社会労働委員会 第8号
- 発言数
- 271 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1979/05/22
会議録
○委員長(対馬孝且君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十四日、橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。 また、昨二十一日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君が選任されました。 また、本日、田代由紀男君が委員を辞任され、その補欠として初村滝一郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(対馬孝且君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては、すでに質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、これより採決に入ります。 国民年金法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(対馬孝且君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、片山君から発言を求められておりますので、これを許します。
○片山甚市君 ただいま可決されました国民年金法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、第二院クラブ共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。 一、公約年金制度全体を通じ、各制度間の整合性及び人口の老齢化に伴い、年金の受給開始年齢と雇用との連動等にも配慮しつつ、速やかに年金制度の抜本的改善を図ること。 二、遺族年金については、被用者年金加入者の妻の年金の在り方及び加給年金の問題を含め、総合的な見地からその改善に努めること。 三、厚生年金について、五人未満事業所の従業員に対する適用を促進するとともに、在職老齢年金制度の支給制限、公的年金等の併給調整については、その在り方を検討すること。 四、各福祉年金について、受給者の生活実態、最低生活基準とのバランス等を考慮して、その年金額を更に大幅に引き上げるとともに、その実施時期について検討し、併せてその所得制限及び他の公的年金との併給制限の改善を図ること。 五、スライド制の在り方について更に検討するとともに、電算組織を総合的に活用して、年金相談体制を早急に整備し、業務処理体制の強化を図り、これにあわせて支払期月、支払回数及び支払方法の制度間の整合について検討すること。 六、老齢年金及び通算老齢年金は、非課税とするよう努めること。 七、積立金の管理運用については、被保険者の福祉を最優先とし、被保険者住宅資金の転貸制度の普及に一層努力するとともに、積立金の民主的運用に努めること。 八、児童扶養手当、特別児童扶養手当及び福祉手当の支給額を一層増額する等支給内容の改善充実を図ること。 九、児童手当制度については、長期的展望に立つて更に改善について検討を進めること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(対馬孝且君) ただいま片山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(対馬孝且君) 全会一致と認めます。よって、片山君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、橋本厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本厚生大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存であります。
○委員長(対馬孝且君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(対馬孝且君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(対馬孝且君) 次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明はすでに聴取をしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○片山甚市君 私は、今回の原爆被爆者に対する特別措置法の質疑に当たり、去る第八十四国会の本委員会で審議された同法一部改正に対する附帯決議について、どのように措置をされたのか、まずお聞きをすることにしたいと存じます。
○政府委員(田中明夫君) 昨年の国会におきまして、社会労働委員会におきまして決議されました附帯決議につきまして、私どもといたしましていろいろ検討をいたしてまいりまして、おおむね次のような改善措置を講じてまいっております。 まず、被爆者対策につきましては、被爆者が原爆による放射能を多量に浴び、健康上特別の配慮を必要とするという特殊事情に着目し、特別の社会保障制度として原爆二法を制定し、これに基づく施策を中心として被爆者の健康と福祉の措置を講じてまいっておるわけでございますが、今後ともこの二法の体系の中でできるだけの改善充実を図ろうという考えでございます。 まず、健康診断についてでございますが、被爆者の健康診断の内容といたしまして、一般検査に新たに尿の潜血検査を新設いたしました。また、精密検査に要する交通手当を増額いたしたわけでございます。 また、各種手当についてでございますが、所得制限の緩和を図りまして、従来おおむね支給率九五%でございましたものを九六%に引き上げたわけでございます。また手当の額につきまして、特別手当の額、すなわち厚生大臣が認定した傷病の状態にあります者につきまして、従来、月三万三千円の特別手当を支給しておったわけでございますが、これを五万四千円に引き上げたわけでございます。これにつきましては、衆議院におきましてさらに六万円に増額するようにという修正決議がなされておる次第でございます。また、厚生大臣の認定した傷病の状態にない者に対する特別手当につきましては、従来一万六千五百円でございましたものを二万七千円に引き上げを図ったわけでございます。これにつきましても、衆議院におきましてさらに三万円に引き上げるようにという決議がなされております。 次に、健康管理手当につきまして、いわゆる被爆者で十一の障害を伴う疾病にかかっている者に対する手当でございますが、これは従来一万六千五百円でございましたものを、一万八千円に引き上げを図ったところでございます。これにつきましても、衆議院におきましてさらに二万円に引き上げるようにという決議がなされております。 また、爆心地より二キロメートル以内の直接被爆者に対する保健手当でございますが、これは従来八千三百円の手当額でございましたが、これを九千円に引き上げる措置を講じたわけでございます。これにつきましても、衆議院におきましてさらに一万円に引き上げるようにという決議がなされておるわけでございます。 その他、厚生大臣の認定した疾病で医療を受けている者に対する医療手当あるいは介護手当あるいは家族介護手当等につきましても、それぞれ相当額の増額を図ったところでございます。また葬祭料につきましては、従来七万四千円でございましたものを八万円に引き上げを図っておるわけでございます。 次に、原爆の被爆者の保健福祉施設等の運営費でございますが、これは原爆養護ホームの運営費あるいは原爆病院の運営費あるいは原爆被爆者に対する相談事業の運営費等、それぞれにつきましていろいろと拡充を図り、昨年度におきまして五億一千六百万円の予算でございましたものを、五億五千六百万円、四千万円の増を図ったところでございます。また、特に原爆被爆者の保健福祉施設につきましては、長崎県におきまして被爆者の方が高齢化されるに伴いまして、原爆のホームを増設する必要が起きてまいりまして、特養のベッド百人分を施設整備費として計上しておるわけでございます。 その他、被爆者に対する家庭奉仕員の派遣費あるいは原爆症の調査研究委託費、これには被爆者の二世に対する健康診断の費用を含めまして、従来八千二百万円の予算であったものを一億四千二百万円に増額しておる次第でございます。 また、沖繩在住の被爆者の方々につきまして、特別支出金として一人当たり二十万円、総額にいたしまして四千八百四十万円の予算を新たに計上いたしたわけでございます。 昭和五十四年度におきまして、私ども昨年の本委員会におきます附帯決議の趣旨にのっとりまして、ただいま申し上げたような点につきまして改善あるいは拡充を図ってまいったところでございます。
○片山甚市君 御答弁をいただきまして、大体金額的な問題についてはわかりました。 そこで、昨年六月六日の本委員会において、私は当時の小沢厚生大臣に対し、外国人被爆者孫振斗さんへの原爆医療法適用の最高裁判決が示した国家補償の精神に基づく援護対策の必要性についてるる意見を述べました。で、原爆援護法制定についてただしたところ、衆議院の審議経過を尊重し、いわゆる原爆二法の改善を具体的に図られるというような旨の答弁がございました。そういうことについて大臣は御承知でしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 年来の御審議の中で、現在の被爆者対策というものをもう一歩進めて、国家補償に基づくものに考えを改めるべきではないかという御意見を私どもしばしばちょうだいをいたしておりました。しかし、厚生省としては、従来から、従来の社会保障の枠を一歩踏み越えた特別な社会保障としての体系をとる必要があるということから原爆二法を運営しているんだということを申し上げてきたわけでありますが、いま片山さんから御指摘がありましたように、最高裁の孫振斗さんに関する判決の中で、まさに現在行っておる原爆二法そのものが、すでに国家補償的な見地からつくられているではないかという御指摘をいただき、私どもも改めて考え方を整理する必要に迫られたわけであります。その中で、本年度の予算編成を終わりまして、この二法の改正を社会保障制度審議会に諮問をいたしましたところ、社会保障制度審議会の方からも、この原爆被爆に関する問題については、まずやはり基本理念を明らかにすると同時に、その基本理念に基づいて被爆者対策というものを考えるべきだという御意見をちょうだいをいたしたわけであります。 そこで、私どもといたしましては、昨年の最高裁の判決もあり、また本年度の社会保障制度審議会の御意見にもありましたものをそのまま受けとめさせていただくこととし、原爆被爆者対策基本問題懇談会というものを設置をすることにいたしました。この懇談会は、いま申し上げましたように、原爆被爆に対する問題についてのまず国としての基本理念を明らかにする、同時に被爆者対策における制度の基本的なあり方を御検討願うために、厚生大臣の私的諮問機関として開催をいたすことにいたしております。今後のスケジュールといたしまして、私どもは六月の八日に第一回の懇談会の開催を予定をいたしておりまして、おおむね二カ月に三回程度のペースで御検討をお願いをいたしたいと考えております。 ただ、先般の衆議院の御審議の際におきまして、この懇談会の結論というものを、何とか一年以内を目途として何らかの結論を出していただくようにしてほしいという御要請がございました。私としては、一番最初の懇談会開催の時期におきまして、こういう御意見が出ておりますということもあわせて懇談会の方に御報告を申し上げ、御検討願いたいと考えておりますが、会議の運び方とか、あるいはその取りまとめの時期等につきましては、これはできるだけ早くということで、一切懇談会の方にお任せをいたしたいと考えております。と同時に、そこで出されました結論というものにつきましては、私どもとしては十分尊重させていただき、その結論の趣旨に従って今後の対策の実現に努力してまいりたいと、そのように考えておる次第であります。
○片山甚市君 御承知をされておるという前提で、いま申されましたところのいわゆる原爆被爆者対策基本問題懇談会、私的諮問機関を設けられた、こういうことでありますが、そこで、附帯決議の第一項の趣旨でもありますし、それは具体的に本法の中での提案では昨年と同様だというように感じられます。そういたしますと、衆議院の方からも言われておりますように、この一年の間に検討した結果、来年の国会には、いわゆる法案としてきちんと出してもらいたい、と同時に予算がそれに伴うようにいまから準備をしてもらいたい。なぜそういうことを申し上げるかというと、お金がたくさん欲しいのではなくて、必ずそれに対しては対応できるような措置をしてもらいたい。大平総理大臣は、お金がないから、減量というか現在のままで、自然増もやめるような形にしたらどうかという案を出しておるというようなことでありますけれども、事原爆に関する限りは、継続した長い闘い、ちょうどスモンと同じでありまして、この問題の一件落着をしない限り、厚生省がいい意味でまくらを高くして寝るというわけにはならぬ。医師会の武見さんもこわいでしょうけれども、むしろ原爆の方がもっと恨みつらみが強いのでありますから、そういう意味で、八十四国会における審議の結果からいうと、ことしの予算の出し方は、信義則に反するというように理解をいたしますから、御努力を願いたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもとしては、いま御指摘をいただきましたような角度も含めて今後も努力をしてまいりたいと、そのように考えております。
○片山甚市君 私は原爆被爆者に対する措置を考えるとき、一つは国の責任、いま一つは放射能が与える影響という本質的な問題に対し、終始具体的な事例を挙げて質問を続けてきました。しかし、すでに被爆後三十有余年を経ました今日もなお、二度と繰り返してはならないこの悲劇が、戦時災害という形をとらないだけで人々の日々の暮らしの中に現実の問題として起きているという認識が大臣におありでしょうか。いわゆる原爆という爆弾は落ちていませんけれども、いまやまさに、いわゆる放射線によるところの障害が起こるような状態に日本の国があるというようなことについては御認識ございませんか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは私からお答えを申し上げるのが適当かどうかわかりませんけれども、今日のわが国の置かれております国際環境の中で、石油というエネルギーに限界を考えた場合、いわゆる原子力というものに、わが国のエネルギー政策の中で大きなポイントを置かなければならないという条件があることは私も十分承知をいたしております。ただ、その過程において、これに対して最大限の安全措置を考えていかなければならないものであることは委員御指摘のとおりでありまして、そうした問題があることは私も存じております。
○片山甚市君 通産省にお聞きしますが、そういう問題が起きていないと断言できますか。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の安全性の問題でございますが、原子力発電所の安全設計に当たりましては、まず安全の確保ということが最優先でございます。そういう意味で、まず設計に当たりましては、運転員の操作ミスとか、そういうものに十分耐え得るような設計ということがなされていることを確認しております。 それからもう一つ、わが国では電気事業法あるいは原子炉等規制法で、原子力発電所の安全審査の段階、一番初期の段階でございますが、それから、つくっている最中の使用前検査、それから毎年一回やります定期検査というような諸規制を通じまして、それからまた、運転中におきましては保安規定というものを認可いたしまして、それを守らせることによりまして安全の確保というものを図っているものでございます。
○片山甚市君 起きていないかと。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の運転に伴いまして、許容被曝線量、敷地境界の被曝線量以上の敷地周辺の住民に影響を与えるような事象というのは起こっておりません。
○片山甚市君 起きていないと断言すればそれでよろしい。そうである以上、徹底的にそれでは追及しましょう。 現実の問題として、それがあるとすれば、現在政府がとり得る今日の対策で、何がどのように十分であるのか、十分にやっておるという内容について、専門家ではありませんから、町の人が聞いたらわかるように教えてください。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の運転に伴いまして、放射線が微量でございますが出るわけでございますが、それに対しての規制でございます。これは原子炉等規制法によりまして、一般公衆の許容被曝線量というのは年間〇・五レムというふうに定められております。それで、この〇・五レムという数値でございますが、これは世界の放射線防護の専門家から成ります、先生も御承知のとおりのICRPというものが決めましたもの、それをわが国の放射線審議会という場で検討いたしまして定まった数値でございます。そういうような数値を、わが国はもちろんでございますが、アメリカ、カナダ、ソ連と、各国ともそういうような数値を採用しているものでございます。しかし、原子力発電所の運転に伴いまして、放射線被曝というのは可能な限り低くする必要があるということで、いわゆるALAPという考え方でございますが、それに基づいて敷地の周辺でございますが、年間五ミリレム以下というふうに定めて、それを守らせております。それで、現に原子力発電所におきましてはこの五ミリレム以下ということが守られているものでございます。
○片山甚市君 安全だということでやられておるということについて、市民が非常に不安だということになっておる。これは後からまた聞きますが、あなたたちは机上で、それほど安全ならなぜ東京のど真ん中で、宮城の横でつくらぬのですか。何で東京晴海の埠頭のところで——水があればいいんでしょう、水さえ。地盤が悪いなどと言わないで、地盤が悪かったら強くしたらいいんで、そうでしょう。いや答えなくてよろしい。どうせあなたたちがうそを言っておる、人民をこけにしたことはばれるんですよ。だからよろしい。 大臣、先ほどお答えをいただきましたように、小沢厚生大臣が昨年八十四国会で答弁をしていただき、いまの二法が現実に国家補償の趣旨を持ちながらこれを強めていきたい、こういうようなことをおっしゃっておったんですが、私たちがお願いするのは、お金が欲しいとか、余分に欲しいんじゃなくて、やはり国の償いとしての性格をはっきりさせていくということについて強める必要があろう、こう思うんですが、大臣が先ほど決意を述べられたと思いますが、もう一度決意をお聞きをしたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもは、先ほどもお答えを申し上げましたように、昨年の最高裁の判決によって、現行二法そのものがすでにまさに国家補償の精神の上に立脚したものだということを御指摘をいただいたわけであります。そしてまた、そういうものを受けた中で社会保障制度審議会の方から、国としての原爆被爆に対する基本理念を明らかにすべきだという御意見もいただいたわけでありますから、やはりいま片山さんから御指摘を受けましたような方向をも含め、国としての基本的な理念を明らかにするということでこの懇談会を発足を願っておるわけでありまして、そうした点から私どもの決意というものは御理解を賜りたいと、そのように考えております。
○片山甚市君 そこで、衆議院の審議の経過及び制度審の意見に対する先ほど申しました七人委員会、大河内一男先生、緒方彰先生、茅誠司先生、久保田きぬ子先生、田中二郎先生、西村熊雄先生、御園生圭輔先生、この七人委員会を設置されたのは当然だと思いますが、そういう意味では大体メンバーとして、これらについて御期待にこたえていただけるメンバーを大臣がお選びいただいたと考えておいてよろしゅうございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 個々の方々の選考理由等について申し上げることが適当かどうかわかりませんが、たとえば大河内先生は、国としての基本理念を明らかにせよという答申をいただいた社会保障制度審議会の会長でおられるわけでありますし、その他の各先生方も、それぞれにそれぞれの分野を代表するだけのりっぱな方々ばかりをお願いを申し上げたと私は考えております。また、関係の方々やあるいはいろいろな分野の方々にも御意見を伺いまして、この人選なら公正無私な結論が出せるであろうという御同意をいただきまして発足をさせたと、そのように御理解をいただきたいと思います。
○片山甚市君 少ししつこい話でありますが、来年度の予算の編成に当たっては、これらの結論は一年以内に出してほしいというときに、ぜひとも大平総理大臣を初めとして、これだけは特別に予算的な措置ができないなどと言わないようにしてもらいたい。なぜかというと、またその時期に陳情を受けますから、そんなことしなくても、いまからこの結論が出次第予算的なことでこれが実施ができないなどと言わないと、こういうことで予算的な措置について厚生大臣として御努力を願えるかどうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど申し上げましたように、懇談会としての御結論はできるだけ早くいただきたいというお願いは申し上げますが、その運営については、私は委員の方々にお任せをして基本的に十分御検討願いたいと考えております。ただ、その懇談会のお答えがいただける時期に予算編成が間に合うかどうか、これは別として、私は原爆被爆者の方々に対する問題だけではなく、厚生省関係の分野というもの、いかに財政事情の厳しい折でありましても一定の枠というものは確保せざるを得ない性格のものでありますから、そうした意味において努力をいたしてまいりたい。まあ私がそのとき首があるかないかは別としまして、一生懸命に努力をしたいと、そのように考えております。
○片山甚市君 私は大臣にたくさんお会いをしてまいりましたから、大臣の名前も忘れるようになっておるんですが、せめて橋本厚生大臣ぐらいは、一生涯思い出深い大臣だったというようなことで仕事を残してもらいたい。それはどういうことかというと、やはりことしは非常に財政が厳しゅうございますだけに、そういうようなものが出ても財政難だということで見送りということになれば大変不都合なことになろう、こう思いますから、大臣お一人のお言葉ではいきません、むしろ大蔵大臣を呼ばなければならぬことでありますからこれ以上追及いたしませんが、これはいい意味で、侍言葉で言えば命をかけて成就をさせていく。いわゆる結論を急ぐということは七人委員会の方々がやることでありまして、内容についても御信頼を申し上げておる。結論が出たならばやはり速やかに所定の行政手続をとられ、これだけでも臨時国会を開いて、二度と過ちは繰り返しませんという碑にこたえ得るように私たちが努力することをまず期待をしておきたいと思います。御答弁は必要でありません。 そこで、去る八十四国会における本委員会での六月六日の審査の際、資源エネルギー庁逢坂説明員の私に対する答弁、すなわち、原子力発電所の放射線問題とは、平常運転時の微量放射能放出はそれ自体問題あるが、自然放射線のレベルに比べ非常に小さいし、世界で約二百基ある原発は周辺の公衆に害を与えたような事故は皆無、わざわざ皆無であると言い、十分な対策がとられており御懸念のことはないと断言されましたが、このことは現状を正しく理解するために、全くそのとおりのことだったのか、この場において答えてもらいたい。いわゆる逢坂説明員は、原発による周辺の公衆に害を与えるような事故は皆無だと、こう言い切ったんですが、いかがでございましょう。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の安全性、特に放射能の問題でございますが、先ほどもお話しいたしましたように、敷地周辺の被曝をなるべく低減させるということで、監理目標値というのを定めております。これが敷地周辺で五ミリレム以下というふうに定めております。そういうことでございまして、原子力発電所は、運転実績等見ますと五ミリレム以下ということが満足されているわけでございますが、これが自然放射能と比較して考えてみますと、たとえば関東と九州では自然放射能が相当差がございます。二十ミリから六十ミリぐらいの自然放射能の年間の差かございあます。それで、こういう地域での自然放射能によるものでございますが、有意な差が認められていないということを考えますれば、原子力発電所から出ます自然放射能が五ミリレム以下に抑えられているということをあわせ考えますと、原子力発電所の運転に伴います放射線の影響というのはないものと考えております。
○片山甚市君 当時すでにアメリカでは軍用小型動力炉で死者も出されておるし、核生成物の外部への放出事故や、カナダの実験炉では死の灰を含む冷却水の炉外放出、イギリスでは火災事故から放射性物質の放出など、幾つも大事故につながる危険な事例が明らかにされているではありませんか。私を素人だと思って甘く見ておる答えだと思うんです。五ミリレムだなんとかいうのは、それは検査の問題です。検査をしてみたらそうだと。そういうことが起こってない、こういうことも事故はないと。世界じゅうの話なんでしょう。ちょっと聞きなさい。世界で二百基あるけれども事故は皆無だとぬかしたんです、言ったんです、おっしゃったんです。わかりますか。おまえたちというか、あなたたちというか、大阪の言葉だったらおどれというんですが、けしからぬことですね。これは起こらなかったということを答えてください、そんな事故はなかったと言ってください、安全管理課長。日本のこととは違うよ。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の事故で、運転に伴いますささいなトラブル等はございます。しかし、敷地周辺の住民に対します放射線の影響ということで影響を与えるようなものはなかったというふうにお答えしたんじゃないかと思っております。
○片山甚市君 ソビエトでも、あっても隠しておると言っておるじゃないか、そう言っておるでしょう。ソビエトの悪口よく言うのをこのことだけよう言わぬじゃないか。何でもソビエトのことなら悪口、中国なら悪口言いよったが、このごろ中国は貿易によって金もうけるから言わぬようになつたようだけれども。 そこで、事故の皆無と大みえを切られるような状態でなかったのではないかと私は思います。皆無と断言する以上、商用化している原発のみでなく、地域に影響を与えた各種の原発の状態も的確に照会して判断すべきではないか。実験炉であれ軍用炉であれ、原子力発電による事故例は、当然共通する放射能の影響を考えて重大な関心を持つべきものであるのに、商業用以外ならどんな問題が起きていてもどうでもいいというのか。 いま日本におけるところの原子炉は何基あり、そして何基稼働しておるのか、それでなぜ休止をしておるのか、これについて説明を求めたい。
○説明員(向準一郎君) わが国の原子力発電所の運転状況等でございますが、まず、現在営業運転中の原子力発電所というのが十九基ございます。これが出力にいたしまして千二百六十七万七千キロワットでございます。このうち七基につきまして四百六十七万四千キロワットでございますが、これが現在稼働中でございます。十二基八百万キロワットでございますが、これが定期検査等で停止中ということになっております。この定期検査といいますのは、電気事業法に基づきまして、毎年一回、約三カ月程度とめまして、原子炉の各部を点検するというものでございます。
○片山甚市君 単純に聞くけど、原子炉の中は原爆のそれと共通していないのか。核分裂が緩やかになっておるのか急速かという違い、あるいは制御装置があるかないかがあっても、その容器の管理に何らかの問題が発生することは万に一つでも許されることはならないようなもの、いわゆる原爆というものを閉じ込めて、そして動力源にしておると見てよろしいか。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の運転に伴いまして、核分裂生成物が炉内にたまっております。そういう意味で放射性物質が内蔵しておりますので、それを安全に管理するということが原子力発電所の安全性を考える上の一番重要な問題というふうに考えております。
○片山甚市君 五ミリレムなどと言われる徴量放射線が与える影響について、これまで機会あるごとに取り上げてきましたけれども、今日に至っても満足のいく政府の答弁を得ておりません。しかし重要な問題であるので、本委員会においても触れておきたいんです。 厚生省の医務局長はたびたびの発言で、放射線が細胞に吸収されれば一定の障害を与えることは間違いないとか、民族の将来を考えたとき、医療被曝、エックス線などについても、自然放射能の水準にすべき努力が必要であるなどと述べられておるけれども、厚生省としては、放射線に対してはそのような人体の防護に対するお考えは変わっておらないか、医務局長の方からお答えを願いたいと思います。
○政府委員(田中明夫君) 私からお答え申し上げます。 先ほど来名前の出ております国際放射線防護委員会、いわゆるICRPにおきましても、すべての放射線被曝は、経済的及び社会的な要因を考慮に入れながら合理的に達成できる限り低く保たなければならないというような勧告もしておりますところでございます。われわれ厚生省といたしましては、人工的な放射能につきまして、このICRPの考えに基づきましてできるだけ低く抑えたいというふうに考えております。
○片山甚市君 私は、自然放射能以外のものが地球上に生産、蓄積されることは、自然界の法則を変える重大な問題であるとの基本的な認識を持っております。今日その立場から人為的につくり出される放射能、すなわち自然界に還元できない物質をいかに閉じ込めておくかについてすべてがかけられているのではないか、それが何らかの要因で漏れる事故は、われわれの生活、自然の生態系に影響を与えることは当然なのに、先ほどの逢坂説明員の前の国会の答弁によれば、原発の周辺で、いまもあなたがおっしゃったように、五ミリレム以下の規制は、人間が通常浴びている自然放射線百ミリレムに比べて非常に小さいから問題でないとしております。比較するという観点が問題であると思うんです。このことは、自然放射線以外のものを存在させるという前提であり、被曝する者にとっては百ミリレムにプラスされることであって、それがたとえ〇・一ミリレムであろうと、存在し蓄積されていくことに対して問題ないと言えるのかどうか。これは厚生省の基本的に人工放射能ゼロを目指すということと、資源エネルギー庁の基本的に存在を認めているということについては決定的な違いがあろう。いま公衆衛生局長の言葉は、どうも前の局長と違った言葉のように聞こえるので、厚生省としては基本的には人工放射能ゼロを目指す、こういうことに言われておるように聞いておったんですが、今度は人工放射能についてはどういうようにお考えになっておるのか。この二つの意見を双方から聞きたいと思います。
○政府委員(田中明夫君) 私が先ほど述べましたところは、前国会におきまして佐分利局長から申し上げたことと基本的に変わっていないと存じておりますが、厚生省といたしましては、先ほど申しましたように、社会的あるいは経済的な要因を考慮に入れながら合理的に達成できる限り低く人工放射能を保っていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の運転に伴います放射能の放出につきましては、先生のおっしゃるとおり、可能な限り低減するということは原則でございまして、われわれとしてもそういう方向で十分指導してまいりたいというふうに考えております。
○片山甚市君 原子力発電をしようとすれば放射能が存在することを認めざるを得ない、漏れることも最小限にとどめなきゃならぬということでありますから、通産省や資源エネルギー庁の言い方は、まず物を第一にする、その次に経済性を考える。理由は、石油が値上がりしたから原子力発電が使えるのでありまして、もし石油をメジャー初めOPECの諸国が上げてくれなければ原子力発電所というのは動かなかったわけです。おわかりですね。ありがたいのは世界じゅうのOPECの皆様、メジャーの皆様のおかげで、石油がもうなくなるんだという宣伝があり、現に石油がないと言いよった日本のぐるりにも調べてみたらあるという話がありますね、日本のぐるりですよ、近海、このぐるりにありますが、とにかくいまある石油は何年かたったらなくなるぞという宣伝をしながら、オオカミが来る、オオカミが来ると言いながら原子力発電所だけつくらしておる、こういうように私は見るのであります、私は卑しいですから。皆さんのように、聖人のようにりっぱな、清らかな、うそもつかない人でありませんで、人の心を疑り深いんです。疑問なんです。これは質疑と言って疑うと書いてあるんですから。あなたたちがやっておることについてどうも怪しいなと思っておる。それで、いわゆる人間や社会環境を変えるような政策には私は反対をする立場から、科学や生産はそこに人間が存在していることを大前提にして考えるべきではないかと考えます。 科学技術庁の放射線医学総合研究所では、国民線量とかいう環境放射線による影響を全国的に調査されているとのことだが、これはどうなっているのか、それによってどうするつもりかを聞きたい。結果はどうなったか、それによって科学技術庁はどうするつもりなのか、これをお答えを願いたいと思います。
○説明員(松本邦宏君) 昨年の先生のお尋ねに対しまして、前放射線安全課長からお答えしたかと思いますが、放射線総合医学研究所におきましていま御指摘のございましたような点について順次調査をいたしておりますが、まだ調査がやはり全体としてまとまっておりませんので、国民線量という観点からの調査を引き続きやっておる段階でございます。結果が出ました段階で必要な対策を考えていきたいと、かように考えております。
○片山甚市君 必要なというのはどういうようなことを考えられておりますか。
○説明員(松本邦宏君) まだその調査結果がまとまってみなければ、どういう対策が必要になるかということはちょっといまの段階では具体的に申し上げられないかと思います。
○片山甚市君 ここまでお話を進めてきた上で明らかにしておきたいことがございます。 原爆障害が三十三年経た今日も継続しているという現実です。さらにそれが二十五レムという異常に高い数値をもって保健手当、いわゆる健康管理のための線引きがされている矛盾であります。同時に、原子力施設防災対策、いわゆる避難基準がICRP、国際放射線防護委員会勧告などを参考に、全身被曝が二十五レム以上になった場合は即刻退去などと机上データをもてあそんでおりますけれども、三十三年前の被害でさえ今日的影響を与えているのに、いま原子力発電所の事故が起きて、二十四レムとか二十五レムとかという数値が出るに至るまでは安全というか、問題はないという考え方で対処するんですか。それでは、いわゆる二十五または二十四レムが出るまでは大丈夫だということであれば余りにも危険なことであると思うけれども、それはどうお考えになりますか。
○説明員(松本邦宏君) 放射線審議会の方で四十二年の答申の際に指標線量という形で、ただいま先生御指摘ございました二十五レム、答申ではラドと言っておりますが、の数値を出しておりますが、これは二十五ラドの外部被曝が起こった場合に、公衆の個人の方がそういった被曝をするおそれがある場合に応急な措置をとる指標として一応設定をしておりますが、この指標線量を考慮した上で、あくまで地域的に想定された事故に際して、さらにこのレベルよりも低いレベルで抑えるような性質の数値として想定しているものでございます。
○片山甚市君 どのぐらいの数字ですか。どれだけの数字、低い数字というのはどういう数字ですか。
○説明員(松本邦宏君) これは個々の地方防災計画でそれぞれに決めるということになっております。
○片山甚市君 私たちが議論をしていきますと、ICRPの結論で二十五レム以上でなければ被害が及ばない、大丈夫だと、こういう考えを持っておって各地方ごとに数値を考えるというようなことでは全く話にならないと思う。直ちにこの種の基準に対する措置、たとえば基準値を幾らにするかということではなく、絶対的に事故が起こらない保障措置をとるべきであり、国民、特にあなたたちは必ず漏れるであろう、こういうことが起こるであろうという心配があるからそれだけの基準をつくらなきゃならぬということと思いますが、私は絶対そういうものが起こらない保障措置をとるべきであると思います。国民、特に既設の原発施設に対しては、地域住民に十分に説得力のあるもの、机上のデータによる安全宣言ではなく、一定の期間全施設を停止さすべきではないか。先ほどは一年に一回、三カ月なら三カ月休ませておると、こう言っておりますが、いわゆる机上ではなくて、現に動いておるものを全部点検する用意はないか。経済的側面から判断して稼働さすべきだという甘い事態ではない。いまは国民に、原子力発電については次のような安全措置と、安全であるという宣言を明確にしてから動かしても、日本の百年の大計は立つんではないか。いま通産省が検査した、そうしたら今度は安全委員会は机上のプランで現地にも行かずにやっておる。原子力安全委員会の委員長が、大飯の町長でございますか、来て説明してほしい、みんなの前で申し開きをしてほしいとテレビで放送していますね。大体そういう事件が起こったら、カーターのあのピーナツ大統領、あの厚かましい男、あれでもあそこのスリーマイル島に行ってますね。現地へ行ってますね、大統領そのものが。あんたのところは科学技術庁の長官という大臣がおるんでしょうが、行ったんですか。それで大飯の問題について検査をしてみたか、安全委員会調べましたか。そういうような、いわゆる机上で学者に調べさしたりデータを調べさすこともよろしいけれども、現にそういうことの責任を持つ者たちが国民に呼びかける、そして安全をきちんと確立するということが必要だと思うんですが、そういう考えはありませんか。あなたは、失礼でございますけれども、科学技術庁の長官の代理で来ておるんですから、通産大臣のかわりに来ておるんですから、課長だのへ長だの言わせませんよ。名前は違うんですがあんたが全責任だから。大臣が答えるのと同じですからね、答えてください。
○説明員(佐々木壽康君) ただいま先生が御指摘になりましたとおり、やはりこの際、米国におきましてこういう大きな事故があったというこの現実にかんがみまして、原子力発電所の再点検をやるべきであるということで、これは原子力安全委員会でございますが、委員長談話を三月三十日、事故の直後に出しております。この委員長談話に基づきまして通産省はその後実際に総点検を各発電所につきまして行っております。ごく最近、新聞等ですでに御承知のことと思いますが、通産省の解析結果につきまして安全委員会で慎重に審議した結果、安全委員会といたしましてもその一部、通産省が当初考えておりました関西電力に対する指示事項、これは大飯発電所に関するものでございますが、それを一部修正したものが妥当であるという結論に達しているわけでございます。 それから、この間、安全委員会といたしましても御園生、田島両原子力安全委員を、現地、つまり大飯の一号炉に派遣いたしましてその施設の状況を視察させております。その際重点的に見ておりますのは、今回の米国の原子力発電所の事故に関連しております緊急炉心冷却装置関係、それから二次系の補給水が入らなかったという問題がございましたので、この辺の関係、それから運転員の操査ミスがかなりあったという話もございますので、そういう関係で特に現場の運転をしておられる方々と十分話し合いを行っております。
○片山甚市君 私は、長官がそういう現場を見るべきだと言いましたし、安全委員会、安全だと宣言をするほど自信があったんなら、それを大飯町に行って町民の中で説明してやってください。約束してください。よろしいですか。いつ行くか言ってください。
○説明員(佐々木壽康君) 確かに、地元の方からそういうことでぜひ説明に来てほしいという申し入れがございます。
○片山甚市君 行きますな。
○説明員(佐々木壽康君) 行くかどうかにつきましては現在検討中でございまして、ただいま……
○片山甚市君 厚生大臣、これが痛みがわからぬ人間のことですよ。火の中の、原子炉のそばに住んでおる人間が心配なのに、安全だと言っておいて、それかて検討すると。東京におりくさる。東京でのうのうと飯食うからそんなことになるんじゃ。敦賀湾は御承知のように魚とれるところで、タイのおいしいところ、われわれはあのあたりを大変めでてきたところだ。原子炉ができてから確かにいろいろ変わってきた。町民の気持ちも変わってきた。それでも関西電力や国の言うことを信用して原子力発電所を認めた町民にとって、スリーマイル島のあの事件はショッキングです。あなたたちは事故が起こらぬとぬかしておる。厚かましい。まだ起こってなかったというんでない、すでに起こっておる。これを隠して隠して、何とか原子炉を、アメリカがもうどうにもならぬで困った、開発した原子炉を買わされておる。今度サミットじゃのヘミットじゃの、あるいはラウンドだとか言うていろいろ名前をつけながらアメリカの戦略の中に巻き込まれておる。こういうことであります。そんならば、けさの新聞を見ると、これは朝日新聞で「人為ミスでない 米下院調査団」というのもこれはうそだということになる。なりますね。「原因は機器の不調」と書いてありますね、これは日経です。この日経というのは日本の経済を守るためには、もうわれわれ労働組合とか関係する者たちが敵にするような団体の新聞で、金もうけのためなら手段を選ばぬと思われるような新聞ですが、これでも「人為ミス説は退ける」「米原発事故て下院調査団報告」、こう書いてあります。そのところで「大飯原発の管理強化を指示 通産省、関電に」などと書いてあります。 私は、いわゆる安全委員会がおるんでしょう、その者たちが行って、私たちは次のように安全です、しばらくここへ移り住みますから、御心配のないようにしてもらいたい。住んでもらいたいんですよ。安全だという者が一番いい別荘に住んでおっては大変ですから、安全委員会の人たち、あれを全部一まとめにしてどうぞ大飯町に住んでくれませんか。移住のほどを勧めますが、どうぞお答えを。
○説明員(佐々木壽康君) 先ほどもお答え申し上げましたけれども、現在安全委員会の方で前向きの姿勢で検討しておられるものと私は判断しております。
○片山甚市君 納得ができませんで、本当はこれは安全委員会の人に来てもらいたいと思います。いわゆる人の命にかかわることでしょう。あなた、それじゃ聞きますよ。これは毎日新聞の五月二十一日です。「原発事故の直後に牛が変死」をした。「スリーマイルアイランド」、スリーマイル島のことですけれども、これによると、「付近の酪農農場で牛の原因不明の死亡が相次いでいることがこのほど明らかになった。この農場は問題の原子力発電所から約八キロの地点にあり、事故が発生してから一週間もたたない四月三日に母牛一頭が流産したあと死んだのをはじめ、子牛十二頭、母牛七頭が死産もしくは出産直後から一両日中に死亡した。同農場経営者のフーバー氏は、三月初めから八十五頭の牛全部を草地へ出していたが、三月二十八日の事故発生以前は異常なことは全くなかった、と語っている。同農場管理人によると、専門家が農場を調べた結果、放射能は全く検出されなかったという。」、私はこれを誇大に取り上げているんでないんです。こういうことがありますと、あなたたちが検査したらなかったという、なければいいといっても、こういうことがあるという自体、これは新聞でありますから、私は見たことないんですから、大飯町に行って安全だということを——何も前向きでなかった、いままでは経済寄りだったということをよくあなたたち説明してくれてありがとうございました、大飯町へ行って説明しておきます、あなたのような人が言ったと。経済界のために、関西電力のために一生懸命やっておったのを今度は少しは住民の方へ向くことになったと答えたと、あなたね。安全委員会が前向きというんですから。安全委員会などというのは、生命、安全を守っているんだからいつも前向きですよね。こんなのが大体のさばるというのはわれわれが足りないからだと思いますが、それでよろしいですね、大飯町の皆さんにこれはもうこのまま伝えるんですから、テープとそのままで伝えるんですから、これでよろしいですな。もうどうでもいいと、いま安全委員会はいろいろと検討をして、炉を早く動かせ、こういう関西電力の要求に屈したと、こういうように答えてよろしゅうございますか。
○説明員(佐々木壽康君) 安全委員会は、特に大飯一号機の運転再開を了承したということではございません。通産省が行いました総点検結果に基づきます関西電力に対する指示が妥当であるということと、それから、このスリーマイルアイランドの事故にかんがみまして、通産省が解析計算を行いました緊急炉心冷却装置関係の解析結果が妥当であるということを言っておるだけでございまして、運転を再開するとか、そういう問題に関しましてはこれは通産省がお考えになることだと理解しております。
○片山甚市君 安全がわかるということは機構、機能がわかるということですから、町民の人が聞いて、なるほど、関西電力の言うことはわかりにくいけれども、安全委員会の人は日本語がわかるんだな、おれら百姓や漁師の者にもわかるような言葉で言ってくれたなと言ってくれるような説明はいっしてくれますか、安全委員会が、安全を宣言したものがですよ。しなけりゃいいんですよ、したんですから。あんたらだったらだめよ、あんたら信用できないから。安全委員会に頼んだんでしょう、安全委員会がいつやってくれますか。約束してください。
○説明員(佐々木壽康君) 先ほどもお答えしているわけでございますが、地元の方からまだ具体的な日程等が来ておりません。それで私どもとしましては、地元に対して十分説明できるような、解説を付したそういう説明資料をただいま準備中でございます。
○片山甚市君 下の方から、地元から何日に来てくれと言わぬからしてない。——わかりました。いまから私秘書に電話かけさして、そう言っておるからすぐに来るように、あしたでも来らすようにさせます。もう答弁要りません。そのときになってから困ったと言いなさんなよ。答弁は必要としない。 いかに当局が弁解しようとも、スリーマイル島の原発事故は、あなた方が最も信頼していたアメリカでも、物のみごとに私が今日まで主張し続けてきた危険の予告を裏づけてくれたと思う。悲しいことです。悲しいことですが、この問題に対する適切な答えが示されたと思う。私に対しては答えていると思うけど、この事故の概要、政府の所信、こういうものについてお聞きをしたい。科学技術庁になりましょうか、通産省になりましょうか。この事故ペンシルバニアのいわゆるスリーマイル島の原発事故についての概要について説明と政府の考え方をお聞きをしたい。
○説明員(向準一郎君) まず、スリーマイルアイランドの事故の概要でございますが、これは先生も御承知のとおり、まず二次給水系の異常で給水ポンプがとまりまして、そのために原子炉が停止した。通常の場合、給水ポンプがとまりますと補助給水ポンプがあるということで原子炉の運転に支障がないわけでございますが、今回はこの発電所で二週間前に補修作業を行っておりまして、そのときに補助給水ポンプの出口のバルブを締め忘れていたという事象がありまして、さらに加圧器の逃がし弁の故障とか、あるいはECCSを手動でとめたとか、いろんな事象が重なりまして今回の事故になったというふうにわれわれ理解しております。 それで、こういうようなスリーマイルアイランドの事故でございますが、われわれ原子力発電の安全を考えます場合に、本件は重要な問題というふうに考えておりまして、通産省では、先ほど話がございましたように、三月三十一日に資源エネルギー庁長官名で総点検指示を各原子力発電所にやっております。それから、各発電所にその結果等を踏まえまして立ち入り調査等もやりつつございます。そういうことで、運転中に守るべき保安規定等がどういうふうに今回守られているか、あるいは運転員の教育訓練がどういうふうになされているか等をわれわれ今回の事象にかんがみまして十分チェックしているというものでございます。
○片山甚市君 給水弁が閉じて事故が起こった。これは午前四時です。それから三秒か六秒のうちに加圧を下げる弁ですが、それが開いたとき百五十三気圧であった。九秒から十二秒に原子炉スクラム——緊急停止、そのとき、圧力高のために百六十気圧に上がったようです。三十秒後に給水のポンプが動いて、補助給水ポンプを使ったんですけれども給水弁は開かずと、こういううちに水位計の目盛りは六十秒で急上昇する、蒸気発生器の水位は下がった。こういうような形で順々に約十時間の記録も私のところにあるんでありますが、この資料見ておりましても、いま申しましたように、人為的ミスにするには適当でなかろう。先ほど申しました、新聞発表でありますからあなたたちは信用しないけれども、下院議員がアメリカで調べたならば、これは機械のミスだと言われておるんですが、それについては照会をしておりませんか。
○説明員(向準一郎君) 今回のTMI——スリーマイルアイランドの事故に関しましては、NRC等が、先生がおっしゃいますように機械設備的な問題、それからやはり操作上の問題等六つの要因があるというふうに発表しております。
○片山甚市君 よろしいです。どちらにしてもこういうことが起こるべきでなくて、人がミスをやったんだということにして原子力発電については安全だと言いたいと思いますが、NRC、アメリカの原子力規制委員会は、運転員の操作ミスによる事故との報告をまとめたようでございますけれども、アメリカでもそうでございますけれども、私の手元の資料では、職員への訓練のみで解決するような甘い事態ではなかったとの専門家の意見があります。それを含めて原発が安全なもの、それとも完全なものとして確認したものかどうか。これについて何回も聞きますけれども、安全なものであり、また完全なものなのかどうなのか。その間に人間のミスが起こる、この人為的なミスを中心に考えるのか、どちらなんでしょうか。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の安全性を確保するためには、先生がおっしゃいますように、やはり設備的に安全な設備ということがまず基本でございます。それから、やはり運転員等が十分訓練された運転員が配置されるということも必要でございます。そのように考えております。
○片山甚市君 それでは、加圧水型の方が沸騰水型より本来安全であると言われてきたことからして、沸騰水型についての対策は全く問題としないかどうか、沸騰水型についての対策、こういうことについてどういうようにお考えですか。
○説明員(向準一郎君) わが国の原子力発電所、特にこれはPWR、BWR共通でございますが、まず安全性の確保に当たりましては十分な安全設計がなされているという確認が必要でございます。そういう意味で、先ほどもお話しいたしましたように、わが国では電気事業法あるいは原子炉等規制法に基づきまして、基本設計の安全審査、それから詳細設計、それから建設中長期にわたります使用前検査、これは国の検査官が参って直接検査をしておるものでございます。それから毎年定期検査、一年に三カ月ぐらいとめまして原子力発電所の各部を点検するというような検査、それから運転中に守りますべき保安規定というものを認可いたしまして、それを守らせるということによりまして安全規制を行っておるものでございまして、PWR、BWR同様の規制で十分安全性を確保しているというふうに考えております。しかし、安全性の確保にはやはり今後とも十分万全を期していくべきだというふうにも考えております。
○片山甚市君 この種の事故は、実証的にその安全性を確かめられないのに何によって安全を客観的に認めるんですか。実験やコンピューターなど机上計算ではしょせん人間の頭で考えた事故の範囲しか想定できない。だからスリーマイル島のような事故が起きたのではないか。インターロック機能、いわゆる安全装置が働いていればどんな軽度の反応にも作動し直ちに機能が停止するはずでありますが、これはどうなっておりますか、お答え願いたい。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の設計の中で使われておりますインターロックあるいは安全性の考え方でございますが、これはBWR、PWR両方同じような考え方を使っておりますが、たとえばポンプが一台故障しますというようなことを想定しまして予備ポンプが設置されておりまして、予備のポンプが自動起動するような多重性というような考え方を使って設計しております。それからもう一つ、運転員が仮に誤りまして制御棒を引き抜くというような事象が考えられるわけでございますが、それにつきましても、引き抜きができないようなインターロックという安全装置が原子力発電所の設計にはP、Bともそれぞれそういうような考え方で採用されております。
○片山甚市君 いろいろ言っていますけれども、原子力棒はしょっちゅう抜き差しすると熱性障害が起きやすく、回復に二、三日はかかる。そうすると、ちょっとした異常のたびに作動されたのでは経済性の効率が下がるということで、まさにこんな装置にこそ手が入って人為的に少々のことでも作動しないようにしているのではないかという疑いがあるんですか、そんなことはありませんか。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所を運転します場合にはいろいろ運転上の制限値というものがございます。それは先ほどもお話しいたしました保安規定の認可ということで担保されているわけでございますが、それに決められたことというのは、運転中運転員が厳に守るべきことということで厳守されております。
○片山甚市君 そうすると、安全は守られておるということになるんでしょう。装置は安全だったというのでありますから、たとえば給水弁二つが同時に故障した事実について、弁を作動させるコンプレッサーは一つだったという、このような共倒れ故障、共通要因故障が起きるようなものでも完全なものだったと言うんですか。給水弁二つが同時に故障した事実についてもどう思いますか。
○説明員(向準一郎君) スリーマイルアイランドの事故で、まず一番初めに起こりました給水ポンプが全部とまったということで、いま先生がおっしゃいましたような給水の入り口弁等が閉まっていたということでございますが、これがなぜそういうことになったかというのはわれわれまだ十分わかっておりません。しかし、この場合でございましても、補助給水ポンプが直ちに起動いたしまして水を供給するというようなシステムになっているわけでございますが、このスリーマイルアイランドの事故の場合でございますと、補助給水ポンプの出口の弁につきましても、二つとも閉められていたということでございますが、これは明らかに保安規定といいますか、わが国で言います保安規定違反でございまして、アメリカではテクニカルスペックと言っておりますが、それの違反での運転状態が続けられたんじゃないかというふうに考えております。
○片山甚市君 よその国のことだからすらすら言って、大飯の問題についてはまあ安全だということしか言えないというのがわかりました。人のことはよく見えますからよく勉強しておいてください。人のことのあらというのはおか目八目というて、よう言うたものです。よう覚えておいてください。 大体加圧水型で決定的な瞬間に圧力を下げなければならないということは、ボイラーのかまに穴をあけるようなものであって、そのことが新しい危険を生むのは常識なんです。ECCS、緊急炉心冷却装置のみにすべてを頼っているような解決策は理解に苦しむものであります。加圧されている圧力容器の中は百五十気圧、三百度にもなっている。そこへ注水して冷却すれば直ちに水蒸気になり、放出される放射性物質が二次災害を起こすことは容易に想像できます。それでもなおかつ安全な装置と言えるのかどうかお聞きをしたい。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の安全性を考えます場合に、多重防護という考え方で、まず設備、各配管とか、あるいはタンク等を十分厳重につくるわけでございますが、万が一その配管が壊れまして、いま先生がおっしゃいますように、冷却水がなくなったという場合を考慮いたしまして、ECCS、非常用炉心冷却設備というのを設けております。このECCSにつきましても、たとえば高圧注水系あるいは低圧注水系等原理が異なりまして、多重性を持っておるネットワークを考えて炉心を緊急の場合でも冷やせるという設備を設けております。それで、このECCSの有効性等につきましては、安全審査等でも確認されておりますし、個別にはいろいろな実験等を踏まえたものが判断の基準になってそのECCSの有効性というのは確認されているというふうに考えております。
○片山甚市君 まあ人為的ミスにしたり、いろいろなことありましょう。そこで、スリーマイル島の事故について時系列にちょっと追ってみますと、加圧器逃がし弁が事故後三秒から六秒で開いて緊急停止の状態になって、原子炉スクラムは大体九から十二秒後、そのときは、逃がし弁作動時は百五十三気圧であったと書かれています。その百五十三あったものが百六十気圧まで上がりました。百五十三からいわゆる百六十に上がりました。それから、徐々に気圧が下がる問に次々とアクシデントが起きまして、操作ミスというが、二分後にECCSが作動し、さらに作動しなかった補助給水ポンプを八分後に手動で開き、激しい水蒸気発生に対するECCSポンプ閉鎖や再作動を十分から十二分後に、毎時十レムというような危険なコントロールルーム内で運転員が必死になって措置をしている状況が報告されておる点についてどう受けとめられているのですか。事故発生時から十秒以内に完全な機能が保障されなければこのような結果になるということを証明しているの であると思うけれども、どうでしょう。
○説明員(向準一郎君) スリーマイルアイランドの事故に関しましては、NRCが六つの設備的な問題、機械の故障、操作ミスというのを挙げています。その中にいま先生のお話ございましたように、まず補助給水系二系統とも出口弁が閉まっていたというようなこと、あるいは加圧器逃かし弁が閉まらなかったというようなこと、あるいは水位計によりまして早まって高圧注水系統を停止させたというような六つの事象を挙げまして、本件の事故がこういうような六つの事象の積み重ねで発生したというふうに発表しております。
○片山甚市君 ちょっと国内の問題に触れますが、大飯一号炉安全解析結果では、原子炉トリップ、蒸気発生器水位低下の応答までに三十三秒もかかるということを明らかにしておりますが、スリーマイル島の事故に関連してこれは大変なことであると思いますが、そうは思いませんか。
○説明員(向準一郎君) 大飯発電所の加圧器逃がし弁にかかわる解析を通産省でやったわけでございますが、それによりますと、まず通常ですと、日本に入っております加圧水型の原子炉ですと、二次側の給水ポンプがトリップいたしまして、しばらくの間補助給水ポンプが自動起動しないというような条件を考えましても、加圧器逃がし弁が作動しないという解析にまずなるわけでございます。しかし加圧器逃がし弁がそのまま作動いたしまして、それで噴きどまらないというような事象を考えました解析におきましても、加圧器逃がし弁が十五秒で開きまして、それから原子炉トリップ、これは蒸気発生器の水位異常低という信号で原子炉をトリップするわけでございますが、これが三十三秒で起こります。それからタービントリップも同時刻に起こっております。それから、大飯の発電所でございますと、ECCSの一つとして上部炉心注入系統——UHIと称しておりますが、そういう系統がございまして、それが百七十九秒で作動するということになっております。それから格納容器の圧力高という信号で安全注入信号が発せられまして、これが六百秒でございます。こういうようなシークェンスを追いまして、それから電動の補助給水ポンプを、二台でございますが、これが九百秒で手動起動するという条件でいろいろ解析いたしました結果は、原子炉は安全に停止し得るという解析結果を得ましたので、安全委員会に御報告をしてその妥当性の確認をいただいたわけでございます。
○片山甚市君 いわゆる、先ほど申しましたように、事故発生時から十秒以内に完全な機能が保障されなければならないというようになっておるにかかわらず、三十三秒ぐらいかからなければこれはとまらないということを言われておるのですから、それ以上素人がそういうような専門的なことに入りませんけれども、不思議なものだと思います。また、ECCSについて大飯一号機について言えば、上部炉心冷却装置はスリーマイル島のそれと構造が違うからといっても、まず小口径破断用高圧注入系が機能するのが常識であり、さらに大口径の破断用が機能したとしても三分後である。これは、スリーマイル島のECCSが二分後に作動しても大事故になっているのに、大飯の場合は三分後でなければ作動しない。これでは、母屋の火事を屋外の火災報知器が感知してからスプリンクラーが放水を始めて火を消していくようなものだという批判があるんですが、母屋の中で火事が起きても、外に置いてある火災報知器がわかってから、家が焼けてから水をぶっかけるようなものだと言われておるんですが、そんなものでしょうね、大体、大飯というところは。
○説明員(向準一郎君) いまECCSのTMIの事故に関します解析を大飯についてお話したわけでございますが、これは、小破断といいますか、加圧器逃がし弁からの噴きっ放しというような特殊な事象の解析でございまして、安全審査におきましては、これ以外に、そこの発電所の各配管のいろいろなサイズにつきましての破断を考えましたECCSの有効性というのを確認しております。その場合には、ある場合には加圧器の水位、あるいは水位と圧力によります安全注入信号、あるいは格納容器圧力高による信号、それぞれ早いものによりましてECCSが作動しております。 そういう意味で、今回の小破断のこういうような特殊な事象の解析におきましても、いまお話ししましたようなUHI、上部炉心注入系の作動とか、あるいは格納容器の圧力高のSI信号の発信ということで原子炉の安全停止はでき得るということを確認したものでございます。
○片山甚市君 私が素人でありますから、質問した事項についてもミスがあるかもわからないし、十分でないかもわからない。事実について十分にわかったものではありませんから、それはお断りをしておきます。 そういう、素人が問題意識を持つにかかわらず、専門家が心配している諸点について明快に回答をしないままに、原子力安全委員会が運転再開を認めた大飯一号、関電の扱いについては、まさに経済的視点、夏は渇水期になるから、電気が足らなくなるからということで、机上の空論で安全宣言をしたものと私たちは受け取っておりましたけれども、先ほどの話によれば、運転再開を言ったものでなく、それは安全だと言っただけだと。安全だといっても運転再開をしてよろしいということにならない、こういうように理解してよろしゅうございますか。
○説明員(向準一郎君) 大飯の発電所の一号機につきましては、TMIの事故が起こります前は、通産省の検査に合格しまして営業運転をしていたものでございます。それで、TMIの事象が起こりまして、大飯発電所につきましての日本での解析が必要であるということで、解析が済むまでの間は原子力発電所を、大飯発電所一号機でございますが、停止をするということになっていたわけでございますが、今回こういうような解析をいたしまして、その結果につきましても安全委員会の御了承を得たわけでございますので、あと、こういうようなものの取り扱いというのは、電気事業法の取り扱いに基づきましてわれわれ処置していきたいというふうに考えております。
○片山甚市君 何はともあれ、原子力安全委員会が現地に行って、これほど安全なものだということを言ってもらわない限り、町民の不安というものについて、いわゆる市民の心配については解くことはできない。これはわれわれ素人が幾ら考えてみてもどうにもならない。できるだけ御家族もそこへ移住してもらって、その原子炉のぐるりにお住まいになって、安全委員会の御家族が。そうすることが一番大切なことだと思っておりますから言うておきます。モルモットがわりにされるのはもうたくさんです。私は頭のよくない国会議員ですから、腹の底からそう思います。頭のいい人は、いろいろとスイスに銀行の口座を設けて金を預けてみたり、アメリカへ持っていったりするそうでありますが、私たちはそういうようなことのできるほど頭がよくありません。そういうことでありますから、とにかく関西電力が電力が足りないからやりたいという前に、市民ともよく相談をしてやってもらいたい。これは希望だけ申し上げておきます。御答弁をいただく必要はありません。 スリーマイル島の事故の第一日目に補助ビルからどの程度の放射能が出たのか、御承知でございましょうか、データがあれば教えていただきたい。
○説明員(向準一郎君) われわれ現在入手しておりますものでは、何キュリー外に出たかということは入手しておりませんで、大体敷地周辺での被曝線量あるいは線量率がどのぐらいであったか、あるいは敷地の周辺に居住いたします住民の集団被曝線量がどれだけであったか等については情報を入手しておりますが、その放出キュリー数等は入手しておりません。
○片山甚市君 私の手元にあるデータというよりも情報によると、大体約百万キュリーぐらいであったと言われておったのが、その後三百三十万キュリーぐらい出た、こう言われておるようです。私の質問はそれではなくて次の問題に重点があります。日本の場合、仮想事故、起こり得ないものですが、東海村の最大限の数値はどうなっておりますか。
○説明員(佐々木壽康君) 日本の場合、原子炉の設置許可の際に、この東海村の場合ですと当時の原子力委員会が安全性の審査を行っております。その日本の場合、立地審査指針というのがございまして、これによりますと、仮想事故というものを想定いたしまして、その仮想事故によりましてどの程度人口密集地帯との距離が必要であるかということを一つ想定しております。その目安といたしまして、仮想事故の際に集団被曝線量が二百万人レム以下になるということを一つの目安として使っております。で、東海村の原子力発電株式会社の設置しております軽水型の原子炉の場合でございますが、東海第二発電炉でございますが、これが現在のところ、これまで行った安全審査に際しましての最大の積算−国民遺伝線量といいますか集積線量でございまして、その際二十万人レムという数字が出ております。それから、ちなみに今回のスリーマイルアイランド事故の際の積算線量は、NRC等の発表によりますと、現在のとろこは二千ないし四千レムというふうに評価されております。
○片山甚市君 レム、ラドあるいはキュリー、こういうことがありますけれども、これは七十万キュリーではないんでしょうか。
○説明員(佐々木壽康君) 被曝を評価する単位がレムでございまして、キュリーの方はその放出された放射性物質の量を示しております。問題になりますのは、やはりその放出されたものの結果として人間がどれだけの被曝を受けるかということの評価が重要なポイントになるということでございます。
○片山甚市君 スリーマイル島の事故は、東海村で考えるよりは放射能のいわゆる汚染度は少ない、漏れば少ないと、こうお考えですか。
○説明員(佐々木壽康君) 最初にお断りいたしましたけれども、あくまでもこの東海村の原子力発電第二号炉につきましては、審査の段階で、このサイトが十分人口密集地から離れているということを評価するために計算したものでございます。
○片山甚市君 これをとらえてみても、スリーマイル島というようなところで起こった事故でありますけれども、日本のように人口の密度や周辺の環境を考えてみると、どこの原発にも安全性の確保を言えるところはないと思います。わが国の安全に対する基本的な対策はきわめて危険であると断定し、すべての原発を停止させて再度納得のいく調査をすべきであると考える。すなわち、相当の距離を離さないと危ないということは、事故が必ず起こり得る前提がある。ところが、いままでは大飯の皆さんに対しても、関西電力は絶対起こらないようにしてあるときれいなところを見せて安心さしておったと、ところが、本当は事故が起こったら大変になるので人のおらないところを探し回って歩いておると、こういうことが本当ですね。お答えください。
○説明員(佐々木壽康君) サイトの選択につきましては通産省の問題でございますから私どもからお答えする問題ではございませんが、立地審査指針というのがございまして、それに基づいて、その選択されたサイトが十分周辺住民に対して影響のないような、対処し得ると、そういうサイトであるということを私どもの方は確認しているわけでございます。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の安全確保ということで、現在電気事業法等で、先ほどお話しいたしましたように、毎年定期検査で三カ月ほどとめまして厳重な検査をしております。それから、やはり運転中の放射能の放出管理等重要な問題でございますので、われわれ今後とも十分運転中の管理につきましても指導していきたいというふうに考えております。
○片山甚市君 それじゃあなたの方の話に合わしてちょっとお聞きします。 アメリカのマンクーゾ博士の報告によると、千人レムで数人のがん死者を予測しています。発表では事故初期には千八百人レムと言われていたが、三千五百五十人レムと言われております。これは解釈によってはがん死者がどんどんふえていくということを意味する。もっと広い範囲の生態系に影響が出てくるのではないかと考えます。とにかく一度事故が起きたら際限もなく問題を起こすことにほかなりません。その意味でわが国の原子力発電所の再点検は根本的にやり直すべきだと思いますが、もう一度通産省にお聞きします。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の安全性ということで、設備の面と、それから環境に出します放射能と二つの面があるかと思います。設備の面につきましては、先ほどお話しいたしましたような、毎年設備をとめまして厳重な点検をすることによって設備の故障等は十分防止できるのじゃないかというふうに考えております。 それから、環境に対します放射能につきましては、先ほどからお話しいたしておりますALAP、可能な限り低い放射能の放出にとどめるという原則でわれわれ指導してきておりますし、今後ともそういう方向でやってまいりたいというふうに考えております。
○片山甚市君 最近の事故に、たわみピン、支持ピンが折れていたとか、曲がっていたとかよく聞くけれども、それは大した事故ではないでしょうか。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所で定期検査等をやっております場合に、こういういろいろな事象が発見されるわけでございますが、いま先生のお話にございました支持ピン、たわみピンという問題は、昨年の九月でございますが、関西電力の美浜の発電所第三号機の定期検査のときに発見されたものでございます。これは制御棒の案内管を支持いたしておりますピンの一部が折損をしていたというのが、定期検査でとめて内部を点検しているときにわかったものでございます。それでこれにつきましては、通産省といたしましては、ほかの加圧水型炉につきまして定期検査の際にはこういう部分を十分見るという方針で点検をしてきております。それで、ほかの発電所につきましても類似の支持ピン、あるいはたわみピンの損傷というのは発見されておりますが、これにつきましてはいろいろ通産省の原子力発電技術顧問会という専門家の先生の御意見等もお聞きいたしまして原因を究明したわけでございますが、これは支持ピンあるいはたわみピンに作用いたします力——応力と言っておりますが、その力と、それからその材料——インコネルという材料を使っておりますが、この材料の割れに対します感受性というのが、熱処理が十分じゃなかったということもございまして、これの重畳によりまして発生しているということがわかったわけでございます。それでこの対策につきましては、熱処理条件を十分問題のない温度でやるということと、それから運転中、あるいはボルトを締めます締めつけの力を減らすというようなことで、そういうような応力を低減させる構造というものに取りかえる方向で現在検討しているわけでございます。これにつきましても安全委員会に現在御相談をしておりまして、結論をいただければそれによりまして各発電所の対策としてとっていきたいというふうに考えております。
○片山甚市君 いまおっしゃったように、三月には美浜、高浜、玄海、四月には玄海、高浜、伊方、五月には高浜と、それぞれピンが五十五本とか何本とかいうような形でゆがんだり曲がったり、あるいは折れておる、こういう事故がある。こういうことで、検査してわかったということでありますから私たちは安心をすることはできないということをもう一度申し上げておきたい。精密が要求されている中心部分の構造では一分のがたも許されないはずでありますから、ボルトのみの問題ではなしに、間違えば制御不能に陥る状況を考えると大したことではないということでは済ますわけにいかぬ。こういうものは大したことである、大変重要なことであると通産省お考えでしょうか、その点は。
○説明員(向準一郎君) 今回発見されました支持ピンあるいはたわみピンの損傷が、いま先生がおっしゃいます制御棒の挿入の機能に影響を与えるかどうか等われわれ実験等で今回確認をしております。たとえば工場で支持ピン等が外れましたものにつきまして、横から力を与えまして、それで制御棒の挿入性等に問題はないかどうかという確認もいたしております。そういうことで、いま直ちに問題になるというようなものでないことは確認しているわけでございますが、先生のお話にございますように、原子炉の一番大事な内部の部品の外れとか折損ということでございますので、やはり品質管理という問題で重要な問題というふうに考えておりまして、ほかの発電所等の定期検査についても厳重に検査いたしますとともに、今後とも毎年の定期検査ではこういうところは十分チェックしていきたいというふうに考えております。
○片山甚市君 十分にやっていただけるということをまず確認をしておいて、アメリカでは今後の原発設置には避難計画が立てられなければ認めないと聞いておりますが、わが国ではどういうことになりましょうか。
○説明員(米本弘司君) 原子力発電所におきましては、先ほど来お話ございますように、立地とか、あるいは安全防護施設等につきまして、原子炉等規制法に基づきまして周辺環境の安全を確保するための安全規制が行われておりまして、原子力発電所に万が一事故が発生した場合におきましても、周辺の公衆に影響を及ぼすことがないように措置されているわけでございますけれども、しかしながら、こういった安全規制の考え方とは別に、万々が一事故が起こった場合も仮定して、災害が起こった場合にも影響から住民を守るために万全の対策を確立しておくことが重要であると考えております。こういった考え方から、従来から災害対策基本法に基づきまして防災対策の整備が図られまして、関係各機関、自治体等におきまして防災計画が作成されているところであります。避難場所につきましてもその防災計画の中に盛り込まれているわけでございますけれども、場所につきましては、具体的には災害の大きさであるとか、あるいは気象条件等によって退避が必要と考えられる場合には具体的にその場所を選択しておかなければならないと思いますけれども、こういった自治体が地方防災計画を定める際に、この計画の中で避難場所として選択すべき適切な学校であるとか、公民館であるとかいうことをあらかじめ把握しておくことは有効であると考えますし、現にそういったところが定められておるわけでございます。
○片山甚市君 どっかの水害と違うんですよ。小学校行って助かるだの、そんなものと違うでしょう。まあいいでしょう。その程度しか放射能というものについての認識がない。アメリカは、自分がやってみて退避計画がなかったら大変だと思う。だけれども、アメリカの欲ぼけが原子力発電所を売りつけて、世界じゅうにプルトニウムをつくらせて、それを持って帰って原子爆弾をまたつくると。自分が使おうと思って、日本がいいダシになっただけのことじゃないですか。まあそれ以上は言いませんよ。私の意見です。奴隷ですよ。日本の国がちょうど水がある。水がなかったら原子力発電所できませんよ。それでアメリカのために一生懸命プルトニウムをつくってあげて、アメリカへ持って帰って原子爆弾をつくって世界を支配する、その道具に一生懸命なろう。このために一生懸命ビルつくって冷房して、それで、夏、冷房の電力が要るから、仕方ないから原子力発電所をつくろう。こういう循環をして、国民をだましておるというように言っておきます。私の意見ですから、これは。あなたに求めてもしようがないです。もう憎たらしくてしょうがないですね。人の子かと思う、そういう答弁するのは。 そこで、五十二年度の原子力発電所の労働者の被曝の状況はどうなっておって、それで五十三年度、昨年はどうなっておるか、これ、どちらでもよろしいが比較してください。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所におきます従事者の被曝状況ということでございますが、いま手元に持っておりますのが五十二年度と五十一年度でございますので、これにつきましてお答えさしていただきたいと思います。 まず、五十二年度の被曝状況でございますが、総被曝線量につきましては、約八千人レムということになっております。それで一人当たりの平均被曝線量というのが〇・三二レムということでございまして、それでこの従事者の許容被曝線量といいますのは、先生も御承知のとおり、三カ月三レムあるいは一年間五レムということでございますが、五十二年度、許容被曝線量を超えたというものはございませんでした。それから五十一年度でございますが、これは総被曝線量につきましては約六千人レム、一人当たりの平均被曝線量でございますが、これは〇・三二レムということでございます。それで、従事者の許容被曝線量を超えたものは同様にございませんでした。ですから、平均被曝線量で五十二年度、五十一年度を比較いたしますと同じ数値になってございます。それから、総被曝線量が五十二年度が五十一年度に比べまして増加しているわけでございますが、これは原子力発電所の定期検査をいたします発電所の基数がふえておるということによるものではないかというふうに考えております。
○片山甚市君 厚生大臣、放射能というのは蓄積をするということ、お知りになっとらんようだから、検査をすればするほど、人間が入りますと入るたびに放射能を体の骨髄の中に入れるんだと、初歩的なこと知りませんで機械のことはよく知っとるんです、この原子力とか通産省というような金もうけをするためには手段を選ばない人たちは。しかし、厚生大臣は違うと、これは人はだのぬくもりを感ずる人ですから、ひとつそのあたりを区別をしてちょっと考えておいてください。 アーサー・タンブリン博士やジョン・ゴフマン博士の経歴などについて御承知をしておられますか。——時間が、あと初村先生もお話をしていただくので、私時間を省略したいので、急いで私から言います。 ジョン・ゴフマン氏はウラン233の遅速中性子及び高速中性子による核分裂性の共同発見者であります。プルトニウムの分離に関する酢酸ウラニル及び酸化コロンビウム法の共同開発者でもあります。同博士は、一九四〇年、ウラン233が核分裂する物質であることを発見し、核の平和利用のために長年研究してきましたが、博士自身放射能の恐ろしさを悟り、核実験や原子力発電所に強く反対する一人となっておられます。その博士が、最近のある集会で、「あのころの私は全くばかだった。原子力産業はこの地球を住めないようなところにしているだけだ。大体放射能の許容量なんてものは殺人を合法化することにほかならない。カーター大統領も、シュレジンジャー・エネルギー省大臣も、議会も、原子力産業の発達を許すことによって殺人を犯しているのだ」と述べておられます。私は国会議員として殺人者と言われたくない。それはいまからでも遅くない。大平総理もその他の関係閣僚も、みずから殺人者として子孫から言われることのない政策を直ちに示すべきであると思いますし、改むることにはばかることはないと思います。 私は厚生大臣にもう一度お伺いをいたしたい。どうか、原子爆弾は三十三年前に落とされて、一瞬のうちで被爆をした人たちが嘆いておる問題を、いま何回もかかって議論をしておるところでありますが、温かい手が差し伸べられることを期待をし、来年度にはこの話が曲がりなりでも被爆者の皆さんから生きておってよかったと言ってもらえるように、それで新しく通産省が中心となってつくる——石油がない、何がない、何がない、あり余るものをつくっておる通産省が、そう言いながら、夜間の電力は有効に使われないまま流しつ放しで、たれ流しでありながら、妙な規制ばかりしよる。工業用が八割、家庭用が二割のいわゆる電気であることも事実でありますが、そういうふうに考えてみますと、私は人間を大事にするために、原爆に対する放射線——原爆というのは正しくはない、放射線による病人をつくらないように、厚生行政の立場からも、原子力発電所のいわゆるプルトニウムを生産する過程を通じての問題について、一歩足を踏み込んで努力をしてもらいたい。これは縦割りでありますから厚生大臣がとやかく言うべきことではありませんでしょうけれども、原爆被爆者のような同じ状態のものが、これからスモンと同じように十年か十五年たったら必ずその地域から起こってくるに違いない。こういうような危険を感ずるので、厚生大臣が冒頭に申された、来年度には小沢大臣が言われたことが実って、援護法のような形のものに変わることができるように努力することを御表明いただいて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。大臣、御答弁を願います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほどからの片山委員の御質問を伺いながら二つ感じたことがございます。一つは、現在の原子力発電所の安全性というものについて、スリーマイルアイランドの事故発生以来、周辺の住民の方々が非常に心配をしておられる。それに対して、いまの学問の分野からは安全性の確認がなされております。それを片山さんの言われた言葉をそのままに拝借すれば、一般の市民にもわかる言葉で説明をしていく努力を、なお政府もしていかなければならないということがまず第一点であります。 また第二点は、これはもう原子力というものが石油の将来を考えるときに考えていかなければならない一つの大きなエネルギー源であることは間違いのないわけでありますから、その使用というものについて、安全性というものにはいかに配慮をしても配慮し過ぎることはないということでありまして、こうした点、これは私は科学技術庁もまた通産省当局も十分に努力をしてくれるものと考えておりますが、もし万が一ということを考えた場合に、それに対する対応というものも十分また考えておかなければいけないということでありまして、これは私ども厚生省の立場からも十分研究もし、またその中で努力もしてまいりたいと、そのように思います。 同時に、従来政府は、私がかたくなにと申しては差しさわりがあるかもしれませんけれども、特別な社会保障という言葉でかたくなに国家補償という問題については門戸を閉ざしてきたわけでありますが、昨年の最高裁の判決というものを受け、また制度審からこうした答申もいただいたわけでありますので、私どもとしてもう一度この原爆対策というもの、また原爆被爆者に対する問題についての基本理念を明らかにしていくということを申し上げました。この結論がいつまでに出るということは私は確言はできません。しかし、できるだけ早くその基本理念についてお答えを示していただくというための努力は私どももしてまいりたいと思いますし、それが将来の被爆者対策の上に、御検討を願ったものが必ず生きてくるように努めていくということは、私であろうとだれであろうと、厚生大臣のその職にある者の責任であると考えます。今後においても全力を尽くしてまいりたいと、そのように考えております。
○初村滝一郎君 もう時間が十二時を過ぎておるわけでありますけれども、私はこの原子爆弾被爆地域の拡大について、ただ一本にしぼって厚生省側の見解をただしたい。 その前に、私はまず大臣として、従来自由民主党の社会部会長、あるいはまた原爆特別対策委員として非常に被爆者に対して温かい御意見等をいただいて感謝いたしておるわけでありますが、何さま被爆の国の国民とし、さらにまた被爆県の県民として、一応県民の代表として厚生省側にこういうことを考えておるんだということを申し上げなければならないということできょうは質問に立ったわけでありますので、ひとつ寛大なる大臣の御見解を賜りたい。 御承知のとおりに、昭和三十二年に医療に関する法律をつくっていただきました。さらにまた、四十三年には被爆者に対する特別措置というものを法律でつくっていただいて、二つの法律で被爆者の健康管理及び福祉等の諸施策を積極的に推進していただいておりますことをまず私は衷心からお礼を申し上げたい。しかしながら、原爆の特異性から、被爆後三十有余年の長い間、社会的医学的後遺症に苦しむ、さらにまた今後も終生悩み続けねばならないという宿命を持っておる被爆者一あるいはまた遺族の心情を考えますときに、私はやっぱり画期的な援護対策の確立が強く要請されなければならない、かように考えておるものであります。 そこで私は、被爆者対策の重要な問題でありながら、ここ数年来被爆地域の拡大が思うようにならないというようなことで、早期的解決を期待いたしまして私の所見を申し上げてみたいと思います。 〔委員長退席、理事小平芳平君着席〕 この拡大の問題につきましては、すでに御承知のとおりに、長崎県の要望はお手元に地図を差し上げておるわけでありますが、爆心地から十二キロの線上にかかる地域を健康診断の特例地域に指定していただきたいということであります。それから一方、広島県側は当時被爆を受けて黒い雨が降ったんですね。そこでこの黒い雨の降雨地域を被爆地域に指定していただきたいというのがそれぞれの立場でございます。 そこで、おかげをもちまして長崎県側の要望に対しては、昭和四十九年の六月に、長崎市に隣接する旧時津村、旧長与村、この地図の一番北の方にある青い色で書いたところがございます。ここが健康診断の特例地域に指定いただいたわけであります。それからさらに五十一年の九月に、爆心地からおおむね六キロの線上にかかる地域が健康診断の特例地域に指定されておるのであります。それから広島の方は大体黒い雨の降雨地域の中心部、横を十一キロ、縦を十九キロ、これが健康診断の特例地域に指定されておるのであります。それぞれの地域の住民は、健康診断に限り原爆医療法に基づく被爆者とみなされ、年二回の定期健康診断、それから年二回の希望による健康診断が行われて、しかも健康診断の結果、厚生大臣が指定する特定疾病、これにかかっておる者には被爆者健康手帳が交付される、また各種手当が支給され、被爆者としての処遇を受けるなど、これら住民の健康の保持と福祉の向上が図られておるのであります。これはひとえに政府の関係者の深い御理解と格別の御努力のたまものであり、これまた一応深く感謝を申し上げる次第であります。 本日は、以上申し上げましたような経緯を踏まえて、特に長崎の関係住民を初め、県民ひとしく多年にわたって念願しております爆心地から十二キロメートルの線上にかかる地域までの健康診断の特例地域に指定していただきたいという問題に触れてみたいと思います。 被爆地域の拡大を要望している根拠の第一は、原爆医療法に基づく現行の爆心地域並びに健康診断特例区域は、爆心地から南北、この地図の一番下と一番上の方に約十二キロ、こうあるわけですね。十二キロの線の中にはこれは完全に入っておるわけなんです。ところが、東西は六キロの線上にかかる地域が指定されておる関係から、地域の相対的関係から、現行の爆心地域及び健康診断特例区域と周辺の未指定地域との間に指定格差が生じているのであります。これをこういうふうに私は考えておるものであります。原子爆弾というのは上からぽんと落ちておるのですから、南から北に長くはいっておらぬわけですから、やっぱり南も西も丸く落ちておるのですから、それはやっぱり十二キロの線上に指定するのが妥当ではなかろうか、かように考えるわけであります。これが第一。 〔理事小平芳平君退席、委員長着席〕 第二は、周辺十二キロ線上までの未指定地域は、原爆被爆当時かなりの人的物的被害を受けておるのであります。ちなみに被爆当時の人的物的被害の状況を、昭和四十九年四月に関係住民を対象に実施した健康診断の結果、概略について簡単に説明してみますと、当時の在住者が六万七千四百八十一人おったということなんです。その中の一万七千九百五十八人、すなわち全体の二六・六%の方々が何らかの身体的被害を受けているということであります。当時の戸数で一万三百七十八戸そのうちの四四%、四千五百七十二月が何らかの形でこの原爆の被害を受けておるという事実であります。それから第二番目は、関係住民の健康状態でございますけれども、住民の健康診断の結果では、健康診断を受けた七千百一名のうちに、精密検査の受診者が二千八百六十五人、この精密検査受診者のうちの千七百六十九人というもの、健康診断受診者総数の二四・九%の人が何らかの疾病にかかっておるという事実であります。こんなに疾病の発現率が高いということでありますから、以上申し上げましたように、現に拡大を要望しております地域と、四十九年と五十一年にみなし地域に指定をしていただいた地域は全く同一条件下に置かれておると確信をしておるのであります。 それで、さらに御承知のとおりに、この長崎に落とされた原子爆弾の威力は広島に落とされた原子爆弾の威力の一・八倍、約二倍の強い威力のものが落とされておるんですよ。この点はあらゆる資料によって御承知のとおりでありますけれども、中でも日本学術会議編さんの原爆災害調査報告集、あるいはまた長崎原爆戦災誌によれば、十キロ、あるいはそれ以上も高いところから落とされたわけですね、そこに落ちた煙があったと。あるいはまた、上の方は西風に送られてずっと離れております島原方面の上空に流れていったという事実なんですね。あるいはまた、地上五百メートルの空中で炸裂をした原爆は直径が三千メートルに及んでおると、それで巨大なたつまきをあらわしたということなんです。この黒い灰や微量物が、地図でありますこの矢上、あるいは古賀、田結、江の浦、こういうふうに長崎市の東北部の各村に飛び散って、そのためにサツマイモの葉っぱの上が薄うく白くなっちゃって、そして字が書けるような状態がはっきりしたということもここにあらわれておるわけであります。 さらに、すでに御承知のとおりに、ラジオゾンデ、これはもう爆心地から第一、第二、第三と東北の方にありますでしょう、戸石村、田結村、江の浦等に落ちているわけですね。だからして、原爆の偉大な威力が限りなく広範囲に及んだことはいままで私が申し上げましたことによって大臣は想像ができるであろうと解釈をするものでありますが、当該地域住民の証言によりますと、爆心地から八・五キロの地点で川の中で泳いでおったと、被爆の熱線によって体全体に水ぶくれができたということですね。そしてその後内臓が悪くなり、原因不明のまま昭和四十二年に死んだということなんです。あるいはまた、爆心地から十キロないし十二キロの地点で、出血して毛が抜けてしまった状態がある。これは南西の伊王島、これはもう十二キロに入りますね、ここでもそういう証言がなされておる。これは単に私は一部の証言を申し上げたのでございますが、これらもろもろの事実から拡大要望の根拠なり、指定の必要性に十分に御認識が、御理解ができたと思いますが、私は早急に指定をしてはいかがなものだろうかということをお聞きするわけであります。 そこで、簡単にお聞きいたしますが、先般残留放射能の試験をした結果、いまなお放射能は残る、しかし人体に影響はない、こういう報道をされておりますが、その中で、その調査結果について、厚生省は西山地区以外では残留放射能が検出されなかったために指定地域を広げる必要はないとの態度だと、こう新聞には報道されておるわけでありますが、これが事実なのかどうか、これをお聞きしたい。で、事実であるならば結局指定する意思がないと解釈をせざるを得ないわけでありますが、これに対する大臣のまずお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) この地域拡大の問題につきましては、長い間初村委員からも、また他の委員の方からも御議論をいただき、また関係者の方々にも、私自身も何遍もお目にかかりながらお話も伺っております。そして、その中で、すでに被爆者手帳を持っておられる方々が中心になって長崎県で地域拡大の運動をしておられるという実情も私もよく存じておるつもりであります。ただ、やはり国の行政として地域拡大を行うとすればそれなりの根拠がなければなりません。これは五十一年当時、また五十三年の調査を行います前段階において、本院の社会労働委員会におきましても、また衆議院の社会労働委員会におきましても、同様な見地からその調査を実施するということで政府は調査の実施に踏み切ったわけでありますが、その結果として、確かに五十一年の調査の結果としては、長崎の西山地区を除いては広島、長崎ともに残留放射能が特に高い地区というものは認められなかった。また五十三年の調査結果からは、広島、長崎ともに特に調査地区について原爆からの核分裂生成物が残留しているとは言えないという報告がなされております。ということは、この二回の調査からまいります限り、現在指定されております地域を拡大すべき放射能の影響というものは認められていないということでありまして、する意思があるとかないとかの問題ではなく、その調査の結果からは、地域拡大を行う必要性があるという結論が出てこなかったということでございます。
○初村滝一郎君 そうすると、私が質問の中で申し上げましたとおりに、現行の被爆地域と周辺の未指定地域の指定格差、これは不合理であると私は思いますね。長崎の地形を見た場合に、こうすりばち山のようになっておるわけであります。それはもうごく距離が四、五キロしかないわけです。その東側と西側に、これはずっと平たんになっておる。上から落ちておるのですから、やはり緑と青の地域と黄色いところとは同一条件にあるわけですよ。しかし、そこを大臣考えてもらわぬと、非常に私どもは指定が不合理であるということを十分解釈せざるを得ない。 それと、私は四十九年四月二十五日の社会労働委員会での齋藤国務大臣のとき、三浦政府委員の答弁がこういうことを言っておる。「これだけで十分かどうかということになりますと、私どものほうも」、要するに厚生省側も「必ずしもそれは十分とは申せない点がございます。そういう関係から、本年度は長崎県及び広島県に依頼」して云々、「その結果を待ちたい」と思います、こういうように答弁されておるわけですが、広島は黒い雨の地域を指定してくださいという要望なんですからね。私はしてやっていいと思うんですよ。長崎県側は一応南北は十二キロになっておるんですから、東南もまるめて十二キロにしてくれという主張なんですからね、これは当然そうしていいんじゃなかろうかと思うわけなんです。この点について再度御確認を願いたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは初村さんがよく御承知のように、この線引きを決めます際に、たとえば旧の地名で申しますなら時津村ですか、あるいは長与村と申しましたでしょうか、ちょっと正確な読み方を確認しておりません。こういうところ、地形とか風向き等を勘案して指定をされたわけですが、この指定の時点で市町村の行政区画の単位をもって指定をしましたために北端が十二キロに及んだという経緯があることは初村さんよく御承知のとおりであります。そして、まさに初村さんが御指摘のように、長崎という町の地形、これは相当凹凸のある地形でありまして、放射線というものの性格上そういう障害物によっても到達距離等が全然違ってくることもよくおわかりのとおりであります。そして、そういう中でこれらの地域を指定をいたしました際、初村さんから、また他の委員からもいままさに御指摘のような御議論がありました。そしてそれを受けて五十一年調査を実施したわけであります。そしてその結果が、広島の黒い雨地域につきましても、そのときの大雨また小雨の状態であった地域のいかんにかかわらず原子爆弾によるその残留放射能の影響というものが認められないということが報告をされたわけであります。また、長崎においても同じことの結果が報告をされたわけでありまして、いま私どもはその十二キロという半径の拡大について、科学的な何か根拠があればこれは本当に行政当局としてもすぐに対応しなければならない、またすぐに対応できるものだと私も思います。しかし、現実に五十三年調査をいたしましてもそういう条件が出てこなかったわけであります。ですから、先ほど初村さんは意思がないという言葉を使われましたけれども、この調査の結果からは、意思の有無ではなく地域拡大を行う必要性ありという科学的な根拠が出てこなかったと私は申し上げておるわけでありまして、その状況というものはいま申し上げたような原因であります。また、その線引きが不公平だと言われますけれども、その線引きそのものについても、長与村あるいは時津村の指定の時点で、行政区画として指定をすれば半径十二キロの線まで到達する部分が出ることは皆さんも御承知だったわけでありまして、そして当時はそれで指定をしてほしいというのが皆さんの御意見だったと私は記憶をいたしております。ですから、線引きというものは、どこで線を引くかによってその線を引いた場所とその外側とが、実はどこに線を引きましても同じ問題が出てくるわけでありまして、私は関係者の方々の御意見、お気持ちというものもよくわかりますし、また、ことにすでに自分たちが被爆手帳をお持ちの方々が地域拡大運動の中枢になっておられるという長崎県の関係者のお気持ちもよく理解できるということは先ほどから申し上げております。ただ、科学的根拠、何らかの根拠がなければ、これはそれこそ行政として簡単に対応できる問題ではございません。ただ、私どもとしては、これは周辺の未指定地域の住民感情というものもそれなりに理解できるものでありますから、今後とも関係者のお話は十分伺いますし、また当方としてもお話をして住民の方々の納得を得られるような努力を続けてまいりたいと、そのように思っております。
○初村滝一郎君 時津村と長与村を指定地域にする場合に、右端の黄色い線、これは伊木力村、大草、喜々津村、これは町村合併をして多良見町という、時津、長与町が指定された時点で多良見町も実は追加してきたんです。どうしても事務的処置が間に合わないからして一年待ってもらいたいという御回答があって私どももそのままにしておるわけですね。したがって、これ何ら変わらない。相対的関係を見た場合にどうしても納得がいきにくい。この地図の中にもありますとおりに、いろいろな黒い雨が降ったとか、あるいはまた畑のそばで被爆を受けて顔面に火がついたというような問題とか、ここにずっと記載しておるわけでありますから、私はくどく申し上げませんが、科学的根拠がないからというて、むげにこれを突っ張ることなく十分ひとつ再考していただきたい。再考ぐらいなことは大臣答弁していいんじゃないかと思うんですがね。そういうことを要請し、御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、未指定地域の住民感情もよく理解をできますから、私どもとしても今後も十分関係者のお話も伺いますし、また私どもとしても御理解を得るように一生懸命努力をしてまいりたい、そのように考えております。
○委員長(対馬孝且君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩をいたします。 午後零時三十八分休憩 —————・————— 午後一時四十分開会
○委員長(対馬孝且君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、安武洋子君が委員を辞任され、その補欠として渡辺武君が選任されました。
○委員長(対馬孝且君) 午前に引き続き、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○渡部通子君 原爆被爆者に対する対策につきましては、国家補償に立脚した援護法、これを制定しようと、こういう私たちの意見に対しまして、従来政府が一貫してとっていらした態度は一般戦災者との均衡論あるいは財政論、こういったことでございまして、一般戦災者との相違通を放射能を被曝したという一点に置くために、そこから健康と肉体に不安を持つ被爆者に対処すればよいといった考え方、こうしたものが色濃く貫かれてきたと思います。したがって、対症療法的な手当制度が基礎になっておりまして、国家補償を要望する側とは基本的に考え方の上で違ってきていると、私はこう思いますけれども、橋本厚生大臣の御所見をまず伺いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに渡部さんが御指摘のように、従来私どもは政府として、被爆という実態においては一般戦災者の方々と原子爆弾被爆者の方々と区別する区分はないと、ただ原子爆弾という、当時人類が予想だにしなかった特殊な兵器によって長崎及び広島に非常に大きな惨状を来した。その大きな相違点というものは、放射線また放射能の被曝による人体への影響というものだということから、一般の社会保障の体系の中ではこれは大変むずかしい、またその実態に対して十分に償うことができない、その一般の社会保障の枠を一歩踏み出した特殊な社会保障としての考え方をすべきだということで原爆二法を創設をし、そしてその中で被爆者の方々の援護に心を使ってきたわけであります。ところが、そうした考え方に対して、従来から参議院及び衆議院の御審議の際に、基本的に国家補償の精神に基づくものにその体系を改めろという御意見が多く出されておりました。そして、それに対して前述したような考え方を政府としては申し述べてきたわけでありますが、昨年の孫振斗さんの事件についての最高裁の判決によりまして、むしろ私どもは、従来の社会保障の中から一歩踏み出した特殊な社会保障という位置づけをしてまいりましたその原爆二法の根底そのものが国家補償的配慮があるんだという御指摘をいただいて、そういうふうに考えるべきものかということを改めて私どもとしては受けとめさせられた次第でございます。
○渡部通子君 そうしますと、昨年三月三十日の最高裁判決ですね、国家補償的性格も併有するという。これがございましてから、それ以前と以後で政府の認識に変わりはございますのですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは最高裁の判決によって、現行の二法そのものが国家補償的な考え方というものが根底にあるんだということを確定されたわけでありますから、私どもとしても当然そういう解釈に立脚をいたしております。
○渡部通子君 厚生省の考え方がそのまま最高裁の判決であったのか、それとも最高裁の判決を受けて多少なりとも前進をする認識にお立ちになったのか、その辺のニュアンスを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほども申し上げましたように、私どもは社会保障の一般の枠から一歩踏み出した特殊な社会保障という位置づけをしておったものを、最高裁の判決によってその基本には国家補償的配慮が行われているんだという御指摘を受けたわけでありますから、その御指摘を受けていまのような考え方に立っておるわけであります。
○渡部通子君 社会保障制度審議会が、専門家による権威ある審議組織を設けるように答申したことを受けまして、そのためのメンバー、その選任も決まったようでございますし、そこで検討すべき内容も衆議院の審議を通じて明らかにされてきたと思いますけれども、そういった経過、あるいはこれからの審議会の開催の具体的なスケジュール等についてお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いま申し上げましたような最高裁判決を受けて私どもの考え方を基本的に変えました後におきまして、現行の原爆二法を一本にまとめられないかというようなお話も実は私どもとしてちょうだいをいたしました。そして、そうしたことが可能であるかどうか内部でずいぶん論議もし、まは内閣法制局等の意見も聞いたわけでありますが、現行の二法をそのままに一本化するということでは何らメリットがない、むしろ焦点がぼけてしまうのではないかというような御指摘もありまして、私どもとしては、現在御審議を願っておりますような二法の形態で内容を確定し国会に提出をいたしたわけであります。ただ、その過程におきまして、社会保障制度審議会の方から、やはりこの際、原爆被爆というものに関する問題を考える場合に国としての基本理念を明らかにすべきであるという趣旨の御意見をちょうだいをし、あわせてその基本理念を明らかにし、それに立脚した被爆者対策というものを考えろという御指摘をいただきました。そこで私どもとしては、各界の権威の方々にお集まりをいただきまして、厚生大臣の私的諮問機関として原爆被爆者対策基本問題懇談会というものを発足させることに決意をいたし、すでに委員の人選等をも済ませております。 今後のスケジュールとしては、六月の八日に第一回の懇談会の開催を予定をいたしておりまして、以後委員の先生方皆お忙しい方ばかりでありますけれども、できるだけ日程のやりくりをつけていただきまして、おおむね二月に三回ぐらいずつのペースで御検討をお願いいたしたい、そのように考えております。そこで御議論を願いますものは、あくまでも原爆被爆という問題についての国の基本理念を明らかにし、それに立脚した対策というものの基本をお決めをいただくわけでありまして、この懇談会の結論については、できるだけ一年以内にちょうだいをしろという大変強い御意見もすでにちょうだいをいたしておりますので、その第一回の会合の席上、私の方からそういう国会の御要請というものについても申し上げ、できるだけ結論を急いで出していただきたいというお願いは申し上げたいと思っております。しかし、会議の運び方あるいは取りまとめの時期等につきましては、やはりその懇談会をつくるべきであるという答申をいただきました社会保障制度審議会の大河内会長をそのままこの懇談会の会長にお願いもいたしておりますし、委員の先生方に私はお任せをいたしたいと、そのように考えております。もちろん、そこから出てまいりました結論というものに対して、私どもがそれを尊重し、その方向で今後の被爆者対策というものを進めていくという基本方針に変わりはありません。
○渡部通子君 政府の御答弁はずっと変わっていないと思うのですが、これから基本理念というものを煮詰めるとおっしゃるのですから、それから出てくるんだということかもしれませんけれども、ともかく社会保障の枠を一歩踏み出した、そこに国家補償的配慮を加えたと言葉では言われますけれども、じゃ実態として、現実としてそれがどういうふうになってくるか、多少手当が手厚いという程度に終わるのではないかと、こういう気がするわけです。ですから、それが単なる議論で終わっちゃいけないし、私は思いますのに、いま大臣の答弁ずっと聞いておりましてわかったようなわからないようなところが実を言うとあるんです。だから、社会保障と国家補償の中間だと、そういうふうにしか表現はないかもしれませんけれども、じゃ一般論として伺いますけれども、ある法律が社会保障として位置づけられるのと国家補償法として性格づけられるのと、こういう法律ができた場合に政府としてどういうふうに対応の仕方を変えるべきだとお考えでございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや渡部さん明確でないとおっしゃるのですが、きわめて私は明確に申し上げておるつもりなんです。いま御審議を願っております二法そのものが、すなわち国家補償的配慮が根底にあるものであると最高裁は認定しておられるわけでありまして、もう特殊な社会保障という考え方ではない、いま御審議を願っている二法そのものがすでに国家補償的なものだという最高裁の御意思なわけでありますから、先ほど私が申し上げましたように、確かに最高裁からその判決をいただきます前は特殊な社会保障という位置づけで私どもは考えておりましたけれども、それ自身がすでに国家補償であると最高裁から判決をいただいたわけでありますから、そういうものかということで私どもはこの現行二法そのものが国家補償的な配慮を根底に持ったものという位置づけをしておると申し上げておるわけでありまして、決してあいまいなことを申し上げているわけじゃないんです。
○渡部通子君 それははっきりしました。国家補償的なものである、そういう御判断。そうしますと、いままでの大臣よりも一歩踏み出した御答弁を私はいただいたように思うんです。しかし、法律が国家補償法であるかあるいは社会保障法であるかということによって、非常に適用の範囲とか、そういったものが違ってくると思います。それで私が一般論として伺ったわけですけれども、ある法律が社会保障法であるかあるいは国家補償法であるか、これによって対応はどう違いますかという点の御答弁はいかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、一般的なその区分についてはむしろ法制局等にお尋ねをいただいた方が的確であろうと思いますけれども、国家補償として議論をされるものとすれば、当然、国の何らかの意思あるいは国の行為というものによってその全体が限定されていくようなものであれば、これはやっぱり私は国家補償というものが出てくる。もっとはっきり言えば、国が何らかの法行為によって国民に大きな影響を与えたとします。その場合に、それが損失につながるものであれば国の法行為によって受けた損失を償わなければならないということが出てくるわけで、これは国家補償になるということだと思います。ですから、国の何らかの不法行為というものが認められて、その不法行為の上で受けた損害に対して損害賠償をするというのが私は国家補償であろうと思います。 それから、一般的な社会保障というものは、国の意思があるない、そういう問題とは別に、そこに置かれている人々の抱えている問題そのものに着目をして、それに対してお互いが何らかの方途を講じていこうというものであろうと、そういうふうに理解をするんです。
○渡部通子君 ありがとうございました。 私はそれに加えて、もし医療法が社会保障に位置づけられますと、当然社会保障としてならば現状を主な対象とするということになりますけれども国家補償的見地に立ちますならば、過去へさかのぼっての補償あるいは未来への補償、こういったことも当然考えられるべきではなかろうかと、こういうふうに私は理解をするわけでございます。そういう国家補償的見地に立つというそのニュアンスが強く出てまいりますと、いまの原爆二法における対応の仕方というものはいろんな矛盾点あるいは不足点、こういったものが出てくるのではないかと、こう思うものですから、引き続いて質問をさせていただきたいと思っております。 今度政府が、五十四年度予算で計上されております沖繩県被爆者特別支出金、これ大変ありがたいことだとは思っておりますが、この性格はどのようなもので、それからまた算定根拠はどこからお出しになったのか伺いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 数字の具体的な部分については局長から御答弁を申し上げますけれども、私は国家補償そのものであるとは申し上げておりません。そこのところは誤解のないようにしていただきたいと思います。最高裁の判決そのものが、「国家補償的配慮が制度の根底にある」ということでありまして、ですから国家補償的配慮があるということを申し上げておるわけですから、そこのところは誤解のないようにお願いをいたします。
○政府委員(田中明夫君) 沖繩在住の被爆者につきましては、現行の原爆医療法が施行されました昭和三十二年から、沖繩県においてこの法律に準ずる措置が講ぜられました昭和四十一年までの間において、この法律によります医療の措置を受けることができなかった沖繩の被爆者の方々に対して特別支出金を支出するものでございます。これは全く特別の措置といたしまして、昭和五十四年度に一人当たり二十万円の一時金を支給することといたしたわけでございます。この額につきましては、医療法に準ずる措置が講じられるまでの間の平均的な医療費等を参酌しながら見舞い金的な性格を持つものとして算定いたしました。
○渡部通子君 その医療法が国家補償的な配慮として位置づけられるんならば、いまおっしゃいました沖繩被爆者に対する過去の医療費支出の補償、これは非常に少ないのではないかなと私は思わざるを得ません。見舞い金ということでございますけれども、やっぱり十年間の医療費、これも配慮したとなれば余りにも額が少な過ぎるのではないか、国家補償的配慮をするならばですね、単なる見舞い金ならばあれですけれども。そういった意味で、私はこの法律の性格づけというものが非常に響いてくるのではないかというふうに考えるわけですが、その点はどうお考えでございましょうか。
○政府委員(田中明夫君) 前段のことにつきまし ては、先ほど来大臣からお答えしているわけでございますが、孫振斗裁判の判決文そのものにございますように、「原爆医療法は、このような特殊の戦争被害について戦争遂行主体であった国が自らの責任によりその救済をはかるという一面をも有するものであり、その点では実質的に国家補償的配慮が制度の根底にあることは、これを否定することができないのである。」ということになっておるわけでございまして、私ども普通の社会保障の制度の考え方を一歩前進させた制度として原爆被爆者に対する救済に取り組んできているわけでございますが、この沖繩県に在住しておられる原爆被爆者につきましても、従来の考え方に基づきまして見舞い金的な性格ということで二十万円を支給することにいたしたわけでございます。この額が非常に少ないではないかというような御意見でございましたけれども、先ほども申しましたように、一応沖繩県に在住しておられる被爆者の方が、昭和三十二年から四十一年までの間、本土におられた被爆者の方が原爆医療法によりまして医療費等を給付されるということになったらどうであったかというような点も勘案いたしまして、一応二十万円という額を出したわけでございます。
○渡部通子君 見舞い金であれば幾らであろうとそれは何とも言いようがないわけですが、どのくらいいらっしゃるんですか、その対象者は何人ぐらい。
○政府委員(田中明夫君) 昭和四十七年五月十五日の復帰時の手帳の保持者が二百四十二人でございました。その後若干の変動はあるかと存じますけれども、一応そのあたりの数ではないかというふうに考えております。
○渡部通子君 それは幾らでも差し上げるにこしたことはないわけですけれども、手帳を持たない人もいるかもしれませんし、そういった点をひとつ御丁寧に血の通った行政でお渡しを願いたいと思うわけです。本当に少ないけれどお見舞い金でという、こういう感じで渡されるのと、やはり手帳保持者に今度は見舞い金が出るから取りに来いという、こういう感覚でやられるのとでは、同じ額であっても政治の姿勢というものが問われると思いますので、こういうときにこそ私はそこで血の通った渡し方という、その辺までひとつ心を配っていただきたい、こう思うわけでございます。それが額の多少を補う唯一の方法ではなかろうかと思いますので、念を押してお願いをしておきたいと思います。 それから、被爆二世の問題でございますが、現在の医療法では、二世、三世、要するに未来世代にわたる遺伝対策、健康診断、こういったことは、医療法では被爆者の対象としては扱われていないと思います。で、政府は健康診断の予算は取ると、これは昨年小沢厚生大臣も、私の質問に対してもはっきり御答弁になりました。で、ことし多分その予算化はできておると思いますけれども、この未来世代にわたるその補償ですね、この位置づけをどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その辺からまず伺ってみたいと思います。
○政府委員(田中明夫君) 被爆者の二世あるいは三世、四世につきまして、原爆の放射能の影響があるかどうかということは非常に大きな問題であるわけでございますが、この問題につきまして、従来関係の研究機関あるいは研究者がいろいろと調査研究された結果によりますと、幸いなことに現在までの研究結果では二世、三世につきまして原爆の放射能の影響があるということは見られていないわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、現在のところ被爆者の二世の方々につきまして原爆の放射能の影響によるいろいろな疾病ということは考えていないわけでございますので、したがいまして、一般の被爆者の方と同様に、これらの方に対して医療法を適用するという考えは持っていないわけでございます。ただ、被爆二世の方が自分たちの健康についていろいろと不安をお持ちになっているわけでございまして、このことについては私ども十分理解できるところでございますので、昭和五十四年度から、新たに調査研究の一環ということで被爆者二世のうちの希望者に対しまして健康診断を実施するということで、一応六千万円の予算を計上したわけでございます。で、この実施の方法等につきましては、現在被爆二世の方々ともいろいろ相談しながら検討をいたしておるところでございますけれども、プライバシーの問題等非常にデリケートな問題もございますので、細心の注意を払いながら被爆者二世の方々の満足のいくような形にいたしたいと思っております。
○渡部通子君 これも年々議論されていることでございますけれども、やはり実態を正確につかんでいただくということが一番大事なことではなかろうかしらと思うんです。いま被爆二世についての全然心配はないようなことをおっしゃいますけれども、やっぱり遺伝ということに対する、遺伝子破壊に対する疑念というものはもう常識化されているところでもございますし、現に被爆者の方たちというのは、子供さんあるいは結婚というものに対して一番の御心配をお持ちでございますし、これから高齢化してまいりますのとあわせて、これからまた新たな問題を含んでくることだと思うわけです。そういうわけで、まず実態を正確に掌握していただくということが大事だと思うんですけれども、それに対しては非常にプライバシーの問題がデリケートで協力をしてもらえないという御答弁が毎年繰り返されます。しかしながら、これはやっぱり被爆者を全一員把握するということは完全な被爆者に対する行政の温かい姿勢、こういったものとうらはらな関係であると思います。だから、本当に被爆者に対して全面的な救いの手が伸べられると、こういう姿勢があってこそ初めてその調査に協力してくれるものでございまして、そこに大した期待もできないのにみずから被爆二世かもしらんと言って名乗り出す人は恐らくいないと思います。ですから、政府がまず、その国家補償的と、先ほどから的が強調されておりますけれども、本当に被爆して三十四年ですか、しかし年々今日的課題となってきている原爆問題でございますから、これに対する政府の毅然とした姿勢、再びこういうことは起こさない、それから、これによって被害を受けた方たちに対してはそれこそ次の世代までもめんどう見ますという、そういう国家としてのりっぱな姿勢を示したときに初めて実態調査ということが私は可能になってくると思うんです。で、これから高齢化はする、それから地域的にも非常に分散をしてしまう、そういう中で実態調査をいまこそきちっとやっていただくべきではなかろうかと、こう提案したいんです。 で、昨年各県の相談窓口といいますか、相談員というものを置くというようなお話でございましたけれども、そういったところで成果が見られたのか、何か報告でもされたことがおありなのか、その辺も伺っておきたいと思います。
○政府委員(田中明夫君) 被爆二世のことにつきましては、先ほども申しましたように二世の方々とも相談しながらやっておりますので、先生から御注意いただいたようなことがないように、満足のいけるような健康診断ができるのではないかと考えております。 それから、相談事業でございますけれど、これも被爆者の方々の団体ともいろいろ御相談しながら進めているわけでございまして、まだ至らない点もあろうかと存じますが、次第にその事業も進展しているというふうに考えております。
○渡部通子君 この被爆二世さんの問題について大臣からもちょっと所感を伺っておきたいんですけれどもね、いま局長さんの御答弁、ちょっと煮えたか煮えないような御答弁で私もすっきりしないんです。やっぱりこれは政府が熱意を示していただくということ以外に問題の解決の方向は出てこないんではなかろうかと、ほっぽっておけばそのまま埋もれてしまう二世の問題だと思いますし、この原発事故などにおいて多少世界じゅうがいま心配の種を抱えているわけでございますから、こういうときにこそ日本政府としては態度をはっきりして、人体に対する影響、また次の世代に対する影響、こういうものに対する取り組みをやらなきやならないときではないかと私は思います。そういった意味で大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) スリーマイルアイランドの原発の事故の発生以来、改めて原子力による災害、またそれによる影響というものが大変大きな世の中に不安を投げていることは私もよく承知をいたしております。ただ、そういうものを踏まえてというお話でありますけれども、いまお話を局長からも申し上げましたように、ことしから私どもが国の予算の中に、確かにその被爆二世の方々に対する調査研究の一環としての健康診断が実施できるような予算は獲得をいたしております。そして、これをできるだけ多くの被爆二世の方々に知っていただく努力というものは、こういう制度をつくりましたということを知っていただく努力は私どもは当然しなければならないと思います。ただ、そこから先その実態の把握ということに重点を置いて、やはり私はその被爆二世と言われる方々の意思に反する健康診査というようなものが行われることがあってはいけないと思います。それだけに、局長としてはやはりその方々のプライバシーというものに細心の注意を持って臨まなければならないと考えているということを申し上げておるわけでありまして、私どもは、熱意としてこれを遂行していくものに欠けるものではありません。ただ、同時にその関係の方々のやはりプライバシーというものには細心の注意を払っていかなければならないと考えておるわけでありまして、希望される被爆二世の方々が健康診断を受けられるような予算を準備しておりますということを、少しでも多くの方々に知っていただく努力というものは国として当然払うべきものだろうと考えます。
○渡部通子君 さらに問題なのは、現行二法におきましては遺族補償も障害補償もなされていないということだと思います。こうしたさまざまな、社会保障では不可能な問題を解決するためには国家補償しかないということになるわけですけれども、国家補償的な配慮を強めていただくしかないと、こう私も思います。今回できます審議機関は、原爆被爆問題に関する基本理念を明確にすると、先ほど大臣の御答弁にもございました。したがって、それから派生する種々の問題を検討されようとは思いますけれども、現行二法を社会保障法として運用してきて、まあ私一端しか申し上げておりませんが、多くの壁、そういったものにぶつかっていると思います。そういった点をすべて明らかにして、そして素材を十分に提供していただいて、そして審議会で御論議を願うように、こういう運営をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、委員の方々が、本当にそういう意味では従来の行きがかり等にはとらわれず、やはり被爆という問題についての基本的な理念を明らかにし、その基本理念に基づいた被爆者対策というものを遂行していくために必要な考え方をまとめていただく過程において、それに予断を与えるような行動はしたくありません。それだけに、最初に申し上げましたように、運営の仕方、またその結論の取りまとめ等については一切委員会の方々にお任せをしたいと考えております。ただ、もちろんその中で委員の方々が検討をしていくために必要な資料の提供を求められ、あるいは各種の参考人の意見等を聞きたいというような希望を持たれる場合に、それを満たすように全力を挙げて努力することは当然であろうと、そのように思います。
○渡部通子君 これは昨年もお聞きしたことでございますが、この二法が社会保障の側面を持っている理由として次の二点が挙げられると思います。原爆医療法による一般疾病医療費支給制度において、社会保険医療が優先していること。それから二つ目には、原爆特別措置法による手当支給に所得制限が付せられていること。昨年も御質問申し上げたことでございますが、この二つの制限を外す見通しは考えておられないかどうか、それも重ねて伺っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 実はこの所得制限の問題、本年予算編成時大蔵省との間に最後まで残った問題の一つでありまして、これは大臣折衝の段階において大蔵大臣とずいぶん議論もいたしましたけれども、最終的に従来より多少とも停止率を緩和すると、支給率を一%上げるというところで決着をつけたわけでありまして、その法の精神が、どういう形態であれ私どもはこの支給停止を撤廃しようと従来からも努力をしてきたわけでありますし、本年も微力ではありますけれども多少の前進はさせてきたわけでありますから、考え方としては今後もそういう方向で努力をしていくべき性格のものだと考えております。
○渡部通子君 それは大変今度手厚い配慮がなされたということは私も評価したいと思いますけれども、大体もう所得制限にひっかかるという人が少なくなってきて、九五%ぐらいは支給される、六%ですか、そういう実態がそこまでなっているのならば、むしろ撤廃してしまった方が、政府の姿勢として、基本理念としてそれはすばらしい前進になるのではないかと、私は昨年もそんなように申し上げたように思いますけれども、実態がもう一〇〇%近くまで来ているのなら、むしろ取っ払っちゃってすべて全面的にと、こうしていただいた方が政府の姿勢としては一歩も二歩も前進になるのではないか、そうなることを希望いたしますけれども、いかがでございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、その御希望はよく存じておりますし、私ども自体が撤廃を目標として努力もしてきたわけであります。ただ、ことしは御承知のように、従来その手当類の算定基礎を福祉年金に置き、それの二倍をおおむね標準として来ましたものを、その基礎から変えて三倍に引き上げようという問題を抱えておりました。そして、これは一番私は実は多くの方々に影響を与えるものであるだけに、どんなことがあってもこれだけは実現しなきゃならぬということで局長以下にも非常な努力をしてもらいました。そうした中で、最後に残ったものがこの問題でありまして、ここまでで今回はセットせざるを得なかったということは先ほど申し上げたわけであります。ですから、これは撤廃ができればそれにこしたことはないと、そのとおりでありますけれども、全体を考えていく中で、本年度の場合にはここまで上げてきたということで御理解をいただきたいと、そのように思います。
○渡部通子君 厚生省の努力は大いに評価をしたいと思います。ただ、私が申し上げたかったのは姿勢の問題です。やっぱりだんだんにこう均衡論で上げてきたと、ない財政の中で上げてきたと、こういうよりは思い切って、そこまで実態がいっているのならば撤廃ということに踏み切れば姿勢としての大変な評価を受けるのではないかと、またそうあるのが当然ではないかと、こういうことを申し上げたかったわけであります。 次に、アメリカのスリーマイル島で突発いたしました原発事故、これは大きなショックを世界に与えたと思います。中でもわが国の原発は、事故を起こした同型の加圧水型を使用していることから同じような危険性を持つものとこれは心配されても当然だと思います。安全と言われてまいりました原発の信頼性は揺らいで、原発開発のあり方について改めて考えなければならないときであると思いますが、この事故の教訓を科学技術庁並びに通産省どう生かしていらっしゃるか、簡単にお答えいただきたい。
○説明員(佐々木壽康君) 科学技術庁と申しますか、原子力安全委員会の立場ということで御説明させていただきたいと思います。 安全委員会としましては、非常にこの事故が重要であるというような認識を持たれまして、御承知のように三月三十日に安全委員長談話というのを出しております。その談話の中で、この際原子力発電所の管理状況を総点検すべきであると、こういうことを指摘しております。この指摘に基づきまして、通産省はその後原子力発電所の管理体制を総点検いたしまして、御承知のようにその報告に関しまして安全委員会が審議した結果、この通産省の総点検結果に基づきます大飯発電所に対する指示事項は妥当であると、この十四日にそういう結論に達したわけでございます。一方、安全委員会の方は、この事故が非常に重要な意味を持つということで、その事故の詳細を十分検討しなければいけない、こういう立場に立ちまして、早速その下部機構に、原子炉安全専門審査会というのがございますが、その審査会の中にさらに下部機構を設けましてその調査審議を指示いたしました。で、その後単に原子炉安全専門審査会という限られた専門家だけでなくて、その他の分野の専門家もさらに吸収すべきであるということで、その専門委員の枠を拡大いたしました新しい米国原子力発電所事故調査特別委員会というのを設けまして、ここで現在鋭意米国の事故の実態を調査しております。 この米国の事故の調査状況につきましては、これまでのところ米国の原子力規制委員会の方も実は事故の処理に追われているというのが実態でございまして、必ずしも詳細な調査はまだ行き届いているという段階ではございません。これから本腰を入れて米国の原子力規制委員会の方も事故の実態の詳細な調査を行うというようなことを言っておりますが、いずれにいたしましても、これまで得られました情報をもとにいたしまして、この特別委員会は近く第一次の報告書を、今月中にということになると思いますが、発表するという運びになっております。 それから、一方この四月十二日に一たしか十二日だったと思いますが、アメリカの原子力規制委員会が、わが国で輸入いたしておりましたウエスチングハウス社の設計と同一の原子炉に対しまして、その緊急炉心冷却装置というものの作動条件を変えるような通達を出しております。この問題に関しましても、安全委員会は非常に重要なものであるという認識を持ったわけでございますが、その際、通産省の方はこの特殊な問題に関してさらに解析をするという申し出がございまして、その解析が終了して、その解析に基づく措置がとられるまでは大飯発電所一号炉はこれを停止するという申し出が通産省からございました。この件は、安全委員会はその時点でこの通産省の申し入れを承認したわけでございますが、その後、御承知のとおり通産省の方でこの解析をいたしまして、その解析結果に基づく措置につきましても安全委員会に報告がございまして、これも先ほど申し上げました総点検結果と同様、十四日でございますが、その通産省の解析結果は妥当であるという結論に達しております。
○説明員(向準一郎君) 通産省といたしましても、今回のスリーマイルアイランドの事故に関しましては、原子炉の安全対策を考える上で重要な問題と受けとめております。このため通産省では、先ほど科学技術庁から説明がございましたように、三月三十日に安全委員会が談話を発表された次の日でございますが、資源エネルギー庁長官名をもちまして、電気事業者に対しまして保安管理体制、運転管理体制を中心とする再点検を指示いたしました。それからまた特別保安監査ということで各発電所——運転中あるいは大飯発電所等でございますが、立ち入りをいたしたところでございます。それで、その結果につきましては安全委員会に御報告をしているところでございますが、大飯発電所につきましては、いまお話がございましたように五月十九日、安全委員会におきまして、通産省のECCSの解析もそうでございますが、総点検の結果に基づきます指示事項に対しましても妥当であるという判断をいただきました。それで、これにつきましては二十一日、早速関西電力に指示をしたところでございます。 それから、大飯発電所以外の発電所の再点検結果につきましては、現在安全委員会に御相談いたしまして審議を受けている段階でございます。
○渡部通子君 原子力安全委員会が、事故のわずか二日後に早々と安全声明とも言える委員長談話を発表した。まあ、発表すればいいというものと違いますがね、二日後に早々とそれが発表できるというのはどういう根拠によるものなんですか。
○説明員(佐々木壽康君) 御指摘のとおり、確かに三月三十日の時点では事故の詳細については情報を得ていなかったわけでございますが、一方私どもの方は、在米の大使館を通じまして、また、たまたまその際に米国原子力規制委員会との話し合いのためにワシントンにおりました田島原子力委員が、米国規制委員会の担当者から事故の実情につきまして直接話を聞きまして、その田島委員の報告、それから在米の日本大使館の報告と、この両方の情報が入っておりまして、全く不確かな情報のみに基づいて原子力安全委員会が判断をしたということではございません。その時点で一応確からしい情報は得ております。 それから、安全委員会といたしましては、このような事故があった際に、やはり安全委員会はどういう考え方を持っているかということを速やかに国民の前に明らかにするということが必要ではないかということで、事故が起きて間もない時点ではございますが、安全委員会としてその時点で判断し得るすべての材料をもとに考え方を述べたわけでございます。
○渡部通子君 国民は、すぐそういう事故が起こったからといって安全だという安全委員会が談話を発表して、それを本当に信用するでしょうか。私はむしろ逆だと思うんですね。そんな簡単に、アメリカであれだけ原発事故が起こっておきながら、それと同じ形のものを使っておって日本の方は安全だと、こういうことが二日後に安全委員会の責任において言えるかという、これは大きな問題だと思う。むしろそんなことをあわ食っておやりになる方が国民の信頼性を失うのではないかと、どこかに何か隠しているんではないかと、こう思われてもいたし方ないと思うわけです。ですから、事故を起こすまい、失敗すまいとして現状を糊塗するよりは、真実をやはり公開して、国民の前に心配な点は心配な点、いま日本の原子炉が不安であれば不安だと、そうはっきりおっしゃっていただいた方が、むしろ安全委員会の私は信用が高まるんではないか。まあ安全声明をお出しになった原因として、私も新聞報道で承知している範囲では、アメリカの原発は、関西、四国、九州電力が導入している同型とはいえ、メーカーが違うし機器が異なると、それから炉の基本設計が日米で差があるとか、日本では故障が起きても予備機が正常に働くとか、こう言っておりますけれども、これが果たして説得力を持つものかどうか、これは一般の方に聞いてみればおわかりのとおりだと思うわけです、したが一、て.そういったところに私は安全委員会というか、これに携わる人たちの、本当に国民の一人一人の心の底に配慮を及ぼさない、そういう一つの姿勢があるのではないかと、むしろそういう不信の念を増したように思うわけです。したがって、そういう行き方についてはここで私もう少し慎重に、それからもう少し正直におっしゃっていただきたいと、こう要望いたしますけれども、御異論ございますか。
○説明員(佐々木壽康君) 先生御指摘のとおり、やはり安全委員会が非常に慎重な安全に対する配慮をしなければならないということは全く御指摘のとおりでございます。 ただ、三十日の安全委員長談話につきまして、先ほど私の説明がやや不足いたしておりました点でございますが、この委員長談話は実は四項から成っておりましたけれども、この四項がそれぞればらばらに存在するという認識ではございませんで、第二項で、よく新聞で、ただいま先生も御指摘がありましたように安全宣言をしているということが指摘されているわけでございますが、安全委員長の認識といたしましては、確かにわが国ではその基本設計に関する安全審査であるとか、使用前の検査、あるいは運転に入って以降の定期検査でわが国の原子力発電所の安全性は非常に確認されているということは指摘しているわけでございますが、その次の項におきまして、こういう実態ではありますけれども、今回のアメリカにおける事故にかんがみまして、やはり保安規定であるとか、運転要領、運転中の監視の実施状況等についてやはり総点検をすべきであるということを指摘しているわけでございまして、安全委員会といたしましても、やはり今回の事故は非常に重要な意味を持つということで全原子力発電所の総点検が必要であるということをここで述べているわけでございます。必ずしも安全宣言というふうなことを言っているわけではないというふうに理解しております。
○渡部通子君 私も別に安全宣言とは言ってないんです、そうとれるような談話を発表していらっしゃると、国民はそういうふうに受け取っていますよね、そういう点は御注意いただきたいと思っています。 で、わが国原発も十九基が営業運転を始めている中で、実際に稼働しているのは七基と、他の十二基はどういう理由で停止されているんですか。
○説明員(向準一郎君) 現在営業運転中の原子力発電所十九基ございますが、先生のお話しのとおり現在七基が稼働中でございます。あと十二基が定期検査等で停止中でございます。これは定期検査といいますのは、電気事業法で毎年、一年に一回とめまして三カ月程度各部の点検をするわけでございますが、この中で、長期にとまっております理由としては、配管の応力腐食割れという事象がございまして、それの予防的措置をとっている発電所もございます。それから、もう一つはPWRでございますが、原子炉の内部の部品でございます支持ピンというもの等が損傷がございまして、その対策に時間がかかっているというものもございます。
○渡部通子君 今後の原発の依存度、これについて伺いたいと思いますが、五十三年度末には推定で一一・三%、あるいは六十年度末では一八・八%、六十五年度には二七・四%、こういう形で急上昇すると、こういう承知でよろしいんですか。
○説明員(向準一郎君) 現在の発電規模につきましては、営業運転十九基でございますので、千二百六十七万七千キロワットでございますが、昭和六十年度で、われわれ計画で想定しておりますものは、原子力といたしまして二千六百万キロワットから三千三百万キロワット、これは五十二年の六月のエネルギー調査会の需給部会というところが想定いたしました原子力の想定値でございますが、それがそういうふうになっております。それから、六十五年度、これが六千万キロワットということで、総エネルギーに占めます割合でございますと二%というふうに考えております。しかし、原子力の開発ということは安全の確保が大前提でございますので、現在、こういうような目標で鋭意努力しているわけでございますが、今回のスリーマイルアイランドの事故等もかんがみまして、われわれ安全確保に当たっては万全を期して原子力開発を推進していきたいというふうに考えております。
○渡部通子君 そうすると、この依存度の推定というものは変更されるようになりますか。
○説明員(向準一郎君) このエネルギー需給のバランスといいますのは国全体のいろんな諸元から来ておりますものでございまして、いま直ちにこの数値を変えるということではございませんが、われわれは、ここに設定されましたいろんな数値につきまして、この目標につきましてぜひ努力してまいりたいというふうに考えております。
○渡部通子君 やはり、そういう数値を設定しておいてそれについて努力をしたいという、こういうレールが敷かれておりますと、どうしても安全に対する対策というものが後回しになるのではないかという心配をぬぐい切れないわけでございます。で、この原子力についてだけは、賛成の人でも、イエスという人でも、イエス、バットとつくわけです、条件つきと。この安全性の確認というものが非常に大事だと思う。そして、進める方と、それからそれにブレーキをかける方と、そのバランスというものがちゃんと見えなければ国民は納得するものではないと思うわけですね。だから、こういうエネルギーの原発依存度という推定値をつくっておいて、しかも今回のようなアメリカの事故が発表されても、なおかつそれに対して努力をしたいという、そういう基本レールを変えないということは、私はその進める方とブレーキとのバランスということを考えた場合に、国民の支持を得るためにはもう一回見直すくらいな度量はあってしかるべきではなかろうか。急いでやって事故を起こしても始まらないのでございまして、やはりそこでは慎重過ぎるくらいのこの安全に対するブレーキというものは当然配慮すべきことでございまして、この見直しをぜひ私は要望したいと思います。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電を推進いたします場合に、安全の確保というのは最重点であるということは先生のおっしゃるとおりでございまして、われわれ原子力発電所安全規制いたします場合は、原子炉等規制法、あるいは電気事業法に基づきまして、基本設計の安全審査、あるいは詳細設計の安全審査、それから、まあ使用前検査といいまして、建設中の数年にわたります国の検査官によります検査、あるいはいまお話ししましたような毎年の定期検査というような規制体系を通じまして安全が確保されているものでございます。それからまた、運転中につきましては、保安規定の認可ということで運転中に守るべきことを定めまして事業者にそれを守らせております。こういうようなことで安全が確保されるわけでございますが、これの運用等に当たりましてはわれわれ万全を期してやってまいりたいというふうに考えております。
○渡部通子君 原子力に対する技術の十分な成熟、これはもうできていると見ていらっしゃるわけですか。
○説明員(向準一郎君) 原子力発電所の安全性につきましては、いまお話しいたしましたように、原子炉を設置いたします場合に、いろんな事故を想定いたしまして、それで敷地の広さとか、あるいは安全設備が十分備わっているかどうかというような基本的なアセスメントをやっております。そういうことで設置されているわけでございますが、さらに、いま日本に来ておりますのは軽水炉でございますが、これは米国から初期に導入されたものでございます。そういう意味で、われわれいまの軽水炉を改良すべき点が日本的に考えましてあるんじゃないかということで改良標準化ということを通産省の仕事として進めてきております。それは日本的に考えまして、もう少し従事者の被曝が少ないように自動化、遠隔化ができないかどうかとか、あるいは機器の配置等が見直せないかどうか等を検討してまいっております。そういう意味で、われわれ日本型の軽水炉という意味でいま現在勉強しておりますし、そういう成果につきましては、現在の許認可、あるいは成果が出ましたものにつきましては順次取り入れまして、安全審査、あるいはその設置にそういうふうな考え方を導入してきているわけでございます。
○渡部通子君 ただいまの御説明は御説明としてわかりました。ただ、私が御質問申し上げたいのは、私もちろん素人ですからわかりませんけれども、原子力技術というものが平和に利用する体制の中で十分な技術の成熟が一体できているのかということを伺ったのでございまして、これは岸田純之助さんあたりに言わせるともう五、六年はかかるだろうと、こういう御意見もお持ちのようでございました。したがって、私、石油が足りなくなるという中から当然原子力の平和利用ということに何も頭から反対するわけでも何でもありませんけれども、やはりいま石炭の見直しということも世界的になってきておりますし、そういう中で、特に日本の国が被爆国として立っている国でございますから、原子力の利用についてだけは通産省、科学技術庁ともに、安全という点でも慎重に慎重を期していただきたいということを申し上げたいわけです。やはり平和利用の体制がしっかりできているかどうか、あるいはいま申し上げましたけれども、技術の十分な成熟が一体でき上がっているのかどうか、それに加えて安心できる行政の体制というものがあるのか、先ほど申し上げましたけれども、進める方と、それからそれをチェックするバランスというものが本当に保たれているのかどうか、それに加えて、住民の協力というものがなければこれはできる話ではないと思うわけですね。そういった点を十分に配慮しながら、それはわかっている、わかっているとおっしゃるかもしれないけれども、そうおっしゃっている口の端から依存度にレールを敷いてやろうとしていらっしゃるのですから、その辺をもう一回抜本的に見詰め直していただきたい、これを申し上げておくわけです。 最後に、いまこそ原子力基本法の精神である自主、民主、公開、この原則に立ち戻るべきときだと、さまざまな議論もおありでしょう、それから技術も知識もお持ちでしょうけれども、そういうものを一回かなぐり捨ててその原則の原点にもう一回立ち戻るべきだと思いますけれども、その心の御準備はございますか。
○説明員(向準一郎君) 原子力開発をやります場合に原子力基本法の精神、いまお話ございました自主、民主、公開というのは、それが基本でございます。そういう意味でわれわれ原子力行政をやっております場合に、絶えず自主、民主、公開の三原則を踏まえまして今後ともその精神にのっとって進めてまいりたいというふうに考えております。
○渡部通子君 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、最後に、先ほど一つ質問を落としましたので、要望として申し上げますが、原爆病院に対する運営の補助費のことでございます。これは二倍にしてもいいんじゃないかと私は考えているわけでございまして、国営論等も一時はございましたけれども、政府の方が日赤の運営にお任せをしていくという、こういう方針のようでございますから、まあせめて心の通った予算措置をお願いをしたいと思います。 以上で質問を終わらせていただきます。
○渡辺武君 私は、いま広島県で大きな問題になっておりますいわゆる黒い雨地域の問題について伺いたいと思います。 〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕 御承知のとおり、広島に原爆が投下された直後に、この爆心地から舞い上がった灰や、それからちりやどろや、それからまた、場合によっては着物や、それから紙など、これらが風で上空に吹き上げられて、非常に強い放射能を含んだ雨が広島市の北部の方一帯に降ったわけであります。それで、これをいわば黒い雨地域というふうにいま呼んでおりますけれども、そこの地域に当時住んでいた人たちで、特にこの雨に打たれた人たちがこの放射能のために原爆症にかかっていまだにたくさんの方々が苦しんでおられる。ところが、政府は爆心地から半径二キロ、これを被爆地域というふうにしまして、そうして被爆者手帳その他の施策をこの範囲に限ってきたわけであります。したがって、この黒い雨地域の人たちが非常にこういう点について不満を持ちまして、県も広島市ももとよりのことでありますが、全住民的な運動になって発展してきております。その基本要求は、この黒い雨地域も被爆地域として指定を広げてくれということですね。これがまあ統一した要求になっているわけですが、政府もこの運動に押されまして、この黒い雨地域の中で特にいわゆる大雨地域、これを一九七六年から特別な健康診断の対象地域に指定をしまして一定の施策を講じているわけですけれども、しかし、この大雨地域とほとんど変わりはないというふうに見られている、いわゆる小雨地域、ここの住民はいまだにこの対象外に置かれて見殺し同然の目に遭っているというのが実情であります。 そこで、この大雨地域に政府が特別な健康診断を始めてからどのくらい健康診断を受けた人がいるのか、それからまた、その中で被爆者健康手帳を受けた者の数はどのくらいあるのか、これをまず伺いたいと思います。
○政府委員(田中明夫君) いま御指摘の黒い雨の大雨地域についての統計資料はございませんが、広島市のいわゆる健康診断特例地域におきまして、健康診断の受診者証を交付された者の数は、五十三年三月三十一日現在で二千七百三十三件でございます。で、このうち五十二年度中に健康診断の受診者証から被爆者健康手帳へ切りかわった者の件数、すなわち十一種類の疾病を持って被爆者健康手帳へ切りかわった者は四百三十六件でございます。
○渡辺武君 その四百三十六件というのは五十二年度一年間ですね。そうすると五十一年度はどのくらいか、五十三年度はどのくらいなのか。
○政府委員(田中明夫君) 残念でございますけれども、ちょとその前の数字はございませんので、いま申し上げました五十二年度の数字だけが取りまとまっておるわけでございます。
○渡辺武君 いずれにしても、同じ黒い雨が降って、その中でも大雨地域の中ではやはり被爆者健康手帳を受け取るほどにいろいろな障害の起こっている人たちが出ているわけですね。そうしますと、当然小雨地域についても同じような状況じゃあるまいかという疑いが生まれてくるのは私は当然のことだと思うんです。 そこで伺いたいんですけれども、政府はこの小雨地域の問題をいろいろ地元の住民の方々から強く言われて、そして残留放射能の調査というのも従来二回にわたってやられたと思うんです。最近この二回目の調査報告が出されているようでありますが、この一番最近のものでいいですけれども、その結論はどういう結論であったのか、またその結論に基づいて、厚生省として今後この小雨地域にどのような対応をなさるおつもりなのか、これを伺いたいと思います。
○政府委員(田中明夫君) 原爆による放射性の核分裂生成物が放射性降下物となって広島及び長崎にどのように残留しているかということを調べるための調査が、昭和五十一年にまずなされたわけでございます。これは比較的半減期の長いセシウム137という物質を選びまして、爆心から三十キロの範囲内を調査対象といたしまして、爆心から二キロごとに同心円をかいて、その同心円の上に六点をとって調べたということでございます。で、この昭和五十一年の調査の結果、長崎県の西山地区はほかの地域に比べて有意に残留放射能が高いということがわかったわけでございますが、その他の地点あるいは地区につきましては、方向性あるいは爆心地からの距離と……
○渡辺武君 経過はわかっているから、時間がないから二回目の調査の結果で。
○政府委員(田中明夫君) 特に広島で二点、長崎で三点の地点がちょっと高いということがありましたので、昭和五十三年に補足の調査をいたしまして、その結果先ほど申しました長崎の西山地区を除きましては残留放射能が有意に高く残っているという地域はなかったと、ないという結論になったわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この結果、現在の健康診断の特例地域を広げるというような根拠を見出すことはできなかったわけでございます。
○渡辺武君 その結論はおかしいですね、あなたの報告は。私ここに広島、長崎の残留放射能調査報告書、第二回調査の報告書を持っております。その結論とあなたのおっしゃったことはみんな違いますよ、全然違う。責任持ってもっと答弁してくださいよ。読んでみなさいよ、いまの結論を、短いところですから。広島だけでいいです。
○政府委員(田中明夫君) 第二回の昭和五十三年度の調査の結論、広島について申し上げますと、「広島で検討地区Nl一四およびNNW−二二の放射能密度はそれぞれ七七・四±一九・九および八九・六±三〇・九(mCi/km2)であった。これら検討地区のうち、NNW−二二はこの地区と反対方向で気象条件、地形なども異なる参考地区ESE−一八との間に有意差がみられたが、対照地区NNW−一四とは有意差はなかった。また、検討地区N−一四は対照地区N−一二および参考地区ESE−一八のいずれとも有意差はなかった。このことから、今回の結果で特に両検討地区に原爆からの核分裂生成物が残留しているとはいえない。」。
○渡辺武君 いま読んだとおり。 そこで聞きますが、この検討地区のNNW−二二、これは黒い雨地域の中に入っているのか入っていないのか、また黒い雨地域の中で大雨地域なのか小雨地域なのか、これを伺いたい。
○政府委員(田中明夫君) 黒い雨地域のうちの小雨地域に入っております。
○渡辺武君 それでは、参考地区のESE−一八、これはどういう地域です。爆心地ですか、つまり被爆地域ですか、あるいは黒い雨地域ですか。
○政府委員(田中明夫君) これは爆心地から東南東に十八キロの地点でございまして、したがいまして黒い雨地域とは関係ない地域でございます。
○渡辺武君 そうしますと、小雨地域のNNW−二二は、黒い雨地域とは全然関係のないESE−一八との間に有意差が見られたと。当然ですよ、一方は強い放射能を含んだ黒い雨が降った、片方は降らない、これを比べてみれば有意差が出てくるのは当然でしょう。そうですね。そこで、「有意差がみられたが、対照地区NNW−一四とは有意差はなかった。」、このNNW−一四というのは大雨地域じゃないかと思うが、どうですか。
○政府委員(田中明夫君) 大雨地域です。
○渡辺武君 そうでしょう。つまり、この結論は何を物語っているのか。小雨地域は大雨地域と比べて差がないんだと、しかし黒い雨の全然降らなかったところと比べてみれば有意の差があったというのが結論ですよ、これは。当然のことながら小雨地域、大雨地域を同じような施策を政府としては行うべきだという結論が引き出されてくる。大雨地域を特例健康診断地域に指定をして、そうして健康診断した中から、先ほどの報告によると五十二年度だけでも四百三十六件の原爆手帳をもらった人が出てきておる、そういう深刻なところが大雨地域なんです。その大雨地域と小雨地域が有意の差がなかったというんだから、同様に扱うべきだという結論が当然出てくるじゃないですか、そうでしょう。 それからもう一点、その後に書いてある「また、検討地区N−一四は対照地区N−一二および参考地区ESE−一八のいずれとも有意差はなかった。」、こう言っている。それじゃ、このN−一四というのは、これは黒い雨地域のどこなんですか、大雨ですか、小雨ですか。
○政府委員(田中明夫君) 小雨地域に入っております。
○渡辺武君 それじゃN−一二というのはどっちですか。
○政府委員(田中明夫君) 小雨地域でございます。
○渡辺武君 小雨地域と小雨地域を比べて有意の差がない、当然でしょう、これは。そうですね。問題は、その小雨地域の残留放射能とESE−一八、これと比べても有意の差がなかった、こういう結論が出ている。そのESE−一八というのは、これはさっきあなたが答弁されたとおり黒い雨の降らなかったところで、爆心地からはるかに遠い。そこと有意の差がなかったというのが、これは記述の結論になっているのだが、その結論について、前のページの真ん中辺見てください。調査報告そのものが、この有意の差がなかったという点については、これは誤差率を、有意水準五%にすれば差はないけれども、有意水準一〇%では差が出てくるものなんだ、こういうことを特別に説明している。もう被爆後三十四年もたっているんですよ。その間雨も降れば風も吹く、いろいろその地形の条件も変わってくるでしょう。ですから、この誤差率をわずか五%では有意差はないが、一〇%にすれば有意差は出てくるんだという点は大いに重視しなきゃならぬと思う。特に、同じこの調査団の中の一人である広島大学の竹下教授、この方はこういうことを言っておられる。「三十年以上経過したあとに残留放射能を調べるという特別な条件を考え、九〇%の限界」、つまり百のうち十が誤りというやり方で「有意差検定をするべきだ」というふうに主張したけれども認められなかったんだというふうに言っております。ですから、「九〇%の限界だと、有意差が出てくるはず。」だと、「また、大雨地域と小雨地域の残留放射能に差がないことは確か」だというふうに、毎日新聞の広島版ですけれども、ことしの一月十一日付です、主張しておられる。ですから、あなたの言うように、全然問題にするに足らぬみたいな話にさっきの答弁だとなっているがそうじゃない。専門家が、三十数年たった後で残留放射能を調べた結果としても、いいですね、全然黒い雨の降らなかったところと黒い雨の降ったところには有意の差が出ている。若干の誤差率、これを考えてみれば、両ケースともちゃんと有意の差が出ている。しかも、大雨地域と小雨地域の差が余りないということは、いま政府が若干の対策を講じている大雨地域と同じように、小雨地域に対しても対策を講ずべきだということを物語っているという以外の何物でもない。 最後に、ここに「今回の結果で特に両検討地区に原爆からの核分裂生成物が残留しているとはいえない。」という結論が出ている。これ三十数年もたった後の結論ですからね、そういうことに当然なってくると思うんですね。どうですか、それでもなおかつ小雨地域に対して何らの対策も講ずる必要がないというふうに言い切るつもりですか、伺いたい。
○政府委員(田中明夫君) ちょっと話をはしょりましたためにあるいは表現に適当じゃない点があったかもしれませんが、五十三年の調査におきましては、五十一年の調査の結果、ほかの地点に比べまして有意義に放射能が高かった広島の二点、N−一四、NNW−二二につきまして、さらにサンプル数を広い地域から集めて、ほかの地域と差があるかどうかということを検討したわけでございます。その結果、N−一四につきましては、コントロールとして選んだN−一二との間に差がなかった。またNNW−二二につきましても、対照として選びましたNNWの一四との間に差がなかったということで、五十一年のときには、ある地点から十ばかりのサンプルを選んだ検査結果であったわけでございますが、五十三年におきましてはそのあたりの地域、かなり広い地域からサンプル数もふやして検討した結果、対照地区との間に差は認められなかったということで、五十一年の調査の結果におきまして異常に高い地点であったということは、この五十三年の補足調査の結果対照地点との間に差がなかったということで、先ほど結論で申し上げましたような趣旨の結論を委員会としてお出しになったわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この調査の結果、すぐ健康診断特例地域を拡大するということには結びついていかないという判断を下したわけでございます。
○渡辺武君 これは大臣、お聞きいただいておわかりだと思うんですね。まず、三十数年たった後で残留放射能を調べるというようなことが、もう本当にあいまいな結論しか出てこないということは当然予想されることなんですね。それでもなおかつ黒い雨地域の中でも大雨地域、小雨地域、ほとんど変わりはないんだと。しかし、黒い雨の降らなかったところと比べてみるとずいぶん差があるんだと、いわばそういう結論がはっきり出ている。いいですか、それだけじゃないんです。こうした三十数年たって、しかもセシウム137とかいうそのものだけで残留放射能を調べる。これじゃ実情をはっきり把握できるかどうか、非常に疑わしいですよ。それよりも何よりも実態を見てほしい、実態を。いいですか、ここに広島県と広島市が共同で、原子爆弾被爆地域の指定に関する陳情書というのを、昨年の七月に一黒い表紙で、黒い雨地域だから黒い表紙で出ています。これに昭和四十八年十一月、「黒い雨降雨地域健康状況調」というのが出ている。これは聞き取り調査。これを見てみますと、現在大雨地域として政府も特例健康診断をやって何らかの対応をせざるを得なくなっている地域と、そして全然見殺し同然にしている小雨地域と、これを比べてみますと、むしろ小雨地域の方が病状を訴える人たちの率は高いんです。一、二数字を見てみますと、たとえば大雨地域と言われる現在の湯来町ですね、湯来町の中の砂谷村七・三%、水内村七・一%、ところが今度は小雨地域の方の加計町、加計町は一八・九%、殿賀村五一・三%、筒賀村三五・四%、はるかに症状を訴える人たちの率は高いんです。この現実からまず出発してほしい。まだほかにも例がありますが、時間の関係で私言いませんが、後でよく検討してほしいと思うんです。この現実から出発すべきであって、セシウム137がどのぐらい残っておるかどうか、それも全然無視はできない、先ほど言ったように。結論としてはっきり黒い雨地域の方が黒い雨の降らなかったところよりも放射能の有意の差があるということが結論として出ているんだから、それも参考にしながらも、同時に、黒い雨の放射能によってたくさんの人たちがいま原爆症で苦しんでいる、この実態から出発して施策を講じてほしいと思うんです。いかがですか。 具体的に言うと、大雨地域と同じように特例健康診断地域に指定してほしいというのが小雨地域の人たちの最小限の要求です。被爆地域に指定してくれというのが基本要求、この二つの要求です。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いまお話を伺っておりましたけれども、この公衆衛生協会に委託をして行いました五十三年度の報告書の結論として、いまいろいろと御指摘はありましたが、全体を通して、今回の結末で特に両検討地区に原爆からの核分裂生成物が残留しているとは言えないというのが研究会の結論であります。で、私自身は医学についてもその放射線の問題についても素人でありますから、私はこの委託研究費を使って調査をしていただいた専門家の方々の結論を信じたい、また信じる以外にルールがない、そのように思います。
○渡辺武君 残留放射能がないということであって、当時黒い雨に含まれた放射能によって、そこに住んでいて特に雨に打たれた人たちが強い放射能を浴びて、そしていま原爆症で苦しんでいるという事実を否定しているわけじゃないんですよ。逃げ口上を言っちゃ困る。これは先ほど私申し上げたのは聞き取り調査だが、現実に小雨地域で健康診断をやったその結論が出ている。その例を申し上げてみましょう。これは広島中央保健生活協同組合の草津診療所というところが一九七八年の十月十五日に湯来町の水内地区というところで、そこに居住している人五十四名の健診をやった。これは黒い小雨地域です。ところが、そのうちで現に被爆者手帳を持っている方、この八一・八%が健康管理手当の受給資格がある対象疾患の保持者、十一疾患の保持者です。それから特例健康診断の受診証を持っている人の中の八四・六%がやはり対象疾患の保持者。そしてこれらいずれも所有していない、つまり小雨地域に当時居住していた人たち、被爆当時ですね、これらの七三・七%が対象疾患の保持者です。大雨地域に居住していた人あるいは被爆地域に居住していた人よりも疾患の保持率は若干低いように見えるけれども、お医者さんによく聞いてみたら、これらの人たちは国の施策がないものですから精密検査を受けるだけの経済力がない。精密検査によっての腰椎レントゲン検査、これをやらなかった、そのためにこういう率が低くなってあらわれている。だから、被爆地域や大雨地域に当時居住していた人の中から腰椎レントゲン検査の結果を引いて見ると、この七三・七%という数字に非常に近くなる、こう言っているんです。有意の差はないんですよ。現に健康診断をした結論がこうなっている。県や市が責任を持って聞き取り調査をやった結論も先ほど申し上げたような事実を示している。この事実が私は大事だと思うんです。私ども共産党の広島県委員会に村上経行君という人がいます。この人は政治生命をかけてこの黒い雨地域の問題を解決したいと奔走して、あちらこちら懇談に回っておりますけれども、非常に強い関心、みんな切々と当時の実情を訴え、現在の体の実情を訴えている。あなた方はそれを見殺しにしているんですよ。大臣、この実情に立って、健康診断ぐらい始めたらどうですか、どうです。
○政府委員(田中明夫君) 先ほどの調査の結果は、残留放射能について差は認められなかったということでございますが、そのほか、ただいま先生から御紹介のありました小雨地域での健診の結果等、私どもまだそれを勉強する機会に恵まれておりませんが、最近の被爆者の方々は高齢化してまいっておりますので、その年齢の分布あるいは検査の方法等を勉強をさせていただきまして、ほかの地域と差があるか、あるいはないかというようなことを十分検討させていただきたいと思います。
○渡辺武君 そうすると、特例健康診断地域としてなお検討する、そういう方向で検討するということですか、大臣。——いや大臣、大事な問題だからね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 専門家に答えさせます。
○渡辺武君 いや、専門家というよりも、これはもう厚生省の政策の基本にかかわる重大問題です、これ。専門家が答えた後で大臣答えてください。
○政府委員(田中明夫君) ただいま申し上げましたように、先生の御紹介のありました調査のデータを検討いたしておりませんので、検討させていただきたいというふうに存じます。
○理事(片山甚市君) 大臣はよろしいか。
○渡辺武君 いやちょっと、大臣答弁する前にもう一回、ちょっとよくわからないんです、意味が。 その草津診療所の健康診断の結果を検討するのは、それは大いにやってほしいと思う。しかし、同時に聞き取り調査の結果もあるんです、県や市がやった。これも含め、人の調査をやったものをとって調べるなんていうみみっちいことをやらないで、国の責任で実態調査やったらどうですか、それを言っているんですよ。その結果、大雨地域と同じように特例健康診断地域として指定する必要があれば当然指定すべきだと思う。そういう方向で全体を検討するのかということを伺っている。大臣どうです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私は医学のそういう方面の専門家ではありませんから、専門家の公衆衛生局長に御答弁をさせているわけでありまして、先ほどから渡辺さんが一つのデータをお持ちのようでありますから、それも検討させていただきたいと、公衆衛生局長は申しておるわけであります。
○渡辺武君 改めて私の言ったところを答えてください。草津診療所の調査結果の検討くらい当然のことですよ。何もここであんたの答弁聞かなくたって、そんなことは義務として当然やるべきことだ、そうでしょう。国が責任を持ってこの実態の調査をやるかということを聞いている。
○政府委員(田中明夫君) 残留放射能の調査も含めまして、私どもといたしましては、長崎あるいは広島の被爆地域あるいはその周辺の地域について各種の調査、検討を行っているところでございますが、先生が御紹介になった調査等、いろいろと自主的に行われている調査もあるわけでございますので、今後ともそういう調査の結果を広く検討させていただきたいと考えております。
○渡辺武君 また改めてこれはやります。 それから、私きょうはいろんな点を聞かなきゃならぬと思っておりましたが、もう時間も差し迫ってきましたので、そのうちの一、二点だけ拾って伺いたいと思います。 医療法の第二条の第三号で「原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」にも手帳は交付されることになっております。そうしてこれに関連する通達では、一、死体及び傷病者の運搬に従事した者、二、被爆者を看護した者、三、海上被爆者と、一般的要件を定めているだけであります。ところが、こういう大筋での基準、要件は出ているわけですが、広島市の基準を見てみますと非常にこれが厳しいんですね。これを見てみますと、臨時収容所等の公共施設で十人以上の被爆者の看護活動に参加した者、公的指示に基づくもの、たとえば町会長、常会長など、それから、このいま言った一については三親等以外の人二名の証明が必要だというような形になっております。そこで、当時たくさんの被爆者が、これが周辺に逃れて、そしてあちらこちらで看護を受けている。特に自宅で看護を受けた人たちが、これが二次感染を受けましてそして原爆症で苦しんでいる、何とかしてほしいという強い要請がたくさんあるんです。ところが、いま言った特にこの広島市で臨時収容所等の公共施設で十人以上の被爆者の看護活動に参加した者でなきやならぬ、この場合については三親等以外の人の二名の証明が必要だとか、あるいは公的指示に基づくものでなきゃならぬというようなことがあるために、いろいろ自宅看護して苦しみながらも国の施策にあずかることができないという状態に置かれているわけです。これは深刻な問題ですよ。それでまず聞きたいんですけれども、この広島市の基準、これには何か法的な裏づけがありますか。
○政府委員(田中明夫君) 御指摘のとおり、厚生省が指示しておりますところは具体的な数字等が規定されていないわけでございまして、広島市におきまして専門家等と相談された結果十名以上の被爆者の看護に従事した者等の基準を設けているわけでございます。
○渡辺武君 いや、私はどの法律の裏づけでこういう厳しい基準が決まったのかということを伺っている。
○政府委員(田中明夫君) ただいま申し上げましたように、広島が行政上の取り扱いとして行っているわけでございまして、特に根拠の法律等はないわけでございます。
○渡辺武君 そうすると、単なる行政上の基準にすぎないということになりますね。大体地方自治体というものは、そこの地域に住んでいる人たちの生命の安全やら福祉の充実という点が主要な任務だと思うんですね。それがたくさんの被爆者を一生懸命看護して二次感染を受けて苦しんでいる人たち、これをいわばこそげ落とすような厳しい基準をやっているというようなことは嘆かわしいことだと私は思うんです。何とかこの運用についてもっと緩和をすべきじゃないかと、この基準を、そう思いますが厚生省の見解、どうですか。
○政府委員(田中明夫君) 十名という数につきまして、私どもの方でも専門家の意見をいろいろと徴した結果、不当に厳しいという数字ではないというふうに聞いております。ただ、先生も言われましたように、自宅での家庭看護等におきまして、なかなか十名以上看護をしたということが証明されないようなケースにつきまして、運用上実際にそういう多数の人の看護をした場合には認められるような方法を広島県といろいろ相談いたしたいというふうに考えております。
○渡辺武君 特に、広島県の原爆戦災誌を見てみますと、こういう記述があるんですよ。二五万人に近い避難者は、その三分の二以上の「一万人が、広島市を取りかこむ安芸・安佐・佐伯三郡下へのがれたが、これは、広島市の避難計画により、あらかじめ市内各町内会の避難先として、これら佐伯・安佐・安芸三郡下の近郊町村が指定されていたこと」という記述がある。そうしますと、これはやっぱり公的な機関によるそういう 〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕 指示に基づいて、これらのところに居住していた人たちがかわいそうな被爆者たちをいろいろ看護した、努力したということを示していると思うんですね。そういう見地からぜひ検討してほしいと思うんです。特に十人以上というのが厳しい基準だと思わないとおっしゃるけれども、しかし、同じ被爆者でも二次感染の可能性の強い被爆者を長期間看護する場合と、ほんのわずかの時間十人以上看護した場合とで余り変わりはないと私は思うんですね。そういうような点も十分考えていただきませんと、せっかく善意であの当時被爆者を一生懸命で看護された方のその苦労にも報いる道にならぬと思う。重ねてやはりこの運用上の配慮と基準の緩和をひとつ指導をいただきたいと思うんです。どうですか。
○政府委員(田中明夫君) 先ほど申し上げましたような観点から、広島県と十分相談して善処したいと存じます。
○柄谷道一君 国家補償の原則に立った原爆援護法制定の必要性につきましては、私が当委員会でしばしば質問に取り上げてきたところでございます。社会保障制度審議会が一月二十九日、厚生大臣に対して「本審議会がしばしば指摘してきたにもかかわらず、被爆者に対する制度の基本的なあり方について、未だ十分な検討がなされていないことは遺憾にたえない。よって、政府においては、原子爆弾被爆の特殊性にかんがみ、専門家による権威ある組織を設け、昭和五十三年三月の最高裁判所の判決の趣旨をふまえて、速やかに、この問題に関する基本理念を明確にするとともに、現行二法の再検討を行うべきである。」、このような答申をされております。そこで、厚生省もやっと重い腰を上げまして、七人の構成による原爆被爆者対策基本問題懇談会を設置されたわけでございます。しかし、過去にさかのぼって考えてみますと、昨年四月二十七日の衆議院社労委員会におきまして「五十三年三月三十日の最高裁判所の判決もあり、国家補償の精神に基づく被爆者の援護対策について、その制度の改善に対する要望は、ますます強くなっている。よって、政府は、来年度までにこの趣旨に沿って、現行二法を再検討し、被爆者の援護の充実を期す」こと、このような決議が行われているわけでございます。いわば厚生省としては、この腰の上げ方が衆議院社労委員会の決議を踏まえて考えますと一年間おくれてきたと、こう言われても過言ではないと思うのでございます。 そこで、お尋ねするわけでございますが、はなはだこの一年間おくれてきたことは残念でございますけれども、一体その理由が那辺にあったのか。さらに、今後原爆被爆者対策基本問題懇談会は一体いつまでをめどにその結論を求めようとしておるのか、この二点についてお伺いいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年、衆議院の社会労働委員会で原爆二法を審議し、附帯決議を付しました時点、私も実は委員の一人でありましたからその点はよく存じております。当時、衆議院の社会労働委員会の内部においていろいろと論議をされましたポイントは幾つかありまして、その中の大きな部分として最終的に残りましたのは、せめて現在のこの二法を一本の法律体系にまとめることを考えてはどうかという問題点でありました。私が昨年十二月厚生大臣を拝命いたします以前の段階から、厚生省事務当局としては種々検討を加えておったわけであります。そして、その過程におきましては、内閣法制局等との意見の調整等も行っておったわけでありますが、私が拝命をいたしました後におきましてもその検討は同様の経過をたどっておりました。最終的に本年度の予算編成を終了しました段階において、内閣法制局としては、本年度の予算の内容を踏まえて考えてみた場合において、二法を一本化することについては特段の意義を認めがたいという結論が出されまして、内容の改善はそれなりに認めるけれども、制度論として考える場合には強いてこの二法を一本化することについては反対であるという意見が示されたわけであります。そこで、今国会にいま御審議を願っておりますような形で国会に御審議をお願いをする結果になったわけでありますが、結論からいきますと、似たものを出してきたとおしかりを受けるかもしれませんけれども、何らかの方途を見出すべき努力は、私は事務当局は一生懸命にいたしておったと、そのように思います。そこで、制度審の御答申の中で、相当の前進を認めたというお答えをいただきながら、基本的なあり方について、基本理念を明らかにし、その基本理念に沿った被爆者対策というものを考えるべきだという御意見をいただきましたのを一つのきっかけとしてとらえまして、懇談会をスタートさせ、同時に、その答申をいただきました制度審の会長の大河内先生にそのまま会長をお願いをし、各界の法専門家にお集まりをいただいて、その基本的なあり方についてまさに御検討を願おうとしておるわけであります。この六月八日を第一回として、できれば二カ月に三回程度のペースをもって御論議をいただきたい。忙しい先生方ばかりでありますので、御就任をいただきます時点でそういう時間的な制約につきましても御説明を申し上げた上で御承諾をいただきました。私どもは一切の従来のかかわりにとらわれない御検討を願いたいと思っておりますので、審議会に対しましては、その冒頭に一年以内に結論をいただきたいという強い要請が国会サイドから出ておりますということを申し上げて、できるだけ早い審議をお願いしたいと思っておりますが、その進め方とか内容とか、そうしたことについては一切注文をつけず、公平な立場で御論議を願いたいと、そのように考えております。
○柄谷道一君 そうすると、二つのことをちょっと確認したいと思うんです。この懇談会は自主的に検討を進めるものであるけれども、厚生大臣としては一年以内になるべく速やかに結論を出してほしいということを冒頭委員会に求められる、これが一つでございます。間違いございませんですね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) そのとおりであります。
○柄谷道一君 二つ目に、附帯決議、院の意思とは、附帯決議とは何かという、ここは非常にむずかしい問題がございますけれども、私は院が違いますから衆議院の社労の経過はわかりません。しかし、これは素直に読みますと最高裁の判決もあり、国家補償の精神に基づく被爆者援護対策の充実を求める声が日ごとに強まっているんだと、そこで、よって政府はこの趣旨に沿ってと、こうあるんですね。こう文意を素直に読み取ってみますと、院の意思は、いわゆる国家補償の精神に基づく被爆者対策の援護、そこにある。こういう趣旨を踏まえて制度の改善をやりなさよということを行政府に意思を伝えてあると、こう思うのでございます。それは素直にそう解釈してよろしゅうございますね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) その最高裁の判決にもあるようにと書かれておりますとおり、最高裁の判決は、私どもが一般の社会保障からは一歩抜け出た特殊な社会保障として位置づけておりましたものを、まさに国家補償的配慮がその根底にあるということを指摘をされたわけであります。ですから、衆議院の段階におきましては、これを素直に取り込んで附帯決議をまとめられたと承知をいたしておりますが、私はこの懇談会において御論議を願う場合に、現行の二法が仮に一般的社会保障から一歩ぬきんでた特殊な社会保障であるのかどうか、あるいはそれが国家補償的配慮が根底にあるのかどうかといったことはとらわれずに、むしろ根本的に、一体日本国民にとって有史以来初めてといわれる原子爆弾による被爆というものは一体どう受けとめるべきであったのか、国としてまたそれに対してどう対処すべきであったのか、そもそもの基本理念から御議論を願いたいと思います。その中には当然国家補償という問題も入ってくるかもしれませんし、またこれは入ってこないかもしれません。しかし、当然社会保障制度審議会において、従来からしばしば答申の中に盛られておりましたような考え方というものを頭の片すみに浮かべればおのずからその方向というものは想定のできるものではないだろうかと、私はそう考えております。
○柄谷道一君 きょうは時間に規制がございますので、これ以上の議論は後刻に譲りたいと思いますけれども、私はここで強く要望いたしておきたいことは、この問題、論議されましてからでも相当の期間を経ております。いろいろ委員の先生方の御都合もありましょうけれども、大臣が要望されますように一年以内に速やかに結論を出すように厚生省当局としても積極的な側面的協力体制をしいていただきたいこと、あわせて、院の意思はやはりこれを素直に読み取っていただきまして、求めているものは国家補償の理念に立つ、いわゆる援護措置の充実強化というところにあるわけでございますから、この院の意思というものが正確に懇談会の中に反映されますように、これは大臣としても当委員会の経過等を十分に懇談会に反映されるように努力を願いたい、このことを強く要望いたしておきます。 次に、原爆被爆者はいま全国に拡散をいたしております。しかし、指定医療機関は、各都道府県別にこれを見ますと、量的に見ても質的に見ても相当の格差があると言わなければならないわけでございます。私はこの指定医療機関の数の増加、質の充実について厚生当局が努力されておることは承知いたしておりますけれども、しかし、若干の増加は見られても、なお抜本的な充実ということにはほど遠いと思うのでございます。量的、質的な拡充というものが阻まれている、なかなか所期の目的を達し得ない、その原因が一体どこにあると御認識されておりますか。
○政府委員(田中明夫君) 指定医療機関あるいは一般疾病医療機関につきましては、私どもといたしまして被爆者の便宜を考えて、従来からその数をふやすように都道府県に対して強く働きかけておるところでございますが、その数が必ずしも十分にふえていないような府県もまだ見受けられるのは事実でございます。これはやはり被爆者の数が非常に少ないような県におきまして、指定医療機関あるいは一般疾病医療機関に指定されましても、患者さんが一人来たり来なかったり、あるいは二、三人きり来ないというような地域におきましては、やはりなかなか医療機関の方も、原爆医療法のいろんな手続その他かなりお医者さんとしてはめんどうくさいような面もございまして、そういうことのためについ渋りがちになるというような面があるのではないかと存じておりますが、今後とも、被爆者の方からわれわれもいろいろ具体的な例を聞いておりますので、その都度患者さんがおられる県に対しては指導いたしまして、被爆者の方の健診あるいは医療が行われるように努力してまいりたいと存じております。
○柄谷道一君 局長も御承知のように、無医村ならぬ無指定医療機関地域というのが相当あるわけです。これは非常に時間的に見ても経費的に見ても被爆者の方々は御苦労なさっているわけでございます。ぜひ指定医療機関の拡大について、手間も大変でございますし、また原爆被爆者というと何かそれだけで大変な疾病を抱えなければならぬという、いわゆる無知と言っては失礼でございますけれども、無理解からくる面も多々あろうと思うんです。その点はやはり行政当局がもっと積極的に指導を強めていただかなければ、この増加はなかなかむずかしいと思うんです。 それはそれなりにまた御努力願いたいんですが、しかし、当面自分の居住しているところに指定医療機関がないというところが多いわけですね。ところが、この治療のための交通費は一切支給されていないわけでございます。その居住する村とか町に指定医療機関があるのにそこで受けないでほかへ行ったということとは違うわけですね。万やむを得ず、自分の居住地域に指定医療機関がないために、また償還払いのそれもなかなかできないために、どうしても必要やむを得ず近接地域の市なり町に出向いて治療を受けなければならぬと、そういう者に対して交通費の支給に対する配慮がないということは、本命はその地域に指定医療機関をつくることにあるんでございますけれども、それができ上がるまでの過渡的措置としてそういう配慮を行っていくというのが私は血の通った被爆者対策ではなかろうかと、こう思うのでございます。この点ひとつ来年度この問題について前向きに御検討願うというお約束をいただきたいと、こう思うんですが、いかがでしょう。
○政府委員(田中明夫君) そういうような、患者さんが非常にいろいろ不便を感じ、苦労されているということはよく理解できるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、そういう患者さんは非常に散在しておられて、数の面で必ずしもたくさんいるということでございませんので、われわれの耳にも被爆者の方からのいろいろな希望が入っておるわけでございますけれども、いま初めて伺ったようなわけでございまして、実情をよく調べて検討させていただきたいと存じます。
○柄谷道一君 大臣いかがでございますか、御検討願えますでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは被爆県の広島の隣の県の出身としては非常に醜態な話でありまして、実例をいまそういう問題提起されますまで、私自身も実は気がつきませんでした。これは私は明年度からいまの御要望にそのとおりに沿うというお約束はできません。ただ、局の方から各県を通じましてその状況等の把握に十分努力をまず第一にしたい、そしてその中において、いま御指摘のようなケースがやはり相当程度あるということであれば、これは当然やはり何らかの対応をわれわれも考えなければいかぬ、そのように思います。
○柄谷道一君 ぜひひとつこれは実態を把握を願いまして、厚生省の努力にかかわらず指定医療機関がないわけですから、やはり指定医療機関ができるまで何らかの措置というものをここで配慮すべきであるということを強調いたしておきたいと思います。 そこで、指定医療機関以外で診療を受けた場合は、いわゆる償還払い制度がとられるわけでございます。ところが、現在、本人から保健所へ、そして都道府県へ、そして厚生省へと、こう申請の手続が逐次とられていくわけですね、また逆に、逆コースをとって金が流れていく。まあ厚生省は二カ月ちょっとぐらいで金は渡っているはずだと、こう言うんでございますが、私の陳情を受けました人のような場合は大体半年ぐらいかかると、こう言うわけです。しかも、これは一つの事例なんですが、ある五十二歳の女性の方でございますが、十八歳のときに爆心地から一・七キロメートルのところで被爆された、もちろん手帳を持っていらっしゃいます。その方がリューマチからことしの二月に突然心臓狭窄症にかかりまして、救急車で病院に運ばれました。ところが、手術の関係上その病院では処置できないということで、医科歯科大学にその病院からの紹介を受けて送られたわけですね。すると、医科歯科大学は指定医療機関ではございません。まず六十万から七十万円の金を一時立てかえなければならぬという事態が生じておると、こういう陳情が来ておるわけでございます。私は、これほど多くの金を立てかえなければならぬと、しかも半年ぐらいたたないとこの金が償還払いされない、これは大変なことではないかと、こう思うんです。 そこで、これは一つの提案でございますけれども、国から、いわゆる厚生省から県に事務委託を行う。そうすれば、一定の基準さえ明確にして事務委託を行えば都道府県でこれが処理できるわけです。そうしますと、県から厚生省、また金が厚生省から県へおりる期間というものが自動的に短縮されるということになるわけでございます。私はこういうことについても、やはり被爆者の生活の実態というものを踏まえて、事務委託の検討を積極的に取り上げていくべきもう時期ではないか、こう思うのでございます。その点のお考え、いかがでしょう。
○政府委員(田中明夫君) 先生が挙げられましたただいまのケースにつきまして、医科歯科大学でしょうか、そういう大学病院に入った場合に、非常な高額な費用がかかったという中には、あるいは現在健保で問題になっております差額の問題等が入っているんじゃないかというような気もいたしますけれども、まあそれは別といたしまして、被爆者が長期に入院した場合には、もしそれが指定医療機関でなかった場合には自己負担の額を一時自分で支弁しておかなければならないわけでございますので、長期にわたる場合にはかなりの額になるかとも存ずるわけでございます。これも、先生もよく御存じのとおり、療養費払いということになりますと非常に時間がかかるわけでございますので、先生御指摘のように、県に事務委託をするという点につきまして検討させていただきたいというふうに存じます。
○柄谷道一君 この点も大臣、事務委託してしまえばそれでしまいなものですよね。何も厚生省ががっちり握っていなければならぬという性格のものでもないと思いますので、いま局長も積極的な検討を約束されたわけでございますから、これは大臣もひとつ責任者の立場から担当局を督励を願いたいと、こう思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは私が督励するまでもなく、局長が引き受けましたから、私が首になりましたとしても、必ず局長はやってくれるだろうと、そのように思います。
○柄谷道一君 ぜひ、その点は早期に実現できるように期待をいたしておきます。 次に、最近手帳申請者の希望がふえておるということを私は聞いております。その理由をいろいろ伺ってみますと、いままで適齢期なりの子供がいたと。いい悪いは別としてその子女の結婚に支障を与えてはいかぬということで、被爆者でありながら手帳の申請をしなかった。ところが、もう年数経過して、お子さんがそれぞれ嫁がれたり、まあ嫁を迎えられたりしたと、もうこの際その心配をする必要もないから手帳申請を行いたいという方も相当おられるようでございます。 ところが、これはある一例でございますが、山梨県に居住しておられます老夫婦でございますけれども、御主人は陸軍大佐で広島にいらっしゃいました。これは軍歴証明が発行されておりますから当然被爆者手帳の受給は受けられました。ところが奥さんでございますけれども、これはまあ別のところに住んでおられて、たまたま御主人に面会に行ったときに被爆されたわけでございます。そこで、なかなかこの三親等以外の証人二人を見出すということは、期間も相当たっておりますし非常にむずかしい。で、私はまあ厚生省の指導がされておることを承知するんでございますが、県によりましては、その三親等以外の証人二人というのが絶対要件であるというような認識をしておられる県もあるわけですね。まあ県によりましてケース・バイ・ケースで、これは弾力的に運用を図っておられる県もあるように思います。その点、必ずしも厚生省の指導方針が各県にくまなく浸透していないのではないかなという実感を持ってこの陳情を受けたわけでございます。 私は、戦後相当の期間を経ておりますし、まあ今日まで事情あって申請を控えておられたその是非は別として、現実的に、被爆地に被爆時そこにおったという者は、これを実質的に証明できるものがあれば、これは弾力的に手帳交付をしていくべきではないかと、こう思います。いかがでしょうか。
○政府委員(田中明夫君) 先生がおっしゃられるようなケースが最近非常に多くなっておりまして、厚生省といたしましては、従来から公の機関が発行した証明書等や第三者二人以上の証明書がない場合には、本人以外の者の証明書または本人において当時の状況を記載した申請書及び誓約書を添付すればよいということにしておりまして、ことに最近では証明をする人を見つけることが非常にむずかしくなってきているわけでございまして、こういう場合には申請者本人等からの事情聴取により事実の確認に努めるよう各県に再三指導をしているところでございますが、県によりましては十分その趣旨を納得していないところもあるように被爆者の方からも聞いておりますので、今後とも担当官の全国会議等においてその趣旨の徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。
○柄谷道一君 ぜひこれは生きた行政が行われるように指導願いたい。また、指定医療機関に対する行政当局からの情報の伝達、それから指導というものも、きょうはまあ時間がありませんので事例を挙げることは省略いたしますけれども、まだまだ不足しているんではないかという面もございますから、私はこの面につきましてもあわせて行政当局で御配慮を願いたい。 で、話は若干異なりますけれども、厚生省が認められました社団法人日本被団協原爆被爆者中央相談所というのがございます。この中央相談所は被爆者相談一一〇番を設けておりますが、大体年間二千人を超える相談があるように聞いております。そして、この中央相談所は、昭和五十三年度五百八十万円の事業計画を組みまして、うち厚生省があっせんしたことによりその四分の三の四百九万円、自転車振興会から寄付を受けまして、そしてこういうパンフレットですね、原爆被爆者二法の内容の説明でございます、こういうものをやりましたり、一一〇番を受け付ける一人の人件費を賄いましたり、さらに全国八カ所で相談事業講習会を開く等、被爆者から非常に感謝をされておるわけでございます。私はこの事業内容から見ますと、厚生省があっせんして競輪の上がりを回すと、これは振興会には失礼かもしれませんが、そういう性格よりも、この事業の実態から見ると、国みずからが補助、助成をしていくにふさわしい事業内容ではなかろうかと、こう思うんです。その点御検討願えませんですか。
○政府委員(田中明夫君) 被爆者の相談事業につきましては、現在県、市あるいは保健所等において実施されておりまして、国としても広島市と長崎市が実施している相談事業については運営費の補助を行っているわけでございますが、その他全国に散らばっている被爆者の方々の相談については、先生御指摘の被団協の中央相談所が非常に活動をしておられるわけでございまして、国としてはこの公益法人の活動に対して自転車振興会の補助金のあっせんということで御協力をいたすという態度をとっておりまして、現在のところは国から直接これに補助するということはまだ考えておりません。
○柄谷道一君 これはひとつ、いますぐの即答は無理だと思いますが、検討は願いたい。 それから、五十四年度も少なくとも寄付のあっせんはされますね。
○政府委員(田中明夫君) そのように考えております。
○柄谷道一君 時間がありませんので簡単に申し上げますが、広島原爆病院は、この院のいろいろ質疑を受けとめられましてその改築が終わったわけでございますが、長崎原爆病院、これもあわせて私もたびたびこの委員会で指摘しております。本年度調査費が厚生省予算で計上されておりますけれども、これはこの調査結果を踏まえて来年から予算に新築のための事業費が計上される、いわゆる新築が明年より着工されると、こう理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 実はこれは少々私は現在困っております。と申しますのは、御指摘のように広島の日赤病院につきましては病棟改築整備を現在行っておるわけでありますが、長崎原爆病院の移転改築につきまして、適地の選定について非常に難航しておられるということでありまして、まだ県、市から具体的な計画が上がってまいりません。その結果、むしろ本年度計上した調査費につきましても、その適地が決まらぬということから、ある意味では執行に非常に困難を感ずる場面が出はしないかという心配をしておるわけであります。ですから、むしろやはり、まず第一に場所が決まりませんと今後の計画も立たぬということでありまして、いま県、市の具体的な計画をお持ちをいただける日を待っておるというのが現状であります。
○柄谷道一君 私もそのように理解しておりますけれども、私は大臣、座して待つと、これも一つの方法かもしれませんけれども、いま敷地問題で難航しているわけですから、やはり厚生省自体もこの問題解決のために積極的に乗り出していく、助言すべきは助言し、県に要請すべきは要請していく、そういう積極姿勢というものが望まれると、こう思うのでございます。ぜひその点は、もう少し前向きに厚生省自体が乗り出していただきたい。 最後に、時間が参りましたので一点だけ御質問いたしますが、実はこれも私陳情をもらったんですけれども、広島の高射砲部隊に入隊しておりました方が現地で被爆されました。その後市内一円の救援活動に九月末まで従事されました。したがって、被爆者手帳を持っていらっしゃるのですね。ところが、この方が膀胱全摘出回腸導管手術という手術を受けられまして、膀胱を切除されたわけでございます。そこで、膀胱がないわけでございますから、アメリカ製のアムコ集尿器というものを医者の指示によって使用しておる。一セット一万円、二カ月に一遍はこれを取りかえなければならぬということのようでございますが、これが保険適用外になっているわけです。これは相当の出費でございまして、いわゆる手当をいただきましても相当部分が集尿器の取りかえだけでかかってしまう。私は、これは一例でございまして、全国にいろいろこういう例はあるんではないかと思うんです。したがって、医者の指示によって必要とするこの種の器具ですね、これを現物給付するとか、補助の対象にするとか、そういうことについてもう一度洗い直して、実態に即するような対応策が必要ではないかと、こう思うのでございます。この点に対する積極的御回答を求めまして私の質問を終わることとします。
○政府委員(田中明夫君) ただいまの件につきましては、先生がおっしゃられたように、これは保険の方でそういう決まりになっておりまして、われわれの医療法は大体保険にのっとっておりますので、大もとの方の考え方が整理されませんとちょっとむずかしいのではないかと、まことに申しわけございませんがそのように考えるわけでございます。
○柄谷道一君 大臣、大もとはいかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは正直言って医学の分野の話でありますから、私はそのケースをどう保険適用にできるのか、その可能性があるのかないのか等についてはよくわかりません。ただむしろ、そういう問題があるとすれば、これは原爆医療のみの問題ではないでしょうし、今後やはり何らかの機会に検討すべき課題の一つだろうと、そのように思います。ですから、なるべく早く健康保険法を通していただきまして、そうした点に審議ができるような状態をおつくりいただきたいと、こちらから陳情いたします。
○委員長(対馬孝且君) 委員の異動について御報告いたします。 ————————————— 本日、目黒今朝次郎君が委員を辞任され、その補欠として粕谷照美君が選任されました。
○下村泰君 実は、私は参議院社会労働委員会調査室から、「原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案参考資料昭和五十四年三月」と表記、印刷してある資料をいただきました。それを開いておりましたらば、 昭和二〇年 広島市(昭和二〇、八、六)及び長崎市(昭二〇、八、九)に原子爆弾が投下された。 昭和二九年 三月に米国がビキニ環礁で行った水爆実験による第五福龍丸の久保山氏等の被害問題が突発した。 また、政府は初めて予備費より原爆被爆者調査費を支出した。 昭和三〇年 政府は、一般会計予算に広島、長 崎の両県に居住する被爆者の一部に対し、精密検査や研究治療を行うための経費を計上した。 昭和三一年 第二五回国会の衆議院本会議(昭三一、一二、一二)において、「原爆障害者の治療に関する決議」が行われた。 この辺でやっとあれですね、いま主題にしている法律案というのができたと、こういうことなんですね。しますと、私はこの前のこの社労委でも申し上げましたが、とにかく世界で類例のないたつた一つの被爆国のわが国が、これだけ悲惨な患者を抱えながら何でこんなに遅々として進まなかったのでしょうか、まずその辺からお答えください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) その当時は、まだ私は子供のころでありますから正確な状況はわかりませんけれども、恐らくやはり私は敗戦国という、非常に情けないことでありますけれども、戦いに敗れ、その原子爆弾という兵器を使用した国に占領されていたという特殊事情が、私は被爆対策というものにそれだけの空白を生じた大きな原因ではなかったろうかと、いま想像をいたします。
○下村泰君 もちろん思いもよらぬ歴史上初めての敗戦国になったんですし、この年限までは大変な食糧難でもありましたし、まだ多分このころには食堂へ行っても切符が生きていたころじゃないかなという記憶はしております。二十五年にあの朝鮮動乱のあおりをいい意味で食って、多少なりとも景気が上向いてきたころなので、国民一人一人がこういうことに関心を向ける余裕もなかったかとは思うんですけれども、それにしても昭和三十二年に原子爆弾被爆者の医療等に関する法律案が政府より提出され三月三十一日可決成立した。昭和三十二年からもう二十二年たっているわけですね。二十二年たっている今日、この社会労働委員会で諸先生方の質問する内容というのはほとんど変化がないんじゃないかと思うんです。ただ細かい個々のことについてはそれぞれの委員からそれぞれの陳情があり、それぞれの内容によって質問はなされていますが、その根本に流れているものはちっとも変わっていないと私は確認しました。 そして、きょう初村先生が質問なさっていらっしゃいましたけれども、爆弾が落とされた区域が、片方が十二キロで片方が六キロ、しかも現在調査したところがそこに何ら科学的に反応がなかった。何十年もたてば科学的反応だって消える場合もありましょう。そして人間の体の中には残っている場合もありましょう。雨も降れば風も吹くんですから、時によっては——放射能に対する退避要領としてそれぞれいろんなものが書かれております。ビキニ環礁から放射能をかぶって帰ってきたときになぜ海水を浴びなかったかとか、やれ水をかぶらなかったとか、そうすれば後遺症は残らなかったんじゃなかろうかなどということを放言してしかられた方もあったようですけれども、そういうふうにそれぞれいろいろのことが考えられている。それをもし基本として考えれば、先ほど初村先生がおっしゃったあの区域の話なんかでもずいぶん私は割り切れないものがあるなという感じがするんです。 この前の五十三年六月六日のときにも私質問しているんですけれども、柄谷先生が先ほどおっしゃっていたのがやはり私が質問しているのと同じようなことが質問されているわけなんです。そうしますと、一体この日本の厚生省というところが、こういうことに対してたとえばお役目をしょっているとするならば、何で同じような質問をされるようなことをやっているのかというところに疑問を抱くんですが、厚生大臣もやっぱりそうお考えでしょう、質問されていて。と思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 下村さんがそういう御意見をお持ちであることはわかりました。ただ、これは私は、ちょうど初村さんもここにおられますからこの機会に率直に申し上げたいと思うのでありますが、私ども従来からこの原爆被爆の問題については、広島県と長崎県と、その両県の方々がやはり一緒に行動していただきたい。そしてそういう原爆被爆の問題については、これは党派もなければ、宗教の関係もなければ、被爆者という実態においては皆同じなんでありますから、足並みをそろえていただきたいということをいつも関係の方々にも申し上げてまいりました。そして、従来大抵の話については両県の関係者の方々の御意見は完全に一致しておったわけであります。そして広島県の黒い雨のいわゆる大雨の地域をこの法律の対象の中に取り込んでくるぐらいのときまでは、いわゆる八者協と申しまして、広島県、広島市、また長崎県、長崎市、関係者が集まられて論議をされる場があるわけでありますが、そこの御意見というものは常に実は一つでありました。ただし、この地域拡大の問題が出ましてから実は両県の足並みに完全な乱れを生じているわけであります。両県の足並みに完全な乱れを生じております。広島、長崎両市のお話し合いの中にも乱れを生じております。これは初村さん事実をお認めいただけると思うのでありますが、私は就任以来長崎の知事さんと広島の知事さんと話し合っていただきたいとか、あるいは両県の議会で話し合っていただきたいとかずいぶんいろいろな方々にもお願いを申し上げました。また長崎の被爆者の代表の方々には、厚生省としてはことしこの予算を、手当を二倍から三倍にするんだ、福祉年金をペースにして三倍にするんだ、まずその勝負を決めなきゃならぬ、この地域指定の問題についてはどうか両県関係者が十分話し合っていただきたいということもお願いをしておりました。遺憾ながら両県の間にいまだ意見の一致を見ておらないわけであります。私はこういう問題を役所が裁定をすることによって、被爆地域の一方に喜んでもらえるかもしれないが、一方で問題の起こるような事態をつくることは好みません。私はこの問題については、やはり両県、同じ被爆という悲惨な経験を持たれた地域なんでありますから、たとえばこちらがこれだけ広げるんならおれの方はもっと広げなきゃいかぬのだとか、あるいはこちらの原爆の方が威力が大きかったんで、あっちは小さかったんだとかいうようなことで両県の関係者の間にいがみ合いが起こる事態を回避したい、それに結論を出すようにしていただきたい、切実に思います。委員におかれましても、そうした点についての調整等に御協力をいただければ、私どもとしては非常に幸せであります。
○下村泰君 区域問題、地域問題に関しましては、いま大臣からお答えなさったことがほとんどのいわゆる何といいましょうか、障害になっているというふうにも承っておりますけれども、一応つまり私が申し上げたいのは、同じような質問が繰り返されるというところですね、そこに何となく、行政の怠慢ではないんでしょうけれども、非常に遅々として進まない大きな原因が一体どこにあるのかというようなことが非常に私は気になるわけなんです。 それから、こういうことを私この間お伺いしたんですが、諸種の医療、治療技術でございますけれども、アメリカと比較してどちらが優でどちらが劣るかということをお尋ねしたんですが、日本の医療技術の方がアメリカのこういうことに関する技術研究よりもはるかにまさるとも劣らないというくらいの技術があるというふうにこの前お答えになったんですが、それはそのままいまだに続いていることなんでしょうか。
○政府委員(田中明夫君) ただいま先生が引かれた例が、だれが答えたかちょっと私つまびらかにいたしませんが、この関係の医療につきまして、ほかの医療、医学同様、日本がアメリカよりすぐれている面もありますし、また逆にアメリカの方がすぐれている面もあるというのが公正なところではないかというふうに考えております。
○下村泰君 これは政府委員の松浦十四郎さんとおっしゃるんですか、この方のお答えになったことなんですがね。 それではもう一つ伺いますが、現在いわゆる被爆患者の症状、あるいはどういうふうにして、どういう臓器がどう患うか、それに対する治療はどうであるかというようなプロジェクト的な研究班といいますか、そういうことはやっていらっしゃるんですか、あるんですか。
○政府委員(田中明夫君) 先生がいま御指摘になりましたような研究につきましては、関係の医療機関の横の連絡によりまして、あるいは各種の研究費を厚生省がそういうプロジェクトチームに出すことによりまして、いろいろと精力的に行われております。
○下村泰君 それで、たとえばその研究をなさっていらっしゃる方々が十分に研究し得るだけの額が出ているんでしょうか。
○政府委員(田中明夫君) その十分か不十分かというのは判断する人によりましてといいますか、尺度によりましてどのようにも解釈できる面があるのではないかと思いますが、まあわれわれとしては、世界で唯一の被爆国である日本におきまして、その被爆者の方に関する医療その他の研究というのはほかの国ではできないことでございますので、できるだけの努力をして、研究費等獲得して関係者に有効に使っていただきたいと努力しております。
○下村泰君 たとえば、よく新聞の活字の上に国民大衆が一番気をもんでいるような病気があります。たとえばがんですとか、こういうことに対する研究、新事実、いろいろなものの発見があります。あるいは発表があります。こういうことは大きく新聞に報道されます。で、それはそれだけにやはりいろいろな研究の仕方をなさっていらっしゃる方があらゆる角度からしてそういう成果をおさめているんではないかと思うんですけれども、この被爆患者のいわゆる治療研究に当たっている方々の成果の発表とか、あるいはこういうことでこういうふうに成果を上げているというような発表というのは、余り私は新聞の活字で見たことがないんですがね、どうなんですか、十分生かされていますか。
○政府委員(田中明夫君) 毎年一回原爆の後障害、後に残された障害の研究会というのが開かれておりまして、ただいまのような研究の成果が発表されております。
○下村泰君 その発表されたことによって、いわゆる患者の方々は安心できるような状態なんでしょうかね。
○政府委員(田中明夫君) これは先生も御存じのとおり、原爆に起因されると考えられる病気の中には非常に難治性の疾患も多いわけでございますので、これらの研究の成果によって原爆に関係があると考えられる疾病がすべて解決ついたというところまでは、もうとてもいっていないわけでございます。で、原爆に起因すると考えられる疾病といいましても、ほかの理由でも起きます疾病がほとんどでございますので、がん初め一般の難病といいますか、むずかしい病気としての研究も広く行われているわけでございます。
○下村泰君 結局、先ほどからも出ておりますし、前回も出ておったんですけれども、被爆者の方々があえて被爆者のいわゆる手帳というものを受け取りたがらない、あるいは受け取ることを拒否するということの原因は、やっぱり私はそういうところにあると思うんですよ。これがもしその研究の成果が完全に発表される——発表というよりも完全に成果を上げて、そしてこれこれの症状はこれこれである、これこれは絶対後遺症にはならないのである、子々孫々に至るまで何の心配ないんだというような、安心したいわゆる成果というものが、結果が発表されて、その治療に対する万全の信頼感というものがあれば、私はそんなに被爆手帳をいやがったり、あるいは世間体があるからというようなことで逃れるなんていう人はいないんじゃないかと思う。ことに、こういう症状というのは目に見えないものですし、はっきりとしたものでもありませんわね、とにかくわが国しかないんですから。ほかの国は、それは動物実験かなんかやっておるかどうか知りませんけれども、日本だけなんですから。してみると、その結果というのは世界じゅうにその結果が出ているわけじゃないんですからね。そうすると、日本で被爆した日本人だけが、その被爆者だけが個々にあらぬことを考え、あらぬことを想像し、あらぬ結果に恐怖心を抱いて日夜苦悩しているわけでしょう。で、これも本人でなきゃわからぬのですよ、これは。ところが、そこに何か大きな光がどんと当たれば、ああなるほどこれなら安心できるんだということの目安がつけば、だれだって私は被爆手帳でも何でも遠慮なしにもらうと思いますし、また安心して日々を暮らせることができるんじゃない。かと思うんです。私はそうしてやるのが本当にいま現在こういう人たちを抱えた国としての、体制側ととしてのあるべき態度じゃないかと思うんです。同じことの質問を繰り返しても能がありませんから、この一点だけひとつ厚生大臣に聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) こうした研究というものが、一朝一夕にぽんと結論が出てくるという性格ではないことは下村さんもよく御理解のとおりであります。ただ同時に、そこの中で生まれてきた研究の成果というものが、被爆後の種々の障害に悩む方々に対してその成果がすぐに生かして使われないようなことであってはいけない、それはそのとおりでありまして、そこから生まれてきたものを行政の中に生かしていく努力というものは私どもも今後も鋭意続けてまいるつもりであります。
○下村泰君 ちょっともう一つお願いします。 たとえば、ストロンチウム90とかセシウム135ですか137でしたかね、あれを金魚に当てて実験したら胴体が一つで頭が二つというような成果が発表されているんですよね。こういうことを、金魚だからいいようなものなんです、これ。人間だったらどうなるかという恐怖心はだれでもあると思うんです。どうぞひとつ、いま厚生大臣、こういう研究は速やかにできるものではないと、それはわかります。速やかにできない研究だからこそ急がなきゃならないんじゃないかと思うんです。どうぞひとつ万全の体制でお願いしたいと思います。
○委員長(対馬孝且君) 他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(対馬孝且君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。−別に御発言もなければ、これより採決に入ります。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(対馬孝且君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、片山君から発言を求められておりますので、これを許します。片山君。
○片山甚市君 ただいま可決されました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、民社党、第二院クラブ共同提案による附帯決議案を提出いたしたいと存じますので、御賛同をお願いいたします。 以下、案文を朗読いたします。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項についてその実現に努めるべきである。 一、原子爆弾被爆者に対する制度の基本的あり方について、十分な検討がなされていないことにかんがみ、この際直ちに専門家による権威ある組織を設け、昭和五十三年三月の最高裁判所の判決の趣旨を踏まえて、一年以内の速やかな時期に被爆者に対する制度に関する基本理念を明確にするとともに、現行二法の再検討を行い、被爆者の援護対策の確立を期すること。 二、特別手当について、生活保護の収入認定から外すよう検討するとともに、各種手当の額の引上げ、所得制限の撤廃、適用範囲の拡大(地域を含む)等制度の改善に努めること。 三、原爆症の認定に当たつては、被爆者の実情に即応するよう改善を検討すること。 四、被爆者の医療費について全額公費負担とするよう検討するとともに、被爆者に対する家庭奉仕員制度、相談業務の充実強化を図ること。 五、被爆者とその子及び孫に対する放射能の影響についての調査、研究及びその対策について十分配慮するとともに、原爆医療調査研究機関相互間の連絡調整を図ること。 六、死没者に弔意を表すための具体的措置について、他との均衡を配慮しつつ検討すること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(対馬孝且君) ただいま片山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(対馬孝且君) 全会一致と認めます。よって、片山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、橋本厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本厚生大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま御決議になられました附帯決議につきまして、その趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす覚悟でございます。
○委員長(対馬孝且君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(対馬孝且君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(対馬孝且君) 次に、公衆浴場法の一部を改正する法律案を議題といたします。 発議者粕谷照美君から趣旨説明を聴取いたします。粕谷君。
○粕谷照美君 公衆浴場法の一部を改正する法律案提案趣旨説明をいたします。 この法案は、参議院日本社会党・公明党・日本共産党・民社党・第二院クラブの各党各派提案によるものでございます。 公衆浴場法の一部を改正する法律案の提案趣旨を説明申し上げます。 売春防止法制定より二十三年を経過した現在、政府公認の集娼制度は解体されましたが、売春の形態は多様化し、潜在化して第三者による女性の搾取は後を絶ちません。中でも、個室付浴場業の業態は売春の温床と化し、特殊浴場業の距離規制の悪用によって新たに全国各地に集娼地域を発生させており、そこで役務を提供する女性に対して、浴場業者及び彼らと結託するヒモ、暴力団などによる売春の強制及び搾取が増大しています。 ここに個室において異性による役務を提供させることを禁止し、売春の温床を除くことを目的として、公衆浴場にふさわしい営業形態に改めるため、公衆浴場法の一部改正を提案するものであります。 この法律案の内容は次のとおりであります。 第一に、浴場業を営む者(以下「営業者」という。)は、浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供し、または異性の客に接触する役務を提供する者に当該役務の提供のために当該個室を使用させてはならないものとすること。 第二に、都道府県知事は、必要があると認めるときは、当該吏員に公衆浴場に立ち入り、第一の規定の遵守の状況を検査させることができるものとすること。 第三に、都道府県知事は、営業者が、第一の規定に違反したときは、浴場業の許可を取り消し、または期間を定めて営業の停止を命ずることができるものとすること。 第四に、第一の規定に違反した者は、これを六カ月以下の懲役または一万円以下の罰金に処するものとすること。 第五に、この法律は、公布後二カ月を経過した日から施行するものとすること。 第六に、この法律施行の際、現に適法に営んでいる個室付浴場業については、その際、現に設られている個室によるものに限り、この法律の施行の日から一年間は、なお従前の例によるものとすること。 第七に、風俗営業等取締法第四条の四の削除その他所要の措置を講ずるものとすること。 以上でございます。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
○委員長(対馬孝且君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。 本案の自後の審査は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十四分散会 —————・—————