商工委員会 第3号
- 発言数
- 248 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1979/02/15
会議録
○委員長(福岡日出麿君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。 これより前回聴取いたしました所信等に対する質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
○小柳勇君 きょうはイランの紛争による石油エネルギーの減量、これに対する対策など緊急の問題を質問をいたします。政府の方針その他は次の予算委員会で質問いたしますから、きょうは具体的な問題でお話を聞きたいと思います。なお、イランの現在の紛争状態なり石油資源の動きなどについては、先般来、石炭部長からもヒヤリングしておりますから、私は大体いまの動き理解いたしておりますので、この委員会としての記録がありましょうから、簡潔にそういうものをお話しの上、私、後の方のこの省エネルギー問題などに主力を置いて質問いたします。時間が五十分しかありませんから、簡単に要領よく私も質問いたします。大臣からもそういうことで御答弁を願います。 まず第一は、イランの現在の政情不安、これをどういうように通産大臣は御判断をしておられるか、見解を聞きます。
○国務大臣(江崎真澄君) イランの問題は、私どもも非常にわが国にとっては重大な問題という認識で、的確な情報をどうキャッチするか、これに配慮しながら実は油の対策を練っておるところでございます。御承知のように、イランの石油は十二月からは輸出全面ストップ、こういう事態でございます。したがって、その後はOPEC隣接諸国の増産、そしてイラン分に対する積み増し、こういったことで当面を過ごしてまいりました。しかも一方、イランに依存しておりまする世界の重油の依存度、これは一二%と言われます。わが国の場合はかつて三十数%をイランに依存しておったことがございまするが、なるべく多角的、多国から分散して輸入することがよかろうということで現在は一九%強、よく二〇%というわかりやすい言葉で言われる理由でございます。したがって、これが入ってこないということは、いかに協力的多国の積み増し、それから在庫の取り崩しなどということで、当面は糊塗できまするが、この情勢が非常に長くなりまするというと、わが国の油供給事情には大変重大な影響をもたらすものと深刻に受け取っておるわけでございます。ただ、幸いなことには、体制、反体制派をめぐりまして、軍が介入して内戦になったら、これは相当どろ沼様相を呈したり長期化するであろうということが予想されたのでありまするが、軍が中立化を宣言したということで、バザルガン新首相が今日政権の座につかれた。このことは、アメリカ、ソ連の承認をめぐりまして、わが国も速やかに承認という形で話が進められておることは御承知のとおりでありまするが、このバザルガンさんは元国営石油公社の総裁であります。したがって、日本の民族系の石油業者とも面識の間柄でありまして、このことはイランに石油を多く依存しておるわが国としては多少希望の持てる一つの条件である。しかも、このバザルガンさんの経済的な協力者といいますか、経済担当相にはまだならなかったように思いまするが、バニサドルという人が経済的な相談相手なんですね。このバニサドルさんも幸いなことに知日派であるということが言われておるわけでございます。 これは希望的な願望をまじえての表現になりまするが、きょうの新聞にも見られますように、私まだ正式には報告を受けておりませんが、バザルガン新首相とわが和田大使とが会ったところが、日本に対してはこれを尊重しようというような言葉が出ておった。これなどは私大変いいことだという感じがいたします。外務大臣の報告に見ましても、いま二千九百人余が無事このイラン国内にとどまっておると、で、安全であると。しかも、街頭で誰何されたときに、軍隊から君は何国人かと言われて、日本人だと言うと非常に応対がソフトである。他国の人とは、これは名前は差し控えます、とは全然応対が違う。これなどは大変わが国にとっては好ましい情勢であるというふうに考えておりまするが、この混乱情勢が長く続きますると、やはり二〇%近くを依存しておりまするわが国としては相当な影響も出てくるわけでございます。ところが、まあ一つのこれもうれしい情報でありまするが、石油各社をエネルギー庁長官のもとに来てもらいまして、いろいろヒヤリングをいたしました結果、大体七千二百万キロリットル一月から三月期に入荷できる。この七千二百万キロリットルというのは昨年の同期であります。昨年同期ということはその後経済伸長、経済の伸びを示し、ある程度の重油消費量が伸びた分がわずかばかり不足するということでありまして、ほとんど御承知のようにあの石油ショック以来足かけ六年の間というものは石油消費量というものは横ばいできておりまするので、まず最盛期の一-三月に前年同期分を確保できたことは本当によかった。四月からはちょっとシーズンオフといいまするか、消費量がスローダウンする時期に入ります。したがって、この秋口までは何とかいけるのではないかということで愁眉を開いておるというのが実情でございます。
○小柳勇君 個条書き的でいいですから、答弁は。時間が余り……。 一-三月まで前年同期の量を確保したいというのはどういう情報ですか。
○政府委員(天谷直弘君) 個々の精製元売り会社を呼びまして、どの程度確実に入ってくるかということをすべて個別に聴取いたしまして、それを集計したものでございます。
○小柳勇君 大臣はたとえば一年とか二年とか、いま新政権を承認することはきのうの新聞でも出ておりましたけれども、どのくらい影響あるという、政府としてはいつごろまで異常にあると判断していますか。いまの新政権が油を出す、油もなかなか完全に出ないようでありますけれども、どのくらいまでは不安定だと判定して、これからの省エネルギー対策を立てますか。こういうことです。
○国務大臣(江崎真澄君) この問題はなかなかむずかしい問題だと思います。いまにわかに政権の安定度がどの程度であるかとか、今後の見通しはと、こうおっしゃられても、私も確たる御返事を申し上げる情報を持っておりませんが、まあこのバザルガン政権というもので落ちついていけば、これはやはりいまも日産百万バレルぐらいは、これは自家用ですね、自国用ということで生産をされておるようでございます。いろんな情報がまちまちに入ってまいります。今朝もある朝飯会に出まして、多少関係のある人の話によるというと、これはもともと石油によって立っておる国だから、これをなおざりにして国家経営ができるものではない。経済的にも比較的早い機会に政局が安定すれば生産が再開されるのではないか。ただ、そうは言っても、過去のように日産六百万バレル近いものが生産されるということには距離があろう。やはり三百五十とか四百万バレルとかということであって、ちょっともとの線に戻すことはむずかしかろう、こういう見通しなどを聞いておる次第でございます。
○小柳勇君 それはたとえば一年間減量するといたします。一-三月は一応見通しついたようでありますけれども、いまの今日まで参っておりました日本の輸入量の一七%なり一九%の半分、一年間の間には半分しか見込めないとしたら、これからの備蓄量、一年間の備蓄量いま九十二日分はどうなりますか、エネルギー庁長官の方から。
○政府委員(天谷直弘君) これから一年間イランからの油は全く入ってこない。しかしほかから、いまイランの日本の輸入に占める割合は一七、八%というところでございますけれども、これがゼロになる。しかし他方、サウジアラビアその他からの輸入の増量ということがございまして、全体としてたとえば七%減る、この辺が私ども一番あり得るケースではないかというふうに考えておりますが、七%減るというふうに仮定をいたしますと、一年間で九十二日の備蓄があると申しておりますが、そのうちの二十四日分が食いつぶされるということになると考えております。 ちょっと失礼しました。なおこの場合、節約はないという前提でございます。日本国内の節約はない。輸入の数量が七%減る、こういう前提で備蓄量に食い込むといたしますと、二十四日分減る、そういう計算がございます。
○国務大臣(江崎真澄君) 委員長、ちょっと補足で。さっき私お答えしましたが、和田大使からの連絡というものがまだ不確認とこう申しておりましたが、いまメモが参りまして、十四日昼、和田大使はバザルガン暫定政権首相と会見したと。その際同首相は、自分も現場を見たが実に巨大なプロジェクトであり、われわれとしてもこの工事の継続を希望するだけでなく、これを一刻も早く完成させてもらいたいと考えておる、この旨を述べたと、いま正式に連絡がございましたので、ちょっと補足申し上げておきます。
○小柳勇君 それは三井物産のプロジェクトだと思うんですけれども、相当の損害だと思いますね。こういうものについては国家としては何か補償かなんか考えますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 現在の段階では、そういう相談をまだ三井物産からは受けておりません。三井物産側は仕事が停滞したにもかかわらず、もう八〇%程度プラントができておるので、あくまで完成をしたいということを言い続けて今日に至りました。そのいろんなリスクを負いながらそういう態度に終始してくれたことは本当によかったと私ども考えております。いま御質問の点については、先方からもまだそういう具体的な相談はありませんし、したがってわが方としてもどうするかということについては決めておりません。
○小柳勇君 通産省として向こうの方に何か特使を派遣するとか、情報を大臣のところに連絡する体制はありますか。大使館には通産省からは行っておられますかね、どうですか。
○国務大臣(江崎真澄君) やはり、情報としては大使館が中心でありまして、通産省からはイランの大使館に出向しておるということであります。しかし、御承知のように業界は油を獲得するためにはこれはやはり相当な精力を費やして情報をとっておりまするので、業界の情報、それからプラントを推進しておる三井系からの情報等々をエネルギー庁長官のところでまとめております。
○小柳勇君 九十二日分の備蓄で二十四日になりますと七十日切るわけですが、一年間政情としてはどうなるかわかりませんが、たとえば備蓄を取り崩す場合には、公団――公のやつ、あるいは民間のがありますけれども、どういう順序で取り崩してまいりますか。
○政府委員(天谷直弘君) 公団備蓄は緊急事態しか取り崩さないという考え方でございます。その理由は、一つは公団の業務方法書にそう書いてあるわけでございますし、それからもう一つは、仮にこの公団備蓄のタンカー備蓄を先に使うといたしますと、用船契約を解除しなきゃいけないということになりますが、用船契約におきましては、政府が緊急事態を宣言した場合には用船契約を解除できますけれども、そのほかの場合は何かよほど特別のことがない限り解約の事由になりませんので、われわれとしては公団備蓄というのは最後に取り崩すべきものであると、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、民間備蓄を先に取り崩す。しかし、これも勝手気ままに取り崩せというわけではございませんので、できるだけ原油調達の努力をするなり、いろいろ努力をして、どうしてもやっぱり備蓄に食い込まざるを得ないというようなことであれば、個別によく事情を聞きまして弾力的に対処いたしたい、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 アメリカの大統領がメキシコに、これやっぱり油の問題だと思うんですけれども、特に石油問題でメキシコまで飛んでいるようですが、いまたとえばその備蓄に手かけないで、輸入をどこからかふやそうということですけれども、こういう機会ですから、備蓄の取り崩しの前に、たとえばメキシコとかアラスカとかあるいは北海もありましょうが、もう少し、口実にしてはおかしいけれども、国際的には話成り立ちますからね、いまならば。だから、通産大臣がたとえばメキシコに飛んでいって、あるいはアメリカの大統領と話しながら、この際少し分けてもらうというような、そういうまあ災いを転じて福とするような、それにてこ入れに使うようなことも考えなきゃならぬと思うんですけれども、実力大臣はいかがですかね。
○国務大臣(江崎真澄君) お示しの点は全く同感でございます。やはり前の石油ショックのときに大あわてをして、中近東諸国への対応はやっぱり国際的にもいろいろ批判のあったところであります。したがいまして、こういう場面でやはり安定供給をどう確保するかというために、特使を派遣するとかしかるべき措置に出るということは、これはもう政治の責任の衝にある者としては大事なことだというふうに思います。
○小柳勇君 インドネシアなどもいろいろ動いているようですが、こういう機会ですから、国際的にも非常に石油の問題でこれを口実にしながら動いておると思いますから、まあ抜かりないと思いますけれども、十分政府も心して動いてもらいたいと思います。 そこで、省エネルギーですね。もう少しやっぱり節約しなきゃならぬと。これはこの前の国会でも省エネルギー法案が出て継続審議になっています。この中のもう半分以上行政指導でやっておられるようですが、ただ、その行政指導というのが通達を出したというようなことにとどまっていないかと思うわけです。したがって、この法律は今度また論議することになるでしょうけれども、見てみまして、非常に抽象的でして、これで一体本当の省エネルギーになるかという気がいたしますが、エネルギー節約に対する基本的な通産大臣と経済企画庁長官の見解を聞いておきたいと思うんです。また、原則論は予算委員会で論争いたします。
○国務大臣(江崎真澄君) 節約は無資源国のわが国として絶対条件であるというふうに認識をいたします。ただ問題なのは、御承知のように、ことしはまあ財政的に両三年来非常な無理をいたしまして、景気の浮揚、特に来年度は景気の持続、これを図りながら雇用をどう安定させるのかと。せっかく景気がなだらかな回復路線に入ってまいりました。ここで大口需要の規制とかそういう挙に出ますと、やっぱり景気にかげりが来るばかりか、雇用問題にまで影響を及ぼしかねません。あるいはまた国際協調の面からも外れることもありましょう。したがいまして、それなどともにらみ合わせながら、まあできるだけひとつ省エネルギーの方向をとっていこう、こういうことで一月二十二日に省エネルギー・省資源対策推進本部、これは総務長官が責任者でありまするが、これを開きまして、まず隗より始めよということで、官庁の冷暖房の措置、エネルギーの節約、そして地方官庁、それから特に生産会社は御承知のとおりあの石油ショック以来非常に節約を図り合理化を図っております。これが横ばいの大きな理由でありまするが、一般消費は電気の使用を含めまして四%近くあのピーク時よりも伸びておるわけであります。したがいまして、一般国民に対しても節約を求めるという態度で臨んでおる次第でございます。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 私もただいまの通産大臣の御意見に全く賛成でございまして、特にこのイランの事態が相当深刻であるという観点、そうしたものに対します場合に、この省資源運動というものはもっと切実な問題として全国民的な理解の中で進めてまいりたいと思います。
○小柳勇君 一月の二十二日に省資源対策推進会議が「省エネルギー対策の推進について」という書面を出しておられます。これを、産業界による措置とか、民生部門におけるエネルギー消費節約の具体的措置とかに分けて答申が出ておるんですが、まず産業界による措置のところで、通産省としてはどういう具体的な行政指導なり措置をされたんでしょうか。
○政府委員(天谷直弘君) いま大臣からも御説明ございましたように、産業界におきましてはまあ減量経営ということも関係がございますけれども、エネルギー消費の減量ということに一生懸命になって努めてきたわけでございます。われわれの方の調査によりますと、企業の事務管理部門におきましては、石油危機以前の消費水準に比べまして大体一〇%近くの消費節約が行われているであろうというふうに考えております。それから百貨店、スーパー等におきましては、電力消費面におきましてはおおむね一五%程度の消費節減が行われている。それから、中央官庁におきましては、中央官庁の事務管理部門におきましてはおおむね一四、五%の節約が石油危機以前と比べて大体行われていると、まあおおむね何と申しますか、かなりラフな判断でございますが、そういうふうな感じでございます。したがいまして、産業界につきましては産業界の一番消費する重油について見ますと、むしろ需要は減少傾向にあるというような状況でございます。需要の伸び率はむしろマイナスであると。現実に不景気ということも絡んでおりますけれども、消費節減はかなり行われていると。したがいまして、産業界に対しましては石油、電力等のエネルギーの消費節約を一層努めるようにという呼びかけを行っておる段階でございます。
○小柳勇君 経済企画庁長官に質問いたしますが、今度の内閣は六・三%ぐらいの経済成長を見込んで計画を立てるようですけれども、六・三%の経済成長を見込んでいけば石油のエネルギーは年に何%ぐらい伸びたらいいんですか。
○政府委員(天谷直弘君) 私どもの石油供給計画によりますと、昭和五十四年度につきましては石油の伸び率はおおむね三・六%くらいというふうに見ております。したがいまして、六・一二%のGNPの伸びがあるときに石油の伸び率は三・六%と、この程度で考えております。
○小柳勇君 そうすると、この「省エネルギー対策の推進について」というこの書面は、大体何%ぐらいの削減を目途としているんですか。
○政府委員(天谷直弘君) ここに、文書に書いてございますように、室内温度を二十度以下に保つとか、官用車の運行を二〇%程度削減するとかいうことでございますので、これによりまして私どもは何キロリッターという数量において大きな節約がなされるということは余り期待いたしておりません。われわれとしましては、この節約の第一段階は心理的及び倫理的引き締めであるというふうに考えております。昭和四十八年以前におきましては、石油は豊富低廉であると、じゃぶじゃぶ使う、消費は美徳であるというような考え方がございましたけれども、環境が一変しましたので、心の持ち方、価値観を変えるということが必要ではないかと。日本国民全体としてそういう心理的、倫理的な価値観の転換をするということが最も重要なことであるというふうに考えております。したがいまして、暖房の温度であるとか、エレベーターの節約であるとかいうことを訴えているわけでございます。これによりまして余り数量的な効果というものは期待しておりません。どうしても数量的に節約を強行しなければならないということになれば、もっと別の手段をとらざるを得ないというふうに考えております。
○小柳勇君 私はその点をきょう問題にしているわけです。たとえば、アメリカはイランから一〇・五%ぐらいしか全体の輸入量ないわけですよ。しかし、イラン紛争が起こりましたら直ちに大統領みずから先頭に立って三%節約、三%節減ということをちゃんと呼びかけていますよ。そして、イラン分はメキシコに飛んでいってその増加を、みずから動いているでしょう。私は経企庁長官、通産大臣、大物がおられて、非常に動きが鈍いと思うんです。この省エネルギー法案が去年継続になったというから、私はきのう早速うちの方の関係の諸君を集めて、なぜこれを継続にしたのかと言ったら、出方が遅かったというわけだ、国会に。だから継続になりましたというけれども、これでは骨抜きです。これではいまおっしゃったとおりだ。何%はっきり節約するという目標がないような気がしますよ。せっかく閣僚推進会議でお決めになったこの書面が、節減の目標がないんですもの、意味ないですよ。ちゃんと一七%入っていたのがイランの紛争でいまはゼロですよ。あと一年間ぐらいは半分になるかもわかりません。七%減とさっきおっしゃった。そもそも七%をどこかで節約するか、あるいは入れるかしなきゃ日本の産業も成り立ちませんでしょうし、そういうものでして、一体どうしようとされるか。私はこんな書面では本当に節約できぬと思います。後でもう少し車の方質問しますけれども、もう一回大臣の決意を聞いておきたいんですがね。
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点は、私も重要に認識いたします。ただお察しいただきたいのは、やっぱりことしの日本の大きな経済の柱としては景気持続をどう図るか、雇用対策をどうするか、国際的には為替相場を安定させる、これは相対的なアメリカとの問題もありますが、それから物価を抑えるという大前提、これは四つの柱と言ってもいいかと思います。そういう面で一-三月前年同期並みの油を確保できたというところで大口規制はしないと、しかし節約はぜひ求めるというわけで、官庁その他の協力を求めておるわけですが、この部屋なんか比較的これ暑い、あったかい方ですわね。通産省などでは、きのうも濃野次官の説明によるというと、一日じゅう留守番役で通産省におると足腰が冷えますと、こう言っておりました。やっぱり、これは本当にそういう節約をまず役所が率先やるということを推進していく。 それから、いまの省エネルギーについての法案につきましては、昭和六十年を目途に一〇・八%削減するという計画に立って立案をされておるという私説明を聞いておるわけでありまするので、これまた御協力をお願いしたいと思います。
○小柳勇君 それも一つの漫画みたいなものでしてね、昭和六十年に一〇・八%マイナス、昭和六十年まで毎年六・三%の経済成長計画してあるんですから、平均六%ぐらい経済成長しましょう。平均六%成長しましたら――非常に大事な時期ですから、大臣もちゃんと計算をして腹に入れておいてもらいませんと、指導できませんよ。これはちゃんとエネルギー庁長官がおられるから、エネルギーは一切長官に任せっきりだとおっしゃるならそれでいいですよ、大臣に質問しませんよ、もう。ちゃんと腹に入れておいて、自分でメキシコに飛んだり中国に飛んだりして、これだけ足らぬからこれだけ売ってくれよと、それくらいやられないと国民は安心できませんですよ。いまの一〇・八だって、何もそれはあなた、いまお聞きになったようだけれども、これから七年間経済成長いたしますとね、そんな節約できませんです。もっとふえますよ。石油はふえなきゃならぬです。でないと経済とまります。そんな漫画みたいな話はできません。 そこで、経済企画庁長官は、いま総合交通体系の担当大臣だということを聞きましたんですね、これは。そういうふうに経済企画庁長官が担当大臣になられるようですけれども、この「民生部門におけるエネルギー消費節約」にこう書いてある。「家庭等の民生部門については、暖房温度の適正化等のエネルギー消費節約に努めること。また、マイカーについては、不要不急の自動車利用の自粛、休日におけるマイカーの高速道路への乗入れ自粛、経済速度(高速道路では時速八十km以下)による走行の励行等に努めること。」と書いてあります。これをどういうふうに具体的に国民に知らしてあるのか、お聞きしたいと思うんです。
○政府委員(井川博君) 企画庁といたしましては、生活面、特に国民運動として省資源・省エネルギーを推進していくという面に力をいたしているわけでございますが、いま先生お示しのこの間の一月二十二日の決定の内容につきましては、二月の五日に資源とエネルギーを大切にする全国の国民運動の全国集会がございまして、ここで中央、地方の各種団体が集まりまして、いま推進しております生活面、これはあくまで生活面が主体になるわけでございますが、生活面の各運動のいろいろな進め方その他について相談をしたわけでございますが、この席上、通産省の方からこの決定の内容が説明をされ、われわれといたしましてもその必要性について十分説明をいたしたわけでございます。 なお、こうした全国大会等々によりまして、いわば一番大切なことは資源とかエネルギーについての国民の全体的な認識であるというふうなことでもって、あらゆる面からそういうふうな内容の説明をいたしているわけでございまして、経済企画庁といたしましては、さきに発表いたしました国民生活審議会の省資源生活委員会の、いわば生活における省資源・省エネルギーの定着のために国民としてはどういうことをやったらいいかという報告を出しましたけれども、これについても十分その内容を説明いたしたということでございます。
○小柳勇君 具体的にはどういうことですか。どういうふうな手順で具体的にいま指導がなされていますか。
○政府委員(井川博君) 現在、ただいま申し上げました国民運動といたしましては、中央と地方にそれぞれ団体がございます。中央には資源エネルギーを大切にする国民運動中央連絡会議というのがございまして、これが消費者団体、文化団体等々含めまして百二十二団体が加入をいたしております。それから、さらに地方には、それぞれ都道府県を単位にいたしまして、資源とエネルギーを大切にする国民運動地方推進会議というのがございます。この両方が相密接に連絡しながら、いわば国民運動として展開をしてきているわけでございまして、今回の決定につきましても、そういう団体の活動を通じながら、そのほか府県であるとかその他、他の媒体も用いますけれども、そういうふうな、主としてこうした推進会議を中心にいたしましてPRをいたしていっているというところでございます。
○小柳勇君 現地の府県の実態を追跡されたことございますか。
○政府委員(井川博君) そうした消費節約の具体的な処置につきましては、それぞれの所管官庁の行政手段によっていただくよりほかはないと思います。 われわれといたしましては、総合調整という意味で、特に国民の、先ほどお話がございました国民のコンセンサス、意識を変えていくということに重点を置いて、先ほどの推進会議等を通じながらPRに努めているというところでございます。
○小柳勇君 これは通産大臣がやはり担当だと思うんですがね、省エネルギーですから。まあ経済企画庁長官かどちらかでもいいんですけれども、私この間エネルギー庁長官からイラン問題なりその後の情勢をずっとヒヤリングしながら感じましたのは、いま余りにイランでのために石油が不足するとなるとパニックが起きますと。だから、備蓄も九十二日ありますから、まあ大体騒がんでもうまくいきますということを言っておく方が、買い占めとかなんとかが起こらぬからいいという見解であろうと受け取ったわけです。ただ、それでは私はいかぬのではないかと実際思いました。考えていますのは、それはそれとして、省エネルギー法案なども準備してありますし、こういう通達も出ておりますから、それはそれとして、具体的にこの際要らぬものは使わぬということをもっと国民的な合意を取りつけなきゃならぬ。たとえば祭日、先般も連休で私厚木から帰りますと、七キロから八キロの渋滞です、マイカーのために。もちろんみんな必要でしょう。しかし、それでは本当にもう車の洪水です。したがって、こういう書面が出ている以上、この際石油も大変なことであるから、マイカーについては少し自粛しようではないかとか、公共輸送についてもう少し手を入れて、通勤などももう少しマイカーを自粛してというようなことを、この際根本的に経済閣僚会議などで決めなきゃならぬと思う。私ども先般交通委員会でもいろいろ論議しておりますけれども、都心にはもうマイカーを入れないで、郊外の方に駐車場をつくっておいてそこまで来て、後は無料でバスに乗るとか地下鉄に乗るとか、そうしないと、もうマイカーによって営業車も公用車も動きません。一キロのところを行くのに一時間もかかるんです。だから、この災いを福にするということはいかぬかもわかりませんけれども、余りにパニックを恐れるために、イラン紛争は石油に心配ありませんという言い方は私は反対です。備蓄の問題だっていまあったでしょう。公団の備蓄は簡単にとれません。それはそうでしょう、いま始まったんですから。海上備蓄やっていますから。それでも備蓄取り崩しが、ドルのいまこういうふうな変動がありますから、おのおのの企業自体の利益、損益もありますよ。したがって、そういうことで基本的に省エネルギーの問題について、もう少し経済閣僚会議にかけられまして、具体的にどうするかと。こんな書面流したから国会だけの答弁は済むかもしれませんけれども、国民生活はこれで改善されぬと思うが、どうでしょうかね、大臣、見解聞きます。
○国務大臣(江崎真澄君) 貴重な御提案だと私認識して承っておるわけです。ただ、申し上げましたように、やはりこの場面はわれわれとしても石油の先行きを見ながら、また同時に国内景気の趨勢、雇用の問題、こういうことも絡み合わせながら対策しておるというあたりは御推察を賜りたいと思うんです。先ごろ、これは一月三十日ですが、IEA、国際エネルギー機関ですね、例の石油ショック以後できました国際機関でございますが、これの非公式な事務当局の情報交換の会議がございました。それで、これに私どもの方からも真野国際経済部長を参加させたわけでありまするが、各国ともに前の石油ショックのときにあわて過ぎたと、これによって利益を受けたのはメジャー及び石油関連業者、いかにもこれは目に余るものがあったと。各国とものこれは意見だそうですね。したがって、今度の場合は、まあ北海油田も開発されたし、あるいはアラスカの油田も開発されておるし、各国とも備蓄水準というものも高まっておる。したがって、その非常の場合の備蓄であるから、まあ対応は静かにやろうと、こういう総合的な結論だったというんですね。したがって、先ほど御指摘がありましたように、アメリカのカーター大統領などの五%程度節約、これもかけ声として大きく報ぜられておりまするが、実際的にはハイウエーのスピード制限をしておる程度で、よその国も今度のイランショックによって特段の臨時異例の措置をとった国はないという報告を聞いておるわけですが、しかし日本は全部ほとんど海外に仰いでおる国でありまするから、これはよその国はともかく、日本は率先して節約しろという小柳さんの御提案は私傾聴すべきだと、よく承っておきます。
○小柳勇君 次に、もう一つガソリン税の見直しをやるべきではないかという意見が、いまほうはいとして起きてます。ガソリン税を取って道路をつくる、その上にまた車をうんとふやして、またここからガソリン税を取って道路をつくるというこの循環ですね、この辺根本的に見直すべきだという見解がありますが、経済企画庁長官、いかがでしょうか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) このガソリン税は目的税であるんで、なかなかこれを省エネルギー関係からだけ取り上げて議論するということもどうもむずかしい状況でございます。しかし、国民生活審議会の省資源生活委員会等の報告を見ておりますが、こうしたことに関連しましても一種の価格メカニズムあるいは税制度、そうしたものを含ませて考えていくべきであろうという提案もございまして、そうした方向でわれわれも今後検討してまいりたいと思います。
○小柳勇君 ガソリン税は目的税であります、道路をつくるために出発したんですから。いまこれと同じようにして、これから八兆なり十兆円で道路をつくっていきまして、また車はそれ以上にふえていくわけですね。したがって、さっき言いましたように、たとえば公共輸送の増強対策などにこれをガソリン税使って、さっき言ったようなものですね、郊外まではマイカーで来るけれども、そこから先は公共輸送に乗っけて、それは無料にしましょう、それにはこういうガソリン税から持ってきたもので切符買ってやってもいいではないかと。みんな総合的に考えていく。その中でこの際ガソリン税もひとつ見直そうと。これは経済企画庁長官の任務ではないかと思う。総合交通体系の担当大臣は長官のようでありますからね。そういう面からの検討はいかがでしょうか。もう一回聞いておきたい。
○国務大臣(小坂徳三郎君) やはり、いずれにいたしましても目的税であるということ、これはどうもいたし方がないんで、別にやはり税制度あるいは価格メカニズムというものを使って省資源、省エネルギー、そうした方向に活用できる方向のものを考えていくべきではないかと思っております。
○小柳勇君 それから最後の問題は、石油製品の値上げ及び電力料金の値上げはしないと先般も新聞に出ておりましたが、イラン石油の紛争などに、何かそういうものを理由にしてまた上がるんではないかという心配もありますが、政府としては、新聞に出ましたように、当分しないと、ドルの差益などもございまして、当分やらないということを確認していいですね。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 電力、ガス料金につきましては、政府と電力会社との間で、またガス供給業者の間で明確に五十四年度は据え置くということが取り決められておりますので、その方向でわれわれももちろん進んでまいるつもりでおります。
○国務大臣(江崎真澄君) それにつけても、石油の価格が法外に上がりますると、これまた問題が起きてまいりますね。そこで、石油の値上げなどについても、何となくそれが先取り的な不当なものであれば、これはやはりわれわれとしても黙ってはおれないというふうに思います。ただ、現在は円安になった理由、それから年初以来五%程度の値上がりになったという理由、それから先ごろ石油がだぶつきぎみであったために、円高メリットの関係で不当に値段が下がり過ぎたという理由で値上げを申請しておる、値上げを言っておるというわけであります。ところが、これは需要家との間で一四・五%上げると言ったって、その値段が通るかどうか、そう簡単なものではないと思います。しかし、その先行きに不当な便乗値上げ的なものがあれば、われわれ通産省としては黙っておれないというふうに考えております。
○小柳勇君 いまの通産大臣のやつ聞いていますと、ちょっとあいまいなんですけれども、政府がいままで決めておりますように、五十四年度については石油製品、電力料金値上げしないということだったんですが、ただそのイラン紛争で――いいですね、それ確認して。
○国務大臣(江崎真澄君) いやいや、石油製品は、これは自由市場で値段がおのずと決まるものですね。したがって、石油製品の値上げをしないということは、従来とも、私になりましてからも言ってはおりません。しかし、不当な便乗値上げ的なものについてはこれは放置できない、こういうことを言っておるわけでございます。
○小柳勇君 わかりました。 質問終わります。ありがとうございました。
○吉田正雄君 最初に、公正取引委員会に対して出版物の再版制度についてお尋ねをいたします。 昨年十月十二日の朝日新聞、毎日新聞などによりますと、橋口委員長は前日の記者会見で、レコード、出版物の流通改善のため、実態調査を行うとともに、再販売価格制度により不合理な面が生じているので、独禁法の改正を含め再販制度の規制強化を検討する方針を明らかにしたという趣旨の発言が報道されておるわけでありますけれども、これは間違いありませんかどうか。いま言った報道の趣旨が正確でないとすると、どういう発言をされたのか、その発言内容をまず最初に明確にしていただきたいと思います。
○政府委員(橋口收君) いまお尋ねがございましたのは、十月の半ばの私の記者会見における発言が報道されたものであろうかと思いますが、その中でいまお挙げになりました中で正しい点を先に申し上げますと、書籍、レコードにつきましての実態調査を行いたい。レコードにつきましてはすでに行っておったところでございますが、書籍につきましてもレコードと同じような実態調査を行いたい。この点は正しい報道であろうかと思います。 それから、第二の問題でございますが、出版物その他の著作物につきましては、法律などの規定によりましていわゆる法定再販の制度が認められておるわけでございますが、これは昭和二十八年の独禁法の改正によって導入された制度でございまして、自来四分の一世紀を経過いたしておりまして、その間に社会、経済情勢の大きな変化もございますし、それから、文化的な状況につきましても変化が生じておりますし、また出版事情につきましてもいろんな変化が生じておるわけでございますから、昭和二十八年に認められました、いわゆる法定再販の制度につきましても検討する時期に来ているのではないか。出版事情につきましても、本格的な調査は当時まだいたしておりませんでしたが、いろいろな事情調査もいたしておりましたし、一般消費者や中小出版社からも苦情や不満が公正取引委員会に対して寄せられておった状況でございますので、問題意識としましては法定再販の是非も含めて、出版の生産、流通、販売の問題について検討したいということを言ったわけでございまして、まあその会見の中で大衆文化の時代が来て、法定再販制度が認められた文化的、社会的基礎が失われつつあるというような趣旨の発言をした記憶がございます。したがいまして、それが法定再販制度をやめるということについて公正取引委員会が方針を決めたというふうに報道されたわけでございまして、その点としますと私の真意は必ずしも正確には伝わっていないということであろうかと思います。
○吉田正雄君 ただいまの答弁でも新聞報道と若干違っておるという点が明らかになったわけですけれども、私は事が独禁法の改正というふうなものに絡んでくるだけに、この取り扱いといいますか、この対処の仕方については慎重でなければいけないと思うわけです。ただいまの委員長の発言ですというと、約半世紀が経過をして社会的、経済的あるいは文化的さらには出版界の情勢等、諸般の情勢が大分変化をしておるということで検討する必要があるんじゃないかというふうにおっしゃっておるわけですね。しかし、情勢が変化をしたということと、そういう制度全体なりあるいは法の改正をやらなければならないかどうかということは、ストレートに私は結びつくものではないと思っておるのですね。したがって、単に情勢の変化ではなくて、現実に出版物に流通問題があるとすれば、どのような点に問題があると考えておいでになるのか。先ほどもちょっと小売店なりその他の関係方面から苦情が寄せられておるということもお述べになっておりますけれども、そういうことも含めてどういう点で問題があるのかですね、その問題点が明らかにされないうちに、単に情勢が変化をしたからこの全般的な検討を要すというふうなことになりますと、これはまた別の問題が出てくるんじゃないかというふうに私は思うわけです。そういう点でどのように問題があるというふうに把握をされているのか、まずその点をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(橋口收君) 私も正式の記者会見で発言をいたしたわけでございますから、単に思いつきで申し上げたわけではないわけでありまして、先ほどもちょっと触れましたように一般の消費者、出版社等からも公正取引委員会に対して苦情なり不満が寄せられておるわけでございまして、先ほども申しましたように書籍の出版、流通、販売、すべての分野において問題があるのではないかという考え方を持っておるわけでございまして、一例を申し上げますと、第一点としましては、いわゆる流通段階に取次の三社というものが大変大きなシェアを持っておるわけでございます。大体七〇%弱のシェアを持っているようでございますが、そういう取次段階におけるいわゆる流通寡占的な状態が、優越的な地位の乱用行為を行っているのではあるまいか、これもいずれも断定的なことを申し上げるだけの材料を持ってはおりませんが、いろいろ苦情を寄せられました内容等から判定いたしますと、余りにも流通のところのパイプが詰まっているがゆえに、出版元なりあるいは書店との関係において問題があるのではないかというのが第一点でございます。 それから第二点は、いわゆる再販制度が維持をされておりますために定価販売に余りにも固執しているのではないか。この点昨年の九月にモニターに対する調査をいたしましたが、モニターに対する調査の結果では、大体一割程度は書店においても値引き販売が行われております。正確に申しますと約八%が値引き販売でありまして、残りの三%程度は景品その他で事実上の値引き販売が行われている、こういう数字が出ておりますが、実際には定価を割って販売するという行為に対しましては、いろんな面からの圧力が小売店にかかっているようであります。いわゆる再販制度の励行ということですね。これは再販制度は御承知のように、個別の契約で行うべきものでありますから、共同的に再販を行うということはこれは法律違反の疑いがございます。そういう共同的に再版を維持するという行為があるのではないか。つまり定価の販売に余りにも固執しているのではないかというのが問題の第二点でございます。 それから第三点としましては、出版物につきましてはほぼ例外なしに委託販売の制度というものが行われております。これは商慣行として行われておるわけでありますが、委託販売と申しますのは、考えてみますと全部メーカーが責任を持つという性格の販売形態であります。と申しますことは、本に関しましては、出版されたものは売れない場合には全部版元がこれを引き受けるという制度であります。それが原因となりまして、返本率というものが大変ふえてきております。昭和四十八年ごろは三割以下の返本率でありましたのが、現在は三五%をオーバーいたしております。年々歳々返本率がふえております。しかも、そのふえた返本に対しまして裁断その他の処分が行われている。そこに大変大きな資源の浪費が行われていると同時に、返本を前提とした価格設定ということになりますと、これは実際価格よりかなり高いものが設定される理屈でございます。こういう、いま申し上げましたのは一例でございますが、そういう出版、流通、販売、すべての分野において問題があるのではないか。したがいまして、私は単に情勢が変わったから云々ということではなくて、具体的にそういう程度の問題を一応把握いたしましての発言でございまして、もちろん今日の段階においてまだまだ調査が不十分でございますから、先ほどもちょっと触れましたように、昨年の九月には八百名程度のモニターについての調査をいたしておりますが、そのほか出版社からの事情聴取等も行っておりますが、さらに調査を深めるために近く出版社、取次書店に対して広範な調査をしたいというふうに考えております。 いずれにいたしましても、そういう調査の結果を見た上でどういう方針をとるかを最終的に決めたいというふうに考えておるところでございます。
○吉田正雄君 ただいまの委員長の説明によりますと、例として三点ほど挙げられたわけです。たとえば、取次店の大きな二社で約八〇%のシェアを占めておるというふうな点ですね。あるいは定価販売に非常に固執をしているという点。したがって、割り引く等の小売店に対しては圧力がかかっている等、あるいは委託販売、つまり版元が引き受けるということで返本率が高い。そして返本に対しては裁断という措置がとられて、資源上もきわめてむだが多いというふうな説明があったのですが、実はこういう委員長の説明に対する、また業界からの反論というものもあるわけですね。この反論を聞くとそれはまた一応もっともだという反論が出てくるわけですね。きょうは時間がありませんので、私は業界の立場でもありませんから一々業界の反論をここで紹介する必要もないと思いますし、これは公正取引委員会としても十分業界側の意見についてはすでに御承知のことだと思うのです。 そこで、私がお尋ねいたしたいと思いますのは、いずれにいたしましても、公正取引委員会の一方的な判断でこの問題が取り扱われるということになりますと、私は場合によっては文化に対する、つまり憲法で保障されております出版あるいはいろんな表現の自由等に対する独禁法を足がかりにした統制というものが、これによって行われてくる危険性がないかということを恐れるわけです。そういう点で、この問題というのは非常に慎重に取り扱っていかなきゃいけないんではないかと思うわけです。 そこで、ただいま調査を実施をするというお話が出たわけですが、その実態調査の目的、対象、内容、方法、期日、それから集計と分析結果をいつごろまでに出されるつもりなのか。さらに、再販制度の規制強化、さらには法改正を先ほどは前提とはしないというふうな言い方ですか、その辺は若干あいまいな点があるが、全般的な検討をやってということなのですが、私はまず最初に調査についていま申し上げた点についてちょっとお聞きします。
○政府委員(橋口收君) 調査先は出版社約千社でございます。それから取次は約百社、それから書店も約千社を予定いたしております。出版社は三千程度あると言われておりますが、余りに多くなりましてもどうかと思いますので、一応千社程度を予定いたしております。それから、書店も二万ないし三万と言われておりますが、大体千社程度を選べば妥当ではないかというふうに考えております。 それから段取りでございますが、調査票を発送いたしますのを二月の下旬程度というふうに考えております。回収は三月末、集計を四月から七月に行いまして、分析をするのに多少時間がかかると思いますから、大体ことしの秋ごろまでには報告書の結果が判明するのではないかというふうに考えております。 それから、調査の項目でございますが、これは四点ございまして、主なものだけ申し上げますと、出版社と取次、それから取次と書店との間の取引及び決済の条件、それから再販契約の実施状況。これは先生御承知のように、間に入りました流通業者が再販契約をやります場合には、メーカー、つまり版元の意思に反してはできないということになっております。ところがいまの再販契約ごらんいただきますと、出版社が取次に取り次ぎを依頼いたします場合には、いわゆる再販契約に署名をしないと実際上取次が扱ってもらえないという事態がございます。つまり、メーカーの意思に反して、メーカーの意思にかかわらず再販契約というものが半ば強制されているのではないか。そういう問題を含めた再販契約の実施状況というものが第二点でございます。 それから第三点は、出版物の返品と廃棄の状況。 それから第四点は、いわゆる取次に対する出版社の出資あるいは役員派遣等の状況であります。つまり、出版社と取次との間に特定の関係があるかないかということが第四点でございます。 大体、以上のような調査項目でございますが、なお重ねて申し上げますと、法律改正を予定しているかどうかという問題でございますが、現行法でも、詳しくは申し上げませんが、ただし書き等がございまして、いまちょっと御説明いたしましたような再販契約のあり方等につきましては、法律に触れる疑いもございますから、現行法の運用によって相当程度の改善ができるのではないかというふうに考えております。 それから、なお御承知のように一兆円を超える巨大な市場でございまして、教科書も入れますと一兆六千億程度のマーケットでございますから、これは国民生活には大変大きな影響がある分野でございますし、それからわれわれ経済官庁でございますから、思想とか文化の問題に介入するつもりは毛頭ございません。したがいまして、先ほど使い捨てというようなことを申しましたが、これは経済的な実態としまして、たとえば堂々たる学術書とか専門書と違って、週刊誌とかその他雑誌のたぐいは、これは読み捨てになっているという実態がございます。そういう点に着目いたしまして、やはり大きな情勢の変化の中には、そういうことも念頭に置いて調査を進めたい。したがいまして、当面の措置といたしましては、調査をしつつ、同時に現行法の運用としても相当程度の改善ができるのではないかというふうに考えているところでございます。
○吉田正雄君 直ちに法改正ということは考えておらないというふうな趣旨だろうと思うのです。いろいろ指摘をされておる点については、一応もっともな点もあるようですし、そうかといってまた業界側ではこれは制度そのものから出てくるものではなくて、流通制度の実態面の運用で改善できるものも非常に多いんではないかということも言われておるわけですね。私もいろいろ聞くところでは、ただいま委員長の方から指摘をされた点で制度そのものを変える、つまりは再販制度というものを禁止をしなければならない。つまり、独禁法の改正に結びつかなければ改善できない、あるいは解決できないという問題は余りないんじゃないかという気はしているのですね。運用で改善できるというふうな点があるんじゃないかと思うんですね。しかし、これもいま調査されるということですから、その調査実態あるいは分析結果というものを見ないとこれも断定できないわけですね。そういうことを踏まえまして、私はこの問題は非常に大きな問題を実は含んでいると思うんですね。ただいま商取引とか経済的な問題でなくて、文化面にまでこの公正取引委員会としては統制を加えていくとか取り締まるという考え方はないと、これは当然な話ですね、これは憲法に保障されているわけですから。しかし、そうは言いながらも、この独禁法という観点で取り締まりが行われる、あるいは改正が行われたということになりますと、これは先ほどちょっと申し上げましたように、逆に言論、出版の自由というそういう憲法上の権利を侵害するという、そういうおそれというものも私は出てくるんじゃないかと思うんです。そういう点で、この取り扱いについては公正取引委員会としても慎重に対処をしていただきたいと思うんですね。 これはその後の、実は十一月のさらに他の新聞によりますというと、橋口委員長の十月中旬の記者会見の発言に対する業界の反応というものを見ると、業界としては何か十分反省をしていないんじゃないかというふうな趣旨のまた記者会見における発言があるようなんですけれども、この辺も、これ新聞報道ですから何とも言えませんけれども、しかし、いずれにいたしましても、仮に橋口委員長の個人的ないろんなそういう強い意思によってこの問題が動いていくということになると、これまた大変じゃないかという感じがするわけです。よもやそんなことはないと思うんですが、公正取引委員会として慎重にこの問題は対処をしていただきたい。一定の予断なりそういうものを持ってこの問題に対処すべきではないというふうに思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(橋口收君) 再販制度はいわゆる競争政策に対する重大な例外でございまして、一口で申しますと小売店相互間の競争が全くないという、そういう業態になっておるわけであります。つまり、定価販売でありますから、メーカーの決めた定価で売ればよろしいわけですから、小売店相互間のいわゆるブランド内の競争が全くないという状態でございまして、これは他の一般物資に比べますと全く違った様相を呈しておるわけでございます。これは私が申し上げるんじゃなくて、外山滋比古さんという方が「かたりべの文化」という本を書いておられまして、書籍が法定再販商品であるのは他の一般物資と違う性格を持っているから、初めて法定再販商品であり得るのだということをおっしゃっておるわけでありまして、全く私も同じ考えでございます。 それから、一九七〇年代の世界的な大勢を申しますと、再販制度というものは漸次縮小ないし廃止の方向にあるわけでございまして、先進諸国で再販制度を復活した国は一つもございませんし、ほとんど例外なしに整理をするという方向でございます。日本と同じような永久再販の制度を持っておりますのは西独だけでございまして、たとえばイギリスのごときは、再販制度ございますけれども、一定の期間を経過した後には再販制度を外すという、いわば自由競争によって低廉な価格の書籍を提供するという制度になっておるわけでございまして、世界の大勢から申しましても、やはり再販制度というものは漸次整理をする状況にある。そういう点から考えまして、いろんな角度から検討いたしておるわけでございまして、何か特定の人間の思いつきとか、そういうことで始めたことではなくて、世界の大勢を踏まえ、日本の出版事情も十分検討した上で善処をしたいということでございますから、御注意のように慎重に対処すべきことはもちろんでございますし、また、申すまでもないことでございますが、公正取引委員会は合議制でございますから、私一人の発言によって物事が決まるということではございませんので、何か委員長が個人的な趣味に基づいて物事をやるというようなことはこれは絶対にございませんから、その点はよろしくお願いをいたしたいと思います。
○吉田正雄君 いまの委員長の世界の動向とか状況というふうな話もありまして、それについては、そういう話が出ますと私は個人的にまた反論したい面が出てくるんですよ。やはり、日本のこの出版事情の過去の歴史というものがあるわけですね。そういう歴史を踏まえてこの再販制度というものは昭和二十八年に認められたわけなんですね。だから、単にイギリスがどうとかアメリカがどうとかという、他国がそうだからという、そういうことをもって世界の大勢という言い方の中で、だから日本も変えていくべきだという、そういう考え方がいまの説明ですと何かちょっとこうあるような感じがするんですね。私はそれじゃいけないと思うんですね。やはり、あくまでも日本の実情、それから今日までの歴史的な経過というものを踏まえ、それとさらに現実のこの流通上における問題がどうなのかという、具体的なそういう問題点を明らかにした中で、しからばどうするかということを検討するんならいいんですけれども、何か最初からどうもこの再販制度というのはよくなさそうだという、そういうものがあって、だから実態を調査をしてみようという、何かそんなふうに受けとめられかねない状況がやっぱりあるような感じがするんですね。そういう点は慎重に対処されるということですので、そのことを再度強く要請をして、きょうはこの問題については、まだ法案が出されたとか何かということじゃありませんので、一応きょうはこの程度でやめておきたいと思います。どうもありがとうございました。 引き続いて、通産大臣にお尋ねをいたしたいと思います。これもきょうきわめて限定をされた時間でありますので、一々項目ごとに質問をしてまいるということができませんので、大綱について大臣の見解をお聞きをいたしたいと思うわけです。 一昨日、つまり二月十三日に行われました江崎通産大臣の当面の通商産業行政に対する所信表明に関して、特に日米経済、貿易の今後のあり方と通産省の対処についてお伺いをいたしたいと思うわけです。所信では、冒頭で「現在、わが国経済は、内外の激動する環境下にあって、多くの困難な問題を抱えております。」と述べ、次いで「国外におきましては、保護貿易主義の台頭、国際通貨体制の不安定化等世界経済の枠組みと運営に不安がつのる中で、大きな経済力を有するに至ったわが国に対して、世界経済の安定的発展により一層貢献するよう、国際収支の均衡回復、経済協力の拡充等を初め、国際的な要請が高まってきております。」と述べられておるんです。 ところで、大臣も御承知のように、現在日本とアメリカとの間の経済、貿易関係には大きな摩擦が生じております。昨年暮れ、七%経済成長率達成を断念した日本に対し、遺憾の意を表明したカーター大統領親書の問題があります。また去る一月二十五日、アメリカ政府が発表したことしの大統領経済報告並びに経済諮問委員会、これはシュルツ委員長ですが、の大統領への年次報告における日本に対する批判と指摘があります。すなわち大統領報告では、一点として、アメリカの貿易収支の大幅な赤字の原因の一つとして、日本の関税並びに非関税障壁を挙げ、多角的貿易交渉、いわゆる東京ラウンドの最終合意がなされれば摩擦は相互に削減されようと述べています。次いで二点として、昨年ボンで開催された先進国首脳会議で、アメリカはインフレ抑制と石油輸入削減を約束し、西ドイツと日本は成長政策と黒字の削減を約束いたしております。持続的な協調と健全な政策を通してのみ、安定雇用と物価の安定を達成し得ると述べ、日本が約束を実行するよう促しておるわけです。経済諮問委員会年次報告では、まず、ボンの首脳会議で日本は成長政策と黒字削減を提案し、昨年九月景気刺激のための補正予算を組んだ。しかし、七%の成長目標は達成されそうにないと述べ、次いで米国の経常収支の赤字に触れて、日本は昨年緊急輸入政策をとった。円高にもかかわらず、日本の輸入が急速に拡大しないのは、日本の輸入品市場が比較的閉鎖的な構造にあるからだ。その輸入面での障壁を削減する必要性は、日本政府が十分認識していると述べているわけですね。 この大統領報告の中にあるアメリカのインフレ抑制と石油輸入削減の約束は十分な努力が払われておりません。これ時間がありませんから述べませんが、先ほどもこの石油問題に関連をして、イラン状況があのような状況下にありながら、アメリカの場合、十一月ころまでは毎日一日当たり八百万バレル程度の輸入であったものが、イラン情勢が急変をしてから百五十万バレルも増加をするという、まさにアメリカ自身がボンの首脳会議における約束というものを無視をするような、そういう状況も出ていることは出ておるわけです。しかし、そんなことを責めても仕方がないわけでして、やはり日本政府の努力というものがどう実現されるかということはきわめて重大だと思うわけです。 さらに、アメリカ議会でも一月下旬、上下両院合同経済委員会で民主党のベンツェン委員長が対日輸入課徴金の採用に触れ、同じく一月末に下院貿易小委員会のジョーンズ議員らが作成したいわゆるジョーンズ・リポートでは、日本に対し従来アメリカが強く要求をしていた農産物の輸入拡大のほかに、新たに電電公社など、政府関係機関の物資購入に際して外国企業への門戸開放、あるいは小さな問題になりますけれども、なめし革の輸入拡大と将来の自由化、在日外国銀行への規制、差別の撤廃などを要求しておるということが報道されているわけですね。 また、東京ラウンドを有利なものにするための議会の動きも活発で、輸入課徴金特別立法であるとか、あるいはダンピング防止法の強化、あるいは繊維など個別産業保護立法などの動きというものが急速に高まっておるということが伝えられておるわけです。このようなアメリカ政府、議会の動向に対処するため、今月の五日には安川対外経済交渉担当政府代表、あるいは通産省からは橋本審議官、さらに七日には牛場東京ラウンド担当代表がアメリカに派遣をされて、日米経済・貿易摩擦の鎮静に努力をされておるようです。しかし、経済外交は後手後手になりがちであって、先取りの対応が必要だという経済界から強い批判も出されておることは大臣御承知のとおりだと思うんですね。 さらに、六月末予定の東京における先進国首脳会議までに大幅黒字貿易が減らなければ、首脳会議は協調の場ではなくて論争の場になるおそれというものが私は多分にあるんじゃないかと思いますし、さらに私が懸念いたしますのは、従来の首脳会議でもいろんな点で触れられてきたと思うんですけれども、いわゆる防衛費増大の問題であるとか、あるいは開発途上国への援助費の増額、こういうものもより一層強まるということが考えられるわけです。そうなりますと、これは日本経済の前途にとっては、この先進国首脳会議というのは容易ならないものになってくるのじゃないかというふうに思うわけです。 そこでお尋ねなんですが、大分前置きが長くなりましたけれども、そこで通産省としてこのような批判と問題意識に立脚をした今後の日米あるいは対ECとの経済貿易のあり方と業界への指導を含めた対処をどのようにされるのか、大綱で結構なんですが聞かせていただきたいと思うわけです。
○国務大臣(江崎真澄君) ボンのサミットで福田前首相が約束をいたしました七%成長、これはやはり国際間の話し合いを通じて一つのターゲット、目的で一つの目標を数字で示したものというふうに私ども理解をいたしておりまするが、これを達成することはやっぱり望ましいことであり、日本としても全力を挙げてこれと取り組んできたわけでございます。これは私はアメリカ側に、いまアメリカを訪問しております安川特派大使あるいは橋本審議官等々十分話をすれば、理解を求めることはできるのではないか。簡単に申しますると、まず第一にIMFの基軸通貨であるドルの価値というものを安定させられたいということであったにもかかわらず、昨年約二百四十円で始まったものがもう七月の時点では二百円を割り、しかも九月には百八十円を割ってしまった。ようやく十一月一日になって本腰を入れてドル防衛をしてくれたということで、まさに半年以上も早くドル価値というものが動揺した。これは輸出をスローダウンしたわけでありまするが、やはりそれなりに七%成長には中小企業を初め日本の経済に大きな影響を与えたことは、これはよく話せば理解してくれるところだと思います。 それから、五十二年度の場合は、製品輸入が約二〇%程度になりました。ストラウスさんは日本に参りまして、牛場さんと数次の会談を重ねながら、これを倍増されるべきではないか。第一、サミットに集まってくる先進国の製品輸入数値というものは五四%ぐらいだ。これはECなどが競合から協調へというわけで下請に製品を出して部品を半製品というようなかっこうで入れたりいろいろする、日本とは四面海に囲まれたり、同じようなレベルの国が国境を接してないというような、いろんな事情の違いはありますが、ここに持っておりまする数字を見ましても、その要請にこたえてわが国の対米輸入、これは一九七八年の三・四半期は前年に比べて二八%増、第四・四半期に及んでは四三%増、製品輸入はこれまた三・四半期が三〇%増、四・四半期は五二%増という大変な増高を見せておるわけです。恐らく五十三年度末には製品輸入は過去の二〇%から三〇%程度になるのではないか。これが日本の生産に大きな影響を与えたことは否めません。したがって、これらの事情などをよくよく説明すれば国際協調の果てである、しかも下方修正したとは言いながら六%というのは世界一の実質経済成長率であるわけでありまして、一方では内需を喚起するためにどれくらい不健全な財政下にもかかわらず、公債に依存をしながら無理な内需喚起を図っておるか。しかも、一般国民消費だけから言いまするならば、このGNP比で七%を上回るようなあの消費がなされておる。ことしになりましてから、一月からでも瞬間風速は実質九%ぐらいの国民消費が続いておるわけですね。こういった努力は、私はやはり事情を説明して評価してもらわなければならぬと思います。しかし、吉田さん御指摘のように、これはアメリカが言っておるんですからもっと市場の開放もしなければなりません。緊急輸入なんていうようなことはまことに臨時異例の措置でありまするが、ことしもどうやら年度内に三十億ドル程度は緊急輸入がなされるであろう。来年も続いて二十億ドル程度は緊急輸入を実行しようということで、国際収支の帳じりについては黒字減らしに非常な配慮を払っておるわけであります。特に、日米貿易の動向につきましても、だんだん改善の兆しが顕著になってまいりました。これはアメリカのインフレ傾向もありまするが、円高というために輸入は鈍化してきております。いま申し上げたように、アメリカからの輸入品は増加しております。やあ輸入ミッションを派遣する、向こうからは輸出ミッションを受け入れる、ワールド・インポート・マートを民間経済四団体が池袋につくる、ジェトロは輸出の窓口であったものを輸入の窓口にする、ずいぶん努力しておるこの日本の誠意というものが、アメリカにわからないということは私はないというふうに思うものであります。やっぱり説明不足である。したがって、なお今後とも引き続き対外均衡を可能にするように私ども全力を挙げてまいりたいと思います。 もし細かい各論について必要であれば、局長から答弁をさせます。
○政府委員(宮本四郎君) ただいま大臣から御答弁ございましたように、対米の貿易収支の動向でございますけれども、輸出は、御存じのような円高の影響、それから国内の業界に対する自粛要請と申しますか、そういうものをずっとやっておりまして、減少傾向が顕著に出ております。いろんな数字がございますが、日本の通関統計の数量ベースというのでこれを見てまいりますと、七八年中に、輸出全体で見ますと、第一・四半期に八%の増が、第二・四半期で三%のマイナス、第三・四半期で四%のマイナス、第四・四半期、これは暦年の四半期でございますが五%のマイナス、日を追うて輸出の数量がずっと減ってまいっております。 輸入はどうか。これは先ほどの御指摘ございましたように、同じような統計で、七八年は、第一・四半期がプラスの一%、数量ベースでございます。第二・四半期で五%、第三・四半期で七%、第四・四半期で一%、こういうふうにどんどんと輸入がふえてきております。その結果といたしまして、貿易収支の黒字の幅でございますが、次第に減少しております。これは円ベースで見るのかドルベースで見るのか、この辺は日米の間で議論の分かれるところでございますけれども、貿易収支全体で見ますと、第一・四半期の七十三億ドルから第四・四半期の三十九億ドルにだんだん下がってきております。日米の関係だけでこれを律しますと、七七年は暦年でアメリカの統計で貿易収支は八十一億ドル日本の黒字でございました。これが七八年には先方は百十六億ドル、こう言っております。ただし、この百十六億ドルの数字も月別にこれをながめてまいりますと、大体、ピークは五月の月間十二億ドルという数字でございましたが、七月の十一億ドル、八月は九億台、九月が八億台、十一月は六億台、どんどんと下がってきておりまして、十二月ごろのぺースで換算いたしますと年率にして八十億ドル台ということでございますから、ようやくにして一昨年のレベルにずっと下がり始めたということでございます。 たまたま、ごく最近発表されましたこの一月の通関統計の数字を申し上げますと、ドルベースで、これは対世界全体に対しての数字でございますが、輸出が六十億ドル、輸入が七十五億ドル、その結果十四億ドルのマイナスに転じております。一月というのはわりあいに輸入の多い月ではございますが、この数字は相当の金額になっております。その中で日米の関係を見ますと、輸出が十六億ドルで輸入が十四億ドルでございますから、黒字ではございますが黒字の幅が一億五千万ドルに減っております。したがいまして、先ほどお話しのように黒字幅縮減の傾向というのは定着化しつつあるわけでございますが、いまのところ外に実績として出ております数字はかなり大きい数字がございます。したがいまして、先生御指摘のように、先方が、もっと具体的に黒字の縮減を態度で示せ、それからもう一つは具体的な商品あるいは業種につきまして日本のマーケットを開放せよと言っておることは事実でございますので、私どもも、その辺につきましては先方との間の話し合いを詰めながら、できることはやってまいる、こういう方針でおるわけでございます。
○吉田正雄君 では通産の方はありがとうございました。 それでは、次に、経済企画庁長官にお尋ねいたしたいと思うのですが、同じく一昨日、長官の所信表明では、重点として景気の回復と雇用の安定を確実なものにすることがうたわれております。 御承知のように、一九七三年の石油ショック以来、日本経済は今日まで五年間の長い間深刻な不況に見舞われてまいりました。しかし、最近ようやく、公共事業を中心とする総需要の拡大、不況カルテルの適用、産業構造の転換などにより、景気は回復の明るさを見出してきたように思われます。鉄鋼、非鉄業界の生産効率化とそれから人員削減合理化による景気の回復を初め、石油化学、電機、機械などの回復も目覚ましく、その他合板、繊維なども個別の景気対策によって徐々に回復に向かいつつあるように見受けられます。 しかし、このような不況からの回復を可能にし、企業が減収増益の実を上げることができた要因として、労働者の首切り合理化、賃上げ抑制、物価の安定があることを見落としてはならないと思います。ところで、不況カルテルによる需給ギャップと一連の公共料金の値上げ、OPECによる一月からの原油価格の引き上げ、またイラン情勢などにより、再び物価が上昇する気配が濃厚となっていることは御承知のとおりです。これは景気の回復の前途にとって私は非常に厳しい要因ではないかというふうに思っておるわけです。 きのうの衆議院の商工委員会でも、通産省として、不況対策の方針について、不況カルテルの廃止等の何か方針転換、景気政策の転換というふうなことが通産でも論議され、さらには、政府としてもそのような方針転換と受けとめられるような政策を打ち出しているのではないかというふうなことが伝えられておるわけですね。そういう動きは政府の方針がどの程度のものか私よくわかりませんけれども、しかし、以上申し上げましたように、私は、景気が回復しつつあるとはいいながら、物価の問題やあるいはやはり基本的に産業構造の転換というものがまだ完全に行われておらない現在、非常に厳しいものがあるのじゃないかと思うのです。 そこで、物価の安定を堅持しながら、景気の回復とさらに雇用の安定と、安定よりさらに一歩進んだ雇用の増大、創出、こういうものを図っていく必要が私はあると思うのです。余りにも減量経営ということで、今日でもなおかつ率直に言うならば首切りの状況というものが続いておるわけです。そういう点で、私は、以上申し上げたような点について具体的にどのような一体方針でこれから臨まれようとされるのか。これは、経済企画庁ですから、政策の立案であって具体的な施策は各省庁ということになろうと思うのですけれども、そういう政策の基本的な考え方といいますか、あるいは各省庁に対してどういうふうな点で協議をされていくのか、その姿勢といいますか、そういうものについてお聞かせ願いたいと思うのです。
○国務大臣(小坂徳三郎君) お答え申し上げますが、いま委員の御指摘になりましたいろいろな要因は、私も全く否定いたしません。それゆえに、非常にいろいろな面で五十四年度の見通しをつくる場合も困難をいたしておりますが、また、それが着実に、われわれが期待しております全体としてのGNPの伸びが六・三%程度にいかないと困るというようなこと、その前提としての物価の安定やあるいは雇用の改善と申しましょうか、そうしたことを進める方向をわれわれはいま考えつつ努力をしているところでございます。たとえば、物価問題がやや少し民間の経済界に火がつきまして、データをごらんいただけばわかるように、大分生産、出荷、在庫の積み増し等が順調になってきましたし、また各企業が五年ぶりでいわゆる経営の収益も、営業の収益も出てくるようになってきておりまして、一般的にやや元気が出てきたわけでありますが、しかしそうしたことはこうした自由主義経済体制の中では往々にしてまた物価にはね返ってくるわけであります。そのような徴候が少しあらわれておるので、たとえば土地の問題について、地価の安定ということについては、特に大蔵省との関連の中で地価の異常な高騰を来さないように、特に土地融資について厳重な監視をしてほしいということを申しましたり、あるいはまた、運輸省に対しましては、国鉄運賃の値上げというものを、予算編成上は四月一日からということを要求されましたけれども、話し合いの結果五月二十日という約五十日ばかりずらした形で一応計上する、しかし国鉄のいまの経営情態というものはだれが見ましても非常に困ったことでございます。そうしたような合理化あるいは国鉄の経営の立て直し等については特に運輸省に注文をつけ、昨年も大幅な運賃の値上げをいたしておりますが、その効果が余り出ないような状態では困るではないかというようなことで、国鉄の料金改定をいたしますにつきましても相当な配慮を求めたり、また農林水産省に対しましては、食料品の価格が消費者物価指数から見ますと安定をしておると言うけれども、国民の生活実感から見ると食料品が高いということ、これは非常に大変な不満のもとになっておるから、食料品についての安定、むしろできれば価格のある程度の引き下げができないか、特に牛肉とか魚とか、そうした問題についての方向をとることを要請しております。 また、厚生省の関係でございますが、これは医療保険の引き上げということは、これはいまの現状から言うとやむを得ないというので、今度の予算措置ではわれわれは認めておりますが、しかし、いわゆる福祉行政そのものの質の向上ということについて特段の配慮を要望しておりまして、それらが一応今度の予算案にも盛られておると思います。 また、労働省に対しましては、先ほど御指摘のいわゆる減量経営というものが多少行き過ぎた面もあるのではないかというような考え方、それらに関連しての中高年齢層に対する行政措置というものの今度の予算に組んでもらうというようなことで動いてもらっております。 しかし、やはり一番基本的なことは雇用をもう少し拡大しなければならぬというので、結局雇用の今後の発展の道筋というものを、総合的に政府の中で考えるのは企画庁ではないかということから、現在言うところの第三次産業、そうしたものに対しての全般的な調査を開始しておりますが、これは労働省とも協力してもちろんやるわけでありますが、この中で特に福祉関係のこれからの雇用の増大ということ、それをどのようにして可能にすることができるか等々につきましても、十分これから努力をしていい成案を得たいというふうに考えております。 その他、たとえば石油が、先ほど小柳委員からの御質問もございましたが、イランの問題でなかなかこれは深刻な事態だと思いますが、こうしたことを踏んまえての石油業者の便乗値上げということにつきましては、これは先ほど通産大臣が仰せられたとおり、われわれとしましても、便乗値上げについては厳格な態度でその是非を決めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。 なおもう一つは、日銀あるいは大蔵省に対しまして、先ほどの土地融資ということだけでなしに、国債が大変増発されておりますから、その消化について、これはきょうの新聞にも出ておりましたが、大分売れ行きが悪いということが大きく報道されておりますが、これは非常に物価に対しては大きな影響があるわけでございますので、この国債の消化について、そしてまた、よしんば売れましても、その後のいわゆるマネーサプライと申しましょうか、そうした国民生活との関連の中での通貨の流通量そのものについて、今後は適宜適切にその事態を把握しながら指導し、いわゆる通貨面からくる物価騰貴ということについては特段の配慮をする。 そうした一連の対策をとりつつありますが、もう一つ重要なことは、建設資材に対する対策でございまして、これらは建設省とも、あるいは自治省ともよく相談をしながら、現在ちょっと目にびっくりするほど値上がりしておる二、三の商品もございますので、こうしたものに対しての対策をいま着実にやっておるというふうに努力をいたしておるところでございます。 いずれにいたしましても、経済成長はしなくちゃならぬ、もう一つは国際収支の面でも世界じゅうからの期待にこたえる改善をしなくちゃならぬ、また一方、物価も安定する基調の中で、雇用もふやしていかなければならぬというようなことを目標にしまして、さしあたりはやや物価安定の方に私らの考え方をシフトさせる、また、ある時点にまたこれが安定的になればまた成長政策の方に少しスイングをかけるということで、経済は生き物でございますから、そのときどきによって適切な措置を交互にしながら目標達成を図っていきたい、このような方向でございます。
○委員長(福岡日出麿君) 午前の質疑はこの程度といたしまして、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十八分休憩 ――――◇――――― 午後一時八分開会
○委員長(福岡日出麿君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。 休憩前に引き続き、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
○大森昭君 午前中、イラン問題そしてまたアメリカ、インドネシア、いろいろまあ単発的と言うと先輩議員が質問しているのに大変申しわけないんですけれども、時間がないからそういう形になったのだろうと思うのでありますが、私はイランの問題がイランに終わらないだろうし、インドネシアの問題がインドネシアに終わらないだろうというふうに考えます。そういう意味合いでは、かねがねエネルギー問題について中東ばかりに依存していてもという話などもありまして、過般中国との関係で日中の長期貿易取り決めがありまして産業界はもう色めき立ったわけでありますが、河本前通産大臣も昨年の九月に中国へ行きまして、いろいろ貿易量の拡大などについての取り決めをしまして、しかし率直に申し上げますと、これは日中との関係で調印をいたしまして約一年近くなるのでありますが、通産省内部の中に聞くところによりますと重質油の対策懇談会なども設置をされまして、いろいろ議論しているようでありますが、これまた昨年いっぱいで大体結論を出すというように聞いておりましたけれども、今日いまだに結論が出ないというような状況で聞いておりますが、一体、経済はさっき生き物だというお話がありまして、それぞれ対応するということもわかりますが、やはり基本原則はきちっとした中での対応策でないと、これはもう日本のような国情では非常にその場限りの対応では、石油ショックなどについては再び来ないようにというお話もありましたけれども、今日の世界情報の中では再びそういうことが起きると思いますので、とにかく決めたことは早く決断をしてきちっとやることが何よりも大事だと思いますが、一体今日の状況の中で中国との関係はどのような問題があって、どのような形で結論が出ないのか、冒頭お伺いしたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) 日中長期貿易取り決めは、稲山さんが中国を訪問しまして、昨年の二月、一九七八年から一九八五年までの八年間、大体双方輸出総金額は百億ドル米ドル前後とすると、往復二百億ドルと、こういうことで取り決めをしたわけですね。そして、河本前通産大臣が中国を訪問しまして、李先念副首相などといろいろ話を詰めたということを聞いております。したがって、その河本通産大臣の意向なども体し、稲山さんが長期貿易取り決めを決められたその線をもっとどう伸ばすかというわけですから、それを現実の線に当てはめて、いま通産省、そして大蔵省、また、ここにおられる経企庁の関係者ということで、現実的にどう扱っていくかという事務的ないま取りまとめをしておる作業中であると、こういう事情でございます。
○大森昭君 作業中はわかるんですが、見通しはどうでしょう。
○国務大臣(江崎真澄君) これは三月ごろに中国からこの長期貿易取り決めを背景にして使節団が来られるというふうに理解いたしております。したがって、それまでにはこちら側の対応をはっきり決めていかなければならぬというふうに考えております。
○大森昭君 時間がありませんから説明を詳細に聞けませんが、ただ大臣がわからないというのじゃ困るんですよね、正直に申し上げて。大臣の前に、とにかく大臣はかわられたばかりですけれども、一年前からずっとやっているんですから。ですから、そういう意味からいきますと、もう少し私は詰めるところを詰めて、問題があるから恐らく詰まってないんだろうと思いますが、やはり私は決断だと思うんですね。決断がないと、これはやはりまとまるものもまとまらないと私は感じるんです。ですから、中身的には相当詰まっているんじゃないか。たとえば、きょうの新聞によりますと石油公団が、これは渤海南部の日中共同開発の合意書がきょう新聞に発表されて、どういうことかよく私もまだ詳細わかっておりませんが、この記事の中で見ると、いわゆる支払いの円建てでいくかドル建てでいくかというような問題が、問題点の中心になっているようでありますが、そうなってきますと、これはお互いに従来の慣行もあるし、今後の問題もあるし、円でいくかドルでいくかでいけば、お互いに産業――産業というか商売的に言えば得するとか損するとかという問題になるんだろうと思うんですが、私は長期的に見て、このエネルギー政策というのはある意味では、もちろんこれは日本は自由社会でありますから、慈善奉仕をしているわけじゃありませんけれども、やはり決断を下す中で、長期的に見てやはり物事を運ぶという政府当局の方々の決断をしなきゃならないんじゃないかと思いますので、まあこれ以上私は詰めませんが、いずれにいたしましても、大分それぞれの方々が当時期待をしておりましたし、また日中関係というのは長い将来にわたってやられることでありますので、もうそろそろ結論を出すような段階じゃないかというふうに思いますので、通産大臣にこれはまあ要望で終わりにしておきますが、早い機会にひとつやっていただくことをお願いをしておきます。 次に、石炭の問題でありますが、まあエネルギー問題の中でまたこれ一つの柱になっておる石炭問題でありますが、これ新聞でこれまた読みますと、いろいろ計画を立ててやってきたわけでありますが、石炭を減産をすると、いわゆる国内の石炭が採算上合わないというようなことがあるだろうし、同時にまた石炭の需要が変化をしておるということもあるんだろうと思いますが、今日のエネルギーの活用の中での一体この石炭の占める位置、二千万トンという第六次の計画があるわけでありますが、一体これを変更するわけですか、どうなんですか。
○政府委員(天谷直弘君) 石炭に関しましては、政府は国内炭二千万トン体制という方針を打ち出しておりまして、これを変更するようなことは何ら考えておりません。昭和六十年度あるいは六十五年度までの長期のエネルギー需給見通しにおきましても、国内炭の二千万トン体制を維持していくという前提で計画がつくられております。
○大森昭君 そうしますと、少しこの新聞報道はこれは誤りがあるということで理解をしていいのか、いままでと同じような形で事実上この石炭の採掘を行っていくということで理解していいんですか。
○政府委員(天谷直弘君) 新聞記事とおっしゃるのは、どのあれを指しておいでになるのかちょっとわかりかねますけれども、基本方針は二千万トン体制を維持するということでございます。
○大森昭君 ああ、そうですか。「石炭減産を指導」、日経でも何でも各社出ていますよ、みんなこれ。
○政府委員(天谷直弘君) 通産省は石炭減産を指導はいたしておりません。ただ、ただいま北海道における暖房炭の需要が減少しておるとか、あるいは鉄鋼業が予想に反しまして非常に不況であると、一億三千万トンぐらいを考えておったのが一億トン台で低迷をしているというようなこと、あるいは電力に関しまして内外炭の格差が開いておるというようなこと等がございまして、需要がここのところ不振であるということで、二千万トンにまで需要が上がっていないという実情がございます。しかし他方、石炭火力等は今後ふやしていく、たとえば五十二年度四百四十万キロワットであったものを、六十年度には九百八十万キロワットまでふやしていくというような計画に基づきまして鋭意努力をしておりますので、いずれこの二千万トンの需要に回復するはずであると。現在はただ一時的に二千万トンのラインから需要の方が落ち込んでいるということでございまして、企業の方におきましては、まあどれくらいの市場を確保できるか、あるいはどれくらいの資金対策を講じ得るか等から、一生懸命経営努力をしておられるというところであろうかと思います。
○大森昭君 この石炭の見直し問題を議論する場合には、いろんな角度があると思うんですが、先ほどもIEAの話が出ましたけれども、石油の火力の禁止措置というものが決議されましたですね。承知ですか。してないんですか。
○政府委員(天谷直弘君) 新聞にいろいろ書かれてございますけれども、まだ石油火力の禁止措置は決議はされておりません。これは、されるとすれば五月のIEAの閣僚理事会において決議されるということになると思っております。ただし、この禁止と申しますのは原則禁止でございまして、例外は認めるということになるだろうと予測をしております。
○大森昭君 いろいろ動きが出ている中で、五月にいま長官言われますように決議がされるだろうということになりますと、それぞれの方々がこの会議に出てくるわけでありますから、それぞれの国内の中では相当な議論が沸騰していると思うのですね、その態度を持ち寄るわけですから。そうすると、そういう討議をされる内容について、いまわが国はその問題についてどういう姿勢で臨もうとしているんですか。
○政府委員(天谷直弘君) 基本的に石油火力を抑制していくという方針は正しいというふうに思っておりますので、これに協力しなければならないと思っております。 ただ、日本の場合に、ほかの国と比べて人口が非常に密度が高いというようなことから、都市区域における環境問題はほかの国よりもはるかに厳しいような状況がございます。その他、従来、計画がすでに進んでおりまして、石油ということで進んでおる、住民との了解もそういうことでやっておるとか、いろいろそういうような場合には、石油を例外的に認めていくということもあり得るのではなかろうか。要するに、全面禁止ということではなくて、原則は禁止の方針でありますけれども、例外は認めていくと、こういうようなことでIEAの方針が決まりますならば、日本もそれに協力していきたいというふうに考えております。
○大森昭君 そういうことになりますと、従来エネルギーの需給計画なども策定されておるわけでありますけれども、午前中のイランの問題だとかいろいろな関係の中で、石油の問題がなかなかそう思うようにならぬということになると、石炭についての見直しというのは当然考えられるのじゃないかと思うし、とりわけその二千万トンのお話の中で国内炭の需給の確保ということになりますと、やっぱり海外から来るのが安いから、国内が、一口で言うとなかなか需給がスムーズにいってないんでしょう。
○政府委員(天谷直弘君) 今後、昭和六十年に九百八十万キロワット、六十五年に二千万キロワットの石炭火力を見込んでいるわけでございますが、こういう計画を遂行していく上に当たりましては、二千万トン体制は維持いたしますけれども、国内石炭をさらに増産していくということはむずかしいのではないかというふうに考えております。 そこで、石炭火力につきましては海外炭の輸入ということもやはり考えなければならないと思います。幸いにして日本の近辺には、中国、インド、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ブラジル等豊富な石炭を有している国がございますので、こういうところから石炭を安定的に輸入するということは、日本のエネルギー政策上必要なことであるというふうに考えております。
○大森昭君 産業政策の中でそれぞれに対応してやることについて、私は否定をしないんですが、これから鉱山の問題もまた御質問しますが、炭鉱だとか鉱山というのは、そういう経済に対応して、たとえば外国から買えば安いから、国内のやつはしばらく減産しようとかというわけにはいかないんですね、これ。ですから、もう少し私はこういう石炭だとか非鉄金属だとかという問題については、基本的に国の政策として、海外のものが安かろうが、安いから買うというのじゃなくて、みずから自立ある国の産業として、守るところは守るという姿勢を少し強くしてもらわなきゃならないんじゃないかと思うのですね。とりわけいま長官が言われたように、石油火力の禁止措置が世界の趨勢として動くということになれば、火力の発電所を、石炭の、これをつくる計画を――これだってすぐつくるったってすぐできないですよ、地域の方々の同意も得なきゃいけないし、敷地も探さなきゃいけないし。ですから、そういう不確実性の時代と言ったって、先を見通して、少なくともそういう情勢の中では、少し石炭火力の発電所を増設するような計画をいまのうちから立てておくというような、やっぱり先の見通しに即応する政策をぜひひとつやっていただきたいと思うのでありますが、その辺はどういうようにお考えですか。
○政府委員(天谷直弘君) おっしゃるとおりでございまして、石炭火力の建設には非常に周到な準備を必要といたします。国内炭の場合には二千万トン体制を維持しなければなりませんし、海外炭に関しましては、これも相当な準備を必要といたします、開発をして日本に持ってくるということに関しましては相当な準備を必要といたします。 それからまた、石炭火力の立地につきましては、九州、北海道等はともかく、本州中央部ということになりますと、環境問題と矛盾をいたしますので、これまた非常にむずかしい問題を解決しなければならないわけでございます。そういうわけで、立地その他につきましても前広にその住民の御理解を願う。公害問題につきましては、石炭の場合特にNOx対策ということが問題でございますので、NOxの排除処置についての技術開発というようなことも、今後さらに一生懸命やらなければならないのではないだろうかと思います。 いずれにしましても、これまで石炭が石油に駆逐されましたのはそれなりの理由があったわけでございますが、情勢が変わってまいりまして、石油の供給に問題が出てきたということでございますから、その石炭が持っておる問題点を克服して、石炭の使用ということ、石炭による石油の代替を着実に進めていく努力をしなければならないと考えております。
○大森昭君 長官の言われますように、いろいろむずかしい問題も私も承知をしておりますが、ただ、石油の備蓄には多くの国の財政を投資をしますけれども、石炭などについてはそういう制度もないし、新しい視点でひとついま長官のお話しのような事情でありますので、石炭対策の振興まではいかないのでありますが、樹立をしていただくことをお願いをしておきます。 前国会で非鉄金属に対して大変新しい視点での対策を立てたわけでありますが、まあお話にありますように、内外の市況の現状、少し好転をしておりますが、通産省としては非鉄金属についての今後の見通しなどについてはどのように考えておりますか。
○政府委員(天谷直弘君) 非鉄金属の内外市況は、半年くらい前から見ますと、臨時国会のころから見ますとさま変わりの好転を示しております。これは一つはLMEにおける在庫が大幅に減少したところにソ連、中国等の銅の買い付けが非常にふえているということ。しかるに、今度は銅の山の方におきましては閉山、ストライキその他の理由によりまして山の供給が容易にふえないという事態になっておりまして、国際的に需給が急速に好転していると、好転といいますか、需給ギャップが急速に減ってきておるということ。それからまた、鉛につきましては、欧州における寒波の影響等もございましてバッテリーにおける鉛の需要が急速にふえている等々のこともございまして、現在、たとえば銅で申し上げますならば、四十三万円の国内建て値、ちょっときのうきょうあたり一万円下げまして四十二万円になっておりますが、こういうふうにしばらく前には三十二万円だったものが十万円上がっておるというようなことで、かなり山の経営という面から見れば事態は好転をしております。今後の国際市況の動きにつきましては、これは全く予断を許しませんけれども、さらにまだ相場は上昇の余地を残しているのではなかろうかというような感じがいたします。 今後、言うまでもなく非鉄金属の値段は国際相場の写真相場ということになっておりますので、国際価格を反映して強含みに推移するのではなかろうかというふうに考えております。 前国会においてお認めいただきましたところの緊急融資制度に関しましては、国際市況の状況等を見ながら適切に運営をしていきたいと考えております。
○大森昭君 適切に運営をするというから、それで話はいいんでありますが、ただ非常に長い間、最も業界としては低迷した状態でありますから、三十六万にくれば緊急融資も一応という議論もあったわけですけれども、いずれにしても少し機械的じゃなくて、緊急融資の実施についても取り計らっていただくことをお願いをしておきます。 なお、海外の相場で、先ほども言いますように、日本のこの鉱山対策が迫られているというのも非常に頼りない話になるんですよ、正直言いますとね。したがって、そういうことになれば緊急融資の対策というのはそれなりに新しい視点で実施をされたわけでありますけれども、もっと本質的には金属鉱山基本法などについてなかなか通産省お乗りじゃないようでありますが、検討をする必要があると思うんでありますが、この辺の作業の過程はどうなっているでしょうか。
○政府委員(天谷直弘君) 先生よく御承知のとおり、国内鉱山対策はその基本を探鉱助成ということに置いておりまして、緊急な事態の場合には緊急融資制度等の時宜に適した対策を講じてきておるわけでございまして、五十四年度におきましても国内探鉱に対する金属鉱業事業団融資の融資比率の引き上げ、中小鉱山が実施する新鉱床探査に対する補助金の増額等の措置を講じているところでございます。これらの措置はそれぞれ相応の効果を上げていると考えますので、今後とも鉱業の育成のために適切な施策を講じてまいりたいというふうに考えております。 基本法につきましては、先生の御指摘でございますけれども、中身を一体どういうものにするか等々、非常に多くの問題を含んでいると考えておりますので、よく勉強さしていただきたいと思っております。
○大森昭君 次に、これもまあ前国会でいろいろ議論がありまして、特定機械の情報産業臨時措置法を制定したわけでありますが、通産の仕事というのはいろいろ将来を見通しての法案が多いわけでありますから、そういう意味では私どももどちらかというと積極的に、前向きでという視点に立つわけでありますが、せんだって、ちょっと町を歩いておりましたらこの機情法をめぐりまして「通産省を告発する」という表題の本が出ております。単行本ですが出ておりますが、これは通産大臣お読みになりましたですか。
○国務大臣(江崎真澄君) ここに持っておりますが、まだ残念ながら読んでおりません。
○大森昭君 いろいろ新しいことをやる場合には、それぞれいいところもあるし、弊害も出てくるわけでありますが、ただ、この内容を読みますと、どうも産業再編成の政策に当たって、巨大な総合機械メーカーがきわめて通産の指導によって集約をされるわけでありますが、中小企業の段階における、とりわけ印刷機械の労働者の生々しい体験がこれ語ってあるんでありますが、非常に倒産、それからまた縮小という状況であります、その本によりますと。私どもは機情法を通産省が説明したときには、そのようなことじゃなくて、わが国の機械工業は資本自由化など、国際化の進展する中で、わが国経済の原動力たる産業として比較的順調に発展を遂げているということで、この産業の再編成の中で全体がよくなるというふうに理解をしておったわけでありますが、今日置かれている状態というのは、巨大企業の順調な発展を何か通産省が意図をして、数多くの中小メーカーの犠牲の上で、とりわけ雇用問題で、いろんな午前中も議論がありましたけれども、どうもそういう今日の産業の形態というのは、景気の回復というお話もありますが、でこぼこに今日産業界は置かれているんじゃないかというふうに私は理解をいたしまして、どうも当初私どもがこの機情法を議論をしたときと内容が違っているんじゃないかというふうに理解をするんでありますが、通産省はどのように理解をされておりますか。
○政府委員(森山信吾君) ただいま印刷機械の問題と関連いたしまして、機情法の動向はどうなっているかという御指摘を受けたわけでございますが、御指摘になりました印刷機械あるいは先ほどお述べになりました「通産省を告発する」という単行本、これは確かにこういう事実がございます。 昭和四十六年に機電法というものを制定さしていただいたわけでございますが、それを受けまして印刷機械につきましても政令指定いたしまして、振興助成を図ってまいったわけでございますが、その関連におきまして、一部の地域におきまして印刷機械の方々が倒産をしたという事実がございます。私どもは印刷機械につきましてはやはり資本なり貿易の自由化というものを踏まえまして、国際競争力を強化するということが第一のたてまえではないかということで、いま申し上げました機電法によりまして振興助成策を図ってまいったわけでございます。その一環といたしまして、たとえば共同会社などの設立をやってみたらどうかということもガイドライン等でお示しをいたしまして、その線に乗りまして業界の方々が共同会社などをおつくりになったということもございます。 ところが、それまでわりに順調に伸びてまいりました印刷機器に対する需要が、ちょうどそのころから著しく減退する、つまり需要の減退が非常なマイナスになりまして、せっかく一生懸命やっておられましたにもかかわらず、現実には倒産をされる企業があらわれてきたということでございます。倒産されました企業及びその従業員の方方、大変お困りになっておられるということも私ども承知いたしております。その間のいきさつをお書きになったのが先ほどの「通産省を告発する」、この単行本であるというふうに私も理解いたしておるわけでございます。 ただ、いまるる申し上げましたことは、印刷機械に関連いたしまして現実に起こりました現象を申し上げたわけでございます。ただ、私どもといたしましては、機構法を昨年国会におきまして御審議いただきましたときも申し述べましたように、機械産業というものがやはり今後の経済成長なり、雇用の安定などの中核的な担い手であるという面、あるいは機械情報産業というものが中堅、中小企業の健全なる発達の上に成り立っている産業であると、こういう観点を踏まえますと、いま申し上げました一部の失敗ということにとらわれることなく、全面的な促進をやってまいりたい、かように考えておるわけでございます。もちろん、その発展の過程の中におきまして生じてまいりました幾つかのトラブルにつきましては、行政面におきまして十分な配慮をするという必要はあろうかと思いますけども、全般として申し上げますと、御審議、成立さしていただきました機情法を今後とも積極的に展開していくというのが私どもの基本的な政策であろうかと、かように考えておる次第でございます。
○大森昭君 国会の中で法案を審議する際にいろいろ意見が出て、また法案自身は修正されなくても附帯決議などもついたりいろいろされるわけですがね、少なくともいまお話がありましたように、寡占化体制というよりか高度化計画をやるわけですから、産業の振興としてね、そういう場合には当然中堅だとか中小企業の体質などについても強化しなきゃいけないから、それに必要な資金を融資して拡充していこうじゃないかというようなことなども、これは議論の中に出てくるわけでしょう。しかし、これ全然やってないということになりますと少しやはり、国会軽視とは言いませんがね、何のためにこうお互いに議論し合って附帯決議をつけてということになりますのでね。仮に、いろいろその状況の中で新しい産業政策をしていくわけですから、当初考えたときと違うような状況が出た場合には出たように、たとえば融資だけではやはり救えないというような場合には、これは融資したってしょうがないんでありますがね。そういう変化がなくて、国会の中で少なくとも中小中堅、融資をしてお互いに体質の強化をしていこうじゃないかという決議をしたのに一つも、一カ所も融資の話もしないし融資もしてないということになりますとやはり問題がありますので、どうかひとつ先の見通し、なかなか厳しい中での法案の改正でありますから大変むずかしいところもあろうかと思いますけれども、どうかひとつ変化があればあったようにやっていただきませんと、どうも通産のやっておることは弱者切り捨てで大企業優先じゃないかという形になりますので、そういう非難がされないようにひとつよろしくお願いしておきます。 時間がありませんから次々で申しわけありませんが、小坂企画庁長官、先ほど雇用創出の中で、吉田委員の方からの質問の中で御回答されているわけでありますが、どうも私、言葉の上では理解をするんでありますが、ただ私、大平総理の今度の施政方針を聞いていまして大変格調の高い所信表明があったんでありますが、とりわけ、この勤労が正当に報われる新しい社会は「真の生きがいが追求される社会」だという言葉があるんですがね、勤労が正当に報われるといったって、勤労がされない人が史上最高なんですね、百二十四万というのは。そうなってきますと、いろいろ不況だ、景気が回復しない、いろんなことがあっても、まず勤労する場所がなきゃこれはどうにもならないんですね、生きがいもヘチマもないんでありまして。そういう意味からいきますと、私、予算委員会でもいろいろ議論されるでしょうけども、新しく五十四年度で中高年齢者の雇用開発給付金制度だとか、あるいは雇用保険の受給者などについての雇い入れ訓練をしたところの事業主に対しての賃金の助成だとか、そういう新しい発想もありますが、一体これでどのぐらいの雇用創出が具体的にできるんですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) もちろん、現在の雇用問題の解決のためには、基本的に言えば、第一次、第二次産業群また第三次産業群が順調に発展すること以外にはないと思うんでありまして、まあ、そうした中におきましても、今日までの長いオイルショック以来の不況というものが、またこれそう簡単には払拭できないというような情勢のある中で、特に中高年齢層に対するいま委員の御指摘のような措置をとって、その辺のところの救済というものを一つ大きな柱にしていくけれども、実際、おっしゃられるように働く職場がなければだめなんでありますから、働く職場をつくり出すためには、一義的には経済成長が少なくとも六・三%程度に伸びていく、そうした勢いがなければだめだと思うのであります。また同時に、日本の就業労働人口はざっと勘定しましても五千五百万人でございますから、これは大変膨大な数でございまして、いま失業率の問題がいろいろ言われておりますし、われわれも、ことしも来年も百三十万程度の完全失業に抑え込もうというのでいろいろと努力をし知恵をしぼっておりますが、それでもやはり就業労働総数は五千四百万から五千五百万人、それだけの方々が就職しなければ完全失業率が二・三%を切るわけにはならないわけでございまして、そうした意味においての手助けのために不完全であっても公共事業を、非常に財政の困難な中にも相当に公共事業に対しての投資をふやして、そこに雇用機会を増設する、あるいはまた、失業している地帯に対して特に公共事業をその地点に集中的に行っていくというような、いろいろの政策の組み合わせの中で職場をつくり出す、そして就業の機会をふやすという努力をしてまいろうと思っておるところであります。
○大森昭君 私、数字を聞いたんですが、数字ではないんですが、数字がなかなかむずかしいからなかなかあれでしょうけども。ただ、いま各界各層から、それからまた各政党もいろんな視点から雇用創出の問題について意見が出されておりますが、具体的にいま長官言われましたけども、何か機関をつくるとか、あるいはどういう形で雇用創出をしていくかというプロセスについてはあなた具体的にお考えになっていますか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) たとえば、いま労働組合側の方から雇用創出機関を設置しろというような御要望も出ております。私はこの考え方は別にちっとも不思議なことではないのであって、そうしたことが可能ならばわれわれとしても大いにその方向で努力をすべきでありますが、しかしなかなか、その会社のようなものを設立することについては、それが果たして本当の雇用をあるいは職場をつくり出せるものかどうかということを考えますと、これには多少時間をかけなければならないだろうというような考えを持っております。しかし、われわれとしましては、まず第一に、やはり企業が人を減らさない、あるいは雇うチャンスをふやしていくというのには、ある程度企業は成長しなけりゃなりません。それと同時に、また企業の成長と同時に企業の収益がある程度正当なところまで回復しなければいけない。私らは、そういうようなことが一義的になされる――ちょうどたまたまこの五十三年末ぐらいの状況を見ますと、企業収益なども大体四十八年のオイルショック以前の状態に対してほぼその水準に回復しておるので、これなどは確かにいままでなされてきた、不況の中でなされてきたいわゆる減量経営というものもここら辺で一応終止符を打つタイミングではないか、また経営者の諸君もそうしたことを考えるのではないかと思うわけでございまして、あとは、もちろん、先ほどから繰り返して申し上げておるような公共事業のもっと適切な、適地主義と申しましょうか、それも一つでございます、それからまた、多少こうした雇用創出について情報が不足しているということも事実だと思います。先般も衆議院の予算委員会において大変適切な御指摘をいただいたわけでありますが、やはり就職できる情報、またその業種あるいは賃金あるいはその内容、そうしたものが非常に克明に地域別に一般の人々の目に触れるような形で提供されておるということがあれば、これまた自分で職を探す、あるいはまた職をあっせんするということには非常に便利であると思うのでありまして、要するに窓口行政をもっと強化していくということもいま早急にとられなければならぬ措置だと思いますし、またその方向で労働省も大変今後努力をしてもらうことになると思います。
○大森昭君 まあ言われる意味合いは理解できないわけじゃないんでありますが、ある意味で日本の失業の状態というのは中高年齢者が圧倒的なんですね。そうなってきますと、まさに家計を担っている中心なんですよ。そうなってきますと、いままでのように景気が回復しなければ失業者がなくならないんだとかと言われる一般原則だけで果たしていいのかどうかということですね。それから端的に申し上げますと、会社つくればというお話がありましたけれども、たとえばいま週休二日の問題も議論されておりますし、労働時間短縮の問題も議論されておりますし、それから定年延長の問題も企業間同士でもって適当に労使でやればいいということだけでいいのかどうかという問題もありますし、ですから少し長官の言われることわからないわけじゃないんですが、視点を変えるという意味合いはそれは委員会つくるか、あるいはどうするかというのは、私は別に形式にこだわりませんが、やはり多くの人たちの知恵というものを集めて、とにかく対応策を立てるという形がないとなかなかむずかしいと思うんですね。先ほど小柳先生のお話じゃありませんが、通産も経済企画庁も大物大臣だから、労働省だとか何とかかんとかというんじゃなくて、もうちょっとこれは私は正直言いますと、各省のなわ張りの問題じゃないと思うんですね。もう通産なんというのはこれは幾ら産業どうするこうすると言ったって、失業者が多くなるんじゃこれは困るんですよね。経済企画庁もそうだと思うんで、どうかひとつそういう視点で、両大臣きょう御出席でありますから積極的に、多少試行錯誤もあるだろうし、皆さん方と大臣と違った意見が述べられる場合もあるでしょうけれども、視点を変える意味で大いにひとつ議論ができる場をつくっていただくことをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○中尾辰義君 最初、経済成長に関して若干お尋ねいたします。 大平内閣発足早々に今年度の七%成長達成という看板をおろして、五十三年度の成長率見通しを六%へ下方修正を行ったわけであります。五十二年度においても前福田総理は六・七%の成長を内外に公約しながら、実際は五・六%の成長となっている。こういうことで欧米諸国の対日批判、対日不信を招いておるわけでありますが、小坂経企庁長官、江崎通産大臣は今年度の七%成長が達成できなかった理由はどういう点にあるのか、どういうふうにお考えになっているのが、まあその辺からお伺いしましょう。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 五十三年度の見通しでございますが、われわれは六%程度の成長だというふうにいま推計しております。その一番大きな理由は、国内は非常に円高の影響がいろんな意味で深刻であったのでありますが、内需は八%程度の成長が見込まれております。ただ、これが六%台に落っこってしまった最大の理由は、円高によりまして輸出が予想以上に減ったことと、もう一つは円高によって輸入が予想以上にふえたということ、これは両方ともGNPに対してはマイナスと計算するものですから、その円高によるいわゆる輸出入の影響で、内需は八%程度でありますが、全体としては六%程度の成長にとどまるというふうに推定をしております。
○国務大臣(江崎真澄君) 私はちょうど同じような御質問に対して私の見解は、小柳委員の御質問にお答え詳しくいたしました。いまの経企庁長官の考えと同じでございます。
○中尾辰義君 六%の成長ということですが、内需の方は順調に伸びている、大体八%程度ぐらい、こういうことですけれども、円高現象が内需の伸びをもたらした影響ですね。この辺のところもう少し細かく分析をして説明してくれませんか。
○政府委員(宮崎勇君) 円高の影響は直接、間接いろいろの面に出ているわけでございますが、一番直接的には輸出の減少という形をとっておりまして、輸出の減少はドルベースあるいは円ベース、いろいろのとり方がございますけれども、一番直接的には数量ベースの輸出が減っているという現象が見られます。同時に、円高によりまして輸入がふえているわけでございますけれども、輸入の中で特に製品の輸入がふえている。これが国内にデフレ的な影響を与えるということでございます。五十三年度全体でとりますと、輸出は国民所得ベースで見ますと実質マイナスの二・三、輸入等がやはり国民所得ベースでプラスの一一・一。輸入は御存じのようにGNPでは控除項目でございますので、それだけ足を引っ張るという形になるわけでございます。内需の方はただいま大臣の方からお話がありましたように、年率大体実質が八%程度で伸びているわけでございますけれども、この海外要因のマイナスによって成長率が当初の七%から六%へ下方修正されるというような状況でございます。なお、内需につきましても、間接的に円高のマイナス効果というのが出ているわけでございますけれども、その点は特に在庫調整がおくれるという形をとっているわけでございます。
○中尾辰義君 次に、五十四年度の成長率六・三%、こういうことで設定をされておるわけですが、これは経企庁の事務当局の試算はもっと低かったんじゃないか、こういうふうに思うんですが、なおカーター親書に代表される外圧なんかのために政治加算が加えられたんじゃないか、こういうふうにも思われるわけであります。それで、ことしは約三十八兆六千億、この程度の予算で果たして六・三%の成長率が達成できるのか。これもいろいろと世論の批判があるようでありますが、経企庁長官はどうお考えですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) われわれが六・三%の基礎案をつくりますときには、大蔵大臣と通産大臣と私とでいろいろと議論をしました。それの中には、もちろん一つにはその時点における日本の経済の足取りが、本当に少し温まって拡大傾向に向かうのかどうかということについて非常に議論が集中したわけであります。と同時に、この国内の経済を多少引き上げていくために投資する政府のいわゆる公共投資、それがどれくらい可能かということも議論の中心になりました。同時にまた、われわれの一番大きな関心は、先ほども御質問ございましたが、現在の完全失業率また失業数が少なくとも今年度より来年度の方がさらにふえるということであっては困るということ、これも非常に大きな配慮の根本でございました。同時にまた、われわれの計算の中では、議論いたしましたことは、前年度のようにというか、五十三年度のように円高によって輸出が非常に下がってしまうと、あるいはまたそれによって輸入が非常にふえてしまうということは、これは確かに経常収支の面においてはプラスであるけれども、しかしそれ自体は日本にとっては余り好ましいことではないわけであります。それが急激に大きくなるということはいけない。それはつまり貿易の状態がどうかということも十分配慮いたしまして、それでいろいろの案が持ち寄られまして六・三%程度が適当であるし、また六・三%程度ならば現在の情勢の中から達成可能だという結論の中で決まったわけでございます。
○中尾辰義君 まあ大体政府の予想というのは余りいままでも当たってないんですよね。大体経済企画庁の見通しなんかもいままで当たったの何回ありますかね。まあこういうふうに考えますと――これ議論しても時間ありませんのでこの程度で打ち切りますけれども、一応双方の理論は、理由はあるんですよね。まあ経済生き物ですから、昨年だって七%成長で公共事業相当伸ばして、赤字公債も相当出して、この分なら何とかということで福田さんがやったんだけれども、どうも円の方がああいうふうに高くなって横やりが入ったわけで、ああいう結果になったわけですが、それはそれとして、いまの答弁は答弁として私は聞いておきまして、次にまいりたいと思います。それで、これは財政の問題で、大蔵大臣の所管かしりませんが、経済閣僚の大臣としてお伺いします。 本年度五十四年度の予算は景気対策と財政再建、まあ両にらみの予算である、こういうふうによく言われておる。まあ中身は雇用の拡張とそれから不況の克服ということになりますがね。ところが、いまさっきお話がございましたね。まあ七%の成長、達成はできなかったけれども、内需の方は八%だった。非常に活発になってきておるわけですね。そういうことから考えて、これからやっとこの景気の芽が出てきたということ、ところがことしの予算はそういうような少し財政の抑制型だということですが、この点通産大臣としてどう考えているのですか。あなたの所管としては当然景気よくやれと、雇用も拡大して中小企業もうかるようにやらなきゃならぬ、そういう所管の大臣なんですね。いままでも大蔵大臣と通産大臣どうもこの財政問題について意見が合わなかった。前の河本さんだって積極論者だし、大蔵省は金のつじつま合わせなきゃならぬのでそうばかりいけないということですが、どうですか、あなたの所信に一応書いてなかったが、あなたに所信を聞いておきたい。
○国務大臣(江崎真澄君) 私は六・三%はことしは可能であろうと。ただ、前面に立ちはだかっておるのは油事情ですね。だから、神に祈るような気持ちで油の問題が早く解決するようにということを祈っておるわけでございまするが、私は、ことしの予算というものは、自分で、三閣僚さっきお話がありましたように手がけてみて、相当なやはり景気刺激的要素を持っていると思っているんです。それは、御承知のように、総予算はわずか一二・六%、ここ七年来の低い拡大に終わったと言われておりますが、景気を刺激するいわゆる公共事業などについては二二・五%アップです。しかも、これは去年の三四・五%アップで消化したもののまたその二二・五%アップですから、相当なやはり規模の景気刺激的要素を持っておるというふうに思うんです。それから、先ほどお話がありましたように、私ども六・三は何が何でも達成しなければならぬというわけで、特に非製造業である電力投資、設備投資ですね、こういったものに当初の二兆九千七百億円にもう一千億円協力を願おうということで三兆七百億円。それから、資材の前倒し手当てというようなものを入れまするというと、三兆一千五百四十六億円というものを通産省としても業界の協力を得て持って出ておるわけです。そして日本の経済実勢そのものが五十二年度は五・五%、今度も六%、そして幸いなことに、今後石油の事情が大きなショックを与えない限り、おかげで国民の耐久消費財の伸びがぐっと、買いかえの伸びですね、これが伸びてきましたね。同じことが私はここで企業にも言えると思うんです。構造不況業種はともかくとしまして、やはり一般家庭においても耐久消費財の買いかえ期が来たように、先進国として合理化努力をしたり、いい製品をつくるということになると、企業設備ももう更新しなければならない場面に来ております。もうあと〇・五%ぐらい金利が下がるのではないかという期待感が恐らく企業の経理担当者の間にはあったと思いまするが、公債の売れ行きの問題その他から見て、まあここらあたりが金利の底打ち感であろうということになると、このあたりで長期資金を借りて設備投資に向かおうという気分が出てくるのもこれは企業家の共通心理であろうというふうに考えます。したがいまして、製造業においても昨年の積算根拠である設備投資、製造業二%アップというのを八%アップに見ておりまするが、これは私は可能だろうというふうに見ておる。何もかもすべて今後の油の需給状況にかかってくるというふうに思います。
○中尾辰義君 それから、従来、いままでといいますか、去年おととしあたりは公共事業を中心にして、それから前半期において前倒しでやったわけですね。そしてまあ景気をよくして、後半もそれで行こうと、そういうことだったんですけれども、それが皆しりすぼみになっておるわけですよ。今度の予算ではそうじゃないんでしょう。ずっとなだらかに、まあ前倒しをやらないで、前半後半ともに同じようなペースでやるということですが、果たしてそれで景気が出るのかどうか、この辺ちょっと私は疑問に思うんですが、どうでしょうね、この辺。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 今年度、五十四年度の計画の中で一番際立って伸び率の大きくなるであろうということを考えておるのが、民間の在庫品の増加でございます。といいますのは、これは昨年度から引き続いて二年来相当大幅な景気刺激策がとられてきたんですが、それがなかなか不発であった。五十三年も、大体八%の国内の成長を見込む場合でも、民間在庫の増加というものは計画の十分の一ぐらいしか伸びないという、計算でそうでありますが、まだみんながその気になってなかったわけです。しかし、最近の情勢をごらんになれば、今年になりましてから大変活発に動いてきておる。まあそうしたことも予測して、民間の在庫の増加というものを非常に大きなファクターに考えておるわけでありまして、これは別に公共事業主導型というものではないので、実態の経済の好転ということを期待をしておるわけでございます。
○中尾辰義君 余りようわからぬのですけど、もう一問だけ。 いま政府は、一般消費税の導入ということを考えておるわけですね。これはまあ一つの増税路線、まあ赤字財政の問題もありますけれども、そのほかに公共事業が次々次々上がる見通しになっている。国鉄の八%、あるいはまた国立大学の入学金の値上げだとか、そのほかガソリン税の二五%の値上げだとか、あるいは高速道路の料金の値上げとか、ずうっと見てみますとこれは大蔵省のペースに巻き込まれておるような感じがするわけですね、この辺は。まあこういうことで、それで果たして雇用の拡張というようなものができるのかどうか、景気の拡張ができるのかどうか、同じような質問になるかもしれませんが、そういう中で政府は不況のトンネルを抜け出したと、こういうようなことを言われておるのですが、どうですか通産大臣、果たしてこれで不況のトンネルを抜け出したと、こういうふうにお考えになるのかどうか、どうもちょっと甘いんじゃないかと思うんですが。
○国務大臣(江崎真澄君) 私は今朝来も申し上げておりますように構造不況業種、特殊な不況産業があることは、これはもうよく認識しておるわけでありまするが、経済全般から言えばある程度様相は変わったというふうに見ております。それは先ほど来の輸出がスローダウンしたのを、完全にそれを上回るくらい内需がカバーしている。これは従来非常な無理な景気刺激策を、財政事情が悪いにもとってきた政府の施策というものは、一応物を言っておるのではないかというふうに考えるものであります。ただ、雇用情勢がこれまた数次議論されたように、決して芳しくありません。したがって、どうしてもこの明るみの出たなだらかな回復路線をたどっておる景気動向を、今年も引き続きやはり確保していきたいということは、さっきの延長で申し上げるならば実質この政府支出の伸びですね、七・七%を今度計算しておるわけです。国民総支出の伸び六・三%と、こういっておるわけです。これはいけそうですね、いまの雰囲気で言うなら。瞬間風速実質九%ぐらいの消費の伸びでありまするから、さっきも年度平均で八%はいける。ですから、そしてあらゆる企業が石油ショック後、まあ去年などでも大体四〇%ぐらいは赤字基調と言われておりましたが減収増益、これには低金利政策が効いてまいりましたね。それからもう一つは、円高メリットがちょうど卸売物価に好影響を与えたのと同じように企業会計にやはり大きく響いた、まあいいところへいきつつあるのではないか、いきつつですね、そういうふうに認識いたします。
○中尾辰義君 これはまあね、通産大臣はまあええところだろうと、そう言わざるを得ないでしょうね、これはまあ閣員として。しかし私ども公明党としてはせっかく内需が芽が出てきたんだから、ことしいっぱい拡張予算をやって、来年あたりからまあ考えればよかったんじゃないか、こういう見解を持っているんです、実は。 これはこれでまあ打ち切りますが、次に最近またいろんな建設資材が値上がりをしてきたわけでありますが、通産省では建設資材の高騰が公共事業の円滑な執行に支障を来し、景気回復の足かせになると警戒をしながら、公共事業関連物資需給対策本部の会合を開いて需給、価格動向を調査していると、こういうふうに聞いておるわけですが、主な建設資材の最近の価格の動向について概況がわかりましたら御報告願いたい。
○政府委員(矢野俊比古君) いまお尋ねの建設資材でございますが、ひとつ大きなウエートを持つのは小棒でございます。これは昨年十一月末ではトン当たり六万円、十二月の末に六万二千円でございますが、一月末には六万一千円、やや最近さらに弱含みという事情にございます。 それから、セメントにつきましては、これはトン当たり一万一千円というのがもう昨年の秋以来一つも変化しておりません。むしろ、値上がりの基礎となりますのが、いわゆる骨材のたぐいでございます。いわゆる砂利でございます。これが立米当たり昨年で三千二百円が現在三千四百円くらいになっていると思います。また生コンクリートがやはりこのところ八百五十円くらいかと思いますが、この一月末になりまして値上がりをしておりますが、これはやはり骨材、砕石の値上がりの影響を受けていると思います。 それ以外の点につきましては、コンクリートパイルとかやや値段が二百円くらい上がったものもございますけども、それ以外はほとんど秋から変化がない、こういうふうに御認識をいただいたらいいと思います。
○中尾辰義君 大体わかりましたけども、私もここに主要資材価格推移表というのを見てわかっておるんですが、次にセメント、小形棒鋼などが一ころは構造不況業種の代表と言われ、長期間にわたって不況カルテルにより価格の下支えをしてきたものであります。特にセメントにつきましては、公共事業の拡大で需給が逼迫したにもかかわらず、減産カルテルの打ち切りの時期がおくれたため、価格の高騰に拍車をかけた、これは五十二年の十二月ですね。こういうことで、小坂経企庁長官は十三日の当委員会における所信表明の中で商品市況、特に建設資材の価格動向を注視し、不況カルテルの運用に配慮する必要がある、こういうふうにあなた所信表明で述べていらっしゃる。 そこでお伺いしたいんですが、今後の不況カルテルの運用方針についてこれは三人とも、経企長官、通産大臣、公正取引委員長の御見解をひとついただきたいと思います。
○政府委員(橋口收君) 独占禁止法上の不況カルテルは、当委員会が責任官庁でございますから、私からお答えを申し上げたいと思います。 不況カルテルは独占禁止法の認められた制度でございますが、これは競争政策に対する重大な例外措置でございますし、一般的な不況状態の中で特定の物資についての需給の均衡が破れて市場価格が原価を下回る、そういう情勢になりました場合に、個別業界ごとに申請をして公正取引委員会の認可を受けるわけでございまして、その場合には物資所管官庁である通産省あるいは農林省と協議をする、こういうたてまえになっております。現在進行中のカルテルは、ことしの一月末で二品目が解除になりましたので、現在進行中のものは六品目でございまして、そのうち二品目は二月末で一応の期限になっております。それから、三月末の期限のものが三品目、四月末が一品目ということで、現在実施中のこれらの物資の需給の状態、価格の状況、損益の内容等につきまして常時慎重に監視をいたしておるところでございまして、現状で見る限り不況カルテルによって不当に価格が上昇した事態は認められないというふうに考えておりますけれども、しかし、実施中でありましても需給が緊張し、価格が急騰するというような場合には、いつでもカルテルを打ち切るということにつきまして、認可の際に念書をもらっておるわけでありまして、もしそういう事態になりますれば、この念書によりましてカルテルを打ち切るということも可能でございます。ただそういう場合にも業界との合意がございませんと、法律の手続によって審判を必要といたしますので、仮に需給が緊張して価格が高騰する、それで不況要件はなくなったという場合には、よく業界と話し合いをいたしまして、合意の上でカルテルを打ち切るという措置もとりたいと思っております。 ただ、いま申し上げましたように、少なくとも現状に関する限り不当に価格が上がって大きな影響を及ぼすというような事態になっておらないと思いますが、進行中の中でも、国民経済に対する影響という点から申しますと、アルミニウム地金それから合成繊維、これはいずれも三月末で期限が切れることになっておりますが、この二品目はやはり影響が大きいということで六つの品目の中では重要性が高い、したがってわれわれとしては監視の対象として重視をしているということでございます。
○国務大臣(江崎真澄君) もういまの答弁で尽きておるわけでありまするが、私ども六品目の所管をいたしておりまするが、徐々に需給は改善されつつありますが、なおやはり採算ラインの状況には達しておらないというふうに見ております。しかし、いま話がありましたように、需給の著しい不均衡、コスト割れ、この原則に沿うかどうかしさいに注視をしながら今後にかけて判断をしていこうと、御承知のように昨年は十二品目ありましたが、回復軌道路線に乗ったものは、もう六品目はストップしたというようなわけですから、よくよく見きわめていきたいと思います。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 私が先ほど仰せられたような方針を申しましたのは、一種の予防措置でございます。やはり、物価というものは上がってから手を打ってもこれは何にもならない。何か上がりそうな気配のあるときに手を打たなくてはいけないと思うわけでありまして、何もカルテル行為だけによって物価の上昇が際立って目立っているというものではありませんが、全般的に見て、円高が一応平生に戻ってきておる状況や、あるいはOPECの石油の価格の引き上げなどということはすでにもう実施されるわけでございますから、いろいろな状況を判断したときに、そしてまた経済の全体の雰囲気がだんだんと高まってきておる折に、そうしたような人為的な形での価格の下支えをするというカルテルに対しては、これについて常時監視をしていくということ、一種の予防措置としてそのような発言をいたしたわけでございます。
○中尾辰義君 公取委員長にお伺いしますが、さっき念書という言葉が出ましたね。これはカルテルを実施期間中でもカルテル廃止の念書をとっておるから、こういうふうに改善をしたからすぐやれるということですけれども、カルテルの廃止に関して念書というのは、これはいろいろと私の調べたところによると、資料が二カ月ぐらい前の資料だと、そういうふうに聞いているんですがね、そういうような資料では間に合わぬのじゃないかと、こういう感じもするんだが、その点いかがでしょう。実情はどうなっているんでしょう。
○政府委員(橋口收君) 価格が上昇いたしませんでも、円高その他の理由によりまして原価が下がるということがございます。そうなりますと、同じ価格の水準でありましても損失が出ないという状態にありますと、これはカルテルとしての不況要件がなくなるわけでありますから、したがって、私どもといたしましては価格の水準を見ているだけでは不十分でございまして、いま先生がおっしゃいましたような損益の内容につきましても把握する必要がございます。 ただ、統計資料の関係で正確なものはやはり二月おくれぐらいになるわけでございますが、二月おくれということはこういう変化の激しいときには間に合わないということもあろうかと思いますので、いまやっておりますのは、非常に正確な資料ではございませんが、企業の協力を求めましてある程度わかる内容のものを掌握して、具体的に申しますと月次試算表等をベースにいたしまして、一体いまの損益状態がどういうふうになっているかということの分析をやっておるわけでございまして、仮にそういうものをベースにして不況要件がなくなっているということであれば、先ほど申し上げました念書をベースといたしまして業界と話し合いをすることが可能だと、こういうふうに考えておりますので、普通のベースよりはかなり勉強してやる態勢にいたしておるところでございます。
○中尾辰義君 通産大臣、この値上がりが激しい資材、これに対しまして関係業界に対して増産を要請されると、そういうようなことはお考えになっておらないのか。また、インフレ防止のために価格抑制の行政指導、そういうことはどうお考えになっておられますか。
○国務大臣(江崎真澄君) もとよりその点は大事な点だと思っております。特に、日本の場合需給ギャップが多うございますね。昭和五十年としても、先月の経企庁の経済指標に見ましても稼働率一一二ぐらい。これは大体七を掛けると本当の稼働率がわかると言われまするが、まだ供給余力は相当あるわけですから、物によってはやはり増産指向で行政指導をするということは大切な問題だと思います。
○中尾辰義君 もう一点、公共事業が、さっきも申し上げましたけれども、この数年間は上半期に前倒しの発注がなされてきたわけです。そのことで一つは建設資材が逼迫をして価格が上がる、こういう要因になったわけですけれども、今度は前倒しはないわけですね。前倒しはなし。この公共事業の五十四年度の執行に当たってどのような方針で臨むお考えか。前倒しをやめるとすれば、公共事業の景気浮揚効果というものが過去数年間と少し違ってくるんじゃないか、さっきもちょっと申し上げましたが。この辺いかがですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) いま御審議をいただいている最中の予算でございますから、いまここでその運営についていろいろ方針を申し上げる段階ではないと思うんであります。ただ、私が経済企画庁として考えておりますことは、過去における前倒しはそれ相応の士気高揚にはなったと思うんでありますが、同じ量のものを前にたくさん出せば後ろが少なくなるのはあたりまえのことであります。したがいまして、結局その足りない分を何か補正その他で埋めなくちゃならぬということにもなるのではないか。私は前倒しの効果は確かにあったと思いますが、結局前にたくさん出すということがそれほど日本経済全体にプラスになるかどうかということを考えますと、特に現在物価の問題等を非常に深刻に考えてまいるたてまえをとるならば、やはり予算の執行はなるべくなだらかにというふうに私は思っておりますが、いずれにいたしましても予算が決定されました時点、そして多少それから後の経済見通し等の景気の動向等を見まして政府として決めてまいるというふうになると思います。
○国務大臣(江崎真澄君) 私の方へも御質問でございましたから、ちょっと補足いたしますと、決めるのはいまの三月の時点で建設省、大蔵省、経企庁などなどで決められるわけですが、御承知のように去年は七六%前倒しということでしたが、平年度でも大体上半期には六〇%ぐらいを消化するという順序できておることはもう御承知のとおりでございます。したがって、これをどの程度ふやすのか、そのままでいいのか、いま公共事業関連業種というものを企業の採算ベースに乗せるために、また景気を引っ張るために前倒しをしなければならないかどうかというあたりは、私ども通産省もしさいに検討をしまして、よくいま経企長官の言われた協議に反映をさせていきたいというふうに思います。
○中尾辰義君 ちょっと時間がありませんで、この辺で経済見通しに関する質問を終わりまして、さっき中国貿易の話がちょっとあったんですが、私も若干お伺いしたいんですけれども、まだ余り大臣の答弁聞きますとまとまってないようなことでありますけれども、わかっている点だけでも説明をしていただきたいと思います。 先般も鄧小平さんがおいでになって盛んに中国の四つの近代化ということについてお話があったわけです。そして、対外貿易も非常に積極的な政策を進めていくと。わが国におきましても、各工業分野で日中間の経済技術協力が活発化するとともに、各種の大型プラン、商談が行われておる現状であります。かなりの成約を見ているが、今後の見通しといいますか、特にわが国の対中貿易の構造、あるいは商品別の国際競争力、あるいはブーメラン現象の解決策、こういったものはどうですか。説明できる範囲で結構ですから。
○国務大臣(江崎真澄君) 先ほど申し上げましたように、いま通産省と大蔵省とで事務ベースの詰め合わせをやっておるわけですね。したがって、問題点は何かといいますると、中国に対する資金協力問題これをどうするのか。これは輸銀によるプラント輸出、延べ払い金融、これがありますね。それから石油石炭の開発金融、それから三番目には市中銀行の融資それから四番目には、まだ具体的に向こうからは要請はありませんが、経済協力基金による援助、こういった四つの協力ケースがあるというふうに思います。 そこで、輸銀の石油石炭開発金融と市中銀行の融資につきましては、もうすでに、従来もそうでありましたが、これは当事者間で話し合いを進めておる、今後延べ払いの方式も当然利用されることが考えられまするが、当事者間の交渉を見守りながら、日中の経済協力を推進するという立場から、これはやはり可能な限り協力をしていくということは必要であろうというふうに思います。 経済協力基金については、まだ具体的な意向が先ほど申し上げたように先方から明らかにされておりません。 そのほか、先ほど御質問がありましたが、時間お急ぎでしたのであえて申し上げなかったのですが、日中共同石油開発の問題については、一月十八日から二月十二日まで二十六日間にわたって李景新、これは中国の石油天然ガス勘探開発公司副総経理という長い名称ですが、この方を団長とする訪日団と松沢明中国。プロジェクト対策準備室長を頭とする石油公団との間で交渉が行われてきた。もし必要があれば、事務当局から現在の段階についての御説明を申し上げさせます。
○政府委員(天谷直弘君) 渤海南部地区の開発につきましては、日本側で一応考えておりますスケールは、大体可採埋蔵量が一億四千万トンくらい、開発のコストは総額で二十億ドル、四千億円くらい、それからそのうち探鉱関係が四百億円程度。これは決まったわけではございません、大体そういう腹づもりで向こうと交渉をしておるということでございます。そういうことで計算をしてみますと、油が出てきた場合には日本側として一年間二百万トンくらいずつ引き取っていくというようなことになるだろうと想定をしております。いま主として技術的な問題を詰めているわけでございますけれども、最大の問題である、資金をどういう通貨で貸し付けその決済をどうするかという問題については、いまのところまだ両方とも解決案が出ていないというような段階でございます。
○中尾辰義君 あと二、三お伺いしますけれども、一つは合弁事業の計画ですな。これも、昨年の暮れ北京で開催されました日中貿易混合委員会において、国際市場性に富む商品の生産について合弁事業、委託加工方式等まあ弾力的に考えたい、こういう意向を表明されておるわけですけれども、この点についてどのようにお考えになっていますか。
○政府委員(宮本四郎君) ただいま御指摘の中国との合弁事業のお話でございますが、昨年の秋に北京で開催されました日中の混合委員会の席上、先方から提案されました。私ども実はこういう提案があるとは予想いたしておりませんでしたので、その内容は何であるかということで問いただしたわけでございますが、それは皆さんがお考えのような合弁事業の内容である、こういうお話でございました。その後先方は日本の関係当事者の方に幾つかのテーマを出しているようでございまして、それぞれの関係者の中で考え方があったならばまとめてこれを中国側に示してほしいと言っておるのです。それについてどういうふうな状態であるかはまだつぶさに私どもは存じませんが、現在のところ私どもが一応聞きました段階におきましては、いろいろとわからぬ点がある、なおその上に先方の法制そのものが必ずしも十分整ってないというふうなことで、いまだに検討の段階にあると聞いておる次第でございます。
○中尾辰義君 それから、もう一つこれ問題になっている特許とか実用新案、商標ですな、いわゆる工業所有権の問題ですが、中国は現在。いり条約に加盟をしておらないわけでありまして、わが国が中国向けに先端技術や商品を輸出する場合に、それぞれの輸出入契約の中にどういうふうにしていくのか。あるいは日本商品の模造品をつくらないとか、あるいは代金の上にノーハウ料、特許料、そういうものを上乗せしてやるとか、いろんなことが考えられるのですが、当然通産省としてお考えになっていらっしゃると思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(熊谷善二君) ただいま御指摘のように、中国には特許制度がございませんので、いわゆる技術特許といったものにつきましてプラント契約に伴って当然問題になるわけでございますが、そういうものに対する制度的な保障はないわけでございますので、先生御指摘のように個々の契約の際に、そのプラントに伴います特許権というものを実質上尊重してもらうためのいろいろな措置を契約の中で取り決めるという以外に手はないわけでございます。しかしながら、そういう状況では、今後進められますいわゆる中国側の四つの近代化促進という問題につきまして、また日中の技術交流の促進という面から見まして非常に問題があるということは各方面から指摘されておりますし、また中国側におきましても、この問題につきまして最近非常に前向きな姿勢で、特許制度を創設しようというような線で現在検討が進められておるわけでございます。先生も御指摘になりましたように、中国が、工業所有権の保護に関するパリ同盟条約というのがございますが、これに入ることを検討しておるということでございまして、昨年の十二月に現在の中国の科学技術委員会の副主任をやっております武衡先生を団長といたしますミッションが参りまして、この問題について十分学習をしていかれました。今後、日本の特許庁にも具体的な協力につきまして要請がございますので、連絡をしながら進めてまいりたいというふうに考えております。
○中尾辰義君 結構です。
○馬場富君 私は、先般倒産いたしました林紡績の関係について質問いたします。 御存じのように、二月八日に中部地区最大の毛紡メーカーである林紡績が六百九億円という中部地区では史上最高の負債額を抱えて倒産いたしました。御存じのように、これは一宮を中心とした繊維地帯においてこの倒産が行われた関係で、これに従事する従業員の不安とあわせまして関係中小企業等のそういう倒産に対する不安が非常に大きいわけでございますが、これに対してその倒産の内容について簡単にひとつ説明してもらいたいと思います。
○政府委員(栗原昭平君) 林紡績につきましては、二月の七日の日に名古屋地裁に更正手続開始の申し立てがございまして、翌八日に保全命令が出されております。さらに十三日に保全管理人が選任されたという経緯をたどっておるわけでございますが、林紡績は、御承知のように、戦後急速に拡大した会社でございまして、生産規模から申しますと、業界で第四位、尾州地区では最大の毛紡績ということでございますが、オイルショック以降の対応におくれをとりまして、さらに加えまして、経営者の商業主義的経営と申しますか、そういった独自の経営がうまくいかなかったというような状況も加わりまして、一昨年には債務超過に陥りまして、昨年の時点では百八十億に近い債務超過というような状況になりまして、事実上破産状態に近い形に相なったわけでございます。ただ、紡績部門だけをとってみますと、最近の月次決算では黒字になっておりまして、そういった意味で過大なそういった負債の金利負担を軽減しながら新しい形で再建をしたいということで、更正手続の申し立てに至ったというように承知をいたしております。
○馬場富君 これに対しまして通産当局としては、いち早く対策本部を設けられました。これについては非常に理解するところでありますが、その内容と現状について御説明願いたいと思います。
○政府委員(栗原昭平君) 御指摘のありましたように、この倒産と申しますか、更生手続開始に関連しまして問題点が二つあろうかと思います。一つは、ただいまお話のございました関連企業への波及の問題が第一点でございまして、それからもう一点は、こういった大手の毛紡績でございますので、特に地場に対します糸の供給がどうなるかという毛織物業者に対する糸の供給の問題、この二つが問題になろうかと思っております。 第一の、関連倒産に対する対策でございますが、地元の名古屋通産局におきまして臨時の対策本部を設けまして、翌日各金融機関と懇談会を開催いたしまして、さらに倒産企業としての指定を行いまして、金融措置、信用補完措置等につきまして既存の制度を活用しながら関連企業の倒産防止に努めるということをいたしております。現在までの状況を見ますと、いまだにまだ倒産をした企業は昨日段階ではないという状況でございます。 それから、第二点の糸の供給の関連の問題でございますが、林紡績は経営者あるいは組合の関係者もぜひ円滑なその生産を継続したいという意向を表明しておりまして、金融機関も賛意を表しておるようでございますし、私どもといたしましても糸の供給に不安なからしめるという意味合いから、そういった線でぜひ指導を続けてまいりたいと考えておりまして、現時点では生産も順調に行われているということでございますので、毛織物業者に対する糸の供給あるいは取引所におきます混乱等は、取引所の対策も含めまして、目下のところ見られないというふうに考えております。
○馬場富君 一応対策が非常に効果をあらわしておるというお話でございますが、一応現地を私どもが見まして、確かに静かな倒産だと、ことに関係者は意外な状況でございますが、その底流をずっと私どもが調べてみますと、過去のやはり林一族のあのワンマンな経営で、そしてやはりかなり痛めつけられた関係業者というのは、やはり今度の倒産が予想以上にまたそれ以上のものであるというふうに予期したけれども、意外にその点が静かだということで唖然としておると。だが、先ほども御説明になりましたように、負債総額が莫大であります。そのために、その大半は金融機関であるといっても、その他一般は十七億円に該当するような大きな金額ですよ。これが依然として関係中小企業の負担となって残っております。この問題はまだ出ておりません。現地を私どもが歩いてみますと、これからやはり問題になって出るというふうに私たちは考えられるわけでございますが、こういう点ですね、対策やあるいは静かな倒産だという一つの金融関係だけの情報ではなくて、実情を把握した上で、これは真剣に取り組んでもらわにゃいかぬ、こういうわけですが、その点どうでしょうか。
○政府委員(栗原昭平君) ただいま御指摘のように、負債総額六百十億円のうち金融機関が大部分でございまして、一般債権者の分につきましては十七億一千六百万、全体のウエートとしてはかなり少ない数字にとどまっております。この債権者の内訳を見ますと四百社以上に上るということでございまして、一億円を超えるような大口の債権者は四社という程度にとどまっておりまして、かなり数が多いわけでございますが、名古屋通産局を中心にいたしまして、こういった一般債権者の実情については十分把握に努めまして、先ほど申し上げました金融措置等も含めまして自後の対策に遺憾なきを期したいというふうに考えております。
○馬場富君 そこで、この静かな倒産の実態という中で、五十二年の銀行管理になってから、それから今回の会社更正法によって一応従来よりは会社自体の経営というものは安定を取り戻しておるということは言えるわけでございますが、これは、ここでわれわれが深く考えていかなければならぬのは、いま現在時点のことではなくて、これまでに至ったこの累積赤字二百三十億を含めてその関係を生んだ過去の経営に一つは深刻な問題があると、含まれておるという点が私は大問題だと思うんです。たとえば、会社経営とは別に相場師的なことで株の買い占めだとか企業の乗っ取りだとかあるいは金融、不動産と、こういうような失敗が次々と報道され、現地でも身をもって感ずる実態がございます。通産大臣は地元でございます。そういう点でこの点についてはよく御存じだとは思いますが、この実態とあわせて今後のこれに対する考え方を大臣よりひとつ説明していただきたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘のような点については私も一通り認識をしておるつもりであります。しかし、いま局長が御説明申し上げましたように、これによって関連被害を受ける中小企業者の数もあるわけでありまして、これらの供給対策についてはできるだけのことをしなければならないというふうに考えております。 林紡績そのものについてはいろいろ議論したい点もありまするが、この場では差し控えておきます。
○馬場富君 そこで、いまこの倒産の中で、現地でいろんな問題点の一つにやはり金融の問題があると思いますが、過去に――林紡績がこのような事態になったからには、もうかなり前から警鐘がされておるわけです。資本金は四十二億です。だが、現在の倒産時の融資総額は五百二十三億です。こういう状況につきまして、なぜこの状況のところに実は金を貸したかという一つは疑問があるわけです。そういう点で、先ほど私が説明いたしましたように、通産大臣も現地でお認めだと思いますが、過去の経営に林さんの問題点がかなりあると。そういうことは、問題点というのはやはり会社の経営の内容から逸脱したところに一つはその問題点があるわけだし、失敗の原因もあるということです。まあ、過去の経緯をずっとお調べの方はわかると思うが、あの有名な中日スタジアムの倒産のときでもそうでございます。その関係で管財人からその後訴訟も行われましたけれども、これについては滋賀県のゴルフ場の用地の問題、あるいはその後岡山県あるいは和歌山県の山林や土地取得の所有権の問題等について云々されておることがマスコミで相当報道されておると。こういうようなことが過去の事実の中にはっきりとある状況です。もしそういう点について――銀行当局がなぜこういう点について莫大な融資をなさったか、この点大蔵省からひとつ御説明願いたいと思う。
○説明員(平澤貞昭君) 先ほど来先生のお話にございますように、当林紡績の経営が行き詰まりました原因につきましてはいろいろあるかと思います。まあ私たちといたしましては、先ほど通産当局から御説明がございましたように、まず倒産に至りました後に、中小企業にできるだけ影響を及ぼさないようにということで財務局等と相談いたしまして、各般の措置をとったわけでございますけれども、いま先生がおっしゃいましたような御指摘の点があるとすれば、やはり問題かと存じますので、これから関係金融機関からも事情を聴取いたしまして、今後の融資のあり方について十分指導していきたいと、そのように思います。
○馬場富君 特に大蔵省にお願いしておきますが、現地の実態をよく調査してもらって、きょう時点ではなしに、過去にこの問題が、累積赤字がこのようになってきた、そこらあたりのところに相当深刻な問題があるわけだ。これ実態調査した上で、ひとつ指導してもらいたいと思います。 次に、労働省の関係にお尋ねいたしますが、林紡績は御存じのような大企業です。もうここに働く従業員の方も相当数みえますし、また関連の関係の方もたくさんあると思いますが、その関係の従業員数とそれからこれに対する雇用不安に対する対策はどのように考えてみえるか、労働省にお尋ねしたいと思う。
○説明員(田淵孝輔君) お答えいたします。 私ども労働省の方で愛知県庁を通じまして得ております情報によりますと、操業は引き続き継続する、また現在の従業員数は二千五百二十八人と聞いておりますが、二千五百二十八人につきましては解雇は一切しないということが労使の間で合意をされているというふうに聞いております。なお、五十四年度の、ことしの三月卒業の新しく学校を卒業して就職する予定の人たちにつきましても、そういう学卒者につきましても予定どおり採用する予定であるので、この点は職安の方も御協力をいただきたいというような申し出もございまして、全国的にもそういうふうに手配をしたところでございます。
○馬場富君 そこで、いろんな問題点がありますが、その中で特にわれわれが回った関係で従業員が非常に不安になっている一つの点には、かつての林社長というのは、そういう点で、会社の株を従業員に割り当てしたと。そして、その株の価値については百三十円は絶対に保証しましょうというようなことで割り当てをして、従業員との公の席でも盛んにこのことを確約したと。また退職従業員に対しては、それに対する保証書まで出した。事実出しておるわけですよ。そうやって株のことについて力説したわけでございますが、現在こういう状況になって株の価値というものがもう信用ができないと、こういう状況になって、そういう従業員が林社長宅に殺到しておると、こういう事実です。それについて林社長は、これを避けて逃げておるような状況だと。そういう点で関係労働者は非常に困っておるわけです。先ほど労働省おっしゃいましたが、県の労働部に任せて調査するなんということをやっておってはだめなんだ。ちゃんとあなた方が現地へ行ってこういう実態を把握して対処されるべきだと思う。どうですか。
○説明員(小粥義朗君) 労働基準監督機関の方でも、この林紡績の件が新聞にも出ました後早速に、たとえば従業員に対する賃金不払いはないのかといったことをすぐ調査をいたしたわけでございます。その限りでは、そうした不払いの事案等は出てないということで報告も受けております。いま先生御指摘の自社株の件は、実は私どもまだ承知しておりませんので、その実態をよく調べまして、それに応じた措置をとるようにいたしたいと存じます。
○馬場富君 次に――いまは従業員です。今度は林紡の過去の経営の中で、関係の中小企業やあるいは出入りの業者等に実は六カ月以上の長期手形を出したわけだ。 〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕 これはもう一宮方面で有名です。そしてそれを、出した手形を同系の会社で高利で割り引いて、そして中小企業を圧迫した事実というものは、もうあそこでわれわれ聞いても耳が痛くなるほど出てくるわけですよ。こういう点について、これは余りにもひど過ぎると私は思うわけですよ。だから余りにも乱脈だと、度を過ぎておると、こういう点について私は公取に、関係のあることですから、この点どのように考えてみえるか御説明願いたい。
○政府委員(長谷川古君) お答えします。 まだ実情を把握しておりませんので、それは下請工場の問題か、あるいは独禁法上の不公正の取引の問題かその辺ちょっとまだわかりませんので、至急実態を調査した上で必要な対策を考えたいと、このように考えております。
○馬場富君 私の方から資料を出しますから、関係省よろしくお願いしますよ。 次に、今度は株について大蔵省の証券取引関係に質問いたします。 現在、林一族から林紡績に対して、一族の持ち株を返せという告訴がなされております。実はこの株についてでございますが、林紡績というのは三十一年に株を公開して上場株の会社ということで、今回の倒産については非常に現地等についていろんな話があるわけです。特にあのような五十二年から問題が、危ない危ないと言われながら倒産の最後まで株が高値で異常な足取りをたどったと、こういうことです。そういう点でこの関係者については大きい疑問があると。こういう点で証券局においては国民経済安定の立場からも、また投資家保護の立場からも、こういう点についてどのようにこれまで対処されておったか御説明願いたいと思います。
○説明員(門田実君) この林紡績は、名古屋取引所と大阪取引所の二カ所に上場されております株でございます。当然のことながら、名古屋の方が売買のほとんど大宗を占めておるということでございます。この株につきましては、非常に経営内容はよくないのでございますが、昨年、特に年末――ことし初めにかけましてやや思惑的な要素がいろいろ絡みまして、かなりの売買取引があったという事実がございます。取引所といたしましては、信用取引の売り残高と買い残高、この割合が非常に高いというようなことで、本年の一月十二日に注意銘柄、注意を要する銘柄であるという指定をいたしております。それから二月一日には、信用取引の過熱に対しまして個別の規制をいたしまして、委託保証金率六〇%が普通でございますが、そのうち二〇%は現金で積むようにと、こういう措置をとってまいったわけでございます。
○馬場富君 私はここで、あなた方の指導の中で、特に林紡績の実情についてやはり取引所は公開を十分すべきだという点が私はあると思う。この点について私は甘さがあったのではないかという点がこのような状況になったんじゃないかということで、大いにやはり関係者も疑問を持っておりますが、どうかこの点についてひとつ取引所の関係をあなた方はね、実態調査されてね、これにはかなり問題点があると言われておるんでですね、そういう点について適切な把握をした上で対処されたいと思うが、どうですか。
○説明員(門田実君) 上場会社に問題がございます場合、具体的には上場期の契約に基づきまして、重要な事項につきましては会社が取引所に通告しなけりゃならぬというような規定がございます。まあこの会社につきましてそういう規定に当てはまるような事柄が果たしてあったのかどうかという問題、それから先ほど御指摘のございました株価形成上の問題、そういったことにつきまして、よくその売買内容につきまして取引所に十分調査さしたい、かように思っております。
○馬場富君 もう一つはですね、ここで林紡績の関係に林学園がございます。文部省の関係にお尋ねいたしますが、短大と高校がございますけれども、まあこれはやはり創始者の林社長の一つは寄付等で発足して現在まで至っておるわけですけれども、過去にやはり年間四、五千万円の赤字を出しながら今日まできたと、まあそういうようなことで、これがひとつ法的には独立することに問題はないようでございますけれども、そういう経済面について、これからも林学園あるいは高校等が独立していくについて、やはり文部省あるいは県等の協力が私必要だと思いますが、その点に対する文部省の御見解をお尋ねいたします。
○説明員(齊藤尚夫君) 学校法人林学園に対するお尋ねでございます。 去る二月九日、林学園の短期大学の学長から事情をお聞きをしております。また高等学校以下につきましては県を通じましてその事情を聞いておるわけでございますが、林紡績と林学園とはまあ別法人でもございますので、林紡績が会社更生法の適用を受けるということになりましても、まあ学校法人の財政面には当面直接の影響はないという点が第一点でございます。 また、先ほど労働省の方からもお話ございましたように、引き続き操業が行われると、それから、新規に採用者につきましても採用が行われる見通しであるというようなことでございまして、学校の事業につきましても当面大きな影響はないであろうというふうに聞いておるわけでございます。先生お尋ねのように教育の問題でございますので、文部省といたしましても、また愛知県といたしましても、この学校の事業に支障のないように最大の努力を、協力をしていきたいというふうに思います。
○馬場富君 特に文部省の方ですね、法的な問題よりも経済的な問題についての、独立した場合の危惧が少々あるという点が関係者から言われておるんだけれども、その点について特に県と国とによってアドバイスいただきたいと思いますが、どうでしょう。
○説明員(齊藤尚夫君) いま御説明申し上げましたように、財政的には林紡績、過去には寄付等がございましたけれども、ここ数年経営につきましては少々の借入金があるという状況でございまして、林紡績に大きく依存をするという経営形態ではないわけでございます。それらの借入金の措置につきましては、事情によりましては金融機関等の協力なり、あるいは日本私学振興財団の融資なりによってまあ対処できる事柄でございます。
○馬場富君 最後に、いま私が質問したような実情が、まだ何点か問題点が残っております。そういう点につきまして、やはりこの会社更生法が発足を見た時点から、一つは経営そのものは安定に向かうと考えられるわけですが、いままでの過去の累積赤字やあるいはその問題点が今後に残されて、経営上もかなり私は大変な問題があるんじゃないかと、こう思うわけです。そういう点について非常に、先ほど来話しましたように、雇用にしても、やはり関係中小企業にしても、また地域の問題としても、大きい影響力のあるこれは倒産でございますので、どうかそういう点でこの問題について通産がやはり真剣に取り組んでもらって、ひとつそういう従業員やあわせて中小企業等の影響が少ないような、そういう状況でお考えいただきたいと思いますが、その点通産大臣の決意をお伺いして質問を終わります。
○国務大臣(江崎真澄君) 従来の放漫経営、思惑経営、相場などに過度に手を出すといったような、そういう結果がこういうことを生んだということは、非常に重大な業界自身に対する一つのやはり教訓ででもあろうというふうに思います。しかし、それによって迷惑をこうむる下請の中小企業あるいは雇用者、こういった対策などについては、当然万遺漏なきを期さなければならないというふうに考えます。
○市川正一君 私は、この機会に、通産大臣の所信表明に即しながら、主として通産行政における政治姿勢に関して若干の御質問をいたしたいと思います。 きのう、きょうと、衆議院では、航空機購入をめぐる疑惑解明のための証人喚問が行われておりますけれども、さきのロッキード事件における丸紅、今回のダグラス、グラマン事件における日商岩井あるいは三井物産、住友商事など、大総合商社が中心的な役割りを果たしております。総合商社の企業活動に大きなかかわり合いのある通産省としても、当然重大な関心を払われておられるでありましょうし、また、ある意味では責任をも感じておられるというふうに私所存するところでありますが、そこで通産大臣にお伺いいたしたいんですが、ロッキード事件に続いてダグラス、グラマン疑惑についても、SEC報告などを見ますと、いずれ贈収賄事件に発展する可能性がひそんでおります。しかも、重要なことは、これら商社商法では、政治家への現金贈与が慣習化しておることであります。 たとえばわが党の訪米調査団に対しまして、グラマン社の現幹部は、日商岩井の幹部の言として、日本では政治家に賄賂を贈るのは当然のことだ、政治家に金を握らせれば商社としては思いどおりにやらせることができると語っていたというふうに述べております。ロッキード公判の中でも、これは昨年の九月でありますけれども、全日空の若狭会長は、四十七年十月二十日ごろの夜、私の家に三井物産の石黒副社長と村上常務が訪ねてきて、実は自民党の田中派、大平派などに、重立った派閥の方々にごあいさつして手を打ってありますからDC10をよろしくと言われた、国会議員の方々に手を打ったとはお金を差し上げたことであると感じたと、こう証言しております。きのうのロッキード公判におきましても、コーチャンの嘱託尋問調書は、田中角榮への五億円の政治献金について、丸紅の大久保が、大きな買い物には普通の金額だと言ったと述べております。 江崎大臣は、商社のこのような政治献金、いわゆる現金贈与を手段とした商法をどのようにお考えになっておられるのか、お伺いしたい。
○国務大臣(江崎真澄君) いつも航空機商法をめぐって何か賄賂が贈られたとか、それが政治家に関係があるとかいうようなことが言われることは、まことに残念至極というふうに思っております。これは日本の商社活動というものが非常に競争も厳しい、激し過ぎるというような環境もありましょうが、どんなに厳しいからといって不正が行われてはこれは成り立ちません。したがって、今後とも、こういうことで少なくとも政治に不信感を抱かせたり、また商社が平然として不法不当な行為を合法化して表に物を言うというようなことは断じてあってならないことだというふうに思います。
○市川正一君 通産省も御承知だと思うんですが、総合商社十四社が一九七三年の五月十日に各社社長全員のコンセンサスに基づいて、総合商社の、ここにございますが、行動基準なるものを定めております。しかし、今日、いま大臣もおっしゃったように、この行動基準に基づいていわば正常な企業活動が果たして行われているのだろうかどうか、この点通産省としてはどうお考えでございましょう。
○政府委員(島田春樹君) いまお話のありましたように、昭和四十八年の五月に日本貿易会が「総合商社行動基準」というのを策定いたしまして、それを受けましてその後各社においても行動基準をそれぞれ作成するということにいたしまして、これを実行するという体制をとっておるわけでございます。私どもの承知しておりますところでは、各社といたしましてはこの実行を担保するために、あるいは社内規定の整備であるとか、あるいは社内の監査体制の強化、これはいずれもうたわれていることでございますが、あるいは社会関連室等の設置をするとか、あるいは法律の問題としては社員への法規遵守教育というようないろいろなことをやりまして行動基準の遵守というものに従来努めているというふうに私どもは聞いております。ただ何分にも総合商社の活動というのは非常に多岐にわたるわけですから、今後なかなか全体目の行き届かないというところもあろうかと思われます。したがいまして、この遵守につきましてなお改善の努力を続けていくことが必要であろうというふうに考えております。
○市川正一君 いま一部をお読みになりましたけれども、たとえばこの商社の倫理綱領としての行動基準は、第四章の中で、「総合商社は、その活動に際して、法的規制はもちろん、国際信義や商業道徳を尊重し、広く認められている慣行にも意を用い、取引の公正と安定に努力する。」というふうに明記しております。さらに日商岩井が独自に決めました「日商岩井行動基準」でも、「わが社は国の内外を問わず常に公共の利益および社会福祉の向上に意を用い、いやしくも反社会的な行動、あるいは商行為は行なわない。」、まあしらじらしくもとあえて言いたいんですが、こう述べております。ところが、密約を結んだりあるいは商行為に政治家を介入させたり、さらにはあの千歳空港用地の問題に見られるように政治家と結託して土地ころがしで大もうけをする。もとより、このような政治家こそ糾弾されなければならないのでありますが、現実は商社の行動基準は完全に踏みにじられていると言わざるを得ぬのであります。 ここに私、日商岩井の社内報を持ってまいりました。「日商岩井ライフ」というのでありますけれども、この中で有名な海部副社長はこう述べています。「地位の高いものほど、もうかる仕事を探してこいというわけだ。要するに、モーレツ社員だけでは追いつかない。もう一つ上の重役陣がモーレツになってくれないと生き残れない」、こう語っております。さらに、先般自殺なさったあの島田三敬常務でありますが、島田さんは、「泥をかぶるような仕事は、卒先して部長が、または管理職が」「部下に先駆けて当る」、そういう気風を強調し、「要は結果がよくなくてはならない」「敵をたおし、商売を取りそして利益を上げること」だと、いわば手段を選ばぬ商法を公言しておられるのであります。私は通産省が、いまお話があったように過去にヒヤリング調査もおやりになったということは承知しておりますが、実態はかくのごとくであります。 そこで、今日これほど大問題になっておるこの商社の企業行動について、野放しにされるのか、どういうふうに今後監督行政として行政指導をなさるのか、責任ある御見解を承りたいのであります。
○国務大臣(江崎真澄君) これはやはり司直の手で現在厳重に調べられておりますね。それから、国権の最高機関ということで国会も証人や参考人を呼んで調査をされておる。もう少しこの動向を見守りながら、問題の焦点がどういうところにあるかなどをよく判断した上で、この行動基準の状況調査をする必要があれば、これは当然状況調査をしなければならぬと思います。もう少し問題の推移を見守ってまいりたいと、そういうふうに考えます。
○市川正一君 私は、たとえばこの行動基準を遵守するように各商社に対して勧告するとかいうような、やはり行政上の積極的措置もあり得ると思うんですね。そういうことも含めて、単なる司直の動向ということだけでなしに、監督行政指導上の措置もぜひ具体化を促進していただきたい。 あわせて、私、江崎大臣に伺いたいのでありますが、結局こういう一連の問題の核心は、商社が、あるいは航空機メーカーが、政治家、政府高官とも言われておりますが、この関係です。残念至極というふうに最初おっしゃいましたが、いわばこれに関与し金銭を受領してきた政治家の責任こそ広く問われなければならないと思うのでありますが、私、閣僚の一員として江崎大臣いろいろ感じられておるところあると思うんですが、所感を伺いたいのであります。
○国務大臣(江崎真澄君) こういううわさがなされることは大変私残念に思います。そのことを主張したわけです。したがって、問題が那辺にあるのか、どういう一体悪事がそこに存在したのか、これは司直の解明を待たなければまだよくわかりません。その解明の経緯を慎重に見守っていきたいというふうに思います。
○市川正一君 私が申し上げているのは、要するにその結果ではなしにこういう風潮、すなわち具体的に申し上げますと、たとえばロッキード公判の中で全日空会長の若狭得治は、政治家に賄賂を贈る必要がなかったというふうに言っています。なぜかならば、全日空は大ぜいの政治家に一回百万円ぐらいずつ年二回政治献金をしている、全日空としては幾らでも出せた、そのほかにも領収書の取れない裏金として年四、五千万円を政治家に渡した、政治家にあいさつに行くのは一般的慣習というふうに証言をいたしております。つまり、政治献金は賄賂のかわりであり何らかの商売上の思惑を持って行なったということであります。見返りなしの企業からの政治献金というのはあり得ないというのが実態であります。ですから、私がお聞きしておるのは、こういう企業献金への依存が政治腐敗を招いているということ、したがって、政治腐敗を招かないためにも、また大臣おっしゃった、国民の政治への不信を取り戻し、信頼を回復するためにも、企業の政治献金は中止すべきだと私は考えるのでありますが、政府与党の幹部のお一人でもある江崎通産大臣はこの点にどうお考えでございますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 私は、その献金が政治資金規正法に沿ったものであるのかどうなのか、この点がやはり一番そういう御質問を判断する重要な点であるというふうに思います。若狭氏がどういう発言をしたかは私存じませんが、若狭氏の言うようなことがもし本当だとすれば、それははなはだ遺憾なことであるというふうに思います。
○市川正一君 私は、その政治献金というのは無意味に出されているもんではないんだ。一例をこれ若狭証言を引用いたしましたけれども、だからそういうものに依存している限り、すなわち政治献金によって政党が自己のいわば財源としている限り、言うならば浜の真砂――正常化はまさに百年河清を待つがごとしと言わざるを得ないという点は、私率直に指摘しておきたいと思うんです。そこで公正取引委員長にお伺いしたいんでありますけれども、日商岩井とハリー・カーン、またグラマンと川部美智雄のそれぞれコンサルタント契約が結ばれていたこと、いろいろ明らかになっております。これらはいずれも国際契約でありまして、公取委員会への届け出義務があるものであります。ところが、国会審議等を通じてこれらの契約が公取委員会に届け出がなかったことが明らかになってきておりますが、このことについて公取委としては確認されておられますか、どうですか。
○政府委員(橋口收君) ハリー・カーン氏と日商岩井との間のコンサルタント契約、それから川部美智雄氏とグラマンとの間の契約。初めの方の日商岩井とハリー・カーン氏との契約は、法律の規定によりまして日商岩井が事業者でありますから当然届け出の対象になるものでございますが、当委員会としてはこういう契約があるということを承知いたしておりませんでしたので、問題が新聞等で報道されましてから文書で督促をいたしたのでございますが、届け出そのものは今日現在なされておりません。ただ、説明書が提出をされまして、当該契約はすでに解約され、契約書を破棄したために届け出の対象となる契約がない、したがって、届け出はできない、こういう説明がございました。 それから、川部美智雄氏とグラマン社との間でありますが、これは川部美智雄氏が日本の事業者であるかどうかという点に多少の疑問はございますが、やはり届け出の対象になるべきものという見解で同じく督促をいたしておりますが、今日現在まだ提出をされておりません。
○市川正一君 事情はわかりました。私は日商岩井がハリー・カーンとの契約を届け出しなかったのはきわめて悪質だというふうに言わざるを得ぬのであります。ここに私同じく日商岩井の社内報、「日商岩井ライフ」を持ってまいりましたけれども、この中でも国際契約の届け出の手引きが詳しく述べてある。国際契約届け出の手引き、そして徹底を図っております。ましてや担当の日商岩井の航空機部門はすべてが国際取引であって、最もこれらの手続については熟知しておる部門であります。きのうの証人喚問で失念したというような言葉が出ておりましたが、そういうことで済まされる問題ではないと思います。本来ならば独禁法の第九十一条の二に基づいて処罰さるべき問題であると考えるのでありますが、こうした悪質なケースに対して公取はどう対応されようとしているのか、今後の対応も含めて御見解を承りたいんであります。
○政府委員(橋口收君) 国際契約はほとんど例外なしに公正取引委員会に届け出をするように義務づけられておるのでございますが、まあ法律ができましてから三十年を経過いたしましたが、まだ必ずしも、経済界に完全に浸透しているかと申しますと、そうではない事例があるわけでございまして、まあ私どもは機会あるごとに経済団体等を通じて国際契約の提出を励行するようにということを注意を喚起いたしておりますが、業務の概略報告で申し上げましたように、昨年一年間で五千二百件を超える届け出があるわけでありまして、まあ実働三百日といたしますと一日十五件から二十件ぐらいの届け出が公正取引委員会に出されるわけでございます。まあ法律の規定は、独占禁止法に違反するような内容の契約をするおそれがありますから、したがってそういう情報を確保するためにはほとんどすべての契約を例外なしに届け出をするということが必要になっているわけでありまして、そういう点で申しますと、細かくなりますけれども、私どもは技術導入契約の内容とか、それからいわゆる総代理店契約の内容とか、これは規則で申しますと一号様式、二号様式でございますけれども、一号様式、二号様式の方を実は重点的に見ておるわけでございまして、その他の三号様式、つまりコンサルタント契約のごときもの、と言っては大変申しわけないんですけれども、そういうものにつきましては実際上ほとんど審査をするゆとりもございませんし、また独禁法の違反に直接関係がない問題でもございますから、どうしても届け出が励行されているかどうかにつきましても十分確認し得ないといううらみがあるわけでございまして、これはこのコンサルタント契約に限らず、大きな商社でありましても、係官の不注意等で、前の担当者が提出をしたんですけれども、次の担当者がかわりまして契約が更新された場合に届け出を忘れているという例が幾つかございます。したがいまして、法律上の担保としましては二百万円の罰金ということでございますが、本件につきまして公正取引委員会で検討いたしました結果としましては、その他のいわゆるコンサルタント契約ということでもあり、わが方としてこれ以上追及する行政上の利益は少ないという判断をいたしておりますので、どういう措置をとりますかはよく考えたいと思いますけれども、実情はそういうことでございますので、これ以上重ねての措置をとるということは実際上むずかしいのではないかというふうに考えております。
○市川正一君 さきのロッキード事件の際には、たしか各商社に対して届け出漏れがないように指導をなすったように私記憶しておりますけれども、今回の場合に、やはり改めて各商社に対して通達その他で周知徹底と、未届けの国際契約の届け出を指導するというような措置もとられる必要があるんじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょう。
○政府委員(橋口收君) お示しの方角で考えてみたいというふうに思っております。
○市川正一君 そこで、総合商社のこうしたいわば反社会的な行為というものは、外国との関係だけでなしに国内でも、通産省もよく御承知のように、俗に言う買い占め売り惜しみ、そういうことによって国民生活に対する打撃あるいは中小企業や下請企業に対する切り捨て、そういう行為がかなり横行しているわけであります。私その一例として具体的な問題をひとつ伺いたいんでありますが、大阪に泉州、和泉市がございます。大臣は繊維にはお強いからよく御承知だと思いますが、繊維産業の盛んな土地でありますが、そこに江戸時代から百年以上にわたっての伝統を持つ市新という染色加工、それから精練、漂白、整理などを業としている会社があります。この地域の有数の地場産業であります。この会社は、三陽という繊維加工卸の会社を通じて実質的には総合商社である丸紅がこれを支配しております。 一昨年の二月のことでありますが、これが企業閉鎖、全員解雇、そして、去年の九月には破産宣告を受けて倒産したことになっているのであります。しかし、この倒産に至る経過はきわめて不可解であります。市新は企業閉鎖の直前まで五年間にわたって二十五億円の設備投資を行い、そして染色業界でも最先端をいく設備になっておりました。また公害防止についても優秀な設備を備えております。したがって、企業閉鎖になるような状況では本来なかったのです。また企業閉鎖してから二年たっている現在でも、設備には油を差す、あるいは覆いもかけてちゃんと保守もやっている、いつでも操業を再開し稼働できる、そういう状態になっておる。また債権のほとんどが丸紅、三陽、それに労働組合、この三者が持っておって、その三者が合意すれば企業再開は容易であります。としますと、この企業閉鎖の真のねらいは、事実上これを支配している丸紅が従業員を犠牲にした合理化を強行するため、一時的に企業閉鎖をして、現在の労働者を追い出して、自分たちの思いのままの事業を進めようという意図にあることを指摘せざるを得ない。これは総合商社の行動基準から見ても正当な事業活動とは言いがたい行動だと言わざるを得ぬのでありますが、この問題について市新の労働組合から通産省に対して、丸紅、三陽などを指導していただきたい旨の要請が出ているはずでありますが、通産省としてどういう御指導をされたのか、具体的に承りたいのであります。
○政府委員(島田春樹君) 本件につきましては、私どもの生活産業局、それから大阪通産局の方で話は伺っておるように聞いております。 これにつきまして、私どもといたしましてはいまおっしゃったようないろいろな事情が、破産とかというような事情になっておるわけでございますが、その経緯その他につきましていろいろ事情があるようでございます。いまその問題につきまして私どもが承知しておりますところでは、現在御指摘のような点も含めまして大阪府の地方労働委員会で審理が行われておるというふうに伺っております。私どもといたしましては、したがいまして、当面その推移を見守っていきたいというように考えているわけでございます。
○市川正一君 地労委のその経緯はさることながら、私が申し上げているのは、商社のいわば企業活動としての域を越えているという面で、やはり行動基準その他に照らしても、景気のいいときはどんと投資して、それで設備拡張もしていく、少し不利になると会社をつぶして資本を引き上げていくというやり方は、これはやっぱり正常でない。そういう点で、私は通産省が商社の社会的責任あるいは商社に対する行政上の指導責任、そういう立場から丸紅に対して市新の企業再開のために強力なまた適切な指導をされることを、この機会に重ねて通産省に要望したいし、大臣にもその旨の御尽力、御努力を要望いたしたいんでありますが、いかがでしょう。
○国務大臣(江崎真澄君) 私もいまの御質問でこの問題知ったわけでありまするが、大阪府地方労働委員会において目下審理中であるということでありまするので、これはその審理の経過、推移を十分見守りまして、御趣旨の存する点を体しながら対処していきたいと思っております。
○市川正一君 いままで私、商社のいわば反社会的な行為という問題について外部でのことに触れましたが、社内における労働者いじめもまた例外でないのです。たとえば丸紅では、ここはさきにわが党の沓脱議員が極端な男女差別賃金の問題を取り上げました。総額約三億円に上る差別の是正を行ったのでありますが、この丸紅では依然として会社の意に沿わないということで、社員――三十五歳から五十二歳の働き盛りの七人の社員でありますが、これを窓もなければ暖房もない、電話もない狭い部屋に仕事も与えずに閉じ込めている。同じようなことが日商岩井でも企業調査室、こういう隠れ部屋に定年間近の人を仕事も与えずに詰め込んでいる。結局、みずから退職するかあるいは病気にならざるを得ない、こういう状態に追い込んでおります。私、こういうやり方は、大平総理の所信表明、特に中高年層あるいは雇用の問題についての所信表明、さらに通産大臣の表明された所信からも相いれない。また何よりも人道的な問題でもあるという点で、ぜひ政府として調査していただき、実態に基づいて適切な指導を行なわれるように希望をいたしたいんでありますが、いかがでありましょう。
○政府委員(島田春樹君) 大臣のお話の前に一言私どもの考え方を申し上げたいと思います。 いまお話がありましたように雇用問題、特に中高年雇用の安定というのは、私どもとしても非常に重要な課題であるというふうに考えております。御案内のようにことしは労働省の方も中高年者に対する雇用対策というのを思い切っていろいろ考えておられるようでございます。私どもといたしましても、企業が中高年の雇用確保を図っていくために、そういったできておりますいろんな制度というものを活用しながら、自主的な努力を傾けていくということをぜひ期待をしたいというふうに考えております。 ただ、企業内における具体的な雇用の確保のあり方につきましては、やはり基本的にはその企業の実情を十分認識しております労使間で、自主的な話し合いの上によって決められるべき性格のものではないかというふうに考えております。 大体、私どもの考え方は以上でございます。
○国務大臣(江崎真澄君) いま事務当局からお答えしたとおりだと思います。 いまお示しになったようなことが本当にありとするならば、これはやっぱり労働基準法などにも沿わないわけですし、ですから、よくその辺は私どもも実情を把握するように努めたいと思います。
○市川正一君 ひとつよろしくお願いします。 じゃ最後に、関西電力が計画しております和歌山県の御坊市での火力発電所の問題について一、二お伺いいたして質問を終わりたいと思うんでありますが、電調審に提案あるいはかけるに当たりましては、地元の了解を前提にするというのは、これは当然のことだと思いますが、改めて御見解を承りたいと思います。
○政府委員(豊島格君) ただいまの御質問でございますが、電調審へ上程するに当たりましては、法律的にはそれほどでもないんですが、いろいろ関係各省間で調整するほか、同時に知事の同意を得るということで、地元の意向を確認することといたしております。おっしゃったとおりでございます。
○市川正一君 そこで、この御坊火力発電所の立地をめぐっては、通産省も御承知だと思いますが、地元でも大変問題になっております。たとえば近接の湯浅町長、広川町長、いずれも反対を表明し、先日も上京してまいりました。また、近接の印南町、川辺町は町議会で反対決議をいたしております。 これは昨日のことでございますけれども、関係住民と当該の和歌山県当局との間で話し合いが行われました。その中で和歌山県の岩橋企画部長が三原則を挙げました。第一は適地性、第二は安全性、第三は地元了解ということが大事だということを明言いたしております。そして地元とは隣接自治体も含めてだということを説明しておりますが、いま豊島さんのお話があった、特に知事のということも前提に申しますと、こうした和歌山県自体の見解及び周辺隣接町の意思を大いに尊重していくという立場であることは当然だと思いますが、念のために重ねて確認いたします。
○国務大臣(江崎真澄君) もとより電源立地を進めるに当たりましては、地元の理解とか協力をねばり強く得ること、それはきわめて重要なことだと考えております。 ただ、御承知のように、電源立地の問題は、先ほども議論に出ましたように、景気浮揚にもつながり、雇用の確保にもつながり、同時に五十七年にはもう電力不足になるというような事情もありまするので、私どももねばり強く地元の協力体制をつくる、環境づくりには努力いたしまするが、どうぞひとつ共産党や市川議員におかれても、全面的に御協力を国策ということでいただけまするように(笑声)私からお願いしたいと思います。
○市川正一君 もし時間が許せば、いまの大臣の、たとえば雇用効果にもメリットがあるというような議論に関しては大いに異論のあるところで、またエネルギー政策それ自体についてはいずれ時間と機会を得てやり遂げをやらしていただくことを私期待いたしておりますけれども、事は具体的に御坊の問題にもうしぼらざるを得ないんでありますが、まさにねばり強くとおっしゃったけれども、そのねばり強いやり方が、御坊の場合まことに――これはほかにも出ておるんですけれども、買収まがいの数々の疑惑を含む問題が起こっているんです。 これは一例でありますけれども、去年の九月に御坊の市民が四国電力の阿南火力発電所に視察旅行に行っております。この視察旅行は、名目は御坊市が招待したことになっておりますけれども、費用は一切関西電力が負担している。しかも、視察先で酒と芸者でどんちゃん騒ぎという実態であります。私どもの調査では、酒の銚子が二百六十本、ビール八十七本、芸者八人という大宴会だというふうに言われているんですね。その費用はまあ推定一千数百万円じゃないかとも言われておりますが、こういうようなことが各所においていわば横行している。特に、御坊ではその他のいろいろの問題もあるんであります。こういう事実を通産省は御存じなんでしょうか。また、こういうやり方を、ねばり強くとおっしゃった中にいわば容認されておられるんですか、どうでしょうか。
○国務大臣(江崎真澄君) いまおっしゃったようなことは現実にあったのかどうか私どもは――私は承知しておりませんが、まさかさようなことを容認するわけもありませんが、やはり電気の絶対量も足りないし、特に関西電力としては御坊の発電所は非常に重要視しておる。先ごろ、参議院から出ておられる私ども通産省の中西政務次官にも実は御坊市の視察を親しく願ったという経緯もありまするので、そういう問題は問題、ぜひ推進は推進ということで御理解がいただけることが大変望ましいと思います。
○市川正一君 私は、いまのような事実について関西電力に対しても一度ぜひ確かめていただいて、後刻また御報告をいただきたい。こういう状況をやはりいわば隣接周辺の町村が挙げて反対しているという中で、電調審に提出するようなことはすべきでない。昨年十二月二十二日に湯浅町長あるいは広川町長らが上京してまいりました。そうして上村環境庁長官にもお会いいたしました。長官は必ず現地を視察して調査するということを確約されております。こうした点で私は通産省がこの問題についてそういう立場を十分堅持して臨まれるように、この点の見解を最後に伺って私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(豊島格君) ただいま先生のおっしゃった御指摘の点はごもっともでございまして、われわれとしても先般来関西電力にも十分地元に行って説明をしろということを申し渡しておりまして、事実行なっております。それから、当方からも担当職員を派遣して、いろいろと環境審査その他で実態を把握しておるということでございまして、いずれにいたしても慎重にいたしたいと思います。
○市川正一君 終ります。
○安武洋子君 私、いまの日本経済の中でも大きなウエートを占めております下請企業の問題についてお伺いしたいと思います。 大変長期にわたっております不況と、それから一昨年来の円高の中で、いわゆる大企業の減量経営、これが続いておりますけれども、この大企業の減量経営は雇用問題の深刻化をもたらしておりますし、下請企業と下請に働く労働者にも大きな犠牲を強いていると思います。下請企業に対しましては単価の切り下げ、こういうふうな取引条件の悪化とか、あるいは厳しい品質とか精度の向上の要求をしてくるとか、あるいはかんばん方式などに見られますように、下請管理の徹底、それからあるいは発注打ち切りなどの下請整理再編成というふうなことで、下請企業は大企業の不況を乗り切るための踏み台にされて、しわ寄せを受けております。その結果、日本経済の二重構造が一層拡大する結果を招いていると思うのです。下請企業と申しますのは日本の中小企業の六〇%、これを占めるというふうな、大変比重の大きさから見ましても、下請企業の経営の安定というのはこれはゆるがせにできない問題だというふうに私は思います。この下請が、不況になればこれは簡単に大企業の犠牲になってしまってもよいのか、不況になるといつでも大企業のしわ寄せを受けて簡単に不況の犠牲にされてしまうと、こういうふうな状態があってよいものかどうかというふうに思うわけですけれども、この下請の問題といいますのは、雇用問題と同じように、景気がよくなったからというふうなことで、景気さえよくなれば簡単に解決するんだというふうな問題ではないと思うんです。やはり、特別な対策が私は必要ではなかろうかというふうに思っております。そういう私どもは立場に立ちまして、そういう認識を持っておりますので、何点か御質問申し上げたいわけですけれども、私どもはいま申し上げましたような認識でございます。 そこで、まず最初にお伺いいたしとうございますのは、ここ数年来の不況とかそれから円高、こういう中で大企業の減量経営が続いているわけですけれども、そのもとで下請関係がどのように変化をしてきているというふうに認識をなさっておられるのか、あるいはどのような展望を持っておられるのかという点、基本的なお考え方をまず最初に通産大臣と公取委員長にお伺いをいたしとうございます。
○国務大臣(江崎真澄君) おっしゃるように、不況が長期にわたりました。特に、構造不況業種と言われるその業種の下請あるいは円高のために波をかぶった中小企業、そのまた下請企業、こういった対策につきましては、従来ともあとう限りの施策を私ども綿密にとってまいったつもりでございます。特に、親事業者等に対する公正取引委員会の委員長との連名による下請代金支払遅延等防止法等の十分これを守るようにとか、あるいはそれを一層徹底するように、もう再度にわたって注意喚起をしてまいりました。あるいは、この下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用、これもやかましく言っております。それから仕事量の減少に悩んでおりまする下請中小企業者に対する下請企業振興協会を通ずる、いわゆる取引のあっせんなどなど、いろいろそういった対策を実施してきておるところであります。 事務的な面に及びまするので、せっかく中小企業庁長官が来ておりまするので、時間の関係もありましょうから、必要があれば詳しく補足をさせたいと思います。
○政府委員(橋口收君) 通産大臣のお答えと重複しない範囲で申し上げたいと思います。 現状認識といたしましては、親会社、親事業者から下請事業者に対する支払い条件、決済条件の面で申しますと、この一年間ほぼ横ばいないしは少しよくなっているというような、そういう数字が出ております。これは一般的な金融緩和情勢を反映したものでございますが、少なくとも決済条件に関しては比較的問題が少なくなってきているのではないかというふうに考えております。ただ、下請取引の実態面に着目してみますと、公正取引委員会、中小企業庁が行っております定期的な調査、あるいは下請事業者からの申告等から見ますと、全体として悪化の兆しが見られるように思われます。また、公正取引委員会が委嘱をいたしております下請取引改善協力委員約五十名、下請法運用協力団体四十八団体等から随時お話を伺っておるところでございますが、その取引の実態面に関しましてどういう問題があるかということでございますが、いま御質問の中にもございましたが、多少整理して申し上げますと、第一点は下請単価の据え置き、または単価の切り下げの要求、それから第二としましては、下請発注品の親事業者による内製化の動き、下請代金の、下請事業者の仕事を奪うという面での下請事業者のやっております仕事を親事業者みずから行おうとする内製化の動き、それから第三としましては、これもお言葉の中にもございましたが、過剰な品質の要求、あるいは検査を下請事業者に転嫁する等々の親事業者の合理化に伴う下請事業者に対するしわ寄せの問題、大体以上三点が当面の問題点ではないかと思っております。 今後の展望といたしましては、従来重点を置いておりました支払い条件の是正改善に加えて取引の実態面に生ずる問題についての規制を強化してまいりたい。これは昭和五十三年度、五十四年度の予算におきましても実態調査の経費が認められておりまして、すでに五十三年度分として第一回の広範な実態調査もいたしておりますし、それから第二回の実態調査を近くやることにいたしておりますので、そういう特別の特別調査、それから定期的な調査を通じて実態の把握の上規制を強化してまいりたいというふうに考えております。
○安武洋子君 いま大臣の方から一定の対策をお伺いいたしましたんですが、さらに重ねて中小企業の、下請中小企業ですね、苦境を救済していくために、大臣も所信の中で下請中小企業に対する施策を強化する等、中小企業の立場に立ったきめ細かい対策を講じていくというふうなことを申しておられます。とりわけ下請取引関係の改善について中小企業庁としてはどのようなことをお考えでございましょうか、お伺いいたします。
○政府委員(左近友三郎君) いま大臣がお答えいたしましたように、中小企業の対策の中で下請対策というのを重点的に今後も実施していこうというふうに考えておりますが、いま国会で御審議願っております来年度予算でどういう内容を織り込んでおるかを簡単に申し上げます。 〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕 一つは、公正取引委員会と共同で実施しております下請代金支払遅延等防止法に基づく調査、取り締まりでございますが、本年度は大体調査対象事業所三万四千件ということでやっておりますが、来年度は三万六千件ぐらい、三万六千事業所について各通産局で調査をするということに考えております。それから、そういう特定の調査だけではなしに、一定規模以上の事業者に対しましては、いわばパトロール検査と申しますか、絶えず巡回検査をいたしまして、つまり違反の疑いがあるなしにかかわらずやはり絶えずチェックをしておくということで、この取り締まりの強化を図ろうという新しい予算も考えております。 それから、先ほど大臣もお話がありましたが、年に一回ないし二回、本年度は二回出したわけですが、通達を各事業所に出しまして、下請関係の適正化について絶えず注意を促しておるわけでございますが、来年はさらに推進月間というようなものを設けまして、そういう親事業者に対して遵守すべき事項を十分徹底させるようなことを、さらに強化をいたしたいというふうにも考えております。なお、こういうふうな取り締まり職員につきましては、現在非常に人員の拡充がむずかしいところでございますが、来年度は中央、地方を通じて五名の定員増加を予定をいたしております。 さらに、取り締まり以外の下請に対する振興方策といたしましては、全国下請企業振興協会というものを設立いたしまして、現在都道府県ごとにございます下請企業振興協会をさらに強力に動けるような形にいたしたいというふうに考えておりますし、府県の下請企業振興協会につきましても指導員の増員十五名、それからいろんな移動取引あっせん相談というふうなことがやれるようにいたしますというふうなことで補助金も相当額増額をいたしました。 以上のようなことで、来年度はひとつ下請企業対策を相当重点を置いて実施いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○安武洋子君 下請代金支払遅延等防止法に基づきまして調査なさっていると思うんですけれども、その結果、勧告または行政指導を行った下請法違反行為の傾向についてお伺いいたしたいんです。
○政府委員(左近友三郎君) この調査の結果、違反の疑いがありということで調査をいたしました大要を申し上げます。 四十九年から五十三年までの累計で申し上げますと、大体二万件ぐらいその違反容疑がありまして調査をいたしたわけでございますが、その中で約六割が書面の不備。これは下請代金取引法に基づきまして、下請契約を結ぶときには書面を交付する義務というものがございますが、そういう義務が不備であったというようなものが六割、それから支払い遅延が約二割、手形が長期であったというのが約一割、それから早期の相殺、つまり売掛金と買掛の相殺を早く相殺してしまったというのが約〇・四割、つまり四%というものでございます。
○安武洋子君 いまの御答弁からも、それから私も行って調べてもまいっておりますけれども、おっしゃるように一番大きくふえている違反というのがいまの書面の問題でございます。支払い遅延とか長期手形の交付とか、こういうものはおっしゃるように横ばいとかあるいは減少しているというふうな傾向が出ております。そこで、私問題にしたいのは、下請代金の不当な減額、こういうのは下請法の四条一項五号の部分になりますけれども、これは七七年には二十八件、七六年には五件、七五年には七件という実にわずかな件数なわけなんです。しかし、現実を見てみますと、下請単価の切り下げという問題は、いま下請企業にとりましては一番深刻な問題で、一番大きな打撃を与えていると思うんです。七八年九月に中小企業金融公庫が行っております七十九回の中小企業動向調査の付帯アンケート、こういう結果を見ましても、これは円高の影響調査でございますけれども、過去一年の間に納入単価の引き下げをされた下請といいますのが五二、二%なんです。で、コストダウン要求は吸収できるかと、こういう問いに対しまして、不可能だが要請を受けざるを得ないと、こういう下請が四七・四%にも上っております。うまみがないので辞退したという下請、これが六・七%、合計しますと半分以上の五四・一%の下請が採算ベース以下の単価を押しつけられていると、こういう実態が出てきているわけです。しかも、うまみがないので辞退するというふうな下請といいますのは、公共事業で仕事量に余裕のあるごく一部の建設業者、これを除けばほとんどそういうところが見当たらないというのが現状でございます。ところが、下請法の違法行為として単価問題で措置をされている最も多い年でこれが二十八件しかないというふうなことで、全く現実を反映していないというふうに思うわけですね。下請法の施行状態が現実に下請の取引の実態を全く反映していないというふうなことは、一体どこに原因があるというふうに認識をなさっていらっしゃるんでしょうか、それをお伺いいたします。
○政府委員(左近友三郎君) 御指摘のとおり、われわれが耳にするところによりましても、最近の円高等の影響でこの下請代金の値引きというようなことが起こっておることは事実でございます。ただ、まあそれが不当かどうかというようなところの問題が一つの判断基準になろうかと思います。したがいまして、調査をいたしております場合に、問題点のものはいまお話のありましたように指導をいたしておるわけでございますが、これについてはやはりはっきりした基準その他がなかなか立てにくいという点もございます。また、従来の調査でそこが十分でなかったというふうなことの御指摘もあろうかと思います。したがいまして、われわれといたしましては、先ほど公取委員長もおっしゃいましたように、今後はこういう点についてやっぱりしっかり調べるというようなことをやっていきたいというふうに考えております。したがいまして、これはまた公正取引委員会とも御相談をしながら、今後はこういう面での調査の内容をしっかりやっていきたいというふうに考えております。
○安武洋子君 調査をしていただくのはずいぶんと結構だと思いますんですが、現実に下請関係を見てみました場合、下請法とか独禁法に触れるような行為をすればそれはよくないというふうなことです。言いかえれば下請法や独禁法に触れさえしなければ、下請にコストダウンを厳しく迫ろうと取引条件を引き下げようと下請管理を強化しようと、あるいは内製化に伴う下請企業の整理をしようと、これは合法的だというふうになってしまうわけですね。それで、むしろ減量経営をしていると、それに努力をしているということで優秀な企業だというふうにさえなってしまう。だから、多少の不当性があっても下請企業側の了解のもとに行われれば、これは下請が泣く泣く受け入れた条件であっても法にも触れないと、そのまま合法的にまかり通ってしまうというふうなことなんです。つまり、適正な下請関係を維持するための規制というのが、きわめて私は立ちおくれてしまっていると思うんです。いまのままではこの適正な下請関係を維持することができないのではないかと、今日の下請問題というのはここに重大な問題点があるのではないかというふうに思いますが、その点いかがでございますか。
○政府委員(左近友三郎君) 御指摘のとおり、この下請代金法に抵触をしないというふうな形でございますと、この代金法上の取り締まりということはできないということになるわけでございます。しかし、御案内のとおり、下請企業振興法という法律がございまして、下請関係を良好な円滑な形にして下請企業の振興を図るというふうな目的での法律がございますし、その法律に基づきまして振興基準というものが制定されております。したがいまして、この代金法に違反するものはもちろんきっちり処置をする、そしてそれでないものにつきましては、やっぱり振興法の側面からわれわれとしても指導をいたしてまいりたいというふうに考えております。そういう点で、われわれも今後十分努力をいたしたいというふうに考えております。
○安武洋子君 下請中小企業振興法に基づく振興基準によりますと、これは「単価の決定の方法の改善」ということで、これは「取引単価は、取引数量、納期、代金の支払方法、品質、材料費、労務費、諸経費、市価の動向等の要素を考慮し、合理的な算定方式に基づき、適正な利益を含むよう、下請事業者および親事業者が協議して決定するものとする。」と、合法的な単価の決定が強調はされております。ところが、下請代金支払遅延等防止法では、これは法四条一項五号でございますけれども、「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。」つまり、市価に比べて低い単価を押しつけた場合は公取は額の引き上げを勧告しなければならない、行えるというふうになっておりますけれども、しかし、これでは振興基準があっても、同種、類似の単価が引き下げられる傾向が出てくればその単価に合理性があるかないかと、こういうことは問題でなくなってしまうわけです。より安い単価が連鎖的に広がっていくと。そしてこういうものが定着していくことはこれは自明のことでございます。これはアンケートなどでもはっきり出ている現実の姿でございます。こういう合理性という点が実にあいまいにされている中では、下請企業も自分で自助努力をするわけですけれども、合理化などを行って企業収益を高めるように努力をせよと、こういうふうに強調されましても、その努力の結果といいますのはこれはまた親企業に吸収されてしまいます。すなわち、下請が努力してコストダウンに努めても、親企業からそのコストでできるなら単価を引き下げよというふうなことを要求されたり、あるいは親企業の厳しい切り下げ要請で結局合理化のメリットというのは親企業、大企業に吸い上げられると、こういうふうな仕組みになってしまうわけです。このような不合理な状態について、私は先ほどの御答弁ではやはり下請は泣きっぱなしというふうになると思うんです。今後もこのような状態をお続けになる、そういうお考えでございましょうか、ここでひとつもう少しこの単価の問題でもお考えいただかなければならないんじゃなかろうかと思いますが、御答弁をお願いいたします。
○政府委員(左近友三郎君) いまお話にありましたように、この振興基準で単価の決め方というものが記載されておりますが、具体的にはこの各業種ごとにそういうものがまたはっきり決まっておらなければいけないということで、実は先ほど申しました、来年度設立を予定いたしております全国下請企業振興協会におきまして、この業種別の下請取引標準約款というふうなものをつくりまして、こういう値決め等が合理的に行われるように業種ごとの従来の慣行その他も踏まえまして標準的な約款をつくって、それが皆さんに普及するような形でこの問題をまず解決に一歩進めたいというふうに考えております。
○安武洋子君 単価の決定の方法といたしまして、やっぱり最低工賃制度の導入とか、あるいは適正で合理的な工賃が保証されるような単価の決定方法を私は御検討を始められるべきではないかと思うんです。 そこで、公取にお伺いいたしますけれども、具体的に公取では単価の決定の方法について何か御検討されているんじゃなかろうかというふうに思うんですけれども、いかがでございますか。
○政府委員(橋口收君) 下請単価の決定の基準を明確にしろという意御見のように拝聴いたしておりますが、まあ基準の明確化の問題はもちろんあると思いますし、われわれも検討をしなければいけないと思いますし、その場合の一つの考え方として、下請中小企業振興法に基づく振興基準というものが与えられておると思います。ただ、そういう基準の設定ももちろん進める必要があろうかと思いますが、ただ、調査をし、調査に基づいて立入検査をするということは全くむだとは言い切れないと思うんでございまして、たとえば先ほどもちょっと触れました、昨年の一月から七月までの状態につきまして、不当値引き、契約単価の切り下げ等についての調査を行いまして、その結果に基づきましてすでに二つの親事業者に対して立入検査をいたしておりますし、それから今後八親事業者に対しての立ち入りを計画をいたしております。それからさらに、できるだけ早く第二回の実態の調査をいたしたいと思っております。そういう調査結果に基づきましての立入検査を行っての指導というものは、これはかなり効果があるというふうに思っておるわけでございまして、先ほどちょっとお触れになりましたたとえばトヨタ系列のかんばん方式につきましても、親事業者であるトヨタ自工についての立入検査もいたしましたし、それからさらにトヨタ系列の各種の企業に対しても数企業について立入検査を行いました。その結果、当方から是正を勧告いたしますと、ほぼ例外なしに親事業者は協力をして是正をしていただいておるわけでございまして、中には一億数千万を直ちに小切手で幾つかの下請業者に返したという例もございました。したがいまして、一方に基準の設定ということについて検討を進めると同時に、やはり個々具体的なケースについての立入検査を通じて是正を図るということが、言葉は適当かどうかわかりませんが、一罰百戒の意味でもそういう措置も必要ではないかということで、中小企業庁長官お答えがございましたように、これからの日本経済を考えますと、やはり経済の中における強者の優越的地位の乱用を抑えるということが、独禁行政の一つの大きな柱でございますし、下請行政には今後とも力を入れていきたいと思っております。先ほどもちょっと中小企業庁長官おっしゃいましたが、公正取引委員会も昭和五十四年度予算で八名の増員が認められましたもののうちの二名を、下請行政に充てる予定でございます。そういう制度の仕組みの面、それから検査を通じての具体的な是正ということも含めて、今後一生懸命やってまいりたいというふうに考えております。
○安武洋子君 立入検査を否定しているわけじゃないんです。私がいま申し上げたのは、それだけではだめですよ、もっと根本的に洗い直しをして単価決定のやはり検討をお始めになるべきではないですかということで、公取もそういう点で私は検討されているやに聞いたわけで、そういう御質問を申し上げたわけですけれども、非常に時間にせかれておりますので、私はいまの単価決定の問題、大臣聞いていてくださっておわかりだろうと思うんですけれども、その問題と、さらに単価決定だけではなくって、下請問題といいますのは、いま盛んに出ておりますけれども、私も、この四月の十八日でございます。東洋工業とか三菱電機の伊丹工場の下請への出向社員の押しつけの問題などを取り上げてまいりましたし、わが党はかんばん方式を一貫して取り上げておりますけれども、こういうふうに非常にかんばん方式などを取り入れますと、発注に即応できるような機械の導入をやらなければならないとか、あるいは従業員が残業をうんとやらなければならないとか、一方そして合理化もやっていかなければならないとかいうふうなことで、下請中小企業といいますのは身も心も削られるような思いをいたしております。一方では不況を口実にした親企業が内製化に伴う仕事の取り上げをやってくるとか、あるいは家電のように大企業の海外進出によって、製品が日本に逆輸入してくるというふうなことで、その存立の基盤さえ危うくなっているというふうな状態もあるわけなんです。しかも、新製品とか新しい技術の分野ではこの親企業に競争させられて、そして下請企業同士が競争していく中でコストダウンをして新しい製品をつくりなさいというふうなことで、親企業の競争政策の犠牲になっているというふうな面もあるわけなんです。ですから、いまや下請といいますのは低賃金、長時間労働というのが定着してしまっております。こういうふうな下請法とかそれから独禁法ではカバーし切れないところがある。こういう分野で下請法や独禁法に触れない範囲で非常に下請企業が苦しめられている。私はここに大きな問題があるということを一貫して主張をいままでもしてまいりましたし、きょうの主張もそういうところでございますけれども、そういう下請が本当に法に触れないところで苦しめられているということについて、もう全般的に私は洗い直さなければならないんではなかろうか、基本的にやはりこういうふうな下請振興の立場から下請をどう救済するのかという検討、ルールづくりをお始めにならなければいけないのではなかろうかということを強調したいわけでございますが、大臣はいかがお考えでございましょう。
○国務大臣(江崎真澄君) 御意見よく傾聴いたしました。私も、いまは関係ございませんが、かつては自動車部品産業で下請企業の会長をしておったことがございまするから、下請の悩みというのは一通り知っておるつもりでございます。問題の解決につきましては、現行法をもっと厳正に運用する、そしていま一々御指摘のありましたような点に矛盾や撞着を来さないように、適切な指導を図っていきたいというふうに考えます。
○安武洋子君 私は、いまの大臣の御答弁、さらに一歩進めていただきましてね、やはりいまのままの法の触れないところで苦しんでいる下請企業をどう救うかということで、私はやっぱり新しいルールの確立というふうなことで、新しいルールづくりを政府としても一歩踏み出してやはり考えていただかなければならないと思うんです。と言いますのは、もう御答弁いただいているんです。これは私の前の質問でございますけれども、「親企業と下請企業との関係、これは現在のような不況の情勢、あるいはこれから少し先のことを考えてみましても従来の関係とはまた違ったいろいろな、改善と申しますか、組み合わせてその他でもいろいろ両方で考えなきゃならぬ問題がいっぱいたくさんございまして、この下請企業への出向という問題」――私が出向の問題を取り上げておりますからね。「問題だけを浮き彫りにいたしまして、」一つの基準をつくるということをするのはいろんな問題があるのではないかと思うけれども、全般的にもう考え直さなければならないという御答弁を、すでにこれは四月段階でいただいているわけなんです。ですから、私はさらにいまきょう申し上げました私の質問を踏まえていただいて、新しい全般的な洗い直しをしてルールづくりをやろうというふうな御決意を大臣にお伺いさせていただきとうございます。
○国務大臣(江崎真澄君) よく検討をいたします。
○井上計君 省エネルギー対策につきましては、もうすでにかなり質疑が行われております。したがって、若干重復するかと思いますけれども、やはりこれは、大臣に本来お伺いするつもりじゃなかったんですが、大臣と初顔合わせですからひとつお願いをいたします。 当面の問題等については、余り大きな懸念はないということでありますけれども、しかし先ほど大臣、他の委員の御質問にお答えになって、いま余り大きな規制等をやると雇用不安の解消に大変障害がある、あるいは景気の回復の足を引っ張るというふうな御懸念、その点で余り厳しい警告はしない方がというふうなお話、私も十分理解をいたします。ただしかし、当面の問題は別として、中期的、長期的に見ますと、わが国の石油事情、まことに憂慮する状態にあるというふうに、これは私そのように理解をしておるんですが、昨年、当時の河本通産大臣が私の質問に対しまして、今後年率六%前後の成長率をずっと進んでいった場合に、昭和六十年度には原油の必要量が約四億三千万キロリッター必要である、で輸入価格を、まあ幾らになるかわかりませんけれども、最近のイラン情勢等からして、すでにスポット物はバレル二十ドルぐらいになっておるというふうに聞いておりますが、仮に昭和六十年度、私はもっと高くなると思いますが、一バレル二十五ドルと計算をして、現在と同じような状態、すなわち大部分、ほとんどを輸入に頼るということになりますと、昭和六十年度に必要とする四億三千万キロリッターを輸入するとすると外貨が約八百十億ドル要ると、こういう計算が出てくると思うんですね。とすると、これは大変なことだと。と言いますのは、五十二年度、昨年度の通関実績で総輸入額が七百十七億ドルと聞いておりますから、約百億ドル以上のものがないと、実は原油輸入を確保できないということになると思うんです。もちろん、それについてのいろんな対策はこれから講じていかれると思いますけれども、仮にそうなった場合、これは日本の産業界、経済界、あるいは財政状態も大変な混乱になることはもう火を見るよりも明らかなわけですから、私はこの辺で遠慮は――遠慮はというか、いろんな配慮は当然必要でありますけれども、これらの点を国民にもっと知らしていく必要があるんではないか。余り国民がこのような見通しだとか、こういうふうなやっぱり将来の情勢等の知識が全くないんですね。全くといって、大多数の国民が無関心なんです。そこに非常に将来の問題として危機感を実は感じておるわけなんです。 それから、先ほど市川委員が電源立地の問題、発電所の建設の問題等についての反対運動についてのお話がありました。質疑がありましたが、まあこの御坊の例がどうか知りませんけれども、各地で行われておる発電所建設の反対運動の中には、すべてとは言いませんけれども、地域エゴの反対が余りにも強過ぎるというような面もたくさんあると思うんですね。 それから、環境破壊等の被害が針小棒大に大変叫ばれておって、その実そうでもない。それらのやはり地域の人たちにも将来の問題、しかも近い将来電力不足がもう目に見えておるわけですから、そういうようなことをやはりこのようなエネルギー不足というふうなものから、どういう事態が起きるのか。やはりそのエネルギー対策の重要性ということをもっと知らす、そういうふうな認識をもっと持ってもらうような啓蒙といいますか、そういうふうな周知というふうなことをもっとやってもらうべきだと思うんですが、大臣、ひとつお考えどうでしょうか。
○国務大臣(江崎真澄君) いま御意見を交えての御質問は、私全面的に同感です。おっしゃるとおりだと思います。ただ、ことしの場合ですね、繰り返しませんが、午前中答弁申し上げたような事情で、まあ備蓄も前回の五十九日弱という備蓄量とは違いまして、九十二日間あるというようなことなどなどを踏まえて徐々に対応していこう。しかし、すでに国民皆さんにも節約を呼びかけたわけであります。したがって、これはお説のように、やはりエネルギー事情というものをよく国民にわかるように繰り返し繰り返し述べていくことが大事だと思います。ただ、われわれが恐れるのは、せっかく備蓄をして、まあいまの平生ベースでいくならば、エネルギー庁長官も五百日から六百日程度はこういう混乱が続いても何とか持ちこたえられますと言うておるのですが、これがにわかに買いだめに走るとか、買いあさりをするとかということになりますると、価格の高騰を招くばかりか大混乱が起きる。そういうことを極力避けながら、為政者としては徐々に理解を深めていただくような粘り強い努力を図っていきたいというふうに思っております。
○井上計君 そういうふうな配慮は当然必要だと思いますが、ぜひひとつそういう面で今後ともそのようなお考えで大いに啓蒙指導、あるいはそれらの周知をお願いをいたしたいと思います。 ところで、エネルギー庁長官にお伺いするんですが、聞くところによりますと、五十四年度の予算に灯油あるいはガソリンの万一の場合に備えての配給制を行うためのチケットの印刷代が予算計上されておると、このように伺っておるのですが、これは事実ですか。
○政府委員(天谷直弘君) 事実でございます。
○井上計君 お差し支えない範囲で結構ですから、先ほど大臣おっしゃるように、余りまたこれが強く出ますと買いだめ等があっても困りますけれども、お差し支えない範囲で結構でありますが、具体的にどのような方法をおとりになる、どのような準備をおやりになっておるのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 予算に計上されておりますのは六億九千万円の印刷費とその他の三千万円くらいの調査費等でございます。予算が通りました場合にはできるだけ急いで印刷をしたいと、こういうふうに考えております。 そういう予算を計上いたしました理由でございますけれども、前回の四十八年の石油危機で非常な混乱が起こりまして、石油需給適正化法が制定されたわけでございます。その石油需給適正化法の十二条には配給割り当て制の規定があるわけでございます。そこで、この配給割り当て制、その他緊急事態、緊急事態がなければこれに越したことはございませんけれども、緊急事態がないという保証は全くございませんので、緊急事態が起こった場合に、一体どうすればいいのかということで、昭和五十二年度に資源エネルギー庁長官の私的諮問機関として緊急時対策研究委員会というものをつくりまして、いろいろ問題を検討していただいたわけでございます。この委員会の委員長は日本エネルギー経済研究所所長の生田豊朗氏でございます。それから学識経験者、需要業界、石油業界、消費者団体等からいろいろ委員を御出席願いまして、配給割り当て制につきまして二カ年にわたって御検討をお願いいたしまして、その結果、検討の結果として民生用石油製品をどうしても配給割り当てせざるを得ないというようなことでありますならば、切符制による配給制が妥当であると、こういう結論をいただいたわけでございます。たまたまイラン危機が深刻化してきたということもございましたし、この委員会の結論もございましたので、五十四年度の予算につきましては大蔵省に特に強くお願いをいたしまして、この予算をつけていただいたわけでございます。もちろん、いまの現在のイランの危機に基づく供給の減少、これが直ちに切符制を必要とするなどということは、われわれ毛頭考えておりません。この前も衆議院でも申し上げたのでございますが、この配給切符というのは、いわば自衛隊における実弾と同じものである。この実弾が火薬庫の中にあったからといって、そうむやみやたらにぶっぱなすものではございませんので、しかし実弾のない自衛隊というのは、私はそれはずいぶん変な存在であると思いますが、わざわざ需給適正化法という法律をつくりまして、そこで配給切符がないということは実弾を持たない軍隊みたいなものであると思いますから、私どもは実弾を準備する。しかし撃つつもりはただいまのところ毛頭ないということでございます。
○井上計君 伺って十分理解をいたしました。 次に、中小企業対策につきまして、これは中小企業庁長官のお答えで結構です。中にまた大臣に御見解を伺うことがありますけれども、官公需の問題であります。 景気が若干上向きつつありますけれども、やはり依然として低迷を続けておりますし、不況であることは間違いないわけでありますが、そういう中で中小企業が官公需に対する期待はますます増大をしておると思うのです。ところが、なかなか官公需につきましてはいろんな問題がありまして、せっかく御苦労いただいておりまして、中小企業に対する官公需の機会の増大確保ということをお考えいただいておりますけれども、十分成果をあらわしていないという、これは事実がたくさんあるというふうに思います。そこで、運用面についてやはり改善を急いでしていかなくちゃいかぬという問題がたくさんあると思うんですが、二、三私実はそれについての意見を申し上げて、中小企業庁長官のひとつ御見解、お答えをちょうだいをいたしたいと思うのですが、一つは発注に当たって適正な原価計算を行う、積算価格に基づいての競争入札の場合には最低価格を設定して、最低価格に近いものを落札者とするというふうなことをもっと強く考えていかなくちゃいけない。現在のように特殊なものを除きまして、安ければいいんだ、安い者がすべて落札だというふうな形でありますと、大企業の実は官公需への進出がますます激しくなってくる。事実なっておりますが、そういうふうに制度を改める必要があると思いますけれども、長官どういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(左近友三郎君) 官公需の場合に競争入札が原則。しかも、競争入札の場合においては最低価格の入札者に落札させるというのがこれは原則ということで、関係法律で決まっておるわけでございます。確かに、その制度についてコスト割れで非常な低価格で入札、落札をしたという場合には、確かに問題であろうというふうなこともあるわけでございます。したがいまして、例外的には契約が遂行が非常に不可能と認められる場合には、その最低価格でない者、二番札も考えられるというふうな規定も例外的には設けられておるわけでございます。ただ、これをいまおっしゃいましたように、一定の価格水準の範囲内で決めるということにすることにつきましては、われわれ中小企業サイドだけではなくて、やはり予算の執行等監督をしております関係官庁あるいは会計検査院等の意見も相当またあろうかと思います。したがいまして、御趣旨のほどはわれわれもわかるわけでございますが、どういうふうに制度として実現をしていくか。しかも、こういうものはやはり会計制度でございますので、やはりきちっとした原則が要るわけでございます。そういう点でもう少し実態なり、それから政府のやり方なりを検討させていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
○井上計君 長官のお答え、これは十分私は理解をいたします。ただしかし、現実には例外として二番札というふうなことがありますけれども、例外の二番札というのがほとんど実施されていないという、これは実情であると思うんです。 そこで、大臣の御見解を承りたいんですが、やはりそのようなものをある程度やはり規制をする、あるいは除外をするというふうなことを考えていくためには、いまおっしゃるように、ただ単にこれは中小企業庁の問題だけじゃありません。もっと大きなやはり会計検査院の問題あるいは自治省にもまたがりますし、各省庁にいろんなまたがる問題でありますけれども、公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれというふうなものが、現在の予決令あるいは地方自治法の施行令等にあるわけですね。それらのものをもっとやはり強く適用をするというふうな考え方も、やはり必要であろうと思うんです。 そこで、最低価格あるいは最低基準等を定める場合は、従来ありますところの当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認められる場合、あるいはまた公正な取引秩序の確保というふうないろんなものがありますけれども、それに政令を改正をして公正な取引秩序の確保、または官公需についての中小企業者の受注の確保のために必要があるときも、最低基準または最低価格を設けるというふうに、政令の改正の必要性が高まっておるというように私考えておるんですが、大臣どうでしょうか、御見解は。簡単な問題じゃありません。いろんなむずかしい問題、またいろんな方面に波及する問題でありますけれども、やはりそれらの点をお考えいただくことで、中小企業に対する官公需の機会の確保の拡大というふうなことを、なかなかそこまで考えないと期待できないんではないかという感じがいたしてならないんですが、ひとつ御見解。
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点は、やはり中小企業振興の上からも擁護の上からも大事な御指摘だというふうに私はよく理解できます。現在私、手元にありまする資料によると、中小企業者の受注確保が、五十二年度においては七七・一%のシェアを占めるという資料がございます。もしそれが事実であるならば、相当いいところへいっておるのではないかと思いますが、御趣旨の存するところを体して、十分ひとつ今後とも推進したいと思います。
○井上計君 いま大臣お答えいただきましたが、確かに五十二年度におきましては七〇%を超えて中小企業が受注をしておるという数字は出ておりますが、ただその数字が、これは中小企業庁の調査にクレームをつけるわけじゃありませんけれども、どうも私どもの聞いておる、私どもが承知をしておる実態と、件数においては確かにそうかもわからないんですね。ところが、金額的にはかなり違うんではないかという気がするんです。これは今後のひとつまた御検討をいただくということで、ぜひひとつこれについての、また特に大臣いろいろと中小企業問題については大変な御理解いただいておると承知しておりますから、ぜひひとつ御検討をお願いしたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) 承知いたしました。
○井上計君 そこで、やはり官公需に関連をいたしますけれども、官公需随意契約がかなりあります。ところが、この随意契約の面で問題がありますこともこれは一つでありますけれども、国及び公社、公団あるいは地方公共団体等の共済組合や外郭団体、鉄道弘済会等の外郭団体等の特殊法人が、その目的を著しく逸脱をして、実は官公需を大変随意契約でとっておるというケースが非常に多いんですね。これが中小企業のやはり受注の大変障害になっておるという、これは事実があるわけですよね。実は昨年当院の決算委員会でありますけれども、私が農林共済組合の問題等について、これを実は指摘をしたことがあるわけです。私、大臣御承知のように印刷出身であり、大臣もまた過去においては印刷に御関係がありましたので御関心をお持ちいただいていると思いますけれども、農林共済組合が農林省本省並びに林野庁、食糧庁から随意契約で受注しておる印刷物が年間約四億五千万円。ところがいまの本省と林野庁、食糧庁の発注しておりますところの印刷物の総額が年間約九億円。したがって、半分を共済組合が随契でとっておるのですね。その半分の随契でとっておりますもののうち、実は農林共済組合が若干の印刷設備は持っておりますけれども、これは本当にまことに小さなものだと。そのほとんどを実はそのままかなり高いマージンを取って中小企業、下請に使っておると、こういう事実が判明をいたしたわけなんです。これは農林共済組合、一つの例でありますけれども、恐らくほとんどの共済組合あるいは公社、公団等のそのような特殊法人等が大体みんなほとんどそういうふうな状態ではなかろうかというふうに思っておるんですが、これについては中小企業庁長官、こういう事実についてはお調べになったことがありますか。
○政府委員(左近友三郎君) この官公庁の共済組合が、たとえば印刷というふうな事業をやりまして、それについて官公需の一部分を引き受けるというふうな例があることはわれわれも承知しておりますが、ただそれぞれについていまおっしゃいましたように非常なウエートを占めるような場合、あるいは御指摘がその際ありましたように、一たんとったものをまた下請に出すというようなケースについては、実は申しわけございませんがまだ詳細われわれは把握しておりません。ただ原則的に申しますと、これがいま随意契約と仰せになりましたので、その場合はまあ問題でございますけれども、一般の競争入札あるいは指名競争入札に参加をして、一般の中小企業者と同じ資格でやるという場合には問題ないかと思うんでございますけれども、それ以外の特殊な地位というようなことになりますと、確かにひとつ検討すべき点が出てくるかと思います。ただ、官庁側の必要な場合といたしまして、たとえば機密保持が必要だとかあるいは非常に急ぎの仕事でしかも発注をしながら刷らす、修正をしながら刷らすというような特殊な発注形態をとらざるを得ないというふうな特殊なものでございますれば、ある程度それは認められるというようなこともございます。いずれにいたしましても、こういうふうな共済組合の事業が、もしそういう執行に当たって一般中小企業者に非常な迷惑を与えているというようなことになりますれば、これはわれわれとしても考えざるを得ないと思っております。申しわけでございませんが、現時点まではわれわれとしても詳細を把握しておりませんので、もう少し実態を調査させていただきたいと思いますし、これについては各省で調達についての連絡会もございます。したがいまして、そういう場所でもそういう点の自粛というようなことも考えてもらうようにしたいというふうに考えております。
○国務大臣(江崎真澄君) この問題は、私、やっぱり御質問の意味があると思うんですね。秘密を要するものとか、それから納期を急ぐものとか、そういうものが随契で弘済会に行くことはこれは官庁常識としてあり得ることですが、おっしゃる意味は必ずしも秘密の印刷でないものが弘済会へ随契で回っておるということですね。それからまた、弘済会はそれを中小企業である下請に又請で出すわけですね。そして中間マージンを、手数料を召し上げる、これはけしからぬじゃないかと、そういう意味でございましょう。そういうことは私、やっぱり中小企業対策から言えば官公庁たるもの、厳に慎むべきであるというふうに思います。
○井上計君 長官のお答えにつきましてもよく理解いたします。それから、いま大臣がはっきりおっしゃっていただきましたが、全くそのとおりなんですね。ただ、随意契約、特に共済組合等が受注する理由としております秘密保持あるいは急ぐものというふうなことですけれども、実際にはほとんど下請に出しておるんですから、そんな理由は成り立たぬということなんですね。しかし、中にはそれはやはり随意契約でそのようなところが受注することが適当であるというものもあるかもしれませんが、それはもうごく限られたものである。同時に、あそこまでやはり共済組合等が言えば受注をしておるということは、官公需法の精神から考えてもおかしいというふうな面もありますので、これにつきましては、いま大臣御答弁いただきまして、大いにひとつ意を強ういたしましたけれども、ぜひひとつ長官、至急にその辺の実態を御調査をいただく、それについてまた同時にあわせてやっぱり自粛方を大臣からも強く各方面に対してひとつ指示していただく、こういうことを特にお願いをいたしたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) よくわかりました。
○井上計君 そこで、大臣、長官、これは私の提案でありますけれども、中小企業に対する先ほど下請の問題もありました。下請については下請振興協会等、今後かなり機能を拡充をしていただくということでありますけれども、官公需の問題等については専門的な窓口というのが実はないわけですね。そこで、中小企業庁の中に官公需についてのあっせんだとかあるいは助言だとかあるいは苦情の処理だとか、さらには適格組合がせっかくつくられておりますが、余り実は活動していないというか、実は活動がしにくいという面が非常にあるわけですね。せっかく適格組合をつくって官公需を大いに利用しろというふうな親心があるんですが、その実余り実は活動できない、そこに実はいろんな不備があるわけなんですが、そのような対策のために、たとえて言うと、仮の名前ですが、官公需指導相談室というようなものをひとつ中小企業庁の中に設けていただくという必要が私あると思うんですが、どうでしょう、大臣。これはすぐできるかどうかは別ですけれども。
○国務大臣(江崎真澄君) 貴重な御意見としてよく承っておきます。
○井上計君 最後ですが、これは一つまた意見を申し上げて御見解を伺いたいと思うんですが、全国四十七都道府県で中小企業等協同組合法によりますところの中小企業者の災害の救済のために、火災共済協同組合が実は認可、設置をされております。ところが、その火災共済という法律上実は限定をされておりまして、火災共済については非常に範囲もかなり広くなっておりますし、中小企業大変これによって万一火災の場合については非常に助かっておるわけでありますけれども、ところが火災だけでやはり済まないという事態が最近特に多いわけでございますね。それにつきまして、保険会社はもちろんでありますけれども、農協共済あるいは水産業共済あるいは労働者共済、それから環境衛生同業組合の行っておる共済、これらはすべて事業目的が火災だけに限らず各種損害共済を実施を実はしておるわけです。ところが、中小企業の火災共済協同組合だけは協同組合法等によって実は火災ということで事業目的が限定をされておる、こういうことがあるわけですが、やはり実態から見て、また今後の問題等を考えますと中小企業等協同組合法を改正して、火災共済協同組合の名称を損害共済協同組合に改めて、事業範囲を損害共済まで拡大できるように、組合員資格も実は拡大できるような、それらの点についてぜひひとつ至急お考えをいただきたいと思いますが、大臣いかがでございましょうか。――長官からひとつよろしくお願いいたします。
○政府委員(左近友三郎君) いま御指摘の点でございますが、この火災共済協同組合ということで中小企業等協同組合法で決められておりますので、業務範囲が限定をされておるということは事実でございます。ただ、そういう業務範囲の中でしっかり運営できるような規定ができておるわけでございます。ただ、世の中の変動につれましてもう少し損害の方の範囲に広げる必要があるんじゃないかということで、これは組合からもいろんな御要望が出ておることはわれわれも承知をしており、いろいろお話を聞いておるわけでございますが、これをやはり最終的に決めますためには、やはりてん補範囲をどうするとか、あるいは範囲はやはりどの範囲まで広げるか、いわゆる火災と類似したたとえば落雷だとか爆発だとか、そういうところにとどめるのか、さらにはもっと広い範囲に及ぼすのかというようなこともございますし、やはりこういうものはその組合の信用力、担保能力が非常に重要でもございます。したがいまして、われわれもそういう御希望をいろいろ承っておりまして、いろいろ考えておるわけでございますが、やはりもう少し検討に時間を与えていただきたい。われわれとしても決してそれで検討を何といいますか、怠るわけではございません。いろいろやっておるわけでございますが、いまのところまだ最終的には結論が出ておらないということでございます。そういう点でございますので、われわれといたしましても、この点については今後も十分に検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(江崎真澄君) この火災共済協同組合が今日まで中小企業者の財産の保全、それから経営の安定に寄与してきた功績というものは私ずいぶん大きいものがあると思うんです。これ私も実態をよく知っておりまするので、御趣旨の点はいま中小企業庁長官がお答えしましたように、よく検討いたしまして、できるだけ前向きで進めることができればそういうふうに措置したいというふうに考えております。
○井上計君 大臣、長官のお答えを承りまして安心ではありませんけれども、ややというか、期待を大きくしております。実は中小企業者が非常にこのことにつきましては、もう数年前からでありますが、特に最近仙台の地震等もありましたし、いろんな点から特に最近非常に強く熱望しておりますので、ぜひひとつ速やかに御検討いただきまして、中小企業者の期待にこたえていただくように今後とも善処をよろしくお願いしたいと思います。 質問を終わります。
○柿沢弘治君 短い時間でございますが、幾つか質問をいたしたいと思います。 最初に日米の貿易問題でございますが、私、二月の四日から十一日までワシントン、ニューヨークヘ行ってまいりまして、アメリカの上下両院議員、それから政府高官等といろいろ議論をしてまいりました。その過程で、やはり五十四年度の日本の経済政策、そして貿易政策の中で日米貿易の不均衡の是正の問題というのが、依然として深刻な大きな問題だという認識を抱いて戻ってきたわけでございますが、その点についての関係大臣の御認識といいますか、御見解を伺いたいと思っているわけでございます。特に、アメリカの下院の歳入委員会の日米経済関係、タスクフォースの委員長でありますジョーンズというのがジョーンズ・リポートというのを出しております。で、ジョーンズと会ってまいりまして、そのときにジョーンズの方から出た話としては、どうもことしのアメリカをめぐる貿易状況というのを見ると、イランの内紛に伴う石油の不安定供給の問題がある、それから最近の天候の状況からの貿易へのさまざまな影響がある、その意味ではアメリカの経済としても非常に不安定要素の強い年になる、そういうときには必ずどこかでスケープゴートを探そうという動きが国内でも出てくるんだ、その意味で日本がもう一度アメリカの国民にとって、そしてアメリカの議会にとってスケープゴートにさせられる可能性というのはかなりあると思う、ということを言っておりました。そうした深刻な受けとめ方に対して、日本側の問題の理解というものが非常に楽観的過ぎるのじゃないだろうかという指摘がございました。特に、ワシントンポストの東京特派員からの記事ということでジョーンズさんが引用しましたのは、新内閣の担当官からの意見によると、もう日米貿易問題については日本政府はやるべきことはやった、後はもう通常の仕事をやるだけだ、ドゥ・アワー・オーン・ビジネスと言ったということを書いておる。ドゥ・アワー・オーン・ビジネスでは問題は解決しないと思っているけれども、大平新内閣というのはその程度の認識なんだろうかと、こういう指摘があったわけでございます。それから、ジョーンズ・リポートを起案しました仲間のフレンゼルという下院議員も同席をしましたけれども一自分として非常に気になることはこの問題の緊急性ということに関しての認識が日米間で大きな隔たりがあるんじゃないだろうか、その点がどうも私どもにとっては不安であるという話がございました。その意味で、アメリカの議会をめぐる最近の日米貿易不均衡問題に関する動き、そのジョーンズ・リポートに対して担当の大臣でいらっしゃいます経済企画庁長官、通産大臣、それぞれどういう受けとめ方をしているのか。彼らが懸念しているように、もうそれほど深刻な問題だとは思っていらっしゃらないということなのかどうか、まずその辺からお伺いをいたしたいと思います。外務省の方がいらっしゃってましたら、一緒にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(小坂徳三郎君) ジョーンズ・リポートにつきましては、一応われわれも目を通しておりますが、それ以上に重要なことは、私も旧聞でありますが、昨年の二月にアメリカに参りまして多くの議会の人々に会いましたが、その時点においても日米間の貿易不均衡、特にアメリカの有力な議員の足元に起こっている失業問題、こうしたことが日本の数種類の輸出製品によって非常に促進されているんだということ、あるいはまた、実態はそうでもないけれども、日本の輸出によってアメリカの失業が非常に増大しているんだという一般的な世論があって、こうしたことを踏まえた場合に日米の貿易関係というものは非常に重要であるという指摘を各人から受けたわけであります。それから約一年たっておりますが、その間においてボン・サミットなどがあったりして、いろいろな日米間において努力が積み重ねてこられておると思います。また、同時に日本もこうした日米関係の貿易の不均衡に対して、アメリカ側の言う気持ちもわからぬわけではないので、それ相応の努力をし、対米貿易の改善ということに相当努力をし、また、前内閣においては緊急輸入などということをやって、三十億ドル程度の緊急輸入を実現して貿易の不均衡を直そうという努力、また、大平内閣になりましてもこの緊急輸入システムをことしの九月まで延長するということで、さらに二十億ドルぐらいの緊急輸入をやろうということを決めておりますが、いずれにいたしましても日本の貿易収支の、経常収支の黒字をなるべく縮小する方向で努力をしていくことがこれは基本的に重要なことであるとともに、やはりいま懸案になっておりますいろいろな日米間の問題、東京ラウンドに始まったいろいろな問題等につきましても、この際市場開放について非常に強い要望をジョーンズ・リポートは出しております。そうしたようなことをわれわれは非常に深刻に受けとめて対処をしてまいりたいと思っています。
○国務大臣(江崎真澄君) わが国としては日米貿易、経済関係の改善に大変な努力をしてきたわけでございます。貿易収支につきましてはなお大きな黒字が指摘されておりまするが、これは急速に改善されつつあります。たとえば、五十二年度のアメリカの対日貿易赤字は八十一億ドル、ところがけさからも議論になっておりまするように、五十三年の赤字は百十六億ドルというわけでありまするが、年間を通じて見ますると、期を追って、双方のこれはまあ努力の成果でありまするが、改善の方向に向かっておる。たとえば五十三年の十一月、十二月、これは年率に直しますると八十億ドルぺースに修正されてきておるわけですね。したがって、私ども輸入の拡大につきましては苦しい財政事情の中を内需を喚起する政策をとりまして、そして努力を払ってきたわけです。なおまた重ねて市場の開放等々にも意を配っております。これはもう当然今後とも続けなければならないというふうに思います。 米国の収支改善については、これはやっぱりアメリカ側も大いに努力をしてもらわなければなりませんし、輸出ミッションが日本を訪れられたように輸出努力もしてもらいたい、われわれも協力体制を今後ともとっていきたい。 ジョーンズ・リポートというものは、私もよく見て評価をしておるものであります。一々それ全部賛成というわけにはまいりません、異論のあるところもありまするが、これは日本側が説明すればある程度理解を持ってもらえるのではないかというふうに思っておるものであります。
○説明員(小倉和夫君) 大臣及びアメリカ局長がちょっと別の委員会で答弁中でございますので、僭越ながら私の方から答弁さしていただきます。 いま柿沢先生のおっしゃいました問題点でございますが、われわれといたしましては現在の日米経済上の諸問題につきましては、幾つかの側面があると思っております。特にいま小坂大臣、江崎大臣が申し上げましたとおり、対米貿易の大幅な日本の黒字の問題が一つ大きな問題である。それは一つの側面であると思います。 それから同時に、アメリカ側から見ますと、日本市場の閉鎖性という問題が一つの問題でございまして、この点は先生御指摘のジョーンズ報告などにおいても取り上げられている点でございまして、アメリカ側から見ればその点が一つの問題と受けとめられていると思っております。 第三には、より広い問題でございまして、日本の国際的責任と申しますか、ボン・サミット以来のいろんな国際的なコンテクストにおきまする日本の役割り、こういう問題についてのアメリカ側の認識の問題があろうかと思います。そうした問題を踏まえましたときに、私どもといたしましてはやはり二国間に限らず多数国間の問題につきましても、アメリカ側の認識というものをよく踏まえまして、われわれの国際的な責任の問題としまして、単に日米関係の問題にとどまらず、国際責任の問題としまして真剣に受けとめていかなくてはならない、こういうふうに認識しております。
○柿沢弘治君 いま両大臣からそれぞれ日米貿易の不均衡是正については最大限の努力をされるというお話がございました。私どもも日本から出ていった国会議員でございますから、そういう趣旨で答えてはきたわけですけれども、しかし具体的に日本が一つ一つの品目についてアメリカの要求なりに誠意を持って答えているかというと、どうもアメリカの目にはそう映っていない。たとえば電電公社に関係する政府調達の問題にしても、それから農産物輸入の拡大もしくは自由化の問題にしても、その他の非関税障壁と彼らが称しているさまざまな基準の是正の問題にしても、まだまだやるべきことはたくさんあるように思うわけです。この辺はそれぞれ担当の省庁が違いますので、きょうは皆さん来ていただくというわけにもまいりませんので、一つ一つの品目には触れませんけれども、やはりこの問題に責任を持っていらっしゃる外務省なりそれから通産省、経済企画庁、それぞれ担当省庁との連携の中で、できる限りやはり具体的なアメリカに対する回答というものをしていく必要があるんじゃないだろうか、その点が総論賛成、各論反対というふうに彼らの目には映って、それがむしろ対日不信感の原因になっているというふうに考えられる部分もあるわけでございます。アメリカのニューヨークの連邦準備銀行のボルカー総裁に会ったときにも、そう個別問題について余りしつこく言わないで、忍耐強く待ってほしい、たとえば皮革製品その他日本にも特殊事情があるんです、こういう話をいたしますと、私は忍耐強く待ちます、日本の事情に同情も寄せます、しかし、マーケットというものは同情や忍耐心では動かないんです、もっと冷厳なものでございます。皆さんがどんなに誠意ある努力をしますと言っても、結果があらわれなければ市場はそれに敏感に反応するんだという話がありました。私も資本主義経済である以上当然そうだろうと思います。その点、すぐ成果を上げたか上げないか、しりが割れてしまうわけでございますから、総論賛成、各論反対ならずに、ぜひ対米黒字の縮小のための具体的な努力というものを積み重ねていただきたい。やはり、日米友好親善の基礎は経済関係の安定的な発展というものにあるわけでございます。その辺は釈迦に説法だと思いますけれども、改めてお願いをしておきたいと思うわけでございます。 ジョーンズ・リポートを一つ一つやるわけにはまいりませんけれども、ひとつTFCといいますか、貿易促進委員会がいまどういうふうに運営されているかということを通産省にもきのう伺ったわけですけれども、細かい問題の議論に終始しているというようなことを聞きました。できれば政府調達の問題とか、さまざまなアメリカ側からのクレームといいますか、不満事項というものを協議する、閣僚を含めたレベルでも結構ですし、民間経済人を含めたレベルでも結構ですが、日米協議委員会みたいなものをつくるというわけにはいかないだろうか。そこで事務的に、そして政治的に議論をして、そこにその問題が上がった場合には、二カ月ないし三カ月で必ず、どんな結論になるにせよ結論を出していくというような前向きの姿勢というものが出ないだろうかということを考えているわけでございますが、そうした日米協議機構の設立というようなものについては、通産大臣どうお考えになっていらっしゃいますか、御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) このいま御指摘のTFC、日米通商円滑化委員会は鋭意活動を行ってきましたし、アメリカ側もこれを評価しております。わが国としては、対日不満解消のためには、わが国の対外均衡の回復のためにやはり最大限の努力を払っていく、と同時にあるゆる機会を通じましてアメリカとの間に一層緊密な意思疎通を図っていく、こういう態度に終始しておるわけでございます。したがって、この日米通商円滑化委員会というものをもっともっと活用していく、これはすでにわれわれが輸入促進ミッションを派遣したのもそれですし、シェファードさんが団長で輸出促進のためのミッションとして来られたのもこれに基づくわけでありまするので、十分ひとつ活用をしてまいりたいというふうに考えます。
○柿沢弘治君 それから、実は一昨年の商工委員会でも私も主張いたしまして、対米の関税率を東京ラウンドの前に前倒しで引き下げてみたらどうかということを申し上げました。通産省もその方針で、カラーフィルム、自動車、コンピューター等については前倒しの関税引き下げを実施をされました。大変結構なことだと思いますけれども、そうした関税率の引き下げ、これはその後の貿易に具体的にどういう効果をあらわしておりますでしょうか。
○政府委員(宮本四郎君) ただいま御指摘の関税の前倒しでございます。これは昨年の三月に実施をいたしました。そこで、その効果が一体どういうふうに出ているのかということで、五十三年の三月から十一月までの数字を前年の三月から十一月までの数字と比較してみました。そうしますと、フィルムは七千六百万ドルが九千八百万ドルぐらい、ざっと二割七分でございます。それから自動車が二億一千二百万ドル、これが三億一千六百万ドル、四九%、こういうふうなふえ方をいたしております。コンピューターの方はほとんど横ばいでございまして、これはIBMが新しい機種を出すとかなんとかいう特殊な事情があるようでございますが、いずれにいたしましても、関税引き下げだけが幾らの効果を持ったということにはなりませんで、やはりこの間レートが非常に動いたとか、あるいはそのほか景気、為替、外国企業の価格の政策、いろんなものがまざってはおりますけれども、このような実績が出ておるところでございます。
○柿沢弘治君 まあ関税率だけの効果というのはなかなかむずかしいと思いますが、日本とアメリカの間に構造的な黒字がある、しかし、個別の品目を比較してみて、アメリカの輸入関税率よりも日本の輸入関税率の方が高いという品目がまだまだたくさんあるわけですね。そういうものについては、たとえばこの二年なり三年なり、自発的にといいますか、代償なしででも日本側が一方的に引き下げるというようなことは考えられないんでしょうか。
○政府委員(宮本四郎君) ただいまのお話は、現在東京ラウンドということで関税交渉が多角的に行われております。たまたま日米の関係におきましては、鉱工業製品及び農産物を含めまして昨年の十二月に基礎的な合意は見たわけでございますが、これも全体の参加メンバーの合意を得まして、いかなるかっこうで引き下げていくかという交渉の結果を待って進めたいと考えている次第でございます。
○柿沢弘治君 それから、ジョーンズ・リポートの中でも一つ指摘されているわけですけれども、円高差益の消費者への還元というのを進めてほしいという話がございます。この関係で公正取引委員長にちょっとお伺いしたいわけですけれども、円高になって、本来ならそれが日本の消費者物価に引き下げ効果を持つ、それによって輸入が促進される、それが経済のメカニズムなわけですけれども、日本の場合には円高差益が消費者価格に反映しない、つまり円高差益の消費者還元が進んでいない、それがアメリカからの輸出を阻害している一つの要因だという認識があると思います。そうした問題はアメリカの損害だけではなくて、日本の消費者の利益にも反するわけですけれども、公正取引委員会は先般の本年度の所信の中でも、円高差益問題の調査を輸入品関係で調査をしているというお話がございましたが、その進捗状況はどうなっておりますでしょうか。それから、その調査というものが出た結果、独禁政策にどういうふうに反映させていこうとしていらっしゃるのか、その辺をお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(橋口收君) 円高差益の還元に関連して公正取引委員会が行い得ます領域というのは、それほど広くはないと思うのでありますけれども、一つは輸入総代理店という制度がございまして、これが並行輸入を抑えたりあるいは価格について調整をしたり、そういう機能を持っている疑いがございますので、これは総代理店契約の内容を審査いたしまして、契約条項に適当でないものがある場合は、これを是正するということをやっておりますし、それから契約それだけではなくて、契約上は並行輸入を阻害したりあるいは価格維持行為をしないということになっておっても、実際の運営があるいはそういうことに関与しているかもしれない、そういう懸念も持っているわけでありまして、そういう観点から主としていまやっておりますのは、輸入ウイスキーに関する調査でございます。これはシッパーズプライス、先方の価格がどのくらい上がっているかという問題も含めて調査をいたしませんと、こちらの価格が妥当であるかどうかということの結論が出ませんから、そういうことも含めていま調査をいたしておりますし、それからあと調査をいたしておりますものを申し上げますと、インスタントコーヒーそれからレコード、冷凍水産物でありまして、これの流通の実態を調査をいたしておりますが、大体ことしの四月から六月ごろまでには実態調査の結果が出てまいると思います。物によって多少時間的な前後があろうかと思いますが、大体第一・四半期ぐらいにはこの実態の調査が明らかになると思いますので、その内容を見まして、独占禁止法上の問題があります場合には、これは是正の方角で取り組んでまいりたい。ただ、どういう問題がありますか、いまのところまだ確たる情報を把握いたしておりませんので、そういう実態を調べた上でということでありますが、やはり輸入ウイスキーにしましても、インスタントコーヒーにいたしましても、冷凍水産物にしましても、形としては寡占的な形態、寡占的なマーケットの性格が強いものでありますから、やはりそういうマーケットにおける流通、寡占とまで言いませんけれども、やはりそういう市場構造の面で問題があるんではないか。いろんな流通面の不公正な取引方法等もやはり構造面の制約から出てくるという感じがいたしておりますから、できれば市場構造面に着目した対策というものに展開をしていきたいというふうに考えております。
○柿沢弘治君 いまの関税の引き下げであるとか日本へのアメリカ製品の輸入の促進という問題は、日米貿易の不均衡を是正するという観点からも必要だと思いますし、同時にそうした形で低廉な製品が国内に入りやすくなる。これは決して日本にとっても不利益なことではなくて、特に消費者の立場から見ればそれ自身非常にプラスになるという面もございます。その点では何もすべて日本製品で賄うことが日本の利益ではない。こんなことは当然のことでございますが、ともすれば政治の世界ではアメリカ側も日本側も生産者の利益というものを守る。それが国益であるかのごとく錯覚をしている部分が従来あったと思います。その点では消費者の利益というものを前面にといいますか、正面に据えて通商産業政策、貿易政策をやっていただくということが日米の貿易関係の円滑化と、それから日本の国内の消費者の利益というものを両立させる意味で大事なことではないかと思いますので、ぜひその点も通産大臣に御認識をいただきたいというふうに思っております。 それから、時間の関係もありますので、もう一つの別の問題に移りますが、アメリカのエコノミストといろいろ話をしておりまして一つ気がつきましたのは、五十四年度一九七九年のアメリカ経済の動きというものが景気の停滞の年である。タイム・オブ・アジャストメントという形容詞を使っていた者もありますけれども、調整期に入る。そういう意味ではGNPの成長率が鈍化をする。それと並行してアメリカの全体としての貿易収支の赤字幅というものが急速に改善するのだという見通しを出しているところもございます。もし全体としてのアメリカの貿易収支が均衡へ進むのであれば、その中での日米の二国間の黒字というものは全体のバランスの中に吸収をされてしまうというふうに考えられないだろうか。従来から日本政府は二国間の貿易収支じりを問題にするのは間違っている。むしろ、貿易収支というのは多国間でグローバルで考えなきゃいけないということを言い続けてきたわけですが、もしそうであるとすれば、日本の貿易収支対米黒字が八十億ドルベースでたとえ残ったとしても、問題はもう半分以上解決したようなものではないかというふうにアメリカ政府に主張ができるのではないかと思いますけれども、日本としてはアメリカの五十四年の全体としての貿易収支をどうごらんになっているか。その中で日米の貿易の不均衡というものがどのくらいのウエートになるという見通しをしていらっしゃるのか、その辺をお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(佐々木孝男君) 貿易収支の問題がございましたが一最近の経常収支ですが、昨年の春ごろまでちょうどアメリカの成長率とそれから他の先進諸国との成長率格差がございました。アメリカの輸入の拡大、輸出不振などがございました。赤字が非常に急速に拡大してまいったわけでございます。その後、先進国の景気が持ち直しましてドルが大幅に下落するということで、競争力が強化されて輸出が急増し、赤字が減少傾向にあるわけであります。さらに、今後につきましてはこのような傾向が持続する上に、いま御指摘のございましたようにアメリカの景気の鈍化から輸入の鎮静化の状態もあり、それから経常収支は大幅に改善され、拡大傾向にあるわけでございます。見通しにつきまして政府自体独自の作業をやっておるわけでございませんが、この五十四年度の経常収支につきましては、アメリカの情報によりますとブルメンソール長官が九十五億ドルから百十五億ドル、OECDが八十億ドルということでございまして、これはいずれも暦年でございますが、五十三年度の実績見込み百七十億よりかなり大幅に改善する。貿易収支につきましてはOECDの数字以外にございません。これも暦年で三百五十八・五億ドルが二百七十億ドルぐらいに減少するというふうに見ておりまして、数字それぞれ食い違いがございますが、大幅に改善するというふうに見ております。
○柿沢弘治君 そういたしますと、先ほどの江崎通産大臣のお話では最近の日米の黒字幅というのは年率にして八十億ドル程度というお話がございましたけれども、その点ではアメリカの全体の赤字の中での対日赤字というものへの圧力というものはかなり軽減するというふうに考えられるのでしょうか、それともむしろほかが改善したにもかかわらず対日赤字だけが依然として大きな形で残るというふうにみなされるのでしょうか、その点についての認識はどうでしょうか。
○政府委員(宮崎勇君) お答えいたします。 先ほど通産大臣がお述べになりましたように、日米の貿易収支を見ますと、このところ依然として絶対額ではかなり大きな黒字でございますが、四半期ごとに小さくなってきておりまして、五十三年度について見ますと四-六月が、この日本の通関収支、若干アメリカの統計と違いますが、二十八億六千万ドルから始まりまして七-九月が二十三億九千万ドル、十-十二月が二十億九千万ドルとだんだん小さくなってきております。そのような状況はアメリカと日本と景気の動向が違ってきているという、ただいま調査局長が御説明申し上げたようなところが基本になっているわけでございますが、これがことしどういうふうになるかということでございますけれども、アメリカの経常収支あるいは貿易収支は目立って赤字が縮小してまいります。同時に、わが国の黒字も政府の見通しを――対応させるためにドルベースで申し上げますと、七十五億ドルの経常収支ということで、ことしに比べてかなり縮小するように考えております。したがって、そういう黒字幅と赤字幅の極端に開いていた状況が収縮してくるという意味では、日本に対する圧力というのは軽減する方向ではございます。ただし、グローバルで見ますと依然として日本に対する赤字というのは非常に目立っているわけでございますし、アメリカにとって日本からの輸入の大きさと申しますか、日本に対する赤字の大きさというのはやはりアメリカの国際収支の中では際立っているわけですから、依然として重要な問題になるというふうに考えております。もちろん、先生がおっしゃいましたように理論的に考えれば、貿易収支にしろあるいは経常収支にしろ、二国間のバランスを考えるということではなくて、わが国のように中東を中心にして原材料を特殊の地域に依存している国は、どうしてもそのほかのところで黒字を持たなければいけないという形になるわけですから、グローバルで見なければいけないというのは原則ですけれども、絶対額が非常に大きい。黒字あるいはアメリカから見た赤字というのは非常に大きいわけで、それだけその不均衡が存在するということが通商なり通貨の上で不安定材料になっている。したがって、そういう問題はことしも残っているというふうに考えております。
○柿沢弘治君 時間がなくなりましたので、あと物価との関係で不況カルテルの今後の取り扱いについて両大臣並びに公正取引委員長にお伺いをしたいと思ったわけですが、あと二分しかございませんので、もしできましたら簡単に御見解を御三方からお述べいただければ幸いです。
○国務大臣(江崎真澄君) いま独禁法に基づく不況カルテルを実施しておりまするのは、今朝来しばしば申し上げましたように六品目であります。この需給動向を見ておりますると、全体的には徐々に改善されておりまするものの、なお採算ラインの状況に達しておりません。市況も一部の品目につきましては若干上向いておるものもありまするが、なお低い線で横ばいというものも多うございます。したがって、不況カルテルの運用につきましては、条件であるいわゆる需給の著しい不均衡、コスト割れ、こういった動向をしさいに見ながら、十分今後どうするかということについては対策したいと思います。
○国務大臣(小坂徳三郎君) いま通産大臣から御答弁いただいたので尽きると思いますが、私は物価の安定ということを今年度の非常に重要な課題と考えております。おりますが、一方国内の経済は前年でも大体八%程度の成長が見込まれるような状態ですから、この勢いでまいりますると、やはり資本主義経済においては、民間の活力が出るときには勢い物価の上昇ということをもたらすわけであります。先ほど申し上げましたように、物価の安定と雇用の増大ということとある程度の成長率、六・三%程度の成長率を保持したいということで、国全体の経済の運営を考えておる立場から申しまして、必ずしも独禁法だけには限りませんが、物価にある程度の動意が見られる様子が出たときには、早手回しにこうした動向に対して注意を喚起し、また、それ相応の対策をとるのがいいことではないかと思うんです。いま具体的に独禁法によるカルテルによって、非常にその対象商品が高騰したということはないんでありますが、しかし現時点において、やはりカルテルによって物価が下支えを受けているという事態に対しては、よくそうした業界の人々がそのような事実を踏まえて、いやしくも物価の上昇を来さないように配慮してもらいたいということを警告したいというふうに思っています。
○政府委員(橋口收君) まあ両大臣のお答えで尽きておりますが、この不況カルテルは競争政策に対する重大な例外措置でございますから、できるだけ早くまあ卒業生になることを公正取引委員会としても念願をしておるわけでございまして、ともすると一回不況カルテルになじみますと、更新また更新、延長また延長ということでとかく長くなりがちでありまして、長いものは一年半も継続しているというものもございますし、まあ日本経済もだんだん上向きになってきておりますから、これ以上カルテル対象商品がふえるということはまずないと思いますし、それから現在実施中のカルテルにつきましてもよく内容を審査いたしまして、期限が来ましたらできれば打ち切りたいというふうに思っております。しかし、いま経済企画庁長官からお答えがございましたように、これはやはり個別物資の採算の状態をしさいに検討する必要がございますから、不況カルテルの要件に該当しているにもかかわらずこれを認めないとか、あるいは途中で打ち切るというのも、これは権力の過剰な乱用でございますから、その辺はよく内容を審査しまして、実態に即した判断をしたいというふうに考えております。
○委員長(福岡日出麿君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後五時二十三分散会