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87回国会衆議院1979/02/28

予算委員会第三分科会 第2号

発言数
459
登壇者
47
会派数
5
開催日
1979/02/28

会議録

野呂恭一自由民主党

○野呂主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算中厚生省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。加藤万吉君。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)分科員 この分科会で、私は、厚生省所管に係る医療問題について、大臣並びに関係局長の御答弁をいただきたいというふうに思います。  きょう質問申し上げます主題は、いま世上大変問題になっております徳洲会病院の進出について御意見をお伺いいたしたいわけですが、私の地元は茅ケ崎市でありまして、特にこの茅ケ崎に進出する徳洲会病院に対する地元医師会と議会との関係、さらに市長との関係で、大変紛争的な状態が起きているわけであります。地元市民から見ますと、この徳洲会病院の進出については実は期待と不安と双方があるわけでして、茅ケ崎の場合には、これは茅ヶ崎に限らず神奈川県全体がそうですが、全国的にも大変ベッド数の少ない都市並びに県であります。そこで、地元市民としては、いまの地元の医療体制から見まして絶対的な不足のこのベッド数に対する進出を歓迎する、こういう意向が非常に強くあります。さらに、地元には急患施設が一カ所しか実はございません。その結果、徳洲会病院が二十四時間オープンをする、あるいは救急患者に対する受け入れ体制を十分整える等が地元の期待になってあらわれたわけであります。  一方、不安という面は、実は地元医師会が大変徳洲会病院の進出についてのビラを流しているわけであります。そのビラの内容が、いわば言うところの病院のスーパー方式といいましょうか、あるいはパック方式というような形で、意識的だろうと思うのですが、徳洲会病院の進出に対するアプローチを行っているわけです。これが一方では不安という形になっておるわけであります。  そこで、これは大臣にお聞きをするわけですが、どうでしょうか、患者の側から見て、一般的に期待される総合病院の像といいましょうかビジョンといいましょうか、それはどのように判断をされたらよろしいのでしょうか。たとえば徳洲会病院の場合に、いま言う二十四時間オープンであるとかあるいは急患施設に対する収容であるとか、そういうもの、あるいは差額ベッドは取らない、生活資金の立てかえや供与まで行うという市民へのアピールをしているわけですが、患者の側から見て一般的に、これは一般的でいいですが、期待される総合病院像とは一体どういうものを指して厚生省の行政の態度としてとらえているか、まず見解をお聞きしたいと思うのです。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 一般的に申しますと、患者の側、国民の側から期待されますよき病院像といったものの第一は、救急医療を担当してくれるということではないかと思います。また第二は、差額を取らない病院であるということではないかと思います。さらに第三は、地域の公衆衛生活動にも貢献してくれる病院であること、そういったところが基本になると思います。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)分科員 私は、徳洲会の理事長の徳田さんという人にお会いをいたしました。名刺の裏を見ましたらこのようなことが書いてあるわけであります。「生命を安心して預けられる病院 健康と生活を守る病院」そしてその実行方法として、「年中無休・二十四時間オープン 入院保証金・総室の室料差額・冷暖房費等一切無料」さらには「生活資金の立替・供与をする 患者からの贈り物は一切受けとらない」等々であります。いまの局長の答弁によりますと、いわばここに書いてありますことが一つの期待される総合病院像、こういうように私は判断をするわけであります。  そこで、私はこれがいわば病院の宣伝かというように実は理解をいたしまして、宣伝ならば、いわゆる宣伝文句として受けとめようと思っておったのですが、茅ヶ崎の市議会並びに市が徳洲会病院、たとえば岸和田病院、八尾病院、それぞれ訪問をいたしまして、このいま名刺の裏に書いてあります事実関係を調査いたしました。結果としては、これは市議会一致をして結論が出たわけでありますけれども、いわばいま言われている徳田さんの書いてある裏の宣伝あるいは広告といいましょうか、それが事実と一つも違わない、ほとんどそのとおり実証されている、こういうようなことが市議会の調査あるいは市当局の調査で実は明らかになったわけであります。  こうなりますと、徳洲会病院というのは、いわば実質的にもあるいは内容的にもわれわれが期待する総合病院であるというように理解してよろしいと思うのですが、医務局長、どうお考えになるでしょうか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 私は、徳洲会がすでにオープンいたしております大阪の四病院の診療内容をつぶさに拝見いたしておりませんけれども、いろいろ県当局その他から聞くところによりますと、現在のところは徳洲会の理念どおりにおやりになっているというふうに承っております。したがって、地域の住民にとっては喜ばれているのじゃないかと思うのでございますが、ただいろいろとお医者さんの平均年齢が若いとか、あるいは薬の種類が少し高級品でないとか、そういうふうな意見も一部で出ているようなことも聞いておりますので、もう少し徳洲会病院の経営、運営の推移を拝見しないと、まだ的確なことは申し上げられないと考えております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)分科員 ちょっとおかしいですね。もうすでに徳洲会病院、大阪で開業されて五年以上たつわけですね。したがって、現時点で、いま開業されている徳洲会のそれぞれの総合病院の経過をいま少し見なければ云々という答えは出てこないと私は思うのですよ。いかがですか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 すでに五年を経過いたしておりますのは第一号の徳田病院でございまして、八尾徳沢会病院は五十三年の六月のオープンでございます。まだ一年たっていないわけでございます。したがいまして、いまのところは徳洲会の理念どおりにおやりになっていると思うのでございますけれども、あのような理念は、一般的にはほかの医療関係者もできれば実現をしたいと考えていることでございます。ところが、救急医療を担当いたしますと、いろいろと医療保障の料金の問題があって、採算上の問題が起こるとか、あるいは医師、看護婦等のマンパワーの確保が困難であるとか、さらには労働基準法のいろいろな制約がございまして、二十四時間オープン、年中無休というふうな体制がとりにくいとか、そういった問題があるために、ほかの病院では徳洲会のような理念がなかなか十分に実現できないといったような過去のいきさつがございます。そういったことも考えまして、もう少し模様を見てみないと、本当に徳洲会があの理念どおりいつまでもできるのかどうかといったことは、まだはっきり言えないのじゃないかというような感じを持っております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)分科員 議会、市当局が調査をした結果では、そういう条件を一つ一つ克服している。確かにおっしゃるように、たとえば労働時間の問題等については、率直に言って、二十四時間オープンという中では基準法に対して多少、何といいましょうか、労働強化が行われるのではないかという懸念は表明されていますけれども、しかし今日ある日本の総合病院ができないそういう弱点を一つ一つ克服している、そういうようにこの調査の結果では出ていますし、私も事実関係をいろいろ調査した結果、日本の病院にもできるのだ、いわばそういうものをこの病院は提起をしている、こういうふうに実は思うわけであります。  これ、論議を続けるわけにまいりませんが、いま地元の医師会では、実は「信頼出来ない徳洲会病院か」こういうビラを市民に流し、署名を求めているわけですね。私は、当初申し上げましたように、期待される病院である、同時にいま一つは、ふだんかかっているお医者さんがあれは信頼できない病院であると言われれば、市民に不安が生まれるのはあたりまえのことでありますね。  そこで、お聞きをいたしますが、今日まで徳洲会病院、その前は徳田病院でもいいですが、その延長線上の病院ですから結果的には同じだと思うのですが、一体この病院は、厚生省サイドから見て、一般論として、一般的な総合病院と比較して信頼できない総合病院なのでございましょうか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもは現在の四病院の診療内容を必ずしも十分には把握しておりません。また、四つの病院の開設時期も、すでに古いものから最近のものまでありまして、一般的に見ますと歴史がまだ若いわけでございます。したがって、いま、全く信頼できる病院だということは保証できないと申しますか、言い切れないのでございますけれども、現時点においては理念どおり徳洲会病院はサービスを提供していらっしゃる、努めていらっしゃると考えております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)分科員 信頼できない条件が中にあるかもしれぬ、こういういまの御答弁ですね。これは大変なことですね。これからできる病院に対してそういう不安を持っておるわけです。現実に徳田病院から徳洲会病院にずっと発展をいたしました、その病院のそれぞれの地元医師会ないし地元住民は——もちろん医師会にも加盟されているようですが、それぞれ結構な病院が参りました、こういう結論が出ているのです。ですから、この調査を基礎にするまでもなく、そういう住民の、病院というものは患者が選択するわけですから、したがって、聞くところによると、相当隆盛な病院のようですから、ということは患者の側に信頼がなければそれだけの隆盛の病院にならぬわけです。  どうですか、もう一遍お聞きしますけれども、私が言うのは、いろいろ条件があるけれども、いま日本にある総合病院と比較をして、一般的に信頼できる病院と判断していいのかどうか、その辺をひとつお答えいただきたい。イエスかノーかでいいです。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 現時点においては大変よくやっていらっしゃる病院の中に入るのではないかと思います。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)分科員 そういう病院であると私も確信をいたしているところなんです。できれば地元の意思を反映して、先ほど言いましたように、たとえば茅ケ崎の人口数からいけば、千百五十床必要だと言われている中に二百九十床しかないわけですから、いわば地元市民としては、信頼される病院が一日も早く進出をして、急患を含め一般的な健康と生活を守ることに寄与してほしいという意思が非常に強いわけです。その結果が、市議会の満場一致によってこの病院の進出を承認をする、歓迎をするという方向に出ているのだというふうに私は実は理解をしているわけであります。  そこで、次の問題ですが、実はそういう内容の病院にもかかわらず地元の医師会、私は全部とは言いませんが、医師会の一部の人が指導的な役割りを果たしながらこの進出に伴う反対運動を続けていられるわけです。これはぼくは、いろいろな条件があるでしょうから、反対運動があってもいいと思う。ただ、その反対運動のあり方が、今日、御承知でしょうが、たとえば学校医の返上あるいは予防注射の返上、休日当番の返上——当初は、これを承認した場合には市議会との契約あるいは市議会とのいろいろな約束事を三十年間にわたって拒否をする、こういう態度でございました。しかし、地元の住民の意向に押されてか、三十年間にわたってそれぞれの契約行為を破棄することは一部手直しをされて、議会に対するそういう意思も撤回をされた模様でありますけれども、現実にはまだ予防注射とかあるいは休日当番等については大変困っている状況が起きているわけであります。病院の進出に対して反対だということが、何ら関係のないと言っては失礼ですけれども、その責任を負い切れない市民に対して、あるいは子供たちに対して、学校医の返上とか予防注射だとか休日当番の返上とか、こういう対応で迫ることが一体好ましい条件とお考えでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私は、この医療法人徳洲会が掲げているような理念に実際にのっとって医療を行う病院があるとすれば、それはむしろ大変結構なことだというふうに感じております。いま加藤委員から一部の地域における混乱についてのお話がありましたけれども、やはり地域医療が混乱をする、そして地域住民がそれに巻き込まれて、その医療の確保の上に支障を来すということは好ましいことでないことば間違いありません。それだけにやはりこれは関係者がよく話し合っていただく、そしてその中であくまでも患者本位といいますか、住民本位の立場で物事の解決に当たるように冷静な努力をしてもらいたいと思います。現在御承知のように、すでに大阪、また今度沖繩、各地に徳洲会の病院というものができておるわけでありますが、大阪府医師会と徳洲会関係の病院の間にトラブルがあるようには私は聞いておりませんし、また沖繩県におきましても徳洲会病院と沖繩県医師会との間にトラブルがあるようには私は聞いておりません。どちらがスタートのときによかったとか悪かったとかいうことは、これは水かけ論でしょうけれども、それだけにやはり冷静な話し合いを、患者の福祉向上のためにはどうあるべきかという観点から当事者は冷静に話し合っていただきたい、そして地域医療の上における混乱というものがありとすれば、これは一日も早く解消するように御努力を願いたいと思います。     〔主査退席、玉沢主査代理着席〕

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)分科員 私は、大臣が従来の日本の医療体系にこだわらずに、新しい日本の医師ないしは医療機関というものが国民に尊敬されるという状況をおつくりになる、特に大平内閣の中では若手大臣としてその前途を期待されているわけですから、この徳洲会問題を契機にして——私は何かを政治家に投げかけているという気がしてならないのです。というのは、従来もやはり医師会が自由企業として進出する病院に対して一つのチェックをする。そして、この茅ケ崎市に見られるように、千以上のベッド数が必要なところに二百九十しかないという、そういうところのいわば生命と健康を一手に握る医師が、患者の上にその威厳を保つようなそういう錯覚的な行為、あるいは発想といいましょうか、その中に徳洲会病院の進出を拒否しているという面が率直に言ってあるのではないかということを実は感ずるわけであります。本来あるべき医師会ないしは地域診療体制は、そういう市民の患者としての立場を完全に擁護できる、包括できる、あるいはそれに対応でき得る、そういう機能と設備をより拡大をする中でみずからの医療というその権威を位置づけていく、こういう方向が実は正しいと思っているのです。また、そうなければいけないと思っているのですね。したがって、この徳洲会問題はそれに一こまを投げかけている、私ども政治家に対しても何か投げかけている、そういう気が多分にするわけであります。  そこで、そういう良識があって、茅ケ崎の市議会の諸君がそれぞれこれを課題にして積極的に取り組んで正確な答えを出したのですね。その正確な答えを出しました市議会がいわゆる徳洲会病院の進出を認めた、あるいは早く進出してくれという請願を採択した。そして、このことに対する反対運動がまた起きているわけですね。  一般論として、たとえば徳洲会病院が実はこうこうこういう問題があって大変不安がありますよという程度ならば、これは一般的に反対運動としてよくあるビラですから、何らここで問題にしょうとは実は私は思ってないのですが、ここに二、三持ってまいりましたけれども、文教厚生常任委員のそれぞれの議員の名前を挙げまして、これが不採択にした、これが反対の態度に回った、こういうアピールをするわけですね。ぼくはそれでも、ああそうか、そこまで自分たちの意思を通すために市民にアピールしているのか、こう思いましたら、その次に出たのは、同じ議員の名前を挙げて、今度は政党を全部列挙しまして、これは共産党から社会党、公明党、民社党、新自由クラブの皆さん、それぞれあるわけです、これを列記してまた二度目のビラを出す。三度目のビラは、今度はこれにそれぞれの議員の住所を記入いたしまして、そしてそれぞれの政党名を書いて再びアピールをする。これは少し見当違いの攻撃ないしはアピールではないかと私は実は思っているわけであります。  徳洲会の進出に対する許可認可権は、これは市議会ないしは県にあるわけですね。その進出のいかんを決定するいわば立法府に相当する市議会がその態度を決めたからといって、個人名、政党名、住所を挙げてまで反対のアピールないしは市民への訴えをするということは、本来あるべき政治活動の公平さを欠かせるような疑いすらこのビラの中には存在するのではないか、私はこういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。私は、このやり方は医師会としてあるべき姿ではない、こう思うのですが、いかがでしょう。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 いま御指摘の地元医師会の行動については、神奈川県の衛生部からも何ら報告に接しておりませんので、詳細を承知しておりません。ですから、それについての意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、一般的な立場から言うならば、地域の医師会が、医療を行う立場から関係方面に対して種々の意見表明等を行うことは当然であると私は思います。そして、それは地域の住民の医療の向上に寄与するような形で、建設的な提言としてなされることを私は期待をいたしております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)分科員 そのとおりだと思うのですね。本来あるべき医療の体制、その中において地元医師会が市民にアピールをし、あるいは行政に、あるいは議会にそれぞれの意思を伝達する、このことが最も正しいあり方だと思うのです。いわばこのビラに見られるようなあり方は、四月の統一地方選挙ということを前にしたこういうあり方というのは、私はどう見ても政治への介入といいましょうか、あるいはそういうものをてこにして自分の意思を通す、少し卑劣なやり方と言わざるを得ないのではないか、こういうふうに私は実は理解をしているわけであります。  そこで、時間がありませんから最後に質問をいたしますが、先ほども申し上げましたように、患者に対しては医師が、地域診療を含めて、これはもう絶対的な生命の支配権を持っているわけですね。ですから、本来地域医療の責任にある者は、その絶対的な支配権というものを振り回して物事を解決する方向を見出すべきではないと私は思っているわけです。当然のことですが、本来医師が尊敬されるべき条件というのは、その患者に対して、あるいは地域医療に対して、まさに社会奉仕的な要素も含めながらその技術を評価され、その経営を評価されていく中で存続するべきものだというふうに私は思うのです。  今回の徳洲会病院の進出に対する地元医師会のあり方は、いまずっと述べましたけれども、総体としてはその方向性から逸脱している、その方向性からは大変非難をされるべき要素を多分に持っている、こういうふうに思いますが、この辺についてはいかがでしょう。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 結論から申しますと、今回の茅ケ崎医師会のやり方については少し行き過ぎがあると思っております。ただ、この問題は双方に責任があると思うのでございますが、少し感情問題になり過ぎまして、非常にこじれてしまったわけでございます。この際、地域の実情に詳しいのは神奈川県知事でございますので、知事が実情をよく聴取し、また関係者の意見をよく聞いた上で、円満に解決をしていただきたいと考えております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)分科員 最後に、大臣に質問いたします。  神奈川県は、全国的にも大変ベッド数が少ない状況であります。同時に、急患施設、急患収容のためのいろいろな条件もなかなか整っていない状況であります。茅ヶ崎などで見ますと、去年、救急車、消防署が受け入れた急患の件数は千九百三十五件、十二月二十五日から一月三日、いわゆる三が日にかけて七十一件ありました。そのうち夜間の十二件は市外搬送であります。しかも、消防署の職員に聞いてみますと、そのセンター、病院を探すために三十二回も電話をかけたというのですね。それでようやく捕捉できる、こういう状況にあるのです。  私は先般、地方行政委員会で、この際、急患を受け付けるために一一一番という電話番号をつくったらどうか。一一〇番がありますね。そういうように、急患が出た、一一一番にかければどことどこの病院がありますよ、こういうことがもしわかれば、自宅にそれぞれ乗用車を持っている方はいっぱいいらっしゃるわけですから、搬送ができるんじゃないか。三十二回も電話をかけ、市外搬送する必要はないじゃないか、こう言われているわけです。そういうことを含めて、いい医者という意味も含めて、一一一番という番号を設定することをひとつ考えてみたらどうかという提案をしてみたいのです。  それで、この際ですから私は、こういう状況下にある病院の数、あるいは急患施設の整備のおくれているそういう都市、県に対して、国としてはこれからどういう具体策ないしはこういう病院進出に対してはどういう見解を総合的にお持ちなのか、大臣の見解をお聞きをしておきたいと思うのです。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 いま私たちは、御指摘のような問題を少しでも減らすべく、救急医療体制の整備に力を入れておるところでありますが、その全体の配置状況その他について地域的な格差が相当あることも事実でありまして、早い話、加藤さんの神奈川県にしましても、三浦半島の方向は大変連係動作がよくいっているが、一部ではご指摘のような地域があるという実態があることも承知をしております。私ども、今後とも県当局とも相談をしながら、できるだけ早くそういう事態が解消できるように努力をしていきたいと思います。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)分科員 終わります。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢主査代理 これにて加藤万吉君の質疑は終了いたしました。  次に、宮井泰良君。

宮井泰良公明党・国民会議

○宮井分科員 私は、まず最初に、重症心身障害児の問題につきまして御質問いたします。  どこの家庭におきましても、障害児、特に重症心身障害児を持つことは大変深刻な問題でございます。重症心身障害児の場合は、年齢を問わず、みずから発言もできない、また周囲の人々へ訴えることも困難なわけでございます。ましてや、その家族、関係者にとりましても、沈黙をせざるを得ない、特に行政への発言など大変むずかしいという状態にございます。重症心身障害児への国の対応策も年々充実してはいるものの、その課題も、教育等、医療にまで及びまして深刻でございます。  そこで、現在の重症心身障害児施設及び国立療養所に委託している病床の現状を御説明いただきたいと思います。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 お答え申し上げます。  現在重症心身障害児施設は公立及び法人立含めまして施設数は四十八、定員としては五千八十九ベッドでございます。国立療養所は八十施設ございまして、ベッド数として八千八十ベッドが現在準備されております。  なお、その中でそれぞれ入所者の状況でございますけれども、現在それぞれに措置されておりますものは、重症心身障害児施設につきまして四千六百十七名、国立療養所六千九百八十三名、計一万一千六百名、こうなっております。

宮井泰良公明党・国民会議

○宮井分科員 施設数、定員あるいはまた現在の入所者数、これは御説明があったわけでございますが、その中で具体的に山口県の場合はどういう状態になっておるか、ちょっと御説明願いたいと思います。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 山口県では国立療養所が二カ所ございまして、定員が百二十名と八十名で計二百名、措置児童数は百六十三名でございます。

宮井泰良公明党・国民会議

○宮井分科員 そこで、ただいま御説明があったわけでございますが、これはいわゆる十八歳未満の障害児と十八歳以上の障害者との区別なく収容されておる、このように思うわけでございますが、今後の施設整備及び国庫補助額あるいは在宅者の状況を御説明いただきたいと思います。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 重症心身障害児施設につきましては、児童福祉法の十八歳という年齢を超えてもなお引き続き在所できるという仕組みになっております。  先ほどの山口県の例で申しますと、二百名のうち十八歳未満が百十九名、十八歳以上が四十四名、計百六十三名という入所の状態でございます。全国的に平均をいたしてみますと、大体十八歳未満が五五・六、十八歳以上が四四・四というような状態でございます。  なお、全国的に見て、施設の整備につきましては、五十三年度において七十ベッドの施設が一カ所創設をされましたのと、それから十ベッドの増設分というのがございまして、計八十ベッドが五十三年度でふえておるわけでございます。  施設の対応策だけでなく在宅の問題についても御質問がございましたので、一括して御説明申し上げますけれども、私どもとしては、在宅対策は、まず特別児童扶養手当及び福祉手当の支給、それから児童福祉法に基づきます育成医療、日常生活用具の給付及び補装具の交付、家庭奉仕員の派遣、緊急保護事業の実施、それから児童相談所等によります療育相談などが在宅対策の主たる行政措置ということになっております。

宮井泰良公明党・国民会議

○宮井分科員 そこで、私は、もちろん児の方もそうでございますが、心身障害者の十八歳以上の方々に対してもっと力を入れてもらいたいと思うわけです。全国では在宅者が約七千四百人いるということを伺っておりますし、山口県でも八十六人いま在宅者がいる、こういう実態になっております。  そこで、先ほども施設の問題で御報告いただきましたように、山口県では重症心身障害児施設はゼロであります。国立療養所に委託しておるというのが二カ所、これだけでございますから、国立療養所併設の場合は心身障害者の施設として十分でない、私どもは調査によりましてもそういうふうに感じております。  もちろん、いま御説明がございましたように、在宅者にはヘルパーなどいろいろと手当てをされておるようでございます。それでも在宅者には今後施設の方へ入れてもらいたいという希望者もおりますし、また現在の施設においても、いま申しましたように、国立療養所などの場合は十八歳未満からずっとおりまして、どこにもこれから行かせられないというようなことで、やむを得ず成人になりましても引き続いてその施設にいる、こういう状況なんです。ですから、障害児から入っていなかった人はいきなりそういった施設にはなかなか入れていただけないというようなこともございまして、もちろん家庭の事情もあるでしょうけれども、十八歳未満の障害児が延長してそこにいるというような、極端に言いますと、そういうような状況でございますので、確かに児童福祉法六十三条の三によりますと、重症心身障害児施設に者も入所させ、国立療養所に委託することができるということになっておるわけですが、やはり現地の希望なども、十八歳以上の重症心身障害者を収容できる専用施設が欲しい、またそれの法律による制定化ということをしていただけないものか、こういう要望があるわけでございますが、これに対する御見解をお伺いします。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 先生いまお話しのように、重症心身障害児ないし者は、重度の精神薄弱と重度の肢体不自由の重複障害を有する者でございます。したがいまして、その療育につきましては、その障害の状況から見ましても、児童、成人を一貫して実施するのが適切だということで、いわゆる例外措置、たとえば者となっての施設が必ずしも十分でないから例外的に延長を認めるという趣旨ではなくて、むしろ積極的な意味で重症心身障害児者につきましては、児童福祉法のたてまえとして、年齢にこだわらずに一貫した療育措置をとるということにいたしておるわけであります。  御承知のように、その法制化の問題と申されましても、私どもとしては、法制化すべき理由というものを求めますときに、必ずしも法制化しなければこれらの問題が解決できないと言われるほどの問題が積極的にあるとは実は考えておりません。私どもとしては、御承知のように、国立療養所は全国の各県にそれぞれベッドが配置されておりますけれども、公立もしくは法人立の施設は、四十八施設と申しましても、府県別に申しますと二十六都道府県に偏在をいたしておりまして、約二十一府県についてはまだ専門の施設が整備されていないという事情にございます。そういう意味で、私どもとしては、法制化ということよりも、むしろ重症心身障害児者についての療育体制というものにひとつ万全を期すること、それから現在あるベッドにつきましても、たとえば地理的な問題、あるいは重症と申しましてもそれぞれの特異性もございますので、それに対応できるような療育体制を持ついわば特色のある施設というものをさらに整備をする、こういった点に留意をしながら、今後とも重症心身障害児対策の充実には対応してまいりたい、かように考えておるわけであります。

宮井泰良公明党・国民会議

○宮井分科員 大臣、いまいろいろと御答弁ございまして、一貫した療育というものが必要である、あるいはまた法制化まではしなくても手当てはできる、こういうふうな御答弁でございますが、山口県におきましては、もちろん全国的な厚生省の立場から全般的に見られてそういう御答弁になるかと思うのですが、なおひとつ県の状態をよく聞いていただきまして、先ほども申しましたように、心身障害者の施設としては十分なものでない、こういうふうなことでございますので、専用施設というものを希望いたしておりますし、きめの細かい実情調査をしていただいて、それに対しての対処をお願いしたい、このように思うのですが、大臣の御見解をお伺いしたい。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私どもは心身障害児者対策の本来あるべき姿として、まず第一に、心身障害児者をどうやったら発生させないで済むかというところから掘り下げていかなければならぬと考えておるわけでありますけれども、同時に、すでに不幸にして発生した心身障害児者について、ひとしくできる限り幸せな生活が担保できるように、その障害の治療、軽減あるいは社会生活の適応、そうした諸条件の整備など、きめ細かな対策を必要とする方々に対して、それなりの努力を今日までも払ってきたつもりであります。ことに、ことしが国際児童年であり、そして二年後の国際障害者年を目前に控えて、私どもは心身障害児者対策というものの一層の拡充強化を図っていかなければならない立場にございます。そうした中で、それぞれの地域における実態というものも、またそれはそれなりにあろうかと存じます。関係各都道府県と十分協議をしながら、できるだけ細かい努力を積み重ねていきたいと思います。

宮井泰良公明党・国民会議

○宮井分科員 それでは、大臣のただいまの御答弁に期待をいたしまして、強く要望をいたしておきます。  次に、私は、これに関連しまして一点だけお伺いいたすわけでございます。  ただいま心身障害者の在宅の問題などもるるお伺いしたわけですが、その問題の中で特に歯科医療の問題があるわけでございます。心身障害者の歯科医療お断りというようなことがいま大変なことになっております。これは一般歯科が多く、障害児にとりましても悩みの種でございます。もちろんなかなかむずかしい。治療に当たって、どこが痛いのかよくわからないとか、医療器具にしましても特別なものを設けなくてはいけないとか、いろいろ大変なこともあるわけでございますが、何とかこれを解決の方向へ持っていっていただきたいと思っております。そこで、現時点の状況と今後の対処の仕方につきましてお伺いいたしたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 心身障害児者の歯科医療の問題は、昭和四十年代の後半からクローズアップされてまいりました。したがって、医務局といたしましては、昭和五十年度から休日等歯科診療所といった施設の県や市の設置に補助金を出しまして、心身障害児者の歯科診療をモデル的に実施する政策を進めておりまして、本年度ですでに三十五カ所、御審議をいただいております五十四年度の予算案では四十一カ所にふえるわけでございますが、こういった公的な施設を整備して、心身障害児者の歯科診療の確保に努めております。また、約三十ぐらいの県歯科医師会とか市歯科医師会の口腔保健センターがございまして、そういうところにおきましてもできるだけ心身障害児者の歯科医療のサービスに努めていただいているところでございます。私どもは、現在の公的診療所の設置はモデル的に行っているものでございますけれども、その成果を見きわめた上で、さらにそういった公的なものの増設を図るか、あるいは歯科医師会の今後の強力な応援をさらに求めるか、そういった検討をこれからいたしたいと考えております。

宮井泰良公明党・国民会議

○宮井分科員 大臣から一言、簡単で結構ですからお答えいただきたいと思います。いまるる対策のお話ございまして、それをひとつ進めていただきたい、こういうふうに思いますが、先ほどからも申し上げましたように、診療拒否といいますか、こういうようなことは医師法にも触れるのではないか、こういうようなことも考えております。この件についての詳しいことはまた別の機会で取り上げていきたいと思いますが、今後の適切な処置をさらに進めていただきたいということで、一言大臣からお願いいたします。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 いま医務局長からお答えを申し上げましたような方針で私ども進んでまいりますが、一般的に診療拒否自体が望ましいものでないことは当然であります。  ただ、私どもあちらこちらで現実に拝見をしておりまして、一つの例、たとえば沖繩県の歯科医師会を例にとりますと、沖繩県の歯科医師会の中に、重症心身障害児者用の歯科治療の準備を最初からしておきまして、日取りを決めて会員が交代でその診療に当たっている。そうすると、時間が長くかかりましても、他の患者にも迷惑をかけない、また安心して治療を受けられるというようなことで、それこそ非常に関係者も喜ばれ、また歯科医師の方々も一般の診療に影響を与えないで重症心身障害児者の歯科治療に専念できる、そうした場があるということで、非常にうまくいっているようなケースもございます。  ですから、私どもは、いま局長が申しましたように、国としてモデル的につくっていきながら、やはりできるだけ民間の力も活用して実効のある方法をとっていくように今後も努力したいと思います。

宮井泰良公明党・国民会議

○宮井分科員 それでは、今後を強く要望いたしまして、次に、第三次救急医療センターにつきましてお伺いいたしたいと思います。  救命救急センターは、重篤救急患者の救命医療を行うためのきわめて高度な診療機能を有するわけでございまして、これは必要欠くべからざるものである、このように考えております。  千葉県におきましては、県内の救急患者のたらい回しが相次ぎまして、最近第三次救急センターが設置されたそうでございます。全国を見ましても、五十二年度末で十七カ所、そのうち国立が三カ所という、数値的にも私は非常に少ないんじゃないか、このように思うわけでございますが、患者の命を守る上におきまして、今後の国の積極策が望まれるわけでございますが、救急センターに関する国の基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 まず、第一次の救急医療を担当いたします休日夜間急患センターは、人口五万以上の市に一カ所以上ずつ設置していただくことにしておりますし、また地区医師会の在宅当番医制をしいていただくというふうにいたしております。  また、第二次の、入院を要する救急医療の体制といたしましては、各地区の病院が輪番制で、交代制で担当する。また、そのようなすぐれた病院がない場合には、各病院が診療科目を、この病院は内科、この病院は外科というふうに協定いたしまして、第二次医療を担当するというような施策を進めております。  特に、御指摘のございました第三次救急救命センターにつきましては、現在の計画では七十八カ所の第三次救命センターを整備しようとしているわけでございまして、小さな県では一つでございますけれども、おおむね人口百五十万に一カ所ぐらいずつは整備をいたしたいと考えております。また、その中で国立病院は、現在の計画では八カ所、第三次救急救命センターになることになっておりまして、すでに五カ所の整備を終わっておりまして、五十四年度の予算案ではさらに三カ所、厚生省の国立病院が第三次センターを担当することになっております。  なお、このほか、文部省の政策といたしまして、国公立の医科大学に第三次センターを設けるというような政策も厚生省と歩調を合わせて進められておりまして、明年度の予算案でも文部省は三カ所の設置を計上いたしております。

宮井泰良公明党・国民会議

○宮井分科員 そこで、国の方の全体のお話を伺ったのですが、たとえば山口県におきましては、国立岩国病院でございますが、山口県の東部、広島県西部地方の唯一の総合病院でございまして、入院ベッド数が五百四十九、外来四百三十五人、職員三百十五人の比較的大きな病院でございます。五十二年と五十一年を比較しますと、第三次救急に関係のあった疾患といたしまして、脳血管障害、これは五十一年度には四十二件でございましたが、五十二年には百十九件に増加いたしております。また、急性心筋梗塞、これが五十一年が八件でございましたのが五十二年には三十五件、急性腹症というのは五十一年に六十三件でございましたのが、五十二年には百十六件、こういうふうに増加いたしておるわけでございます。国の方針といたしまして人口その他いろいろな比率からやられるわけでございますが、この国立岩国病院に対しまして救急センター設置を要望いたすわけでございますけれども、これについてのお答えをいただきたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 国立岩国病院につきましては、五十二年度に先ほど御説明いたしました第二次救急センターの機能を持たせるよう建物、設備、人員の整備をしたところでございます。御要望は、できるだけ早く第三次の救急センターにしてもらいたいというお話でございますけれども、現在の計画では、厚生省立の国立病院は各ブロックに一カ所ずつ第三次センターを担当するということになっておりまして、中国ブロックでは本年度、五十三年度に広島の国立呉病院を第三次センターとして整備をいたしましたので、現在の計画が終わりました次の第二次計画の段階でさらに岩国の周辺の地域の実情その他をよく調べまして、必要があれば第三次センターに格上げすることを検討いたしたいと考えております。

宮井泰良公明党・国民会議

○宮井分科員 最後に大臣に一言お伺いしますが、いまいろいろ中国ブロック等の計画もございましてなかなか一挙にはいかないと思いますが、先ほども申しましたような疾患の急激な増加というようなこともございまして、格段のこれらに対する対策をお願いしたい、このように思うのですが、一言お答えをいただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 先ほど局長からも答弁申し上げましたように、私ども少なくとも各都道府県に最低一カ所は救命救急センターを設けたいという将来構想を持っております。それだけにまた、国立病院を対象とした御要望につきましては、いま局長からお答えを申し上げましたとおりでありますが、そうしたことをも含めて今後とも努力をしてまいりたい、そのように考えております。

宮井泰良公明党・国民会議

○宮井分科員 それでは、最後に一問だけお尋ねして終わりたいと思います。  厚生省が今国会で医薬品副作用被害救済基金法案ですか、この成立を目指しておるわけでございますが、薬害被害は製薬会社の利潤第一主義と国の無責任な薬務行政が生んだものである、このように考えております。法案要綱によりますと、一つとして、既発生の薬害被害者が対象外として切り捨てられているという点、また二番目には、無過失賠償責任の考え方が明記されていないという点、それから三つ目には、運用面で薬害被害の認定をどこまで公平に行えるか、この点が不明確である。この制度そのものにおきますこういった問題点をどうお考えになっているか、このことをお尋ねしまして、終わりたいと思います。

中野徹雄厚生省薬務局長

○中野政府委員 第一点の既発の健康被害に対する救済問題でありますが、政府が今国会に御提出申し上げますところの法案の中身は、広く薬業界全般の拠出を求めまして救済の基金を設立するという、一種の保険に類似した構想でございます。この種の制度の前例といたしましては、やや性格を異にいたしますけれども、一九七六年の西ドイツの薬事法改正によりまして施行されましたやはり一種の救済制度がございますが、これも保険方式を採用しておるわけでございまして、その保険方式であるということからいたしまして、これを既発の薬害に適用するということはもちろん制度上無理がございます。すなわち、保険方式である以上は、法律施行時点以降の将来の事故に対処するという、おのずから制度上の制約があるわけでございます。したがいまして、既発の薬害等につきましては、先生御承知のように、サリドマイドあるいはスモンのケースにおきますように、これは当事者同士の和解ということで迅速な救済を図ってまいりたい、かように考えております。  第二点の無過失責任論でございますが、無過失責任という問題は民法の大原則に対する重大な修正を含むものでございまして、これについては、単に医薬品のみならずいわゆる一般的な製造物責任論との関係において慎重な検討を必要とするものと考えております。したがいまして、このような無過失責任論導入については、現在の情勢として機は熟していないというふうに考えておるわけでございまして、当面被害者救済を急ぐという観点から、今回の法案を提出いたしたところでございます。  第三の医薬品の被害であるかどうかといういわゆる因果関係の認定、その他その症度と申しますか障害の程度の認定等につきましては、医学、薬学の専門家の判定を待ちまして行う必要があるところから、これは救済に当たります基金から厚生大臣に判定を申し出まして、厚生大臣がこれをその専門家に諮り、その上で厚生大臣の責任において判定を行うということによって公正を期してまいりたい、かように考えておるところでございます。

宮井泰良公明党・国民会議

○宮井分科員 それでは時間が来ましたので。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢主査代理 これにて宮井泰良君の質疑は終了いたしました。  次に、馬場昇君。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 私は、筋拘縮症の対策について質問をいたします。  大臣、熊本県の天草郡というところに五和町というのがあるのですね。ここは一万三千人くらいの町で、半農半漁の町ですけれども、児童生徒が筋拘縮症の集団発生を実はやったのです。ここの五和町に手野小学校というのがありますけれども、百六十七人の生徒がおるのです。去年の九月から十一月にかけて熊大で検診しましたところが、五十一名が二次検診の必要があるという疑いを持たれました。全校児童生徒の三〇%くらいです。十二月に、その町で熊大が集団発生したと調査した以外の五つの小、中学校で千六百九十九名を検診しましたところが、三百二十六名、二〇%が二次検診の必要がある、こういう診断が出たものですから、町は大変な状況になりまして、そこでことしの二月一日に町や県が熊本大学に依頼して一斉検診をやったのですが、三歳から中学生まで二千八百十六人全部をやりましたところが、大腿四頭筋拘縮症、三角筋その他合併症を含めまして、一割に及びますところの二百十五人が患者と認定されたわけです。大変な状態になっておるわけですけれども、多くは時間がありませんから、この人数の問題の確認を含めまして、厚生省にこの問題はどう報告してきておるのかということをまず聞いておきたい。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 熊本県からの報告によりますと、児童生徒の健康診断で、二千八百十六人中二百十五人の筋拘縮症患者が発見されたと報告されております。先生のただいまのお話と全く同じでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 地元ではまず、本当に原因は何だろう、治療方法はどうすればいいのか、さらにそういう中から、県とか国の対策が非常に鈍いじゃないか、こういうようないろいろな不安とか動揺とか、さらには怒りに似たものもありまして、いま平和な島が本当にこういう声で渦巻いているのです。  そこで、個々の部分についてはちょっと後で質問いたしますけれども、これは小さい天草という島ですから、一つの小さい町ですから、そのほかの地域の人も不安、動揺しているわけですけれども、国や県の力といいますか指導で、この天草全域の一斉検診というものをやる必要があるのじゃないかと思うのです。これは、児童を対象にしますのは文部省かもしれませんが、文部省と厚生省と力を合わせて指導して天草島全体の一斉検診というのをやる必要があろうと私は思うのですが、これについて文部省と厚生省から御見解をお聞きしたい。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 筋拘縮症児の把握につきましては、私どもは、乳幼児の健康診査、三歳児の健康診査などあらゆる機会をとらえて患者の発見に努めるようにいたしておるわけでございます。  熊本の五和町の問題につきましては、県の方で、熊本大学の協力を得まして五和町についての一斉検診を行ったわけでございます。その結果について内容の検討を県としても急いでおります。その結果、さらに先生御指摘のように天草郡全体について検診をする必要があるかどうか、また、特に学童が中心になってまいりますので、その点は県の教育委員会とも御相談をしながら検討していきたい、私どもの方はかように県当局から承っております。

島田治文部省体育局学校保健課長

○島田(治)説明員 私どもも、数字につきましては先ほど先生御指摘のとおりの報告をもらっております。  現在、五和町について検診を全部行っておる、なお、県の厚生部局とも御協力願って本渡市についても、隣の市でございますが、検診を行っておるというようなことも聞いております。この結果はまだ聞いておりません。そういうことで、県における検診の結果の状況というのをよく把握した上で、県当局の厚生部局の御判断もあると思います、一緒に検討してまいりたいと思います。いまのところちょっと全域に広げてやるべきかどうか、これは厚生省からお答えになったことと同じでございます、保留させていただきたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 さっきちょっと言ったのですけれども、県とか国の対策が鈍い、対応がおくれているという心配も地元に非常にあるわけです。いまのお話を聞いておりますと、県でいろいろなことを考えれば、その後厚生省とか文部省はそれに乗ればいいのだというようなことに聞こえてしようがない。大臣、行政というのは手続がいろいろあろうと思いますけれども、これだけ心配してこれだけ来ていると言うなら、あなたの方からでも県に声をかけて、やったらどうかとかあるいはどうなんだと、報告を待ってという何か殿様みたいにしてやるのじゃなしに、積極的に乗り出すという姿勢にならないですか。厚生省、どうですか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 児童家庭局長なりあるいは文部省の方の担当課長さんの言葉があるいはちょっと足りなかったかもしれませんけれども、これは大変失礼でありますが、これは天草郡だけではなくて、私どもとすれば、やはり全国同じ問題を抱えているわけであります。それだけに国として実施をしております一歳半児の健康診断また三歳児の健康診断といった時期をとらえて、これは毎年必ず行っておるものでありますから、その中において患者の発見にまず第一に全力を挙げる。また同時に、今度は学校に進まれている子供さんに対しては、学童の健康診断の際にこれを発見していく努力をしていただくということが、実は全国的に問題をとらえるのに一番ふさわしいやり方ではないかということを私どもは考えております。  実は、昨日のこの分科会におきましても他の県からも同じようなお話が出まして、私どもとしては同じようなお答えを実は申し上げてきたところでありますが、その中で、確かに多発地域について、少なくとも多くの症例の報告のある地域について、これは県当局とも十分連携をとりながら今後の対応を考えていかなければならぬとは私ももちろん思います。そして、そういう意味での、しかし県は県としてのお考えもありましょうから、またそういう点での連携はこれからも十分に図ってまいりたいと考えておりますが、いま具体的にその天草地区全体について特別な調査をする意思があるかと言われますと、現在の時点ではそこまでまだ全体に対応が進んでおらないということを申し上げざるを得ないと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 どうも若い元気な大臣としては少し消極的ですけれども、乳幼児健診とか三歳児健診というのはどこもやっているわけですね。どこでも火事が出ないようにということで消防をやっている。しかし、火事が出たときにはやるわけですね。集団発生という異常な状態なんですよ。そういうときに、やはりいま国会でも議論しているわけですから、あなたの方から県の方に、こういう議論があったし積極的に取り組むべきじゃないかということを連絡していただきたい、これを一言だけお願いしておきたいのですが。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ですから、県の方と連携をとりながらと申し上げているのには、そういう気持ちを私も含めたつもりなんです。ですから、そこのところは言い直して、県当局とも十分連絡をとり協議を進めていくという考え方は、間違いなく申し上げておきたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 そこで、全体にそうやっていただきたいのですが、ここで地元の住民が一番困っているのは、不安です。当面の不安がございまして、こういうことについて厚生省の意見を聞きたいのです。  たとえば、熊本大学の先生が診断をしたわけです。それから今度は民間のお医者さん方が、民間の公的病院もおりますけれども、自主検診団というのをつくりまして、五十五名くらいのスタッフで現地へ行った。ところが、熊本大学の医学部の診断と自主検診団の診断が食い違うのです。八十名ぐらいは実は食い違っている。これは患者だと言う、片一方は患者でないと言う。片一方が患者でないと言ったら、いやこれは患者だというように、八十名くらい食い違っているのですけれども、これは五十一年五月に最終的には大腿四頭筋等拘縮症の検診についてというものが出、また診断基準等も厚生省から文部省、文部省から教育委員会なんかへ行って、診断基準なんかもあるわけですけれども、そんなに食い違っておるのです。そこで、どう食い違ったかということなんかはここで議論しようとは思いませんけれども、その食い違いが一番地元には不安を与えているのです。  そこで、この食い違いということは県もどうにもできないのですから、厚生省が乗り出して、こういう食い違いでいま不安動揺しているのだから、何か不安解消というようなことを、赤勝て白勝てじゃなしに、どっちがいい悪いじゃなしに、不安解消するような努力に厚生省が乗り出していただけないだろうか、これは本当に綱にも頼るような気持ちで地元は考えているのですけれども、これはいかがでございますか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 いまちょっと、とっさの御質問で、医務局長に確かめてみますと、ちょうどその要観察のあたりの境界線の部分の患者さんの診断について、確かに食い違いがあるようです。そういう点についてもっとはっきり診断基準を進めていくなり、あるいはその他の対応策というものは厚生省として当然考えていかなければならぬことだろうと思います。  また、実態につきましては、県を通じて私どもその状況を聞きたいと思いますし、どういうところで食い違っておるか、これは私は医学の専門家ではありませんからよくわかりません。これはむしろ医務局長にお願いをしなければならぬことでありますが、できるだけそういう不安を取り除く努力をしたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 もう一つ、それと同じようなことがあるのですけれども、たとえば治療の方法ですよ。治療の方法に具体的例があるのですけれども、十三歳になる児童が三角筋の拘縮症で熊大で手術を受けている。ところが、その人を今度は自主検診団の人が診たら、これは手術しなかった方がいいのじゃないかとか、そしてまた、この手術は骨の成長がとまってからやるもので、こんな子供のときにやっちゃったらまた再発する可能性があるのじゃないかとか、そういうことで、手術したことに対して意見の食い違いがある。  それから今度は、それを聞くと、子供が熊大に手術に行こうという予定を立てている人がもう一人おる。この人がどうすればいいのかということで、もうそこで迷っているわけですね。  さらに今度は、装具をつけているのですね。ところが、これについて、こんな装具なんか日本じゅうどこもつけていないのに、何でここばかりつけているのかという診断があるし、筋肉の発達に悪いからそういう装具をつけない方がいいのだ、こういう治療方法に一つ食い違いがある。  そうなってくると、診断に食い違った、治療方法に食い違った、こういうような実態で地元はどうすればいいのか、そうして政治的に、いやこっちの方に従おうと町や議会で決めたって、それはどうにもならぬことでございますので、そこは何かこっちの方に従うべきじゃないかということを、これはうわさですけれども、町で決めた、そんなことはばかげたことだと思うのですけれども。  そこで問題は、やはりそういうときに、厚生省に研究班も実はあるわけですから、大臣じゃなくても結構ですが、やはり現地に研究班の人を派遣して、そうしてそういう話を聞いて、できれば厚生省の方で、不安解消まで研究班の人を常駐させるくらいにして乗り出すべきじゃないか、こういう点について御見解を聞いておきたい。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 三月の十一日ですかに小児科学会がある、そこに向けてそれぞれの研究者の方方、実際の診断に当たられた方々がデータを集積され、そこで発表をされ、調整をされるというふうにいま聞きました。ですから、そういう状態の中であるいは現地では御不安があろうかと思います。関係県の方から専門家の派遣の御要請があれば、私どもは喜んで幾らでも御協力をいたします。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 学会は学会でやると思いますけれども、そういう住民がどっちかと悩んでいるときに、厚生省に研究班というのがあるのだから、直ちにそこへ行って、それで片づくかどうか知りませんが、よく来てくれた、そうしてそこでいろいろ話をして、そこで気分もおさまるということもあるのですから、いま大臣もそういうことに取り組むとおっしゃったのですから、私の気持ちとしては、ある程度長期間、研究班のスタッフのだれかれでもいいですから一部分をやって、常駐するくらいの気持ちで、ぜひそういう不安解消に取り組んでいただきたい。よろしゅうございますか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ですから、関係県からの御要請があれば、これは天草のみにかかわりません。関係県からの御要請があれば、専門家の派遣には喜んで協力をいたします。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 そこで、全国の患者はどのくらいかということを、まず数字を聞いてから、次の質問に入ります。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 全国の総数として一律に整理した段階で申しますと、一番新しい数字では、大腿四頭筋の拘縮症の患者が四千百十九名、三角筋拘縮症の患者が四百七十八名、啓筋拘縮症の患者が三十四名、計四千六百三十一名というのが一番新しい、全国一律に整理をした段階の数字でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 これはどうやって集められたのか。三歳児とか学校や教育委員会からの報告だとか、そういう健診は熊本のこの町も皆やっているのですよ。ところが、それにあらわれなかったのが集中検診で出てきたわけでございますが、何か私が聞いたところによりますと、本当にきめ細かい一斉検診でも全国でやると、恐らく十数万人くらいおるのじゃなかろうかということも実は聞いておるのです。だから、こういう点、きめ細かくやられたのか 一斉検診をやられたのですかこれは。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 ただいま申し上げました数字は、要するに各県がそれぞれ検診時期が異なっておりますので、昭和五十二年の十一月末という時点で全県が数字がそろっておりますので申し上げたわけでございます。したがって、各県はそれぞれの事情にもよりますけれども、また五和町の場合のケースでも、先生おわかりのように、検診の期間というのが相当長期にわたるわけであります。したがいまして、各都道府県ごとに、これを一斉にというのはなかなか困難でございます。そういう意味で、先ほどから申し上げておりますように、一歳半、三歳、それから就学前の健康診断、それから一般的にこういう多発地帯のおそれのあるところは、五和町のように独自に県としてそのための一斉検診を行うというような形で、患者の発見に努めておるわけでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 後でもう少し積極的に検診に取り組んでいただきたいということは申し上げたいのですが、そこで次に、地域で一番心配していますのはその原因でございます。何でこんな病気になるのだろうかということの心配でございますが、時間がございませんので端的にお答えいただきたいのですけれども、厚生省の研究班では、筋拘縮症と筋肉注射はかなり密接な関係にある、こういうことを五十二年に発表されておると聞いているのですが、これが厚生省の結論でございますかということ。  時間がありませんから、それをお答えいただきたいことと、それからもう一つ、日本小児科学会が五十一年五月に注射による筋拘縮症に関する声明を発表して、注射による筋拘縮症を公式に認めて乱注射の危険性を警告したということを聞いているのですが、小児科学会というのは、これはもう注射が原因だ、こういうぐあいに結論を出しておるのかどうかということ。  それから三番目に、日本医師会はこれに対してどういうような態度をとっておるのか。  この三点について、時間がございませんので端的にお答えいただきたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 まず、筋拘縮症の原因といたしましては、大きく分けると、ほんのわずかでございますが、生まれつきの先天性のものがございます。それから、多くのものは後天性のものでございますが、それもわずかなものは、けがをしたために起こったというような外傷性のものがございます。しかし、いま問題になっているのは、注射との関係の深いものでございます。  厚生省の研究班の現在の中間報告でございますが、やはり筋肉注射に関係が深いということは認めております。ただ、その際に、いろいろ薬の種類との関係とか、あるいは注射の回数との関係、またこの際も患者さんの体質といったようなことが問題になるわけでございまして、そういったところを現在も引き続き検討中でございます。  次に、五十一年の小児科学会の御意見でございますけれども、全く小児科学会がおっしゃるとおりでございまして、できることならば筋肉注射はしない方がいいわけでございます。ところが、新生児、幼児の命を守るためにどうしてもしなければならないことがあるわけでございます。これをしなければ死んでしまうということがあるわけでございます。そこで、そういったことは第一線の主治医が……(馬場(昇)分科員「原因だけを聞いているのです」と呼ぶ)原因だけでございますね。原因については、注射が原因として大きな要素を占めているだろうというのは、現在の通説でであると思います。  また、日本医師会におきましても、やはり注射が多くの拘縮症の原因になっているだろうというようなことは考えておりますけれども、先ほど申し上げましたように、薬の質だとか回数だとか、そういうふうな点についてはまだはっきりした結論は出ておりません。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 小児科学会は注射が原因と言っているわけですけれども、厚生省の方では、先天性もある、けがもある、しかし注射の原因もある、それは質とか回数とかあると言われましたが、大体先天性の筋拘縮症というのは何%ぐらい、あるいは後天性というのは何%ぐらいと、どういうぐあいに考えておられるのか、後でちょっとおっしゃっていただきたいと思うのです。  そこで、実は地元でこういうことが起きているのです。五和町で熊本大学が検診をするわけですけれども、検診する人たちが、原因究明に私たちはノータッチですということを言って、原因は何だかわかりません、ただ患者の発見だけです、こういうことをやっておられるので、これはおかしいと私は思うのです。自主検診団の人は、これは注射が原因ですよということを言って、患者を診ておられるわけです。そうすると、片一方の方は、原因はわかりませんよ、調べもしません。片一方の方は、注射が原因ですよと言っている。こういうことが地元の混乱を来す原因になっているのですが、また一般的にお医者さんに遠慮をされて注射が原因ということを言えないような状況、これに対しては日本医師会というのがどちらかというと注射とは認めないというような態度をとり、そして資料なんかも提供に非協力的であるということも聞いているのですけれども、そういう圧力があって原因究明にタッチしないとかなんとか言うのじゃなかろうかと思うのですけれども、こういう点、やっぱり熊本大学とか、これは公的な学校ですから、原因究明というものにノータッチとはおかしいのじゃないかと私は思うのですけれども、これはどうですか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 私どもは原因をできるだけ早くはっきりしなければならないと考えて、医務局で研究班を編成して研究を続けているところでございます。  なお、現時点においては、裁判が行われておりますので、余りいろいろなことを申すのは望ましいことではないという立場から、地元の熊本大学等におかれましても慎重な発言をしていらっしゃるのではないかと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 これは文部省なんですが、厚生省の研究班でも注射は認めているわけですから、少なくとも厚生省の研究班が認めている、国のあれが認めている、そういうことはやっぱりしゃべってやらなければいけないのじゃないかと思う。それさえしゃべらないということはおかしいと思う。こういう態度はやっぱり変えさせるべきだ、かえって混乱を招いているのですから。それについては後で文部省からも答えてもらいたいと思う。  そこで、大臣にお聞きしたいのですが、私は、水俣は地元だものですから、この三十年来あそこの水俣病に取り組んでいるのですけれども、水俣病がこんなに広く深く世界の公害の原点になったのは、最初のときに原因究明を怠った——怠ったのじゃなしに原因を隠したのです。それが今日のような状態になり、歴代の環境庁長官も、最初あのときにやっておけば本当に百人で済んだかもしれぬ、二百人で済んだかもしれぬ、それがこんなにも底知れず幅広くなってしまったというのは、行政の責任があるということを全部認めておるのです。そういうことからいって、たとえばこの筋拘縮症の問題につきましても、二十一年に症例報告があったということを私は聞いております。それからずっと今日まで一生懸命やっておけば、もうこういう病気は起こらなかったかもしれぬ、今日の天草の状態はなかったかもしれぬ、こういうことを考えまして、私はやっぱりこれは厚生省と製薬会社と医師と、こういうものがっくり出した医療行政による疾患だ、こういうふうに言ってもいいのじゃないかというぐらいに、実は私は水俣病をやった経験から考えるのです。そういう点につきまして、もしそれだったとすれば、やっぱり行政も加害者の一人になるということにもなるわけでございますし、ぜひそういうことの反省の上に立って、この原因究明には何物も恐れず本当に積極的に取り組んで、こういう病気が起こらないように根絶をしていただきたいということで、大臣の決意のほどをお聞きしたいし、もしこれについて国の行政病だということになりますと、やっぱり補償もしなければならぬわけでございますから、事実を明らかにして、責任があれば責任をとる、そういうぐあいにこの問題に積極的に取り組んでいただきたいということに対する大臣の見解を聞いておきたいと思うのです。  もう一つは、もう時間がありませんので具体的な問題で、医療費の全額公費負担という要求が患者からあるのです。育成費なんかありますけれども、この上にたくさん出してくれというような要求がございます。この医療費の全額公費負担ということに大臣ひとつ前向きに取り組んでいただきたい、これが第二点です。  第三点に、これは文部省に聞きますけれども、やはり学校の便所なんかも困るわけです、かがめないから。そういう施設設備に対する助成とか、あるいは病気になりますと就職も差別があるのです。この就職の問題だとか、また体が悪いから体育とかその他の教育条件にも非常に差別があるのです。そういう意味で、施設設備を充実するとか、養護教諭をよけい配置するとか、この担当の教師を定員外でやるとか、こういうことについてぜひ格段の努力を払って文部省から啓蒙指導していただきたい、以上、質問したいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 責任の問題については、現在係争中の問題でありますから、これは私は発言を控えたいと思います。  ただ、いままでにも診断基準の作成とか実態の把握、治療方法等の発見等にも努めてきたわけでございますが、ことにこれからの場合、治療方法及び原因究明の研究等については最大限の努力を私どもはしていかなければならぬと考えております。その努力は今後ももちろん継続をいたします。現在私どもとしては、療育指定保健所においての療育相談、また育成医療等々の措置を講じておるところでありまして、今後とも努力をしてまいりますけれども、公費負担という考え方はいまの時点では持っておりません。

島田治文部省体育局学校保健課長

○島田(治)説明員 先生御指摘の点につきましては、たとえば便所の改修などもよその県でもやっている例もございますので、先生のいまの御趣旨を踏まえまして、施設設備の問題あるいは就職その他の問題にも県と一緒になって考えてまいりたいと思っております。  私どもこの件につきましては、実は昨年から県の保健課長が私のところへ何度も参っておりまして、先ほどの検診もとにかくきちっとした臨時の健康診断をやってくれと実は指導もしてきた気持ちもございます。これからも県の側も一緒に問題を煮詰めていきたい、教育サイドで研究会等もつくりたいと申しておりますので、一緒にやってまいりたいと存じます。

馬場昇日本社会党

○馬場(昇)分科員 時間が来ましたから……。  現地も非常に困難しておりますから、これに対する緊急対策と、そして原因究明等の抜本的対策、そして申し上げておきますけれども、水俣病のような悲劇にならぬような行政の積極的な対応をぜひお願いしておきたいと思います。  これで私の質問を終わります。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢主査代理 これにて馬場昇君の質疑は終了いたしました。  次に、坂口力君。

坂口力公明党・国民会議

○坂口分科員 久々に厚生省関係の委員会で発言させていただく機会を与えられましたので、基本的な問題で一、二お聞きをさせていただきたいと思ます。  まず最初の問題は、現在開業医の中で問題になっておりますところの必要経費もしくは必要経費率についてでございます。  いわゆる医師税制の問題と絡みまして、最近特にこの必要経費率なるものが大きな問題になっているわけでございます。現在問題になっておりますのは、平均必要経費率が大体どれだけかということが大きな問題になっているわけでありまして、これが租税特別措置法の中で七二%というふうに決められておりますのが、実際には五二%でなかろうかとかあるいは六二%でなかろうかとか、そういったことが現在言われているわけであります。私は、この平均必要経費率なるものの考え方のほかに、もう一つ標準必要経費率あるいは標準必要経費というものの考え方をきちっとしておかなければ医療の荒廃を起こす可能性がある、こう考えている一人でございます。  昨日も大蔵委員会で実は取り上げたわけでございますけれども、現在の平均必要経費率の考え方でまいりますと、たとえば平均必要経費率が五二%であったと仮定をいたします。そういたしますと、医療機関はそれに決まりますと、それ以下で必要経費率をあげるように努める結果になりはしないか。そういたしますと、その後は、調べてみると、今度は平均必要経費率は四八%になっていたということも起こり得るわけでありまして、さらにまた、その税制の線を下げると今度はまたそれを下回っていくという可能性もあるわけでございまして、他の企業と異なり、医療の場合には、経済効果が上がればいいというわけにはまいりません。医療効果が上がらなければならないわけでございますので、必要経費が少なくて済めば済むほどよいというわけにはいかないわけでございます。  したがいまして、たとえば六二%の標準必要経費が要るというあらあらの線が出るということになりますれば、もしもそれ以下の必要経費でおやりいただいている医療機関については、もう少し必要経費を上げてもらうようなやはり何らかの施策が必要ではないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。もしそうなれば、雇用創出にも非常に役立つことでもございますしいたしますので、いままでの平均必要経費という物の考え方だけでなくて、標準必要経費という物の考え方がここに導入されてこなければ、税の公平とそして医療の水準の維持増進というものは両立し得ない、こういうふうに私は考えているわけでございます。この考え方に対してもし御意見がございましたら、まず最初に承っておきたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 まことに示唆に富んだ貴重な御意見だと考えております。ただ、日本の場合には、病院、医院の形態が非常に複雑でございまして、大きいものから小さいものまで、従業員の多いものから少ないものまで、機器の装備も重装備のものから軽装備のものまでございます。そういう意味で、外国よりも日本の場合の方が標準的な指標をつくるのがむずかしいのではなかろうかと思うのでございます。一応のメルクマールにはなりますけれども、どうもどれにもぴたりと適合しないということになるおそれがございます。  またもう一つ、技術的な問題でございますが、そのようなメルクマールをつくる場合には、どうしてもある程度日本の病院、医院の経営の実態というものがよくわかっていないとできないわけでございますが、まことに残念ながら、二十七年の医療経営実態調査以後調査も行われておりませんで、そのような指標をつくる基礎資料も事欠くというような状況になっております。

坂口力公明党・国民会議

○坂口分科員 御指摘の点は私もよくわかるわけでございます。経営形態が非常に多様でございますし、またその各科によります違いもずいぶんございますので、その標準必要経費というものがなかなか出しにくいことはよくわかりますけれども、それでもなおかつ、適正な医療とは何かということを考える前段階といたしましても、やはり適正なあるいは標準の必要経費というものがどうあるべきかということは、常に求めなければならない問題の一つではないかと思うわけでございます。それをたとえば五〇%とか六〇%とかあるいは七〇%という一つのまとまった数字で示すということが非常に困難なことは私もよくわかりますが、しかしそれにいたしましても、それを求める努力というものを怠ってはならない、また物の考え方の中にそのことを放棄してはならないと考えるわけでございます。これは税制面の方から言いますれば、税制の公平はどうしても貫かなければならない問題でございますが、あわせて医療の荒廃は来してはならないわけでございます。  一例を挙げますと、昨日もこれは大蔵委員会で述べたことでございますけれども、たとえば先ほども注射の話が出ておりましたが、それに使います注射器やあるいは注射針にいたしましても、昔は、一度使いましてもその翌日消毒をいたしましてまた使う、そして針が切れなくなったらかえる、こういうことをやっていたわけでございますけれども、血清肝炎等も非常に多発しております昨今でございますので、いわゆる使い捨てというものをやっておりまして、一遍限りにするというのが通例になっておるわけでございます。必要経費をかけずに済ますということを中心に考えれば、毎日洗って翌日また使うということの方が必要経費はかからないわけでございます。しかし、それでは医療内容を低下せしめるということになりますから、余り必要経費を下げさすことのみに力を入れるということは、かえって逆効果になるわけでございます。  そういった意味で、たとえば内科なら内科で、大体一日平均の患者数が五十三人ぐらいと聞いておりますけれども、内科なら内科で五十人なら五十人の外来患者がある、そういったモデルケースならばモデルケースのもとに、大体これぐらいの看護婦さんが必要じゃなかろうか、あるいはまた機械設備は最低限これぐらい必要ではなかろうか、あるいはまた薬剤師というのは少なくともこれぐらいのものは必要ではなかろうか、非常にアバウトではございますけれども、あらあらの線、たとえばそれが一つにまとまった線でなくても、五五%から六五%ぐらいとかあるいは六五%から七五%ぐらいという非常に幅のある形でも私はいいと思うのですけれども、そういった一応の目標値みたいなものはやはり必要ではないか。そして、それから下回っておりますような医療機関に対しましては、ぜひそこまで上げていただくようにお願いをするということが、国民の医療から見れば、筋道ではないかというふうに思うわけでございます。  いまおっしゃいましたように、非常にむずかしいということにつきましては私もよく理解いたしております。税制の場合なんかは、そのむずかしい中を一つの数字にまとめたところにいろいろまた議論が出るところでありますだけに、むずかしさはわかりますけれども、なおかつその努力をしなければならないのではないか、こういうふうに私は考えますが、いかがですか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 先生の御意見のとおりでございまして、そういった努力は続けなければならないと考えております。  その点につきましては、日本医師会も七、八年前までは毎年調査をして、いろいろな検討をして、報告をしていたのでございますけれども、どうも最近は日本医師会もそういうことをやっておりません。むしろ各県の医師会がいろいろ調査をしている、あるいは日経メディカルが、これはマグロウヒルと提携しておりますけれども、いろいろ調査をして意見を発表しております。  ただ、先ほど申し上げましたように、基礎資料が欲しいわけでございますが、どうも調査をしたときの回答率が余りよろしくございません。また、こういうものができれば、こちらの専門家が行って、他人が調べて書き込むというような他計の形で調査をしたいわけでございまして、医院等の御自分の申告、自計という方法ではやはり正しい姿が出てまいりません。  そういうふうな意味で、医師会等の御協力も必要なわけでございますけれども、確かに先生おっしゃいましたように、そういうふうな努力はしなければならないし、できれば早くそういった何段階かのメルクマールといったものをつかみたいと私どもも考えております。

坂口力公明党・国民会議

○坂口分科員 いろいろの関係機関合意の上でそういった調査等ができ得ればこの上ないことでございますので、今後の検討課題にしていただければありがたい、こう思うわけでございますが、大臣、もしも何か御意見ございましたら、お聞かせをいただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 実はこれはちょっと医務局長の答弁申し上げたのと私は違った感じをいま受けております。というのは、確かに一つの考え方として私は興味がある考え方であることは否定をいたしません。ただ、仮にいまの御指摘のようなものをつくりました場合には、結果としては、逆に行政が医療の内容についての一つの尺度をつくってしまうという欠陥を生みはしないかという感じが実は私はいましてならないわけであります。  ただ、むしろ医療の専門家は坂口さんでありますし、私どもは医学の素養はありませんから、その専門家としての坂口さんからの御意見として私も非常に興味深く伺っておりました。医務局長も将来の検討課題として受けとめておるようでありますし、私どもも検討してみたい、そのように思います。ただ、率直に申して、私はいまちょっとそういう疑念を持っておるということも申し添えさせていただきたいと思います。

坂口力公明党・国民会議

○坂口分科員 私もその辺のところを考えないわけではないわけでありまして、そういう一つの基準なるものをつくると申しますときに、特に厚生省ならば厚生省が中心になってやるというようなことに話はなりがちでございますけれども、先ほど申しましたように、これに関係するいろいろの機関がございますけれども、そうした機関の中で主体的に合意が得られると申しますか、主体的に導き出される線というものが私はあるのではないかと思うわけでございます。これを厚生省だけでお決めをいただいて、それを行政指導のメルクマールにしていただいて、そしてそれ以下のところは徹底的に介入をしていただきたいということを申し上げているわけではなくて、日本の個人開業医制度を今後持続するということになりますれば、やはりそれにふさわしい形でのこの基準の決め方というものがあるというふうに私は考えているわけでございまして、管理監督の立場からぜひこうすべきだというような感じではなくて、もっと国民全般の合意の中でそういった問題の線というものは求められるべきものである、そうしてそれは、押しつけるべき筋合いのものではなくて、医療機関が自主的に解決していくべき筋合いの問題である、こう私は考えているわけでございますので、一言つけ加えておきたいと思います。  時間がなくなってまいりましたけれども、もう一つきょうはお聞きをしたいと思っているわけでございますが、それは法人の問題でございます。  これは恐らく社労委員会等でも何度か繰り返された議論であろうと思いますけれども、現在の医療法人のあり方につきましていろいろの意見が出てからもう久しいわけでございます。現在の個人開業医制度というものにつきまして、これはメリット、デメリットございますけれども、しかし日本に根づいております伝統として、私は現在の制度を今後改革を加えながらも認めていくべきだというふうに考えている一人でございますが、そういう個人開業医制度と医療の公共性という二つの立場から考えました場合に、そこにやはり法人化という問題につきましては、できるだけできやすい環境をつくることの方がベターではないかというふうに思っているわけでございます。そういった意味で、現在三人医師がいないと法人になれないとかいろいろの条件がございますけれども、この辺のところは、やはり今後早急に検討をしていただく一つの課題ではないかというふうに思うわけでございます。  時間がございませんから端的な質問をさせていただければ、三人なら三人の医師がおらなければならないという理由も、私の考えではそれほど確たるものはないような気もするわけでございますが、その辺につきましてまずお伺いをしたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 医療法人制度が創設されました当初の目的は、第一は、医療機関が資金をたくさん集めやすくしよう、それから第二に、医療機関の医療の継続性をできるだけ保障してあげよう、それから第三に、当時としてはやはり医療の公共性がございますから、税制の面で減免措置をできるだけ講じてあげよう、そういった考え方で始まったと思うのでございます。  そこで、特に第一のたくさんの資金を集めやすくしてあげよう、第二の医療の継続性を担保してあげようという点に立って考えますと、もともとかなり大きな病院あるいは大きな診療所ということになってくるわけでございます。そういう関係から、現在の医療法人の制度は、医師三人以上という制度になっておりまして、一人法人を認めていないのでございますけれども、この医師一人の医療法人の構想については、現在の国鉄の高木総裁が主税局長のときにそういう構想をお出しになったと聞いております。  ただ、医療法人を設置することについては、いい点もございますけれどもまた悪い点と申しますか、メリットもデメリットもあるわけでございます。現在のところでは、医師一人でも医療法人を設置できるようにしてもらいたいといった強い意見は、医師会関係からは余り出ていないのでございます。したがって、こういったものは実際に法人をつくるかどうかという現場の開業医の方々の御意見に従うべきではないかと思いまして、私どもとしては、慎重に医師会等の御意見、また動向を見守っているところでございます。

坂口力公明党・国民会議

○坂口分科員 一人法人の問題につきましては、いろいろそれぞれの機関からの御意見もあろうかと思います。しかし、各機関の意見は意見といたしまして、医療の本筋から考えましたときに、医療の公共性を重く見て考えましたときに、しかもまた現在の個人開業医制度なるものをある程度認めるという立場に立ちましたときに、そこに一つの接点として考えなければならない問題ではないかと思うわけでございます。医療を全部公的な機関にしてしまうという考え方に立てばこれは必要のないことでございます。しかし、現在の制度を認めていくという中で、公共性なるものを重視し、そして個人の経営とはいいながら、個人の所得と病院の経営をある程度きちっと縦分けをしていく、そういうけじめをつける意味からいたしましても、一つ望ましい方向ではないかと考えるわけでございます。  いまおっしゃいましたように、これに対する賛否いろいろございましょうし、またメリット、デメリットも制度でありますからもちろんつきまといますことは、私も理解のできることでございますけれども、しかしなおかつ、その中でこれも検討課題にすべき一つの問題ではないかと思うわけでございます。そういうことでございますけれども、大臣、何かございましたら、お伺いしてお終わりにしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 確かに御指摘のような議論が従来からもあるところでありますし、私どもとしても、一人法人を認めるについての問題点その他含めて十分検討をいたしたい、そのように思います。

坂口力公明党・国民会議

○坂口分科員 ありがとうございました。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢主査代理 これにて坂口力君の質疑は終了いたしました。  次に、松沢俊昭君。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)分科員 私は、国立療養所病院につきまして御質問を申し上げたいと思います。こういう分野は私、全くの素人でございますから、わかりやすくお答えをいただきたいと思います。  まず最初に、こういう療養所というのが医療行政の分野で受け持つところの分担、目的、そういうものはどんなものであるか、それが一つであります。  それから、療養所病院というのは全国で幾つかあると思いますけれども、それが現在果たしている役割はどんな状態になっているのか、その点最初に御質問をしたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 一般的に申しまして、療養所といった医療施設は、病院と違いまして長期入院医療を要する患者のサービスを提供する医療施設でございます。  長期の入院治療を必要とする患者はいろいろあるわけでございますが、現在の国立療養所の機能分担を簡単に申し上げますと、らいの十三療養所を除きまして、一般の療養所が百四十五施設ございます。  まず、結核を主たる対象としているものが百二十五カ所、精神疾患を対象としておりますものが十七カ所、脊髄損傷を対象としておりますものが二カ所、重症心身障害児者を対象としておりますものが八十カ所、進行性筋ジストロフィー症児者を対象としておりますものが二十六カ所、小児慢性疾患などのいわゆる難病を担当しておりますものが八十二カ所、最後に脳卒中等のリハビリテーションを中心とした施設が三十六カ所でございまして、最近は、特におしまいの方で申し上げましたような難病だとか脳卒中あるいはそのリハビリテーション、そういったところにだんだんとウエートが移りつつあります。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)分科員 療養所はいままでも第一次整備計画あるいは第二次整備計画で整備がなされてまいっているようでありますけれども、まだ相当の個所が未整備のままになっているということを承っておるわけでありますけれども、この未整備のものの整備は具体的にどんな計画でおやりになるのか、その点をお伺いしたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 百四十五の国立療養所のうち、本当に未整備と申しますのはおかげさまで十二カ所になってまいりました。そこで、あと一息でございますが、それらの病院の性格づけ、また近代化に当たりましては、まず現在その施設がどういう医療を担当しているかということから始まりまして、その施設のございます医療圏の医療需要がどうなっているか、また非常に大切なことでございますが、医師などの医療関係者の確保がどのように円滑に進められるか、そういったことを総合勘案いたしまして、それぞれの病院の性格づけ、機能づけを行って近代化を図ることにいたしております。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)分科員 全体的に全くの未整備というのが十二カ所。しかし、さっき御答弁の中で聞いたわけでありますけれども、これから難病とそれからリハビリですか、こういうものに相当ウエートをかけてやっていかなければならないというお話もございましたので、十二カ所が全くの未整備とはいうものの、いままでも整備をやってきたところにさらに追加をやっていかなければならないという場所も出てくるのではないか。  こんなぐあいに考えますと前途遼遠たるものがあるような気がいたしますが、それは計画的に年次計画とか、そういうものをお立てになってやっていかれるのかどうか、その点ちょっとお伺いいたします。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 すべての療養所についてではございませんでしたけれども、先ほども先生からお話がございました第一次、第二次の整備だとか、一般整備だとか、そういうふうなものがございましたように、大部分のものについては年次計画を持って計画的に進めてまいりました。  ただ、かつては国立療養所は国の施設であるということで、厚生省がほとんど独自に計画を作成したわけでございますが、ここ十年ぐらいは地域の実情も変わってまいりました。また、各県も地域医療計画に非常に力を入れるようになってまいりました。そういう関係で、最近では、むしろ県の医療計画の中でどういうふうに位置づけられるか、地元住民あるいは知事さん、市町村長さんが一体どういうふうな施設のあり方を希望していらっしゃるか、そういったことを非常に重視するようになってきたわけでございます。  したがって、かってでございますと、いまどんな患者が何人入っていて、利用状況がどうで、建物がどの程度の古さで、保安度がどうで、また一般的な医療圏の需要はどうでというような大ざっぱなものでございましたが、最近は各県の医療審議会とかといったものがいろいろと具体的に調査検討いたしまして、この病院はこういうふうにしてもらいたい、この療養所はこういうふうな性格づけでやってもらいたいという希望をどんどん出してまいっております。そのように県の意向を非常に尊重して年次計画をつくることにいたしております。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)分科員 私の地元にも療養所がございます。私は新潟県でございますけれども、新潟には三つあるわけなんです。去年一カ所整備の対象にしてもらったわけでありますけれども、あと二カ所がそのままの状態になっているわけであります。  そこで、地元の方では、たとえば村松の場合等におきましては、これはずっと前から整備をやってもらいたいという要望が地元の方にございまして、昭和四十九年十二月には、さっぱり進まないということで地元の町議会などが特別委員会というのを設置しまして、それからこの方毎年何回となしに厚生省に足を運んで陳情しておられるわけであります。しかし、そうは言うものの、厚生省の方に行けば病院の方の方針が明らかになっていないというような話になったり、あるいはまたいまお話がございましたように、県と調整をしてもらいたいというようなことで県の方に足を向けていく、そうするとまた県の方では病院と地元の方で御相談をしてもらいたいと言う。こういうことで、一体だれがイニシアをとって整備をやっていくのか見当がつかぬというところの状態に実はなっているわけなんです。  これは確かに、いまお話がございましたように、最近はいろいろな病気もたくさん出てきているわけでありますから、要するにその地域に即応するところの、それにふさわしいところの療養所を何とかしていきたいという厚生省のお考えのあることも私はわかりますけれども、しかし県に任せた、いや地元に任せた、いや病院に任せたというようなことであっては、地元の方でもどういうふうにしようもないということになるわけですから、やはりイニシアは厚生省がとっていってもらわないと、この整備というのはなかなか進まないのじゃないかという感じを持つわけなんでありますが、この辺はどうなんでしょうか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 確かに、厚生省の施設でございますから厚生省もイニシアチブはとらなければならないのでございますけれども、たとえば先ほど先生からお話がございました小千谷の療養所あたりは、県や地元から非常にりっぱな計画が出てまいりまして、それに合わせて整備を始めたわけでございます。また、最も進んでおりますのは広島県でございますけれども、県内の国立病院、療養所の性格づけ、あり方等が全部医療計画の中に入っているわけでございまして、できれば三全総の中にもはめ込んでしまいたいと知事が申しているわけでございます。やはりどうしてもまず地元の町村の熱意、それから知事の方針といったものが国の政策にも強く影響を与えるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、まだ十二残っているわけでございますから、熱心な方が強くなっていくわけでございます。  そういう意味で、いろいろと知事さんにもお願いし、地元の市町村長の方々にもお願いしていい計画をつくっていただくように協力をして、いま検討を進めているところでございます。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)分科員 いま熱心さというお話でございますが、熱心さというのは、どういうのが熱心なのかということですね。  今度は、この町では隣の町まで巻き込んで運動を進めておられるわけであります。厚生省の関東医務局ですか、ここにも何回も足を運ばれたということでありますし、さらにまた地元の国会の先生方に、各党を問わずとにかくお願いしたいということで、もう本当に町ぐるみの運動をやりましてから六、七年たつわけでしょう。そして今度は、一つの町だけでは足りないということで隣の町までも巻き込んで猛運動を地元の住民の皆さんはやっておられるわけなんですよ。だけれども、遅々として進まない。県へ行けば、いやそれは病院がどうだとか、あるいは厚生省へ来れば、要するに地元の熱意が足りないとか、こう言われても、町長さんもそれじゃ一体どうすればいいのですかということを私にも聞かれるわけなんでありますが、私もその点は一生懸命やっておられるんだったら何とかなるのじゃないですかということは言っておりますけれども、まださっぱりめどがつかぬ。こういうことなんですね。  この前厚生省の担当の方々にもお話を聞きましたところが、やはり病院長の意向というものが非常に重要なんだというお話でありますが、村松の場合におきましては、それじゃ病院長が態度をはっきりしないがゆえになかなか進まないということになるんでしょうか。  それからもう一つ、寺泊に療養所もございますが、ここも熱心におやりになっているわけなんでありますが、これは病院長はいないわけなんですね。そうすると、こういう場合においては病院長の意思によって方針が決まってくる、こうなりますと病院長のいないところはどうにもならない、こういうことになるのでしょうか。その点どうなるわけでしょうか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 やはり施設の整備といった場合には、まずそれを責任を持って管理してまいります病院長あるいは所長といったものがはっきり決まっておりませんと進めるわけにまいりません。寺泊のように院長が欠員というところは、そういう意味では非常に弱いわけでございます。だだ、私どもといたしましては、小千谷の方は手がついたわけでございますが、あと村松と寺泊と残っておりまして、御案内のような財政の状況でございますから、そう一気に二つも一緒にできるわけではございません。  そういう意味で、どちらの施設をどういうふうな方針で近代化していくか、その優先順位の問題もまずあるわけでございまして、そういうこともあわせて地元の方で、特に知事さんに慎重な御検討をお願いしているところでございます。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)分科員 村松の場合は、いま結核とリハビリをやっておられるようですね。それで、県ともいろいろお話をしましたところが、最近は結核を除いてリハビリと難病、こういう方針を決めて厚生省とこれから折衝をしていきたいというようなことを言っておられましたし、それから私が病院長にもただしましたところが、やはりその方針で進むと、こういうぐあいに方針が明らかになっているようでありますが、こういうふうな状態になれば、今度は厚生省の方で本格的にその気になってもらえばできるのじゃないか。県の方が熱意がないということではないと私は思います。  いまの県知事その人がお医者さんの出身でもありますものですから、医療行政の面につきましては特別詳しい方でありますから、そういう点で熱意がないということにはならぬと私は思うわけでありますが、こういう一つの結論めいたものがきちんと出てきたようでありますが、こうなればことしはその対象になるわけですか。どうですか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 基本構想としては、いま御紹介がございましたように、結核はだんだん少なくして、一般の、特に脳卒中とか難病とかという方針で私どもも進むべきではないかと考えております。  しかしながら、やはり地域のいろいろな実情というものも考えなければならないわけでございまして、たとえばこの村松のそばに養護学校ができたり、あるいは特別養護老人ホームができたり、老人ホームができたり、そういう関連するような施設がどんどんできますと非常にこちらもやりやすいわけでございますが、あのようなぽつんとしたところでそういった基本方針を直ちに実現できるかどうかといったことにはかなりの問題がございます。  と申しますのは、ほかの残った療養所の方で、回りがどんどんそういうふうな関連施設が整備されてまいりましたために、もうどうしても急いでやらなければならないというようなところが出てくるわけでございます。そうすると、どうしてもそちらの方の優先度が先になってまいりますので、やはり国立療養所自身のあり方の問題もございますが、地域のいろいろな情勢といったようなものも療養所の近代化のときには大きな影響を及ぼすと思っております。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)分科員 大変いい条件を提示されましたけれども、幸いなことにこの村松には、ことしから使用ができると思いますけれども、特別老人ホームの建設を去年からやっているわけなんでございます。そういう点からすると、いま局長が言われたように、もう条件はぴったりだということになるわけなんでありますが、大臣、こういう場合はどうでしょうかね。いま局長が御答弁をされましたのですが、ことしは何とかなるんじゃないかどうか、お伺いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 いまお話を伺っておりまして、どうもこのやりとりは松沢さんの判定勝ちのような感じがいたします。  ただ、冗談を抜きにしまして、いま聞いておりますと、一つは新潟県自体の総合的な医療配分の中においてこの村松病院というものをどう位置づけるかということがもうひとつ確定をしておらなかったという感じが私はいたします。そしていま一つは難病というものを志向され、一つは脳卒中の予後のリハビリを志向されるという方向づけを県の計画の中でもしてこられた。そして特別養護老人ホームを付近に設置をされる。こういう意味では整備に入る条件はそろいつつあるように思います。  また、医務局の方の療養所の整備計画の進捗状況、またその後の残る部分についての計画全部を承知しておりませんので、確定したお返事を申し上げるわけにはいきませんけれども、少なくともそういう条件の整備が進みつつあるという受けとめは確かに私はいたしました。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)分科員 質問というよりも陳情みたいになってしまって申しわけないわけなんでありますけれども、いずれにせよ県の方でも、きのう私が聞きましたところが、その方針で進む、病院の方とも十分連絡をとった、病院の方でもその方針は出す、そして局長の言われるように、その周辺にそういうような特養施設というものができ上がってくる、こういうことでございますし、環境からいたしましても大変いいところの環境であるわけです。  それから、御承知のように、新潟県というのは大変広い県でございまして、上、中、下越というふうに三つぐらいに地域を分けながら行政をやっておられる。こういうことなんでありまして、そういう点から言いますと、寺泊は寺泊なりにちようどいい場所にございますし、小千谷は小千谷なりにちようどいい場所にあるわけでありまして、村松は村松なりにちようどいい場所にある。そういう意味からいたしますと、そういうダブっている場所ではないと私は思います。  そういう点で、これからも恐らく、地元の町長さんを初めといたしまして、また厚生大臣に陳情があると思いますし、また県の方からもそういうお話が出てくると思いますし、さっき局長の言われましたように、要するにそういう環境ができ上がっている場所でございますから、十分御検討の上早急に整備をしていただきたいということを御要望申し上げまして、私の質問を終わります。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢主査代理 これにて松沢俊昭君の質疑は終了いたしました。  午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議

野呂恭一自由民主党

○野呂主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生省所管について質疑を続行いたします。渋沢利久君。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 視力障害者にとりまして、点字図書というのは生活上、教育上不可欠のものであるということは言うまでもないのですけれども、とりわけ視力障害児、中でも幼児の教育にとって通常の点字図書では十分その教育効果を上げることにならないということがございます。  一般に、子供たちがまず絵本から入って文字に親しみ、物事を理解するように、なおさら盲児にとっては文字だけの図書じゃなくて、手ざわりで本に出てくる物体のイメージをつかむ、あわせて物語の楽しさの中で文字を覚え、言葉を覚え、物を知っていく、こういう図書、つまりさわる絵本というものが求められているのは当然のことであります。盲児がカンムリヅルと普通のツルとの違いがわかる本が欲しい、こう言われたのが端緒で、東京や札幌の盲児を持つ親の会の皆さんが、昭和四十九年初めに手づくりでこれを試作したというのですけれども、一冊つくるのに三カ月もかかるそうです。自来、ボランティアの協力もあって、いわゆるさわる絵本というものの制作が続けられており、さらにはにおう絵本も登場して、盲児の間では大変喜ばれているというわけであります。  こういう事情については大臣御存じでいらっしゃいましょうか。大臣、この種の絵本はごらんになったことがありますか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 いままで拝見をしたことも何回かございます。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 さすがだと思います。前の厚生大臣にこの種の問題が提起されたことがありましたが、どうもよくおのみ込みがかなわなかったようでございます。  橋本大臣に期待をしながら質問を続けたいと思うのですが、私、筑波大の付属の盲学校幼稚部の現場の先生から聞きましたけれども、学校の子供たちは点字図書をただの本と、こう言うのだそうです。ただの本じゃつまらないと言うわけですね。さわる絵本とか、いわゆるにおう絵本というのをほかの点字図書と比べて歓迎している意味で、点字図書をただの本だ、それじゃつまらぬという、こういう意思表示をするそうです。確かに、学校には立体的な教材、人形とか剥製、模型のようなもので、手ざわりで物を教えるというのは材料は整っているけれども、しかし物語がない、ドラマがないというのでしょうか、流れがない。盲児にとりまして、こういうさわる絵本というものは、非常に重要だということは言うまでもないと思うわけであります。  そこで、私、ひとつ意見を申し上げて厚生省の意見をただしたいわけですけれども、こういう種類のものが盲児学校の中で満たされているかどうか、その実情についてどのようにとらえていらっしゃるだろうかということをちょっと伺いたい。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 お答え申し上げます。  私どもは盲児施設を所管しておるわけであります。私も二カ所ほど見せていただきました。その際に、この種の点字の絵本というようなものについて、率直に申しまして、ある一カ所では全然拝見できませんでした。あと一カ所で実はこの種のものを見せていただいて、なるほどこういったものもだんだんこれから先必要になるんだなという実感は得てきたわけであります。ただ、いま御質問のように、盲児施設などでこれらのものが十分教材あるいは日常生活、幼児の保育の過程で満たされているかということにつきましては、まだそこまでいっていないというふうに私どもも理解しております。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 そのとおりなんですね。  しかし、たとえばアメリカなんかは非常に進んでおって、アメリカのパーキンソン盲学校では、このような絵本ににおいをつけた点字図書を教材として正式に学校が発行して、そして効果を上げているという報告を読んでおります。自閉ぎみの盲児には特に著しい効果を示している、こうレポートされているということであります。そういうものに比べますと、いま局長がおっしゃったように、日本では学校の中ですら十分に満たされておらない、こういう事実があるわけであります。まして家庭の中では全くこの種の材料は乏しい。言うまでもありませんけれども、学校教育と家庭教育が相まって教育効果というのは上がるという一般論の中でも、とりわけ、この種の視力障害児の学校施設などでの教育と、あわせて家庭内教育というもののむずかしい条件があるわけです。  どうでしょうか、家庭教育の部分で、これはこの種絵本に限りませんけれども、盲児を持つ家庭内教育というものに対して、厚生省は何らかの配慮、どういう施策を、対応をお持ちになっていらっしゃるか、あったら伺いたい。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 盲児につきまして私どもの方の施策は、御承知のように、特別児童扶養手当、福祉手当といったような手当、いわば一種の年金的な、経済的な支援をいたすほかに、育成医療、日常生活用具の給付、補装具の給付、あるいは家庭奉仕員を派遣するとか、あるいは児童相談所その他を含めましての療育相談といったような形で、在宅の盲児対策というものを行っておりますけれども、いま先生が御指摘のように、こうした家庭教育あるいは家庭での保育の過程で、そのプロセスにおいて必要とするこうした日常の絵本であるとかあるいは遊具等についてまで、まだ手は回っていないという実情でございます。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 いま幼稚部のある盲学校というのは全国で四十五校なんですね。言いかえると、全国で十八の県では幼稚部のある学校というのはないということになるわけです。東京の場合なんかですと、四校ですね。しかも、入園率というんですか、入れていい子の大体半分ぐらいしか入っていないというふうにも言われ、あるいは施設が余っているといいますか、教室が満たされていないという傾向があるというんですね。なぜそういう状態があるのか、この辺はどのようにお調べになっていらっしゃいますか。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 申しわけございませんが、盲学校等の所管は文部省でございますものですから……。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 児童家庭局長は自分の所管外を答えるわけにもいかぬと思いますので、便宜私から答えさせていただきたいと思います。  いま渋沢さんの指摘された問題点は、まさに私どもにとりましての一つのこれからの大事な研究のテーマであり、また仕事をしていく上のテーマでありまして、いわば文部省の学校教育の体系の中での盲学校、またその盲学校に付随した教育施設としての幼稚部、それから私どもがいわゆる家庭内における療育相談その他を中心として行っていくいわゆる福祉施策としての行政とのちょうど接点に当たる部分だと思います。それだけに、いままで教育という分野についてややもすると厚生省側も十分な努力が足りなかったという点は私どもも認めざるを得ないと思います。ただ、五十四年度から御承知のように、これは文部省の問題でありますが、養護学校の義務設置という体系ができてきて、今後においては教育の面においてもそれなりの進展はあろうかと存じますが、その場合にも接点部分におけるいわゆる家庭教育の部分は問題として残るわけでありまして、私どもこれは文部省とも相談をしながら、今後その接点部分をいかに埋めていくか努力をしてみたいと考えております。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 大臣から大変親切な補足説明がおありでございまして恐縮ですが、そこで私申し上げたいのは、これは文部省の所管にかかわることですけれども、幼稚部などで実際には使われておらない、入園不可能、つまり盲児ですから学校へ通わせるのに一人一日がかりでつけなければならぬという事情があって、すべての盲児にとって必ずしも開かれた施設になっておらない。さっき言いましたように、十八の県では盲学校に幼稚部がないということですね。あっても一県に一カ所ということですから、これは交通の便その他からいって大変通園の障害になっているということですから、実際は、通わせればいいことは間違いないけれども、通い得ないという生活上の事情が足を引っ張っているという部分がございます。東京などでも半分くらいしか実際子供が通っておらないという事情があるということですから、そこで盲児を持つ家庭の教育というものにどう対応していくかということが非常に重要な部分になってくると思うわけです。そのことを実は言いたかったわけであります。  そこで、大臣はもうすでにこの種の絵本が子供たちにとって大変必要なものだ、そして家庭教育の中で重要な教材だということをお認めいただいておるようでありますし、大変御理解のある姿勢を示していらっしゃるのでつけ加えることはないと思いますが、事実、一般児の場合は、そういう意味では余分なくらい材料が手近に満ち満ちているわけですけれども、この人たちの家庭にとって、母親にとっての盲児教育というのは、大変切実な困難をきわめる条件の中で、しかも決定的にこの種の材料が不足している、こういうことがあるわけです。それだけにやはり国が手を差し伸べて援助をしなければならぬ。制作そのものはボランティアの協力や母親の自主制作でやられていますけれども、たとえば大変制作が進まないという中に、材料費もいわば母親たちの自分持ちでやっていますから、近く専門家が集まってこの種のものをつくるための技術指導書みたいなものを整理して発行するというようなことが、数は非常に少ないけれども、この部分に触れている専門家や親たちにとっては大変切実な思いでそういう努力がされているわけですね。そういうものに国が具体的にどうこたえているのかということが問題のように思うわけです。  そこで、ひとつ御意見を伺いたい点は、この種の絵本づくりの活動に対して一定の補助、助成をするということを検討してもらえないだろうかということが一つです。  もう一つは、郵送の問題がございます。いま点字図書の郵送は無料になっておるわけですが、絵本は身障者書籍小包扱いということで、半額自己負担という扱いになっております。これを無料にいたしましても国の負担というものは大変わずかなものでありますのに、半額という大変中途半端な扱いになっているということが理解できません。これはぜひ無料扱い、点字図書扱いにしていただけないだろうか、そうすべきではないだろうかというふうに思うわけです。郵政省の所管ですけれども、郵政にとっては、ただのものを歓迎するという機能を省が持っているわけではない。それはむしろ担当省の厚生省の判断というものを受けて、点字図書の無料処置ということ自体も郵政省の中から発想され、企画され、つくられてきたというふうには考えないわけでして、やはりこれはぜひ厚生省自身がそういう方針を強く決められて、そして責任を持って郵政省との話し合い、取り決めを進めていただきたいというふうに思うわけであります。盲人自体が全体として減ってきている、盲児も減ってきている、喜ばしいことだと思います。厚生行政全体から見ると、本当にささいな部分に見えるかもしれないけれども、しかしやはり一人の国民の痛みを痛みとして受け取っていくということが厚生行政の出発点だと思いますので、ぜひ一つは、このような自主的な絵本づくり、さわる絵本づくりの活動に何らかの助成をしてほしいということ、一つは、郵送に当たっては点字図書並みの扱いをして無料配送のできる処置をとっていただきたいということ、この二つの点を意見として申し上げて、厚生省の御意見、願わくは大臣の所見を承っておきたいというふうに思います。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 まず第一点の盲児向けの点字絵本の作製についての助成でございます。私どももこの種のものについてある程度の知識は持っておるつもりでございますけれども、私の手元で現在承知しておるところでは、いまのところきわめて一部のボランティアの方たちによって個別的に制作をされている、まだ一般市販という状態でない。それからまた、確かに盲児、特に盲幼児の療育上非常に効果があると私ども思っております。  ただ、こうした点字絵本の制作の実態というのが非常に個人的な状態にありますために、私どもとしては思うように全体がつかみ切れない点がございます。しかし、そういった点も十分考慮いたした上で、その助成問題につきましては、厚生省としていわゆるボランティアの対策を進めていくことにいたしておりまするので、その中で何とか対応できないものか、あるいはまた、さらに積極的にそういう面について必要な措置をとるべきであるという対象が確定をいたすことができますれば、この辺については前向きに考えていきたいと思っております。  それから、郵便料についての無料扱いの問題でございますが、先生先ほどお話にありましたように、現在の身体障害者用の書籍小包郵便物という制度につきましては、これはもっぱら図書館法による図書館から発受される場合に限られておるわけであります。現在でも実は私どもの方の所管しております盲児施設間あるいは盲児施設から在宅の盲幼児を抱えておられる家庭への発受には実は適用されておりません。そういった点も私どもとしてもいささか不満な点もございますので、かねてから郵政省にはいろいろと御相談申し上げておるわけでございますが、ただ実際の扱いといたしまして、私どもも、郵政それ自体についてもそれなりのいろいろな御事情がございまして思うように結論を得られない状態でございますが、今後ともこの点は大臣の御指導を得ながら御期待に沿えるように努力は続けてまいりたいと思っております。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 いまのお話の中で、個人的なボランティアの活動に限られておるということを強調されるわけです。いわゆる出版をされるというような態勢にもなっていないし、ごく限られたごく小さな個人的な部分でつくられ、利用されているというようなおっしゃり方だけれども——そういう意味じゃないんですね、じゃ、説明してください。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 私の申し上げましたのは、ボランティアの方たちで個別的な制作がございまして、これの助成をするというときに、助成対象としてそういうことについてやっておられる方たちに助成する、いわば助成金を差し上げる、そういうときにその対象の確定が非常にむずかしゅうございます。ですから、たまたま知っておったところだけに行ってそうでなかったところには行かなかったというような不公平があっても困りますので、できるだけそういった点を、まず対象者をきちんとつかむこと、そこに私どもは一番苦心をしなければなりませんし、その方たちの御連絡等も十分把握をしながら、ひとつ助成については前向きに検討いたしてまいりたい、かように申し上げたつもりでございます。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 その部分はわかりましたけれども、要するにその実態把握が不十分だというところにも実は問題があると私は思う。たとえば、盲児数が都道府県別にどうあるか掌握できていますかというと、できていないです。たとえばその中で、具体的ないまある盲学校の幼稚部に何割通っているのか、なぜ通わないのか、その場合の家庭のいわば幼児教育というのは、幼児と言うよりは乳幼児と言った方がいい、乳児部分も含めてどうなっているか、そんな調査はどだいされていないんじゃないですか、私は不十分だと思うのですよ。ですから、おっしゃるように、いまのお話は大変前向きの御答弁だというふうに受けとめます。ぜひこの実態を御掌握いただいて、おっしゃるように、確かに助成対象が正確に捕捉されないということでは困りますから、その部分を調べなければならぬとおっしゃることはよくわかりますから、ともかくその実態をお調べいただいて、幸いに大臣もこの絵本の存在、そしてその必要性というものは高く評価をしていただいておるので、ぜひこの助成について具体的なめどがつくようなお取り組みをお願いしたいし、それから郵送の問題についても、余り長い時間をおかけいただくということじゃなしに、ぜひできるだけ短い期間に結論が出るような処置をひとつお願いしたい。前の大臣に話が通ってすでに久しいのですが、いまだにこの郵送の問題も進んでないように聞いておるわけであります。大変大きな声で大臣は、いやごもっともだ、こうおっしゃったらしいのですが、しかしそれだけでありまして、あと作業はとまっておるようであります。橋本厚生大臣は声は大変ソフトでいらっしゃるけれども、その心のきめ細かな配慮や処理能力は高く評価をしておるところです。  最後に、かなり上げたのですから、ひとつ大臣から締めくくりにいまの二点について明確な御返事をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 二点のほかに一つ感想をつけ加えさせていただきたいのですが、きょうこのお見せいただいた「にんじん」という絵本は、実は私が見ましたものよりもはるかに工夫の度合いが進んでいるなという感じを持ちました。同時に、これから先こういうものをつくる場合の素材は何がいいかというようなこともやはり考えていく必要があるなという率直な感想を、いまこれについて持っております。  いま児童家庭局長から御答弁申し上げましたように、郵政当局との間にすでに協議は開始したわけでありますが、なかなか郵便料金の問題については私どもの担当しております盲児施設からの郵送につきましても協力が求められない状況でありまして、これはなかなかやっかいな論議を続けなければならぬと思いますが、今後ともに私どもは郵政当局との間の話し合いは続けてまいりたいと思います。  それからもう一つの点は、本来ならこういうものは一部のボランティアや親御さんの努力だけではなく、むしろ専門の研究機関なり出版社なりから、それは大変コストのかかる話でありますからいろいろな問題が出てきましょうけれども、つくられることの方が、私は実は一番まんべんなく行き渡って望ましい姿だと思います。ただ、そういう状態にない一部の方々の本当に善意と努力によっていまつくられておるという実態は、私もよく存じております。いま局長が申しましたように、その実態把握の上で少々苦労が要ろうかと思いますが、実は昭和五十年に私ども全国の障害を持たれる方々の実態調査を考えましたときに、不幸にしていろいろな誤解を招いて中止をせざるを得ない状態になりました。ことし、そうした大きな誤解を生みましたような点の反省もした上で、もう一度全国の実態調査をしようと考えております。その中において乳児も含めた盲幼児の問題も、当然数字としてどこの地域にどれだけということも含めて把握ができるわけでありまして、その調査についての御協力もぜひお願いをいたしたいと思うのです。そして、そういうものを踏まえました中において、いま私どもは、先ほど局長から申し上げたように、民間のボランティア活動の育成ということを一つの大きな課題にしておりますだけに、その一環としてこの問題を取り上げさせていただきたい。これは児童家庭局だけではなくして社会局にもまたがる分野でありますから、両局相談をしながら、さらに必要な部分は文部省当局とも相談をしつつ対応していくような努力をしたいと考えております。

渋沢利久日本社会党

○渋沢分科員 終わります。

野呂恭一自由民主党

○野呂主査 これにて渋沢利久君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 連日御苦労さまであります。  厚生省関係ということになりますと大体じみな、非常に日の当たらない人たちの声というものが数多く出されるわけでありまして、担当される方々もきわめて大変であろうと思うのであります。私もそういう意味において、これから精神障害の問題を主体といたしまして御質問申し上げ、御回答いただきたいと思うのであります。     〔主査退席、玉沢主査代理着席〕  精神衛生法には、医療及び保護、あるいは国民の精神的健康の保持、こういうふうに規定づけがされているわけであります。厚生全体、社会福祉全体を見て、予防と復帰といいますか、事前の対策と、主として対症療法的にその問題だけが取り上げられてそこだけが議論されていて、その以前の状況それからその後の追跡、そういうものについてはきわめて後進性といいますか、おくれているというのがいまの現状じゃないかと思うのであります。精神衛生法もその意味において精神障害者に対する福祉という面がわが国において非常に立ちおくれていた、こういう現状認識についてはどのようにお考えになっておられるのか、これは大臣からお答えいただければ幸いでありますが、担当局長でも結構でございます。まずお答えいただきたいと思います。

田中明夫厚生省公衆衛生局長

○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、精神障害という疾病は、普通の、結核であるとかあるいはコレラというような伝染病と違いまして、その原因に対する対策もなかなかむずかしゅうございますし、特にそのリハビリテーションといいますか、社会復帰等に対する対策についてもいろいろむずかしい問題がございまして、確かにいろいろとおくれた面があったというふうに思っております。ただ、近年この面につきましても、私どもといたしましては、精神障害者の回復者社会復帰施設というようなものを整備する等、社会復帰の促進を行ってきておりますが、さらに、昭和五十四年度におきましては、新しく精神衛生社会生活適応施設というものを整備してまいりたいという予算を組みまして、こういう社会復帰の施策の拡充を図ってまいろうというふうに考えております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 精神障害者というのは全人口の大体五%いるというのが一般的な統計的な数字であります。あるいは職員の中でも、飲めば酒乱のごとく暴れ回るなんという職員もなくはないくらいですから、これも一種の精神異常の部類に入ろうと思うのです。また、いまの受験戦争の中において、ノイローゼで優秀な子供たちが紙一重で一種の精神異常になってしまう、こういう傾向もあるわけであります。  きょうは主として復帰の問題でお伺いするわけでありますが、厚生省の位置づけが、福祉国家を目指してもっと大胆に、あるいは大蔵省と並び称される省という位置づけがされる必要性があるんじゃないか。私たちも施設をずいぶん見て歩きますと、やはりじめじめした、何か陰気くさい、そういうような印象しか残らない。その人々が人間として個人的に生きていける権利、そういうものが法律的にあるいは制度的に認められていない、ある意味においてはかわいそうだというれんびんの情、あるいは何とかしてやらなくちゃならないという情けをかけるというような視角でしかとらえられていない。これは単に精神障害者だけではない、すべての障害者について言えることだと思うのでありますが、その辺の視点といいますか、その辺の発想というものを転換していく道というものはどういうふうにお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。

田中明夫厚生省公衆衛生局長

○田中(明)政府委員 いま先生は、病気、病人関係の施設ばかりではなく、いろいろな児童あるいはその他の施設についてもというお話でございましたが、私どもの関係しております病人、精神病の患者を含めましての病人の施設につきまして考えましても、確かに先生御指摘のとおり、何となくじめじめしている、あるいは陰気くさいというようなことがあったかと思いますが、近年、たとえば精神病をとりましても、昔のようにただ精神病棟に閉じ込めておくというような考え方から、積極的に治療をして回復させる、またその治療の中におきましても、拘禁というようなことじゃなく、作業等を治療の一環として取り入れまして開放的な治療をする、さらには、入院治療というのが主体であったのが、患者の病状に応じては外来治療というようなものに切りかわっていくというような、進歩は徐々に行われてきているのではないかというふうに私は考えております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 そういうことで、言うならばもう一つの側面としては、そういう子供なり大人を抱えている家族、これは多くの人々から言われてきたのだと思うのであります。いわゆる精神的な負担、物心両面の負担でありますけれども、特に精神的な苦渋というもの、これは自分の家にその子供を持たない限りなかなかはかり知れないものがあると思うのであります。それから結婚とかそういう遺伝的なもの等に対する恐怖感、こういうものがあって、なかなか世にあらわれ出ない、あるいはそういう予期されるような状況があってもそのことを世間に言うことを避ける、こういう風潮も現在なくはないと思うのであります。これについても、その前提となることは、そのことは親の責任ではない、要するに社会の構造の中から生まれた一つのひずみである、こういう規定づけをしっかりする。何か両親が悪かったあるいは先祖が悪かったという形だけでとらえない発想というものが必要なんじゃないか。これが現憲法でそれぞれ個人の持っている権利あるいは人間として生きていく一つの権利を保障しているゆえんであると思うのです。残念ながら現在はいま言ったような形に置かれている。  さっき私は、大蔵省と並んで厚生省がもっといばれる立場をまず政治、行政の面でつくらなければならぬ。いま、言うならば、建設省がいばり散らしておるようなかっこうになってしまって、厚生省は一番後ろからくっついているようなかっこうに、これは大臣が一生懸命やっておることは認めますけれども、全体的に見ると、どうも厚生省というのは後で、その次考えよう、まず景気を考えようという形が先行してしまうおそれなしとしないのであります。  そういう意味において、まず、いま言われたじめじめした話は別として、家族の中から子供たちあるいは大人になっても自分で申請できる、それぞれの自治体なり保健所なりあるいはそれぞれの対応した機関へ十分に自信を持って申告できる、そういう体制というものをこれからつくってもらえるのかどうか。私たちが歩いている範囲内におきましてはその点が非常に少ない。言うならば、なるべく避けて通ろう、なるべく世間に知られないよう家の中に置いて通していこう、そういう措置入院をする以前の状況の人たち、ボーダーライン層と言われておりますが、そういう人たちにはそういう傾向がきわめて強いわけですね。その辺の認識と対応についてはどう考えておられるのか。それは親としてのいわゆる権利意識というものがないというのか、それを社会が抑えてしまっているのか。それは厚生省として考える精神的な意味においての位置づけとしてはきわめて重要な問題だ、こういうふうに思うわけです。これは精神障害者だけじゃありません。すべての障害者に通ずる概念だと私は思うのでありますが、その点もお聞かせいただきたいと思います。

田中明夫厚生省公衆衛生局長

○田中(明)政府委員 先生が御心配になっていることは確かにまだ残っていると思いますが、いまでは恐らくハンセン氏病が遺伝だと思っている人はいなくなったと同じように、精神病につきましては、確かに遺伝的な要因というものも否定はできませんけれども、昔ほど変な偏見を持つ者はだんだん少なくなってきているのではないかと私は思っております。そういう基盤の上に立ちまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げました病院その他の施設における患者さんに対する施策とともに、さらに一歩を進めて、地域において、一般のといいますか、精神病の患者さんあるいはその家族の方にいろいろ相談に乗るような仕事をやっていかなければいけないのじゃないかというふうに考えまして、来年度から府県にございます精神衛生センターにそういう相談事業を開始する予算を組みました。従来から保健所には精神衛生相談員というものもございまして、そういうような相談事業等を行っておりますけれども、これにさらに専門医が加わりまして、その専門医の下で保健婦さんあるいはその他の特別の研修を受けた人たちを十分活用いたしまして、在宅の患者さんあるいはその患者を抱えられている家族の方方に、いろいろと相談に乗り、助けになるようにいたしたいというふうに思っています。また、患者さんの家族の方々が集まって家族会というようなものをつくっておられますので、こういう団体に対しましても、私たちはいろいろとそれを育成してお力になるような施策を行っておるところでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 そこで、その希望を与える、あるいは親たちにも希望を与えるということですが、私の知り得る範囲では、四十幾つかになって月額七万円ぐらい、大学を出ているわけですね。大学を出るまでは別にそうではなかった。それで四十でまだ結婚もできないというような人もおります。あるいは日給で、これも大学を出ておって三十何歳、ぽつぽつ働いているがごとくいざるがごとく。しかし、頭はいいんでしょう。しかし、職場で採用してくれる場所というのは、きわめていま言ったように限定されている。  これは労働省の方もおいでになっておりますからお伺いするのですが、本当は厚生省がもう少しそういう意味においての強制力を持っていいのじゃないかという気がするのです。一・五%の雇用確保ということに一応法律的にはなっております。現在、去年が一・〇九ですか、一・五分の一・〇九、今年度が一・五分の一・一、こういうふうに答弁されておったようであります。その中に精神障害者は何%占めているのか、先にお伺いしたいと思うのです。

田淵孝輔労働省職業安定局業務指導課長

○田淵説明員 私どもの方の身体障害者雇用促進法で対象にしております身体障害者は、厚生省所管の身体障害者福祉法と同じ定義を使っておりまして、同じ範囲を対象にいたしております。したがいまして、精神障害者はこの中に含まれておりませんので、その調査の対象にも、報告を義務づけておりますが、報告の中に入ってきておらない状況でございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 これじゃ、ちっともやっていないということですね。その中にも含まれていないとすれば、全然手をつけていない、全然把握もしていない、どういう状況に置かれているのかもろかんでいない、こういうことになりますね。

田淵孝輔労働省職業安定局業務指導課長

○田淵説明員 私ども、行政全体の中で対象にしていないわけでございませんで、精神薄弱者等につきましては一部の規定の準用をいたしておりますし、職安の窓口では、身体障害等については、求職においでになった方々に登録制度をとっておりますが、その登録制度の中には、精神障害で職業上のハンディを持つ方々も対象にして就職のあっせん、指導等には努めております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 大臣、これは所管が違うのでありますけれども、いま言ったような現状であります。これはいろいろケース・バイ・ケース、人によってみな違う条件なんですね。対人恐怖症もあるでしょう、あるいは高所恐怖症もあるでしょう。とにかく精神異常と言われている中には本当に幅が広いものがあるわけであります。そういう状況の中で、やはりこれを把握をして、雇用の機会を与えてやるという方向をつくり出していく、そういうことについてはいかがお考えになっておりますか。もちろん御賛成していただけるだろうと思うのです。何とかそういう者にとにかく希望を与えてやらなければならぬだろう、こういうことだけは御承認いただけるのじゃないかという気がするのですが、いかがですか。

田中明夫厚生省公衆衛生局長

○田中(明)政府委員 先生御存じのとおり、精神薄弱者につきましては職親制度というのがございまして、精神薄弱者を雇うような企業に対して委託金を差し上げるというようなことで、雇用の促進がなされているわけでございますが、精神障害者につきまして同じような制度をというような御意見もあるわけでございまして、幾つかの県で試験的に行っておるのですが、どういうような状態になった場合に職についても問題を起こさずにやっていけるかというような点で、まだ医学的にいろいろ検討するような点が多うございまして、実際に試験的にやっているところでもいろいろ困った例等も出てくる実例もございますので、私どもは、そういう方法がある、またそういう方法についていろいろ検討していかなければならないというふうに考えておりますが、まだ国としての施策というところまでは踏み切れないような状態でございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 その踏み切れないというのは、厚生省が踏み切れないのですか、労働省が踏み切れないのですか。

田中明夫厚生省公衆衛生局長

○田中(明)政府委員 これは所管はどちらになるかわかりませんが、やはり研究の段階におきましては医学的な問題が非常に入ってまいりますので、私どもが専門家と協力していろいろ研究しているというような状態でございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 時間がきわめて短いですから……。  研究だけでは、現在救われない人はそのまま放置ということになってしまうのですね。放置では困る。やはり前向きに、その人たちに機会を与えてやろうという気構えで検討していただきたいと思うのですが、これはイエスかノーかでお答えいただきたいと思います。

田中明夫厚生省公衆衛生局長

○田中(明)政府委員 先ほど申し上げましたとおりでございますので、前向きに検討しておるところでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 続いて、人事院に来ていただいていると思いますので……。  その意味において、公務員にまず窓口をあけてやってもらえないか。たとえば受験勉強でそうなってしまった、精神障害という形になって、いろいろな形がありますが、とにかく回復してきた、そういう場合に年齢制限で公務員の試験も受けられない。その期間は、言うならば冬眠していたようなものなんです。だから、治ったならば、年齢制限、資格は人事院で決められるのだから、そういう人に試験を受けさせるだけは受けさせてやれないかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思うのです。

長橋進人事院事務総局任用局長

○長橋政府委員 先生御存じのことと思いますけれども、国家公務員の採用につきましては、競争試験と選考という二つの方法がございまして、現在人事院がやっております試験というのは、行政職俸給表(一)で申しますと、八等級、七等級というところがございまして、大体その初任の官職を対象にした試験でございます。したがいまして、そういう試験の性格それから採用事情等から申しまして、おのずと年齢に幅というものがくるということはどうもこれはやむを得ないことだと考えております。このほかに、公務員には選考による採用がございます。  採用試験でございますので、こういう現下のような状況ですと、大体、一年ないし二年たちますと、合格しましても採用されない場合は失効するということになっておるわけでございます。  そこで、年齢幅の問題につきまして、やはり試験の性格上一定の幅というものをどうしても考えざるを得ないということでございますけれども、そのほかに選考の方法もございますので、いろいろ御指摘いただいておることもございますし、要は雇用の機会を確保するということに尽きるわけでございますので、そういう関係につきまして、実際に任命権を持っておられる各省の方々とそういう観点からひとつ研究してまいりたいというふうに考えております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 これは人事院が選考することで各省と相談するのじゃなくて、身体障害者の場合、手がない、足がないというような場合については、ある一定限度これは枠はもう広がりましたね、今日。それでとにかく芽が吹いてきた。ところが、いま言ったように、回復した者の社会復帰に対して国家それ自体が拒否しているということでは、それは幾ら社会に言ったって通用しないですよ。まずみずからが門戸を開放しなければならないでしょう。それは人事院規則で資格要件についてあなたの方で決めるのですから、資格要件の決め方次第によっては、それは開放——とにかく受かる受からないは別問題ですよ。受かる受からないは別問題として、拒否することはないじゃないか。受けさせてやるという配慮は必要じゃないか。だから、それはあなたの方の発想がそうならなければ生まれてこない。年金もまた延びそうになっているのでしょう。六十歳までになりそうになっているとすれば、たとえば三十にしてみたって、三十年間勤めるわけですよね。あるいは今度通算老齢年金もできるのですから、そういう意味においては、どこに勤めておってもみんな通算するのですから、そうあえて年齢にこだわることはないのじゃないですか。

長橋進人事院事務総局任用局長

○長橋政府委員 採用につきましては、競争試験と選考と二つの方法がございまして、競争試験をやっておるのはごく一部でございます。したがいまして、その受験年齢を上回るような御年配の方には、それは試験ではなくて選考によって採用される方法というのがございます。したがって、雇用を確保するという観点から申しますと、そういう方法ということもあり得るわけでございますから、あえてその試験に特例を設けるということも一般論としてはなかなかむずかしいだろうということを申し上げたわけでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 それが国民に対する平等だと私は思うのですね、そういう人たちに与えられた。だから、冬眠していた人たちがその年齢で制限をされるということは大体おかしいのであって、冬眠していたのならば、そのときが二十五歳なら二十五歳と思えばいいのであって、そのただし書きをつければ問題はないわけなんですから、そういう人たちに希望を与える、復帰ができるという条件になったらば受験することは可能なんだ、そのぐらいのことはできないはずはないですよ。そんなことを金科玉条のように守っているということ自身がおかしいじゃないですか。

長橋進人事院事務総局任用局長

○長橋政府委員 やはり試験をやります以上は、なるべく採用につながっていくというかっこうで試験をやらなければなりませんので、実際の採用庁が関係省庁の方々とも十分相談をして、今後の研究課題にしたいというふうに考えております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 時間がなくなってきたから追い詰めるようになってしまいますが、各省と相談をするのは結構です。とにかくあなたの方では、そういう人たちに受験なら受験ができるということを何とかしたいと思うがということで折衝するということでいいですか。あなたの方はそう考えているのだけれどもどうだということで折衝をする。これもイエスかノーかで答えてください。あと何分もないですから。

長橋進人事院事務総局任用局長

○長橋政府委員 やはり採用につながっていくという方向を踏まえた上で、その関係省庁と検討を重ねていきたいというふうに思います。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 選考採用の方については、考慮する余地はある、こういうふうに考えてよろしいですか。

長橋進人事院事務総局任用局長

○長橋政府委員 選考採用につきましては、各省庁にお任せしてございますので、したがって選考採用につきましては、私たちの方からさらにそうした人たちについて選考採用による道を促進するように働きかけたいというふうに考えております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 そうすると、労働省を含めて、身体障害者並みにそれぞれ雇用の機会を与えるようにということを労働省なり人事院なりが各省にそういう連絡をするというふうに解釈してよろしいですか。これもイエスかノーかで答えてください。

長橋進人事院事務総局任用局長

○長橋政府委員 その所管につきますとちょっと人事院だけというわけにはまいらぬかと思いますけれども、というのは総理府人事局もございますが、しかし人事院もその中の一員として促進してまいりたい、働きかけたいというふうに考えております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 最後に、大変恐縮でありますが、現在の優良住宅の認定というものは、これは租税の方にも載っておりますし、また建設省関係でもあります。しかし、その優良住宅には水洗便所をつくる、こういうことになっております。その水洗便所の流末は、廃棄物に関する法律があって、これは厚生省が管理しておる。保健所が前には流末についての管理をしていたわけであります。現在の優良住宅に対して、水洗便所の浄化槽をつけて流した排水は、たんぼに流れたりあるいは畑に流れたり、あるいは吸い込み方式と称してそのまま土の中に吸い込まれて、三日もたったらおっぴらいちゃってふろもたてられない、こういう現状でいるわけでありますが、これに対する基本的な取り扱い、優良住宅と称するものは完全なる排水施設が整備されなければそういう施設はできないものだと解釈してよろしいのかどうか。その点、これはどなたですか、担当官がおいでのようですから、お答えいただきたいと思います。

国川建二厚生省環境衛生局水道環境部長

○国川政府委員 いま先生お尋ねの優良住宅そのものは、実は厚生省といたしましては所管しておりませんので、その具備すべき要件の項目につきましては私、詳しく存じておりませんが、先生がおっしゃいましたのは、いわゆる屎尿浄化槽の問題であると思います。  厚生省といたしましてはその屎尿浄化槽の維持管理面を担当いたしておりますので、御指摘のような屎尿浄化槽から排出される水質が非常に適当でない、周辺に公害問題等を起こすというようなことのないように、これは廃棄物処理法の中にも維持管理の基準等が決められておりまして、放流水の水質等についても基準がございますので、それが厳格に守られるように、都道府県を通じて私ども指導いたしているところでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 もう時間が来たようでありますが、吸い込み方式なんという、こういう衛生的に悪いものはもう今後あり得ないというか、そういうことはとにかく許していってはいけないものだ、こういうふうに一般的に理解できますが、この点の見解を承りたいと思います。吸い込み方式を許可するようなことがあったとすれば、これはよほど低開発国になる。犬小屋と同じですからね。犬やネコと同じような境遇に入るわけですから、まさかそういう答弁をあなたはすると思わないけれども、犬小屋に住めというような形、たれ流しで住んでおれということにはならぬだろうと思うけれども、一応これは念のためにお聞きをします。  それからあと、さっきの精神障害者の関係については、先ほどの討論を踏まえて、それぞれの省が前向きに御検討を進められるよう心から願って、質問を終わりたいと思います。

国川建二厚生省環境衛生局水道環境部長

○国川政府委員 屎尿浄化槽の放流水を一般には公共水域に放流する場合が一番多いわけでございますが、先生がおっしゃいましたように、いわゆる地下吸い込みといいましても、いろいろな方式があるわけでございまして、きちんとしたろ過方式をとった上で周辺に水質汚染を起こさないような方式ならば、これは一応はそういう方式も考えられます。ただ、実際問題としてはなかなかそういう適当な方式がとられませんので、いわゆる地下方式といいますか、すぐ浅い地下水面に散布するというようなことは、屎尿浄化槽の構造として適当なものとは思っておりません。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 時間がないですから、とにかくそういう方法は衛生的にきわめて悪い。それから井戸水を使っている地域もある。水質汚染にもつながる。とにかく吸い込み方式だなんて、犬やネコが一緒に住んでいるような、それが優良住宅にはならぬだろう、少なくともそのぐらいの見識は持って、これから日本が文化国家という以上は、犬小屋と同じような住まいの基準をあなた方が考えて設定するのではないということを心から期待して、また別の機会にもう少しこの問題は詰めますけれども、その点は特にお願いをして終わりたいと思います。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢主査代理 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、草野威君。

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 私は、差額ベッドの問題につきまして若干質問をしたいと思います。  この差額ベッド料の徴収という問題は、いま一つの社会問題になっているわけでございます。昨年の一月二十八日、厚生省保険局長名におきまして、この入院料の差額徴収の問題、基準看護病院における付添看護の問題について通達が出されたわけでございます。あれから約一年余り経過したわけでございますけれども、現在この問題についてどのような状態になっておりますか、その現状についてまずお伺いをしたいと思います。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 室料差額の問題につきましては、毎年七月一日現在で状況を把握いたしておるわけでございますが、一番新しい数字で申しますと、五十三年七月一日現在の室料差額徴収状況を見ますと、全体の差額徴収病床数が五十二年に比較しまして約一万四千床減っております。それから、差額徴収病床数の割合でございますけれども、これも五十二年におきましては全病床の一七・六%でございましたものが、五十三年におきましては一五・七%ということで約二%近い低下をいたしております。  特に問題になりますのは、三人室以上の差額ベッドの問題でございますが、これにつきましては、一応三人室以上で差額徴収が完全に解消した県が五十二年におきましても七つございましたけれども、それが十九県に増加しておりますし、さらに去年の十二月現在におきましては二十二県までふえてまいりました。三人室以上で差額徴収の状況を経営主体別に見ますと、国立、公立その他の公的病院においては相当大幅な改善が見られております。なお、私立大学病院等については、まだ問題が相当残っておるという実情になっておるわけでございます。  それから、基準看護を行っております病院でさらに付き添いをつけさせるという問題につきましては、私どもの方はこれに厳に慎むように通達を出しておりますけれども、これについては全国調査をいたしておりませんので、どのくらいの数字であるかは把握しておりませんが、各県のいろいろな状況を聞いてまいりますと、かなり改善が見られておるという保険課長の報告を聞いております。  以上が最近の実情でございます。

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 ただいま御説明ございましたけれども、確かにその話を伺いますと、昨年に比較いたしまして一・九%の減ということで、例年に比べますと差額ベッドの徴収の割合が減っているわけでございます。それはわかるわけでございますけれども、ただいまのお話にもございましたように、問題は三人室以上の徴収の状況の中で、特にその他の法人、私大関係が主だと思いますが、こういうところを見てまいりますと、全体の中で二万一千三百七十床、一四%、また医療法人関係では一万四千九百四十三床で六%、個人の場合が七千百五十床で五・一%、この三つの占める割合が非常に多い。全体の四分の一にもなっているわけでございます。したがって、これらに対してこれから具体的にどのように厚生省として取り組んでいかれるのか。この問題の解決のない限り、全体の五・一%という三人室以上の差額徴収の割合が減らないわけでございますけれども、具体的にこれからどのように取り組みをしようとしているのか、御見解を伺いたいと思います。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 ただいま先生御指摘のように、この三人室以上の問題で特に問題になりますのは、私立大学病院でございます。私の方は、この私立大学病院の室料差額の問題について最重点で解消いたしたいということで、実は昨年の六月でございましたけれども、私の方から文部省の大学局長及び管理局長に対しましてお願いをいたしてまいりました。特に、これは国立大学を含めてでございますけれども、付属病院の場合につきましては、教育とか研究が非常に大きなウエートがございまして、そういう面の経費を捻出するために差額ベッドを利用する、こういうこともあり得ますので、特に差額徴収病床にそういう財源を求めることのないように予算面で最大限の措置をしてほしいというのが私どものねらいでございましたし、同時に、指導面におきましても、私立大学病院につきましては、全国の病院のいわば指導的な役割りを果たすべき病院でございますので、そういう意味で自粛自戒をしていただきたいということで御指導をお願いいたしたわけでございます。  具体的にそれを踏まえまして、幾つかの病院を選びまして私どもは各都道府県、特に東京、大阪が一番大きいわけでございますけれども、三人室以上の差額ベッドにつきまして、指定を更新する際に実は改善計画を出させました。一気になかなかできない面はございますけれども、たとえば五十四年の七月までにはどの程度、五十五年にはどの程度、こういうことで改善計画を出させまして指定いたしました結果、数字的には五%から一〇%、大きなものでも一五%くらいの範囲でございますけれども、改善を見てまいりました。したがいまして、私ども今後、この私立大学病院の三人以上の病床の問題につきましては、こういう計画的なものに従ってさらに指導を強めて、ぜひ解消をしてまいりたいと考えておるわけでございます。

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 いま私大病院のことについてお話がございましたけれども、確かに私大病院の場合で言っておることは、これを解消するために何かこれに見合うような条件を整備してくれなければ絶対に応じられない、このように強く反発しているわけですね。したがって、病院経営の財政の問題だとかまた現在の診療報酬体系の問題、難題が非常にたくさんあるわけでございますけれども、こういう問題には積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、特に私大の場合、非常に膨大な経費がかかる。いまもお話がございましたように、教育の問題とかまた研究開発という問題、非常に大きな責任を持っているわけですね。こういう責任を果たしていかなければならないという任務があるわけでございますけれども、これを解決するにはどういう方法が一体残されているのか、厚生省として何か特別の改善措置を考えておられるのですか。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 大学によってそれぞれ事情が違いますので、一概に申し上げることはできませんけれども、たとえば慶応大学のような場合でございますと、これは理事会等にかけまして、全体の予算の中での教育費、研究費に充てるべき金額をあらかじめ決めておいて、そして収入面でどういうように図るかということで、三人室以上の問題については少しでもそのウエートを低めていくということで理事会の承認を得ながらやっていく、こういうことまでやってまいりました。  研究費とか教育費の問題については、確かに限度のない話でございますので、なかなかむずかしい面はございますけれども、やはり理事者の三人室以上によって研究なり教育の財源を求めるということの考えが間違いであるということを認識させることが一番重要ではないかと考えておりまして、私ども都道府県の保険課長にはその旨を強く訴えて、そして何回でも話し合いをする、こういう姿勢で実は臨んでおるわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃるように、一挙に一〇〇%解消というのはなかなかむずかしい問題でございますけれども、時間をかけても少しずつ改善させていくという基本方針で臨んでおるわけでございます。     〔玉沢主査代理退席、主査着席〕

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 この差額ベッドの問題と同時に、先ほど付添看護料の問題につきましても触れたわけでございますが、これは私の知人でございますけれども、こういうような実例があります。大臣もひとつ聞いていただきたいと思います。  これは川崎市に住む、名前はちょっと伏せますけれども、Kさんという六十六歳の方でございますが、一昨年の九月から腰だとか右腕に骨折をいたしましてある私大の病院に入院いたしました、もちろんこれは基準看護病院になっておりますけれども。ここに入院いたしまして、六人部屋に入っているわけですけれども、差額ベッド料が一日当たり千四百三十円徴収されております。それから、病院側から看護婦さんをつけるように、こういうようなお話がありまして、付き添いさんをつけますと一日当たり八千円払っているそうであります。そういたしますと、一カ月でこの差額ベッドの金額が四万二千九百円、付添看護料が二十四万円、合計で二十八万二千九百円、一カ月でこれだけの支払いをしているわけでございます。このKさんという方は、もちろん国民健康保険に入っているわけでございますので、一部減免措置がありますので、医療費の方の支払いは免除されておりますけれども、何しろひとり暮らしのおばあさんであります。この人の現在の月収というのは、家賃収入が約六万円、それから御主人の年金が若干入ってきております。それとほんの少しの蓄え、これだけの収入の中で大変な保険外の負担を強いられている。御本人は、これではもうまるで早く死ねというふうに言われているのも同然ですということで、大変に嘆いておりました。これは一つの私の知っている実例を申し上げただけでございますけれども、やはりこういう例は全国にかなりあるのじゃないかと私は思います。いま局長さんのお話の中で、ゼロにするのは無理だけれどもというお話がございましたけれども、私は一日も早くゼロにしてもらいたい、そのように思います。  そこで、お聞きしたいことは、このような実例に対しまして、一体これはどういうことになるのか。基準病院でありながら、別に付き添いさんをつけさせて、そして一日八千円ものお金の支払いをさせられているというこういう病院に対しまして、厚生省はどういうような措置をとられますか、まず伺います。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 基準看護の承認を受けております病院で付添看護ということが、もし病院側の要請で行われるということになりますと、これは基準看護を承認した意味がないわけでございますので、私どもの方はもちろんこれについては直ちにやめるように指導もいたしますけれども、それに従わない場合の措置といたしましては、基準看護の承認の取り消しというような措置もあるわけでございます。  実態によっていろいろ変わってまいりますけれども、確かに先生のおっしゃるようなケースが全国幾つかございます。実際、指導によってそれをやめたところもございますし、同時にその基準看護の内容を濃くして一切置かないような措置もとっておる、こういうこともございます。全部基準看護の承認を直ちに取り消すということになりますと、またいろいろ問題も出てくるわけでございますので、ケース・バイ・ケースで処理をするわけでございますけれども、基本的な姿勢としては、指導を行ってもなおそれを聞かないという場合には、基準看護の承認を取り消すというふうな態度で臨んでおるわけでございます。

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 この一年間で取り消しだとかそういうことはどのくらいあったでしょうか。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 私の方、大体いままでの指導でまいりますと、指導の結果によってそういうことをやめたというケースはつかんでおりますけれども、取り消した件数は、去年に限って言えば、ないというふうに思っております。

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 大臣にこれはお伺いしますけれども、このような例は私は一種の不正行為ではなかろうか、またこれは不正な請求である、水増し請求ではないか、そういう意味からも不正行為じゃないか、このように私は考えますけれども、大臣はどのようにお考えになりますか。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 大臣のお答えする前に一言お話し申し上げますけれども、この基準看護のあり方の問題については、実は基本的にはいろいろ問題がございます。私どもその不正——基準看護につきまして承認を受けていながら強制的に付き添いをさせるということは、これは絶対避けなくちゃならぬわけでございますけれども、病院の実態によりましては、やはりその基準看護の基準というものをもう少し見直してほしいという面も一つございます。それから、いまのいろいろな基準につきまして幾つかの類型に分かれておるわけでございますけれども、たとえば特二類とか特一類とか、そういうものについての基準の再検討ということについてもいろいろ議論がございます。そういうことを踏まえておりますので、直ちに不正でこれを取り消す、こういうことまで踏み切るのは行政上いかがなものかというふうにすら私どもは考えておりますが、基本的にはいけないことだというふうに思っております。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 いま御指摘になりました具体的なケースは、伺っておりまして私も、それは不正ではないかもしれません、しかし相当ひどいなという感じがいたします。匿名にしておられますし、またその病院名も伏せておられるわけでありますから、それをここでお尋ねはいたしませんが、むしろその実例等を保険局の方にお知らせをいただきましたなら、当然そうした意味での指導もいたさなければならぬだろうと思います。  ただ、草野さんの御指摘になりました私立大学の付属病院につきまして私は基本的に、一つは私学助成のあり方の中で医学教育にどれだけの費用を投ずべきかについての基本的な議論がその前提にはあるべきだと思います。そして、その中において医師を養成していくために、私立の大学の医学教育でありましてもどの程度まで国費を投入し、本人の負担を軽減し、よりよき医師をつくり出していくかという基本の問題を解決しないと、最終的にこの問題の解決はつかぬのではないかという個人的な感じを私は持っておることも申し添えさせていただきます。

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 この問題につきましては、時間の関係もありますのでこのくらいにしたいと思いますけれども、ただいま大臣並びに局長からもお話がございましたように、実情についてはよく御承知のことだと思います。その上に立っていろいろと問題を私も指摘したわけでございますけれども、確かにいまお話があったように、この私大の研究だとか教育の問題と同時に、やはりこれからの高齢化社会ということを考えた場合、お年寄りの問題、またいろいろな理由での寝たきりの人たち、また乳幼児の人たち、こういう人たちを現在のこの基準病院の制度の中で果たして対応できるのかどうかという問題ももちろんあると思います。したがって、こういう問題に対してはこれからも十分に取り組んでいただきたい、このように要望申し上げるわけでございます。  最後に、この問題の中で一つ、きょう触れませんでしたけれども、看護婦さんの問題があるわけでございます。この看護婦さんの増員の、これは養成を含めてでございますけれども、対策というものにこれから積極的に取り組んでいくべきではないか、このように私は考えております。  ということは、この看護婦さんの需給五カ年計画、こういう表をいただきました。これによりますと、四十九年から五十三年までのこの需給計画が、五十三年度末におきましては看護婦さんの必要数が四十八万九千百人になっております。そして年度末の就業者数が四十八万九千六百人、五百人オーバーになる、こういうような計画がなされております。この中身について伺いましたところ、大体この線に行くようなお話も伺いました。したがって、第一次の看護婦さんの需給計画についてはほぼ満たされているという感じでございますけれども、しかしこれからのこの医療の面をいろいろ考えますと、老人だとか非常にむずかしい病人の方、また看護婦さんの勤務形態、こういうものもいろいろと変わってくるのではないか、私もそのように伺っております。そうなってまいりますと、これからの第二次の需給計画というものはいままでと考え方を変えてこなければならないのではないか。ひいては、こういう看護婦さんの数というものが、これからの基準看護病院における看護婦さんの数ともいろいろ関係ができてくるのではないかというような感じがするわけでございますが、これからの第二次の看護婦の需給五カ年計画に対する厚生省のお考えをひとつ承りたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 第一次の五カ年計画が五十三年度をもって終わりますので、ただいま御指摘のように、第二次の、今度は五十四年度から六十年度までの七カ年計画にいたしたいと考えておりますが、現在医務局にございます看護体制検討会で御検討いただいております。その中身につきまして特に新しいところは、一昨年ILOが決議いたしました条約、勧告の関係、端的に申しますと週休二日制の問題でございますが、そういった問題が新しい問題でございますけれども、基本になりますのは、人口の伸びとかあるいは病院、診療所の伸びとか医師の数の増とか、そういったところが基本になるわけでございます。  第一次の計画では端的に申しますと、三十七万人の実働看護婦を十二万人ふやして四十九万人にしようという計画でございまして、先ほどもお話ございましたが、おおむねマイナス七百名くらいで目標を達成できるのじゃなかろうか、そこではプラス五百になっておりますが。第二次の計画は、まだ結論が煮詰まっておりませんけれども、第一次の十二万人を上回る看護婦の増員が必要になろうと思っております。現在鋭意検討中で、近く発表されるものと思います。

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 次の問題を伺います。いわゆる植物人間という問題でございますけれども、時間がありませんので簡単にお答えをいただきたいと思います。  まず初めに、いわゆる植物人間という定義について、どういう方々がその植物人間と称されるのか、現在全国でどのくらいこういう方々がいらっしゃるのか、まずお伺いします。

田中明夫厚生省公衆衛生局長

○田中(明)政府委員 植物人間の定義でございますが、医学的には遷延性高度意識障害患者と呼ばれているものでございまして、脳外傷、脳血管の障害、脳腫瘍などの原因によりまして、三カ月以上種々の治療にもかかわらず、これから述べます六項目を満たす状態にある者を言います。第一番目に、自力で移動が不可能である、二番目に、声を出しても意味のある発言が全く不可能である、三番目に、目をあけ、手を握れというような簡単な命令には辛うじて応ずることもあるが、それ以上の意思疎通が不可能である、四番目が、眼球は辛うじて物を追っても認識はできない、五番目が、自力で摂食が不可能である、六番目が、屎尿が失禁状態にある、以上述べました六項目の状態を満たす者を植物人間というふうに定義しております。  次に、患者の数でございますが、昭和四十八年度から東北大学の医学部の鈴木教授を班長とする研究班でいろいろ研究していただいておりますが、この研究班の調査によりますと、全国の脳外科の専門病院百四十一施設で把握しております植物状態の患者の数が約五百名ということでございまして、この数字から、全国では二千ないし二千五百の患者がいるというふうに研究班では推定しております。

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 そのうち、いわゆる交通事故による方がどのくらいいるか、おわかりでしょうか。

田中明夫厚生省公衆衛生局長

○田中(明)政府委員 交通事故というふうに私どもは分類しておりませんが、医学的に、多分これがほとんどそうであろうと思いますが、頭部の外傷と呼ばれておりますのが、これは昭和四十八年から五十年までの患者の原因別の統計をとったのですが、四百二十一名のうち百二十七名ということで、三〇%に当たっております。

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 この植物人間と言われる方々は、身体障害者扱いになるわけでございますか、それとも全然別扱いになるわけですか。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 身体障害者福祉法上の身体障害者は、法別表に掲げる程度の身体上の障害がございまして、何らかの意味で日常生活能力等の回復の可能性が見込まれる者に対して手帳を交付するわけでございます。御質問の患者につきましても、そういう可能性、要件に該当する場合には、いわゆる植物人間であっても手帳を交付することがあり得るというふうに考えております。

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 もう少しわかりやすく答えていただきたかったのですが、たとえば交通事故で手足がどこかなくなったとか、その上に意識障害がある、こういう場合は身体障害者扱いになるわけですか。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 身体障害者福祉法は、もう御承知のとおりに更生を目的とする法律でございます。したがいまして、その個々の患者の方につきまして、回復なりあるいは更生の可能性が少しでも認められるかどうかということによって判断されるわけでございます。したがいまして、個々の患者について医師を中心とします専門的な審査をいたしまして、この人にはその可能性が残っておるということであれば、それによって手帳を交付する。その認定が個々で非常にむずかしゅうございますので、専門医師の意見書をいただき、非常にむずかしいものにつきましては、都道府県庁に審査部会というのがございますが、そこでケース、ケースによって判定をしていく、こういうことになろうかと思います。

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 最後に、別な問題でございますけれども、去る二月十六日に東京の国立大蔵病院、また同じく第二病院で不祥事件が発生したわけでございます。私どもも新聞報道でこれを知ったわけでございますけれども、現在医療問題が国民の間で非常に関心が寄せられているときに、こういう不祥事件が起きるということははなはだ残念なことでございます。  この問題につきまして、いろいろと考えられる点はございますけれども、たとえば現在のその病院の購入システム、医薬品とか器具ですね、こういう購入システムの上で何か問題はないのだろうか。また、医薬品等を買う場合の選定委員会とか、こういう委員会は果たして正常に機能をしているのかどうか。また、問題として取り上げられた随契でございますけれども、この随契はもうなくすべきであると思いますけれども、こういう点を含めて、この不祥事件に対してこれから厚生省としてどのように取り組んでいくのか、また指導をされるのか、こういう問題について最後にお伺いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 今回国立病院において収賄容疑事件が発生をしたことは大変申しわけないことでございまして、心からおわびを申し上げます。  現在容疑者が司法当局の取り調べを受けている段階でありますけれども、御指摘のとおり、物品購入の際の契約の中での問題が生じたと考えられますので、特にいま御指摘になりました随意契約にかかる物品の購入に当たっては、多数の業者からの見積もり合わせを行うことと、また一定の業者に偏ることのないようにということを考え、早急にその適正を期するよう医務局長をもって指示をさせております。  私どもとして、こういう事態を非常に申しわけないことと自覚をいたしますと同時に、事務処理方法等につきましても再点検を指示し、この事件の教訓を生かして再発防止に努めていきたいと考えております。

草野威公明党・国民会議

○草野分科員 以上で終わります。

野呂恭一自由民主党

○野呂主査 これにて草野威君の質疑は終了いたしました。  次に、新村勝雄君。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 いわゆる医師税制の今回の手直しと、それからそれに関連をいたしまして、医業のあり方あるいは医業経理のあり方についてお伺いいたしたいわけであります。  今回、長い間の懸案であるいわゆる不公正税制、特に社会保険診療報酬に関する経費率の改定が行われたわけでありますけれども、まずその経費率の根拠についてお伺いをいたしたいと思います。  各段階ごとに、二千五百万以下は七二、あるいは二千五百万を超え三千万以下は七〇というようなことが案には決められておりますけれども、その根拠について伺いたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 今度の税制改正の基本になりましたのは、四十九年十月の政府税調の御答申が基本になっていると思うのでございますけれども、最終的には二千五百万円以下の部分が経費率七二%、二千五百万円を超え三千万円以下の部分が七〇%、また三千万円を超え四千万円以下の部分が六二%、四千万円を超え五千万円以下の部分が五七%、五千万円を超える部分が五二%とされております。  この根拠となりましたものは、多分四十八年の医師の収入、その課税の際の調査が根拠になっているのではないかと思うのでございますが、その後時間もたっておりますし、会計検査院の調査等も新たに出ているわけでございますが、その他いろいろな政策的な判断もございまして、ただいま申し上げましたような最終的な構想になったものと考えております。  なお、この詳細につきましては厚生省ではよくわからないわけでございまして、やはり大蔵当局、税務担当の方にお聞きいただくのが正確であろうかと思います。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 ただいまの御説明では釈然としないわけでありまして、政府税調の答申とも違う、そしてその経費率の正確な根拠が明らかでないということになりますと、これは手直しをしても、いままでと同じような税制に対する国民の不信を招くのではないかという心配があるわけであります。  そもそも、二八%という数字そのものが政治的な決着という色彩が当初から濃かったわけであります。それがこの医師税制に対する国民の不信を招いたわけでありますから、今回の改正に当たっては、このような定率を採用するとすれば、どういう根拠によってその数字が出てきたかということを国民に明らかにする必要があると思うわけでありますが、大蔵省はいらっしゃっておりませんですか。お願いをしてあるわけですが、いらっしゃっておれば、大蔵省の方からその根拠を伺いたいと思うわけであります。——では、大蔵省の方からの資料は改めてお願いをいたしたいと思います。  厚生省ではただいまのお話以上にはわからないというわけですか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 そのとおりでございます。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 それでは、大蔵省の方には改めて資料をお願いいたしたいと思います。  そこで、もう一つ伺いたいのですが、段階別に新しい経費率をお定めになったわけでありますけれども、これは粗収入、いわゆる所得ではない収入でありますが、保険診療をしておる全国の開業医は、段階別に分類をした場合にどんな分布状態になっておるか、この数字を、おわかりになりましたら、伺いたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 その数字も厚生省といたしましては把握いたしておりませんが、先般大蔵大臣等が予算委員会などでお話しになっておりましたところでは、五千万円以上が四分の一、三千万円から五千万円までが四分の一、三千万円以下が二分の一、そのように聞いております。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 これはそういう大ざっぱなものではなくて、正確な統計がおありになるはずであります。特に社会保険診療報酬については、給与所得者の給与と同じで正確に把握がされておるはずでありますし、全国に開業医がどのくらいおりますか、七、八万だと思いますけれども、その所得段階の統計さえもないということでは大変心もとないわけでありますが、いかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私どもは社会保険医療を預かっておりますけれども、それが医師の収入としてどう一人一人のところに行っておりますか、これはむしろ税務当局の問題でありまして、予算委員会の総括質問等におきましても大蔵大臣からその点についてお答えをしたとおりでありまして、厚生省側としてはそれに対する資料は持っておらないということであります。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 医療行政をおやりになる厚生省さんとしてその程度のものがなくては、果たして医療行政ができるかどうか疑問なわけでありますけれども、そういう点はいかがなものでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 個々の医師がどれくらいの収入があるかは、むしろそれに対して課税をいたします税務当局が把握する方が本筋であろうと私どもは思っております。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 それは本来は税務当局がおやりになることかもしれませんけれども、医師税制がこのように問題になっておる。しかも、それは単なる税制の問題だけではなくて、医業のあり方あるいは医業の経理をどうするかという問題、これらの本質的な問題にも絡んでくるわけでありますが、こういう問題にも関係をいたしますので、厚生省さん、その程度のことは十分把握をなさってしかるべきではないかと思いますが、ないということではいたし方ありませんので、次の点を伺いたいと思うわけであります。  医業については、これは一般の経営とは区別をしていままで観念されて考えられておったと思いますが、しかし経済社会の中での一つの経営であることには変わりはないわけでありますし、したがってそこに対して公平な課税をされるということもこれは当然なことであります。  そこで、昔から医は仁術と言われておりますが、現在も医業の経理の方法あるいはあり方については一般の経営体とは区別をされておる。たとえば医療法人等の経理あるいはその取り扱いについては株式会社とは明らかに違う面がたくさんあるわけでありまして、医療法人あるいは法人化についてもいろいろと制約がございますけれども、これらの基本的な考え方は、一般の経営とどう区別をされ、どういう考え方のもとにこれは行われておるのか、その点を伺いたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 病院、診療所につきましては、現在医療法で営利を目的として経営することを禁じられております。したがって、営利法人で病院、診療所を経営することはできないのでございますけれども、しかし病院、診療所も大きな規模になってまいりますと、資金の調達の問題もありますし、また事業の永続性の問題もございますので、現在特に医療法人という制度が設けてあるわけでございます。  ただ、現在の医療法人は常勤の医師または歯科医師が三人以上いる場合でございまして、三人未満の場合には医療法人を認可されない、設立できないのでございます。  そこで、そういった医療機関についてはどうするかというような問題があるわけでございますけれども、診療所の場合でも最近はかなり多額の資金を必要とするというようなことになってまいりましたし、またその診療所の事業の継続性、代がかわっても継続できるようにするといったような問題もございますので、三人未満の場合また特に医師が一人だけといったような場合でも医療法人の設立を認めたらどうかという御意見がございます。  したがって、私どもは現在慎重にこの問題を検討中でございますけれども、こういった制度につきましては、まずそれをお使いになる第一線の開業医の方々がそういう希望を実際にお持ちかどうかといったような問題もございますので、そのような開業医の方々あるいは医師会の御意向、動向等も勘案しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 医業については営利を目的としてはいかぬということは、これは基本的にはそうだと思いますが、そういたしますと、税制ともこれは関連をいたしてまいると思うのですが、従来の医業に対する税制は、この医業の特性に対応するものであるのかどうか、その点を伺いたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 私ども医療供給体制を担当いたしておる者といたしましては、従来の医業に対する税制については必ずしも適切なものではない、いろいろな問題があると考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 医業の基本的な性格は、やはり営利の追求であってはならないことは当然でありますけれども、医業といえどもやはり一つの経営でありますから、その経営のあり方については一般の営業と同じような経理の原則あるいは扱い方をすべきではないか。また同時に、一方においては、課税も全くほかの経営と同じように課税していくということが納税者、国民の信頼を得る税体系ができるのではないか。現在のように定率という形で課税をすること、定率で経費を認めるということは、その根拠が不明確であると同時に、それを手直しをしてもやはり不公平という印象をぬぐい切れない、税制の不信を招く要因をいつまでも温存していく、禍根を将来に残していくということになると思うのであります。たとえこの経費率を厳しくいたしましてもそうなると思うのでありますが、それらの課税に対する、あるいは医業の経営のあり方についての根本的な考え方についてもう一回伺いたい。これは大臣に伺いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 社会保険診療報酬の課税の特例については、いままでの政府税制調査会及び自由民主党の税制改正大綱を踏まえて今般の改正が行われたものと私は考えております。  この問題はきわめてすぐれて税制上の問題でありますから、本来大蔵大臣または税務当局に御質問をいただく方が筋ではないかと存じますし、これは直接私の所管外でありまして、意見を申し述べることは差し控えたいと存じますけれども、私は医療行政を担当する立場でありますから、この問題の円満な解決を望んできたところでありまして、今回の決着を見たことにつきましては、むしろ関係者の努力を評価いたしたいと考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 次に、先ほどもちょっと出ましたけれども、税制の見直しに関連をして医療法の改正をお考えになっておられるというお話でありますけれども、やはり課税については他の部門と同じように課税をする。一方、経営という面はやはり十分考えてやらなければいけないのではないか。そういう意味では医療法の改正を含めてぜひ御検討をいただきたいわけでありますが、たとえば一人法人の許可等も含めて検討すべきであると思いますけれども、それらについてもう一回伺いたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 今国会で医療法を改正するというような結論にはまだ達しておりません。しかしながら、先ほど来申し上げたような理由で、一人法人の問題も含めて検討は進めております。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 これは大蔵省さんがいないとわからないですか。今回の改正によってどのくらい税収がふえるか、おわかりですか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これも私どもがお答えをする種類の問題ではございませんで、税務当局にお確かめをいただきたいと思います。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 今回の改正によっても、これはみなし法人の扱いはされるわけですね。それから、現在いわゆる医療スタッフ、プレメディカルの人たちの待遇というようなものもきわめて劣悪なわけでありまして、それらのものを一定のレベルに向上させるというようなことになりますと、これは必ずしも所期の税収が上がらないのではないかというようなこともあるわけでありますけれども、それらの点はいかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 税収が上がるかどうか私は存じませんけれども、今後においても医療関係、医療に従事する人々の待遇というものは順次改善をしていかなければならない。また、それが高度な医療を確保するためにも必要なことだと私は思っております。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 これは大蔵省さんにお伺いすることでありまして、厚生省さんは無理だと思いますから別の点を伺いますが、医薬分業の問題がございます。これは税との関係でありますけれども、今回の経費率の改定によって、別の意味での医薬分業が促進をされるのではないかというような見方があるわけでありますけれども、こういう点は厚生省さんはどうお考えでございますか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 薬務局は御指名がありませんでしたので呼んでおりませんので、私から概括してお答えをさせていただきたいと思いますが、私は、この社会保険診療報酬にかかる課税の特別措置に絡んで医薬分業が変動するとは考えておりません。ただ、厚生省自身が医薬分業というものを推進していくという考え方のもとに、本年におきましても、たとえば都道府県の薬剤師会が会として調剤のセンターを設けられる等の経費に対しての補助は組んでおるわけであります。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 医薬分業を医業の経営を分割するという形で行われるというケースが若干あるわけでありますけれども、税制の改正に伴ってその傾向が促進されるということが十分考えられるわけですが、そういう点については厚生省さんはどういうお考えでございますか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 今回の税制改正でそれが直ちに医薬分業に好影響を与えるというふうには私は考えておりません。むしろ従来よりも薬の買いたたきをすると申しますか、値引きを強要するような傾向が出てくるのではないかというような危惧も持っているわけでございます。  医薬分業の推進はむしろほかの要素で行われるわけでございまして、たとえば社会保険の診療報酬の処方せん料が値上げされるとか、あるいは薬価の決め方が非常に厳しくなるとか、そういった問題等々がむしろ影響してくるのではないかと考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 私の申し上げているのは、医業の経営を、これは医薬分業によって二つに分割されますね。そのことによって今度は税の額が違ってくるわけでありますから、そういう意味で、医業の合理化という面から投薬部門を分割するという動きがあらわれてこないかどうか、またそういうことがあらわれてきた場合に、厚生省さんはこの傾向は歓迎されるのか、あるいはそうでないのかということを伺いたかったわけでありますが、そういうことが余り予想されないということであれば、それで結構でございます。  時間がございませんので、次に水道の問題について簡単にお伺いをいたしたいと思います。  水道料金については、これは国民生活に絶対欠くことのできない生活資料でございまして、安全に確実にしかも低廉に国民に確保するということが絶対必要な要件であろうと思いますけれども、最近水道料金の格差がきわめて顕著になりつつあるわけであります。たとえば家庭用一カ月十立方メートル当たりの料金の最高と最低について、その推移を見ますと、最近十カ年の間において料金格差がはなはだしく拡大をしていることがわかるわけであります。昭和四十二年度には十立方メートル当たり最低が八十円、最高が八百十円であったわけでありますが、その差は約十倍でございます。五十一年度には最低が百四十円、最高が三千七百五十円と、その差が二十七倍に拡大をされておる。こういう事実があるわけであります。  このように地域によって、あるいはその地域の与件によって大変な格差を生ずるということは、これは政治上の一つの問題ではないかと考えるわけでありますが、この点についてお伺いしたいわけでございます。

国川建二厚生省環境衛生局水道環境部長

○国川政府委員 水道料金につきまして、ただいま先生から料金の格差があるということのお話でございましたが、先生御承知のように、水道事業は一応独立採算というたてまえで経営されておりますために、水道ごとに、給水原価が異なりますとおのずから水道料金も異なってくるわけでございます。その原因もいろいろございます。地理的条件による場合もあれば、新旧という、沿革、歴史といいますか、その差による場合もございます。一般的に申しますならば、給水原価が非常に高いという場合の原因は、非常に先行投資となるダムをつくるような場合とか、水源が非常に遠隔地で長距離の水を運ばなければいけないとか、そういうケースが多いわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、料金の格差が著しいことは、これは決して好ましい姿だとは思っておりません。そういう非常に高いコストとなる事業につきましては、先ほども申しましたような水源あるいは導水路とかあるいは広域化を進める、そういう施策を進めたいと考えておりまして、かねてからこれらの該当する事業につきましては国庫補助という形で助成をいたしているわけでございまして、今日まで対象範囲を拡大する等の措置を講じながら進めている次第でございます。  なお、先ほど先生がおっしゃいました、最高が三千七百五十円というケースにつきましては、これは御承知でございますが、瀬戸内海の離島の、海水を淡水化するケースでございます。一般的に申しますと、やはり規模の小さい水道が割り高と申しますか、コストが高いということが言えようかと思います。私どもとしては、できるだけその是正に努めていきたい、そういうことを考えております。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 サービスにしてもあるいは物価にいたしましても、いわゆる一物一価の法則とよく言われますけれども、一つの物の値段は一国内では、世界的にもそうでありますが、ほぼ一定しておる。一定の水準であるのが普通でありますけれども、水に限っては地域によって何倍という格差があるわけであります。現在も広域水道については補助の制度がございますし、上水道、簡易水道についても、簡易水道については補助があるし、上水道については良質の資金をある程度配当されておりますけれども、何といっても現在企業努力だけではもうどうにもならない段階になっておるわけでありますし、この状況をほうっておいていいのかどうか、大変疑問に思うわけであります。  厚生省におきましても五十四年度は新しい補助制度をお考えになったようでありますけれども、これが日の目を見ないというような状況でありますが、今後の上水道の料金対策、特に料金を均衡させていくという観点からの政策をどんなふうにお考えであるか、お伺いをいたしたいと思います。

国川建二厚生省環境衛生局水道環境部長

○国川政府委員 ただいま申しましたように、料金の格差に最も効果のあると申しますか、適切な施策としまして、建設事業について私どもは着目をいたしているわけでございますが、その最も適当な方策と申しますのは、いわゆる水道事業の広域的な運営ではないかというように考えております。他方、水道事業にはいろいろな問題がございまして、水道用水の需要の増大に伴います水源確保の問題等もございますので、私どもといたしましては水道の広域化をぜひとも推進いたしたい、そういうことによりまして給水原価を、これは水道事業間の格差の是正に寄与するわけでございますから、そういった面で今後とも鋭意努力していきたいというように考えております。  なお、先生よく御承知だと思いますが、自治省におきましても、これは起債関連ということで、いわゆる高料金対策といたしまして、一定基準を上回る水道料金を設定しております水道事業体で、一般会計から繰り入れるというような措置を講じておる場合には特別交付税の措置もとられているわけでございますが、私ども厚生省も、自治省ともども御指摘のような問題についてば今後鋭意努力していきたいと思っております。

新村勝雄日本社会党

○新村分科員 現在水道の普及率は九〇%に達しておりますけれども、状況の悪いところはまだ未普及地帯があるわけでありまして、未普及地区に対する御配慮と、それから高料金に対する御配慮を特にお願いいたしたいと思います。  終わります。

野呂恭一自由民主党

○野呂主査 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。  次に、宮地正介君。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 大平新政権になりましての若手の橋本新大臣でございますが、総理の所信表明演説の中におきましても「緑と自然に包まれ、安らぎに満ち、郷土愛とみずみずしい人間関係が脈打つ地域生活圏が全国的に展開され、大都市、地方都市、農山漁村のそれぞれの地域の自主性と個性を生かしつつ、均衡のとれた多彩な国土を形成しなければなりません。」このために種々の政府としての対策を強調し、またその推進を本会議におきましても述べられたわけでございます。そういう中におきまして、特に大都市圏を中心とした人口急増地域におけるいわゆる医療体制の拡充といった問題は、まさにこの総理のおっしゃった基本的な理念にどう整合性を持たせ、具体的にどう推進していくか、これは大変重要な課題であろう、このように私は考えているわけでございます。  そこで、きょうは時間も限られておりますので、東京都を中心といたしました人口密集過密地域として、またここ五年、十年の間に莫大な人口増加で発展を続けております埼玉県西部地域を中心にいたしました医療問題を初め、厚生省所管の問題について若干の質問をさせていただきたい、こう考えているわけでございます。  そこで、まずその中で、特に人口急増の地域におきまして、総合病院というものの必要性が非常に出てまいっております。大臣も御存じと思いますが、たとえば歯医者さんがないために、朝早くからお母様方が並んで子供の歯の診療に当たるといったような事例、あるいは救急体制が不備のために、たらい回しで残念ながら犠牲者を出すといったような問題が種々あり、この人口急増の地域におきましては大変に問題が深刻化しているわけでございまして、そういう中におきまして国立病院新設の要望があるのでありますが、これが残念ながら、厚生省はこの十数年来、いわゆる国立総合病院となりますと一カ所も新設の例がない。これについては、総定員法だとか、あるいは独立採算制の問題など、いろいろネックがあるようでございますが、大平新政権の田園都市構想を初めとした教育、文化、そして国民の健康と生命を守るという立場からいたしまして、国立総合病院につきましては、厚生省がその新設のために積極的に努力し、また具体化を進めていくべきではないか、こういうふうに私は考えているわけでございますが、まず大臣の所見を伺いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 宮地さん御承知のとおりに、国立病院は戦後、旧陸海軍病院を引き継いで発足したという経緯から、確かに必ずしも全国的に均等に配置をされていないということは事実でありますが、同時にまた、それぞれの地域において重要な役割りを果たしておることも御承知のとおりであります。ただ、現状におきまして、既設の国立病院についての診療機能あるいは定員、施設整備等の問題があり、さらに充実強化を図らなければならないばかりではなくて、国の医療行政に対するニードというものがだんだん変わってきた状況の中で、特定の非常にむずかしい病気に対しての研究というものがウエートを占めてまいりまして、がんセンター、また循環器病センターといったような機能の整備に進んでまいりました。それだけに、当面私どもは、国立の総合病院の新設ということをむしろ考えておりません。  そこで、埼玉県の場合でございますが、私の方はむしろ逆に宮地さんに御協力をいただきたい問題を実は持っておるわけでありまして、いま御指摘のとおりに、救急医療体制等に相当な欠陥があります。そして私どもは、国として少なくとも各都道府県一カ所の救命救急センターの整備をしたい、三次救急の体制をとりたいということを言い続けておるわけでありますけれども、実は埼玉県自身の計画がまとまってまいりません。むしろ私は、国立総合病院というもの以前に、現在の医療情勢の中では救命救急センターの方が優先するのではないだろうか、県の計画を早くおまとめいただきたいという考え方を持っております。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 私は大臣を若手として大変期待しているわけですが、どうも地方自治体に責任を転嫁するような御発言は、私は大変遺憾に思うわけであります。特に、私の地域の中におきましても、たとえば埼玉県西部地域というのは、最近は人口が百二十万人を超えておる。確かに国立の西埼玉中央病院というのが所沢にございます。また近くには防衛医科大学ができまして、最近では市民にも救急体制あるいは医療の開放をしております。また西部地域の奥には、私立でありますけれども埼玉医科大学の病院もあります。しかし、この三つの総合病院がありながら、年々人口の急増に伴いまして、当然町のお医者さんもいろいろ御協力をしてくれておりますが、現実に救急の問題になりますと、その受け入れ体制はなかなか厳しい状態にあります。  そこで、きょうは消防庁を呼んでおりますので、埼玉県下における、また所沢市などにおけるところの救急の実態をまず報告していただきたいと思うのであります。

中島忠能消防庁予防救急課長

○中島説明員 お答えいたします。  埼玉県の所沢というところに着眼して申し上げますと、五十二年中の全国の救急の搬送人員百六十二万人おりますけれども、その中で転送されたという対象は二・五%でございまして、埼玉県の場合には一・五%、所沢市の場合には一・七%ということで、全国平均よりやや低くなっております。ただ、管外搬送といいますか、管轄区域外への搬送につきましては全国で一一・四%、埼玉県はそれを上回りまして一九・三%、所沢は一九・一%ということで、管外搬送については非常に全国平均を上回っております。  私たちの今後の対策といたしましては、厚生省と協力いたしまして、また県にもお願いいたしまして、救急医療体制の整備というものを図ることが重要でございますが、消防機関といたしましても、病院情報を即座に把握できる装置というものを導入いたしまして、管外搬送が少なくなるように、またたらい回しが少なくなるように努めてまいりたいというふうに考えております。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 私は、昨年この所沢市による救急体制というものがどういうふうになっているかということで、救急車にも乗せていただきました。現実に患者さんにも出会いました。しかし、どうしてもその実態としては他の市の方に行かざるを得ない。大変残念でございますけれども、地元に国立がありながら、国立でも受け入れることがなかなかむずかしい。中には玄関でほかにと回されている例もある、こういう市民の厳しい御批判もあります。  そういう中におきまして、私、大変残念ですが、先ほど大臣が埼玉県が非常に取りまとめがおくれておる、こういう言い方をしておりますが、全国的に見ましても国立大学の付属病院やあるいは三公社五現業の付属病院、こういうところは全体の一割にも及ばない。厚生省としても自治体に対してこの急患受け入れに対していろいろ要請、対策をしているようでありますが、国でわずか一割しか受け入れができてない。これが実態なのです。私は、そういうような残念な状態、まして埼玉県というのは、御存じのように、沖繩県に次いで下から二番目に医療過疎県と言われているところであり、人口急増で爆発的にいま五百万を超えている、そういう状態であります。そういう中におきまして、地元の今後三十万、四十万に急増しようという所沢市などにおいても救急医療情報システムなどをつくって、これは大臣、一回調査、視察されればわかりますけれども、並み並みならぬ構成と、またその対応に四苦八苦で、地方自治体また地域のお医者さんの中でできる医師会などとの連携で最大の努力をしておる。構成を見ましても、九つの団体、たとえば所沢市地域保険医療協議会とか所沢市医師会とか所沢市歯科医師会とか所沢市とか国立西埼玉中央病院、防衛医科大学病院、所沢市薬剤師会とか所沢保健所とか所沢市市民医療センター、こういう細かいところまでいろいろ連携ができておる。また、それだけ何とかたらい回しを防ごうというそういう努力は、小さいながらも地方自治体とまた地域住民、地域のいろいろなそういう協議会などとの間にできている。しかし、国はいま申し上げましたように、一割程度の受け入れである。そして、先ほどお話ししましたように、国立西埼玉中央病院でさえ何回かやはり患者さんをほかにお願いをしておる。実態はお調べいただけばわかりますが、この国立の中にはまだ看護婦さんが少ないということでベッドもあいたままになっている。しかし、看護婦さんが総定員法の関係でどうも採用はできぬ。足りない。こういうことで結局ベッドがあきのままになっておる。これが実際の実態なんです。最近、防衛医科大学ができまして、防衛医大の方でもいろいろと救急体制に御協力いただきまして非常にこのサービスに努めていただいております。しかし、この人口急増の激しい爆発的な波にはいわゆる救急医療体制というもの、これが追いついていけないのが現状であります。  私は、そういう意味合いから、厚生大臣、埼玉県が確かに取りまとめについていろいろおくれているという、そういうものもあるでしょうけれども、そんなことを言っている間に一人、二人の犠牲者が出てくる。その辺を積極的に御調査などされまして、むしろ県が取りまとめがおくれておるなら、厚生省としても、どうだ、もうちょっと早くならぬか、われわれも何とか協力をしてこの爆発的な人口急増に対応して国民の健康と生命を守るために全力で助成したい、このくらいの気魄と努力があっていいのではないか、私はこう思うわけですが、もう一度所見を伺いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私どもは実際そういう努力をしてまいりまして、その上で逆にいま申し上げたわけであります。  なお、私は救命救急、三次救急だけを申しましたが、実は二次救急からないわけでありまして、所沢市を初めそれぞれの地域において御努力をいただいている実情は私どもがよく存じております。そして、むしろそういう意味では国自身もその問題に対しては県の方に努力をお願いし、早く御相談をいただきたいということを申し上げているわけでありまして、私は決して責任回避をするつもりはありません。むしろ率直に実情を申し上げておるわけであります。  また、いま御指摘をいただきました国立大学の付属病院、確かにこれは救急告示率七%でありますし、三公社五現業の病院については、印刷局の病院を除いては全然告示を受けていないという実態について、私も着任以来、閣議の席上でも関係閣僚に対してこの状態改善方を何回か要請をしておりますが、まだ進まないことで、これは私の力不足をおわびをいたします。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 私は、結論的に、まずここの所沢市にあります国立西埼玉中央病院の内容の拡充を積極的に対応していただきたい。たとえばもうすでに御存じと思いますが、高崎市の前医師会長であり、なお国立高崎病院に関係のあった村田先生という方が、朝日新聞の「論壇」で、国立病院をもっともっと充実をすべきであるという御発言をされております。その結論として、この先生は、「私は、国立病院はすぐれた技術と人材を確保し、地域医療における「技術集積ユニット」としての役割を果たすべきだと思う。」これを強調され、「「独立採算」と「総定員法」を表裏とし、地域の特性を無視した画一的な厚生省の指導が、地域住民のための医療確保のネックとなっていることを指摘したい。」と言って、この先生は結んでいるのです。私はそういう意味合いからも——この先生は長年国立病院にいらっしゃった先生です。お読みになったと思います。そういう点において私は国立西埼玉中央病院においてもさらに内容的なそういう積極的な御助成、強化拡充、こういうものを要求したいと思いますし、たとえばいま大臣がおっしゃいましたけれども、救急医療の第三次センターというものが、現行法であると人口百万人都市で、一県あたり一カ所、こういう法律であります。私はやはりいつまでもこのような法律にこだわっていないで、交通の状況とか、いま申し上げましたような人口の過密だとか新住民の移動の問題などから考えたとき、特に埼玉県西部地域はこれに当たるわけでございますが、この人口急増地域においては一律百万人の人口、一県一カ所といった問題をここで改めていく、法律の改正が必要ではないか、こういう感じを持っておるわけでございますが、この点についてはどういう御所見をお持ちでございましょうか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 ただいまお話がございましたような人口百万に一カ所といった法律は、私はよく存じておりません。何かほかの施設との間違いではないかと思っております。  また、私どもは、救急医療対策の推進に当たって埼玉県に第三次救命救急センター、一カ所とは申しておりません。人口が五百十万もございますし、やはり二カ所や三カ所はどうしても必要なんじゃないかと考えているわけでございます。そういう方針で県の方を指導しておりますけれども、まだ県の救急医療対策協議会から計画がまとまって出てこないわけでございます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 そこで、時間もあれなので、次に私は国立の秩父学園の問題について一言触れておきたいと思うわけでございます。  この国立秩父学園は、もうすでに御存じのように、国内でも初めて心身障害児の教育訓練、また研究、こういったものとしてつくられてまいりました。しかし、私は最近この秩父学園におきましてもさらに強化拡充の必要があるのではないか、こう考えているわけでございます。なぜかといいますと、御存じのように、年齢的に十八歳で制限があるわけでございますが、どうも十八歳を過ぎたらそのままどこかに持っていくというわけにいかない。そのために障害児の年齢が高齢化をしてきておる。こういうことで、現行の設備などでは少し物足りなくなってきておる。言うならば大変な状態になっているのではないか。  そういう点で、この辺を考えましたときに、今後積極的に施設の拡充あるいは要員の確保、またもう一面、やはり日本で初めてそういうような研究機関も含めた学園ができたわけでございますから、全国のそういう障害児の施設のモデル的センターとしてその役割りを果たす意味からもさらに私は強化拡充すべきではないか、こう思っておるわけでございますが、その点について所見を伺っておきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 この点、私は宮地さんの御意見に心から敬意を表します。私どもとしても、今後の秩父学園のあり方について、特に重度精神薄弱児の処遇技術の開発などの面に意を用いて研究、研修についても一層の充実を図っていきたいと考えておるところでございます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 たまたまこの七月に、この国立秩父学園がございます同じ所沢市の基地の跡地に、御存じと思いますが、医療から職業復帰までというキャッチフレーズで国立の身体障害者のリハビリテーションセンターがオープンになる予定にもなっているわけでございます。さらには同じ敷地の中に国立の職業リハビリテーションセンター、こういうりっぱなものが設置される予定でございます。言うなら日本で初めての大変結構な施設ができるわけでございますから、この国立職業リハビリテーションセンター等を初めといたしまして全国的に、各自治体あるいは私の段階で身体障害児、身体障害者のいろいろなそういう施設があるわけでございまして、センターらしく機能的にもあるいは技術的にもあるいは検査的にも何らかのリーダーシップをとっていく。縦割りだけでなくして横の連携を、厚生省からすれば一本でありますけれども、各局にいろいろ分かれてまいりますと、多分にその間にどうも連携のひずみが出てくるように思われ、結果的に、国民の皆さんから見ますと満足度がだんだん少なくなってくる、こういうような感じになるわけでございまして、所沢市に三つのこういう施設ができるわけでございますので、この際ぜひ思い切って国の立場からのきちっとした連携のとれるような何らかの行政的な一本化といいますか、国民のニーズに対応のできやすい対策を検討すべきではないか、こう思うわけでございますが、いかがでございましょうか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 いま御指摘になりましたその三施設、それぞれに対象者を異にする、また多少の目的を異にする部分を持っておりまして、機械的にそれを一つにすることは大変むずかしいことでありますが、これは宮地さんもよく御承知のように、たとえば国立の高崎のコロニーと国立高崎病院の連携など非常にうまく、局の分かれているものでございましても非常にうまく連携動作をとっております。そういう意味での有機的な連携動作がとれるように十分私どもも指導監督をしてまいりたい、そのように存じます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 さらに、このたび厚生省の大変な努力によりまして埼玉の西部地域に、川越市の伊佐沼というところに国民年金保養センターを五十四年度で一応検討されている、このように伺っているわけでございます。話によりますと、五十四年度から建物、備品などで四億五千万円、そして新たに土地についても国が責任を持って手当てをしていただける、このように伺っているわけでございますが、この点についての概要と、いま申し上げました土地の手当てについてのもう少し具体的な御説明をいただきたいと思います。

持永和見社会保険庁年金保険部長

○持永政府委員 川越の伊佐沼に五十四年度に国民年金の保養センターの建設を予定いたしております。この点につきましては、五十四年度の予算の中におきまして土地購入費と建設費、いまおっしゃいました建設費は約四億五千万でございますが、土地につきましてもおよそ必要な予算措置を講じたいというふうに考えております。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 聞くところによりますと、その土地の手当てについては二千坪程度というふうに聞いていますが、もう少し具体的に、どういう手当てになるか、予算面とその敷地の大きさ。

持永和見社会保険庁年金保険部長

○持永政府委員 土地については、これから土地を選定いたしまして、実際の区割りをいたしまして実行に移るわけでございますけれども、予算上の一応の目安としては、いま先生おっしゃいましたように、二千坪ということを予定いたしております。大体九千万程度の購入費を予定いたしております。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 実際にできる建物の中の問題などにつきましては、地元川越市、埼玉県とよく連携をとりながら、住民のニーズにこたえた形として、できた後、利用しやすくまた喜ばれるような施設にぜひよろしく要望をさしていただきたい、こう思うわけでございます。  さらに、今度越生町に厚生年金休暇センターができる予定になっているようでございますが、この点についてもやはり進入路の問題など多く、地元埼玉県あるいは越生町との問題で非常に調整が必要であるわけでございますが、当然厚生省としてもその調整についてはすでに終わっておるようにも聞いております。この点について概要、また今後の御計画を伺っておきたいと思います。

持永和見社会保険庁年金保険部長

○持永政府委員 越生町につくります厚生年金の関係の休暇センターでございますが、これにつきましては、五十二年の十月から着工いたしておりまして、五十四年度、明年度いっぱいで完成することをめどに建設いたしております。地元の方の御協力も多大にいただいておるわけでございますが、現在のところは順調に進捗をいたしております。  なお、こういった施設関係、被保険者の施設につきましては、やはり地域の施設でございますので、先生おっしゃいましたように、地域の方々の協力を求めながら、かつ地域の人々に喜ばれる、そういった施設にしていかなければならないと思いますし、そういう意味で地域の方々の要望なり御意見は十分参考にさして進行していきたいというふうに考えております。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 時間が参りましたので、最後に大臣に一言質問をして終わりにしたいと思います。  私は、結論的には、先ほど来申し上げておりますように、埼玉県というものが大変な医療過疎県であるという認識をまず大臣にお持ちいただきまして、もう一つは、東京都のベッドタウンとして大変爆発的な人口急増をしております。そのために、生活環境を初めといたしまして大変なひずみといいますか、立ちおくれがあるわけでございまして、特にそういう意味合いから、この医療問題というものは非常に重要であります。歯医者さんの問題あるいは小児科の問題、脳外科の問題、あるいは先ほど申し上げました救急医療の問題を初め、大変国に対する期待が強いわけでありまして、ぜひこの埼玉県の置かれている現状の認識をお持ちいただくと同時に、積極的に厚生省といたしましても埼玉県あるいは地元市町村に適確な御指導をいただきまして、また予算面においても積極的な配慮をお願いいたしまして、ぜひ対応していただきたい、このことを強く要望するものでございますが、大臣の御決意なり所見を伺っておきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 従来以上に県に対して密接な連絡をとり、県を督促し、できるだけ早い機会に御要望にこたえられる状態をつくり出したいと考えております。

野呂恭一自由民主党

○野呂主査 これにて宮地正介君の質疑は終了いたしました。  次に、川俣健二郎君。

川俣健二郎日本社会党

○川俣分科員 昭和四十七年の通常国会で食品衛生法の一部改正という法案でかなり改正を見たわけですが、その中で、食品に対する添加物の問題で大分論議しました。その添加物問題の中でも、ミルク、牛乳を加工してさっぱり牛乳の主成分がなくなっているものまで牛乳と言うきらいがあるということで、この問題だけで三回ばかり何か中断した記憶があるのですが、ちょうど大臣が与党の理事でありまして、この場でちょうどありましたので、御記憶もあると思います。  そこで、牛乳というのは牛の乳房からしぼり取ったいわゆる生乳、これを殺菌処理したもの以外は牛乳と言っちゃいかぬということになりまして、与野党で合意の上で、ようやく話し合いがつき、いわゆる乳等省令、正式に言うと乳及び乳製品の成分規格等に関する省令ですか、これを厚生省が大改正をした。ところが、農林省と厚生省がこの牛乳を管理しておるわけですから、ひとつその両省でよく意思の疎通を図って——酪農家、メーカー、そして小売業者、消費者、こういうぐあいで牛乳が行き渡るのですが、ところが北海道に大量出る乳を暑い盛りに関西や東京の方へ運ぶのに大変だから、濃縮乳にして持ってきて後で加工する。これは必要悪でやむを得ないということで私も納得した。ただ、加工するということにかこつけて、三%の脂肪もなければ成分もすっかりなくなったものに、カゼインを入れたり、ビタミン何とかを入れたり、水をぶっかけて飲ませるという風潮が駅の店にあったのじゃないかというようなにおいがしたものだから、いろいろと論議が発展したわけであります。  そこで、時間が余りありませんから、厚生省と農林省をきょう煩わしたのは、消費者の立場でまがいものを少し取り締まれというので、乳等省令は大変にりっぱなものができて、それがその後落ちついたわけなんだが、ところが最近、事務当局に伺う前に大臣に一問だけ聞いて、あと最後にまた大臣に確認して私の質問を終わる予定だが、生産過剰に泣くというのがこのごろ出てきたわけであります。だぶつく牛乳生産カットだとか、元厚生大臣の渡辺美智雄は今度はそっちの方で汗を流しているようだが、そこで一体、乳等省令というのは厳し過ぎるということはないが、消費拡大ということから考えるともう一遍ちょっと手を加える必要があるのではないか。ちょうどたまたま昨年のこの分科会で、私がいまの野呂主査のところへ座って主査の補助をやっておったら、私の方の同僚の議員から、少し厳し過ぎるから緩めろという意見が出たので、私はこの乳等省令は責任を持って管理しなければならぬなと思っておったのですが、緩め緩めてとんでもない乳等省令をつくられたのでは、また今度は消費者の方が困るし、それから生産者が困る。中に入っているメーカーがまたわけのわからない粉を外国から輸入してきてとんでもないものをつくられたのでは大変だから、その辺はやはり歯どめしておかなければならないという意味で、いました。  そこで、こういう感覚で、乳等省令を見直すなら、生産者とメーカーと消費者の方も含めて、よく相談の上で乳等省令を見直してほしいという気持ちもあるんだが、その辺のことをまず大臣に伺って、両省の事務当局にお話を承りたい、こう思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 確かに川俣委員がお話しになりましたような経緯をたどって、当時、食品衛生法の改正に伴い、いわゆる加工乳について非常に厳しい規制を行うことになったわけでありますが、最近になりまして、その当時のいわゆる乳にあらざる乳とでも言うべき、加工乳とは全然別個に、いわゆるローファットミルクまたロングライフミルクというものについて、世の中の要望が非常に強くなってまいりました。そして、私どもは、牛乳の多様化による牛乳の消費の普及ということは、国民の健康を守る上から、栄養の上からも望ましいものと考えておりますが、いま御指摘のとおり、こういう問題は関係者の理解と協力を得る必要があるということで、酪農行政を担当しておられる農林水産省との意見調整を図って今日までまいりました。その結果、いわゆるローファットミルクについては乳として位置づけることが望ましいという結論に達しまして、この方向で現在事務当局に乳等省令の改正を検討させております。  なお、ロングライフミルクにつきましては、農林水産省から生産者団体等関係者間の意見調整になお時間を要するという話を承っておりまして、今回改正の対象からは一応外しております。そして、そのおそれは、たとえば海外からの輸入とかいろいろな問題を含めての生産者側の不安であろうと存じますし、私どももそういった不安を除いていただく努力は農林水産省にぜひお願いをいたしたいと思いますが、一方では、給食用ミルクでありますとかその他の用途においてロングライフミルクの必要性も非常に高まってきておるところでありまして、私どもとしては、農林水産省の方の御努力にまちながら、いつの日にかロングライフミルクについても乳等省令の改正を行える時期のくることを期待しておる状況であります。

川俣健二郎日本社会党

○川俣分科員 いま大臣が事務当局に検討させつつあるということであれば、大体私が趣旨を述べたような方向で検討していただいているのならいいんだが、差しつかえなければ、どの程度のものをつくろうとするのか。同じミルクといっても、とてもじゃないけれども、あの定義を覚えると言ったら担当課長だって暗記できないだろうから、少し聞かしておいてもらいたいのですが、その前に、それじゃ一体、新聞で騒いでおるように日本人というのは余り飲まないものなのか。この間普及協会が、片柳さんが会長とかで、あの人は牛乳を飲んでいるからつやつやなのか、ほかのことで顔がつやっぽいのか知らぬが、私も招待を受けたから行ってみたんだが、牛乳で乾杯というから余りぴんとこなかったのだけれども、とにかく日本人のいまのカルシウム不足というものは、私も少しは健保、医療で教わって知っていますが、つくり過ぎに対して飲み不足という、日本人はヨーロッパその他アメリカ等に比べてどんなものだろうかということが一つと、それから、一体この生産過剰が全く本当なのかということ。私は、牛乳が不足してとてもじゃないが飲み足りないというのなら、乳等省令を直してまでも消費拡大に協力するという気持ちは全然ないのです、食品衛生の立場から見ると。だけれども、そうではなくて、やはりいろいろと、特にいま国会の婦人議員の中で超党派で、牛乳そのものを飲むとお太りになるのだそうで、スマートになるためには少しは加工したものを飲まなければいかぬという意見が非常に出てきたので、そういう意味で私は農林省に聞くので、この現状を少し詳しく聞かしていただきたいのです。

芝田博農林水産省畜産局牛乳乳製品課長

○芝田説明員 最近の生乳の生産及び需給の動向についてお答えいたしたいと思います。  生乳生産は、先生も御指摘になりましたように、一言で申しまして、最近非常に生産は好調ということでございます。原因は、配合飼料価格を初めとしました生産資材の価格が安定している、ないしは低落傾向にあったというようなことから、生乳生産の意欲が高まりまして、搾乳牛頭数もふえ、一頭当たりの泌乳量もふえるという状況にございまして、全体としてきわめて高い生産の伸びを示しております。五十三年、昨年の六月から八月にかけましては非常に酷暑でございまして、やや生産の伸びが鈍化したわけでございますが、九月以降涼しくなりまして急速に回復いたしました。基調といたしましてなお増加傾向は続いておりまして、また暖冬傾向もございまして、最近に至ってさらに生産の好調が続いているというところでございます。数字といたしましては、五十三年の四月から十二月、夏場のそのような鈍化がありましたにもかかわらず、対前年比で六・三%という高い伸びを示しております。  これに対しまして、一方飲用牛乳の消費でございますが、これは、伸びてはいるものの、一言で申しましてこの生乳生産の伸びには追いつかないという状況でございます。五十二年度は五・三%という非常に高い伸びを示したのでございますが、昨年の四月から十二月では二・五%程度の伸びでございます。  このように、生乳生産は好調であるのに、飲用牛乳の消費が伸びてはいるもののやや停滞的で生乳生産の伸びに追いついていかないというところから、バター、脱脂粉乳等の乳製品の生産に回る生乳がふえまして、非常にバター、脱脂粉乳等の乳製品の生産がふえているという状況でございます。このために、昨年の三月には畜産振興事業団が価格不振のために脱脂粉乳一万四千トンの買い入れを行ったわけでございますが、それでもこのようなバター、脱脂粉乳の価格は、一時回復いたしましたが、最近また低迷しておりまして、さらに大量の買い入れを乳業メーカーの団体、生産者団体の方から要請されているという状況でございます。  海外とわが国の牛乳の需要量と申しますか、一人当たりの消費量の差というものは、これはなかなか最近のデータはございませんで、私のいまの手持ちは古いかもしれませんが、持っております資料によりますと、一九七六年の資料のようでございますが、主な国で、イギリスは日本の約四・九倍も飲んでいる。その他のEC諸国は大体二倍程度となっておりまして、オーストラリア、ニュージーランド等に至りますとやはり四倍ないし六倍というような数字になっております。ちなみに、日本の昨年の飲用牛乳の消費は、一人当たりで年間で百五十四本の飲用牛乳の消費というふうに聞いております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣分科員 それで、局長、やはりこれは日本の一人当たりの飲み量がはるかに足りないのだろうが、しかし余っているから飲めという言い方じゃ、とてもじゃないが、米じゃないが抵抗を感ずるので、きょうは医務局の方を呼んでなかったのだけれども、やはり健康的に、私も努めて寝る前に、寝酒のかわりにミルクに変えようと思っているのだけれども、なかなか容易ではないのだけれども、その辺の健康上、医療的にミルクがどういうように役立つかということを、厚生省が責任を持ってPRをした方が、雪印や森永がなんぼPRしたって、あれはどうせ買ってもらいたいのだろうからという程度なんだ、いまの消費者は。だから、もう少し医療的に、権威があると言ったらほかの方に語弊があるが、健康的、医療的に考えたものをぜひこの辺で一分冊なるものを世に出した方がいいのではないかと思うのであります。これは時間がないから答弁は求めません。  そこで、中身ですが、皆さん方の意見を聞くと、いまの厳しい乳等省令を緩めるというよりも、いろいろな牛乳をもとにした加工的なミルクを飲ませたい、飲みたい、こういうのにこたえるには、やはり乳等省令が厳しいというよりも、不足過ぎるという感じがするのですが、どの程度手直しをするのか、ちょっと聞かせてもらいたいと思います。

山中和厚生省環境衛生局長

○山中政府委員 御承知のように、乳等省令につきましては四十八年に衆議院の社会労働委員会の附帯決議を受けましてこれを改正したところでございますが、ただいま先生の御発言のように、今回少しこれを緩めるのではなくて、やはり消費の拡大という意味で、厚生省としましては、これは栄養的にも完全な食品、こう考えておりますので、その意味での改正と考えております。  まず、その主な改正点を申し上げます。第一番に、いわゆるいま言われておりますローファットミルク、低脂肪ミルクでございますが、これは生乳から乳脂肪分の一部を除去するということで、脱脂乳と部分脱脂乳というのに分けます。それからもう一つは、ただいまの生乳から加工したもの、加工乳につきましては、乳脂肪分に関する規定を改めまして、低脂肪のものの場合も、これも加工乳の中に含めたい、こう考えております。それで、以上の部分脱脂乳と加工乳のうちの低脂肪のものを、いずれも低脂肪乳あるいはローファットミルクとして販売できるようにするということが第一点でございます。その際、含有する脂肪分を表示させたいと思っております。  第二番目は、国際規格もいろいろ変動しておりますし、また国内で生産されますいろいろな乳製品の実態等も勘案しまして、たとえばバターオイル、脱脂濃縮乳、あるいは無糖脱脂練乳、クリームパウダー等、その他につきまして新たに定義をいたしまして、成分規格等を設けたいと考えております。  第三番目に、この際乳等におきます医薬品の、たとえば抗生物質等の残留について規制を強化いたしたいと思います。  第四番目には、現在の乳製品の容器包装のうち、ポリエチレン製の容器包装、あるいはこれから加工しました現在非常に普及しております紙容器等につきまして、すでにその使用が一般化しているというものにつきまして規格基準を定めて、基準に適合するものにつきましては、現在厚生大臣の承認を一々やっております特別商品ということをしないように、そのまま流通させるという考え方をしております。  以上、概括でございますが、ただいま事務当局として案をつくっておるところでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣分科員 そういうことなら、大体消費拡大につながる省令改正で、緩めるということにならないと思うのだが、そこでいまのお話だと、頭の字が違って、乳というのが最後につくわけですが、牛乳という言葉は使わないことで確認していいですか。牛乳というのは一つしかない。

山中和厚生省環境衛生局長

○山中政府委員 牛乳と同等な加工乳というものはこれは牛乳と使っていい、同等でなければ全部牛乳というのではない名称で、商品名としてつけるということになります。

川俣健二郎日本社会党

○川俣分科員 加工乳が牛乳の名前になるのですか。それはだめだ。

岡部祥治厚生省環境衛生局乳肉衛生課長

○岡部説明員 かわりまして、お答えいたします。  現在の加工乳は、無脂乳固形分が八%以上、脂肪が三%以上ということで、牛乳と同等の成分規格を有しておるわけでございます。したがいまして、これらにつきましては現在たとえば何々牛乳という商品名は使わせております。ただし、種類別といたしましては、加工乳という種類別を表示させまして、商品名まで、たとえば明治ヘルシー牛乳という名前までいけないということは言っておりません。したがいまして、商品名としては使えるということでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣分科員 成分のところで歯どめをかけるという条件がついているならいい。  それからもう一つ、さっき局長が最後に言った容器なんですが、容器は、私ら社労でいろいろやった者としては、すでに一般化したものは厚生大臣に一々承認を得なくたっていい、こう言うけれども、現実は、たとえば秋田県では厚生大臣の承認がなければならぬ。ところが、神奈川県の方はこんなものは承認を得る必要はないのだといって、非常にばらつきがある。だから、これは野放しにするのじゃなくて、基準に達しておるなら——承認を得なくてもいいということまでなら理解できるのだが、これから新たな容器がだんだん出てくると私は思います。だから、すでに使っているものなら、一般に普及したものならということが非常にむずかしいところなんですよ。これは普及しているものだと思って使っていましたというメーカーが必ず出てくるわけです。だから、原則は各県の保健事務所がやるのだろうが、どっちかというと、届け出制でなく、認可制の方向で検討してもらうくらいな返事をもらえないですか。

山中和厚生省環境衛生局長

○山中政府委員 御承知のように、ただいまの規格基準はガラスびんということになっているわけで、これはほとんど流通してない状況でございます。したがいまして、規格基準をつくるということでございます。これはいろいろ県によってまちまちという、先生のおっしゃる現実もございます。     〔主査退席、岡田(利)主査代理着席〕 これは、これの廃棄物処理と非常に深い関係があるわけでございます。したがいまして、この面では廃棄物処理関係との協議をこれからいたしまして、どういう歯どめをかけるかあるいは歯どめをかけないで済むかということを、今後これを省令とするまでに検討いたしたいと考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣分科員 時間がありませんから、こちらから最後に要求して、大臣の所見を伺って終わりたいのですが、ローファットミルクはこれで大体いいのだと思うのです。このくらいの成分規制をやっていればいいと思います。問題は、農林省に聞いてもらいたいのだが、ロングライフミルクなるものをむやみに乳等省令あるいはそちらの方のあれで許してしまうと、三カ月、六カ月ということになると、これは豪州を初めどさっと入ってくるから、いまの日本の政府がだらしないのか自民党の代議士がおかしいのか知らぬが、輸入規制が全然ないわけだから、この間の食糧輸入規制がなければ、幾ら米の生産調整をしたって——一つの例で言えば、おかきやあられは輸入規制でないものだから、何ぼでも生の物を安いところから買ってきて、かまに入れておかきにしているのがいまの実態なのです。したがって、ロングライフミルクについては、何としても、体を張ってでもある程度防がないと、せっかくの消費拡大を考える時期において、生産者も何も考えないで海の向こうの酪農家を助けるだけでは、この間の電電の話じゃないけれども、日本の国内経済のためにはならないわけです。だから、私は省令をつくるときには、酪農、メーカー、小売、そして消費者、こういった日本の国民のコンセンサスを得た上でやるという姿勢があるかどうか、大臣からこれだけを聞いて終わりたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 当然そういうことを考えていかなければならぬと思います。そして、私も国内自給を推進したい立場の人間でありますから、よその国の方までお助けするつもりはありません。ただし、そういう問題点がある程度きちんとされました段階においてロングライフミルクというものは食生活の上からは認めるべきものだと私は思っております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣分科員 終わります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)主査代理 これにて川俣健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、寺前現巖君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 私のところに一通の手紙が参りまして、その手紙を見るとなかなか深刻だなと思いましたので、せっかくの機会でありますから、大臣にひとつ披露してみたいと思います。   私の娘は、以前から腎臓が悪く、舞鶴共済会  病院で定期検査を受けてきました。そして昨年  の夏ごろより同病院に入院して、週二回人工透  析をしていましたが、同病院の紹介で金沢医大  附属病院で精密検査を受けた結果、医師の勧め  で、お母さんから腎臓移植手術をすれば人工透  析をしなくとももとのようによくなるだろうと  のことで、ことし二月十三日と十四日の両日手  術をすることになりました。   ところが、手術が終わっていざということに  なってきたら、手術料は、当人である娘の分に  ついては社会保険で全額負担をしてくれるが、  母親の分については救済措置がなく、二百万と  も三百万ともいう多額の個人負担となるという  ことの話が出てきました。そこで、私の家庭は  生活保護家庭なので、そんな多くのお金を出す  ことはとうていできませんということで、舞鶴  市や京都府に相談に行きましたが、やはり該当  とするわけにはいかないということで今日ま  で来ました。何とか娘の命を救うことができた  けれども、今度は親の体を回復させるためのそ  ういう問題の措置にはならないで今日に立ち至ってしまいました。人工透析というのが医療の公費負担の制度を導入してまで、金のある人だけが救われるということではせっかくの日本の科学水準があまねく人々に及んでいかない、情けない話だという中でつくり上げられた制度が、さらに発展をして腎移植という段階まで来ている。腎移植をしてほしいという人がたくさんおる。移植するに当たっては親からもらうというのが最も適切なやり方だ。ところが、本人の方は社会保険でめんどうを見てもらえるけれども、相手の方がめんどうを見てもらえない。なかんずく生活保護だということになったときに、生活すらが満足でないのにどうなるのだろうか、私はこれは深刻な話だと思います。本当に政治というのはそういうところに何とか生かしてほしいものだと思うわけです。  この件に関して厚生省当局の方にも、せっかくのことだから検討してくれという問題提起をして今日まで来たわけですが、この際、御見解をお伺いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 何とかいたします。細部にわたっては社会局長からお答えをさせます。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 生活保護法によります医療扶助の給付内容は、通例は国民健康保険の例により取り扱われることに相なっておりますので、腎提供を行う者につきまして直接医療扶助を適用するというのは実は困難であるわけでございます。しかしながら、いま先生からお話がありましたようなケースは承知をいたしておるわけでございますが、腎提供を受ける者が被保護者でございます場合には、その被保護者の方が腎提供をしてくださる方の費用を負担していくことは実態上非常に困難であるという実情にございますので、生活保護法におきましては、腎提供を受ける被保護者に関しまして厚生大臣が医療扶助に関する特別基準を設定することができるという規定がございますので、その特別基準の設定という形によりまして、腎の提供を行う者の費用をも負担することができるような道を開いておるわけでございます。先生がいまお話しになりましたケースにつきましても、そのような線でただいま保護の実施機関が指導に当たっておるところでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 ぜひとも現実的な処理をお願いしたい。  同時に、いまの例は生活保護の方の例であったけれども、広く腎提供をしてもらうということを今後積極的に考えていかなければならない、そういうことを考えてみるときに、相手が生活保護者でなくても、かなりのお金を持ってもらわなければならぬということになったら、お金のある人だけがめんどうを見てもらえるということがやはり残ってくる問題だろう。したがって、本人の側だけではなくして腎提供者の側にわたって保険の対象にするなりして、同一の次元の問題として今後この問題を解決していく必要があると思うのですが、その点はいかがなものでしょうか。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 先生御案内のとおり、腎移植手術が診療報酬の中で保険給付として取り上げられましたのは昨年の二月でございました。確かにその点数の中には、提供者の腎摘出につきましては掲示をされてないわけでございます。  これはなかなかむずかしい問題がございまして、その生体腎の腎摘出というものは、いわばその提供者の各個人にいろいろなある程度の差がございます。そういう場合の費用の算定をどうするかという問題、算定の問題が一つございますのと、それから、これは腎摘出だけではございませんで、たとえば骨を移植するという場合に骨の提供者、供骨者と申しますか、骨を提供する者に対します摘出手術もやはり現在給付外になっているわけでございます。これにはいろいろ保険の理論がございまして、保険の方はいわばその疾病の治療という形で、被保険者が何らかのかぜなりあるいはその他のものによって疾病になったときにそれを治療するための費用ということでございまして、その理論からしますと、この提供者に対して直ちに保険の給付の適用をするかどうかは問題だと思うわけです。かたがた、いまの腎の問題に限って申しますと、たしか八百十七件ぐらいが恐らくやられたと思いますけれども、その大半はやはり血縁関係の方が提供されているという実態もございます。そういう一般的な善意の提供者という問題になりますと、その手術を受けた者の謝礼ということで解決すべきものではないかという意見もございます。  しかし、いまのお話のような問題もございますので、そういう骨の問題も含めまして、すべての問題について果たしてこれでいいのかどうか、それが現在の日本の国民感情に合致するものかどうか、いろいろ問題もあると思いますので、これにつきましてはさらに検討させていただきたいというふうに思うわけでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 腎臓病について慢性の患者が近年、透析をやるというのがずいぶんふえてきているようです。いま全国で一万八千名以上はやられているのではないか。今後年間四、五千人ずつ増加していく。これによって命を長引かしているという現状を見るにつけても、さらに社会復帰という観点から考えていくと、今後腎移植を政府としても積極的に推進する必要があるのではないだろうか。生体移植と死体移植という二つの形態があるようですが、私はそういうことを含めて積極的にその推進をぜひともやってもらいたい。  いま社団法人の腎臓移植普及会として死体腎の登録運動というのをおやりになっている。聞いてみると、今日まで四千三百八十八人という人が登録をしてくれている。ところが、透析を受けておられる方のうちで腎移植を希望している人は六千五百三十六人にも達している。実態はもっと多いのかもしれませんけれども、いずれにしたって、死んだときには腎を提供しようという人が、まだまだ希望にかなうだけの数があるというわけではない。そこで、積極的に腎移植をやりたいとおっっしゃっているこれらの方々は、政府がもっと広報活動などを通じて積極的にそういうことをやってもらえぬだろうかと願っているということを言っております。  そこで、お金の分野からも引き続き保険としても検討していただくとともに、提供の問題についても積極的に検討をしてもらう必要があるんじゃないだろうかということで、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 御意見のとおり、死体腎の移植を推進するためには腎登録をもっともっと普及させなければなりません。したがって、政府の広報その他あらゆる報道媒体を使いまして、国民に腎提供の啓蒙運動を行ってまいりたいと考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 さらに、腎臓病の方々の人工透析について、実際には昼食時をはさんで透析を受けざるを得ないという実態がかなりあります。このような実態を考慮されて厚生省として五十三年二月の中医協の答申によって、「透析時間中に食事が供される場合であっても所定点数に含まれるものであること」ということで、食事を提供する場合は保険で措置するようにされたようです。ところが、実際には必ずしも医療機関としてそういうことになっていない実情を私のところに訴えてきておられる方があります。自己負担として六百円取るとかいうような形になっておりますので、厚生省としてせっかくこういう措置をとられたのですから、都道府県や医療機関の方で周知徹底するようなそういう何らかの措置をとるべきだと思いますが、いかがなものでしょうか。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 いままでの経緯につきましてはおっしゃるとおりでございます。ただ、透析中に食事を給与するかどうか、これにつきましては、その透析の時間帯なりあるいは透析の時間あるいは患者の症状等によって判断しなければなりませんので、いついかなる場合でも医療機関は食事を給与しなければならない、そういう趣旨ではございません。しかし、その時間帯なりあるいはその時間なりあるいは症状等によって必要な場合には、必ずその食事は給与するようにというのが私どもの通知の趣旨でございまして、確かにおっしゃるような苦情も二、三聞いておりますので、実は来月初旬に地方の医療専門官会議を招集しておりますので、その席におきまして、いまの御趣旨も十分踏まえて、そういうことのないように注意をいたしたいというふうに思っております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 次に、透析の問題について地域的な適在についての検討をしてもらう必要があるのではないかという問題です。  たとえば、私の住んでいる京都ですが、京都の駅から一時間半、二時間近くかかるところに福知山というところがあります。そこから日本海側の舞鶴へ行くのには四、五十分は車でかかりますし、いまも言いましたように、京都に出てくるのには二時間近くかかる、病院まで入れるとそれにさらに三十分ぐらい加えなければならぬ時間帯になるわけですが、こういう京都における奥地の方になりますと、そこに国立の病院があっても、それが十分満足するだけの機構になっていないという問題があるわけです。これは何も京都を挙げるまでもなくして、各地において医療機関が集中している地域とない地域というのは、全国的にも偏在をしているというのが現状だろうと思うのです。  そこで、積極的にこういう医療機関の薄い地域、そういう地域に対しての特別な施策をやっていかなかったならば、せっかく透析という形でもって命を長引かすことのできる装置がありながら、これができないという問題が直面をしてきます。特に透析というのは、週に二回なり三回なりやらなければならないし、しかもやった後、体を休めてなければならないということを考えるにつけても、特にこういうふうに透析の機会の薄い地域に対する積極策をやってもらう必要があると思うのです。たとえば京都の福知山というところには、現在、透析をやりたい人じゃなくして、やっている人が十九名おります。ところが、そのうち四名は一時間ほどかかって舞鶴へ行く、九名の人が二時間余りかかって京都の日赤へ行くというふうな事態が生まれているわけです。福知山の国立病院には透析機が四台ありますが、内部に入院しておられる人と外からの二名とで合わせてその機械を使っているわけです。病院の施設も狭いし、それから医療スタッフの問題もあって、受け入れば、その地域全体から考えると六名という部分的な、三分の一にも満たない人しか処理できないというのが現状になっているわけです。こういうことを考えると、もっとこの分野に対するスタッフの強化と、しかるべき施設の強化というのを積極的にやってもらわないと、医療機関の集中している地域の人たちは命を長引かすことはできる、だが医療機関の集中されていないところは命を長引かすことができない、お金のある人は通うことはできるけれども、お金のない人は通うことができない、こういう不幸な事態が存在してしまうというふうに思うわけです。特に、汽車で片道二時間も二時間半も通うということになってくると、途中でふらつくという問題も人によっては生まれてくる。家族の方はその姿が心配でならないということをおっしゃっています。それだけにこういう過疎というのか、医療機関の薄い地域に対するところの措置を今後どのようにしょうとしておられるのか、御説明をいただきたいと思うのです。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 人工透析機器の整備につきましては、四十六年度に全国の調査をいたしまして、その結果に基づいて四十七年から四十九年までは補助金も交付いたしまして、少なくとも広域市町村圏に一カ所は腎透析ができるようなセンターを設けたいという政策を進めてまいりました。その後、国公立の病院も融資等によって整備をいたしましたし、また民間の病院においても医療金融公庫の融資等を使って整備をいたしましたので、現在では——現在というと語弊がございますが、昨年の六月末で一万一千七百台あるわけでございます。その処理能力は三万五千人でございまして、実際に透析を受けていらっしゃる患者さんは二万五千人でございますから、かなりの余裕を残しております。また、この人工腎臓の整備状況は文字どおり世界一の状況でございます。北から南まで、広域市町村圏で見れば一応まんべんなく整備されております。  しかし、個々に地域の実情を見てまいりますと、ただいま先生から御指摘があったような問題が起こってくるわけでございます。特に福知山地区の場合には、国立福知山病院が四十七年度から腎透析を始めておりまして、初めは三人くらいの患者さんでございましたが、現在は六人くらいの患者さんになっております。透析器は四台ございまして、大体十人くらいまでは処理ができるはずでございますので、現有施設を最大限に活用して地元の患者さんの御要望にこたえたいと考えております。また、ほかの地区の同様な問題につきましても、もう一度知事にお願いいたしまして、地域の腎透析の実情等を調査していただきまして、不都合が起こらないように今後も指導を続けてまいりたい。また、国立病院にありましては、従来設備の最大限の活用のほかに、必要があればさらに設備の増設ということも今後検討いたしたいと考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 いまの福知山の実例でお話しになりましたが、三名が六名、こうおっしゃるけれども、私よう知っていますが、希望者というのは初めから二十名近くおったのです。それから、院長さんにも何回もお会いしているのです。部屋として狭いのですよ。ですから、もうあれ以上の機械を入れる余裕というのはあそこにはないわけですよ。やるとすれば、もう一度本格的に見直さなければならぬという態勢がある。もう一つは、医療スタッフの側で、京都府立医科大学の先生が二年とか交代して来るものだから、全然初経験の人があそこへ来て、講習を受けに行ってやろうか、こうなるでしょう。だから、スタッフの問題としても責任を持ってやれる態勢が続かないわけです。ですから、そういうふうに特に医療の薄い地域については、安定した積極的に受け入れるだけの態勢というのは、ちょっと見直さないとそう単純に進め得ないという問題を一方で含んでいるわけです。  それからもう一方では、現実の患者さんのことですから、これは透析をやることによって命を長引かせておりますから、これは将来展望としてなんといって絵を描いているわけにはいかないという現実があるわけです。この人たちについては、いやでもおうでも汽車賃を出して二時間通わなければならぬという運命になっているわけです。それで、自治体としては、何ぼかの汽車賃の補助をやりながら、お金のない人でも何とかやれるようにというめんどうを見ていますけれども、私はいまも言いましたように、それぞれの地域をもう一度全国的にも——当初やったときには、全体としてどういうふうに打ち出していくか、センター中心にして考えていくということから始まるでしょう。しかし、ここまで普及した段階では、薄い地域と厚い地域のそれぞれの要求は変わってきていると思うのです。厚い地域においては、夜間透析をやって仕事をできるようにという形が一つの要求となって出てくるでしょう。しかし、こういう薄い地域の人は、夜間透析というような問題よりも、現実にそこへ行かなければならない、離れたところへ行かなければならないという、この問題ですべてなげうってしまわなければならない事態になっているのですから、これはもう一度きちんと見直してもらう、どういうあり方が一番いいのかというふうに分析をし直してもらうということが、いま一つの課せられた直面している問題だろうというふうにぼくは思うわけです。だから、よく分析をしてもらう必要がある。  それからもう一つは、通わなければならないという問題に対して、自治体によってはめんどうを見ているところがある、自治体によってはめんどうを見てもらってないところもある、これはやはり透析をする人たちの側にとっては、一つの大きな問題だと思うのです。この問題についても国としても積極的に、遠いところから通うことによって財政上もやり得ないという問題に対する一定の何らかの措置を検討されるべきではないだろうか。その点は一体どういうふうになっているのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思うのです。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 確かに四十六年の調査からもうすでに八年もたっているわけでございますから、もう一度きめの細かい地域別の点検をする必要はあろうかと思います。ただ、マクロで見た場合は、日本はすでに非常に透析機器が多く配置され、たくさんの患者が透析を受けておりますので、欧米諸国から言わせると、少し日本は透析をやり過ぎているんじゃないかといったような問題が学問上出ているわけでございます。そういった問題もやはりこの際検討する必要があろうかと思います。  しかし、確かに腎透析機器の整備がアンバランスになっているような地域もあるわけでございますから、そういうところにつきましては、県を指導いたしまして、できるだけ患者の御期待に沿えるようにしてまいりたいと思うのでございますけれども、最後に御要望のございました外来透析などを受ける場合の旅費の問題でございますが、これは医療保障制度全般にわたる非常に重要な問題でございますので、腎透析だけ旅費を持つというようなことはなかなか実施が困難ではなかろうかと考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 せっかくの機会ですから、最後に大臣にお願いをしたいと思うのです。  いま事務当局方からは、旅費の問題というのは、人工透析に限らず全体の問題だというお話がありました。この問題は、人工透析の場合はそういう形であらわれている。それからそのほか、薬害におけるところの諸君たちが治療をしなければならない場合に起こってくる問題は、あんま、はり、きゅうをやってもらったとしても、やはりこの旅費が伴うので、そこに一つの問題がある。旅費問題というのは今日、公費問題を考えていく場合の一つの重要な位置を占めてきているというふうに思うのですが、その辺について大臣の御見解を聞いて、私の質問を終わりたいと思うのです。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 確かに、先ほどからの御指摘のような問題点はあろうかと思います。今後検討を事務当局がすると思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 終わります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)主査代理 これにて寺前巖君の質疑は終了いたしました。  次に、薮仲義彦君。

薮仲義彦公明党・国民会議

○薮仲分科員 私は、スモンについて大臣並びに関係当局にお伺いをしたいのでございますが、私は法律の専門家ではございませんので、この問題を法律的な見地から話すということではなくして、政治的、行政的な観点から質問をさせていただきたいと思います。  大臣も御承知のように、二月二十二日の広島地裁の判決を含めまして、四つの地方裁判所での判決はすべて原告勝訴で、国及び製薬会社の責任が明確になった。この点につきましては、各地裁の裁判の程度の差はありましても、国と製薬会社に責任ありということは共通している判決であることは御承知のとおりでございます。  ここで私が伺っておきたいのは、このように四つの地方裁判所、地裁といえども判決がおりた。しかもすべて原告勝訴だということになってまいりますと、国民に与える影響というものは非常に大きなものがあるので、この点についての大臣の御見解をまず伺いたいと思います。  私はなぜこれを言うかといいますと、政治、特に行政というものは、主権者である国民の信託あるいは信頼がなければ何事も行えない。これが政治、行政の根幹だと私は思います。やはり行政というものは、国民の生命、財産を守り、安全、快適な生活を国民の皆さんに約束するためにあると私は思うのですね。国民を不安に陥れたり、国民を苦しめるような行政などはあってもらいたくない。これは国民の率直な感情だと私は思うのです。特に私は、行政府の中でも厚生省の立場というものは、直接国民の健康、生命にかかわる省庁だと思います。決して他の省庁は国民の安全に責任はないとかそんなものではなく、他の省庁とて変わるものではございませんけれども、より以上に厚生大臣は国民の生命、健康の問題については最も責任がある所管大臣だと思うのでございますが、この判決等を通じまして、スモン解決に対しての基本的な大臣のお考えをまず承りたいのでございます。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 何回もこの分科会でも御答弁をいたしましたが、広島地裁の今回のスモンに対する判決というものは、従来に比べてきわめて厳しいものと私も受けとめております。また同時に、患者の救済というものについて国が全力を挙げなければならないことも事実であります。ただ、それと同時に薬事法上の法理論の上で上級審の判断を仰がなければならない部分というものが別にあるわけでありまして、国はそうした観点からのこれについての上告をいたしました。  しかし、同時に、私はいま一括解決を目指したいということを広島判決の直後に国会においても申し上げたわけでありますが、従来この救済について国は努力をしながらも、一括解決というところになかなかいかなかった幾つかの原因のうちで、おかげさまで千名に近い原告の方々との和解が成立をし、一つの和解のレールが敷かれてきたことと、またもう一つは、従来田辺製薬との間の問題があったわけでありますが、その原因についての、患者救済を除く部分についての田辺の態度について触れたくはありませんけれども、患者救済という一点については田辺も国の方針に従うという状況になりましたこと、こういう諸点を踏まえて一括解決の時期が来たと私は判断をし、その方向に向けての努力をしてまいりたいと考えております。

薮仲義彦公明党・国民会議

○薮仲分科員 それでは、以下の問題を逐次伺ってまいりますけれども、なるべく要点を簡明にお答えいただければ私は非常にありがたいと思いますので、その点よろしくお願いいたします。  まず、いわゆる局方に収載されている薬、これは国民感情から言って、やはり安全だなという認識があると私は思うのです。特にわれわれ国民が薬屋さんあるいは病院等で投薬されたものを安心して飲むというのは、そこには厚生省が認可したものという考えが潜在的に前提になっていることは私は否めないと思うのです。そこには厚生省と国民との薬に対する信頼関係があって国民は安心して薬を常用する、こういう結果になっていると思うのでございます。  最も基本的な問題ですが、薬の安全について厚生省は責任ありと思いますけれども、ごく簡単にあるかないか、お答えいただきたいと思います。

中野徹雄厚生省薬務局長

○中野政府委員 医薬品のいわゆる安全性、有効性につきまして、厚生省として、行政上の責任におきましてこれに十分な注意を払うということは当然のことと考えております。

薮仲義彦公明党・国民会議

○薮仲分科員 そこで、今回のスモンを含めまして、薬害がなぜ起きたか。安全だと思ったその薬、厚生省が認可した薬によって生じた薬害であることは否めない事実でございます。確かにいま大臣が言われましたように、法廷では通用するいわゆる国の賠償責任のあるかないか、国は賠償する責任はないぞという回避の理論、これは専門的な法廷論争では詳細に論ぜられることだと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、国民感情としてこれを考えた場合に法廷論争の詳細は大方の国民には通用しないのじゃないか。この点は非常に大事な点だと思うのですね。あの判決を見て大方の国民が抱いた感情はどうか。やはり製薬会社と国は責任があるな、厚生省ももっと責任ある行政をやってほしいな、これが国民の素朴な感情だと思うのであります。  私はここで大臣並びに局長に伺っておきたいのだが、このようにスモンの判決で次から次へと、地裁といえども敗訴がもしも続いたら一体どうなるか。私は、国の、しかも厚生省の置かれる立場というものはますます窮地に陥るし、国民の行政不信という問題がだんだん大きな社会問題になりかねないと思うのですね。何回負けても国は控訴するのかどうかという点と、さらにまた国民は、国は一体何をしているのだ、負けても負けても控訴するだけか——このスモンの発症というのは、昭和三十三年に和歌山医大の第二内科楠井教授によってその第一例が報告されてから、もう二十一年たっています。さらに忘れもしないあの昭和三十九年、東京オリンピックのころマスコミによって非常に騒がれました。さらに四十年に入ってスモンとキノホルムというものの因果関係が明確になってきた。それからもう十年たっています。  一体その間に、厚生省はスモンの方々を救済するために具体的に何をおやりになったか、御答弁いただきたいのです。

中野徹雄厚生省薬務局長

○中野政府委員 直接には私ども薬務局の所管ではございませんが、早い時期からこのスモンの病因あるいは治療法が確立されていないということに着目をいたしまして、特定疾患治療対策の中に、スモンの方々の医療費の軽減措置を研究の一環として実施してまいったところでございます。  先生御指摘のように、その時点におきましては、キノホルムというのは非常に安全な薬と考えられておったわけでございまして、四十五年の椿教授の御指摘以来初めてキノホルムとスモンの因果関係というものが学問的な論争の場に提起されたということでございまして、私どもといたしましては、現在の状況におきまして、法理論上の問題は別といたしまして、全力を挙げて、また先生の御指摘のような国民の不信ということにも十分思いをいたしまして、先ほど大臣の御発言のありましたように、一刻も早く全体的な解決を図りたい。これに全力を挙げてまいりたい所存でございます。

薮仲義彦公明党・国民会議

○薮仲分科員 スモンを含め、薬害の方々に厚生省は具体的に十年間に何もしなかった。何かやったことがあれば、おっしゃっていただきたいのです。

中野徹雄厚生省薬務局長

○中野政府委員 御承知のように、先生の御指摘のようなスモンのキノホルム剤の承認時点、三十年前後でございますが、この前後とその後に発生いたしました、たとえばサリドマイド事件というふうなことによりまして、薬務行政が世界的に、単に日本のみならず全世界で非常な急激な変貌を遂げたわけでございます。  薬務行政の上におきましては、昭和四十二年以来、私どもは率直に申しまして、薬についての認識というものが百八十度変わった。そういう考え方の変換に伴いまして、製造承認の厳格化等、あるいは副作用報告の収集、またその副作用報告の医療の現場に対する伝達等につきまして、薬務行政上、私どもといたしましては四十年代に入りまして最善の努力を尽くしてきたと考えております。  もちろん、先生御指摘のスモンの患者さん方に対する直接の施策といたしましては、先ほど申し上げましたような特定疾患対策の一環としての措置をしたこと以外に、御承知のように、昨年の十二月から、いわゆるスモン訴訟の和解の一つの条件としての恒久対策について幾つかの事項について努力をしているところでございますし、またこの恒久対策につきましては、原告の方々とのお話し合いによりましてさらにこれを着実に進めていくというふうに努力する所存でございます。

薮仲義彦公明党・国民会議

○薮仲分科員 それでは、厚生省当局が薬害の被害者を救済するための法案を、というようなことはきのう伺っておるわけでございますが、この薬害被害者を救済するための法案を何とか成立させようという考えはあるのですか。

中野徹雄厚生省薬務局長

○中野政府委員 この種の法律は西ドイツの新薬事法に基づきます例が一つあるだけでございまして、その西ドイツの法律は今回のわれわれの用意したものとは若干性格的に違うわけでございますが、いずれにせよ、国際的に見ましても前例のない副作用被害の救済法でございます。  これは私どもとしては今国会に御提案をいたしましたところでございますが、ぜひとも今国会においてこの法律の成立を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。

薮仲義彦公明党・国民会議

○薮仲分科員 私はその法案要綱を拝見させていただいたのでございますが、その要綱の中で二つほど伺っておきたい。  一つは、先ほど申し上げましたように、スモンを含め、いままでクロマイとかストマイ、サリドマイド、ペニシリン、コラルジル等々薬害による被害者というのは相当多くに上っておりますが、この方々の救済というのは行政上の一つの大きな課題になっているのではないかと私は思う。しかし、法律というものの性格からして、既発生の被害者については対象外であるということが言われておりますけれども、やはり現在被害を受けていらっしゃる皆さん方を含めて抜本的な救済をする必要があるんじゃないか。これが一点。  もう一つ、これはいま局長も言われましたように、西ドイツの法律が確かにございますが、ここで言っている一番いいことは、無過失責任の立場に立って救済しようという考えが導入されている点です。確かにお話のように、薬には有効性と副作用があり、当然予見不可能な副作用が出てくる。これはもうゼロでないということはわれわれも理解できます。  しかし、そこで私が申し上げたいのは、今日までこの薬害の被害で一番困るのは、現行の法制下では、被害者を救済するためには、製薬企業あるいは国などの故意や過失による責任が立証されない限り救済されない。すなわち、裁判手続によらなければ救済されないのですね。ところが、裁判するためには、その裁判する国民の皆さん方は長い年月経済的あるいはいろいろな苦労を乗り越えて裁判に立ち向かっていかなければならない。経済的な不安や、さらに何ら救済もないまま長期間にわたって努力しなければならない。こういう点を考えますと、当然無過失でも救済されなければならないし、もう一点は、すでに発生している患者さんについての救済方途というものを含めて成案を得べきだと私は思うのでございます。この点、私はどうしても見直しをして加えていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。

中野徹雄厚生省薬務局長

○中野政府委員 今国会に御提出申し上げました健康被害の救済法案につきましては、実は四十八年から五十一年に至る研究会のレポートを一応下敷きにいたしまして提案したものでございます。その際に、実は、既発の薬害につきまして、これは先生御承知のように、将来に向かってのものは保険方式を加味した制度でございますので、その性質上既発の薬害には及び得ないという制度上の、いわば方式上の限界がございます。そこで、研究会レポートにおきましては、既発の薬害につきましてはまた別途特別の会計を設けまして、その処理のためにこの基金を活用するという構想もレポートの一端としては示されておるわけでございます。  しかし、大臣が先ほど御説明申し上げましたように、これにつきましては、患者の早期救済ということにつきまして、いわば訴訟上の被告に当たりますところの関係各会社の十分な合意がない限り、そのような薬害に対する実効のある措置がとり得ないということがございます。大臣から御説明申し上げましたように、現在田辺製薬が患者救済について同調しつつあるという状況もございまして、いわば全国一括解決の問題の一環として既発薬害の救済問題に取り組んでいくということをわれわれとしては考えております。もちろんこの点につきましては、国会においていろいろ御議論のあるところであろうというふうに十分考えておる点でございます。  第二の、無過失という点でございますが、今回の薬害救済法案は、当然、無過失と申しますか、裁判上争う問題等は別にいたしまして、医薬品の特殊性上、低い確率で発生する健康被害につきましてはすべてこの制度の救済対象にいたす所存でございます。ただし、第三者の、つまり製薬会社もそこに入りますが、第三者の責任が明確である場合にはもちろん行いませんけれども、これが明らかでないという場合においては、当然この制度による救済が先行いたしまして、その後において事後的に賠償責任が確定いたしました場合には、この損害賠償請求権を基金が代位取得するというたてまえになっておりまして、先生の御指摘のような過失の有無ということは問わずに一応この制度は動き得る仕組みで考えております。  ただし、西ドイツの新薬事法に盛られておりますような、いわゆる製造物責任という観点における無過失責任制度につきましては、先生御承知のように、これは一つの発想として製造物責任論というものはございますけれども、民法の大原則に対する重大な修正を含むものでございまして、これは単に医薬品のみならず、食品あるいは車であるとか、家庭の日常のものであるとか、いろいろ広範な問題の製造物責任という、その議論は含んでいるわけでございます。  したがいまして、そのような非常に広範に影響のある問題は、現在一応議論の過程にあるわけでございますから、われわれといたしましては、一刻も早く医薬品によります健康被害の救済を現実に図るという観点から、きょう提出をいたしましたような趣旨の制度を立案をし、これを早急に実施に移したい、かように考えておる次第でございます。

薮仲義彦公明党・国民会議

○薮仲分科員 もう一点、これは簡単に聞いておきますけれども、今度の裁判の中身で一番問題になったのは、現在の薬事法の性格でございます。これが不明確なために多くの方々が苦労しなければならない。やはり薬事法を改正するということが非常に大事な点であろうと私は思うのです。  この薬事法の改正の中で、やはり安全性の確保ということをこの際明確にすべきだと思うのでございますが、その点、簡単、簡明にお答えいただきたい。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 御趣旨のとおりに私どもも考えておりまして、三月の半ばぐらいまでには今国会に薬事法改正案を、いま御指摘の方向で提案いたすつもりでおります。

薮仲義彦公明党・国民会議

○薮仲分科員 それでは重ねて、これは基本的な問題でございますので見解を伺っておきたいのでございますが、いわゆる国家賠償法についての厚生省の基本的な理解、見解をごく簡単にお答えいただきたいと思うのです。  国家賠償法というのは、大臣も御承知のように、第一条は憲法の第十七条の精神に基づくものであることは御案内のとおりでございます。明治憲法においては、国家の責任は認められなかった、いわゆる公権力の行使にもその責任は認められなかった。今度は国賠法は、認められなかったその責任を導入するということになったわけでございます。また、この国賠法の第一条の責任というものは、実質上は民法で言うところの不法行為による損害を賠償すべき関係と性質は同じだ、このような見解が最近は定着しておることは御承知のとおりでございます。  そこで、私は大臣に伺いたいが、明治憲法とは異なりまして、現憲法の主権者は国民でございます。先ほど申し上げましたように、行政は国民からの負託、信託によって行っているにすぎないという観点に立ちますと、ある意味では主権者である国民の方から地裁といえども提訴され、その判決は行政側の敗訴、こうなってまいりますと、先ほどの大臣の、上級審の判決を受けなければならないという判断はよくわかるのでございますけれども、こういう意味で、控訴を今後続けることよりも——先ほど来お話があってある程度は理解できるのでございますけれども、控訴を続けますと、患者の方はまた長い苦しみを経なければなりません。  私も先日、大臣が控訴を決定したとき静岡に参りました。寒空でスモンの方が街頭でカンパをしておられました。またこれから何年も続きます。静岡判決はこれから出てまいりますけれども、あの控訴の事実に非常に心の痛手を受けておられました。一人のお母さんが大臣に言ってくれと言われたことは、「私の子供は三歳のときちょっと下痢をして、スキップをして歌を歌いながら病院へ行きました。二週間たって病院から帰るとき足がよたよたで帰ってきました。いま目も見えなくなりました。これでまた裁判を続けなければなりません。」片っ方はカンパをして裁判の費用を賄っておるわけです。こういうことを考えますと、やはりもうこの辺でやめてもらいたい。大臣の時代に、このような悲惨な、行政によって国民がいやな思いをすることは何とかやめて、本当に安心できるような行政というものをそろそろ確立していただけないか。十年苦しんで、またこれから控訴あるいは上告ということになりますと、その先を考えると私はいやな思いに駆られる一人でございます。  そういう意味で、私は、大臣の時代に、法律上の判断は判断として、先ほど一括ということがございましたけれども、その中身についてはいろいろ和解あるいは判決を求める方もいらっしゃることで、私がどうのこうのと言うことは差し控えますけれども、何か明るい糸口が被害者の皆さんの中に出てくるようなことを努力していただきたいと思うのでございますが、大臣のお考えはいかがでございましょうか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ですから、私は、何遍も申し上げておりますけれども、一括解決というものを目指して努力をいたしたいということを申し上げております。  さらに、投薬証明のない患者の方々につきましても、可部判決また可部和解の延長線上の問題としてとらえて、いま裁判所の判断を仰いでいるところでありますが、それが示されましたならば、すべてそういう意味でのお話をする条件が整うわけでありまして、私は何とか一括解決というものに持ち込みたい、そして少なくとも早く患者救済についての態度を確立したいと心から願っております。  ただ、これは御理解をいただきたいことでありますけれども、このために使用する国の費用も、これまた国民の税金であります。そして現行の法律というものの中で、その法理論上の問題点についてはやはり上級審の御判断も仰ぐべきものだ、またそれだけ慎重を期すべきものだと私は思います。ですから、法理論上の争いと患者の方々に対する救済とは分けさせていただきたいと私どもは心から願っておる次第であります。  私自身がキノホルムを禁止したときの厚生省の政務次官であります。キノホルム原因説が出たときのショックは私自身がよく覚えております。そしてあの時点で、いろいろな御議論がある中で、厚生省としてキノホルムを原因とし、その販売を停止し、製造を禁止するまでには、私どももそれなりのいろいろな考え方を経てまいりました。その記憶を私は持っておりますだけに、法理論の話とは別に、患者の方々の一括救済に踏み切れる体制がようやくできた、田辺製薬もここまで同調してきた、ここで何とか一括解決を図りたいと心から願っております。

薮仲義彦公明党・国民会議

○薮仲分科員 いまの大臣の決意表明を信じます。何とか一日も早い解決を図っていただきたい。時間がありませんので、スモンの問題はこれだけにさせていただきたいと思います。  次に、時間がございませんので簡単に御答弁をいただければ結構でございますが、重症心身障害者の対策でございます。  十八歳以上の重症心身障害者の数と施設というものが十分対応できるのか。これは病気の御本人はもとより、御家族の受ける苦痛も大変なものがございますので、国の施策として何とかという声が私のところにも参ります。そういう意味で、今後の対応を含めて、全員が希望する施設に入れるように御努力をいただきたいと思うのでございますが、簡単な御答弁をいただきたいと思います。  もう一つ続けて聞いておきますが、それは一般戦災傷病の問題でございます。  私は戦地に行った経験はございませんが、戦災の経験はございます。あの当時、戦地も銃後も同じく一億一心総動員で戦争に対処したことは等しく国民の知るところでございます。あの受けた苦しみ、悲しみは戦地も銃後も同じだったと思うのでございます。そのような意味合いにおきまし七、いろいろな社会福祉ということもございますが、格差もございます。そういう点で、この戦災傷病者に対します何らかの温かい思いやりというのが戦後の日本に残された最後の大きな課題ではないか、こうも考えます。  以上二点について御答弁をいただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 重症心身障害児の問題だけ私からお答えをいたします。  実は、これは全国的に見ますと、必要な方々の全員がお入りいただけるだけの施設の整備はできておるのでありますが、率直に申しまして、地域的なバランスの問題で、一部の地域においてお入りになりたいと希望される方が希望する施設に入れないという実情が現実にあります。また、入れた場合にも、自宅から非常に遠距離のところに入らなければならぬという問題があることも承知をいたしております。これは今後私どもとしては、できるだけ近くの施設への配置がえその他を含めて、関係の都道府県とも十分相談を進めながら、是正を図ってまいりたいと考えております。

河野義男厚生省援護局長

○河野(義)政府委員 戦災障害者の方々につきましては、私、心情といたしまして大変気の毒だというふうには考えておりますが、戦災障害者の対策につきましては、一般社会保障施策の充実強化ということで対応してまいっております。今後もこれが充実強化を図っていきたい、かように考えておるわけでございます。  ただ問題は、一般の心身障害者と比較しまして、戦災障害者につきましては何らかの特別な配慮が必要であるかどうかという点に関しましては、そういう観点から、五十四年度におきまして戦災障害者についての実態調査を計画しておるわけでございまして、そういった結果も今後十分検討したい、かように考えております。

薮仲義彦公明党・国民会議

○薮仲分科員 終わります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)主査代理 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。  次に、村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 橋本厚生大臣、御苦労さまです。  民主主義の政治というのは、やはり住民の要請を受けてその疑義をただし、今日困難な事情にあるものに対する政治の恩恵を法律の定めるところによりあまねく渡らせることにあると思うのでございます。そういうような意味で、私のところに一通の書簡が参りました。この書簡によりますと、地方税法第七百三条の四第五項、給与所得に対する国民健康保険税の課税を廃止していただきたいという要請でございます。中を読んでみましたら、給与所得者が退職をして国民健康保険に加入をした場合の問題点でございます。昔から、この問題はいろいろ論議もされておりますが、今日、構造不況業種が発生をし、そういう失業の大変危機的な状態の地域も発生をいたしております。この文面の中で読んでまいりますと、憲法第十四条の国民平等の原理というもの並びに税法の基本理念である二重課税防止の原則に違反をしているのではないかという内容のものでございます。  具体的に申し上げますと、この人は退職を余儀なくされた失業者でございます。したがいまして、いま雇用保険をもらっております。雇用保険は、所得税法上の対象とならない、所得とみなさない収入でございます。そこで、何らかの便法はないだろうかということで、自治省やあるいは厚生省の方ともいろいろ相談をいたしてまいりましたが、なかなかむずかしい問題がございます。  そこで、これらの取り扱いについてどのような救済策を講じていったらいいのだろうかということでひとつ御考慮をいただきたいということから申し上げるわけでございますが、大臣は社会労働委員会の主要なメンバーで今日までずっとおいでになったし、この間も労働行政やあるいは厚生行政についてはベテランでございますから、大臣が一番よく知っていらっしゃることだと思うのでございますが、問題は、とにかく所得がない失業者に対して、あたかも前年度の所得が継続しているかのごとく装うて、そして前年度の所得に基づいて課税をする。だから、健康保険税というのは、税という名前ではあるけれども、地方財政計画上のものでもございませんし、地方税収入の中に算定をしているものでもございません。したがいまして、政令都市の場合には料金という形で取っている。言うならば税金でない税金の内容でございますから、国民健康保険料、こう言うのが正しいのであると思いますが、取る側から言えば、税金という形で取った方が取りやすいということで、後からこれは税金に格上げされたものでございます。  ところが、税の考え方に立ちますと、職域におきます保険は、御承知のように現年度課税であります。その月の収入の中から確実に健康保険料を徴収されている。同じ所得に対して翌年においてもその所得が現存をしているかのごとくみなして税金を課するというのが国民健康保険税の取り方でございます。  ところが、そこに矛盾が出てきますのは、収入がない、構造不況業種であるならば蓄積もないような状態になってきている。何らか減免の措置はないだろうかということで、いろいろ研究をしてみますが、ございません。そこで、これについては失業の問題を取り扱っている労働省、それから税法の問題を取り扱っている自治省、それに国民健康保険を担当している厚生省、この関係者の中で、どういうふうにしたらいいかということで、過去においても努力をされたのだろうと思うのですが、過去においては、今日のように失業者が百万を超えるような状態というものは想定していなかったに違いない。そういうような問題が今日予測せざる状態の中で発生をしているということは、単に雇用保険金を引き上げ、継続給付を長期に延ばしていくというだけで問題が解決するものではないと私は思うのでありまして、実情に合わせた対策を何らかの方法で講じなければならないであろうということを考えているわけでございます。  したがいまして、どのようにこれらの緊急な事態に対応していくのか、このことについて、それぞれの立場でお聞かせをいただいて、後ほど大臣の方から御所見をいただきたい、こういうことでございます。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 一番中心になりますのは、国民健康保険制度の問題から来るわけでございます。いま村山先生の方からも御指摘ございましたように、被用者保険の場合と違いまして、国民健康保険の場合でございますと、どうしてもいろいろな職業の人々がおられます。たとえば自営業者もおりますし、農民もおられますし、そういう人たちの保険料をどうするかということになった場合に、やはり何らかの所得を一つの基準で把握せざるを得ない。その場合に、現年度で、たとえば五十四年度なら五十四年度でとらえようとした場合に、五十四年の収入がどのくらいになるかということについて全くつかめないわけでございます。そうしますと、被用者保険とそこが違うわけでございますが、どうしても前年度の所得というものを一つの基準にして、これを擬制いたしまして、今年度もこのくらいの所得があるであろうという推定のもとに課税せざるを得ないという基本的な問題がございます。この仕組みを基本的に変えるというのはとてもできる問題ではございません。そこで、いろいろな問題が出てくるわけでございますが、その際に、先生のおっしゃった構造不況業種等で失業した場合には所得はゼロになるではないか、そういう者に対して何らかの措置はできないのか、こういうお話でございます。  これは御案内のとおり、被保険者の保険料の負担能力が災害その他特別の事情によりまして著しく減少した場合につきましては、市町村長の認定によって、保険料なり保険税の徴収猶予ないしは減免の措置を行うことができることになっているわけでございます。  ただ、私どもの基本的な考え方は、失業いたしました場合でも、完全に収入がその年度につきましてとだえてしまうという場合もありましょうし、そうでない場合もございます。したがいまして、直ちにその減免を行うということではなくて、実際に保険料の納付がむずかしいわけでございますので、徴収猶予ということによりましてまず担保いたしまして、そしてその担税力の回復か待って、それが不可能になった時点で減免を行う、そういう措置が適切ではなかろうかと思っておりますし、現にこれは各市町村長の方に条例なり規則で任せられておるわけでございますけれども、各市町村長とも大体そういう運営でやっている、こういうことでございます。

丸山高満自治省税務局市町村税課長

○丸山説明員 ただいま厚生省の方からお答えになられましたのと、私ども全く同様に考えておる次第でございます。

田中博秀労働大臣官房政策課長

○田中説明員 私ども労働省といたしましても、失業中の者に対しましては、雇用保険等を通じまして生活の安定を図ってまいっておるところでございますが、先生の御指摘の点につきましても、もし失業したことのために、担税能力もない、所得も資産もないという者の場合には、そのように措置していただきたいというふうにお願いをしていきたいと思っております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 そこで、いまの厚生省なり自治省の見解、これは地方税法の第何条によりますか。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 地方税法の七百十七条でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 そこで、地方税法の七百十七条の減免規定、これは災害その他特別の事情のある場合、その「特別の事情」という中にそういう失業の者は入る、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。

丸山高満自治省税務局市町村税課長

○丸山説明員 実は、住民税の方にも全く同様の条文がございまして、その条文に関しまして、「前年に所得があった者であっても、当該年における所得が皆無となったため又は甚だしく減少したため生活が著しく困難となったと認められる者については、その状況に応じて、適宜減免することが適当であること。」という指導を実はいたしておるわけでございまして、国民健康保険税につきましては、御案内のとおり、住民税とは違いまして、健康保険に要します事業を行いますのに必要な経費を関係者が分担をし合うという制度でございますので、住民税と全く同様というわけにはまいりませんが、条文的には同様の条文でございますので、いまのような判断で考えておるわけでございまして、失業者の方が出られました場合に、単に失業ということだけではございませんで、実際の所得がなくて非常に生活が困難であるという事実がございました場合には、これを減免するように指導をいたしておるところでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 とにかく地方税法三百二十三条、これは市町村民税の減免について通達はございます。私もここにいただきました。ところが、これは市町村民税の減免措置がここに書いてあるのであって、地方税法七百十七条の減免規定によりますいわゆる国民健康保険税の取り扱いについての通達はお出しになっておりますか、なっておりませんか。

丸山高満自治省税務局市町村税課長

○丸山説明員 特別な通達は出しておりません。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 そこで、当然通達の解釈は、三百二十三条の市町村民税の減免に関する通達でございますから、これを敷衍して、国民健康保険税についてもその適用をこのようにやれという通達か指導をなさっておるのですか。この条項でそのような指導ができるものでありましょうか。

丸山高満自治省税務局市町村税課長

○丸山説明員 先ほども申し上げましたように、国民健康保険税は、住民税の場合と異なりまして、先ほども先生から御指摘もございましたように、いわば保険料的なものでございまして、全体のかかります費用をどういうふうに納税者の間に割り振りをするかという制度でございますので、直ちに所得課税でございます住民税と同じような形の指導というものは私どもはいままではいたしていなかったわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 大臣、お聞きのとおりでございまして、これは住民税についてはそういうような地方税法三百二十三条によりまして通達も出し、丁寧に指導は行われております。ところが、国民健康保険税につきましては七百十七条の減免規定を適用するということを言いながらも、その特別な事情の中身について親切な指導はなされていないわけです。ましてや、その保険料の徴収については幾つかの類型がございます。その類型に基づいて条例でこれを決めなければなりません。その条例によって決めることが今日までほとんどなされていないわけです。中には、ほんのわずかのパーセンテージのところはあるやにも承っておりますが、普通の自治体の場合には、今日の国民健康保険会計が非常に窮屈でございますから、とてもじゃないが、そこまで手が及ばない、こういう実情にございます。  そこで私は、労働省の方からはお願いをしているということを承り、自治省の方からは、いまの類推解釈で、三百二十三条の解釈で指導ができるように言われるのだけれども、これはちょっと条文の適用を拡大した解釈になり過ぎている。そういうのであるならば、七百十七条に基づいてきちっとした指導をなさるべきであり、そのことは主管庁である厚生省の責任と権限の中において処理をされるのがよろしかろうと思うのでございます。  それについてはもちろん自治省と合い議をされることになるでありましょうが、それについての、今日のこのような構造不況業種が発生をしたり、非常に失業不安の状態があることなどは、法を制定した当時においては予想していなかった。このことを、今日の事態において改善するということが政治に課せられた任務だと思うのでございますが、厚生大臣の御所見を承りたい。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 大臣がお答えいたします前に、私どもの立場もひとつ御理解を願う意味で一言申し上げたいと思いますけれども、確かにいろんな御事情もございます。ございますけれども、結局その市町村の医療費というものをどう分担するかということになりますと、やはり応益割、応能割という形で考えていくわけでございますので、応能割の分が減ってまいりますと、どうしても応益割という形でそちらの方に負担をかけざるを得ない。したがって、できるだけ市町村民の中の公平感を与えながら、しかもその必要な医療費を確保するという趣旨でございますので、そういう意味で、一番実情を知っているのは市町村長であるわけでございます。市町村長がサボってやらないという意味ではなくて、やはり他の均衡の問題も考えながら措置をしてまいりますと、個人個人に見ますと、ある程度の不公平感、自分はどうしてだろうかというような不満もございますけれども、やはり市町村民全体をながめた場合に、公平感というものを確保しなければなりませんので、そういう立場もございますので、余り私の方が市町村長に対してこうやれと言うこと自身が、かえって国民健康保険の運営上非常にむずかしい面が出てくるということも御考慮願いたいという意味で、前もって申し上げる次第でございます。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 先ほど村山さんのお話の中にありましたとおりに、国民健康保険の運営の中でこうした構造不況の発生による大量離職者の国保へのなだれ込み、言い方が正確かどうかわかりませんが、なだれ込みという事態を想定しなかったというところから、いま御指摘のような問題が出てきたと私も思います。  現在の制度の中における徴収猶予あるいは減免というものについての制度的な問題については先ほど保険局長が御説明申し上げ、また事務当局としての立場からの話はいま申し上げたわけでありますが、そうした問題が確かに現実にあるわけでありまして、通達とか通知といった形が適当かどうかはわかりませんが、少なくとも保険料の減免に関する現行制度の趣旨の周知徹底ということは私どももやらなければならぬと思います。ですから、そういう方向でそれについては対処をさせていただきたい。  ただ、その場合に、構造不況業種による大量失業の出ているところ、これは地域的にもある程度はっきり言えるわけでありますけれども、その大量失業による仮に徴収猶予あるいは減免等の措置を講じた場合に、当該年度においては国保財政に非常に大きな影響が出てくるわけでありまして、市町村としてもただ単に周知徹底を図っただけではなかなか対応し切れない、精神的にも実態的にも対応できない部分があるだろうと思います。ですから、そういう大量失業等によって当該年度の国保財政に深刻な影響が出るような場合については、災害に準じて特別調整交付金の算定において考慮するといった考え方でこれには対処したいと考えます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 地方税法の七百三条の五に減免規定がございまして、これは条例で平等、均等割の減免が可能でございます。その場合の内容は細かく国保法七十七条によりまして減免措置対象世帯というのが掲げてございます。これらはいずれも想定をされたものとして了解ができるわけでございますが、その条項を当てはめてみようと思って私もいろいろ検討をしてみたのですが、それを当てはめることはできませんでした。  そこで、じゃ三百二十三条の適用ができるかと見てみたらこれは市町村民税で、しからば何が残ったかといえば、七百十七条というものが残る。その中の「特別の事情」の中に入れられないかどうか。それは調整交付金の対象に当該年度はなるのかならないのか、また翌年はどうなっているのかということで事務的に調べてみましたら、当該年度はないけれども翌年度の場合は調整交付金の機能はするということがわかってまいりました。ということになれば、調整交付金の対象は翌年度機能するというとらえ方をするならば、その「特別の事情」の中に失業多発地帯の場合等については特別に考慮して、いまのような失業者は収入がないわけでございますから、そういう措置をとるのが今日の事態に適応した行政指導ではなかろうか、こういうふうに考えたものですから、大臣の御所見をお伺いしたわけでございます。  この問題については、保険財政が非常に窮屈でございますから、それだけぽっかり穴があいたらやっていけるんだろうかという御心配もありますけれども、今日の不況業種の失業者は、税として取るのだったらわれわれは二重払いじゃありませんか、もうすでに現年度分についてはちゃんと納めてあります、それを同じ収入があるものとして想定して、収入はない中から払えというのですか、失業保険金の中から払えというのですか、こう言われると、税であるならば二重課税の疑いがあるなとさえ思うのです、課税する客体は同じですから。それについて、前年度においてはぴしっと保険料を徴収している。それを今度はことしについても——これは単なる計算基礎じゃないですよ。同じ課税対象物件を対象として課税をする、こういうような仕組みになっているのですから、これは改めてもらわなければやはり公平感は出てこない、こういうふうに考えるのでございまして、その点については、先ほどの大臣の答弁は若干ひっかかる点がございます。まだ十分でないような気がいたしますので、やはり何らかの通達か指導をしてもらわなければ、市町村長は苦しいのですからなかなか条例を制定しようとはしませんよ。いかがでございましょう。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ですから、私は通達、通知というかっこうがいいかどうかわかりませんということを申し上げました。指導はいたします。  同時に、調整交付金の話で、調整交付金の場合には確かに翌年度において措置されるわけでありますが、特別調整交付金で国保の場合については当該年度において補てんをいたします。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 それと、大臣、もう一つは、もうほかのものに入る時間がございませんのでこれだけで終わりますが、職場の職域保険で健康保険に入っている。そうすると、それが今度は国民健康保険に移り変わります。その場合に、収入の算定は、これはノーマルな姿の場合の想定でございますが、前年度所得を基礎にする。その課税の根拠は総所得でございます。社会保険料を支払った残りを所得として計算をするわけじゃございません。そこで、おれたちは前はちゃんと保険を払ってきちっと十四、五万円納めてきたのだから、せめてその分は、二百五十万円くらいの収入があった場合には、社会保険料を支払った分だけはその収入から除いて総所得を決定して、そして国民健康保険の料率に基づく所得割の保険料を納めるのが正しいのじゃないか。私はこのことを自治省の税務局の方にも話をいたしました。それは厳密に言えばそうでしょうなというつぶやきの言葉も聞いておるのでございますが、あなた方は検討されたことがございましょうか。自治省は検討したのか、あるいはまた国民健康保険税への移り変わりの場合にはそういう配慮があってしかるべきだと、その方が妥当性があるのですから、そのような指導をする考え方は厚生省にはございませんか。  それだけ承っておいて、私の質問を終わります。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 これは村山先生十分御案内のことでございますけれども、所得割の面につきまして三つの方式、旧ただし書き方式、本文方式、住民税方式、このいずれをとるかは市町村長の判断に任せるわけでありますけれども、旧ただし書き方式の場合でありますと、おっしゃるように、基礎控除だけしかいたしません。それから本文方式でありますと、住民税と同じように賦課標準を用いますので、大部分のものが控除になるわけでございますが、結果的には全く——全くでございませんけれども、ほほ同じことになるわけでございまして、結局、必要な費用について所得割の面でどの程度取るかという場合に、いろんな控除をしてまいりました場合には税率が高くなってくる、それから旧ただし書き方式によりますと税率は低くなって、結局、問題はどちらが一番公平感があるか、こういうことになると思うわけでございます。  私どもの基本的な考え方は、その旧ただし書き方式が市町村で九〇%以上とられているのは、やはり市町村の課税の捕捉という面で見ますと、できるだけ公平に、かつ広く取るということが前提になっていると思うわけでございます。そういう意味で、私どもは旧ただし書き方式をやめて本文方式にするのがいいというような指導をする気持ちは持っておりません。むしろ実態に応じて一番いい状態は何かということを市町村長の判断によってやらせることが、国民健康保険の運営を行います場合に最良の方法ではないかというふうに実は考えておるわけでございます。

丸山高満自治省税務局市町村税課長

○丸山説明員 ただいまの社会保険料の部分だけを旧ただし書き方式を採用しております場合に控除いたしますというのは、ただいま厚生省の局長さんの方から御答弁ありましたように、旧ただし書き方式という制度そのものが壊れてしまうことに相なりますので、現在のところでは、考える余地はないというふうに考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 大臣、ちょっとおかしいのですよ。それは平常な場合ばかり考えているからそういうことになるのであって、社会保険料として払っているのでしょう。そうして、翌年度はその払っているのも含めて総所得で計算をして国民健康保険税を課するというのでしょう。どう考えたっておかしいですよ。それは何といったって二重払いになります。だから、その移行する過程の中での措置なんですから、そういうようなものについては、せめてそれぐらいは、支払った分は除いた残りの所得、総所得を計算してそれに課税をするというのでなければ、公平感は出ません。そういうような移行過程の計算の方式については、どうも先ほどからいろいろ承っておりますが、今日のような百何十万も失業者が生まれるようなことを想定していない、平常裏の中での行政指導しかしていない、そういうふうに私は受けとめて間違いがないと思うのです。  時間もございませんので、そういうような面において、ひとつ研究課題として厚生大臣に検討を願いたいと思うのですが、いかがでございますか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私は、村山さんのお話が半分よく理解できて、半分は困ったな、なかなかそういかないなという気分でおります。というのは、確かに生活実態から見ていてそういう御議論が出ることはよくわかるわけでありますけれども、同時に、今度は社会保険理論の中で一つの矛盾の壁にぶつかっていく。同時に、その三つの方式のうちのどれを採用するかについて、これは一番実態を知っている市町村長さんたちに御判断をゆだねている私どもの立場からすると、検討してみてもこれは大変厄介だ、それよりもむしろ雇用情勢を本当に早く安定させることの方が先決だという感じもいたしまして、大変複雑な気分でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)主査代理 これにて村山喜一君の質疑は終了いたしました。  次に、三谷秀治君。     〔岡田(利)主査代理退席、玉沢主査代理     着席〕

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷分科員 私は、先般の予算委員会で、自治体の屎尿処理施設が排水基準をオーバーして、水濁法に違反する状態にあるということを申し上げました。時間がありませんでしたから大変駆け足の質問で、あるいは御理解の不十分な点があったかとも思います。  この問題で最も典型的なのは、大宮市にあらわれました屎尿のたれ流しの問題でありますが、大宮市におきましては、やみルートまでつくりまして屎尿の不正な処理を行っておったということが明らかになっております。  しかし、これは大宮市だけの特殊な例だろうかという点になってまいりますと、これは大宮市だけではない。たとえば、この大宮市で問題が発生しました後の栃木県議会、茨城ですか、この県議会におきまして県側が認めておりますのは、約半数、ここでは四三・七%と言っておりますが、この施設が水濁法に違反した排水のたれ流しをやっておるということを認めておるのであります。  こういう事態に対しまして、これは厚生省としても環境庁としても特殊な対策が必要ではないかということをお尋ねしたわけでありますが、この点についてもう一度御所見を承りたいと思います。

国川建二厚生省環境衛生局水道環境部長

○国川政府委員 屎尿処理施設の維持管理の問題でございますが、先般予算委員会でも申し上げましたように、遺憾ながら放流水の水質が定められた基準に適合しないというケースが見受けられるというのも事実でございます。当然ではございますが、このような屎尿処理施設の維持管理につきましては、もとよりその施設の規模、能力等も当然でございますけれども、処理対象人口に見合った規模を常に備え、かつ定められた維持管理基準に沿って適正な管理が行われなければいけないわけでございます。  私どもといたしましても、常々この点につきましては関心を深めておりますので、都道府県を通じましてそのようなことのないように、厳重な維持管理に当たるように指導いたしているわけでございまして、今後ともその点については十分気をつけて対処してまいるつもりでございます。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷分科員 これは物理的な問題がそこにあるわけであって、施設が足りなくてもこの拡充ができないとか、あるいは今日いまだに屎尿処理場を持たない、これは海洋投棄しておりますけれども、あるところでは施設がオーバーワークになっていくという状態があるわけでありまして、しかもいまこの処理場をつくりますのには、あるいは拡張しますのには、特殊な財政需要が必要である、いわゆる迷惑料といいますか、迷惑施設といいますか、こういうものがなければ施設の建設もできなければ拡張もできない、こういう状態になっておるのであります。  先般、私は杉並区の清掃工場の例や寝屋川の処理場の例を引きましてその点をお尋ねしたわけでありますが、そのとき大臣が答えられたのは、それぞれの補助制度がある、たとえば迷惑料として公民館をつくる場合には公民館に対する補助制度がある、あるいはそこに道をつけるときには道路に対する補助制度があるから、それぞれの補助制度を利用すればよろしいというふうな意味のことをおっしゃったと思います。しかし、これは問題が別なんです。確かに補助制度はありますが、補助採択されたとしましても、その補助裏というのは全部自治体が持つわけでありますから、つまり自治体がいま財政危機の中で不必要なもの、つまり直接の屎尿処理場の建設以外の不必要な財政の需要というものが生じてくる、これがいまの現実になっておる。そうしますと、厚生省にしましても、その財政需要をどのように評価するか、把握をするか、そしてそれに対してどのような対応策をとるかということは、いままさに今日的な課題になってきておる、これについてどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思う。

国川建二厚生省環境衛生局水道環境部長

○国川政府委員 ただいまのお尋ねの件でございますが、廃棄物処理施設に対しての助成ということを私ども行っているわけでございまして、当然ではございますが、直接処理施設に非常にかかわりの深い部分につきましては、これは当然補助の対象といたしまして助成を加えているわけでございます。  ただいま先生がおっしゃいましたのは、いわゆる迷惑施設としてとらえられた場合に、地元と申しますか、地域住民の方々の理解と協力を得るためには、その処理施設を幾ら完全にしましても、それだけではなお足らない。いろいろな周辺地区対策、さまざまな要望がございます。御指摘のような公民館もございますし、老人ホームというような要求もございます。ただ、それは一律に決まらないもの、それぞれのケース・バイ・ケースで決まってくるということでございます。そういう事情がございます。それから、そういう施設そのものも、大臣も先般御説明申しましたけれども、それぞれ別途な一応の制度と申しますか、仕組みのもとで財政措置なり何らかの措置があるわけでございます。私どもといたしましては、やはりその地域住民のためにその便益となるメリットが生まれる施設があわせてつくられることは、当該地域にとっても大変好ましいことだ、ぜひとも、地方自治体におきましては、こういう施設を計画される場合には、地域全体の問題としていろいろな方法をあわせて考えていただきたい、そういうことで総合的な施策が講じられるのではないか、そういうことを考えている次第でございまして、自治体の個別の事情さまざまでございますから、自主的な判断にゆだねたいという気持ちでございます。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷分科員 それでは処理場ができないのです。拡張もできません。いまの地方自治体の財政の実態からしますと、均衡を失した、つまり処理場をつくりますために、その地域に公共施設を集中してつくるとか、あるいはそこに道路の拡張を行うとか、そういうことはできないような状況に置かれておるわけなんです。そういうことですから、処理場をつくりますのには、処理場をつくる条件としてそういうものが付随して必要になってくるものですから、それは処理場建設のための費用として総合的に見ていかなければだめになっている、これがいまの状態であります。  そこで、これはたとえば産業基盤整備で申しますと電源三法なんというものがありまして、大変な交付金を出しております。たとえば、地元交付金というものが大変な額に上がりますから、四割も使い残したというふうな実例も出ております。それから石油備蓄に対する交付金にしましても、これは大変な金額になっておる。それから電源立地促進交付金などは漁業の振興にも回せというふうな要求も出ておりますけれども、いろいろな特例措置をとりまして、国家的に必要な事業についてはこれを奨励するということが行われておりますが、私は、肥やごみの問題は、これはまさに国民の文化水準を示すものであるし、いまの国民生活の中におきましては必要欠くべからざるものであって、これをどう処理するかという問題はきわめて重要な国家的な行政だと思っております。そうしますと、その点におきまして地方自治体がそういう迷惑料などを要求されまして、処理場の建設だけでも金が回らないという状態にありますのに、いわんやその周辺の迷惑料などを負担しておったのでは、とてもじゃありませんが、処理場が建つものではない。いかに迷惑料というものが屎尿処理場について回るかということは、先般の日経新聞がかなり詳しくこれを報道しておりますから、いまさら申し上げませんけれども、大体そういう措置によりましてこの問題が片がついておる。しかし、つかないところがあって、もう処理場はつくらないというところがある。いまのままでやっていくというところがある。いまのままでやっていくところは、さっき申しましたように、浄化槽の汚泥がふえてまいりましたから、それがどんどんほうり込まれますから、オーバーワークになってしまって、そして排水基準を超過したものが川に流されていく。たまたま大宮市は極端なやみルートまでつくって流しておりましたから、これが今日刑事上の問題になって、市長が罪を問われておりますけれども、これは果たして市長だけが責任を問われていいだろうかという疑問を私は痛切に持つものであります。これはやはり国としましても、こういう行政にはもっと積極的に介入する必要がある。それをしなければ、いま地方自治体の固有の事務であると言って、ごみも屎尿も全部地方自治体が適当にやれということでは、地方自治体はもはやそういう処理能力は持ちません。特にいま大都市におきましてはそういうスペースがありませんし、それから住民の運動も、これは権利意識が強まってまいりましたから、簡単には納得をしないという状況にありますから、どうしても国が広域的な観点に立って、この問題を扱って指導する、あるいはこれを援助するということがないと、既定の補助制度がある、基準単価を毎年毎年上げてきたとおっしゃるだけでは、行政の解決はできないと私は思っておりますが、ごみの方はフェニックス計画というものがいま進められておるようでありますが、肥の方もやはりこれは真剣に検討してもらわなければいけないと思っておりますが、いかがでありますか。

国川建二厚生省環境衛生局水道環境部長

○国川政府委員 おっしゃるように、屎尿処理施設が大変重要な問題であるということは全く同感でございます。都市におきます屎尿処理施設の対策、特に人口急増地域等におきましては、緊急を要するものもございますので、私どもも施設整備の点につきましては、五カ年計画を持ちまして施設能力の整備について計画どおり進めているわけでございます。  それから、広く都市の立場から申しますと、他方公共下水道の計画もあるのではございますけれども、その問題は別といたしまして、下水道計画の進捗状況とにらみ合わせて、適正な規模の施設を整備していくということは、私どもの一番重要な事業だ、使命だと思っておりまして、それを進めていきたいと思っております。  それから、いろいろ補助対象の範囲と申しますか、そういうことにつきましても、少しずつではございますけれども、毎年のように公害防止的な対策につきましても、既存の設備につきましてもさかのぼって積極的に整備を進めていく、そういう施策も逐次とっているわけでございまして、今後ともそういう方向で努力していきたいと思っております。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷分科員 どうも私のお尋ねしている焦点とは少しずれているように私はいま承っております。先ほど申し上げましたように、産業関連のいろいろな設備、つまり迷惑施設ができますときには、いろいろな特例的な補助制度がとられている。たとえば、最近原発の建設が予定されております福島県の双葉郡大熊町ですか、これはそういう特別な交付金によりまして、五十一年度の財政力指数は一・六二になっておる。ところが、福島県下の八十町村の平均は、財政力指数が〇・二六なんです。つまり、特殊な迷惑施設をつくりますためには、このような特別な補助制度をもって国が援助をしなければできるものじゃないということを証明しておるわけです。これはごみにしても屎尿にしても同じことなんです。そして、厚生省の管轄の線で申しますと、屎尿処理の施設を見ましても、用地費が第一、補助対象に入っていない。四・七%ぐらい入っているそうですけれども、この基準単価の四・七%では、大都市圏では全然土地は買えやしません。だから、ほとんど入ってないに等しいものです。それから第三次処理施設ですか、これは補助対象外にされてきた。寝屋川などはそうであります、されてまいりました。したがって、処理場だけを見ましても、用地費がない、第三次処理の補助がない、そこにもってきまして迷惑施設がうんと必要になってきておる。そういう深刻な状態になっておりますのに、そして一方におきましてはいま申しましたような特例的な助成制度が行われておりますのに、ごみや屎尿の問題についてそれがないということは、まことに面妖なことであります。そのために、先ほど調べました大阪府、千葉県、埼玉県などの市の処理場を見ましても、三六%がもはや排水基準に違反をするという状態、つまり三分の一の施設というものは基準をオーバーした水をどんどんたれ流しているという状態になってきている。それをそのままほっておいていいでしょうか。そのためにはやはり特殊な対策が必要ではないか。これを強化する必要があると私は思っておりますが、この点についていかがでございましょう。

国川建二厚生省環境衛生局水道環境部長

○国川政府委員 先ほどちょっと私も申し上げたのでございますが、いわゆる迷惑料的な施策といいますのがそれぞれの地方公共団体によりまして大変差があるわけでございます。大都市におきましては、大変人口稠密地域でございますから、いろいろな施策を要する場合もございますけれども、地方公共団体によって非常に差がありますから、一体どこまでが必要なのかどうなのかというような問題も、それぞれの自治体の自主的な判断にゆだねられなければならない面がございます。それからもう一つは、排出される屎尿、廃棄物はやはり当該地域の住民の方々のものということになるわけでございまして、したがいまして当該地方公共団体がどの程度まで真に必要と考えるかどうかという問題がございますので、直ちに非常に幅広く周辺地域に対する環境整備の取り組みを具体的に考えるべきだという御指摘ではございますけれども、実際問題としてもその取り組みがなかなか困難ではないかと実は思っておる次第でございます。  それから、補助事業の内容の充実の点につきましては、現在補助制度はいわゆる単価方式になっております。それからまた、地域の住民の方々の自主的な判断で非常に高度な処理をやりたいというような御要望があるのも事実でございますが、厚生省の立場から申しますと、やはり国全体を見まして法制度的に要求されているところは十分にこれを手当てしていくという態度が必要最小限度の出発点ではないかというように思っておるわけでございます。御指摘のような用地費の問題等、なお若干不十分な点もあると思いますけれども、今後ともそういうものについては鋭意改善に努めていきたいというように思っておる次第でございます。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷分科員 地方においていろいろ差があるとおっしゃっておりますが、住民の要求が画一的なものでないことはもちろんであります。地域の状況によりまして、要求します項目も変わってまいります。ですから、これは一律ではありませんけれども、その点については、地方自治体が自主的に判断をして、そして真に必要であるかどうか、このことを決めなくちゃいけない、そういうふうにおっしゃっております。そのとおりでありますが、そこでそういう迷惑施設などの要求がありましたときに、それが真に必要であると自治体が認めました場合、厚生省にそれを持ってまいりまして一緒に審議していただいて、そのことは厚生省としてもやむを得ない、それがなければもう建設ができないということを確認されるならば、それに対しては何分の補助制度を考えていくというお考えがおありでしょうか、どうでしょうか。そこがはっきりしませんと、お答えが少しも中心がなくてとらえどころがないわけであります。その点はいかがでございましょうか。  それから、用地費とか第三次施設につきましては、今後さらに補助対象として強化するというお考えなんでしょうか、どうでしょうか。  それから、このようにしまして、産業基盤の問題についてはいろいろな総合的な国の交付制度、補助制度が非常に強化されてきておりますが、迷惑施設対策としまして何か厚生省として立案されたことがありますか。あるいはまた、これについて予算の要求などをされたことがおありなんでしょうか、どうでしょうか。

国川建二厚生省環境衛生局水道環境部長

○国川政府委員 先生のおっしゃるいわゆる迷惑料的なものとして具体的に描かれるものが、先ほど来私、申し上げておりますが、いわゆる周辺の相当広範な地域の、処理場の構内ではない外側の地域の、たとえば公園緑地化の問題とか、道路の問題とか、あるいはその他の制度にかかわる大規模な事業になりますと、地方自治体としてはそれをあわせてすることが必要であるという判断に立つといたしましても、現在のところ、私どもといたしましては、直ちにそれを廃棄物処理行政の中で抱えていくというのは大変困難な問題ではないかというように実は結論的には思うわけでございます。  それから、用地費の問題等につきましては、実態に即しまして、できるだけ実態に沿い得るように今後とも努力していきたい。これは単価問題等も含めての問題と受けとめております。なお、三次処理等につきましても、当然でございますけれども、きちんとした法制上といいますか、条例等も含めまして、そういう必要性があるところにつきましては、当然補助対象とするつもりでございます。  最後に、そういった問題について研究したことがあるのかというお話でございます。私どももかねてからその問題につきましては部内でいろいろ研究し討議も重ねてきているわけでございますが、なお結論を得るに至っておりませんので、端的に申し上げまして、この部分についての予算要求というのは現在までしておりません。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷分科員 いまのお答えでは、最初から一歩も前進をしておりません。そういう状況でありますと、屎尿のたれ流しといいますか、この状況の解決は百年河清を待つに等しい結果になってしまう。それでいいのかということなんです。よくないことはわかっておる。海洋投棄の問題がいま残されておるわけでありますが、海洋投棄におきましても、漁業の被害が深刻になりまして、しばしば紛争が起きておる。和歌山県などは、和歌山県下の処理場のない町村に対して、本年六月までに着工しなければもう来年度からはいまの投棄場所には投棄をさせないということで、漁業組合が徹底をしております。大分県と高知の漁業組合の間でもいま現に紛争が起きておるという状態になっておりますが、こういう状況を見ましたときに、いまのような姿勢で果たしていいだろうかということをだれしもが考えるわけであります。もう少し国民生活を重視するやり方をとってもらう必要がある。これはいろいろな例がたくさんあります。一つ一つ引いておりますと切りがありませんけれども、産業基盤についてはずいぶん手の込んだ至れり尽くせりの制度がたくさんできましたけれども、生活基盤につきましてはいまおっしゃいますようにきわめて冷酷な、しかも今後処理の見通しがつかない状態ですね。第三次下水道整備計画によりますと、五十年にはもう海洋投棄はしないということであったんだ。いま第四次の整備計画が進んでおりますが、これは一体いつ完成するのでしょうか。つまり屎尿が下水で完全に処理できるまで何年かかるとお考えなんでしょうか。建設省来てませんか。−それじゃ結構です。十年はかかる。その十年の間、それじゃ一体屎尿処理場はどうするのか。いまのままで、やみルートはつくらないまでも、排水基準をますますオーバーするものを河川に投げ込んでいっていいだろうかということを私は非常な懸念を持って考えておるわけでありますが、この点についてはいかがでしょうか。

国川建二厚生省環境衛生局水道環境部長

○国川政府委員 屎尿処理の問題は、先生まさにいま御指摘のように、下水道の問題と関連して屎尿処理施設もしくは公共下水道で調整しながら整備をしなければいけない問題でございます。先生いろいろ御心配いただいているわけでございますが、私どもといたしましては、環境汚染になるような、そういう施設能力が不足するような事態にならないように、懸命に努力を続けたいというように思っている次第でございます。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷分科員 懸命にあなたが何ぼ努力されても、銭がなかったらだめなんですよ、これは。あなたの主観とか願望によって問題は解決するものではないのであって、要するに財政的にどうにもならないというところに問題があるのであります。  そこで、私はいま迷惑施設のことを申し上げましたが、迷惑施設以前に用地問題はどうかということ、これを研究して補助対象にする意思があるかないかということ、そして第三次施設、これぐらいの施設をつくりませんと地元は承知しないわけです。それについては先ほど、それが必要なところは補助の対象として扱うとおっしゃいましたが、これは必要がないところはそういう金のかかることを要求しませんから、これに対する補助制度というものを強化するか、この点をひとつお答え願いたいと思うのです。

国川建二厚生省環境衛生局水道環境部長

○国川政府委員 いま御指摘の用地費それから三次処理施設、もちろんこれは合理的な理由があって私ども必要だと思うものにつきましては当然改造ということで見ていくという考えでおります。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷分科員 見てやる率が肝心でして、基準単価の中に四・七が入っている、それじゃだめですよ。少なくとも実勢に応じた評価をしていきませんと、これはだめです。  それから、時間が来たようですから終わらしてもらいますが、環境庁も何かおっしゃらぬといけませんよ。あなた、横から見ておるのじゃなしに。あなたの方は直接この事業を施行する機関ではないけれども、地域環境について重要な責任をお持ちですから、環境庁も積極的な姿勢を持って厚生省と話し合いをしてもらって、そしてこの問題の解決のために努力されることを私は特に希望しますが、いかがでございます。

島田隆志環境庁水質保全局水質規制課長

○島田(隆)説明員 先ほど来先生から御指摘いただいておりますように、遺憾ながら、人口の急増地域等で処理能力を超えて排水基準をオーバーしているというような事例もあることは、御指摘のとおりでございます。  この問題に対処するにつきましては、先生から逐次御指摘いただいておりますように、下水道の整備あるいは採尿処理設備の整備あるいはそれらの維持管理の強化ということが、やはり根本的な問題であろうかと思います。その辺につきましては、いま先生から御指摘を受けるまでもなく、私どもは厚生省あるいは建設省ともども強くお願いをしているところでございますし、今回東京湾だとか瀬戸内海だとか伊勢湾等におきます総量規制制度をことしの六月から施行する予定でおりますが、そういうところにつきましても抜本的な下水道の整備等をお願いするようなことでお願いしているわけでございます。  また、この屎尿処理施設が排水基準の対象になっておりますので、環境庁としましても、これは実際は県ないしは政令市に権限が移譲されてございますが、排水基準の監視状況、これの徹底強化を図っていくことが必要であろうと思いますので、その辺の指導の強化を図ってまいりたいと思っております。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷分科員 大臣、私は一言もけいがいに接することなく委員会が終わりそうでありますが、ふだんから大変さわやかな御答弁を聞きまして感服しておりますが、これにつきまして最終的に努力していただくことについて御意見を聞いておきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これについては余りさわやかな御答弁ができません。私ども、努力するところは努力をいたします。ただ同時に、この問題についてはある意味では加害者イコール被害者の問題でもありますだけに、地域住民の方々にも最大限の御協力を願いたいと私どもは考えております。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷分科員 時間ですから、残念ですが……。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢主査代理 これにて三谷秀治君の質疑は終了いたしました。  次に、中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 厚生大臣、薬価基準の問題でお尋ねしたいんだけれども、どうも私は、薬価基準の決め方が不適切であるというだけではなくて、きわめて不明朗な形で決められておるように感じるのです。問題点は、バルクラインのとり方もいかがなものであろうか。安いものから九〇%とっていって薬価が決まっている。大臣も問題点の一つだとお考えになるだろうと思うんだけれども、日本の総医療費の中に占める薬剤費が四〇%以上である。最近若干下がっているようですけれども、ヨーロッパの国々、いわゆる欧米諸国と比較をすると日本の場合の薬剤費というものは極端に大きいわけですね。このことが保険会計に対する大きな負担増という形になってきているというように私は思うのです。私の友人にも医者なんかが大分いるんだけれども、たとえば抗生物質がある。二十円で買ったものが百二十円で薬価基準は決まっているのですよ。読売新聞にいつか報道されて九倍というのがあったですね。問題点の一つであるということは大臣もお認めになるんだろうが、なかなかこれを直すということについては抵抗もあるだろうとは思うのですけれども、この点どうお考えになるかという点が一点。  それから、医薬分業というのが制度としてはできているが、なかなか進まない。処方せん料というのも五百円にたしか引き上げると思うのですけれども、どうしていわゆる処方せん交付といったようなものが進んでこないのか。厚生省としてはこれを前進させるための何か特別の施策をお考えになる必要をお認めにならないのかどうかという点であります。  以上二点、ひとつお答えを願います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 確かに御指摘のように、薬価調査が自計方式であるところから信憑性に問題があるという御指摘を従来からいろいろな機会に受けておりました。そういう欠点を是正する方法として、従前から、厚生省の職員が直接卸売業者に赴いて調査を行う他計調査による経時変動調査を実施してきたわけであります。さらに、ことしからは、薬価調査の直前と直後に他計調査による特別調査を実施して、薬価調査の異常値をチェックできるシステムをとることにして、すでに昨年の七月の薬価調査の直前の五月、またその直後の八月から九月にこれを実施いたしました。この特別調査に引き続いて、従来の経時変動調査を行っているわけでありまして、今回、五月から十二月までをかけたきわめて長期にわたる他計調査を実施いたしております。私どもとしては、従来に比べて十分良好な成績を上げ得ておると考えておりますが、今後とも実勢価格の把握には努力をしていきたいと考えております。  それから、もう一つの医薬分業の問題でありますけれども、これには幾つかの険路があると思います。一つは、長年の慣習の中で、患者さん御自身も、やはり診察を受けたお医者さんで薬を欲しいという希望をなさる方が大変多い。また、処方せんの受け入れ体制が十分に整っていない薬局が残念ながらまだ相当数ある。あるいは、これは御指摘を受けたとおりでありますが、医薬品の薬価基準価格と実勢価格に乖離がある。こうした諸問題が一つの原因であると私は思います。  そういう意味では、私どもは、いま医薬分業というものを進めていく上で、たとえば五十四年度の予算の中におきましても、こうした問題点に対する回答の一つとして、都道府県の薬剤師会が、たとえば検査センターまた調剤センター等を会としておつくりになるというお気持ちがあれば、それに対しての予算補助ができるような体制もつくっておりまして、今後ともにそれには努力をしてまいりたいと思いますけれども、やはり一つは、日本の慣習的なものの中で、患者さんが処方せんを受けて離れた薬局に行くより、ここで一緒に欲しいという要望が続く間、なかなか言うべくしてむずかしい問題が残るのじゃないか、そのように思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 大臣、率直に問題点をお認めになり、改善に熱意を示していこうという気持ちはよくわかる。中野薬務局長、御就任になりまして、精力的に改革、改善に取り組んでおるということは、私なりに関心を持っているだけに評価をしているわけです。かつては、薬のことは厚生省に聞くよりも武見さんのところに行って聞いた方がいい、そういうような声すら相当高かったのです。それで、お医者さんのところに抜き打ちで調査に行くでしょう。その前に、お医者さんのところへ問屋が行って、これは幾らで買ったという報告をしてくださいという打ち合わせが行われる。その後、薬価基準の調査というものがなされる。だから、現実に医者が買っているものよりも、先ほど申し上げたように、六倍であるとか八倍であるとかという報告によって薬価基準が決められていく。バルクライン方式というものはそれを裏づけしている、こういうことなんだ。  だから、若い厚生大臣、恐らくあなたの御尊父の厚生大臣もこのことに頭を悩ましておられたであろうと思います。あなたは勇気を持ってこの改革をしていく、こういうことで、本当に医療供給というものを実りあるものにしていくということでないと、いまの医療会計の中でこれを改革をしないで、健康保険法を改正して被保険者の負担を引き上げていくというようなことであっては、国民のコンセンサスは得られないということを私は一つ提言として申し上げたいというふうに思います。お答えいただきたい。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 大変気が弱くて、私はなかなか乱暴なことができませんけれども、本当に、第一線の諸君を含めて事務当局が、昨年の五月からここまで積み重ねてきた薬価調査というもの、これは今後ともに生かしてまいらなければならぬと存じます。それこそ、これから先の医療費の増高を考えれば、その負担と公平をどう国民の中で合意を求めるか、これは大変な話でありますから、健康保険法の改正の審議の方もよろしくお願いをいたしますけれども、われわれも努力の方は一生懸命にいたします。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 次に、身障者対策について私が把握をしている実態を御報告申し上げて御意見を伺うのですが、身障者対策に差別がある。たとえば精薄児者に対して今日に至るまで国鉄運賃の割引がなされないのです。これが一点、問題なんです。それから、割引の対象になっている身体障害者にしましても、特急、新幹線というのは割引対象じゃないのです。やはり体の不自由な人はできるだけ早く目的地に着いてゆっくりしたい、こういう気持ちじゃないでしょうか。ならば、百キロ以上がその割引の対象だという点も改善されない、それからいま言ったような、早く走る汽車が割引の対象となっていないというようなことは当然改善されなければならぬと私は思う。運輸省の方にもそのことを強く要求するのだが、これは公費負担でやるべきであって、国鉄でやるべきでないという考え方がある。これはかつて附帯決議にもそういう方向にはなっている。しかし、心身障害者対策基本法には国鉄には割引が義務づけられている、国鉄が割引をする。現実に相当やっているのです。やっているんだが、やはり公費負担というような方向で公正にやっていく、弱い者に温かい愛情というものを勧めていく、これがなければいけない、こう思うのです。この点に対してはどうお考えになるかということがまず一点であります。  それから、ダウン症児、これは自分たちはすべてがBクラスに扱われている、私はそうだとは思わないんだけれども、これは障害の程度によってA、Bにランクづけられていると思うのですが、私がたまたまダウン症児のいわゆ小鳩会というものの会合に行って、三、四十名ぐらいいる父兄の方々の声を聞いてみると、みんなAはございません。相当症状の重いダウン症児もBだというのです。非常な不平不満を持っているということであります。これは実情をひとつお聞かせをいただきたい。  それから、自閉症児の、これは精神科なのかあるいは障害児かという、谷間にあるということだろうと思うのであります。その点で、医療あるいは療育訓練というようなものも不徹底な面があるんだろう、こう思うのです。ですけれども、やはり障害児であることに変わりはないから、そういう谷間にあればあるほど、さらに積極的な対処の仕方というものがなければならぬと私は思います。この点についてどうこれを改めていこうとお考えになっていらっしゃるのかという点でございます。  以上、お答えをいただいてから、また次の点に行きましょう。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 順番をひっくり返して恐縮でありますが、ダウン症候群のお子さんに対する療育手帳で、一律Bに認定をしているという事実はございません。その事実の細部につきましては、児童家庭局長から後で補足をしてもらい、あわせて自閉症児の療育体制についても答えてもらおうと思います。  そこで、運賃割引につきまして、実はいま精神薄弱者を例にとられたわけでありますが、私ども厚生省としては、従来から内部障害者についても、精神薄弱者はもちろんでありますけれども、精神病患者、特定疾患の患者、原爆被爆者等についても身体障害者と類似の事情にある者ということで、同じように国鉄の運賃割引制度の優遇措置が受けられるようにという要望を繰り返しております。しかし、現在まで、国鉄の財政状況等のこともありましょう、運輸省当局に要望を続けておりますが、遺憾ながらまだ実現を見ておりません。今後ともに、これは精神薄弱者のみでなく、いま申し上げましたような身体障害者と類似の問題を抱えるこうしたグループについての国鉄の割引について、国鉄に対する、また運輸省に対する要望は努力してまいりたいと考えます。ぜひ国会においても御声援をお願いいたしたいと思います。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 ダウン氏症候群の問題でございますが、決して一律にBという認定をしているわけではございません。ダウン氏症候群の障害程度それ自体が、重度から軽度までかなり区々にわたっております。療育手帳の示す障害程度としては、知能指数がおおむね三五以下で、日常生活の介助を要し、社会生活の適応が著しく困難な者という判断に基づきまして、精神薄弱者更生相談所あるいは児童相談所などの判定機関が、その実態についての判定の上に立ってAまたはBという区分をしているわけでございまして、決して一律にBというふうには私ども理解はいたしておりません。  それから、自閉症児の療育体制でございますが、自閉症児の問題は、先生御指摘のように、確かに精神衛生法と児童福祉法もしくは精神薄弱者福祉法との谷間にあるということは、私どもも十分承知いたしております。ただ、実際に自閉症児というものの実態関係になりますと、かなり精神薄弱児との間の調整の微妙な点がございまして、むしろ行政面としては、広い意味の精神薄弱児という行政の枠内で対応していくというのが一つの行き方であろうかと思います。学問的にはこれはなかなかむずかしい区分の問題でございますので、私どもも現在、昨年の九月以来自閉症児の認定の検討委員会というのを専門家にお集まりいただいてお願いをいたしておりますけれども、医学的な問題あるいは心理学的な問題等でいまだに御答申をいただけないで、私どももできるだけ早くいただいた上できちんと整理をして対応したいと思っております。しかし、これまで私どもは、もっぱら公立の精神病院等に自閉症児の施設を付設するという形で対応してきておりまするほかに、さらに心身障害の研究費の中で動く重症児、異常行動児といったような形で、これらの自閉症児の療育体制というものを治療研究という形で、さらに精神病院等を含めまして自閉症の療育体制というものを整えてきているわけであります。これらにつきましては、なお自閉症児そのものが学問的にきちんとした整理のつきかねる点がございますために、なかなか納得していただくということもむずかしい点もございますけれども、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 施設の問題もあるようですから、ひとつ積極的に対処するようにしてください。  それから、これは佐分利局長の所管になるのでしょうか、リハビリテーションの医療の需要というのが非常に増大をしてきているということです。さらに障害児の機能訓練ということ、私は何回かこの分科会でもこのことに触れたのですが、理学療法士とか作業療法士というものが非常に少ないのですね。これに対しても積極的に、民間に対してもあるいは国としてもこの養成というものに取り組んでおられるだろうと思うのですが、今度はその理学療法士とか作業療法士を養成する施設とか先生がまた少ない。これではいけないと思うのですよ。それで、何というのですか、総合的にやるということがあるのですね。職業訓練、機能訓練、それから施設ですね、そういうものを総合的にやるいろいろな方法というものが考えられなければいけないと私は思うのですが、どうなんですか。もっと積極的にやっていく、あるいは民間にも何かそういう、やっているのでしょうけれども、もっと積極的にそういう養成施設というものをつくらせるというようなことも可能だろうと思うのですが、それに対する助成措置なんというようなもの、そういったものを含めて、ひとつ現状あるいは将来の計画についてお聞かせください。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 まず、理学療法士、作業療法士の養成施設でございますけれども、理学療法士の方は十四校しかない、作業療法士の方は六校しかないということでございます。したがって、ここ数年のところは、厚生省が元気を出しまして国立病院、国立療養所付属の養成施設を新設してきたわけでございますが、新年度の予算案にございますように、新年度からは都道府県とかあるいは公的法人にも補助金を出して、養成所を増設してもらいたい、新設してもらいたいと考えております。  そこで、養成所をつくる場合に一番の問題となりますのが教員のマンパワーでございます。従来厚生省といたしましては、アメリカに派遣をいたしましたり、また国内で研修をいたしましたりという方法をとってきたわけでございますが、やはり基本になりますのは、現在ございます養成所が中心になりまして将来の教員を養成していくという必要があるのではないかと思っております。幸い文部省もやっと腰を上げてくれまして、新年度は金沢医科大学が医療技術短大で理学療法士、作業療法士の養成を始めてくれますし、また五十五年度は弘前大学が予定しているようでございます。そういったものが加わってくれば、当面卒業生の増だけでなく、将来の教職員の増加とかあるいは質的な向上にも役立っていくと考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 それでは、時間がわりに迫っていますから、まとめてお尋ねをしてそれぞれお答えいただきます。  大臣、歯列矯正診療というのが御承知のとおり保険の対象になってないのです。そこで、育成医療の中に含めたらどうだ。それは大変なんですよ、あの歯列矯正を自弁をしてさせるということは。だから、育成医療の中にこれが入ったらできるわけですね。だから、どうしてこの歯列矯正というのが特別の対策というのが講じられないんだろうという点、その問題点ですね。あるいは必要がないとおっしゃれば、そのことに対する考え方をお示しいただきたい。  それから、保育所の点ですが、これは局長さんがかわるわけでしょうが、今度事務職員を九十一名から配置することにした。ところが、コンピューターが取り入れられてありまして、名前を一々書く必要はない、ただ数字を入れさえすればよろしい。だから、大きいところも小さいところも作業量というものは変わらない。だから、事務職員は全部の施設に配置をするということでなければいけない。そうしたいのだろうけれども、これは財政的な関係もこれありということでしょうが、であれば、年次計画というようなことで何かお考えがあればお聞かせをいただきたい。通産行政なんかの中でも、中小企業対策として、記帳指導員なんというものは年次計画でもってこれを解消していくというようなこともあるわけでして、ましてやこの社会福祉の関係というようなものはより重要ですから、弱い人にいつまで待ったらこうなるのだというような希望を持たせるということでないといけないと思います。このことをお聞かせいただきたいという点。  それから、厚生大臣、被爆地域の是正の問題。大臣御就任の前に非常に熱心にこの問題の解決のために御努力になったという点は、被爆者が高く評価をしているところでございます。何しろ五百メーター以上のところで炸裂をした、みんなその影響は同じに受けている。佐分利局長は特にこれは御存じなのだけれども、南北十二キロまで、東西六キロまで、どうしても不平等ですよ。そしていま科学的根拠がなければどうだというようなことを言っても、それでは納得しないのじゃないでしょうか。それらの調査もしていらっしゃるようでございますから、その結論はいり出るのか。二月の末というようなことでございましたが、三月にかかるのか。そのことが第一回の調査のときと変わらないようなことであったからといって、どうにもならないというようなことであってはいけません。大臣は、大臣になる前にそういうことで問題解決に御努力になっておられた。そして大臣になられた。被爆者の大臣に対する期待は大きい。だから、この問題の解決にはひとつ毅然たる態度をもって対処していかれるということでないといけませんから、このことについて、それを念願しておる被爆者に本当に希望が持てるようなお答えを願いたい、こう思います。  以上、それぞれひとつお聞かせいただきたい。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 第一点の歯列矯正の問題でございます。  きれいな目鼻だちというのはだれも望んでいるわけでございますし、きれいな歯でありたいということもまた同じだと思うわけでございます。しかし、これは御案内のとおり、保険医療機関と保険医の療養担当規則がございまして、はっきりと歯列矯正については療養の給付の対象に行ってはならないという規則がございます。その理由は、一般的な歯列矯正というものはあくまでも審美的な要素が非常に強いわけでございまして、そこまで保険医療の中に取り入れることについては問題である、こういう認識で規則が決められているわけでございます。ただ、これは例外が若干ございまして、唇裂とか口蓋裂、そういう患者の歯列矯正という問題は別にございます。これにつきましては、実は中医協でも議論になっておりまして、段階的に措置をする、こういうことでございますので、一般の歯列矯正の問題については対象にいたしませんけれども、特に医療上必要なそういう問題については対象にするということで今後検討してまいりたいと思うわけでございます。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 保育所の事務職員の問題でございますが、五十三年度におきまして定員百二十一人以上のところにまず事務職員を配置いたしまして、五十四年度にこれをさらに九十一人以上の施設というふうに広げてみたわけであります。この点につきましては、事務職員をできるだけすべての保育所に配置するということはもちろん望ましいのかもしれませんが、私どもといたしまして、現実の施設の状態等から勘案しながら実情に即してまいりたいと思っております。  なお、先生からお話がございましたように、コンピューター化という問題は、いま保育所が約二万カ所ございますが、そのうちの七千五百カ所はいわゆる法人立でございます。つまり、公立でございますと市町村全体の中のコンピューター化という中に組み入れることもできましょうけれども、社会福祉法人が一法人一保育所という形で処理をされております段階で、このコンピューター化などというものをいきなりそこに持ち込むこともいささか問題の残るところでございます。私どもとしては、コンピューター化ということ自体よりも、むしろ保育所の保育記録その他措置費がさらに複雑化してくればなおさらのこと、こういった問題についての運営面の適正化を図るという意味からも、事務職員の拡大を今後とも続けていくということについては変わりはございませんので、ひとつお含みをいただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 この質問が出ないで済むかと思いましたら、最後に出てまいりました。  私自身、昨年、衆議院社会労働委員会の調査班の一行として参りました時点、これは国会において考えなければならぬ政治的決着を必要とする問題だということを申し上げたことも事実でありますし、またことに長崎の場合に、すでに被爆者手帳をお持ちの方々が拡大運動の中心でおられるという事実の重みは私はよく承知をいたしているつもりであります。ただ、これは中村さんよく御記憶をいただいておると思うのでありますけれども、私は昨年の暮れ、またことし、予算編成の過程において代表の方々にお目にかかりましたときにも、その問題は国会にゆだねたい、厚生省としては概算要求に組み込んでいるものをいま幾ら実際に予算化できるかが全力投球の目標だということも申し上げてまいりました。それと同時に、この原爆の問題についてだけは、被爆の悲惨な体験をされた長崎県と広島県、これはあくまでも共同歩調をとっていただきたい、原爆の問題に関して長崎県と広島県の間に食い違いが生じ、足並みがそろわないようでは困るということも私は申し上げております。  私はそういう意味で、いずれ衆議院の社会労働委員会において原爆二法の御審議を願います際に、そうした点についても十分私なりの考え方も申し上げ、また同時に、その日までに長崎県と広島県の間における現在の意見の食い違っておる部分が調整されておることを心から願っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 大臣のおっしゃること、わからないのじゃないのです。広島、長崎の共同歩調という問題、それにこしたことはありません。ありませんが、しかし私は広島のことは触れないのですよ。現在のあり方が妥当かどうかという点です。これはやはり大臣、あなたの判断の問題です。これは歩調の問題ではありません、やはり不公平ですから、それを公平にするということが正しい。  それから、科学的調査とおっしゃるけれども、爆心地、被爆の中心地にいま調査をしても残留放射能というのは出てこないのです。非常に遠いところにある。やはり三十四、五年という年月を経ているというこの実態をお考えになるならば、二キロ置きに土を取ってどういう調査をやった、これが科学的調査だということでは、これはだれが考えてみたって、そうですねと言って同感する者はないのじゃないでしょうか。私はその点は、厚生省の権威ある態度でなければいけない、そういうことをお答えいただきたいが、もう時間ですから……。  歯列矯正の問題ですけれども、これはひとつ、だめだ、こう言うのじゃなくて、これはやはり身体障害の一つですよ、私の目につく限り。私は中に入ってみた。それは歯がきれいになるにこしたことはない、局長、そう簡単に片づけてはいかぬよ。もっと温かく——それは怒りますよ、本当の身障者の人たちは。ああいう人たちは特にひどいのですよ。  それから、先ほどのコンピューターの問題も、コンピューターは全部入れるというのはむずかしい。小さいところであればあるほどコンピュータターは入れにくい。それだけの財力の問題もある。だから、要するに、小さいところほどそういう事務職員の配置が必要だということ、そこをお考えになって、それは否定なさらなかったのだから、これはひとつ精力的に全保育所に配置する、こういうことで取り組んでほしいということを申し上げておきます。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ですから私は、残留放射能調査のことを一言も触れておらぬはずであります。同時に私は、社会労働委員会の調査団の団長として伺ったときに、政治的に決着をつけるべきだということを申し上げたことも否定をいたしておりません。ただし、厚生大臣の立場からいくならば、長崎であれ、広島であれ、原爆の被爆という実態には変わりはありません。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 どうもいまの最後のはわかりかねたのだけれども、まあ、いいでしょう。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢主査代理 これにて中村重光君の質疑は終了いたしました。  次に、玉城栄一君。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城分科員 私は、全国的な医療事情の中でも極端に悪い地域の問題として、沖繩県の医療事情があります。医療施設それから医療従事者、全国平均あるいは類似県、県の規模から申しまして島根県、徳島県や高知、佐賀、宮崎と比べましても非常にまだ悪いわけであります。沖繩県が復帰いたしまして、そういう観点から、厚生省とされても非常に努力をされて、逐次改善をされつつあることはよく存じておるわけでありますけれども、まだまだ格差は著しいものがある、そういう状態はよく御案内のとおりであると思うわけであります。  これは局長で結構でありますけれども、そういうことで従来派遣医師制度を設けられて、そういうお医者さんが非常に少ないということ、それをカバーしておられ、大変地域医療に貢献をしておるわけであります。そういう観点から、全国レベルまで持ち上げていくためにはまだまだ努力をしていただかなくちゃならない、そういうことで、現状と今後の対策、それについてお伺いしたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 沖繩の医療水準は御指摘のように、非常に低い状態にございます。医師の数は人口対比で見ますと全国で一番少のうございますし、病院、病床の数も全国で見ますとおしまいから三番目に少ないわけでございます。したがって、厚生省といたしましては、復帰前からでございますけれども、医師の派遣とかあるいは公的病院、診療所の整備だとか、そういったものについて格段の援助をしてきたわけでございますが、今後もさらに引き続いてそのような援助を続けてまいりたいと考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城分科員 それで、現在厚生省がやっておられます派遣医師の制度でありますけれども、やはり沖繩県は特殊ないろいろな問題を抱えておる中で医師の数が少ない。したがって、これが全国レベルにいくまでもっと積極的にこの制度を推し進めていかれるお考えがあるかどうか、その点をお伺いいたします。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 沖繩県におきます医師数は、五十二年末現在の届け出数で七百三十人でございまして、復帰当時に比較いたしますと約一・八倍とかなりふえております。しかし、人口十万対比で見ると六十八・一人で、全国平均の百二十一・二人に比べてかなり少ない状況でございます。このような沖繩県の医師不足にかんがみまして、国としてはまず、昭和四十七年八月の医務局長及び沖繩県知事の了解によって、沖繩県知事の要請に基づいて医師を派遣するいわゆる派遣医制度によって毎年医師を派遣しており、五十二年度には百四十七人の医師を派遣したのでございます。また、国費医学生制度や自治医大への医学生の送り出し等によって医師の確保も図られております。  このような施策のほかに、沖繩県における医師不足問題を根本的に解決するために、五十四年度には琉球大学医学部の創設準備が進められ、五十六年四月には学生受け入れが行われることになっておりまして、厚生省としても琉球大学医学部の創設に大きな期待を寄せております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城分科員 琉球大学の医学部が五十六年度から学生の募集をされる、非常に私たちも期待をいたしておるわけであります。  そこで、これは時間もございませんので、まとめて施設の面それからベッド数の問題、それから御存じのとおり非常に離島、僻地が多いわけで、無医地区にしましても十六市町村、地区にして三十九カ所、まだそういう状態にあるわけです。したがって、そういう僻地診療所におきましても、市町村の非常に財政の困難な中で、運営で相当な赤字を抱えて四苦八苦をして、何とか地域医療にこたえなければならない、こういうことでがんばっておるわけでありますけれども、やはり施設の問題、それからベッドの問題あるいは地域、僻地医療の問題ですね。これをまとめてお伺いしたいのですが、御存じのとおり、県立中部病院というのがあるのです。ここで臨床研修生の募集のときには、定員十六名に対して五十名ぐらいも常時希望者が出るわけです。したがって、十六名採用され、あとの方は結局帰っていかれるということで、受け入れの基盤が非常に小さいわけですね。したがって、いろいろ公的な、特に国立の病院にしましても、一般関係はまだ少ないわけですね。ですから、そういう施設の問題、それからベッドの問題、地域医療、そして地域、僻地に対して医者をもっと積極的に派遣される、そういうことをやっていただかないと、なかなか本土水準まで引き上げていけない、このように思うわけであります。  したがって、いま申し上げました施設の問題、ベッドの数にしましても、先ほど局長のお答えにありましたとおりまだまだ少ない。それから、特殊な地理的な問題として離島、僻地の問題、あわせてお伺いしたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 医療機関の整備につきましては、公的医療施設につきまして従来から特に高率の補助による助成を行っておりまして、五十四年度においても、那覇市立病院を新設するための経費を計上するほか、県立八重山病院の整備拡充を行うなど、医療機関の整備を図ることとしており、今後とも地域住民の医療需要に対応できるよう整備の促進に努めてまいりたいと考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城分科員 それで、一点、文部省の方いらしていますか。——先ほど局長の御答弁の中で、琉球大学医学部の問題が出ました。したがって、それに伴いまして当然付属病院が新設をされる。既設のものもありますけれども、やはり新しい琉球大学医学部の発足に伴ってそういう病院ができるというふうに承っておるわけであります。したがいまして、そのことは私、知っておりますので、それができましたときに、既設の琉球大学附属病院があるわけですが、これをどう活用されるのか。先ほど申し上げましたとおり、非常に医療機関が少ないという状況から、既設の付属病院ももっと有効に活用されるという考え方が当然出てくると思うわけです。文部省の考えを、簡単でよろしゅうございますから、ちょっとお伺いいたします。

五十嵐耕一文部省大学局医学教育課長

○五十嵐説明員 ただいま先生のお尋ねがございました、まず大学の付属病院がどうなるかということでございますが、大学の付属病院は他の医科大学と同じように、六百床の病院をつくっていかなくてはいけないということでございます。そういたしますと、現在那覇のところにございます四百床の保健学部の付属病院をどうするかということでございますが、これにつきましては、県の当局ともいろいろ話し合いを進めまして、県の方といたしましては、県の医療施設の拡充整備に充てるため沖繩県が引き取りたいという意思表示をいただいております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城分科員 大臣御存じのとおり、沖繩の場合、どちらかと言いますと県立病院依存型なのですね。県の方で引き取りたいという希望があるということを文部省の方はおっしゃっておるわけですが、この点はやはり厚生省とされても、どういう形でこの既設の付属病院を活用した方がいいのか、これは当然医療行政の立場から御相談に乗っていただかなくちゃいけない問題だと思うわけであります。その点と、ただいま申し上げました医師不足とか施設とかベッドの問題とか地域、僻地の問題を含めて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私は、ちょくちょく沖繩県内にお邪魔いたしまして、本土の人間としてはその実情を比較的よく知っている方ではないかと思います。ことに先島方面に参りますと非常に大きな問題があることも存じておりますし、またそのほかにも実はいろいろな問題点を医療行政の上で抱えておることもよく承知をいたしております。  私どもとしては、いま宜野湾に移転したばかりの国立療養所沖繩病院、結核医療のほかに今回呼吸器の慢性疾患、また小児慢性疾患などの一般病床の整備をしておるわけでありますが、やはり今後においても国立病院が果たすべき機能は大きいと思います。ですから、それなりの機能を付与していく、より高度な医療に対応できるように努力していく、そういう努力を国の立場としても続けたいと思いますし、またいまお話がありましたように、現在の琉大保健学部の付属病院を県立病院に移行するとすれば、それについてまた県の方から御依頼があれば、私どもとして万全の協力を惜しむものではありません。とにかくできるだけ早い機会に全国水準まで到達するように県とともに努力をしてまいりたいと考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城分科員 そこで、沖繩の事情もよく御存じのとおりでありまして、また先日、沖繩戦戦没者墓園の追悼式にも大臣も御出席され、追悼のお言葉も述べておられるわけであります。この問題と関連をいたしまして、幸いに沖繩県の実情についてはよく御存じでありますのでお伺いしておきたいわけでありますが、沖繩戦の戦災補償の問題なんです。  これは長年関係者からもそういういろいろな要請もあるわけであります。当時の戦争中の悲惨な状況等につきましては私ここで申し上げませんが、大変いろいろな犠牲を受けられて、まだ補償の対象にならずに、いま経済的にもあるいは精神的にも非常に深刻な状況に置かれている方々がいらっしゃるわけです。したがいまして、こういう方々をどのように救済と申しますかなされようとされておるのか、その点をお伺いいたします。

河野義男厚生省援護局長

○河野(義)政府委員 いま先生のお話にありましたように、沖繩は戦場になったわけでございまして、非常に悲惨な状況に置かれたわけでございます。戦傷病者戦没者遺族等援護法におきましては、御承知のように、軍人軍属等国と使用関係にあった者、そういった方々に対して国が使用者の立場で援護の措置を行っておるわけでございます。沖繩につきましては、従来からそういった特殊事情を十分踏まえまして、一般民間の人であっても軍の要請によって戦闘に参加された方につきましては、援護法上の処遇を考えてまいったわけでございます。そういう援護法上の戦闘協力者、準軍属でございますが、この方々につきましては、従来からその実態を十分把握いたしまして援護法を適用してまいったわけでございまして、今後もそういう方針で援護法上の処遇はしていきたい、かように考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城分科員 そういうことで、援護法上準軍属という扱いでその法の対象にして救済をされておるということはよく存じておるわけであります。  そこで、これはよく御存じのとおり、戦闘協力者、非戦闘協力者は全く区別がつかぬわけですね。これはわが国で唯一に昭和十九年十月十日に戦地として指定されて、いわゆる激戦地、戦場ですから、もう年寄りであろうが子供であろうが、そういう区別なく戦場に巻き込まれたわけですね。だれが協力者であり、だれが協力者じゃないのかという区別は全くできない状況に置かれておったわけです。  たとえば慶良間島などにおきましては、ここはゼロ歳から——当時、集団自決していますからね。部落ごとに集団自決をしておるわけですから、そういうところでは、この援護法の対象の中で救済というようないろいろな考え方を広げながら、当時のそういう犠牲者を救済していこうということでやってこられておるわけですね。ですから、そういう面からしまして、私はいろいろな問題があると思います。たとえば、ある年齢までで区切って、こっちからこっちは援護法の対象になるのだ、こっちからこっちは援護法の対象にならないのだというような基準の設定なども、私は何かちょっとはっきりわからないわけですね。ですから、全部ということは——これは後ほど私、大臣に申し上げたいのですが、やはり基準というものをもっと弾力的に考えて、個々の状況によっては、それは援護法の対象にして救済できるものは救済していくのだ、いままでされておることはよく存じておりますが、そういう方向に検討されるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

河野義男厚生省援護局長

○河野(義)政府委員 戦闘参加者として準軍属として認定するに際しましては、個々のケースにつきまして実態に即して認定するわけでございますが、その際に、認定の公平と申しますか、これを期する上からも、一つの目安として年齢なども置くわけでございますけれども、あくまで個々のケースの実態に即して判断しておるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城分科員 そうしますと、今後もやはりそういう基準というものにとらわれなく、その当時の状況というものから判断して対象となり得るものはどんどん考えていく、このように受け取ってよろしゅうございますか。

河野義男厚生省援護局長

○河野(義)政府委員 先ほど申しましたように、沖繩が戦場になりまして非常に悲惨な状態に置かれて、軍の要請によりましていろいろ戦闘協力をいただいたわけでございますが、現在までできるだけそういう実態に即して戦闘協力者として準軍属として処遇してまいっておるわけでございまして、これから新たに拡大するとかそういうようなことは考えておりません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城分科員 これは昭和三十七年にそういう被災者に対して見舞い金も支給しておられますね。それと、先ほど申しました慶良間島は最初に米軍が上陸した島ですから、そういう中で集団自決というような悲惨な状況もあったわけですね、そういう地域においては、やはり全島が戦場となったわけですからね。その地域はゼロ歳と申しますか一歳から適用されていながら、戦闘地域でありながら、たとえば母親におんぶされていた三歳とか四歳の子供が銃弾を受けて、母親は即死する、その弾が子供になにして、いまでも片足がないとか頭があれで、現在四十歳前後になりますけれども、非常に苦しい状況に置かれているわけですね。それを、たとえば七歳だとかそういうところで線引きをしまして、当時七歳であったから戦闘協力者である、七歳でなかったから戦闘協力者でない、したがって援護法の準扱いはちょっと無理だという、そこが私にはちょっと理解できないわけです。これは一応の目安だということはよくわかっているわけですが、たとえばそういう三歳であろうが四歳であろうが同じ状況であったということを考えた場合に、その考え方、その趣旨を生かすとするならば、当然そういう方々も救済できるのではないか、私はこのように考えておるわけです。ですから、その点御検討されるかどうか、その点をお伺いしているわけです。

河野義男厚生省援護局長

○河野(義)政府委員 戦闘参加者を準軍属として認定するに際しましては、個々のケースにつきまして、軍の要請によりまして戦闘に協力された事実があったかどうかということに基づいて認定するわけでございます。その際に、非常に悲惨な戦場になって、民間の方々が老若各層にわたりまして戦闘参加者として協力をいただいた事実は十分踏まえてやっておるわけでございます。これまでも、個々のケースについてはそういったことから認定しておるわけでございまして、年齢でどうかということで、新たに認定の基本的な考え方を変更するということはいま考えておりません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城分科員 その辺が何かまだはっきりしないのですけれども、かたくなに、そういう基準であったからどうのこうのというおっしゃり方をされるとこの問題は一向に解決しないわけです。  そこで、これは大臣のお考えで、先日も沖繩にいらっしゃって、追悼式にも御出席になられて、当時の悲惨な状況についてはいろいろとしのばれたことと思うわけです。そういうことで、まだ少し時間がありますので私はこの機会にちょっと伺いたいと思います。  軍の要請ということをおっしゃいましたが、民間人であると、ごうの問題で軍の要請ということのけじめなんというのはっかないわけですが、これは大臣もよく御存じのとおり、昭和二十年六月六日、当時の海軍の方面根拠地隊司令官であった太田中将が——自決されたのが六月十三日で、その一週間ほど前の六月六日、当時の海軍次官に打電した電文があるわけです。ちょっと読み上げてみます。「沖繩県民の実情に関しては、県知事より報告せらるべきも、県にはすでに通信力なく、第三二軍司令部又通信の余力なしと認められるに付、」「現状を看過するに忍びず、之に代って緊急御通知申上ぐ」ということで、海軍次官に当時の状況を打電しているわけです。  この状況も、申し上げますと大変長くなりますが、いかに老若男女を問わず戦場の渦の中で——たとえばごうの中に入っていた。兵隊が入ってくる。出される。また、水運びだとか、食糧運びだとか、あるいは母親が子供をおぶっての弾運びだとか、そういうことが無数に行われたわけですね。ですから、そういう状況からして、当時のこの太田司令官は、最後に「沖繩県民斯く戦えり、県民に対し、後世特別の御高配を賜らんことを」と電文は結ばれているわけです。  そこをしゃくし定規に、いままでそういうことでずっと下げてきて拡大してきたとおっしゃいますけれども、現実に当時三歳、四歳であって、母親の背中で銃弾を受けて、母親は即死するし、片足は吹っ飛んだ。そういう方々がまだ苦しい状況で四十歳前後でいるわけですから、そういう方々が三歳だったから、あるいは四歳だったからだめだ、あるいはもう少し上だったからこれは適用されるんだという、その考え方をもう少し柔軟に考えることができないかどうか。そのところをひとつ大臣からお答えいただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 その有名な電文は、私もその昔、読みました。  いま、これは援護局長の立場としてお答えのできる部分とできない部分があることはまず御理解いただきたいと思います。七歳云々の話は、これは一つの基準でありますが、それがなぜそういうところまで下がってきたかの経過をお考えいただけば、私どもの気持ちも御理解がいただけるだろうと思います。  いまお話がありましたように、あるいは弾を運んだ、あるいは水をくんだ、あるいは食糧を提供した、住居を提供した。いまのように、ごうを提供された場合もあるでありましょう。そうしたことによって相当広範囲に、いままでも援護法の中で努力のできる範囲をしてまいりました。そして、基準ということで議論をいたしますと、いま局長が申し上げたような答弁にならざるを得ないと私も思います。  ですから、むしろこの後に残ります問題は、いま援護法の適用から外れている、援護法の適用を受けていない個々の方々についてその状況をどう認定するかの問題であろうと私は理解をいたします。これは一つのルールはありますけれども、従来から沖繩戦の特殊な事情というものにかんがみて、援護審査会においても、異常に好意的にという言い方が当たるかどうかわかりませんが、その状況というものを踏まえて認定をいたしてきておることでありまして、今後残ります問題は、個々のケースとして処理をさせていただくということになろうかと思います。その中において、私どもが沖繩戦の実態というものを踏まえないということでは決してありません。その点だけを申し上げておきたいと思います。  ですから、総括した一つの論議をいたしますと、事務当局としての一定の限界というものはあるわけでありますが、個別ケースの認定についてなお努力する余地はあろうかと私は思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城分科員 いま大臣がお答えをされまして、大臣の政治家という立場から当時の状況を、先ほどの電文にもございますとおりに、やはり特殊な状況ということを御理解していただいていらっしゃるわけでありますから、ぜひそういうことで関係者が一日も早くそういう要望が着々と満たされていくことを強く要請をいたしまして、私の質問を終わります。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢主査代理 これにて玉城栄一君の質疑は終了しました。  次に、高沢寅男君。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 私は、国民年金の、今回行われることになりました特例納付の措置についてお尋ねをいたしたいと思います。  もともと昭和三十六年からこの国民年金の制度が実施されるということになりまして、このときに国民皆年金というふうな言葉も叫ばれたわけでありまして、この皆年金という趣旨からするならば、この年金制度から外れている、落ちこぼれているというような人が当然あってはならぬ、こういう趣旨であろうと思いますが、また政府の方でも、そういう御趣旨から、いままでにも落ちこぼれた人たちを救い上げるという特例納付の措置をとってこられたわけです。  過去においてとられた特例納付の措置のその経過、あるいはまたその中でどのくらいの人たちを拾い上げることができたのかというような政策の実績、こういう面をまずお尋ねをいたしたいと思います。

持永和見社会保険庁年金保険部長

○持永政府委員 国民年金の特例納付につきましては、お話しのように、これまで二回やっております。第一回は四十五年の七月から四十七年の六月までの間でございます。第二回が四十九年の一月から五十年の十二月までと二回やっておりまして、納付した件数で申し上げますと、第一回の特例納付が二百二十万件の納付件数がございます。第二回の特例納付が二百八十二万件の特例納付がございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 お聞きいたしましたその件数で言いますと、この特例納付というのは、いわば拾い上げるという意味においてはかなり政策の効果があったと考えていいかと思いますが、政府の方ではその点はどういうふうな評価をされておりますか。

木暮保成厚生省年金局長

○木暮政府委員 過去二回の特例納付によりまして、いま部長から御報告申し上げましたように、かなり実績が上がったと思っております。  ただ、ただいまの国民皆年金制度が、実は社会保険という方式でやっておるわけでございます。保険料を納めていただくということに対しまして年金を出すという形になっておりますので、いろいろな事情から保険料を納めることができない、あるいは保険料を納めることを怠るというふうな場合が出てくる可能性があるわけでございまして、二回の特例納付で非常に実績は上がったと思いますけれども、残念ながら、年金に結びつかない人がその後もまだ残っておるということも認めざるを得ない状況でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 いま局長の言われたような事情を考慮して、今回の第三回目の特例納付の措置がとられることになったと思うわけでありますが、そうすると、現在、厚生省の方で計算されて、なお落ちこぼれになっている年金制度に入っていない人たちの数はどのくらいあると推定をされているのか。それがわかりましたら、ひとつ教えてもらいたいと思います。

持永和見社会保険庁年金保険部長

○持永政府委員 特例納付の対象は、国民年金ということで特例納付をやっておるわけでございますが、実はわが国の年金制度はいろいろ多種多様ございまして、厚生年金あるいは各種共済組合もございます。したがいまして、国民年金の形で保険料を納めていない、あるいは未加入になっているというような人でも、中にはほかの共済組合に入っているとか、あるいは厚生年金に入っているとかいうこともございますので、国民年金サイドは、どちらかといいますと市町村を中心にいたしまして住民という形でとらえておりますけれども、そういう形でとらえるのはなかなかむずかしゅうございます。したがって、正確な数としての把握はなかなかむずかしゅうございますが、私どもの推定いたしますところによりますと、恐らくおおよそ百万人ぐらい年金権に結びつかない人たちが現在いるのではないか、こういうことでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 そういたしますと、これは推定の数字ですから、もちろん推定ということですけれども、今回の特例納付の措置をまた二年やられますね。その二年やってみた実績でほぼこの百万人ぐらいの数が拾い上げられてくるということになれば、これは政策目的を一応達したというふうに考えていいと思います。  しかし、やってみたところが、今度の第三回の措置で拾い上げることのできたのがたとえば五十万というような数であったとすると、なお五十万のそういう救い上げにひっかからなかった人たちがある、無年金者があるというような想定もできるわけでありまして、そういう場合に、今度の二年間のこの措置をもう一年延ばすとかいうようなこともあるいは必要になるのではないかと思いますが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。

持永和見社会保険庁年金保険部長

○持永政府委員 今回が第三回目の特例納付ということで、私どもといたしましては、あらゆる手段を講じましてこの勧奨を現在行っているところでございます。  それで、昨年の七月から特例納付が始まりまして、新聞だとかラジオだとか、あるいは政府の広報関係、あるいは市町村は市町村の立場でそれぞれの広報関係、そういったあらゆる広報媒体を通じまして一般的な勧奨も行っております。また、具体的に、いままで加入しておいて保険料を納めていない、そういうことのために無年金になるんじゃないかというおそれのある人は、現に社会保険事務所で把握できますので、そういう人には個別に納付勧奨を行っております。また、まだ加入していないいわゆる未適用者、こういう人たちにつきましては、市町村サイドで、住民の中で国民年金に入っていない、どうも無年金になりそうだという人については個別に加入勧奨をやっておりまして、あらゆる媒体を通じて一生懸命勧奨をやっておる段階でございます。  それで、現在までのところ、七月から始まりまして大体半年経過しておりますけれども、半年の間の納付件数を調べてみますと三十一万件ございました。第二回目の納付件数が、始まりまして大体半年の間に二十三万件という実績でございまして、実績は今回はかなり上回っております。  市町村も一生懸命やっております。また、私どもの方もできる限りの努力をいたしておるところでございますけれども、今後ともこういう努力を続けていくことによりまして、決められました五十五年の六月までという期間がございますので、その間にいわゆる無年金者をなくしたいということでできる限りの努力を精いっぱい続けている、こういう段階でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 これは一つの仮定の話になるわけですが、こうやって年金の制度に加入して保険料を納めて、そして所定の年齢に達して今度は年金をもらうというように、全体として皆年金でそうなっていくという場合には、現在の無拠出の老齢福祉年金は次第になくなっていく。こういう相関関係になるわけですが、仮にいま年金に入るべき人が、数はわかりませんが、とにかくなお落ちこぼれがあって、そしていよいよ年金をもらうべき年齢になる。しかし、加入はしていなかった。一方、無拠出の老齢福祉年金の方は、制度としてはもうなくなっているというような状態で、未加入者で年金を受ける年齢になった人は、この場合にはどうなんですか。それはいわばやむを得ないということになるのでしょうか。

木暮保成厚生省年金局長

○木暮政府委員 昭和三十六年に国民皆年金体制をとりますときにいろいろの方策が議論をされたわけでございます。それで、年金をもらえなくなる人が絶対起こらないというやり方も実はあるわけでございまして、それは税金を用いまして、日本の国内に一定期間住んでおるということだけを条件にするという方法も当然考えられたわけでございます。これはそういうやり方をしております国も世界にはございますし、また最近制度審議会等で言われております基本年金というのはそういう考え方に立っておるわけでございます。そういうやり方をいたしますと、日本の国内に一定の期間いて六十五歳になれば出すということになりますので、これは年金に結びつかない人は起こらないということなんでございます。  それで、三十六年の時点でいろいろ議論をした中にはそういう方法もあったわけでございますが、いろいろ長所、短所を検討した結果、社会保険方式をとるということになったわけでございます。国民年金は、それまでに厚生年金やあるいは共済組合の網をかぶっていない残りの国民の方に対しまして、保険料を納めていただくということを条件として年金を出すということにいたしたわけでございますので、社会保険方式の限界と申しますか、いろいろな事情で保険料を納めていただかなかった場合には、年金が出せないということはどうしても起こってくる。これはいろいろ努力をして消していかなければなりませんけれども、多少ともそういう方が出てくることはやむを得ないというふうに考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 いまの点は、それこそ先ほど大臣が言われた、局長のできる答弁とまた大臣のできる答弁は違うということを前提にして、保険制度となれば確かにそういう者が出ることは私は否定できないと思いますけれども、しかし今度はその立場になった人のことを考えてみれば、これは大変つらいことだろうと思うのです。そういう者に対して何か救済する方法が考えられないものなのかどうかということについて、これはひとつ大臣のお考えをお聞きしたいと思うのです。

木暮保成厚生省年金局長

○木暮政府委員 ちょっと前置きのお答えをさせていただきたいと思います。  社会保険方式をとります場合にも、たとえば厚生年金も社会保険方式でございますが、これは保険料を納める義務と申しますか、仕事を事業主にお願いしております。そこで、被保険者の方の従業員の方でございますが、いわゆる給料から天引きをされるわけでございまして、社会保険方式をとりましても、保険料を納め損なう、年金に結びつかないという可能性がほとんどないわけでございます。  それに対しまして国民年金の場合には、個々の被保険者の方が実態としては自主的に納めていただくということになるわけでございます。法律上は、ほかの年金制度に入りません場合には、国民年金に強制加入ということになっておりますし、保険料を滞納された場合には役所の方に強制徴収権があるということにはなっておりますけれども、何分二千七百万人の被保険者の方々でございますので、一人一人につきまして滞納処分をしていくということはできませんで、どうしても制度の実態としましては、被保険者の方々の自主的な納付に待つということになるわけでございます。  それで、厚生年金や共済組合に比較しまして、保険料を納めないで年金に結びつかない可能性が大きいわけなんでございますが、逆にその点私どもは非常に神経質になっておりまして、万一保険料を納めない場合には何かの救済措置があるということになりますと、こつこつ保険料を納めていくということに支障が出てくるんではないだろうかということを私どもは考えておるわけでございます。  過去二回特例納付をやりましたときにも、後で追納ができるということでございますと、こつこつ納めなくてもかなり年金がもらえる年齢が近づいてから納めればいいんだということになりますと、保険料の納め方ということにどうしても支障が出てくる。年金はむずかしい理屈もございますけれども、現役の方がお金を出して高齢者の方の年金を出すというのが本質でございますので、若い方々、現役の方々が保険料を納めなくても六十五歳近くになれば何か手があるということになりますと、年金制度に非常に支障が出るわけでございます。  そういう意味で、第一回の特例納付のときにも、これはもう社会保険方式をとる以上、非常に矛盾したやり方ということで大分ちゅうちょしたのですが、やった。第二回も今回限りということでやったわけでございます。実は三回目の実施をしておるわけでございますが、国会でいろいろ御議論いただきまして、私どもはやりたくないということを国会でも何回も申し上げたわけでございます。一回、二回、三回となりますと、どうしても一定の期間を置いて追加払いが認められるという印象が出てくる。そうなりますと、先ほど申し上げましたような年金の性格あるいは国民年金の特質から言いまして、年金制度の運営に非常に大きな支障が出てくるのではないか。非常に神経質になっておるというふうに御批判をいただくかもしれませんけれども、そういう点で今回を特例納付の最後にすると同時に、余りいろいろな条件をやわらかくするのもいかがなものか、いま申されましたような、万一保険料をいろいろな事情で納められなかった人に特例措置をとるということもいかがか、こういうふうに考えておるわけでございます。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 大体私が言いたいことをみんなこの人が先にしゃべりました。  ただ、私は、実は今度の特例納付については、従来にない違った条件が一つあると思っておりますし、同時にその条件を踏まえて、特例納付はこれが最後であるべきだと考えておりまして、むしろいま全力を挙げて、いままで御加入いただかなかった方々にこれに応じていただきたいという努力をしているわけであります。  と申しますのは、高沢さんもよく御承知のように、年金制度全体の見直しの論議の中で私どもはいま日本の年金制度全体の洗い直しをし、その中で年金懇において基本的な見直し作業をやっていただき、近いうちにそれについてのお答えをいただこうとしておるわけでございます。この答申をいただきました段階で、私どもは現在の年金のあり方に根本的なメスを入れなければなりません。その中において、いわゆる十年年金、五年年金を含め、福祉年金をも含めて、いわゆる福祉的年金とでもいいましょうか、経過的年金といいましょうか、経過的年金のグループそのものがまさに今度の年金を全部見直す場合の最大の問題点になるわけでございます。  どういう形であるにせよ、この部分には変更が——決して悪く加えるというのではありませんが、しかし変更が加えられる状態になっている。その後においてなおかつ今度はその新しい制度になりました場合において、いま高沢さんが心配されておられるようなケースが生じてくる。これでまた特例納付をつくるというわけには、これはとうていいきません。  いま局長は実務の上から非常に心配をした御答弁を申し上げましたけれども、年金制度そのものが見直されていこうとしている状態の中で、特例納付というものは今回が最後のチャンスだ、それだけにむしろ一人の落ちこぼれもないように積極的に努力をしてもらいたい、そして御加入をいただきたい、そのように私は考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 実は、いま年金制度の基本に触れるお答えをいただいたわけですが、きょうこの分科会で、この問題でやるあれにもならぬと思いますので、これは今後の問題としてまたひとつお互いに研究してまいりたいと思います。  実はきょう本来一番やりたかった質問は、この特例納付の中におけるいわゆる低所得者対策のことでお尋ねしたくてこの質問をお願いしたわけですが、実は私の近くに住んでいるある一人の老婦人から、今度この特例納付のこれを納めたい、区役所の窓口に行って相談したいということの中で、月四千円という保険料で納めなさいということになっておる。それで、自分の過去十年間というふうなものを計算してみると、その人にしてみれば大変大きな金額になって、これはまた大変だということで、何とか——この人は実は過去において生活保護を長い間受けていて、最近ようやくその生活保護から脱却するというようになった立場の人ですが、自分のような立場の低所得の者には、この特例納付の掛金についても、何かそういう軽減措置をやってもらえないのかという相談を受けたわけなんです。これはこの人の立場での御相談であったわけですが、恐らくケースとしては同じようなケースの者も大ぜいあると思います。したがいまして、この軽減措置ということについてできるものかどうか、こういう点についてお尋ねをしたいと思います。  一例としまして、たとえばその人が満六十歳になった年は、この婦人の場合にはそれが昭和四十九年だというんですが、四十九年の段階の国民年金の保険料というものを見ると月額九百円ということで、そういう自分が六十歳になったときの金額でさかのぼって納付するというふうなことをさせてもらえば大変ありがたいということなんですが、これができるかどうか、ひとつ御説明願いたいと思います。

木暮保成厚生省年金局長

○木暮政府委員 今度の特例納付に当たりまして、一カ月四千円ということで追納していただくことになったわけでございますが、この四千円を決めますときに非常に大きな議論がございまして、その当時の言葉でペナルティーと言っておりましたけれども、ペナルティー保険料を取るべきだということはむしろ年金の専門家の間には多かったわけでございます。特例納付も三回目になりますと、先ほど申し上げましたような、これは恒常的に繰り返されるのではないかという印象が出てまいりまして、国民年金の運営に非常に大きな支障が出てくるということでございまして、どうしても三回目をやるということであるならば、従来の二回はそのときの保険料と同額でやったわけなんでございます。  第一回で申し上げますと、当時一般の方が納める保険料は四百五十円でございまして、特例納付も四百五十円。それから第二回は、一般の保険料が九百円で特例納付は九百円ということでございましたけれども、今回はもう三回目であって、しかも三十六年以来の保険料が追納できるということでございますので、今度は罰則的な保険料を取るべきであるという意見も非常に強かったのでございます。  これは私保険ではございませんで、余り保険的なことを言うのもどうかと思いますけれども、いま納める保険料というのは危険負担が非常に少ないわけでございます。三十六年あるいは若いときに納める保険料は、自分が年金をもらえる六十五歳まで生きられないという可能性もあって、そういう危険負担を含んだ保険料でございますけれども、今度の特例納付の場合には、年金をもらえる時期が近づいておりますので、そういう意味からいっても、罰則という意味からじゃなくても、高い保険料を取ってもしかるべきではないかという意見もございました。国民年金審議会というのがございまして、そこでいろいろ御議論をいただいた末に、三回目が最後であるということならば、ペナルティーを取るとかあるいはリスクが少ないから割り増しを取るべきだということは捨てて、やはり前二回と同じように、その当時の保険料を取るということでもう一回やるのもやむを得ないのじゃないかという意見にまとまったわけでございます。  そういう観点からいたしまして、今度の四千円は確かにきつい場合もあろうかと思いますけれども、現在納める保険料と同額だけはどうしても取らしていただかないと、低所得の方でこつこつ納めた方もあるわけでございますので、前二回と同様、現在の保険料でやらせていただきたい、こういうことでございます。これは、率直に申し上げまして、去年の社会労働委員会でも大きな議論になったわけでございますが、そのあげく、それでは前二回と同じように現時点の保険料で納めることもやむを得ないという御承認をいただいたというようなことでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 それはそれでお考えとして私も決してわからぬわけではありません。しかし、現実にいま私が御紹介したようなそういうケースの人もあるということであれば、それもまた一つの考慮の対象に入れていいのではないか、こう思うわけです。第一回で約二百二十万、第二回のときに二百八十二万の特例納付をされた方があるということから見るならば、これは意図的にサボっていたというよりも、やはり知らずにいた、あるいはいろいろな家庭の事情でいままで掛けるチャンスがなかったのが、今度はそういうことでこの際一生懸命納めましょうというケースが大多数である、こう考えていいと思うのですが、そういう善意の立場であって、しかし現在の自分の生活の状態から重いということを何とかしてほしい、こういう訴えであったわけです。昨年の国会で審議されたときの衆議院の社会労働委員会で、無年金者の救済に当たっては「福祉的観点から低所得者に対する方策を別途検討すること。」こういう附帯決議もなされているという次第でありますが、そうすると、この附帯決議の趣旨の特例納付に当たっての低所得者に対する別途の措置というものはどういう措置をとることが妥当だ、とるべきだとお考えか、それをお尋ねしたいと思います。

持永和見社会保険庁年金保険部長

○持永政府委員 特例納付の保険料が四千円ということで、先生御指摘のように、特に低所得者の方々がかなりまとめて納める場合の問題について、国会の附帯決議もございましたように、いろいろ国会でも御議論がございまして、そういった経緯を踏まえまして、政府といたしましては五十四年度予算において、こういった低所得の方々の保険料について世帯更生資金の貸付制度といったものを活用するような措置、実はこれは大臣折衝でがんばっていただいたわけでございますけれども、そういう措置をとることにいたしております。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 その世帯更生資金の問題は後でお尋ねしたいと思いますが、その前にもう一つお聞きしたいことは、この特例納付の制度とは一応別でありますが、つまり過去において生活保護などを受けていて、その間保険料の納入を免除されていた、この婦人の場合そうなんですが、そしていま今度は生活保護を受けなくていいように脱却した、こういう段階になって、自分が過去において生活保護を受けていて免除されていたそのころの保険料を納めたい、こういう希望であるわけです。これが現在の制度では、いまから十年前までさかのぼることができるということですが、この婦人の場合には、生活保護を受けた期間は十年よりもっと前までもあるわけです。その間全部を納めさせてもらいたい、こういう希望があるのですが、この十年という枠は少し弾力的に考えることができないのかどうか、お尋ねしたいと思います。

木暮保成厚生省年金局長

○木暮政府委員 国民年金は、先ほど申し上げましたように、厚生年金や共済組合へ入っていない方を対象とするということでございますので、いろいろな立場の方があるわけでございます。低所得者の方ももちろん少なくないという見通しで発足をしておるわけでございますが、そういう方々をどうしようかということで、いまお話のございましたような生活保護を受けられた方は免除をする、免除をしっ放しではございませんで、その期間に対応します給付も、国庫負担は三分の一つくわけでございますが、国庫負担分は出しますという形になっておるわけでございます。  さらに、出世払いと申しますか、生活保護から更生をいたしました場合には前の保険料で追納ができるということになっておるのでございますが、年金制度の成熟に伴いまして保険料がどんどん上がっていくわけでございますから、前の保険料でもいいということは非常に恩典になるわけでございます。  そこで、十年さかのぼるというのは、一般の被保険者の方々とのバランスからいって限度ではないかと考えておるわけでございまして、やはりこの十年で今後もやらしていただきたい、こういうふうに思っております。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 もう時間がありませんので、最後に、先ほど言われた福祉対策的なものとしての世帯更生資金の貸し付け、これについては今回の第三回目の特例納付の中ではどういうふうな貸し付けのやり方を考えておられるか、お聞きしたいと思います。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 世帯更生資金の中には生業資金、修学資金、災害資金等々各種の資金があるわけでございますが、その中に福祉資金というのがございます。結婚その他の一時的な費用に貸すのが一つの例でございますが、この特例納付に関する貸し付けばこの福祉資金を考えておるわけでございます。現在の五十三年度の福祉資金の貸付条件は、限度額十二万円、据え置き期間六カ月、利率三%という状況になっておるわけでございます。  例年、世帯更生資金の各種資金の条件につきましては、予算が成立いたしまして、それまでの物価の状況等を見ながら毎年春に改定をいたすわけでございます。そういうことでございますので、五十四年度の福祉資金の基準改定を各種資金と一緒に考えるわけでございますが、その中におきまして、昨年の社会労働委員会で附帯決議がなされました経過、あるいは特例納付が実行されてすでに半年たっておりますのでその間の実績、そういったものを見ながら検討して決めるということで、これから決まっていくということでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 もう私に割り当てられた時間が終わりましたが、これから検討される、いまこれだけという具体的なお答えがまだできないということであれば、そのこれから決められる中で、できるだけそういう福祉対策の趣旨が生かされる内容でひとつ決めていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢主査代理 これにて高沢寅男君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬野栄次郎君。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 大規模年金保養基地の問題についてまず最初にお伺いをいたします。  大規模年金保養基地は、厚生年金保険、船員保険及び国民年金の受給権者が生きがいのある有意義な老後生活を送るための場を提供するとともに、これらの制度の被保険者等の健全かつ有効な余暇利用に資することを目的として昭和四十七年に厚生省がその基本構想を打ち出したものであるが、その後、昭和四十八年と五十年と二回に分けて全国で十一カ所の基地指定を行い、それぞれの基地推進をされているところでありますが、この十一の基地の中で現在工事に着手したところは、昭和四十八年度先発組の兵庫県の三木基地及び北海道の大沼基地の二基地のみで、あとは基本計画の段階が六基地、実施設計一基地で、いまだに南東北、北九州の二基地については基本計画の段階にさえ進んでいない状況にあります。  以上のような進捗のおくれの原因はどこにあるのか、まずその点からお答えをいただきたい。

木暮保成厚生省年金局長

○木暮政府委員 大規模年金保養基地でございますが、厚生省でこの計画を立てまして発表いたしましたところ、各地から非常に多くの希望があったわけでございます。その中で条件に合うものにつきまして、ただいま先生からお話のございましたように十一カ所の指定をいたしたわけでございます。三木が一番早うございまして四十九年二月十二日でございます。一番最後は南東北、それから北九州、指宿、この三つの指定が五十一年三月二十四日でございます。この指定を受けましたあと、また地元の大変な御努力をいただきまして用地買収に取りかかったわけでございますが、用地買収が一番先に終わりましたのは北海道の大沼でございまして、これが四十九年三月でございます。一番遅く用地買収が終わりましたのは北九州のうちの熊本県の五十二年三月三十日、これは農地転用の関係がございましておくれたわけでございますが、こんなふうに指定、用地取得が進んでまいったわけでございます。  その次の段階は基本計画、基本設計、実施設計、こういうことになるわけでございますが、それぞれ非常に大型のプロジェクトでございますので、かなりの時間があるわけでございます。指定、用地買収の済みましたところから実施しまして、現在の状況では昭和五十二年度に三木の着工ができ、さらに五十三年度では大沼の着工ができたわけでございますが、いま申し上げましたような非常に大型のプロジェクトでございますので、かなり時間がかかっておるということは事実でございます。  また一方、この基地の土地買収あるいは設備の建設、いずれも年金資金を使っておるわけでございます。被保険者から拠出されました貴重な年金原資でございますので、せっかくつくりましたけれども利用度の低いものになるというようなことでは大変申しわけないわけでございまして、そういう意味でも私ども慎重の上にも慎重を期さなければいけない、こう思っておるわけでございまして、そういうことがまたおくれの一つの原因になっておろうかと思います。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 昭和五十一年三月二十四日に、いまもお話がありましたように、福岡県八女郡黒木町とともに北九州基地として指定を見ました熊本県阿蘇郡久木野村における保養基地については、その後、五十二年三月三十日に年金福祉事業団による用地取得が完了し、基地周辺の環境整備については県、村が一体となって万全を期することとしております。基地への進入取りつけ道路の位置の整備とか関連道路、県道、村道等があるわけですが、これらの拡幅改良あるいは基地への給水のための水資源確保の調査等を実施中でございます。また、関係地域住民においても農業生活の基盤であった農地の入会権を放棄したいきさつもあり、新しい福祉対策の拠点としての基地の早期完成を熱望いたしておるところでございます。  基地指定以来三年を経過しようとしておりますが、今日ですらいまだに基本計画も策定されていないけれども、この基地について今後の見通しはどうなっているか、さらにお尋ねをしたいのであります。

木暮保成厚生省年金局長

○木暮政府委員 各地の基地で地元に大変御協力をいただいておるわけでございますが、北九州の熊本につきましても、ただいま先生のお話のようなことをしていただいておるわけでございます。  熊本の場合には、不幸にして農地転用の手続等がございまして、土地買収が五十二年三月になったわけでございます。それにしましても二年を経過しておるわけでございます。ただ、現在、基本計画をこしらえます前提になります飛行機によります空中撮影で地形調査をする、あるいは自然条件調査と申しておりますが、今後の計画を立てる上に気候、風土、植生、生息物等の調査をやっております。それで少しおくれましたけれども、現在そういう基礎的な調査活動をしておるところでございます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 厚生大臣に伺いますが、ただいま年金局長から答弁がございましたような状況ですが、基地建設予定地の南阿蘇は、阿蘇外輪山に囲まれた、阿蘇五岳を一望におさめる静かな大自然の中に広大な草原と森林、清流の小川は多種多様の植物や鳥類をはぐくみ、温泉、史跡、さらには全国的にも貴重な北向山の原生林など、四季折々の景観と風物は絶佳でありまして、多くの人々を引きつけており、保養基地としてはかっこうの地であると考えるわけであります。地元としても一日も早い建設を望むのは当然のことでございまして、現地久木野村といたしましても地域振興計画の目玉に据えておりまして、その完成を待っているわけでございます。現在のように、計画の目標年次をどこに置いていいのかも判断のつかない状況下では、村としてもいかんともしがたいということで頭を悩ましておるのが実情です。一日も早い基本計画及び実施計画の策定をやっていただき、速やかに建設に着手していただきたいと格別に強く望むのでありますが、厚生大臣からぜひ御努力いただきたい、かように思いますので、御答弁を求めるものであります。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 いま年金局長からお答えを申し上げておりました基礎的な調査が、大体この秋には終わるだろうという報告を受けております。これが終わり次第、私どもとしても基本計画の策定に入りたいと思っております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 ぜひともそのようにお進めいただきたいということを再度要望いたしまして、次の問題に入らせていただきます。  救命救急センター設置問題についてお伺いしたいと思います。  救急医療については、交通事故に対しては救急告示病院、救急医療センターの設置、急病患者の急増に対しては休日夜間急患センターの設置等で一応初期救急医療体制が整備されてきたところでありますが、これらの施設は応急処置だけに限るところが多く、脳卒中、心筋梗塞、頭部外傷等生命に危険のある重症患者に直ちに対応できず、いわゆる専門医の不在や設備不十分などの理由でたらい回しされる事例が後を絶たず、大きな社会問題となっていることは御承知のとおりであります。これらの問題の対応策として、五十一年度より厚生省は救命救急センターの設置を決め、五十一年度にモデル的に四カ所、五十二年度には全国で十三カ所の合計十七カ所がすでに発足しております。そのうち国立病院が三カ所あるように承っておりますが、この救命救急センターは、初期救急医療施設及び第二次救急医療施設からの転送患者を受け入れる、すなわち後方病院であり、脳卒中、心筋梗塞、頭部外傷等の重篤な救急患者を受け入れるための高度の診療機能を有し、二十四時間診療体制を確保する病院であって、一日も早く各県にその設置が望まれるところでありますが、今年度、五十三年度における救命救急センターの設置数及び来年度の同センターの設置予定数はどうなっているか、お伺いをしたい。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 五十三年度は十五カ所予定しておりましたけれども、残念ながら十三カ所しか整備できない模様でございます。また、明年度は全体で十八カ所予算案の中に計上いたしておりますが、そのうち国立病院は三カ所でございます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 その国立病院はどことどこでございましょうか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 まだ決まっておりませんけれども、方角といたしましては東北、北海道、そういった北の方向、それから近畿、そういったブロックになろうかと思っております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 この救命救急センターは各県に最低一カ所設置するということで、ただし人口、地勢、交通事情等の諸条件によっては複数設置もある、こういうように私は承っておりますけれども、そういう理解でよろしいのですか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 小さな県では一カ所でございますけれども、県が大きくなりますと複数になってまいります。で、現在の計画では、この第一次計画の間に七十八カ所整備をいたしたいと考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 すでに五十一年に国立東京第二病院及び五十二年に国立仙台病院、たしか五十三年と思いましたが国立長崎病院の三病院が指定されておりますが、熊本県においては、このセンター構想が打ち出された五十一年より、国立熊本病院に同センターを設置して県民に対する救急医療体制の一段の向上を図り、地域医療福祉を推進したいという強い希望が出されていたわけでありますが、いまだに指定されないが、その理由はどういうことでございましょうか、お伺いしたい。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 一番の理由は、脳外科、心臓外科系統の機能が余り強くないということでございました。また、第一次計画の中では国立病院はモデル的に一ブロックに一つずつ八カ所整備することになっておりまして、九州ブロックではすでに五十二年度で長崎中央病院を指定いたしましたので、第一次の計画では熊本をさらに第三次救命救急センターにするということは考えておりません。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 厚生大臣に伺いますが、いま局長から答弁ありましたように、熊本の場合は考えていないということでありますけれども、熊本は御存じのように九州のいわば中心になるところでございます。この病院の設置については大変要望が強うございまして、各ブロックに一カ所というようなことであるようでございますが、救急医療体制というものは近年大きな社会問題になっておりますし、これに対処するため熊本市においては昭和五十年七月熊本保健所に休日夜間急患診療所を開設し、また県においても先般県内を九ブロックに分けて二次救急体制をスタートさせるなど、救急医療体制の整備には県、市一体となって鋭意努力を重ねております。しかしながら、体系的に救急医療体制の整備を図りまして地域医療福祉の増進を目指すためには、現在救急告示病院として活躍中の国立熊本病院における救命救急センターの指定、整備はぜひとも必要であるということが県民ひとしく望むところでございまして、ぜひとも指定を望みたいわけでございますが、厚生大臣のひとつ英断をお願いし、前向きの検討をぜひともお願いしたいと思いますが、大臣からひとつ御見解を承っておきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 余り前向きでなくて申しわけないのでありますけれども、むしろ実は熊本県の御要望等もありまして国立熊本病院については五十三年度、第二次救急病院としての整備を行っておるわけであります。このような状況の中で、当面私どもは、国立熊本病院は第二次救急の中心であるべきであり、救命救急センターを設置するという考え方はとっておりませんが、いずれにしても熊本県にも救命救急センターが必要であることは事実であります。ですから、県当局とこれから御相談をしていく中において適切な医療機関を選定願い、整備を図っていくことになろうと思いますが、将来これはその状況の変化に応じて全体計画についてはさらに検討を加えることもありましょうし、そういった場合においてもう一度この問題についても検討させていただくということで、きょうはお許しをいただきたいと思います。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 厚生大臣から含みのある御答弁をいただきました。県、市、要望の強いところでありますので、ひとつ今後ともできるだけの努力をぜひともお願いいたしたい、かように思います。  次に、国際児童年記念事業についてお伺いしておきたいと思います。  ことしは御承知のように国連が提唱した国際児童年であります。国際児童年は、国連が児童の権利に関する宣言を採択してからことしが二十周年に当たるのを記念してその実施が決議されたわけで、すでに世界で百カ国を超える国々が国内委員会を発足させ、それぞれの国内で児童福祉の向上を目的とした各種行事、事業の準備を進めていることは御承知のとおりでございます。わが国でも五月五日のこどもの日の前後から全国的に多彩な行事が展開されることになっておりまして、政府も五十四年度予算で三百六十七億円を計上し、各種記念事業や長期的な児童福祉対策の実施が予定されております。しかし、次第に盛り上がるムードの中で、児童年をお祭り騒ぎにするなとの声が高まっていることも事実であります。華やかな行事は子供たちを一時的に楽しませることはするが、一方で真の福祉や人権の尊重が忘れられていないかと心配の声があるわけであります。  そこで、ことしの国際児童年を一年限りの祭りにしないで、十年、二十年後を見詰めたときに、わが国の子供にとっていま何をすべきか、大人たち、またわれわれがそれを真剣に探し求める年にしなければならないとともに、この児童年を機会に長期視野に立った児童福祉の拡充を図るべきだと思うのですけれども、これは大臣からでも局長からでもひとつこれについての厚生省の見解をまず承りたいのであります。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 国際児童年の趣旨にかんがみて、私どもとしても児童福祉施策の一層の充実を図るきわめて意義のある年であるという受けとめをいたしております。すでに総理府を中心として国際児童年についての行事は一部始まっておるわけでありますが、厚生省としては、本当にいまお話があったとおりにお祭り騒ぎでこの一年を終わることだけはしたくない、そういう基本的な姿勢のもとに、心身障害児対策、また母子保健対策の総合的な見直し、こうした施策を中心にしながら児童健全育成対策あるいは小児医療対策等を推進してまいります。もちろんこれを周知徹底するための記念行事等も行うことは行いますが、私どもとしてはそれはあくまでも付随でありまして、ことしをきっかけに将来の児童福祉というものへの一つの大きな礎を残してまいりたい、そのためには基本的な施策の見直しにかかりたい、このように考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 記念モデル児童遊園整備事業は、国際児童年に当たりまして都市児童の遊び場確保対策を推進するためにぜひ必要なことでございますが、承るところによると、約三十七の市を対象に定額の補助がなされていることになっておるようであります。熊本県においても、県、市が一体となって、この事業に期待を持ち、予定地の選定等積極的にいま進めているところでありますが、厚生省はどう推進されるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

竹内嘉巳厚生省児童家庭局長

○竹内政府委員 お答えいたします。  御指摘いただきました国際児童年記念の児童健全育成事業でございますけれども、その中でメニューの一つとして、記念のモデル児童遊園の整備事業を私ども予定をいたしております。予算の積算上は一応三十七カ所を対象にしておるわけでございます。先ほど先生から御指摘いただきましたように、私どもとしては、国際児童年の記念事業といたしましても、この児童遊園であるとか、もう一つ同じメニュー方式で児童福祉のキャンプ推進事業を考えております。このキャンプ推進事業も、キャンプそれ自体をするのではなくて、将来とも子供たちがキャンプをするときに必要な資材等を準備するという立場をとっての、いわば将来の布石を前提にしたものでございます。各都道府県ともそれぞれその地方のいろいろな福祉の需要と申しますか、児童の実態に即した形で御苦心をいただいておることと思っております。  私どもはそういう意味で、県の方で自分の県ではこういう形で将来にも残るような記念の事業をやりたいということについては、できるだけ積極的に対応してまいりたい、かように考えておりますので、お話しのように、熊本県がそういったことについて積極的に御対応いただけるということでありますれば、私どもも十分お話を承ってこれにこたえるように努力をいたしたい、かように考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 厚生大臣にお伺いしますが、いま局長から答弁がありましたように、実は熊本県、市が要望している記念モデル児童遊園建設について、熊本県も市と相協力しまして、熊本市池上町西平山の少年自然の家近くに予定地をすでに取得しております。そして、ことし五十四年六月の県議会で補正予算で措置をする方針でございますので、ぜひ実現できるよう、厚生大臣の格段の努力をお願いしておきたいと思うのですが、大臣からも一言お答えをいただきたい。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 瀬野さん、私も自分の選挙区がありまして、自分のところのみを言い出したら切りがないわけであります。ただ、そういう冗談は抜きにして、私どもこれから、予算が成立をいたしました段階で、各県それぞれの計画を拝聴しながらそれに対応してまいりたいと思います。熊本県においても県としてそういう御方針であれば、私どもは十分相談をさせていただきたいと思います。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 その点、よろしくお願いしておきます。  次に、筋拘縮症の問題について若干お尋ねをしておきます。  筋拘縮症の問題については、戦前戦後を通じて発生原因と医学界からの状況報告というものがなかなかわれわれも掌握できないのですけれども、その概要について、簡潔で結構ですから、お答えをいただきたい。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 私どもは、特に筋拘縮症については、学会における発表あるいは学会誌における発表、その他医療関係の雑誌、新聞に対する発表というものがたくさん行われていると思いますし、さらにこの問題については、かねてから一般報道関係もかなり詳しく報道してくださっていると思っております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 この筋拘縮症の発生原因というのはどういうことになるのですか。その点もひとつこの席で明確にお答えをいただきたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 まず、医学的に申しますと、生まれつきの先天的なものと生まれた後で起こってくる後天的なものに分かれるわけでございますが、最初の生まれつきの先天的なものは非常に数が少ないということが最近わかってまいりました。また、二番目の後天的なものの中に、外傷等によって拘縮症を起こすという場合があるわけでございますが、それもそれほど多くはない。やはり筋肉注射の場合が一番多いようだというような意見が現在の多数意見だと思っております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 実は熊本県の天草郡五和町でも集団発生しておる関係で、一月、私たち調査団を編成して調査したわけです。いろいろ実情を承っておるわけですが、現在熊本県及び五和町の依頼を受けて熊大の渡辺助教授等が集団検診をいたしておりますが、この結果がきょうかあしたごろわかるわけです。きょうの質問に間に合えばよかったのですけれども、ちょっと時間的にずれましたので十分掌握できませんでしたが、診断基準があるにもかかわらず、検診者によっていろいろ違いがあるのじゃないかというようなことを言われますけれども、そんな心配はございませんか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 私どもに対する県当局の報告によりますと、熊本大学の渡辺助教授の検診班の患者さんの数と、そのほかに自主検診班といったものが進歩的な若い医師のグループによって編成されておりますが、そちらの方の患者さんの数と、多少食い違っているというように聞いております。その原因は、こういった病気にもはっきりしたものとはっきりしないものと境界領域のものがございまして、それをどういうふうに考えるかといったところに原因があるようでございます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 さらに、この筋拘縮症の問題で、医学界においては情報伝達の非能率さ等がありまして、昭和二十一年の報告から数えるとほほ三十年間社会問題になっておりますが、気がついたときには実に多数の犠牲者が存在していたというようなことのようで、医療の閉鎖性というようなことが問題になっており、専門的に公開性が保障されておればもう少し早く是正されたのじゃないかというようなことが現地では言われておりますけれども、その点については当局はどういうふうにお考えでございますか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○佐分利政府委員 医療の閉鎖性という表現は少し厳しいのではないかと思っております。すでに三十年代の後半から四十年代の前半にかけて学会誌等には発表されていて、一部の人はそれを知っていたわけでございます。ただ、こういうふうな医療事故のような性格のものについて、患者側あるいは親御さんたちの側の考え方も昔とずいぶん変わってまいっておりまして、昔でございますと、生命を守るためにやむを得なかったのだなというようなことで終わっておりましたけれども、最近はそうではございませんで、命も助けなければならない、このような後障害もできるだけ残してはならないというような時勢になってまいりましたので、一般的に厳しくなってきたのだと思っております。また、四十八年の山梨の事件以降は、この問題については学会も医師会も厚生省も、いろいろな媒体を通じて、この病気の性格とか診断基準とか治療の方針とか、そういったものを医学界の関係者に徹底するように努力をしてまいっております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 局長に改めてお伺いしますが、難病の定義というのはどういうことになりますか。

田中明夫厚生省公衆衛生局長

○田中(明)政府委員 いわゆる難病の定義につきましては、昭和四十七年十月に難病対策要綱というのを出しまして、原因が不明で、治療方法が未確立であり、かつ後遺症を残すおそれの少なくない疾病、これを第一群としております。それから第二群といたしまして、経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず、介護等に著しく人手を要するため家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病、これを第二群として、この一群、二群を厚生省といたしましては難病として定義しております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 最後に、厚生大臣にお伺いしますが、何しろ時間が短いものですからはしょった質問になりましたけれども、いま改めて難病の定義について局長から御見解を求めましたが、この筋拘縮症は、注射との因果関係もはっきりしていないし、治療方法も確立していない、原因がはっきりしないのは難病ではないか、こう私は思うわけです。難病としての対策を講ずべきで、いわゆる医療費補助特定疾患として認めるべきじゃないか、かように思うわけです。全国的にかなりの患者がおるわけでございますので。  時間がございませんので、最後に一番大事なことを厚生大臣に伺うわけですが、ぜひともひとつ難病の中にこれを入れていただく、かようにお願いしたいわけですが、厚生大臣から賢明なる御見解を承りたいと思う。

田中明夫厚生省公衆衛生局長

○田中(明)政府委員 大臣のお答えの前に私から補足させていただきますが、先ほど二つのグループを定義していると申しましたが、難病につきましては、寝たきり老人であるとか、あるいはがんなどのように別個の対策体系が存在しているものは厚生省の難病の対策として取り扱わないというふうに厚生省では決めております。筋拘縮症につきましては、すでに特別研究費補助金というのを出しまして研究をいたしておりますし、また医療費につきましては育成医療の対象になっておりますので、この両面から考えまして、ただいま申し上げました厚生省が取り上げる難病の対象になるというふうにはわれわれは考えておらないわけでございます。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 公衆衛生局長の答弁を補足して申し上げます。  しかし、実際上いま申し上げたような対策をとり、また場合によっては肢体不自由児施設等における介護の体系もとっておるわけでありまして、私どもとしてはこの方向でなお努力をしてまいりたいと思います。  また、私どもの聞くところによりますと、三月の何日でありましたか行われます小児科学会において、この問題についての研究報告等も多数出されるようでありまして、先ほども問題になりましたちょうどすれすれの線における診断等の問題についても、学会においてなお論議が深められ、私どもの行政に生かせるような方向が出てくることを私としては期待をしています。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野分科員 今後さらに努力をお願い申し上げまして、質問を終わります。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢主査代理 これにて瀬野栄次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、工藤晃君。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 大臣、きょうは大変長時間質疑を真剣にやっていただきまして、さぞかしお疲れだろうと思いますけれども、ただいまから私が申し上げることは、国家百年の大計をどう考えるかという大変次元の高いお話をいたします。それについて、あなたの判断とそれからあなたの決断とあなたの選択が、大きく健康社会の創出という問題についてどう影響するかという大変大きな問題に取り組んで私は質疑をさせていただきたい、こう思いますので、かっと目を開いてひとつ御答弁いただきたい、こう思います。  そういうところで一つお聞きいたしますが、それほど肩を張って申し上げるわけではございませんので、ぜひ、いつも言い古されたことかもしれませんけれども、いままた改めて新しく問題を提起しなければならない問題だというふうに考えております。そういうわけでございますから、どうかひとつよろしくお願いを申し上げます。  まず最初に、ただいま申し上げましたように、高齢化社会の対応として健康社会をどうつくり出していくかということは、大きな国民的課題でございますし、あるいはまた、国民の側からすれば大変不安な要因の一つでもございます。二十一世紀へかけての国民の課題としては、やはり健康の保障と生活の保障と生きがいというこの三つのテーマをどのようにつくり出してくれるかということが、大変大きな国民の要求であり、またそれが不安要因になっていることは、大臣も御存じのとおりだと思います。  ところで、大臣に一つお聞きしたいのだが、高齢化社会というのは、どういうことが要因となって高齢化社会になってきたかということについて、御見解を簡単に承りたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 たいへんむずかしい問題でありますけれども、私なりに考えてみますと、まず一つは、第二次世界大戦後今日までの間にわれわれを取り巻く生活環境そのものが改善をされてきたこと、また国民の栄養状態が改善をされてきたこと、そして何より大きなものとして、医学の進歩というものが日本国民のみならず世界じゅうの人類の生命を延長してきた、簡単に申し上げれば、私はそのようにまとめたいと思います。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 最後におっしゃいました医学の進歩というのは大変大きな要因の一つではございます。しかしながら、振り返ってみますと、これは人の努力の結晶でございますし、またそういう分野で働く方々の大変な御努力の結果だろうと思うわけです。また、一方においては、日本の医療制度そのものもやはり高齢化社会と対応してきたのではないか、そういうことが考えられるわけでございまして、そういうもろもろの要因の中から、高齢化社会という社会がいま出現しようとしているし、それが大変急速な勢いで伸びてきつつございます。  こういうことに対する対応が、別の面から見れば、中高年齢層の雇用の問題とか、あるいは定年制の延長の問題とか、あるいは終身雇用制をどうするかとか、そういう社会のすべての尺度が急激に変わっていく要因の一つになっているわけだと思うのです。  そうなりますと、やはりここで考えなければならないことは、健康社会の創出というものがどのように国民にとって大変なことかということもおわかりいただけると思いますし、またそういう健康という無形の財産は非常に大きな資本投下によってかち得たものであるというふうにも考えるわけでございます。また、その間に、いろいろな形であれ、健康保険制度というのがそういうことの一助になってきたことは間違いのない効果であったと私は評価するわけです。そういう意味においては、いまの健康保険制度というのは大変国民にとってありがたい制度であるはずでありますね。  しかしながら、その内容を考えてみますと、大変いろいろな矛盾を露呈し、それがすべての国民に対して一つのいらいらの原因になっていることも事実だと思うのです。そこで、考えなければならないのは、このような制度をそのまま今後存続さしていって、果たしてこの高齢化社会に対応し得るのかどうか、あるいはまた、そういう制度をそのまま維持することが今後の国民の健康を守るためにいいんだという結論になるかどうかについては、大変異論のあるところでございます。  そこで、きょうは、そういう周辺の問題について、いささか私見を述べながら、大臣の御見解を賜り、またそれに対する御決意を伺いたい、こう思うわけでございます。  その前に、最初に、これは局長で結構でございますけれども、私が統計の数字を簡単に申し上げます。いま八つに分かれております健康保険の制度の仕組みの中で、健保組合と政管健保について、私の持っております資料を簡単に申し上げますから、それが合っていれば合っている、間違っていれば間違っているところを御指摘願いたい、こう思うわけです。  まず、健保組合の財政概況についてですが、組合数は昭和五十二年度で一千六百六十六、経常収支黒字組合数が五十二年度で千四百六十四、経常収支赤字組合数が二百二、その黒字組合数と赤字組合数の比率は一二・一%、それから経常収支黒字額が一千四百二十六億円、経常収支赤字額が七十二億円、経常収支差額は一千三百五十四億円、黒字に対する赤字の比率は五%、こういうふうな数字をまず御披露申し上げたいと思います。  それから次に、健保組合の積立金の状況でございますが、これは時間がございませんので合計の数字だけを申し上げますと、積立金が六千百九十七億円、これは黒字でございますが、こういう数字が出ております。それから、逆に赤字の点について申し上げますが、私の持っております資料では、国保の方は詳しい数字を持っておりませんが、政管健保の方については、単年度収支で五十三年度に二百四十七億円の赤字が見込まれている、こういう数字を申し上げたいと思います。それについて四十九年以降の累積収支は一千六百四十一億円の赤字、こういう累積をしております。  それから、国民医療費と国民総生産、国民所得の年次推移については、五十一年度の数字だけを申し上げますと、国民医療費が七兆六千六百八十四億円、国民一人当たりの医療費が六万七千八百十円、それから国民総生産に対する国民医療費の占める割合は四・五三%、それから対国民所得の割合は五・三二%、こういう数字を申し上げます。  そういうところの数字に対して局長、私の申し上げた数字に誤りがございますか。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 絶対数の数字においては間違いございません。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) そこで、問題は、こういうふうに一方が非常に大きな赤字を抱えながら、毎年政管健保の方は赤字、赤字ということで医療費を値上げしなければならぬ、現行法を改革して医療費に対応しなければならぬということで、この委員会もそのたびに大変けんけんごうごうとした意見が出るわけでございます。しかし、一方において、こういう大変大きな、これは今年度だけでなく各年度ごとにずっとこういうふうな累積の黒字を示している健保組合の黒字についてはどなたも余り議論をなさらないのは、私は大変不思議だと思うのです。それで、きょうは、そういうふうな面において議論をしてみたい、こう考えてこういう数字を挙げたわけでございます。  ただ、そこで申し上げたいのは、やはり健保組合には付加給付という給付が行われているが、政管健保には行われていない。それから、こういう黒字の財政の中から、保健施設費としていろいろな寮がつくられたり不動産が取得されたりしておりますね。そういうものを全部引いても、そして付加給付として、家族は三割負担しなければならぬが、その三割まで逆にまた付加給付として給付している。そして残った数字がいま申し上げましたような黒字の数字でございます。片っ方の赤字と片っ方の黒字がここにあっても、これがいまお互いに財政調整ができないでいるわけでございまして、それが一つは大きな社会問題を提起しようとしているわけでございます。  さあ、そこで今度は、きょう大蔵省がお見えになっていただいていると思いますので、大蔵省から所管の問題についてお聞きをいたしたいと思います。  こういう健保組合の保険財政に対しては、いま非課税になっているはずですね。税金が一切かからない、こういうふうな状況になっているわけでございますけれども、それはどういう根拠でそういうものがすべて非課税になっているのか、ひとつ御答弁を願いたいと思います。

水野勝大蔵省主税局税制第一課長

○水野説明員 健康保険組合につきましては、その事業の内容でございますとか、残余財産の帰属の問題でございますとか、そういった点を勘案いたしまして、現在法人税を非課税といたしておる次第でございます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) その勘案の根拠はどういうことですか。

水野勝大蔵省主税局税制第一課長

○水野説明員 国以外の各種の特別な法人につきましては、その性格に応じまして、全く課税を行わない法人、それからその本体の活動は行っておりましても、それと並行いたしまして収益事業を行っております場合には法人税を課税いたします法人、それから普通の課税をいたします法人、こんなふうに三種類に分けて課税をいたしておる次第でございまして、その中で健康保険組合につきましては、その業務の内容が国や地方公共団体の行います業務に準ずる業務をいたしておるといった点、それから残余財産が国に帰属するといった点、そういった点を主たる側面といたしまして、非課税のグループに現在入れられておるわけでございます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) そうすると、すべて非課税の対象になっているというふうにおっしゃったわけですが、その根拠は、国の行うあるいは地方公共団体が行うことに準じているから非課税なんだ、それからまた、その残余財産については国に帰属するということで非課税なんだ、こういうことでございますね。  お聞きしますが、健保組合がそういう国あるいは地方公共団体に準じているというところは、どういうところですか。

水野勝大蔵省主税局税制第一課長

○水野説明員 その行いますところの保険給付が地方公共団体が行います場合と類似する部分があるということであろうかと思われます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 一言で言えば、公共という、こういうことを意味しますか。

水野勝大蔵省主税局税制第一課長

○水野説明員 現在、法人税法が区分しておりますグループからいたしますと、これは第一の公共法人のグループということに含まれておりますので、そういう形式的な面から申し上げますと、公共的な法人というふうに税法上は区分をしておる次第でございます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) そうしますと、健保組合が公共であるというふうに認めたその根拠はどういうところにありますか。先ほど申し上げましたような国に準ずるとおっしゃっておりますが、そうすると、健保組合の行っている行為、目的というものが公共であるというふうに認められたわけですね。ちょっとお答え願いたいと思います。

水野勝大蔵省主税局税制第一課長

○水野説明員 この健康保険組合の課税上の扱いにつきましては、大正十一年にこの法律ができました当時から非課税とされておるところでございまして、それが、昭和二十五年のシャウプ勧告におきましてこういう種類の法人につきましての課税上の地位につきまして全面的な洗い直しが行われた際も、従来からの経緯にかんがみましてその扱いを継続いたしてきておる、こういうふうに私ども承知をいたしておるところでございます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 私は、保険組合のやっている仕事というのは、被保険者の保険料の徴収とその支払いがその業務であるというふうに考えておりますが、その点はどうですか。

石野清治厚生省保険局長

○石野政府委員 これは私の方からお答えした方がよろしいと思いますので御説明いたしますが、現在の健康保険法の二十二条におきまして「健康保険ノ保険者ハ政府及健康保険組合トス」ということで、これはあくまでも政府と同じ地位を与えているわけでございます。したがいまして、政府がやっておりますと同じように保険料も徴収しそれから医療の給付も行う、その他のいろいろな現金給付も行うという保険者の地位を法律上与えているということでございます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 時間が足りなくなりましたので、私の方からこれについて少し私見を述べたいと思います。  保険料の徴収あるいは診療報酬の支払い、こういう機能をするだけで国は公共性を認めているわけでございます。しかし、一方においては、崇高な人の命を預かる医師に対しての公共性は当然認められなければならないはずでございます。医療行為を行っていく過程において保険料の徴収をする、あるいは支払いをするというだけでそういう特典を与える以上は、一方においてもっと崇高な仕事に関与している診療担当者に対して当然公共性を認めなければならないと思いますが、大蔵省の見解としては、税制から見るという立場もございましょうし、あるいはまた、制度の上からも当然そういうことを認めなければならないと思いますが、その点について、一言でいいですから、認めるか認めないかをお答え願いたいと思います。

水野勝大蔵省主税局税制第一課長

○水野説明員 公共性と申しますか、その言葉の使い方でございますが、現在御提案申し上げております社会保険診療報酬課税の特例の是正の問題につきましては、昭和四十九年の税制調査会の答申が、社会保険診療につきましての特殊な地位、特殊な役割りといったものにつきまして勘案、評価いたしまして、これにつきましては他の業種とは違う課税でよろしいのではないか、その経費率は法定しても構わないし、また実額の経費率のほかに特別の控除を加えることも十分説明できるというふうな答申を出しておりまして、それに従いまして五十四年度の税制改正におきまして具体案を御提案申し上げているわけでございます。そういう意味におきましては、今回の医師課税の問題につきましては、公共性という言葉と同じかどうかはわかりませんが、税制調査会の答申によりますれば、社会保険医の特殊な地位と役割りというものにつきまして評価をいたしたい、こういうふうに言っておるわけでございまして、今回の改正も私どもとしてそういう精神に即したものにいたしたつもりでおるわけでございます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) いよいよ時間がなくなりますので、その問題はこれでやめます。  ところで、大臣、こういうふうに一方においては非課税でどんどん黒字になっていく、その額だってべらぼうな額なんですね。本来、保険料というのは何のために徴収されているかと言えば、自分の命を守るために、病気をしたときまず第一番にそれが使われなければならないということで支払われているわけです。その保険料がそういう不動産投資やらいろいろな別の目的のためにたくさん使われていて、それが全部非課税であって、その上にまだ残った金が、先ほど申し上げましたように一千四百何十億、こういう膨大な黒字を毎年毎年つくり上げてきている。これもすべて非課税。これは公共性があるのだということで非課税であるというふうな御答弁でございます。しかしながら、一方では、同じ国民であって中小零細な企業のそういうところへ手厚い配慮をしておりますという政府がめんどうを見ている政管健保は、先ほど申し上げましたように、非常に給付も悪い、それからその負担も高い。健保組合の組合員に比べて負担も高いはずです。千分の八十というのは非常に高率の負担をしているわけです。にもかかわらず、毎年毎年何百億かの赤字をつくっていく。こういうふうな矛盾をこのまま放置していいのかどうか。冒頭申し上げましたような非常に次元の高い健康の創出、人命の平等な扱い、こういう問題に対して、そういうものを放置していっていいのかどうか、大臣、あなたの勇気と決断のあるお答えをちょうだいしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 いいと思っておりません。思っておりませんからこそ、一昨年の十一月に国会に御提示をいたしました十四項目に基づいて、私どもはいま健康保険法の全面的な改正の第一着手の御審議をお願いしておるところであります。まさに御指摘のように、健康保険組合だけではなく、共済までを含めた財政調整というものを将来構想に描きながら、その第一着手の御審議をお願いしておるところであります。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 大蔵あるいは厚生大臣両方のお答えを伺いまして、今後そういうものを具体的によくなければ改善していかなければならないことはもう明らかなことであるし、それは政府の責任であろうと思います。  そういうことにおいて、一言でいいですが、大蔵省としてこの健保制度の先ほどからるる申し上げました矛盾に対して、財政面から見てこういうふうなものを放置していけるのかどうか、あるいはそういうことが困難であるのかどうか、その見通しについて、簡単で結構ですからお答え願いたいと思います。

安原正大蔵省主計局主計官

○安原説明員 大変大きな問題についての御質問でございますが、財政当局の考え方を簡単に申したいと思います。  御承知のとおり、わが国の医療費は医療の高度化とか人口の老齢化に伴いまして非常に早いテンポで増加を続けております。三十五年から五十四年の期間をとりましても年平均二〇%という高い伸びになっておりまして、五十四年度におきましては国民総医療費は十一兆円に達すると見込まれておる状況でございます。今後ますます人口の老齢化が急テンポで進む見込みでございますので、それに伴いまして医療費の増高も相当なテンポで続くということが予想されるわけでございます。それに対しまして収入サイドでございますが、安定成長下におきましては保険料の自然増収にそう多くを期待できないということになりますと、本来毎年度毎年度収支の均衡を図っていくべき医療保険制度の収支の均衡を図っていくことが非常に困難になるという問題を抱えておるわけでございます。  そこで、先ほど厚生大臣からお触れになりましたように、一昨年の十一月に「医療保険制度改革の基本的考え方について」ということで、十四項目が厚生省から示されておるところでございまして、この項目に従いまして今後医療保険の保険給付、負担両面にわたりまして基本的な見直しをやっていかなければいかぬ、それで調整がつき成案が得られましたものについてはどんどん具体化していく、その第一段階が先ほどの大臣がおっしゃいましたような健康保険法の改正案ということで提示されているわけでございます。  そこで、先ほど来健保組合と政管との関係が問題にされておりますが、確かに保険グループによって財政力格差がございますので、制度間の格差を是正して給付と負担の両面にまたがりまして公平化を図っていくということは、基本的に望ましいことであろうと考えております。そういう精神で現在の改正法案も考えられておるわけでございますが、その点につきましては全体として条件の整備ということが必要になろうかと考えております。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 両省の意見が大体同じ方向へ向いているようでございますので、そういう問題はぜひ勇気を持って解決の方向へ御努力願いたいと思います。  時間が参りましたので、最後に大臣にお願いをしたいのだが、医師税制については大蔵省は——きょうは不公正の問題について何が不公正であるかということを聞く時間がございませんでしたのでこの次に見送りますが、一応そういう税制面からの是正をしたということで、そうすると、片一方において診療担当者の医療の公共性というものを別に担保していくということを考えなければならない。これは当然のことだと思うのですね。それについては、具体的にはいろんなことが出ているけれども、医療の公共性とか社会保険による制約性、こういうことに対して十分配慮してほしい。たとえば退職給与の引当金を準備してくれとか、あるいはまた医事紛争準備金とか、医療研究開発準備金、休業補償準備金、医薬品廃棄損失準備金あるいは医療施設に対する償却制度の改善、また家族ぐるみの労働でございますから、家族従事者に対しての十分な労働報酬の適用とか、こういう当然であり過ぎるぐらい当然な話とか、あるいは一人法人、こういうことに対しても十分考えなければならない。それからまた、医療法人の他のみなし法人との大きな制約の問題、あるいは相続の問題、時間がございませんので羅列いたしましたが、こういうことはすべて厚生大臣の所管でございますから、こういう問題についての改善の意思はございますか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 率直に申しまして、私の所管というよりも、これは大蔵大臣の所管部分の問題ではあります。しかし、そうした中で、私どもとしても、当然推進をしていくべきものについて財政当局に要請をし、また協議をしていくというような努力を続けていくことは当然であろうと思います。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) やはり医療法人化が非常にやりにくい。だから、こういうことが税制上なかなかつくれない。だから、医療法人化をもっと平等に、公正にそういうことをしてあげること、これは大臣の所管でございましょう。そういうことについて、大臣、どうですか。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 医療法人については、まさにそのとおりであります。ですから、これは私ども従来は違った考え方をもって進んできたものでありますが、いわゆる一人法人等についても今後検討してまいりたいということを申し上げておるわけであります。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) 大蔵と厚生がこういう意味においては十分協調、協議されて、そういうことに対する不公正も前向きに検討していただかなければ、医師税制の不公正だけが強調されてこういう面の不公正が強調されない場合には、やはり医療のひずみというものはもっとひどくなっていくのじゃないか、そういうことを大変心配いたしますし、私どもが考えなければならないことは、人の命を公平に扱う社会をどうつくるかということがまず健康社会創出のための第一歩だと思います。そういう意味で、ぜひそういうことに対しての御勘案を今後ともに強力にお考えいただき、また推進していただきたいというのが私のきょうの願いであり、またこれに対する大臣の決意を最後にお伺いして、時間が参りましたので、残念ですが、これでやめさせていただきます。

橋本龍太郎自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 国民のために最もふさわしい医療の体系をつくるべく努力をしてまいります。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)分科員(新自) これで終わります。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢主査代理 これにて工藤晃君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、厚生省所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、明三月一日午前十時から開会し、労働省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十四分散会

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