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87回国会衆議院1979/02/13

予算委員会公聴会 第2号

発言数
67
登壇者
19
会派数
6
開催日
1979/02/13

会議録

竹下登自由民主党

○竹下委員長 これより会議を開きます。  昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算、以上三件について公聴会を行います。  この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  公述人各位には、大変御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。昭和五十四年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、それぞれのお立場から忌憚のない御者見をお述べいただくようお願い申し上げます。  次に、御意見を求める順序といたしましては、まず最初に肥後公述人、次に前川公述人、続いて辻公述人の順序で、お一人約二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後委員からの質疑にお答えを願いたいと存じます。それでは、肥後公述人にお願いいたします。

肥後和夫成蹊大学教授

○肥後公述人 成績大学の肥後でございます。昭和五十四年度総予算につきまして、第一に、大量公債発行に象徴されます財政危機につきまして、第二に、五十四年度予算案の基本的な性格につきまして、第三に、財政再建の必要性につきまして、第四に、予算委員会の御審議に対する期待につきまして、以上四点について簡単に意見を陳述申し上げたいと思います。第一に、大量公債発行に象徴されます財政危機についてでございます。現在、日本の財政は、国も地方も重大な財政危機に当面していると考えます。国の一般会計歳出当初予算に占めております公債金収入の割合は、五十年度の九・四%から、五十三年度に三二%、五十四年度予算案におきましてはついに四〇%弱と四倍弱以上に達しております。戦後このような事態を迎えましたことは初めてでありますし、戦前におきましても、日本の近代的な財政制度が整備を見ました明治二十三年以来、昭和八年と昭和二十年の二回を数えるにすぎません。  高橋財政時代の昭和八年には、当初予算で公債依存度は四〇%に達しましたが、景気回復に伴う税収増加により決算では三二・四%に低下しました。二十年度には当初予算で三四%の公債依存度が決算では四二%に上昇し、その後の戦後インフレーションの最大の要因になりましたことは昭和財政史の述べるところであります。  新年度予算案における公債依存度が終戦の大混乱期の水準に達しております事実は、現在の財政危機が容易ならぬものであることを実によく象徴しているように思われます。  昭和八年度の場合、景気回復に伴います税収増加の分だけそれ以後公債発行額を抑制する公債漸減政策がとられましたが、日銀引き受けの公債発行による資金調達という安易さになれた強力な圧力団体が経費の節減をがまんしようとしなかりたために、軍事費の膨張の抑制がきかなくなり、高橋財政はフィスカルポリシーの理論としてはきわめて魅力に富んでおりましたが、政治的に破綻してしまいました。財政が政治に流され、経済的合理性の規範を守ることができなかったために、日本国民は大変な苦しみをなめる結果になったのであります。  現在、財政の危機がきわめて深刻な事態を迎えていると考える理由は次の三点にあります。  第一に、長期間にわたる高度成長時代に経費を税や社会保険料の自然増収で賄うことになれ、公共サービスは納税者である国民が自腹を切る負担感と引きかえに賄うものであると考える習慣が忘れられ、ただが当然という発想になっておりますために、勢い公共サービスの便益が負担に値するかどうかの点検がなおざりにされ、圧力団体の要求に場当たり的な政治的な裁量を加えるやり方が歓迎される風潮の中で、経費は放漫に膨張し、やたら赤字のツケだけがふえる結果になっていることであります。このために、国の財政も地方の財政も、しかも一般会計のみならず特別会計、公企業の諸分野において膨大な赤字を累積させる結果になっております。  第二に、公債の累積に伴い公債費が膨張し、財政が長期にわたって硬直化する傾向が濃厚に見られることであります。新予算案では国債費が一〇・六%、オイルショック直前の二倍以上になっておりますが、五十四年度ベース財政収支試算によりますと、五十九年度までに特例公債依存から脱却するような非常な努力が払われたといたしましても、公債費の比重はなお増加して、六十年度に一五・三%に達するものと見込まれ、戦前型に近づきつつあります。国民の納める税金が、公債の利払いに多く充てられて、国民の生活に関連した支出に使われる度合いが狭まりますことは、所得再分配への好ましからざる影響とあわせまして、福祉志向型の財政運営にとって憂慮すべきことと思われます。特に、これから二十一世紀前半にかけて急激に進展する老齢化社会へ財政が適切に対応できるような体制を整えるためには、高度成長惰性型の財政運営の改革は急務であると考えます。  第三に、公債累積額は、五十三年度において約四十三兆二千六百億円、五十四年度には約五十九兆円に達するものと予想され、GNPの割合にして、五十三年度は二〇・五%、五十四年度は二五・三%、五十九年度末には財政収支試算では三四・一%に引き続き増加するものと見込まれておることでございます。これに加えて、国の一般会計とほぼ同じ規模を持つ地方財政計画におきまして、五十四年度地方債四兆九千億円、交付税特別会計正味借入金約二兆円、合わせて六兆九千億円が計上されております。五十三年度地方債残高は二十兆四千億円、GNP比九・七%に上り、五十四年度単年度だけで五十三年度残高の三分の一近くの債務が増加しております。さらに政保債、政府関係機関等非政保債等を含めた公共債務総額は、五十三年度単年度で国の公債発行額の約二倍、五十四年度ではさらにその二十兆円余の公共債発行額が二十六兆円に上ることをあわせ考えますと、公債管理のこれからのむずかしさについては真剣、細心の配慮が必要であると考えます。  特に、オイルショック後五年の時間が経過し、在庫調整の進展、設備更新投資に動意が見られ、近い将来に景気のはっきりした回復も期待されます現在、資金需給が引き締まったときの公債管理のむずかしさに十分配慮する必要があります。雇用の維持、国際収支調整のために景気維持への配慮がなお必要であるといたしましても、この短期的な景気対策が中長期的な視野の政策と矛盾しないよう、慎重な財政運営が必要であると考えます。  次に、五十四年度予算案の基本的な性格について申し上げます。  以上のような見方から五十四年度政府予算案を見ますとき、なお要望したいことは多々ございますが、ともかく財政危機への認識を持ち、可能な範囲で当面の景気維持に配慮し、かつ中長期的視野から財政収支試算に見られるような展望を踏まえつつ、財政再建への第一歩を踏み出そうと努めている予算である点では相当に評価できると考えます。  公債発行額は、五十三年度の十兆九千八百五十億円から五十四年度は十五兆二千七百億円と、ほぼ歳出の増加分に見合う新規の起債増加を見たわけでございますが、これは新年度四千四百十億円の増税にもかかわらず、五十三年度に本年五月分の税収を取り込んだことの影響から、税収総額がほとんど増収を見込めなかったためでありまして、歳出及び税制において、景気、雇用の両面にきめ細かい配慮を加えながら、なお経常部門の経費の節減合理化及び不公平税制の是正等について不十分ながらも前進が見られましたことは率直に認め、将来なお一層の努力を期待したいと思います。  なお、細部につきまして、第一に、経常部門の歳出の増加抑制につきましては、規模の抑制、一般行政経費の増加の抑制、補助金の合理化、機構定員の抑制、受益者負担の適正化等に努力の跡が見られます。  第二に、景気、雇用に対する配慮につきましては、まず予算規模につきまして、特に、上述のように経常部門を極力圧縮しながら、伸縮性の高い投資部門の伸びを一八・五%と、GNPのそれよりも高目に伸ばしております点は、五十三年度三一・七%には及ばないといたしましても、景気と財政再建の両立を図ったオーソドックスな努力であります。特に災害復旧費を除く一般公共事業費の伸び二二・五%は、五十三年度には及ばないものの、五十一、五十二両年度よりも高く、また社会資本の整備充実にかなりの進展が見られるものと評価しております。  その結果、予算総額といたしましては五十四年度三十八兆六千億円、対前年度の伸びは一二・六%で、五十三年度の二〇・三%よりは低うございますが、名目GNP九・五%を三・一%上回っており、財投計画事業部門の相当な伸びと相まって、全体として拡張効果を持っていることは認めなければならないと思います。  また、雇用対策につきましては、上記のマクロベースの予算規模の拡張と並行いたしまして、特に労働省所管の雇用対策経費一四・四%の伸びに関連しまして、雇用の創出、失業の予防、失業者の生活安定、その他職業訓練、職業紹介等にきめの細かい苦心の跡が見られますし、さらに、その他構造不況業種対策あるいは住宅投資の促進等にもきめの細かい配慮が見られるように思います。もっとも住宅政策につきましては、私見といたしましては、土地政策にもっと本格的に取り組むべきではないかという考えを持っております。  第三に、特別会計、公企業の分野における合理化につきましては、財政の健全化を考えます場合、一般会計だけを考えるのではきわめて不十分でありまして、政府管掌健康保険特別会計、食糧管理特別会計、国鉄等、いわゆる三Kの赤字に象徴されますように、一般会計以外の分野に赤字が累積しておりますことに注目し、放置すればいずれ一般会計の負担で肩がわりせざるを得なくなりますが、特に、急速な老齢化の進展を前にいたしまして、財政的な困難が明らかに予見されます社会保障制度につきましては、老後生活に重大な影響を持つ年金体系の安定的設計のためにも、医療保障制度の改革が必要であると考えますので、現在継続審議中の健保法改正案の審議の動向に深い関心を払わざるを得ません。  最後に、第四として、租税特別措置の整理合理化等、税制改革に数歩の前進が見られたと評価します。  五十四年度は、財政再建のために必要な一般消費税の導入を図るための前段階として、既述のような歳出の節減合理化と並んで、税負担の公平確保に努めなければならない年であります。この点で、五十四年度税制改正において、社会保険診療報酬所得課税の特例の是正、有価証券譲渡益課税の強化が図られましたほか、価格変動準備金の段階的整理を初めとして、企業関係租税特別措置の整理合理化が相当に推進されているように思われます。不公平税制是正の推進の度合いにつきましては、私見としてはなお多くを望みたい分野もあるのでございますが、曲がりなりにも前向きの進展があったという点を認めたいと思います。  なお、経済環境の著しい変化に対応してきめ細かく産業構造の転換促進を図ることの緊要性を考慮し、現行租税特別措置を整理しました上で、臨時の措置として、産業転換投資を促進するため、一定の不況業種に属する企業にしかるべき措置を講じたことは、この際やむを得ない措置であると思います。  次に、財政再建についての所見を申し述べます。  以上のように、新年度予算案につきましては、かなりの意欲的取り組みが見られる点は評価しなければなりませんが、結果的には四兆三千億円の公債増発を見、特例公債だけでも四兆九千億円から八兆五百億円に三兆円余の大幅な増加を見ております。このままで推移しますと、景気の本格的な好転の時期に、公債管理政策におきまして金融政策の選択の幅を狭め、財政肥大化とともにインフレの引き金になりかねない危険を感じております。  その意味で、国と地方を通して経費の節減合理化、不公平税制の是正に努めるとともに、五十五年度における一般消費税の導入が必要であると考えます。  政府は、五十三年度ベース財政収支試算で五十七年度に赤字公債依存脱却を目指しましたが、今回の新試算ではその時期が五十九年度と二年先に繰り延べられました。インフレの危機感が切実になってきつつあることでもありますし、また、六十年度から五十年度発行債の償還も始まることであります。長期的な視点から財政再建に本格的に取り組まれることを期待したいと思います。  最後に、国会審議への期待について申し上げたいと思います。  一九三〇年代以降、特に第二次大戦後におきまして、福祉志向型の財政運営が行われるようになりまして以来、議会における予算審議が、経費の節減よりは選挙母体である圧力団体の歓心を買うために、経費を膨張させるように機能する傾向がある点が内外の財政専門家の間で指摘されております。しかし、納税者に反乱の気配が見られることでもありますし、また、インフレになったら、これこそ最悪の実質的逆進税でありまして、一番苦しむことになりますのは経済的弱者であることに思いをいたされまして、慎重な予算審議を期待したいと思います。  二月以降の予算委員会の御討議の中で、五十四年度も増税したのに国債は減らない、行政のむだ、不要な経費の削減を明らかにすべきである、イギリスでやっているように、本年はこの費目をこれだけふやす、あるいは逆に減らすという形の財政計画に準じたものを出すべきだというような御趣旨の御意見を新聞で読みまして、財政再建に向かって、長期的な視野から、従来にない積極的な取り組みをされていることを頼もしく思っている次第でございます。インフレを防止し、活力のある福祉社会の実現に向かって建設的な御審議を国民の一人として期待したいと思います。  以上でございます。(拍手)

竹下登自由民主党

○竹下委員長 どうもありがとうございました。  次に、前川公述人にお願いいたします。

前川一男全日本労働総同盟書記長

○前川公述人 同盟の前川でございます。  私は、現在の最大の課題が雇用問題であるという認識のもとに、焦点をここにしぼりまして御意見を申し上げます。  まず、労使はもとより、国、地方自治体が最善を尽くして、悪化している雇用情勢の打開に具体的にいま対応することが迫られております。そうしないと、いまの失業の実態というのは慢性化するおそれがあるからであります。そのことは、政治的に考えましても、また財政的に見ましてもきわめて不健全でありまして、私どもが期待している将来に向かっての福祉社会形成への基盤が失われていくと判断をいたしております。  そのための具体的対応策は、国全体として完全雇用達成へ挑戦しなければならないと思います。すなわち、総合的な意味での完全雇用政策に対する国の基本方針を明確に打ち出さなければなりません。そして労使の社会的責任としての協力を強く求めるべきであります。私は、特に経営者の積極的な姿勢を期待するものであります。同時にまた、そのための行政の強化が必要であろうかと考えます。  政府の態度についてでありますけれども、経済運営の基本的な態度として、第一に、景気回復による雇用安定を掲げております。また、労働省関係予算でも、雇用関係につきましては従来より大幅な増額を示しておりますので、その努力については理解をいたしております。  しかしながら、五十四年度予算としての雇用に対する政府の判断としての見通しというのは、すでに示されておりますように、労働力人口の増加もあって失業者数には余り変化は見込まれないということでございます。いま老齢化時代を迎えつつあるとき、このようなことでは雇用情勢の改善はできないと思います。政府は、まず第一に、完全雇用達成への意欲をもっと積極的に持つべきであります。その上に立って、抜本的な姿勢に転換をすべきではないでしょうか。  次に、現在の改善されないいわゆる雇用情勢の問題点を指摘すれば、次の三つの点になろうかと考えるわけでございます。  一つは、景気回復のおくれであります。政府は、今回七%成長を放棄して六%程度の見込みに抑制をしました。このことが国際的に見ても最も高い成長率であると言っているわけでございます。しかも五十四年度は減税も考えておりません。さらにまた、賃金上昇についても低く想定をしている結果であろうかと思いますので、この点は大変に不満でございます。実質成長率を七%近くにまで高めるように要請をしたいと思います。そういう努力が積極的に行われない限りにおいて、いま主張されている六%程度の経済成長というのも達成するのがきわめて困難なのではないかと感ずるからであります。  昭和五十二年の通常国会におきましては、衆参両院の社会労働委員会で、定年の延長に関する決議が採択をされました。同時に五十三年には雇用の安定に関する決議が本会議でなされたわけでございます。私どもはこのことについて大変に感謝をいたしているわけでございますけれども、結果的に見まして、定年延長にしても、労働時間短縮あるいは週休二日制等の問題というのは、各資料を見ましても停滞したままの状態であろうかと思います。そのことは雇用の改善には結びついていないからであります。しかも、昭和五十三年度の一人当たり残業時間は二・九%増でありまして、月平均十二・三時間でございます。特に昨年の七月以降は四・三から六%の残業時間の増加となっております。このことは、企業業績のいわゆる回復について、人員の削減と残業によって賄われているという実態であると言っても私は過言ではないと判断をするものでございます。  そして、このことのしわ寄せは雇用情勢の悪化と停滞を招いております。特に中高年層の失業と雇用不安を強めております。また、失業多発地域の情勢悪化に拍車をかける結果となっております。中高年齢者雇用促進法に基づく中高年の雇用率の達成目標は、昨年六月現在でいまだに四二・七%にとどまっているのが現状であります。有効求人倍率についても、中高年齢層は全国平均で年齢階層別に〇・四二から〇・〇八であります。したがって、特定不況地域ではさらに低いということは明白な事実であります。  私どもは、以上のような雇用情勢の問題点の認識の上に立って、次の点について要望したいと考えております。  それは、総合的雇用政策の展開でございます。  昭和五十四年度は、雇用情勢の明るい見通しが得られるように確信ある対策を講じていただきたいと思います。政府としては、離職者防止、離職者対策等の現行法の活用、強化のための予算については相当程度計上いたしております。したがって、この点については触れません。  まず第一に、雇用吸収に関する基本対策の強化が望まれます。  わが国の経済は、潜在的雇用吸収力を持っていると判断しております。各企業、特に企業業績の向上しつつあるところが、仮に一つの企業が一人でも三人でも雇用拡大を図るという意欲を高めることができるならば、完全雇用体制の展望というものはまず開けてくると考えております。昭和四十九年の有効求人倍率は〇・九八であります。そのときの完全失業者は八十万人と統計が示しております。現在は有効求人倍率が約〇・六で、完全失業者は百二十万を若干超えております。その差は四、五十万ということになるわけでありまして、日本におきましては、法人企業の数が百五十万からあると言われております。仮にその中の三分の一の五十万の企業が一人でも二人でも人を採用するという雇用吸収の態度をとるということになれば、まず第一段階として、当面、完全雇用の一つの足がかりをつかむことができるのではないかと考えます。これらを具体化していくためには、まず第一に定年制の延長が必要であります。同時に、また、労働時間の短縮、週休二日制の促進、残業規制等について、雇用との結びつきで具体化されることが必要であります。  その促進のためにも一、まず第一に次の点を取り上げたいように思います。銀行、政府機関などの週休二日制を前向きに進めることと、労働時間短縮のための現在出されております労働省の労働次官通達による指導の強化の問題でございます。  次に、第二としまして、新たな発想として、雇用創出機構の設置について国会で審議をしていただき、雇用機会の創出を具体化していただきたいと思います。本件につきましては、労働四団体でも寄り寄り協議を進めております。基本的には意見が一致しておりまして、共同歩調をとるということを再三確認をいたしております。また、民間二十単産でつくられております政策推進会議も同一意見でございます。その目的は、構造不況により失業の多発している地域の雇用拡大、特に中高年齢層の雇用機会の創出をねらいとします。そのことは地域の潜在需要の開拓でございます。機構は政府、民間の共同出資で設立をし、政労使で運営をする。さらに学識経験者の協力を求めたいと考えます。したがって、この機構は中央並びに必要とする地域に設置をしたいと思います。機構の主たる任務は調査、企画、立案の段階でありまして、そのことによって創出される事業は民間企業によって経営をしていくということでございます。政府は、この事業を経営する民間企業に対し、当分の間大幅な各種の助成措置を行うようにしていただきたいと思います。  以上の点につきましては、雇用創出機構の輪郭を述べたものにすぎません。私どもは、昨年十一月ごろから各界に協力していただくための要請をしてまいりましたが、具体的な内容はともかくとしましても、考え方の基本としては相当程度の共鳴が得られたと感じているわけでございます。  以上申し上げましたけれども、雇用吸収に関する基本対策の強化ということは絶対に必要であります。そして、私どもは、雇用創出のために具体的な調査を現在いたしております。まだまとまる段階には至っておりませんけれども、各地方同盟などに依頼をしまして、いま頭の中で考えられる、いわゆる雇用創出の中身はどういうものかということを調査しておりますが、二月中にはまとめたいと考えているわけでございます。  もちろん、教育、医療、社会福祉、文化、緑化、清掃、あらゆる角度からのいろいろな問題点がそれぞれあろうかと思いますし、それらは地域の実態に応じて研究、調査がされるべきであろうかと考えるわけでございます。  なお、定年延長などの問題につきましては、先ほども触れましたけれども、当面、最低六十歳までの定年延長を早期に定着をしなければならないと考えます。  また、全体の雇用政策としては、完全雇用を頭の中に描きながら、そのたあの政策体系を新たに組み立てるという必要性が今日、国全体としてあるのではないかと思います。そういう考え方に立ちまして、われわれは、総合的ないわゆる完全雇用政策に踏み切っていただきたい。同時に、また、中途半端なことになってまいりますと、これから二年たっても三年たっても、会議のみが持たれて、具体的に雇用吸収の道を探し出すことはなかなかできないという難点があろうかと思います。  いま、財政再建問題が最も重要な時期にぶつかっていることは私どもよく承知をいたしております。私どもは、来年度に実施をするという一般消費税問題についてもこれからさらに考え方を固めていきたい。こういう段階があるわけでございます。そういうときに当たって、われわれはやはり雇用問題について、まずその見通しを明らかにするということが一番重要な問題なのではないかと思います。これを大変なまぬるいままに抱え込んでいったならば、財政再建問題も思わぬ難局にぶち当たるであろうというように感ずるものでございます。  以上で終わります。(拍手)

竹下登自由民主党

○竹下委員長 どうもありがとうございました。  次に、辻公述人にお願いいたします。

辻弥兵衛全国商工会連合会会長

○辻公述人 私は、ただいま御紹介を賜りました全国商工会の連合会長の辻でございます。  来年度の政府予算案につきまして私見を申し上げる機会を与えていただきましたことに対しまして、衷心より感謝を申し上げたいと存じます。     〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕  来年度の予算案全体につきまして申し上げますと、大蔵大臣の提案理由の説明要旨にもございますように、現下の厳しい財政事情のもとで、できる限り財政の健全化に努めることを基本として編成されたとのことでございますが、予算案を拝見いたしますと、経常的な経費は対前年一〇・九%増にとどめるとともに、投資的な経費につきましては一二・六%の増となっておるわけでございまして、このことは十分に評価できると思います。しかしながら、財源の制約によりまして、全般的に見てまだ不十分なものがかなりたくさんあるように思われます。しかし、各省庁にまたがるすべての予算案につきまして意見を申し上げるだけの知識もなく、勉強もいたしておりませんので、私どもに最も関係の深い中小企業関係予算に限定いたしまして、若干の私見を申し述べたいと存じます。  先ほども申し上げましたように、総括的に考えまして、厳しい財政事情の中で中小企業対策費の伸びが一般会計の伸びを若干上回っておりますほか、その施策の内容につきましても、いわば、いままで講ぜられておった緊急対策に加えまして、中長期的な展望を踏まえた前向きな新規施策が数多く盛られております点は、私どももきわめて高く評価をしておるところでございます。しかし、中小企業対策費全体は、御承知のようにわずか二千三百十七億余円でございまして、全国の五百四十万事業所、三千百五十万の従事者を抱えております全国の中小企業の果たしております役割りにかんがみて、いかにも少ないということは否定できないと思います。  五十四年度一般会計予算の合計額は、御承知のように三十八兆六千億円余でございますが、その中で中小企業関係の予算の占めております比率は、わずか〇・〇〇六%にすぎません。いつも比較されます農林漁業関係の予算に比べ、たとえば農業基盤整備費一つをとってみましても八千九百六十九億円に上っておるわけでございまして、中小企業対策費の全体がこの農業基盤整備費のわずかに四分の一強にすぎないということは何としても残念でございまして、予算の編成の面あるいは政治の面におきまして、なお農本主義的な考え方が強く残っておるということを私どもは感ぜざるを得ないのでございます。  戦後この三十年間におきまして、日本の輸出産業の強い国際競争力を下から支えてきました膨大な下請企業群のたゆまぬ技術革新への努力があればこそ、日本は今日の経済大国を築き上げることができたと私どもは考えております。今後もまた、発展途上国あるいは中進国の追い上げを払いのけて、たゆまぬ技術革新によりまして、常に高い国際競争力を維持していく新しい産業構造への転換がわが国産業界の最も重要な課題であるとするならば、そのための積極的な先行投資こそ、わが国経済の将来のために今日私どもがぜひやらなければならない問題であろうかと思います。そのためにも、現在中小企業者が求めている数多くの施策にかんがみても、来年度の予算の二千三百億余円の金額は決して満足すべきものではございませんし、来年度以降政府の一層の御努力を期待してやまないところでございます。  次に、若干各論に入りまして、幾つかの意見を申し述べたいと思いますが、まず、中小企業の経営安定対策についてでございます。  一昨年来の円高対策あるいは特定不況地域対策などについて、機動的な対策が次々と打ち出されてきたのでございますが、依然として中小企業全体は厳しい環境に置かれておるわけでありまして、中小企業の経営安定対策につきましては、今後とも万全を期せられたいと存ずるわけでございます。特に、来年度は下請企業対策の充実が図られておるようでございますが、下請企業は円高不況の影響を最も強く受けており、これらの安定対策は、さらに一層の充実を特にお願いしてやまないものでございます。  次に、中小企業の活路開拓の推進についてでございますが、まず、産地中小企業振興対策について申し上げますと、各産地の中小企業につきまして、新製品、新技術の開発あるいは需要開拓等につきまして、その活路の開拓を促進しようとする方向が示され、それについての若干の予算がつけられておることは私ども十分に評価するのでございますが、現在問題になっております産地中小企業対策の臨時措置法を今国会でぜひひとつ成立をされるよう、心から期待してやまないものでございます。  また、指導情報化対策について申し上げますと、情報化対策は、今後の中小企業と大企業との格差是正を図る意味できわめて重要な施策であろうかと思います。来年度予算におきましては、規模的にまだまだその点が不十分でございまして、さらに一段の拡充をお願いを申し上げたいと存じます。  次に、私どもの最も関心の深い小規模事業対策について申し上げたいと存じます。  昭和三十五年に、いわゆる商工会の組織等に関する法律が制定されて以来、中小企業、なかんずく小規模企業者に対します施策が年々増強されてきたことは心から感謝にたえないところでございまして、来年度の予算におきましても、先ほど申し上げましたように、きわめて意欲的な新規事業が幾つか取り上げられておりますことは大変結構なことだと考えておりますし、また、私ども、今後のいわゆる三全総におきます定住圏構想、あるいはまた大平首相が提唱されております田園都市構想を実現するためにも、その中核体としての役割りを担うのは、今日まで地域の産業経済を支えてきた地域中小企業者の大きな役割りであり、これらの中小企業、なかんずく小規模事業者に対しますこれらの施策の一層の充実を期待してやまないものでございます。  次に、中小企業の商業、サービス業対策について若干申し上げたいと存じますが、まず、小売商業の問題は、これからは小売商業あるいはサービス業に対する施策が一番重要な時期に直面をいたしておると思います。  御承知のように、大店法あるいは商調法の改正が行われ、近くこれが施行されるわけでございますが、この厳正な運用はもちろんでございますが、法律の制定だけで問題は解決しないわけでございますので、大型店の進出に対応いたしまして、地域小売商業の振興を図るということがやはり一番重要な課題であろうかと存じます。来年度におきまして、小売商業の振興対策を充実しようという姿勢を政府原案から読み取ることができるわけでありまして、その点は評価ができるのでございますが、金額的にはまだまだ不十分であることを指摘せざるを得ないのでございます。  サービス業の対策につきまして申し上げたいと思いますが、第三次産業の中でも特にサービス業対策は、今日まで中小企業対策が最もおくれておった分野であります。彼らの持っておる行政ニーズを十分に把握し、近代化高度化資金等の適切な運営により、サービス業の振興を一層図っていかなければならないと思います。この点につきまして、政府御当局の今後の御努力を切にお願いをいたすわけでございます。  最後に、結びとして申し上げたいと思いますが、最初にも申し上げましたように、今後の日本経済は激変する国際環境のもとで全く新しい産業構造への移行を迫られているわけでございますが、そのためには、日本の経済の底辺を形成いたしております膨大な中小企業がどのような役割りを果たすべきか、いわば八〇年代の中小企業のビジョンを明確に打ち出していただき、中小企業の進むべき方向を明示されるよう望んでやまないものでございます。  以上、意を尽くしませんが、五十四年度の政府予算の原案につきまして私どもの考え方を申し上げさせていただいたわけでございます。ありがとうございました。(拍手)

伊東正義自由民主党

○伊東委員長代理 どうもありがとうございました。     ─────────────

伊東正義自由民主党

○伊東委員長代理 これより各公述人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川寛三君。

谷川寛三自由民主党

○谷川委員 ただいまは御三方から貴重な御意見を承りまして、私ども予算審議の上におきまして大変勉強になりました。厚く御礼申し上げます。  残念ながら大変時間を制限されておりますので、いま思いつきました事柄をまず質問を申し上げたいと思います。  最初に肥後先生に承ります。  いまもお話がございましたが、五十四年度の予算案は、景気、雇用対策と財政再建という大変むずかしい問題に、政府としましても大変苦労をして取り組んでおる跡が見られます。しかし、お話しのように、公債発行額は近年急増いたしまして、依存度は終戦の大混乱期の水準にまで達しておる。私は五十四年度の公債発行額をドル勘算してみましたが八百億ドルで、驚くなかれ、最近年度のアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランスの、この四国の財政赤字の合計額六百億ドルを上回っております。それから、また、カナダの一九七八年度の歳出規模の倍に当たっております。しかも、ただいまの証券会社引き受けの一般向けの国債の消化は去年の夏ごろから大きな壁に突き当たっている。こういう状況でございます。  お話に出ましたように、政府の財政収支試算によりますと、歳出を相当切り込みまして、租税負担率の六十年度予想値を現在よりも七ポイントほど引き上げることによりまして、やっと五十九年度に特例公債をゼロにすることができる。その場合でも六十年度の公債残高は約百四十兆円、増税を予定しない場合には約百八十六兆円という気の遠くなるような数字が予想されております。ところが、お話しのように、国民の皆さんにはこのような危機的現状がおわかりいただけてない。いまもお話がございましたが、高度成長期の惰性になれまして、福祉の充実要求はしますけれども増税には反対だ、公共料金の引き上げもいやだ、こういう一般的な空気でございます。大変心配でございます。財政再建と言いますけれども、一体可能なんであろうか。私、率直に言いましてそういう危機感を持っております。  先ほどの財政収支試算などを見ましても、一般消費税の導入だけでは財政再建は困難ではなかろうかとも考えるものでありますが、いかがでありましょうか。先生も、一般会計だけで財政再建を考えるのではだめだ、特別会計及び少なくとも政府関係機関あたりまでを含めて検討すべきではないか、特に、いわゆる三K財政の健全化には徹底的なメスをふるうべきである旨のお話がありましたが、これらの点につきましてもう少し具体的にお話を承りたいと思います。  それから、もう一点承ります。不公平税制のお話が出ました。もちろんこれは徹底的にやらなければなりません。今度の予算案でも手をつけております。ところが、不公平税制の整理だけでも数兆円の増収が期待できるのだから一般消費税などはやらなくてもいい、財政再建はこれだけでできるのだという意見が一部にございます。しかし、私は、いろいろな租税特別措置の中には、たとえば会計上の原則に基づく措置もありますし、中小企業の利用するものもありますししますから、しかく多額の増収を期待することはできないのではないかというふうに思うのでありますが、先生の御意見を承っておきたいと思います。  それから、もう一つは、辻会長さんに伺いたいのでありますが、私も中小企業が高度成長の時代に大きな役割りを果たしたことを評価しております。また、中小企業の健全な発展は穏健な社会の中層階層の育成にもつながるものでありまして、大変重要であると考えております。そして、この間にありまして、商工会が中小企業、特に小規模事業の経営改善等のために大変な貢献をされてきたことも評価しておりますが、いまのお話しの中で、三全総のいわゆる定住圏構想の中で、中小企業がどのような役割りを果たすべきであるか、中小企業の進むべき方向を示してほしいというお話がございましたが、私は、逆に、会長さん御自身としてどのようにお考えになっておられるか、伺いたいと思います。それから、また、この場合に、商工会が地域経済の発展のために果たす役割りにつきまして、どのような構想を描いておられるかも承っておきたいと思います。  以上、とりあえず伺います。

肥後和夫成蹊大学教授

○肥後公述人 谷川先生にお答え申し上げます。許されました時間が少のうございますので、十分に意見を尽くせない点があると思いますが、失礼をお許しいただきたいと思います。  私は、一般会計だけについて申しますと、たとえば主税局の試算で五十四年度、五%の一般消費税導入で三兆円弱という一応の見通しを発表になっておりますが、これを五十五年度に引き延ばすとしまして、一応国の財政収支試算に計上されております五十五年度程度の税収は一般消費税で十分に賄えるのではないかと考えておりますが、ただ、御質問をいただきましたように、一般会計以外の会計分野に膨大な赤字の累積が見られるのでございまして、従来ですと、ある時期にまで赤字がたまりますと、これを一般会計負担でたな上げするというやり方をとっておりましたけれども、とてもその余裕はないと思うわけでございます。  もう少し具体的に申しますと、たとえば食管会計の問題でございますが、末端逆ざやを五十四年度ようやく解消できましたものの、売買逆ざやあるいはコスト逆ざやが残っております。それを一般会計で埋めているわけでございますが、国のその介入の結果、米価水準自体が高くなって、米づくりの体制そのものの根本体質が怪しくなっているという問題があります。これはやはり高度成長惰性型の運営の結果ではないかと思っております。  また、国鉄につきましても、御承知のように、五十二年度の決算で八千億円余りの純損失が出ておりますが、五十三年度も同様程度のように思われますし、それから新幹線計画の整備でまた初年度から九千億円余りの赤字が出るというような予想もあります。これは一体どうするか。従来のようにとても一般会計負担でしりぬぐいするということはできない。真剣にやはり御検討をお願いしたいと思います。  まあさしあたり一番長期的な影響があるものは社会保障財政でございますが、四十八年度に三千億のたな上げをしまして、その後また五十三年度末に二千億円余りの累積赤字が出ております。これは国保についてもまた同様な問題がございまして、医療保障体制を正常化しなければ、とにかく年金の適正な設計ができない、重大な問題であると思います。これをすべて一般会計で賄えと申しましても、実際無理だ、もっと受益者負担あるいは原因者負担の原則を忠実に実施するとか、不効率経営の効率化に努めるとかいうことが必要ではないかと思います。  第二番目の御質問の点でございますが、私は、税金というのは、やはり品行方正で百点満点という欠点のない税制はないと思っております。いろいろな税制を組み合わせて初めて一応大体バランスがとれてくる。それからまた、税制だけではだめで、支出とかみ合わせないと欠点を完全にぬぐい去れない、そう思っております。そういう点で、直接税中心の税制と申しますのは、たてまえとしては百点満点の税金だと見られておりますけれども、本音の方ではクロヨンの問題その他いろいろな問題がありまして、少なくとも一部直接税体系を補完するという意味で、やはり消費能力に着目した税制をもう少し強化してもいいのじゃないか。だからと言って、直接税中心の税体系を根本的に変えていいというわけではありませんし、またそうはならないと思っております。しかし、直接税そのものの不公平税制の是正を大いにやるということは、これは大事でございまして、その点でいろいろあるわけでございますが、個人貯蓄奨励のウエートはかなり租税特別措置では大きゅうございます。  それから、そういう意味では、企業優遇税制の税収としてのウエートはそう大きくないという見方につきまして、もっと企業優遇税制を強化すれば一般消費税を導入しないでも十分に財源を賄えるのではないかというような御指摘もありますが、谷川先生がすでに御質問の際御指摘になられましたような、要するに法人税制としての本質的な仕組みの問題として、いろいろ租税特別措置を完全に否定できるのかどうなのか。たとえば貸し倒れ引当金のようなものを全く無視できるかというと、やはり程度の問題ではないか、あるいは所得税と法人税の調整の仕組みとして認められている受け取り配当の損金算入のようなもの、あるいは価格変動準備金のようなものも、これは全く無視できるかというと、これは租税理論上重大な問題でございまして、結局はやはり程度の問題ということになるのではないか。それから赤字法人の存在というものもございますし、中小企業対策として考慮しなくちゃならないものもあるということになりますと、企業優遇税制について、なお程度の差という点で政策上のいろいろな判断の幅はあると思いますが、そんなに東京都新財源構想研究会あたりで取り上げていられるほどに税収を期待できるとは私は思っておりません。  なお利子配当あるいは株式、土地の譲渡所得課税の問題について、特に利子配当等について現行の特例は五十五年度末で終わりますので、さらにやはり検討が必要であると思いますし、社会保険診療報酬につきましても、政府税制調査会で、昭和五十年度の税制改正に関する税調答申の具体的改善案に基づき是正を図るべきであるという意見を答申をしておりますが、私も、どちらかと言えば五十年度の税調答申の線の方を支持したかったわけでございます。  それから土地税制につきましては、これは地方税制として固定資産税の点で、近郊農地の宅地並み課税についてもっと考慮の余地があっていいのではなかったかということを、昨年大蔵委員会にお招きいただきましたときにもそういう意見を申し述べたわけでございます。またこれが住宅政策とも非常に緊密に絡んでいるように思います。  簡単でございますが、以上のようなことでございます。

辻弥兵衛全国商工会連合会会長

○辻公述人 谷川先生の御質問に対しましてお答えを申し上げたいと思います。  商工会は、いわゆる定住圏構想とか田園都市構想とか、そうした中でどういう役割りを果たそうとしておるのか、八〇年代のビジョンということをあれだが、むしろこちらからどういうことを考えておるのかというふうな御質問でございまして、先ほども私の意見の陳述の中で申し上げたわけでございますが、やはり今日の日本の高度成長を支えてきたのは、確かに大企業を中心とした国際輸出競争力というようなものが高度成長の大きな牽引力であったと思いますが、それを支えてきたのはやはり中小企業であるということと、それから、高度成長というものは、やはり人口であるとかあるいは資源であるとか金であるとか、そういったようなものをある一定の地域に集中することによりまして、いわば集中のメリットを最高度に発揮することによって、日本は高度成長を遂げてきたと思います。その反面に、社会的には過疎過密の問題を生み、地域の経済力を相対的に弱めてきたということは疑いのないところであろうかと思います。したがいまして、いまの三全総がねらっております定住圏構想あるいは大平総理が御提唱になっておられます田園都市構想も、そういったいわば高度成長のひずみを是正して、本当に均衡のある国民経済の発展を図らなければいけないのだ、そういう考え方に基本的に根差しておると思います。  その意味で、私ども商工会ば、先ほどもちょっと申し上げましたように、昭和三十五年の法制定以来、来年でちょうど二十年を迎えるわけでございますが、その間、政府並びに国会の諸先生方の非常なる御理解ある御支援、御鞭撻をいただきまして、現在では北は北海道から沖繩まで二千八百四十五の単位商工会、会員数百万を超えるものになり、また青年部、婦人部を合わせますと百二十万を超える、地域をベースといたします商工業者の組織体としては最大なものに成長さしていただいたわけでございます。私どもはそのことを考えまして、これからの均衡ある日本の国民経済の発展のためには、何としても地方が力をつけなければいけないのだ、最近、地域主義とかあるいは地方の時代とかいうことが言われますが、それはやはりそうした高度成長のひずみを是正していこう、そして地方がよくならなければ本当の意味の日本の国民経済の均衡のある発展とは言えないのだということが国民的なコンセンサスになってきておる、かように私どもは考えておるわけでございます。  そういった意味で、御承知のように商工会は、主として大都市を除く、地方の市町村におきまして企業を営んでおります地域商工業者の総合的な経済団体でございますが、地域の発展のためには従来からも積極的に事業を推進しておるところでございまして、もちろん今後とも地域の発展につきましては、中核的ないわば先導的な役割りを果たしていく決意を持っておるわけでございます。そのためには地域の生活環境の改善、それは当然地域に経済的な力をつけることによりまして物的な環境条件を改善していく、定住圏に住むところの人口を維持できるだけの経済的な基盤をつくることがその前提であろうかと思いますし、その当該地域の発展を推進することが必要でありますけれども、そのためには何と言っても人的な面で人材の確保ということも欠かせない条件となろうかと思います。  商工会といたしましては、従来も地域経済に密着してその発展に寄与してきたのでございますが、今後もまたそうした地域に密着した中小企業の育成に努力いたしますとともに、今後の地域を支えていく、今後の地域の発展を担うところの次代の後継者の養成に当然力を入れていかなければならない、かように考えます。いわば当該地域に根をおろし、積極的に活動するところの若手後継者の育成が急務であろうかと思います。このような点から政府におかれましても、商工会におきますそうした若手後継者の育成指導ということが非常に重要な課題であるということをお認めいただき、青年部、婦人部の組織育成対策として昨年度から予算を組んでいただいております。このことは、地域におきます青年部の活動を非常に勇気づけておりますことをこの機会に申し上げたいと思いますが、さらに私どもは、この若手後継者に広く世界の知識を与え、今後の日本の経済を支えていく広い見識を持ったそうした有能なる青年を各地域に配置いたしたい。そのためには地域経済の発展の中核的な人材として今後活躍するところの後継者を、長期にわたりまして海外で研修させる制度を検討いたしておるわけでございます。すでに商工会の経営指導員あるいはまた若手後継者に対しましては海外研修等が行われておるわけでございますが、それはいずれも短期でございまして、私どもは少なくとも一年間くらい長期に、将来の日本を背負うに足る後継者を海外におきまして勉強させよう、この留学生制度は単に大学に入るということだけではなく、あるいは企業の中で、あるいはまた地域社会の中で、そうした勉強をさせようというのでございます。  簡単に数字を申し上げますと、すでに申し上げましたように、たとえば商工会が二千八百有余ございますし、商工会議所が全国に約四百七十ほどございます。合わせまして三千三百のそうした地域をベースとした団体があるわけでございまして、たとえばそれに一地域三人くらいの青年を出すとすれば約千人の人になるわけでございまして、私どもは少なくとも十年間で約一万数千になろうかと思いますが、各全国の主要なる市町村三千三百の都市あるいは町村に、国際的な広い視野を持った今後の地域のリーダーとして活躍できる青年が五人ずつ配置されるということがもしできたならば、これは今後の日本の経済の発展に非常に大きな力になるのじゃないか、かように考えておるわけでございますので、この構想が五十五年度からぜひひとつ具体的な課題に上りますよう、先生方の特別な御理解と御支援をお願いいたしまして、御答弁にかえさせていただきたいと思います。どうも失礼しました。

谷川寛三自由民主党

○谷川委員 前川書記長さんに承る時間がなくなりました。大変残念でありますが、時間が来たので、これで終わります。ありがとうございました。

伊東正義自由民主党

○伊東委員長代理 これにて谷川君の質疑は終了いたしました。  次に、河村勝君。

河村勝民社党

○河村委員 公述人各位には大変お忙しいところを御苦労さまでございます。  前川さんと肥後さんにお尋ねをいたします。  われわれもいまの段階で雇用というものが一番心配であります。基本的にわれわれは、個別対策だけでは雇用問題は解決しないのであって、やはりなるべく高目の成長率を維持しないというと雇用の改善というのは望めないし、逆に悪くなるのではないかということを一番懸念しております。そういう意味で、最近、企業の減量経営が進んで企業収益が回復をしているから、五%くらいの成長でもいいのだというような意見が支配的で、今度の予算もどちらかというとそっちに傾いているものだと私は思っております。  前川さん、企業の実態に年じゅう触れておられて、その感じをお尋ねをしたいのでありますけれども、この程度の成長率、恐らく今度の六・三%というのは五十三年度六%成長を前提にしておりますから、それができないというともっと落ちる。年度内成長率はわずか三・三%ですから、この程度だとさらに企業の減量経営が進んで、いわゆる過剰雇用の切り捨てというものがまだ進むのではないかという懸念を一番強く持っております。その辺のところをどういうふうにお考えになっているのか、それをお尋ねしたいというのが一つ。  それからもう一つは、雇用創出機構の問題で、政府の雇用開発給付金その他の対策というのは評価してもよろしいのでありますけれども、これは就業しやすくするというだけであって、中高年齢者を雇いやすくするというだけで、雇用機会をつくるということにはならない。そこで何とか雇用を創出する機構をつくりたいという感じで、これまでも予算委員会で質疑をしておりますが、そこでなかなか政府側の納得を得られないことは、考え方はわかる、だけれども一体実効性があるのかというところが一番問題でありまして、さっきお伺いするところによりますというと、二月末までに具体例をおつくりになるというお話でございますが、できることならもう少し早くないと、最終的な政府と予算修正その他の話し合いをするのには間に合いそうもないので、もう少し早くならないかということと、もし、具体例の一、二でも結構でございますが、こういうものはどうかというようなものがございましたならば、それを聞かしていただきたい。まず、前川さんからお答えをいただきたい。

前川一男全日本労働総同盟書記長

○前川公述人 お答えいたします。  経済成長についてでありますけれども、やはり雇用の問題の改善を目指していくというための経済的な背景として、私は経済成長率を可能ならば少しでも高目に持っていくということが一番大切なのではないかと思います。たまたま前には七%成長が国際的な公約にまでなったと目されていたわけでありますけれども、今度の場合には全体の情勢の中から六%程度ということのようであります。現在の企業の実態などをながめてまいりますと、まだまだ設備投資などについての意欲が出るような状態にはなっておりません。石油ショック以来今日まで、長年にわたりまして長期不況が続き、その中でみずからの企業を何とか守っていこうということでいわゆる減量経営が行われてきたわけでありますから、そういう状態ではまだまだ安定的な成長段階に入ったとはとうてい言いがたいと思うわけでございます。そして安定的な経済成長段階に入っていくためにも、いまの状態では政府みずからが成長についてももう少し力強い姿勢を示してもらうということが一番大切かと思います。その意味では、私どもとしては七%に近い成長を目指したいという考え方を持つわけでありまして、雇用問題にとって前提条件は、やはり高目の経済成長であるということかと思います。そういうことで減税問題も、今度は政府の方ではとる気配は全くありません。しかしながら私はやはり減税問題も取り上げていただきたいし、あらゆる角度から多少なりとも高目の成長に持っていく、そういう予算措置をぜひともお願いをしたいと思っております。  確かに雇用問題については、私が先ほど申し上げたようないわゆる単なる数字の比較のように甘いものでないことはよく承知をいたしております。その意味では、減量経営という線が個別の企業で見た場合にはある程度功を奏しまして、いわゆる黒字決算の企業が大変にふえてきた、こういう実態なのではないかと思いますけれども、しかし、その中で資金の活用の問題であるとか、そういうことを効率的に行うということはごく自然だと思います。しかし、使っている人を何らかの形でいわゆる人減らしを行っていくということも減量経営の三つの柱の中に入っているわけであって、これはもう明確に経営側の代表がそのことを言っているわけでありますから、したがって人減らしの問題というのは減量経営にどうしてもついて回るというのがいまの実態ですから、これからも、いわゆる減量経営はある程度ぎりぎりのところへ来たのではないのかという見方もありますけれども、私は、雇用という面から見ますと大変危険をはらんでいると思います。すなわち、過剰雇用という名目のもとに、それぞれの企業の実態に応じて、人が可能ならば少しでも減っていくことが望ましいという態度ではないかと思います。そのことが結果的には定年制延長の促進を妨げるということにもなるわけですし、あるいはまた労働時間の短縮なり週休二日制問題も雇用との関係では余り考えられていない。隣の企業がそうだから自分の企業もやはりそうやっていくという連鎖反応が全体にあるのではないかと私は思います。そういうことで、いま指摘されましたように、経済成長の問題と企業のこれからのあり方という問題は雇用にとって大変に重要な面かと考えるわけでございます。  それから、雇用創出機構ということで私どもいろいろな考え方を検討してまいったわけでございます。具体的な中身に触れる前に一言申し上げておきたいことは、確かに今日わざ国は大変に国土が狭いわけであります。したがって将来の福祉社会を追求していくということになれば、大都市とそうでない地域との格差というのはどこかで地ならしといいますか、そういうことが行われていかなければならないわけであって、限られた都市に集中発展されるという状態というのは余り望ましくないわけであります。したがって、そういうことになれば、当然、恵まれない地域あるいはまた現在の構造不況業種に関連をして地域全体で失業が多発せざるを得ない、そういう地域というのは、こういう時期を機会として新たな発展を生み出していく必要があるのではないかと考えます。潜在需要の問題というのは長い目でもちろん見なければならないわけでありますけれども、限られた大都市以外のところには需要がないということではないわけであって、十分な情報網が発達をし、一つの機構ができて、それに対して取り組みをみんなが進めていこうということになれば、いわゆる需要の開拓というものに手をつけることができるのではないか。したがって、そういう意味で潜在需要というのはどこの地域にでもあり得るものである、そういう前提に立たなければいけないと思います。  そして、実は二月末と言いましたが、私も出かけていくことになっております。一部の地域では若干調査を開始しているわけで、それぞれ地域の組合に現在検討してもらっているということですが、これはなるべく早めるように努力をしたいと思います。一つの地域の中で、たとえば緑化問題といったようなものは、私は、これはむだなものではなくて、いまの雇用情勢の中において、その地域をこれから発展せしめていくということではあり得ることだし、あるいは河川の清掃問題などについても、そういう問題を取り上げることができるかもわからない。もちろん、これらは地域の実態で大分違ってくると思います。その意味におきましては、具体的にいま考えられるものは一体何だろうかということを、それぞれ今日まで要請してまいりました政党なり各団体なりに説明をする機会をなるべく早く持つように努力をしたいと思います。そういう意味におきまして、この問題につきましてはぜひとも十分な御検討をいただきたいと思います。

河村勝民社党

○河村委員 時間がありませんので、ごくポイントだけお尋ねをいたします。  肥後さんは、今度の政府案はいまの段階では大体このぐらいのところでやむを得ないだろうというお感じのようであります。その中で公共料金の値上げと増税、ガソリン税の値上げのようなものですね、それからたばこ、米、国鉄、そうした公共料金の値上げというものをことしやることが一体いいことなのか悪いことなのか。中期的な財政均衡はどうせ考えなければならぬことはわれわれも承知をしております。しかし二兎を追う者は一兎も得ずで、ことし景気維持型程度の財政規模の中で、こうした内需の足を引っ張るような公共料金の引き上げやガソリン税のようなものの引き上げ、こういうものはマイナス効果の方が大きくて、そのかわりに四、五千億国債を積み上げるよりもはるかに悪い、私はそんなような感じを持っているのですが、御意見を伺いたい。

肥後和夫成蹊大学教授

○肥後公述人 確かに御指摘のような問題もあると思いますが、財政の運営では中期的な視点からのかじ取りと短期的なかじ取りとの調整が非常にむずかしゅうございます。先ほど谷川先生の御質問の中にもありましたように、十五兆三千億円という公債発行は、これはとにかく先進四カ国の赤字を合わせたよりも大きいというように、大分がんばっているわけですが、どうも最近息切れしてまいりまして、これが、景気予測は非常に水ものでございまして、昨年五十三年度の財政収支試算が一年で、五十四年度ベースではずいぶん変わってきたわけでございますが、どうも最近の景気の動き等を見まして、景気が好転した段階で、公債管理が非常にむずかしゅうございますので、インフレの引き金になりかねない。その場合に、インフレになったら、これは一応回復基調にある経済もさらにおかしくなってもとのもくあみになりますので、まあ、たばこの値上げ等は私は構わないのじゃないかと思っておりますが、たばこについては値上げしましても専売納付金のふえ方が非常に減っております。そういうこともありますし、それから国鉄の場合には、あの赤字を一体どうしたらいいかという問題を抱えているわけでございまして、公共料金の値上げについて一年延ばせという御意見も確かにごもっともなのでございますが、私は、やはり一挙には国鉄の改善はできませんので、経営効率化の努力と相まって、上げるべきものは上げるのはやむを得ないと考えております。お米につきましてもやはり同じような立場で、私、つい最近まで米審の委員をしておりましたが、やはり余り政府が過剰介入をすることが結局は日本の農業の体質を弱めるという立場をとってまいった次第でございます。

河村勝民社党

○河村委員 受益者負担の原則は私は、正しいと思っているのです。だから、ことしという意味ですね。ことしやるのが一体いいか悪いかということを本当はお尋ねしたかったわけです。国鉄などに至っては上げたって収入は上がりませんね。物価を上げるだけで収入には何にも寄与しない。ほとんどナンセンスだと思っているのですけれども、きょうは時間がございませんから、それだけ申し上げて、終わります。

伊東正義自由民主党

○伊東委員長代理 これにて河村君の質疑は終了いたしました。  次に、二見伸明君。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 すでに二人の委員の方から御質問もあり、貴重な御意見を承りましたので、私は一点だけ三人の方に伺いたいと思います。あるいはこれは三人の方の御専門外のことになったらば本当に申しわけないと思いますけれども、非常に今日的な問題でお尋ねをしたいと思います。  実は御存じのようにイランの革命が行われまして、ホメイニ政権がどういうような政策をとるかわかりませんけれども、巷間うわさされているところでは、石油問題というのは今後深刻になると私は思います。この石油問題か深刻になるということは、ことしの日本経済に少なからぬ影響を持ってくるわけでございまして、私はこれは景気にマイナスの作用をするものだというふうに考えています。アメリカはすでに年の初めから石油を節減する政策をどんどん打ち出しておりますけれども、わが国では景気との関係もございまして石油節減には消極的な態度をずっととってきておりますが、しかし、備蓄の取り崩しもすでに行われているというふうに聞いております。今後これが日本経済に深刻な影を落としてくるとするならば、恐らくことしの秋以降じゃないかと私は想定いたしますけれども、われわれは秋以降に一つの選択に迫られるのじゃないか。というのは、石油備蓄を取り崩してでも景気を維持すべきだという考え方が出てきます。もう一つは、長い将来のことを考えれば、石油備蓄をそのように余り大幅に取り崩すのではなくて、六・三%の成長には多少犠牲があってもやむを得ないのじゃないかという考え方も出てくるだろうと思います。この点について三人の公述人の方の御意見を伺いたいわけであります。特に前川さんは雇用との関係が出てくるだろうと思います、辻さんの場合には地域経済、もっとありていに言うと商店の売り上げにもかかわってくる問題だろうと思いますので、お考えのほどをお示しいただきたいと思います。

肥後和夫成蹊大学教授

○肥後公述人 二見先生のイラン問題から石油問題をどういうふうに考えるかということでございますが、景気の回復についていま一番懸念されるものは、イランのあの情勢によって石油の価格が値上がりし、それが景気回復に水をかけることにならないかという心配でございます。その場合に、やはりインフレの心配が非常にございます。先ほど河村先生から公共料金の値上げについて一年ぐらい延ばしたらどうだというような御意見もありましたが、やはり景気と物価安定と長期的な安定成長、その辺の選択に関する政策判断の問題でございますが、この際、長期的な、中期的な視点で、インフレの再発がなくて、とにかく安定的に回復軌道に乗せられるような正常化路線を、財政再建といったような正常化路線を優先すべきである、こういうふうに考えております。

前川一男全日本労働総同盟書記長

○前川公述人 御指摘がありましたように、石油問題というのは大変むずかしい情勢が生まれつつある、そういう判断がもちろんあります。私としましては、これから数カ月後にどういう事態が起きるだろうかということを危惧するわけであります。ただ、成長の問題については基本的な方針を踏まえて、その方針を可能な限り実行してもらう。その結果、特別な事態があった場合には、緊急の対策を考えるという以外にはないのではないか。  それから、もしこの問題が悪い方向に発展するということになれば、日本の場合にはもう九九%近い石油の輸入が実際には行われているわけでありますから、そういう混乱が起きた場合に、よりその困難を軽い程度に済ませていくというためには、やはり国全体としてのエネルギー政策をもっとしっかりしたものにしなければならないと思います。備蓄問題にしても、アメリカあるいはその他の国から見ればややおくれて進んできたように考えるわけでありますし、その対策は一体どうなっていくのか。あるいはまた、石炭問題にしましても、国内炭が二千万トンベースというようになっておりますけれども、実際には国内炭は比較的高いということからなかなか引き受け手がないといったような、こういう状態が現実に生まれているわけですね。これは一体どうしていくのだという問題がありますし、しかもすべて外国炭だけで賄われていくというのでは大変問題があるでしょう。こういう問題があります。あるいはまた、原子力問題などは立地条件をめぐって十年たっても原子力発電所ができないというのがいまの実態だと思うのです。こういう問題についての取り組みというのも、それぞれが取り組むということではなくて、やはり国全体としてもう少し責任のある取り組み姿勢といいますか、そういうものを考えていく必要があるわけであって、単に電気事業者であるとか地域であるとか、そういうところがそれぞれ行うという現在の姿勢というものをもっと根本的に転換していく、そういうことがいまから早急に行われていかなければならない、そういう問題を将来を含めて持っているのではないかと思います。

辻弥兵衛全国商工会連合会会長

○辻公述人 二見先生の御質問は私の専門でございませんので的を外れた御答弁になるかとも思いますが、私は石油の問題は、先ほどお二人の方から御意見ございましたように、日本の経済にとって非常に大きな影響を与えることは事実だと思います。日本の経済は、御承知のように非常に資源に恵まれない、こういった構造を持っておるということは日本経済の宿命でございますし、アメリカのような石油の資源を一番多く持っておる国がいち早く消費の節減というふうなことを国民に呼びかける、あるいは中東からの輸入量をふやして、ドルの値打ちがあれほど下がっても石油を買いだめて、自分のところの物は使わないようにするというふうな努力をやっておるわけでありますから、そのことから考えましても、資源に乏しい日本が、いまのような比較的自由な形で石油が使えるということは国民としてはやはり考えなければいかぬのじゃないだろうか。そのことが、先生も御心配いただきましたように地域の経済、特に零細、小企業者に対して確かに影響を与えることは間違いないと思いますけれども、しかし長期的な観点に立った場合には、ある程度のがまんをすることはやむを得ないのではないか。ただ、その間に石油にかわる新しいエネルギー源の開発といったようなもの、そういったことに対してもっと積極的な予算をつけて日本は努力をする必要があるのではないだろうか。その間にはいまの日本としては、たとえば備蓄を崩すといいましてもわずかに九十日程度の備蓄しかないということでありますから、極端な議論をすれば、九十日間何も入らなければ全く日本の経済はお手上げということになりかねないわけでありまして、そういうことは現実には起こらないでしょうけれども、イランの政情というようなことは、将来のことはよくわかりませんけれども、いま国民が石油というものに対して、日本は本当に平和に恵まれてここまで成長することができたわけでありまして、そのことに対する私を含めて国民全体の認識が甘いということは言えると思います。そういう意味でやはりこの際、ある程度の石油の値上げであるとか、あるいは規制というようなものはこれは避けられないのではないだろうか。そのことが、地域の中小企業者に対して若干の影響が出てもこれはやむを得ないのじゃないかというふうに私は理解しております。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 ありがとうございました。

伊東正義自由民主党

○伊東委員長代理 これにて二見君の質疑は終了いたしました。  次に、依田実君。

依田実新自由クラブ

○依田委員 時間も限られておりますので、肥後先生にいろいろ御質問したい、こう思うわけであります。  肥後先生のお話いろいろ承らせていただきました。最後に先生もおっしゃいましたように、このインフレというのは経済的弱者に被害を及ぼす、こういうことで一番心配されておるようでございます。最近、不況でございますけれども、いわゆる所得の格差と申しますか高額所得者と中低所得者との間の格差、去年あたりから開いてくる、そういう意味でこのインフレというものがひどくなりますと、ますます弱者の方に悪い影響を与える、こういうふうに思うのであります。  そこで、このインフレの問題にしぼりまして二、三、ひとつ先生にお伺いをさせていただきたい、こう思うのであります。  先ほど河村委員からもお話がございましたけれども、先生のおっしゃる受益者負担、この理論は非常によくわかるわけであります。しかしながら、経済企画庁の見通しなどを見ましても、いわゆる政府の主管しておる国鉄とか大学、米価あるいはたばこ、これだけでもことしは〇・七%ぐらい消費者物価を押し上げる要因になるのではないか、こう言われておるわけであります。しかし、こういう公共、政府主導の料金が上がることによりまして、もうすでに現実にはタクシーであるとかあるいは将来ガソリン税の増税に伴うガソリン、こういうものも必ず上がってくるわけでありまして、そういうことからすると、果たして、この〇・七%ではとてもおさまらないだろう、こう思われるわけであります。一方、国債の方は相変わらず発行高がふえるわけでありまして、この辺ひとつ先生に、受益者負担の理論は確かにわかるのでありますけれども、しかしわれわれが考えるには、どうしてもこれはことし非常にインフレの主導的要因になるのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。

肥後和夫成蹊大学教授

○肥後公述人 依田先生の御質問にお答えします。  先ほど二見先生のあのイラン問題についても考えられたわけでございますが、現在過剰流動性がかなりたまっておりまして、オイルショックのときのように何かのきっかけで爆発しますと、これはもう収拾がつかなくなる、インフレになりましたら、総需要抑制政策でまたゼロ成長から出直しをしなければならぬというようなことでございますので、私は現在インフレを引き起こして野放しにしていく、それがまた成長軌道への軟着陸を阻害する、その心配の方を優先したいという考えがいたします。     〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕  おっしゃいますように、公共料金を上げるということによって消費者物価は上がるわけでございますが、五十一年それから五十二年、五十三年ごろにいろいろ公共料金を上げましたけれども、これは円高の成果で結局は物価は安定したと言われておりますが、私は円高になった原因というものまで考えますと、やはり公共料金の値上げによって物価水準を引き上げるようなことになるかどうかは、全体としての経済政策の運営いかんによるのではないか。従来の、過去の実績ではむしろ物価水準は下がっているわけでございますので、その公共料金の値上げによる価格上昇の要因と、むしろ現在の過剰流動性が野放しにされて、財政、金融政策が適正に運営されなかった場合の物価水準の上昇と、その辺を両方にらまれまして、適正にひとついろいろと御審議を願いたいものだと思っております。  私は、そういう意味ではむしろ財政の再建をするということが、潜在的に非常に心配されますインフレを未然に防止する、そういうことで長期的には物価安定につながっていくのではないかと考えている次第でございます。

依田実新自由クラブ

○依田委員 二つ目は、やはりインフレの要因になります、最近の事情はいま二見委員からお話がございました石油事情の変化だろう、こう思うのであります。政府の当初の見通しですと、五%として消費者物価へ〇・三%ぐらいの押し上げ要因、こういうふうにお考えになっておったようでありますけれども、ここへきて年平均一〇%あるいはもっと石油価格というのは上昇していくのではないか、こう私は思うのであります。通産などの見通しですと、四月ぐらいから徐々に輸入量に影響が出てくるか、こういうふうに言われておるわけでありますけれども、われわれは、四月からということになれば、経済活動をする者としては一カ月ぐらい先から実際の行動を起こすわけでありますから、三月ぐらいからもうすでにいろいろな面でこの石油の輸入の緊迫というのはいろんな経済活動にあらわれまして、便乗値上げを中心にいろいろ物価の高騰へ結びついてくる。これはシュレジンジャー長官のお話が正しいのかどうかわかりませんけれども、私たちいろいろ消費者とか石油関係者に聞いておりますと、今度の事情は非常にむずかしい、過去よりもむずかしい、こういうような話も承っておるわけでありまして、この新しい経済情勢というものがどの程度インフレへ影響してくるのか。われわれは非常に影響するのではないか、こう思うのですが、先生のお見通しはいかがでしょうか。

肥後和夫成蹊大学教授

○肥後公述人 政府の経済見通しによりましても物価は若干上昇していくように予想されております。景気は回復軌道に乗りますと、物価水準は上昇の傾向を強めていくことはやむを得ないと思いますが、それだけにやはり現在公債の消化等が心配されておりますけれども、財政は赤字でございますから、たとえば公共料金の抑制等で赤字を伸ばしますと、これはどうしても公債発行に頼らざるを得ない。公債を大量に発行しますと、消化の点で行き詰まる。これを促進しようとすれば、最終的には日銀の買いオペをかなり直接、間接にやって対応せざるを得ない。これは結局インフレにつながってくる。  そういうふうに考えますと、物価安定のためには公共料金等も適正化すべきである。それから、福祉に対する配慮については社会保障制度の方で適切に考慮すべきではないか。公企業の経営については、もっと外部効果等公費負担で見るべきものを除いて、そのサービスの受益あるいはコストの原因者負担等が個人的に特定できるものにつきましては、受益者負担あるいは原因者負担の原則というものを従来の高度成長時代よりはもっとまじめにその評価をすべきではないか、そういうふうに私は考えております。

依田実新自由クラブ

○依田委員 石油事情の変化とインフレの問題について直接のお答えがなかったわけでありますけれども、時間もないのであと一つだけ伺わせていただきたいと思うのであります。  最近のインフレの一つのあらわれとして、商品市況の高騰というのが言われております。それはトラックの積載量の規制なども原因でしょうけれども、多く言われているところは、いわゆる不況カルテル、これの影響じゃないかということであります。そこで、それを見直したらどうだ、こういう議論が出ておるわけでありまして、綿糸だとかH型鋼だとか合板、いろいろ商品市況が非常に高騰しておりまして、物価高騰の原因になるわけでありますが、この不況カルテルの問題について、先生いかがでしょうか。

肥後和夫成蹊大学教授

○肥後公述人 やはりカルテルは緊急避難的なものであるべきで、できるだけ市場のプライスメカニズムを生かす、政府の過剰介入は必要最小限にとどめるべきであると私は思います。雇用情勢等もありますので、その個々の判断は、私、この際なかなかできませんけれども、考え方の方向としましては、できるだけ市場のプライスメカニズムを自由に発動させることを中心にして経済政策は運営されるべきであるというふうに考えております。

依田実新自由クラブ

○依田委員 あと都市政策、通貨供給量の問題とかいろいろお聞きしたがったのでありますけれども、残念ながら時間が参りましたのでやめさせていただきます。  どうもありがとうございました。

竹下登自由民主党

○竹下委員長 これにて依田君の質疑は終了いたしました。  以上で各公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十三分休憩      ────◇─────     午後一時二十分開議

竹下登自由民主党

○竹下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  公述人各位には、大変御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  昭和五十四年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  次に、御意見を承る順序といたしましては、まず最初に中島公述人、次に和田公述人、続いて鷲見公述人の順序で、お一人約二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えを願いたいと存じます。  それでは、中島公述人にお願いいたします。

中島正樹三菱総合研究所取締役社長

○中島公述人 中島でございます。  ただいま委員長から御丁重なお言葉をいただきまして恐縮に存じます。  きょうは、皆様に対してどういうことがお話しできるかはなはだ心もとないのでございますが、いま忌憚のない意見を言ってもよろしいというお話がございました。こんなところでうかつなことを言うといけないのじゃないかということを言う友達がおりましたりするのでございますが、若干お耳ざわりのことも申し上げることがあるかもしれないのはあらかじめお許し願いたいとお願いするわけでございます。  最初に、今度の予算につきましての感想は、何と申しましても内閣成立後日も経てないのでありますから、予算案の提出には時間もないし、したがって新内閣の性格が強く打ち出されている感じは余り受けませんでした。しかし、基本的な姿勢としましては、景気刺激政策を続けることと同時に、財政再建元年にしようという考え方を両立させておられます。いずれの問題も一つ一つ議論すればいろいろと問題は多いのでありますが、しかし一応それをうまくまとめ上げておられる点においては良心的な予算案だという感じを、これは率直に感じました。  しかし、それでも十五兆を超す国債発行という大きな問題を抱え、もちろん、本年度は昨年度に比べますると一カ月の税収が減っておるわけでありますから、そういう関係ももちろん影響したわけでありますけれども、十五兆の国債発行をし、八兆を超す赤字公債が出るということは非常に問題であることは言うまでもありませんし、結局国民としましては、やはりこの大きな国債が発行されたものが、この二つの景気刺激政策と財政再建元年ということの目的を十二分に達成されればよろしいのでありますが、それにつきまして果たしてそれが物価インフレーションを起こすのではないかという不安があるわけだと思うのであります。  すでにもう前回の公聴会のお話も新聞でも拝見しました。また、けさもそういう御議論があったのだろうと思うのでありますけれども、しかし一番の問題は、やはり今度は発行される国債が順調に消化できるかどうかということにかなり重要なポイントがあるのじゃないかと思うのであります。これにつきまして、いろいろと発行方式とか、あるいはこれをいかにして流通させるかというような問題、それに関する考え方については単なる従来のような新しい、中期債を新しく出すとかあるいは短期債を出すとかというだけではちょっとむずかしいのではないかと思いますので、これにつきましては格別の配慮を政府に望みたいということ。結局、この予算を実行する上においていろいろ問題が多く出てくることが考えられます。最近の経済の実情から申しますと、景気がやや回復してきている経過もありますので、うまくいけば自然増収はある程度まではあり得ると思うのでありますが、願わくばそれはそのまま使ってしまうとかいうことをしないで、ぜひ国債の発行を抑えるということに努めていただきたいことが一つお願いしたいことではあります。  このようなお話をしておりますといけませんので、私は少し大づかみな問題としまして大きい問題をお話しさせていただきたいと思います。大きいと申しますとこっけいかもしれませんけれども。  最初に福祉関係の予算についての考え方について私の私見を述べさせていただきたいのであります。  近代社会におきましては、福祉国家ということが近代社会の最大の目標となり、またそれによって新しい自由主義社会もまたある意味における修正というのでありましょうか、その方も行いつつあったことも事実であります。しかし、基本的に自由主義社会と社会主義社会の福祉というものについては、若干考え方が違ってもいいのではないかというふうに思うのであります。現在、福祉関係の予算は最大の予算の項目でありますし、過去六年間で五兆五千億もふえておるわけでありますから最大の増加も示しておるわけであります。大変めでたいことではありますけれども、最近の新聞にも載っておりますように、高齢化社会という問題が非常に進んでおるというときに、その前途に対しては非常な心配をする議論が非常に多くなっておりまして、また事実そのとおりであることは間違いありません。日本のように高齢化が世界で最も早く進んでいるという問題につきましては、この福祉予算に関する考え方をはっきり決めていただきたいという感じがするわけであります。  先般も、去年ですが、ヨーロッパを回りましたときに、あっちこっちでこういう議論を聞きました。結局福祉社会の基本的な問題として一番欠けているのは、一国の生産力と福祉計画、政策とがバランスが崩れているということに非常に問題点があるのではないかということをおっしゃる方が多かったわけであります。また事実、そのために、かつては、揺りかごから墓場まで全部めんどうを見るという大変美しい言葉が流行いたしました。しかしこれは高度成長ということで世界大戦後約二十五年間、人類の歴史で初めて経験したというような高い近代世界の経済成長が行われたおかげでそういうことができたわけでありまして、現実には、そのためにイギリスやスウェーデンが高福祉のために高負担となり、国民が悩んでおるということは御承知のとおりでございますので、その問題を考えるときにどういう考え方かというと、私としましては、この社会保障につきまして公的負担と私的負担という二つの考え方があっていいのではないかと思うのであります。  そして自由主義社会では公的福祉というものは、もちろん弱者という意味では身障者とか母子家庭とかいう人たちに対しては厚い保護は必要だと思いますけれども、あと残りの問題としては、いわゆるシビルミニマム・スタンダード・オブ・ライフといいますか、そういうものをするのも当然でありましょう。しかしその、ミニマム・スタンダードというのはその国の経済の発展段階においておのずから標準が違うわけでありまして、場合によってはその国の経済に応じてスタンダードもまた動くこともあり得るわけだと思います。なお、その上に自由主義社会におきましては、それに加わるところの自己責任という体制で、個人が自分の老後については自分でまた考えるということ、これは事実は日本人も世界的に有名な貯蓄率の高いというところでやっておるわけでありますけれども、しかし何かしら社会保障というのは国家がやるものであるというような考え方が余りにも広く浸透しておるところに問題点があるように思われます。そういう意味で、これから先、私的保障というものについても国家が非常に大事にして、これをまた政府も見てやるかわりに、政府が公的保障についてはそういう限界点は持ち、そうして私的保障によって各個人は晩年の幸福がそこに出てくるようにすべきが、私は本当の新しい意味における福祉社会ではないかと思うのであります。そうしてこそ初めて自由主義社会のよさというものも出てくるのではないかと思います。ただ一律にすべて公平にミニマム・スタンダードを上げるということだけですることは問題だというふうに思いますので、その点についての特別の考え方が望ましいわけであります。  今度は新総理が日本的福祉社会という言葉をおっしゃっておりまして、それも私は確かに尊重すべき御提言だと思います。事実、日本の社会が、外国の学者が言うがごとく、理念の世界でなくて情緒の世界だと言って日本の社会を非常にたたえている国や学者がふえてまいりましたけれども、そういう意味におきまして、たとえば一ころはやりました核家族から、三世代家族というようなものに対する考え方もすでにだんだんと広がっておって、その方がよけいに、親と一緒に住みたいという考え方もふえてきておるわけでありますから、そういうものに対する家庭とかリビングの問題についての配慮ということも政府としては考えるべきことも一つですが、それは各個人の責任においてやるということでやることが一番重要な問題ではないかというふうに思うわけでございます。余りその問題についての非常な私見を申し述べさせていただき、お許しください。  次に私として申し述べたい問題は、雇用問題に関しましては、ずいぶん議論がたくさん出ておられたようなので、強く申し述べるつもりもございませんが、今度も新しく雇用問題については、労働省からも中高年齢者の雇用に対する優遇政策をおとりになられた、あるいは非常に改善されたということもありますけれども、本質的に申しますと、産業構造が大きく転換しているわけであります。そして第二次産業がどんどんと減っておりまして、たとえば、やや古い統計ではありますけれども、四十八年から五十一年の四年間における第二次産業からはみ出した人間が約八十万ほどでございますが、それを大部分三次産業、すなわちサービス産業というので吸収したわけであります。流通市場で約六十万ぐらい吸収して、その他またほかのサービス産業で四十万ぐらい、約百万ぐらいは吸収したわけであります。それはどういうことかと申しますと、日本の小売業とかいうものが非常に大きな社会保障の国民的ないわば雇用調整機構というような形になっているわけでありますけれども、しかし、それが結果的にはどういうことかというと、日本においての過剰流通市場というものが消費小売価格が高いということの一つの大きな原因になっております。しかしとにかくあの二次産業からはみ出た多くの人たちを流通市場で引き受けたということも大きい意味はあったわけでありますが、これから先はやはりそれは許されないのでありまして、違う新しい三次産業の方向に進むべきではないかと思うのであります。  第三次産業、最近は新しく言われまして四次産業とか五次産業とかいう新しい発想が出てまいりました。これは知的産業、情報産業というものも広がっておるわけでありますと同時に、自由時間産業とか、人間の文化生活が発達するに伴いまして新しいそういう産業が急速に大きく伸びてまいります。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 アメリカのスタンフォード・リサーチ・インスティチュートの最近の発表によりますと、現在のようなソフトウェアで働く人たちは、紀元二〇二五年になると世界の人口全部を吸収しなければ足りなくなる産業になるということを申しております。もちろんこれは現在のスピードでソフトウエアというものが発展しておるということを前提としている議論でありまして、ちょうど世界の人口がいまのようにふえていったならば、二六〇〇年には地球上では一人当たりの平地面積が三センチ平方しかなくなるというふうに人口がふえるという、それと同じ議論ではあります。しかし、ただ傾向としましては、そういうソフトウエア・インダストリーというものがこれから先、急速に伸びていくということが事実でありますと同時に、これが大きな、しかも日本人は最もそういう知的産業を吸収する能力のある民族だと思いますので、そういうものに対する特別な配慮を期待したいのであります。  そういう意味では、現在いろいろと研究開発投資ということが大きい議論になっておりますけれども、しかし日本の政府の、どうもこれは金を使うことで、余り減らす方の話をしないので申しわけないのでありますけれども、研究開発投資につきましては、世界各国の中で国家の研究投資が最も少ないのであります。これが非常に問題点であると思うのであります。  結局、簡単に言いますと、民間の研究開発投資は日本は世界並みなのであります。ところが国家の投資に対する予算は非常に少ないのでありまして、これが日本の大きな弱みになっていると思うのであります。大体GNPに対しまして一・二%から三%ぐらいが国家の研究開発投資でありますが、それに対しまして日本はその半分しかいっていないということでありまして、それが日本の非常に大きなウイークポイントになっているというふうに考えられます。そのために、現在たしか本年度は約三千二、三百億ぐらいの研究開発投資が行われるわけでありますが、これは主として大型の研究開発投資をされているわけでありますが、最近は新しい研究開発投資につきましてはアプロプリエート・テクノロジーと申しますけれども、中型の新しい、しかも非核エネルギーの開発をすべきだという議論がだんだん広がってきております。そうしますと、それは必ずしも全国的な規模とか、あるいは、たとえば現在でも核融合の開発につきましては、日本は非常に進みまして、現在では世界のアメリカとソ連と、日本はその中で突き抜けていま高い地位にある研究が進んでおるわけで、これも政府の大きな予算の効果があったと思うわけでありますけれども、しかし、と同時に、中型の研究開発、強いて言いますれば地域開発、地域的な性格を帯びた開発をすべきだと思うのであります。たとえば潮力発電とかあるいは風力発電とか、そういうようなエネルギー、核を使わない、原子力を使わないエネルギーで、しかもそれが地域的な個性に合ったそういう開発をもっとすべきである。これはある意味における日本全体の社会構造あるいは政治構造を、地域的な、いわば分権的な方向にも進める道であると思いますので、必ずしも大きいばかりではなくて、中型の研究開発投資をいたしますと、大きい研究開発投資は非常に多くのソフトウエアを必要とするわけであります。非常にそれに関連する人材養成を必要といたしますが、それがまた新しい雇用になってくるのではないかと思うわけでございます。それがまずぜひこれから先考えていただきたい問題でございます。  それから、いろいろと申し上げたいことはございますが、もうだんだんと時間がなくなりましたが、海外協力の問題について皆様にお考え願いたいと思うのでありますけれども、人によっては一九八〇年代は日本の時代が来る、そうまで言う、非常に日本を高く評価する、これは何もハーマン・カーンばかりではありません。もっと落ちついた意味で、日本の民族の素質その他も研究した学者が言うところでありますが、そういう日本民族に対する世界の印象はエコノミックアニマルという印象が余りにも強いわけであります。残念ながら日本国内には近来、けさも新聞を見ておりますと、三ね主義とかいうことを言って——三ね主義というのは、国民はねだったりごねたりするし、政府はおもねるということですか、あるいは政治はおもねるということですか、そういう甘える社会ができているということに非常に問題があると言われておりますけれども、そういうことがすべて日本の大きな国の政策にも影響するのじゃないかと思うのであります。  私は、日本として一番大事な問題は、日本が持っている平和憲法というもの、この意味を正しく理解しないと、外国人は、日本人は平和憲法はどうせ破るのだと思っている人が大部分であります。しかし日本人はそれをどう思っていらっしゃるのかについては、ただ私の個人的な感想で申しますれば、明治維新のとき日本は国を挙げて尊王攘夷であって、開国は国民が全部反対したというかっこうでありましたけれども、そのとき外国から強要された開国というものを実行して、日本は発展できたわけであります。むしろそういう意味では、平和憲法も自主憲法でないことは明らかでありますけれども、しかし、これが強制されたものでもそれが本当によかったら、明治維新におけるペルリの開国と同じような意味でこれを高く評価してもいいのじゃないかと思う。しかも、その平和憲法のおかげでどういう実体的利益があるかといえば、一年間に国民総生産の少なくとも三%ないし四%、フランスはGNPの四%、西独ですら三%、スイスもスウェーデンもみんな三%近く国防費を使っているのに日本は〇・九%ですから、少なくとも二%は助かっておるわけです。この二%低いということは、年間にすれば四兆数千億の金が国としては使わないで済んでおるわけでありますから、その金がいま現実には日本は国民の租税負担が少ないわけでありますから、そういう恩恵の一つの原因だとも思いますけれども、しかしそのうちの一部は日本が第三世界のためにもつと協力することにより、第三世界を豊かにすることによって世界の不景気を直し、同時にまた世界に日本というものは本当に平和を愛する国民だということを示せば、日本を原爆で攻撃しても損だ——ユーゴスラビアのチトーのまねをしてもいいのだと思うのでありますけれども、そういう多くの第三世界の国々を味方にすることも必要だと思います。少なくともそういう意味で、せっかく日本に黒字があることを有効に使うことについてもっと考えていただきたいと思うわけでございます。  最後に、これから先、国債と税金の問題も出てくるわけでありますけれども、これはやはり最終的には、一言で言えば大岡越前守の三方一両損ということで、国民も負担をするし、また政府はチープガバメントに徹し、そして多くの団体というものは企業あるいは団体の権利の主張のみに走らない、そういうよい社会をつくるように政治家の皆様方、おえらい方々はぜひそういうふうに国民をリードしていただきたいと思いますし、また責任ある政府には大きく期待したいのでございます。  大変どうも失礼いたしました。(拍手)

毛利松平自由民主党

○毛利委員長代理 どうもありがとうございました。  次に、和田公述人にお願いいたします。

和田八束立教大学教授

○和田公述人 和田でございます。  昭和五十四年度予算は争点のない予算であるというふうな批評が行われておりますけれども、実は争点がないと言うよりも、むしろ争点を残した予算であるというふうに言うべきではないかという感じを持っているわけであります。いろいろな争点があると思いますけれども、ここで申し上げたいのは一つは財政再建の問題。財政再建の課題はどうなっているのか。もう一つは国債の問題であります。もう一つは税制の問題。現在の日本財政が抱えているこういう大きな問題がほとんど十分に解決への足がかりがないままに残されているというのが五十四年度予算案の特色ではないかという感じを持っているわけであります。  この五十四年度予算につきましては、安上がりの政府でありますとか小さな政府でありますとか、こういう評価が行われているやに聞いているわけであります。しかしながら一般会計のGNPに対する割合を見てみますと、五十三年度は一六・三%であり、五十四年度は二八・六%でありまして、これは若干ウエートが高くなっているわけであります。また、予算の伸び率もGNPの名目成長率見込みよりも高いということになっております。さらに、租税負担率も徐々に高くなってきているわけであります。したがいまして、量的に見る限り少しも安上がりの政府、小さな政府ではなくて、やはりわが国も欧米各国と同じようにビッグガバメント、大きな政府への道を歩んでいるということが言えるわけです。今日の福祉的な財政というものを前提にする限り、このような大きな政府へ向けての歩みというのはある意味では避けられないわけであります。しかしながら、ただ規模が大きくなればそれで福祉型財政であるというふうに言うことはできないわけであります。また、国民経済にとっての財政がそれでいいというふうには言えないわけであります。ことにわが国のような財政危機のもとにある財政が従来のような高い伸び率を続けていていいというものではないわけであります。  したがって、ここで従来に比べて予算の伸び率が低く抑えられたということは、それはそれなりの努力があったのであろうと思われるわけですけれども、それであっても、いま言いましたように少しも小さな政府、安上がりの政府になっていないわけであります。むしろわれわれとしては、安上がりの政府という問題を考える場合にはどれだけ効率的な財政であるとか、あるいはどれだけ内容が国民にとって豊かな政府になっているのかということが基準でなければならないわけであります。そういう意味では、従来の水ぶくれ的な膨張予算というものにブレーキをかけると同時に、不効率な予算を見直すということが徹底的に行われなければならなかったと考えるわけであります。行政改革の問題もありますけれども、特に私が主張したいのは、地方分権型の財政を確立して、予算の三分の一にも及ぶ補助金を整理するということが最も財政の効率化への早道であるというふうに言うことができるわけであります。この膨大な補助金による中央集中型の財政であるがゆえに行政の重複が二重、三重になっている。これをめぐる財政のむだというのが非常に大きいと見るべきだろうと思うわけであります。この点が改革されなければ財政の再建ということはおよそ不可能であろうと考えるわけであります。  現在の予算規模は、昭和四十六年ごろまでの趨勢値から判断いたしますとほぼ五兆円くらいの水ぶくれが存在しているというふうに、これはマクロ的に見ることができるわけです。内容的に洗い直すということは必要ですけれども、ここでは積み上げて申し上げているわけではなくて、マクロで趨勢を見てみますと、五十三年度の時点で大体五兆円の過大な部分が存在しているというふうに考えるわけであります。昨年大蔵省が提出しました財政収支試算のE型によりますと、かなり圧縮型の財政になっているわけですけれども、このE型の場合には、ほぼ十兆円の赤字分の約半分を財政の圧縮で調達し、あとの半分を増税で行うという併用型になっているわけですけれども、このE型のケースでいいますと三十七兆六千億円でなければならなかったわけであります。私は大体この程度でことしの予算を編成すべきであったと考えているわけでありますので、五十四年度予算案は約一兆円、このE型に比べても多いというふうに判断できるわけであります。  特に国民負担との関係で言いますと、後で申し上げますように税負担がふえてきている、あるいは料金等が引き上げられるというふうな要素を考えてみますと、国民にとってはかえって高負担型の高価な政府になっているのではないかというふうに判断せざるを得ないわけであります。  その中でも特に申し上げたいのは公共事業でありまして、公共事業費は、このような時期にありましても平均を上回る伸び率を示しているわけであります。しかしながら、昨年、五十三年度予算の時点で公共事業費が三四・五%もふえ、さらに補正予算を組んでいる。にもかかわらず、実質成長率が年度末で六%いくかいかないかという実績から考えまして、公共事業を中心とした景気政策というのは、その効果から言いましてもきわめて疑問があり、財政不健全の非常に大きな原因になっているというふうに判断せざるを得ないわけであります。  特に公共事業の場合には、まず第一に特定財源が存在しているということであります。ことしの場合に、揮発油税が引き上げられているにもかかわらず、その財源が全部この公共事業費の方に入っている。このために、投資部門では税収が前年よりもプラスになっているにもかかわらず、経常部門では税収がマイナスになっているというきわめて奇妙な結果をもたらしているわけであります。  もう一つは、建設国債という形で公共事業費等に国債が充てられているわけであります。建設国債は赤字国債に比べればいい国債であるという評価が一般的に行われているわけでありまして、大蔵省の財政収支試算などを見ましても、赤字国債、いわゆる特例債は減らすけれども四条国債はむしろふやす、あるいはふえざるを得ないという試算になっているわけであります。ふえてもこれはいたし方ない、いたし方ないというよりも、それはそれで差し支えないという、むしろ積極的な評価が行われているようでありますけれども、これは従来の経過から見てそのように言うことは非常に危険でありまして、建設国債の増大というのがオーバーフローするような形で特例債の増大、赤字の拡大というのに結びついてきているわけでありますので、ここでやはり建設国債の発行というものを抑制するということが財政健全化にとっては重要ではないかと考えるわけであります。  以上のような分権型の財政への転換あるいは公共事業費等主要経費の検討、洗い直し、再検討ということがほとんど行われていないという点で財政再建への足がかりのない予算である、問題がすべて残された、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。  次に、国債の問題であります。  国債はいまやわが国の財政にとってきわめて大きな問題であると同時に、金融の問題にも大きな影響を与えつつある問題であるということは改めて言うまでもないところであります。しかしながら、今後一体国債をどのようにしていくのかという国債の発行、管理、償還、広い意味での国債の管理政策と言ってもよろしいかと思うのですが、このような管理政策が皆無であるということは、われわれ国民の立場から見ますと、きわめて不安な状態であると言わざるを得ないわけであります。しかも、たとえば国債の償還に関する諸資料というものも余り十分に明らかにされていないわけであります。  この点につきましては、いろいろと問題もあるわけですけれども、時間の関係もありますので、そのような問題指摘に終わらざるを得ないわけでありますけれども、今後どのような国債の発行方式をとるのか、あるいは国債管理の問題について金融政策との関連、あるいは市場型なのか、あるいはいまのような非市場型の発行を続けていくのかどうかというふうなことについて、明確な方向というものが早急に打ち出されなければならないのではないか。  さらに問題と思われますのは、償還に対する見通しがほとんどないわけでありまして、昭和六十二年度以降減債基金の残高がゼロになるということはすでに言われているわけでありますけれども、この基金残高、運用実態、将来見通し等々についてほとんど明らかにされていないということは大きな問題ではなかろうかと思うわけであります。たとえば国債整理基金特別会計につきましては、五十四年度見通しによりますと、年度末の——失礼しました。その前に定率繰り入れですか、国債費の定率繰り入れが五千億円に上っておりまして、これは対前年度比四四%増というきわめて大幅な増になっているわけでありますけれども、こうした繰り入れによりまして国債整理基金特別会計の年度末基金残高は一兆九千億円、約二兆円存在しているわけです。この二兆円というのは対前年比四一%増ということであります。この一兆九千何がしというものは運用部に預託されるわけでありますけれども、従来の実績から言いますと、ほぼ約半分が国債の運用に充てられているというふうに見ることができるわけであります。  ところで、五十四年度の資金運用部による国債引き受けは一兆五千億円ということになっているわけであります。この一兆五千億円のうちほぼ一兆円が国債整理基金特別会計の基金によるものであるというふうに見ることができるわけであります。膨大な国債費になりつつある。その国債費によって基金残高がきわめて急速にふえている。その基金残高でもって国債が引き受けられているという、こうしたタコの足的な循環を一体どう考えたらいいのかということは、私も容易に判断することのできないむずかしい問題でありまして、このような点につきましても、その実態と今後のあり方というもの、見通しというものが明らかにされなければならないのではないかと考えるわけであります。  最後に、三番目になりますけれども、税制改正について二、三申し上げておきたいと思うわけであります。  税制改正につきましても、従来言われていた不公平税制がほとんど是正されないで、問題が残されるというふうに判断しているわけであります。  社会保険診療報酬課税の特例につきましては、長年の懸案が是正されたということでは全く骨抜きであるというふうには思いませんけれども、やはり申しわけ程度の是正であると言わざるを得ないわけであります。五十三年分のこの特例による減収分は約二千二百六十億円であったわけですが、五十四年度の見通しで言いますと千六百億円ぐらいになりますので、差し引きいたしますと約一千億前後の強化がなされたと見ることができるわけでありますけれども、従来の諸論議、不公平税制の是正という議論からいたしますときわめて不十分である。  それから、準備金等についての法人関係の特別措置の整理、強化が行われたということは、これはそれなりに評価すべき点があるわけではありますけれども、しかしながら、問題はそうした一部の準備金の引当率の圧縮ということではなくて、いまや企業税制全般の再検討が必要であるということが言えるわけであります。この点がない限り、不公平税制の是正というものについて行われたということは言えないと言わざるを得ないわけであります。  個人につきましても、利子配当課税等がまだ残されているわけでありますし、さらに資産課税等の強化という課題が残されているわけであります。その一方で土地税制が緩和されるということはきわめて大きな疑問を残したわけでありまして、土地税制につきましては、この緩和によって土地問題が解決され、住宅問題が打開されるという見通しはほとんどないわけでありまして、ただ単に土地の譲渡者に利益をもたらすというにすぎないわけであります。  不公平税制による税収見込みにつきましては、最近の東京都新財源構想研究会の試算によりましても、国、地方合わせまして、五十四年分で二兆六千七百億円の増収があるという見通しが行われておりますし、私などの関係しております国民税制調査会の試算、これは国税分だけでありますけれども、五十四年分で二兆二千四百億円の増収があるというふうに試算できるわけでありまして、これらを考え、先ほどの財政の見直し、圧縮ということを徹底的に行えば、世上言われておりますような一般消費税の導入は全く必要がないというふうに言えるわけであります。  一般消費税については今回は意見を省略せざるを得ませんけれども、一般消費税を支持する意見といたしまして、これによって財政の健全化を図るということが言われているわけでありますが、私の意見によれば、一般消費税の導入は財政の健全化、再建を進めるのではなくて、かえっておくらせ、財政を放漫化することになる。現在、当然増だけでも一七、八%になっているという状況、それから従来の予算編成のあり方がそのまま継続されるという現状、それから中央集権的なセクショナリズムがそのまま残っている、こうした現状を前提とするならば、一般消費税による税収の増というものは財政の膨張と放漫をもたらすだけであって、たとえて言えば砂に水をまくようなものであって、次々に税率をアップし、あるいはさらには特例債を発行しなければならないという財政悪化の悪循環を招くきっかけになるだけである。こういう点で一般消費税の導入には反対であるということをつけ加えて申し上げておきたいと思うわけであります。  以上で、私の意見を終わらせていただきたいと思います。(拍手)

毛利松平自由民主党

○毛利委員長代理 どうもありがとうございました。  次に、鷲見公述人にお願いいたします。

鷲見友好法政大学教授

○鷲見公述人 鷲見でございます。昭和五十四年度予算案について意見を述べさせていただきます。  まず第一には、財政の役割りと展望という問題についてであります。  昨年、一昨年などは財政が日本経済の危機脱出の唯一とまでは言わないにしても、ほぼそれに近いほどの期待を持って財政の拡大が要求をされたわけでありますけれども、今回は、財政の役割りは知れたものであるとか、あるいは財政に余り期待してもらっては困るとかいうような意見がかなり多くなっているわけであります。もちろん、そのときどきの経済情勢によって財政の果たす役割りに相違があることは明らかでありますけれども、現時点で財政の果たす役割りが一体どのようなものであるかということを十分に検討した上で財政運営が行われなければならないのではないかと思われますが、その点が必ずしも明確にわれわれにわかる形で示されていない。したがってまた、それと関係があるわけですけれども、長期的な展望、たとえば公共事業にしても、今後の日本経済の展望とのかかわりの中で公共事業をどう位置づけるかということが必ずしもなされていなくて、若干の変化があるとはいえ、道路中心のいわゆる従来型の公共事業の延長にすぎないとか、あるいは現在最も重要な課題の一つである都市の改造、それとどのようなかかわりの中で公共事業を位置づけていくかというようなことはほとんど見られないわけであります。こういう点を明確にした上で、財政ができる範囲のことは一体どこまでか、あるいはできないことはどの点であるかということを明確にした上でできることを最大限にやるということが必要でないかというふうに思われます。  今年度予算案については、細かいところあるいはミクロの問題について手を打っていくというふうに言われておりますけれども、現在そういうことが必要な局面があることは確かであります。しかし、現在のような財政危機が問題になっているときであるからこそ、マクロの長期的な展望のもとに予算が組まれる必要があるのではないか。しかし、その点については今年度の予算案からはそれを私たちは見てとることができないという点が第一にあると思います。  第二の問題は、国民に多くの犠牲を要求する予算であるというふうに言わざるを得ないわけです。  所得税減税の見送りによる実質的な増税、国鉄運賃、国立学校授業料などの公共料金の引き上げ、健康保険診療の場合の薬代半額患者負担など、こういうもので国民の負担増は一人当たり年間約一万六千五百円、四人家族で年間約六万六千円を超えるというふうに見積もられております。  また、これに関連して問題なのは、昨年度からとられている予算の二分割方式であります。この二分割方式の主要なねらいは、経常部門の不足分は赤字国債、投資部門の不足分は建設国債と対応させ、赤字国債の増大が財政危機の原因であるからこれをなくすべきである、そういうふうに組み立て、そして人件費であるとか教育費であるとか社会福祉関係費を圧縮することにあるというふうに言っていいかと思いますけれども、今年度はさらにこれが徹底され、投資部門の伸び率は一八・五%に対して、経常部門は予算全体の伸び率を下回る一〇・九%の伸びとなっております。しかも、この中には、過去に公共事業のために発行された国債の元利払いのための経費やあるいは増大する軍事費が含まれていますから、この方式が続く限り国民生活に直接かかわる部分の支出は一層圧縮されざるを得ないというふうに言うことができるのではないかと思います。国民生活の安定を願う立場からは、こうした方式に対しては反対をせざるを得ないわけであります。  また、安上がりの政府ということが問題になっておりますけれども、いまの公述にもありましたけれども、本来安上がりの政府というのは、アダム・スミスに代表される考え方で申し上げれば、租税を負担する側から見て、できるだけ負担が少ないことが望ましいというのが安上がりの政府の理念であったはずでありますけれども、今回言われている安上がりの政府はむしろ国民の負担を増大することにつながっているわけでありまして、こうした安上がりの政府に対しても疑問を感ぜざるを得ないわけであります。  第三には、国債の大量発行とそれに関連するインフレーション、後年度負担の増大の問題であります。一般に大量の国債発行はインフレーションの可能性、危険性を持つと言えます。しかし、それが現実性に転化するかどうかはそのときどきの経済情勢によって決定されるわけであります。すでに五十三年度予算での十二兆円の大量国債発行は、もし政府の政策意図どおりに景気が回復していればインフレを呼び起こす危険を持っておりました。それが爆発しなかったのは、補正予算などでなお景気刺激策をとらざるを得なかったような景気回復のおくれと、円高による輸入物価の低下によるところが大きかったと言えます。五十四年度は、すでに現在から始まっているわけでありますけれども、円高による輸入物価の低下は昨年のようには期待できませんし、石油価格の引き上げ、木材であるとか非鉄あるいは食品、石油製品などそういうものの高騰、公共事業関連物資の値上がり、産業界の全般的な値上げムード、あるいはそれだけで消費者物価を一・二%引き上げるのではないかと言われている公共料金の引き上げ、またマネーサプライの増加率など物価上昇要因がメジロ押しに並んでいるわけであります。M2の増加率は、これが名目成長率を継続的に上回ればインフレにつながるということはわれわれが過去に経験したところでありますけれども、最近一二%を超えるこの増加率のうち国債の寄与率は四〇%程度であるというふうに言われております。その上に十五兆円を超える国債が発行されれば、インフレにつながる可能性はきわめて大きいと言わなければなりません。     〔毛利委員長代理退席、小此木委員長代理着席〕 大量の国債発行の結果、すでに懸念されていたように国債価格の低落が生じております。国債の多様化と金利の自由化は、もしそれが実現されたとしても根本的な解決にはならず、結局は日銀の出動とならざるを得ず、激しいインフレの引き金になりかねないと考えられます。また累積した国債の元利償還のために大増税となることは、五十五年から五十九年までの五年間で国民の租税負担が二十五兆円から四十八兆円と約倍になり、国民一人当たり五年間で二十五万円、四人家族で年間二十万円の増税になるという大蔵省の財政収支試算によっても明らかであります。こういう意味で、歳出の切り詰めるべきところを最大限切り詰め、あるいは取るべきところからは可能な限り取るということによって、大量の国債発行を縮減していくことが要請されるわけであります。  第四に税制の問題でありますが、ごく簡単に触れさせていただきます。  不公正税制の是正は若干の、たとえば価格変動準備金などのようなものの是正が行われておりますけれども、その範囲がきわめて狭く、増収額についてもわずかであります。現在私たちが不公正税制と言う場合には、租税特別措置だけではなく、法人税法そのものの中にある著しい優遇措置を指しているのでありまして、そのことは十分御承知のはずでありますけれども、それにもかかわらず範囲を狭く限定されているところは理解に苦しむところであります。  また所得税減税が全くなされていないことも問題であります。この四年間所得税の減税が全然行われておりませんから、標準家庭で課税最低限は百十六万円であります。これは今回の予算で示されている四人家族の生活保護費百三十七万円よりも低いわけであります。生活保護費だけで百三十七万円の収入のある人いそして自分の勤労によって百三十七万円の所得のある人、この場合を比べれば、後者の場合には二万一千円の所得税を払わなければならないわけでありますから、生活保護の水準よりは低いという不合理なことが生ずるわけであります。この一つをとっても、所得税減税が必要であることは明らかであります。  第五には公共投資の質の問題であります。公共事業費は五十三年度三四・五%伸びた上に、さらに二二・五%増加しているわけでありますけれども、その中心は、若干の変化はありますけれども、先ほど申し上げたように高速道路であるとか、本四架橋であるとか、空港などの大企業への発注が八割程度になる大型プロジェクトが中心になっているわけであります。こうした大型プロジェクトは、たとえば本四架橋の因島大橋の場合には五百億円から六百億円投入される工事で、地元からの雇用がわずか七人にすぎないという調査さえも出ているわけであります。また宮本憲一大阪市立大学教授が中心になった研究によれば、詳しく申し上げる時間はありませんけれども、生活基盤と防災を中心にした公共事業と、いわゆる産業基盤を中心にした公共事業の場合では、その生産誘発効果、それからその事業の中で中小企業の構成比あるいは雇用効果、いずれの点から見ても、生活基盤、防災型の公共事業の方がすぐれている、特に雇用効果ではその差は著しいという研究さえも出ているわけであります。公共投資を考える場合には、まず第一に雇用効果を考えるべきではなくて、国民生活の安定、向上という視点から考えるべきでありますけれども、それを前提とした上で種々のケースについて計算方法とその結果を発表し、客観的な基準に基づいた議論をした上で国民の判断にゆだねるということが必要ではないかと思います。  第六番目には、今年度予算は、根本的に解決の方向を見出さなければならない問題を十分に解決の手がかりを与えないまま、すべてを五十五年度の一般消費税導入にかけているのではないかというふうに思われます。しかし、それによって財政再建が果たして可能であるかどうかということが問題であります。  日本経済新聞社の行いました試算によりましても、税率五%で一般消費税を導入した場合、初年度の消費者物価は二・七%の上昇、この結果、実質成長率は二・三%低下するというふうに言われております。これは当然税収の減を招くわけであります。また五%の税率で導入された場合に、その三二%を地方財源として自治体に配分したとしても、一般消費税によって物価が騰貴し、公共事業費であるとか物件費、人件費などの支出が増加する結果、共産党の試算によりますと、五十三年度をベースにしまして都道府県全体で百六十億円のマイナス、市町村全体で七百五十七億円のマイナスになるという数字も出ているわけであります。このことは国の歳出についても同様なことが言えるわけでありまして、一般消費税によって直ちに財政再建が可能になるというのではなくて、非常にそれを阻む要因があるわけであります。  また、現在続いている経済危機の根本的な原因は、高度成長過程で行われた節度のない設備投資と石油危機以後の個人消費の停滞にあるわけであります。いま個人消費はやや回復しかけているとは言われておりますが、このような国民の負担を増加させる予算であっては、あるいはそれを志向する予算であっては、個人消費の停滞を引き起こし、景気回復にマイナスの条件をつくり出すことになります。  したがって、真の財政危機の解決は、先ほど申し上げたように、不公正税制全体の見直しによって取るべきところからは取る。そして、たとえばいま問題になっておりますE2Cのような不急不要のこうした経費全体を徹底的に削減することによって解決できるのではないか。一般消費税の導入は、逆に、しなければならないことをしないで財政運営を行う条件になるのではないか。そういう意味におきまして、今後ぜひそうした方向で予算を検討していただくことをお願いして、私の公述を終わらせていただきます。(拍手)

小此木彦三郎自由民主党

○小此木委員長代理 どうもありがとうございました。     ─────────────

小此木彦三郎自由民主党

○小此木委員長代理 これより各公述人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島雄二君。

津島雄二自由民主党

○津島委員 ただいま三人の方々から大変有益な御意見を拝聴いたしまして、時間が許せばいろいろとお伺いしたいわけでございますけれども、限度がございますので、ポイントを選んで三人の方に順次質問をさせていただきます。  最初に、中島さんへの御質問でございますが、予算の各ポイントについて大変参考になる御意見を伺いました。その中で、福祉予算について、公的負担と私的負担と将来ともにはっきりけじめをつけていかなければならないというお考えは大変よく理解ができるのでございます。この点で、日本で福祉を議論する場合に絶えずある種の欲求不満がございまして、先進国に比べて少ない少ないという議論がしょっちゅう出てくる。その反面、先進国における、あの四〇%を超える国もあるというような高負担についてはほとんど議論になってこない。同時にまた、日本の実態を見ますと、個人貯蓄が非常に高いわけでありまして、個人貯蓄が高いということは税負担が低いという面もあるわけでございますね、税というものは一種の強制貯蓄でありますから。そういう意味で、公的負担の将来のあるべき姿と、それから個人貯蓄、いま非常に高い日本の個人貯蓄は将来どういうふうに推移していくのが自然であるかという面から、補足的な御説明をいただければ幸いだと思います。これが第一点。  二番目が、雇用対策、雇用政策の面でお話がございまして、第二次産業から第三次産業への大幅な労働力の移動が見られるけれども、将来、ソフトウエアの分野の研究開発にもっと優秀な労働力をつぎ込むべきで、政府としてももっと力を入れろというお話でございましたが、ここで非常に感じますのは、一般に研究開発というのは目的がないといわば予算化できないわけでございますね。それで、先進国の研究開発費が非常に高いというのは、いい悪いは別といたしまして、防衛、軍事に関連する研究開発費が非常に大きいわけでございますね。日本の場合に、ややもすれば、ある実用的な目標、目的を設定して、それを研究開発いたしますと、直ちにそれが産学協同であるとか、あるいは原子力であるとか国防であるとか、そういう政治的な問題にひっかけて反対する声が異常に強い、日本の場合に強いわけでございますね。こういう面を頭に置いた場合に、将来、政府が研究開発にもろと大きな力を入れていくとすればどうしたらいいかという点、補足的に御意見があれば賜りたいと思うのでございます。  それから、ついででございますから——ついでというか一緒に和田さんにひとつお伺いしたいのでございますが、争点を残した予算である、安上がりの予算であると言いながら、一方、ビッグガバメントにいっている面もあるであろう、こうおっしゃったわけでありますが、まず第一点は、和田さんの見方で、これから安定成長時代に入っていく過程で、政府の予算は全体として大きいのが自然なのか、それとも小さいのが自然なのか。つまり、先ほどGNPに対する比率をおっしゃったわけですけれども、どちらが自然だとお考えであるか、これが第一点。  それから第二点で、現実に五兆円の水ぶくれがあるという言い方をなさいましたが、この水ぶくれを解決していくのに二つの提案をしておられます。一つは、地方分権型の予算を執行しろとおっしゃったわけでありますが、この点で、たとえば日本ぐらいの大きさの国ですね、アメリカで言えばモンタナ州とかカリフォルニア州ぐらいしか大きさがない、ここで徹底的な地方分権をして、道路は道路、土地改良は土地改良、それぞれ好きなようにと言うとあれですけれども、一定の国の基準を大幅に外してやらせるということが、果たしてどれだけ予算の効率化になるかという議論があるわけであります。この点をどういうふうにお考えなのか。一例を挙げますと、いま地方税の税収は全体で恐らく国の六割ぐらいしか上がっておりません。それに対して職員は国よりも六割多いという。こういういまの地方の行政の現状を踏まえた上で、なお地方分権をいまやっていけば予算の効率化になるとお考えなのかどうか、これを二番目にお伺いします。  それからもう一つ、できれば、この水ぶくれの中で、公共事業と建設公債についてだけお触れになりましたけれども、福祉予算、特に福祉による義務的な経費拡大があるという点を私どもは無視できないと思っておりますけれども、その点をお触れにならなかったので、補足的に御意見をお伺いしたいと思います。  最後に、鷲見さんに一点だけお伺いいたしますけれども、投資部門と経常的部門と二つに分けて分析しているけれども非常に問題がある、ことに公共部門の予算が大幅に伸びているのが問題である、こうおっしゃったわけでありますけれども、あとの鷲見さんの御説明にもございますように、公共事業にもいろいろございまして、たとえば土地改良であるとか、あるいは同じ道路でも市町村道の改良であるとか、小型の漁港予算であるとか、こういうものは非常に民生に直結しているわけでございますけれども、そういう公共事業一本でなくて、公共事業の中身というものをもう少しごらんになった場合に、去年の予算とことしの予算とどういう御印象をお持ちなのか、もしそういう検討をしておられればお伺いしたいと思います。  以上でございます。

中島正樹三菱総合研究所取締役社長

○中島公述人 津島委員の御質問に対してお答えさせていただきます。  最初に、福祉社会の問題につきまして、日本人に非常に欲求不満が多いというお話がございましたが、これは確かにいろんな統計で日本人ぐらい——実は外国人が、日本人は人口の八〇%以上が中産階級、世界でまれに見る非階級的社会だと言っているにかかわらず、なぜあのように不満が多いかわからないということをよく申します。しかし私は、これは日本民族が非常に向上心が高い民族で、いつも現状に満足することができないという、これは明治百年かけて、せっせと西欧社会にキャッチアップするために民族的なコンセンサスができてきたために、そういう欲求不満というものも一つの向上の原因と見れば、必ずしもそれ自身を非難するべきではなくて、むしろ欲求不満は、それ一つ一つに回答していくということであって、また、その間違った過剰の甘えの欲求不満については、一つ一つ政府は国民に対してよく説明をし、その点につける努力は不足しているのではないかとすら私は感じるわけでございます。  貯蓄の高いのはいろいろ歴史的な事情がありまして、特に日本は天変地異というか、ことに徳川時代におきましては、一生のうちに何回かは大火に遭うというのが普通の現象でありましたから、絶えざる貯蓄というものは国民的な習性として高まったということも一つの大きな要素だと言われております。  また事実、ことに現在の日本人の貯蓄の高いのは、住宅が非常に不満だというために、それに対する用意という気持ちがあって、いま貯蓄もかなり高いのではないかと言われます。事実、国民が非常に貯蓄されるのは、新しい家を買うための最初の頭金という意味で貯蓄をされておる面も相当あるという点では、国民の非常に切ない希望として貯蓄が高いと思うのでありますけれども、しかしまた先ほどの仰せのとおり、国民の税負担も比較的海外に比べれば軽いということもそれに影響をしているとは思います。  しかし、これを今後どういうふうにしてリードしていくかということになるかと思いますけれども、まだまだ日本としては国民は住宅が非常に不満で、外国人が来ても、日本はあんなに福祉国家と言いながら個人の住宅が貧弱じゃないかと言う間は、日本人の先ほどのような向上心と欲求不満は、当分の間貯蓄率の高さという形でまだ続くのではないかと思っております。そして、国民がもう現状で満足して何も望むものがないというふうにまでなれば、恐らく貯蓄はなくなって消費に向かうこともあるかもしれませんけれども、しかしそれが健康的と言えるかどうかはおのずから別個な問題であって、どのくらいのものをもって貯蓄を正常にするかということは、まだだれも学者は、日本が多過ぎるという感じもあるけれども、日本が絶対にいけないという議論も私はないんじゃないかと思うのです。  ただしかし、貯蓄に関しましては、先ほども申しましたように、たとえば保険年金というような法律制度もあって、保険の払い込みなんかについては年金制度について優遇して、思い切った保険にすることになれば、必ずしもいわゆる郵便貯金や銀行預金だけにするという形式じゃなくてもよろしいわけでありまして、いろいろな形で福祉につながるような、貯蓄の内容も変わってくる可能性はあり得るのじゃないか。ただ、貯蓄の内容についての変化は今後とも続いていくのではないかと思いますが、やはり日本民族のこういういい資質は、下手に非難して改正する必要はないのじゃないかと私は思います。  次の問題、研究開発についての御質問でございますが、特に産学協同についての問題が出ました。私はときどき言っておるのですが、産学協同は大賛成でございまして、ソ連へ行きましてつくづく感じたわけでありますけれども、ソ連でたくさんの研究機関を見学させていただきましたけれども、そこでは実に大学と協同していらっしゃることばかりなのであって、たくさんの大学の先生も出てこられる。それはああいう社会主義社会ですから、民間の社会の企業と違うのだとおっしゃればそれまでですけれども、要するに民間の企業が何か悪いことをすれば徹底的に追及してもよろしいけれども、しかし民間産業を伸ばさなければ日本の産業の発展もできなく、また事実、日本がこれだけ国際的に金や黒字が余り過ぎると言われながら今日ここまで来たのは、やはり産業人の努力が非常に大きく貢献した。もちろん、日本の企業別労働組合というすぐれた労働組合のおかげで産業が非常に大きく発展したということも大きな要素だと私はいつも申しておるのでございます。外人もその点は非常に認めておるのでありますけれども、しかし私は、産学協同というものは本質的に一つも悪いことじゃなくて、むしろこれは正しく進めるということに対してはもっと遠慮なく推進していただきたいというのが私のお願いでございます。どうも失礼いたしました。

和田八束立教大学教授

○和田公述人 それでは簡単にお答えさせていただきます。  政府予算は大きい方が自然なのか、よろしいのか、小さい方が自然なのかというふうな御質問でしたけれども、これは一概に言いにくくて、歴史的あるいは社会的な諸条件で決まるのではないかと思います。  それでは現在の日本でどうかと言いますれば、現在のわが国の財政のGNPに対する割合は二八%を超えているわけでありまして、これはかなり大きな政府になりつつある、もうなってきておるというふうに感じるわけです。この辺で一応ストップさせるべきではないか。大きければいいと必ずしも言えないわけであります。欧米の福祉国家というのは確かにすぐれた点がありますけれども、いかに福祉が高くてもかなり高い税負担があり、またその福祉の内容自体がいろいろと行き詰まってきておるという問題を聞き、経済社会生活にもいろいろな問題が出てきたということを聞きますと、欧米型の後を追うということよりも日本的な福祉を追求するとすれば、一応この辺でストップして見直した方がいいのじゃないか、こんな感じがいたします。  それから二番目に、分権型の財政その他に関連しての御質問ですけれども、わが国は確かに面積は小さいわけですけれども、人口から言いますとアメリカの半分はございますし、それから九州と北海道ではかなり気候が違う。あるいは都市と農村では生活状況、人の考え方が非常に違うというようなことがございますので、一概に面積だけでは言えないのではないかという気がいたしますし、また確かに道路その他の問題はあると思いますけれども、そうしたフィジカルな問題だけではなくて、許認可事務であるとかあるいは地方公務員と国家公務員との二重行政等々、考えてみますと、やはり再検討すべきところがあるのではないか。  福祉予算については私は申し上げなかったわけですけれども、これは制度的な見直しというのをどうしてもやらなければいけないわけで、いまのままで医療費がどんどんふえていく、あるいは年金についても将来の老齢化社会を前提にしていまの制度でいいかどうかということになりますと、ここで制度について根本的な見直しをしなければいけないのではないか、こういうふうに考えている次第であります。

鷲見友好法政大学教授

○鷲見公述人 私も、先ほど公共事業についても若干の変化はありますけれどもということを前提で申し上げたわけですけれども、確かに下水道、環境衛生など、伸び率が非常に高くなっておることは間違いありません。しかし道路と比べますと、もとが小さいものですから、伸び率は大きくても、なお額としてはかなり小さいということがありますし、それから道路整備事業費なども、全体の一般会計、財投を合わせた額の中で市町村道路の占める位置というのは二十分の一くらいでしょうか。そういう意味で非常に小さいというように、そこには若干の変化はあるけれども基本的には従来型で、そういうやり方では、すでにわれわれが経験しておるように景気対策としても必ずしも有効ではあり得ないのではないかということを申し上げたわけであります。

津島雄二自由民主党

○津島委員 ありがとうございました。

小此木彦三郎自由民主党

○小此木委員長代理 これにて津島君の質疑は終了いたしました。  藤田高敏君。

藤田高敏日本社会党

○藤田(高)委員 公述人の皆様には大変貴重な御意見を聞かせていただきましてありがとうございました。  私、時間の制約もございますので、主として和田先生に財政問題を中心に二、三お伺いをいたしたいと思います。  まず第一点は、そのものずばりの質問でございますが、当面するわが国財政の危機の本質は何か。  と申しますのは、すでにこの予算委員会でも一定の議論、質疑を続けてきておるところですが、私の考えるところによれば、今日の財政危機は、政府の主張によりますと、いわゆる石油危機以降の財源収入の不足が今日の財政危機の一番大きな原因だというようなお考えでありますが、むしろ財政運営そのものに問題があるのではないか。私がこういう認識でいるものですから、いわば日本的財政危機の本質ともいうべきものについてお伺いをいたしたいと思うのです。  二つ目の問題は財政再建のあり方についてであります。  先ほど来公述人の皆さんそれぞれのお立場で御意見を開陳されましたが、政府の考え方は、言うまでもなく、一般消費税を前提とする増税によって財政再建の足がかりをつくりたい、こういうことだろうと思うのです。しかし私は、これまた端的に申し上げて、増税によって問題の解決を図るのではなくて、思い切って歳出を抑制するというところに手だてを加えない限り今日の財政危機を克服することができないのではないか、このように考えるものです。たとえばいまの予算編成のあり方を見ておりますと、これは長年の慣行のようですけれども、大蔵省を中心に各省の予算担当者がいろいろ協議をして、そして最後には大蔵原案をつくって、政府原案をつくるまでに一定のポケットを大蔵が持っておって調整をする、こういうあり方ではなくて、むしろ、ここまで水ぶくれ的になったわが国財政を、歳出を規制していくために、各省ごとに、これは一つの、まあ全く思いつきのようでありますが、二割程度なら二割程度歳出を削減する、こういう割り当てをやって、そして何と何とを抑制するかは各省の判断に基本的にはゆだねるというぐらいの思い切ったことをやらないと、今日のこの財政危機を乗り切ることができないのではないか。これに対する先生の御見解をひとつ聞かせてもらいたい。  三つ目の問題は、いま申し上げたことにも関連するわけでありますが、税制の問題でございます。  私どもの考えでは、増税先行型の財政再建に手をつける前に、これは先ほども先生の特に力点を置かれた御発言であったかと思いますが、不公平税制の是正を徹底してやらないと、国民自身が仮に増税をすると言っても納得しないのじゃないか、こう思うわけであります。そういう立場から、一つには不公平税制の是正を徹底してやる。そのためには租税特別措置の廃止なり分離課税の廃止なり、そういうものに徹底したメスを入れると同時に、いま一つは担税能力のあるものから税を取る、いわゆる応能原則というものが今日の税制のもとでは乱れているのではないかと私は思うのです。そういう立場からいたしますなれば、大法人の税率を引き上げる問題であるとか、あるいは富裕税の創設であるとか、土地再評価税の創設であるとか、そういうところへむしろ手をつけていく必要があるのではないかと思うのですが、学者、専門家の立場から見て、どのような税目を設定することが財政再建の問題と結びついた形で適当であるかどうか。  第四点は国債発行と財政再建の問題であります。  これも私質問しようといたしておりましたことについて御見解の表明がありましたが、私かねがね、昨年来、この予算委員会におきましても赤字国債は悪で建設国債はいいのだ、こういう見解がどうも支配的にあるのじゃないかということを主張してきた一人でございますが、その点については和田先生からも先ほど大方そういう立場に立っての御見解があったと思います。  そこで、そのこと自体についての質問は留保いたしますけれども、政府が今回提出いたしました五十四年度の予算案、それと表裏一体をなします財政収支試算本表によりましても、赤字公債はなるほど五十九年からはゼロにするのだということでありますが、建設国債は依然としてずっと増発していくわけですね。そうして六十年の段階では百三十九兆円の残高、六十年以降は、仮に毎年十兆円ずつのテンポで積み重なっていくといたしましても、六十五年の段階では下手をすると二百兆円近くにもなるのじゃないかと思うのですね。そういたしますと、平たく言いますと、建設国債の増発によってわが国の財政がパンクするのじゃないか、そういう見通しは誤りであろうか、私はこのように考えるわけでありますが、そういう立場からする建設国債に対する見解をお伺いいたしたい。  第五点は国債に対する管理政策の問題であります。  この問題についてはいろいろ意見もありましょうけれども、これは専門家の立場から見て、今日わが国の国債発行がこれだけ多くなってきておるわけでありますが、何か適切な管理政策があるかどうかということを端的にお尋ねいたしたいと思います。  そしてそのこととのかかわり合いと、先ほど申し上げた建設国債との関係でありますが、私は、基本的には財政法の原点に返って、国債発行それ自体を抑えていくというところに最大の努力をしない限りわが国財政の立て直しというのは困難ではないか、こう考えるのでありますが、いかがなものでございましょうか。  最後には、政府が今度新経済社会七カ年計画の基本構想というものを発表いたしました。この中身を見ますと、五十三年度の価格換算によれば、七年間に公共投資の総枠がかれこれ二百四十兆円になると策定をいたしております。私がいま非常に心配をいたしますのは、この公共投資部門の二百四十兆円というものが、これだけやかましく言われておる今日の財政再建とのかかわり合いにおいて過大ではないのか、われわれがいま検討を続けておる財政再建の見合いとの関係において、この二百四十兆円という計画自身が果たして適切なものであろうかどうか、この点についての御見解を聞かしていただきたいと思います。  以上です。

和田八束立教大学教授

○和田公述人 大変むずかしい問題をいろいろ御質問がありましたのですが、財政危機の本質は何かというのが最初の問題でありますが、一般に財政危機というのは国債が累積、累増してくるということを指して言われておるわけでありますけれども、私は、それは一つの現象であり、出てきた結果にすぎないのであって、なぜ国債が累積、累増するのかという、そのもともとのところに財政危機の本質があるというふうに考えているわけであります。それは何かといいますと、結局のところ、さまざまな財政の諸制度なり、あるいは内容、構造についての検討、見直しが行われないままに、高度成長時代の構造がそのまま残されたままに非常な勢いで膨張してきたというところにあるわけであります。  先ほど五兆円ほど水ぶくれだというふうに申し上げましたのは、四十五年から四十七年度あたりまでにかけての財政伸び率の傾向線をずっと引っ張ってみますと、五十三年度で二十五兆円ぐらいのところに行くわけであります。それが五十三年度ではもう三十四兆円に行っているというあたりのことを考えても、かなり四十七年度から五十三年度あたりの財政膨張率というのが大きかったということが言えるわけであります。これはいろいろスタグフレーションでありますとか不況の長期化というふうな問題があり、先ほどもちょっと御指摘になりましたが、税収の落ち込みというものも確かに五十年度ございましたし、そうした経済的要因というものはあったわけでありますけれども、やはりかなり財政が放漫化してきたということが言えるわけであります。石油危機以降というふうに一般に言われておりますけれども、つぶさに見てみますと、実は石油危機ではなくて、このような財政膨張の起源というか出発点といいますのは四十六年度補正予算にあるわけです。このように国債が増発され、財政が膨張してきたのは四十六年度の補正予算のところから出発しているわけでありまして、このときまでは国債もせいぜい四千億円ぐらいであったのが、一挙にその次には二兆円程度にもはね上がるというふうなことになってきた。これはなぜかといいますと、結局、その前のドルショック、四十六年夏のドルショックに対する日本のドル政策の誤りが一つあったということであります。それからもう一つは、列島改造予算等に象徴されますような非常な大型公共投資が出ていったということであります。それから、高度成長時代のツケとでもいいますか、それによるところの福祉予算の増大というのがここで出てきたというふうなことがあるわけであります。このような問題を一つ一つ片づけない限り、財政の膨張体質というのは改まらないし、そのような財政構造にある限り、財政の危機というものは、ただ国債を減らせばいいのだというふうな計算というか、数字上のつじつまでは済まないというふうに考えるわけであります。  それで、予算の編成につきましては、特に政治と官僚的セクショナリズムといいますか、こういうものの癒着ということはっとに言われてきておることでありますし、それから予算編成方式にいたしましても、全体を洗い直すというよりも、増分主義といいますか、増し分主義といいますか、前年実績の上に積み重ねていくというふうな現在の予算編成のやり方でありますと、どうしても当然増経費がふえ、当然増経費の上にさらに政策増経費が上乗せされるということで、ふえることはあっても減ることはない。そしてまた、古いものはなくならないで新しいものがつけ加わる、こういうふうな体質を持っているわけであります。それからさらに、先ほども申し上げました中央集権的な体質ということは、どうしても財政の不効率と膨張化をもたらすというふうに考えざるを得ないわけであります。  次に、それでは財政の再建はどのようにあるべきなのかということであります。これは、増税をしなければならないというのが、昨年の財政収支試算でもそのようなことが織り込まれておりましたし、ことし出されました財政収支試算でもそのような内容を織り込んだ試算になっているわけでありますけれども、私は、ごく極端な大まかなイメージから言いますと、昨年出されました財政収支試算で言えば、E型というのがあるわけですけれども、大幅歳出抑制プラス増税型といいますか、こうしたものが提示されたわけですけれども、これ自体賛成だということではないのですが、大まかな方向、イメージとしてE型あたりを想定していいのではないかと考えているわけです。つまり、昨年のベースで言いますと十兆円、ことしではもう少し変わってきまして、九兆円というふうな数字が出ておりますけれども、仮に赤字が十兆円である、そしてこれを五年程度でなくす、実際には建設国債がありますから、もうちょっと大きくなると思いますけれども、赤字国債の場合だけでも十兆円ということでありますが、これをなくするということで考えてみますと、五年なら五年で十兆円ということであれば、一年に大体二兆円であります。したがって、これを五年で計画的に解消するとすれば、単純に言えば歳出抑制で一兆円、増税で一兆円ということでありますので、大して大きな金額ではないわけであります。歳出の抑制という点で言いますと、五十四年度予算は、これは先ほども申し上げましたように、昨年のE型に比べてまだ約一兆円多いわけでございます。三十七兆円台でなければならないわけでありますので、一兆円ことしの予算をさらに抑制すればよろしいわけでありますので、そういたしますと、藤田先生がおっしゃるように、二割ではなくて、全体から言いますと三十八分の一でありますので、ごく微調整をすればその程度の抑制で済むということであります。  それから、増税の方でありますけれども、これはその次の不公平税制というのに結びつくのですが、ごく控え目に計算いたしましても、これは先ほど公述いたしましたように、二兆円台の税収が不公平是正によって想定できるわけでありますので、これで一兆円程度の財源を出すということになりますと、これも不公平是正という問題から言えば、微調整でできるということでありまして、数字的に言いますと、それほどむずかしい問題ではないわけであります。     〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、その一兆円の歳出抑制をさらにする、さらに一兆円程度の不公平是正をするということ自体がむずかしいということでありますので、これはこの財政再建を本気でやる気があるのかどうか、そういう疑問を持たざるを得ないということを率直に申し上げたいわけであります。  不公平税制の問題でありますけれども、これは歳入をふやすかどうかという問題もありますけれども、それとは別にしても、税制のあり方といたしましては、常に公平を原則にする、公平を追求していかなければならないということは言うまでもないところであります。公平な税制がないところに国民の納税者としての協力というのは望めないわけでありまして、常に公平な税制というのを実現していかなければいけないわけであります。公平とは何かということになるわけですが、ここに大きな考え方の違いがどうもあるようでありまして、いままで不公平税制というふうに一般に言われてまいりましたのは、どうも租税特別措置の範囲、しかも政策減税の範囲というようなかなり矮小化されたところで言われているわけですけれども、そうではなくて、もっと社会的な観点あるいは税制全体のあり方というところから、この不公平の問題を考えるべきであろうと思うわけであります。それで、特に個人税制の面で言えば、先ほど御指摘もありましたように、特に資産所得について課税を強化する、富裕税というのはその一つの考え方ですけれども、そのほか譲渡所得課税の強化ですね、とうした資産課税を強化するということが必要なわけでありまして、これをやらない限り、いまの所得税制の中だけではなかなか公平が実現できないわけであります。わが国の財政全体の中で特に不足しておりますのは再分配政策でありまして、欧米諸国に比べて福祉的な制度というのはかなりメニューとしてはあるので、いかにも福祉的な外観を持っているわけでありますけれども、税制の面も加えて見てみますと、再分配政策がきわめておくれているということからもこの点を是正するべきだろうと思います。  それから、法人税につきましては特に問題があるわけでありまして、法人税制そのものをいわゆる法人実在説的な立場に立って改革を実施すべきであります。さらに、引当金等の大幅な圧縮、特別償却の廃止、償却年限の延長ということを行う。それから、法人税法だけではなくて、実は会計原則にも問題があるわけでありまして、会計原則によって所得が侵食されているところがきわめて大きいわけでありますので、会計原則にかかわらず税法上の所得範囲というものを拡大し明確にしていくということが税の公平にとって必要であろうと思います。  さらに、社用消費とか広告費、寄付金等への課税というものも行うべきであるということでありまして、当面やはり一番問題なのは、法人に対する特に大法人に対する課税の強化ということを行うべきであり、そのような税制改正をすべきであると思います。  土地評価税という御提案もありましたけれども、これなども含み資産がかなり大きいと言われているわけでありまして、百兆とも二百兆とも言われているわけでありますけれども、当然根拠のある提案だろうと思います。  それから、国債と財政再建の問題でありますけれども、私は、建設国債ならいいということで建設国債に免罪符を与えるということはかねがね反対しているわけでありますが、償還という問題から言いますれば、建設国債の場合は借りかえ方式をとっておりまして、償還期に、十年ものであれば六分の一でありますし、七年ものであれば六十分の七を償還するわけでありますので、いわゆる特例債の場合には現金償還をするということになってくるわけであります。  それから、最近三年もの、二年ものというふうな提案がありますけれども、これなどはもっと早く償還期限が来るということから考えますれば、建設国債の方が償還期限が長い、六十年を一つの区切りとしているわけでありますので、やりやすいという面を持っておるわけであります。やりやすいという面を持っておるがゆえに歯どめがなくなるということが逆に言えるわけであります。特例債の場合には、このような点では非常に償還に追われるということから苦しいわけでありますが、苦しいがゆえにその面から歯どめが出てくるし、それから特例債の発行については、やはり毎年特例法をつくることによってかなり手続的にも慎重を期さなければいけないということがあるわけでありますので、特例債の方が、歯どめという点で言えばきつい歯どめがあるというふうに言えるわけであります。したがって、建設国債だからいいということになりますと、どんどん公共事業費等をふやす、公共事業費をふやすことによって建設国債をふやす、建設国債をふやすためにさらに不必要な公共事業をふやすという悪循環を招いて、財政構造全体が悪化するということになるわけでありまして、建設国債をすべてなくせというふうな極端な議論をいまここでするわけではありませんけれども、建設国債についてはさらになお慎重な態度をとるべきであろうというふうに考えるわけであります。  今後の長期的な見通しで考えれば、国債発行につきましてはやはり市場価格でもって公募制で発行する、いわゆる市場型の国債発行にしていくということを目標にすべきであって、この点がわが国で考えられる国債の歯どめといえば唯一の歯どめであり、それ以外の歯どめは実は全然ないということは、いままでの経過からも証明されたわけです。いままでは建設国債が歯どめであるという時期もありましたし、いや三〇%というのが歯どめであると言われた時期もあるし、いろいろな歯どめが政府によって出されましたけれども、すべて何も歯どめにならなかったわけで、今後残された唯一の歯どめというのは、そうした市場型の発行によって、市場が受け入れられる限りにおいては発行するが、市場が受け入れられなくなったら発行できないということ以外に実は歯どめがもうない、こういう情けない事態になっているわけでありますので、そのような市場型に持っていくということが長期的な方向としては望ましい、こういうふうに考えているわけであります。  以上です。

藤田高敏日本社会党

○藤田(高)委員 最後の新社会経済七カ年計画のあれがちょっと落ちておるのですが、もう一つ質問がありますから、後で結構です。  大方、筋目の話は理解できるわけでありますが、追加して一、二質問いたしますと、一般消費税についての先生の御見解は先ほど承ったわけです。一般消費税は私ども大反対でありますが、仮にこれを創設する場合に、国税庁はこの間、徴税のための人員が六千人か七千人ふえる、八千人ですか、かなり多くの人員増になるということを発表されておりますが、これは、仮に五%、六%の消費税を取って三兆円程度の財源を調達しても、そういう人員がふえますと、それ自体が財政構造の中に占めるいわゆる財政の硬直化を招来する非常に大きな原因になるのじゃないかと思うのですが、その点についての見解を伺いたい。  いま一つの問題は、建設公債に対しての見解の披瀝があったのですが、財政法の四条によると、公共事業に充てる場合の財源として国会が議決すれば国債を発行することができるということで、いわゆる公共事業そのものが国なり自治体がやる事業であれば、それは何でもかんでも、そこには性格づけもなければ基準もなしに、公共事業だということでのべつ幕なしに国債発行の対象にしてきたというところに一つ問題があるのじゃないか。そういう意味から言いますと、少し時期的には遅きに失した感がありますが、政府の計画でいえば、またこれから建設国債をどんどん発行していくわけでありますから、この段階において、財政法四条の精神に沿って、この財政法四条が言うところの公共事業は何かという基準をいまからでもつくる必要があるのじゃないかと思うのですが、その点についての見解を聞かしてほしいと思います。  最後に、中島社長さんにお伺いいたしたいのですが、三菱総合研究所が毎年いろいろな経済見通しその他について策定をされます研究結果については、非常に権威あるものとして私ども関心を持っておるところでございますが、先ほどのお話の中で、将来非常に高齢化社会に向かうわけですけれども、私どもとしては安上がり政府というものとの兼ね合いにおいて、本来、安上がり政府というものといま直面いたしておりますわが国の高齢化社会という問題との関連から言いますならば、だんだんと高齢化社会になっていけば俗に言う社会保障費というものが増大していく。これは税ではありませんが、必要経費みたいなもので、そういう必要なものはどんなにふくれ上がろうとも、予算の優先順位としては最優先的な要素として見ていかなければならぬと思うのです。  その場合に、先ほどの御見解を聞いておりますと、国際的に見ても日本は中産階級的な層が非常に多いとか、貯金率が高いとか、そういうものから見て公的、私的の社会保険というか、そういうものの区別を明確にしなければいかぬという御意見がありましたが、どうもそのニュアンスの中から響いてくるのは、何だか公的負担の社会保障まで抑制をしてもいいのじゃなかろうか、日本人自体は貯蓄に対する能力もあるし、全体的に中産階級的なレベルまで、いわば所得、生活水準が上がったのだから、公的負担の社会保障についても余りそう意を用いる必要がないのじゃなかろうか、そういうニュアンスの御発言であったというように私は理解したのですが、そのあたりについての御見解を、もし私の判断が間違っておりましたら訂正をいたしますけれども、そのあたりの見解について聞かしてもらいたい。

和田八束立教大学教授

○和田公述人 先ほど新経済社会七カ年計画における公共投資累積額およそ二百四十兆円についてどうかという御質問があったのですが、その内容が、私の持っているのはこれだけですので余りよくわからないということで、多過ぎるというか少な過ぎるというか、その判断がいままだつきかねるわけでありますけれども、問題は、やはり部門別の内容ではないかと思います。これにつきましてももう少し検討してみないと即断できないわけでありますが、確かに道路事業というのは依然としてやはり高い、それから住宅は低い、環境衛生等は若干高く見積もられておるわけです。しかし問題は、こうしたものを実現していく財政の中身でありまして、道路などについてはたとえば超過負担がないけれども、環境衛生とか文教などは地方自治体の超過負担が多い、こういう財政システムが問題でありまして、公共投資を進めていく上でその辺を考えなければいけないのではないかと考えますが、ちょっとこれについてはそれ以上コメントはお許しいただきたいと思います。  それから、一般消費税につきましては、かねがねいろいろ問題を私も指摘しているわけでありますけれども、さしあたってマイナス要因として考えられますことは、一般消費税を導入することによって消費が減退する、いわゆるデフレ効果によってかえって税収が減るということであります。それから一般消費税が加わることによって財貨サービス購入、これは国、中央、地方の政府の財貨サービス購入費がふえるということになりますので、結局、財政支出はそれだけ減って差し引きマイナス要因になるということであります。それから、御指摘のような徴税費も増加するということになるわけでありますが、この徴税費につきましては、見えざる徴税費というものも大変多いわけでありまして、消費税でありますので、徴税人員は少なくても、結局一般の民間企業にただで徴税をさせるということになるわけでありまして、民間企業の徴税コストというのがきわめて膨大になるわけでありまして、その分社会全体とするとマイナス要因になるということになろうかと思います。したがいまして、五%で三兆円というふうな皮算用がありますけれども、果たしてネットで三兆円になるのかどうかということはきわめて疑問であり、さらに、財政バランスだけでなく、国民経済全体のバランスから言うともっと別の計算になるのではないかと考えているわけであります。  それから、国債については御指摘のとおりで、私も国債と公共事業、建設国債については同じ意見でありますけれども、公共投資とかあるいは最近の財政では投資部門というふうなあれがあるのですが、一体公共事業とは何か、何を公共事業として言っているのか、あるいは公共投資でもいいのですが、言っているのか、投資部門というのは何かということになりますと、はなはだあいまいであるわけです。国債については、公共事業費等の充当経費というのが予算の説明にも挙げられているわけですけれども、一体これが公共事業なのか、いわゆる第四条に言っている公共事業費等になるのかということになりますと、はなはだあいまいであるわけです。これはいわゆる建設事業費なのかということになりまして、一々予算書で精査すれば、いわゆる投資的経費以外の消費的な経費がいろいろな形で、たとえば調査費とか旅費とか設計費とかという形で入っているわけで、そういたしますと、果たしてここに挙げられているのが建設投資的な経費なのかということがきわめてあいまいであります。なおさら投資部門ということになりますと分類が大まか過ぎて、これは投資的経費以外の経費も入っているわけであります。また、一般会計等に占める公共事業というのがいわゆる投資的経費かということになりますと、これは投資ではなくて、結局、経済的性格から言えば、すべて消費的経費であるというふうにも言えるわけであります。したがいまして、この辺のところはもっと概念を厳密にする必要があるのではないかと考えておるわけであります。

中島正樹三菱総合研究所取締役社長

○中島公述人 ただいまの御質問の件について、簡単に私の私見を申し述べさせていただきます。  確かに私はそういう意味で申しておるわけじゃございませんでして、もちろんいま、あるいは所得制限とかいろいろな問題があるのでございますけれども、そういう問題じゃなくて、一般的な問題として、日本は福祉政策が欧米の先進国に比べておくれて発達したという意味では、そういう意味では日本が福祉社会に追いついてきたということで、相当いま急いできたわけでございます。しかし、そのスピードで来たのが、今度はたまたまいまお話しのように、高齢化という別の新しい要素が加わってきたわけでございますけれども、基本的にはやはりナショナル・シビルミニマム・スタンダードは一つの限界点として物を基本的に考えるべきであって、それを削ろうとかいうことはなしで、またむしろそういう特別な弱者についてはもっと手厚いこともあってもいいのだと私は思うのであります。  しかし、それでは現在の社会保障が完全に正確に行われているかというと、ときどきは耳にする、私自身も実は老齢パスをもらっておるのでございますけれども、いままで何年かいただいておりまして、一年間に二、三回、実は一回ぐらい使ってみたいと思って使ったことがあるのですが、いつでもお返ししたい気持ちでございますけれども、ただ、お返ししたことがどういうことになるのか、東京都の財政に貢献するならすぐ即日でもお返ししたいという気持ちでございます。それは私的なことでございますけれども、実はときどき耳にすることについては、きちんとしたルールが守られていないというものも若干あると思います。しかし、これは大きな筋道から言えば例外的なことでありますから、そのところは問題なくて、やはりこれから先、日本がイギリスやスウェーデンのように本当に福祉のために高負担になって、税金でどうにもならなくなってしまうということが非常に見えてきているということはみんなが言っておるし、新聞社の方々もついきのう、二、三日前からも日本経済新聞にも載っておるように、もうその不安は目前に迫っておるものですから、それに対していまこの際シビルミニマム・スタンダード、また社会保障というものをはっきりさせて、それを超す公的負担以外のものについては、憲法二十七条で国民は勤労の義務があるわけでございますから、ですから勤労の義務を守らない人間と、勤労の義務を守った人間とではそこに晩年の公的福祉に違いが出てくるのは、これは憲法の認める当然なことだと私は思うのでありますが、そこにおのずから公的保障と私的保障というものを並行して考えるのが自由主義社会であるべきではないか、そういう意見を述べさせていただきました。失礼しました。

藤田高敏日本社会党

○藤田(高)委員 終わります。ありがとうございました。

竹下登自由民主党

○竹下委員長 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。  広沢直樹君。

広沢直樹公明党・国民会議

○広沢委員 各公述人の皆様には大変御苦労さまでございます。私に与えられた時間は十分程度でございますので、十分な御意見をお伺いする時間がないかとは思いますが、二、三お伺いしたいと思います。  まず中島公述人にお願いしたいと思うのですが、いろいろ予算に対する御批判なり御意見は承ったのですが、それ以外の問題になりますけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  まず最初に、経済見通しでございますが、三菱総研におきましても短期の見通しあるいは長期の見通しを出しておられます。そこで、最近はやはり国際的にも経済成長率というのが一つ問題になっておりまして、その経済見通しが、これはなかなかむずかしい、経済は生き物ですから見通しどおりになるということはむずかしい問題でございますけれども、いずれにしましても、もう少し経済見通しをつくるのに工夫といいますか、努力、そういったものについて考えられるところはないだろうかという問題が最近問題になっております。経済企画庁長官も経済見通しについてマクロ的な考え方の見通しだけではなくて、ミクロの目標を掲げたらどうかとか、あるいは、経済見通しを立てる上において、民間の活力といいますか、これが一つ問題になりますので、それぞれ、設備投資にしましても在庫投資にしましても住宅投資にしましても、やはり業態別に少し具体的な見通しを立てて、各それぞれの階層がそれを一つの目標にして、企業なりの努力ができるような目標を掲げる、その積み重ねをしたものの経済見通しというものを考えたらどうか、こういうような考え方もありますが、それについて、見通しを立てていらっしゃる三菱総研の皆さんのお考えを伺っておきたいと思います。  それからもう一つは、これはちょっと予算とは直接関係がございませんけれども、五十一年の秋から、いわゆる通貨不安で、大変わが国も経済的に大きな打撃を受けているわけでございます。したがって、いまのフロート制、変動相場制ですね、このままでいいのかどうかという議論も出てきておりますし、すでにECにおきましては、ある程度安定さす方向で何らかの制度を考えなければならぬ、こういう動きもあるわけでございますが、そのフロート制についてのお考えをお聞かせいただければ、こう思う次第でございます。  それから、時間の関係で続けてお伺いしますが、和田公述人に二、三お伺いしたいと思います。  財政再建についてでございますけれども、先ほどの公述の中で、一般消費税の導入につきましては、それをストレートに財政再建と結びつけてやっていくことは、財政の再建ではなくて、むしろ放漫化を促進するものであり、極端に言えば砂に水をまくようなことになるという意味のことをおっしゃいました。  最近の財政再建に対しての主体的論議の中では、政府は、財政再建元年ということにしまして、一般消費税を五十五年からはどうしても導入するのだと。しかも、その導入するという一つの基礎になっているのが、財政試算に基づきまして、昭和五十九年、六十年までに、いわゆる特例債、赤字国債をゼロにするという前提に立って、税収にこれだけの不足があるというような割り出し方をしてきているわけでございます。ということは、いわゆる赤字国債からいつ脱却できるかということ、それを六十年とかあるいは何年という限定を置けば、それについてのある程度の財源を無理してでもつくらなければならぬというようなことにもなるのじゃないか、こう思われるわけであります。したがって、やはり財政再建についての基本的な考え方というものがはっきりしていない、そういうところの論議だけが行われる、そして、どうしてもそれはもう大幅な税収増が必要なんだという印象づけがなされてくるのじゃないかという懸念がございます。  そこで私は、財政再建というのはすなわち大増税というような、いまの政府が考えているようなパターンではなくて、いままでこういう財政的危機を招いてきた原因というものをはっきり究明して、そして、それに対するルールづくりをしていかなければならないのじゃないか。幾ら増税しても、ルールが放漫であれば、幾らたってもそれは増税に次ぐ増税ということにならぬとも限りません。先ほどの公述人の御指摘はそういったところにあったのじゃないかと私は思うわけでございます。  たとえば、税収と予算の関係、あるいは予算に対する国債の依存度の問題、さらには、現在、御承知のように財政法がございます。その財政法を一応、財政法の四条ですか、これは形骸化した形になっておりますし、それからまた財政法で言えば地方財政も同じでございまして、地方交付税法も、これは六条の三の二項ですか、それも決められておりながら十分な手当てができない。法律がありながら、それは現実的な問題としてその法律が守られないという、これもいたし方がないじゃないかというような問題点がございます。  ですから、こういう大増税を議論する前に、やはりその歳出構造の問題だとか、税制改正をも含めた歳入構造の問題だとかに対する一つのルールづくりが必要ではないかと思われるわけでありますが、それが必要とすれば、どういうことを考えていけばいいのかということの御意見がございましたならば、お聞かせいただきたいと思います。

中島正樹三菱総合研究所取締役社長

○中島公述人 お答え申し上げさせていただきます。  経済見通しにつきまして、成長率という考え方と見通しという、経済見通しというのは若干ニュアンスが違うのでございますけれども、いまの御質問の意味は、どちらかというと経済見通しというような御趣旨のように拝聴されたわけでございます。  最初にそれについては、もちろんその経済の見通しにつきましては、官庁におきましてもわれわれの方でも、各業態別の数字は調べまして、それを一応統合してそして経済見通しをしているわけでございます。ただ、業態別の目標を明示するということは、いろいろな点において問題を起こすわけでございまして、特定の産業が、いいとなれば非常にいいかもしれませんけれども、悪いとなるとその産業について非常な大きな悪影響、それを応援するというプラスの面もあるかもしれませんけれども、非常に悪影響を起こすという場合もあり得るわけでございますので、そういうものに対してはおのずから慎重にならざるを得ないのでございます。しかし、もちろん各種の業界、団体から自分の業界に対するいろいろな意見をお求めいただくことはございまして、それに対してはお答えいたしますが、全体の個別の業態別の見通しについては発表していないのが現在の姿でありますし、またそれをするといろいろと弊害が起こるのではないかというふうにも思われます。国としましては、経済成長率は御承知のようにいま西独では二・五%ということでありますし、アメリカが三・五が少し、まあ四%近くになるという程度でありますので、日本の七%成長は、日本の黒字に対する批判として行われたことでありまして、的確なる日本の黒字減らしの方策として経済成長率を云々されるのはむしろおかしいのであります。ああいう基礎収支というような問題、要するに、資本収支まで入れた問題にしないといけないのじゃないかというふうに思っております。それで、そういう意味においては成長率が下がってかえって利益が最近のように上がるということはあり得るわけでありまして、減量経営によりまして企業の損益分岐点が下がって、経営状態がよくなっているというのが現状の形だと思っております。  それから次にフロートの問題でございます。これは世界の一流の金融学者を連れてこないと、フリードマンが来ても果たしてどれだけの名答をしてくれるかは、一遍聞いてみたいと思うのでございますが、ただ御質問のございました、ECがECUという新しいユニットをつくりまして非常に熱心にやっております。これはEC統合体を実現するための一つの方法として進められておりますが、それが現実化することはかなり時間がかかるのじゃないかと思われます。しかし、仮にこれが実現するとなると、日本の円に対してはどっちかというと投機目標となって、日本の円は最も投機目標になりやすいというふうに思われますので、そういう点では、決して油断して見ておくわけにはいかない問題だと思います。  現実の問題、通貨不安といいましても、ドルの不安定が世界における最大の問題でありますので、それとまた一番関連深い日本でございますので、そういう意味では、いまのフロート制もできるだけ幅を狭めようというような動きもありますけれども、長い将来では、私は、非常な私的な見解ではございますけれども、何らかの変わり得る政策としては、GNP本位制というようなものもあってもいい、こういうふうにすら考えられるわけでございます。そこまでいくのは人類の未来の問題だと思いますけれども、そういう方向もあるいは起こってくるかと思います。  大変失礼しました。

和田八束立教大学教授

○和田公述人 財政危機の原因は何であり、財政再建はどのようにあるべきかということにつきましては先ほども申し上げたところでございますが、その原因を究明してルールづくりをする必要があるということにつきましては、どのようなルールかということは大変問題でありますけれども、原則的には私も同じ意見であります。  いままで、この数年、財政が非常に放漫化してきた、あるいは放漫的に膨張してきたという印象が非常に強いわけでありますけれども、これはいろいろな原因があるにいたしましても、一つ指摘しておかなければいけないのは、安易な財源があったということが大きな理由になっているような感じがいたします。この安易な財源というのは何かというと国債であって、税金というのは増税をしたり、あるいは徴収しなければ上がってこないわけでありますけれども、国債というのは、これだけ発行するということになりますとぱっと財源が出てくるというので非常に安易でありまして、まあ、戦争と国債が結びつくというのも、戦争財政のもとでは国債が利用されるというのもそういうところにあるわけであります。いままでは国債の発行を決定すれば、それだけ何とか消化できたわけでありますが、ことしのような場合にはなかなか消化できにくいという条件が出てまいりまして、財源的に非常に制約が大きくなってきた。したがって、いままでの放漫的な予算の編成からいたしますと、かなり身の締まったやり方になってきたわけでありまして、これはそれなりに評価できるということを私は先ほども言いましたけれども、ともかくそのような形になったのは財源的に制約が出てきたからですね。ですから、わが国の財政というのは、いろいろ問題があるにいたしましても、やはり余り安易な財源があるというのはよくないのじゃないかという感じを持っているわけで、ここ当分は財源がない、非常に苦しい財布の中で予算編成をするということの方が、結果的には好ましい状況が生まれるというふうに思いますので、ここで一般消費税などによって安易なといいますか、新しいさらの財源が予算当局に与えられない方がいい。かえって苦しい方が結果的に財政の体質改善に役に立ってくるのではないかというふうに逆説的に考えておるわけです。その点で、いろいろやるべきことはたくさんあるわけで、国と地方との関係ということも、先ほど申し上げましたように、制度的な整備ということもいろいろな点であると思いますし、また、政府のやるべき課題といいますか、公私両部門の分担関係というようなことについても、いろいろその間には検討しなければいけませんけれども、少し財源的に苦しんだ方がよろしいのではないかというのが私の意見であります。

竹下登自由民主党

○竹下委員長 広沢君、よろしゅうございますか。  これにて広沢君の質疑は終了いたしました。  米沢隆君。

米沢隆民社党

○米沢委員 きょうは大変御苦労さんです。時間もありませんので、一括して御質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、中島公述人に御質問いたしますが、先ほどのお話の中で雇用問題と関連いたしまして、いままでの日本の経済は第一次産業で余れば第二次産業に吸収し、第二次産業で余れば第三次産業に雇用を吸収してきた、そういう雇用の調整機能みたいなものがあったというお話でございました。そこで、もうすでに現段階においてこの雇用調整機能が薄れてきた、したがって、新しい第三次産業が必要だというお話でありましたけれども、そこまではいろいろな話の中ではみんな出てくるわけです。しかし、この新しい第三次産業を一体どうしてつくっていくかという議論に関して具体的な案がない、ここらが一番大きな問題だ、そう思うのです。そういう意味で、この新しい第三次産業を開拓していくために、政府にどのようなことを期待されておるのか、また、政府が果たすべき役割りについてどういうお考えを持っておられるのかを聞かせていただきたい。同時に、いままで日本の経済が発展してきたのは、国際競争力が強かったということ、これは科学技術の進歩によりまして、生産性向上運動を一生懸命やってきたということなんです。ところが生産性向上をやって、これから先もやっていくとするならば、逆に職場はどんどん減っていくという相矛盾する問題が出てきておるのでありまして、今後新しい第三次産業としてソフトウエア等を拡大すべきだということでありますけれども、果たして雇用という面から見たら、雇用の本当の拡大になるのかどうかという問題が大変心配でございます。そういう意味では、単なるソフトウエアだとか、あるいは生産性向上以外の面で雇用というものをある程度確保する手段をとらなければだめなのではないかという感じがするのでありますが、その点お聞かせいただきたいと思います。  それから、和田公述人と鷲見公述人に一括して同じ質問をさせていただきたいと思うのでありますが、御案内のとおり、景気がおかしくなりましてから財政主導型の景気対策がいろいろととられてまいりました。しかし、すでに御案内のとおり、国債は限界にきておりますものの、景気は幹の面ではまだまだ厳しい状況が続いております。そういう意味で今後の財政状況を見ましたときに、昨年また今年度の予算等におけるように、借金してお金を集めて、それを公共事業等にばらまくという大盤振る舞いをすることはほとんど不可能になってきた、そう思うのです。そういう意味では、今年度の予算の執行によって、少なくとも民間企業の活力を引き出す最後のチャンスではないか、そういう感じがするのでありますけれども、いろいろとお話を聞くところ、それも余りかなわない夢のような感じが非常にしまして、そこらに何か政策欠陥があるのではないかという感じがします。そういう意味で、皆さん方の御意見をこの点についてお聞かせいただきたいということと、それから今後の景気対策に絡みまして、いままで果たしてきた財政の役割りとは全然違った財政の役割りみたいなものが必要になってきている時期ではないか、そういうふうに思うのでありますけれども、この二点についてお伺いをしたいと存じます。

中島正樹三菱総合研究所取締役社長

○中島公述人 時間がなかったので若干御説明不足だったのかもしれませんけれども、もちろんいま問題になっておるような日本の年功序列賃金制を修正していくような方向が一つ出てまいりましたし、また高齢者を新しくできるだけ雇うという方針のあることも事実だと思いますけれども、しかし、それだけでは産業が近代化するということは、確かにかってイギリスでもラッダイト運動というのがありまして、新しい工場をつくることに破壊運動が始まったというようなこともあったわけでありますけれども、そういうようなことではなくて、私が先ほど申しましたのは、四次産業とか五次産業というのは、そういう新しいコンピューターを使う機械とか、現在たとえば大企業なんかでも、一万人の人を減らそうとしている大造船会社あたりでも、設計技術員は非常に不足してきているということは、結局第二次産業が二・五次産業として変わってきているというような形で、人に対する雇用の要求は強いわけであります。またさっき例に申しましたように、ソフトウエアに対する人間の要請というものは非常に高まっておりまして、われわれの見ている範囲でも、非常にそういう新しい——ただそれに適応する人たちをこれから養成していくということが非常に大事なのでありまして、コンピューターのソフトウエアとか、システムエンジニアリングとかいうものは現在でも非常に不足しておるわけであります。そういうことに対する対応が、いまの大学あるいは教育も、どちらかというと二次産業が比較的中心になっているという点も問題があるので、三次産業、四次産業、あるいは五次産業と言われるような、結局これは人間の消費構造、人間の生活内容が変わりまして、要するに耐久消費財中心の欲求から漸次変わってきまして、文化生活ということに対する欲求が広まりますし、自由時間産業というものは、後十年以内には自動車産業二つくらいの大きさになる産業と言われておるわけでありますから、そういう点において新しい産業が出てくるわけです。そういう点においては、たとえば現在でも政府がコンピューター産業に対しては、超LSIに対して大きな援助をしていらっしゃいますけれども、それと同じようなものを、そういうものに対する人をつくることに対して力を入れられていただくというようなことも非常に役に立ちますし、さらにまた、海外に対してそういうテクノロジー・トランスファーと申しますか、日本の技術を第三世界の方々に応援するという形で人もまた要るということになるのではないかと思いますので、そういう点で、日本人のいまの勤勉な国民的な性質が残る限りは、日本人に対する、日本の知的要請というものは減らないのじゃないかというふうに、どちらかというと楽観している、長期的に見れば楽観しております。もちろん現実の問題いろいろあることは事実でございますけれども、それは何とか日本人のすぐれた総合直観力でこれを解決していくのではないかというように期待しております。

和田八束立教大学教授

○和田公述人 公共投資による景気政策というのは、ことしというか五十四年度予算でも柱の一つになっているわけでありますけれども、おっしゃるようにいろいろなネックが出てきているということだろうと思います。五十三年度につきましては、あれほど公共事業に力点が置かれたにもかかわらず、それほど目に見えて景気がよくならなかったということから言いますれば、ことしの場合、五十四年度の場合にはなおさらそれほど期待できないというふうにも考えられるわけであります。そもそも公共事業の効果というのはかなりここで問題であるということが実証されたのではないかと思うわけです。つまり、民間投資の呼び水にならない、なりにくい。全くならないというのは大げさですけれども、非常にかつてほど期待できないということであります。実は隘路が多過ぎるということであります。それからもう一つは、雇用につながらないということでありまして、雇用の問題、いまもお話が出ましたけれども、質的、地域的な関係からこれが雇用につながらないという問題。それから、公共投資の効率性が非常に低下してきている。これは用地費の問題でありますとか諸物価、資材の高騰等もございまして、効率性が低下してきている。そういったようなことから、やはりこの公共投資中心による景気政策というものは考え直さなければいけない。高度成長型の呼び水政策というようなものについても考え直さなければいけないのではないか。やはり基本的には個人消費支出を中心とした内需を拡大する、喚起するということだろうと思うわけでありまして、そのための再分配政策、社会保障政策、減税ということが政策的にはより重視されなければならないと思います。  それから、雇用政策というのはそうした景気政策とは別に考えられなければならないわけでありまして、現時点で言いましても成長率は何とか六%近くに持ってきている。それから利益率もアップしてきている。しかし問題は、残されているのは雇用であるということでありますので、この点で言いますとやはり雇用というか、ただ狭い意味だけでなくて、たとえば住宅を確保するということがなければ地域的な移動ができないわけでありますので、住宅政策とかあるいは教育水準を改善するということで雇用の吸収を図る等々、いわゆる社会的な政策というものと雇用対策とを結びつけていくというふうな考え方が必要なのではないか。要するに、そういう意味では従来のマクロ的な成長政策あるいは公共投資重点の政策というものについては考え直すべきであろうというふうに考えるわけですし、すでにその点についてはここ一、二年の経験で実証されてきているのではないかというふうに考えるわけです。

鷲見友好法政大学教授

○鷲見公述人 私もやはり公共投資は、先ほども述べましたように、以前と比べてその効果が落ちてきていることは、これはもうどなたも認めていらっしゃるところでありますから、したがって公共投資を主体にしたという景気政策から内需拡大、他の個人消費を拡大することによる内需拡大というところに方向転換をする必要がありますし、それから公共投資そのものについては、先ほども申し上げましたように、やはり同じ公共投資といいましてもいろいろ種類がありまして、したがって先ほどの試算も若干こういうような問題があるということを申し上げたわけですけれども、そういうような点について、政府は資料と人材をお持ちでありますから、いろいろな場合について具体的にやはり計算を、その方法と結果を示していただいて、そうして御議論をいただくことが必要ではないか、そういうことによって、公共投資は必要ないわけじゃなくて、むしろ大都市におけるいまのいわゆる社会資本の不足というものは非常に激しいものがありまして、こういうものはもうかなり大がかりな事業になるわけでありますけれども、そういうような場合でもいろいろなやり方があると思いますが、そういう点についてきちんと計算をした上で、その資料をお出しいただいて議論していただく、そうすれば最も効率的な予算の執行ができるのではないかというふうに考えます。  それから、財政の果たしてきた役割りはいままでと違うのではないかというふうにおっしゃる点については、いまも申し上げたところでありますけれども、ただ、いままではちょっと財政に偏り過ぎていた、特に昭和四十七年度以降頼り過ぎていた面は否定できないと思います。したがって、財政で金をつければ何とかなるというのはあの石油ショックの経験で十分反省されたはずでありますけれども、しかしながらその後も一時若干ストップ・アンド・ゴー政策で停滞した時期、停滞といいますか、公共投資などが抑えられた時期がありますけれども、また同じような多少の変化はありますが、基本的には同じような方向がとられてきているわけですが、基本的には財政というのはある限界までしかできないのではないか。いつの場合でもある限界までしかできない。ただその限界というのはそのときの経済状況によって多少の変化がある。したがって、どこまでが限界なのかということをはっきりさせる必要がある。逆に財政は何もできないかといえば、決してそういうものではなくて、先刻御承知のように、いまの財政規模は一般会計、特別会計、政府関係機関、それから地方財政の純計のGNPに占める比率は四〇%近くあるわけですから、これがどう動くかによって大きな影響があることは否定できないことでして、したがってやはり財政は非常に大きな意味がある。私は政策的に主導していくという点では財政は非常に大きな役割りは果たし得るけれども、しかしそれはあくまでも一定の範囲の中であって、財政が拡大して支出さえふえればうまくいくというようなものではないということを現在考えております。

米沢隆民社党

○米沢委員 ありがとうございました。終わります。

竹下登自由民主党

○竹下委員長 これにて米沢君の質疑は終了いたしました。  藤原ひろ子君。

藤原ひろ子日本共産党・革新共同

○藤原委員 公述人の皆さんには長時間にわたりまして御苦労さまでございます。私の質疑の時間は御答弁も含めまして十五分ということになっておりますので、鷲見先生に三点お尋ねをしたいと思うわけでございます。  本年度の予算を見ますとき、わが国の財政は大変深刻な状況にございます。わが国の財政危機の特徴と原因は一体どこにあるというふうにお考えになりますか、それが第一問でございます。  二つ目の質問でございますが、大平内閣は今年度の予算につきまして雇用を最重点にしたと述べておりますが、本来の雇用拡大の観点から見まして予算案をどのように評価をしていらっしゃいますでしょうか。  また、政府は公共事業は生活基盤整備に重点を置いたというふうに主張いたしておりますが、国民の関心の強い住宅予算を見ますと、依然として公共住宅を軽視し、持ち家偏重になっております。住宅政策につきましてどのようにお考えになっておられるでしょうか。  質問の三つ目でございますが、今年度の予算案の軍事費の特徴と性格についてどのようにお考えになりますでしょうか、お尋ねをさせていただきたいと思います。

鷲見友好法政大学教授

○鷲見公述人 第一点でございますが、まず特徴は、いままでも他の公述人の方からも指摘されておりますけれども、何といっても公債依存度が非常に高いということにあると思います。これは大蔵省が発表された数字でありますけれども、他の国の公債依存度は、たとえばアメリカが八〇年度で五・五%、西ドイツが一七・六%、西ドイツは前年はもっと低かったわけですが、フランスが二・九%というのに対して日本は三九・六%、しかも今後当分こうした国債依存が続くということが特徴であると思いますし、それからその中で今年度は、先ほども申し上げましたように、国民負担の増加というのがきわめて明確な形といいますか、これしか方法がないというような形で国民負担の増大が要求されているというのが特徴ではないかというふうに思います。  こういうような財政の危機的な状況に至りました原因は、先ほども他の公述人の方からも公述がありましたけれども、まず何といっても第一にあの昭和四十年代後半の財政政策に大きな原因があるというふうに言うことができます。すでに昭和四十年代の前半の時期からそれまでと若干違った様子が出てきておりまして、財政によって公共事業を拡大することが以前とは違った波及効果及びその他の問題を生み出してきていたわけですが、それを十分に正しくとらえることがなかなか困難であったわけでありますけれども、できなくて、むしろ一層拡大すればうまくいくのではないかというような形で財政政策がとられ、それがあの超高度成長になり、その超高度成長の中で巨大な設備投資が行われたわけです。その矛盾が石油ショックを契機にして一挙に露呈しまして、したがって日本では諸外国と比べまして景気の落ち込みが非常に激しかったというのはそこにあるわけです。したがって、それが現在の財政危機の大きな要因となっているということが第一にあると思います。  それから第二には、先ほども申し上げましたけれども、そうした中でその政策の誤りを根本的に検討し直すことが必ずしも十分に行われなくて、そして国債に依存しながら、これだけの世界に先進資本主義国では例を見ない国債発行を毎年続けながら、多少の手直しはあったにしても基本的にはそれほど大きな変化のない財政政策がとられてきた、このことが現在の財政危機の原因であるというふうに思います。だからその点をかなり思い切って、根本的に発想の転換を行うことなしにはこの危機からの脱出は困難であろうというふうに考えられます。  それから雇用の問題でありますけれども、確かにことしは雇用問題は、予算は思い切ってつけられたというふうに言われておりますし、事実そうした側面はあると思います。しかしながら、たとえば労働保険特別会計を中心にした十万人の雇用創出を目指すというようなことは、ないのと比べれば確かにいいことであるには違いないわけでありますけれども、しかし、政府の経済見通しによりましても、失業者は五十三年度見込みと同様な人数が見込まれているわけでありまして、失業者の増加を抑えることに何ほどか役に立つという意味は持っているかと思いますが、雇用問題の解決のためには決して十分ではないわけでして、そのためには、雇用効果の多い社会福祉関連、それから生活基盤密着型の公共事業を拡大しながら個人消費をふやす、それによって景気回復を図るという方策がとられなければならないわけであります。  しかしそれにしましても、私が先ほどから繰り返して言っておりますように、雇用問題について財政が行い得る範囲というのはごく限られているわけでありまして、その意味では本年度は限られた中ではかなり考えられているとは思いますが、現に総理府の五十二年度事業所統計調査や労働省の五十三年度統計によっても、生産が回復しているにもかかわらず大企業ほど雇用が減少し、他方では残業がふえているというようなことが明らかになっているわけであります。また、住友銀行の調査によりましては、有給休暇を全労働者がとるだけでも百万人近い雇用がふえるし、残業をやめれば二百万人ぐらい、あるいは週休二日制にすればまた二百万人ぐらいの雇用がふえるというような試算も出されているわけであります。したがいまして、最近人権問題が議論になっているわけですけれども、生活権であるとか労働権という基本的な人権を守るためには、こうした大企業の解雇を規制することが絶対に欠くことができないと思います。こういうものと財政とがセットになって初めて効果を持ち得るのではないかというふうに考えております。  それから同時に住宅の問題でありますが、いまの御発言の中にもありましたけれども、公営住宅、改良住宅は全部で八万四千戸ということであります。これは、その他は公庫、公団で、公団でも賃貸は一万戸ということで、中心は持ち家主義の住宅政策であることは明確でありますが、こうした持ち家主義の住宅政策は、一つは、土地政策がない場合には宅地の地価の高騰をもたらすことは必至であろうというふうに考えられておりますし、さらにミニ開発を引き起こす要因にもなるというふうに考えますし、それよりももっと重要であるというふうに私としては考えているのは、現在非常に劣悪な民間の住宅に住んでいる低所得者層。たとえば国税庁の税務統計から見た民間給与の実態によりましても、五十二年で民間給与の場合に三百万以下の人が七五%ぐらいである。これは家族構成その他はこの資料からはうかがい知ることができないわけでありますけれども、との中には当然通常の家族構成の人がかなりいると思われます。こういう人たちはたとえ住宅、マンションの融資が九百五十万円になったとしても、とてもそれだけ借りることができない、返すことができないから借りることができない、そういう状態である。そうしますと、やはりこの住宅政策は一定程度の所得以上の人を対象にしたものであって、本当にこの部分こそ財政が行わなければならない、そうした低所得者層に対する施策が欠落しているというふうに言わなければならないのではないかというふうに考えます。ぜひその点を十分御配慮いただくようにお考えいただきたいというふうに思っております。  それから三番目は、軍事費の問題ですけれども、日本の軍事費は少ないと言われておりますけれども、確かに対GNP比で言えば、五十四年度で〇・九%というふうに、発達した他の資本主義国と比べれば低いことは確かであります。しかしながら、軍事費という場合にはやはり絶対額が問題でありまして、絶対額をとれば、ミリタリーバランスによれば日本は七八年度で第九位である。しかし、イランはああいう状況になりまして、現在でも日本とそれほど差がないわけでありまして、これは当然軍事費が日本よりも少なくなると考えられますから八位になる。世界の百五十五カ国のうちで憲法第九条のある日本が第八位になる。しかも、これは為替レートを二百二十一円九十銭で計算しておりますから、二百円あるいは百九十円で計算すればさらにこの比較では日本がふえていくということになるわけで、そうしますと、イギリスに近づいていくというような巨額な軍事費になっているということもまず頭に置いておく必要があると思います。〇・九%でこうですから、たとえば一・五%になれば完全にイギリスを追い越す。三%になれば中国に近づくというような巨額な軍事費であるというふうに言うことができます。  そういう中で今年度の軍事予算が組まれているわけですけれども、今年度の軍事予算の特徴は、人件費が非常に少ない。これは人件費全体が自衛隊に限らず抑えられているために人件費の伸び率が非常に少ない。この数字によって計算しますと四・二%でしょうか。したがって、全体には伸び率はそれほど大きくありませんけれども、しかし、武器車両購入費をとりますと三八・七%というふうに非常に大きく伸びている。あるいは施設整備費は三一%、基地対策費は三〇%。これは、この不況の中で国民に対する非常に巨額な負担を要求することが盛られている予算の中で、軍事費はこういうように特別の扱いを受けているというふうに考えます。  また、いわゆる米軍駐留費の分担金の問題について申し上げれば、ブラウン国防長官が先日来日したときに日本政府が提案した日本における米軍の駐留費の分担増は、額的にはかなりのもので、西独との直接比較では総経費に対する割合で日本の分担の方が大きい、これは毎日新聞の十一月九日の記事によったものでありますが、こう述べております。そうしますと、まず米軍の駐留費を日本が負担するというのはもともと地位協定からは出てこないというふうに私は考えておりますが、そのことは別にしましても、なぜ西ドイツよりも日本の方が割合として大きな負担を負わなければならないのか、そういうことも十分御検討していただく必要があるのではないかというふうに考えます。まさにこういうところに安易に支出されていたのでは、予算の全体の削減ということについてしりが抜けているというふうに言わざるを得ないと思います。  もう一つ、最後に述べさせていただきたいことは、E2Cの問題でありますけれども、これは当初の必要機数は、公式文書ではありませんけれども、数十機と言われていた。現在では十三機三地点というふうに言われ、さらに八機二地点というふうに言われてだんだん変わってきている。五十四年度の予算要求では確かに六機要求されたはずですが、それが査定で四機になっているというように、現在、疑惑が持たれており、徹底的に解明されるまではこういうものは当然予算に計上されないのが望ましいわけでありますけれども、このようになぜ現在の時点でこれが絶対に必要なのかということの説明がなかなかつかない。しかも、これも新聞の記事ですから正確かどうかはわかりませんけれども、これは防衛庁長官の談話だったかあるいは国会の答弁だったかはっきり記憶しておりませんが、防衛庁が取得するのは五十七年から五十八年というふうに言われているという。これも七年か八年かわからないというふうな答え方をされているところを見ますと、どうしてもことしこれを調達しなければならないということは私たちから見れば納得ができないわけでありまして、こういう点もぜひ国民の納得するような措置をおとりいただくようにお願いして、私の公述を終わらしていただきます。

竹下登自由民主党

○竹下委員長 これにて藤原君の質疑は終了いたしました。  以上で各公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  これにて公聴会は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時七分散会

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