商工委員会 第6号
- 発言数
- 210 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1979/04/24
会議録
○委員長(福岡日出麿君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、参考人として日本衣料縫製品協会会長近藤駒太郎君、日本繊維産業労働組合連合会委員長池田友次君、日本絹人繊織物工業組合連合会理事長浅井長一郎君、日本綿スフ織物工業組合連合会会長藤原一郎君、ゼンセン同盟会長宇佐美忠信君及び日本ニット工業組合連合会理事長伊藤忠夫君、以上六名の方々の御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、皆様には御多忙中のところ、本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。 本案につきまして、皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本委員会における審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 なお、議事の進行上、参考人の方々には、それぞれ十分程度御意見を順次お述べ願い、陳述が全部終わりました後に各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。 また、発言の際は、その都度、委員長の許可を受けることになっておりますので、あらかじめ御承知おきください。 それでは、まず近藤参考人にお願いいたします。
○参考人(近藤駒太郎君) 近藤でございます。 本日、大変お忙しい中、私ども衣料業界のために構造改善の法案延長のために、わざわざお聞き取りを願える機会を与えられましたことを謹んで御礼申し上げます。 私は、現在日本衣料縫製品協会の会長でございまして、なお国際アパレル連盟の会長並びに日本繊維産業連盟の副会長であり、また中小企業対策委員長、輸入対策委員長等を仰せつかっておる一人でございます。 本案に関しまして、大変日ごろ先生方にはいろいろ御指導いただきまして、この席上をかりまして謹んで御礼を申し上げる次第でございます。 簡単にわれわれの業界の現状を申し上げたいと思います。 私どものアパレル業界は、すでにもう御高承のとおりに、オイルショック以来大変な不況に見舞われまして、今日まで立ち至っておるんでございますが、昨年の後半からやや薄日が差したというように心ひそかに喜んでおった次第でございますけれども、いずれにいたしましても、円高の問題あるいはまた輸入の増大等でやはり非常な不安が残っておるということで、業界挙げて心痛いたしておる次第でございます。 先般のこの法案改正に当たりまして、アパレルの人材育成等に関しまして大変御配慮いただきまして、国費をもって一億五千万の御出資をいただきましたことも、私ども業界といたしましては、アパレル業界挙げて今後の行政施策に対しまして重点的にお取り扱い願ったということに対しまして、深甚なる感謝と、そして敬意を表しておる次第でございます。 いずれにいたしましても、私が先ほど申し上げましたとおりに、いろいろな、好むと好まざるにかかわらず、国際問題は約二十年近く、対米問題に取り組んでおりますし、また国内問題には過去十年近く、本問題に取り組んでおる一人でございますが、いずれにいたしましても、アパレル業界に対しましては非常に立ちおくれておる次第でございます。繊維業界挙げて不況の中で、特にアパレルがおくれておるということでございますが、これは必ずしも私は、個人といたしまして、政府並びに役所が悪いというようなことではございません。私どもの受け入れ体制が整っておらなかったということも大きな原因ではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。したがいまして、ここ数年来、近隣諸国の輸入の増大、また国内の不況等のはさみ打ち、また川上、川中におきましても極度の操短あるいはまた共同廃棄等によりまして、そのしわが相当川下のアパレル段階に来ておるということも事実でございます。 私は連盟を通じまして各業界の内部でお話し申し上げておりますことは、アパレルの振興なくして全繊維産業の発展につながらない、かように申し上げてきたわけでございますが、ここ二、三年来、各業界とも、そのことにお気づきになっていただきまして、何としましても消費者に直結するアパレルの振興が一等大事であるという御認識のもとに、現在まで立ち至っておる次第でございますが、輸入問題一つとりましても業界挙げて輸入規制を申し合わせておりますけれども、私といたしましてはアメリカのような、過去にわれわれが受けた厳しい輸入規制をするというようなことは毛頭考えておりません。そのゆえに、私どもがなすべきことは、やはり対話と協調、やはり理解と協力を求めるために、各国を回りまして、そしてわが国の実情、消費、生産等もお話しを申し上げて、ようやくにいたしまして三年前に国際アパレル連盟というものができまして、初代会長がドイツのホーマン博士でございまして、昨年六月に私、二代目の会長を仰せつかっておる次第でございまするが、いずれにいたしましても、可能な限り対話と協調である、そして理解と協力を求めるということが業界の務めであろうかと、かように感じておる次第でございますが、しかし、われわれの努力もやはり限界にございます。と申し上げますのは、日本には独禁法もございますし、また各国におきましてもそれぞれの法律がございまして、具体的な話し合いということは非常にむずかしゅうございます。しかしながら、わが国の各国から見られておる状況というものは、必ずしもそのいい面ではございません。誤解もあります。いろいろなまた問題もありまするけれども、幸いにいたしまして、先ほども申し上げましたとおりに、アパレル連盟を通じて現状を十二分に御認識賜りますよう、また情報の交換等も現在やっておる次第でございます。 そこで、本案につきましても、私どもといたしましては、ぜひともこの構造改善の延長を図っていただきまして、現在進めております各業界、川上、川中に至る自主共同廃棄の完了の暁におきましては、われわれアパレル業界といたしましても前向きに、しかも真剣に業界みずからの力において構造改善に取り組んでいきたい、かように考えておる次第でございます。 一言大変申しにくいことを申し上げて恐縮でございますけれども、先ほども申し上げました近隣諸国からの輸入の増大、国内の不況あるいは円高等で大変な苦況に立っておる業界でございますが、わけて最近私は非常に懸念いたしておりますことは、日中友好条約が結ばれましたことは、日中両国民にとって永年の願望であり、まことに喜ばしい現象でございますけれども、最近草木もなびくように中国中国と言って、なかんずく繊維におきましては、中国に非常に力も入れて中国からの輸入が増大いたしております。私は、先ほど申し上げましたとおりに、全面的に厳しい輸入規制をするというようなことじゃなく、一億一千万の国民の消費者のためにおいてでも、やはり秩序ある輸出をし、国内においては安定した生産で、安定した価格で供給するということを願望いたしておる次第でございますけれども、現状を見ると、非常な安い価格で、そして国内に中国繊維が売り出されているというような状況を見ると、これから三年先、五年先においては、かえって両国ともにまずくなるんではなかろうかということを危惧いたしておる次第でございますので、相なるべくは早急的に訪問いたしまして、日本のアパレル業界の実情をお話し申し上げて、理解と協力を求めていきたい、かように考えておる次第でございますが、どうか先生方におかれましても格段の御配慮をいただきまして、秩序ある貿易——景気かよければざっと入ってくる、景気が悪ければすぐに注文をとめるというようなことをしておると、やはり輸出国においてもかなりのダメージを受けるんではなかろうか、かような観点から、ただいまの中国問題あるいは近隣諸国の輸入問題に触れた次第でございます。 いずれにいたしましても、私どもといたしましてはすべてを政府にお願いして、おんぶせい、だっこせいという考えは毛頭ございません。可能な限り国際問題、国内問題、すべて挙げて業界の自助努力において最善の方法を尽くして、しかる後に足らざるは行政指導を仰ぐということに専念いたしておる次第でございますが、今回の構造改善におきましても、アパレルの問題に対しましては格段の御配慮をいただきまして、重点的にお取り上げを願ったということに対しましては、業界挙げて感謝をいたしておる次第でございます。われわれといたしましても、国際的には対話と協調をもちまして、また国内的におきましては輸入も含めて国内の秩序ある生産、そして安定した価格で供給していくという気構えで業界それぞれに指導をいたしておる次第でございます。 また、この席上をかりまして一言御礼を申し上げたいことは、本年一月から始まりました日米繊維交渉におきましていろいろの問題点がございました。すでに、自由化とアメリカは言っておりましたけれども、品目別に非常に厳しい要求をいたしてまいったのでございますけれども、幸いにいたしまして、原則自由ということを貫いていただきまして、私ども業界といたしましても、業界同士の話もスムーズにいきまして、ようやくにいたしまして、日米の繊維交渉も終わりまして、ただ一点残っておりました綿コートの問題も昨日ようやくこれが妥結いたしましたということは、先生方の御指導並びに本日御出席いただいております局長初め通産省のお役人の方々の、官民挙げての御努力のたまものと深く感謝いたしておる次第でございます。いずれにいたしましても、現在日米問題におきましては、政治、経済等大きな疑惑、摩擦が生じておる状況でございますが、そのトップバッターの繊維に対しましてもし万が一のことがあれば、その及ぼすところの影響が非常に大きいという考えのもとに、私どもは、業界としましても側面からアメリカの業界とも常に連絡をとりまして、今回無事円満な妥結を見ましたことは、ひとえに先生方また役所の方々の御努力のたまものと深く感謝いたしておる次第でございます。 大変駄弁を弄しまして恐縮でございましたけれども、ここに謹んで御礼申し上げるとともに、今後とも、アパレルの振興なくして全繊維産業の発展につながらないのだと、大変自分勝手なおこがましいお願いでございますけれども、この認識のもとに業界も立っていろいろ施策も進めております。どうか先生方におかれましても、今後とも一層の御支援を賜りますよう、この席上をかりまして謹んでお願いを申し上げる次第でございます。 大変ありがとうございました。
○委員長(福岡日出麿君) ありがとうございました。 次に、池田参考人にお願いいたします。
○参考人(池田友次君) 私は、総評繊維労連の池田でございます。 特定繊維工業構造改善臨時措置法として成立いたしました現行法に基づく改善事業が、その後の実施経過を踏まえ、今回その期間を五カ年延長すること、アパレル産業の振興を図るため、人材育成事業の実施、あるいは産元、親機等を構造改善事業の主体に加えることを主な点といたしました構造改善臨時措置法の一部の手直しをすることについて、私は一定の評価をするものであります。 しかしながら、繊維工業の構造改善のあり方については、本法によるほか、繊維製品取引の近代化あるいは中小企業における適正加工賃の保障の問題、ないしは秩序ある繊維製品の輸入などの諸課題を並行して進めることが、経済の民主化とともに、構造改善事業そのものの成否を左右するものであると考えますので、これらの問題につきまして少し意見を申し述べたいと思います。 まず第一の点は、繊維製品取引の近代化問題であります。 繊維製品は、御案内のように、素材から織り、編み、染め、縫製あるいは小売に至る流通段階まで、いわゆる川上から川下までの全過程を含め、その取引の近代化ということが強調されてから大変長い期間を経過をしております。このため、五十二年一月には「繊維取引近代化憲章」が決定をされ、さらには同年五月に「書面契約推進に関する行動指針」が出されたわけでありますが、実際には遅々として進んでいません。 最近問題になっている三越の独禁法違反による公正取引委員会の排除勧告の例で言えば、これは大規模小売店舗の不公正取引におけるまさに氷山の一角にすぎないと考えておる次第でございます。優越的地位乱用という三越と全く大同小異のことが、すべての著名なデパート、大型スーパーにおいて同様にまかり通っておるわけでありまして、公取も引き続き二十二の代表的な百貨店、スーパーの実態調査を実施するとの方針をとっておりますので、これはぜひその徹底を期していただきたい、かように考えております。 しかし、今回の三越のそれは、納入業者に対するさまざまな押しつけ販売や、いろいろな名目をつけた協賛金の巻き上げが対象になっておりますが、実は流通段階の取引の近代化、不公正取引の抜本的是正という観点からは、最も大事なことが放置をされております。それは不当返品という、買い手の一方的な返品自由という地位乱用によるあしき慣習に全く手がつかないままとなっているからであります。このため、問屋や納入メーカーは自衛のため返品を見込んで小売価格を設定することになるから、この不当返品という押しつけ販売よりもさらに程度の悪い優越的地位利用にメスが加えられるならば、国民はより安い値段で衣料を手にすることができるわけでありますから、ここの解明を直ちに進めることについて本委員会の御理解ある御認識をお願いする次第でございます。 同時に、これらの問題は二次加工段階にも数多く存在をしております。例を染色業界にとってみますと、発注者たる原糸メーカーや商社が大量の原反や製品を半年以上にわたって染色メーカーに押しつける、倉庫がわりに使っている、あるいはこれらの製品の搬出に要する費用は染色メーカーに負担させるという発注者の地位利用は依然改まっておりません。また、アパレル重視ということで、その重要性が改めて認識されております縫製の業種でも、これまた多くの問題を抱えております。実例を申し上げますと、縫製メーカーにある日突然、前ぶれもなく発注メーカーから原反と指図書が送られてくる。この段階で縫製メーカーにわかっていることは、何を、どれだけ、いつ納めるということで、加工賃は製品を納入するときに初めて決められるという、そういう実情でございまして、書面契約など初めから存在しないし、しかも発注者のミスで付属品の送付がおくれる、そのために縫製メーカーの納期が遅延したようなケースでもペナルティーを取るという悪質なケースさえあるのでございます。これらの問題は、繊維産業の取引近代化、正常化という立場からはもちろんでありますが、特に構造改善事業の一環として、取引面における構造改善として今後法的規制を含め実効ある措置をとられるよう強く要請を申し上げたいと思います。 第二の点は、中小企業における適正加工賃確保の問題であります。 繊維産業は大手の原糸メーカーあるいは商社を頂点として、その下に膨大な中小零細企業が有形、無形の形で体系的に組み込まれております。そうして、この関係は、取引近代化に関連して述べましたように、発注者としての大手と受注者としての中小企業における企業的優位性ないしは経済的格差はきわめて歴然たるものがあります。さらに、この実態は過当競争を背景に、中小企業の共通する悩みとしてコストに見合う加工賃あるいは企業の近代化を推進するにふさわしい加工賃を手にすることがきわめて困難な状態に置かれているということであります。私は繊維の中小企業を主体とした労働運動に携わっている立場から、特にこのことを痛切に感じているものでありますが、このような中小企業の経営の実態、すなわち加工賃の水準によって賃金を初め、一時金、退職金、労働時間や福利厚生など、中小企業に働く労働者のすべての労働条件は決定的に左右をされております。繊維産業、とりわけ中小企業に働く労働者の労働条件が他産業と比較して大変見劣りし、世間並みの労働条件を得ていないことは、換言すれば適正な加工賃が確保されていないことに大きく起因をしております。このことが、たとえば五十二年度地域包括最賃が全国的に決定されたことによって自動的にその是正の適用を受けた件数は繊維産業が最も多かったことにも示されております。したがって、構造改善事業の枠組みの中に地域包括最賃に対応する最低加工賃の決定ないしは付加価値の適正配分による加工賃のあり方について、国会と通産省においてぜひ今後御検討を引き続きお願いをしたい、かように考えております。 最後に、繊維製品の秩序ある輸入問題に関連することでありますが、五十三年度における通関実績によるわが国の繊維貿易は、輸出は約四十八億七千万ドル、輸入は繊維製品で三十億六千万ドル、前年対比六五・九%増。原料は二十二億一千万ドル、同じく二八%増。輸入計で五十二億七千万ドル、約四億ドルを超える入超となっております。これはわが国の繊維貿易収支が例のオイルショックによる四十八年に史上初めて入超となった年に次ぐ二度目のケースでございます。ここではっきり言えることは、わが国の繊維の貿易が欧米先進国による厳しい輸入規制と、韓国を初めとする東南アジアの発展途上国の追い上げによって輸出は停滞、輸入は大幅に激増しているということであります。通産省は五十三年度繊維製品の輸入伸び率を前年対比六%と想定していたが、実は十倍を超える輸入となっているわけであります。繊維産業は長期の構造不況の中で、各業種の操短と設備廃棄の繰り返しによって、最近ようやく大企業を中心とする一部に明るさが出てきたが、一方国民一人当たりの衣料消費はどうなっているのか。実質賃金の低下とともに、ここ数年来下降線をたどり、最近ではピーク時の三分の二程度の十キロ前後と言われております。こういう状況の中で、前に述べたように前年対比六五%も輸入が急増するということは、構造改善政策そのものの成果を根底から覆すだけではなく、繊維労働者の雇用と労働条件の悪化という大きな社会問題に発展するであろうことは疑いございません。また、わが国のように繊維製品の輸入をオープンにしているのは世界各国においてもその例を見ません。現に、アメリカが日本の繊維製品の輸入を規制したときの毛織物、化合繊の輸出量はアメリカ国内消費の五%であったし、EC諸国でも輸入の伸び率は五ないし六%の枠内というのは国際的な常識であり、各国相互にガットによる二国間協定を締結をしているのはその実態でございます。したがって、このような観点から政府は国会の合意を得て、できるだけ早い機会にMFAの国際繊維協定に基づき二国間協定による秩序ある輸入の実現を図るべきであると考えます。 なお、本件に関連をいたしまして、日中間における繊維関係のプラント輸出、縫製などの委託加工貿易、保税加工貿易など、大規模な契約が進められようとしていますし、さらに繊維の大手メーカーまたは商社による海外投資等は従来より問題とされておるところであり、これらの問題につきましても適切な措置をとられることを強く要請をいたしまして、私の意見を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○委員長(福岡日出麿君) ありがとうございました。 次に、浅井参考人にお願いいたします。
○参考人(浅井長一郎君) 私は、日本絹人繊織物工業組合連合会の理事長の浅井長一郎でございます。 商工委員会の諸先生方には、常日ごろ私ども業界の振興発展につき格段の御配慮をいただいておりますことを御礼申し上げます。また、本日、御多忙の折に私どもの意見をお聞きいただく機会をつくっていただきましたことを深く感謝申し上げます。 本日は、繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案につき意見を述べるよう御指示をいただきまして、同改正案につきまして申し上げるとともに、業界の現状を御報告いたします。 このたびの提案された繊維工業構造改善臨時措置法改正案をぜひ原案どおり早期成立していただきたいことを、まずお願い申し上げます。 私ども絹人繊織物業界は、昭和四十二年より昭和四十八年までの旧構造改善法に基づいて構造改善を実施いたしましたが、その時点において設備の近代化を大きな目標といたした関係もあり、業界全般に生産増強型の量産体制となりました。繊維産業にとって設備の近代化、生産性向上は常に重要な目標ではありますが、織物の高級化、多様化、個性化を要求する需要構造に対応する措置に欠けておりましたことは、現在においても大きなマイナスであったと痛感いたしております。 その後の昭和四十九年より行われております構造改善現行法においては、知識集約化を大きな柱とし、これを推進するために情報収集機能、商品企画機能、生産機能及び販売機能等の多機能結合によるグループ化を盛り込んだ法律に改正され、現在に及んでいるのであります。業界としては、将来を展望し、長期安定を図るためには、法律の目的に沿い、さらに強力に取り組むべきであったのが、諸般の情勢で現行構造改善における参加は思わしくありませんでした。 その主な理由は、経済的なことで申しますと、石油危機の発生による長期不況、さらに一昨年以来の円相場の急騰による環境の変化、これに起因する企業収益の大幅低下、高度成長期における設備投資のための借入金の返済、輸入増加の先行き不安等により構造改善に対する意欲は減退を余儀なくされ、また制度上の理由で申しますと、異業種間グループの結合及び商品開発等の知識集約事業の条件、またリース比率の条件など、中小零細企業には取り組みにくい点がありました。このたびの改正に当たりましては、現行制度上の異業種グループに限定することなく、産元、親機等も包含されることになり、助成措置においてもリース率の引き上げ、設備共同化事業の要件改善も加えられ、前回に比して参加しやすくなりました。今後ともわれわれは、国民生活産業としての自覚を持ち、常に自助努力を行うことはもちろんでありますが、今後も内外情勢は格段の厳しさを増していると予想されるので、ぜひ今回の法律を成立さしていただきまして、この制度のもとで業界の構造改善を推し進めなければならないと考えておる次第でございます。 次に、わが業界の現状を御報告申し上げるとともに、当面における適切なる対策について御配慮をお願いいたします。 御高承のとおり、繊布業界は、すべて昭和四十八年の石油ショック以後の急激な経済変動による長期的な構造不況の波にさらされているのであります。絹人繊織物業界としては、このような構造的不況要因を克服するためには、過剰設備を排除して体質を改善し、健全なる経営基盤を整備するため、目下設備共同廃棄事業を実施しております。共同廃棄は設備織機約三十万台のうち、すでに三万二千台余りの廃棄を完了いたしました。そのために、最近やや需給バランスも改善されつつあり、若干明るさも見えてまいりました。このような業界を挙げて需給環境の整備に努力している最中でありますので、これらの効果を無にするような織物の輸入急増には、今後とも特段の御配慮をお願いいたします。 特に、絹織物について申し上げたいと思います。昭和四十七、八年の高度経済成長期において、国内生糸の不足を補うために生糸の輸入が急増し、その後も輸入増加の傾向をたどっております。政府は、国内養蚕製糸保護のために、昭和四十九年八月に繭糸価格安定法による生糸一元輸入制度を実施し今日に至っております。年々、基準糸価を大幅に引き上げているために、実勢相場もそれにつれて上がっております。私どもは、糸価高騰のため国内生糸のみでは織物の採算がとれず、赤字生産を余儀なくされているのであります。 次に、輸入絹織物の問題でありますが、主要輸出国である中国、韓国とは二国間協定をもって輸入量の規制が行われているのでありますが、現在、中国がヨーロッパ諸国に輸出している生糸の価格は、わが国の生糸価格の二分の一から三分の一であります。この安値の生糸でつくられた絹織物が法の盲点をくぐっていろいろな形で入ってきます。特に昨年は、大量に輸入された俗称「青竹織物」により、羽二重、裏絹産地は極端な窮状に陥っております。ネクタイにおいても、つむぎ、綸子ちりめんにおいても、国際糸価の差異が余りにも大きく、困窮の度を深めております。 次に、保税生糸による保税加工織物の再輸入問題でありますが、生糸一元輸入制度の適用除外とされる保税生糸を悪用し、保税加工された絹織物を一度輸出し、再度同一織物を輸入して利ざやをかせぐ業者があらわれているのであります。これら悪徳業者に対し、一日も早く強力な行政指導を強めていただきたいのであります。もちろん、われわれ日絹連においても、織布業者の自粛を厳重に申し合わせをいたしておる次第でございます。 以上、生糸一元輸入実施中は、片手落ちでないように絹織物、絹製品の輸入規制措置を強化していただきたいと思います。 次に、実需者売り渡し生糸についてでございますが、これは生糸一元輸入制度に伴うただ一つの絹業救済策であります。今後も定期的にさらに増枠をお願いいたしたいのでございます。 以上、はなはだ業界のために非常に御協力を賜っておられる先生方に対して、今後ともこういった問題について特にお願いをいたしまして、私の陳述を終わりたいと思います。
○委員長(福岡日出麿君) ありがとうございました。 次に藤原参考人にお願いいたします。
○参考人(藤原一郎君) 私は日本綿スフ織物工業組合連合会会長の藤原一郎でございます。 参議院商工委員会の諸先生方には、常日ごろ私ども業界の振興につき温かい御指導、御援助を賜っており、この場をかり厚く御礼を申し上げます。また、本日は大変御多忙の折から、私ども業界の構造改善に関する諸問題に対しての意見を聞いていただく機会をつくっていただき、まことにありがたく、厚く感謝申し上げる次第でございます。 さて、本日は特定繊維工業構造改善の臨時措置法の一部を改正する法律案について意見を述べよとのことでございますので、同改正案について意見を述べるとともに、私ども業界の現状を御報告申し上げて、業界の窮状打開に対し適切なる御配慮をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。 まず、構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案でございますが、これは、ぜひとも原案どおり一日も早く国会を通過させ成立させてくださるようお願い申し上げます。 御承知のとおり、私ども綿スフ織布業界は、昭和四十二年から四十八年までは旧構改法に基づき、国際競争力を早急に強化するという目的で、設備の近代化、生産または経営の規模の適正化等の事業に重点を置き実施してまいりましたが、その間、当初の計画どおり約六百億円の設備ビルドが行われ、きわめて優秀な自動化、高速化の設備が導入され、織物生産形態を一変させるまでになりました。このことは、私ども織布業界の発展のため大きな影響を及ぼしたばかりでなく、その後の労務賃金の上昇、諸物価の上昇にかかわらず、製造コストの上昇を最低限に抑えて、輸出面また国内衣料としての良質安価な製品を供給し得たものと考えております。 しかしながら、一方では設備の近代化、規模のメリットばかりが追求された結果、生産増強につながったのではないか、また、商品の開発とか技術の開発がおろそかになり、需要の高級化、多様化に対応する面が欠けていたのではないかという反省もありました。このため、昭和四十九年、知識集約化を中心とする現構改法に改正されたのを機会に、私ども業界は、法律の目的に沿い、国民の消費動向を的確に把握し、消費者が希望する多種多様な商品を開発すると同時に、生産、加工、販売各部門の有機的な結合を図り、流通の近代化を推し進めるという方針で、これらの構造改善に積極的に取り組んだ次第でございます。 しかし、残念ながら過去五年間ほとんどはかばかしくいかなかったわけでございますが、その原因については、さまざま考えられますが、次のようなことでないかと思うわけでございます。 第一に、四十八年のオイルショック、その後の急激な円高の到来による長期にわたる経済環境の悪化による不況のため、自分の経営を維持していくのが精いっぱいであったこと。第二に、規則に定められた異業種間グループの結合及び商品開発等の知識集約事業の条件、またリース比率の条件等、私ども中小零細業者にとってなかなかなじみ得なかったことと同時に、条件が少し厳しかったのではないか。第三に、制度的に産地組合の積極的な活用がなし得なかったこと等であります。 今回の改正法におきましては、これらの点を十分認識せられて、知識集約グループとして、私どもに最も身近な産元、親機グループが追加になったこと、またリース比率の改善等、実施面での運用緩和、弾力化等を図られること、また小規模事業者の施設共同化事業について大幅に条件を緩和する等、私ども中小企業者が相当取り組みやすいものとなりました。 今後の私ども繊維業界の環境は、発展途上国の追い上げ、先進国の保護貿易の拡大、また国内需要の停滞等、まことに厳しいものがあり、今日直ちに私ども業界自身がこれらを克服するため、あらゆる面で構造改善をしなければ、永久に立ち直りは不可能となると思われます。このため、私どもは今回の法律案に基づき早急に構造改善を推進しなければならないと考えておりますので、本改正案は一日も早く成立させてくださるよう、お願い申し上げます。 なお、私どもは中小零細業者でありますので、本改正法律実施の際には、だれにもなじみやすいものであり実施しやすいものにしていただきたく、また産地組合の指導体制を積極的に活用できるようなこともあわせて、今後の運用をお願い申し上げる次第でございます。 次に、私どもの業界の最近の状況を御報告申し上げ、これに対する適切なる御配慮をお願いいたしたいと存じます。 まず輸入問題でございますが、これはそれぞれ他の参考人からもお話がございました。御承知のごとく、私ども綿スフ織布業界は、昭和四十八年の石油危機以後の急激なる経済の変動及びその後の円高等の影響をもろに受け、想像に絶する長期的不況に見舞われ、産地により倒産、休業が続出しました。このため、かかる構造的不況を脱却するため、昭和五十二年より業界挙げての自助努力により過剰設備の共同廃棄を実施し、本年三月末まで約四万二千台の織機を処理し、その結果、昨今ようやく需給バランスもとれ、明るさが見え始めてまいりました。しかし、昨今の円高の影響による輸入の増加は著しく、綿織物については昨年は一昨年の二倍強の輸入になり、このままの輸入が推移すれば近く必ず需給のアンバランスを来し、また再び一昨年までの不況による混乱が起きるのではないかと、先行き非常に不安を抱いておる次第でございます。 このような無秩序な輸入の急増は、今後私ども中小織布業界の存立に重大な影響を与えるばかりでなく、せっかくの構造改善の意欲も失わせるものと考えます。このため、私どもはいままで秩序ある輸入に対し、日本の輸入商社及び輸入最大手の中国に二回も代表団を派遣して再々要請いたしましたが、なかなか実効が上がらないのが実情でございます。現在、世界における日本の立場から、輸入の禁止とか制限は困難であることは十分承知しておりますが、せめて秩序ある輸入対策をとられ、国内市況の混乱を来さない措置をとっていただきたい。また、織物の輸入関税の先進国との不均衡の是正についても、あわせてお願い申し上げたいと考える次第でございます。 以上、私の意見並びに御要望を申し上げた次第でありますが、本日はこのような発言の機会を与えてくださったことに対し、重ねて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
○委員長(福岡日出麿君) ありがとうございました。 次に、宇佐美参考人にお願いいたします。
○参考人(宇佐美忠信君) 繊維工業構造改善臨時措置法の改正に当たりまして、参考人として意見を述べる機会を与えられまして、厚くお礼を申し上げます。 私どもの基本的な見解をまず申し上げます。 わが国の繊維産業にとりましての最大の課題は、国際競争力が相対的に低下する中で、いかに国内の消費者需要を的確に把握するのか、そしてこれをいかに拡大し創造するかにあります。繊維工業構造改善臨時措置法は、こういう課題に対応いたしまして、消費者志向に根差した繊維産業の知識集約化を図るものとし、昭和四十九年に改正、施行されました。しかし、長期にわたる繊維不況もありまして、企業側の対応は大幅におくれを見せました。したがって、このたび本法案により現行繊維法を延長することには基本的に賛成であります。 また、わが国の繊維産業において重要な位置を占める産元、親機等を構造改善事業の主体者に含め、産地における企業間提携を容易にした点、さらにアパレル産業の人材育成事業に着手した点等、改正のポイントについてはそれなりに評価することができます。 しかしながら、ここで現行繊維法の成果を振り返ってみますると、施行以来通産大臣の承認を受けた構造改善事業計画は、わずかに五十六件を数えるにすぎません。繊維法の延長問題を審議した昨年の繊維工業審議会、産業構造審議会の合同会議で、ゼンセン同盟といたしましては、このような結果をもたらした原因の掘り下げを強く要請いたしました。この過去の反省が、今後改正法に基づいてどのように生かされていくか、私どもは厳しい目で注視をしてまいりたいと思います。 改正法の実施につきましては、一つは政府、自治体に次の点を要請いたしたいと思います。 第一は、現行繊維法に基づく構造改善事業が進まなかった理由として、制度の枠組み要件が大変厳しかったこと。それから、制度自体のPRが不足していたことが挙げられます。制度要件、運用につきましては、思い切って弾力的に運用されるように改善をされたいということ。そしてまた、制度内容の周知徹底に十分な体制をとってもらいたい。 第二の問題は、アパレル産業の人材育成事業は、本年度予算を見る限りでは余りにも規模が小さく、どうも多くを期待することができない。政府予算で一億五千万、そしてまた民間一億五千万、合わせて三億、これを基金にしての人材養成、繊維産業全般でも十四万を超える企業が存在する中で、一体その三億円を基金にして、その資金でもってこの大きなアパレル産業の人材養成ということが可能なのかどうか、そういう点を危惧いたします。 しかし、将来的には各種学校における繊維関係教育制度の改善を含め、多角的な教育システムに拡大発展させる必要があるので、民間企業の知恵も結集して実のある事業を展開していただきたい。 なお、これに関連して申し上げますと、たとえば日本の産業構造のこれからの展望の中で、知識集約産業あるいはまたアパレル産業というものが重要視され、また発展業種として取り上げられているわけでありますが、日本全体の教育制度を見たときに、たとえば公立の大学等、繊維の学科を有するところが三十数校ございますが、しかしそういう学科の中に、一体アパレルに視点を向けた教育というのがどこまで行われようとしているのか。結局、かつてのハードウエアを中心にした繊維の教育に終わっているというようなことを考えますと、何か日本全体の産業政策、産業対策に対する取り組みにちぐはぐなものを感ぜざるを得ないわけであります。 業界、企業に対しましては、一つは構造改善事業の成否はひとえに繊維業界及び繊維企業の自主的努力にかかっているわけであります。繊維業界、繊維事業経営者が厳しい現実を直視し、この繊維法の改正延長に十分こたえられる実績を生み出すよう、強く私ども組合としては業界に決意を促したいと思います。 第二は、アパレル産業の振興は、振興に向かっての業界の体制づくりがまずもって肝要であります。たとえば、サイズの統一化を初めとする消費者の要求にも的確に対処できる業界づくりに努力をされることを望む次第でございます。 総合的対策の実施につきまして申し上げますと、繊維産業の構造改善につきましては前述の繊工審、産構審の合同会議の答申が指摘しておりますように、本繊維法によるもののほか、取引関係の改善、過剰設備の処理、秩序ある輸入の確保等の基盤の整備が肝要であります。 過剰設備の処理につきましては、すでに特定不況産業安定臨時措置法に基づきまして合繊関係の設備処理が完了し、羊毛関係もすでに進み、昨日の繊工審総合部会では綿紡等の設備処理の問題が総合部会として決められているわけでございますが、今後残された分野の過剰設備の処理の促進を図ることが業界安定のためにも必要ではないかと思います。 取引改善につきましては、繊維取引の近代化は返品問題を筆頭に遅々として改善が進んでおりません。流通産業の振興に伴い三越問題に象徴されるように事態はますます深刻化しております。本来的には業界間で解決すべき問題でありますが、行政を初めとする第三者的な指導、介入が必要であり、これを要請いたします。特に、私どもはこの点を強調いたしますゆえんのものは、たとえばこれから国際環境が厳しい、そして私ども後で輸入問題を申し上げますが、しかしいずれにしても、最終的には衣料品が適正な価格で国民に国産品が買ってもらえるような体制をつくるということでなければならない。その場合に、余りにも衣料品が高過ぎるという問題があることも事実でございます。なぜ高くなるのか、結局いままでの見込み生産を主体にしてこの物づくりが行われてきた。そうなればそこに返品も起こる、バーゲンも起こるというようなこと。そうなると結局、通常品にその価格が転嫁されるというようなことによりまして、結局は業界のためにも消費者のためにもプラスにならない面があるわけでありまして、そういう面からいたしますとこの構造改善措置法によりまして縦のグループ化を進める、実需に合った生産体制をつくる。そういうことを進めなきゃならない場合に、この繊維取引の近代化というのはきわめて重要な問題であろうと思います。 第二の問題は、繊維のこの糸等につきまして商品取引所に上場がされているわけであります。この繊維の取引所上場制度は、この法律の志向する消費者ニーズに直結した知識集約化を阻害するものでありまして、廃止を含め抜本的に再検討することを要望するものでございます。 輸入対策につきましては、輸入急増のことはもうすでに触れられておりまするので、多くを申し上げませんが、繊維産業はいずれの国におきましてもこれは主要な産業でありまして、かつ多くの雇用労働者を擁する産業であります。とりわけ中、低開発国にとっては重要な輸出産業であり、それだけに先進工業国との競合は激烈であります。このためMFAが成立し、これに基づきECや米国が多角的に二国間協定を取り結び、自国の繊維産業を強く防衛していることは周知のとおりでございます。昨今の繊維製品輸入の激増にもかかわらず、先進工業国にあってひとりわが国だけが輸入市場をオープンにしていることは理解できません。 わが国の繊維産業の従事者は百五十万人に及び、特にこの産業には中高年労働者の重要な雇用の場となっているのであります。われわれはこの大切な職場が輸入品によって削り取られていくのを座視することができないわけでありまして、MFAに基づく二国間協定の締結交渉に着手することを強く要請するとともに、本問題につきまして国会の深い関心と御理解を要望するものでございます。現に米中の間におきまして、すでに繊維の交渉がつい先ごろ行われているところでございますが、特にこれからの中国の動向というものは注目しなければなりません。 中小企業繊維労働者の対策につきましては、わが国の繊維製造業は、衣服縫製等の製造業を含め、ますます零細化の道をたどっているのでありまして、昭和五十一年の繊維製造業の一事業所当たりの平均就業人員は十・一人、四十八年は十一・二人、こういうことでありまして、円高による国際競争力の低下をカバーするために、繊維企業は低賃金を求めていよいよ細分化されているのでありまして、企業集約化を求める構造改善事業とうらはらに二重、三重の下請機構が進行し、家内労働への依存度もますます高くなっているのが実態であります。これらの繊維中小企業の労働者の労働条件を向上するために、法定最低賃金の引き上げとともに、最低工賃の改善を含め、家内労働法上の行政指導の強化を要請するものであります。 以上で私の意見を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○委員長(福岡日出麿君) ありがとうございました。 次に、伊藤参考人にお願いいたします。
○参考人(伊藤忠夫君) 日本ニット工業組合連合会の理事長の伊藤でございます。 ちょうどいまから一年半ぐらい前でございますが、昭和五十二年の十一月一日、ちょうど一ドル二百五十円を割ったころでございますけれども、産業貿易及び経済計画等に関する調査の一環として、不況対策等に関する件を議題とする参議院の商工委員会、この席でございますけれども、そこに私は参考人として意見を述べる機会を得さしていただいたわけでございます。 その際、円高の影響はニット製品の輸入の大幅増となってあらわれてくる。また、輸出面においては、ニット生地、ニット製品の輸出が減ってくる。輸出メーカーは当然内地市場に参入してくる。この結果、内地市場に対する供給圧力が高まってくる。一方、低成長経済下における衣料に対する消費の購買力の伸びには限りがあります。さらに、国内の小売り段階ではオーバーストア、あるいは流通段階では卸商の企業数が多過ぎる、言うなればオーバーホールセーラー、また生産段階は、これはオーバープロダクション、そうしてどこの段階も自己資本が低くて借り入れ金が過大である、オーバーボローイング、四つのオーバーがある。この過剰を何とかしないと業界の先行きが思いやられる。そこで、需給のバランスを図るために編み立て設備の共同廃棄を速やかに進めなければならない。秩序ある輸入、これは絶対に必要である。そうしてこの二つを基盤として構造改善を進めていかなければならない。それには構造改善が五十四年六月に期限が来ますので、ぜひこれを延ばしていただきたい。 大体、このような意見を開陳したわけでございまして、それからちょうど一年半、この席でもって構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案の審議に関連いたしまして、再び参考人として先生方にお目にかかることになったわけでございますが、まことに感慨深いものがございます。 まず最初にお礼を申し上げたいことは、先生方の御協力、御支援、また政府御当局の適切な施策によりまして編み立て設備の共同廃棄は全体の約二〇%、昨年の末までに単年度の事業として終了いたしました。本当にありがとうございました。 それから次に、ただいま御審議中の構改法案でございますが、ぜひ原案どおり成立さしていただきたい、よろしくお願い申し上げます。 五十四年六月から五カ年間の延長、産元、親機とともに親ニッターも構革の主体に追加する、制度要件の緩和及び運用の弾力化、助成の充実強化、制度に関する産地組合等あるいは連合会等の参画、さらに小規模事業に対する配慮、いずれも私どもが構造改善の柱として希望している点でございます。 次に、構革の基盤づくりについて申し上げますけれども編み立て設備の共同廃棄によりまして、国内業者によるところの国内向けの生産の需給関係は改善されつつあります。 しかしながら、先ほど各参考人からお話がありました輸入問題につきましては、私どもの業界、輸入の増勢というのが依然として衰えず、先行きを懸念しております。 参考までにちょっと数字を申し上げますけれども、ニット外衣——シャツとかセーター類でございますけれども、昨年は数量でもって三九%伸びております。その中で特定のニットアウターシャツのごときは一年間で六〇%もふえております。それからニットの肌着で四三%。それで、過去の三カ月——十二、一、二というベースで見ますと、依然としてニット外衣でもって五〇%、肌着で六六%というような、まさに集中豪雨的な増勢を示しているわけでございます。 この輸入品の国内供給量に対するシェアでございますが、輸入比率でございますけれども、ニット外衣におきましては、昨年に二七%ぐらい、過去三カ月においてはすでに三〇%を超えているのじゃないかというふうに私ども推測しているわけでございますが、秩序ある輸入の確保を望んでやまないわけでございます。 結局、この暴走輸入というものは、被害を受けるのは生産者、同時に国内の流通段階の方々も、輸入業者自身も、これは結果においてけがするわけでございますし、海外の生産者も傷つくわけでございますので、何とか良識をもって秩序ある輸入というものができないかということを常々望んでいるわけでございますが、繊維製品の輸入の取り扱い業者は、聞くところによりますと、千七百社くらいあるそうでございますが、そうしてその中でニット外衣の輸入業者だけでも二百数十社ある。このような多数の人に対して果たして適切なウオッチあるいは指導というものができるかということがございますけれども、トップの二十五社ぐらいであったならば、かなりのシェアというものを占めると思いますので、行政当局の適切な処理を期待するわけでございます。 それから、円高下の輸出という点でございますけれども、これは非常に響いてまいります。私どもの業界では、ニット生地でもって数量ベース、昨年三〇%、製品で二四%、ことしになりましてからはすでに三〇ないし四〇%昨年より減ってきている。もろに円高というものが中小企業の製造段階、軽工業に響いているということが言えると思います。 さて、その次に構革の基盤でございますところの生産流通の協調的発展、これは非常に大事な点でございます。今後パイの成長に限りのある低成長時代、そうなりますと、当然パイの分配というものに関心が寄せられてくるわけでございます。取引の近代化と合理的取引慣行の確立が非常に大事になってまいります。私どものニットの業界は、この生産段階とそれから流通段階が完全に分離しておりまして、生産者が自分で原料を買って製品をつくる、それを問屋さんに売る、この問屋さんは仕入れ問屋と、こういう形でやっているわけでございます。こういう中において今後垂直的にお互いに取り組んでいって共存共栄を図るためにまさに商工一体となって、グループ全体として総合力を発揮して、そうして高い付加価値を追求する。もちろん、グループとグループとは非常に激烈な競争になりますけれども、その中において、グループ内においてはそれぞれの果たしている社会的な機能と責任に応じて、付加価値を適正に配分されるようにしなければならない。取引面の優越というような立場を利用し、弱者の利益を簒奪する流通業界の強者の取引姿勢——先ほど諸参考人から御意見の開陳がございましたけれども、私どもは公取委員会の厳然たる態度とその処置を高く評価するものでございます。自由経済の活力というものは非常に重要でございますけれども、自由経済というものの秩序もまた欠くべからざるものであるというふうに考えるわけでございます。 次に、アパレル産業の振興に関連して留意すべき点を述べさせていただきます。日本のアパレル産業というのは、わが国独自の産業、経済、社会、地域、こういうものの特性を顧慮しながら、欧米の合理的体制と慣行の長所も取り入れて、そうして日本独自のものをつくっていかなくてはならないと思います。日本には、ではこの長い歴史の中において、製造と販売、あるいは工業資本と商業資本の分離というような問題がございます。この社会的分業体制というのは現にあるわけでございます。急速にこれを直すということもなかなかむずかしいと思います。 それからもう一つ、季節の移り変わりというものがアパレル産業あるいは繊維全般にも非常な影響を与えてまいります。シーズンとオフシーズンがある。それで、その繁閑の差というものがありまして、この持続安定生産というものがむずかしくなる。生産性の発揮がむずかしい。どっちかと言うと、これは商業の方に有利なわけでございますけれども、この中においていかにして流通も生産もともに繁栄していかなくちゃならないか、これが今後のアパレル産業の課題でございます。 それに関連いたしまして、雇用面においては、生産段階は、流通段階仮に一人といたしますと、まず三人とか四人とか人をよけいに抱えるわけでございます、当然つくるということは売るということより手間がかかるわけでございますから。これは別の考え方でいきますと、それだけの大きな雇用力を持っている非常に大事な分野であるということでございます。ですから、先ほども各参考人からもお話ございましたけれども、生産部門が適切な付加価値というものを確保して、それで健全な経営を行うということは、結果的においては共通の利益につながるものでありますし、商工一体の繁栄になってくるわけでございます。 それから、私どもは、アパレルの生産段階でございますけれども、アパレルの発展のためには、素材分野、テキスタイル分野の企画開発能力、加工技術等の進歩向上に大きく期待するものがあります。 それから、この自由主義経済みんなそれなりのリスクにチャレンジということがございます。それで、流通段階の商品リスクということをしばしば言われますけれども、生産段階も機械設備というもの、これに相当な投資をして、従業員を確保して、それで訓練をする。さらに外注工場も稼動させなくちゃならない、いろいろのこういう生産面のリスクというものもあるわけでございまして、しかも消費者のニーズやウォンツの変化、需要動向の移り変わりというようなことで大きな打撃を受けることがありますので、生産者の段階においても流通と同じように大きな企業経営のリスクがあるということを考えて、いろいろの施策あるいはアパレル産業の振興を図っていかなくちゃならないと思うわけでございます。 それから、実需に見合ったアパレルビジネスというものを何とか確立しなくてはならないと思います。オーバーストアの問題と絡めまして、現在のファッションビジネスというものは余りにもロス発生型、その傾向が強過ぎると思います。言うならば、商品の的中率が悪過ぎる、これを何とか直していかなきゃならない。そういう点に関連いたしまして、まあアパレルの生産流通段階の統計というものが全く私は不備だと思います。まあもちろん生産段階では統計があるわけでございますけれども、流通段階の統計は大したものがないようでございます。アメリカでは、センサスといいまして——国勢調査でございますけれど、二年目ぐらいごとに政府ベースでもってその調査をしております。もちろん、これは業界の協力も必要になってまいりますけれど、今後長い視野で見たときに、資源エネルギーの浪費を防ぐというようなことも考えて、ぜひセンサスというものを行っていただきたい。もちろん、これは管理経済に今後移行するというような、そういう布石であってはならないわけでございますが、物事を論議するときに、単に定性的——性質だけを論議するんじゃなくて、定量的——量的に詰めていかなけりゃならぬような段階に来ているのではないかと、資源小国の日本においてそう感ずるわけでございます。 それから、アパレルの振興というもの、それからその中で新しい需要を開拓するということ、これは重要でございますが、それはまた新しいライフスタイルというものを生まなければならない。ですから、そういう点においては、ときには脱アパレルの柔軟な発想というものが逆にアパレル全体の発展をもたらすというようなことも必要ではないかと思うわけでございます。 次に、人材の育成の問題でございますけれど、今度の人材育成は既存の人材、まあ中堅幹部経営者でも結構でございます、を対象として専門的な知識や技術を高めていくわけでございますが、同時に今後国際競争を考えたときに、そのような中堅幹部あるいは経営者が絶えず自分の能力の向上に進んで努力する、リスクに挑戦する勇気と意欲も持たなくちゃならない、弱者に対しても思いやりがある、人間性豊かな、こういうような人材を育てることが非常に大事じゃないかと思います。ただ、これに関連いたしまして、いまアパレルの第一線が求めているところの情報というもの、あるいはノーハウというものは、それはもう企業秘密に属するレベルのものではないかと思います。もちろん、企業秘密というものは、一年一年どんどん進歩するわけでございますけれど、こういうノーハウを出していただく企業あるいはそれを教える先生のできる方、アメリカのFITにおきましては、業界の経験者が先生をやっているわけでございます、教授をやっているわけでございますが、しかしそういうような方は、人材は日本ではアパレルのすでに第一線で活躍しておりまして、その企業では欠くべからざる人だ、そういう人たちを何とかアパレル産業の発展のために出てきていただかなきゃならぬわけですが、これにはその企業の経営者の考え方というものが非常に大事になると思うのでございますが、このようなノーハウの公開、人材派遣というような企業に対しましては、ひとつ先生方におかれましてもまた政府におかれましても、何かそういう方たちが出やすいようなシステムあるいはほう賞というようなことを何かお考えになっていただきたいと思うわけでございます。 それから、この人材育成でございますけれど、最終的にはアパレルの発展というものも人間としての教養を高める、文化を理解する、個性を磨く、想像力をはぐくむと、こういうような基本的なところがアパレル全体を進歩させる推進力じゃないかと思います。言うなれば、アパレル産業は、ある意味においては文化産業ということも言えるわけでございます。 それから、終わりに申し上げたいことがございますが、この零細業者というものはすべて弱者という見方もございますけれども、零細業者の中には借金もなく、マイペースでもってやっている頼もしい人もあるわけでございます。ただ小さいというだけでございます。しかしその反面に、戦後三十数年、経営者も従業員も、非常にだんだんと老齢化してまいります。中には後継者難の方もいらっしゃいます。またアパレルビジネスの急速な変化というものに追随し得ない人たちもいらっしゃいます。それに対して輸入がどうなってくるか、なかなか予断は許されないと思います。ですから、私は輸入情勢のいかんによっては事業所閉鎖を前提とする転廃業対策というようなことが必要になってくる場合も出てくると考えられるわけでございますが、産業政策の一環として十分先を考えて御研究していただきたいというわけでございます。 以上、いろいろと申し述べましたけれども、ニットの生産業界は自主自立を基本とする自由な経済体制下における活力と、公正な競争場裏における優勝劣敗と、市場経済を左右する需給の大則、みんなよくわかっております。今回の法律改正の指針とも言うべき新しい繊維産業のあり方の提言の中の消費者指向のアパレル路線、これがための垂直的連係の重要性、ニット生産——企業としての主体性の確立、十分理解しております。すでに一部の有力企業におきましては、自助努力によりまして、有力アパレル卸商との間に垂直的連係を進めて、着々と成果を挙げているというようなことも御披露できるわけでございます。 いろいろと繊維産業あるいはアパレル産業の振興発展のために、先生方の御指導と御配慮をいただいておるわけでございますが、今後ともよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
○委員長(福岡日出麿君) ありがとうございました。 以上で各参考人の意見の開陳は終了いたしました。 これより参考人に対する質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
○森下昭司君 大変皆様御苦労さまでございます。 いま各参考人の皆さんの御意見を承ったのでありますが、きょうは御出席の参考人の方々で共通いたしておりまする問題が一つございます。それは、異口同音、表現は違いますけれども、言うならば、輸入問題に対する対策を強化してもらいたいということについては、皆さんの御意見が一致いたしておるというふうに私は理解をいたしておるわけであります。ただ、近藤参考人は、対話と協調ということを前提にして、秩序ある輸入と。同じように、浅井、藤原、伊藤各参考人も同様の趣旨であります。ただ、池田参考人は、EC、アメリカ等の輸入実態等を踏まえまして、ある程度五ないし六%程度の前年比増でとどめるべきではないかという具体的な御提案がございました。宇佐美参考人は、さらに国際繊維の取り決め、つまりガットのもとにおける二国間協定を前提といたしまして、国が強い姿勢をとってみたらどうだと。より積極的な私は御意見ではないかと思うのであります。そういう点で、ひとつ最初に近藤参考人にお伺いをいたしますが、対話と協調で秩序ある輸入というものを今後も確保していく見通しはおありになるのかどうか。また、業界全体として、できれば繊維業界全体として、そういうことは望ましいと考えているというふうにお考えになっているのか。その点について、もう一度御確認をいただきたいと思います。
○参考人(近藤駒太郎君) お答えいたします。 ただいま先生からの御指摘がございましたとおりに、私はここもう数年間、各国を回りまして、理解と協力を求めるために、わが国の実情、また各国の実情もお聞きするとともに、いろいろ話し合いをいたしてまいったのでございます。したがいまして、業界が強く要望いたしております輸入規制等の問題に対しましては、現在わが国の置かれておる状況等も踏まえまして、何とかして自主規制をでき得れば輸出国からやっていただければ幸いだと。と申し上げますのは、昭和三十年ですね、御承知のとおり、ワンダラー・ブラウスがアメリカに、当時の日本の国力から言えば、大変な大きな数字が出た。四百万ダース、枚数にすれば四千八百万枚をアメリカに輸出したんですね。そこで、アメリカの業界並びに政府から、わが国において自主規制を何とかしてくれと、こういうようなことでございましたので、実態調査をした結果、大変な数字が出ておるということで、業界と政府とが相談いたしまして、自主規制に踏み切って、たしか二百五十万ダースに私どもは自主規制をやった経験がございます。したがいまして、私どもといたしましては、輸出国側においても、先ほど申し上げましたとおりに、日本の景気のいいときには、ばっと日本から注文をする、少し景気が悪くなれば、だんと注文を減らすというようなことを繰り返しておると、どうもお互いが損をするので、どうかこの点に対しても十二分に配慮の上で、秩序ある貿易に専念してくれと、かように申し上げて努力してまいったのでございますけれども、何さまやはり、各国にはそれぞれの法律もございますし、日本にも法律がございますので、これ以上の、業界同士の話しで、輸入の規制等はもうとうてい及びもろかぬと。したがいまして、私は繊維二国間協定、すなわちMFAに基づく——直ちに発動するというようなことは、私は個人としては申し上げておりません。何どきでも発動し得る体制をいまから整えていただくということ、これが一番肝要ではなかろうかと思うのでございます。 しかも、中国問題にも触れましたけれども、ネコもしゃくしも中国、中国と、こういきまして、どんどんやっておられる。長期的に見てみたならば、これはもう日中の友好に必ずしも私はつながらないと。将来大きな禍根を残すおそれもありますから、やはりこれも対話と協調を進めていきますけれども、段階的に輸入をふやすように何とか御配慮していただきたいというのが私のお願いでございます。
○森下昭司君 伊藤参考人にも私はお伺いいたしたいのでありますが、先ほどやはり秩序ある輸入を強調されまして、ニット関係だけでも二百数十社の輸入商社があると。大手の二十五社ぐらいを強力な行政指導をすれば、何とか秩序ある輸入の目鼻がつくのではないかという御意見がありましたが、この場合もやはり、いま近藤参考人が後段でお述べになりましたように、業者間の要するに自主的な話し合いということでは、なかなか秩序ある輸入は期待することができ得ないと。でき得れば、やはり政府自身が表面に立って、相手の輸出国に対しまして、自主的な話し合いをしてもらいたいという期待があるかどうか。その点をちょっとお尋ねいたします。
○参考人(伊藤忠夫君) お答えいたします。 私ども輸入組合と絶えず話をいたしておりますけれども、その輸入の当事者自身も、また一つの自分の仕事に対する価値観と申しますか、外貨がこれだけたまっている段階において、外国から消費者の需要に見合うものを持ってくるのだと。それが安くてよければいいじゃないか、こういう主張、それが自由経済じゃないか。言うなれば、商売だからというセリフが一番先に出てくるわけでございます。それに対して、国全体として見た段階におけるところの雇用の確保の重要性というようなことについては、それほど関心はお持ちになりません。優勝劣敗という物の考え方をするわけでございます。そこに力の理念というのが働くわけでございます。しかしながら、過去四十八年から四十九年に輸入業者も、例の大幅輸入によってやけどを受けているのですけれども、そのやけどを受けた方が、すでにもう担当者がかわってしまいまして、また新しい方がやっていると。さらに、流通の末端の大手のストア等も直接、輸入をやっている。こういう段階になりましたときに、価値観の対立で、なかなか業者同士では話がつかない。 それからもう一つ、私どもは韓国と台湾と五十年来継続して対話をやっております。そのときに、向こうの方が言われるのは、われわれの理念はよくわかるわけでございますが、あちらが輸出立国という大きな政府の至上命令があって、自分たちの意見というものは、もうそこで、ただ政府に従うだけだということになってきておりまして、何を言っても答えは、それは日本から注文が来て、信用状をくれるんだったならば、出すのは当然じゃないだろうか。ましてインバランス、貿易じりのインバランスというのが、あらゆる話のまくら言葉になって出てまいりまして、非常に話し合いがしにくいということでございます。もちろんMFAが発動できれば、それは一番いいわけでございますけれども、広い意味の日本の経済、貿易ということを考えたときに、私も今度、参考人の御意見のように、発動はできぬにしてみても、発動し得る基盤づくりというものは必要ではないかと、こう考えるわけでございます。終わります。
○森下昭司君 それから、各参考人でさらに強調されましたのは、お互いに自助努力ということを盛んにお使いになったわけであります。それで、ちょっと藤原参考人にお伺いをいたしておきますが、綿スフ織物工業組合関係は、どちらかと申し上げますと、非常に好不況の波にすぐ直接的な影響を受け、かついままでは不況的な要素が多分にあったわけであります。ただ御指摘がございましたように、自主的な努力で六百億円に相当するビルド化を図った。需給ギャップを埋めて、現在は比較的好況のもとにある。しかし、設備近代化を促進をいたしましたために、どちらかというと、生産増強の面だけが強調されまして、知識集約化と申しますか、商品開発と申しますか、そういった点についての努力を怠った点があるのではないかという反省を込めて、先ほどお話があったわけであります。 そこで、今後の問題でありますが、今回のこの改正案が仮に原案どおり決定をいたしましたという前提でお尋ねをいたしておきますが、これによりまして、綿スフ織物工連が、たとえば自助努力をして商品の開発とか能力開発とか、いろんな点で御努力をなさるのでございますが、私自身といたしましては、先ほど申し上げたように、非常に好不況の波を直接に受ける可能性の強い工連でございますが、今後の綿スフ織物工業の見通しと申しますか、どんなようにお考えになっているのか、その点ちょっとお尋ねします。
○参考人(藤原一郎君) お答えいたします。 ただいまの御質問でございますけれども、確かにおっしゃるとおりに非常に好不況の激しい業界でございますから、自助努力をやるという、自助努力は前面に掲げておりましても、なかなか自助努力にいくまでにいろんな問題が山積しまして、なかなかそこへいかないというようなことでございますが、前回の構革は、ただいまも申し上げましたように取り組みにくかった——取り組みにくかったということは、そういう点で開発がおくれた、あるいは技術開発がおくれた、情報開発がおくれたということでございますが、今回は産元等が入ってまいりまして、そういう面の産元の機能というものが、大体その産地におけるそういうことを担当した、担任した、大体性格を持った機能でございますから、その機能がそれぞれの産地の中で産地に適合した一つの行き方というものに合ってまいりますと、開発といいますのか、技術といいますのか、商品開発といいますのか、そういうような面ではスムーズにいくんじゃないか。そういう面ではある程度今後この問題に取り組みやすい。したがいまして、現行のものを通していただくことにおいて取り組みやすいんじゃないか。これはもう審議の過程におきましてもずいぶんいろいろ言われておりますので、今度は真剣に取り組みたいということを考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○森下昭司君 そこで、宇佐美参考人に私からの質問の最後にちょっとお尋ねいたしておきますが、先ほど意見の中で、「紡績業も順調に進行している。」と書いてございますし、きのう、何か部会かどこかで綿紡績の設備廃棄について決定がなされたといういまお話がございましたが、私、実は先週の委員会で通産省に対しまして、綿紡績業界というものはいままで非常に足並みのそろわなかった業界だという定評があるというようなことを実は申し上げたわけであります。その中で、たとえば過去何回か不況カルテルが実施されましたけれども、日清紡績は参加をしなかったとか、今回の構造改善の一部改正が通って、さらにいま申し上げたような審議会等で決まった、設備廃棄等が決まりましても、私の方の中京地区の近藤紡とか都築紡というのはその設備廃棄に参加をしませんよ、協力しませんよというような態度を表明しておる、こういうことは業界全体の構造改善に対する一体化した体制はとれてないという証左ではないか。また、こういったままの状態で拒否するところは拒否し、そしていわゆる実施するところは実施するということは片手落ちになる可能性もある。なぜ、不況構造改善等の通産大臣の指示カルテルを実施しないのだというようなことを通産省に、私お尋ねしたことがあるんでありますが、業界の足並みがそろわないという——抽象的な表現でまずいのでございますけれども、そういった実態を踏まえて、そういった処置をとらざるを得なかったんではないだろうかと推察をいたしております。これを組合という立場でごらんになった場合に、こういったことが果たして妥当性があるのかどうか、その点ちょっと意見があればお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(宇佐美忠信君) 私ども組合の立場からいたしますと、労働組合はしっかり団結する、そしてまた業界はこの際やっぱりしっかり連帯をして、そしてその力を合わせて、業界全体の安定発展を期すということが大変大事じゃないか、そういう点ではなかなかふぞろいの面がここのところ続いているわけでして、御指摘の企業につきましては、前者の場合には、たとえば労働条件の取り決めも集団交渉を私どもやってるんですけれども、その一社だけは集団交渉にも加わらないということで、これは企業の信念として貫いてきているわけなのですが、できる限り私どもも組合の立場から業界結束を促すように努力はしていきたいと思っております。
○大森昭君 どうもきょうは御苦労さまです。 いろいろお話、聞いていますと、生産、流通、販売、また大企業、中小企業、大変な業界ですから、その意味では池田参考人、宇佐美参考人、大変御苦労いただいていると思いますが、ちょっといまの話と関連いたしまして、個々ばらばらに、いずれにしても法律で対応すると言ってもなかなかそう簡単にいくものじゃありませんので、それぞれ政府に対して、自治体に対してという、ここに挙げられておりますが、とりわけ業界、企業に対して「厳しい現実を直視し、」という意味合いのことが言われておりますが、政策全般といいますか、経営参加といいますか、いずれにしてもそこに働く人たちの立場で業界にそういう意見の反映をする場というものがいま確立されているのかどうか、お伺いしたいと思うんですけれども、宇佐美参考人に。
○参考人(宇佐美忠信君) 御指摘の点につきましては、私ども、たとえばゼンセン同盟と繊維の業界団体との間には、相当以前、昭和三十一年から日本繊維産業会議といいます労使会議を設立いたしまして、そこで、産業の当面しております問題について、双方理解を深め合うということ、あるいはまた組合の意見をそこで反映をするというような仕組みは一応できているわけです。これは何も繊維産業会議だけじゃなしに、業種ごとに労使懇談会等も設立しているわけでありますけれども、何せ御指摘のとおり、大変業種の多い、企業数の多いところでございますから、組織率も業種によりましては、いまだ三〇%にも及ばない、ですから業界全体という段になりますと、この点はきわめて不十分ということが言えると思います。なお、企業レベルでは、それぞれ労使協議制等をもってやっていることでございますが、産業全体は、いま申し上げましたような状況です。
○中尾辰義君 大変きょうは御苦労さまでございます。 〔委員長退席、理事大森昭君着席〕 現在のこの構改法によりまして、今日まで五年間、知識集約化ということを目標にして構改法が実施されてきたわけですが、その進捗状況は、ただいま承わったように余りばっとしない。数字的には計画の承認件数は五十六件となっておりますが、これは各業界ごとには数字的にどうなっておりますかな。それをまず最初にお伺いしたいんですが。各自ひとつ自分の業界の方を述べていただきたい。まず衣料縫製の方から。
○参考人(近藤駒太郎君) お答えいたします。 私、先ほど申し上げましたとおりに、四十七、八年のあの構造改善の委員も努めまして、当時答申いたした一人でございますけれども、当時問題になりましたのは、やはり過剰設備三〇%、そして流通問題が非常に複雑であるということが、当時一年間にわたる論議も呼んだんでございますが、残念ながら当時の状況といたしましては、当時の言い方は転廃業ですね。転廃業ということを申し上げておったんですけれども、現在においてはもう転業というものはきかないんですね。したがいまして、なぜこういうぐあいに五十六件しかできなかったかという先生の御指摘であろうと思うんでございますが……
○中尾辰義君 いや、あなたの衣料縫製の業界で何件できたか。
○参考人(近藤駒太郎君) 私の方ははっきりした数字を持ってませんが……
○中尾辰義君 この五十六件の内訳を聞きたいんです、私は。
○参考人(近藤駒太郎君) この衣料縫製関係では十六件でございます。
○中尾辰義君 十六。はい、結構です。 それじゃ次に、絹人繊の方は。
○参考人(浅井長一郎君) お答えいたします。 一件でございます。
○中尾辰義君 これも少ないな。
○参考人(藤原一郎君) お答えいたします。 産地組合、われわれ組合単位では二件でございます。関連した、アパレルとの関連で四件ございますので、六件でございます。
○参考人(伊藤忠夫君) 主体及び関連入れまして十件でございます。
○中尾辰義君 五十六件にならぬね。五十六件にならぬけれども、まあいいや。 それでね、ちょっと私は厳しいことを聞きますけれども、いま参考人の皆さんにお伺いしたように、構革の事業が進まなかった理由として、オイルショック以後の円高不況の問題があったし、あるいはグループ結合の条件が非常になじみが薄かったとか厳しかったとか、産地組合の指導、活用がなされてなかったとか、対人関係がむずかしかったとか、そういうことを挙げられた、それはよくわかるんですがね。わかるんですが、これは「構造改善のあり方」、これは繊維工業審議会の答申ですね、これを読みますと、かなり厳しく書いてあるんです。毎々言ったような理由もあるけれども、「同時に、業界の現状認識の甘さ、発想の転換の遅れからくる意欲の欠如を指摘せざるを得ない。」、相当これは厳しいですね。さらに、「顧みると、これまで繊維産業に対しては特別な施策が講じられてきたにもかかわらず、必ずしも十分構造改善を推進し得ているとはいえないのが現状である。繊維業界及び繊維事業者はこの点を謙虚に反省するとともに、このような対応を今後も繰り返していくことは国民の理解を得難くなっていることを十分肝に銘ずべきである。」、こういうことなんですが、これに対して、各業界からの一遍感想をちょっとお伺いしたいんです。簡単でいいです。
○参考人(近藤駒太郎君) 先生の御質問に対しまして、私はいろいろ反省いたしておるところもあります、率直に申し上げまして。しかし、一等問題になっておりまするのは、私どもは、あるいは手前勝手な言い分かとおっしゃるかもわかりませんですけれども、当時私申し上げたことは、実施要領ですね、法律を通していただいた暁においては、通産省から出ます実施要領が一年おくれたということでございます。その実施要領に対しまして私どもも参画いたしまして、非常に役所の方からお聞き願った次第でございますけれども、当時の状況といたしましてはインサイダー及びアウトサイダーがございまして、インサイダーに対しましてはできる限りのことをやりますけれども、アウトサイダーの問題も含めてこれを解決せざるを得ないという状況でございまして、この実施要領が非常にむずかしいというか、厳しかったですね。したがいまして、実施要領の厳しいということは当然でございますけれども、私は、あるいは自分勝手なことを申し上げて恐縮でございますけれども、前回の法律の問題に対しましては各種、本日御出席いただいておりますそれぞれの参考人の方々も同じような立場に置かれておるのではなかろうかと思うんですけれども、それぞれの業界に工業組合または協同組合というものがございます。それを全部骨抜きにされたということ、業界の実態は工業組合が全部掌握をいたしておるのでございますので、地方庁で審議されるときには必ず業界に諮問をされて、業界から意見を聴取されたら、もう少し私は進捗したのではなかろうかという考えを持っておる一人でございます。したがいまして、今度の法案に対しましても、どうかぜひともお通し願いまして、そしてわれわれの過去の悪かったところも深く反省するとともに、これはやはり前向きに本当に真剣に取り組んでいかなければ業界が壊滅に瀕するという感慨を深く感じておる一人でございます。
○中尾辰義君 ほかにもう一人ぐらい、浅井さん。
○参考人(浅井長一郎君) それではお答えいたします。 いま近藤参考人がおっしゃられたとおりに工業組合の指導権、協同組合の指導等というものは全くなかったわけでございまして、そういったPRという線においても非常に欠けて、異業種の結合という点においての指導その他が非常に薄かったわけでございます。そういう関係でこのたびのそういった改正案によって、そういう指導、助言、そういった問題も取り上げていただけるようなシステムになっておるかと思いますので、今後はそういった意味合いにおいて十分活用させていただきたいと、かように思っております。
○中尾辰義君 それでは、今度の構改法案に対しては皆さん全部御賛成のようでございますが、この法案が成立しましたら今後は相当進捗が、進む可能性があろうと私は思うんですがね、その点はいかがでしょうか。今度はちょっといけるならいけるとか、その見通しをですね、そう毎回毎回政府は相当金もこれは使っておるわけですよね、業界には申しわけないけれども。それは皆国民の税金でもありますし、そういうことで今度の改正法案に対して進捗はどういう見通しなのか、これはむずかしい問題ですけれども、せっかくおいでになったんですからこういう質問も聞きませんと申しわけないと思うんですよ。藤原さんです。
○参考人(藤原一郎君) お答えいたします。 ただいま反省も含めて両参考人から御意見が出ました。私もずっと審議の過程一緒におったわけでございますから、その審議の過程でいま御指摘のありましたようなことをずっとそれぞれの傘下各組合に流していったわけでございます。したがいまして、今度の新しいでき上がりますこの構造改善につきましては、六月実施されるのと同時に直ちに取り組むような姿勢で臨むように各組合に十分話をいたしておりますので、これまでのようなことのない、御期待に沿える状態でいけるということだけは確信いたしております。 〔理事大森昭君退席、委員長着席〕
○中尾辰義君 それでは、絹人繊のことで浅井参考人にお伺いします。 一つは、さっき保税工場がけしからぬと、そういうことでお話がございました。これは先々週の商工委員会におきましても、私が通産大臣にも質問をいたしまして、保税工場は、外国に税金のかからぬものを織物を織って輸出をして、さらにそれを輸入をして日本の業界が圧迫されている。さらには、また日本では織機をどんどん壊しておるんですね。廃棄処分をしておりながら、外国には商社等が新鋭機の織機をどんどん据えて、それを輸入しているのはけしからぬじゃないかということで質問したんですが、そのときの通産大臣は、これは明らかに脱法行為である。今後厳重に取り締まると、こういう御答弁がありました。それで今後も監視をしていきたいと思っておるわけです。 それともう一つは、生糸の一元化ですね、蚕糸事業団による生糸の一元化、これは今日まで再三にわたって問題化されておるわけですけれども、これまた非常に生糸の生産者と片方は織る方ですからむずかしいんですけれども、浅井参考人としてはこの生糸の一元化につきましてどういうように改正をしたらいいのか、これは全く自由にすればそれは申し分ないでしょうけれども、それじゃまた生糸のつくる方は言い分があるでしょうが、その辺が非常に政治的にむずかしいところだろうと思いますがね。この点に対しての御意見、具体的にひとつ、まあそこに政府側も聞いておりますからね。
○参考人(浅井長一郎君) お答えいたします。 いまの保税問題でございますが、これは当然、従来は和装じゃなくして洋装ということで輸出されておったのが現状でございますが、価格の差が三倍ぐらいの差があるということになると、どうしてもそこに目をつけられる業者、あるいは輸入商社、そういった関係の人たちが介在されるわけでございます。そういうことで、極力こういった問題については、われわれ業界においても相互監査、こういったことによって、もしも和装関係において逆輸入できるような商品を生産しておるんじゃないかというようなことについては厳重に業界自体においても処理していきたい。そのかわり、やはり政府においても、こういった輸入業者その他においては厳重にひとつ指導、監督をやっていただきたい。かように、保税の関係についてはそういうようにわれわれとして思っておる次第でございます。 それから、生糸一元化の問題でございますが、本当に四十七年、八年の狂乱物価、または異常的な高度成長のときには、何分にも世界の生糸八十万俵生産される中で、わずか一億ぐらいの国民が半分強を占めるというような、非常に膨大な消費の国でございますし、特に民族衣装という問題を抱えておる関係上から考えても、これは各国が目をつけるのが当然でございます。そういうことで、自由に入ってきた糸が一元化によって撚糸に変わり、撚糸が貿管令によって世界各国に広められた関係上、付加価値の高い織物に順次変わってきておるのが現実でございます。こういう意味においては、まあとりあえずいまこの一元化を解けという問題になれば大変な問題でございまして、まず、農林物産——第一次物産でございます関係上、なかなかそういうことは解けられないというのが現状でございますので、かつて五十一年、われわれがその当時お願いした問題として、お互いに通産省でも企画をしていただいた問題は課徴金制度という問題で、一たん入ってくるものをひとつ水際において課徴金によって養蚕業者に補てんをしたらどうかというふうな案まで、通産当局で出たわけでございますが、それがいつの間にか農林、また国内の事情から、やむを得ず取り消しされたわけでございますが、まあいまでもそういった課徴金、そういった制度をまずできれば非常な幸いとわれわれは思っておるわけでございます。
○安武洋子君 きょうは、お忙しいところおいでくださいましてありがとうございます。共産党の安武でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 私、まず最初に、藤原参考人と浅井参考人にお伺いさしていただきとうございます。繊維の産地の問題でございます。繊維の業界につきましては、先ほど各参考人の方から、輸入の増大とか長期の不況とか内需の停滞、円高などで深刻な状態にさらされているというふうなお話がございました。また、下請も親企業の難引きとか、不当な返品に泣かされているというふうな実情もお話しされまして、不合理な取引慣行がやはりそのまま是正されないでやられている、しかも手を変え品を変えやられているというふうなお話もございましたし、まあ工賃も低いし、労働条件も決してよくないというふうな問題がございます。 こういう問題につきまして御意見がございましたらお聞かせをいただきたいんですが、私はいま何よりも産地全体の繁栄を図ってまいらなければならないというふうに思っております。全国各地に産地をお抱えのお二人でございますので、繊維産地全体の振興繁栄策について一定の御意見をお持ちだろうと思うんです。いま問題になっております構造改善事業も含めて、どのようなことがやはりこの産地全体を繁栄さしていく上で問題になっているのかというふうなことをお伺いいたしとうございますし、また、政府にどのような要望をお持ちかということ、まあ産地全体を繁栄さすという観点でお伺いいたしとうございますので、ひとつどうぞよろしくお願いいたします。
○参考人(藤原一郎君) お答えいたします。 ただいま御質問のございました産地全体の問題でございますけれども、御承知のように播州産地につきまして一応参考までにその状態をお話し申し上げて、大体それに似たような状態でございますので、ひとつ御参考にしていただきたいと思いますが、御承知のように、安武先生の地元でもございますし、播州産地というのは先染めの産地でございまして、約八〇%は輸出をしておるというような典型的な先染め産地でございまして、これは産元と、それから機屋と、それから染色と加工という、四つの部門が相寄りまして振興会をつくりまして、それぞれの対策を講じておる。そこでは、振興会ですべての問題を討議するということにいたしまして、一応すべての問題はその振興会の中で討議をしながら進めていく。したがいまして、産元はそのいわゆる播州産地における販売、それから営業の機能を持ったものが産元でございます。機屋は織ることでございますけれども、この機屋も現在では、もちろん大きな機屋もございますけれども、大体零細化してまいりまして、大体千五百軒ほどの機屋で二万四千台でございますから、大体十六台が平均というような小さいものでございますから、一軒の機屋ですべてのものの製品をつくり出すことはできない。したがいまして三社とか四社とかが共同いたしまして、産元の指導で品物を納めておるというようなことが実情でございます。それから、染色は御承知のように十九軒ございまして、それは染色を専門にすべてのものの染めをやっておる。それから、加工は七軒ございまして、その加工でやっておる。一枚の指図が入ってまいりますと、いわゆる期限の来たときにきちっと神戸の港なり大阪の港へ着くというのが播州産地の特色でございまして、そういうようなことをやりながら、その先染めの特殊性を生かしながらそういうことでやっておるのがいわゆる播州産地でございますが、われわれは全国に綿工連は六十三産地持っております。それで、織機にいたしまして約三十三万台、機屋にいたしまして一万七千軒というのが大体の綿工連の組織でございますが、まあ播州産地を例にいま申し上げましたけれども、そういうような産地が遠州にございますし、天龍社にございますし、その他の産地といたしましては大体生地産地でございますから、御承知のようにいまいろいろな問題を抱えた生地の産地でございますけれども、大体似たり寄ったりのような状態でやっておるのがいまの姿であろうと。 したがいまして、政府に対する要望というものは、まあ何か申し上げますと繊維は甘えておるというんでじきにしかられるんですけれども、もちろん自助努力は十分せなければならないと思いますけれども、いま申し上げましたような、たとえば構造改善事業のようなものでも早くひとつ成立さしていただいて、それの特典が与えられるようなことをお願い申し上げたい。以上でございます。
○参考人(浅井長一郎君) お答えいたします。 御承知のとおりに絹人繊業界は全国に産地が二十九産地ございまして、まあ大別して絹織物と何といっても合繊関係、合繊関係は何といってもやっぱり北陸産地のような量産品、まあ輸出志向型と申すか、そういう産地と、それから先染め、こういう関東産地のように内地志向型という産地がございます。それから絹関係でございますと、どうしても国内関係が非常に圧倒的に多いわけなんで、やはり絹関係から申しますと、何といっても国内の民族産業を生産しておる関係上、需要促進という意味で少しでも和装になじんでいただく、こういう日本の特殊事情をまず勘案した着つけ教室とか、こういったあらゆる学校を通じての問題、こういった問題においての消費拡大、そういうようなことをまず産地全体が考えると同時に、やはり高級化、多様化という意味においての商品開発ということをまず前提に置かないと、なかなか産地全体が沈滞していくというような傾向が見られるわけでございます。 それから合繊の分野で、まず輸出の北陸産地を主体にしたようなところから考えれば、やはりまだ輸出依存度が多いわけでございます。そういう意味において、やっぱり一歩一歩前進して近隣諸国以上の商品開発、こういったものによっての世界の素材産業としてやはり生き残っていかなければならない産地じゃなかろうかと、こういうような感じを受けておるもので、そういう指導方法についての産地別の考え方を持っておるわけでございますので、どうかよろしくお願いします。
○安武洋子君 重ねてお二人の参考人にお伺いいたしとうございます。 現在の構造改善事業が所期の構想どおり進まなかったというお話は各参考人から出ておりますが、これは委員会の中でも討議されたところでございます。その上に立ちまして、今度産元とか親機、これを入れたグループも構造改善事業ができるようになったわけでございますけれども、どのような点を産元、親機に御期待なさるのでしょうか。 それから、私先ほどの委員会の中で大商社とか大手メーカーが産地をまる抱えにして、いいときはよろしゅうございますが、不況になったときは産地にしわ寄せを持ってくるのではなかろうかという危惧をここで提出したわけでございます。まあ産地によりまして産元との関係とかかかわり合いとかいうのは、いろいろなかかわり合いございましょうから一概に言えないと思うんですけれども、産地組合として産元などにどのような要望を持っておられるか。大手メーカーなどに対して私が危惧いたしましたようなことについて、どういうふうにお考えでございましょうか。何か政府にでもこういう点で要望なさるというふうなこともお持ちじゃございませんでしょうか。そのあたりをお聞かせ願いとうございます。
○参考人(藤原一郎君) お答えいたします。 今度の構造改善で入っております産元、親機グループというのは、それぞれの産地における産元でございまして、大企業のまる抱えになった——もちろん系列の中に一部入っておるものはございますけれども、その大企業のまる抱えになった産元という意味じゃなく、それぞれの産地による産元、したがいまして、われわれのところで申しますと、いわゆるそれはいまも申し上げましたように、その産地の地域の販売部門と営業面を担当するものである。したがいまして、この構造改善でもしグループ化していきますと、いわゆるそうした面と、それから開発面、いわゆる商品の開発——技術の開発はもちろんわれわれの方でやりますけれども、商品の開発等の企画力というものもやはり産元の責任においてやっていくということになりますので、大資本のまる抱えになるというような、いわゆる大資本の、そういうこと言うていいか悪いかわかりませんが、そういうようなことの心配はないということでございます。
○参考人(浅井長一郎君) いま藤原参考人がおっしゃられたとおりでございますが、われわれ産元、親機の現在までの地域集約化、そういった資本を生かして産地全体が繁栄できるような構造改善をやりたいというつもりでございますので、どうかよろしくお願いします。
○安武洋子君 藤原参考人に重ねてお伺いさしていただきとうございますが、播州産地では振興会が中心になっていままでいろいろなことをおやりになってきておられます。組合の果たす役割りというのは私は大変大きいようにお見受けしてきたわけなんです。現在進められておりますこの構造改善事業ですが、そこに今度新しく産元、親機が加わったというふうな構造改善事業、これができるというふうなことになりますのですが、既存のこの構造改善事業、非常にうまく振興会を中心にしてやっておられた、そこに新しくそういう形の構造改善事業が入ってくるわけなんですが、従来の構造改善と、それから今度新しく取り入れられるというのを調和さしていかなければならないと思うんです。余りうまくいかない場合は、せっかくうまくやっていた中に縦割りのグループ化ができるというふうなことも案じられるわけなんですけれども、どういう参加の仕方が望ましいとお考えでございましょうか。
○参考人(藤原一郎君) お答えいたします。 確かに御指摘のとおりでございまして、現在いわゆる播州織五組合で新繊法による構造改善を実施いたしておりますから、この新しくできました構造改善で産元がもし加入してそのグループに入るということになりますと、どういうことにするかということにつきましては、まだ詳しく私の方で新繊法によるなにはどういうことにすることが一番望ましいかということは、いまからの研究課題だというように考えておりますけれども、いずれにいたしましても、重複するようなことのないように、現在やっておりますものにおんぶした形で、やはりそこに協力面を持っていって産元の機能というものを発揮していきたい、こういう考え方でございます。と申しますのは、われわれグループの中にはそれぞれのグループ活動ということで、それぞれ品種のグループを組合指導の中に置いておりますので、産元とのいろいろな取引の関係の中におきましても、そういうことではうまくいくんじゃないかというように考えておりますが、今後の課題も含めてそういうような考え方でございます。
○安武洋子君 それでは池田参考人にお伺いいたしとうございます。 私は繊維産業では合繊やそれから紡績の大手メーカーの企業戦略、それから大商社とか産元の動向がやはり繊維業界全体を動かしていると思うんです。大商社とか大メーカーと言われる系列関係にある産元が、このグループ内の一員として入ることによりまして、構造改善の様相というのも非常に違ってくるのではないかというふうに思っているわけです。これまでも、大商社などの大手企業が産地企業を系列化しておりますし、今後もそれは一層進んでくるのではないかというふうに思います。アパレル部門でも大商社の意のままにならない中小企業というのは、いままでつぶすというふうなことも見受けられます。輸入問題も依然として解決されておりませんけれども、これは各参考人が輸入問題いろいろおっしゃっておられましたけれども、私はやはりこれも大商社とか原糸メーカーの海外進出による逆輸入というのが実態だろうと思います。雇用の問題も大きゅうございますし、私はせんだっての委員会の中で丸紅などの例を挙げまして、商社とか大メーカーの規制をしなければというふうなことを政府に要望いたしたわけでございます。通産省のお返事というのははかばかしくございません。繊維産業をどう発展させるかというふうな問題につきましては、雇用の問題も含めて考えるときに非常に大きな問題でございますけれども、商社とか大手メーカーの海外進出とか逆輸入とか、それから高級品化、ファッション化の名による価格アップという考え方とかというふうなので、大企業本位の繊維産業、こういうビジョンということは慎重にやっぱり考えなければならないと私どもは思っております。商社、大手メーカーのあり方についてやっぱり一定の規制も必要じゃなかろうかというふうに思いますんですけれども、池田参考人の御意見をお伺いいたしとうございます。
○参考人(池田友次君) お答えをいたします。 私ども繊維労連としては例の新たな構造改善策が提起をされました四十九年でしたか、この段階で、いま先生からお話のございました構造改善事業の主体に大手のいわゆるメーカーなりないしは商社がこれに参入をするということについてはあくまでも反対であると。というのは、そうでなくても今日繊維産業がそういう非常に数少ない原糸メーカーや商社によって支配をされておる、こういう状況を考えまして、この繊維政策をてこにさらにそういう支配を強めるものではなかろうか、こういう観点から大手メーカーがこの構造改善事業に参加をするということについては今日まで一貫して反対をしてきておるところであります。また、お話のございました特にこの輸入問題に関連をしたことで、これまた大手の商社なりメーカーが海外に資本投資をして現地に合弁会社をつくる、それが回り回って再び国内に入ってくるというような、そういう問題につきましても、これはもう通産省には何回となくこの点につきましても適切な措置を講ずるべきだと、こういうことで要請をしてきておるところでありますが、全体の輸入規制問題と相まちましてこれらの問題につきましては、まだ私どもの納得のいく十分なそういう態度なり、あるいは具体的な措置がなされておりませんので、これらの問題につきましては、引き続き国会の御理解を得つつ、通産省に対しても必要な要請行動は起こしていかなければならないだろうと、このように考えております。
○安武洋子君 どうもありがとうございました。終わります。
○柿沢弘治君 各参考人にはいろいろと貴重な御意見を賜りましてあるがとうございました。 私も幾つかお伺いをいたしたいと思いますが、今度の現行法の改正、一つは異業種提携というものの幅を広げて、横といいますか——型の提携を認めていくということで何とか実効を上げたいというふうに考えている。その点はよくわかるわけですけれども、産元、親機の関係についてはいろいろ御説明がありましたが、アパレルの関係、たとえばニットとか縫製品なんかで今度の法改正がいままでの現行法でなかなか適用対象が少ないというお話が、参考人からもこもごもございましたけれども、格段の飛躍というものが期待できるだろうか、できましたら近藤参考人、伊藤参考人からちょっとお伺いをいたしたいと思います。
○参考人(近藤駒太郎君) お答えいたします。 先ほど来より申し上げましたとおりに、今回の構造改善に対しましては、それぞれの業界団体が一致団結いたしまして、過去もう二年も三年にもわたり十二分に説明をいたしまして、もしこの構造改善の法案をお通し願ってこれに参画しなかった場合には、それぞれの企業が自滅いたしますよというような御説明をいたしております。したがいまして、私は大企業あるいは産元等の先ほどのお話にも出ましたですけれども、少なくとも過去の夢はもうないと思って、私は確信を持って申し上げられることは、大企業が中小企業を支配する時代はもう過ぎたと、これはもう私は自負心を持っておるんでございますけれども、われわれもうとにかく北海道から南は沖繩に至るまで、この縫製業者というものは多数ございますけれども、それぞれのもうこの数年間にわたる不況対策に対して、相当皆さんもお考えになっておられますということで、私は今回の法案をお通し願えれば必ずや皆さん方前向きにこれには真剣に取り組んでいただけるものと確信を持っておる次第でございます。
○参考人(伊藤忠夫君) ただいまの柿沢先生の御質問にお答えいたします。 構造改善それ自体はもし自分でできればそれが最善の方法だと思います。五十一年の十二月に「新しい繊維産業のあり方について」という提言が出まして、私どもはそれにつきましてもう業界に非常にPRをいたしました。それで、この構造改善を図っている企業の中で三つあると思うんでございます。すでに自力によって構革、これは主として垂直的連携によって構革を実施している方と、それから現在やりたいと思っているんだけれども、いままでの制度が非常にむずかしいのでまだちゅうちょしていたという方、それから今後五年間の中においていまからでも遅くないから考えてやっていこうと、こういう最後の方と、こう三つあるわけでございます。それで、そのいずれにおきましても、この構造改善、グルーピングと言いますけれども、グルーピングといっても企業と同じような態度でもって経営をしていきませんと壁にぶつかるわけでございます。言うならば、このグルーピングという小田原評定みたいなグループでは構革の意味をなさない、企業並みの厳しい姿勢に徹したグループというものをつくらなくちゃならない。それで、それのつくる計画というものが十分具体的でもって、緻密であって、将来発展していけるものを持っていかなくちゃならぬ。単に制度に乗って金を借りるなんというのはもう言語道断であると。それで、しかも自主性というものを堅持していかなくちゃならない。それで、この垂直的連携の中において大事になってくるのは、販売力というものがなかったならばいかに技術だけ開発してもこれはだめであると。この販売力というものと見合った計画を立てる必要がある。それで、それにはいずれにいたしましてもグループとして機関車になる、核になる企業が必要であるし、その核の企業の経営者というものはやはり衆を率いるに足る、モラルの面においても能力の面においてもそういう方でなくちゃならない。そういう人をまず探すことが大事なんですが、問題点はそのような方は独力でもってすでにその構革というものをどんどん進めておる。ここのところに一つの課題があるわけでございますけれど、今後やはり成功した企業を見まして、それでこの政府の弾力的運営によって新しい構革、まして産地においては親ニッターというものと子ニッターというようなグループを許可されるわけでございますので、私どもといたしましてはもうせいぜいPRする、まして今後は地区組合も工連も参画できるわけでございますので、適切な指導をしたいと考えたわけでございます。終わります。
○柿沢弘治君 現行法もなかなか工夫されたといいますか、法律だったんですけど、ちょっと理念先行で現実の適用がむずかしかったという点があったと思うんです。この点については法案の審議のときにも通産大臣なり通産省の方にも議論をしたんですけれども、これからのまさにソフトウエア分野での政策的な助成、繊維産業についての助成というものがどうやったらうまくいくんだろうかと、これはまあ政策当局も大変悩んでいるところだと思いますし、業界としても悩みがある。われわれとしてもなかなかいい手がない、知恵がないというのが本当のところだと思うんです。そういう意味でいま伊藤参考人から、やはり受ける受け手の側の自主性と判断、そしてもうこの五年でやっぱり勝負をしなければ日本の繊維産業はだめなんだというぐらいの厳しい受けとめ方で、ぜひ今度の法律の助成策というものを業界としても活用していくという覚悟でおやりいただきたいと思っております。 それから、もう一つの新しい政策手法である人材育成資金、これもうまくいくのかなというのが大変私も心配で、法案審議のときも質問いたしました。江崎通産大臣から事業協会に任して大丈夫かどうか、これからしっかり監督していくというお話もあったわけですけれども、その点についていまの人材育成基金の金額、規模、予算の規模、そしてそれでやろうとしている事業内容、そういうものが本当の意味でアパレル産業にとってプラスになるという期待が持てるかどうか、その点についても伊藤参考人、それから近藤参考人、そしてこれに主体的に参加をされるという立場で、組合として今度の人材育成基金に対してはどう考えていらっしゃるのか、その効果のほどをどうお考えなのか、できましたら宇佐美参考人にお伺いをいたしたいと思います。
○参考人(伊藤忠夫君) 企業は人なりと申しますけれども、これは業界も全く同じでございます。 今度の政府で一億五千万、業界で一億五千万、三億の金の果実でもってやるわけでございますから、言うなればこれはもうスズメの涙と言えるかもしれませんけれども、その中においても事業協会が主体となりまして、もちろんこれは業界からのエキスパートというものを活用していただかぬといけないと思うんでございますけれども、要するに何を習ったらいいんだという習うべきところの焦点というものをまず業界に徹底させる。それから、その習い方はこうしたらいいじゃないかと、企業内でもこういう教育というのはできるじゃないかと、こんなようなところから始めていったならばというふうに考えておるわけでございます。それから、もちろんこの教育というものを人材養成、これは企業の責任でございます。それで、業界においても企業においてもやはり応分の負担を覚悟するぐらいでないとこれは人が養えないと思います。そのような気持ちでもって私ども工連も人材、それなりに養成やっておりますし、それから地区の組合も一体になってやっております。研修会あるいは展示会というような形でございますが、もっと先ほど申しましたような高い文化というようなことに対する関心をどう持つかということが、一番の源になるように感じるわけでございます。 終わります。
○参考人(近藤駒太郎君) お答え申し上げます。 ただいま柿沢先生の御指摘のありましたとおり、また伊藤参考人からもお話がありましたとおり、予算の一億五千万、そして業界の出す一億五千万、合計三億、この果実でもって人材育成という。まあ率直に申し上げまして三億の基金で、その果実で人材育成とタイトルは非常にいいんですけれども、実質的に非常に問題があるという、私どももそういうことは初めから危惧いたしたんでございます。しかし、少なくとも国費の一億五千万という予算を組んでいただいて、そして業界から一億五千万というお金を、合計三億の基金をつくって、とにもかくにもいままで一番下積みにおりました、えらい失礼でございますけれども、何ら助成措置もなかったこのアパレル産業育成強化のために初めて——私三年前にニューヨークで留易会議のときにこの問題を出したんですね。自来、三年間叫び続けてきたことが、今回ようやくこの予算を組んでいただいて、アパレル振興のために人材育成ということをお図り願ったということは大きな進化である。したがいまして、この三億の果実で何もできぬのじゃないかという御指摘もありましょうけれども、いずれにいたしましても、私どもはこの予算を組んでいただいたということに対しては高く評価するとともに、業界挙げてもう新しく大学を卒業した人を養成するんじゃないんですね。もう既存の技術者あるいはエンジニアをセールスマンを養成していく、短期養成だということに専念をいたしたいと、かように考えておる次第でございますので、この組んでいただいた成果というものに対しては大いに感謝をするとともに、実効ある実りの多いものにしていきたいと、業界といたしましては大きな期待を持って迎えておる次第でございます。
○参考人(宇佐美忠信君) 私、この法改正の審議をいたしました繊工審の場でも申し上げたんですけれども、人材育成が取り上げられたことは大変結構なんですけれども、そこで一体じゃどういうことを考えるのかということで、この法によりますと「衣服に関し新商品又は新技術の開発又は企業化、需要の開拓等に必要な技術及び知識を有する技術者、経営管理者等の養成及び研修の事業」、大変範囲が広いわけです。これだけ範囲の広い人材育成というものが、一体三億の基金でできるのかどうかということについてはこれ大変疑問を持つ。入れていただいたことは結構ですけれども、これじゃもう大変財政の裏づけとしては貧弱過ぎるのではないか。 そこで問題は、この人材育成、人材育成と言うけれども、少ない金を有効に使おうとするならば、一体どういう人材像を描くのか。いま当面業界にとって一番必要な人の人材像は何なのかということをはっきりさせた上で、それに焦点を合わせて育成をしていくということが大変大事になってくるのではないか。その点のコンセンサスをどうつくり上げていくのかということが大変大事なことではないか。たとえば、アメリカあたりではもうニューヨークであのFITなんていうのは、これは労働組合も参加してファッションを育て上げる教育ということが行われてきて、現にやっぱりニューヨークが非常にファッションの都市に変わってきている。そういうことを考えると日本は余りにも遅過ぎたわけですけれども、今回は三億ですが、逐次ひとつこれは拡大していただいて、そういう人材育成に力を入れていただきたい。 それともう一つは、幾ら人材育成しましても、今度は企業側がその人たちに対する処遇をどうするのか。やはり、処遇と人材というのは結びついてくるわけですから、そういう点で先ほど来低賃金の問題が出ておりましたが、処遇問題も組合の立場からは特に強調をしなければならない点だと考えております。
○委員長(福岡日出麿君) 他に御発言もなければ、参考人に対する質疑はこれにて終了いたします。 一言ごあいさつを申し上げます。 参考人の方々には御多忙中のところ、長時間御出席をいただき、また貴重な御意見を拝聴させていただきましてありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。 午後二時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十七分休憩 —————・————— 午後二時三十六分開会
○委員長(福岡日出麿君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 海外経済協力基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、随時、海外経済協力基金の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福岡日出麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(福岡日出麿君) まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小坂経済企画庁長官。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 海外経済協力基金法の一部を改正する法律案について、提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 今日、開発途上国に対する経済協力は、ますますその重要性を増してきており、さきの主要国首脳会議等におきましても、経済協力の積極的な推進を図ることが先進諸国にとっても不可欠であるという共通の認識が明らかにされました。わが国といたしましても、昭和五十二年の政府開発援助実績を三年間で倍増することを目標とする等、その積極的な拡充を図る旨を表明したところであります。 海外経済協力基金は、海外経済協力を促進することを目的として、開発途上国の産業の開発または経済の安定に寄与するため必要な資金の貸し付け等の業務を行っており、今日ではわが国の政府開発援助のおよそ二分の一を担う中心的な援助機関となっております。 したがって、わが国の政府開発援助を一層拡大していくためには、各種援助の充実と相まって、海外経済協力基金の事業規模を拡大するとともに、その事業運営の体制を整備強化することが緊要となっており、このため本法律案を提案した次第であります。 次に、本法律案の内容について御説明申し上げます。 改正の第一点は、基金の借入金等の限度額を引き上げることでございます。 基金の原資は、一般会計からの出資金と借入金及び債券発行に大別されますが、現行法では、資本金及び積立金の合計額を限度として借り入れまたは債券の発行ができることになっております。 政府開発援助三年倍増等の目標を実現するためには基金の事業規模を大幅に拡大しなければなりませんが、現在のわが国の財政事情のもとでは、一般会計の出資に大きく依存している原資面の制約を緩和する必要があります。このため、借入金等の限度額を資本金及び積立金の合計額の三倍に引き上げ、今後の基金の活動に遺憾なきを期した次第であります。 改正の第二点は、基金が長期借り入れを行い、または債券を発行する場合に、政府がその債務について保証することができるようにすることでございます。 これは、基金の事業規模の拡大に伴い、資金調達の多様化を積極的に図るための改正であります。 改正の第三点は、基金に副総裁一名を置く等事業運営の体制を整備強化することでございます。 基金の業務は、わが国の経済協力の進展に伴って、急速な拡大を示すとともに、貸し付け等の対象国も広がっており、今後さらにこれらの一層の拡充が見込まれます。また、基金の業務は被援助国政府や国際開発金融機関等との折衝など対外的性格がきわめて強いものであります。このため、代表権を有する副総裁一人を置く等体制の整備強化を図ることとした次第であります。 なお、その他所要の規定の整備を行うこととしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び内容の概要であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
○委員長(福岡日出麿君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
○大塚喬君 ただいま海外経済協力基金法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を経済企画庁長官からいただいたわけでありますが、これに関連をして若干の質問をいたしたいと存じます。 初めに経済企画庁長官に数点お尋ねをいたしたいと思います。 この海外経済協力の問題でありますが、その計画性という問題について若干私どもまだ不安と申しますか、そういう点をよく熟知いたしておりません。それで、経済協力における計画性の確立という問題で初めにお尋ねをいたしますが、いわゆる政府開発援助、ODAを質量ともに安定的に拡大をする上で、対外的なコミットメントの計画的な拡大がきわめて重要であろうと思います。このため、今後財政の収支の展望を踏まえて、長期的な観点に立って計画的コミットの方針を立てる等、経済協力についての計画性を確立する必要があろうと思うわけでありますが、この点について政府はどのようにお考えになっておられますか。長官にお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(小坂徳三郎君) お答え申し上げます。 ただいまの援助の計画性の問題でございますが、私はやはりこれは今後のわれわれの課題であると思います。現在までの、またただいまのわれわれの考えは、経済協力はやはり相手国側からの要請を待って行うのが、やはり押しつけ的でなくてよろしいという基本的な考えに立っておりますから、したがいまして、先方からの申し込みを受けてわれわれとしてはある程度の基金を準備してそれを発動していくということが、最も国際的には理解され得る問題ではないかと思います。 もちろん、私らといたしましては、現在の南北問題ということは、これはきわめて重要な世界経済並びに世界政治的な意味があることはよく踏まえておりまして、このためにわれわれはできるだけこの問題の解決のために協力をし努力をしたい、そうした考えは決して他の国に劣っておるものだと思っておらないんでございますが、ただいま申し上げたようにこの協力援助ということが日本の主導権によって個々の問題までわれわれの方から決めていくというわけにもいかないことがございますので、将来の問題といたしまして、さらに現在やっております日本の経済協力の実績その他が進行していく状態を見ながら、あるいはその国に対してはこのようなことがいいのではないかということをさらに前広にかつ幅広に相手国との相談ということもしていって、積み上げていくのがよろしいというふうにも思うわけでございます。 なお、われわれといたしましては、さしあたりは提案の理由にも御説明申し上げましたように三年倍増という、そうした非常に大きな形での日本政府の姿勢を示すにとどまるわけでございますが、この三年倍増というものは非常に私は国際的にも理解されておるし、またそれを着実にわれわれが実行していくということの中から、日本の立場というものもさらに国際的に理解を受けるものというふうに考えておるわけでございます。
○大塚喬君 いまの問題は、また後ほど関連してお尋ねをいたしたいと思いますが、現在までに総理大臣あるいは政府要人がそれぞれ各国を歴訪された際に、あるいは東京でもそういうことがあったわけでありますが、現在までに公約した援助の進展の状況、これについてお尋ねをいたしたいわけですが、具体的にはASEAN諸国に対する協力、それから中東諸国、これはイランとかサウジアラビアとかに対する経済協力、こういう問題がいままでしばしば報道されてきたところであります。そういうことは政府が国際的に意思表示をしたわけでありますが、その対外援助の進展状況については遺憾ながら私どもつまびらかにいたしておりません。これの進展状況は現在どのようになっておりますか。着実に進んでおるのですかどうですか、そこのところを長官からお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(宮崎勇君) 若干数字的なことでございますので、私からお答えいたします。 まず、お尋ねがございました中東でございますが、四十八年に石油危機が勃発いたしましてから、中東の産油国に対しましては石油の安定供給を図るという見地から、それから石油を産出しない非産油国に対しましては友好を深めるという意味から、それぞれ特使を派遣いたしまして話し合いをしているわけでございますが、産油国を中心にいたしまして三木特使がサウジアラビア、イラン、イラク、エジプト、シリア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタールへ参られております。それから、小坂善太郎特使が非産油国であります北イエメン、リビア、ヨルダン、レバノン、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、スーダンへ派遣されております。その際約束されました案件は、現在シリアを除きましてそれぞれ実施段階に移っております。中には完了したものもございます。シリアにつきましては、先方における計画の具体化がおくれているというようなことで、現在双方で話し合いを進めているという段階でございまして、近く具体化するというふうに考えております。 数字で申しますと、五十四年三月末現在で中近東に対する経済協力は、海外経済協力基金及び輸出入銀行を含めまして合計二千八百四十七億で、そのほかに無償が百五億ほどございます。それから、ASEAN諸国についてでございますが、一昨年の八月に福田前総理がASEAN諸国及びビルマを訪問されておりまして、その際にASEAN全体、あるいはこの倍の援助についていろいろ約束をされているわけでございます。そのうちASEAN全体に対する援助といたしましては、例のASEAN工業プロジェクトを共同プロジェクトでASEAN各国を一つずつ、合計十億ドルの資金協力につきまして意図表明を行ったわけでございます。このうちインドネシアの尿素のプロジェクトについてはASEANプロジェクトとしてASEAN各国の合意を得ておりますので、その実施計画も作成されまして、正式にインドネシア政府から要請が参っておりまして、現在その資金協力のあり方につきまして具体的に両国の事務当局で詰めを行っております。その他のプロジェクト、ASEANの共同プロジェクトその他につきましては、まだ実現可能性の調査報告書ができておりませんので、具体的な資金協力という段階にまでは至っておりません。それから、各国それぞれ別々に援助を約束しているわけでございますが、それらについて申しますと、マレーシアに対しましては二百十億円の第四次円借款等、ビルマに対しましては工業化プロジェクトに対する二百八十五億四千万円の円借等、それからインドネシアに対しましては一九七七年度分といたしまして四百九十億円の円借款、緊急援助として食糧借款六十五億円等、それからシンガポールに対しては国際協力事業団による技術協力、それからタイに対しましては二百七十五億円の第五次の円借、フィリピンに対しまして二百七十五億円の第六次円借等に関して援助約束を行っておりまして、これらはいずれも交換公文あるいは借款契約締結済みでございまして、貸し付けの実行が進んでおります。
○大塚喬君 ただいまのお答えでは一部には進んでおるところもあるし、全般的に見てやっぱり着実にその約束というか、そういうものが進展しておるとはどうも受けとめかねるわけであります。それらの経済協力という問題がその都度便宜的になされて、計画的な海外経済協力という問題から見ると、若干私どもに不満が残るわけであります。そのような現状でいままでのたくさんの対外援助に関する約束、これをいま一度フォローアップして、これから確実に円滑にこの海外経済協力が進む、実効を上げる、こういう配慮がどうしても必要であろうと思うわけでありますが、この点について計画的にもう一度見直しをすると、こういうことについて、長官どのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) きわめて貴重な国民の税金をもととした協力援助でございますので、われわれといたしましてはその進行状態等については先方の国のいろんな事情もあると思いますが、やはりこれは常時皆見つめながらその進捗を進めて、そして計画の実現を通して日本の国際協力の実を上げてまいる必要が当然だと思います。今後は、したがいまして、そのような事態をさらに、現実もうすでにやってはおるのでございますが、これは余り発表していないわけでございます。発表は余りしていないわけでございます。その進行状態等につきましてできる限りわれわれとしましては把握をいたしまして、そしてその時点その時点における状態をでこぼこのないような形で進めるというふうに心がけてまいりたいと思います。
○大塚喬君 いまお答えの中に、国民の貴重な税金を使うと、まさにそのとおりであろうと思います。そのためにはやっぱり国内問題もおろそかにできない問題があろうと思います。その説明の中にもありましたように、ボン先進国首脳会議において公約化されたわけでありますが、五十三、五十四、五十五年の三年間にかけて五十二年度十二億ドルの倍増二十四億二千万円という、こういう海外経済協力をすると、こういうことを明らかにされたわけでありますが、この経済協力の拡大に当たって国民の理解と協力がどうしても必要であろうと思います。わが国民が開発途上国の立場、ニーズ、こういうものが現状よく私ども自身まだ十分な理解、こういうことができておらないと私自身も反省をいたしておるところでありますが、これを国民に十分わかってもらう、こういうために対するこれら諸国の実情を広く国民に周知させるべきであろうと、こう考えるわけであります。それがどうしてもこの経済協力を強力に推進するためには不可欠な条件であろうと思います。そういう国民に対するPR活動、こういうことを現在までどういうふうにやってこられたか、私は寡聞にしてこういうことについて余り承知をいたしておりませんが、どのようになっておりますか。
○説明員(大鷹弘君) ただいま大塚先生から御指摘がございましたように、経済協力は国民の広い理解と支持を受けてやらなければ実効が上がりません。世論の支持が必要でございます。政府といたしましてもこの点を深く認識いたしまして、経済協力にかかわっております関係省庁はそれぞれPR活動をやっております。具体的に幾つかの例を申し上げますと、総理府は経済協力につきまして世論調査をやり、またテレビの番組もつくっております。外務省について申しますと、いろいろな広報資料、たとえば「世界の動き」であるとか、「世界にかける橋」とか、こういう一般広報資料の中に経済協力のことを時折はさみ込んでPRしているほか、今度経済協力を中心としたそのための出版物もいろいろ出しております。たとえば「目でみる南北問題」とか、「目でみる技術協力」、こういうことでございます。それからさらに、商工会議所が事務局になってやっております経済協力協調運動というのがございます。これに外務省等は補助金を出してこれに協力しているわけでございます。いずれにいたしましても、できるだけわかりやすく経済協力を国民の皆様に説明して理解を得るということが大変重要なことでございますので、今後とも大塚先生御指摘がございましたように、政府といたしましてもこういうPR活動には力を注いでいくつもりでございます。
○大塚喬君 いま今後の問題のお話がございましたが、今後どういう対策をどのように進められる考えか、具体的にこのPR活動を推進するための実施案というか、そういうものがございますか。
○説明員(大鷹弘君) 大枠といたしましては、いま申し上げましたように、PRのメディアを使いまして、たとえばテレビであるとか雑誌であるとか出版物であるとか、それからあるいは講演会とか、こういうあれを通じまして国民に経済協力の必要性を浸透させると、こういうことでまいりたいと思っております。これは年々拡大しておりますが、これからもいろいろとこういう方面についての活動を強化していきたいと、こう考えておるわけでございます。
○大塚喬君 大臣、ずばりお尋ねをいたしますが、本法の施行によってわが国の経済協力にどのような効果、従来に比してどのような効果が期待されるものか、大臣の御認識をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 現在お願い申し上げております基金法の改正によりまして、われわれといたしましては活動する資金量が飛躍的に増大できるということ、また機構的に見ましても副総裁一人を増員さしていただいて、そしてこれは従来からいろいろな面で先方の政府の当局者あるいは先方の国立銀行の総裁というような人たちとの折衝でございますが、これにもつとわが方の活動力を拡大するということ等でございまして、われわれといたしましては、少なくとも三年倍増のプログラムをやるためには、最低限度この程度の拡充をさしていただかなくてはならないという考えでございます。しかし問題は、たとえば中国の問題等も出てきた場合に、従来でありますと、なかなかこれは対応できないと私は思います。御質問ございませんからお答えするのもどうかと思いますが、まだ中国から正式な申し込みがないから済んでおるわけでございまして、もしもあった場合には、われわれの方のふところが広くないととても対応できないだろうというようなことも考えられますし、また、中近東の問題一つとりましても、また、この六月に開かれます東京サミット等の南北問題に対する対策の進展等から予測される事態を考えましても、やはりこうした基金の力をふやしておきませんと、日本政府としましても、また日本としましてもなかなか対応できないということではないかと思います。われわれといたしましては、こうした目の先の問題のみならず、今後継続的に海外経済協力を拡大しつつ、言うところの日本の政治的安全と、また経済的安全と、それからまた世界的な平和というものを追求していくという基本的な理念と姿勢は、この改正によってともかく第一歩を進めるというふうに考えております。
○大塚喬君 この改正によって飛躍的な拡大発展と、こういうものを期待されるお答えでありましたが、問題がやっぱりこの改正によって大きく残るだろうと思います。と申しますことは、従来、ODAの現地調達先へは、一般会計からの出資金、運用部資金、こういうことで賄ってきたわけでありますが、このたびの改正によれば、その調達コストのかかる、高い借入金主体の経済協力と、こういうことになろうと思うわけであります。いまでさえも余り評判よくない、悪い条件の日本の経済協力、これに悪化の拍車をかけるような、そういうことになるのではないかと心配をいたしておるわけであります。この点の解決策は大臣としてはどうお考えでございますか、大臣からひとつ初めに聞かせてください。
○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいまの御指摘のような点が十分考えられます。したがいまして、政府の方から交付金をもらってそれで薄めるということでございましょうか、そうした方向をやることになっておりまして、交付金でそのしのぎをしていくということでございます。
○大塚喬君 あと補足あったらひとつ。
○政府委員(宮崎勇君) ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、現在まで基金の原資は出資金と借入金でその比率が一対一。今回それを一対三にまで引き上げるということをお願いしておるわけでございます。したがいまして、現在の調達コストは大体三%程度でございますけれども、だんだん借り入れが多くなってまいりますと、当然のことながらこれが上がるという危険性があるわけでございます。一方、御指摘のように、わが国の援助につきましては、量的な面もさることながら、同時に質的な面の改善が要請されているわけでございまして、その中で貸出金利をできるだけ安くということが要請されております。したがいまして、場合によっては逆ざやが生じるということがあるわけでございますが、現在、基金法の中で政府から交付金を受けるということができるようになっております。したがいまして、そういう場合には当然その分を交付金で仰ぎ、借入限度を引き上げたからといって援助条件が悪くならないように措置したいと思っておりますし、現在措置できるようになっているわけでございます。
○大塚喬君 いわゆる質の問題ですね、これは現況日本は他の国から比較して大変条件が悪い。この質の改善ということは、いまおっしゃったように、きわめて重要な問題であろうと考えるわけであります。ODAの加盟国中、このさきの勧告を出した条件に満たないというのは日本だけのようですね。こういう事態を招いた原因は一体何にあるんですか。これは政府がいままでそういうことに渋っておったということなんでしょうが、今後の具体的な改善策、それをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(廣江運弘君) 先生の言われますODAの条件は、ODA全体のグラントエレメントが日本は七〇%、七〇・二でございまして、DAC諸国平均が、これは七七年で申し上げますと八九・三で、国際目標が八六%でございますので、それに及んでないではないかという御指摘でございます。 このグラントエレメント自体につきましては、いろいろ歴史的な経緯もございますし、それぞれの国の持ちます援助の態様いかんということにもかかわると思います。端的に申しますと、無償といいますか、グラントの割合が低い国と、それからヨーロッパのような、旧植民地等に対する関係で非常にその辺の高い国との関係もございまして、一概には言えないところかと思いますが、御指摘の点は否めないところでございます。ただ、先生、これを過去から日本の努力の形態を見てまいりますと、グラントエレメント全体では、たとえば一九六七年と一九七七年を比べますと、日本は先ほど申し上げましたように七〇・二と申し上げましたですが、十年前の五七・六からここまで上ってきているわけでございまして、年々改善をいたしてきているわけでございます。ちなみにDAC全体では八四・三のものが八九・三になっているわけでございまして、そういう意味でのスピードと申しますか、援助条件の改善の状況はおくみ取りを願いたいと思います。また、グラントエレメントの中で非常に大きなウエートを占めます、日本の場合特にODAの約半分が借款でございますので、その借款のグラントエレメントと申しますか条件も、十年前の三二・六から七七年には五二・一と、約一九・五%改善を見ているわけでございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、ODAのグラントエレメント全体といたしますと御指摘のような点がございますので、ことしの五十四年度の予算を見ましても御承知いただけるところかと思いますが、無償の予算を非常に大きいシェアでふやしておりますし、また借款につきましても年々条件の改善と申しますか緩和といいますか、ソフト化に努めておるわけでございまして、その辺は今後とも先生のおっしゃいますように努めてまいらなければいけないところだと思います。
○大塚喬君 いま、いわゆる三年間で援助額の二倍増と、こういう問題ですが、本年度の予算を調べてみますと、公約三年間倍増ということで五十五年末に二十八億四千万ドル、こういうことを実現するためには、予算の消化率と申しますか、どういう段階でこれを実現を図るのか、その点をひとつ伺いたいと思います。 それから、現状から見て倍増達成の見通しはこれはいつ立つものか、ひとつお聞かせをいただきたい。
○政府委員(廣江運弘君) 御承知のように、五十四年度のODA関係の予算はGNPに比べまして〇・三一ということでございまして、五十三年度の〇・三〇から上昇いたしているわけでございます。ただ、その予算と、先ほど御質問のありました執行率の関係で申しますと、執行率は必ずしも一〇〇%行っていないではないかということの御指摘かと思います。この点につきましては、私ども国内的な問題もいろいろございますけれども、基本的にはやはり援助は相手国の状況にもよるわけでございます。さらに、その執行率が余りはかばかしくなかった時期は、たとえばオイルショック後の非常に経済的困窮をいたしておる時期等でございまして、これは相手国も含めてでございますが、プロジェクトの進捗が思うように進まなかったというような事情もございます。さらにまた、拠出等の問題につきましては、円レートが非常に高くなったというようなことも響いておるかと思います。ただ、こういうような事情はございましても、この辺は大いに克服をしていかなければいけないところでございまして、相手国が手続等が煩瑣であるとか、あるいは計画の練り方が不十分であるというときには、それぞれそれに対応した手を差し伸べて援助もいたさなければいけませんし、また国内的にもその予算の執行といいますか、その辺の促進に努めなければいけないところでございます。そういう努力を現にいたしておりまして、たとえばODAの約半分を占めます借款、それを主として専担いたしておりますのは今回御審議をいただいております海外経済協力基金ということになるわけでございますが、協力基金の五十三年度の執行はその前年度等に比べますと著しく改善を見ておりまして、事業規模の予算に対しまして約八八%の進捗でございまして、その前年度の約七四%、その前年度の約六六というようなところからは目に見えた改善をいたしておるわけでございます。こういう予算の執行の状況、さらに予算の計上額の状況等を勘案いたしまして、三年倍増計画の初年でございます五十三年は、一体ODAは日本はどのくらいになるのかということにつきまして目下集計中でございまして、恐らくこれは六月ごろにならないと正確なところはわからないと思いますが、最終的にはDACから発表ということになろうと思いますが、五十二年のGNP比〇・二一でございますか、これを凌駕いたしまして改善を見ることだと思います。そういうふうな改善を見ていきますと、先生が先ほど言われました三年倍増はいつ達成するのかということになりますと、これはいまの見込み、いまの執行状況、予算の計上状況というようなところから勘案いたしますと、三年の目標内には確実に達成できると思いますが、いろいろの状況がございますので、これをいつ達成できるかということにつきましては確信はいたしかねるというのが実情でございますけれども、とにかくかなり鋭意その進捗に努めておるところでございまして、目標年までには確実に達成できるという状況にございます。
○大塚喬君 さきに発表されました経済七カ年計画、これによるとGNP対比が〇・三一%と、こういうことの内容でありますが、そうなりますと六十年時点までには一兆三千億円、こういうことに一応なろうと思います。この目的を達成するために五十五年以降対前年度比の伸び率は平均して一八%ということにならないと達成できないと思うわけでありますが、これの実現については成算、そういう確信はございますか。
○政府委員(宮崎勇君) 政府の七カ年計画におきましては、現在進められております三年倍増計画の後においても、海外経済協力を質量ともに充実させるということがうたってあるわけでございます。それで、ただいまお答え申し上げましたように、現在進行中の三年倍増は間違いなく三年間以内に達成される見通しでございまして、その後につきましては円とドルの関係がどうなるかというようなこともございますし、数量的には何億ドルというような目標の提示になっておりませんが、引き続き現在と同じような考え方で努力をしていくということでございます。
○大塚喬君 質問の二番目は、この海外経済協力を強化発展するということに伴う日本経済との関連、これについて幾つか質問をいたしたいと存じます。 その問題は、開発途上国の追い上げ、こういう問題が当然考えられるわけでありますし、これに対するわが国の対応の問題もこれはきわめて重要な問題であろうと思います。現在、そのうちの初めにお尋ねしたいことは、日本の海外投資の実情、現状についてお尋ねをいたしたいと思います。これは大蔵省、通産省、両方からひとつお答えをいただきたいと思います。海外収支ベースで見た場合に、対外の直接投資は不況の長期化で四十九年をピークに五十年ごろから減少し始めてきております。しかし、昨年は再び増加の基調をとり、この四−九月期では九億四千二百万ドル、対前年同期比では四〇%の増加になっておるわけであります。この傾向、今後の見通しはどういうことになりますか。
○説明員(小長啓一君) 海外投資の実績でございますが、手元にございます対外直接投資の年度別、形態別許可額につきまして御報告さしていただきたいと思います。 昭和四十年度の段階では百九十六件、一億五千九百万ドル程度の水準であったわけでございますが、その後逐年増加をいたしまして、昭和四十八年度では三千九十七件で三十四億九千三百万ドルの水準に達しております。その後四十九、五十年の段階では石油ショックの影響もございまして減少をしております。四十九年度は千九百十件の二十三億九千五百万ドル、五十年度は千五百九十二件で三十二億八千万ドルということでございます。最近の状況でございますが、五十三年度の上期の四月−九月の実績で見ますと、千百二十件で二十一億五百万ドルになっておりまして、昨年の同期比で比べてまいりますと、八百三十一件の十二億七千二百万ドルということでございますので五割以上の増加ということになっております。今後の見通しでございますが、私どもは国内の景気が上向いてまいりますと、従来の例で見てまいりますと対外投資はかなり積極化していくんではないかというふうに見ております。特に私ども、昨年の暮れの経済協力の現状と問題点と申しますいわゆる経済協力白書の中でもうたっておるんでございますが、今後の経済協力の進め方といたしましては、ODAの拡充とあわせまして海外投資及び貿易、特に輸入貿易の拡充という面で各般の努力をしていくべきであろうということを政策的努力の方向としてうたっておるわけでございます。したがいまして、海外投資は今後は傾向的には伸びていく方向をたどるんではないかと思っておるわけでございます。
○大塚喬君 特にそのうちで、中小企業の海外進出の問題についてお尋ねをいたします。 発展途上国の追い上げ、円の急騰、こういうことで経営難に陥っておる国内の中小企業、これに対して海外進出によってその活路を見出そうとずる目的で海外貿易開発協会、これによるプロジェクトのあっせん、それから企業化調査の助成、こういうことが現状進められておるわけでありますが、この協会のここ二、三年の活動状況は一体どのようになっておりますか。さらに最近の中小企業の海外進出の状況はどうなっていますか。そこをひとつお尋ねしたいと思います。
○説明員(小長啓一君) 中小企業の海外進出の状況でございますが、五十三年、暦年ベースの統計で見てまいりますと、千六百万ドルの許可ベースになっております。前年に比べまして二三%の増加ということになっております。中小企業の海外進出の具体的な担い手といいますか、政策的な窓口といたしまして、先生御指摘の海外貿易開発協会というのが存在しているわけでございます。海外貿易開発協会の主たる業務の一つは、中小企業の海外進出につきまして、その出資金についての融資をするという制度でございます。これは無利息でございまして、手数料だけを〇・七五%をとっております。償還期間といたしましては、据え置き期間七年を含めまして二十年というかなり有利な条件になっておるわけでございまして、この制度を利用して海外進出を図っておりますその実績でございますが、五十三年度では、承諾べースで六億一千六百万円というのが海外貿の実績として上がっております。
○大塚喬君 この海外経済進出という問題が、わが国の経済に与える影響、この問題もきわめて重要な問題だろうと、私どもこの問題について深刻な懸念を持っております。わが国からの海外進出、これの許認可の内容、どういう基準になっておりますのか、これは大蔵省でしょうか、その許認可する基準についてお伺いをいたしたいと思います。
○説明員(大村喬一君) いま先生の御質問でございますけれども、いま海外投資はすべて届け出制になっておりまして、武器とか麻薬、そういうものを除きまして、原則として届け出をすれば自由に投資できると、こういう体制になっております。
○大塚喬君 現在、自由経済の体制ですから、そういうこと、これも当然だと思いますが、このまま放置してよいものかどうかということになると、これは相当意見の分かれるところであろうと思います。このまま放置してよいものかどうか、いまのように届け出制と、こういうことだけでよろしいのかどうか、その点についての確固たるひとつ今後の見通しの上に立ったお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(大村喬一君) 先ほども申し上げましたように、原則として海外投資は自由化されておるわけでございますが、わが国経済に不測な影響を及ぼす場合には、担当官庁である通産省と協議をいたしまして、そのような場合にはその都度協議の上、例外的な産業について海外投資を行うことの是非についてやっております。したがいまして、いま繊維産業及び皮革産業につきましては、これはそういうものについての投資の届け出がある場合には、これは届け出のみならず、一応通産省と協議いたしました上で決定をしておるというのが現状でございます。
○大塚喬君 国内の産業に対する影響が余りに重大なものですので、この問題についてはやっぱり私は現状で放任ということでは適当ではないと、こう考えるわけでありますが、関連をして、海外法人の設立状況と経営の現状、経営の状態、これについてお伺いをいたします。海外の直接投資が急増しているわけですが、円高で投資コストが大幅に軽減している、こういう問題のほかに、国際収支の大幅貿易黒字、こういうことの是正の問題の解決、こういうことにつながっておる、そういうことによるだろうと思うわけでありますが、日本企業は失業を輸出しておると、こういう対日批判を受けておるわけであります。こういう問題について大蔵省、それから通産省、この対外進出の動きをどのように評価をされておりますか。それぞれひとつ関係の方からお答えをいただきたいと思います。
○説明員(小長啓一君) 先生お尋ねの、海外投資企業の経営状況いかんという問題につきましてまずお答えをさせていただきたいと思います。通産省の実施いたしましたわが国企業の海外事業活動調査、これはアンケート調査でございますが、それによりまして、現地法人の経営状況の傾向を分析をしてまいりますと、石油危機後の世界的不況の影響を受けまして、昭和四十九年度以降経営不振に陥った企業というのがかなり多くなっておるようでございます。しかしながら、現地法人みずからの合理化努力、親企業の追加投資による再建策等によりまして、最近におきましては漸次立ち直りの兆しを見せておりまして、種々の経営指標は上向きの傾向を示しておるというのが現状でございます。先ほどのアンケート回答企業の数字的な内容でございますが、五十一年度では期間損益黒字企業の割合はアンケート調査をいたしました企業の六四・一%が黒字企業ということになっておるような現状でございます。
○説明員(大村喬一君) わが国の実は投資の内容を見てみますと、実は先進各国に比べまして製造業が比較的少ない、大体三割ぐらいを占めておるわけでございます。先生が先ほど失業の輸出ということをおっしゃいましたけれども、特に失業の輸出という観点からしますと、製造業がどの程度占めておるかということが非常に重要な要素だと思われますけれども、この点、ほかの先進諸国等は、たとえば西独の場合には約七割が製造業投資となっております。特に日本の場合には、いわば資源確保という観点からの工業に対する投資量と いうものは非常に多うございまして、この点だんだん製造業につきましても円高という観点から今後ふえていく傾向にあるかと思いますが、そういうふうな問題が起こった場合には、関係官庁と相談の上、適宜対処したいと考えております。
○大塚喬君 先ほど申し上げましたように、日本の国内企業、国内産業がこれらに関連をされて追い上げ、そういう状態で大変危機に、苦難の様相を呈しておる、そういう話をしばしば聞かされるわけでありますが、具体的に繊維製品あるいは最近は家電用の電気機器、それから玩具、楽器、こういうものの輸入に占める発展途上国のシェア、これらは一段高まっておると、こういうことでありますが、最近は重工業製品にまで発展途上国の進出が著しい、こういうことで、国内産業も影響を受けておる、このまま進めば、今後わが国の産業全般に相当深刻な事態が心配されるわけでありますが、このような追い上げに苦しむ業界、該当するものは現在通産省で把握をされておる実情、どのようになっておりますか、ひとつお示しをいただきたいと思います。
○説明員(赤川邦雄君) 現在のわが国の繊維製品の輸入状況を拝見しますと、一昨年でございます七七年は、全体として鎮静化の傾向にございましたが、七八年に入ってからは、景気の回復等もございまして相当の増加でございます。 例示しますと、まずシャツ類でございます。男子用のシャツを見ますと、七七年は前年比一〇〇・四%でございましたが、七八年は前年比一一五・五%という増加でございます。それからニットでございますが、ニット製品の輸入でございますが、それぞれ四十八年及び四十九年に約四千二百トン、三億一千万点ときわめて高水準でございましたけれども、その後国内需要の低迷もありまして落ち着いてました。ところが、最近また増勢の傾向がございまして、ニット製品におきましても生地が二千二百トン、それからメリヤス製品が三億三千万点、こういうふうな増加でございます。
○政府委員(森山信吾君) 先生から御指摘のございました発展途上国からの追い上げによって国内の生産が衰退をしておる代表的なものは何かということでございますが、私の所管いたしておりますもので申し上げますと、白黒テレビなんかはその代表的なものではないかと思うわけでございます。昭和四十四年ごろが日本におきます白黒テレビの国内生産のピークでございまして、約七百三十万台ぐらい生産をしておったわけでございます。その後、いわゆるカラーテレビヘの需要のシフトという問題が起こりましたし、その間日本からの、あるいはほかの国からの発展途上国に対します投資等がだんだんと効果を発揮いたしまして、白黒テレビの生産がだんだんと落ち込んできたわけでございまして、昭和五十年には約三百十五万台ぐらいに落み込んだわけでございます。ピーク時の半分以下になったわけでございます。しかしながら、その後、言うところのラテカセという種類の、これはラジオとテレビとテープレコーダーを組み合わせた日本独特の開発された新しい白黒テレビでございますが、こういう品種の開発に成功いたしまして、その後また白黒テレビの生産が上向きになっておりまして、昭和五十一年、五十二年、五十三年と、だんだんと上向きになっておりまして、昨年は四百五十六万台の生産ということでございます。したがいまして、一部発展途上国にシフトいたしましたものの、日本の国内におきましていろいろとアイデアを発揮いたしまして、新商品の開発ということによりまして、失ったものの回復と言いましょうか、そういうものに努力しておる。片や、発展途上国に対しましては、技術の移転に成功した。この両々相まちまして、相互に被害のないような対策を講じておる、こういう現況でございます。
○大塚喬君 いまのお答えいただいた問題に関連して、二、三、もう一歩突っ込んだお尋ねをいたしたいと思いますが、いわゆるシャツ業界、このシャツの場合は、輸入は七三年には仮需ブームで急増を来し、七六年百五十九万ダース、七七年百六十五万ダース、こういうように国内需要が二〇%に達するに至っておるわけであります。 一方、輸出にあっては、六九年度二百七十五万ダース、こういう数字が七一年には百八十五万ダース、七三年には二十八万ダース、七五年には〇・九万ダースというぐあいに、まさにシャツ製造業は今後輸出市場から完全に撤退をし、国内需要、内需依存型の産業に変貌しようとしておるわけであります。 現在、輸入品と激しく競争しているわけでありますが、こうした実情にかんがみて、今説シャツのわが国市場への流入増大について通産省ではどのような考えを持っておられるのか。 ちなみに、輸入のうち東南アジアからの輸入が占める割合が大変大きいわけでありますが、実に九〇%以上、そしてその結果、国内の製造事業所数によれば、七〇年には四百十四社あったものが、七六年には三百三十一社と激減をいたしております。この調子で進むと、今後数年後にはわが国ではシャツ製造業が消えてなくなってとろけてしまうと、こういう見方も出てくるわけであります。この対策を一体——これはもうお手上げなんですか。全然対策の道はないと、こういうことになるわけですか、どうお考えですか。
○説明員(赤川邦雄君) わが国のワイシャツの年間需要量は大体七千万枚から九千万枚でございます。このうち国内生産で約六千万枚から七千万枚がつくられております。したがいまして残りの約二千万枚ぐらいが輸入品でございます。これが現在でございます。 それから輸出につきましては、ほぼいまのとおりでございまして、たとえば四十五年には二百四十一万ダース輸出がございましたが、五十三年では約四千ダースと、ほとんどございません。そういうふうにわが国のワイシャツ産業は、御指摘のとおり、輸出産業から国内内需向きに変わっているというふうに思います。 しかし、現在のワイシャツにつきましては、去年の秋以降少し需要がふえておりまして、現在年間五%ぐらいの増加でございまして、生産もほほ横ばいでございまます。 中身を見ますと、たとえばことしの売れ行きのよかったのは、小売り価格の五千円前後、いわゆるベターゾーンでございますとか、さらにドビー、ジャカード使いのものが好評でございまして、さらには昨年夏におきましては、両ポケットつきのシャツ、肩章づき等もございまして、単に安かろう、悪かろうじゃなくて、ある程度ベターゾーンのものが最近調子がいいということでございます。 そういう意味におきまして、必ずしも近隣諸国の追い上げに負けるのじゃなくて、やはり日本の国民性に合ったそういうふうな高品質のシャツをつくれば十分対抗し得る。まさに今回御審議中の繊維の構造改善法は、そういった後進国に対抗し得るようなベターゾーンのシャツのつくれるような体制をつくりたい、こういうふうな趣旨でございます。
○大塚喬君 大分楽観的なお答えをいただいて、安心する、一方そういう気持ちもございますが、そういうことでこれらに対する対策というものをお考えいただかないで今後悔いを残すようなことはありませんか。 それからあと、家電業界の問題でもう少しお尋ねをいたします。 白黒テレビの生産、これは先ほどお話ありましたように六九年の七百二十八万台、これから年々減少して七五年には三百十五万台。それから輸出が大変減っておるわけでありますが、七一年の三百九十三万台から七五年に二百二十九万台と、これと今度は反対に輸入の方は、韓国製品、これが七二年の六千台から七五年には十二万台、台湾製品では七三年の四千台から七四年が四万台と、いずれも輸入の急増をいたしております。このような輸入の増大による競合の度合い、これは今後一層強まるだろうと思いますが、多くの企業で雇用調整、地方工場の整理、こういうことが現に各地で行われておりますし、私どものごく周辺でもそういう強い不安、影響が現実に起きてきております。特に重大なのは下請工場、発注の削減、系列の強化と、こういうことが行われておるわけでありますが、こうしたわが国の家電業界においてさえもこのような傾向がどんどん進んでおるわけであります。その他の集約的な産業、これもやはり同じような傾向をたどるものと心配をされますし、そのスピードも産業の再編成、こういうことで着々進められておるようであります。この実情についてどのように把握をされておりますか、ひとつ現状をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(森山信吾君) 先ほど例にとりました白黒テレビでお答えを申し上げてみたいと思います。 ただいま先生から御指摘もございましたような数字でございまして、特に輸入につきましては四十六年から輸入が始まりまして、昨年五十三年の総輸入額が十三万四千台でございます。そのうちの十三万三千台が白黒テレビでございまして、これは近隣諸国から入ってきているという実情でございます。先ほどお答えいたしました日本の国内におきます生産が昨年が四百五十六万台でございますので、輸入の台数をシェアで申し上げますと、比率で申し上げますと約三%ということでございます。したがいまして、私どもは現段階におきましては、特に輸入品が国内の生産を圧迫することはまずないんではないか、こういう気がいたします。それよりもむしろ、日本の輸出市場が近隣諸国によって、言葉は悪いんでございますけれども、奪われるというようなことの方がより被害が大きいんではないかと、こういう感じがいたします。ちなみに輸出の状況を見てみますと、輸出につきましては、昭和四十六年がピークでございまして四百六十六万台の輸出があったわけでございますが、その後急激に落ち込みまして、昭和五十年には二百三十万台まで落ち込んだわけでございます。これはいわゆる近隣諸国からの追い上げを食ったということが一つ原因ではなかろうかということでございまして、むしろ輸入によるダメージよりは、輸出先の市場が発展途上国に奪われるということの方が大きな問題ではないかと、こう思うわけでございます。しかしながら、先ほどお答え申し上げましたとおり、やはり発展途上国に対しまして技術移転をしていくということは先進国としての一つの責務でもございますので、そういう意味で、私どもは市場を失われたことに対しましてとやかく言うべきではないんではないかという気がいたしております。さはさりながら、国内のいわゆる中小企業の方々に対する配慮という問題もございますので、そこに何か新しい新製品の開拓というものに努めていかなくちゃならぬと、これが家電業界に課せられた使命ではないかと、こう思うわけでございます。 そこで、先ほど例示に出しましたたとえばラジオとテレビとカセットを一緒にしたラテカセというような新製品、これはわが国独自で開発したようなものでございますので、こういうものを新たに生産することによりまして近隣諸国との競合を避けていく、こういう姿勢が私どもにとりましては重要ではないかということでございまして、そういう方向で対策をやっておるわけでございます。 それから、御指摘のございました近隣諸国の追い上げによりまして、国内の中小企業の方々が圧迫を受けているんではないか、あるいは雇用問題に大きな影響を与えておるんではないかということでございますけれども、ここに一つの数字がございます。毎月勤労統計によりますと、昭和五十年を一〇〇にいたしました場合の昭和五十四年二月の産業別の雇用指数を見てみますと、全産業が九五・四になっておりますのに対しまして、電気機械器具製造業は九八・二でございますので、むしろ全産業平均よりも電気機械器具製造業の方が雇用指数は高いという数字も出ておりますので、私どもはマクロの立場から言いますと、家庭電器製品業界につきましてはそう特に大した問題はないんではないか、こういう気がいたします。もちろん、ミクロの問題といたしまして、具体的にお困りのケースも多々あろうかと思いますので、そういう点につきましては、ミクロの行政といたしまして十分な配慮を図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○大塚喬君 もう一つ問題は、自転車業界、これの問題で私どもの地元の足利に関連の企業があって実は深刻な打撃を受けているわけでありますが、この自転車に関しては現況どのようになっておりますか。これに対する対策、通産省の方針、こういうものについてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(森山信吾君) 自転車につきましては、特にいま資料を持ってまいっておりませんが、傾向として申し上げますと、日本の自転車産業は終戦後一貫いたしまして輸出で支えられてきたというのが現況じゃないかと思うわけでございます。しかしながら、この数年前からアメリカに対する輸出がかなり低迷をいたしてきておりまして、これが自転車業界に対する相当な圧迫になっておるということでございます。私どもといたしましては、より高級品を開発するということがアメリカに対する、あるいは全世界に対する輸出を再び回復させる最善の方法ではないかということを考えておるわけでございます。ちなみに発展途上国におきましてこの数年大変な自転車製造ブームといいましょうか、こういったものが起こってまいりまして、日本品との競合という問題が起こっております。 そこで、先ほどテレビでも申し上げましたように、やはり何か知恵を出して日本でなければできないような新製品の開拓、開発をするということがやっぱり先進国としての日本に課せられた課題ではないかということでございまして、私どもは現在自転車輸出組合等を中心にいたしまして、新しい自転車輸出のあり方等につきまして鋭意検討を進めているところでございますので、そういった方向に沿いましてより高級なものを輸出をするという精神で業界を指導してまいりたいと、かように考えているところでございます。
○大塚喬君 時間の関係で追い上げに対する産業調整策の問題対応策の問題について質問を進めたいと思いますが、産業調整の問題これは需要構造の変化あるいは技術革新、為替レートの変動、さまざまな要因により引き起こされる問題であろうと思います。単に経済協力の観点からのみとらえるべきものではないかということも承知をいたしております。しかしながら、真に実りある経済協力を実現するためには産業の一層の知識集約化、高付加価値化を図り、発展途上国との競合をしないよう産業構造の改革と申しますか、こういうことに努力を図るべきだと、このように考えておるわけでありますが、そのためには早急にわが国の産業政策の見通し、これをはっきりさせて、その対策を確立する必要があると思うわけでありますが、長官、これはどんなふうにお考えですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 今日までの国際的な経済の発展のプロセスを見ておりますと、いずれの国でもやはり発展途上国がだんだんと成長いたしまして、技術も向上いたしまして、それが逆に援助してくれた国だけでなしに、いわゆる先進諸国に低いコスト、あるいは良質の製品として入ってきている状況が見られるわけであります。やはり私は、これはひとつの自由貿易体制の中においては必然的な方向であるし、また、そうした犠牲をわれわれがある程度忍ぶということによって、世界の他の発展途上国が、また、これは国民の生活の安定がだんだん確保されていくということも、やはりわれわれとしては考えなくちゃいけないと思うわけでございます。 しかし、直接的にただいままで御指摘の種々の製品が、いわゆる近隣諸国からの対日輸出という形で日本の業界そのものが相当に困難な状態にあるということももちろん十分踏まえていかなければなりませんが、先ほど来通産省の局長からの御答弁申し上げているように、私やはり工業生産品というものはやはりそうした刺激を受けてさらに発展するものである、基本的には。そしてまた、そうした外国からの安い、しかも良質のものが入ってくることに対応して、それをさらに改良進歩させるということが、発展している国家においては当然の私は仕事ではないかと思うわけでございまして、非常に良質かつ低廉なものによって日本の一部産業が非常に妨害を受ける、打撃を受けるという事態があっても、私はそれは必ずまたその業界が奮起してそれ以上の製品をつくって、そして他にまた生きていく道を必ず発見していくものだと。私はそれが資本主義、自由主義社会あるいは経済体制の一つの大きなメリットではないかと考えております。
○大塚喬君 この追い上げに対する対応策、一応抽象的ですが、お答えをいただいたわけであります。 途上国との競合状態、これはすべての産業に同時に生ずると、こういうことでは確かにないと思います。たとえば、低、中級品製品あるいは低、中級の部品、このような特定の分野において生ずる。こういうことを考えますと、わが国としても困難はいろいろあろうと思いますが、やはり方向転換、それはいまお話ありましたように、高度化という問題をせざるを得ない。こういうことになろうと考えるわけであります。そうすれば、この転換ということのための適切な指導措置、こういうものが現在政府にとってはきわめて重要な課題であろうと考えるわけでありますが、こういうことについて通産省、何か現状を見る限りではどうも十分でないと、こういうふうな認識しかとれませんが、これらの対応策についてどのようにお考えになっておるか。政府の責任ある行政、これを打ち出すべきだと思うんですが、この点についての答えをお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(小長啓一君) 先生御指摘のように、経済協力を積極的に推進していく過程におきまして、産業調整の問題というのは不可避な問題であると思うわけでございます。しかし、われわれはそれを後向きに避けて通るのではなくて、前向きの方向でこれを解決していくべきではないかというのを基本的姿勢として考えておるわけでございます。 具体的にいま通産省の所管の業種につきましてやっておる施策といたしまして御説明をさしていただきますと、通産省関係では、特定不況産業安定臨時措置法に基づきます過剰設備の処理対策、中小企業事業転換対策臨時措置法に基づく事業転換対策、特定不況地域中小企業対策臨時措置法に基づく特定不況地域対策、それから、先ほど課長が御説明いたしました繊維産業の構造改善の具体的な施策、等々の施策を多角的かつ有機的に推進することによりまして、現下の産業調整問題に対応しておるというのが現状でございます。
○大塚喬君 このような問題の核と申しますか、重要な問題はこういうところにあるのではないかと考えるわけでありますが、東南アジア中進国、こう言われる発展途上国との関係において、わが国がとるべき方向というのは経済協力、こういうこと以外にないということを私も基本的に承知をいたしておるわけであります。このような経済協力の眼目がわが国の産業調整、これを基軸とする国際分業の展開にあるということもそのとおりであろうと思います。それにもかかわらず障害、抵抗、こういうものが多い場合に産業調整コストに起因することが大きいと思うわけであります。これらのコストとは具体的には何を指すものか。産業調整を進めると、こういうことで考えた場合に、こうした障害を排除するために政府は少なくとも競合分野、こういうものの実態、それから対応の方向、さらに問題業種がわが国での規模、これに対応する東アジアの生産体制、これらの実情、比較、このくらいははっきり政府自体が把握をして、それに基づいて対応策を立てるということがどうしても必要であろうと考えるわけでありますが、この点については現状どのように把握をされておりますか、お聞かせをいただきたい。
○説明員(小長啓一君) 大規模な経済協力案件を推進する場合におきましては、たとえば、イランに石油化学工場を設置するとか、あるいはサウジアラビアに同じく石油化学工場を設置するとか、あるいはインドネシアにアルミニウムの工場をつくるとか、あるいはブラジルに同様にアルミニウムの工場をつくるとかいうような大規模経済協力案件を推進する過程におきましては、国内の長期ビジョンをまずやりまして、当該業種の十年、十五年後の需給状況がどうなっておるかということを想定をいたしまして、その中でそれぞれのプロジェクトがどういう位置づけになるかということを判断した上で、具体的な推進を図っておるのが現状でございます。 それから、先ほど先生がお触れになりました具体的な産業調整の問題でございますけれども、先ほど私どもがとっております具体的な法的措置については説明をさしていただいたわけでございますが、もうちょっとかみ砕いて言わしていただきますと、まず第一に、産業調整政策を具体的に進めていく過程でやらなければいけない施策といたしましては、まず産業調整が円滑に進展するための基盤を形成することが必要である。そのためには技術開発を推進いたしますと同時に、新規産業の育成と高付加価値産業の育成を図っていくことが必要でございます。と同時に、持続的な経済成長を維持していくメカニズムを考えていく必要がございます。それは経済社会の活力を維持するということにもつながるわけでございまして、そういうことが前提となって産業調整が円滑に行われる基盤ができるということになるんではないかと思うわけでございます。 第二に、産業調整過程において生じざるを得ない雇用問題というのが出てくるわけでございますが、その雇用問題を解決するためには、雇用対策の拡充強化を図ることが当然前提として必要なわけでございます。そのため、雇用保険法であるとかあるいは特定不況業種離職者臨時措置法といったような法的措置によりまして、産業調整に伴う雇用問題の施策を一層充実していく必要があるんではないかというふうに考えております。 それから第三に、産業調整を具体的に進める過程におきまして、業種によりましては事業転換を進める必要というのが出てくる場合もあるわけでございます。事業転換が円滑に進められるということが産業調整の前提となるわけでございますので、具体的には、先ほども触れましたような中小企業事業転換対策臨時措置法等の措置によりまして、事業転換を円滑に進めていく措置を講じてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○大塚喬君 この事業転換の進捗状況、それから雇用の問題、もう少し突っ込んでお尋ねをいたします。 現在、中小企業事業転換対策臨時措置法、こういう法律が制定をされて、その対策が進められておるわけでありますが、その状況は必ずしも円滑に進んでおるとはどうも認めがたい、そういう感じであります。一体その原因は何なのか、その解決のためには今後どのような対策が必要と考えられておるか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(小長啓一君) いま御指摘の問題につきましては、なかなかその答えがむずかしい、一番むずかしいポイントでございますので、直接のお答えになっているかどうか、必ずしも定かではございませんけれども、具体的に事業転換を進めていく場合に、どの業種を受けざらとして考えるかということが一番重要な問題なわけでございます。ところが、現状、受けざらとして考えられておる業種にも、すでに雇用状況等から見まして、なかなか受け入れがたい状況というのが存在しているわけでございます。したがいまして、転換先が見つからないために、事業転換というのがうまく進まないというのが現状としてあるわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、ある種の産業構造ビジョンといいますか、十年、十五年先の産業構造はかくあるべしというビジョンを提示いたしまして、そのビジョンの中で新しい受けざらを用意していく必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○大塚喬君 確かにむずかしい問題であることは承知をいたしておりますが、余りにも具体性のないそういう答弁で、率直に言っていまのお答えでは不満であります。 もう一つの雇用対策の問題、この問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、必然的に産業調整過程において生ずる問題が、この雇用問題であろうと思います。雇用対策の充実強化、これを最もやっぱり政府としても本気になって取り組まなければならない問題であろうと思いますが、現在の雇用保険法、特定不況業種離職者臨時措置法、こういうものによる産業調整に伴う雇用問題の施策、これは一応形の上では整備をされたと、こう言われるものの、対象者の生活環境はきわめて厳しい、悪いものである、改善の余地が十分にあろうと思うわけでありますが、この雇用保険法、特定不況業種離職者臨時措置法、これらについて、改善の余地はどことどこにおありになるとお考えになるか、ひとつ率直に担当者の御指摘をお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(白井晋太郎君) お答えいたします。 先ほど通産省から御説明がありましたように、産業調整に伴いますいわゆる事業側での法的措置、それに関連いたしまして、いま先生がおっしゃいましたような雇用面での法的措置がとられているわけでございまして、雇用保険法上のいわゆる安定事業、安定資金制度を活用いたしました制度によりまして、事業転換その他特定不況産業からの転換に伴いますいわゆる失業の予防と申しますか、いわゆる職種転換をしていく場合に教育訓練その他に対します助成制度、それから先ほどの特定不況業種、特定不況地域からの離職者に対します特別の措置をとっているわけでございます。これらの制度につきましては、特定不況地域、特定不況業種の制度等は十分に活用されていると思いますが、安定事業そのものにつきましては、制度そのものが発足いたしましたときには、その中の雇用調整給付金その他の制度が非常に活用されたわけでございますが、企業のいわゆる経済の変動に伴います雇用調整の方法その他が変化してくるということに対応いたしまして、安定事業の制度の活用につきましても、いま先生の御指摘のような問題点も生じております。これらにつきましては、中高年齢者雇用開発給付金等を主体といたしました雇用開発事業を新設するというようなことで、このたびの国会にも雇用保険法の一部改正を出しておりますが、経済の変動に対応いたしました雇用の対応ということで、時宜に適切に合いました対応策を今後も続けてまいりたいというふうに思います。
○大塚喬君 もっと具体的に対策をお聞きしたいわけでありますが、次に進ましていただきます。 労働省関係に、この過剰労働力の受けざらの問題、拡大、どうしてもそういうことを願うわけでありますが、現実にはこの不足という問題が心配されるわけであります。自動車業界、家電業界、こういう業種が好調で、雇用吸収が比較的大きい産業、これらの海外進出が今後どんどん続けば、造船などの不況業種からの離職者の受けざらが小さくなるという心配が同時に起きてくるわけであります。産業構造の転換に伴う労働力の移動、この労働力の移動が円滑に進まなくなる、こういうおそれが出てくるわけであります。この点について、労働省としてはどうお考えなのか。それから通産省としては、この海外経済協力という問題に関連をして、こういう点はどういう配慮と申しますか、考え方をとっておられるのか、双方からお聞かせをいただきたいと思います。
○説明員(白井晋太郎君) いま具体的に挙げられました例によります問題点もございますが、雇用量全体の問題は、いわゆるわが国の経済の全体の問題でございまして、先ほどから経済企画庁その他からお話がございましたように、わが国産業の発展のためには、海外との協力も必要であるということがあるわけでございまして、その辺でわが国の経済の安定的成長が図られるということは、経済計画官庁、事業官庁との協力のもとで進められなければならぬというふうに思っております。現在の状況では、しかしながら、従事者数では毎年平均五、六十万の増加を見ているわけでございまして、これらがいまおっしゃいました造船業その他から出てくる離職者、特に中高年の離職者等にどういうように求人と求職が対応するか、そういうような点に問題があるわけでございまして、その辺につきましては、先ほど申し上げましたような制度、職業訓練その他能力開発を進めますことによりまして需給の調整を図っていくということが必要じゃないかというふうに思っております。
○説明員(小長啓一君) 先生御指摘の、海外への直接投資によって国内の雇用が減少しているのではないかという点でございますが、そこの点につきましては私どもは必ずしもそういうふうには理解をしておりません。と申しますのは、最近国内の雇用が減少しておるというのは、日本経済全体の景気の低迷であるとか、産業構造の変化等による原因が大きいのではないかというふうに考えておりますし、それから海外投資の面で見てまいりますと、なぜ海外投資が行われるかというその一つの理由は、受け入れ国が輸入制限をやったり、あるいは高い関税をかけることによって関税障壁をつくるというようなことで輸出が困難になるというような場合に、海外投資を行うというのが多いわけでございます。そのような場合には海外投資がなくても輸出市場がなくなりまして、その結果国内生産が減少するというふうな事態にも追い込まれる可能性もあるわけでございまして、そういう面で逆に雇用が減少するということも考えられるわけでございます。したがいまして、ある見方をいたしますと、海外投資によって市場が維持、確保されまして、それによって国内の生産が増加するというようなことも期待できる場合もあるわけでございますので、そうなれば国内の雇用にとっても好ましい影響が出てくるのではないかというふうに考えられますので、一義的に日本の海外投資が雇用の減少につながるということは即断はできないんじゃないかというふうに考えております。
○大塚喬君 即断はそれは確かにむずかしいと思います。だけれども、雇用という問題に関しては、受けるダメージというか、不安材料がやっぱり私はどうしてもぬぐい去ることができません。これと、もう一つの問題は、海外生産切りかえによる国内の景気の打撃、この問題もやっぱりこの際どうしても考えておかなければならない問題だろうと思います。国内での設備稼働率が上がり始めたと、こういうことを聞くわけでありますが、しかし現状いまなお先行き不透明の部分も大きく残されておるわけであります。企業が海外での生産に切りかえをする。製品の日本市場への大量流入を図る。国内の生産者は当然これによって大打撃を受けることも予想されるわけであります。国内の景気の回復を図る、拡大を図ると、こういうことを進めておるわが国の政府としても、この点をやっぱり現状において先の見通しを正しく把握をして、今後これらの問題をどう解決するかという問題に対しての対策も必要であろうと考えるわけであります。大臣、この点については大臣としてはどうお考えでございますか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 大塚委員のただいまの御発言は、きわめて重要な問題であると私も考えます。ただ、われわれといたしましては、まず一義的に国内の内需を拡大するということによって日本の雇用関係のこれ以上の失業の増大をまず防ぐということが今年度のわれわれの最大の目標でございまして、その面で大いに努力をいたしたい。また、ただいま御指摘の特定不況産業あるいは特定不況の地域、こうしたところに出る失業問題ということに対しましては、やはりわれわれが可能なことは、その地域をもう一回繁栄した地域にするということ、それでもなお時間がかかる場合には、できるだけ公共投資等をそこに集中していくということで、それは本来の意味では多少迂回的な形になるかもしれませんが、やはりその地域の有効需要をともかく拡大するということにきめ細かく配慮をしていく必要がある。また、それをいま政府としては実践をいたしておるところでございまして、そうしたような種々の政策とともに、やや中期的な考えに立ちますときに、やはり生産工場から出たいわゆる失業という問題の解決のためには、われわれはこの際第三次産業、特に公共的なサービス、教育であるとかあるいはその他等の公共的なサービスの部門を雇用の場として拡充したい。また、そのプログラムをつくらなくちゃいけない。また同時に、そうしたものの需要がどれくらい潜在的にあるかということも掘り起こさなくちゃいけない。われわれは現在の日本の失業問題に対して、必ずしも生産部門から出た方たちを生産部門にまた吸収するという、これは最も理想的な形だと思いますが、しかしそれがなかなか全般として進歩が遅いような場合には、むしろ第三次部門の中に潜在的な需要がまだまだたくさんあると思います。また、日本の経済政策と申しましょうか、一種の政策全般の目から見ても、公共的なサービスというものに対しての評価、あるいはまたそれに対しての本当の需要の把握、さらに積極的にその場においての雇用の増大ということを今年度からわれわれは一つの大きな命題として取り組み始めたところでございまして、やはりそのような関係の中での全般としての雇用状態の改善ということをぜひやっていかなければならない、そのように考えておるわけでございます。きわめて抽象的なお答えになって恐縮でございますが、しかしわれわれの考え方自体は、そうした面を通じての雇用の拡大ということをありとあらゆる可能性を追及していく、これが現在のわれわれの方針として御理解を賜りたいと思っております。
○大塚喬君 同じ問題で通産省からの答弁を求めたいと思います。
○説明員(小長啓一君) 通産省関連で輸入制限の問題についてちょっと先生の御質問の中にございましたので……
○大塚喬君 まだしない。輸入制限というよりも景気との関連の問題。
○説明員(小長啓一君) 景気との関連の問題につきましては、いま小坂長官のお答えになったとおりでございまして、私どももその方向で対処してまいりたいと思います。
○大塚喬君 輸入制限の問題の話がいま出たものですから、輸入制限の問題をお尋ねいたします。 開発途上国からの追い上げ、これが大変急激で、調整のために十分な時間的な余裕がない場合には、何らかの貿易面での緊急避難的な措置、そういうことが必要になってくるだろうと思います。現在、こうした観点に基づいてとられておる措置、これはどのようなものがありますか。 こうした制限的措置をとるそのことは、あくまでも産業調整上必要最小限にとどめなければならないと考えるわけでありますが、途上国からの苦情もまた多いと聞いております。こうしたものについて今後どのように取り扱いをなさるお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。何らか改善、こういう道も考えておられるのかどうかお聞かせをいただきます。
○説明員(小長啓一君) 輸入制限の問題についての御質問でございます。私どもといたしましては、日本は貿易立国を国是としておるわけでございますから、貿易に何らかの障害を与えるような措置、すなわち輸入制限というようなことは極力避けるべきであるという先生の御指摘は、そのとおりだとわれわれも思っております。具体的には、こういう産業調整の過程におきまして輸入が急増したというふうな場合に対応する措置といたしまして、私どもは二つの対応を考えていく必要があるのではないか。一つは内向きな対応ということでございまして、これは先ほどいろんな形で説明をさせていただきましたけれども、やはり国際競争力のある製品をつくっていくということで、産業構造の高度化、高付加価値化というような面での対応を並行して考えていく。それから、対外的には、どうしてもそういう問題で輸入制限的な措置を必要とするような場合が起こった場合でも、いきなり伝家の宝刀を抜くということではなくて、まず先方の政府との間での話し合いを通じて解決に努力をするということが必要になってくるんではないかと思っております。
○大塚喬君 最後の質問になるわけでありますが、いわゆる発展途上国追い上げに対するわが国産業の長期ビジョンの見直し、この問題が迫られてくるだろうと思います。国際競争力の変化、これがわが国に与える影響、これを制限をし、日本経済全体の方向づけ、この問題をマクロ的に長期的な視点に立って中長期のビジョンを作成しておるだろう。当然通産省そうあるべきだと考えるわけでありますが、現行のビジョンがすでにその前提条件が刻々大きく狂ってきておるわけであります。その見直しをすべきだという考え方でありますが、その用意はおありになりのかどうかお尋ねをいたします。
○説明員(小長啓一君) 先生御指摘のとおりでございまして、いままで策定しておりましたビジョンにつきまして、その前提条件がかなり変わってきておることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、現在通産省では八〇年代産業政策ビジョンということで、鋭意新しいビジョンの策定に努力をしておるところでございます。
○大塚喬君 次に、質問の三点ですが、日中経済協力についてお尋ねをいたします。 伝えられるところでは、工業開発偏重の手直しを中国では強く考えておる、こういうことを報道で承知をいたしておるわけであります。中国は、経済発展十カ年計画、この中で一九八五年の鉄鋼生産を六千万トンに拡大をする目標を持っていたわけでありますが、最近来日した中国政府関係者によると、基本路線には変更はないが、農業にも機械類にも力を入れなくてはならない、経済計画の手直しが必要であるという考え方を述べたようであります。上海の宝山製鉄所に続く大型プロジェクトとしても期待していた冀東、鞍山、これらの製鉄所などの建設、こういう問題がどうなるのか、私どもとしてはぜひ知りたいところであります。 また、重工業偏重の是正を進めるに当たって、日本側に対して何らか新しい具体的な協力要請があったのかどうか、この点については、これは外務省になりますか、お尋ねをいたします。
○政府委員(宮本四郎君) 先生御指摘のように、中国は、現在国家建設十カ年計画を推進中でございます。 先般、人民日報に社説がございまして、それによりますと、中国は農業、軽工業、重工業、十分よく均衡のとれた建設を進めるべきであるという社説がございました。そこで、私ども外務省現地北京の大使館を通じまして、これはどういう意味のものであるかということで照会をしていただいたわけでございますが、そのときには、農業、軽工業、重工業がバランスをとって中国の国家建設を進めるべきであるという基本方針は従来から言われたことであり、このことによっていささかも基本方針を変えるものではない、こういう中国当局の返事が返ってまいりました。ただ、その後いろんなニュースその他が散在いたしておりまして、それによりますと、中国は、国家建設計画についての若干の見直しをやっているようであるという情報は得ておるわけでございます。しかしながら、日本に対する協力の要請といたしましては、昨年来鉄鋼、石炭、非鉄金属あるいは水力発電、石油開発、探鉱その他の産業技術の協力、あるいはまた企業の管理の技術の協力、こういったものにつきまして全然その後の新しい変化ある要請は行われておらない次第でございます。
○大塚喬君 次に、具体的な問題で、石油に関する問題でお尋ねをいたします。 日中石油開発プロジェクトの見通しですが、一月中旬から東京で開催されておった中国交渉団との間の交渉、渤海湾の日中石油開発条件交渉、これが始まって二月には大筋合意をしたと、こういうことを聞くわけであります。その後中国代表団が帰国して以来この交渉が凍結状態と、こういう受けとめをしておるわけですが、そこへ今度は米国政府より、対中ブラント輸出に伴う延べ払い融資条件、金利が六・二五%であることは、先進七カ国のOECDガイドライン、この金利よりも低過ぎる、それからまた融資適用はひもつき、こういうことにすべきではないと、こういうことの申し入れがあったと聞くわけであります。実情はどうなっておったか、もしそういう米国政府からの申し入れがあったとすれば、政府としてはどのような対応をしようとするのかお聞かせをいただきたいと思います。これは通産省と資源エネルギー庁関係の方おいでになっていますか、双方からお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(宮本四郎君) 資源エネルギー庁おりませんので、私一括してお答えさしていただきます。 中国における石油の探鉱開発の協力でございますが、地点といたしましては、渤海湾それから山東半島の南部、黄海さらには東海、南海、南海は特に珠江のデルタでございます。こういう地点があると存じております。中国から正式に提案が、要請がございましたのは渤海湾でございます。この地点につきまして、先ほど御指摘のように、昨年来折衝を続けておりまして、本年も一月から二月の間、中国の代表団が参りまして鋭意交渉中でございます。問題は相当煮詰まったわけでございますけれども、途中で中国代表団が本国に帰る必要があるということになりまして帰国をした次第でございます。 他方、中国の石油問題につきまして、諸外国、特に米系のメジャーなどを中心といたしまして接触を続けておるということは、いろんな情報で私どもも存じておるところでございます。ただ本件が、本件と申しますのは、渤海湾に関する日中の合作の問題でございますが、これにつきましては、中国側が本国に帰りまして各方面と接触をした上で返事をするので、さらに交渉を続けるということになっておりまして、現在までのところはその返事を得ておらない次第でございます。 もう一点、お尋ねの石油の合作をいたします場合に開発資金を輸銀から供与する、この場合に、輸銀の開発輸入金融を供与したらどうかということで日中の間で話し合いが行われておるわけでございます。ただ、この金利につきましては六%台の金利でございますので、いわゆるプラント機械類の輸出にかかわるOECDのガイドライン金利よりは下回っておる、そういう点につきまして米国側がどういうふうな関係があるのかと、こういう質問をしてきたことは事実でございます。私どもの方は、本件は開発輸入金融である、石油、石炭などの日本側が必要とする物資の開発輸入であって、プラントを輸出するための金融ではない。さらに本件は、中国側にもし話がつきまして供与された場合におきまして、それによって調達される物資は日本から必ずしもひもがついておるわけではございませんので、先方の任意によりまして、最も有利な条件によりましてどこの国からでも輸入することができる、こういうふうになっておりますから、私ども鋭意米側などの了解を得るように努力をいたしますれば、先方も納得してくれるのではないかと、かように存じておる次第でございます。
○大塚喬君 この米国の申し入れについて、やっぱり問題があろうと思います。従来、資源開発融資、これが通常の延べ払い融資と区別をされて対象外にすること、またひもつきの指摘に対する資金供与は中国銀行に対象と、いまお答えをいただいたその中にも入っておりますが、その使用というのは中国側の意思で決定をされると、こういう考え方をとっておる以上、今回の米国政府の申し入ればまことに不当なものであり、わが国に対する内政干渉と、こう受け取ってもよろしいだろうと、私はこう考えるわけであります。これは毅然として排除すべきであろうと考えるわけでありますが、この問題に関する今後の政府の所信と申しますか、考え方をもう一度ひとつはっきりお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(宮本四郎君) 米側が申し越しましたのは中国だけに限ったわけではございませんけれども、輸出信用の条件に関連いたしましてOECDのガイドラインなるものがございます。それとの関連でどういうことになるのかという質問を出したわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、私どものはこれはガイドラインと関係のない開発輸入金融である、しかもアンタイドで供与されるものであるから関係がないということで米側に理解を求める、こういう方針で臨みたいと考えております。
○大塚喬君 そうしますと、この対中融資の問題ですが、金利はOECDのガイドライン、五年以下の場合は七・二五%、五年を超える部分については七・五%と、これを厳守するという考え方、これは先ほどの答弁、これは政府としてはそういうもう確固たる方針でお進めになると、こういうふうに受けとめてよろしいわけですか。その場合、中国側がこれまでの延べ払いの金融についてはドル建てを要求しておる。日本側の提案する円、ドルによる複数通貨建て、こういう可能性の問題についてはこれは今後どのような方針で、お考えで、どのようなことでこの問題の処理、解決を図るお考えか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(宮本四郎君) 中国に日本から輸出されますプラント機械類につきましての輸出金融の条件といたしましては、ガイドラインを守る所存でございます。 それから、いまお尋ねの中国に対して円、ドル折半で延べ払いの条件を設定したらどうかという問題でございますが、これにつきましては、先般劉希文対外経済部の副部長が訪日いたしました節、日本側から提案した案でございます。劉希文副部長は、これはなかなかよくお考えになった案であるけれども、いずれ本国に帰って関係方面とよく相談の上、正式の返事をするからということになっておる次第でございまして、私どもできるだけ早くその返事が参るように期待をいたしております。先般もそのことにつきましての催促を北京の大使館を通じて行った次第でございます。
○大塚喬君 この対中プラントの未発効の問題についてあとお尋ねをいたしますが、対中プラント輸出契約の未発効問題、直接には中国の所要資金がさびし過ぎるというか、そういうところから起きた問題だろうと思うわけですが、その打開策について対外貿易省が延べ払い方式を提案してきておると、こういう実情によるものだろうと思うわけでありますが、その対象となるものは昨年十二月以降仮調印をし現在宙に浮いているすべてのプラントが対象になるのかどうか、そこのところはどうなっておるのか、対象額はどの程度になっておるのか、そこのところをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(宮本四郎君) 昨年十二月以降、日中の間でプラント輸出の契約が締結されました。これは原則、現金または準現金払いという前提で締結されておったものでございますが、その総計は約七千三百億円でございます。このうち五千三百五十億円相当分につきまして契約がまだ発効できない。なぜならば、担当上層部の許可が取れないからであると、こういう通知をしてまいったわけでございます。これが第一点でございます。 それから第二点は、しからばこれをどう打開するかという問題でございますが、この点につきましては先般劉希文対外経済部副部長が訪日しました節に、私どもの方から打開案について相談をいたしました。その節、新しい延べ払いについて円、ドル折半でどうかという話を出しましたところが、先方はこれはペンディングになっておる案件について適用できないものだろうかと、こういう返事がございました。そこで、日本側からそれは一案かもしれないけれども、現金決済のものを延べ払い条件に変更する場合にはいろいろ条件の改定を必要とするので、私どもとしてはむしろキャッシュベースのものはキャッシュベースのままで改定をするような方法が望ましい。したがって、同時に現在日中の間で交渉を進めておりますところの市銀のシンジケートローンを中国に供与するという話がございます。それをも利用したらどうかという提案を反対にいたしたわけでございます。先方はこの二つの考えを本国に帰ってよく相談をした上でこれまた返事をするということで、先ほど申しましたように五〇、五〇の円、ドル決済の問題とあわせて返事が返ってくることになっておる次第でございます。
○大塚喬君 次に、中国経済協力の問題で外資との競合、この問題についてお尋ねをいたしますが、米中国交樹立、これの発表、これはわが国産業界にとっても表面は一応歓迎と、こういうことになるだろうと思うわけですが、今後米国産業界の中国接近、これがバネをつけ加速がつくということは確実だろうと思います。このような事態では産業界ではもう少し時間が欲しかったというような声も聞かれるわけでありますが、たとえばそのプラント業界の場合海外技術に依存した代理輸出というのが実情であり、今後欧米諸国の産業界が自主技術でみずから対中商談に切り込んでくると、こうなるだろうと思うわけでありますが、火力発電プラント、原子力等、こういう問題についてはわが国の出番がなくなってくるのではないか。特に、わが国の企業が技術提携先との契約上の海外への技術供与、こういう問題に縛られておる間に欧米企業が頭越しに中国との合作、これが進行することは十分考えられるわけであります。こうした事情を考えますと、果たして日本の対中貿易が順調に今後発展するかどうか、これはきわめて不安な材料と言わなければなりません。この点についてどういうふうにお考えをいただいておるのかお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(宮本四郎君) 中国に対する外国の資本の協力との関係を、これを競合関係と見るのか、協調関係と見るのか、この点につきましては私どもは今後はぜひとも協調して中国に対して協力をしたいと、かように考えておる次第でございます。もちろん、中国のプロジェクトは非常に多岐にわたっております。金額は非常に多額にわたるわけでございますので、ヨーロッパ、アメリカ、日本、それぞれの特色、立場、これを生かしまして中国の経済建設の促進のために協力したいと考えております。
○大塚喬君 対中貿易の問題について、経済協力の問題について幾つかの質問があるんですが、対ソ貿易の問題もあるものですから少し問題をはしょりまして、これは公取それから外務省等にも、特許庁等にも関係があるんですが、ここらはひとつ省かせていただいて、今後の経済協力の問題で日中合弁構想——中国は昨年の暮れに北京で開かれた日中貿易混合委員会において、国際市場性に富む商品の生産については合弁事業、委託加工方式等弾力的に考えたいとの意向を表明したということであります。この点について、わが国の企業に対し中国国内で装置産業から軽工業品まで含めた工業製品の分野での導入を申し入れてきておる、こういうことを聞くわけであります。このような中国側の提案について政府は前向きで受けとめる意向であるのか、この問題に対する政府の対処のあり方、それをひとつお聞かせいただくと一緒に、もう一つあわせて対中特恵供与の問題についてお尋ねをいたします。 日中混合委員会で同じく中国側は特恵問題の適用を正式に申請してきた、こう伝えられておるわけであります。政府は、この対中特恵供与の内容、時期等についていつごろ結論を出すお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(宮本四郎君) 昨年秋に開かれました日中混合委員会の席上、先方が合弁事業についての協力及び対中特恵の問題についての要請をしたことはそのとおりでございます。 合弁事業の方でございますが、そのころから中国側は担当当局を通じまして日本側の関係者に合弁の打診をしてまいってきております。しかしながら、いまだ具体化されたものはないと私どもは聞いておるわけでございますが、その理由は、中国側に、外資の保証制度あるいは会社制度そのものも問題でございますが、いろいろまだ基本のところが決まっておりませんので、こういった投資の環境の整備にかかわる基本的な問題について十分検討する必要があるのではないかと考えておる次第でございます。そういった状況が全部整備されまして日中の両当事者が望ましいと考えるのであれば、私どもも大いにこういう合弁の事業を推進してしかるべきと考えておる次第でございますけれども、そのためには前提要件を整備する必要があると現在は考えておる次第でございます。 特恵につきましては、外務省の方からお答え申し上げます。
○政府委員(羽澄光彦君) お答えいたします。 先生もおっしゃいましたように、中国側は日本の特恵を受けたいという希望を表明いたしております。それで、中国に特恵を与える場合には関税暫定措置法というものの改定を必要とするわけでございますが、これは予算関連法案ということで、もし特恵を供与する場合にも、その改正をして実施に踏み切るというのは明年四月一日以降になるのではないかと思います。しかし、それ以前にも政府としてはなるべく早く関係省間の意見を調整いたしまして結論を出し、しかるべき方法で中国側に日本政府の方針を説明したい、こういうように考えていま関係各省間の検討を進めておる段階でございます。
○大塚喬君 日ソ経済協力についても質問をしようと思いましたが、時間が切れましたので質問はこれで打ち切る考えであります。 ソ連の経済開発計画の中に日本の協力を強く求めておる。その内容は、民間ベースよりも政府間協定による日本政府の対ソ協力を安定的なものにしたい、こういう期待を込められておるようであります。この問題は、日本の今後の進路にとって対中経済協力の問題と車の両輪のようにきわめて重要な問題であろうと思うわけであります。この長期経済協力協定の締結、政府では聞くところによるとどうも消極的のように聞くわけでありますが、今後の対ソ関係、こういうものの修復のためにソ連が執拗に要求しておる日ソ善隣協力、こういう条約にかわるものとさえ言われておるわけでありますので、これらの問題についても本気になって積極的に今後政府として取り組んでいただきますよう、そうでない場合に、これは思いがけない大きな私どもにとっても困難な事態が招来するおそれがあると思うものですから、このことを強く要望申し上げて私の質問を終わらせていただきます。
○馬場富君 議案の質問に先立ちまして、いま問題となっている東京サミットに先立って、来月マニラで国連貿易開発会議総会が持たれることになっておりますが、これには総理も出席の予定というように報道されておりますが、政府はこの総会をどのようにとらえておるかという点について長官から御説明願いたいと思います。
○国務大臣(小坂徳三郎君) マニラにおきます今度のUNCTADの会議は、われわれとしましては非常に重要な会議と心得ております。また、このUNCTADにおきまして従来問題になっておりました一種の基金等の、一次産品共通基金等に関しまして結論が出されることを期待しておりまして、われわれといたしましてはこのUNCTADの会議が成功することを心から願っておるのがわれわれの姿勢でございます。
○馬場富君 特に、この総会で発展途上国は新たな多角的貿易交渉を開始する提案として、途上国ラウンドというものを提案するというようなニュースもされておりますが、この点についてはどうでしょうか。
○政府委員(羽澄光彦君) お答えいたします。 東京ラウンドにおきましては、関税及び関税以外のいわゆる非関税措置につきましても、できるだけ開発途上国に対して特別の措置をとるべきであるということで努力してまいりましたし、それなりの工夫も加えられたわけでございますけれども、現在開発途上国側においてなおそれを不満としていることは事実でございます。しかしながら、これだけの時間をかけ、協力を重ねて、努力を重ねて東京ラウンドがようやく四月十二日でございますけれども一応の決着を見た段階でございます。したがいまして、LDCのための特別のラウンドということをまた再開するということになりますと、この東京ラウンドでまとめたもの自身が壊れてしまうという危険もございまして、いまこの段階においでLDCラウンドを云々することは途上国自身の利益にとっても不利ではないかというふうにわれわれは考えております。しかしながら、申し上げましたように、途上国の方におきましていろいろまだ注文もございますので、そういった問題に関しましてはこれから二国間ベース等におきましてなるべく要請を聞き、かつその要請にこたえていきたいというのが現在さしあたってのわれわれの考えでございます。
○馬場富君 特に先進国のいわゆる東京ラウンドに対する合意に対して、開発国はやはり先進国主導型だというような点でかなりの反発が強いようですが、このために総理が日本の代表として今度行くわけですけれども、やはりこういういろんないま言われた関税の問題やら諸条件の問題とあわせて、またいまのそういう先進国の感情的な問題等も含めて、これは日本の政府としてやはりこの点非常にこの会議が、総会が大きい地位を占めるという点でもう一遍長官、その点についての腹がまえです。
○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいま馬場委員の仰せられたと全くわれわれ同じような考えでおるわけでございます。
○馬場富君 次に、今度は議案の関係で、海外経済協力基金の、基金の概要と現況について説明していただきたいと思います。
○参考人(石原周夫君) 経済協力基金は昭和三十六年に開始をいたしました。最初は一般案件だけであったんでありますが、法律改正をいたしまして、昭和四十一年以来政府借款の仕事をいたしております。政府借款の仕事が現在約九割を占めておるわけでございまして、今後におきましてもその割合はふえていくであろうというふうに考えてるわけでございます。 資金につきましては、先ほども企画庁から御答弁があったわけでありますが、従来、所要資金の財源といたしまして、一般会計からの出資と借入金を一対一という割合で賄うことにいたしまして、借入金の方は今日まで全額資金運用部資金によってきたわけであります。全体の今日の残高で一兆一千億円、累計をいたしますると一兆九千億円ほどの借款の供与をいたしてまいったわけであります。 今日、その状況で、今後の資金増加に対応いたしますために、今日御提案をいたしておりますような法律改正をお願いをいたしておるわけであります。
○馬場富君 特にここでいろんな人事の問題が出ていますけれども、この基金の関係についての人事についてはどのように配慮されておるか、ちょっと御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 人事につきましては、今回この法改正の中で、副総裁を一名増員をお願いしておるわけでございますが、この件につきまして、この基金の現在の役割りはきわめて重要でございますし、また、特に、代表権を持った総裁が一人ということは、きわめて活動が広範に現在なっておりますし、そうした場合に先方は大体政府の閣僚あるいはまた政府機関、金融機関等の総裁という地位の人が常にわれわれの交渉相手になってるわけでございまして、その最終的な調印にはどうしても総裁がこれに出向いてそして調印をするということが一種の欠くべからざる要件にもなっておるわけであります。しかし、最近のように案件が非常にふえておりまして一特に石原総裁の海外渡航等も実に頻繁になっておりまして、そうしたような時間の繰り合わせその他が、現状においてはまだ基金法の運営そのものを阻害するまでに至っておりませんが、今回のように基金の三年倍増というような経済協力の拡大をわれわれといたしましては何としても遂行してまいりたいということを考えますと、一人の総裁がこれを全部処理するのにはとても物理的に不可能であるというような結論にも達しておるわけであります。 われわれといたしましては、このように基金の活動を拡大していきたいということで、一名の副総裁を置くべきであるという考えに立ったわけでありますが、大平内閣といたしましてはなるべく能率的な機構をすべての政府機関にとりたいという、これは基本的な姿勢でございますので、こうした問題につきましては特に政府内部におきましても行管庁の見解というものを十分述べてもらいましたし、また調査もしてもらいまして、まあいろんなことをいたしまして、行政管理庁の方といたしましてもこの基金法の運営に関連して特別に副総裁一名増員はやむを得ないだろうという結論を出してくれたわけであります。したがいまして、われわれといたしましてはもちろん、副総裁を単なる飾り物ともちろん考えておるわけでございません。本当に実務担当者として、しかも基金を代表する代表者として行動をやってもらおうということで副総裁一名の増員を決めたわけでございまして、ぜひこの点につきましては委員、また本委員会の皆様方の御理解をいただきまして、基金の活動を従来とはさらに数段拡大した中での活動が可能なように御理解を賜りたいというふうに考えておるものでございます。
○馬場富君 次に、限度額が三倍に引き上げられるという点についての、やはり財投と交付金等の財源の問題ですね。それから、やはりその内容からいって民間資金と財投との関係性について説明していただきたいと思います。
○政府委員(廣江運弘君) 現在の基金法におきまして原資といいますか資金調達は、出資が一つでございますし、さらに法律の二十九条の二というところで、いろいろのところから借り入れができるようになっております。ただ、先ほど総裁から御答弁がありましたように、実際は保証の関係等もございまして、出資のほかには資金運用部資金の借り入れに限定されておったわけでございますが、事業規模も拡大をいたしてまいりまして、三年倍増というようなことを達成していきますためには、資金運用部資金に事実上限定するのではなくて、これの多角化といいますか、多様化を図っていかなければいけないということで、実質上民間資金の調達ができるように、今回の改正におきまして政府保証の規定を挿入するようにお願いをいたしておるところでございますし、現実に五十四年度の予算におきましても百億円の政保債の発行を考えておる次第でございます。
○馬場富君 次に、この円借款の中で債務の累積の帳消しの問題でございますが、開発途上国は開発のために不足する外貨資金を先進国等からの借り入れに依存するところは大きいわけでございますが、このために累積した借金の元利合計は約二千億ドル余にも達しておると、このように言われておりますし、特に対日本関係におきましては、円高差等もあって、今後はさらにふえ続けると思われるわけです。この開発途上国はこれらの債務の支払いのためにさらに借金をしょわなきゃならぬ、こういう立場に置かされておるわけですが、こういう国際収支の大きな圧迫のいわゆる原因ともなるというような状況に実は現在なっておるわけですが、こういう点について一部債務の帳消しとか、あるいは債務を軽減するという問題等が言われておりますけれども、この点についての御説明を願いたいと思います。
○説明員(大鷹弘君) ただいま馬場先生が御言及になりました問題につきましては、UNCTADで昨年三月決議が成立しております。この決議に基づきまして、わが国はすでに五十三年度に具体的な措置をとっております。その中身は、非常に貧しい開発途上国の債務負担を軽減すために、特にいわゆるLLDC、特におくれた後発開発途上国につきましては、その年に当該する元本、利子、利息に当たる分を無償資金で埋めてやる。つまりそれに相当する無償資金を供与する、こういうことでございます。 それからさらに、この後発途上国よりは少しはましですけれども、石油危機で非常に痛手を受けました国、いわゆるMSACと言っておりますが、こういう国につきましては元本は手をつけませんけれども、金利につきまして調整措置を施してその差の分を無償資金を供与する、こういうことでございます。具体的には、わが国は昨年十八カ国に対してこういうことをやっております。後発途上国につきましては六カ国、それからいま申し上げましたMSACにつきましては十二カ国その適用を受けておるものがございます。後発途上国では、具体的にアジアで言いますとネパールとかそれからバングラデシュでございます。それから、いま申し上げましたMSACは具体的にアジアで言いますとインド、パキスタン、ビルマ、そういう国々でございます。本年度の債務救済の措置は続けて行いたいと思っております。昨年も本年度もその大体の大きさは金額にいたしまして約六十億円程度でございます。
○馬場富君 それはわかりましたが、じゃ、これはいままでのことでございますけれども、今後についてもやはりこの考え方がずっと継続されるかどうか、その点について質問いたします。
○説明員(大鷹弘君) ただいま申し上げましたように、昨年度これを実施いたしまして、さらに今年度も続けてやる方針でございます。来年度以降につきましては、まだこの段階で具体的に申し上げる立場にございませんけれども、一応私どもとしてはこれを続けていきたいと考えておるわけでございます。
○馬場富君 次に、経済援助の中で無償援助の点について質問いたしますが、この無償援助の方法を実例を挙げて説明をしていただきたい、こう思います。
○説明員(大鷹弘君) 無償援助の方法と申しますか、その中身、種類は幾つかございます。それを御説明いたしますと、まず第一に一般無償援助というのがございます。これは開発途上国の自助努力を助けるために民生安定、それから福祉の向上に資するような生産物あるいはサービスをあがなうための資金を供与することでございます。具体的には医療であるとか教育、農業、運輸等の分野に対する援助でございます。医療について言いますと病院の建設あるいは医療器材の供与、教育では学校の建設、それから教育資材の供与、農業ではいろいろな肥料であるとか、そういう農業に必要な物資の供給、それから運輸はたとえばトラックとかそういうものを供与することでございます。これが一般無償援助で、無償資金協力の中では一番大きな金額を占めております。 その次に水産関係の援助でございます。これは発展途上国の水産資源の開発、漁業の振興を助けようというものでございまして、具体的には開発途上国に対して漁船を供与するとか、あるいは水産資源の調査船を供与してやるとか、そういうことでございます。 三つ目のものは、いわゆる文化無償、文化関係の援助というものでございます。これは文化交流に関する国際協力の一環として、開発途上国に対して文化財それから文化遺跡の保存とか、あるいは文化関係の講演、展示の開催、それから教育及び研究の振興のためのいろんな資機材を相手が買うための資金を供与すると、こういうものでございます。 四番目の、無償の資金の使い方としては災害関係援助というのがございます。これは途上国におきまして、いわゆる地震であるとか台風あるいは飢饉とか、こういう災害が起こりましたときに、これを救済するために緊急に必要な物資を供与するための援助でございます。日本の場合には食糧であるとか医薬品、あるいは衣類とか毛布とかそういうものをこの資金を使って供与しております。 その次が食糧援助でございますけれども、これは食糧不足に悩んでおります途上国に対する食糧の供与による援助でございます。いわゆるケネディ・ラウンド、KR食糧援助というものがこの主体をなしているわけでございます。 最後に、食糧増産援助というのがございます。わが国は、現実に食糧に困っている国に対しましては食糧を供与いたしますが、基本的にはむしろ食糧の増産を助けることが本筋ではないかと考えております。この援助のための資金でございまして、たとえば肥料であるとか農薬、農業機械を関係の開発途上国に供与するものでございます。 そこで、こういう種類の無償援助でございますけれども、五十三年度、昨年度の実績を申し上げますと、いわゆる一般無償援助は約四百億円に達しました。水産関係の援助は五十億円でございます。それから文化関係の援助が三億一千五百万円、さらに、災害関係の援助は約十億円、食糧援助が三十五億円、食糧増産援助は百五十四億円でございます。
○馬場富君 いまの答弁でお聞きしますと、やはり無償援助の中には物資に対する援助がかなり多く含まれておるということがわかるわけですが、特に昨年あたりは不況業種の製品である小棒等が実はその対象とされたということでございますが、まあこれは先般、私商工委員会等の質問でも、大臣等も今後やはり不況業種の製品の拡大を考えるという答弁をなされておりましたが、この点につきまして、ひとつ外務省と通産、経企庁、そのおのおのの立場からこれに対する今後のひとつ考え方についての御答弁を願いたいと思います。
○説明員(大鷹弘君) 先ほどちょっと御説明申し上げましたけれども、わが国の無償援助は開発途上国におきます国民の福祉向上、あるいは開発援助、こういう分野を対象といたしまして先方の具体的なニーズに合致した援助をするということでございます。この場合先方の、相手国の自助努力を助けるという見地から、先方の要請を待って具体的な無償協力を行うと、こういうたてまえになっております。 そこで、たまたま先方の、相手国の開発計画の中で必要な資機材につきまして先方がわが国に具体的に要請してきたものの中にわが国のいわゆる不況産品、こういうものが含まれていることも大いにあり得ることでございます。現に昨年度はかなりのものがこの先方の要請の中に入っておりました。具体的にはセメントでありますとか、あるいは肥料であるとか小棒、いま先生おっしゃいました小棒、あるいはかん詰め、魚のかん詰めであるとかそういうものでございます。ただ、私どもといたしましてはこういう不況産品の援助はあくまでも開発途上国のニーズに即して供与するということで、間違ってもわが国の方でこれを相手に押しつけるというような印象は与えるべきではないと考えております。具体的にはこれからもたまたまわが国が不況産品と考えておりますものに対するニーズというものは続けてあるものと私どもは一応考えておるわけでございます。
○説明員(小長啓一君) 私どもの立場も、いま外務省から御説明になったとおりでございます。先生御指摘の無償資金協力の供与の過程の中で、わが国の不況産業の関連資機材が発展途上国に供与され、結果として景気対策に効果を有するという場合があることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、今後とも経済協力を推進する過程におきまして、私どもは関係各省とよく連絡をとりながら、この内容の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
○政府委員(宮崎勇君) 経済企画庁としましても、ただいま両省から御返答がありましたように考えております。
○馬場富君 いま、外務省からも立場上、またその措置の立場からも相手側のニーズということにやはり合致するということは当然ですが、それはもちろんのことだが、やはりその中でも自然の形で待つということよりも、国自体がそういう不況に見舞われ、そういう製品の処置等に困っておるというのが昨今の状況だったわけです。そういう点について、私、やはり強くこれを研究してそれに乗せていくという考え方は政治姿勢の中で最も大切だと、ただ相手方の要望があるまで待つというそれでは弱いんであって、やはりこちらがそういう状況に乗せていくということは、この前の大臣等の答弁の中で河本さんあたりも言っておりましたが、その点やはりこれからもしっかりした方がいいんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○説明員(大鷹弘君) 先ほども申し上げましたが、一応無償援助は先方の要請を待って供与するという基本方針になっております。ただ、この過程におきまして、関係開発途上国の方でわが国にどういうものを要請すればわが国の方でこれを供与し得るか、これにこたえ得るかということにつきましては、すでにいろいろな情報を先方が持っているようでございまして、それに合わせまして先方の方でわが方に具体的な要求を出してくる、こういうことがございますので、したがって私どもの方で先方のその国にこういうものがございますけれどもいかがでしょうかというような持ちかけ方はしなくても、十分にそれは先方の方から具体的な要請として出てきている、これが実情でございます。
○馬場富君 次に、円借款の中で、特に先進国に対する輸銀等の貸し付けのあり方について、ひとつ御説明願いたいと思います。
○説明員(中田一男君) 日本輸出入銀行は、御案内のように、日本の製品の輸出あるいは重要な資源の輸入それから海外で本邦法人等が行います事業のための投資、こういった事柄につきまして融資をしておるわけでございまして、特に先進国に向けてやるとか後進国に向けてやるとかというふうな意識ではございませんで、むしろ本邦の輸出、輸入というものが円滑に行われるような見地から融資を行っておる次第でございます。
○馬場富君 その中で、特にソビエトの関係の円借款の現況はどのようになされておるか、説明してもらいたいと思います。
○説明員(中田一男君) お答えいたします。 ソ連向けの輸銀の融資の状況でございますけれども、大きく分けまして、一つはシベリアの資源開発を促進するという観点からの融資。これは現在三つのプロジェクトにつきまして融資承諾をしておりまして、南ヤクートの石炭開発プロジェクト、極東森林開発プロジェクト、それからヤクート天然ガス探鉱プロジェクト、これら三つを合わせまして昨年の九月末現在で二千九百六十三億円融資承諾をいたしております。もう一つのグループといたしましては、ソ連向けの各種ブランドの輸出案件につきまして、バンクローンという形式で五十二年九月末現在では約九件で、融資承諾額としましては四千三百八十四億円というふうな実績になっております。
○馬場富君 対ソ連の借款の中でクレジットの問題がございますけれども、これに対して通産の方からどのような状況でこれがなされておるか、説明してもらいたいと思います。
○政府委員(宮本四郎君) ソ連はわが国の隣国でもございますし、非常に大きなマーケットでもございますので、ソ連との経済関係をできるだけ拡大してまいりたい、こういう考えでおります。特に、両国の関係が経済貿易などの面で順調に発展をいたしておりまして、特に経済面ではシベリヤ開発の協力を中心に相当プロジェクトごとに前進を見ていることは御案内のとおりでございます。したがいまして、政府といたしましては、これらのプロジェクトがそれぞれ経済的にも技術的にもきわめて妥当なものであって、しかも互恵平等の基礎の上に両当事者の間で満足のいくような形でまとまるということでございますれば、こういうプロジェクトにつきまして政府が先ほど話が出ておりますような信用供与の面でも協力をしてまいる、こういうたてまえをとっております。
○馬場富君 そんな説明じゃなくて、ソビエトとの円借款の中で、やはり日本商品を向こうが買うことによってのバーターによる制度があるわけでしょう、それについてひとつ説明してもらいたい。
○政府委員(宮本四郎君) 私、特段に特別のプロジェクトについては存じませんので、何か御指摘がございますればお答え申し上げたいと思います。
○馬場富君 その担当者の方来ていませんか、説明できる人はどなたでも説明してください。
○説明員(村田文男君) 先ほど御説明がございました三つのプロジェクトにつきまして、その一部に消費財の調達が含まれております。これにつきましては、私とも国産品——日本からの産品の輸出に限るということが基本協定でうたわれておりますので、貿管令の承認に当たりましては原産地証明をとりまして、日本品に限るという運用を行っております。
○馬場富君 だから、そういう日本商品がこの借款の中の、結局ソビエト側の一つの対象になっておるということは事実だが、そこのところのシステムをひとつどのように具体的になされておるか、一遍説明してもらいたい。担当局どなたですか。
○説明員(村田文男君) 私どもが所管いたしております消費物資に関して申し上げますれば、貿管令に基づく輸出承認の際に、輸出業者から原産地証明書の添付を義務づけております。提出を義務づけております。具体的にはメーカー団体が確認を行いまして、その製品を扱う輸出組合が、おのおのの輸出組合が証明をするという形の原産地証明書の添付を義務づけております。
○馬場富君 じゃそのですね、いまの結局商品のバーターを行う、その担当官庁は一体どこなんですか。あなたはちょっとも答弁ができないんだけれども、私はそういう円借款の中で結局品物を相手方が買うという方法の借款法もあるでしょう、実際。そのことは通産省は担当じゃないんですか、どうなんですか。
○政府委員(宮本四郎君) バンクローンに関しましては私どもはタッチしておりません。
○説明員(中田一男君) 日本からの輸出を行いますこれに対する輸銀の金融のやり方といたしましては、三種類あると思います。私、ソ連の具体的なケースは存じ上げませんが、一般論としてお答えさしていただきたいと存じますけれども、一つは国内の業者に対して金融をいたしまして、それが延べ払いという形で相手方の買い入れ業者に金融をつけるという、いわゆるサプライヤーズクレジットという方式でございまして、これは船舶の輸出でございますとか、プラント類の輸出でございますとか、そういった輸出に活用されておるわけでございます。それから二番目は、相手方の国内業者に対して、輸銀が相手方の外国法人に対しまして日本から物を買うその金融を直接つけて差し上げるという方法でございまして、これはバイヤーズクレジットと呼ばれておる方式でございます。それから第三番目は、同じように相手方の外国の業者が日本から物を買うわけでございますけれども、直接相手方の業者に金融をつけるのではなくて、外国の銀行に対して金融をつける、外国の銀行がその輸入する外国の業者に金融をつけるという形で、輸銀から見ますれば、これは相手方の銀行に対する融資でございまして、バンクローンというふうに呼んでおります。このように輸出金融を賄うやり方といたしましてはサプライヤーズクレジット、それからバイヤーズクレジット、バンクローンと三種類あるわけでございます。
○馬場富君 その中で、通産省にお尋ねいたしますが、日本の商品が商社によってソビエトにその対象の中で輸出される方法がありますね。たとえば繊維製品等についてもありますよ、どうですか。
○説明員(村田文男君) そういう方式に基づきまして、先ほど申しました三つのうちの一つでございますが、バンクローンによりまして繊維を中心とする消費物資が輸出されております。
○馬場富君 これは通産省の、いままで私に対する説明の中で借款の金額ができたと、両方の中で契約ができたと、そうした場合その一部は向こうの、結局ソビエトの、いわゆる希望する商品を日本商社がそれ入れることによってその借款の中の対象の一部にされておると。いいですか。その商品は通産省がリードして、そして商社に渡して、商社が結局向こうの、ソビエトの関係者と契約を結びながらその品物を輸出していくと、こういう方法が一つあるということを通産省当局が私に説明したんだよ。そのことがどういうふうに具体的になされておるかということを私は聞いておるのに、なぜ説明できないのですか。担当者おらないんですか、ここに。
○政府委員(宮本四郎君) 貿易局が実は担当でございますので、私……
○馬場富君 説明させなさい、ちゃんと、要望したんだから。
○政府委員(宮本四郎君) 私自身といたしましては、調査をさせていただきます。
○馬場富君 正式に答えられる人をひとつ出してください。私は要望したんだからそのことを。——それではその担当者を来てなければ呼んでほしいよ。そんな聞く担当者もおらずに質問を繰り返させてけしからぬよ。ほかのものを先にやるわ。 次に、プロジェクト開発についてひとつ。 イランの動乱によってイラン石化の開発中止がなされておりますが、現状と見通しについて説明してもらいたいと思います。
○説明員(小長啓一君) イランの石油開発プロジェクトは日本、イランの経済協力にとりまして最重要な案件ということでございまして、政府といたしましても従来から円借款の供与、輸銀資金の供与等によりまして支援をしてきたところでございます。現在八五%の工事が完了しておるわけでございます。しかし、革命等の理由によりまして現在建設工事は小休止のやむなきに至っておるわけでございます。しかしながら、イラン側といたしましても本計画を一刻も早く完成したいとしておるわけでございまして、また日本側の投資企業でございます三井グループにおきましても本計画を継続する方針を確認しておるわけでございますので、できるだけ早くその工事が再開できるように、われわれとしても力添えをしていきたいというふうに考えている次第でございます。
○馬場富君 この点につきまして、先日イランの国営石油化学公社のアベディ総裁は、イラン国内のすべての石油化学企業の管理を一本化して、このうちの外国の持ち分はイランが買い取るというニュースが実はなされておりましたが、この点の真偽について御説明願いたいと思います。
○説明員(小長啓一君) 先生御指摘のように、一部の報道でそういうことがなされたことは事実でございます。私どもびっくりいたしまして、現地の大使館を通じましてアベディ総裁自身に確認をしてもらったわけでございますが、その結果は次のようなことでございました。すなわちNPC——石油開発公社といたしましては小規模経営をやっておりますジョイントベンチャーのものにつきましては、これを正当な価格で買い上げるという形でもって順次その国の持ち株比率を高めてまいりたい。しかし、このバンダルシャプールの石化計画は別であるというのが公式の回答でございます。
○馬場富君 じゃ、この対象からイラン石化を外しておるということですね。じゃ、その他にこういうやはりイランの中で行っておる開発の中で、こういう影響を受けるところがあると思うわけですが、今後やはり途上国援助においてこういう事態が予想されるということも考えなきゃならぬが、こういう問題に対してはどのように考えられておるか、御説明願いたいと思います。
○説明員(小長啓一君) 先生御指摘の問題は、まさにカントリーリスクの問題ではないかと思います。こういう海外投資案件につきましては、私どもは従来から海外投資保険制度というのを持っておるわけでございまして、フォースマジュール等によりまして現地企業が没収されたような場合に備えましての保険措置というのは、従来からやっておるわけでございます。それに加えまして、これからの新たな検討課題といたしましては、投資保証協定的なものを国によっては考えていく必要があるのではないかということを考えておるわけでございます。同時に、カントリーリスクをより少なくするといいますか、より実態を明らかにするために、ある種の調査事業の拡充強化ということも必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
○馬場富君 先日、衆議院の予算委員会で園田外務大臣が、イラン石化の開発については、イラン側の受け持っておる資金分担の三百億円については、イラン側から要請があれば、とりあえず政府が肩がわりをするという発言もありましたが、その後これについてのイラン側の要請があったかどうかということです。
○説明員(小長啓一君) 現段階におきましては、三井グループが工事再開に際しましてどれくらいの資金が必要であるかという、その資金計画を策定しておる段階でございます。したがいまして、まだ先方当事者でございますイラン側と民間企業ベースでは接触をしていない段階でございますので、イラン側から正式にそういう要求はまだきているという話は聞いておりません。
○馬場富君 特に、イランの経済協力等につきましては、御存じのように三木、福田の両総理、それから中曽根、園田、河本大臣等も行って、やはり共同コミュニケ等も発表して、そして協力を確約しておるという、そういういわば両国間の結局公約というような形で行われてきておる事業です。よしんば、これはイラン石化については日本側は民間の三井が中心とはなっておりますけれども、やはり経済協力とかあるいは資源外交の立場から言っても、これは放置できぬのじゃないか。最近ずっと見ておりましても、この中にはやはり開発については五百を余る日本の中小企業も参画しておるという現状もございますし、それから最近のイランのエネルギーの対日本の問題の中でも、やはりこのプロジェクトがかなりパイプ役を務めておるというような傾向も出てきておる、こういうような立場から言っても、これはひとつ失敗のないように推進しなきゃいかぬ、こういう点が考えられるわけですが、この点についての考え方をひとつ御説明を願いたいと思います。
○説明員(小長啓一君) 本プロジェクトについての認識につきましては、いま先生が御指摘になったとおりでございまして、私どもも重要なプロジェクトといたしまして同様な認識を持っておるわけでございます。したがいまして、三井グループが検討をいたしました結果、具体的なファイナンススキームが出てまいりますと、恐らくその中で政府に対する支援措置の具体的なものが出てくると思いますけれども、出てまいりましたらそれを踏まえまして、私どもは関係各省と相談をしてまいりたいというふうに思っております。
○馬場富君 特に現在、このコンビナートの計画については延期のために、さらにやはり一千億円程度の追加が必要とされておるというように報道されておるわけです。このために関係者ではナショナルプロジェクト等の編成等も考えながら、一方ではやはり出資等も増額して対処をする、その中で基金等による新規出資ということのひとつ要望等も考えるという声が強くなってきておるようですけれども、これに対してやはり長官と通産のひとつ見解を、御説明を聞きたいと思います。
○説明員(小長啓一君) 先生御指摘のように、革命前の段階ですでに約一千億円のコスト・オーバー・ランというのが言われておったわけでございます。革命後、現在事業が小休止をしているわけでございますので、恐らくそのコスト・オーバー・ランの部分は一千億をかなり上回る金額に達するものと思います。その詳細はいま、先ほど申しましたように、三井グループが詰めておるわけでございますので、詰め終わった過程で具体的な政府の支援要請という形で数字が出てくると思います。それを踏まえて私どもは前向きに対処してまいりたいということでございます。
○馬場富君 経企庁長官、ここでいま私の質問したようなひとつ状況が検討されておるという状況です。そしてやはり、出資の増額とかナショナルプロジェクトの編成等も考えられておる、こういう立場から先ほど申しましたように二国間のいままでの協力体制の立場からいっても、やはり基金に対する要望等については、かなり前向きで検討しなければならぬのじゃないかという考え方を持っておるわけですけれども、長官はどのようにお考えですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) このプロジェクトの持つ日本のエネルギーに対する意義は、われわれもよくわかっておるつもりでございますが、やはり一義的には現在の小休止という形の中でどの程度具体的に、具体的な数字が出てくるかということをわれわれは待っておるわけでございまして、そうした問題が通産省で固まりましたら、われわれといたしましてはこれに対応して十分考慮をし、また配慮をする気持ちはあるわけでございます。
○馬場富君 それでは先ほどの質問の回答の方が担当の関係でおくれておるようなので、後の機会に譲りまして、もう一問だけで質問終わります。 最後に、海外経済協力の世銀との連携計画の中で、今度ワシントンに事務所設置が行われるという、そういうような報道等もなされておりますけれども、ここらあたりの踏まえと、その事務所設置の効果等について御説明願いたいと思います。
○参考人(石原周夫君) 便宜私からお答えを申し上げます。 世界銀行との協調融資という問題は大分前から、定期協議という形で五、六年前から進められてきたわけでありますが、昨年以来政府側にも御相談を重ねまして、できるだけプロジェクトを特定して協調融資を進めてまいりたいという大勢になってまいったわけでありまするから、これにつきましてはその事前、事後、相当プロジェクトが調査の段階から実施の段階まで時間がかかるわけでありまするから、したがいって相当一年を通じて情報交換をし、意見の交換をするということが出てまいると思うわけであります。したがいまして、ワシントンに駐在員を置きましてその間の密接な連絡を持つようにいたしたいと、こういうことがワシントンに事務所をつくります大きな理由であります。
○馬場富君 終わります。じゃ、あとの質問はこの次の機会にお願いします。
○委員長(福岡日出麿君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後五時三十七分散会