税率のアップということが考えられる。それから第二には、先ほど参考人の複数の方から御指摘がございますように、課税所得を何とかしてふやす方法はないものかという二つの道があろうと思います。  第一の税率につきましては、御承知のとおり、法人課税の実効税率を国税ばかりでなく地方の事業税まで含めまして計算したものによりますと、実はわが国は先進諸国に比べてさほど低い税率をとっているわけではない。その差は、たとえば米国に比べまして一%ぐらい、イギリスに比べまして二%ないし三%程度と。西ドイツが非常に実効税率が高くなっておりますが、これは西ドイツの場合は個人の所得税における調整がわが国とすっかり違いますので、これはそのまま単純に比較はできません。フランスがわが国より〇・五%程度高いと。  したがって、もし先ほど申し上げました国際的な交流取引あるいは国際租税調整というような問題を意識の上に上げますならば、わが国で数%の税率アップの余地はあると申し上げて差し支えはないわけでございます。しかしその余地はそれほど大きいとは言えないであろうということでございます。したがいまして、この点は税制調査会におきましてもこれから漸次税率アップを検討してみようということに宿題になっておりますので、お含みおきを願いたいと思います。  それから第二の問題は、課税標準を大きくしていく。言いかえればいま経費として落としておるものを落とさない、あるいはいま総収入の中に入れないものを新規に入れていくというやり方で増収を図る道が第二の方途でございます。私どもの考え方で申しますと、先ほどたびたび御指摘がございました配当軽課制度とか受取配当の益金不算入制度と申しますものはまさに法人税と所得税との調整問題でございまして、現在の仕組みを前提にいたします限りはこれは別に優遇措置ではございません。理屈としてそういう制度をとっておるということでございます。これは法人税の仕組みを根本的に変えますならば、当然そのときに問題になることでございます。  それから引当金、準備金の問題がるるお話がございましたけれども、私どもの基本的な考え方は、企業会計原則上引き当てることがこれは当然認められるものというものは、これは現在その引当率と申しますか、損金算入率が異常に高い、おかしいと思われるものを漸次引き下げていくというやり方の努力を続けていることは、数年前からの税正改正の中身を御検討いただければおわかりいただけると思います。  それから準備金につきましては、完全に利益準備的な色彩の濃厚なものは廃止するのが当然でございます。準備金の整理というものは、今日まで遅々として、直ちに全部というわけにいきませんけれども、徐々に私どもは整理をしてきている。今日の段階においてはその整理は大幅に進んでおるというふうに思います。したがいまして、法人税でもって増収の道はあるかということについてはその二点、いわば税率の引き上げと課税標準の増加という二方面から私どもは検討してまいりましたし、今後もその線で進めていきたいと考えております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 木下先生ね、法人税について国際化が必要だと。国際的なレベルというものをある一定にそろえるということについては、これは私も賛成ですよ。現にECはそういう方向でいま議論されていることもこれは明らかです。しかし市川先生のお話では、必ずしも日本がそういう方向に具体的にいっているというわけには何かいかないようなお話です、私も詳しいことは知りませんけれども。そういう方面が直されていくならば私は先生の言ったこと賛成ですよ。しかしどうもそういう方向に現実にいってない。今度あたりもそういう点が、一般消費税ということを、私も一般消費税についてはいろいろ考え方があります。ありますけれども、一般消費税というものがある程度前提になってくるとすれば、私はこれはやはりもっと国際化していく。これは一般消費税を導入するとなるとますますそれは私は必要になってくるだろうと思います。そういう面ではどうもあんまりされてないという危惧を感ずるわけですね。法人税の負担の問題もいろいろあるでしょう。これ先生おっしゃるように、そう急にぽんと負担が転嫁されるわけじゃないんです。しかし、いまは国民全体がもっと公平にしてくれということが一番大きい要素だと思うんですよ。その公平にこたえるということになれば、それはいまの実在説、擬制説いろいろありましたけれども、これは一般に国民はわからぬのでして、しかし、現実に大きな企業は伸びていることは事実ですよね。そして、それが外国から、場合によっては政府が補助金的なことをやっているとか、あるいは関税と同じようなものを障壁を設けているとか、いろいろなことが言われているというのは、私は世界的に見て、日本の法人が他の外国の法人に比べて優遇をされている。したがって資本蓄積も非常に早過ぎると、この早過ぎたことがやはり国民の批判を買っていると私は思うし、その早過ぎた原因というのはやはりもう少し企業の負担というものを当然に要求していいじゃないかという国民の議論だろうと思いますよ。  そうなってまいりますと、私は特に、政府の方も昭和六十年までに財政収支試算表を出して税金をふやさにゃいかぬ、ふやさにゃいかぬと言いながら、大企業はそれに対して応じていないということは、それは先のことは先のことであると思いますよ。あると思うけれども、そういう点はどうも政府税調がただ議論のための議論を進めておられる感じがして私は不満です、はっきり。その議論をしてたら切りがございませんし、時間ありませんけれども。  それから、利子・配当の優遇関係あるいは選択分離等について、五十五年末には政府もこれは廃止すると、こうおっしゃっているのですが、私はどうも廃止できないんじゃないだろうかという気が実はするわけですけれども、その中で先生が、それを廃止するための条件ですね、それが可能にすることができるかどうか、これ議論されているというのですが、これはそれまでに税調としてはその条件を解消することができるわけですか。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 竹田先生のお話の前半でございますが、一言だけ申し上げますと、私がお答え申し上げました方向に税調がいっていないという判断が参考人の中から述べられているというお話でございましたが、私はそのように思わないので、少なくとも私どもは法人税によりまして増収の道を非常に強く考えておりまして、今後ともなお検討を進める方向にいっておるということをはっきり申し上げたい。御解釈はこれいろいろあろうかと思いますけれども、私どもの真意はそうでございます。  それから、後段の利子・配当所得の問題でございますが、この把握体制の整備につきましては、実は昨年の秋以来、私どもの税制調査会では、納税者番号制度の検討を含めまして、総合課税を真に文字どおり現実に適用するためには一体どういう方法があるかということを具体的かつ専門的に検討を進めております。今後、本年に入りまして、引き続いて、できれば特別部会等を設けましてこれを詰めていきたい、なるべく早い時期に結論を得たいというふうに考えております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 各先生方にちょっとお尋ねしたいと思いますが、政府は五十五年に一般消費税を導入するという意思はいまもって変わっていないようです。しかし、一般消費税を導入する条件としては、これは政府も言っておりますし、国民も大多数はそのとおり考えておると思うのですが、まず不公平税制というものを改めてくれと、あるいは政府自体がもう少しむだなところを省いて経費を節約してくれと、これが非常に大きい国民の私は一般消費税を受け入れる前提条件というふうに思うんですよ。  しかし今度の税制改正で、私は——これは私の意見ですから、先生方の御意見を承る前に私の意見を申し上げたいと思うのですけれども、私はまだその条件というものは、今年度の予算なりあるいは今年度の税制改正でその条件というものは満たされていないと、こういうように私は思いますけれども、先生方は一般消費税を五十五年に導入するということを前提にいたしますれば、このくらいでもやむを得ないのじゃないかというふうにお考えなのか。いやいやこんなことでは不公平税制は解消されていないんだというふうにお考えなのか。これは各先生方、一音ずつで結構でございますから御意見を賜りたいと思います。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) それじゃ私、失礼でございますが、お先にお答えを申し上げます。  御指摘のように、一種の前提条件といたしまして、歳出の節減合理化と不公平税制の是正を徹底的に行うということはまさに必要な要件だと思います。新しい年度の予算におきまして、歳出の節減合理化につきましては、私が聞いております範囲内では、経常事務費は据え置きにする、給与改善費等の縮減をする、さまざまの補助金の整理合理化をやる、機構定員の抑制をした、定員削減の着実な実施を行った、あるいは受益者負担等の適正化を行うというような各項目を見ます限りにおきましては、私はかなり、かなり政府においては努力をした跡がうかがわれると思います。しかし、完璧かとおっしゃれば、私は完璧ではないと思います。  それから、不公平税制の是正と申しますのも、これは一〇〇%不公平税制がなくなったと言い切れるものかどうかには問題がございます。ただ、それはなぜかと申しますと、不公平という言葉につきまして論ずる方の主観と申しますか、考え方によって非常に広い意味の不公平とみなされる御意見と、それから非常に厳密に不公平というものを解釈する御意見とがありまして、先ほどもその一部が開陳されたわけでございますが、何が不公平かについて必ずしも合意が得られているとは私も思わないと考えております。たとえば配当につきまして、たとえば所得税における配当控除というのが不公平だとおっしゃる御意見もございましょう。私は現在の法人税と所得税の仕組みで配当控除をするのは当然であって、これは不公平税制であるとは思いません。したがいまして、それは一例でございますが、不公平についての完全な意見の一致がないということでございますので、不公平税制をどのぐらい是正したかという判断につきましてもこれはまちまちになろうかと思います。しかし、非常に厳密に解釈しました不公平ということの意味を前提にいたしましても、完璧にそれじゃ不公平税制なくなったかとおっしゃれれば、私はなくなったとは思いません。  以上でございます。

北野弘久日本大学教授

○参考人(北野弘久君) 先ほどの竹田委員からの御質問の点にまずお答えします。  有価証券の譲渡所得に課税をした場合に幾らの税収が入るかという御質問でしたが、これは三年前の統計資料によりますと、最低約二千億円でありまして、内訳を申しますと、所得税で千五百億円、それから個人住民税で五百億円の増収になるであろうという試算を持っております。  それから、不公平税制の件でありますが、木下参考人と私は意見が違うのでありまして、やっぱり税法の理論というのは憲法を頂点とした法秩序の一環として考えるべきでありまして、日本は法治国家でありまして、現在の日本の法人税法自体が、法人税法二十二条におきまして、各事業年度の所得に対して課税するという各事業年度の所得が課税物件でありまして、その所得の大きさに応じて税金を負担させるというのは憲法上の要求でありまして、憲法十四条等の要求であります。ですから、それを否定するだけの論拠を示される必要があるわけでありますが、よく二重課税論を経済学者持ち出しますけれども、二重課税論持ち出すんでしたらなぜ配当だけについて二重課税を持ち出すのかと、個人は、庶民は三重、四重、五重の課税を受けておるんであります。自分の給与から住民税も納め、もちろん所得税も納め、たばこの税金も納め、固定資産税も納め、何でもかんでも納めておるんですね。なぜ法人からの配当だけについて二重課税論を論じ出したのか。そんなことを申しますと、企業体だけか申しますと、個人企業も企業体なんですね、株式処理で一人株主もそれと同じでありまして、個人企業の場合においても同じ問題があり得るはずなんですね。なぜたまたま法人になっただけにその瞬間全く違った理論が支配するのか、これは非常に説明できない問題であります。  で、法人税は私は応能負担の考え方をやはり適用されるべきでありまして、ですから……、しかも日本の法人税というのは、通常の法人税につきましては企業は解散合併をしないという前提に立っておるんです、通常の法人税は。企業というのは継続企業であると、ゴーイングコンサーンであると、そういう前提に立ってある一定期間中にインカムに対して課税するという、この点は個人所得税も全く同じなんですね。ですから、そのインカムの大きさに応じて応能負担を求めるべきであると。  ところが退職給与引当金というのはあれはもう考えられないことになっておるんでありまして、新日鉄級の大企業の従業員が、何万人という従業員が、仮に全従業員が退職したと仮定した場合に幾らの退職金を払うべきであるかという、そういうことを前提にしてでき上がっているわけですね。これはあり得ないことであります、法人税のたてまえに反するのでありまして。ですから、会計論理上負債性引当金であるという議論はあるかもしれませんけども、税制上引当金であるか否かということはまた別途考えるべきでありまして、会計理論上の考え方を税制にふさわしい形で、税制の応能負担原則にふさわしい形で引当金制度を論ずべきでありまして、非現実的な新日鉄級の大企業の法人の従業員が全部やめるという仮定についてはまさに新学説でありまして、そういうまやかしの議論は私は学問的な議論ではないということをかねがね主張しておるわけです。ですから、やっぱりきちっと税法学の観点から税制を論ずべきであるということ、それを忘れますととんでもない議論になってしまうということです。  それから貸し倒れ引当金について申しますと、また質問があれば申し上げますけれども、これも全くまやかしの議論でありまして、日本の法人税の実務では、貸し倒れ引当金を論ずる前の段階で、法人税の通達におきまして、法的にもまだ貸し倒れになっていないものにも簡単に貸し倒れにするようになっているわけですね、個別的にあるいは形式的に。その上で貸し倒れ引当金を設定しますから、会計理論でいう評価性引当金というのはほとんどないわけです。ですから、名前は引当金であるから当然その費用性を持つんだという議論はこれまた税制の内部におきましては非合理的なものでありまして、私は学問上根拠はないと考えております。ですから、きちっと憲法上何を期しているかと……、で、木下参考人は、通例の経済学説に従いまして、法人であれば法人の負担というのは結局個人に帰着するんだということ、そういうことは税制の論では余り考える必要はないという私は……ですね。で、それの展開につきましては別途国民的な規模でコントロール法を考えればよろしいのであります。  で、私は、日本の税財政につきましてはタックスペイヤーズ・コントロール・システムは開発されてないという、どういうところから税金を取りそれをどういうふうに使うかについてのタックスペイヤーのコントロールがないということであります、日本のシステムには。個人企業でもさまざまな経営の合理化を図っております。法人企業もそうであります。国の財政とか地方団体という公共企業体の財政につきましてはそういうシステムはほとんど開発されてないんですね。全く非科学的な予算の編成方式、税制の編成方式が行われておる。そういうことをきちっとこの際やらなければ一般消費税の導入を論じてはいけないという、私は抜本的な税財政についての科学的な改善を行わなければ一般消費税を導入すべきではないと、こういうふうに考えております。

武田昌輔成蹊大学教授

○参考人(武田昌輔君) 租税特別措置につきまして、主として法人課税問題ということがいま中心になっております。先ほどもお話ございましたように、法人税は課税標準とそれから税率によって構成されておるわけです。  そこでその課税標準、まあ税率の問題はしばらくおきまして、課税標準というのは各事業年度の所得というもの、企業利益というもの、その企業利益というのは会社が勝手に算定するのではなくて、商法の規定に従いまして、つまりその内容については商法の明確な規定がある、それから証券取引法の明確な規定がございます、しかもそれは、企業会計原則という昭和二十四年から出ましたそれに従って適正に計算をするということがたてまえでございます。したがいまして、現在の企業はそういうようないわゆる会計制度に依存いたしまして、そして企業利益を算定をしておる。これに対しまして、税法は税法の立場からいろいろな規定を設けていると、こういう構造になっているわけでございます。  したがいまして、たとえばいま問題になっております貸し倒れ引当金、退職給与引当金、これは基本的には認めることはこれは当然であります。会計理論として認めると。ただ問題は、多いか少ないかというのはその企業の実態に応じて定めるべきでありますから、これは個別的まあ妥当性といいますか、それを計算をすることが適当であるということになります。たとえば、退職金のない会社では月給をふやしまして——外国企業が多いですけども、その退職金相当分を月給額に含めて給与として出しております。これは当然損金——費用として認めるべきである。それならば、それを後払いとして——必ず退社するわけですから、まあ定年退職とか病気退職とかそういうことで退職するわけですから、その期間の分について引当金を設けるということはこれまた会計理論上当然でありまして、まず疑問の余地がないわけであります。ただ問題は、その額をどう見るかということが問題でありまして、それはいろいろな見方があると思うわけであります。したがいまして、いろいろ先ほども交際費は損金にならないというような意見もありますけれども、これもまた非常に問題でありまして、交際費の中身によりまして費用になるものもあるしならないものもあるという、もう少し分析をして検討されなければならないと思います。  それから配当益金不算入の問題あるいは配当支払損金算入の問題、これらはやはり大変議論のあるところでありまして、一概に、もう何十年となく議論されておる、まだ解決ができないというような性質の問題でありまして、ただ単に結論だけを、感覚的な意味で結論だけを述べるというような性質のものでは私はないというように考えているわけでございます。  不公平税制の問題としては、世間ではやはり医師優遇税制の問題であるとか、あるいは有価証券の譲渡課税の問題、そういった問題が中心でございまして、今回の租税特別措置は私はいままでかってないほどの増収といいますか、措置を講じたという意味においては、緩やかであるという意見もあると思いますけれども、かってこれほどの大なたをふるって増収措置を図ったという、整理をしたということはなかったのではないかと思います。  なお、一般消費税の問題につきましては大変国民に影響を及ぼすところも大きい税金でございますから、コンセンサスを十分に得た上でこれを決定をすべきであるというように私は考えております。

市川深東京経済大学教授

○参考人(市川深君) 一般消費税の問題でありますが、これは不公平税制の最たるものであるし、さらに物価を騰貴せしめるものでありますから、これは導入すべきでないというふうにまず結論として申し上げるわけであります。  不公平税制であるかどうかということについて先ほど来いろんな議論がありますし、この短い時間で十分御納得のいくような意見は申し上げることはできないわけでありますけれども、具体的に考察いたしましたときに、これははっきり言えると思うわけであります。たとえば一般消費税が導入された場合に、私は自動車工業についていろいろの実態分析をしておりますので、自動車のことについて申し上げますと、この一般消費税が導入されまして、何%であるかはまだはっきりしておりませんけれども、たとえば五%消費税が課せられるといたしますと、現在大剛自動車については物品税が二〇%を課せられております。したがいまして最終のシャシーメーカーである、組み立て産業であるトヨタなり日産なりは一五%税金が安くなるわけでございます。それから鉄鋼から始まって、大体自動車には御存じのように五千種類、二万個の部品から成り立っているわけでございますが、その段階ごとに税金が課せられるというのが一般消費税でありますから、その前段階までに課せられた税というものが、たとえばトヨタ自動車が輸出をいたしますときには前段階に課せられた税金が全部戻ってくるわけでございます。戻ってくるのが一々個々の分散する小さな企業にまで還元されないわけでありますから、結局最終段階のところが利益を得ることになりますし、それから二〇%の物品税が、消費税が導入されますと、廃止されますと、これは廃止されることが前提になっているようでありますが、そういたしますと一五%税金が安くなるわけであります。それだけ価格が下がるかといいますと恐らく価格は下げないわけでありますから、結局私が試算するところで、いまデータ持ってまいりませんでしたけれども、最終メーカーとしての自動車産業が輸出した場合には非常に巨額な利益を得るわけであります。  他方、中小零細企業というのは、例をとりますというと、一般消費税というのは売り上げ高税あるいは仕入れ控除、つまり売り上げ高に対して、これは会計学的に言うならば売り上げ高から売り上げ原価を引いて、売り上げ総利益ですが、その売り上げ総利益について課せられるとするならば、そこには販売費用、一般管理費、諸経費が入らないわけであります。したがって、赤字企業であっても税金を負担せざるを得ないというそこに矛盾があるわけであります。小さな企業というのは、つまり多くの企業というのは、日本の企業だけではありませんけれども、二重構造と言われる。つまり大きなシャシーメーカーを中心にしてピラミッドに小さな企業がいっぱいあるわけでありまして、そこでは価格決定というものは一般市場の価格でなしに指し値であります。これこれの値段でこれこれの期日に納めよという形で値段を指定されているわけであります。そういう企業においては課せられた税というものを転嫁することはできないだけでなしに、赤字になった場合、赤字であっても税金を納めざるを得ないということ、これはまさしく不公平税制の最たるものであると思うわけであります。  それから先ほど受取配当金の問題が、いろいろ議論が、木下参考人から述べられたわけでありますが、公平であるかどうかという観点についてちょっと申し上げますと、資本金規模の十億円以上の企業というものは、私が国税庁が法人企業の実態として昭和五十年度に発表したデータによりましていま大ざっぱに計算をいたしますと、およそ千八百七十五社であります。日本の企業が百十万四千三百九十五社でありますから、この占める比重を計算いたしますと〇・〇〇一七であります。受取配当金を十億円以上の企業のトータルで出しますと千四百二十三億九千五百万円であります。小さな十億円の企業、それから百億円の企業もありますが、一社平均七千五百九十四万円の受取配当金というのは、会計学上ではこれは言うまでもなく利益でありますけれども、利益にならない。税金が一銭もかかっていないわけであります。ところで一億円以下の企業というのは百九万一千七百四社でありますから、全企業に占める位置というのは九八・八五%であります。一社当たりの受取配当金は二千円でございます。不公平税制云々というときに、やはり具体的なデータを出してみたときに、特に百億円を超える企業というのは四億三千百八十七万一千円一社当たり受取配当金を・受け取っております。これは先ほど来申し上げておりますように税金は全くかからないわけであります。大企業と中小企業の例を挙げましても、こういう具体的な数字だけを見ただけでも不公平税制というものはどういうものであるかがおわかりいただけるかと思うわけでございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 ありがとうございました。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 委員長、ちょっと補足をさしていただいてよろしゅうございますか。

坂野重信自由民主党・自由国民会議

○委員長(坂野重信君) ちょっと時間が切れましたけれど……。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 恐れ入ります。先ほどちょっと誤解があるといけませんので申し上げますが、一般消費税について何ら申し上げませんでしたので。  従来の物品税と新しい一般消費税との税率の差というもので軽くなるから企業が得をするというのは一般消費税を全く御存じない、あるいは誤解をしておられる結果でございます。一般消費税と申しますのは、消費者がこれを負担するということが趣旨でございまして、その消費者に対する課税を各取引段階の業者に受け持ってもらう。その各取引段階の業者は次の取引段階の業者から払った税は取り戻すという仕組みになっております。したがいまして、従来の物品税よりも税率が低いというようなことで業界、特定の業者がもうけるというような御認識は私は賛成できないわけでございます。  それからもう一つは、赤字企業にもかかるという仰せでございますが、まさに一般消費税と申しますのは消費税でございますから、企業に対する課税ではございません。したがいまして、外形標準課税というのをよく地方税で構想しておりますけれども、外形課税をそもそも考えましたのは、赤字の企業であろうとも政府のいろんな施策から利益を受けておるならば当然払うべきではないかという発想から外形課税の議論が出ておる。それと同じように、この一般消費税の場合はあくまで消費税でございますから、利益があった場合に課税するのはこれは法人税でございますけれども、消費者に転嫁されることを前提にして業者から取るという税でございますので、そのような御理解をしていただくと私ども非常に因るわけでございます。  以上でございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 それはわかっています。うまくいかないんだ、それが。

多田省吾公明党

○多田省吾君 私は、木下参考人にまず一般消費税の問題で二、三お伺いしたいと思います。  先ほどの竹田委員からの御質問で、一般消費税を導入するための解決すべき前提条件として、歳出経費の削減、節減、これは木下参考人はまあ完璧ではないとおっしゃいました。また、不公平税制の是正につきましても一〇〇%よくなっているとは言えないということでございますが、たとえば昭和五十五年度において政府が一般消費税を導入したいと考えているようでございますが、それまでに、また五十五年度において木下参考人のお考えではどういう点を直せば、木下参考人がおっしゃっているように徹底的に行うことがまさに必要であるとおっしゃったものになるのか、それが第一点でございます。  第二点は、一般消費税で五十二年十月の税調中期答申に基本的な考えが述べられておりますけれども、木下参考人もそれを受けられて税調試案はあくまで景気対策とは別次元であり、一般消費税のあるべき仕組みを検討したにすぎないと、このように言われております。ですから個人的御意見でも結構でございますからお伺いしたいのですが、一般消費税の目的は財政再建が目的ということであれば、赤字国債の発行をやめるときに一般消費税は廃止あるいは段階的に削減していくということも考えておられるのか。それから逆進性とか、あるいは物価、景気の問題にも大変影響しますけれども、たとえば景気への影響は中立とされておりますけれども、ことしに入って石油問題が再発しました。日本経済というものは景気においても先行き大きな不安を持っております。ある調査によりますと、昭和五十五年度に一般消費税を導入した場合、実質経済成長率を六%と見込んだ場合でも二%程度成長率を引き下げるという予測もありますが、これは個人消費が落ちて設備投資も鈍化するということは自明のことであると思うのです。景気が落ち込んでは財政再建も不可能と思われますが、どのようにお考えですか。それから最後に物価に対する影響ですね。五%の一般消費税を考えた場合、二・五%消費者物価を引き上げるということは政府でもはっきり答弁しているところでございますが、現在御存じのように、二月におきまして御売物価が〇・九%も前月比で急増しておりますし、最近では円高よりもむしろ円安でございますから、物価に対する影響も大きいと思います。また公共料金の軒並み値上げ、さらには石油の値上げ、あるいは国債の大増発、こういうことによって今年度も物価が急騰するんではないかと見込まれておりますが、こういう状況において、もし物価が五十四年度急騰した場合でも一般消費税を考えなければならないのか。その辺をまずお伺いしたいと思います。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 第一の問題は、恐らく来年度で、私個人の考え方を申し上げますれば、税制調査会は歳出面の議論をいたしませんので、全く個人の考えと見ていただきたいと思いますが、本当は歳出の削減は優先順位を付しまして優先度の劣るものから大幅に削減をしていくという計画を立てるべきだと思います。しかし現実問題といたしましては、優先順位に対する判断がこれは国民の間でもいろいろさまざまでありまして、ある人は非常に低いところの優先順位しか付さないものを、ある人は非常に高い優先順位を与えるというような御議論がございますので、意見の一致を期待するということはきわめて無理かと思います。そうすればやむを得ず一律にあるパーセンテージ、すべての費目について削減をするという方法もとらざるを得ないのではないかというふうに考えております。  先ほど申し上げましたように、五十四年度の予算につきまして相当の節減をやっておりますが、私は前提条件といたしましてはもっと節減をやってほしいというふうに考えております。  第二番目の問題は導入のタイミングとそれから景気の動向ということでございますが、先ほどお挙げになりましたGNPを低下させる率の計算と申しますのは、税の徴収の面の効果だけを議論しておりまして、その税が入ったものが全額歳出となって国民経済の中に放出される面の効果を無視しております。一般には同額の税と歳出というものの経済効果といいますのは、これは乗数効果一というふうにきわめて形式的に議論ができますが、これは決してインフレ的でもない、デフレ的でもない、仰せの中立的ということがいえるかと思います。ただ問題は、現在のわが国の財政運営では増収がそれだけ国債の発行を減らすという形でいきますので、国債の発行を続けていくということに比べれば今後の安定成長というものの政策目標にとっては私は税による増収の方が望ましいという判断をとっております。  それから一般にデフレ効果を非常に強く議論をされておる向きがあろうかと思います。私はデフレ効果がないとは申しません。ある種のデフレ効果があるだろう、それは価格の上昇がどの程度個人の消費支出を抑える効果があるかということにかかっております。どの程度個人が消費を抑えるだろうか。価格が上がるために消費を抑える効果がどの程度か、その消費の減少あるいは増加率が非常に少ないために、したがってまた設備投資がそれほど伸びないという効果もあわせて考えました場合に、これは若干のデフレ効果があるということは私も予想しております。しかしその効果は言われるほど大きくない。それを心配してこの税の導入をためらうほど大きくはないというふうに判断をいたしております。  それから最後のお話は物価の上昇ということ、そしてその導入のタイミングが、いま卸売物価の上昇が続いておるこの時期に果たして導入していいのかどうかという問題でございます。これは先ほどお話ししましたのと全く逆の話でございまして、デフレ効果を心配するというのとインフレ効果を心配するという逆の話でございます。  諸外国の採用の経緯を見てみますと、おおむね非常に大きなインフレーションの場合にはこの導入を避けております。したがいまして、それではこの税は導入すれば直ちにインフレを加速して次々と物価上昇が続くかという話になりますが、私どもはそうは考えておりません。現にある程度物価の上昇が鎮静した場合に導入したときに、従来の物価上昇率あるいは趨勢と申しますか、その趨勢を上回って物価が上昇したというケースはございません。したがいまして、私はどの時点で導入するのが経済政策的に最もいいかの判断は、これから政府当局においてなさるべきことである。ただ、この税の導入によってどういう経済効果があるかということは詳細に検討なさる必要があります。詳細に検討なさる必要がありますが、現在の時点、ただいま私どもがおります時点で導入することに格別の支障があるとは考えておりません。  以上でございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 次に、北野参考人にお願いしたいと思います。  一つは、先ほど資本金十億円以上の大企業に対しまして土地の新税を課すべきである。これは富裕税というようなものを課すよりもきわめてたやすいことであるというお話で、一%課税した場合でも三年前の統計上のデータでは一兆一千七百二十三億円の増税ができる。また有価証券譲渡益課税を徹底的に強化すれば二千億円増税できる。こういうお話がございまして、大変私個人としても共鳴できるのでありますけれども、たとえばこれは一度だけ課税するのか。あるいはどの程度、毎年か、あるいは年を置いて何年置きかに課税するのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。  またさらに土地増価税ですね。土地の価値の増加に対して土地増価税を地方税として課税した方がいいんじゃないかという意見もありますし、また富裕税を新設——再設かもしれませんけれども、すべきだという意見もありますが、それと比べて先生のお考えはどうなのか。富裕税や土地増価税のかわりに新税をつくろうとなさっているのか、あるいは併設してもよろしいのか、この辺を第一点としてお伺いしたいと思います。  それから第二点は法人税の問題でございますが、いま法人税の実効税率は四九・四七%である。欧米水準にほぼ達しているというようなことをおっしゃる方もいるわけでございますけれども、先ほど木下参考人も、欧米と比べても数%は増税できるだろうとおっしゃっております。私たちも、現在の法人税には、法人税法あるいは租税特別措置法の中に準備金、引当金等の不公平税制がたくさんございまして、そのために実質の税率は中小企業と同じように三十数%に、現実にはそれぐらいにすぎないという計算もできているわけでございますから、われわれは当然すぐにでも法人税数%の課税はすべきであると、このように考えるのでございます。さらにいま、法人税に関しまして累進税という考えもあるわけでございますが、この辺をどうお考えなのか、この二点をお伺いしたいと思います。

北野弘久日本大学教授

○参考人(北野弘久君) それではお答えします。  最初の問題ですが、土地増価税でいきますと一回きりになりますので、私は、私の年来の税法理論の観点から法人財産税を考えておりますので、ですからかなり恒久的なものとして考えておりますので、そういう意味で、土地増価税をとる方式はいまのところ考えない。  それから富裕税ですけれども、富裕税とは、大体シャウプのあれを前提にしてこの言葉を使っております関係上、一般に個人の財産税を念頭に置いて使われておりますのですが、私は、将来は別としまして、当面、個人の富裕税は考える必要はない。それよりも固定資産税を合理化していく、そういうことの方に力を入れるべきだというふうに考えております。もちろん、将来個人の富裕税を導入する体制ができればやってもよろしいと思っております。  それから、法人の財産税というのは恒久的なものとして一応考えておるのですが、これはあくまで法人課税の合理化、企業課税の合理化ということの一環として私の税法理論からくる論理必然的な要求でありますので、憲法で予定されております応能負担の原則を企業課税に導入した場合には法人財産課税というのは不可欠でありまして、そういう現代的な担税力を把握するという、そういうことの一環として考えておりますので、私としては恒久的なものと考えております。ただ当面、少なくとも数年間、財政の再建が行われるまでは臨時的な財産税として土地を中心に導入することが必要なのではないか、こういうふうに考えております。  それから二番目の問題ですけれども、法人税の実効税率の問題でありますが、これは、よく政府の発表する統計は非常に困った数字になっておりまして、ピンからキリまでの法人を全部ならして実質税負担率あるいは実効税負担率を出すという傾向がよくあるのですが、これはやっぱり学問的には不正確になるのでありまして、たとえば日本の新日鉄級の法人をアメリカと比較した場合にどうであるかという形で議論をすべきでありまして、ならして議論するのはよくない。恐らく私は、先ほど市川参考人もおっしゃったように、日本は世界一の大企業優遇の措置を導入しておりますので、どういう弁解をされましても、恐らく、新日鉄級の大企業を取り出してアメリカなどと比較した場合に日本の実質税負担率は非常に低いと思います。むしろ中小零細企業の方が実質税負担率は高いのでありまして、逆進的になっているわけですから、これは東京都の調査でも明らかになっておりますけれども、そういうことで、私は、単に法人税一般の増税を論ずる前に、さっき申しました、資本金十億円以上の大法人を中心にその実資税負担率を高めるような方向で税制の改正をまずすべきであろうというふうに考えておりますし、それから、特に大法人というのは株主というものと別個の存在であります。法律的にも別個でありますし、私は恐らく経済的にも別個と考えていいと思います。一つの感覚の問題としても別個であります。ですから、シャウプの考えました法人個人一体であるとか法人擬制説という考え方は、少なくとも法律家の観点からは全く説明できない論理でありまして、私は、シャウプの法人個人一体という考え方は大企業を中心とした法人の税負担を合法的に軽減する論にすぎないというふうに考えておるわけでありまして、法人擬制説論にしては、まさに大企業にとっては政策税制をジャスティファイする一つの論にすぎない、手段にすぎないという、こういつたことを年来分析した結果主張しておるのでありまして、しかも日本の実定法人税法というのは、さっき申しましたように継続企業を前提にしておる、解散合併は通常行われないという前提に立って、ある一定期間中のインカムの大きさに応じて税金を求めるというそういうたてまえになっておりますので、少なくも法的には、一定期間中の法人の所得の大きさに応じまして、個人と全く同じとは言いませんけれども、軽い、軽度の累進税化をしなければ憲法が要求する、憲法が予定しているはずの応能負担の要請に合致しないという、そこまでしなければ私は不公平税制の是正が行われないという、そういうことで、法人の租税負担の経済効果の問題あるいは経済的な問題については別途考えるべきものであるとは思いますけれども、当面私は、法的な観点から、大企業の法人税についての累進税化をある程度導入しなければいけないという、その法人税の累進税化を補完する問題の一環としても法人財産課税というものを提唱しておるわけであります。

多田省吾公明党

○多田省吾君 先生のおっしゃるように、確かに、法人税に対する政府の統計はピンからキリまでならしてというふうにおっしゃっていますが、私たちもそれを強く感じておりまして、東京都の調査が、一億円以上とか十億円以上とか百億円以上とか、大企業だけではどうかというような比較ができるのに、政府のは、たとえば一億円以上全部ひっくるめてやっておりますので、大変肝心なところがわからないという統計が出ておりまして非常に残念だったのでございますが、私は先生のお話に共鳴できるわけでございます。  次に、武田参考人にお伺いしたいのでございますが、時間もございませんので一点だけになりますが、先生は社会保険診療報酬課税の特例是正につきまして、一応評価できると。しかし基本的に全廃すべきだということはおっしゃったわけですが、今回の是正におきましては、時限立法でもございませんで、大蔵大臣の答弁等を聞いておりますと、一年二年はこのまま続行するのだということをはっきり言っておりますし、じゃ三年後はどうかということにつきましても、はっきり見直しとは言っていないわけでございますが、先生は、これも大体具体的にどのようにお考えになっているのか。あるいは、もう一つはやはり診療報酬につきましても、昭和二十九年の特例法ができたことの経緯にかんがみまして考えなければならないと思いますが、その辺の兼ね合いをどう考えておられるのか、それをお尋ねしたいと思います。

武田昌輔成蹊大学教授

○参考人(武田昌輔君) 社会保険診療報酬の特例につきましては、私も、先ほど申し上げましたように、基本的にはこれはやめるべきであるということはもう申し上げたわけでございます。大変この制度は複雑でありまして、ただ単に、不公平税制であるからすぐ全部を撤廃してしまうということは、相当の影響がいろいろの関係からあると考えるものでございますので、いわば漸進的にこれをやめる。やめるということは明確にいたしまして漸進的にやめるという方向が望ましいのではないか。三年後にはこれは全廃をするということが私は必要であるというように考えております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 では最後に、市川参考人にお伺いしたいと思いますが、交際費課税はもう特例は全廃すべきであるということをおっしゃっておりますが、中小企業に対しましては非常に酷な面があると思うのですが、それをやはり法人税の累進税率等で救っていくのかどうか、その辺の兼ね合いをお願いしたいと思います。  中小企業等にとりましては、交際費課税の特例で大分助かっている面もあるわけであります。それを全廃されるということは非常に中小企業にとっては影響が大きいんじゃないか、それを救済する手段は何か考えておられるのか、それが一つと、もう一つは、先生は地方税に関しまして非常に造詣がお深いと聞いておりますけれども、先ほども租税特別措置等の、また大企業や資産家に対する優遇措置がどの程度地方税にはね返るかということでお話を承ったのでございますけれども、そのほかに、地方税に関しまして、やはり法人事  業税の外形標準課税ですか、こういった問題とか、あるいは国と地方に対する税配分を少なくとも五割以上に地方に優遇していかなければ真の地方自治あるいは福祉行政ができないんじゃないかとか、こういう点も考えられますけれども、その辺はどうお考えでございましょうか。

市川深東京経済大学教授

○参考人(市川深君) 多田先生のただいまの交際費課税に関して、中小企業はこの交際費というものが損金に算入されることによって非常に助かっているというが、どうかという御質問でございますが、私は先ほど来、今回のこの租税特別措置法の一部を改正する法律案の最初に、不公平税制の一番最たるものとして社会保険診療報酬の問題を取り上げられておりますし、新聞その他ジャーナリズムでも、諸悪の根源、不公平税制の最たるものはこの社会保険診療であるかのごとく論じられておりますけれども、事の本質は私は違うと思うわけであります。これはまことに微々たるものでありまして、本来の税負担の不公平というものは、この社会制度の仕組みからくるところのやはり大きな企業が利益を得るところにあるわけであります。  したがいまして、この交際費課税につきましても、確かに中小企業その他では、大企業と取引をしていくためにはその社員を接待したりいろいろの諸経費、それが費用に計上せられて税金がそれだけ少なくなるということは確かに中小企業にとっては大きな現実的な効果があろうかと思うわけであります。しかし、この中小企業の占める交際費の額というものは非常に微々たるものでございます。私はやはりいま多田先生がおっしゃったように、本質を正していくということが重要でございます。  そういう観点から、この法人についても、先ほど来武田参考人からも着手の御意見がありましたけれども、非常に大きな問題になっていることでありますけれども、法人擬制説というのが現行の法人税、税法体系の基礎にあるわけですけれども、これは虚構の理論であります。どの企業をとらえても、これはその法人擬制説というのは法人というものは単なるフィクションにすぎないという考え方、これはシャウプでありますけれども、虚構であるどころか、現実に企業を、日本を支配しているのはまさしく大企業でございます。やはり私は法人実在説の立場をとって、法人については、多田先生御指摘のように累進課税を課すべきである。したがって、中小零細企業についてはもっと低い税率で課すべきである。このことが税というものを正していき、問題にされているこの不公平税制をなくしていく基本につながる問題だと考えるわけであります。  それから、地方税に関してでありますけれども、これはやはりいま御指摘のように、法人税に基づいて、法人課税に基づいて、それに準拠して税額を計算するというのが現行のシステムでございます。私はいまの御指摘のように外形課税をまずすべきである、それから第二点としては地方公共団体に対して課税の自主権を与えるべきである、地方自治体が国に依存するのでなしに、国税から離れて、もちろんそれは課税所得の計算に当たって参考にすべきではありますけれども、地方自治体独自に課税をする権限を付与することによって、地方財政というものの現在における危機の解消の一歩解決に向かうんではないかと考えるわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 共産党の佐藤でございますが、私持ち時間余りありませんので、最初に一括質問項目を申し上げることをお許しをいただきたいと思います。  最初に木下参考人にお尋ねをいたしますが、先ほど来、法人税のあり方の問題というか、法人税にメスを入れる問題についていろいろ質疑応答が行われておりますが、木下さんの御答弁でも、その問題についてはいろいろ考えているんだということで、税率引き上げ、課税標準の改革、こういう二つの方向を提示をされながらいままでも検討をしてきたし、これからも鋭意検討していくんだというふうにおっしゃっていますけれども、しかし国民には、税制調査会の作業がいろいろ進んでいる国民に映る姿としてはそういう形で映っていないと思うんですね。きのうも当委員会で私議論をしておったんですが、五十二年十月の例の税制調査会の中期答申、あの答申の中にも、法人税については負担の増加を求める余地があるというふうにはっきり記述をされながら、以降、税調の作業はどういう形で進んでいるかと言えば、表に出ている姿としては、もっぱらと言っていいほど、一般消費税をどういう形で取り上げていくか、この一般消費税の仕組みをどうするかという、ここにもっばらこの税制調査会の諸報告が集中をし、国民にはそういう姿で映っているということで、いや、国民の皆さん方にはわからぬけれども税調の中では法人税問題をいろいろやっているんですよと、税調を信じてくださいというふうにおっしゃっても国民にはそういうふうに映っていないという、ここの疑問がどうしても私としても残るんです。  実は非常に失礼ですけれども、たまたまきのうこういう雑誌をめくっていましたら、月刊「現代」という雑誌の一月号に、保阪正康という評論家が編集責任になっている特集記事ですけれども、「税金の不公平・一般消費税の大ウソを斬る」と、こういう見出しで、この中に、五十三ページから五十四ページにかけての部分ですけれども、この編集者の保阪さんという方が木下さんのところへ訪問をされていろいろインタビューされておるわけですけれども、この中で木下さんが、この雑誌によればこういうふうにおっしゃっている。  この一般消費税について、「こんなの、私にはセカンドベストですよ。本来なら、法人税にメスをいれて税収をはかるべきなんだ。こんな面倒なもの、私だってやりたくないよ。君、法人税、法人税に手をつけるべきなんだよ、日本は」というふうに木下さんがおっしゃったというふうにこれには書いておるんです。それで、いま首を振っていられますのでこれは捏造記事なのかという——一体ここに言われていることなどは木下さんの本当の真意なのかどうかということもお尋ねをいたしたいわけですけれども、先ほど来も議論が出ておりますように、本当に国民の目に映る形で税制調査会としてこの法人税問題をいままでは取り上げられてきたというふうには映っていない、そういう点で、いよいよこれからどういうふうにされるのかですね。  さっきからも議論出ていますけれども、さっきも木下さんみずから言われておりました、先進欧米諸国と比較をしても税率の面について言えば数%税率引き上げの余地はあるというふうにおっしゃっているわけですけれども、そのことを本当に取り上げるという方向に税制調査会としてなっているのかどうかと、その他課税対象の問題の課題もありますけれども、こうした点についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  それから、次は北野先生にお願いをいたしますが、一つは、先ほど来の議論で、不公平税制の是正というのはいわゆる政府などが言ってますような租税特別措置だけではなくて、本来の法人税の仕組みに立ち入ってメスを入れていくべきだということがいろいろ議論をされておりますけれども、その際に、先生もさっきちょっとおっしゃっていましたが、一つには税率の面でも欧米諸国と比較をしてどうなっていくかというここの検討と同時に、今日大企業優遇というのが税の面だけじゃなくて財政の面、この両面で、ですから財政の姿がどうなっているかというこことの関係で税の問題も見ていかないと、税率の単純比較だけでこの全貌を明確にするということにはならぬだろうというふうに先生もおっしゃっておったというふうに思うんですけれども、そこで、先生が学者としていろいろ御研究をなさっているわけですけれども、先ほどのお言葉の中にも、わが国の憲法上の理念に照らしても決して今日の日本の税制というのが正しい税制というふうには考えてないというふうにおっしゃっているわけでありますけれども、そういう大企業優遇税制をどう正すかという問題について、憲法上の理念からいけばこういうふうにあるべきだということについての御研究の何か先生のお説があれば、もう少し具体的にお聞かせをいただきたいというふうに思います。  それから、もう一つは北野先生に一般消費税の問題に関係をして、この一般消費税の導入が国民生活に重大な影響を与えるとともに税体系の逆進性を強める、非常に税の不公平を一層拡大をするもので、断じて軽々に認められる問題ではないというふうにおっしゃっていられる。そのとおりだと思いますけれども、同時にもう一つ、私どもいろいろ検討しておりますのは、財政再建のためにこの税の導入をやるんだというふうに言われておるんですが、当然のこと、一般消費税は勢い物価上昇を招くという、そういう点で国家財政にとっても地方自治体財政にとっても各事業費のコスト上昇を招くと、そういう点で従来のいろいろな建設、教育、社会保障、多々ありますけれども、そういう各従来の事業の歳出効果を維持しようと思えば勢い予算増になるということから、いわゆる一般消費税というのは累積する国債の償還、そしてまた、そのことを通しての財政再建、今日の国家財政にとっても、また大変な赤字に見舞われております地方自治体財政にとってもそういう財政再建の決め手にはならぬと、これは。もっと別途の政策的手段が要るんだと、財政再建のためには、というふうに私ども考えているわけですけれども、こうした点についての御見解があればお聞かせをいただきたいというふうに思います。  それから最後に、市川先生にお尋ねをいたしますが、ちょっと私の聞き取り間違いであったらお許しをいただきたいと思いますが、今回の医師税制にかかわる政府の提案、これが世上言われておるように不公平税制の最たるものだという、こういうキャンペーンというのは間違っているというのは全くそのとおりだと思いますけれども、そういうことを前提にした上で、冒頭の先生の公述をなさいましたお話の中に、今回の政府の五段階の概算経費率が、一般国民の基礎控除と対比をしてみた場合に、五段階それぞれについて概算経費率というのが過大に見積もりがされておるという言い方をされておったんじゃないかというふうに思いますけれども、私そういう単純比較をするということはどうだろうかと。なぜならば、医療の場合には当然その事業の公共性、医療というこの仕事の公共性、また、今日開業医の皆さん方というのは地域医療の中での重要な一翼を担っていると、こういう点で当然一定の控除がされてしかるべきであろうということで、私どもとしても今回の五段階が何らすっきりした合理的なものとはさらさら考えていない。概算控除というこの方式をとる限り、どんな形とったってすっきりしないというので、やはり実際に支出をした経費に基づく控除方式、そういう実額控除方式というのをとる必要があるだろうし、それからお医者さんの所得を個人の所得と医療経営の所得に区分をして、個人所得には言うなら一般勤労国民並みの税制度を適用していく。そして、医療経営の所得に対しては、さっき言いました医療の公共性という見地から一定の特別控除を認めつつ、事業体としての税制を適用していくと、こういうやり方をしないとどうしてもすっきりしないと、お医者さんの中でも不満が起こるし、国民の側からもすっきりしないというふうに思っておるわけですけれども、ちょっと最初先生おっしゃったこととの関係で、もう少し御見解をお伺いしたいと思います。  以上です。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 佐藤先生の御質問にお答えいたします。  法人税に今後負担の増加を求めていこうということは、すでに御指摘のように中期答申において税調の答申が明言しておるところでございますが、新年度の税制改正でそれを積極的に取り上げていないという御批判があるといたしますと、私どもの審議の過程で、皆様のお話にもたくさんございましたように、デフレ効果を持つことを非常に心配しておられる方々が多いわけでございます。そのデフレ効果と抽象的に申しましても、実は現実の経済の動きはゆるやかな回復を続けておると思いますが、一方において産業構造の転換を急ぐ状況にございますことは申すまでもないわけでございます。それに伴いまして、いわゆる構造不況業種という問題を何とかして解決をしていかなければならぬことは当然でございます。その上、雇用面におきましてはなかなか完全失業者の数が減らないという問題を抱えておりますので、少なくとも昭和五十四年度におきましては、法人税負担の一般的引き上げを行う時期ではないというふうな判断に到達いたしました。しかし、今後中期的には経済動向を慎重に配慮しつつ、法人課税の負担の増加の方向へ積極的に検討を進めていくつもりでございます。  それから、たまたまお目にとまりました月刊「現代」一月号と申しますのは、実は私も、まるで国民の敵であるかのように、一人で貧乏くじを引いておりますが、不本意な個所がたくさんございまして、そして、抗議をしようと思いまして詳細に読みましたところ、これは自分が頭の中で考えた一つの劇的な構図に基づいて書いたんだとちゃんと逃げ道がつくってございますので、事実を押さえてどうこうということをやりましてもこれはしょせんはむだでございますので、私はいんぎん丁重に無視をすることにいたしておりますが、ただ、御指摘の個所は明らかに間違いでございまして、これは筆者でない人、筆者と言われている人が、これはペンネームであるのか実名であるのか存じませんが、少なくとも私のところへ取材に参りました人は筆者ではないと思います。  それから、私がインタビューに応じましたときに申しましたのは、実は法人税ではなくて所得税——私は日本の所得税というのは形式的には非常にりっぱな税で、私の友人の外国の学者も、日本の所得税というのはわれわれの国に比べてりっぱだと申しておりますので、私は所得税りっぱだと思いますが、しかしその実態というものは、せっかくの所得税の外形的な見せかけにもかかわらず、なかなかうまくいってないと思います。これを何とかしてうまくいかせてみたいというのは私の一種の悲願でございまして、理論的にも所得税が負担能力に即応する最もいい税であることは皆さんも御異存ないと思います。できれば財源の不足は所得税の増徴において行うというのが筋であろうと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、現在のわが国においてこのままの状況で所得税の増収を図るということにはいろんな隘路があるということでございます。年々減税の要求も強いし、国会でも減税をお決めになっております。やむを得ず次の税を考えるとすれば、ヨーロッパで多くの国々において定着しておる税を一遍考えたらどうかということになった経緯がございますので、私はあのときのインタビューでは、本来は所得税でやるべきだということを申しました。それがどういうわけか、故意かあるいはミスか存じませんけれども、法人税だよという言葉になっております。これは訂正をさしていただきたい。私はそういうことを申しておりません。  以上でございます。

北野弘久日本大学教授

○参考人(北野弘久君) それじゃ、佐藤先生の二点についてお答えします。  第一点は、租税の収入面だけではなくて歳出面の問題も考慮して大企業優遇措置を論ずべきであるということでありまして、私もそういうこと年来主張しておりまして、私は幾つかのつまらない書物を出しておりますんですが、一貫してそういうことを強調しておるのでありまして、単に従来税法学者が言ってきましたような税金の徴収面だけの税法分析では、現代資本主義下における法理論の構築では不完全になると、こういうことを言っておるわけです。  そこで、最近では新しい財政法学、租税概念というものを歳入歳出を統合しまして、新しい租税概念のもとにタックスペイヤーの権利をいかにして擁護すべきであるかという、そういう観点から、国と地方を通ずる税財政全体についての法的研究を行うべき学問として新財政法学——従来の財政法の研究だけでは不十分であるということで、新しい財政法学ということを提唱しておるのでありますけれども、そのことの一環として財政基本法の制定ということも提唱しております。これは租税の徴収面と使い道の両方の面でのタックスペイヤーのコントロールを保障する基本法をつくるという、まあそういうことまで考えておるわけです。ですから、不公平税制の問題もそういう現代的な歳出面での不公正との連関で考えなければ、きわめて片面的な、部分的な観察になる危険性があるということでありまして、その点はおっしゃるとおりでありまして、私もそういう意見をかねてから述べております。  これは非常にむつかしい問題がありまして、税金の使い道の問題では補助金の問題、あるいは利子補給の問題、財政投融資の問題、その他さまざまの有形無形の国または自治体の政策によって大企業が優遇を受けておるということは事実でありまして、そういったものをいかにして客観的に評価するかということが非常にむつかしい問題になってくるのでありまして、従来の所得課税を中心とした企業課税の理論ではそういったものを十分にキャッチできない。せめて財産課税を行うことによってその不完全性を少しでもカバーしようじゃないかというのが私の企業課税理論であります。  こういった大企業の税金問題というものが憲法にどういう関係になるかという、これは税制というのはやっぱり憲法を頂点とした法秩序の一部として本来論ずべき問題でありまして、その範囲内で経済理論が導入されるというのが私の主張であります。憲法を頂点とした国家の基本法が何を税制に要求しているかと、あるいは財政に要求しているかということを考えるべき問題があるわけでありまして、そういう観点から申しますと、さまざまな憲法上の問題が考えられます。  たとえば不合理な租税優遇措置というのは憲法十四条の問題につながります。それから国の法律で、法人税法であろうと措置法であろうとあるいは地方税法という形であろうと、国の法律が不合理な租税優遇措置というものを規定しましてそれを自治体に押しつけるという、そのことは場合によっては憲法九十二条の問題、自治体に保障された憲法上の課税権を侵害するという、そういう問題にもなってきますし、それからこれはアメリカでも最近話題になっております問題でありますけれども、租税優遇措置の問題を大蔵委員会だけで論ずるのは本当はおかしいのでありまして、租税優遇措置の問題はまさに隠れた補助金、隠れた歳出でありまして、予算委員会で真正面から取り上げるべき問題でありまして、たとえばある大企業に対して幾らの隠れた補助金を出したかということは、国会及び国民はそれを知らないのであります。なぜかと申しますと、そういう問題は税法案の審議という形で行っておりますので、抽象的にですね。本来これは予算に計上すべきでありまして、歳出と歳入、アメリカでもそれじゃいけないというので、租税歳出概念という、タックスエクスペンディチャーという法概念を最近ではつくっておるのでありまして、まさに現代的な問題として本来大蔵委員会で論ずべき性質の問題ではないんです、租税優遇措置という問題は。大蔵省で申しますと大蔵省主計局の問題であるべきはずの問題が主税局の問題として出てきておるという面がある。ですから大蔵委員会でも——もっとも大蔵委員会でも予算を審議いたしますけれども、予算とか歳出の問題も大蔵省全体の問題として論じますが、本来としましてはこれは税法案の審議という形での大蔵委員会の機能の問題ではなくて、まさに歳出の問題、その意味で予算の問題として本来租税優遇措置の問題は論ずべきなんですね。  憲法は財政民主主義を非常に強調しております。納税者が自分の税金の徴収と使い道の問題についてコントロールを加えるべきことを憲法は要求しておるのでありまして、それを財政民主主義と申します。財政民主主義というのは納税者が議会の場を通じて自分の権利を擁護するための手続上の手段でありまして、憲法上のときにはですね、それを規定したのが憲法八十三条でありますけれども、そして八十四条はそれを収入面で具体化する、八十五条はそれを歳出面で具体化しているにすぎないわけでありまするけれども、租税優遇措置の問題はまさに憲法八十三条、八十五条の問題であるべきなんです。ところが、日本の税法学者は、国会でもそうですが、八十四条の問題として論じております。狭義の税法の問題として論じておるという、ここに問題の間違いの原因があるのでありまして、法的に、まさに租税優遇措置の問題は八十三条、八十五条の問題として論ずべきである。そういうことで——私の話はもう簡単に終わりますが、そういうことで実は国会に隠れた補助金を提示をしまして国民のコントロールを受けていないということが、憲法で最も重要な財政民主主義の空洞化をもたらしておる。ですから、そういう意味でこの問題は憲法八十三条、八十五条の問題でもある。  それから古典的な営業の自由、憲法二十二条の問題にもつながってきまして、営業の自由の問題というのは権力からの自由という意味でありまして、古典的には、ところが租税優遇措置というのは国家権力が積極的に租税優遇措置を規定する税法をつくるという形で、特定の企業の資本市場あるいは経済市場における地位を権力が作為的に優遇するといいますか、そういう形で営業の自由に介入しておるのでありまして、そういう意味ではまさに形を変えた企業の寡占化、独占化というものを税法が行っておるという、まさにそういう意味でこれは古興的な意味での営業の自由、憲法二十二条の問題でもある。こういうことでありまして、私のこの税法理論というのは、ただ単に部分的な形で出てくるんじゃなくて、国家の基本法である憲法理論がどういうことを要求しているかというので構造的な形で出てきているのでありまして、詳しくは私のつまらない書物を御検討いただければありがたいと思っております。  で、一般消費税の問題に移りますが、私は一般消費税問題は単に赤字財政の問題だと思っておりません。単に財政の問題、税金の問題だと思っておりません。その証拠に、一般消費税問題は、一般的には昭和三十一年ごろから政府の税調筋で論議されてきた問題でありますし、具体的にも昭和四十三年からの税調で論議されてきたのでありまして、いまから十年以上前——もう十一年になりますね。答申が出たのは四十六年ですから、いまからもう八年になるわけですけれども、その時点はまだ赤字財政の問題が表面化してなかったのでありますけれども、政府の税調におきましては、当時付加価値税という形で具体的な示唆を行っております。当時私はある専門誌に、一体あの当時の予算規模で四、五兆円の税収がなぜ必要なのか、こういったことを論文に書いた記憶がありますんですけれども、ですから、一般消費税問題というのは赤字財政問題ではない。赤字財政の問題はある意味では一つの理由づけに過ぎないという側面があるということ、この点に御注意願いたいと思います。  フランスは一般消費税の王国と言われておりますのですけれども、最近入手しました情報によりますと、日商岩井の島田常務は「会社の皆様へ」という遺書を書きましたが、フランスの青年実業家たちは「税務署へ」という遺書を書いて自殺をする人が絶えないのでありまして、そのニュースによりますと、日本の昭和二十三年ないし二十四年のあの状態に非常によく似た状態があるというふうに聞いておりますんですが、それほどフランスにおきましても一般消費税の徴税拘束が非常に厳しくなりまして、中小企業は続々倒産する、あるいは自殺を行うというニュースが報道されておるのでありまして、これはよほどわれわれ慎重にやらなきゃいけない。ですから一般消費税という形ではなくて、国民に増税を求めるとするならば、少なくとも私は所得税、法人税の増税の方がはるかによろしい。どうせ国民が納めるのでしたら、物価高によって納めるより、きちっと自分の税金を意識した上で所得税、法人税として納めた方がはるかに弊害が少ないんでありまして、いずれにしましても、よほどわれわれは一般消費税導入については慎重でなくてはいけない。これは非常に恐ろしい問題でありまして、私はちょっと言葉を強く申しますと、一般消費税問題は形を変えた大東亜戦争突入に匹敵する問題であると考えております。決して思いつきの議論じゃありません。私の二十数年間の税法学研究の研究成果としてそのことを皆様に申し上げたいと思っております。  以上です。

市川深東京経済大学教授

○参考人(市川深君) 要点を簡単に申し上げさしていただきます。  東京都の調査によりまして、都内の高額所得者を四つのパターンに分けております。これは五十一年度ではございますが、パターンの第一は医者、弁護士などの自由業型で、申告所得四千万円。所得の内容としては、事業所得が中心であるが、勤務先があって給与所得もある場合もあり、事業、給与所得で三千九百万円、配当所得百万円がある、こういうふうに述べて、この医者というものが——弁護士あるいは小説家その他、こういう自由業の中で特に医者は高額所得者であるということを例を挙げているわけでございますが、私はこの自由業の中で医者だけを特権化するということは、先ほど北野参考人も述べておりますように、法のもとにおける平等という観点からも矛盾するものである。  と申しますのは、まず、社会保険診療に関して、収入金額に対して一括して必要経費を認めるわけでございますが、その方式の誤り。それから、先ほど申し上げてまいりましたように、金額も妥当でない。費用というものは、本来実際に要したもののみを費用に計上すべきであって、一括計上するということは、これは妥当でないわけでございます。この点で、佐藤先生がおっしゃいましたように、実額控除という方式が方式としては本来とられるべきであるというふうに考えるわけでございます。

北野弘久日本大学教授

○参考人(北野弘久君) ちょっと一言だけ。  大事なことを申し忘れましたので一言だけ申し上げますと、実は私も現代資本主義下の税法現象を分析しておりますので、現代法、つまり資本主義法を前提にして議論をしております。ですから、日本の国民が、つまり国会なり地方議会なりが特定の産業あるいは企業を保護すべきであるという合意がある場合は、それは保護していいと思います。ただし、その場合は憲法上のルールに従ってやってほしいというのが私の主張でありまして、それは憲法八十三条、八十五条のルールに従ってやってほしい。堂々とその特定の企業なり産業を保護するために必要であれば、予算に計上しまして、租税優遇措置というような隠れた補助金でこそこそやるのではなくて、堂々と予算の上に計上しまして、補助金なり利子補給を行うとかという形でやるべきでありまして、私は決して特定の産業、重要産業を保護しちゃいけないということを言っているのじゃなくて、国民的な合意のもとにやりなさい、国会の知らないうちに、国民の知らないうちにやることは憲法の理論に反するという、こういうことを申し上げておりますので、その点御注意願いたいと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 どうもありがとうございました。

中村利次民社党

○中村利次君 昭和五十四年度の予算案で三九・六%が公債であり、そのうちで八兆を超える特例公債を発行しようという予算が組まれておるわけであります。これが異常な状態であるということは、この予算案に対する賛否の立場は違っても、全員がこれは異常であるという点については合意できることだと思うのです。またその中で、五十四年度予算案の三分の一強が補助金である。ですから、これはやっぱりみんなが一致して言うのは、歳出をどう抑え、歳入をどうはかって収支のバランスをどうして図っていくかということが、ここまでは一致するのだけれども、方法論になりますとまるでこれは違ってくるわけでありますから、したがって、この収支バランスをとるという意味からすれば、思い切った歳出のカットか歳入増——歳入増と言ったらいろいろあるでしょうが、増税が考えられる。その方法についていろいろ議論があると思うのですね。  一般消費税の問題、大いに私も議論がありますが、ここでこの問題を取り上げたのでは、とても私の持ち時間の何倍を使ってもだめでありますから、これはもうあきらめます。  そこで、この収支バランスというものは、そういう意味で私はあきらめまして、租税特別措置法の中で、財源としては多くても少なくても、政策的にどうあろうという点について参考人の方々にお尋ねをしたいと思いますが、まず木下参考人にお尋ねいたしますけれども、土地税制につきまして、まあ供給をふやすために、何というのでしょうか、幾らか緩めようと、こういうことでありますけれども、私の感ずるところでは、戦後土地に対して税制の優遇措置によって供給をふやしたというのは余りどうも見かけないのじゃないかと思うのです。  それで、非常に心配なのは、確かに土地の需給はこれはバランスされていないわけでありますから、国土が狭くて人口が非常に多い日本では、確かに需要の方が上回っておる。個人住宅にしても、公的な土地利用だけではなくて、個人住宅にしてもうんと足りない。そこへつけ込んでつけ込んでという表現は非常によくないんだけれども、例の買い占め等で土地はまさに庶民の手の届かないようなところへもうすでにいっちゃっておる。そして、土地税制が緩められそうになれば、そのにおいだけですでにもう土地は値上がり傾向にあると、こういうことに対して私は大変な危惧を持つんです。ですから、あの租税特別措置法の改善によって土地の供給を何とかふやしていこうと、こういう意図が全く意図どおりにならないで、国民的に批判をされるような結果になるおそれが多分にあると思うんですけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 御承知のように、昨年の夏ごろからでございましたか、宅地供給を促進するためということで個人の土地譲渡所得課税を緩和すべきであるという御議論がございました。この御議論はかなり各方面から上がっておりますし、役所の一部も、建設省その他から御議論が出ておりましたので、私どもの税制調査会におきましては、この問題についても十分審議を重ねまして、昨年十二月の答申ではいろいろな御意見を集約して載せております。  で、その御意見と申しますのは、土地税制の一般的緩和についてはほとんど多くの方が反対、現行制度が宅地供給の障害になっているとは考えられない、あるいは最近強含みになっておる地価に対して悪い影響を与えるという御心配、あるいは土地税制を緩和すると土地の資産価値が高まるわけでございますから、むしろ保有を続けて供給の増にならないという御意見、それから御指摘のように、土地問題については非常に特殊の、強い国民感情がございますので、十分な、慎重な配慮をしなければならぬというような御意見等々、資産課税の強化の方向で私どもが考えておりますのに逆行するという御意見さえあったわけでございます。したがいまして、現在の土地税制の基本的枠組みはこれ堅持されていくべきであるということには皆さんの御意見は一致いたしました。ただ、非常な条件をつけまして、たとえば先ほども冒頭に申し上げましたように、公的な土地の取得の促進、それから優良な住宅地の供給というようなものに限りまして一般的軽減ではなくて、限定的に、非常に厳重な基準を設けて部分的なものにとどめるのはやむを得ないだろうというふうに結論を持っていったわけでございます。  で、先ほども、これ繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたように、土地政策一般というものを考えますと、税制に余り過大な期待を寄せるということは、これは間違っておると思います。むしろ、土地政策としては土地の利用についての計画を策定する、あるいは用途規制を行うと、あるいは地価公示制等々を含めましてさまざまなきめの細かい政策が必要であり、非常に極端になりますれば、特に大都市の住宅などにつきましては、これは公共的な性格を持っておって私権の問題にも関係いたしますけれども、この問題の根本的な検討をする必要があるという御意見も実は新聞や雑誌などでは承っておるわけでございます。そのほかに、財政金融政策と、特に過剰流動性が高まったときにはどうしても土地投機が起こるというような問題も慎重に検討しなければならないと思います。  ただ今回の措置と申しますのは、先ほど申し上げましたように、非常に限定的であって、一般的な土地税制の緩和ではございませんので、よく言われますように、これは逆行すると、いまの税制改正の方向とは逆行するという御意見はございますけれども、私自身は長期の譲渡所得課税をこの程度例外的に軽減するということは土地を手放す意欲を刺激するという判断のもとにこういう答申をまとめたわけでございます。  以上でございます。

中村利次民社党

○中村利次君 どうも困っちゃいましたね、これ、私の持ち時間はもう終わっておりますから、後これでおしまいにしなければいけないのですけれども、まことにむなしい話でございまして、これはもう御意見伺っても私は確かにおっしゃるとおり、土地の供給を税制面でカバーできるか、これはできないと思いますよ。それはもう歴史が証明しておりますね。そういう意味ではこれは政策的にどうすべきか。四十七、八年ごろの土地狂乱時代、暴騰時代に、土地は国の物であって、国の物ということは国民の物ですからね。むしろ財産権の一部制限まで議論をされたことがあるわけでありますから、そういう点の配慮が、税制上の配慮をされるについてそういうものはあったと思いますけれども、本当はそういうものを伺いたいのですが、とにかく時間が終わっちゃったわけでありますから、やめます。  しかし、何といっても収支バランスをとるためにはどういう財源が必要かとか、あるいは不公正を是正するためにはこれは銭金の問題じゃなくてどういう制度が必要かとか、いろんなことになると思いますがね。  そこで申しわけありませんが、これは時間外になっちゃってひとつ北野参考人にお尋ねをしたいと思いますが、先ほど有価証券譲渡益もあるいは利子・配当所得の問題にしても、本委員会でもいろんな議論をやってそいつを総合課税にすべきであるという点についての異論はないんですね。ただ捕捉できるかどうか。いわゆる、むしろ逆に税制をおかしくするおそれはないのか、あるいは不公正をひょっとして間違っちまったら是正ではなくて助長しはしないかというのが、これは政府の言い分というか答弁でありまして、それをそうじゃないんだという決め手がなかなかないわけでありますけれども、先ほどのお話では、低率の源泉課税をして、それから確定申告でカバーすれば非常に簡単だというお話でしたが、非常に興味はありますがね、カバーできるかどうか。  あるいは木下参考人からは背番号制を含めて具体策について検討をしておるということでありまして、これも賛否は別にして私どもは非常に関心を持っておるのです。何か本当に裏づけのある方法というものをお持ちでございましたら、これは本当は四参考人の方々に私はお答えを、お考えをお願いしたいところですが、もう時間が過ぎておりますから、北野参考人にだけ恐縮ですけれども、お答えいただいて終わります。

北野弘久日本大学教授

○参考人(北野弘久君) それじゃ二点ございましたが、一つまず申し上げますと全然これはむずかしいと思っていないんです、私は。全然むずかしくありません。やる意欲があるかどうかという問題にすぎないのでありまして、たとえば、有価証券の譲渡所得につきましてはいま言った方法で相当カバーできますし、それから税務官庁の方では個別に税務調査普通は行いますから、その納税者の収支の状況をある程度意識的に追及していきますと、おのずとこの人は株を売ったかどうかがわかってきますし、あるいは他の反面調査などを通じて入手されるさまざまなデータがありますでしょう。そういったものを総合的に勘案しますと、おのずとわかってくるわけです。ですから、そういうことでずっと日本の税務行政というものが行われてきているわけですから、やる意欲があるかどうかということが一つです。  それから利子の問題につきましても、何も背番号制を導入しなくても、その気で本当に不公平税制の是正ということをやる意欲があるかどうかという問題に尽きるのでありまして、たとえばすべての金融機関ですね、協同組合も含めまして、あるいは郵便貯金も含めまして、それから銀行ももちろんですが、金融機関同士話し合いで一定の金融機関同士で自発的につくった番号制ですね、それを国税庁が指導するんじゃなくて金融機関で申し合わせをするんです。およそ金を出し入れする場合、共通のその人の固有名詞みたいな形でEの何番というふうな番号をつけなければおよそ金の出し入れができないような体制にすれば、これは完全につかまりますし、分離課税をやめた場合の総合課税ですね、何も国税庁が指導的に背番号制を導入しなくたって、金融機関が自発的に申し合わせをしまして、三菱銀行へ行こうと三井銀行へ行こうと、あるいは郵便局へ行こうと、同一人が貯金をしたり、引き出しをする場合みんな同じ番号でやるという申し合わせをすればよろしいんですよ。若干政府がそれを指導すればいいと思いますけれどもね。要するに、業界なり人々がやる意欲があるかどうかということです。その番号をつけて申し入れをし、引き出しをしなければ一切金の出し入れをしない、そういうことをちょっとやればいいんであって、話し合いでよろしいんですね。銀行協会なりあるいは農協の組織なり、話し合いをしてやればいいんですよ。赤ん坊から大人に至るまでその人の記号としてですね。政府がやるんじゃなくて、民間で自力でそれをやるような体制をとれば何でもないことなんですよ。それで国税庁としましては、その辺の情報を集めればよろしいわけでございまして、必要に応じて。ですから、何でもないことでありましてね、私は全然むずかしい問題一つもないと思っております。昔は、戦前自白をしなければ有罪にならなかったという、みんな拷問をかけましてね、憲法は拷問を禁止しました。新しい刑事訴訟法は禁止しました。それでも戦後二、三十年間の努力によって司法関係は鋭意犯罪の摘発をやっております。それと同じでありましてね、私は不正なものはどんどん摘発すべきでありまして、それこそ国税庁の総力を結集してやられれば何でもないことであると思います。

中村利次民社党

○中村利次君 ありがとうございました。

野末陳平新自由クラブ

○野末陳平君 参考人の四人の先生に一問ずつお聞きしますけれども、最初に木下先生には例の開業医の優遇税制のことですが、大体税調の答申と今度の政府案はほぼいいと、手直しも妥当であるということでした。とすれば、現状においてはもう開業医の優遇税制というのは是正の余地はないということに通じるのかどうか、その辺のことをお答えをいただきたいと思います。  同じ問題に関しまして、武田先生には、三年後に全廃ということをおっしゃいましたけれども、とすれば、今度の改正案にそれが盛り込まれているべきが一番いいことで、それがないということは結局評価しにくいというふうに考えるんですが、その点についてはどんなふうにお考えでしょうか。  それから同じテーマに関しまして市川先生には、先ほど最初のお話では経費率をもっと切り下げろというような御意見でしたけれども、後のお答えで、それは結局一括計上がだめで実額でいくんだというお答えでして、結局それが先生の真意なのかどうかと、今度の改正案に物足りない、あるいは開業医の優遇税制に対する批判の最終結論は先生は、実額経費と、北野先生と同じようなお考えなのか、それをお聞きしたいと思います。  それから北野先生には、国税として財産税というものを法人課税でもって新たに考えるということをるるお話がありましたけれども、今度は個人のいわゆる富裕税と言っているものがありますが、もちろんこれは富裕という中身が現代において何を意味するか非常に問題ですけれども、いわゆる個人の資産税といいますか、先生が企業課税に考えられたその資産、いわば表現資産だと思いますけれども、個人の場合はそれをどういうふうに考えたらいいのか、先生の御意見を伺いたい。  その点だけです。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 社会保険診療報酬課税の特例につきましては、税制調査会がまた新年度この問題を再び検討するというスケジュールにはなっていないと思います。したがいまして、当分の間新しい税制でやってみてその動向を見るというのが現在の時点で私が予測しておる成り行きだと思います。  ただ、私個人の意見をつけ加えさしていただければ、私は実額控除制度に将来持っていくべきではないかと思いますけれども、これは全くの私の個人の意見でございまして、税制調査会の意見ではございません。

北野弘久日本大学教授

○参考人(北野弘久君) それじゃ簡単に申します。  私が考えております個人の場合の問題ですが、シャウプが考えましたような総合財産税としての富裕税ではなくて、もし導入するとするならば一定の階層以上の者が所有する土地を中心とした財産権、それと株式と有価証券だけに限定して、全部いずれも表現財産でありまして、土地は台帳によってきちっとつかまりますし、株式の方も株式名簿等によってきちっとつかまりますので、そういったものに限定して、しかも高額の所得層に限定して将来導入するとすれば導入すべきである。その場合、固定資産税との調整を考える必要があると思いますが、固定資産税はむしろ、私はそういう場合は原則として固定資産税なんて廃止した方がいいと思っております、個人につきましては。で、一つずついま言った限定した形で富裕税を導入していくべきではないかと思っております。

武田昌輔成蹊大学教授

○参考人(武田昌輔君) ただいまの御質問は、いまの社会保険診療報酬の特例の是正、これは三年後に私はやめるべきではないか。今回の私の評価と申しますのは、この統計によりますと、二千五百億のうち一千億増収を図っております。つまり約四割減収、いわば切っておるということでございまして、相当の評価が行われてもよろしいのではないか、こういう趣旨でございます。法案自体は三年後にはやめるとは書いでございませんけれども、これはぜひとも全廃をしてほしいというのが私の願いでございます。

市川深東京経済大学教授

○参考人(市川深君) 社会保険診療報酬の課税の特例の是正でありますが、最初に申し上げた点の金額を切り下げよということは現在の提案されているものでは是正にならない。したがって、まず金額は切り下げるべきである、それから将来の根本的な措置としては実額控除方式によるべきだということでございます。

野末陳平新自由クラブ

○野末陳平君 ありがとうございました。

坂野重信自由民主党・自由国民会議

○委員長(坂野重信君) 参考人の方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。重ねて厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。  次回は三月二十九日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会

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