予算委員会 第21号
- 発言数
- 228 件
- 登壇者
- 33 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1979/03/07
会議録
○竹下委員長 これより会議を開きます。 昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、締めくくり総括質疑を行います。二見伸明君。
○二見委員 けさの各紙によりますと、イランのバザルガン首相がホメイニ派の独走に反発して辞任をしたという報道がなされておりますけれども、このことについて政府はどういうふうに承知をいたしておりますか。
○園田国務大臣 辞任を表明したという情報もありまするし、ホメイニ師に親書を送ったという情報もありますけれども、いまだ確認できる情報はございません。
○二見委員 バザルガン首相が辞任したのではないかという、テヘランではかなりうわさが広まっているようでございますけれども、こうしたうわさが広まっていること自体、バザルガン政権はかなり厳しい立場に追い込まれているのではないかという予測ができるわけですけれども、外務省としては、バザルガン暫定政権の現在の置かれている立場というものはどういうふうに御認識になりますか。
○園田国務大臣 新政権の総理とホメイニ師の間は非常に緊密にいっているようでありますけれども、ホメイニ師の側近と総理との間がとかく意思が通じていないのではないかという具体的な事実はちょいちょい起こるわけであります。特に革命評議会と称する人々のいろいろな治安あるいは逮捕事件というのがそういう原因になっているのではないか。いずれにいたしましても、特別な国でありますから油断はできませんし、どのように変転するかわからぬということで見ていなければならぬと思いますものの、世界各国の見方は、いまの総理はきわめて手がたく、しかも常識的な総理であるから、これががたがたすると次は大変だという懸念をしでいるわけでございます。
○二見委員 ちょっとくどくなりますけれども、そうしますと、政府としては、いまのところバザルガン政権が崩壊の瀬戸際に立たされているというような認識はされていないというふうに理解してよろしいですか。
○園田国務大臣 ああいう国でありますから、この新政権が逐次安定していくということは希望的観測でありまして、これまたはっきりした確信はないわけでありまして、その点はいま御発言の趣旨は十分踏まえて、慎重に各種情報を取り集めなければならぬ時期だということでございます。
○二見委員 通産大臣にお尋ねしたいわけでありますけれども、イランの動乱によりまして、日本には直接石油問題が来ているわけでありますけれども、石油問題とは別に、今度はイラン向けの輸出関係業者がイランの動乱のためにイランに輸出ができずに苦境に立たされている。中には休業に追い込まれたものもあるという実態があるようであります。たとえば、陶磁器にとってはイランは米国に次ぐ市場であり、かなり大きな打撃があると聞いております。陶磁器業界の発表によりますと、イランとの間で契約が成立し、すでにメーカーに発注したものは二十五億九千五百八十八万円に上っているけれども、それが滞貨となって、実際には現金となって返ってこないという状態があるようでありますけれども、通産省はこうした対イラン向けの輸出業者の実態というものを現在どういうふうに把握されておりますか。
○江崎国務大臣 今朝のバザルガン首相辞任の意思表明、これは私も重大に受けとめているわけであります。いま御指摘の点でありまするが、イラン向け輸出、本当にこれは石油の逆でございまして、御質問の趣旨はよく理解できます。 そこで、いまお話のありました陶磁器に限らず、イラン向けの全案件について調べましたところ、二月末現在では保険金請求を行っておる企業というものは幸いというか、まだいまのところはございません。しかし、外務大臣も申しましたように、イランの情勢の安定をわれわれは望むわけですが、すでにイランにおる旅券が切れた者への旅券再交付すら思うような手続がなされないなどという実態もありまするので、輸出取引などについてはまだ相当混乱するのではないかということも予想されまするので、十分ひとつきめ細かに業界ごとにチェックをいたしまして配慮をしてまいりたいと思います。ただ、多少明るいと言いますと変ですが、政局が一つずつ安定しておる、この貿易について緩和されつつあるなということは、御承知のようにイラン中央銀行の総裁が二月二十七日に任命されたとか、イランの国営マルカジ銀行が営業を再開したとか、郵政省のイラン向け航空郵便の引き受けが再開されたとかいうふうに、これは三月一日の話でありまするが、情勢も徐々に変わりつつありまするので、まく対策をしてまいりたいというふうに思います。
○二見委員 こうした業界からは、現在の急場をしのぐために、現行の円高関連の特別融資制度を弾力的に運用して融資を受けられるようにしてもらいたいとか、あるいは為替手形買い取り停止等により滞貨を保有せざるを得なくなったもの、あるいは手形買い取り後、返還請求を受けているもの等に対しては、低利長期の運転資金等の融資も考えてもらえないだろうかという要請も来ておりますけれども、通産省としてはこうしたことについてお考えいかがでしょうか。
○江崎国務大臣 御承知のように、円高対策法の目的は、五十二年以降のいわゆる円相場の急激な高騰によって被害を受けた輸出関連中小企業、こういうものが対象になっておりまするので、これを拡大適用するという点にはいささか問題があると思いますが、実情はよくわかりまするので、ケース・バイ・ケースできめ細かな対策をしてまいるつもりであります。
○二見委員 いずれにいたしましても、イランの政情が安定しないことにはこうした問題が続くわけでありますけれども、これは外務大臣か通産大臣か、どちらがいいのかわかりませんが、バザルガン首相の辞任説が流れたということは、かなりイランの状態が依然として定かではないのだろうと私は思います。イランの行政機能が回復するのは大体いつごろになるのだろうか。たとえば二月九日に向こうでは国内の郵便はストップしたけれども、その後二月の末だと思いますけれども、エアメールは大丈夫になったと聞いております。また二月十八日にストが解除されて、通関事務手続は体裁としては整ったという報道もありますけれども、そうした行政機能の回復は大体いつごろになるだろうか、この見通しはいかがでしょうか。
○園田国務大臣 イランの回復には二つありまして、治安の回復と経済の諸問題を中心にする政情の回復と二つあるわけでありますが、まず治安の回復がなかなかむずかしいようでありまして、御承知のとおりに民間に渡った兵器が二十万丁と言われております。そのうち政府に回収したものは二万丁。したがって、あとの兵器を持った民間グループというものがいろいろな逮捕をしたりあるいは裁判みたいなことをしたりして、これが総理の意見と食い通っている。ここでいまのような情報が流れているわけでありまして、石油の再開等向こうは急いでおりまして、日本向けの再開もできたわけでありますけれども、いまここでいつごろ回復するかということはなかなか断定することは危険であると思います。いま御質問のエアメールは三月一日ごろはというめどをつけてやっておるわけでございます。
○二見委員 次に、日米経済関係について若干お尋ねをしたいと思います。 きのうもここで社会党の藤田委員から、現在日米間のシンボリックな問題である電電公社のいわゆる政府調達問題についての論議が行われたわけであります。したがって、私はこの問題はきょうは基本的なことをお尋ねするだけにいたしますけれども、私はこうした政府調達に対して、アメリカ側にも誤解もあるだろうし、日本とアメリカとの間の制度の違い等もあるだろうと思います。 そこで、私は政府に基本的な立場というものを明らかにしていただきたいわけでありますけれども、政府調達の中にも競争入札になじむものとどうしても競争入札にはなじまない、随意契約の方がベターなものとあるだろうと思います。私は、電気通信設備そのものは競争入札にはなじまないのではないかと考えておりますけれども、政府としてはこれに対して基本的にはどういうふうにお考えになっているのか、お示しをいただきたいと思います。 また、やはり日米間で一つ問題になっております、去年からこれは話題になっておりましたけれども、これは大蔵大臣にお尋ねしますけれども、在日外国銀行の規制、差別の問題であります。 先日、大蔵省は差別はしてない、それはアメリカやEC側の誤解だということで、七項目にわたる基本見解というものを発表されました。これは私は、向こうに誤解もあるだろう、制度の違いもあるだろうけれども、しかし向こうが日本の金融市場が閉鎖的だとかなり厳しい口調で非難してくることは率直に受けとめなければならないと思います。たとえばCDについてどうするのか。それから、日本にある外国銀行の第二支店、第三支店等についてはもっと弾力的に運用してもいいのじゃないかというふうに思いますけれども、その点については大蔵大臣、・それから最初の政府調達についての基本的な考えについては通産大臣ですか……。
○江崎国務大臣 ここでしばしばお答えしてまいりましたので、くどいお話は差し控えたいと思いまするが、日米両国としましては、世界経済の安定的な拡大、それから一部に広がりつつありまする保護貿易主義、これの排除をどうするかということで、ガットに基づく東京ラウンドで政府調達コードというものでこの電電の問題がやかましい問題になっております。したがって、市場の開放に日本としては原則的には努めなければならぬというわけですが、電電公社の問題がちょっとここでも指摘されるように普通以上に注目され、議論の対象になっておる。これは十分理解を深めながら、特に私ども通産省としては下請企業に与える影響、雇用の問題、こういう点にも配慮しながら鋭意いま折衝中、こういうところでございます。
○金子(一)国務大臣 在日外銀の取り扱いの問題でございますが、二見さんも御指摘のように、相当誤解があるのじゃないかと思うのであります。日本における支店、事務所の設置につきましては、特別の事情があれば別でございますが、原則的に認めております。また、預金の取り扱いについても日本の銀行と全く同様でございまして、ただ違うのは、長期三銀行につきまして債券発行を認めておる、これは法律で認めておるのですから、アメリカ銀行にこれを認めるわけにはいきません。CDにつきましても、ことしの上期にはこれは一斉に認める方針をとっております。 先般、ブルメンソール財務長官が来ましたときにその話が出ましたから、いやどうもそれは誤解に基づくようで、われわれとしてはこういうふうにオープンドアポリシーをとっておるのだよ、何か気づいたことがあれば書いて届けてくれと言ったのですが、何もよこさぬで帰りましたから、そういう誤解がやはりあると思うのです。われわれは、在日外銀の側の情報不足の点もあると思いますので、よくこういう点はPRにこれからも一生懸命努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○二見委員 日米間の経済摩擦について昨日総理大臣は、これは延び延びになるのはサミットに対してもいやな感じを与えるので、早く解決をしたいと申されておりましたけれども、総理大臣としては三月中にこの問題は決着をつけたいというふうにお考えになっているのですか。
○大平内閣総理大臣 時限を限っておるわけではございませんけれども、できるだけ早く解決しなければならぬといま鋭意努力いたしております。
○二見委員 今後の日本の課題としては、六月の東京サミットをどうやって成功させるかということにかかっているだろうと思います。そのためには当面する日米経済摩擦を何とか解決をし、東京ラウンドを妥結させなければならないわけであります。 ところで、ブルメンソール財務長官は五日、ある新聞との一問一答の中で、日米間の通商関係には深刻な問題があり、きわめて危険な状況だと述べております。総理大臣も現在の日米関係というのはきわめて危険な状況という御認識をされているのか、その点はどうでしょうか。
○大平内閣総理大臣 両国の間に経常収支のアンバランスが二百億ドルを超えるというような事態は尋常な状態でないと思います。また、政府、国会、民間セクターあらゆる方面におきまして日米経済関係について深い憂慮が示されておりますことも、われわれは十分注意しなければならぬ事態であると考えております。したがって、この事態をどのようにノーマルな状態に持っていくかということは、両国の政府にとりまして最大の課題でなければならぬと思っております。
○二見委員 ノーマルな状態に戻すための努力が最大の課題であることは私もそのとおりだと思いますけれども、認識として、ブルメンソール財務長官はきわめて危険な状況であるという認識をされている。日本が財務長官と同じ認識に立ってこの問題を処理していこうとするのかどうか、その点を私は伺いたいわけです。
○大平内閣総理大臣 こういう状態が漫然と続くということであると危険な事態であると思います。したがって、これは早く是正してまいらなければならぬ。アメリカもそう考えておりますし、日本もそう考えておるわけでございます。
○二見委員 また財務長官は、輸入課徴金に対して、輸入課徴金は政府としては好ましくないが、アメリカの議会がこうした立法をした場合それを阻止することは行政府としてきわめてむずかしい、こう述べております。現在の経済摩擦というのは前回と非常に異なっていることは、アメリカの議会が反日本といいますか、日本抗議の旗振りをやっているところに前回と今回との大きな違いがあるだろうと思います。もし日本が現に当面する問題あるいは日米貿易のインバランスの問題が是正、改善されない場合には、課徴金が具体化してくるおそれというのはかなり濃いのじゃないかと私は思いますけれども、これは総理大臣はどういうように御認識ですか。
○大平内閣総理大臣 アメリカのコングレスの中にそういう空気が相当強くありますことは伺っております。そして、この状態は放置しておいてはいけないと存じまして、政府ばかりでなくコングレスの方面に対しましても、われわれといたしましては理解を求めてまいる努力を重ねておるところでございまして、こういったコングレスの空気が具体化することのないように最善の措置を講じていかなければならぬと考えております。
○二見委員 またアメリカには、日本の黒字が減らないようでは、東京ラウンドがたとえ調印されたとしても、東京ラウンド関連法案など重要案件は、保護貿易主義の抵抗を受けてその審議が難航するのじゃないかという情報もありますけれども、やはりそうしたおそれはかなりあるわけですか。
○大平内閣総理大臣 そういうことは私は伺っておりません。おりませんけれども、サミットは、東京ラウンドのりっぱな終結をしなければならぬ、それに対しまして、残された案件をできるだけ早く解決いたしまして、それへの道を開くということは、当面われわれの大事な急務であると考えております。
○二見委員 総理は、二月二十二日の外人記者クラブの昼食会で、日米間では経済の構造、文化の形態が異なっているので、絶えず問題が起きても不思議ではないとお述べになられたというふうに新聞で伺っております。確かにこのとおりだと思います。しかし、日米摩擦が今後とも循環的に再発したのではたまったものではありません。 総理は、施政方針演説の中で、わが国外交の基軸は、日米友好関係の維持、強化にあり、日米間の友好関係は、各種の試練に耐え、ますます揺るぎないものになっているとお述べになっておりますけれども、現実はかなりぎくしゃくした関係にあるのではないだろうかと思います。私は、日米関係というのはこれからも非常に重要なものでありますから、こうしたすき間風があってはならないし、そのための日本の外交のあり方というものをもう一度点検し直す必要があるだろうと思います。その点についての総理大臣のお考えを承りたいのと、また総理大臣は、日米双方都合の許す時期に訪米をしたいとお述べになられております。大体いつごろ予定されているのか、いろいろ言われているところによりますと、五月の連休の時分というようなことも言われておりますけれども、大体そのころを予定されているのか、あるいはもう少しずれ込むのか、また総理が訪米された後、今度サミットの前にカーター米大統領が来日するのじゃないかといううわさもありますけれども、それは可能なのかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 日米間は、きのうもここで申し上げましたように、二国間の貿易といたしましては史上でまれに見る分量、内容を持ったものでございます。したがいまして、何ら問題なくこういった大量の巨大な貿易が実行できるということは、なかなか期待してもむずかしいことであり、時折問題が起こるということは避け得られないことであろうという一般的認識を述べたわけでございます。しかし、二見さんもおっしゃるように、これが相互の理解が壊れるというようなことになりますと、これはいけないことでございますし、またそのことを通じて世界の貿易、経済が保護主義的に傾斜してまいるというようなことはゆゆしいことでございますので、私どもといたしましては、この解決を世界の納得のいくようなやり方でなるべく早く解決していくというために努力をいたしておるところでございます。 それから第二の、私の訪米はまだ決まったわけではございません。双方の都合のいい時期に訪米いたしたいという希望は持って先方の都合も伺っておりまするけれども、まだ決定をいたしたわけではございません。したがって、いつごろになるかというようなことはまだ申し上げられる段階ではございません。 大統領の訪日につきましては、われわれも希望いたしておりまするけれども、これまたいつというようにまだセットされたわけではございません。
○二見委員 総理大臣はやはり先ほどの二月二十二日の外人記者会見で、高目の経済成長の達成を述べられたわけであります。ブルメンソール財務長官も日本に対して、輸出によらず内需拡大で高い成長を希望しております。そうすると、日本としてはこれからも高い成長を維持しなければならない立場にある。しかし、一方、石油情勢がかなり不安なために、IEAではこの間五%の節約を決めました。一方では高い成長を目指しながら、一方では石油の節約をしなければならないというのは、わが国にとっても非常にやりにくい経済運営かと思います。わが国としても今後とも石油の節約に努力するのは当然だとしても、そうした諸外国からの要請もあり景気を無視することはできない、やはりある程度景気を優先した対策をとらざるを得ないのではないかというふうに私は考えるわけですけれども、総理大臣いかがでしょうか。
○大平内閣総理大臣 いまわが国の世界経済に対する責任、役割りを考えますと、このような大幅の経常収支の黒字を記録するというような状態におきましては、責任を十分果たしたとは言えないわけでございますので、わが国が高目の成長をねらいながら、内需を拡大して輸入をふやして、このアンバランスを縮小する方向に持っていかなければならぬことは、われわれの経済運営における基本的な道標の一つでございます。われわれはこれからもそういう方針で経済の運営に当たらなければならぬと考えております。 ところが、たまたま石油問題がイランの革命を契機として出てまいりましたことは御指摘のとおりでございます。IEAにおきましても先般、五%の節約が勧告されるというようなことになりましたことについて御懸念が表明されたわけでございますが、われわれといたしましては、このことは、国際協調の線で石油の消費節約をやらなければいかぬと思いますけれども、生産経済に大きな影響がないようにいろいろ工夫をこらしまして、既定の成長政策の遂行には支障がないようにいたしたいということでいろいろ考えておるところでございまして、また今後、この成長政策を通じまして、われわれの任務を果たさなければならぬという既定の政策基調は変えてはいかぬと考えております。
○二見委員 一方、物価動向は、卸売物価が二月に入ってからも、前旬比で初旬が〇・二%、中旬が〇・一%の伸びを示しております。これは年率に直しますと、卸売物価は一〇%から一四%という高騰を示しているわけであります。 経済企画庁長官は、十六日の本委員会で私の質問に対して、物価は警戒水域に入ったという答弁をされました。しかし、一方で高い成長をしなければならないという日本の置かれている立場から考えると、この物価問題を解決するために、いま、現時点では金融政策というのはかなりとりにくい状況にあるのではないかと思いますけれども、金利引き上げ等については、金利引き上げの方は日銀の仕事だけれども、経済企画庁長官としては、そうした政策に対してはいまどういうような御認識をされておりますか。
○小坂国務大臣 お答え申し上げます。 いま総理からお答えになりました日本の経済のこれからの方向というものは、私らはぜひこれを実現しなければならぬ。しかしいま、卸売物価が非常に勢いよくなってきておりますが、これはやはり経済が少し回復過程に入りますと、当然起こることであるわけであります。 それと同時に、私がいま一番心配しておりますことは、こうした卸売物価の上昇が海外要因によって非常にいま刺激されているということであります。この海外要因というのは、イラン初め石油の問題あるいは節約問題が世界で討議されているというような事態、もう一つは、やはり昨今の世界情勢のややきな臭いにおい、それによる戦略物資の動向、これが陰に陽に非常にいま影響を来しつつありまして、こうした事態に対してどのような対処をすべきかという問題をわれわれはいま注視しておるわけでございます。これが同時に、直ちに消費者物価につながるということだけは全力を挙げて遮断をしたい、そのために、先般政府一丸となりました物価対策の総合的な推進を決めまして、その影響の波及をできるだけ食いとめるという方向をとっておりますし、また、できますれば、そうした戦略物資あるいは海外要因によって非常に値動きの激しくなっておる物資の在庫調査等も少しやっていった方がいいのではないかと思うわけでございまして、直ちにそれを金利あるいは金融政策によって引き締めるということは、私は現時点ではまだとるべきではないというふうに考えております。
○金子(一)国務大臣 金利政策についての言及がございましたので、私どもの立場を申し上げておきたいと思うのでございます。 物価についてはいま企画庁長官から詳しくお話がございました。現時点での私どもの考えは、今日の金融緩和の基調は依然として続けなければならぬ、金利を引き上げるその時期でないと考えておる次第でございまして、この点は日銀当局とも十分連携をとってのお答えでございますので、御了承いただきます。
○二見委員 当面金融政策が使いづらいということになりますと、他の方策が必要になるわけであります。 先日、総合物価対策が示されたわけでありますけれども、思惑買いをどう防ぐかということがやはり一つの問題だと私は思います。今後の商品市況というものは鋼材、非鉄金属等が依然堅調でありますし、加えて原油高による石油化学製品がこれから上昇してまいります。しかもイラン情勢がもう一つはっきりしない。こういうことを考えますと、物価問題というのは卸売物価を口火としてさらにそれが消費者物価への転化ということになる、いわゆる物価問題はこれからが本番だと思いますけれども、どういうふうに見ておられるか。 と同時に、もう五十四年度予算を編成されて、現時点で政府としては言いにくいだろうけれども、消費者物価四・九%、卸売物価一・六%という五十四年度の見通しというのはかなり危険な状態にあるのではないか。特に卸売物価の一・六%というのは現時点ではかなりむずかしい状態に来ているのではないかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○小坂国務大臣 お答えします。 いま委員の仰せられたような世界情勢その他の変化がこのところ急に高まってきておりますので、そうした影響をわれわれはやはり受けざるを得ない、この点につきましては、これからの対策は非常に慎重にやり、かつまた、早目早目の対策を小まめに打っていくということで様子を見ていくのが一番いいのではないかと思います。こういう場合に心理的な影響を拡大することはわれわれは非常に不利だと考えておりますから、なるべくこうした問題については事態が起こる直前あるいは寸前に機敏に手を打ちながら対策を進めていくということで、先般のわれわれの物価政策に対する総合的な推進というものは、むしろそうした事態を予測しましたのでやったわけでございまして、いまそれが、御指摘のような、われわれの物価水準を守るという基本的な姿勢が貫かれるように機動的に、かつ連動して動き始めておりますので、しばらく様子を見ていただきたいというふうに思います。
○二見委員 実はナフサを原料とするポリスチレン、いわゆるスチロール、あるいはポリエチレン、こうしたプラスチック加工原料が二月に入ってからスムーズに中小プラスチック加工業者に入っていないのではないかという感じがいたします。 事実、私も東京の下町と言われる地域のプラスチック加工業者何軒かに話を聞いてみたのですが、二月に入ってから全く入ってこない、入荷しても注文どおり入ってこない、先行き心配だという声が圧倒的でございました。また、加工業者の段階で品不足があるということなので、何軒かの問屋に当たってみましたところ、問屋も入荷が少ないという答え。ある問屋ではスチロールは五〇%、ポリエチレンは四〇%程度カットされ、加工業者の需要に対応できないという話もありました。プラスチック加工原料は石油事情によって価格と供給が敏感に影響される商品でありますし、先行き不透明なこの時期、この傾向が拡大されるということは、とんでもない結果にもなりかねないと考えております。 また、イランの原油供給のストップによる影響で、石油化学以外の部門においても、国内石油元売り各社から石油製品供給カットの動きが出ている。たとえばセメント業界は、元売り各社から二月一日出荷分からC重油の一、二割カットを受けている。板ガラスも同じようなカットを受けて、不足分をスポット物で補っている、こういうような実態がもう出てきておりますけれども、通産省はこれをどういうふうに把握しておられるか、また、それに対して今後どうされていくのか、お示しいただきたいと思います。
○江崎国務大臣 ナフサの国際価格が今度の石油供給事情によりまして非常に高くなった、このためにナフサ不足を来しておることは私どももよく承知しております。そこで、業界側の強い意向をくみ取りまして、御承知のように、業界がナフサを石油精製元売りと話し合いの上で独自で輸入をするという、これも話し合いをつけて発足をさせた。今後もこういった努力を重ねまして、需給のバランスがとれるように最大の努力をしたいというふうに考えます。 それから板ガラス等におきましては、御承知のように生産余力がありまするので、行政指導によって生産が追加されるように、これまた努力してまいりたいというふうに考えます。
○二見委員 いずれにいたしましても、景気問題と同時に、石油問題を口火といたしまして物価問題というのは無視し得ない段階に入った。しかも、それに対して現在の日本の立場では金融政策はとりにくい。したがって私は、政府の四・九%の消費者物価上昇あるいは卸売物価一・六%というのはかなり困難だという認識を持っておりますけれども、今後とも格段の御努力をお願いをしたいと思います。 時間がありませんので、最後になりましたけれども、大蔵大臣、よろしゅうございますか、まとめてお尋ねしますのでお願いをしたいと思います。 大蔵省は、国債の消化を円滑にするために市場の基調を尊重いたしまして、三月発行分から発行条件を引き上げることにいたしました。正式には九日に決まるのだろうと思いますけれども、しかし、六・一%を六・五%に引き上げても既発債の利回り七・〇六八%を下回ることになります。すなわち九十九円五十銭のものがいまは九十四円六十銭で買えるいうのが現状でございますね。本来、市場の実勢に合わせるということになれば、六・一%を六・五%、いわゆる〇・四ポイント引き上げるのではなくて〇・八ポイント引き上げて実勢に合わせるのが当然だったろうと思います。しかし、大蔵省としては利回りを七%にすることはどうしてもできなかった。できない理由があったのだろうと私は思います。それは、もし〇・八ポイントも引き上げるようなことになると、これは長期プライムレートにも影響する、いわゆる長期金利を引き上げるという結果になるために、政府としては〇・四ポイントの引き上げしかできなかったのだろうと思います。お尋ねしたいのは、もしそういうことであれば、その点について大蔵大臣の御見解をいただきたいということです。 その次に、いずれにいたしましても、実勢価格よりも下の価格で長期債が売りに出されるわけであります。大蔵省は恐らく、いや、さらにもう一度実勢を見るのだというお考えがあるのでしょうけれども、六・五%で出して、なおかつ実勢と合わなかった場合には、実勢に合わせるようにさらに条件を改定するのか、それとも長期国債の発行は当初予想したよりもむしろ減らして、一年ものとか二年ものとか満期の短いものに切りかえるのか。むしろもう一年ものとか二年ものとかという短いものに国債を切りかえてしまう方がいいのじゃないか。長期国債では御用金調達みたいな形で、それは大蔵省とすれば安定したお金が入ってくるから楽だろうけれども、しかし現状はそうではなくなってきているのじゃないか。国債発行に対する考え方をもう大幅に改めてもいいのじゃないか。ことしは確かに短いのを出しますけれども、私はそう思います。 さらに、それに関連してお尋ねしますけれども、六・五%を出して売れなかった場合、資金運用部で引き受けるようなことになりますと、それは事実上日銀引き受けと同じ結果になります。そういうことはなさらないという決意がおありなのかどうか。 ちょっと回りくどい質問になりましたけれども、以上まとめてお尋ねしたいと思います。
○金子(一)国務大臣 六分一厘債が一月の初めからやや下落の傾向にありましたことは御指摘のとおりでございますが、特に二月の中、下旬から今月に入って相当大幅の乖離を生じました。これは一体市場の実勢なのか、あるいは特別の理由があるのか、いろいろ分析してみたのでございまするけれども、結局私どもとしての結論は、金利引き上げの期待感がある程度市場に広まって、そういうような乖離を生じたというふうに結論づけたわけでございます。先ほどもちょっと申し上げましたように、今日の金融緩和の基調をいまにわかに変更する時期ではないと私どもは考えております。そういう意味で、〇・四ぐらい引き上げれば大体本来の市場の実勢に合った金利の引き上げではないかと考えるわけでございますし、いま御指摘のような大幅な引き上げは、これはもう金利体系全体にすぐ響くことでございますので、今後の日本経済の健全な維持発展のためには、長期金利の今日の状況を維持することが絶対に必要だというふうに考えておる次第でございます。この点は市場関係者にもよく理解していただいて、市場の安定化に努力していただきたいとわれわれも考えておる次第でございます。と同時に、この措置をとることによって、そういった金利引き上げ感が急速に冷却することを期待しておる次第でございます。 多様化につきましては、これは申すまでもないことでございますが、長期のもの一点張りでなく、ことしは相当思い切った二年、三年、四年の中期ものを出すような計画をしておりますので、そのときそのときの実勢に合わせた中期ものに重点を置いてやっていきたいということが一つと、資金運用部資金にいますぐ頼るようなことをする気持ちはありません。
○二見委員 終わります。
○竹下委員長 これにて二見君の質疑は終了いたしました。 次に、寺前巖君。
○寺前委員 締めくくりの総括になりましたので、私は最初に、総理がこの間、昭和五十四年度防衛関係予算のうち、早期警戒機購入に係るお金については、その執行を衆議院議長の判断を十分に尊重するというふうにおっしゃっておりました。 そこで聞きますが、衆議院議長の判断というのは、当然のことながら、E2Cの疑惑の払拭ということを衆議院議長が判断をされるということを期待をして、こういうふうにおっしゃったのでしょうか、お聞きをしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 問題はいま解明中でございますし、予算も審議中でございます。私どもといたしましてはこのまま執行を認めていただきたいのでございますけれども、本委員会におけるお話といたしまして、衆議院議長に各党のお話し合いで御一任されるということになりました。衆議院議長の御判断は尊重しなければならぬというように申し上げたわけでございます。衆議院議長がどういう判断をされますか、賢明な議長でございますから、それ相当の御判断があることと思います。
○寺前委員 私、詰めて聞きます。E2Cの購入に係る疑惑を払拭する、その判断でよろしいね。私の理解に間違いありませんね。議長がそこを判断してください、そのときに私の方は執行させてもらいますと。判断と言ったって何の判断かわからぬから。話の経過全体からいって、当然のことながら、E2Cの購入に係る疑惑の払拭、それでよろしいね。
○大平内閣総理大臣 かなり詰めた話であるようでございますが、私といたしましては、この予算を執行いたしましても国民の納得が得られるであろうということについて衆議院議長の御判断がいただけるものと思います。
○寺前委員 私の理解は総理のおっしゃっているのとは違うのですか、同じですか。いいですか、もう一度そこのところをはっきり、はっきり言えないとすれば一体どこにあるのか。E2Cの疑惑の払拭ということでよろしいね。
○大平内閣総理大臣 冒頭に申しましたように、疑惑の究明にいまかかっておるところでございます。したがって、この究明はいまからも続いていくわけでございます。しかし、予算は執行されなければならない。しかし、執行に当たりましては、国民にこういう状況を踏まえての理解が得られるようにしなければならぬことは当然のことと思うのでございまして、議長の御判断というものはそういう事態を踏まえて御判断されるものと期待します。
○寺前委員 はっきりおっしゃらないけれども、究明を国民の理解を得るようにするというのだから、究明というのは疑惑なんだから、疑惑の究明だ。私の解釈に間違いがあったら訂正してください。指摘がなければそういうものと理解します。 それではその次に、その究明でありますが、その究明について、あるいは私の言葉で言うならば疑惑の払拭については、刑事責任がないということを明らかにされるということにおいて判断を期待されるのか、あるいは政治的、道義的面を含めて責任がないということを明らかにされるのか、究明の国民の理解を得られるというのはどちらの段階をおっしゃるのか、説明を願いたいと思います。
○大平内閣総理大臣 先ほど申しましたように、この事件についての究明がいま始まっておるわけでございます。今後もこれが続いていくわけでございます。一方において、政府といたしましてはこの予算の執行を考えなければならぬわけでございます。この両方の要請をどういう点で、ミートさせていくべきかということでございますが、私の申し上げておりますのは、国民の納得がいくように、いずれにせよやらなければならぬと考えておるわけでございまして、議長といたしましてはそういう点についての御判断がいただけるものと期待します。
○寺前委員 重ねて聞きますが、国民の納得と言う以上は、刑事責任の分野はもちろんのこと、政治的、道義的責任についても解明されるということを含めて国民の納得とおっしゃったというふうに理解してよろしゅうございますね。
○大平内閣総理大臣 いずれにせよ国民の納得でございまして、究明が行われておるわけでございますから、どういう程度まで究明が進んでまいりますならば国民の納得が得られるかというような判断は、賢明な議長がされることと期待します。
○寺前委員 時間の都合もありますので次に行きますが、捜査当局に聞きたいと思います。 外国航空機購入に関する疑惑の捜査の範囲は、だんだんとグラマン、ダグラスと広がってきております。しかしE2Cの捜査宣言と言われるようなものがなされてから今日まで来たわけですが、このE2Cをめぐる捜査の現状、見通しは一体どういう段階に来ているのか、近く結論が出るという段階に来ているのか、二、三カ月待ってくれという段階に来ているのか、現段階について御説明をいただきたいと思います。
○古井国務大臣 毎々、事務当局のよく事情を知っております者から申し上げておるとおりでありまして、いまはダグラスの資料を待っておる、こういうことで、まだそういう段階で、グラマンの資料だけはアメリカからもらってきたのですね、御承知のように。これから両方が来る。それから、その前から国内で捜査して集めておる資料もありますし、これらを総合しまして、ダグラスの分が来たら総合的にそれを見直して、それからまた次の国内捜査ないしはまたアメリカに頼むことがあれば頼むとか、ドイツに頼むことがあれば頼むとか、そういうことになるのですから、これは国内捜査でも大変ですけれども、御承知のように関係が広範ですから、外国にかかわる点も頼むようなこともありますし、だから何カ月か、これは実際やってみないと、そう決めておいて途中でちょん切って打ち切るわけにもいかぬですから、ちゃんと究明しなければならぬですから、やって必要なだけ時間をかけるほかないですから、何カ月と初めに決めておしまいにする、そうはいかぬのですから、そこは厳格にはだれが考えても申せないことと私は思います。
○寺前委員 重ねて聞きますが、E2C予算にかかわる疑惑がこの委員会で予算の問題として検討をされてきた。そのE2Cについての捜査宣言がなされた。そのE2Cについての捜査というのがどの段階にあるのか、もうめどが立つ段階にE2Cに限っては来ているのか、二、三カ月の間にめどが立つのか、そこのところを聞いているのです。航空機購入疑惑としてはいろいろ範囲が広がったのだから、それはそれです。だがE2Cに関してはどうなんだ。重ねてE2Cの状況について見通しを聞かしていただきたい。
○古井国務大臣 お尋ねが刑事の問題だけではなくて政治的、道義的責任まで及ぶとかあなたはおっしゃっておったし、それは正しい見方だろうと私は思っておりますが、そこでいまどっちを究明することをおっしゃっているのか、E2Cの関係で犯罪があるのかないのかだけをおっしゃっておるのか、もっと広げておっしゃっておるのか、お尋ねもはっきり私には、私は愚鈍なものですから伺いかねたのですよ、あなたの質問が。どっちを言ったのか、ひっくるめてのお話でありますか。(寺前委員「捜査です」と呼ぶ)犯罪の方ですか。(寺前委員「犯罪です」と呼ぶ)犯罪の方だけ。犯罪の方の関係は、E2Cの関係につきましても……(寺前委員「捜査」と呼ぶ)主としてグラマンの関係でしょうけれども、しかしグラマン関係だってほかの関係の会社との売り込み競争だったのですから、捜査としてはそっちもこっちも絡む点も見逃すわけにはいきませんしね。ですからE2Cだけを切り離してどうこう、そうおっしゃっても、ほかの方とも絡む点もありますから、そう簡単に、言葉で言うのは簡単ですけれども、実行の問題はとにかく周到にしなければならぬのですから、やはりそれはそう簡単に切り離してこれだけ、そう簡単な話とは私は思いません。
○寺前委員 E2Cに関する刑事責任の問題に対する捜査です、私のあなたに聞いているのは。それは限った話です。それは政治的にああやこうやいろいろ関係あるということは出てくるでしょう。何が出てこようと刑事責任の問題としての追及は、それはそれのものです。刑事責任のものです。この間うちからずっと、まずはともあれこの捜査宣言をやり始めたのだから、だからそれがどこまで来ているのか、この問題についてめどが一体どこにあるのか、これは予算の執行上にもかかわる、防衛庁の関係者にとっては重要な関心事項でもあろう、これは国会についても同じことです。だから私はあえて捜査について聞いている。めどがどこへ立ってきているのか、大体終結するところへ来たのか、大体二カ月ほど考えたらこの問題は一応のめどに達するのだとか、どうなんです。
○古井国務大臣 お尋ねもだんだんはっきりしてきて、刑事責任の問題だ、こういうことになってきましたね。その追及の問題だ、政治責任のことは別で。 そこで刑事責任の問題については、繰り返しお話ししておりますように、それはE2Cとおっしゃるけれども、あの売り込みの合戦というものは、いままでここでも皆さんもおっしゃっておったようなことだし、そっちこっちあり、またいろいろな経過もあるのですから、あそこだけ切り離して簡単にこれだけを取り出して、いつまでにしてしまえと言われる話ならそれは別だけれども、そうはいかぬので、周到にやらなければならぬのだから、切り離してこれだけときょうはっきり言うことは、私は捜査当局だってできぬだろうと思うのです。捜査に関係している、経験のある人はよくおわかりだと思う。で、そう簡単には一口で言えない。あたりまえのことだと私は思いますね。
○寺前委員 私は政治的に聞いているのじゃない。現状はどういう段階に来ているか、事実を報告してもらいたいと、こう言っているだけですから、担当の局長から聞かせていただきます。いや、私は担当の局長に説明させてくれと言っているんだ。
○竹下委員長 担当の局長は来ておりません。
○古井国務大臣 私では不十分でしょうけれどもがまんしておいていただきたいと思いますが、捜査の進展状況は、私も、またよく知っている担当の者も申しますように、いまはアメリカの資料待ちの段階で、一部分は来たのですけれども、そういう段階なんだ、それが来てから総合的に国内捜査の資料と合わせて次の段階に進む、そういう段階だとこれは何遍も申し上げているのですから、よくおわかりだろうと思うのです。
○寺前委員 時間の都合がありますから、もうこれ以上押し問答しても始まりませんが、国民の判断に期待するということで総理はおっしゃったのですから、刑事責任だけではなくして、政治的、道義的面を含めてこの問題の処理に当たるというのは当然のことである、私はそう理解して、次の質問に入ります。 去る十一月二十八日、福田内閣の総辞職前の駆け込みとも言うべき「日米防衛協力のための指針」というのが閣議で了承されるということがありました。私は、この問題について聞きたいと思います。 この「日米防衛協力のための指針」の「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」の「情報活動」というところを見ると、こう書かれております。「自衛隊及び米軍は、保全に関しそれぞれ責任を負う。」という項があります。私は総理にお聞きをしたいと思うのですが、この両者の指針、いわゆるガイドラインに沿って、一般国民にも処罰を強いる秘密保護法をつくるということを総理は考えておられるのかどうか、お聞きをしたいと思います。
○山下国務大臣 お答え申し上げます。 ただいま御指摘の「保全に関し」という問題につきましては、自衛隊と米軍がそれぞれの関係法令に従い、秘密の保全に関し責任を負うということでございまして、これに関して同一内容の法令を有していなければならないというものではございません。 秘密保護法の問題については、防衛庁としては、繰り返し申し上げますとおりに、現在検討の対象とはいたしておりません。
○寺前委員 将来においても検討の対象としないのか。
○山下国務大臣 現在検討の対象といたしておりません。それで御理解賜りたいと思います。
○寺前委員 それじゃ、次に行きます。 このガイドラインの、いま言いました「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」の2の(2)の(i)ですか、そこにこういうことが書いてあります。「自衛隊は主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い、」とあります。この「防勢作戦」というのは、単に受け身の防御というだけではなくして、攻撃することも含めて「防勢作戦」という用語を使っていると思いますが、そういうふうに解釈してよろしゅうございますでしょうか。
○原政府委員 防勢作戦と申しますのは、日本が専守防衛と言っております。これを言葉で言いますと戦略守勢と申しますが、防勢作戦というのは敵が攻めてくることを待ち受け的にこれを阻止することでございますが、たとえば日本の国土に侵略者が侵攻してきた場合、その段階でまず阻止をする、それから持久をするわけでございますが、最後はやはり日本の国内から排除をしなければならないわけでございまして、そういう場合に反撃をするということを排除するものではございません。
○寺前委員 そこで使われている「周辺海空域」というのはどの範囲を示しているのだろうか、何海里という内容があるのだろうか。
○原政府委員 これはたびたび国会でも御答弁申し上げますように、わが国の海上自衛隊の能力からまいりますと、周辺数百海里、航路帯といたしますれば南東、南西航路におきまして、おおむね千海里程度というものを考えているわけでございます。
○寺前委員 この「作戦構想」の項の中に「海上作戦」という項があります。そこには「海上自衛隊及び米海軍は、周辺海域の防衛のための海上作戦及び海上交通の保護のための海上作戦を共同して実施する。」こういうふうに書かれています。そこで、「周辺海域の防衛のための海上作戦」と「海上交通の保護のための海上作戦」と二つにわざわざ分けてあるということは、海上交通の保護の海上作戦というのは、周辺海域の防衛の海上作戦よりも、より広い地域を意味するというふうに解釈していいでしょうか。
○原政府委員 ここで書かれておりますのは「海上自衛隊及び米軍は、周辺海域」においてというのはいずれにもかかるわけで、周辺海域のための海上作戦と、それから海上交通保護のいずれも周辺海域だというふうに理解をしております。
○寺前委員 二つに分けてあるのは。
○原政府委員 二つに分けました意味は、海上自衛隊の主なる作戦と申しますのがやはり周辺海域の防備と、それからシーレーンと申しますか、海上交通の保護、この二つが主要なるものでございますので、これを二つに分けてあるわけでございます。
○寺前委員 だからより広いところまで行くということでしょう、作戦は。
○原政府委員 先ほども申しましたように、わが国が考えておりますのは、自衛隊がやりますのは周辺海域でございますると四百海里、それから航路帯と申しますと、それは南東、南西千海里という意味でございますが、ここで書かれております意味では、その周辺海域ということに理解をしておるわけでございます。
○寺前委員 もう一つ何かよくわからぬですが、周辺海域があって、そして航路があったならば、その航路というのは周辺海域の中よりもずっと先へ延長していくという意味でわざわざ分けた性格ではないかと思うのですが、常識的に見て。私の解釈、間違っておったら後で直してください。 そこで今度はこういう海域ですか、こういう地域におけるところの海上交通保護のための海上作戦、この活動中の攻撃に対しても自衛権の発動というのはあるという解釈になるのですか。
○原政府委員 わが国が武力攻撃を受けた場合におきまして、そういう段階におきましてわが国の船舶が海上において侵略国の艦船から沈められるということになりますれば、それは当然自衛権の範囲内のものであると解釈しております。
○寺前委員 私はそこで現実の問題としてお聞きをしたいと思うのです。 ことしの二月十日から十七日まで沖繩東方、西太平洋上の海域で、米第七艦隊と海上自衛隊の合同訓練がなされています。私どもの党の議員団が一月二十四日に横須賀の自衛艦隊の司令長官らと懇談をやりまして、そのときの実態を聞かしていただきました。そのときにこういうお話が出ております。第一護衛隊群は、ミッドウェーを守る輪型陣や横一本また遠くの方で丸くなどの、そういう訓練をやったということをそこで述べておられるわけです。輪型陣というのは防衛庁長官おわかりだと思いますが、ここに写真がありますのでちょっとお見せします。—参加乗組員もまたそういう訓練をやったということを述べておりますが、この事実は御存じでしょうか。
○原政府委員 二月に米空母と一緒になって対潜捜索攻撃のための訓練、それは通信の連絡でございますが、そういうための連絡の訓練をしたことは承知しております。
○寺前委員 私の聞いているのはミッドウェーを守る輪型陣という、そういう訓練をやったというのは事実ですねということを聞いているのです。
○原政府委員 対潜攻撃をする場合の形態としていろいろな形態があると思うわけでございますが、そういうのも一つのやり方であろうと考えております。
○寺前委員 それではこの輪型陣や横一本あるいは縦一本などという、そういう態勢でやられる訓練というのは、このガイドラインの中におけるところの海上作戦のどの分野に位置するのでしょうか。
○原政府委員 これはガイドラインにおきます「海上自衛隊及び米海軍は、周辺海域の防衛のための海上作戦を」行うということに該当すると思います。
○寺前委員 周辺海域の防衛の訓練をミッドウェーを守る形でやったということです。 その次にハンターキラーという訓練が行われていることについても、またこの懇談の席上でも述べられました。そのハンターキラーという行動は、日本の自衛艦がアメリカの船とペアになって、そして原子力潜水艦などを対象にしての訓練をやるのだということをおっしゃっておったわけですが、これについても御存じでしょうか。
○原政府委員 自衛隊と米軍が共同で対潜作戦をやる場合に、ペアになってやるということはあるということを承知しております。
○寺前委員 そうすると、この輪型陣や横、縦一本の隊列をつくるのに、また二隻でハンターキラーをやるのに、単一の指揮をとらなければならないという事態が生まれてくると思いますが、その場合には日本が指揮をとる場合もあるし、アメリカが指揮をとる場合もあるということになると思いますが、それでよろしいでしょうか。
○原政府委員 このガイドラインにもそこは非常に厳密に書かれておるわけでございまして、共同対処でございますけれども、指揮はあくまで別々でございます。自衛隊が米軍の指揮下に入ることもなければ、アメリカ軍が日本の指揮下に入ることもない。したがいまして、その二つの指揮権があるわけでございますので、そのために事前に調整をするということが大変必要になるわけでございまして、そのためにこのガイドラインでは調整機関等の設置ということが書いてあるわけでございまして、ただいまの訓練におきましても、決して片方の指揮権に服するということはございません。
○寺前委員 だから私はあなたにわざわざ輪型陣の写真をお見せしたわけです。これは空母を中心にして輪型陣をつくっています。この空母が風向きとの関係でジグザグコースをとったりしながら移動します。これに対して輪型陣を全体として動かすということをやるのに、別々の構想を持っておっては進まないということになります。単一の指揮のもとに、日本の指導艦とアメリカの指導艦のルールを通じて指示が行くということは当然ありますけれども、これだけの輪型陣をちょっと右へ左へ空母を中心に動かすというのには、総合的な指揮がなければならないというのは常識的に考えても当然のことだ。だから現実にそういうふうになっている。これはその乗り組みの諸君たちがみんな異口同音に言っているところであります。 そこで、これについて、たとえあなたたちが言っている単一の指揮がなかったとしても、これは別な話です。このハンターキラーで日本の船とアメリカの船がペアで行動を開始する。原子力潜水艦は海中深くもぐっている。これに対して攻撃を加える。今日の世界の常識では、超スピードの原子力潜水艦が海中深く千メートル近くも深いところでずっと走っていくのを追いかける、超スピードで追いかけないことには間に合わない、そしてそのときには、昔のような爆雷では間尺に合わない。プシュッというぐらいのものだ。もっと核兵器のようなものをもって攻撃しないことにはそれを粉砕することはできないのだということを言っているわけです。 そこで私は聞きたいのです。今日の、ミッドウェーを見ると、これは明らかに洋上において核兵器を持っておる航空母艦です。それからまた、水中に向かっていくところのアメリカの船は、原子力潜水艦に向かって核兵器を使用するという条件下にあることは、今日も常識として言われていることであります。こういうふうに考えてみたときに、日本の艦隊が何を調整するにしても、このように核兵器を使うことを一緒になって認め合っておる。あるいは核兵器を持っておる部隊と一緒になって行動を開始しておる。混成部隊の中に入ってしまっておる。こういうことを考えてみるときに、非核三原則の立場から考えるならば、これはおかしなことになるのじゃないか。非核三原則からいうならば、日本が了解を与えて一緒に行動しておるということは許される話ではないと思うのだけれども、実際上、同一の指揮なりあなたたちがおっしゃるように、同一の指揮がなかったとしても、ペアになって行動しておるということは、事実をもって使うことを承認しておる。もしも承認していないというならば、一体歯どめはどこにつくっておるのかということを御説明いただきたい。
○山下国務大臣 ただいまの問題については政府委員から御説明申し上げましたとおり、それぞれ相互に調整しておりまして、一方が他方の指揮を受けることはございません。 なお、この日米防衛協力のための指針の前提条件にははっきりと「非核三原則は、研究・協議の対象としない。」となっておりますので、御理解を賜りたいと思います。
○寺前委員 私は事実を言っておる。ペアになって行動する。アメリカの船は核兵器を使用するというのが常識になっておる。ミッドウェーを守る、核兵器を持っておる部隊を一緒になって守るということになるならば、それは明らかに、日本もどんな調整をやろうと、歯どめが何かない限り、核兵器の使用を認めてしまうことになっておるじゃないか。それとも使わさないということにおいてこの艦隊を組むのか。使わさないということにおいてハンターキラーという行動を行うのか。そこの歯どめは一体どうなっておるのか。私は事実に基づいて聞いておるのであって、事実をもってどこに歯どめがあるのか明らかにしてほしい。
○山下国務大臣 この訓練は、先ほどから申し上げておりますとおりに、対潜捜索攻撃訓練及び通信連絡訓練でありまして、護衛のことをやっておるわけではございません。そして非核三原則につきましては、先ほど来申しておりますとおりに、きわめてはっきりいたしております。
○寺前委員 それじゃ答弁じゃないじゃないですかというのだ。ペアになってやるということをおっしゃっておるでしょう。ペアになってやることをハンターキラーで許しておるのだったら、相手の船は核兵器を持っておる。その行動を指揮するのが、あなたたちはしてないとおっしゃるのだったら調整でもいいでしょう。調整でもって行うことを許しておることは、日本の艦隊自身が許しておることになっておるじゃないか。あるいはミッドウェーを守るという行動だから、したがってミッドウェーは核兵器の搭載艦、これの行動を認めることはどんな調整をやられたにしようと、それは日本も認めておるということになるじゃないか。とするならば、それは明らかに非核三原則に反する。とするならば、この調整の段階にどんな歯どめがあるのか聞かしてほしい。これが一つ。重ねてもう一回聞きます。 それから、もう一つ。今度は、この行動自身が集団自衛権という日本の憲法上抵触することになるじゃないか。一緒になって行動、ミッドウェーを守るという任務につく、そうしたら、それは集団自衛権の行使ということになって、日本国憲法に反するではないか。これについてはどういうふうに解釈しておられるか。
○原政府委員 前の段階のお話の御趣旨が余りはっきりいたしませんが、わが国は、非核三原則はもちろん持っておるわけで、わが国の領域の中に核は持ち込ませない、それははっきりいたしておるわけでございます。しかし、全体の戦略といたしましては、わが国はアメリカの核抑止力に依存するということも、これも明白な事実でございます。 いま対潜訓練のお話についてミッドウェーを守るのかという、そういうことではございませんで、ミッドウェーと一緒になって防勢作戦をやろう、その支援を受けるということでございまして、対潜作戦一般につきましてむしろ核を使用するというようなことは、わが国の自衛隊はもちろんございませんが、一般には米軍でもそういうことはやらないのが普通でございます。そういう範囲で私どもは訓練をいたしているわけでございます。 それから、いまの集団自衛権の問題でございますが、共同対処ということでございますれば、当然わが国に対する武力攻撃があった場合の問題であるわけですが、そういった場合に、わが国の周辺にたとえば侵略国の潜水艦がいるということになりますれば、それは日本が主体となってやるのがあたりまえで、米軍がいようがいまいが、その潜水艦に対して自衛隊は対処しなければならないわけでございます。それはその結果として、攻撃をいたした結果その潜水艦が沈めばミッドウェーは守られることになるかもしれませんけれども、それはとにかく、そういう状況でわが国に対して武力攻撃がすでに行われた段階でございますから、わが国としては、当然自力ででも、アメリカがいようといまいと対処しなければならないのでありまして、それは個別的な自衛権、日本を守るための行動であるという意味におきまして、個別的な自衛権の範囲の問題でございます。
○寺前委員 あなた、おかしなことを言うじゃないか。いまやっている訓練というのは、ミッドウェーを守るところの輪型陣を組む訓練をやっている。それは周辺海域の作戦だ、ガイドラインで言うところのものだ、こうおっしゃったのだ。すなわち有事の際における行動は、ミッドウェーを守る行動の任務に日本の自衛艦がつくのだということをここで訓練で実戦的に行われているわけです。ミッドウェーを守る訓練のうちに輪型陣を組んでいるのです。その輪型陣ですよ。その任務についておって、何か個別の自衛権になるのか。個別じゃないでしょう。それはグループとして存在しているのだから、そのクループとして行動を開始する任務についている場合には、当然集団自衛ということになるではないか。あなたたちの「日本の防衛」という防衛白書と言われるこの本の百三十七ページを見ると、こう書かれている。「同一条約において、」日米安全保障条約のことです。「米国は日本防衛の義務を負っているが、わが国は米国の領土やわが国の領域以外の場所にいる米軍が攻撃されても、これを防衛する義務を負っていないという特徴を持っている。この点は、わが国が憲法上集団的自衛権を行使し得ないことによるものであって、」というふうにわざわざ書いてある。ところが現実に行われている訓練というのは、そういうふうにミッドウェーを守るという訓練を行っている。あるいはペアになって敵の潜水艦を攻撃するという集団的な任務についているということをさっきお認めになった。これはそういう行動をするということだ。しかもこの日米防衛協力のための指針にも、ちゃんと海上自衛隊及び米海軍は、共同して海上作戦を実施するということを指摘している。有事の場合に共同してそういう任務につく、それが個別の自衛権だでは済まない。主として日本の周辺海域における対潜作戦や船舶の保護活動については、日本の側が責任を負いますよ、こうなる。そうすると、ここには米艦隊を守るという任務もそこには当然含まれてくることになるだろう。こういうふうに見ると、これは現在のとんでもない安保条約の解釈そのものを、事実をもって改悪を進めるというのか。閣議決定でもってこれをどんどん変質させてしまうという性格を持っているところに、この防衛協力のための指針の重要な問題があると思うのです。 私は、もう時間もないようですから総理に聞きたいと思うのです。 現に私は、このガイドラインの海上部門の一部門を取り上げただけですけれども、現実に行われている演習といい、現実のこの指針といい、それは日本国憲法で許されていない集団自衛権の任務につけさせるという重大な問題を含んでいるのだ。非核三原則の方針にも反する内容があるのだ。だから、当然、福田内閣の最終の閣議で行われたことであって大平内閣の段階ではないのだ、もう一度見直すというぐらいの態度があってしかるべきだと私は思うのですが、総理の見解を問いたいと思う。
○山下国務大臣 わが国は集団的自衛権は禁じられております。あくまで個別的自衛権の発動でございます。 なおいまの御指摘の点につきましては、わが国は安全保障の基調を日米安保条約に置いておりますところ、従来米国との間でこの協力体制に関する研究協議のようなものが行われていなかったので、そのような面の改善を図るという従来よりの政府の方針のもとに研究が行われてきたのであります。したがって、このような考え方に基づいて作成された指針は、内閣が変わったからといって、再検討しなければならないという性格のものではございません。いずれにいたしましても、この共同作戦計画を中心と、する具体的研究が行われるということは、日米安保条約の有する抑止効果を高め、わが国の安全及び極東の平和と安全を一層効果的に維持することに資するものと考えております。
○寺前委員 あなたの答弁は答弁になっていないことを指摘して、時間が来ましたので終わりますけれども、総理、聞いておって本当にどういうふうにお感じになります。現実的には日米の船が潜水艦攻撃のために核兵器を持つ部隊と一緒に動く、核兵器を持っているミッドウェーを防衛する任務を持っているその共同作戦が、公然と指針の上に載っている。これは大変な問題だ。もう一度見直してみるという性格だと私は思うのですが、総理の見解を問いたいと思います。
○大平内閣総理大臣 日米間の防衛協力のルールは安保条約で決められておるわけでございます。そしてそれを実行する機関といたしましては安保協議委員会というものがございまして、そういう仕組みの中で、いま言うガイドラインが定められておるわけでございます。したがって、基本はそういうガイドラインで勝手にやっておるわけではなくて、日米間の取り決めに従いましてやっておるわけでございまして、日米間の取り決めに当たりましては、憲法でございますとか、非核三原則でございますとか、そういったいろいろの制約は十分念頭に置いてやっておるわけでございますから、私は万々寺前さんが御指摘になるような御心配はないものと思います。
○原政府委員 大変申しわけないのでございますが、先ほど周辺海域のことで私が四百マイルと申しました点は、数百海里と訂正をさせていただきます。
○竹下委員長 これにて寺前君の質疑は終了いたしました。 次に、山口敏夫君。
○山口(敏)委員 まず外務大臣に。ベトナムと中国の戦争状態について私ども大変心配をしておるわけでございますが、新聞の報道等によりますと、中国軍が完全に撤退をすればその後に中国、ベトナム両国間の正常な関係回復に関する外務次官会議に応ずる用意がある。ベトナム外務省はいままでそうした会談には一切応じないという非常にきつい姿勢であったわけでございますが、ここで和平へ向かって大幅に進みつつある、こういう状況のようでございます。今日の中越戦争の戦況状況等につきまして、現実に中国軍の撤退は始まったのか否か、その辺の状況も踏まえて、お伺いをしたいと思います。
○園田国務大臣 中越紛争の事態は御発言のとおりでありまして、五日の午後七時、中国は正式に撤退するという意思表明をわが国に通報し、午後九時、新華社をもって発表いたしました。これに対して、同日、ベトナムの方は総動員令を下令したことは御承知のとおりでありますが、六日になりまして、中国軍が完全に撤退をすれば話し合いに応ずる、次官級クラスの会談。場所等も話しておるようでございます。 このように、わが国は御承知のとおりに、中国とも話ができ、ベトナムとも話ができる数少ない国でありますから、この事態に対しては、あくまで公正、中立の立場をとりながら、両国に対して即時停戦、軍の撤退、話し合いということを強く呼びかけてきたところでありますが、その方向に向かって兆しが見えてきたことは喜ばしいことだと考えております。 しかしながら、なお撤退についての問題がいろいろあるわけでありまして、大きな部隊が撤退するについては、これの撤退作戦というのは戦闘の中で一番困難な作戦でありまするし、また撤退するについては、一方から言えばこれに追撃をして打撃を与える一つのチャンスも出てくるわけであります。こういうことになれば、再びこれが追撃、これを反撃というようなことも心配をしなければなりませんので、わが国は、両国に対して円満なる、速やかなる中国軍の撤退、それが終わったならば次官級の会談、そして国境紛争については話し合いをなされるべきだ、こういうことをこの発表がなされた後も強く要請をし、働きかけておるところであります。 なおちなみに、これを取り巻くソ連、米国にはこの事態に介入されざるよう自重を望む、このような要請をいたしております。したがいまして、ここ数日は慎重にこの状況を見守り、両国に強く要請しながら円満な軍の撤退、平和解決の方向に行くように専心努力をしたいと考えております。
○山口(敏)委員 中国とは国民周知のごとく大変友好関係、太いパイプもあるわけでございますが、ベトナムに対しても自由主義国のアメリカ等が国交関係がないという状態においては、日本の政府の外務省の果たす役割りというものはそれなりに大きな意味があると私は思うわけでございます。やはり日中平和条約がアジアの平和と安定に大きく寄与するのだ、こういう国民的認識の上に立って条約の締結が歓迎をされたわけでございますが、その後、こうしたアジアの中に立つベトナム、中国の戦闘状況というものは大変不幸な事態でございます。平和会談が円滑に開始する運びになる、また次官級の平和会談の提案もベトナム側が受ける、こういう進展状況につきましては大変歓迎をするところでございますが、さらに国境線をめぐる認識、特に私ども島国の立場と、陸地を接する国同士の国境線に対する認識というものは相当な食い違いもあるはずでございますし、またそうした国境線における攻防というものあるいはお互いの国境線に対する認識というものが、ここへきてまた大きな障害になるのではないか、こういうことも心配をするわけでございます。その点につきまして外務大臣からお話もございましたが、政府の見通しをもう一度ひとつ伺っておきたいと思います。
○園田国務大臣 いま国境の問題を御発言になりましたが、国境の問題は御承知のとおりに、ベトナムはかつて仏領インドシナでございまして、フランスが引き揚げた後、国境が明確になってないところもあるようでございます。かつまた、いまの紛争地帯が地下資源が豊富だと言われているところもあって、この国境問題の話し合いというのはなかなか厳しく、困難であると考えておりますが、国境問題についてわが国がとかく口を出すことは干渉になりますから、これは考えておりません。 ただわが国は、戦いをやめて軍が他国から撤退をして、話し合いですべての紛争は解決されたいという一本やりで強くやっているつもりでございますが、その方向に兆しが見えてきましたものの、微妙なところでありますから、ここしばらくは非常な関心と注意をもって、両国とも緊密に連絡をしながらやっていきたいと考えております。
○山口(敏)委員 園田外務大臣は、当初から平和的な解決に日本が何らかの役割りを果たしたい、こういう御見解のもとに、中国、ベトナム双方にそれぞれ接触を試みておられる。そういう外務省、外務大臣の御判断には私どもは敬意を表するわけでございますが、先ほど申し上げましたように、アメリカと違いまして、特に日本は中越戦争に関しては平和的な解決への大きな責任を果たさなければならない。東京サミットではありませんが、やはり首脳会議も開かれるほどのこの国際社会における発言権というものを今日持つ日本の立場でもございます。そうした日本がアジアの国々の平和と安定のために大きく寄与していかなければならないわけでございまして、外務大臣のそうした御判断、評価と同時に、私は総理に、この新たな平和への足がかりが手がかりがつかめつつある中越国境紛争に対して、日本政府として、日本国の総理大臣として、積極的にこの平和的な解決へ乗り出す用意があるか否か、その辺の決意のほどもひとつお伺いをしておきたいと思うわけでございます。
○大平内閣総理大臣 わが国がアジアの平和と安定のために何をなすべきか、何をなすべきでないかという判断は、仰せのように大変大事だと思うのでございます。今日までも、わが国の立場から、中越両国に対しましてそれぞれ努力をしてまいりまして、やや明るい徴候が出てまいりましたことは歓迎すべきことと思っておりますが、今後もこの推移を注意深く見ながら、なすべきことがございますならば果敢になして、アジアの平和のために尽くさなければならぬと考えております。
○園田国務大臣 総理のおっしゃったとおりでありますが、ただいま御激励をいただいて御礼を申し上げます。 アジアの紛争から世界の平和の妨害ということになっては、これは一大事であります。特にインドシナ半島における紛争は、日本を初めとするASEANの国々の重大な懸念と脅威を受けるところでありますから、今後ともASEANの国々と足並みをそろえつつ、多数の国々は日本の役割りを期待し評価しております。こういう国々とも連絡をとりつつ、いま総理がおっしゃいましたとおり、平和解決のためになすべきことがあれば、いかようなことでも日本はなしたい決意でございます。
○山口(敏)委員 こうしたお互い友好国同士の紛争というものは、わが国にとりましても大変不幸な事態でございます。国際社会における発展途上国に対する経済協力でございますとか、あるいは先進国会議におきますところの経済的な責任でございますとか、やはりこれは、国民の理解と国際人としての国際社会における役割り、そういう認識の中でしか、政府の事業というものを進めていくわけにはいかないわけでございます。私は、この中越戦争の平和的解決ということを強く望みますと同時に、こういう紛争の事態に手をこまねいて見ておるということでなく、いま外務大臣の答弁にもございましたけれども、ひとつ積極的な役割りを演ずる、それが成功するしないという場合もありましょうけれども、広範な外交活動の中に、国際社会における日本の政府の責任を果たし得る国民的な理解、環境もでき得るのではないか、こういうことで総理を初め外務大臣に、この和平に関する特段の御労苦、御努力を強くお願いをしておきたいと思う次第でございます。 そこで、私は総理にお伺いをしたいわけでございますが、大平総理は御就任早々に、一般消費税の導入問題は来年度予算編成に取り組む過程で、これは五十四年度予算編成でございますけれども、歳出、現行税制を洗い、ぎりぎりの手順を踏んでからでないと導入の方向で検討に入るわけにはいかない、現行税制や歳出をぎりぎりの洗い直しをしてからでないと、導入の方向で検討するわけにはいかないのだ、こう言明をされておるわけでございます。そういう総理の御発言からいたしますと、いま国会でいろいろ議論をされております一般消費税の五十五年度一月からの実施という点については、総理は断念をされたというふうに私ども理解をするところでございますが、そういう解釈に立ってよろしゅうございましょうか。
○大平内閣総理大臣 私が申し上げておりますのは、一般消費税の導入というのは、歳入政策について国民の理解と支持を求めるためには、歳出歳入全般にわたりまして徹底した見直しをやらなければならない、そうしないと理解と支持を得ることを期待することはできないということを申し上げたわけでございます。一方、政府といたしましては、昭和五十五年度にはこの導入を考えておるわけでございます。その五十五年度に導入をお願いするにつきましては、いま申しましたような前提条件というものを一つ一つ丹念にやってまいらなければならぬことと思っておるわけでございます。 そこで、そういう文脈において答弁申し上げておるわけでございますが、どこまで実行いたしますならば御理解が得られるかということにつきましては、それぞれ御判断があろうかと思うのです。各党のお立場もあるわけでございまして、みんながこれならよろしいということで御理解をいただいた上で、そして御提案申し上げるというようなことになりますると、これはいつになるかわかりません。 私が申し上げておるのは、五十五年度には導入したいということを、政府と、そして与党におきましては決めているわけでございますので、それに相応した努力を重ねながら、また成案を得るのを待って提案しなければならぬと考えておるわけでございます。言いかえれば、すべてのことをやった後で御理解を得て提案するということは望ましいことでございますけれども、それは実行上なかなかむずかしいと思うのでございまして、精いっぱいやりながら御提案を申し上げ、論議を深めていただいて、できるだけ御理解を得て、そして導入が成功するようにいたしたいものと念願しております。
○山口(敏)委員 私どもの解釈では、総理の就任早々の御決意と、また、行政改革や不公平税制等に取り組むためには、いろいろ困難な問題もある、そして出されてきた案を見てみますると、五十五年度導入はおあきらめになられたのかな、こういう解釈をしておったわけでございますが、来年からはどうしても消費税を導入したいのだという決意だけはお変わりになっておらないということでございます。 大平総理の政治姿勢が、「信頼と合意」ということで、これ自体、政治家として、総理大臣としての決意はりっぱなものであろうと私は思うわけでございますが、信頼を得て合意をつくるためには、それなりの政府としての、政治家としての御決断というものが伴わなければ合意というものも培われないと思うわけでございます。総理は自民党の総裁でもあるわけでございますが、また一人の国会議員でもあるわけでございまして、総理大臣として、政治家として、一億国民の総理として、いま国民の方々が政治に対して何を一番期待をしておるか、また総理の耳に入る世論とは、こうした政治の政策選択の中でどういうことをしてほしいという御意見が一番寄せられておるのか、私はその辺の総理と国民との距離をはかる意味において、ひとつお伺いをしたいと思うのです。
○大平内閣総理大臣 政治に対する信頼が揺らいでおるのではないかということにつきましては、私も山口さんと同様憂えを共通にするものであります。 最近の世論、国民の意思というものは大変多彩に割れてまいりまして、いわば国民のニーズをどのようにはかるかということは、見きわめるかということは、容易ならぬ仕事だと思うのでありますが、これが非常に大きく割れておるということ、それを支える政治勢力も大変多党化しておるということは紛れもない事実であろうと思うのでございます。したがって、政治の任務は、そういう中にありましてできるだけしんぼう強く世論の趨勢を見きわめながら、そしてこれを支える勢力が多党化いたしておる今日でございますから、それをできるだけ協調を求めるような努力をしてまいらなければならぬわけでございまして、そういうことを国民は丹念にやっていくことを政治に求めておるのではないかと考えております。 それから第二に、それではどういうニーズを一番重く国民が見ておるかということでございますが、これはどの世論調査を拝見いたしましても、やはりインフレを恐れ、物価の安定基調を堅持してもらいたいという願望が最大の願望で、その次は雇用の安定ということについて非常に希望が強いというように私は受けとめております。
○山口(敏)委員 私は、一般消費税の導入の過程において、国民が一番恐れておる物価に対する影響、また一般消費税の持つ性格が、一番政治が配慮しなければならない低所得者に対する負担が重くなるのではないか、また、せっかく石油ショック以来民間の景気が幾らかでも浮揚しつつある、これは政府も国会も努力はしたわけでございますが、やはり国民個々の経済活動、そういう働きの中で今日の景気回復というものの大きな力が私は存在をしておったと思うのです。そういうときに、せっかく国民の、民間の個々の企業が、会社が努力をして景気浮揚しているのに、また政府がこの景気のための手をかすのではなくて、水をかけるというようなことにもなりかねない。そういう例を一つ二つ挙げても、大変国民への犠牲が財政収入を上回る大きな混乱や負担をかけるということは免れないわけであります。 しかし、国が財政を再建をしなければならないということも、これまた国民にとっては非常に重要な関心事でございますから、私はそういう前提の上に立って、この税法を検討をしておられる大平内閣としては、余りにも総理みずからがおっしゃった税制の洗い直しやその他の不公平税制等に対する御決断御判断が甘いのではないか、こういう批判に立たざるを得ないわけです。いま総理がいろいろ国民の多様なニーズにこたえて積み上げていかなければならないということをおっしゃられたわけでございますが、私が総理にお伺いをしたかったのは、現在の社会風潮の中で、身勝手ということと不公平ということが一番に挙げられておる事実を総理は御承知なのかどうかということなのです。恐らくいろいろ御関係もありましょうけれども不公平税制とか行政改革に対する国民の大平内閣に対する期待というものは、私は他の政策以上に相当強い要望が総理のもとにも寄せられておると思うのですね。そういう問題に積極的に取り組んでこそ、国民への負担というものに対する説明、説得というものも成り立つのではないかというふうに考えるわけです。そうした行政改革、不公平税制に取り組む総理の姿勢をいま一度私はこの場でお伺いをしておきたいと考えるわけです。
○大平内閣総理大臣 山口さんが御指摘になりましたように、いま国民は、せっかく回復に向かった経済状況、これを軌道に乗せて雇用の安定を図っていかなければならぬ、こういうときに新しい税を起こして、これに水をかけるというようなことは慎まなければならぬのではないかという御主張が一つございました。 これは私もそれを理解できるわけでございます。したがって、財政再建の仕事にもっと早く立ち向かわなければならぬのを、ずいぶん時期的におくらせまして、今日まで経済の回復に努めてまいったわけでございます。 経済の方はおかげさまでようやく明るい展望がだんだん出てまいりまして、生産も出荷も在庫調整も順調に進んでおるわけでございますし、最終需要、消費も堅調になってまいったわけでございまして、雇用もかすかに改善の徴候が見えるようになってきたわけでございます。 こうなってまいりますと、一方、中央地方を通ずる財政の危機的な状況というものにほおかぶりをしていくわけにいかぬと思うのでございまして、ことしから将来に向けて財政再建という問題はわれわれが避けて通れない課題になって、そろそろ本格的に手をつけなければならぬような事態になっておるという認識を一つ持っておるわけでございます。 しかし、第二にあなたが言われた、不公平はいけないということは仰せのとおりでございまして、国民が一番忌避いたしておりますことは、不公正そのもの、不公正な政治、行政であろうと思うのでございまして、その点につきましては、きょう特に気をつけるというのでなくて、不断に政治が心がけねばならない大きな原則なのでございまして、それから外れることは私はできないと思うのでございますが、今日特にそのことが必要であると存じますのは、大きな歳入政策を実行に移そう、導入しようという場合におきましては、特にその点に、歳入歳出を全体を通じましてメスを入れて、徹底した洗い直しをしないといけないということは、いよいよ痛切に感じておるわけでございまして、国民もまたそれを強く仰望しておることと思うのであります。したがって、歳入面ばかりでなく、行政費の節減を中心といたしました政府の歳出についての真剣な取り組みも、この際強く要請されておることでございまして、それにわれわれは勇敢に立ち向かわなければならぬと考えております。幸いに、当委員会におきまして、ことしはその点につきましての論議が非常に高まってまいったわけでございまして、このことは大変ありがたいことと思っておるのでございます。今後、国会の御指導のもと、政府も懸命にその問題に取り組んで、財政再建の実を上げながら、不公平な行財政あるいは政治をためていく、矯正してまいるということに努めなければならぬと考えております。
○山口(敏)委員 具体的な問題で一、二お伺いしたいのですが、補助金一つにいたしましても、一般会計の三分の一にも達して、補助金行政の問題点は各方面から指摘を受けておるところでもございますが、ことしも、五十三年度の整理、合理化を見ましても一千四百二十二億。しかし、五十四年度の一般会計の伸び率等を見ましても、補助金だけでも一三・八%逆に伸びておる、こういうような状態でもございます。これは、各党が予算の成立過程において、それぞれ政党の掲げる公約をもって政府・自民党と粘り強く交渉もしておるわけでございますが、自民党の方におきましても、行政経費については五十四年度においてもできるだけ節減に努める、同時に、五十五年度予算においては五%程度の削減を行う、補助金の削減については五十五年度に三千億を目途に削減の合理化を図る、これはもう三千億が五千億ならさらにいいわけでございますが、自民党のそういう見解も出ておるわけでございます。総理は総裁でもございます。また、いま御決意も伺ったばかりでございますが、私は総理に、こうした公約についてひとつお約束をしていただきたいと思うわけでございますが、その御決意を承っておきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 補助金整理の問題につきましては、政府も大変努力いたしまして、五十四年度の予算で千二百七億の節減をいたしたわけでございます。補助金の廃止、統合、縮小あるいは規格化等の努力をいたしましてやりましたが、あなたが言われるように、それにしても補助金の金額の増加率は予算の増加率をまだ上回っておるじゃないかという御指摘でございますが、これは内容をよく見ていただければ御理解いただけますように、一つは国鉄に対する大口の補助をしなければならぬということと、ことし公共事業に対しまして大幅な予算を組みまして、それに伴う補助が重なったわけでございますので、内容をいろいろ吟味していただきますと、政府が相当厳しく補助金の整理に取り組んだことにつきましては御理解をいただけるかと思うのでございます。 しかし、これをさらに三千億を目標にひとつやってみる決意があるかどうかという御指摘でございます。新自由クラブの方からそういう真剣な御要請を受けておりまして、党と一緒にその点についてはいま検討をいたしておるわけでございまして、三千億を必ず、耳をそろえてこういたしますというお約束をここで申し上げるにはよほどの用意をしてかからなければならぬと思いますけれども、私ども、仰せのような意気込みで補助金の整理を五十四年度、五十五年度続けてやってまいることにつきましてはお約束をいたします。
○山口(敏)委員 そうした行政改革も、一つ一つ努力を積み上げていただきたいと思うわけでございますが、不公平税制の一つの問題として医師税制の問題が論議されておるところでもございます。私は、その制度が存在をするということは、やはりそれなりの歴史的な経過や社会的な必要性、必然性というものがあって存在をしておることは認めるわけでありますし、医療供給者の方々の身を削るような御努力も高く評価するところでございますが、この医師税制の問題も、税制の問題からしても大変不適当であろうと思いますし、また厚生行政、国民の健康という立場から考えてみましても、これだけの情報化社会において、昔は、人間の生死というものは、それが病死であれ事故であれ、寿命だという一つの割り切り方もあったわけでございますが、社会の複雑化に伴い、医療における一つの、正しい適切な診断であったか治療であったかという問題も、白い巨塔ではありませんけれども、裁判で医療の判定がなされるというように、医療供給者側と医療受給者側の不信もまた増大しつつあるということも、総理として十分御認識をいただくべき問題ではないか。政府が税制面で、そういう医療とはまた別途な措置を講ずることによって医療環境を整備するという発想、手法が国民に税制面における不公平感を抱かせ、そして医療供給者の技術と努力に対する低い評価と国民の不信を招いている。この問題は、すでに税制の問題、医療の問題を通り越して社会問題となり、政治問題にもなっている。そういう問題認識を持っていただきませんと、私はこうした議論が単に官僚的な机の上の数字合わせに終わってしまうということでもあろうと思うのです。 そういう意味で、医師税制の問題について廃止の方向で見直すというところを、いま一歩総理として踏み込んでいただいて御判断をいただきたい。時間もございませんから簡単にひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
○大平内閣総理大臣 社会保険診療報酬の課税特例のことだと思いますが、この件につきまして世論でいろいろの批判がございますことは、私もよく承知いたしております。したがって、長い間続いた制度でございますけれども、何らかの措置をこの際講じなければならぬのではないかという時期が来たと思いまして、昭和五十年に税制調査会から御答申がありました線に若干の改善を加えて今度の御提案を申し上げておる次第でございます。 こういう長い間続いた制度を変えるにつきましては、やはり関係者に対する激変を緩和する措置を考えなければなりませんし、そんなに胸のすくような措置をいきなり実行できるものでもございませんので、いまの段階におきましては、政府が御提案申し上げておるところでいましばらくやらしていただけないものかと考えておるわけでございますが、これをわれわれは金科玉条と考えておるわけではございません。今後の状況の推移によりまして、大体租税特別措置というものは、本来毎年毎年見直さなければいかぬものでございますので、私どもこの制度につきましても、今後社会経済状況の推移に応じまして見直して、改むべきものがあり、改めるべき時期が来れば改めなければならぬと考えております。
○山口(敏)委員 改めるべき時期が来れば改めるというその時期は、私はもうすでに今日である、いまの時点であるという強い判断に立つわけでございます。 そういうことで、予算も大詰めでございますが、それぞれ政党は国民に対して一つの政策を掲げ、その実行の実を上げることに、与党は与党なりに、野党は野党なりに努力をしておるわけでもございますが、そういうことで私たちは、不公平是正、行政改革、そうした問題に対して、何としても財政再建の前提条件として民間に負けないような、政府自身の姿勢を改めて、そしてぜい肉を落として、国民の負担というものを少しでも軽減させるという努力を、相当な決意を持って大平内閣にやっていただきたいということを私は強く望みたいわけでございます。 私どもも、政党というのは大きな政党もあれば、小さな政党もあるわけでございますが、しかし、そういう政党のメンツとかたてまえというものを越えて、少しでも国民生活にとって公平な、公正な政策、公約を実現させるためには、ぎりぎりの場面まで執念を持って総理を初め政府の見解をただし、確認、確約をとりたい、こういう決意でおるわけでございます。いまの総理の答弁は、私どもとしては、いま一歩踏み込む政治家としての勇気、決断に多少欠けるうらみがあるわけでございますが、どうかひとつそうした努力を怠ることなく続けていただきたいということを強く要望いたしまして、時間が参りましたので、別の問題はまた後に譲りたいと思います。
○竹下委員長 これにて、山口君の質疑は終了いたしました。 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十四分休憩 ————◇————— 午後一時四分開議
○竹下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、古井法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古井法務大臣。
○古井国務大臣 昨日、社会党の安井吉典委員より、私の記者会見についての質問がありましたが、私の国政調査権のあり方についての発言が誤解を生じましたことは遺憾であります。
○竹下委員長 質疑を続行いたします。平林剛君。
○平林委員 私は、きょうは、航空機等の購入に絡まる疑惑が表面化いたしまして、会計検査院に対する一つの期待が強まっておると思います。そこで、ダグラス、グラマン関係の会計検査院検査の中間報告につきまして若干の質問を行いたいと思います。 先般、この委員会に中間報告を求めまして、その報告を聞きましたが、実は私は内心失望いたしました。かつ、これではいけないと痛感をいたしたわけであります。会計検査院の機能と権限の強化の問題につきましては、いまこそ必要な措置を講ずべきであるという見解に立ちまして質問をしたいと思います。まず会計検査院の方からお答えをいただきたい。 この報告にはUF2救難飛行艇の予備部品の検査結果の報告がありません。これは防衛庁が住友商事に対しまして部品を売り渡したときに千百万円の価格だったものが、住友商事からグラマン社に売却いたしましたときは八万五千ドル、この疑問点について見直し検査をすることになっておりましたが、どうなったのでしょう。
○知野会計検査院長 UF2航空機余剰部品の売却の件でございますが、これは五十三年度に売却をいたしましたものですから、五十三年度の決算の検査ということで見直し検査の中には入れませんでしたけれども、その内容につきましてこの検査をいたしました担当局長から説明をいたします。
○藤井会計検査院説明員 お答えいたします。 先生御指摘の余剰部品の売り払い処分でございますが、この検査状況につきましては、この処分が五十三年の三月行われました。それで入金は四月になっております。したがいまして、現在進行中の問題であるというふうに把握したわけでございます。したがいまして、前回の見直し検査についての報告には含めておりませんでした。これにつきましても一応の検査を終えたところでございます。その検査の結果でございますが、予定価格算定の際に行っております各種の係数がございますが、これを適用する理由などにつきましてなおはっきりと確かめたい点がございますので、防衛庁に対しましてただいま見解を求めている段階でございます。 以上でございます。
○平林委員 続けてお尋ねいたしますが、同じく防衛庁関係で、防衛庁がダグラス社から一括購入契約をいたしましたRF4Eファントム偵察機、これは代理店が日商岩井で、そしてこの委員会でも問題になりましたのは、契約内容に前金が七五%も支払われていること、それから契約後に円が安くなった場合の差損は国側が負担をする、日商岩井にとっては大変有利な契約になっていること、防衛庁の試算によりますと、契約高が二百三十六億九千万円でありますから、相当の前渡し金が行われまして、一つの商社で能力以上に何かが存在をしなければこういう契約はないのではないかという観測や、あるいは契約をめぐる疑惑が予算委員会でも問題になりました。また、日商岩井と政治家とのつながりの疑問点などについても追及されまして、法務省もRF4Eは射程距離内だというような表現で、この問題につきまして私たちに今後の捜査が期待をされておるわけでありますが、しかし、私、いろいろ考えてみると、これは捜査当局に対する期待は期待といたしまして、防衛庁から出ている契約でありますから、当然会計検査院がその検査の手が届き得るものである。これにつきまして見直し検査をやっておるという御報告がございましたが、これは防衛庁の協力だとかあるいは検査見直しの進展状況について詳しい御報告がございませんでした。これについて承りたいと思います。
○藤井会計検査院説明員 お答えいたします。 輸入品の契約価格、これは品代と諸掛かりとからなっております。御案内のとおりだと思います。品代につきましては、見積書なりあるいは送り状によりましてその額を確認いたしております。また、送金証明によりましてメーカーに幾ら支払ったかということも確認いたしております。また、諸掛かりにつきましては、支払い証処書類あるいは証明書によりまして確認する方法をとっているわけでございます。ただ、メーカーの原価を十分把握することが不可能な状況でございます。したがいまして、ダグラス社から日商岩井に支払われたと言われます報酬相当額が品代に織り込まれているかどうかということを見きわめるのは非常に困難な状況にございます。もちろん、私たちといたしましてもRF4Eの調達に関しまして新聞報道、いろいろな情報につきましては深い関心を持って検査しているわけでございますけれども、いまのところ日商岩井の担当部門の責任者に対しましていろいろな書類の提出をお願いしている状況でございます。 以上でございます。
○平林委員 所感は後で一括して申し上げますが、引き続いてお尋ねいたします。 報告によると、日本航空株式会社の航空機購入の点については、お聞きしておりますと、日本航空と米国メーカーダグラス社との直接契約で関係書類等の確認をしたが、現段階では会計検査に特に指摘するような問題はないと報告されました。しかし、この報告は非常に甘過ぎるのではないか。SECの資料によりますと、DC10の購入に当たりまして三井物産は百四十万ドルの手数料、そのうち九十万ドルのコミッションが入っている、しかし日本航空は全くこれを知らない、三井物産に眠り口銭が入っている、こういうメーカーと商社との契約の存在があるといたしましたならば、購入価格に影響され独占販売代理店契約に対する対抗策を講じなければならぬ問題ではないだろうか。この点から見ましても、中間報告で会計検査上特に指摘する問題はないと報告をされただけではどうも受け取れない。問題がないということでほうってしまうつもりなのかどうか。この独占販売代理店契約に対しまして何らかの措置をとらなければ、そこに不明朗な金額が上乗せされる。日本航空がそれで買い取る飛行機は、やがては国民にとっては航空運賃となってくるわけでございますから、こうした点に問題ないという形で報告されて黙っているわけにいかない。これでほうってしまうのかどうか、会計検査院のお考えを承りたいと思います。
○岩井会計検査院説明員 お答え申し上げます。 日本航空のDC10の購入につきましては、先生おっしゃいましたように、ダグラス社との直接契約でございまして、この間に三井物産が介在はいたしておりません。またダグラスと三井物産の間の代理店契約の存在、それから代理店報酬の存在、このようなものにつきましては、契約当時日本航空といたしましては承知いたしておらなかったところでございますし、また三井物産から日航に対しましてこの代理店報酬に見合うだけの販売活動があったかどうか、こういった点につきましても私どもは検査をいたしたわけでございますが、これを裏づけるような事実は把握できませんでした。ただ、日本航空といたしましては、このような事実が出たからには、今後ダグラス社から新たに購入する際には、この代理店報酬というものを一つの価格交渉の手段として利用いたしたい、かように申しておりますので、私どもといたしましても今後日航の購入契約につきましては注視してまいりたいと存じておる次第でございます。
○平林委員 引き続いて聞きます。 日本輸出入銀行が融資をいたしました東亜国内航空、全日空の航空機購入の問題についてであります。会計検査院の検査権能が及ばないこともあって調査が十分でなかったと報告をされました。私はそれを聞いて少し情けない感じがしたのであります。 東亜国内航空のDC9十一機の購入については、輸出入銀行から百七十三億円の融資を受けた後に、恐らく会計検査院は関係書類等によって資金貸し付けの適否を検査したと思われるのであります。しかし、SECの資料によれば、代理店の三井物産に代理店契約によって百四十万ドルのコミッションが入っている、こう指摘している問題であります。また、全日空ボーイング727の導入につきましても、日商岩井が代理店でありまして、契約の疑問は一昨日の集中論議のときにも大きな問題になっております。 私は御報告を聞いておりまして、結局会計検査院の機能が発揮できない最大の原因はどこにあるか。代理店契約書の提出を求めることができない、またその提出について協力を得ることができない、そういう一つの壁があるのでないのか、私はこの問題については、代理店契約書の提出をもっと積極的に求める、そしてなぜ提出ができないのか究明する態度が必要なんじゃないだろうか、そういうことを私たちに報告をしてほしい。関係省庁の対応や会計検査院の検査機能が十分でないのじゃないかと思いますけれども、この点についてはどういうお考えをお持ちですか。
○知野会計検査院長 代理店契約書の提示の問題でございますが、私が一昨日中間報告を申しました際に、住友商事からは代理店契約の開示を受けましたということを申しまして、他の代理店契約につきましてはまだでございますということを申し上げましたが、昨夜日商岩井から検査院に参りまして、日商岩井の代理店契約の開示を受けております。 それからもう一つは、代理店契約書の入手の問題は別といたしまして、ただいま私どもが検討いたしております改正案の中には、融資先に対する必要な調査が行い得るような内容を含んでおります。
○平林委員 一昨日の中間報告をお聞きしておりまして、検査院長は、会計検査院の最大の関心事がどこにあるか、それは航空機の購入価格が妥当かどうか、それから関係省庁が、航空機等の輸入を取り扱う商社が外国メーカーとの間に独占販売代理店契約を締結しており、その契約によって受ける代理店報酬の率だとか額だとか全般的な実態を把握して、それが購入価格にどのように影響しておるか、こういうことを知りたかったとお述べになりました。 いまお話を聞きますと、肝心の代理店契約は住友商事が何か秘密を守るという条件つきでその開示をした以外は、いろいろの事情もあってまだ開示を受けてない。しかし、昨晩は日商岩井が会計検査院に来まして開示をしたと言われますが、まだ——開示って一体何ですか。開いて示すということですね。提出とは違うんです。ちょっとだけよと、見せるだけよと、さっと出してさっとひっくり返す、これが開示でしょう。私は、見るだけよ、ちょっとだけよというような開示の仕方で会計検査院はその機能を発揮できると思わないんですよ。そして、すべての代理店契約に私は不正があると言っているんじゃないんですよ。商社が代理店契約を行うのは私は商行為上当然だと思うのです。そこにもし社会的不公正だとか、国民に疑惑を持たれるようなこともなければ、ちょっと見せるだけよじゃなくて、少なくともこういう契約書でありますと、提出してしかるべきだと思うのですね。開示って一体どんなことですか。あなた方はそれで満足しているんですか。
○知野会計検査院長 代理店契約書の提出ということになりますと、なかなかむずかしい問題があろうかと思います。開示というのは、ちょっと見せるだけということでございますが、一応その内容は十分に見るわけでございまして、見る者は練達の検査マンでございますから、その開示を受ければ内容については十分把握できると考えており・ます。
○平林委員 これほどこっけいな会計検査院の対応、これでは検査院の機能が泣くんじゃないですか。いろいろな事情というようなことがございますけれども、このいろいろな事情を解明して初めて国民が期待する会計検査院というものになり得ると私は思うのですね。特に、御報告を聞いておりまして、会計検査院は商社を呼んでその実情を聴取した結果、独占販売代理店契約が存在し、代理店報酬の授受があったという心証を得たといいますけれども、国民が重大な関心を持っておる問題の解明というのは、会計検査院の熟練した検査員が心証を得たということだけでは、これは不十分なんですよ。いま私どもが会計検査院に求めておることは——この政治にもかかわる重大な疑惑を、会計上の不正ありやなしやという検査をし得る権限を与えられた検査院がその機能を発揮して国民の疑惑を晴らすという役割りは、私は非常に重大なときだと思うのです。 そこで、会計検査院はいま衆参両院の決算委員会の議決を受けて検査院法の改正の実現に努力しており、その概要も先般新聞等に報道されて国民が周知をいたしておるところでございます。 お尋ねしますが、この法改正が実現をすれば、国民の抱いている疑惑解明が一歩でも二歩でも、あるいは五歩でも前進して解明できていくという役割りが会計検査院は果たせるのでしょうか。あの程度のことで果たせるのかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
○知野会計検査院長 現在、問題になっておりますようないろいろな不正取引というものそのものを会計検査院が解明するかどうかは別といたしまして、現在検討いたしております改正案が実現をいたしますれば、現在の検査をさらに充実したものにすることはできるのではないかと考えております。
○平林委員 会計検査院の権限強化に関する国会の決議、これは国会の意思として確認をされておりますけれども、これについて各省大臣はどう考え、国会決議に対して国務大臣としてどう対応するかということを少しお尋ねしたいと思います。 まず防衛庁長官、あなたは私の質問に答えまして、軍用機等の調達についてはできるだけ政府間の直接契約でやりたい、商社の活動についても誓約書をとるとか、価格調査を強化するとか、万遺漏なきを期すると答えましたね。集中審議のときも同僚議員の質問に答えまして、法令に従って厳正に、海外派遣等をして十分な調査をしたい、こう述べました。 しかし、防衛庁がいかに厳正に、また十分調査をすると言いましても、今日まで軍用航空機等の購入をめぐる疑惑はいまだ解明されておりません。あなたのような、人柄は別にいたしまして、好漢山下元利長官の言をどこまで信用していいかということは、これは従来、背負った過去がございますから、あなた自身がこうやりますと言っても、世間の信用がどこまで通ずるか、こういうことにかかってくるわけであります。 そこで山下さん、あなたがそう言っても、この軍用機購入の価格とか、それの会計上において疑惑がないかということにつきましては、私は、会計検査院の機能を強化して権限を広げる措置を講ずるという国会決議を尊重して、そして法制化する、それであなたの言を、信用を補完する、こういうことは当然考えてしかるべきだと思うのですが、あなたの御所見を承ります。
○山下国務大臣 お答え申し上げます。 防衛庁の調達につきましては、不正のないように努力すべきことはもうかねがね御答弁申し上げたとおりでございます。 ただいま御指摘の点につきましては、検査院から御協議があれば御相談に応ずるわけでございますが、率直に申しまして、会計経理の適正を期することが必要であることは申すまでもないところでございます。
○平林委員 正しい御認識であります。 通産大臣、いま検討中の検査院法の改正は、石油公団とかあるいは国際協力事業団を初め各種の事業団に関連が非常に深うございます。中小企業関連の事業団もございますけれども、検査院法の改正要綱を見ますと、その融資委託先の調査等については、これは民間に対するものでありますから、慎重を期する、検査官会議の議決をしなければしない、こういうような細かい配慮までしての要綱になっておるようであります。 物を正しく見る、これは江崎さんの特徴でございますから、この国民的要望にこたえた院法改正に対しまして賛成の態度をとられると思うのでありますが、いかがでございましょうか。
○江崎国務大臣 国の資金の運用の適正を図ること、これはもう当然なことだというふうに私思います。 ただ、当省としましては、関係の政府金融機関に対して厳正な融資の審査とか、資金の使途の確認、こういったことは現在でもやっておるわけです。したがって、いま例外措置もあるではないかということでございましたが、法定化いたしますと、中小企業の金融三機関の場合などは一体どういうことになるであろうか、それによって何となく中小企業者が融資を受ける熱意を失うとか混迷が起こっても困るなあ、そういう点からはやはり慎重に検討する必要があるというふうに考えます。
○平林委員 江崎さん、中小企業団体の名に隠れてこの院法改正が行われる政治的意義を見失ってはなりません。つまり、検査院はすべての中小企業の問題、融資先についてまで手を触れようとしておるのではありません。つまり、国民的疑惑、重大な政治的な腐敗、そうしたものに関連したとき初めてこうしたことが行われると私は考えておりますから、どうかひとつ、中小企業の名をかりて本質を見失わないように、今後の御配慮をお願いしたいと思います。 経済企画庁長官、二月二十八日の予算分科会で、ある委員の約二十億ドルの緊急輸入の問題の質問にあなたが答弁されたのを私は聞いておりました。緊急輸入とは異例中の異例である、緊急輸入二十億ドル、これはいろいろのところからつつかれると大変なことになるという趣旨のお答えをしておりまして、ちょっと目がさえたわけでございます。これを私は聞きたいというわけじゃありません。ただ、これからは日米経済の摩擦を避けるためにも、政府主導型といいますか、ある程度関与した形における緊急輸入の問題は検討され、あるいは実施に移されるという段階に入りつつあります。こうなりますと、この関係省庁とこれを取り扱う商社あるいは企業との間におきましては、会計経理上あるいは公正なりや否やという疑問が発生することは容易に想像されるわけであります。 そこで、あなたの方は多国籍企業の問題など深い関連があるわけでございますので、この際、そういう意味も含めて会計検査院法の改正は必要じゃないだろうか、こう私は思うのでありますけれども、同感でございましょうか。
○小坂国務大臣 特に経済企画庁といたしましては、海外経済協力基金の関係がございますが、これは従来から会計検査院の調査には協力するようにということでまいっております。しかし、昨今いろいろな問題もございますので、いずれにいたしましても、国民の税金を大切にするというのは政治の基本的姿勢ではないかと思いまして、そうした趣旨がさらに明確になる方向の改正であるならば、これは結構なことであると私は考えております。
○平林委員 将来を嘱目されておる閣僚としての答弁、大変敬意を表したいと思います。 大蔵大臣、あなたもうわかっておるでしょうから、答弁してください。
○金子(一)国務大臣 政府金融機関と私企業との関係は、これは私法上の約款によるものですから、いきなりそこへ会計検査院が乗り込むということは、先ほど通産大臣からお話がございましたように、やはり政策金融離れの問題はあることは事実でございます。そういうような立場から各国の検査院の立法状況を見ましても、余り例はないのです。しかし、先ほど来御指摘のようないろいろな問題もありますから、この際、ひとつ真剣に検討してみたいと思います。立法政策上大変大きな影響を及ぼす問題でございまして、総理も先般御答弁いただいておりますように、現在の行政指導でどこまでいけるか、そこら辺の点も十分見きわめて結論を出したいと考えます。
○平林委員 私の期待する大蔵大臣になってもらいたいと思います。 時間もありませんから、総理大臣、私はいろいろ、会計検査院の中間報告を中心にいたしまして、会計検査院法の改正についての各閣僚の御意見などを承ってまいりました。二月五日、当予算委員会で総理は私の質問に答えまして、国の会計経理または国の会計経理に関係する機関の会計処理の公正を期するために、現行の制度が不十分であるという点が明らかになれば、その改正はどうしても検討する必要がある、こう答弁をされております。私はその積極的な態度に実は心中敬意を表したわけであります。ところが、おととい大出委員の質問に答えまして、会計検査院の権限は立法の問題として政府はとやかく言えない、民主的権限の中でその任務を果たすことができるよう期待する、こう答えておるわけであります。これは明らかに後退だと私は思うのです。会計検査院の権限の拡大や会計検査の強化充実について所要の措置を講ずるよう、所要の法改正について万全を期する、これは国会の意思なんですね。国会の決議になっておるわけですね。でありまして、会計検査院の権限は、立法の問題として政府がとやかく言えないというのはおかしいのです。国会の意思があるのですから、各閣僚は多少問題点は挙げながらも積極的に取り組む姿勢を示しておるのに対し、政府はその措置をとらないというふうにこの答弁は聞こえるのですね。民主的権限の中でその任務を果たすことができるよう期待していると、会計検査院に期待しっ放しなんです。あなたは何にもやらないのですということを言っておるように私聞いたのでありまして、これは私に答えたのとはずいぶん後退したな。私に答えたときは、はっきりと「現行の制度が不十分であるという点が明らかになりますれば、その改正はどうしても検討する必要がある」、これは会議録のとおり読んでいるのです。抑揚はあなたと私とはちょっと違いますけれども、そうお答えになっているのです。でありますから、私はきょう会計検査院の中間報告の実態について、質問を通じ総理にもお聞き取りをいただいたわけであります。 私は、会計検査院の機能が国民の期待にこたえるためには、最小限いま検討中の検査院法の改正が必要である、こう思っておるのでございます。この意味では、この国会全般を通じましてダグラス、グラマンの疑惑解明の問題についてしきりに追及し、いろいろな問題が議論されましたが、私はその受け答えというよりは、現実に何かをする、国会の議決に従ってそれにこたえる、こういう姿勢は、一つのリトマス試験紙として会計検査院法の改正というものがあると思います。こういうことの立場から考えまして、どうかひとつ私の質問に答えた二月五日の点に戻って、会計検査院法の改正について一歩決断をすべきである、こう思うのでありますが、総理大臣の御見解を承ります。
○大平内閣総理大臣 御指摘のように、私の二つの発言を通じて、私の態度が後退しておるのじゃないかという御指摘でございますが、そうではございません。 私があなたの御質問に答えましたのは、いわば一般論でございまして、現行制度に不十分な点があることが明らかであれば、その改正を検討する必要がどうしてもあるということでございまして、会計検査院法も決して例外ではないわけでございます。そういう一般論でお答え申し上げたわけでございます。 あと、大出さんの場合でございますが、しからばその具体的な方法、手段はどうかということに関連してまいりましたので、その場合はその会計検査院法の改正を、どういう手段、方法を構えるかというその手段、方法の有効性、経済性、それから影響の及ぶところ、そういうようなところを十分検討しなければならぬことは当然のことと思うのでございまして、特に会計検査院の権限の問題は、立法政策の上からも重要な問題であると心得ておるということを申し上げたまででございまして、私の発言は前後後退であるとは思っておりません。したがいまして、本件につきましては政府部内でもいろいろ検討が進んでおるようでございます。会計検査院自体におかれましても御検討になっておるし、国会にも御決議もあるようでございまして、そういった諸般の問題を十分検討いたしまして、公正な結論が出されるように期待いたしております。
○平林委員 私は、これも大平内閣の一つの姿勢を示す問題として今後も注目をいたしておりますので、せっかく御検討いただきまして、前進を図るようにお願いいたします。どうもありがとうございました。
○竹下委員長 これにて平林君の質疑は終了いたしました。 次に、川俣健二郎君。
○川俣委員 私の最後の締めくくりの質問も、大平さんになって後退したのじゃないのだろうかと思われる医療問題と健保の問題であります。 過去三回、この予算委員会で保留になりました問題を締めくくるわけですが、その前に厚生省にせっかく調べていただいた日本の国民医療費の総額の移り変わりをちょっと申し上げてみますと、五十年度は六兆五千億、五十一年度は七兆六千億、五十二年度は八兆六千億、五十三年度十兆四千億、恐らく五十四年度は十一兆から十二兆円くらいになるだろう、こういう推計を見ておるわけですが、いままでの数字は四年とも全部実数でありまして、もちろん端数がついておりますが、丸い数字で申し上げました。 そこで、日本の医療問題というのは農業問題と同じように非常にむずかしいということは私もわかっています。ただ、私のようにまだ日の浅い者が取り上げるというよりは、一つの常任委員会なりでかなり集中審議しないといけない問題じゃないかと思っておるわけであります。むずかしいからというので避けて通れない問題だと思います。午前中にも医療問題をめぐる国民の信頼がだんだんに欠如していくというようなお話もありましたが、私は、むしろこの基本問題を、年々政府が今度こそは医療の基本問題を審議するという附帯決議をつけて健保の改正というのを、健保料の値上げと患者の負担、今度は薬代は本人も患者も二分の一は持つという、そしてボーナスからは特別保険料ではなくて正式な保険料として取る、こういうような提案だけで終わって、ついにこのような医療費の増大を、これは件数がふえるあるいはまた物価の値上がりと比例しているというのならいいのだが、そうじゃない。五十年度は六兆五千億、四年後の五十四年度は十一兆円というこの実数にやはり時の内閣は勇断をふるって取り組むべきではないかと私は思っておるわけであります。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 ところが厚生省の方を見ますと、これはやはり医療問題ですから、何といってもお医者さんという問題を度外視してはいけない。医療行政ということで厚生省に百人の医師の定員がある、しかしいまは六十何人しかいない、医者の学校出た者は開業医の方に行って、公的医療機関なんかには来たがらない、こういうところをやはり姿勢を正すべきではないか。そして時の厚生大臣というのは、国会で首班指名された総理大臣が指名するものだと思ったら、むしろ外にいる医師会が辞令を出すのではないかと言われるくらいに、いまの厚生大臣がそうだと言うのではないのですよ。ところが国民の方から見れば、これはいけると言っては悪いが、これなら医療問題にメスを入れるであろうと思って期待する厚生大臣が座れば、かつての、いま法務大臣やっておる古井さんなんかは高潔な人で、この問題をやろうと思ったら日本のアイヒマンだ、こういうように言われたり、あるいはまた医師優遇税の問題などを医療の基本問題に絡めて処理しなければいかぬのだという厚生大臣が座ったと思うと、わけもなく首になったりというように国民の方からは見えます、それは事実だと私は断定するのじゃなくて。だけれども、福田さんの場合は十四項目という医療問題に取り組む決議をしたわけです。ところが、その十四項目という決議をした厚生大臣が首になって、一体これはこれからどうなるのだろうかというのが心ある国民の、医療供給側と需要とそれから支払い側、こういう三者の人方が注目しておるわけなんです。これは保留されておるのですから総理大臣に伺うべきでしょうが、その前に、この十四項目に対して、いまの厚生大臣は一体やる気があるのだろうか。渡辺厚生大臣のときに決議して、小沢厚生大臣に私はこの場で、総括で質問したら、五十四年度からほぼやるという見通しをつけています。ところがさっぱりそっちの方は審議提案されないで、保険料の値上げと患者負担の倍増ということで答えが出てくるという問題は、これはどうしたものだろうかと思わざるを得ないので、その辺の一くだりを厚生大臣から聞かしてもらいたいと思います。
○橋本国務大臣 川俣委員十四項目を決議とおっしゃいましたが、大変事実と異なっておりますので、まずその点御訂正を願いたいと思います。十四項目は、渡辺厚生大臣の折に政府が国会に対して提示をいたしましたものでありまして、決議とかいうような性格のものではございません。それで、その十四項目を受けて、その第一着手として、昨年の通常国会に現在継続審議中になっております健康保険法改正案を提出をいたしました次第でありまして、私どもとしてはこれを手始めに、順次その十四項目の推進に努力をしてまいりたいと考えております。
○川俣委員 私は、渡辺厚生大臣が一方的に提示したのではなくて、健康保険法の改正の審議の絡みの中で出てきた附帯決議であって、突如厚生大臣から出したものとは記憶しないのですが、その辺どうでしょうか。
○橋本国務大臣 確かに健康保険法改正案の審議の当時における経過の中から、政府が健康保険法の改正に着手をし、順次実施をしていく手順を示せという御意見のもとに政府が提出したものでございます。
○川俣委員 この問題は、時間が限られておりますので、それじゃ理解を深めていくために別の……。 いま改正案が出ておるいわゆる宙づり法案、言葉が穏当かどうか知らぬが、この宙づり法案は、このたなざらし法案は、五十四年、五十五年の二カ年で累積赤字を解消するという方針で立案しておるというように私は理解をしておる。だからボーナスからも取ります、薬代は本人も家族も半分負担してくれ、こういうように提案しておるわけなんです。したがって、その改正案の附則の中で、将来財政調整をやれる口はつくったが、当面はやらないで、薬代の半額負担とか保険料値上げとかいうことでやるのだ、こういうようにして時の厚生大臣は鋭意やってほしい。それに対して大平総理の方はやってほしい、大平総裁の方は別のものを出せますということを——審議に入る前に別のものを用意するところがおかしいのではないかということ、これは制度論としてはできるかもしらぬが、政治論としては、いま与野党で審議している中で自民党が主導権をとって修正案なり出してやるというなら話がわかるが、まだ宙づりになって審議もしていない、国会で趣旨弁明もしていないというのに別のものを出すというところに、もしこれを強行するということであれば、議院内閣制に禍根を残すのではないかと私はいまだに思っております。しかし、与党は議員立法権はあるでしょう。それは恐らくあると思います。 そこで、私はその点に触れる時間がございませんが、法制局、ちょっとお知恵を拝借したいのです。というのは、この財政調整をやれというのは、厚生大臣から言わせると、山中先生のメモを医師会からもらっておる。これは厚生大臣が言うように、議事録に残っておるように、いまの健保法の改正は健保制度そのものを根底から覆すものであり相入れられないものだ、こう答えておる。そこでそれをもう一遍考えてみると、いまの健康保険組合という一応法人団体がある。いまは自己管理して経営に努力をして、黒字を四千億なり四千五百億出しておる。簡単に言えば、これに対して、赤字である政府の方の管掌である健康保険組合に流せということです。財政調整というよりはむしろ流せ。そして健康保険組合というのは単なる保険料を徴収する機関にする。これは憲法二十九条でしたか、個人の財産権をめぐる論議があるのじゃないかというのが一つ。 それからまとめて法制局に聞きますが、黒字だから課税する、これは驚いたね。利益団体でないのに、おまえのところは黒字だから、その健康保険組合の黒字に税金をかけると言う。 それから三つ目は、健康保険組合がよく世の中にアピールしたのだが、どうも不正請求じゃないか、不当な請求ではないか、これをやったら厚生省の局長が、そんなことをみだりに告発してはいけない、こういう通達を出した。そうすると、健康保険組合というのはそういうことを摘発してはいけないのだろうか、この三つの解釈はどうか、お示し願いたいと思います。
○真田政府委員 御承知のとおり、健康保険法によります保険事業は政府管掌と組合管掌とあるわけでございまして、厚生大臣の認可のもとに組合をつくって保険給付を行う、またその財源として保険料を徴収する、それからまた福利施設も行うというのが健康保険組合の本質であるわけなんですね。それで、いまおっしゃいましたように、健康保険組合は保険料を取るだけ、そして取った保険料は政府に全部納付するというような性格のものに変えることはどうかというお尋ねだろうと思うのですが、そうなれば、実はもう健康保険組合という名前に値しないような団体になるのじゃないかと思います。そういう意味合いで、現在の健康保険法の全く予想せざる制度になってしまうということは言えると思います。 それから財産権についてのお尋ねがございましたが、これは憲法二十九条の関係に相なりまするが、もちろん合理的な理由がなくて財産を召し上げるということは憲法は許すわけはございません。ただ健康保険組合の場合は健康保険法の四十条だったですか、健康保険組合が解散すればその権利義務は一切政府が承継するという規定がございます。そういう規定もございますので、合理的な理由があって、たとえば違法だとかそういうのがあって解散した場合には、国の方に財産が移るということはあり得ます。そういう合理的な理由がなしに国に財産を取り上げるということは許されるわけではないと思います。 それから課税の方は、これは政策問題でございまして、私の方からとやかく申し上げる問題ではないと存じます。お許しを願います。 それから告発につきましては、なるほどいろいろないきさつがあったようでございまするが、その告発というのは刑事訴訟法の二百三十九条にございまして、その健保組合あるいは健保組合連合会が告発をやろうじゃないかという決議のようなことを盛んにやったようですが、実は刑事訴訟法の告発の規定には二種類ございまして、第一項が一般市民、第二項が公務員でございます。公務員の場合には「告発をしなければならない。」という義務規定の形になっておりますが、健康保険組合の役員あるいは健康保険組合連合会の役員は公務員ではございませんので、二百三十九条の第一項の方の「告発をすることができる。」という形でございます。その「告発をすることができる。」という規定に基づいて、では告発をやろうじゃないかということを申し合わせすることは一向構わないわけなんです。それに対しまして、その健康保険組合の監督官庁である厚生省あるいは厚生省の局長さんが、告発はもちろんできるのだが、それは慎重にやりなさいよということを指導すること、これも一向構わないことでございまして、決して違法呼ばわりするような性質のものではございません。
○川俣委員 きわめて控え目な長官ですが、この控え目な長官ですら財産権の問題は、総理がお聞きのように、これはちょっと首をかしげたくなる。これは皆さん聞いているとおり。 そうしたら今度は、公共企業体なり国家公務員全部やってしまおうか、毒食らわば皿までというか、やってしまうのかどうか知らぬが、これは黒から赤にやるから財産権の侵害。全部調整するということになると、どういうことになるか。これはやるとも言っていない、提案だろうが、どうですかな、公共企業体職員等共済組合法、三公社。皆さんに伺う時間もないので、国鉄関係に監督権を持っておる森山運輸大臣、この方は社労ではかなり造詣が深い。どう思われますか。
○森山国務大臣 自民党の医療基本問題調査会の正副会長会議で、当面、齋藤自民党幹事長と武見日本医師会長との間の合意事項のうち、政管保険と組合健保の間の財政調整の問題を取り上げていくものと聞いておりますが、同会議で、御指摘のような公共企業体の関係、公務員の関係の組合まで含めてというふうな方針が決まったとは聞いておりません。
○川俣委員 大臣、せっかくだから……。 別にぼくは新聞を見て言っているだけじゃなくて、もしそういう方向が出るとすれば、監督者の大臣はどう思われます。
○森山国務大臣 いまの段階ではそこまでしか聞いておりませんが、それ以上に財政調整の問題が進んでいったといたしますれば、その段階で改めて考えたい、こう思います。
○川俣委員 名答弁でございましょうが……。 そこで、信頼を得るというところを、時間がないから一つだけ厚生省の保険局長さんにずばり聞きます。というのは、保険局長で出しておる通達ですから。 これはまた奇妙なんです。二十二日に武見さんから山中先生がメモをもらって、二十五日に齋藤幹事長が行って合意して、二十六日にぱっと通達を出したというところは、ちょっと気になるのは、「医療費抑制を目的として告発を行ってはならないことはもちろんである。」しかし、法制局長官の話を聞いたって、一項の方の、何人でも告発することはできるというふうに私は思っているのだが、こんなみだりに告発なんかしてはいけないというこの通達は、どんなものだろうか、いいのかね。
○橋本国務大臣 川俣さん意識をされたのかどうかわかりませんが、月日のうちの月の部分を落としておられまして、十二月の話と一月の話がごっちゃになっております。 ただ、健保連の医療費通知運動に対しての通知は、医師と患者の信頼関係の確保と患者のプライバシーの保護のために十分配慮されたいということでありまして、運動自体を決して禁止をいたしておりません。
○川俣委員 何とか局長さんに答えさせていただけませんか。委員長、頼みます。というのは、これは書いた人なんですからね。 というのは、逆に告発されますよ。医者を告発したら、逆に告訴されますよ。それはなぜかというと、公務員なり官吏なり公吏ならできる、こういうのだ。一般の人だから、組合健保というのは民間人だから、告発できないのだ。こういうことをおっしゃるので、その辺どうか。
○石野政府委員 先ほど大臣が申し上げましたように、この通知につきましては、あくまでも医師と患者の信頼関係を保持させるために出した通知でございまして、告発そのものを抑止、禁止しているというものではございません。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 やる場合には、確実な裏づけもなくみだりに告発することはやめてください、こういうことを明示したわけでございまして、もしそういうことをやりますと、当然医師の個人の名誉の棄損なりあるいは信用を傷つけることになりますので、十分注意してほしいということの趣旨でございます。
○川俣委員 そういう趣旨でないのだ。「医療費抑制を目的として告発を行ってはならないことはもちろんである。」というのだ。それで、もちろんであるということはどういう意味なんだ。なるべく信頼関係を傷つけたくないから、なるべくやらないようにしなさいよという親心ならわかる。もちろんであるというのはどういうことなんだと言ったら、いや、告発する権限がないのだという、監査権がないのだという、こういうことなんだ。
○石野政府委員 医療費を抑制する目的で告発してはいけないということを言っているわけでございまして、目的のいかんを問わずに、健保組合が確実な裏づけもなくみだりに告発を行った場合につきましては、逆に医療機関の方から名誉棄損を理由といたしまして健保組合が告訴される場合もあり得るわけでございますので、そういうことをもちろん含んでおるわけでございます。
○川俣委員 これはどうせこれから健保法の改正があるだろうし、参議院でも論議をされる問題でしょうが、それはなぜかというと、政府管掌健康保険の方の審査はもっと厳重にやらなければだめだよということを、今度は気をつけなければならぬ、一月二十五日だから、前の日やっているわけです。それは非常に厳しくうたっているわけです。もう、こういうことをしなければだめだよ、告発を徹底的にやれよ、だけれど、これはやれない。やってない。実績がない。だとすれば、むしろ、この二百三十九条は、やらなければだめだと書いてある。役人である以上は告発しなければならないと書いてある。むしろその方が問題になるのじゃないかなと思うのですがね。法務大臣いないようだから……。 そこで、県庁に出したのは、非常に厳しくやれよと書いてある。だけれど実際はやれっこない。やっていない。ところが、健康保険組合の方は、黒字を出さなければならないという意欲もあるせいか、非常にやる。 そこで、健康保険組合というのは高齢者を比較的抱えているから、十四項目、厚生大臣は非常に弁のうまい人ですから、十四項目を着々と一つずつやっていると言うけれども、皆さん御存じですか。十四項目やっていると言うけれども、私らは全然これは国会では論議されてないと思うのです。 そこで、時間がないので、総理大臣、どうです、これは。このずっと一貫した私の二度ならず三度の……。私はもう、しんから、やはり健康保険法の改正というのは、単なる値上げではなくて、医療問題の基本問題を触れなければ、いつでも与野党の激突の歴史を残しておる健保改正、これをやっちゃいけないと思うので、ひとつこの辺で総理大臣の政治姿勢を含めて見解を伺いたい。時間が超過して大変申しわけないのですが……。
○大平内閣総理大臣 仰せのように、医療問題は、大変大きな問題であるし、複雑な問題でございまして、これの処理につきましては慎重の上にも慎重を期さなければならぬこと、仰せのとおりでございます。 いま御指摘になっておりましたが、自由民主党内におきましていろいろな動きがあり、政府はそれをどう受けとめておるかということが問題の中心だと存じますが、二月の末の自由民主党の医療基本問題調査会におきましては、公務員、公企体職員等まで含めた被保険者保険全体で財政調整を実施する、そのための法案を今度の国会に議員提案するという方針を決定したということは聞いておりません。 自由民主党の当該基本問題調査会正副会長会議におきましては、当面、齋藤自由民主党幹事長と武見日本医師会長との合意事項のうち、政府管掌健康保険と組合管掌健康保険との間の財政調整の問題を取り上げていくものと承知しておりますが、この問題につきましては、今後同調査会正副会長会議において審議が進められておるものと承知しております。
○川俣委員 最後に強く要求しておきますが、「日医ニュース」を取り上げるわけでないんだが、大平内閣になったら医療問題が明るくなったというニュースが出ているわけです。明るくなったというのはどういう、むしろ暗くなった、赤字がふえてきたというのならこれはわかるのですが、大平総理、十四項目を、決議じゃない、自主的に提案した、こうおっしゃるその水かけ論はやりませんから、あれをやはり、できるできないは別です、別ですが、取り組むという姿勢がなければ、私は、福田内閣より後退したなというふうに言わざるを得ないので、ぜひこの点を前向きにやっていただくことを要求して、この話は終わります。ありがとうございました。
○竹下委員長 これにて川俣君の質疑は終了いたしました。 次に、安宅常彦君。
○安宅委員 総理にお伺いいたしますが、私は二月八日に金大中氏事件であなたに質問をし、そのときにあなたは、金大中事件は主権侵害の疑いが広く深くある、こういうふうに答弁をしています。ただ、証拠を握ってないんだ、こういう意味だったと思います。その後、私はあなたと法務大臣に毎日新聞社編の「金大中事件全貌」という冊子を贈呈をいたしました。このことに絡んで、きょうさらに、持ってこないなんて言われると大変ですから、私は、当時の現職の法務大臣が新聞記者に証言していることを読みます。したがって、あなたはこれでもKCIAがやったということについてそうではないと言い張るのか、そこを聞きたいのです。 百五十七ページ上段の後ろの方、「私には絶対自信があったということは、自信を持つに至る原因があるからですよ。そりゃあ、一国の公権力がタッチしなくてできる仕事ですか。東京のホテルの地下室から待たせておいた車に乗せて関西まで連れて行ってねえ。港についた船に乗せるちゅうことはね、簡単にできんじゃないか。小舟にのせて沖合の大船まで運ぶ、韓国の本土に近づいたら、迎えの小舟をよこして、これに乗せて陸にあげて、車で自宅まで送り届けた。この自動車は、途中で三度か四度、誰何されているにもかかわらず、自宅まで連れて行った。こんなことは国家の機関がバックになかったら絶対にできない。これは捜査の掌を知るものなら誰でもわかる。これはもう韓国のKCIAだ。これにはね、大変な大国が」ここからが重大なんです。「これにはね、大変な大国がこの情報のキャッチには関係がある。そこここの国じゃない、世界一の大国ね。その国の情報が八日の夕方には入っておったから」八月八日といったらその日です。「私のいうことには自信があるわね。大国はいいことをやっているんですよ。ら致を助けておったんじゃなくて「殺しちゃいかぬ」という指示を出しておる。米国のCIAからKCIAに対する指令ですわ。僕は、これで金大中氏の命は助かったと思った。」現職の法務大臣、あなたはそのとき外務大臣。こういう指令を現職の法務大臣が夕方情報として受け取っていると言っている。外務大臣であったあなたは受け取っていなかったのかどうか。
○大平内閣総理大臣 そういうことは全然聞いておりません。
○安宅委員 外務省、そういうことについてあなた方は知らなかったのか。法務大臣が知っているんですから、法務大臣の下僚である事務当局は法務大臣にそのことを言ったに違いがない。そうでなければわからないはずです。どうですか。両方の事務当局から答弁してください。
○伊藤(榮)政府委員 当時の法務省事務当局は全く存じませんでした。
○安宅委員 あなたは、そのときそういう関係の人だったですか。
○伊藤(榮)政府委員 私個人のことについてお尋ねでございますが、私は、当時東京地方検察庁次席検事をしておりまして、警視庁とともに捜査に当たった者でございます。
○安宅委員 そうすると、田中伊三次氏の勇気ある発言は、これはでたらめだということになるのでしょうか。総理大臣いかがですか。
○大平内閣総理大臣 私は、そういうことは聞いていないということだけ申し上げたわけでございまして、田中さんのことまでは申し上げたわけじゃございません。
○安宅委員 それでは、田中さんのその発言は不思議だと思いますか。
○大平内閣総理大臣 そういうお話しのような、つまりアメリカからそういう、アメリカCIAとの関係というようなことについては聞いていないということで御了承を願います。
○安宅委員 それならば、あなたは当時の外務大臣、言うなれば金大中氏の運命を変えてしまったその人だと言っても間違いがない、こういう立場の人です。したがって、犯罪捜査の上の問題だけではなくて、人権ということを非常にあなたはこの前も繰り返して私に言いましたが、そういう立場から、事重大だ、したがって田中伊三次氏に直接聞いてこの問題は明確にすべきだというふうに考えませんか。
○大平内閣総理大臣 そういう、つまりあの事件に韓国の公権力が関与しておったかどうかという問題につきましては、それぞれ捜査当局で調査が進められておるわけでございます。私承知している限りにおきましては、その調査の結果まだ確たる証拠を掌握するに至っていないということでございまして、私は日本の捜査当局を信頼いたしております。
○安宅委員 捜査当局の話を聞いているのではありません。田中伊三次さんという当時の現職の法務大臣がはっきり言っているのですから、この間一般質問のときもこの文章を古井さんに読んでよく意向をただしましたら、事件の解決とは別なことだろうと思うけれども、ずいぶんはっきり言っているということは感じます、こう言っています。古井さんは、金大中氏事件の処理の仕方には納得がいかない点があるということを堂々と言っている人なんです。そういうことから言っても、あなたはいま総理大臣です。これは大変なことじゃないでしょうか。捜査当局とか何とかじゃなくて、田中さんに聞くのが本当じゃないでしょうか。聞けないのですか。
○大平内閣総理大臣 私は、申し上げておるのは、先般の委員会でもあなたに申し上げたように、本件につきまして広く深く疑惑が存在するということはわかりますけれども、しかし、それを証拠立てるところの証拠を掌握していないということなのでございます。つまり、こういう問題について全然疑惑がなくてすっぱりと割り切っておるというものではございませんで、疑惑がございますことは私もわかる。しかしそれを処理する上におきましては確たる証拠を握らなければならぬわけでございますが、残念ながらそれはまだ握るに至っていないということを申し上げているわけでございます。
○安宅委員 田中さんにただすのが本当じゃないのですかと、ただそれだけ聞いているのです、私は。もし何だったら、さらに言いますが、百五十八ページの下段の中ごろから、文脈から言って、いわゆる第六感発言を行った後のことでしょうが、「外務大臣の発言も、僕の発言を削るようなことをいっておるでしょう。わが国には亡命制度はない、と。これは聞かんでもわかってる。亡命制度はないけれども、本人が永久にいたいといえば、置く権限は法務大臣にある。亡命制度があるのと同じことですね。日本に亡命しなくったって、治安のしっかりした国に送ればよい。ところが、法務大臣のいうように簡単にいかん、とばっかりいっている。主権の回復問題が起こらんように、起こらんように、と希望を持っておったんじゃないかと思えるフシがあるわ。」こういうことを言っているのですね。「本来はですね、わが国の主権を侵犯したんであって、侵犯したということは、ゴムマリを抑えたようなものだから、ゴムマリを戻さないかん。手を放せば、ゴムマリは元へ戻る。その主権の回復をやらないかん。主権の回復をやるということは具体的にはどういうことかというと、本人の身体を日本国へ連れて帰る、これだけですよ。それ以外に主権の回復はない。」こう言っているんですね。これは痛烈なあなたに対する批判じゃないですか。当然聞くのが正しいと思いますが、聞けないんだったら聞けない、聞く必要もないと思うと、聞くんだったら聞いてみましょうと、たった一言、時間がないからそれだけ。
○大平内閣総理大臣 田中さんも疑惑を持っておられる、そういうように感じますが、私が申し上げているのは、そういうことを証拠立てる証拠がございますれば、それは御提示願ったらいいわけなんでございまして、それはまだ捜査当局にも掌握されるに至っていないということを申し上げておるのです。
○安宅委員 こういう単行本に堂々と発言をしている現職の法務大臣と外務大臣との間柄でしょう。事重大じゃないですか。あなたもクリスチャンだそうですけれども、伊勢参りに行くようなクリスチャンだから、少しこのごろ私疑っているんだけれども、本当に金大中氏の今日の境遇というものを考えて、もっと真剣に物事を考えていただきたいと思うのですよ。 じゃ、そのことで聞く意思がないということも聞こうと思うとも、どうしても言えませんか。
○大平内閣総理大臣 田中さんも疑惑は持たれておるようだ、そういうことが起こるには原因があるはずだという感想を漏らされておるとは承知いたしておりますけれども、これが証拠だということを御提示されておるようには思いません。
○安宅委員 証拠であるとかなんとかということを聞いていませんよ。じゃ、証拠の問題で言いますか。 あなたは二月八日に重大な発言をしています。私は、指紋というものがあるじゃないか、それでもこれは証拠にならないのか、科学的な捜査の上で決定的な証拠じゃないかと言ったら、そうしたらあなた、どういうふうに答えているか。「私、承っておるところによりますと、日本におきましては、指紋などは大変有力な証拠だというように評価されておるということでございますが、韓国においてはそういうことになってないということは聞いております。」これはだれから聞いたんですか。
○大平内閣総理大臣 あの当時、金東雲元書記官の指紋の問題を含めて種々論議された経緯があります。そのような論議の中で、私が前に回答したような趣旨のことを聞いたような記憶がございますので、そのように答えたわけでございまして、だれからどこで聞いたかというようなことは一々覚えておりません。
○安宅委員 定かでないようなことを明快にあなたは答弁しているんですね。 国家公安委員長に聞きますけれども、韓国は国際刑事警察機構に加盟しておると思いますが、そのとおりですか。
○鈴木政府委員 ICPO、いわゆる国際刑事機構に加盟いたしております。
○安宅委員 私は警察庁の人々に何人か聞きました。国家公安委員長、いいですか。これは国際的な常識です。指紋を証拠として認めないなんという国は一つもありませんと、みんな言っています。そのとおりでしょうね。
○澁谷国務大臣 わが国におきましては、指紋というものはもう一人一人万人が皆違う、しかもそれは永久に変わらないということで、証拠としては最も確実なものとされておるわけであります。
○安宅委員 わが国の話を聞いていないよ、あなた。わが国の話を聞いていない。わが国でないことをだれかぼくに答弁してください、知らないらしいから。
○鈴木政府委員 指紋の、何といいましょうか証拠価値といいましょうか、それは大臣のいま言ったとおりでございますが、ただ指紋の、それぞれの事犯に応じて、とられ方、付着していた場所、そういった全体的なあれでそれが証拠価値と結びつく、これは世界的にどこも同じだろうと思います。
○安宅委員 もちろんそういうことですよ。刑事訴訟法の証拠というところを受けていろんな手続がございますね。そういう手続を完了してとった指紋なんでしょう、金東雲さんの分は。ただでたらめに、ここにあったなんて持っていったんじゃないでしょう。照合したんでしょう。写真も撮ってきちっと手続を踏んでやったんでしょう。そうなんでしょう。
○鈴木政府委員 もとより現場に遺留されておりました数多くの指紋の中から金東雲のものと一致した、こういうことでございます。
○安宅委員 さらに総理に申し上げますが、五十一年二月二日、政府から私のところに来た資料、これは法務省ですが、例のこの間申し上げました崔書勉という男が、金を、日本円とスイスの小切手ですが、これを持って金浦空港でとっつかまった。それで指紋照合の結果、崔重夏という犯人と同一人物であるということが発覚。つまり韓国だって指紋照合をやって、日本の方と、これは司法の共助協定があるとか犯罪人引き渡し協定があるとかないとかにかかわらず、そういう連絡は皆さんの方でしょっちゅうしていますね。だって、日本に前からおりましたという朝鮮人がいると、いや、あなたの方は韓国で何月何日まで学校の先生をしておったじゃないかなんて言ってパクられた人が相当いるのですから、向こうから情報をとっているのですから、そういう意味で言うならば、この指紋照合の結果ということを韓国でやったことを法務省は明確に認めているのですよ。ですから総理、この資料は間違いないですよ。これはあなたの方で出した覚えがないなんて言わせないように、私は後で見せますよ。そういうことがはっきりしておるのです。それは間違った見解ですよ。よござんすか、間違った見解。それでも同じ答弁をなさるつもりでしょうか。
○大平内閣総理大臣 しかし金東雲元書記官が起訴されたということは聞いておりません。
○安宅委員 そんな官僚答弁みたいなことをあなたに聞こうと思わないのです。一国の宰相でしょう、あなたは。指紋というものは有力な証拠だということを私は言っただけにすぎないのですよ。そんな答弁の仕方ありますか、あなた。 それでさらに聞きますけれども、これは警察庁ですが、警察庁の長官やあるいは警備局長や、そういう人々が、これまで日本におけるKCIAというものはよくつかんでおらない、わからない、こういう答弁でずっと終始しています。この間議事録を何枚と、こんなにたくさん、夜ずっと一週間ぐらいかかって見たと私言いました。そのときに、重要なことは、この本の百六十七ページの上段から、警察庁長官を勤めた後藤田正晴氏、当時は内閣官房副長官、この人が言っています。金東雲という名前からしておかしい。「あれ、本名ですか。カバーネームだろう。情報機関というものは、日本では本名しか使っていませんよね、警察でもそうだし、公安調査庁でもないはずだな。だから日本人の感覚にはないけどね、外国の場合はイリーガルは当然のこと大使館の職員のようなリーガルもね、情報機関出身者は全部、カバーネームだ。そりゃあ、他の国も全部そうです。ソ連はもちろんそうだが、どこの国だってそうよ。だからたとえば、GRUとかKGBの職員は資料があるはずだよ、警察に。僕は、こういうことですよってね、報告聞いたことあるわ、長官時代。写真が載っていて経歴が書いてある。それが一行く国によって名前が変わっている。金東雲なんて本名であるはずないじゃないか。そんな孫呉空みたいな名前があるか。」後藤田さんがそう言っているのです。これは私が言っているのじゃないですから。少し飛ばしますけれども、「前に、新聞記者で来とったっていうんでしょう。どうもその新聞記者っていうのもインチキさ。しかし、それは文句をいう方が非常識なんで、あるのが世界の常識なんだよ。共産圏だけでなく、アメリカならCIA。FBIも来てますよ。それから、イギリスはMI5とMI6。攻撃と防御。5が攻撃だったか、6が攻撃だったか忘れちゃったけど。これは来てますよ。フランスからはヘレックが来ている。ヘレックというのはフランスの諜報機関。ドイツはゲーレン機関が来ている。韓国はいまのKCIA。それから、台湾は何だったかな、国家保安部じゃないな、国家安全保障なんとかといったな、来てますよ」みんな知っているというのです。あなたの方では全然つかんでいない、知らない、こういうことは、金大中氏事件に関して国会の累次の議事録全部見ても、そういうふうに言っているのだが、全部うその答弁をしておったということになるのじゃないでしょうか。いかがですか。 それから、ついでに聞きますが、高橋元警察庁長官が五十一年の八月に高野山で講演をした、いろいろな言いわけはありますが、講演をしたことは事実ですね。これと二つ、答弁してください。
○鈴木政府委員 お答えいたします。 各国の情報機関その他のことにつきまして、一般的にはいろいろの著書その他にも出ておりますし、そういうことはわれわれも読んだりしておるわけでございますけれども、具体的にどうこうというのは関知、全然わからない、こういうことであろうと思いますし、また後藤田先生その他言われた方も、具体的な金大中事件、これはもう警察としましては、客観的、具体的な事実でやはり論ずる、こういう一貫した姿勢でございまして、そういう推測的なことについては一切関与しないという基本的な線でいっておるわけでございます。 また、後段の元高橋長官の発言につきましては、おっしゃるとおり、やめられてから高野山で講演されたことがあるということでございます。
○安宅委員 もう最後になりますけれどもね、それには関知しないという基本方針で来たなんて、あなたの方では基本方針だって、こっちの基本方針違うのだよ。後藤田さんはあなた方の先輩で、警察庁長官をやって、それからストレートに内閣官房副長官に行った人ですよ。経歴も載っておる、写真も張っておった、おれは見たのだと言っているじゃないですか。あるかないかの話なんです、そういうことは。それを、つかんでないというのはおかしいじゃないかと聞いておるだけなんです。そんな答弁で国会を何とかそのときだけごまかそうというのは無理なんじゃないですかね、どうなんですか。 私はもう時間だそうですから結論に入りますが、大平さん、この間、十二月二十七日だったと思いますけれども、金大中さんはコーエン教授の招待があっていろいろ話し合われた、そのときの忠告ですけれども、大平さんにぜひひとつ名指しで、あの当時のことを言うならば私は証拠を握っている、出どころはわからないと言っておったけれども、そういう発言までしておりながら、コーエンさん、アメリカに行くのは別だ、筋は違うのだ、本当は。日本に行かなければならないのです、原状回復のために。こう言っているのですよ。きのうも六時間ほど連行されて、その前には自由を拘束されて、あれから何年たちますか。ほとんど家にいたって監視つきで、病院に行ったら病院で監視つき、監獄より病院の方が悪いというような、そういう境遇にいる金大中さん、政治的な解決、メモランダムも何もない政治的な解決、そういうことをやってじくじたるものが一つもないのでしょうかね。私はそれを聞きたい、人間として。 したがって、委員長にお願いいたします、その答弁の後。時間がないからまとめて言いますけれども、この間理事会で相談してくださいと私は申し上げた。参考人でもいいですよ。逃げも隠れもしない人ですから、このお二人は。高橋元警察庁長官と田中元法務大臣。田中元法務大臣は喜び勇んで出ると私は思いますよ。ですから参考人で結構ですから、閉会中の審査でも構いません。本委員会でぜひこのことについてお呼び願えるように、あなたの御努力で取り計らっていただきたい。このことだけは申し上げて、私の質問を終わらしていただきます。答弁を願います。
○大平内閣総理大臣 金大中氏の人権につきまして深い関心と憂慮を表明されておる安宅さんのお気持ちはよく理解できます。 ただ、この問題につきまして韓国政府にわが政府が申し入れをいたすに当たりましては、それだけの根拠がなければならぬわけでございますが、残念ながらこの根拠をまだつかみ切るに至っていないという段階におきまして、いつまでも両国の間柄が停とんしておることでは困るというので、一応の政治的決着をもたらしたことは事実でございます。しかし、これとても将来新たな事実が出てまいりまして、問題を提起することがあるべしという留保づきでやっておるわけでございますが、今日までまだその根拠をわれわれはつかむことに至っていないことは大変残念でございますけれども、事実がそうでございます。したがって、私はこれを回避するわけでも何でもないのでございまして、そういう状況になっておるということを正直にあなたに申し上げておるわけでございまして、これは政治的な問題でございます。 人道的な問題といたしましていろいろ御心配いただいておる点につきましては、私も共通の憂慮を持つ者でございます。
○安宅委員 それで大平さん、私らもそれは証拠を挙げるためにというか、わかるように必死の努力をするのが日本国民としての当然、これは正式の旅券を持ってきた人を保護しなければならないのに、白昼堂々連れていかれて、文書もメモランダムもなしに、何だかわけのわからない解決をするなどということは、いま現在の法務大臣でさえ納得がいかないと言っているのですから、国民は納得いかぬですよ。ですからあなたの方も証拠が出ればじゃなくて、証拠が出るように必死になってやるのがあなたの立場じゃないでしょうか。そのことだけ申し上げておきます。それが日本人なんじゃないでしょうか。これだけ申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○竹下委員長 これにて安宅君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして締めくくり総括質疑は終了し、昭和五十四年度総予算に対する質疑はすべて終了いたしました。 —————————————
○竹下委員長 ただいままでに、日本社会党の大出俊君外十一名から、また、公明党・国民会議及び民社党共同で近江巳記夫君外八名から、さらに日本共産党・革新共同の寺前巖君外一名から、それぞれ昭和五十四年度予算三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。 これより、各動議について順次その趣旨弁明を求めます。川崎寛治君。
○川崎委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました予算三案につき政府がこれを撤回し、編成替えすることを求める動議についての理由及び概要を御説明いたします。 まず、動議の主文を朗読いたします。 昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算については、政府はこれを撤回し、左記要綱により速やかに組替えをなし、再提出することを要求する。 右の動議を提出する。 動議の内容につきましては、お手元に配付いたしておりますので、以下、動議提出の理由と概要を要約して申し述べます。 まず、編成替えを求める理由であります。 わが国経済は、低成長経済体質に移行したと言われておりますが、雇用問題、とりわけ中高年齢者の雇用は深刻であります。また、景気回復も、大企業は徹底した減量経営、すなわち人減らし合理化と賃金抑制により、この三月期決算では史上最高の増益が予想されていますが、国民の生活不安、将来に対する不安は解消されていません。 「信頼と合意の政治」、ゆとりある生活の実現を掲げる大平内閣ですが、元号法制化や航空機汚職解明の後退など、政治的には反動化を強める一方、経済的には国民に対して高負担を求めているのであります。 予算は、時の政府の政治方針を金額であらわしたものであり、経済運営のかなめでありますが、五十四年度予算案は、経済改革のための構造的、制度的改革を放置しており、緊急な課題である雇用の安定と生活防衛を図るには多くの欠陥を持つものと言わざるを得ません。 すなわち、公共事業中心の景気対策を講ずる一方では、財政再建を理由に受益者負担を強め、社会福祉政策を圧縮するという国民不在の予算編成を行っており、しかも、公共事業費の増大が地方財政に及ぼす影響を無視しております。 予算編成の最重点目標が雇用の確保と雇用の拡大になければならないことは明らかでありますが、特に地方自治体における雇用創出事業にはこたえず、企業の人減らしに対する歯どめ措置も見られません。 国債依存率は三九・六%と、昨年以上に財政状態が悪化しているにもかかわらず、税制改正を見ますと、企業課税強化も微温的であり、いわゆる医師優遇税制の是正も不完全で、逆に、土地税制では不公平の拡大になる改悪を行わんとしております。その上、国民大衆に対してはわずかな住民税減税にとどめ、物価調整減税さえ行わず、不公平な政策をとりながら、財政再建の名のもとに一般消費税を導入しようとしている姿勢は絶対に許されません。 インフレは、社会的不公正を拡大する最悪の病根であります。物価抑制のためには、政策的には先手先手の対応が必要でありますが、政府には重点的対策がなく、卸売物価の急上昇が見られる今日、物価対策に見るべきものがありません。 また、産業転換、中小企業、農業対策もきわめて不十分であります。国内経済構造を内需拡大型に改めない限り、国際収支問題の解決はできません。しかも小手先のドル減らし、対米収支改善措置が、一連の官民にわたる航空機をめぐる構造汚職を引き起こしたことへの反省もなく、E2Cの新規購入など防衛費を増額することは認められないのであります。 以上に見たような展望なき国民犠牲、生活不安の予算は容認することはできません。 これが政府予算案を撤回し、組み替えを求める理由であります。 次に、組み替えに当たっての基本方針及び重点組み替え要綱について申し上げます。 日本経済の抱える雇用と失業、需要と供給、財政収支及び国際収支の不均衡という構造問題を解決するには中期的な対応を必要としています。五十四年度予算案は、中期的展望に立ち、雇用の確保と安定、国民生活防衛を最重点課題に、歳出構造の転換と地方自治体機能の強化による福祉型成長への転換を目標に置いた編成を行うべきであり、その基本方針は、雇用の確保と安定を図ること、社会的生活手段の飛躍的充実を行うこと、社会保障を拡充すること、不公平税制を是正し、物価調整減税を実施すること、補助金の抜本的改廃、軍事費の削減など、歳出の洗い直しと地方財政を充実強化することであります。 この方針のもとに、以下の事項について組み替えが必要であります。 まず、歳入関係では、不公平税制の是正による財源の確保を図るとともに、物価調整減税を実施し、低所得者層の税負担を軽減することであります。高額所得者、資産所得者に対する課税を強化することは、財源対策としても、税制による富と所得の再分配を行うためにも欠かせません。また、株式の七割を法人が所有する実情を見るとき、法人税制を抜本的に改革し、大企業の税負担を高めるべき税率の採用など、新たな発想を取り入れる必要があります。また富裕税、土地増価税などの新税を導入すべき段階であります。さらに、物価調整減税の見送りは低所得層に深刻な負担を求める実質増税となることから、住民税の課税最低限を引き上げ、将来的には住民税、所得税の一本化を展望する減税策を採用する必要があります。 国債発行は増加の一途をたどり、ついに十五兆二千七百億円の巨額の借金に依存せざるを得なくなっています。国債に抱かれた財政から抜け出すには、抜本的税制改革によって財源を確保し、国債の発行額を縮減すべきであります。 歳出関係におきましては、まず第一に、雇用の創出と雇用機会の拡大に重点を置くことであります。そのためには、雇用対策委員会の設置、地方自治体の雇用創出計画の実施、特定地域開発就労事業の拡大を図るとともに、中高年齢者雇用促進法、雇用対策法の改正並びに定年制及び雇用差別禁止法の制定など、雇用対策に万全を期すべきであります。さらに、教員、重度・重症者の看護要員、保健婦、社会福祉施設職員、図書館職員等々の計画的増員を行うことが、社会的生活施設の整備、公共サービスの向上と安定的雇用の拡大の一石二鳥の政策となります。 第二に、中高年齢者中心の雇用対策と並んでわが国の高齢化社会の進展を考えますと、年金、医療制度の改革は緊急の課題になってきています。老齢福祉年金の二万五千円への引き上げによる年金水準全般の向上を図り、中期的には労働者の平均賃金の四五%を確保し、無医地区医療体制を確立し、老人保険、医療制度を創設すべきであります。 第三には、社会的生活手段の倍増対策を講ずることであります。わが国では住宅の貧困、図書館、児童館など社会教育施設の不足等々、社会的施設、社会的生活手段の立ちおくれが著しく、このため生活水準を個人の責任で引き上げることは限界に達しております。住宅を初め公的施設の充実整備のためには土地問題を解決しなくてはなりませんが、それには公的機能を強化していくことであります。 第四には、地方財政の確立と地方自治を重視することであります。地方財政を自主課税権の拡大と税源配分で強化し、現在の地方財政危機には交付税率の引き上げなど、思い切った国と地方との税財源の再配分を実施することが必要です。生活基盤投資の拡大、社会的サービスの充実は地方行財政の地位を高めることが不可欠の柱となります。中央集権、中央統制の行財政から地方自治を尊重した地方分権化を図るべきであります。 第五には、産業政策の重要性についてであります。構造不況業種対策はもとより、とりわけ今後の産業政策は知識集約化を含めた新たな産業を育成し、地域産業の振興を図り、産業構造をエネルギー浪費型、輸出依存の構造から転換して、省エネルギー型、内需中心の産業構造を確立することが緊急に求められています。中小企業政策、農林漁業の再建対策もかかる観点から重視すべきであります。資源エネルギー対策においても石油依存から脱皮するための新規エネルギー源の開発を考えなければなりません。 第六には、公害防止、環境保全対策を強化することであります。不況のもとで、ともすれば後退の傾向をたどっている現状から、健康と生命維持の原点に立ち返っての厳しい法規制が必要であります。経済至上主義から人間尊重の経済運営に転換し、利潤本位の資本の行動を規制することを求めるものであります。 第七には、不要不急経費を削減し、行財政の改革を進めることであります。不要不急経費の削減を考えるとき、二兆円を超えた防衛関係費の計上が第一の問題であります。わが国の安全保障は武力によって確保できないことは明らかであり、自衛隊縮小こそ政策の基本とならなければなりません。そのためには、最小限兵器装備費、防衛力増強費の支出を行わず、定員増、欠員補充をやめることであります。 また、一般行政費の節減、補助金の整理、改廃を図り、予算の効率的使用を図るとともに、財政運営の民主化を進める必要がありますし、その一環として会計検査院の機能を強化しなければなりません。 以上、動議の内容について要約して御説明申し上げましたが、これらは多くの国民が要望するものであるとともに、わが国経済財政の中期的な転換を含むものであります。委員各位の御賛同をお願いして、提案の趣旨説明を終わります。(拍手)
○竹下委員長 次に、坂井弘一君。
○坂井委員 私は、公明党・国民会議並びに民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和五十四年度予算三案に対し、政府がこれを撤回し、編成替えを求める動議につきまして、共同提案の理由とその概要を御説明いたします。 動議の内容につきましては、すでにお手元に配付いたしてありますので、御参照いただきたいと思います。 初めに、動議の主文を朗読いたします。 昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算については、政府はこれを撤回し、別記要綱により速やかに組替えをなし、再提出することを要求する。 右の動議を提出する。 以下、われわれが雇用対策の強化、年金の増額、住宅、社会福祉対策の充実、減税などを求める動議を提出するに至った理由を要約して申し述べます。 昭和五十四年度予算編成に当たっては、当面する内外の経済情勢から考えて、国内需要の拡大による景気回復を優先しながら、その中で失業の増加、福祉の後退、所得の伸び悩みで窮迫化する国民生活の防衛と安定成長への軌道を定着させることが強く望まれていたのであります。 しかしながら、政府の昭和五十四年度予算案では、この期待にこたえるには多くの問題があります。 その第一は、政府が雇用問題に重点を置くとしながら、その改善のための具体策を欠いていることであります。それは、政府が中高年齢者の雇用の創出と継続に力を入れるとしながら、その対策は雇用開発給付金の支給期間の延長や助成率の引き上げにとどまり、雇用創出機能の拡充、さらに雇用創出機関の創設等、基本的な施策を欠き、糊塗的な対策にとどまっていると言わざるを得ないのであります。 第二は、福祉対策がむしろ後退していることであります。これは社会保障関係費の伸びが公共事業費等の伸びと比べ、著しく抑えられていることからも明らかであります。この結果、特に老人、身障者、母子家庭、生活保護世帯など、社会的に弱い立場の人々は、長期不況と引き続く物価上昇によってさらに生活苦に追い込まれることは必至であります。 第三は、国民生活の実態をはなはだ軽視していることであります。すなわち、昨年実施した戻し税はもとより、物価調整減税すらも見送ったことが大幅な実質増税となることは避けられません。また、公共事業投資も相変わらず産業優先を重視し、国民生活と不可分の文教、社会福祉施設の整備など、生活関連社会資本整備や住宅、宅地対策に積極的であるとは言い得ないものであります。 以上のように、多くの問題を抱える政府予算案はとうてい承認できないのであります。 公明党・国民会議並びに民社党は、政府の予算編成に当たって要望を示し、予算審議を初め、あらゆる機会を通じ政府に具体的に予算修正要求をしてまいりましたが、特に重点をしぼったわれわれの修正要求に対しても、十分な対応をしたとは言えないのであります。したがって、当面するわが国経済と国民生活の窮状から見て、政府三予算案撤回の上、再編成することを要求したのであります。 次に、予算組み替えの重点項目について申し上げます。 初めに歳出関係で増額を求めるものについて申し上げます。 第一は、雇用対策の強化を図るため、次の措置を講ずることであります。 (一)雇用創出機構の創設等 労働市場センターの改組・充実及び雇用発展職種研究開発委員会の地方設置、並びに雇用創出機構の創設による中高年齢者雇用助成金の支給 (二)職業転換対策等の充実 特定不況業種離職者、特定漁業離職者等に対する訓練手当、就職促進手当の引き上げ及び中高年齢者雇用開発給付金(職業転換給付金制度適用対象者)の充実 (三)失業保険給付金の拡充 失業保険給付拡充のため労働保険特別会計(雇用勘定)への繰り入れ 第二は、年金等の増額について次に述べる措置を五十四年四月分より実施することであります。 (一)老齢福祉年金を二万円に引き上げ (二)障害福祉年金を一級三万円、二級二万円にそれぞれ引き上げ (三)母子、準母子年金を二万六千円に引き上げ (四)五年年金を二万一千円、十年年金を二万七千四百二十五円に引き上げ (五)福祉年金の増額に連動する六制度(児童扶養手当、特別児童扶養手当、福祉手当、原爆被爆者手当、毒ガス障害者手当、予防接種事故対策費等)についても所要の措置を行うこと (六)生活保護費を現行より一一%引き上げ (七)社会福祉施設入所者措置費の引き上げ (八)生活保護費の引き上げと連動する三制度(原爆被爆者を対象とする特別養護老人ホームの措置費、国立更生援護施設の措置費、ハンセン氏病患者の生活援護費)について所要の措置を行うこと 第三は、住宅、宅地対策の拡充について次の増額措置を実施することであります。 (一)住宅金融公庫融資を拡充し、これに伴い住宅金融公庫への補給金の増額 (二)日本住宅公団への出資金の増額 (三)住宅宅地関連公共施設整備促進事業費の増額第四は、文教、福祉施設整備の促進のため、次の増額を行うことであります。 (一)小中学校危険物改築費に係る国庫負担率の引き上げ (二)社会福祉施設整備の拡充 第五は、地方財政対策として所得税、住民税の減税(政府案に六百四十億円を積み増し)に伴う地方税収の減収分の補てん措置を講ずることであります。 以上、歳出の増額は五千九百五十八億円としております。 次に、この歳出の増額は次の減額によって賄うこととしています。 (一)公共事業予備費の削減二千億円 (二)一般予備費の削減一千五百億円 (三)行政経費の節約一千億円 次に、歳入関係でありますが、その第一は、所得税減税五千億円の実施であります。 内容は実質増税の回避と個人消費の安定から考えて、五十二年度実施した三千億円の戻し税分の確保及び物価調整減税であります。方法は税額控除方式とし、控除限度額は本人一万円、扶養者一人につき五千円で、標準世帯で二万五千円としています。 なお、歳入関係の第五、地方財政対策で申し述べたとおり住民税減税を拡充すること。 第二は、減税に対する財源措置についてでありますが、減税実施による税収の減収は次の不公平税制の是正等によって措置することとしております。 その一、不公平税制の是正として (一)利子配当所得の課税強化 (二)給与所得控除の頭打ち復活 (三)有価証券取引税の引き上げ (四)退職給与引当金の縮小 (五)価格変動準備金の縮小 (六)金融・保険業の貸し倒れ引当金の縮小 その二、政府関係機関の貸し倒れ引当金の縮小であります。 なお、われわれが要求しました歳入歳出の組み替えによる一般会計の修正総額は一兆九百五十八億円となります。この結果、一般会計予算規模は一千四百五十八億円の増額となり、三十八兆七千四百五十九億円となります。 次に、特別会計について申し述べます。 雇用対策の強化のため、労働保険特別会計(雇用勘定)の歳出を次のとおり増額することとしております。 (一)定年延長奨励金の引き上げ及び継続雇用奨励金の引き上げ (二)雇用開発事業の拡充(中高年齢者雇用の支給額の引き上げ、対象者の拡大等の開発給付金) (三)失業保険給付の拡充(四十歳以上の全国延長及び訓練終了後の再就職の間の給付期間延長) 以上、五百七十四億円の歳出増については一般会計の繰り入れ及び予備費をもって措置すること。 以上、公明党・国民会議並びに民社党が共同提案いたしました組み替えを求める動議の理由と概要を御説明いたしましたが、これらの施策は当面する状況から考えて、緊急に行わねばならないものであります。 したがいまして、政府に昭和五十四年度三予算案を撤回の上、再提出されることを要求するとともに、委員各位におかれましては、この動議に御賛同いただけることをお願いいたしまして、提案の趣旨説明を終わります。(拍手)
○竹下委員長 次に、寺前巖君。 ————————————— 昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度 特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機 関予算につき編成替えを求めるの動議 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○寺前委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、政府提出の昭和五十四年度予算三案について、政府が速やかにこれを撤回し、編成替えを行うよう求める動議の趣旨を御説明いたします。 動議の案文はすでにお手元に配付していますので、簡単にします。 まず編成替えを求める理由でありますが、五年来の不況とインフレの中で、日本経済の危機が続き、そのしわ寄せは、二重三重に国民に押しつけられ、国民生活は一層困難に直面しています。 このようなとき、昭和五十四年度予算は国民生活を守り、危機的様相を呈している日本経済を立て直し、財政を健全化させることを最重点に置かなければなりません。 しかるに本予算は、第一に、国民の疑惑が集中しているE2C予算を事実上強行し、P3CやF15など本委員会で購入のあり方について問題点を指摘された軍用機予算を計上するなど、まさに疑惑にふたをする予算となっており、断じて許せないものであります。 第二に、不況を長引かせ、国民の購買力を抑え込む予算となっていることであります。財界の要望に沿った一般公共事業は二二・五%も伸ばしながら、社会福祉や教育などのための経常経費は八・七%という極端に低い水準に抑えられていることは、このことを端的にあらわすものであります。 本予算による公共料金の値上げや、所得税減税の見送りによって国民の負担増は二兆円にも上り、これは一人当たり二万円という負担になるのであります。 第三に、物価つり上げ予算となっていることであります。公共料金の値上げのみで一・五%も物価をつり上げることは、経済企画庁も認めるところであります。 その上、大企業の物価値上げを放任しているのでは、政府の言う来年度四・九%の物価上昇率も、もはや実現不可能な数字と言わざるを得ないのであります。その上、一般消費税導入の意図を依然として続けるなど、言語道断であります。 第四に、軍備大増強予算になっている点であります。自衛隊の装備、施設関係の軍事予算を二一・九%も伸ばし、総額で初めて二兆円という資本主義国で第五位の軍事予算を計上し、日米共同作戦態勢を一層推し進めようとしているのであります。 第五に指摘しなければならないのは、大企業に対する特権的減免税や不要不急予算には手をつけず、十五兆二千七百億、依存度にして四〇%という国債大増発を行い、国民に借金を背負わせ、国家財政を破局的段階に至らしめる予算となっていることであります。本年度の利子返済など、元利償還のみでも四兆円、借金に借金を重ねるサラ金財政と言っても過言ではありません。 このような本予算にあらわれた財政への道は、日本経済の深刻な危機をさらに悪化させ、国民の生活を一層困難にすることは火を見るより明らかであります。したがってわが党は、ここに全面的な編成替えを求めるのであります。主な点を以下申し上げます。 第一に、グラマン社のE2C早期警戒機導入予算の全額削除はもちろん、航空機疑惑にかかわるロッキード社のP3C、マクダネル・ダグラス社のF15予算について全額削除することとしたのであります。 第二に、所得税減税を行い、福祉予算の充実によって国民生活の向上と景気回復を図ることとしたのであります。所得税減税は一兆円規模で行い、同時に福祉年金を四月から月二万五千円に、年度内に三万円に引き上げることとし、公共料金の値上げは一切やめ、一般消費税についても将来にわたって導入しないことを明確にしたのであります。 第三に、雇用対策を重視し、大企業の減量経営を規制するとともに、下請企業を保護し、同時に、雇用をふやす積極的な雇用拡大策を講じたのであります。 第四に、生活密着型公共投資をさらに推し進めるために、公営住宅の一万戸建設、教育、福祉施設に重点を置いた予算をつくったのであります。 第五に、地方交付税の増額、自治体が不況雇用対策として行う単独事業に対する国の特例措置、大都市交付金制度の創設など、地方財政対策の強化を行いました。 以上を行うための財源は、不公平税制の是正や大企業の補助金の洗い直し、軍事費の五千億円を初めとする不要不急経費の削減などにより、十分捻出が可能であり、さらに国債発行額を一兆円程度圧縮させることができるのであります。 このような本予算の組み替えを行うことにより、日本経済の健全な発展と、国民本位の財政再建への足がかりができることを確信し、私の動議の説明を終わります。どうか委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○竹下委員長 これにて各動議の趣旨弁明は終了いたしました。 —————————————
○竹下委員長 これより討論に入ります。 昭和五十四年度予算三件及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議三件を一括して討論に付します。 討論の通告がありますので、順次これを許します。浜田幸一君。
○浜田委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十四年度一般会計予算外二件について賛成、日本社会党提案、公明党・国民会議、民社党共同提案、日本共産党・革新共同提案の各組み替え動議については反対の討論を行うものであります。 昨年末のわが国経済を見ると、財政主導のもとで景気の速やかな回復を図るため、臨時異例のものとして編成された大型予算による公共投資の拡充と施行促進の効果が浸透し、さらには秋の補正予算の刺激効果もあり、秋までの激しい円高のデフレ化を緩和しながら、順調な景気回復傾向を示しております。また同時に、円高メリットもあって、物価も安定的に推移しております。年末には消費、鉱工業生産、在庫等の経済諸指標も明るさを取り戻してきました。ことに民間企業の経営努力が実り、企業の業績は改善の方向に進み、民間経済の活力にようやく期待が持てるようになり、内需を中心に景気は回復に向かっていると見ることができるのであります。 かくして、五十三年度の経済成長率は、内需において八・二%の伸びが見込まれますが、輸出の減少、輸入の増大による海外余剰のマイナスにより、実質六%程度になるものと推計され、また、経常収支の黒字は二兆七千億円、約百三十三億ドルと見込まれております。 経済成長率が当初見通しの七%目標を達成しないことに対し、海外から非難を受けるのではないかと心配する向きもありますが、内需を拡大し、対外均衡を図るという政府の政策は成果を上げたと見るべきであり、東京サミットを控え、政府においては、この間の事情を諸外国に十分説明し、納得を得るよう望むものであります。 他方、経済構造の変革に伴って生じた雇用情勢の厳しさはなお改善されるに至っておりませんし、また、いまだに立ち直りがおくれている特定の不況産業、業種、地域が多く残っておりますので、これらに対する対策を一段と充実強化することが景気回復の傾向を着実にするためにぜひとも必要であります。 しかし、石油ショック以降の不況を乗り切るため、財政が景気回復の主役を果たしてきたことによって、ここ数年大量の公債発行を余儀なくされ、発行残高の累増を招きました。いまや、公債発行の抑制に努め、財政再建の足がかりをつくることが強く求められております。 昭和五十四年度予算は、以上の景気回復の定着と、財政再建の二つの目的を持って編成されたものでありますが、以下、本予算に賛成する理由を申し述べることといたします。 第一は、予算の規模と目的についてであります。 五十四年度一般会計予算の規模は、前年度予算に対し一二・六%の伸びであり、四十年度予算以来の低い伸び率で、前年度の伸び率を大幅に下回っており、厳しい態度で歳出の縮減を図ったことを示しています。しかし、名目経済成長率と比較すると、五十四年度伸び率の見込み九・五%を三・一ポイント上回っており、経済に対する適度な拡大効果が期待されておりますので、財政の肥大化に歯どめをかけ、同時に、景気の浮揚に積極性を持つ予算となっており、財政の健全化と景気対策という二つの相反する目的を両立させていると言い得るのであります。 この点について、さらに詳しく申し述べますと、まず景気対策についてでありますが、一般会計予算のうち、需要創出効果の高い投資部門の伸びは一八・六%と、一般会計全体の伸びを大幅に上回っており、特にその主役である一般公共事業関係費は二二・五%の伸びで、五十一年、五十二年両年度の伸び率を上回っております。もちろん、臨時異例の増加を図った昨年度には及びませんが、拡大した同年度予算をさらに大きく上積みして、大型の規模を確保しております。公共事業費が総需要に対して大きな波及効果を発揮することは、本年度後半の景気の伸びからも明らかであり、住宅、下水道、環境衛生施設等、国民生活に密着した社会資本の整備が推進されますので、地域社会の経済、雇用に大きな効果をもたらすものと期待できるのであります。 次に、財政の健全化についてでありますが、前述のごとく、一般会計のうち、投資部門の伸びが大幅であるのに対し、経常部門は一〇・九%の伸びで、国債費を除くとわずか八・六%の伸びにすぎません。しかも、行政事務費について三年度にわたり増額していないことは、物価の上昇を考慮するとき、きわめて厳しい措置であり、政府みずから冗費節約に努力する姿勢を高く評価するものであります。そのほか、補助金の縮減合理化、各種施策の優先順位の配慮など、緊縮財政に努め、能率的な安上がりの政府づくりを目指しておりますが、政府においては、行政の簡素効率化のため一層の努力を払われるよう要請するものであります。 他方、社会保障、文教、農漁業、中小企業、エネルギー対策等の緊要な施策に対しては、重点的に経費を配分し、きめ細かい配慮が行われております。また、発展途上国に対する経済援助について、五十五年度を目標とする三年間倍増の公約が余裕を持って達成できるよう、大幅に増額されていることは、国際信用を高める上にきわめて有意義なことと考えるものであります。 第二は、雇用対策についてであります。 雇用対策の中心は景気の回復であり、企業の健全な発展がなければ雇用の拡大は望むべくもないのであります。そのため、本予算が積極的な役割りを果たさんとしていることはさきに述べたとおりでありますが、雇用についても、直接に画期的な対策を講じており、本年度公共事業が相当の雇用吸収力を持つほか、社会福祉施設あるいは文教施設の整備費等、国が関与する公共サービス部門の拡大は直接多くの雇用の創出につながるもので、政府の姿勢を評価することができるのであります。また、中高年齢者に対する雇用開発給付金制度の拡充、定年延長奨励金の充実等、大幅な雇用創出と離職予防の措置を講じ、その他失業給付、職業訓練等について、きめ細かく措置しているのでありまして、これらの対策が実効を上げるよう政府の努力を願うとともに、一言つけ加えておきたいことは、高年齢者雇用対策の強化により、若年者の雇用が妨げられ、あるいは職場を奪われることのないよう配慮しなければなりません。 この際、雇用について強調したいことは、すでに高学歴化社会の到来下における青年の雇用に対し、国際化、高福祉社会にふさわしい新産業、新職業の開拓に努め、若い人々が生きがいを感じて働ける職場づくりが必要であります。 第三は、税制改正等についてであります。 五十四年度が厳しい財源事情にあることは言うまでもなく、税収その他の歳入の確保を図ることが必要であります。今回は、揮発油税の引き上げ、租税特別措置の合理化等により、四千四百億円余の増収等を図ることとしております。また、たばこ定価、国鉄運賃等の公共料金の値上げを行うこととしておりますが、財政収入の確保及び受益者負担の適正化の見地からもやむを得ないと思います。ことに、二十五年間放置されていたいわゆる医師税制問題に取り組み、その是正を図ったこと、有価証券譲渡益課税を強化したこと、企業関係租税特別措置についても相当の縮減を行ったことは、国民の税負担の公平を確保せんとするものでありまして、日ごろ不公平税制の是正を叫ばれる野党の諸君も賛意を表されるところと信じます。 しかしながら、このように税制の改正を行った後においても、税収は昨年とほぼ同額しか見込まれず、歳出の増加に見合う額が公債の増額に頼らざるを得なくなり、十五兆円余の公債を発行するに至りました。 この財政危機を打開するため、政府は、五十五年度に一般消費税を導入する意向を固め、その準備を進めておりますが、国民の協力を得て円滑に導入を図るためには、その必要性、制度の内容等について、各党並びに国民各層各界と話し合い、その理解を得るために努力を重ねることが必要であります。 この際、早期警戒機E2C予算について申し上げたいのであります。 五十一年九月、ミグ戦闘機が北海道に侵入し、わが国の防空体制の欠陥に国民は大きな衝撃を受け、低空侵入機を防ぐため、レーダー搭載の早期警戒機の配備の必要性が痛感されたのでありますが、早期警戒機については、長い歳月をかけ、検討に検討を重ね、すでに「防衛計画の大綱」で決定されており、ようやく五十四年度予算においてE2Cの購入経費が計上の運びとなったのであります。 今般、航空機輸入に関する疑惑が生じたことはまことに遺憾でありまして、かかる疑惑の究明は徹底して行われなければなりませんが、防衛庁長官が強調しているように、E2Cの購入は、米国政府と日本政府との政府間契約であり、疑惑の入る余地は全くあり得ないのであります。本機は、契約から完成まで数年の歳月を要するので、米国政府との契約の時期を失することなく、予算の凍結解除の一日も早からんことを切望してやみません。 以上、五十四年度予算に賛成の理由を述べましたが、本予算の目的を達成するかぎは、賃金、物価の安定にあります。 昨年暮れ以来、卸売物価に急激な上昇が見られ、また、海外の原料品の値上がり、ことにOPECの値上げに加えて、イラン情勢の見通し難による原油需給の引き締まり等、主として海外のインフレ要因が注目されているのでありますが、石油については、石油ショック時と異なり、先進主要国間の協力体制も整い、わが国の備蓄量も増大しており、また、国内の物資値上がりについても、きめ細かい個々の政策をとることにより、これを抑えることが可能であります。 公共料金の値上げが物価高を招くという意見もありますが、消費者物価の上昇率が昭和三十年代前半以来、経験したことのない三%台にとどまっているからこそ微調整を実施したものであり、国民の負担の公平確保のためにも、ある程度の公共料金の引き上げは必要であります。 しかし、政府も認めているとおり、物価はすでに警戒水域に入っておりますので、本年度の財政金融政策は、物価の安定に最優先順位を与え、慎重に運営されることを要望するものであります。 最後に、昭和五十四年度予算が各党の賛同を得られず、いままさに否決されようとしております。このような事態に至ったことに対し、まことに遺憾に思う次第であります。景気にもほのかな明るさも見え始め、ようやく国民も経済の先行きに対し、安堵感を抱き、将来に対し期待を持つに至った現在、予算の一日も早い成立を待ち望んでおります。 ことに、百二十七万人に上る失業者や中小零細企業を初め、不況産業の多くは、雇用の機会と職業の確保に全力を挙げているとき、われわれは、一日たりといえども予算の執行に猶予は許されないのであります。わが党は、これまで予算編成の際、各党の意見のうち、必要なものは取り入れ、審議の過程においても誠意をもって話し合いを行い、意見の一致するものも多くありましたが、しかし、われわれの真意を十分くみ取られぬまま委員会において否決されることは、断腸の思いを禁じ得ません。まして、各組み替え案を見るとき、増税すら叫ばれる時代に減税を主張するに至っては、財政に対し無責任きわまりないものと言わざるを得ません。 したがって、私は、政府原案に賛成、各組み替え動議に反対するものであります。 終わります。(拍手)
○竹下委員長 次に、井上普方君。
○井上(普)委員 私は、日本社会党を代表し、政府提案の昭和五十四年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算に反対し、わが党提案の予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に賛成、公明党・国民会議並びに民社党、日本共産党・革新共同からそれぞれ提案されております予算三案の編成替えを求めるの動議に反対の討論を行います。 わが国経済は回復に向かったと言われていますが、企業、それも大企業を中心とした収益の上昇であって、勤労国民にとっては、雇用情勢はさらに厳しく、とりわけ中高年齢者の雇用改善は全然見られないのであります。 企業の収益の増大は、企業の経済至上主義、利益優先の人員の削減と、大量に抱えた投機的土地の金利の低減によるもので、昨年九月期、本年三月期の減収増益の決算に端的にあらわれているのであります。したがって、景気の維持といった自民党政権の政策は、勤労者にとっては、雇用事情の好転、所得の上昇、生活の向上を意味しないどころか、無縁のものと言っても差し支えありません。しかも、日米通商問題に見られる圧力、このたび電電公社問題に見られる圧力、原油価格の動向など、国際的な課題は、いまなお不安定かつ未解決であります。現内閣の経済運営は、土地税制の改悪に見られるごとく、資本、企業の要求には迎合し、外国の圧力には唯々諾々の姿勢では、日本経済の抱える矛盾の解決には展望が開かれません。 そこで、政府予算案に対し具体的に問題点を指摘し、反対理由を明らかにするものであります。 政府案に反対する第一の理由は、雇用失業対策がはなはだ不十分であります。雇用の確保と安定のため、政府は十万人の雇用創出と九万人の失業防止対策を講じ、今後の推移を見て追加措置をとるとの約束でありますが、政府の対策には新たな発想の展開は全く見られず、従来の施策の単なる継承にすぎません。国が雇用対策を行えば、それに便乗して企業は人減らしを行う現状におきましては、民間企業の人員削減防止策、大企業の減量経営を規制する毅然たる態度こそ求められているのではありますまいか。このままでは完全失業者百万人の大台を割ることはとうてい不可能で、まして中高年齢者の就業機会の拡大などは望むべくもありません。 第二には、景気対策としての公共事業費のあり方についてであります。臨時異例の財政運営の方針に従って、本年度は公共事業費の大幅な支出を図ったにもかかわりませず、七%成長は達成できなかったのであります。来年度も六・三%の経済成長率達成のために投資的経費を重点的に支出しています。しかも、公共事業費の内容は、前年度と同様の構成で、いわば上積みしたにすぎません。その上に、条件つきとは言いながら新幹線建設の調査費を計上し、実質的に着手したことは、住宅対策費、下水道整備費等が増加しているとはいっても、大型プロジェクト指向の投資が堅持されておるのであります。これは、政府の発表した新経済社会七カ年計画でも、道路投資の比重が投資総額の二〇%を下がらないことに如実にあらわれているのでありまして、これでは低成長下の公共投資構造に転換したとは言えないのであります。 第三には、巨額の国債発行と、それに伴う対策が見られないことであります。十五兆二千七百億円の国債発行、国債依存率三九・六%は、かつてない借金財政で、国債残高も五十九兆円にも達しているのであります。このような事態を迎えても、国債管理、特に償還計画などを含めた国債政策の本格的見直しは行われていません。国債発行については、長期債の消化難のため、中期債を発行するとしていますが、これとても確たる方針のもとでの発行ではなく、いわば現状を糊塗する域にとどまっているのであります。これでは国債価格下落防止のための日銀の介入も回避できないと言わざるを得ないのであります。また、国債残高は国債費の増加となって今後大きな財政硬直要因となることは必至であります。政府が当委員会に提出した特例公債の償還についての仮定計算を見ましても、特例国債依存から抜けた後においても、その償還のために第二段階の財政再建問題が十年を経ずして訪れるのであります。巨額の国債発行は財政、金融の両面にわたる大きな問題でありますが、その対策はとれておりません。 第四には、財政再建の大きな柱である税制改革についても、たばこの価格改定による増収分を含めると六千五百億円に上る増税になりますが、租税特別措置の整理では、社会保険診療報酬課税の特例措置、すなわち医師優遇税制は言いわけ程度の不十分な改正にとどまっており、利子配当課税の特例、退職給与引当金の是正、法人税制の見直しには手が全然つけられず、不公平税制の是正は全く不十分であります。逆に土地税制では、肝心な公共用地が確保される保証がないままに土地所有者と不動産関係者の優遇策を講じているのであります。 物価調整減税も実施されないとなりますと、前年度の戻し税減税三千億円の取り戻しを加えて、来年度の実質所得税の増税は五千億に上り、物価の上昇によってはさらに大きな負担となるのであります。一方では不公平税制を温存し、他方では低所得者層には重い所得税増税を行い、その上に大衆課税たる一般消費税を導入していこうとする政府の税制改革方針は断じて認められません。 第五には、社会保障関係費の停滞と物価、インフレによる国民負担の増大であります。医療保険での自己負担の引き上げ、初診料、入院費の引き上げなど、医療制度の抜本的改革に着手することなしに受益者負担の拡大による国民負担を強めています。低成長経済社会は、社会福祉の充実と背反するものではなく、高福祉の実現こそ要求されるのでありますが、政府はこれに逆行しているのであります。 その上、卸売物価はこの四カ月連騰しており、これの消費者物価へのはね返り、新年度からの公共料金の軒並みの値上げ、原油価格の値上がり、大量の国債発行等々、物価要因はマイナス面が強いことを考えますと、政府の四・九%の消費者物価上昇はとうてい見通せないのであります。これらの要因を考えますならば、物価対策は最重点的に対策を講じなければならないにもかかわらず、その対応策が欠けているのであります。高福祉なき国民の高負担は、物価の動向いかんでは実に二兆円にも達しかねないのであります。 第六の反対理由は、行政改革についてであります。 本委員会において、総理は、役人の方が強いので政治家が軽々に改革に乗り出しても成功するはずがないと、最初からこれを放棄する態度を表明されたのであります。これでは、大平内閣の表看板、チープガバメントが泣こうというものであります。 また、地方財政は、五十四年度末地方債残高二十五兆に達し、借金依存度は一層と強められており、国と地方の財源配分の根本的見直しなど、財政危機の抜本的見直しが求められているのでありますが、危機打開の具体策を織り込んだ中期の計画が示されていないのであります。歳入歳出のお目付役である会計検査院の強化に消極的な姿勢を示すに至っては何をか言わんやであります。(拍手) 最後に、防衛関係費でありますが、ついに二兆円を超え、絶対額では世界第八位の巨大な軍事費を持つ大国になったのであります。福祉予算が抑制されている中で、武器車両購入費が前年に比し三九%も増大し、疑惑の深まるE2C機導入予算を計上して、さらにアメリカにおもねった在日米軍駐留費の分担金を計上した点であります。 特にE2C機については、わが党は予算編成段階で政府に、疑惑の真相解明がなされなければならないときに計上すべきでないと申し入れたのでありますが、E2C導入は二十機ワンセットで導入しなければ無意味であり、二十機の導入をすれば、そのガソリン代だけでも年間一千億もかかるのであります。このような早期導入必要性の希薄さや疑惑が指摘されている以上、E2Cの購入予算は速やかに削除さるべきであり、これこそ疑惑解明の前提であります。先日、凍結が与野党間で合意されましたが、わが党は今後とも徹底的究明に全力を挙げるものであります。また、政府は、事件解明の最大の努力をなすとしばしば言明されましたが、資料の提出を、国会に出すことを渋ることは昨日の法務大臣の答弁でも明らかであります。政府の熱意を疑わざるを得ないのであります。 また、在日米軍駐留費二百八億円を日本側が肩がわりすることは、日米地位協定をなし崩しに拡大解釈し改変するもので、日本側がどこまで負担するか、歯どめがなくなってしまうのであります。 以上、数多くの反対理由のうち、七点にしぼり反対の理由を申し述べました。 このように、将来に展望のない、国民の高負担、生活不安の予算に対しましては、組み替え、提出し直すことこそが国民の求めるところであります。政府予算三案に反対、わが党提案の組み替え動議に賛成する理由であります。 なお、公明党・国民会議並びに民社党、日本共産党・革新共同からそれぞれ提案されております組み替え動議につきましては、若干意見を異にしておりますので、反対して、私の討論を終わります。(拍手)
○竹下委員長 次に、広沢直樹君。
○広沢委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十四年度予算外二件に対し反対の討論を行うとともに、あわせて社会党及び共産党・革新共同提出の予算の編成替えを求めるの動議に反対、公明党・国民会議及び民社党共同提案による組み替え動議に賛成の討論を一括して行うものであります。 私ども公明党・国民会議は、国民から与えられた与野党伯仲という国会状況を深く認識し、民社党と協力してわが国経済と国民生活の窮状を打開するために、政府予算案の修正に努力を重ねてまいりました。 昭和五十四年度予算案が数多くの矛盾を含んでいることは、政府演説に対する代表質問あるいは予算委員会の質疑を通じて明らかにしたとおりであります。 すなわち、五十四年度予算は、第一に、景気対策としてもきわめて不十分である上に、五十四年度の最大の課題である雇用対策がきわめて不十分であります。完全失業者百二十七万人、特に中高年齢の失業者二十七万人、そして中高年齢者の再就職は、職業安定所の紹介によるものがわずか三%から五%という実情であります。NHKの世論調査を見ても、四〇%に上る人たちが失業の不安を感じているという結果が出されております。しかし、政府予算案では、この不安解消に真正面から取り組もうという姿勢は見出すことはできません。 第二は、福祉関係予算が後退を余儀なくされていることであります。長期の景気低迷のもとにあって深刻な打撃をこうむっているお年寄りや母子世帯、心身障害者等の生活を見るにつけ、社会保障関係費の伸び率を大幅に圧縮している内容は納得できるものではありません。 第三は、現実に卸売物価の騰勢が強まり、消費者物価の先行きが懸念されているにもかかわらず、各種公共料金の値上げによる国民に大きな負担増を予定しておきながら、減税すらも見送ろうとしていることであります。しかも、五十五年度からの一般消費税導入を決定的にするなど、これらを私どもはとうてい認めることはできません。 こうした多くの問題を含んだ内容であるだけに、国民生活を守り、わが国経済の窮状を打開するために、予算案の修正こそわれわれ野党に課せられた責務であります。それは、国会には財政処理の権限が付与され、予算の決定は国会にゆだねられているからであります。 しかしながら、現実には、政府提出の予算案が唯一最善のものであるとする政府・自民党の姿勢に対して、与野党逆転委員会であります予算委員会において、五野党が完全に足並みをそろえない限り予算案の修正は実現できないのが実情であります。残念なことに、五野党の意見調整は不調に終わりましたが、私どもは、政府案をそのまま修正せずに不満足なまま成立させるという責任のない態度を選択すべきではないとの判断に立ったのであります。 私どもが、みずからの政策と多くの違いを持つ予算案に対し、民社党と協力しながら一定の修正案をまとめ、その修正案が政府・自民党が受け入れるのであれば、政府案に賛成も含め、前向きに検討する旨を明らかにしたのは、たとえその修正内容が私どものすべての要求を満たさないものであったとしても、政府案の矛盾を少しでも是正し、よりましな予算とすることが国民の期待にこたえるものと判断したからであります。また、政府の予算提案権に対し、国会に与えられた予算修正権によって、国民のためによりよき予算とするため予算の修正を実現することこそ、議会制民主主義における予算決定のあるべき姿であると考えたからであります。 私どもが民社党と共同してまとめた修正内容は、いま提案されております組み替え動議に盛られておるとおり、第一に雇用対策の強化、第二に年金等の増額、第三に所得税減税、住民税の減税積み増し及びそれに伴う地方税収の減収対策、第四に住宅、宅地対策の拡充、第五に文教、福祉施設整備の促進等でありますが、さらに予算修正の実現のために、この内容についてもあくまでも予算書の書き直しによる修正を前提としたものであり、また、年齢による雇用差別を一定の要件を定めて禁止することの法制化への一歩を踏み出し、雇用創出及び雇用情報センターの行政機能を拡充し、機構を確立するなどの政策要求をいたしました。 私どもの重大な決意と真摯な修正要求に対し、三月一日の党首会談において政府・自民党は前向きに応ずる姿勢を見せたのでありますが、しかし、翌三月二日、政府・自民党は、党首会談とこれを受けた自公民三党折衝の過程における良識と双方の信義に反し、予算書の書きかえによる予算書の修正を拒否したのであります。 私どもがあくまでも名実ともに予算の修正を要求し、予算書の手直しを求めたのは、第一に、予算書の手直しによる予算修正こそ財政民主主義の大原則であるからであります。もしこれなくしては、憲法に規定された財政処理の権限をみずから否定し、あしき慣例を残してしまうからであります。第二は、予算書の修正によってこそわれわれの要求の実行が確約され、また雇用創出などにあってはそれが制度として確立されるからであります。したがって、この私どもの最小限度の要求さえ政府・自民党があくまでも拒否する以上、政府予算案には反対であります。 しかしながら、昨日の予算委員会で大平総理みずから予算修正に取り組む前向きの意向を示されたことは、一定の評価をするにやぶさかではありません。雇用対策の強化、年金等の増額は、今日の国民の不安と困難を解消する上で前進の措置となるからであります。これが十分とは言えないにしても、私どもの国民的要求に立った主張と行動が政府並びに自民党の譲歩を余儀なくし、政府予算案の実質修正の公約を取りつけたものと確信するものであります。 最後に、大平総理がこの国民に公約した実質修正を速やかに実行するよう強く要求するものであります。特に高年齢化社会を迎えて、実質的な定年延長のための雇用年齢差別禁止の法制化と雇用創出機構の確立は急務であります。 以上、わが党の率直な意見を表明し、政府予算案に反対、公明、民社両党提出の予算組み替えの動議に賛成の態度を明らかにするものであります。 なお、日本社会党、日本共産党・革新共同からそれぞれ提出された組み替え動議には、いささか考えを異にするため、反対の態度を表明いたします。 以上をもって討論を終わります。(拍手)
○竹下委員長 次に、大内啓伍君。
○大内委員 私は、民社党を代表し、ただいま議題となりました政府提出の昭和五十四年度一般会計予算外二件に対し、一括して反対の討論を行うとともに、あわせて社会党並びに共産党・革新共同からそれぞれ提出されている組み替え動議に反対、公明党・国民会議並びに民社党から共同提案されている組み替え動議に対し賛成の討論を行います。 大平総理は、総理就任後初めての所信表明演説において、「信頼と合意の政治」を打ち出されました。それはわれわれ野党にとっても、今後の議会運営に一つの期待を抱かせるものでありました。しかし、今回の予算修正問題に示された大平総理の態度は、その言葉とは全くうらはらの、背信と合意破壊の頑迷な姿勢にほかなりませんでした。私たちは率直のところ大平総理のこのような政治姿勢に失望いたしました。 民社党は、一昨年来、与野党伯仲下における国会運営について、責任野党の立場を打ち出し、野党としての立場を堅持しつつも、単に反対党として終始することなく、国民的立場から政治運営の責任の一端を担う用意があることを、過去二年間の実績を通じて示してまいりました。この見地から、政府提案の昭和五十四年度予算に対しても、内容的に多くの不満を持ちながら、不況下に苦しむ労働者の雇用問題並びに老後生活の最大課題である年金問題などについて、公明党とともにきわめて現実的な予算修正を要求し、これが入れられるならば、政府予算に賛成することをも明らかにしてきたのであります。 かくて、御承知のとおり、党首会談を初め国対委員長会談、政審会長会談等々、数回にわたる話し合いを通じて、ほぼ自民党との間に予算書修正の合意ができ上がっていたのであります。ところが大平総理は、そのような経緯を十分承知しながら、いかなる理由に基づくかは定かではありませんが、最後の土壇場になって、突如として予算書の修正を拒否されるところとなりました。これが私たちに対する背信行為でなくて一体何でありましょう。大平総理の唱えられた「信頼と合意の政治」は、この瞬間に一片の紙切れとしてほごにされたのであります。国民が期待した真の政党間の話し合いによる政治は、昨年に引き続きことしもまた水泡に帰しました。それは、いたずらな対決を排して、国民にとって実りある合意の政治を切り開こうと努力してきた私どもにとってまことに遺憾なことであり、政府・自民党の責任はまことに重大であります。 政府は、予算書の修正は単なる形式の問題であるかのごとく国民に印象づけようとしておりますが、それは全く誤りであります。予算の成立以前に新たな歳出を必要とする合意が行われれば、予算書の修正を行うことは当然のことであり、それをあくまで回避しようとすることは単なる政府のメンツか、予算を聖域視する財政当局への妥協か、あるいは何らかの別の総理の思惑によるものか、いずれにしてもそれは財政民主主義の精神にもとるものと言わなければなりません。この結果、自民党と公民両党間の交渉は挫折し、そこに残されたものは大平総理に対するわれわれの大きな不信でありました。このような事態を招いたことについて、総理の強い反省を求めるものであります。 同時に、私たちはこの際、当初の基本に立ち返って、昭和五十四年度予算とその背景にある政府・自民党の政策の基本的考え方について、問題点を指摘し、反対の態度を明らかにしておきたいと存じます。 その第一は、今回の政府予算は、これまでの予算委員会の審議等を通じても明らかにしてきたように、景気回復の面からも、物価抑制の見地から見てもきわめて中途半端な性格を持っていることであります。わが党は、昭和五十四年度も引き続き比較的高い経済成長を目指し、景気回復を軌道に乗せるべきであるとの立場から、所得税の一兆円減税と四十兆円規模の予算を編成するよう求めてきたのでありますが、政府予算は、減税はおろか、その予算規模も一二・六%増と低く抑制しております。 一方、健康保険法の改悪による患者負担の増大、ガソリン税の引き上げ、消費者米価、たばこの引き上げなど約一兆円強の国民負担増を強い、このことが物価を押し上げ、国民総支出の約六割を占める民間消費支出の伸びを抑制することは必至と言わなければなりません。さらに最近の卸売物価の急騰、地価の高騰は、日本経済を再びスタグフレーションに陥らしめる危険性をはらみ、六・三%の経済成長率の達成も、また四・九%の物価抑制も不可能にさせるおそれが強まっております。その原因の一つは、いま申し述べた政府予算の中途半端の性格にあると言わざるを得ません。 第二に指摘しなければならないことは、今後の中期的課題である財政再建を行う前に、政府が行うべきことを行わず、安易に一般消費税の導入を意図していることであります。わが党は財政再建に向けてまず当面行うべきことは、第一に、当面の景気回復と物価の抑制に全力を尽くし、日本経済への国民の信頼を取り戻すこと、第二に、抜本的な行政改革を図り、行政のむだを徹底して排除すること、第三に、租税特別措置など不公正税制の是正を行うとともに、昭和五十五年度には法人税の引き上げ、富裕税の新設など一般的な増税を行うことなどを強く指摘してきたところであります。ところが政府は、これらの諸点をおざなりにし、徹底した対策の実施を避けて通ろうとしていることは、わが党として容認することはできません。 第三の問題は、雇用、年金、住宅対策などについて政府が抜本的な改善を図る積極的な姿勢を欠いていることであります。わが党は、すでに予算委員会を通じて雇用創出機構の新設、年齢による雇用差別禁止法の制定、基礎年金構想の導入、住宅ローンヘの利子補給の新設などの実現を強く政府に訴えてきたのであります。 確かに、今回の予算修正問題の一つの成果として、わが党並びに公明党が最低限の修正課題にした二万円年金、新しい雇用創出対策の実質的改善措置などについて、政府がその実現を約束したことは率直に評価するにやぶさかではありません。しかし、これらの措置は抜本的な改革への第一歩にしかすぎません。特に雇用創出機構法並びに年齢による雇用差別禁止法の制定については、速やかに政府がその立法化を図るよう厳に見守っていく所存であります。 最後に、重ねて大平総理の政治姿勢について一言申し上げたいと存じます。 大平総理の今回の予算修正問題に対する選択、すなわち、予算委員会において予算が否決されても本会議で可決すればよいという姿勢は、大平総理の「信頼と合意の政治」の信条とは全く相入れない力による政治以外の何物でもないことを思い知るべきであります。このような旧態依然たる力による政治は、伯仲時代における新しい議会秩序の創造を不可能にするだけでなく、大平内閣に対する国民の期待を急速に薄れさせるものであることをここに強く警告し、以上をもって討論を終わる次第であります。ありがとうございました。(拍手)
○竹下委員長 次に、安藤巖君。
○安藤委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、政府提出の昭和五十四年度予算三案に反対し、日本社会党提案、公明党、民社党提案の両組み替え動議に反対、日本共産党・革新共同提案の組み替え動議に賛成する討論を行います。 昭和五十四年度の予算編成に当たって最も大切なことは、歴代自民党政府の政策運営の失敗がもたらした五年来の不況のもとで、いかにして国民生活を防衛し、日本経済の再建と財政健全化に役立つ予算とするかということであります。ところが、本予算案は、すでに破綻をしている従来型の景気対策を続け、大幅な負担増で国民の購買力を圧迫して不況を長引かせる一方、国債大増発で財政危機を破局的段階に進めるものとなっております。 わが党は、雇用拡大計画の確立など雇用対策、一兆円規模の所得税減税と公共料金値上げの撤回など六項目を柱に予算の修正を要求いたしましたが、政府はいずれもこれを拒否して、国民の要求に背を向ける態度に終始したのであります。また、今国会最大の焦点となったグラマン、ダグラス問題でも、わが党を除く与野党の妥協で、疑惑のE2C予算「凍結」解除を事実上政府と議長に一任して、わが党の当然の削除要求を拒否するなど、真相の解明、政治責任の追及を一貫して妨害しているのであります。 本予算案と今国会で示された政府の姿勢は、保守反動路線を、より巧妙に、より摩擦の少ない迂回作戦で進めようとしている大平内閣の正体を如実に示すものであります。 以下、具体的に反対理由を申し述べます。 第一は、本予算案が、財政再建を口実にして国民に対する大収奪を強行しようとしていることであります。所得税、住民税の減税を拒否する一方で、ガソリン税、たばこの値上げなど大衆増税を行い、国鉄運賃、消費者米価などの引き上げ、健康保険の自己負担の大幅増まで盛り込んであり、これらによる国民の負担増は一兆九千億円にも達するのであります。しかも、大企業、大資産家の優遇税制を基本的に温存したまま、一般消費税の五十五年度導入を初めとする九兆円の大増税計画の第一歩となっているものであります。 第二の問題は、本予算案が依然として大企業本位の従来型景気対策を踏襲しつつ、福祉や教育などを著しく圧縮していることであります。すなわち、国民の日常生活に密接な関連を持つ経常部門の伸び率をわずか八・四%に抑えているものであります。 他方、投資部門は、この二年間に五六・一%も増加し、その中身も、大型プロジェクトに集中的に投入する反面、前年度からの住宅建設削減を引継ぐなど、国民生活に対する投資を依然として低く抑えております。また地盤沈下、海面下地帯の住民の深刻な不安にこたえるべき河川改修なども、今後百年以上も待たなければ完全なものとならないような恐るべき状態にあるのにもかかわらず、何ら積極的対策が講じられていないのであります。 第三は、深刻化の度を強めている雇用問題についてであります。わが党の不破書記局長が本委員会で取り上げたように、労働者に過酷な労働条件を強制している大企業の減量経営こそ、雇用不安の最大の根源であります。大企業がその経済的、社会的責任を省みず、欺瞞的な工場閉鎖、労働者の大量整理を強行している減量経営を社会的に規制することこそ急務であります。これを放置し、わが党が要求した雇用拡大計画を拒否したまま、ただ幾つかの奨励金等を拡充するにすぎない政府案では、とうてい雇用不安を解決し得るものではありません。 わが党は、岩国への核持ち込み問題、E2C導入問題に絡む政府高官汚職の疑惑を厳しく追及し、軍事費の大幅削減を要求してまいりました。ところが、疑惑解明を強く求める国民の声に背を向け、P3Cに加えて極東各地への長距離侵攻誘導能力を持つ空飛ぶ司令部と呼ばれるE2Cまで予算化しており、しかも、この財政難の中で自衛隊の装備、施設関係予算は二一・九%と驚くべき増強ぶりであります。総額で二兆円の大台を突破した軍事予算の質的増強は、危険な日米共同作戦態勢を飛躍的に拡大強化するものであり、絶対に認めることはできません。 最後に強調しなければならないのは、この予算が約四〇%もの国債発行を見込み、わが国の財政破綻を最悪の状態に陥れようとしていることであります。来年度末国債発行残高の見込みは予算総額の一・五倍を超え、元利償還のための国債費は文教、科学振興費にも匹敵する巨額なものとなっております。このようなサラ金財政がインフレと大増税に結びつくことは火を見るよりも明らかであります。 以上、反対理由を申し述べましたが、この際、改めて私は、日本共産党・革新共同提案の予算組み替え動議に賛成することを表明します。 また、公明、民社両党提出の動議は、基本的に政府予算案と同一の土俵に立つものであり、賛成できません。社会党提出の動議は、わが党と共通する内容もあり、一定の評価はできますが、予算を国民本位のものにする上ではなお不十分、不徹底であり、反対いたします。 以上で私の討論を終わります。(拍手)
○竹下委員長 次に、大原一三君。
○大原(一)委員 私は、新自由クラブを代表して、昭和五十四年度予算三案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。 以下、その理由を申し上げます。 まず、五十四年度予算案は、増税の季節を迎え、それに対応する厳しさが足りないという点であります。無論、補助金の整理合理化約千二百億円、さらにスクラップ・アンド・ビルドあるいはメニュー化方式等努力の跡は評価されますが、なお現在の財政事情の厳しさに対してそれらの措置は十分とは申せません。 第一に、われわれは、これまでの古いしきたりにこだわらず、思い切った財政構造の改革を行うため、まず予算編成方式に関し、従来の増分主義を改め、いわゆるゼロベースから予算の総洗いかえを行うことを提案しております。各省のなわ張りを排し、総理主導型の効率的予算編成を行うべきであると考えます。現状の増分主義予算編成を引き続き踏襲することは、将来とも国債と増税の悪循環の中にいよいよ財政を引きずり込み、財政本来の機能は致命的な打撃を受けざるを得ないと考えるからであります。 第二に、現在の税体系のあり方についてでありますが、現在の税制の所得再配分機能は、各種特別措置の存在により著しく阻害されております。わが国の税制は、元来直接税中心の税制であり、なかんずく所得税はその中枢として、自由主義社会における唯一の公正な税制として所得再配分の役割りを期待されているにかかわらず、利子配当、医師税制並びに不動産税制等について各種特別の軽減措置が採用されております。これらは、多かれ少なかれ資本蓄積を経済政策の基本とする高度成長時代の遺物とも言えます。現在、民間経済は貯蓄超過経済であります。このときに当たり、従来の資本蓄積税制は思い切って削減すべきであるにかかわらず、その努力は必ずしも十分ではありません。 第三に、医師税制の問題でありますが、これは、今日、不公正税制の象徴的存在として世論の指弾を受けております。政府の今回の改正は将来の懸案に手をつけた点で評価されるのでありますが、しかしその解決は必ずしも十分なものとは言えません。これは歳出によって賄うべき医療費を税制という見えざる補助金によって代替させるという手法であり、医療制度の抜本改革を今日まで引き延ばしてきた怠慢と不公平税制の助長という二重の意味で批判されるべき問題であります。政府は、医療制度の早急な改革を行うとともに、本制度の廃止を行うべきであります。 第四に行政機構の簡素合理化の問題でありますが、一般会計における定員の削減にもかかわらず、特殊法人においては、法人数、人員ともに急増し、行政機構全体としてしり抜けになっております。政府が真に簡素な政府を考えられるなら、五十四年度予算において、この点について思い切った方向づけを行うべきであったと考えます。 以上、主な反対理由を申し上げましたが、五十四年度予算案は、旧来の手法の域を出ず、国債依存度は高まり、今後ますます増税の要因は強まらざるを得ない性格を持っております。われわれは、古い手法を思い切って合理化し、新しい財政手法の開発以外に、現在の硬直化した財政を打開する道はないと考えます。 以上、私は、政府における勇断を促し、五十四年度予算三案に対する反対の理由を申し上げました。 なお、日本社会党及び公明党・国民会議、民社党並びに日本共産党・革新共同からそれぞれ提案されております予算の編成替えを求める動議については、意見を異にしておりますので、反対申し上げ、私の討論を終わります。
○竹下委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○竹下委員長 これより採決に入ります。 まず、大出俊君外十一名提出の昭和五十四年度予算三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議を採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹下委員長 起立少数。よって、大出俊君外十一名提出の動議は否決されました。 次に、近江巳記夫君外八名提出の昭和五十四年度予算三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議を採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹下委員長 起立少数。よって、近江巳記夫君外八名提出の動議は否決されました。 次に、寺前巖君外一名提出の昭和五十四年度予算三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議を採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹下委員長 起立少数。よって、寺前巖君外一名提出の動議は否決されました。 これより、昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算、以上三件を一括して採決いたします。 右三件に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹下委員長 起立少数。よって、昭和五十四年度予算三件は、いずれも否決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○竹下委員長 これにて昭和五十四年度総予算に対する議事はすべて終了いたしました。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 去る一月三十一日に総予算の審査を開始して以来、終始真剣なる論議を重ね、慎重審議を尽くして、本日、ここに審査を終了するに至りました。 ここに、連日審査に精励されました委員各位の御労苦に対し深く敬意を表し、ごあいさつといたします。(拍手) 本日は、これにて散会いたします。 午後四時五分散会