予算委員会第三分科会 第3号
- 発言数
- 271 件
- 登壇者
- 38 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1979/03/01
会議録
○野呂主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。 昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算中、労働省所管について説明を聴取いたします。栗原労働大臣。
○栗原国務大臣 昭和五十四年度一般会計及び特別会計予算のうち労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。 労働省の一般会計の歳出予算額は四千八百五十五億五千六百万一千円で、これを前年度当初予算額四千二百八十三億九千九百五十二万七千円と比較いたしますと、五百七十一億五千六百四十七万四千円の増加となっております。 次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。 この会計は、労災勘定、雇用勘定、徴収勘定に区分されておりますので、勘定ごとに歳入歳出予定額を申し上げます。 労災勘定は、歳入歳出予定額とも一兆九百四十六億九千二十五万四千円で、これを前年度予算額一兆百七十一億百五十九万三千円と比較いたしますと、七百七十五億八千八百六十六万一千円の増加となっております。 雇用勘定は、歳入歳出予定額とも一兆五千五百四十億八千九百八十二万一千円で、これを前年度当初予算額一兆三千四百七十五億八千八百四十八万三千円と比較いたしますと、二千六十五億百三十三万八千円の増加となっております。 徴収勘定は、歳入歳出予定額とも一兆七千五百三十一億六千八十二万三千円で、これを前年度予算額一兆五千七百八十七億七千三百四十八万六千円と比較いたしますと、一千七百四十三億八千七百三十三万七千円の増加となっております。 最後に、石炭及び石油対策特別会計の石炭勘定のうち当省所管分としては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として百七十三億二千五十九万八千円を計上しておりますが、この額は、前年度予算額百六十八億一千四百六万二千円と比較いたしますと、五億六百五十三万六千円の増加となっております。 以下、この労働省予算の重点事項につきまして、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。 よろしく御審議のほどをお願い申し上げる次第でございます。
○野呂主査 この際、お諮りいたします。 労働省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔栗原国務大臣の説明を省略した部分〕 次に、その主要な内容について概略御説明申し上げます。 第一は、停滞する雇用情勢に対応する雇用安定対策の強化に必要な経費であります。 わが国の雇用失業情勢は依然として厳しい状況が続き、中でも中高年齢者の再就職はきわめて困難な状態にあり、雇用問題の解決は政府に課せられた現下の最優先的政策課題であります。 そのためには、きめ細かな雇用対策を講ずることによって失業を予防し失業している方々の再就職の促進を図る施策を積極的に推し進めることが必要であります。 政府といたしましては、各種の就職援護措置の大幅強化に加えて、民間の活力を生かす方向で雇用機会の開発と維持を図るための積極的な措置を講ずることといたしました。すなわち、中高年齢者雇用開発給付金の助成率及び支給期間を大幅に改善し、これを中核として新たに雇用開発事業を創設し、これにより十万人の雇用の増大を図ることといたしております。 また、雇用情勢に即応して、機動的、弾力的な離転職者訓練を積極的に実施するとともに、これら職業訓練受講者について雇用保険の特例措置を講ずることとし、雇用開発事業の創設を含めた雇用保険法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしております。 さらに、厳しい情勢のもとで企業の定年延長を促進するため、定年延長奨励金の大幅引上げと支給要件の改善を行うことといたしております。 なお、特定不況地域離職者対策としては、先の臨時国会で成立した特定不況地域離職者臨時措置法に基づき、これらの地域の雇用保険受給者に対し雇用保険の特例措置として個別延長給付を行うなどの措置を講ずることといたしております。 これらに必要な経費として一千三百三十九億八千八百七十六万九千円を計上いたしております。 第二は、産業経済の構造的変化に対応する労働行政の展開に必要な経費であります。 雇用失業情勢は依然として厳しい情勢の中にあって、特に、いわゆる構造不況業種等における雇用が引き続き問題視されているところであります。 このため、失業の予防、再就職の促進等のための特別の措置を講ずることを目的として、昭和五十五年一月一日までの時限立法として第八十三回臨時国会で成立した特定不況業種離職者臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の有効期限を昭和五十八年六月三十日まで延長することについて今国会にお諮りいたしておりますほか、雇用安定資金制度の積極的な活用を図るなどにより、失業の予防と離職者等の職業及び生活の安定に全力を傾けることとしております。 また、職業訓練につきましては、労働者が産業構造の変化等に対応して、生涯を通じて職業能力の開発向上ができるよう、その条件整備を図るため、民間公共一体となった訓練体制の確立に向けて施策を推進することとしております。 これらに必要な経費として一兆二千五百九十六億四千五百三十三万三千円を計上いたしております。 第三は、高齢化社会に対応する高齢者対策の強化に必要な経費であります。 高齢者の雇用失業情勢は、景気停滞の影響から依然として厳しい状態が続いており、また、今後社会の高齢化が急速に進むと見られることなどを考慮すると、高年齢者に安定した雇用の場を確保することは雇用政策上の重点課題の一つとなっております。 このため、第一で申し上げました中高年齢者雇用開発給付金及び定年延長奨励金、継続雇用奨励金等の大幅改善など各種施策を講ずることとしたほか、高年齢者職業相談室、人材銀行の増設などによる職業紹介体制の強化を図り、積極的な求人開拓並びにきめ細かな職業指導及び職業紹介に努めるとともに、高年齢者向けの職業訓練の拡充を図ることといたしております。また、これら政府による対策とあわせて、民間における高年齢者の雇用問題に関する自主的な対策の一層の推進を図ることとしております。 以上のほか、中高年齢労働者の健康の保持、増進を図るため、総合的健康管理対策を推進することとしております。 これらに必要な経費として五百二十七億二千六十五万三千円を計上いたしております。 第四は、勤労者の職業生活の充実を図る勤労者福祉対策の充実に必要な経費であります。 労働時間対策につきましては、昭和五十二年十一月末の中央労働基準審議会の建議及び昨年五月の衆参両院で採択された雇用の安定に関する決議の趣旨を踏まえ、関係者のコンセンサスの形成を目指す産業別労働時間会議の開催、労使、国民一般に対する積極的な広報活動の実施、時間外労働等に関する労使協定の適正化の指導などにより行政指導を進めてまいることとしております。 次に、勤労者財産形成制度につきましては、昨年、持ち家融資制度の拡充並びに勤労者財産形成基金制度及び進学融資制度の創設により制度の整備充実が行われたところであり、本年度におきましては、融資枠の拡大とともに制度全体の普及定着を図ることとしております。また、勤労者福祉施設の整備につきましては、中小企業に働く婦人及び青少年のために福祉の増進を図るための施設の拡充を図ることとしております。 さらに、勤労青少年に対する福祉対策につきましては、勤労青少年福祉法を軸に推進を図ることとしており、特に本年は国際児童年であることにかんがみ、関連事業の推進を図ることとしております。 これらに必要な経費として二百六十六億四千八百十二万九千円を計上いたしております。 第五は、生命と健康を確保する勤労者保護対策の推進に必要な経費であります。 労働災害はここ一両年増加の傾向にあります。また、職業性疾病についても、職業がんなどの新しい疾病の発生が見られるなど、その対策の推進が緊急の課題となっております。 このため、職業性疾病対策を一段と強化することとし、化学物質等の有害性調査体制の整備、健康診断制度等の充実、振動障害防止対策の強化、職場環境の改善、産業医学の振興を図るなどの施策を推進するとともに、建設業における安全衛生対策の強化、安全衛生融資制度の拡充を図るなど、予防から治療、補償までの施策を総合的に推進することとしております。 これらに必要な経費として六千八百七十四億六千五百七十四万一千円を計上いたしております。 第六は、男女平等の促進と勤労婦人福祉対策の充実に必要な経費であります。 国際婦人年を契機として婦人問題の関心と重要性の認識が高まる中で一昨年国内行動計画が策定されるなど、婦人の地位向上のための施策の積極的な推進が強く要請されております。 このため、雇用における男女平等に関するガイドラインの調査研究を初め、若年定年制、結婚退職制等の解消のための行政指導を中心に、雇用における男女平等の促進を図るとともに、職場における母性健康管理対策や育児休業制度の充実、普及に努めるなど、多様化している勤労婦人の諸問題に即応する福祉対策を進めることとしております。 これらに必要な経費として五億八千四百八十九万二千円を計上いたしております。 第七は、特別の配慮を必要とする人々のための施策の充実に必要な経費であります。 心身障害者の雇用対策につきましては、身体障害者雇用率の達成指導の強化と身体障害者雇用納付金に基づく各種助成措置を大幅に拡充することとし、これが制度の積極的な活用を図るとともに、事業主の一層の協力を求めることといたしております。また、職業訓練校の新設など職業訓練の充実を図るほか、心身障害者職業センター、勤労身体障害者体育施設の増設、雇用奨励金の増額等就職援護措置の拡充などの施策を講じ、心身障害者の雇用を促進することとしております。 次に、港湾労働者の雇用対策につきましては、荷役方法の近代化、機械化等、輸送革新の進展により日雇い労働者への依存度が著しく低下する等、港湾をめぐる環境が大きく変化してきております。これに対処するため、雇用調整手当制度の健全な運営を確保すること等を中心にその整備充実を図ることとしており、このため、港湾労働法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしております。 また、失業対策事業につきましては、就労者の賃金を昭和五十三年度当初に比べ七・五パーセント引き上げることとしております。 なお、建設労働者、季節出かせぎ労働者、沖繩失業者、駐留軍関係離職者、炭鉱離職者、同和対策対象地域住民、寡婦等のための雇用対策についても、これを一層充実することとしております。 これらに必要な経費として一千三百四億三千五百万五千円を計上いたしております。 第八は、経済社会情勢に即応する合理的な労使関係の形成促進に必要な経費であります。 今後の安定成長下におけるわが国の経済社会にあって、労使関係の動向はひとり労使間の問題にとどまらず、政治、経済社会の各般にわたって大きな影響を及ぼすものと予想されます。 このため、産業労働懇話会等の場を通じて労使関係者の相互理解を一層深めるなど安定した労使関係の形成を促進するとともに、労使紛争の平和的解決に努めることとしております。 これらに必要な経費として二十一億七千八十七万円を計上いたしております。 第九は、国際環境の変化に対応する労働外交の展開に必要な経費であります。 今日、世界はますます相互依存の度を強めており、労働問題の分野においても、このような国際環境の変化に対応した施策を積極的に展開することが強く求められております。 このため、欧米先進諸国の労働組合指導者や政府関係者等をわが国に招聘するなどにより、わが国の労働事情に関する積極的な海外広報活動に努め、労働外交を通じて国際的な相互理解を一層促進することとしております。 また、発展途上国の労働関係者との交流や国際技能開発計画の推進に努め、発展途上国への援助、協力を進めることとしております。 なお、今後ともILO、OECD等の国際機関の諸活動に積極的に参加、協力してまいることとしております。 これらに必要な経費として二十五億二千三百七十七万八千円を計上いたしております。 以上のほか、労働行政体制の整備充実、一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。 以上、昭和五十四年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について概略御説明申し上げました。 何とぞ、本予算の成立につきましては格段の御協力をお願い申し上げます。
○野呂主査 以上をもちまして労働省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○野呂主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口一男君。
○田口分科員 前の国会で同和対策特別措置法が三年延長になりました。こういった三年延長の第一年次を迎えることし、この同和問題の中心課題が労働対策であることは、大臣もすでに十分御承知のことだと思います。 同対審の中身を読んでみますと、「同和地区住民に就職と教育の機会均等を完全に保証し、同和地区に滞溜する停滞的過剰人口を近代的な主要産業の生産過程に導入することにより生活の安定と地位の向上をはかることが、同和問題解決の中心的課題である。」と、こういうふうにうたっておることからもわかりますように、労働対策は一番重要である。 そういった立場から、労働一般を所管する労働大臣として、同和問題の解決に当たっての御決意をまずお聞かせいただきたいのです。 〔主査退席、岡田(利)主査代理着席〕
○栗原国務大臣 御説のとおり、同和問題の解決には、同和地域の住民の方々に就業機会の拡大をする、そしてこれらの方々の民生が本当に安定するような努力をすることが国民的課題でございますし、また労働省といたしましてもそのことを積極的に推進しなければならないということでやってまいっておりますが、正直に申し上げまして、これが十分効果が上がっているとは言い切れない非常に厳しい部面がございます。さらに意を新たにいたしまして積極的に諸般の施策を進めてまいりたい、こういう考え方でございます。
○田口分科員 いまお聞きをいたしました大臣の決意、ひとつその決意でがんばっていただきたいと思うのですが、その大臣の御決意というものは具体的に新年度の予算の中にあらわれていなければならぬと実は思うわけであります。 そうしますと、時間がないですから細かい数字は省略をいたしますけれども、たとえば労働保険事務組合の設立促進費ということがございますが、これは後でも申し上げたいのですけれども、大阪府の例をとりますと、一般地域といいますか、それと同和地区の稼働状態を見た場合に、大体四分の一ぐらい、四と一というふうな開きがある。しかも、労働保険になかなか加入をしていない。したがって、加入促進をするためには、こういった労働保険の事務組合をつくっていろいろな制度の恩恵に浴するようにしなければならない。この組合の設立の促進費についてお聞きをいたしますと、たしか新年度の予算要求の際には三百万程度含まれておったようでありますけれども、これが大蔵省の査定によってゼロになっております。 さらにまた、職業訓練受講奨励金の対象の拡大の問題にいたしましても、確かに新規学卒の養成については相当手厚い配慮がなされておると思いますけれども、中高年のいわゆる能力再開発といった問題については、まだまだ不十分ではないのか。 それから、同和対策対象地域の職業講習費といった問題にいたしましても、手当の単価が低いものでありますから、受講者といいますか、対象者がなかなか集まってこない。 また、職場適応指導奨励金というものもございますけれども、これは確かに前年に比べて伸びておることは認めますが、新年度の労働省の目玉と言われております十万人雇用のああいった制度の方に、言うならば魅力が移ってしまって、それとこれと比較すると、職場適応指導奨励金の方がどうも魅力がない。 こういう問題から、いま大臣の御決意を聞かせていただきましたけれども、予算という面について言いますと、私はいまだしという感が強くするわけであります。そういう点について不十分であるということを私は指摘をしたいのですが、ひとつお考えを聞かせていただきたいと思います。
○細野政府委員 予算面につきましては、先ほど大臣から申し上げましたような基本的な方針に基づきまして、各種の施策を裏打ちするための予算を今回お願いしているわけでございまして、全般的に申し上げますと、総額で前年比二五%の伸び率ということで、私どもとしましては、厳しい財政事情の中でありながらその確保に努めてまいったわけでございます。 個別には、いま先生から御指摘がございましたように、いろいろの点もあろうかと思います。しかしながら、いま申しましたように、全般的にそれぞれの主要な施策に事を欠かないように、厳しい財政事情の中でほかの省にも劣らない伸びを確保したというふうに考えている次第でございます。
○田口分科員 そこで、私が一つの例として申し上げた労働保険事務組合設立促進費の問題なんですけれども、先ほどちょっと言いました大阪の調査の結果なんですが、労働関係保険について調べてみますと、労災保険の未加入が四四・九、雇用保険の未加入が五五・二、健康保険の未加入が三五・八で、こういった数字からうかがわれますように、いかにも労働行政でいろいろな制度がまんべんなく行き渡っておると言われてはおるのですけれども、同和地域については、大体半分程度の対象労働者しかこの制度に入っていない。 これを制度の中にどう組み入れていくかを考えますと、いま言いましたような、一部事務組合をつくってやっていくことの方が解消するに近道になりやしないかと思うのですけれども、この辺についてのお考えを具体的にお聞かせいただきたいと思います。
○関政府委員 お答え申し上げます。 先生もう十分御案内のとおり、労働保険の関係につきましては全面的に適用になっているわけでございますが、零細な事業につきましては、現実に事務処理能力が十分でないとか、非常に数が膨大で把握が困難であるとか、いろいろな理由でいまだ適用になっていない部分が相当ございます。そこで、お話のように、労働保険事務組合というような形をできるだけ奨励して加入を促進してまいりたいということでやっておりますが、その設立促進のための一般的な予算は従来からあるわけでございまして、その一般対策以上に、本年度の予算要求におきまして、初めての試みといたしまして、同和地域につきまして特に手厚く予算要求したわけでございますが、ことし初めてでございまして、今後ともその点では努力をいたしたい、こういうふうに考えております。 なお、適用が十分進んでいないということから労働者の保護に欠ける点があるのではないかというふうな点につきましては、保護の必要がある場合にはさかのぼって適用するというふうな形で、労働者の保護に欠けることのないよう努めておるところでございます。
○田口分科員 それでは、いまの予算の範囲内でも私が例に挙げたようなことについて解消するように、さらに努力をしていただきたいと思います。 次に移ります。いま言ったように、労働保険の関係で未加入者が多いということを別な面から見ますと、労働省の実態把握といいますか、いまお答えがありましたけれども、一般的な施策でやるということは必要です。しかし、同和地域のそういういろいろな悪条件を具体的につかむことによってきめの細かい施策が進められるのではないか。そう思いますと、前の国会で三年延長の際の附帯決議の第一項にもありますように、この際、労働省として総合的な実態調査をやる必要があるんじゃないかと思いますが、それについてのお考えを伺いたいと思います。
○細野政府委員 同和対策事業を効果的に実施するために対象の把握が必要じゃないかという点は御指摘のとおりでございまして、これまでも機会あるごとにいろいろな形で実態の把握に努めてきているところでございますが、特に昭和五十二年度におきまして、同和対策対象地域住民の就業実態調査を実施したところでございます。 今後におきましてもこれらの調査結果等を活用、参考にするということはもちろんでございますが、さらに現地視察等いろいろな方法を講じまして、実態の具体的な把握に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○田口分科員 先般、二十一日ですか、予算委員会の一般質問の中で、わが党の矢山委員が三原長官やお歴々にこの調査の問題について御質問をしておるのですけれども、私が後で聞きますと、いまの職安局長の御答弁にありますように、何か労働省独自で調査をやられたものがあるそうですね。それがどういうかげんか、もうすでに集計も終わっておるけれども、まだ発表していない。この辺のところを何か理由があればお聞かせいただきたいと思います。
○細野政府委員 先生御指摘のように、五十二年度におきまして実施調査を実施したわけでございまして、その結果につきましてはほぼ分析を終了している段階でございますが、この調査結果を公表することにつきまして、同和対策協議会の方から、同協議会の意見を聞いた上でやってくれという御要望がございまして、現在同協議会の意見を待っているという状況でございます。
○田口分科員 そうなると、いまの同和対策協議会は労働省所管じゃありませんからここで言ってもなんですが、正直言って同対協はいま開店休業ですよね。御存じだと思うのです。協議会そのものはあるけれども、はっきり言ったら政府の方がサボって人選が進まない。開店休業です。いつになったら同対協が営業を開始するかはいまのところわからぬ。となると、いまおっしゃったように、せっかく労働省が調査をやって集計がほぼ済んでも、これは当分公表できぬですね。そうすると、そういう開店休業の状態にある同対協の同意を得なくても、労働省限りでやる方法はありませんか。
○細野政府委員 先生御指摘のように、同和対策協議会が現在、委員の人選等の問題で実際に審議ができにくい状況になっているという点はあるわけでございまして、その点につきましては、私ども総理府ともよく連絡をとりまして、この協議会が一日も早く動き得るように私どもも努力してみたいと思っております。
○田口分科員 それでは、同対協の問題ですからここで押し問答してもしようがないのですが、そういう関係で公表をされておりませんから、どういう方法でやったか、調査の内容は私は知りません。 ただ、もう一度総合的な実態調査をやっていただくとすれば、こういう点をひとつ気をつけていただきたいのです。これは要望なんですが、いわゆる同和地域の類型がないといいますか、画一的じゃありませんね。大都市型もあれば農村型もある、さらに山村型もあれば漁村型もある、集中しておるかと思えば点在もしておる。こういうふうに類型がいろいろありますから、類型別調査をやった上で、その類型別の対策を講ずるということが今後必要なんじゃないか。特に三年間という限られた期間でありますから、そういったきめ細かい調査と、それに基づく対策ということを早急に立てていただくようにこの際要望しておきます。 次に移りたいと思うのですが、これも同対審で言っておりますように、今日また、さっき申し上げたように、いろいろな労働保険、就職の機会などが大変阻害をされておる。その一つ一つの問題を政府自身が、いままで何回か総理も御決意を披瀝されておりますように、除去していかなければならぬ。ところが、今日振り返ってみますと、ますますそういう差別をする、就職の機会を阻害するというふうなことがたくさん出てきて防縮と思うのですね。御存じのように「部落地名総鑑」は、これはいままでに第一から第八、最近は第九まで売られておる。それについて法務省あたりも強く言っているそうでありますけれども、今度は「人事記録パック」というふうなものが出てきておるのですね。これは社員名簿をつくるのに普通の履歴書の形式ではなくて、その中にいわゆる出身別といいますか、地名総鑑的なような欄があるパック事件です。 そういうものか後を絶ちませんから、これは私の地元の三重県でも先年の調査で出てきておるのですが、昭和五十二年度の公立、私立の高等学校卒業者の就職について、四十数社に及ぶ事業所がそこだけ身元調査をやっていますね。そして何のかんの理屈をつけて結局就職ができない。こういうことがあるのですから、一体これをどう解消するのか、大臣のお考えを承りたいと思います。
○栗原国務大臣 「地名総鑑」等の冊子が刊行されたり、それが購入されておるということは、御指摘のとおり就職の機会均等というものを著しく阻害するということは事実でございまして、私どもは大変遺憾なことだと心を痛めておるところでございます。 労働省の段階でこういう機会均等を阻害するような実態をどう解消するか。「地名総鑑」そのものを発行させるとか発行させないとか、それをどうするかというのは、いささか私のところにはなじみませんから、労働省としてどうするかといいますと、これはやはり事業主に機会均等でなければならない、差別をしてはならない、すべきでないということを反復継続してこれを積極的に指導する。そのことに重点を置かなければならぬ。いままでもやっていなかったわけではございませんが、私といたしましては強い行政指導でやっていきたいと考えております。
○田口分科員 それをひとつ粘り強く積極的にやっていただきたいのですが、それを具体的にやるために、私は三つ要求したいのです。 一つは、これは大臣も御承知だと思うのですが、大災害が起こり、そういったときに災害対策本部というものをつくりますね。これを「地名総鑑」なんかが出て、同じ日本人でありながら就職の機会均等が阻害をされておるということは重大事件ですから、これを除去するための対策本部といったものをつくる必要があるんではないか。これが第一。 それから二つ目は、一九五八年にすでに出ておりますILO百十一号条約、雇用及び職業についての差別待遇に関する条約でありますけれども、これはいまだわが政府は批准をしていない。この批准をするということも大事な問題であります。これが第二。 そして、いま大臣か労働省の所管として事業主に対して積極的に進めると言われたが、これはそれぞれの事業所でそういった実を上げていくために、すでに労働省でつくられております同和問題研修推進員の設置、これは努力をされておることは認めますけれども、私どもが聞く限りでは、それぞれの府県ごとに見ますとまだまだ差がある。一番いいところと一番悪いところを挙げてもいいのですが、大体一〇〇%近いところがあるかと思えば、まだ二割、三割というところもある。こういう実態から、なぜ進まないのかということも御検討になっておると思うのですが、そういった点についてもお示し願いたい。 いま私が申し上げた対策本部の設置について、それからILO百十一号条約の即時批准の問題について、そして労働省がすでに制度化をしておる研修推進員の設置をさらに進める問題について、こういう点についてのお考えを承りたいと思います。
○細野政府委員 先生の御指摘の三点のうち、本部の問題と推進員の問題は私から申し上げまして、条約の問題は官房長からお答え申し上げるようにいたしたいと思います。 まず、御指摘の対策本部の問題でございますが、確かに「地名総鑑」事件のような同和問題の解決に逆行するきわめて悪質な事態が起きており、こういうことに対処するためには関係行政機関が緊密な連携をやって総合的な対策を講ずる必要があるという点は、先生の御指摘のとおりだというふうに私どもも考えるわけであります。そういうこともございまして、総理府におきまして同和対策室という専門の対策室を設けまして、そこを中心に同和対策協議会の幹事会等、関係各省が打合会を頻繁に開催して種々の対策を講じておるところでありまして、今後とも先生の御趣旨が生かされますように、総理府を中心にした連携を一層緊密にいたしまして、関係各省一体となってこの問題に対処するように私どもも努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 それから、三番目に御指摘がございました同和問題研修推進員制度でございますが、これにつきましては、確かに先生御指摘のように、府県によってアンバランスがございます。私どもとしましても、当面百人以上の事業所に設置するということを原則的な目標としておるわけでございますが、各都道府県におきましては、その地域的な実情をその上に加味しまして設置目標を定めておる。したがいまして、中央の方針にプラス地方の状況に応じたもの、これが全体的な目標の数字になっておるわけでございます。 そういう点から、昨年の十二月末現在での設置状況を申し上げますと、全国規模の設置目標、先ほど申しました地方の実情を加味したものをも上乗せしたものでございますが、これは専任の対策事業所が四万八千百六十一でございます。これに対しまして設置の達成されました企業の数が二万九千七百六十五で、達成率としましては六一・八%でございます。なお、先ほど申しましたように、中央の百人以上という基準で見ますと、これが七四・五%ということで、四分の三程度の達成にはなっているわけでございます。 ただ、先生から御指摘がございましたように、都道府県別に見ますとこれがかなりアンバランスがございまして、その理由は、先ほど申しましたように、目標の樹立に当たって百人以下の相当小さい事業所についてまで当初から設置の目標の中に入れているという、そういう意味では非常に意欲的な目標を掲げられた県がかなりございまして、それでなかなか目標まで達成していないという理由が一つございます。それからもう一つは、これはまことに残念でございますけれども、同和問題についての理解と認識が地域的に必ずしも十分でない、そういうことから事業所にも理解を得るのに時間がかかっているという点も確かにございます。主としてその二つが大きな理由ではなかろうかというふうに考えておるわけでございますが、いずれにしましても、私どもは目標の達成について今後とも十分各県と連絡をとって推進を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○関政府委員 ILO条約の批准につきましては、先生も御案内のとおり、批准に当たりまして国内法令を完全に整備した上で批准に臨むという方針を政府はとっているわけでございますが、百十一号につきましては、先生御案内のように、わが国にはたとえば職業安定法あるいは労働基準法等にいろいろ規定はございますが、細かく検討してまいりますと、実態上問題はないといたしましても、たとえば皮膚の色に関する規定はないとか、あるいは労働基準法は雇用された後の状態についてはいろいろ規定しているわけでございますが、雇用に入るところの入り口のところの規定がない、雇用されることにつきましての禁止規定がないとか、職業訓練関係での差別扱いの禁止規定がないとか、実態上余り問題はないと思うのでございますが、いろいろ検討してまいりますと、多くの問題がまだ残されておりまして、これの批准に踏み切りますにはなお慎重な検討が必要だろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
○田口分科員 もう時間ですから。 これは同対法ができてから十年、そして三年延長、今日なお同対審に盛られた精神が、むしろ私はこれに逆行するような事実ができてきておる。これはさっき例を挙げて言ったとおり。したがって、あと三年でこれを全部やるということはむずかしいにいたしましても、一番中心である労働対策、これについて就職の機会均等を阻害する要件を、どんな小さなものであってもひとつこれは撤去してしまう、こういう強い決意でやっていただくことを強く要望いたしまして、終わります。
○岡田(利)主査代理 これにて田口一男君の質疑は終了いたしました。 次に、井上普方君。 〔岡田(利)主査代理退席、玉沢主査代理 着席〕
○井上(普)分科員 私は、私の国元で起こりました、徳島造船という会社があるのでございますが、そこの労働問題についてお伺いいたしたいと思います。 これは昨年の十一月の中ぐらいに突如として会社側が、資本金七千万円で従業員は百五十人、徳島県の企業としましては、御承知のように非常に、何ですか、産業的には、工業的には後ろから行っておるという県でございますので、重大な雇用問題に発展いたしました。事実、徳島造船というのは非常に歴史がある会社でございますけれども、この会社が昨年の十一月に全員解雇を通告いたしてきたのであります。それじゃたまらぬというので、労働組合の諸君が一生懸命になりまして、そして会社側と交渉した。そのいきさつにつきましてはここで詳しく触れるのはよしますけれども、いずれにしましても、ともかく会社とすれば、この際操業をやめて、ひとつ資本側が手を引いて会社をほかに売り渡したい、そのためには労働組合をつぶすために全員解雇が必要なんだ、こういうのです。 こういうあり方というのはあっていいものでしょうか、どうでしょうか。ほかに会社を売り渡すためにいまの従業員がおったのではぐあいが悪いので、ひとつ全員解雇するというのは労働法上どういうふうな解釈ができますか。私は、これは労働基準法やそんなもの以前の問題として許せない事柄だと思うのですが、どうでございます。
○松井政府委員 お答えいたします。 いま先生御指摘のように、この徳島造船におきましては昨年の十一月ごろ全員解雇というようなお話がございましたが、労働組合との話し合いの結果、会社としては一応これは撤回するということで、その後これを希望退職に切りかえておったわけでございますが、一番最近の二月二十三日になりまして……
○井上(普)分科員 わかった、わかった。 そういうことは企業者としての企業責任上許しがたい事柄であるし、自分の会社をともかくそのまま施設ごとあるいは免許をつけたままよそに売るために労働者を全員解雇するんだというやり方、それは一体どうです。これは労働大臣、どうです、政治家としての判断だ。こういうことが、法規上の問題じゃなくて、常識上許される問題か、社会通念上許される問題か、あるいは労働法上許される問題か、基本的な経営者の考え方を私は聞いているのです。この点いかがです。
○栗原国務大臣 労働基準法がどうのこうのということ以前の問題として、やはり会社が非常に困っているとき……(井上(普)分科員「困っていない」と呼ぶ)まあ非常に困っているとき一会社の経営上いろいろ考えられるという場合に、会社だけの一存でなしに、従業員、労働組合、労働者の方と十分に話し合いをする、もうこれはあたりまえのことでございます。そういう態度が望ましいことは当然でございます。この事案についてどうなっているかということについては私はつまびらかにいたしませんけれども、一般原則としてはそういうことが当然でございます。
○井上(普)分科員 私は、これは普通の社会人としては当然のことだと思う。それがもう突然なんですよ。労働組合との話し合いもなくて、去年の十一月、いきなり全員解雇する。そこで、労働組合の諸君が、労働者が団結して、ここで経営者に当たって、そしていまのような結果を見つつあるのであります。こうなんです。こういう態度で臨んできておる争議なんです。 しかも、何といいますか、地域産業、地場産業としては非常に有力な、しかも技術としてはこれは最高の技術を持っておる諸君を首切ろうとするのです。これはどこの業界においても、他の会社においても、あそこの技術陣は優秀だということは認めている。会社の内容を見てみましても、四十九年にはいかにも売上高は減った。しかし、五十年には下がったけれども、五十一年、五十二年と売り上げがぐっぐっと上がってきているんですね。そうして昨年になりますと、昨年もそう減っていない。昨年の十一月までに大体三十八億というんですから、一昨年が五十二、三億売り上げがあるんですから、そう悪くない。それをどうやってやるんだと言いますと、いや、もうあそこの用地というものは売って、運輸省からもらっておる造船の免許というのか、これをつけてよそに、他人に経営を譲ろう、とこう言う。許さるべくもない姿だと私は思う。 これに対して一体労働省はどういうような態度をとってきたんです。じっとほうっておいたわけじゃありますまい。先ほども、入り口の方は規定がないけれども、出口の方は規定しているんだとおっしゃいましたが、どういうような態度でやられておりますか。
○細野政府委員 先生御指摘ございましたように、この徳島造船の経営の悪化に伴いまして離職者の発生を見ているわけでございます。その数は本年の二月十五日までに退職者が四十七人というふうになっております。したがいまして、二月十五日現在の従業員数は九十四人が残っておられるということでございまして、退職者の四十七人のうちで安定所に求職の申し込みをしている方が三十四人ございます。この方々につきましては、当然雇用保険法による受給資格の決定、それから御存じの不況業種の臨時措置法、そういうふうな各種の施策をとっているわけでございます。
○井上(普)分科員 私はそんなことを聞いてない。大臣もいまおっしゃられたように、こういうように社会的にも許されないような企業者の態度に対して労働省はどういう態度をとったんだ、こう申しておるのです。事務当局は何もやらなかったんですか。これはどうなんです。
○松井政府委員 徳島造船における労使間の人員整理の問題につきましては、徳島県の労政課、商工労働部長、これが非常に熱心に取り組んでおりまして、それでたとえば県内の造船業者に対する発注の問題とか、あるいは海運局を通じての指導だとか、あるいは親会社への働きかけとか、こういうことで県の商工労働部も非常に熱心に取り組んでおりますし、私どもも常に連絡をとりながらこの交渉の行方というものを見守ってきております。
○井上(普)分科員 海運局と相談しましてなんておっしゃいますが、私はこの一月の六日に海運局へ行ったんですか、県の方ではどなたもおいででないんですよ。そうして、私は海運局と相談しましてこういうような通達を出させたんだ——やってないんだよ。だから、私は言ってるんだよ。こういうような許さるべくもない企業者の態度に対して、労働省としては毅然として労働者の権利を守る立場に立たなければならない。何をやったんだと私は言うんです。それを聞いてるんです。労働大臣、どうだ、いまの話で。
○松井政府委員 先ほどから申しておりますが、まず外部に対しましては、先ほど申し上げましたように、県内の業界に呼びかけまして発注の要請というようなことをいたしておりますし、それから親会社の方に対しましても徳島造船に対する協力要請を言っております。また、会社に対しましては、先ほどの全員解雇撤回の話につきましては、組合から県の方に対してひとつ会社に言ってくれというような要請がございましたので、県の方からも会社に対して解雇撤回ということを要請いたしておりますので、決して県あるいは私どもも何もしてない、手をこまねいておったというわけではないと存じます。
○井上(普)分科員 労働組合あるいは県の政治家、それが厳しく言ったので動き出したんです。労働省としてはこれに対して自主的にともかく入っていこうという姿勢は全然なかった。そこに私は労働省に対して大きな憤りを感じます。人からおまえやれと言われるまでは何もやらない、これがいまの労働省の姿じゃないですか。社会通念上許さるべくもない経営者の態度、これに対して労働者の権利を守り、労働者の福祉を向上させるのが労働省なんでしょう。自主的に動かなければならない労働省が人に言われなければ動かない。この姿勢に私は労働省の問題があると思う。いまもお話があったが、組合から言われて初めて動き出した、県議会で問題が取り上げられたから初めて動き出す、こういうような姿はいまの労働省の無気力さを如実に物語るものではなかろうかと私は思います。まことに私は残念でならないのであります。そこで、その問題はひとつ労働省側に対して猛省を促しておく。 そこで次に、この企業というのは決して経営状況が悪いんじゃない。先ほども申しましたように、五十年には一たん業績が下がりましたけれども、ずっと上がってきているんです。親会社といいますのは、日新興業と申しまして大阪に本社のある会社なんでありますが、これは船舶の冷蔵庫をたくさんつくっておる会社だそうです。これが、どうも造船業というのは先行き不安だからひとつ手を引いてほかの方へ売ってやろう、転売しようというためにやっているのです。私どもも事実そのとおり経営者の諸君から聞いたのです。不届きだと思うのですね。倒産の危険性もまだ全然ない。そして片一方の土地は売ろう、二カ所あるのですけれども、売ってともかくやれば十分いける会社なんです。こういうやり方に対して、企業の責任というものを労働省の皆さん方は会社側にどのようにこれからも交渉されるおつもりであるか、ひとつお伺いしたいのです。
○松井政府委員 現段階におきましては、三月五日付でもって希望退職を募集いたしておるところでございます。それで、その希望退職の結果が三月五日に出ますと、その後、今度はその企業存続、生産再開の問題をめぐって労使の間で団体交渉が行われるというふうに聞いておりますので、私どもとしましては、そこから生じました問題につきましては、また県とも連絡をとり、場合によっては安定当局とも連絡をとりながらこれに対処していかなければならないというふうに存じております。
○井上(普)分科員 そうすると、労働省というのは、あなたのお話、これは組合の諸君が——この組合というのは私から見てそう力が強い組合ではありません。強い組合あるいは弱い組合という言葉がありますね。しかし、ここでこういうような不当なことに対して団結していま交渉をした。交渉をすると、会社は何も倒産する危険はないじゃないか、それにもかかわらず企業者がともかく利益を収奪するためにほかへ売るというのは不届きだという県内世論が非常に高まりまして、そのために団体交渉に応じなければならぬようになって、先ほども申しましたように、労働者の諸君もそう厳しい労働組合ではございませんものですから、それじゃ希望退職でひとついきましょうということを決めたわけです。しかし、それまでもこの不況産業に対するなには全然やってないのですよ。制度上の利用というのは全然やってなかった。やってないのですよ。そして、ことしの一月になって帰休制度とかそんなのを初めて取り入れるようになってきた。こういう態度なんです。ほかのいままでの倒産事件とか他の企業の解雇事件とは全然違う。だから、あなたの言うように、組合との自主交渉によって希望退職が出てきましたので、その後の始末を私の方が考えますなんというような態度では、労働省としてはならないはずだと私は思う。不況業種に対する雇用制度を昨年の国会以来、十分じゃないけれどもつくっておる。これを利用することもほとんどないのですよ。 大臣、こういうような行政をあなたお調べになって、ひとつ積極的に労働省としては前面に出ていくお考えはないですか。労働者の権利、労働者の生活を守る、労働者の利益を向上さすのが労働省の務めでしょう。そういう面からして、こういうような経営者に対して労働省としては立ち上がるべきときじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
○栗原国務大臣 いま御指摘のような造船というのは、御案内のとおり、非常に不況業種でございます。したがいまして、経営者が将来的な展望から、これは一体どうすべきということを考える、そしていろいろと経営者は経営者として方策を講ずるということはやむを得ないと思います。ただ、その場合でも経営者だけの一存で事を運ぶということは適当ではない、どこまでも労使で話し合いをしていく、その労使の話し合いをしていくということが欠けているところにこの事案の問題もあるように私は思います。ですから、どこまでも経営上の問題、またそれは同時に労働者の労働条件に関することでございますので、労使が話し合いをするというのが前提でございます。その話し合いがうまくいかないとかあるいはそれが適当でないというときに、労働省がそれに対して重大な関心を持って適切な指導とか助言をするというのは当然のことでございまして、その点について十分でなかった、しっかりやれということでございましたら、それは私どもも謙虚に承りまして、今後適切な指導をいたしまして、そういう事案のないように心がけたい、こう思います。
○井上(普)分科員 ともかく労働省の諸君は、事件が起こってどこかから言うてこなければ何もしないという態度で終始してきたのです。これは責めても仕方がありませんが、このような事案なんです。 そして、いま希望退職者を募集することに組合側も合意いたしました。そうしますと、百五十人の工場のところで二十人しか要らない。残す人間は二十人。それまではともかく全部希望退職でいくのだ、こういう態度に出てきている。これは幾らおとなしい組合の諸君でも怒ります。現在八十七人残っているわけです。それで六十数人はもうすでに希望退職を出しておるのです。八十七人では多過ぎる、人に売るためには二十人にしろ、こういうのですね。これは許されますか。こういう姿勢を保ってきておるのであります。それが三月五日までの希望退職条件の一つです。二十人にしろという要求なんです。ちょっと常識外れでしょう。どうです、労働大臣、世間一般の概念から。平気で言うのです。希望退職はともかく、そのうちにはおまえらそんなことをしておると、三月十五日になったら会社が税金で取られるから、おまえらいまのうちに退職金を取らなければ損だなんということを平気で言うのですね。こういうような姿なんです。 労働省としては積極的に経営者に対しての姿勢を直すべく努力をすべきだと思うのですが、どうでございますか。
○栗原国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、私はこの事案を具体的によく承知しておりません。一般論として言えば、これは労使が話し合うべきことでございますから、労使が積極的に話し合う、そういう環境づくりにわれわれも努力すべきだ、その点の努力が足りなかったというならば、それはそれなりに御批判といいますか、御鞭撻の言葉として承っておきます。
○井上(普)分科員 あなたも御存じないようだし、事務当局からも十分御連絡は承っておらないようです。十分調査していただいて適切な方策をとっていただきたい、このことを大臣に強く要望したいと思いますが、いかがですか。
○栗原国務大臣 よく聞いてその上で対処いたしたい、こう考えます。
○井上(普)分科員 いずれにいたしましても、この問題について御調査の上の措置については私も改めて労働大臣と御相談しながらやりたいと思いますので、その際は適切な措置をとられんことをお願いいたします。 そこで、問題が出てくるのでありますが、瀬戸内海沿岸には中小の造船所が非常に多い。いままでばたばたと倒産していった。これは業績が悪化して赤字のために倒産するのがほとんど全部です。ただ一つ残って隆々としてやっておるのは来島どつくです。ところが、来島どつくの内容を見てみると、労働基準法上違反しておるのじゃなかろうかというような労働者の使い方をしておるのですが、これは知っていますか。
○小粥説明員 お答えいたします。 来島どつくにつきまして、現在まで地元の監督署あるいは労働基準局から基準法違反の事実については聞いておりません。
○井上(普)分科員 私は、これは徳島の監督署から聞いたのです。そうしますと、来島どつくは時間外の労務が非常に多いのです。もう基準法上はるかにオーバーしている。時間外労働はどれぐらいでなければならぬというのがあるでしょう。それを超えておるのを知っていますか。
○小粥説明員 先生御指摘のとおり、時間外労働をやる場合、三六協定で当然時間数のリミットを決めたりするわけでございます。 来島どつくの場合に、そのリミットを超えて残業させているかどうかの具体的事実まで私どもまだ承知しておりません。
○井上(普)分科員 来島どつくさんには、御存じのように、佐世保重工の問題で自民党政府は非常に借金を背負っておる。しかし、いずれにしてもあの組合との間には前から三六協定はないでしょう。ありますか。それはあなたの方でわかっているでしょう。
○小粥説明員 残業させる場合、当然三六協定がなければ基準法違反ということになるわけでございますが、来島どつくの場合、その点の事実をまだ確認しておりません。
○井上(普)分科員 これは三六協定も何もありやせぬですよ。そうして時間外労働をどんどんやらせて、それで造船のコストが下がっているのです。だから、あそこだけは仕事は山ほど抱えている。周辺の造船所はばたばたと倒産しているというのが姿じゃないですか。造船課長が来ていますが、どうです。そうだろう。
○間野説明員 おっしゃいますように、来島どつくというのは非常に競争力を持っていろいろ船を持っておりますが、ただあそこだけというようなことでもございませんで、ある程度似たような状態にあるのが今治造船でございますとか、中国水域に渡りまして常石造船とか幸陽船渠とか、ああいった幾つかの若干体質の似たようなところがかなりの仕事を抱えておるというのが現状です。
○井上(普)分科員 体質が似ておるというのは、坪内商法のような体質というのですか。どうなんです。
○間野説明員 大手、それから古くからの高度成長期にそれほどの拡張をしないできた中手、いわゆる大手の次に位するところと、先ほど申しましたように、その時代に非常に伸びたところとございまして、ある程度消極的な経営をしてきたところと積極的な経営をしてきたところとその差はございます。いま非常に仕事量を抱えておりますところは、どちらかと言えば積極的に急に施設を拡張してきたところという趣旨でございます。
○井上(普)分科員 何といいましても来島どつくほどの業績を上げておるのはほかにありますか。ないはずです。それはあなたのおっしゃるように、波止浜造船にしても急速に伸びた。造船業はあらゆるところで伸びてきている。来島どつくだってどんどん伸びた。しかし、先ほども申しましたように、時間外労働に非常に多く頼っている。ここに来島どつくの秘密があり、これに対して監督署は何ら手をさわらないで目をつぶってきておるのです。佐世保重工でも、御存じのように、賃金カットをすると同時に残業をうんとふやしておる。これは労働基準法に違反しませんか。佐世保重工というのでいまは目をつぶっておるけれども、佐世保重工だけじゃない、来島どつくだってそれをやっているから、来島造船だけはびゅんびゅんといく。それはそうでしょう。片一方はやりますから、コスト下がるのはあたりまえなんです。 ひとつ労働安全の方から申します。一万トンドックがありますね。そこへ千五百トンぐらいの船を三つ入れて作業させるというのはいいのですか。どうなんです。私は、非常に問題だ、安全性からいくと非常に問題だと思うのですが、どうなんです。
○間野説明員 十分の広さがあるドックでございましたら、特に並べてつくるからといって悪いことはございませんけれども、ただ先ほどから若干御指摘ありますような、仕事量が余り偏るということはよろしくない。特に大手企業等では非常に大きなドックを持っておりますので、そこに並べるのはよろしくないと考えておりますので、ここ三年ぐらいにわたりまして、どんな大きなドックで小さい船をつくる場合でも、一隻半以上は並べないようにしろというふうに行政指導しておりまして、守られておると思います。
○井上(普)分科員 思いますでしょう。来島どつくへ行ってごらんなさい。三つ並べてやっているよ。それじゃ、あなた、ほかの会社は競争ができなくなって倒れていくのもやむを得ぬですよ。ここで来島どつくの造船単価、コストが安くなるのはあたりまえの話なんだ。周辺は痛めつけられておる。倒産するのは、これはあたりまえの話だ。来島どつくへ行ってみなさい。あなたは、見に行ったことある、あるいはそのような報告を受けたことある、ないだろう。 行政指導として、安全性の上からも、あるいはまた船舶不況の関係からも、そういうことをやってはいかぬ、この方が望ましいということをあなた方は言っておきながら、やっておるのかやっておらぬか、あなた方は見ていないじゃないか、調べていないじゃないか。 そして、ばたばたとほかは倒れるけれども、来島どつくさんは、坪内さんという佐世保重工がお世話になった人がやっているのだから、あそこだけは目をつぶろうというような考え方でやっておるのじゃないか。違うと言ったって、そうなんだ。事実がそうなってきているのだ。来島どつくは、一万トンドックの中に並べてやっていないか。あなた、自信持って言えるか。
○間野説明員 現場を見たわけじゃございませんけれども、ドックの使用に関する、線表とよく申しておりますけれども、いつからいつまでどの船があって、その次にどの船が入るというようなものでチェックはいたしております。それでチェックをしておる限りは、そういうものはございませんでした。
○井上(普)分科員 あなたは本当にないと言えるのか。ここで言ったら大変なことになるよ。事実私は来島どつくの実情を見てきた者から報告を受けているのだ。これじゃ私の方はとてもじゃないが競争には負けますと言う経営者から私が聞いたのだ。もっとしっかりしてくれ、行政指導しておるなら、一般指導出しておるなら。何か言うことがあるなら、聞こう。
○間野説明員 厳重に調査いたしまして、もし三隻並べてつくったというようなことが事実でありましたら、厳重に警告いたしたいと思います。
○井上(普)分科員 最後ですが、こういうようなことを、労働基準局、監督署、調べて、そして大臣に報告すると同時に、私に調査内容を報告していただきたいと思うのですが、どうです。
○小粥説明員 三六協定なしで残業をやっているとすれば、明らかな基準法違反になります。すでにことし一月から三六協定のチェックを行政指導として強力に進めることになっております。早速に実態調査をし、結果については大臣に報告し、先生にも報告します。
○井上(普)分科員 これで終わりますが、どうかひとつその三六協定の内容あるいは時間外がどれほどあるのか、それが労働基準法上どういうような不適合なものであるか、ひとつ十分なお調べを願いたいと思います。 以上、終わります。
○玉沢主査代理 これにて井上普方君の質疑は終了いたしました。 次に、飯田忠雄君。
○飯田分科員 私は、労働者の格づけ、中高年齢者の雇用問題について質問をいたします。 労働には質と量があることは皆さん十分御存じのことと思いますが、労賃を決める場合に、その質と量とで対応する労賃体系がなければならないと思うのであります。そこで、労働の種類による類型的な格づけ、あるいは言いかえれば、特殊技能を必要とする労働であるか、一般普通の知識をもって足る労働であるかということによる労働の格づけ、それに対応する賃金体系、こういうものを決めておくことが、労働基準法上必要なことではないか、雇用問題を解決していく上において必要ではないかと考えるのでありますが、労働省はどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。
○岩崎政府委員 法律の規制の面から申しますと、最低賃金法でたとえば最低賃金は決まっている場合に、それを上回った賃金を決めなければならないということがございますが、賃金の制度のあり方については、基本的には企業ないし特にその労使が話し合いをして決めることが第一義でございますので、賃金体系について特に職種ごとに決めなければいかぬとか、そういうようなことを私どもが積極的に指導をしているということはございません。
○飯田分科員 労働契約を結ぶ場合に、労働者の地位というものは弱いですね。そこで、これを一般的な抽象的な労働という概念で、量だけの分から労働契約を結ばされておるというのが現状でございます。そういうやり方では、本当の労働者の地位の確保あるいは正当な賃金を確保するということはできないじゃないか、こう考えるわけですが、この点についてどう考えますか。
○岩崎政府委員 現在、賃金につきましては、先ほど申し上げましたように、賃金の最下限につきましては、最低賃金法に基づいて、それぞれの地域の都道府県に置かれております最低賃金審議会、これは公労使三者構成でございますが、この御審議に基づきまして最低賃金を決めておるわけでございますが、これは地域別ないし産業別に決めておるのが実態でございます。 ですから、具体的に職種ごとには最低賃金そのものは決めておりませんが、企業でその中の労働者について職種別にそれぞれの質に応じた賃金を決めていただく。これは先ほど申し上げましたように、基本的には労使の自主的な決定でございますが、私どもとしても、それぞれの基準局に賃金の相談を受けるコーナーがございまして、そこで御指導申し上げる際には、実態に即しまして、質に伴った賃金が必要な実態であります場合には、その方が好ましいということで御指導は申し上げております。
○飯田分科員 この問題は根本的な問題ですので、きょうはこの程度にしておきます。 次に、現在、特殊技能を必要とする職種として、たとえばボイラー技士というものがございますが、こうしたものに対する格づけの問題につきまして、これは単純労務職としておられるのかあるいは特殊技能を要するものとして労働省は考えておられるのか、またその考え方によってどういう処置をしておられるのか、お尋ねします。
○野原政府委員 労働安全衛生法は、特に危険な作業を必要とする業務につきましては、免許を有しない者の就業はだめだということを規定しており、ボイラー技士もその一つでございます。 ところで、労働安全衛生法というのは、御承知のように、働く方々の安全衛生の確保を図るということを目的としておりまして、その性格上職員の格づけについての規定は設けておりません。しかし、御指摘のボイラー技士について考えてみますと、ボイラー技士がその職務を適正に遂行するためには、ボイラーの取り扱いについての専門的な能力を身につけることが必要でございます。特に最近のように、非常に自動制御化が進んでおりますので、その必要性が高まっておるということが言えようかと思います。したがいまして、このボイラー技士が格づけその他の面においてその職務内容にふさわしい配慮、処遇をされるということは望ましいことであるというふうに考えております。
○飯田分科員 ボイラー技士には民間のものと公務員のものとがございますが、この民間のものにつきましていままで考慮されたことがございますか。
○野原政府委員 ボイラー関係の団体等を通じまして、いま私が申し上げましたような考え方についての指導をやっております。今後さらにそういったことを強化してまいりたいというふうに考えております。
○飯田分科員 それでは、公務員であるボイラー技士、この人事管理上の格づけにつきまして、これは労働省で取り扱っておられますか、それともほかの官庁でしょうか。
○野原政府委員 公務員関係については労働省の方では所管いたしておりません。
○飯田分科員 それでは、公務員のボイラー技士に関する問題について担当しておられる官庁はどこでございましょうか。国家公務員法の問題あるいは地方公務員法の問題、いろいろございますが。 〔玉沢主査代理退席、主査着席〕
○斧説明員 国家公務員でありますボイラー技士につきましては、人事院が所管しておるところでございます。 ボイラー技士の全般的な給与の取り扱いを御説明申し上げますか。——公務員法では俸給表がございまして、それぞれ給与上の取り扱いを別立てにした方が適当であろうと思われる職種ごとに俸給表を立てております。ボイラー技士につきましては、機器の運転操作であるとかあるいは庁舎の監視であるとか、その他の庁務に従事する職員という範疇に入っておりまして、行政職俸給表(二)という俸給表が適用されておるわけでございます。 この俸給表の中の職種を申し上げますと、大別しますと、いわゆる労務職員と技能職員ということになるわけでございますが、ボイラー技士につきましては、免許を持ちまして機器の運転操作に当たっている職員でございますので、技能免許職員ということで別立てにしまして、また別な取り扱いをしております。 その取り扱いの内容の概略を申し上げますと、実は従前汽罐士というようなことで職種表示をしておったのでありますが、昨年いろいろな方面からの要望もございまして、これをボイラー技士という職種表示にいたしたわけでございます。 ボイラー技士は免許を持っておりまして、採用直後からもう一人前の仕事ができるということで、その初任給につきましては、行政職の職員に比較しますと相当高い水準に置いてございます。経験がございます場合は、その経験年数の評価につきましても、他の行政職員と比べますと相当有利に取り扱っておるわけでございます。 将来どういうふうに格づけされていくかということですけれども、相当部下を持って仕事をするようになりますと一等級、それからさらに大きな規模のボイラーを扱うというようなことになりますと、最高の等級であります特一等級というところまで上がれるようになっておるわけでございます。 なお、つけ加えて申しますと、公務員は職務内容に応じまして給与を決定するというのがたてまえでございますので、ボイラー技士として採用をされた者でありましても、職務が変わるというような場合、たとえば行政職俸給表(一)を適用されるそういう職務に変わりました場合は、当然行政職俸給表(一)が適用される、こういうことになるわけでございます。
○飯田分科員 それでは、県の方の問題についてお尋ねいたしますが、地方自治団体です。こちらの方におけるボイラー技士の取り扱いにつきまして、実はボイラー技士格付を技能労務職より技術吏員に変更を要求する請願書が出ております。この請願書は、恐らく皆さん方にも参っておると思いますが、ここにはボイラー技士というものがいかに高度の技能を要するかという問題をるる述べまして、特に免状を取るためにはいろいろな法律、たとえば大気汚染防止法、水質汚濁防止法、電気事業法、消防法、水道法、下水道法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、こういったような法律に基づく試験を受けなければならない。その上、専門分野である機械工学、電気工学の修得も必要だ。こういうような高い要求をされておるにもかかわらず、ただ学歴が大学出でないというだけの理由で低く評価されておる。国家試験を課する以上は、当然学歴いかんを問わず、資格に相応する地位を認めるべきではないかということを述べまして、そして各都道府県における地位が火夫扱いにされておる。つまり、すでに昭和二十七年に廃止されました、単純な労務に雇用される地方公務員の範囲を定める政令というのがございますが、その政令の中には火夫扱いにしておる。つまり石炭をかまにほうり込む役と同じものとして考えておる。そういう規定がございますが、それをいまなお準用しておるというのが現状である、このように訴えております。この点についていかかでしょうか、自治省の方、調査されておりますか、お尋ねいたします。
○坂説明員 お答えいたします。 ただいま、まず第一番目に、ボイラー技士につきまして技術吏員にというようなお話がございましたが、地方自治法では吏員、その他の職員と分けてございますが、いずれの職員を吏員にするか、あるいはその他の職員にするかということにつきましては、基本的には任命権者が決めるべき問題でございます。 ところで、ただいまのお話しのありました単純な労務に雇用される者の範囲を定めるその政令の問題でございますが、これは御承知のように、地方公務員法ができましたときに、地方公務員は公権力の行使に関係するということで、いろいろな身分規制がつくられたわけでございますが、職務の内容につきましては必ずしもそのような厳しい規制、たとえば政治活動の制限だとか、そういうものについて加える必要はないのではないかというようなことで、一部の職員につきましてはその特例を定めることができるというふうになったわけでございます。その特例を定めることができるものの一つとして、いわゆる単純労務職員ということが言われたわけでございますが、この単純労務職員につきましては、そこでその範囲を明確にするために当時政令ができたわけでございます。その後公営企業労働関係法ができましたときに、いわゆる単純労務職員につきましてはその規定を準用するということで、法律の改正の技術上の問題からその政令は失効いたしたわけでございますが、一般の地方公務員と異なった取り扱い、たとえば給与の決定のやり方とかそういうものにつきましても、その職務の性格上異なった取り扱いをすべきであるという、そういう趣旨はその後も変わらないわけでございまして、ですから、現在そのような特別な扱いを受ける。具体的に申しますと、地方公営企業労働関係法の準用なり適用を受けるという職員の範囲は何によって判断するか。それはやはり従来の政令、もちろん時代が変わりましたからいろいろな新しい職務ができたりしてございますが、従来の政令で決めたその範囲を参考にする。それからまた、先ほど人事院の方から御説明がありましたが、国の場合の技能労務職員の範囲がやはり同じような性格のものでありますから、こういうものを参考にして決める、そういうふうに指導いたしているわけでございます。
○飯田分科員 自治省から都道府県の方へ正確な御指示をなさったでしょうか。実は都道府県の方へ参りましてこの問題を質問しましたところが、都道府県の方は国家公務員の規定を準用していままでやっている、ところが自治省の方から何らその指示がないので処置をとっていない、こういう答えが返ってきておるのですが、どういうような御指示をなさったのでしょうか。
○坂説明員 この問題の指導につきましては、すでに通達を出して、その範囲を明確に示しておりますのと、その後、都道府県からの質疑に、いわゆる行政実例と申しますか、それによりまして範囲の指導をいたしております。
○飯田分科員 ボイラー技士の問題はもうこのぐらいにしておきまして、次に、中高年齢者の求職の実情についてお尋ねをいたします。 公共職業安定所に求人、求職の申し立てがあったと思いますが、その実情はどのようになっておりますか。
○細野政府委員 中高年齢者の安定所における求職、求人の状況でございますが、五十三年の十月の状況で申し上げますと、有効求職者数、この有効と申しますのは、前月分からの持ち越し分を含んでいる数ということでございます。これが五十六万二千二百二十九人、有効求人数が十二万百五十四、求職と求人の割合は、これを有効求人倍率というふうに申しておりますが、これが〇・二一倍、すなわち五倍ほど求職の方が多い、こういう大幅な求職超過の状況でございまして、就職が大変困難な状況にあるということでございます。
○飯田分科員 中高年齢者の雇用問題というものは定年制の問題と相当関係があるのじゃないかと思うわけです。定年はどこで決めるかという問題は、それぞれの企業なり官庁において能率の低い者を整理する機会としてとらえていると思いますが、整理するということはいいのだけれども、整理された者をどのように救済するかというものはやはり国の政策でなければならぬ。 そこで、その退職した高年齢者の生活保障が今日十分でないのでございますが、この問題との関係で労働省はどのような救済策をお考えになっているでしょう。
○細野政府委員 先ほど中高年齢ということで四十五歳以上の方のことを申し上げましたけれども、特にいま先生から御指摘のように、定年ということになると五十五を超えたあたりということになりますから、先ほど申し上げました状況よりも一層厳しい状況にあるわけでございます。 そういう意味で、この高年齢者の雇用問題というのは大変重要でございますので、私どもは二つの方向からこの対策を考えているわけでございます。 一つは、まず高年齢者につきまして、特別の法律によりましてこれを雇う割合を決めた雇用率というものを定めてございます。これは法律上は努力義務になっているわけでございますけれども、しかし努力義務といえどもこれは徐々にそれを達成していかなければならない義務であることは間違いないわけでございまして、そういう意味で、雇用率の達成指導をかなり計画的かつ強力にだんだん強化するというやり方でやっているわけでございます。 それから、もう一つの方向は、これは来年度予算で特にお願いしているわけでございますが、中高年齢者を雇い入れてくれる事業主に対しまして助成金を出すという形でこれを奨励しているわけでございますが、その助成の幅なり期間なりを来年度予算におきまして大幅に拡大いたしまして、そういう形によりまして民間の活力を生かしながら高齢者の雇用を進めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。 なお、最近の景気がやや立ち直ってきておるということの反映といたしまして、求人が増加傾向に入ってきておるわけでございます。そういう意味で、先ほど申しましたような中高年齢者に対します雇用開発給付金などによりまして、せっかく増加しつつある求人と中高年の失業者の結合を具体的に図ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○飯田分科員 定年の問題につきましてはいろいろの見解があると思いますが、定年を労働上どのように把握するかという問題は重要な問題だと思います。定年というのは、そこで仕事をやめさせるのだという考えでいけば、できるだけ定年を先へ延ばしてやるのが人情だと思いますが、ただ国全体としての終身雇用を考えるという点からいきますと、雇用という問題はそれぞれ労働者の能力というものが非常に関係を持ってきますので、その労働者の能力を考えて適材適所に配置し得る国全体としての労働政策ということでいきますと、定年というものは何も単一的に決める必要はないので、数種類決めたって一向差し支えない。一つの企業において定年が五つあっても構わない。三十代から六十代、七十代まで定年があっても構わないということになりますが、それによって定年を幾つか設けるということが有意義になり、また労働者に対して圧迫でなくなるためには、やはり国として企業全体にわたっての職種を決めて、そこへ当てはめてやるという政策がとられなければならぬわけなんです。それが一体、今日可能かどうかの問題についてお尋ねいたします。
○細野政府委員 先生御指摘のように、一つの企業にずっと長い間勤め続けるということであれば、これはその勤め続けられる方の能力の開発、これは企業の側がそういう点について配慮しなければならない側面と、それから御本人が自己開発をしていかなければならない面と両面あるわけでございますが、その両方含めての開発の推進が必要になってくるわけでございます。そういう意味では、比較的年齢の若い五十五歳を下回るような定年を持っている場合には、むしろ企業側もそこで従業員がやめてくれるのだということですから、そういう従業員の能力開発という点について、ある意味では手を抜いている面もあるわけでございます。今後定年を延長するということになれば、まさに先生御指摘のように、どうしてもその人たちの能力を保持し開発するということが企業にとっても重要になってくるというふうに考えておるわけでございます。 そういう意味で、それと並行してまた賃金問題をどうするかという問題が当然出てくるわけでございまして、そういう賃金なり人事管理全般にわたる見直しということが進行しなければいかぬのじゃなかろうか。そのためには高年齢者の能力を開発するための諸施策、諸制度、そういうものを充実しなければなりませんし、同時に高年齢者に向く仕事、これは日本よりははるかにうまく高齢者を使っている諸外国の場合には、そういう意味の高齢者向きの仕事自体の再開発、再設計というようなことをやっているわけでございます。 そういう意味で、私どもも高年齢者の能力開発の問題、それから職務の再設計の問題、こういう点について、国自体もいろいろな調査をし、その成果を普及するということが必要ですが、同時に企業の中でもそういう調査研究についての動きが起きてこなければいかぬわけでございまして、現在高年齢者の雇用開発協会というのがございまして、今後進む高齢化に対応しまして、いま先生からの御質問があったような問題ばかりではなくて、たとえば、高齢の方がずっと長く職場にとどまるとすれば、そこに起きてくる老人病問題等を含めての職場における衛生管理問題まで含めての広い調査、分析をし、事例を収集し、好事例については業種別にこれを提供して指導していく、そういうふうなことをやっていただくことになったわけでございまして、そういう民間の動きと、それから私ども政府関係者の努力とまた一体になってこういう問題を進めていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
○飯田分科員 ただいまの御答弁、どうかひとつ、言葉だけではなしに、実行をしていただきたいと思います。 次に、失業対策事業の問題についてお尋ねいたしますが、現在失業対策事業の現況はどうなっておりますか。
○北村政府委員 失業対策事業の現況でございますが、五十三年度におきましては、予算規模六百七十四億円、事業主体の数にいたしますと六首四十六、これは都道府県、市町村合わせまして六百四十六の事業主体で実施されております。 その就労者数でございますが、昨年九月末現在で約十万五千人でございます。昭和四十六年に中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法が制定されたことに伴いまして、その附則の二条によりまして、失業対策事業への新規の就労者は認められておりませんので、就労者数は年々減少する傾向にございます。また、こういう傾向とあわせまして、平均年齢が年々高まっておりまして、五十三年現在では六十二・九歳、それから女子の割合が六六%、失対事業に滞留しておる期間が十九年を超えるというふうに、いずれもこれらの傾向が年々高まる傾向にございます。 そこで、失業対策制度のあり方につきましては、五年ごとに制度検討をするということが法律上決められております。こういう制度によりまして、昭和五十年度に制度検討をいたしまして、現在では、五十一年度からでございますが、この失対事業を甲事業、これは高齢者であるとか体力の比較的低い方についていただくわけでございますが、その甲事業と、その他の一般的な乙事業というふうに、二つに分けて運営しておるところでございます。 その事業の内容でございますけれども、就労者の実態に応じて、甲事業につきましては、公園とか道路の清掃、除草とかあるいは花の栽培というような事業をやっております。それから、乙事業につきましては、道路の舗装、補修というように、どちらかというと、特に甲事業については軽易な作業でございますが、乙事業につきましても、就労者の実態に応じまして比較的軽易なものとなっております。こういうようなことで運用をいたしております。
○飯田分科員 失業対策事業についていまお話を承りましたが、今年度の予算規模はどのくらいのもので、大体これで十分とお考えになっているかどうかという問題を含めまして、いままで私が事務当局といろいろやりとりしました内容につきまして、労働大臣の御所感を承りたいと思います。
○北村政府委員 五十四年度の予算額は六百八十四億でございます。いまいろいろ申し上げましたような高齢化の問題であるとか、あるいは失対事業への滞留が長くなっているという問題がございますが、私どもといたしましては、この予算額で適正な運営を図ってまいる新存でございます。
○飯田分科員 いろいろお伺いいたしましたが、最後に、事務当局とのやりとりを通じまして大臣はいろいろお感じになりましたことがあると思いますが、こういう問題につきまして、今後の政策執行上の御決意を伺いたいと思います。
○栗原国務大臣 いろいろお話を承りまして、それなりに参考になることが多かったわけでございますが、特に雇用問題、中高年齢者につきましては、政府といたしましては、ただいま政府委員から答弁をいたしましたが、積極的に取り組んで、雇用不安を一日も早く解消するために努力をいたしたいと考えております。
○飯田分科員 終わります。
○野呂主査 これにて飯田忠雄君の質疑は終了いたしました。 次に、新盛辰雄君。
○新盛分科員 最近の雇用状況についてこれまで幾つか議論もされてきたことだし、この予算編成をめぐって、特に雇用問題、雇用の創出を含めて政府内部の動きやあるいは野党からのそれぞれの要求が出されて、目下そのことの折衝が行われている段階でありますから、それなりに十分理解をしながら、短い時間ですが、お聞きしたいと思っています。 最近、長期化している不況、その中における雇用構造というのは相当変わってきておるわけです。そして雇用の現状というのは、海運関係の産業におきましても失業者が一万二千人、造船業界におきましても、四十九年以降五十三年ごろまでにすでに労働者七万二千人、あるいは二百海里設定等によって漁船労働者も一万数千人、現実に失業をしておるわけです。そうしたことに対して、中高年齢者の就労問題も含めていま雇用対策が急がれておるわけでありますが、そうした現状で、いわゆる失業されてから就労したこれまでの実績、そして潜在失業者を含めて百三十万人と言われている、公に発表されている失業者の救済をどうされていかれるのか、また将来の高齢化社会と言われている日本の雇用構造の変遷というのは相当厳しくなっておるわけですが、それにどう対処されていかれるのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
○細野政府委員 構造不況業種からの離職者の数につきましては、先ほど先生からのお話にございましたのは、恐らく人間の減った数だろうと思うのでございます。御存じの特定不況業種離職者臨時措置法、それから漁業関係の同様の法律があるわけでございますが、その中で、合理化計画に基づきまして間違いなく合理化に起因するいわば解雇に類するもの、つまり事実上の希望退職等も含むわけでございますが、そういう方々につきましては下請を含めまして手帳を発給いたしておるわけでございます。その数で申し上げますと、手帳の発給件数は現在までのトータルで五万二千でございます。そのうちの五一%ぐらいが、先生から先ほど御指摘がございましたように造船でございます。その方々の中で就職された方の数は一万七千でございまして、したがいまして現在この差が滞留しておられるということになるわけでございます。 こういう方々の就職された先も、私どもの調査によりますと、これは若干意外なのでございますけれども、半分以上が製造業に就職しておられるという状況でございます。最近、三次が伸びて二次が停滞というふうに言われておるわけでございますが、やはり二次から離職された方は二次産業に就職したいというお気持ちが非常に強いことを物語っておるわけでありまして、そういう意味で私ども、二次産業において今後求人が増大するということを非常に期待しておるわけでございます。なお、単に期待するだけではなくて、ここ数カ月求人が製造業を中心に増加の傾向になってきておるわけでございます。また、従来、臨時日雇い関係の求人が非常に多かったのでございますけれども、最近数カ月を見ますと、常用を中心に、しかも従来は非常に小さな規模のところの求人が多かったわけでございますが、だんだん規模の大きいところに求人の増が波及してきておりまして、最近では千人以下のところは大体前年よりも求人が増加するという状況に来ておるわけでございます。 そこで、こういうお話し申しましたような失業者は、主として中高年齢の方々でございまして、世帯をしょった方々でございますから、一面においてこれらの方の求職活動中の生活の安定を図らなければならぬということで、これは御存じのように、雇用保険制度にさらに延長制度を加え、さらには造船業につきましては就職促進手当という特別の制度をまた設けるような形で、二年程度はその生活の援護ができる体制をとっているわけでございます。しかし、できるだけ早くこういう方々の再就職を図っていくということが必要なことはもう当然でございまして、そこでせっかくいまできております、しかも内容がだんだんいい方向へ向いている求人の増加傾向というものと、こういう滞留しておられる方々との具体的な結合を促進するということが非常に重要でございまして、その意味で、従来からも若干細々ではございますがやっておりました中高年齢者の雇用開発給付金というものを、その補助率を五分の四にするとか、あるいは高年齢者については支給期間を従来六カ月でやっていたものを一年半まで持っていこうとか、こういうふうな画期的な制度の充実を図りまして、それによって、先ほど来申し上げております求人と滞留しておる失業者との結合を具体的に図ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○新盛分科員 最近は、この地場企業の求人能力といいますか、これも拡大の方向にあって、特に製造業中心にそうした傾向にある。波及効果として、いま政府がお取り組みになっています雇用の創出機構あるいは継続雇用の奨励金の増額とか、そうしたもので救済できるということなんですが、私は鹿児島ですが、現に造船の中でも比較的景気のよかったと言われた鹿児島ドックが八十七億の負債をしょって倒産した。そこで、労働者はもちろん、関連の下請企業も含めましてこれは町に放り出される。ところが、小さな都市部門では、失業多発地帯とまでには至りませんでしょうが、なかなか求人難であるということから、求人側の方に雇用能力をつけさせるためのいろいろな資金援助とか、あるいはいまお話しのあったような諸手当てをされるのでしょうけれども、逆にまたUターン現象が全国的に起こっていまして、特に地場企業を圧迫するという状況で雇用が促進できない、こういう状況が出ているわけです。大臣も本会議等でずいぶんとこの面については力を入れてお話をしておられるようでありますが、こうした現実の問題を大臣、どういうふうに処理されようとされるのか、いまあなたのおっしゃっておられます政府の考え方というものを私どもは聞いた上でそのことを申し上げているのですが、どうでしょうか。
○細野政府委員 先生の御指摘のように、最近若年者ばかりではなくてかなり広い層にわたりましてUターン現象というものがあらわれ、一方において特定の地域におきましては雇用情勢が非常に悪いという状況があるわけでございまして、そういう意味で、先生が御心配になりますように、非常に雇用情勢の悪いところにUターン者が来るじゃないかという御指摘かと思うわけでございます。 なお、そのUターン者の状況につきましては、鹿児島県で行われました調査がございまして、私どももその調査によって見ますと、大体、Uターンされたいわば出身地への就職希望者の大部分というものが就職ができているということにはなっているわけでございます。ただし、先ほど先生が御指摘のような情勢でございますから、その就職が、御本人から言うと、かなり条件を落として就職しておるんじゃないかというような質的な問題はあろうかと思いますが、量的には、いま申し上げましたように、大部分の方が希望されている地元に就労されているということが言えるわけでございます。 しかし、先ほど申しましたように、情勢の悪いところにさらにそういう方々が加わる、それからもともと求人がないじゃないか、こういう御指摘になるわけであります。この問題は、結局は政府全体が、そういう求人が少ない、雇用機会の不足地域の総合的な地場産業の振興、その他の振興対策というものを進めなければ基本的には解決しないというふうに考えざるを得ないわけでございます。しかし、一方におきまして、私どもは、そうは言っても一挙にそういうことができるわけじゃございませんので、たとえば不況地域で、しかも造船が非常に大きな影響を持っているというようなところにつきましては、御存じのように、造船に対して緊急需要を発注していただいて、できるだけ合理化に伴う離職者の数を減らす、そういうふうなやり方をするとか、あるいは公共事業に重点的に配分しまして、従来からもやっておりますけれども、吸収率の制度というものが一層実効が上がるように関係省庁が協力してこれに当たるとか、いろいろな地域の実情に応じて、その地域において就労ができるだけできるようにということで努力をしているわけでございます。 なお、最近のように、求人がある程度回復してきておりますから、やはり地元で就職されるのが大変望ましいとは私どもも思いますけれども、しかしいいところがあれば、そういういい求人については、いままでの地元を離れられて、移転して就職をされるということもまた生活を守るために必要なことでございまして、そういう意味での、たとえば行った先での住宅というふうな問題につきましても、私どもは雇用促進住宅というようなものをつくりましてそういう方々が移転して就職できることを援護している、いろいろな形でそれらの方の就職の援護を図っているわけでございます。
○新盛分科員 時間が少ないのですが、いま積極的にお取り組みいただいているということを含めまして、労働市場センターの改組あるいは充実を図れとか、雇用発展職種の研究開発を進めろとか、いろいろな意見が出ております。そういうことをも含めてぜひひとつ今後御尽力いただきたいと思います。 そこで、これは労働者の権利として長い間主張されておりました時間短縮、いわば週休二日制の当面の課題でありますが、最近では人事院の方でも、国家公務員やあるいは金融機関の関係を含める週休二日制の導入ということがきわめて積極的に取りざたされている。昨年の四月から公務員の方では第二次試行期間に入って、その設定時期はいつになるのか、これはすでに世界の趨勢であり、いつの時期から公務員の時間短縮、いわゆる週休二日制というのが実行できるか、これは金融機関も含めてそうでありますが、ところが民間の方はすでに七割が実施をしているという。これは労働省が何か調査された結果によるのだそうでありますが、最近ではイランの原油の供給ストップの長期化が恐らく起こるであろうということから、通産省が、資源エネルギー庁などを通してエネルギー節約という呼びかけの中で、官庁や金融機関を含む週休二日制を取り入れる、あるいはサマータイムを早急に実施したいという方針を提案している、政府レベルで検討していかなければならないということで、これで石油が三%程度の節約になるのじゃないかというような話がありますが、石油というのは長期的なものでなければならないわけですが、いまのような情勢ではそうも言っておれません。それで、一時的にそういう週休二日制を民間段階でやるというのか、長期化して考えておられるのか。長期化というのは、公務員の場合もそうでありますが、人事院の金井局長が早い時期に実施したいというふうに言明されておるので、その真意は何なのか、いつの時期に実施されようとしておられるのか、まずお聞かせいただきたいと思います。そのエネルギー庁の問題も含めてです。
○金井政府委員 お尋ねのうちの公務員関係について申し上げます。 公務員の週休二日制につきましては、先生も御承知のごとく、公務におきましては、国民生活に非常に密着した職種なりあるいは民間にない特殊な部門というものがございまして、週休二日制を導入するに当たりましても、予算なり定員がそのために増高を来さないようにという配慮もしなければならないし、行政サービスも急激に低下させないように……(新盛分科員「時間がないので、公務員の方はいつやるのか、それを言うてください」と呼ぶ) 現在の試行が三月末で終わりますので、三月末になりまして、各省に試行結果というものを御提出いただくように依頼いたします。それで、四月、五月に入りますと結果が集まると思いますので、それ以降それにつきましての分析検討を行い、関係機関との調整も行って、その上で最終的な結論を出すという形になると思いますので、一応めどとしては、例年行っております夏の給与の勧告の時期ぐらいにめどを置いていいのではないかというふうに考えております。
○栗原国務大臣 江崎通産大臣が発言した内容をつまびらかにいたしませんけれども、石油資源の節約のために、そういう意味で、週休二日制とか時間短縮をわれわれとしては考えておりません。われわれはやはり長期の観点に立って、福祉の問題、国際協力の問題、あるいは長期的に見て雇用の拡大、そういう観点から考えておりまして、副次的な効果をねらっての問題ではございません。
○新盛分科員 それは確認していいですね。これはいずれにいたしましても閣僚レベルで十分に調整をされて、いま労働大臣がおっしゃったように、長期的なものとして、民間、官庁あるいはそうした各関係の時間短縮は雇用増進のためにあるんだ、こういうことで確認いたします。 次に、定年制の問題ですが、定年延長奨励金などもあって、最近では公務員の場合も公共企業体の場合も民間の場合もそうでありますが、定年制導入という問題がいろいろ議論されております。まことにこれがまたばらばらでありまして、五十五歳になって退職勧奨、あるいはそうしたことに対する手だて、あるいは六十歳でということもあります。最近では厚生年金の六十歳を六十五歳に繰り下げるかわりに定年を六十歳、それから退職年金発給の時期をというふうに合わせてやっていこうという動きもあります。これはイエスかノーかでいいのですが、いま中高年齢層を抱え、あるいは健康状態、生活環境、仕事の環境、そうしたものを加味して、政府として退職年齢というのは平均何歳ぐらいがいいんだというふうにお考えでしょうか。
○細野政府委員 先生のおっしゃる退職年齢という意味が、一つの企業を引退する年齢なのか、それとも完全に労働市場の中から引退してしまう年齢なのかという点で若干考え方が違うかと思いますが、私ども、先生御指摘のような高齢者の就職の困難性、しかも急速に高齢化が進んでいることを考えますと、少なくとも現在一番多い定年年齢である五十五歳というのは低過ぎるのではないかと考えておるわけでございます。
○新盛分科員 それでは、これから先は定年制というのは、昔の国鉄などにありました職員定員法というような問題などに波及することのないような形で、いずれにしても年齢としては五十五歳は低過ぎるという話でございますから、それぞれ各機関における問題としてやはり将来は退職年齢は上がっていくのだ、こういう理解でいいのですね。 次に、緊急失対事業法に基づく問題でありますが、この法律が昭和二十四年にできてもう三十年になるわけです。労働省はこれを継続実施されるおつもりなのか、将来はどうされるのか。 先ほどの質問者への回答によると、六百四十六事業体の十万五千人もいま失業対策法に基づいて働いておる方がおられる、こういうことです。四十六年以降中高年齢者に係る法律ができまして、これは失対法に適合させない形ですが、現実は軽労働は甲事業、これは公園や道路、除草、乙事業は道路整備、舗装、そうした面で比較的賃金が高いものであり、働き時間も違う。そういう状態の中で平均年齢が六十二・九歳、しかも女子が六六%を占めているのだというお話で、五十四年度は六百八十四億をおつけになっているわけですが、これにはもちろん少しは賃金のスライドも考えておられるでしょうし、あるいは多少盆暮れのお手当もあるいはまたこの中に入っておるのかどうかわかりませんが、お年を召していかれると体が言うことを聞かない、退職金が少しあるならばもうやめてもいいという人も中にはあるでしょう。一時的に四十五万か金を出してやめろと奨励したものですから飛びついていったことが四、五年前ありましたが、ああいうような安い金でされるのではなくて、退職金制度を設けるとするならば、時価の形で最低百五十万ぐらいいくならば、この方々の救済になるのじゃないかというふうにも思われるわけであります。そうしたことについて、これからのいわゆる失対再検討五十五年ということでいま労働省はお取り組みになっていると思いますので、それをひとつお聞かせいただきたい。 また一方、いまのような失業者が多発をしている状況の中で、昭和二十四年ごろの状態に引き戻して新しく再失業対策といいますか、言うなれば若年の雇用を図りながら増大をしてほしいという要求も出ているわけであります。失業対策事業制度の今後のあり方として、これはまあ失業対策事業再編成というふうになるのでしょうが、そういう面の要求も片やあるわけですし、それらの取り扱いとして、五十五年度労働省が考えておられる失対事業再編成という形の検討はどうされていくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○北村政府委員 失業対策事業のあり方につきましては、先生いま御指摘のように、五十五年度末までに次回の制度見直しを行うということになっております。そういうことでございますので、現段階では特にまだ検討にかかっておりませんけれども、失対事業の現在の制度の問題につきましては、四十六年の中高年の特別措置法のときの審議の経過がございまして、委員会での附帯決議等もございますので、そういう趣旨にのっとりまして今後の検討を行ってまいりたいと思っております。 それで、総論的にはそうでございますが、いまお話のございましたたとえば退職金の問題でございますけれども、失業対策事業は、本来のあり方が、失業者に対して通常雇用につくまでの間一時的に就業の機会を与えるという制度でございますので、常用雇用を前提といたしております退職金は本来は似つかわしくないということで、失対就労者にはそういう制度はなじまないものであるという考えでございますので、そういう制度を失業対策事業に取り入れるということは考えておりません。 ただ御質問の趣旨が、高齢の就労者が失対事業から引退する際に何らかの特別措置を講ずることが必要ではないかという御趣旨であれば、その問題につきましては今後制度検討の際に、高齢就労者の取り扱いの中で検討されるべき問題であろうかと考えております。
○新盛分科員 後の方からいきますと、就職支度金特別措置の形態であった一時期がありますし、また自立援助を目的としてあるいは特別措置と言うのでしょうが、高年齢者に対して何らかの形で金をやる。あれは四十五万だったと思うのですが、昭和四十五年におやりになったことかありましたな、そういう特別措置の延長だと思ってもいいと思いますが、最低百五十万くらいやったっていいじゃないかという強い要求も実は出ているのですね。だから、このことは十分認識をしていただいて、これからそうした特別措置について、法の手前その中に退職金という制度はないわけでありますから、それらの考え方を政策の面として十分ひとつ考えていただきたい。 それと、私が言うのは、五十五年度に再検討される失対法の見直しといいますか、そのことを現状の法律を踏まえてお考えになるのか、全く変えて再編対策として、いま全体的に多発している失業者救済という面でお考えになっているのか。農林水産委員会で私はよく言っているのですが、いま減船になって陸へ上がろうとしても上がれない漁民の皆さんは、働く場所を失って、いま沿岸整備計画というのを強く主張しているのですから、ヘドロを取り除くとか、あるいは陸に公園、道路等があってそこで清掃しておられる皆さんと同じように、海の底をやっていく失業対策的なものはないのか、そういう主張をしているのですけれども、それと同じようなことでして、これからのまた新しく増大する人たちは別途救済する再編成の方法もあるわけでしょうが、いまの現実の五十五年度の失対事業法再検討という形の中で、これを継続されるのか、あるいは形を変えて甲、乙事業場の取り扱いも大きく変えてしまうというお気持ちがあるのかどうか、そのことをお聞きしているわけですから、お願いします。
○北村政府委員 まず、高齢の就労者が失業対策事業から引退する際の特別措置の問題は、四十六年の制度検討のときには、国でたしか二十五万円だったと思いますけれども、特別措置をいたしております。そういう前例がございますので、その点については今後の制度検討の際の参考になろうかと思います。 それから、いま御提案のように、立法措置などによって失業対策として今後新しく特別の事業を起こして失業者を吸収する方式をとるということにつきましては、先生御存じのように、これまでの経験からいたしますと必ずしも再就職に結びつかない、再雇用になかなか結びつかない、滞留するというような問題がございまして、現在ではむしろ民間の活力を生かした雇用開発に最大限の努力をするということで、特に来年度におきましては中高年齢者雇用開発給付金の大幅増額を図っておるところでございますので、今後ともこういう施策を積極的に進めるということでまいりたいと思っております。 したがって、五十五年度の制度検討につきましては、最初申し上げましたように、ただいままだ具体的な考え方を持っておりませんので、今後詰めてまいりたいと思っております。
○新盛分科員 もう時間が参りましたのでこれでもって終わりますが、御承知のように、失対事業就労者は現在十万幾らかいらっしゃるわけですが、その方々はそれなりに自主的に幾つかの組織をつくっておられます。そうした自由労働組合の皆さん方の御意見も、組織の色合いはいろいろ違いましょうし、それぞれ主張もまた違っているようでありますが、全体の高齢者の皆さん方を救済でき得る最善の道を見出していただくように、また別途社労委員会等におきましてわが党の主張は明らかにいたしますけれども、ひとつそうした現場の声を十分反映でき得るように緊密な連携をとって処置していただきますように要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○野呂主査 これにて新盛辰雄君の質疑は終了いたしました。 次に、栗林三郎君。
○栗林分科員 出かせぎ労働者をめぐる事故災害は依然として後を絶たない、むしろ多発の状態でございます。いま私の手元に昨年の十一月、十二月の二カ月間に発生した大きな事故、死亡事件が四つありますけれども、これは私の手元に四つです。昨年の十一月、十二月の二カ月間における死亡事故です。非常に多発しておる。私は出かせぎ労働者の職場の安全と安全管理の確立を求めるために一、二の災害事故の事実を指摘して、その対策をただしたいと思うものであります。 まず、昨年十一月二十五日午前四時四十分ごろ、宮城県白石市内国道一一二号線の道路改良工事の現場において突如、土砂が崩壊し、あっと言う間もなく工事就労中の九人の労働者中、二名の者はかろうじて避難することができたが、残る七名は無残にも土砂に埋没死亡するという痛ましい災害が発生したのであります。私は質問をする前に、まず社会党を代表して七人の犠牲になった方々の御冥福をお祈りいたします。あわせて、御遺族に対し深く弔意を表するものでございます。 さて、私は、事故発生後五日目でありましたが、現場を視察調査いたしました。その当時はまだお一人の御遺体が発見されないときであったのでございます。私は一通りの説明、現状を見ましたが、直観として、もしも法律、規則が守られて、行政指導がよく行き届き徹底され、そうしてまた業者もよく注意義務などを全うされておりましたならば、この事故は十分予見することもできましたし、予防もできた災害であった、そういう感を深くして帰ったものでございます。 そこで、諸点についてお尋ねしますが、まず取り上げてみますと、安全衛生法第八十八条第三項に定められておるこの工事計画の届け出が所轄大河原監督署になされていなかったという事実がございます。これは本当に出されておらなかったかどうか、この点をひとつお尋ねしたいと思っています。所轄監督署が知らなかったといってその責任は免れないと思いますが、まずこれが事実であれば重大だと思います。 第二点として、設計、工法に問題がなかったかどうか。現場は急斜面、高さ八十メートルほどの絶壁をなす山腹を切り崩して道路の拡幅をする工事であります。そうしてその反対側はこれまた深さ七十メーターほどの断崖、その下には清流白石川が流れております。したがって、こうした現場の工事設計、設計段階で綿密な土質調査が当然なされなければならないはずだと思いますが、そういうような土質調査があったのかどうか。特にボーリングなどを行って調査をされたかどうか。長年の雨水等によって、その雨水が浸透する。その雨水の浸透によって、いかにかたい安山岩でありましても、岩盤などに亀裂が生じていなかったかどうか、これらは綿密な調査を行えば事前にわかるはずでございます。 第三は、この工事現場では大量のダイナマイトを使っておるわけであります。したがって、このダイナマイトの発破の振動、爆発の振動によって岩盤に亀裂が生ずるという心配もあるはずであります。したがいまして、規則にもありますが、こうした現場は常に十分点検をしなければならない法の定めになっておりますが、果たして現場においては責任者がそのような点検をされておったかどうか。 また、私の見たところでは、岩石の崩落を防ぐ防護施設がなかったように見受けてまいりました。あるようにも見えましたが、これはごく一部でございます。これは通行人の万一に備える防護施設とは認めがたかったのでありますが、果たして防護施設があったのかどうか。 夜間の作業であったから当然明かりがついておりましたが、果たして足元が十分わかる照明の状態であったのかどうか。もしもこの明かりが十分な照明を持っておりましたならば、もう少し避難することができたとも想像されるのであります。 その次に、現場責任者は仮眠中であったり、現場に責任者がいない。しかも、こういう特殊な現場には、これまた法の定めるところに従って作業主任が張りついておらないればならないはずであります。この作業主任は当時不在であったと私は聞いております。果たしてどうか。 その次に、現場は昨年の六月、三月にも土砂の崩壊が発生いたしました。住民はその危険を訴えておるのでございます。こういう事実があるとすれば、このような危険地域に対する——これは県の発注工事ですから、県の責任は免れないと思いますけれども、しかし県だけでなしに、一体労働監督署は何のために置かれておるのか。こういうような危険な場所があるという情報に接するならば、仮に届け出がなかったにしても、私は知らなかった、存じませんでは責任を果たしたということにはならないと思う。したがって、住民からそのように訴えられておりますから、もう少し県及び監督署などが注意をしましてパトロール等行政指導を強化していただいたなら、こういう事故というものを未然に防ぐことができたのではなかろうか。 今日、事故発生以来三カ月経過しております。最終結論は出ていないとは思いますが、出ておらなければ中間報告として、この災害の原因、違反事実、また過失致死等の刑事追及も行われておるはずでありますから、これは警察の方ですけれども、それらをあわせて報告いただきたい、こう思います。
○野原政府委員 労働省としましては、こうした災害の発生を未然に防ぐべく最大の努力を傾けてきたわけでありますが、不幸にしてただいま先生が御指摘になりましたような大きな災害の発生を見、出かせぎ労働者の方々が多数被害を受けられましたことに対して、大変残念に存ずると同時に、深く哀悼の意を表するものでございます。 そこで、まずこの災害がなぜ起きたかという原因でありますが、こうした崩壊災害は、掘削面の高さあるいは勾配、それから水、含水とか湧水の度合い、さらには発破とかあるいは機械の稼動によって振動が起きますが、そういったものがきっかけになるというようなことでございまして、非常に複雑な様相を呈するわけですが、それらについては目下鋭意調査を進めておる段階でございます。 それから、先ほどいろいろ御指摘いただきました点でありますが、まず第一番の計画が出ておったかどうかという問題、これは当然掘削面の高さが十メートルを超しておりますので、事前に計画を出していただくということになるわけですが、残念ながら、この計画の届け出はなかったということでございます。 それから、事前の調査ですが、適正な工法を決めるためには、やはり土質がどうだとかいうようなことについて、先生御指摘のように、詳細な調査をする必要があるわけで、これも規則によって事業者の義務となっておるわけでありますが、実はこれもなされていなかったということでございます。 それから、発破をかけます。そうしますと、そのかけた後は、不発がないかどうか、あるいは落石のおそれが残っていないかどうかをやはり十分点検するということが、これまた法定の義務になっているわけでありますが、これもなされていなかったということでございます。 それから、崩壊防止の措置についていろいろな規定もございますが、これらについても十分守られていなかったという点も見られます。 さらに、こうした掘削作業につきましては、御指摘のように、作業主任者を決めて現場の管理をやらせるということになっているのです。またその職務内容もきちんと決まっておりますけれども、これも肝心かなめの作業主任者が実は選任されていなかったという点も事実でありまして、大変残念に存じております。私どもとしてはこの実態を重視いたしまして、再びこういうことがあってはならないということもございますので、現在これを厳しい処分に持っていくということで、労働安全衛生法違反として鋭意司法捜査を進めておるわけであります。 それから、照度の関係につきましては、夜間作業でございますので当然のことなんですが、現場にも照明器具等が設けられておりましたので、それが十分だったかどうかということに若干問題が残るわけでありますが、これについては、法令の違反に該当するかどうか、まだ検討の余地が残されております。 なお、事前に二度ばかり同種の崩落事故があったではないか、その段階で気がつけばこれは十分に防げたという御指摘ですが、私ども全く同様の感じを持っております。そこで、県からの届け出がなくてもそういったことがわかるように、今後は少なくとも県の発注工事につきましては、県とのコミュニケーションをきめ細かくいたしまして、事前に工事を知らせていただく、それに対して私どもの方も、仮に工事の届け出がなくても、どうだというようなことで、事前のチェックなり監督指導をしたりというふうなことを考えております。現にその後、県との間に連絡会議を持ちまして、今後はそういうことのないようにということで話し合いも進めており、またその後、県発注の工事につきましては、ほかの現場につきまして全部総点検を実施しております。今後さらにそういった体制を強化し、この種の災害の撲滅を図っていきたいと考えております。
○栗林分科員 現場において、ちょうど発生五日目でありましたし、先ほど申し上げましたように、まだ遺体の発見作業中でございました。しかし、そういう状況の中で、仙台の基準局長、それから地元の大河原監督署の署長さん初め署員の皆さん全員がずっと山小屋に泊まり込んで、心配しながら作業を指導しておりました。一番心配なのは、あの状態ですから、すぐ二次災害が発生するおそれがある。二次災害でも起きれば大変です。それがこわいといって作業しないと、遺体の発見ができない。非常に苦労をして、そうして寝ずの番で泊まりがけで御奮闘せられておりました。私はこのような状況を見まして、監督署の皆さんは本当に苦労をなさるのだ、こういう事故が起きると私どもはその責任はどうのとすぐ追及しますけれども、現場におられる監督官の皆さんの苦労というものは大変なものだ、本当に頭が下がる思いであったのでございます。 しかし、もしもパトロールが、あるいは現場指導が、あるいは情報に接したならば直ちに行動する、そういうような動きがあれば、ああいう事故というものは防げたのではないかな、こう思いますと、監督官にはお気の毒ではありますけれども、私どもとしても一言言わざるを得ない。したがって、心を鬼にしていろいろ意見交換をしてまいりましたが、私はもっとパトロールを強化してほしいと本当に思っておりましたけれども、とうとうそれは口に出すことはできませんでした。 というのは、大河原には監督官は何人いらっしゃいますかと聞いてみましたら、私を初め二人です。たしか三人ですね、署長さんのほか二人。活動される方は二人しかいらっしゃらないのです。そういう状況の中で、情報があるからといってすぐ出動できるでしょうか、十分なパトロール活動ができるでしょうか。ちなみに、大河原監督署の所管する地域は二市三郡にわたっております。その広さは千五百四十四平方キロ、広大なものでございます。適用事業所は五千三百二十四。しかもせめて車があればと思いましたが、車はたった一台なんです。言わなかったが、忙しいときには自分たちの車を使っておられたように私は見届けてまいりました。口には言いませんでしたけれども、車一台、これではパトロールがいけない。もっとパトロールして行政指導を強化せよと言ったって、言う方が無理だと私は思う。したがって、ついに口に出すことはできなかった。 私は最後に申し上げたいと思いますけれども、パトロールを強化しなければならない。行政指導を強化すればこういう大惨事を防ぐことができる。したがって、こういうような地域の広い、しかも事業個所の多い場所に対しては、何とか監督官を増員してもらいたい。そうしないと監督官は死んでしまいますよ。明らかに労働超過になる。労働者を初め出かせぎ労働者の命を守ってもらわなければならないのですから、これは行政整理とは全く次元が違う。労働者、出かせぎ労働者の命を守るために、場所によってはもう少し監督官を増員してほしい。もっと機動力を発揮するためには車も必要でありましょう。そのようにして監督行政、特に現場の監督行政を強化してもらいたいと思いますが、監督官の増員を含めて現場監督署の強化について大臣の所信を伺いたい。
○野原政府委員 全く先生の御指摘のとおりでありまして、現場の監督指導を強化するためには、何といってもそれを担当する監督官あるいは専門官の頭数をふやすということが第一の課題であります。この点につきましては、従来から鋭意努力をしておりまして、毎年若干ずつ増加を認めていただいております。五十四年におきましても、監督官でいいますと三十人、それから専門官は二つありますが、安全専門官につきましては四人、衛生専門官では五人の増員が予定されている段階でございます。 なお、これだけではとても対応できないということももちろんあるわけであります。そこで、私どもとしてはそのほかに、研修をやって質的な能力をさらに高める、さらにまた装備の近代化等も図ってまいりたい、さらに、適用対象事業所が非常にたくさんあるわけですから、その中でも特に労働災害防止上問題の多いようなところ、こういったところを重点業種として、そこへなるべくエネルギーを振り向けるといったことで対応してまいりたいというふうに考えております。 先生から非常に力強い励ましの言葉をいただきましたので、それに力を得て今後ともそういった方向で進めていきたいというふうに考えております。
○栗原国務大臣 栗林さんからいま本当に真情のこもった人間らしい、というと大変失礼でございますが、人間らしい御発言がございまして、私は感銘を受けております。 ただいま政府委員から申し上げましたとおり、われわれの監督行政の中に行き届かない面がありゃしないかということを私ども常に反省しなければならぬと思います。いま御指摘の点を踏まえまして、いろいろと積極的な施策を考えていきたい、こう考えております。
○栗林分科員 もう一つ災害現場を指摘してお尋ねしたいのでございますが、これは昨年の十二月十二日、群馬県吾妻町、草津温泉へ行く途中に中之条という監督署がありますが、その中之条監督署の所管の地域でございます。この吾妻町内で東京電力の送電線の鉄塔工事がございます。この現場で事故が起きまして一名亡くなりました。この死亡者は秋田県由利郡の長谷山三矢さんでございます。 この死亡事件についてお尋ねしたいのだが、こめ現場の状況は、これは送電線の鉄塔ですから、地下十メーターという深いところを掘って、そこへ脚を基礎として建てなければなりませんね。行ってみますと、その脚を基礎工事するために直径四メーター、深さ十五メーターの縦穴を掘っておりました。細長い煙突のような縦穴でございます。そこに垂直にはしごがおりておるわけです。これは曲げるわけにいきません、狭いですから。これは裸のはしごです。手すりも何もついておらなかった。私はこの穴をのぞいて身ぶるいがしてきたのでございます。目まいがいたしました。労働者はなれておるから何とも思わないかもわからぬけれども、こういうはしごでよくも平気で昇降するものだ、つくづくそんなふうに思ってまいりましたが、この長谷山さんは不幸にして上から転落をして即死をしたのでございます。 そこで、案内をしてくれました監督官に対して、こんな危険なはしごだもの、何か安全措置に関する法律上の規制でもないのか、こう聞いてみましたら、栗林さん、それは残念ながらありません、こう言うのですよ。そんなばかな話がどこにあるのだ、こう聞いてみましたら、彼が一生懸命これを見ておりまして、あっ、ありました、しかし果たしてこれが該当するかどうかはわからないがと、安全衛生規則の五百五十六条を私に示しまして、ここにこういう規定がある、長さ十五メーター以上のはしごに対しては踏みだなを設けなければならないと。これは役に立つか立たないかわからないが、そういう安全に関する措置を規定されておるわけです。これはその規則の第六号にございます。そうしたら十五メーター以上なんですね。そこで、私は、一体このはしごは何メーターあるのだと聞いてみましたら、笑いながら、十三・五 ○メーターしかありません。そうすると、これは違反でも何でもないのだな。違反ということにはならないわけでしょう、十三・五〇でしたから。そこで、十五メーターだから規制する、それ以内のはしごならば安全だからそういう規制は必要がない、この発想は一体どこから出たものだろうかと私は思うのです。論より証拠、十三・五〇メーターのはしごから転落して死亡した事件が起きておる。少なくとも十メーター、八メーター、七メーターのはしごでも、打ちどころ等が悪ければ即死あるいは重傷を負う、そういう災害が発生することは当然だと私は思う。 そこで、私がここでお尋ねしたいのは、この五百五十六条一項第六号には「坑内はしご道」云々と書いてありますが、いま私が申し上げておる縦穴等に設置されるはしごはこれに該当するかどうかということです。あわせて、該当するというのであるならば、十五メーター以上の場合だけ規制をするということはおかしいと私は思う。この際、十メーター、七メーターが適切だとか私はわかりませんが、この長さ十五メーターを適正に改正する必要があると思いますけれども、そういうお考えがあるかどうか、これもひとつお尋ねしたいところでございます。それから、もしもこの六号に該当しないはしごだとするならば、ぜひ第八号か新しい号を設けて、この場合のはしごの安全を守る何らかの措置を講じていただきたい。安全衛生規則の改正を希望するものでありまするけれども、労働省はどうお考えになっていらっしゃいますか、ひとつお答えを願いたいと思います。
○野原政府委員 ただいま先生が御指摘になりました災害の関係でございますが、この掘っていた穴は垂直な穴でございます。ところで、労働安全衛生規則の五百五十六条は全部で七つの条件を挙げておりますが、この五、六、七号の三つは垂直なはしご道については適用しない、こういうことになっているわけであります。したがいまして、いまの場合この規定の適用はないということになるわけですが、そうかといって、そういう垂直なはしご道がむしろいまのように危険性があるのではないか、こういうことになりますので、ただ現在規定を外しているのは、そういう垂直な穴の場合に上から物をおろしたり上げたりするときにも使いたいというようなこともあって、そこに墜落防止用の踏みだなといったようなものを設けるとじゃまになるのではないか、こういうようなこともあるわけであります。 しかし、現実に危険性があるんだということ、またいろんな手も実は考えてみるとあるということでもありますので、現在安全研究所の方で、これは潜涵の作業につきましても同じような垂直用の昇降設備がありますので、とりあえずそれについてどういった方途が講ぜられるのかということの研究を進めておりますので、それらのデータをもとにして、将来この規定の改正について検討してみたい、いま御指摘いただいたような点を十分その際勘案をしたいというふうに考えております。
○栗林分科員 もう二分、最後の質問を許していただきとう存じます。 先ほど現場の監督行政の強化について大臣からも御所信の表明がありましたが、もう一遍ひとつ確認しておきたいと思います。 実は昨年の四件の事件を私は手に持って、ここにあります、先ほど申し上げましたが、このほかに、立川監督署管内に発生した死亡事故、これはいずれも一人ずつ亡くなった事故でございます。 そこで、大河原監督署の現場の状況を申し上げましたが、先ほど申し上げました中之条監督署のこの地域など、事業所などを申し上げますと、ここもずいぶん山奥で、これは草津温泉まで含まれているのですからずいぶん山間地域で広うございます。これも千二百平方キロ、かなり広い地域をこれは管轄していらっしゃる。これはもう山間地域ですから事業所は少のうございますが、千五百七十一、しかしこういう危険な工事現場がたくさんございます。ここには監督官が二人。そうすれば署長と合わせて三人ですかと聞いたら、いや、署長を含めて二人、こういうお話でございました。これではやはりこの広い地域にとても手が届かないと思うのですね。そして車は一台しかございませんでした。 それから、立川監督署でございますが、この監督署で私いろいろ議論をしてまいりましたが、監督官は、署長を含めて五名のようでございます。管轄する地域は十市になっております。東京都下で十市といいますと相当広地域になろうかと思います。現に青梅の先までですから、これは山梨県境まで監督の地域でございます。ここは事業所などは大変なもので、二万一千六百九十四、これだけ事業所を持っています。その中で危険な現場がやはりたくさんあるのでございます。それで、ここは五名の監督官。車はここなら二台くらいあるかと思いまして聞きましたら、車一台です。つい最近私は伺ったのですが、一台なんですね。一台ではどうにもならないのではないでしょうか。せめてこういうところには一台車を増車してあげるとかそういうふうにしますと、もっと機動力、行動力が出てまいると私は思うのですよ。 このように監督署は、先ほども言ったように、労働者の命を守る仕事なのでございます。それですから、これの増員というものを行政整理と同じ次元で考えることは根本から間違いだと私は思う。必要のないところはどんどん少なくするのは当然のことでございます。しかし、人の命を守る、労働者の命を守る現場に働く監督官の皆さんを、もっともっとわれわれも大事に考えなければならないのではないでしょうか。単に毎年毎年大蔵省と増員の交渉をしていますということだけでは、この問題は解決がつかない。 大臣、この際ほかの問題とは切り離して、監督官の増員を含めて現場監督行政の強化のためにひとつ御奮闘を切にお願いを申し上げて、御答弁は先ほどいただきましたからよろしゅうございます、強く御要望申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○野呂主査 これにて栗林三郎君の質疑は終了いたしました。 午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時四十三分休憩 ————◇————— 午後二時三十分開議
○広沢主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 労働省所管について質疑を続行いたします。西田八郎君。
○西田(八)分科員 まず最初に、労働大臣に一言お伺いをいたしたいと思います。 せんだって労働基準法研究会から、これは大臣の私設の諮問機関だと聞いておるわけでありますが、そこから「労働基準法研究会報告(女子関係)」という報告書が五十三年十一月二十日に出されております。その報告書によりますと、時代も大分変わってきたし、女性の職場も大分いろいろと広範になってきた、特に雇用労働者中に占める女性の割合というのが三千七百万のうち千二百万、約三分の一、三三%以上に達してきた、そういうような情勢を踏まえて、従来労働基準法の中に禁止されておる女性の深夜労働あるいは生理休暇等については考慮すべきではないかというような報告がなされました。 確かにそういう方向ではあるけれども、深夜労働が禁止されましたいきさつ等、報告書を読ませていただきますと、詳しく書かれておるわけでありますけれども、そもそもこの女子労働者の深夜労働の中で、かつては繊維工場においては女工哀史というような悲劇を生んだりしまして、これは昼間は余りできないのですけれども、夜間に温床になったというのがきょうまでの歴史である。そういうところから、戦時中にもあれだけ厳しかった軍政下にあっても、女子に対しては十分な配慮をするようにという指示が流されておりました。そういうような経過を踏まえて女子の深夜業禁止という問題が出ていたと思うのです。したがって、単に時代が変わったからということだけで、歴史的なそうした事実を加味せずに直ちにというわけにはいかぬだろうというふうに思うわけです。 ところが、経営者側にしてみれば、女子が深夜働いてくれるということになりますと機械効率は非常に高まるわけですね。たとえば繊維工場で言いますならば、三交代で二十四時間フル操業できるものが十六時間でとめなければならぬ。あと八時間は遊んでおるわけです。三分の一遊んでおるということは大きな問題でございます。したがって、こういうものが出ますと、得たり賢しと深夜業を許されるのではないかというような認識を持つ。そこへ持ってきて、労働省の方でも男女平等を目指しまして、大変りっぱなこういうパンフレットをお出しになった。 私はこれは女性を啓蒙する意味においても非常に大切だと思いますけれども、それにはそれなりの手続が必要ではなかろうか。たとえば現在中央労働基準審議会という審議会がございますが、これは労使双方に経営、学識経験者のいわゆる公労使三者構成になっている。そういうところへ報告されて一応了解を求めて、そして発表される。それにまた、一つは条件整備として、私は、ただ単に女工哀史の歴史があるから女性の深夜業は禁止されたというものではなしに、それには女性の持つ特性といいますか、母性を保護しようという立場も含まれておると思うのです。したがって、ここに書かれておる男女平等の目指している精神の中にも、男性対女性というものは、女性の中から母性部分を差し引きした部分で平等でなければならぬということがあろうと思います。 そういう観点に立ちますと、この深夜業禁止であるとか生理休暇あるいは重量物運搬の制限といったようなことは、ただ単に時代が変わってきたからというものではないのではないかというふうに考えられるのですが、そうした問題に対する大臣の所信と、それから婦人局長さんにそのいきさつ、手続上の問題について御答弁をいただきたい。
○栗原国務大臣 いまいろいろお話がございましたが、私もこれを一応読ませていただきまして、長年にわたる研究会の専門的な皆さん方の御努力の結果できたものでございますから、それなりに大変貴重な御意見もあり、特に男女平等法というものの制定の必要性を説いているというところは、大変力作だと思います。 ただ、御指摘のとおり、これに対するいろいろの御批判もございますので、私どもといたしましては、今後関係審議会の議を経まして、その後で適切な処置をいたしたいと考えております。
○森山(真)政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、この問題の進め方といたしましては、婦人少年問題審議会、さらに労働基準審議会におきまして十分御検討いただくことになっておりまして、すでに婦人少年問題審議会におきましては、婦人労働部会というところにおろしましてこれから十分にお話し合いをいただくということになっております。基準審議会におきましても、そのようなやり方でこれから進めていかれるというふうに聞いております。 また、御指摘の深夜業、生理休暇等につきましては、先生がおっしゃったような趣旨がこの報告には書いてございますけれども、その方針を打ち出しました後で、最後に、「しかし、女子が現在社会的に置かれている状況をも考慮し、当面労働の実態に対応した規制など必要最小限の規制の特例を設けることはやむを得ない」とか、あるいは生理休暇につきましても、「この問題は三十年間の実情に鑑み、生理と就業の関係について関係者の十分な理解を得つつ、解決すべきものと考える。」ということで、この報告書自体におきましても慎重な検討ということを指摘されているところでございます。
○西田(八)分科員 だから、これは全部お配りになっているかどうか知りませんが、こういうものを出されたときには手続上余り問題を起こさないようにしてもらいたいと思うのです。 現在の労働基準法は昭和二十二年に制定されてそのままになっておりまして、これは中身を大分変えなければならぬ問題もある。後ほどまた二、三質問をいたしたいと思いますけれども、そういう経過があり、さらにまたこれをアメリカが日本の労働基準として、当時は飛ぶ鳥落とす連合軍から押しつけというとおかしいけれども、お仕着せのようにいただいた労働基準法であります。当時、アメリカでも生理休暇なんてなかったのです。それを一回日本でやらしてみよう、深夜業も禁止されていないけれども日本でやらせてみようということで、やらせたという経過があるように聞いております。 しかし、それはそれとして、今日の日本の完全な女子の労働の環境の中の一つの条件として成立しておるわけでありますから、それを変えるときには、少なくともそれだけ雇用労働者かふえてきたということは、労働組合その他の中にも婦人活動というものが活発になってきておるわけでありますから、そういうところとのコミュニケーションを十分図った上で、理解をいただいた上で発表されるということの方がより慎重ではなかったかというふうに思いますので、その点は今後十分御注意をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。 なお、これについて関連して婦人少年局長にお願いしたいのですが、私どもは早くから母性保護基本法というものを準備いたしておるわけでありますが、かって参議院で二回ほど単独で法案を提出いたしましたけれども、いずれも憂き目を見て廃案になっております。こういうような男女平等を目指すということは、確かに男問題も一緒だという考え方は最近の若い人たちに平均的にでき上がってきているが、それだけに逆に言えば女性自身がみずから母性の保護ということに対して放棄している面があるのではないか。そういう点を喚起することも必要でありましょうし、平等性を確立する意味でも、先ほど申し上げました女性の持つ特性であるプラスアルファ分を当然の行為として保障する。そういう法的処置が講ぜられて初めて男女平等が一般化されていくのではないかというふうに私は思うわけであります。 そこで、母性保護基本法ですが、私ども仮称でそう言っておるわけでありますが、そういった母性保護の立場に立ってどういうふうにこれをお考えになっておるのか。これは単に労働省だけでは決められないことであり、当然これは厚生省とも関係がありましょうし、総理府の婦人対策何とか会議にも関係があると思いますが、そういう点で労働省の立場から一体どういうふうにお考えになっているか、お伺いしておきたいと思います。
○森山(真)政府委員 母性保護の充実ということにつきましては、この労働基準法研究会報告におきましても、三本の大きな柱の一つとして強調しているところでございます。 三本の柱と申しますのは、第一が男女平等法制定の必要性、第二番目が女子保護規定の検討、そして第三番目に母性保護の充実ということを言っているわけでございまして、母性保護の充実といたしましては、産前休業、産後休業あるいは定期検診のための時間、妊産婦の時間外労働、深夜業の規制等にわたりまして細かく提言をされているところでございますので、この御提言を十分参考にして今後充実させていきたいと存じます。 現在のところは、現在の労働基準法の規定を十分に守っていくということのほかに、勤労婦人福祉法に決められておりますさまざまな規定をもとにいたしまして行政指導に力を入れているところでございます。
○西田(八)分科員 確かに既存の法律もありますし、また現に産前休暇等につきましては、基準法に産前六週間、産後八週間ですか、そういうふうな規定もあるわけでありますけれども、ただそれだけで十分ではない。やはり勤労婦人福祉法ともあわせて一本の柱というものをつくる必要があるのではないか。そして、これは単に勤労婦人だけの問題ではなしに、家庭にある婦人あるいは農業婦人、自営業婦人等、そうした婦人の母性というものも、これこそ平等に守られなければいけない問題でございますので、そういう点を定着させていく上からも、ぜひ母性保護のみを中心とした法案の制定に御努力をいただきたい。これは特にお願いをいたしておきたいと思います。 その次に、週休二日制の問題でございますが、これも現在の基準法によりますと、一週間の労働時間は四十八時間ということに定められておりますが、四十八時間であるから、結局一日八時間という計算になるわけですけれども、欧米等におきましては四十時間、あるいはアメリカあたりでは三十六時間という要求も出てきておるようであります。したがって、日本の場合も、こうした減速経済に入りますと、週休二日制にすることによって得られる雇用の確保というものはかなり大きなものになってくるのではないだろうか。もちろん、一定の生産の中でそれだけ労働者をたくさん使うということになれば一人当たりの労務費というものは下がってきますから、言いかえれば賃金が下がるということになるわけですが、わが国の企業の場合は、他の先進諸国に比べて、負担をしなければならない直接賃金のほかのいわゆる負担金が多いわけですね。たとえば社宅なんというのもそうですし、食堂というのもそうです。 ですから、そういうものが社会的に整備されて——雇用促進事業団の仕事を通じていろいろあちこちにセンターがつくられつつありますし、また事業団を通じて雇用促進住宅というものもつくられつつありますが、そういう面で企業の活動というものの管理上のいろいろな負荷されておるものを排除していけば、賃金は必ずしも下げなくても現行のままでもいけるのではないか。これは数字的に詳しいものを持っておりませんし、これはいずれまたそういう機会に議論をしなければならぬと思いますが、それである程度カバーできるのではないかという気もするわけです。 われわれが行って外国からまずいろいろと批判されることは、日本の労働時間が長いということであります。そのことに対する批判を避ける意味からも、やはり週休二日制というものをこの辺でぼつぼつ基準法改正という方向で動くべきときではないかというふうに思うわけでありますが、これについて関係局長、ひとつ……。
○岩崎政府委員 この問題につきましては、すでに一昨年の暮れに中央労働基準審議会の公労使三者一致の御建議をいただきまして、それでこれは労働時間短縮ということで、結局は労働者の福祉あるいはいまおっしゃいました国際協調の面、あるいはまた長期的に見れば雇用拡大、雇用維持にもつながるだろうという御指摘をいただいた上で、所定外労働時間が非常に過長な者あるいは有給休暇が十分とれていない者、そういうものを中心に、そしてまた週休二日制は労使あるいは国民のコンセンサスを得ながら漸次進めていこう、こういう行政指導をしろという御建議でございまして、それに基づいて私どもは昨年以来やっているわけです。 ただ、短期的に見ましてそういうふうに週休二日制というものを考えましても、特に大企業では相当程度週休二日制が浸透してきてまいっておりますことは御承知のとおりでございますけれども、中小企業、特にサービスとか小売というようなものになりますと、同業者との見合いとかあるいは顧客、消費者というようなことの顧慮から、なかなか店を閉めて週休二日ができない。いまおっしゃいますのは、恐らく店を閉めないで、いままで十で働いていたものを週休二日になるから人数が二割ふえてちょうどいいのではないかという御指摘かとも思いますけれども、それがコストとの関係からまいりまして、法的に強制をするというようなことにまだなかなか早急にはいかないのじゃないか。もっともこれは法的に強制しているという意味では、実はソビエトが例にあるぐらいでございまして、ほかのアメリカ初め西欧先進国と言われている諸国におきましても、法律の規制を待つことなしに労使の合意で具体的にはやっておるわけです。 ですから、わが国の場合にもそういったことで——しかしこれをただじんぜんとやっておってもいけませんので、中央段階ではもちろん関係労使ないし国民のコンセンサスを図るべく、また地域地域におきましては、特にその地域の同業者との兼ね合いとかいろいろなことかございますので、そういった業界ごとに集団的にお話し合いをいただく、そういうことを浸透いたしまして、なるべく早くこれを浸透させていきたい、このような方向で現在は取り組んでおります。
○西田(八)分科員 そうは言うものの、現在基準法にちゃんと四十八時間と決められておるわけですよ。それを四十八を四十と変えて、八という字を一字だけ消したらいいわけですから、技術上はごく簡単なことなんですよ。しかし、またそこがむずかしいのです。 ですから、労使の慣行を持ってということになりますと、わが国の労使関係というのは戦後生まれてきたものです。しかも、戦後のあの二・一ゼネストを境にして相当混乱をして、落ちついたのが昭和二十七、八年ごろからではないでしょうか。ですから、特に最近ぼつぼついい労使慣行が生まれつつあるわけですが、いままでも法律に違反してストライキをやるやつがおるのですから、そういう状態の中で日本人の欲しいものは何かと言えば、やはり法律なんですよ。法律でこういうふうに決めるということになると、それは決められるときにはずいぶん反対する人がおっても、決まるとそれに従うという風習もあるわけです。だから、やはり基準法で変えていく方が——日本の労使慣行の発生の状況、しかも労働組合というものが、職業別、産業別といいながらもやはり企業別組合であるという特殊性から考えますと、法律である意味においてはその方向性を出していくということがきわめて重要な問題ではないであろうかというふうに私は思うわけであります。 これは定年の問題でもそうだと思うのですよ。ここでは定年の問題は取り上げませんが、六十歳くらいまでは使うというような思想を法律で示していけば、やはりそれに従ってくるのではないかと思う。 もう一つ、労働時間短縮でむずかしいのは、官業労働といわゆる金融業で、これがなかなか週休二日制に踏み切れない。これは銀行が土曜、日曜を休みにして、官庁が仕事せぬということになったら、みんな二日ずつ休みになります。そういうようなことも考えなければならぬですが、銀行は銀行法の関係もありましょうし、また国家公務員の関係もありますから、ただ基準法だけではそれを規定していくことはむずかしいかもわかりません。せめてそういう方向で努力をしていただきたい。 残業でもそうですね。欧米の労働者は残業することを非常にきらいます。ところが、日本の場合は、就職試験に来て、おたくは残業は幾らありますかということで、月に残業の多いということが何か就職の好条件の一つになっておる。若い人はだんだんそういうことをきらってきますけれども、まだ私どもの年輩の人間は残業でかせごうというけちな根性を持ち合わせておりますから、これでもやはり残業をすれば割り高になりますよということを認識させなければいけない。それには現在の三六協定で労働者に意見を聞くだけではなしに、割り増し賃金もふやさなければいけない。そして残業をやるということは得にならないという印象を与えることが大事ではないか。 そういう意味で、もう三十年以上になるわけですから、労働基準法もぼつぼつ改定の時期ではなかろうかと私は思うわけですが、労働大臣はどうお考えになっておるか、ひとつ所信をお伺いしておきたいと思います。
○栗原国務大臣 確かに、週休二日制とか時間短縮というのは、長期的に見ますと、そのとおりだと思うのです。日本人は余り働き過ぎるという非難がございますし、人生とは何ぞやということをよく考えてみた方がいいという観点からも、これは考えていかなければいけない。国際協調の面からも、あるいは雇用の維持拡大の面からも考えていかなければならない。その点については全く同感でございます。 ただ、法律でやれという御意見につきましては、そういう御意見もあると思います。法律をつくれば日本人というのはそれを守っていくのだという考え方もありますけれども、法律をつくっても守らぬ者もおりまして、ですから、そこら辺がなかなかむずかしいところでございまして、特にこういった問題は労使の基本的な認識が一致しませんと、なかなか法律だけでは規制できない。 しかも、いろいろな御建議や御決議をいただいておりますので、行政指導でやれということでございますので、鋭意その線でがんばっていきたいと考えております。
○西田(八)分科員 次に、これも日本的な特有な存在のようになっておるわけですが、土建の請負関係です。 これは最近建設雇用管理協会というものができていろいろ従来の——職場の中で一番封建的なのは土建屋さんではないかということで、きのうも建設大臣にお願いしたわけですけれども、これはよほど行政指導をしっかりしていただかないと、ここで賃金搾取と思われる部分が非常に多いと思います。 たとえば、現在公共事業は、昨年五兆五千億、本年六兆六千億ですか、そのほか公共投資等も含めまして、政府もかなり力をお入れになっておるわけです。それは関係省庁あるいは都道府県、市町村が出す大きい仕事をもらってくるときのゼネコンと言われる元請にはきちっとそうしたものが加味されておるけれども、今度下請におろすときに、一億円の仕事を五%頭をはねて九千五百万円でおろすときには、労働者の賃金も工数も全部そっぽで計算をされて、頭から五%引かれる。そうすると、大きな企業が仮に一〇〇で材料を買えるとすれば、中小の企業がそれを買う場合は一〇〇プラスアルファでなければ買えないわけです。そういうハンディがついているにもかかわらず、総額で五%という減額があるものですから、当然労務費で頭をはねる以外にないわけです。 ですから、仮に官庁の計算が一工数当たり八千円と計算されておっても、下請に入ってくるときには七千五百円なり七千円に引き下げられて、それがだんだん下へ——御承知のように、日本の建設業というのは非常に重層構造になっておりますから、一番下で引き受けたときには、とてもじゃないが一人当たり五千円の工賃も引き出せないような契約を結ばせられるというのです。どうにもしようがないから、役場へ泣き込んで、部落の道を直すのだから部落の人もひとつ応援してくれということで、町長の協賛を得て、そして男三千円、女二千五百円ぐらいのその日の日当、手当、弁当代というだけで、昔の勤労奉仕ならぬ、そういう住民動員の中で道路工事をしておった。現実にそういうのがあったわけです。これはゆゆしき問題じゃないか。労働基準法では賃金の搾取はまかりならぬと決めてある。 ですから、そうしたゼネコンから下請におろす場合、労務費とそれにかかってくる社会保険料というものはもう決まり切った数字なんですから、これはもう絶対にさわらないという指導が必要ではないか。そうすることが、いま一番封建的なものがたくさん残っておると言われておる建設現場の民主化のためにも、また労務者の定着のためにも必要ではないか。また、現在、日本の投資の意欲が減退しておるときに、せっかく公共事業で公の金を出して景気回復を図ろうとしておるけれども、そういう仕組みの中で一部の者だけがいいことをするというようなことは許されないと思うのです。そういう意味では、これは労働省がいま雇用管理協会ですか、そちらの方にもかなりの補助金も出され、あるいはいろいろやっておられるわけですが、幾らその人たちにやったところで、もとが変わらぬ限りはよくならないわけですから、ぜひひとつそういう指導をしてもらいたい。 今日までの指導とこれからの指導について、ひとつ局長から御答弁をいただきたいと思います。
○岩崎政府委員 先生のいま御指摘の点は、元請、下請関係の実態をよく踏まえた御質問でございますので、私どもも十分拝聴するとともに、そういった実態の調査も今後十分にしなければならぬと思います。 いま御指摘のように、建設雇用の改善に関する法律に基づきまして、たとえば建設労働者の雇用契約一つとってみましても、従来非常に不明確な点が多かったので、そういうことからきちっと結ばせるということを軸にいたしまして、建設雇用労働者の労働条件全般にわたる改善をしていかなければならぬ。その基本にはもちろん元請、下請の請負関係、御指摘のとおりの点があろうかと思います。 これは理屈と申しますか、下請の方も何を労務費に向け、何を資材費に向け、どういうふうに能率を上げ、どういうふうにするかということは、言ってみればその業者の経営の才覚でございまして、元請が下請に出す際に、労務費が決まっており、また福利厚生費が決まっているのだということを一概に申しにくい点もあろうかと思います。基準行政から申しますと、これは非常に力がないと言われてしまえばそれまでですが、賃金の点では最低賃金の支えを持っておりますし、それからもし実際に中間搾取というようなことがありますれば、これはもちろん基準法違反でございますから、私ども監督で摘発をしていかなければなりません。ただ、ゼネコンが下請に出す場合のものが社会的には一種の中間搾取ではないかとおっしゃられても、なかなかむずかしい、法律的には構成できにくい点もあろうと思います。 いまお言葉がございましたし、私ども実態をさらに調査いたしまして、せっかく先ほどの雇用改善の法律に基づく指導もできることになっておるわけですから、一層指導を強めてまいりたい、このように考えます。
○西田(八)分科員 そういうふうにお答えになるだろうとおよそ予測をしておったわけですが、少なくともゼネコンがそうした請負契約を結ぶ場合には、見積もりというものを出さずしてやらないと思いますね。見積もりを出す限りにおいては、機材費が幾ら、養生費が幾ら、工賃が幾らということで契約をするはずでございます。ですから、その部分はもちろん工事のことでありますから、いつどんな事態が起こってきて、とんでもない問題が飛び入りで入ってくるかもわかりませんけれども、少なくとも工費については一定の限度というものがあって、それで計算をしてやっておるのだと私は思うのです。 だから、それがゼネコンでどうしても必要なら——もちろん中小でも必要なはずなんです。それが、大きなところでやったら高いし、小さいところは安くなるのがあたりまえだという習慣がこの業界にはあるわけです。ですから、それはやはりなくしていくことが必要ではないか。 もちろん、これは単に建設業界だけではなしに、たとえば工賃請負の繊維等あるいは家庭電化製品等もこういう問題を含んでおるわけですから、それはそれなりに一つの採算を持って——工賃は工賃だけで計算をしてやっておる場合はまだ救われると思うのですが、トータルで計算されている場合にはその部分だけがはっきりしない。はっきりしないからよけいおかしくなってくるわけで、ぜひともその点は今後の指導強化をお願いをしておきまして、時間が来たようでございますから、終わります。
○広沢主査代理 これにて西田八郎君の質疑は終了いたしました。 次に、岡田利春君。
○岡田(利)分科員 私は、職業訓練関係について質問をいたしたいと思います。 昨年の四月十八日に職業訓練法の一部改正の法律案が成立をいたしておるわけですが、この職業訓練法の改正に基づいてすでに労働省としては作業を進めておる、こう思うわけであります。したがって、訓練校のこれからの目指す将来像といいますか、そういう点について一体どういう青写真を今日つくられておるのか、御説明願いたいと思います。
○石井政府委員 職業訓練法をこの前の国会におきまして改正をいたしたわけでございますが、今後の職業訓練のあり方の一番大きな問題は、一つはやはり雇用失業情勢というものが、特に安定成長下における今後のあり方を見ますと、常にいわば離職者が発生するという事態が起こる条件が出てくるだろうということと、それから何といいましても産業構造が非常に変わってくることは明らかでございまして、それに対応いたしまして労働者のいわば転換ということが非常に多くなるだろうと思います。したがって、そういうことに対する、言ってみれば媒介といいますか、そこで職業訓練が中間的に機能いたしまして、そういう構造変化あるいは失業に対する対応ということの体制を整える、さらにまた今後の、製造業にしてもそうでありますけれども、かなり知識集約的な、あるいはかなり高度な技能というものが要請されるという一面もございまして、それに対する養成訓練の体制を整える、こういうことで職業訓練法の改正を行ったというふうに考えておるわけでございます。
○岡田(利)分科員 具体的には、今日存在している総合高等職業訓練校、これはブロック別に短大をつくっていく、同時にまた訓練センターにこれを改組していくという方向を求めておるのだと思うわけです。 そうしますと、短大の指定基準といいますか、あるいはまた訓練センターに移行していく基本的な方針といいますか、基準といいますか、そういう点についてはどのように取り扱っておるか、説明願いたいと思います。
○石井政府委員 御指摘のように、雇用促進事業団が設置しております総合訓練校につきましては、二つの方向を考えております。先ほど言いましたように、現在の、あるいは将来の雇用情勢あるいは産業構造変化に対応するということから、一つは技能開発センターということにいたしたいと思います。それからもう一つは、いま御指摘のありました短期大学校ということに変えてまいります。現在全体で八十七校の訓練校がございますが、まず一つは短期大学校として、十二ブロックに分けまして、そこに一校程度設置いたしたい。しかし、たとえば関東とかあるいは阪神地域というものは非常に広大な地域でございますので、そこには二校を設置いたしまして、全体として十五校程度設置をいたしたいと考えております。 それからもう一つは、そのほかの、すなわち八十七校から十五校引いた残りの総訓につきましては、すべて技能開発センターということに転換をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○岡田(利)分科員 これは八十七校を一遍に転換することはできないわけでありますから、したがって順次計画に基づいて短大に移行するものは短大に移行していく、あるいはまた技能開発センターに移行していくということになるんだと思うのです。その計画を進める基準といいますか、基本的な考え方というものは一体どういうところに準拠して判断をしていくのか。当然計画が組まれていくと思いますので、一定の基準的なものがあるんだと思うのですね。この点はどうなっていますか。
○石井政府委員 八十七校を一挙にということは考えておらないのでありますけれども、まず私どもとしては、現在の地域の労働市場を勘案いたしまして、まずAグループといたしまして大体三十八校ぐらいについて、技能開発センターにおよそ大体五十六年度までに着手させたいというふうに考えております。 この考え方の基準ということでありますが、要するに、現在の雇用失業情勢から見て、かなり失業といいますか、離転職者あるいは職種を転換するということが必要であろうと思われる地域がまず一つであります。 それからもう一つは、いわゆる向上訓練といいますか、企業の中で行っている訓練が非常に多様化をいたしまして、そこにおける地域の労働市場で、その多様化した事業内訓練に対する援助体制を早急に整える必要があると思われるところをまず先行グループといたしまして、先ほど申し上げましたように、三十八の訓練校をまずそこから始めようという考えを持っておるわけでございます。
○岡田(利)分科員 現在の八十七校のうち、能開職種のある訓練校はどれくらいの数になっておりますか。
○石井政府委員 具体的な数字、いま調べておりますが、かなりの訓練校におきまして能開訓練をやっているということでございます。
○岡田(利)分科員 職業訓練法の改正に当たって、特にこの法律案の可決に当たり衆議院の社会労働委員会で数項目の附帯決議が付されておるわけです。その中で「公共職業訓練施設の技能開発センター又は職業訓練短期大学校への転換に当たっては、一定時期に、画一的に切り替えることなく、現に行われている養成訓練の実施について、新規学卒者及び若年労働者など養成訓練希望者が不当に受講機会を失うことのないよう運営上、予算上の措置を講ずること。」こういう附帯決議が付されてあるわけです。これからの運用に当たってこの附帯決議は非常に重要であると私は思うわけですが、この附帯決議の理解は、いま説明したようないわばAグループ、Bグループとこう分けて、Aグループ三十五校程度この五十六年までに着手する、その後Bグループに着手をする、そういう方向でこの附帯決議の趣旨が完全に消化でき得ると考えられておるのかどうか、承りたいと思います。
○石井政府委員 先ほど申し上げましたように、この前の法律改正によりまして、特に総合職業訓練校については二つのルートに分けていくということを御決定願ったわけであります。しかし、附帯決議にございますように、その転換に当たっては特に新規学卒者等の養成訓練の受講機会との関連を重視すべし、したがってこれを画一的に転換をするということは、もっと総合的にその辺を考えるべきだという附帯決議がございました。したがって、私どもとしてはこれに対して、一つは、先ほど申し上げましたように、できるだけ技能開発センターの機能が十分に発揮されることか要請されているところをまず一つ考えたわけでございます。それからもう一つは、地域の実情を十分に配慮して都道府県と十分に協議をいたしまして、たとえば養成訓練についてその分だけカットされるといいますか、そういう事態になりますから、これを支える受けざらをどうするかということを当然総合的に含めまして、これに対処をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。 その場合に、今度の法律改正の中で特に技能開発センターということに変える一つの要請は十分にあるわけでありますが、養成訓練についての問題につきましては、第一は、何と言っても事業内のいわば採用者の養成訓練ということについてまず一つ目を当てたいと思います。第二は、その近隣に都道府県立の職業訓練校がございますから、養成訓練の需要について、これとの調整を図りながらそこで受けざらを整えていくということを考えたいと思います。それから第三は、もしそれによっても養成訓練の需要に対応できない場合には、たとえばさらに増設をするとか、あるいは職種をそこに充実するとか、そういう体制をとって、その地域における養成訓練の需要に対応していきたい、そういう総合性を持ってこの転換を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○岡田(利)分科員 技能開発センターに移行するということになりますと、いま述べられたように県立あるいは道立といいますか、そういう職業訓練校で科目をふやすとか、あるいはまたニーズに対応できるように措置をするということを考えておられただろうと私は思うのです。けれども、しかしこの総合職訓のあるところには大体道県立の職業訓練校がある。だがしかし、科目は重複しないようにすでに調整されているわけですね。したがって、この県立職業訓練校でいままでの科目をすべて消化するということになると、恐らくいまの訓練校、大体倍に拡充しなければむずかしいのではないか、こう私は思うわけです。そういう点についてはどう考えられておるのでしょうか。
○石井政府委員 総合職業訓練校の養成訓練をそれに対応する受けざらとしてどうするかという問題であろうかと思います。 御指摘のように、総訓のあるところに大体県立の訓練校があるのが多いわけでありますが、その場合に職種について必ずしも全部、何といいますか調整をとられておって、両方ダブらないようにということもありますけれども、大体において職業訓練の職種というのは、基本職種についてはほとんどもう同じようにやっておるということでございまして、総訓と訓練校についての職種の差というものは確かにございますけれども、全部が全部そうであるというふうには私は考えておらないわけであります。 ただしかし、実際にそれにどう対応するかということになりますと、問題は、一つは、いわゆる地域の事業内職業訓練がまさにその需要に対応する具体的なものでありますから、この事業内職業訓練について一つの養成訓練の体制を整えていくということをまず一つ考えたいと思います。 それからもう一つは、それで足りない場合には県立訓練校について職種の増設、端的に言いますと、その地域によっては総訓の職種がある意味で移管するようなかっこうになりますけれども、そういうことで対応してまいりたいというふうに考えております。 問題はやはり技能開発センターとして機能をすることが現実に非常に要求されているという実態の場合に、言ってみればどちらを優先的に選択するかというそこの問題意識があるわけでありますが、しかし従来の養成訓練につきましては、いま言ったような対応をして総合的なまとめをしてまいりたいというふうに考えております。
○岡田(利)分科員 具体的にお聞きをいたしたいと思うのですが、北海道には五つの総合訓練校があるわけです。地理的に言いますと、北海道の入り口の函館、道東の釧路、そして小樽、旭川、岩見沢、これはきわめて隣接しておるわけですね。こういう配置になっておるわけです。一応いま進められておる計画は北海道の釧路、これは五十五年度から五〇%訓練センターに変えていく。函館は一年おくれでこれに着手をする、こういう方向が出されているようであります。 先ほどからいろいろ聞いたのですけれども、一体どういう判断とどういう基準でこういうことになったのでしょうか。
○石井政府委員 北海道におきます、特に釧路総訓について申し上げたいと思います。 釧路総訓を技能開発センターに転換をするという考え方を、先ほど申しましたAグループに上げたわけであります。まず、具体的に転換計画案を申し上げますと、昭和五十五年度に構造物鉄工科、建設機械整備科、塗装科、この三科目について転換をいたしたいわけです。残余の機械科、自動車整備科、製版・印刷科につきましては五十七年度に転換をしたい。これが具体的な釧路総訓のセンターへの転換計画の中身でございます。 まず一つは、釧路総訓につきまして、これは五十五年度、五十七年度にわたって転換をする理由の一つは、現在、釧路につきましては、先生まさに御承知でありますけれども、何と言っても二百海里問題もありますし、サケ・マス等の制限の問題で非常に苦しんでいる時期であります。また、特定不況地域にも指定されている。しかも、その下には水産加工業というものが系列的にいわば苦難の道を歩いている。そういう中で、やはり離転職者訓練というものに早急に力を入れる必要があるということが一つあります。それからもう一つは、企業内の向上訓練につきましても、釧路につきましては、北海道全体の中でもいわゆる事業内訓練について非常に力が入っている地域でございます。そういうことから、いわゆる企業における向上訓練というものについて一層拡充をする必要があるということで、少なくともAグループの中で技能開発センターをつくり上げていく客観的な情勢があるだろうと思います。 問題は、養成訓練についてどうするかという問題でありますけれども、一つは、まず五十五年度、五十七年度という、言ってみれば二段構えにするということが一つの配慮であります。それからもう一つは、釧路につきましては道立訓練校、釧路高等訓練校がございます。現在、実は北海道とも事務的に調整の協議を行っている最中でございますが、その中でまず一つは釧路の道立訓練校で、これをどういうふうに整えるかという点をいま詰めておるわけであります。
○岡田(利)分科員 私はいま言われた点について、実はどうも実態の認識の違いがあるということは雇用促進事業団の方にも意見を述べてあるし、また労働省の方にも担当の方に意見を述べてあるわけです。 確かに函館は特定不況地域ですね。釧路も二百海里関連の不況地域です。だが、実際に漁業離職者は一体どういう状態にあって、しかも海から陸上への転換なのか、海から海への転換なのか、この実態についてどうも把握の仕方が不十分ではないかというのが一つです。それから、水産加工の場合は、もちろん水産加工基地ですから女子労働者が圧倒的に多いわけですが、これが訓練を受けて転換するという状況にはないわけです。だから、そういう面から考えますと、炭鉱はほとんど閉山して、ないわけですから、どうもそういう意味では、単にソ連の二百海里実施の結果不況地域に指定をされた、そこで端の函館と釧路が取り上げられた、こういうあれが非常に強いと思うのです。 しかし、実際問題として、この環境を調べてまいりますと、そういう点では、能開への職種については、もちろんございますけれども、そう希望者が多いわけではないわけです。同時にまた、道立の話も出ましたけれども、これは漁業の町ですから、たとえば無線とか機械とか建築というぐあいにダブらないようになっておるから、いまの六つの職種を一挙にふやしていくことは、私は非常に困難もあるのではないかと思うわけです。また同時に、東北海道ですから、関東七県の面積があるわけですね。しかも相当、町村からも訓練校に入っておるわけです。この地域は、高校進学率がきわめて低いわけです。北海道でも最低の地域なのです。これは高校が少ないという意味もあるわけです。したがって、新規卒業者が訓練校に入る、そこで技能を身につけて就職をする。毎年毎年ずっと二倍の応募者があるわけです。昨年もそうなのですよ。しかも、他の関連からいいますと大企業の少ないところです。本州とか十條とか太平洋炭礦、あとは余り大きな企業はないわけです。だから、私はそういう意味から考えると、むしろこれは転換するに当たっても一番後になるグループではないのか。たしか初めはBグループに入っておったが、特定不況地域に指定されたらぽんとAグループに上がったと私は承知しておる。そして旭川、岩見沢、小樽、ここに三つあるわけですよ。このうち一つが短大になるわけでしょう。そして、この三つはBグループに入っているわけです。そういう配置からいっても環境からいっても、この取り上げ方、進め方というものは穏当性を欠いていると思うわけです。法律が改正されたわけですから変わっていくのでしょうけれども、東北海道の広範なところでそういう実態にある訓練校の移行というものは、附帯決議の精神からいっても再考慮してもらわなければならないと思うのですが、いかがでしょうか。
○石井政府委員 北海道の全体の事情を申し上げますと、小樽にあります北海道総訓、それから函館、釧路、岩見沢、旭川、こういうことでございます。その中でAグループに入りましたのは函館と釧路でございます。これは基本的には、先ほど私が申し上げましたが、総訓を技能開発センターに切りかえるという一つの長期的な路線というものがこの前の国会で確定をいたしたわけであります。そこで、釧路につきましては、やはり将来におきましてはいずれにせよ技能開発センターに変わるわけでありますが、その場合に、実際問題として、先ほど先生は構造不況に入ってからということを言われましたけれども、やはり漁業問題というものについてかなり長期的な一つの対応をすることが必要であろうと思います。 それからもう一つは、釧路につきましては、先ほど申し上げましたように、地場の企業におきまして養成訓練をやっている、あるいは必要とする企業が、中小企業でありますけれどもかなり多いわけであります。特にいわゆる企業内で養成訓練をやっているところは、現在のところ約四百名の訓練生がおるわけでございますが、そういうことを拡大する基盤も持っていると私は思います。そういうことから、先生の御指摘のような問題はありますけれども、体制としてはそちらの方向に持っていくことが必要ではないか。しかもその場合に、五十五年度と五十七年度に分けまして、一つのタイムラグを置きながら対処するということ、それから道立訓練校についてその受けざらの体制を整えるべく現在協議に入っているということでございます。
○岡田(利)分科員 私の手元に地元の各機関の意見書、意見が集約されたものがあるわけです。行政機関、たとえば道、釧路支庁、釧路職業安定所、釧路市役所あるいは教育局、管内中学校長会、産業団体としては塗装関係、関連工業協議会の鉄工部会、印刷、自動車、商工団体としては釧路商工会議所、鉱工種部会、また労働団体、こういう意見書があるのですが、いずれも、釧路の場合には早い時期に取り上げてやることについては環境づくりがむずかしいと述べているわけです。特に管内の中学校長会は、進路の指導上、早急にやらねば大きな問題も予想されると述べておるわけです。職業安定所などでも、能開への希望は少ない、これは認めておるわけですね。基準が変われば可能性は出てくるかしらぬ、きわめて自信がないわけですが、職業安定所でもこういう意見が寄せられている。市役所の場合においても、道立訓練校との関連、職種の引き継ぎはそう簡単にいかない、こういう認識をしておるわけです。したがって、この時期については十分配慮してほしい、こういう意見が出ておるわけです。商工会議所の場合にも同様な意見が寄せられておるわけです。そして、高校進学率が八〇%ちょっとですから、非常に低いわけです。道立高校の設置は非常に問題を持っている地域だという面もあるわけです。 二、三日中に道とも協議されるようですけれども、そういう意味で、この実施については相当慎重に配慮してもらわなければならない地域だ。雇用促進事業団で何かぽんと基準を決めて労働省に上がってきて、一回そうなったものだから、われわれはまだ表面化しないようなときに意見を述べているのだけれども、いま答弁されたような形で余り深く検討されていないのではないか。事業団の部長も現地を訪れて、懇談会もやっておるわけです。そして、認識について相当深められてもおるわけです。ところが、そのままになって、前と同じような方向で強行しようとしている。私はそういう意味において理解ができないわけです。労働省がこういう方針でいくのだと言えば、道の方も、いやいやであっても、問題があっても対応しなければならぬかもしれません。しかし、五校の北海道の配置の現状からいっても、そういう実態、内容からいっても、それから附帯決議にあるような新規の卒業者の受けざらの関係からいっても、これは道とも十分検討して、ぜひ間違いのないようにやってほしい。下手をすると、やってしまった後、責任問題になりかねないのじゃないかと私は思うのです。したがって、余り孤立させないで、ぜひ検討してもらいたいと思うのですが、大臣、どうでしょうか。
○石井政府委員 総訓につきましては、全体として長い歴史を持った養成訓練の体系がございます。これを技能開発センターと短大に切りかえるという基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりでありますが、その場合に、現実の養成訓練の長い歴史との対抗関係が常にあることは、私どもは十分にわかっておりますし、具体的な事実のあるところがいっぱいございます。 釧路についてどうかということでありますが、先生の御指摘のようなことも私は理解できますけれども、実際上の問題として、将来の方向として技能開発センターといういわば地域センターとしての機能を重視したいということ、それから養成訓練の受けざらとしては、道立訓練校においてその体制を整えていきたいということでございます。
○栗原国務大臣 基本的には、総訓を技能開発センターと訓練短大に転換するということについてはそういう方針でいきたいと思いますが、個々の実情につきましていまいろいろとお話を承りました。いずれ現地の方からもわれわれの方にお話があるというように承っておりますので、その話をよく承った上で対処いたしたい、こう考えております。
○岡田(利)分科員 これは来年から三職種を切りかえていくわけですが、道立の職業訓練校がそれに対応できるということは実際上むずかしいと私は思うのです。工事もことしすぐやらなきゃならぬですよ。そんな簡単にできるものじゃないです。やった結果、穴があいてしまえば、何を分析して何を判断してやったのかということで、責任問題みたいなことになるのですよ。ですから、単におくらせればいいというものではなくて、環境整備をしていけば、方向性は決まっているわけですから、これに反対するものではないわけですから、そういう点で、十分現地とも連絡を願って、地域のニーズに対応しながら進めてほしいということを私は強く要望して、終わります。ありがとうございました。
○広沢主査代理 これにて岡田利春君の質疑は終了いたしました。 次に、瀬崎博義君。
○瀬崎分科員 まず、大臣に伺っておきたいのですが、労働省は去年の五月から六月にかけて、雇用の安定のためには労働時間の短縮は欠くことのできない条件である、したがって労働時間の問題休日の問題については実質的な改善が必要だ、こういうふうな点で各種の通達を出しておられるわけですね。私は、きょうは限られた時間ですから、金融機関の職場の実態を具体的に質問申し上げたいと思うのですが、大臣としては、こういう通達は現実にうまく運用されて、金融機関の職場においては改善が進んでいるというふうにお考えなんですか。
○岩崎政府委員 いま先生御指摘のとおり、昨年の春以来行政指導を促進してまいっておるわけでございますが、具体的な業種あるいは個々のものについて、その以前と比べてどれだけ進んでいるかというようなことは、私ども個々に把握ができている状況ではございません。ただ、一般的に、たとえば週休二日制の促進にしましてもあるいは有給休暇の取得の促進、そういった問題について、労使各位ないし国民的なコンセンサスというものが漸次形成されて、そういった基盤づくりが進んでいるというようには認識しております。
○瀬崎分科員 今度はぜひ大臣にお答えいただきたいのですが、それでは、もし具体的な実情を御報告申し上げて、こういう通達の趣旨に反していることが明確な場合、個別的あるいはまた業種全体として今後新たな指導なり改善措置を講ずる御用意はありますか。
○栗原国務大臣 いろいろと事情をお聞きいたしまして、その上で私の方もいろいろ判断をして、これは行政指導を強めていかなければならぬという場合には工夫をこらしてやらなければならぬ、こう考えております。
○瀬崎分科員 滋賀相互銀行、これは最近では相互銀行の中では上位の方に位してきておりますが、ここで友情ローラー作戦と称して、新設または新築支店の開店に当たりまして、延べ数百人の職員を、チラシ配布であるとか、あるいは湯茶接待などの仕事に従事させてきたわけです。ところが、休日割り増しはもちろんのこと、賃金さえも払わなかったという異常事態が起こったわけですね。 これに対しては、すでに労基局で、八店舗の開店に当たって新規の開設店舗の職員で延べ百二十一人、二百四十六時間、それから他店舗からの応援職員が延べ六百六十一人、六百六十三時間五分の休日労働があったにかかわらず、一切賃金は払われていないということで、割り増しを含む賃金支払いの勧告を実施させたと聞いておるわけですが、この勧告は一体いつ行われたのか、またその実施は確認されているのか、伺っておきたいのです。
○小粥説明員 友情ローラー作戦についての是正勧告はことし二月二十日付で行っておりまして、それを受けての会社側の是正すべき期日として二十三日を指定いたしておりましたので、是正されたという報告を受けております。
○瀬崎分科員 実は、この異常事態については、昨年の十一月二十八日に、滋賀相銀従業員組合の申告によって明るみに出てきた問題なんです。きわめて明確な労基法違反だと思います。それなのに、申告があって後事態の改善が全然進まないものですから、私自身が一月の十二日に滋賀労基局に赴いて、局長に事態の改善を促進するよう要望をしたわけです。そうしていまやっと二月の勧告になってあらわれてきたわけですが、なぜこんなに長引いたのか。
○小粥説明員 滋賀の基準局としましては、昨年の十二月十日に、現場の確認ということで臨検もいたしております。実は、その友情ローラー作戦なるものが、確かに当初は、たとえば同期に入社した支店長あるいは役職者に対して友情で応援するといったような形があったようでございますけれども、それがその後は、新規開店の際にはそういうことが一つの慣行として行われるようになり、したがって使用者としての指揮監督下での業務というふうに見られるようになってきたといういきさつがいろいろあったように聞いておりまして、その辺の実態をどう判断するかという点での時間がかかったというふうに聞いております。
○瀬崎分科員 通常、こういう不払いの人員とか労働時間の確定に当たっては、労基局自身の調査によって決まってくるものなんですね。ところが、先ほど勧告された人数であるとか不払い労働時間というのは、すべて銀行側の調査のみによって行われているわけなんです。だから、労働省の努力は評価はしますけれども、しかし結果から見れば安外に少な過ぎるんじゃないかという批判もまた出ているわけですね。 しかも、これは違法行為だから、いよいよ払わなくちゃいかぬというので、滋賀相銀の人事部長が各支店長あてに「「激励訪問受入報告書」提出依頼の件」という通達を出しているのです。これを見ますと、「勤務時間については正確を期せられたいが、不明確な場合は、」「推定時間を記入すること。」と書いているわけなんです。なぜ推定時間で記入しなきゃならないようなあいまいなことになったのか、なぜ労基局自身が調査して時間が確定できなかったのか、この原因はどうですか。
○小粥説明員 通常の場合でしたら、労働時間の記録というのは賃金台帳その他に実績が書かれるように法律上も義務づけられておりますから、それでもって監督官が臨検した際に確認をし、使用者に対して所定の措置をとる、こういうことになるのでございますが、この友情ローラー作戦の場合は、職員の自発的なサービス労働という形で行われてきたというような経緯もございまして、労働時間の管理がちゃんと行われていなかった、したがってその記録もない。そうすると、だれがそれに出たのかも明確にとらえがたいということで、監督機関としてはそうした実績の確定ができないものですから、それで、これは他の場合もあるのでございますが、銀行側に把握せしめた、こういう経緯でございます。
○瀬崎分科員 そうしますと、そういう記録がとられていないということは、労基法の百八条の違反にもなりますね。
○小粥説明員 そうでございます。
○瀬崎分科員 さらに、問題は、相当以前から、こういう友情ローラーで新規店舗の開店に当たって無料で人の駆り出しをやるということは違法ではないかという声が出てきておったのです。そこで、去年の十一月二日付でやはり人事部長が各支店長あてにまた通達を出しているのです。「隣人活動等に関し注意の件」、ここにはこういうことが書いてある。「近時新設五カ店の開設にあたって行われている同志的結合による友情ローラー等についてもその心情は洵にうるわしく敬意を表する次第である。」ちっとも違法とか悪いと思ってないのです。敬意を表して、激励しているわけです。それから「自発的且つ自然発生的に行われてきた善意に満ちた活動も一部にはこれを業務の一環としての休日出勤であり労働強化であるとの見方もある。」経営者側は全然これを違法と思ってない。それは一部がそう言っているだけなんだ、こういうふうなことが出ているのですね。だから、こういうことが現にあることはトップクラスは全部承知の上ということなんです。続いて、「このようなボランタリィ活動」、営利活動に対して無料で出勤することを「ボランタリィ活動」と言っているんですね。「ボランタリィ活動ともいえる善行が業務と見做されたり或いは強制的なものであることは折角の善意を仇とすることになるので、」「後日問題が生じ当局から指導を受けることなきよう呉々もご留意ありたい。」これははっきりしてきてからでも決してやめよとは言ってないわけです。要は、法の網をくぐり、役所の目をごまかしてうまくやれ、こういう注意の通達なんですよ。 新設店舗の開店に当たって、その関連作業、お客さんの接待とかビラを配るとか、こういうものをボランタリィ活動とみなしたり、あるいはまた自発的なんだ。自発的で何百人という人を同一の時間に集められるわけがない。これは指揮者が何時からどこで何があるからということを言わなければ、こんなものは人は来っこありませんね。それにもかかわらず、善意の活動にこじつけまして、ただ働きさせる、こういうことは銀行の一般的な習慣なんですか。
○小粥説明員 二、三年前ですが、金融機関についての労働時間管理の実態をいろいろ監督したことがございます。その際に、たとえば始業前の店舗の前の清掃だとか、そういうようなサービス労働的なものがどちらかと言えばあいまいな形で行われているといった問題点の指摘は私どもも承知したわけでございますけれども、新規店舗の開店に当たって友情ローラーといった形でやられているというケースは、ほかではまだ聞いておりません。
○瀬崎分科員 それをこういうふうに、うまく当局の目にとまらぬようにやれよという文書まで出してやっておったというのですよ、大臣。 しかも、こうした事件は初めてではないのです。実は一昨年にも引き起こしておりまして、そのときは隣人活動と銘打って所定の始業時間前に無料で清掃作業をさせたわけなんです。これは一昨年十月にやはり滋賀労基局が是正勧告を出したわけなんです。それでこの早朝の清掃活動はなくなった。 ところが、今度は友情ローラーで休日のただ働きになったわけです。しかも、先ほどちょっと読み上げました、ことし一月二十五日のこの人事部長の通達、「激励訪問受入報告書」を見ますと、「今般当局の見解によれば」ということがわざわざ断ってあって、これが違法行為だ。だから、決して銀行は自発的に違法とは思わないのだけれども、こういうことなんです。そういう点では、渋々という態度がありありあらわれているわけなんです。だから、注意されても注意されても数年にわたってこういうものか繰り返される。文書で、こういうことをやってもいいのだけれども、要は当局の目に触れないようにやれよ、こういうことまで出ている。 こうなってくると、これはもうこの滋賀相銀という企業の方針として、体質としてこういうことが行われているのではないかとわれわれは考えざるを得ないと思うし、こう言ってはなんですけれども、基準局の方もややなめられているのではないかという気もするのです。勧告されているのにまた同種類のことをやっているわけです。こういう点では、今回のいろいろな改善については、二度と繰り返されないような実効ある処置を強く要求しておきたいのですが、いかがですか。
○岩崎政府委員 いま先生からお話もいただき、監督課長から私どもが実情を把握している限りのことを御説明申し上げたわけですが、確かにそういった行き過ぎが過去にあったということに基づきまして、私ども再度にわたって是正勧告あるいは指導等もいたしておるわけでございますから、今後そのようなことのないよう、一層見守ってまいりたいと思います。
○瀬崎分科員 そこらがわれわれとしてはあいまいなもとになると思うのです。これは大臣にはっきりしておいていただきたい。今度繰り返されたらこれは処分を考えるというぐらい強い態度を持ってもらいたいと思う。大臣、いかがですか。
○岩崎政府委員 今後ということを私ども予想したくないのですが、またそのような事態があるいはそれに類似したような違法な事態が繰り返されるようなことでありましたならば、それが悪質なものであれば、もちろん司法処分その他法に基づきます手続をいたしたいと思います。
○瀬崎分科員 この滋賀相銀では、この友情ローラー以外にもいろいろ問題があるのです。所定時間外の早出、残業の労働に対して割り増し賃金の支払いが行われていないとか、時間外をやっても時間外の請求が非常にしにくい、あるいは管理職が時間外を認めない、こういう問題、それから指定休日出勤が依然として不払いになっているという問題、それから昼休みが、交代制にはなったけれども、六十分確保されないという問題、特に土曜日はゼロに近い、それから門扉の閉鎖、門を閉じる時間まで従業員は残っているはずなのにその記録がない、年次有給休暇は本当に消化が進んでいない、こういうふうな問題があるわけで、これもその一月十二日に口頭で訴えが出されて、労基局の方も現地調査も三カ所やられたようですが、これに基づいては、文書による是正の勧告が一つ、指導票による行政指導が一つ、口頭による指示が一つですか、この三つに分けて九項目の行政指導が行われたと聞いているのでありますが、その内容をごく簡単におっしゃっていただきたいと思います。
○小粥説明員 まず、是正勧告といたしましては、始業前の新入男子労働者が行っている店外の清掃作業について所定の賃金なり割り増し賃金が払われてないという点の指摘でございます。また、終業後に現金輸送車に現金を引き渡すメール作業というものについて所定の賃金あるいは割り増し賃金の支払いがなされていない、それから始業前の店内清掃作業の所要時間を賃金台帳に記載してないという点の、言うなら基準法百八条問題という点を指摘いたしております。 また、指導の問題としては、指導票としまして、指定休日について出勤した場合の的確な把握と、所定の手続によって賃金なり割り増し賃金を払うという点、それから休憩時間について、四十五分分については時間帯が明示されているのですが、残りの十五分——就業規則上六十分となっておりまして、基準法上はこの勤務時間帯ですと四十五分でいいわけですが、就業規則上六十分になっているものですから、残りの十五分間についての時間帯を明確にすること。それからなお、口頭での指導もいたしておりまして、それは門扉開閉作業従事者の警報装置セットまでの時間の処理の仕方、それから時間外勤務カードの管理者を明らかにして、そのちゃんとしたルールを従業員にも周知させること、さらに土曜日の休憩時間についてちゃんと付与させることができるようにすること、さらに年休の取得日数がきわめて少ないという実情にもありますので、労使間なり労働者間で十分協議の上、あらかじめ取得計画を作成して計画的な取得ができるように配慮するといった問題、最後に、友情ローラーの際の旅費等の問題が残っておりますので、その点についてしかるべく配慮するといった内容でございます。
○瀬崎分科員 その中で特に重大な点と思われるのは、所定始業時刻前あるいは所定終業時刻後の時間外労働なんです。この実態把握が実際なかなか困難だというのがここの実情なんですよ。これは労働基準局の方も把握が困難だ、こう言っているのですね。 そこで、滋賀相銀の場合、時間外の記録のあるはずの資料は三種類あるのです。一つは、本人が請求する時間外のカードなんですね。それから一つは、役職者が輪番でつけている点検日誌なんです。それから一つは、警備保障会社によって門を閉じた時間が自動的にコンピューターに記録される無人警備実施退店時間表、この三種類あるわけなんです。だから、こういうものを突き合わせますと、果たして時間外が正当に支払われているかどうか、あるいは役職者がつけている点検日誌の内容が正確かどうか、おのずからわかってくると私は思うのです。そういう作業は労働省としてできないものだろうか。 それからもう一つ、たとえばある支店の時間外給の総額を一遍調べてもらえばいいのです。私が聞きました十八人の職員のある支店ですが、ここで見ますと、去年、五十三年の四月八万三千円、五月七万円、六月七万六千円、七月十四万二千円、八月八万三千円、九月七万四千円、大体こういうオーダーで出ているのです。ところが、一方、先ほど言いました無人警備実施退店時間表というのがあるのです。たまたま私のところには去年の六月の一覧表が来ているわけですね。ここには、各支店別に何月何日は門が閉まったのが何時という記録があるわけです。大阪の北支店、ここを除けば、あとは毎日早くても六時、平均して大体九時、十時です。零時以降というのも、泊まりというのもありますね。だから、平均的に見ましても、六時台が五、六日、七時台が五、六日、それから八時台が五、六日、九時台が五、六日、十時台二、三日、十一時以降が二、三日、こんな振り分けになる。最後の月末だけは必ず十一時以降になっているのです。だから、先ほど読み上げましたような時間外手当の総支給額ですと、月末は十八人がほとんど残っていると思いますから、この一日でもう支給済みになっちゃう。門扉の閉鎖時間から来るあとの二十九日間の時間外はどうなっているんだろうという疑問がいやでも起こってくるのです。だから、こういうふうに調べられれば、私は実態はつかめると思うのですね。相当な時間外不払いがあるのじゃないかと思うのですが、こういう実効ある調査ができないものだろうか。いかがでしょうか。
○小粥説明員 警備保障会社の方の閉めた時刻の記録は、私ども存在することを承知しておりまして、現地の局の方でも、その時刻と閉店時間後も残っていた人の時間外労働の申告と照らし合わせて、必ずしも数字が合わないという点は承知しているわけでございます。ただ、これを個々の従業員の人に当たりますと、私用で残っていたという形で、必ずしも時間外労働の申告にならないわけでございます。そういう意味で、監督機関としても正確に把握しにくい面があったわけでございます。
○瀬崎分科員 しかし、これは一遍きちきちと点検日誌など見ていただけば、点検日誌の内容にはだれがどういう用事で残っていたか書いてなければいかぬのですが、そういうのはここは記録がないはずなんです。こういう点でも恐らく労働省の指導とは違った経過になっていると思いますよ。 それから、年次有給休暇についても、これは一昨年の勧告のときにも、低い実情にあるが有効に活用されるよう改善することと労働省が言っているわけなんです。だけれども、この間の調査でも、夏と冬を除けばせいぜい二、三日の消化状況、こういうことですね。恐らく改善が全然なかったと言ってもいいのではないかと思うのです。 それから、先ほど土曜日の休憩時間は十分とれるように口頭勧告したと言われましたね。それから、平日の昼休み、四十五分交代になっているのを六十分とるように指示したとおっしゃいましたね。ところがこれをやろうと思いますと、現在の銀行の体制ではできないわけなんです。つまり人が足らぬわけです。そういう点では、まさに先ほどの労働省の基本通達の精神がこの銀行には全然徹底していない、こういうふうに見られますね。こういう点では、先ほどの大臣の御答弁に依拠いたしまして、まず基本的な問題について経営者の経営姿勢を改めさせていただく必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
○岩崎政府委員 いまお話しの点で、年次有給休暇の促進については、私どもは、この間の滋賀の場合にその銀行に口頭で指示をいたしました。それはまさに私どもがいま通達で年次有給休暇の消化促進ということについて地方に指導させていることに当たるわけでございますが、年度当初にはっきりと、各人の年次有給休暇の取得計画、それができない場合でも、四半期ごとにあるいは一カ月ごとにということでやらせるように指導をしておるわけでございます。 それから、時間外労働の問題につきましても、時間外労働が恒常化しているというような形で、これは労働基準法で定めている所定労働時間をオーバーする場合と、それからその企業でそれをむしろ短い形で決めております所定労働時間を上回る時間外労働ということに若干評価は違いますけれども、そういうことで指導を強めているわけでございます。 したがいまして、金融機関全般についてどういう状況にあるかということは、私ども前に監督などもして、金融機関についてはやや時間管理その他についてまだ十分でないということも認識しておりますので、その面での指導を今後ともに強めてまいりたい、このように考えます。
○瀬崎分科員 この滋賀相銀の場合、特に強調しておきたいのは、では経営の方に全然ゆとりがなくてやむを得ないかというと、そうじゃないということなんです。今日これだけの低金利時代に入っているわけなんですが、決算書を見ますと、五十二年の九月決算で経常利益は六億九千五百二十二万円、それから五十三年三月の決算では経常利益が八億五千二百三十三万円で、ふえております。さらに、去年の九月の決算では九億七千六百十五万円、こうなっている。これは半期ですから、足せば十五、六億の経常利益になるわけです。 問題は、こういう金利がどんどん下がっているときにこんなに経常利益がふえるのは、一つは不払い労働のおかげじゃないか。まあ簡単な計算だけれども、半期一億円くらい不払いになっているのじゃないかという話を聞くくらいなんです。 もう一つは、利益増大の背景に、今度は銀行の利用者に対して、中小企業の融資とかローンで高い金利を押しつけている、こういう面もあると思うのです。私も滋賀相銀からローンを借りている方から、いかにも高い、何とかしてもらいたいということでわざわざ相談を受けたわけです。これで見ますと、ちょうど金利の一番高い五十年に借りていらっしゃるのです。ここらがみみっちいですね。表示を月利でやっているのです。月でやりますと〇・七八%かな、低く見えるのですが、年に直しますと九・五%になるのです。大蔵省は従来、五十二年、五十三年とそれぞれ引き下げ通達といいますか指導をしたはずなのに、大概の銀行は最低二回は下がっているのですが、この滋賀相銀は、五十二年については暮れもぎりぎりいっぱいの十一月から〇・三%下げている。去年はほおかぶりして全然下げていないのです。そういうような事態です。 この点は、きょう大蔵省に来てもらっていると思いますが、一方では、労働法規も守らないような労働者の使い方をする。一方では、低金利時代に入っているのに、預金の方はどんどん下がっているのに、貸し出しの方は下げない。この両面が決算の経常利益にあらわれているのじゃないかと思うのです。そういう点では、大蔵省の銀行指導の面も改めていただく必要があるのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
○吉居説明員 私ども銀行局としましては、金融機関に対しまして、預金者保護だとかあるいは信用秩序の維持という観点から日ごろ監督をさせていただいているわけでございますが、このような金融機関が労働基準法を遵守すべきことは言うまでもありません。したがいまして、労働基準法の問題につきましては、先ほど労働省からお答えがありましたように、労働省の御判断におまちしたいと思っておるところでございます。 また、いま金利の問題についての御指摘がございましたが、一般的に貸出約定平均金利につきましては、相互銀行全体としましては、五十年の四月以来五十三年の十月までにかなり低下を見ておりまして、公定歩合の引き下げに対する追随率も相当大幅になっております。いま御指摘の滋賀相互銀行につきましては、これは個別の銀行の問題でございますので詳細に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、この滋賀相互銀行につきましても、公定歩合に対する追随率を見ますと、相互銀行の平均とほぼ同様の追随率になっているわけでございます。 また、ただいまの先生の御指摘は、その中でも主として住宅ローンの問題かと思いますが、住宅ローンの金利につきましては、ただいま先生が御指摘のように、私どもも借入者の負担軽減を図るために、できるだけ低利にとどめるようにという指導を日ごろからしでいるところでございます。その結果、相互銀行の住宅ローン新規貸出金利につきましては、五十三年の九月現在で、多少銀行によってばらつきはありますけれども、七・六二%から八・七六%といったところにまで下がっているわけでございます。滋賀相銀の住宅ローンの新規貸出金利につきましても、ただいま申し上げました範囲の低いところにまで下げられているところでございます。 さらにまた、新規ではなくて既往の金利についてはどうか、あるいはこういう御指摘かと思うわけでございますが、既往の金利につきましても、これまで滋賀相互銀行も引き下げを行っているところでございまして、私どもも、普通銀行が引き下げを行った際に、相互銀行協会に対しまして私どもの意向を十分伝達し、また協会から各相互銀行に対してその旨を連絡しているところであります。ただ、実際にどれだけの金利を適用するかということは、これは民間の金融機関でございますので、当局の意向も十分くみながら、あとは経営者の自主的な判断というところで決められるものだ、こういうふうに考えております。
○瀬崎分科員 私の聞いているのは、全体の金利の低下に追随しているというけれども、確かに五十二年の引き下げの部分については、非常に時期はおくれたけれども、この滋賀相銀も既往分について〇・三%下げているのですね。金額にしたら微々たるものですよ。ここにありますがね。ところが、去年度の大幅な金利低下に対してほとんどの銀行は、信用金庫ですら引き下げを行っているにかかわらず、相銀の場合は引き下げがないのですよ。ここに私が持っているのは谷村さんという方なのです。これは全然去年の引き下げがないわけなんですね。これは明らかに銀行側の怠慢ではないか。課長が答えられないなら、これは大臣に……。 こういうことは社会正義に反すると思う。一方、経常利益は十分にあるわけなんですね。だから、下げられる条件にありながら下げていない。他行も下げているのにここだけは下げていない。こういうことに対して大蔵省はよう指導せぬ。一体何のために大蔵省は存在するのか。国民の立場から見ればそうなるじゃないですか。いかがですか。
○吉居説明員 ただいまお答えいたしましたように、私どもといたしましては、各銀行の経営実態によりましてできる限り金利を下げていただきたいという要請をしているところでございますけれども、実際にどのような金利を適用するかということは、これは民間の金融機関の経営の判断というところにまつべきところもあろうかと思います。(瀬崎分科員「幾ら下げるじゃなしに、去年の引き下げがないんだよ」と呼ぶ)したがいまして、去年の引き下げといいましても、普通銀行においては御指摘のように〇・一二引き下げたところはございますけれども、すべての相互銀行、すべての信用金庫において同列に引き下げるということは、これはそれぞれの事情もあろうかと思います。それは経営の判断というところにまつべきことだと思っております。
○瀬崎分科員 時間が来ておりますので、最後に大臣に。 いま申し上げましたように、この滋賀相銀というのは、この低金利時代で、全体として企業の経営が苦しい苦しいと言っているときに、経常利益を大幅に伸ばしていることは事実なのです。その原因はと言えば、一方では、少ない労働者にたくさんの仕事をさせているという面があると思うのです。一方には、下げ得る余裕があるにかかわらず、利用者に対して金利を下げないという面があると思うのです。 これが例外的な存在かどうか知りませんが、もし例外的とするならば、少なくも標準の状態になるようには政府として個別にも指導を行ってもらいたいと思いますね。金融界全体として問題があるというなら、これは金融界に対しては皆さんの趣旨が生きてないのだから、改めて金融界の実行するような新たな措置を講じていただきたいと思うのです。答弁をいただいて、終わります。
○栗原国務大臣 金利の問題につきましては大蔵省の問題でございまして、いま大蔵省の課長からも話があり、また課長もあなたのお話を十分に承ったと思いますので、大蔵省で適切な指導をされるように私どもからも要望いたします。 それから、相互銀行の実態についていろいろお話がございましたが、これは個々の問題でございますので、私はいまそれについてどうだということは申し上げませんが、一般的に言いまして、違法な行為があるという場合には、その違法な行為は法に照らして適正に処理されるべきものだと考えます。
○広沢主査代理 これにて瀬崎博義君の質疑は終了いたしました。 次に、岩垂寿喜男君。
○岩垂分科員 不況をてこにして、いわゆる減量経営体制があらゆる産業あるいは企業にしかれていることから、雇用不安が深刻な広がりを示していることは御存じのとおりでございます。その中でも、再就職の道の険しい中高年齢層が大変な困難に追い込まれていることは申し上げるまでもございません。中高年齢層の雇用の確保について、各政党あるいは労働界を含めてそれぞれ具体的な対策を迫られまして、社会党も定年の延長などの法案を準備してきたことは御存じのとおりでございます。政府としても、社会問題とも言うべきこの課題に対して取り組みを進めようとしておられるわけですけれども、この機会ですから、定年延長や中高年齢者の法定雇用率の確保などについて、やはり画期的な手だてを迫られていると思うのです。 予算問題に関連をしていろいろあるようでございますが、労働省として、いまこれらの対応をどのようになさろうとしているか、最初に承っておきたいと思います。
○栗原国務大臣 雇用問題がきわめて厳しい情勢下にあるということは私も同感でございます。そのために政府といたしましても、これで十分だとは思っていませんけれども、最大の努力をしているつもりでございます。なお、労働省だけではとてもやれませんので、政府全体としてもまた民間の皆さん方のお力をかりたいということで、いろいろいま話を進めている最中でございます。 御案内の定年延長を法制化しろとか、あるいは高齢者を雇用することを義務化しろとか、そういうことにつきましては、毎回申し上げておりますけれども、最終的には日本の年功序列型の賃金雇用体系というもの、これにどうしてもぶつかるわけです。これにぶつかるから、その壁を破るためには法律で規制をしろという議論もあるわけです。ところが、法律で壁が本当に破られるかどうかということになりますと、定年だけは延長した、しかし年功序列型の賃金体系について労使の間の合意が得られないままにいった場合には、場合によりますとそれがコストアップにつながる。場合によると、いろいろ指摘される減量経営という方面にならざるを得ない場合もある。そういう点からいきますと、この点について労使における合意というものをどうしてもできるような環境づくりをすべきである。 いろいろ御批判される方がありますが、私どもは、経営者に対してもこれを強く言っていますと同時に、私は、これから労働組合の方々にもこの点について胸襟を開いてよく話し合って、そしてこの問題に対する前進を図っていきたい。現に、関西の方面では、労使の間で合意ができまして、実質的な定年延長というようなことができておりますので、そういった空気をぜひつくりたい。そういう意味合いで、野党第一党の社会党にも特に御協力を賜りたい、こう思います。
○岩垂分科員 結局、当面は行政指導でやっていくという域を出ない。出ないという言い方は失礼ですけれども、そういうことであるとすれば、率直に言って、取り組みを漫然とやるのではなしに、それを法律に見合って実効のあるものにしなければ説得力というものは持ち得ないと思うのですが、それについて具体的な手だてをいまお考えになっていることがございますか。 たとえば、法定雇用率の問題でも、確保にしても五〇%しかいっていないという状態がずっと続いているわけです。多少ずつ改善はあるけれどもね。いつまでたったってこれは改善できない状態だとすれば、何とかしなければいけません。こういうようなこともどう具体的なことを考えていらっしゃるか、御答弁をいただきたい。
○細野政府委員 先生御指摘のように、定年の延長問題というのは、テンポ自体がいまの高齢化のテンポにおくれないように実効のあるものにしていかなければならぬという点は御指摘のとおりでございます。 そこで、私どもは、一つには、いま先生から御指摘がございましたが、高年齢者の雇用率という制度がございますが、この制度の実効ある確保を図るために雇用率の達成計画をつくって、そのために事業主に努力をしていただくというふうな仕組みができているわけでございます。そういうものとの絡みにおきまして、達成計画の中の一つの手段として定年延長なり再雇用なりというものを導入していただくというような方法、あるいは先ほど大臣からもお話がございましたけれども、関西の代表的な労使がほとんど参加されて、これは民間でございますけれども、実質的に定年を延長する場合に必要な条件についてまで労使が合意をしておられるわけでございますから、各ブロック別にそういう合意の中身というものをほぼ似たような形でもって各労使に合意をしていただいて、それに参加されたところは当然自分のところがやっておられるか、少なくとも近くおやりになるという企業でございますから、したがいましてそこの関連業種、関連事業等に対しまして、またそれらの方々から説得をしていただくとか、いろいろな具体的な方法を現在考えている最中でございまして、そういうものをいろいろ総合的に組み合わせまして、現実の定年延長というものが進んでいくようにしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○岩垂分科員 私どもは法制化を求めますが、いま大臣の御答弁がございましたけれども、やはり労働組合の協力というか理解というか、それは大変重要だと思います。ですから、提案ですけれども、ナショナルセンターについて全体的に話し合って、そしてこれは民間だけじゃなくて官公労も含めてのことですが、労働省の所管ということになると——とりあえずは民間になるわけですが、その徹底を、特に定年制の延長、中高年層の雇用率というものをこのままにしておいてはだめなんですから、御努力を願いたい。そういう理解をしてよろしゅうございますか。
○栗原国務大臣 そういうつもりでいま考えておりまして、近く労働四団体の幹部の方々ともいろいろお話し合いをしたいと考えております。
○岩垂分科員 若干の例外を除けば、企業の昨年の九月期決算の傾向ですが、これは減収増益と言われていますが、三月期決算というのは軒並み——軒並みというわけにもいかないかもしらぬが、傾向として増収増益が見込まれている状況にあることは御理解のとおりです。その原因の一つとして、いわゆる減量経営体制というものが大きな要素を占めていることも私が言うまでもないと思うのですが、この三年間にたしか四〇%くらい残業かふえているという一つの見方もあるわけであります。つまり、そのことは労働者の犠牲で増収増益が決算されつつあるという見方も成り立つわけでございます。このような状況では、労働者の健康が損われるということだけでなしに、雇用の面にも暗い影を投げかけているわけでございます。のみならず、国際経済の観点から見ても、円高問題などで批判を受けていることも御理解のとおりでございます。 その意味では、労働時間の短縮、週休二日制の問題はまさに緊急の課題であると思うのですが、いままでの惰性じゃなくて、この際画期的な対策というものが準備されないといけないのではないかと思いますが、この点についての見解を最初に承っておきたいと思います。
○岩崎政府委員 いま先生から御指摘がありましたところのたとえば残業時間でございますが、確かに四十八年以前は残業時間が多かったわけでありますけれども、五十、五十一年が非常に落ち込みまして、それがここに来て若干ふえているということになりますが、ただ四十八年以前に比べまして残業労働時間がまだそれよりは下回っているというのが現在の状況でございます。 それで、私どもは、一昨年の中央労働基準審議会の御建議に基づきまして、労働時間の短縮、それは特に過長な所定外労働時間の解消、それから年次有給休暇の消化の促進、週休二日制の推進ということで、現在行政指導をしておるところでございます。 所定外労働時間の問題になりますと、たとえば交代制労働、あるいは中小企業の場合には四十八時間の基準法の所定労働時間をさらに相当上回って、しかもそれが恒常的な所定外労働時間をもって企業が運営されているというようなことは、基準法の精神から言ってもちろん好ましくございませんので、労使の時間外協定の締結ということになりますが、これの上限をきちっと労使で決めていただくというような様式の改定もいたしまして、その面での指導を促進しているところでございます。 ただ、労働基準法の所定内労働時間をすでに決めておって、その中で所定外労働時間が多少伸縮しているというようなことにつきまして、もちろん私ども同時に並行的に行政指導をしてまいりますけれども、その辺は特に労働組合、使用者との間の自主的な交渉ということによって、所定外労働時間が恒常的に行われないような形での進め方をしていただくことを期待するような意味で労使のコンセンサスを得ていきたい、このような方向でやっております。
○岩垂分科員 時間がございませんから次に移りますが、雇用問題、特に中高年層の雇用問題はいま申し上げたとおりですけれども、造船産業の首切り、合理化に関連をしてこれからお尋ねをしていきたいと思っております。 特に、中高年を退職といいましょうか、事実上の解雇に導くための基準を特定するやり方というものが一体いいものかどうかという一般論を最初に承りておきたいと思います。
○細野政府委員 一般的に申し上げますと、人員を削減する場合の基準をどうするかというのは、まさに労使関係の問題で、労使の中で御判断をいただくような問題でございますが、私どもの行政のかかわり合いから申し上げますれば、高年齢者の雇用率の問題がございます。したがいまして、高齢者をねらい撃ちにする基準というのは好ましくないというふうに考えているわけでございます。
○岩垂分科員 住友重機が、勇退基準の第一類型から第三類型の中で、これはきのうも資料をお届けしましたが、年齢による基準か示されています。第一類型は大正十二年以前の者、第二類型は大正十三年生まれの者、第三類型は大正十四年、昭和元年生まれの者。私が元号で言っているのじゃなしに、会社の文書でございますが、こう特定をしていますけれども、この点についてはどうお考えになりますか。
○細野政府委員 この文書自体は、昨日先生からちょうだいいたしまして、私どもも文書だけでしか判断できないわけでございますが、その文書だけで判断いたしますと、この場合に一番基本的な問題は、会社側の文書が、社員の自発的な意思による退職によることを第一義として目標達成を図ることにしている、こういうふうに言っておるわけでございまして、そういう意味での自発的な意思によるということが明確にされている場合には、たとえば幾つかある基準の一つに年齢の問題が入っているというだけで著しく不当かどうかということはなかなか断定できないのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○岩垂分科員 では、具体的に言いましょう。そのほかに、お示しした文書の中に、共かせぎはだめだということがありますね。これは既婚婦人の職場を奪うことになりますね。懲戒処分を受けた者もだめだと書いてありますね。これはある意味では二重罰を科すことになりますね。一年に三日以上欠勤があれば勇退基準で解雇、病気欠勤を含めて一年五日以上、通算十日以上の欠勤がある者は対象にされています。配転や職種変更や出向や転勤に応じられなかった者もだめ。こういう勇退基準というのは、基準法に照らして問題がないのですか。
○岩崎政府委員 労働基準法の立場から申しますと、基本的には、解雇事由とかそういうものは労使の合意あるいはまた使用者の就業規則によって決められるわけでございまして、その具体的な中身の当否の問題は、特に労働基準法で解雇制限あるいは解雇禁止をしておるものを除きましては、具体的には裁判所の判断ということになろうかと思います。
○岩垂分科員 労働省として、たとえば既婚婦人の職場を拡大することや、あるいは定年の、いまの労働大臣の御答弁にあったように、姿勢があるわけでしょう。その姿勢と比べてみても全く逆行していることが行われているわけですよ。そのことを好ましいことですかと、もう一遍伺っておきたいと思います。
○細野政府委員 先生の御指摘のように、私どもも一つの方針を持っているわけでございますが、同時に一つの会社が、現実の会社については私ども実例をつまびらかにしておりませんけれども、企業経営上どうしても人員の削減が必要であるという場合に、その削減の対象になる方の基準をどういうふうに決めるかという点は、先ほど申しましたように、いわば緊急避難的な問題でございますので、労使の間でよく実情に照らして御相談していただいて決められるべきものじゃなかろうかと考えておるわけでございます。 そして、その場合に、その基準の決め方とやり方によっては、たとえそういう緊急避難的な場合であっても著しく不当と思われる場合が出てくるのじゃなかろうか。そういう点を先ほどの文書だけから判断いたしますと、これが著しく不当だとはちょっと断定できないのじゃなかろうかというふうに申し上げたわけでございます。
○岩垂分科員 岩崎さん、あなたは二月二十二日に全造船の本部で労働組合の諸君と会ってますね。そのときに、住友の退職基準については、ただし書きで抜け道をつくっているが、内容的には不当労働行為と見られるものもある、労政課と相談をし調査したい、こう言っていますね。その後調査なさいましたか。
○岩崎政府委員 ちょっといま担当の者と……
○岩垂分科員 それじゃ、後で聞きます。いま相談をしている時間まで入れられちゃかなわぬですから。 会社は、全造船浦賀分会の同意を得ないままに、この退職基準をもとにして二月一日から九日まで希望退職を募集してきました。横須賀地区では出向者を含めて七百七十人の目標人員ということでございましたが、二月十九日現在八百二十五人の離職票が職安に提出されております。つまり、すでに目標を上回っているわけであります。しかし、依然として退職の強要をやっています。その目標というのは、全造船浦賀分会にしぼられています。組合の傾向や組合の思想、信条を対象とする退職強要というものは明らかに不当労働行為だと私は思うのです。この点をぜひ労働省は調査をして、その態度を明らかにしてほしいと思います。
○松井政府委員 この住友重機の人員整理の基準の問題につきましては、確かに現在東京地労委の方に不当労働行為の申し立てが出ております。 そして、私の承知しておる限りでは、これは第一組合と第二組合との間で、やはり年齢の基準をめぐっての考え方として問題になっておるのではなかろうかというふうに思っておりますが、思想、信条という関係では、この問題は不当労働行為として提起されていないのではないかというふうに理解しております。
○岩垂分科員 第二組合にはもう第一類型はないと言っているんです。そして、あとはそっちの方だけだと、こう言って責めているんです。しかも、これは問題なんですけれども、これは住友重機の労務部長の兵藤さんという方ですが、この人は都労委の委員をやっていますが、私がその人と交渉したときにも、不当労働行為や肩たたきはやめる、もう大体これで指名解雇はやらなくて済むと言明しているにもかかわらず、現実には大変違法だと思われる退職強要をやっているわけであります。私は、ここに一人の労働者の陳述書を取り寄せました。ちょっと読んでみたいと思うのです。 「私は昭和四十年四月一日、定期採用者として当時の浦賀重工(株)に入社、溶接課に配属され、昭和四十七年十月、船装課に配置がえとなりました。この間、電気溶接工として船に取付けられるあらゆる艤装品の溶接作業に従事してきました。」云々とありまして、「昭和五十四年二月十九日、私は浦賀分会の拡大闘争委員会の報告をするべく十二時五分から始めました。十二時十五分頃より平常私達の控所のある二階では見かけない、他の職制達が多数二階に集まって来たので、何があるのかなと気にしながら報告を続け、十二時二十分頃終ったので昼食にかかりました。十二時三十分頃、まだ食事中でしたが突然ピイーと笛が鳴ると同時に、第二組合の支部委員を中心にどかどかと百名余りが集り、私は取囲まれてしまいました。俺達は会社再建のために色々努力しているんだ、止めて(退職)いった人達は涙をのんでやめたのだ、俺達の仲間も五百数十名涙を流し去っていった、而し浦賀分会員の第一類型者が居残っている為に目標人員に未達になっている、俺達の仲間は浦賀分会にウラミを残して退職したんだ、お前は一類だろう、会社再建は吾々が考えているんだ、お前は会社にとってゴミだ、要らないから直ぐ出ていけ、ここは俺達だけの職場だ、お前は必要ない、早く出ていけ、とかわるがわる大声で罵声を浴びせる。更に百人以上の人が「森田やめろやめろ」と、掛け合いコールを一斉に始める。それが止むと再び「森田お前は会社で必要ないと言っている。まだいるのか、お前は第一類型だろう早くやめろ」と替るがわる大声でわめきます。」云々とあって、ここのところは職制も実はかかわっているわけでございます。毎日こういう状態が続いているのです。このことが全部供述してあります。時間がありませんから全部読み上げるわけにまいりません。 そして、私はきょうテープを持ってきました。ただ、国会のいろいろなしきたりがあって、速記との関係でここでテープを回すわけにはいかないそうでありますけれども、このテープを聞けば、率直なところ、それはもう百五十人の人が一人の労働者のところへ回って、昼飯も食わせないで、「おまえはやめろ、やめろ」「ばかやろう出ていけ」とシュプレヒコールをやっているんです。これが毎日ですよ。そして、課長も見ているんです。係長もにやにやして見ているんです。そういう状態が一人や二人じゃないんです。いわゆる第一組合と言われる労働者の多くの人たちがその中に実は巻き込まれてしまって、出るに出られず、助けに行くに行けずという状態があることを、これは私はぜひ理解をいただきたいと思うのです。 しかも、その結果として、私はここに診断書を持ってきています。「一週間通院加療を要す」という診断書が二枚、二人の分です。もう時間がないから、私、細かく時間をとって実はやっていきたいんだけれども読み上げられませんけれども、そういうような状態がずっと続いているということを、これが不当労働行為じゃないとかなんとかと言っている時間があるだろうか。まさに人権問題と言わなければなりません。もっとひどいのがありますよ。林君というのは玄関まで引っ張り出されて袋だたきに遭っている。そして、けがをしているわけですよ。つまり、第一類型というものをつくって、その中に第一組合員がいる。それを全部やめさせろ、やめさせろということは、結果的に第一組合をなくするということなんです。そういうことをやっている状況を、これも労働基準法違反じゃございませんと言って、のんびり構えられたんじゃたまったもんじゃないと思うのです。毎日続いている。いまも昼休みの時間、飯を食って三十分くらいから、飯を食う前に三十分というようなぐあいにいろいろありますけれども、これはテープを聞いたらぞっとしますよ、率直なところ。こういう状態というものについて労働省は実情を調べたことはありますか。 〔広沢主査代理退席、主査着席〕
○松井政府委員 いま御指摘の問題につきましては、神奈川県を通じまして話を聞いたり、あるいは先日は全造船の方の組合の話を聞いたり、あるいは会社の方からもお話を伺ったりということをいたしております。 それで、先生御指摘の問題につきましては、二つあると思いますが、一つは、労使関係のあり方の問題といたしまして、私どもとしましてはこれは理性的でしかも平和的なものでなくてはならぬ、信頼関係に立ったものでなければならないと思います。人権抑圧にわたったり、あるいは暴力行為か出てきたりということは、労使関係法以前の問題ではなかろうかと思います。そういうものにつきましては、もし関係諸法規に引っかかっていることがありますれば、それぞれの関係当局で問題になることではないかと思います。 もう一つ、第一組合と第二組合の間に差別があるかどうかというような点でございますが、これは御存じのとおり、合理的な理由がないようなものであればそこに差別として不当労働行為の問題が出てくるのじゃないかと思います。この問題につきましては、目下神奈川地労委にかかっておりますので、この地労委の判断にまつべきものだ、こういうふうに思っております。
○岩垂分科員 住友重機は、あなたの御存じのとおりに、もう都労委なり地労委で不当労働行為の命令が何遍でも出されている実は札つきの会社になってしまっておるんですよ。その最もひどい形がいま凝集してここに出てきているんですよ。 警察庁に伺いますが、こういう事実は明らかに暴行、脅迫だろうと私は思いますが、どのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えをいただきたい。
○依田説明員 先生から今日御質問があるということで、県警の方に問い合わせてみましたが、いまのところ県警の方は承知しておりません。 いまお伺いしているような状況が現にあるとすれば、明らかに暴力行為であり、正当な労働運動の域を出ているものだというように考えます。
○岩垂分科員 県警と相談の上で早急に対処をしていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。最近では、こんなことがあって手を出すなというふうに言って、声だけでやれ——本当にテープを聞いてもらいたいですよ。もう騒然たるシュプレヒコール、だれかがピーッと笛を吹いて、集まってくる、そしてそこで、やめろ、やめろ、特定の名前を言って、出ていけ、出ていけ、ひどいものです。耳を覆うような拷問ですよ。こういう状態というものを考えてみなければならぬと思う。 おとといも五十七歳になる労働者が、昼飯前にやはり五、六十人の職制と第二組合員に三十分以上も脅迫されて、立てないんですよ。後ですぐ医者に行ったら、血圧が二百十だというのですね。わりあい血圧の低い労働者ですけれども、そういう状態、そしてしかも昼飯も食えない、食べさせられない。こんなことが連日行われているというのは無法状態だと私は思うのです。 しかも、会社は恐らく、それはわれわれとは無関係だ、こう言うでしょう。しかし、第二組合がやったというふうに強弁したとしても、課長がおり、係長がおり、会社の施設の中で実はこういう状態があるわけです。ということは、つまり私の言いたいのは、休憩時間も自由にできない状態というものをなくすることが会社の任務でしょう。義務でしょう。これは労働基準法三十四条三項の明白な違反ですよ。それだけじゃない。飯も食えないという。しかも、血圧が上がってぶっ倒れる状態というのですから、労働者の安全と健康を確保することを定めた労働安全衛生法第三条一項にも違反しておることは明確です。別に地労委で何とか言わなくとも、そういう状態を事実かどうか調べればすぐわかるわけです。いま依田警備課長も言ってくれましたけれども、とにかく労働省としても——労務部長は常務で、都労委の使用者側の委員なんです、この間なったばかりですが。そんな状態を放置しておいて、労働省が設置法に基づいて労働者を保護するという役割りを果たし得るものかどうか。 これは深刻な問題ですから、大臣の御答弁を煩わしたいと思います。
○岩崎政府委員 いまの問題につきましては、二月二十七日に、横須賀の監督署に対しまして基準法の関係の法違反ということで申告があったようでございます。そこで、現時点において、恐らく監督署で事実調査をしておると思いますが、早急に私どもも事情を聞きたいと思います。
○岩垂分科員 そのほかにも、たとえば労働基準法十九条一項では、業務上負傷し、あるいは疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間は解雇してはならぬということが決まっていますね。昨年末から職業病で、腰痛なんですが、休んでいた一人の労働者が、出ていったその次の日から、第一類型に該当しておるというわけで退職勧告を受けています。その上、これは全体ですが、二月十三日付で第一類型該当者全員に対して、生産体制及び人員編成は新しくやるけれども、そのシフトの中には含めないということがはっきりしています。ここの文章はおもしろいのですが、事実上指名解雇であり、つまり不利益取り扱いを前提にした退職強要だということは明らかでしょう。おまえ残ったって職場がないよ、退職までの相談はするよ、そういう文章なんです。これもきのう労働省にお届けしました。明らかに労働基準法違反です。そういうことはどうなんですか、職業病の問題。
○岩崎政府委員 抽象的に申しますれば、もちろん業務上災害者あるいは職業病によって疾病療養中の者に、その間は解雇制限がございますから、事実がそれに違反しておりますれば、それは基準法に抵触するということになります。ただ、実際には、それも申告事案になっておるようでございますから、事実調査をいたしたいと思います。
○岩垂分科員 大臣に最後に。 もう時間が来たので残念なんです、実はまだあるのですけれども、無法状態、毎日続いておるのです。私は大げさに言っておるのじゃないのです。一遍テープを聞いてもらいたいと思うくらいです。天下の住友とも言われる会社ですよ。しかも、経営者団体を代表して都労委の委員も出している。それが労務の責任者、そういうところでこんな状態が続いているということに対して、大臣として関心を持っていただきたい。そして、調査をするといっても、あした、あさって、やなあさって、事態は毎日続いておるのですよ。そのことを考えて早急に結論を出して、そういうことをやめさせるために、大臣として、そういう事実関係が明らかになれば指示するということを御答弁いただきたいと思います。
○栗原国務大臣 いろいろお話を承りまして、警察庁の方からも御答弁がありましたが、実態を早急によく調べまして、調査の結果、それに基づいて適切な処置をとりたいと思います。
○岩垂分科員 時間ですからやめます。どうもありがとうございました。
○野呂主査 これにて岩垂寿喜男君の質疑は終了いたしました。 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)分科員(新自) きょうは、構造不況業種並びにその周辺に起きております雇用の問題について質問をさしていただきたいと思います。 現在、特定不況業種離職者臨時措置法第二条第一項の政令で指定する業種、こういう一覧表を見ますと三十六業種、百五十万人ぐらいの対象者がこの中に含まれているわけでございます。平電炉、アルミ、化学肥料、塩化ビニール樹脂、段ボール原紙、繊維、造船あるいははしけ運送業、こういうふうないろいろな業種の中で、こういう構造不況というのは大変問題になっておりまして、今国会の中心的課題であることは皆が認識している問題でございますが、この前の質疑のときにも私は申し上げたのですが、昭和四十年前後のときにもこの疑似構造不況があったと思います。そのときには石炭、硫黄、黄麻、こういう業種が構造不況のチャンピオンであった。昭和四十年前後のときには、うまくその不況の波を乗り切ったということが幸いをして、わりと影響が大きく波及をしていかなかった点は不幸中の幸いであったと思うわけです。 しかしながら、いま見舞われておりますこの構造不況は、そのときに比べて比較にならないほど深刻であり、また非常に広範囲であり、国際情勢も非常に厳しい。円高、こういうものでダブルパンチを受けているような状態で、さてこの中で労働省としては、最大の目標として雇用の創出を図っていきたい、失業者を防止していきたい、こういう強い方針でお臨みになっていられるわけですが、しかしながら構造不況という問題をそう簡単に解決できるかどうかについては、私は大変危惧をしているわけで、不況業種の転換、あるいはそういう業種から生まれてまいります失業者の適切な職業の移転、こういう問題については、言うはやすく行うは非常にかたい問題であろう、こう考えるわけで、そういう意味で、昭和三十五年から四十年ごろに炭鉱離職者がどのような形で職業転換を図っていったのか、あるいはそういう構造不況のつめ跡はどのようになって残っているのかということについて、やはり真剣にこの跡をたどってみることは、今後の構造不況業種の転換、あるいは雇用の創出という意味においても大変参考になるのではないか。また、そういう点について十分御留意をいただかなければならない点もあるのではないかというふうに考えましたので、そういう点についていささか質問をさしていただきたい、こう思うわけでございます。 さて、昭和三十五年から四十年ごろの炭鉱離職者対策として、構造不況業種であるこの方々の処置を労働省はどういうふうな方針で処置をされたか、それについていささか時間の許す限りお答えをいただきたい、こう思うわけです。簡単で結構です。
○小野説明員 石炭鉱業の合理化に伴いまして、昭和三十四年に炭鉱離職者臨時措置法を制定いたしまして、移住資金の支給あるいは職業訓練手当の支給による職業訓練の実施等によりまして、広域職業紹介、職業訓練を進めてまいりましたが、その後、なお合理化の進展に伴いまして、三十八年三月に炭鉱離職者臨時措置法を一部改正いたしまして、手帳を発給しつつ、三年間就職促進手当を出して再就職の促進を図ろうという措置をとってまいっておるところでございます。
○工藤(晃)分科員(新自) いまだに炭鉱離職者の円満な移転が終了していない現状であろうと思うのです。それは、たとえば福岡にその例をとってみますと、昭和五十年に福岡の生活保護世帯を全国に比較いたしますと、全国平均が千人に対して十二・二、それから福岡は千人に対して三十九人、昭和五十二年には全国平均十二・二、福岡は三十八・九、こういう数字が示しているように、炭鉱城下町であった福岡においては、いまだ日本全国の平均の三倍強の保護世帯が現存しているわけです。この方々は、結局いまだにその円満な職業の移転ができないままにそういう状態に置かれていることは明らかでございます。そういうことを考えますと、こういう炭鉱離職者がもたらしましたこの悲惨な現状、昭和三十五年から五十四年まで、こういう長い期間において、いまだにそういうつめ跡がはっきりと残されているわけでございますから、そういうことについて、今後の構造不況に対応する覚悟というものは大変厳しい態度で、また厳重な対応をしていかないと、もっと大きな悲劇が今後の日本に重なってくるのではないかということを示唆しているのではないかと思うわけてございます。 ところで、そういうことを含めてどのような考え方をお持ちになっておられるか、またそれに対してどういう判断をお持ちになっているか、お答えをいただきたいと思います。
○細野政府委員 先生が御指摘のように、炭鉱離職者対策の場合は、人員規模の削減の規模とそれからテンポが非常に速くて、したがって非常に大きな影響を受けたわけでございますが、全般的に見ますと、職業転換は比較的うまくいったというふうに考えているわけでございますが、しかし先生が先ほど来強調しておられますように、規模の大きさ、それからそのテンポの速さ等の関係もありまして、確かに部分的、地域的につめ跡を残していることも御指摘のとおりだと考えるわけであります。そういう点につきまして、私どももこういう構造不況業種の対策を考える場合に、その先例というものをやはり十分に参考にしなければならぬというふうに考えているわけでありまして、そういう点で、炭鉱の場合と比較してみますと、その当時に比べると、経営全体が非常に下降状態にあったという点では、あの当時よりもむしろ深刻な面すらあるわけでございます。しかし、規模の大きさとか、あるいは一つの地域に集中しているというふうな特殊事情は、逆に今回の場合には、造船が一部そういう近いかっこうをとっておりますけれども、その他の業種につきましては、炭鉱の場合に比べて比較的軽微な状況にございます。それから、造船を除いて考えますと、その他の業種につきましては、現在、すでに特定構造不況業種と言うのが適当かどうかというくらいに回復しつつあるものも相当出てきているというふうな状況なわけであります。 そういう点を全般的に総合しまして今後の対策というものを考えてみます場合に、炭鉱離職者対策のときに考えたような、一時的に失業者吸収事業として事業を実施する形で失業者を吸収するというやり方につきましては、あの当時としては非常にやむを得なかった事情があると思うわけでございますけれども、先生御指摘のようないろいろなつめ跡が残る大きな原因にもなっているわけでございまして、やはり苦しくても民間に対する雇用を促進する、そういうことを中心に対策を進めるべきではなかろうかというふうに考えているわけでございます。 そういう趣旨で、全般的な経済の成長の問題、それから公共事業の重点配分の問題、さらには造船地域に対する緊急需要の喚起の問題、その他いろいろな対策を講じているわけでございますが、さらに、幸いに最近求人が増加しているという状況に着目しまして、この求人の増加をしていることと、それから失業者で中高年の方が滞留しているという現実の姿をうまく結びつけて、民間雇用が進んでいくということを着実なものにするために、御存じの中高年齢者雇用開発給付金というようなものを大幅に拡充し、かつその期間につきましてもこれを長期化するという形で、先ほど申しましたように、民間に常用雇用としての就職を促進するということを中心に現在対策を考えているわけでございまして、これは先生御指摘のように、いわば炭鉱離職者対策のいろいろな経験というものを踏まえて私ども考えているような次第でございます。
○工藤(晃)分科員(新自) 炭鉱一つの業種でこれだけの問題が起きているわけでございまして、全国の保護世帯七十三万世帯の中で福岡は八万二千世帯、全国の一一・二%を福岡だけで占めているという現状は大変厳しいと私は思います。同時に、先ほど局長は、これは集中しておるから大変転換がむずかしかった、こうおっしゃっているのですが、しかし一方で政府が指定いたしました特定不況地域、これは全部で幾つありますか、後でお答え願いますが、相当の数がそこに指定されている。これはすべて構造不況城下町、こういうふうに言われているわけで、今度の場合には拡散され、吸収されやすい状態に必ずしもあるとは思えない。それから、人口のパーセントだけ見ましても、炭鉱就業者は大体どれくらいあったか、それもお答え願いたいと思いますが、二十数万だと思います。その方々ですらこういうふうな状態になっているのですから、先ほど申しましたその対象の百五十万人、これの円満な雇用の創出は大変なことだろうと思うのですね。たとえば、今度の五十四年度の予算の中で十万人の雇用を創出するために、四百五十億以上の金をかけて雇用の促進を図ろうとしているわけですね。十万人で四百五十億ですから、これが百五十万人ということになると、まあ極端にそういうことはないでしょうけれども、十万人の雇用を創出するだけでも大変なことなんですから、これは大変な難事業に取っかかっているわけだろうと思うのです。 同時に、一方では、先ほども局長がおっしゃったように、中高年齢層の雇用の創出というのはまた大変むずかしい問題で、急激に訪れてくる高齢化社会に対応するためには、この構造不況という問題を離れても中高年齢層の雇用の創出というものはまた真剣に考えていかなければならない問題だし、そういう中高年齢層だけじゃなく、全般的に労働者の数は毎年どんどんふえていくという問題が背景にあると思います。また逆に、中高年齢層だけを注目しておりますと、今度は若年者の雇用の問題がすぐその後からついてまいって、ヨーロッパではその問題が大変深刻であるということも聞いております。そういうことを含めてこれは八方ふさがりじゃないか、そう思うわけです。もちろん、政府が怠慢であるということを指摘するわけじゃなく、幾ら努力してもなかなか大変な事業に取っかかっているんだというお互いの認識を持たなきゃいけない、そういう意味で私は申し上げているわけでございます。 ですから、今度は雇用の安定事業その他についてももろもろの施策は講じられているようでございますけれども、そういうスケールの大きさから考えて、果たしてこの程度の安定事業で乗り切れるのかどうかということになると、私は大変心配をするわけでございます。同時に、三十五年から四十年ごろの不況のときには大変好況を謳歌しておった繊維その他も今度は不況業種に転落をしてしまっている。こういうふうに、昔、好況を謳歌した面影はなく、いまは不況業種の指定を受けなきゃならないように、世の中というのは非常に有為転変厳しいものがあると思うわけです。また今後、こういう構造不況業種が今度の構造不況の波を乗り切ったと仮定しましても、その乗り切る前にまた別の形で同じ対応を迫られなければならない不況業種が出てくる可能性があるんじゃないか。ですから、新陳代謝は非常に厳しい、またテンポも早く、規模も大きくなってくる可能性を前に置いて考えなければならない、こういう問題も側面にあるのではないかと思うわけでございます。 そうしますと、リスクをお互いに保険し合うという社会的な発想がここで持たれていかなきゃならないし、そういうことについても積極的な指導がなされなきゃならないというふうに考えているわけでございます。その点についてひとつお答えをいただきたい、こう思います。
○細野政府委員 先生御指摘のように、現在の情勢、特に構造不況業種を中心にする状況が決して楽観できるようなものではないという点は私どもも全く同感でございまして、そういう意味で先ほど、石炭との比較において現在の方が深刻な面、それから必ずしもそうでもない面というようなことを客観的に申し上げましたけれども、いずれにしても現在、構造不況業種等から離職された方が現に相当数滞留しておられるという現実、さらに主として造船だと思うのでございますけれども、今後もそこから離職者が発生するであろうという事態を考えますと、先生のお話のように、これからも簡単に失業情勢が改善をされるということを見込むことのできない状況にあるという点も全く同感に思っているわけでございます。 それで、これに対処するために、一つの御提案としまして、基金的なものを事業主の拠出によって考えてはどうかという御指摘がございまして、現在やっております安定資金という制度、それから先ほどの中高年齢者開発給付金自体もこの中の一環でございますけれども、これ自体は、御存じのように、事業主だけの負担による千分の三・五という毎年の拠出を原資としまして運営する一種の基金的なものでございまして、そういう意味では先生の御発想と同じような考え方に基づいてでき上がっているものでございまして、私どもこれを活用しまして、先ほど申しましたような現在の中高年対策の柱になるような制度なんかもその中において運用して、大幅に拡充強化してまいりたいというふうに考えているわけでございます。 今後とも、いろいろな建設的な御意見につきましては、私どもを御指導、御鞭撻いただくようにお願いをしたいと思うわけでございます。
○工藤(晃)分科員(新自) 局長からお答えいただいたのですが、大臣、こういう考え方は、いまの社会がそういう企業についても不安定な社会にいま到達をし、二十一世紀にかけてもやはりそういう波を乗り越えていかなきゃならないし、また逆に言って、中高年齢層の雇用の問題を含めて、定年制の延長の問題、終身雇用制の問題あるいは老後の問題、こういう問題のすべてを解決するために、いま局長がおっしゃったような事業は、とてもいまのような受けざらではなかなかその推進が困難であろうというふうに私は思います。そういう意味で、ぜひこういうものの改善あるいは推進を図らなければならないのじゃないか、思い切ってそういうものを軸にしてもっと拡充強化するという政策というものが積極的にとられなければならない時期に来ているだろうと思いますし、企業の中でも、昔は大変謳歌したものかいまは構造不況になってしまっているという現状の中で、そういう認識は大変深まっているだろうと思いますので、ぜひそういう問題についての強化拡充策をやってもらいたいと思うのですが、大臣、その点はいかがですか。 〔主査退席、大坪主査代理着席〕
○栗原国務大臣 いま安定局長から話しましたとおり、雇用安定資金でございますが、これも工藤さんのお説のとおり、企業が金を出し合ってやる一つの基金でございます。ただ、この運用について弾力的に積極的に機動的にやれという御指示と思いますが、そういう点については、時代の流れといいますか、そのときの情勢に応じまして適切に処置していきたい、こう考えております。
○工藤(晃)分科員(新自) 残された時間あとわずかでございますので、ぜひそういうことについては、積極的に他の関係省庁ともお話し合いの上で推進をしていただくことを強く要望しておきます。 次に、先ほどから雇用の問題が出てまいりましたが、中高年齢層の雇用の創出ということについて大変真剣に取り組んでおられる。しかしながら、一方において、この低成長でできるだけぜい肉を落とし、体を軽くしようという企業側の意向も強いと思います。特に製造業においてはそういう傾向が強いと思う。さて、その中で一方、雇用の創出の反動として、身体障害者の雇用が逆に抑止される、あるいははみ出されてしまう、ほっぽり出されてしまうとか、あるいは雇用の創出がストップする、こういうような傾向が今後生まれてきたら大変だろうと考えるわけでございます。 そこで、労働省が発行しております「労働問題のしおり」の中にも、わが国の身体障害者は約百二万人で、これは十五歳から六十五歳未満の数でございますが、これは昭和五十年の数字でございます。このうち就業している者は五十五万人で、その就業率は約五四%となっております。健常者を含めた全人口に対する就業率約六六%に比べるとかなり低い、こういう数字が出ているわけですね。これは昭和五十年の数字でございますからいまほど深刻ではない。こういうときですらこういうふうなかなり低い数字を示している状態の中で、こういうふうな環境に置かれた身障者の雇用問題というのは、より深刻な形になっているのではないかというふうにも考えられるわけですが、その点について、どのような資料をお持ちか、あるいはまた考え方をお持ちか、お答えをいただきたいと思います。
○細野政府委員 御指摘のように、身体障害者の方は、もともとなかなか就業がむずかしく、また就業する場合でも、近代的でかつ労働条件のよいところへ就業されるということが困難な状況に置かれているわけでありまして、そこへ重なって現在の不況という問題等があって、この身体障害者の雇用の促進ということが非常に困難な状況にあることは御指摘のとおりなわけでございます。しかし、御存じの身体障害者雇用促進法に基づきまして雇用率制度を設け、あるいは納付金という制度を設け、これに基づいて助成金あるいは調整金というようなものを支給するという仕組みになっておりまして、この不況下におきまして、私どもいろいろ努力いたしましたけれども、実雇用率自体が、五十二年と五十三年でほとんど変わらなかった、ほんのわずかしか上がらなかったというふうな実情にあるわけでございます。幸い、ようやく景気も回復の兆しが明確になってまいりましたので、この身体障害者の雇用というものを今後一層推進していかなければならぬというふうに考えているわけでございます。 同時に、先ほど、ほとんど実雇用率が上がらなかったということを申し上げましたが、一般的には、先ほど先生からも御指摘ございましたように、製造業を中心にいろんな産業で人員の削減等が行われているわけでございますが、その中で、先ほど申しましたように、実雇用率自体が下がるというようなことがなく、むしろ維持できたということについては、私どもは雇用率制度というものの一つの大きな下支え的な役割りを果たしたのじゃなかろうかというふうに考えている次第でございます。
○工藤(晃)分科員(新自) 身障者の雇用問題は、これから大変厳しい状況下に置かれていくだろうということは推測にかたくないわけでございます。 ところで、実雇用率は上がってこなかったというお答えでございますけれども、私は、前にも提案はいたしたのですが、やっぱり公共事業に関与するような企業は、少なくとも身体障害者の雇用率の達成をしてもらった企業でないと公共事業に関与させないというふうに、強く指導をしていく必要があるのじゃないか。せめて国の事業に協力をする企業は、やはりそれなりの責務を達成してくれるような熱意のある企業でないと、私は求める結果が出てこないのじゃないか、そう思うのです。 そういう意味で、改めてそういう提案をいたしますと同時に、もう一つの側面でございます、第二次産業から第三次産業、特にきょうもまた強く主張しておきますが、環衛業を初めとする零細企業に対する受けざらの対応も、ひとつあわせて十分御勘案を願っていきたい、また協力をしてもらいたいということをお願いしておきます。そういう点について、あわせてお答えを願います。
○細野政府委員 先生の御提案のようなやり方というものも今後の一つの研究課題として私ども考えなければならない問題だというふうに思っているわけでございますが、ただ非常に強いペナルティー的なものというのは、一般の企業はほぼ守られていて、特別の企業だけが守られてないというような場合にはかなり役割りを果たすことになるわけでございますが、そういう意味では、強いペナルティー的な手段というものが現状ではまだなかなかとりにくい、むしろまだそこまで行ってない段階ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。 なお、そういうペナルティー的なやり方ということでなくて、むしろそういう条件ができるまでの間のやり方としまして、これも先生御存じかと思うわけでございますが、来年度予算の中には、重度障害者等を一人雇っていただくために、年に百一十万、二年間続けて合計二百四十万を差し上げるというふうな、これもかなり思い切った政策をとろうとしているわけでございまして、当面はやはり雇用率制度と同時に、いま申し上げましたような助成を強めるという形で、全般的に企業の実雇用率が上がっていって、ほぼ一般的に守られるというふうなところまで持っていきたいものだというふうに考えているわけでございます。
○工藤(晃)分科員(新自) 身体障害者に対する福祉は、私がいまさらここで申し上げるまでもなく、やはり働く場を提供してあげることが最大の福祉だと思います。ですから、そういう意味において、非常にむずかしいとか、あるいはいまの段階においてはどうかとかという答えは、私はこの前も聞いたような気がしますが、ぜひひとつ一歩踏み出して、実は今度はこういうやり方をいたしましたという答えを、もう一度私が聞くときには出してもらいたいと思います。 最後にお願いをしておきますが、今度の五十四年度の第三次産業の実態調査、これについては、私が担当の方から聞いたときには、どうも調べる資料が、古い資料を対象にするような感じも受けましたので、できるだけ新しい対象を参考にして実態調査をやってもらいたい、またこれを何回も重ねてやってもらいたいと思います。 そういうことで、時間が参りましたので、大臣、最後に今後の雇用についての御決意を承って、私の質疑を終わらせていただきます。
○栗原国務大臣 工藤さんのお考え、よく承りましたので、労働省としてはその気持ちをわきまえまして一生懸命やりたい、こう考えております。
○工藤(晃)分科員(新自) 終わります。
○大坪主査代理 これにて工藤晃君の質疑は終了いたしました。 次に、只松祐治君。
○只松分科員 定年制延長の問題について若干論議をいたしたいと思います。 実は、私はこの問題は昭和三十九年以来本分科会においてほとんど毎年論議を続けてまいりました。中身においては、高年齢者の雇用調査であるとかあるいはいろいろな問題が実質上労働省において取り組まれてまいりまして、幾分かの前進は見ておりました。しかし、ようやく今国会が始まりまして、後で申しますが、わが党からも間もなく定年制延長法案を出します。あるいは公明党や他党からも出るようでございます。政府においても、何らかの討議がなされておるようでございます。私も十何年ぶりにしてようやく日の目を見るかなという感を深くしておるわけでございます。にもかかわらず、そう簡単なものではない。かつて田村君が労働大臣のときには、六十五歳というものを労働大臣みずから提案をいたしました。高度経済成長の花盛りでございましたが、六十五歳と言えば六十歳くらいは前向きになるだろう、こういうことで話し合ってきたこともございます。ぜひひとつ大臣もそういう意味で前向きのお答えをいただきたい、こういうふうに思います。 論議に入る前に、厚生省の方、お見えになっていますか。——日本は世界一、二の長寿国になったわけでございますけれども、現在の平均余命はどういうふうになっておるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○新津説明員 先生お尋ねの平均余命でございますが、先ほども御指摘がございましたように、いわゆるゼロ歳の平均余命は大変延びてまいりまして世界の一位になっております。五十二年で申し上げますと、ゼロ歳男子の平均余命が七十二・六九、女子の平均余命が七十七・九五でございます。 それから、先生の御質問との関連で申し上げますと、五十五歳の男子の平均余命が、五十二年であと二十二・〇一、六十歳の男子の平均余命があと十七・九九、六十五歳の男子の平均余命があと十四・二九という数字になっております。
○只松分科員 いま大臣お聞きのように大変に長くなりました。男子で約七十二歳、女子で七十八歳近くになっております。ところが、一部の企業においては、後でも触れますが、七十歳、七十五歳ということが論ぜられるようになりましたけれども、まだ多くの企業においては五十五歳、したがって五十四歳になると肩たたきが行われる、こういうのが実態でございます。大体六割から七割くらいは五十五歳ということでございます。 きょうは時間がありませんから、私は週休二日制、三日制のことは論じませんけれども、労働問題ですから、こういう問題やあるいは賃金、年金問題などすべてと関連しなければ、定年制だけを取り上げてどうこうしろというわけにはなかなかいきません。しかし、どこかに突破口といいますか、あれがだめだからこれができないという論では堂々めぐりで、私が言いますように、十数年来取り上げてきたけれどもなかなか確実な効果が出てこない。あるいは民間がこうだから官公の場合はこうだ、こういうことではどうにもならない。そういう意味では、いま世界で一、二になったけれども、依然として退職年齢は若い。いま官民それぞれおよそ何歳の定年制が何%くらいか、労働省の方でお答えをいただきたい。
○佐野説明員 労働省が昭和五十二年一月に実施いたしました雇用管理調査による数字を申し上げますと、定年制を定めている企業のうち、五十五歳というのが一番多くて四一・三%、次が六十歳で三三・七%、まだございますけれども、これらを企業数で加重平均いたしました平均定年年齢は五七・二歳となっております。
○只松分科員 いまお聞きのように、まだやはり五十五歳というのが一番多い。五十五歳と言えば、いろいろ申し上げるまでもなく、私も大東亜戦争に行って生き残ってきたわけですが、戦争に参加した連中は晩婚でございまして、私の息子なんかもやっとことし就職するということでございますが、私の友達にはまだ高校生を抱えておる者もおります。それで、官におる場合は文部次官をやっておった、あるいは国税庁では田辺君だとか、こういう人はほとんどみんな去りました。高級官僚というのはどこかに食いぶちを求めて横滑りしておりますけれども、これも後で言いますが、五十四、五歳の定年だからこういうことに横滑りせざるを得ないということになるわけですね。ところが、現場の本当のブルーカラーの諸君というのはこれは大変だ、こういうことになるわけでございます。 そこで、若年定年制は、日本のいろいろな害がある中で諸悪の一つの大きな根源である。たとえば、いま申しますように、官吏にとりましては天下り、横滑りあるいは癒着、したがってそこから出てくる汚職、いろいろな問題というのは、自分が六十歳なり六十五歳の定年で生涯その職場で全うしていこうということになれば、いま例示したようなことはほとんどなくなっていくだろうと思う。ところが、そうではなくて、五十四、五歳になればどこかに行かなければならない、みずから求めるかあるいは他の官房長等があっせんをして行くか、手段は異なりましても、横滑りしなければそこにはとどまれないということが今日の大きな弊害を生んでいる。私は大蔵委員を長くやっておりますから、大蔵省の官僚諸君——いまも実はそういうような話をしてきたのですが、今日財政の破綻を来した、日本の俊秀と言われた大蔵官僚の君らがなぜこういうことになったか。結局、行き先のことを考えてそういうことにごますりというか迎合というか、ぼくらからすれば、でたらめな金融財政政策、税制政策をやってきたから、こういうふうに日本の財政が破滅をしている。立法は立法でぼくたちがそれぞれ力の足りない面があるけれども、行政の君らが一体何をしているんだ、こういうことを論議をしますし、いまも実はしてきたばかりでございます。こういう官の問題。あるいは公社、公団をどんどんつくっていく、いわゆる行政簡素化がなかなかできないどころかふえていく、こういう問題。あるいは個人なり民間にとりましては、こういう不況あるいはインフレによる——若干の退職金を受け取っても、それがあとちょっとまた油でも上がれば三年、いまのままの経済成長をしていっても貨幣価値というのは五年で半減をすることは、これは政府の財政試算を見てもそのことはおのずから明らかになっている。いわゆる大変な老後の不安というものを国民はみんな持っておる。皆さん方が間もなく定年になれば、そういうことはおのずから胸の中にある。そういう、どこをとりましても若年定年制というのは大変な問題になっておるわけでございます。 じゃ、そんなことは日本だけでなくて外国もやはり同じようなんだ、そうかというと、そうではない。お隣の台湾や何かのような小さい国、これも国家ではなくなりましたけれども、先進諸国では、どんなに若くても六十歳、長いのはその職について十五年に満たない場合には七十五歳というのがアメリカ等においてあります。 世界の定年制はどういう状況にあるか、知っておるならば、ひとつお答えをいただきたい。
○中谷説明員 欧米主要国におきます定年制のことでございますけれども、実は的確な資料がございませんので、部分的な情報によりましてお答えいたしますが、わが国におきますような意味におきますいわゆる定年制というのは、それほどは存在していないというふうに考えられます。多くの場合には、老齢年金の支給開始年齢時に労働者は退職しているという実情のようでございます。たとえて申しますと、アメリカとか西ドイツでは老齢年金の支給開始年齢が原則として六十五歳でございますので、その時期に退職するというようなことが通常の例になっているようでございます。
○只松分科員 大体あるんですよ、法令にも。時間がないから細かく言わないけれども、日本の場合には法律にはないわけだから、いわゆる勧奨という肩たたきなんだ。しかし、先進諸国では法律で相当明確に決まっておる国家がある。時間がないから私は論争しない。もう少し勉強をしておきなさい。 大臣、そういう中で積水化成品工業というのが、七十五歳の定年制をひとつ採用しようか、こういうことで、その中身については私も必ずしも賛成をしませんけれども、そういう方向に向かって努力をしようとする。これは、七十五歳というのは、内容はともあれ、私は高く評価をすべきだと思う。これを御存じであるかどうか、あるいはこれについてどういう感想をお持ちになるか、お聞かせをいただきたい。
○栗原国務大臣 私、寡聞にしてまだ承知しておりません。ただ、七十五歳定年、その内容がどうなっているのかというのは私、疑問になりますけれども、とにかく思い切った定年制をとったものだというふうには思います。 ただし、日本では御案内のとおり、いままでのところそういうふうには進んでいない。政府といたしましては、六十歳をめどに定年制の延長のためにせっかく努力をしている、そういう最中でございます。
○只松分科員 中身もまだこれ全部私自身も勉強しておりませんし、発表されてない。ただ、七十五歳というのはちょっととっぴだと思いますけれども、そういうふうに民間の中にこういうような芽が出てきたというのは、私は一つの方向を出したものだと思うのですね。だから、ひとつ労働省の方でもこういうのをよく調査をし、もしこれが成功し得るものであるならばひとつ成功させていく、援助する方法があれば援助をしていく、あるいはいいものであれば全国の職安なり何なりを通じて知らせていく、こういうことが私は必要だろうと思う。 税金というのは大変むずかしいわけでございます。この解釈をめぐって税理士さんでもなかなか意見が分かれるというようなことがあります。あしたも私はそういう点若干討論いたしますけれども、離婚に伴う財産の取得等については、貧乏人なら余り財産贈与を認めない、松下さんのように金持ちならば一億でも十億でも奥さんに認める、こういう取り扱いをいままでいたしております。それはけしからぬということで、貧富にかかわらず離婚のときは離婚のときでちゃんと認めるように、国税庁としてもパンフレットをつくって流してくれました。こういうふうに国税庁でもこういうものについては紫色のきれいなパンフレットをつくって流しておるのですが、ぜひひとつ皆さん方の方でも、そういうものがあって進んでおれば、立法化や本格的な論議の前に、やっぱり前向きに教えたり知らせていくということは——いままで国家なり政府としては何か気恥ずかしいといいますか、あるいは形にとらわれて、そういうことは、とこういうことですが、余り公式じゃなくても結構ですから、また別な面で私が委員会で論議したのを、各税務署にその論議の速記のまま流してくれたこともあるわけです。だから、そういう便法というのはあるわけでございますから、そういうものがいいということになれば、ぜひひとつ全国にそういうものを周知させていくということに御努力をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○栗原国務大臣 私どもも、いい例でありましたらこれを積極的に普及いたしたいと思いますので、そういう資料を入手いたしましてその上で適切に判断をいたしたい、こう考えます。
○只松分科員 私たち社会党も間もなく定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案というものを提案する予定でございます。他の党におきましても類似のものが予定をされております。新聞ですから全部正しい報道とも思いませんが、どうもそういうことは余り受け入れられなくて政府では何とかというようなことがちょこっと出ておりましたが、未提出でございますし、それから内容も十分まだおわかりでないと思いますので、いまここですぐ賛否や何かを言えと言っても無理だろうと思いますけれども、こういう案が出ましたならば、前向きにひとつ検討していくというお考えがあるかどうか、いかがでしょうか。
○栗原国務大臣 基本的に申し上げますと、私どもは、定年延長というものを法制化することは適当でない、そういう考え方を持っております。その理由は何かと申しますと、私が言うまでもなく、年功序列型の賃金体系だ、これにメスを入れない限りはどうにもならぬわけですね。じゃ、これが法律をつくることによってメスが入るかということになりますと、法律の内容いかんではございますけれども、なかなかそれはむずかしいのじゃないか。なぜかならば、法律で六十なら六十歳というだけでは、定年だけ延びた、それであとの問題について十分に処理をしていないという場合には、今度は場合によりますと、定年を延長したことが企業側からしますとコストの方に関係をしてくるという場合も考えられる。そして、それがまた減量経営というようなことになる可能性もある。それが同時に雇用の拡大でなくて雇用の縮小になる。そういうことも考えられるので、定年延長するためには年功序列的な賃金慣行に対して労使がこうするという合意を得ることが必要である。そのためには経営者についてもずいぶん言っておりますし、これからも言うつもりでございますが、私といたしましては、労働側に対しましても、この問題についてひとつ一緒に真剣に考えようではありませんか、これをやっていきたい。そうでないとこれはいけないというふうに考えておりまして、いまの場合には行政指導を徹底的に積極的にやっていくというのがわれわれの考え方であります。 ただ、お話のありました社会党その他の政党の出されます法案につきましては、まだ内容を見せていただいておりませんので、その段階で検討させていただきたいと考えております。
○只松分科員 いまのような論議は私は三十九年からしておるんですよ。したがって、さっきちょっと言いましたように、海部君が労働政務次官になったときに、一挙にそういうことはできないということで、高年齢者の雇用調査というようなことをしておる。村上君が次官になったときにそういうことをさらにやってもらったり、もう十何年来そういうことを労働省においては相当に検討は行われておるはずですね、いまからするんではなくて。そういう賃金体系あるいは共済や年金等との関係。今後たとえば共済等がいまの状態ではパンクしてしまうということで、六十歳施行ということになれば、なおさらこの定年延長というものをしていかないと、そこの中には徒歩連絡という期間が必ず出てくる。こういうことになるんですね。 だから、いま大臣がおっしゃったようなことは——きょうは私は三十分で時間がありませんから内容を言わないだけでありまして、もう論議が尽くされておるということで、労働省でも取り組まれておるはずですよ。そういうことを踏まえて、いま言ったようなこういう法案が日の目を見ようとしておるわけです。あるいは余り定年制の問題をみずから打ち出したがらなかった労働陣営も延長問題というものをみずから打ち出してきておるというからには、いま大臣がおっしゃったようなことは、多少かどの程度になるか知らぬけれども、覚悟をして、また考えるということで打ち出してきておる。そういう前提を踏まえて私は論議しているわけであって、したがってそういうことを考えつつ、私は野党側のことを言いましたが、政府もある意味では積極的にそういうことを、調査が終わったならば、提案すべきだと思うのですけれども、政府としてのお考えを聞きたいと思う。 それから、時間がありませんからついでに言っておきますが、去年、私は、男女平等の問題で女性の定年制を、三十五歳なり四十歳で区切った問題を若干取り上げました。いま年金や賃金のことをおっしゃいましたけれども、すぐ女性との問題や何かも一つ出てくるわけです。そういうこともこれはあってはならないということですね。だから、そういうこともひとつ踏まえた政府側のお答えを最後にお聞きしておきたい。 一番最初に前向きにお答えいただきたいと私は申しましたけれども、この議事録を全部見せてもいいけれども、いままでの大臣より後ずさりの答弁というふうに、必ずしも前向きでなかったと私は思う。ただ、七十五歳のそういうのがあれば検討するとかなんとかおっしゃいましたけれども、全体としてはもう少しこの時期に来たら積極的に、特に民間が何%以上できたならば官公にもということではなくて、やはりいいことは率先、官がやる、こういうことだと思う。財政主導にしたって同じ問題で、こういうふうに不況になれば政府の予算を大型にしよう——四〇%も赤字公債を出して大型予算を組まなければならない情けない状態だ。しかし、これは政府主導型の予算、財政主導型の予算、そういうことを考えれば、金だけは政府出せ出せ、雇用問題やそういう問題をいましているわけですが、定年制の問題は皆さん方逃げて、それは民間でないと、政府が先にはと、こういうことを言う。そうではなくて、やはりいいことは政府みずから率先をしてすべきだと思う。 時間がないのでこれ以上論議いたしませんが、もう少し前向きのお答えをいただきたい。
○栗原国務大臣 法律をつくるという言明をすれば前向きであるという意味では前向きでないかもしれませんが、私は、行政指導につきまして本当に前向きにやっていきたい。また、現に、私どもの行政指導もその一部だろうと思いますけれども、全体的に、国会の動きその他社会的な状況によりまして、労使の間で定年を延長しよう——関西方面では実質的に定年延長の動きができてきておる。今後は業種別に産業別にいろいろと細かくやっていきたいということでございまして、気持ちといたしましては非常に前向きでございます。いましばらくひとつ見ていただきたいと思います。
○只松分科員 一層の御努力をお願いしまして、私の質問を終わります。
○大坪主査代理 これにて只松祐治君の質疑は終了いたしました。 次に、荒木宏君。
○荒木分科員 私がきょうお尋ねしたいと思っておりますことは、まず失業者の問題です。 失業者の中でもいろいろな状態の人がおりますけれども、大量解雇であれ、あるいは個別解雇であれ、そうした離職原因自体が不当労働行為であるということで提訴をしておる失業者がおりますが、こういう提訴中の失業者の扱いがどうなっているか。雇用対策法二十一条三項では、大量離職の通知を受けた場合に国のなすべき措置が決められております。また、雇用保険法では十五条で失業の認定をする、十条で給付をする、あるいは場合によっては二十三条で個別延長給付の措置もする、こういうこともあるのですが、これらの条項について、提訴中の失業者に対する扱いを伺いたいと思うのです。
○田淵説明員 雇用対策法の規定によります大量離職の事前届け出制度につきましては、先生が御指摘のような不当労働行為事件により地労委に提訴されているような場合でありましても直接は関係がございませんで、安定所としましては、早期に大ぜいの離職者が出るという情報を把握することによりまして、離職者の円滑な再就職の促進を図るという観点から届けを出していただきまして、またその届け出の対象となった人から希望がある場合は就職のあっせん等に努力をする、こういうことになっております。
○川上説明員 雇用保険法の失業給付についてお答え申し上げます。 労働者が事業主の行った解雇が無効であるということで係争中の場合の雇用保険法の取り扱いでございますけれども、これにつきましては、特例的な措置といたしまして資格喪失について確認をし、失業の認定等をいたしまして失業給付を支給するという、先生御存じの条件つき給付を行うという措置を講じておるわけでございます。 また、お尋ねの個別延長につきましては、これは事柄の性質上そういうケースについては適用できないという扱いをいたしております。
○荒木分科員 いまの答弁によりますと、提訴中であっても個別延長の給付以外は失業者としての法律上の取り扱いは同じようにしているというように伺ったのですが、私は、この個別延長給付の扱いも同じようにすべきではないかということでお尋ねをしたいのであります。 地労委に申し立てをした、そのことによって、同じ失業者でありながらこうした個別延長の対象にはならないという差別扱いですね。地労委に申し立てをすることによって違った扱いを受ける、不利益な扱いを受けるということに対しては、労働組合法上はどういった取り扱いになっておりますか。
○細野政府委員 職業安定局の所管ではございませんが、私の記憶で申し上げますと、労働組合法上、労働委員会に対して不当労働行為の申し立てをしている人について不利益な取り扱いをすること自体を不当労働行為としております。
○荒木分科員 地労委に申し立てをしたことによって、そうでない労働者と比べて不利益な扱いをすることは、事業者に対してはそれ自体不当労働行為としている。いま局長のお話がありました。また、労働組合法七条一号では、御承知のように、労働組合の正当な行為をしたことをもって不利益な扱いをしてはならないと、事業者に対しては同じように戒めておるわけですね。ですから、事業者がしてはならないと言っておることは、もとより国に対しても道理は同じではないかと私は思うのです。同じ失業者として失業の認定もした。しかも、失業者の場合はいずれも大変な経済的、社会的な困難を負っておるわけですけれども、特に提訴中の場合は、そこに一層の物心両面の困難が加わると考えなければなりません。 そうした点から、事業者に対して禁じておることはもとより国もまたその趣旨をくんで扱うべきではないかと思いますが、いまの局長の答弁を受けて、政府の御意見を伺いたいと思います。
○川上説明員 雇用保険の失業給付につきましては、本来的には離職をいたしまして、つまり雇用関係が切れまして安定所に出頭いたし、求職の申し込みをするということが、先生御存じのとおり、法律上条件になっておるわけでございますが、その場合の求職申し込みは、特定の企業にだけ就職するということではなくて、他の企業も含めまして常用労働者として就職することを二十三条の関係では想定しておるわけでございますが、条件つき給付の対象になるような場合につきましては、離職であるのかどうかという点がそもそも係争中でございますからはっきりしないわけでございますけれども、これを便宜離職したものとみなして、所定給付日数内につきましては特例的な措置として給付の対象にしておるということでございます。 個別延長につきましては、常用就職を希望しておるのだけれどもなかなか就職が困難な事情にあって、特別に職業指導その他再就職のための援助を行う必要があるという者に限りまして個別延長の措置がとられておるわけでございますが、先生の御質問の事案におきましては、他の事業所への常用労働者としての就職を全く希望しておられないという状況にございますと、特に職業指導その他再就職の援助を行う必要性という点で問題が生じてまいりまして、個別延長の適用は困難である、こういうことでございます。
○荒木分科員 なるべく要点を御説明いただきたいのです。要するに、こういうことでしょう。特別の措置をするには、再就職の希望をしておるというふうに見られないから適用できないというふうな趣旨だと思うのです。しかし、雇用対策法では就職あっせんをするというのですね。初めから全然ほかへ行きませんというふうに見ているのだったら、雇用対策法二十一条三項の措置すらも無意味になるわけです。しかし、提訴中の失業者でほかへ行くという、その間のつなぎもあるかもしれませんが、必要を認めたればこそ二十一条三項の就職あっせんをしている、失業認定をして基本給付はしているわけですね。ですから、個別延長の場合だけ一律にだめだということになりますと、これはその意味で不利益扱いになりますし、結果として国が提訴中の労働者に不利益な扱いをすることによって、事業者側にその意味では有利な扱いをするという反面の見方もできるわけです。 申すまでもなく、憲法二十八条は団結権保障を基本的な権利としておりますし、ILO九十八号条約でも団結権の保障を、これは国際的な通念として批准、承認をしておるわけでございますから、そういう点からいいますと、就職あっせんもする、失業認定もした、そして仮給付で基本給付もしているということなら、一律適用外だということじゃなくて、やはり要件に適合するかどうかを吟味するべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。
○川上説明員 先ほど申し上げました制度の趣旨に従いまして、つまり、繰り返して恐縮でございますが、常用労働者として他の企業でも就職します、こういうことである場合に要件として定められておりますところの、特に職業指導その他再就職の援助を行う必要があるということになるわけでございまして、そういう要件との関係において個別延長給付は行えないということになるものでございます。特に差別をする意図は全くございません。
○荒木分科員 大臣、問題の所在は大体御理解いただいたと思うのですが、かねてから担当部長とはいろいろな折衝がありまして、私は大臣に申し上げたいのです。 提訴しておる場合もいろいろあるわけです。これは組合で不当労働行為だと決議して、組合が地労委に提訴した。もちろん組合員の中にはいろいろな人がおるわけで、これは不当労働行為だと強く思っておる人もおりますし、そうではなかろうかというふうに思っておる人もおります。それから、どうしても原職復帰をしたいと強く考えておる人もおりますし、解雇自体はけしからぬ、しかしそのことだけはっきりすれば次の生活の道はまた別の職場に求めるという気持ちの人もおるわけです。それらのさまざまな意見が総合されて、全体の多数決によって組合として地労委提訴ということが決まるという場合も間々あるわけでして、私が申しておるのは、提訴しておる組合に所属しているからといってもう頭から個別延長の対象にしない、中高年の手帳も持っておるし、それから政令の三条の四号の不況業種の認定にも当たっておるというふうな人であっても全部一律にだめだということの扱いはいかかなものであろうか。つまり、場合によってはケース・バイ・ケースで吟味していくということが、こうした提訴中の失業者の再就職問題とかあるいは労使紛争を解決していく上にも本当に必要な措置ではなかろうかと思うのです。特に、個別延長の予算は、伺いますと五十三年度で百六十三億で、十一月までの数字しか出ておりませんが、支給額は五十七億で、年率換算しても八十五億ですから、枠はまだ半分ぐらい余るということになります。また、実際個々の職安の所長の権限なんですけれども、なるほどそうだということが認められればこそ石川の方ではそうした先例もあるわけです。ところが、本省の担当官ががんとしてそれを聞かない。そこで、現地の職安の所長さん方はそうした実情に応じた扱いの合理性を認めながらも踏み切れない。こういう経過で来ておるわけです。 ですから、担当課の主張は従来から伺っておりますけれども、そうした問題の所在を含めて、大臣、政治的な立場からこの問題の取り扱いをひとつ検討していただきたい。一律にだめだというのではなくて、個々に雇用保険法の趣旨をそんたくした扱いの適用を吟味すべきではないかと私は思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと思うのです。
○細野政府委員 基本的には先ほど雇用保険課長から申し上げたとおりなんでございますが、私どもの方も、何もやみくもに一律というふうに申し上げているのではなくて、書類的な面でも明確に他の企業の常用就職として就職される意思が明確であるということが確認される場合には、適用対象にするというふうな考えをとっているわけでございます。
○栗原国務大臣 この問題は具体的なものがあって、それを頭に入れて御質問されていると思うのですが、私は、あなたが頭の中で考えているその具体的な事例について承知をしていないわけです。問題はきわめて専門的でございまして、いまこの段階で私が見解を申し述べるというのには熟していないと思います。 したがいまして、後ほどいままでの経過をよく事務当局から聞きまして、その上で御返事を申し上げたいと思います。
○荒木分科員 大臣は答弁を留保されたのですが、私は具体的な問題は頭にありますけれども、しかしケースはさまざまなんです。ですから、ある特定ケースは頭にはありますけれども、それを一般化し、そして問題の所在を限定して申し上げているわけです。 従来からの担当部局の主張も見解も個々のケースということではなくて、一般的な取り扱いを言っているわけです。ですから、私は個別の事例について大臣がよく御理解をいただいて、そして専門的な検討を踏まえた上で御判断をいただくことは、それはそれでいいと思うのですが、ただ政治的な判断として、いま言っておりますように、就職あっせんもしている、失業認定もしている、仮給付もしている、にもかかわらず個別延長についてだけは頭から対象外だということはいかがなものであろうか。問題は非常に簡単なんです。決して専門的ではありません。常識的なことなんです。その限度で政治的に御意見を伺いたいと思います。
○細野政府委員 先ほど申し上げましたように、一律にだめというふうに具体的に扱っているわけではなくて、一般的な制度としてはそういう扱いでございますけれども、具体的に書類面その他で明確に他の企業等へ就職する意思が確認された場合には、これは対象にしているというふうに申し上げたわけでございます。
○荒木分科員 それなら、これは局長の御答弁で結構ですけれども、そういう趣旨を改めて現場によくわかるようにしていただきたい。 私は、大臣が具体的なことをおっしゃったので申し上げますが、大阪府下に丸紅の関係の子会社がありまして、その市新という職場で二百数十名の集団解雇がありました。これは個別延長の対象には一切ならないという扱いを受けてきたわけですから、具体的な事情によるということはひとつ現場の方にもおっしゃっていただきたい。職安の関係者にも、それから大阪府の労働部にも私は交渉しました。しかし、本省の見解が変わらないからということでだめだったわけです。石川の具体例も言ったわけです。そうすると、担当課長は、石川でもしそういう例があるとしたら、本省の見解と違うから、一律排除という見解と違うから、調べて、払った金は取り返させますとまで言ったのです。ぼくは腹に据えかねてそのときは少し大きな声も出したのですが、局長の言われたとおりだとすれば、私は一歩前進だと思いますから、そういうことをよく現場にわかるような手だてを講じていただきたい。ひとつ簡単に御答弁をいただきたい。
○細野政府委員 ただいまお答え申しましたような事務処理のあり方につきまして、その条件等も明確にした上で何らかの形で下部へ通達をしたいと思います。
○荒木分科員 特にそういう中でも中高年の人が多いわけでして、今度の国会でもずいぶん論議になっておりますし、それから通達も出されたようであります。私もことしの冒頭に質問主意書を提出しまして答弁もいただきましたが、先ほど出されました通達の、本年の一月二十三日付都道府県知事あての「高年齢者雇用対策の推進について」というのを拝見しますと、まず雇用率の計算対象として一定の子会社まで含めている。それから、定年延長後の扱いについて、賃金も横ばいもしくは下げてもいいとか、あるいは退職金の期間に通算しなくてもいいとか、適用対象の範囲の規定の仕方、それから賃金その他労働条件の扱いについて従来より後退した考えではないかと私は思うのです。 御承知のように、昭和五十一年の十月一日付で、やはり職安局長から四五六号という通達が出ていますが、これは適用対象はその事業所だけで計算をするということになっていますね。それから、賃金の問題については、従来これは労使で決める問題だと言って口を入れてこなかったはずなんですけれども、この二つの点は従来とられてきた態度から見ても後退ではないかと思いますが、どうですか。
○田淵説明員 お尋ねの第一点の子会社の取り扱いでございますが、身体障害者の雇用促進法に基づきます雇用率の取り扱いにつきましても、子会社一般を対象にするということではございませんで、特に身体障害者を多数雇うために子会社をつくって雇わせるような場合を同一企業に含める取り扱いをいたしております。その例にならいまして、高年齢者の場合も、子会社に高年齢者がいるからカウントするのではなしに、一つの会社の特定の部門を高齢者向けの職場にして、本来ならば一部というような部門にすべきを一応子会社にして切り離して、しかしながら定年は六十にするとか六十以上まで雇用が続くようにするという特別な配慮をした特定の、限定された範囲内の、本来親会社と同一と見られる範囲内の子会社を一応同一企業として取り扱うことによって具体的に雇用を進めたいという、そういう観点から取り扱いに含めた次第でございます。 それからもう一点、賃金等につきまして基本的な考え方を示しておりますけれど、決して労使の自主的な取り決めに介入するといったような性質ではございませんで、基本的な考え方としてこうあるべきではないかという考え方で、この考え方につきましては、すでに一度全国的に通達の内容としても盛り込んだこともございますし、労働省としてはこの三原則は国会等でも申し上げているところでございまして、一般的な指導方針という意味で通達したわけでございます。
○荒木分科員 つまり、それが後退ではないかと言っているのです。現在どういう経過でこういう通達が出たかということを伺ったのではないのです。五十一年十月一日付の通達では、その事業所だけで計算するとはっきり言っているのです。それを一定の限度にしろ、子会社にまで広げるということになれば、その限りでは水増しになって後退ではないか、賃金を下げてよろしいということで指導に乗り出していくということは問題がありはしないか、こういうことを言っているわけです。ですから、いまの担当者の答弁は、私が言いましたことの答弁ではなくて現状の説明だけですから、再答弁を求めたいと思います。これが一つです。 それから、同じく通達に関連をしまして、先ほど、約六百社ですか、二%未満の企業に対して計画を出すようにということで措置をとられたようですけれども、しかし御存じのように、大企業ではそれぞれの工場では人事権がない場合が多いわけです。本社の指示で一括してやっている場合が間々ありまして、職安の現場の人たちの話を聞きますと、出先の工場へ行って計画の話をしても全然お話にならない。こういうことですから、本社が全国的に工場を持っておるという企業に対する行政指導をするには、やはり本省が直接管轄をして、強力な指導をしなければ実効は上がらぬじゃないかというふうに私は思います。後退の問題とやり方の問題ですね。 それからもう一つ、今度は二%未満から段階的に行くということのようですけれども、しかし従来から達成率が非常によくない、いわば累犯的といいますか、悪質といいますか、そうしたところに五年の範囲内でということになりますと、なかなかいかないのではないか。年度内にその計画が進むような実効のある措置といいますか、われわれは罰則の強制規定なり何なりを主張しておりますけれども、行政指導の上でも実効のある措置を中間経過を見て年度内にも公表するとか、いろいろなことが考えられると思うのですが、そうした処置について、合わせて三点答弁を求めます。
○田淵説明員 本省が直接指導すべきじゃないかという点は私どもも認識いたしておりまして、企業単位ということになりますと、確かに出先の職安だけではなかなか荷が重いケースも多かろうということで、私どもとしても、定年延長の指導も含めまして、業種別の団体ごとに傘下企業に集まっていただきまして、労働省の基本的な考え方をお話しして指導するというような方策もいろいろとっておるところでございます。本省としてもあらゆる機会を通じて、事業主団体を通じての指導といったような面で力を入れていかなければいけないというふうに考えております。やるつもりでございます。 それから、段階的に進めなければいけないということで、五年が長いかという問題がございますけれども、高齢者の雇用率を高めるために企業内の人事構成を動かすということは一挙には非常にむずかしい問題でございまして、やはり一定の期間がどうしても必要でございます。身体障害者の場合ですと、新たな雇い入れが行われている企業でございましたら、その一定の割合を混ぜていけば比較的短時間で可能でございますが、高齢者の場合はなかなか人数も多うございますし、はかばかしく進まないというような事情で一定の期間はどうしても必要だ、ただ、できるところはできるだけ早く達成するということで、最大限五年ということで計画の作成を命じている次第でございます。
○荒木分科員 答弁がお尋ねしたことを網羅していませんけれども、時間の関係がありますから留保して、最後に大臣に伺っておきたいと思うのです。 中高年の雇用確保にしても、全体の雇用がどうなっておるかということをよく把握して改善しなければ、率だけ、数字の上だけ出てきましても、実際に減量経営が進んで、そして年休も十分取れない、職場の労働条件もますますきつくなるということになりますと、中高年の人たちは働くことが非常に困難になってくるわけですね。その意味で、いま特に大企業の減量計画が進んでいる。新聞でもいろいろ報道がございますが、たとえば鉄鋼大手四社だけで、それぞれ期間は若干違いますが、合わせて一万四千人の減量の計画がある。ところが、御案内のように、今度の三月期決算の予想では大変な増益で、新日鉄のごときは前期に比べると経常利益約十倍という状態であります。もちろん、各単年度、短期だけでは照応関係は見られませんけれども、しかしそれにしても大変な増益を上げておる企業、業界、しかも大企業で減量が進むということになりますと、社会的にも大きな問題ではないかと思います。 先日、二月十九日でしたか、大臣が通産大臣と御一緒に日経連の代表初め財界四団体と懇談をされたというふうに伺っておりますけれども、そういうことも一つの形かもしれませんが、しかし実際に効果あらしめるための措置というもの、先ほど大臣がおっしゃった前向きの行政指導の内容というものはもっと強力になされなければならぬじゃないかという感じを私は持っておるのです。 といいますのは、時間が参りましたからもう一言続けて申し上げますが、あの二月十九日の懇談の後で桜田日経連会長が記者会見をいたしました。そして、減量によって生き残ることが雇用を確保する道だということを言っているわけですね。ですから、同じく雇用確保と口裏では一緒になりながら、腹は実は大変な違いがあるということも考えられるわけでして、そういう意味で、いま大企業がどういう減量計画を持っておるかということをやはりきちっと把握すべきで、特に増益大企業に対する指導は、お願いだとか懇談だとか要請とか、それも業界全体を通しての一般的、抽象的な話ではこれはとてもチェックはできないと私は思うのです。 先ほど来も話が出ておりましたように、法律的な規制ということをわれわれは主張しておりますけれども、しかしそれは全体の国会論議の中で議論がまた進むとしまして、大臣のおっしゃった前向きの行政指導という範囲では、まず把握をし、それから個別にそのことについての行政指導を強力に行い、場合によってはそのことを世間にアピールをして社会的な批判の喚起も求める。こうしたことも含めてさらに強力に進めていただかなければならぬと思うのです。増益大企業の減量計画に対するお考えも含めて、いま申し上げた点の御見解を伺いたいと思います。 なお、つけ加えて聞きますが、そのことを進めるためにも、労働省の職員が手不足ではどうしても手が回りかねると思います。増員関係ではせっかく御努力の由も伺っておりますが、しかし全体としては横ばいということですね。本省関係では減っているということもありましょう。それも含めてひとつ御意見を伺って、質問を終わりたいと思います。
○栗原国務大臣 十九日の経済団体の首脳との話の中で日経連の桜田さんの話が出ましたが、記者会見で何を言ったか私は承知しておりませんが、私どもとの話の中では、まともな話だったと私は思うのです。 ただ、いまの話の中で、減量経営によって収益を上げたのだということは、そこら辺が収益を上げるために減量経営をしたのだというのではないように私は理解いたしました。というのは、どうしても人減らしをしなければならない、体質を変えていかなければならない、その結果として人減らしが行われた、減量経営が行われた、そして企業の収益がよくなってきた。やはり、企業としては自分たちが生き延びるためにやむを得ないということで、労使の間で話をしてそういうことをしたというふうに私は感じました。 ただ問題は、減量経営に籍口して人減らしをするということは社会的責任を果たすゆえんでないので慎んでいただきたいという話をしたのに対して、それはそのとおりだ、こういうことでございまして、特段私どもが減量経営に籍口して人減らしをしていることを見逃しているのじゃない。そういうことのないように御注意いただきたいと言っているわけでございます。 しかも、行政指導という場合に、やはり人減らしをしなければならぬかどうかという問題については、これを一番よく知っているのはわれわれじゃないですからね。労使自体が一番知っているわけですから、そういう労使が円満に話し合いをして問題を処理していく、そういう環境をつくることがわれわれの責務じゃないかと私どもは考えております。 それから、職員の定員の問題等についてお話がございましたけれども、これらについては、いろいろ御激励をいただきまして、私どもも苦慮しているところでございますが、若干の増員はそれぞれしているわけでございます。 なお、私は、定員の問題だけでなしに、役所の効率を高めるためにどうあるべきかということについては、国会を含めていろいろと御協力をいただかなきゃならぬというふうに思うところもあるわけでございます。
○荒木分科員 時間が来ましたから、終わります。
○大坪主査代理 これにて荒木宏君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、労働省所管についての質疑は終了いたしました。 次回は、明二日、午前十時から開会し、自治省所管について審査をいたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後六時十分散会