予算委員会第四分科会 第2号
- 発言数
- 420 件
- 登壇者
- 41 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1979/02/28
会議録
○笹山主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。 昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算中経済企画庁所管について政府から説明を聴取いたします。小坂経済企画庁長官。
○小坂国務大臣 昭和五十四年度の経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。 総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁の予算額は、百二十二億一千四百万円となっており、これは前年度予算額に比べて六億七千九百万円の増額であります。 また、財政投融資計画につきましては、海外経済協力基金に係る分として二千三百一億円を予定しております。 以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。 まず第一は、経済政策の総合的推進に必要な経費でありまして、三十二億一千万円を計上しております。 この内訳の主なものとしては、景気の回復、雇用の安定、特に物価の安定が引き続き経済運営の重要な課題であるという観点に立ち、生活必需物資の需給、価格動向の監視、生活必需物資等の安定供給対策、物価に関する的確な情報の提供等を実施するとともに、各省庁の内外経済対策の総合調整と機動的推進を図るための経費として国民生活安定対策等経済政策推進費三十億円を計上しております。 また、長期経済計画の推進に一億一千万円、基本的経済政策の企画立案業務の充実を図るための経費として、一億円を計上しております。 第二に、国民生活行政の拡充及び物価行政の推進に必要な経費でありまして、三十七億八千百万円を計上しております。 この内訳の主なものとしては、研修、テスト施設の建設を推進するなど国民生活センター事業の拡充に三十三億四千七百万円、総合社会政策体系等の開発推進に七千四百万円、省資源国民生活改善促進に一億六千六百万円を計上するとともに、物価行政運営のための諸対策の強化等の経費として、一億九千四百万円を計上しております。 第三に、経済社会に関する総合的調査研究の充実に必要な経費でありまして、十七億五千二百万円を計上しております。 この内訳といたしましては、国民のすぐれた頭脳を結集して総合的な研究開発を推進するため総合研究開発機構の機能をさらに強化するための経費八億七百万円を計上しております。 また新たに、世界経済の動向予測に関する研究及び分析のための経費として四千百万円を、さらに経済研究体制の充実に四億四千九百万円、並びに新国民経済計算体系整備のための経費として一億六千四百万円、そして内外の経済、産業の動向に関する調査分析の拡充強化に二億九千百万円を計上しております。 最後に、海外経済協力基金でありますが、事業規模として、三千七百億円を計上しております。 これは前年度に比べて五百七十億円の増額であり、政府開発援助の三年倍増を目指し、発展途上国に対する経済協力の拡充を図っていくためのものであります。 その原資は一般会計からの出資金が一千百五十億円、資金運用部資金からの借入金が二千二百一億円、政府保証債が百億円、自己資金等が二百四十九億円となっております。 このうち一般会計からの出資金は大蔵省に計上しております。 なお、基金の資金調達の円滑化を図るため、借入金等の限度額の引き上げ、政府保証規定の追加等を内容とする海外経済協力基金法の一部改正法案を今国会に提出いたしております。 以上、五十四年度における経済企画庁の予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。 何とぞ御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○笹山主査 以上をもちまして経済企画庁所管についての説明は終わりました。 —————————————
○笹山主査 質疑に先立ちまして分科員の各位にお願い申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は的確かつ簡潔にお願い申し上げます。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
○井上(普)分科員 けさの新聞を拝見しますと、日銀当局は、景気はにこにこ顔になった、こういうことを発表しています。にこにこの上のにこは、何か昨年の暮れはにこになるし、ことしの一月から二月の状況を見ると、後のにこが言えるのだというようなことが書いてございます。 そこで、私はお伺いしたいのですが、景気回復につきまして福田内閣当時は、最初は産業の稼働率というのが非常に大きな問題になって、これが八六%を超えれば何とかかんとかということで、景気は回復したのだ、こうおっしゃっていたのです。昨年になりますというと、経済企画庁は、これは在庫指数が問題だ、こうおっしゃって、在庫指数が結局このように減ってきたのだからもう大丈夫だ、やがて明るくなるだろうというような見通しを述べられておった。どうも経済の回復を見る指数といいますか、基礎といいますか、基準というものが歴代内閣において変わっておるし、また、毎年毎年政治的にその基準というものを変えて、ともかく景気回復の指数を決めようとする傾向があります。 そこで、私はきょうはお伺いしますが、今度の国会におきまして、産業の稼働率の問題はともかく全然おっしゃらない。稼働率は一体どの程度に回復しておるのか、ひとつお伺いいたしたい。 それが一つと、その内訳といたしまして、構造不況産業としからざる産業とに分けると一体どういうような状況になっておるのか、この点をお伺いしたいと思います。
○宮崎(勇)政府委員 最初に稼働率の最近の動きでございますが、昭和五〇年を一〇〇にいたしまして、昨年の一月が一一〇・一というところでございましたが、その後若干下がりましたが、最近になりまして、特に去年の秋以降上昇してまいりまして、昨年の暮れ、十二月は一一五・二というところになっております。五十三年度全体としましては、大体平均いたしますから一一五より若干下がりますが、一二三程度というふうに考えております。いまのは指数でございますので、実際の操業度というものに換算いたしますと、産業別でばらつきがございますが、大体八二ないし八三というところだろうと思われます。
○井上(普)分科員 それで、稼働率がこのように上がって操業度は八二、三%。福田内閣の当時あなたはやはり役人をされておったのだが、そのときは一体どのくらいになれば景気が回復したといえるのだと言っておったのですか。
○宮崎(勇)政府委員 稼働率指数の計算の中にはいろいろ産業が含まれているわけでございまして、いわゆる設備を廃棄しなければならない不況業種もございますから、大体八五を超えるとその次の新しい設備投資が出てくるというような意味で一応一つの基準になっております。
○井上(普)分科員 それは稼働率でございますか。それは五十年を一〇〇として稼働率が八五ですか、どうなんです。
○宮崎(勇)政府委員 ただいま申し上げましたのは実際の操業度ということでございます。
○井上(普)分科員 そこで、それでは操業度がいま八二、三%、とてもじゃないがまだ設備投資には向かない、こういう考え方ですか。
○宮崎(勇)政府委員 現在のところはまだ製造業について設備投資が本格的に出てくるというような状況ではないというふうに考えております。ただし、昭和五十四年度六・三%の実質成長率が実現いたしますと、年度末、つまり来年の三月にはこの数字が八五程度にはなるだろうというふうに考えております。
○井上(普)分科員 操業度が八二、三%と言えば、これはやはり不景気であらなければならぬはずなのです。これは福田内閣の当時もそう言っておったでしょう。あのときは、いま稼働指数が八十何%——稼働率という言葉を使っていました。操業度という言葉は使っていなかった、そうでしょう。日本語というのははっきりさせなければいかぬですよ。政府の都合のいいようにぐるぐる言葉を変えながらやってこられる。このあれを見ましても、二、三年前のと比べてみますと、おたくの経済企画庁の言葉遣いでも違ったものを使っている。そこにごまかしがあると私は思うのです。ごまかしというよりは、国民にわからないようにさせるところがあると思う。やはり実際には、国民に十分実態を知ってもらうためには、言葉を同じものを基準にして論議しなければならぬと思うのです。ここらあたり、ひとつ今後御注意願いたいと思うのです。 それが一つと、あの当時経済企画庁も操業度八三%ということを盛んにおっしゃっていた。やがてこれが八五%ないし八六%になればともかくトンネルの入り口を越えるのだ、こうおっしゃっておったのですね。これは否定なさらぬだろうと思う。ところが、いまお伺いしますと、八二、三%しか操業度はない、にもかかわらず景気回復というのはできておる、もう日銀でもにこにこ顔になったんだ、こうおっしゃる。これは一体原因はどこにあるのですか。
○宮崎(勇)政府委員 ただいまの新聞の、景気当局がにこにこ顔であるということは私ども承知しておりませんが、昨年に入りましてから、昨年の四−六月から内需を中心に景気が回復してきているというふうに私どもは判断しております。 景気という言葉は、先生御指摘のように大変範囲が広うございまして、必ずしも操業度あるいは稼働率だけではなくて、雇用の状況もございますし、あるいは企業を中心にして考えますと、収益の回復というようなこともございます。総合的にはGNPの数字をとっているわけでございますが、それらのいろいろの数字を見まして、全体として上向いてきているというようなことから、景気が上昇に転じているというふうに判断しているわけでございまして、最近の数字を見ますと、GNPを構成します消費あるいは投資、いずれも七−九月に比べまして十−十二月の方が上向いているわけでございますし、そういう総合的な需要の拡大を反映いたしまして、生産指数も、たとえば七−九月は前期に対して〇・五%程度でございましたのが、十−十二月には二・四%に拡大するというようなことで、主として内需を中心に需要の拡大が見られる。そのような動きと関連いたしまして、物価の安定というようなこともありますし、円高の利益というようなこともありまして、企業の収益が回復しているというようなことが見られるわけでございます。しかし、景気全体ということになりますと、もっといろいろの指標を見なければいけないわけでして、たとえば雇用に関連する数字を見ますと、有効求人倍率は、このところ月々若干上がってきておりますけれども、失業者そのものは依然として、一番新しい月でも百二十万人を、季節調整の上で若干上回っているというような状況でございます。なお、内需につきましても、いろいろ持続性というようなことが問題でございますし、内需が回復しましても、外需の方が足を引っ張っているというような面もございますので、現在の景気は一応着実に回復過程にあるというふうに判断しておりますが、これで手放しの楽観と申しますか、にこにこ顔だというふうには私ども考えておりません。
○井上(普)分科員 いずれにいたしましても、福田内閣当時にわれわれに説明されておった、いわゆる景気、たくさん内容がありますし、景気なんという漠然とした言葉を使ったのは、これもまたはっきりしなかったのでありますが、いずれにしても、とにかく企業収益はどんどんと黒字になってきている。去年の九月とことしの三月の決算を見ましても、予測を見ましても、物すごくよくなってきている。恐らく四十七、八年の企業収益よりも上回るだろうという予想すらある。これは、企業の景気は回復したのだけれども、企業の景気、すなわち企業の収益は回復したんだ、さらに上回ってきているのだ、こういうことは言えると思うのです。しかし、操業度は片一方では八二、三%、こういうことになれば、減量経営をやった、その結果としてあらわれてきておるのじゃないか。すなわち、失業者をたくさん出すことによって企業の収益が回復したということは言えると私は思う。これは否定できないと思うのであります。 しかし、これだけの収益が回復しておりながら、しかも操業度は八二、三%、片方においては、もう皆さんも御承知のように、石油化学製品なんかは不足ぎみであることは間違いない。あるいはまた、棒鋼にいたしましてもこれまた不足ぎみである。あるいは合板にしても不足ぎみである。あらゆる面において——きのうかおとといの週刊誌を見ますと、もうすでにトイレットペーパーであるとか洗剤であるとかの買い占めが行われているというような記事すらも出ているのです。とするならば、人員が不足で、いま操業度を満杯にすることができない企業ができてきているのじゃなかろうか、こう思うのですが、どうでございますか。
○宮崎(勇)政府委員 企業の収益が回復してきておりますのは、先生御指摘のように、企業が減量経営ということに非常に努力をしたということが大きな原因でございますが、そのほかに昨年は金利が非常に低下して、企業の負担が軽くなったというような面もございますし、それから円高によって原材料の価格が非常に安定していたというようなこともございます。いずれにしましても、企業の収益が回復してきているわけでございますが、最近、景気が回復するとともに、御指摘のように若干の物資については、需給がかなりタイトになってきて、したがって価格も強含みになっているというようなものもございますが、総体としましては、先ほどから申し上げておりますような操業度の状況でございますし、需給面からだけで物価が上昇するというようなところまでは必ずしも行っておらない。むしろほかのいろいろの要因によって、物価がやや警戒的な状況になっているわけでございまして、その点は、今後さらに需給が逼迫と申しますか、需給がだんだんタイトになるということと関連して、十分に注意していかなければいけないというふうに考えております。
○井上(普)分科員 あなたは需給ということばかりおっしゃりますが、それじゃ在庫指数はどうなっておりますか。
○宮崎(勇)政府委員 在庫はいろいろの段階でつかむことができるわけですけれども、一番早い在庫統計は、製造業の製品在庫指数でございまして、これは前期比で見ますと——前月比でもよろしゅうございますが、昨年の一月以降大体九月ごろまでは少しずつ減っておりまして、その後十月、十一月、十二月と少しずつふえております。数字で申し上げますと、三カ月ごとでくくりますと、四−六月がマイナス一・七、七−九月が同じくマイナス一・七、十−十二月がプラス〇・五ということで、昨年の暦年でいわゆる在庫調整というものはほぼ完了して、若干のものについて積み増しが行われているというふうに考えます。
○井上(普)分科員 私はいま、宮崎さん、あなたのお話を承って、どうも企業がフル操業をしていない、フル操業を事実できるのだけれども、需要はあるのだけれどもフル操業をしていない、あるいは稼働率を上げていない、その原因はやはり、余りにも人員を減量し過ぎたところにあるのじゃないだろうかという気がしてならないのであります。 実際問題としてあるのですよ。石油化学がそうじゃないですか、現在。繊維関係もそうでしょう。人員を減らし過ぎたために、首を切り過ぎたために、景気が回復してひとつ生産を高めようと思っても、人間がいないために操業度が上がらないという業種がすでにあらわれてきているのでしょう。これに対して適切な手を打たなければならない。それがまた雇用創出にも大きな意味が出てくるのだと思うのです。私はそう思う。学者の宮崎さん、どうです。
○宮崎(勇)政府委員 一部の産業におきまして、需要の回復がかなり急であったという点から、そういう対応がにわかにできないという部面があるということはございますけれども、全体として見れば、先ほど申しましたように、労働力におきましても設備におきましても、なお、稼働率が低い、あるいは過剰労働力があるということでございますので、その点の生産の対応というものは、マクロとしてはできるというふうに考えております。ただ、一部において、減量が非常に急速に行われたために対応できない、それは労働時間の延長ですとか、あるいは臨時工というような形で対応しているという点もあると思いますけれども、全体としては、労働力がネックになって生産ができないということはないというふうに考えます。
○井上(普)分科員 それは宮崎さん、実態を知らないからです。一、二、三、四、五の機械がある、その五番目はともかく休ませておる、さあてひとつ景気がこういうようによくなったんだから回そうと思っても、五番目の機械が回らないのですよ、人数が足らなくて、労働力が足らなくて。そういう現象が起こってきているのですね。 一部ではそれは、構造不況産業は、回復しろといってもちょっとむずかしい。これが足を引っ張っておることは、全生産業における稼働率が下がってきておる大きな原因はここにある。しかし、他の産業においてはもうすでに上向いてきて、労働力が不足の現象になってきている。しかもそれは、あなたの言うように、時間外の労働あるいは臨時工を使っても、一つの機械を遊ばせておるのですから、それで賄い切れなくなってきている。そういう現象がもうすでに繊維産業におきましても、あるいは石油化学におきましてもあらわれてきているのじゃないですか。 そんなことをやっておれば、あなたはいま需給関係には心配ないとおっしゃいましたけれども、やがてまた起こってくるのじゃないですか。これが週刊誌で言う、もうすでに買い占めが始まっているなんという、私はそうは思いませんけれども、記事になってあらわれてくるのじゃなかろうかと思うのです。どうです、大局的に長官のお考え方はいかがでございます。
○小坂国務大臣 井上さんのただいまの御指摘は、やはりわれわれがマクロの問題だけを取り扱っておるところの盲点かもしれません。したがいまして、先般来幹部の諸君に、各地に行ってとにかく各地の実情を聞いたり話をしたりというようなことで、やはりマクロとミクロの格差、これはいい場合と非常に悪い場合と二つあるわけでございますから、いま御指摘のような点について、実態を明確に把握することが非常に大事だと思っておりまして、今後もそうしたことを十分検討しながら、雇用の拡大ということにわれわれも大いに努力してまいりたいと思っております。
○井上(普)分科員 失業者が百二十万人に及んでおる現在、こういうように一部好況の産業で労働力が不足というようなのがもうすでに出てきているのですね。これらに対して措置することが雇用の創出にもつながるゆえんだと私は思う。これらの配慮があってしかるべきだと思うのですが、どうでございます。そこらあたりについて御所見あるいは方針をひとつ承りたいのです。
○小坂国務大臣 実は私も、労働力が非常に不足して生産が間に合わないという事例を詳しくは存じません。ただ、愛知県に二、三あるということだけは聞いておりますが、その程度でございます。先ほど井上委員からの御意見ございましたが、やはりそうしたような問題について十分われわれも、まあ政府全体があらゆる面で実情を把握しながら対処するということが、一つには雇用問題に欠かせない大事な点だと思います。同時にまた物価問題等についても欠かせないことだというふうに考えまして、今後、大いに努力してまいりたいと思います。
○井上(普)分科員 何を言いましても、いまは失業者、雇用問題というのが最大の、日本の経済にとっては重要な問題であります。しかも企業はこれだけ高収益を上げておる。ですから、もう減量じゃなくて、増量経済に転換させるような御配慮をひとつ願いたいと思うのであります。 そこで、続いては物価の問題でありますが、やはり物価も強含みになっていることは御存じのとおり。卸売物価がえらい高くなったようなことが指数であらわれていますが、その原因は一体どこにあるのでございますか。
○藤井(直)政府委員 卸売物価が十一月から上昇に転じておりまして、月別で見ましても、十二月に〇・六%、一月に〇・六%でございます。 この上昇の要因を分けて見ますと、海外要因と国内要因とに分かれるわけですが、十二月で見ますと、〇・六のうち海外要因が〇・四、国内要因が〇・二でございます。それから一月につきましては、〇・六のうち海外要因が〇・三、国内要因〇・三、そういうことでございまして、海外要因の中ではレートが円安になってきているという傾向、これがまず海外要因の上昇の一つでございます。それからもう一つは海外の物価高、要するに輸入品の価格が上昇するということで出てきているのがその次でございます。国内要因につきましては、海外要因で上昇した、要するに輸入品の価格が上昇して、それが国内に波及してきているというものも一部入ってきております。木材が上がって合板が上がるというようなものは国内要因でございますけれども、実は海外要因からの波及であるということになります。 それから、純然たる国内要因としますと、一部で需給が改善されてきたことによって上がってくる部面、これはさっきちょっと御指摘になりましたような建設資材の中にそういうものがございますし、それからもう一つは、トラックの過積み規制の強化によってコスト的に上がってくるということでございまして、したがって、国内要因には需給要因とコスト要因と両方あるということでございます。 大体現状ではそういうふうな卸売物価の上昇の内容が取り上げられるわけでございます。
○井上(普)分科員 そうしますと、国内要因はこれで大体落ちつくと考えていいわけでございますか。そう考えられておるわけですか。
○藤井(直)政府委員 国内要因の中にかなり海外からの要因の波及があるということでございまして、こういうものは残るだろうと思います。 それから、需給要因につきましては、需要の増加に応じてできるだけ生産をふやしていくという対応が必要ではないか、そういうふうに考えております。したがいまして、昨日閣議に報告しました総合的な物価対策の中でも、重要な資材、物資については、その価格や需給の動向をよく見て、そして必要に応じ供給を確保して価格を安定させるということを第一に挙げているわけでございますけれども、それにつきましては、基本的には需要の拡大に応じた供給の増大、さらには備蓄の放出というような措置を行うことによりまして価格の安定を図ろうということでございます。 当面、国内要因はどうなるかということについての見通しは非常に困難でございますけれども、方向としてはそういう方向で対処していかなければならないと考えております。
○井上(普)分科員 これは物価が非常に大事であるし、またすべての基礎は物価にあると私は思いますので、卸売物価につきましてお伺いしておるわけなんですが、先ほどおっしゃいました海外要因の国内に及ぼす影響というものは、これはなかなか消すわけにはまいらないと思います。 しかし、おっしゃるドル高が、わずか十円やそこら上がったところでそんなに直ちにぴんと響いてきているとは私は思えない。現に、円高になったときに卸売物価が二、三カ月ですぽっと下がったということはなかったのではないですか。どうもこの円高によって、海外要因の一つに挙げられて二カ月で一・二%も上がったうちには、円高のところが及んできているというのは私には考えられないのであります。 しかし、国内において需給のアンバランスによって上がってきておる典型的な例は、これは建設資材であります。建設資材が昨年の十二月あるいはことしの一月から、セメントにしましても木材にしても小形棒鋼にしてもどんどん上がってきておるこの実態、海外における木材の価格が高くなったからということは、これは一応合板産業なんかではわかりますけれども、それまでにはかなり安いものがあったはずなんであります。これがにわかにこういうように高騰をしてきた理由というのは私にも納得いたしかねる。公共事業がにわかにぼっと出てきたのかといいますと、それも私も納得できない。ここに前の建設大臣がおられたのだが、官公需の発注がもう九月現在においては八十数%にまで進んでおる。こういうようなことからすると、建築資材がこのように十二月から上がってきたことについてはどうも納得いたしかねる面がある。しかも、恐らく東北地方は、豪雪地帯は、ことしは雪が少のうございますけれども、冬の間は官公需というのはほとんどストップしているのであります。これはやはり思惑投機というのが動いているのではなかろうかという気がするのでありますが、どうでございますか。時間が参りましたのでこれで質問をやめますが、どうも投機が、仮需要が入ってきておるように思われてならないのであります。御注意を十分にしていただきたいと思うのですが、どうでございますか。
○藤井(直)政府委員 建設資材の中でも鋼材が上がってきたのは、輸入鉄くずが上がったということがどうも非常に大きな影響を持っているようでございます。 それから木材については、米材、南洋材、北洋材ともに産地の価格が非常に上がっているということが大きな原因ではないかと思います。 そこで、いまおっしゃった仮需の問題ですが、合板の一部にどうも仮需といいますか、在庫手当てが非常に進んでまいりまして、その部面からの需要拡大があったことは事実であるようでございます。それで合板について、農林省の関係の法人で備蓄をいたしておりましたのを一月の末に放出をいたしました。それが放出しまして、その後合板価格は鎮静しております。そういうようなことで、備蓄の放出等が非常に効くということの背景には、そういう将来の値上がりを見込んだような投機的な動きがあったかもしれませんが、現状はそういうことで落ちついているわけでございます。 その他の物資についての動きとしては、いまのところそういうような動きがあるというふうには私ども伺っておりません。
○井上(普)分科員 これで終わりますが、物価高の現在、国民が使っておる海外からの生活物資というものはものすごく高い、これはもう皆さん御承知のとおり。一ドル三百円あるいは四百円ぐらいに匹敵するのではないかというような気がするぐらいだ。この上へもってまいりまして国内の物価がさらに上がってくるという、これこそ国民生活はたまったものではありません。なお一層の御努力を強く要求いたしまして、質問を終わります。
○笹山主査 これにて井上普方君の質疑は終了いたしました。 佐野進君。
○佐野(進)分科員 私は海外経済協力の問題について質問をしてみたいと思います。 この所管は通産省あるいは外務省、経済企画庁とそれぞれの省庁があるわけでございますが、主として海外経済協力基金を担当する庁である企画庁に対して、特に長官に対して若干の質問をしてみたいと思って通告したわけです。 まず第一に、政府は今国会に基金法の一部改正として、資本金の三倍に借入金の限度額をふやすとか、副総裁を置くとか、それぞれ所要の規定の改正を行うということにしておるわけでありますが、海外経済協力は、ここのところ日本の経済力の増大に伴い飛躍的に増進をしつつあるわけでありますが、その情勢については、私どもは、海外との経済摩擦を解消し、後進国の開発を援助するというような観点において、極力これの推進に理解を持っておるわけです。したがって、そういう意味において、政府のいまとられつつあることについても、私どもはそれぞれの問題について、個個の事例については批判があるとしても、大局的には理解を示すという立場に立っておるわけでありますけれども、政府は当面する開発援助、三カ年についてそれの倍増ということで全力を尽くしておられるわけでありますが、これらの問題について、まず原則的に長官から、基本的な考え方を含めてひとつ御説明をいただきたい。
○小坂国務大臣 政府の開発援助ということは、私は、委員の仰せられるとおり、非常に日本にとって現在大事な政策であるという認識でございます。したがいまして、前内閣が五十二年度を出発点として三年間倍増というプログラムを公表しておるわけでありますが、われわれもそれを踏襲してまいるわけでございまして、五十三年度においては六千三百五十四億円、GNPに対して〇・三という程度のところまでいく予定でございます。さらにこれを、今回いろいろと国会の御審議をいただいて成立させていただくならば、五十四年度におきましては七千二百十七億円、対GNP〇・三一と、わずかでございますけれども、それを実現をしたいと思っておりまして、こうした体系の中から五十五年までには公約いたしました三倍増は必ず実現するという方向で進ませていただきたいと思います。
○佐野(進)分科員 私は後で具体的な質問を一つしてみたいと思っておるのですが、いま大臣からお話のございましたように、今年度は六千三百五十四億円、さらに来年度は七千二百十七億円と増加をしていくということで、それぞれ対応をしておられるようなわけでありますが、海外協力といえば、結果的には、基金法の中にも示されておりますように、東南アジア等にその業務の中心が置かれておるわけでありますけれども、実質的には世界各方面にそれぞれその協力が及んでおるわけでございます。しかし、そういう面において東南アジア向けに経済協力をするという、基金が設立された当時の条件を背景にしてそのようなことが行われておるわけでありまするが、ブラジルのウジミナスであるとか、その他アフリカであるとか、世界のそれぞれの地域についても行なわれておるわけでありまして、そういうような条件の中で、近年本来の目的である東南アジア地域、いわゆる基金法に示されておる東南アジア地域のシェアが若干低下をしているのではないかというような批判もそれぞれ聞くわけであります。もちろん、低下をしておることについては理由があるし、私は何も東南アジアだけにやれということではございませんが、この基金法の目的の中にある条項に照らし合わせて、若干その点についての手当てが薄くなっておるのではないかということについて、本来法律の制定当時における意味合いが薄れたのか、あるいは政策上そういうような形になってきておるのか、この点はこれから審議をする上に重要でありますので、大臣の見解、もし必要があれば局長の見解でも結構です。
○小坂国務大臣 われわれは決して東南アジアに対するシェアを減らそうと思っていたわけではないのでありますが、委員も御承知のような、過去においてはいろいろないきさつもございまして、やや低下しているという印象を与えております。われわれといたしましては、今後はやはり地理的にも一番近い、しかもまた、東南アジア諸国との関連というものを非常に重視してまいりたいと思っておりますので、こうしたシェアの面におきましてもできるだけアップターンと申しますか、拡大する方向でプロジェクトを考え、協力を進めてまいりたい、このように考えております。
○佐野(進)分科員 東南アジアと一口に言っても、ベトナム、カンボジア等の実情、あるいはラオス、さらにはタイ、マレーシア、それぞれの地域の政治情勢等々がきわめて複雑なものであることは、私も否定するものではないわけであります。しかし、海外経済協力ということについては、それらの実情を踏まえながらそれらを行っていかなければならぬし、とかく現段階においては政治絡みというか、そういうことを度外視してはなかなか行い得ない情勢であるわけであります。しかし、そういう情勢であるとはいいながら、これまたわが国の国益に合致した面において政策としてこれを強力に推進していかなければならないということになるわけでございまするから、いま私が質問申し上げましたその意味は、基金法との関係の中でシェアが落ちつつあることはどういうことかということでありまして、落ちたこと自体がいけないとかいいとかいうことを言っておるわけではないわけであります。 私はそういう意味でこれから若干の質問をしてみたいと思うのでありまするけれども、いまわが国の経済が置かれておる条件の中で最も重要な問題は、エネルギー問題、特に石油の問題であろうと思うのであります。石油をどうやってその量を確保するかということは国を挙げての問題であり、特にその問題の発展する経過の中では、かつてのオイルショック等に見られるような、高物価を初めとするいろいろな害が政治、経済の面にあらわれてくるような形になっていったわけであります。そこで私は、現段階の中で最も重要な政策課題は、何といってもイランの政情の安定、それに基づくところの石油の輸入をいままでどおり確保する、それに対して全力を尽くしていかなければならぬと思うわけであります。しかるに、現在のイランの政情は、御承知のとおり、いまだなお安定する兆しが見えず、その方向については、わが国との関係において将来重大なる問題を惹起する要件が多々見られるわけであります。そうした場合、イランに対するところの経済協力、援助、現政権、いわゆる新しくできた政権を承認したという情勢の中で、この政権に対してどのように対応しながら、それらの経済的な協力を行う中でわが国の利益を守っていくかということは重大な課題であろうと思うわけでありまするが、大臣はそのことに対して、経済協力の観点からどのように判断されるか、ひとつ見解を承っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 政府の行います経済協力あるいは援助は、必ずしもわが国にとっての資源の確保ということだけでいけるものでもないのじゃないか。やはりその各地域の民生の安定ということが基本的に重大なことでございまして、そうしたことを別にさらに忘却するということもできないと思いますが、わが国の現状の資源状態から見ますと、やはり資源の確保ということは、国益と申しましょうか、そうした面からきわめて重大な関心を払わなくちゃならぬ。御指摘のようにイランの現状につきましては、わが国は率先新政権を承認いたしましたが、なお経済的な安定への過程は相当まだ長期を要するのではないかという見方もございますし、また現在の政権がきわめて安定的であるという判断もございます。しかし、いずれにいたしましても、イランと日本の関係というものが、もしもイランの国内の正常化が一日も早く達成されて、従来のように日本に対する石油の供給が再開されることをわれわれといたしましては大変期待をいたしておりますから、そうした意味でのイラン側からの何か具体的な要請があれば、それに対してこたえていくということは、われわれ内々で話し合っているところでございます。
○佐野(進)分科員 私は、イランとの協力の中でいま一番問題になっているのは、いわゆるバンダルシャプールの石化事業プロジェクトの建設だと思うのであります。これについては、昨日の分科会で、園田外務大臣も積極的な発言をしておられます。私は、このことが行えるか行えないかということが、石油の量を確保するという意味においても重要な意味合いを持っているような感じが政治的にするわけです。したがって、この感じが政治的にするということと関連をして、政府がこれに対して、園田外務大臣が経済協力という視点の中で行った答弁と関連して、最も重要なネックになってくることは、要するに経済企画庁が担当する経済協力基金がこれにどう対応していくのかということになろうかと思います。昨日の答弁あるいは通産省の見解等々をわれわれが判断したとき、そういうことになっていこうと思うわけであります。そうすると、経済協力基金がこのプロジェクトに対して、いわゆるナショナルプロジェクトとして位置づける形の中で、これを基金の対象業務として指定することが必然的に必要になってくる、そうせざるを得ない、こういうように判断されるわけであります。かつてウジミナスにおいて行ったと同じような経過の中でこの基金の活用がどうなされていくのか、ひとつ大臣の見解を聞いておきたいと思います。
○小坂国務大臣 バンダルシャプールの化学工場の問題につきましては、まだ私らの方としてはこれに対応して基金を発動させるかどうかということについては議論をしておりません。と申しますのは、一義的に新イラン政権が出資を応諾するのかどうか、それが全く不可能であるかどうかという情報はまだわれわれのところには来ておらないことが一点でございます。 それからもう一点は、経済協力基金が発動する以前にすでに輸銀が融資をしておるわけでございますから、輸銀のルートでどこまでなせるのか、そうしたことについても具体的にまだ話し合いがなされておりませんので、新聞で拝見いたしましたが、直ちに海外経済協力基金がこのケースに積極的に行動していくということにつきましては決まっておらないと申し上げるのが適当だと思っております。
○佐野(進)分科員 この問題については、外務省さらに通産省等は積極的に対応し、経済企画庁がきわめて消極的である、こういうようなことも言われているわけでありますが、その真意はいずれかは私にもわかりませんが、外務省ないし通産省はこれらの問題についてどう判断しておるか、それぞれから答弁をいただきます。
○中島説明員 御説明いたします。 通産省でも、いま経済企画庁の長官からお答えになったとおりに正式のお話は聞いておりません。
○坂本説明員 御説明いたします。 実は、先般和田大使がバザルガン新首相と会ったときに、この問題についても先方の首相が非常に深い関心を示しておられまして、ぜひともその工事を継続したいという御希望がございましたので、われわれ外務省といたしましても、新政権がこの計画を非常に重視しておるというぐあいに判断しております。 ただ問題は、先方の体制がどの程度整備されておるのか、その辺まだひとつ定かでない点がございますので、われわれも鋭意先方政府と接触いたしまして、先方の意向を至急に確かめた上で、わが方としてどの程度の協力ができるか関係省庁とも協議してまいりたい、こう思っております。
○小坂国務大臣 ただいま外務省から御答弁がございましたが、先方の政府高官が日本の和田大使に対して非常に重大な関心を持っておるということ、これはぜひ続けたいということを漏らされたということは外務大臣から私に連絡がありました。
○佐野(進)分科員 このプロジェクトの失敗は、結果的にわが国の経済にも重大な影響を与えると同時に、再生イランの政情に対してますます大きな悪い影響を与え、結果的にそれがまたはね返って石油問題その他に関係をしてくるわけでありますから、こういうことについては政府がそれらの条件を十分判断しながら対応していく、それらの責任は当然現段階におけるところの最大の課題だろうと思うわけです。私は、いまの大臣の答弁が、園田外務大臣の答弁と相対比しましてきわめて消極的であり、本来経済の安定と発展を願う立場にある経済企画庁長官としては不適当な答弁である、できる、できないということはともかくとして、積極的な対応をし得る条件をどうしているのか、どうするのか、それがいいのか悪いのかということについての判断がもはや出されておったのではないかと考えて質問をしておるわけです。いま一度大臣の所見を聞いておきたいと思います。
○小坂国務大臣 佐野委員にはどうも大変不満足な答弁になったようでございますが、この経済協力基金で肩がわりをするとか、あるいは先方の出資分を肩がわりするというようなことにつきましては、やはりそれ相応の確たる将来の見通しとか、あるいはまたそれによって日本の石油が、必ず生産回復に伴っての輸出を優先的にやってくれるとか、私はそういうような問題が相当クリアーになることを期待しておるのでありまして、別に役人的に話がないからだめだと言っているわけではございません。むしろ、そうした情報なり先方の確たる意思表示なりを待って、もう現在の石油問題は異常な状態でございますから、これに対応する気持ちは少しも変わっておらぬわけでございます。
○佐野(進)分科員 私は、イランの政情安定とわが国の経済の発展、特に石油との問題でございまするが、これとも関連して、中国に対する経済協力がどうなるのかということが当面する大きな課題だろうと思うのであります。 けさの新聞が報道しておるところによりますれば、中国はプラント輸入を留保する、宝山製鉄所や石油化学その他多くのプロジェクト計画をこの際留保して、当面国内のいわゆる経済調整と関連した形の中で対処していきたい、こういう報道がなされ、わが国政府の関係者ともそういう観点から打ち合わせをしておられる、こういうことでございます。 プラント輸入を留保するというその真意は、中国経済の持つ現在の力量からして、それを行うことによって外貨を流出し、結果的に経済が破壊されないようにする、こういう観点からそのようなことが行われておるようでございまするが、そういう観点からするならば、これまたわが国の民間ベースはもちろん、政府ベースの経済協力ということがきわめて重要な課題になってきつつあると思うのでございます。長官はこれらの問題について、基金を活用するその他の形の中でどう対応していかれようと考えられているか、この点ひとつ……。
○小坂国務大臣 けさの新聞報道は、私も数日前からそうした情報は、先方と現実の技術協力その他を行っている企業のリーダーから聞きました。これは原因は何かということにつきましては、私のいまの立場から申し上げることは避けたいと思います。 しかし、いずれにいたしましても、われわれが中国の近代化と申しますかこうしたことに協力することには、基本的にはやぶさかではないのでございます。ただ問題は、この協力の仕方の中で、中国が日本からの借款というものを正式に要求してきたことがまだないのであります。また、過去において何回も、たとえば日中経済協力委員会などで民間の方々からそのような話を先方に出しましても、日本からの借款ということについては全く否定的な回答しか得たことがないわけでございます。 そのような事態の中で、中国側がこうした近代化を進めるために日本の協力というものをどの程度、どういう形で期待をしているかということが明確になりませんと、われわれの方から借款を押しつけるわけにもまいりませんから、それらの問題が明確になる——いわゆる外交通商次官ですか、劉さんが三月中旬ごろ日本に来られるという話がありまして、恐らくその時点で中国政府側の正式な意思表示があるであろうということも期待しておるわけであります。
○佐野(進)分科員 担当局長にお聞きしたいのですが、この場合、たとえば宝山の製鉄所その他石油化学云々ということでありまするが、ウジミナスの製鉄所、ブラジルとの合弁といいますか協力によって行ったあれも、新日鉄等が、当時の富士製鉄ですか、八幡と協力してやったのですが、その際における協力の体制と今回のこの中国との現在の実情の中における協力の体制、これはどう判断されるのか。
○宮崎(勇)政府委員 中国との話はただいま大臣が御説明申し上げましたような状況でございまして、ただいままでのところ政府借款ということについての申し入れがございません。それで、政府借款として基金から借款供与できるかどうかということでございますが、法律上は、基金は東南アジア地域その他の開発途上にある海外の地域に資金の供給を行うことができるということで、GNPの水準、中国は一九七五年で三百八十ドル程度だというふうに考えられますので、その意味におきましては十分に適用の範囲内に入るというふうに考えておりますし、また援助につきまして輸出入銀行との業務分担ということがございますが、その性格から輸銀が貸し付けることが困難な資金について貸し付けを行うということはできるわけですから、その条文に照らして今後とも検討しなければいけない。したがいまして、基金として借款を供与するということにつきましては、法律上その他一応問題はございませんけれども、先ほど大臣が申されましたように、先方からそういう借款の申し出がない、つまり借款を受けないという中国の態度だというふうに私どもは聞いておりますので、したがって、いまのところは先方の出方というものを注目しているという状況でございます。
○佐野(進)分科員 そうすると、先ほど来質問を続けてきたわけでありまするが、イランの問題にしろあるいは中国の問題にしろ、それぞれの政府がそれぞれの手続を経て申し入れをすれば、この基金活用については政府は積極的に対応する、こういう考え方であると判断してよろしいのかどうか、これは大臣からひとつ。
○小坂国務大臣 先方からの明確な意思表示を待ちたいこと、それから第二点は、その意思表示を受けて、それがわれわれにとって可能なものであるかどうか、同時にまた、日本としてもこれに対しての主体的な自主的な判断を加えるということで決めてまいりたいと思いますが、御承知のようにやはり非常に重要な地点、日本にとって資源だけを目指す、と同時に世界的に見れば非常にホットなところでございますから、そうした世界情勢全般もにらみ合わせながら最終的な決断をしていくべきだろうというふうに思います。
○佐野(進)分科員 経済協力の問題は、昔はこれに絡む賠償その他の問題等もありましたけれども、結果的に黒い霧に包まれるような印象を一般国民が得ておる。われわれもそういうような印象を得ておりましたが、近時その内容が逐次改善され明朗化されてきておるわけです。むしろわが国の国益に合致し、世界的な経済の繁栄に役立つという観点から積極的に対応してこられつつあるということは私も感じておるわけでありますが、いま言われましたとおり、それぞれホットな地域の中におけるきわめてむずかしい政治情勢を背景とした経済協力でありますから、その問題の処理によっては大きな国際的な問題、これがいい面にも悪い面にも出てくるわけでございますから、今後積極的にそれらの面について留意しながら基金の活用あるいは経済協力の推進等にひとつ対応してもらいたいと思います。 最後に一点だけ、これは所管局長で結構でございますが、経済協力の中における問題は主としてプロジェクトないし大企業というような形で考えられていくわけであります。もちろんそれだけでないということは知っておりまするが、とかく中小企業ベースによるところの経済協力、それらについて政府はきわめて冷淡なというか黙視する形の中で対応しておられるようにわれわれは感ずるわけでありまするが、中小企業ベースによるところの経済協力もこれまた今日の経済発展のために必要ではないか、その国の経済の発展のためにも必要ではないかと考えられるわけでございますが、これは長官でもいいし局長でもよろしゅうございますから、その見解をひとつ聞いて、質問を終わりたいと思います。
○小坂国務大臣 基本的には、先般来外務大臣ともいろいろ話したわけでございますが、これからの協力というものは、大きなプロジェクトだけでなしに、むしろ民生に直結したような小さなものも小まめに拾って、そして積極的にいこうではないか、このために農林水産省も、また通産省も、ただいま御指摘の中小企業関係も全部含めまして、きめ細かな協力という体制を展開しようという基本的な方向はすでに決まっております。
○笹山主査 これにて佐野進君の質疑は終了いたしました。 広沢直樹君。
○広沢分科員 私は、短い時間でございますが、きょうは一般消費税に絡む問題、それから経済見通し、それから今度新しくつくりつつあります新経済社会計画のことにつきまして、若干お伺いいたしたいと思います。 最初に、一般消費税に関する問題についてお伺いしたいと思いますが、御承知のように長期の不況で財政の赤字がかさんでまいりました。加えてまた財政需要も非常に強いということから、財政再建のためにはどうしても一般消費税でなければならないというのが政府の考え方でございます。もちろん税調答申にも、今後の見通しとしては一般消費税を導入する以外にないという話でございますし、また総理あるいは財政当局の大蔵大臣も、一般消費税以外にはない、それも五十五年度の早い時期に導入をしたいということを明らかにいたしているわけでございます。 そこでお伺いいたしたいことは、経済企画庁長官は、この一般消費税の導入について、五十五年度の早期だということでございますが、経済見通しとの関係におきましてその点をどのようにお考えになっていらっしゃるのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
○小坂国務大臣 新経済社会七カ年計画の基本構想におきまして特にわれわれが強調いたしておりますことは、財政支出は極力合理化を図るということ、同時にそれによってもなお不足が予想される財源に充てるために相当程度の租税負担が上昇せざるを得ないことも見込んでおるわけです。その場合、税負担の公平を図っていくこと、また国民の理解を得ること、そうしたことに十分努力しながら、一般消費税を昭和五十五年度中に実現できるよう所要の準備を進めるということに一応しているわけであります。この一般消費税ということがいま国民の各層の間で非常な反響を呼んで、また総理も累次答弁いたしておりますように、こうした税をつくるということについて国民の理解の得られるまで努力をしようという方向での答弁はすでに予算委員会でも累次しておるところでございますが、私は、その前後というかその前にやはり税負担の公平を図ることとか、あるいはまたこの一般消費税によって物価がどうなるのであろうかとか、いろいろな点についてもっと詰めた議論を党内外でもする必要があるし、政府内部でもやる必要があるし、そしてまた国会においてもそうした議論が大いに展開されるということ、やはりそうした努力をして、なおかつそれでもほかに手がないというような場合には、これらについて五十五年度中ということを具体的に考えていくというふうに私らは思っておるところでございます。
○広沢分科員 そこで私は非常に理解できないのは、財政は経済の手段として活用していかなければなりませんが、しかし、五十五年にどうしても導入するのだということを一応決めてかかることが至当であるかどうかということであります。それは税目の選択についてはそれぞれ議論があろうと思います。私どもは、一般消費税でなくても他に税目を求める努力がまだできるというふうに考えております。しかし、一般消費税を導入することになりますと、経済全体に与える影響というものが非常に大きいわけでありますから、その点について五十五年度の経済がどうなるかということがまだ未確定である、特に長期の不況からやっと五十四年度は底固めが済んで上向きかけてきた、安定経済路線の上に軟着したといいますか、まだそういう状況ではないのではないか。そういった時期に、財政的な立場だけの論理から五十五年に導入するということを決めてしまうのはいかがなものだろうか。したがって、いま長官からもお話がございましたように、経済の動向によっては何もそれは五十五年度に導入すると確定的に決めるものではないというふうに理解していいのかどうか、その点もう一度お伺いいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 一般消費税の問題につきましては、党の税調において決めて、それを財政計画等におきましても決定していることでございますから、それを実施する場合のいろいろな要件、条件を整備する努力を十分やるかやらないか、そこにかかっているのではないかと私は思っております。 それから一方、財政状態も、現状のようなままの赤字国債の累積、そしてまた国債の累積ということは、見方によれば日本の財政は一種の破産状態というふうに思うわけでございます。そうしたことを考えますときに、この現実をいかに国民に御理解をいただくか、そしてまた先生方の御理解をいかにしていただくかということは、これは皆様方だけに御理解をいただくことを強要するというのは間違っているのであって、政府みずからも財政支出その他も思い切って切るとか、あるいは総理が年来主張しております安い政府を実現するとか、いろいろとこちらも相当血を出して、そしてなおかつだめだというようなこと、そしてなおかつ財政的危機が救われないということが理解していただけるような具体的な方法を率直簡明にやっていくことだというふうに思います。
○広沢分科員 私どもも、財政の憲法であります財政法の根幹をゆがめております特例債をいつまでも出すべきじゃないし、それから早く脱却しなければいけないというふうに考えているわけでございますが、それとていろいろな手段、方法というのがあるわけでございます。 そこで、それならばもう一つお伺いいたしますが、仮にいわゆる一般消費税を導入した場合にわが国経済全体にどういう影響を与えるか、そういう議論もというお話でございましたが、すでに五十五年度の早期だということで諸般の準備を進めつつあるということでございますれば、その影響がどうなるかということは経済企画庁は試算なさっていらっしゃるかどうか。たとえば、過般も議論の中にもありましたが、物価の上昇、物価に与える影響はどうであるかということにつきましては、税率五%とした場合に約その半分、二・五%ぐらいのプラスになるであろう、上昇するであろうという見解も出ておったようでございます。物価だけの関係ではございませんで、GNPに対してはどうなるのか、あるいはそれぞれの税収との関係、所得税、法人税、そういった問題もございますし、さらには国際収支の問題、雇用の問題、こういった問題にもそれぞれ相当な影響を与えると考えられるわけですが、その点についてはすでに御検討なさっていらっしゃるかどうか、そこの点、ひとつお伺いしたいと思います。
○小坂国務大臣 一般消費税につきましてのただいま広沢委員御指摘のような諸点につきましては、まだ試算も何もしておりません。
○広沢分科員 やはり先日も総理並びに財政当局においては、とにかく広く国民の中で議論をしてもらいたい、理解をしてもらいたいというお話でございます。過般の予算委員会におきましても、では財政に与える影響はどうなのかということで具体的な資料を要求されておりますね。 私は、この際、経済企画庁に要求したいと思うのです。やはりこういった問題は具体的にどうなるかということをすべて公にした中で議論をしていくということが大事ではないか。これはある民間の経済研究をしているところの試算でございますが、それによりますと、相当な影響があるということが出ております。大体一般消費税一%の場合は実質GNPの減少が約五千億ぐらい影響があるだろう、それから物価の水準でございますが、この上昇率が、大体消費者物価で〇・五二、卸売物価で〇・三八、それから雇用者の減少も約一万七千人ぐらい、法人所得の減少も二千七百九十億、こういうふうにそれぞれ、あと細かいいろいろな面についての影響度が出てくるように試算がなされております。こうなりますと、GNPに与える影響も、五%で二・一五%ぐらいダウンするのではないか、こういう試算がございます。これは大変なことでして、仮に五十五年に導入した場合に、この試算のとおりいくかどうかは、これは試算でございますからわかりませんが、約二%近くの影響が出てくるということになりますと、これは、現在の経済に与える影響から見ると大変な問題だと思う。しかも、私が心配しますのは、大蔵省の財政試算によりますと、六十年まで、あるいは五十九年には特例債依存がゼロになるという考え方で試算がなされておりますね。しかし、そのための増税は約九兆円を予定しているということになります。しかし五%の一般消費税の導入では九兆円になりません。約三兆円近くにしかなりません。そうなりますと、やはり今後何らかの新しい財源を求めてくるのか、それとも一般消費税の税率をそのままこの七年間の間に順次上げていくか。少なくとも九兆円に見合うようにしようとするならば、一般消費税だけで考えると一〇%以上の税率にならなければ埋まらないという結果になります。そうなりますと、この期間中に新しい経済計画もできて六%前後の成長ということになっておりますが、これに対する影響は非常に出てくるわけでございます。そういった面を一応明らかにしてまいらなければ、一般消費税を五十五年から導入するのだと財政の立場だけから見て決定づけていくということは問題ではないか。もちろん、私どもも、全然増税がなくて事が済むとは思っておりません。その税目は、一般消費税なのか、他の税目なのかという議論はあります。それは、いまの日本の経済の情勢から考えてみましても、国民生活の上から考えても、一般消費税ではなくて、他にもう少し新しい税目の検討をする必要があるということになっているのですが、この選択を迫っている。政府におきましても、それならこういう方法があるという具体的な方法を示さないで、ただ、一般消費税を五十五年度の早期にどうしても導入しなければ財政が大変なのだということだけを強くおっしゃっている。そうなりますと、経済界におきましても、あらゆる国民生活の上から考えてみましても、経済全体に与える影響はどうなるのだろうかという心配がどうしてもあるわけでございまして、先ほど私が要求申し上げました資料は、早急に作成されなければならない、そしてやはり議論の対象として出されなければならない、このように思うわけでございますが、いかがでございましょう。
○小坂国務大臣 広沢さんの大変に前向きな御発言に対しまして、私は感銘を受けておるわけでございます。私自身の考えでは、この一般消費税というものの本質がまだよくわからぬという点もありまして、したがいまして、大蔵省の言うとおりの計算ができるものかどうか、また大蔵省みずからもこういうものをつくってもらわなければ困るというふうにさえも思うわけでございます。いずれにいたしましても、一般消費税につきましての資料をつくることは、もうしばらく私自身考えさせていただきたいと思っております。
○広沢分科員 大変慎重でいらっしゃる、結構だと思います。しかしながら、やはり一般消費税をどうしても早期に導入するということだけが先行しまして、国民に、考え、いろいろそれに対する議論を与える政府の姿勢というのが後退していくようでは困ると思うのです。私は、先ほども何度も申し上げましたけれども、将来を考えていく上においては財政再建も必要でございますし、これから起こり得る財政需要にもこたえていかなければならないので、そこに何らかの税の増加というものも認めていかなければならぬ。これは、私どものつくっております福祉社会トータルプランでも税負担の増加ということは考えておるわけでございますが、一般消費税ということでございますので、経済企画庁におきましては、財政だけの論理ではなくて、経済か財政かという二者択一ではありませんで、やはり経済全体の上から見て、時期においても選択においてもひとつ十分配慮をしていただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。 なお、資料の提出を早くお願いしたいと思います。 次に、時間もありませんが、これも小坂経済企画庁長官が、昨年の暮れに大臣に御就任なさったときに、長官という立場で大変前向きな発言をされていらっしゃる。それは経済見通しのつくり方についてでございます。これは私は新聞の報道だけで承知しておりますので、正確に企画庁長官のお考えが那辺にあるかということはよく理解できませんが、新聞を読んで承知している段階においては、私は前向きな大変結構なことではないかと思います。 それは、いままでのような目標ではなく、これだけは最低限達成できるといういわゆるミニマムの目標を設定すべきではないかという提唱だったと承りました。確かに、長い間の不況の中で、これからの経済はどうなるか、各業態別にそれぞれどこへ参りましてもその話で持ち切りでございます。したがいまして、ある程度それに何かの指針を与える目標というものを政府自身がお考えになることは大変画期的なことではないかと思うわけでございますが、一体それがどういうふうになっているのか、どういうお考えなのか、もう少しお聞かせいただきたいと思うわけです。
○小坂国務大臣 確かに、こうした経済計画の中にミニマムを持ち込むことは一種の責任体制にもなるということで、これはミニマムを国民に示すということよりも、行政の基本ラインとして努力をするというそのミニマム、同時にまた、それが国民から見て期待できる数値であってほしいというふうに思ったわけでございます。私はいまでもミニマムというものを別に捨てたわけではないのであります。ただ、就任早々からすぐ予算編成、そして予算委員会ということで追いまくられておりまして、正直なところを申し上げますと、こうした議論を庁内でもさらに深めるというチャンスもないわけでございますが、私個人としては、やはりミニマムというものが二つ三つあってもいいのではないか。そう多くは必要としないと思うのです。また、公明党さんのいわゆる長期展望も、ミニマムというものを出されて、それに対する努力を累積していこうという御発想でございまして、これは非常に現実的であるし、私は非常に深い関心を持っておるわけでございます。私はそのような考えをまだ捨ててはおらぬという御答弁にとどめさせていただきます。
○広沢分科員 すぐにやれと言いましても、それは簡単にできることではないことはよくわかるのです。しかし、自由経済の基本というのは、やはり民間の活動というものを活発ならしめていかなければならない。そのためには、政府と民間との間の信頼関係といいますか、そういったものをはっきり確立していく必要があるのじゃないか。近年、政府の経済見通しというのは高目に、いわゆるマキシマムといいますか、そういう面に目標を置いております。しかし、現実というのはそれから一%少々、GNPが大体二百兆を超えておりますから、一%といえば二兆円ですか、そういった大きな一つの狂いがございます。五十二年度でも実質GNPで六・七が五・六、五十三年度も七%が一応六%だろうということです。五十四年度も六・三%といいますが、民間は総体的に考えますと大体四%ないし五%ということで、いま政府の目標値というものは高目に設定されている。その上不況ということですから、来年は来年はと言いながら、すでにもう五、六年不況であったわけです。たとえて言えばトンネルの中で手探り状況という状況ではなかったかと思いますね。 そういうような状況の中で、政府はそれぞれ経済見通しを出し、それについて政府が努力をしていくことに対する信頼度というものを確立していくためには、どうしても、現実と目標とのみぞをどうやって埋めていくか、それがこれからの努力でなければならない。その意味において企業においても心理的な影響というものが非常に大きく出てくるわけでございます。長官のお考えも、こうした政策不信の払拭をしていこうというところにねらいがあったのじゃないかということで、私どもも前向きに受けとめているわけでございます。 いずれにしましても、お考えだけじゃなくて、私は前にも予算委員会で申し上げたことがありますけれども、長期の計画にしましても、やはりもっと現実的に考える方法をとった方がいいのじゃないかということを提案したことがございます。今回の新経済社会七カ年計画も、これはいまの問題と直接関係はないかもしれませんが、長期にわたるわけでございます。いままでの計画は大体五年計画、中期計画であったわけですね。その五年計画も、自由経済社会のこれだけ激しい経済変動の中で、二、三年たちますと、少なくとも二年経過すると実態から相当かけ離れてきている。したがって、これまでのずっと政府が立ててまいりました過去の五カ年計画、最終には五十年代前期経済社会計画であったわけですが、これも三年目に改定を余儀なくされた。しかし、今回の場合は七カ年の計画をお立てになろうとしておるのですから、相当これが安定した中で立てていけばある程度の見通しというものも的確性があるかもしれませんが、ごらんのように経済はまだまだ不安定な状況であります。したがって、長期計画も必要だけれども、まだ中期計画、そしてまた現在の短期計画というのがいまの見通しになるわけでして、これができるだけ企業活動の上にも、それぞれの分野の活動の上にも身近に感じられる目標を設定し、そしてそれの努力を求めるのが民間活動の活発化を期待することになる、政府の期待にマッチしていくのじゃないかということに相なろうかと思いますので、その点につきましてもう少し前向きに、先ほどの短期見通しと長期見通しもこういった手法を考えていくということで取り組むお考えはないのかどうか、もう一度お考えをお伺いしたい。
○小坂国務大臣 ただいま委員の仰せられたとおり、国内的だけではなしに最近の世界情勢等の大きな変化がございますので、われわれ七カ年計画というのは七年たったらこの程度のところというわけでございますから、大体の目安でございます。したがいまして、この七カ年計画が達成できるような方向で、私は毎年ともかく見直しをすることはちっとも構わないと思っています。それで最終はそこへいくのだということで、いま委員が仰せられたような見直しは必ずいたしたいと思います。 それからもう一つは、いまのような情勢でたとえば石油の問題一つをとりましても、あるいは安全の問題をとりましても、いろいろな意味で非常に激動しておりますから、そうした事態を踏まえながら、国の計画というものは二つ、三つあっていいのじゃないでしょうか。非常に危険、危機がある場合、それから予測されたとおりにいく場合、いいということは計算しなくてもいいと思いますが、悪い場合ですね、そういったようなものをいま庁内ではぼつぼつ、七カ年の長期の中の一、二年とか三年ぐらいのところを目指しながら可能な限りの情報を集め、それをインプットして始めておるところです。これなどは、日本は御承知のような資源の状態ですから、経済外交といいますか、外交面に依存するところが非常に多いし、また世界の平和だとか戦争状態に猛烈に影響を受ける。そのようないろいろなファクターを入れながら、別に公表できるほどのものになるかどうかわかりませんが、幾つも企画、計画がありまして、その時点時点でそれをなるべく上手に組み合わせて国の経済、国民生活の安定を図ってまいりたい、そのような考え方であります。
○広沢分科員 時間でございますので、経済企画庁長官のユニークな一つの考え方が生かされるように期待をいたして、終わります。
○笹山主査 これにて広沢直樹君の質疑は終了いたしました。 竹本孫一君。
○竹本分科員 大臣のお話を具体的に承るのは、私としては最初の機会でございますので、基本的な問題について二、三伺ってみたいと思います。 日米関係は基本的にはもちろん非常に結構な方向をたどっておると思いますけれども、特に貿易関係その他は非常にうまくいっていないような感じを受ける。特に最近の新聞紙等で見ますと、御承知のように輸入課徴金でもかけようという空気が非常に強い。しかも、それは単に新聞のニュースということだけでなく、問題は非常に深刻でございまして、御承知のようにアメリカの政府は、アメリカの世界経済における地位といったようなものも相当正しく理解しておる。連邦準備制度のミラー議長にも私ども去年、予算委員会の理事として参りましたときに、ドルの問題についてもいろいろお話ししましたが、国際通貨としての責任という問題についてもまあまあ正しい理解を持っておる、そういうふうに理解して、その点は安心をしたのですけれども、問題は、国会の方に最近の動きは重点が移っておる。その国会議員の方は、日本の国会議員もそうですけれども、大体後ろ向きで選挙区向きであるものだから、基本的な総合的な判断をときに誤る場合がある。ジョーンズ・レポート、それからバニックさんあるいは最近のベンツェン上院議員が法案を用意するといったような動きを見ると、アメリカがいらいらし過ぎておるといいますか、やっておるような感じを受ける。 そこで、この問題に関連しまして大臣にお伺いしたい点が二つあるのです。 一つは、アメリカは、日本は誠意を持って日米の経常収支の黒字といった問題に取り組んでおるかどうか、日米経済調整に真剣に取り組んでおるかどうかということを見る物差しがあると思うのです。 〔主査退席森(清)主査代理着席〕 私は、それは四つあると思う。第一は、日本が七%成長という国内市場拡大ということにどれだけ真剣に取り組むかという問題。それから第二は、いま申しました経常収支の黒字。二十億ドル輸出して十億ドルしか買わない、最近大分よくなりましたけれども、そういった年間百億ドルの黒字をどこまで真剣に減らそうとしておるのか。日米議員の協議会がありましたときにもアメリカ人が私に言うのは、われわれはむずかしいことを言っておるのじゃない、シンプルクエスチョンだ、簡単な問題を一つ聞いているのだ、こういうことを言っておりましたが、その簡単な問題というのは黒字をいつまでにどれだけ減らすか、こういう問題である。それから、それに関連しまして、三番目は、関税並びに非関税障壁をどこまで緩めていくか。特に最近は電電公社の問題が問題になっておりますが、そういう問題。四番目は、これは国情の相違と福田さんは前から言っておるのだけれども、減税問題。私はフォードさんだったと思うが、国内経済について景気回復のかぎは減税だということ、あの人が六カ月くらい経済諮問委員会で諮問研究した結論はそうであった。そしてまた、事実それをやって、アメリカの経済をある程度突き上げた。そういうことも考えまして、理屈はいろいろありますけれども、減税をやるかやらないかということは、国内市場を拡大することに熱意があるかないかということのバロメーターに向こうさんは考えておる、こう思うのです。 そこで大臣に伺いたい点は、いま申しました七%成長と経常収支の黒字の問題と関税、非関税障壁の問題、それからいまの減税の問題、この四つが、日本は誠意があるかないかということのバロメーターであると向こうは見ておると私は思うのだが、大臣はどういうふうに見ておられるかという点が一つ。 それからそれに関連しまして、大平内閣になってから七%はやめたとかやめないとか、いろいろ言われておって、われわれでさえさっぱりわからない。七%成長はできないというのか、やめたというのか、いやいやその方向で最後まで努力するというのか、この二つの点についてお伺いをいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 七%成長につきましては、私は当時閣僚でなかったものですから、国際的な公約であるかないかということについては、そうした面では確認はしておりませんが、党役員をいたしておりましたので、そのときに総理が来まして何か相当な約束だ、強い約束だということを申しておった記憶があります。しかし、それが日本と六カ国あるいはアメリカとの間の国際的な公約であるということは、われわれは承知しておりません。しかし、努力目標であるということはよく承知しておるわけであります。したがいまして、この七%を目がけて補正予算を組んだり、いろいろの財政投資をやりましたり、非常な努力を前内閣はしたわけであります。私は、そうしたことの結果だと思いますが、全体としての日本のGNPの伸びは六%台にしかいま計算ができないわけです。しかし、国内の総需要を見ますると、八%に達しておりますから、そうした意味で、七%の公約というものは、一面において明確に達成しておると私は思う。ただ、なぜ六%程度にしかならないかというのは、輸出が非常に落ち込んだわけです、つまり円高で。そしてまた輸入が予想以上にふえた。それが同様にGNPに対してはマイナス効果を持ったので、これを引きますと六%程度になるというわれわれの試算でございます。そしてまた、その方向に現在は進んでおるということである。しかし、七尾という一つの具体的な目標を掲げて政策的な努力をした、その政策努力はいまもなお継続しておるわけであります。ですから、私はこれは公約違反にはならぬというふうに思います。 それから経常収支の問題でありますが、これも円高になりましてから急速に輸出が落ちておりますけれども、なお輸入が相当ふえておりますが、その前に積み重なった黒字がなかなか消えてないわけであります。御承知のように、最近の三カ月の対米貿易も含めまして、貿易の収支はどんどんと経常収支の黒字が減っておるわけでありますから、この傾向に対しまして、私は評価をしてもらっていいのではないかと思う。それからさらに、輸入をふやすために、考え方によっては大変なことまでやっているわけであります。私は、緊急輸入なんということは一体あっていいものかとさえ思うわけです。これは異例中の異例の輸入行為だ、貿易行為だと私は思うのであります。緊急輸入は四十億計上しておる、大変な努力の中から三十億ドルもの緊急輸入がこの三月までに実現するわけでありますが、それでも黒字は大幅には減らなかったことは事実です。それで、今度われわれがつくりました五十四年度の予測の中では、さらに二十億ドルの緊急輸入を引き続きやろう。私は、これはいろいろな面からつかれますと大変なことだと思うのですが、しかし黒字を減らすというだけのことのためにやったことを継続せざるを得ないわけでありまして、そのような努力をいたしまして七十五億ドル程度の黒字にしようという計画を出しているわけです。 私が申し上げることは、七%という一つの数字が約束であったか、あるいはそういうものを実現するための政策努力が約束であったか。私は、アメリカにいたしましても西独にいたしましても、どこの国も自由主義経済であって、政府の言ったとおりのパーセントがすぐそのまま出るなんということはだれも考えておらぬと思うのでありまして、むしろそうしたものを掲げてする政策努力が一番大事な点だと思う。それは確かに果たしたし、また、われわれは今後その政策目標を変えたということを少しも言ってないわけでございますから、この政策努力を続けていくということについてさらによくアメリカ政府とも話し合えば、そしてまたアメリカの国会とも話し合えば御理解がいただけるのではないかというふうに思います。 それに加えて、やはり貿易収支の関連の非関税障壁の問題で、電電でございますが、先般来、電電についてはいろいろと問題がございまして、牛場特使、大使に報告をしてもらったところによると、電電の開放ということですか、購入のやり方を開放してくれという要求の中には、私も詳しくは存じませんが、本体の機器類及びその付属物については別にすぐ自由化しろとは言わない、自由化してほしいというのは、事務用品とかあるいはまた電話機その他の付属的な部品とか、三番目には、将来アメリカで開発された優秀な技術を導入する際には、それに付属した機器類の発注ということの約束というような三点であるということが明らかになったわけであります。先般来、そうした方向で、果たしてそれで日本の通信工業及び通信界が日本人の手によって運営されていることが妨げられるものであるかないかということについて、むしろそれに関連した業者の人や、あるいは電電自体の幹部がアメリカに行って、国会あるいは関連業界、政府に実情を話してよく理解をしてほしいというようなことで近くミッションが立つということで、私はこの問題につきましても、一応先方との話し合いの糸口はすでに開かれているというふうに思います。 それから減税問題でございますが、この減税問題につきましては、確かに竹本さんは前々から減税を主張していらっしゃるし、民社党も大幅な減税を要求されていらっしゃることはよく存じております。しかし、いまの財政状態から見ますると、よほどの自然増収でもない限りは、さらに赤字国債でも出さなければどうしようもないのではないかというほど状態は悪いという認識を私は持っております。ほかの経費を削ってしまえばそれまででございますが、それもできないとするならば、非常に困難な問題ではないか。しかし、減税が国民の、個人の購買力を非常に増大するという可能性について私は否定をいたしません。またそれは一つのやり方としてすでにドイツもやっているし、アメリカもやったことでありますから、少なくとも五十三年当初あたりにそうしたことがもっと大幅になされれば、私は多少の効果があったのではないかなというふうに思いますが、五十四年度においてこれを考えるということはなかなかむずかしいのじゃないかというふうにも私は私見として思っております。 いずれにいたしましても、このようなことでございまして、現在アメリカとの関係がいろいろと取りざたされておりますが、いま申し上げたような諸点を踏まえて十分先方とさらに話し合いをし、できれば政府間の交渉というものよりも、むしろ民間同士の話、そして議会同士の話、そうしたものが積極的になされることによって総がかりで日米関係の解決に当たるべきではないか、そのように考えます。
○竹本分科員 政府の個々の御努力は私も高く評価をいたしておりますから、その点は大臣の御説明を大体において了承はできます。 ただ、私、時間がありませんから結論を要望で申し上げますが、アメリカ人が日本が誠実に日米経済関係の調整をやっておるのだということを見る目は、いま私が指摘した四つの問題を大体ワンパッケージにして、それが足らないと本気でないのではないかというふうに見ておるのではないでしょうかと、私どもが接触する範囲においてはどうもそういう傾向が非常に強いということを申し上げたのでございます。これは議論をすれば切りがありませんから、要望として聞いておいていただけばありがたい。 それから第二番目は、七%の問題に関連して一口申し上げますが、政策努力の方が大事なんだ、こういうことをいま大臣おっしゃいました。私もそれはそれで結構だと思います。しかし、それならばなぜ数字を言うたかということがまた逆に一つの問題だと思うのです。これは私が昨年、一昨年になりますが、ドイツに参りまして、ちょうど福田さんが例の六・七%の約束をされたときに、私が接触した範囲のドイツ人たちが言うには、それこそいま大臣が言われたように、一体自由経済を前提にしておきながら六%の成長、あのときは御承知のようにドイツは五%ということだったが、ドイツでだんだん聞いてみると、シュミットさんは、いや、輸出入について外国の方が文句を言わなければどんどん輸出する。ドイツは三五%が輸出依存ですから、輸出を文句言われれば経済は伸びないが、経済を伸ばせというなら、黙って輸出の方は文句言わないようにしてもらいたい。伸びるかもしれない、五%にならないかもしれない、それはむしろ相手次第だというような形で責任を半分外国の方へ転嫁した。しかるに、日本の方は六・七と言って自分で約束をした。日本の総理大臣は神様以上だ、こう言ったですよ。六%ならできるとか、いや七%はいきますとか言うのを、そのぐらいならまだ話はわかる。それでも自由経済だからむずかしい。また後で議論しますが、それを六・七とコンマ七まで言ったのはどういうわけだ、神様でもなかなかそういう約束はできないだろう、こういうことを言ったドイツ人の友達がおるのですが、政府がこれから外国に約束をするときには、神様でなければできないようなつまらぬ約束はしない方がよろしい。政策努力とおっしゃるならば、政策努力として問題を提起すべきであって、七%あるいは六・七だといったような具体的数字に触れることは得策ではないということだけはっきりと申し上げておきたい。 それから第二の問題は、いま内需は八%だというお話がありました。これは確かにそのとおり、私も数字を見ればわかるのですから了解いたしておりますが、しかし、これも大臣、半分弁解になると思うのですね。内需は八%だけれども、円高ショックのおかげで六%とか六・三%というようなことになるのだ、こういうのは弁解としてはわかりますけれども、受け取る方から言えば、初めにそういうことばはっきりと言っていないのですから、だから後から勝手な弁解をしておるとしか受け取らぬと思うのですね。これも政治的に見て余り賢明な方法ではない。それよりも、政治的に考えて大事なことは、もう一つ別の問題がある。それは、いまドイツが言ったように、六%なりあるいは七%なりの約束をするときに、日本の経済の円高ショックの深刻さを考えればすぐわかるように、一ドルが二百四十円になるか二百円プラス・マイナス十円くらいに落ちつくかということで、国内経済に与える影響は非常に違うのですね。したがって、ドイツが輸出は幾らでもやってもよろしいというならば五%もあり得るでしょうと言ったのと同じ意味合いにおいて、日本は七%成長は、去年あたりで言うならばたとえば一ドル二百四十円、そのレートを守ることにアメリカもドル防衛に真剣に協力してくれるならば、七%をやります。なぜそれをはっきり約束しなかったかということをぼくは非常に疑問に思うのですね。 したがって、今後将来日本が外国と話をされる場合には、レートの問題を抜きにした約束なんというような間の抜けた約束はしてもらっては困る。いろいろ聞いてみると、国際情勢に重大なる変化がなければとかなんとかいうような抽象的な言葉がどこかに入っておるようですけれども、とにかくはっきりとレートはどこで守る。というのは、タイムであったと思いますけれども、このドルの問題について、これは日本の全体の認識が誤っておると思うのですが、アメリカはある程度ドルを下げると言ってみても、ドルは日本に対してある場合に四〇%下がるはずであったかもしらぬけれども、全体の加重平均で見れば一〇%下がっていないでしょう。カナダに対して、イギリスに対して、イタリーに対して、ヨーロッパに対してというような全体を考えてみれば、一〇%下がっていないのですよ。 そういうことから考えてみてもわかるように、アメリカはある程度ドルが下がるということは、いまは少し行き過ぎたようだったけれども、緩やかなインフレ、景気回復ということになれば国内的にはむしろ歓迎しているのですよ。だから、ブルメンソールでもサミュエルソン教授でも、フリーフォーリングダラー、自由に落ちていくドルだという見出しでいろいろ書いておる中に、下手な手は打つ必要がないのだ、そんなものはスチューピッドだと書いておるわけです。そういうことを見ればなおさらのこと、日本の経済の成長率がドル安円高ショックを受けてがくんとまいっちゃうということは当然なことなんですから、そういうことも含めて、これからは対外経済約束をするときには、特にコンマ何とかというようなことは言わないこと。もう一つは、必ず条件として一ドルがどのくらいに安定するならば、またアメリカがそれだけのドル防衛に対して真剣に協力してくれるならばという条件をつけなければ、後で日本が立場が非常に不利になると思いますが、いかがですか。
○小坂国務大臣 竹本委員のただいまのお話は非常に示唆に富んだお話だと思います。特にこの激動している世界経済の中で、日本が余り固定的な約束、そしてまた、いつでもそれが変化する要因に包まれた数値をもって固定的な約束をすることは非常に不利であるということ、それから、さっきのシュミット氏の話などは、私も聞いておりまして、さすがに手なれた外交的な配慮だなというふうに思ったわけでございます。今後はただいまの御忠告を十分体しまして、対外的な問題の処理に当たりたいというふうに思います。
○竹本分科員 時間がないので、問題は基本的なことになっているものだからちょっと困りますが、もう一つだけ伺いたいのです。 いまも自由経済を前提にして、七%だなんだというあたかも計画経済体制になり切ったような結論を出すということは誤りだという点を指摘したわけですけれども、しかし、今日会社法人が企業主体として大体百四十万前後ありますね。そのほかに法人になっていない中小企業が、まあ数え方によっていろいろ違いますが、約四百万くらいある。そうしますと、日本の企業主体というものはあれこれ約五百万あるわけですね。それぞれが自主的に自分の立場で自由に走る、自由に計画を立てていくというのが、自由経済のまたいいところでもあるし、特色でもあるわけですから、かれこれ五百万の経営主体というものが走っておる。そういうことになりますと、よほどうまい基本的なレールあるいはガイドラインというものをちゃんと設けておかないと、特に日本の経済を何%成長させるとかいうようなことはできないはずだ。しかも、一方では自由経済、一方では何らかの意味においてそういう計画性が必要であるという意味において二つのことをお伺いしたいのですけれども、一つは、いままでのような古典的な自由経済はそのままにはいけないのじゃないかという点について、よく一部に言われるような計画的市場経済という言葉もありますが、これは産業構造懇談会で言ったと思いますが、その計画的市場経済といったようなものの考え方について改めて大臣のお考えをひとつ伺っておきたい。 それから同時に、やはり計画性を持たせなければならぬということはもうわかり切った話でございますから、その計画性を官僚拘束経済というようなものへ持っていかないように、自由経済の自発性といいますか、創造性といいますか、プライベートイニシアチブを十分に発揮させるようにしながらその調和を図るためには、これは経済企画庁もいろいろと御努力をいただいておるわけでございますけれども、やはりメカニズム、制度機構の上においても何らかの工夫が要ると思うのですね。その一定の、政府が考えられておる政策努力を集約して整合性を持たせて計画性を持たせるためのメカニズムを何か考えておられるか、この二つの点をお伺いいたしたい。
○小坂国務大臣 ただいまの御意見でございますが、計画的市場経済、考えようによっては現在もそうしたことではないでしょうか。計画化するものの主体は何なのかという場合に、実務的に見るならば金融だとかいろいろなものがあるが、それは大体一定の方向の中で動いておるのじゃないかと思うのであります。ただ、需給関係は全くフリーな競争の中で決定されるわけでございますが、しかし、だんだん管理価格その他も出てきておる現状であって、むしろそれによって計画化され過ぎて自由がなくなるということもある。私はそういう意味で、この計画的市場経済という御発想の意味はよくわかります。そしてまた、それが特に民間の活力と申しますか、そうしたものが大切にその中でいつでも息づいていくというような体制というものは最も理想的ではないかと思いますが、しかし、こういうような名前をつけた経済体系と申しましょうか、そうしたものは現時点においてはそれほど意味のあることではないので、実際的、実務的に、あるいは現実的にそうしたことが流れていくというところにより大きな発展の力が経済に残されるのではないかというふうに思います。 ただ、問題は、現在の日本のエネルギーにつきましては、これはもうきわめて限りあるところに来ているのではないかという認識を持っておりますので、むしろこの計画ということが政府の力によって単に公共投資等だけにお金を使うのではなしに、こうしたややもすれば不足がちであり、また世界じゅうの巨大な企業によって操作されて価格形成ができるような商品についてはある程度の備蓄をしていくということ、ここ数年の予測でございますが、やはり世界は相当激動してくるのではないか、そうしたことに対しての安全弁としての国による重要物資のある程度の保管、管理、備蓄というものについては、新しい発想の中で国民の理解をいただいて、それは緊急避難的な意味でありますが、そうしたことをやっていくということも私は一つの大事な政策になってくるのではないかと思っております。もちろんそれはそんな大げさな形ではございませんが、いろいろな形で備蓄がなされておるのでございますけれども、これをもう少し明確な形でやっていくということも大切なのではないかと思っております。
○竹本分科員 私もいま大臣のおっしゃることはよくわかります。ただ、名前というよりも実際の運用が問題だということもよくわかるのですけれども、日本人の従来の経済の考え方に対する一つの意識変革といいますか、意識構造を変えるという意味においては、いままでとはこういうふうに物の考え方を変えていくのだという意識構造の改革のための大きな旗印というものが要るではないかというふうに思いますので、私は計画的市場経済ということを言っておるということでございます。 それからもう一つ問題は、そういう一つの計画性を確保するという意味で本来経済企画庁もできたのだと思うのです。そのメカニズムの一つとして中央官庁としてできた。ところが、これが単なるプランニング、そのプランニングも、極端なことを言えば、私は計算をしている方が多いのではないかと思うのですけれども、計画を立てているのか、計算をしているのかというところが問題だと思うのだが、計画であるならば計画を実施するための保証というものが要る。そういう意味で、経済企画庁の権限というものをさらに充実強化すべきであるという意味で、そのメカニズムを考えていただきたいということを言っているわけです。 それからもう一つは、時間がなくなりましたが、個々の問題を一々干渉するとそれこそ官僚統制になりますから、やはり大きなメカニズムの一つの問題としては、日本は、なかなか大蔵省反省をしないようですが、貨幣数量説でもありませんけれども、M2その他貨幣の供給量というものに一つの計画性を持たせるというか歯どめをかけることも必要ではないかというふうに思っておりますので、それらの問題も含めて今後ともひとつ御検討をいただければありがたいと御要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
○森(清)主査代理 安田純治君。
○安田分科員 私は、小坂長官が昨年経済企画庁長官に就任直後の記者会見といいますか、マスコミに対していろいろお話しされた中で、中小企業問題をもっと重視した政治という意味のことを述べられたと記憶しております。テレビでは、中小企業にもっと配慮した政治というような意味のことをおっしゃっているようですし、新聞でも、公共事業も中小零細企業に金がどれだけ回っているかということをつかみ、それを現業官庁や経済団体に忠告することがわれわれの役目だ、あるいは数字をいじくり回すのではなく現場に行って中小企業者の話を聞くようにしたいとかいろいろおっしゃっているようでございます。その真意と、いまもそのお考えかどうかをお伺いしたいわけです。 と申しますのは、実は私は、長官が中小企業対策の重視を強調されたことに非常に注目をいたしたわけであります。まさにいま資本主義諸国において、中小企業への見直し、再評価が一つの流れになっていると言われております。イギリスでも数年前から相当力を入れ始めたようでありますし、アメリカでも中小企業はアメリカの自由企業体制の心臓部そのものとして位置づけられておりますし、また発展途上国においても中小企業対策が重視されてきております。たとえば世界銀行では、一九七三年までは発展途上国に対する開発融資について、発電所や石油化学工場などの建設を進めて、これによって肥料などの自給や国際収支の改善に寄与する、こういう方向でございましたけれども、一九七四年からは新政策として中小企業の振興、これによって現地の国民の雇用機会をつくり出すことに重点を置いているように見受けるわけであります。たとえばバングラデシュでは、一億五千万ドル投じて化学工場を建設した場合一千人の職場ができる、しかし中小企業分野に投じた場合、十五分の一の一千万ドルで十倍の一万人が仕事につくことができる、こちらを優先するということであります。 要するに私の言いたいことは、発達した資本主義国においてもまた発展途上国においても、経済再建、振興の担い手として中小企業が重視されている、こういうふうになってきている。わが国においても、戦後間もない昭和二十三年に、中小企業の健全な発達を図ることがわが国経済再建の真の基礎となることをかたく信ずるがゆえに、今後これに最善の努力を傾注する、こういう中小企業対策要綱を閣議決定しております。以来、政府もそれなりに努力をされてきたとは思いますけれども、いまの時期、日本経済の一つの転換期に、長官が中小企業対策を口にされたのはなぜか、その真意をお伺いしたい、こういう意味でございます。
○小坂国務大臣 私も長いこと経済界におりましたので、私の持論になっております。なぜかという理由づけは大変むずかしいのでありますが、中小企業は就業労働人口だけで見ましても大変な数でございます。これはつまり社会の最も健全な階層であって、まじめに働いているということにかけては社会の安定に欠くことのできない重要な役割りをしている。またただいまアメリカあたりも、対外援助の中で中小企業振興に力を入れているというが、私はそれなりの社会の安定勢力としての中小企業及びそこに働く人たちというものに着目しているせいだと思うのであります。 日本では前々から、中小企業庁から中小企業省をつくれという強烈な要求がありますが、現在の官僚機構の中では、そうしたことは二重屋、三階建て、四階建てになるということでなかなか実っておりません。しかし、実質的に大企業はもうすでにひとり歩きができるのであります。むしろ大企業はひとり歩きする方がいいのであります。さらにそれが余り力をふるい過ぎるのはチェックすればよろしいのである。しかし、いま大事なことは、日本の経済全体の問題としましても、また社会の安定の面から見ましても、この中小企業というものに対してもっと政治の光を当てていくべきであるという私の信念でございまして、評価をいただいたことを感謝をいたします。
○安田分科員 そうしますと、長官就任の際におけるいろいろなマスコミに対する中小企業重視の御発言というのは、非常に深いといいますか高い立場に立っておっしゃったことで、軽い気持ちでおっしゃったのではない、従来の信念でもおありになるということですね。 私は、わが国の中小企業対策については、まさに再検討を加える時期に来ていると思います。いま長官もお認めになったように、中小企業は大変重要な役割り、位置を占めておる。この点は歴代総理及び通産大臣なども国会内外でそれなりに言明されてきたところでありまして、ちょっと数字で見てみましても、事業所数において九九%、製造出荷額の五割、小売販売額の約八〇%も占めるなど、たびたび指摘されておるところであります。 さらに私は、階層分布という角度から見てちょっと検討してみたのですが、昭和三十年と五十年とを比較した場合に、昭和三十年では労働者が千七百五十万人で四四%、農漁民が千五百万人で三八%、中小企業者が七百万で一七・五%、こういうふうな数字になっているようであります。ところが二十年たっての昭和五十年、労働者が三千五百七十万で六六%、中小企業者がぐっと上に出てまいりまして千百二十万で二〇・六%、農漁民が下がりまして六百九十万で一二・七%、このように中小企業者は労働者に次ぐ大きな階層となっているということが数字でもはっきりするわけであります。アメリカや西独、フランス、イギリスなどの諸国と比較してみましても、中小企業がこれほど高い比重を占めている国はないように見受けます。高度成長期を経て、今日中小企業の役割りは一層重要になったと言わなくてはならないと思うのです。したがって、国の経済政策その他あらゆる政策を考える場合、中小企業にとってどうなのかということが、このわが国の実態にふさわしく重きを置いて検討されなければならない、こういうふうに思うわけであります。中小企業に働く労働者とその家族をも念頭に置いて考えますと、国民の過半数が中小企業の安定によってこそその生活が維持されておるわけでありますから、大多数のわが国民を思う政治ならば、中小企業対策をそういうふうに位置づけるべきだと考えるわけであります。この点は、先ほどの長官の御答弁でも全くそのとおりお考えだと思います。ところがわが国の政治の仕組み、機構、体制、そのすべてにおいて、果たして労働者に次ぐ高い比重という実態にふさわしい体制がとられているかどうかということを検討してみなければならない。本当に中小企業対策が世界一と呼ぶにふさわしいだろうか、この点を多角的に見直すべきではないかと、こう考えるものであります。通産省の仕事でもありますけれども、総理府、経済企画庁がその推進役となることこそ大切である、こういうふうに考えるわけでありますが、中小企業対策といいましても範囲が広いわけでして、いま時間の制限もございますので、そのすべてをここで問題にするわけにはまいりません。 たとえば、一つの例を見ますと、国の諸政策を決定するいろいろな審議会がございますね。この審議会の運営などの改善についてもいろいろ申し上げたいこともございます。しかし、それは時間の関係できょうは問いませんけれども、この審議会の構成、審議委員に中小企業者がどれくらい任命されておるか、これをちょっと見てみたいと思うのです。この点掌握しておられますかどうか、行政管理庁の方、いらっしゃったらお伺いしたい。——行政管理庁の方は来ておられないようですね。私どもの調べによると、まことに心細い話でありますが、企画庁ではおつかみになっていますか。
○喜多村政府委員 私どもの所管しております経済審議会だけで申し上げたいと思いますけれども、本委員会と称します総会がございますが、これは三十名でございますが、その中で中小企業の関係では、中小企業振興事業団の理事長をやっておられる方、あるいは信州大学の教授で主として中小企業の方をやっておいでになる方、こういう方が一名ずつ含まれておりますと同時に、それ以外に、総合部会でありますとか分科会の中にはそれ相当の中小企業の分野の方々を含めております。
○安田分科員 長期的な経済計画その他経済政策に関する重要な政策、計画などに関して調査審議し、また総理大臣に意見を述べることができるこういう審議会の委員構成を見てみますと、いまの御答弁のようになっているわけですが、その中で中小企業の研究者という、これはいわば学者である。それから中小企業金融公庫、政府系金融機関ですわね。つまり日々の生の経済活動、企業活動の中で動いている人ではないわけです。そういう体験をお持ちでもない、そういう方だと思います。ですから、どうも見ますと、財界、大企業の代表が十一名、政府及び政府系金融機関、この中に中小企業金融公庫が入っているのでしょうが、これが五名、学者五名、研究所が三名、労働組合が三名ですね。労働組合というのは、もちろん労働者出身でありまして、組合代表で、役員であっても、これは現場の労働者から上がってきておる、こういうことになります。消費者代表二名、マスコミ一名、こうなっておるわけで、労働者、消費者の代表はちゃんと入っているのです。ところが中小企業の代表だけがそういう意味では正式な三十人の中に含まれておらなくて、それにかわるものとして中小企業金融公庫の人と学者だけが入っているのですね。果たしてうまくかわれるかどうかという、それはその人、その人の能力もありましょうけれども、つまり生の中小企業者、体験を持った中小企業者がだれもおらぬ。なるほど分科会的なものや何かに呼んだりなんかしていろいろ話を聞いたりすることはあるでしょうけれども、この三十人の正式な委員の中には入っておらない。こういうことについて、私先ほどから強調しております、また長官も全くそのとおりである、自分の信念だと言われる、この中小企業の重要な位置、重視しなければならないこの位置から見てどうお考えになるか、率直に御意見を伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 中小企業はやはり経済的に見ると力の弱いところでございますが、実は、アメリカの例で恐縮でございますが、連邦準備銀行に参りましたときに、理事がおりましたが、その理事五人の中の一人は、三十人の人を使ってペンキをつくっている、その会社の社長さんがなっておりました。この人は実に意気軒高として、大企業あるいは政府サイドの理事と肩を並べて中小企業金融の問題を論じておりましたが、私は非常にそれに感銘を受けたわけです。大分古い話になったのですけれども、私はそうしたことを見たときに、金融問題一つとりましても、金融公庫の理事長さんが出て言うのと、三十人あるいは二十人で汗水たらしてやっている社長が出て、そうして切実な問題を訴えるのとでは違うと思って、このような配慮があってこそ経済というものは全体として自由主義体制が守れるし、また発展の活力が出るのじゃないかなと思っておるわけです。いま計画局長から御報告申し上げました経済企画庁にある審議会でございますが、その中にはいわゆる三十人、四十人のおやじさんは入っておらぬわけです。入れましてもどうかという、いろいろなことがあるのでしょう。しかし私は、こうしたところにもやはり労組代表とともに広く審議会の門戸を開放すべきだ、そして直接意見を述べる機会を与えるべきだ、もちろんそうした方々の意見は、たとえば商工会議所とかあるいは何とか団体ということでずっと集まってきておるのでありましょうが、やはり本当の現場を踏んだ方の意見が欲しい、またそれが大事なんだというふうに考えておりますが、政府機構の中にそうした方々に入っていただくということは私の年来の主張でもありますし、努力をしてみたいと思っております。しかし、それが実現するのになかなか時間もかかるので、企画庁といたしましては、先般中小企業の業種の主な役員の方とかあるいは食料品を扱っている団体のリーダーとかクリーニングをやっている団体のリーダーとか、本当に自分で汗かいてやっている方々に来ていただきまして懇談会を開きました。その中でも非常に多くの示唆に富んだ御発言がありまして、こうしたことを継続してやっていきたい。さらに、われわれの方から幹部諸君になるべく地方に出てということを申しておりますのは、こうした中小企業の集まりのところへ行って、そして生の声を聞いてほしいということが一番大事な一つのポイントでございまして、そのような努力をしてまいりたいと思います。
○安田分科員 長官おっしゃるように、とりあえず懇談会を開いたり現場へ行ったりして生の声を聞かれるのもいいのですけれども、もちろんそれはやっていただきたいと思うのですが、同時に、私が強く申し上げているのは、こうした正式な各種の審議委員にひとつ大胆に任命すべきじゃないかということなのであります。これは、いま経済審議会のことだけ言いましたけれども、産構審ですとか貿易会議、関税率審議会、輸出入取引審議会、対外経済協力審議会、税制調査会、財政制度審議会、金融制度調査会、まだ幾らでもありますね、資金運用審議会、外資審議会、経済審議会とあるわけです。国の経済、財政、税制、金融、こうした政策を左右する主要な十一の審議会を私拾ってみたのですが、委員総数は四百四十四名。このうち財界、大企業代表が五六%、政府機関の高官などが二〇・六%、実に八割近くをそれで占めている。残り大学教授、医師、ジャーナリスト、労働者などの国民代表が二三・四%、そういう構成なんです。そもそもこの構成自体もちょっとおかしいと思うのですが、その中で中小企業者はわずか五名なんです。一%。四百四十四名中五名なんですよ。これは中小企業対策だけでなくて、いろいろ財政、税制面すべて中小企業に関係してくる。私が冒頭に、あらゆる政策が中小企業にとってどうなのかということの視点は非常に大切じゃないかと申し上げたことと絡みますけれども、あらゆる審議会を通算してみるとこういう状態であります。もちろん審議会によっては部会とか小委員会というものがございます。そして中小企業者の意見を聞くということはありましょうけれども、そういう事情があることは知っておりますけれども、また審議委員に正式に中小企業者が入ればそれだけで直ちに中小企業対策がよくなるというふうに甘く考えているわけでもございません。 しかしそれにしても、いま私が指摘しました中小企業が非常に大きな階層的な位置を占めておる、経済活動の中の非常に重要な位置を占めておるということから見ると、余りに貧しいのではないか。それから中小企業政策審議会がいま挙げたような審議会に従属しているような実情がございますから、こういうことも含めますと、どうもわが国の中小企業の占めている社会的、経済的地位、実態に見合ったような形になっておらぬ。それは審議会によってはいろいろ専門的能力も必要でございましょうから、多少学者や何かの比率が多くなるということはあり得ても、余りにもこれはひどいのじゃないか。そういうことでこれは軽視していると言われても仕方がない状態だと思うのです。国の審議会委員に中小企業者をもっと大胆に採用、任命するということをひとつ小坂長官、こういう御信念を持っておられる長官の在任中にぜひ実行されてはどうか。なかなかむずかしい面がございますので、現場に行って聞いたり懇談をするというだけでなくて、ひとつ在任中にがっと実現していただけないかどうか、そういう点で御意見を伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 審議会の委員の任期というのがありまして、それの切りかえの時期でないとなかなかかわってもらえないわけでありますから、そういうチャンスがあるときには、なるべく私も先ほど申し上げたような方向で努力してみたいと思っております。
○安田分科員 次に、少し角度を変えて長官に伺いますけれども、日本経済の最終目標は完全雇用であるというお考えかどうか。いかがでしょう。
○小坂国務大臣 完全雇用というのはどの程度のことか、もう一〇〇%なのか、全体の就労希望者の総数に対して失業が一%とか二%とかという程度を指すのか、その辺の考え方にいろいろ差があると思いますが、もちろん理想としては、職を求める方々が就職できる状態、しかもそれが逆に価格形成その他に強い影響を持たない程度で希望する方が就職できるという環境、これを私は理想であると思っております。
○安田分科員 古い話でございますけれども、昭和三十二年度の経済白書ではそう述べていたようであります。昭和三十二年の経済白書ではさらに、この「完全雇用とは、単に完全失業者の数を減らすことではなく、」雇用における二重構造の解消を図ることである。「わが国のように農業や中小企業が広汎に存在する国では低生産性、低所得の不完全就業の存在が問題なのであって、」このような不完全就業は農業や零細企業などに見られる家族労働者の数が全体の労働者の中で非常に高い比重を占めていること、また雇用労働者の中でも企業規模によって賃金格差がきわめて大きいことにあらわれているというようなことを述べておるようであります。古い話ですけれども、ちゃんと経済白書にそういうように出ておるようであります。さらに四年たった昭和三十六年の経済白書では、大企業と中小企業の賃金格差について「若年層の格差縮小に限られている。これが中高令層にまで進展するには、なお労働力の需給、賃金制度、中小企業の経営等経済の高成長のみによっては改善を期待し難い幾多の問題が横たわっている。」こういうふうに早くも指摘しておるわけであります。このように、高度成長期の初期において日本経済の最終目標を達成するためには高度成長だけでは解決できない中小企業問題があるということをすでに指摘しておるわけであります。すでに政府がみずから認めておる。また、昭和三十八年に中小企業庁は「中小企業基本法の解説」というのを出しておりますけれども、この中で「経済成長というのは、単に国民総生産額の伸び率をいうものではなく、その内容において均衡のとれた成長でなければならないことはいうまでもない。」これもちゃんと指摘してあるわけであります。 そこで長官に伺いたいことは、高度成長を経て大企業と中小企業の格差はなくなった、二重構造は解消されたと認識されておるのでありましょうか、まずその点を伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 やはり残念なことに、なかなか日本の経済構造の中での二重構造の解消は道遠しという感じでございます。
○安田分科員 ところで、五十三年度の経済白書によりますと、「日本経済が戦後ようやくにして達成した完全雇用からの後退を余儀なくされた年であった。」こういうふうに五十二年の日本経済を総括しておるわけであります。ようやく達成した完全雇用から後退した、こういう言い方をしていますね。昭和三十二年、三十六年の経済白書は先ほど挙げましたような完全雇用の定義、つまり二重構造も解消していかなければならないのだ、これこそ完全雇用の中身だということを言っておる。それの文脈をずっと考えていきますと、この評価は、あたかも途中でそういう意味の完全雇用を達成したことがある、こういうことに読み取れるわけですね。「戦後ようやくにして達成した完全雇用からの後退を余儀なくされた」、三十二年の経済白書、三十六年の経済白書を見て次、こう見ますと、そういうふうになってくるように思うわけであります。 そこで、この雇用における二重構造の解消とか大企業と中小企業の格差解消、いろいろございますけれども、三十二年からの文脈をずっと考えた場合に、この五十三年の経済白書の評価はどうでしょうか。
○佐々木(孝)政府委員 先生御指摘のように、昭和三十年代の初めというのは非常にいわゆる二重構造が問題でございました。その当時の失業は一・五%程度でございました。一・五%というのは、国際的に申しまして非常に低い数字でございます。したがって表面的な失業率は非常に低いけれども、いま御指摘のございましたいろいろな二重構造の中に半失業的なものが入っているということを指摘をしたわけでございます。しかしその後の経過を見てまいりますと、失業率自体は四十八年に一・三%に減りました。われわれ当時からそういう作業をしておりましたけれども、一番悩みは規模別賃金でございまして、規模別賃金は、五百人以上を一〇〇といたしまして三十−九十九人、これは統計的にとれる一番小さい規模でございます、これが三十年に五八でございますから、大体六割でございます。これが四十八年には七〇・九というところになりまして、家族従業者の比率も三十年の三一・四から四十八年の一二・六。それからここに指摘してあります農家世帯と勤労者世帯の消費支出、これを見てまいりましても、三十年には勤労世帯に対しまして農家世帯が六三・三でございましたが、これは四十八年には一〇六・六ということになりました。 御指摘のあります賃金格差、これは三十年代の前半におきまして若年層が上がりました。その後も四十年代は続きましてもう少し上の層まで上がっていって、もちろん完全に均衡がとれたという状況ではございませんけれども、三十年の当時問題になっておりました不均衡というものはかなりの程度改善された。一方、そういう状況を背景にいたしまして、賃金の方も急激に上がる、労働力不足という状態になりまして、その時期に、四十年代の後半におきまして、一応完全雇用状態に近い、もちろん個々の問題はあろうと思いますけれども、マクロとして見ました場合に、三十年代前半に非常に指摘された二重構造というものはかなりの程度解消された、そういう意味において失業率の面あるいは格差の面から四十年代後半には一応完全雇用という状態に達したのではないか、こういう解釈をいたしておるわけでございます。
○安田分科員 五十三年度の経済白書を見ますと、「達成した完全雇用」と言っております。前の方を見ますと、完全雇用というのは昭和三十二年、先ほど言ったように、完全失業者をなくするというだけでなくて二重構造をなくしていかなければいかぬのだ、これが完全雇用の中身だと言っているわけですね。 そこで、いま長官がお答えになったのは、なかなか容易にこれは改善されていないとおっしゃるような御答弁があったのですが、いまの政府の答弁とちょっと違うようにも思いますが、いかがですか。片っ方はマクロで見れば達成したというようにおっしゃっているのですが、長官のお答えは、残念ながらまだ容易でないというお話……。
○小坂国務大臣 政府に入ったのは私は二度目で、余りそういうことを議論したことはないので、実はよく知らないのです。私の申し上げたのは実感として申し上げているのであって、二重構造というものはなくす努力をする一方、またそれが累積されるような他の要素もあったりして、なかなか改善されていないという現状認識を申し上げたわけであります。
○安田分科員 生きた経済の実態を本当に御存じの長官の実感の方が私は何だかぴったりくるような気がいたしますけれども、お役所ではいろいろ数字を挙げましてマクロではどうとか言いますけれども、どうも五十三年度の完全雇用を達成してそれから後退した、一たん完全に、理想的にぴしっといったのだというような評価はどうもいただけないような感じがいたしまして、私がもしこの経済白書を書くのでしたら、もう少し謙虚な、「達成した」と言い切らない部分があってもよかったのじゃないかと思うのですが、それはそれといたしまして、大企業と中小企業の格差も解消しておらないということは事実であります。それどころか、諸外国と比較した場合、日本の場合の格差が一番大きいということは中小企業白書でもはっきりわかるわけであります。この点は五十年度の白書を見ていただけばわかることですから、ここでは時間がございませんから申しません。要するに、数々の施策、きめ細かい制度、これは一見世界で最も進んだ中小企業対策のように見えますけれども、基本的なところで、つまりきめ細かい施策が本当に生きるというような政策という点では大いに問題が残っているのではないかというふうに思うわけであります。 先ほどの経済白書の三十二年、三十六年、五十三年の言葉遣いをあげつらうわけじゃないですけれども、どうもそういうふうな感じがするわけであります。数字面ではマクロの立場でいろいろああだ、こうだ言ってみても、現実には長官のおっしゃるように実感としてみれば、格差は解消されていない、二重構造も解消されていないという実感の方がどうも正しいのじゃないか、国民の実感にぴったりしている。それはまた本当に生きた実態を反映しておるのじゃないかというふうにも思わざるを得ない。また、私も商工委員をずっとやっておりましていろいろ中小企業対策を見てまいりましたけれども、個々の施策についてもこの政策効果がどれだけ生きたかということを考えますと、大いに問題が残っておるというふうに言えると思います。多分に一般的、総論的でございまして、具体的提案というと、先ほどの審議会に中小企業の代表を入れたらいいのではないかという提案にとどまりましたが、時間がございませんので、これで終わりますが、経済企画庁の任務に合った形で問題提起をしよう、こういう意味で申し上げたのでございまして、今後の日本経済の運営において中小企業にとってどうなのかということ、中小企業の経営の安定、振興に役立つかどうかということに絶えず大きな注意と関心を払った政治の実行をお願いしたい。 それで、冒頭からるる申し上げてきた点も含めて、最後に、長官は中小企業問題で具体的に何をしようと考えておられるのか、御答弁をお願いして、質問を終わりたいと思います。
○小坂国務大臣 いまの日本の企業の収益状態は大変よくなってきております。よくなっていると言うほどではないのですが、つまりオイルショック以前に比べてです。ドイツでもアメリカでも、いつでも政策を考えるときに民間企業の収益状態を見ることを一つのあれにしていると思いますが、日本の場合、オイルショック以前に比べて、最近になりましてようやく全体として九八くらいになった。ところが、アメリカやドイツはもうすでに二〇〇%くらいいっているところもありますが、百五、六十から二〇〇です。それだけ民間が繁栄しているわけです。日本の場合にそれが繁栄が非常におくれているということは何か問題点があるということ。 私、いま中小企業に関連して申し上げたいことは、先般も商工会議所の幹事会で言ったのでありますが、それを見ておりますと、オイルショック以前に比べて景気の、企業の収益の回復の一番著しいのは中堅企業なんです。大企業より中堅企業の方が収益がはるかに回復している。それに比べて中小企業がまだ七〇%台にとどまっているということであります。私は、この格差はやはり非常に配慮すべき問題だと思う。これだけ大ぜいの人が働いているところが、数年前のオイルショック以前に比べて収益がまだそこまでいっていないということは、経営がいかに苦しいかということであるし、そこに働く人たちに対する処置がやはり非常におくれざるを得ないということで、これを直したいと思います。といって、下請企業やその他の価格をやたらに上げれば大企業は注文をしてくれないでしょうし、そういうところの問題をわれわれとしては常に注意しながら、また同時にそうした組織体である商工会議所あるいは工業会、こうしたところがこういう問題を常に問題意識として持ちながら改善を一緒にやっていこうではないかというような話をしたわけでございまして、非常に広い、言うならば日本全体問題と同じような規模の中小企業問題を、一つだけの角度から取り上げることは何の解決にもならない。多方面から、可能なものから片づけていくということで、問題提起をわれわれは歓迎するし、また問題提起されたものに対して努力をしてみて、その効果がどれくらいあったかをフォローアップしていくということで、中小企業問題に対する幾らかなりともの前進を図っていきたいというのが私の現在の心境であります。
○安田分科員 これで質問を終わりますけれども、ひとつ審議会のこと、よく御検討いただいて実行していただきたいと思います。 終わります。
○森(清)主査代理 以上をもちまして、昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算中経済企画庁所管についての質疑は終了いたしました。 この際、午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○笹山主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算中農林水産省所管について政府から説明を聴取いたします。渡辺農林水産大臣。
○渡辺国務大臣 今日のわが国農林水産業の現状を見ますと、まことに厳しい局面に直面いたしております。 まず、農業については、米、ミカン等の生産が過剰となっている反面、麦、大豆、飼料作物等増産の必要な作物の生産が十分でないということが当面する農政の最大の課題であります。 このような情勢に対処し、うまい米づくりの推進を基本とする一方、学校給食用米穀の大幅値引きを実施する等、米の消費拡大に努めるとともに、長期的視点から意欲的に農業に取り組む中核的な担い手への農地利用の集積を図りつつ、需要の動向に即して地域農業の再編成を図る方針であります。このため、新たに地域農業生産総合振興事業を実施することとするとともに、引き続き、水田利用再編対策、農業構造の改善等の推進に努めていくこととしております。 次に、水田利用再編対策とも関連の深い農業基盤整備については、新たに水田の畑利用のための排水条件の整備改良を緊急に推進する事業を設けるなど、その拡充を図ることとしております。 また、農山漁村は、単なる生産の場ではなく、農林漁業者の生きがいを感じるふるさととして、日本民族の苗代としての役割りを果たしていく必要があります。このような観点から、農山漁村環境整備のための諸事業の拡充に加えて、村ぐるみの連帯感の醸成、地域住民の交流活動等を推進するための農林漁業村落振興緊急対策事業や、より安定した雇用機会を確保する等のための農村地域定住促進対策事業等を新たに実施することとしております。 次に、林業については、外材輸入の増大や木材需要が伸び悩みの傾向にあるなどの影響を受けて、きわめて厳しい状況にありますが、国土の保全、国内林業の振興、山村社会の発展を図るという観点から、活力ある森林資源の維持培養に努めるとともに、国内林業生産活動の活発化、国産材の供給力の向上等を図る必要があります。 このため、新たに、森林の面的整備を行う森林総合整備事業、国産材の生産及び流通加工の円滑化を図るための資金制度の創設等を行うこととしております。 また、水産業については、二百海里時代の本格的到来という厳しい環境に対処して、水産物の安定的供給と水産業の振興を図るため、わが国周辺水域における水産資源の開発と水産増養殖の推進を図るとともに、遠洋海域における漁場の確保を図る必要があります。 このため、新沿岸漁業構造改善事業の発足、沿岸漁業改善資金制度の創設等沿岸漁業対策の強化を初め、水産増養殖の一層の推進、遠洋海域における水産資源の開発調査、漁業外交、海外漁業協力の強力な展開等を図ることとしております。 以上、申し上げました農林水産業施策の推進を図るため、昭和五十四年度農林水産関係予算の充実に努めた次第であります。 昭和五十四年度一般会計における農林水産関係予算の総額は、総理府など他省庁所管の関係予算を含めて三兆四千六百三十一億円で、対前年比一三・三%、四千六十四億円の増加となっております。 以下、農林水産関係予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しを得まして説明を省略させていただきたいと思います。 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
○笹山主査 この際、お諮りいたします。 ただいま渡辺農林水産大臣から申し出がありました農林水産関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹山主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔渡辺国務大臣の説明を省略した部分〕 以下、予算の重点事項について御説明いたします。(地域農業生産体制の総合整備) 第一に、地域農業生産体制の総合整備に関する予算について申し上げます。 米等の生産過剰と増産の必要な麦、大豆、飼料作物等の生産が十分でないという農業生産の現状に対処して、需要の動向に適切に対応できる農業生産構造を確立するためには、意欲的に農業に取り組む者に農地利用の集積を図りつつ、これを中核として、地域の実態に即した農業生産の再編成を図ることが肝要であります。 このため、水田利用再編対策において転作の一層の定着、推進を図るため、奨励補助金等として二千二百八十一億円を計上したほか、地域の実態に即してその自主性を生かしつつ、麦、大豆、飼料作物等の生産拡大及び農地利用の集積を通ずる中核農家の生産シェアの拡大を計画的総合的に推進する地域農業生産総合振興事業を新たに実施することとし、これに必要な経費として五百億円を計上しております。 次に、農地の流動化を一層促進するため、貸し手農家の掘り起こし活動と農地賃貸借への踏み切りとなる流動化奨励金の交付等を内容とする農用地高度利用促進事業を地域農政特別対策事業の一環として新たに実施するほか、五十三年度に発足した新農業構造改善事業の本格的展開が図られるよう総額四百五十五億円を計上しております。(需要の動向に即応した農業生産の振興等) また、農業生産の振興は、需要の動向に応じて実施することが肝要であります。 このため、麦、大豆、飼料作物等の生産拡大の施策を初め、野菜、果実、畜産物等につきましては、各農産物ごとの需給事情、生産事情等に応じて、きめ細かな生産対策、価格対策等を講ずることとしております。 五十四年度予算に関しては、特に、温州ミカン及び肉用牛について御説明いたします。 まず、供給過剰の温州ミカンについて、学校給食における果汁利用を促進する事業を実施して消費拡大を図る一方、新たに、他作物への転換等を促進する温州ミカン園転換促進事業を実施することとしております。 また、輸入の増加等により果実等の需給に不測の事態が生じた場合に、その影響を緩和するための事業を機動的に実施できるよう所要の基金造成を行うこととしております。 次に、肉用牛については、牛肉の安定供給が急務となっていることにかんがみ、集落周辺に未利用のまま残されている里山等を簡易な造成手法により開発して草地を造成する事業を新たに実施するほか、生産適地において素牛の生産から肥育、処理等に至る一貫供給体制の確立を図る事業及び肉用牛生産のコスト引き下げを図るため、トウモロコシ等のホールクロップサイレージの給与等による肥育技術の確立を図る事業等を新たに実施することとしております。 以上のほか、農業機械の効率利用及び機械導入の適正化を図るため、新たに、受委託のあっせん組織の運営、兼業農家等における遊休機械の登録と貸し付け等を行う事業及び中古農業機械市場の形成を促進する事業を実施することとしております。(農業生産基盤の整備) 第三に、農業生産基盤の整備に関する予算について申し上げます。 需要の動向に即した農業生産の再編成とこれを通ずる食糧自給力の強化を図るとともに農業の健全な発展を図るためには、その基礎的条件である農業生産基盤の計画的な整備を推進することが肝要であります。 このため、従来から、土地改良長期計画に基づき圃場整備、農道、灌漑排水、農用地開発等の事業を積極的に推進しているところでありますが、五十四年度は、排水対策を大幅に拡充強化することとし、排水条件の整備改良を緊急に実施する排水対策特別事業を新たに実施することとしております。 また、畑作の振興を強力に推進するため、畑地帯総合土地改良事業等、畑作の振興に資するための各種事業を積極的に推進することとしております。 これらを含めた農業基盤整備費として、総額八千九百六十九億円を計上しております。(住みよい農山漁村の建設と農業者の福祉の向上)第四に、農山漁村の生産、生活環境整備等と農業者の福祉の向上に関する予算について申し上げます。 農山漁村は、単なる生産の場ではなく、農林漁業者の生きがいを感じるふるさととして、日本民族の苗代としての役割りを果たしていく必要があります。 このような観点から、農山漁村環境整備のための諸事業の拡充に加えて、村ぐるみの連帯感の醸成、地域住民の交流活動等を推進するための農林漁業村落振興緊急対策事業や、より安定した雇用機会の確保と生活環境整備等により、地域住民の定着を図る農村地域定住促進対策事業を新たに実施することとしております。 また、山村の振興を図るため、従来の農林漁業の振興対策に加え、新たに第三期山村振興対策を発足させることとしております。 農業者の生活改善、健康の維持増進等についても施策を充実することとしております。 さらに、農業者年金制度についても、加入期限を逸した後継者の加入の救済措置を講ずる等、制度改正を行うこととし、四百三十八億円を計上しております。(国産農産物の需要拡大、流通加工の近代化等) 第五に、国産農産物の需要拡大及び流通加工の近代化等に関する予算について申し上げます。 総合的な食糧自給力の向上を図るためには、需要面においても、わが国の風土、資源に適合した食生活の普及と消費の拡大を図る必要があります。 このため、米について、学校給食用米穀の値引き率の大幅引き上げにより、米飯学校給食の計画的拡充を進めるとともに、地域ぐるみで米の消費拡大を推進する事業を新たに実施する等、米の消費拡大を一層推進することとしております。 また、米、転作作物等国産農水産物の加工需要の拡大を図るため、新たに、これら国産農水産物を原料とする新製品の製造設備等のリースによる導入につき助成する事業を実施することとしております。 次に、流通加工対策については、生鮮食料品の流通のかなめである卸売市場の計画的整備を引き続き進めることとしておりますが、その一環として、民営の地方卸売市場についても統合等により地域流通の拠点となるモデル市場の整備に対しては新たに助成することとしております。 また、産地の流通加工施設の整備、卸小売業の近代化、新流通経路の育成等を推進することとしております。(農林漁業金融の拡充) 第六に、農林漁業金融の拡充に関する予算について申し上げます。 まず、農林漁業金融公庫資金については、新規貸し付け計画額を七千百七十億円に拡大するとともに、融資内容の整備拡充を図ることとしております。 また、農業近代化資金、農業改良資金等についても充実を図ることとしております。(森林、林業施策の充実) 第七に、森林、林業施策に関する予算について申し上げます。 森林、林業施策については、林業をめぐる内外の諸情勢に対処して、国内林業生産の振興と森林の公益的機能の発揮とを調和させつつ、その強力な展開を図ることとしております。 まず、林道、造林及び治山事業については、二千八百八十億円を計上し、積極的にその推進を図ることとしておりますが、特に造林事業については、一層の促進を図るため、市町村の指導のもとに、植栽から保育に至るまでの一貫した造林活動を集団的に行う森林総合整備事業を創設することとしております。 次に、国内林業及び林産業の振興を図るため、国産材の生産及び流通加工の円滑化に必要な資金を低利で融資する国産材産業に関する振興資金制度を創設するとともに、農林漁業金融公庫の造林資金及び林道資金の償還期限等の延長の特例措置を講じることとし、所要の法制化を図ることとしております。 また、木材の需給、価格動向に関する情報の迅速な収集、分析及び提供のための体制を整備することとしております。 林業構造改善対策事業については、二百二十五億円を計上し、事業の進捗を図るとともに、次期対策への円滑な移行を目的とした新林業構造改善促進対策実験事業等を新たに実施することとしております。 このほか、林業労働力対策及び特用林産振興対策を拡充するとともに、特に最近におけるマツクイムシ被害の異常な増大に対処するため、マツクイムシの緊急かつ計画的な防除を実施することとし、森林病害虫等防除対策として五十九億円を計上しております。(水産業の振興) 第八に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。 二百海里時代の到来に対処して水産物の安定的供給を確保し、わが国水産業の振興を図るため、水産施策の強力な展開を図ることとしております。 まず、わが国周辺水域の水産資源の開発と水産増養殖を一層推進することであります。 このため、魚礁の設置等沿岸漁場の整備開発を促進するとともに、栽培漁業を推進するための国、県の諸施設の整備を図るほか、漁業者が種苗放流、漁場管理等を一体的に行う事業を新たに実施することとしております。さらに、サケマス資源の計画的増大を図るため、サケマスふ化場等増殖施設の整備、未利用河川の開発等を推進することとしております。 次に、遠洋海域における水産資源の開発と遠洋漁業の新たな展開を図ることであります。このため、新資源、新漁場の開発調査を推進するとともに、漁業外交の強力な展開、海外漁業協力等により海外漁場の確保に努めることとしております。 また、水産物の価格、流通、加工対策については、加工利用技術の開発、多獲性魚等の消費拡大等を行うこととしております。 さらに、沿岸漁業対策については、資源培養管理型漁業の推進、担い手の育成、生活環境の整備等を総合的に行う新沿岸漁業構造改善事業を発足させるほか、技術改善、漁家生活の改善等を助長するための沿岸漁業改善資金制度を創設することとし、同制度の法制化を図ることとしております。 また、漁港施設の整備を促進することとし、千六百三十億円を計上しております。 さらに、金融対策として、国際環境の変化等に対処して、漁業経営維持安定資金の貸し付け枠を大幅に拡大するとともに、水産加工業者に対し経営安定資金を融通することとしております。 このほか、漁場環境対策等についても拡充を図ることとしております。(その他の重要施策) 以上のほか、農林水産業施策の推進のために重要な予算として、試験研究については、畑作物の試験研究の強化に重点を置いて七百三十八億円を計上するとともに、農林漁業の普及指導事業等について四百二十五億円を計上しております。 次に、昭和五十四年度の農林水産関係特別会計予算について御説明いたします。 まず、食糧管理特別会計については、先ほど申し上げましたように学校給食用米穀の値引き率の大幅引き上げ等、米の消費拡大を一層積極的に推進することとしております。 また、新たに過剰米処分を計画的に行うこととし、五十四年度においては、六十万トンの処分を予定しております。 この処分に伴い生ずる損失については、七カ年度内において計画的に一般会計からの繰入金により補てんすることとし、五十四年度においては、百二十七億円を繰り入れることとしております。 食糧管理特別会計への一般会計からの繰入額は、調整勘定へ六千三百四十億円、国内米管理勘定へ三百三十四億円等を計上しております。 また、農業共済再保険等の各特別会計についてもそれぞれ所要の予算を計上しております。 国有林野事業特別会計については、国有林野事業の経営改善を計画的に推進することとし、事業運営の改善合理化等の自主的努力とあわせて、国有林野における造林、林道事業に要する経費について引き続き一般会計資金の繰り入れ及び財政投融資資金の導入の拡大を図ることとしております。 最後に、昭和五十四年度の農林水産関係財政投融資計画については、農林漁業金融公庫が必要とするもの等総額七千五百十六億円の資金運用部資金等の借り入れ計画を予定しております。 これをもちまして、昭和五十四年度農林水産関係予算の概要の御説明を終わります。 —————————————
○笹山主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○笹山主査 質疑に先立ちまして、分科員の各位にお願い申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は的確かつ簡潔にお願い申し上げます。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
○中村(茂)分科員 同和対策事業の関係についてまず質問いたしますが、御存じのように、五十年に残事業について調査いたしました。この残事業が、今回同和対策事業特別措置法が三年延長になったわけでありますけれども、この三年間に完全に消化できるかどうか、その点についてお尋ねいたします。
○大場政府委員 農林省といたしましては農業部門あるいは林業部門、漁業部門、それぞれのところを担当させていただいているわけでありますが、従来五十年調査の残事業がかなりあって、ほかの省等に比べてわれわれはかなりの予算も獲得してその消化には努めておりますが、率直に申し上げましてかなり残事業はあります。ですから、これを三年間の期間内にぜひともやるように努力はいたしたいと思いますが、それがこれからの予算獲得ということにかかっておりますので、これは財政当局とも折衝して鋭意努力はいたしたいと思います。
○中村(茂)分科員 相当残っているということでございますが、私どもいろいろ調査してみますと、確かに五十年のときに全体として国費で三千二百六十億円残事業がある、こういうふうに言われているわけでありますけれども、そのうち農水関係がどのくらい占めるか、そして全国の市長会では残事業一兆二十四億円、それから部落解放同盟では約四兆円残事業がある、こういうふうに指摘しているわけであります。ですから五十年の調査、政府の調査でありますけれども、相当開きがあります。 そこで、先ほどの答弁でも、政府のいま把握している残事業という中でも、この三年間で大蔵折衝の中で相当予算を獲得しなければ完全にできないという事情がある。そこで、この三年延長の一部改正案が通ったときに附帯決議がございます。特に附帯決議の一項には、実態の把握に努めなさいということが強く指摘されているわけであります。何をするにもそれぞれの機関によってこれだけの大きな開きがあるということになると、やはり残事業がどのくらいに実際になっているのか、それからどのくらいこれから追加していかなければならないのか、実態調査をきちっとしなければならないというふうに思うのです。そして、実態調査の結果総合的に法律の改正に努力する、こうなっているわけでありますが、まず実態調査について農林水産省はどのように考えているか、どういう計画で進めようとしているか、明らかにしていただきたいと思います。
○大場政府委員 同対法の延長の際の両院の附帯決議の中に、実態調査について特に指摘されておられますので、私どもそれを尊重していま事業を進めております。具体的に申し上げますれば、一つは、地方農政局の職員、これは当然のことでありますけれども、本省の職員を含めて現場に出かけていっていろいろ現場の視察調査をするということで、現場の実態を探るという、そういう接近が一つございます。もう一つは、地元を管轄しております都道府県の県庁の職員を地方農政局単位あるいは中央に呼びまして実情を調査する、こういった形で、去年の秋以来逐次具体的に対応をしております。職員の出張とかいうことにつきましても、中央からいってもかなりの回数に及んでおりますが、いまそういった回数を積み重ねつつある、こういった現況でございます。
○中村(茂)分科員 積極的にひとつ実態の把握に努めていただきたいというふうに思います。そういう全体的な状況の中で大臣にひとつお願いしたいのですけれども、大臣みずから現地視察をきちっとやっていただきたい。相当いままでの努力で、特に農林関係についてはそれぞれのところで事業を進めていただいているわけでありますけれども、私も方々へ行ってお聞きするのは、特に農林関係についてこの同対事業で非常に多くの要望が出ているわけです。そういうことにあわせて、三年延長になった実態を把握しなければならぬ、こういう中で一日も早く大臣みずから現地視察をひとつやっていただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○渡辺国務大臣 事業の種類は多種多様、いろいろな地域に分かれておりますから、どこを見たらいいのか、なかなかむずかしい問題がございます。まず第一には、事務当局をしてできるだけ実態の把握に努めるように努力をしてまいりたいと考えております。
○中村(茂)分科員 わが党、社会党の同僚の矢山委員が、予算委員会でこの種の問題について質問し、三原総理府総務長官から、残事業の問題についてはもちろん実態把握に努力するという約束と、大臣もみずから現地調査をするというお約束をいただいたわけです。それから、そのときに出席した他の大臣も、それぞれそういう趣旨のお約束をいただいたわけであります。たまたま用事で大臣この席に出席していなかったわけでありますが、いまのお答えでは、実際に実態を把握したその上に立って、こういうお考えのようであります。大臣も三年、四年というふうに長ければいいわけですが、期間がいずれあると思います。ですから、私は少なくとも五十四年度いっぱいくらいには大臣みずからの御視察をしていただきたい、こういうふうに強く思うのですけれども、もう一度いまからのめどというか、そういうものを含めてお考えをお聞きしたいというふうに思います。
○渡辺国務大臣 私は現地視察をすることにやぶさかではないのですが、どこの地域を見るか、どれを見るか。全部を見ることはとうてい不可能なわけですから、したがって、そういうような点も考えて、折があったら適当なところを視察するように努力をしたいと思います。
○中村(茂)分科員 ひとつできるだけ早くお願いしたいと思います。 それから次に、国有林の払い下げについてお願いしたいと思いますが、結論から先に申し上げますと、部落解放同盟の長野県連で施設をつくりたいので国有林を払い下げてもらいたい、こういう中身なのです。若干その趣旨と経過を申し上げますと、同和対策について、いろいろな同和事業の関係とかまたは環境整備についてはある程度進んできているわけでありますけれども、教育、文化、スポーツの面については全体として大変おくれております。そういう状況の中で長野県の部落解放同盟の皆さんとしては、スポーツ、それから保養とみずからの研修が行われるような施設が欲しい、こういう意見が出てまいりまして、そういってもどういうところに場所を求めるか、どういう施設をつくるのか、こういうことが関連して起きてまいります。そこで着目したのが、場所は長野県小県郡真田町大字長字菅平の国有林、事業所の名称でいけば上田事業区七十一林班い小班、これに該当するところでございまして、百九十五ヘクタールあります。 そこで、若干この菅平という場所について宣伝させていただきたいと思うのですが、私が申し上げるまでもなく大臣よく御存じだと思いますけれども、この菅平高原というところは冬はスキー場で有名です。しかし最近は、夏になりますとスポーツの合宿が大変多くなってまいりました。特に学生のスポーツ合宿というのが多くなってきているわけであります。スポーツの施設も、簡単に申し上げますと、ラグビー、サッカー用のグラウンドが二十三面、テニスコートが百面、体育館が三館、その他アーチェリー練習場とかそのほかの施設がございます。夏だけでこういうスポーツの合宿人員が昨年は四十五万人にも達しているという地域でございますから、国有林を何とか払い下げていただいてこういうところにふさわしい施設をつくりたい、こういうわけでございます。しかも、もう長野営林局を通じて上がってきているという話も聞いておりますけれども、御見解をお聞きしたいと思います。
○藍原政府委員 ただいまの先生から御指摘になりました個所、確かにただいま営林局あるいは営林署を通じまして私の方もその内容については聞いております。目下どういう計画でおやりになるのか、そういう具体的な問題を営林局と皆様方関係者の方々と検討を進めております。そういう関係で、私どもそういう検討の進めの中で、御存じのように、先生いま御指摘になりました個所は造林地でもございます。それから国立公園の第二種指定地域になっております。こういう関係もございますから、その辺との調和をどうやって調和させていくか、また関係省庁がどういう御見解になるか、その辺の問題もございますけれども、私どもといたしましても、そういう計画を十分詰めていただいた上でわれわれとしての対応を十分検討して、それに対する対処を決めてまいりたいというふうに考えております。
○中村(茂)分科員 お願いします。 次に、長野県の浅間山ろく広域農道について二、三点質問したいと思いますが、この広域農道はすでに開通になっているところもございますけれども、特にトンネル工事の部分があるわけです。 そこで、このトンネル工事の進行計画について明らかにしていただきたい。
○大場政府委員 いま御指摘の広域農道、四十七年度で採択したわけですが、率直に申し上げまして進度は同じ年度に採択した農道に比べて必ずしも進んでおりません。むしろ劣っていると言った方がいいと思います。これは、いろいろ地元の御事情もあったわけでございますが、そういったこともあって部分効果を早く発生したい、こういう考え方で、お話しになったトンネル工事の促進については急ぎたいと思っております。五十二年度に調査設計をやって五十三年度から工事に着手している、こういった状況でございますが、あと従来おくれたものをどれだけの期間に取り戻すか、これは率直に申し上げて今後の予算の獲得次第によるわけでありますが、地元の事情はよくわかりますし、トンネルを開通することによって部分効果が発生という事情もよく承知しておりますので、急ぎたいと思っております。
○中村(茂)分科員 特に、地元からの要求は五十六年の一月までに完成したいという要求のようでございますが、トンネル工事をどうしてもやらなければならぬという事情になったので相当多額の費用がかかるということで、ずっとおくれてきているわけでありますが、この点については、いまお話しのようにできるだけ予算を獲得していただいて、いろいろ申し上げませんけれども、地域の交通事情が非常に大変になってきていますので、努力していただきたい、こういうふうに思います。 それに関連するわけでありますけれども、特にこの地域は芳田地籍というのですが、両方から道がずっと来まして千五百メートルについてまだ計画ができていないわけです。これが全面開通になったときに、この部分がまだ道路ができないということになると、道路の事情からして大変な交通混雑が予想されるわけです。 そこで、この千五百メートルのまだ計画ができていないところ、これは全体的には豊里地域というふうに言うのですけれども、この地域に豊里基盤整備事業が行われるという計画になっていまして、この基盤整備事業に道路を組み込ませる、こういう中で千五百メートルがまだ計画できていないのだということを聞いているわけです。そうなってまいりますと、この基盤整備事業がどういう計画で、それに合わせて道路がどういう計画になっていくのかということが絡まってまいりますけれども、中身は複雑でございますが、どういう計画になっているのか、ひとつ明らかにしていただきたい。
○大場政府委員 芳田付近の道路事情のことにつきましては、私も担当からよく聞いたつもりであります。いまお話しになりましたように、道路が、トンネルが開通しますと交通量がふえる。しかし、付近の道路事情は非常に悪くて、それだけまた混んでしまう、こういったようなこともあるようであります。そういう意味で芳田付近の千五百メーターの開通を急がなければならない、こういった事情もよく理解しております。 それから、いま重ねてお話のありました豊里の、これはたしか県営圃場整備だったと思いますけれども、県営圃場整備の御計画が地元にあるという話も聞いておりますが、これはまだはっきりと県庁から正式に私どもに上がってきている段階ではございません。伝え聞くところによると、五十四年度で調査をして五十五年度の着工採択ということをその調査の進展ぐあいによって国の方に要求なさる、こういったような地元県庁の御意向のようであります。それが正式に来ましたら改めて私ども慎重に検討して対応いたしたいと思いますが、いずれにいたしましても、地元の圃場整備事業と、それから、芳田地区の千五百メーターの道路工事の問題、まさに調整を要する問題がございますので、よく地元から御意向を承ってその辺の調整はうまくやっていきたいというふうに思っております。
○中村(茂)分科員 いまお話しのように五十四年度に調査費がつくようでございますから、計画どおり実施できるように、私どもも、地域の事情がございますから、県の方へ強く要請したいというふうに思っているわけでありますが、それに関連するこの農道についてその計画に合わせて御努力をいただきたい、こういうふうに思います。 それから次に、上田市の東部地区の農村総合整備モデル事業についてお尋ねしたいと思いますが、これは四十八年に発足したわけであります。ことし五十三年度ということになるとちょうど六年経過するわけでありますが、これが発足したときには六、七年でできるという計画であったわけでありますから、当初の計画どおりにいけばもう完成していなければならないわけでありますが、いろいろな事情で相当おくれてきております。 そこで、私も前にも質問したことがあるわけでありますけれども、その当時は、この六年計画というのもおくれて、十年近くまでどうもかかりそうだというようなお答えでございましたけれども、いま調査してみますと発足以降どうも十一年ぐらいかかるというような話も聞いているので、大変おくれてきております。現在の時点でこの計画が何年で完了するような計画をお持ちなのか、まずその点をお聞きしたいと思います。
○大場政府委員 農村総合整備モデル事業、これは全国的に非常に御要望が多い事業でありまして、進度を上げろという御要求が非常に強うございます。また一方、新規地区を採択しろという御要望も強くて、両方の御要望におこたえするということで、われわれは、率直に申し上げれば骨を折っているということでございます。しかし、進度を上げるということが緊要の課題でありますから、われわれ標準進度七年ぐらいというふうに考えてはおったわけでありますが、それがかなりおくれているという現実を踏まえて、急いでいきたいと思っております。モデル事業の予算も、農業基盤整備事業一般の予算が一二三%という対前年比でありますのに対して、一四二%というぐあいに特に重点を置いて予算編成をしたことも、そういった考え方から発しているわけであります。 お話の上田の総合モデル事業、これは全国の地区よりも事業規模がやや大きい、型が大物であるというようなこともあってややおくれているという面も、その一般論のほかにあるわけでありますが、これも先ほど申し上げましたように、予算を大幅に獲得しまして、今後もそういう努力は続けてまいりますが、そういうことによってできるだけ従来の進度のおくれを取り戻していきたい。現実に逐次取り戻しつつありますが、十一年というようなことの期間ではなくて、それ以内にできるだけ早く取り戻して完工いたしたいというふうに思っております。
○中村(茂)分科員 大臣、この総合モデル事業、私は非常にいい事業だというふうに思うのです。ですから、先ほどのお話のように、進度を高めるのか幅を広げていくのがいいのか、これは両方やってもらわなければならない問題になってきております。特に、大平総理も田園都市構想などという問題を持ち出しているわけでありますけれども、農村の環境整備ということは特に必要な段階に来ているのじゃないか、こういうふうに思うのですね。何と言っても、いい施設だ、これはやらなければならない、こういうふうに言っても、予算を多くつけてもらわなければどうにもならないことでございますから、特に大臣に、この重要性を、理解していると思いますけれども、理解していただいて、私が指摘しているこの一部分、上田東部というような問題ばかりではなしに、全体的に、このモデル事業がスムーズに、しかも規模を大きく前進できるよう最大の努力をしていただきたい、こういうふうに思うのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 そのように努力をしたいと思っております。
○中村(茂)分科員 終わります。
○笹山主査 これにて中村茂君の質疑は終了いたしました。 栗林三郎君。
○栗林分科員 私は、農林省が今度の予算で新規事業として予算化されております農村地域定住促進対策事業、この事業予算についてお尋ねしてみたいと思います。 この事業予算は、すでに三年になりますが、たしか昭和五十一年度から実施されたと記憶しております。この五十一年度に出かせぎ農業者就業改善事業、さらにその目玉施策と見られる実験事業、これが三年実験事業として続けられましたが、この事業の実験段階を終えて、五十四年度からは本格的な事業へ移行したものだ、こんなふうに私どもは理解してこの事業予算を見ておるものでございます。実験段階の当時はわずか三億前後の予算でございましたから、ほとんどの人は見落としておったと、私はこう思います。しかし、その当時から、出かせぎで苦労しておる多くの農民諸君は、この予算は一体今後どう発展するだろう、どういう方向へ伸びていくだろうと、熱い眼で見詰めておったものでございます。私もその一人でございます。本年度実験段階を終えて本格的な事業に移行する、約二十六億の予算が計上されて、実験事業に比べますと、金額もそうですけれども、事業内容なども約十倍の内容を持った、かなり期待される予算と私どもは見ておるわけでございます。したがいまして、この事業予算について若干お尋ねをしてみたいと思います。 私は、昨年の予算委員会のこの分科会で、農林関係の分科会でも、当時の中川農林大臣との間で出かせぎ問題について、あるいは出かせぎをめぐる農業政策問題について若干の議論をいたしました。しかし、この場ではそうした議論は一切省略しまして、私が質問をする主題そのものに直接触れていきたいと思います。 私は昨年中川農林大臣に、出かせぎは農業を崩壊する、家庭をも破壊に導くゆゆしき社会問題でもある、したがって出かせぎをなくしなければならない、それゆえに出かせぎを抑止する、解消するその施策、対策はきわめて重要であるという質問もいたしました。それに対して大臣から、出かせぎは好ましいものではないとの率直な答弁がありました。大臣はこう答弁してくれました。すなわち「出かせぎのある実態はまことに遺憾であり、これを少なくするということを基本に置いて農政を進めてまいりたいと考えております。」と率直に答えてくれたのでございます。そこで私はさらに質疑を続けました。先ほどもちょっと触れましたが、昭和五十一年度から実施されておるこの出かせぎ農業者就業改善対策事業、この実験事業を私はこの場で取り上げて、それならば早く実験を終えて一日も早く本格的な事業へ移行すべきではないのかと、移行してもらいたいと、こう強く要望を含めてお尋ねをいたしました。これに対して中川農林大臣からは、明年度からは本格的に取り組みたい、「五十三年度までは実験事業でございますから予算にもおのずから限度がございますけれども、本格段階ではかなりの額を投入して出かせぎ解消に役立つようにいたしたい」、これは大臣の答弁そのままを私申し上げたわけでございます。というかなり意欲的な御答弁がございました。そこで農林大臣にお尋ねしますが、大臣も中川さんと同じく、出かせぎはきわめて遺憾、好ましからざるものと認識されておられるのかどうか、さらに、そうした遺憾なものである、好ましいものではないという認識に立って、今度新規事業として打ち出されましたこの農村定住促進対策事業は、いままで実施してきました実験事業を発展的に解消し、積極的に出かせぎを解消する、抑止を図る本事業に移行したものと私どもは理解し、受け取ってよろしいのでしょうか。まず大臣のこの点に関しての所信を承ってみたいと思います。
○渡辺国務大臣 ただいまお話がありましたように、出かせぎ実験事業は三カ年間やりまして、その成果と経験を生かして今回発展的に定住促進事業というものをこしらえたわけでございます。申すまでもなく、家族がばらばらに暮らすということは好ましいことではないわけでありますから、やはり家族が一緒に住みながら、その中で農業を中心として所得を上げていくということが好ましい。したがってそういうような方向に持っていくためにいろんな方途を取り入れて今回の定住促進事業をこしらえたわけであります。
○栗林分科員 大臣の所信を承りまして、少なくとも出かせぎの問題については前の中川農林大臣と同じお考えである。そういう認識に立ってこの事業予算を策定された、こういうように私は伺いまして、大変ありがたいと思います。 それならばここにまた問題がございます。本当に実験事業から本格的な事業へ移行したものかどうかということに幾つかの疑問があるのでございます。なるほど予算は、先ほどもちょっと申し上げましたが、二十六億です。これはいままで三億足らずのものですから、従ってこれだけの予算を大蔵省へ認めさせるには、大臣もずいぶん努力をしたかもわかりませんが、担当しておられる構造改善局の皆さん、就業改善課の皆さんなどがどんなに大蔵省へ足を運んだか、その皆さんの御努力に対して私は敬意を表するものでございます。予算はふえておるのですよ、しかしふえておるからそれで結構だとは私は評価できないわけです。 具体的にお尋ねいたしますが、今回の定住促進事業に対しての趣意書を私、いただいております。昨年いただいた趣意書でありますから、いまでは改められておるかもわかりませんが、昨年いただいた趣意書に基づいて申し上げますと、この趣意書の中には農業改善ということに一言も触れておらない。農業以外のいろいろな事業を計画する、あるいは工場を誘致する、そういうような農業以外の雇用の機会を創造し与えるということが主になっておる、これは趣旨でございます。 多少議論になるかもわかりませんが、出かせぎをしておる農民は離農を希望している者はないのでございます。でき得れば農業の中で生きたいという、この希望は執念的に持っておるものでございます。仕方がないから出かせぎしておるわけだ。それでありますから、こうした零細な兼業農民の出かせぎを解消するためには、第一に取り上げなければならない問題は、いかにして農業を改善するか、いかにして経営を改善してその中に出かせぎ農民を吸収するか。農業の中で出かせぎをなくするような施策を講ずるということを第一に取り上げなければならないではないかと思うのでございます。趣意書を私持ってきておりますが、一つもありません。農業改善、経営改善、一つもない。そうして一番最後に事業内容があります。その事業内容を見ますと、一、二、三とありまして、三番目に農業部門の改善ということがかすかにうたわれておる。趣旨、目的の中には一言も書かれておらない。これでは予算はふえましたが、勘ぐれば、零細農民は別の雇用の機会をつくってやるから農業をやめなさい。そう勘ぐられても仕方がないではないだろうか、こういうように思います。ところが前の実験事業の場合はそうじゃないですよ。実験事業の場合のその趣旨、目的はすばらしいものだと私は思っておるところでございます。それを読んでみます。私の意見じゃありません。読んでみますと、「出稼農家に対する営農改善対策、留守家族対策を講ずるとともに、出稼ぎが多発している地域について出稼ぎの解消又は抑止を図るための事業を実施し、もって農業経営の近代化及び農業就業構造の改善に資するものとする。」第一に農業ということをうたっております。その次に他の雇用の機会、こううたっておるわけでございます。私はいまの日本農業の現状で、これは農業政策を論ずるのではないですけれども、いまの日本農業の現状で出かせぎをなくするなんということはできません。根本的な日本農業の改革、特に問題なのは、日本農業はきわめて零細構造であります。いわゆる二種兼業、そうした零細な農家の数が非常に多い。こういう零細な農家は農業で飯を食えと言っても食えっこない。好むと好まざるとを問わず、こうした小さい農家の皆さんは出かせぎをせざるを得ないわけでございます。ですからこうした零細構造を根本的に改めない限り、日本農業の政策というものを根本的に改めざる限り、出かせぎを全部解消することはできないと思います。しかし、できるだけ農業の中に吸収してその中で出かせぎを少しでも解消する、これはできると思うのです。全部やれというわけじゃない。出稼ぎを少しでも抑止する、解消する、そういう施策はできると思う。ですから、実験段階の場合はすばらしいと思いました。第一に農業経営の改善、その次のその他の適切な雇用機会を与える、こういう趣旨になっていました。今度予算はふえましたけれども、この定住化対策の趣旨を見ますと、一番大事なのは趣旨、目的でしょう。農業の改善はこれっぽっちもない。一番最後の一、二、三の事業の三番目にかすかに農業部門ということがうたわれておる。これでは実験事業から本格的な事業へ移行したとは受け取れないわけでございます。したがって、性格が変わったのですか。本当に農業の中でひとつできるだけの解消をする、それでできないものは環境の整備であるとかその他の適切な雇用の機会を与えるとか、そういうことによって出かせぎをなくするんだ、こういうお考えであるのか、ひとつはっきりさせていただきたいのであります。
○渡辺国務大臣 それは、趣旨は変わっておりません。そこに、まあ表現の仕方でございますが、「広範に存在する兼業農家の不安定な就労状態を改善する」というのは、それはやはり農業というものを改善していくのだ、そういう意味でございまして、その具体的内容を下に書いたわけです。いま栗林委員からお話がございましたように、零細な土地で、それだけで豊かな暮らしをしろと言われてもそれはできっこないでしょう、私は全くそうだと思う。しかしながら、所得を上げるためには、農業の構造改善や基盤整備というのは、当然やるのです。それをやらなければ余剰労働力は出ないわけですから、そういうことをやって、その傍ら極力農業でも手数のかかることをやって所得を上げるようにするとか、あるいは山岳地等のところは、基盤整備をやれといったってそれはとてもできるわけはない。したがって、そういうところは観光のために人がたくさん訪れるというようなところがあるし、風光明媚なところを利用して、そこでいろいろな生産物を提供したり、土地を利用しながら、自分の山にもキャンプを張らせるとか、いろいろなそれぞれの地域においてみんな違うけれども、「土地節約型の農業の複合生産の推進」ということを書いてあるわけですから、私は、趣旨は変わってないと思うのですよ。ただ、趣旨の中にもっと農業構造改善ということを書いたらいいじゃないか、書けばよかったのかもしれませんが、別に悪意は何もないわけでございまして、同じ趣旨でございます。
○栗林分科員 大臣の答弁で、これは実験事業からその性格が一つも変わっておらない、むしろそれをもっともっと強固に発展させるための施策であるということが確認されたので、私、やや安心したのでございます。しかし、こういう文章が出ている限り——私が心配するのは大したことないのですよ。せっかく熱い眼で見詰めておる出かせぎ農民が、この文章を見ますと失望すると思う。先ほど申し上げましたように、この文書、私、昨年いただいたものでございますから、今日ではこれは変わっているかもわかりませんが、これは文書で出ているものでございますから、国会へ出す説明書であるとか、外部の方へ出す説明書とか、これではいま申し上げたような誤解を受けるわけです。これは本当に何もないのですよ。時間がもう少しあるから、読んでみましょうか。 一番大事なのは趣旨、目的ですから、ここにこう書いてある。「このため、広範に存在する兼業農家の不安定な就労状態を改善するとともに、」これは出かせぎのことを意味すると思います。「住みよい生活環境づくりを推進することにより、地域住民の農村地域への定住を促進することとし、」これはさっぱりわからない。その次に「工業の導入、」これはもうはやらないんだ、みんな失敗しているんだから。「工業の導入、観光等第三次産業的産業の導入」これは私、大賛成。「によるより安定した雇用機会の確保、生活環境の改善のための施設の整備、農業者と非農業者の連帯を強めるためのコミュニティ活動」またハイカラな言葉でごまかそうとしておる。こんなことを言ったって農民はわからないんだ。「コミユニテイ活動の推進等の対策を総合的に実施する。」一言も農業改善はないじゃありませんか。あの実施の場合のこの要綱はすばらしいのですよ。第一に農業改善が書いてある。それでは全部吸収できませんから、そこでいろいろなことをひとつ総合的に考える、こういう趣旨でございます。ですから、数字はうんと伸びて結構ですけれども、どうもこれは趣旨はうまくないと思うのですが、ひとつこれは改めていただけますか。まず第一に農業経営の改善、それをひとつうたっていただきたいと思うのです。いかがですか。
○渡辺国務大臣 それは誤解があるとすれば、これから予算が通ってからPRをするわけですから、そういう誤解を受けないようにきちんと書いて結構だと思います、同じことですから。
○栗林分科員 それでは、今度は局長にお尋ねします。 三年の間で約三十一地区実験事業が行われておるわけです。これは三年の計画事業でありますから、一番最初に実施しておる地区はまず完了の時期に来ているわけですね。したがって、まだ完了はしておらないと思いますけれども、相当に実績が上がっていると見えると思われる地区がございましたら、具体的にひとつ報告してみていただけませんか。簡単でよろしゅうございます。
○大場政府委員 私どもがつかんでおります例は、これは二、三挙げますと、たとえば秋田県の西木村、これは先生の地元ですからよく御存じだと思いますが、ここでは出かせぎ農業者が二十名で四組合をつくって、ナメコだとかシイタケ、そういったキノコ類あるいは薬用植物、それから山菜、そういったものの生産に取り組んで出かせぎを解消している、こういう事例がございます。それから山形県の温海でありますが、これは出かせぎ農業者が十名で一組合をつくって、ワサビだとかワラビ、そういったものの生産あるいは処理加工に取り組んで、出かせぎを解消した事例もございます。あと一例申し上げますが、山形県の朝日町では、これも出かせぎ農業者十七名が三組合をつくって、具体的には加工用ブドウとかシメジ、そういったキノコ類の生産に取り組んで出かせぎを解消した事例があります。いずれも、先生が御指摘になりましたように、地元農業の振興という形で出かせぎを解消ないしは抑制した事例でございます。
○栗林分科員 それでは、もう一つ局長にお尋ねしますが、今度の予算計画内容を見ますと、実験事業の段階では、事業規模は大体六千万、今度は大幅に事業規模が拡大しまして、最低一億五千万、最高で二億五千万という事業規模が大きくなるわけですね。しかし、出かせぎ農民を主体とした場合の事業でありますと、一カ所で一事業で一億なり二億の事業というものはとても無理だと思います。それをやると、何かボスが入ってくるわけですね。それですから、実験事業の場合は六千万円でございますけれども、たとえば西木村などは四地区に分けまして、事業もそれぞれ違います。地区も四カ所、事業もそれぞれ違います。それを合わせて約六千万の事業規模にして実施されておるようでございます。したがいまして、今度の定住化対策事業、これを推進する場合も一カ所で一事業で一億五千万、二億五千万では、これでは無理だと思いますので、ぜひひとつ実験事業と同じように、指定された地区において、場所は幾つかあってもいいと思う。五カ所あっても六カ所あってもいいと思う。あるいは山間地あるいは平坦地、そういう個所に分かれてもいいと思う。事業も同一な事業でなくてもいいと思うのですよ。その指定された地区内において、まとめて一億五千万、二億というような実施を望みたいのですけれども、どんな施行計画をお持ちになっていらっしゃいますか。
○大場政府委員 かなり大規模にやりたい、こういう御要望もありますので、今度の事業規模は広げたわけでありますけれども、もちろん私ども、一定の事業規模を地元に押しつけるつもりはございません。地元の実情に応じて事業規模を採用していただいて結構だと思います。
○栗林分科員 それでは、最後の発言を許していただきたいと思います。 昨年も、私ども、農民にかわってお願いをいたしました。これらの実験事業、こういうような農業改善事業は、学者だけでなしに農民に聞いてもらいたい。実践しておる農民から聞いてもらいたい。中国の言葉で言えば、大衆に学べ、農民に学べ、農民から学んでもらいたいということを提起いたしました。農林省は昨年の十二月にこれを実行してくれました。本当に実践農民、出かせぎをみずから解消して奮闘しておる農民を研究会に呼んでいただいて、その意見を徴していただきまして、大変ありがたいと思っています。 このように農民の中には、みずからの農業経営改善に奮闘しておる、そうして出かせぎを返上し、新しい農業への道をみずからの力で、みずからの努力で切り開き、創造しておる多くの農民のおることを私は忘れないでいただきたい。そして、土に生きようとして奮闘する彼ら出かせぎ農民を激励してもらいたい。そして、彼らから大きく期待をかけられるような定住促進対策事業として、ますます内容を充実し、拡大発展されることを深く深く出かせぎ農民にかわって御要望申し上げたいと存じます。
○渡辺国務大臣 できるだけそういうような趣旨でやらしていただきます。
○栗林分科員 ありがとうございました。
○笹山主査 これにて栗林三郎君の質疑は終了いたしました。 宮井泰良君。
○宮井分科員 まず最初にお尋ねしたいことは、農林水産省におきましては、地域農業を確立するため、五十四年度から新農業地域振興制度を打ち立てることになったわけでございます。今度の予算案でも、その実施のために一億一千六百五万円計上されておるわけでございます。従来の農業振興地域の中からモデル地域を選出し、その地域農家の人たちのアイデアと国、県のアドバイスで地域農業の将来計画を策定し、その実現に向かって国の側面からの援助をしようとされておるわけでございますが、計画の中心となります市町村長、地域リーダー、農協や農業委員会等の意識がどこまで引き上げられるか、この辺が問題であると思いますので、この点につきましてまずお伺いをいたします。
○渡辺国務大臣 私どもが地域の自主性を極力吸い上げたいというのは、農林省が生産をしているわけじゃなくて、実際は生産者が生産をしているわけですから、なかなか役所の中で考えたことが百点というわけにはいかない。地域によって、それぞれみんなやり方、手法が異なっていいのじゃないか。ですから、極力地域が盛り上がるような雰囲気をつくることが大事だし、地域に合ったようないろいろな作業体系とか機械とかいうようなものを尊重していく方がいいだろうということで、地域の自主性というものを極力取り入れて事業を推進したい、こういう趣旨で言っておるわけであります。
○宮井分科員 地域の皆さんの自主的な、そういった特色あるものを盛り上げていく、こういう御答弁であったわけでございますが、いま申しましたように、市町村長や地域リーダー、農協や農業委員会等の意識がどこまで引き上げられるだろうかというような点を再度お尋ねするとともに、地域主導とはいいましても、明治以来百年以上続けられてまいりました官僚主導型農政といいますか、そういったものに対しては大変転換がむずかしい、このように思うわけでございます。農林水産省は、今回の制度を農政転換のソフトウエア事業というようなことで位置づけられておるわけでございますが、かえって中央主導型の地域主義の懸念はないかということを考えるわけでございまして、そういった点のお考えをぜひ伺っておきたいと思うわけでございます
○渡辺国務大臣 もちろん農林省は、全国を見渡して大きな政策を決めているのは当然であります。全体の動きがどうなっているかということを個々の地域に判断させるといっても、むずかしい点もございますから、そのために農林省としては、各団体の代表者というような方とはしょっちゅう連絡を保って、そこの中で、大きな方針については大体一致を見るようなことが多いわけですよ。ただ、それを実現するための手法については、地域によっていろいろなやり方があるだろうから、そのやり方については地域の自主性というものをできるだけ尊重したい、こういうことでございます。私は、聞いてみて、案外評判がいいんじゃないかと思いますがね。
○宮井分科員 評判がいいという大臣の御答弁でございまして、そのとおり行ってくれれば、これは私たちも望むところでございますが、先ほどから申しましたように、これはそうじゃない、当たっていないと言われるかもわかりませんが、農業政策の行き詰まりを、ある地域を指定して試行錯誤して、そして成功すればまた他の地域にも広げていこうというようなことも、一つはあるのじゃないかと思うんですが、一面から見れば、これは農民の方々の側に責任をとらせるようなことにもなりかねない。それでなくても、過去続いてきましたいろいろな農業政策が、俗に言われますところのネコの目行政といいますか、そういった批判もあるわけでございますので、慎重な対処を望むわけでございますが、再度お尋ねをいたします。
○渡辺国務大臣 何がネコの目農政なのか、私よくわからないのですが、一番言われるのは、米をつくれといってつくらしておいて、そして今度は減反をやっているというようなことを言われるのですね。しかし、これなどは、時代の移り変わりのテンポが非常に速かった。消費の減退というものは予想以上のものがあった。だれもこれに気がつかなかったというようなところから、結果的に見れば、そう言われても仕方がないかもしらぬ。しかし、農業の生産物といえども、これは消費者あっての生産物でございますから、消費者の意向、消費者の需要というものはしょっちゅう変化をするということになれば、それを先取りをして、やはり消費者のニーズに合わしていくというのはやむを得ない。どんな産業でもみんなそうですから、生産者のつくったものを消費者に強いて食わせるということは言うべくして不可能であります。したがって、消費者の意向が変わればそれに合わせて生産も変えていくということは当然ではないだろうか、私はそう思っておるわけであります。
○宮井分科員 この問題はまた別の機会にいたしまして、いまお話のあったように大臣非常に御専門な立場でございますから、ひとつその御決意をもってよりよい方向へお願いしたいということを要望いたしまして、次の問題に移りたいと思います。 漁村の発展、漁民生活の向上のために第二次沿岸漁業構造改善事業の一環として漁村環境改善総合センター整備事業があるわけでございますが、このセンターの現在の規模等御説明をいただきたいと思います。
○森政府委員 漁村センターは、第二次沿岸漁業構造改善事業の一環として設置されているわけでございますが、五十二年度までに五十三カ所、五十三年度は二十四カ所ということで、さらにこの事業を中心の事業種目として計画的に地域指定を行った上で新たな沿岸漁業構造改善事業が五十四年度から実施されますれば、その一環としてさらに充実してまいりたいというふうに考えております。
○宮井分科員 そういったことで、五十四年度から十一年間にわたりまして全国的にそういったものを六百五十地域ですか実施する、こういうことになっておるわけでございますが、この漁村センターの役割りと漁民への影響、こういったことについてもう少しお聞きしたいと思います。
○森政府委員 漁村センターは漁村におきます集会なり研修なり、会議室、資料室あるいは生活改善室等を含みます多目的な施設として設置されるものがほとんどでございまして、僻地の漁民の資質の向上なり漁村におきます地域住民の交流等に寄与するところが非常に大きいというふうに考えておるわけでございます。
○宮井分科員 そこで具体的にお伺いいたすわけでございますけれども、山口県の柳井市平郡、これは島でございますけれども、ここに予定されております漁村環境改善総合センターの五十四年度設置の見通しにつきましてお伺いいたしたいと思います。
○森政府委員 いま御指摘の場所に五十四年度に御希望があるということは山口県から聞いておりますが、現在その設置の規模なり施設内容等について県と検討をいたしているところでございまして、もし取り上げるといたしますと、恐らく漁村緊急整備事業としてやることに相なろうかと思いますが、いずれにいたしましても、ただいま県と検討しているところでございます。
○宮井分科員 ただいまの答弁で前向きに検討していただいておると了解するわけでございます。 そこで、今後の問題として、設置希望の意向に全面的に沿っていこうということでございますけれども、補助金の枠でありますとか、物資の販売所等に拡大されてまいりますと、漁村には診療施設が不備な点が多いわけでございまして、そこで漁民の要望がそうした診療面に出てくる可能性もあるわけでございます。この点について枠の拡大はお考えになっておるかどうか、お伺いいたします。
○森政府委員 診療施設が含まれるか含まれないかという御質問のようでございますが、個別具体的なケースとしていろいろ考えてまいりたいと思いますけれども、一般に健康管理施設的なものがその漁村に必要であるということにいろいろ検討の結果相なる場合には、できるだけ取り入れることになるように検討してまいりたいと思います。
○宮井分科員 それでは、現地の実情に即して必要であればそういったものもやっていくという御答弁でございますので、それらのことも勘案して進めていただきたいということを要望いたしておきます。 次に、沿岸漁場整備開発事業についてお聞きいたしたいわけでございますが、そのうち人工礁漁場造成事業は五十一年度実績で五カ所、五十二年度実績で十八カ所、五十三年度で三十一カ所、合計五十四カ所であると思います。 わが山口県においてもこの事業の要望が強いわけでございますが、そこで、国全体の今後の事業計画、見通しについてお伺いをするものでございます。
○森政府委員 これは沿岸漁場整備開発事業の一環として各地で実施しているわけでございますが、御指摘の人工礁漁場造成事業につきましては、五十四年度の新規の調査地区として現在検討中でございます。
○宮井分科員 いま国全体の今後の事業計画のことをお聞きしたのですが、それとあわせて具体的に山口県豊浦沖の人工礁漁場造成事業の計画と今後の見通しについてお伺いいたします。
○森政府委員 五十一年から七カ年の計画で沿岸漁場整備開発事業をやっておりまして、そのうちの魚礁の設置が七百五十億ということに相なっておるわけでございます。全体で二千億、五十四年度は百九十二億ということで相当大幅な予算計上をいたしておりまして、この結果、累計の進度率が四四%ということになっておりますので、今後場合によっては七カ年の計画を一年短縮しても計画が実施できるのではなかろうかというふうにまた期待をし考えておるわけでございます。 それから御指摘の問題につきましては、ただいま五十四年度の新規の事業として検討をいたしておる最中でございます。
○宮井分科員 その点が、若干御答弁が前向きという面がちょっとあれでございますが、検討中ということでございますけれども、ぜひひとつさらにきめの細かい検討をしていただきまして、前向きな結果を出していただきたいということを御要望いたしておきます。 それから次に、大規模増殖場開発事業でございますが、五十一年から五十三年まで五十三カ所実施されたそうでございますが、現在の状況と今後の計画をお聞きいたしたいと思います。
○森政府委員 いま御指摘のように、五十一年、五十二年、五十三年、地域数をふやしまして全体で二十八地区現在実施中でございます。この事業は、調査を二、三年やりまして、事業は大体おおむね四年程度で仕上げるということで実施しておるわけでございますが、今後とも沿岸漁業の実態並びにこの事業の要望の状況を踏まえまして積極的にこの事業の充実を図るように努めてまいるつもりでおります。
○宮井分科員 これは、御存じのとおりのアサリとかモガイ、こういったものを対象にした開発事業でございますけれども、一つの問題点といたしまして、技術開発の面で土木技術の面、そういった面でまだ若干問題があるようでございますが、現在そういった点につきましてどのような調査をされておるか、この点もお伺いします。
○森政府委員 現在の水産の土木技術につきましては、一般によく水産生物との関連の結びつけということが非常に立ちおくれておるという指摘がございます。そういう意味で、沿岸漁場の整備開発事業の魚礁なり消波堤をつくり、あるいはしゅんせつ事業をする、こういうようなことにつきまして重要な技術の開発が必要でございますが、あわせて、海中の構造物と水産の生物との関係をより密接に結びつける、そういう技術の開発をさらに一層促進してまいる必要があろうというふうに考えておるわけでございます。現在——現在と申しますよりも、先ほどの農林省設置法の改正によりまして、来月の一日、明日になりますが、一日から水産工学研究所というのを茨城県波崎町に設置いたしまして、組織的な水産の土木技術の調査研究を進めたいということでやっておるわけでございます。あわせて都道府県なり民間におきます技術開発についても強力に指導してまいるということで対処してまいりたい所存でございます。
○宮井分科員 それでは具体的に、山口県の大海湾におきまするところの大規模増殖場開発事業の計画につきまして、見通しについてお伺いいたします。
○森政府委員 この事業は、山口県の大海湾でアサリの増殖をやるというために、五十一年、五十二年の二カ年にわたりまして国から山口県に対しまして調査を委託しておったわけでございますが、五十三年度に山口県におきまして計画、設計調査を実施をいたしてきたわけでございます。この事業は、これらのいままでの調査の結果を待ちまして全体計画の構想を策定をいたしまして、五十四年度から事業化を進めるという予定で私ども考えておるわけでございます。
○宮井分科員 それでは、細かい質問になったと思いますが、種々お尋ねいたしましたので、その点についての今後の検討とまた結果をひとつお知らせいただきますように要望いたしまして、最後に大臣にちょっとお尋ねして終わりたいと思います。 これは農業全般のことでございまして、私の質問の前半の方にも大臣のいろいろな見解がございましたが、日本農業は内外から批判を浴びまして、農政は一体何をやってきたかという大半の意見の中で、農業の構造改善で生産性を高め、農産物や畜産物の生産コストを低めて、国際競争に太刀打ちできる農業にしようということで相当な予算もつけてやってまいったわけでございますが、九割が兼業農家でございまして、所得の多くを農業以外の収入に頼っておる、こういう現状でございます。本年の二月一日には消費者米価四・二%アップを初め、公共料金の値上げもあるわけでございまして、厳しい農業の状況の中で大臣の今年の基本的な農業施策の御決意といいますか、心構えといいますか、それをお聞きいたしまして終わりたいと思います。
○渡辺国務大臣 ともかく少ない時間しかないので意は尽くせませんが、私といたしましては、簡単に申しますと、基本的な考え方は、食糧の安定的な確保というものが政治の基本である。したがって極力必要な食糧を確保していかなければならぬ。しかしながら、値段が幾ら上がってもいいというわけにはいかないので、これは国内生産を基本といたしますが、やはり生産性の向上には努めていただきます。そのための助成や融資はいろいろいたします。不足の分は外国からの輸入、これはやむを得ません。また、農村は、単に生産の場というだけでなくして、漁村もそうでございますが、民族の苗代のようなものでありますから、そこにおけるところのいろいろな文化の向上とか、そういうようなこともやらなければならぬ。都市と農村の非常に和気あいあいたる交流もできるような工夫もする必要がある。地域農政については、それぞれの地域によってやり方も多少違うわけであるから、地域の盛り上がりとか地域の自主性というものを尊重するような手法によって、いろいろとみんなが住みよく明るい農村社会ができるように努力をいたします。二分で言えといえば大体そんな話でございます。
○笹山主査 これにて宮井泰良君の質疑は終了いたしました。 伊賀定盛君。
○伊賀分科員 私は但馬牛について四点ほど伺いたいと思います。 御質問を申し上げます前に、但馬牛というのは、一頭九百六十万、キロにして四万、百グラム四千、したがいまして、輸入肉の百グラム二百円という町にはんらんするようなものとは、同じ肉とはいいながら違いますので、これを前提にしてお聞き願いませんと、とんだ間違いや誤解がありますので、ひとつ気をつけていただきたいと思うのであります。 そこで、その一つは、肉用子牛価格安定事業についてであります。四十七年度に制度が創設されまして、一定の成果をおさめたことにつきましては、この際高く評価してまいりたいと思います。五十四年度で一頭当たり都道府県別保証基準価格が、全国平均で二十四万六千円、最低が岩手県の短角牛で十五万五千円、兵庫県が、これは日本で一番多いわけですが、三十三万円ということになっております。ところが、その但馬牛が頭数がだんだんと減り、飼育農家戸数も減ってきておるわけでありますから、これをどうするかという立場でお尋ねするわけであります。 この保証基準価格の決定が、府県ごとに過去八年間の実勢価格の傾向値を出して、知事が国と相談をして決めるということだそうであります。ところが、岩手県で、同じ県内で短角牛と黒牛と二種類に分かれております。秋田県では、三種類に分かれておるわけであります。そこで私は、兵庫県でも、同じ兵庫県内の黒牛とはいいながら、特にこの但馬牛のつる牛ということになりますと、一頭が百五十万から高いものは三百万円ぐらいするわけであります。そこで、そこら辺から、兵庫県内の保証基準価格を何らかの形で区別してもらって、たとえばつる牛系統と区別してもらって、兵庫県が設定しておる三十三万の基準価格では用をなさないわけでありますから、ここら辺で適当な基準価格を創設する必要があろうかと思いますし、また、そういう方向でもとってもらわなければ、冒頭申し上げましたように、だんだんと減ってくるという傾向があるものでありますから、この点について、ひとつ考え方を承りたいと思うのであります。
○杉山政府委員 但馬牛は、ほかの肉用牛と異なりまして、特別優良な牛であるということは広く世間一般に認められております。特に全国品評会で優勝をしたような特別すぐれた牛は、先生が冒頭おっしゃられましたような高い価格で取引された事例もあるということを私どもも承知いたしております。 そこで、お尋ねの肉用子牛の保証基準価格でございますが、これは都道府県を単位として決めておりまして、この価格を実際の取引価格が下回った場合には、積立金の範囲内で補てんを行うということで、肉用子牛に対する価格安定措置、再生産の確保ということに努めてまいったわけでございます。 その場合の品種区分につきましては、これは大きく分けて、肉専用の子牛とそれから乳用の雄子牛ということに分かれております。さらに肉専用子牛の中は、種類によりまして、すなわち黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、それから無角和種、外国肉専用種、そのほか以上の各種の雑種ということで、六種類に分かれておるわけでございます。 兵庫県の保証基準価格は、先生自身言われましたように、黒毛和種ということで、全国最高の一頭当たり三十三万円と決められております。これは、やはり但馬牛全体として取引価格水準も高いということを反映したものであるわけでございます。黒毛和種の中でも特定の系統のものがあって、いわゆるつる牛と言われるものがございます。これはさらに取引価格が割り高であるということでございますが、これについては独自の保証基準価格を設けてはどうかということでございますが、この価格安定制度の趣旨は、いわば子牛価格が暴落して再生産を行う意欲をも失わせるというようなことでは困るということで、最低を保証するということで設けられているものでございます。その意味からいたしますと、特別すぐれて高い価格であるところの但馬牛について、しかもつる牛系統の特別高級なものについて単価を別に設定するということ、これは正直申し上げまして、なかなかむずかしい問題であろうかと考えております。また、それから技術的にもそういう系統の牛だけを農家によってか、個体個体の牛によってか特定していくということも、これまたむずかしいのではないかと考えております。 但馬牛の振興につきましては、それをさらに品種改良なり増殖を図っていくということは、日本全体の和牛の改良増殖につながるわけでございますので、子牛の価格安定制度ということとはまた別に、全体の改良対策あるいは増殖対策、私どもの畜産行政、肉用牛に対する育成策の中でこれは奨励を図ってまいりたいというふうに考えております。
○伊賀分科員 御趣旨はよくわかるのですが、この制度ができましてから、たとえば岩手県のごときはこの財源が破裂いたしまして、二回も積み立てし直したということで、確かに効果を発揮しているわけです。兵庫県の場合、特に但馬牛の場合には、三十三万が五十万になりましても、実は余り効果がないわけです。ところが、実際手塩にかけたりっぱな牛がどこかそこら辺の牛と同じように二十万や三十万で、これが基準価格でございますと言われますと、農家から言いますと、われわれについては国や県も何にも配慮してくれてないんだ、こういういわばひがみというものがあるわけです。ですから、仮にいまの兵庫県の三十三万円を四十万円にしてもらいましても、但馬牛から言いますと意味ありませんが、農家の一つの心のよりどころといいましょうか、そういう意味で御配慮いただいても県も国もちっとも損はしない、こう思うわけであります。これは時間等の関係がございますから後ほど質問をいたしますが、一緒に答えてください。 それから二つ目は、同じく但馬牛のことでありますが、自家保留があります。改良牛の県有牛とか農協牛等々でだんだんと国も力を入れてもらっておることは私もよく承知いたしております。ところが、兵庫県に例をとりますと、近代化資金が平均で四十万、つる牛のある周辺では、県の農林事務所長の特認事項として七十万まで認めてもらっておるわけでありますが、実際いいか悪いかということは、個々の農家もよく知っておりますが、やはり家畜市場に出すわけです。そうすると、ぼんぼんと百五十万、二百万と上がっていくわけです。そうしますと、この農家は自分でこれを競り落として、いまたとえば三頭持っておりますが、もう一頭これを親牛にしていきたいわけです。ところが今度は、一方農家経営ということがありますから、思うようにならぬ。そこで、これを県有牛か農協牛にしたらどうかという意見もあるのですが、県も財源その他の関係がございまして、なかなか二百万、三百万という牛を県や農協の対象にしてくれません。同時にまた、個々の農家から言いますと、そういう高く売れる牛であればあるほど自分で競り落として自分のものとして手塩にかけたいという本能があります。というようなところから、この際、ひとつ自家保留を近代化資金の対象に特別配慮していただけぬものだろうかということであります。先ほどの問題とあわせてひとつお考えを承りたいと思います。
○杉山政府委員 まず家畜購入資金の融資限度の問題でございます。一般の場合より但馬牛については兵庫県でさらに高い七十万という金額で設定されているようでございますが、これでも取引の実勢からすれば低過ぎるではないかということでございます。私どももそのように承ったものでございますから、関係の経済局でありますとか兵庫県でありますとか連絡をとっているところでございますが、実勢を著しく下回るようなことではやはり融資の本来の効果も発揮し得ないということで、その改善方について今後検討をいたしたいと考えております。兵庫県ともよく連絡をとって、その辺は適切な処置をとれるようにいたしたいと考えております。 それから自家保留のものについてどうかということでございますが、これは購入する場合に資金を必要とするので、その購入資金を貸すというのが近代化資金の融資対象として認められるゆえんでございます。その趣旨からいたしますと、自家保留するものに対して直接これを購入するという事実がないのに融資するということはむずかしいのでございますが、自家保留の小牛に対しましては農業近代化資金制度におきまして家畜育成資金が貸し付けられることとなっております。高い牛でありましても、育成に要する資金ということになりますと、特段それほど大きな額ではございませんで、基準額は十一万円ということでございますが、これは借りられるようになっているわけでございます。 それから、先生のただいまの御質問の中でも出ましたが、県とか農協の所有の形にして、そしてその牛を委託を受けて、提供した飼い主が続けて飼育をするという形をとりますならば、これは、導入事業として補助対象、奨励事業としてこれを取り上げることができるわけでございます。そういう事業につきましては兵庫県も大変熱心でございますので、県や農協の資金の問題もございますが、そこら辺も相談しながら、できるだけそちらの形で展開が図られるように進めてまいりたいというふうに考えております。 それから、最初の質問に戻りまして、但馬牛についていまの保証基準価格を引き上げることはできないかということでございますが、すでに五十四年度の単価は予算で全国前年と同額ということで決めておるところでございます。五十五年度以降今後の問題につきましては、実勢価格なりコストなり全体の関係を考えまして、その点は全体として検討をいたしてまいりたいと考えております。
○伊賀分科員 畜産局長せっかくの御答弁でありますが、育成資金というのは十四万円でありまして、これは話にならぬわけです。一頭十四万円。それから改良基礎牛も、たとえば兵庫県の五十二年実績から言いますと、最高七十八万円、最低四十五万八千円、これも用を足さないのです。ですから私はわざわざ、この際、但馬牛に限って自家保留の対象の枠を広げてもらえぬか、こういうことを言うておるわけですから、いまの御答弁では答弁になっていないわけです。ひとつもう一度。
○杉山政府委員 購入するという場合には、購入資金の限度についてこれは検討いたすということを申し上げたわけでございます。 問題は、自家保留の場合にこれを融資の対象とできるかということでございますが、融資のたてまえが、やはり購入には資金を必要とする、その必要とする資金を融資するということでございますので、これは直接融資で見るということはできないわけでございます。そこで、現在ある制度として、先ほど申し上げましたように導入の助成ということで、共有といいますか公有の形にして、これの形で導入が行われるものは助成するということをしているわけでございます。単価等について、特に但馬牛のように高いものは所要資金から見れば若干不十分かもしれませんが、累年その額だとか条件も逐次改善を見ているわけでございまして、私ども、そういう一般の全体のバランスの中で改善できるものは改善するように努力していくということで対応したいと考えておるわけでございます。
○伊賀分科員 おっしゃることはよくわかるのです。よそから買ったものなら、価格は自分で決めたものじゃありませんから、近代化資金の対象にしてもいいが、自家保留の場合には価格の決定はだれが決めるのだという問題があろうかと思います。しかし、私がいま申し上げておるのは、家畜市場に実際出すわけですから、各地から博労さんとか農協とかいろいろな方が見えて、そして実際にその市場で競られていくわけですから、自家保留の牛だからといって自分で価格を決定するわけじゃないのです。だから、価格の決定について、購入する場合と自家保留の場合で鑑定しにくいという問題はないと思うのですが、それでも近代化資金の対象になりませんか。
○杉山政府委員 これは私どもだけでなく農林省の経済局にも、融資制度の問題として融資のたてまえというものがあるわけでございます。コストは明らかでありましても、やはりそれ自身購入に要した資金ということではございませんので、直接融資の対象にはならないというのが現在の仕組みなわけでございます。御質問の趣旨には沿いかねる答弁で大変申しわけありませんが、そういうような状況でございますので、御了承いただきたいと思います。
○伊賀分科員 どうぞひとつそんな冷たいことを言わずに、但馬牛という先ほど申し上げました世界の最高峰ですから、今後とも金融各当局とも御相談の上、格段の御配慮をいただきたいと思います。 それから、三番目でありますが、指導体制の問題でありまして、これも農業改良助長法に基づきまして普及所でそれぞれ御指導いただいておるわけでありますが、先ほど来るる申し上げておりますような実態から、畜産大学を出ました、農業大学を出ました、そして県の採用試験に合格いたしましたと言うて普及所においでいただきましても、実は実情に合わぬわけであります。そこで私、一つはそうした農業改良普及員を中心とした指導体制、この強化ということと、もう一つは、元来この但馬牛の歴史というのは、畜連もしくは農協等いわゆる自主的な農民組織によって、国や県の御指導、御援助をいただかずに、畜産もしくは農業団体が中心になって品種の改良をやったり技術の革新を行ってきたという長い伝統と歴史があります。そういう意味で、普及体制の中で御配慮できないならば、この際、畜連とか農協等が、普及員でなしに獣医さんといいますか、長い経験を持った人も事実おるわけです。ところが、それでは農協や畜連でそうしたりっぱな人を経済的に財政面から抱え込めるかというと、抱え込めないという実態がありますから、そこら辺に何らかの特殊な配慮というようなことがいただけぬものだろうか。二つに分けて御質問いたします。
○二瓶政府委員 農業改良普及事務所の方でございますけれども、畜連なりあるいは農協等関係団体の方とも連携を図りながら、技術なり経営、そういうような観点からいたしまして、主として飼料作物の栽培技術、それから飼育管理の関係、あるいは環境整備、たとえば汚水の処理といいますか、そういうような面等につきまして普及事務所の方で指導をやっておるわけでございます。今後とも普及員の資質の向上あるいは機動力の整備というような面につきまして、畜連なりあるいは農協等とも十分連携をとりながら、指導の方を強化していきたいということで、県の方も十分指導していきたいと思っております。
○杉山政府委員 畜連等によります指導でございますが、指導は大きく分けて改良技術、それから経営技術というふうに分けられるかと思います。これらの問題につきましては、兵庫県、それから県経済農協連、郡畜産販売農協連、さらには登録協会、こういった関係機関があるわけでございますが、それぞれ連携をとって指導を行ってきているところでございます。 先生のおっしゃられますように、但馬牛がわが国の黒毛和種の改良に非常に貢献をしている原原種であって、しかもその遺伝性も強くて、改良の能力もすばらしいということで、その優良な遺伝形質を確保することは国としても必要であると考えております。兵庫県、関係各団体と十分連絡をとりながら、但馬牛の改良増殖のための、五十四年度で新たに拡充することにいたしております肉用牛集団育種推進事業というような事業もございますので、これらを通じて改良対策の拡充に努めてまいりたいと考えております。 ただいま申し上げました肉用牛集団育種推進事業は、兵庫県におきましても、兵庫県における実施を強く国に対して要望してまいっている事業でございます。 それから、経営技術でございますが、これに関する指導につきましては、先ほど農蚕園芸局長の方から答弁申し上げましたように、農業改良普及事業としてそれはそれなりの指導が丁寧に行われているところでございますが、県畜産会によります畜産コンサルタント事業もあわせて実施しているところでございまして、さらにこれらを充実させて、但馬牛の特質が経営面でも十分生かされるように指導するように兵庫県とも連絡をとってまいりたいというふうに考えております。
○伊賀分科員 四番目でありますが、農林大臣、これは日本農政の犠牲と言って過言でないと思いますが、最近輸入物に押されまして四苦八苦というのが、今日の日本のどの農家もそうです。そこで農業団体が中心になりまして、国もお手伝いをして、牛乳だとか果汁だとか米だとかいうものの消費拡大をやってもらっておるわけですが、肉は余り食べてないというのかもしれませんが、余り消費拡大をやってもらえないような感じがするわけです。 そこで私は、先ほど来申し上げますように、但馬牛というのは日本の肉牛の原点、ルーツ、あるいは工芸美術品あるいは伝統的工芸品という表現をしても過言ではなかろうと思います。但馬牛の宣伝をしてくれと言うたら、それなら北海道にもあるし、九州にもあるし、四国にも牛があるし、これは当然そういうことになってきますが、それらの原点でありますから……。そこで肉の広報宣伝、消費拡大運動の一環として、坂本九さんが「スキヤキソング」とかいう歌を歌いまして、これは世界的に日本の牛肉というものが有名になったと思いますが、最近金沢明子とかいう、何か民謡のりっぱな歌う人がおるそうです、私は余り知らぬのですが。そこで、後で大臣もひとつごらんをいただきたいと思うのでありますが、但馬牛に数え歌が一番から二十八番まである。それから但馬牛の都々逸が四首ほどあります。ちょっと一つだけ読んでみます。「気心も肌も姿もすぐれた上に味もよいぞえ但馬牛」これ、ひとつ記録にとどめていただきたいと思います。農林省の方でもいろいろおやりになっておるようですね。何ですか、消費拡大運動で、カセットテープにおさめて全国千八百カ所ぐらいにテープを流すとか、それから短波放送に出演するとか、いろいろあるそうであります。あわせまして、ひとつ畜産局長、「スキヤキソング」じゃありませんが、但馬で、世界最高のキロ四千円ぐらいなすき焼きで、但馬の農家がいかにして今日の世界に冠たる質、量ともにりっぱな牛を育ててきたかということ、但馬の婦人が中心でありますから、せひひとつお越しをいただきまして、牛の飼育についての苦労話をお聞き願えれば、いまのようなすげない御返事にはならないと思うのですが、局長さん、国会が終わりましたいい時期にぜひひとつお越しいただきたいと思いますが、あわせましてお答えをいただきたいと思います。
○杉山政府委員 牛肉の需要につきましては、比較的最近価格も安定しておりますところから、昨年一月から十一月ごろまでの期間をとってみますと、対前年同月で実に一三%の消費増加が見られております。これはほかの畜産物、ほかの農産物に比べましてむしろ異常に高いくらいでございまして、消費拡大運動もさることながら、やはり価格の安定を図っていくということがきわめて大切な消費拡大の道だろうかと考えております。そういう意味で今後とも価格の安定に努めてまいりたい。 それから、牛肉一般の消費の拡大もさることながら但馬牛についてPRはできないかというお話でございますが、政府の種々の広報活動の中に、特に但馬牛ということではございませんが、それに類する事業も行っている、その中にどういう形でか但馬牛が取り込まれるというようなこともあり得るわけでございますが、私はそういうことよりもむしろ、先生がおっしゃられましたように、但馬牛というのは日本の和牛黒牛の一番原原種でございます。今日におきましても各地の品種改良の源になっていることは事実でございますので、肉用牛の集団育種につきまして種々国の事業もあるわけでございますから、その中にさらに積極的に拡充するような形で取り込んでいくということで但馬牛の普及を広める、同時に声価を高めるというようなことを考えていくのが本道ではないかと考えております。 それからなお、申し上げにくいことでございますが、但馬牛自身については、非常に優良なのはよろしいのでございますが、価格について余り高い高いということではこれまた問題でございますので、優良なものがなおかつ普及して安くできるようにということもあわせて私どもは指導してまいりたいと考えております。
○伊賀分科員 時間が切迫しましたので、あと水産について、もう要点だけ申し上げますので、御答弁をいただきたいと思います。 一つは、二百海里の問題でありますが、いま東経百三十五度までありまして、ところがそれから以西におきましても韓国船が大型で大量にどんどん入ってきまして、日本の漁業が実際荒らされておるという実情は御承知のとおりであります。ですから、でき得べくんば西日本全体にと思いますけれども、それもなおむずかしいというのであれば、せめてなしくずしで百三十度ぐらいまで二百海里を施行していくというようなことが配慮できないものかどうか。 二つ目は検疫の問題でありまして、検疫は検疫所がやることになっておるのでありますが、舞鶴と境港にありまして、兵庫県には検疫所がございません。そこで保健所の所長さんに委託されておるのでありますが、これが一件であります。そこへもってきて保健所は日曜日が休みであります。そうしますと水揚げに影響してきます。それから鮮度に影響します。価格に影響してまいります。したがって、検疫法のあることもよく承知いたしておりますが、これらについて何らかの形で御配慮願えないものかということが二つ目であります。 三つ目は、いま申し上げましたけれども、海上保安庁がいろいろと御配慮いただいておるわけでありますが、一例であります。一日だけ船員が交代したりするときに船員手帳を持たないと言ってとがめるというようなこと等もございますので……
○笹山主査 時間を経過しましたので……。
○伊賀分科員 はい。これについての御配慮もあわせていただきたい。 以上、要点だけ申し上げました。
○森政府委員 まず二百海里の問題でございますが、現在北海道沖でもいろいろ問題ございますが、韓国に対しては二百海里を適用しておらないわけでございます。いまの漁業秩序は日韓の漁業協定で漁業秩序が維持されておるわけでございますが、いまの問題は、二百海里を適用することにつきましては西日本におきます日韓間の漁業の秩序を変える、またそれに対する影響があるということでいろいろ慎重に検討しておる最中でございます。 それから二番目に御指摘の検疫問題でございますが、これは確かに私も参りまして、香住あたりで荷を揚げるのに非常に困っておるということも伺いました。これは県の当局の増員といいますか、勤務問題等にいろいろかかわる問題でございますので、ひとつ役所のベースでなるたけ協力を求めるということで処理するはかなかろうというふうに思っておるわけでございます。 それから漁業の操業の秩序の問題でございますが、いろいろ海上保安庁とも密接な連絡をとりながら、基本は漁業の遵法の精神の問題が一つあるわけでございます。その上でできるだけ漁業者に違反のないように私どもとしては指導をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○伊賀分科員 終わります。
○笹山主査 これにて伊賀定盛君の質疑は終了いたしました。 上原康助君。
○上原分科員 私は主に沖繩の農業問題についてお尋ねをさせていただきたいと思うのです。こういう機会でないとなかなか農林大臣にお目にかかる機会がありませんので、限られた時間ですから、しぼってお尋ねをしてみたいと思います。 そこで、最初に、去る一月十六日から十八日まででしたか、渡辺農水大臣、沖繩の農業の実情を御視察なさるということで宮古、八重山まで足を運んでいただいたということを聞いて喜ぶと同時に、力強く思うわけですが、実際現地に行かれて、沖繩の農業問題についてはこれまでいろいろ議論されたり、またいろいろな意見なりプランなどがあるようですが、率直に農水を担当される最高責任者として、沖繩の農業の近代化あるいは生産性の向上、そういうものを含めてどのようにお考えになって、今後どういう施策を重点的にやっていかれようと考えておられるのか、そこいらの点からお聞かせをいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 私は沖繩は五、六回行っておるわけですが、私が政務次官当時行った宮古、八重山の地域の国営開発、あれは私の当時に採択をしたものです。それが非常にテンポも順調に開発されておる姿を見まして、大変うれしく思ったわけでございます。私は、沖繩は農業というものが非常に大事なことであって、沖繩は地域の特性を生かす農業を重点的に近代化を図っていくということが一番いいのじゃないか。つまりあそこは亜熱帯の地方でございますから、サトウキビとかあるいは野菜にいたしましても、内地のように石油をたかなくても冬でも野菜ができるということになりますと、これは非常にいいことなんです。ところがいろいろな植物検疫等の問題もありますから、こういうようなもので内地にも運べるように防虫、防除作業というものを徹底的にやらなければいかぬ。それからやはり何といっても基盤の整備を図って、機械化体系の組めるようなものはそれを組んでいく、そのためにはもう土地基盤の整備というものが第一条件だ。簡単に申し上げますと、そのようなものを柱として沖繩の農業振興というものを図っていくことが必要である、こう考えた次第であります。
○上原分科員 いまお述べになったことにつきましては、現地での記者会見でも大体そういう趣旨の御感想をお述べになったということが報道されて、私もある程度知っているわけです。 そこでちょっと具体的にお尋ねをしていきたいと思うのですが、農業の見直しというのは何も沖縄に限ったことでなくして、近年全国的に農業政策というか、地域社会における農業の位置づけというものを再認識をするという動きが出てきていると私は思うのですね。それはそれなりに最近わが国を取り巻く経済あるいは社会環境の変化に伴うものだと見ていいと思うのです。特に沖繩においても復帰の前後、四十七年、一九七二年の五月十五日に復帰をして、七五年ごろまでは大変農業が荒廃をする、農外資本の土地の買い占め問題等、海洋博等の関係もあって農業が後退、停滞をした時期なんですが、その後農業が見直されてきた。それには基盤整備のいまおっしゃった充実化がありましたし、またいろいろな政府や県などの農業政策の強化というものが相まっておることは申すまでもないと思うのです。しかし、経営規模は漸次拡大されてきているとはいえ、依然として農業所得は全国平均では本土水準にほど遠くて五十二年度でたしか全国平均のまだ七〇%でしかあり得ない、そういう状況が進んでいるわけです。 そこで、この格差を縮め、本土並みに引き上げていくということは、いまも強調なさったことですが、基盤整備にしましても、あるいはその他の農業用水ダム建設の問題にしても若干拡大はされてきたものの、まだまだ今後充実をしていかなければいかない点だと思うのですね。そこで、沖繩の亜熱帯性という地域の特性を生かした農業という場合に、やはり基幹作目であるサトウキビとパインの育成保護というものを私は見逃すわけにはいかない。確かに農業所得からいいますと、最近は畜産とかあるいはいまおっしゃった野菜とか、そういうものがパインよりはふえてきている。ある面ではたばこ栽培の方がむしろ生産性においては高いというようなこともあるのですが、しかしキビとパインというものは私はやはり見逃すわけにはいかないと思うのですね。この点についてはどういうお考えでどのように進めていかれようとするのか、お答えをいただきたいと思います。
○二瓶政府委員 まず、サトウキビの方でございますけれども、サトウキビの最近の収穫面積等につきましては漸次ふえてまいっておりまして、五十三年は鹿児島、沖繩両方入れまして三万四千八百四十八ヘクタールぐらいになろうかと思っております。それで問題は、あとこれの収量をまず上げるという問題がございますが、実はこのサトウキビの生産をやります際に永年株出しといいますか、これが沖繩等において相当多いようでございます。三年あるいは四年ぐらいまではあるいは永年株出しもいいと言われておりますが、やはり長くなりますと反収も落ちますので、その辺の改植という問題、これは進めなければならぬだろうと思っております。 それからもう一つは、やはり機械化の問題が一つあろうかと思います。このキビ栽培の場合は、労働時間の中での収穫労働時間のウェートが非常に多うございまして、五十数%はこの収穫時間でございます。したがいまして機械化の研究といいますか、これも機械化研究所等でいま中型機械の方も進めておりますが、これを早期に完成させまして、導入をしていくという形のものが必要であろうと思います。 それからもう一つは病害虫の関係があろうかと思います。黒穂病なりアオドウガネ、野鼠、こういうものの病害虫の被害というものが相当多うございますので、この面に対する対策を強化していくということが必要であろうと思います。 なお、そのほかに優良品種の導入ということを考えていかなければならぬということで昨年に沖縄のさとうきび原原種農場、これを設置いたしましたが、これを五十四年度も定員もさらに強化し、予算も充実をしまして、このさとうきび原原種農場を早期に完成をして、そしていい原種を供給するということを早くやっていきたいというのが、サトウキビの方の生産対策面での考え方でございます。 それからパインの方でございますが、これは四十八、九年に冷凍パインその他の問題もございまして、沖繩パインが相当滞貨するという問題が起きまして、その後パインの作付面積も減ってまいっておったわけでございますが、最近また上向いてまいっております。したがいまして、生産対策面におきましてはこのパインの優良品種の導入ということで輪切り方式のあれを導入してやっていきたい。その他、もちろん生産施設の面なりあるいは選果場の面、こういうものも助成をやっていきたい、こう思っております。 なお、冷凍パインとの関連の問題につきましては、本日も二時から担当者がいろいろ会議を開いておりまして、この冷凍パイン問題の抑制といいますか、そういう面も種々協議をいたしております。 以上、サトウキビ、パインについての生産面等を中心にしてお答えを申し上げた次第でございます。
○上原分科員 時間がなくなるとなにですので、最初にパインの問題からいきたいと思うのですが、いま国内の総需要量はどのくらいと見ておられるのですか。
○二瓶政府委員 パイかんの大体の総需要量といいますのは三百二十万ケース前後ではなかろうかといふうに考えております。
○上原分科員 そのうち輸入かんが幾らで冷凍パインはどのくらいですか。
○二瓶政府委員 五十三年度の一応の見込みといたしましては、パイかんの輸入割り当てを百十万ケースやっております。それから沖繩産の国産パインかん詰め、これは百万ケースぐらいになると見込んでおります。それから冷凍パインから生産をするというのが九十万ケースぐらいにはなるのではなかろうかというふうに考えております。
○上原分科員 この問題は、農林大臣も現地で御発言なさっておるわけですが、私も最近はちょっと小康状態でしたので、余り取り上げてきませんでしたが、いま園芸局長の御答弁がありましたように、四十八年以降、四十九年、五十年にかけて非常な論議になったわけです。そこで冷凍パインの輸入規制を図れということで関税を二〇%から三五%にたしか引き上げたと思うのです。その効果は出たのですか。
○二瓶政府委員 四十九年当時この冷凍パインが台湾を中心にして相当入ってまいったわけでございます。そこで関税の方につきまして、五十年四月からただいま先生からお話ございましたように二〇%から三五%に関税を引き上げたわけでございます。こういうようなこともあってか、その後冷凍パインの輸入量は実は減ってまいっていたわけでございます。ところが、今度は台湾にかわりましてタイが乗り出してまいりまして、ウナギ登りに現在日本に集中的に冷凍パインの導入をしておるというのが状況でございまして、相当効果はあったと思っておりますが、ただ、この三五%の関税だけでなしにいろいろな手をまた今後打っていかざるを得まい、こう思っております。
○上原分科員 そこで私は、もちろん消費者の立場なり沖繩のパイかんの品質向上、そういったものも努力をせにゃいかないということ、そういう立場に立って申し上げるのですが、いま御答弁がありましたように、国内の需要量が大体三百二十万ケースとして、輸入割り当てが百十万で、沖繩産が百万というのはちょっと少ないと思うのですが、確かに四十九年、五十年、そういう冷凍物、輸入物に圧迫をされて、一時パイン離れが出たのは事実なんです。しかし、五十二年から五十三年にかけて非常にパイン生産の意欲が高まってきておって、ようやく七、八万トンの生産高になろうという段階で、また今回の冷凍物が急激に輸入されてきて沖繩物を圧迫している、こういった悪盾環を繰り返しているわけですね。したがって、このことについては、私はやはり政策的配慮が必要だと思うのです、農林大臣。いまのように野方図にやっておきますと、これはとてもじゃないが、さっき言いましたように沖繩の立地を生かす、あるいは特性を生かす亜熱帯地域の農業という面においては太刀打ちできないわけですから、そういうことに対しては、きょうも余り突っ込んだ議論はできませんが、大体概略はわかりましたので、完全な規制はできないにしましても、やはり国内の農産物を育成をしていく、この自給率を高めていくという意味でも、政府の対策というのは私はやらなければいかないと思うのですが、これについてぜひ地元の要望にこたえるように、ひとつ毅然たる態度で対処していただきたいと思うのですが、決意を伺っておきたいと思うのです。
○二瓶政府委員 先ほども申し上げましたように、本日二時から担当課長初め通産省の担当の課長も、業界ともどもいまこの冷凍パイン対策を協議中であります。 そこで関税の方は先ほど申し上げましたようなことでございますが、そのほかJAS規格の面での改正の問題とか、あるいは今後の正式のパイかんの輸入枠の数量の問題等もいろいろ検討の議題になろうかと思います。 なお、もう一つ申し上げておきたいと思いますのは、四十九年のときにパイかんの滞貨を非常に生じた際に、むしろあれを果汁原料にしてはどうかということで、当時、私審議官をやっておったわけでございますが、五十一年度に一工場、これは本土の方につくって、五十二年度から操業しております。それから五十四年度にはさらに一工場、これは石垣の方でジュース工場が操業をするということで、要するに濃縮設備を持ちましたそういう工場を設置するということで現在動いておりますので、そういう面にも相当パインの原料仕向けをやってはどうかというのを当時も考え、現在も、この辺の指導もパインのかん詰めとともにジュース、そちらの方を並行してやはりやっていくべきではないか、こういうふうに考えております。
○上原分科員 農林大臣、これは現地でも、冷凍パインの自由化規制はなかなかむずかしい、ただし野方図に輸入されたのでは困るので、十分できる範囲の規制措置をとりたいということと、沖繩の生パインかん詰めと冷凍物との区別を鮮明にすることを行政指導していくということをおっしゃったということですが、いまのことを含めて、こういうことについてはやはりわが国の農民を保護していく、農村の過疎化を防ぐという意味でも、私はもう少し誠意ある姿勢といいますか、方途を講じていかなければいかないと思うのです。これについては、大臣の方でも通産大臣とも御協議をいただいて、前向きにひとつ対策を講じていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○渡辺国務大臣 それは私も誠意を持って対処しよう、それだけに非常にむずかしい。いま言ったように、自由化のものをここでIQにするなんということもなかなかできないし、関税引き下げ交渉をやっているときに関税をさらに上げるということも実際問題としてできない。そこで、できることは何だろうかと考えたのですが、やはりJAS規格の表示をして、これは本物、にせもの——本物、にせものという言葉がいいかどうか知らぬが、生のものと冷凍で持ってきたものをほぐしたものということだけははっきりさせようじゃないか。 それともう一つは、やはり品質ですね。この品質の改善というものはどうやったらできるのか、私は学者じゃないからわかりませんが、根本問題はそこにあるわけですから、ですから、品質が対抗できるような品種改良、そういうようなものを大いにやっていかないと、消費者あっての生産物ですから、消費者が好まなくては幾らつくったってうまくいかない。そういう両面からとことんひとつ詰めてみよう。タイに対しましては、なるべくこれはもうタイに自主規制をやってほしいということは、この間クリアンサクさんが来たときにも、そのようなことを実はお願いをしておいたのです。ですから、いろいろな角度から秩序ある輸出をしてもらわなければ困るのですよということで、それは今後とも接触は続けていきたいと思っております。
○上原分科員 むずかしい複雑な面もあるというのは私も理解しないわけじゃありませんが、十分なお力添えをお願いしておきたいと思います。 そこで、実はサトウキビの振興問題と関連をして、機械化問題も少し取り上げてみたいと思ったのですが、あともう時間が幾らも残っておりませんので、いずれまたの機会にいたします。 もう一つは、沖繩のサトウキビ生産といいますか、糖業問題との関連でどうしても見落としていただきたくないことは、含みつ糖の保護育成の問題です。これはもちろん政府もそれなりの御努力をやっていただいているのはわかりますが、ぜひ過疎化を防ぐということと、離島振興という意味でも分みつ工場ができないで含みつしかできないという地域においては、やはり分みつ並みの保護育成を方向づけることをやっていただきたい。政府としても、このことについては継続して十分な御配慮をいただきたいと思うのですが、御見解を承っておきたいと思うのです。
○渡辺国務大臣 私もそれを現地でも聞かされました。したがいまして、沖繩産の含みつ糖については、その生産の沖繩離島経済における重要性ということをよく承知いたしておりますから、当面は価格差補給措置というものを続けていきたい、こう考えております。
○上原分科員 ぜひひとつそのように御努力をお願いしておきます。 あともう一つは、県立農業大学校の設置の問題があります。これは五十四年度予算でも予算措置をとられているようですが、先ほど申し上げましたように、やはり沖繩の立地を生かす、あるいは農業後継者を育成していく上においては、重要な役割りを担っていくのじゃないかという気が私はいたします。そこで、設置を認可した場合の建物あるいは施設等に対する国の補助については、特段の御配慮をいただきたいということと、さらに農業改良普及指導員、いわゆる講師等に対する人件費の補助等についても、単なる画一的な全国ペースじゃなくして考える必要があるのじゃないのかという気がいたしますが、これについての御見解を承っておきたいと思うのです。
○二瓶政府委員 一つは、農業者大学校の設置の関係でございますが、本年の四月開校ということを目途に、すでに昨年、条例等も県でつくられまして、いま進めておるわけでございます。それで、農林水産省といたしましても、これらの施設の面につきましては、五十二年度から助成をいたしておりまして、先行投資的に助成をやって、前向きに進めてまいっておるわけでございます。 それから、普及員の負担率等もお話ございましたが、この農業者大学校の設置等についての負担率、それから農業改良普及員の負担率等につきましても、農業改良助長法でその負担率につきましては規定がされておるわけでございますので、沖縄だけをさらに特別の負担率をもって優遇するというのは非常に困難であるというふうに答えざるを得ないわけでございますので、その辺は、ひとつ御了承いただきたいと思います。
○上原分科員 地域エゴを出すわけじゃありませんが、ただ事情は十分御理解いただきたいと思います。 もう時間ですから、最後に。いまの農業大学校設置の問題とも関係しますが、先ほど原原種農場を設置したからという、これも大変結構なことなんです、長い間の要望でしたからね。しかし、その他の国立の試験研究所というのは非常に少ないわけですね。やはり将来沖繩の地域性を生かすには、農業総合研究所ぐらいのものを設置をしていただきたいし、さらに水産業の面においてもきょうやりたかったのですが、糸満の漁港の第二種の格上げの問題ですね、そういうことについても、ひとつ今後総合的に検討していただいて、ぜひ沖縄の立地が生かされるような施策をとっていただきたい。この点について改めて大臣の御見解を賜って、質問を終えたいと思います。
○渡辺国務大臣 沖繩は内地と気候風土が違いますから、石垣の熱研とか県立のいろいろな研究施設、そういうものを充実して、いろいろな技術の研究指導に当たらせたいと思っております。
○上原分科員 終わります。
○笹山主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。 竹内勝彦君。 〔主査退席、森(清)主査代理着席〕
○竹内(勝)分科員 最近、マツクイムシが全国的に猛威をふるって、いまだかつてない規模に被害が出てきておる、こういうように報道もされており、実態も私も幾つか見てきておりますけれども、その全国的な被害の実態というのは一体どうなっているか、時間が限られておりますので、概略で結構でございます。まず、その辺からお願いしたいと思います。
○藍原政府委員 ただいま御指摘がありましたように、マツクイムシにつきましては、ここ数年非常に被害が多くなっておりまして、特に四十七、八、九年とふえ続けてきたわけでございます。そこで、先生御存じのとおり、おととしでございますけれども、松くい虫防除特別措置法をつくりまして、これによりましてマツクイムシの緊急な防除をしようという対応をとったわけでございますが、五十一年度につきましては、八十万立方という形で被害が減ってまいりましたし、五十二年度につきましても八十万立方。ところが五十三年度になりまして、御存じのように、昨年は夏が非常に暑かった、それから雨が非常に少なかったということで、松を枯らしますマダラカミキリなりあるいはマツノザイセンチュウ、こういうものの活動に非常にいい条件が整ってしまったということから、五十三年度におきましては、百三十八万立方という非常に大きな被害が出たわけでございます。特に、この被害を見ますと、従来余り被害が出ておらなかった地域、大体十県ぐらいございますけれども、そういう方面で特にその被害が大きくなりまして、全体で見ましても、昨年の大体一・七倍ぐらい被害が出たということでございます。
○竹内(勝)分科員 その中で、特にいままで被害が微害であったところが激増した、こう言われるところが幾つかあると思います。私の見たところでも八割程度、すごい勢いで山のほとんど八割がやられているというようなところもございましたし、いままで何ともなかったところがそういうような形になっておるという点等にかんがみて、微害であったところが激増したところ、これは代表例で結構でございます、それをお願いします。
○藍原政府委員 ただいま申し上げましたように、大体三十六都府県に及んでおりますけれども、その中で非常に異常なところは茨城、栃木、静岡、愛知、京都、奈良、鳥取、島根、徳島、香川の十県でございまして、この十県の五十三年の被害を見ますと、五十二年度の十二万八千立方に対しまして六十三万という形で、約五倍に達する被害が出ております。
○竹内(勝)分科員 そうすると、その原因として、いままでそう心配されていなかったようなところでも急激に出てきた。全国的にふえてきておるのはわかるわけですが、そういった限られたところに、これもいろいろ分布していますが、どうして急になったのか、そういった原因がわかりましたら、それを教えてください。
○藍原政府委員 たとえば京都の例で見ますと、昨年の気温、降水量というものを見ますと、七月、八月の気温が、平年気温に対しまして七月は二・四度、八月は一・六度高くなっております。それから降水量につきまして、七月は例年に比べまして、たとえば平均が二百三十九ミリになっておりますけれども七十五ミリしか降らなかった。あるいは八月は平年が百五十八ミリに対しまして四十九ミリしか降らなかったということで、非常に雨が少なかった。こういう条件で、さっき申し上げましたように、マツノザイセンチュウあるいはマダラカミキリの発生なり生育に非常にいい条件が出てしまったということと、もう一点は、従前からそういう被害の少ないところは、被害の多かったところに比べますと、やはり防除の度合いも少なかったという点もあろうと思います。そういう両方相絡み合いまして被害がよけい発生したというふうに考えております。
○竹内(勝)分科員 いま京都の話をそちらからしてくれましたが、実は京都の問題に関して若干論議を進めていきたいと考えております。 御存じのように京都の景観、これは文化、観光の都として親しまれておる中で、たとえば東山三十六峰で名高い東山におきまして出てきたというようなことはいままでなかったのが、たとえば山科区の東山自然緑地といったところにおきましても、これは総工費一億三千万円をかけて整備した疎水南側の沿道を遊歩道にして、随所にベンチやフジだなを設けたりして、いろいろと景観をよくしてみんなに親しんでもらおうということでやったところでございます。あるいはまた、左京の大原方面であるとか、あるいは嵯峨鳴滝方面等、市内においてはいままで考えられていなかったものに出てきています。先ほど申し上げましたように、私も左京区の上高野西明寺山近辺を十一月に係の人と一緒に見さしてもらいましたけれども、非常に被害は無残な実態で出てきておる点等を考えてみますと、これはどうしても根本的な解決という問題で取り組んでいかなければならないと思いますが、まずその前に、京都全体としての実態は概略どうなっているか、それを最初にお聞かせ願いたいと思います。
○藍原政府委員 いま申し上げましたように京都につきましてもそういうような異常気象がございました関係で、五十二年は被害量が一万一千立方でございましたけれども、五十三年に至りまして一万九千立方という形で被害が非常に大きく出ております。
○竹内(勝)分科員 いまのは多分昨年の九月ごろの実態ではないか、こう解釈しますが、私が地元において調査したものの中では、昨年の被害は十月末現在ですでに二万三千立方メートル、これは本数に直すというのはなかなかむずかしいのですが、概略本数に直しても六万六千本ぐらいに及ぶのではないか、こういうように言われております。 それでは、金額で言うとどんなふうになるのか、昨年予備費等が出されたように伺っておりますけれども、どうなっておるか、お知らせください。
○藍原政府委員 京都府に対します昨年のマツクイムシ防除の国の助成でございますけれども、総額で五十三年度九千四百三十八万七千円、そのうち予備費で千四百三十五万六千円、京都府に助成いたしております。
○竹内(勝)分科員 このマツクイムシの対策として国庫補助金が国の方から出されています。京都においてもこれでマツクイムシの対策として昨年予備費等も使われて万全の体制をとった、こう言われておりますが、じゃ、果たして被害というものは今後なくなっていくと見ておるのか、あるいはまたことしも相当大きく出てきておるやに伺ってもおりますし、これではますますエスカレートしていくというような形で、根本的に断ち切るにはどうやっていったらよいのか、そういった面も含めて今後の対策をどう考えておるか、これをお伺いします。
○藍原政府委員 マツクイムシにつきましては、先生十分御存じだと思いますけれども、初めのうちは九州を中心にして相当出ておりました。それがだんだん中国地方、関西地方、中京地方、そして昨年は特に関東にも相当出たわけでございますが、先ほど申し上げましたように現在三十六都府県に及んでおりますけれども、私どもとすれば、このマツクイムシについて緊急に急速に一般の平常的な被害に戻そうということで、特別に法律もつくりましてその対応をしておるわけでございますが、まずマツクイムシを防除するためには、どうして松が枯れるかということ、その因果関係を十分きわめなければいけない、そういう関係で試験場におきまして研究された成果によりまして、空中散布による予防、これが非常に効果があるということで、まずその対応を中心にやっておるわけでございます。 御存じのように、マツノマダラカミキリが羽化いたしまして飛び立ちまして、松の枝を食う。そしてその枝を食ったときにマツノマダラカミキリの体に入っておりますマツノザイセンチュウが松の木の中に入っていく。そうすると、マツノザイセンチュウが松の細胞の中を埋め尽くしまして、樹脂その他が動かなくなって松が枯れていくという経緯、そしてその枯れた松にまたマダラカミキリが卵を産みつける。そして産みつけた卵がまた明くる春に羽化していく、こういう経緯をたどっております。したがいまして、私どもとすれば、枯れた松については徹底的に伐倒駆除いたしまして、これから、中に入っておりますマダラカミキリの卵が外に飛び出さないような対応をまずしなければいけないというふうに考えております。一方、全部飛び出さないように対応することはむずかしゅうございますから、そういう外に出たマダラカミキリについては、今度は事前に空からあるいは地上から薬をまきまして、マダラカミキリが松の枝を食べようとしたときにその薬によって斃死する、そして予防をする、その予防とある意味では治療と申しますか、こういう両面を考えながら対応していかないとなかなか駆除しにくいであろうというふうに考えておりまして、現在もそういう形で五十四年度の予算も考えておりますし、今後に向かいましてできるだけ被害が蔓延しないような最善の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○竹内(勝)分科員 そういったメカニズムに関してのものは前からいろいろと論議されておるわけでございますが、この際、ここでどんどんふえてきているのですから、何らかの決め手を考えないとますますふえていくだけで、これだけ財政の厳しい中で、もちろん予算化という面で各地方においてはいろいろと要望が出てまいります。しかし、それに対応していくという意味で、ここで抜本的に何らかの対策を考えなければいけない。何か決め手を考えていますか。
○藍原政府委員 先ほども申し上げましたように、これにつきましては非常にむずかしい問題がございまして、従来からずいぶん研究いたしまして、いまの科学技術で最善の方法ということで伐倒駆除と薬の散布という両面を考えておるわけでございますが、さらにいろいろな問題につきましても、鋭意試験場を中心にいたしましていろいろ研究はいたしておりますけれども、現時点でこの対応の方法ということになりますと、やはり伐倒駆除と薬の散布、この両面から蔓延を防ぐということが、現在実用化されました技術としては最善のものというふうに考えております。
○竹内(勝)分科員 いずれにせよ薬剤を散布していく、空中散布あるいは地上散在、こういった中においても、その薬剤自体の中においてもスミチオンであるとか、いろいろなものが使われていきます。しかし、これは必ず毒性ということが問題になってまいりますし、過去におきましても、毒性があるのではないかということから住民運動等が起きて、空中散布ができなかったという例も聞いておりますけれども、ここで、たとえば薬は使わなくても、あるいは薬を使った場合は無公害とか、本当に毒性が非常に低いものであるとかいうようなものをどう考えていくのか、あるいは今度はメカニズムの上で天敵というようなもの、このカミキリムシあるいはそれに付着しておるマツノザイセンチュウに対する天敵のメカニズムの上からどう対処していったらいいか、そういうような面で研究をどこかへ委託して、たとえば大学の研究関係にお願いするとか、あるいはそういったものを設けてやるとかというような前向きの姿勢がここで必要になってくると思いますけれども、その考え方をお伺いしたいと思います。
○藍原政府委員 先生御指摘のように、私どももいまやっている技術だけでよろしいというふうには考えておりません。したがいまして、いろいろな技術をこれから研究開発いたしまして、この松の枯死に対応していかなければいけないという観点から、ただいま国の林業試験場並びに都道府県の林業試験場、こういうものが相協力いたしまして、松の枯損防止新技術に関する総合研究というのを実施いたしております。 この内容を申し上げますと、いま先生が御指摘になりました天敵微生物を利用いたしまして、マダラカミキリなりザイセンチュウを斃死させるということ、あるいは誘引剤の高度利用技術を開発いたしまして、この誘引剤によりましてマダラカミキリを引きつけてこれを斃死させるという方法、あるいは薬剤を木の中に直接注入いたしまして単木的に処理していく方法、こういういろいろな方法につきまして、現在研究を進めております。 その中で、たとえば天敵の微生物につきましては、マダラカミキリの幼虫に病気を起こさせる力の強い微生物というのも見つかっておりますけれども、さらに、これの生態その他について深く掘り下げていく必要があろうということで、この調査研究を行っておりますし、天敵につきましても、天敵の昆虫、こういうものが一応二、三採取されておりますけれども、その効果をさらに調べていく必要があろうということで調査中でございます。それから誘引剤につきましてもいろいろございますけれども、これもその置く場所あるいは時期、こういう問題の試験を継続しております。それから薬剤を木の中に注入するもの、これにつきましても、相当成果を上げております。ただ問題なのは、この薬剤が非常に劇薬であるということで、この取り扱いの問題その他がございます。そういうものを含めまして、いま申し上げましたような観点から、国、県一体になりまして試験研究を現在鋭意進めている段階でございます。
○竹内(勝)分科員 大臣、いままで聞いておっていただいて、大臣もよく御存じのとおりでございますが、これだけどんどん被害が激増してきている。ましてやマツノザイセンチュウ一つを考えてみましても、繁殖活動が物すごく激しいものであり、一般的に一匹が一週間に百個ほどの卵を産む。しかも数日で親になっていく。ですから、これはネズミ算なんというものじゃないのですよ。莫大な計算の仕方でふえていくということで、いままではそれに対する対症療法、こういったものでやってきております。いま説明がありましたが、まだ研究段階がいま始まったというような程度のものしか考えられませんし、私は、ここで根本的に松というものを、日本古来の景観という意味からも守っていく、あるいはそういった緑のものを保存していこう、こういった中で、大臣としてそういった意見に対してどういう考えを持っているか、まずお伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 これはきわめて専門的な問題ですから、私もうまい対策はありませんが、ひとつ林野庁、学界その他英知を集めて、金に糸目をつけないでやれということは言っておるわけです。
○竹内(勝)分科員 根本的に解決するならば、私は、この際思い切ってやるということがどうしても必要になる、こう思っております。 同時に、これだけどんどんふえてきておりますので、ちょっと防除方法に関してお伺いします。 空中散布あるいは地上散布あるいは立木伐倒駆除等がございますが、これはどのように判断して、そのものに別々の適用していっているのか、その防除方法に関してお伺いしたいと思います。
○藍原政府委員 いま御指摘になりましたように、防除方法には空中散布あるいは地上散布あるいは伐倒駆除というような方法がございます。 そのうちの空中散布につきましては、先ほど申し上げましたように特別防除という形で、特別措置法の法律に従いまして重要な松林群につきましてそれぞれ計画を立てまして空中散布をする。そしてまた地上散布等につきましても、この一環の形の中でこれに対応していこうという考え方に立っております。そのほか、いま申し上げました以外のもので、やはりこれとの関連で、早急に伐倒駆除すべきところにつきましては伐倒駆除をやっていくという形で、それぞれの都道府県で駆除、予防の対策を十分講じた計画の中で、十分林野庁、国と相談をしながら実施をしていくという体制をとっております。
○竹内(勝)分科員 たとえば空中散布を考えておった、ところが住民の反対運動等のトラブルによってできなかったとか、そういうような例がありましたら、挙げていただきたいと思います。
○藍原政府委員 先ほど御指摘になりましたように、スミチオンという薬をまいておるわけでございます。これにつきましては、たとえば桑あるいは養魚等々に対しては確かにいろいろ問題もございますので、私どもも計画を立てる段階でそういう個所は避けまして、できるだけそういう被害の及ばない地域について空中散布の計画を都道府県においてつくっていただいておりますけれども、昨年の一例を申し上げますと、五十三年度、兵庫県等におきましても、計画は立てましたけれども、地元の反対があって一部まけなかったという地域がございます。しかしながら、計画全体につきましては昨年九七%実行いたしておりまして、その辺につきましては、法律の精神に基づきまして地元と十分御連絡をとり、協調し、御理解をいただいてやっていく姿勢をとっておりますし、今後ともそういう姿勢でやってまいりたいと思います。
○竹内(勝)分科員 そこでちょっと話を変えますが、京都はマツタケの産地でございます。 この空中散布やあるいは地上散布、薬品自体によってマツタケへの何らかの影響はないか。いままで、昭和三十年代には本当に多く出ておりましたマツタケが、現在は非常に貴重品と言われるようなものになってきておる。松林が被害を受けておる、少なくなってきているということもございますし、同時に私は、そういう薬の影響、それによって余り出てこないということも考えられるのじゃないか、あるいはまたそれが直接マツタケあたりにかかっていったならば、これまた大変なことになりますし、その辺をどう考えているか、これは非常に重要なことでございますので、お聞かせください。
○藍原政府委員 まず、マツタケが生えます時期は、先生御存じのとおり秋でございます。それから薬をまく時期は四月の終わりから五月、六月でございます。したがいまして、マツタケが出てまいります時期にはまず薬はまいておりません。 それから、それでは薬をまいたらマツタケの菌が死んでしまうのではなかろうかという御心配があろうかと思いますが、この薬は御存じのとおり残効性が非常に短うございます。したがいまして早く分解してしまうという点もございますけれども、私どもそういう点につきましては、十分その辺の調整を図りながらやるということで考えておりますし、今後もその辺については十分注意をしてやっていきたいというふうに考えております。
○竹内(勝)分科員 そこで、国庫補助に関してお伺いします。 国庫補助が国から三分の二あるいは各府県からはそれを補って三分の一というような形で大体出ておるということを伺っています。中には国営のものにおいては一〇〇%国のものが出ていくというようなものがあるやに伺っておりますけれども、その状況はどういうふうになっておりますか。時間的に余りありませんので、簡単で結構でございますから、お願いしたいと思います。
○藍原政府委員 マツクイムシの防除には、特別防除と申します空中散布のものあるいは地上散布いたしますもの、立木駆除いたすもの、こういうものがございます。そういう中で、特別防除につきましても国営のものは十割、十分の十、それから特別防除の中の県営のものは三分の二、それから地上散布につきましては、大臣命令によりますものは十分の十、知事命令は二分の一、それぞれその重要性等々によりまして補助率を変えております。予算上では、そういう意味から、それぞれの重要性を十分勘案しながら、その辺の対応はしておるわけでございます。
○竹内(勝)分科員 そこで、京都、奈良等の文化、観光都市として景観を守っていこうという大事なもので何らかの特別な配慮、いままで三分の二のものを一〇〇%に持っていくとか、そういった何らかの配慮が今後必要になってくると思いますけれども、そういったお考えはないかどうか、今後の考え方をお聞かせください。
○藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、マツクイムシの防除につきましては、私どもも重要な松林については守っていこうという姿勢をとっております。したがいまして、そういう観点から、それぞれの都道府県でその辺の、自分の府県内の計画を十分練って持ってこられますので、そういう面とにらみ合わせながら、私どもといたしましても国の助成を考えてまいりたいというふうに考えております。 ただ、私が非常にむずかしいと思いますのは、やはり住宅の密集地、京都あたりにはそういう文化財と住宅の密集地が非常にございます。その辺におきましては、薬の散布というのがなかなかむずかしい問題がございます。したがって、そういう単木的に守らなければいけないような松につきましては、先ほど申し上げましたような薬の注入というような技術をできるだけ早く開発して、それらの問題に対応できればということも考えておりますし、そういういろいろな技術をこれから開発しながら対応してまいりたいと思います。
○竹内(勝)分科員 もちろんその問題が大事でございます。ですからこの対策として、私はただ単に薬に頼っていくというものでなくして、今後除去していく意味での対策を入れた上で、いまの天敵等を含めて、メカニズムというものを考えた上で、どうやっていくか、これを考えておるわけでございます。 そこで、自主防除、各持ち山等において、自主防除には費用が補助の対象にはなっておりません。そこで、この自主防除の時点で、つまり、ちょっと危なくなってきたな、色がおかしくなってきたな、あるいは一本ぐらいおかしいなという時点でこれを取り除いてちゃんと対策を立ててやっていったならば、これは被害が小さくて済むわけですよ。ところが、そういったものには補助がついておりませんから、どうしてもほっておくという形になります。したがって、それを、自主防除に関しても国庫補助の対象にしていく必要が出てきておる、こう考えておりますけれども、考えはいかがでございますか。
○藍原政府委員 先生の御指摘のような御意見もあろうかと思います。ただ、マツクイムシ等について、国が積極的に助成をしながら、あるいは法律をつくってこの防除をしようという姿勢の中には、やはり日本の重要な資源でございますし、国土保全なりあるいは木材資源としての松を維持しなければいけない、そういう観点からの対応でございます。 一方、山を持っておられる方は、やはり自分の山という観点もございます。したがって、このマツクイムシの防除については、国だけに頼られても非常に問題がある。やはり国、都道府県、町村、そして個人、これらが一体になってやっていく姿勢、これが非常に必要ではなかろうかと思いますし、そういう意味から、重要な地域につきましては、先ほど申し上げましたような形で、県が計画を組んで、それに対して国が助成しておるわけでございまして、今後とも私どもはやはりそういう姿勢でやっていきたいというふうに考えておりますし、いまおっしゃいましたような問題も、重要な地域であれば、そういう形の中に都道府県が取り組んでいただいて対応していただくということがよりいいのではなかろうかというふうに考えております。
○竹内(勝)分科員 それでは時間でございますので、最後に大臣にお伺いして終わりにしますが、いま御答弁がありましたように、国あるいは各地域、そしてまたおのおのの持っておるその個人、そういった者との連携を含めて、これはもちろん文化観光都市だけではございません、いろいろと重要なところが幾つもあるわけでございますので、そういったものを含めて、松は日本の景観を代表する樹木でもございます、あるいはまた、歴史的にも日本文化と深いつながりのあるものでございますし、ぜひそういった面を考慮に入れた上で今後の対策を立てていただきたい。あるいはまた、古都保存法というようなものも関連してくるのではないかと考えますけれども、そういった意味においても、たとえば自主防除においては、その木を伐倒して、そしてそれを取り除いていくというだけでも、これは大変なものがかかっていくわけでございますので、そういった面への配慮も含めて、大臣の今後の御決意のほどをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○渡辺国務大臣 手段、方法については林野庁長官からお答えがありましたので、そういうような方向でやらせていただきたい、かように思います。
○竹内(勝)分科員 どうもありがとうございました。
○森(清)主査代理 中村重光君。
○中村(重)分科員 農水の委員会等で質疑をする機会というものが、全くとまではいかないにしても、なかなかないわけなので、盛りだくさん伺ってみたいと思うのですが、時間の関係がありますから、また、事前にきょうお尋ねすることは十分説明をしておきましたから、本会議の方式でお尋ねをし、後でまとめてお答えをいただきたいと思います。 この間、農林大臣は財界との懇談会で、自給率の向上というので強く主張をされたと。私は大変農林大臣の態度を評価したいと思うのです。何といっても農は国の基本なんだから、やはり自分で食べるものは自分でつくるというような原則の上に立って対処していくというのでないと、英国がかつて貿易立国という形で、余りそれに過ぎたために御承知のような結果をもたらした。しかし、その英国も、いまは非常に自給率の向上ということに力こぶを入れて、たしか平均七〇%ぐらいになっているのではないかと思うのですが、政府の年次計画で、たしか六十年に六五%ぐらいというような計画をお立てになっているように思うのですが、農林大臣の確信として、まあ六十年には自給率を平均ここまで持っていくというような、ひとつ確信のあるところをお答えをいただきたい。必ずやその線に沿っての施策を積極的にしかも細やかに立てていくであろう、こう思いますから、お答えをいただきたいと思います。 これと関連をしてきますけれども、長崎県に南部総合開発計画というのが、これは十年前ぐらいからの計画で、一時中止をしたり、また多目的という形で計画を立て直しているのです。ところが、有明海を埋め立てをするということになりますから、長崎県だけではなくて佐賀県とか熊本県、福岡県というような県に関係をする。長崎県の中でも湾内、湾外と、これはもう湾内でも専業者は反対、湾外は、これはもちろん専業者が多いですから反対。もう二年、三年と予算をつけるのだけれども、実施予算を昨年からたしか十三億つけたのだけれども、できそうもないのですよ。私は、恐らく今度は見送らざるを得ないということでお見送りになるのだろうと思っていたのだけれども、ことしじゅうにできなければこれは打ち切りだといったような、大蔵省との折衝の中でそういうようなこともあって十三億分の予算をまたつけているのですね。五十三年度に十三億実施予算をつけた、ところが全くこれは使えなかった。それに、見通しとしては非常に暗いのに、また十三億予算をつけているわけですね。赤字予算の中で大変苦労しておられるのに、どうしてそういうことをおやりになるのかということ、見通しはどうなのかという点が一点。 それから、ことしもどうしてもできないということであれば断念せざるを得ないのだろう、こう思うのですが、知事も今度の県議会で、ことしいっぱい努力してみるけれども、見込みがなければ断念せざるを得ないということを示唆する答弁をしているようですが、この点は、経済水域二百海里と沿岸漁業の振興というのは非常に重要ですから、これを干拓をやるというのは、結局沿岸漁業というものがそれだけ阻害をされることにつながってくるわけですから、これとの関連等もあわせて、大臣のひとつ考え方をお伺いしたい。事務当局としては、やりたい、やれる見込みです、努力しますというお答えになることは間違いありませんから、これらの点については渡辺大臣からひとつ伺ってみたいと思います。 それから小規模基盤整備事業、この事業は、私は干拓の問題との関連もあって、土地改良ということを積極的に推し進めていくということ、そういうようなことで、干拓なんというようなことを無理にやらないでも十分農業を繁栄させる施策というものはあるのではないかというように考えますから、具体的に基本的な点、それから具体的にこの小規模基盤整備事業をどう進めていこうとするのかということをお聞かせをいただきたい。 それから、卵価の問題ですが、卵ぐらい、これは農業の中で優等の生産農民であるというように思っているのです。努力の結果、まあ何十年と値段が上がらない。これは最近非常に暴落をしているのですね。これではどうにもならないというので、零細な養鶏農家がみずから自主的にこの羽数を減らしていこうという動きがあるのです。ところが行儀の悪い大企業というものがあるのですね。農林省の行政指導というものに対しても、若干姿勢を直してきているということは聞きますけれども、なかなか行儀が直らない。ですから、零細な養鶏生産農民の犠牲の中で大手の企業が得をするといったような、正直者がばかを見るようなやり方をすべきでない。だから、大手に自主的に羽数を減らさす、生産調整をやらせるということについて今後どのような強力な施策を講じていこうとされるのか、聞かなければどうするのかということをひとつお答えをいただきたい。 それから、今度は水産関係に移らしていただきますが、長崎県で、イルカの沿岸零細漁民に与える影響というものは非常に大きい。実はこの前イルカ征伐をやって袋だたきに遭って大変なことになった。最近たしか千頭というのかな、千匹というのか、それをやったところが、殺すわけにまいらないということで、保護しているのだ。ところがこれを保護してみても、これはえさを与えなければならぬ。これまた大変なことになる。だから農林水産省としては、特に水産庁はこのイルカの捕獲をして保護をする、今後これをどうしようとお考えになっておられるのかということをひとつお聞かせをいただきます。 それから、長崎県に新魚市というので着々と工事を進めているのです。ところが鉄道の引き込み線がないとどうにもなりません。調査費は組んでいるということなのですけれども、国鉄赤字と言われているときに国鉄が果たして引き込み線を引いてくれるのかどうか。巨額な金を投じて新しい魚市をつくるわけですから、この見通しをあわせて聞かしていただきたい。 それから、水産物の輸入について、水産物輸入対策協議会というのがあるのですが、この輸入については最近住民参加、生産者の参加ということが強く叫ばれ、それが順次取り入れられつつある。民主的な行政運営ということについては私は大切なことであろうと思うのでありますが、そういう場合にこの輸入対策協議会との協議というものを今後一つの制度化のような形においておやりになることはどうであろうかということで、考え方を聞かしていただきたい。 それから、最近——最近というか近年、昨年ぐらいから特にですが、姿を見せなかったイワシが非常に豊漁なんですよ。ところが余り豊漁であるために、価格暴落ということで、泣くにも泣かれないということになっている。したがって、いわゆる多獲性の大衆魚の調整保管ということは非常に重要な問題点となって、ここで調整保管の指定団体として五つの団体をお決めになっていらっしゃるのです。ところが、長崎県とか北海道とかいうような主要水産県では漁連をこの指定団体として加える必要があるのではないか。そうすることによって加工であるとか養殖の飼料であるとか、あるいは冷凍であるとか、こういう放出対策といったようなことも出てくるわけですから、そうした主要な水産県はいわゆる漁協連合会というものを参加させる必要があるというように考えます。 もし時間がありますれば、渡辺農林大臣が非常に関心を持っていらっしゃる、商品取引制度の改革に取り組もうとしておられる。私も改革する必要があると思っておるのです。いま十八カ所あります取引所は、もう情報化時代ですからね、これをやはり整理統合していく必要がある。取引員も管理体制ができないような余り大きいものは分割をする必要があるし、経理能力を高めていくために、統合するものは統合していくといったようなことも必要であるというふうに考える。それから紛議が起こり、倒産があるということになるのですが、いまは建て玉だけが例の保証金でもって積み立てをやっているのです。ところが、委託を受ける、それがそのまま業者は玉として建てないのですよ。黙って自分が委託だけを受けている。その委託者の金でもって運営をしていくということになる。そうすると、これは建て玉だけが取引所に積み立てをしていくわけだから、そうしないでおって倒産をしたら金の返しようがないという問題になる。ですから、これは当然改革をしていかなければならないという点がある。ところが役所の姿勢も、役所の方が行政がやりやすいようにというので、ただ何か関係がありそうだからというので、関係会社であるということでこれを一緒にするというようなやり方も、今度は管理体制がかえって弱くなっていって、そしてむしろ費用もかさんでいくということになる。それでマイナス要因というものもありますから、こういう点は十分、制度改革をおやりになる場合は実情に即した、そして商品取引市場が少なくとも証券市場のように地位が高まるような、そういうことでなければいかぬと私は思う。何か紛議が起こった、国会議員から何か持ち込まれた、どこかから持ち込まれた、すぐ聴聞会を開く、おまえは三日間、おまえは五日間の営業停止だ。そんなマージャン屋か何かの違反のような不見識なことをやったのでは、いつまでたったって商取の市場は権威のあるものに育っていかない。だから、役所も反省する。それから取引員にも反省させる。外務員にはもちろんこれは十分な教育をやって、でたらめなことをやらせない。そういうような本当の実のある改革をおやりになるということでなければいけない。 以上の点について、大変多い質問でございましたが、ひとつお答えいただきます。
○渡辺国務大臣 重立ったものを私からお答えいたしまして、あとは時間があれば事務当局から答えさせます。 自給率の向上を図っていくというためには一層の努力をいたします。一応昭和六十年七五%というのを見込んでおります。 それから長崎の、例の大型の南部総合開発事業の件でございますが、これは実は私も予算につけるのはいかがなものかなと思ったのです。その理由は、去年できなかったということと、これは莫大な金がかかるのです。もう本当にそこで国の農業予算がうんと取られてしまうようでも、ほかが身動きならないようでも困るということもあって、ちゅうちょしたのですが、地元の強い要望もこれあり、本気になって漁業問題等の解決を図ってくださいよという条件つきでそれはことし認めてもらうことにしたのであります。これがまとまらないということになれば、そんな莫大な金がかかることでございますから、やりたいところはほかに幾らでもあるのですから、これはもう地元の意思にある程度かかっているというように御理解をいただいて結構であります。 それから、その次は卵価の安定対策でございます。これについてば強力な行政指導はいたしておるのですが、なかなか決め手が実際ない。ないけれども、いろいろ工夫をして、みんながお互いに貧乏してしまうわけですから、そんなことに気がつかなければ共倒れになることは明らかだ。したがって、これらの認識を徹底させて、さらに無断の増羽はやらないということで、少なくとも安定基金加入の生産者には一札いただいておるわけであります。 それから、水産物の関係は水産庁長官から答弁をさせます。 それから、商品取引所の問題でございますが、日本は自由経済、市場経済を中心にしてやっておる国でありますので、そこで、たくさんの品物を日本は貿易をして買っておる。早い話が、小麦にしてもえさにしても、莫大なものを買っておるが、これは輸入業者はどこかの商品市場にヘッジをしていることは当然考えられる。ところが日本の商品市場が非常にすたれておるということは事実です。オーストラリアでもやっておるし、香港でも台湾でもシンガポールでもどこでもやっておる。日本のような経済大国が、シカゴ相場を見ながらあるいはロンドン相場を見ながら、一番の消費大国が外国の相場を見なければ値が決められないみたいな話もおかしいのじゃないか。日本が経済大国ならば、市場経済を維持していく以上は、当然それに相応した商品取引所があってしかるべきものではないかという素朴な疑問を私は持っておるわけです。したがって、どこに原因があるのか、そこらのところをひとつ徹底的に一遍洗い直してみたらどうか。一つは、あなたがおっしゃったように、業者の信用が低い、資産力がないという問題もあるでしょう。これはこれとして是正をすべきである。しかし、上場商品がないために、小豆なら小豆というふうな、小豆というものはIQ物資ですよ、そんなものが上場されておる。もっと上場されてしかるべきものが上場されていない。したがって、小豆の生産高の三百倍も取引される。そのためにそこだけがもう相場みたいになってしまって、投機の場みたいになっている。というのは、上場商品そのものが足らないのじゃないのか。そうすればもっと分散されてまともな取引が行われるのじゃないであろうか。私はよくわかりません。疑問ですよ。そういうようなことやいろいろやって、ただ単に取り締まり行政だけやってみたところで始まらない話でありますから、それじゃもっと大所高所から一遍見直す必要があるのじゃないかということで、それらについてのひとつ研究をしてごらんなさいという指示はしてあるわけでございます。したがって、これは実情に即して、自由国家でみんなそれが価格のヘッジをやらせている大きな機能を持っておるのに、日本だけがそうでないというのもはなはだおかしなものですから、ひとつ大所高所から検討の要がある、こう思っておるわけであります。 以上、お答えになったかどうかわかりませんが、その他については水産庁長官から答弁をさせます。
○大場政府委員 私から小規模の基盤整備事業についてお答えいたします。 これは対応はいろいろあろうかと思いますが、一つは、土地改良総合事業とかあるいは農村基盤総合整備事業とか、そういった小規模の地帯に適合するような事業の規模を拡大していく、こういったことは五十四年度予算においてもかなり意を用いているつもりであります。たとえば排水事業につきましても小規模の排水事業を新設する等の対応もしておるつもりであります。 それからもう一つは、小規模のところでありますからいろいろ条件が悪くなるということもありますので、補助率をそういったところは特別にほかのところよりも優遇するとか、あるいは採択基準を緩和して、従来補助になっていなかったところを補助対象にするとか、そういった優遇対策をもあわせて従来からも講じてきておるつもりでありますが、五十四年度におきましてもそういった対策は講じていく、そういったつもりで予算編成をしているつもりであります。
○森政府委員 最初にイルカの問題でございますが、これについては漁民が自衛措置としていろいろやっておるということはやむを得ないものだと思っておりますが、国際世論も非常に強いということでこれ以上刺激しないことが必要ではないかという意味で、イルカを殺さないで有用な漁場を守っていくという方法の技術を開発するということで、いまいろいろ音波等でイルカの行動を人工的に制御する実験を、通産省とともどもわが研究所と一緒にやっておるわけです。シャチだとか、先生御承知のように超音波でおどかすというようなことを考えて、それが一番いいのではないかということでいまやっております。 それから長崎の市場の問題、恐らく長崎の漁港の新港の話と思います。あそこに新港を建設中でございますが、ただいま、あそこで揚陸されましたものをどういうふうにして運ぶかということで、トラックなりあるいは鉄道の引き込み線なりいろいろな方法を先生御承知のように検討中でございまして、どれがいいかという結論はまだ出ておりませんが、私が最近聞いておりますところでは、いま市場で鉄道輸送が非常に減ってきているということを先を見て考えた場合に、どうもいささか、あそこで鉄道をそのまま引くのはどうかという考え方が強いようでございます。ただ、いま御指摘の問題につきましては、引き込み線についても漁港の施設としては補助の対象になり得るとは思っております。ですからその結論を見ていくようにいたしたいということでございます。 それから水産物の輸入の問題につきまして、全国の輸入対策協議会がございますが、意見を聞くべきではないかという御指摘だと思います。私ども制度的にそういう措置をつくったということではないのです。協議会が自然発生的にといいますか、要するに業界の意見としてそういう協議会ができてきたという経過でございますから、従来でもいろいろございましたけれども、必要な場合にはそういう協議会に、公式と言わないまでも、非公式であるにいたしましても、意見を聞いて輸入に問題のないようにしていくということにつきましては私どもも賛成でございます。 それから、調整保管事業で全国組織以外の県組織を調整保管事業の事業主体にしたらいかがかということの御質問がございました。これにつきましては、私ども、全国的な組織が買い入れ価格なり、数量なり、その時期というものを統一的に運用していくということが価格安定のためには効果的に運用できるのではないだろうかというふうに考えてはおります。しかし、多獲性魚の調整保管事業を現在やっておりますけれども、これも全漁連がいろいろ八戸なり京都なり鳥取なり長崎なりそういう各漁連と協調いたしまして事業を推進しておるわけでございまして、今後ともこういうような協調方式で効果を上げていったらいかがなものであろうかというふうにただいまは考えておる次第でございます。
○中村(重)分科員 長崎の南部総合開発の干拓も、大臣、メリットもあるのです。いまずっと干拓をやっておるのですね。ところが塩害で大変なんですよ。気の毒なんだ。干拓をやるとそうした塩害は一挙に解決するのだから、その限りではメリットはある。しかし、先ほど申し上げたように、土地改良であるとか、そういうことによって、いま干拓で考えていることをやられるところもある。沿岸漁業の振興という大事な問題がある。莫大な金がかかる。そしてもうできる可能性もない。去年、五十三年に十三億つけておいて一銭も使わぬのにまた十三億、これは恐らく渡辺大臣の考え方とはそぐわないと思う。ですから、いま干拓をしているところで塩害で非常に困っているところに対しては、干拓が断念することになりましたならば、やはり何か塩害対策を講じていくということにしないと、ただいままで干拓をやったところが塩害のためにどうにもならぬというようなこともあります。そういった点も十分慎重に考えて対処してもらいたいということを要請をして、時間が少しあるようですけれども、これで大体かみ合いましたから終わります。
○森(清)主査代理 永末英一君。
○永末分科員 昭和四十九年に生糸の一元化輸入が実施をされましたが、それ以前とそれ以後とのわが国におきます生糸の価格、それからリヨンの相場で見られるいわゆる国際価格に顕著な変化が出ておりますが、この変化をどのように見ておられますか。
○二瓶政府委員 まずわが国でございますけれども、実は最大の生糸の生産国でありますとともに、また最大の消費国でもあるというようなことに相なっておりますが、その際に、輸出をしている主な国はどこかと申し上げますと、中国と韓国、これが一番大きな輸出国でございます。そこで現在世界の生糸、絹の需給関係を申し上げますと、供給過剰基調にある、こう言わざるを得ないわけでございます。したがいまして、主要輸出国が限定されておるということもございまして、その建て値政策によりまして国際価格のあり方というのは大きく変わるわけでございます。中国等におきましては、欧州向けの建て値あるいは日本向けの建て値はいろいろ変えておるわけでございます。こういうような状況下にもございますので、内外価格差はどうであるというようなことを言うのが適切かどうかという点につきましては若干問題があると考える次第でございます。しかしながら、一般的に言いまして内外価格差が拡大することには長期的には問題がある、かように考えますので、今後ともわが国の養蚕の合理化なり近代化という面につきましては十分努力を傾注してまいりたい、かように考えておるわけでございます。 それで具体的な価格の関係でございますけれども、先ほど言いましたようにこれは国際的な内外価格差と言っていいかどうかやや疑問があるわけでございますけれども、五十二年、これは年間でございますが、これで見ますと、日本の現物相場、横浜の現物相場の生糸の値段一万三千三百十四円に対しましてリヨンの価格は六千八百十三円でございますので、大体五一%、半値ぐらいということになるわけでございます。それから五十三年はまだ年間の数字が出てまいっておりませんけれども、この一月から十一月までの分でながめますと、日本生糸の横浜現物相場が一万四千九百十二円ということに相なります。これに対しまして、リヨン相場を日本円で換算をしますと六千二百四十七円ということで、四二%ということでございます。日本の現物相場よりも六割近く低い水準の価格になっておるということでございます。
○永末分科員 大分長いこと答弁をいただきましたが、要するに一元化輸入実施の前は国際価格も国内価格も大体似たようなことで価格差はなかった、ところが、一元輸入を実施してから価格差が始まり、その格差はますます拡大しつつある、私はこう見ておりますが、それでよろしいか。
○二瓶政府委員 一つは、一元輸入の前と後で国際的な価格差がどうなっておるかという面につきまして、現時点におきましては相当広がっておるということは否めないと思います。
○永末分科員 大臣、こういう状態をずっと続けていっていいと思われますか。
○渡辺国務大臣 生産者保護という立場も非常に大切ですが、だからといって、外国から安い物が入ることを権力である程度抑えているわけですから、値段のつり上げをどんどんやっていくということはだめですよと私は言っているのです。別に生糸ばかりではありません。したがいまして、繭の生産についても生産性を高めるということに第一義的に取り組んでもらいたい。そういうふうな予算措置や指導を強化していくということで格差の拡大はなるべく広がらないようにしていきたいと思っております。
○永末分科員 国内の生糸の価格はいま答弁をいただきましたところでも二倍以上になっておる。そうしますと、国内生糸を購入して製品をつくっているものはきわめて原価が高くなるわけでございまして、京都の西陣で絹ネクタイを製造しておられる製造業者がおるのでございますが、これが自分の方の原料が高いために倒産しておる、こういう状況が出ておりまして、この一月に絹ネクタイの製造業者の方々が、こういう倒産の原因は一にかかって生糸の一元化を規定した法律にある、それは国会で決めたのだから国会がその原因だ、こういうことで生存権の侵害という理由で裁判所に違憲訴訟までやっておる、こういう事実がございます。これは御存じですか。
○二瓶政府委員 それは存じております。具体的に申し上げますと、西陣の絹ネクタイ業者十二名の方が国を相手といたしまして、ことしの一月十六日京都地方裁判所に訴訟を提起いたしておるわけでございます。その中身は、ただいま先生からもお話ございましたように、繭糸価格安定法の定めます生糸の一元輸入及び価格安定制度は違憲立法である、それによって安い国際相場での生糸の購入の道が閉ざされた、これに伴いこうむりました損害の賠償を国に請求する、こういう内容の訴訟でございます。
○永末分科員 私はこれらの業者の経営状態をよく存じておるのでありますけれども、要するにもし国際価格で購入し得たならば倒産しなかったものを、高い価格、それは政府機関が決める形ですね、農林大臣の言葉をかりれば、権力で決めておる価格、その高い価格で買わされるために自分たちの経営がかくのごとく苦しくなった、したがってその差額の損害を五十二年度一月から十二月の使用生糸量とその価格差を掛け合わせたものを算定して損害賠償の訴えをするに至った。これは悲痛なことですね。しかし、もしこの一元化輸入の制度が続くとするならば、そして四十九年以来の国際価格とわが国の国内価格との格差がいままでのような傾向で続くとするならば、これらの国内価格で買わなければならぬ業者というのは全く経営不振、もう商売をやめざるを得ない、こうなるのでございまして、違憲裁判をやったからといってすぐにどうなるものでもございません。それを知りながら裁判に訴えて、これは権力で決めておるわけでございますから何とかしてほしいという、悲痛な業者のやっておることでございまして、農林大臣はこれをごらんになってどうお感じになりますか。
○渡辺国務大臣 御承知のとおり一元輸入の法律は議員立法で決めたものでございます。恐らく各党一致じゃなかったかと私は記憶いたしております。しかしながら、いま言ったような問題ができておることも事実でございます。しかしこれをいま廃止するということは現在の日本の養蚕業の力からして壊滅的な打撃を受けることもまた間違いない。ですから、訴えがあったということをもって直ちにこの制度をなくすというように短絡的に考えるわけにはいきません。いきませんが、そういう悲惨な状態が起きておるという現実も認めなければならない。いままで実需者割りでそういうような原料を使う方には外国のものをほとんど実費でお分けをしておるという制度もあわせてやっておるわけでございますので、いろいろな点を考慮しながら、そういう被害がなるべく起きないように努力はしてまいりたいと思っております。
○永末分科員 繭糸価格安定法ができましてから長い時間がたっておりますし、最近、いまおっしゃったような議員立法による修正が行われてこれが施行されておるのでございますが、繭糸価格安定法が蚕糸業の経営の安定を目的としておるわけでございますけれども、一体日本の国の養蚕業というのは、農林大臣はこれからどうなっていくと思われましょうか。発展していくようにこの法律を使ってやろうとされるのか、それともそういう方向ではなくて別途のことを考えざるを得ない状態に立ち至っておると御判断なのか、この辺をひとつ伺っておきたい。
○渡辺国務大臣 これは私はやり方だと思うのですね。考え方によっては日本の養蚕業は幾らでもやっていける。というのは、それは産地移動とか何かと言えば多少出るかもしれませんよ。出るかもしれませんが、日本の養蚕経営というのは世界一ですから、世界一の機械化、近代化された経営をやっておるのであって、人件費が高いというところに問題がある、土地が狭いというところに問題があるでしょうが、需要が旺盛で外国から輸入しておるわけですから、過剰生産ではないのですから、やり方で、共産国家のように、政策的に実費を無視して売るというようなことをやられれば別だけれども、そうでなければ養蚕業というものは生き残ることが幾らでもできるというように私は思っております。
○永末分科員 昭和四十五年から昨年までの傾向を見ましても、桑園面積もどんどん減っておる。昭和四十五年を一〇〇として五十二年度は八三%に減っておる。養蚕農家の戸数は半減をしておる。それから収繭量もまた七割に減っておる。それから面積当たりの収繭量もまた八割四分に減っている。つまり何をとってみてもどんどんダウンしているわけですね。この傾向はとまると思われますか、どんどん続いていくと思われますか。
○渡辺国務大臣 これも場所によって違いまして、私の選挙区にはないのですが、二区の方の選挙区には栃木県にも養蚕業がかなりあるのです。これなどはむしろそれと逆の傾向値を示して、大型化をしておる。それから収量等もそう減ってないということで、全体的には生産がふえておるという地域もあるわけですよ。東北の方に移動しつつあることは事実です。ですから、産地の移動ということはある程度あるかもしらぬが、やり方で私は生き残れない産業ではない、こう見ておるわけです。
○永末分科員 要するに基準糸価というものを農林大臣がちゃんと指示をされて、価格を上げることによってこの養蚕業の安定を図ろうというのがこの繭糸価格安定法の任務だと思うのです。しかしそうしておっても、たまたまあなたの御存じのところで養蚕量がふえたところもあるかもしれませんが、全体の傾向は私が申し上げたように減っておるのであります。それから人件費が高いとおっしゃったが、普通の日本人の労働者の賃金水準と、繭を生産している家族労働者の報酬とを比べますと、どちらも年々ふえておりますよ。ふえておりますけれども、ふえる割合というものは賃金労働者の賃金のアップに比べますときわめて低い。そしてまた農業所得に比べましてもその上がる率は低い。たとえば昭和四十五年を一〇〇といたしまして、賃金が二九〇になり農業所得が二九九になっている。にもかかわらず繭生産家族労働の報酬というのは一七〇にしかすぎない。すなわち、何かしておられるかもしれませんけれども、まさに低能率、そしてその収入は比較的によくない、こういう状態が傾向として出ておる。この状態は一体どうお考えになりますか。
○渡辺国務大臣 いままでそういう傾向にあることは事実であります。
○永末分科員 それを一つの基準糸価を上げていくという手法だけで一体カバーできるのかどうか。私はこの繭糸価格安定法をいますぐに廃止せよなんと言っているわけではございません。しかしもっと現状に即したいろいろなことを考えざるを得ない段階に立ち至っておるのではなかろうか。いままでの手法ですと、まさに生糸を使って製品をつくっている者は破産倒産しておる。それならば生糸をつくっている方はどんどんうまくいっているかというと、そうではないわけです。そうしますと、この法律だけでは何とかならなくなっておるということが出ておるわけでございます。したがってそういう角度から、掃き立て規模別に養蚕をやっている人々の規模を分けまして考えますと、これまたいろんな数字が出てくるわけですね。たとえば三箱未満の戸数をとりますと、四十五年には七万八千三百八十戸ございましたが、五十二年にはこれが二万五千八百五十戸に減っておるのであります。三箱から六箱は十万戸以上ございましたものが四万四千四百九十戸に減っておる。六箱から十箱までのものは九万四千戸ございましたものが四万六千五百戸に減っておる。十箱から二十箱、これは九万戸ございましたものが五万七千二百二十戸に減っておる。どんどん減っているわけですね。一体養蚕経営の安定のためにあるこの繭糸価格安定法は機能しておるのかどうかということを疑う。どうお考えですか。
○渡辺国務大臣 それは先ほどから言っておるように、やり方だと私は思うのです。ですからここでこれを一遍にすぐやめるというようなわけにはいかないと思います。しかしながら大型化して生産性を上げてやっていけるものはやらしてやりたいという、私は気持ちなのです。だからといって値段を引き上げて、かなりの生産性の上がらないものまでもどんどん値段のつり上げだけでこれを維持していくということは、なかなか世の中から認めてもらえない。ですからもう少し時間をかけて、そう長いことではないが、やらしてもらいたいと思っております。
○永末分科員 先ほどは二十箱までの現状を申し上げましたが、二十箱から三十箱は、この四十五年から五十二年は少し減っている。二割程度減っているわけですね。それから三十箱以上の大規模な養蚕家は逆にふえている。一〇〇から一二七にふえている。要するにこれはペイするからですね。そうすると小さい方、三箱未満というのは年間収入で、養蚕ではどれぐらいの収入だとお考えですか。
○二瓶政府委員 三箱未満、この階層の養蚕の粗収入でございますが、五十二年は調査結果が出ておりますが、これでは十三万円となっております。それから五十三年はまだ調査結果が出ていませんので一応試算するしかないわけでございますが、一応の試算をやりますと、十四万六千円程度ではないか、かように思っております。
○永末分科員 私が先ほど仕分けましたように、三箱から六箱、次は六から十、それから十から二十と、それぞれ計算しておられたら、掛ければすぐ出てまいりますが、上限の方でいいですから、上限の方でお答え願いたい。
○二瓶政府委員 その掃き立て規模別の計算を実は全部やっておらないのですが、一応平均養蚕規模ということで十五箱の規模の計算をいたしたわけですが、これによりますと、五十二年が、養蚕粗収入が九十二万九千円ということでございます。したがいまして、五十二年ベースで見ますと、この平均養蚕規模十五箱というのに比べますと、先ほど申し上げた三箱未満というのが大体七分の一程度ということになるわけでございます。
○永末分科員 この十三万とか、まあそれの二倍、六箱にしましてもこれが二十五、六万、こういうことになると思いますが、この二つ合わせましてもこれで七万戸ぐらいがおられるわけですね。これだけで家族を養うことはできない。恐らく兼業だと思いますが、兼業の養蚕家というのはどれぐらいあると見ておられますか。
○二瓶政府委員 養蚕農家は、いわゆる稲作なり野菜などと複合経営というのが大部分であるというふうに申し上げて差し支えないと思うわけでございます。ほとんど専業農家はなかろうと思っております。ただ、春あるいは夏、初秋、晩秋というようなことで四回ぐらい、本土の場合には掃き立てをやるわけでございますけれども、その際に、いわゆる年間一トン以上の生産農家というのが、ほぼ、やや専業的な農家ではないか。大規模養蚕農家と普通われわれ呼んでいるわけでございますが、これは五十二年現在で一万一千戸の数になっておるということでございます。
○永末分科員 農林大臣、お聞き及びのとおり、いま二十万戸養蚕農家があるわけですね。しかし、その実態は一万一千戸ぐらいが大規模であって大体いける。大部分の者はそれで飯を食っているわけではない。しかし、それを維持しようというので国内価格をどんどんつり上げてやっておる、その結果、町ではそれを使用する製造業がつぶれる、これは問題ですよ。これはやはり考えてもらわなくてはならない。つまり日本での養蚕業というのはどういう規模で、どうやって指導して、これがやっていけるようにすべきかということをいま考えなければならぬときに来ておると私思いますが、農林大臣どうお考えですか。
○渡辺国務大臣 私が先ほどお話ししておるとおりでございます。
○永末分科員 繭糸価格安定法というのは生糸の輸出の増進から始まっておりますが、もう輸出していませんね。
○二瓶政府委員 生糸そのものの形では輸出はゼロでございます。ただ、生糸製品という形では若干輸出はございます。
○永末分科員 その生糸の価格のことをごたごた言うておるのが主でございますから、いまおっしゃった二番目のものは余り意味のない御答弁だと思いますが、さて、いまのような役割りを基準価格はしておるとするならば、ことしもまた昨年より基準価格を上げられますか。
○渡辺国務大臣 これは一応の計算方法がございますから、いろいろな事情を勘案をして、適正に決めたいと思っております。
○永末分科員 問題はそこに存在するのでございますから、問題のありかを私が指摘を申し上げた。そうしますと、それを大臣は聞かれたわけでございますから、これはやはり何とかせなければいかぬわけでございます。 ところで、蚕糸事業団というのがございますけれども、蚕糸事業団が一年間生糸を買い入れて、これをまた売りさばいておりまして、それがたまってきた場合に、これを余裕金、積み立てておりますが、利益が出たら利益でもって助成事業をやっておる。どういう助成事業をやっておるのですか。
○二瓶政府委員 助成事業でございますけれども、これは一つは、繭または生糸の生産または流通の合理化を図るための事業、それから二番目に、生糸または生糸の加工量の需要の増進に関する事業、三番目に、蚕糸業の経営または技術の指導に関する事業、こういうものにつきまして助成事業を実施いたしております。 近年におきます助成事業の規模を申し上げますと、五十一年度五千四百万、五十二年度二億一千一百万、五十三年度三億六千六百万ということでございます。 以上でございます。
○永末分科員 先ほど挙げられました三つばかりの助成事業の柱、需要増進のところは何ぼ使うていますか。
○二瓶政府委員 まず五十一年度でございますが、先ほど申しましたものの中で、百八十五万九千円、これが需要増進事業でございます。それから五十二年になりまして大幅にふやしまして、四千百七十八万円、それから五十三年になりましてさらにふやしまして、六千六百二十九万円ということで、需要増進事業ということで、着物の着つけ指導とかテレビの宣伝とかいうことで、需要増進事業に投入をいたしております。
○永末分科員 主査、大臣がおりませんので、大臣に聞きたいので時間ストップ。——大臣、いま蚕糸事業団は利益金が生じたので助成事業をやっている。そこでその需要増進にどれくらい金を使っておられるか聞きましたところ、五十三年度は六千六百二十万円使っておるというような話がございましたが、先ほどのような、生糸を原料にして製品をつくっているものが、もう経営が苦しくなって倒れかけている。しかもその人々は高い金を出している。回り回ってその金は蚕糸事業団に入っておる。そして助成事業として何ほどかのことが行われるということは知っておりますけれども、これらの経営者、経営の危機を救うためには、この金は当然には流れてこない、全く関係がないわけですね。そうすると、おれは高い金を出したにかかわらずそれは別に使われて自分のところには来ない、こういう気がするわけですね。しかしながら製造業でございますから、製造業は通産省が所管だ、こういうことになるわけです。そこで通産省はこのことで何かやっていますか。
○赤川説明員 需要増進事業につきましては、極力ふやしてほしいという一般的な希望を持っておりまして、それを表明を行っておりますけれども、一件一件につきまして特に協議、相談はしていません。
○永末分科員 大臣、お聞き及びのとおりなので、これは所管庁が違うから、製造業は農林省が所管しておりませんから無関係のようではございますが、まさに生糸ということでは関連があり、生糸にまつわる金の動き方にまさしくこれは関連があるわけですね。そこで、私が大臣にお伺いしたいのは、この助成事業はちゃんと法律に定められた枠組みがあってやっておりますが、もしいまのような、金額もそう多くはないと思いますけれども、いまのようなことが手直しがなされず、なお国内価格が高く、そのために製造業者が破産、倒産している場合に何らかの措置を、彼らがもともと出した金を利用して通産省と協議をしてやるなり、何かの方法はないものかと思いますが、それに対する大臣のお考え方を聞いておきたい。
○二瓶政府委員 私からお答えを申し上げておきますが、一つは、この助成事業につきましては、年々関係方面とも協議をして助成の枠を決めまして、具体的な事業の実施をするわけでございます。したがいまして、三月の末に基準糸価の決定もやりますが、またそれとの関連といいますか、直な関連ではございませんけれども、一応この助成事業というものもどの程度の枠で具体的にどんなことをやるかということも固めたい。その際に、ただいま先生からお話がございましたような、需要増進事業の方にも十分充実したらどうかというお話でございますが、その辺も、基準糸価も適正に決めるということを先ほど大臣からも申されましたが、その辺との関連等も見定めて、その辺のことは助成事業の内容も検討をしたい、かように考えております。
○永末分科員 大臣、御答弁を願います。
○渡辺国務大臣 十分検討します。
○永末分科員 質問を終わります。
○森(清)主査代理 寺前巖君。
○寺前分科員 私は、きょうは先ほどからお話のありました生糸の問題に関連して、私の出身の京都府の日本海側に丹後地方というところがあります。ここは、ちりめんの生産地で昔から有名なところですが、この丹後の機業地をめぐる幾つかの問題についてお聞きをしたいと思います。 絹の生産地として、また白生地の分野としては全国的に有数な産地ですが、最近では西陣の出機として先染めの分野でも大きな役割りを果たすようになってきているわけです。この丹後の機業地においては、オイルショック以降、不況とインフレの同時進行の中で大きな打撃を受けて倒産も起こりましたし、織機廃棄等の処置もやってきたわけです。最近ちょっと市況の回復が見られて、息を吹き返してきているという状況になっているわけですが、この息を吹き返す過程の中で行われた問題として、昭和五十一年から実施された日本蚕糸事業団からの生糸の実需者売り渡しという措置がありました。この生糸の実需者売り渡しというものが丹後地方に、付加価値の少ないこの分野の産業としては、お金を落とすという意味では一定の意味を持ったわけです。ところが、これがあまねくこの地方の人に大きな役割りをしたかというと、必ずしもそうならなかったということの批判が起こっているわけです。 〔森(清)主査代理退席、主査着席〕 ここにまかれているビラの一つをちょっと御参考のために大臣に見てもらいますが、よろしゅうございますか、委員長。——そこにもかかれておりますように、親機に対して実需者渡しが出てくるということで、親機の方は税金対策をどうするかということで頭を悩ます。自分のところの企業の中では一機当たり二万円のボーナスを支給するという企業もできてくるわけだけれども、多く賃織りをやっているところの人々にはそういう糸でのもうけの還元が出てこない。「このような親機の笑いの止らない儲けの一因に、五十一年より実施された日本蚕糸事業団からの親機への一万俵の売渡し糸価が実勢相場よりも一kg当り五千円近くも安く、右から左へ動かすだけで労せずして丹後の親機のみが」約六百名おるわけですが、「約三十億円もの利益を得ていることによるものです。このため丹後の親機は出機一台当り年間十二万円がタダ働きで儲かる仕組みとなっている」ことになる。 その一方、賃機の業者の方はどうかというと、一反当たりの工賃は四十八年前後と比してもほとんど上がっていないという状況になっている。そして健康も破壊されてくるという事態にあるのだということをこのビラは訴えているわけです。 そこで私は大臣にお聞きしたいわけですが、蚕糸事業団で実需者渡しという施策をおとりになっているわけですが、このとっておられる趣旨から考えて、こういう一台から六台を所有している賃機の皆さんが実際に丹後地方で言うと八〇%以上の市場の織機をそういう賃機の人たちで動かされているという実情から考えても、白生地台数で言うとですね、あまねくこれが還元されるように、当然こういう実需者渡しをする場合には検討されて指導されるべきではなかったのかというふうに思うわけですが、ひとつ所見をお伺いしたいと思うのです。
○渡辺国務大臣 実はこのワンタッチの還元というのは、外国の製品が非常に安い、それを政府は基準糸価を高くしているために、とても競争、太刀打ちできないということで、それで一部一元輸入の外国から入ったものを大体実費に近い程度で、ここで言えば親機ですかな、そういう経営している人に流しているわけですよ。流さなければ皆つぶれてしまう、こういうことですから、外国から安く買えるものを政府は買わせないようにしているのだ、みんな日本のものだけ使わせられたのではやっていけない、外国からは製品が自由に入ってくる、競争にならぬということで、やっておるわけでございます。それだけです。
○寺前分科員 それで、せっかくそういうふうにして糸を外国から入る値段に近いような、税金の問題もありますから、その分をつけたぐらいでもって持っていくということによって、糸によって親機さんが、糸の値段としては差がつきますから、それだけで利益を上げる、それは安定した仕事をすることができるというのは非常に喜ばれるわけですよね。糸によって昔から相場をつくって、それでふところに入れたという歴史もありますだけに、業者にとってはそのことを非常に要求するわけですね。ところが、今度はそうやって親機さんの方はふところに入るけれども、実際に今度は織っている側の人、賃織りをしている人たちが地域にたくさん住んでいるわけですね。家でがちゃんこがちゃんこやっているわけですよ。ところが、そっちの方はどうかというと、せっかく親機さんはもうけさせてもらっているけれども、私らの方には回ってこないじゃないか、値段は普通のときの糸の値段のままの姿で織らさせられているだけだ、あなたの方はもうけているのに、私の方の工賃にははね返ってこないじゃないか、計算してみると三十億近くのお金を、丹後地方では糸で余分にもうけさせてもらっているかっこうになっているのだから、その分の何ぼかが私らに返ってきてもあたりまえじゃないかと、みんな目の前に見ているから思うわけですよ。中には、自分のところに特別ボーナスを出して、糸でもうけさしてもらったからちょっとボーナスをやるよという企業もあったのだけれども、余り外に知らせないようにしておった。ところが、そんなことを言っておったって、糸が実需者売り渡しでたくさん来たことをみんな知っているのだから、工賃にちょっとはね返らせてくれてもいいじゃないか、私らに三十億貸しておるのだから、工賃の中に何ぼか戻ってきてもいいじゃないかと思って、みんな期待しているわけです。ところが、それが返ってこない。農林省さんはせっかく世話をしたのだから、賃機の人にもちゃんと分けてもらえるようにせっかく御指導してくださるのだから、直接の指導は通産省か知らぬけれども、糸を握っている農林省さんの方から通産省さんの方に話があってもいいのじゃないか、あるいは直接なりとも気持ちを関係の業者の間に伝えられてもいいのじゃないか、政府として指導してほしいものだ、どうなのだろうか、こういう話です。
○渡辺国務大臣 親機は、内容のいい親機もあるだろうし、そうでない親機もあるだろうし、ともかく企業が倒産をしてしまう状態だというものですから、一元輸入の物をある程度、三万俵ですか、原価でお分けしたわけですよ。ですから、親機によっても、結局それがなければ倒産してしまっている親機もあるはずです。ほかに副業もいろいろやって、全体としていいというところもあると思います。一概には言えない。それをやめてしまえば、親機がずっこければ一緒に子機もずっこけるわけだから、それは困るわけです。ですから、親機の賃加工をしている人は、ある意味ではそこの職人みたいなものですので、交渉の中で分け合いをしてもらう以外にはなかなかむずかしいのじゃないか。親機といったって、内容のいいものもあるだろうし、内容の悪いものもあるだろうし、一概に、これだけ分けてやったのだから、赤字で倒産するというのでコストで分けているわけですから、そのうちの何%は賃金の方へ回しなさいとか、月給の値上げに使いなさいとかという指示は、農林省としてはできませんね。それはむずかしい。
○寺前分科員 農林省としてはできないにしても、不況で倒れる事態をこのことによって救うのだ、そこの業者だけでなくして、賃機の皆さんも生きてほしいから、気持ちとしてはやりたいわけでしょう。だから、賃機の皆さんも生きられるように何ぼ工賃を上げなさいとか、そんなことは政府は言えない。けれども、その地域のみんなの産業を救うために、積極的な役割りにこれを使ってくれという気持ちは、指導はあっていいだろう、また当然それはお持ちじゃないか、私はそう思うのです。
○渡辺国務大臣 それは親機がつぶれては困るわけです。やはり生産者だって、織ってくれる人がいなかったら困るわけです。親機も、実際に賃加工をする人がみんなつぶれてしまったら困るわけですから、共存共栄なのですよ。だから、どうかひとつ、そこはみんながうまく生きられるように話し合ってやっていただきたいと思います。
○寺前分科員 通産省、おられますね。通産省は、今度は直接的指導の方になるわけです。農林省は渡す方だ。だから、通産省としては、こういうのはやはり賃機の皆さんにもひとつ利益になるように考えてもらいたいという指導があって当然だと私は思うのだけれども、どうですか。
○赤川説明員 結局、御指摘の問題は賃機と親機との加工賃の決定でございます。その加工賃の決定は、織物の価格、原料購入価格等を反映した両業者の経営状況を勘案して決めるものと思われます。その場合に、両業者の経営状況を考える際には、当然実需者割りがあるという事実も反映されてしかるべきものだと考えます。従来からそういう指導をやっておりますし、さらに一層趣旨の徹底を図ってまいりたいと思います。
○寺前分科員 だから、賃機の皆さんにも、いまおっしゃったように、実需者売り渡しというものがいい役割りになるように、工賃決定に当たって一つのファクターになるのですから、今後もよく指導をお願いしたい。 私はなぜあえてそのことを言うかというと、最近この地方で健康調査をやったわけです。その健康調査をやったら非常に悪い結果があらわれているわけです。労働省の調査は五十二年九月にやっているのですか、それによると、ここの労働時間は十・二時間という数字が出ているのです。ずいぶん長時間働くという事態があらわれている。昨年の七月から京都府商工団体連合会というところが、三宅というお医者さんの協力を得ながらこの地方の健康調査をやったら、これがまた非常に悪い数字が出ておるわけです。ちょっとそのお医者さんのあれを紹介してみますと、こういうことを言っておられます。 作業後の疲れは、ほとんど疲れないという人は五%にすぎなかった。この調査は、二千六百六十七名の人を対象にしてやっておられますが、何も手につかないほど疲れている人といつも疲れている人を合わせると四五%と、仕事によって著しく疲れる人が多く、過去一年間に医者にかかった人が四〇%近くになっている。健康状態が非常に悪い。労働時間が十一時間から十三時間の人が七八%、実働時間が十時間から十二時間の人が六七%という過重労働が最大の原因でこういう疲労が出てきている。特に目立った症状としては、肩こりが多いことはもちろん、目の症状が六四%、首の痛みが二四%、足がだるい、冷えるが五、六〇%、背や腰が痛いが四五%。特に引箔といって、帯などに箔を入れる作業をやっている人の分野では、七%から一割以上も白ろうのように手先が白くなってくるという、神経をそこへ集中するところから来る姿もあらわれてきている。こういうようなことを考えてみると、低工賃で長時間働かなければならないというこの問題について考えていただく必要があるのではないだろうかということを、調査に入ったお医者さんが述べているわけです。 そこで、労働省の方では、こういう実態にあるということについて御存じなのかどうか、お聞きをしたいと思います。
○花田説明員 お答え申し上げます。 従来、京都の丹後地方の織物業の家内労働者に健康障害があるというようなことは聞いていなかったわけでございますけれども、最近一部の新聞にそのような問題提起があったということは承知をいたしております。ただ、その詳細についてはまだ把握をしておりません。
○寺前分科員 労働省として今後何らかの処置をしたい、調査をしたいとか、何か検討されているわけですか。
○花田説明員 そういう問題提起がございましたので、京都の労働基準局及び丹後の監督署共同で調査をしてみたいというふうに思っております。調査内容につきましてはいま検討しているところでございます。
○寺前分科員 やるとすれば大体いつごろからやる計画になるのでしょうか。かなり進行しているようですから、私はできるだけ早くやってもらう必要があると思うのです。特に織物をやっている諸君たちの中に指先が白くなるような白ろう的な現象というのは、私も長年西陣とかああいう分野で仕事をしておった関係から考えてもちょっと考えられない健康状態になってきていると思うのです。それだけに特に引箔の分野でそういうことが極端化してきているということは想像にもかたくありませんので、したがって、特に引箔作業などの分野については作業環境の基準をつくるとか、積極的な調査を早くやってもらう必要があると思いますが、その辺何か見解をお持ちでしょうか。
○花田説明員 問題提起があったことでもありますので、これから基準局も最低賃金その他のシーズンでございますけれども、できるだけ内部の仕事を調整いたしまして、早い機会に調査をいたしたいと思います。
○寺前分科員 それから、これはまだ労災の申請が出ているわけではありませんけれども、一部の諸君たちの中で労災申請を出してみたいという意見も、現に私のところには相談に来ています。そこで、労災という問題がこの分野でも出てくるでしょう。ところで労災ということになると、いわゆる特別加入の一人親方と言われる労災になってくるのじゃないかと思います。そういうことになってくると、現実に労災の特別加入に入っているのだろうかということをちょっと調べてみたのです。ほとんど入らないわけですね。一体どうなっているのだということを聞いてみると、保険料が結局自己負担になるし、労災になったところで、これまた返ってくるお金というのが少ないものだ、これではどっちみちやれぬのだというようなことを言っているわけです。この分野には家内労働者としての法律も先年つくったことではあるわけですけれども、こういう家内労働者の労災の特別加入という問題については、やはり加入条件を考えていくという問題も積極的に検討される必要があるのじゃないだろうかと私は思います。そういうことを考えてみると、私は家内労働法におけるところの特別加入について、委託者の側で負担するという問題がこの際検討されてしかるべきではないだろうかということも感ずるのですが、その辺労働省としては何らかの検討をしておられるのか、検討をしておられるとするならば、どういう意見がいま大きな意見となって存在しているのか、全体との関係で聞かしていただきたいと思います。
○花田説明員 先生いま御指摘の委託者に責任を持たせるべきだという点につきましては、労災補償保険法が本来使用者が自己の管理で使用する労働者というものに責任を持つという意味で適用をされておりますので、家内労働者の特色は、自分の責任で、自己の管理で仕事をやるということに特色がございますので、法律的に使用者に責任をかぶせるということはむずかしいことだと存じます。ただ、先生御指摘になりましたように、家内労働法ができましたときには先生社労の委員でございましたので、御案内のとおりでございますけれども、特別加入という制度がありまして、こういう制度で保険を利用してもらうということでやってきたわけでございます。私どももPRがあるいは至らない点があるかと思いますけれども、もちろん加入率が非常にいいということは申し上げられない状況でございます。ただ、そういう対外的に見ましては家内労働者にもこういう制度があるということを非常に一生懸命PRに努めております。さらに、いま先生御指摘になりましたように、家内労働者が自分で負担するということになりますと、金銭的な問題もあって入らないというような事情もあると思いますので、できれば委託者の方がそれを全部ないしは一部負担していただけるように指導するという方針でございまして、指導をいたしておるところでございます。PRの不足あるいは指導の不足ということもあるかもしれませんが、それは委託者が負担するということになりますと、中には名人かたぎという方もおりまして、それなら工賃に乗せてくれというような方もありまして、なかなか御理解を得られない面もあると思いますけれども、私どもも積極的にこの制度に入っていただくように今後も努力を続けてまいりたいというふうに思います。
○寺前分科員 ところが、家内労働者なんですが、家内労働手帳の交付状況というのは、これまた理由はいろいろあると思うのですが、非常に悪いわけです。これは行政措置としてもこの悪い問題についての改善を幾つか考えていく必要があると思うのですが、こういう状況にある問題点は一体どこにあるのだろうか、あるいは家内労働手帳そのものを今度は実際にもらっている側の人について見ても、たとえばここに委託条件というのが書かれているのがあるのですが、こういう委託条件について業者の方で、委託条件はこうですよと言って、家内労働手帳に書いて、さああなたこれで承認しなさい、こういうことをやっているとんでもない立場の業者もあるわけですね。だからこの家内労働法が広く普及しないという問題点をえぐるのと、それから業者自身が家内労働者の権利を守るためにこういう手帳制度があるということについて行き過ぎたことのないような指導というものをやはり徹底させるという問題も同時にあるのではないだろうか、その辺についてはどう考えておるのか、お聞きしたいと思います。
○花田説明員 御指摘のとおり家内労働手帳の普及というのが非常におくれている状況にあるのは事実でございます。ただ、先生の最初の御質問にありました丹後地区につきましては、かなり産地形成をしておりますので、一般の内職を含めました状況に比べますと、かなり普及は高いというふうに思っております。ただこれがいま一段進みませんにつきましては、確かに委託者がさぼっているという場合もございますけれども、家内労働者の方でも余り明確になるのは好まないような雰囲気もございます。ただ、家内労働手帳がつくられました趣旨は、委託条件を明確にして後でトラブルが起こらない、それから逆に工賃不払いなどが起こりましても、最後の決め手になります証拠がないということで泣き寝入りするようなことはないということを頭に置いてつくっておるものでございますから、そういうメリットにつきましてもう少し趣旨を徹底させまして、これがきちんと履行されるようにしたいと思っております。家内労働手帳は、家内労働旬間など毎年家内労働法の普及をやっております時期の中心的な課題で、及ばずながら努力しておるところでございます。
○寺前分科員 話を、細かく入りましたがもとに戻して、せっかく実需者売り渡しもやった、そして平均的に計算したら三十億からの糸代だけでもってそれだけのものができた。さて、ところが健康状況はこういうふうにとんでもない事態まで特に引箔の場合には生まれてきている。何とか原資としてのお金が、倒産寸前のものを立て直すという側面もあるけれども、工賃を上げるところの原資の一役を買うことのできるお金をそちらに送られたとするならば、こういう状況の中で積極的に工賃を高めるということを改めて行政指導の分野においても検討してもらう必要がある。その行政指導の分野の一つというのは、最低工賃という制度があるのだから、その最低工賃で高めるという活動も、これは単に行政指導で通産省なりで業者に対してしてもらうだけではなくして、労働省自身が最低工賃を高めるということを通じて指導してもらう必要があるというふうに私は思うわけです。 現在の最低工賃は五十二年の一月十九日に公示されました。あれからもう二年進んでしまいました。もう三年目に入っています。いまだに工賃が引き上げられない。この地域の賃機協議会の人たちの申し入れによれば、五十二年度比で平均一〇%ぐらいは実際の社会の工賃は上がっているけれども、そういう意味では最低工賃そのものは積極的な役割りを果たしてない、この間に一般的な最低賃金の方は検討されて引き上げられるということも行われるのだけれども、この最低工賃の分野については二年余り放置されたままになっている、地域のこういう労働条件を考えるにつけても、最低工賃の分析というものは毎年検討してもらって、やはりそれなりに地域に積極的な役割りを果たすという役割りをこの分野においてぜひやってもらう必要があるのではないだろうか、これが労働省がしなければならない一番大きな課題だ、というふうにこの賃機の労働者の代表の人が言っておられたわけですが、この点についての御見解をお聞きして、終わりたいと思うのです。
○花田説明員 御指摘のとおり、この地区の最低工賃は五十二年に決めたものでございます。二年たちまして、御指摘のとおり周辺の事情、工賃も変わっておりますし、賃金も変わっておるということもございまして、この二月に京都の労働基準局長が家内労働審議会に改定についての諮問をしております。したがいまして、若干の時日をおかしいただければ改定がされると思います。 なお、最低工賃につきましては、賃金と違いまして、工賃自体が春闘で毎年上がるというような事情もございませんし、工賃自体が非常に複雑な設定でございますので、若干時日がかかるのは事実でございますけれども、できるだけ周辺の事情におくれないように改定を進めてまいりたいというふうに思っております。
○寺前分科員 大臣に最後に一言だけ念のために聞いておきたいわけですが、こうやって実需者渡しが積極的な役割りを果たしてきた。私も積極的な役割りを果たしてくれることを非常に期待をします。ところが最近、こういうことから政治団体がこの分野においてつくられてきたわけですね。その政治団体をつくっていく過程において、寄付金という形になるのでしょうけれども、実需者渡し何キロもらったところについては何ぼというふうに、利益に応じてその寄付を出していくという運営を政治団体がやり始めているようです。私はこれは悪意を持ってそうなったのじゃないと思いますけれども……
○笹山主査 結論を急いでください。
○寺前分科員 はい。 誤解を生むようなことになってはまずい、正しく運営されるようにしてほしいというふうに思うわけですが、御意見を、その点だけお伺いして終わりたいと思います。
○渡辺国務大臣 その件については私は全く承知しておりませんが、実態を調べて対処したいと思います。
○笹山主査 これにて寺前巖君の質疑は終了いたしました。 湯山勇君。
○湯山分科員 私は特に柑橘の問題についてお尋ねいたしたいと思います。 大臣御存じのとおり、昨年の暮れ、日米間合意によりまして輸入枠の拡大がなされました。これは非常に大きな問題でございまして、そのために大平内閣の成立も一日おくれる、したがって大臣の御就任もそれで一日おくれたというようなことにまで影響を持った問題ですが、これも振り返ってみますと、昨年の一月に日米通商交渉で一応の妥結がございました。当時私も農林大臣にやはり分科会で御質問申し上げたときには、大体これでいけるというようなお話でございましたけれども、日本の理解と向こうの理解が若干違っておりまして、アメリカの方はこれは暫定的だ、日本はこれで大体まとまるのだというようなことでしたが、結局、向こうの言うとおり暫定的なものであって、秋以降交渉が行われた。農林省もたびたび行かれるし、生産者団体の代表も参りますし、私どもも行ったりもしたのですけれども、結局あのように決定されました。 そこで、今回の合意によりますと、一九八二年、三年後には改めて協議するということになっております。これはアメリカ側の態度がどういう態度であるかということもおおよそわかっておると思いますし、東京ラウンドのこともございますし、これらを考えてみますと、やはり日本のミカンの生産者は果たしてそれで三年から向こうがどうなるのだろうかという心配も持っておるわけでございます。これも無理からぬことだと思うのですが、いまからの対策というものはその三年後の交渉も意識してやらなければなりませんし、同時に、国内の温州ミカン対策、柑橘対策というものも生産者が安心するようなものをつくっていかなければならない、非常に大きな課題を抱えておると思いますが、これに対する大臣の基本的なお考えを伺いたいと思うわけでございます。
○渡辺国務大臣 御案内のとおり、いろいろな交渉の結果、日米間でいまお話のような取り決めが行われたわけでございます。われわれとしては、国産果実に悪影響のないように、今後とも、再協議に当たりましても十分に対処してまいりたいと存じます。
○湯山分科員 これはもう少し突っ込んで聞きたいのですけれども、いまこういうときですから、どうするかということをぎりぎりお尋ねするのはかえってよくないことだと思いますので、ただいまの大臣のお気持ちは那辺にあるかということもわかるような気がしますから、次の質問をいたしたいと思います。 それは、そういう輸入枠の拡大と現実に国内の過剰供給、それに対応して農林省としては、温州ミカン園の転換促進事業あるいはまた温州ミカンの対策、そういうものをお立てになってこれを推進しようとしておられる。これは私は、実は、まだ決まっていなければきょうかあるいは別な機会にお尋ねしようと思っていたのですが、かなり早急に対応されて具体的になっておりますし、しかるべき予算もついておりますので、その点は評価いたします。しかしなお、それについていろいろお聞きしたい点がありますので、細かい点を幾つかお尋ねしたいわけです。 第一点は、今度の生産対策の中で、対象面積大体七千ヘクタールというので、これは出荷安定協議会の方でそういう案をつくって、県別の目標も決めておるようでありますが、農林省もこれには関与されて了承しておられるのかどうか、まずそこから伺いたいと思います。
○二瓶政府委員 転換対策の関係でございますが、これにつきまして五十四年度七千ヘクタールということで、全中、全農、日園連の農業三団体におきまして、これをベースにして県別の配分案も一応固めておるわけでございまして、その面につきましては当然農林省といたしましても相談を受けておるわけでございます。ただ、現在関係予算は審議中でございますので、一応仮内定といいますか、そういう面で考えておりまして、本予算成立後農林省としても正式に固めたい、こう思っております。
○湯山分科員 私が若干心配なのは、さきに日園連から申し出があったときに、農林省はもっと下から積み上げてこなくてはいけないという指導をしておられます。今回のはこれについていろいろ配慮しておることはわかるわけで、生産面積とか転換の状況、若木、老木、いろいろ条件を考慮しておることは認めますけれども、結論的に言えば積み上げたものではない。したがって、これについては愛媛あたりが一番大きくて八百四十ヘクタールということになっていますけれども、何かこれはうまくいきそうだということですが、県によっての熱意の差もありますし、ある程度一律になっていますから、果たしてこれができるかどうか私は大変危惧の念を持っています。というのは、五十三年度に終わる農林省の計画もまだかなり残っている。そういう状態から見て、果たしてうまくいくかどうか懸念を持っておりますが、その点はどう考えておられますか。
○二瓶政府委員 日園連等におきましても十分下部でいろいろな討議をやりまして、その上で先ほど言いました農業三団体で相談されましたし、また私たちの方もミカン生産県の方ともいろいろ打ち合わせ等もやっておりましたので、そういうものを踏まえてこの辺かなということで一応了承というか、まあこんなところだということにいたしたわけでございます。したがいまして、栽培上の面積をとるとか、あるいは若木園の比率をどう見る、老木園をどう見る、四十八年度以降の改植実施状況をどう見る、そういう配分要素並びにウエートを決めまして、ただいま先生お話ございましたように、愛媛につきましては八百四十ヘクタールという線で、関係の者としては一応まあこんなところかということでございます。 しかも、これの実施の面につきましては、私たちの考えとしては、下部討議を相当重ねた上で上げてきたものをお互いに意見をすり合わせてこういう線を持ってきたということからしまして、これの実効は相当期待してよろしいのではないか、かように考えておるわけでございます。
○湯山分科員 これはテレビで、佐賀県かどこか、それから私どもの方もそういう声がありますけれども、いまのような率でいきますと結局生産地の特質が生かされてないのじゃないか、それからまた農家の考え方とか適地、不適地、こういうことが条件に入れられてないということで、かなり危惧の念を抱いておることも事実です。局長もこれで大丈夫というほどのいまの御答弁でもないので、これはどうせ、六十年見通しの果樹農業振興の基本方針をおつくりになりますね。——おつくりになるのでしょう。ちょっとその点……。
○二瓶政府委員 果樹農業基本方針、五十一年に策定したものは六十年度を目標年度にしたものでございますが、これの見直しを五十四年度中にやりたいということで目下検討作業を進めておるわけでございます。その際は、むしろ六十五年度を目標年度にしようか、こう思っております。
○湯山分科員 そうすると、当然そのときには五十四年度のこの計画目標についての再検討もしなければならぬ。いま言ったような産地の特性とか、まだ加えられていない面が多々あるようですし、従来の例から見て、やってみてうまくいく県もあれば、なかなかうまくいかないのもあると思うのです。そこで当然再検討しなければならぬと思うのですが、その際には、いまのような点を十分検討して、長期の需給計画等をしっかり踏まえてやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○二瓶政府委員 五十四年度につきましては、先ほど申し上げましたようなことで進めておるわけでございますが、五十四年度中に六十五年度を目標年度にする果樹農業基本方針の見直しをやりたいと思っておりますので、五十五年度以降の分につきましては、一体どの程度の面積にしたらいいのか、さらにまた配分の面も初年度の五十四年度の動向等も踏まえて検討してみたい、こう思っております。
○湯山分科員 次に、転換ですけれども、かなり晩柑類への転換の熱意が強いようです。しかし考えてみると、晩柑が一番輸入オレンジと競合する問題なので、晩柑をむやみにふやすようなことをすると、もろに輸入の影響を受けまして、これまた温州ミカンの二の舞いになりかねないことを懸念しております。その辺についてどうお考えでしょう。
○二瓶政府委員 実は四十八年度から五十一年度の転換の関係を見ますと、晩柑類等の方に六四%の転換でございます。ただいま先生からお話ございますように、五十四年度七千ヘクタールを転換する際に、今後はこの晩柑類への転換を相当しぼったかっこうで考えていかないといかぬのではないか。いまのところ晩柑類の値段が非常によろしゅうございます。すっぱい夏ミカンは別でございますけれども、甘夏、イヨカン、ハッサク等非常にいい値でございますので、農家の方としても極力晩柑に転換したいという意欲は強いようでございますけれども、役所サイドから申しますと、極力晩柑類への転換の方はしぼりたい、こういう考えでございます。
○湯山分科員 御承知でしょうけれども、イヨカンあたりで新しいのがありますと、もう下がったそうですが、一芽が何十万とか、私ども考えてずいぶん正常じゃないなと思われる節もありますので、いまの点は十分御留意願って進めてもらいたいと思います。 そこで、当然ジュースの方が問題になってくるのですが、ジュースについては転換促進事業にも、ジュースの消費の拡大を図るというようなことがございます。ここで問題なのは、今度の輸入枠拡大でジュースの国産に対する割合というのは相当大きいわけです。裏作、表作の関係もありますから、次年度あたりは七十万トンもジュースをしぼらぬといかぬのじゃないかということですが、それにしてもジュースが半分として三十五万トン、それに対して輸入が最終年度では、この枠はオレンジとグレープフルーツを合わせれば一万二千五百トンですか、五倍するとかなり大きくて、国産の二〇%も輸入ジュースが入るということなので——おわかりですか、計算。つまり、七十万トンミカンをしぼりますとジュースは三十五万トン、それから濃縮ジュースですから一万二千トンを五倍すると六万トンを超えましょう。すると、三十万トンと六万トンで二〇%ということです。そういうことですから、占める率というのは非常に大きいわけです。そうすると、単に需要の拡大というだけで済まされるかという問題が起こってきます。何らかの形でこれは私はコントロールする必要があるのじゃないか。いままでのように自主調整で学校給食にも回すとかなんとか、そのくらいでは追っつかぬのじゃないか。そうするとこれはどうコントロールするか、基金協会ででもやるのか、あるいは別途そういう制度を設けてやるか、何かそういう点を考えてみる必要が、需要がうんと延びれば別ですけれども、そうでなければそれを考えないと、またジュースに向けていったそのジュースががっくりいくという懸念が多分にあるわけです。その点はいかがでしょう。
○二瓶政府委員 実は、ただいま先生からのお話は、オレンジジュースとグレープフルーツジュース、両方込みにして一九八三年に六千五百トンプラス六千トンで一万二千トンということでのお話だと思うのですが、ただ、このオレンジジュースとグレープフルーツジュースは非常に違っております。問題は、たとえばオレンジジュースにつきましては、現在もそうでございますし、今後その輸入枠がふえた場合におきましても同様でございますが、国内産果汁とのブレンドを義務づけようと思っております。その方が風味がよくなって国産のミカンジュースも消費拡大になる、こういう話でそういうことをやりたいと思っております。 グレープフルーツジュースの方は、これはミカン果汁とは異質のものといいますか、趣がやや違います。したがいまして、現在におきましても炭酸飲料等に加えられて売られているというのが主流でございます。今後もそういう面が主流になるのであろうというふうにも考えられますので、両方込みにしての計算ということは、これの性質なりあるいは使用目的、その面でちょっと違うのではないかという感じがいたします。いずれにいたしましても、オレンジジュースの方は国産果汁の方とのブレンドを義務づけますし、その大半は農業団体の方に割り当てを現にしておりますし、今後のことは明確には言えませんけれども、方向としては大体同じではないかという感じでございます。
○湯山分科員 違うと言われてもそんなに違うわけじゃないと思うのです。夏ミカンのかわりにグレープフルーツを食べるとか、そういうことはあることで、グレープフルーツのジュースだからブレンドしてはいかぬということもありませんし、若い連中はむしろあの酸味が気に入りますから、あれで割って飲むというようなこともしておるし、むしろそっちへ需要もいっておるわけですから、単純に同じ柑橘で似たような甘味と酸い味のあるものをはっきりこれは違うのだというふうに割り切らない方がいいので、そのことも含んで対策を立てる必要があると思います。これはひとつ十分御検討願いたいと思うのですが、これは大臣、一言いかがでしょう。
○二瓶政府委員 昨年産の場合は七十万トンつぶしたわけでございます。それで七万トン程度の五分の一濃縮の果汁ができた。ことしの場合は、五十三年産の場合は生産の方が三百万六千トンでございますので、六十万トン程度が回るのではないか、こう思っておりますが、果汁の方は今後ともミカンの部面では伸びていくであろうというふうに考えておりますので、一九八三年時点になりますれば全体の需要も伸びるということで、現在ベースだけでなしにその時点で考えれば、少なくとも十万トン前後がミカンの濃縮果汁のベースになると思います。したがいまして、一万二千五百トンということになれば、十万トンベースで物を考えれば一二%程度、しかも先ほど言ったように、片一方はブレンドさせるとかいろいろなことをやりますので、そう心配ない数字ではないか、こう思っております。
○湯山分科員 そう心配ないと言うが、私は心配なんです。心配ないと言いながら心配なことがいままで多過ぎましたから、ひとつ十分注意していただくように大臣にもお願いします。 もう一つ、価格です。ジュースを拡大すると言いながら価格は三十六円三十六銭の保証基準価格。ミカン一キロの生産費は幾らかかりますか。
○二瓶政府委員 キロ七十円前後ではないかと思います。
○湯山分科員 キロ七十円生産費がかかる。原料ミカンになると保証基準価格は三十六円三十六銭で、まるまるはもらえませんね、足切りがありますから。そうすると、これよりうんと低いわけです。これで一体引き合うかどうか。これも時間がありませんから細かい議論はしませんけれども、私はこれでは本当の対策にはならないと思うのです。現に愛媛あたり、生ミカン、生食用には一円ずつ負担をかけて、それを集めて原料を補っている、こういうことも御存じと思います。これでは足りない、少ないということはお感じになりませんか。
○二瓶政府委員 ミカンの場合、いわゆる生食用が主流をなして、それからあと加工用ということになろうと思います。生食用につきましては、五十三年産につきましては、先ほど申し上げましたような三百万六千トンという生産でございますので、この十二月までの東京の中央卸売市場の平均卸売価格でございますが、百四十四円という生食用の価格になっております。したがいまして生食用が主流で、あとかん詰め用なりジュース用というのが加工として回るわけでございますので、三十六円三十六銭というのは従来の水準から考えれば相当気張ったつもりでございますので、生食、加工全体を込みにしてミカン農家のことを考えるべきではないか、そういう面では現段階においてはこの辺がまあまあ妥当なところではなかろうか、こう思っておるわけでございます。
○湯山分科員 生食用八〇、それから原料用二〇と見て計算しても、これはちょっと足りないのです。しかも、これだけのものをほんとくれるわけじゃないのですから、足切りで。ですから、この価格計算の制度、足切りというのをのけるか、もうちょっときちっとしないと、幾ら原料用だからと言って、牛乳の場合もそうですけれども、とにかく生産費が七十円かかるものを、ほかでもうけるからここは三十六円でいいのだというのでは、私は政策としていかがかと思いますが、大臣、お聞きになっていておかしいとお思いになりませんか。
○渡辺国務大臣 今後の研究課題といたします。
○湯山分科員 ひとつぜひ御検討願いたいと思うのです。非常に複雑な計算の仕方をして、これだけ出るのかと思うと出ないような仕組みです。ただ、従来よりよくなったことは認めます。これは不作の年ですからうんと値段よかったから、来年はなり年ですから、再来年はぽかんと落ちて、もうほっとけということにもなりかねない。この辺ジュースの調整の問題とあわせてお願いしたいと思うわけです。 もう時間が参りましたので、最後に締めくくりとして大臣にお尋ねします。 いまお聞きいただきましたように転換がうまくいくかどうか、これも若干問題を残しておりますし、それから長期見通し、これもいよいよやらなければならないということですが、長期見通しというものはなるべく早く出していただくということが大事です。ああしろこうしろと迷うところもありますから、とにかく早く出してもらうということが第一。それからその際には、やはり日本の現状、それから海外の状況をしっかり見きわめてやっていただきたい。私はアメリカに行っていろいろ話した中で、サンキストのハンリンという社長ですか、それからクォーラルズという副社長、二人と会って話しましたときに、あなたたちがどんどん日本に圧力をかけるので日本のミカンは大変だということを言いましたら、日本のミカンの敵はアメリカのじゃありません、あんなに条件の悪いところへ無理をしてミカンをつくらした、日本の政治とまでは言いませんけれども、やり方がむしろ日本の敵ですとびしっとやられました。これもそうだとは言いませんが、やはり考えてみる必要のある問題じゃないかというように感じます。それからまた、日園連のあの二割、三万ヘクタールの調整を日本はやるのだということで、政府も今村局長もずいぶん向こうへ話したでしょうし、団体もそうですし、私どもも言ってまいりました。しかし、いまの計画ではそうなっていない。三年間で日園連は二〇%、三万ヘクタールの調整をやる。しかし、実際この計画では二万ヘクタールです。一三、四%にしかなっていない。これもやはり今後の問題を残す点じゃないかというように考えます。そう考えますと、今後のミカン対策というものはずいぶん困難な問題を抱えておりますが、生産者が立っていくように、安心してやれるようにするというのは大変厳しいものがあります。しかし、基本はあくまでもそこへ置いて、ひとつ農林大臣、全力を挙げてやっていただきたいと思うのですが、御決意のほどを伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 全力を挙げて取り組んでまいります。
○湯山分科員 それでは以上で終わります。
○笹山主査 これにて湯山勇君の質疑は終了いたしました。 福岡義登君。
○福岡分科員 私は、農地問題について二項目の質問をしたいと思うのです。 まず、その一つは農用地造成の場合に表土の活用をいかにするかということについてであります。 現在の表土活用はどの程度行われておるかということを制度的に調べてみましたり、あるいは実際に農用地造成をやっておる現場へ行ってみていろいろ調べてみたわけなんですが、水田の圃場整備などは表土の活用について一定の基準なり方針が示されておるわけなんです。ところが、山林その他農用地を造成する場合に表土の活用について、ただありますのは「土木工事等共通仕様書」の中に少し規定されておるだけです。たとえば第三章の一般施工の中で、「第三−五条 表土処理」となっておるのですが、ここでは「表土は特別仕様書又は監督職員の指示した場所へ運搬し、用地の復旧については、土地所有者等と紛争の生じないようにしなければならない。」これだけであります。肝心の農用地造成工の中に表土の扱いについては全然規定されていないわけであります。抜根であるとか排根であるとか雑物除去とか、あるいはその他の砕土であるとか、そういう規定はあるのでありますが、表土の活用についての特別の取り決めはないようです。これは何千年、何万年という長い間にできました天然の貴重な資源である。それを活用しない方法はない、こう思うのですが、現在表土の活用についてどういうことになっておるのか、まず御見解を承りたいと思います。
○大場政府委員 表土の活用、御指摘のとおりだろうと思います。 そこでいまお話のありました共通仕様書では、排根の作業のときに表土の持ち去りを極力少なくするよう注意しろ、こういうような規定が書いてあります。しかし、そのほかにこれは一般的な規定でありますが、個々の事業の発注に際して、表土については極力活用するようにというような趣旨の、これは注意といいますか、発注に際してのそういった条項というものは挿入いたしまして、表土はできるだけ活用するようにというような指導という形で運用を図っているわけでございます。
○福岡分科員 そういう御説明でありますが、実際に現場に行ってみましても、私の選挙区の中に国営が一カ所、広島県中部、それから県営がその隣接地域でやっておられるのですが、ほとんどブルドーザーで谷を埋めてしまって、それで表土はもう底の方に沈んでしまう。現場のいろいろな関係者の人に聞いてみますと、表土を活用するためにはどこかへ移動して置いておかなければいかぬ、相当経費がかかるので、これはもう言うべくしてほとんど不可能であります。こういう場合が多いですね。確かに圃場整備のところにも書いてあるように、場合によっては四〇%ぐらい工事費がかさむという理由で、後で土壌改良などでやっていける場合は表土はうまく埋め立てに使ってもいいのだという意味のことが書いてある。ですから、確かに表土をどこかに運搬しておいて、造成した後に埋め戻すということになると、経費がかかることは間違いないと思うのです。しかし土地というものは一年だけじゃないので、毎年生産するわけですから、たとえばわかりやすい話が、毎年一割ずつ生産が上がれば長い年月のうちには少少工事費がかかったって返ってくるのではないか、こう思うのですが、ここらで表土の活用について抜本的な対策を講じていただきたいように思うが、いかがでしょうか。 ちょっと、ついでに申し上げますが、広島県で幸水園という、農林省がずっと指導されまして成功しておる、そこの組合長に前優さんという人がおります。この方は非常に農業に熱心な方で、しかもいまの幸水園を成功させたリーダーでもあるわけです。その人が新聞に投稿しておるのであります。どういう投稿をしておるかといいますと、 何千年か何万年の歳月を経て出来た肥よくな表土を削り取って谷底へ捨ててしまい、地力ゼロの心土だけで造った畑で物が作れると考えているとすれば誤りもはなはだしいと言わざるを得ない。なるほど造成費は安く上がるだろう。ところがこの畑を買い取って営農する者にとつては大変なことなのである。 特に果樹のような深根性の永年作物と取り組む農家には容易ならない問題として警告をしなくてはならない。 こういうように書いて、経験上からも熱心に主張しておるのであります。これは一つの例でありますが、実際に営農をやっておる人などの経験の上から照らしてこういう問題を提起しておるわけで、ついでにそのくだりを読んでみますと、 土作りには、ばく大な労力と資材と時を費やす のである。 そこで私は声を大にして提言したい。ということで、ずっとありまして、どういう影響があるかといいますと、木は十年ぐらいまでは幼木だから、生育力を持っている、あるいは化学肥料で一定の収穫を上げることができるが、十年目までが限界であって、その後は横ばいあるいは下降線をたどり始めるのである、こう言っておるのです。 以下申し上げませんが、いずれにしても、こういう貴重な経験を持っておられる人々が、表土の活用を何とかしてもらいたい、こう指摘しておるわけです。したがって、くどいようですが、この際、表土の活用について何か農林省として抜本的な対策を講じてもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
○大場政府委員 確かに表土の活用ということは、御指摘のとおり私ども大切なことだと思っております。ほかの、たとえば圃場整備事業みたいなところはもちろん表土を極力活用するということでしておりますけれども、山が高くて谷が深い、そういった場合は、従来とっていた工法は山成り工、こういう場合には表土を活用しております、あるいは階段工という工法をとっている場合も極力表土は活用できるということでやっておりますが、山が高くて谷が深いという場合に、その程度にもよりますけれども、やはり御指摘になったように山のてっぺんを削って谷を埋める、そういったケースのときにはなかなか表土の活用はむずかしい。これはいいかどうかは別にしまして、機械が大型化されてきている、それから圃場区画も広い区画が要求されるということから、必ずしも地元の御要望とは無関係でないということが実はあるようです。 ただ、いま御指摘の幸水園の経営者が新聞に投書しておりました。私も読ませていただきましたが、私どももそれは非常に貴重な御意見であると思うので、やはりコストの問題と関係がありますけれども、表土をいかに活用していくかということは、工法の効率性だけを追求するのでなしに、片一方において大事に考えていかなければならない事柄だというふうに思っております。
○福岡分科員 きょうは時間がありませんからこれ以上申し上げませんが、いままでの慣行、惰性ということだけでなくて、造成費との絡みもあるでしょうが、表土の活用について、ここらで一遍具体的に一歩突っ込んだ検討をしていただいて、適切な指導をしていただくように要望申し上げておきたいと思います。 それから次の問題は、造成した農用地は現在は売り渡し方式になっておるわけです。何か一つ公有地にしておいて、賃貸を希望する者がおれば賃貸というようなことは現行制度の中でないものかといろいろと調べてみましたが、結論としてはないのですね。たとえば農地法によって国や地方公共団体が小作地を所有することはできない。これは公用または公共用の場合は別である。それから土地改良法の九十四条の八に埋立地、干拓地の配分を規定しておりますが、農地保有合理化法人に配分する場合にも、この法人は売り渡しまでの一時的貸し付けの小作地しか所有できない、農地法七条十三。あるいは農地開発事業の用地取得は参加者の自己調達とされている、したがってこれもできない、こういうことになっているのです。 ところが、笠岡湾の干拓事業をいまやっておるわけであります。農業用地が千百八十ヘクタール、工業用地が四百六十ヘクタール、以下港湾水域百六十ヘクタール、こうあるのですが、今度笠岡市がこれを公有地にして貸付制度にしてもらいたい、こういうことを市が先頭に立って指導しておるわけです。その理由は、これは新聞の解説でありますから正確であるかどうかは別といたしましても、当たらずとも遠からずだと思って、私は読んでいる。短いですから、読んでみますと、 地元が農地の公有地化を打ち出した背景には1農業の基幹ともいえる水稲を除外した干拓地の利用計画は、これまでになく、酪農や野菜で経営が成り立つかどうか、国の営農計画に不安がある2干拓地を土地登記の対象にせず、土地の虫食い状態を防ぐ3低成長時代で、当面は工場進出が期待薄で、将来の社会情勢に対応するため、土地利用の目的変更も容易にできる4瀬戸内海沿岸の干拓は、農林干拓という名目で、常に工業用地として利用されており、今回の営農計画が失敗すれば再び農地を放棄する事態も予想される、などがその理由。 こう書いてあるのです。 私の知っておる範囲でも、松永湾の干拓を農林省がおやりになったのですが、これは私の先輩が現地の責任者でありまして、何回か現場へも行ってみました。ところが現在は農用地はなくて、全部工業用地になっているのです。一部流通団地にもなっている。これは干拓の途中で農林省がどこかに切りかえたかもしれませんが、最初は農林省で始められたことは間違いない。その松永湾のことは別にいたしまして、現に笠岡の干拓地を公有化してもらいたい、こういう要望が農林省の方へ届いておるかどうかです。
○大場政府委員 いまお話のありました干拓地を公有地として保留しておきたい、こういう御要望はいま私初耳でございまして、市の方から聞いておりません。
○福岡分科員 これは昨年の十二月二十六日付の朝日新聞に出ておるから一遍読んでもらったり、あるいは県を通じて笠岡市の真意をただしてもらいたい、こう要望しておきます。 笠岡の問題はそうなんですが、土地対策という面から考えてみましても、やはり売り渡し方式は改めた方がいいのではないか。確かに八年ですか、十年ですか、売り渡しを受けた土地は転売することはできないし、あるいは利用目的を変更することはできないということになっておるのです。ところが一定の期間を過ぎますとその条件が解除されまして、農用地から宅地に売ってもいいし、場合によっては、その辺が開発されて相当地価が上昇した、騰貴のためにそれを売る場合も考えられるわけであります。したがって私どもは、土地というものは有限であり、国民共有の資源であるという観点から考えますと、やはり土地というものを投機の対象にしてはならぬということも考えられますので、そういう一般の土地政策の面からもやはり売り渡し方式よりも貸付方式の方がいいのじゃないかという考えを持つのですが、どうでしょう。
○大場政府委員 転用防止という観点からすれば、いろいろな手だてはあるわけです。それは具体的に申し上げますれば、干拓地ないしは農用地造成という場合にはその対象地域を最初から転用ができない農用地区域に編入するとか、干拓地の場合には干陸してから後になるわけでありますが、そういったかっこうで縛る。その後事情変更が出てきてどうしても農用地区域から外すとか、あるいは他用途転用する場合には個々のケースに即して、これは農地法上の許可にかかわらしめておるわけですから、それに基づいて規制し判断していく、こういったことだろうと思うのです。 そこで、他転を防ぐ意味で現行法上、土地改良法では、いまお話のありましたように、農家に所有権を取得させる、こういう方式をとっておりますが、公的機関等による貸付方式をとったらどうかというような考え方、実はわれわれいろいろ検討したこともあったわけでございますけれども、これをやりますと、その間に営農させるわけですから、貸し付けということになりますと、結局小作料を取るという形になるわけですね。その場合には、小作料は普通の標準小作料ということにならざるを得ませんから、農民負担部分はコストの大体一五%ですが、一五%を二十五年で返してもらう、そういった農民負担を二十五年で返してもらう方式に比べて物すごく財政負担がかかるというような難点が実はある。 それから、理屈めいて恐縮でありますけれども、所有権を取得させた方が営農上、営農意欲という点についてもやはりあるのじゃないか。これはデメリットもあるかもしれませんが、そういうメリットもあるわけで、私どもはそういう意味で取得方式というものを現在とっておる、こういったことであります。しかし、取得方式では、取得させた後で転用されてしまうという危険性がありますから、それは先ほど申し上げましたような方式で対応するということと、それから、八年たってからはまたなかなかむずかしいわけでありますけれども、八年以内ということでありますれば、それは特別徴収金制度ということによって他転の利益を国、地方公共団体に全部返してもらう、こういった方式もあるわけであります。それから、そもそも転用ということが予想される場合は、造成した干拓地をいろいろ情勢変化によって地元のほかの用途での希望が強いという場合には、これは農家に配分しないで最初からある部分は他用途転用というかっこうで時価で売却するという方式をとっておりますので、これも各地でそれぞれ、農業干拓をやったところでも、農家に配分する以前に最初から他用途に転用してしまう、こういうような形で対応しております。
○福岡分科員 営農意欲とか財政面とか、必要なものは事前に他に転用、そういう御説明もわからぬわけじゃないです。ところがどう考えてみても、いまの日本経済を混乱させておる、特にインフレの一つの要素は土地騰貴である。私はよく思うのでありますが、戦後農地解放したときに小作に全部所有権を移転したわけですね、あれを移転しないで国がそのまま所有権を持っていて、それでできるだけ安い小作料で営農させておったとすれば、もう少し合理的な国土利用計画が立ったと思うし、経済の混乱も未然に防げたと思うのですね。いまおっしゃったような理由から考えて、所有権を移転しなければならぬ決定的な理由は私はないと思うのですね。 そこで私は、全面的に一挙にということは困難だろうと思います。しかし、公有水面の埋め立てをする場合とかあるいは干拓をするような場合、いわゆる個人が土地を持って参加するという場合はさしむきは無理といたしましても、公有水面を埋め立てる場合とか干拓をする場合は、もともと公有地ですから、これを所有権を移転させて、しかも将来それが転売されるというようなことになるおそれがあるのです。広島駅の裏は、三十万坪の練兵場だった。それを農地として開拓団に、坪当たり一円二十銭か何ぼであれしたのですね。その後市街化して、いま農業なんかをする者はいないですが、一円二十銭で売ったものが、高いところは六十万から七十万しておるのです。角地なんかはもう百万ぐらいしておるのです。開拓団は当時三十人ぐらいおったけれども、最後まで残ったのは十数人しかいない。莫大な財をなしておるのです。だから、社会情勢がどう変わっていくかわからない。ですから、とりあえず公有水面を埋め立てた場合とかあるいは干拓をした場合、それはやはり私は少なくとも貸付制度にしておいてもらいたい。しかも国がやるわけでしょう。国なり県がやるわけですからね。民間が免許を受けてやる場合もありますね。そういう場合でも、公有水面の埋め立ては免許をするけれども、しかし所有権は国のものですよ、利用権は五十年なり百年は認めましょう、しかし利用目的が変わるときはこの限りでありませんよというくらいの歯どめはかける時期に来ておるのじゃないか、私はこう思うのですが、いかがですか。
○大場政府委員 干拓地を干拓した場合、その場合に当然営農するわけでありますけれども、それを農家に売って所有権を取得させる以前は、陸が出てきて実際上耕作可能な状態になったときに、普通、一時貸し付け、これは所有権移転というかっこうじゃなくて一時貸し付けという形で営農を農家にやってもらう、そういうような期間が、これは干拓地によって違いますけれども、大概普通の場合数年間あるわけであります。一時貸付期間が終了して、それから初めて所有権を移転するということになりますから、これはさっき申し上げました八年ということで合算すれば十年以上ということになるわけで、かなりの期間の情勢変化には耐え得るシステムになっているということだろうと思います。 いま先生が御指摘になりました貸付方式は、確かに検討に値する考え方だと思うのですけれども、やはり貸し付けする場合に小作料というものはそうは取れない。しかしコストを回収する、コストといっても農家負担はコストの場合一五%ですから、一五%コストを回収するのと余りにも格差があるというところに一方で最大の難点が、少なくとも私のいま思いついたところではどうもある。そこのところをどうやってほぐしていくかということが大きな問題じゃないかと思っております。
○福岡分科員 確かに財政的には問題があることは私どももわかります。しかし、マンションに入るときに権利金というか敷金、保証金というか、そういう制度だってある。現在は一五%、二十五年でしょう。それをもう少し五十年とか、場合によっては百年だっていいと私は思うのですよ。思いつきですけれども、だから一定のものは権利金、保証金というようなものを利用者に、営農する人に出してもらって、そうして一定の使用料を取ってもらう。工夫すれば私は方法があると思う。 干拓の場合私は計算した経験がないのですが、公有水面の埋め立ての場合は、その周辺の土地の固定資産評価額の大体六割から七割で埋め立てできるのですよ、地形、海の深さにもよりますがね。広島県に沼隈郡というところがありまして、沼隈町に常石造船というのがある。ここが前後十二回に及んで公有水面の埋め立てをしておる。どのくらい工事費がかかるか、その周辺の土地を取得するのとどうかという比較を計算した経験がある。そうすると、固定資産税評価額というのはかなり高いところで実勢価格の大体六割から七割ぐらいじゃないでしょうか。それの七割ぐらいでできるのですからね。だから、実勢価格で言えば大体四、五〇%、高くても六〇%ぐらいで造成できる。それを所有権を移転させるわけですからね。いわゆる売り渡しするわけでしょう。ここにも一つの矛盾がある。 それから一定期間は、あと五年プラス八年という十三年は相当長い期間だとおっしゃるけれども、土地を考えるときに十年や二十年の単位で考えてはいかぬと思うのですよ。やはり三十年なり五十年なりという長期的な考え方を持つ必要があるのではないか。私はいますぐとは言いませんけれども、きょうも国土庁長官と建設委員会で干拓の問題や公有水面埋め立ての問題をやったのですが、国土庁長官は、やはり公有化するべきであると思う、しかしそのやり方はいろいろある、むずかしい面も予想される、しかし、そういう方向で検討するとおっしゃった。農林大臣いかがでしょうか、この際。
○渡辺国務大臣 それは一つの考え方だと思います。しかし、いま局長から言ったような問題点もあります。現行の農地法との関係もあります。したがって、農地法等を改正をする際には重要な一つの検討材料にさせていただきたい、そう思います。
○福岡分科員 ぜひ積極的に検討を加えていただきたいということを重ねてお願いをいたしまして、時間が来ましたので、終わりたいと思います。
○笹山主査 これにて福岡義登君の質疑は終了いたしました。 斎藤実君。
○斎藤(実)分科員 最初に水産の振興についてお尋ねをいたします。 最初に、魚の問題でございますが、最近の消費者が非常に魚離れが目立っておりまして、消費量も減退傾向になってきております。それは二百海里の問題だとか、あるいは流通機構の問題だとか、いろいろあると思いますが、こういうふうに魚離れが異様に続くということは、今後の水産振興について大きな影響を及ぼすと思うのですが、農林水産省として魚の消費拡大についてどういう努力をされておるのか、まず伺いたいと思います。
○森政府委員 魚離れの原因というのは魚価が非常に急上昇したためだというふうに理解をいたしております。 そこで、五十三年に入りましてから、価格も非常に落ちついてまいりまして、消費も回復をしてきているというふうに思っております。ことに、昨年の大体五月以降、秋には相当対前年同月比の消費量が回復をしてきておるというふうに見ておるわけでございまして、今後ともやはり価格が重要な要素を占めるという意味で、価格の動向には十分注意をしてまいりたいというふうに思っております。 それから、それとあわせまして消費を拡大するという努力も必要だというふうに思いまして、消費者の嗜好に合った新しい製品を開発するとか、調理方法なり講習など多角的な消費の拡大とその定着に努めているということで、いろいろ五十四年度予算にも新しい事業を盛り込んで対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○斎藤(実)分科員 国民のたん白源の五〇%は魚で摂取しておるわけです。私は、広報宣伝について政府も大分努力しているというふうに聞いておりますが、お米の消費拡大の宣伝費から見れば三分の一ですね。私は、もちろんお米の消費拡大の宣伝も大事ですけれども、魚の消費拡大の宣伝も大事だと思うのです。これは日本人ですから、魚と米というのはつきものでありましてね。この間私はテレビで見たのですが、大臣が炊飯器と茶わんを持って大分PRしておりましたね。私は確かに結構だと思うのですよ。しかし、深慮遠謀な大臣ですから、当面はお米の消費拡大のPRもされますけれども、いずれ魚の消費拡大のPRもまたおやりになるだろうと思っているのです。魚を食べるときには米がつきものでございまして、パンを食べるわけじゃありませんし、魚の消費がふえれば米がふえるということで一石二鳥だろうと思うのであります。大臣、ひとつ魚の消費拡大に積極的にみずから取り組んでいただきたいと思うのですが、いかがですか。
○渡辺国務大臣 魚の消費拡大には私も努力はいたします。いたしますが、米とは同じにはできないのでして、米の方は政府が買って持っているわけですから、それで米の下敷きになって死にそうな騒ぎをしておるので、それと同じように魚に消費拡大の宣伝費は出せませんが、極力魚の消費拡大については努力をしてまいりたいと思います。
○斎藤(実)分科員 次に、ソ連と韓国との漁業交渉について若干お尋ねいたします。 最初に、二百海里という新しい海洋秩序が世界的に定着をしているわけでございますが、わが国としては、生産から加工、流通各分野において水産政策の抜本的な見直しがされなければならない重要な時期を迎えているだろうと私は思うのです。このことについては十分時間をかけて、また後ほど別な機会に見解を伺いたいと思いますが、最初に対ソ連の漁業交渉の問題でございます。昨年締結をいたしました日ソ漁業協力協定に基づいて第一回目の日ソ漁業委員会が三月中旬にモスクワで行われるだろうという見通しを伺っているわけでございますが、この漁業委員会の主要なテーマは、私は何といってもサケ・マスについての取り決めだろうと思うのです。このサケ・マスにつきましては、五十二年度は六万二千トン、五十三年度は四万二千五百トンと、年々大幅に削減をされてきておるわけでございます。ことしの交渉の見通しとして日本政府が基本的にどういう決意で交渉に臨むのか、まず初めにお伺いをしたいと思います。
○森政府委員 昨年、ソ連側は海上での漁獲を禁止する、そういう考え方を出してまいりました。ようやっと四万二千五百トンの漁獲を認めさせたわけでございますが、今回は、やはり考え方は、原則論といたしまして沖取りはよくないという考え方を持っておるわけでございますから、相当厳しい交渉になろうというふうには思っておるわけでございますが、いずれにいたしましてもわが方の立場を十分説明をいたしまして、伝統ある北洋のサケ・マス漁業の継続に全力を傾注すべきものだというふうに考えておるわけでございます。
○斎藤(実)分科員 現在の漁業協定は、単年度なんですね。毎年毎年決めるわけです。こういう暫定協定でございますが、こういうことになりますと、漁獲量あるいは出漁期間あるいは操業区域などが交渉妥結まで全くわからぬわけですね。したがって漁民にしてみれば、これは乗組員の手配だとかあるいは漁具の準備だとかあるいは船舶の整備だとか、見通しが全く立たぬわけですね。こういうことで、漁民の不安がきわめて大きいわけです。私は、政府は、もちろん相手のあることですが、単年度ごとの協定を、これは少なくとも五年ぐらいの長期取り決めにするように、ぜひひとつ提案をしていただきたいし、そうすることによって、わが国の漁民の不安というものは解消されるわけですね。いつもこれで問題になるわけです。私は、そういう気持ちを持っておるわけですが、大臣いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 あなたと全く同じであって、これは口の酸っぱくなるほどソ連に対しては申し上げておるのですが、なかなか思うようにいかないというのが実情です。
○斎藤(実)分科員 これは大臣、ぜひひとつ御努力をお願いしたい。 次に、サケ・マスについては、ソ連だけではなくて、公海上の問題ですから、当然アメリカ、カナダとの交渉も必要になってくるわけですね。したがって、アメリカとカナダとの漁業交渉は一体どうなっているのか。なぜかと申しますと、日米加の漁業条約がすでに廃棄されているわけですね。どういう方針で臨まれるのか、伺いたいと思います。
○森政府委員 現在、日米加漁業条約がアメリカとカナダと日本の間に昨年締結をされておりまして、この条約の附属書でサケ・マスに関する具体的な規制措置が定められておるわけでございます。そこで、この具体的な規制措置が去年決められましたが、これにつきましては、この条約に基づきます北太平洋漁業国際委員会というのができまして、これで修正の勧告がなされない限りその規制内容は変更されないで継続されるということになっておるわけでございます。昨年の暮れに開催されました定例の年次会議でも、サケ・マス規制の緩和につきまして日本は一応発言をいたしましたけれども、第一年目ということで取り上げられなかったという経過があるわけでございまして、今後もできる限りの機会をとらえましてサケ・マスの規制の緩和につきましては主張をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○斎藤(実)分科員 サケ・マスの漁業交渉につきましては、これはぜひともわが国の伝統ある漁業を守るという意味で、積極的な交渉をひとつお願いしたいと思うわけです。 時間がありませんから、また次に進ませてもらいます。 次に、韓国との漁業問題についてお伺いをいたします。いま私が申し上げましたソ連との間では、漁業水域に関する暫定措置法、いわゆる二百海里法を適用しておるわけですね。したがって、二百海里水域内における規制措置はなされているわけでございますが、しかし韓国に対しては二百海里法は適用されてない。政府は漁業秩序、漁業資源を守るという立場からも早急に二百海里法を韓国に対しても適用すべきではないか、積極的な水産外交というものを行うべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。実はきのうの衆議院の予算委員会第二分科会で園田さんも、韓国漁船の規制強化についてはわが国の二百海里法の韓国への適用等について前向きの答弁をしておるわけですが、これは北海道あるいは東北を含めた漁民の強い要望でございますので、大臣から答弁いただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 二百海里法を適用して国内がそれでいいというなら話はそんなにむずかしい話じゃないのです。問題は、北海道の方でそう言うのは、北海道沖で韓国船が来て、それで国内の規制区域でも魚をとるというところから来ているわけですから、それがなくなればいいわけであって、二百海里を適用されると、北はいいけれども、今度西の方はまた別な騒ぎが出てくるわけですよ。そこでわれわれとしては、まず二百海里の適用という前に、要するに北海道でのトラブルをなくするということの方が先決じゃないか。できたらそれが一番いいことですから、そういう方向でいま話し合いをしておって、また近くレベルを上に上げて水産庁長官と向こうの水産庁長との話でひとつ煮詰めていきたい。日韓両国の間ですから、われわれも韓国の首脳部の方ずいぶん知っていますから、こんなことでいつまでもけんかしているなんてばかなことはないじゃないか、もっと大所高所から対処すべきじゃないかという話もしているのです。したがって、そういうところで極力詰めるようにする。それがどうしてもだめだという場合には、これはまた背に腹はかえられない話ですから別なことも考えなければならぬ、かように考えております。
○斎藤(実)分科員 確かに大臣おっしゃるように、これは何らかの規制措置ができれば問題ないのですよ。十二海里のそばまで来まして、そして大量に魚をとっているわけで、それもいいのですけれども、漁具の被害というのはきわめて大きいわけです。そのために魚がとれない被害というものもまた莫大にある。漁民にしてみれば、一体どうすればいいのだ。民間で交渉していますけれども、さっぱりらちが明かない。だから、結局二百海里法を適用してきちっとしてくれというのが実は漁民の声なんです。大臣が、実際に規制されればいいだろう、向こうの政府の幹部との話し合いをしているというお話でございますから、これはもうぜひひとつ強力に大臣の政治生命をかけてやっていただきたい。もう一遍決意のほどをひとつ伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 極力やらしてもらいます。
○斎藤(実)分科員 ちょっとお尋ねしますが、この漁具の被害は水産庁、掌握しておりますか。
○森政府委員 北海道庁の報告でございますが、昨年の四月十二日、両国間で民間団体にそれぞれ委員会を設けるということで被害処理につきまして合意があった日でございますが、それ以前につきましては、昨年の四月十二日以前の件数が千二百件、被害額が約四億四千万円、それからそれ以後本年の一月末までで百四十件、金額で五千万円ということが韓国側に請求をされておるということでございます。
○斎藤(実)分科員 大臣、韓国のトロール漁船が、ずいぶん政府でも交渉していただいておるのですが、依然として無視をしたというか、無秩序な操業を現在でも行っているわけです。それで、いま水産庁から被害の報告がありましたが、ちょっと私の調べたのと違いますが、まあそれはそれとして、被害を受ける方々は、いずれも刺し網、かごなどの小規模な沿岸漁民がこうむっているわけです。こうした中小零細漁民の被害の実情というものを私も現地へ行ってよく聞いてみたりしてきたのですが、いままでの被害に対して、被害者に何らかの救済措置というものをすべきではないかと思うのですが、いかがでしょう。
○森政府委員 これにつきましては昨年の八月に、一応損害賠償が得られるまでの間の被害漁業者の経営の安定のために総額五億一千万円の低利融資の道を開きました。さらに五十四年度の予算案におきまして、外国漁船の被害対策の特別基金を造成するために必要な経費、基金造成費一億五千万円をいま計上をしておりまして、とりあえずの被害に対する対応策といたしておるわけでございます。
○斎藤(実)分科員 五十三年度で政府と民間で三億円の原資で特別基金をつくっているということでございますが、これにつきまして償還年限が三年でしたか、利子が三%、一年据え置き、被害の八割程度ということでございますが、これももう少し拡大をして、漁民がある程度納得できるような施策も講じていいのではないかと思いますね。償還年限を五年くらいにするとか、あるいは金利を下げるとか、あるいは貸出金利を上乗せするというような考えはいかがですか。
○森政府委員 今後の基金と被害の額がどういうふうになっていくかということに関連する問題でございますので、できるだけ漁民に有利なような運用ができればそれが一番いいと思っておりますけれども、とりあえずの発足といたしましては、ただいま予算に計上してありますラインで対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。要は、結局被害が今後起こらないということを早く措置をすべきものである、これは先生も御主張になっておるわけでございます。たとえて言いますと、深夜の操業を全面的にやめさせるとか、まだそういう話し合いも続けておるわけでございます。そちらの方をさらに強く主張をしてまいる、あるいは水域そのものについて、ともかく入らないということ、そちらの交渉を重点にやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○斎藤(実)分科員 たしか今月の中旬だと思いましたが、日韓両国の水産庁による漁業協議が行われた。これにつきまして、この内容については、私らも新聞報道よりわからぬわけです。韓国トロール船のわが国沿岸の操業だとか、この補償の問題について、具体的にどういう話をされたのか、伺いたい。
○恩田政府委員 今月の十五、十六日に韓国の水産庁次長と私ども水産庁との間でいろいろ話し合いをいたしたわけでございます。それで先ほども大臣からお話のございましたように、まず私どもとしてはいま一番問題になっておりますいわゆるオッターラインの中、それから領海の外でございますが、この間で実際には日本の底びき船が操業できないにもかかわらず、この水域で韓国の大型のトロール船が操業していることが一番問題でございますので、これについてオッタートロールライン外で操業するようにということを私ども強く申し入れたわけでございます。ただ、韓国側といたしましては、現在あそこに来ております船がソ連水域から追い出されてあそこでやっている関係もございまして、経営上の問題があって、オッタートロールライン外に出た場合どういう漁獲状況になるか、それらを調査してから処置を講じたい、そういう話で、基本的に食い違ってしまったわけでございます。それで、私どもといたしましては、次の段階でいろいろまたお話をしていただくように、当面次長間の話し合いはこれで終わるということにいたしたわけでございます。
○斎藤(実)分科員 大臣、いかがですか。いまの韓国トロール船のわが国沿岸の漁業に与える被害あるいはわが国漁民の被害、これはきわめて大きな問題でございますので、いまお話がありましたように、次長同士の話でもなかなか解決つかぬ。これは、わが国の閣僚の中でも実力のある大臣がひとつ向こうの韓国の大臣と直接交渉をして、政治的な決着をつけるべきではないかと私は思うのですが、大臣、いかがですか。
○渡辺国務大臣 私は私で裏から話はしているのです。しているのですが、やはり物には順序がありますから、横綱が出ていく前にその下のが出ていかなければならぬということで、水産庁長官と向こうの水産庁長との話し合いを近く持ちたい、こう思っております。
○斎藤(実)分科員 大臣、この水産問題については非常に前向きな御答弁をいただいたので、私どもも期待をしておるわけでございますが、どうかひとつ今後ともこの韓国問題については積極的に取り組まれるように希望して、私の質問を終わります。
○笹山主査 これにて斎藤実君の質疑は終了いたしました。 権藤恒夫君。
○権藤分科員 家具の合板のことにつきましてお伺いしたいと思います。 全国の家具でございますけれども、主要な産地は福岡の大川それから広島、徳島、札幌、旭川というところでございますね。それが、昨年末から外材だとかいろいろな関係でベニヤ板が急速に高騰しておるわけであります。そこで、この三月三十一日で期限切れになります合板のカルテルの延長問題なんですが、これは延長するのか打ち切るのか、その態度がどういうふうに決定したのか、お聞かせ願いたい。また、延長を打ち切った場合、効果がどういうふうに出るか、お伺いしたいと思います。
○藍原政府委員 ただいま御指摘になりましたように、合板の価格につきましては昨年の暮れからことしの一月中旬にかけまして高騰いたしました。しかし、その後価格も鎮静化いたしておりまして、ただいまは一月に比べれば下がったという形になっております。 そこで、いま御指摘になりました合板のカルテルの問題でございますけれども、これにつきましては、操業短縮のカルテル、これについては昨年の九月いっぱいで一応打ち切っております。ただ、設備の新増設に関しますカルテルにつきましては現在継続中でございまして、三月いっぱいまで一応継続されるという形になっております。私どもといたしましては、いま御説明いたしましたように、合板というのは非常に零細企業が多うございますし、非常に底が浅い企業でございます。さらに、現在日本の需要全体から見まして、過去の高度成長期に需要がございましたぐらいの相当な設備を持っている。将来を見ますと、そう急激に需要がふえるという見込みもないであろう。安定的に需要が伸びていくとすれば、現在持っております設備そのものはやはり過剰であるというふうに考えております。したがいまして、これは今後の経済推移その他との関連もございますけれども、合板業界の体質を強くするということは十分考えなければいけない。そういう意味から、私どもといたしましては四月以降もできれば引き続き考えていきたいと思っておりますけれども、これは関係省庁もございますから、その辺は十分打ち合わせをしながら対応してまいりたいと考えております。
○権藤分科員 鎮静化しつつあるとおっしゃっていますけれども、実際需要家の手に届くところでは非常に厳しいわけですね。十分御承知のとおりと思います。それで、この値上がりの背景ですけれども、流通機構、流通体制にも非常に問題があるのではないかと思うわけです。これは製品輸送とそれから帳簿上の二つがありますね。これを整理してある程度円滑な流通の体制をとらなければならないのじゃないか。その分のマージンなんかは省いていくという改善措置が必要であろうと思うのです。そうしませんと、ちょっと何かありますと需要家のところにぴんぴん上がってくるわけなのです。特に家具製造業というのは小さな業者が多いわけです。したがいまして、ちょっとの値上がりが、経営が続けられるかどうかという心配にまでなるわけです。流通機構の改善、何か検討されておりますか。
○藍原政府委員 ただいま御指摘になりました合板の流通の問題でございますけれども、やはり流通問題となりますと非常にむずかしい問題がございます。いろいろ研究しなければいけない問題もございますけれども、その前に私どもとしては、先ほど申し上げましたように、合板業界そのものが体質を強くしていく必要があるであろう、そういう意味で、先ほど申し上げましたカルテルの問題あるいは構造改善の問題こういうものを考えまして、合板業界そのものの体質を強化することにまず重点を置きたいと考えております。
○権藤分科員 今度設立されました日本木材備蓄機構でございますが、コンクリート型枠用の厚さ十二ミリのものですか、これを放出されるようにしておりますけれども、この型枠以外の合板の放出は全く計画にはございませんか。
○藍原政府委員 合板の放出につきましては、いま御指摘になりました備蓄機構におきまして、ことしの一月下旬に放出をいたしております。これは二十四万枚放出したわけでございます。なぜこれをしたかということでございますが、合板の俗にいう厚物、十二ミリのものでございますけれども、これは最近の公共事業の関係で公共事業の型枠として使われる需要が非常に多かったということで急騰した面もございます。そういう関係があって厚物につきましては二十四万枚の放出をいたしましたけれども、値上がりを見ますと、厚物につきましては確かに五〇%以上の上昇をいたしました。薄物につきましては、現在われわれが調べております過程では九月に比較いたしまして一二一・五くらいに一月に上がっておりまして、その後また三%強下がっております。そういう関係がありまして、この上がった原因については、御存じの外材の原木価格が相当上がりました、こういう観点もございます。そういうことから見まして、現在の水準が必ずしもそんなに高いものではないのじゃなかろうかと判断いたしておりまして、薄物については現在放出するようなことを考えておりませんし、また価格につきましても二月中旬には落ちつきを見せておるとわれわれは判断しております。
○権藤分科員 いま備蓄機構に二・五ミリ、薄物が百十一万枚ぐらい備蓄してあると思うのです。なぜこういう備蓄機構を整えたかと申し上げますと、私が御説明するのもおかしいぐらいでございますけれども、ああいう状態で非常に業界が困りました。今度も全くそれと同じようなケースなのでございます。そこで、せっかくこういう業者が困らないような、需要家が困らないような体制をとってあるのですから、これは何も五〇%以上値がりしなければ放出しないという性質のものではございません。行管庁がこの前監査しまして、備蓄機構についての指摘事項をいろいろとここに出しておるわけです。それによりますと、私、値上がりをしたから放出するというのじゃなくて、そういう気配が生じた場合直ちに放出して、需要家に安定した供給ができるような体制をとらなければ意味がないじゃないかと思うわけなのです。やや値下がり、値上がりがとまったとおっしゃっておりますけれども、実際需要家あたりに参りますと非常に困っているわけなのです。これから先どういう状態で仕事を続けていこうかという深刻な問題になっているわけなのです。だから、せっかくそういうような機構が整っておるわけでございますから、C1、C2にいたしましてもC3にいたしましても、これを放出すれば私はより値上がりにストップをかけられるのではないかと思うのですが、そういう放出を再検討する余裕がございませんか。
○藍原政府委員 ただいまも御説明申し上げましたように、厚物については短期間に異常な高騰をしたということで放出したわけでございますけれども、薄物につきましては、さっき申し上げましたような関係で、価格そのものにつきましても、原木価格に比較いたしますとそう高いものじゃないとわれわれとしては考えておりますし、またいまの価格の状況を見ますと、その価格の移動のあり方もある程度落ちつきを見せておると考えております。そういう点でいまの段階では薄物について放出するということは、私ども考えておりません。ただ、将来またどういう事態が起こるかわかりませんけれども、やはり異常な高騰であるという状況の場合には、私ども今回厚物にとりましたような対応をいたしますけれども、現時点では薄物について放出するということは考えておりません。
○権藤分科員 確かに厚物、型枠用のあれは上がりましたけれども、五〇%ぐらいでしょう。薄物は三〇%。特に大川なんかは、箱物をつくっておるわけなんです。食器だなでありますとか、そういう大衆物。高級な家具をつくるとか置物ではなくてそういう箱物でございますので、三〇%の値上がりということになりますと大変なことになる。これは御承知のように、物品税等がかかっておるわけなのです。原材料が値上がりしますと、それで価格が上がってくるわけです。現時点では九万円ぐらいで抑えられておりますから、材料が上がりますと物品税等もまたぐっとかかってくるようになる。そういうことになりますと零細な業者は困っておりますので、そうそっけなく言わずに、もう少し実態を調べて、せっかくこういう機構があるわけでございますので、喜ばれるような措置をぜひとも検討してもらいたい。 それからへ売り渡し地区が首都圏、中京圏、近畿圏、この三つに指定されておるわけですね。これももう少し検討していく必要があるのじゃないかと思うのです。 と申し上げますのは、これは昨年の資料でございますけれども、建築資材、木材、合板の地域別利用の統計が出ておるわけなのですけれども、首都圏が二七%、東海地区が一三%、近畿圏が二三%、九州は四九%あるわけです。それから、家具に使います薄物なんですけれども、首都圏が三七%、東海が六三%、近畿四一%、九州が三七%使っているわけなのです。ですから、需要の多いところに放出して初めて安定した供給ができるということじゃないかと思うのですが、この三圏にしぼられた理由は何かあるのでしょうか、それをお聞かせいただきたいと思う。
○藍原政府委員 いまのお答えをする前にちょっと申し上げておきたいのですが、たとえば外材価格がどのくらい上がったかということでございますが、五十三年の第一・四半期と五十四年の一月を比較いたしますと、五十三年の第一・四半期を一〇〇にいたしますと一七五に上がっております。これほど外材が上がっておる中で、私どもさっき申し上げましたように、それに比較いたしますと、合板の薄物の上がりはそうでないのではなかろうかという御説明を申し上げたわけでございまして、その辺御了解いただきたいと思います。 それから、いまお話がございましたなぜ大都市圏だけにやったかということでございますが、私どもの調べによりますと、普通合板の消費量に占める割合でございますけれども、これは三都市圏だけで大体四四%くらい使っております。したがいまして、おっしゃるように、確かにできれば全国いろいろやった方がいいのかもしれませんけれども、こういう価格の異常高騰のときの効果ということを考えまして、ほとんど半分に近い消費量がございますところに放出いたしまして、そういう価格の問題の操作をするということの方がより効率的ではなかろうかということで、そういう価格形成の主導的役割りを果たしております地域についてやったわけでございまして、この問題についてはいろいろまた御議論もあろうかもしれませんけれども、現段階ではそういう考え方でやったわけでございます。
○権藤分科員 ここに行管の指摘事項がいろいろあるわけでございますけれども、この中で、もっと実情に合うような運営の仕方をしなさいというのが結論のようです。首都圏にしぼられて一回経験なさったわけでございますから、確かに多く使うところの価格を安定させていけばそれが波及していくことはもう当然でございますけれども、部分的にはかなり上がっていることは先ほどから私が何回も申し上げておるとおりでございますので、この運用基準でありますとか体制でありますとか、もう少し本当に需要者の要求にこたえられるようなそういう体制にしてもらいたいと私は思うのです。供給者の側に立ってやるようなやり方では、これは納得いかないわけであります。とにかく、全国のそういうような家具業界というものは苦しんでおるわけですから、建築ばかりに重点を置かずに、こういう零細な家具業界が実質的に救済されるようなそういう機能も十分に発揮すべきだと私は思うわけであります。大臣、そういうことについてひとつ御配慮を願いたいと思うのですが……。
○渡辺国務大臣 農林省は、生産者も保護しなければならぬが、消費者も保護しなければならぬという立場でございますから、あなたのおっしゃるように、十分需要者の利益も尊重して行政指導をしてまいりたいと思います。
○権藤分科員 通産省、お見えになっておりますか。物品税の問題なんですけれども、いままで何回か質問をしてきたわけでございますが、この免税点の引き上げは、何かその後お考えになっておりますか。
○菅野説明員 物品税につきましては、いままでも主に奢侈品あるいは比較的高価な便益品、趣味娯楽品といったものに課税されておりまして、家具も家電製品等と同様に課税されております。ただ、家具につきましては、安価なものはどちらかといいますと、日常使われる品物でもございますので、物品税の課税対象になっております品物の中におきましても、いままでも財政当局にお願いをいたしまして、比較的高い水準の免税点を設けてもらうというようなことで努力してまいったわけでございます。ただいかんせん、近年におきましては全般的な物品税の見直しというチャンスもございませんでしたので、そのまま据え置かれて推移しておりますけれども、今後物品税全般的な見直しがあります場合には、ぜひ財政当局にお願いして再検討していただきたいというふうに考えております。
○権藤分科員 今度振興法を出されますね。これは全国で千カ所ぐらいの地域があるわけでございますけれども、今回は九十カ所ぐらいと聞いておるわけでありますが、こんなに縮小された、というよりもしぼられた理由は、何かございますでしょうか。
○松尾説明員 産地の数のとらえ方というのは見方によっていろいろございまして、確定的には言いがたいわけでございますが、政策の角度から見ますと、二、三百という産地が一つ考えられる。私どもはそれの初年度として九十産地を予定したわけでございます。これは全体としても、私ども国の予算もございますが、都道府県の負担もあり、それから都道府県が中心になってやります実行体制のあたりも考えまして、初年度としてはこのくらいが適当であろうということで選んだ次第でございます。
○権藤分科員 最後に、大臣に聞いておきたいのですけれども、私のところに立花町というのがございまして、八百五十戸のミカン農家があるわけです。八億、九億近い国の金を借りてミカンをじゃんじゃん植えたのです。それが払えないようになりまして、それを払うためにまた農協から二十億借りてやっているわけです。非常に金利の高いものを借りております。そういう中で、ともかく転作をするといいましてもどうにもならないような状態に追い込まれておるわけです。 そこで、五十四年度から実施される予定になっておりますみかん転換農家経営維持安定資金等利子補給事業や、自作農維持資金のミカン農家対象拡大の新規事業が行われるようになっておりますけれども、このように多額の借金を抱えておりまして、ちょっとやそっとの手当てでは救済できないというような状態なのです。そこで、実情をひとつよく調査していただいて、この借入資金の償還の延長や、あるいはもう一%、二%でも結構でございますので、利子補給をして、そういう人たちが救済できるような前向きの姿勢でひとつやってもらいたいという要望なんです。これは非常に政治的な判断も要りましょうし、ぜひひとつ大臣も実のある配慮で救済措置をしていただきたい、こういうように思うわけです。
○二瓶政府委員 ただいま先生からお話しございましたのは福岡県の山川地区のお話かと思います。私たちの方もいろいろこの面については照会をしているのですが、山川農協調べでは、先生がおっしゃいましたように二十億程度ある、こういうお話なんですが、県調査でやった面では借入金総額が六億六千万円程度という話もございます。したがいまして、どうも実態がよくわかりませんので、今後とも私たちの方では詳細な調査を行うよう、県なりなに等も指導しまして、その上に立って具体的な措置もしたい、こう思っておるわけでございます。 あと一般的な今後のミカン園転換に対しては、先ほど先生がおっしゃいましたような末端農家に三分の資金でやるとか、いろいろなことを考えておりますが、特にこの山川地区につきましてはさらに詳細の実態を把握しまして、それによって対処したいと考えております。
○権藤分科員 いまの金額の件でございますけれども、国の制度資金を八億くらい借りて、それを現在返しておる。残りが六億くらいある。それを払うのに、全然収入がないものですから、とにかく住民税が十万くらいしか入ってこない。全然税が出ないわけです。ですから国の金を返すのに一般資金を借りて返している。それを合わせますと約二十億くらいになる、そういうことなのです。よく調べてほしいと思います。大臣、ひとつ……。
○渡辺国務大臣 よく実態を調査させていただきます。
○権藤分科員 よろしくお願いします。 では以上で終わります。
○笹山主査 これにて権藤恒夫君の質疑は終了いたしました。 兒玉末男君。
○兒玉分科員 農林省の所管する関係で若干の質問を行いたいと存じます。 オレンジ関係とカツオ・マグロ、食肉関係、市場問題、以上四点でございますが、農林省の五十四年度予算説明の予算編成方針の二号に、「麦、大豆、飼料作物等の生産拡大を強力に推進するほか、うんしゅうみかんについて他作物への転換を促進する措置及び輸入増加等により果実等の需給に不測の事態が生じた場合に」云々と、こういう問題が提起をされておりますが、そのことを前提に置きながら、特にオレンジ関係についてお伺いしたいことは、先般の予算委員会でも若干の質問を行いましたが、特に輸入オレンジの国内の流通経路はどうなっているのか。それから、ギャング・オブ・91というようなことで新聞にも書かれましたが、輸入割り当てが特定の業者に偏っているのではないかという問題の指摘。三番に輸入オレンジの国内流通を合理化すべきではないのか。これは輸入価格に比較して小売価格が大変高いということに対する問題提起であります。 その次に、先ほど申し上げた予算編成方針の中にも書いてありますが、緊急輸入等の「不測の事態」云々ということは、明らかに今後オレンジの輸入がそれぞれの関係国からかなり強力に押し込まれていくのではないかという心配がございますが、このことは半面において、温州ミカン対策が、転作を要求され、せっかく八年から十年の栽培期を迎えてこれからというときに転作をする園芸作農民にとりまして、特にわが九州や四国にはこの対象農家が多いわけでございまするが、このような観念は、輸入オレンジと国内の温州ミカン生産農民とは利害が対立する関係が多々あろうかと存じますが、これに対してどのような対応をされようとしているのか。 次に、カツオ・マグロが大変低迷しております。この点は農林水産大臣も本会議の提案でも御説明されましたが、なかなか対応が的確でないために、依然として在庫過剰の状況で、これが進展していない。緊急的な対策を含めて、どう対応されようとしているのか。 それから、いよいよ三月にはいわゆる畜産価格の決定の時期でございますが、特に牛肉、豚肉、牛乳、中でも、実はきのう農林水産省の、緊急に豪州並びにアメリカの一般枠の五千トンの輸入追加が報道されておりまするが、これらは物価政策の一環としてということで、大臣が閣議に報告をされておりますが、私は、この価格問題を含めて流通対策というものが抜本的に改善されなければ、一五%程度飼料が安くなったからといって、生産農家の経営はなかなかうまくならない。この畜産物価格の対策について、生産者と消費者を保護する立場を十分に考えていく必要があるのではなかろうか。また大臣が牛乳の生産調整、こういうことを指摘されておりまするが、価格安定の問題を含めて牛乳の消費拡大等を含めたPRがもう少し徹底されてしかるべきではないのかということを含めた食肉価格の問題。 最後に、宮崎県内における市場整備について、これまた流通関係における緊急な課題として懸案になっておりますが、これに対してどのような対応を考えているのか、それぞれ大臣、担当局長等の誠意ある御答弁をまず求めたいと存じます。
○渡辺国務大臣 大筋を私がお話をして、補足の分があれば担当の政府委員からそれぞれ答弁をさせます。 オレンジの国内の流通の合理化問題でございますが、これは現在既得権者がいるわけですが、その人たちが約九十社くらいおります。割り当てを受けたものを、相対の取引でそれぞれのルートで流しているというのが実情でございます。その中でべらぼうに高いじゃないかというお話であります。べらぼうに高いのは下げさせるようにしなければならない。ところが余り下がってしまうと、飛ぶように売れてしまっても、そんなに売れるのならというようなことでもっと枠をふやせとか、あるいはそれにつられて国内産のものが下がるということになるとこれも困る。余り高ければ、そんなに高く売れるならもっと枠をふやせという問題もある。どっちへ転んでもむずかしい問題でございますが、適正な値段で売らせるように今後とも行政指導をしていきたい、かように考えております。 それから、緊急な事態というのはまずないというふうに思っておりますが、生産者団体等大変御心配をしておるものですから、万一あったときでもいつでも対応できますよということを言ってあるわけであります。 その次は、カツオ・マグロの価格低迷に対する対策についてはいろいろやってはおるのですけれども、最近はかなり値段が戻してきておるというように聞いております。 以上、簡単でございますが、御質問のある点について、市場問題を除いて一応お答えをいたしました。
○二瓶政府委員 それでは大臣のお答えに若干補足申し上げますと、最初のオレンジの国内の流通でございますけれども、この流通経路は普通の輸入果実、バナナとかグレープフルーツと同様でございまして、輸入された後に主として卸売市場で、これは相対取引になりますけれども、それによって取引されまして、仲卸業者を通じまして小売店に販売をされておるというのが流通の姿でございます。大体オレンジにつきましては一、二類都市、いわゆる人口二十万以上の都市でございますが、これの市場の経由率というのは大体リンゴと同じ程度で、七四%程度は一応市場を通っておる、こういうような形になっております。 それから、輸入価格と小売価格の差が非常に大きいというお話でございますが、五十二年対比で申し上げますと、小売価格の方も五十三年は八七%ということで、輸入量のふえた関係もございますが、若干下がっておる、こういう姿でございます。ただ、確かに統計の数字をながめますと、小売の値段が非常に高いという感じが出ておりますが、一つは小売の調査は七十二玉という大玉を相手に調査をやっておるわけです。オレンジにつきましては、大玉、中玉、小玉とございまして、大玉が一カートン七十二玉、中玉というのが八十八玉、小玉が百十三玉入っておるわけでございまして、その大玉の調査を小売がやっておる。あとの方は大体それを平均した形で卸値等も調査をしておるというようなことで、小売価格が非常に割り高に一応統計上は出ておるということはひとつお含みおきいただきたい、かように思います。以上でございます。
○篠浦説明員 オレンジの輸入につきまして、特定のものに偏っておるではないかという先生の御質問でございますが、私どもオレンジのような非自由化物資、IQ物資でございますが、そういったものの輸入割り当てをするという場合には、割り当て量が確実にしかも安定的に輸入されるというふうにする必要がございます。そこで、一定の経験なりあるいは能力なりのある輸入の実績者というものに、その実績に応じて割り当てをするということを原則としておりまして、どの品目につきましても全員同じ量の割り当てになるというようなことではございませんで、ある程度ばらつきがあるというのが実態でございます。 なお、補足いたしますと、オレンジにつきまして先生御指摘のように九十一社というかなりの数の業者がおるわけでございますが、これまで比較的少量の割り当てしか受けていないということで円滑な輸入活動が行いにくいという業者もかなりおったわけでございます。五十三年度、本年度でございますが、オレンジの割り当て枠がかなり拡大されたということで、その際に一部均等割りを導入いたしまして、全体の業者の取り扱い水準の引き上げを図ったということでございまして、御指摘のような特定業者への偏りというのもある程度改善されたというふうに考えております。
○森政府委員 カツオ・マグロの価格の低迷の問題でございますが、結局は需給の調整をどうやるかということに尽きるわけでございます。いずれにせよその原因というのがいろいろあるわけでございます。円高でいろいろ輸出が落ちたとか、国内の需要が沈滞したとか、カツオが豊漁だったとかというようないろいろな事情があるわけでございますが、初めてでございますが、先生御承知のように生産調整をやるということをまずやったわけでございますが、一応昨年の暮れあたりの価格は回復の兆しが見えたということでございます。ただ、一応二月で終わりますが、今後もう少し模様を見てみたいというふうに思っておるわけでございます。 片一方、需要の問題につきましては、いろいろ援助資金等を活用するとかいう措置を講じておるわけでございますが、カツオとビンナガにつきましてさらに調整保管事業をまた実施をするということも考えておるわけでございます。 いずれにいたしましても、需要と供給の両面からこの問題を解決していく必要があるわけでございまして、来年度の予算措置といたしましても調整保管数量を拡大するとか、魚価安定資金の無利子の融資資金の追加の造成をするとか、あるいは消費の問題につきましては消費者が購入しやすいようなコンシューマーサイズで産地で処理、凍結して直接消費地で販売できるというような、あるいはいろいろな宣伝をするというようなことをいろいろ考えておるわけでございます。一応そういうことで価格の回復を、しばらく状況を見てみたいというのが当面の考え方でございます。
○杉山政府委員 豚肉の基準価格についてでございますが、御存じのとおり畜産物の価格その他一連の事項は三月末までにこれを決定するということになっております。目下その算定のデータを集めているところでございますが、生産費調査にせよ、あるいは農村物価賃金調査にせよ、まだ最新のデータが出そろっておりません。生産費の中で重要な要素である飼料価格が下がっておりますので、これらのことから関係者あるいは報道機関等の間で豚肉の基準価格が下がるのではないかというような観測もなされているやに聞いておりますが、私どもとしてはまだ数字が出ておらないのでございますから、そういう問題について予断を持つことは妥当でないというふうに考えております。別段下げるとか何とか決めているわけではございません。 それから、牛乳の問題でございますが、牛乳につきましては原則的には市場流通に市乳の流通をゆだねている。そして、牛乳の一部である加工原料乳について、牛乳の再生産を確保するという観点からその不足払いということでもって価格安定を図っているところでございます。ところが、全体として牛乳の生産が前年度に比べてどうもことしも六%以上、七%近くまで伸びるのではないかという状況が見られます。前年も前々年も畜産物としてはむしろ異常なくらいの高い伸び、前年は七九%でございましたが、そういう伸びを示しておりますので、こういう状況が続きますと過剰が出てまいるということになるわけでございます。そこでことしの加工原料乳の限度数量なども明らかに、当初見込みました百八十三万トンを二十万トン程度オーバーするのではないか、これは三月末の結果を見なければ確定できないわけでございますが、そういうような見込みも出てまいっております。私どもこういう事態を解消するにはやはり需要の拡大ということがきわめて重要であると考えております。そこで五十四年度予算におきまして、政府におきましても需要拡大のためのPR等の経費二億五千万円を助成することにいたしております。また、畜産振興事業団におきましても三億円を助成するということで、これらの補助を受けて民間団体、特に最近生産者、加工メーカー、それから販売店、三者一丸となって全国牛乳普及協会という組織ができておりますが、そういう組織でこれを受けとめて、みずからの負担も加え、積み立てを加え、従来に増して大規模な消費拡大の事業を行うということにいたしております。消費拡大を行い、かつまた需要に見合った生産を心がけるということでこの過剰傾向の問題に対処してまいりたいと考えており、そのように現に指導に努めているところでございます。
○犬伏政府委員 宮崎県におきます卸売市場の整備でございますが、二つございまして、一つは宮崎市の中央卸売市場の整備でございますが、これは昭和四十九年度から五十一年度にかけまして総額十四億三千万の補助金を交付いたしまして完了いたしております。もう一つは、都城市の公設地方卸売市場でございまして、この設置は宮崎県の卸売市場整備計画に基くものでございます。この市場の設置につきましても、昭和五十三年度及び五十四年度におきまして補助額約五億円を予定いたしまして、設置の助成をいたすことといたしております。
○兒玉分科員 園芸局長にお伺いしたいわけですが、これは先般の東京ラウンドにおきまして五年間に最終的にはオレンジの輸入額はたしか八万トンだったと思いますが、そのとおりですか。
○二瓶政府委員 一九八三年度で八万二千トンでございます。
○兒玉分科員 局長の御答弁で取引は相対取引という御説明だったと思うのですが、現時点から数量が倍近くふえるわけですね。そうしますと、取引の形態を相対取引からもう少し公正な取引関係に持っていく必要がないのかどうか。それから通産省に対しては、実績主義を言われておりますが、卸、仲卸、小売の段階における価格の追跡調査をこの際しながら、特定のグループだけが暴利を得ることのないように、的確な行政指導をすべきではないのか。 それから、割り当てのあり方につきましては、これがすぐ倍にふえるわけです。実績主義でいって総輸入量をそのまま配分すると必ずしも公平ではないのではないか。というのは、農林省が輸入割り当て制度をとる以上は、そこにおのずから行政面における指導が必要だ。ということは、総輸入量の五〇%程度を平均に割り当てて、残りの五〇%を実績主義、こういうやり方が輸入割り当て品に対する公正な指導じゃないかと私は思うのですが、この点について再度見解をお伺いしたいと思います。
○二瓶政府委員 オレンジの取引の関係でございますが、輸入された後に卸売市場で相対取引でやっておる、これがいまの姿でございます。これを今後改める考えはないかというお尋ねでございますが、現在バナナなりグレープフルーツ等輸入果実は大体この相対取引という形でやっております。したがいまして、これを競りという形までは考えておりません。ただ、相対取引によって何か不明朗なり不適正なことはないように、その画は今後とも十分監視、指導はやっていきたい、こう思っております。
○篠浦説明員 輸入されたオレンジが適正な価格で流通するように追跡調査をしたらどうかというお話もあったわけでございますが、実は昨年の秋に私どもと農林省と共同いたしまして輸入商社の販売の実態の調査をいたしました。その際、適正な販売を行うようにということで指導もしておるわけでございますが、今後とも必要に応じて農林省と相談しながら指導してまいりたいと考えておるわけでございます。 それから、割り当ての仕方を、たとえば均等割りをもっとふやしたらどうかというお話でございますが、最初に申し上げましたように、割り当て物資は割り当て量が確実にしかも安定的に入ることが大前提でございまして、やはり一定の経験あるいは能力のある業者にそれに応じて割り当てる必要があると考えておりまして、平等が必ずしも最善ということではないと考えておるわけでございます。 それに伴って、そういった偏りがあって価格形成の面で、たとえば不当に価格のつり上げが行われるというようなことがあれば問題でございますが、輸入オレンジも市場に上場されておりまして、相対取引というかっこうでございますが、先ほどの二瓶局長からの御答弁のようなことで円滑な運営が期待できるのではないかと思っておるわけでございます。
○兒玉分科員 私が特に相対取引のことについて重ねて質問した理由は、かつて河野さんが農林大臣をしている当時、島原屠場における取引形態が相対取引であり、私も現地の実情をつぶさに調査した結果、やはり相対取引は、市場における原理としては通用はしても、その制度は改善すべきだということでこの改革に乗り出した歴史をよく覚えているわけであります。問題は、そういうふうに限定された割り当て品目であるがゆえに、流通過程はガラス張りの中で行われる体制をとるべきではないか、そういうふうな懸念がありましたので重ねて聞いたわけですが、今後の流通過程におけるこのような形態について万々そのような指摘をされることのないように十分な御指導を私は要望したいのですが、農林大臣の見解を承りたいと思います。
○渡辺国務大臣 御趣旨を体しまして十分に注意をしていきます。
○兒玉分科員 再度畜産局長にお伺いしたいわけでございますけれども、今回の牛肉五千トンの輸入は何か唐突の感がするわけでございます。東京ラウンドにおける交渉の過程でも、特に豪州等は二百海里水域問題を含めて日本に厳しく要求している現状を聞いておりますし、この辺はどういうふうな形で五千トンの輸入が急に決まったのか、これは大臣の方から答弁をいただいた方がいいかと思うのですが、国内の価格波及等を含めてまず局長の方から見解を承りたいと思います。
○杉山政府委員 アメリカあるいは豪州と、対外的に交渉をいたしておりますのは一九八二年あるいは一九八三年といった将来の輸入数量の見通しについてでございます。ことしの数量は直接それとは関係を持っているわけではございません。 ことしの牛肉の需給事情を申し上げますと、比較的価格が安定している、それから、問題にされたということもあってか牛肉のよさが以前にも増してよく理解されて、需要がふえてきているという事情があるわけでございます。 対前年同月、昨年五十三年一月から十一月までの期間をとってみますと約一三%ふえております。むしろ従来の伸びから見ますと異常な伸びとも言えるような伸び方でございます。こういう伸び方が今後どの程度続くか、そんな高い伸びがいつまでも続くとは思いませんが、かなり増加はするのじゃないかと思われるわけでございます。そういうことの結果、国内生産、最大限に牛を殺して供給しても間に合わないということで、最近市場に牛肉の不足の状況が見られるようになってまいっておりまして、価格も、たとえば卸売価格では安定価格帯の上限にほとんど張りついたような状況で推移しております。子牛価格も特に十二月、一月上がってまいっている状況がございます。 そこで畜産振興事業団は、価格を冷やすため手持ちの牛肉を放出しているわけでございますけれども、売れ行きがいい、需要に見合って出すものですから在庫が底をつきかかっております。そこで、本年度は当初、上下合わせまして全体の枠が十万七千トンでございましたが、これでは足りないということで、しかも来年の上期の枠の決定は四月以降になるので時期的に間に合わないということで、本年の下期の枠を五千トン追加することにいたしたわけでございます。これによって供給は幾分緩むわけでございますが、いま申し上げましたように需要が旺盛である、価格も、卸売価格はかなり高位に張りついている。それが冷やされて適正な水準に戻るといいますか、期待されるのではないか。それから小売価格の方は、従来から流通関係業者の協力もありまして、卸売価格の上昇にもかかわらず安定的に、ごくわずかではありますが、むしろ前年同期を下回るような価格水準で推移いたしております。これが上がることのないように、輸入をふやしてこれを出すということにいたしておるわけでございます。したがいまして、私どもは生産者に悪影響を及ぼすというようなことはないという考え方のもとに追加の枠を決定させていただいたということでございます。
○兒玉分科員 時間が参りましたので最後に一問だけ大臣にお伺いします。 昭和三十六年に農業基本法が制定されましていま十九年目を迎えているわけでございます。選択的拡大という基本的な構想から発想が来ておりますが、今日の国内における農業生産の推移というものを見ておりますと、五十三年度の農家所得も農業収入が大体三〇%、農業外収入が七〇%。日本の農政というものはこの際根本的に見直しをされる時期に来ているのではないかという点からも、今日の体制に対応する農業基本法のあり方というものが問い直される時期ではないかと思うのですが、最後にこの点について大臣の御所見を承り、私の質問を終わります。
○渡辺国務大臣 私もそういう考えを持っております。
○兒玉分科員 終わります。
○笹山主査 これにて兒玉末男君の質疑は終了いたしました。 次回は、明三月一日午前十時より開会し、農林水産省所管について質疑を続行することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時五十二分散会