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87回国会衆議院1979/03/02

予算委員会第二分科会 第4号

発言数
351
登壇者
37
会派数
5
開催日
1979/03/02

会議録

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算中大蔵省所管について政府から説明を聴取いたします。金子大蔵大臣。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 昭和五十四年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明いたします。  まず、一般会計歳入予算額は、三十八兆六千一億四千二百万円となっております。  このうち主な事項について申し上げます。  租税及び印紙収入については、二十一兆四千八百七十億円、専売納付金については、七千五百六十九億三千三百万円、公債金については、十五兆二千七百億円となっております。  次に、当省所管一般会計歳出予算額は、五兆四千二百九十一億六千三百万円となっております。  このうち主な事項について申し上げます。  国債費については、四兆七百八十三億五千万円、政府出資については、千七百十五億五千万円、公共事業等予備費については、二千億円、予備費については、三千五百億円となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  造幣局特別会計については、歳入、歳出とも二百四億九千六百万円となっておりますが、このほか印刷局等の特別会計については、お手元の予算書等によりごらんいただきたいと存じます。  なお、賠償等特殊債務処理特別会計につきましては、昭和五十三年度限り廃止することといたしております。  最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。  日本専売公社については、収入二兆二千九百七十七億七千八百万円、支出二兆三千百七十九億三百万円、差し引き二百一億二千四百万円の支出超過となっております。  専売納付金は、別途御審議をお願いいたしております日本専売公社法等の一部を改正する法律案による改正後の日本専売公社法に基づいて、七千五百三十億二千九百万円を見込んでおります。  このほか、国民金融公庫等の各機関の収入支出予算については、お手元の予算書等によりごらんいただきたいと存じます。  以上、大蔵省関係の予算の概要を申し上げました。  なお、時間の関係もございまして、お手元に配付しております印刷物をもって詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願い申し上げます。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 この際、お諮りいたします。  ただいま金子大蔵大臣から申し出がありましたとおり、大蔵省所管関係予算の主要な事項につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。して、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入は、二十五億九千百万円、歳出は、九億五千四百万円の増加となっております。これは、日本銀行券等の製造数量の増加したこと等によるものであります。  以上、申し述べました各特別会計のほか、資金運用部、国債整理基金、外国為替資金、産業投資、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計につきましては、お手もとの予算書等によりまして御覧いただきたいと存じます。  なお、賠償等特殊債務処理特別会計につきましては、昭和五十三年度限り廃止することと致しております。  最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算につきまして、簡単に御説明いたします。  まず、日本専売公社におきましては、収入二兆二千九百七十七億七千八百万円、支出二兆三千百七十九億三百万円、差引き二百一億二千四百万円の支出超過となっております。  これは、先ほど申し述べました「日本専売公社法等の一部を改正する法律」(案)による改正後の「日本専売公社法」に基づき納付する専売納付金を支出予算に含めたことによるものであります。  これを前年度予算額に比較いたしますと、収入は、二千八百五十六億八千六百万円、支出は、七千五百十六億九千二百万円の増加となっております。  また、専売納付金は、七千五百三十億二千九百万円を見込んでおりまして、前年度に比較して四百二十二億五千二百万円の増加となっております。  なお、日本専売公社の事業のうち、たばこ事業につきましては、昭和五十四年度の製造たばこ国内販売数量を三千五十六億本と見込んでおります。  次に、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小全業信用保険公庫、医療金融公庫、環境衛生金融公庫、沖繩振興開発金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の各機関の収入支出予算につきましては、お手もとの予算書等によりまして御覧いただきたいと存じます。  以上をもちまして、大蔵省関係の予算の概要について説明を終ります。     —————————————

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 以上をもちまして大蔵省所管についての説明は終わりました。     —————————————

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 大蔵大臣は連日御苦労さんです。この第二分科会もきょうが最後ですが、実は私はきょう最後になっておりましたけれども、社会党が非常に協力いたしまして、相当数定数の中にあきが出ましたので、そこで前々から通告をしておりました質問事項に加えまして、まず最初にアメリカの国際収支の問題、対日赤字が再び拡大してきておりますのでその問題と、それから対中国の金融問題という問題と、それからもう一つパシフィック通商の、これは後ほどの証券行政とも関連いたしますが、そういう問題についてまずお尋ねをしておきたい、こう思います。  そこで、一月二十八日発表されましたアメリカ商務省の国際収支は三十九億四千万ドルの赤字、こういうことになりまして、一年ぶりの大幅赤字を記録することになったわけです。昨年の十月から減少傾向を見せていた対日赤字も十億ドル、こういうことになりまして、大変シリアスな状態というか、日米関係は非常にいま緊迫した関係にありますが、なおさらそれに拍車をかけるような状況が生まれておると思います。しかし、これはアメリカ側も原因について述べておりますように、要するに、イランの石油輸出停止に伴います原油価格の上昇とアメリカのインフレが主因だ、こういうことを言っておるわけであります。そうしますと、イランの石油の問題というのは、総括でも一般質問でもこれまでずっと論議が重ねられてきておるわけでありますが、つまり、量の問題から価格の問題に石油の問題は移ってきておると思うのです。スポットはもうすでに二十三ドルというのも出ておるわけであります。そうしますと、この対日赤字がイランの石油問題等から非常に顕著に出てきておるとなりますと、短期で問題を一つ一つ解決するということのできない状況だ、こう思うのです。ですから、こういういまの状況をどう判断をし、アメリカのドル不安というのがまた再び出てくるのじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますが、大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 昨日の夕刊で大きく十億ドルの対日赤字が取り上げられましたけれども、いろいろ詰めてみますと、一つは、貿易統計のとり方を変更した点に問題があるようでございます。それからもう一つは、日本との貿易は、いま輸出がむしろ減って輸入は制限輸入等がどんどん入りまして、減少の傾向にあるのでございまするけれども、貿易統計のとり方で、日本のCIF価格かF ○B価格かの違いがあることはもちろんでございますが、大体一月ずつずれてアメリカの統計に反映するということでございますから、二月分の発表のものになりますとそれはまた減少して、日本との赤字は縮まってくるように私どもは見ておる次第でございます。いずれにいたしましても、今日、従来から大きく問題になっておりました成長率の問題から、日本の黒字をどうやって減らして国際協調に持っていくか、日米間の摩擦を避けるように持っていくかということに重点が移りましたから、私どもといたしましても、今後輸出についての行政指導をさらに続けるとか、製品輸入をふやすとか、あるいは緊急輸入も極力予定どおりにやるというようなことによってこの摩擦を回避してまいりたいと思います。ドル自体の強さにつきましては、総合対策をとりましてから相当程度改善された、それがまた今日の日本の為替市場にも反映しておるというふうに私どもは見ておる次第でございます。ただイランの石油の問題、これは御指摘のとおりの問題がございますから、今後の推移を十分にらみながら慎重に、しかも機を逸せず対処してまいりたい、こういうふうに考えております。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 そうしますと、昨年の秋ごろから、わが国の国際収支の黒字幅というのは確実に縮小傾向に入っておる。そういう状況というものは、だから今後も続く。そして、むしろ卸売物価の急騰という面から見れば、インフレの方が心配だ、こういう状況ですね。  そうしますと、そういう立場に立って、今度のIMFの暫定委員会には、日本としては楽観しているという報道が大分流されておるわけです。おととしも、九月のIMF総会の前には、もう問題ないのだと言ったし、帰ってきたときもそういうふうに似たようなことを言っておったのですが、それから大変な円高になってきた、あのあらしの経過というものを振り返るわけでありますけれども、今度のIMFの暫定委員会というのは、そういうふうに楽観できる状況なのかどうか、あるいは日本政府としてどういう態度で臨むのか、基本方針を聞かしていただきたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 決してIMFの暫定委員会の今後の見通し、楽観しておる次第ではございません。やはりドイツに次いで一番大きな黒字を抱えておる日本の経済の動向は各国関心の的でございますし、むしろ、今日非常な努力はいたしておりまするけれども、もっと国内景気を高めて物を買うようにしろよという要請が強いわけでございます。今後IMF内部にも監視機構を設けて各国のこれからの経済成長等について一々チェックしようというような動きもあるやに聞いておるのでございまして、私どもといたしましては、十分そういった動きを見定めながら、必要な手だては着々打ってまいらなければならぬ、こう考えておる次第でございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 では、限られた時間ですから、次には中国との関係ですが、プラントの問題について、中止、一部中止、契約未発効という通告が来ておりまして、相当いろいろと議論があります。ある意味においてはラッシュのように進んでおりましただけに、そして七八年度の世界から中国が輸入いたしますのは七十億ドル、そして日本は三十億ドル、こういうふうにプラント輸入について言われておるわけでありますが、そういうプラントの問題について、こういう通告が来て、北京でも李先念副首相がいろいろと発言もいたしておりますけれども、こういう今日の状況についてどういうふうに判断をするのか。つまり、戦争に入っておる中国と平和な中国というものの間には違いがあると思うのですね。そしてこれは、プラントだけでなくて、石油公団との渤海湾の海底油田の共同開発の問題も、調印直前に交渉中断で中国側の代表団が帰ったということになっておるわけでありますけれども、大蔵大臣として、むしろこの商談の中断等の問題あるいはすでに調印済みの問題の契約未発効という問題等については、金融対策がおくれていたからだという商社側の言い分もあるわけでありますけれども、しかしこれはイランの問題その他でもいろいろ議論をしましたように、全世界にわたります集中的な投資という問題については冷静に考えるべきじゃないかということを私は一般質問でも申し上げたのです。ですから、友好は友好、しかし経済関係を発展させるためには、冷静な判断というのは必要だと思いますね。つまり、いまの状況を大蔵省としてどういうふうに判断をしておるのか。  それから、資金協力について、経済協力基金なりあるいは輸銀なりといういろんな問題が言われておるわけでありますが、どういうふうに考え、どういうふうに対処をしようとしておるのか、お考えを伺いたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 いままで日本側と進んでおった話をこの際一時ストップしようということは新聞その他で私も見ておるだけでございまして、まだそういう話が出てきた背景について的確に把握しておりませんけれども、考えられるところは、やはり一つは中国側の支払い能力の問題が大きく響いておると思うのであります。これは当初から私どもも、その点をどうするのかということを問題にしておったのでございます。もう一つは、余りに急速に近代化を進めようとしておるその反省がやはり中国内部にもあったのではないか。これは大来さんなんかが行っていろいろ指導しておるようでございますけれども、当然そういうことも考えられると思いますし、特に今度の中越紛争がそれに絡むというようなこともございまして、とりあえず停止というようなことになったのではないかと思うのでございますが、私どもの中国に対する考え方は、これは通産省が中心でございますことは申すまでもございませんけれども、通産省から相談を受ければ、できるだけの協力は惜しまないつもりでおります。  ただ、輸銀融資をドル建てですることは、これは私はやるべきでない。あくまで円建てでやるべきでございましょうし、また、民間融資等につきましても、国際ルールがあります。OECDのルールがありますから、それを無視して特別のことをやるとなると、ほかの国からどうだと聞かれたときに、これは中国だけ特例だというわけにもまいりませんから、それはやはり私どもは十分考えながらやらなければいくまいというようなことで、内々対策を相談しておったところへ今度の停止ということになったわけでございます。正式に向こうから、これを幾らこうしてくれというところまでは、いままでいってなかったわけでございます。  経済協力につきましても、それはできるだけの応援はするつもりでございますけれども、向こうからまだ申し出がないものですから、私の方でも検討いたしておりません。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 それでは、次に、パシフィック通商がことしの十二月上場を目標にしまして大変急成長しておったのですね。ところが、二月十五日に、自己破産宣告ということになったわけでありまして、メーンバンクの東海銀行を初め相当多くの関係者があるわけでありますし、また、繊維関係の中小企業者にはこの影響が大変大きい、こう思います。  そこで、なぜこういうことになったのか、まずその点について、大蔵省証券局長の方ですかな、つまり、これまでの有価証券報告書等も検討してきておるわけでありますけれども、それをどういうふうに判断をされるか、原因についてのお答えを伺いたいと思います。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 パシフィック通商は、昨年の三月期は当期利益五億二千九百万円、配当は四〇%しております。昨年の三月期までは毎期五割の配当をしておりました。しかし、一年決算でございますから決算期ではございませんが、中間決算に当たりますが、昨年の九月期に提出されました半期報告書では、営業利益は一千万円の赤字になっております。  私ども、現在はこのような有価証券報告書の提出されておる数字程度しか知識がないわけでございますが、昨年の三月期まで四割の配当をしていた会社が一年たったときに自己破産をしたという事態でございますので、現在、パシフィック通商を監査いたしました公認会計士から事情の聴取を始めているところでございます。  パシフィック通商は上場会社ではございません。(川崎分科員「十二月上場を目標と言った」と呼ぶ)現在上場会社ではございませんので、本省が所管しておりません。財務局が所管しておりますが、私どもも協力いたしましていま事情を聴取しているところでございまして、まず、昨年提出されました半期報告書さらには昨年三月の有価証券報告書等、公認会計士から事情を聴取し、その上で、必要に応じ会社側からも事情を聴取したいと思っておりますが、その過程でその決算の数字が果たして正確なものであったのかどうかというところをまず究明したいと思っております。  その過程で、先生御指摘のその決算の数字が正しいものであるならばどういう事情でそのように業績が悪化したのかということも判明しようかと思っております。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 そうしますと、公認会計士の監査のあり方について検討しておる、こういうことですが、私は総括質問でも、投資家の保護というのが日本では十分ではないのではないかということを指摘をしたわけです。その場合に、日本の証券行政として投資家の保護というのが、前に不二サッシの問題もありましたし、あるいは今回のパシフィック通商の問題についても、これは財務局段階だ、こういうことでございますけれども、非常に大きな影響を与えておる、こう思います。そうすると、これまでの監査のあり方とか会計の基準あるいは監査の基準、そういうものについてこれまでとってきたやり方というのがよかったのかどうか、その辺の反省といいますか、総括をどういうふうにしておるのですか。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 企業会計の基準、これは企業会計原則でございますが、さらに、公認会計士が監査いたしますときの監査基準、これはいずれも大蔵大臣の諮問機関でございます企業会計審議会がございまして、そこでいろいろ御議論願いまして、できている基準でございます。  この審議会は、会計学者、商法学者の先生方を中心に公認会計士の方あるいは企業サイドの方、いろいろお入りいただきまして議論していただいてできた基準でございますから、したがいまして、そういう意味でこの基準そのものに本質的な問題があると私ども考えておりません。むしろ問題は、そういう企業会計原則あるいは監査基準に基づきまして企業を監査いたします公認会計士がいかに企業と独立性を保ちながら適正な監査を行うかということに帰着するのではないかと思っております。  それよりまず前に、企業自体がディスクロージャーの意義を認識して、また公認会計士に全貌の資料を提供しながら監査を受けるという体制が何といっても一番必要かと思うのでございますが、その上に立って公認会計士が毅然たる態度で監査をすることが望ましいわけでございます。  したがいまして、不二サッシ工業の粉飾事件以後、私ども公認会計士協会にも指示をいたしまして、現在個々の公認会計士が監査をいたしました後のフォローということを協会がやるような体制もいま協議しておるところでございます。  かつまた、先生御存じのように、公認会計士は個人で監査をする場合と、監査法人という組織で監査している場合があるわけでございます。したがいまして、組織的監査というものの必要性が十分考えられるわけでございまして、監査法人による監査の充実ということも考えていかなければならないと思っております。  先生御存じかと思いますが、日本の場合は、監査法人は大きいところで大体三百人くらいの人数でございますが、アメリカのビッグエイトは、パートナーである公認会計士だけで約千人、その職員まで含めますと一つの会計事務所で約一万人という組織を持っておるわけでございます。そういう組織で企業を監査しておるわけでございまして、百年の歴史を持つアメリカの制度のようには一足飛びにはいかないわけでございますけれども、御質問の趣旨も体しながら、公認会計士協会とも相談してそういう体制整備に努力していきたいと思っております。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 昭和三十七年に第八回の世界会計士会議というのがありまして、オランダの代表が世界会計基準をつくれ、こういう提起をしたわけですね。それから、それは四十八年に制度化をされておるわけで、いま先進国九カ国が入っておるわけですね。サミットに参加をしておる国々というのはほとんどそういうことでやっておるわけでありますが、日本はそれに対する対応というのが非常におくれておる、私はこういうふうに思います。  この世界会計士の会議がこれまでに十ほどの勧告書を出して、さらに施行期日もこれこれまでにやろうじゃないかということできておるわけですね。しかし日本は、つまり高度成長をやっていこう、こういうことで、そういう国際的な基準から外れた日本の国内独自の制度できておるわけですね。それがやはりこの間大平総理も言っておるように、いま国際化の中で対応できていないのだということは認めておるわけですね。十近い勧告書というものが出されておるわけだが、それに対して日本はどう対応してきたか、これは後ほど勧告を全部挙げていただきたいし、またそれに対して日本側がどう対応してきたか、こういうことについても資料を出していただきたい、こう思います。  その点についての日本の対応の仕方、それから会計原則や監査基準というものについても、私が総括でも申しましたように大変日本は緩いわけです。私のこの間の追及に対しまして、公認会計士協会と話し合いたい、こういうことでしょう。私も後で議事録を少し読み直してみて、公認会計士協会と相談したい、こう言っておるのですよ。しかし、それは国際化に対応できないでおる。そういう中で、いまも言われましたように、アメリカと比較したら非常におくれているのだということですね。そういう中で公認会計士協会と相談をしたら、当然厳しいものは御免だと出てくるのは当然だと思うのですよ。だから、それについて、大蔵省の証券局がそういうこれまでの長い国際的な議論というものを踏まえながら、それに対応するために日本はどうすべきだという基準というものを示すべきだ、こう思うのです。そのことが一つ。  時間がありませんからもう一つは、連結決算について、つまりパシフィック通商は国内と同時に海外に支店をどんどん広げていった。そうしますと、五〇%以下の関係会社については連結決算から外れるわけですね。だから、当然国際的な基準からすれば、そういう五〇%以下のやつについても持ち分法による連結決算に入れる、そういう方向に行くべきだという議論があるわけです。そのことは日本としてそういう方向に持っていくべきだ、こう思いますが、いかがですか。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 先生いま御指摘の国際会計基準委員会には、わが国では公認会計士協会がメンバーとして入っております。それで、この企業会計制度あるいは監査制度、ディスクロージャー制度、公認会計士制度というのは、先生御承知のようにアメリカが一番優れているわけでございますが、わが国の場合はアメリカの制度を範として採用したわけでございまして、ヨーロッパ諸国よりはわが国の方がそういう制度は整備されているのではないかというふうに私は考えております。ヨーロッパの場合には上場会社しかディスクロージャーもございませんし、わが国では上場以前でもディスクロージャーはございますし、その他いろいろございます。  それから、国際会計基準でいろいろ公表されているものが先生御指摘のように十ございますけれども、その中には、企業会計ばかりじゃなくて商法に絡むマターもございますので、現在商法は、法制審議会で会社の計算規定についていろいろ議論しておられますが、そういう関連もございますので、法務省とも相談しながらその点は対応してまいりたいと思います。対応いたしました一つの事例といたしましては、先生御指摘の連結財務諸表制度の採用が対応の一つでございます。これは昨年の三月期から連結財務諸表を添付書類として提出するようになりましたけれども、この提出の基準につきましては、先生御指摘のように、五〇%以下というのは提出をしなくてもいいということになっております。これは、大蔵大臣が先ほど申しました企業会計審議会に諮問いたしまして、企業会計審議会の答申でそういう線が出たわけでございますが、ただ、御指摘のように持ち分法の問題がございます。まだ昨年三月にスタートしたばかりの制度でございますので、この連結財務諸表の提出状況等も十分検討しながら、持ち分法を進めていくという問題については、先生御指摘の方向で、企業会計審議会とも相談しながら検討してまいりたいと考えております。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 それでは、あとの問題は最後のところでもう一遍やりますから、一応これで終わります。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 それでは、続いて渋沢利久君。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 パシフィック通商について私も実はお尋ねをするわけですが、その前に一点、地震保険の件でお尋ねをしておきたいと思います。  ちょうど昨年の十月に、私、災害の特別委員会でお尋ねをいたしまして、宮城県沖の地震の経験に照らしましても、現行の地震保険というのは、保険の支払い条件が全壊に限るというような大変に厳しいものでありまして、この制度の目的にかなっておらない、こういう事実は明らかである、そこで速やかな是正が必要だということをただしましたが、保険部長から、五十四年度に改正実施、こういう方向で積極的な努力をするという御説明をいただいておったわけであります。その後どのようなお取り組みがありますか、いつまでにどのような中身でこれを実現していくということになっておりましょうか、御説明をいただきたい。

貝塚敬次郎大蔵省銀行局保険部長

○貝塚説明員 昨年の災害対策特別委員会で御答弁申し上げましたのは、事務局案を年内につくりまして保険審議会に付議したいというふうに私お答えしたと思います。そのスケジュールどおりに進んでおりまして、十一月の初めに、大蔵大臣の諮問機関でございます保険審議会に付議いたしまして、その後、月一、二回のペースで審議が進んでおります。先生お申し越しのいわゆる分損、この問題につきましては大変にむずかしい問題がいろいろございます。もしお時間が許せば御説明したいと思いますが、半壊まで持つのが精いっぱいではないかというのがいまの審議会の大体の空気でございます。半壊に至らない一部損壊をどうするかということは、行政といたしましては、何とかそこを、保険金に至らなくても何かの給付をしたいという希望を持っているのでございますが、技術的に大変むずかしい問題がございまして、審議会でもいま相当な争点になっております。  それで、そればかりやっていては時間をとりますので、その点は一応のけまして、いまは支払い条件——御承知のように、いま私契約の三〇%を払うようになっておりますが、三〇では不十分ではないか、これを五〇ぐらいに上げたらどうかという意見がございます。それから政令事項でございますが、建物はいま一件当たり二百四十万でございますが、二百四十万ではいかにも貧弱であるからこれを何とか上げなきゃいかぬ。しかし、これは保険料負担の問題でございますとか、民間の負担力、あるいは財政の問題がありますので、これをどうするか、そういう問題で鋭意審議を進めております。  最後の御質問の、いつごろまでにという点でございますが、審議会の日程を私が余り拘束することもできません。しかし、そうかといってじんぜん日をむなしくすることもできませんので、できれば四、五月ごろには何とか答申をいただきたいと期待しております。それは行政の期待でございまして、審議会がスムーズにいくように私ども努力している、こういう段階でございます。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 地震保険に関連をして、大地震災害に備えて生命保険、火災保険のありようについても同時に検討をするというふうに聞いていますけれども、この検討は始めておるのですか。

貝塚敬次郎大蔵省銀行局保険部長

○貝塚説明員 地震保険は火災保険に付帯しておりますので、地震保険の検討ということは即火災保険の検討と見ていいと思います。  それから生命保険でございございますが、御承知のように生命保険は削減規定というものがございます。基礎率に変更を及ぼすような非常に異常な災害が起きた場合には削減をすることができるという規定がございますが、具体的にどういうときに削減するかということは決まっておりません。  それからもう一つは、それよりも大きな問題で、いざ大震災が起きたときの支払いの流動性の問題でございます。これの方が大きな問題で、いま生命保険業界の地震対策といたしましては、そういうときにいかにして流動性を、はっきり言いますと現金を確保するか、その方途を業界内で議論しております。これは審議会の場に上がっておりません。業界の中の検討ということになっております。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 大都市部での大地震、大規模地震というものについて言えば、法律はできましたけれども、実際は、少し乱暴な言い方をすれば無防備と言っていいような体制である。本来、そういう災害に対する国の施策や自治体の対応がもっと十分なら、何も保険企業の地震保険に依拠する部分はないのだけれども、現状では、やはりいまあるこの制度が国民にとって、被保険者にとって、住民にとってよりましな仕組みとして改善されることは非常に迫られている部分だというふうに思うわけです。内容の改善のためにせっかく努力していただきたいということをお願いして、次に移ります。  パシフィック通商の倒産問題ですが、中小の繊維企業に非常に大きな影響を与えておりまして、私の知人なども関連倒産をして、被害者がひしめいているような状況を前にしてこれはぜひ幾つかお尋ねをしておきたい。川崎さんから質問がありましたので、ダブらない範囲で幾つかお尋ねしておきたいと思います。  いま大蔵省は調査をしているということですが、これは粉飾決算の疑義ありということでの御調査と思いますが、そういうことでしょうか。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 パシフィック通商に粉飾決算があるかどうかということは調査してみなければわからないわけでございますが、(渋沢分科員「疑いあり」と呼ぶ)私ども疑いというよりも、むしろ自己破産の申し立てをしたという場合には、一応公認会計士から実態を聞いてみる必要があろうかと思って調査しているわけでございます。と申しますのは、昨年の三月期も、それから昨年の九月の中間決算期も、公認会計士の意見は適正意見であったわけでございますから、そこで、事実を確認するために調査をしているわけでございます。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 この会社は、伝えられておるように石油ショック後の五年間に六・五倍の売り上げ、しかし中身をいろいろ聞いてみると、取引先の下請に加工をさせるのに、通常、材料を出して加工して、加工賃払って引き取るというものを、それをまるまる下請企業に売った形にしてまた買い取りに回すというような形で、売上額をかなり伸ばしているような形をとっているようなことも聞いておりますけれども、いずれにいたしましても、お話のとおりに昨年の三月決算は五億三千万税引き利益を上げる、四割配当、こういう高配当を実施しておる、三月には三百万株の第三者割り当ての増資を行って十八億からの金を集めておる。この夏には二部上場の夢をばらまいておったこの。八社が、百六十億から二百五十億と言われる負債で自己破産の申請、こういう事態はどう考えてもその三月決算のありように疑義が生じるのは当然だと思う。  そこで、伝えられるところによりますと、御調査ですからぜひ伺っておきたいのですが、メーンバンクの東海銀行が昨年の八月ごろからことしの一月にかけて急速に融資残高を減らしておる、こういう事実が出ておるようであります。融資の回収を行いながら、しかし会社からは他の融資銀行に対しては虚偽の報告がされている。つまり、ひそかにメーンバンクが融資回収を半年にわたって行っておるというふうに見ざるを得ない状況があるようであります。関連の十二行がこのことでかなり批判を展開しておるのは、これは理由のあることだと思いますが、どういう状況になっていますか。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 東海銀行の融資にかかわる問題は、私は証券局長でございますので、直接かかわっておりませんので定かではございません。ただ私どもの方は、決算の中身が適正なものであったかということをいま調査中ということでございます。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 わかる人がいないということで答弁されないというのは大変不満ですな。それでは続けますが、これは責任者がおらぬということでは聞きようがないのですが、それではこのことをお尋ねいたしましょう。  大蔵省が、このパシフィック通商の名誉会長に御就任の元大蔵審議官の近藤道夫氏、パシフィック通商の専務に御就任の前国税庁税務大学副校長曽根金男氏、これらの方々をそれぞれこの会社に御推薦でありますが、いつ、どなたの紹介で、どなたから、大蔵省のどなたに、どのようなお申し入れがあって、どのような理由で御推薦をなさいましたか、つぶさに御説明を願いたい。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 これは大蔵省の人事担当部局から聞いた話でございますが、昨年の春ごろ、パシフィック通商の中川社長から、経営陣を強化するために適当な人が欲しいというお話が、パシフィック通商側から大蔵省の人事担当部局の方にあったということでございます。そこで大蔵省の人事担当部局でいろいろ適当な人はいないかと人選を進めた結果、近藤、曽根両氏をパシフィック通商の方にこういう方がおられるというお話をし、後はパシフィック通商と近藤、曽根両氏との間でいろいろ話し合いが行われて、それで入社が決まったというふうに承知しているということでございます。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 これも責任者がおらぬというのだけれども、私が大臣官房の秘書課長に直接尋ねたところによれば、昨年春三月ないし四月、いまお話しのように中川社長からの申し入れがあったというのだが、その中身は、必ずしも税務あるいは経理に堪能な専門家を送ってくれということではなしに、会社の威信、信用を高めるのに必要な人が欲しいという趣旨であったというふうに聞きましたし、新聞に取り上げられた表現によりますと、会社の格上げ、信用を高めるにふさわしい人を要請した、こういうことが言われておるわけなんです。  ほかに担当の局長がおらぬということなら、私は大臣にお尋ねしたいのですが、一体この種の会社がある日突然に大蔵省の玄関をくぐって、うちの会社の威信保持のためにトップクラスの経営陣を大蔵省出してくれと言ったら、こんなにも簡単に審議官までやられた方を、会社の威信保持のために派遣をするという仕組みになっておるのですか。紹介なしに、どなたのあっせんで、どういういきさつでこういうことになったのかということを私がお尋ねしたのはそういうことなんです。これが一つ。  それから、大蔵省ともあろうものが——三百万株の増資、三月決算には五億からの大きな利益は上げたけれども、しかし一年もたたずに倒産するような企業で、しかも業界内では一年も前からあれこれうわさのあったところで、どう考えても、いろいろな私どもの調査によっても、この企業の危機を乗り切るために非常に悪戦苦闘している。そのうちの一つの手段として大蔵省から二人の役員の派遣を懇願した、こういう経緯は明らかなんです。これは秘書課長も言っておるように、税務や経理堪能にこだわらぬ、こういう申し入れがあったということはまさにそのとおりだろうと思うのですね。こんなものにろくな調査もせぬで、役員に大蔵省の退官者を派遣するという仕組みになっておるのですか。これはどういうことですか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 私も実はこの間の経緯は全く知らないのでございますけれども、渋沢さん御指摘のとおり、見ず知らずの会社から人を派遣してくれと言われて、そう簡単に大蔵省うんとは言うまいと思うのです。やはり社長なり重役陣と個人的な知り合いで頼みに来るとか、知人を介してというようなことがその間にあったのかもしれませんけれども、ちょっとその間の事情を私存じませんので、これはまた後刻渋沢さんの方に連絡させます。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 これは相当責任をお感じにならなければいかぬ処置だと思うのです。いま大蔵省は粉飾決算の疑いがあって——まあそれは調べてみなければわからぬと言うが、それはそのとおりだけれども、しかしその可能性もあるからお調べになっておるのでしょう。そういう疑義があって調査をせざるを得ない。銀行間ですら非常に激しい対立と不信を呼び起こすような、こういうことで一体大蔵の金融業界に対する威信とか管理責任みたいなものはどこにあるかと思わしめるような、銀行局長がおらぬから聞けない部分だけれども、そういう状況のある企業に、しかも大変不可解な倒産、そして関連倒産、被害者、日興の部長が自殺をするというような犠牲者まで出すようなこの種の企業に、まさに偽装人事としか思われないような人事配置を大蔵省が名誉会長、しかも代表権のある専務という、それは結果において企業と当事者が話し合ったことだと言うけれども、まさにそういう人事配置を行う、こんなことが、だれが紹介したか調べてお答えしましようというようなことでお答えになりますか。どうしてこんなことが出てきたのでしょうか。どこに緩みと問題があるのでしょうか。これからこういうことのないようにするために、何をお考えなのでしょうか。もう少し誠意のある御答弁を願いたいと思う。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 御指摘を待つまでもなく、これは事実大変遺憾なことでございまして、十分今後こういうことのないように厳重にひとつ注意し、またわれわれもその気持ちで考え方を徹底さしてまいりたいと考えます。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 大臣、官庁からの民間への天下りというのが非常によくいつも問題になっておりまして、大蔵はいつも圧倒的に多いのですね、データが示すとおり。それも結構だ。しかも大蔵の、たとえば金融関係への天下りというのは大変多いわけです。しかもここ十年間の中でも五十二年最高にふえている。去年も銀行局の金融検査官というのがどさっと金融機関へおりています。大量の身内が天下った金融業界に対して、果たしてどんな厳正な行政があるんだろうかということが言われておるわけです。今度のような問題に対して人の派遣、それからパシフィック通商の倒産の動きの中で見る金融機関の対応というようなものを見ると、やはりこれは無関係ではない。大蔵省の金融機関に対する一定の権威というのは、こういう構造の中で失われつつあるんじゃないかという危惧すら持つ。この際、いま大臣からはもっときちんとしたことをこの機会にやらなければいかぬとおっしゃいましたけれども、単にパシフィック通商での問題ということだけじゃなしに、なぜこういう安易な人の派遣が行われるかという根っこのところをいま少しく御検討いただいて、そうして一つ間違えば投資が紙くず、ほごになり、企業がつぶれ犠牲者、被害者がこうやって出てくるというような状況なんですから、それに大蔵省がその虚飾の役割りを果たすというのではいかんともしがたいですね。この点はぜひひとつ強い姿勢で臨まれることを求めておきます。銀行局長見えたのですか。——見えない、それではしょうがないな、あと銀行の関係ですから、それではやめます。  大臣、私は今度の事件を見て非常に不愉快に思っておるわけですが、最後に大臣から、いま申し上げたこと、とりわけ今度の場合は、東海銀行が半年も前から確かにひそかに資金回収をやっておったという状況も出ておるのです。それはひそかにというところがやはり銀行間のいろんな不信の原因になっておるわけです。しかも四十八年から二人の、経理本部長、営業本部長というようなまさに心臓部、企業の一番大きな権限を持たしておるような部分に役員配置をしておったメーンバンクが、ほかの銀行には協力を求めながら、倒産半年も前に手を引く作戦をしいて役員を引く。これは結果においては、銀行と企業とがなれ合いでつぶしたとは言わぬけれども、あうんの合意で最後にはつぶさざるを得ない、そういうことも想定して、東海は東海の自己防衛と、中川社長らはその自己保身のために、自己破産申告という形でむしろ逃げた、こういうふうに見ざるを得ない根拠もあるわけでございます。しかも一方では、大蔵省はさっき言ったようなまことに無責任な人事配置を行っておる。これで大蔵省がきちんとした調査をおやりにならぬようじゃ、むしろ大蔵が問われますよ。私はそういう意味で粉飾決算の疑義に対して、大蔵省がぜひ厳しいメスを加えて調査をされんことを望みまして——いま見えましたけれども時間がないので、大蔵大臣から、その点しかとした答弁を求めます。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 大蔵省は大変手がたい役所でございまして、ときどき石橋をたたいても渡らぬと言ってしかられることもあるぐらいなんでございますが、その役所がどういう事情があってこういうことの推薦をしたのかちょっと私もわかりかねますが、十分そこら辺のことは調査をいたしまして、今後の戒めとしてまいりたいと考える次第でございます。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 渋沢委員に申し上げますが、銀行局長からちょっと答弁させます。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 パシフィック通商に対する金融機関の融資でございますが、二月十五日に自己破産の申請を行ったわけでございますが、その時点におきましては負債総額が百四十九億円でございまして、うち金融機関の債務が九十二億円でございました。そのうちの主なものは、東海銀行が十七億円、横浜銀行十三億円、太陽神戸十二億円等でございます。  なお、東海銀行とパシフィック通商との関係につきましては、その東海銀行等につきまして事情を調査したところによりますと、昨年の三月決算の内容につきまして東海銀行の方で若干疑義を抱きまして、パシフィック通商の首脳部といろいろ話し合いをしたわけでございますが、その過程におきまして、パシフィック通商との間で信頼関係が若干損なわれるような状態になったわけでございまして、そのために東海銀行としては貸し出しの抑制という方向に向かった、このように聞いております。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 企業の実態を十分知り得ており、企業の存亡に決定的な影響を持っておられると思われる東海銀行が二人の役員を派遣しておって、そういう窓口を通して東海銀行自身が三月決算に重大な疑義を差しはさんだというのですね。大蔵省がこの三月期決算の粉飾性についていま調査をしているということであります。それを調査をしていく上で、いまの銀行局長の御報告は大変重要だと思う。  それからせっかくお見えいただいたんで、一点だけ事実を確認しておきますが、東海銀行が昨年八月以降、ことしの一月にかけて融資残高を徐々に大幅に削減をさせる、資金回収に当たったというふうに言われておりますし、幾つかのデータはそれを示しているように思いますが、それはそのように理解されておりますか。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 御指摘のとおりでございまして、かつて東海銀行はピーク時三十億近い融資があったようでございますが、最後に自己破産の申請時には十七億円になったわけでございまして、この間融資は減っているわけでございます。この点は、先ほど申し上げましたように、金融機関と債務者との間の相互信頼関係についていろいろ問題があったために、このような推移になったのではないかというふうに考えております。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 いずれにいたしましても、時間が中途半端になりましてこれで打ち切りますけれども、この事件はいろいろな意味で大変粉飾性が強い、しかも、その中で銀行の企業に対するありようというものがまたある意味で非常に問われている。銀行は、かせげると思えば金を出し、手を出し、口を出し、ちょっと様子が悪くなればほかの銀行を欺いてでも手を引いて一斉につぶしにかかる。いまのお話のように半年もかけて、不審があるということで、決算にまで疑義があるということで資金回収をしながら、しかもほかの銀行には盛んに協力を求めて、埼玉なんかは倒産三月前に初めて融資参入をして御協力をいただいて、その被害を受けているというようなものもこれあり、そうして役員がやめた日にほかのところへわざわざやめた連絡をとって、これはつぶしにかけるとしか思えぬような仕打ちがある。銀行にどんな理由とどんないきさつがあるか知らぬけれども、この種企業がこういう結末になることを通して、どんなにたくさんの関連の資本力のない、しかも東海銀行がついている、大蔵省の元何々が名誉会長になっておる、そういう企業に対する信頼性から、取引を危ない危ないと思いながら続け、そうして関連倒産に追い込まれたそういう中小零細企業に対してだれが責任を持つのか。私は大蔵省の責任が非常に重大だと思う。このあかしを立てるためにも徹底した調査を重ねてお願いをして、私の質問にかえます。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 続いて、小川新一郎君。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 私は、地方財政の問題にしぼりまして、きょうは大蔵大臣がわざわざおいでのところでございますので、いろいろとお聞きしたいと思います。尊敬してやまない金子大蔵大臣のもとで質問をさせていただくことを非常に名誉に思っておりますので、親切丁寧なる御答弁を期待してやみませんし、また自治省からはきょうは石原審議官を私は指名いたしまして、本来だったら澁谷大臣をお呼びしたいのでございますが、できませんので、そういうことで御了解いただきたいと思います。  さて、大臣、地方財政の位置づけでございますが、国の財政ももちろんこれは大変なことでございます。地方財政もまた大変だ。地方財政と国の財政とはどう位置づけが行われるのか、これをまず。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 国と地方は車の両輪ということがよく言われまするけれども、明年度の財政規模なんぞはむしろ地方財政の方が大きくなっておるというような状況でございまして、今後の財政経済の円滑な運営を図るためには、国はもちろんでございますけれども、地方もともどもに財政の健全化を図らないと今後の経済に大きくお互いに国民生活に響いてくる、こういう考え方を私はとっております。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 ただいま見識の高い車の両輪論、これはどっちが欠けても国家が、地方公共団体が、国民が大変なことになるという御認識に立たれていることに私も非常に敬意を表するわけでございますが、昭和五十年度から巨額の財源不足、約十兆円を超えていると言われております。いろいろな原因があることは私もよく認識しております。  ただ、財源が不足だ、財政が困難になった、こういうことだけで地方だけを一〇〇%カバーしようという気は私はさらさらございません。ある公共団体はむだがあり、ある公共団体は節約しても追いつかない、また人口急増または過疎、いろいろな条件下に三千余の団体が置かれておりますし、また、あるところでは首長の汚職がある、こういうことは自治省も苦々しく思っておるだろうし、大平内閣の閣僚の一人として財布を預かる金子大臣も、それは苦々しく思うこともございましょう。それはそれなりに欠点は欠点として御指摘いただかなければなりませんが、憲法で言うところの地方自治の本旨、こういった問題を踏まえた上で大所高所に立っての御指導、御鞭撻は当然だと思いますので、まずその点は私も理解を示していきたいと思います。  そこで、先日国会に提出されました大蔵省の財政収支試算九兆一千億円の大増税と、二月二十八日に国会に提出されました自治省の地方財政収支試算三兆七千八百億円の増税、昭和五十五年から五十九年度の五カ年間で国税、地方税合わせまして十二兆八千九百億円の大増税を行わない限り、国も地方もこの財政危機は乗り越えられないのだ、こういう認識に立たれております。  まず石原さんにお尋ねしたいのですが、国の財政収支試算をつくるときには自治省にはどのようにお話があり、協力を求められたのですか。

石原信雄自治大臣官房審議官

○石原(信)政府委員 国の収支試算の策定の過程において、新しい経済社会七カ年計画の前提を踏まえて五十四年度の国の予算をベースに置いて計算をするというお話がありました。もちろんその過程で、地方財政に関連する分もございますが、まず国の予算は国の予算のベースで新経済社会七カ年計画の基本構想の前提に沿って計算をする、このような連絡を受けております。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 その際、あなた方は、地方財政のことについてあの試算の中に盛り込むようには何の話もなかったのですか。

石原信雄自治大臣官房審議官

○石原(信)政府委員 国の予算の立て方でありますが、地方財政との関連が出てまいりますのは、歳出では移転支出それからその他の支出それから投資的経費、これらがいずれも地方財政に関連を持っております。それについては地方の側からどうせいこうせいということは、私どもは申し上げておりません。大前提に立ちます新経済社会七カ年計画の基本構想に立脚して行うということでありますから、それはそういう前提で行われるというふうに理解いたしまして、こちらから積極的にどうこうという意見は申し上げておりません。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 大臣、九兆一千億の大増税を行わなければ昭和五十九年度に国債をゼロにできない、こういう試算を出されて、その前提に立っては、「その他」という項がございまして、それは地方交付税その他に、国が地方公共団体に回す分、これはゼロとして試算されておるのですね。国は自分の九兆一千億だけ計上すれば五十九年度にはゼロになるという、これだけでは国民は納得できないわけです。今度初めて出た自治省の試算を合算しますと約十三兆円。そうしますと、いまの国民の租税負担率からどれくらい上がるという、試算が合同して初めて国民の負担になってくるわけですから、いかがでございましょう。

吉野良彦大蔵省主計局次長

○吉野政府委員 私からお答えをさせていただきます。  まず国の財政収支試算としてお出しさせていただきましたものの中で、先生御承知のように、地方交付税の取り扱いは経常部門と投資部門に分かれてございますが、経常部門のいわば「その他」の項目の中に観念的に入っているというふうに私ども考えているわけでございます。ただ、この「その他」の項目をさらに細分いたしまして、地方公付税が幾らというような特掲はいたしていない。これはこの財政収支試算の性格にも絡む問題でございますけれども、私どもはあくまで一つのマクロ的なつかまえ方をして試算をつくってございますので、交付税という項目だけを「その他」の中から取り出して特掲することはしなかった、こういうことでございます。  それからもう一つ、国税、地方税合わせた租税負担率というところでつかまえるべきではないかというお話でございますが、これは財政収支試算の前提となっております、企画庁でおつくりになりました「新経済社会七カ年計画の基本構想」、これにも示されておりますが、昭和六十年度で租税負担率が二六カ二分の一になるというような指標をいただいておるわけでございます。この指標を私どもは前提にいたしまして収支試算はつくっておる、こういうことでございます。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 要するにわかりやすく言えば、国も地方も財政が困難だから「新経済社会七カ年計画の基本構想」に従ってやれば、一九%の租税負担率が二六・五%に上がっていくんですよ、これはまあいま理解いたしました。きょう初めて聞いている国民にとってはこれは大変なことで、二六・五%も今度は地方と国と合わせて取られるんだ、これは一つわかった。  それから、今度国民の租税負担率を二六・五%に引き上げ、国税、地方税全体の新たな増税を行う際に、現行の国税二、地方税一という配分割合はそのまま変わらないのかどうか。変わるのなら変わる、変わらないのなら変わらない、一言で結構です。

吉野良彦大蔵省主計局次長

○吉野政府委員 具体的にまだ増税の内容もあるいはまた増税の金額も決まっているわけではございません。ございませんが、私どもが財政収支試算を作成いたします段階で前提としてとりましたのは、先生いま御指摘になりました、二六・五%に租税負担率を高めていただかなければならない、その高まる部分につきましては、従来の一応税源配分が大体国と地方とでは二対一になっているという経験を踏まえまして、それを仮定として置いて試算をしている、こういうことでございます。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 大臣、私は架空の論議をしているのじゃなくて、地方と国が出した財政収支試算という一つの資料に従っていま聞いているんですから、御答弁が、私がただ架空に聞いているような印象を与えないようにひとつお願いしたいと思うのです。  国税全体に占める法人税、所得税、酒税三税の比率は現在八二・六%ですね。三税、要するに交付税の対象になる法人税、所得税、酒税の占める比率は国税全体から見ると八二・六ですね。そうすると、地方財政収支試算の中では「国の経常部門の税収中地方交付税に配分される割合が変わらないもの」と想定をしているということになりますと、一般消費税という、仮定のあなた方がいま入れようとしている増税を入れますと八二・六の割合が崩れますね。今度こっちがふえてきますから。七〇になるか六〇になるか私はわかりませんけれども、なりますね。ところが、なると困るということ、この財政収支試算、自治省の出した方では変わらないと言っているんだから、ふえた分については何らかのかっこうで地方の方へ流れてこないと八二・六のバランスが崩れますね。簡単で結構。一言。

吉野良彦大蔵省主計局次長

○吉野政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、租税負担率の増加をお願いするわけでございますが、具体的にその増税の中身が決まっていないわけでございます。決まっておりませんので、自治省の方でおつくりになりました地方財政収支試算も、現在確かに経常部門におきます国税に占める三税の割合は御指摘のように八二、三%というところでございますが、それが今後の税制改正いかんによりまして、あるいはまたそれを地方にどのように配分するかによりまして変わってまいるわけでございます。その変わり方、これがまだ決まっていないわけでございます。そこで自治省の方も、一応現行の割合が変わらないものとして試算をされた、これが地方財政収支試算の試算の仕方というふうに私どもは承知しているわけでございます。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 それはあなたの方の言い分で、私の所属しております地方行政委員会ではちゃんとはっきり財政局長が言っているのです。今度地方消費税という名目で取ると言っているのです。答申が出ました。大蔵大臣、この地方消費税とは何ですか。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 福田審議官。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 いや、大蔵大臣にちょっと聞いているんだから。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 ちょっと事務から。福田審議官。

福田幸弘大蔵大臣官房審議官

○福田政府委員 ちょっと事前に。  大綱の中に、御承知のとおり「課税標準」に国税と両方合わせたものが税率五%と書いてありますので、課税標準は国税税額になるという意味で、五%の中のエックス%が地方消費税になるという意味であります。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 小川さん、まだ一般消費税を提案する前にこの財政収支試算が出ているのです。だからそれは外して、現行税制のまま延ばしておるということをひとつ御了承いただきたいのです。  それから仮に明後年度、五十五年度から一般消費税が導入されるといたしました場合にその配分をどうするか。それから地方の消費税ということで政府税調は一部取り上げております。それは、いま福田審議官が言っているとおりですが、それがどういうことになるのか、それはむしろこれからの問題と御了承いただきたいのです。いままだこの中には数字が入っていないということでございます。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 ただ、自治大臣の所信表明の中に地方消費税という税目をつくって、大臣がおっしゃっているのですからね。架空に私が地方消費税などと引っ張り出してきたわけじゃない。結局そういうものをつくってやるということでなければできないのだ。だからたとえばいま一般消費税という大増税を行えば、そのうちの一部を地方消費税として取り、そしてまた法人税、所得税、酒税三税の対象分以外の分について、伸びたその消費税の以外の分については三二%をもらう、すると大体増税した分の半分は地方へ回ってくる、こういう御答弁をわが委員会で私の質問に対していただいたのです。これは間違いがあるかどうか、石原審議官。

石原信雄自治大臣官房審議官

○石原(信)政府委員 自治大臣は質問に答えまして、一般消費税の創設問題に関連いたしまして、この制度ができた場合に国と地方がどのように税源を分かち合うかということに関連して、これは今後私どもと大蔵省あるいは国会の場で大いに論議いただくわけでありますが、その際の分け方の考え方として地方六団体などが、大変熱心に一般消費税のまず独立税としての配分は国が二、地方が一という強い希望を持っておる、そういう希望について自治大臣は理解を示した答弁をされたように記憶しております。またその配分に当たりましては、片や独立税、片や調整財源としての交付税として配分されることがいまの地方財政の実態に最も適合するのではないか、そうした場合に、国税として創設される一般消費税は交付税のリンク対象税目にしてほしい、これまた地方六団体が大変強く望んでおるわけでありますが、自治大臣としてもそういった考え方に賛意を表した形で御答弁申し上げたように記憶しております。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 それはあなた、私の委員会のときにいらしたかいらっしゃらないか知らないけれども、財政局長ははっきり言っているのですね。要するに、一般消費税が導入された場合には、少なくとも三分の一、二対一ですから、現行の税制を改正しないままでいっても、取った分の三分の一はまず地方がいただきましょう、これが地方消費税です、それから、それの残りの分については、地方交付税の対象分として三二%いただきましょう、そうすると、約五%一般消費税が上がったとして、約二兆八千億から九千億、まあ三兆円と仮定しますと、約一兆五千億は地方公共団体に入ってまいります、こういうことを御答弁なさって、これの折衝をこれからやるんだということを、私ははっきりこの耳で聞いたんです。しかも、それに対する財政収支試算はすぐ出しますと。これが今回の三兆九千億の、この五カ年間に必要な地方分の基本としてどうしてもこれだけはいただかなければ財政が困難だ、こうなっているのであって、財政収支試算は、大蔵省の方は全く不親切に、地方のことは考えていない収支試算なんだけれども、財政全体、国のことを考えることになったら、これは国も地方も、だれが最終的に払うかといったら国民が払うのですから。さっきも言ったとおりに、一九%の租税負担率を二六・五に上げるのですから、これははっきりしてきたわけですから、この二六・五に上げた、取ったお金の分け前をどうするか。  それじゃ大蔵大臣、重ねてお尋ねしますが、この二六・五に上げなければならないとされている税負担率の分の国民から吸い上げるお金は、びた一文これはもう地方へは回さない、そういう財政計画の中でやっているのか。地方財政収支試算が出た。三兆九千億は絶対必要とあなた方合意の上ではじき出されたんだと思うのですが、その三兆九千億がどうしても地方に必要なのか、この一言、どうですか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 ちょっと誤解があるようでございますから、重ねて申し上げますけれども、財政収支試算は、国の方も地方の方も、一般消費税の導入を前提にしてやっておるわけではございません。ただ、今度、五十五年度ですか、消費税の導入が実現いたしました場合には、これは全部国でちょうだいしましょうなんというような気持ちは毛頭持っておりません。よろしゅうございますか。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 はい、わかります。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 その点は心配要りませんが、ただ、その分け方をどうするかということは、これから詰めることなんです。まだ法案もできていないのですから、これから自治、大蔵、関係省の間で、どういうような配分にするか、それは交付税としてどの程度出し一それから、独立税としてやはり地方消費税というようなものをつくった方がいいと思うのです。これは都道府県税というようなことになろうと思うのでありますが、一般消費税の税額基準でやりましょうと。ただ、その税率をどうするかというのは、これはまたこれからの問題でございまして、消費税の輪郭が詰まると同時に、配分についても十分に検討して、地方に対してできるだけ応援をさせていただくように持っていきたい、こういう気持ちでおります。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 私も誤解されないように、誤解していたとおっしゃるから言うのですが、何も私は一般消費税と言っていないのですよ。租税負担率が二六・五%に上がったと仮定して言っているのです。それは何で取ろうと構いません。それは二六・五に上がらなければ国も地方もできないと言っているのですよ、さっきから何度も。そうでしょう。そうすると、二六・五%、いまは国民は租税負担率が一九%なんだから、それをこんなにたくさん上げるんだ。その上げる税金の名前はいま決まっていないんだから、一般消費税だろうと何々税だかわからない。だけれども、はっきりしていることは、地方消費税という名前は、国会に趣旨説明として大臣がもうはっきり出したんですから。——していますよ、ちゃんと。しているか、していないか、聞いてみてください。

石原信雄自治大臣官房審議官

○石原(信)政府委員 大臣が答弁の中で、一般消費税の導入問題に関連いたしまして、地方消費税というようなことは御答弁申し上げております。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 御答弁じゃない、趣旨説明の中で言っているんですよ、財政に対して。そんなことを大蔵大臣がわからないなんということはおかしいのです。  だから、さっきから言っているように、自治省と大蔵省のつくった試算が全く合わないのです。片方は九兆二千億ふえても交付税の方にはびた一文回さないという、ゼロにその他の項をしてあるのです。だけれども、こっちはそんなことじゃ困るから、年々こういうふうな、地方の財政の赤を五カ年間でなくすためには、あなた方が試算したと同じように三兆九千何がしのお金が要りますよ、これを合算しますと二六・五に上がりますよ。だから、私が言っていることはもうおわかりになりましたね、大臣。  そこで、二六・五%になるための三兆九千億をはじき出すためには、じゃ石原さん、三兆九千億の中身は何なんですか。

石原信雄自治大臣官房審議官

○石原(信)政府委員 先ほど吉野次長からも御答弁があったわけですが、国の収支試算と同じように、地方財政収支試算におきましてもこの租税負担率のアップに見合う増収の具体的な内容が何であるかということは決めておりません。一応の想定として、租税負担率がアップした場合にどれだけの税収増になるかという試算をしたものでございまして、具体的な税目等を想定したものではございません。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 それでは、大臣の趣旨説明した地方消費税というのは、このあなたの出した試算の中には全く関係のないものですね、全然別なものですね。

石原信雄自治大臣官房審議官

○石原(信)政府委員 今回の収支試算と関連して一般地方消費税というようなことを申し上げているわけではございません。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 だけれども、私たちはやはり財政収支試算を見て、この経済七カ年計画の問題を議論し、これからの財政というもの、地方公共団体の財政というものを議論しなければならない。全然想定もしてない、考えてもない、それはそれで三兆九千億なんだ、それで、新たに大臣が地方消費税なんて、全く新しい税金を今度取るのだ、一般消費税が導入されたらこれを私たちもやるのだと国会の場で言っているのです。これでは、どう理解したらいいのですか。

福田幸弘大蔵大臣官房審議官

○福田政府委員 ちょっと制度論で申し上げますが、長期的な展望の話と新税の導入の問題、これはやはり別個に考えるべきだろうと思うのです。  長期のところで、二六・五%というような先生の御指摘のとおりの負担率です。その中身が、国税の分と地方税の分の負担に分かれると約一七と九ぐらいですが、これは御存じのとおりに、四十八−五十年度の負担率に比べますと四と約二ですから、一、二ぐらいの割合でその負担の増加があるというのがマクロの姿です。  あと、国税と地方税の方のこのリンクの問題は、新税のあり方、それから将来の税を何でやるかが決まってませんので、がっちりといまそこで組み合わせができないというのが実情でございます。  制度論で短期の話と申しますか、当面の新税としては、先ほどのように、五%の中でX%が地方消費税であるというのが大綱で書いてございますし、趣旨説明にもあったかと思います。したがって、その地方消費税ができるとこの課税標準が同じものであるというのがはっきりしておるわけです。  そこで、何%にするかという、国、地方消費税全体の中での分け合いの問題が一つあります。その次に、それだけで、地方の独立税としての地方消費税だけで済むかとなりますと、やはり税源の偏在の問題がございます。それから財源の量の問題があります。したがって、それ以外に今度は何をもって手当てするか、その問題は、まだこれは主計局の問題としても、今後自治省の財政局と詰める問題でございます。  したがって、簡単に申しますと、マクロとしての税負担の割合は、そういうマクロの見通しであって、中身がどうなっているかは別の話として、当面導入される一般消費税五%の中で、X%というものは決して三分の一とは決まっておりません。さらに、それにプラスどういう形式によって調整するか、これは金の話でございますので、今後具体化される段階で詰めるということでございます。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 大体よくわかってきましたけれども、そうすると、そのX%はまあいいとしても、その地方消費税の分は、これははっきりしました。  あと問題は、一般消費税の導入を仮定したとして、一般消費税を地方が取った、それは現行の税制のあれでまずいただきましょう、それから残りの分については、じゃ、これは仮定ですけれども、地方交付税の対象になり、二六・五%に占める三税の比率を保つということならば、地方交付税の方へ新しいものを入れなければなりませんけれども、それは地方交付税としては、対象としてくださるのですか。

福田幸弘大蔵大臣官房審議官

○福田政府委員 これは主計局マターでございますけれども、制度論で申しますと、税制としては、先ほどのように、地方独立税として地方消費税がある。そのパーセントは決して三分の一ということではそれは決まっていない。その次の、今度は財源の分け合いの話となりますと、交付税でいくか譲与税でいくかの話がございます。そこは税源配分、財源の調整及び金額の量をどうするかという問題は、国、地方の赤字状況その他のいろいろな公債残の状況等を見て決めなければいけませんので、いまどの方式にするか、またそれはどういう率になるか、要するに交付税に入れるということは決まっておりませんし、別の方法もあり得ますし、この辺の問題は今後の検討事項で、先生のいろいろな御指摘を踏まえて検討させてもらいたいということであります。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 そういたしますと、交付税にするか譲与税にするかわからない。でも、いずれにしても地方公共団体に金を回すということにおいては異論がない。  もう一遍整理しますと、地方消費税として取る、残りの分については、交付税にするか譲与税にするかわからないけれども、地方に回す、それははっきりしてくださいますか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 一般消費税を導入いたしました場合には、地方の独立財源として地方消費税をつくります。これは都道府県税のつもりです。  それから、国に入った一般消費税収入を、これは国だけで独占しようなんという気持ちは毛頭ありません。ある程度地方に回します。その配分の率をどうするか、それから形式をどうするか。いまお話しの譲与税にするか交付税にするか、それはこれから大蔵、自治両省で十分詰めて、できるだけの地方財政再建にもお手伝いしたい、こういう気持ちでございます。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 時間がありませんから、もうこれ以上追及できませんけれども、それで明確になったことは、地方消費税と残りの分については、率は明確ではないけれども、これは国だけが独占する気はさらさらない、現行税制がどうあろうとも、これは回す。ただ、この上はっきりしておきたいことは、当該委員会での発言では、きょうは石原さんが来て非常に答えにくいと思うのですけれども、三兆円と仮定したら約半分は、いろいろな名目は違っても、その一兆五千億分ぐらいは地方消費税と交付税の対象額としてぜひとももらいたいというのが自治省の、これは取らぬタヌキの皮算用だなんというような顔をして、そっちで笑っていらっしゃるけれども、これからの議論だけれども、それだけのものがないと、マクロ的に見て財政試算という計画の中ではできないということで私どもは理解しておりますので、どうかひとつ、これから折衝が始まりますでしょうけれども、きょうはその分け前をはっきりしたということだけはっきりしましたが、ただ内容についての詰め方は、これから大蔵大臣と自治大臣が詰めるのでしょうから、非常に冷たい仕打ちをしないように、いつも自治省の重点政策なんか出しても、たとえば交付税率のアップ、たとえば地方公共団体の起債の償還をするための財政の償還の措置の問題、それからたとえば地方債と国債とのハンディキャップ、いろいろな問題があっても、そのたびそのたびけ飛ばされているのが実情だと泣きの涙で訴えているわけですよ。大蔵大臣、一遍われわれの委員会へも来て連合審査をやってもらって、この問題をやらなければ解決のできない問題で、自治大臣とお並びのところで明快にひとつお約束をしていただきたいと私は思っております。  時間が参りましたので、あとの二つの質問はできませんから……。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 小川さんの御意見、十分承りました。ただ、配分の問題につきましては、これは国、地方のそれぞれの赤字の状況も考えなければいかぬことでございます。十分実態に即するように配分してまいりたい、相談をしてまいりたい、かように考えます。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 では、よろしくお願いします。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 続いて、広沢直樹君。

広沢直樹公明党・国民会議

○広沢分科員 限定された時間でございますので、できるだけ説明は省いて端的にお伺いしたいと思います。予算委員会ですでにいろいろと取り上げられておりますが、一般消費税につきまして二、三お伺いしてみたいと思います。  私はどうしても納得できないのは、財政当局であります大蔵大臣は、五十五年度に一般消費税をぜひ導入する、こういう前提に立って、いろいろ財政演説でも申されておられました。私は、財政再建という問題は、これは重要な問題でございますので、われわれの考え方の中でも、これから将来、中期あるいは長期的な計画の中ではある程度の税負担の増加ということは考えていかなければならないとは思っております。しかし、それは何の税目にするのか、あるいはどういう方法でどういう時期にどうするかということは、それぞれ見解がまたあろうかと思います。しかしながら、政府は一般消費税をとにかく五十五年度から導入するという一つの前提に立っておられる。  私は、財政の面から見れば、現在の財政再建あるいは財政の健全化を図るものとして、何らかの方法を考えていかなければならないと思うわけですが、しかし経済の立場から考えてまいりますと、五十五年度の経済情勢というものが明確になっていない中で、果たして五十五年度からそうした大増税ということが考え得るものなのかどうか、財政当局としては、その点どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、ひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 経済が非常に不況なとき、先行きが心配なときは、やはり新税の導入というようなことは相当問題があるかと思うのでございますが、最近の景気の状況を見ておりますと、だんだんと底がたい回復基調にございます。むしろ少し先走って動き過ぎはせぬかというような状況もあるような状況でございますので、時期的には新税導入に五十五年度がいまの段階では不適当だとは、私どもは判断していないわけでございます。  それから、これは税率は何%になるか、これからの問題ですけれども、仮に一般消費税を三%なり五%で導入いたしましても、それは即歳出として出てしまうことなんでございますので、歳入、歳出両方合わせれば、景気に与える影響というものは必ずしもマイナス面ばかりではない。物が五%上がることは事実でございますけれども、これは中立的なものとしてお許しをいただかなければいけませんけれども、というふうに私どもは、財政全体でこの新税導入の効果を考えていかなければいかぬと考えておる次第でございます。

広沢直樹公明党・国民会議

○広沢分科員 もちろん財政も大事でありますが、やはり経済というものを重視して考えていかなければならない。  御承知のように、確かに今年に入りまして経済情勢も何とか堅調な動きに変わってきたということは私も認めておりますが、しかし対外環境の問題だとか、それから物価の動向の問題、それからまた雇用情勢、特に民間経済の活力を反映しているのが大体雇用関係に出てまいりますから、これも完全失業率がまだ二%を上回っているという状況にございますね。そういうようないろいろな環境を考えてまいりますと、先ほど申し上げました対外関係でも、わが国は経常収支が黒字だということで高い成長を求められておる、こういう状況にございます。  したがって、そういう状況を勘案しますと、ただ財政の立場から一方的に五十五年は大増税ができるという、そういう環境にないのではないか、大蔵大臣は、私どもが一般消費税にかわる税収を得られるということで、法人税の引き上げだとかその他法人のいわゆる優遇だといわれる制度の見直し、政策減税もそうでございますし、資産優遇の税制の見直しもそうでございますが、そういった問題に対しましても、特に企業関係におきましては現在そういう時期にない、やっとその景気が回復しかけている状況じゃないか、こういう御説明が過般の委員会でもあったわけでございますね。そういうことから考えてまいりますと、やはり経済というものは重視をしていかなければならないだろう。  時間がございませんが、もしも一般消費税を五十五年度に導入した場合にどういう結果が出てくるだろうかということを、それぞれの民間経済機関で影響度を調べている試算がございます。ごらんになったかもわかりませんが、これを詳しく説明しておりますと時間がございません。大蔵省は一応そういった状況をいろいろ試算していらっしゃるかどうか、これを最初にお伺いしておきましょう。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 前段で御指摘いただきました広沢さんの御意見、私も全くそのとおり考えております。やはり経済は生き物でございますから、よほど実態をよく見ながら増税の時期について判断しなければいかぬという気持ちは、いまもって変わりございません。  ただ、とにかく余りにも今日の財政の赤字が大きくなり過ぎて、これをほうっておいたら、それこそ経済自体が動かぬようになる危険性がございます。国債の売れ行きも芳しくないことは御承知のとおりでございますし、かといって、御指摘のございました、これにかわって財政赤字をカバーする程度の増税が果たしてあるかといいますと、なかなか簡単にいきませんものですから、そこのところは大変苦吟をしている段階でございます。  それで、いまの国民経済にどういう影響を与えるかという点につきましては、専門の機関を動員して、主税局でもいろいろな影響についての調査をいたしております。たとえば五%にすると二・五%前後消費者物価の値上がりを生ずるというあれは出しております。いろいろな方面から、いろいろな計数が出ておりますので、そこら辺も十分検討させておる次第でございます。

広沢直樹公明党・国民会議

○広沢分科員 一つの試案がございますので、ざっと申し上げてみたいと思いますが、いま、一般消費税の税率を五%にした場合には物価には二・五%の影響がある、アップされるというお話でございます。いまの物価の面は大蔵大臣お答えいただいたとおりでございます。  実質GNPはどうなるか。私が持っている資料によりましても約二%のダウンになる。それから、いろいろございますけれども時間がないですから申し上げるだけになるかもしれませんが、その他国際収支の関係も黒字拡大になってくる、経常収支で三億八千万ドルですか、これが黒字拡大される。雇用の面に関しましても一万七千人が減少するのではなかろうか、あるいは所得税関係あるいは個人税の関係にしましてもそれぞれ影響が出てくる。細かいことがずっと出ております。これは試算ですから、そのとおりになる、どうこうということではございませんが、私は一昨日経企庁にも同じ話を聞いてみたのですが、経企庁としては、まだ全然経済に与える影響は考えていない、こういうことなんですね。いま大蔵大臣が経済は重視しなければならないとおっしゃるのであれば、五十五年の導入を一方的に決めるのではなくて、そういう状況も勘案した上で考えていかなければいけない。  だから、私が冒頭に申し上げましたように、われわれも、何も金のなる木がどこかにあるわけじゃありませんし、やはり中期、長期の展望をした場合においては、これからの財政需要も出てまいります。それから、申し上げておりますように、財政赤字も何とかしてやっていかなければならない。特に財政法をゆがめております特例公債などは早くこれから脱却することを考えなければならないと考えているわけでございます。しかし、いまの経済に対する影響はやはり重視して考えていくべきではないか。  ですから、結論的に申し上げますと、そういう経済情勢においては、五十五年度の導入ということを政府はいま一応決めてかかっているようでございますが、それは流動的に考えているということでございますか。その点も一点お伺いいたします。

福田幸弘大蔵大臣官房審議官

○福田政府委員 ちょっと計数の話で引用がございましたので……(広沢分科員「ちょっと済みません、時間がございませんので流動的かどうかということだけお答えいただければ結構です」と呼ぶ)その前提の経済の見方なんですが、物価に半分程度というものが、どの程度経済の実体に対して影響があるかという問題であろうと思うのです。あと歳出の方で影響を相殺する数字が出てきますので、経済に対してマイナスであるという前提に立つ黒字幅の拡大とか雇用の減というのは、私は納得しがたい数字であろうと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 後段についてお答えいたしますが、いまのところは、五十五年度のなるべく早い機会にということで、いま事務当局で中身を詰めておる最中でございます。

広沢直樹公明党・国民会議

○広沢分科員 いずれにしましても、税制を見直さなければならぬということは私も総括質問のとき申し上げましたが、税調答申にも、国民の十分な理解を求めることがぜひ必要である、また政府はその点格段の配慮を行うこととなっておりますね。総理も、これは国民の合意を得なければならぬ、こういう姿勢でおられます。  大変結構なことでございますが、政府としては、税制を総体的に見直していかなければならぬ、こういうことに対しましては、国民の税制に対する、またそういう新しい税制を考えようということに対する国民の意識を的確に把握する必要があるのじゃないか。最近各報道機関でも、数日前にNHKが税制に関する世論調査を出しておりました。まあそういったところで反対は反対にしても、どこに問題があるかということを的確につかむ必要があるだろう、したがって、そういうことをお考えになっている当局としては国民の意識調査をし、それに対する的確な考え方を示すべきであろう、こう思うのですが、大蔵大臣、いかがですか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 おっしゃるとおりと考えます。国民の協力なくしてこういう新しい大きな税金は円滑に運営されませんから、実施に当たる前に十分の御理解をいただけるように最善の努力を尽くすつもりでおります。

広沢直樹公明党・国民会議

○広沢分科員 その結果によりまして、国民の意思を十分反映されるよう強く要望いたしておきたいと思います。  その次に、税の不公平の是正ということが一つ問題になっておりますので、国税庁また行管庁にも関係しておられますので、お伺いしたいと思います。  税制の不公平の問題といいますと、大きく分けますと、制度上の問題それから執行上の問題になると思うのです。制度上の問題につきましては、私も過般の委員会で、資産優遇の問題をどうするかあるいは政策減税の問題をどう取り扱っていくか、その他捕捉の問題だとか、いろいろ申し上げたのですが、きょうは執行上の問題について若干お伺いしておきたいと思うのです。  毎年国税庁が発表しておりますいわゆる脱税白書といいますか、私はすべてが不正悪質というものではないと思いますが、結果が発表されております。国民は、こういったものを見ますと、やはり納税意欲を阻害されることになるのじゃないか、あるいはまた国民の納税道義の低下を招かないとも限らないと思うわけでございます。幾多の施策をやっておりますけれども、また関係職員の努力にもかかわらず、こういったことがデータから見る限り過去と余り変わっておりません。  したがいまして、最近というか近年は特にああいう大口の、日本を代表するような企業の脱漏というか脱税、こういった問題が大きく取り上げられております。いわゆる航空機の購入等に見られる問題でございますけれども、こういったこと見ますと、多くのまじめに納税している国民、あるいは現在の税金が重いと感じている、あるいは税に対する不満を持っている者は、不公平であるということが一つの大きなウエートを占めているわけでございますね。  そういった点に関しまして、当局は一体どういうふうにお考えになり、どう対応しようとしておられるのか、これもひとつ簡単に御説明いただきたいと思います。

米山武政国税庁次長

○米山政府委員 御指摘のように、実際調査いたしますと相当の脱漏が発見されております。所得税等の場合ですと脱漏が発見率の八割程度になる、こういう状況でございます。これは納税者数が非常にふえておりますし、それから経済の取引が非常に広域化したり複雑化している、こういう税務を取り巻く環境が非常に厳しくなっているわけでございます。  それに対しまして人員の増加というのは、いろいろ御努力してふやしてはいただいておりますが、なかなか十分ではないということで、実調率は十年前に比べますと大体半分程度、法人ですと八%程度、所得ですと四%程度低下しておる。こういう面から、そういう執行面における不公平感というのが出てきているケースが多いと思います。  こうした状況にかんがみまして、私どもはできるだけ定員の増加をお願いする、こういうことをしておりますが、これにも限度がございます。したがいまして、内部事務等をできるだけ切りまして、これを実際の調査に回すとか、あるいは調査に当たりましては、できるだけ大口あるいは悪質あるいは公共の業種というようなものを選定しまして、そういうものに重点的にするとかあるいは機械化を図るとか、こういうふうにして対処しておるわけでございますが、何といいましても申告納税でございますので、納税者に対する指導、広報、相談制度の充実、こういうようなことをいたしまして、納税意欲の高揚という点からも申告水準の向上を図る、こんな状況でございます。

広沢直樹公明党・国民会議

○広沢分科員 私が持っておりますデータが的確であるかどうかはわかりません。傾向としてわかると思いますので、数字合わせをしている時間がございませんので御了承いただきたいと思うのですが、四十一年の実態調査、それからその十年後の五十一年の実態調査の増減の割合を見ますと、半分以上に減っているという事実がございます。  それはどういうところに原因があるかというと、企業が巨大化してきているとか非常に複雑化しているという実情もあるのではないか。それからもう一つは、実態調査された結果としては、いま次長からお答えいただきましたように、大体七割、八割近くの件数が更正決定ないし不正というような問題があるようでございますね。そういう状況になってきております。先ほど申し上げましたように、こういった結果が国民の前にぽんと出てくるわけですね。そうしますと、特に実際に出てくるのは大口の、問題になっておりますような先ほど申し上げたような事情が出てまいります。そうすると、的確な課税が行われているかどうかという疑問がわいてくる。  ここで、ちょっと聞いておきたいのですが、たとえば、いま航空機のことで問題になっております商社、日商岩井の件が出ておりまして、過般の委員会で税務当局も調査されているということですが、そういうことをきちっと調べるためにはどれだけの日数がかかり、どれだけの人員が動員されるものなのか、どうでしょうか。

米山武政国税庁次長

○米山政府委員 私は、具体的に何人で何日という数字を持っておりませんが、これにつきましては、ほとんど毎決算期につきまして毎回調査しておりますし、大法人になりますと、ほとんど百日、二百日というふうな日数をかけてやっております。  それから、最近特に海外におけるいろいろ脱漏等が非常に多くなっておりますので、五十三年度におきましても、五班、約二十人をアメリカあるいは東南アジア、そういったところに派遣して海外調査の充実、こういうことも行っております。

広沢直樹公明党・国民会議

○広沢分科員 いずれにしましても、十年前と今日とを考えますと、たとえば資本金一億円以上の法人数も約二・六倍にふえている。あるいはまた申告納税者も、四十一年から見ましても約一・六倍。それから法人になりますと、四十一年から大体二倍以上。こういうふうに非常にふえておるわけでございますが、それに対して担当している税務職員というのは、二十七年から比べてみますとほとんどふえていない。二十七年から比べるのがいいか悪いか、これは議論があるかもしれません。それなら四十一年から比べてみましても、十年前からほとんどふえていない。この割合から見ますと、そうなりますね。行政改革を進める中において、ただいたずらに増員をすればいいというものではないと私は思います。しかし行政改革というのは、不必要なところから削減して、それを必要なところへ回していかなければならぬ。プラスもマイナスもあるのが行政改革だと私は思うのです。必要なところも何も一律的に全部切っていけばいい、一つの枠の中にはめておけば行政改革が進むというものではないと私は思います。  そこで行管庁にお伺いしたいと思いますが、確かに行管庁も、これまでの人員の増加につきましては、こういった面をある程度配慮しているであろうという面はうかがわれるわけであります。すなわち、いま第四次の計画削減をやっている。そうして毎年度の予算期に要求される人員増につきましては前年対比八五%。これは総枠です。何もここだけの話でなくて、全体として枠にはめてその中で配慮していくということです。  いま国税庁の話が出ておりますから、それを一つの例にしますと、国税庁は五十四年度は計画削減が四百二である。行管庁への要求に対しては前年比の八五%ということでございますので千四百二十二名、実際には五百二名になりまして、差し引き純増というのは百名。前年も大体同じ。その前も大体そういう傾向である。ですから全体としては、ふえていく企業の実態とかその体制に何とか合わせていかなければならないという感覚はあるのじゃないかということはうかがえるわけでありますが、総体枠の中ではなくて、その実情をもう少し細かに、行政改革を強く言われておる折であれば検討すべきじゃないだろうか、そして実際にふやすべきところはもう少し実情に合ってふやしていくという考え方が必要ではないだろうかと思うのでございますが、行管庁の審議官いらっしゃれば……。

百崎英行政管理庁行政管理局管理官

○百崎説明員 私ども行政管理庁といたしましては、今日の非常に厳しい財政事情にかんがみまして、国家公務員につきましては、いわゆる少数精鋭主義という基本的な原則にのっとって定員管理をやってまいってきておるわけでございます。  もとより、少数精鋭主義と申しましても、不必要なところを削減して本当に必要なところにそれを回す、こういうことでやっておるわけでございますが、特に国税関係の定員につきましては、先生も御指摘のように、税負担の公平の確保、それからまた財政収入の確保という非常に重要な使命を担っておりますので、私どもといたしましても、計画の削減に当たりましてはできるだけ削減率を低くするとか、あるいは毎年の増員に当たりましてもできるだけ実情を把握するように努めまして、必要な増員をやっておるところでございます。  いまシーリングの話とかいろいろございましたけれども、各省要求される側におきましても今日のこういう事情を十分踏まえていただきまして、要求自体もできるだけ合理化していただこうということでシーリングを実は設けているわけでございますが、いずれにいたしましても税務職員につきましては、先ほど申しましたような非常に重要な使命を持っておることは私どもも十分認識しておりますので、今後ともできるだけ合理的な定員配置が行われるように努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

広沢直樹公明党・国民会議

○広沢分科員 何も私は、ただいたずらにふやせと言っているわけじゃございません。というのは、一応税務調査なさった中にも、いわゆる修正申告で済ませるものというのは、税務知識が十分でなかったとか、あるいは税法もどんどん変わっておりますので、そういう面でいろいろ手違いがあったりして的確な申告ができなかったというものもあって、それは修正申告なりさしているわけでございますね。そういった面については十分なる税務の相談だとか税務の指導ができるような体制を持ってあげなければ、これはただ国税庁、税務署というのは受付機関だけじゃございませんからね。そういうことを考えてみますと、そういう十分な体制が組まれる必要があるのではないか。  それからもう一つは、そのいままでの調査の中で、いわゆる悪質、不正といいますか、そういったのも全体の調査事案の中では、この統計によりますと三割近くある。なかんずく最近問題になっておりますああいう大口のものは、十分なる調査をして徹底的にやっていかなければならぬ。そういうことになりますと、大変な時間とか日数がとられていくわけでございましょう。そういったこともひとつ十分勘案していただきたい。  特に悪質、不正な事案に関しましては、いつもこれは委員会でも問題になるわけでございますが、時効というのがございます。こういう大口悪質事案については、諸外国にありますように時効の延長なり、そういった問題を考えていくぐらいの厳しさがなければならない。一方、多くのいわゆる先ほど申し上げたような問題につきましては、できれば私は、修正申告をした者は、指摘されてやったかもしれませんが、税務指導するのもやはり皆さん方の仕事の役割りだろうと思うのですね。だから、それは延滞税だとか、そういうなには考慮していくような配慮があっていいのじゃないか。ですから、間違いは間違いとして指摘する、そして悪いものは悪いものとして厳しくやっていくという、こういう姿勢というものが必要であろう、こう思うのですが、その点いかがでしょう。

米山武政国税庁次長

○米山政府委員 先生御指摘のとおりだと思います。  私どもも、調査を充実する一方、広報、納税相談等に非常に力を用いているわけでございます。納税相談につきましては、税務相談室というのを全国百三十九カ所設けております。そして、知識経験豊富な職員を相談官として配置しまして、できるだけ納税相談に応じる、簡単なミスとかあるいはわからないところの指導、相談に当たらしております。今後ともこの面につきましては充実してまいりたい、こういうふうに考えております。

福田幸弘大蔵大臣官房審議官

○福田政府委員 時効問題でございますが、これは再三御質問ございますけれども、書類の保存期間とか国の債権の時効とかほかとのバランス、また安定性の問題がございます。要は、言われるように実調率を高めることだと思うのです。五年の時効でしたら二〇%の実調率がなければいけないというふうにむしろ考えるべきで、徹底した調査を敏速にやるということが、時効問題の解決だろうと思います。

広沢直樹公明党・国民会議

○広沢分科員 もう時間が来てしまいましたので、質問の通告をしてありました全部についてお聞きすることはできません。  最後に一つだけお伺いしておきたいのは、いま問題になっております国債発行条件の改定についてでございますが、すでにもう新聞等には、長期国債の金利は引き上げなければならない段階が来ている。過般、理財局長は、この長期債の金利はどうも証券会社の運用にちょっと問題があるというようなことも指摘しておりましたが、それは個人投資家だとか、安定的なものに求めていくことは事実だろうと思うのですが、シ団の引き受けのあり方だとかいろんな問題がそこにあると思うのですね。したがって結論的に、五十年から始まったあの大量の国債の発行というものが需給関係に影響して、そういう形が出てきていることだけは事実なんですね。したがって、それが十分市場に反映できるような機動的な処置というものを早くとらなければならぬ、こう考えております。  利率を上げるということはいわゆる国民の税負担がふえることでありますが、しかしそれはとりもなおさずまたそれだけの問題ではなくて、インフレの問題だとかいろんな問題に影響してくる問題です。それは国民の負担がふえるかもわかりませんが、やはり金利を弾力化し自由化していくことが、いま申し上げたインフレの問題だとかあるいは実勢に合った発行だとかいうことに合ってくるわけでございますから、そういう意味においては、機動的にいち早くそういう対策を講じられるべきではないだろうか、このことだけお伺いして、もう時間になりましたので終わりにしたいと思います。

田中敬大蔵省理財局長

○田中(敬)政府委員 御指摘のように、国債の発行、流通を円滑化し、経済に阻害のないような形で国債管理を行うためには、市場実勢に合った機動的な、弾力的な金利の条件の対応ということが必要であると思いますので、私どもも目下検討を進めておりますが、近々に結論を出したいと思っております。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 これだけの大量の国債の発行がやはり一つの圧迫原因であることは申すまでもないと思うのですが、私どもとしては、市場の実勢を十分つかんで必要な対策を講じてまいりたい。これは消化できませんと、とにかく予算の執行ができなくなるわけですから、私どもとしても大変これは大きな問題だと考え、慎重に、しかも機敏にやるように考えております。

広沢直樹公明党・国民会議

○広沢分科員 終わります。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 続いて、中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 大臣、土地の値上がりが最近ずいぶん激しくなったという感じですね。いまのように値上がりが続くと、土地の思惑というのがまた再燃してくるのではないかというように考えるのですが、いつでしたか、一月三十日付で国土庁が五十四年の公示価格速報というのを発表した。それによっても全国平均が五・一%ですね。それから住宅地はその中で六・三%の値上がり、三大都市でもって平均八%、東京都の住宅地が九・八%というような値上がりだというのですが、私どもが実態をつかんでいる限り、そんなものじゃないと思うのですよ。もっと値上がりは激しい。いまから三カ月ぐらい前でしたかね、私のところの長崎市の、不動産業者に聞いてみると、もう五倍ぐらい上がっていますよ、こう言うのです。そういった状態だということはもう間違いないと私は思う。  それに対して大蔵省の対策としては、この間徳田銀行局長は二月二十一日付の通達で、銀行自体が自粛しろ、まず銀行が自分で買う土地を安く買うというようなことでないと、支店の設置を認めないぞというような通達をお出しになった。しかし金融面からの規制は当分行わない、静観するといったような態度のようですが、それでいまの地価上昇を抑えることができるのだろうかという点が疑問としてあるわけです。いまのような土地の値上がりということになってくる、また公共事業というものに重点を五十三年度もそうだったし、五十四年度も大きな重点施策として進めていこうということですが、それに伴って今度は資材の値上がりというものも当然起こってくるわけですから、そうなってくると、政府の見通しというものがその面から失敗をするということになりかねないというように私は考えております。  大臣として、それらの点をどう判断をし、どう今後対処していこうとしているのか。基本的な点は大臣から、具体的な点は担当局長からお答えいただきます。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 土地政策全般をどう持っていくか、これは国土庁が中心にいろいろな対策を検討していただいておるわけでございますけれども、中村さんお話しのように、最近都市周辺の土地の値上がりが大変目立ってきております。  私どものできることは、一つは税制、一つは金融の面でございますが、まだ私どもは仮需要で土地がうんと上がり出したとは考えておりません。実需に基づく土地の売買その他が相当あると思うのでございますが、銀行の貸出状況等を見ますと、若干上がってきております。不動産、建築業界に対する貸し出しはふえておりまするけれども、かつての狂乱物価のときの、あの前後のときのような動きにまでいっておりませんけれども、しかし事前の予防策を講ずることは、これは必要でございますので、先般銀行局長が関係金融機関を呼びまして、これは四十七年から金融についての規制の通達を三回にわたって出しております。その通達はまだ生きておるわけでございまするけれども、仮需要については十分抑制に留意し、協力をされたいという旨の通告を行い、また今後四半期別に貸出状況についての報告を徴することにいたしております。  何と申しましても、金融機関も事業会社も相当大きな土地を抱えて処分に困っている際ですから、そういますぐ土地を買い占めてどうこうということはないと思うのでございますが、しかし、宅地がない、したがってミニ開発をどんどんやる、マンション建築をやるというような傾向が非常に目立ってきておりますから、その面においての土地の高騰が認められることは、私も事実だと思います。しかし仮需要で、思惑で土地を買うという動きは、これはそう簡単にできることじゃないと思っております。  いま一つ、税制面では、これは土地に対する規制を、税制を緩めても、土地の供給にはつながらないぞという有力な意見もございましたけれども、やはり今日一番大きな政治問題であり社会問題であるのは、宅地の供給の問題でございますので、本体の規制の問題とあわせて税制面でお手伝いできることがあればということで、土地課税の本来の枠組みはそのまま残して、優良な宅地供給とかあるいは公的土地の提供につながるものだけ、ある程度の軽減措置を講じた次第でございます。これはいま御審議いただいておるわけでございますが、一月一日にさかのぼって実施したい。それで少しでも宅地供給につながればと期待しておる次第でございます。  私からは以上、なお銀行局長の方から補足させます。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 金融機関に対する土地、地価関係の通達につきましては、いま大臣から申し上げましたように、まず金融機関の融資自体につきまして、土地投機を助長するような融資を行うことのないようにということの指導を強化するとともに、金融機関自体の土地の取得につきまして、先ほど先生御指摘のように、高価なものを取得して付近の地価をつり上げることのないように措置したわけでございます。  なお、大臣が申し上げましたように、これにつきましては、不動産業と建設業につきましては、そのうちの土地関連の融資について報告を四半期ごとにとってフォローすることになっておりますので、これを通じて指導の実効を期してまいりたい、このように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 大臣おっしゃるように、国土庁が土地全般については施策を講ずる。しかし、これは総合的なきめ細かい、しかも大胆な施策を講じていくのでないと、いま大臣は仮需要というのは起こっていないのだということなんだけれども、大臣が就任される前に、いまの政府の施策というものはこれでいいのかなという、首をかしげるようなことだって私はあっただろうと思う。後追い後追いというのだね。また、金子大臣になってからでも、仮需要はないからというような、これはのんびりはしておらぬだろうけれども、ただ、こういうつもりじゃなかったけれどなと言って後で反省をするということがあってはならぬと私は思う。やはりこんなに値上がりをしてくると仮需要になる、欲望というものがあるから。  いろいろその道の専門家というのは、これは大企業は言うまでもなく、土地関係の開発業者といったようなものは、大変そういう点については、政府が予想だにしないようなことをやってのけるわけだから、十分警戒をし、後追いにならないような強力な施策を講じられる必要があるというように思います。銀行局長も、いまお答えがあったのだけれども、金融機関に、おまえの方で高い土地を買うなよ、自分の方で範を示せというようなことだけでは足りないのじゃないだろうかと私は思います。  いろいろ大臣お答えになったようなことで、私どもと考えを異にする点もあるけれども、きょうは時間の制約があるので、突っ込んで議論をするということができないので、改めてまたお尋ねしたいと思います。  そこで、銀行局長に関係する問題を二、三まとめてお尋ねをしたいと思います。  拘束預金というのが、依然としてにらみ拘束というのがどうも自粛していないというように思うのです。いまの金融事情のときにおいてそういうことだから、相当厳しくこの点は大蔵省としても施策を講じて、こういうものはなくするようにしないと、私は、弱い中小企業というのは金融面から経営がますます深刻になってくるというように思いますから、そのことについて考え方をお伺いしたい。  それから、これは本当に政府としていい施策だったのは、特別高度化資金の制度ですよ。何しろ八割無利子ですから、いい制度ですよ。ところが、国が四〇%、都道府県が四〇%でしょう。今日の地方自治体の財政事情で四〇%を負担をするということは荷が重い。せっかくこのいい制度が生かされていないということだから、やはり国が五〇%ぐらい持って、都道府県は三〇%ぐらいに軽減をしてやるということじゃないと、高度化資金の場合もそうだった。高度化資金の場合も、後に是正をして、いまは都道府県が二三%、こういうことになっていると私は思う。  それから、この高度化資金の場合でも、補助事業じゃないのだけれども、国から何らかの形で補助が出ると、もう高度化資金を貸してもらえないわけだ。たとえば市場なんかをつくるときに千二百万円の補助金を出す。一億かかっても、高度化資金を使うと二・七%の金利だから、長い目で見るとそれが得なんだよ、千二百万なんという金をもらうよりも。ところが、ただで金をもらうということに魅力を感じると見えて、どうもそっちの方に傾くということなんです。その負担は後で大変尾を引くということになるのだけれども、そのこともわからないではないのだけれども、そういう国民の日常生活に関係をするようなことを事業体がやります場合に、若干補助が出たから高度化資金は使わせないのだというようなことでなくて、もう少し弾力的に考えてみるということはいかがであろうかという点、御意見を伺いたい。  それから、政府関係金融機関の通利が七・一%と、また五十四年度もこれは軽減されない。これは特利というのを下げているものだから通利を下げないということであろうけれども、特利もいろいろな種類が出てきて、ある程度整理しなければならぬと私は思う。だから、整理すべきものは整理する。そして、通利は七%以下、六・九%ぐらいに下げてやらないと、民間金融機関の利息は下がっているのに、政府関係金融機関が去年もことしも変わらないのだということでは、政府は何しているのだ、銀行擁護のために大蔵省が金利を下げることに圧力をかけているのだというような痛くもない腹を探られることになりかねない、こう私は思うのです。その点について御意見を伺いたい。  それから、週休二日制を銀行が実施するということで、いま検討が進められておるようですが、週休二日制は雇用創出の面から私は大変重要な役割りを果たすであろうと思う。ところが銀行がかなめみたいになっているから、大臣として、これを強力に推進する御意思があるかどうかということをお尋ねしておきたい。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 金利その他の問題は銀行局長からお答えさせますが、いまの週休二日制でございますけれども、これの一番の問題は、銀行が土曜日休むことについて国民的合意が得られるであろうかということです。特に、大企業は最近相当週休二日制をとっておりますけれども、中小企業はほとんど休んでおりません。その問題が一つあるわけでございます。それから、週休二日制を実施するとなると郵便局も農協もあわせてやった方がいいのです。  そういった問題があるものですから、私どもといたしましては前向きで、先進各国どこでも週休二日制を銀行がやっておるのですから、できれば何とか一日も早く実現したいということで、金融制度調査会で御議論をいただいております。ことしの前半には結論が出ると思うのでありますが、これは銀行法の改正が絡みますから、この結論を待って何とか実施にこぎつけたいなという気持ちでおります。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 まず両建て歩積みの点でございますが、金融機関が貸し手としての優越性を利用して、債務者の意に反して預金を実質的あるいは形式的に拘束する歩積み両建て預金は非常に好ましくないわけでございます。形の上で拘束しておる預金についてはいままでの累次の指導もありまして、かつて三十九年ごろには二二%近くあったのが、現在は三%台に落ちているわけでございます。  現在問題になっておりますのは、このような拘束の形はとっていないけれども、実質的には債務者が自分で引き出すことができないと思っている預金、つまりにらみ預金でございまして、現在は金融機関に対する指導の重点をこのにらみ預金の抑制に置いているわけでございます。  これにつきましては、預金通帳が手元にある場合には原則として拘束できないということを基本にいたしまして、いろいろな施策を打っているわけでございまして、かつてにらみ預金が一〇%台を超しておりましたのが、最近はそれを割るに至っておるわけでございまして、徐々に効果を挙げていると思います。  なお、さらにこれを徹底いたしますために、金融機関に対しましては最高責任者を含めました責任体制を確立させることを通達いたしまして、不当な両建て歩積みがあった場合は、最高責任者を含めて何らかの責任をとらせる体制をとっておるわけでございます。今後ともこの点につきましては、さらに不当な両建て歩積みの抑制に努力してまいりたい、このように考えております。  それから、政府関係機関の通利の七・一%でございますが、確かに民間金融機関の短期の貸し出しの三%台というプライムレートに比較いたしますと高いわけでございます。ただ、政府関係機関の貸し出しは長期の貸し出しでございまして、長期のプライムレートの七・一%をそのままとっているわけでございます。長期プライムレートは大企業その他きわめて優秀、優良な企業に対する優遇的な金利でございますから、これを一般の中小企業等に適用しているということはそれなりのメリットがあるわけでございまして、この点につきましては、特利の問題もございますけれども、七・一%についてはそのような事情でこの線が決まっているということを御了承願います。

吉野良彦大蔵省主計局次長

○吉野政府委員 中小企業振興事業団の高度化資金の問題、これはいわば財政の問題でございますので、主計局からお答えいたします。  先生よく御存じのとおりでございまして、この高度化資金はいわば事業団と県とがまさしく一体となってやっているという性格が非常に濃い資金でございます。そういう意味におきまして、従来から国と県との出資の比率は折半、特定高度化資金について申しますれば、先生御指摘のように四〇対四〇というような割合になっているわけでございます。そこで、先ほど申しましたような性格から言いましても、これをいわば一般的、一律な形で国の出資の割合を高めるというのはなかなか考えにくい。そこで従来からも、特別の事情のあるもの、たとえば都道府県の範囲を超えて事業が行われるといったような性格に着目しますとか、いろいろ事業の内容に応じまして個別に点検をいたしまして、特に必要だというものについては国の出資の比率を若干高めるというようなことも個別には考えさせていただいている、こういうことでございます。  それから第二点の、補助事業になると途端に高度化資金が借りられない、そこはいかがなものであろうかという御指摘でございます。これも先生よく御存じのとおり、高度化資金は一般の場合で言いましても年利二・七%、特定資金になりますと無利子というように金利が非常に安うございます。かつまた期間も非常に長い資金でございます。言ってみれば、それ自体が一種の補助金の身がわりといったような性格も持っているわけでございます。そういう意味で、補助金と補助的性格を持つ融資とを同一の対象についてダブって交付をするというのはこれもまたいかがなものか、こういう感じでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 いまの主計局の高度化資金の場合二・七%ですから、わからないじゃない。それは確かにある意味においては補助的な性格を持っている。特別高度化の方はちょっといまの答弁では満足できない。それから通利の問題も局長お答えだけれども、反論がある。しかし残念ながら時間がない。  それから特金課長はまだ見えてないですか。これは質問通告してなかったので、もしお答えができれば……。公衆浴場に対して、従来から駐車場それから貸し室、多様化という形で、この業種だけが物統令の適用があるのです。斜陽化しているが、なくちゃならないのだね。だから何とかもう一歩踏み込んで、駐車場であるとか貸し室については考えるべきじゃないかと言ってきたのだけれども、今度五十四年度の中で少し弾力的に考えて枠を別にとるとかやろうとしておるのだけれども、運用の面で果たしてうまくいくのだろうかというように考えますから、その点をひとつ時間があればお答えいただきたい。  それからお酒屋さんの許可の問題、これは大臣、税務署長をしていらっしゃったから一番詳しいわけだけれども、(金子(一)国務大臣「大分昔だな」と呼ぶ)そうなんだ、ずいぶん昔の話だけれども……。それで、申請を受け付けない。なぜ受け付けないかといったら、いろいろな資格条件があるから、その条件が整わないのに受け付けをすると、土地を買ったり家を買ったりしなければならぬから、それで許可にならなかったら大変だというので、配慮ですよ。それはわかるのだけれども、希望者がたくさんある。その場合に事前に審査して、特定のもの、これはよろしいというものだけ申請させるというやり方、それも理由なしとしないのだけれども、何か特別な結びつきが税務署との間にあるのじゃないかというような目をもって見られることがあるので、この扱いはひとつ慎重にしていただきたいということであります。  それから、例の長崎県の南部総合開発、五十三年度十三億予算をつけた。ところが全然使わない。今度は大蔵省がずいぶん渋ったと思うのだけれども、ついに泣く子と地頭には勝てないということなのか、地元の熱意でまた今度十三億を積み上げた。ただし、積み上げたときに、五十四年度中にできなければもう打ち切りだよという条件つきみたいな形で認めたようですが、私は可能性がないと思っています。長崎県、福岡県、みんな反対なんだから。だから、この点について今後どういう取り扱いをしようとお考えになっているのか、それをひとつお答えをいただきたい。時間の関係がありますから端的に。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 公衆浴場業の経営の多角化の問題でございますが、駐車場につきましては、すでに中小公庫及び国民公庫において融資対象となっているわけでございます。  そこで問題は賃貸住宅でございますが、現在住宅公庫においては、一般的には一千平米以上のものについて取り扱うことになっているわけでございますけれども、公衆浴場業を営む者が行うアパートにつきましては、この基準につきまして個々のケースごとに弾力的に扱うようにいたしたい、このように考えております。したがいまして、この基準を若干切り下げたところで実施するようにしたい、このように考えております。

矢島錦一郎国税庁間税部長

○矢島政府委員 お酒の免許の問題でございますが、先生いまおっしゃった点でございますが、お酒の免許につきましては酒類販売業免許の取り扱い基準というのがございまして、私どもは、人的基準とか需給調整上の要件、距離基準というものによりまして、一応の基準を定めまして、それに基づいてやっておるわけでございます。  現実問題といたしまして、申請者の方からいろいろ申請がございました場合には、税務署がそういう要件に合致するかどうかということを調査いたしまして、適合しない場合には、あるいは一応お取り下げいただくという場合もございましょうし、また必要な場合におきましてはさらに調査を重ねまして、競願者のある場合、いろいろなケースがございますので、一概にちょっと申し上げられませんが、決して、一概に拒否するというような態度で運用している点については全くそういう事実はないというふうに、そう申し上げたいと思います。ただ、そのやり方自体につきましてもし御批判があれば、またいろいろ改善していきたいというふうに思っておりますが、現在のところ、ちょっと具体的なお話でないので何ともお答えできないという状況でございます。

吉野良彦大蔵省主計局次長

○吉野政府委員 南部総合開発の点でございますが、これは北海道東北開発公庫の融資にかかる運用ということでお尋ねかと存じますけれども、私ども、現在北海道東北開発公庫の融資について、具体的な内容を詳細を承知しておりませんが、御指摘でもございますので、よく公庫を通じまして融資の状況、見通し等について掌握をしてまいりたい、かように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 徳田局長、駐車場の点は、あなたが理解していることとちょっと違う点があるのです。ですから、それは後で十分検討して、それを今度五十四年度に弾力的に扱うという形に実はなったわけです。従来のことと違うのです。  それからお酒屋さんの問題ですけれども、おっしゃることはわかるのですよ。ところが、書類を出させると、それだけの条件を整えることになるから、許可にならなかった場合むだになるからという配慮があるのですよ。それもわかるのです。しかし、やはり事前審査があるわけなんだ。だから、その事前審査にパスしないと書類を出せないということになってくると、土地を買ってみたり家を買ってみたりやらざるを得ない。当然なことなんです。ですから結果的には同じことになる。そうして特定の者だけ、おまえの方だけいいよという者だけが正式書類を出すということになってくると、これはおかしな目をもって見られかねない。だから、配慮はわかるのです。わかるのですが、そこらまで考えて、そして十分対処していくということでないといけないから、その点は工夫をしてください。  それからいま次長がお答えになった南総の問題ですが、可能性があればですよ——知事も今度の県議会で、ことしじゅうにできなければ断念するということを示唆する答弁をしておるようです。佐賀県も徹底した反対、福岡県はまたける。長崎県も湾外は反対ですよ。だから、大蔵省も、もう五十三年度だめだったからつけたくなかったと私は思う。しかし、やむを得ずつけられたという点ですね。私は、今日赤字でもって予算に非常に無理をしているときに、そういう予算の計上の仕方というものには基本的に抵抗を感じるわけです。しかし、この南総にメリットが全くないというのではない。従来干拓をしてきた塩害がある。それを全面的に埋めるのだから、そのいまある塩害は防げるというメリットは確かにあるのです。あるのですけれども、経済水域二百海里というので沿岸漁業の振興というものはそれなりに重要な役割りを持っている、こういうことです。  それから大蔵省の予算の編成のあり方という点について、そういう筋の通らないことをやるということにはやはり問題があるのではないかという点です。そういう点は十分ひとつ対処していかなければいけないであろうというように思います。  以上をもって終わります。が、もしお答えがあれば……。

吉野良彦大蔵省主計局次長

○吉野政府委員 大変申しわけございません。先ほど私、北東公庫の融資の問題と勘違いをいたしまして御答弁申し上げましたが、いまの御発言で干拓の問題のように受けとめました。現在直ちにお答えする用意はございませんが、一次的な所管官庁とも十分連絡をいたしまして、また先生にもよく御説明ができるようにいたしたいと思います。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 午後二時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後二時三十分開議

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  大蔵省所管について質疑を続行いたします。竹内猛君。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 私は、きょうは国有地あるいは国有財産の管理についてお尋ねをしたいと思います。  すでに、この問題については国会でも何遍か質疑をされてきたし、あるいは自治体からも要請があるし、会計検査院あるいは行政管理庁、こういう方面からもいろいろ要請があるところでありますが、いまだにどうもすっきりした形で処理されていないように思います。私はいろいろな地域を歩いてみて多くの問題にぶつかってきて、それを処理しようと思っても、自治体でのいろいろな話、それから県との関係、そして最終的には大蔵省との関係になって、一貫して問題が処理できていないという点で大変混乱をしている面がありますので、この際問題をただしていきたいと思います。なお、三十分の時間では、この問題は非常にむずかしいと思いますから、きょうは問題の一つの例を出して、いずれ別な委員会でまた私どもの仲間と一緒になってこの問題については中途半端でなしに一つの方向を見出すまで展開をしていかなくちゃならない問題だ、こう考えておりますから、以上の前提において次のことを質問いたします。  まず、国有財産というものはどれほどあって、その中で、特に法定外公共物というものに関してどういうふうに扱われているかという点について総括的なお尋ねをします。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 お答えいたします。  現在の国有財産の面積でございますが、昭和五十三年三月三十一日の国有地は、行政財産が八百八十四億九千四百四十三平方メートル、普通財産が十三億八千七百二万平方メートル、合計八百九十八億八千百四十六万平方メートルになっております。この面積の中には、国有財産法第三十八条の規定に基づきまして、公共用財産のうちの公園、広場は除きまして、そのほかの道路とか河川、港湾、そういうものは入っておりません。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 そこで、法定外公共物と言われる道路、川あるいは沼、こういうものはどうなっていますか。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 先生のおっしゃる法定外の公共物でございますが、こういうものはいわゆる公共用財産でございますので、三十八条の規定により、先ほど申し上げました面積の中には入っていない、こういうふうにお考えいただいて結構でございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 そうしますと、その面積はどこでわかりますか。

永田良雄建設大臣官房会計課長

○永田政府委員 いま御指摘の公共用財産は建設省が所管していることになっております。これは非常に膨大な数でございますので、実数を全数で調査したものはございませんが、四十二年に一部分調査して、それの全国推計によりますと、全国で約四千三百三十四平方キロメートルくらいあるだろう、こういう推定値を私ども持っておるわけでございます。  この内訳を申しますと、里道、いわゆる道路でございますが、これが約千八百四十七平方キロメートル、水路が二千二百四十六平方キロメートル、海浜地が百九十六平方キロメートル、その他というのが——その他というのは堤塘とか沼とかそういうものでございますが、これが四十五平方キロメートルということで、全体が先ほど申しました四千三百三十四平方キロメートルございます。約山梨県の全県の面積に匹敵する広さでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 こういうような面積のものがいま現に存在をしている。これが各末端の行政、自治体の中でそれぞれいろいろな形で問題が起きているわけです。この法定外公共物から生ずるいろいろな問題があると思いますけれども、自治省の方ではそれをどういうように把握をされ、どう取り扱われているかについてまずお答えをいただきたいと思います。

中村瑞夫自治省行政局行政課長

○中村説明員 御説明申し上げます。  いまほど御指摘になっております普通河川とか里道等とか、俗に法定外公共用財産と呼ばれておるものでございますけれども、これらにつきましては、国有財産法の体系に基づきまして建設大臣の部局長としての各都道府県知事が財産管理を行っているというのが現在の法令の粗筋でございまして、そういう意味で、基本的にはその主務大臣である建設大臣の指導のもとに都道府県において処理をしておるということであるわけでございます。  そういうことで、私どもといたしまして、その実態なりあるいは個々の管理の状況につきまして承知をいたしておるところは少ないわけでございますけれども、これらにつきまして、ともかく、先ほど建設省からお話がございましたように、実態が明らかでない、かつまたその管理に関する法令制度等も十分整備をされているとは言いがたい面がございますし、また費用負担等の点につきましても十分でないところがございますので、地方団体におきましては、これらにつきまして法令制度上の整備、改善を図って、責任のある管理ができるようにしてもらいたいという意向が非常に強い状況でございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 いま自治省の方からあったように、実態が明らかでない、それから法律的なものもきわめて不統一である、それからこれに対する費用も十分でない、こうなってくると混乱するのはあたりまえですね。だから結局、地方を見ますと、力の強い者がいいところを占有する、そしてそのまま居座ってしまう、弱い者ははじき出されてしまう、こういう形になっていて、ここにある意味においては利権が食い入るような余地もかつてはありました。最近都市化が進むにつれて、ますますこのような問題が出てまいります。特に古い町等においては、道路のつけかえとか川のつけかえ等がいろいろあって、そこには道路敷、廃川敷というものがたくさん出てくる。あるいは土地改良をやると、従来のため池が今度は不必要になりますからそういう問題が出てきて、これらについての処置というものがどうしても問題になるわけです。  あるところでこのため池を処理しようとしたところが、その手続がよくわからない、そのわからないものについてこれをどうしたらいいかということで末端に聞いてみると、きわめてあいまいなんですね。やがて法律をつくるからひとつそれでやってくれなんて、こんな話になっている。法律がいつできるかさっぱりわからないから、そのままめんどうくさいからうやむやになる。そこには草が生える、あるいは力の強い者はそこを無断で占有してしまうということがあります。こういう事態があるものですから、これを何とか有効に使う必要があるということで、これを処理するために何らかの努力をされているはずですけれども、これは大蔵省に関しますか、建設省の方ですか。

永田良雄建設大臣官房会計課長

○永田政府委員 御指摘のように、この法定外公共物と申しますのは数がきわめて膨大であるということ、実態もよく把握されていない、それからこれらを管理するための法規制は、国有財産法が財産的な面での処理をする制度としてあるだけでございますので、ただいま先生御指摘のように、不法占用の問題とか、そういった行政的な処理をするための法規制はございません。したがいまして、いろいろ問題が各地で起きておるのは事実でございます。  そこで、これらについて統一的にいわゆる行政的な処理をしようという方向で、私どもはいま公共用財産管理制度調査会というのをつくって、そこで検討をいたしております。その中には、大蔵省、それから自治省さんも参加いただいておりますし、それから都道府県それから市町村の方も入っていただいて、学識経験者も交えて、昨年の九月ごろから鋭意調査検討をやっておるわけでございます。その調査検討の結果、適正な処理を行いたい、かように考えておるわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 私、実はことしの春、ある問題があって出先の土木事務所へ行っていろいろと調査をしたところ、いま建設省からお話しになった法定外の公共物の処理に関する法律がやがて国会に出ますという話がありました。なるほどそれが出ればこれは合理的だなと思っていたわけですけれども、これはいつごろまとまる見通しでしょうか。この点について、これは大蔵省の方からでもどこからでもお答えをいただきたいと思います。

永田良雄建設大臣官房会計課長

○永田政府委員 昨年の九月に第一回の調査会を開いて鋭意やっておりますので、私どもといたしましてはできるだけ早急にと思ってはおりますが、いま、いつ法律が出せるかということをここで明言するのは御勘弁いただきたいと思います。できるだけ早急にということで御了承賜りたいと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 私の調べたところによると、昭和二十八年、三十八年、四十四年と、この問題に対して取り組みはかなり古くからあるわけですね。昭和二十八年ころから始まって、すでにもう何十年もたっていて、なおこれがまとまらないということは、これは官庁のなわ張りなのか、どこかに不統一があるのか、どうなのか。国の財産というものを整理するのに、一本の法律がなければこれはぐあいが悪いと思う。確かにいまお話があったように、法定外の面積だけでも山梨県の全体の面積に匹敵する。道路法によるところの道路の面積が四千二百平方キロということから、道路法による道路よりも法定外の面積の方が多い。それに対して適切な法律がないということは、これは不合理ですね。大蔵省の方ではこの法律に対してどういうお考えでしょうか。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 法定外公共物の管理の問題というか、実態が不明であるというのは、先生おっしゃるように長年にわたる問題でございまして、大蔵省といたしましても現在建設省が御所管にはなっておるわけでございますが、国有財産全体を管理する立場から、何らかの公共用財産についての——法定外公共物でございますが、についての管理といいますか、そういうものを明らかにすることが必要ではないか、こういうように考えております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 これは大体いつごろまでにまとめるというこの努力の目標というものがなければ、いつもいつも末端に行けばもう出ますから、そのときにはうまく処理しますと、こう言う。ところが今度は国会で聞けば、努力はしたけれどもうまくいかない。これではまずいですね。その辺の見通しはどうでしょうね。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 法律をいつ出すかというのは、いま建設省の方から御答弁ございましたように、調査会の方で鋭意御勉強されておるようでございますので、その結果を待ちたいと思いますが、新しい法律ができないと、現在の使っておる人に払い下げができないというわけではございませんので、もちろん公共用に使っておるところを実際に占用しておるというのは不法占用でございますが、実際に公共の用に供していないというようなものについては、公用の廃止の手続をとっていただいて、それを普通財産として大蔵省に引き継ぐ。大蔵省では普通財産としてその処理を考える、現在でもこういう手続があるわけでございますので、新しい法律ができないと、そういういま先生がおっしゃったようなことが救えないものではない、こういうふうに思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 そのことも理解できますけれども、実際のことを言うと、一つ例を挙げますが、これは私の選挙区ですが、土浦という市がありますが、そこにKという人が住んでおりまして、そこで県道をつくるということから、ある町からこの人は、当時の市の土木課長、建設課長の口頭の指示によっていま真鍋という町の四丁目二十八番地に移転をしました。その土地が国有地という形になっている。確かに図面は沼という形になっているけれども、現在はやはり沼があります。この沼が二万二千平方メートルといいますからかなり大きな沼です。そのところでしばしば市議会でも問題になっているわけですが、依然として答えが出せないでおるところに持ってきて、Kという人が二回火事に遭いました。そして最近の火事で年寄りが焼け死んだという形になって、いよいよ今度は家の建てかえをしなければならない。そういうときになってくると、その土地の権利がはっきりしないものでありますから家を建てることができない。焼けた跡に石を積んで、そしてコンクリートべいを積んでいまその中に入って住んでいるということです。これははなはだ人道的に見ても大変なことであるわけですから、何とかこれを救ってやりたいということでいろいろ問い合わせをしてみると、今度は墓場のある墓地のわきの方へ行って住め、こういうふうに市の方から指示があったというのですが、これはまあちょっと、墓地のところへ行って住むということは人間としてどうも住みにくい話だ。やはり現在のところがよろしいと、こういうようなわけであるわけですが、いまのように建設省が管理を委託している土木事務所がそれに対して指示をしていると思うのですが、そのときにそれを普通財産に置きかえて、そして大蔵省に要請をすれば、その人間はすでに三十年近くそこに住んでいるわけですからそういう居住が与えられている。恐らく地代も何も払っていないわけですけれども、住んでいることは認められているわけですからね。そうすると、そこには一種の占有権、居住権というものが生じていると思うのですね。この人はそこ以外に行くところがない。前に住んでいたところは、そういう約束のもとにそこを離れたわけですから、こういう場合にどういう答えを出したらいいかということを具体的な事実について指示してもらわないと、これはもう市議会でも議論しても全然答えが出ない。ここで答えを出す以外にはないと思うのですね。それは一人の人間のことですがね、その一人の人間がそういう思いをしているということについて、これはやはり政治が処理をしなければならぬ問題だ、こういうふうに思いますから、この点についてはどういうことをしたらいいか。

永田良雄建設大臣官房会計課長

○永田政府委員 御指摘の土浦市の場合の件について、私どもが県から聴取した事情によりますと、実は当該の件の敷地は国有の堤塘敷、沼の堤防の敷地でございます。実はその当人がそこへ移ってみえたのが昭和二十七、八年ごろ、もと住んでいた所が市の都市計画街路にひっかかったので、市の方からは立ち退いてくれ、じゃ立ち退きましょう、それで市の方から、そこへ移って住めばいいでしょうということを言われて住んでおったわけでございます。ところがいまの土地は、いまお話ししましたように国有地でございます。本来国有地というのは、先ほどから申し上げましたように、都道府県知事が管理いたしておるわけでございます。したがって、本当は都道府県知事へのそういう使用の願い等の手続があってそこに住んでおられたのならいいのですが、そういう手続なしに住んでおられたという状況でございます。そういう状況でございまして、いま先生がおっしゃったような火事に遭ったということでございます。だから、形式的に言えばその土地は不法占用をされておったということになるわけでございます。それで県の方では、では一体どういう対応をするかという話をいたしましたところ、当該土地についてよく実情調査の上、公共用地として必要ないという範囲のものであれば、これは公用を廃止して大蔵省の方へ引き継ぐことを検討してみたい、かように言っておる状況でございますので、そういう処理がされるのではなかろうかというふうに考えております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 昭和二十七、八年に移った。ちょうどいまから二十五、六年前ですね。そうなると、その間そこに居住を黙認したわけだから——不法占有ということなら早く出ていけと言って追い出さなければならない。ところが、二十数年もそれを黙って見ていたということになると、そこには一種の権利、居住権、占有権、こういうものがあると見ていいんじゃないですか。どうですか。

永田良雄建設大臣官房会計課長

○永田政府委員 普通の財産についてはそういう占有権というものが出るということはでざいますが、公共用財産ということですので、理論的には占有権というものは出ないと考えております。したがって、形式上は先ほど私どもは不法占用の形はなしていると申しましたが、実質これは二十数年、二十四、五年占有しておられた、しかもそれが市の方のあっせんで入ったという事例でございますので、そこら辺を十分配慮しなければならぬだろうというふうに考えてはおります。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 まあこの問題は一つの例を取り上げていま問題にしたわけですけれども、このような例は幾つもありますから、こういう例が出るたびに恐らく市町村の末端なり県は大変困るということになるわけで、これは処理する法律を一日も早くつくって、そして一貫していかなければいけない。いま条例でやっているようですけれども、たとえば岐阜県の場合には普通河川の問題に対する条例ができているし、茨城県の場合にはすべての公用物ですか、これが対象になっている。だから、県によって条例が対象にするものが違うということで、同じ法のもとで条例が違うなんということはおかしい話だ。だから、どうしてもこの問題に関しては早く一本の法律をつくって、そして自治体に権利を移譲する。同時に、自治体に権利だけ移譲しても困るから、人件費ぐらいはおろさなければ、こういう膨大な面積を持っているものに対する処理がうまくできない。そうして力の強いやつがそこを占有して、不当なものをむさぼるという形になる。この例についてはきょうは申し上げません。申し上げませんが、いずれ場所を改めてこういう不当占有というものについてはやる。いまのこのKという人は、これは不当ではなくて、まさに犠牲だ。市の指示によって、移れと言われて、そして自分の母親が焼け死んでしまった。そして、その跡に家が建たなくて、焼け跡に石を並べて、コンクリを並べて生活しなければならない。そんなばかなことはないです。何としてもこれは処理しなければならぬことですから、こういう例はひとつ……。極端な例を申し上げましたが。  もう時間もありませんから、もう一つ、これは大蔵省にお尋ねするのですが、前々から委員会で二線引き畦畔の問題が問題になっておりました。あれはいまどういうふうに取り扱われておりますか。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 簡単に申し上げますと、二線引き畦畔が国有か民有かということで争われておったわけでございますが、国の方といたしましては、国有地であるということは変わりはない。しかし、長年自分のものと思って田と田の間のあぜ道を使っておった、こういうような事実を見れば、そこに民法でいう取得時効が成立しておるのではないか、こういうことでございまして、実際に取得時効が成立をしておると認められるものについては、その申請を待ちまして取得時効の処理をして名義を民有に移す、こういうたてまえで現在やっておるわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 そうすると、それは申請をしなければだめなんですね。共通のものとして考えられないですか。一律的には考えられない。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 これは土地の問題でございますので、従来の占有の経緯とかそういうものをいろいろ調べまして、取得時効が成立をしておるかどうかという判定をしなければならぬわけでございますので、それはやはり申請をいただきまして、親の代からここに住んでおったとか使っておったとか、そういうものをいただかないと、一律にというわけにはなかなかいかないと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 この問題もまだ、どうも議論が残ることだと思いますから、きょうのこの時間ではできませんから、問題として、決してあの問題がこのままで済んだわけじゃないということを申し上げたいと思う。  時間がもうありませんから、私の方から申し上げますが、いまも簡単なこの時間の中で出ているように、国有財産、それは国有林野、そういうものは除外をしたもので、それ以外の道路敷あるいは河川敷、それから沼、あるいは港湾等のものでも、山梨県一県ぐらいの面積があり、道路法に基づくその道路の総面積よりもその方が多い。しかもそれが法律によって処理されないで条例によりあるいは手続によってそれぞれのケースでやられるということは、末端に非常に混乱を起こすことであるし、これは行政上やりにくい、そういうことが自治体においても取り扱いがしにくいものだから、めんどうくさいから、金もない、人もいない、まあそれはいいあんばいにしておけということになると、やる方もいやになってしまって、途中で投げてしまうということになって、そこへ今度は強引に居座ったものがそこでいいあんばいに利益をむさぼっている。現に、茨城県の古河市の大下用水というところは、その国の財産の上に家が建って、料亭まで建っているというところもある。こういうようなことになると、もう、どけというわけにいかない。だから、そんな状態を何ぼ出してみても始末がつきませんから、やはり——困難なことはわかります。それぞれの官庁の中になわ張りがあって、自分の持っているところの権利は外したくないというのがあるかもしれませんが、いま建設省から言ったようなあの法案を速やかに検討してもらって、そして自治体に銭と人をつけて出して、そして一定の期間調査をして、その調査ができ上がったら、それはまたやめたらいいですね。その間を早急にやってもらいたいと思う。これは大臣、どうですか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 国有財産の処理につきましてはいろいろ問題があることは前々から伺っておりますので、関係方面とも十分連絡をとりながら適切な対策をとってまいりたいと考えております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 ぜひこれは本当にいま言われたように、しっかりひとつ進めていただきたいということを重ねて要望して終わります。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 次に、松本善明君。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 私は大都市の震災対策と国有地の活用問題で若干の質疑をしたいと思います。  昨年一月の伊豆の大島の近海地震でありますとか、六月の宮城県沖地震で死傷者一万、十七万二千戸の家屋損害というような事態が起こりまして、この震災対策の重要性が改めて再認識させられるということになったわけですが、昨年五月に東京都の防災会議は、一九二三年の関東大震災と同じ程度の地震が起きた場合の東京における被害を想定した調査結果を発表いたしました。それによりますと、死傷者九万九千名、火災による焼失家屋四十七万棟、罹災者三百五十万人に及ぶ、こういうような被害を予想しておるわけです。建物の不燃化でありますとか、オープンスペースの確保でありますとか、避難道路の整備だとか、そういうものが緊急に必要である。私も消防車に乗りましてずっと視察をしたことがありますが、消防車の入る道路は東京でも非常に少ないですね。そういう状態でありますので、地震に強い国土づくりというのは緊急な課題です。これをやはり自治体任せにしたのではとてもできないのじゃないか、国としてこれに取り組むということが必要だし、財政的にも十分配慮をして国有財産の活用でありますとか、あるいは防災対策に取り組むべきであると思いますが、まず大蔵大臣の基本的なお考えをお聞きしておきたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 松本さんの御提起になりました問題、私もあなたに全く同感です。特に都市災害の場合には、現状では不測の損害を招くことになりますし、なかなかてきぱきとした救援措置も講じられない。最近東京ではあちこちに避難所なんか設ける用意をいたしておりますけれども、そういう意味で大蔵省も財政措置といたしましては相当思い切った措置を講じておる。できるだけの応援体制をこの際やっていこうということでやっておるつもりでおりますし、今後もそのつもりで対処してまいりたいと考えます。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 それで、この防災対策の上で避難地としての国有地の利用、これは非常に重要だと思うのですが、筑波大学の跡地が今度東京都にはかなり出るわけです。これは非常に貴重な機会でありますので、十分に活用しなければならないわけですが、これについて後で詳しくお聞きするつもりでありますが、昨年やはりこの分科会で私この問題を聞きました。村山大蔵大臣は、この国有地の跡地については無償貸し付けを含めて検討するということを言われました。自治体が全部買い取るということになりますと、せっかくの跡地が事実上使えないということが方々で起こると思います。ですから、無償貸付制度の活用というのは不可欠ではないかと思います。そのほか政府債を割り当てるとか、あるいは長期低利の融資を拡充するとか、そういうような財政措置が具体的にとられる必要があると思いますが、その点についての大蔵省のお考えをまず伺っておきたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 国有地を避難広場に使うという件でありますが、避難広場といいますと公園だろうと思います。筑波移転跡地の処分条件についての考え方でございますが、一般の国有地でございますが、従来から庁舎等が移転をしてその跡地があいたというように移転経費を要した跡地の国有地につきましては、移転経費を考慮いたしまして、原則としてその面積の二分の一を時価売り払いをし、残りの二分の一の面積につきまして法令に定められた優遇措置を適用しよう、こういうふうに考えております。  筑波移転跡地でございますが、御承知のようにこの移転につきましては、相当多額の経費を要したわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、一般の移転経費を要した国有地と同様の処分条件にしたい、現在こう考えておるわけでございます。御質問の広場は、まず公園と観念されるわけでございますので、二分の一は時価、二分の一の面積については無償貸し付け、こういうことに相なろうかと思います。

田中敬大蔵省理財局長

○田中(敬)政府委員 それらの避難広場、公園等の設置につきまして財政援助、その方法として、起債について政府資金を充当してはどうかというお尋ねでございますが、一般的にこのような公園施設というものは、起債適格事業として地方債の起債は認められることになっております。しかしながら、政府資金を充当するかどうかという問題でございますけれども、政府資金は、御承知のように全起債額の約四〇%弱が政府資金が充当されるようになっております。これをどういうふうに配分するかということは、まだ個々の公園、広場等の具体的計画が明らかになっておりませんので、現段階では何とも申し上げかねますけれども、一般的に政府資金を充当する原則というのは、起債能力の低い団体、たとえば市町村でございますとか、そういうことを優先的に考える、あるいはまた政府資金を充当すべき事業に着目して行うこともございますが、いまの筑波移転跡地というものが主として東京都に所在するということを考えますと、東京都の起債能力から見まして、政府資金充当は現状ではむずかしいのではないかというふうに私は考えております。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 いろいろむずかしい点や、移転経費の問題などがあることは承知の上でお聞きしておるわけですけれども、財政問題で防災対策ができないということになってはぐあいが悪いと思うのです。ですから、そういうようないろいろな問題がありましても、防災対策のために国が財政的な犠牲を負うというつもりでやるべきではないかというふうに私は思うわけであります。それを期待しておくということを申し上げまして、ちょっと具体的にお聞きしたいと思いますが、筑波の移転跡地につきましては、超党派で各区とも要望が出ておることは御存じのとおりで、東京の二十三特別区の区議会議長も、「特別区内にある国立機関移転後の跡地は、その規模、立地条件等々がらみて、二度と得る機会のない土地であるので、災害時の避難場所等々前述のように特別区において活用できるようにご配慮願いたい。」というような要望も出しておりますし、私が去年聞きましたときには、大蔵省は「防災用に空地を確保する防災公園といったような発想で検討しておる」、あるいは公園緑地とか避難場所にしたい、そういう意見は十分尊重していきたい、あるいは「地元で完全に意見の一致を見ておりますような財産は、できるだけその趣旨で御要望に沿いたい」というような答弁がありました。これは村山大蔵大臣の時代ですけれども、当然、引き継いでそういう考えで行われると思いますが、一応念のために大蔵大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 いまお話しのとおりで結構でございます。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 ところでさらに具体的に伺いますと、東京の杉並でございますが、最近小委員会の試案が出ました。この十一月に発表されました小委員会の試案によりますと、杉並区の気象研究所の跡地は周辺都市整備の住宅公団事業用地ということになっておりますし、同じ杉並の蚕糸試験場の跡地の一部及び機械技術研究所の跡地の半分も、同じように住宅公団の事業用地ということになっております。住宅公団の事業用地とするということになりますと、これは筑波研究学園都市建設法の言う人口の過密集中の緩和という趣旨や、あるいはいま大蔵大臣に確認をいたしました公園緑地や避難場所を中心に跡地利用を考えるという趣旨とは相入れないんじゃないか。杉並区議会からは超党派で、これは当初の国の基本方針に反するんじゃないかということの意見書がすでに大蔵省に提出されていると思いますし、これは保守系の区長さんですけれども、その方も含めましてあるいは関係の国会議員、私から自民党の議員に至るまで皆反対であります。どうしてこういうことになるんだろうか。地元がとうてい受け入れられないような小委員会案が出てくるというようなことは私は考えられないのですけれども、この点について一応御説明をいただきたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 先生御指摘の気象研究所、それから蚕糸試験場の跡地に住宅公団の事業用地が入っておるじゃないか、こういう問題でございますが、この筑波移転跡地の利用方法をどうするかというのはいろいろ委員会で検討したわけでございますが、やはり都市の防災性の向上というのが主眼になっておったわけでございます。  したがいまして、その観点からこの付近を見ますと、十分御承知だと思いますが、避難広場をつくってもそこへ行く道路がないではないか、消防車も通れないような道路状態である。したがって、防災性の観点から見れば広場をつくるよりまず道路を拡張して消防自動車が通れるような道路をつくるのが先決ではなかろうか、こういうことで、たとえば道路を拡張して立ち退きをしなくてはならぬという人の受けざら住宅として住宅公団がこの跡地に住宅を建ててそこへ移して、まず道路の拡張を図るということが都市の防災性の面から見れば必要ではなかろうかということで、それぞれの跡地に住宅公団の事業用地が試案の中に入っておる、こういう考え方でございます。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 大蔵大臣にちょっとお聞きいただきたいと思うのですが、いまのようなお話は事前に超党派で大蔵省に話をしたときにもございました。そこでもう一斉に反発が出るわけですよ。そんな立ち退きをさせてその人を収容する住宅をつくるなんということはそんな急いでできるわけがないじゃないか、その立ち退きの費用は予算に組んであるのか、そんな机上の空論のようなことはやめてくれ。この区は自民党から各党一人ずつ国会議員がいるのですけれども、もうこぞってこの小委員会の作業はおかしいじゃないかと、だれも実行できると思わない、区長さんも全く机上の空論だという反論をされていました。もちろん膨大な予算をつけているなら別ですよ。避難道路に当たるところの住宅について立ち退きのための予算をつけるとか、そういうことをさせていればこれは別です。それはもう大いに歓迎をすることになるかもしれません。それもなしに住宅の方だけは空き地に住宅公団で建てる、これではだれも納得しないんじゃないか。  問題はそれにとどまらず、小委員会の作業というものが地元の意見を十分聞いて——地元がこぞって反対しているのにできるわけがないのです。そんなことは見通してやるべきじゃないだろうか。何遍やってもそんな案だけしか出てこなければぐあいが悪いんじゃないだろうか、こう思うわけですよ。ですから、大蔵大臣にわざわざ伺おうと思うわけですけれども、こういうやり方ではぐあいが悪いので、やはり地元の意見を十分尊重して、なるほどこれならば何とかやっていけるというような案を小委員会段階からつくるという方向に小委員会なり審議会の運営を考え直す必要があるんじゃなかろうかと思うわけですが、大蔵大臣に御意見を伺いたいのです。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 地元の意見を聞くべきではないかということでございますが、それは地元からいろいろ要望がございまして十分聞いておるわけでございます。  先ほどの理想図を描いてもできないではないかというお話でございますが、たとえば気象研につきましては、こちらでいろいろ検討する段階では、そこの区道、狭い区道でございますが、その拡幅事業は都市計画決定済みで事業主体は区、こういうことになっておるわけでございます。そういうことをいろいろ考えまして、区あるいは都の方でも都市計画上いろいろ考えておられるわけでございます。そういうことも考えて先ほど申し上げました委員会の案をつくったわけでございます。  いずれにしても、主として区でございますが、そういうところが事業主体となって区道を拡張するわけでございまして、そちらの方ができないのに住宅公団だけやっても意味がございませんので、その辺は住宅公団と区の方と十分話し合いをさせていきたい、こういうふうに考えております。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 大蔵大臣、ここだけのことでないので聞いておいてほしいと思うのですが、東京で道路の拡幅だとかというのは容易なことじゃないですよ。これは見ていればわかります。そういうことは、区と相談してというのは結構ですけれども、やはり見通しからしてある程度わかっていることなんですね。そういうようなことがないようにして計画をつくられるべきだろう、こういうふうに思います。そういう点を大蔵大臣もお考えいただいてこの問題の処理に当たっていただきたいということを要望しておきます。  それは、一つの顕著な例としていま杉並の例を挙げましたけれども、そのほかでもいろいろあるのです。たとえば渋谷で東京工業試験所の跡地、これのあります渋谷の本町、幡ケ谷地域というのは四方が幹線道路に囲まれて木造住宅の密集地で、東京でも人口密度は相当高い方です。最高に近い方です。オープンスペースだとか樹木も特に不足している地域なんです。東京都の調査でもその危険度が高いということになっておりますので、住民がどうしても避難場所が欲しいということで要望しているわけですが、これが国立劇場の用地ということです。どこか場所があれば国立劇場もあっていいものだと私は思います。思いますけれども、いま東京で防災対策というのは人の命の問題なんで、やはり最優先に考えるべきではないか。金の問題もいろいろありましょうけれども、そういう防災を最優先にこれも練り直すべきではないかと思います。  それから、あわせてお聞きしておきますが、文京区にあります教育大学の跡地、これは避難場の指定を受けているので大部分公園として利用するとは言っておりますけれども、講道館でありますとか筑波大学にも跡地の利用を認めるということで、講道館は六千六百平米、筑波大学は一万平米を主張している。そうすると結局三分割されまして、避難場として役に立たない。文京区議会は超党派で、これでは学園都市建設法の趣旨にも反する、全く沿わぬじゃないかということでこれまた決議をして大蔵省に提出しているのは御存じと思うのです。例を挙げればそんなこともありますが、この小委員会案を見ますと、東京の都民が防災問題について持っている強い要求というものをまだまだ軽視しているんじゃないかということを私はどうしても感ぜざるを得ないのです。これらをもう一回防災という観点から再検討をしていただく必要があるんじゃないだろうか、こう思うわけです。大蔵大臣の御意見を伺いたいと思うわけであります。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 筑波移転跡地の利用計画の基本方針といたしまして、当初から都市の防災性の向上というのがございまして、空き地を確保するために公園緑地、避難広場への転用を主眼として考えるというのが基本的な方針でつくられてきたわけでございます。先生御指摘の点、全部公園とかあるいは広場になっていない点がございます。しかし、それはそれぞれの必要性がございまして、そういうものは最小限に抑えたわけでございますが、現在の筑波跡地試案の中には入っておるわけでございますが、試案につきましていろいろ地元の区議会あるいは区民等の要望なり意見なりがあるようでございますので、あの試案をそのまま強行するというつもりは毛頭ございません。その辺の意見も十分聞いて、これを小委員会の作業グループが作業をいたしておるわけでございますが、その方へ十分こういう点があるということは伝えまして作業をしていただきたい、こういうふうに考えております。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 それでは作業グループの最終案が作成されるのはいつごろでございましょうか。ちょっと事務的に予想を聞かしていただきたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 筑波移転は五十四年度中には大体完了するというのが現在の予定でございます。貴重な跡地でございますので、移転が完了すればなるべく早く使った方がいいではないかと考えますので、そのためには事務的にはことしの六月ごろには答申をいただきたいと思っておるわけでございますが、いまいろいろお話がございましたように、地元の意見というものが出ない段階で答申をいただくわけにはいきませんので、その辺の意見の出ぐあいでおくれてもこれはやむを得ないのではないか、こういうふうに考えます。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 その案ができますれば、これは公表して、またいろいろ意見を聞くということになりましょうか。それは最終案としてそのままやられるということになるのでしょうか。十分に意見を聞く機会をつくるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 どの段階まで意見を聞いて行ったり来たりするかというのは即答いたしかねますが、小委員会の作業グループの段階で十分意見を聞きながらやっていきたいということしか現在ちょっと……。どういう状態で意見が吸収をされて、そしてどういう結論になるか、その辺を見きわめませんと、また試案を出して、またもらう、こういう必要があるのかどうか現在ではちょっと判断をいたしかねると思います。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 これは大蔵大臣聞いておいていただきたいのですが、これは都と区が一致した案が出されておるのですよ。それが基本になっていれば、私が申しましたような超党派で区議会から反発を受けるようなことはないと思うのですね。だから、私どもそれは何遍も行ったり来たりということにならぬかもしれぬということも行政上考えられますが、それだけに地元の意見を十分に入れるようなものでないと、実際上出しても、地元が総反発しているものは実行できないですから、その辺を考えながら、それがたとえば区の財政能力その他を考えて無理だとかなんとかというようなことであれば、むしろ財政的な措置をどうしたらいいかという方向で物を考えていくべきではないか、こういうふうに要望をしておきたいと思うわけです。  さらに伺っておきたいのは、試案に利用計画がまだ出てない跡地もあるわけですね。これはどういうつもりであるか、ちょっと伺っておきたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 現在試案で地元へ示してあるのは二十九ヵ所だと思います。筑波移転の跡地というのは六十二ヵ所でございますので、三十三ヵ所が試案に載っかっていないわけでございます。これにつきましては、筑波移転跡地処理小委員会の方で筑波移転の跡地の利用の基本方針というのを出していただきまして、その方針に従いまして三十三ヵ所の利用について、これは小委員会にはかけませんが、われわれの方で計画をつくっていきたい、こういうふうに考えております。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 筑波大の移転跡地ではありませんが、やはりその他の国有地も重大な関心が寄せられております。  たとえば中野の刑務所の跡地の問題がございますが、これは戦後ずっと問題になってきまして、ようやく最近は防災公園にするということで都と区の合意ができました。しかし、この刑務所の用地取得費は、中野区の積算によりますと約百五十億というのですね。それで、都が跡地の三分の二を取得してごみ焼却場を地下につくるということでございます。それから三分の一は区が取得をするというわけで、上が全体として防災公園になる、こういうようなことになる。これは十ヘクタール近いのでかなり大きな公園になる。都の避難地としても非常に希望の持てるものになるわけです。  ところが、この五十億といいますと、区の負担は相当大きいわけです。これは私、最初に申し上げましたように、自治体任せではいけない。やはり国が相当財政援助を考えませんと、いまの自治体の財政の破綻は、大蔵大臣に申し上げるまでもありませんけれども、それがますますひどくなるわけです。やはり、こういうことについては財政援助を特えるべきではないか。大蔵大臣に伺っておきたいと思うのです。

吉野良彦大蔵省主計局次長

○吉野政府委員 ただいま具体的に御指摘ございました中野の刑務所の跡地の問題でございますが、一般的に申し上げますと、これが建設省で所管しております公園事業、都市公園事業として採択をされるということになりますと、国庫補助の対象になるわけでございます。ただ、ただいま具体的にその跡地が建設省の方で都市公園事業として採択をするかどうか、それはやはり所管官庁の建設省で具体的に御判断をされるということになろうかと存じます。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 建設省来ておりますね。——これは三分の二は都が買うので、この辺のむずかしい問題はあろうけれども、しかし全体としては大きな防災公園に一応なるのですね。だから、少なくとも三分の一、区が買う分でも補助対象にするとかということは検討すべきじゃないかと思いますが、建設省はいまどういうふうに考えておりますか。

田辺昇学建設省都市局公園緑地課長

○田辺説明員 建設省といたしましては、いい位置にあります場所でもございますので、跡地の利用計画の中で公園ということが明確に決まりましたら、通常の補助事業の一環といたしまして積極的に採択していきたいと思っております。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 大蔵大臣に最後に伺っておきたいと思うのですが、いずれにしても国庫の補助なしにはこれはできないわけです。この国庫の補助について、やはり長期低利の政府関係債を認めるとか融資の方法を考えるとか、特別の配慮をいたしませんと、自治体財政を相当圧迫することになるのですね。これは現状の補助の方法を最大限に活用することも必要でありますが、場合によってはそれ以上にも自治体の負担にならないような補助の仕方を検討していただきたいとも思うわけですが、その点はいかがでございましょうか。

吉野良彦大蔵省主計局次長

○吉野政府委員 これもあるいは建設省の方からお答えするのが筋かとも思いますが、財政当局として申し上げますれば、一般の都市公園とは別に、もし仮にただいま御指摘の場所が、いわば防災的な機能を持つ、言ってみれば避難公園的な役割りを持つということになりますれば、現在の公園に対します補助体系の中でも特別の基準に該当いたしますれば、いわば補助対象率を一般の場合に比べて引き上げるというような体系も用意は去れているということでございます。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 最後に大蔵大臣に。  全体の質問を通じまして、これは本当なら私は特別に国が予算をもっと計上してもやってほしいと思うことであります。この問題について、大蔵大臣に最後に一般的な方針といいますか、決意といいますか、それを伺って質問を終わりたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 先ほど来いろいろ話を伺っておりまして、それに対する建設省、大蔵省各局のそれぞれの話がございましたが、地域の実情に即するように極力跡地利用を考えていかなければいけませんし、防災公園であれ都市公園であれ、地方団体の財政力にも問題がございますから、これもさらに工夫をこらして、何といっても早く防災施設をしっかりやることが先決問題でございますので、今後も何とか知恵を出してもらいたいというふうに考えております。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)分科員 終わります。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 続いて、工藤晃君。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 本日は、大蔵、厚生両方からひとついろいろと御意見を承りたい、こう思うわけであります。  その内容は、急激に訪れてまいります高齢化社会、それに対応するために健康の保障をどうするか、あるいは生活の保障をどうするか、あるいは生きがいをどう見つけるか、こういうふうな国民的課題をどのように解決していくか、あるいはそれに対してどのような誘導をしていくか、これは大変大きな政治の課題だと思うのです。同時に、国民のいま最も不安に思っているところでもございます。そういう高齢化社会に対応するというこの大変むずかしい対応に対しては、多くの既成の事実の上に立った発想よりも、大きな発想の転換をしていかなければならない、そういう時期に来ていると思います。その中で、やはり健康社会を創出するということは大変大きな社会的課題であると同時に、また財政面から考えても、今後それに対応するための積極的な施策を総合的に勘案していかなければならないということも明らかでございます。  そういう問題と絡めて、きょうは医療の公共性というものと、それからただいま大蔵省が租税特別措置法二十六条、いわゆる医師優遇税制と言われている制度の改廃をしよう、こういう時期に立っておるわけでございまして、先ほど申し上げましたような立場からやはりこの問題を真剣に国民の前に討議をする必要がある、こう考えているわけでございます。  そういうわけでございますので、そういう立場からひとつぜひ議論をさしていただきたい。これについては、私に与えられた時間はたった三十分でございますので、この大きな問題に三十分で質疑するということは大変困難なことでございますから、どうかひとつ、そういう意味でお答えは明快単純にしていただきたい、こう思います。  さてそこで、そういう問題に入る前に、ある末端の医療担当者たちのグループである、末端医師会の新聞に出ておりました意見を一応ここで部分的に開陳をし、こういう意見もあるのだということをひとつ皆さん方に御披露申し上げたいと思いますので、いまから読みます。  「過去、二十四年間、われわれ保険医の周辺で、租税特別措置法第二十六条が問題にならなかったことはない。これが純税法上の問題として、優遇であるかないかを論じるならば、ある意味においては「イエス」と答えなければならないかもしれない。しかし、何も第二十六条のみにこだわることもなく、有価証券譲渡所得、価格変動準備金、貸倒引当金、交際費課税等、約百条に近い租税特別措置法の各条項がすべて何らかの意味で、優遇税制であることは論を俟たない。」こういうことが言われております。  また、この二十六条は「総収入に対する経費率を一定にするだけの意味しかないならば、このような特別措置法があるため、一般国民より非難を受けるより、いっそうのこと、きれいさっぱりと一般納税者並に申告し、そのかわり胸を張って言いたいことを主張すべきだという論理もとおるかもしれない。しかし、過去の成立に至る経緯を考えると、単に経費率の多寡を論ずるものでなく、健保制度の抜本的改革のための諸般の施策を求めてきたのである。」  それから「医療の公共性とは何であろうか。自由主義経済社会の中での社会保険は一種の統制経済であり、又一般の営利事業と異なり、明らかに不採算医療とわかっていても、需めに応じて診療を行なうべき義務がある。」  それから「又、医療は非市場性、不確実性を持ちながら、思いもかけない時のため、常に一定水準の生産規模を維持しておかねばならないという特殊性を持っている。もし、この第二十六条が撤廃されると、医療の中に利潤追求という医の倫理とは相反することは否めないし、その結果、医の倫理は低迷し、医師の持っている道義感、義務感は次第にその影をうすめ、もはや、地域医療への積極的な参加など到底望み得べくもないであろう。」  最後に「勿論、われわれも租特法第二十六条のみにこだわるものではない。これこそ、医療所得に対する理想的課税法といわれるような制度ができたら、諸手をあげて協力するであろう」こういうふうな主張をしております。  ですから、いま盛んに医師優遇税制は不公平税制である、そのチャンピオンだ、だからこれを是正しなければ諸悪の根源がすべて整理できないのだというふうな一般的な世論が横行しているように思うわけでございます。それはある意味においては、すべてを正しくながめている議論とは私は思えない。そういう意味でまずお聞きいたしますが、大蔵省はこの租税特別措置法二十六条を何をもって不公正税制と言われているのか、その点について簡単に御説明をいただきたい。

伊豫田敏雄大蔵大臣官房審議官

○伊豫田政府委員 不公平税制の是正ということを申しておりますいわゆる不公平税制の是正でございますが、それの基本的な考え方といたしましては、税制をもって政策誘導をするということは、これはあるいは内外において一般的に認められたことでございます。ただ、そういう誘導税制をつくりました当初はともかく、それが結果的に政策目的とのバランスが崩れてくる、あるいは既得権化する、あるいはその効果が認められない、そういうふうな状態が認められているにかかわらず、なお現に最初のままに存在しているというふうな場合において、われわれはそれを不公平税制ではなかろうか、そういうものを是正する必要があるのじゃないか、そのように考えております。したがいまして、具体的に社会保険診療報酬課税の特例につきまして、それがなぜ不公平かということを申し上げるよりも、ただいま申し上げた一般論といたしまして、社会保険診療報酬課税の特例が昭和二十九年にできました当時のいきさつ、あるいは現在の各医師の所得の状況等から御判断いただきまして、私の申し上げている趣旨がおわかりいただけるのではないか、このように考えております。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 私はさっぱりわからぬということをまず申し上げます。ということは、要するに政策目的のバランスが崩れたという判断はいろいろ議論があるわけで、あなたのおっしゃっている議論だけが正しいという前提は何もないわけです。ですから、その議論をしないで、不明確のままにこれが改廃されようとしているところに私は一番問題があると思う。本当にそうなのかどうかという議論が徹底的に行われていないじゃないですか。一方的な議論だけがまかり通っているところに私は不公正がある、こう思うからあなたの意見がわからないということを申し上げているのです。  それから第二番目に、大臣、こういう医療の公共性というものをこの税制上の問題からとらえた場合には果たしてこれでいいのかどうか、また、別途公共性についてはそれはそれなりの評価をしていかなければならないというふうにお考えになるか、その点についてひとつ一言お聞きいたします。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 工藤さんは不公平税制のやり玉に上げられてまいりましたけれども、いまの説明はちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、大蔵省なり会計検査院で見ております経費率が、科によってばらばらでございますけれども、全体を突っ込んで平均して五二%程度、ほかの人はいっぱいいっぱい取られておるのに五二とは何事だ、こういうことに一つの批判が高まってきたということであろうと思います。それで、逆に言えば、お医者様の中にはあんな概算経費率なんかやめてしまって、実額の経費で見てもらった方がよっぽど助かるよとおっしゃる方も多いのです。そういうことができればそれでもいいと私は思うのですけれども、大ぜいのお医者様の中には、診療に追われてとてもそんな計算をする余裕がない、人を雇う余裕もないという方も多いものですから、今度のような制度をとることにいたしたわけでございます。  しかし、お医者様の公共的な立場につきましては私どもも十分考えてまいらなければいかぬと思います。いつも申し上げておることでございますけれども、日夜診療に献身的に努力をしていただいておる、あるいは地域診療だけじゃなくて、学校の校医をやったり救急医療をやったりいろいろな御苦労をいただいている、それはいまの保険制度では十分に償ってないわけでございますので、そういった公共性の点をある程度加味して、普通の経費率とあわせたものでひとつ法定概算経費率をつくろうじゃないか、こういうことでやったのが今回の趣旨でございまして、公共性を重視しなければいかぬことは十分考えております。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 公共性を重視しなければいかぬという言葉だけでは重視をしたということにはなりませんので、いまから私はその点について時間がありませんので十分討議をするというよりも、きょうはその問題を提起して、これはどちらがいいとか悪いとかという問題じゃなく、最初に前提に申し上げました、健康社会の創出というものがいかに円滑に行われるかということが一番大事な定義だと私は思いますので、それに焦点を合わせた形での問題を提起しながら、お答えいただくところはいただくという形をとらせていただきたい。これは時間があればもっと十分やりたいと思いますけれども、この三十分の中では無理だと思います。  そういうわけで申し上げますが、たとえばそういう税制上の御意見がいろいろあり、今度もし税制が改正されるということになりますと、そこで先ほど申し上げましたような税制上の他の公共性についてのいろいろな議論が出てまいろうと思います。そういう中で、たとえば医師法、医療法というような法律がございまして、医業の経営については大変厳しい制約を受けているわけですね。一言で申しますと医療は利益を追求しちゃいかぬ、こういう社会的な制約を受けて、すべての医療法、医師法というものはつくられているわけでございます。それが一般のいわゆる一人法人と言われているような法人のいろいろな制度から見ますと、非常に厳しい条件がつけられているわけですね。たとえば中小企業などの法人には共済制度がいろいろ制度上認められているとか、あるいはまた引当金とか準備金があるとか、租税控除が認められているとか、その他エトセトラのそういう制度上の優遇措置が行われているわけです。ところが、医療法人にはそういうことが認められていない。まして厳しい条件の中で法人が設立されていく、こういう条件がございます。  それからまた、個人が法人化するという場合にも大変厳しいいろんな制約がありまして、一般の一人法人化に比べれば非常にむずかしい制約がある、実際はなかなか法人化できない、そのためにすべての所得は個人の所得に帰一してしまう、開業医の大部分がそういうふうな状況の中に置かれているわけですね。そうしますと、家族内労働、奥さんから娘さんからすべてが一生懸命働いた結果が一人の所得になってしまうという、こういう矛盾した形になるわけですね。だから、そういうことだって、同じ国民ではないか。だとすれば、税の面から考えても平等にそういう権利を与えていってしかるべきではないかという議論があっても当然ではないかと思うのですね。あなたは認めませんよ、しかしこっちの方は認めますよ、しかし公共性の高い者ほど認めません、こういう矛盾がここに露呈をしてまいるわけでございます。そういうことについて、あなたがおっしゃったように、片一方においてはそんな必要ないんだと言うなら、片一方においてそういう制約をやはりどんどん外していかなければならないのじゃないかという議論が当然ここで出てまいろうと思います。そういうわけで、こういう問題の整合化をどのようにするかということが今後の課題だと思うし、またそういうことについて注目していかなければならない責任も私は政治にはあると思うのです。そういう意見が一方において出てくるという背景にはそういう問題が幾つかあるわけです。だから、そういうことについて私はきょうは申し上げたわけで、そういう意味においてはいままでのこの二十六条が社会的に果たしていた役割りというのは背景にはたくさんあるわけです。そういう問題が要するにすべて二十六条によって担保されていたわけです。ところが、それが今度は改正されるから明るみに出てくるわけで、ではこの問題をどうしてくれるんだという意見が当然出てきてしかるべきだし、またそれに対する見直しをしていかなければならないのも当然だろうというところを私はきょうは主張したいわけでございます。  そういうわけで、さあ今度は問題は医療法、これとこの税制上の問題でのこの法人化の問題、この問題は大変むずかしいと思いますし、それから恐らく大蔵の方に言わせれば、法人化すれば法人化の枠の中でいろんな制度は見直していけるんだ、しかし個人であるから要するにそういう一律七二%というような経費率を認めるわけにいかない、これは一つの不公正税制であるという根拠だということをおっしゃっているわけですね。だから、法人の方に行けば法人の方のそういう諸制度の中で物事を考えていくということも当然考えられるわけですが、大蔵省、そういうことはどうなんですか。

伊豫田敏雄大蔵大臣官房審議官

○伊豫田政府委員 ただいま先生のおっしゃいました法人成りの件と申しますか、その問題があることはわれわれもよく承知しております。ただ、その問題は法人化する場合の医療法人設立の要件としての問題でございますので、この点につきましては、医療行政の観点から厚生省の方に御検討していただくべき問題である、このようにただいまのところ考えておるわけでございます。  それからなお、現在のような社会保険診療報酬課税の特例につきましては、これは個人に限らず、法人の場合につきましても適用があるようになっております。課税の例は非常に少ないけれども、形としてはそのようになっております。  それから、税制上の立場といたしましては、もし医療に関して生じた所得が個人のものであれば所得税により、もし法人であればたとえそれが一人であろうと二人であろうとそれは法人所得として扱うような形に現在の税制というのはなっておりますことをちょっと申し添えたいと思います。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) ちょうど厚生省の方へ話が来ましたので、厚生省の方にもこの問題について十分御検討を願わなければならぬというふうに思いますが、その前に、たとえばこの医療の公共性というか、人の命を守っていくためになさなければならない諸制度があるわけですよ。それがすべてこういうもので崩壊をし、また、そういうものがつくられないとすれば、医療の荒廃はより厳しくなっていくだろうという心配を私はいたしますので、いま申し上げているようなわけでございます。  その中でも、たとえば医業所得と個人所得を分離してくれなんという意見もあるのです。しかし、これは個人だからできないわけです。法人だったらこれはできるわけですよ。ところが、法人化しようとすれば、一般の国民はできても、医師の場合には医療法によってその医療法人がなかなかつくれない。現実において開業医にはつくれない。それで、分離してくれと言ったってできない。一体これはどうするのですかという問題が出てくるわけですね。それじゃ、せめて国民並みにはしてあげたっていいじゃないですかという意見が出たとしても、国民のどなたも文句を言うわけもないと思います。そうすると、じゃ今度は、医療の公共性を考えたらやはり設備の償却を考えてやらなければ近代化はできない、どんどん医療は後退するじゃないか、そういうことも考えてやるべきじゃないかというふうな意見が出てくる。それから、医療控除を認めてもいいのじゃないか、こういう意見も出てくる。それからまた、医事紛争準備金とか、医療研究開発準備金とか、休業補償準備金とか、医薬品の破棄損失準備金、こういうものも設けてくれてもいいじゃないかという要求がたとえば出たとしても、これはやはり考えなければならないことだし、それから、家族従事者が十分な労働報酬をもらってないのだけれども、これは何とかしてもらいたいという意見が出ても当然だと思います。  そういうことをすべて考えて、医療税制というものを改めて白紙から考えてみて、この老齢化社会で健康社会を創出するために、この方々に対してどういう諸施策を講ずることが国民の利益であるかということを、もう一遍根本から考えてみる必要があるような気がするのです。健康社会をつくらなければ、不健康社会をつくればつくるほど医療費は膨大にふくれ上がっていきます。これは生産性がないのですから、あらゆるところにすべてマイナス要因だけをつくり上げていく、国民の負担はどんどん増加していく、こういう悪循環を繰り返しますから、できるだけ病人を減らすように、健康で長生きしてもらう社会をつくるためには、どうしてもこういう方々の協力なくしてはできないわけですよ。敵に回していてできるわけないですよ。やはりその方々に医療の公共性というものを認識していただいて、そういうことに対して積極的に協力を求めていけるようにすることが、私は大事な今後の課題であると思うのですね。  そこで、厚生省、私がいま申し上げたことはあなたはよくわかっているはずだと思う。そういうことで、先ほどから申し上げている税制上の困難な点と、それからあなたたちがお考えになっている医療法、こういう問題、こういうギャップをどのように将来解決したらいいか、その点について簡単でいいからあなたに見解を求めます。

森幸男厚生省医務局総務課長

○森説明員 先生いま御指摘の医療法人の、特に一人法人の問題でございます。  先ほど先生のお話の中にございましたように、確かに現在の制度におきましては、病院または常時三人以上のお医者さんを使っておる診療所について法人化の道が開かれておる。したがって、逆に申しますと、三人未満のところは法人化できないようなことに現在はなっております。医療法人制度におきましてこのような取り扱いになっておりますのは、医業に必要な資金を確保するというようなことからこの医療法人制度が導入された、そういう趣旨に照らしまして、比較的小規模な医療機関の場合には、その必要性が比較的少ないのではないか、こういうような事情があったのではないかと私ども考えておるわけでございますが、いま先生がおっしゃいましたようないろいろな事情もございますし、また、最近では小規模な診療所でありましても、開業の資金というものがだんだんと多額なものが必要になってきておるというようなこともございますので、今後、医療法人制度のあり方を考えていく中で、いま先生御指摘のような問題も検討してまいるつもりでございます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 大蔵大臣、こういう問題というのは、大変側面的ないろいろな要因がそういう一つの面に含まれてくるわけです。そういう面においても十分配慮しながら税というものを考えていかないと、国民が大変そのあおりを食って迷惑をすることが今後たくさん出てまいろう、こう思います。ですから、私がいま申し上げているのは、健康は一番大切であり、健康には金がかかるのだ、しかし、その金がかからないように合理的に、みんなが納得できる社会をつくるのにはどうしたらいいかということの一端を、私はきょう短い時間の中で申し上げたわけでございます。そういうわけでございますから、大変言葉が足りませんし、また私の言いたいことの十分の一も言えませんけれども、どうかそういう意味の点は今後も十分御勘案願いたい。  開業医は、まだ健康保険以外に公費負担医療とか、公衆衛生とか、救急医療対策とか、その対応とか、いろいろな意味でのその地域社会の公共的なものに積極的に関与している、こういう部分があります。そんなものは医者の責任じゃないか、何もそんなものは社会が担保する必要はないのだよ、こういう意見になれば、当然先ほどの最初の医師会の先生方の主張の中にもありましたように、積極的に参加を求めていくということは困難になってまいりますね。だから逆に言って、不公正、不公正というものが、余りにも不確実な、そういう議論を一切省略して税制だけが先走っていく、先行していくということは大変危険であるから、同時にこの機会こそ、そういう面についての根本的な洗い直しをする絶好のチャンスであろう、これを逃がしてしまったら、後で気がついてやり直そうとしても、大変むずかしい社会のいろいろな混乱が起きてまいろうと思いますから、そういう点だけはいまがチャンスだということを申し上げたいと思います。  あと数分残されましたので、じゃその周辺を取り巻いている問題を少し提起してみたいと思います。  たとえばこの前も厚生の分科会でも申し上げた。同じ医療の中で、健康保険組合は、被保険者から金を集めて支払うというただこれだけの仕事をするだけで大変な公共性を認めてもらっているわけですね。すべて非課税ですよ。税金をかけない。片一方はかかった経費を一律七二%認めるというだけの問題でこれだけ議論が出ているじゃないですか。にもかかわらず、片一方は全然税金をかけない。入ってくる金も所得も税金をかけないし、出ていく金もかけないし、一切合財何もかけない。余った金は不動産投資をしても何してもすべて非課税である。たとえば極端な話は、自分のところで金を集めて自分のところで病院を経営して、そこで得た収益は自分のふところに入ってくる、これも全然ノーチェックですよ。こんなばかげたことをいま片一方で許しているじゃないか。にもかかわらず、片一方だけ厳しくてもそれは仕方がないのだよといってしまって、果たして公正な社会が生まれてくるのでしょうか。私はきょうはそういうことを皆さん方にも知ってもらいたいのですよ。だから、公正という以上はもっと次元の高い社会的公正というものを考えるべきであって、口実のための公正なんという言葉は、本当に社会に諸悪を流す根源だけにすぎないということを私は指摘しておきたい、そういうこともあわせて言っておきます。  私がいま最後に申し上げたいのは、そういう問題のもろもろの公正の中で一番大事なのは、何が  一番公正に扱われなければいけないかという問題なのです。これは人命の尊重ですよ。人命が公平に扱われ、公正に扱われる社会をつくらなければえらいことになってしまいます。そのためにどのようにすることが、一番公平に扱われる社会をつくることになるかということが大事な問題なのだ。象のしりをなでて象の全体をはかるような議論は、医療の問題についてはナンセンスだと私は思います。健康な社会をつくっていくために人の命が平等に扱われなければならない。これが社会保障の原理原則でございます。その中で金持ちだけが命を守れる、そうしてお金のない人が別の扱いを受けるというふうな制度をドンドンつくり上げていったのではどうにもならない。だからこそ、そういうことについての公共性を担保するためにどうつくっていくかということが大事な議論の中心にならなければならないということを私は最後に指摘して、厚生省も前向きに検討する、こう言っていますから、大臣からひとつ前向きのお答えをちょうだいしたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 一人法人の問題は、完全な厚生省マターと申しますか、われわれ大蔵省の立場は、お医者様の法的形態の上に乗っかって課税するのですから、別に一人法人が医療法上認められれば、法人扱いしませんよということは一切申しておりません。だから、これは厚生省で検討してもらわなければいかぬ問題だろうと思います。  ただ、あなたのおっしゃることはよくわかるのです。人命尊重、大事なことであるし、お医者様に医療サービスを低下させてもらっては大変なことになります。これはわかるのですが、五千万も一億も二億も収入のある方が七二%経費が要りますよと言って通るような社会でもうなくなっているという点をわれわれは重視いたしておるわけでございます。  お医者様の公共性につきましては、新年度の予算におきましても、たとえば救急医療体制の問題やら学校医の問題その他につきましても、いままで財政的にめんどうを見てこれなかったのも、大蔵省としてもひとつしっかり応援してやろうじゃないかというようなことで、厚生省とも相談をしながら、いろいろな施策を講じておるようなわけでございまして、ただ、おっしゃるように、いろいろな公共性、たとえば保険診療をどうするかとか、いろいろな問題があることは事実でございますけれども、私どものやっておるのは、そういった基本的な問題と離れて、収入に対する課税の公平を、バランスをどうとっていくかという問題ですから、ちょっとそこに御意見の違いが出てくるのだろうと思うのですが、決してお医者様の社会的な役割りを否認しているわけでも軽視しているわけでも毛頭ない、今後もその点ににつきましては、私ども、十分努力してまいるつもりでございます。  それからもう一つ、誤解があるといかぬから、政府委員からちょっと申し上げておきます。

伊豫田敏雄大蔵大臣官房審議官

○伊豫田政府委員 先ほど健保組合の非課税のお話が出てまいりましたが、健保組合は法人税法上大体三つに法人が分かれておりまして、全くの非課税の法人と、非収益事業についてのみ非課税の法人と、普通の法人、このように三つ、大別するとございまして、健保組合につきましては、業務、残余財産の国庫帰属その他の点を勘案いたしまして、また歴史的な問題もございまして、現在非課税法人になっているものでございますので、つけ加えさせていただきます。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 工藤委員、時間が参りました。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 時間が参りましたのでこれでやめますけれども、どうかひとつ、きょう申し上げたことをもう一遍改めて議事録をお読みいただいて、どこに問題があるか、あるいはどの点は確かに納得できるか、この点は問題があると言えばこの問題をこれからどんどん詰めていって、やはりみんなで議論をしながら、いい結果をもたらすための努力を前向きにしてまいりたい。厚生省も十分それについては、きょう一緒に来ていただきましたのもそういう意味がございましたので、ひとつその点は連携をとってよろしく頼みます。  終わります。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 続いて、佐野進君。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 私は、中小企業金融問題を中心にして質問をしてみたいと思うのでありますが、その前にまず大臣に、中小企業金融問題に入る前に、その原則的な問題について若干の質問をしてみたいと思います。  景気は大分よくなった、特に上場会社のうちでは相当程度業績が上がって、配当も行われるようになった、こういうようなことが言われておるわけでありますが、大臣、いまの経済情勢をどう判断いたしますか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 昨年来の政府のいろいろな施策の結果、一時低迷しておりました景気も非常な底がたい上昇機運に向かっておるのではなかろうか。私どもは、景気刺激型の予算はとても来年度予算で組めるような状況ではございませんが、少しでもこれを落とさないようにということで、鋭意努力してまいったのでございまするけれども、まあどうやら民間が最近の情勢に対応して、ひとり歩きできるというところまでいかぬかもしれぬが、一本立ちになろうという、何というか、元気を出してもらえるような段階までに来たのじゃないかと考えております。  ただ問題は、構造不況業種あるいは地域的な不況城下町がございまして、これが景気の足を相当引っ張っていることは事実でございます。失業者全体としては、まだ減るところまでは至っておりませんので、こういう方面には相当きめ細かい手をこれからも講じていかなければいかぬと思いまするけれども、全体としてはだんだんと明るい希望が見えてきておるのではないかと思うのでございます。  ただ、その一方において、景気自体よりもむしろ最近は物価の面でも、消費者物価の方はここのところずっと落ちついて心配はないのでございまするが、円高が一服いたしました関係で、輸入物資が少しずつ上がり出した。また、海外の非鉄金属その他木材等の値上がりの影響がこれから少しずつあらわれてくる。そこへもってきて、イランの石油の動向が今後どういうことになるかということで、その影響を慎重に見守らなければいかぬなあという気持ちでおる段階でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 大蔵大臣の景気に対する見方と通産大臣の見方、これは政府であるから違いはないとはいいながら、通産大臣の見方との間には、いつも若干の開きがあるわけであります。いわゆる産業面と金融面と、それぞれの見方に対して若干の差があることは当然だと思うのでありまするけれども、いま大臣が言われたように、景気は立ち直りつつあるが、結果的にそれが物価の上昇にどうあらわれてくるのかということが心配だ、まさにそのとおりだと思うのであります。  そこで私は、よく言われるのですが、今日の事態は、ドルショックを克服して狂乱物価の直前に至った事態と、それからいまのイランの石油にあらわれるように、オイルショックを克服して、景気の回復を図った中で、オイルショックが、イランのショックがあらわれて、結果的にまた大きな混乱が、狂乱物価とまではいかないけれども、大きな混乱が起きるのではないかということが比較されていると思うのです。当時における各産業の操業度というものが、今日の事態と相対応して見ると、相当の開きがあることは間違いないわけであります。  そこで、私は大臣に対策としてこの点聞いておきたいのですが、今日の景気情勢の中で、立ち直りつつあるという状況が、いわゆるカルテルを初めその他一連の経済政策の面の成功によってこれが出てきたのか、国際的な情勢の変化によってこのような状態が出てきたのか、あるいはどうなのかということについての判断を、二百でいいですから、お聞かせをしていただきたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 これは、国内的に、もうカルテルの必要性を認めないものを解除するとか、金融的に、財政的にいろいろな産業についててこ入れをするとか、そういう面でやっとここまでたどりついたというふうに私は理解しておるわけでございますが、もう輸出に多くを頼るわけにいかぬのですから、やはり内需を刺激をして、国内景気をもたせる以外にはいまのところは道はない、こういうふうに考えております。  ただ、オイルショックの影響は、これは日本だけでなくて、オイルショックと申しますか、イランのこれからの動きは、やはり世界の経済に相当構造的な影響を与えましょうから、そこら辺はよほどこれからしっかり見通しを立てていかなければいかぬという感じはいたしております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 三十分の時間で景気論争をやったのでは時間がなくなりますから、原則的に私が聞かんとすることの問題についての大臣の見解を聞いていくわけでありますが、そうすると、いまの状況の中で、大臣は、景気はよくなりつつあるが、物価の上昇が心配だ、こういうように言われておるわけでありますが、私どももそういうぐあいに判断するわけですが、大蔵当局としては、財政上の面から、このインフレ克服に対してはどういう政策が最も必要だというぐあいに御判断になるか、これをひとつ聞かせてください、大臣として。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 インフレの克服という……(佐野(進)分科員「というか、インフレが起こりつつあることをとめる処置として」と呼ぶ)  これは、一つには金融的な措置を機を逸せずとることによって、大蔵省だけじゃございませんで、日銀とも十分連絡しながらやってまいりたい。先般も土地投機の心配があるというようなことで、現実には仮需要はまだ起こっておりませんけれども予防的な措置を講じましたけれども、今後の推移によってはそういった点について十分対策をとってまいりたいと思います。  それからまた、財政運営、執行の面におきましても、従来はたとえば公共事業の前倒しを思い切ってやってまいりましたけれども、今後の建築資材その他の値上がり、景気の動向いかんによってはこれの執行についてある程度手かげんをしながらやっていく、そういうふうな両方面について全力を挙げて対策を講じてまいりたいと考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 大臣はいまの御答弁で仮需は出ていない、このような御説明があったわけですが、出ていないと現在の時点を判断して対策を立てられて結構でしょうか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 そこの判断は非常にむずかしいのですが、いま日銀その他の発表しておる指標では、貸し出しの状況それからM2の動き、それを見たらまだ相当大きな動きはございません。これはこの前の石油ショック、狂乱物価の前後の数字と比べますと大した伸びはいたしておりませんが、私どもはそういったいろいろな数字を見ながら必要に応じ機動的にとにかく手を打っていくことが大事でございます。後追い、後追いとならぬようにその点はしっかりとやってまいりたいと考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 そこで、私は大臣の見解は見解ですからそれでいいと思うのでありますけれども、いまM2の状況を指摘されたわけです。  四十七年当時のM2は三・九兆円。これは過剰流動性ということであらわしているのですが、M2の伸びは当時は二〇%台、しかし金額的には三兆九千億円、今日の過剰流動性は十三兆三千億、伸びは一二%。結果的に当時より伸びが低いから大丈夫だというのですが、過剰流動性の存在はきわめて隔絶的な数字の拡大となってあらわれてきているわけです。もちろん予算の伸びがありますから、全体的な経済の伸びと対応すればそれほど心配はないと言われますが、一触即発、どこかがちょっと狂えばこれが爆発的な動きになることは、かつてのオイルショックのときにわれわれは経験しているわけです。まさにいまその条件が熟しつつあるような感じがしておるわけでありますけれども、この過剰流動性の問題、M2の伸びの問題、これらと関連して大丈夫だといういまの大臣の判断が……

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 当時と比べますと、御指摘がございましたとおり、経済の規模がすっかり変わってきております。予算規模も同様でございます。そういうところから言うと、いまたとえば株式市場に流入しておる資金は、事業会社の設備投資や何かに持っていかないやつも短期の運用というようなことでああいうことになっていると見ておりますが、それじゃそれが全部不動産の方に回るかというと、これだけの国土庁を中心にやっておる厳しい土地規制であちこち買いあさられるということはないと思うのでありますが、ただ、そういう金があることは事実でございますから、方々で暴れ回らないようにしっかりと監視をして締めていくことがおっしゃるまでもなく必要なことだと考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 そこで、私は冒頭申し上げた問題に入る前に大臣に見解をお聞きしてきたわけでありますけれども、結果的に金融引き締めがいついかなる時点において行われるかということについては議論があるとしても、もうすでに日銀はこのことについて非常に関心を強くして政策的な面よりも実際的な面として判断しながら金融引き締めに踏み切るべきだという考え方からそのような対策を立てつつあると思うのです。大蔵省はそれに対して政策的な面あるいは政治的な判断が働くわけでありますから若干の食い違いがあることは当然だと思うのでありますけれども、金融引き締めがいろいろな段階の中で措置されているのですが、こうなるではないかという予測に対していまからこれこれこうしようという予防的な引き締め措置を行わなければならないときに来ているのじゃないかという議論もあるわけですが、これについてはどのような判断をされておりますか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 日銀はいろいろな立場からいろいろなことを言っておられますけれども、大蔵省自体としてはまだいま全般的な引き締めをやる、予防的な引き締めをやる段階まで至っているとは考えていないわけでございます。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 先生御指摘の金融の動向でございますが、M2の動きにつきましては、確かに四十七年ごろは二七%近い伸びを示していたわけでございますけれども、これは当時の名目成長率を一〇%近く上回っていたわけでございます。現在は昨年の半ばあたりから一二%の伸びになっておりますけれども、これは名目の成長率と対比いたしますと余り大きな乖離はないわけでございます。また、前月対比の伸びを見ますと、昨年の六月ころは前月比一・三%くらいの伸びでございましたが、最近はやや落ちついておりまして、たとえば十二月でございますと〇・七%程度の伸びにとどまっているわけでございまして、M2がどんどん伸びるという情勢には必ずしもないわけでございます。  それから物価でございますが、御売物価は確かに十一月が〇・二、十二月が〇・六、ことしの一月が〇・六と前月対比で伸びておりますが、この伸びました内容の分析につきましてはいろいろな要因があるわけでございまして、必ずしも金融面の要因とは限らないわけでございます。したがいまして、大臣が申し上げましたように、現在はこのような情勢を慎重に見守りながら、また物価の動向に配意しながらも現在程度の金融緩和基調を維持していくことがこれから当面の方向ではないか、このように考えています。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 そこに若干の日銀当局と大蔵省当局との考え方の差があると私さっき指摘したわけです。しかし大臣が先ほどお話しになられたように、余剰資金、特に法人余剰資金は株式投資に向かう。いま土地投資がきわめて停滞しておりますが、それにしても地価の上昇はきわめて顕著なものがあるわけです。したがって投資の先としては、国土法その他によって抑えられていかれませんから、結果的に株式の投資ということになる。これが思惑買いということになって株の乱高下が行われる。こういうことになると一般投資家が困難を来し、かつ経済の正常な発展に対して大きなマイナスになる。このようなことになるわけでございますけれども、いわゆる法人所有の自己資金、過剰資金——法人というのは一部上場、二部上場までの間における法人を前提にしているわけですが、こういう資金のいわゆる過剰流動性的性格による投機資金化に対してどのようなセーブをするのか、コントロールをするのか、これはきわめて重要な課題だと思うのですが、どうお考えになるか、これは大臣でも局長でも結構です。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 企業の手元資金がどのくらいにふえているかということでございますが、企業の手元流動性、つまり月平均の売上高で現預金残高と短期所有有価証券残高を割りました比率によりますと、四十七年ごろは一・六台で推移していたわけでございますが、五十三年が一・三ないし四%で推移しているわけでございまして、まだ手元流動性はかつての過剰流動性時代ほどは盛り上がっていないわけでございます。また、手元流動性につきましては、金融機関がいかにこれに貸し応じるかといういわゆるアベイラビリティーの問題になるわけでございますが、この点につきましては、御承知のとおりことしの一−三月の都市銀行に対する窓口指導につきましてはマイナス一八・九%という線で抑えぎみに推移しているわけでございまして、こういう面からも銀行の貸し出しを通じていろいろ配慮してまいりたい、このように考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 先ほど来質問を続けておりますように、今日の経済情勢の中で過剰流動性的、まあ手元流動資金という表現が適切かもわかりませんが、それに対してさらに銀行貸し出しの増加等が加わって思惑買いが進行し、結果的にそれが逆に引き締めの状況に急激になっていく、こういう懸念をかつての経験上から私どもは持っておるわけであります。したがって、そういう懸念が実現せざるような立場における質問を続けてきたわけであります。  私は、大蔵省、日銀がそれぞれの立場に立つ考え方の差の中で現実に対応しているわけでありますから、いまここで大蔵省がいい、日銀がいいなんということは言いませんけれども、その反動的な弊害が結果的に庶民の生活あるいは中小企業者に大きくはね返らざるよう、慎重な配慮をもって金融対策を行っていただきたいと思うわけです。  そこで、私は残された時間、中小企業金融の問題について触れてみたいと思うのでありますが、結果的に、このような情勢下において金融が緩和基調にあるために、中小企業もその恩恵を受けて倒産数も——景気が回復したという感じが、いま一部上場、二部上場の企業においてあらわれているような実感はまだ多くの中小企業者にはないと思うのであります。しかし、そのようなムード的な状態が、大企業における実質的な回復基調と相まって、中小企業の前途にも明るい兆しが見えつつある、これが現実の姿であろうと思うのであります。こういうときその政策の転換が急激に行われると、結果的にそのしわ寄せが弱いところに行くということはいままでの例ではっきりしているわけであります。  私は、ここで専門的な問題ですから局長に質問してみたいと思うのでありますが、現在の中小企業金融の融資の実情は、去年、大型予算に基づくところの対策を立てられた当時と比較してどのような状態になっているのか。時間がありませんから、きわめて簡単で結構ですからお示しをいただきたい。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 民間金融機関の中小企業に対する貸し出しは、現在のような金融緩和基調を背景としていることもございまして、各金融機関が非常に積極的に取り組んでいるわけでございまして、五十三年度上期中の民間金融機関の中小企業向け融資は、法人向け貸出増加額の七七%を占めているわけでございます。また貸出金利も非常に低下しておりまして、相互銀行、信用金庫等の中小企業金融機関の金利の低下が目立っているわけでございまして、この点で融資条件も大幅に緩和しているわけでございます。特に都市銀行を初め一般の銀行の中小企業に対する進出がかなり目立っているわけでございますが、これにつきましては先生御指摘のとおり、今後仮に金融が引き締め基調に転移したときに、これを中小企業に対して冷遇するようなことがあってはならないわけでございますので、現在の時点において中小企業に進出するのは結構だけれども、一たん進出した以上は、金融の繁閑にかかわらず、一たん貸し出した中小企業に対しては今後とも円滑に資金を供給するように十分指導しているところでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 大臣、この問題について質問してみたいと思うのですが、いま徳田局長が答えられたように、今日金融が緩和しておる状況の中においては、大銀行は中小企業の分野、ジャンルといいますか、そういうところに対しては積極的に開拓して貸し付けをしているわけですね、金余りの状況だから。しかし、あなた方がいまお答えになっているように、引き締めは急激にはやりませんよ、当面基調は堅持しますよと言っておられるけれども、早晩いまの情勢からすると引き締め基調に入らざるを得ないような趨勢にあると思うのです。そういったときに一番先にあらわれてくるのは、大金融機関といいますか、都市銀行を初めそれぞれの金融機関がその締め出しに対応して資金の引き揚げを行っていく。それはどこから引き揚げていくのかということになると、中小企業金融の貸出先から、最も不安定なところから引き揚げていく。しかも引き締めが行われておるわけですから経済もきわめて厳しい情勢になっていくだろうということです。いまの状態としてはまだ先のことでありますが、そういうように判断せざるを得ないわけであります。私は、引き締めがいいとか悪いとかということ、大蔵省の姿勢がどうだとか日銀の姿勢がどうだとかということは先ほどのことで置くとして、現実にそのような状況になりつつある段階を予測したとき、大臣は、いま徳田局長が言われたような厳しい態度をもって市中銀行を指導し、いわゆる金融行政を進められる考えであるかどうか、この際その決意をお伺いしておきたい。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でございまして、せっかくここまで来たのをまた元も子もなくするようなことをやっては大変なことでございますから、それは特に中小企業につきましては実態に即したように十分慎重に考えてまいりたいと思います。  問題は、そういうようなことにならぬこと、ならないようなかじ取りをしっかりやっていきたいということでいまやっておるわけでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 そこで局長に二つの点をこの際聞いておきたいと思うのです。  ともかくいまは金融緩和の状況でありますから、中小企業金融もきわめて円滑に行われておるわけであります。しかし、中小企業の実態は景気回復の声にもかかわらず厳しい条件が各所にあらわれておるわけです。倒産数も依然として高水準にあるわけです。したがって、これら中小企業金融が緩和されておるとは言われながら、なお厳しい条件下にある中小企業者に対して、その金融の道を広げていくことは政府としては当然行っていかなければならぬ措置でありますが、信用保証制度がいまなお十分というような状況でなく、保証機関に対するところの保証を求める中小企業の数はきわめて多い現状の中で、この機関を拡充していくような措置をこの際、制度的にも資金的にもおとりになる必要があろうと思うのでございますが、その点についてどうか。  もう一つ、政府系金融機関と言われる商工中金を含めて三つの金融機関に対し、それぞれ資金枠の増大を初め、貸付限度額の引き上げ、その他の措置を講じていく必要がいまの状態においてこそあるのではないかと判断しますが、いかがですか。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、将来予想されるいろいろな事態に備えて、中小企業金融についていろいろな確保策を講じておくことが必要でございます。  その一つの柱は信用補完面でございます。この点につきましては、中小企業者の信用補完機構である信用保証協会、中小企業信用保険公庫に対しまして財政援助をさらに進めているわけでございまして、五十四年度におきましては、予算案におきまして保険準備基金で三百六十億円、融資基金で二百五億円の出資を予定させていただいておるわけでございます。それから構造不況業種であるとか円高、それから特定不況地域等によりまして影響を受けている中小企業金融に対しましては、これは中小企業信用保険法による信用保険の保険限度について、別途増枠を認める特別措置を講じていろいろ配慮を行っているわけでございます。  それから先生御指摘の政府関係機関の中小企業に対する貸し出しでございますが、経済の規模が拡大してくるに従いまして中小企業の経営規模も大きくなっているわけでございますので、この貸付限度の引き上げが必要と考えているわけでございます。これもいま御審議いただいております五十四年度予算案におきましては、中小企業金融公庫は従来の一般貸付限度でございますが一億二千万円から一億五千万円、国民金融公庫は千二百万円から千五百万円に引き上げを実施したい、このように考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 大臣、そこで、私は中小企業金融問題を中心に質問を続けてきたわけでございますが、この際ずばりひとつ最後に聞いておきたいと思うのですが、巷間伝えられる金融引き締め政策の中で、公定歩合を含む——東京サミットがあるから、そんなことはできない、こう言うわけでありますが、局長は現在の基調を続ける、さらに大蔵省当局もそうだということでありますけれども、日銀総裁は、ここで姿勢の転換をすべきだといろいろなところで言っておられるわけであります。  公定歩合の引き上げを含む一連の金融対策については、当面変更しないという立場に立ってそれを行うのか、あるいは情勢の変化に対応しては、それを行わざるを得ない状況にあると御判断なさっているのか、その点をお聞きしたい。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 現状においては、長期金利を引き上げるとか公定歩合、これは日銀マターでございますが、金利引き上げに踏み切るという段階ではない、当面そういうことはやるつもりは、私自身としてはございません。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 終わります。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 続いて、伊藤茂君。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 私は、当面の国際収支状況に関連をいたしまして、いわゆるドル減らし緊急輸入外貨貸し制度またはその中でのボーイングとかダグラスとか関係をします航空機リースなどについて、お伺いをさせていただきたいと思います。これは先般大蔵委員会でもお伺いしたのですが、さらに詰めた御意見を伺いたいと思いまして、取り上げさせていただきます。  まず最初に二つお伺いしたいのですが、一つは緊急輸入についてです。昨年度四十億ドルの緊急輸入の計画が立てられました。ことしもまた、その継続した計画がつくられつつあると伺うわけでありますが、五十三年度も間もなく年度末になるわけでありますが、目標の四十一億三千四百万ドルですか、実績その他どういう見通しにあるのか。それから五十四年度の計画をどういう見通しでおつくりになるのかということがまず第一点。  それから二つ目に、このことに関連をいたしまして、政策的によく研究しなければならない点が起こっているのではないだろうかと思うわけであります。言うまでもありませんが、この緊急輸入、ドル減らしというのは、緊急避難的な意味合いで設定をされたということでございまして、昨年、一昨年の急激な円高ドル安、そして国際収支の急激な黒字の拡大という情勢のもとで昨年の政府の計画もあった、その賛否の議論は別にいたしまして、そういうことであったと思います。  しかし、現在の情勢はいろいろと変わってきているではないだろうか。たとえば円ドル関係も二百円で小康状態というか、一応安定状態を見せている。あるいはまた国際収支の黒字の状況を見ましても、黒字幅が相当大きく縮小の傾向に向かっている。昨日のアメリカ側の発表なんかで、アメリカの対外赤字の三分の一は日本ということもあったようですが、季節調整その他全体を見てみますと、昨年のいまごろと比較をすれば、今年は非常に改善傾向には向かっている、いろいろな要素があると思いますが、そういうふうに聞いているわけであります。また、先般大蔵委員会で伺ったところでも、国際金融局の方から、今後の見通しについては楽観的といいますか、展望を持っているというお話を伺いました。  そういうことになってまいりますと、こういう緊急避難的な政策を見直すことが必要になっているのではないだろうか。緊急輸入ということで、いますぐ必要でないものを買い込んでお金を早く払うというようなことは、検討されてもいいのじゃないだろうかという気もいたしますし、また報道を見ましても、アメリカ初め諸外国の方でも、見せかけの輸入拡大ではないかというような不満も出始めている、もっと構造的な対策の方を考えてもらいたいという評判のようであります。いずれにしましても、こういう緊急避難の制度を続けていくのは政策的にも無理があることではないかと思います。  そういう意味で、今日の状況から、これから先の展望の中で、買えるものを一生懸命探して目先のドル減らしを図るということから姿勢を変えるのが当然ではないだろうかと思うわけでありまして、そういう意味で、こういう制度のあり方を再検討すべきではないだろうか、いつまでもやるのは政策論としても正道ではないのではないか。  その実績の方と後の考え方と、まず二点お伺いいたします。

宮崎知雄大蔵省国際金融局長

○宮崎(知)政府委員 御承知のように、わが国の国際収支の黒字が非常に大きくて、それの対策の一環としまして緊急輸入の制度を取り入れまして、ドル減らしに努力しているわけでございますが、本年度の実績について申し上げますと、四月から一月までにウランの濃縮役務の購入それから石油のタンカー備蓄など二十二億一千万ドルを実施済みになっております。  主要な内訳を申し上げますと、ウランの濃縮役務が十億ドル、それから航空機リースが三億二千二百万ドル、仕組み船が二億六千一百万ドル、それからタンカー備蓄が四億一千三百万ドル、こういう実績になっております。  来年度の見通しについてどうかという御質問でございますが、この点につきましては、御指摘のように、最近わが国の国際収支の黒字の傾向は減少の方向をたどっておるわけでございますが、なお来年度におきましてもかなり大きな経常収支の黒字が見込まれるということで、その黒字を縮小するためには緊急輸入対策も引き続いてとっていかなければいけないということで、昨年の十二月の経済対策閣僚会議におきましても、日本輸出入銀行による緊急輸入外貨貸しの制度をとりあえず本年の九月まで延長するという方針が決定されたわけでございます。  来年度どういうものが緊急輸入の対象になるかということにつきましては、現在関係各省の間で詰めておるところでございますが、先ほどお答えしましたような項目が対象になるのではないかと私どもとしては考えております。  それから緊急輸入の制度に対する基本的な考え方でございますが、これは御指摘のとおり、わが国の国際収支の黒字が一時的に非常に大きくなる、その対策としまして内需の拡大あるいは市場の開放という点でいろいろ努力をしてきております。それからまた円の相当な切り上がり、これもわが国は甘受してきております。  しかしながら、これらの内需の拡大あるいは円の切り上げの効果が出てくるのには若干時間がかかる、その間に黒字がまだ大きく続くということになりますと、為替市場に対しても悪影響がございますし、またそれがひいては日本の投資、景気の回復の面にも悪影響がある。また対外的にもいろいろ国際的な摩擦を引き起こすということで、一つのつなぎ措置といいますか、基本的な政策の効果が出るまでのつなぎの緊急的な措置としてこの緊急輸入対策を導入したのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましても、こういう制度を今後恒久的に続けていくというつもりはなくて、むしろ、ただいまの国際収支の黒字の減少の傾向が基調的なものになって今後続いてまいりますれば、当然緊急輸入制度の見直しということについても検討を始めなければならないのではないかというふうに考えております。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 つなぎの措置とか緊急の対策であるという基本的な位置づけは伺いましたが、いずれにしろ情勢の変化に対応して、緊急にドルを減らすということだけではない、もっともな政策論に基づいて展開されるようにしていただきたいと思います。  次に伺いたいのは、関連をいたしまして、外貨貸し制度の問題です。この制度の運用につきまして幾つかの条件があるわけでありますが、その中には、経常収支の黒字幅縮小に効果がある、それは当然ですが、それと同時に、輸入される物資が国民経済上重要な意味を持つということが必要だということも、幾つかの条件の中の重要な一つになっているようであります。そういう点から考えますと、幾つか大きな疑問がある。たとえば航空機の国際リース、ボーイングジャンボとかダグラスとかその他いろいろな飛行機を買いまして、輸銀の低利の資金を活用して外国にリースに回すということになるわけであります。  一つは、そういう航空機の国際リースの基本的な性格からいたしまして、当然契約から購入まで一、二年かかるというものですから、緊急ドル減らしということでこれを発動しようということになりますと、必然的にいま契約されているアメリカの航空会社とよその国の飛行機会社との関係の中で契約が進んでいるものを探してきて、それに割り込んでいく、あるいは低金利を武器にいたしまして売り買いさせるというふうなことが通常の形になるのではないだろうか。前も指摘をいたしましたが、たとえば英国航空の場合なんかでも頭金も払われている、あるいはまたイギリス政府の支払い保証もついている、そういうものを乗りかえていく、あるいは乗りかえさせていくというふうな仕組みであるということがまず一つ問題になると思います。決してグリーンビジネスとは言えない現象が起こってくる、また、乗りかえさせるためにその低金利を武器にしていろいろのダーティービジネスといいますか、現象が起きてくるということではないかと思います。いろいろ私ども調べたり聞いたりしているところでも、たとえばシンガポール航空の場合などにいたしましても、正式の決算上の名目に挙がっておりませんけれども、そういうものを探してきたという意味での発見料とか、言葉は悪いですけれども、黙らせ料みたいなたぐいの経費が利益の中から盛り込まれているというふうな状況が起きている。いずれにしろ、これは国家資金を背景にして、ちょっとあくどいやり方ではないかというふうな問題も起きるということではないかと思います。  それから、発展途上国に、飛行機を買いたいがファイナンスがつかないというふうなところへ、どう援助するのかという意味ならまだあると思いますが、大きな国に対して、先進国に対してこれが使われているという方がむしろ内容的にも大きいということだと思います、あるいはまた金利とか条件とかを見ましても六%で輸銀から出していく。実際の契約は八・二五%である。二・二五%のマージンが生まれる。もちろんその中から経費が払われるでしょう。概算いたしますと、いま申し込み中のものを含めますと五億ドルを超えるものがあるようであります。そういたしますと、二十何億円かの二・二五%に対応するマージンが生まれてくるというふうなことにもなってまいります。  これらを考えてみますと、端的に言えば、リース会社をもうけさせるために輸銀の金を使うということになっているのではないだろうか。こういうものが、さっき申し上げた外貨貸し制度の条件、国民経済上重要な意味を持つというふうには考えられないんじゃないだろうか。それから内容からいたしましても、あるいはまた現実に持っている問題からいたしましても、やはり再検討されるべきではないだろうか。  先般銀行局長が、五十四年度の実施の条件については、そういう指摘も踏まえて、いろいろ検討していきたいというようなことを言われておりますが、私はやはりこういうものを、航空機リースという分野の現状から見たら、こういう制度から除外をするという方がむしろ適切ではないだろうか、問題を発生させない道ではないだろうかというふうに思うわけでありますが、その辺はっきりした見解を伺いたい。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 緊急輸入外貨貸付制度につきましては、先生御指摘のとおり、この制度といたしまして「外国からの重要物資の緊急輸入に必要な資金であって、当該物資及び当該物資に係る事業についての主務大臣が次に掲げる要件を充足しているとして、日本輸出入銀行に対して文書により推せんを行い、日本輸出入銀行が適格と認めた緊急輸入案件に係るものとする。」こうなっておるわけでございまして、その条件の中に「輸入される物資が国民経済上重要である」というような案件も入っているわけでございます。  こういう意味でございまして、一応この条件に該当するかどうかは、推薦者である通産省が第一義的に認定しているわけでございますが、この航空機リースにつきましての重要性という点につきましては、通産省といたしましては、次のような考え方に基づいて推薦していると聞いているわけであります。  一つは、わが国の経常収支の黒字縮小と、欧米との二国間インバランスの是正による欧米諸国との通商上の摩擦解消に資するという点。それから二番目が、航空機の国際リースのノーハウ取得と航空機輸出販売ノーハウの蓄積が可能となるという点。それから三番目に、発展途上国に対する航空機リースについては、優良な条件での航空機調達を可能ならしめることによる経済協力的意義がある、このようなことでございまして、いずれにしても、リース用航空機輸入を案件として取り上げることにつきましては、経済対策閣僚会議の意向に基づいて決定されたものでございます。  このような経緯があるわけでございます。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 説明がありましたが、どうですか、こういう問題がいろいろと内外で問題を起こすということがあっても困ると私は思うのです。  通産省の方からの推薦その他そういう経過は、制度としてはそういうことであろうと思います。まあ通産省側に伺う時間がきょうはありませんから、こういう制度の運用、それからそれらの条件をどうしていくのか、あるいは対象の幅をどうしていくのかということに主として関係される大蔵省の関係局の側で、五十四年度四月からはこういうのは、さっき申し上げたような現象を含めて対象から外すというのが私は適切であろうと思いますし、少なくとも、この前もお話がありましたが、条件あるいは内容の監査その他いいものはやはり強化をしていく、金利その他の問題もあると思います。普通の商売という面から見れば、一%ぐらいの金利の利ざやがあればペイするのだということも言われているわけでありまして、そういう面の条件などについてよく検討し直してみて、新年度の運用に当たるということが必要ではないだろうかというふうに思います。  それから外貨貸し制度全体を今日の現状、状態、それからいままでやってきた経過などを含めて、洗い直してみるということが必要ではないかと思いますが、新年度に向かってどういう姿勢で大蔵省は臨まれますか。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 この緊急輸入外貨貸付制度につきましては、基本的には民間企業の商取引として行われるわけでございますので、民間企業がこれらの輸入を円滑に行われるようにということが前提条件になるわけでございますけれども、現実に実施するに当たりましてのいろいろな条件につきましては、先般もお答え申し上げましたとおり、先生の御指摘も踏まえて、来年度問題としていろいろ検討してまいりたい、このように考えております。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 突っ込んで検討していただきたいと思います。  また、これは日本経済新聞ですかの報道によりますと、この国際リースについて、また外貨貸し制度との関連で、いままでは事実上航空機の国際リースに限定をされているものを、建設機械とか石油掘削装置とかいろんなものに対象を広げて、さらに契約を大幅にふやすことを検討しているというふうなことも報道されております。  私は、こういうのを見ますと、ますます気にかかるわけでありまして、いずれにしろ、いま進んでいる中でもいろいろと問題点が出始めている。それから、国際収支から見た緊急輸入ということについても、いろいろとやはり新しい情勢にあって考えなければならないという面もありますし、いま問題となっているロッキードからダグラス、グラマンというふうな経緯から見ましても、御承知のとおりに、七〇年代の初め、田中角榮さんが通産大臣である当時から始められた外貨活用政策というものがあって、そういうものが、表現としてはなんですが、甘い砂糖にアリが群がるような形で利用される、最後に残ったのは多額の為替の差損とそれからロッキード事件であり、グラマン事件であったというようなことも、こういう関連のこととしてずっと振り返ってみるわけでありまして、いま航空機の国際リースのことを申し上げましたが、同じような形での国際リースの対象をさらに広げていくとかいう計画はあるのでしょうか。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 いま先生御指摘のような物件につきましての話は、まだ大蔵省としては聞いておりません。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 私は、こういう緊急輸入、ドル減らしという、言うならばどろなわ的に緊急にやらなければならないということに関連して、いろいろな問題が起こってきているのではないだろうか。  また、世間で指摘されている問題として、仕組み船の問題もあります。大体実績で十八隻、二億六千万ドルぐらい。また三光汽船なんかも非常に大きなウエートで活用されているというようなことも報道で読んでいるわけでありますけれども、そういう経緯から見ましても、この輸銀の安い金利での外貨貸しというものを使って、船会社と子会社との関係の中で、金利負担を軽減するためにこれを活用していく、言うならば国家のお金で特定産業を潤していくというふうなことも生まれているということではないだろうか。  ですから、航空機リースのことも申し上げましたが、こういう国際リース全体について一遍詳しい検討を、さっき言われましたことしの実績全体の中をよく検討してみるということをされる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょう。

徳田博美大蔵省銀行局長

○徳田政府委員 先ほど申し上げましたとおり、航空機の輸入を含めまして各方面の問題について、来年度の運用につきましては検討してまいりたいと思います。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 それともう一つ、緊急輸入、ドル減らしに関係をして、そういう生で起きているいろんな問題と同時に、政策的にもやはり問題があるのではないだろうかというふうに思います。特にこのリースの問題、六年というのがありますけれども、航空機リースを見ましても、六年あるいは十年というふうな期間にまたがるわけであります。  私は、一つ問題は、こういう十年なんかにわたるようなリースというものを輸入に勘定するというのは、性格的に非常に無理があるので、むしろ輸出の計算に入ってくるというふうなことではないだろうか。何か先進国間の紳士協定とかあるいはガイドラインとしても、七年以上にわたるリースは輸出に勘定するのが正当であろうというふうなこともあるようであります。私は、貿易政策といいますかあるいは国際収支の勘定からいいましても、当然内容的にそうなってくるのではないだろうかという気がいたします。  それからもう一つは、この前申し上げたのですが、六年、十年、この間にそれぞれ均等であるいは利益を含めたリース料が入ってくるというようなことになるわけであります。一、二年の間では、確かに契約の成立した時点ではドル減らしかもしれない。しかし中長期で見れば、明らかにこれはドルふやしであるということになってまいります。先般の皆さん方の見解では、これから先、国際収支の見込みその他についても楽観的な見通しを持っているので、当面は緊急ということで政策的には整合性を持っているというふうな御説明がありましたが、私は、輸入なのか、輸出なのか、あるいはドル減らしなのかドルふやしなのか、この辺はやはりこういう時点でよく考えて、将来に誤りのないようにメスを入れていく、あるいは制度を再検討していくということが必要ではないかと思いますが、いかがでしょう。

宮崎知雄大蔵省国際金融局長

○宮崎(知)政府委員 リースの取り扱いにつきまして、これが長期の場合には輸入になると同時にまた輸出になるのではないかというふうな、国際収支の統計上の取り扱いにつきましては、私どもは、IMFの従来の規定、そういうものの取り扱いの規約みたいなものがあるわけでございますが、そういうものに基づきまして、日本の輸入に計上できるものをこの緊急輸入の対象として取り上げてきているわけでございます。  もう一つ、緊急輸入の制度が一時的には確かに黒字減らしになるけれども、長期的にはまた黒字がふえるのではないか、こういう御指摘でございます。確かに、このリースの取り扱いにつきましては、輸入をしたときに黒字が減るけれども、その後リース料がだんだん入ってくると、今度は逆に黒字がその分だけは収入として入ってくるということで、黒字がふえてくるというのは、これは事実でございます。しかしながら、緊急輸入制度の趣旨から見ますと、これこそがまさに一時的な措置でございまして、一時的に黒字をどうしても減らさなければいけない、そのためにこういう緊急輸入という一時的な措置をとるわけでございますから、そういう点では、一時的に黒字が減るという点で、むしろ緊急輸入の対象としてはかなったものではないかというふうに私どもは考えております。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 時間がございませんから、最後に大臣にひとつお伺いしたいと思うのですが、私は、さっきもちょっと申し上げましたように、七〇年代初め、ハワイ会談前後なんという話も出るわけですが、外貨活用政策というものをベースにしながらいろいろの問題も生まれた。いま国会で追及している事件の経済的ベースを見れば、これが日本の民主政治に深い傷跡を残しているということがあるわけであります。ですから、政府がおやりになるこれらの政策に関連をして、そういうことを繰り返さない、また内外に理解を正当に得られるような政策の展開といいますか、そういう意味で、きちんとした監査なり点検なり、情勢に対応する洗い直しなりというものを続けていくということが一つ当然必要ではないだろうか、非常に大事なことではないだろうかという気がいたします。特に飛行機はアメリカが非常に強大なパワーを持って世界じゅうに売り込むという感じがいたしますので、そういう姿勢が必要ではないかということが一つ。  もう一つは、緊急避難的なという形でこの政策があるわけですから、情勢の対応の中に、当面まだ必要だからということの延長だけではなくて、貿易政策あるいは国内産業構造の転換なども含めた、中期的なきちんとした展望に立った国際収支に対する政策を考えていく、そういうことも相当きっちりこの際勉強しなければならない時期ではないだろうかというふうに思いますが、その二点、大臣の御感想をお伺いいたしたい。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 伊藤さんも百も御承知のように、黒字減らしをどうやってやり抜くかということが当面の緊急課題でございまして、いろいろの問題はあるにしろ、とにかく去年から続けてまいりましたものですから、新年度も上半期はこの制度を活用しようということでもう天下に公表しておるような状況でございます。しかし、御注意のございましたような点につきましては、後でいろいろな指摘のないように十分気をつけてまいりたい、これは大事なことであると考えます。  それから、日本の産業構造を変え、輸出構造を変えて、もっと経常的な輸出入のバランスがとれるような方向に持っていけということ、これはまさに御指摘のとおりでございますが、それがなかなかむずかしゅうございまして四苦八苦をいたしているような状況でございますけれども、これはこれからも真剣に取り組まなければいかぬ問題でございますので、われわれとしては必要な対策はしっかりとってまいるつもりでおります。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 終わります。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 続いて、鍛治清君。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 鍛治でございます。きょうは長時間にわたって御答弁の席にお座りになって大変お疲れかもわかりませんが、三十分間時間をいただいて若干質問をさせていただきますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  私はきょう、北九州市小倉北区にございます山田弾薬庫の跡地の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  御承知のように、山田弾薬庫跡地は、北九州市におきましては昭和四十三年から市民の世論の中で盛り上がりができまして、米軍が弾薬庫を使っておりましたその当時から、まず全面的に米軍の基地を日本に返してもらおうということの出発からいたしまして、強力に国や関係方面にも陳情等を続けてまいりました。それから、昭和四十七年二月十五日に無事に米軍から大蔵省の財産として全面返還ということになったわけでございますが、その後地元におきましても、小倉北区におきましては面積の九%、約一割近くの広さを持っておる土地でございますし、緑と水がございます貴重な土地でもございますので、ぜひ地元で全面的に平和利用という形でやらせていただきたいということで、陳情を今日まで続けてまいりました。足かけ十二年にわたって、それこそ北九州におきましては行政と議会、また関係諸団体、それから市民の皆様が力を合わせてその要望のもとに今日までやってきたわけでございますが、昭和五十一年六月二十一日に国有財産中央審議会から「米軍提供財産の返還後の利用に関する基本方針について」ということで答申が出て、この財産の使い方についての基本方針が決まった、こういうふうに言われておるわけでございますが、まず最初に、この答申の内容を要約してお答えをいただきたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 その答申はいわゆる三分割答申と言われておりますが、この内容は二つに分かれています。  一つは、返還基地をどういうふうに使うかという処理基準、もう一つはその財産をどういう条件で処分をするかという二つでございますが、最初の処理基準につきましては、大都市及びその周辺に所在いたします十万平方メートル以上の大規模な返還基地跡地につきましては、特別なものを除きまして、おおむねその面積を三等分して、一つは地元地方公共団体が利用する、二番目は国、政府関係機関等が利用する、それから三番目は当分の間処分を留保しておこうではないか、この三つにそれぞれ三分割、こういうことでございます。  それから、処分条件につきましては、原則として有償として、法令上いろいろな優遇措置が認められておりますが、そういう用途に充てる場合は、その優遇措置の適用限度につきまして、すべての返還基地跡地を通じまして統一を図るべきである、こういうことがその内容でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 いまお答えいただきました処理基準によりまして答申案が適用されると目される返還財産は全国的に見まして何カ所あり、どれくらいの広さのものがありますのか、お尋ねをいたしたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 跡地面積が十万平方メートル以上で三分割方式の適用対象となると一応考えられるものは、現在利用計画が策定されていないものでございますが、全国で十一カ所、その面積は約二千七百八万平方メートルでございます。なお、この面積の中には返還予定分は含んでおりませんので、現実に返還をされたものの部分の面積の合計でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 いま御答弁いただきました数は、適用される返還財産はすべて漏れなく入っているということになっておるのか、重ねてお尋ねをいたします。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 三分割の対象となるというもの十一カ所全部、全国の全部が入っております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 三分割の対象になると言いますと、対象にならないところで広い地域があると思いますが、それはどういうふうな形のものが含まれているのか、お尋ねをいたしたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 広いところで対象にならないというところでございますが、利用要望が全くないものとか、大都市あるいはその周辺に所在しないものとか等々がそれに該当いたしますが、たとえて申しますと、北海道千歳にございますキャンプ千歳の跡地とか、稚内の通信施設とか、太田小泉飛行場、これは群馬でございますが、そういうものは面積は広くございますが、三分割の対象とは考えていないのはこういうところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 適用される先ほどの十一の個所の中に山田弾薬庫跡地は入っているかいないか、お答えを願いたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 山田弾薬庫跡地は入っております。といいますのは、これは面積的にはもちろん入りますし、そして地形的にも北九州市という大都市の付近にございますし、面積は三百四十五万平方メートルございますので、三分割方式の適用対象になるとわれわれは考えておるわけでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 先ほどから御答弁いただきましたように、答申の骨子は三分割案ということでございますが、この答申を読んでみますと、その前提といたしまして「特別のものを除き、」というふうにございますし、また前文の中でも、首都圏で返還された財産の利用ということ、すなわち首都圏では土地というものが非常に少ないために、広いこういう米軍基地としてあったもので返還されたものは貴重な財産である、したがって、その利用法というものを、活用といいますか、高度に生かして使うという意味でこの答申の前文というものが書かれているように思うわけです。  さらに、返還財産の土地の形状、周囲の状況、こういったものを踏まえましたときに、答申案に出ております三分割案を適用することによって、むしろせっかくほかの方法を講ずれば生かして使えるものが、その効果が半減してしまうとか、生かして使えないとかいうようなことが生ずるおそれがございますし、そうなりますと、答申のせっかくの真意を損なうこともあり得るのではないか、こういうふうにも考えられるわけでございますが、こういうような事態が現実に起こってまいりました場合には、それでも三分割案というものを、これはもう絶対に押し通すべきであるということでおやりになるのか、それとも実情によっては、三分割の原則は原則としながらも、柔軟性を持ってこれには対処していく、こういうお考えであるのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 大口の返還跡地の利用に関するこの三原則、これは各方面からいろいろな要望が競合しておりまして、それで片づけようがないから、お互いに譲り合ってもらってうまく調整していきましょうというのが、この原則にあらわれておるわけでございますので、これは大蔵省としては行政運営の指針としてやっておるわけでございますが、個々の跡地の具体的な利用計画をどうつくるかという場合には、地元の公共団体の意見、要望を十分に尊重いたしまして、実情に合ったように弾力的にやっていくことが必要であると考えます。  いまの山田弾薬庫の跡地がどういう状況か私わかりませんが、恐らく事務当局もそういう気持ちでやってくれると思います。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 いまの御答弁で大体お尋ねすることがないようにも思いますが、一応念のために、「特別のものを除き、」とございますが、具体的にはどのような内容のものか、先ほどとちょっと重複するかもわかりませんが、お答え願いたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 「特別のものを除き、」というのは、都市あるいはその周辺に所在しないとか、あるいは利用要望が競合していないとか、そういうものを考えているわけでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 いま大臣の御答弁の中で、山田弾薬庫跡地は地形をごらんになったことはないというお話ではございますが、柔軟な姿勢でもいいのではないかというようなことがございましたけれども、大蔵省の幹部の方でごらんいただいた方もあると思いますし、山田弾薬庫跡地というものは、先ほどの大臣の御答弁にございました柔軟な姿勢でこの跡地利用に対しては対処するという方向がしかるべきだろうと思われるわけですが、この点について再度お尋ねをいたしたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 先ほど大臣からお答えいただきましたけれども、この三分割答申というのは、従来から弾力的に運用してまいりたい、こうわれわれは考えておるわけでございます。  先生御質問の山田弾薬庫の跡地というのは非常な山でございまして、真ん中の方にちょっと平たん地があるということで、利用にも相当知恵をめぐらして有効に利用しなければ、むだな土地が出るというところだと思います。したがいまして、この山田弾薬庫につきまして三分割方式を適用する場合には、この辺にむだな土地ができないようにということを念頭に置きまして、そうしてちょうど三分の一ないとそれぞれいかぬのだ、こういうしゃくし定規なことではなくて、その辺は土地を有効的に利用するという面から利用計画をつくっていきたい、こういうふうに考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 いまお話しのように、私も、ここにも地図がございますが、三分割ということで厳密に言って、いろいろあれこれひねくり回してみましても、なかなかうまくいかないというふうになります。しかし、かつて全面的に利用させていただこうというような方向で、もう数年前でございますが、市の方で、たしか六十万ぐらいの予算で学者の先生方にも依頼いたしまして計画をつくったことがあるわけですが、その後こういう答申案が出てまいりましたので、新たな計画策定というものが考えられるだろう。  後でまた御質問の中でも申し上げますが、化石も出たり、その後、事情がずいぶん変わってきた面がございまして、地元ではその対応ということについてのまた以前と変わった形のものが若干出てきているということは事実なわけでございますけれども、そういう中で、地元ではこれを最も効果的に使っていきたい。確かに山地が多いわけですが、これは緑でございますし、水がございますし、特に北九州は煙の都と昔から言われておりまして、大変に公害が多いところだというイメージが強い。こういう土地を活用することによって、そのイメージも払拭していきたいという考え方もございますし、大臣の御答弁の中にもございましたが、地元の意見というものは最大限に尊重しながらやっていただきたいという御要望をひとつ申し上げておきます。  それと、仮に三分割案が適用されてやるといった場合に、先ほど御説明のございました、いわゆるABCの中でB地区を国が使うという形のものになっておるわけでございますけれども、これは端的に申しますと、以前から防衛庁の方がこれを使いたいというふうなお考えが大変強かったわけでございます。こういう答申が出た後も、防衛庁では大蔵省に対して、たとえ三分の一でもいい、強くこれを使いたいという要望がいまもってあるのかどうか、このあたりをお尋ねいたしたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 防衛庁の方が、お説のように弾薬庫として使いたいという要望がかねてございまして、現在地元財務局、北九州財務局でございますが、そこで防衛庁の方から具体的にその内容を聴取をしておるというのが現状でございます。依然として防衛庁は欲しい、こういうふうに考えておるわけであります。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 ちょっと突っ込んだ話になって、大蔵省の方に御判断願うのは大変恐縮かもわかりませんけれども、これは仮定の問題でございますが、防衛庁が跡地の三分の一を仮に弾薬庫として使うとして、現地をごらんいただいた上で、果たして進入路の関係とか周囲の状況とか考えて事実上使うということが可能なのかなというふうな気もあるのですが、そこらあたりの、財産を持ち、管理していらっしゃる大蔵省当局としての判断はどのようになさっていらっしゃるのでございましょうか。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 具体的に道路をここにつけて云々という話までは、いまのところまだ具体的に上がっておりませんが、防衛庁の考え方と申しますと、あの山田弾薬庫の跡地の北西部と申しましょうか、そのあたりにつくって、道路は、いまの平たん地を通る鉄道の通っているところではなくて別途考えたい、こういうふうな考えを持っているというふうに、現在では私は聞いております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 現状確認ということでお尋ねをいたしたわけで、どうこうという判断の問題でお尋ねをしたのではないのです。  次の問題に移りたいと思いますが、まず、留保地というCの部分が三分割案の中では言われておりますが、弾薬庫跡地の場合、留保地というところが仮に設けられたといたしまして、これは地元の人たちの要望が強く、条件次第によっては地元に開放するというお考えはあるのかどうか、これをお尋ねいたしたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 三分割答申で留保地というものを設けました趣旨は、貴重な跡地でございますので、現在の社会経済情勢と申しますか、現在の時点で判断をして全部使ってしまっては後へ悔いを残すことがあるのではないか、もう少し長期的に考えるべきものがあるのではないかということで三分の一を留保しよう、こういう考え方でございます。したがいまして、仮に山田弾薬庫の跡地の三分の一を留保したといたしまして、今後何年になるか知りませんが、五年先あるいは十年先に、北九州市付近の経済情勢、社会情勢等を勘案しまして、地元の方が欲しい、それがわれわれが考えても妥当な使い道であるというふうに考える場合には、当然地元の方にお使いをいただくことになる、こういう考えでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 そこで、今度は別の角度から、一部使用の問題でお尋ねをいたしたいと思います。  答申が出されまして以後適用される十一の地区があるというふうに先ほどおっしゃいましたが、山田弾薬庫を除けば十になりますが、その中で全体の利用計画というものができます前に一部使用を地元に認めておる、こういう例があるかどうか、あるとすれば、具体的な場所と利用はどういう形でしておって許可をしたのか、お尋ねをいたしたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 最終的な利用計画が決まる前に一時使用を認めた例はございます。  その内容でございますが、用途といたしましては、養護学校、高等学校、小学校でございます。跡地名といたしましては、キャンプ朝霞、キャンプ渕野辺、そういうところでございます。それから道路、これも例がございます。これもキャンプ朝霞ほか四件ぐらい。その他、研究施設とか商品テスト施設等が二件ばかりございますが、多いのは、学校が多い、それから道路が多い、こういうふうに考えていただければよいと思います。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 そういう一部使用をお認めになりましたにつきましての考え方の基準というものがおありだと思いますが、これがあれば一応お聞かせ願いたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 一部使用を認めるということは、要するに利用計画がなかなか決まらないから、その間に使うわけでございますが、その基準といたしましては、その利用に緊急性が認められる、たとえば学校でございますが、首都近郊地帯は生徒急増地帯でございますので、来年度入る学校の手当てをやらなければいかぬ、こういう場合でございます。そういう場合に学校を緊急性という意味で認めておる。  それからもう一つの条件は、その一時使用を認めたことにつきまして、全体の利用計画に支障を及ぼさないかという点があるわけです。例で申しますと、道路というのは大体跡地の周辺を認めておるわけでございますが、その一部を道路としても全体の利用計画には差し支えないだろう、こういう緊急性と利用計画策定上支障があるかないか、この二点で判断をして一時使用を認めておるということでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 一時使用については、実は地元から現在非常に強い要望が上がっておりますし、市議会でも議論がなされておるようであります。  と申しますのは、御承知だと思いますが、山田弾薬庫跡地から五十一年五月に、一億二千万年前と言われておりますニシン科の魚でデイプロミスタス、こういう発音をするのだと思いますが、これは世界最古の化石であろう、こういうふうに鑑定をされておるようでございますが、こういった魚の化石等が発見されたということがございまして、急速に地元の住民の皆さんや文化関係の諸団体、これは北九州市の中でいろいろございますが、こういった諸団体の中で、弾薬庫の跡地に、ちょうどそういう化石の出ました地域にぜひ自然史博物館といったものを建設したい、こういうことでいま非常な盛り上がりがあるわけでございます。  こういう意味からいって、私も地元の者といたしまして、そういう貴重な史料も出てまいっておりますし、ぜひともこの要望を生かして、大蔵省の方でお認めいただいて、一部使用というものをぜひやっていただきたい、こういうふうに思うのでございますが、この点についていかがでございましょう。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 いまお話しの自然史博物館の話は私の方も聞いております。地元の方も検討しておるわけでございますが、その地元からの話では、自然史博物館を、この跡地の入り口でございますね、先生よく御存じだと思いますが、ちょうど入り口に平たん部分がある、そこへ設置したいということでございます。位置的にちょうど入り口を押さえるようなかっこうになって、またそこしか平たん地がないという状況でございますので、全体の計画策定に支障があるのではなかろうかという点で、現在慎重に検討しておるという段階でございますが、われわれといたしましては、むしろお互いに譲り合って全体計画を早く決めて、それで処理をしたい、これが私どもの希望しておるところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 確かに、御答弁がございましたように入り口付近ということでございますが、面積の面から申しますと、これは市の方で委員会のやりとりの中に出ておりましたが、山田弾薬庫の跡地は相当山地が多いわけです。平地の部分、平たんな部分というのは、いまおっしゃいましたように少ないということでございますが、それもずっとしさいに見ていきますと三十三万坪ぐらいある。約三分の一は平たん地がある、こういうふうに大体踏んでおるようです。三十三万坪ですから、これは百万平米ぐらいになりましょうか。  そういう中で、自然史博物館というのはどれぐらい敷地が要るのかと、実は地元でも諸団体やいろいろなところで検討してチェックをいたしておるようでありますが、大体八千平米から一万二千平米、外国の例だと、こういう類型の博物館では一万二千平米とりまして、ゆったりとした中でりっぱなものをつくっているという事実があるようであります。そういうことからいきますと、二千四百五十平米ぐらいから上限が約四千平米、それくらいの広さでございますから、まさに平たん地に占める割合からいきましても、これはごくわずかなものだ。  それから、先ほどから御答弁がございましたように、一部使用の中で学校やいろいろなものに使っておるということでございましたが、私ども地元の北九州では、小学校用地でも少なくとも四千坪、中学校用地なら五千坪とるということで使っておりますし、恐らくそれくらいの広さで一部使用しているところはお使いになっていらっしゃるのじゃないか、こういうふうな気もするわけです。入り口とはいいましても、これはそういう平たん地のところの広さからいきますと入り口を全部ふさいでしまうとかいうことがなくて計画が立てられるわけでもございますし、そこらあたりは何とか地元の皆さんの熱意をくみ入れていただいて、一部使用に踏み切っていただけないだろうかと思うのですが、再度お尋ねをいたしたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 平たん地の面積は、先生がおっしゃいましたようにはないとわれわれは思うのでございますが、それは別といたしまして、実際に自然史博物館が使う面積というのは、この三百五十万平米近くのものに比べればわずかなものだろうと思います。しかし、先ほど申し上げたのでございますが、われわれが従来学校等の緊急性を認めて早期処理をしたのはあるわけでございますが、やむを得ない事情でやったわけでございます。  この自然史博物館につきましても、具体的にどこに置いてどのぐらいのという話まではまだ聞いていないんじゃないかと思いますが、それが全体計画にどれだけ影響を及ぼすかどうかということをもう一回考える必要があると思いますし、繰り返すようでございますが、それより早く全体について利用計画に合意できないかな、こういうように現在われわれは考えておるわけでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 時間が参りましたので、もう一つだけ。  いまの一部使用は、御答弁の内容を要約いたしますと、早く全体計画をつくって、その中で、たとえば自然史博物館というものはここらあたりにこういうふうにするんだと、全体計画の中ではっきりした位置がわかれば、いろいろ選考して一部使用ということも考えていいというふうなお考えのように聞こえたわけですが、それがどうかということが一つ。  それから、全体計画というものは、地元でつくるのか、大蔵省の方でおつくりになるのか、そこらあたりが問題があるわけですが、その中で、やはり三分割案というものを前提として考えていくべきであるのか、そこらあたりを最後にお尋ねをいたしたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 最初の話でございますが、全体計画と私が申し上げましたのは、この跡地利用、跡地全部について、国の方が使いたいというところも含めて全体としての計画を早くつくりたい、そして、自然史博物館も公園の一部のどの辺に置く、そういうことも含めまして、跡地全体の利用計画として早く決めていただきたいなという感じがするのが一つでございます。  それから、具体的にこの計画をどちらがつくるかという話でございますが、その地元がお使いになりたいという要望はたくさん出ておりまして、地元の方でここをこういうふうに使いたいというのをお出しいただいて、国の方はここを使いたいということで、どちらが先につくるかというよりは、むしろお互いに相談をし合ってそこで決めていくということに実際には相なるのではなかろうか、こういうふうに考えます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 では、最後に御要望を申し上げて、質問を終わります。  これは最初申し上げましたように、足かけ十二年にわたる長い間、地元のそれこそ行政、議会、諸団体、市民一緒になっての全面的平和利用ということで、悲願みたいな思いで今日まで参りました。したがって、そういう考えというものが非常に強く底流にございます。一応新しい事態に入っておるのではございますけれども、そういうものを踏まえながら、この処分方法等につきましては、地元の意見も最大限に尊重しながら、また、最後に申し上げました一部使用ということにつきましても、ひとつ前向きな形でぜひ御検討願いたい、これを御要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 次に、柴田睦夫君。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 千葉県にあります国有地の有効利用という問題に関連して、幾つかお尋ねしたいと思います。     〔主査退席、谷川主査代理着席〕  まず筑波移転跡地でありますが、千葉県には三つの跡地があるわけですが、国はこの跡地についてどのような方針で臨まれるのか、お伺いをいたします。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 千葉県に三つばかりございますが、どういうふうな方針かとおっしゃいますと、千葉県だけではなくて、一般的な方針でございますが、筑波移転というのは、要するに首都圏の過密を解消しよう、そして都市の防災性の向上あるいは住宅環境の改善、そういうものをやろうという趣旨でございますので、この跡地の利用についての基本的な考え方というのは、大きく言えばそういう方針でやっておるというふうに御理解をいただきたいと思います。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 具体的に跡地についてどういうふうにするという試案がつくられているのではないですか。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 それでは具体的に申し上げます。  まず農林省の畜産試験場でございますが、これにつきましては、御案内のように筑波移転跡地小委員会の試案というものが出ておりますが、これは、過密市街地の外周にここは位置するわけでございますので、大部分は自然を生かした形の公園として利用する、そして、一部分は周辺都市整備に関連する日本住宅公団の事業用地として利用する、こういうことになっております。  それから土木研究所千葉支所跡地でございますが、これは大部分は公園、小学校、中学校の用地並びに高校拡張用地として利用する、一部分は科学技術庁の放射線医学総合研究所拡張用地それから周辺都市整備に関連する日本住宅公団の事業用地として利用する、こういうふうに試案はなっておるわけでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 工業技術院の跡地についてはこの試案で出ていないようですけれども、これは何か考えがあるのですか。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 試案に出てないのは、面積的に小さいのがたくさんあるわけでございますが、そういうものは除いて、作業グループというか、委員会の方で検討する。それで、小さい方のものをどうするかということでございますが、これはその小委員会の方で筑波移転跡地の利用の基本方針というのを出していただきますが、その基本方針に従って、そういう考え方に基づきまして、今度は大蔵省の方で利用計画をつくる、こういうことになります。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 先ほどの、利用についての試案の作成に当たって、国有財産中央審議会の筑波移転跡地小委員会は現地調査、現地視察を実施しているわけですけれども、その際、周辺地域住民の意見を聞く機会は持ったのかどうか、お伺いします。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 グループといたしましては、地元住民の代表である県、市、そういう当局の意見を聞いておる、こういうふうに聞いております。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 この利用についての試案では、畜産試験場跡地も土木研究所跡地も周辺都市整備に関連する日本住宅公団の事業用地として利用するということが入っているわけです。この土地についてそれぞれ県と市がオーソライズしたいわゆる地元案がありますけれども、その中にはこの住宅公団関連のことは盛り込まれていないわけです。こういう場合に、地元自治体がこの試案について公団部分は削除するといいますか、それは除くというようなことになれば、それは国として尊重すべきではないかと思うのですが、いかがですか。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 地元の県、市と今後十分協議していかなければならぬだろうと思っておりますが、この住宅公団の事業用地というのは、跡地利用作業グループで検討したところ、あの付近、先生よく御存じだと思いますが、周辺地域の防災性の向上とか住環境の整備という面から街路整備事業等をやる必要がある。それのために立ち退きを必要とするような人の受けざら住宅として住宅公団の事業用地を充てたらどうかという趣旨で住宅公団の事業用地が認められておるわけでございます。もちろん、今後県、市とも十分協議をしていきたいとは思っておりますが、そういう趣旨で住宅公団の事業用地が認められておるというか、予定をされておるということで御理解を願いたいと思います。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 先ほど出ました小さい跡地の工業技術院の微生物工業技術研究所、これは二ヘクタールなんですけれども、先ほどのお話によりますと、今後の検討ということのようですけれども、地元の方では、これを公園として利用したいという要望を持っているようですが、そういう要望についてはこたえられるのかどうか、どういう態度なのかお伺いします。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 地元から公園として欲しいということでございますが、ほかにいろいろ要望が出ておるようでございます。したがいまして、いまここでそれをどうこうという結論は申し上げられませんが、地元からの御要望も十分踏まえまして、今後検討さしていただきたい、こういうふうに思います。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 これは筑波跡地全体の問題でもありますけれども、畜産試験場にしても土木研究所にしても、大蔵省の処分計画は大体五十四年度中というのをめどにされているように思われるわけです。いずれにしましても、それを処分するまでには一定期間がかかるわけですが、地元の周辺住民はこの一定期間、たとえば少年野球の練習場であるとか、試験道路をテニスコートに開放してもらいたいとか、そういう暫定的な使用をさせてほしい、しかも、それはそのまま何も手を加えずに使えるという状況にあるわけですけれども、また、この土地の歴史性などから考えてみまして、そういう強い要望があるわけですけれども、その暫定的使用という要望に対しては、どういうお考えを持っていらっしゃるのかお伺いします。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 筑波移転跡地の暫定利用の件でございますが、いまお話しのように、五十四年中には筑波の方へ移転をして、われわれとしては、五十五年度ぐらいからは、もう実際の利用といいますか、利用計画に従っていろんな利用ができるようにというふうに考えておるわけでございます。そういう点から、筑波小委員会の答申は、できれば六月ぐらいには欲しいなと事務的には考えておるわけでございます。そういう状態でございますので、とにかくなるべく早く実際の利用計画をつくりたいというのがわれわれの立場でございまして、現在のところ、筑波移転跡地につきましては、暫定使用よりは早く利用計画をつくりたいというふうに考えておるのが現状でございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 しかし、一年以上あるわけですし、何にも手を加えなくてもいい、そのまま使えるというようなことで、強い要望で、要望書も出ているはずですが、そういうことで御検討願いたいということを申し上げたいと思います。  次に、今度は柏市の米軍の柏通信所の返還跡地についての問題です。  この柏通信所は、昨年の八月に、約半分の九十八ヘクタールが一部返還されて、地元では県知事を先頭にいたしまして跡地利用促進対策協議会をつくって跡地利用案を検討してきました。それと同時に、残り半分に新たに建設することになっておりましたロランCが、実はアメリカ原子力潜水艦を誘導する施設であって、戦争というようなことになれば一番最初に攻撃を受ける危険な施設であることが国会でも明らかにされて、地元でも全面返還を強く要望してきたわけです。こういう強い要望がある中で、米軍が去る二月の十三日に全面返還をする旨通告をしてまいりました。  まず、この全面返還された土地について、大蔵省は今後どういう基本方針で臨むのか、お伺いします。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 全面返還の通告が二月十三日に出されたわけでございまして、まだ実際には返っていない。当然返るとは思いますが……。何分にも、ちょうど既返還地と同面積くらいが返ってきたわけでございます。  それにつきましてどうするかという点でございますが、いままで予想しておったものとちょうど同面積が返ったわけでございますので、地元の方もいろいろ利用計画案を練っておるということを聞いておりますので、大蔵省といたしましては、そういう地元からの利用計画案、あるいはほかの関係者からの利用要望等も聞いて、総合的に判断をしていこうという段階でございまして、まだ具体的にどうこうするという段階にはございません。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 この米軍柏通信所は、柏市だけではなくて、千葉県の北部の開発が阻害された大きな要因になっているわけです。  さらに、この返還跡地は、人口急増が最も激しい千葉県の常磐線の沿線、いわゆる東葛地域の自治体にとっては、貴重な有効利用ができる跡地であります。また、いままでの経緯から見てみましても、米軍が進めてまいりました関東プランの予定にもなく、また、全面返還を受けることも政府は予定しなかったという性質のものであるわけです。  現在柏市では、全面返還されたことで、約百八十八ヘクタールについての跡地利用計画を検討して、県と地元周辺市町村でつくっております対策協議会にかける段階になっているそうであります。この計画によりますと、広域都市公園が六十ヘクタール、植物園が三十八ヘクタール、総合リハビリテーション二十ヘクタール、公共施設二十ヘクタール、小学校、高校十ヘクタール、自然科学の広場十五ヘクタール、その他二十五ヘクタールということになっております。  この計画は、柏市だけではなくて、千葉県の北部、松戸、野田、流山といった六市二町の対策協議会で合意されるものであるわけです。特に申し上げますと、千葉県には公園が大変少ない。その中でも、「わんぱくランド」というような子供用の公園があるわけですけれども、こうしたものが、たとえば君津市だとか、酒々井町だとか、市原市などの県の南部にしがなくて、柏市を中心とする東葛地域の住民は、この「わんぱくランド」を含む広域都市公園を基地跡地に建設する、このことを熱望しているわけです。  そういう地理的な条件、それから、いままでの歴史、経緯、そうしたものを踏まえて、今後この対策協議会で検討され、決定される地元利用計画を十分尊重すべきであるというように思うのですが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 この柏通信所の跡地につきましても、返還跡地といたしまして三分割方式ということが一応は適用になるわけでございますが、この三分割方式につきましては、これは一つの跡地について利用要望が非常に競合した、こういう場合に関係者がお互いに譲り合って現実的な解決を図ろうという趣旨で三分割方式の答申があったわけでございますので、具体的にこの柏通信所につきまして、いま先生お話しのように地元の方でいろいろ計画を練って御提出になりますれば、地元の意見は十分尊重いたしまして、ほかにもいろいろ要望があるとは思いますが、その辺を総合的に判断をしてこの跡地の利用計画をつくっていきたい、こういうように考えます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 その点は大臣に特に要望しておきたいと思います。  それから、柏市では現在東急不動産によります六十四ヘクタールに及ぶ東急北柏ニュータウンの工事がやられております。この北柏ニュータウンに隣接して陸上自衛隊第二高射特科群ホーク発射中隊が常駐しております。これはホークミサイルと住宅地が同居している大変危険な実態であって、地元では撤去の声が起きている状況であるわけです。今回の米軍のロランC予定基地の返還という点も、電波障障という問題もありましたけれども、核戦争の際の誘導基地、すなわち核戦争になれば一番真っ先に核攻撃を受ける、そういう危険な基地を撤去せよという市民の大きな声があって、それがいわばかち取ったと言えるものであると思うわけです。こうした市民がいま米軍基地跡地の平和的利用という強い願いを持っている、そういうところであるわけですけれども、この土地について自衛隊が利用する計画はないと思うのですけれども、防衛庁の方に見解を伺っておきます。

平晃防衛庁経理局施設課長

○平説明員 防衛庁といたしましては、従来から施設の不備、不足を補うために施設の整備に鋭意努力しているわけでございますけれども、柏通信所が返還された場合、その跡利用につきましては、現在のところ具体的な計画は持っておりません。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 これらの地元利用計画を実現する場合に、財源上の問題が保障されなければならない、財源の問題が大きな問題になるわけです。地元では無償で返還を希望しているのですが、大蔵省は柏米軍基地については、この有償、無償という面については何か特別のお考えを持っていらっしゃるかどうか、お伺いします。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 この柏通信所独自の問題としてではございませんが、返還跡地全体としての処分条件という問題がございます。当然、柏も全体の処分条件で処分するということになりますが、この全体の処分条件につきましての考え方でございますが、これにつきましては五十一年六月に国有財産中央審議会から答申をいただいております。  その中では、これは全体の話でございますが、返還された基地跡地全体といたしましては、相当の移転経費を要しているということと、それから基地跡地が存在しない地方公共団体とのバランス、こういう点から、基地跡地の処分は有償で行うべきであろうという方針が出されております。この方針に従いまして、大蔵省といたしましては、地方公共団体側、いわゆる渉外知事会と申しておりますが、そこと話し合ってきておるわけでございます。  現在までそれで合意した点でございますが、ごみ処理施設については、譲与または無償貸し付け、小学校、高等学校につきましては、適正規模部分について減額売り払い、適正規模を超える部分については時価売り払いというものについてすでに合意を見ておるわけでございまして、合意を見たものにつきましては、この柏通信所の跡地もその条件になると思います。  公園につきましては、現在われわれといたしましては二分の一につきまして時価売り払い、二分の一につきまして無償貸し付けにしたいということで、渉外知事会の方と鋭意話し合っているという段階でございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 この柏市の場合は、小学校、高校、公園、ごみ処理施設、こういうのが地元利用計画に加わっているわけです。国有財産法や国有財産特別措置法では、いま言われた無償で貸し付けることができるということになっておりますし、柏米軍基地の場合、地元利用計画が決まれば、柏市だけではなくて周辺市町村が利用できるという点から考えますと、この規定を適用すべきであるというように思うわけです。  また、公園についての処分の方針、これは検討されているということですけれども、地元自治体にとって公園は防災避難緑地、オープンスペース、スポーツ施設など、きわめて多目的な機能を持っているわけです。何回も言いますように、これは柏市だけではなくて、周辺市町村も総合的に利用できる、こういう点から見ました場合に、無償貸し付けの規定を適用すべきだと思うのですが、いかがですか。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 先ほど国有財産中央審議会から有償で処分すべきであろうという方針が出されたということを申し上げましたけれども、その基礎となりましたのは、たとえばその返還跡地が存在しない地方公共団体というのは全国でたくさんあるわけでございます。そういうところは公園をつくろうと思えば全部時価で購入をしてつくらざるを得ない、しかし跡地のあるところは、幸いにしてと申しますか、そこに国有地があるわけでございますので、それを利用できるとすれば、他のない地方公共団体との比較から言えば半分ぐらいは時価で買っていただいてもいいのではなかろうかというふうな考え方で中央審議会の答申が出たわけでございますので、その線に沿いまして地元の方と今後十分話し合っていきたいというふうに考えております。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 跡地のないところも利用できるという、そういう条件にあるわけですから、十分御検討願いたいと思います。  次に、今度は習志野市の谷津干潟に関する国有地の処分についてお尋ねいたします。  この谷津干潟は、数多くの種類の野鳥が生息する、いわば野鳥の楽園でありまして、地元住民を初め野鳥を守る人たちから、干潟保全の強い要望が出ているものであるわけです。特に最近では、セイタカシギという全国的にもめずらしい野鳥が生息して繁殖したという実績もあるわけです。この谷津干潟の鳥獣保護区指定はいまどうなっているのか。まず環境庁にお尋ねをいたします。

野辺忠光環境庁自然保護局鳥獣保護課長

○野辺説明員 谷津干潟はシギ、千鳥等の飛来地として非常に重要な個所でございますので、五十二年度から実施しております第四次鳥獣保護事業計画でできるだけ早い機会に国設の鳥獣保護区に設定いたしたいと予定いたしております。ただいまは千葉県を通じまして地元の関係者の方々の意向を聞きながらできるだけ早い機会に意見を調整して保護区を設定いたしたい、そういう計画にいたしております。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 この谷津干潟のあるところは大蔵省の国有地であるわけです。さらにこの周辺は湾岸道路の予定地にもなっているところであります。大蔵省は、環境庁が鳥獣保護区の指定をした段階で国有地を環境庁の国有財産として所管がえすべきであるというように私も考えておりますが、この点についてはどういうお考えかお伺いします。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 谷津干潟の国有地の利用については現在のところ具体的な利用計画はございません。先ほど環境庁の方からお答えがありましたように、環境庁の方で鳥獣保護区の設定について地元と意見を調整中のようでございます。したがいまして、その結果が出るのを待ちまして地元県、市等の意向を聞きながらこの土地の問題については慎重に処理をしていきたいということでございまして、まず環境庁の方の鳥獣保護区の結論待ちという段階でございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)分科員 最後に、大臣にお伺いしておきたいと思います。  幾つか指摘いたしましたように、国有地の処分に当たっては、地方公共団体にとどまらず周辺地方公共団体あるいは周辺住民の声を十分に反映させて行うべきであるというように考えます。特に返還財産の処分に当たっては、一般的に三分割ということが言われるわけですけれども、これに固執しないで、要するに地元の意見を十分に検討して最大限尊重してもらいたいと考えるわけですが、大臣の御見解を伺っておきたいと思うのであります。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 狭い国で非常に貴重な財産なんですから、有効な利用について万全を期さなければいけませんし、特に地元の公共団体の意見は十分聴取いたしまして、要望にこたえるようにやってまいりたいというように考えておる次第でございます。

谷川寛三自由民主党

○谷川主査代理 以上で柴田睦夫君の質疑は終了いたしました。  次に、安田純治君。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 本日、私は税務調査の問題について若干お伺いをしたいと思うわけです。  まず国税通則法の第十六条の解釈についてお聞きします。この十六条によりますと、「国税についての納付すべき税額の確定の手続については、次の各号に掲げるいずれかの方式によるもの」ということで、一つの申告納税方式というのが書いてございまして、「納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし、」というようなことが書かれておりますけれども、所得税の場合に納付すべき税額の確定は申告によって確定することが原則であると言っているわけで、言いかえれば、納付すべき税額は申告した時点で一たんは確定する、これが原則であると理解してよろしいかどうか、お伺いします。

米山武政国税庁次長

○米山政府委員 御指摘のように、申告所得税におきましては、納税者の納税義務は暦年の終了のときに成立しますが、納付すべき税額は納税者が行う申告によって第一義的に確定するわけでございます。ただ、申告がない場合とか、あるいは申告した税額等が税務官庁の調査したところと異なる場合には、税務官庁の処分により確定する、こういうふうに国税通則法はなっております。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 ですから、原則、つまり本来の姿は納税額を確定するのは納税者であって税務署長ではない、これでよいのでしょうか。

米山武政国税庁次長

○米山政府委員 そのとおりでございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 納税額は申告によって確定するのが原則であるということを確認いただいたわけですが、現場では必ずしもそういうニュアンスで——いわゆる確定申告後の事後調査といいますか、この段階で現場の職員の方がそういうようなニュアンスでは言われておらないケースがちょくちょく見受けられるというふうに思うのです。たとえば千葉県の松戸税務署のある職員の方の実際行われたケースを私ども知ることができたわけですが、調査しなければ正しい申告かどうかわからない、こう言っておるわけですが、その点と納付額の確定ということの関係はどういうことになりましょうか。

米山武政国税庁次長

○米山政府委員 ただいま申しましたように、その申告が適正であれば、もちろんその納税者が行う申告によって確定するわけでございますが、それが適正ではない場合、正しくない場合には当然税務官庁の調査したところによって確定するわけでございます。調査した現状を申しますと、特にこちらがいろいろそういう事前の準備、資料等で重点的に調査するということでもありますが、実際のところ、調査した結果八割までが所得税の場合に脱漏が見つかっておる。特に不正の場合は、そのうちでも二割は不正で重加を取るというふうな現状でございますので、われわれとしては事前のいろいろの資料等を見まして、どうも適正でなさそうだ、そういうケースが多いのでございますので、われわれはその調査を行わざるを得ない、こういうことでございます。     〔谷川主査代理退席、主査着席〕

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 確かに一次的に確定する、いわば法的な確定と内容が事実に即して正しいかどうかということはまた違う概念ではあると思います。ただ、たてまえとしては、本来はその確定したものは正しいものであるべきはずであることもまた事実だろう。ただ、実際上なかなか一致しない場合もあるというだけで、たてまえの上では納税者を信頼して、申告が正しいのが本当のたてまえだ。そういう意味では確かに確定と正しいということの概念は違います。違いますけれども、そういう厳密な言葉で区分けをして現場の職員の方が言っているようにはどうも思えないわけなんです。私自身も実はかつて弁護士をやっておりまして税務の立ち会いをちょっとやったことがあるのですが、いまから数年以上前ですが、そのころは税務署長が認めればそこで確定するんだなんてばかなことを実際私自身に対して言う人もおったです。いま私が挙げている松戸のケースの場合には、そういうことをはっきりは言わなかった。ただ、正しいかどうかわからないという言い方をしたので、その点では非常に慎重に確定という言葉と正しいか正しくないかという言葉を分けているようには見えますけれども、その言い方のニュアンスを見ますと、納税者に対してはどうも確定申告自身を信用せんぞというふうに聞こえるわけなんです。したがって、実はその問答の記録を私も聞いたのですけれども、それを聞きますと、では、私どもが三月十五日にやった確定申告は何の意味があるんだという質問がすぐ出てきている。つまり、聞く方から見ると、おまえらのやっている申告は問題にならないと言わんばかりの、正しいかどうかわからぬという言葉がニュアンスの中に出てくる。そこで、たまたま職員の個人の人の言い方が悪かったのかどうかということもありますけれども、その点はちょっとおくとしまして、一般の職員の中にどうもそういうニュアンスがたたき込まれておるのではないかとも思えないわけではないと思うのです。邪推であれば結構なんですが。  ところで、それに関連して伺いたいのですが、いわゆる事後調査をやったときに、調査に従事した職員が結果報告を出しますね。そのときに、その結果報告の中で申告と実際の調査をしたのとが一致をしている場合に、申告是認という言葉を使って結果報告をしているということはございますか。

藤仲貞一国税庁直税部長

○藤仲政府委員 そういうことはございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 この言葉自身がどうも正確ではないと私は思うのですよ。だから職員が申告是認——じゃ、是認されない、つまり調査されない人はたくさんいますね。実調率を高めるとかいろいろありますけれども、現実にはそんなに、一〇〇%ではない。そうすると、その人たちは永久に是認にはならぬわけですね、結果報告が上がらないから。そういうわけですね。だから、是認という言葉だと、いかにも申告の後で税務署長の是認という行為があって初めて確定するようなニュアンスを与えるのではないか。それまでは是認しておらぬよと言わんばかりの言葉ですよね、日本語の普通の意味から言えば。ただ、部内の特殊用語だと言えばそれまでかもしらぬけれども、まあ日本語の普通の解釈から言うと、是認と言われるとそれ以前は是認しておらぬのだということが論理的には前提になるわけですね。そういう書類の書き方をしているから、ひとりでに税務職員の頭にわれわれが調べてみなければ申告を是認するかどうかわからぬぞという精神がしみ込んでいって、それがこの表現になって出てくるために、正しいかどうかわかりませんということと確定するということの関係が、聞く方から見るとごっちゃになって、おまえらの申告なんか大した意味ないんだみたいなニュアンスに聞こえるのではないか。だから、今度たまたま松戸のある署員のなされた事後調査をあげつらっているのではなくて、そういう意味でいわば決裁の方法といいますか、ここにもひとつムードというか心理があるのではないかと思うのですが、いかがですか。

米山武政国税庁次長

○米山政府委員 これは全く内部的な一つの処理の仕方でございまして、是認というのをそういうふうに受け取られる方もあると思いますが、現在申告納税制度でございますので、やはり基本的には納税者の申告をまず信頼する、われわれはこういう立場に立っております。内部的な処理でわれわれが是認という言葉を使ったから、おまえらは大部分間違っている、これは正しいから是認という言葉を使った、こういうわけではございません。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 部内ではいろいろそういうことでありますので、役所の用語は必ずしも日本語の普通のニュアンスで使われるとは限らぬと思うのですが、ただ是認という言葉自身がどうもひっかかるのですよね、何ぼ内部でも。いかにもそれ以前は是認しておらぬぞというニュアンスを受けるような感じがするのです。ただ、それは確かに一般の国民の目に触れるような書類ではございませんから、一般の国民が是認という言葉を税務署が使っているかどうか周知徹底しているわけではないと思いますが、そういうことを聞かされますと、事後調査に来る人がよく申告しても適正かどうかわからぬみたいなことを言うそのニュアンスが、確定との関係で国税通則法に認められた申告納税制度の納税者の権利、これに対して税務署の側が何か否定的な見解を持っているようなニュアンスで受け取れる、そういうようなことが実際の事後調査の中ではちょくちょくあるものですから、それはテープでもとっておって正確な言葉をここに提示すれば一番いいのですが、そういう意味では内部的な用語といえどもやはり是認しなければどうだとか誤解を受けないような用語の使い方、そういうことも配慮していただいたらいいのではないかと思うし、また職員に対してもその点は徹底して教育をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

藤仲貞一国税庁直税部長

○藤仲政府委員 お答え申し上げます。  ただいま次長からもお答え申し上げたところでございますが、第一次的には申告をもって確定するわけでございます。しかしながら申告がない場合、これは当然でございますが、それから申告の内容に誤りがありまして、調査の上でそういうことが判明いたした場合には、そこで更正等の措置がございまして、それによって確定するというとおりでございます。したがいまして、私どもは納税者の方から申告が出てまいりますと申告審理をさせていただきまして、調査をするものと調査をしないものとを振り分けるわけでございます。  申告是認という言葉は、いろいろあるのでございますが、申告是認と申しますと調査をもうしないということでございますから、それは先生がおっしゃいますように、調査をしなければその申告額をもって確定するわけでございます。そういうことを申し上げておるわけでございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 それに関連してやはり用語の問題であげつらうようになるかもしれませんが、「税務運営方針」というのがありますね。昭和五十一年四月一日に出されたものの十八ページを見ますと、「すべての納税者は、本来その申告の適否について調査を受ける立場にある。」こう書いてあるわけでして、私どもから見れば、たてまえといいますか原則から言えば第一次的には、申告納税制度ですから、申告した段階で一応第一次的に確定する。正しいのが原則といいますか本来のあるべき姿だから、本来は調査をされるべき立場にないのだけれども、中にはそういう場合もあるので調査されるのだろうと思うのですが、これを見ると、申告の適否についてすべての納税者は本来調査を受ける立場にある、こういう文章になっているわけでしょう。そういう文脈を見てみますと、何か申告すること自身にすべて疑いを持っておる、そういう立場で国税当局が臨んでおるのじゃないか、こういう印象を受けますが、いかがですか。

藤仲貞一国税庁直税部長

○藤仲政府委員 お答え申し上げます。  この表現のよって来るところを私はつまびらかにいたしませんけれども、私どもの常識といたしまして、先ほど申し上げましたように、納税者の方が申告を出してこられた場合に、実際に誠実な申告をしておられる方とそうでない方とがあり得るわけでございます。したがいまして、私どもは公平確実な租税の賦課徴収ということから、適正でない申告をしておられる方に対しては調査をしなければならないわけでございます。また、そういう方々は、税法に御案内のとおり質問検査権という規定もございますから、調査を受ける受忍義務があるということを表現したものであろう、一般的にそういうことを言ったものであろう、かように私は考えております。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 しかしこれは「すべての納税者」となっている。確定申告をしなかった人とか、あるいは申告してもおたくの方の内部のメルクマールから見てこれは調査する必要があるというような人じゃなくて、「すべての納税者」と書いてあるのですよ。だから、非常に言葉を悪く言えば、人を見たらどろぼうと思えというのと同じことになってしまって、これはちょっと表現としてまずいのじゃないだろうか。表現としてまずいだけじゃなくて、そのことの中に国税当局の納税者に対する見方、納税者観がにじみ出ているのではないかという感じもしないわけではないのでして、そういう意味で、「すべての納税者」というのがどどうもひっかかるわけですよ。私に言わせれば、本来は正しい申告をすることによって調査を受けなくてもよい状態にあるべきだ、しかし、そうじゃない場合もあるので、そういうときには納税者は調査の受忍義務があるというなら——文章が長くなるからはしょったと言えばそれまでですが、これを見るといかにも全国民、納税義務がある人はすべて何か被告的な立場に立っておるというような印象を受けるものですから、どうも納得がいきかねるわけであります。その点、いかがですか。

藤仲貞一国税庁直税部長

○藤仲政府委員 先ほども申し上げましたとおり、たくさんの申告が出てまいるわけでございますが、実情は次長からもお話がありましたとおり、調査をいたしますと非違のあるものが少なくないという実情でございます。そういうことから、私どもとしましては調査をしてみなければわからないという点は確かにございます。ただ、先生がおっしゃいますように、すべて怪しいというようなことを私どもは考えておるわけではございません。そこは表現の問題であろうと思いますので、御了承いただきたいと思います。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 そうしますと、すべての納税者を調べるわけじゃなくて、内部の、おたくの方の基準か何かがあって、これは調べる必要があるという方だけ、事後調査ですね、お調べになっているというように受け取れるわけです。しかし、実際現場に事後調査に来られる税務署員の方にどこが疑わしいんだということを聞いた場合、それはもちろん調べてみなければ個々の取引、何年何月何日の何の取引と指摘できないことは私どももわかるんですよ。ところが、一切この理由を明らかにしないということもあるんですね。とにかく調べてみなければ正しいかどうかわからないのです、じゃわれわれのことを疑っているのかと言って論争になるというのが大分あるんですよ。おたくの方の内部かどうか知りませんけれども、たとえば同種同業者から見て差益率が低いとかいろいろなことがあると思うんですね、これは私の推察ですが。そういうことぐらいは開示してもよさそうじゃないかと思うにもかかわらず、実際に現場に来られる税務署の方はまずその辺で納税者とぱちぱちやり合うということですね。納税者にしても非常に気分の悪いことですから、自分だけが調査されるということは。全部が調査されるなら、これは恨みっこなしなんですよ。ところが隣のうちは五年も十年も調査に来ない、自分のところだけ来るということになると、何かそれは納税者の人はそれだけだって気分が悪い。だから何かあるのかと聞くと、いや何かあるかどうかは調べてみなければわかりません、これ一本やりなんですね。三月十五日の申告は何のためにやっているんだと聞くと、いや、それは何もあなた方のことを疑っているわけじゃない、疑っていないんなら帰れと言えば、いや、とにかく正しければ正しくていいんだから調べさせてくれ、これの問答で一時間も二時間もやっているのがあるんですね。そうなりますと、あなたのおっしゃるように、内部的な細かいことはともかくとして、ある程度のあれがあって調査されると思うのです、悉皆調査でない限り。してみますと、その程度の理由を開示しない。また開示したからといって調査に差し支えるということはあり得ないと思うのですね。何月何日のだれだれさんの取引なんて言えば、それは証拠隠滅とかなんとかということもあるかもしれませんよ。しかし、ただ、調べてみなければ正しいかどうかわからないので来ましたというような言い方、こういうことが現実に行われておるんですよ。その点についていかがですか。そういうやり方は正しいと思いますか。

米山武政国税庁次長

○米山政府委員 これは先生御承知のことと思いますが、この問題についてすでに七十二回国会の衆議院におきまして請願がございまして、それに対しまして内閣として処理意見を出しておるわけでございます。調査理由については、非常に細かくいろいろと具体的な理由というのは開示できませんが、納税者から聞かれた場合に、いま申しましたように、他業種と比べて低いとか、長期的に調査してないとか、こういうふうに必要に応じ、概括的な調査理由の開示は行うことにさせておるわけでございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 現実には行われないケースがたくさんありますので、ひとつその点は十分御指導願いたいと思います。あなたの方の立場はわかりました。ただ、現実にそれが生きていない部分があったら、それは現実に御注意をいただきたいというふうに思います。  ところで、去年の九月二十日ですね。磯邊国税庁長官と税務署の職員の団体との間で何か交渉があったように聞いておりますけれども、そのときに磯邊国税庁長官が、「従来の”大口所得者・悪質納税者重点”という調査方式を改め、調査件数をふやして潜在高額所得(脱税)者を把握することに重点をおく。いうならば”狭く深く”から”広く浅く”の調査への切りかえだ」、こういうことを言ったというふうに私ども聞いたんですが、そういうことをおっしゃいましたでしょうか。

藤仲貞一国税庁直税部長

○藤仲政府委員 私、組合交渉の内容については伺っておりませんが、長官が申しました趣旨は恐らくこういうことであろうかと思います。  基本におきましては、従来どおり「税務運営方針」にもあることは先生御承知のとおりでございますが、高額、悪質重点という方針でございます。しかしながら、実調率が大分低下してきておりますし、また御案内のとおり、税制面、税の執行面を通じまして課税の公平ということがいろいろ言われております今日におきまして、長期未接触のような法人等がいろいろございます。そういうものにつきましてはできるだけ接触を図るように、こういう趣旨の事務運営をしておりますので、そういうことを触れられたものであろうと私は思います。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 磯邊さん御当人がいらっしゃらないのではしようがないのですけれども、そういうニュアンスでなくて、「”狭く深く”から”広く浅く”の調査への切りかえだ」、「切りかえだ」という言葉を使われているようなので私ひっかかるわけです。そうしますと、確認しますが、この「税務運営方針」を変更されたわけではないということですね。そのことは確認しておきます。  ところで、国税庁の調査査察部の方いらっしゃいますか。大企業のいわゆる使途不明金の調査をやられたことがありますね。いろいろ新聞にも出ております。この調査は、所得税法二百三十四条のいわゆる質問検査権、これに基づいてやられたのでしょうか。

西野襄一国税庁調査査察部長

○西野政府委員 調査部門の調査に当たりましては、質問検査権を行使いたしまして調査を進めている、こういうことでございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 その際、取引先などに迷惑がかかるという理由で調査を拒否されたことはありませんでしたか。

西野襄一国税庁調査査察部長

○西野政府委員 調査を拒否される事例につきましては余り聞いておりません。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 そうしますと、使途不明金などということは起き得ないはずですね、使途は必ず明らかになるはずですね。おたくの方では、使途を聞かないで、これこれの支出をしましたかというだけしか聞かないのですか。それともどういう性質のお金を使ったのだということを——よく新聞でも住商や日商岩井なんかのいろいろな問題が出てきますね。ああいう場合に、一応は質問検査権を使ってお聞きになったけれども、向こうが、税金をかけられてもいいからその使い道なんかについては言わぬ、益金と見られてもしようがないということで断ったから使途不明金ということになるんじゃないでしょうか。

西野襄一国税庁調査査察部長

○西野政府委員 私、先ほど調査を拒否された事例はございませんと申しましたのは、調査全般につきまして調査を拒否されたというような事例については聞いておりません。でございますから、調査に参りまして、調査に御協力はいただくわけでございますけれども、この調査の過程におきまして、個々の支出内容についてさらに詳細な説明を求めた場合に、その支出先につきまして説明を十分にいただけないというふうなことから、それが経費として認められるものであるのかというような点についての確信が得られない、そのために経費性を否認いたしましてそれなりの処理をいたす、こういうことを私ども、使途不明金というような処理をしている、通常こう承知しているわけでございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 そうしますと、所得税法の二百三十四条なんかに言う質問検査権、これは法人税法とかいろいろあるのでしょうけれども、要するに質問検査権、これは個々の事項についての質問は断ってもこの法文には触れないのですね。調査には応じた、しかしぐあいの悪いところはしゃべらないというのは、たとえば所得税法で言えば二百三十四条にひっかかりませんか。

西野襄一国税庁調査査察部長

○西野政府委員 この質問検査権に対しまして拒否をされるという内容につきましては、その態様というものがいろいろあろうかと思いますけれども、その質問に対して答えない、いわゆる質問検査権の行使に対する拒否犯としてそれを問擬するかどうかということにつきましては、その態様に応じて処理すべきものではないか、このように考えております。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 そういうお考えですと、トータル的に見れば調査全般には協力した、しかし個々のぐあいの悪い部分については断った、この場合には二百四十二条の罰則ですか、こういうことにはやらぬという国税当局の御方針ですか。

西野襄一国税庁調査査察部長

○西野政府委員 税法によりまして質問検査権を円滑に行使するための担保規定を設けていただいているわけでございますけれども、やはり税務行政を進めるという観点から見まして、調査の全面的な拒否等があった場合におきましては、それなりの措置を講じないと税務行政が円滑にまいりません。そしてまた、課税の公平も期せられないということでございまして、その場合には質問検査権に対する拒否犯である、こういうふうな点でそれなりの処置を求めてまいらなければいけないというふうに思っておりますけれども、全般的な税務行政の円滑な執行という観点から、ただいま申し上げましたような範囲におきますそういう十分な説明がある一部について得られないという場合につきましては、質問検査権の行使に対する拒否犯であるというようなことにはいたしておりません。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 それが重要な、質問の一部か全部かは非常に主観的判断が入りやすいと思うのですが、少なくともいま問題になっておるいろいろな大商社なんかの使途不明金、この使い道というのは質問の中のきわめて中心的部分ではなかろうか。ただこれだけの金額を支出したよということが中心なんであって、その使い道はどうでもいいということになるのかというと、むしろ調査に入ったときの主眼は、まさにその使途、それが損金に落ちるかどうかというところが中心で調べに入るんでしょう。だから、いわば中心的な質問を断られたわけですね。それでも、それは一部だ。つまり、使途不明金というのが一年間に一回だけあった場合、三百六十四口目分の帳簿なんか見たってしょうがないですね、ある意味では。それは繰り越しなんかで合わせる都合があるかもしれないけれども、一項目一項目全部当たる必要はない。その項目さえ当たればいい。問題は、それがどんな使途であるかということが問題になるわけで、それを調べにくいんだと思うのですね。だから、まさに質問検査の中心課題について協力が得られなくてもそれは一部であると判断される、それでもいいんですね。

西野襄一国税庁調査査察部長

○西野政府委員 法人の調査に当たりまして、その調査対象といたします事項というのはいろいろ範囲が広うございまして、その損益の帰属の状況がどうであるのかというようなこともございますし、それからまた、利益なり経費なりとして計上されて、いるものが真実のものであるのかどうか、こういった点について調査を進めていく、その中の一部といたしまして、その使途を明らかにしないで経費として計上されているものが一部出てまいります。そういうふうな使途不明金について、先ほど来説明申し上げましたような処理が行われるということでございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 いよいよ時間が迫ってまいりましたので、ここで押し問答ばかりしているわけにはいきませんけれども、たとえばさっきちょっとおっしゃった利益の帰属といいますか、この点も調べなければいかぬ。ですから、いわゆる大商社がロッキード問題や何かでいろいろな問題が出てきまして、相当の金額を支出しているのじゃないか。まさに中心的課題だろう。しかも、その利益の帰属なるものについては使途不明だったらわからぬわけですね。ただ、本人がいわば自白といいますか、おれは税金をかけられてもしようがないという点でとまってしまうけれども、本当は別な人が相当所得しているのは隠れているわけですね。だから、利益の帰属という点でも非常に問題があるというふうに思います。これは指摘しておくだけにとどめます。  最後に、時間が来ましたので、ちょっと早口で申し上げますけれども、「税務運営方針」を見ますと、「納税者と一体となって税務を運営していくには、税務官庁を納税者にとって近づきやすいところにしなければならない。」それから「親切な態度で接し、不便を掛けない」、いろいろなことが書かれております。これは御存じだと思うのです。  ところで、福島県の郡山市の場合に、ある税務署員が下請業者を調査するに当たって、親事業者に対して、帳面を見せるように言ってくれないかということを言ったのです。下請業者は親会社から呼びつけられて、税務署の調査を受けるようでは取引関係を打ち切るとか、税務署の言うことを聞けと言われておる。それで、親会社を利用したこういうやり方は悪らつだという批判がありますけれども、この点どうかということであります。しかもこの場合は、調査した結果何にも出てこなかった。まさに内部で言う是認だ、こういうことがあったのですよ。  それからさらに、千葉県の松戸税務署の場合、調査に協力しないと反面調査に踏み切るとはっきりおどかしている。ところが、そのときはすでに反面調査をやっていた。これから反面調査をやるぞと言ったときは、まさにこれは納税者に対してうそをついたわけであります。  「税務運営方針」の十三ページを見ますと、信頼されるようにしなければいかぬ、こういうことが麗々しく書かれておるわけでして、念のためにそこを読んでみますとこういうようになっておるわけです。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 安田君、申し合わせの時間が来ましたので、結論に入ってください。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 はい。  「信頼と協力を得るためには、日々納税者に接する職員が、ただ単に税務の専門家であるだけでなく)人間的にも信頼されることが要請される。」ところが、協力してくれなければ反面調査に踏み切るぞ。言っておる時点ではすでに反面調査をやっておった。それは後からわかったのですけれども、これでは人間的信頼を受けられないと思うのですが、もう時間が来ましたので、この二問、郡山のケースと松戸のケース、これは適当な税務調査と言えるかどうか、ひとつ伺いたいと思います。

藤仲貞一国税庁直税部長

○藤仲政府委員 反面調査の必要性については申し上げるまでもなかろうかと思いますが、その実施の仕方についてはいろいろな考えがございます。下請業者の調査の場合に、特に納税者本人の協力が得られないような場合、あるいはまた納税者本人の調査だけでは正確を期しがたい場合に、その取引系列の親会社と申しますか、元請業者と申しますか、そういうところに反面調査をすることもございます。  いま御指摘の二つのケースにつきましては、私はただいま初めて伺ったような次第で、具体的な事実を承知いたしておりません。これは調査をいたしました上で別途御報告申し上げたい、かように考えます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 これで終わります。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 最後に、川崎寛治君。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 第二分科会の最後の締めくくりの質問をしますので、大蔵大臣も大変御苦労さんですけれども、しばらくがまんしていただきたいと思います。  午前中に引き続くわけでありますが、昭和二十七年に証券取引委員会を廃止して権限を大蔵省に移したわけですね、この理由を明らかにしてほしいと思います。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 昭和二十七年に証券取引委員会が廃止されまして、当時の大蔵省理財局に吸収されたわけでございますが、当時は戦後いろいろ創設されました行政機構についての再検討、見直しということが行われたときでございまして、証券取引委員会だけではなく、戦後いろいろできた組織というものの廃止あるいは改正というのが行われております。  それは、一つには行政機構の簡素化が中心であったと思いますが、一連のそういう行政機構の問題として処理されたというふうに理解しております。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 それは、二十六年の政令諮問委員会によって、戦後あった独立の行政委員会が非常に大幅に整理をされて、簡素化されたということは行政組織上の形であって、旧法の証券取引法百六十五条で定められておりました証券取引委員会を廃止したという理由、証券取引委員会を廃止して証券取引審議会というのが同じく百六十五条で新しく起こされるわけです。ところが、この証券取引審議会と取引委員会が大変違うという点です。それが先般の総括質問でも議論になった点です。今後また検討しなければならない原点になってくるわけです。  それで、旧法の百六十五条によります証券取引委員会というのは、この法律の目的を達成するため大蔵省の外局として証券取引委員会を置く、こうなっておるわけです。つまり、この法律の目的は変わっていないわけですね。「国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資するため、」云々、こうなっておるわけです。ところが、新法によります改正によります百六十五条の証券取引審議会は、この一番大事な「国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資するため、」というのが外れるわけですね。それを削除をして後の「有価証券の発行及び売買その他の取引に関する重要事項に関し調査審議させるため、」云々、こういうふうになるわけです。つまり、そこに行政機構改革ということで戦後ありました取引委員会が廃止をされて証券取引審議会になるわけでありますけれども、今日の情勢からしますと、大変権限を弱めたことによってたくさんの問題が起きておる、こう思うのです。戦後の二十三年の制定以来これまで二十回近い法改正が行われております。しかし、昭和四十年の証券会社の経営監督強化、それから四十九年の開示制度の強化、二十回を超します改正の中で、この二回を除いてほかは全部規制を緩和する方向で改正が行われてきた、こういうふうに思うのですが、いかがですか。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 昭和二十七年に証券取引委員会が廃止されまして、大蔵省の理財局に吸収され、現在証券局になっておるわけでございますが、証券取引委員会と現在の証券局の違いは、証券局は大蔵省の設置法に基づく機関である。証券取引委員会は、たとえば現在の公正取引委員会のような独立の行政委員会であるという面においての違いはございますが、ただし当時の証券取引委員会が所掌しておりました事務、権限、それと現在の証券局の事務、権限というのは本質的には差はございません。これはその点についての証券取引法の改正はしてございません。さらに、証券取引委員会が廃止されましたときに証券取引審議会が設けられたのでございますが、証券取引審議会は証券取引委員会にかわったというものではございませんので、これは先生御承知のように大蔵大臣の諮問機関でございますから、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。それから、先生御指摘のように戦後数回にわたって証券取引法の改正が行われておりますが、主として緩和の面で改正が行われたという御指摘の点は、恐らく昭和二十八年の改正ではないかと思います。このときは、戦後立法された一連の法律の見直しというのが行われた過程におきまして、その中の一環として行われたわけでございますけれども、そのときには確かにディスクロージャーの面での緩和がかなり行われております。ただし、昭和四十九年の改正でそれを補い、さらに強化した改正をしておるわけでございますが、先生御指摘のように、強化の方向での改正は二回でございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 そこで、きょうは非常に時間がありませんから、これはいずれまた改めてやってまいりますけれども、先般の総括質問の際のいろいろな議論の行き違いというものは一遍整理をしておかなければいかぬ、こう思いますので詰めておきたいと思うわけであります。つまり、どこかといいますと、大蔵大臣が、日本とアメリカは法律制度が違うのだ、SECの場合と日本の場合は違って、会社の財務関係書類を常時チェックしておるわけでございますけれども、特に不正を摘発するという立場でやっておるわけではございません。そしてアメリカの場合は、ここが問題なのですね、衡平法の立場から証人喚問をやり、証拠その他の資料の提出を強制的に求める、これは私は間違いだと思うのです。つまり衡平法に基づいて証人喚問をやっているのじゃなくて、つまり実定法であるアメリカの証券取引法並びに連邦の証券関係法があるわけですから、実定法に基づいてやっておるわけですね。ですからここのところは、またたとえば後で東洋経済の経団連の諸君の言い分等もありますので、今後の問題として整理をしておきたいと思うのでありますが、ここの衡平法の立場から証人喚問という点は私は間違いだ、こう思いますから、この点は明らかにしておきたい、こう思います。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 予算委員会におきまして、大臣の御答弁の後で私が法律的なことは御説明したと思いますけれども、アメリカのSECの調査権限、それは先生御指摘のようにアメリカの一九三三年証券法に規定がございます。それは証人の召喚あるいは証拠の提出、さらには開示を求める裁判所への命令の申し立てというのがございますけれども、それを受けた裁判所がそれに基づいて判断を下します場合に、アメリカでは衡平法、エクイティーの法体系がございますから、それに基づいて裁判所が判断している。それがSECの権限を行使するバックアップをしているということでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 それなら正しいわけです。ですから、衡平法の立場から証人喚問というのは間違いだ。そのことは一遍きちんとしておかぬと、だからアメリカの制度と日本の法制度が違うから、日本では独立の行政委員会はできぬのだという短絡した議論になって受け取られがちなのです。いや、受け取られておると思うのです、この間の答弁からしますと。ですから、大臣の口からそこを明らかにしていただきたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 言葉足らずと申しますか、舌足らずで誤解を招いた点は訂正いたします。ただ川崎さんに申し上げておかなければいかぬと思いますのは、こういう準司法的な検察官的な仕事をやる性格を持っておるのは、一つは、向こうは対外不正取締法がございますね。あるいはまた政治献金の規制法があります。それの番人だというような長い、長いといったってもう大分長くなりますわ、伝統的な立場からいまのような検察官的な仕事ができたのだろうと思いますけれども、日本の場合の証券取引委員会はそれがないわけです。それは本質的に違う。それは大蔵省にそのまま持ってきたわけですけれども、それでは大蔵省の証券局にいまのような検察官的な仕事をやらせるかというと、ちょっとそれは一般行政になじまないものですから、そこで今後この問題をどう片づけなければいかぬかなということでいろいろ検討しておる段階でございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 エクイティーの問題は、確かに社会正義を貫いていくということで、アメリカの性悪説というか、日本の場合には性善説だとかいろいろ議論の仕方もありますけれども、そうした社会正義というものを貫いていく、そういう面での衡平法の伝統というものがバックにある。それが実定法であります証券法に基づいたSECのいろいろな活動というものを地方裁判所において進めておるし、バックにしておる。それが判決が出なくてもお互いの話し合いに持っていき、同意審決とかいろいろなところに持っていって解決をしておる。つまり司法裁判所的とか裁判で決着をつけるというだけの問題ではなくて、そういうものを背景にして進めておる。だからそういう裁判所の衡平法の伝統というのが補助救済の面をより強めて、柔軟なものにさせておるという点は私は違う点だ、こう思います。でありますから、では今度いまの証券行政で果たしていいのかということになってくると、大臣も大変残念に思う、こういうことも言っておられるわけでありますから、どうしても法律改正あるいは制度の改革というものに持っていかなければならない、こう思うのです。その場合に、これは東洋経済に出ております経団連の国際海事制度研究会議の座長をしている吉井さんという人の対談を読んでみて非常に残念に思うのです。といいますのは、国会の論議が短兵急過ぎるということで短絡をした受け取り方をしているわけですけれども、私も決してそんな単純な議論をしておるつもりではないのです。ただ、時間がありませんから十分の議論は進んでいないかもわからないけれども。何が残念かといいますと、先ほど安田委員から使途不明金の問題について国税庁に対する、査察部長に対する質問もございました。要するにいまの簿外資金の問題あるいは政治家への不正な支払いの問題、そういう問題等が、ロッキード事件、グラマンさらにはダグラスというふうな事件の中でいま大きな社会問題になり、政治問題になっておる。そのときに巨大企業が、これは会社制度全体の問題もありますし、会計制度やあるいは監査基準の問題や、午前中の話を聞いておれば公認会計士に全部責任をなすりがちの議論になりますけれども、そうでなくて、これは非常に大きな日本の経済風土の問題もあると思うのですけれども、その場合に経団連の諸君がいま問われておる、社会的に問われておるものにみずからどうこたえるかという姿勢がなくて、ただ制度が変えられたら大変だというふうな観点からの対応の仕方をされると私は大変残念だと思う。だから一言でもいいからそういう姿勢がなければならぬ、こう思うのです。そしてさらにぬけぬけと、私に言わせたらぬけぬけなのですが、商法改正などほかにやることがある、こうなっていますが、四十九年商法改正のときに、監査制度の強化の問題等について骨抜きにするために猛烈に反対をしたのは経団連の諸君なんですから、そういう意味で国会としては最高の議決機関ですから、この点については国民の負託にこたえる制度の改革を進めなければならぬ、こう思います。  そこで、アメリカと日本と制度が違うから、独立の行政委員会というふうなものは避けたいという答えが大平総理にもあるわけでありますけれども、このことはこれから検討する中で詰めていかなければならぬ問題だろう、こう思います。そういたしますと、つまり金子大蔵大臣はいま答弁を訂正をしましたから明らかになってきたわけでありますが、アメリカは衡平法だ、日本は違う、だから独立のSECのような行政委員会はできぬのだという議論ではない、こういうふうに理解していいですね。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 そういう意味で私申しているわけではございませんで、単なる昔の、昭和二十何年にあった証券取引委員会を復活しただけでは意味がないんで、いろんな不正を摘発をするような体制をとるためには、ある意味において検察的な、検察庁の仕事ですよ、そういうものをつくるためには相当膨大な人員も要りまするし、権限もやらなければいけませんし、それでねらいをどこに置いてやるのか、刑法に触れる問題を全部やるのか、先ほど申しましたような対外不正取引だとか政治献金にねらいをしぼってやるのか、そこら辺の詰める問題があると思うのです。そういったことはいまの証券局でやれることではございませんので、これは一体どこでどういうような機構でやるようにしたらいいのか。いまのままほっておくわけにはまいりませんから、そういう点、大変やっかいなむずかしい問題でございますけれども、こういう状況でございますから真剣に考えていかなければいかぬ、こういう気持ちでおるわけでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 どこでやったらいいかわからぬ、そこのところがこれからお尋ねしたい点なんですが、大臣も、今日の証券行政の立場でときどき不正の容疑があるということで立入検査をし、証拠を収集するというところまでいっていないことは大変に残念に思う、今後検討したい、また渡辺局長も、基本的には、会社の協力と会社にそれを強制していく手段がないと、実際問題としてなかなかむずかしい、こういうふうに言っておるわけです。そういたしますと、この制度の改革は、いま言われるように非常に広範な問題にかかってきますね。そうしますと、この検討は、つまりいろいろな制度の改革の場合に、当該局であります大蔵省が制度改革を提案をしていくという形の場合もありますね。これはこれと離れた一般論ですよ。そういう制度の改革については当然相当広範な専門家の意見等も入れて、十分な検討をしなければならぬと思うのですね。そうしますと、この検討はどこで検討することになるのか、それからどういう形で提起をしてくることになるのか、そういう点については大蔵省としていまどういう検討があるんですか。どこでやったらいいかわからぬといま言われたんで、答えはもうわかっているような感じもしますけれども、ただ、これからのプロセスとしてどう考えたらいいのか、どうしようとしておるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 これはやはり司法行政の一環ですから、法務省とも十分連絡をとりながら、そのねらいをどこに定めてどういう点のチェックをしっかりやっていくのか、そのためにはどういう部局、委員会を設けたらいいのか、そういうことではないのかと思います。当然私ども証券局が中心になって考えなければいかぬことでございますけれども、制度機構の問題ですから、大蔵省だけでできる問題ではございませんし、場合によれば、機構の問題ですから総理府もかまなければいかぬかもしれませんけれども、それよりも準司法行政の一環として考えるとすれば、法務省の物の考え方、いまの検察行政との関連の仕方、そういうことを十分連絡しながらやっていかなければいかぬと考えております。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 そうしますと、これは政令諮問委員会が行政機構の簡素化という中でやったことの繰り返しではなくて、いま言われたような権限の強化、そういう面での抜本的な検討というのが必要になるわけでありますから、大蔵省だけではない、いま法務省が中心になっております法制制度審議会も商法改正等いろいろ進めておりますが、当然またがるものだということになりますと、何か検討のための、制度改革のための審議会というものをつくってやらざるを得ないのじゃないか、こういうふうに私は考えます。つまり、大蔵省の証券局が中心になって——大蔵省だけでやれないということはもう大臣のいまのお答えで明らかでありますから、そういう方向で当然検討されると思いますが、ただ大変だ大変だということで時間をかけたんではいけないと思いますから、早急にそういう制度改革の方向をひとつ大蔵大臣が中心になりまして問題を提起をし、進めていっていただきますことを要望したいと思うのです。もう一度ひとつ大蔵大臣に答弁を求めたいと思います。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 それから肝心なことは、やはり調査のねらいをどこに置くのかということなんです。賄賂を一々各会社のものを摘発するのか、政治献金だけでやるのか、不正取引に及ぶのか、架空決算だけをどんどん摘発しろというのか、そこら辺のしぼり方も大変これは厄介な問題でございます。そういう問題を含めて、いま申しましたようなことで検討を早急にさせていただきたいと考える次第でございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎分科員 終わりますけれども、要するに戦後、行政委員会をつぶしていった過程、特に証券行政の面においてはやはり資本市場育成という点に重点があり、投資家あるいはさらには納税者、つまり今日の日本の株式会社の資本というのは、他人資本が多いわけですね。他人資本が多いし、その他人資本というのはまた銀行からの融資を受けておる、その銀行の融資というのは、銀行自身も自己資本がないわけでありますから、七五%は零細な預金者の預金である。そうなりますと、つまり、日本における行政委員会をつぶした過程の中における社会経済的な背景というものを考えますと、福祉社会を求めておる、福祉経済を志向しておる、そういう中では、社会経済的にも従来の考え方ではいけない、こう思いますから、当然に独立委員会等によります強い権限を持った機関ができなければ対応し得ない、私はこう思います。だから、この点については大臣はしますとかしませんとかという議論にはならないと思いますけれども、そういう方面で広範な検討を進めてもらいますことを要望して終わりたい、こう思います。

正示啓次郎自由民主党

○正示主査 これにて昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算中大蔵省所管についての質疑は終了いたしました。  以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段な御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後七時二分散会

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