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87回国会衆議院1979/02/27

予算委員会第四分科会 第1号

発言数
371
登壇者
48
会派数
6
開催日
1979/02/27

会議録

笹山茂太郎自由民主党

○笹山主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願い申し上げます。  本分科会は、昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算中経済企画庁、農林水産省及び通商産業省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省庁所管の説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算中通商産業省所管について政府から説明を聴取いたします。江崎通商産業大臣。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 昭和五十四年度通商産業省関係予算案等の予算委員会分科会における御審議に先立ちまして、その概要を御説明申し上げます。  最近の経済情勢を見ますと、公共事業は順調に推移し、民間需要を中心に国内需要は底がたい増加基調にあり、また生産、出荷も増加傾向を示す等、全体として経済は緩やかながらも着実な拡大を続けております。  しかしながら、雇用につきましては依然として厳しい情勢が続き、また一部業種では企業収益もなお改善を見ていない現状にあります。  他方、対外的には、諸外国における保護貿易主義的風潮の高まり、国際通貨体制の不安定化等、揺れ動く国際経済情勢のもとでわが国に対し、経常収支黒字幅の一層の縮小、経済協力の拡充等、世界経済の発展のための積極的な役割りを果たすことが要請されております。  このような状況に対応し、わが国の持つ大きな潜在的経済成長力を最大限に発揮させ、今後わが国経済の持続的成長が可能となる基盤を築くことが現下の通商産業行政の重要な課題であると考えております。  私は、このような認識のもとに、国民生活の安定向上と国際社会への貢献を目指して、通商産業行政に全力を挙げてまいる考えでございます。  昭和五十四年度通商産業省関係予算案及び財政投融資計画の作成に当たりましても、このような基本的方向に沿いまして、対外経済政策、産業政策、中小企業政策、資源・エネルギー政策、技術開発の促進等の重点施策を中心といたしまして、一般会計予算五千四百十二億四千二百万円、石炭及び石油対策特別会計三千二百六十二億六千五百万円、電源開発促進対策特別会計五百七十四億九千七百万円、財政投融資計画四兆五千三百億円等を計上しております。  以下、この通商産業省関係予算案等の重点事項につきましては、御手元に資料がお配りしてありますが、委員各位のお許しを得まして説明を省略させていただきたいと思います。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山主査 この際、お諮りいたします。  ただいま江崎通商産業大臣から申し出がありました通商産業省関係予算案等の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹山茂太郎自由民主党

○笹山主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔江崎国務大臣の説明を省略した部分〕  昭和五十四年度の通商産業省関係予算案及び財政投融資計画について御説明申し上げます。  まず、昭和五十四年度における通商産業省の一般会計予定経費要求額は五千四百十二億四千二百万円でありまして、前年度予算額四千七百四十億九千六百万円に対し一四・二%の増となっております。  また、石炭及び石油対策特別会計予定経費要求額は三千二百六十二億六千五百万円で、前年度予算額二千九百四十億円に対し一一%の増、電源開発促進対策特別会計予定経費要求額は五百七十四億九千七百万円で前年度予算額五百十五億五千万円に対し一一・五%の増となっております。  財政投融資計画は四兆五千三百億円でありまして、前年度計画額四兆八百四十八億円に対し一〇・九%の増となっております。  次に、重点事項別に予算案及び財政投融資計画の概要を御説明申し上げます。  第一は、八〇年代通商産業政策ビジョンの策定であります。  長期的視点に立ってわが国の経済活動全般を見直し、八〇年代における新たな通商産業政策のビジョンを策定するための経費三千百万円を計上しております。  第二は、調和ある対外経済関係の形成と世界経済への積極的貢献でありまして、百九十五億二千万円の予算を計上しております。  まず、円滑な対外経済関係の形成のため、日本貿易振興会事業について、輸入促進事業、対日理解促進のためのPR事業等に重点を置いて充実し、九十五億五千万円を計上しております。日本輸出入銀行につきましては、資源開発を中心とする輸入投資金融及びプラント輸出金融に重点を置き、貸付規模一兆四千四百五十億円を確保しております。  経済協力の推進につきましては、発展途上国からの要請が特に強い民間専門家の派遣事業の抜本的な充実を図ることとし、このための補助四億三千四百万円を計上しているほか、資源・エネルギーの開発等に関する発展途上国との協力体制を推進するためのエネルギー資源開発計画調査二億六千三百万円、海外技術者受入等研修事業費補助二十一億六千百万円、アジア経済研究所事業運営費二十二億四千六百万円等を計上しております。  第三は、景気の着実な回復と産業政策の新たな展開であります。  構造不況業種につきましては、種々の対策を講じてきているところでありますが、特に繊維産業につきましては、アパレル産業の振興を図るため、繊維工業構造改善事業協会に人材育成基金(仮称)を創設することとし、このための出資一億五千万円を計上しております。  第四は、中小企業政策の充実であります。  中小企業対策費につきましては、対前年度比一二・七%増の千七百十九億七千八百万円を計上するとともに、財政投融資計画につきましては、中小企業関係三機関の貸付規模を対前年度比一〇・四%増の四兆四千五百四十億円とするなど、施策全般にわたり大幅な充実を図っております。  まず、中小企業の資金調達の円滑化を図るため商工組合中央金庫出資八十五億円、信用保証協会基金補助五億円を計上するとともに、下請企業振興対策費として六億五百万円、五十三年度に発足した中小企業倒産防止共済制度の事業運営のための経費十六億二千三百万円を計上するほか、新たに倒産防止特別相談事業を創設することとし、一億一千百万円を計上する等、円高、不況に悩む中小企業の経営の安定を図ることとしております。  次に、中長期的展望を踏まえ、新商品・新技術の開発、需要の開拓等により中小企業の活路を開拓していくため、新たに産地中小企業振興対策を講ずることとし、このため六億六千八百万円を計上するとともに、特別貸付制度の新設等、金融上の助成措置を講ずることとしております。  また、設備共同廃棄事業等に係る所要資金の確保等のため、中小企業振興事業団融資等事業を拡充強化することとし、八百七十五億五千八百万円の出資を行うこととしております。  小規模企業対策といたしましては、経営改善普及事業について、経営指導員等の増員、待遇改善等を図ることとし、二百八十五億九千七百万円を計上するとともに、小企業等経営改善資金融資制度について貸付条件の改善を図ることとしております。  このほか、中小企業指導事業対策費として四十六億五千四百万円、組織化対策費として二十九億千二百万円、中小小売商業・サービス業対策費として六億千四百万円等をそれぞれ計上いたしております。  第五は、総合エネルギー政策の強力な推進であります。  まず、一般会計につきましては、原子力政策を推進するため、原子力発電の安全性の確保及び新型炉の実用化のための経費六億九千六百万円、核燃料サイクルの確立のための経費一億四千万円、ウラン資源の安定供給の確保のための経費一億八千五百万円を計上しております。  電力対策といたしましては、電源立地円滑化のための経費四千万円、地熱開発推進調査等、電源多様化のための経費五億七千四百万円を計上しております。  また、省エネルギー政策を推進するため、ソーラーシステム振興対策の創設等三億四千三百万円を計上しております。  さらに、資源確保対策として、鉱物資源及び水資源確保のため二百四十四億五千六百万円を計上しております。  次に、石炭及び石油対策特別会計につきましては、歳入歳出とも、他省分も含めまして三千二百六十二億六千五百万円を計上しておりますが、このうち石油税収入の一般会計からの繰り入れは千五百九億円としております。  石油勘定は、総額で千九百六十九億三千万円でありますが、石油公団による国家備蓄を現行の一千万キロリットルから二千万キロリットルに拡大、推進し、また、タンカー備蓄も五百万キロリットルから七百五十万キロリットルに増大する等、備蓄増強のための経費千百八十六億千五百万円、石油探鉱等、投融資規模の拡充等のための経費六百五十五億五千万円、重質油対策技術開発推進のため新たに十七億円、揮発油販売業債務保証基金補助二十二億円等を計上しております。  また、石炭勘定につきましては、生産体制改善対策の充実、石炭増加引取交付金制度の拡充等、需要確保対策の強化等、石炭鉱業合理化安定対策を引き続き推進するとともに、鉱害復旧事業の促進、産炭地域振興対策の推進等を図るため千二百九十三億三千五百万円を計上しております。  電源開発促進対策特別会計につきましては、歳入歳出とも、他省庁分を含めまして五百七十四億九千七百万円を計上しており、電源立地促進対策交付金制度の充実、重要電源を中心とした積極的広報活動の展開、漁業対策を含め電源立地に対する地元住民の理解と協力を得るための対策等を推進することとしております。  電源開発株式会社につきましては、大規模石炭火力等の電源開発の推進、基幹送電線の建設等を推進するため事業規模千四百六十一億円を確保しております。  また、日本開発銀行につきましては、揚水発電を貸付対象に加えるとともに、資源・エネルギー枠として二千三百五十億円を確保しております。  第六は、次期先導産業の育成と産業技術政策の充実であります。  まず、電子計算機産業の育成を図るため、ソフトウエア技術の中核であるオペレーティングシステムを中心とした次世代電子計算機用基本技術を開発するための補助制度を新設することとし、このため十七億円を計上するとともに、ハードウエア技術の中核である超LSIの開発のための補助六十九億六百万円を計上しております。また、国産電子計算機産業振興のための日本開発銀行の特利融資を継続することといたしております。  航空機産業の育成につきましては、次期民間輸送機(YX)開発を強力に推進するため、五十三億三百万円と大幅に増額した予算を計上しております。  次に、産業技術政策につきましては、サンシャイン計画及びムーンライト計画というエネルギー関係技術開発を大幅に増額することとしております。  サンシャイン計画については、発足後六年目を迎え、プラント開発及び国際協力の推進に重点を置いて進めることとし、昨年度発足したムーンライト計画については、高効率ガスタービン等の大型省エネルギー技術の開発等を進めることとし、両計画あわせて、一般会計及び特別会計で総額百四十九億一千百万円を計上いたしております。  また、五十四年度は、工業技術院関係九試験研究所が筑波研究センターへ大移転することとなっており、このための経費百六十億二千五百万円を計上しております。  このほか、大型工業技術研究開発費等として新規プロジェクトを含め百三十七億三千六百万円、医療及び福祉機器技術研究開発八億千二百万円等を計上しております。  最後、第七は、立地環境対策の推進と消費生活の安定向上であります。  立地環境対策の主要な項目といたしましては、休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金三十五億四千七百万円、金属鉱業事業団鉱害部門事業運営費八億六千九百万円、省資源再資源化政策推進費三億千二百万円、工業再配置促進事業費八十二億八千百万円等を計上するとともに、地震防災対策のための諸経費を計上しております。  また、消費生活の安定向上を図るため、商品テストの充実等を内容とする消費者行政の推進のための経費十四億四千四百万円、伝統的工芸品産業振興対策費四億百万円等を計上しております。  以上の一般会計、石炭及び石油対策特別会計、電源開発促進対策特別会計のほか、アルコール専売事業特別会計につきましては、歳入二百七十一億九千五百万円、歳出二百三十二億九千二百万円、輸出保険特別会計につきましては、歳入歳出とも千七百一億五千八百万円、機械類信用保険特別会計につきましては、歳入歳出とも五十七億三千八百万円を計上しております。  以上、通商産業省関係予算案及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明いたしました。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————

笹山茂太郎自由民主党

○笹山主査 以上をもちまして通商産業省所管についての説明は終わりました。     —————————————

笹山茂太郎自由民主党

○笹山主査 質疑に先立ちまして、分科員各位にお願い申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行について御協力賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は的確かつ簡潔にお願い申し上げます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 日ソ経済協力の問題で御質問をさせていただきたいと思います。  この問題を取り上げましたのは、アジアの情勢が非常に激動を続けている、激動というよりも、文字どおり風雲急を告げているという状態であります。私どもはこういう中で冷静に対応しながら日本の将来を考えなければならないということであろうと思います。また、ほかの国と不幸にして意見の食い違いがあっても、互いに一致点の方を大事にしていく、そして長い見通しで国家関係を考えていくことが大切ではないだろうか、そういう意味で日ソ経済協力に対する考え方を伺いたいと思います。  日ソ関係も未解決の問題をたくさん抱えているわけであります。しかし、両国とも違いがあっても離れることのできない地理的関係にあるわけであります。そういう中で経済協力の強化を図ることは、双方にとって互恵の立場であって有益な問題ではないだろうかというふうに思います。また政府の方でも、全方位平和外交とか、あらゆる国と仲よくするとかということを言葉では述べてまいりましたし、一方に傾斜しないという意味で意味があると思います。  最初に伺いたいのですが、基本認識から姿勢の問題です。まず大臣に伺いたいのですが、資源の面からいっても、資源に乏しいわが国としては、シベリア開発あるいは極東方面の経済圏との深いかかわり合いを持つ、そういう構造的な必然性を持っているということであろうと思います。またソ連の側から見ましても、第十次五カ年計画、また間もなく開始をされる第十一次五カ年計画、これらの中でも極東、シベリア方面の開発が国家的な第一の計画になっているようであります。そういう面から見ました平等互恵の関係、それからもう一つは、そういうものを通じて、非常にぎくしゃくしている両国関係の中で何か安定した展望を持つというふうな政治姿勢も、政府としても国家としても大事なことではないだろうかというふうに思うわけでありまして、特に経済協力の責任を持たれる大臣からその基本認識、所感をまず第一に伺いたい。  それから一緒に外務省の方も、ことしじゅうには日ソ外相定期協議の実現をしたい、またそのために望ましい条件をお互いにつくっていくことが大事ではないかというふうな認識も持っておられるようでありますが、大臣からとそれから外務省の考え方をまず最初にお伺いいたします。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 ソ連邦はわが国の隣国でもありまするし、わが国にとってきわめて重要な相手国であります。日ソ間には、御承知のように北方領土問題が大きな未解決の事案として残っております。これにつきましては、わが国固有の領土であるという点を踏まえて、今後とも粘り強くその返還を迫るということは、当然わが国として必要かつ重要なことだと思います。  しかし、これはまたそれはそれ、そして一方、シベリア開発プロジェクトへの協力等、経済的な交流等につきましては、やはり緊密にまた一層積極的に進めていくことが両国関係の将来にとりましても非常に意義がある。これは領土の問題を一つ考えてみましても、こういった経済的な協力が互恵平等の立場で進められることが重要であるという認識に立っております。

加藤吉弥外務省欧亜局外務参事官

○加藤(吉)説明員 ただいま大臣の御説明のとおりでございます。政府といたしましても、ソ連との経済関係というのは促進したいという方針でございますが、御案内のとおり、協力関係につきましては案件ごとの審査という方法をとっております。すなわち、各案件が経済的に妥当性を持つものであるということ、それから互恵平等という原則のもとに当事者間の話し合いが満足すべき形で進められるということ、それから第三点にそれが日本の国益に合致する、こういう条件を満たす限りにおいては積極的にこれを促進してまいりたい、かように考えている次第でございます。今後ともそのような方針を貫いてまいりたいと考えております。  御指摘のとおり、ただいま大臣が申されましたとおり、日ソ間には前提となる領土問題というものがございます。日ソ関係を安定的な基礎の上に築くためには、やはりこの問題を避けて通ることはできない。この問題の解決を前提とすべきであるということはもちろんでございますが、そういう前提を踏まえて経済協力を推進していきたいというのが私どもの考えでございます。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 具体的なことで伺います。  先般、日ソ経済合同委員会幹部会が東京で開催をされました。またこの秋には第八回合同会議全体会議が開かれるという予定になっているようであります。そうしてまたその内容その他伺いますと、ソ連側も非常に意欲的であるというのが一般的な評価ということになっております。私はこの辺をとらえて、経済面でもいい関係をつくっていく、政治面でもいい雰囲気をつくっていくという契機になるのではないかというふうに思うわけでありまして、この辺の進展に前向きに対処していくのかどうか。  それから具体的に森林資源開発プロジェクトなど、幾つか大きなプロジェクトが設定をされているというふうなことも伝えられております。これは第二次から第三次にわたって円滑な対応が望まれる。日本の国内の経済界の方でもそれを望んでいるということのようであります。そういうことに円滑に対応していくのかどうか。それから具体的にはクレジットの問題になりますけれども、そういうようなプロジェクトが設定された場合には、まとまったらすぐそのような輸銀その他を含めたクレジットの対応をしていくということになりますかどうか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 いま具体的な御指摘がありました日ソ、ソ日経済委員会の合同幹部会議ですね。これは民間ベースでちょうど二月十四日から三日間東京で開催されました。その間においてはソ連側から極東森林資源開発プロジェクト、それから紙パルププロジェクト、幾つかのシベリア開発プロジェクトについて具体的な提案がありました。そこで日本側では、今後十分検討をした上でこの秋開催が予定されておりまする日ソ、ソ日経済委員会までに回答をする、こういうふうに聞いております。なお、その詳細等については局長からお答えいたします。

宮本四郎通商産業省通商政策局長

○宮本(四)政府委員 従来からソ連との関係におきましては、私ども、ソ連邦が非常に大きな市場であるということで重要視いたしておるところでございますが、原則的には互恵平等の原則のもとに日ソ双方で望ましいということで、かつ当事者間で合意をするというケースにおきましては、政府といたしましても信用供与などの必要な助成措置を講じてきておったところでございます。  現に実施中のシベリア開発のプロジェクトにつきましては、御存じのようにパルプチップ材の開発輸入プロジェクトあるいは南ヤクートの原料炭の開発プロジェクト、累次の極東森林資源開発プロジェクト、ヤクーチャの天然ガス探鉱プロジェクト、それにサハリンの大陸棚の石油・天然ガス探鉱のプロジェクトなどがございます。総じてこれらの現行のプロジェクトについては、円滑に実施されているものと了解いたしておる次第でございます。  御指摘のように、今般ソ連側から幾つかの新しいプロジェクトの提案がございました。森林資源とか紙パルプとかそういうものを別にいたしましても、ウドカン銅鉱山の開発とか、あるいはシベリアにおきますところの一貫製鉄所の建設プロジェクトとか、あるいはアスベスト鉱山の開発のプロジェクト、こういったものの提案がございまして、日本側はこの提案を詳細に検討いたしまして、次回に何らかの返事をするということになっておる次第でございます。政府といたしましては、内容を十分聞かしていただく必要がございますが、先ほど申しましたような原則に照らしまして、両当事者の方で合意されるような状況でもございますれば、引き続きましてバンクローン、延べ払いを供与する方針でおるわけでございますが、ただ一般的に申しまして、従来とも、延べ払いはもちろん問題ございませんが、バンクローンの場合におきましてもケース・バイ・ケースに出しておりまして、ゼネラルバンクローンというものは別に考えておりませんでしたので、そういった考え方につきましては、今後も同じような方針でまいりたいと思っております。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 ちょうどいま答弁にありましたが、ゼネラルローンの問題、調べてみますと西ドイツ、これは二十五年協定を結んでおるわけですが、西ドイツを初めヨーロッパの各国、ほとんどがゼネラルローンの設定という形で円滑な経済交流の関係をつくっていくということになっているようです。それからいまの形でゼネラルローンが使えませんと、輸銀の関係でも一億ドル以上の案件に限定されるということでありますから、特にコンペンセーション方式その他、そういう状況の中で中小企業が参加できないというようなことがあると思います。私は、そういう国際的な各国との比較、そういう面から見ましても、国家に関係する資金を使うわけですから、大きいところだけが使って中小は使えないというのでは不公平ではないだろうか。ヨーロッパ各国並みにこの辺を前向きに積極的に具体的に検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょう。

宮本四郎通商産業省通商政策局長

○宮本(四)政府委員 ただいまの御指摘でございます。これは主管は大蔵省かと存じますけれども、私どもといたしましては、従来の方針で結構問題なく実施できておりますし、先方の方にもいろいろチェックポイントもございましょうが、当方にもいろいろ希望もございますので、そういう観点からいたしますれば、ケース・バイ・ケースのバンクローンないしは延べ払いで対処する方がいいのじゃないか、かように考えております。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 当面、間に合っておるということでありますが、特に中小企業、中小商社、そういう関係からはそういう要望が非常に強く出されておるということであります。ですから、当面問に合っておるということよりはさっき大臣の御答弁もございましたが、やはり政治的にも経済的にもこれからの関係というものを考えながら適切な手を打つという形で対応していただきたい。また大蔵省には、別途別な機会に御質問したいと思います。  いまの問題とも兼ね合うのですが、この際、中長期の経済協力協定ということを具体化したらどうだろうか。一昨年の土光さんとブレジネフさんの会談でもソ連側からも強く出されておりますし、それから新内閣が発足した後のいろいろな新聞報道など読んでおりますと、対中と同時に対ソの関係も円滑に図らなければならぬというふうな長期展望のもとに、何か契機があればこういう問題も具体化をしてもいいというようなことがアドバルーンですか、大きな記事で何遍か報道されております。これもヨーロッパ各国の比較になるわけですが、西ドイツの場合は特別としても、二十五年の長期協定が結ばれている。それがベースになって、ウエートが非常に高まっているというのが現実のようです。これは先般、ソ日合同委員会代表の方がいらっしゃった際、その他伺ってみましても、西ドイツの比重がそういうことをベースに非常に高まっているということのようであります。今日の日本の経済状況からしましても、何かそういう方向に積極的にアプローチしていくことが必要ではないだろうか。イギリス、フランス、イタリア、スイスなどでも十年間の政府間協定があるということでありまして、現在には、当面はなくても間に合っていますということではなくて、その条件はあるということに来ているということではないだろうか。また、ソ連から見ましても、日本は資本主義国では西ドイツと一、二位を争っているという関係にもなるわけであります。そういう意味で、中長期の経済協力協定を結ぶという方向に、前向き、積極的な対応を特に新大平内閣としてなさることが必要ではないだろうかと思うわけであります。  それとも兼ね合いますけれども、いま議員連盟の会長をなさっている石田博英さんが、労働大臣当時にコスイギン首相ともお会いになりました機会に、そういう経済協力協定とも兼ね合いながら閣僚会議も定期にやったらどうかという提案も、こちらからしっ放しになっているというわけであります。ですから、いまいきなりということもいろいろ問題があるかと思いますが、何かそういう展望を前向きに考えていくことが必要ではないかと思いますが、いかがでございましょう。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 御指摘の点は、シベリア開発等も御承知のように順調にいっております。今後といえども、互恵平等の原則に従いまして、ケース・バイ・ケースで一つずつ解決していくということで、まあいままでの経緯を見てみますと順調にいっておるということですね。それを一歩進めて、中長期的な経済協力協定を結んではどうかというわけですが、これは現在でもまあまあ支障なく来ておるわけですから、そういう形でいかざるを得ないのではないか。言葉を進めて言うならば、それこそ長い間の懸案であるわが国の固有領土の問題を、ソ連側においてももうちょっと前向きで、わが国に誠意を示していただくということなどなどと兼ね合って、こういう問題も、それとこれとはもとより別ですが、やはり国民感情から言いますと、そういうことなどもぜひソ連側においても配慮していただきたい。わが方も全く別にこういう問題が解決できるような事態になることを望む、こういうわけでありまして、当面は支障なく来ておりますので、いまのような事態を続けていってはいかがかと考えております。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 大臣のお答えをいただきました。これは政治状況、領土問題その他、両国関係の懸案解決ということと、可能なさまざまの改善条件を整えていくということは、鶏が先か卵が先かという面もあるのだと私は思うのです。ですから、かっちりどちらが前提とか、どちらが後とかということではない、大臣のニュアンスもそういうことでちょっと伺っていたわけですが、そういう姿勢で対応していくことが必要ではないだろうかと思うわけです。その辺のところですね。  それからもう一つは、最初申し上げましたように、風雲急を告げるようなアジアの情勢を見ておりますと、わが日本は、外交関係でも経済関係でも、中、ソ、アメリカ、どこか一方にのめり込んでいくという姿勢をとるべきではないのではないか。資源から見ましても、今日のイランの情勢を含めて中東方面には複雑な関係があるわけでありまして、いろいろな意味で分散というのか多角的というのか、そういう観点が大事であろうということを感じます。そういう意味で言って、たとえば前大臣の当時に、特に昨年、対中、いろいろ経済関係の拡大ということで、十億のマーケットという前大臣の哲学もございましたが、非常に意欲的に取り組まれる、そういう中、たとえばクレジットとかバンクローンとか、いろいろな面でも非常にソフトな条件をお考えになるということがしばしば報道されて、まだ完全には詰まっていない段階のようですが、それらについても、やはり何か、どちらかに傾斜をするという姿勢をとるべきではないのじゃないか。やはりどの国からも理解が得られるような関係にそれらの問題も扱っていく。ソ連にとりましても、中国にとりましても、これからそういう分野に対する関心が非常に高いわけでありますから、その辺のところを一方に傾斜しないといいますか、平等互恵というのか、そういう姿勢の運営がさまざまな問題について必要ではないだろうかと思いますが、ちょっと感想だけ聞かしてください。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 お説のように善隣友好関係を中国に対してもソ連に対してもとっていく、これは私、おっしゃるとおりだというふうに思います。ただ、中国との間にはいろいろな未解決の問題があったにもかかわらず、これが、両国間が双方ほぼ満足する形で十分理解を得て、そして日中平和友好条約が締結された。日ソ間においては、これがまだ機熟さずといいますか、善隣関係には立っておりまするが、もう一つ、領土問題等々を含めて十分、中国との平和友好条約締結の状況という形にならないことはいかにも残念だと思います。したがいまして、今後速やかにこういった双方考え方の違っております点が調整され、満足する形でそういうような条約が締結されることを私も希望する次第でございます。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 最後にもう一つ、ソ連の漁船の修理とか、それから改造なんかも入りますか、そういうことでお伺いいたしたいと思います。  御承知のとおりに、七四年までは自由に日本の港で修理をしていたということになっているわけでありますが、二百海里問題などのむずかしい問題とも兼ね合ってストップしているということであります。片や国内では造船不況、さらに雇用問題、私どもにとりましても切実な問題であります。特にそういう中で、たとえば函館ドックなんかでも非常に大きなウエートをいままでは持っていたということのようであります。ソビエトの方でも、シンガポールか香港まで持っていって直しているというふうな状況があるわけでありまして、私は、何らかの契機でこれを現実的に打開をする、理屈を言い合っているあるいはたてまえを言い合っているだけではしようがありませんから、現実的な了解なり打開を図っていくということが日本の経済状況からしても必要なことではないだろうかというふうに思うわけであります。  そういう意味で、何か七条件とか、その中でも三つの問題がネックになっているとかいうようなことを聞いているわけでありますが、二百海里問題はいろいろ議論がありましたが、決着はついたわけですから、一つの二百海里時代というパターンに対応する形ができたわけですから、何らかの形で、七四年まで自由で七五年以降ストップしているという状態を打開するという努力が必要ではないかというふうに考えるわけであります。その辺の考え方と、それから具体的にその七条件というのも、ほかの国に一体こういうことがあるのかどうか、あるいはソ連側に正式に、外交ルートかその他を通じて通知をしたものであるのか、正式な文書として、方針として出されているというものなのか、経過とか中身がどうなっているのか、それから、いずれにしろお互いにメンツを張っているような状況でもしようがないと思いますから、現実的にどう打開するのかということを考えることがむしろメリットがあるであろうということだと私は思います。その辺どういう対応になっておりますか、お伺いいたします。

窪田富水産庁振興部沿岸課長

○窪田説明員 お答え申し上げます。  外国漁船の本邦への寄港につきましては、わが国の漁業秩序維持のために外国人漁業規制法というものがございまして、緊急避難等の特定の場合を除きましては、農林水産大臣の許可を必要とするということになってございます。御質問のソ連漁船の寄港につきましては、ソ連漁船が本州あるいは北海道沿岸におきまして、わが国漁船との間で漁場競合あるいは漁具紛争等の事件を起こしておりましたので、五十二年の十一月までは原則として認めないこととしておりました。しかしながら、五十二年七月以降わが国が領海を拡大したこと、さらに五十二年の八月、わが国周辺水域における日ソ漁業協定ができたということを考慮いたしまして、日ソ間の漁業操業秩序ができたと判断いたしまして、五十二年の十一月以降は、ソ連漁船の修理を目的とする寄港につきましては、一定の条件のもとにケース・バイ・ケースで許可の対象とするように規制の緩和をいたしております。  なお、ただいま御質問の中で触れられました函館ドックでの修理の問題の個別ケースにつきましては、本年二月の中旬にすでに許可をいたしておりますので、御参考までに申し添えさせていただきます。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 もうちょっとはっきり伺いたいのですが、まあ経過もわかります、それから一般的な考え方も聞いておりますが、それと、今月ですか、函館ドックにということも特例のような形で認められているということも聞いているわけであります。  私が申し上げたいのは、造船業界にとっての雇用問題から見ても、こういうことはどこかで割り切って、それからどこかで現実的な打開を図ってやっていくということが国策としても非常に大事なことだということであろうと思いますから、そういう意味で、政府としても、基本的には修理のためのソ連漁船の寄港については許可をするという方向で具体的な、いままでの経過はございますけれども、それらについては何か現実的な、お互いいらいらするようなことのないような形で打開をしていくという意味でこの案件を処理していく、それから具体的な案件が出ればそういう方向で片づけていくということにしていただきたいと思いますが、もう一言、いかがでございましょうか。

窪田富水産庁振興部沿岸課長

○窪田説明員 基本は、先ほど申し上げましたように、外国人漁業規制法によりまして、わが国漁業との競合は避けるということでございますが、先生御指摘のとおり、全体的な観点からケース・バイ・ケースでソ連に対しても認めていくということで対処してまいりたいと思います。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)分科員 大臣、最初に申し上げましたように、やはり風雲急を告げるような非常にむずかしい状態ですから、政治面でも外交面でもいろいろな配慮が非常に必要でありましょう。経済面でも国の将来にとって貢献するような御努力をお願いしたいということを申し上げまして、質問を終わります。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山主査 渡辺芳男君。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 家庭紙の対策についてお伺いします。  私は、紙産業が非常に盛んな富士市に住んでいますが、最近家庭紙業界ではティッシュ戦争などということが言われておりまして、特に大企業のティッシュペーパー製造の大型マシンの増設が通産省にいろいろと申請されていることが言われておりまして、中小企業の家庭紙関係は大変な脅威を持っているわけでございます。  産業生活局長もあるいは紙業課長も御存じだと思いますが、現在ちり紙、京花、トイレットペーパー、ティッシュペーパーなどの家庭紙を製造している中小企業は全国で約二百三十社ほどあると言われております。その中でティッシュペーパーを製造している中小企業というのは五十六社だと言われていますが、このティッシュペーパーは、もともと昭和四十三年に山陽スコットとか十條キンバリーとか、日米合弁会社の大企業が製造を始めたものですが、その当初年間二万四千トンぐらいの出荷量が、四十八年には八万五千トン、昨年五十三年には十八万四千トンの急成長をしているわけです。一方、このために、京花やちり紙などがティッシュペーパーに押されて、四十八年に京花の出荷高が七万トンでしたが、五十三年には三万六千トン、つまり約半分ぐらいに減っています。ちり紙の方は四十八年二十九万三千トンだったのが、五十三年には二十一万三千トン、これも三〇%近く落ち込んでいるわけですね。トイレットペーパーの方は四十八年に十九万六千トンだったのが、五十三年には二十六万七千トンと約三六%ふえております。そういうわけで、京花やちり紙を製造していた中小企業の中で、製造工程が比較的転換しやすいトイレットペーパーの方に転換した企業も大分あるわけです。  この十年間ティッシュペーパーの方に転換をした五十六社というのは、これはまあ小型のマシンを設備をしているわけです。一台六億円前後と言われていますが、しかし最近言われているような大企業が設備をしているものは大体一台五十億円以上の大型マシンなんですね。ですから、生産量もずっと違ってくるわけです。そういうわけで、大企業が始めたものを中小企業の五十六社が後追いをして生産を始めていますが、非常に伸びてきておるわけです。最近言われていますが、王子製紙とか十條キンバリー、山陽スコット、それに四国の大王製紙、こういう大企業クラスが続々と大型マシンの増設をしようとして通産省に認可の申請をしている。そういうわけで、大変中小企業が脅威を感じておるわけです。  それで、昨年の十一月に、私は阿久津紙業課長に大王製紙の増設について抑制をしたらどうかという要請もしました。また昨年の七月に、全国家庭紙工業連合会から、大企業のティッシュペーパーへの進出について何とか抑制していただけないかというお願いの文書も行われておる。そういうわけで、家庭紙全体から見てティッシュペーパーの方は非常に伸びていますが、あとのちり紙なりトイレットペーパー、京花というのは、いまの状態ですと、生産調整を自主的にやっておりますね。そういう状況でありますから、いままでのように、たとえばどんどんティッシュが伸びていくことを認めて大企業に増設をすることを認可をする、こういうことになると、ほかの方のちり紙、京花などの業界が非常に脅威を持つ。そういうわけですから、いまいろいろ言われておりますが、先ほど申し上げました王子製紙の春日井工場で大型マシンを昨年の秋稼働したけれども、これも二〇%の稼働に抑えている。これはいつまで抑えていけるのか。  それからもう一つは、十條キンバリーの京都工場が大型マシンの申請をしたい、あるいは山陽スコットがこれも四号機の増設をしたい、あるいは大王製紙もこれも大型のマシンをしたいといろいろ要請をしておるようでありますが、この点を認めるような状況にありますか。この点をひとつお伺いする。

栗原昭平通商産業省生活産業局長

○栗原政府委員 ただいま先生御指摘になりましたように、ティッシュペーパーの需要というものはかなり年々ふえておりまして、それに伴いまして大手企業あるいは中小企業ともそれぞれこの分野への参入、あるいは中小企業は転換というようなことで設備の増設というものが行われております。そういったことで、最近の状況を見ますと、当初は大手が始めたということでございますが、最近は中小企業の参入もかなりふえてまいりまして、その割合は大手七、中小三から最近は六、四という程度に中小企業のシェアが若干拡大をしてきておるという状況になろうかと思います。しかしながら、こういった中で大手企業の大型規模の増設というものが急速に行われますと、やはり市況あるいは過剰生産といった面で非常に混乱を生ずるおそれもございますので、私どもといたしましては、ただいまお話のありましたような企業につきましてはそれぞれ所要の調整、これは稼働時期あるいは稼働率といったような点についてそれぞれ調整を行っているという状況でございます。今後とも新しい問題ができました場合には、必要に応じまして所要の調整を行って混乱を避けてまいりたい、かように存じております。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 昨年の十一月のティッシュペーパーの生産出荷、これを見ますと、大手四社、といっても王子製紙、十條キンバリー、山陽スコットが本格的に生産稼働をいたしていますが、日清紡は少ないようですね。日清紡も入れて大手四社の生産出荷高九千五百トン、中小五十数社の出荷高が七千五百トン、つまり五五%対四五%ぐらいですね。確かにこの数年間ティッシュペーパーの生産はぐんぐん伸びて、逆に言えば需要もふえてきた、こういうことが言えますが、平均して一六、七%ぐらい伸びてきているわけですね。先ほど言いました大手の関係の製紙工場がティッシュペーパーを大型マシンを入れて生産をするというということになれば、大体一カ月現在中小が生産をしている七千五百トンぐらいにフル稼働した場合になるのじゃないか。そうすると、中小はもう要らなくなると言うとおかしいけれども、これは倒産に追い詰められる、こういうふうな状況になるのじゃないだろうか。  これはもう一つは見方がありまして、これからもティッシュの需要が一六、七%伸びていくかということになりますと、これはまた家庭紙の中小企業連合会の方ではそんなに伸びないだろうという見方をしているようです。ティッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、京花の家庭紙、これの全体的な伸びというものは大体四%から五%ぐらいですね。そういうことになると、どこかが犠牲をしょっていって倒産に追い詰められる、こういうことになると思うのです。ですから、ティッシュペーパーの生産はこれから中小がそれになお進出していくかいかないかということも、これはずいぶん行政当局で考慮しなければなりませんね。ただ、中小が設備投資をするのは、やっぱり金の問題がありますから、五、六億ぐらいなら都合ができるだろう。ところが、大型マシンになると約十倍ですね。この投資は中小にはできないわけですね、中小といっても小企業ですから。だから、局長の方でどういうふうに見られているかわかりませんが、一六、七%ティッシュが伸びるという前提になると、いま言われている大企業の方がこれは設備投資をしていくということを認めざるを得ないのじゃないか。こういうふうになって非常な混乱が生ずるのでありますから、このティッシュをどんどんどんどん生産すればそのくらい当面は伸びていくだろうと思うけれども、しかしその犠牲が逆にある。こういうところの関連からして、従来のような一六、七%伸びてきたから設備投資を認めるというふうなことになるとこれは大変なことになるのじゃないだろうか。そんなことで、ティッシュの伸びをどの程度に考えられているか。それから、これは大手ばかり物を言うのもなんですが、中小の設備投資の関係もございますね。この点の関連などもひとつどういうふうに考えられておりますか。二つお答えをいただきたい。

栗原昭平通商産業省生活産業局長

○栗原政府委員 ただいまお話しの需要の伸びの関連のことでございますけれども、先生御承知のように、ティッシュペーパーの需要の伸びというのは最近かなり高率でございまして、最近の十年間では、年率にいたしまして二二・五%という伸びになっております。昨年の伸びといたしましては二一%ということで、二割を超えるような伸びということでございます。今後の見通しでございますけれども、私ども日本の生活様式あるいはアメリカの生活様式等の対比等もいろいろいたしながら需要の伸びを検討いたしておるところでございますけれども、はっきりしたことはわかりませんけれども、少なくとも二けた台のかなり高率の伸びが続くのではあるまいかというような見通しを持っておるわけでございます。  そういった中で、先ほど御指摘の中小企業の設備の問題というものも、かなり大きな需要の伸びの中で大手を全く排除するわけにもまいりませんし、しかしながら、非常に大幅なシェアの配分を大手に考えることについてもこれまた問題があるということでございますので、その点につきましては、中小の家庭用紙業界の実態も十分踏まえながら対処してまいりたい、かように考えております。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 これは去年まで設備投資を認めてきた、急にがたりとすることは行政当局としてはなかなか大変でしょう。しかし、行き着くところまで行きつつある、こういうふうな感覚というか考え方を私ども持っていますし、全家連の役員の皆さんも事業家の方もそういうふうに先行き不安でしようがない、こういうことでありますから、これはいま局長いろいろとお話しになりましたが、抽象的なお答えでして、これはだめですよ、これから設備投資はやりませんよと言うことはなかなかできないにしても、相当これは強く抑制をしていかなければ混乱が起こるだろう、中小企業は倒産に追い込められるだろう、こういうふうに私は先行きを心配しております。  大臣、実は家庭紙というのは従来中小企業の分野ですね。ところが、最近ティッシュペーパーがパルプを原料として生産され始めた。家庭紙は、ちり紙やトイレットペーパーなどは故紙の再生、資源の再利用、こういうことをやってきたわけです。この家庭紙の工場は、東京都とか奈良県とか数県このちり紙やトイレットペーパーの工場がないだけで、全国的に散在しています。その中で三分の二ぐらいの生産量を持つというのは静岡県と岐阜県、それから四国なんですね。これが主産地になっておるわけです。  そういう意味で、ティッシュの方は一部王子製紙の春日井工場のように生産を抑えている。一日八十トンの生産能力があるのに二〇%ぐらい抑えています。これは通産省でも事態の急変を避けようとしてやっていると思うのです。しかし、その他既設のティッシュペーパーの製造はフル操業をやっておるわけです。しかし、昨年の一月、どうも生産過剰だということで、トイレットペーパーやちり紙や京花というのは調整規程を適用された。これは業界からも強い要請があったと思うのです。元来、高度成長時代に中小企業が近代化資金を借りて、これら中小企業の家庭紙の工場の機械を近代化したのです。新しく入れかえた。だから、非常に生産力はあるわけですね。いまでもティッシュ以外は二十日操業なんです。生産調整を今度は自主的にやっている。昨年一月から八月まで通産省の指導で生産調整をやって以来、今度は君たちがやってみろ、まとまらない業界でしたけれども、いま生産調整を自主的にやっている。やっているけれども、アウトサイダーもいますし、これもまとめなければならぬ。私は、特に通産省には要望しておきたいと思うのです。  そういうわけで、ティッシュだけが伸びているということを一方的に見る目というのは、繰り返して言いますけれども、大変な混乱になるのじゃないか。これはもともと静岡から北海道にトイレットペーパーを輸送して向こうで販売をする場合に一巻き二十三、四円ぐらい、それが運賃が一つ六円もかかる。そういうわけですから、輸出入というのはできないですね、もともとが安い品物ですから。国内で生産して国内で販売をする内需商品なんです。ですから、内部で調整をしていかないと、まあ中小企業も安定をしなければいけないというふうな議論はよくやっていますが、現実の問題として、このティッシュ問題は非常に混乱を起こしてくるのじゃないか。ですから、局長先ほどお答えになりましたけれども、これは大型マシンにしても、中小企業から新しくティッシュに転換をするというふうなことについても従来よりは、消費の伸びはそれはあるだろうけれども、全体的に見て抑えていかないと家庭紙業界というのは相当混乱をする。繰り返して言うようですが、このことだけは大臣、御認識をいただいているとは思いますが、ぜひお願いしたいのですが、いかがですか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 専門的な立場から詳しく御質問になりまして、私も大変勉強になりました。  ちり紙メーカーというのはトイレットペーパーを一緒に生産をしておる。ところが、先ほどからのお話のように、ティッシュペーパー分野の方が伸び率が大きいというわけで、だんだん転換を図っておる。しかし、私が報告を聞いておるところによりますと、ティッシュペーパーの中小企業分野で製造される量というのは前年よりはやや上回ってきたというふうに聞いております。これはおっしゃるようにティッシュペーパーそのものは大企業が開拓したので、自分たちが開拓したという一つの優越感とか既得権視するような意向もありましょうが、今後大企業が設備をティッシュペーパーについて増設するというような場合には、行政指導の仕方もあろうかと思いますので、御趣旨は十分承って、配慮したいと思います。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 先ほどちょっと私申し上げましたが、これも大臣から指導をいただく面でも、特に当面の責任者である局長の方からも指導をいただくためにも、家庭紙業界は中小企業でございますから非常にびくびくしているということもございますが、何とかして生きていけるためにはひとつこういうことも訴えてくれという話があるのです。  先ほど申し上げましたが、トイレットペーパーやちり紙というのは故紙を再生をしている。この資源再利用ということは、パルプだけで家庭紙をつくるということになれば故紙の回収というのはないわけですね。そういう意味ではこの分野のものはひとつ保護していただけないだろうか。パルプというのはほとんど輸入ですから、全部ティッシュペーパー、パルプの方に転換をするというふうなことには、それは金の関係もあるから設備投資全部できるわけじゃない。政策的に見て、大臣、どうしても故紙の再生をする中小企業の家庭紙業者というのをこれはやはり温存をしていくというか保護していく、そういうふうなことが念頭にないと、ティッシュがどんどん伸びていくのじゃないか。この点はいかがですか、大臣、ひとつ資源再利用の意味においてぜひ頭の中に置いていただいてやっていただきたいと思うのですが……。

栗原昭平通商産業省生活産業局長

○栗原政府委員 御指摘のように、私どもも資源の再生利用という見地からの故紙利用につきましては、今後とも十分考えてまいりたいというふうに思っております。ただいま御指摘のちり紙、トイレットペーパー、これは故紙の再生利用ということで成り立っておるわけでございまして、そういった意味におきましてこの中小企業分野の故紙利用ということはきわめて重要な問題だと思っております。生産量等について見てみますと、ちり紙は御承知のように減少をいたしておりますが、トイレットペーパーがふえておるということで、全体といたしましては、故紙の利用という観点から見ますと、そう減っておらないというような状況であることは御承知のとおりだと思いますが、そういった意味合いが一つと、それからもう一つ、ティッシュの問題につきましては、これは消費者利用、消費者ニーズというような問題もございますので、これを余り行政的に介入してその分の増を抑えるというようなことはなかなかむずかしいわけでございますけれども、御指摘のような点も踏まえまして、設備調整その他に際しましてもよく配慮してまいりたいと思います。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 その点は現状認識を十分していただきたいと思います。  最後に、これはどういうことになるか伺いたいのですが、家庭紙業界が、ティッシュが非常に伸びて、ほかの方、ちり紙、トイレットペーパーの方がどんどん侵食をされて不況に陥る、そういう場合に、いまの行政指導だけでは私どもとても不安でならぬ。この際分野調整法の適用申請を大臣にした場合に、十分考慮していただいて、分野調整法の見地からこれを取り上げるということができますか。このことをひとつお伺いしておきたいと思います。

栗原昭平通商産業省生活産業局長

○栗原政府委員 現実にもティッシュペーパーの関連につきましては中小企業と大企業の分野調整問題が発生いたしておるわけでございますが、考え方といたしまして、私どもといたしましては、やはり分野調整法の四条にもございますように、基本的には当事者間の話し合いによります自主的な解決というのが基本であろうかとは思いますけれども、そういった話し合いも踏まえまして、先ほど御説明申し上げております行政的な設備調整というものを行ってまいりたい、かように存じておるわけでございます。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 終わります。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山主査 これにて渡辺芳男君の質疑は終了いたしました。  池田克也君。     〔主査退席、森(清)主査代理着席〕

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 公明党の池田克也でございます。  私は、昨今マスコミでかなり話題になっております、フランスとかイタリーから輸入される洋品、特に婦人用のバッグが本物かにせものかというような論争が新聞紙上にも散見されるわけでございます。この問題について若干お尋ねをしたいと思います。  初めに大臣にお伺いしたいのでございますけれども、一般論として、通産省は並行輸入という方式をむしろ前向きな形でお進めになっていらっしゃる。物価を安くするためというふうに私ども受けとめておりますが、こういう方式をおとりになった真意についてお伺いをしたいと思います。

島田春樹通商産業大臣官房審議官

○島田政府委員 お答えいたします。  真正品の並行輸入が行われるということになりますれば、それが消費者に対してそれだけ便益を与えるという意味で、消費者対策の点からも非常に好ましいというふうに考えますので、われわれとしてはこういったものが正しいかっこうで行われるということを望んでおるわけでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 正しいかっこうで行われる。私ども、確かに並行輸入について利点はあると思うのですね。ところが、若干の弊害もあるのじゃないか。だんだんと話を進めてまいりますが、いまの時点で通産省として、この並行輸入の利点と弊害、端的に申し上げるのですが、幾つか握っていらっしゃるものがありましたら、あるいは予想していらっしゃるものがありましたらばお考えをお伺いしたいと思います。

島田春樹通商産業大臣官房審議官

○島田政府委員 並行輸入の利点と弊害というお話でございますが、並行輸入が望ましい点につきましては、いますでにお答えいたしましたような意味で、物価対策あるいは消費者行政という見地から望ましいというふうに考えるわけでございます。反面、弊害というのは何かということですけれども、問題は、最近、これは弊害と言えるのかどうかは別にいたしまして、紛らわしいものが入ってきて、それが消費者に渡るというようなことになりますとこれは望ましくないわけです。ただこれは、そういうものが入ってくるということは逆に言えば並行輸入という面でも悪影響があるということで、どういうふうにお答えしていいのかそこはちょっとわからないのですが、そういった問題はあるということであろうかと思います。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 いまお話が出ました、紛らわしいものがある、また、それについて利点もあるが問題がある、これについて、いまの時点で通産省として何らかの対策をお考えになっていらっしゃいましょうか。

島田春樹通商産業大臣官房審議官

○島田政府委員 結局、最近有名な外国商品のにせもの騒ぎというのが起きておるわけでございます。こういう問題が起きますと、やはりいま申しましたように、一つは、消費者にとって非常に迷惑になるというような意味で、消費者行政上も問題がある。また、真正商品の並行輸入というものに悪影響を与えるという意味で、並行輸入政策というものの見地からも問題があるということになろうかと思います。私どもとしましては、こういった問題が生じた場合、現在のところ、関係者から事情を聴取する等、まずファクトファインディングというものに努めているわけでございます。ただ、実際問題としまして、当事者間で本物かにせものかという事実関係が争われているというような場合になりますと、どちらが本当かということには非常に専門的知識を要する問題でもございますので、その真相まで立ち入ってはっきり判断するというところまではなかなかむずかしいかと思います。現在私どもとしては、いずれにしましても有名な外国商品の商標等の不正使用というふうな問題が起きますと、いま申しましたように消費者に迷惑をかけることでもありますので、そういったことがないようにということがまず第一。それからまた、万が一そういったことが起きた場合には、これは消費者との関係で、商品の回収等に万全を期するように、消費者に対して迷惑をかけないようにという意味の措置を従来から指導をしてきております。今後ともそういった問題はそういった見地で指導していきたいというふうに考えておるわけです。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 いままでそういう事例で消費者の保護という見地から回収を命じた実例が幾つかございましたらば、差しさわりがない範囲でお述べいただきたいのですが。

矢橋有彦通商産業省産業政策局商政課長

○矢橋説明員 一つの例として申し上げますと、昨年の十一月でございますけれども、いわゆるエルメスのにせもの問題というのが起こりました。これにつきましては、大手の小売店において販売されておりまして、それにつきましては、私ども業者を呼びまして、直ちに店頭から撤去すること、加えまして、すでに売ったものについては買い戻しその他について消費者対策上遺漏のないようにするということを個々に指導いたしました。かつまた、全体の指導といたしまして、日本百貨店協会及び日本チェーンストア協会に対しまして、今後起こることのないように万全を期するということと、それからもう一つ、もし起こった場合の消費者対策上遺漏のないようにという二点を骨子とする通達を、私どもの局長名で発した次第でございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 いまお答えのエルメスの実例なんですが、回収された総額はどのくらいの金額のものだったのでしょうか。

矢橋有彦通商産業省産業政策局商政課長

○矢橋説明員 エルメスにつきましては、大手六店で販売されておりました。会社別にもちろん数字は違うわけでございますが、A社の場合には二百七本仕入れまして百十六本販売をした。それに対しまして、去年の十二月の半ば現在で回収が五十三本ということになっております。B社につきましては二百六十九本の仕入れに対しまして、九十八本販売し、九十六本回収をしております。C社につきましては、それぞれ二百本、八十二本、四十本、D社につきましては百三本、十四本、五本、E社につきましては十四本、九本、五本、F社につきましてはちょっと数字をつかんでおりません。  以上でございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 いまお話しのように、商品を回収するということは、実際お店に並べて売っている側としてはかなり大きな痛手であります。信用問題にもかかわる。ですからこの回収については慎重でなければならないと私は思うのですが、これがにせものである、回収しなさいよという判定はどこがなすったのでしょうか。

矢橋有彦通商産業省産業政策局商政課長

○矢橋説明員 ただいまの答弁で申し上げましたエルメスの場合には、にせものであるということが当事者間で争いがございませんでした。それから、その場合には、最初に発見をいたしましたのは日本における総代理店でございます。それから、真贋自体について争いがある場合も希有でございますが、最近一つ起こっております。  整理して申し上げますと、通常の場合には真贋の判定は第一義的には日本における総代理店が実際上行っている。その場合に、自分だけの判断で判定できない場合には、製造元に照会をしてそのような判定をしているというのが実情でございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 そうしますと、先ほど審議官のお話では、紛らわしいものがあったときには行政の指導として回収等の手を打つ、こうおっしゃった。いま商政課長さんのお話によりますと、紛争のないときはいいのですが、現実問題としてその真贋の鑑定の立場というのはメーカーの日本における総代理店、いよいよそれがもつれ込んだら本社へ送って見てもらう、こういうことですね。そうすると、行政というものが、客観的な真贋鑑定のデータによらずして、ある面ではメーカーのかじ取りといいましょうか、メーカーに真贋鑑定のかぎが握られているわけですね。大臣、ここのところ、いろんな機械の問題でしたら番号もついている、ずっと追っかけていけるのですが、この真贋鑑定というのはなかなかむずかしゅうございます。しかも流行、ブームと言えるような状態になっているわけですね。  実は、大臣、もしかしたらおなじみがないかもしれません。物を持ってまいりました。いわゆる輸入されているバッグというのはこういうものなんです。若いお嬢さん方にこれを見せますと、大変飛びつくような興味をお持ちになる、大変売れている商品だ。これが約六万円でございます。これがいろいろなところで売れているのですが、これについて裁判も起きている。もし何でしたらひとつごらんいただきたいと思うのであります。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 これはにせものの方ですか。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 これは本物です。大変ブームなわけでございますね。  先ほどから私、指摘しておりましたが、真贋鑑定権、あえて名づけて言えば、客観性を持ってない。私に言わしめればメーカーに握られている、ここに一つの問題があるのじゃないかと感ずるわけであります。  そこで、公取さんおいででしょうか。——お伺いをしたいのでありますが、例のグラマン問題でも話題になったのですが、海外からある商品が輸入される場合、その総代理店の契約というのは独禁法第六条によって届け出るということになっているわけであります。わが国でもかなりたくさん有名ブランドが来ておりまして、その問屋さんの会が編成もされているわけでありますが、一つの例を挙げますので、届け出があったかどうかお尋ねしたい。たとえばイタリアのグッチあるいはフランスのエルメス、この二つの銘柄について総代理店の届け出がいつなされておるでしょうか。

加藤二郎公正取引委員会事務局経済部国際課長

○加藤(二)説明員 届け出の有無に関する御質問でございますが、グッチとサンモトヤマの契約につきましては、最近届け出がございました。それからエルメスと西武の届け出につきましては、何分にも大分長い時間にわたって総代理店契約が行われておりましてちょっと有無が不確かなのでございますが、届けられておることと思います。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 はっきりしていただきたいのです。グッチについては最近届けがあったのですか。いつですか。

加藤二郎公正取引委員会事務局経済部国際課長

○加藤(二)説明員 契約の改定がございましてそれにつきまして届けがございまして、ごく最近であります。本年に入りましてから……。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 本年に入ってから。エルメスと西武の関係については届けてないのですか、あるのですか。

加藤二郎公正取引委員会事務局経済部国際課長

○加藤(二)説明員 何分にも古い関係にございまして、用意してこなかったわけでございますが、届け出があるものと思っております。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 どうもはっきりしません。この問題、私通告してあります。もうすでに一週間ぐらい前から、太陽会所属の十何社かについてこの席でお伺いをする。したがって独禁法六条によるところの届けの有無、それについて調べていただきたいと通告してあったにもかかわらず、いまの時点ではっきりしないというのは実にけしからぬことだと思うのです。いかがですか、こういうことではあと審議進まないのです。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 大変申しわけないことだと思います。公取の方にもよく私からも言っておきますが、いまおっしゃっておる話は私大変重要だと思うのですが、並行輸入というのは、代理店の機構そのものを尊重することはわかります、しかし、特に円が高くなったり安くなったり変動の激しいときに、消費者の期待にこたえるために並行輸入があることは、企業内におけるブランドの競争ということもありますし、それから消費者にとってはそれなりに大変なメリットがあるわけです。そのときに真贋をめぐって代理店を保護しようという作為でいろいろな策動があるとすれば容易ならぬ話でありまして、これは今後とも十分配慮していかなければならぬ問題だと思います。しかし、この真贋をそれじゃ通産省が認定するのかということになりますと、なかなか問題があります。したがって、これは売る側、消費者、買う側そういうところでわかりますのと、それを決め手に使うのは何といっても製造元ということになりましょう。そうすると製造元は故意に代理店を守るために、本物でもにせものだと言うことがありとすれば、商取引以前の道義の問題ですね。おっしゃる御質問の趣旨は私は十分わかりますので、今後もこういう問題には細心の注意を払ってまいりたいと思います。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 大臣から大変前向きな御答弁でございますが、公取に重ねてお願いでございますが、再度お調べいただきたいと思います。これはたしか独禁法六条というのは届け出なければ罰則があるはずです。ついこの間も、それこそ集中審議等でもグラマンをめぐって日商さんと問題になったケースですね。しかもグッチは、去年の秋あたりからもいろいろと言われておった。つい先ごろ届け出があったのは何月何日ですか。

加藤二郎公正取引委員会事務局経済部国際課長

○加藤(二)説明員 ごく最近だということは覚えておりますが、日にちまでは……。(「ごく最近というのは一月ぐらい前か」と呼ぶ者あり)はい、さようでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 問題になってから届け出られた、つまりそれ以前は届け出るとまずいような事態だった、私はそう考えざるを得ないのですね。というのは、この届け出、いわゆる独禁法六条の届け出をいたしますと、ガイドラインがあるんですね。公取がつくっているガイドラインがありまして、これによれば、「輸入総代理店契約等における不公正な取引方法に関する認定基準」というのがございまして、四十七年十一月二十二日に出しております。「契約対象商品の再販売先を制限すること。」こういうことがあるとこの届け出は受理されない、こういうことでしょう。

加藤二郎公正取引委員会事務局経済部国際課長

○加藤(二)説明員 先生御指摘のように、公取の認定基準にも総代理店契約におきまして、「契約対象商品の再販売先を制限すること。」という条項がありますれば、これを除去するように指導をしております。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 答弁が小さい声だからよく聞こえないのですが、意味するところを考えますと、要するに、再販売先を制限することがある場合には、それを指導しなければならない、こういうことですね。そこで、いま届け出られたグッチのこの契約の内容によりますと、どうですか、再販売先は制限されていますか。

加藤二郎公正取引委員会事務局経済部国際課長

○加藤(二)説明員 当事者を明示いたしました個々の具体的契約の内容につきましては差し控えさせていただきたいわけでございますが、本契約は目下審査中でございまして、そういうような条項がありますれば、当然これを削除するよう指導する方針でございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 目下審査中、これだけこの問題は新聞に、もうわんさと出て騒いでいるんですね。コピーだけでこんなにあるのです。いろいろな新聞雑誌に山ほど出ている。これは御婦人の間の商品かもしれませんが、ネクタイになれば男性も関心がある、そういう問題でございます。それについて、代理店のあり方という問題について、ここに一つのネックがあるのです。それを公取としてはっきりとつかんでいない、いまだに審査中だ、こんなのは消費者に対して、行政の怠慢としか言えないのですね。どうですか、公取さん。

加藤二郎公正取引委員会事務局経済部国際課長

○加藤(二)説明員 審査中の意味でございますが、独占禁止法第六条に基づきます国際契約の届け出が義務づけられておるわけでございますが、その届け出がありますと、契約上これを審査いたしまして、その内容に不公正な取引方法にわたる等のことがございますれば、これを削除するように指導する、そういうことでございまして、本件につきましては、ごく最近に届け出がありましたもので、それからその契約の審査をいま現在いたしておる、こういうことでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 西武については、まだ、出ているか、出ていないか、はっきりしていませんが、早く出すように督促をし、その内容をチェックするおつもりですか。

加藤二郎公正取引委員会事務局経済部国際課長

○加藤(二)説明員 御指摘のように対処したいと思います。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 指摘のように対処する、こういう御答弁でございますので、先へ進みますが、いま、私が前に指摘をしましたように、この独禁法上の代理店の届け出が出せないのではないか。つまり、こういうことがある。  エルメスの本社が言っているところによると、これはサンケイ新聞の一月十七日の夕刊です。「日本では西武系でしかエルメス製品は買えない」こういうふうにエルメス本社は言っている。「西武系以外で売る時はエルメスの承認がいるが、パリのエルメスではこの承認をこれまで与えたことがない。」こういう本社側の考え方というのは、この公取さんのガイドラインつまり認定基準には、違反するのですね。再販売先を制限しているわけです。こういうような考え方が今日行われているとするならば、問題じゃありませんか、どうですか。

加藤二郎公正取引委員会事務局経済部国際課長

○加藤(二)説明員 総代理店につきましても、取引先を選択する自由というのはあるわけでございますから、そういった観点から取引先を西武が選択しておるのであれば、これは独禁法上問題にするのはむずかしいかとも考えられますけれども、もしそういった相手先の制限が仕入れ先、すなわちエルメスの方からその契約によりまして制限を受けているということになれば、独禁法上問題となりますので問題にしてみたいと思います。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 西武が悪いんじゃないのですよ。西武がどこへ売ろうと、おっしゃるとおりこれは自由です。これはエルメスの本社が言っているんですよ。西武系以外には売らせませんよと、パリのエルメス本社が言っている。こういう意思というものは、当然契約にはうたわれるはずですね。私は、むしろそういうような契約内容というものが早く審査され、ここに問題がある。つまり人気のある商品が特定の代理店に握られている。そうすると、どうしても並行輸入で、別ルートから品物を買ってこなければならない。いま大臣がおっしゃったように、その別ルートが安くなるとすれば、やはり安ければこれはにせかということになる。その鑑定権を先ほどのメーカーが握っている。だから、いま大臣がおっしゃったように、私が申し上げたことを大臣がおっしゃっておられましたけれども、ある面では、自分の直ルート、総代理店を守るために真贋鑑定の、そう言っては何ですが、悪くとれば権限を悪用することもできるのじゃないか。ここのところは、いまの問題のポイントじゃなかろうかと私は思う。  そこで、これは十二月二日付の朝日の夕刊ですが、今度は、あるエルメスを並行輸入で輸入した業者さんが西武百貨店の本社に鑑定を依頼した。一応代理店にもなっている。届け出の有無については今後詰めなければなりません。そうしたら、その鑑定を拒否された。「自分で自信があればお売りになってはいかが」ですかと、あっさり真贋の鑑定を拒否された、こうなるのです。そうなると、通産省として、物価安定のためによかれと思ってやっていらっしゃる並行輸入が、にせか、本物かということでわからなくなってしまう。わからない商品を抱えた輸入の業者さんは立ち往生をする。決して安価なものではありません。かなりの高価なものであります。それが寝る。お店先でも今日、安いね、本物かしらという声が町々で聞かれるというのです。その声を聞くたびに、お店屋さんはひやひやしておる。さあ、鑑定に行くと、客観的な鑑定の場所がどこにもない。それで裁判が起きている。確かにいま大臣がおっしゃったように、この鑑定はなかなかむずかしい。  しかも、もう一つ指摘をするならば、代理店制度のメリットはやはりリペア、修理のサービスということもある。たとえば時計が壊れたら、純正パーツで直してもらう、これは代理店のいい面です。ある面を保護しながら、いい面です。ベンツでも外車でもそういう代理店で、純正パーツで直せる。ところが、こういう袋物に関しては、余りそういうことがないのですね。デパートにも修理の店がありますが、国産のチャックがついてくるそうです。その点は、純正パーツでなければならぬというものでもないでしょう。そういう代理店の修理とかアフターサービスとかのメリットも余り働いていないように私は思えるのですね。  時間がだんだん迫ってまいりました。私は、こういうような問題を呼んでくるのは、一つには、公取さんの代理店に対する指導、これが弱いのじゃないか、あるいは時期を失しているのじゃないか。また、通産省において、この真贋鑑定は大変むずかしいのですが、たとえばこういうことがあるんですね。イタリアあたりで、グッチならグッチと名前を出して恐縮でありますが、そういうメーカーが下請を使ってつくっているのです。その下請が本社にないしょで物を出してくるというケースもあるらしいんですよ。そうなりますと、だれがどう見ても、下請ですから、一つの布を織ってくるのですが、その型紙などを持っているわけですから、そういう意味で、だれが見てもこれは同じようなものだということもあり得るんですね。そうなると、外務省、外交ルートを通じてですか、あちらのマーケットというものにそれなりの検定機関というもので、一つのサーティフィケート、証明ですね、これは本物でございますというようなものでもつけていかない限りは、国内市場が混乱してしまう。こういうことでもしなければ、これはかなり金額が張り、ブームになっているわけで、何らかの手が必要じゃなかろうかと私は思うのですが、大臣いかがでしょうか。御理解のあるところ、もう一歩突っ込んで対策をお伺いしたいのです。

島田春樹通商産業大臣官房審議官

○島田政府委員 いまお話しになりましたこの真贋の鑑定というものは非常に重要な問題でございますが、反面、いまお話もございましたように、なかなかむずかしいのです。いまたとえばということでおっしゃいました、相手国の方で何か証明を出すというようなことは考えられないだろうか、これはその国の政府の問題でございますが、私どもちょっと考えましたところでは、やはりいまお話のありましたように、私の方から考えますと、並行輸入という場合に、原産地のメーカーの直営店から直接買いつけてくるという場合もありますし、あるいはそれ以外のルートで入ってくるという場合もあるということでございますが、そういうことでルートがいろいろあるということのほかに、御承知のようにブランドが物すごくある。それから、同じブランドでも、そのブランドをつけております商品の種類が非常に多いということになりますし、また、お話がございましたようにそれの判断をするための技術的なむずかしさ等を考えますと、実際問題として、たとえば輸出時点で輸出国政府が何か証明を出すということはなかなかむずかしいのじゃないかなという感じがいたします。  何かないかというお話でございますけれども、なかなかいい知恵はございません。先ほど、たとえばこれはどうかなということで代理店に見てくれないかという場合、どうも見てくれないのじゃないかというお話があったわけですけれども、ただ総代理店の本来の業務に支障を来すことも場合によってはあるわけでございます。たとえば旅行者が持ち帰ってきてこれが本物かどうか見てくれというかっこうでやられますと、実際上代理店の方も能力的にとても依頼に応じられないというような事情を述べておるところもあるようでございます。したがいまして、一概には申せませんが、そういったことができる範囲で、もし非常に問題があるという場合であれば、これに応ずるようにできるだけ対応することが望ましいというふうには私ども考えております。  それからもう一つ、先ほど私ややあいまいな言葉で疑わしいものと申し上げましたのは、ちょっと正確に申し上げなかったので、商政課長がさっき申し上げましたように商標等を不正使用した外国商品、いわゆるにせものという意味でございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 警察ではにせもの鑑定講習会というのをやっておりますね。これは中野署ですが、宝石、時計、貴金属に対して質屋さんの組合の専門家、鑑定士を呼んできて刑事さんが一生懸命勉強しているそうですね。  私は、これは警察とも話をしてもらいたいのです。詐欺になってしまうのですね。これは非常に微妙なのです。そして、先ほど来申しておるような代理店もお困りになる。並行輸入の業者さんもお困りになる。ぜひひとつ警察等とも場合によってはお話し合いをしていただきたい。  さらに、非常に高価なために問題になる。先ほどお話がございましたが、現地で一万七千五百円のものが国内で五万一千円というバッグがある。三倍ですね。普通、飛行機便で運賃九百円、関税が千百円。普通だったならば大体二万円前後で手に入るものが五万一千円。並行輸入の業者の方はそれを自分で店頭で買って持ってきて売るわけですね。仮に倍もうけたとしても四万円で、代理店が売っている定価より安くなる。よほどうま味があるのですね。しかも人気があって、旅行される若い女性なんかがパリ等、あるいはイタリアのお店で行列をなさって買い物をする。向こうの店の人が先着順の券を配って、はいここまでと言われてひんしゅくを買っているそうです。  私は、こういう問題についていままで指摘をしてきましたけれども、もう一歩突っ込んだ、先ほど大臣から御答弁がございましたように、ひとつ前向きに何らかの抜本的な手をお打ちになっていただきたい。一言だけ御答弁をいただいて終わります。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 御指摘の点は、特にいま製品輸入を国際的な要請に基づいて奨励していますね。そういう折から、こういうことで日本に問題が起こること自体がまことに残念です。おっしゃる意味を体しまして、これはやはり何らかの措置を講じなければならぬと思います。  それから、また思いつきのような話で恐縮でございますが、業者自身も自分が並行輸入業者としての商権を守る意味からも何か、これは袋物だけと限りません。非常に多いからさて政府がやるといったってなかなか大変ですが、それぞれ同じような業者、並行輸入しておる業者がモニター制みたいなものをそれぞれの分野で委嘱をされて、そして真贋鑑定を求められるとか、代理店を通じないで輸入をしておる人が大もとに行ったときは、さっき政府委員からお答えがありましたように、拒否をされたり、ときにまた故意な道義にもとるようななにがあってもいけません、そういうことがあるとは思いませんが。だから、何か考える余地はあるように思います。よく承りました。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)分科員 ありがとうございました。

森清自由民主党

○森(清)主査代理 井上普方君。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 私は通産省に質問がたくさんあるのでございます。時間が限られておりますので、いまの商業道徳について少しお伺いいたしたい。  商業道徳が非常に乱れております。これは御存じのとおりであります。どこに原因があるのか。資本主義は弱肉強食とは申しますものの、ともかく資本を持ってどんどんとあらゆる部門に進出することにあるのじゃなかろうかと思うのです。私は、昔の財界人、経済人という方に承りますと、大企業が中小企業の分野に進出することは昔はほとんどなかった。しかしいまは金さえあれば、ともかくもうけるところがあれば、あらゆるところに何でもかんでも進出していくという姿が出てきておるのじゃなかろうかと思うのです。それもまた、政府も、政策的な面がありますと民間資金を導入する、民間資金の活力を利用するのだなんということを申しますものですから、あらゆる業者が金もうけの方に走っていくという傾向があると思います。  一例を挙げますと、本来商社というのは流通機構の段階にあるのが商社のあり方なのです。それが土地を買いあるいはマンションをつくり、建設業者のようなやり方をやっている。政府が住宅政策に力を入れるのだと言いますと、これは間違いないというので土地をうんすか買い、ともかくやっていく。ここらあたり、政府あるいはまた財界が自分の分野を守るような方法を考えなければいけないのじゃないかと私は思う。現に日商岩井がマンション業者にしてもトップになっている、こういうことをひとつお考え願いたいと思うのです。いまさら商業道徳を守れというようなことを私が申してもこれはちょっとむずかしいかとも思いますが、あり方として、大企業あるいは政府それ自体の姿勢を正さなければならないのじゃないか。それが、いまの池田君のお話のように真贋問題にまで発展していくのじゃないかと私は思うのです。ここらあたりの政府のあり方と商業道徳のあり方、財界のあり方に対してどういうようにお考えになっておりますか、ひとつお伺いしたいのです。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 道義の問題はいつの世にも大事な問題だと思います。商道徳といいますか、昔からよく士魂商才なんということばがございますが、やはりもうかれば何でもいいというものではないと思います。そうかといって、いまこういう時代に、たとえばマンションなどのお話もございましたが、国民的な要望にこたえるというようなことで大企業がやる。恐らくこれは子会社をつくってのことでございましょうし、これをとめるすべはありませんが、しかし零細企業の分野にまで大企業が手を出すことはいかがなものであろうか。これはしばしば問題になっておるところでありまして、私どももこの点は今後にかけてもよく調整を図っていかなければならぬ問題だというふうに認識はいたします。  それから、先ほどの池田さんのお話を通じて思いますことは、代理店業者がもし不当な利益を得ておるというのであるならば、並行輸入も奨励しなければならぬし、ましてや並行輸入業者がにせものを売るようなことがあってはなりませんし、また本物をにせものだなどと言いがかりをつけていいはずもありませんが、考えてみれば、舶来品要望というような、舶来品尊崇の国民的な気風というものも、こういう問題を契機にお互い同士が是正していくことも必要だというふうに思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 最後に言われましたことにつきましては私も同感なのです。ともかくブランドというのですか、名前の通っておるものであれば高く買っていいのだというような消費者のあり方、これは通産省としては、あるいは経企庁の管轄かもしれませんけれども、やはり啓蒙する必要があるのじゃなかろうかと私は考えるのであります。この点はあと一つ御努力を願いたいと思います。  もう一つの問題としては、大企業が中小企業あるいは零細企業の中に頭を突っ込んでいく問題です。通産省としてはそれは望ましくないとおっしゃいますのであれば、ひとつ通産省ができる範囲においてやっていただきたい。  一例を挙げますと、公益事業と称してやっております電力会社です。電力会社が子会社を持って土地の購入をやっている、あるいはまた自分のところに納入する石油であろうが資材であろうが、一たんそこを通さなければ買わないというような実態、御存じですか。御存じであれば、公益事業であるならば当然通産省としては処置すべきである、このように思うのですが、いかがですか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 そういう話は私も知らぬわけではありません。ただ、いまそれもケース・バイ・ケースでございまして、たとえばこのごろ雇用対策が重要な折から、退職者をそういう会社に採用をして、そして高年齢者の職場を見つけるためにトンネル会社といいますか、中間会社のようなものをつくるというケースもあるようでございまして、いまおっしゃるのが全くの傍系で行われておるということであるとすればいろいろ問題もあろうかというふうに思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 それは問題のすりかえなんです。電力会社が子会社をつくって土地に手を出す、あるいはまた、自分の使う商品あるいは資材はすべてここを通じなければ買わないというのは大体昭和三十七、八年ごろから始まっているのです。そしていまになれば高齢者対策などということを麗々しく言っているだけの話なのです。その子会社は株は全部電力会社が持っているのですよ。あるいは会長の名前にしておるか社長の名前にしておるか、こういう形が出てきておる。これは単に一つの電力会社じゃない、東京電力もそうです、四国電力もそうです。私は四国電力のことはよく知っているのです。一度調べたことがあるのです。全部の電力会社が子会社を持っています。それも二つ三つ持っている。そしてどうだ、四国電力で言いますならばゴルフ場の経営をやっている。このバックはだれだと言ったら、みんな四国電力だ。二つありますよ。こういうことが許されていいのかというのです。これは退職者対策とも言えぬでしょう。どうです。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 よく実態を調査いたします。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 これは実態を調査して本当に適切な処置を講じなければ、中小企業あるいは零細企業に対して、資材を買うときにはピンはねするのですから、それだけ消費者に電力料金としてかかってくるのです。こういうことが公益事業の名において行われているわけです。  今度、原子力発電所を通産省が所管することになったそうですね。私は、いままで科学技術庁がやられておったので、ここで初めて通産省の諸君に聞いていただきたいのですが、私の方の徳島県に蒲生田岬という風光明媚なところがある。この間、私は総括質問において、過疎地帯でともかく漁港がさびれておったのが復活したのはハマチの養殖場だということを申した。その部落は大体六百戸ある。その対岸直線一キロのところ蒲生田岬に原子力発電所をつくろうという話が持ち上がりました。当時科学技術庁が主管だったのでございますけれども、強力に進めてまいった。その強力に進めてきたときの四国電力のやり方というのはどんなのかといいますと、漁業組合が反対をした、そうすると、漁業組合の諸君を毎日毎日四十キロ離れた徳島市へ運んで、高級料理屋で酒肴を食わせ酒を飲ます、まあ女を抱かせたとは私は申しません、そういうケースがたくさん出てきた。大臣、笑い事じゃないのですよ。  その少し手前に阿南火力発電所というのを造設しようというときに、汚職事件が起こっているのです。高知県で、虚偽の領収書を村長、村議会につくらして、金を浮かして、そして阿南市の公害委員に百万円渡した。ためにとうとう高知県の議会においても問題になる、あるいは徳島県の阿南市の公害委員も警察にパクられて、汚職事件として発展しておる事件があるのです。これは四国電力だけではない、中部電力においても、関西電力においても起こっておるようであります。あるいはまた、先ほど申しました漁業組合の幹部諸君に酒を飲ませ、そうやって成功すると思って総会にかけましたところが、依然として反対が強かったために、四国電力の責任者は自殺したのです。これほど汚い手を使いながら原子力発電所を推進しようというやり方、これを一体公益企業と言えるのかどうか、私は大きな疑問を持つのであります。  かつて私が県会議員をいたしております三十歳当時に、県営の発電所で電気をつくった。売電料金について通産省と当時の自治省、大蔵省、建設省の間で四者協定というのを結びました。四者協定を結んで、売電交渉はかくあるべき、売電価格はかくあるべきという四省通達が出ておりましたが、四国電力が通産省と結託しまして——結託してという言葉を使ってもいいんだ、そして電力料金を非常に不当に安く抑えた事件を私は身をもって体験しております。通産省というところはともかく業者の代表と手を結んでおることはもうはっきりしておるのであります。  もう一例を申しましょうか。四国に室戸岬のところに奈半利川という川がある。この奈半利川の利権、これの開発を四国電力がやるか住友共電がやるかという争いがありました。昭和三十三年ごろです。そうすると時の通産大臣、名前はやめておきましょう、どういう解決をしたかというと、奈半利の開発については四国電力に渡す、そのかわり徳島県が三年前につくった長安発電所の発電量を、一キロワットアワー一円七十五銭をもって毎日毎日の発電量の三分の一は住友共電に渡すという契約をさせたのであります。いまでもその契約は残っているのです。通産省というのは電力会社とぐるになってかくのごとく自治体を苦しめてきたのが実態であります。  江崎さんはそういうことをなさらぬと私は思いますが、通産省の役人諸君はちょっと役人としてのあり方を考えていただきたい。この四国電力のやり方に対しまして、私は心の底から怒りを覚えておるのであります。これが私が東京へ出てくる動機の一つにもなったのであります。  いずれにいたしましても、公益事業の名の電力会社、しかも独占さしておる、この電力会社のあり方というものを再検討していただきたいと私は思うのですが、どうでございますか。先ほども申しましたこの新しい事件として、自殺者が出た、汚職事件が出る、こういうような電力会社のあり方、そしてそれが火力発電所あるいはまた原子力発電所に絡んでおる問題、電力会社に対してもう少し厳しくやっていただかなければならぬと思うのですが、いかがでございますか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 前段の原子力発電の問題につきましては、これは石油の限界、それから昭和五十七年に来るという電力不足の事態などで会社そのものも非常に焦っておる。特に、原子力発電所などエネルギー源を多角化しようというために非常な焦りを感じておることは、早く建設したいという熱意に燃えておる、これはわかりますが、いまお話のあったようなことが事実だとすればやはり行き過ぎだと思います。地元の協力を得ることが大事でありますから、口では言っておりましても、どう協力を得るかという具体的なことになりますと、熱意の余りつい行き過ぎがあったりということも世の中にはありがちでありますが、そういうあたりについては、今後とも私ども通産省はよく配慮をしてまいりたいと思います。  それから、通産省の役人が四国電力と何か結託をしてといいますか、そういう話は私は具体的に知りませんが、通産省の役人というのはなかなか堅実でよくやるなと思って、私は赴任以来そういう認識に立っておるわけでありますが、数の多いことでありますから、過った者が、地方の通産局等含めてもし何かあるというのであれば、これは綱紀をきっちり粛正していくことは言うまでもないことだというふうに思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 大臣、あなた素直におっしゃいますから、それじゃ昭和三十三年ごろに住友共電と四国電力との間に結ばれておる契約書をお調べになって御報告願えますか。

豊島格資源エネルギー庁公益事業部長

○豊島政府委員 ただいま先生の御指摘になった契約書の有無について、私は現在のところ存じておりませんが、調べた上で御報告いたしたいと思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 もしそういうことがあれば、これは大臣にも御報告していただきたい。そういうことがあれば、大臣としての処置はいかが取り計らいますか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 よく報告を聞きまして、報告の事態がもし不正なものであるというなら、二度とそういうことのないように十分心得たい、また部内もよく引き締めてまいりたいと考えます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 大臣、言葉を非常にともかく巧妙に使われる。不正なこととおっしゃいましたが、不正なということは刑事事件という意味ですか。私は違うと思うのです。これは先ほども行き過ぎだ、行き過ぎがあるとおっしゃる。これはもうすでに刑事事件になっているのですよ。行き過ぎというよりも行き過ぎているのですよ。こういうような体質を直させなければならない、それが監督官庁としてのあり方じゃございませんか。先ほども申しましたが、子会社をつくって土地には手を出す、資材購入は一括して入れる、そこを通さなければ買わない。これは九電力全部やっているじゃないですか。御存じならこれを直さなければならぬでしょう。高齢者の対策なんてうまいこと言いますけれども、それはいつつくっているのですか。高齢者問題のないときですよ。そういうことを平気でやってきているのがいまの電力会社です。しかも、地方におきましては、電力会社といったらともかく産業の親分みたいな顔をしてすべてに君臨するような態度をとっている。それがそういうことをやるから、四国電力でもあるいは東京電力でもこんなことを許されるのだからということで、あらゆる会社がつくっているのじゃないですか。公益事業であるこの電力会社でさえああいうような金のもうけをするんだ。だから、われわれもつくっていいんだ。銀行もそうなのですが、子会社をたくさんつくって、そしてともかくやっておる。これが最初申しました商業道徳をともかくゆがめるもとになっておる。大臣は、商道徳というのは大切だとおっしゃる。おっしゃるなら、手元にある監督ができる、そこでやろうじゃありませんか。すべてそこから問題は出てくる。これが弱肉強食の資本主義を少しでも直すゆえんではないかと私は思うのですが、どうでございますか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 電力会社は公益事業ですから、その社会的な意義とか責任とかというものをよく認識してもらうことは当然必要だと思います。  実態などにつきましてはひとつ十分調査をしたいと思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 私はたくさん御質問したいことがございますが、時間がございませんので、あと簡単に申し上げます。  三井グループがイランにおきまして石油化学工業をやろうとして問題になっております。これに借款を与えるのは、いつお決めになったのですか。

宮本四郎通商産業省通商政策局長

○宮本(四)政府委員 先日ある新聞にその旨報道されておりましたが、そういう新しい方針は決定されておりません。ただ、この三井グループが現在まで五千五百億円の規模で計画を進めております、イラン側と日本側と折半いたしまして。その中に円借款というのを輸銀から供与をいたしておることは事実でございまして、二百八十八億円でございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 これはいつごろから計画したのですか。

宮本四郎通商産業省通商政策局長

○宮本(四)政府委員 このプロジェクトの経緯は長うございまして、御存じかと存じますけれども、かつてあそこにイランの石油開発のプロジェクトがございました……(井上(普)分科員「いつからでいい」と呼ぶ)ちょっとレコードを見てお答え申し上げます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 この三井グループがイランへ進出する、あるいは三菱グループがサウジに進出する、あるいはまた住友グループがシンガポールに進出する、これは大体万博の前後じゃございませんか。

宮本四郎通商産業省通商政策局長

○宮本(四)政府委員 本計画は七〇年代の初めからでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 もっと古いはずです。いいですか、そのときは石油化学というのはおいしかったのですよ。もうけがたっぷりあったのです。だから三井グループが、これは最初は二千五百億で始まったのですけれども、それで進出を始めた。そしていざというときになりましたときに石油ショックで石油化学商品がともかくだぶついてきた。その上へもってまいりまして物価が上がってきて五千五百億円になってきた。これじゃたまらぬ、政府に助けてくれと言っておるのが現状の姿じゃございませんか。もちろん、国とすれば石油をイランから輸入しなければならぬという大きな問題がありますので、それにかこつけて、それをカタにとってと申しますか、この三井グループがいま政府に対して援助を求めておるのじゃありませんか。政府の態度としては、先日も新聞では、また大臣もこれは援助しなければならぬというようなことをちょっとおっしゃったやに承っておるのです。これはどうなのです。どういうやり方を今後しようとされておるのか。まだ決まっておらないのなら決まっておらないで結構ですから、おっしゃっていただきたい。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 まだ具体的に今後どうしてくれという相談を受けておらない段階であります。ただ、私がいつも表現しておる話をもしここで簡単に言うならば、三井グループがあのプロジェクトを八〇%まで完成をさせた、そして他の国々の技術者が国外へ退去したにもかかわらず、三井グループはこの仕事の責任上完成をさせたいという基本的な方針のもとに滞留した。ただ、旅券が切れるというと、これはいま手続を更新する事務機能が麻痺しておるそうでございますので退去しなければなりませんが、極力とどまって完成をしたいというその誠意は今度の新政権にも認められておる、それは大変結構なことじゃないかと言ったことはありまするが、今後の方針をどうするかという点については、まだ具体的にどうということが決められたというふうには聞いておりません。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 方針が決められたとは聞いておりませんといったって、あなたが決めるのでしょう、大体。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 そういう下準備が進んでおるとは聞いていないのであって、いよいよ協力するということになりますれば、もちろん私に協議があり私が判断する、当然のことだと思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 そこで、この問題は福田さんが昨年の九月イランを訪問したときにも何かお約束になっているようであります。あるいはまた完成させることに努力するという話をされておるし、国としても援助するというようなことを言われているようであります。  同じように三菱もサウジに、これはまだ余り進んではおりませんけれども、やはり石油化学をつくろうとした。それからシンガポールにおきましては住友が、これもやはり万博時代なのです。おいしいときなのです、石油化学というのは。全部ともかく約束してしまって、シンガポールも一つの島を、これは住友が来るのだといって、待ち焦がれておるというような状況なのです。これはうっかりすると国際問題、外交問題にも発展しかねぬ問題だと私は思うのです。しかしともかくいままでは政府に対しては、こういうプロジェクトをやりますからという報告ぐらいのところでやっておって、さあ損になってきたらひとつ税金でカバーしてくれでは始まりませんよ。もちろん、われわれは石油輸入ということの重大性を、エネルギーの重大性というものを知っています。知っておるけれども、企業が余りにも得手勝手なやり方をやっておる、このことについてはやはりチェックすべきことはチェックしなければならぬと私は考える。いたずらに、ともかくイラン政府に対して約束したから、あるいはサウジに対して約束したから、政府同士で約束したからといって無限にこれを進めるということについては私は大きな疑問を持たざるを得ないのです、いままでのやり方からすれば。おいしいときには、ともかく利益の上がるという見通しのときにはどんどん進めていって、そして世界的な不況になってきて、石油消費がだぶついてきた。売れなくなった、だから建設も、こういう国家的事業なんだからひとつ助けてくれというのでは始まらないと思うのです。それならそれで最初から政府に対して相談の上、十分な援助を求め、国会の同意を得た上でやらなければならない。そういうことをやらずに、やがて三菱もまた問題になるでしょう。そういうときには毅然とした態度をとって臨まれることを強く要求いたしたいと思うのですが、いかがでございますか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 この事業そのものの国家的な意義、それからいまおっしゃるような筋論、こういうものを十分踏まえて判断することは、もう当然のことだというふうに私どもは考えております。よく御趣旨は承りました。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 特にシンガポールにおきましては、私が先日参りますと、シンガポール政府の諸君から、住友グループが来るのを実は待ち焦がれておるのだ、工場誘致も続けておるのだ、ところが来てくれない、これはもうすでにつくってから五年にもなるのですというようなことを言われたのです。ああそうですかと、私はともかく日本の商社がそういうことをやっておって約束を守らぬというのも気恥ずかしい思いはしたのです。しかし、これも先ほど申しましたような弱肉強食の世の中です、特にひどいのですから。約束なんというものは守らなくていいというような態度でいま住友グループはおるのではないかと思うのです。これがどういうように影響してくるか。今後ASEANというのはわれわれにとりましては非常に重大な諸国であります。そういう点から特に御調査をしていただきまして善処されるよう強く要求いたしておきたいと思います。  終わります。

森清自由民主党

○森(清)主査代理 宮田早苗君。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 短い時間でございますので、私は、エネルギー問題と中小企業施策に焦点をしぼって質問をいたします。  まず、イランの政変をきっかけにわが国政府がイランへの特使の派遣とか、あるいはまた来月早々パリで開かれますIEA理事会へのエネルギー庁長官の派遣とか、それなりの対応をしておいでになるわけですが、通産大臣にイランの政情認識についてお伺いをするわけです。  日本に対しまする石油供給あるいは三井石油化学のコンビナート建設に対してのイランの反応が好意的だという報道が伝えられてはおりますが、その後のイラン国内の内紛、またアメリカの強硬とも言える外交姿勢、これらを見てまいりますと、政府の現状認識でいいのかという疑問を持つわけでございますが、その点について大臣の所見をまずお伺いをいたします。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 バザルガン政権がわが和田大使を数次にわたって接見しました場面では日本に対して非常に好意的である、これは連絡の電報によりましても、また現地を含めてのマスコミの報道等を見ましても御理解いただけると思います。  しからば、イランの政情がどの程度で、本当に安定し治安が確保され、またバザルガン政権になってから、首相みずからが石油輸出国として早く生産を軌道に乗せたいと言っておられまするが、それがいつごろから再開されるものかなどについてはまだ不確定要素が多いと考えます。したがいまして、いま、いつからどうなってということを具体的に言える立場ではありませんが、今日私ども、長期に及べば日本の石油事情には大変な影響があるということはしばしば言ってきたところであります。しかし一−三月の時点で、一両日以前の報告によりますると七千四百万キロリットルは入手できる、そうすると昨年同期よりは二百万キロリットル程度とりあえず石油需要期において輸入確保ができたということは朗報である。しかし、大筋においてはもとより節約が大切でありまするので、今後とも省エネルギー・省資源対策推進会議の決定に基づきました趣旨を中央地方ともに国民の間にも徹底をいたしまして節約を図っていきたいというふうに考えます。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 そこで、イラン政変の以後、エネルギーの安定供給のための国内備蓄が改めてクローズアップされておる時期と思います。IEA理事会の結果によっては備蓄の今後の方向が変わってくる可能性もあるのじゃないかと思うのです。五十四年度千万キロリットルの積み上げを目標にしているわけですけれども、この見通しについてお伺いをいたします。

神谷和男資源エネルギー庁石油部長

○神谷政府委員 御指摘のとおり、五十三年度予算で一千万キロリットルの国家備蓄を目標といたしまして、現在地点をいろいろ調査いたしております。さらにこの恒久的な備蓄設備ができますまでのつなぎの間といたしまして、タンカー備蓄で五百万キロリットル一応現在備蓄を行っております。このタンカー備蓄が終わりました直後にイランの動乱が起きたわけでございます。その後政府といたしましてはタンカー備蓄をさらに積み上げる方針を打ち出してはおりますが、現在のような石油需給情勢でございますので、いま備蓄用の油を買いあさるということは国際原油市場に好ましくない影響を与えると思いますので、これは計画のままで推移いたしておる、こういう状況でございまして、基本的には、タンカー備蓄の積み増しを現在ちょっと見合わせておるほかは、従来の、御指摘のような方針どおりで現在進めております。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 備蓄の問題についてですけれども、昨日の報道にもございましたが、公団による国家備蓄基地の立地候補地点としてむつ小川原、福井の両地点が決まったということなのでございますが、その他の地点についての見通しはどうなっておるか、お伺いいたします。

神谷和男資源エネルギー庁石油部長

○神谷政府委員 昨日二地点が決定されたという報道がございましたが、正確に申しますと、まだ決定はいたしておりません。  御高承のとおり、一千万キロリットルの備蓄基地をつくるための候補地といたしまして、ただいま先生お示しになりましたむつ小川原、福井のほかに白島、上五島、この四地点を有力な検討対象候補地点ということにいたしまして、現在中立的な機関に委託してフィージビリティースタディーを行っております。その結果が近く取りまとめられる、こういう運びになっておるわけでございますが、最初申し上げましたむつ小川原、福井は陸上備蓄でございますので、問題はさほど大きくなかろうという一般的な推測がなされておりますので、あのような報道になったと思っておりますが、正確には、現在四地点のフィージビリティースタディーの報告を待ちまして、その上公団では委員会等でさらに審査した上で、逐次現地の状況を見ながら決定の運びにしていきたい、こういう状況にございます。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 そうすると、いま予定されております四地点は一応スタートラインに並んでおる。もちろん備蓄の基地そのものの考え方というのか、陸上基地、洋上備蓄ということの違いはございましょうけれども、報道で出ておりますむつあるいは福井ということが先行して、白島、上五島が後に行われるというふうな認識でよろしいのですか。

神谷和男資源エネルギー庁石油部長

○神谷政府委員 ただいま御説明いたしましたように、フィージビリティースタディーの結果がまだ出ておりません。したがいまして、四つのうちどれがどうもよさそうで、どれがむずかしそうかということは現時点では申し上げられませんが、陸上の二地点につきましては、これはだれが考えましても余り大きな問題はなかろう、むしろ地元の関係だろうと思っております。ただ、洋上は何せ初めての技術でございますので、安全の上にも安全に、慎重の上にも慎重に検討を進めてまいりたい、こういう方向で委員会も非常に回数を多く、いろいろな問題を詰めておりますので、この結果につきましては、その委員会の慎重さがどういうふうな報告になって出てくるか、これは報告を受けてからわれわれとして判断いたしたいと思っております。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 イランの輸入量の減少もさることながら、国際的に見て、石油は重質油時代に入りつつあるのではないかというふうに思うのです。といいますのは、中国原油の処理施設も依然はっきりしていないのでございますが、石油化学業界でのナフサ不足の傾向等を見ますときに、重質油時代への対応を早急に立てなければならなくなっている、こう思いますが、エネルギー庁の考え方いかがですか。

神谷和男資源エネルギー庁石油部長

○神谷政府委員 御指摘のとおりに、原油の重質化、これは、中国原油のみでございませんで他の原油等もございますので、重質化が進んでおります。他方、製品需要の方は軽質化が御承知のように進んでおる、これは中間留分の灯油等も含めて軽いものの需要の方が大きく伸びておる、こういう状況にございますので、原油の供給と製品の需要のパターンでギャップができておる。これに対処しなければならない。さらに中国原油の導入等政策的な意図、あるいは原油調達源の多角化といったようなことを考えますと、重質油をいかにこなしていくかというのは現在のエネルギー政策に課せられた非常に大きな課題の一つであると考えております。したがいまして現在、通産大臣のもとに重質油問題懇談会というものを設けまして、万般にわたって検討いたしております。  その一環といたしまして重質油分解技術、これは若干の技術はございますが、日本に一番適した技術、日本の需要パターンに合った技術を開発しなければならぬ、こういうことでございますので、現在御審議いただいております予算案の中に、その研究を明年度からスタートする、こういう案が計上されておると了解いたしております。これを中心にいたしまして、他の諸施策をあわせ進めながら、重質油時代に対応していきたいと考えております。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 中国の重質油引き取りについては、一応貿易の協定ということで約束ということになっておるわけでございますが、いま御答弁を聞いておりますと、研究段階だというような傾向でございまして、余りこれが長く延びてまいりますと、約束違反という、これは石油だけにかかわらず他の貿易関係に影響するおそれもなきにしもあらずじゃないかと思います。一応研究、それから日本に合う分解装置ですか、そういう点についていつごろをめどにそれをなさるのか、もう一度お聞きいたします。

神谷和男資源エネルギー庁石油部長

○神谷政府委員 現在の石油開発は三ないし四年ということで、一応四年を目標にいたしております。ただ、いろいろな技術をあわせ並行して検討していきますので、そのうち早いものは三年ぐらいにめどがつくのではないかと考えております。  それから重質油対策といたしましては、少量のうちは分解にかけませんでも、むしろいろいろ石油製品の規格の見直しであるとか、あるいは原油生だきを、環境面を配慮しながら、どのくらい軽い生だきを重い生だきに転換できるかというような点もあわせ検討してまいりますので、これらの措置によりまして、現在約束しております千五百万トンの導入についてはわれわれは問題ない、こういうふうに考えております。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 備蓄の問題に関連するわけですが、政府は、原油の供給不足に際しましては、当面民間備蓄の取り崩しを表明しておられるわけです。石油公団によりますタンカー備蓄原油の取り崩しはどういう事態で判断されるのか、この点もお聞きいたします。

神谷和男資源エネルギー庁石油部長

○神谷政府委員 まず当面は民間備蓄の取り崩しにより対処いたしまして、さらに事態が急迫してまいりました場合に国家備蓄を放出する、こういう基本的な考え方でおります。  さらに具体的にどういうことになったらやるかというのは、なかなか定性的にも申し上げにくいのでございますが、石油需給適正化法を発動せねばならないような事態になった場合には放出する、こういうふうに御了承いただいて結構だろうと思います。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 そうすると、タンカー備蓄の取り崩しをおやりになるという事態になりましたときには緊急事態という認識でよろしいのですな。

神谷和男資源エネルギー庁石油部長

○神谷政府委員 御指摘のとおりでございます。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 政府は石油の節約の対応策を決めておいでになるわけですが、節約の第二段階として、電力、鉄鋼、セメントなど、石油を大量に使います需要家に対しまして石炭への切りかえを促しておられるわけです。しかし設備面からいって、そうそう簡単にいくものじゃないと思います。かなり長期的な対応策といわざるを得ないわけですけれども、これの指導をどういうふうになさるものか、お聞きをいたします。

豊島格資源エネルギー庁公益事業部長

○豊島政府委員 エネルギーの脱石油化ということは当然のことでございまして、鋭意電力でも電源の多角化ということでやっておるわけでございますが、その中で石炭につきましては、非常に原子力に次いで大事なものであるということで、いろいろと指導をしておるところでございます。当面すぐ短期的な点につきましては、先生の御指摘のように、貯炭の問題のほかにそういうたく設備がないとか、環境問題が一番大きくございまして、地元との協定その他で、全くたき増しができないということではないと思いますが、微々たる量であると思います。それから長期的の問題につきましては、国内炭だけで足らないわけでございますから、当然輸入炭の開発輸入ということも考えなくてはいけませんし、あるいは公害問題につきまして、脱硝問題ということにつきましても、いわゆる技術開発ということを現在やっております。さらに石炭液化というような開発についてもアメリカとも協力してやるということで、あらゆる方面から各分野にわたって石炭火力の増強ということを考えておりまして、大体六十年ぐらいに一千万キロワットまで持っていこうということで進めておる次第でございます。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 石炭問題ということで、先般新聞に通産大臣、二千万トンの量を確保するのだ、こういう記事も出ていたわけでございますが、輸入炭と国内炭をそういう形でおやりになる、これは当然私たちも希望するわけでございますけれども、その際、差額の問題について相当な費用というものがかかるのじゃないかと思いますけれども、今日考えられております予算の中ではなかなかそれはむずかしいのじゃないかと思いますけれども、そういう問題について大臣、近い将来、どのような金融的な施策をなさるのか、決意のほどをお聞きいたします。

豊島格資源エネルギー庁公益事業部長

○豊島政府委員 ただいま先生が御指摘になりました国内炭と輸入炭との関係でございますが、輸入炭が入ってまいりますのは相当先のことでございますが、大量に入るのは先のことですが、当面は油との価格差というのが非常にあるわけでございまして、この点につきましては、昨年来相当大きな問題になりまして、特に電力につきましては、北海道電力が国内炭を主として使うということで経営が非常に悪化している、ほかの企業は為替差益で還元ができるような立場にあるということで非常に格差が出てきておるということでございまして、石炭特別会計の中から増加引取交付金というのを大体十億ばかり北電のために出していただくことになったわけでございますが、今後これだけでは解決しない問題についてどうするかということを検討することが決まっておりまして、大体六月までにその結論を得ることになっておりますが、その具体的方法については、いろいろな方法が考えられるわけでございますが、目下鋭意検討中ということで、検討の結果を待って御報告いたしたいと思っております。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 石炭に切りかえるということについては私どもも希望するわけでございますが、何しろ今日御存じのように貯炭も三百幾らですか、相当あるようでございまして、石炭関係大変に困っておいでになると思いますので、それらの処置を含めて、通産大臣のおっしゃいましたように二千万トンという目標を確立するように格段の努力をお願いをいたします。  さて、国家、民間備蓄の施策の推進によって九州や東北地方での基地立地が、いまの答弁でもございましたように、かなり具体化してまいっておるわけでございます。  このような地方のエネルギー基地立地に国の出先でございます通産局もそれなりの体制整備を図らねばならないと思います。たとえば福岡通産局では機構改革を検討しているわけでございますが、通産省は基地の災害等の防止対策も含めて、どのように対応なさっておいでになるか、その点お聞きいたします。

神谷和男資源エネルギー庁石油部長

○神谷政府委員 御指摘のように、備蓄の事業がふえてまいりますと、地方の仕事が非常に大事になってまいります。特に九州では国家備蓄の先駆けであるタンカー備蓄が十ぱい橘湾に入っております。これの安全確保の問題、地元との調整の問題等非常に多くの問題があるほか、いろいろな先ほど申し上げましたような候補地点もございますので、まず地方のうち福岡通産局に来年度かち石油課を新たに設置するという方向で関係方面と折衝し、事務的には一応の了承を得ておる、こういう段階になっております。今後地方の実情に応じまして地方の機構整備も図ってまいりたいと考えております。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 中小企業問題について今度はお伺いするわけでございますが、通産省は今国会に産地中小企業対策臨時措置法というものを提出することになっておられるわけですが、昨年末の急激な円高で、輸出依存型の中小企業分野では、この法律に大変な期待をしておるのじゃないか、こう思うのです。従来の中小企業施策との関連等を含めて、本法のねらい、あるいはまた今後のスケジュールについてどのようなお考えを持っておいでになるか、お聞かせ願いたいと思います。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 いまお話がございましたように、輸出産地を形成しております中小企業につきましては、一昨年の秋以来引き続きます円高によって、大変な困難な状態に陥っておるわけでございますが、それに対しましては、昨年の二月にいわゆる円高対策法を制定していただきまして、主として中小企業に対する緊急融資、低利長期の運転資金を供給するというふうなことを中心に、そのほか税制等の特例措置を含めまして、当面の対策を実施したわけでございます。その当面の対策の結果、中小企業、ことに産地の中小企業も破局的な事態に立ち至ることは一応回避できたわけでございます。  しかしながら、将来を考えますと、そういう緊急対策だけでは将来そういう輸出産地が成り立っていくとは思われません。むしろ中長期的な将来を展望しながら今後産地の中小企業がどのような形で活路を見出すかということがこれからの課題になってくるということを考えておりますし、最近円の相場も比較的落ちついておりますので、この時期にひとつ輸出産地を中心とする中小企業の方々が新しい活路を開いていくという芽を出したいということから、この法案を立案したわけでございますが、そういうことでございますので、むしろ産地の組合を中心に産地の新製品の開発とか、新技術の開発とか、あるいは新しい市場の開発、マーケットの開発でございますが、こういうふうなことを組合を中心に、また個々の中小企業者が計画を立てて実施をするということを、国の補助金とか政府系の中小企業三機関の低利融資というもので促進をしよう、また税制上の恩典も出すとか、あるいは信用保証協会の保証の別枠も出そう、こういうことを集中的に実施をしてやっていくつもりでございます。  現在、法制局その他で法律案の準備をいたしておりますが、近く政府として原案を決めまして、三月の上旬には政府案を決めて国会に提出ができるというふうな段階に立ち至っております。  現在、中小企業の産地というものは全国で大体二百とか三百あるとか言われておりますけれども、準備の整ったところから、初年度九十ぐらいを目標にだんだん指定を広げていきたいと考えております。そういうことで、今後一、二年の間に産地を指定いたしまして、逐次その計画の実現を図っていきたいということでございます。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 最後にお聞きいたしますのは、例の地域指定の問題について、一次の問題についてはすでに決めてあるわけでございますが、二次指定ということでいま検討の最中ではないかと思います。  ところが、通産省のお考えになっております地域指定と自治省が考えております地域指定とではお考えが若干変わっておるのじゃないかと思いますが、要は、通産省が指定をなさるということに対しまして、景気の芽は出たといえども、それぞれの不況地域ではそれに非常に大きな期待をしておるわけでございます。この二次の関係についてはどういう傾向になっておるか、もしなさるならいつごろそれを発表なさるものか、お聞きをいたします。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 御指摘の特定不況地域対策法につきましては、法律に地域の指定要件がございまして、その指定要件に合致するものを第一次で指定したわけでございますが、引き続き各地の状況を絶えず県等を通じまして調べておりまして、指定要件に達する地域があれば指定の追加をするという形で調査をいたしております。  いまのところ、いますぐ指定をしなければいけないという事態にはなっておりません。といいますのは、景気の回復につれて若干雇用条件等がよくなりました地域もございます。しかしながら、地域によりましては今後いわゆる親企業の合理化が進むところもあるやにわれわれも予測しておりますので、その事態の推移を見守りながら適切に指定をしていきたいと考えております。したがいまして、絶えず県等それから関係省庁とも連絡をとりながら、必要があるときには迅速に処理をいたしたいと考えております。

宮田早苗民社党

○宮田分科員 最後に要望しておきます。  地域指定の問題にいたしましても、絶えず通産省の方が御指導なさる諸問題にいたしましても、いまの時期が一番重要な時期じゃないか。芽が出かかったからそれであそこは大丈夫だということでなしに、この状況のときに、あらゆる法律の適用あるいは施策の適用によって初めてそれが成長という一つの方向になっていくのじゃないかと思っておるわけでございまして、そういう面から、大臣を中心にいたしまして、格段の注意を払いながらその芽を伸ばすような方向の施策ということを特にお願いをいたしまして、質問を終わります。

森清自由民主党

○森(清)主査代理 この際、午後二時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後三時開議

笹山茂太郎自由民主党

○笹山主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管について質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 私は、株式会社興人の会社更生法による再建の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  大臣、思い起こしてもらいたいのですけれども、昭和五十年八月に興人及び関連企業が会社更生法の適用申請をしてからちょうど三年六カ月を経過しております。興人や興人化成、コーデラン工業、関連企業合計約二千億円の負債で戦後最大の実質倒産がありました。私の地元の興人の八代工場は系列会社を八つ持っておりまして、二千人ぐらいおったわけです。下請が千人ぐらい、合計三千人ぐらいの従業員が働いておりました。八代市というところは人口十万ぐらいでございまして、約一割は興人の関係者が住民でございます。この興人八代工場というのは昭和十二年に創立されまして、それから四十年、いまこの工場がありますところの地名は、旧社名が興国人絹パルプと言っておりました関係上、八代市興国町、こう言われて会社の名前が町の名前になっているというようなところでございますし、こういう点からも経済的にも歴史的にも地域と非常に深い、広い関係を持っておりまして、この倒産のニュースが伝わりましたときに地元の人は昭和二十年の敗戦のニュースを聞いたときと同じようなショックを受けた、このような状態であったわけでございます。  私は直ちに、昭和五十年十二月にこの問題を国会で取り上げまして質問したのですけれども、そのときに通産省は、工場の地域に持つ影響とか工場の価値を考えて、基本的な方針として、再建する方向で積極的に取り組むという姿勢を示していただいたわけでございます。  そこで、最初は事務当局に御質問申し上げますけれども、この更生計画案というのが、現在三年六カ月たっておるわけですけれども、でき上がっておるのかどうかということです。内容は後で質問いたしますので、でき上がっているかどうかという点と、更生手続がどのような順序で行われて、終結決定は大体いつごろになる見込みか、言えば名実ともに再建のスタートが切れるのはいつなのだろうか、こういう時期的な見通しをまずお知らせいただきたいと思います。

栗原昭平通商産業省生活産業局長

○栗原政府委員 興人につきましては、五十年八月に先ほどお話しのように更生法の適用申請がなされました。早川種三氏が管財人に就任いたしまして、同氏を中心に再建計画の策定に努めておるわけでございます。そして、この更生計画の提出期限は本年の五月末ということに相なっておりまして、それまでのできるだけ早い時期に東京地裁に対しまして目下提出するべく関係者側との話し合いを進めているという状態でございます。  更生計画が提出された後のスケジュールでございますが、計画が提出された後一、二カ月の間に裁判所としては関係人集会等の開催を行い、その辺の一、二カ月程度を目途に更生計画の認可決定にできるだけ持ち込みたいということで会社側として努力中であるというふうに承知しております。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 早くいきますと、いまのスケジュールでは、ことしの六月、七月ごろには再建なり名実ともに再建のスタートができる予定であるということがでございますが、大臣、先ほど言ったような地元の要求でございますので、もう一日も早く再建できるように大臣としても積極的な努力をお願いしたいということがで、大臣の御決意のほどを最初承っておきたいと思います。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 基本的には、管財人の早川種三さん、それから債権者、関係者の話し合いで進められておるわけですね。現在のところ非常に順調に、再建方途が着々と軌道に乗っておるというふうに私ども報告を受けております。したがって、通産省としましても、地域経済への影響、これはいまお話しのように非常に大きな影響を持っておりますね。それから関連下請企業、これはいろいろな迷惑をこうむったわけですが、そういった悪影響の回避、それから従業員の雇用の安定、こういった見地からも管財人の再建への努力に期待しておるところであります。通産省としても果たす役割りについては十分努力してまいりたいというふうに考えます。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 計画案の内容についてちょっと御質問してみたいのですけれども、更生手続の開始日の未処理損失金が約八百八十億円あったと聞いておるのですけれども、この補てんというのは、完全にこの計画の中で見通しがついて、関係者の了解を受けておるのかどうか。聞くところによりますと、北国銀行、北陸銀行、福岡銀行、この三つの銀行が再建活動に絡みまして訴訟を起こしているということを聞いているのですが、こういう状態ならばなかなか更生計画はできない、裁判所にも出せないということですが、この見通しはどういうぐあいになっておるのか。  それから計画の内容で、一〇〇%減資益六十五億円を見込んであるわけですけれども、一〇〇%減資ということに問題はないのか、こういう点について、内容についてちょっとお知らせいただきたいと思います。

栗原昭平通商産業省生活産業局長

○栗原政府委員 更生計画の提出に当たりましては、ただいまお話しのございました銀行の訴訟の問題が障害になっておるということは事実でございます。北国銀行、北陸銀行、福岡銀行、この三行から財産評定に関します確定訴訟というものが起こされておるわけでございます。これについては関係者間で話し合いを進めておりまして、私どもが会社から聞いておりますところでは、今月末には取り下げるという了解ができておるというふうに聞いておるわけでございます。したがいまして、これの取り下げが可能になりますれば、障害が一つ除かれるということに相なろうかと思います。  それから、いま一点の減資の問題でございます。一〇〇%減資ということを管財人が考えておられるようでございますけれども、これが可能かどうかという話でございます。法務省の方からは一〇〇%の減資については必ずしも更生法に違反するものではないという考え方が示されておるというふうに承知しております。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 私が聞いております隘路はこの二点じゃなかったろうかと思うのですが、いま御説明を受けますと、訴訟の方も今月末取り下げる、一〇〇%減資も法的に問題がないということになりますと、期待しました更生計画が順調にいくのじゃないか、非常に喜ばしいことだろうと思います。  そこで、もう少し中身に入りましてお尋ねしておきたいのは、興人が、関連会社の興人化成、コーデラン工業というのがあるわけでございますが、この計画の中では、この興人化成、コーデラン工業の営業を譲り受けて興人一本の会社にしたい、こういうようなことが言われておるのですが、そのような計画の内容があるのですかどうですか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。

栗原昭平通商産業省生活産業局長

○栗原政府委員 更生計画の内容につきましては、実は私どもも詳細を承知しておりませんけれども、方向としては一本化の方向であるというふうに伺っております。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 更生申請当時、これは五十年の十一月ですが、興人に、八代工場のことですけれども、八百三十四名おりました。興人化成に四百十九名、コーデラン工業に百十九名、この三社で八代工場は千三百七十二名の従業員がおったわけですけれども、現在五十三年十月ですが、興人五百二十二名、興人化成二百九十七名、コーデラン工業四十四名で八百六十三名になっておりまして、五百九名の従業員の数が実は減っておるわけでございます。  そこで、更生計画の中身は余りよく知らないといまおっしゃられたのですが、実は一番ここが関心のあるところでございまして、この三社を一本化するというような方向の計画があるわけですけれども、統合する場合、いま言いました人間を減らそうという計画があるのか、現状でいこうという計画があるのか、あるいは強化拡充しようというような計画になっているのか、その辺のことは管財人からどういうぐあいにお聞きになっておりますか、ちょっと聞いておきたいと思うのです。

栗原昭平通商産業省生活産業局長

○栗原政府委員 まだ更生計画を正式に決定する以前の話でございますので、私どもも本件につきまして十分に申し上げる時点ではないと思いますので、明確にお答えできないわけでございますが、いずれにいたしましても、八代工場は興人の四つの工場のうちで最大の規模を誇る工場でございます。一本化が行われた後におきましても、当然最重要の工場として引き続き存続をさせるということでお考えいただいておるものと承知しております。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 大臣にお尋ねしたいのですが、実は地元のことを我田引水的に言うわけじゃございませんけれども、いま政府委員からも答弁がありましたように、この興人は、先ほどもちょっと人数を言ったのですが、倒産時は千三百七十二人おりまして、五億四千万くらいの赤字を出しておったのです。ところが、五十一年に人数が、これは前期ですけれども、千三百三十八人になりまして、ここで二千百万黒字になっております。それから、五十二年は人数は百三十八人減りまして千二百三十四名で、五十二年前期には五億二千万円くらい黒字なんです。そして、今日五十三年の前期では五百九名人間が減って、千三百七十二名おったのが八百六十三名になったのですが、何とこういう不況の厳しい中で十二億八千八百万黒字を出しているのです。こういう状況でございますし、いま政府委員も、興人の中でここは最大の工場だ、重要な工場だと言われましたし、中身がいま言ったような状況でございます。  そこで、実はこの八代工場というのはもうこういう状況ですから、興人の基幹工場として人数の上からもますます強化発展させる、こういう工場として再建をすべきだ、こういうぐあいに考えておりますし、実はちょうどこの更生法を適用いたしますときに、河本通産大臣から東京地裁の柳川裁判長あてに文書が出ております。この文書の中に、これは問い合わせに対する回答のようでございますけれども、「更生画計画の決定に際し、事前に当省の意見を聴取する等当省と密接な連絡をとりつつ更生手続きを進められたい。」これが河本通産大臣から柳川裁判長あてに出ているわけです。こういうこともあるわけでございますので、私は、さっき政府委員の答弁もありましたし、私の実情の説明もいたしたわけでございますが、通産大臣とされましては、ぜひこの八代工場というのを強化拡充、発展させるという方向で更生計画ができますように格段の努力を払っていただきたいということを通産大臣にお願いするわけですけれども、大臣の御見解を賜っておきたいと思います。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 八代工場、先ほどから私も承っておりましたが、興人の四工場の中では最大の規模を持っておる、売り上げ高も全体の四五%、従業員も三一%という、きわめて中心になっておる工場である、いわゆる重要工場ですね。したがいまして、興人が一本化後も、当然のことながら最も重要な工場ということで引き続き存続させる方針である、こういうふうに報告を受けております。ぜひそうなることを私も念じます。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 大臣も非常にお力のある大臣ですから、念じるだけではなしに、ひとつ努力をやっていただきますことをお願いいたします。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 努力をいたします。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 ありがとうございました。  そこで、いまやりとりもあったわけですけれども、私も微力ながら地元で努力をしている中で、あれだけ戦後最大の倒産と言われながら、よくここまで来たなという感じが実はしておるわけでございます。これはやはり早川管財人等の努力もさることながら、私はあの地元におるものですから、実は血のにじむような従業員の努力があっております。それから、関係業者も本当に物すごく協力しておりましたし、地域社会の支えというのも非常によかったのです。だから、そういうことでここまで来たと思うのですけれども、たとえばその中で、従業員の数の面から言いますと、先ほども言ったのですが、約三回の希望退職という名で、この八代の場合約五百名が職場を去っておるのです。ここまで来てから振り返ってみて、去られた人々に対しては本当に心の痛むような思いがするのですけれども、この八代で退職なさいました五百名ぐらいの再就職状況はどうなっているのかということを、これは労働省の方にお尋ねしたいと思います。

田淵孝輔労働省職業安定局業務指導課長

○田淵説明員 お答え申し上げます。  昨年の一月以降の数字しか現地の職安でいま把握しておりませんのですが、昨年の一月以降、興人八代工場、興人化成、コーデラン工業からの離職者は、私どもの調べでは三百七十一人になっております。一昨年に百八十人ばかりの配置転換とか若干の解雇もあるようでございます。それで、いま申し上げました三百七十一人の再就職につきましては、八代市の方にも就職対策本部が昨年一月に設けられ、八代職安を中心にいたしましていろいろ雇用対策を講じたようでございます。また興人八代工場の中にも就職あっせん部が設けられて、それとも連携をとって再就職のあっせんに努めておるようでございます。  その結果、その三百七十一人のうち、現在一年の職業訓練を受講中の者が十一名あるようでございます。それから職安の紹介によって就職した者が百四十名ございます。それから興人八代工場の就職あっせん部による就職が六十六名、それから自己就職の方が八十二名、それから現在まだ就職先が見つからずに求職中の方が七十名、二名ばかりちょっと不詳がございますが、大体そういう状況になっておりまして、現在求職中の七十名につきましては、まだ失業保険を受給中の方もおられるし、すでに保険が切れた方もあるという状況でございまして、今後とも引き続き紹介あっせんに職安としては努力してまいりたい、かように考えております。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 実はいま七十名ぐらい、職を求めても職がないという人が、路頭に迷っていると言えばなにですが、おるのです。こういう人たちに対しては一日も早く、労働省等も努力をなさいまして、ぜひ就職できるようにやっていただきたいと思うのです。そのほか関連企業、下請企業自体の犠牲、そこに働いておった人たちの犠牲というのが大分ございました。そういう点についても、就職のあっせんその他等もまたぜひ通産省からも御指導をお願いしたいのですが、時間がないものですから、これは要望をいたしまして質問を終わっておきたいと思うのです。  そこで、いま私は、犠牲を受け、去っていった人たちの話をしたのですけれども、去った人も大変でしたが、残った人も実は非常に大変でございまして、労働者は涙ぐましい努力をいたしました。倒産というのは何も労働者に責任があったわけじゃございませんし、倒産は当時の西山社長以下の経営陣が、西山さんは八代に来て、わが興人は列島改造産業として発展していくのだ、何かこういうことを言っていたので私も大分買っていたのですけれども、そういうような経営失敗のあったことは事実でございます。だから倒産というのは労働者に責任はなかったと私は思うのです。倒産したときには私も現地におったのですけれども、労働者は憤りましたし、しかも不安、動揺、混乱を起こしましたけれども、第一に生産の継続というものにふるって立ち上がったわけでございます。そして原料の確保なり燃料の確保であっちこっち飛び回ったこともございました。そしてまた工場の中では原料、燃料の節約運動だとか品質の向上運動、コストの低減など小集団活動をもとに果敢に取り組んでまいりました。そこに幅四メートル、長さ千メートルぐらいの工場排水路があるのですけれども、これもほかに発注せずに、従業員がどぶさらい等も全員参加で取り組んだというようなこともございました。そして減量経営の一環というのかどうか知りませんけれども、出かせぎもやりました。岐阜県の日興毛織なんというところに二十名ぐらいで六カ月ぐらい出かせぎに行きましたし、富山の呉羽自動車に二十七名で六カ月ぐらい、これも出かせぎに行きましたし、また日雇いもやりまして、堤防の草刈りだとかなんとかチームを組んでやった。物すごい、涙ぐましい従業員の努力が実はあったわけでございます。まだ言えばたくさんあるのです。私はここで少し従業員の涙ぐましい努力というものを言ったわけでございますけれども、こういう努力に対して通産大臣、どのような御見解、御感想を持たれるかを聞いてから次の質問に入りたいと思います。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 真情のあふれる御質問でして、さっきも期待をすると申し上げたわけですが、これは私が直接関係するわけじゃなくて、管財人や関係者で努力していただくことが第一義ですからそういう言葉を使ったわけですが、私どもも側面から果たし得ることについては誠意を持って努力をいたします、こういう気持ちでおります。質問者の御意見の存するところは十分わかりまするので、今後軌道に乗るように、しかも従来の累積赤字はともかくとして、幸い利益が現に上がっておるというのならば、これが速やかに正常な形に戻ることを深く期待いたします。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 そこで、余り時間がありませんけれども、従業員の労働条件です。これは先ほど言いましたように、人員が約四〇%削減されておるのです。そしていろいろ労働慣行がございまして、時間短縮だとか休日だとかいろいろあったのですけれども、こういうのも年間十二日間ぐらい返上しております。賃金等を見ましても、五十一、五十二、五十三年をとってみますと、全国平均が五十一年八%以上でしたときに五%ぐらいです。五十二年、これまた全国平均八%以上のときに二・六%でございます。昨年は全国平均五・九%のときに三%ぐらいです。それから一時金なんかを見てみますと、紙パ同業他社が五十三年大体六十八万円ぐらいの一時金ですけれども、興人は二十八万円です。四十万円ぐらいの差がございます。また年収にいたしましても、紙パの同業他社が平均が大体二百九十万余りですけれども、興人は二百二十万ぐらいで六十四、五万の差が実はあるわけでございます。  それで、非常に涙ぐましい努力をしながらこのような労働条件、賃金条件でございます。だから早川管財人と労働組合はいろいろ交渉もしておることだろうと思うのですけれども、早川管財人も通産省、労働省等ともいろいろ実情報告なり相談なんかすると思うのです。そこで通産大臣にお聞きしたいのですけれども、先ほど言ったような利益もあるわけでございますから、労働条件とか賃金とか、こういうのは人並みにして、あるいはまた非常にがんばっているわけですから優遇して、そして名実ともにりっぱな工場として再建できるように、こういう労働条件、賃金等についてもぜひ通産大臣の方から関係者と優遇するようにというような方向で話し合いをし、努力をしていただきたいと思うのですけれども、どうですか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 これは御趣旨はわかりますが、通産省がそこまで介入することはちょっとむずかしいのではないか。というのは、御承知のように債権を一応たな上げにしたり、当然金利などについてもたな上げという状況で、債権者を泣かせておりますね。そういう中で管財人に対してはたから待遇改善をしろ、こうしろああしろと言うことはなかなかむずかしい。やはり管財人が自主的に判断をして、よしということになれば、そこで管財人としての行動が出てくるわけでありますが、よく実情を見きわめながら無理のない姿で何か助言することがあればできるかと思いまするが、御趣旨の存するところはわかっても、それはちょっとやりにくいということは率直に申し上げなければならぬと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 直接的になかなか言いにくい点もわかるのですけれども、実は先ほど言いました通産大臣河本さんから、やはり裁判所等にも文書が行っている中に、管財人につきましては、雇用その他労働問題について高い識見を持つ者を選任されたい、こういうようなことで、そういう点も配慮してくれというような回答が裁判所にも出ているのです。だからこういう基本線は、なかなか直接言いにくい点はわかるのですけれども、私が言った点は通産大臣よくわかっておられるのじゃないかと思うのです。そして管財人も労働条件とかそういうものに理解のある者を任命せよとまで言っておられるわけですから、通産省はその趣旨に従って善処していただきたいということを最後にちょっと希望しておきたいのですが、いかがでございますか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 そういう点では、大きな倒産でもありましたし、管財人には早川種三さんというその道のべテランが当たっておられるわけですから、万抜かりないものと私どもも信頼を申しておる次第でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 ちょうど時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、ぜひよろしくお願いしておきたいと思います。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山主査 これにて馬場昇君の質疑は終了いたしました。  清水勇君。

清水勇日本社会党

○清水分科員 通産大臣もおいででありますが、私は、きょうは官公需印刷物の入札制度の改善と、一般印刷物の海外発注に関連をした質問をいたしたいと思います。  まず私は、政府が官公需法を制定し、これによって国及び地方公共団体等が中小企業者の受注機会の増大に努力する旨を規定されているわけでありますが、最初に中小企業庁の長官から、いま申し上げた点について順調に運営をされているのかどうか、所見を承っておきたいと思います。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 いま御指摘がありましたように、中小企業者に対する官公需の確保につきましては、法律がございまして、その法律に基づきまして、毎年度、中小企業者に関する国等の契約の方針というものを閣議決定いたしまして契約の目標を定め、それから契約に際して官庁として留意すべき事項を定めておるわけでございます。これは毎年実施しておるものでございますが、官公需総額に占めます中小企業者への発注割合というものの実績は年々着実に増加をしてきております。四十九年度には三〇・三%でございましたが、五十年度は三二・六%、それから五十一年度、五十二年度は三四%ということになっております。五十三年度につきましては、やはり昨年七月に方針を決定いたしまして、中小企業の契約の目標額を三五・五%という、実績よりも一・五%高い目標を掲げて現在努力中でございまして、われわれの方も、関係各省庁に呼びかけていま目標の達成に努力をさせておるところでございます。このように逐年達成率は上がっております。しかしながら、われわれは決してこれで満足しているわけではございませんので、この実施につきましては今後も十分に努力していきたいと思っております。  ことに最近は、中央官庁だけでなくて、中小企業に発注を増大するためには地方の官庁にそれぞれ分割発注をさせるということが非常に意味がございますので、それを推進しておりますが、そういたしますと、また地方、つまり中央官庁の出先等の職員にこういう趣旨を十分徹底しなければいけませんので、こういう点につきましても、通産省の出先機関であります通産局を中心に連絡機関を設けてやっておりますが、なお一層努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。

清水勇日本社会党

○清水分科員 いま長官からいみじくも、順調に推移はしているけれども、必ずしも満足をしているわけじゃない、こういうお話があったわけであります。私もお話を聞いて、なるほど包括的に言えば言われるとおりであろうと思いますけれども、それぞれのセクションといいましょうか、部分部分で見ておりますと、なお改善を要するものが多々あるのじゃないか、こう思います。  そこで、以下改善を要する点について若干ただしてまいりたいというふうに思うわけでありますが、その前に一つだけ聞いておきたいことがあります。  それは、去年の六月、私は官公需印刷物の入札制度について内閣に質問主意書を提出したわけでありますが、当時の福田総理から「官公庁の印刷物の発注に係る契約は、その契約内容によって、製造の請負契約である場合とその他の契約である場合とがある。」という答弁がございました。そこで一口で言ってもらいたいのですけれども、「その他の契約」というのは具体的に何を、どういう物品を指されているのか、お聞かせを願いたいと思います。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 主たる姿は、製造の請負というところであろうかと思いますが、場合によっては、印刷物をつくりまして、それのいわば買い取りというふうな形になっておる場合もございます。したがいまして、物品の購入という形になる部分も若干あるのではないかということでございます。

清水勇日本社会党

○清水分科員 そういたしますと、主たる契約は製造の請負である、こういうふうに解してよろしいわけですね。  そこで、それにもかかわらず実際にはそうなっていない、相変わらず印刷が物品扱いをされているというのがむしろ大勢ではないか、こういう状況もございます。私が言うまでもなく、釈迦に説法になって失礼でありますが、印刷業はもともと産業分類で言えば製造業、すべての印刷物は原稿をもらって見積もりをして、そして契約後に製造し納品をする、こういう形態からいって製造の請負であることはだれが見ても明白だ、こう思います。ですから、近年大蔵省や自治省が、製造扱いにすることに何らの不都合がない、こういうことを見解として示されておりますし、昨春でしたか、通産省や中小企業庁もその見解を支持するというような趣旨の表明をされているのだと思います。  そこでまた前へ戻るわけでありますが、にもかかわらず相変わらず製造扱いになっていない、こういう状況があるのは一体なぜなのか、この辺をひとつ簡明にお聞かせ願いたい。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 いま先生の御指摘になっておるポイントでございますが、実は普通の契約でございますと、製造の請負の場合も、それから一般の物品の購入の場合も原則は入札、特殊な状態にある場合は随意契約ということになっておるわけでございますが、その場合の入札の特例として、製造の請負の場合には必ずしもその最低に従わなくてもいいという会計法、それからそれに基づきます予決令の規定がございますが、差が出てくるところはその適用のことに相なるかと思うのでございます。ただその適用を、予決令によります契約の単価が予定価格一千万円以上の工事または製造の請負というものについては、いわゆる俗に言う二番札でもいいという規定が会計法にございます。ですから、それの適用をするかどうかという問題になろうかと思います。  ただ、この場合には、法律上の規定は、これも先生十分御承知だと思うのでございますが、極端な低価格で、契約の履行がされないおそれがあるという場合、つまり、たとえば一番簡単なものは、工事などでございますと、完成した後ではそれが十分チェックできないというような場合に、物品の購入と違う理由がございますのでそういう場合はいいというようなこととか、あるいは公正な取引の秩序を乱すおそれがある場合というようなことでやっております。したがいまして、具体的な問題として、印刷物について一千万円以上のものはいまのような扱いにすべきかどうかは、やはり個々の事情を判断してやっていかなければいけないと思います。  現実にそれを各省庁でどういうふうにやっておられるかということにつきましては、申しわけないのでございますが、われわれもまだつまびらかにしておりませんが、将来、この点の問題は各省庁とも十分御相談をいたしまして、いまのような法律の条文に当たる場合に適切な運用をやっていくということにいたしたいと思います。何分この問題は会計法との関係もございますので、実はこの会計法の所管官庁とも十分御相談をしなければいけませんし、検査院とも相談しなければいけないというような問題もございますので、ケース・バイ・ケースでこの問題は進めていきたいと考えております。

清水勇日本社会党

○清水分科員 いま御答弁になったところまで私はまだ聞いていなかったわけでありますが、先にお答えになられましたから、そのことに関連をしながらお尋ねをしたいと思います。  いまも述べられているように、たとえば印刷物が物品扱いという場合にはどういうデメリットがあるかというと、入札に当たって、いずれにしても最低価格の入札者に落札をするということなんです。けれども、製造の請負契約の場合には、そうではなしに、いま長官が言われるような、たとえば公正な競争の秩序を乱すような者についてはそれが外された形で次の順位の者に落札をする、こういうような取り扱いをされることなどを通して不当なダンピングあるいは過当競争というものをある程度チェックをする、そして適正な競争秩序を維持させる、またそのことを通して、さっき長官が冒頭に言われたように、中小企業等経営基盤の底の浅いものをどうやって力をつけていくか、企業の安定あるいは振興にどうやって寄与していくかというような政策的な配慮というものがなされているのだと私は思うのです。ですから一概に、製造の請負契約の場合にはなるほど予決令等によれば一千万円以上というようなこともございますけれども、しかし言葉をかえて、自治省の持っておられる地方自治法の二百三十四条でしたか、等の規定によれば、いまの金額というものを必ずしも基準にするのではなしに、全般的に配慮をするというようなやり方をなされている。中小企業庁サイドで考える場合には、少なくとも官公需を中小企業に優先的に発注をしていく、受注機会の確保を図っていくということを言われるならば、もともと零細規模のそういった企業が一千万円以上の請負が通常であるなんということはあり得ないわけですから、そういう点は少し考え方を整理をしてもらわなければならないのじゃないかというふうに私は思うわけであります。  そこで問題は、たとえばいま言われるように、大蔵省が会計法を受けて予算決算及び会計令というふうなものを持っておられる。これによると、製造契約の場合には予定価格を作成する、そして八十九条において、さっき長官が言われたような、公正な取引の秩序を乱すような者には落札しないのだ、こういう場合をきちっと定めておられる。ただ、それだけではなしに、さらに進んで次順位者、俗に言う二番札ということでしょうが、これを落札者とするというような規定もなさっているわけですね。自治省も、申し上げたように、自治法の二百三十四条の三項でしたか、それでこれに類似をしたいわゆる制限価格制というものを設けて、公正な秩序を破るような者は落札者にしないというような、少なくとも公正な取引の秩序というものを保つことによって適正な価格で契約がされるような、こういう方策を講じているわけですから、私は、この辺は大臣にもお聞きをしたいくらいなんだけれども、もうちょっと中小企業、とりわけ零細な規模が多いのですから、その実態に照らすときに、あながち一千万円というものを基準にして、それ以上のものは配慮できるけれども、それ以外のものは知らないなどというようなことは、まさに木を見て森を見ないようなやり方ではないか。だからこの点は、ケース・バイ・ケースなんというようなことを言わないで、当然運用を通じて配慮をさるべきではないかと思いますが、いかがでしょう。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 中小企業者に受注の機会を確保させるという趣旨、それからまたその受注をした場合に、いわば過当競争を惹起せしめないように適正な価格で受注せしめるべきじゃないかというような御趣旨については、われわれもしごく同感でございまして、これについて努力をいたしたいと思っております。ただ、会計法、それからそれに基づく予決令におきまして、現在そういう申し上げました一千万というようなラインが引かれておりますが、これについても、契約の大きさその他からこういう規定になっておるのでございますけれども、われわれといたしましては、また大蔵省その他とも絶えずこういう点について協議をいたしております。現在は、申し上げましたようにケース・バイ・ケースでの判断で、一千万を超えたものの中でもこれをいまのような制度にするかどうかということを判断にゆだねておるわけでございますが、本件の運用につきまして、あるいは一千万のラインが妥当かどうかにつきましては、われわれとしてももう少し検討させていただきたいと思います。

清水勇日本社会党

○清水分科員 いずれにしても、印刷に限らず、もっぱら中小企業等の分野に属する製品等の場合には、官公需といえども、建設業などは別といたしまして、もともとそれほど大規模な発注があるはずがないのですよ。ですから、とりわけ中小企業庁等の場合には、俗に言う運用の妙というものもありましょうけれども、先ほどの予決令等の規定を準用しながら、製造請負の扱いのものについては、たとえば二番札制度といったようなものを適用させるとか、あるいは公正な取引秩序を乱すような者については落札をさせないとか、こういう形で、せっかく官公需の発注を通じて中小企業の経営基盤を考えてやろうというのですから、そうだとすれば、しり抜けにならないためにはそこまでやはり配慮されなければいけないのじゃないか。これはきわめて政治的判断を必要とすることかもしれませんが、大臣、どうでしょうかね。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 いまの中小企業庁長官の答弁で尽きてはおりますが、中小企業庁としては三〇%で満足しておってはいかぬので、これを四〇%にも五〇%にもしていく努力、これは絶えず継続しなければいけませんね。これは非常にまじめな御質問でございまして、私もさっきから傾聴しているわけです。やはり大企業だからいいというわけのものじゃない。それは中小企業も仕事を適確にして、勉強もしてもらわなければなりませんが、大企業が受けて、また中小企業に下請に出すというようなケースも間々あるのですから、そういうところをよく見きわめながら、中小企業庁としては十分中小企業の期待にこたえる、これは私、必要だと思っております。

清水勇日本社会党

○清水分科員 いま大臣も言われるように、たとえば官公需印刷物等の入札状況を見ていると、現実には工場設備を持たない、たとえば広告社であるとか、その他の俗にブローカーと言われているような者が時にダミー会社の名前を使って入札に参加をする、もしくはみずから入札に参加をして、実際には一〇%、二〇%というようなピンはねをして中小企業に下請をさせる、こういうものが横行しているというのが、残念ながら実態なんですね。つまり非常に安い価格で落札をした上、さらにピンはねをされて下請をされるなんというようなことがあったのでは、これはもともと成り立つわけがない。私は先般の商工委員会で通産大臣と雇用問題で若干のやりとりをしたわけでありますが、今日非常に雇用問題が重要視されている。しかし、とうてい採算のとれないような単価で受注をすれば、それが何らかの形で雇用問題や労働条件の上に反映をしてくる、やがて企業が墓穴を掘るというようなことになりかねない。ですから、私は、この際どうしても、先ほどのお話で、原則的に印刷は製造の請負だ、ただ例外的に物品扱いもある、こういうことが一つわかりましたが、同時に、たとえば官公需の発注に当たっては、単に予決令ないし会計法に基づく一千万ということだけではなしに、そういう実態に即してやはり中小企業の振興に寄与できるような運用というものをしっかりやっていただきたい。これは注文であります。注文でありますが、一応所見は聞いておきたいと思います。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 御趣旨は、われわれも非常によくわかるわけであります。それでございますので、これは各省庁と官公需の確保のために絶えず会議を持っておりますから、その席で御趣旨のような、つまり中小企業が本来不利になるような契約を結ばざるを得ないということ、あるいはまたそういう中間的な人が契約に入り込むことがないように、そういうことについては十分注意をして措置をしていただくということにいたしたいと思います。ただ、現在会計法以下の法令がございますので、法令の範囲内で実行せざるを得ないわけでございまして、さらに法令自身を将来どうするかということはまた別にわれわれも考えたいと思いますが、現在の段階では法令の範囲の中でおっしゃるような趣旨を生かすような方策をわれわれも考えてまいりたいし、各省ともよく御相談をしてまいりたいというふうに考えております。

清水勇日本社会党

○清水分科員 その点は、くどいようですが、しっかりやっていただきたい。そのことを貫くことがやはり、政府が言われる予算の適正な使用といいましょうか執行といいましょうか、そういうことを貫徹するゆえんでもあろうと思います。同時に、官公需の発注に当たって、たとえば事業者が事業協同組合等を結成するという場合、建設業等の例で明らかなように随意契約制などを活用する、そういったことで受注機会の増大に特段の措置を図っておられるわけでありますが、印刷業等の場合はどうなりましょうか。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 協同組合等をいわば適格組合ということにいたしまして、それについては随意契約が可能だということにつきましては、建設業以外のものについても可能でございますので、印刷業についてもそういう点の活用が図れるというふうに思います。

清水勇日本社会党

○清水分科員 その点はよくわかりました。  次に、少し趣旨が変わるわけでありますが、昨年六月の内閣への質問の際に、一般印刷物の海外発注問題について見解を問うたわけであります。総理はその答弁で、韓国に対する発注の実態把握について検討しているというふうに答えておられる。しかし、私が実際に承知をしておるのは、通産当局では昨年の五月ごろから実態調査をすでに始めて、五十三年度中にその結果をまとめるという目標で活動されているやに聞くわけでありますが、簡潔で結構でありますが、もしわかっていたら実態把握の状況をお答え願いたいと思います。

栗原昭平通商産業省生活産業局長

○栗原政府委員 海外発注印刷物及び文字組み版の関係でございますけれども、これにつきましては、実態の把握が非常に困難でございます。統計上いろいろ調査をいたしましても、印刷物等というカテゴリーとしてしか把握できないという状態でございまして、現状を把握できるのは印刷物等の数字、たとえば五十三年の一−十一月につきましては、韓国からは十一億八千六百万円、台湾からは五億六千二百万円、こういった印刷物の輸入の数字は承知しております。ただ、文字組み版の関係につきましては、実態把握が非常に困難だということでそれ以上進展しておりません。

清水勇日本社会党

○清水分科員 私が承知をしている限りで申し上げると、日本国内における組み版の数量というのは、B5版に換算をして年間約一千万ページと言われております。そのうち約百万ページ、約一〇%、これが韓国等へ発注をされている。その量を労働力に換算すると、組み版だけで毎月当たり約五百人の労働量に相当する。これに印刷とか製版という部門をプラスすると、これは雇用面で見ても小さくないウエートを持っているのじゃないかと思うのです。さっきも雇用のことをちょっと申し上げましたけれども、通産大臣も最近はこれを大変重視されている。そういう点からいっても、やはり海外発注問題というものについてこの際再検討されてしかるべき時期に来ているのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 御指摘の点は非常に重要な問題だと私も思いますが、たとえばアメリカで、日本の商品が進出をして、これが雇用問題から一昨年爆発したわけですね。同じようなことがこの印刷物について言えるかと思います。韓国も最近は、インフレの傾向もあって賃金も大分上がってまいりましたので、その後は発注などにつきましても、ちょっと落ちついてきた、少なくなったというふうに聞いておりますが、そのあたりは今後とも配慮してまいりたいと思っております。

清水勇日本社会党

○清水分科員 まず問題なのは、大臣言われるとおり、貿易立国を標榜するわが国として、たてまえ上、その種のことに規制を加えるということは非常にむずかしい。これは事情としてよくわかります。ただ、最近はかなりコストが高くなってきていることは事実ですけれども、一面では、たとえば表紙だけは日本でつける、半製品の形で輸入をする、低料金の上にノンタックスという形で、現実の問題としてこれが国内における過当競争にかなり拍車をかける、こういう状況もあるわけです。ですから、そういう面で、文化財的な書籍だとか学術書等の輸入に関税をつけるということは問題でありましょうけれども、商売の利益を追求する意味で発注をされて半製品で入ってくるなどというものに対してまで関税メリットが保障されるというようなことは、わが国の産業がそれによってかなりの打撃と影響を受けやせぬか、こう思わざるを得ないので、その辺、むずかしい面もあるでしょうが、関税当局からも若干の見解を聞いておきたいと思うのです。

古橋源六郎大蔵省関税局企画課長

○古橋説明員 印刷いたしました書籍についての関税でございますけれども、いま御指摘の製品のものあるいは仮とじいたしました半製品のもの、これも同一の関税率の適用でございまして、基本税率につきましては明治四十四年から、いわゆるガットで譲許いたしました協定税率につきましては昭和三十年から、両方とも無税という取り扱いになっております。しかし、先生御指摘のように、それではこれを有税とすべきかということになりますと、いまお話をいたしましたように、明治四十四年から学術的な関係ということで無税にいたしております。もう一つはフローレンス協定というのがございまして、わが国も一九七〇年からこの協定に加盟をいたしておりますけれども、これによりますと、あらゆる書籍、いわゆる公序良俗に反するものを除きまして、これらにつきましては無税とするという協定がございまして、七十一カ国が入っております。さらにまた、ガットでもこれを譲許いたしております。そういうようなことでございまして、製品、半製品ともに無税といたしておりますので、特定のものだけを有税にしろということは技術的に非常にむずかしい。さらに、出版しておられる方はみんな自分で、これは文化的なものである、こう思ってやっておられるわけでございますので、そこらのところは特定の、おまえのところは文化的じゃないからだめだと言うこともなかなか技術的にはむずかしいのではないか、こういうふうに私は考えます。

清水勇日本社会党

○清水分科員 時間が参りましたから、最後に一言だけ文化庁へ要望といいましょうか、見解を問うて、終わりにしたいと思います。  実はアメリカでは自分の国に著作権のある書籍は海外で製作してはならないという規制をした法律がある、これによって海外発注が規制をされているというふうにも仄聞をいたしております。著作権という国のいわば文化財、これを保護するという立場からいっても、先ほど申し上げたような著書の発注が海外にどんどん行われるというようなことについては、そういう面で少し検討を要しやせぬかという感じがするのでありますが、見解を聞いておきたいと思います。

小山忠男文化庁文化部著作権課長

○小山説明員 現行の著作権法におきましては、国内における著作物の複製等について適用されるということでございますので、印刷等が海外で実施された場合にはわが国の著作権法は適用されません。ただ、そのような海外における複製が著作権者の著作権を侵害して行われる、しかもそういった権利侵害物が輸入される場合には著作権を侵害するという扱いにしておりまして、差しとめ請求等ができるようにしてございますが、著作権者の許諾を得ておる場合には輸入の禁止という制度は講じておりません。  先生いまおっしゃいましたように、アメリカ合衆国におきましては従前実施しておりました旧著作権法におきまして、英語以外の国語で書かれました外国の著作物とか刊行物を除きまして、英語で書かれました出版物につきましては合衆国で印刷されたものでなければ輸入をしましても著作権の保護はしないというような制度になっておりまして、これはいわゆる製造条項と言います。その製造条項につきましては、昨年の一月一日から実施されました新しい著作権法によりまして原則的に廃止するという方向で決まっておりますが、なお経過的に一部残しまして一九八二年六月三十日まで経過的な措置を講じまして、一九八二年七月一日以降は完全にこの制度を撤廃するというふうにしております。

清水勇日本社会党

○清水分科員 ありがとうございました。時間が参りましたので、終わります。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山主査 これにて清水勇君の質疑は終了いたしました。  鍛治清君。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 私は、限られた三十分の時間の中でございますので、答弁はなるべく簡略にお願いをいたしまして、前半に、このたび三月一、二日にパリで開かれます国際エネルギー機関理事会に関連して石油節約策の問題、それから後半に、産炭地域の振興の中で鉱害復旧問題等に絡みまして若干お尋ねをいたしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  最初にIEAの問題でございますが、この理事会におきまして、新聞報道等によりますと、米政府から三ないし五%の石油節約の実施を提案してくるというふうに言われておりまして、これに対してわが国の対応策としては、過日石油節約策として新聞紙上でいろいろと報道されておるわけでございますが、この内容はそのままわが国の石油節約に対する対応策と受け取ってよろしいのかどうか、最初にお尋ねをいたします。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 そうとっていただいて結構であります。  なお、その実施に当たってはもっともっと声を大きくしませんと、国民的レベルでの協調がなかなか得にくいと思いますので、今後とも機会あるごとに節約の実施を訴えていきたいと思います。一日、二日の会議には今夕天谷エネルギー庁長官が出発いたします。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 いま大臣の御答弁の中にもちょっと触れておられたわけでありますが、この石油節約策の内容を私も読んでみまして、これはどうも強制力を伴わない国民の皆さんや産業界への呼びかけにとどまるのではないか、こういうおそれが大変あるわけでございまして、これは果たして見込みどおりに石油消費を節約できてその実証を世界各国に、ちゃんとなりましたということを見せるだけの自信がおありなのかどうか、お尋ねをいたします。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 お示しがあったように、いずれ節約の提案がありましょうね。それは三%から五%程度というわけです。とりあえずわが方は三%の節約を完全に実施いたしますということで数値を先ごろお示ししたわけであります。ところがいま本当にそれはできるのかとおっしゃられますと、これは国民の協力を仰がなければなりませんので、これからしばしば国民に強く訴えてまいりたい。いつも申しておりますように、一番効果が上がるのは、生産削減をしてでも大企業の使っております石油を、重油を削減する、供給を切るということでありますが、そういうことをいたしますと、ことしの景気持続の問題にも影響いたしますし、ひいては雇用の問題にも影響いたします、やり方によっては物価にも影響してくる、ことしの最も重要な財政経済政策の柱に非常に大きな影響がある。したがって、あの程度のことを完全実施してもらおう、こういうことで進めておるわけでありますが、ただこれが口頭禅に終わりませんように十分ひとつ今後ともいろいろな機会を通じて国民的協力を得たいというふうに考えます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 いま御答弁で約三%程度が節約目標というお話でございました。これは米国あたりの提案が三ないし五%というふうに言われておりますし、この理事会で三%節約ということで皆の合意がとどまるものか、それから上回るものか、ここらあたりはまだはっきりしないわけでございますけれども、この理事会で三%上回る節約をしようじゃないかというふうなことで固まった場合、どういうふうな対応をさらになさるのか。  さらに、これともう一つ考えられることは、イランの正常化が仮におくれまして長期的な、国際的な石油供給不安が続いた場合に、三%といまおっしゃった石油の節約策、これはさらに強化なさる、こういうお考えをお持ちなのか、どうですか、お尋ねをいたしておきます。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 しばしば申し上げておりますので、時間を使いますので繰り返しませんが、とにかく前年同期並みよりも二百万キロリットルだけは一−三月余分に入ることになったということで大口規制はしたくないな、特にサミットを控えて国際協調も果たさなければならない、内需を喚起しなければならぬ、この大目的を踏まえておるわけでありますが、長期にわたってこのエネルギー供給が大変な支障を来すという見込みに立つ場合には、これは当然もっともっと節約を強化しなければならないということに思いますが、当面は買いだめとか買い急ぎということがなければこの事態で推移をしていきたい。そのほか、たとえばサマータイムを行うとか外灯を深夜は消してもらうとか、いろいろやり方はありますので、前の経験に徴しまして目下鋭意検討しておる、その実情に応じて次の手を打っていくということは当然考えていかなければならぬと思います。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 いま出ました東京サミットに関連して一つだけお尋ねして、後半の質問に移りたいと思いますが、東京サミットについては大平総理もエネルギー問題が中心になるであろう、こういうふうに言われておるようでありますが、それに対する通産大臣の見通しの問題をお聞きしたいことと、このエネルギー問題について大臣が非常に熱意を示しておやりになっていらっしゃるというようなことも新聞報道その他で耳にいたしますし、われわれ大いに力を入れてやっていただきたい、こういうふうに思っておるものでございますけれども、この中で、東京サミットに通産大臣がいままでの例を破って同席されて、この問題について討議をおやりになるというふうなお考えがあるのかどうか、その辺をお伺いしたい。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 東京サミットでエネルギーの問題が相当大きく取り上げられるということは当然だと思います。従来ともエネルギーの問題は議論の対象になっておりましたが、ことしはイランの問題その他を初め各国とも、先進国はこのエネルギーの問題に注目いたしておりまするので、これが相当なウエートで議論されるであろうということは当然なことだと考えます。それから、わが通産省はエネルギー庁を持っております。しかも、いま最も一次エネルギーとして効率の上がる石油、これを七〇%使用しております。そのほとんどを海外に仰いでおるという立場からするならば、わが国においてエネルギーの問題を議論せずして一体どこの国がするのかというぐらいの認識に立っております。  サミットのメンバーにつきましては人数制限などもあるようでございまするので、従来の慣習とか行き方もありましょう。ただ、会議のメンバーの差しかえがきくようですね。したがいまして、主催国であるからメンバーが増加できるということならば当然増加していただきたいと思いますし、そういう例外は一切認めないということでボン・サミットも行われたようであります、各国平等という原則に立って。したがって、そういう場合には差しかえもあり得る。たとえば国際貿易の問題が焦点になったときには、昨年ストラウス氏をアメリカは財務長官のかわりに差しかえたということも聞いておりまするので、差しかえは可能であるというふうに考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 では後半に移りたいと思います。  石炭の後遺症の問題、私の地元である福岡県でも大変深刻な問題になっておりますので、いままでいろいろな委員会また予算委員会等でも議論が交わされてきた問題ではございますが、旧産炭地域の鉱害の激しい地域におきましては、産炭地域振興臨時措置法等の期限切れもだんだん迫ってまいりましたし、その関係諸法律の期限切れも目前に迫ってまいりまして、その対応というもの、原状の回復、こういった進捗度と絡み合わせながら大変心配をいたしているわけでございまして、こういう観点から幾つかの点についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、鉱害対策に対する基本的な考え方をお尋ねいたしたいと思います。同時に、これに関連いたしまして、石炭及び石油対策特別会計の中で石炭勘定の財源確保ということでは私ども地元の地域でも大変心配しておるわけでございますが、こういう点について確たるお答えをいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

高瀬郁彌資源エネルギー庁石炭部長

○高瀬政府委員 お答えいたします。  鉱害対策につきましては、昭和二十七年制定の臨時石炭鉱害復旧法及び昭和三十八年制定の石炭鉱害賠償等臨時措置法に基づきまして、国土の有効利用及び保全並びに民生の安定という観点から鉱害復旧を中心として進めて、長年続けてまいっております。臨時石炭鉱害復旧法は三十七年と四十七年に延長を二回しておりまして、四十七年の際に石炭鉱業審議会の答申に基づきまして鉱害復旧長期計画というのが策定されました。その際、残存鉱害量として当時の価格で千七百億円を計上しまして、法期限の五十七年の七月末までに復旧を完了するということで、それを目標にいま進めておるわけでございます。したがいまして、今後ともこの鉱害復旧につきましては早急にするようにわれわれとしては努力をしていくという姿勢は、従来とは変わっておらないわけでございます。  そこで、鉱害復旧の予算というのは、五十四年度予算でも全石炭勘定の三五%程度でございまして、この財源調達が先生御指摘のとおり非常に問題になるわけでございます。先生御案内のように、鉱害対策を含む石炭対策財源というのは、従来から石炭及び石油特別会計の石炭勘定ということで予算措置をしているわけでございますが、五十四年度の手当てについて見ますと、石炭勘定は原重油関税収入で財源措置をするという考え方になっておりまして、当面、ことしは暫定税率分の百十円を維持するということにさせていただきまして、それを原資といたしまして原重油関税収入の千五百四十億円のうち千分の八百十八、これに相当する千二百六十億を充当いたしまして、そのほかに剰余金等を入れまして千二百九十三億の石炭財源を確保したわけでございます。今後とも鉱害対策を含む石炭対策の遂行に必要な財源につきましては、支障のないように努力していきたいというふうに考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 いま御答弁で原重油関税の現行暫定税率適用の詳しいお話があったのですが、当面昭和五十六年といいますか、この期限切れのときまでは、まず財源確保としてこれを延長して確保するという方向ははっきりお約束いただけるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

児玉清隆資源エネルギー庁次長

○児玉(清)政府委員 ただいま石炭対策としての原重油関税のお話でございますが、制度上のいろいろな制約等もございますし、それから審議会等で最終的な審議をしていただくという仕組みもございまして、現在のところ一年延長ということで一応五十四年度末ということでお願いをしてございます。したがいまして、その先のことにつきましてまたいろいろ御意見はあるかと思いますし、われわれといたしましても並行いたしまして検討を続けるわけでございまして、至近時点になりまして、またそれを延長すべきか否かということを適宜適切に対処してまいりたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 石炭関係の臨時措置を含めての関連法律の期限まではどうしても財源措置をしなければならぬというふうな大枠でのある意味での安心感みたいなものは持っておりますけれども、地元としてはぜひ現行の税率適用期間を五十六年まで延長してほしいという強い要望もございますし、もう一つ原重油関税収入の全額を石炭勘定に充当してほしいというぐらいの強い希望もございますので、この点は地元の要望を代表して、私からお願い申し上げておきます。  次に、移りたいと思いますが、現在まで鉱害復旧についていろいろの施策がとり行われておりますけれども、これについて昭和五十四年で予算を全額執行しました場合に、鉱害復旧事業の進捗率はどの程度までになるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

高瀬郁彌資源エネルギー庁石炭部長

○高瀬政府委員 いま先生の御指摘は、昭和四十七年度の鉱害復旧長期計画の対比での御意見と思いますので、御説明させていただきますと、昭和五十三年度末に、いまつかまえております進捗率は農地等で約四二・八%、公共施設で五九・八%、家屋等で六五・六%でございます。それを全体として見ますと五二・六%になる見込みでございます。今回の五十四年度の予算で、復旧事業費が五百四十一億七千四百万円お認めいただけたということで仮の試算をいたしますと、五十四年度末には進捗率は農地等で五二・〇%、公共施設六九・五%、家屋等七六・六%でございまして、全体として見ますと六一・七%になる見込みでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 いまのパーセントにつきましては、四十七年当初の長期計画による残存鉱害量プラス、いろいろ関連して起こった鉱害復旧についての予算等が執行されたのも入っているのではないかと思いますが、そこらあたりはいかがでしょうか。

高瀬郁彌資源エネルギー庁石炭部長

○高瀬政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、いわゆる関連復旧というのが一部充当されまして、復旧の比率というのは余り大きい数字にはなっておりません。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 ここでひとつ鉱害復旧予算に対しては大幅増額をぜひとも、今年度は一応予算として上がってきておりますが、残された期間お願いをしたい。と申しますのは、この期限内の復旧について残存鉱害を、いまございました農地、それから家屋、公共施設等全部ひっくるめまして完全になくするという方向でいま予算もお組みいただき、その対策を進めていただいておる、こう思うわけでございますけれども、いまお聞きしました進捗率をそのまま五十七年の七月三十一日まで換算して、逆算してみまして、今年度の予算をそのまま横滑りで物価分くらいスライドさせて仮に積み重ねていったとしまして、残存鉱害量が全部完全に復旧できるかということについてはきわめて疑問がございます。  福岡県の中でも特に北九州が私の地元でございますが、北九州市内の例を調べてみましても、農地については、これはちょっと古い資料になりますのであれでございますが、残存の面積にしましてまだ三百四十ヘクタールくらい残る。それから家屋等にいたしましては二千二百三十戸くらい復旧が残っておる、こういう形でございまして、これを期間内に完全に復旧しようとしますと、現行ベースの予算でいきますと、農地の場合が約三倍近く予算が要るのではないか。また家屋の場合ですと一・八倍くらいの予算を組んでいただかないと残存鉱害の完全な復旧ができないのではないかという心配も実はあるわけでございます。こういったことを含めて期限内復旧が総体的になし得る可能性が見通しとしてあるのかどうか、この点についてお尋ねをしたいと思います。

高瀬郁彌資源エネルギー庁石炭部長

○高瀬政府委員 先ほど御説明いたしましたように、五十四年度末の工事の仕上がり状況を考えますと、全体的に計画に対してかなりのおくれが見られるのは先生御指摘のとおりと思います。しかし、現時点で考えますと、臨時石炭鉱害復旧法の期限内に復旧を完了することは技術的な制約もかなりございまして、いまの段階では必ずしも楽観できない状況にあると考えております。  このような状況でございますので、これまでの鉱害復旧全般にわたる問題点や今後の鉱害行政のあり方等につきましていま部内で検討を進めているわけでございます。その結果を踏まえまして、今後の鉱害処理についての検討を再開することが必要ではないかと考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 いま検討再開とおっしゃったことは私たちも同感でございまして、たしか以前に行管からもそういう点についての指摘があったと私記憶いたしておりますが、二次鉱害並びに関連鉱害ないしは金銭賠償でやりました特に有資力等の賠償につきましては不適切な打ち切り補償分というふうに地元では考えられるような事例が幾つもございまして、そういったことをひっくるめて残存鉱害量の見直しは、ぜひわれわれとしてはやっていただきたい、こういう考え方があるわけですが、この残存鉱害量の見直しの問題並び臨鉱法の延長ということもわれわれ考えていく必要があるのじゃないかという気もしているわけですが、このあたりに対するお考えをお聞かせ願いたいと思います。

高瀬郁彌資源エネルギー庁石炭部長

○高瀬政府委員 いま御説明したように検討をいま再開するわけですが、その結果を踏まえて関係の審議会それから国会等々の意見を聞きまして、先生御指摘の点につきまして考え方を整理したいと考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 特にいま出ました第二次鉱害と言われるもの、それから不適切な打ち切り補償分、これは金銭賠償なんかでございますが、こういう点については地元からの申請等があれば現地を調査した上で認定をしていくという方向はあるのかどうか、この点お考えを伺いたいと思います。

高瀬郁彌資源エネルギー庁石炭部長

○高瀬政府委員 先生の御質問は、金銭賠償済み物件に対する被害の問題と考えます。  金銭賠償済み物件につきましては、先生御指摘のように、ケースによってはきわめてお気の毒な例がかなりあるわけでございます。しかし、現行の臨鉱法の法律体系で規定しております鉱害というのは、鉱業法上の賠償義務が存在する鉱害が対象になるわけでございます。したがいまして、金銭賠償済みの物件について直ちに臨鉱法上の復旧をするということは法律上きわめて困難であります。したがって現時点、われわれの考え方といたしましては、そのものよりもまだ未復旧の鉱害がかなりございますので、これを当面先行的に取り上げて復旧していきたいと感じております。  ただし、金銭賠償済み物件でございましても、新規の採掘によりまして鉱害が発生した場合、それから周辺の鉱害復旧の関連で復旧が必要となる場合もございますので、そのような場合につきましては、実情を検討した上で具体的にケース・バイ・ケースで処理していきたいと考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 鉱害認定地域に入ってない方で自分のところもそうだという意識を持っていらっしゃる方もずいぶんおられていま申し立てですか、行われておるケースもずいぶんあると思うのです。事業団に申し立てをするわけでございますが、申し立てしてから調査に来るまでが現状約一年くらいかかる。それからさらに、認定されましても予算がついて復旧という事実上の仕事に取りかかるまでにはまたそれから二年近くかかるということで、全部合わせますと三年から四年かかるというふうに相当私どものところにも苦情が出ておりまして、この認定業務を早くやるようにできないのかという声があるわけでございますが、この件についてお答えをいただきたいと思います。

高瀬郁彌資源エネルギー庁石炭部長

○高瀬政府委員 われわれ業務をする上での大前提が認定業務でございますので、この認定業務については最大の労力と資金を投入しておるわけでございます。しかし、最近では鉱害の現象はかなり複雑多岐にわたりまして、なかなか因果関係がはっきりしないケースの方がふえる傾向にございます。因果関係がなかなかつかないものが、先生御指摘のように長い期間かかっているわけでございまして、因果関係が非常に明快に出るものについては一年以内ぐらいに結論が出ているのが実情でございます。しかし、現在、この業務を進めるに当たりましても、やはり鉱害の価額認定調査ということが必要になりますので、そういうものの手続なりをしていきますと、少なくとも最少一年ぐらいはかかるのではないかと感じております。  もっと促進せよということでございますが、鉱害事業団自体もある程度組織体でございまして、この面だけに人員を増加するというわけにもまいりませんので、苦干御不満が出るような事態が生じていることは聞き及んでおりますが、最大の努力をして迅速化を図っていきたいというふうに考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 それに関連して、要望と、最後に大臣に御決意を伺いたいと思いますが、いまの認定業務も、北九州市に例をとってみますと、あの広い地域に認定業務をなさっていらっしゃるのはお一人のようであります。やはり相当たくさんそういうものが出てくる中で、一人ではちょっと無理ではないかというふうな感じもいたしますし、そういった実情を踏まえながら、いまお答えいただいた方向で、ひとつぜひとも措置をお願いをしたい。これは御要望をいたしておきます。  最後に大臣に。この鉱害問題につきましては、実際に私ども一番ひどい田川地区、筑豊地区を踏まえておるわけでございまして、現地にお行きいただいたことがあるかどうか私存じませんけれども、行ってみますと、ここでは炭住の改良の問題、ボタ山問題等を含めて、大変に疲弊をする中で、立ち上がりというものはきわめて厳しいという状況でございますし、残存鉱害もずいぶんございますので、これらに対する大臣の取り組みの姿勢並びに財源確保等についての御決意を最後に承って、私の質問を終わらしていただこうと思います。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 被害者の立場を考えますると、全く御同情にたえません。御指摘の点については十分配慮をいたしたいと思います。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治分科員 質問を終わります。ありがとうございました。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山主査 これにて鍛治清君の質疑は終了いたしました。  佐野進君。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 午前中からすでに多くの方々から、イラン問題を中心にしてエネルギー問題に対する質問が続けられておる、こういうことでございますので、重複を避けながら、できるだけ問題の本質について、大臣の的確なるお答えをいただく質問をひとつしてみたいと思います。  イラン問題については、すでに多くの方々から質問が出されておるわけでございますが、一言に言って、大臣はこの状態がどのように発展していくと、要するに、そう心配ないとお考えになるのか、いや大変心配だ、こうお考えになるのか、原則的に大臣のお考えを承っておきたいと思います。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 私は、相当深く心配をいたしております。政情が安定しましても、果たしていつ治安が回復するのか、またそれが湾岸諸国などに影響は皆無なのかどうなのか、憂慮すべき点は多々あります。そうかといって、心配ばかりしておったのではこれは政治になりませんので、現在とっておるような対策で当面は処していくという態度でおるわけでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 私は、深刻に心配する方の立場に立って質問をしてみたいと思うのでありますが、要するに、四十八年、四十九年に起きた石油パニック、私も商工委員会であの法案を審議する中心におった一人でありまするけれども、あの当時の情勢と比較して今日の情勢が決して楽観を許していいようなものではないと判断をするわけです。にもかかわらず、国民の受けとめ方、あるいはまたそれに伴う各関係業者の人たち、これらの人たちが比較的冷静に対応している姿を見て、私は大変意を安んじておるのであります。これは通産行政、通産大臣以下をほめるわけではないのですが、問題が発生した過去の経験を踏まえながら、的確にそれに対応しつつある、こういう点については、事態を深刻に受けとめるものの一人として、私はその労を多とすることにはやぶさかではないのであります。したがって、そういう見地から、いま大臣の言われました点を中心にして、まずイラン問題に関し二、三質問をしてみたいと思うわけです。  第一に、本年一月から三月までの石油輸入量は、七千二百万キロリットルを輸入し、ほぼ前年の実績に変わりはない、こういう状況であるということでありますが、四月以降は一体どういう見通しがあるのか。これはひとつ責任ある立場で判断してもらわないと困るわけですね、すべてのことに対してえらい影響がありますから。ここから質問を続けてみたいと思うのですが、見通しの点、原則的な問題ですから、大臣からひとつ……。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 七千二百万キロリットル、これは昨年一−三月期の輸入量であります。先ごろの予算委員会で、同量の輸入確保が可能である、こういうお答えをいたしましたが、その後、おかげで、業界の努力またOPEC関係諸国の増産努力、こういったもので積みかえなどの成果が上がりまして、七千四百万キロリットルは三月までに入るのではないか。そうしますと、ことしの予定量の七千四百五十万キロリットルに五十万キロリットルだけ削り込む、まことにどうもうれしい情報をここ一両日のうちに得たような次第でございます。  しからば、四月以降どうなるのかという点でありますが、最需要期からは離れますが、なかなか楽観できぬものがございます。極力一−三月が確保されたと同じような形で、できるだけ確保することに努めてまいりたいというふうに考えます。     〔主査退席、森(清)主査代理着席〕

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 イランがわが国に、わが国総輸入量の約二〇%近い石油を輸出しておる。にもかかわらず、それがほとんどゼロに近い状態にあって、なおかつ実績がそれに近く確保されたということは、結果的に他の地域からの輸入によってその実績が賄われる、こういうことになるわけです。私どもは、それはサウジを初め、それぞれの関係諸国から、これらについて積極的に協力をしてもらっている、こういうところからそういう実績が出ているということを聞いておるわけですが、しかし、いつまでもサウジがその協力を続けるというようなことは当然考えられない。そういうことになると、この実績を四月以降続けていくということは大変むずかしいのじゃないか、私はそういうような気がするわけです。こういう点についてはどういうふうに判断しているか、この点をひとつ次長から聞いてみたいと思います。

児玉清隆資源エネルギー庁次長

○児玉(清)政府委員 数字にわたりますので、お答えを申し上げます。  イランの原油輸出分の落ち込みがトータルで五百万バレル・パー・デーでございますが、そのうち御指摘のように三百万バレル・パー・デーは、サウジアラビアを中心といたしますところの他の産油国の増産によって賄われております。そういったことで、世界の需給に対しましては最小限の影響ということで現在とまっております。そうは申しましても、他の産油国の供給というのはすでに増産限界に達しつつございますので、現在の状況が長期化した場合には、来需要期、いわゆる十月以降について相当問題が出るのじゃなかろうか。これは御指摘のように、サウジアラビアの増産体制の実現の可能性というところに一にかかっておりますけれども、その辺が心配な点でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 大臣、時間がないのにたくさん質問しようとするからついあれになってしまうのだけれども、できる限りひとつ、大臣答弁してください。  そこで問題は、あなた方もよく勉強されておるし努力をされておる、私どもも大変心配だからいろいろ勉強しておるわけですね。これはもうお互いにひとつ力を合わせてこの事態をどうやって乗り切っていくかということに問題の本質があると思うのです。そういう面で質問を続けてみたいと思うのでありまするが、さあ石油がサウジ以下これでだめだなんてことは、パニックが起きますから、大丈夫だということ以外には見通しは持てない。しかし、それだけでは、なおかつ問題が大変深刻な状態であるだけに解決しない。いわゆる協力があれば、協力に伴うところの代償を得るのは当然のことです。結果的に値上げという誘因がその状態の中で生まれてくるわけでありまするが、この原油の値上げ問題をどう判断されておるかということで、特にスポット原油の価格の動向、それから今後の原油価格全体の推移、これはあなたの判断でよろしいですから、どう御判断になっておられるか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 スポットが大変な急騰をしておることは、私も憂慮しながら見守っておるところであります。  それで、本来その五百万バレル輸出しておった。他の諸国が増産によってその半分程度はカバーしておってくれる。言うならば、北海油田が日産百二十万バレルぐらい、それからアラスカ油田が百四十万バレルくらい、この前の石油ショックのときからそれだけ新たに増産されているのですね。メキシコ原油がまた増産されておるのですね。ですから、平静に対応すれば必ずしも世界の需給原則は乱れないということも言い得ると思うのです。それがどうも人情といいますか人間のあさはかさで、理論どおりにはまいらない。スポット価格は暴騰に暴騰を続けておる。この影響は必ずどこかであらわれてくるであろうということを思いまするが、しかし、わが国も、前のときは五十八日強の備蓄しかありませんでした。五十九日ともいいますが。今度の場合には九十二日強とにかく備蓄があるのですから、やはり場合によればそれをある程度取り崩してでも、できるだけ値上がりを防止して、特にことしの経済政策として重視いたしておりまする物価問題に余りにも大きな影響を与えないようにということを、細心の注意を払いながら考えておる次第でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 そうすると、その備蓄を取り崩してでも対応していく。もちろんそういう決意が今日の平静な事態を生んでいると思うのでありまするが、しかしIEAの合意がこういう場合には当然必要になってくるのじゃないか、こう判断されるわけですが、それに対する取りつけ等はどういうような形で対応しておられますか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 三月の一日、二日、この理事会には、いま、今夕天谷エネルギー庁長官が出てまいります。当然そういう問題については、よその国の足並み、それからまた意見、こういったものを参酌しながら、わが方の立場についても申し述べなければならぬと思います。  取り崩し、どうもそれはだめだという意見が多数を制する場合もあります。そうなると、そういう場合には経済成長率はいいのか。国際的に、これはあくまでターゲットでありまするが、六・三%というものを一応約束いたしております。そういった実質経済成長はどうであろうか。内需を喚起して、国際協調も果たし、ひいては国内だけでなしに国際的な雇用の安定にも寄与しようという約束事がだんだんできにくくなるが、そういう点はよかろうかなどについても、私、議論をする必要があろうか。  これを受けて五月もまた閣僚級のIEAの会議もございまするから、今後よく各国の動向などを見きわめながら対処をしてまいりたいというふうに考えます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 きょう天谷長官が出られないのもそれに対応しているわけでありまするから、いまの大臣の答弁で私はいいと思うのであります。しかし、アメリカ初め諸国がわが国に対するそういう問題については非常に神経を使っておるということもわれわれ聞くわけでありまするが、そういう結果どうなってきたかということについては、長官が帰ってこなければわからないということになるわけでありまするけれども、大臣に、この問題について、省エネルギー政策をとって対応していく、いわゆる石油は節約をする、しかし経済成長力も保持をしていく、さらにまたそういう問題の中で石油パニックが起きないようにする、大変むずかしいと思うわけでありまするが、そういう点について二、三質問をしてみたいと思うわけであります。  ことしの一月二十二日、省エネルギー・省資源対策推進会議で決定された節約案によりますと、節約量は約八百万キロ、わが国の石油節約量の三%に相当するものと試算されておりまするが、これでは当然足りないということになっていろいろ検討されておると思うのでございますが、もしさっき申し上げた前提に基づいて五%を達成するということになった、もちろんそういうようにしなければならぬと思うのでありますが、そうなった場合に、一体どういうような政策をいままでの政策に付加してその目的を達成するように努力するのか、この点ひとつ大臣の見解を聞いておきたいと思います。

児玉清隆資源エネルギー庁次長

○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  一月二十二日の省エネルギー・省資源対策推進会議におきまして決定されました事項につきましては、これを十分に遵守されるということを前提といたしまして、一応その節約効果を大胆にはじいておりますけれども、それは石油換算で八百万キロリットル、先生御指摘のように三%という一応数字でございます。今度、あさって、しあさって、IEAの理事会におきまして、現在報じられておりますように節約目標が恐らく合意されるというふうに考えられますけれども、その場合に、わが国としましては、暖房温度の二十度C以下あるいはマイカー使用の自粛等の決定の周知徹底等を中心に対処したい、できるだけ産業活動に実質的な被害の及ばないような形で効率的なエネルギーの使用ということを中心に節約の徹底を図ってまいりたい、このように考えております。  その場合に、仮の話でございますが、仮に五%という場合が出ましたときに、外国の意見が、どういうことを背景に、またどういう手段をもって議論されて五%ということになるか、その辺の議論の過程というものを十分踏まえませんと、わが国だけ一歩出っ張るというわけにまいりませんので、共同歩調ということが大原則でございますので、フリーディスカッションの中から各国の特殊事情等がどこまで勘案できるかということをあれしまして、現在の一月二十二日の決定以上のものをどうつけ加えるかということを具体的に検討してまいりたい、このように考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 要するに省エネルギー政策というものは三%から五%へいかざるを得ない、これは世界的な趨勢であり、わが国も、いかに経済成長を達成するとはいいながら、そういうところに努力をしながら、していかなければならぬというのが課せられた使命だと思うのです。  そこで、いま次長からいろいろお話があったのですが、私は、その新しい対策としては、いわゆるサマータイムだとか週休二日制だとかあるいはその他いろいろな対策が当然出てこなければならぬ。もう週休二日制は、この前のオイルショックがもしなかったとしたら、今日は全国的に普及されておったと思うのですが、あのオイルショックの経過の中で、今日なお足踏み状態を続けておる。こういうことを考えたとき、そういう政策の展開は当然必要だと思うのですが、大臣、どう考えます。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 週休二日制は、これは世界の先進国の常識ですから、ぜひやらなければなりませんが、これは雇用の面にはプラス要因ですね。ところが、物価高という面になりますと石油の問題と一緒に週休二日制というものが影響しますね。それから、さて中小企業をどうするかという、例によって、日本の場合は経済大国などと言われながら経済の底がまだ非常に浅いですから、悩みがあるわけです。そのあたりをどう踏み切っていくのか、これは今後非常に重要な政治判断の問題だと思います。  サマータイムは、いっときは労働組合などの反対で、現実には超過勤務になるという一つの意見もあって、昭和二十七年に法律が廃止されたというふうに聞いておりまするが、これはもう時代が変わりましたですから、よく労働組合などの理解を深めたり、たとえばあなたの理解を深めたりということにして調整の余地があるように思います。これなどは節約ムードを高める上からいって、現実の効果もさることながら、やはり石油節約、エネルギー節約という方向を国民の間に徹底していくためには有力な方途ではないかというふうに考えます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 この点については、週休二日制については大臣はどう考えるかということを一言言ってください、後でいいですから。  同時にまた、これらの問題について、緊急時の対策としてイギリスやフランス、その他西ドイツ等でも割り当て切符制が採用され、わが国でも準備をされておる、こういうふうに聞いておるのです。いまの大臣の答弁ではその事態にまだ至っていないというふうに聞くのですが、通産省ではすでに切符を印刷しておる、こういうふうな準備はおさおさ怠りなくやっておると聞いておるわけです。これは聞いておるのだからわかりませんが、これはまさに、言うなれば緊急事態宣言というような形にもとられる状態だと思うのでありますが、これらのことについては大臣はどういま対処しておられるのか。週休二日制についてはどう考えるのか、この問題についてはどう処置するのか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 週休二日制はわが国産業にも取り入れていかなければならぬというふうに思います。  それから切符の問題は、これはしばしば予算委員会でも問題になりました。商工委員会でも問題になりました。当然、最悪の事態に備えて用意をしておくということとこれを実行に移すということとは截然と区別をしておるわけであります。いま用意をしたから直ちにそういう事態になるなどということは考えられません。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 いままでにいわゆる石油供給問題、さらに省資源、省エネルギー問題を質問してきたわけですが、最後にひとつガソリン税の問題についてお尋ねしてみたいと思います。  今年度予算の中で、大幅増税はガソリン税に象徴されるように、二五%ですね。結果的にそのしわ寄せがどこへ行くかということについてはいろいろ議論があろうと思うのでありますが、このガソリン税が一般消費者に転嫁されることは極力避けなければならぬ。そうなりますと、原油の価格は上がり、マージンは必然的に、諸物価の高騰なしとは言いながらあるという状況を判断する場合は下がってくる。結果的に取扱者がきわめて困難な状況になるということで、深刻な事態をいま招いているわけでございますが、このガソリン税を増税せざるを得なかったことについて大臣はどう判断されておるか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 私ども通産省の立場からすればガソリン税の増徴ということは時期ではないというわけで大いに大蔵大臣その他にも強調いたしました。また、政党内閣でありまするので、政府与党の理解を求めるべく、これはもう私を初め、通産省を挙げて説明したわけでありまするが、今度の財源難ということでどうしても上げざるを得ない、消費者物価に与える影響は〇・五%程度であるし、この程度はひとつぜひということで、苦しい財政事情のためにああいう形になったわけであります。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 だから大臣の見解が、基本的には好ましくない、反対である、しかし全体的な形の中でやむを得ない、政府決定だということで従わざるを得ない、こういうようにいまの答弁のニュアンスを私どもとしては承らざるを得ないのですが、それでいいのですな。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 もとより閣僚としてこの予算には連帯責任をしょっておりまするので、最終的には私も賛同をした、こういうことであります。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 したがって、閣内においてこの種増税については、消費者の利益を守るために、通産行政を担当する大臣として今後ひとつ一層努力をしてもらわなければならぬ、これは要望ですが、申し上げておきたいと思います。  そこで、次長に質問しますが、政府が揮発油販売業法を提案して、前回増税があったとき、私どもそれを審議してこの法案を可決したことの経験を持っているわけです。いままたこの新しい事態に対応して、新しい措置を講ずべきであるという声がほうはいとして起こりつつあるわけですが、通産当局はそれに対してどう対応しようとしておられるか、この点、次長で結構ですから……。

児玉清隆資源エネルギー庁次長

○児玉(清)政府委員 御指摘のように、現在ガソリン価格につきまして増税の問題、それからOPECの値上げの問題等々が重なっておりまして、実際の市場価格というものはこういったものを全部ひっくるみにいたしまして総合的な価格形成がなされるわけでございますが、全体として、いま申し上げましたような新しい追加要因を加えますと相当大幅な値上げになるというふうに考えております。  他方、最近一年間のガソリン価格の推移でございますが、これは前年同月比で見てまいりますと、昨年の十二月現在で見てまいりまして、卸売物価指数ベースで一二・一ポイント、それから消費者物価指数ベースで一八・三ポイント大幅に低下をいたしております。  この過程におきまして、先生方の御努力で成立いたしました法律の背景となっております揮発油販売業者のマージンというものも漸次縮小いたしておりまして、法律制定当時以降相当経営が悪化しておるという事情を私どもも深く認識しております。  したがいましてそういったマージンの確保の問題、それから適正なる価格転嫁というようなことをどういった仕組みでどういった実効のある措置でやっていくべきかということについて、現在鋭意検討を進めておる段階でございます。     〔森(清)主査代理退席、児玉主査代理着     席〕  一例として申し上げますと、あの法律の中で指定地区制度というのがございまして、現在三百地区の指定がございますので、こういった指定地区の制度を的確に運用しまして、そして販売業者の健全な発達ということと消費者利益の保護ということの調整を円満に図ってまいりたい、このように考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 そうすると、既存の法律を的確に運用する中で状態の打開を図っていきたい、こういうことでありますけれども、これは実際上の問題としては、先ほどあなたが説明したように、なかなかむずかしいと思うのですよ。  そこで、もう一つ次長に聞きますが、五十三年度の揮発油販売業等経営合理化対策費補助金、予算の使用はどうなっているか、五十四年度についてはどうか。これは簡単でいいですよ。全額うまく使ったか、あるいはことしはどれだけふやすかという、それだけでいいです、時間がないから。

児玉清隆資源エネルギー庁次長

○児玉(清)政府委員 お答えいたします。  五十三年度末で保証倍率二十倍といたしまして三百三十億円の保証限度額でございます。これに対しますところの保証実績でございますが、本年の二月二十日現在で保証額の合計が六十八億円、それから保証件数が千二百件ということでございます。  こういった状態にとどまっておりますのは、初年度ということがございまして、どちらかといいますと運用において安全サイドに運用しているということが反映しているかと思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 時間が迫りましたので、大臣にひとつ最後に締めくくり的な質問をして、お答えをいただきたいと思うわけであります。  ガソリン税の問題をいつも議論するとき、特定財源として道路にのみこの財源を充てるということについてはいろいろ議論がある。当初はよかったけれども、政策の面でも大臣はそれぞれほかの大臣もやり、あるいは政調会長もやってよくおわかりだと思うのですが、今日の事態の中ではそういうような特定財源として道路だけが果たしてどうかということで、その他いろいろなところに必要財源として要求の声が出ているわけです。これはきわめて安易に取り得られるということで特定財源としてどこの省庁でもそれに対して食指を動かすことは、これは当然のことだと思うのです。これをやっておったのではいつまでたっても健全財政ということにはならないで、ガソリンの問題についてもあるいは石油の税についても、いつまでもいわゆる取りやすいところから取るのだという形の中で矛盾が深まっていく、こういうような感じがするわけです。もしそうであるとするならば、私はそうだと思うのですが、そうであるとするならば、これについてはひとつ的確な税源としての対応を、全体的に頒布するというか処理するというか、そういう時代に来ているのではないか。この税制は本税制改革のときにやめるべきであろうかと思うけれども、あるという時代の中においてはそう対応していくべきじゃないかという判断をするわけですが、これらについて大臣はどう考えるか。  もう一点。結果的にガソリンの増税、OPECの値上げというような形、これはOPEC等の値上げ問題は、冒頭質問申し上げましたとおり、さらに深刻になりつつある情勢であろうと思うのであります。したがって、そういうことは石油の負担というものが消費者に対して結果的にはね返っていくわけですから、できる限り消費者に対してそのはね返りを少なくする意味においては、税体系を含むあらゆる真剣な努力をしていかなければならぬ。特にこれは大蔵省が、あるいは建設省あるいはそのほかの省がということではなくて、通産省が石油行政の根本的な立場にあるという形の中で全力を尽くして対応し、積極的なひとつ働きかけを行っていくべきだ、こういうぐあいに判断するわけですが、大臣の見解をひとつお聞きしたい。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 第一点の特定財源、これは目的税ということで議員立法で今日に至っておりまするが、私も、一つの時期が来ておる。特に目的税という形というものは税本来の形態から言いましても異例のものでありますね。したがって、これが検討されることは必要であろうというふうに考えておる一人であります。これは議員立法ですからよく議員側の判断も得なければならぬということは当然であります。  それから第二点の、今後の値上がりにどう対処するのか。これは政党内閣ですから自民党においても、六月を時限として目下鋭意、だれが見てもなるほどと思えるような形で税も公平に負担をされるし、無理のない形で、中小企業にしわ寄せが行われておる現在の情勢をどう救い上げていくのかという点は検討しております。われわれ通産省においてもまたこれにまさるとも劣らない精力を傾注しましてその対策を練っておるという場面でありまして、今後十分ひとつ検討を重ねた上、なるほどと思える結論に到達したいと考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)分科員 終わります。

兒玉末男日本社会党

○兒玉主査代理 瀬崎博義君。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 まず大臣に伺っておきたいのですが、政府は中小企業に対して各種の不況対策を講じているわけですけれども、それでもなお今日の中小企業の実態は深刻なのであります。現行制度でなお不十分だという事例があるならば、さらに新しい制度の導入あるいは現行制度の改善を考える用意があるのかどうか。またせっかく現行制度がありながらこれが十分生かされていないという場合、よりきめ細かな具体的な行政指導を行っていく用意があるのかどうか伺っておきたいと思います。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 わが国の中小企業対策諸法案というものは諸外国から見ますると大変進歩的である、よく対策されておると言われておりまするが、その運用に当たって不備な点があれば改めること、これは当然であります。それからまた、今度の国会で産地振興対策臨時措置法なるものを提案いたしまして、ぜひひとつ産地対策も活発に進めたいというふうに新たな提案も申し上げておる次第であります。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 そういう立場を前提にして、しかし、下請の具体的な窮状と、その原因となった大企業の下請圧迫の実例を質問したいと思うのです。  滋賀県の彦根というところはバルブ産業が有力な地場産業を形成しておりまして、地域経済の中核的な存在になっているわけであります。主力発注者が造船会社であるところから深刻な不況を続けております。特に去年は、これは長野県でありますけれども、バルブのトップメーカー東洋バルヴの倒産という事態もあったことは御存じと思うのです。彦根の場合は造船会社という不況の業種はいないけれども、その下請企業が二百社ほど集団をなしているという一種のやはり城下町だと私は思うのですね。船舶用のバルブ、陸用バルブ、プラントバルブの三本柱になっているわけでありますが、もともとが舶用バルブ中心であったことから、やはり非常に深刻な事態になっております。そのわりには政府施策の恩恵をほとんど受けていないという実情が見られます。そういう状況のもとで、二百社ある地場産業の中で四社が中堅メーカーと言われているのですが、その一角で憂慮すべき事態が二月の初めに起こりました。岡村バルブという会社の倒産でありまして、資本金が四千万円、従業員が七十二人、これが負債総額九億円で倒産をしているわけであります。  この倒産の要因なんでありますが、大蔵省が大変お急ぎのようなので、質問の順序を逆にしたいと思うのです。私は二つあったと思うのですが、その一つ、これは銀行の融資態度が問題だったと思うのです。主力銀行は滋賀銀行、それから準主力の銀行が滋賀相互銀行である。この滋賀相互銀行の場合から言いますと、一月三十一日時点、つまり倒産直前であります。貸し付けが七千七百四十万、手形割引が一千二百三十四万円、これに対して何と預金が七千百四万円となっているわけであります。しかもこの預金のうちの七千六十二万円までが固定性預金なのであります。ということは、これはだれがどう見ても明白な両建て歩積み形態をとっているわけですね。貸し出し七千七百万円に対して七千万円の固定預金ですから貸してないに等しい、こう言わざるを得ないと思うのです。割引の方は銀行側のポジションではこれにもう八百万くらいふえるのだ、こう言っておりますが、それにしても大勢には影響ありません。しかもこの貸し出し七千七百四十万のうちに、船舶振興資金が二千三百万円代理貸しで入っているわけですね。そうしますと、これを引きますと、貸している金よりも預かっている金の方が多い、こういう事実が出てきておるわけであります。あるいはまた、見方を変えますと、船舶振興資金の金を借りて一たん貸したけれども、もう一編また預金で取り返した、こういうふうにも見られないことはないのですね。この船舶振興資金の場合は、去年は金利二・四%で振興会が銀行に貸し付ける、銀行はその上に三・六%上乗せして利ざやかせぎをやって貸し付けできるようになっているのです。そこで一遍利ざやをかせぎ、もう一遍また両建てで不当な利息を取る。果たしてこんなことが許されていいのかどうか、こういうことも私は有力な倒産原因になっていると思うのですが、大蔵省いかがですか。

平澤貞昭大蔵省銀行局銀行課長

○平澤説明員 いま先生御指摘の岡村バルブの話につきましては、昨日、具体的な会社の名前を伺っていないものですから、至急いろいろ調べまして、最終的には先生おっしゃいますようにメインが滋賀銀行、サブメインとして滋賀相互銀行ということがわかりまして、先ほど来電話でいろいろ向こうから事情を聴取したわけでございます。いま先生御指摘の滋賀相互銀行が、預金を貸し出しに比べて多額に取っているという点でございますが、その辺はまだ具体的に滋賀相互から数字を聞いておりませんが、いずれにいたしましてもそういうような拘束預金を取っているということが事実でございましたら、これはやはり問題である、そのようにわれわれも考えております。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 具体的には大蔵省はどうします。調査をして私の申し上げていることが事実であれば、当然これは大きな二重取り利息になりますね。しかも半公的な資金も事実上は預金に吸収している、こういう事態になりますね。こういう点は、この取り過ぎた利息の返還等についての行政指導等は行いますか。

平澤貞昭大蔵省銀行局銀行課長

○平澤説明員 いずれにいたしましても調査いたしたいと考えております。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 いま一つの主力の滋賀相互銀行の問題と中小企業金融とが絡むのであります。もちろん造船関連の企業でありますから、当然俗にいう円高対策融資、中小企業為替変動資金等は最優先で適用されてしかるべき企業ではないかと思うのであります。ところが、この融資はもちろんのこと、その他のたとえば中小企業経営安定資金あるいは政府系の商工中金とか中小企業金融公庫の資金等は一銭もこの企業に融資をされていない。  この点で私は二つの問題があると思う。一つは、五億、六億を貸している滋賀銀行ですから、当然どこから融資を受けるにしても一たんは滋賀銀行の相談を経なければならないと思う。そのときに滋賀銀行が自己の債権保全を最優先にして、ありとあらゆる担保力、信用力を滋賀銀行に吸収しておった、そのために政府系に手を出したくても出せなかった、こういうふうな点があったのではないか。現にそういうような話も地元では出ているわけであります。いま一つは、せっかくの不況対策の融資も担保力不足その他で現在の困っている中小企業、真に資金を欲している企業に活用できにくい、そういう面があったのではないかと思われるのですが、いかがですか。

平澤貞昭大蔵省銀行局銀行課長

○平澤説明員 滋賀銀行の方は、これもやはり電話で調べたわけでございますが、融資残高その他担保の状況もある程度判明しております。融資残高について見ますと、この会社が赤字になりましたのが五十二年三月でございますが、それ以降も融資残高はふえておりまして、その意味では引き続き滋賀銀行といたしましてはこの会社を支援していたのではないかというふうに考えております。  それから、先ほど御指摘のございました政府関係の融資でございますが、中小公庫のいわゆる中小企業為替変動対策緊急融資というのがございまして、五十三年六月に二千万円この企業は借りておる。これ以外にも船舶振興会の資金を金融機関に預託いたしましてこれも貸しておる部分もございますので、政策融資が、先ほど先生ゼロというふうに御指摘がございましたが、事実はこういう融資は行っておるということだと思います。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 せっかくの政府系融資が、先ほど言ったように融資した額とそれから預金に取っている額とが見合う。いまの船舶振興資金は出ているけれども、全部相互銀行の預金に返っちゃっている、だから融資には実際なっていないじゃないか、こういうことを言っているわけです。  それから為替変動資金の方にしても、滋賀銀行も一億ほどの預金というものは持っているわけです。だからこういう窮状に陥っている企業に対する銀行の態度として、なおこういうふうな拘束預金を相当なウエートを占めて取っている、こういうことが企業の負担になることは目に見えているわけですし、また企業の融資枠全体を圧迫することは目に見えている、こういうことがそのままでよいのかどうか、こういう問題なのです。その点は的確な行政指導をして再建に協力できるような道を開いてもらいたいと思うのです。

平澤貞昭大蔵省銀行局銀行課長

○平澤説明員 いずれにいたしましても今後調査をいたしましてしかるべき措置をとりたいと思います。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 この岡村バルブが倒産に至ったいま一つの大きな原因は、発注者である大手造船会社の単価買いたたきの問題であります。ここは大手二社を得意先にしておりましたが、特にそのうちの一社、石川島播磨重工の場合がひどいのであります。私も具体的な資料をもらってきました。ここに石川島播磨重工の注文書があるわけであります。必要ならごらんいただいて結構であります。  もう時間がありませんから一例しか申し上げられませんが、たとえば鋳鉄アングル弁、耐圧五キログラム、口径二百五十ミリメートルという規格のもので、四十九年九月十一日発注分は一個につき十五万九千六百六十円、ところがこれが一年後の五十年十月二十七日発注分では一個が一挙に十万九千百九十円に値下げになっている、さらに五十三年七月二十四日発注分はさらに下がって一個十万六千二十円になっている。当初から見ますと約三五%の値下げになるわけですね。しかも一回の発注というのはせいぜい一個、二個、この発注で見ますと一番多いので四個なんです。しかも非常に多種類にわたるわけでありますから、およそ見込み生産などはやろうにもやりようのない業種であります、手づくり型です。したがってこれだけ単価の引き下げが行われますと当然のことながら出血になります。しかし受注の確保ということで涙をのんで引き下げに応じざるを得なかった、このように会社側は言っているわけでありますが、これは明らかに「通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定め」たものではないかと私は思う。また、発注者という地位を利用したからこそこういう値下げを強要できるのであって、そういう点では不公正取引の典型ではないかと思うのです。いかがですか。

菊池兵吾公正取引委員会事務局取引部下請課長

○菊池説明員 お答えいたします。  御指摘のような大幅な単価引き下げがあるといたしますと、下請法四条第一項五号の買いたたきの規定に該当する疑いがあるかと思います。したがいまして、具体的に事実をお教えいただければ調査をいたしまして適切な措置を講じたいと思います。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 これはいま申し上げましたように、ここに石川島播磨の発注書そのものがありますから、後でひとつお持ちいただきたいと思います。     〔兒玉主査代理退席、森(清)主査代理着     席〕  そこで、これは大臣にぜひ要請しておきたいのですが、一方でこういう大手造船会社の予想を超えた単価の買いたたきが現にあるわけです。これはこの一社に対してだけではなく全体にあると思いますから、こういう面は一度ぜひ厳しく調査をして、実態も把握して行政指導を入れてもらいたいということが一点。  それから、先ほどちょっとお留守のときに申し上げておったのですが、この企業にせっかく船舶振興資金というものが融資されているのです。ところがその融資を扱った銀行が貸した金をまた預金に取っているわけです。いわゆる両建てなのです。何の役にも立っていない。この船舶振興資金は、とにかく貸せば利ざやが銀行に約三%かせげるようになっているのです。その上預金に取って、また不必要な金利も当然取っているわけです。こういう点では大蔵省は銀行側を指導すると言いましたが、きょう運輸省を呼んでいるわけではありませんので、政府を代表して、一度、こういう振興資金の使途について問題はないだろうか、銀行を喜ばすだけのような融資になっていないかどうか、調査していただきたいと思うのです。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 この国会の場で御指摘になったことですから、調査は当然いたしたいというふうに考えております。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 この岡村バルブは債権者の合意も得ながら、現在再建に鋭意努力中であります。その場合、やはり今日まで会社を支え、またこの会社に一家の生計を託してきた労働者の生活を守ること、それから経営者の意欲と自主性を尊重すること、それから地域経済に対する影響を配慮すること、こういうことを尊重した再建でなければならぬと思うのです。ゆめゆめ銀行側の一方的な再建策などを押しつけられてはならないと思います。  そこで、こういう再建の努力が軌道に乗る見込みが立ち、かつ適切な再建の方向が出た場合に必要とされる援助、これについて、たとえば受注のあっせんとか融資の援助、こういう点について政府は十分検討してもらいたいと思うのです。いかがでしょうか。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 今日、倒産に立ち至りまして、それを今後また再建するという事態でございます。われわれとしても十分な援助をいたしたいと思っておりますが、再建をする場合にはやはり倒産に関連をして債権の保護というようなこともございます。それとの関連を見ながらやらなければいけませんけれども、実際上仕事を見つけるというような点につきましては下請振興協会というものがございます。そういうもので、この会社もまた下請企業でございますから、そういうものの活用を図りまして処置をいたしたいと思います。下請振興協会は県にございますし、さらに県のみならず通産局を通じて広域的なあっせんもやっておりますので、そういう点を活用してやってまいりたいというふうに考えております。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 それから、円高融資についてはことしの三月で期限が切れるわけですが、こういうものはいまこそ中小企業にその影響が厳しくあらわれているのですから、延期すべき制度ではないかと思います。  それからいま一つ、先ほど大臣は特定不況地域中小企業対策臨時措置法もつくって一生懸命やっているのだ、こうおっしゃいましたが、残念ながらいま申し上げました彦根のようなタイプの不況地域、つまり不況産業は集団として存在するのだけれども、その発注者である、つまり城主が遠く離れたところにいるために適用されないのです。私はこういうのはほかにも多々あると思いますので、こういう点はやはり今後補充すべき政策分野ではないかと思います。検討していただきたいと思います。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 第一点の円高融資につきましては、期限が三月末になっておりますけれども、最近の情勢は確かに円高は一応安定をして収束をしておりますが、まだ変動も予測されます。それからまた一昨年の円の状態から比べればまだまだ円の高い水準でございます。したがって、われわれといたしましてはこの三月で完全に打ち切るという結論をいま出しているわけではございませんで、これについては現在検討中でございます。また関係省庁とも御相談の上、このしかるべき結論を出したいと考えております。(瀬崎分科員「延ばす方向でですか」と呼ぶ)いまそういう点で検討しておるわけでございます。  それから第二点の政策でございますが、確かに特定不況地域対策といたしましては若干条件に欠けるところがありますので、残念ながら適用になりませんけれども、大臣先ほど申しましたのは産地対策ということで、今度は中小企業だけが集団しておるところについてはまた新たな対策も考えておりますし、そのほか中小企業政策、御案内のとおりいろいろな政策がございますので、地域地域に応じた政策をやってまいりたいということで考えておりますので、この彦根地域、ことに集団化しておる地域でございますならば、それに対して県とも協力しながら、具体的な指導を進めていきたいというふうに考えております。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 もう一つは、これは東芝の三重工場で起こっている問題であります。数年にわたってコイルの巻き線の仕事を二十二社の中小企業に下請させておったわけであります。  この東芝と下請二十二社の間には、東芝を甲とし、下請二十二社を乙とする基本契約が結ばれておりまして、この基本契約は、契約期間は一応一年なのですが、双方から特段の申し出がなければ更新していくということで、ずっと今日まで取引が行われてきております。したがって、下請二十二社のほとんどは一〇〇%東芝に依存するという形で、設備、工程、生産体制、営業体制が東芝専用型になっているわけです。  ところが、去年の六月ごろから一方的な下請再編成が打ち出されまして、この二十二社の下請のうちの四社だけを一次下請にする。これだけが東芝から直接注文がもらえる。残る十八社はこの一次下請から注文をもらう二次下請に格下げされる、こういうことになってきたのです。まさにこれは、いままで東芝を頼りにしてきた二十二社にとっては死活問題であります。将来注文を打ち切られる心配があるのではないか、単価の切り下げが起こるのじゃないか、あるいはこの四社の経営状態いかんによっては共倒れということも起こるのじゃないか、それはもう真剣にならざるを得ないと思うのです。  当然こういうのは、いわゆる下請中小企業振興法に基づく振興基準で言う、親事業者は下請事業者が長期的な見通しのもとに経営ができるよう、相当期間にわたる発注分野を明確にせねばいかぬという項とか、この明示した発注分野は相当な期間守らなければいかぬとか、あるいはどうしてもやむを得ない事情で変更しようとするときには、相当期間余裕を見なければいかぬと決めていますね。そういう立場から、しかもこれは基本契約のまだ存在期間中の変更であります。  そういう点では、やはり通産大臣としてはこの法律に基づいて親企業である東芝を十分指導して、少なくとも下請との合意を前提にしながら、変更するのだったら変更する、一年やそこらで変更するのが余りにも困難であれば、余裕期間を与える等々の指導をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 いまの御指摘の事例につきまして、御指摘のとおり下請中小企業振興法に基づく振興基準で、いろいろ企業として守るべき基準が決められておりまして、そういう点でいまの措置がそういう基準に反しているかどうかという問題があろうかと思います。これはよく調査をいたします。それからまた、所管の局とも相談をしながら、こういう問題、下請企業に大きな圧迫にならないような措置を考えたいというふうに考えております。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 東芝がこの変更に当たって提起してきた覚書案というのがあるのです。これが変更契約案ということになるのじゃないかと思うのですが、それには、東芝(甲)と現行の下請(乙)と、それからその中から新しく選び出されるヘッドになる四業者、これを元請(丙)といたしまして、その間において、「甲、乙間の取引基本契約に関し、下記のとおり覚書を取りかわした。」というふうな前文があるのです。  これから見られるところは、明らかに基本契約が有効に働いていることを東芝が認めているということになるのですね。その上で各論の中でたとえば「基本契約にもとづき、今後乙に対する発注は、全て丙が行うものとする。」いままで甲、東芝が行っていたものを今度は丙、つまり下請の中から選び出された四社が行うということを言っている。  それからまたこういうことも書いてあるのです。「基本契約に甲とあるを全て丙と読み替えるものとする。」甲すなわち東芝、丙すなわち下請の中から選ばれたヘッドの四社ですね。「読み替えるものとする」こう述べているのです。  本来この基本契約というのは、私ども常識的に考えますと、甲、乙間で結ばれたはずですね。東芝と二十二社の下請との間で結ばれたものなんですが、これをそのまま有効と一方ではしながら、ところが契約当事者の片方が、乙の承認もなしに契約当事者そのものが甲から丙にかわっちゃうわけですね。こんなおかしな契約変更の仕方があるだろうか。また、従来の契約当事者の一方、甲、つまり発注者の東芝でありますが、これが契約変更を申し出ている主人公なんですよ。ところが、もしこの変更されてしまった契約というものを考えますと、そこからは一切この甲の姿が消えていくわけですね。すべて甲を丙に読みかえるのですから、甲がなくなっちゃうのですよ。こんな奇妙な話が世間に通用するものだろうかと私は思うわけです。当然のことながら、二十二社の下請の人はこういうふうな契約変更の持ち出され方にはそれでなくても不安な上に疑問を感ずる、これは当然のことだと思うのです。こういう点で、私はやはり親企業が下請に対する優越した地位を利用するからこそこういう世間では通らないような話も出てくるのではないかなと思うのですね。こういう点では公正取引委員会の方の調査も要求したいし、また、通産省、中小企業庁の方の調査と行政指導もひとつ要求をしたいと思うのです。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 御指摘の点につきましては、公正取引委員会とも御相談の上、調査をいたしたいと思います。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 公取の見解もお願いします。

菊池兵吾公正取引委員会事務局取引部下請課長

○菊池説明員 中小企業庁長官の御意見と同じように、調査をいたしたいと思います。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 調査は当然のことなんですが、調査の結果、私が申し上げているような事実が確認される、きわめて不公正な取引であるという場合、これを是正しますか。といいますのは、すでに下請二十二社の方で何人かの人は、東芝のこういうふうな提案に対して、基本的には急に言われてもそういう編成がえは困るとしながらも、やむを得ないかなということで、最小限度の要望も出しているわけです。たとえば、今後契約が変更される、しかしその変更された契約が今度は新しくヘッドになった四社丙の意向によっていつ破棄されるかわからぬという危険が生まれてまいりますから、必ず契約が破棄される場合は甲乙丙間の、つまり東芝も入っての協議で納得が得られるまで破棄することはできないような条項を一項目入れてほしいというふうな要望も出ておるのです。しかし、こういうことがこの際取り決めできないというのならば、将来真綿で首を絞められるような形でだんだん切り捨てられるのはかなわないので、やはりこの際ある程度従業員もやめてもらわざるを得ない、いわゆる業種転換を考えざるを得ないかもしれないから、従業員の解雇のための補償金といいますか必要な資金とか、あるいはまだ使える設備を廃棄しなければいけませんからそれに対する一定の補償金であるとか、当面の生活費等々について、これまで東芝に尽くしてきたのだから多少のめんどうは見てもらいたい、このような要望も出ているのです。しかし、これには何ら東芝は回答しないわけですね。そういう点では、調査結果に基づいて、こういう下請側の希望も十分しんしゃくして、きちっとした行政指導をやりながら事態を改善させてほしいんですね。この点、これは大臣にはっきりと伺っておきたいことなんですが、いかがですか。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 大臣の御答弁の前に、その仕組みについてちょっとお話しを申し上げます。  各県にございます下請企業振興協会がそういう親企業と下請企業間の紛争のあっせんをやることになっておりますので、その下請企業振興協会のあっせんということでこれを解決いたしたいというふうに考えております。そのときには、単に協会にお願いするだけではなくて、中小企業庁、それから出先の通産局も十分関与いたしまして、皆さんに納得のいくようなあっせんをやりたいというふうに考えております。また、本件について独禁法上の問題があるとすれば、公正取引委員会の方で検討していただくということにいたしたいと思います。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎分科員 最後に一言大臣に申し上げたいのですが、私が特に大臣に伺っておきたいと申し上げたのは、この東芝三重工場は前科があるのですよ。昭和五十年の十二月なんですが、いわゆる下請業者に対して下請代金を払うときに協力金を差っ引いて取っておったわけです。これは明らかにいわゆる下請代金支払遅延等防止法あるいは独禁法違反、このときは独禁法違反でしたか、そういうことでこれは公取に連絡されて、公取の指導のもとに百十四社の下請に対して一億数千万円返金された例があるのです。自主的な交渉では解決をしなかったのだけれども、結局公取の調査と指導の結果こうなっているわけなんです。そういうわけですから一筋なわではなかなかいかない企業だという感じがするのです。そういう点では、特に大臣そのものが目を光らせて、きちんと決着が得られるように行政指導をお願いしたいと思うのです。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 中小企業庁長官が御答弁申し上げたとおりでありまするが、よく今後とも行政指導に過ちなきを期したいというふうに考えます。

森清自由民主党

○森(清)主査代理 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 通産大臣にきょうは日米貿易不均衡是正の問題についてひとつはっきり承りたいと思っております。  まず、ガット東京ラウンドが最終段階を迎えていると思いますが、その中で特に政府調達物資の問題に関しては電電公社の資材調達について大きく政治問題化しているようであります。あたかも電電公社の市場閉鎖性が日米間の貿易不均衡解決の焦点である、こういうように指摘さえされているようであります。しかもわが国の政府はこのようなアメリカの主張に追随するような姿勢をとるやにも見受けられるわけでありますが、この問題について昨今のマスコミ報道によりますと、電電公社に譲歩させ門戸を開放する動きが顕著になっているし、政治的にもいまや最終的な決断の時点に差しかかろうとしている、こう言われているのであります。これは通信機器、そして線材にかかる問題だけに複雑な要素も十分はらんでいるのであります。その点を通産大臣としてもいろいろな場所で発言し、いろいろな場所でこの問題に対しての意見を開陳しているようでありますが、いま私が質問したこういうようなことに対しても十分お考えがあろうかと思うのであります。この際ひとつ御意見を拝聴したいと思います。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 ガットによる東京ラウンドの特に政府調達コードを決めていくときに日本の電電公社を入れるという強い要求がアメリカからなされておることは御存じのとおりであります。先ごろ私ども安川特使、牛場特使等々が帰りまして関係閣僚でその問題を聴取したわけであります。その聴取のときの一つの結論としては、電電公社が本当に困るというのであるならば、アメリカのジョーンズ報告に見られるように、アメリカの議会筋が特に日本の市場の閉鎖性のモデル的な、代表的な存在がこの電電公社の問題であるというような認識に立っておるので、したがって関係者の訪米による議会筋への働きかけとか了解とか、そういうことが望ましいということになったわけであります。その後どういうふうになりましたか私も詳細は聞き漏らしておりまするが、何でも関係業界がにわかに渡米をすることになったということは聞いておるところであります。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 その辺までは私も新聞で了解しております。ただ、私もかつては通信に携わった者の一人であり、そして無線を通じて私も各国をいろいろ歴訪した経験もあるのであります。この通信というものに対する考え方は普通の商品と同じに考えられるべき問題ではないのじゃなかろうか。国のあるいは存亡に関するようなことさえあった通信そのものが、同時に通信そのものを一つの過程を経てやっていますから、あるいは国を守るという意味、こういうようなものにも重大な要素があるわけでありますが、そのほかにもまた関係労働者の雇用に直接重大な影響をもたらす、こういうような問題でもあるわけであります。この問題は政治の次元で安易に考えられてきたというようなことはなかっただろうかどうか、これを少し私はいま危惧しておるわけです。  まず、雇用の問題を見ましても、これは電気通信関係のその関連部門というのは意外に多うございまして、機材を製造する電機労連や全電線や全国金属などに属する人たち、保守、運用を行う全電通や国際電電の労組に所属する者や、通信建設に従事する電通共闘民間労組、合わせると約百万人ほどの労働者が雇用されていることに相なろうかと思っております。  今回のこの資材調達について、アメリカの通信機器メーカーにもし市場開放を行うとするならば、アメリカから輸入した分だけ国内における市場は失われることに当然なるのじゃなかろうか。そうすると、関係労働者の雇用に大きい影響を与えること必至だと思いますが、雇用の面でも今国会は大きい一つの側面を持った国会でありますが、通産大臣は雇用の面を伴うこの問題をどのようにお考えでしょうか、この点をひとつ……。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 雇用問題はやはり十分配慮しなければならぬというふうに思います。もとより私ども、これは商工委員会あるいはその他の予算委員会等々の場でも即時全面的開放などということは一回も言ったことがない。むしろああいう新聞記事が出たことは困ったことで、日本国内に言うことはもとより、それは異議はあるでしょうが、それよりもこの問題はジョーンズ報告に見られるように対米問題だ、だからああいう金があるなら思い切ってアメリカへ行って、あのちょうど牛肉だとかオレンジのときに関係議員や関係業界が動いたように、やはり日米間で十分理解を得ることが望ましい、こういうことを私は申し上げてきたわけでありまして、全面的に開放しろなどという議論をした覚えはございません。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 そうなった場合には雇用問題が大きくなる、こう想定されますので、それをいま想定して言ったのは私なんであります。これは大臣が言ったとは言っていないのでありますが、その点はやはり通信に携わっておる者の一人として、こういう問題に対しては敏感なんであります。よしんばコンピューターの問題一つ取り上げてみましても、無線の問題一つ取り上げましても、全部共通して同じ状態ででき上がっているものならばそれはよろしゅうございます。場合によっては片っ方にげたを履いて片っ方に靴を履くようなことがなければと思うほどなんであります。  たとえば私がタイ国に行ったときの経験ですが、電話が、何でもないのであります、かかるのでありますが、急にかからなくなる。これが故障かと思ったらまたかかるようになるわけです。そういうのは何のためかというと、わからないのであります。入っている機材は方々の国から自由に入っているのであります。  そういうような点を考える場合に、私はやはり自分の経験上からしてこの問題に対するある種の危惧を持つわけであります。そういうふうなことからしても、機器の安定化の上でも差を生ずるし、保守上も機器の点検や修理あるいは建設も大きい労力を必要とするし、信頼するに足るような十分な通信サービスも不可能にもなるのじゃないか、こうさえ思うのであります。これはもう予算委員会で大臣も御答弁になり、知っておられると思うのでありますけれども、ヨーロッパ諸国でも現に通信機器に門戸開放している国、これは大臣に質問されてやっておるようでありましたが、スウェーデンとスイスです。EC諸国もこぞって門戸開放に反対の態度を表明しているのでありますが、スウェーデン、これは特殊な国であります。自国の通信機器の海外輸出を目的とする売り手国であり、スイスは従来より通信機器製造メーカーの存在しない国際市場での買い手国でありますから、国際的に例外であるということは事実なんであります。全面的な門戸開放を要求するということは、これはもうまさに暴論だと私は思っていますが、そんなことは言っていないと言われる。私は、そうならなければいい、こう思っているのであります。  それで、いま電電公社も来ておりますから電電公社にもひとつ伺っておきたい、こう思いますが、電気通信はこれは国の政治、経済、国民生活に重大な役割りを果たしているのであります。このメーンの分野に外国の機器を導入している先進国はどこにもないと思います。それだけに国策的にも国民経済の面からもメリットはどこにもないのじゃないかと思っているわけですが、電電公社はこの点においてどういうようにお考えでこの問題と対処しておりますか。

山内正彌日本電信電話公社総務理事

○山内説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、主要なる先進諸国の中でメーンの電気通信設備につきまして外国からの輸入品を主として使っておるという国はございませんで、外国資本で自分の国の中にある物品を買っているというものはございますけれども、輸入品に主として頼っているという国はございません。これも先生よく御承知だと思いますけれども、電気通信システムというものは、全国に設置されました膨大な設備から構成されておりまして、これが相互に関連して動作するということで初めてよい品質の電気通信サービスを提供することができるわけでありまして、すべての設備が一貫した設計思想でつくられているという必要がございます。したがって、ある国でもって非常にすぐれておるからというだけのことでその物品を一部自国に持ってまいりましても、全体のシステムとしてはうまく動かないということになるわけでございますので、こういう電気通信の特性をよく考えて物品の調達ということは考えなければならないというふうに考えている次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 通産大臣がいま言ったように、いまのような状態になるならば、これは相手国の方でそれ相当に誤解しているのか、そう思い込んでいるのか、こちらの方の考え方と違うような表現をしているのでありますから、その表現、その話し合いのうちの妥当性を認識させる必要があるのじゃないかと思っておりますが、そういう努力はしておられますか。

山内正彌日本電信電話公社総務理事

○山内説明員 お答えいたします。  われわれ、今度のガット問題につきましては直接の当事者ではございませんで、これは外務省を通じまして対外的な場において主張するという形になっておりますので、われわれといたしましては、外務省に対しまして電電公社の特殊性というものについていろいろ申し上げまして、これを対外交渉で申し上げていただくというようなことを従来してきたわけでございます。  なお、それでは必ずしも十分でないということがございまして、今回、きょうから始まっておりますが、外務省の大木審議官がアメリカで交渉に当たっておられますが、これには電電公社の職員一名を顧問というようなかっこうでつけて、技術的ないろいろな問題については外務省の方を補佐するような役目を果たしていただこうというふうに考えている次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 これは通産大臣、日米間の貿易アンバランス百十六億ドルですか、こうなっているようでありますが、自動車の輸出は六十五億ドル、輸入が一億ドル、大体こういうようなことでしょうか。そのほかカラーテレビ、こういうようなものもあろうかと思うのであります。これらの品目が多いわけでありまして、そういうようなのが原因になっているとすると、是正しなければならないものはこの点じゃないのでしょうか。もしそれはそういうようにしておいて、ほかの方でみんなやらせるとすると、やはりいろいろな点で問題が起きるのじゃないかと思うのでありますが、この点は、こういうようなアンバランスをそのままにしておいて他のものに波及させるということよりも、この問題を主眼点にしてこの問題に歯どめをかけたらどんなものでしょうか。この点について。

宮本四郎通商産業省通商政策局長

○宮本(四)政府委員 御指摘のように日米間には現在非常に大きな貿易の不均衡がございます。昨年、五十三年の暦年でドルベースで大体二百五十億ドル弱の輸出をいたしておりまして、その中で主要品目を若干特掲いたしますと、鉄鋼、自動車、それにテレビ、ラジオ、テープレコーダー、わずかこれで五つばかり例示をいたしましたが、それで約五〇%近い金額のシェアを持っておるわけでございます。御指摘のような面がございましたので、昨年の四月から通産省といたしましては対米向け輸出あるいは全世界向けの輸出につきまして自粛を要請するということをやっておりまして、その結果、対米の鉄鋼について申し上げますと、四月−十二月の数字を前年と比較いたしまして、鉄鋼の場合には四十五万二千トン、七八%、逆に申しますと二二%の減ということでございます。それから自動車は百三十七万台、これが一〇一%でございまして、ほぼ前年並みでございますが、ただ傾向から見ますと下期に入ってぐっと減ってまいっておりますので、この傾向からまいりますと、年度間を通じて前年を数量で下回ると私どもは見ております。さらにテレビを申し上げますと、この数字が二百四十九万台、八三%ということでございまして、先ほど申しました主力品目は大部分がこのような下降傾向を示しておるわけでございます。  したがいまして、対米輸出を全体として傾向を見ていただきますと、円ベースで一・四半期の一五%、二・四半期の七%とふえて、そのふえ方が減っておりましたが、三・四半期ではマイナスの一〇%、四・四半期ではマイナスの一一%、こういうふうな顕著な減少傾向を示しておる次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 そういうふうにやっている努力の結果はよくわかるわけです。ですけれども、大臣、これは日経新聞で読んだのですが、確かめようがございませんので、ある人に尋ねてみたのですけれども、大体間違いがなかったようでございますが、通産大臣は二十二日の予算委員会で、アメリカのATT、電信電話会社、これは購入資材の二〇%を自由競争入札で買っているのだから日本も妥協すべきだ、こういうような発言が報道されていましたが、そのとおりですか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 それに近い表現をして答弁いたしました。これは質問に答えて、ATTは民営ですね、しかし日本からも五十三年の場合は十二月末で百億円、これは円ベースですが百億円程度の輸出をしておるわけです。したがって、約二〇%程度は自由競争にゆだねておる、こういう報告を事務当局から私聞いておりましたので、そのことを率直に申し上げたというわけです。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 少しあれですけれども、私もあの記事を見まして、ちょっと奇異に思ったわけです。それが誤解で、そういうようなものが広まってそれを大きくしてはいけない、こういうふうにちょっと思ったわけです。と申しますのは、ATTはアメリカの電信電話会社ですね。そこは一〇〇%出資の子会社ウエスタン・エレクトリックからもう八六%買っているわけです、アメリカで。残りの一四%を今度はウエスタン・エレクトリック以外から買っておるわけであります。それもアメリカの企業である他の会社から買っておるし、どんな品物であるかを見て自分の会社に適したものを買っているわけですが、それは競争入札ではなくて、随意契約でこれはやっておるわけなんであります。そうすると公開入札制度は全くアメリカでさえもとっておらない通信機器、こういうようなものに対して日本にそれを持ってくるということは、日本の通信方式を変えることになり、耐用年数やそういうようなやり方まで変えることになり、将来、現在はほんの少しのもので来ても、次から次へそれが大きくなっていく可能性があった場合は、私はこんなことを口にしたくはないのですが、国防上の問題にもつながってくるわけでありまして、むしろ戦前はそういうようなものに対して最大の警戒と注意を払ったものであったわけであります。いまは時代が変わったとしましても、アメリカでさえもそういうふうにしている。これは決して公開入札ではなくて随意契約で買っているのでありますから、自分の方の国は全部それでやっておる、他の方だけは通信機器だけは自分の方を買わせる。その耐用年数も事故の発生件数も、交換台一つを見ましても、日本のものは精巧なのでありまして、〇・六%程度の故障率しかない。場合によっては二けた台の故障率のある交換台、こういうものも市場に出るのでありますから、そういうものが入った場合には、通信の型式がいろいろごちゃごちゃになってしまいまして、やはり私としては、そういう点はもっと深く考えて、国際的な問題として対処しなければならない重大な問題だと思っているのです。そういうふうなことからして、ヨーロッパの方では郵政省みたいな官庁、こういうのが行っているようであります。これは東京ラウンドどうなるのか、来るのでしょうかわかりませんけれども、電気通信機械をECの国でも除いているようでありまして、そういうふうな点から見たら、通信機械、設備機材というこの考え方は、日本の一つの大きい国策としての面を持っているということで、もっと慎重に対処しなければならない問題じゃないか、こう思っているわけです。  それで、私はうそは言わないつもりでありますが、大臣の考えていることに少しでもこれは参考になったかと思いますが、ならなかったかもしれませんが、しかしこれは重要なものであるということからして、今後この対処の仕方に対しては通産省としても十分配慮してやってもらいたい、こう思うのでありますが、大臣はどういうふうに存じられましょうか。

森山信吾通商産業省機械情報産業局長

○森山(信)政府委員 アメリカの問題につきまして、ただいま先生から御指摘がございましたので、私どもの考え方を申し上げておきたいと思います。  民営のATT、御指摘のとおりでございまして、先生から御指摘のございましたウェスタン・エレクトリックから八〇%ないし八六%程度のものを調達しておるということも事実でございます。そこで、先ほど大臣からちょっと話がございました二〇%近くのものをアメリカですら開放しておるというのはそういう意味でございまして、その開放の仕方が公開入札であるか随契であるかは別問題でございます。私どもが調べた範囲では随意契約でやっております。ところがその随意契約の中に、わが国の企業が入っておるわけでございます。随契は外国企業を排除するということじゃございませんで、アメリカのATTが随契で調達する場合に日本の企業もこれの中に入る。現に沖電気、日本電気等の日本の中枢の電機会社が随契の対象になっておる、これを私どもは言っておるわけでございます。  それから先ほど電電公社の方からお話のございましたヨーロッパにおける調達方法、これはメーンの機材についての調達は全部随契でやっておるというお話がございました。これは確かにそのとおりでございます。ところがメーン以外のもの、これは全部外国品を排除しておるかというと、そうでもございません。たとえて申し上げますと、フランスで言いますと、業者を指定いたしまして競争入札をやらせております。日本の日本電気がこの入札に参加したこともございます。それから西ドイツにつきましては、公開入札制が一三%、指名入札制が一三%、あるいは見積もり合わせを伴う随意契約が二九%、その残りの四五%が随意契約でございます。それからイギリスにつきましては、入札制度をとっておりましたけれども、これは随意契約に切りかえております。スイス、スウェーデンにつきましては、先ほど先生から御指摘があったとおりでございまして、確かにメーンのところは外国品は入れておりませんけれども、補完的なところにつきましては随契で日本の企業も参加している、こういう実態がございますので、そういう点につきまして御配慮をいただきたい、こういうことを考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 そのことはよく理解できるのです。やっているのです。たとえばモーターの機械一つでも、アメリカでできているモーターの機械も日本でやると性能が違いますね。本当に違うのです。故障かなと思うほど、向こうのは音を立てる。日本のは音も立てませんよ。だから、やはりいい機械が欲しいから買うのじゃないですか。だから、そういうようなのに対しては、やっても取っても、売り買いできるようなものであるのならば、あえて目くじらは立てませんけれども、国の一つの中枢機関であり、その問題が波及することによってコンピューターが、あるいはまたそういうようなものが向こう側の手に渡ったりなんかするような——気持ちが小さいかもしれませんが、そうまで妥協する必要はないんじゃなかろうか、いい製品は日本にあるわけですから。ことにいま英国の例も出しましたが、確かに英国は何年か前でしたが、国営でやっておりました郵電省が今度郵電公社になったわけでしょう。そのときについでにいままでの随意契約を全部オープンにしてしまったのでしょう。それから入ってきたもののためにコンピューターを含めて全部通信がおくれてしまって、いまようやく第一線に顔を出した程度じゃございませんか。その反省を持っていま英国あたりではきちんとしておるようでありますが、通信の面では日本は先進国ではございませんか。そういうようなことからして、そこを十分わきまえて、今後は国際的なそういう問題に対処してもらいたい。何もかも上だけ合わせればどうでもいい、こういう考えはちょっと違いますよ。このことを言っておるのであります。大臣もその点は今後十分考えていただきたい、こういうふうに思うのであります。この問題に対して大臣の意見と電電公社の意見を聞かせてもらいたい。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 もとより、主体の部分と申しますか、それに外国の製品を入れるなどということはちょっと不可能なことであろうという認識は私も十分持っております。だから日本が去年アメリカだけでも百億円出したということならば、直接そういう枢要部、機密または重要な部門を侵さない範囲で何かやり方があるのではないか、そういうことについてやはり電電が検討されることは必要であろうというふうに思うのです。

山内正彌日本電信電話公社総務理事

○山内説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、先生が先ほど来お話しになっておられますように、通信機器についての随意契約という線は絶対に確保したいというふうに考えております。しかしながら日米貿易の問題ということにつきましては、確かに大変重要な問題でございますので、そこに非常に大きな波乱を巻き起こすようなことはまずうございますので、外務省等によくこちらの意図をわかってもらい、アメリカにも御理解いただけるようにこれからも努力していきたいと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 この問題は本来外務委員会の方でやる問題でもあったわけです。どっちの方を選ぶか、こういう問題に対しては、ここに有名なる江崎通産大臣がいたならば、その辺が発火点になって、そして大いにこれを拡大するおそれもある、これはねらうべきは外務省よりも通産省だ、こう思ってこの部会に来たわけでありまして、今後十分この点をひとつお考え願って、国の将来を誤らないようにしてもらいたい。このことだけははっきり申し上げまして、質問を終わらせてもらいます。どうもありがとうございました。

森清自由民主党

○森(清)主査代理 大内啓伍君。

大内啓伍民社党

○大内分科員 通産大臣初め皆さん大変お疲れさまでございます。  非常に短い時間でありますから、確認しておく事項に限定しまして、端的にお伺いをいたします。  まず最初に、石油供給の見通しと石油価格の問題にしぼってみたいと思います。  二月二十五日にアメリカのブラウン国防長官及びアメリカのシュレジンジャー・エネルギー庁長官がテレビのインタビューで、要するに中東地域における石油資源確保のためには武力行使も辞さない、これは非常に重要なコメントをしておりますが、これはやはりアメリカの石油供給確保に対する強い姿勢を示したものであり、しかもそれは偶然なものではありますまい。  その明くる日の二月二十六日にバザルガン首相が同様にテレビのインタビューで、二カ月以内ぐらいに石油の輸出を再開したい。これは一つの朗報でありました。ところが同じ二十六日にイラン国営石油公社のナジ新総裁が来週中にも石油輸出を再開したい。したがってイランの石油輸出再開について的確な見通しを立てることは実際問題といたしましてなかなかむずかしいと思うのですね。  ただ、これからイランが石油の輸出再開をやるにしても、そこにはおのずから輸出量について限界が出てきているように思うのです。これについてはある程度見通し得るのではないか。明るい材料が幾らか出始めておりますけれども、イランが石油輸出を再開した場合、どのぐらいの回復が見込まれるのか。この辺の見通しを立てることが今後一つの重要なポイントだと思いますので、これはすでに予算委員会の総括質問等でも若干議論したところでありますが、いまの段階でどのぐらいのイランの石油供給が見込まれるか、通産大臣の見解を聞いておきたいと思います。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 バザルガン新首相の石油再生産を速やかに行いたい、輸出もやりたいという見解はありまするが、いま私どものところへ参りまするいろいろな情報によりますると、外国の有能な技術者も国外退去をしておる、したがって何かその外国人に名指しで職場復帰を求めておる、こういう話も聞きます。しかしこれは生命の安全はもとよりのこと、日常生活の保障がなければなかなか戻ってまいらないでしょう。したがって、日産四百万バレル程度までは可能であるが、それ以上は無理ではなかろうか。しかしこれとても見通しの話でありまして、確たる根拠に基づいての話というふうには受け取っておりません。  いずれにいたしましても、私はいっときも早く政局が安定し、国内治安が保たれることが望ましいというふうに考えておる次第でございます。

大内啓伍民社党

○大内分科員 このところ、この問題が何回か議論になってまいりました。きょうも実は園田外務大臣との間にこの問題を少し議論させていただきましたのですが、新聞等で通産大臣のイラン訪問という問題がいろいろ報道されております。これはいま向こうが火事場状態でございますから、こっちが勝手に乗り込んでいくということもむずかしい問題があろうかと思う。したがって通産大臣が行かれるにしても、向こうの招待を受けるということがやはり大事だろうと思います。これも政情の安定度を見きわめるということになりますが、これについては何かめどをお持ちでしょうか。また、行くとすればどういう目的を持って行かれるということになりましょうか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 新聞に報道せられました私がイラン復興のための調査団長として渡るということにつきましては、あれは外務大臣が何か新聞記者諸君との懇談で物を申したもののようであります。私自身が実は新聞記者諸君に取り囲まれてちょっと戸惑ったというのが真相であります。  ただ、それでは全然そういう話がなかったかと申しますると、外務大臣と私との間で、当然このエネルギー供給の安定確保を図るという見地からもイランとのコミュニケーションを深めることは非常に大切だ、しかも、和田大使がバザルガン首相に接見いたしましたときに、日本に対して非常な期待をしておる、貿易、これは油を含めて、まず日本の期待にこたえたい、同時にまた日本の経済力、技術、こういったものに自分たちは依存しておるのだ、高く評価しておるというわけで、非常に日本に好意を示しておってもらえる、したがいまして、おっしゃるように、いつの日にか先方の要請に基づいて再建のために日本が役に立つというならば、それはひとつ静かに調査をしておこうではないか、そして、そういう要請があり次第、日本として速やかに対応することが望ましかろう、何だか油の問題だけをひっ提げて、困るから早く輸出再開してくれなどという不見識にわたらないように、よくよくそのあたりは配慮しましょうやということで外務大臣とは合意しておった。これは静かに調査しようということで、準備を進めようということで話し合っておったのが、にわかにああいう形になったというのが真相です。

大内啓伍民社党

○大内分科員 いまイランで建設中の、問題になっておりますバンダルシャプールの石化プラントですが、これは大体三月ぐらいまで手当てが済みまして、四月以降大体一千億円ぐらいイラン、日本双方で要る、伝えられるところによりますと、イランはいまちょっと支払い能力が停滞して、ない、つまり負担を負い得る状況がないということから、そのうちの七百五十億円分については、日本政府が政府借款という形で肩がわりしようという話があると聞いておりますが、それは事実でしょうか。

宮本四郎通商産業省通商政策局長

○宮本(四)政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように、いまイランでやっておりますバンダルシャプールの石油化学プラントのプロジェクトは、非常に大きな規模で、かつまた従来から日本、イラン間の非常に大きな経済協力案件でございました。現在の時点におきましては、ほかのプロジェクトは撤収ないし中断いたしておりますが、このプロジェクトだけは現地の工事が続行中でございます。現地では、二月二十六日現在、日本人が千九百人残ってやっておる次第でございますが、資材の通関などもなかなか思うに任せませんでしたけれども、このプロジェクトの通関は優先的に扱おうということでだんだん明るさを増してきておるわけでございます。また、バザルガン首相及び先方の要路の方々も、このプロジェクトの重要性を認識しておられるようでございまして、和田大使には、何とか早く完成したいと言っておられる次第でございます。  さて、これを今後どう持っていくかということにつきましては、いまお話しのコストオーバーランの問題もございましょう。ただ、先方と合弁でやっておるわけでございますので、先方の意見も聞かなければならないということで、先般、合弁会社の、日本の投資会社の八尋社長が、二月二十六日でございますか、テヘランに到着いたしまして先方と接触を開始しておるという状況でございます。したがいまして、帰国後、関係会社と相談をされて、改めて政府の方に申し出があるものと私どもは考えておる次第でございます。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 先ほど、私のイラン訪問につきまして外務大臣が突如として発言をした、これはちょっと誤解があるといけませんから念のために申し添えておきますが、外務大臣としては、和田大使がその後二度、三度バザルガン首相に会うたびに、日本に非常な好意を示される、非常な期待をしておられるということを踏まえて、静かに対応すべき問題を、その好意にこたえるようなつもりで、こういう用意もあるということを言うたものだと私は解釈しておるわけでございますので、その点は誤解のありませんように御了承願います。

大内啓伍民社党

○大内分科員 そうしますと、いま私が質問いたしました点に必ずしも明確にお答えではないのですが、つまり、これからの必要資金のイラン分については、まだ明確に政府借款等で負担するという方針は決めていない、その種の報道についてはなお正確ではない、こういうふうに理解していいですか。

宮本四郎通商産業省通商政策局長

○宮本(四)政府委員 おっしゃるとおりでございます。

大内啓伍民社党

○大内分科員 大体その辺はわかりました。  そこで問題は、三月二十六日に例の石油相のOPECの会議がございます。私どもがいま一番心配しておりますのは、五十四年度、四半期に分けまして一四・五%の石油価格の引き上げをやる、これは昨年十二月に決まったわけなんですが、その後、これはイラン情勢が大きく影響いたしまして、ことし果たして一四・五%でおさまるだろうか、この面については非常に懸念が出てきたと思うのです。もうすでに御存じのように、カタールあるいはアブダビ等は、二月十五日にさかのぼって七・二%の原油の引き上げを行うという方針を実施しているわけですね。また、サウジアラビアも、八百五十万バレルを超える増産分については、御存じのように一四・五%の新価格で原油を売却する。先ほどのカタール、アブダビ等の原油価格の引き上げも、あるいはクウェート、イラク等にまで波及してくるという可能性も持っている。そういう中で、イラン情勢は必ずしもまだ見通し切れない。したがって、最近のヤマニ石油相の発言を見ましても、第二・四半期まではできれば抑えたいという意向を示しながらも、なかなか抑え切れないというニュアンスの談話等を出している。したがって、この三月二十六日のOPECの石油相会議で、もちろんそういう問題が第一ラウンドとして検討され、そして六月の定例総会に向けてこの問題が本格的に持ち上がってくる可能性がある。この辺の見通しをどう立てるか、これもなかなか政府要人としては言いにくい問題であることは間違いありません。しかし、これは非常に重要なポイントなんですね。現にスポット売り、スポット買いも相当高値が出ている。これは事務当局で結構でございますが、最近の一番高いスポット買いは幾らになっていますか。スポット売りでも。そこからちょっと話を進めましょう。

児玉清隆資源エネルギー庁次長

○児玉(清)政府委員 スポット物で、二月の中旬ベースでございますが、アラビアン・ライトのスポット価格で二十四ドル五十セント・バレル当たりというのが一つございます。それからアラビアン・ヘビーでございますが、同じ時期、二月の中旬でございます。二十ドル五十セント・バレル当たりというのがございます。

大内啓伍民社党

○大内分科員 いま通産大臣お聞きのとおり、二十四ドルというスポットが出ている。あの一九七三年のときは、たしか二十二ドルぐらいだったのですね。ですから、今度の場合もまだ量はそう多くないにしても、そういう傾向が出ている。そしていま私が申し上げたような一連の価格引き上げという方向が一斉に出始めている。これは日本が注意してもおさまるものではありませんけれども、見通しの問題としてこの三月二十六日の会議がどういう方向で持たれるだろうか、この辺についての通産省当局のお考えと、一四・五%は間違いなく崩れるのじゃないか、私は個人的にはそう見通しておりますのですが、しかし、これは政府がことし目標といたしました消費者物価の四・九%、あるいは卸売物価のマイナスからプラスに転じてくるというような問題に密接に関連し、しかもこれは日本の物価体系全体に大きな影響を与える。ですから、この辺についてある程度の腹構えをしておく必要があるのじゃないかと思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えでしょう。これは通産大臣から……。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 スポット物は全市場の三%ちょっとというわけですから、そのものによって大局に影響はないと言いたいのですが、これはやはり心理的な影響がありますね。それから、あの四十八年の石油ショック以後北海油田が見つかった、アラスカ石油が産出される、最近は特にメキシコ石油が産出される。そうすると、本当に世界の消費国が連携を密にして冷静に対応すれば、あとは OPECの関係国の増産分で賄われるということで、五百万バレル分の半分くらいが賄われておるとして、実際はとんとんで見合うのですね。ところが、需給の原則によって、政情不安、先行き不安というようなことがささやかれて、スポット物が高くなる、まことにどうも残念だと思っております。果たして一四・五%をどの程度上回るのか、これはいま私責任者としてこの程度はとか、どうなるであろうなどということはちょっと言いかねますが、日本の場合は備蓄もあることですし、この取り崩し一つをめぐっても問題なしとはいたしませんが、できるだけ物価の安定ということしの財政経済政策の大きな柱を達成する方向で努力はしてまいりたいというふうに考えております。

大内啓伍民社党

○大内分科員 一四・五%が上がるだろうなどということは通産大臣としてはよもや言えないと思うのですが、ただ、十分この点は警戒を要すると思いますが、ひとつ慎重に手を打っていただきたい。これは特に国益を踏まえた問題でございますから、要望申し上げておきます。  そこで、一つはそれに対する対応という意味でも省エネルギーという問題が起こっております。三月一日、二日に国際エネルギー機関、つまりIEA会議が持たれまして、ここで恐らくアメリカは、伝えられるところでは三%ないし五%の節約を提案してくる、これは必至だろうと思います。これに対しては日本政府としてはどういう対応をする方針でしょうか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 節約提案については賛成をしていこうというつもりで、ちょうど今夜天谷エネルギー庁長官が出発をいたしますが、そういうことで打ち合わせをいたしております。

大内啓伍民社党

○大内分科員 これは石油とちょっと離れますが、しかし大いに関係がありますのは、五月の同じIEAの会議におきまして、石油専焼火力発電所の禁止宣言が、恐らく日本が賛成すれば採択されるという方向にあるわけです。しかし、日本の場合は火力発電所に対する依存率は非常に高い。しかもそれは石油専焼です。現実に昭和五十九年まで建設計画があるわけですね。したがって、こういう中で石油専焼火力発電所の設置禁止、新設禁止という問題がこのIEAから枠をはめられるということになると、これは日本にとっても非常に重大な問題である。しかし同時に、いまの石油節約という世界的な方向の中で、日本としてむげにこれを退けるということも国際的に非常にまずい。この禁止宣言については日本としてはどういう対応をされますか。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 根本的な方向としては、備蓄量が全然違う、多量にある石炭に転換していくということは必要だと思いまするが、いまお示しがあったように、日本の産業計画、そして発電所の計画、これに見合って現在もう実施されておる最中であります。したがって原則的には賛成ができても、やはり効率の問題とか環境の問題、これは世界じゅう同じことだと思いまするが、産業の実勢に見合いながらの相談ということはよくしなければならないのではないかというふうに考えます。原則的にはそれを推し進める、これは当然だと思います。

大内啓伍民社党

○大内分科員 原則的にそれを推し進めることには賛成ということになりますと、時期的な問題いかんによっては日本ものめないことはない。たとえば昭和六十年以降石油専焼火力については禁止ということであれば、少なくとも既存の計画は実施し得る。そうすると日本としては、この問題についてはある程度修正の意向を出してこの決議を採択させよう、こういう方向でいくのか、そうでないのか、この辺はもうすぐに響いてくる問題ですから、余りいいかげんなことではなくてお答えをいただきます。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 石炭の利用拡大は、いまも申し上げましたように、やはり必要だというふうに私は思いまするが、現在わが国が進めておりまする総合エネルギー政策の方向ともよくにらみ合わせながら行く必要があります。原則的には賛成と申し上げたのはその点です。しかし、石油火力発電の制限問題というものが、今後一体必要とされるわが国の電力量にどう影響するのか、使用電源の経済性、これはまたこういう場面ですと説得力が薄いかもしれません。しかし、これもさっき申し上げたように計画があるわけですから、その計画と見合って経済性はどうか、環境問題はどうかというようなことなどもよくよく話し合う必要があろうかと思います。  それからまた、これを急速に実行に移せということになりますと、わが国の経済の成長率にも当然影響してまいります。内需を喚起して国際収支のバランスをとって国際協調をしようというような経済本来の問題にも大きく影響するわけでありまするから、これらについても議論の余地が多々あるなというふうに私は理解しております。

大内啓伍民社党

○大内分科員 私が聞いておりますのは、五月のIEAの会合で石油専焼火力発電所の建設禁止宣言が出たときに、日本としてはこれを直ちにやるということは事実上のめないでしょう、ですから何らかの修正的な意向を持ち込んでこの宣言を採択する方向にいくのか、それとも日本の特殊事情を説明してこれには反対していくのか、その辺はきちっとしていただきたいということを申し上げているのです。

豊島格資源エネルギー庁公益事業部長

○豊島政府委員 ただいま御指摘の五月の宣言の中身でございますが、石油専焼火力につきましては、最小限の例外を除いてこれ以上やらせないということでございますが、それには若干の条件がついておりまして、たとえば環境上といいますか、風土上、気象上その他で非常にむずかしい場合とか、あるいは重油が非常に余る場合とか、あるいは私の記憶でございますと、外の電源に頼るときは著しく不合理なまでに高くなる場合とか、そういうものについてはある程度例外は認めようという感じになっておるわけでございます。もちろんその例外というのはシビアになりますが、その辺はわれわれとしても十分実態を説明できるというふうに考えております。しかし実際上石油がだんだん枯渇していくといいますか、供給が不自由になっていくときに、仮に例外を認められるからといって、そういうことで安易に石油火力に頼るというのは政策的にまずいと思いますが、それはそれとして、やはり脱石油ということには努力していく必要はあると思います。いま申し上げた絶対的なものではないということにつきましては、この前の私どもの担当官が出ております会議でも一応了承はされております。

大内啓伍民社党

○大内分科員 なかなかデリケートな問題ですから、これ以上は突っ込みますまい。  もう時間もございませんので、先ほど来、日米貿易のインバランスの問題で、電電公社の資材購入の問題が出ておりますし、私も午前中ちょっと外務大臣との間にやりましたので、これは割愛いたしますが、ただ一つ聞いておきたいことがあるのです。  橋本通産審議官が帰られまして、やはりアメリカの現在の状態というのは日本で予想していた以上に厳しくて、課徴金の動きは非常に活発である、こういう報告が記者会見等でなされておりまして、私どもの収集しておる情報でもそうでありますが、この課徴金の動向をどういうふうに見ているかということが一つ。  それからもう一つは、政府としては輸出については三月末まで抑制指導をやってきたわけですね。これがやはりアメリカでは若干問題になっているようです。つまり三月で打ち切るということについて、アメリカは非常に神経質になっておる。これは四月以降もやるかどうか。つまり輸出抑制指導を三月末で打ち切らないで四月以降もやる方針かどうか。  それからもう一つは、これは話は全然別なんですが、通産大臣に結論だけ聞いておきたいのですが、日中貿易の問題がいろいろな試行錯誤を経ていると思うのです。昨年九月、河本通産大臣が訪中されましたが、江崎通産大臣としては訪中計画を検討しているかどうか。  以上三点についてお伺いをいたしまして、その答えで恐らく私の質問時間がなくなりますので、終わりたいと思います。

宮本四郎通商産業省通商政策局長

○宮本(四)政府委員 ただいまお話しの課徴金のお話でございますが、私も直接橋本審議官からお話を聞きました。私どもが想像している以上に、先方の議会を中心にそういう声があるということでございました。これは日米のインバランスその他もろもろの問題が重なり合った、その結論としてのそういう気持ちがあるということだと思いますので、引き続き私どもは注意をしながら、こういうことにならぬように努力してまいりたいと思います。  それから二番目の輸出の自粛指導を四月からはどうするのか、確かにアメリカの方でこういう問題についてはかなり神経過敏になっている事実もあるように聞いております。私ども最近の傾向を見ますと、輸出の数字は期を追うて少なくなって、インバランスは是正はされておりますが、新年度になりますと、こういうことも含めて私ども態度を決める必要があると思っておりますので、目下検討中でございます。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 日中貿易の長期取り決めのために劉希文氏が三月の十日前後に訪日する、こういう情報を外務省から聞いております。この当面の相談相手はわが方は稲山さんでありますね。したがいまして、そういう動向なども見きわめながら、今後日中の交流をどう深めていくか、特に経済的交流をどう軌道に乗せるか、非常に重要な問題でありまするので、しかるべき機会に訪中したいとは思いますが、しからば現在具体的にいつ、どうするかということについては何ら決めておりません。

大内啓伍民社党

○大内分科員 ありがとうございました。

森清自由民主党

○森(清)主査代理 小川国彦君。

小川国彦日本社会党

○小川(国)分科員 私は、ごく一般的な問題で、国民生活に身近な公害の問題として起こっております空きかん公害——空きかんの投げ捨てによる空きかん公害といいますか、そういう問題について、通産省を中心とする各省庁の取り組みについてちょっとお伺いしたいわけなんです。  実は私どものところは郊外の農村地帯でございますので、農村地帯をいまずっと走ってまいりますと、道路の両側、それから田と言わず畑と言わず至るところにビールとかあるいはジュースとか、そういうものを飲んだ後の空きかんがどんどん投棄をされているわけなんです。実は、千葉県の多古町という小さな町で先日部落の人が総出で道の両側一キロにわたって空きかんの回収をしたら、二トン車のトラック二台も出た。これは地方だけの問題かと思いましたら、東京都内、首都圏の中の主要な都市においても、道路あるいは側溝あるいは公園、あるいはまた観光地のようなところ、至るところ空きびん、空きかんが投げ捨てられている。空きかん、空きびん公害といいますか、これを監督指導すべき官庁が定かでない。こういうことから、国民の間からいろいろな不満が非常にあるわけです。特に農村地区などはこれから田植えをやるのですが、たんぼの中にかんがどんどん投げ捨てられている。そうするともう大変ですし、それから畑にいま投げ捨てられている。これはいろいろな問題があると思うのですが、特に一番激しいのが信号機の設置されているところですね。信号機で待っている間に窓からどんどん捨てるわけです。  一番最初に、この取り締まる警察庁の公害課長さんに伺いたいのですが、軽犯罪法でいきますと、第一条の二十七号に「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」に対しては、「これを拘留又は科料に処する。」ということになっているのです。私ども車で走っていますと、至るところ前方を行く車の窓からぽんぽんと捨てられるのですが、交通取り締まりは非常に厳しく各地でやっておられるのですが、こういうような取り締まりというのは警察では一体どういうふうに見ておられるか、最初にちょっと警察庁の方から伺いたい。

斉藤明範警察庁刑事局保安部公害課長

○斉藤説明員 空きかん、空きびん等に限って申し上げればということになりますが、ケース・バイ・ケースでございますけれども、悪質なようなものについては、これは軽犯罪法もさることでございますが、いわゆる廃棄物処理法の一般廃棄物に該当いたしますので、関連する法律といたしましては、廃棄物処理法それから軽犯罪法、場所によっては自然公園法、河川法等がございます。悪質なものについて現行犯であれば当然取り締まるわけでございますけれども、たとえば公園あたりで個人がまず一つぽんと捨てたというようなものにつきましては、これはモラルの問題といいますか、可罰性から見ても薄いわけでございますので、現行犯であればそれは適切に処理するように警察官としては指導をいたしております。  それから廃棄物の内容によって、いろいろ捨てられる物は多種多様でございますけれども、その廃棄物の種類ごとの検挙件数というのは統計上私どもとっておりませんので、空きびんとか空きかんだけの検挙したのがどのくらいあるのかということについては持ち合わせておりませんが、一般廃棄物の不法投棄という、いわゆる廃棄物処理法の十六条違反に該当するものといたしましては、年度別に見ますと、五十一年が三千五十六件、五十二年が三千二百六十四件、五十三年が三千三百八十七件でございます。  それからいま御指摘の軽犯罪法第一条第二十七号違反で取り締まった件数は、五十年が三十七件、五十一年が三十三件、五十二年が四十三件、五十三年のはちょっとまだ把握いたしておりません。  以上でございます。

小川国彦日本社会党

○小川(国)分科員 警察の取り締まりでは、一般廃棄物というのはかなり大量のごみも入っておりましょうし、こういう空きかんのものはこの中でも微々たる数字であろうと思うし、その実態から見ると、とてもこれは警察の取り締まりではなかなか解決できない。ならば、ひとつ道義上の社会教育なり学校教育の中で、こういう高度成長時代の使い捨て、投げ捨てというような風潮が非常に国民の中に蔓延しているのですが、文部省の方では、こういうようなものに対する指導というものは学校教育なり社会教育の中でどの程度徹底して行われて、それが日本人の一つの社会的な秩序を守っていくというところにどのくらいの教育効果というものが及んでいるものか、その辺の御意見をちょっと伺いたい。

中島章夫文部省初等中等教育局小学校教育課長

○中島説明員 御説明申し上げます。  お尋ねの件につきましては、文部省では、たとえば小学校教育におきましては、道徳教育というのが一番関連が深かろうと思うわけでございます。学校教育は、道徳教育とそれから国語、算数等の各教科、それから特別活動、この三つの領域から成り立っておりまして、特に道徳教育というのは重視をしておるわけでございます。  そこで、道徳教育ということに関しまして学習指導要領というのが定められておりまして、たとえば小学校段階では二十八の必要な徳目を列記しておるわけでございます。こういう道徳教育は、昭和三十三年以来一週間に一時間道徳の時間という特設時間を設けて指導しておりますが、それだけではなくて、各教科等、特別活動、こういった諸領域との関連性の上において学校教育活動全体の中でこれを指導していく、こういうたてまえになっているわけでございます。  道徳教育に関しましてその関連のある徳目について御説明をいたします前に、関連します二つの教科、一つは社会科でございます。社会科におきましては、四年生の目標の中に地域社会の問題を取り扱うことにいたしております。この中で、特に昭和五十五年度から始めます新しい学習指導要領におきましては、飲料水、用水、電気、ガスなどの確保及び廃棄物の処理についての対策や事業が人々の願いを生かしながら進められている等のことを教えることになっております。それが一つでございます。  それからもう一つ関連がございますのは、特別活動というのがございまして、これは児童活動、たとえば児童会とか、それからクラブ活動等でございますが、児童活動、それから学校行事、これは儀式的な行事とか運動会等の体育的な行事とか、遠足とかその種のものがございますが、そういう学校行事、それから学級指導というのがございます。この学級指導の中では、学級生活や学校生活への適応に関する指導とか、保健、安全に関する指導等必要な指導を先生が子供に与える、こういう内容になっておるわけでございますが、こういう学級指導の中の一つの例といたしまして、日常の清掃、環境美化等々が一つの例示として挙げられているわけでございます。  この学級指導等が関連が深かろうと思いますが、遠足に出かけましたりという学校行事等でもこういうことはそのときどきに応じて拾い上げて指導していく、こういうたてまえになっておりまして、最後になりましたが、道徳に関しましては、たとえば身の回りを整理、整とんし、物や金銭を活用するというようなのが挙げてございまして、特に高学年では能率的な整理、整とんや環境の美化、清潔に努めることということが記してございますし、社会の一員としての自覚を持って公共物を大切にし、公徳を守るということがやはり二十八の徳目の中の一つに挙げられておりまして、社会の一員としての自覚を持って公徳を守り、進んで公共のために尽くすことを加えて主な内容とする、こういう説明がしてございます。こういうふうに学習指導要領では、道徳を中心としまして社会科あるいは特別活動、学校行事、こういうようなもの全体を通じまして御指摘のような点は指導していく、こういう体制になっているわけでございます。

小川国彦日本社会党

○小川(国)分科員 そういう学校教育の中で指導を受けているわけなんですが、現実にはブリキかん、雑かん、アルミかんの消費されている実態を見ますと、個数で百億かん前後、百億かんというのですから、一億の国民が大体かんでいいますと百かん投げ捨てている。トン数にして九十万トン、回収されている量は全国で二十七万トンであるから三〇%、そうすると、あと七〇%は放置されている。中にはいろいろ埋められたり、埋め立てに使われたりしているものもあるということですけれども、こういう状況の中で大変なかんが国内に放置されているのです。ところがこの対策というのは、法律でいきますと、厚生省の所管になるのですが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律というのがあって、この第六条でいくと、「市町村は、その区域内における一般廃棄物の処理について、一定の計画を定めなければならない。」ということで、こういうものの処置の責任は全部自治体に任されているわけなんです。ところが自治体は、さっき申し上げた多古町などは、建設課の人夫を使って回収をやったけれども、一キロで二トン車二台というようなことで、とても建設課の人夫をそういうことに使っていたのじゃできないということで行き悩んでいる。それからまた、たとえば町田市の場合などは非常に進んで、こういう散在かんの回収で町をきれいにしようということで、道路とか側溝とか通過道路が多いので、ボーイスカウトとかスポーツ少年団とか町内会、あらゆる団体を使って回収をやると、一回で十五万個、七トン、五十キロぐらい回収ができるというのです。その回収したものを回収業者に、鋼鉄商組合に渡すのだそうですが、回収量が七トンで二万一千円ぐらいにしかならない。これは本当のボランティア活動でやっているのですが、そういうことで町田市の場合などは、空きかん回収条例というものをつくって、こういう空きかんとかびんの放置については事業者にきちっと責任を持たせてほしいということを言っているわけです。  それから三鷹市の場合などは、第一次的にごみを、こういう空きかんを出している事業者に回収の責任がある。条例をつくったり、市の条例の中でそれぞれの自治体が取り組んでいるのですが、何といってもこれは国の段階で、原因者に対してきちっと回収の責任を与えなければならないということになっているのですが、こういう原因者に対する行政措置というのは、一体通産省はかんのメーカーに対してどういう回収措置を指導しているかということをまず伺いたい。

大永勇作通商産業省基礎産業局長

○大永政府委員 先生御指摘のように、これは公害対策という問題と、それからわれわれの方からいいますと省資源、省エネルギーという問題で大変重要な問題であると思いますが、メーカー等に対しましては、たとえばアルミの場合でございますとオール・アルミニウム缶回収協会というのができておりまして、全国に九地点ぐらい拠点を設けまして、そこでアルミニウム大体十かん十五円ですから一かん一円五十銭程度でございますが、ということで買い上げ、回収を図っております。  それからブリキかんの方につきましては、これもやはりメーカー等が空きかん処理対策協会というのをつくっておりまして、PRあるいは空きかんのプレス機の供与といったような活動を続けておるところでございます。こういった回収運動の強化につきましては、今後ともメーカーをさらに指導していきたいというふうに考えております。

小川国彦日本社会党

○小川(国)分科員 ビールびんと清酒のびんについては大蔵省が担当しているようですが、大蔵省はどんな行政措置をとるおつもりですか。——大蔵省来ていませんか。  それではその次に、ジュースをやっております農林省は、ジュース類の空きかんの回収について、どういう行政措置をとるつもりですか。

本田康二農林水産省食品流通局食品油脂課長

○本田説明員 農林水産省といたしましては、食品が入っております空きかんにつきましていろいろ業界を指導しておる実態はございます。いかにいたしましても、確かに国民のモラルの向上というのが第一にまず大切なことだと思うわけでございますが、業界といたしましても、食品容器環境美化協議会というものを関係者で設置いたしておりまして、そこで特に啓発事業等を中心にいたしまして事業を行っているところでございます。

小川国彦日本社会党

○小川(国)分科員 厚生省の方では、この事業者に対する廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第三条で、「事業者の責務」「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」こういう規定があるのですが、こういう規定に基づいてどういう取り組みをしておりますか。

三井速雄厚生省環境衛生局水道環境部計画課長

○三井説明員 廃棄物処理法におきましては、産業廃棄物それから一般廃棄物というような分け方をいたしまして、事業活動に伴って出てまいりました廃棄物というものは事業者の責任において処理をするという原則を立てておるわけでございます。この場合に、空きかんなるものが一体だれの行為によって生じた廃棄物であるかという議論がございます。いろんな考え方といたしまして、たとえばアルミニウムであるならばアルミニウムをつくったメーカーであるのか、あるいはそこの中へ、たとえばジュースであるといたしましてそのジュースを詰めたメーカーであるのか、あるいはそれを売っております販売業者であるのか、あるいはそれを投げ捨てた当該その人であるかというふうないろんな問題がございますので、この第三条の規定なり、あるいはまた別に十二条というのもございまして産業廃棄物の処理責任というものも決めてございますけれども、直ちにそういうものが適用されて、全面的にだれそれの責任であるというふうにはちょっと考えがたいというふうに考えておる次第でございます。むしろ、従来からの全般的な体系といたしまして、こういうものは、たとえば投げ捨てましたものもそれから一般の家庭から同じような形で出てくる空きかんも同じようにとらえまして、一般廃棄物という形で、むしろ市町村の清掃事業の体系において処理をするという形で考えておるわけでございます。  この市町村の清掃事業につきましての国の助成というのは、御承知のとおり全体的な形といたしまして処理施設の整備につきましての助成というのはございますけれども、こういった空きかん類等、先ほどから先生の御指摘のございました、回収して再生資源として活用できるようなものにつきましては、その中でも特に地域住民の自発的な活動あるいは市町村のそれに対応する活動、あるいはさらにいろいろな資源回収業者等のそれに対応する活動というふうなものをうまく組み合わせることによりまして、できるだけそういうものが有効に使われる、あるいは投げ捨てられないようにするといったような工夫が当面私どもとしてとっておる方向でございます。具体的には、たとえば本年度そういうことで方々の市町村におきます実態等調査いたしまして、どういうふうなものが一番合理的なやり方か、あるいはこういう条件のあるところではどういうのが適正かというようないろいろな調査研究等を進めまして、さらにこれは来年度も継続してやるつもりでございますけれども、全国的な指針として市町村を指導してまいりたい、こんな状況でございます。

小川国彦日本社会党

○小川(国)分科員 厚生省のやり方ではもう現実にはだめなんですよ。厚生省の方も皆ここにおいでになっている各省の方も、いろいろな道路を通ってみても、ちょっと郊外へ出て両側の野原からたんぼから畑をごらんになってごらんなさい。一枚の十アールぐらいの畑に三十、五十はもう直ちにあるわけです。大変な投げ捨てで、これは警察庁や文部省がいろんな角度から取り組まれてももうどうにもならない状況になってきている。ですから、これはやはり大もとにおいて退治しなければならないのじゃないか。  それで、いま通産省の方は、アルミの回収は非常によくいっている、内容を調べますと、ブリキかんが五十万トンから六十万トン、雑かんが三十万トンで、アルミかんが一番少なくて四、五万トン、こういうことだそうです。アルミかんは、ビールとか炭酸飲料とか清酒に使われているようですが、このアルミの場合には、再生産が楽だということで、いま言ったように、オール・アルミニウム缶回収協会ですか、こういうのができたり、いま通産省の方がおっしゃられたものでやっているのですが、一かん一円五十銭ではこれはいかなボランティア活動でも現実の問題集まらないと思うのです。厚生省の方が言われるように、全国の田畑から、郊外から、市街地の両側に捨てられたかん、これはとても自治体では回収できないですよ。どんなに指導しても無理です。どうしてもかんの製造業者のところでまずきちっとかんの回収のための負担金、買い上げ負担金を出させるということ以外にないと思うのです。たとえば回収に対する費用は、町田市の場合十五万個拾っていって二万円だというのですよ。個数にして十五万個。これは全市挙げて取り組んでですよ。それから回収業者に聞くと一トンやって一万円ぐらいだというのです。これはとてもどんなに市町村が取り組んだりボランティアが取り組んでも回収できない状況で、まずは通産省が企業に対してもう少しきちっといくという面では、百円で売られている清涼飲料水で言うならば一かん五円ぐらいの回収費をメーカーに負担させる。そういう中で、たとえば老人クラブが集めても、あるいはPTAがそういう子供たちの学校の教材のために集めても、どういう集め方をしても、少なくも一かん五円ぐらいの回収費を各メーカーに負担させる。こういうことを第一前提としてやらなければとても市町村での回収もボランティアでの回収も不可能で、まず第一義的には通産省がメーカーに対して回収に対する行政措置を、もう少し思い切った措置をとるべきじゃないか、こういうように思うのですが、大臣、空きかん公害に対して、まずメーカーに対する指導の面からどういうふうにこういう実態をお考えになるか、ひとつ。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 これは重要な御指摘ですね。いまいろいろもっともな意見がそれぞれ出されましたが、私が聞いていても、それが実行されてまことになるほどりっぱだなとは思えないですね。言ったことはもっともらしいりっぱなことですけれども。ですからおっしゃる意味を踏まえながらよく検討しましょう。そうして、これはモラルの高揚が第一です。それから、さっき結構ずくめの説明が文部省側からもありましたが、あれが本当に教室で徹底しているだろうかということです。そういうこともありますが、捨てるか捨てないか。どうも思いつきみたいな話を申し上げて失礼ですけれども、やはりいまおっしゃるように、一円五十銭ではなかなか回収はむずかしいかもしれませんね。しかし、やり方はいろいろあると思うのです。たとえば遊園地には、自分たちが自動販売機で売るのですから、大きな自動販売機でかんちゃんだとかびん子ちゃんというようなものでも置いておいて、そこへ持っていって入れるというと下からバッジが出てくるとか、それから、あるいは切符でもいいですよ、そういう切符があればそれを十枚持っていけば子供の何か好みそうなものと交換してくれるとか、みんないろいろ知恵の出しようはあるように思います。せっかくこういういいパンフレットまでつくっていろいろな運動を進めておるわけですから、私は何かもっと知恵の出し方がないものかなと先ほどからお話を聞きながらしみじみ思っておりました。これはいい御指摘ですから、私どもの方も大まじめで取り上げて検討してみます。

小川国彦日本社会党

○小川(国)分科員 とりあえず通産大臣がそういう取り組みをされるというので、百億かんのかんが大臣の任期中、これから一年ぐらいの間にどのぐらい回収されるか、大きな期待を持って大臣の着想が生かされることを願いたいと私は思うのですが、現実の問題は、厚生省が法律どおりの厳しい規制を各省庁に課していない。まず厚生省がその辺の原因者に対する、たとえばかんのメーカーに対しては通産省に、通産大臣ももっと厳しくやれ。それからかんの中身のビールや清酒を出している大蔵省に対してもっと厳しくやれ。それからまた農林省がジュース類のかんやびんについてのあれをしていれば農林省に対してやれ。どうも私が調べた形の中では、通産省に聞くと、これは一般ごみだから厚生省だ。厚生省に聞くと、これはかんをつくっている方の通産省だという。通産省に伺ったら、いや、中身を入れる方がどういう容器を使ったらいいか決めているので、ジュース類は農林省で、酒やビールは大蔵省だということで皆さんキャッチボールなんですね。そういう政府の不統一の中でかんだけが毎日ぽんぽんと捨てられている。文部省も警察庁も一生懸命やっておられても、子供より大人の方が始末が悪いわけです。ですから、そういう点では人間の行為自体を正すということも必要ですけれども、法的に、行政的にきちっとした措置を第一次的なかんのメーカーとそれを使用する業者に対してとってもらいたい。これは経済企画庁でまとめるという話があったのだそうですが、経済企画庁の方、おいでになっていますか。省資源、資源の再利用という面と、それからこういう各省のばらばらなままに放置されている状況を一本化していくという考え方が経済企画庁にあるかどうか、その辺ひとつ。

吉岡博之経済企画庁国民生活局国民生活政策課長

○吉岡説明員 経済企画庁といたしましては省資源、かんを大事にするという点から関係省といろいろと話し合いをしていることでございます。総合調整というところまでなかなかまいりませんけれども、省資源、省エネルギーという観点から各省とは話をしております。たとえばことしの一月十九日、私どもの国民生活審議会に省資源生活委員会というのがございますが、その委員会で中間報告を出しましたけれども、それは直ちに一月二十二日の省エネルギー・省資源対策推進会議に報告をいたしまして、私どもとしてはこういうふうに考えているのだ、各省ともこれを大いに参考にしてやっていただきたいということをやっております。  ただ、空きかん政策すべて経済企画庁がやれるというところまでは私どもとしてはまだ行っておりません。特にモラルの問題等になりますと、とても私どもで手がつけられる問題ではございませんのですが、一応省エネルギーの観点、あるいは省資源の観点からごみというものをリサイクルさせようということで関係省といろいろ話はいたしているところでございます。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 これは時間を浪費するだけですから、ひとつ私がお答えしておきましょう。いま隣の局長とも相談したのですが、せっかくオール・アルミニウム缶回収協会というりっぱな機関があるのですから、思いつきでなしに十分頭を働かせて、どうやったら本当に回収が可能なのか。この機関もずいぶん努力していると思いますよ。しかし、これは民間の協力なくしてできませんが、たとえばグリーンスタンプみたいな調子でスタンプを交付して、それで何か子供の喜びそうなものと交換してやるとか、いろいろあるだろうと思うのです。ですから、モラルの面と実務の面と、特に行政面の配慮を何かこの機関と相談してやってみようといま局長も言うております。あなたの御熱心な御質問の趣旨は私も同感ですから、にわかに君の在任中にどれだけの成果が上がるかと言われると、これは私もちょっと約束の限りでもありませんし、微力で思うようにまいらぬかもしれませんが、せっかく提案された以上、各省庁ともよく相談し合いながら努力いたしましょう。

小川国彦日本社会党

○小川(国)分科員 一点だけ申し上げたいのですが、大臣、全体で九十万トンというかんの消費量、ブリキかん、雑かん、アルミかんの中でアルミは四、五万トンなんです。いわば五%くらいなんです。大きいのはやはりブリキかん、雑かんなんです。そういうウエートからいきますと、いまあるような、大臣言われたようなアルミニウム缶回収協会とか空きかん処理対策協会とかこういう外郭団体は幾つもあるのですが、政府が一本になってブリキかんも雑かんもアルミかんも含めて、少なくとも五%ぐらいはメーカーに回収費の責任を持たせるということぐらいからやっていきませんと——そういうところからまた国民の協力も得ていく、そういう通産省としての施策をおとり願いたいのです。少なくとも五%。百円の中にはメーカーとその中へ入れる製造業者の利益が相当あるわけですから、通産省がひとつイニシアチブをとってその中から五%くらいの回収のためのメーカー負担はさせるべきじゃないか、そういう中に国民の協力を得るという通産省の姿勢をお願いしたいということでございます。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 よく検討いたします。

小川国彦日本社会党

○小川(国)分科員 終わります。

森清自由民主党

○森(清)主査代理 村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 私は、原子力基本法の改正が行われまして発電実用炉については通産省で一貫規制を行う体制ができ上がったところで江崎通産大臣が就任をされました関係で、今後の原子力行政の進め方の問題について大臣の御所見も承りながら、私の方で当面しておる問題についての要請を申し上げたいと考えているわけでございます。  そこでまず昨年の十月、科学技術庁が発電用原子炉施設の従事者の被曝状況についての発表を行ったわけでございます。この内容はすでに先ほど申し上げましたように通産省が引き継いでおりますので、この内容についての説明を願いたいということが第一点でございます。  そこで私はこの統計を見ながら、なぜ請負などの社員外従事者が被曝状況が非常に多くなっているのだろうかということについての分析も説明を願いたいと思います。  なお四十五年から五十二年までの累積被曝はどのような状況に相なっているか、あわせて御報告を願いたいと思うのであります。

児玉勝臣資源エネルギー庁長官官房審議官

○児玉(勝)政府委員 原子力発電所の被曝状況につきましては、原子炉設置者は、原子炉等規制法に基づきまして、原子炉にかかわる作業に従事する者の被曝線量を同法に基づく告示に定める許容被曝線量を超えないように管理することが義務づけられているわけでございます。昭和五十二年度の従事者の被曝線量の実績は、許容被曝線量は三カ月につき三レムという基準でございますけれども、いずれの原子力発電所においてもこれを下回っているわけでございます。ただいま先生がおっしゃられましたように、五十二年度の数字について若干解説させていただきます。  これは延べ人員でございますが、放射線のある場所で作業いたしました総トータル人数は二万五千人でございまして、そのうち社員従事者が三千二百人、請負が二万二千人ということになっております。いま先生おっしゃいましたように一対七という関係に作業員全体があるわけでございまして、その中で平均被曝線量を申し上げますと、社員従事者は〇・二二レム、それから請負等の社員外従事者が〇・三三レムということで、社員外従事者の方が五割ばかり平均の被曝線量は多いわけでございます。その原因につきましては、これは定期点検時におきます作業の種類の違いということでありまして、社員従事者は主に運転、それから作業の監督ということに従事をしておるわけでありますけれども、請負の方の社員外、これは要するにメーカー等を含めましての社員外でございますので、いろいろな機器の点検、分解ということになりますと、やはり一人当たりの被曝線量が多くなるということになろうかと思います。  それから、先生から先ほど御指摘いただきました五十年、五十一年、五十二年と、三カ年にわたってどういう推移にあるかということでございますが、まことに申しわけありませんが、各発電所ごとの数字が手元にございますが、そのトータルしたものがありませんので……。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 いいです、時間がないから。私の方が持っています。  これは四十五年度から五十二年度までのトータルで言いますと、二万八千八百九十四人レムという量に相なるようでございます。原子力発電所の稼働数がふえるに従いまして、逐年被曝実績も上昇をいたしております。現に五十二年度の場合には八千百二十六人レムでございますが、五十一年度に比べますと約二千人レムぐらいの被曝実績の増になっております。そこで、三カ月で三レムということで一つの基準をつくっていらっしゃるわけでございますが、下請労働者にこういうような被曝が際立って大きいということは、トラブルが発生すると、そこの事故現場に行って修理をするのは、社員労働者よりも下請労働者が大部分を占めているということの証明だと思うのであります。  そこで、作業基準というものは最近は一体どういうふうになっているのだろうか。トラブルが発生をする、たとえばノズルのひび割れが出る、それに対しては、一つの目安として百ミリレムということで一日当たりの基準量をやっているのだけれども、中には一日千ミリレム、すなわち一レムぐらいの仕事をやらされている下請労働者がおる。中レベルでは三百ミリレムぐらいのそういうような仕事をやらされている、こういうように承っているのでありますが、そういうような実態は調査をされたことがございますか。

児玉勝臣資源エネルギー庁長官官房審議官

○児玉(勝)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、放射線の場所の作業につきましては、作業をする前に、この作業のマンパワーについてどれくらいの被曝があるかということの見込みの、いわゆる作業被曝の計画を出させまして、それをそこの発電所の放射線管理者が見まして、いま先生おっしゃいましたような内規もございますが、なるべく放射線の被曝が少ないような作業方法を指導いたしまして作業をさせているわけでございます。  しかしながら、その作業の内容につきましては、先生御指摘のような、作業によって一レムというようなこともあろうかと思います。ただ細かい点につきましては、いまちょっと私のところに調査のデータがありませんが、緊急時被曝の問題もございますし、そういう法令にもとらないように指導しておるところでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 そこで労働省にお聞きをしますが、労働基準法上のこのような放射線の取り扱い、電離放射線の取り扱いに対する業務上の疾病認定をいたします場合には、どういう基準でこの措置がされておるのか。と言いますのは、〇・五レム以下の場合に白血病なりあるいはがん、こういうようなものが永年そのような作業に携わっておるために症状が出たという場合には、これは対象になりますか、なりませんか。

原敏治労働省労働基準局補償課長

○原説明員 お答えいたします。  業務上の災害につきましての認定基準につきましては、五十一年に新しい知見に基づきまして専門家の結論に従って改定をいたしております。その中身で放射線障害の類型別に放射線被曝量及び認定される場合の症状の状態等についての認定要件を具体的に定めております。  先生御指摘の白血病等になりますと、これにつきましては被曝線量が大変低い線量で決まっているのが実情でございまして、ほとんど被曝しておらないような状態のものにつきましても、白血病の場合には放射線業務に従事しておったという実績と、それからその被曝の量によりまして認定される場合がございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 それでは原子力発電所あたりで専門的に従事する労働者の最大許容線量、それから一般の線量限度というものよりも低い線でそのような病状が発生をしても、労災法の適用対象として取り上げる場合もケースによってはあり得る、〇・五レム以下でもあり得るということ、これは間違いございませんか。

原敏治労働省労働基準局補償課長

○原説明員 放射線障害の態様によりまして認定基準が定められておるものでございますから、ものによりますと年間五レム以上でなければ認定されないものがございますが、白血病等になりますと、年間五レム以下でありましても認定される場合がございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 それは放射性の器具等の取り扱いの内容によっていろいろ違うのでしょうが、この原子力発電所施設の場合にはどれを適用するのですか、〇・五以上ですか。

原敏治労働省労働基準局補償課長

○原説明員 この認定基準は、原子力発電所の場合もまた一般の非破壊検査の場合も、放射線業務に従事する場合はすべて同一の取り扱いになっておりますので、この一般基準によって処理をいたしてまいります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 じゃ、レントゲン技師等の長い間の被曝によります白血病の場合でも、あるいは原子力発電所の労働者の場合でも同じように処理がされるというふうに見てよろしゅうございますか。

原敏治労働省労働基準局補償課長

○原説明員 さようでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 そこで通産大臣、この発電実用炉は通産省の所管でございますから、被曝実績は逐次蓄積をされつつあるわけですね。そういうような意味から、私は原子力発電所で働く従業員の中にもそのような蓄積をした被曝労働者がふえてきつつあるというのは否めない事実だと思うのです。したがいまして、いま労災の適用の場合にはそのような措置をとりまして、いわゆる最大許容線量以下やあるいは線量限度以下の場合でも適用されるようになっておりますが、ICRPの最大許容線量というものを決めましたのは、御承知のように二十五レムあるいは五レムというもので年間の被爆量の基準値を決めたわけであります。それから言いますと、いまの取り扱いは実態に即して基準をそういうふうにして、緩和してというのですか、実情に合わせて運用がされているようでございます。ということになると、一体ICRPのその基準というものは今日適用するに当たって実情に即しているのであろうか、どうであろうかということについて疑問を感じます。すでに海外においてもいろいろこの問題については指摘をしている学者も相当出ておりますが、それについては検討をされる御意思というものはあるのかないのか、これは大臣がお答えができなければ担当のエネルギー庁の責任者でもよろしいと思いますので、お答えを願いたい。

児玉勝臣資源エネルギー庁長官官房審議官

○児玉(勝)政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたICRPの勧告に基づく数値を下回ったかっこうで国の基準を決める気があるかという御質問でございますが、国際放射線学会では長年にわたって年間五レムという基準につきまして審議されておりまして、いまのところその五レムを変えなければならないという勧告も出ておりませんので、日本の国としてもその基準を変えるようには考えておりません。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 この問題は時間があるときにまたやります。  そこで大臣、今度原子力賠償責任保険の引き上げ法案を国会に提案をされておりますね。六十億円を百億円ということで提案がされて、まだ付託にはなっておりませんが、それと私は原子力財産保険の問題と比較をしてみたのです。大臣は御承知かと思いますが、いま発電をしております原子力発電所がどれぐらいの財産保険を掛けているのか御存じでしょうか。御存じであればお答えを願いたい。

村野啓一郎科学技術庁原子力局政策課長

○村野説明員 科技庁の所管でございますので、私からお答えさせていただきます。  私どもの調べたところによりますと、原子力財産保険におきましては、現在の契約総額は約一兆二千億程度と見ております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 大臣、お聞きください。私が調べた数字では一兆二百六十八億、これは七七年度でございます。七八年度はもっと多くなっているはずでございます。それの保険金の掛金が二十九億五千三百万円なんです。二十九億五千三百万円、これは間違いない数字でございます。そこで私は、原子力発電所の財産保険には一兆を超える保険金を掛けながら、この賠償責任の人間に対する保険については、四十六年に制定されましたときには六十億しか引受能力がないということで制定された。今度は百億にこれが引き上げられるわけでございますが、どう考えてみても財産保険の方は一兆円から掛けて、これは損金として落とせるように経営上なっています。ですから、そういう保険を掛けましても自分の腹が痛むわけじゃございませんが、税金の上には関係があります。片一方の方は百億ということで、あとは国の方で責任を持ってくださいということで、果たして原子力行政というものがうまくいくのだろうかというふうに気になってしようがないのでございます。一体そういうようなものに対して、通産大臣は所管の大臣でございますので、お考えをお聞かせ願いたい。

村野啓一郎科学技術庁原子力局政策課長

○村野説明員 先ほど私が申し上げました数字につきまして、あるいは誤解があるといけないと思いますので……。  先ほど申し上げました一兆数千億という数字は、保険契約の対象となる金額全体でございまして、保険料といたしましては、これはちょっと手元に数字がございませんが、たしか三十六億ぐらいだったと思います。したがいまして、一兆二千億全部これが損金になるということではないわけでございます。  それから、ついでに申し上げさせていただきますと、現在私どもの方で原子力損害賠償法の改正をお願いしておりまして、先生御指摘のように、現在の原子力損害賠償の賠償措置額の六十億に対してこれを百億というふうに引き上げるようお願いしておりますけれども、これは原子力財産保険とは一応関係ございません。原子力損害賠償責任保険の方でございまして、これは原子力委員会の中でいろいろ検討いたしました結果、現在の六十億に比べまして百億程度にするのがよかろうという結論が出たからでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 いや、保険契約が一兆円を超えていると言うのですよ。だから保険契約に基づいて払い込んだ保険料が一年間に二十九億五千三百万円、これは具体的な数字なんです。それを否定されるのですか、政策課長は。そうじゃないのでしょう。

村野啓一郎科学技術庁原子力局政策課長

○村野説明員 正確な数字はちょっと手元にございませんけれども、保険料として、七七年度とおっしゃいましたが昭和五十二年度と存じますけれども、この年度内に原子力事業者が支払いました財産保険の保険料でございます。掛け捨ての保険料でございまして、この額が大体三十六億程度だと思います。あるいは先生おっしゃる二十九億の方に近いかと思われますが、いずれにしてもそういったものであろうかと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 私が大臣にお聞きしているのですから、あなたはその数字を説明すればいいので、こういうような保険金を掛けている。片方は六十億を百億にするとか言うて大騒ぎをしているわけでしょう。ようやくこれも認められたわけでしょう。ということは、火災保険に類する財産保険については、これはやはり危険分担を認める、再保険もききましょう、保険のそういう引き受けも承知をしましたということで認めながら、人間については認めない、限界があります、こういうことをどういうふうにとらえるのですかと聞いているのですよ。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 私もちょっとこの点不勉強で大変恐縮ですが、所管は直接的には科学技術庁、こういうことだそうでございまするが、いまおっしゃる意味は私もよく検討いたしたい。御質問の趣旨を聞いておりますると、いかにも人間を粗末に扱っておるという印象を持ちますが、ただ、人間に対しては大事の上にも大事をとって安全度が非常に高いということも言えるかというふうに思いますが、十分勉強したいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 時間がありませんので最後にもう一つだけ、これはぜひ大臣からお答えをいただきたいのでございます。  大臣は、就任をされたときであったと思うのでございますが、原子力行政について、今後原子力発電というのはきわめて重要である、したがって現地における住民の声を十分に聞いて公聴会等も現地で開くようにしたいという積極的な意思表示を、住民の協力なくしてはこの問題の対処はできないという意味の発言をなさったかに記憶をいたしているところでございます。  そこで、大臣、いま鹿児島の川内の原子力発電所あるいは新潟の柏崎の原子力発電所、いずれも行政不服審査法によります異議申し立てをいたしまして、口頭陳述の機会を与えてもらいたいということでいろいろ要請を申し上げておるところでございます。前に科学技術庁の場合には東京に出てこいということで処理をしようといたしましたが、これは年末の段階で、駆け込みで東京まで旅費を使って出てきてどうしてそれが十分に陳述できるかというようなことで不調に終わりました。いま通産省の所管に移されましてから、担当の課長等が非常に苦慮されながら住民の意思集約を図ろうということで努力をしておられることはよく承っております。しかしながら現地の住民は、これは川内だけじゃございませんで柏崎でも同じでございます、現地に来て現地の声を聞いてくれ、いままで科学技術庁はそういうようなのに対しては十分な受けとめ方をしてくれなかった、今度は通産省に移ったのだから、通産大臣の江崎さんは話のわかる人らしいからそういうような手だてを講じてくれるであろう、なぜかなれば新聞にはそういうふうに出しておられるじゃないかというような意見がございます。それで、これは通産局のあるところに来いというのではなくて、現地に行ってそこで、やり方についてはいろいろあるわけでございますから、住民の声をおれたち役所が十分に聞き取る体制をつくったぞというような形をとってもらわなければ、今後原子力発電所をこれでおやめになるのだったら別でございますが、今後も推進をするというのであるならば、やはり自主、民主、公開、この原子力平和利用の三原則という問題をおろそかにしてはならないと私は思うのでございます。そういうような意味から、担当の審議官の話を聞かれるのも結構でしょうが、大臣の政治的な立場からの御判断によります御所見をひとつ承りたいのでございます。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 原子力発電所の建設について地元民の協力を得るために粘り強く話し合いをしていく、これも当然なことですし、そういう説明会であるとか地元の意見聴取であるとか、こういったものは当然現地で行われておりまするし、私どもそういうことをやるのにやぶさかではございません、そういうことを私が申したのが何か新聞記事になったかと思います。特に、十分地元の納得を得るための努力を傾注することは非常に大事なことだというふうに考えます。  ただ問題なのは、異議の申し立てということになりますると、これはやはり準備の関係もありましょう、従来の経緯からいいましても地元の通産局でいろいろ行う。これは最終の場面で異議が出てきて、それまでには説明会もやったり意見聴取もやったり現地で数次にわたっていろいろ話し合いをしたその結果なのです。ですから、そういう点ではこれは局所在地でやるということもそんなに不当ではないように思いまするが、いかがなものでしょう。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 過去の経緯はいろいろ官僚の方からお聞きをいただきたいのでありますが、川内の場合には、新たな方式で、市みずからが賛成の学者と反対の学者を呼んでまいりまして、二カ所で市の主催によりますそういうような意見の公述会を開きました。そのほかに公聴会をやられているわけじゃございません。そのころは科学技術庁の所管だったわけですから、通産省の所管じゃございません。ですから、住民の、現地で自分たちの意見を聞いてくれという声は、まだいままでその意見を聞く会というのは役所の方からはないのです。自治体はあるのですよね、自治体はやりました。だが、ないわけですから、そういうような意味から申し上げているのでございまして、これは異議申し立て、意見を聞く会というふうに二本ルートで区別をするのじゃなくて、そこはやはり臨機応変に、将来の問題も考えながらひとつ御検討をいただきたいと思うのでございますが、どうでございましょう。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 異議申し立てなどの場合には、現地へ行くことによってかえって混乱を招くという場合もなしとしませんですね。従来の経緯は、きっとそういう意味で地元通産局ということにしておるかと思いまするが、市で、自治体でやった場合にも、いま審議官の説明によりますると、通産省からは行っております、それから、川内ではまだやっておりませんが、各地で意見を拝聴する会というのをやっておる、こう言っておりますから、御趣旨を体しながらよく検討したいと思います。

森清自由民主党

○森(清)主査代理 工藤晃君。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 最初にまず、現在の日本の置かれている産業界の現状あるいは未来について大臣がどのような基本的なお考えを持っていらっしゃるかについてお聞きをしたいと思うのです。  まず第一番に、構造不況と言われているような業種を含んで産業構造の転換をしていかなきゃならないという大きな境目に来ているということが一点と、もう一点は、急激に訪れてまいります高齢化社会、この高齢化社会に対応する雇用の問題を含めて、こういう産業構造の転換をするという大変大きな作業を一方でしながら雇用の確保をしていくということと、それから、特に高齢化社会に対応する中高年齢層の雇用をどう確保していくか、こういう問題は大変相入れない部分を持っていると思うのですね。そういうむずかしい問題を大臣はどのような観点からどのように考え、将来に対する対応をしようという御構想をお持ちか、まず第一番にそれについてお答えをいただきたいと思います。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 日本の経済は苦しい財政事情にもかかわらず内需振興の政策をとり、景気浮揚を図り、そして国際協調も果たす、特に雇用の安定を図るということでここに参りました。まだ産業の中にはきわめて不況なもの、構造不況業種と言われるもの、いろいろありまするが、景気全体としては回復路線に入った。これをどう維持継続させるかということがことしの経済運営の大きな柱だと私は思います。そして、その基礎のもとに雇用の安定を図っていく、同時に、対外的には為替相場の安定を期するし、物価を抑制していく、物価の安定を図る、これが大づかみに言った四本のことしの財政経済政策であろうというふうに踏まえております。  そこで、いまお話のありました第三次産業が非常に活発になった、そのとおりだと思います。産業というものは時代の趨勢によっていろいろ動態が変わってまいります。昭和四十八年の石油ショック以来、製造業などでは百十七万人雇用が減少しておる。ちょうどこれと符節を合わせるように、経企庁の統計によりますとサービス業に百十七万人が吸収されておる。それから卸売商とか小売商とかいうような本来合理化しなければならない部面に二百万程度の新しい雇用がなされておる。これもやはり世の中がだんだんサービス時代に入ったなというような感じが私はいたすのであります。  したがって、今後の雇用創出をどうするかという点などにつきましては、サービス業の充実、また一方では教育であるとか文化であるとか、それからまた老齢化社会に備えての福祉方面における新しい雇用というものを十分配慮していく必要があるというふうに思います。  時間の関係もありますので長話は差し控えまして、要点のみを申し上げました。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 大臣が先ほどおっしゃったように、日本の経済は好転しつつある。一言で言えば将来については明るいということですけれども、国際競争力を失った構造不況業種と言われているような業種の業種転換を行うということは、大変困難な事業であると私は思うのです。そう簡単に、スムーズに雇用が創出され、そういう産業が転換をしていくというふうには考えられないと私はとらえているわけでございます。たとえば、昭和四十年ごろに起きました構造不況の中で、石炭産業などはいまだに後の整理が完全にできていない。炭鉱離職者が生活保護法へ転落をして、それが福岡なんかの場合には非常に生活保護世帯が高い率を示しているということがそういうことで裏づけられているわけでございますから、そういう意味においては、昭和四十年のころの場合には景気回復へうまく波に乗れたのだが、今度の場合にはそう簡単に回復基調へ乗っていけるとは私は思えない。そうなると、そういう業種転換をいかにスムーズに転換させるかということは国の大きな責任であると同時に、国民の大きな不安の要因であろうと思うのです。にもかかわらず、一方においては、先ほどから言われているように完全雇用を実施していかなければならない。また、高齢化社会に対応するために、人が長生きするようになった、あと十五年たつと平均寿命が八十歳まで伸びる。そういう時代にいままでのような社会の一つの尺度といいますか、人生五十年のときにつくられました定年制五十五歳あるいは終身雇用制、こういう一つのシステムが大きな音を立てて崩壊をしようとしているわけですね。そういう中で、雇用の創出を図っていくと一言で言っても、もちろん日本の産業の景気が回復されなければ根治的な雇用の創出はむずかしい。労働省なんかは雇用の創出と言いながら、失業対策にきゅうきゅうとしておる、こういう状況でございます。  その中で、先ほどから大臣も言われておりますように、労働人口がどのような形をとるかと言えば、第二次産業から第三次産業へと移転をしていく。ところが、サービス業その他第三次産業の方の受けざらが、対策が果たして十分なされているのかどうかということになると、はなはだ私は疑問に思うわけでございます。もちろん、大臣おっしゃったような公共的なサービス部門である医療とか教育とか、あるいは文化とかというふうな面の需要は今後ともに拡大されていくでございましょうけれども、そういう部門は非生産性の部門でございますから、やはり収益率を一方で上げていかないと、そういうところへの創出はなかなかむずかしいのではないか、こういうことが考えられますので、そう簡単に、そういうサービス部門への雇用の移転が円滑に行われるかと言えば、前途ははなはだ暗いのではないか、こう考えているわけでございます。  その中で、特に第三次産業と雇用の創出という問題、あるいは中小企業対策、あるいはまた、その中で特に第三次産業、サービス部門、私がきょう申し上げたい環境衛生関係のこういう業界に対する通産行政がどのような対応をされようとしておるかについて、私は質問を申し上げたかったわけでございます。要するにいまの対応は、治療で言えばカンフル剤を打っているというだけであって、根治療法には何ら手がつけられていないという状態でございます。それはもう明らかに昭和四十年のときを見てもおわかりのように、そう簡単には業種転換はできていかないだろう。また、新しい知識集約産業とかあるいはまた省エネルギー産業とか、あるいは国際分業論とかいろいろなことを言われておりますが、これは各委員会で私は同じことを申し上げているのだが、そういうことに対する各省の対応が同じ方向に行っていただかないとなかなかむずかしい問題だから、あえてお尋ねをしているわけでございます。  そういうわけで、大変厳しい状況の中に置かれていることは国民のすべてが認識しておりますし、その証拠に貯蓄性向が日本は非常に高い。所得の二五%を貯蓄に回している。しかし、それは好んでしているわけじゃなくて、そういう不安を裏づけている一つの証左ではなかろうかというふうに思います。それからまた、一方において第三次産業の環衛業というような業種は、大臣にここで特別お聞き及びを願っておかなければならないのは非常な零細企業の集まりでございます。同時に、過当競争の、常に供給過剰の状態に置かれていることでございます。それから、そういうところは、一方においてはどんどん新しい人たちがそこへ流れ込んでいく。常にそういう立場で、競争力のない人たちが過当競争の中であえいでいるというこういう集団でございまして、その人口も一千万に近い人たちがその業種の中で生活をしておられる。そこへ、こういういわば一つの社会の平衡のバランスを崩すような産業転換が行われますと、そういう業界には特に強く影響が出てくるのじゃないか、こういうふうに考えるわけで、吸収力を持っておる業種あるいはパイであれば、それはそれなりのショックアブソーバー的役割りを果たすでございましょうけれども、そういうことがなくて、やっと生活のかてをそこに見出そうとしているような業種の中へ、産業構造の転換からそういうものが第二次産業から第三次産業へという形で流れ込んでいく。特に今後はそういうことがなくても高齢化社会という、その対応として、定年五十五歳の後、何か第二の人生を開くべく開拓する分野は、比較的安い資本で簡単にできる料理飲食とかあるいは喫茶とかというふうな、そういう中へどうしても退職金を持って安易に開業しやすい。ところが、素人がなけなしの金をはたいてやった商売が過当競争の波にさらわれて失業という形になりますと、今度は第二次産業から第三次産業へというふうな転換ができにくい、ついに落ちていくところは生活保護法の適用、そういうところへ陥りやすいような部門であるということをまず御認識いただいて、そういうことに対して通産行政というものが特に手厚い対処をお考えいただかなければならない時代にいまは来ているのじゃないか、そう考えるわけでございます。そういうことについて大臣の御所見を承りたい。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 御指摘の点は確かにあると思います。私は、ただ単にサービス業がふえたということを言っておるわけではないので、国家が苦しい財政事情の中で内需を喚起し、その間に製造業も、人員こそ減らしましたが、やはり付加価値の高いものをつくる構造改善をやっておるわけですね。そして先進諸国の製品に負けないものをつくり上げていく、これは当然なことだと思います。そしてまた、同じ製造業の中でも、その付加価値を高めるためにはどうするのか、それは機械産業などがもっともっと振興されなければならない、そういう根本は当然なことであります。消費とサービスだけに終始する第三次産業がどんどんふえるということは、これは国の生産には役に立ちません。そうかといって、サービス時代ですから、やはりそういう面に雇用の創出があるという現状について先ほどは意見を述べたということであります。したがって、今後、なお社会的ニーズのおもむくところ、教育とか文化とか福祉とか、そういう面においても新たな雇用が創出されるということを予見されるわけでありまするので御説明をしたという次第であります。  そこで、いま、第三次産業にわずかな退職金とか借入金で向かった人たちが過当競争のために大変手ひどい目に遭うのではないか。そういうこともきっとあると思います。ですから、そういう面については、やはり国家としても環境衛生金融公庫などをつくって融資の道を講じたりしておりまするが、きめ細かな配慮が必要なことは当然であるというふうに考えます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 大臣の御答弁を伺っておりますと、簡単にそういうことがすべてスムーズに円滑に行われるような感じがしてまいるのですが、どうも実感としてはそういうものがそう受け取れない深刻さを持っているので、そこのギャップというものを特に私は強調しておきたいわけでございます。特に、先ほどから申し上げるように、ことしの、たとえば労働省あるいは通産あるいは厚生、こういう部門で第三次産業への調査をする、こういうことは皆さんやはり第三次産業のシェアをどのように開拓をするか、あるいはどのように確保するか、あるいはどのように雇用の流入を図ればいいかということに対する御配慮であろう、こういうふうには思うわけでございますけれども、そういう調査を関係各省がばらばらにやっている傾向があるわけですね。お互いにその間の連携を十分とられて、やはりそういう中で適正配置というか、パイの受けざらがこういうところには非常に有効であるし、ここはもうこれ以上少しでも落とせばあふれてしまう、こういうふうなところもあるということを私はいま申し上げているわけでございまして、そういう意味においては、この雇用の創出というものを除いた通産行政は現在のところはない。逆に言えば、雇用創出のための、完全雇用のための通産行政であるというふうに極論してもいいぐらい、雇用問題が深刻な状態をもたらしているわけでございますから、そういう意味で、先ほど申し上げましたような状態の中に現在置かれているということは一つの事実でございますから、調査にしてもそういうことを十分きめ細かに含んで対応していただきたいというお願いをまずしたいと思います。  それから二番目に、こういうことがございます。一例を挙げますと、環衛業界の中で、クリーニング業界という業界がございます。この中では非常に零細な生業にいそしんでいる方もあれば、集団で企業化をして近代化をして、そうしていわば取次店をどんどん拡大してシェアを拡大していく。そこで過日競争という非常に深刻な状態が行われているわけでございます。  ところが、一方で通産行政その他が指導育成する場合においても、転換を行わせる場合でも、そういう実態を十分把握されておられれば、そういう業界には、これは一例を挙げて申し上げているのですが、そういう状態をうかつに見逃しますと、そういうところの力の強い方をより育成してしまうということが起きかねないわけでございます。なぜならば、融資その他については、弱者救済というよりも、やはり力のあるところへ融資していく、こういう傾向というものは否めないと思います。そうしますと、それがそういう生業を営んでいる方々に物すごい大きな影響を与えてしまう。そういうこともこれあり、また労働省の雇用の創出という一つの施策も、給料の肩がわりをしてあげます、だから一人でも多くの人を雇ってください。一言で言えば救済事業でございます。ですから、そういう本当に企業そのものの足腰を強くして、そこへどんどん雇用が吸収されるならいいのだけれども、要するに給料の肩がわりをしてあげるから一人でも多く雇ってくださいというふうなことであるならば、たとえばクリーニング業界の一例を挙げましても、それじゃそういうシェアを、過当競争の中でわれわれは資本を蓄えていけば、まだまだ競争できるのだというふうな方々が、逆にまた雇用をそういうところから引っ張ってくる。そういうことによってもっと大きな悲劇がそこに生まれてくる。ところが、そういうことを知らないで、そういう力のある業者へ、雇用の創出のために人を送り込んでしまうとかいうことがあっては大変悲劇になってしまうし、国の政策としては、目的とするところが全く反したところへ行ってしまう可能性があるのではないか。これは一つの極端な例を挙げて申し上げたわけでございまして、そういう業界である環衛業については、特に通産あるいは労働あるいは厚生というふうな各省の横の連携を十分おとりいただいて、そうしてその業界の保護育成あるいは足腰を強くしてやるための指導を片一方でしながら、適正配置的に二次産業の方からも雇用をそういうところへ創出していくという御配慮が大変大事なことではないか、こう私は考えて、いま申し上げているわけでございますので、そういうことについて大臣にひとつお答えを願いたいと思います。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 これはもう全く大事な話だというふうに思います。したがって、中小企業の育成、それから発展に関する政策、こういった企画、立案に関する総合的機構として、やはり各省庁は密接に連絡をとって、特にいまサービス業など、環境衛生関係の業種について通産省と厚生省とが十分連絡をとれ、これは大事なことですね。ぜひひとつその実を上げて御期待にこたえたいと思います。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) たとえば、非常に各論に入りますと話が小さくなってしまうのですが、商工会議所の指導員、こういう方々はいろいろな形で中小企業のそういう経営の指導に当たっておられるわけでございますが、そういう方々もこういうことに対する情報をできるだけ早く伝達をして、職業転換とかあるいは経営の実態とかいうことについて、他の省庁の指導員とか、あるいは地域社会におけるいろいろなそういう雇用創出あるいは雇用の研究開発、こういうことについての相談にぜひとも通産も積極的に御参加をいただいて、現在通産がお持ちになっていらっしゃるいろいろな出先機関が、そういうことに対する配慮の上で機能するようにぜひお願いを申し上げたいと思いますが、そういう点についてはいかがでございますか。

左近友三郎中小企業庁長官

○左近政府委員 いま御指摘のように、商工会議所あるいは商工会議所に置かれている経営指導員につきましては、小規模企業者の経営あるいは技術の改善というものの指導に当たっておるわけでございますが、御指摘のように、小規模企業者はいろいろな種類がございまして、それについて共通の会計というふうなものについては、相当会計経理の指導というようなものは行き渡っておりますが、個々の業種に即した指導というものが、企業者が非常に多いせいもございまして、まだまだ十分ではないという反省をわれわれもいたしております。御指摘のように、第三次産業、ことに環衛業種というような問題については、今後そういう点について十分力を入れたいということで考えております。  そういうことで、実はわれわれの方も、指導をやるとともに、並行して、やはり実態を確実に把握して、その中でどういう行政ニーズがあるかということを把握して適切な対策をとりたいということで、来年度予算でもそういう形を広げておりますので、今後はそういう経営指導のやり方も、それぞれ専門化した指導というふうに分化してまいりたいというふうに考えております。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 労働省あるいは厚生省にも、そういう連携プレーの上に立った適切な指導をしていただきたいということを申し上げておりまして、各省ともにそういうことについては前向きの御答弁をいただいたわけでございますから、通産省におかれましてもそういう姿勢で、ぜひ横の連絡を十分おとりいただいた上で、ひとつこの難関を切り抜けていただく一助としていただきたいと思います。  残された時間を大臣にお聞きをいたしますけれども、そういう産業構造の転換だとか高齢化社会とかという、こういうふうな大変むずかしい問題を抱えて、一方では定年制の延長、あるいは一方では、ヨーロッパでもそうでございますけれども、高齢化社会、若年者の雇用問題が大変深刻になっております。日本でももう少し高齢化社会が成熟いたしますと、今度は若年者の雇用の問題が深刻な社会問題につながってまいるはずでございます。そういう意味で、この両刃のやいばと申しますか、両手でどういうふうにこれを解決していけばいいのかということについても、もし大臣に御所見がございましたら、この機会に承っておきたいと思うわけでございます。

江崎真澄自由民主党通商産業大臣

○江崎国務大臣 これはやはり、若年者の失業者というのは一番困るわけで、特に困る。まだわが国の場合は比較的その数が少のうございまするが、EC諸国などではこの若年層の失業者が多いことは承知いたしております。老齢者を含めまして、やはり職業教育、その訓練の充実、こういったことがもっと拡充強化される必要があるということを私痛感いたしております。最近労働省においてもそういう方面に非常に力を入れておられますが、われわれ通産省側としても、これに協力をしてその実を上げたいというふうに思います。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 最後に、構造不況業種と一言で言えば、全部その中にいろんな業種が入ってしまうわけでございますが、その起因する原因というのは大変多種多様でございます。中には不可抗力的な形の不況業種もあれば、あるいは高度成長のときに将来の展望を誤って、そのために現在大変不況な産業になってしまっているという業態もございます。そういうことについて一律にその物差しを当てて救済ということを考えていくことは、逆に言えば、先ほど申し上げたような、どうにもならないものを一日生き延びさせるということだけに終始してしまいますと、かえってそういう将来の雇用の問題をより深刻な状況の中に追い込んでしまうという可能性もあると私は思いますので、そういうことについての、構造不況業種と一言で言っても、その中で十分その原因なり経過なりを勘案された対策をお考えになるべきではなかろうか、こういうふうに考えますので、それについて、残された時間、大臣に御所見を承りたいと思います。

矢野俊比古通商産業省産業政策局長

○矢野政府委員 現在、いわゆる構造不況業種として、特定不況業種安定措置法でございますが、七業種ございます。まさに先生御指摘のとおり、業種業態で非常に実態が違っているわけでございます。また不況になったいきさつも違います。ただ現在の法律は、たまたま、設備処理をできれば、これが当面とにかく何らかの中長期的需給対策も可能であるという認識で、その一つをそこに集約して取り上げてございます。したがって、私どもとしては、この法律だけの運用ではなくて、やはり業種業態に応じては、たとえば業種転換というものが必要であれば、そういう指導も必要でございます。あるいはまたグループ化と申しますか、合併集約化というのも非常に行き過ぎでございますけれども、そういう方向で将来国際競争に十分たえていくという体制をつくることも必要でございます。そういう点は、御指摘のとおり十分業種実態を見定めて、この法律だけによるのではなくて、あらゆる施策を適宜適切に、必要に応じて対応する、こういうふうに考えていきたいと思います。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 短い時間でございましたけれども、いままで質疑をいたしましたことを見ても、日本の将来というのは決して甘いものではないというふうに考えますので、ぜひともその対応については、そういう亀裂の部分についても十分適切なあるいはまたきめの細かい御配慮をしていただかないと、その及ぼす影響が非常に大きく出てしまう、こういう状況でございますから、特にその環衛業界についても改めてお願いをし、手厚い御配慮を願いたい。   これを最後にお願いをして私の質疑を終わらせ  ていただきます。

森清自由民主党

○森(清)主査代理 次回は、明二十八日午前十時より開会し、経済企画庁及び農林水産省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時八分散会

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