予算委員会 第8号
- 発言数
- 282 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1979/02/08
会議録
○竹下委員長 これより会議を開きます。 昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、総括質疑を行います。安宅常彦君。
○安宅委員 私は、かねがね日本の外交の中で各国からさえ公然のこととして批判の目をもって見られている日韓癒着といいますか、その最も根源的な問題、これは総理なんかもぜひひとつ真剣に考えてもらいたいのですが、この問題を取り上げてみたいと思います。政治姿勢、一般的に言いますが、こういうことの政治姿勢こそ大変問題にしなければならないのじゃないか、こう思っています。 法務大臣にお伺いいたします。最近惹起しました入国管理局の幹部を含む不祥事件について、報告を受けておられるかどうか。
○古井国務大臣 入管関係の過ち、間違いの問題のようでありますが、そうでありましたね。――それで、なるほどどうにもこれはうまくない、まずいという案件、私も承知いたしまして、それで昨年暮れ、法務大臣に就任しましたその後、去年のうちに処理した、懲戒処分をした事件もあります。それから、その前に、また私が就任します前に懲戒処分した事件もある、こういうわけでございますね。 事案の内容は、もしお求めなら詳しく説明させます。
○安宅委員 それでは、法務大臣も就任早々でありますし、あなたの部下で結構です。政府委員の方からで結構ですから、責任のある者から責任のある立場で事件の詳細を報告をしていただきたいと思います。私のは、ずうずう弁でみんながわからないと困るから、政府委員の方から。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。 本件は、田之上の件と大都の件と二件ございます。 まず、田之上の非違行為……(安宅委員「名前までちゃんと言って。どなたにも資料を私、配っていないから、きちっと言ってください」と呼ぶ)当時神戸入国管理事務所の神戸港出張所長でございました田之上達喜の件と、それから当時法務本省入管局の資格審査課長でございました大都安雄、この二名の非違行為の件でございます。 田之上の件につきましては、当人が韓国の日本大使館一等書記官として在勤中に、韓国人石恩栄という女性が日本人の夫である宮島稲蔵と称しまする男と同伴してわが国に入国をするに際しまして、査証の発給の申請があったわけでございますが、その際に、この女性が査証要経伺者である石順男という女性と同一人物であって、かつ偽装婚の……(安宅委員「はっきり言ってくれ。おれ少し耳が悪いのだ。何とかである石順男というところから」と呼ぶ)査証を発給するにつきまして、本省に経伺を要するものとされておりました石順男と同一の人物であることを知りながら、かつ偽装婚の疑いがあったものでございますので、査証発給の可否について外務大臣にお伺してその結果を待って処理しなければならない事情があったにかかわらず、それを怠って査証を発給した、これが第一点でございます。 第二点は、この石恩栄という女性が、在留期間の更新許可を容易にする目的で、外国人登録上の居住地の変更登録申請をするに際しまして、居住実体のない姫路市に居住していたという虚偽の登録申請をすることをこの田之上は知っていたのでありますが、それを知っていたにかかわらず、この女性の違法行為を制止しなかった。これが第二点でございます。 それから、第三点は、この石恩栄なる女性が神戸入管に在留期間更新許可申請をするに際しまして、この女性と日本人宮島稲蔵の婚姻が偽装婚であるということを知っていたのにかかわらず、神戸入管の審査を担当する職員に対しまして、この事実を隠して同女を紹介し、この女性の夫は日本人であって近く米国へ渡ることになっておる、在留期間更新のため訪ねていくからよろしく聞いてやってくれというような虚言を言うなどして不当な働きかけをした。これが田之上達喜の非違行為でございます。 さらに、大都の件でございますが、大都の非違行為は次のとおりでございます。 第一番目は、那覇入国管理事務所の所長として在職しておりました当時、二回にわたりまして、韓国人の女性徐晶珍の在留期間更新許可申請を、関係書類が不備または虚偽の記載があるにかかわらず、これを不当に受理した上、かつ百五十日間の在留期間の更新を許可する処分をしたことでございます。 第二は、那覇から本省に帰りまして、入国管理局の資格審査課長として在職しておりました当時、この徐晶珍が東京入管に在留期間更新許可申請を行いまするに際しまして、この女性が入国目的に沿わない在留をしていることを十分知りながら、この申請の処理をする東京入管の職員に対しまして、この女性の在留実態を隠した上、同女の在留を継続させるため、滞在期間の延長を許可されたい旨不当な働きかけをした。右担当職員は、同女が入国目的に沿った在留をしているものと誤信いたしまして、所要の決裁を行い、百八十日の在留期間の更新を許可する旨の処分をさせたということでございます。
○安宅委員 さっぱりわからないんだな、あなたがしゃべるのは。大平さんよりわからないじゃないか。それは、あなた方が処分をした、処分というか行政処分ですね、をした形式的な事実を簡単に言っただけで、それじゃだれが聞いたってわからないんじゃないかな、どういう意味だか。どうなんですか、もう少し詳細にと私は言ったつもりですけれどもね。
○小杉政府委員 いま少しく詳細な事項についての御質問があれば、個々の件について十分お答えする用意がございます。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
○安宅委員 私はずうずう弁でわからないから、あなたははっきりするだろうと思って、詳細にわかるように説明してくれと言ったんです。質問があればなんと言ったら――あなた方は資料を出せと言ったって出さないでしょう。個人の要求には応じられないだとか、委員部を通じても出せないとか、そして今度説明に上がりますと言うから聞いたら、何回も何回も追加説明を要求せざるを得なくなって、一回、二回、三回、皆その都度違うのですよ。私、全部整理してあります。つじつまなんか皆合わない。だから、はっきりした、たとえば田之上達書という人が駐韓日本大使館においてどういうことをやったか、そして帰ってくるときどういうことをやったか、那覇所長の時代があった、そのときどういうことがあったか、したがって法務省はどういう措置をとったか、系統的に話してください。そして、そのとき便宜を計らった女性は日本で何をしておったか、こういうことまではっきりさせてください。ひた隠しに隠そうとするからそんなふうになるんだよ。だれか言葉のはっきりした人出てくれないかな、この人じゃさっぱりわからない。
○小杉政府委員 それでは、事件の経緯を日時的に追って若干お話し申し上げます。 田之上達喜は……(「聞こえない」と呼ぶ者あり)
○安宅委員 わからないそうですよ。だれが聞いたってあなたは何をしゃべっているかわからないそうだ。だれかはっきりした人、だれでもいいです、あなたでなくとも。審議官かだれか、言語の明確な人を出してください。
○毛利委員長代理 少し大きな声で言いなさい。
○小杉政府委員 それでは、少し大きな声でしゃべります。 田之上達喜は、法務省から昭和四十六年の七月に外務省に出向いたしまして、在ソウル日本大使館の一等書記官になったわけでございます。その間、現地で知り合いました石恩栄なる女性に対しまして査証発給をする事案が出たわけでございますが、当時この石恩栄が日本に入国したいということを考えておった模様でございまして、日本に入国するには日本人と結婚したことにすると入国が容易になるということから、韓国人の李弘益というブローカーでございますが、これが、在韓日本人ですでに死亡しておりました宮島稲蔵という方の戸籍を悪用いたしまして、朴商敏という男でありますが、この朴商敏という男を宮島稲蔵に仕立て上げまして、在韓国日本国大使館から日本旅券の発給を受け、その旅券を朴商敏に持たせた上、日本人宮島稲蔵と石恩栄を結婚したことにいたしまして、宮島稲蔵実は韓国人朴商敏と石恩栄を同時に日本に入国させたという経緯がございます。 この際に査証申請がありまして田之上が査証を発給したわけでありますが、この不法な旅券取得その他について直接田之上が関与した形跡はございません。 このようにして入国した石恩栄が日本に在留を続けたわけでございますが、先ほど御説明申し上げましたような事情で在留期間の更新申請をその後行ってきて、その在留期間の更新申請を行うに際しまして、またもや先ほど申し上げましたような田之上の非違行為があったというのが田之上事件の詳細でございます。
○安宅委員 そのためにあなたの方でどういう措置をとったか。
○小杉政府委員 私どもといたしましては、昭和五十三年九月二十一日付をもちまして懲戒処分として停職二カ月の処分をいたしました。 さらに、大都ケースでございますが……
○安宅委員 その二日後に依願退職になっているということまで言ってくださいよ。何たってまず話にならないじゃないか、あなた。
○小杉政府委員 依願退職になりましたのは九月二十六日付でございまして、懲戒処分の日から五日後でございます。 大都の件につきましては、問題となりました徐晶珍の第一回目の入国は、昭和四十九年五月東京都内の東京高等技芸学校という学校に入学する目的で入国したものでございまして、同校に入学しまして当初は通学していたのでありますが、その後、自分の姉が日本におりますが、この姉が病気になったとかということが原因で、子供の世話をするというような理由で欠席することが多くなりましたが、一応就学の事実は認められたのであります。なお、在留期間の終わりの部分は本人の出国期間として在留が許可されたもので、昭和五十二年九月十四日出国いたしました。この次に続きまして二回目の入国は、昭和五十二年十一月十五日都内の国際関係共同研究所におきまして司書としての研修を受けるということを目的として入国したのでありますが、同研究所における同女の研修状況というものは必ずしも良好なものでなかった。同女及び大都等がこの事実を秘匿しておりましたために、私どもの方にその在留事実の関係が判明しなかったという状況がございます。このような在留実態にもかかわらず、大都の働きかけによりまして在留の期間更新許可申請が許可されたというのが事案の概要でございます。
○安宅委員 許可された、そして後どういう措置をとったかというのは言わないんでしょう。それを言えと言ったでしょう。なぜ言えないの。何が許可されたっていうの。聞こえないんだよ、それは。
○小杉政府委員 大都に対しましては、昭和五十三年十二月二十七日付をもちまして懲戒処分として停職四カ月間の処分をいたしましたが、その翌十二月二十八日辞職を承認いたしております。以上でございます。
○安宅委員 私は大変時間を損したな、わけがわからないことを言うんだもの、それはカットしなければだめだよ。 どうもつじつまが合わないし、はっきり聞き取れなかった部分もあるので、つじつまが合わない部分は私があらかじめ聞いている範囲内で質問いたします、いまの報告に対して。それから、なおただしたいことがありますから、正確に、はっきり答えてください。 私の立場は、基本的には、あなたの方のいまの報告によれば、大都君に対しても田之上君に対しても手続上の枝葉末節、たとえば大都君の場合なんかは、期間更新をするときに身元保証書が不備だった、どういう不備だったかと聞いたら、保証人である者の氏名、続柄しか書いてなかった、じゃ、書かなければならないものは何かと聞いたら、住所、職業が落ちている、これだけなんですよ。それから、当時、便宜を計らって大都君が呼んだ徐晶珍は、東京に住んでいたのに申請書では那覇になっている、住所がうそだ、それに気づかずビザを発行したから停職四カ月だ、これだけなんですね。こういうことは私はとても理解できないですよ。 さっきあなたが報告したように、その後、五十三年五月十二日ごろ、この女性が東京入管に期間の更新の申請を出したことがあります。それは研修が目的で在留しているのに、再び入国してからはある程度しかそこの研修に行ってない。それをわかっていて、東京入管の方に部下を使って、もっとはっきり言えば、何とかしてやれ、そうしたら窓口でだめだ、使いに立った者が、これは課長の要求だから、手続をとるから、受け付けさえすればいいんだ、こういうことを言って、当時、本省の入管局の資格審査課長という立場でありながらこれを強行させた。言うなれば職権乱用みたいな、そういうことだけですね。 そして、必ず女がいるんですね。私は非常にここに疑問を持つんですよ。単なる愛情の問題だとか、そういう問題じゃなくて、後で調べて全部言いますから。この女性のスキャンダルという問題と手続上の問題に矮小化して、しかも部内で内密に行政処分をして、大都君は停職四カ月、田之上君は停職二カ月、そして一日か二日後には依願退職の退職願を出させているんですね、退職手当を払って。このやり方は非常に陰湿なやり方だと私は思う。だから、こういうやり方ではなくて、国家主権の行使を相当大幅に任せわれている入管の幹部職員が、その立場においていろんな大きな悪いことをしているんだけれども、書類の不備を知らなかったとか、そんなことで、あるいは女性がおったとか、それを駐韓大使館時代に知り合った者を連れてきたとか、こういうものに歪曲して、後ろの方は全然表面に出さないでしまおうという意図がありありと見える。だから、そういうものではない、本質はまるで違うという立場で、つじつまの合わないところや足りない分を私は質問しますから、そういう立場で答えてくださいよ、いいですね。 それで、いま言ったように、ただいまの報告はどうもKCIAなど韓国政府機関と思われる職員の日本における不当な活動を隠そうとする疑いがあり過ぎる。もう全部隠そうとするのです。だから、ここのところの立場で言うならば、まず、とにかくそういうことをやれるというのは、このお二人の非違行為は、一つは入管局の綱紀がゆがんでいる。それから、機構上重大な決定をする任務を持っているのですが、その任務を遂行するに当たって、自分の主観やほしいまま、つまり恣意によってやれるという構造的な仕組みですね、この問題があるのではないかということが第一点です。 それで、古井さんが法務大臣になって、過剰サービス論がうんとやかましくなりましたね。あなたはこの報告を私より詳しく聞いていると思うのですが、本当に過剰サービスの典型的なものだと思わないかどうか。これはえらいサービスです。 それから、どこの官庁だってこうした処分は理由を含めて、反省を込めて、たとえば警察官が悪いことをしたなんといったら、交通事故で何かちょっとやっても懲戒免にしたりするでしょう、そういう一般的な慣行がほかの官庁にあるのですよ。そういうことを一切発表しないでひた隠しに隠しておった理由は何か、まず、ここを聞きたいですね。責任ある人から答弁してください。機構上の問題、構造上の問題や何かは大臣から答弁してください。
○古井国務大臣 申すまでもなしに、法務省は遵法の先頭に立たなければならぬ仕事をやっておる役所でありますので、関係者がごまかしたり間違いをやったりするようでは、これはまことに相済まぬことであります。したがいまして、検察などのみならず、入管の仕事などもきちんと筋道を通して間違いないようにしなければならぬことは申すまでもないと思っておるのであります。入管の事務についてはまた格別、これは私の感じかもしらぬが、とかく間違いが起こりやすい面があると思うのですね。それで、これは格別厳しくしなければならぬように思うのであります。 今回の、いまお話の出ておる二つの案件、それは背後の関係まで私は十分わかりませんけれども、しかし少なくとも表面にあらわれたところだけ見ましても、職務をはなはだしく間違って行ったということは明らかだと思うのですよね。これは一言もないと思うのです。ですから、もうすでに一つは九月に懲戒処分をやってしまった。それから、あとの一つは私が就任してからやったことですけれども、懲戒処分をやる。それからまた、初めのときだと思うのですけれども、異例の綱紀粛正の通達も部内に出しておる状況でありますし、環境としましては、これは過去は大いに将来の戒めとして厳しくやりたい、こう思っておりますが、いまの二つの事件の背後関係とかそういう辺については、こっちの方では十分わからぬところもあるかもしれません。その辺は御質問願いたいと思います。
○安宅委員 一切隠しておった理由、事務当局、答弁。
○小杉政府委員 私ども、ただいま先生御指摘ではございますけれども、本件をひた隠しに隠したとか、そういうようなことをやったつもりはございません。
○安宅委員 私がさっきほかの官庁の例、警察の例などを言ってもそういう答弁になるのでしょうか。
○古井国務大臣 私はまだひた隠しに隠しておったというふうにまでは思っておりませんが、十分目が届かぬところもあると思う、知らないところもあるかもしらぬと思いますので、一番事実関係をよく知っておる担当から説明させたいと思いますが、それでひとつ御了承願いたいと思います。
○小杉政府委員 今回の一連の処分は懲戒処分でございまして、これを私どもとして積極的に公表しなければならないとか、皆様に発表しなければならないという性格のものではないというふうに了解しております。
○安宅委員 時間がたってかなわぬよ。 特に田之上君の場合に、鳥取市福井三百三十七番地に住む、亡くなった宮島稲蔵、これは韓国で亡くなっています。この人の家族からあるいは出たのかわかりませんが、鳥取県警が動いていますね。最終的にはこの男は兵庫県警で逮捕されているんでしょうか、神戸地検の手を煩わしておるようですが、その結果、どういう措置になったのか。これは、じゃ、法務省の刑事局長ですか。
○伊藤(榮)政府委員 御指摘の田之上に関連の石恩栄こと石順男という女性の事件でございますが、神戸地検におきまして、昭和五十三年八月十八日、兵庫県警本部からこの者の送致を受けております。罪名は公正証書原本不実記載同行使並びに外国人登録法違反、こういうことでございます。公正証書原本不実記載と申しますのは、亡くなった宮島さんの戸籍に自分が妻として入り込んだ関係でございます。外国人登録法違反は、実際に住んでないところに住んでおることにして登録をした、こういう関係でございます。 捜査いたしました結果、この女性が強制退去になることを条件に不起訴処分にいたしております。
○安宅委員 重ねてお伺いします。そのままここにいてください。 その場合に、どういう手段をもってそういうことをあなたはできたのか、やったのは朴商敏という、夫に身がわりになった男、これは日本におったわけですが、あるいはすでにいなかったのか、そういうことを手助けした人はどうなったかというところまでは調べなかったのですか。どうなんですか。
○伊藤(榮)政府委員 先ほども入管局長がちょっと御説明申し上げておりましたけれども、この石順男という女性は、日本へ来るための手段といたしまして、韓国に日本渡航あっせんブローカーみたいな者がおるようでございまして、その者に頼みまして、韓国人の李という者が宮島氏に成り済まして、そして日本大使館から日本人としての旅券をとり、さらに今度は、その宮島こと李と、この石順男が結婚したことにいたしまして、日本大使館経由で婚姻届をして、そうして二人連れ立って日本へ入ってきた、その入ってくるについて、田之上が査証担当の大使館員で査証を発給した、こういうことのようでございまして、わが国において神戸地検がいろいろ捜査したわけでございますが、その宮島の名前を使った李某という者、あるいはこれをあっせんしたブローカー、これはすべて韓国でつかまっておったようでございまして、その点は調べができなかった、こういうことでございます。
○安宅委員 それで外務大臣、これはもし、そういうことは、鄧小平さんと会うくらいな人ですから細かいことはよくわからぬというのだったら、そういうことで結構。つまりチェックする機関ですね。韓国の政府は、本来ならばソウルの日本大使館に対して――昭和二十八年ごろに亡くなっているのです、この宮島稲蔵という利用された人は。十数年も投げておいているのですよ。本当は届け出なければならない、日本で言う市町村のどこでするのか、政府機関の当該セクションでね。それをサボっていて、そうして日本にもぐり込ませるときのすりかえの人間にプールしておくといううわささえあるのです。ブローカーとあっさり言うけれども、ブローカーなんというものじゃないのです、この人たちは。そのときに、日本人としての旅券を発行しているのですからね。 その女がやったと、いま刑事局長おっしゃったけれども、鳥取市の戸籍謄本をどうして女がとれるのですか。たとえば一緒に来た李何がしという男がとりに来たとしても、どうやってとりに来たのですか。そのやり方などもはっきりしてもらわないと困る。そういうことをやれるような仕組みになっているのかどうか。これは詳しく外務省の方から、もともと旅券なんか、特に査証を含めて本来外務省の所管事項なんですから、外務省から答弁願います。
○塚本政府委員 お答え申し上げます。 在韓日本大使館が、昭和四十八年三月二十六日の段階で宮島稲蔵に対し旅券を発給したことは事実でございます。しかしながら、そのからくりについて必ずしも明確化することができずに、要するに、書類審査、それから写真、申請書という要式行為が整っておりましたので、それをもって旅券を発給いたしました。
○安宅委員 もう一つ、そういうことをごまかされるのを防ぐチェック機構はあるのかと聞いているでしょう。どういう仕組みかなっているのか。事実上ないのですか。
○塚本政府委員 チェック機構という格別なものはございません。
○安宅委員 これは刑事局長にぜひ聞きたいのですけれども、いま言ったようなことを、ではどういうことをやって戸籍謄本を持っていったのか、それを調べなかったのかどうか。法務省はそれを知らないでおったのか。この人を処分するときにそこまで調べないで処分しちゃったのかどうか。行政処分する側の法務省の方では、ごまかしてやれるどういう方法があるのかと、重大な関心を持たなければならないと思うんですけれどもね。だから、私は、さっき手続上の問題や女がおったからとかそういうことだけで停職二カ月というのはおかしいじゃないかと言っているんですよ。そういうところをどういうふうにしたのか、はっきりしてください。日本にとりに来るんですからね、そうでしょう。郵便でやってでもできるのですか。
○香川政府委員 戸籍法におきましては、遠隔地にある人等の戸籍謄抄本の請求の便宜のために、郵便による請求、郵送による交付を認めております。(安宅委員「この場合を言っているんです」と呼ぶ)この場合につきまして、きのう突然御質問があるように承りましたので、急ぎ鳥取の地方法務局を通じまして鳥取市について調査いたしたのでございますが、謄抄本関係の請求書あるいは交付簿は保存期間が三年になっておりまして、この当時のそういった書類は一切廃棄されておりまして、だれからどういう形で申請があったかということは、遺憾ながら調査できなかった次第でございます。
○安宅委員 あなたの方にそのいきさつを、はっきりする資料を出せと言ったら出しもしないで、そして入管の総務課長に頼んでよこしたですよね。そういう態度なんというのは本当に普通の官庁ではないですよ。法務省なんてそんなに偉いんですか、私は驚いたんだけれどもね。突然の質問がありましたからなんて、突然も何もないじゃないですか。あなたの方は本当は、こういうことがあったならばその対策をどうするかということをやらなければならないのに、私のところに説明に来た人は、往々にしてこういうのがあります、もっとひどいのは、日本の中に密入国をしてきた人たちが、在日韓国居留民団などの団体やそういうところで知っているものですから、知らないことにして、戸籍を抹消しないでおいて密入国した人に皆分け与えていると言うんですよ。そうして今度は、在日韓国人に成り済まして、別な名前で写真を張りつけて外国人登録をやっている者がたくさんあるのですよなんて、私の部屋に来てけろっと言っているんだものね。もう日常茶飯事だ、こんなのはあたりまえだと思っているんですよ。 だから、法務大臣と外務大臣、こういうことについて、綱紀粛正なんて言葉だけでなくて、どういうふうにしたら防げるかという具体策について、どういうふうにするということを私に報告できるかどうか、協議してでもいいから答弁してください。
○古井国務大臣 いろいろなことがあり得る仕事だと思っておるのです。おるのですけれども、私も御案内のように新米ですし、そういう仕事だとは思っておりますけれども、こうだああだ、こうしたらいいというところまで考えが十分に熟しておりませんが、これからあり得ることだと思いますから、よく検討して間違いが起こらぬように考えたいと思っております。外務省の方とも御相談したいと思っております。
○安宅委員 これ非常にわからないのは、法務省側の報告では、今度正式に死亡通知が来たと言うんですね。宮島稲蔵という、鳥取の出身で戦前行った人なんですよ。忠清南道だかにおった人なんです。広く農業をやっておったそうです。この人が、資料がありますが、昭和二十五年でしたか二十八年だかに亡くなっている。それで、この事件が起きてからでしょうか、何かよくわかりませんが、大使館からそういう通知が来たと言っています。韓国大使館だかあるいはソウルの日本大使館だか、それはわからないのですがね。ところが、あなたの方の報告は、その親戚縁者の方から、つまりもっとはっきりわかりやすく言えば、鳥取の本家からだな、そっちの方から報告を受けています、届けが来ました、そういうふうに言っていますものね。あべこべなんですがね。これはどっちが本当なの、入管の人。
○香川政府委員 お尋ねの宮島稲蔵は、御指摘のとおり昭和二十八年の四月十日に死亡しておるよでございますが、その届け出がなされないまま推移いたしまして、昭和五十一年の三月十一日に、この稲蔵氏の弟の宮島清治から大使館に死亡届けがなされまして……(安宅委員「どこの大使館」と呼ぶ)韓国大使館でございます。そして、大使館から五十二年の三月三十日に鳥取市にその届け出書が送付されまして、鳥取の市役所におきましては、地方法務局長の許可を得まして五十二年の五月二十二日に死亡届け出書を受理して戸籍を消除いたしておる、かような状況でございます。
○安宅委員 さっきちょっと触れたのですが、戸籍をごまかして、死んだ人に体ごと成り済まして、在日韓国人の中でもそういうのがいる。それから、日本人の死んだのは、韓国ではそのままずらかしておいて、対日工作にもぐり込ませるためにプールしておく、こんなことが往々にしてあるのじゃないか、私はそういうふうに非常に大きな疑惑を持っておるのです。だって、幾らでもあると言うのだもの。どうですか、そういうことについてそんなことないと思いますとはっきり言えますか。
○塚本政府委員 外務省といたしましては、その後そういう……
○安宅委員 いやいや、外務省じゃないですよ。法務省、法務省。
○古井国務大臣 本当に間違いないようにしなければならぬですけれども、それじゃ絶対に間違いないようにこれからやれるかと言われると、ちょっと私もそこまで大口はきく自信はありませんけれども、あり得ることだから、極力間違いを起こさぬように策を講じていきたい、こう思いますので、御了承願いたいと思います。
○安宅委員 古井さん、あなたを激励したくて私来たので、どうも人がいいものだからあと言えなくなっちゃってね。 それなら、実際入管行政をやっておる局長に聞きます。 当時、田之上君だとか大都君だとか、その前の池上君だとか、その後もいろいろ歴代の人々が査証事務を韓国の大使館でやっておる時代のうちでも、この二人のいる時期に韓国の日本大使館に現地採用の職員として採用をしておったそういう職員の中――職員というのは短い期間中であっても数名おります、そのうちの何名かが何かの便宜を計らってもらって日本に来てはおりませんかという資料を外務省から出してもらったら、いまどこにいるかわからない、不詳ということで来た李丙隠という者、出入国の状況などすべて詳細不明というばかげた報告が来ているのですけれども、これらこそ一番危ないのですよ。観光を目的にして、帰っていったとか、みんなあとは書いてあるけれども、この男のだけは出入国の状況、詳細すべて不明。こんなことあるでしょうかね。常識で考えられない。どうなっているのですか。こういうのが一番危ないのだ。
○塚本政府委員 御指摘の点につきまして、せっかく調査いたしたのでございますが、一九七四年八月まで大使館に勤務いたしておりました。(安宅委員「いやいや、日本における行動」と呼ぶ)自来、日本に入りましてからは、残念ながら外務省側としてはその情報を持ち合わせておりません。
○安宅委員 日本におけるものが詳細不明で――出入国は全部法務省で事実上扱った、そうでしょう、出国するときなんかも。それは外務省が不明で、法務省と打ち合わせてそういう回答をよこしたのと違いますか。どうなの、法務省ではつかんでいるの。
○小杉政府委員 お答えいたします。 在ソウル日本大使館に勤務しておりました現地補助員の件につきましては、外務省に対して資料要求があった事実は私は承知いたしておりましたが、その方たちの出入国歴については、実は私ども調査いたしておりませんので、はっきりしたことをお答え申し上げられません。
○安宅委員 もうきょうはそんなもたもたしていてだめだから、きょうなんて言わないから、大至急どうなっているのか報告してください。いいですね。よござんすか。――よござんすかと言ったって返事もしないんだもの。どうなの、これ。うなずいただけでは議事録に出ないんですよ。まあ、うなずいたからいいよ。 それから、私非常に心配するのですが、徐晶珍という女の人ですね。これは大都君が便宜を計らった人ですね。この人の日本に来てからの行動を、私ずっと要求した資料によって精密に調査してみたのです。法務省の報告としては、この人は、服飾学院ですな、そこに入校するんだと来ていながら、ほとんど学校に行っていないのですよ。そしてときどきは母親が病気だとかなんとかいって往復しているようですと、こう言っていましたが、この人の出入国歴を全部報告してくださいと言ったら、大都君と関係のある分の期間しか報告してよこさないのですよ。そうじゃなくて、この人は前から日本に何回も来ているのじゃないですか、もう一回調べてくださいと言ったら、今度はずっと前からの分を出してきた。大変な回数です。昭和四十一年ころから十五、六回行ったり来たりしているのです。そして定期的に帰っています。夏休みと正月休みはソウルでとっているようですね。これは国家公務員が内国、外国とを問わず勤務したときの、たとえば学校の先生なんかそうですね、そういう休暇のとり方です。母親が病気だなんて、そんなに都合よく定期的に病気するわけはないのだから。大都君を調べた結果、それ以上のことは聞いてないのですね。そのころは、昭和四十一年ごろなんというのは韓国では外貨事情が非常に苦しいものですから、流出を防ぐために規制しておいて、先方の国からの身元保証をしてもらえるとか、金銭面でも滞在費とか生活費一切めんどう見てもらえるとかの条件を満たさなければ、一般の人々は出国も旅券交付も不可能な時代だったのですよ。だから、十何回なんて行ったり来たりして、しかも夏休みと冬休みとそれぞれ分けて行ったり来たりしているというのは、特殊な人でなければだめだ。外務省なり法務省なり、私がいま言ったようなことはそのとおりだったというふうに言えないでしょうか、どうです。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。 この徐晶珍という女性が確かに日本にかなりの頻度で昭和四十一年以来入国しておりますが、私どもが聞いておるところによりますると、この方のお父さんという方はかなりの資産家であったようでございまして、そのような意味で恐らく日本への渡航の費用等には一切困らなかった女性ではないのかというふうに考えております。
○安宅委員 それでは引き続いて質問します。前の女性の人は強制送還されましたね。これは強制送還の措置をとってないのは、私、素人ですからわかりませんが、教えていただけませんか。どういう理由ですか。
○小杉政府委員 お答えします。 この徐晶珍という女性自体の在留態度と申しますか、それには別段おかしなところはない。確かに学校に通っていなかったとか、あるいは研究所において司書としての業務を営んでいなかったというような事態はございましたが、いわゆる非違行為と申しますか、違法行為のようなものは一切なかったということでございます。
○安宅委員 その人が違法行為なかったら、大都君が処分されるはずはないんじゃないでしょうか。そうじゃないですか。違法行為ない人のことを正式にぴしっとやってくれたから処分されたのじゃ、大都君は浮かばれないのじゃないでしょうかね。この人は本当に違法行為ないのですか。
○小杉政府委員 これは結局、何と申しますか、大都が絡んで、本来ならば大都が見逃してはならない、むしろ当人に対して、虚偽の住所で申請するのはいけませんよとか、あるいは東京で本来の場所で申請書をお出しなさいというような行政指導をすれば恐らく当人も聞いたであろうと思われるような状況のもとで、入管の幹部職員たる大都が非違行為を行ったということでございます。
○安宅委員 非常におかしいことがたくさんあるんですね。大都君が最初入国をさせた四十九年五月十八日の入国のとき、入国目的は東京高等技芸学校入学のためとなっていたのですけれども、学校にほとんど行っていないですね。そうでしょう。それから第二回目のときは、金山政英氏が経営する三田一の五の三にある国際関係共同研究所で研究するのだという理由だったのですが、金山さんの話だと、二、三回しか来ていないそうですよ。それからあなたの方の報告だと、二、三週間しか来ていない。初めて報告したときは、五カ月ほどはまじめにおったけれども、後は来ていない。皆違うのです。つまりこの人のことは使った金山さんが一番詳しいと思うのですが、二、三回しか来ないそうですよ。そしてこの人はその間何をしておったのかということは、もう大都さんが資格審査課長なものだから、大都さん以外にはだれも知らなかったということなんでしょうかね。そういう人を、東京入管などもあるのですから、実際そういうことを履行しているかどうかということを調べる機構というのはないのですか、どうなんですか。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。 チェックする機構と申しますか、いわゆる実態調査というようなことがケースによっては行われるわけでございますけれども、今回の件につきましては、その実態調査が行われなかったケースになったわけでございます。 と申しますのは、期間更新申請の理由書等申請関係の書類が非常に完備しておりましたこと、また、この女性の入国に当たりましては事前に入国審査を行っておりまして、いわゆるクリアランスを与えて入国させた者につきましては、よほどの理由がない限りは実態調査はしないというのが一応の取り扱いになっておる、そのケースに当たっておるわけであります。 さらに、東京入管といたしましても、担当職員の不足もございまして、すべてのケースについて実態調査をやるというのは実は事実上不可能でございますので……。
○安宅委員 金山さんが身元引受人で、外交官上がりで大使までした人ですから、そういうことを知っているはずなんだ、あの人は。二、三回しか来ない、この人、後いなくなったんだから知らないなあと言っているんだな。そして、その話を聞いたら、私の知る範囲内では、いやそれは崔書勉という人からおれは頼まれたので、図書館の書類整理か何かに、で、大都君に頼んだらこの人を推薦してよこしたから、保証人ぐらいなってくれと言われたからなっただけだ、こういう返事なんだ。これはちょっと少し、無責任だと思うんですよ、この人も。 まあそれはそれとして、崔書勉という人から頼まれたというので、私、この人は金山さんも保証人だというところで非常に特別な便宜を――何回も何回も来ているし、定期的に来ているんですから、観光じゃないです。そして沖繩の海洋博のときなんか、韓国からたくさん来た人の案内なんかしておったそうですよね。そのときに、実は大都君がうまくやってくれたというのがそこに出てくるわけですから。こういう東京に住んでいながら沖繩の住所になっておった、期間更新の申請書は。そういうのがさっきはっきりわからなかったけれども、それが一つの大都君の手落ちに数えられているんですよ。そういうことをやっているんですね。本当は研修なり学校に入っているはずなのにね。 私は、崔書勉という人、一体なぜここをうんと気にするのかということについて、ぜひ確認しておきたいことがあるんですよ。これは法務省でも先刻御承知ですが、崔書勉という人は、一九四七年十二月二日に韓国民主党の張徳秀という人を暗殺して、翌年死刑の判決を受けたところの崔重夏と同一人物である。崔氏は、一九五七年六月ごろ日本に不法入国したことは入管の調べでも明らかにされている。昨年三月、当時の吉田入管局長が参議院内閣委員会で、衆議院でも私やったことがありますが、参議院の内閣委員会で社会党の野田哲氏に答えたところによると、法務省入管局としては強制退去手続をとったけれども、政治亡命を理由に日本在住を希望したため、一九六〇年六月、法務大臣の特別在留許可をおろした。しかし、その後一九六八年八月に訪韓した際、日本円やドル小切手など総額約三千万円以上の金を韓国に持ち込もうとして、金浦空港で発見され検挙された。このとき検挙されたときに、指紋の照合から、服役中に行方不明になったテロ犯人崔重夏であることがわかって、刑期もまだ残っていることが当然わかり、翌年、日本の最高裁に当たるソウルの高等法院で、残りの刑期については執行取り消しの判決を受けて自由の身になったようだけれども、そのとき韓国の中央情報部、KCIAの協力者になることを約束したと言われている。私の調べによると、崔氏が日本に不法入国する際、カトリックの尼さんの服装をして、言うなれば男が女に化けて、そうして米軍機で米軍基地に入ってきたと言われている男なんです。 さらに、一昨年の一九七七年十一月、韓国で維新政友会の、これは朴大統領のまあ与党中の与党みたいなものですが、金三峰議員が追及したところによると、崔氏は韓国政府から多額の資金援助を受けて対日政治工作、文化工作に当たっており、第二の朴東宣ともうわさされているような人だ。 金山氏は、この崔氏が代表取締役をやり韓国政府からも補助金を受けている韓国研究院、または図書文献センターに役員として参加している人で、同じ場所にみずから所長となって国際関係共同研究所をつくり、ここも韓国政府から援助を受けている。国税庁は、ここに使途不明金があって調査をしたことがあるはずだ。 これは、そういう事実について違っておったならばどなたかが言ってください。違っていなかったなら違っていないと、だれか代表して話してください、国税庁もありますから。――国税庁いなかったらいいですよ、確認になっているはずだから。
○毛利委員長代理 答弁を急いでください。
○古井国務大臣 どうも即答ができないようですから、また調べて御返事をするということにしたいと思います。
○安宅委員 だんだん、時間が大変損しちゃった。 金大中氏事件のときなんかも相当金山さんなんか動いていますし、表に出る動きでない動きを知っていますし、私、心配なんですが、外務大臣どうですか。こういうのは外務省にああいうところに勤めることについてはある程度了解を得たり――当時ですよ、あなたが外務大臣じゃない、ずっと前ですから――あったんじゃないかと思うのですよ。なかったとしても、元大使をした人が何か問題を起こしたりするそういうところの代表などにいると、元大使さんがいろいろ誤解を生んだりすると悪いからやめたらどうかというような、勧告とか何かする気はないですかね、どうですか。
○園田国務大臣 私は、二つの問題、入国査証の事務上の問題で、事務上の綱紀粛正だと聞いておりましたが、だんだん話を聞いておると、いろいろ考えなければならぬ問題があるようでありまするから、十分事実を聞いた上で、もう一遍考えてみたいと思います。
○安宅委員 法務省はどういう考え方を持っていますか。まずいなと思いませんか、大臣。
○古井国務大臣 事実関係については先ほど申し上げたとおりでありますが、それから、これからこう締めていく問題については、初めにも申し上げましたけれども、きちっとやっていくように、厳重にやっていくようにしたいと思っております。
○安宅委員 私、どうしても心配だと言った、次の問題があるのですよね。やっぱりこういうのは背景が広いのですね。ですから、スキャンダルとか手続上の非違とか、そういうところだけで処分するというのは本来かわいそうだと思うのですね。本当に単にそれだけだとしたら。書類に住所と職業を書いてなかったからだなんて数え上げまでされて、重箱のすみをつつくみたいにね。法務省のプロパーの入管職員というのは、国家主権を非常に幅広く委任されているみたいな重要な仕事をしているのでしょう。こういう職場なんですから、何とかひとつ、こういう二人の処分を契機にして、人事の画でも、そういう根っからの法務省職員が将来希望が持てるように考えるとか――たとえば上層部には検事さんとか外務省の人がほとんど来ているでしょう。だからうだつが上がらない、ばかくさいということで、そしてこの人たちが赴任するときというのは在日の韓国人の団体、正式に名前は名指ししませんけれども、あるいは個人、こういうところからの歓送会なんというのはすばらしいものだそうです、酒ずくめでね。そしてまた、向こうへ行ってもそのとおりで、志操堅固だったけれどもこういうふうになってしまうというおそれは十分にある。さっき大臣がおっしゃった法務省の管総第一六八二九号、五十三年十二月二十七日付、入管局長吉田長雄名の通達にも、誘惑の多い仕事だとはっきり書いてある。だからそういう人々の、本当に重要な職務をやりながら、どうしてもこういうことに陥りそうな職場というものを引き締めるためにも、第一線の人々の士気の高揚というものを、そういうことを新しく大臣になった古井さん、ぜひひとつ具体的に、国会で答弁するなんていうだけじゃなくて、そういう立場で臨む決意があるかどうか、具体的な手段を講ずる意思があるかどうか、これを聞きたいですよ。
○古井国務大臣 お話を伺って、ますます認識を深めたように思います。先ほど来申し上げておるように、どうもあそこは間違いが起こりやすい場所のようにも思えますし、考えてみなければならぬ。いままでも若干そういうことで部内で話をしてみたりしておったこともあるのですが、いまの人事のたてまえなどにも関係があるかもしらぬし、これはおざなりというだけでなしに、本当によく検討して、是正する道があるならば少しでも是正していく努力をしたいと思っております。
○安宅委員 法務大臣、さらに、いろいろあなたが発言して問題になって非難があるようですけれども、韓国に対する過剰サービスという言葉を使っていろいろ非難があったようですね。しかし非難があるときは激励もあるものです。それで、これは具体的に言うと過剰サービスの典型みたいなものですな、大臣。ですから、何もいきなり冷たくしろなんて言いませんが、少なくとも世界の一つの外交上の基本といいますか、そういうところまで並行ができるような処置をあなたがやらなければならない。残念だけれども、朝鮮労働党を日本社会党が招待した、そのときは前向きに検討すると初め言っていた。外務大臣もそう言っていた。ところが、古井さんの方ではいつの間にか、必死の御進講があったのかどうかわかりませんけれども、厳しい条件をつけなければならないなんて変わっちゃった。あなたは中国の問題などで、国交回復の問題や交流の問題などで党内外から非常に非難をこうむって、除名問題が出てきたり、いろいろな経歴を持っている人です。その経歴を乗り越えて、非難を乗り越えて、そしていま光栄ある日本の法務大臣をなさっている人ですから、言うならば非常に古い考え方を持っている、風潮を持っている入管行政というものをびしっとするために、あなたは落下傘部隊でおりていったみたいな人だ。勇気を持って、非難があるときには激励もあるものだ、政治家として信念を押し通してがんばってもらいたいと思いますが、答弁要りません。よろしく頼みますよ。 外務大臣、そういうことについて、いろいろこういうことを韓国では知っているわけですね。うまくちょろまかせれば何とかなるなんて考えているかもしれませんし、そんなこと考えていないかもしれませんね。ですが、日韓癒着という言葉は非常に、いいか悪いかは別として、流行語みたいになってしまって、どこの国でも知っている。余りに密着し過ぎている。特にアメリカ政府などは、あるいはアメリカの上院、下院を含めて、フレーザー委員会の報告が出たり、いろいろなことが最近やかましくなっている。もちろんダグラスもグラマンも重大なことですよ。だけれども、癒着させるその根源、手段方法をやれるところがここなんですよ。ですから、本来これは外務省の職分なんです。外務省がやるべきなんです、旅券を発行することも査証を出すことも。ソウルの大使館では、現地の職員の女の人と、それから法務省から査証係として行っている一等書記官と、本来外務省の職員である旅券を出す方の外務事務官ですね、一等書記官と、三人が旅券査証部を構成しているのだそうですよ。だから、その女の子が受け付けたらそれを信用するほかないのですね、書類審査だから。だから、たくさんのものですね。これはブラジルも多いしそれからアメリカも多いけれども、この辺の周辺では韓国が一番多いですね、大使館限りで発行する旅券は。本来は本省でやるべきものをやらなければならない。こういうときにいろいろな便宜が図られるのだというようなことが流布されているから、私は決してブローカーではないと思いますが、そういうにせ旅券をできるような組織なりそういうことが、こんなことはちょっとの狭い組織ではできません。それが一般のようにしてできていることを諸外国では知っているのじゃないでしょうか。フレーザー委員会からベッチャーさんを初め両方全部調査したときは、そういうこともいろいろあったと言っています。ですから、日本の外交の威信を回復するためにもこういうものはびしっとしなければならない、私はそう思っているのですが、決意のほどを外務大臣から伺っておきたい。
○園田国務大臣 非常に大事な問題で、安宅さんの御心配されることもよくわかりまするし、話の内容の中でもなるほどなと思うところもありますので、大事なところでありますから、いやしくもこういう問題が、事務上の不正、さらに大きななあなあのなれ合いでいくようなことがないように、十分注意をして、さらに検討をいたします。
○安宅委員 国家公安委員長にお伺いいたします。 話をお聞きになりながら感じたと思いますが、たとえばにせ旅券をつくってもぐり込んできた人がどっちへ行ったかわからない、あるいは外務省で把握してない、法務省では把握してない。元ソウルの日本大使館の仕事をしておった現地採用の補助事務員といいますか、この人々が何らかのいろいろな目的で便宜を計らってもらって日本に来ている中にも、どこにいるか詳細不明などと国会に報告せざるを得ないような立場にある。この人たちは、いま言った二人の入管の職員は幹部ですよ。特に大都君なんていうのはそれ以上上に行くポストがない、法務省プロパーの職員としては一番最高の地位にある人です。その人あたりがやっていてですからね。密入国した人が前にどこかのおっちゃんが死んだのを適当にやっているのはたくさんあるんですよと、その部下が来て私に平気で言うような雰囲気というものは重大だとあなたはぜひ感じてもらいたいし、そのためには、KCIAの組織は存じませんなどという――きょうはあの人、山本さん来ていますか。――来ていない。来るように言ったのだけれどもな。来てなければいいわ。警備局長でもいいですが、警察庁、警察当局と法務省、外務省と連絡を密にして、本当にこっちに来て靴の木型をつくる内職をしているとかなんとか哀れな人がおりますね。それも違反でしょうが、だけれども、こういうずけずけと土足で日本が踏み荒らされるようなことをしていると思われるような者はぴしっと締まれるように、古井さんと園田さんと本当に協議してぜひやってみたい、こういう決意を表明することはできないでしょうか。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
○澁谷国務大臣 お答えいたします。 法務省、外務省とも十分連絡をとって、とにかく御指摘のような点があることはまことにこれは遺憾でございますから、そういうことがなくなるように十分対処をしたいと考えております。
○安宅委員 どうですか、本来旅券発行というのはやはり査証を含めて外務省の責任なんですよ。外務大臣、具体的にそういうことを省内に命じて、協議機関をつくらせるなり、そういうことを主導的にやるという気持ちはありませんか。
○園田国務大臣 私が委員会で答弁したことは、直ちに具体的に何らかの方法で実行していることは、長いつき合いの安宅さん御承知のとおりでありますから、本件についてもここの答弁で打ち切りとはいたしません。
○安宅委員 警備局長おいでになっておるようですけれども、私、金大中事件のときの膨大な議事録をざっとここ数週間、睡眠時間を減らしても読んでみました。情勢が非常に変わっているからだということもありましてね。それで、その中でたとえば、江崎さんおられますけれども、江崎さんが国家公安委員長でしたね。KCIAの行動などを厳重に監視いたしまして、それで断固として摘発してやらなければなりませんなんて言っておき、政府委員の、いまの長官の山本さんは、東京にいるKCIAなるものの実態はわかりません、内容は存じ上げておりません、まるで木で鼻くくったみたいな答弁をしているんですよ。大臣は一生懸命摘発すると言う。知らないのに摘発できっこないでしょうと思いましたが、いまあの議事録を見ると、とんでもない筋の合わないところがあるんです。ですからそういう意味で、こういうもぐり込んできたとか、そういうことをやっている組織などは、もう一回金大中さんの事件なんか起きないようにという気持ちも含めて、ただいまの話を聞いておったならば、警備局長、警察庁を代表して、断固としてそういうことについては協力する、こういう意思があるかどうかお伺いをしたいと思います。
○鈴木政府委員 お答えいたします。 所在不明者あるいは密入国者、こういった問題につきましては、ある意味においては日常茶飯的に日々各県に起きておることでございまして、ケース、ケースに応じてそれぞれ各県警が力を尽くしてやっておるところでございますが、きょう御論議のそれぞれの個別ケース、そういったものを含めまして、いわゆる所在不明でもいろいろの性格がございます。そういった面につきましては、ひとつ十分関係当局と連絡をとりながら、県警にまた督励し、それぞれの手続で進めてやるように努力したい、こう思っております。
○安宅委員 最後になりますが、金大中氏の事件のことについてぜひ総理を初め閣僚の皆さんに私は要請をしたいという立場で、きょう質問台に立ったわけであります。 膨大な議事録をずっと読んだと私は言いました。いろいろその中の代表的なものを抜き取ったものから、私がやったものから持ってきたんですが、その中で総理大臣、金大中さんの事件が起きて拉致された直後あたりのあなたの発言と、いわゆる政治決着というんですか、つけようとなさった、つけられた後の発言というのは、天地雲泥の差、月とスッポンの違いがあるんですね。つり鐘とちょうちんぐらいの違いがあるんですよ。これはそういうふうに決定になったんだから仕方がないと言えばそれまでだけれども、たとえば昭和四十八年八月二十九日、わが党の堂森さんが外務委員会で、いろいろあなたの態度があやふやになってきた時代ですから、心配で、事なかれ主義で何か変わるんじゃないのかという質問があったときに、あなたは「本件をうやむやにいたしまして事なかれで当面を糊塗しようということは毛頭外務当局といたしまして考えていないわけなんでございまして、先ほどからも申しますように、この事件の実相を解明いたしまして内外の納得のいく解決をしなければならぬとせっかく考えておるわけなんでございまして、私どもがこれを事なかれ主義で何かうやむやにしようというようなことを考えておるとあなたが御理解でございますならば、それは改めていただきたいと私は思います。」大変珠玉のようなりっぱな言葉です。強い言葉です。相当怒って回答した言葉だと私は理解しています。それがいつの間にか、政治決着というものの実態は、メモランダムさえもない、ましてや外交文書もない、口頭であやふやな、金大中さんの自由というのはどういう自由なのか。それが別件逮捕などはしない、別件で起訴はしないと言っているのに、いま別件の選挙違反でやっているでしょう。だからそういういろんなことがずるずるおかしくなってしまったでしょう、あのときの政治解決の結果。 この間コーエン教授がソウルに、金大中さんが拉致されてから初めて行ったんですね。この人は非常に大きな力を持って、金大中さんの拉致事件というのはこれは不当なものだと言って叫び続けてきた人ですけれども、ハーバード大学の研究員として招いた。そうしたら金大中さんいわく、私だけじゃなくてたくさんの人々がいまわが国ではそういう政治的な立場で拘留されている。私だけではない。ただこの事件、連行事件というものに関してもいろいろ、アメリカあたりからとは書いていませんが、日本の政府とも書いていませんが、新しい事実が出てきており、日本政府が当初の約束どおり原状回復を実現すべきだ。出国には、あくまで人権問題としての原状回復が前提となる。つまりアメリカに招待されるよりも日本に原状回復の金大中として行くのが筋が通るんじゃないか、こうまで言っておられるんですね。 そういう意味で総理大臣にお伺いいたしますが、きのうですか、鄧小平さんと話して、何か南北統一の場合に韓国の話も頼まれているんでとおっしゃったとか言わないとか言っていましたが、そういうときには、お互いに身軽になってやろうじゃないか、こういうようなものはきちっともう、あれが政治的解決だったら、原状回復ということで、大きく騒ぐというよりも、ちゃんとしたもとに返すような、そういう方法でひとつ南北統一の話し合いもやったらどうか、日本政府はそれを望むぐらいなことは、中国に頼む前に、やっぱり韓国にも話をしながら、少なくとも原状回復を初め五つぐらいの条件を、八月の中旬ごろ私が質問したときもあなた言ったんですからね。KCIAの日本にいる組織、そういうものを調査しまして報告いたしますと私に言っているんですよ。そうすると、警察庁のあのとき警備局長だったかな、いまの長官は、KCIAなんか存じ上げておりません、これだからね。そういうような雰囲気ではない時代になってきた。どうですか、いま言ったようなことぐらいはやれるようにそういう情勢が変わってきたと思うし、やられる気はありませんか。
○大平内閣総理大臣 政治的決着は、それまでの捜査当局の捜査によりまして、韓国の公権力がわが国の主権を侵したという証拠をつかむに至らなかったということでございますので、両国のおつき合いというものをこのために遷延いたしておくこともいかがかということで、政治的にはこの問題の決着を図ろうということにいたしたわけでございます。 しかしながら、たびたび申し上げておりますように、新たに証拠が出てまいりました場合には問題の提起をすることがあるべしということになっておることは、安宅さんも御承知のとおりでございまして、ただいまのところそういう証拠が挙がってきておりません。したがって、いま、わが国として政治的決着をつけました以上、この問題を提起するということは信義の上からできないわけでございます。
○安宅委員 それは当時の情勢を考え、当時の日韓の国交といいますか、正常な状態が壊されるのではないかということを配慮して、あのときにはいいか悪いかは別です、私は反対でしたがね、そういうことをなさったが、いま南北の自主的平和統一という話し合いが結ばれようとしている。日本と中国が平和友好条約を結ぶ、いま鄧小平さんがアメリカに行って帰ってきた、そういう状態。アジアの極東の情勢というのはあのときとは大変違うのですね。南の韓国の方だって経済状態が、これは自転車営業で大変外債がべらぼうな金になっておりますけれども、とにかく経済の水準はあの当時よりうんと上がっていますね。それは虚構であるか実際にいいのかは別として、経済学上。だけれども、そういうふうになっている時期ですからね、お互い両方とも、日本も朝鮮の民族も中国の人々もアジアが平和であってもらいたい、そういうときに、わだかまったようなそういうことは、国民感情として残るようなことはしない方がいいんじゃないでしょうかね。政府だけですよ。だれだっておかしいなと一般の人は思っているんです、大部分の人はね。代表して発言を強硬に言っているのは――そのとおりだと思っている人もいるかもしらぬけれども、強硬に権力を代表してやっているのはあなた方しかいないのですよ。金大中氏事件はもうあのままでいいんだなんて考えている人はいない。日本のマスコミを初めみんなそう考えている。アメリカだって、フレーザー委員会、この間出されたこれを見ても、いろいろなことを書いてあるでしょう。アメリカでは、私は栗原先生と二人でアメリカに行きましたよね、あのときフレーザー委員会に行った。ベッチャー主席を初め、日本と韓国に行っておった若い事務局長がおった。ぴしっとした人でしたよ。だから、金大中事件というのは、アメリカのCIAの方でさえKCIAがやったと認めておられるようだけれども、書類は出せないでしょうねと言ったら、それは出せません。そんなことは認めていませんなんて言わないですよ、書類は出せませんと言っただけですね。そういうことが世界的な常識になっていったときに、一たん決めたことだからと、情勢が変わっても、どうしても今後ずっとやっていくつもりだなんというかたくななことを言ったら、いまのような事件が起きる基礎がまた醸し出されてくる危険があると私はそう思っている。重大な、もう一回考えてみるというような、そういうところまでいくかどうか知らぬけれども、今度あなたが総理として権力者になったのですからね、そのことについてよくいろいろな人々と話してみたいということぐらいは考えていませんか。
○大平内閣総理大臣 せっかくの御要請でございますけれども、政治的決着をつけた場合の両国政府の間の了解は、わが国の主権を韓国の公権力が侵したという証拠が出てまいりましたならば問題を提起いたしますということになっておるわけでございます。そのこと以外に、情勢が変わりましたらまた取り上げることがあるべしという了解にはなっておらないのでございます。非常にかたくななようでございますけれども、そういう外交信義の上から申しまして、政府として有権的にこれを取り上げるという立場にないことは、たびたび私が申し上げておるとおりでございます。
○安宅委員 大平さん、証拠が上がらない、証拠が上がらないとおっしゃるけれども、金東雲の指紋をとったということは決定的なものじゃないですか、本来。それを持ってきて、そしてあなたは公権力としてやったのか個人としてやったのかとかそういう取り調べを受けて、そしてどうなるかということがはっきりする。あれは国際法上の慣例からいったら、それだけでもたくさんだという学説さえあるのですね。いまはもうみんな全部逃げてしまったんだからしようがないんじゃないですか。これ以上証拠なんか出るわけがないじゃないですか。警察庁が幾ら特捜本部なんかつくって看板だけ掲げておったって、犯人皆向こうへ行っているんだもの。しかも外交官特権を持っておった人でしょう。どうしたら証拠が上がるのですか、そんなことを言うけれども。お月様を取ったならばこうしますというのと同じことじゃないですか。お月様どうして取れますか、ロケットで行って取ってくる方法も、いま科学が進歩してあるかもしれぬけれども。そういう空想小説みたいな答弁をしないでくださいよ。できないんじゃないですか。どうなんですか、では、このままで行ったら。
○大平内閣総理大臣 ただいままで申し上げた以上に申し上げることはございません。
○安宅委員 園田外務大臣、あなたはこの間ソウルで開かれた日韓閣僚会議でありますかそのときに、北朝鮮との関係はこのままにしておくわけににはいかぬと思っている、こういう発言をなさいましたね。どういう意図で、あるいはどういう感じでそういう言葉をお使いになったのか、当時の心境についてちょっとお聞かせ願えませんか。
○園田国務大臣 朝鮮半島における平和と安定はわが国の重大な関心事でございます。したがいまして、朝鮮半島におきましては究極のところ、南北両方が平和的にお互いに話し合って統一されることをわれわれは期待する。そういう意味で、そういう場面が来ることを期待しつつ、日本は韓国側に立っておりまするものの、そういう環境が来るように努力をしたい、こういう意味で言ったわけであります。
○安宅委員 そうすると、そういう立場に少しでも立たないと総理、金大中さんを何とかしたらどうだなんという世論が起きるというとわあんとなる。日本社会党が朝鮮労働党の代表を呼ぼうなんというと法務省は、いままでやっておった人たちが、労働党における地位が高いとか低いとか、前例があるとかないとか、情勢がいかに変化しようとも、自分の主観と前例などを中心にしてぎりぎり締めてかかっておりながら、韓国のことといったらまるでツーツーだ。ついでに自分の女性まで引っ張ってきてやるなんということに現実になっておるんですね。こういう雰囲気というものを除くためにも、よく考えてもらいたいと私は思っておるのです。 これは何も毎日新聞の受け売りをするわけではないけれども、「金大中事件全貌」というのがございます。ここ一、二カ月前に発行されたものです。ずっと読みました。あなたの発言も出ています。さっき言った強い発言があったということも出ていますよ。非常に私が感銘を受けたのは、この本を出した人たちは、何年間もかかって、あの事件以後記憶を呼び戻させたり、ホテルのボーイさんだとか幾らかでも関係のある人たち、自動車の運転手さんだとかハイヤーの運転手さんだとかいろいろな人々と会って、そしてまとめたものです。そして証言をとっています。 この本に書いてある証言の中で一番圧巻は田中伊三次先生ですね。あなたは同じ閣僚だったわけでしょう田中さん、第六感だと言っていましたね。第六感だが、あれはKCIAというか中央機関というか、少なくとも国家の機関がやらなければそんなものはできやしないよ、こういうふうなことを言っていたけれども、第六感というのは根拠があるんですかというと、第六感は第六感だと言っていたけれども、第六感の根拠というのはあるんだと言っていますね。これはどういうことかというと、はっきり言っています。金大中さんが途中まで引っ張られていったそのときに、世界第一の某大国から、殺してはならぬという通知があったんですよ、私に。決定的じゃないでしょうか、はっきり書いてあるんです。これは証言ですが、口調まで京都弁で書いてありますから、ごまかしたりはしてないと思うんですが、非常にあなたの方でも気をつけて――あなたぜひこれは読んでみてもらいたいと思うんです。法眼さんまでが「外交官のカンだよ」と言って、これはやったな、そう思ったというのです。法眼さんというのは、本当はあなたのえらいブレーンみたいな人だけれども、いわゆる私らとは別な立場の人だとばかり思っていたら、案外そうじゃないですよ。これに協力しているのですよ。ぜひ読んでくださいよ。 世界一流の某大国、いいかげんなそこいらの国じゃないんだ、この国のあれが、拉致するのはやめろとは言わないけれども、殺すなという連絡があった、私に来たんだと言っているんですよ。だからはっきりしているじゃありませんか。国家の主権を回復するというのは、ゴムまりをついたら、またほんと返ってくる。だから主権の回復というものは、金大中さんをあっちに投げたゴムまりにたとえて、たとえ方が悪いかもしれないけれども、この手元にゴムまりが返ってくる、つまり日本に戻すこと以外に君、現状回復ってあるかね、はっきり言っています。その他随所に出ています。これは私、全部印をつけました。 古井さん、あなたは空気を変えるためにも、こんなびらびらの使ったやつを貸すなんといったっていやだろうと思いますから、私、総理と外務大臣に贈呈をしますよ。ぜひ読んでいただきたい。いかに情勢が変わり、ああこの人たちがこういうふうに一般庶民に近いような考え方を持っているのか。政府の一員としてこれ以上言ったらまずいなと思って、政府の一員としておったときには言わなかったけれども、在野におったらきっとそのことを言っている。田中さんなんかはもともとはっきり言っていましたよ。だけれども、根拠まで明かしている、こういうことをあんたはもっと知るべきだと思う、ぜひ園田外務大臣も。法務大臣なんか、特にあそこの入管行政がおかしい限り、なかなかアジアの、特に朝鮮半商のいろんな対策というのはできないと思う。 そういう意味で言うならば、金大中さんの原状回復を含めた日本の主権というものが守られて――それは韓国政府だって国のメンツがあるでしょうから、全部とかなんとか言いませんけれども、少なくともメモランダムも何にもない、口頭でなあなあのうちに、NHKの前の会長の前田さんが吹っ飛んでいったとか、さっき言った金山さんが吹っ飛んでいったとか、そういうものとは違ったきちっとした外交ルートでもってやれるようなもっとはっきりしたものを、日本の主権が少なくとも守られるような、そういうことをやらなくちゃならない時期が必ずあるのではないでしょうか。あなたはいまは変わりはないとおっしゃいますけれども、これを読んだら必ずそうなると思いますが、読まないうちの心境を――私がここまで言っているのですから、田中法務大臣、そのとき法務大臣なんですよ、法律の専門家、弁護士五十年、政治家三十年の経歴から言って、君、国際法も何でも私は知っている、こういう口調で、そうしてあんなもの国家権力がやらなければ白昼堂堂、どこにも引っかからないで韓国まで行けますか、そんなことは常識です。それを回りくどく何だかんだと言っているけれども、それをつぶすのは何かといったら、世界第一の某大国が殺すなという指示をよこしたんですよ、こういうふうにちゃんと書いてある。そこまで言われても政治決着というものを変える意思がありませんか。そういう情勢になるかなと思う気持ちもありませんか。
○大平内閣総理大臣 私は主権侵害について、それに対する疑惑がないと言っているわけじゃないのです。そういう疑惑は広く深くあることは認めますけれども、それを実証するに足る証拠を掌握するに至っていないということでございまして、政府が有権的に韓国政府に対しましてそういうことを持ち出す立場にないということを申し上げておるわけでございます。 金大中事件というのは、一つの人権問題としても、または主権にかかわる問題としても、あるいは外交問題としても、いろいろな角度から大きな問題であると思います。政府はこの主権侵害の問題につきましてどういう措置をとるのだということでございますが、それはこういう考え方で、こういう措置をいたして、そのときの了解はこうなっております、新たな証拠が出てまいらない限り、この問題は持ち出す立場にありませんということを申し上げておるにすぎないわけでございます。
○安宅委員 それならば指紋がとれてもシロだなどという、科学的な捜査と言えるような――日本だったらあんなことを外国に対して言えるでしょうか、どうです、総理。金東雲さんの指紋がとれたでしょう、遺留品の中から。指紋を突きつけられても、わが国で調査したところが、そんなものは無罪ですよ、自白していない、絶対やらないと言っているなどということを主張できるような立場ですか。そうじゃないと思いますがね。どうですか、それは言う方がおかしいと思いませんか。
○大平内閣総理大臣 私、承っておるところによりますと、日本におきましては、指紋などは大変有力な証拠だというように評価されておるということでございますが、韓国においてはそういうことになってないということは聞いております。
○安宅委員 きょういろいろ具体的な法理論から何から時間を食ってやるんなら幾らでもやらなければなりませんが、外務大臣、あなたの感覚を聞きたいのです。コーエン教授というのは、金大中さんが拉致されてからいろいろなことについて入国の申請を何回も出していますが、韓国が許可したためしがないのです。初めて訪問を今度許可しています。金大中さんに会わせています。いろいろな話をさせています。情勢の大きな変化だと感づきになりませんか、どうですか。
○園田国務大臣 金大中事件に対する基本的な方針は、総理がおっしゃったとおりで、外務大臣も当然そのとおりでございます。 御承知のごとく、わが方の捜査当局はまだ継続中で、新たなことが起これば別であります。なおまた、釈放後どのように扱われるのか、今後どうなるのか、これは外交上から言えば内政干渉にわたることでありますから、とかくのことは言えないわけでありますけれども、事の経緯からかんがみて、わが国は金大中氏の取り扱いに重大な関心があることはしばしば表明をし、あるいはまた民間の方々の意見その他は取り次いでおります。わが国が、金大中氏の取り扱いに対する重大な変化があったとは考えません。
○安宅委員 そういうことではなくて、アメリカのハーバード大学の教授が非常に仲がいいのだ、金大中さんのことについて、韓国と別な意見において重大な関心を持っておる人だとよく知っていますから、ハーバード大学イコール反朴というふうにぴしゃっと向こうでは整理しておるくらいなんですから、一番いやなコーエンさんを入国させて金大中さんと会わせるということ自体、客観的に見て、アメリカと韓国の態度、ハーバード大学コーエン教授に対する韓国の態度の重大な変化だと思いませんかと言っておるのです。いままでに許可したことがない。どうですかと聞いているんです、外務大臣としての外交の感覚で。
○園田国務大臣 重大な参考として承っておりますけれども、それによって変化があったとは考えておりません。
○安宅委員 最後に古井さんにお願いいたします。 古井さん、さっきちらりと話をいたしましたが、どうなんですか、日本社会党が朝鮮労働党の代表団を招待したいということを正式に外務大臣とあなたの方に申し入れられて、官房長官の方にも意を通じておられる。せっかく努力をなさっておられるようですが、もし向こうからリストが送られてくるような場合、これがだめだ、あれがだめだということになると、私らもメンツがまるつぶれになるし、どういう人ならばどの程度ならばというようなこともちゃんと事前にやっておくなんという例もいままでありましたが、そういうことではなくて、いま入管行政というものが世間で考えているようなものとは非常に違う。たとえば私どもが外国に行く。国会は渉外でやってくれるからいいけれども、この間、民間の人間として農村の若い衆と中国に行ってきましたが、旅券というのはいまごろ申請しても間に合わないとか、それ何だかんだと怒られて、よろしく頼むと頭を下げて、旅券というのは非常に厳重なものなんですね。それがとんでもないところでとんでもないことをしているんだという怒りは、私だって一般の国民だってあると思うのですね。そういう雰囲気というものに取り囲まれた入国の基準などというものは、あなたが先般の国会以来、いろいろの中でも、政治決着は尊重しますが、政治家としての信念というのはあるとはっきり言っておられるのですが、そういうものとは別に法務大臣の措置として、何か差別をしないで、地位が低い高い、どういうことがあったなどということについて、片一方では何も調べないで、どこに行くかわからないような行政をしている、そういうことをぎりぎりやっているなんという矛盾をお感じになったならば、そういうことについては北を認めてやろうじゃないか、そういうことを考えるぐらいの気持ちはありませんか、最後に聞いてみたいと思います。
○古井国務大臣 この入管事務というのは、お話もあり、われわれも知っておるとおりに、間違いも起こりやすいことですから、きちんとやるようには一面においてはしなければならぬのですね。余り幅をつけて勝手ほうだいに弾力的に大いにやりなさいでは、これまたとんだ間違いを起こすのですから、そうもいかぬ一面がありましょう。そこで、そうなるというと、今度はしゃくし定規になってしまったり、とかく間違えさえ起こらなんだらいいわ、こういうことになって、前向きに歩かぬようになる一面がまた起こってくるわけですね。 そこで、お話の問題、北朝鮮の方の入国問題につきましても、先ごろも申し上げましたように、半島の情勢が、北と南の関係がだんだん一つのいい方向に、望ましい方向に動いているのだから、それから取り巻く環境も、アメリカ、中国の関係もあったりしていい方向に動いているのだから、この情勢を踏まえて、そこをながめながら事務を処理したいものだというのがもともとの気持ちなんですよ。でありますが、いまの現実をやたらに飛躍してやるわけにもいかぬ。いわゆる眼は高く手は低く、そこがありますもので、飛躍はできまいが、半歩でも一歩でもいい方向に、望ましい方向にいかれぬものかというところが苦心の点なんですね。 でありますから、これは私どもから言えば、入ってきた人間が国内でとんでもないことをしなければ、それでいいようなものなんですよ。国内に入ってから、政府の悪口を言ったり、日本の国益を害するようなことをしてくれなければいいようなものですけれども、しかし、いままでの韓国と日本という関係もありますから、また外務当局なども外交的に考えなければならない面もありましょう。そこらが苦心の要るところでありまして、気持ちは気持ちですけれども、現実の処理についてはよく詰めて、外務省と相談して結論を出したい、こういうことでおることは繰り返し申し上げておることですから、あの問題はそういうことで御了解願いたいと思います。
○安宅委員 これで終わります。
○竹下委員長 これにて安宅君の質疑は終了いたしました。 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 ――――◇――――― 午後一時三分開議
○竹下委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑を続行いたします。広沢直樹君。
○広沢委員 私は、これから総理を中心に関係閣僚にお尋ねしてまいりたいと思います。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 大平政権ができて初めての世論調査を見ますと、内政では物価、景気、不公平税制と、こういった順に国民の関心があるように示されております。また、外交面では円対策、通貨の安定が第一と、こういうふうになっております。これは一昨年来の円高のわが国の経済に与える打撃が大きかっただけにそれを反映しているのじゃないかというふうに思うわけでございますが、そこで、私は、通貨の安定、円の国際化にどう取り組んでいくのか、こういったところをお伺いしてまいりたいと思います。 これからの対外経済関係は六月に予定されております東京サミットに集約されるであろう、そこで議論が交わされるだろうと思うわけでございます。主催国でありますわが国がリーダーシップをとってこれを成功に導くためには、やはり、ボン会議における合意事項をどう実行していくか、そしてその後数々の問題が起こっておりますが、それをどう処理していくのか、こういうことがこれから問題になろうかと思うわけでございます。 日本経済が国際経済に大きな影響力を与えております今日、総理は国際協調を大変強調されておるわけでございますが、東京サミットを控えましていかなる努力をなさっておりますか。まず、所信をお伺いしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 六月下旬に予定されておりまする東京サミットの準備でございますが、この方は準備会議を関係国で持ちまして事務的な手だてを考えていくことにいたしておりまして、三月には東京で準備会議が開かれまして、議題でございますとか運営につきましてのことをいろいろ固めてまいることになろうかと考えております。 その方の準備を周到にやらなければならぬことは当然でございますが、このサミットに臨む一番肝心なところは、いま広沢さんがいみじくも言われましたように、ボン・サミットで議論されたこと、それをフォローアップしてどのように各国でやってまいったかということ、今後どのように世界経済の問題に対して取り組んでいくかというそれぞれの国の姿勢、これが一番大事だと思います。 とりわけ、わが国が主催国の立場であるばかりでなく、先進各国の中で一番大きな経常収支の黒字を記録いたしておる国でございます。このことに対して各国の期待も集まっておるし、批判も浴びておるわけでございます。したがいまして、わが国としてこのサミットに向けて今日までやってまいりましたこと、今後やろうといたしておることについて十分の説得力を持ったものにしないといけない。そのことがサミットに向けての最大のわれわれの任務であろうと考えております。
○広沢委員 私がこれから質問いたしますことも、やはり、当面する東京サミットを控えまして、その問題をどう取り扱うかという観点からお伺いしてみたいと思っておるわけでございます。 昨年十二月に発表されましたOECDの七九年の世界経済見通しによりますと、OECD諸国平均では、七八年の見通しよりも七九年は成長率が下がるであろうとして、その中に、日本も下がるであろうという見方をされております。また、アメリカにおいても成長率が下がるだろう。ECの平均では若干上がるという見通しでございますけれども、こういうOECD、世界全体を見ました経済の動向について総理はどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○小坂国務大臣 ただいまのOECDの世界経済の見通しでございますが、われわれはやはり非常に権威のある調査であるというふうに考えまして、これを十分踏まえてまいりたい。ただ、問題は、アメリカの経済が後半において少し成長が鈍化するという指摘でございまして、そのあたりを非常に注視をしてまいりたいと思っております。 同時に、また、もう一つは、中国が近代化を急いでおりまして、中国がこれから世界貿易市場に相当な勢いで登場するということもあり得るのではないか等々もいろいろ考えておりますが、私といたしましては、大体こうした方向の中で日本は善処をいたしていく、しかしまたわれわれとしては、先ほども総理からお話のございましたような基本的な日本の立場及び世界に対する責任というものを踏まえながら善処をしてまいりたい、このように思っております。
○広沢委員 総理にお伺いいたしますが、西側主要国の成長率が下がるであろうという見方でございますが、その中で、わが国としては、議論になっておりますように、実質GNPは六・三%の目標を掲げておるわけでございまして、これは大変注目されておるところだろうと思います。 そこで、総理は、国内的には当然でございますが、対外的にもぜひともこれは達成しなければならないというふうにお考えになっていらっしゃるのか、その点、お考えをお伺いしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 いま、雇用の拡大、内需の拡大を通じまして、わが国経済の対外均衡を図ってまいるためにもろもろのことを考えてまいっておるわけでございまして、雇用政策、産業政策、それから財政的な手段等いろいろ講じておるわけでございまして、そういったことをいたしますと、結果として五十四年度は六・三%程度の成長が期待できるのではないかということを考えておるわけでございます。六・三%に意味があるのではなくて、六・三%を支える努力に意味があるわけでございます。 したがって、私どもの態度といたしましては、そういう政策目標を追求することによって、この程度の成長率は実現したいものと考えておるということは内外にはばかることなく主張してまいらなければならぬし、それを裏づける努力をしていかなければならぬと考えております。
○広沢委員 最近の新聞によりますと、経済関係において、日米間、さらに日本とECとの間、こういった関係におきまして緊張がとみに高まっているということが報じられているわけでございます。さきに申し上げましたOECDの見通しにも、七九年はドル安を機にしまして、アメリカの経常収支赤字は縮小に向かうだろう、そして世界経済は均衡に向かうと、こういう見方をしております。わが国も円高によって輸出量が減少しております。また、輸入も増加しております。また、対策としては緊急輸入あるいは輸出の規制といったこともやっておるわけでございまして、黒字減らしということになりますと果たしてどうなるかということは問題がございますけれども、まあ基調としては改善に向かっているというふうに見るのが妥当じゃないだろうかというふうに思うわけでございます。 しかし、昨年と同じように、日米間、日本とECの間の貿易不均衡をもとにしましてこういう不満が再燃しつつあるが、こういった原因はどういうところにあるのかということを、まず所見を伺っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 ただいまのお尋ねの一番の問題点は、対外的に見ます場合には、日本に対する非難と申しましょうか、経常収支の黒字幅が大きいということと、それからまた、アメリカと日本の間の貿易関係及びその差額が大きいという点が一番指摘されているわけでございますが、この事実は、日本が原料を輸入するという立場で、それで製品を加工して出していくということがやはり何と申しましても日本の雇用、経済の原動力になっているわけでございますので、こうした体系はどうしても崩すことができないわけでございますが、このところ大分製品輸入もふえておりまして、全体の三割近くにまで製品輸入がふえております。こうした傾向を大いに助長して、いわゆる貿易バランスの改善というものを考えたいと思うのであります。 同時に、また、われわれといたしましては、御承知のように、ODAと申しましょうか、そうしたものを大いに拡大していこうということを一つ計画しておって、一昨年の水準の三倍に早く持っていこうというプログラムをつくってやっておりますが、残念ながらこうしたことが経常収支その他にはなかなか出てまいりません。これはやはり基礎収支の場合に出てまいるのでありますから、わが国のように原料を入れて加工して出していくということ、これは何としてもいたし方のないいわゆる経済体質だと思うのでございますが、こうした場合に、ただ経常収支だけの問題で議論をされるということは、われわれとしてはなかなか困難をきわめるわけでございまして、御選解いただきたいことは、今後はなるべく基礎収支でひとつ世界の理解を得る、そのためにやはりODA関係のことを積極果敢に展開していくということでアメリカ及びEC諸国の理解を得たい。そのような考えでおります。
○広沢委員 まあ、いろいろな要因はあろうかと思うのでございますけれども、やはり、基本的には、きのうも当委員会で議論がございましたが、特に日米間におきましては、ボンの先進国首脳会議におきまして日本が表明いたしました、いわゆる七%の成長あるいは黒字減らしの目標が達成できないんじゃなかろうか、こういうことに対する不信感というものがあるんじゃないか。親書の内容というものは云々できませんけれども、報道によれば、そういったことに対するアメリカからの不満も来ている。また、七%達成が不可能ならば追加措置を考えるべきじゃないかという要求もあると聞いております。 成長率は高くしろ、黒字は大幅に減らせということは、結局は内需をもっともっと拡大しろということになるんだろうと思いますが、輸出が減少して輸入がふえれば、これは成長率がマイナスになっていく要因となるのは当然でございます。先ほど総理が申されましたけれども、私も七%という数字そのものには別にこだわるものではございませんけれども、しかし、こういう主要な会議の中で、わが国としてはこのような方針をとっていくのだということをはっきりした、そういったところはやはり問題があるんじゃないだろうか。 そこで、総理がこれまでの質疑を通しまして答弁されているには、七%というのは断念したんじゃないのだ、引き続き努力を払っているんだと、こうおっしゃいました。それは結構ですが、少しアメリカに気がねしてそういうことをおっしゃったんじゃないかと思うのですけれども、昨日の質疑でも、それじゃ一体どんな努力をしたんだと、こう申しますと大変あいまいであります。五十四年度の経済見通しにもはっきりともう六%程度なんだということを閣議決定してお出しになっている以上は、この点はやはりはっきりすべきじゃないのか。努力をしていくことは当然だと私は思うのですけれども、そういったあいまいな態度というものが問題になるんじゃないかと思うのですが、所見を伺いたいと思います。
○大平内閣総理大臣 あいまいではないのでありまして、世間の理解がどうもあいまいなんで、私どもの方は、断念したのじゃないというのは、できることをやめたのなら断念ということになるのですけれども、いろいろなことをやりました。やりましたが、これは年度内に目標を達成することはどうも至難なことになりましたということで、去年の暮れ、予算編成に先立ちまして五十四年度の経済の見通しを立てる場合、五十三年度の成長はどの程度におさまるものかという見当をつけないと五十四年度が編み出せませんので、そういうことをやりました結果、努力は引き続き重ねてやっておるけれども、結果としてこの目標達成は困難ではないかという客観的認識を述べたまでで、できるものを進んでやめたということは、これは国の内外に大変誤解を与えますので、そういうことにならぬように理解を求めておるところでございます。
○広沢委員 さらに、そういったことから、七%達成ができないのじゃないか、あるいは五十四年度の予算を圧縮するのは日本の経済政策の運営が変わったのじゃないかということが対外的に印象づけられているのじゃないか、こういう報道もあるわけでございます。そして、東京サミット開催に支障を来すのじゃないかと、これも親書の中にあったかどうか知りませんけれども、政府筋によるとそういったことを伝えてきている。これは事実なのかどうか、さらに、そうであるならばそういったことに対してどう対応していくのか、総理にお伺いします。
○大平内閣総理大臣 わが国の世界経済に対する責任をどのように果たしてまいっておるかということに対しまして、それなりに御理解をいただいている向きもあります。それから、まだ十分理解が行き届いていない向きも正直申しましてございます。したがって、そういう向きに対しましては、われわれは政策の目標を変えたわけじゃない、引き続き努力はしておる、それから今後もこういう方針で責任を果たしていくつもりであるということをしんぼう強く説明いたしまして御理解を得つつあるわけでございまして、この努力は今後も重ねてまいるつもりであります。
○広沢委員 いずれにしましても、国際会議で成長率を前面に打ち出して、これが達成できなければ追加予算も組みあるいは追加措置も講じて達成するのだと強い態度で表明されておった福田前総理と、先ほどもお答えがありましたように、成長率そのものよりも実態なんだということを重視していらっしゃる大平総理。こうしたことが経常収支不均衡の背景に対米的には政策面が変わったのじゃないかという憶測も生んでくるのじゃないかと思うのでございますが、いまお答えいただきましたように、それぞれの国々に事前に了解を求める努力をしていくということでございます。それは当然なことだと思うのですが、どういうふうに具体的な努力をなさるのか。こういったことが具体的になりませんと、また今度の東京サミットも、そういうそれぞれの国々の成長率だとかあるいは赤字黒字がロンドン会議以後ずっと問題が引き続いてやってきておりますから、問題になるのじゃないかということが予想されるわけでございます。 その場合に、きのうも総理がお答えになっておりましたように、補正予算とか追加措置はいま考えないという。当面としてはそういうことが考えられると思うのでございますけれども、そういう中である程度そういう追加措置を講ずるぐらいのゆとりある態度で臨んでいかなければ理解が得られないのじゃないかというふうに私は思うわけでございますが、その点について、国際協調を非常に重要視されて強調されておられるわけでございますから、その点のお考えをお伺いしておきたいと思うわけでございます。
○小坂国務大臣 われわれとして特に諸外国の理解を求めたい点は、昨年の九月に緊急対策が発表され、また十月には補正予算を組んで、現在それが進行中でございます。われわれは、現状の日本の経済の内需がどの程度起こってきているかという、その辺のところは十二月の時点ではまだ予測が大分入っておりましたが、十二月のデータもそろってまいりましたので、現状において大体八%程度の国内の成長があるという確信をだんだん高めておるわけでございます。私は、これが一審大きな説得力ではないかと思うので、この八%達成が可能であって、しかし全体としての成長率が七%から六%になった大きな原因は、日本の輸出が円高によって意外に不振に陥ったということをあわせて説明することによって、大体各国とも理解を得られるのではないか。あるいは楽観論かもしれませんが、しかし、そのような組み立ての中でひとつ十分説明をしたい。 同時に、また、貿易も国内生産もそうでございますが、統制をやる国柄ではございませんし、結局これは民間の活力に主点を置いた経済運営でございますから、そうした民間の活力がどういう動向になっているかということもわれわれは慎重に新内閣以来ウオッチをしてきたのでございます。
○広沢委員 そこで、総理に、この点についてもう一度お伺いをしたいと思います。 先ほど、小坂企画庁長官は、OECDの見方も有力な資料であるとおっしゃっておられます。そのOECDの見通しも、わが国の経済は五十三年度と同じように前半は七、八%高めでいくだろう、ところが、後半においてば、この三年間はわが国の経済は大体そういう形をとっているわけですが、海外余剰の関係で二%程度のマイナスになるからやはり後半は下りになる、そのときにはどうしても追加措置が必要だと、こういう指摘がございます。これは見通しでございますから、そのとおりになるかどうかということはわからぬわけですね。 いずれにしましても、サミットの後で、それが六月とすれば、その後、後半の見通しがどうなるかということになるのでしょうが、いままでの国際会議の中で問題になってきた、日本がどれだけの成長をし、そして黒字減らしにどれだけの努力を払い、国際収支の均衡を図っていくことになるのかということ、これは当然問題になると思うのです。 万一そういうような見通しに立った場合には、補正予算あるいは追加措置といったことをやっていく、そしてそれだけの努力を払っていくのだという意思は表明していく。それだけの強い態度を示していかなければ、やはり旧来と同じように、そしてまた先ほど私がるる申し上げましたような背景から、再びまたそういったことをもとにした不信に起因して、結果的にはまた現状の批判といいますか、いろいろな問題が出てくるのじゃないか、こういうふうに思うわけでございますが、総理、いかがですか。
○大平内閣総理大臣 いま予算を編成いたしまして御審議をいただいておるという段階でございます。もしこれがうまくいかない場合には第二段の措置を考えるのでございますなどという姿勢で予算を組み、御審議をいただいておるというようなことでは、なおさら内外の不信を買うと私は思うのでございまして、むしろ、ここに出しました予算案でもってあらゆる事態に対応できる、また、しなければならぬという決意で編成して御審議をいただいておるわけでございまして、いま追加措置というようなことは毛頭念頭にございません。
○広沢委員 それは現在はそれでいいのですけれども、かたくなにこれだけでいけるんだと言い切ってきたところに、七%達成の問題についても、それに対する不満というもの、そういう問題が起こってきているわけですね。ですから、それはわが国としての自信としてはそれで結構だと思うのですが、それは国際責任においてこれだけわが国も努力していくんだという一つの指標だと思うのです。ですから、そういうゆとりを持った運営の仕方を考えないかと聞いているのですが、どうですか。
○大平内閣総理大臣 国の内外に対する日本としての責任をどうしても果たさなければいかぬということは、あなたと全然共通でございます。私もそう考えておるわけでございます。そのためにはいま提案いたしております予算が早期に成立いたしまして、それを着実に執行してまいるということで対応するのが一番ベストだと考えておるわけでございまして、もしうまくいかなかったら次の措置を講ずるつもりでございますなんという、そんなふらふらした姿勢では私はとてもいけないと思うのでございまして、この予算で対応してまいるという強い決意で当たっておりますことを御了解いただきたいと思います。
○広沢委員 通産大臣それから大蔵大臣、農林大臣、そしてまた企画庁長官に伺っておきたいと思いますが、貿易赤字を背景にしまして米欧が非難を強めております市場開放の問題についてであります。 アメリカのブルメンソール財務長官が去る二日にロサンゼルスの世界問題評議会で国際貿易について演説をし、アメリカの考え方というものをそこへあらわしております。それによりますと、六八年から七〇年、それと七六年から七七年を比較しまして、日本の輸入に占めるアメリカ製品の占有率というのが耐久消費財では四〇%から二七%、非耐久消費財では三二%から一三%、資本設備は六一%から五%に低下してきている、この実態はどうなっているかということでございます。これは原因はアメリカの競争力、こういったところにも問題があります。それからわが国の経済情勢も不況である。いろいろな要素が重なってこうなっているわけで、恣意的にそれをやったわけではないわけでございますが、そういった点がどのような実態になっているのか。 それから大蔵大臣には、日本市場での占有率拡大ということで、またもや保護関税の問題だとか電算とかフィルムとか、前に問題になりましたそういったことも指摘をしております。 それから通産大臣にお尋ねしたいと思うのですけれども、政府調達の日本品の優先ということがこれまた問題になってきておりますし、政府機関であります電電公社の調達品の公開入札をやれ、こういったことも一つ取り上げられているようでございます。 それから農産物の輸入規制の問題でありますが、これも昨年末一応決着を見たはずでございますが、それについても対象にしている。 それから企画庁長官は先ほどもお答えいただきましたが、今度の経済見通しで基礎収支の均衡を目指す、こういうことであります。経済協力や資本交流のことを考えてまいりますと、当然わが国としては考えなければならぬ、そのように私も思うわけでございますが、しかし、これまで経常収支という問題でずっと問題を提起されてきておるわけでございますが、経済計画の中でこれからそういうふうにしてやっていくのだということはわかるとしても、先ほどからお話を申し上げておりますように、対外的にそういったことが了解を得られるかどうかという問題がございます。そういった問題、やはりはね返ってくることは、サミットの中でも一つ問題になるのじゃないだろうかというふうな懸念もございますから、いまるる申し上げたことについて簡単で結構ですから、各大臣にお答えをいただきたいと思います。
○金子(一)国務大臣 いまお話しの関税率の引き下げの問題でございますけれども、東京ラウンドでやっておりまして、大体アメリカと日本とば話がもうつきまして、東京サミットを控えてこの問題を片づけたいということでやっております。問題は、日本とEC、アメリカとECの話し合いがまだちょっとつかないでおりますけれども、最善の努力をいたしております。
○江崎国務大臣 ブルメンソール財務長官はロサンゼルスの世界問題評議会の昼食会において御指摘のような演説をしております。そこでわが方も、先ほど経企長官がお答えいたしておりますように、たとえば輸出の窓口であったジェトロに輸入の窓口を兼務させるとか、あるいはワールド・インポート・マートをつくって、こちらからは買い付けミッション、向こうからは売りつけミッションが来るというようなわけで、大変な輸入努力をしておるわけです。 そこで数字的にということですが、一九七八年日米貿易収支百一億ドル、これは日本側の通関統計であります。米国の商務省の統計によりますと百十六億ドルというわけでありますが、ガットの東京ラウンドの前倒しの問題、いまも協議を続けておる最中でありますが、市場をできるだけ開放して輸入をふやす、これは確かに製品輸入の面においてはピーク時三四%ぐらい製品輸入があったわけですが、御承知のように一昨年の暮れ、ストラウスの全権であったリバーズ氏が参りまして二〇%の製品輸入を四〇%にしろ、こういう強い要求があったわけですが、先ほど経企長官も言いますように、通産省側の見通しでも、大体本年度製品輸入は二八%から三〇%近くなるのではないか。このことも先ほどからお話のありましたような、いわゆる日本の生産の足を多少引っ張るデフレ効果要因にもなって成長率を切り下げなければならぬような要素にもなった。これは何もアメリカばかりではありませんが、EC諸国を含んで製品輸入は相当旺盛になされておるということは申し上げられると思います。
○渡辺国務大臣 アメリカの関係は御承知のとおりオレンジ、果汁、高級牛肉、これらの枠の拡大ということに決まったわけでございますが、それにいたしましてもオレンジは三百万トンからの生産量が国内であるわけです。その中で大体四万五千トンぐらいのものが、ジュースを換算しますから十万トン近くになる。しかし国内生産から見ると全体の三%程度であります。したがいまして、国内生産も強化しなければならぬし、体質を強くしなければならないということで、植栽その他いろいろな助成を行ってやっておるわけであります。それからオレンジの輸入等によって暴落するとかなんとかいうことが万が一あるような場合には、すぐにそれに対応できるような対策も講じております。しかし、そうさせないために、オレンジ枠の拡大に当たりましても季節枠の方をふやして、そうして日本となるべくかち合わないというようなことを考えて交渉を進めたわけでございます。 なお果汁の問題につきましては、これは日本の果汁のいいところとアメリカの果汁のいいところと両方あるわけでありまして、日本の方は色が非常にいいが甘味が強過ぎるとか、あきやすい、向こうの方は色が悪い、しかし香りがある、甘味もないというような点等もありますから、これをミックスして市販をするということは非常に消費の拡大になるのじゃないかというようなことで、たとえばこの割り当てにつきましても、異例のことではございますが、農協関係系統の団体に全体の輸入量の約七割ぐらいを割りつけをして、そうして農協が主導権を持ってミックスジュースがつくれるようにというようなことでもってやっておるわけであります。 高級牛肉の問題で、これは少しふえるわけでございますけれども、これにつきましてはともかく国内の体制を固めなければならぬ、こういうようなことから、草地造成を初めいろいろな肉牛関係の施策を講じておりますが、それと同時に価格の安定策、それから余り中間経費がかからないようにするために、生産からある程度の、屠殺までのところを産地で一貫体制でやらせるというようなことでロスを少なくする、中間のむだをなくすというようなことなど、いろいろな施策をあわせて対策を考えてやっておるわけでございます。
○小坂国務大臣 いわゆる対外経済交渉の中で、経常収支のみが従来論議されていたということは、われわれにとっては非常に不満な点でございます。ただいま広沢委員仰せになりましたが、基礎収支で考えなくてはいけないという、私はまずそのこと自体が、日本人がみんなそういうふうに思ってくれなくては困ると思うのです。そうでなければ、先方の言うとおりにわれわれは輸入をふやさなければいかぬ。しかしわれわれは、同時に五千五百万を超すいわゆる就業人口を抱えておる日本の国から申しまして、輸入ばかりして外国とうまい関係になることも大事でございますけれども、それじゃ国内がどうにもならぬじゃないかと私はかねがね思っておったわけでございます。 それで、そうした大げさなことは別といたしましても、日本の経済の構成がいわゆる欧米型の産業構造に変わるまでにはまだ五、六年はかかっていくと私は思うのです。やはりそれが第三次あるいは第四次産業にだんだんとシフトされてくる、だんだんいまも進んでおりますけれども、何と申しましてもやはり第一次、第二次産業が主体なんでございますから、そうした意味において、われわれが貿易で上げた収支の黒をできるだけ世界じゅうに配分していくというやり方を今後は続けながら、そうした中での基礎収支で日本の対外経済協力というものを評価を受けたいという考えでございまして、御支援いただければまことにありがたいと思います。
○広沢委員 対外関係の問題、貿易を中心とした問題はそれぐらいにしまして、通貨問題についてこれから若干伺いたいと思うのです。 総理は、国際通貨情勢は関係主要国間の話し合いと協力によりまして小康を保っている、こういうふうに述べられておりますが、当面この小康状態は崩れることはない、円高再燃のおそれはないというお考えを持っていらっしゃるかどうか。最近は円安の状況が見えたり、あるいはまたイランの情勢が影響して海外市場が波乱含みでございますので、最近ちょっと円高という傾向が見えております。フロートですから、これは当然のことであろうと思うのですけれども、私はやはり収支においてこれだけの赤字、黒字という不均衡がある間は円高基調が続いていくのじゃないか、こういう見方をしておるわけでございますが、総理、いかがですか。
○金子(一)国務大臣 最近の円相場は、イランの情勢の見通し難なんかあるものですから、ちょっとドル安というようなここ一日、二日の状況になっておりまするけれども、昨年十一月のドル防衛対策に基づく関係各国、日、米、独、スイスの通貨当局の協調体制がかたく守られておりまして、基本的には百九十円後半から二百円前半の比較的安定した動きとなっております。今後も、フロート下の為替相場のことでございまするから、原則として市場の需給にゆだねることとしておりまするけれども、必要に応じまして関係の通貨当局と協調を保ちながら、適時適切な対策をとって、一番困るのは相場の乱高下でございますから、この急激な相場の変動をなだらかなものにするように努力を続けてまいりたい、こう考えております。
○広沢委員 これは総理にぜひお伺いしておきたいと思いますが、さきの委員会におきまして総理は、現在の相場一ドル二百円前後から大きく変動しないよう配慮しなければならないと、相場の適正水準を表明した、こういうふうに報道されておるわけでございますが、現在の黒字縮小が進みつつある状況からいたしまして、現在の水準が国際協調の線にも沿い、また国内経済上からも妥当である、こういうお考えなのでございましょうか。どうでしょう。
○大平内閣総理大臣 市場における為替の需給で決まることでございまして、政府がどのあたりが妥当だなどということを言う立場にもございませんし、そういう力もないわけでございまして、私が申し上げたのは、各国の通貨当局が協力いたしまして、できるだけ相場の乱高下がないように配慮していくというのが精いっぱいのところじゃないかという意味のことを申し上げたにすぎません。
○広沢委員 そこで、参考人として御出席いただきました日銀総裁に、いまと同じことなんですが、大体円相場は、現在、いま申し上げましたような状況のところが妥当な水準であろうか、こういうふうに考えておられるのかどうか、その点をお伺いいたします。
○森永参考人 お答えいたします。 変動相場制下でございますので、為替相場は市場における値づけに依存するのを基本方針とし、時として起こる乱高下、投機の行き過ぎ等に対して介入をする、そういう方針で臨んでおるわけでございますので、いまの水準が適正かどうかということについてのお答えを申し上げることは、私の立場上控えた方がよろしいのではないかということをまずお断り申し上げたいと思います。 大観して申し上げますと、お話にもございましたように、イランの政情でございますとか、あるいは石油の供給がどうなるか、あるいは値段がどうなるかというような不安定要素はございますけれども、世界各国の経済は漸次格差が縮小しつつある。特にアメリカの赤字が着実に縮小傾向にございますし、日本もまた黒字幅が縮小の傾向にございます。経常収支においてもしかりでございますが、基礎収支では均衡、時としてはマイナスというようなこともあるぐらいでございまして、各国の均衡関係がだんだん回復の途上に向かっておるのじゃないか。それに加うるにアメリカのドル防衛についてのかたい決意、またこの国際収支等の基礎的条件が整備されるのには時間がかかりますので、その間の投機的な動き等に対する介入等につきましてはアメリカもかたい決心をもって臨んでおりますし、ドイツ、スイス、日本も協調しておるわけでございまして、これら四カ国の通貨当局間におきましては、常時緊密な連絡をとりながら市場の実勢に即した動きをとっておる次第でございますので、大勢といたしましては、昨年あるいは一昨年にございましたようなとめどもなきドル安、それに伴う混乱といったようなことはなくて、ほぼ現在のような安定した雰囲気が今後も持続してくれるのではないかと期待をいたしておる次第でございます。 一つだけ、アメリカの国際収支はよくなっておりますが、インフレがどうなるかという問題はまだ見通しがなかなかつきませんので、その辺につきましてもアメリカ政府の諸般の努力が功を奏することをひたすら請い望んでおる次第であります。
○広沢委員 日銀総裁、重ねてお伺いいたしますが、昨年の暮れ、また年頭ですね、円安傾向が見えた。それで日銀は介入をされました。さきのわが党の矢野書記長の質問にも、それはごく少量でもやはり動きが見えたわけですから、介入したのだ、こういうお話でございました。前々からここで私も何回か聞いたことがございますけれども、乱高下だけに介入する。これはフロート制のもとではそういう合意ができていることはよくわかるわけでございますが、以前はそうした介入姿勢の問題について、よくダーティーフロートだとかクリーンフロートだとか、こういう問題が議論されたことがございます。最近はそうした声は余り聞かないわけですね。いままた、御説明がありましたような海外情勢によって相場が動き、円高という傾向がもう見えている。それはフロート制のもとですから多少の変動はあると思うのです。しかしながら、日銀の姿勢を見ておりますと、どうも円安のときには積極的に何とか相場の維持に努めようというふうにとれるし、その点ちょっといままでの考え方が変わったようなことを考えているのじゃないだろうか、こういうように思うのですが、簡単にひとつお答えください。
○森永参考人 投機的な要因等によりまして為替相場が激変するあるいは乱高下いたしますときにのみ売りまたは買いの介入をするという方針は、従来と全然変えておりません。そのときどきの情勢に応じ、ときには買い、ときには売り、双方の介入を実施しておる次第でございます。その詳細につきましては申し上げるのは控えたいと存じますが、従来と全然変わっておりません。 なお、今週の初めからイラン情勢をもとにドルの全面安が起こって、それが東京の市場にも映っておりまして、きょうは百九十五円台で始まったのでございますが、主として外国人の買い要因によって動いておるのでございまして、国内の相場観、これは大変落ちついた動きをとっておるようでございますので、その辺は安心をいたしておる次第でございます。
○広沢委員 欧州通貨制度、こういった動きがある中で、伝えられるところによりますと、国際通貨制度の共同管理問題についてEC、アメリカ間で現在協議中である、二、三カ月以内には合意する旨、フランスの首相でありますバール氏が発言をしておる、こういうことでありますが、政府としては国際通貨の共同管理制度構想についてアメリカだとかECだとかと協議したことがあるのか、またそういう動きに対してどういうふうに考えていらっしゃるのか。
○金子(一)国務大臣 アメリカとECの間にどういう具体的な話し合いがあったか、内容はまだ定かに聞いておりません。しかし、先ほどもお答えしましたように、アメリカとEC各国、特にドイツ、スイス、フランス等の間には緊密な協調体制がございますし、またわが国も同様にアメリカと、為替相場の安定のためには極力協力してやりましょうという体制ができておりますので、今後もこの体制だけは崩さぬように持っていきたいと考えております。
○広沢委員 いずれにしてもECの方は、とにかくドル不安に対して何らかの対応処置を考えなければならぬということで積極的な努力をしているわけでございます。やはりわが国もそういうための努力というものをしていかなければならぬ。しかし、昨年のドル防衛策が打ち出されてから、急激な通貨不安というものが一応小康を保っている、こういう状況であります。ただ、これはそこで抑えるということはフロート制のもとではむずかしいわけでございますが、しかし何とかそこでめどをつけておかないと、基本的な改善を図ろうとしてもなかなかそれは思うようにまいりません。 そういう見地から、いま私るる述べてまいりましたけれども、わが国としても何心か各国との協調体制をとって国内の体制を改善していかなければならないのだということでございましたならば、日米あるいはECとの間において、フロートを前提としているわけではありますが、目標相場圏というものを考えているのではないか、またそういう協議をしているのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、いかがでございますか。
○金子(一)国務大臣 目標相場制というかターゲットゾーンをつくったらというような、これは考え方としてはございますけれども、やはり各関係国の間の実力と申しますか、国際収支、経済成長その他のいろいろな指標の格差がございますから、そういう点をならしながら、とにかくお話のような方向に持っていくのが筋だと私は思います。そのための緊密な政府間の協力は常時やっていることを申し上げておきます。
○広沢委員 総理、いろいろお話ししてまいりましたけれども、現行の相場制について何らか安定する制度を脅えていくべきではないかと思うのです。フロートのもとでそういったことを考えることがいいのか悪いのかという議論はあるだろうと思うのですが、しかし、基本的条件を改善していくためには、お互いの協力を得ていくということになれば、管理フロートといいますか、そういったことも必要ではないかと思うわけです。 総理は、総理になられる前の幹事長の時代から、先進国の名誉あるメンバーとしてそろそろ日本も通貨制度について物を言うべき時期が来た、サミットを日本が引き受けることになると、日本としてもやはりひとつ提案すべきじゃないかというお話をなさったことがありますし、また、ほかにもいろいろそういった意味のお話があるのですが、サミットに向かうに当たりまして、そういうお考えがあるのかどうか、総理にお伺いしたい。
○大平内閣総理大臣 サミットの議題は、この前から御説明申し上げておりますように、準備会議で決められていくわけでございまして、いままでは国際通貨の問題もその一つになってまいりましたので、恐らくこの問題が取り上げられる公算は強いと考えております。 その場合、より安定した通貨制度を求めて、いままでわれわれが考えておりますことは、その基礎条件というようなものの整備に各国が協力して当たるということが当面の課題ではないかと考えております。通貨制度自体について具体的な提案を申し上げるということになりましても、その前に、まず各国で話し合っていかないと実効が上がらないものでございますので、そういったものをどういう形で持ち出していくのがいいかということにつきましては、まだ各国とも十分打ち合わせる必要があると思うのでございまして、いまの場合、何ともまだ構想が固まっておるわけではございませんで、各国の通貨当局と協力しながら、基礎条件を整備していくような方向に積極的な貢献をしたいという気持ちだけひとつおくみ取りをいただいておきたいと思います。
○広沢委員 次に、円の国際化ということでございますが、新政権発足のときに、政策要綱の中で、円の国際化を重要課題としている、あるいは今度の新経済計画の中でもそういったことにお触れになっておられます。総理がいま円の国際化ということを強調された意味合いというものは私はよくわかりませんが、いずれにしても円の国際化ということは、円が国際的に自由に使用される、あるいはまた保有される、すなわち決済通貨だとか準備通貨、あるいは介入あるいは基軸通貨、こういった意味を指していると思うわけでございます。しかし、いまこれを強調されるのは、為替相場が非常に不安定なとき、また国内経済が転換期にあるとき、特にこういったことをお打ち出しになった政策意図というものはどういうところにあるのでしょうか。
○金子(一)国務大臣 円の国際化、自由化とあなたが言われましたのは、円で国際間の決済が行われる、各国が円を保有するというようなことを指して言われると思うのでございまするが、だんだん日本の実力がつけばあるいはそういう事態になってくるかもしれませんけれども、まだこれはそこまで円に対する認識というものが世界各国に広まっておる状況ではないと思います。とにかく円の実力をだんだんとつけて、大いにそれが活用されるようになることが望ましいという気持で私どもはおるわけでございます。
○広沢委員 日銀総裁、中座されるそうでございますので、ちょっと後の質問を先取りしてお伺いしておきたいと思いますが、日銀としては、マネーサプライですね、これはインフレの要因が非常に強いわけですから、これに非常に注目していかなければならないということですが、従来から目標値を定めたらどうだ、こういうことに対して、諸外国ではそういうことをやっておるけれども、実際には目標値を設定していると同じぐらい関心を払って、四半期ごとにマネーサプライの予測を公表しておる、こういうことでございます。 しかし、やはり考えてみますと、これから国債発行も大量に続いていく、財政収支試算を見てもわかりますけれども、そういう状況下にございます。したがって、いろいろな要因があると思うわけでございすが、やはりこの目標値というのは設定していくべきじゃないか、こういうふうに思うわけでございますので、その点が一点と、きょうの新聞にも出ておりますが、国債の発行でございますね。表面利率が六・一%の国債が九十五円五十銭、市場上場以来の最大の下げ幅になっておるわけでございますが、こうなりますと、国債を大量に発行しておりますが、大部分が長期国債でございます。したがって、だんだんやはり長期国債を敬遠するという動きが出てくる、金利ももう底じゃないかという考え方、あるいはまあこれかから、昨年四月一日に出した国債がちょうど一年が来たから、自由に売ることを禁止しておったものが解禁されるだろう。そういうようなことから大量に出回ってくるかもしれない、値下がりするかもしれない、そういうようないろいろな要素も含めてそういう問題が起こっております。 先日の答弁にも日銀総裁は、あくまでも成長通貨の範囲内でこれを考えていくのだ、こういうことでございますけれども、やはり財政上から見ると、先ほど申し上げましたように、相当な圧力と言ったら語弊があるかもしれませんが、どうしても国債を消化していかなければいかぬ、それが長期国債が大部分であるということになってまいりますと、やはり先ほどの問題と関連するわけでございますが、範囲内でとどめるべきだという目標だけで、別にこれは法律があるわけでも何でもありません。そういう感じだけで運営するということは、先ほどの目標値の設定と絡むわけでございますが、問題になろうと思いますので、その点をお伺いしたいということと、それから、こうなってまいりますと、どうしても発行条件を変えていかなければならぬ、当面する問題としては公定歩合にも影響してくるわけですが、公定歩合はいまの金融事情から余りいじるべきではないということになりますと、公定歩合をそのために下げるということもこれは景気上問題があろうと思うのですが、そうすると今度は、発行を可能にならしめていくためには、国債の応募者利回りというものを上げていかなければならぬだろう。そういう要請が強まっておりますね。こういった状況につきまして所見をお伺いしたいと思います。
○森永参考人 順序をお差し繰りいただきましてありがとうございます。 初めのマネーサプライの問題でございますが、私ども四十七、八年ごろにおける苦いと申しましょうか貴重な経験にもかんがみまして、マネーサプライの動向には非常な関心を持っている次第でございます。もちろん、マネーサプライのみが唯一絶対の資料ではございませんので、物価の動静でございますとか景気の動静あるいは国際収支の状況など経済諸般の情勢等を総合しながら、始終このマネーサプライの動向いかんに気をつけてまいっておる次第でございます。いずれこれを目標として公表するといったようなことが必要になる時期もあろうかと存じますが、もう少し実体経済との関係等について究明を要する点もございますし、また、諸外国におきまして公表しておる例がかなりたくさんございますが、うまくいかなかった例などもございますので、その辺の経験も踏まえながら今後これを目標値化することについてなお検討を続けてまいりたいと思っております。 それにつけましても、やはり国民全体のマネーサプライに対する関心が高まることが必要であると存じまして、昨年の七月以降三カ月ごとにこの見込みの計数を発表いたしまして、それに対して実績がどうなったかというようなことをフォローするようなことにいたしたわけでございますが、この見込みの公表は、それなむにやはりマネーサプライについての国民の皆様の関心を高める上において役立ったのではないかと思っております。しばらくはいまの見込みを公表するということで続けてまいりたいと思っておりますが、なお、目標値につきましては引き続き検討をいたしたいと思います。 次に国債の問題でございますが、六分一厘もの国債をこの一月から上場いたしましたのでございますが、現在、発行条件と利回りとの乖離が昨日現在で〇・七%、大変に乖離してしまっておるわけでございます。ただし、これにつきましてはやや思惑的な要素あるいは取引量が少ないといったような少し異常な要素があるやに見受けられるのでございまして、すぐその前に発行いたしました六分六厘もの、期間は余り違わないのでございますが、これはそれほど乖離してないということもございますので、いまの相場が本当に実勢であるかどうかについては、今後とももう少し情勢の推移を見なければならぬと思います。 いずれにいたしましても、発行条件との乖離が長く続くようでございますればやはり条件改定が必要になるわけでございますが、ただ十年もの一本ということでなくて、いまのこの資金の流れが、どちらかというと短期の方が需要家に望まれるというような変化も起こっておりますので、その変化にも即しながら、満期の種類を多様化するとか、いま三年ものが出ておるわけでございますが、二年もの、四年ものも来年は出そうという計画だと承っておりますが、これも結構なことだと思いますし、そういうことで入札制も逐次拡充し、また、シンジケート団の引き受けのものにつきましても、そのときどきの市場の実勢に応じて条件改定を行っていく、それによりまして金利の自由化あるいは弾力化も促進していくということが当面必要なことではないかと思っておる次第でございます。 なお、国債の消化を促進するために公定歩合を引き下げて消化を促進したらどうかというようなお話もございましたが、かつて金利が引き下がりつつある過程におきましては、既発債の値上がりということも伴いまして国債の消化が進んだということもございますけれども、これはいわば麻薬みたいなものでございまして、一時的な効果しかないわけでございます。いまとるべき手段としては、そういう一時的な糊塗策ではなくて、やはり発行条件そのものを市場の実勢に即して改定していくということが必要ではないかと思っておる次第でございます。 なお、日銀引き受けに関連いたしましてオペレーションの問題にもお触れになりましたが、やはり引き受けに準ずるようなオペレーションを行うということは、すなわちマネーサプライの増加、インフレーションの再燃に通ずるわけでございますので、やはり成長通貨の範囲内、市場における不足資金の補給という範囲内にオペレーションはとどめなければならないというのが私どものかたい決心でございますことを申し上げましてお答えにかえます。
○広沢委員 関連しますので、大蔵大臣、その点についてちょっとお伺いしたいわけですが、総裁はいわゆる条件改定も場合によっては必要だというお考えのようですね。それはいろいろな銘柄多様化ということも図っていかなければいけません。しかし、これは当面する問題として、こういう動きであれば大量の長期債の発行ということはやはり非常に困難になってくる問題なんですね。したがって、やはりそこで金利というものを考えなければいかぬのじゃないかということがもう一つ。その点についてどう考えているかということがございますし、それから、いま日銀総裁は、成長通貨の範囲内でいかなることがあってもそれは守っていくのだというお話ですが、それは大蔵省としてはその点には変わりないということなのか、簡単にお答えください。
○金子(一)国務大臣 六分一厘債の売れ行きが少し悪くなったということ、御指摘のとおりでございます。ただ、これは一月に発行を始めたばかりの新しい銘柄でございまして、いま日銀総裁から御指摘もございましたように、何というか心理的な動きもございまして、六分六厘債の方は余り動いていないのです。その間に金利の底入れ感とかいろいろなあれも絡んでいると思うのでございますが、いましばらく推移を見ながら短期ものに重点を置いて、短期ものというか中期ものですね、各銘柄を取り合わせて発行しようというようなことを考えております。市場の実勢に応じたそのときそのときの条件によって国債を発行しなければならないということは事実でございます。十分この点は検討さしていただきます。 それからマネーサプライの問題ですが、私どもも経済成長の範囲内においてマネーサプライがとどまらぬことには、これはやはりインフレに対する大きな警鐘、赤ランプということになるわけですから、ぜひその範囲にとどまるように持っていかなければいかぬという感じをいたしております。
○広沢委員 この問題につきましては、後からまた時間があればお伺いいたします。 総理にお伺いしますが、施政方針演説で大平哲学といいますか、それを聞かせていただいたわけでございますが、結論として総理は、公正で品格ある日本型福祉社会、こういうようにおっしゃいました。また総裁選のときには田園都市構想、こういうものも発表されました。それを聞いた国民は、何か清新なものが、新しいものが生まれてくるのじゃないかという思いを抱いたのではないかと思うのです。私もそういうふうに思っておりました。これまでの質疑で明らかになったところによりますと、一応これは理念なんだ、いままでの政策を変えるものではないのだ、こういうお話でございます。言葉をかえて言えば、いままでの政策は一歩も出ない、いわゆる表現を変えただけだ、もっとわかりやすく言えば、アクセサリーを取りかえただけだ。国民が聞きたいというのは、もちろんそれはそれで結構なんでございましょうが、中身が聞きたい、どういうふうになるのかということが聞きたいわけでございます。したがって、少なくとも国民各層がそれぞれの立場から将来に対する希望、社会像というものを描けるような、そういうプロセスというものを示すべきじゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
○大平内閣総理大臣 いままでの政策を変えるものでないというのは少し正確でないのであります。いままでの政策のほかに別個の政策を提示しようとするものではございません。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 いままでの政策の方向、いままでの政策のやり方、重点の置き方、配列、そういった点をもう一度見直す時期が来たのじゃなかろうか。そういう見直す視点と申しますか、そういう見直す理念といいますか、そういうものをこの際考えるべき時期が来たのではなかろうかという提言でございまして、こういういままでの政策にもそれぞれの目的を持ってやってまいったわけでございますけれども、それを総合的に見直していく一つの新たな上位の理念というようなものを考えてみよう、そういう必要があるのではないかという提言でございます。それだけではどうもはっきりいたさないわけでございますので、もう少し具体的に指針となるべき姿にこれをまとめていかなければいけませんので、いま政府部内におきましても党におきましても、それぞれこの問題について検討をいたしておるところでございます。にわかに天下をつくり直すようなりっぱなものができるはずはないので、そんな奇術はないわけでございまして、そういう構想というものはどういうものであろうか、みんなで一遍考えてみようということでいませっかく検討を進めておるわけでございまして、御検討いただく段階になりますならば、提示して御審議をいただきたいものと思っております。
○広沢委員 われわれも福祉社会を目指しての中期経済計画、こういうものをつくり発表いたしております。それはそれぞれの立場からそういった考え方を発表しておるわけでございますが、その福祉社会というものを考えるときに、一応やはりナショナルミニマムといいますか、そういったものを前提として、基礎に置いて、そしてまた考えていこう、こういうことなんです、総理もお読みになったと思うのですけれども。私は憲法云々をここで引き出すつもりはございませんけれども、ミニマムというものをそこに描けるもの、そういったものに対して、それから積み上げた一つの社会像というものを描けるようなものでなければならないのじゃないか、このように思うわけでございますが、その点、これから計画を種々検討してつくっていく、また、新しく出てまいります基本計画もございましょうと思いますが、その中にそういったことを含めて考えてみようというお考えはございませんか。
○小坂国務大臣 公明党でおつくりになりました五十三年から五十七年の中期計画は拝読いたしました。 いま仰せのミニマムのことでございますが、われわれはいまの社会の構成や経済の運営そのものの中で、やはり民間主体で動いているということを前提にいたしておりますので、政府としましてはこの程度が欲しいとか、この程度がいいのではないかという程度のことは、そうした政策目標を設定することはやれると思いますけれども、計画の中でミニマムを示すということはどうもまだ社会的には成熟していないのじゃないかという考えでおります。
○広沢委員 四十八年のいわゆる経済計画、その中には一つだけ方向として具体的なことが示されております。それは社会保障基本計画をこれからつくるのだということを明示してありますね。しかし、それがまだできておりません。そういったものを具体的に、先ほど申し上げたように理念とかそういう考え方だけではなくて、具体性というものを考えていくべきじゃないかと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○橋本国務大臣 広沢委員が御指摘のように、確かに社会保障の長期計画なりあるいは長期展望というものが要望されております理由は幾つかございます。 まず第一に、人口構造の高齢化、また産業構造の変化、すなわちわが国の社会的な構造の変動というものと社会保障も即応して動いていかなければならぬ、それはそのとおりでありますし、また、経済が安定成長への移行に伴って社会保障の財源確保というものにも相当困難を生じてきているわけでありますから、今後増大していく社会保障の給付と負担についてやはり計画的な対応をしていかなければならぬ、それも御指摘のとおりだと存じます。ことに、そうなりますとやはりその負担増に対して国民的な合意を求めるためにも、将来図を明らかにする必要が確かにあるわけであります。ただ、前回の計画のときには確かに御指摘のように社会保障の長期計画を策定するという旨の記述がございましたが、今回の新七カ年計画には「社会保障の体系的な整備を進める。」という表現になっております。 それは幾つかの理由がありまして、現実に年金制度また老人保健医療制度等、現在具体的な将来構想を詰めておる段階で、まだ個別的な政策の数量的な目標と具体化を含む全体計画というものの策定に入る状況に現実にありません。したがって、当面私どもとしては社会保障の中核である所得保障及び医療保障の将来展望というものをまず明らかにすることに努力をしてまいりたい。同時に、六〇年代に向けての社会保障の施策の方向づけ、また考え方というものについては現在社会保障長期計画懇談会に御審議をお願いいたしておりまして、それをできるだけ早くちょうだいをしたいと考えておるところでございます。
○広沢委員 それではこれから具体的に問題をお伺いしたいと思いますが、過日の衆参本会議で、年金制度の改善につきまして年金の最低保障額の引き上げを申し上げました。総理が社会保障、福祉社会というものを強調し、また家庭基盤の充実ということを口にされるのであれば、まず早急に対策が急がれている問題につきましてはやはり第一番に取り組んでいかなければならないと思うのでございます。その点についてはいかがでございましょうか、総理。
○大平内閣総理大臣 仰せのとおりでございます。
○広沢委員 われわれはまず福祉年金を取り上げまして、この福祉年金を二万円に引き上げるようにということを強く要望いたしております。これは何もいま取り上げたわけではなくて、以前から取り上げておりまして、今度の改正でも千五百円引き上げて、いま老齢福祉年金は一方八千円、二万円近くになっております。厚生大臣はそういうふうに努力をしてきたと言うけれども、財源がどうなるかという問題あるいは経過年金その他の年金とのバランスをどうするかという問題で年金基本構想懇談会でいま検討している、こういうお話でございます。 そこで、私は問題の趣旨としてどうも考え違いをしているのじゃなかろうかと思うわけでございます。やはり年金の抜本改正というものは、これは基本的にあらゆる制度がいまばらばらでありますから見直していかなければならない、これは当然のことだろうと思うのですね。そうした中で、いま当面問題になっておりますこういう福祉年金の問題についてはどういう位置づけになるかということは、これは検討しなければならないと思いますね。しかし、われわれがいま申し上げておりますのは、二万円にしようと思えばやれるのではないか。今回の予算の中で、五十四年度は千五百円老齢福祉年金は積み上げた、こういうわけでございますが、過去におきましては四千五百円を上げたりあるいはそれ以上引き上げたり、五十一年から均等に千五百円ずつ上げているわけでございますね。そういった根拠は一体どういうように考えておったのか。実際に二万円にやろうと思えばできるのではないか、このように思うわけでございます。私は一応二万円にするためには具体的にこうすればできる、そう大きな財政負担がなくてもできるという試算をしてみました。委員長、これよろしいですか。
○竹下委員長 結構です。
○広沢委員 ちょっと数字を見ながらでないとお話ができないと思いますので……。 これによりますと、いますぐに五十四年から二万円に上げた場合は、現在の財政負担では足りません。したがって、それに借入金なりあるいはもっと財政負担をふやすということを考えていかなければならない。しかし、そういうことを考えて、たとえば借入金を行ったとして考えてみましても、五十五年まで借り入れをやれば大体解決がつく問題でございます。その金額も五十四年、五十五年を足して九百九十億ですか、これだけの借り入れを行えばいい。一千億足らずですね。そうすればあとはだんだん減っていくわけでございます。これは老齢福祉年金にしましても経過年金にしましてもだんだん減少していくということになるわけですから、よけいに対策が急がれるわけでございます。こういうふうにしてある程度、いまより以上に少し考えてあげれば、二万円に引き上げることができるのじゃないか。 厚生大臣がお答えになっておりますように、それじゃ経過年金の方はどうするのだということを考えてみましても、それだけ、引き上げた分だけ経過年金の方にもはね返らして考えていきましても、これはやれるのじゃないかという考えを持っております。さらに拠出制のモデル年金は大体政府が目標としております被保険者の標準報酬額の六〇%、こういうところまでやってきている、こういう状況でございますね。したがってその後は物価の上昇分だけ上積みをしていこう、こういう態勢にあるわけでありますから、やはりこういった福祉年金におきましてもある一定のラインまで引き上げて、それからはそういったラインに乗せていくということを考えていくべきじゃないかと思うわけでございます。ごらんになりましたでしょうから、ひとつ厚生大臣、どういうふうにお考えになりますか、お伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 せっかくの御試算をいただきまして、この計画拝見いたしまして、なるほどそれなりに整合性を持った数字だということは私も感じます。ただ、いまお話がありましたように、確かに福祉年金の受給者は今後年々減少していくわけでありますが、一方において保険料を掛けた方方が受けられる国民年金また厚生年金の受給者はこれから急速に増加していくこと、これも御承知のとおりであります。そうなりますと、年金全体の費用としてはやはり今後むしろ大幅に増加していくということの方が実態でありまして、福祉年金の費用が減少していく、だからといってその中で安易に福祉年金を引き上げ、それによって五年年金、また金額によりましては十年年金までを押し上げていくということが将来の国民負担に非常に大きな影響を与えるということも、これはまた私は事実だと存じます。それだけにやはりそういうやり方で国庫負担を急激に増加させるということは、相当慎重な検討を要する行為ではないかと存じます。 なお、これは私どもの方なりに今度はちょっと試算をしてみますと、老齢福祉年金を二万円に引き上げた場合の追加額、これは平年度で約千四百億ぐらいになる計算になります。そうしますと、福祉年金がその中で大体千五十億でありますが、そのほかに、こちらの試算の中でちょっと外しておられるようでありますけれども、連動して動く性格になっております児童扶養手当あるいは特別児童扶養手当、原爆被爆者の各種手当、こうしたものが全部連動していくわけです。そのほかに五年年金及び十年年金の押し上げ分が働いてくるわけでありますから、どうしてもこの程度の金額にはなってしまう。そうしますと、私はこれはなかなかそう楽な数字ではないということを申し上げざるを得ないと思うのでございます。
○広沢委員 突然試算を示してどうせいこうせいと言っても、御検討いただかなければわからない問題だと思うのですけれども、いま厚生大臣答弁がありましたように、福祉年金を引き上げるだけであれば――福祉年金というのは老齢もありますし、障害あるいは母子もございますが、大体私がいま申し上げた一千億前後ということで合っているわけでございますので、いま申されたように全体としてやっていこうという気持ちがあるならば、大体それをならして全部を上げるというわけにはいかないと思います。各制度との支給の差が縮まるという問題はあろうと思いますが、では大体どれぐらいになると勘定なさっていらっしゃいますか。全体として全部に波及していく、われわれはその点はまだ試算しておりませんが、児童手当だとかすべてに影響していくじゃないかというお話でございますね。そういったことを一応検討したことがあるのか。あるとしたらどれくらいの、二万円に底上げすることによって見合った形でやっていった場合どうなるかという問題でございますが、どうですか。
○橋本国務大臣 いま申し上げましたように、大体児童扶養手当、特別児童扶養手当、また原爆被爆者の諸手当等の連動分がアバウト二百二、三十億、それから仮に二万円というラインに福祉年金を上げまして、それに見合った形で、御承知のようにいま経過年金の方、五年年金と福祉年金と二百八円しか差がないわけでございますから、それをとにかくかさ上げをして体系を保たせるとした場合、恐らく五年年金でアバウト百億ぐらいは出てくるだろうと存じます。これは給付金ベースでいけば恐らく二百三十億ないし四十億ぐらいの数字になっていくだろうと存じます。
○広沢委員 いま数字を示されましたけれども、それぐらいのことはやろうと思ったらできるだろうと私は思うのです。したがって私は、前に五十年の二月に、ちょうど三木内閣のときでございましたか、代表質問に対してのお答えも、制度を見直して、そして来年度ということは五十一年度の予算の中に反映したいということを総理はお答えになっておられます。またそれを受けて当委員会では、わが党の大橋委員がいまの資料と同じような案を示しまして、やればできるじゃないかということを追及したことに対しまして、時の田中厚生大臣はこれはできる、二万円というのは。ちょっと文章がありますのではっきりと申し上げておきたいと思うわけでございますけれども、月額二万円程度の福祉年金を支給したいということを総理も申しておりましたから、これは公約でございますから、何としても財源を見つけてこれを実行いたさなければならないというかたい決意のもとに、あれやこれやの手法を使って検討している、こういうふうに言っておられます。加えて五十一年度には二万円を実施するのか、こういうことに対して、二万円は私は必ず実施したい、こういうお答えでございます。それからちょうど四年たっているわけですね。千五百円ずつどんな根拠で上げてこられたのかわかりませんけれども、このままで来年までいきますとほっておいても二万円になるわけですよ、本年度の予算と同じように千五百円積み上げればですよ。しかし、いま私が具体的に試算を示しましたように、いまここで福祉年金は一千億上げてやれば、積み重ねてあげれば、これは二万円に実現できる。さらに経過年金の五年年金もいま給付人員が百八万ですか、それに勘定してみましても、先ほど厚生大臣お答えの百億あるいは二、三百億かかるのかもしらないという話でありましたが、大体そんなところですね。それでは十年年金はどうするのかということになりますと、その差の問題もありますけれども、そこはどう調整するかという問題もありましょう。あるいはモデル年金との関係の調整をどうするかという問題もあろうかと思うのですが、これはやはりやればできるということじゃないでしょうか。 総理にお伺いしますが、これは前に総理もこれをやる、厚生大臣もこのことはぜひ手法を考えて検討する、そしてまた、来年度というのは、このときで言えば五十一年には予算に反映したい、そこまで申しておるわけでございます。やはり総理は「信頼と合意」ということを政策の基本にしてこれからの政治をおやりになろうとする。国民に公約したことはこれはやはりおやりにならなければ、信頼もなければ合意というものも生まれてこないわけでございましょう。その当時五十年に一挙に二万円に上げたときは、そのときのやりとりもございました。一兆数千億要るかもしれないという話でございましたが、四年経過した今日、来年度には今年と同じ引き上げをしても二万円近くになる。いま老齢福祉年金につきましては今年度千五百円引き上げておりますが、三千五百円上げれば二万円になるのですよ。それからずっとそれを土台にして考えていきましても、政府がいままで機械的に積み上げてきた、千五百円ずつ積み上げていったのと若干それを上回って伸びていくことになりましょう。しかし、いまこの老齢年金についての受給人員を見てみますと、われわれが五十年に申し上げたときからいうとすでに老齢福祉年金で約百万減っております。母子福祉年金については半減しているのです。半分になっているのです。そしてこれからはこれは漸次ふえていくのではなくて減っていくのですよ。当然政府が法律をつくり、制度でやっていかなければならなかったものができていなかった。したがって、その当時経過的にこういう処置をとっておこう。当然その年には拠出制年金の方向もまだまだ財政事情もあって悪かったと思うのですが、先ほど申し上げましたように政府が目標としておりますモデル年金においては、もう給付水準は六〇%のラインに達している。したがって、それは政府の目標だったわけですから、それから後は物価の調整で上げていこうということになっているわけでございます。ですから、この公約をやろうと思ったらできるわけでございますから、「信頼と合意」を主張される総理はひとつお考えになったらいかがでしょう。
○橋本国務大臣 先ほどお答えをするのを忘れておりましたが、本年の千五百円引き上げと申しますのは、消費者物価上昇率見合い、物価スライドの数字を超える九・一%という率設定をしまして千五百円アップという数字を出しました。 ただ、これはいま御指摘がありましたように、三木内閣当時に、当時の田中厚生大臣がその実施のために努力するというお約束をされましたこと、私も存じております。ですから老齢福祉年金など一連の経過的な年金のあり方の今後の姿につきましては、いま年金懇で審議をしていただいておりますので、しばらく時間をかしていただきたいと思うのでありますが、この引き上げに必要な費用をどこから集めるか、また保険料を掛けておられる方と保険料を出さずに福祉年金に入っておられる方々とのバランスの問題等検討すべき課題はございますが、現在確かに老齢福祉年金三百七十万人にもなる多くの方々が受給をしておられるわけでありますし、五十五年度におけるその改善につきましては、私もできる限りの努力をしてまいりたいと存じます。
○広沢委員 とにかく先ほど申し上げましたように、厚生大臣、基本的な考えが違うんじゃないか。その懇談会で検討していく、そして出てきたものをまた厚生省でそれを検討してそれぞれ公的な審議会にかける、これは基本的な問題として全体を見直さなければいかぬ、それはわかるのです。しかし、皆さんが千五百円今度老齢福祉年金を上げるにつきましても、一々基本懇で検討して、そんなことはないわけでしょう。大蔵省との予算折衝の中で決まっているわけでしょう。過去においては、それは千五百円じゃなくて三千円もあるいはそれ以上上げたときがあるわけです。ですから、いまもう少し配慮してあげれば、ということは三千五百円になるわけですね、五十四年から二万円にしようとしたら。できるではないかということを申し上げたわけです。ですから総理、じっと口を結んで考え込んでいらっしゃるみたいな顔ですけれども、いま厚生大臣もお認めになりましたように、これは内閣の公約なんですよ。こういう公約したことが守られなかったら一体何を信頼すればいいですか。あなたが「信頼と合意」とおっしゃるならば、やはりここで具体的に検討しよう――われわれの乏しい能力の中で試算してみても、先ほど厚生大臣も申されておったようにそれなりの整合性は合っている、そういうお話じゃありませんか。どうかもっと具体的にそれだったら検討してみよう、それは今年どうしても間に合わぬ、予算修正しなければならぬ問題になります。ということになれば、来年に二万円にしようという話じゃだめですよ。来年は、今年からやったとしてそれを計算した、積み上げた基礎に基づいてひとつやっていく。そしてこれで十分だとは私は思いません。いま厚生大臣がお答えいただきましたように、基本懇で年金制度の抜本改正、われわれはそこにも基本年金構想として、いわゆる二階建て年金でこうやれば全体の水準が上がり、うまくいくのじゃないかという案を出してありますね。それができたときにどういまの経過年金や福祉年金を位置づけするか、その点において給付をもっと上げるべきだという結論が出れば、これはそれまでの間の暫定処置なんです。よろしいでしょうか。毎年毎年こういう制度で減っていくんですよ。一日も早くやらなければいけない問題じゃありませんか。いま私たちが主張したとおりやってくれば、五十年にもしも採用されておりたとすれば、いま三万円近くにはなっているはずであります。しかし、四年ずれて、その公約を百歩譲って、いまこのところでやっても、二万円をあえて三万円と言いたいところでございますが、二万円も実現していないのに、ただ金額だけを上積みして、実行性のないことを言ってはならない。そういうことで、今回もあえて二万円をぜひやるようにという要求を申し上げたわけであります。総理のお考えを聞きたいと思います。
○大平内閣総理大臣 広沢さんから大変熱心な御主張がございまして謹んで拝聴いたしました。私どもといたしましては、各年金制度の中のバランス、それから他の歳出項目とのバランス等を考えながら、われわれの政府が約束いたしました方向に精いっぱいのことをやったつもりでございます。これにはいろいろ御批判があろうと思いますけれども、その点は先ほど来厚生大臣から申し上げておるとおりでございます。しかし、この問題はなお検討の上、その実現の方向に努力すべきではないかということでございますが、その点につきましては検討をするにやぶさかではございません。
○広沢委員 もう時間もございませんので、ぜひ総理、公約でございますから「信頼と合意」を基本とされる大平内閣においてはそのことを実行していただきたい、強く要望申し上げておきたいと思います。 大変時間がなくなってしまいましたが、大蔵省に税制改正について具体的にお伺いする予定で申し上げておりました。駆け足で申し上げますので、ひとつお答えいただきたいと思います。 過日、財政収支試算についてわが党の矢野書記長から整合性の問題が問題になりました。したがって、大増税をいま考えておるならば、当然政府はどれだけの努力をしたか、そういう結果を出すようにという強い要請をいたしたわけでございます。したがって、税制改正の面では、いままで答弁が種々ございましたように、それぞれかなり努力はしてきた。何もしてないとは申しません。その努力は評価いたしますけれども、考えてみますと、まだ種々問題が残っております。 たとえば所得税関係では、利子配当については、先日も答弁がございましたように昭和五十五年、来年ですね、これは廃止するというお考えだということでございますから、それはわれわれの主張を取り入れて一歩前進です。それから有価証券の譲渡、この問題についても今回手をつけておりますが、私は、まだまだやっていかなければならない問題だと思うのです。 それから法人関係につきましては、準備金、引当金、これにつきましても今度相当手をつけております。引当金につきましてはいろいろありますが、たとえば貸し倒れ引当金を一つとってみましても、三十九年以来全然手をつけてなかった問題を今回初めて手をつけた。これは一歩前進だと思うのです。しかし、その実態は、いま時間がなくてもう申し上げることができませんが、これはまだまだ実態から乖離したものである。私は、いまの経済情勢の中で法人に余り負担をかけるのはいかがかというような意味の答弁も聞いておりますけれども、しかし、政府が意図してそれだけの財政試算を出して、こんなになるのだと言って国民に負担をかけようというのであれば、やはりそれにつきまして、法人についてももう少し見直していく余地はあるのじゃないか、こういうふうに思います。 したがって、私どもは先ほど申し上げましたトータルプランの中で、財政的にはトータルプランが五十七年を、一応私たちは五年としておりますから、目標にしておりますが、年次的にこれだけのことはやっていこうという計画を立てておるわけでございます。したがって、大蔵省も国民に財政負担を求めるということを決めてしまう前に、税調の答申にありますように、歳出の見直し、税制の改正、そういった問題について計画的な、これから六十年までと言ってもできませんでしょうが、一応こういうふうにやっていくのだというスケジュールを示し、その中での税収はこれぐらいしかないから、これだけ足らないのだということになれば、初めてそこで議論ができるわけです。そういうことでございますので、その年次的な税制改革の方向を示された計画をお出しいただけるようにひとつ御要望申し上げ、所見を伺っておきたいと思います。 それから時間でございますので、最後に一言聞いておきたいのですが、総理、サラ金規制につきまして前内閣では今通常国会に提出する、何とか改正する、こういうことのお話でございましたが、提出予定法案の中には含まれておりません。一体本当に内閣提出になるかあるいは議員提案になるかわかりませんが、この国会で何とかその問題の処置はするというお考えかどうか、そのことをお伺いして質問を終わりにいたしたいと思います。
○金子(一)国務大臣 広沢さんの御意見についてお答え申し上げますが、今度の税制改正でも精いっぱい、やれるだけのことはやったつもりでおるのですが、なお御指摘の幾つかの問題について、これから段階的にやっていかなければいかぬと思うのです。ただ、年次計画でいつまでにどれをというのは、これはそのときの経済情勢等に応じて考えていかなければいかぬものですから、具体的に何を何年、何を何年というわけには必ずしもいきませんけれども、先ほどお示しの利子の総合課税はいつやるとかというようなことは、具体的に審議を願っておる段階でございますので、今後さらにそういった問題についての日程をできるだけ詰めてみたいという気持ちでおることを申し上げておきます。 それから、サラ金の規制ですが、これは私どもも、もう一刻も早く片づけなければならぬと考えておるのですが、六省庁の間でいろいろ議論を詰めております。関係方面からの議論もいろいろ出ておるものですから、意見調整をして、早く結論を出すように持っていきたいと思っておるのですが、一番のポイントは御承知の金利の問題、これはいままでの規制の法律がそれぞれ違っておるものですから、この調整をどうするかというやっかいな問題があります。関係省庁できるだけ詰めたい、こういうことでございます。
○広沢委員 今国会で処理を必ずするのかと聞いたわけですから、それについて、するかしないか答えてください。
○金子(一)国務大臣 できるだけ早く詰めて、結論の出次第提案したいということでございますが、まだ今国会ですぐ出せますというところまでは話が詰まってないのでございます。
○広沢委員 終わります。
○竹下委員長 これにて広沢君の質疑は終了いたしました。次に、藤田高敏君。
○藤田(高)委員 私は、財政問題を中心に、同僚議員の質問とも関連をいたしまして、以下、できるだけ具体的に質問をいたしたいと思います。 まず第一は、今回経済企画庁から出されております新経済社会七カ年計画の基本構想とその中に盛られております社会保障移転関係の経費についてでございます。この中身を見ますと、社会保障の問題については、現行制度の一定の見直しをやるということが一つ提起されております。そうして、その数字的な係数におきましては現行が一二・三%といたしますと、これが一四カ二分の一になる、こういう考え方が提示をされておりまして、それに対応して税の負担率というものが非常に高くなるような姿でこの計画案が示されておるわけであります。 そこで私は、特にこの一四カ二分の一になるという内容がどういうものであるかということをお尋ねしたいと思うわけです。 税負担が現行一九・六%といたしますと、これが二六カ二分の一になる、約七%程度の伸びにもかかわらず、この社会保障の方の関係はわずか二%程度しか伸びないというこの数字が示す内容は、これは私の杞憂であれば結構でありますが、世間でもうすでに言われておりますように、たとえば厚生年金の受給年齢が六十歳から六十五歳に引き上げられるとか、あるいは官民の差を圧縮するとか、あるいは児童手当を廃止するとか、あるいは老人医療の医療費の一部を有料にするとか、あるいは老人医療の関係につきまして所得制限をやるとか、こういういわば制度を改悪するという内容が含まれているために、この数値が低くなってきておるのではないかということを憂慮するものでありますが、それに対する説明を伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 ただいま御指摘の社会保障移転対GNP比が、おっしゃるとおり五十三年度一二・三%から六十年度の係数が一四・五%程度というふうになっておりまして、ただいまそれが租税の負担率の上昇との関連でお話しございましたが、われわれといたしましては、租税負担率というものよりもむしろ社会保障の負担というのと御比較を願いたいと思います。これは九%現状でございますが、それが一一%程度になるというわけでございまして、この具体的な内容につきましては今後さらに詰めてまいりたいと思っております。
○藤田(高)委員 この新経済社会七カ年計画は単なる計画ではなくて、これが今回、後で私が指摘いたします財政収支試算、いわゆる五十九年度で赤字公債を発行しないような財政計画を立てていくのだという、今後のいわゆる財政計画との関係におきましては、むしろこの基本構想が土台になって財政収支試算表というものがつくられているということになりますと、今日、わが国の政治課題の中で多くの重要課題がありますが、サラ金財政と言われ、あるいは赤字公債に抱かれた財政だと言われておる今日のわが国財政をいかにして再建していくのか、これが大所高所から見た一番大きな問題だと私は思うのです。その問題とこれは非常に直接的な関係を持っておるのですね。その計画書が、いま大臣が言ったような簡単なものでは国民は納得すまいと私は思うわけであります。もっと国民の立場からいけば、今後の財政計画を立てるにしても、こういった基本計画をつくるにしても、基本的には社会保障がどうなるんだということが一番中心になるべきじゃないか、それでなければ、ここのタイトルではありませんが、「ゆとりと生きがいのある社会を求めて」なんということは単なるお題目であって、ナンセンスだと私は思うわけですよ。そういう意味から、いま私が指摘したようなことは、少なくともそういう意味の後ろ向きの制度改悪はやらないんだ、そういう前提で今後取り組まれるかどうか、このことだけ明確に答えてもらいたいと思うのです。
○喜多村政府委員 今回の基本構想の作成の際に、昭和六十年度におきます社会保障の全体の給付の規模を見込むに当たりましては、現在の各制度のもとで予想されております六十年度の給付額を推計するということを基本的に考えておりまして、先生が仰せになっておりますような項目について変更を加えたりということで計算したものではございません。
○藤田(高)委員 それでは一応そういう改悪的な制度改正はない、こういう前提に立っての構想だということが明らかになりましたから、以下、私はそのことを踏まえて財政質問に移りたいと思います。 まず第一は予算編成のあり方であります。 本会議代表質問以来、この種の問題についてもしばしば討論のされてきたところでありますが、不要不急の歳出といいますかぜい肉といいますか、そういうものは極力歳出面においても削減をした予算だということでこの五十四年度予算案が提示されたと説明されているのですけれども、私は、率直に言って、今日の非常に不正常な財政状態を正常なものにしていくためには、高度成長時期につくられてきた、いわば水ぶくれといいますか、そういう水ぶくれ的な予算の性格というものを根本的に流い直す立場から予算を組み替える、この私の考え方からいけば、現在の予算は何だかんだといっても、前年度はどういう予算の組み立て方であっただろうか、対前年度比をどれだけ上げるのか、下げるのか、こういういわば増し分方式といいますか、増分方式というのか、いわゆる前年度に比較してどうするのだという、俗に言う増し分方式でやってきておると思うのです。そうではなくて、高度成長型の予算を低成長型の予算にやるのだということになれば、その土台を一遍つくりかえる、いわゆるゼロベース予算、これは仮定ですが、そういうものをひとつ土台を変えて、そうして仕組みをつくりかえていく。そうすれば、そこにつまらない機構の問題も当然起こってくるでしょうし、きわめて政治的な補助金なんかも、これは整理することもできるでしょうし、俗に言う経済的効果のきわめて少ないそういう予算というものもぶった切るといいますか、整理することができる。そういう意味合いにおいて大平総理が言われておりますいわゆる安上がりの予算というものができるのじゃないかと思うのですが、従来のそういう方式から私がいまアイデアとして提起いたしおる方向に予算編成のあり方を変えるお考えがないかどうか。
○金子(一)国務大臣 藤田さんから大変貴重な御意見を拝聴いたしたのでございますが、私ども全く同様の考え方を持っております。特に新年度のような財政事情の厳しいときにおきましては徹底的にそれをやらなければいけませんということで、増し積み方式ということじゃなくて、予算のもとから見直しをやって、そして政策の優先順位をつけて予算を配分する、スクラップ・アンド・ビルドと大蔵省は言っておりますけれども、徹底的にそれを政策経費についてはやりましたし、また補助金もそういった意味で思い切って整理統合した。しかし、完全に徹底できたかというと、それはそうも言えませんから、これからもそういう気持ちで十分徹底させてまいりたいというつもりでございます。
○藤田(高)委員 私は、五十四年度の予算をそういうことでということではなくて、これは大変な大作業だと思いますし、ある意味では財政編成の革命ともいうべきことだろうと思うのです。そのことは、やはり国会サイドといいますか、国会議員、いわゆる国民サイドが十分な理解を示すという形で、財政当局がそういう方式に切りかえてやるのだということで、場合によれば、そのことを達成するためには一定期間スタッフを大蔵当局を中心にして、手が足らなければ専門家を一時ふやしてでもやるというぐらいな構えでやらないと、私は後段具体的な数字を示して指摘をいたしますが、これはとてもじゃないが、政府が出しておる六十年の段階まで九兆一千億程度の一般消費税か何か知りませんが、そういう増税だけで今日のわが国財政の危機が切り抜けられるという性格のものでないと思う。やはりここでどんなにお互いがえらくとも、将来のわが国国民の生活を安定したものにしていくためには、私はそういう意味において、みんなが心を合わせて財政改革をやるべきじゃないか。ですから、直ちに来年に向けての取り組みを、私が提起しておるような発想でやるかどうか。これはその場逃れじゃなくて、あなたよりもわれわれ野党の方がもっと真剣かもわかりませんよ。それはお互い一生懸命でしょうけれども、大平総理の施政方針演説の中で、それは誇張も大きかったり修飾も、美辞麗句も多かったかもしれないけれども、やはり政治家は余りいいことだけ言ったのでは済まないところまで来ておるのではないか。そういう点について財政当局の毅然たる決意を込めた考え方をひとつ披瀝してもらいたい。
○金子(一)国務大臣 大変な力強い御支援をいただいて、私どもも大変力強く思っておる次第でございます。 ことしは財政再建の第一年ということで、できるだけの手は講じましたが、これからもやはり財政事情は厳しいですから、極力また皆さんの御協力もいただきたい、こういう気持ちでおります。いまお話しのようなことで、財政支出を極力削減しながら赤字公債の脱却を図っていく以外に日本の財政の立て直しの道はない、こういうふうに考えております。
○藤田(高)委員 これだけで時間をとれませんけれども、私はいまの答弁ではちょっと釈然としない。やはりこれは基本問題ですから、どうでしょうか、ひとつ総理の決意を聞かせてください。
○大平内閣総理大臣 全く仰せのとおりでございます。革命的な決意と手法を用いなければ、財政再建に本格的に成果を上げてまいることはおぼつかないと考えます。しかしながら、それは予算編成当局だけの力ではできないわけでございまして、政府全体がそうならなければなりませんし、また国会が大きな力を持って御声援を賜る必要があろうかと思いますので、その点は国会方面におかれましても、政府を叱咤し、かつ鞭撻をしていただくようにお願いしたいと思います。
○藤田(高)委員 ずいぶん叱咤しておるつもりですけれども、どうも総理の答弁も必ずしも明確でありませんが、少なくとも私が提起した考え方に沿って将来に備えていきたい、このように理解をして、次に進みます。 さて、財政問題の具体的なことでございますが、過日、予算委員会が開かれました冒頭に、俗に言う財政収支試算表が示されました。大蔵大臣は、財政再建のスタートの年にしたいのだ、こう言って、いまも言われましたが、私は非常に奇異に感じることは、去年もこの財政収支試算表が出されたのですね。そのときに、当時の村山大蔵大臣は同じことを言われた。これは国土庁長官が予算委員長をなさっておって御承知でしょうけれども、同じような答弁をされた。ところがどうでしょうか。この今度出された財政収支表によりますと、五十九年から赤字公債は出さないのだ、そこを前提にして一つの試算表が組まれておるのですね。ところが去年出されたのは、五十七年の段階ではそういうものにしたいのだ。結局二年間ずれたのです。われわれは去年の予算審議に当たっては、今日の財政危機を克服するために五十七年度からは赤字公債は出さないのだという前提で予算審議をやったのです。ところが、一年たったら、今度は二年ずらして五十九年からでないとやれません、こういう案が出てくるのですね。そうして、われわれが試算表についていろいろ財政当局に聞きますと、これはあくまでも試算なんだ、こう言うのですね。私は、少なくともこの予算審議に当たって大蔵当局が出してくるこの資料は、もっと権威があっていいのじゃないか、もっと責任のあるものを出すべきじゃないか。なぜこんなに行き当たりばったり、本当に出たとこ勝負的なその場逃れの資料しかできないのかということをまずお尋ねしたいのです。
○金子(一)国務大臣 前回出しました財政収支試算では、五十七年度で赤字国債脱却ということを目標に掲げて御審議をお願いしておったのですが、御承知のとおり去年からことしにかけての経済の大きな変動で目的が達せなくなった。明年度も十五兆の国債を発行しなければ景気の維持、回復ができないという情勢に追い込まれて、いま懸命にそのための予算を組んで御審議いただいていることは御承知のとおりでございます。情勢がこういうふうに変わってきたというのは藤田先生篤と御承知のことでございますから、そこら辺はひとつお察しいただきたいと思います。
○藤田(高)委員 情勢が悪くなった、こう言いますが、財政収支の見通しについてこんなに大きく情勢が変化する事情変化はないと思うのですよ。政府はどうですか。去年はことしの五月分までの税収を二カ月前取りして、二兆円前取りして十五カ月予算まで組んで、そして経済が非常に異常な時代だから、とてもじゃないが不況が続く、しかし、この不況からどうにか脱出しなければいかぬという非常に深刻な分析の上に立って、去年の財政収支試算表が示されたと思うのですよ。それが今日の情勢では、総理答弁にも見られるように、後でも触れますが、いまの見通しからいけば、むしろ経済的な情勢が好転してきているのじゃないですか。経済的な、客観的な条件がむしろ財政にはプラスするような条件が出ながら、一方逆に収支試算の関係では五十七年が五十九年に、はさみ状にずれるなんということは世間が納得しますか。私は、これだけをやりとりすると時間がありませんから、財政当局の出しておるこの財政計画に準ずる財政収支試算はきわめてずさんなものであるということをまず指摘しておきたいのです。 その上に立って財政当局に要望があります。この試算表を出す以上、去年私が、いま財政の一番大事な問題は赤字国債をどうして返していくのか、六十年が来れば赤字国債を現金で償還をしていかなければいかぬ、そのとき以降の国民に返すべき積み立て財源がないじゃないか、だから、建設公債は六十年で償還をするという形で償還財源を積んでいっておるけれども、十年で返すべき赤字公債は十年で返すような、十分の一で積み立てしていかなければ、赤字公債を償還するときが来て償還財源がないという事態が起こってくるじゃないか、そのためにはそれに向けての積み増し方式を考えるべきじゃないかということで、いわば国債整理基金の負担平準化の一つの試算を具体的に示した。そうしますと、財政当局も渋々、これは相当時間がかかりましたけれども、財政当局も私が示したような方向で一つの案を示しましたね。ところが、今度出てきてないのですよ。どうしてこれを出さなかったのか。私は同じような処方で私なりに試算をしたものを持っておりますが、この資料を財政当局は当然用意しておると思うのですね。出してもらいたい。
○長岡政府委員 昨年本席におきまして藤田委員からの御指摘があり、特例公債の償還に関する大蔵省としての基本的な見解を文書をもってお示し申し上げました。 かいつまんで申し上げますと三点ございまして、できるだけ早く特例公債依存の財政から脱却すべく努力いたしたい、特例公債脱却までの間は特例公債償還のための特別の財源の積み増しをすることは考えていない、なお、特例公債を円滑に全額現金償還するための予算繰り入れについては、この点が藤田委員の御指摘のポイントでございましたが、負担の平準化を考慮しつつ、その具体的方策について検討を続け、特例公債脱却後直ちにこれを実施に移せるよう努力いたしたい。この基本的な三点の考え方は現在も私ども持っております。 一番むずかしい問題は、去年もその点が問題になったわけでございますが、六十年度以降非常に長期にわたる経済、財政の見通しを行わなければならない、現時点で六十年度以降をどういうふうに想定するかという点が一番問題でございます。したがいまして、財政収支試算につきましては、これこれこういう方針で、しかも新経済社会七カ年計画の基本構想に基づいて試算をしたということで資料として御提出申し上げましたが、いま申し上げました六十年度以降をどう想定するかという点が非常に決めにくいという点でお出しをしていないわけでございますけれども、昨年の藤田委員の御示唆のような一定の基準を置いた計算でございますと私どもは用意をいたしております。
○藤田(高)委員 用意しておるようでございますから、これは私だけの資料ではなくて全員に配付方、提出方をお願いしたいと思うのです。
○竹下委員長 善処いたします。
○藤田(高)委員 いま出してください。ちょっとそれを見て私の試算と合わせて質問したい。それがなければやれないですよ。それは当然ですよ。
○竹下委員長 財政当局に申し上げますが、いますぐ提出可能でございますか。
○長岡政府委員 直ちに提出可能でございます。
○竹下委員長 それでは、直ちに提出を求めます。
○藤田(高)委員 これは当然過ぎるほど当然用意をしておかなければいかぬ資料ですよ。少なくとも私のところへそれを出してもらわなければ、去年だってこれでいわば審議がストップしたわけでしょう、私は審議ストップなんというのはきらいですからね。審議がこういう状態になるというのは財政当局の方にそういう誠意がないからじゃないですか。すぐ出してもらわなければ審議になりませんよ。――いま手元にもらいましたが、この表をいま一見いたしますと、昨年の私が提示した表と大体同じような方式に沿って出されておりますから、以下質問をいたします。 これによりますと、財政当局からいま出されました資料によっても明らかでありますが、問題は、国債整理基金の負担平準化のための予算の繰り入れというのが真ん中どころにございますが、これを見ますと、いわゆる赤字公債が昭和六十年から現金で償還をされる、それに向けてのいわば積み増しをやる案が示されております。いろいろこの表の見方にもよりますけれども、私はこの表から感じますことは、大蔵大臣の説明にもありましたが、昭和五十九年からは赤字公債を出さないんだ、そうして歳出の面については一定の抑制策をとってやっても九兆一千億程度の財源不足が生じますというのがこの表が示す一つのポイントだと思います。 もう一つの問題は、財政当局がこの表を出すことを渋った一つの原因は、以下私が申し上げるところにあるのじゃないか、これは大変勘ぐって悪いですけれども。と申しますのは、いわゆる六十年以降も一応低成長時代が続く。そういたしますと、自然増収も思うように見込めない。そうしますと、この赤字公債の財源をいかにして確保するかということがきわめて重大な問題になってくる。そうして、この表を見れば一見してわかりますように、たとえば昭和六十三年から六十七年までの間には、これは赤字公債を償還するピーク時になりますけれども、この五年間だけで驚くなかれ二十三兆七千七百億という赤字公債を現金で返さなければならぬという、そういう表がここにいま示されたわけですね。そのように理解してよろしいでしょう。その点ひとつ押さえておきましょう。そうしないと議論になりませんから。
○長岡政府委員 御指摘のとおりでございます。
○藤田(高)委員 やはりこの表を出していただいたので私はある意味において議論がかみ合うと思うのですね。そういう点からいきますと、なるほど五十九年までの歳入欠陥と目される財源をいかにして調達するかという、その財政再建に向けての方途が問題になりますが、六十年以降は、いま指摘いたしておりますように、この赤字公債の財源を増税によって確保するのか、それとも何によってその財源を調達するのか。端的に言いますと、この六十二年から六十七年の赤字公債を現金で返さなければいけないピーク時の財源を、下手をするとまた赤字公債を償還するために赤字公債を発行するという、もうわが国財政にとっては一番悪い危機的状態が起こってくるのじゃないかということを私は憂慮するものです。この表がそのことを裏づけておるような気がするわけですね。まさに、赤字公債に抱かれたと言いますが、赤字公債に殺される財政になってくると思うのですね。私はここで聞きたいのですけれども、こういう状態である限り、財政当局としてはこの財源を何によって確保していくのか、それはいわゆる積み増しだけで償還しようとしておるのかどうか、この点をひとつ明確にしてもらいたいと思うのです。
○長岡政府委員 お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたように、六十年度までは新経済社会七カ年計画の基本構想に基づいて財政収支試算も一応試算として御提出申し上げておりますが、六十一年度以降をどう見るかという点は、前提の置き方いかんによって幾通りも出てまいります。したがいまして、私どもとしてはただいまお手元にございます表の二枚目が昨年藤田委員にお答え申し上げました、なるべく平準化を図るための予算繰り入れを行うという趣旨に合致するものと存じますけれども、これにおきましても、前提条件としては第一表も第二表も同じでございますけれども、「六十一年度以降の新発債発行額は、六十年度発行額を基礎とし、毎年度の伸びを一〇%とする。」というきわめて大胆な前提を置いております。直接ただいまの御質問にお答え申し上げるためには、それでは六十一年度以降一体財政規模がどのぐらい伸びると見るのだ、税収がどのぐらい伸びると見るのだというところまで同じような大胆な前提を置かないと、その財源がどこで賄われるかということがお答えできないという性格のものではなかろうかと存じます。
○藤田(高)委員 性格がはっきりしてきました。そういう意味で私は冒頭予算編成のあり方を申し上げましたが、いま主計局長の答弁を聞きましても、いわゆる赤字国債をこういう形で返していくためには、ここの表にも書いておりますが、昭和六十一年から赤字公債については三十五分の一、続いて三十分の一、二十五分の一、二十分の一、二十分の一、二十五分の一、二十五分の一、三十五分の一という形で赤字国債償還に向けての一般財源からの積み増しをやらなければいかぬということがはっきりしてきたわけですね。そうしますと、そのことが一般財政に影響を及ぼしてくる。したがって、これだけの約束した十年ごとに迫ってくる赤字公債を返すためにはこういう財政が必要なんだということになりますと、これは通り一遍の従来どおりの財政のやり方ではとてもじゃないができぬということは数字をもって裏づけておると思うのですね。そのことは大蔵大臣確認できますか。
○金子(一)国務大臣 御指摘のとおりでございます。
○藤田(高)委員 その点が非常に明確になりました。 そこで、私は六十年以降の財政問題についてはひとまずここで留保しまして、問題は、当面は五十四年からこの表でいきますところの五十九年まで。財政収支試算表では三枚でできておるのですね。三枚でできておる中で本表というのがある。その本表によりますと、この六年間に約九兆一千億の歳入欠陥が生まれる。この財源不足を何によって補うかというのが焦点になってくると思うのですね。そうすると、この九兆一千億というものを、政府案によりますと、この五十五年からずっと増税額の内容を示しておりますが、これは議論されておりますように、一般消費税を中心としてやるのかどうか、これが一つの問題点でしょう。しかし、私はここで端的にお尋ねしたいのですけれども、今国会に政府は税制改正案を出してきていますね、幾つかの税制改正案を出してきておる。そういう税制改正案をもっと徹底することによって、政府がここで考えておるような増税案ではなくて、一般消費税を中心とする増税ではなくて、現行制度、いわゆる不公平税制の徹底的な是正によって九兆円程度の財源を生み出すことができないかどうかということを聞きたいのです。私はそのお答えを聞いた上で、われわれの具体的な試算をし努力した一つの考え方をここで提示してみたいと思うのです。
○金子(一)国務大臣 藤田さんのおっしゃる現行税制の徹底的な見直しだけで九兆円の歳入不足をカバーできるかというと、これはもうとうていできない。やはり何らかの形で新しい税金を探すとか、あるいは特にいま問題になりますのは一般消費税ですが、そういうものを中心としていろいろな組み合わせを考えていかないと、とうてい不可能ではなかろうか、こういうふうに考えます。
○藤田(高)委員 私は、先ほどあれだけ声を大にして、六十年以降の財政がきわめてこれは深刻というか、重大な局面を迎えるという状態であればあるだけに、五十九年度までの財政再建の中身をどうするかということについて、現行の不公平税制の是正を、現状どおり、もしくは今度改革案として出しておるような感覚では、財政再建ができないと思うのです。 私は、その意味において、時間の合理化を図る立場から率直に申し上げますが、たとえば、どうでしょうか、今回政府が改正案として出してきております貸し倒れ引当金の引き下げ、あるいは今回、どういう意味か知りませんが、貸し倒れ引当金の中で一番大きな銀行関係、金融、保険関係の貸し倒れ引当金の率だけは下げてないんですね。これは五十二年に改正したと恐らく言うでしょう。言うでしょうけれども、私はその五十二年に改正したこと自身も、中身がきわめて適当なものだと思うのです。それは後で具体的に指摘をしますが、そういう貸し倒れ引当金を、たとえば私の一つの試算でいきますと、ことしから向こう五年間に現行制度の二分の一ぐらいに下げることはできないか。いいですか、この退職給与引当金、貸し倒れ引当金を中心とする引当金関係、あるいは準備金関係を現行の二分の一ぐらいに引き下げてみたらどうだろう。そういたしますと、これは財政当局御承知でしょう、この東京都の、毎年これはずっとやっておりますが、「財政改革と大都市経営」、今度第七次報告が出ております。こういった民間で非常に真剣に財政問題を研究しておる、こういうものをも5と積極的に取り入れていく必要があるのじゃないか。私は、この資料をもとに、国税庁が出しております資料を中心として計算をしてみますと、時間がありませんからこれはもう中は省きますが、俗に企業優遇税制と称する退職金引当金なり貸し倒れ引当金関係、それと利子配当の優遇税制の改革ですね、これは来年から恐らくもっと厳しいものか、総合課税にする方法論の問題もあるでしょうけれども、かなり徹底したことをやらなければいかぬと思いますが、そういうものをやりますと、この資産所得の優遇税制の分だけで八千億ぐらい、そして企業優遇税制の関係で約一兆円、ことしだけで一兆八千億、そういうものを土台にして、この政府の案にできるだけ合わした形で五十八年度までの計算をいたしますと、国税だけで八兆一千億、地方税の分で三兆六千億、これはある意味では非常にラフな数字かもわかりません。いずれにしても、政府が九兆円程度の歳入欠陥が生まれるのだ、財源が足らないのだ、それを埋めて余るだけの財源があるわけですよ、これはやる気になってやれば。こういうことをひとつ二分の一ぐらいに切り下げる考えはないかどうか、これをぜひ聞かしてもらいたいと思う。
○金子(一)国務大臣 貸し倒れ引当金につきましては、一般に二割カットいたしました。これは相当各業種の実績を調べてそれに近い数字に接近させたわけですから、大改正だと思っております。それから金融機関については、千分の五に段階的に下げるようにしておりますから、それはそれなりに、いますぐその平仄を合わせてというわけにはまいりませんけれども、その他のたとえば退職給与引当金、これも毎々改正をやってきているわけですが、さらにこういった引当金というか、企業会計上合理性を認められておる、存置を認められておるものをどこまで切り込むか、これはこれからも全面的に洗い直してやっていくことは当然でございます。ただ、いま御指摘のように、八兆円それですぐ出るかどうか、これは私どもも実は自信がないのです。細かくはいま事務当局から説明させます。
○藤田(高)委員 私はその前に一緒に聞かしてもらいたいのですが、企業会計法上認められておるからと、こう言うのですね。大蔵大臣も大蔵省御出身で、国会に出られても大蔵委員を一番長くやられた。私の知る限りでは、自民党の税調関係の会長までなさった。税の関係については自民党の中でもオーソリティーだと私は思うのですよ。私は、外国の例を見ましても、この引当金に関するものは、なるほど企業会計上債務性のあるものを一定の積み立てをやることは、一つの理論としてはわかるのですけれども、外国の税法を見ますと、ほとんど、実際に企業が倒産をして引当金を崩さなければいかぬという事態が起こったときに、その分を損金として税法上は認めていく、そういう実績主義をとっておると思うのですね、外国の場合は。日本の場合はそうではなくて、あらかじめ積み立てるものをどんどん積み立てておるわけです。私の考えも、全部ここで全廃せよと言っておるのじゃないのですね。現行の半分ぐらいにしてみたらどうだ。 そこで、財政当局に聞きたいのだが、それでは現在退職給与引当金と称するものが、全産業でいまどれだけストックになっておるか、たまっておるかということ、それと貸し倒れ引当金が現在どれだけこれまたたまっておるか。そして、実際に企業が倒産をして貸し倒れ引当金を充当したとすればその率は何%、恐らくこれは五%前後だと思うのですが、そういう数字をひとつ示してもらいたい。そして、わかりやすくするために、たとえば退職給与引当金はいまこの計算でいって、企業が仮に倒産をして退職金を払わなければいかぬ、一人当たり五百万円の退職金を支給した場合は、何十万人の人にそのたまってお石退職金を支払うだけの額があるか。これを五百方なり一千万で計算してみてください。そういう数字を出せば、この退職給与引当金なり貸し倒れ引当金というものがもう大企業の一番大きながんになっておるということがはっきりすると思うんですよ。具体的な数字をひとつ親切に答えてもらいたい。
○高橋(元)政府委員 御質問のございました貸し倒れ引当金、これが五十一年末の全法人の引当金の残高で申し上げますと、二兆八千六百八十一億でございます。それから、退職給与引当金、同じ五十一年度末の残高の合計が四兆九千九百九十億円でございます。(藤田(高)委員「五十二年はもう出ておるんでしょう」と呼ぶ)いますぐ調べます。いま手元にありますのは、五十一年でございますから、五十二年は若干ふえておろうかと思います。すぐ取り寄せてお答えいたします。
○藤田(高)委員 私でさえ五十二年度の資料を持っているんですよ。一番新しい資料を出してくださいよ。大体財政の関係では二年送りに向こうへやって、そして資料を出すものは、一年おくれのものを出してくる。もう少し事実認識をお互いにはっきりして、その上で議論しましょうよ。そんなプロがそういうふうに特別の資料を隠すようなことはやめなさい。
○高橋(元)政府委員 五十二年末の会社標本調査の数字で申し上げますと、法人税法による貸し倒れ引当金は二兆九千七百五十三億、退職給与引当金の残高は五兆六千六百四十三億円でございます。
○藤田(高)委員 私の質問に答えておりませんが、私がひとつそれではなにしましょう。この退職給与引当金は、いま一番新しいデータでは五兆二千億程度、こう言われました。これ、どうでしょうか。仮に五百万の退職金、非常に安い退職金のように思われますけれども、中小企業なんかいま倒産して、仮に退職金をもらうとしても五百万もらうという人は少ない。仮に五百万で計算をしますと、百八十八万人の退職金がいま積まれておるわけです、日本の全企業の中に。そして、仮に一千万の退職金をもらうということで計算をしますと、これでも百十三万人の労働者がやめたときの退職金が積まれておるわけですよ。そういうものが、今日それだけ多くのものが企業の中に積まれる必要があるのかどうか。それは思い切っていま私が言うように現行制度の半分くらいに下げてやっても、退職給与引当金というものの制度をなくするというわけじゃないのですから。私は、現実に、これもお尋ねしたいと思うのですが、安宅産業が倒産したときの住友銀行との関係において、積まれておる引当金が本当にその中から崩されたかどうか、そのことも明らかにしてもらいたいと思うのです。
○高橋(元)政府委員 退職給与引当金でございますが、まずお答え申し上げますと、五十二年の支払いの実績で申し上げますと、一兆七千九十八億円でございます。支払われた対象になります退職者は百七十九万六千人おりました。この退職給与引当金の制度と申しますのは、藤田委員よく御承知だと思いますが、現在雇用されておる人が当期末に退職したとした場合に支払いを要する退職給与の額の二分の一まで積ませるということにしております。 それはなぜかと申しますと、少し長くなりますがお許しをいただきますと、給与を支払うのと同様な意味で将来退職時に退職金を支払うわけでございます。退職金の受け取りは給与の後払いというふうに普通考えております。そういう意味で当期の収益にチャージする意味の引当金として認められておるというふうに理解しております。 それから貸し倒れ引当金でございますが、これは前期末の残高を益金に算入いたしまして、当期に貸付金の二%、二・五%、一・五%と業種によって違いますが、それぞれ定められた金額を損金に算入して貸し倒れ引当金に繰り入れる、こういうことにしておりますので、現実に貸し倒れが発生したときにどれだけを取り崩したかという関係にはなっておりません。 ちなみに、安宅産業についてお問い合わせでございますが、私の記憶で申しますと、たしか安宅産業の関係の銀行の貸し倒れ損失は期末の貸し金残の一%余に当たっておったというふうに記憶しております。
○藤田(高)委員 私の質問をかなりはぐらかしておるんですね。さすがそういう意味では大蔵エリートだと思う。しかし国民の立場から見ればきわめて不親切きわまりない、今日の官僚政治の一番悪いところを答弁の中にも出してきておると思うんですね。そのことはいいでしょう。 ここで私、大蔵大臣に聞きたいんですが、この二つの引当金の問題は、たとえば貸し倒れ引当金は、大蔵大臣どうでしょうね。いま事務当局からの説明を聞きましても、現実にはいま積んでおる引当金は実績のかれこれ百四十倍積んでおるんです。総理、いいですか。そういう細かい数字は総理は余りふだんは知らなくともいいでしょうけれども、こういうときはひとつ知ってほしいんです。引当金を全面的に否定するんじゃないですよ。その引当金を現行の半分ぐらいにしろというのが私の主張なんです。そうするとかれこれ十兆円くらいな財源が浮いてくるということですから。それからいきますと、貸し倒れ引当金は、実際に貸し倒れ引当金を出さなければいかない実態が起こった場合の百四十倍の金が積み立てられておるんですよ。一方、退職給与引当金の方は倍率は少ないですけれども十二倍積まれておる。こういう状態ですから、もうこれは世間の常識として大企業の税金隠しの引当金だ、こういうことになっている。さればどうですか。いまから二十年前に、あなたらはすぐ税調税調と言うのだけれども、税制調査会がここまではっきり言っておるじゃないですか。「この種の引当金は、現実には内部留保の源泉となり、企業にとっていわば自己資本と同様に働き、その利益に貢献するところはきわめて大きい。」こう指摘しておるのですね。そうでしょう。そういう百四十倍からの積み立て、現行制度を続けたら百四十倍がまた百五十倍になるかもわからない。そして今度二割程度少し下げたと言っても、そんなものはもう焼け石に水程度の制度改革ですよ。一方で大きな九兆円からの大増税をやろうか、やらなければいかぬのだ、こうあなたらは言っているのでしょう。だからわれわれは、そんなことばやらなくたっていいじゃないか、こう言っているのです。この程度の制度改革はやりなさいよ。どうですか大蔵大臣。
○金子(一)国務大臣 ことしも段階的な整理の第一歩として、先ほど申し上げましたような二割カットの線まで持ってまいりましたけれども、財政全般を見直さなければならぬという強い機運が盛り上がっている今日でございますので、税制全般にわたって制度のあり方等についてこれから検討を重ねてまいりたいと考えております。
○藤田(高)委員 今度の税制改正では準備金を向こう十年間で、ちょびちょびネズミが物を引っ張っていくような形でおろしていくような税制改正ですね。引当金の方ではいまおっしゃったように二割程度ですけれども、私はふだんの場合であったらここまで声を大にして言わないのですよ。わが国の税制がシャウプ勧告以来の税制の根幹に触れるような、場合によったら税制上の大改革をやるかやらぬかという問題に直面しておるんでしょう。そこまで来ておる中で、どうして実際と実績と百四十倍も違うような制度をなぜ温存しなければならないのか。少なくとも半分くらいにこの率を下げるということは、私は当然やってもいいのじゃないかと思うのですよ。
○金子(一)国務大臣 御承知のとおりの景気の状況でございます。やはり現実の政治としては、そのときどきの経済情勢を踏まえて改革を行っていくのは、これは政治家として当然でございますので、そういった点も十分念頭に置きながら一歩、二歩と前進を続けるという手法で行きたいと私は考えておる次第でございます。
○藤田(高)委員 これだけのやりとりでは時間がもったいないですから。私は大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、これは財政再建はできない、そういう構えであれば、もうすでに総理の方から、一般消費税についてはわが党の平林議員の質問にも答えて、社会党を中心とする野党の同意が得られなければやらないという、それに近い答弁がありましたから、そのことには余り触れようとは思いませんが、いま私はこれだけの具体的な事実を示して、道理にかなった説得力のある材料を提供しておると思うのですよ。それは私や社会党だけの考えではなくて、公平な第三者と言われる税調までもがそのことを言っておる。あるいは利子配当の関係については、ちょっといま資料がありませんが、財界の税制関係の諮問機関だと言われておる産業経済何とか税制調査会というものが、この利子配当なんかは総合課税に切りかえなさい、これは端的に言ったら優遇税制の悪玉だとまで決めつけておるのでしょう。世間がそこまでこういうふうになってきているのに、とにかく財政当局の責任者がいまのような御答弁なり態度であれば、われわれはもう絶対財政再建についての熱意なし、このように断定をして、一般消費税に関する限りはもうこれこそ絶対反対ということにならざるを得ぬと思うのですよ。どうですか。
○金子(一)国務大臣 大変な熱意を持っておるだけにいまのような発言をいたしたわけでございまして、先ほど来承っておる藤田さんのいろいろな指摘につきましては、検討を約束しておるわけでございます。その他制度全般にわたってこの際考え方を切りかえていかなければいかぬときですが、ただ、それをいつどの段階において実施するかについては、一遍に百八十度切りかえろと言ったって、それは経済がひっくり返っちゃうようなことになっては困りますから、そこら辺を考えながら、ひとつそれは財政当局に、御意見は十分承りまするから、お任せをいただきたい、また御支援をいただきたい、こういうことをお願い申し上げておる次第でございます。
○藤田(高)委員 詭弁答弁もいいかげんにしてくださいよ。この引当金を現行制度の半分にしたからといって、日本経済がひっくり返るなんて、あなたそういう言い方は取り消しなさいよ。
○金子(一)国務大臣 私は引当金だけのことを言っているわけじゃございませんで、制度全般についての見直しをやりたいというもっと広いことを申し上げたわけでございます。引当金についても、その一部として検討することは当然でございます。
○藤田(高)委員 後で総理の決意も聞きたいのですが、私は先ほども質問しましたが、引当金というものは、このごろ実際の面で本来の引当金としての機能をどんなに果たしていないかということを、さっき安宅産業のことで聞こうと思ったのです。私は時間がありませんから申し上げると、住友銀行があの安宅産業の倒産したときに負債を抱え込んだですね。そのときに、いま私が問題にしておるような引当金を崩していないでしょう、どうですか、財政当局。引当金を崩していないのですよ。そして、法律で決められた引当金が、こういうふうに積んできて、ここまでこうあるとしましょう。そうしたら、安宅産業が倒産した、貸し倒れ引当金を充当せなければいかぬのですが、この中から充当せなければいかぬやつを、そうじゃなくて、この上に税金のかかる方の、税務署が否認する方の、有税額のこっちの分で引当金を出しておるのですよ。そうして法人税の繰り戻しで二百何億円、逆にこの制度を悪用して銀行に税金が返っておるじゃないですか。現実に一番最近起った大企業の実績を見ても、われわれがいま議論を真剣にしておるのは、この積み立てた、引当金を充当しなければいかぬやつでやらないで、こっちでやっておる。そういうことを財政当局は認めておるのでしょう。これは銀行局、どうですか。国税庁、どうですか。
○高橋(元)政府委員 先ほどもお答え申し上げたことでございますが、貸し倒れ引当金の制度になりまして、つまり法人税法上の引当金というものの中になりましてから、これは洗いがえ方式と申しますが、前期末の貸し金残高の所定の率を損金に繰り入れて引当金にする、そのかわり、翌期には前期に引き当てておりましだ引当金の残高を全部益金に繰り入れる、こういう形で貸し倒れ損失に備えておるわけでございます。したがって、その中で現実に、たとえば安宅産業で何百億かの貸し倒れ損が発生したとしましても、直ちに貸し倒れ引当金の中から当該特定の引当金を取り崩すという構成になっておりません。したがいまして、貸し倒れ損失を計上して、その損失を計上したものを貸し倒れ引当金の繰り入れ益で埋めておる、全体で埋め合わせておるという関係になっております。過剰の引き当てということで御指摘がありますので、私どもは常に引当金の繰り入れ率について見直しをしていかなければならぬというふうに思っておりますけれども、個別に債権と引当金の中の当該債務者の部分と見合わすという制度でございませんものですから、いま藤田委員御指摘のような経理はとられていないわけでございます。
○藤田(高)委員 これまた企業擁護の答弁でして、私は何も大企業や銀行をいじめようという気持ちはありませんよ。しかし、先ほどから言っておるように、この引当金がいま、安宅産業のような事態が起った実績に比較すると、百四十倍からのものを積んでおって、そういう本来引き当てに充てるべき事態が起っても、その中からは利用しないで、いま言われるような別の税金のかかった分を利用する。そういう操作をやるほど、この引当金というものが大企業の税金隠しになっておるということを、はっきり私は申し上げておきたいと思います。 そこで、私がこの問題をここまでしつこく強調いたしましたのは、何とかしてこういう不合理な、不公平な税制を改革することによって、一般消費税のような大衆課税、新税を設けなくともいいじゃないかということで、問題提起しておるわけですね。そのためには、大蔵大臣がおっしゃるように、引当金やあるいは利子配当だけではなくて、私どもから言えば法人税の引き上げを考え、事と次第によっては富裕税を創設するようなことも考えれば、それはそこのあたりになりますと皆さんと若干意見が違うかもわからないけれども、私は一般消費税に手をつけなくとも財源はあるじゃないか、こう言っておるわけですよ。そういう立場に立って、総理、これは相当な、総理のコンダクトじゃないけれども、やはりこういうときにこそリーダーシップを発揮して、そういったところに大胆にひとつ制度改革のメスを入れようじゃないか、そういうリーダーシップを発揮すべきだと私は思うのですけれども、どうでしょうか。総理の、私にあえて言わしてもらえば異常な決意をひとつ聞かしてもらいたい。
○大平内閣総理大臣 仰せのとおり、財政再建の問題は容易ならぬ課題でございまして、革命的な決意、手法で臨まなければならぬことでございます。その点は全く同感でございます。 第二に、これに対しまして、ただいま財政当局は、いろいろな御批判があろうと思いますけれども、一般消費税の導入というものを念頭に置きまして、財政再建構想を固めつつありますこと、これまた御案内のとおりでございます。けれども、この問題の処理に当たりましては、ひとり既存の税制を再検討するにとどまらず、歳出全般にわたりましても見直さなければならないということでございまして、国民がこれならばあえて反対はすまいというところまで御理解を得るまでの手だてが講じられなければならぬこと、これまた藤田さんが御指摘になっておるとおり私も考えておるわけでございます。 きょうの御論議は、歳入の面、とりわけ税制、法人税制、またそれに絡まる特別措置、そういった面についての御論議が進んでおるわけでございます。したがって、その部分だけでなく、全体につきまして見直しを行い、再検討を加えていかなければなりませんが、それはある部分だけがきつくいくとか、ある部分だけは甘くいくとかということでないように、一般消費税の負担増というようなものを甘受する以上は、できるだけほかの面についてはこれだけのことをやったということでなければならぬわけでございまして、これは法人税だけの問題ではないと思うのでございまして、いま御指摘になりました点が財政当局として御同意ができるのかできないのか、これはやはり相当吟味をさしていただかなければならぬと思いますが、せっかくの御提起を賜ったのでございますから、そのことにつきましては真剣に検討していかなければいけないことと思うのでございます。 ただ一点、これはもう藤田さんも御如才ないことと思いますけれども、財政当局といたしましては、やはり税源の涵養というものを常に頭に置いておかなければいけませんので、一時期におきまして多額の税収を確保するということで税源の将来にわたる涵養に支障を来すようなことはなるべく避けなければいけません。こういう時期でございますから、相当切り込まなければなりませんけれども、ぎりぎり税源の涵養という点も念頭に置かなければならぬということは御理解いただけると思うのでございます。 具体的な検討はそういう検討もあろうかと思いますので、五十四年度の導入という点につきましては私どもも遠慮をいたしまして、この一年間存分に論議を深めていただきまして、一つの大きな、広いコンセンサスが得られるということを期待いたしておるところでございまして、きょう御提示になりましたことは政府としても真剣に検討するつもりでございます。
○藤田(高)委員 せっかく総理の御答弁でございまして、私が提起しました、時間がありませんから二つ三つの問題を提起したにとどまったわけですが、そういういわゆる現行制度の矛盾、不公平是正、そういうところへ集中的に努力をなさって、そして財政再建のきっかけをつくる、歳入面ではぜひ格段の御努力を願いたい、このことを重ねて要求をいたしておきたいと思います。次に、同じ財政問題で、国債発行の問題、国債増発と財政法の立場について私質問いたしたいと思います。 いまさら新聞を引き合いに出すわけではありませんが、作目の新聞にも「ダブつく国債売れ行きパッタリ」という見出しで、今日のわが国国債政策が市場の面においても現実的には限界が来ておる、まさにどうにもならない状態に直面しておるということが出ております。きわめて素朴にお尋ねしますが、こういう市場の現状から見て、ことし十五兆何千億という膨大な国債を発行するわけですが、消化できる見通しがありますか。もし消化できなかったら、どういう操作をやるというお考えですか。
○金子(一)国務大臣 ことしの十五兆三千億は、大体計画といたしましては、昨年運用部資金で引き受けなかった運用部の方に一兆五千億を持たせるとか、あるいは中期債、従来は三年ものしか出しておりませんでしたけれども、二年、三年、四年と中期債を発行することにいたしまして、これは二兆七千億ぐらいになりますが、これを公募入札に付する。それからあと十一兆でございますけれども、シンジケート団にお引き受けいただく。その十一兆は本年度に比べて一兆増しということでございまして、シンジケートは、ことしの新年度の景気の状況から言えば、これは大体こなせますよと自信を持って引き受けてくれている数字でございますから、まず心配はない、こういうふうに考えておる次第でございます。
○藤田(高)委員 いまの答弁に合わして質問しますが、資金運用部に一兆五千億ですね。最近、日銀保有の公債額は五十年以降どういう傾向を示しておるか、いわゆる資金運用部預かりの公債額はこれまた五十年度以降どういう傾向を示しておるか。 それと第二点の、いま大臣おっしゃった公債の多様化ですね、その多様化で二兆七千億をこなしたいと言うのですが、いわゆるシンジケート団、主として銀行の預金が去年に比べてことしはどの程度ふえる見込みなのか、そのうち国債の引受額がいま言ったような程度で、残りがいわば一般産業界に流れる資金、こういうふうに区分けすればどういうことになるだろうか。そのあたりをひとつ聞かせてもらいたいと思うのです。
○田中(敬)政府委員 第一の御質問の日銀、運用部等の保有の状況でございます。 まず日銀でございますが、一過去三年をとってみますと、五十年度末で五兆四千百五十三億円、五十一年度末で五兆九千六百七十八億円、五十二年度末で六兆二千三百五十四億円でございます。(藤田(高)委員「一番最近の新しいのは」と呼ぶ)一番最近、五十三年十二月末の数字がございますが、四兆三千六百八十億円となっております。 資金運用部につきましては、五十年度末二兆九千四百六十一億円、五十一年度末三兆七千十九億円、五十二年度末四兆九千五百二十四億円、五十三年十二月末七兆九千七百八十八億円となっております。 この数字を申し上げますと、日銀の数字が五十二年度末から減って、運用部が急増しているのにお気づきだと存じますが、これは運用部が預託を受けました金を財政投融資機関に貸します間の余裕資金がございますが、これを有利に運用するために日銀から理論価格でこれを引いて投資玉として使っておりますので、かような変化が出ております。 ちなみに、市中金融機関の保有額は、五十三年十二月末現在で十九兆七千三百十九億円になっております。 それから御質問の、来年預金がどれくらいふえ、そのうちどれくらい国債が引き受けられるかという点でございますが、郵便貯金等の政府系金融機関を外しました全民間金融機関、これは農協、信用組合等も含みますが、相互資金需給であらかた試算をいたしてみますと、来年度は預金が本年度に比べまして約二二%程度ふえるであろう、それから貸し出しが約九%程度ふえるであろうというような形で考えています。金額にいたしますと、来年金融部門に流入いたします金額はおおむね三十七兆円ということでございます。この三十七兆円のうちで公共債がどれぐらい引き受けられるかということでございますが、公共債につきましては、国債、地方債その他政府保証債等がございます。発行総額は来年二十六兆円弱でございますが、そのうち市中金融機関が引き受けるもの、先ほど申し上げました民間金融部門で新規に引き受けるものは十六兆円程度というふうに一応見込んでおります。
○藤田(高)委員 いま数字が示されたように、非常にこれまた国債発行そのものがわが国財政硬直化の大きな要因になっておる。しかも、財政法が今日あってなきがごとしといいますか、まさに空文化されてきておるのじゃないか。と申しますのは、財政法五条だったですか、財政法五条では、日銀が国債を引き受けてはならぬという規定がございますね。なかなか知恵者ぞろいですから、直接日銀が引き受けるという形態はとっておりませんが、シンジケート団をクッションにして、そして日銀に現実的には国債がたまっておる、こういう形で、私はこれは間接引き受けだと思うのです、国債の。これはいわゆるストレートで日銀引き受けになりますと、ストレートでそれこそ財政法違反だということになるものだから、ここ何年来の引受形式はそういう形でなにしてきておりますが、実質的に今日、日銀がこれだけの国債保有額を持っておる。しかも資金運用部で、いまの答弁によりますと、ここ四年ほどの間にかれこれ五兆円近く資金運用部が公債を抱えておるわけですね。私は、資金運用部も国の機関ですから、ある意味では第二の日銀引き受けだ、こういうように思うのですよ、実質的な性格論からいって。 そういう公債の今日の引き受けの現状は、これはきわめて異常でして、この結果、今日の一般市場とのかかわり合いにおいてどういう状態が生まれてくるだろうか。総理の施政方針演説にもありますように景気がよくなってき出したのだ。これは幾つかの経済指標が示しておりますように、確かに好転の兆しが出ておる。景気がよくなる。景気がよくなれば民間の資金需要が旺盛になる。資金需要が旺盛になれば、これはみんな民間が、銀行が抱えておる国債も買いオペの対象として日銀に買ってくれという形で持ってきますね。資金運用部といえども、簡易保険なりあるいは厚生年金といった国民の貯金でしょう。財政投融資資金という形で資金運用部から、いわゆる公団から始まって、いろいろな金融機関に対して財源が流れておるわけですから、今度はまた資金運用部の資金を産業活動、経済活動として要求をしてくる。 こういうことになってくると、勢い、いま御説明のありました日銀及び資金運用部の資金がいやが上にも買いオペという形になって、この予算委員会でもしばしば問題になってきておるようにマネーサプライが、これは一二%、一三%であると言いますけれども、私はこれはもうこういう現状からいったらふえざるを得ないと思うのですよ。今日の討議では、何だかそれを維持していきたいというけれども、これは一つの願望であって、見通しに対する日銀なり大蔵当局の願望であって、実際の経済活動から出てくるものはマネーサプライが増大する。そのことがインフレを招いて物価高になってくる。その物価高の要因は、平林委員ではありませんけれども、すでに土地の値上がりなりあるいは建設資材の値上がりという形で市場の活動が活発になってくる。どうしても私はこれから資金需要が旺盛になってくると思うのですよ。 そうすると、いまのような日銀が抱えておる四兆数千億あるいは資金運用部が抱えておる八兆円からのこの公債というものは、いやが上にも買いオペの対象にならざるを得ない。そうしてそのことがインフレに必ずつながり、物価高にかかわり合いを持ってくる。そうすると政府が見積もっておる四・九%というこの物価値上げの見通しは、去年の成長率七%以上の不確定な見通しによって崩れ去るのではないか、こういうふうに思うわけですが、そのあたりについて財政当局及び日銀総裁の見通しを含めた見解を、これはひとつ特に日銀総裁、あなたはある意味で非常に答弁についても、私は予算委員になってわずかな期間ですけれども、昨年来、案外政府に警告的な発言をなさるようなところもありまして、素直なと申しますか、私から言うと、おやじをつかまえていまのような言葉はちょっとごめんなさいだけれども、とにかくそういう意味では非常に親切な答弁をされておると思いますが、そういうあなたのような専門家の立場で、日銀という権威ある立場でひとつしっかりした答弁をお願いしたいと思うのです。
○森永参考人 財政法の規定によりまして、日本銀行が国債を引き受けて発行することは禁じられておることはいまおっしゃったとおりでございまして、私どもそれと同じようなことになるいわゆる買いオペレーションは、絶対にいたしていないつもりでございます。もしいたしますれば、それは直ちにマネーサプライの増加に直結し、物価騰貴につながっていくわけでございますので、日本銀行としては、引き受けと同様な効果を持つこの買いオペレーションは絶対にいたしてはならないと思っておる次第でございます。 それでは、いままでときどきオペレーションをやっておるではないか、その残高も、いま理財局長からお答えいたしましたように、四兆何がしあるのはこれは何かということでございますが、私どもの非常に重要な仕事の一つとして金融の調節というのがあるわけでございます。もろもろの経済取引の結果が日本銀行に対する関係に集約されてまいりまして、毎日の金融市場では資金が余ったり足りなかったりするわけです。余ったものは日本銀行が吸収し、足りないものは日本銀行が供給し、それによって経済の運営が初めて円滑にいっておるわけでございまして、これを私ども金融市場における資金過不足と呼んでおりますが、その資金過不足の場合、不足が生じました場合には、どうしても日本銀行からこれを供給しなければならないわけでございます。もしその供給を怠りますと、いわば経済の運営に必要な潤滑油がふえてくるそのふえたものが足りない、供給されないということになるわけでございまして、経済そのものが動かなくなる心配があるわけでございます。 たとえば銀行に預金の引き出しを請求いたしましても、その引き出しに応ぜられなくなりますし、また月給の支払い等にも困難を来すということになるわけでございますので、その経済取引の状態が好ましい状態かどうかということには問題はございますけれども、日々起こってまいりまする日銀との間の資金のやりとりは、これはもう当然過不足を調整しなければならないわけでございます。その過不足を調整する手段として、短期的には貸し出しをふやすのも一つの方法でございます。あるいはもう少し中期的な方法としては、手形の市場ができておりますが、その手形の売り買いをするのも一つの方法でございます。あるいは昨今準備預金制度ができまして、そこに余裕があるとか足りなくなるというような状態が毎日起こっておるわけでございますが、その余裕分を取り崩すとかいうようなことも一つの方法でございます。 しかし、これはどちらかと言えば短期的な資金の過不足の調整でございまして、日本経済が毎年成長を遂げていくその成長を賄いますのには、どうしても潤滑油でございますところの日銀券の流通量がふえてくる、それは長期的にふえるわけでございます。その長期的にふえます日銀券の不足分は、どうしてもやはり国債の買いオペといったようなやや長い期間にわたる手段によって供給していかなければならないわけでございまして、それがいままで実施いたしておりまする日本銀行の買いオペ、逆に余る場合には売りオペということになるわけでございますが、オペレーションでございます。たとえばその金額は、五十三年度におきましては一兆一千二百八十五億ということになっておるわけでございます。その間における資金過不足は、不足が七千百億円でございまして、したがいまして、この買いオペとの差額は、貸出金を回収し、あるいは手形オペで資金を回収したということになるわけでございます。 この日銀券の増発の量と買いオペの量とは、そのときどきの情勢がございますので、必ずしも一致いたしておりませんが、昨年の日銀券の増発量は一兆四千七百億でございまして、その範囲内において一兆一千二百八十五億の――失礼いたしました。先ほど来数字を間違って申し上げましたが、一兆二千三百四十九億でございます。それだけの買いオペを実施したわけでございます。昨年は日銀券の増発量と必ずしも一致いたしませんが、これをより長い期間について銀行券の増発量と買いオペの量とを比較いたしますと、まあぴったりは合いませんが、大体成長通貨を賄ったというのが実際でございまして、その範囲における買いオペは今後ともやはり必要だと思っておる次第でございます。引き受けが禁止されておる、その抜け穴として漫然と買いオペをいたしていくというようなことは、これから後も断固としていたすべきではないと思っておる次第でございます。御了承いただきたいと思います。
○金子(一)国務大臣 資金運用部の話が出ておりましたけれども、これは御承知のとおり郵便貯金が大部分で、それを運用部の資金の運用の一形態として国債を買うわけですから、通貨の増発につながることはないと御了承いただきたいと思います。
○藤田(高)委員 私は、後段からいくとそういうことを言っておるのじゃないのですよ。資金運用部で国債を抱えたからそれがすぐいま言ったようなことになるという意味ではないわけですね。今後の景気動向との兼ね合いにおいて、それがそこへしわが寄ってきて、いわゆる資金運用部の資金が結局日銀を通して買いオペの対象になる、そういう条件が強まってきておるのじゃないかということを言っておるわけですよ。ですから、これは後でもう一度答弁願いたいと思うのですが、私は財政当局と日銀にどうしても聞いておきたいと思うのですが、赤字公債を中心とする国債が実質的に財政法の精神にも、財政法にも違反してどんどん水ぶくれにふくれ上がってきた、ふくれ上がってきたものですから、しようがなくなったこの現実をどうするかということで、最近国債の管理政策――私は管理政策なんというものはどういうものだろうかということを時間声あったら実際やりたいのですけれども、本来財政法のたてまえによってやれば、一番大きな管理政策の根本を財政法というのは決めておるのじゃないかと思うのですよ。 しかし、そのことは、いずれにしましても現実にこれだけ大量の国債を消化するために、金利の自由化であるとか、あるいは先ほど来から言っておる国債の多様化であるとか、事のよしあしを超えて銀行の窓販であるとか、あるいは資金運用部の資金でこの公債を抱えていくとか、あるいは最近で言えば銀行のCDの発行とか、こういう形でここへ出てきたものをどうして消化するかということでいろいろな知恵を出し合っておるのですね。私は、そこへ知恵をしぼるのではなくて、このもとをなくすることを日銀挿してももっと真剣に考える必要があるのじゃないか。私は実はそういう意味合いで積極的な御発言を求めたのですが、その見解をひとつ聞かしてもやいたい。 それと、インフレとの関係については、今後の見通しの問題として、日銀総裁としては、景気も大事だけれども、むしろことしのこれからの資金運営なり経済運営の基本はどうもインフレ基調が強いのじゃないか、だからインフレにならないようにこれは国債消化の問題を含めて考えなければいかぬ、このお考えが強いのじゃないかというふうに私どもは森永さんを見ておるわけですよ。日銀というものを見ておるわけです。その見方が間違っておるかどうか、そのことと、こういうふうに日銀が現実的に国債を抱え、国の資金運用部がこれだけの国債を抱えるということになると、私は、国の機関としてはこういう現実的な保有量からいっても国債の発行額というものはもはや限界に達しておる、こういう見方をすべきじゃないかと思うのですが、そのあたりについての見解を聞かしてほしい。
○森永参考人 第一点でございますが、十五兆二千七百億円という国債は、これは並み並みならぬ額でございまして、そのほかに地方公共団体等の債券もございますので、公共債の発行が銀行の増加します資金の中で占めます割合はかなりの限度に達しておりますから、決してその消化は楽ではないと思いますが、これはしかし、インフレにしないためにあらゆる努力を尽くして消化を図っていかなければならないと存じます。その意味で、この国債の発行量あるいは発行条件、期間など、市場のそのときどきの実勢あるいはニードに即して弾力的に考えていくことがどうしても必要ではないか、その点では政府当局にもお願いをいたしておる次第でございます。もうこれ以上国債を出してそれが楽々に消化できる、そういう状態ではだんだんなくなってきているのではないかと私も思います。したがいまして、政府の財政再建が急速に着手せられ、そのことが効果を上げることが一日も早い方がいい。そういう意味で、政府に対しましても、財政再建につきましての第一歩をことしは踏み出されたと思いますが、今後とも財政再建、国債発行額の減少に御努力いただきまするよう、ぜひともお願いをしなければならないと考えておる次第でございます。 次に、景気かインフレかという問題でございますが、両方大事でございますが、景気の方は、構造不況業種あるいは雇用問題等、まだいろいろ問題は残っておりますけれども、概して申しますれば、緩やかながら回復の緒についてきたような感じがいたします。したがいまして、これ以上金融を緩和することは避けたいと思います。緩和を加速することはもうこの辺でとめなければならないと思っております。その反面物価問題が、いろいろな事情から物価をめぐる環境が大変シビアになってきておりますので、これからは物価動向に従来よりも一層注視を怠らないで、今後の金融施策の運営に誤りなきを期さなければならないと思っておる次第でございます。 発行額につきましては先ほど申し上げましたとおりでございますので、繰り返しません。
○藤田(高)委員 私はなお一つお尋ねしておきたいのは、金利の自由化問題が国債を消化することを一つの出発点にして、もともとありましたけれども、急速にやかましく議論をされておりますが、私は、国債を消化する手段として金利の自由化を論議することは、基本的にはこれは逆立ちした議論じゃないかと思うのですが、そのあたりの見解をひとつ承りたい。これが一つです。 それと、時間の関係もありますのでお尋ねしますが、これは財政当局、特に大平総理にもお尋ねしたいのですが、大平総理がかつて五十年の大蔵大臣のときに、国債の償還については、決算上剰余金が出ますね、そうしますと、この財政法の六条によって二分の一以上は国債償還に充てるのだ、こういう答弁をなさっておるのですね。これはお忘れではないと思うのです。ところが、去年の福田内閣の最後の決算のときに剰余金ができた。剰余金ができたら、二分の一以上を返すどころか全部一般財源に使ってしまったんですね。これはもちろん、そういう処理をやるということで議会の承認といいますか手続を経たものの、実際は財政法違反の財政運営をやっておるわけですよ。大平大蔵大臣のときは、このあたりは大変かっこのいいことを言っておるわけです。二分の一だけじゃない、できれば剰余金の余ったやつの全部を償還財源に振り向けていくのだ、こういうことを言っておりますが、国債がこういうふうにどんどんふえてきて、これは私は限界だからこれからずっと下げていかなくてはいかぬということを主張しておるわけでありますけれども、どうですか、今後の決算上剰余金ができた場合の処理は財政法のたてまえによっておやりになりますかどうか、この点をお聞きすると同時に、私はいまさら遅い感じがするわけでありますが、財政法からいきますと、公債発行してはならぬということを原則的に決めておるのが、いつの間にかずっと雪だるま式になってきたわけですが、認める場合には、公共事業にいわゆる建設公債で充てる場合は構わぬと書いてあるのですね。ところが私は、建設公債であったら建設公債は同じ公債の中でもいい公債で、赤字公債は悪い公債だという考え方があるのじゃなかろうか。そうであってはならない。むしろ私は、公共事業というものの基準をこの際決める必要があるのじゃないか。国がやる事業、地方自治体がやる事業だったら、これはみな公共事業だというように、そういうルーズな考え方で国債を発行していくことはいかぬのじゃないかと思うのですがね。これは財政法の精神にも反すると思うのですが、どうでしょうか。
○金子(一)国務大臣 建設公債の発行につきましては、これは御承知のとおり資産がとにかく後世に残るものですから、決して公債発行をしちゃいかぬということ自身はやはり相当考えていいのじゃなかろうかと思うのです。私どもは毎日毎日の生活費を借金でやったのでは後世に累を残しますけれども、財産を残してやるのだ、そのために一時の借入金をするということは認められてしかるべきだ、こういうふうに考えておるわけで、現在の財政法のたてまえに決して反するものとは考えておりません。
○森永参考人 資金全体として、あるいは資金需要の各項目それぞれについて、金利が資金需給の実際の姿に応じて決定されるということ、これがすなわち金利自由化のあるべき姿だと思いますが、私どもそれによりまして、金融を通ずる資源の配分がマーケットメカニズムによってきわめて自然に合理的に決定されるという、その効果に期待したいわけでございます。 現在起こっておる現象に即して申しますと、国債の発行条件を下回る市場価格が実現しておるわけでございますが、市場では発行条件ではなかなか買いにくいということでございまして、そういうときにはやはり発行条件を実勢に即して改定をしなければ消化ができないということになってくるわけでございまして、国債の消化のためにもやはり金利の自由化、弾力化が必要であると思っておる次第でございます。そうしますと国債の発行金利が上がってきます。上がりますと、それだけ国債を発行しにくくなるわけでございますが、それがむしろマーケットメカニズムの一つの抑制機能にほかならないわけでございまして、そうすることによってインフレを防止できるのではないかと思っております。そういうふうに国債の発行条件を上げなくてはならぬような情勢になりました場合には、民間の資金需要が起こったとき、それがそういう可能性を生む機会が一番多いわけでございますが、そういう場合には経済がそれだけ回復しておるという条件も備わっておるわけでございますので、そういうときには自然税収も上がるというようなことで、国債の発行量もまた減らしていいというような、そういう自然の市場原理に国債の発行もゆだねるべきではないかというのが私どもの考え方でございます。
○長岡政府委員 お答え申し上げます。 財政法六条の純剰余金につきまして、五十年度に補正予算で特例公債を発行せざるを得なくなりましたときに、償還財源の問題がございまして、当時の大平大蔵大臣から、財政法六条では二分の一を下らざる金額と規定をしておるけれども、特例公債の償還のために、特例公債発行中は全額繰り入れるようにしたいという御答弁がございました。五十年度の剰余金は全額を繰り入れたわけでございますけれども、藤田委員御指摘のように、五十一年度、五十二年度いずれも特別に法律を出してお願いをした分と、それから財政法の本則だけで御容赦いただいた分とございまして、いずれも全額を繰り入れておりません。それはそれなりの事情があってやらせていただいたわけでございますけれども、これだけの特例公債を抱えておる現状でございますから、精神においては、私どもは今後とも大平大蔵大臣の御答弁の精神を肝に銘じまして国債の償還に遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。
○藤田(高)委員 かれこれ時間が参りました。 そこで、私これで財政関係、国債問題を含めての集約を申し上げたいと思うのですが、私のきわめて素朴な常識的な考え方からいきますと、事国債発行に関する限りは、現実的に財政法で決められておる四条、五条、六条の条件というものは、残念ながらもうほとんど満たされてない。これは、手続上こういう特例の法律を出したとか何だとか言いますけれども、現実的にはこの財政法が今日の現実には合ってないといいますか、むしろ財政法で決められておることをじゅうりんした形の財政運営がなされておる、こういうように私は実態論として申し上げざるを得ないわけですよ。そのためには、現実の国債発行を消化しなければいかぬということもさることながら、やはり財政法の精神に沿って、この国債を大急ぎで削減する方向で財政再建の道筋を立ててほしい。 そのためには、冒頭から私が提案いたしておりますような不公平税制是正を徹底してやる。これは徹底して大胆に進めてもらいたい。そうすれば私は、この不公平税制は財政問題や税制上の問題だけではなくて、いま国民が社会的不公平の中で一番この税の不公平感というものを強調しておるわけですから、この社会的不公平感をなくする足がかり、出発点にもなると思うのです。そういう点で、ぜひ私どものこの提案を現実的に取り入れてもらうことを強く要求すると同時に、そういう方向で努力をしてくだされば、やがて私どもが今国会でも問題を提起しようとしておりますが、物価調整ぐらいの減税は、財源は二千億や三千億は出てくるだろう、こう思いますし、またそういう方向で財政再建の方途が現実に実を結べば社会保障なり年金の水準というものも上がってくるだろう、こういう立場から、ぜひひとつ私の主張申し上げましたことを現実のものにしていただきますように要望して、最後に総理の決意を聞かせてほしい。もし時間が四、五分余るようでしたら、残りの問題について質問いたします。
○大平内閣総理大臣 藤田さんの熱心な御質疑をいただきまして、私どももいろいろ考えさせられるものがございます。 一つは、やはり高度成長になりまして、歳入も順調に入ってくるものでございますから、財政処理がそれなりに感覚的に甘くなっておったのではないかという反省がございます。これは、最近財政再建に関連いたしまして、財政当局も厳しく反省いたしてこれに取り組んでおるわけでございますが、一層厳しい態度で臨まなければならぬと考えております。 第二は、今後よほど緊張してやらないと物価騰貴の契機をつくることになりはしないかという御懸念でございまして、これは、今後財政金融の運営におきましてよほど考えなければならぬことは御指摘のとおりでございます。 それから、財政再建に当たる場合に現行税制、とりわけ不公正税制の洗い直しを徹底的にやらなければならぬのじゃないか、ごもっともでございまして、そういう方向でわれわれとしてもベストを尽くさなければならぬと考えております。物価調整減税ぐらいはできることになりはしないかというあなたの御意見でございますけれども、私の展望では、とてもそういう余地はないのではないかと考えておりますけれども、前段の洗い直しにつきましては厳しく当たらなければならぬという御指摘はごもっともでございまして、そういうラインで努力してまいるつもりでございます。
○藤田(高)委員 ロッキード、グラマンではありませんが、この疑惑解明に向けて、またそのこと自体でE2Cの予算に関連して問題があれば、総理は重大な政治責任を感じて対応したい、こう言っておりますが、私はそのことももちろんそういう決意でやってもらわなければいかぬが、政治の本来の姿というものは、今日この財政再建に向けて、不公平税制の徹底した改革をやるんだというところへ異常な熱意を込め、本当に大平総理の政治生命をかけるぐらいの決意でやってもらうことを要望いたしておきます。 最後に、二、三分ありますので中小企業関係についてお尋ねしますが、中小企業関係の政府関係金融機関の金利の問題ですが、大企業の金利に比べて中小企業に対する国の、商工中金であるとか中小公庫であるとか国民金融公庫の長期金利が非常に高いと思うのですね。私は、この点、四十九年、五十年ごろに借りた金利はかれこれ一割から一二%ぐらいのものがあるのじゃないかと思うのですね。こういうものをせめて大企業の金利ぐらいのところに引き下げる措置を講じてもらいたい、これが一つ。 もう一つは、最近会社更生法の適用を受けて企業再建をする会社が五十二年度でかれこれ百二十四、五件あろうかと思うのですが、その会社更生法の適用を受けて再建できる会社はいいのですけれども、その倒産会社の下にある中小零細企業、これが大変なのですね。倒産した会社の発行した不渡り手形をこの下の零細企業、企業によっては百あるか百五十あるか、その下請業者が自分の努力でその不渡り手形を消化していかなければいかぬ、こういう実態にあるわけですから、そういう中小零細企業を救済するための手段として、会社更生法の適用を受けて再建する会社に対しては、下請企業の債権を一時国が肩がわりするような制度をつくって、そして再建会社が再建後あるいは再建の過程において中小零細企業、下請企業が消化した債権を支払っていくような制度をつくる必要があるのじゃないか、こう思うわけでありますが、時間の関係がございますので、もう時間が来ておりますから、私はこの数字、手持ちの資料その他は一切省略いたしますが、中小零細企業の現実的な緊急の対策として、いま申し上げたことをぜひやってほしいということを要求いたしまして、答弁を求めたいと思います。
○江崎国務大臣 前段の、中小企業が四十九年、五十年ごろに借りた長期資金の利子、これが非常に高いのじゃないか、この割引をもっとしたらどうだ、こういうお話ですが、これは内需は伸びない、在庫は動かない、そこへ円高があったという、五十二年の十一月一日から中小企業不況の対策ということで、不況業種に属する赤字中小企業者に対しては政府系中小企業金融機関の金利というものを下げたことは御承知のとおりであります。 なお下げたらどうだということですが、あの三機関が下げましただけでも三万五千八百件、不況対象業種ですね、残高で約二千八百二十七億円ということになっておるわけであります。これは御承知のように資金運用部資金の伺い原資、確定した金利を払っておる、その長期借り入れですね。ですから、どうしてもおっしゃるように全部一律一様にということは、私無理があると思う。それからまた、企業として黒字が出ておる、その黒字の企業にまで多額の財政負担を国家がするということは、これは果たして公平の原則に沿うであろうか。矛盾があるというふうに思うのです。それからもっともっと巨額な負担も要るわけでありまするし、もう一つ言えば、黒字の出る企業は、その当時の高い金利でありまするが、それを繰り回すことによって将来返せるという自信に立って借りた。そして原資も高い、こういうわけですね。ですから、せっかくのお話でございまするが、やはりいま申し上げましたような不況業種、特に赤字業種、赤字中小企業、こういうものの範囲を広げると申しまするか、しさいに検討をしていくということが公平であろうというふうに思います。 それから、会社更生法の適用下請中小企業の債権、苦しい場面で国家が肩がわりをしたらどうだ。これはいろいろ問題が出てくる思うのですね。たとえば話は全然違いまするが、類焼した家屋の保険がかかっていようといまいと、一番気の毒だからひとつ政府がしばらく肩がわりしろとか、いろいろ波及するところが大きいと思います。これは理論的には、中小企業者債権については、御承知のように会社更生法の中で、更生計画の認可決定前においてもその弁済許可ができるということになっております。それからまた、更生計画においても社会政策的配慮から、更生債権の平等の原則の例外として、少額債権者等の債権については他の更生債権よりも弁済の時期を早めろ、あるいはまた免除率を少なくする措置を取り得るということが認められておりますね。御存じのとおりのことですが、こういうようなものを適切にひとつ配慮していくということで処理することじゃないでしょうか。 それから特に昨年度御協力を得て発足をさせました中小企業倒産防止共済制度の利用、これなどもひとつ活発にしなければならぬと思います。それから中小企業金融三機関による倒産対策緊急融資の緊急面の対策ですね。それから都道府県下の下請企業振興協会を通ずる取引のあっせん等々、せっかくの御提案ですが、御提案については、やはり既存の制度を拡充強化していくということで対処していきたいと思いまするが、いかがでしょう。
○藤田(高)委員 終わります。
○竹下委員長 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。 次に、大原一三君。
○大原(一)委員 私は、先日新経済七カ年計画の基本構想につきまして一、二御質問申し上げたのでありますが、本日もそれに関連して、特にこれからの経済政策の基本問題について関係大臣の御意見をお伺いしたいと思います。 この前も申し上げましたが、本計画の基本構想におきましては、従来の考え方と非常に趣を異にしている点があります。先ほどからお聞きしていますと、総理大臣のお答えの中に、革命的な手法を使っていかなければならないと思うということでございまして、私も全くそのとおりだと思います。現在のシステムは、あくまでもこれは高度成長期のシステムでございまして、これからの中成長期ないしは低成長の経済の中に入って作動するシステムとしてふさわしくない、それがためにはシステムの改革を行っていかなければならないという基本認識だけは、この経済社会七カ年計画の中にも盛られていると思うのであります。いままで先輩各委員が御質問なさって各大臣にお聞きになりましたが、そのシステムの内容につきましては、手法の改革の具体的内容につきましては、各大臣すべてこれからの検討でございますということでございました。私は、持ち時間が少ない関係もございまして、こういう問題についてはこういう手法はいかがでございましなうかと、具体的に幾つかの基本問題についてお伺いしてみたいと思います。 その前に、まずこの経済成長計画によれば六・一%、私はアメリカのジミー・カーターさんのように六・一%とか正確な数字をお入れになる必要はないんじゃないか、いつか福田総理にも申し上げたことがございます。アメリカの計画は、一・五ないし二・五、四・五ないし五・五というような数字に置きかえて物の考え方を整理して言っておりますが、余りにも細かい数字をお出しになりますとむだな議論が起きますということは、この前も実は申し上げたことでございましたが、いずれにしましても、現在の成長が、かつての高度成長の九ないし一〇%時代から六、七%に落ち込んだ。ではこれから先どういう形で日本の経済成長は行くであろうかということを大ざっぱに考えてみますと、私は、中成長率がずっとこのまま続いていくという想定は、いままでのシステムの上に乗っかる限りは不可能だという考え方に立つものでございます。 といいますことは、ヨーロッパ型の経済のシステムを見てまいりますと、まあ端的な例が国民負担でございます。財政が非常に逼迫した、したがって国民負担が相対的に高まらざるを得ない。その基本的なものは年金でございます。年金の負担が非常に高くなっていくために、相対的に社会保険負担が重くならざるを得ない。いま経済成長率と各国の社会保険負担を含む国民負担を比較してみますと、これが奇妙なことに逆比例になっているということであります。日本の租税負担は、今回の計策では二八%内外ということでございますが、経済成長率は六%という数字をお出しになっております。アメリカの場合が三七、八%で経済成長は四%、ヨーロッパの先進国の租税負担は、社会保険負担と合わせますと五〇%内外であります。したがって、そこにおける経済成長はどうなっておるかといいますと、端的に申して、ゼロ成長のところがある。ドイツでも二、三%の成長しかないということでございます。これは一体何を意味しておるかといいますと、余りにも高い国民負担を要請するということは、いわゆる民間経済の活力をその意味から阻害をしていくのではないかという考え方が一つあると私は思うのです。 そういう意味で、やはりこれからの日本の経済の道行きを考えていきます場合に、国民負担と財政との関連、経済成長との関連という問題は、私はゆるがせにできない非常に大きな問題であろうと思うのです。ですが、この七カ年計画では大体いまのアメリカ水準くらいまで国民負担を引き上げていきたいということでございますから、ヨーロッパにはほど遠いのでありますけれども、いずれにしましても、あれやこれやの問題を考えてみますと、わが国もどうもこれからだんだん低成長へ行き、最後には、手法が同じであれば、ちょうど古い機械がたくさん油を食うと同じように、財政の限界投資効率というものはだんだん鈍っていかざるを得ない。そういう意味でやはりシステムの改革を行わない限り、同じお金を使いましても経済の成長、はずみにならないというものが出てくると思うのであります。ですから、私は、やはり所与の条件の中においてシステムを改革することによって、経済成長率はできるだけ高いということを、これからの計画ではやっていただきたいというふうに考えるわけです。 先ほど言いましたように、古い機械はたくさん油を食うわけです。ですから、限界投資効率が鈍っていく。効率の高い経済のシステムをつくっていただかなければならないということでございまして、まずその第一番目に、現在いろいろわれわれの周辺を見回してみますと、非常な不完全雇用状態がたくさん存在しております。 これは雇用の不完全雇用はもとよりでございますが、百二十万人プラス企業内失業が二百万ぐらいある、三百万と言われる数字もございますが、とにかく高い失業になっておる。それはやはりそのほかの経済的諸要因に不完全雇用が存在するからであって、それを完全に使うような手法というのがこれからの新しい手法でなければならぬ。いま日本は皆さん方、みな国土が狭い、国土が狭いからお金がかかって、これからの経済成長は非常にその面でブレーキがかかる、こうおっしゃいますけれども、果たしてわれわれは国土を完全に、十分に使っておるかといいますと、非常な問題があります。 田中元総理は列島改造を言われました。いま大平総理は田園都市構想、私は田園都市構想という考え方は非常にいいと思うのです。その裏側に超過密の大都会を抱えて、そこでは大変なお金を注がなければならない。一方、三十七万平方キロの全部が全部じゃありませんが、残りの地域においては、それが有効活用されているであろうかということになりますと、やはりそこには大変な土地の不完全雇用がありはしないかということであります。それを大平総理は、いわば田園都市構想というすばらしいイメージを与えられたわけでありますが、過疎の中には非常に大きな問題をたくさん抱えておりますが、これを解決していく手法がない限り、田園都市構想というものは私は夢にならざるを得ないと思うのです。そういう意味で私はまず第一番目に国土の不完全雇用を挙げたいのであります。 それから端的に申して何が不完全雇用かと言いますと、貯蓄であります。貯蓄超過経済がわれわれの目の前にあって、その金を財政が有効に使うことができないまで財政の手法が行き詰まってしまったということですね。これはこの前も申し上げましたが、元本調達からやらなければ気が済まない大蔵省のいままでの国庫主義的手法このものにメスを入れなければいかぬのじゃないか。貯蓄がそこにあるのだ、しかし、国債発行で一〇〇%国が抱え込まない限り、あるいは郵便貯金と年金で元本調達をそのものに依存しない限り、財政というのは手も足も出ないのだという財政手法の転換ということが、貯蓄超過経済の不完全雇用と絡んで私は考えなければならぬのではないか。 それから農業問題でございますが、後から各大臣にお伺いしたいのでありますが、たとえば今度のお米の過剰米の処理でございますが、四百七十万トンでもって九千億円、前回の場合は七百万トンでもって九千三百億円、これは完全に後ろ向きの農政なんですね。私は端的に申して、この辺に、農地政策にもう少しメスを入れなければならぬのではないか、それがためには旧来の手法で果たしていいのだろうかという疑問を持たざるを得ません。農林水産業というものの低生産性がいかに日本の経済効率をいわば高めない要因として働くかということであります。 それから企業の活力ということがこれに書いてございます。この本の中にはいま申し上げることは全部書いてあるのですが、具体的手法がはっきりしないと申し上げているのでありまして、きょうは公正取引委員会の委員長もお見えになっていますが、企業活力を高めるためのいわば一番大事な法律としての独占禁止法、これが果たして有効に生かされているであろうかというような点にもやはり根本的なメスを当ててみなければならないのではないかということを考えるわけでございます。 総論はそれくらいにいたしまして、具体的にお聞きするのでありますが、この大平構想の田園都市構想の裏側には、私は、大都市の分散計画がなければならぬと思うのです。つまり現在の東京は、この前も申し上げましたように、日本の面積の〇・五七であります。〇・五七%のところに、地方財政を含めて公共投資の一二%をつぎ込んでおるわけですね。しかしながらいまのような手法で幾ら金をつぎ込んでいっても、震災恐怖都市は直らない、ミニ開発はどんどん進んでいくというような形であります。地下鉄の例もこの前申し上げました。百メートルで二十七億円、本年度の予算の場合で一番かかるところでかかっておるわけなんですね。こういう都市の改造をするためには、いまのままで人間を東京ないしは大阪に集めておいて都市改造をするとなれば、何百兆という金を恐らく財政の方でつくり出してつぎ込んでいかなければならなくなるのではないかということでありますが、大平構想の中でいわゆる大都市の改造計画、つまり大都市の過剰なエネルギーを地方に分散していく手法というものが考えられているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 大都市も含めまして、中都市も過疎地帯もみんな含めまして考えなければならぬということでございまして、大都市の再開発という課題も大きな問題の一つと心得ております。
○大原(一)委員 実は三全総というのが前にありまして、それには東京の解体らしきことが書いてありますが、具体的なプランとしては挙げられておりませんが、いわゆる首都圏の移転という問題が末尾に付録として取り上げてございます。いままでの三全総におきましても地方分散というのは全くの作文になっております。それから四十七年、これは田中総理の時代でございますが、工場再配置法というのがございました。この工場再配置法によって今日まで東京から地方に出た企業はたった六十九工場でございます。こういうような工場再配置法を幾らおつくりになっても効果はない。ただ政府が自己満足をしていらっしゃるだけではないか。しかも当時は高度成長でありますから、ほっといても人手がないから地方へ出ていくという状況の中でつくられた法律であります。私はこの法律を、たとえばこれは思いつきで恐縮でありますが、一定規模以上の工場については強制的に、そのかわり受け入れ側においてはもちろん特段の利子を補給するとかあるいはまた低利融資をしなければなりませんが、十年間の法人税を免除しますというような措置を導入することは不可能かどうか、国土庁長官いかがでございますか。
○中野国務大臣 首都の問題について御意見がございましたが、まず第一に、現在の時点で具体的に首都移転構想というものを持っているわけではございません。しかし、第三次全国総合開発計画でも述べておりますとおり、均衡ある国土の利用を図る上で首都機能の移転あるいは再配置について検討を進めることが二十一世紀に向かっての国土総合開発上の重要な課題になると考えております。 さらに今後の進め方については、政府において五十四年度から着手する首都改造計画の調査検討の過程でこの問題についても大いに検討をしていきたいと考えております。
○大原(一)委員 いまのところはその程度のお答えしかできないと思うのでありますが、私は都市の改造という問題あるいは震災に対する現在のもろもろのマスコミ等の取り上げ方、政府ももとよりそういった問題にも取っ組んでいらっしゃるのですが、既存の都市のシステムの中で幾ら改造しても私はこれは全く不可能だ、やはり都市の解体が必要であるという前提に立って物を申し上げたのですが、それでは残りました次の本当の都市改造をするためには地方分散が必要だ、分散をしつつ残った大都市の改造政策に対して、私は一つの提案がございます。 現在、われわれが家を建てたりあるいはまた土地の利用をする場合に、一番先に来る法律はいわゆる都市計画法でございます。これは住宅専用地域である。第二種住宅地域である、あるいは最後は工場専用地域である、八地域か七地域に分けてあるわけであります。その次に来るのが建築基準法であります。だから、たとえば三十坪の土地を私はこの市街地に持っておる、どうしても木造の平家を建てるのだと言ったら、現在の法律ではこれは規制のしようがないんですね。ですから、現在あります法律はきわめてミニ開発に適した仕組みになっておるということであります。この前も農地に課税をして、それを吐き出して宅地を造成しよう、宅地をつくろうとおっしゃいますけれども、いまの都市計画法と建築基準法を受けざらにして税金をぶっかけたら、三十坪の家がどんどんできていくんですよ。これじゃ土地政策でもなければ、あるいは都市政策でもないわけなんです。どうしたらいいかといいますと、私は大都市圏における土地利用計画法をつくるべきだと思うんです。この法律の中身は、もう建設大臣御勉強なすっているようでありますが、たとえばドイツにおける詳細計画法であります。一定の地域を指定しまして、その地域には極端な場合は低層制限をするわけです。極端な場合は木造建築はまかりならぬとやっていく。そういう仕組みで都市改造をやってまいりました。恐らく三百年前に大火に遭ったロンドンもそれで改造されました。パリもそうでございましょう。ベルリンもいまなお現にやっているようでありますが、こういった手法を取り入れられる考え方はないか。つまり、この七カ年計画におきましても、再開発による土地利用の高度化を図っていきますと書いてある。そして一番最後には、新しい手法の開発が必要であると書いてあります。私は、こんなことが新しい手法ではないかと思うのですが、建設大臣の御意見を伺います。
○渡海国務大臣 現在の都市計画法並びに建築基準法には限界がある、大原委員御指摘のとおりでございます。いま御指摘になりました西ドイツの連邦建設法でございますが、地域を分けて、個人が建てる家の階層まで制限する、あるいはその家の用途まで制限するといったような厳しい規制を設けております。もちろん、わが国の状態と社会的、経済的背景が異なりますので、直ちにそれを導入することはむずかしいと存じますが、一つの御提言として、これは真剣に検討すべき問題であるとわれわれ考えております。 いま建設省におきましても、このために都市計画中央審議会におきまして、市街化区域がいかにあるべきか、真剣に御検討を賜っておりますが、その際にドイツのこの例、ほかに諸外国にもあります例等も参考にいたしまして鋭意検討を進め、その答申を待って制度の改正を図っていきたい、このように努めてまいりたいと考えております。
○大原(一)委員 ぜひ、いまそういう機会があれば、こういう問題には積極的な検討を私の方からも御要請しておきます。 それからなお、この問題ばかりやっていると先に行かないのでありますが、福田前総理は、大都市圏における私所有権の制限等も考慮すべきである、行管庁長官時代にそういう答申を受けておられるわけでありますが、この大都市圏の私所有権の制限ということをどういう形で考えていくかといいますと、これは建設大臣でなくて事務局でも結構でございますが、御検討なすっているかどうかわかりませんが、利用権と所有権を分離して、利用権を何とか公共コントロールの下に置けないかどうか。そういったことはすでに行管庁では答申が出ているわけでありますから、具体的に私がいま申し上げたような手法で大都市圏の都市改造をおやりになるお考えはありませんか。
○小林(幸)政府委員 お答え申し上げます。 わが国の土地の利用権の制限は、自由主義国家の中では最も進んでおる部類であると申し上げてよろしいかと思います。ただ、いま御指摘のように西ドイツの詳細地区計画に比べますと、先ほど大臣からお答え申し上げましたような点で相違がございます。今後、審議会の御検討の結果を待ちまして進めてまいりたい、かように考えております。
○大原(一)委員 時間がありませんので次の問題に移りますが、田園都市構想、その裏側は農村であります。農林水産業がたくさんあるわけでありますが、この中には農業について、林業、水産業にそれぞれ触れられておるわけでありますが、特に農業について、生産性が高く強い体質の農業を育成します、これは大平総理の施政方針演説にも入っているわけであります。ところが、農業基本法ができたのは昭和三十六年でありますが、それから今日まで農業基本法の道行きを見てみますと、これは完全に兼業農家育成法でありました。基本法の前文第一条に書いてあることとやってきたことが大分違うわけなんですね。その裏側に高度経済成長があり、農村は、私に言わせればいま大変な荒廃に瀕しておると思います。山は特にそうですね。私は、林野庁さんにあれは国有林野庁という名前をつけるべきであると思っておる。国有林野の経営は大変御熱心でありますが、森林の中の七五%の民有林に至っては、二百万林業農家はいまやこれから先、山をやっていけないという方が九九%いらっしゃると私は思うのです。現在の林家二百万戸のうち、専業林家はわずかの二万戸と言われております。そういった荒廃がある。 それを代表的に私は農業にたとえさしていただきたいのでありますが、昭和三十六年、計数は大変大ざっばでありますけれども、専業農家は三割いらっしゃったのであります。それが今日は大体一〇%そこそこというところ。その人たちが大体、日本の農地の二分の一を耕しておりました。ところが、現在は専業農家は一〇%に減って、その人たちが二五%の農地を耕し、日本の食糧の三五%を供給していると思うのです。こういう状態でずるずるいったら、日本の農業は大変なことになる。この辺でひとつ思い切った農地政策の転換をやっていただけないだろうか。農業基本法は、御承知のとおりマッカーサーからいただいた自作農創設特別措置法を基盤にして育った法律であります。その底辺に手を突っ込まない限り、これからの専業農家の育成はあり得ない。私は、できることなら、これは七カ年でできるとは思いませんけれども、これからの農政の柱に、農地法を解体していただいて、現在の農地は必ず農業に使うという大前提のもとに農地集約化をやっていただけないだろうか。端的に申すと、現在の一〇%の専業農家を二倍にし、その人たちが五割の農地を耕し、日本の食糧の五割以上を供給できるような仕組みにできないであろうか。それがためには、農林省は大変御努力をなさっておる。八方手を尽くして、自由主義経済だから仕方がない、この程度しかできないのだということで、農地合理化法人とかあるいは農地法の若干の手直しをおやりになり、そしてまた、来年度からは一定の賃貸契約につきましては一万円ないし二万円の補給金を上げて、農地委員会の足を頼んで農地の集約化をやっていきたいという政策をおとりでありますが、私は大変勇気ある渡辺農林大臣にひとつ御提言があるのであります。たとえば、フランスにサフェールという農地集約第三セクターがありますが、これは政府の機関と言って間違いないのです。その機関は農地の先借り権と先買い権を持っております。それにかなりの金をかけて農地の集約化をやっておりますが、そういう形で専業農家の育成をこれからの農政の柱にしていただきたいと思うのですが、大臣の御意見を承りたいと思います。
○渡辺国務大臣 専業農家を育成していく、そういうような手法その他について私はあなたと大体似たような考え方なんでございますが、なかなか農地法を解体するなんて申しましても、これは大変な革命みたいな話でございますから、かなりの理解と協力がなければ、農地法の解体は無論のこと、改革もなかなかむずかしいという状態にあることは事実であります。しかしながら、農業の生産性を高めていくというためには、規模の拡大を図らなければならぬ。規模の拡大を図るにしても、農地を買い取るといっても、日本は地価が高いですから、買い取らせるということは言うべくしてなかなかできない。ということになれば、やはりフランスのサフェールの話もございますが、安く強制買収するというようなことは言うべくしてこれは不可能であります。したがって、日本の場合には、フランスのような形態でなくて、むしろ農地の流動化が賃貸借あるいは請負耕作、そういうようなもので行われやすくする必要がある、私はそう思うのです。ところが、御承知のとおり、現在の農地法というのは自作農主義、自分の農地で自分がつくるということが大前提になっておりますから、なかなか人に貸すことを奨励する農地法でありません。そこに一番の問題があるわけです。どういうふうにこれと取り組んでいくか。いずれにいたしましても、農地の流動化というものを進めて規模拡大を図るとすれば、それをそのまま放置して通るわけにはいくまいということでありまして、これは十分に前向きで検討させておるところであります。
○大原(一)委員 私も農地の先買いというのは無理だと思うのです。農地の先買いは無理ですから、日本の国情に合った日本的方式で、先借り権というようなことをやはり考えていく必要はないだろうか。その場合、フランスにもあるのでありますが、一定年齢以上の貸してくれた人に対しては、とにかく五年間なら五年間という契約でやるわけですから、その期間を通じて年金を付加してあげる。ですから、この企画ができたのは農林大臣の時期でないのですから、今度の農地高度利用促進事業の中で一万円、二万円以上と先ほど申しましたが、六十五歳以上で五年間息子が帰ってくるまでは貸したいという人に対しては、現在の農業者年金に対してその一万円、二万円を年金に上乗せしてあげるというようなことまで考えてあげれば先借り権の設定も比較的容易になるのではないかというようなことも、農林大臣、考えるわけでありますが、そこらはこれからまたいろいろ御議論していきますので、時間がございませんので、次の問題に移らせていただきます。 林業の問題でも、総理大臣、同じですよ。たとえば山をとても経営できないので、十ヘクタール、二十ヘクタールの人が村を去ります。去った後は廃山になっているわけですね。これで幾ら治山治水と言ったところで、治山治水では飯が食えないですから、やはり山を離れていくわけであります。現在、農林省の計算ですと、七十ヘクタールが専業林家の規模であるという数字もいただきました。その集約化のためにどうしたらいいのか。私は、やはり森林組合にしかるべき経営基盤を与えていくしか方法がないと思うのですね。いま大蔵省が資金運用部の金を地方公共団体に貸しますけれども、ああいった形で財投を通じて権利金をあげてそういった森林を借りてあげる、そういう仕組みにでもして集約化していかなければ治山治水が守れないことになります。七五%は民有林でありますから、やはりそういった手法が林地についても必要ではないかということを御提案申し上げるわけですが、これはお答えは要りません。 次の問題に移りますが、エネルギー問題。日本の経済成長のアキレス腱はエネルギーであるということで、エネルギーがないから低成長に入りましたという短絡的な物の考え方が横行をしておるわけでありますが、私はいまそうではないと思う。やはり土地の問題、貯蓄超過経済を有効に使えない現在の行き詰まり、すべてが手詰りになっておるわけでありまして、石油のおかげで経済成長ができないというような物の考え方は必ずしも私のとらないところであります。 端的に申して、ジミー・カーターさんが一年半前に提案されたいわゆる省エネルギー五〇%という提案、これは私は文明史的な意義を持ったと思うのです。いま日本の政府が前提にしておりますところの省エネルギー率は一〇・八%でございます。これは六・一の経済成長で、弾力性を、一を〇・八九に落として省エネルギー率が一〇・八%。これを仮に二〇%に引き上げる。ジミー・カーターさんの最初の提案は五〇%。油づけのアメリカ経済でああいう乱暴なことを言ったのですから、いま私が提案しておるのは一〇%を二〇%に上げろという話であります。そうすれば、この通産省がお持ちの計画によれば八千万キロリットル石油が余ることになります。この前提は、御承知のとおり、昭和六十年における世界石油生産量の一割ぐらいしかたかだか日本は使えないだろう、だから四億三千万キロリットルを前提に計算されたものでございます。ですが、二〇%の省エネルギーにいたしますと八千万キロリットル浮くわけですね。浮いた石油はその弾性値の下がった経済にならしていけばいいのですね、そうすれば経済成長はさらに高められるわけであります。私はこの一〇・八の省エネルギー率が低過ぎるのではないかということを申し上げているのでありますが、通産大臣、いかがでございますか。
○江崎国務大臣 御指摘の点はきわめて重要だと思います。ただ、あの筋、との席でも私申し上げてまいりましたように、この場面で当面するところは支障はないが、長期に及べば当然支障が来るし、もともと無資源国であり、エネルギー源のない日本としては、当然節約に努めなければならない。いま御指摘のように、通産省では昭和六十年を目途に一〇・八%の節約をしょう、こう言っているわけですね。これは今後の電力不足その他に備えまして、もちろん石炭も利用したい、原子力も開発したい、いろいろな計画を総合しまして、やはりそのコストの関係、速度、これなどから割り出したのが一〇・八。それでなおこういう事態に立ち至っておりまするので、十分今後とも配慮をしていきたいと思います。そのためにも、昨年五月には省エネルギー推進の中核となるエネルギーの使用の合理化に関する法律案、これを提案しておるわけでありまするので、何とか速やかにひとつこの成立を期していただきたいということも私どもしきりに念願しておるわけであります。
○大原(一)委員 これは私のきわめて大ざっぱな試算でありますが、総理、お聞き取りいただきたいと思うのであります。省エネルギー率を二〇%に上げますと、四億三千万キロリットルマイナス八千万キロリットルで六・一%経済成長ができる計算になります。その八千万キロリットルを、ほかの条件が同じとして、現在の経済にぶち込んでいって経済成長をやっていきますと、八千万キロリットルで毎年六%、経済七カ年計画とおっしゃっていますから、六%にプラス二%の経済成長ができるのですね。ですから、いま通産大臣がおっしゃいましたように、私が申し上げているのはいまの時期の話ではございません、いま油が余っておるのですから。三十年後にはなくなるという条件を踏まえたときに、これぐらいの提案は、総理大臣腹の中でお考えになって、いつの日か出していただいていいのではないかと思うのです。八千万キロリットルを原子力でカバーしますと福島一基分、これで割り返しますと大体福島六号機の十一基分で足りるわけです。これはこの前も申し上げました。一五%の省エネルギーでいきますと、浮く分が四千万キロリットルですから、福島六号機の五基分で間に合うわけですね。原子力発電でもよし、さらにまた省エネルギー政策、いま大臣がお示しになったあの法案の省エネルギー率は一〇・八%でございます。だからそれを一五%ぐらいに上げられても、六%プラス一%の経済成長余力が出てくるということであります。私が先ほど成長の限界に挑戦すると申し上げたことは、苦労しながら成長を高めないと、公園面積がイギリスに対して四分の一、住宅は貧弱、そういう都市改造はできませんよ。そこには何百兆の金が要るのですから、成長は高いほどよろしいというお話を申し上げるわけでありまして、この辺がネックで経済成長は無理でございますよというのは、私は多少弁解に聞こえるわけであります。ジミー・カーターさんも大変骨を折られて、しかしながら最近はガソリンスタンドを日曜はやめさせるとまでおっしゃった。これはイランとの関連でございますが、総理、このエネルギー政策について、これには抽象的にしか書いてございませんが、具体的に手法を変えると言えば、私は省エネルギーしかないと思うのです。まあ、新しいエネルギーの開発も必要でございますが、手っ取り早くは原子力発電と省エネルギーだと思うのです。お考えを承りたいと思います。
○大平内閣総理大臣 全く同感でございまして、省エネルギー技術の開発はエネルギー政策の根幹に据えなければならぬことと思っておりまして、そういう問題意識は、私ども政府のエネルギー政策の推進に当たっても持ち続けておるわけでございます。
○大原(一)委員 総理のお気持ちはもうこれに十分書いてあるわけで、具体的な手法をこれから詰めていらっしゃる中で、いずれはそれは各大臣、特に総理が腹の中で持っていただかなければ、ここにあるような革命的な手法とはこれには書いてございませんが、新しい手法の開発というのは私は不可能だと思うのです。いままでの政策にないものは構造政策だと思うのですね。私は、経済のシステムを変える政策はまさに構造政策であると思うのです。これは産業構造だけじゃなくて、農業の転換にも必要でございますが、あるいは国土改造にも必要な問題でありますが、そういう構造政策に手を触れていただきたいという御提案を申し上げているわけでございます。 次に、またこれはちょっと突拍子もないことを言うように聞こえるかもしれませんが、いまの不完全雇用の中の一つのデータは、私は三百三十億ドルの外貨だと思うのですね。大蔵大臣、外貨は日本に三百三十億ドル必要でありますか。その線を端的にお教えいただきたいと思うのです。
○金子(一)国務大臣 三百三十億いま直ちに必要というわけではございません。
○大原(一)委員 ことしのアメリカのインフレ率は一〇%ですね。日本のインフレ率が四%、差し引き六%、ドルはほっておいても、減価するわけであります。毎年六%アメリカの物価と日本の物価にギャップがありましたら、三百億ドルとして、六、三、十八、二十億ドル近くが減価していくわけであります。二十億ドルというのは四千億円ですね。そのために大蔵省は四苦八苦しながら外為会計からアメリカの国債を買込、TBを買って、八%程度の利ざやをかせいで、何とかその価格を維持するために苦労していらっしゃるのでありますが、私はこの外貨を使う手法を考えていったらどうか、もう三百三十億ドル以上国内に要らない。いいことがあればいいんですが、減価することが多い。 そういう状況の中で、いま日本の南北政策が問われておりますが、これは外務大臣にもお伺いしたいのでありますが、やはりこれからの日本の経済政策というものは南北ギャップの解消というところに非常に大きな重点を置かなければならない。妙な話を申し上げますが、こんなところで言っていいのかどうかわかりませんが、日本の経済、一億人が三十年かかって今日の水準になったわけでありますが、中国は人口が九億あるのですね。それに三十年掛けますと二百七十年分あるわけであります。そういったおくれた経済に対して、われわれの持てる知恵とエネルギーを注入することによって南北を開発していけば、これからの日本経済の成長はまだ無限にある、そういうギブ・アンド・テークからわれわれの経済成長余力はあるという考え方が、やはり南北問題解決の基本になければならぬと思います。であるとすれば、現在の外貨を有効に使って南北ギャップを解消していかなければならないということになりますと、これはまたちょっと珍奇な提案と思われるかもしれませんが、第二外為会計ではないのですよ、海外投資特別会計をおつくりになって、これが三百億ドルの外貨のうちの相当部分を、一般会計を通さないでストレートに外国に、特に低開発国に使える手法はないだろうかということでありますが、そのためには円が要ります。円が要れば、その会計で国債を発行できる仕組みにしていただいたらどうだろうか、ないしは第二外為会計が外為証券で円を調達しなければなりませんが、それは現在三・三三七ですね。日銀の公定歩合マイナス一・二五でございますか、ということで、三一三三七でもって外貨の調達ができる仕組みになっておる、第一外為会計で。であるとすれば、その第一外為会計と言ったらいいのかどうか知りませんが、現在の外為会計の外貨を、その特別会計に一般会計から利子補給してあげて、三・三三七の利子補給をしてやれば、三百億ドルの外貨が使えるわけであります。そういった形で海外投資、これはグラントエレメントに入るわけですよ。三・三三七でもっても二五%グラントエレメントに入りますから、ODAになっちゃうわけですね。だから海外無償援助の方へ入るわけなんです、三・三三七の金利であれば。そういう大胆な手法を大蔵大臣はお使いになる気はありませんか。
○金子(一)国務大臣 大原さんの御提案、大変大胆な、示唆に富んだ御提案でございまして、そういうことに持っていけるのならもっと早く実現しておったと思うのですけれども、なかなかこれは法律的に、事務的に詰めてみると、いろいろな厄介な問題がございまして、外為会計の性質上、短期の運用ならできるけれども、長期のものに使うことがどうかという問題、あるいは財政法上、いまのような低開発国に対する無償援助で、一般会計を通じないでやるのが果たしていいのかどうかはいろいろな厄介な問題がございまして、一部いま緊急輸入には、EXIMというか、輸銀を通じて貸し出しをしております。これからはひとつ、そういう点も大いに検討させていただきます。なかなか簡単にいかない問題であることだけは御承知願います。
○大原(一)委員 簡単にいかない問題ばかり聞いているわけで、まあひとつ前向きで御検討をいただきたいというふうに考えるわけであります。 それから大蔵大臣、これは総理にもお伺いしたいのでありますが、近ごろ円経済圏構想という言葉が盛んに出ておりますね。私は、最近こういう問題が提起される前に、円の自由化によってわが国と取引の密接な国については円を大いに供給する、これらの国はいま円ソフト傾向があるわけでございますから、アメリカのドル離れ現象というようなことを考えてみますと、当然われわれもこれらの国との関係、特に東南アジアでございますが、貿易が、わが国の輸出が東南アジアの総輸入の二四%も占めるという、そういった地域についての円の国際化、円の開放を積極的に進めていくべきだと思います。この七カ年計画にも円の国際化を進めると書いてございます。しかし、どういう形でお進めになるのか。昭和四十年ごろの日本の輸入でございますが、東南アジアからの輸入で円建ての輸入というのは二ないし三%でございましたが、現在はそれが二割から三割になっておりますね。そういう状況でありますし、円の国際化は進んでいると思うのです。私はやはり、少なくともマルクがやっている程度の円の開放、円の自由化はおやりになった方がいいのではないか、こういうふうに考えますが、いかがですか。
○金子(一)国務大臣 前々から円圏構想とか円の自由化という問題についていろいろな議論が行われていることは事実でございます。いまお話しの点は、もっと決済に円を使えるように、あるいは保有外貨として円を持ってもらえるような政策を進めたらどうか、特に東南アジア、近隣諸国との関係をそういう面で強めたらどうかというお考えでございまするけれども、どの通貨を使うかということはやはり相手国の選択に任せざるを得ないことでございまして、現に円とリンクしている国もございません。ただ、ドル一辺倒ではないのでありまして、だんだんと各国通貨のバスケット方式を採用している国もあるような状況でございまするから、これはやはり日本としても円の信用力、安定力を十分に認識させるようにこれからも持っていく粘り強い努力をすることが大切なことではないかと考えております。お考えの方向については私も同様に考えます。
○大原(一)委員 円経済圏といいますと昔の大東亜共栄圏みたいなことを思い出すわけでありますけれども、そうじゃないと思いますね。やはりいまアメリカのドルの責任だけを追及するのではなくて、強い通貨が応分の国際的負担をする仕組み、そういったためにも円の国際化を積極的にお進めになる必要があると思うのです。端的に言えば、短期資金の流入には有事立法さえあればいいんで、オイルダラー、ユーロダラー七千億ドルと言われますが、そういったものが入ってくる不測の事態に対応する仕組みさえあれば、短期資金に関しては完全自由化されてもいいのではないか。いまでも若干の制約がありますから、そういったところから、近くお出しになる外為法の改正等も積極的に取り組んでほしいと思います。 その問題ばかり言っておれません。先日は質問ができなかったのでありますが、せっかく公取委員長がお見えになっておりますので、独禁法の問題で御質問申し上げたいと思うのです。 この七カ年計画にも、表現は多少違いますが、経済の自由競争原理を生かさなければならない、ところが、現在の日本の経済の中には若干動脈硬化が生じておって、自由競争原理が十分生かされない部面があるというようなことが触れられてあります。 そこで、もう時間がありませんのでまとめてお聞きいたします。 現在の独占禁止法の運用でございますが、一昨年改正されましたいわゆる構造要件と申しますか、一社で五〇%以上、二社で七〇%以上の企業が不公正取引があれば分割するといろ規定が入ったわけでございます。通産大臣、お聞きいただきたいのでありますが、ところがこの適用対象九業種というのは皆中小企業の親分なんですね。名前を申し上げて恐縮でありますが、サントリーのウイスキーにしたって、麒麟麦酒にしたって、味の素にしたって、精工の腕時計にしたって、これは二代、三代でつくり上げた中小企業のパイオニアであります。その人たちが五〇%を超えたから首をちょん切るといって喜ぶ国民が果たしてどれだけいるだろうか、それによって一体物価がどれぐらい下がるであろうか、私は大変疑問に思うのです。といいますことは、やはりその裏側におって現在の企業群を支配している大企業群がある、あるいは価格決定力を持っておる大企業群がある。であるとすれば、私は、価格支配力ないしは企業支配力に着目した独占禁止法の運用が必要ではないかと思うのです。外国の例を見ましても、この五〇%、中小企業である場合とられているのかどうか知りませんが、イギリスの場合は二五%以上であれば独占的危険性があるということでされておるし、ドイツの場合は三五%、二社で五〇%でございますか、五社で七〇%というようなことをめどに構造政策をやっていらっしゃるというようなことを考えますと、たとえ三五%のシェアしかない新日鉄さんでも、この人が鉄を一割上げますと卸売物価が何と〇・四七%上がるのです。ところが、先ほどぼくが申しました九業種、たとえば味の素さんですが、値段をお上げになりましても物価に対する影響はゼロであります。そういった企業をスケープゴートにしておいて、価格支配力と企業支配力を持っておる企業はひっつかまらないという独占禁止法であります。これでは自由な経済競争原理は生かせないではないか。四十七年でございますが、公正取引委員会は非常にいい調査をたくさんおやりになった。大企業の価格支配力、企業支配力を御調査なすって、私もそれをむさぼるように読ませていただいたのでありますが、出た答えは、中小企業の親方の首をちょん切るという独禁法の運用であります。これでは本格的ではない、そういう考え方で独禁法の改正に取り組んでいただきたいと思うのですが、委員長、いかがでございますか。
○橋口政府委員 一昨年改正になりました独占禁止法は、昭和二十二年に日本に独占禁止法が導入されましてから三十年に一度の強化の方角での改正でございまして、実際に施行になりましたのが一昨年の十二月でございますから、今日までようやく一年有余を経過しただけでありまして、この時間的経過の現時点において改正法が適当であったかどうか、十分であるか不十分であるかを競争当局として論評する立場にないということをまず冒頭に申し上げて、御理解をいただきたいと思います。 それから、いろいろ御指摘がございまして、かつてのいわゆる九業種が独占的状態の中の市場構造要件に該当するということで、これは中小企業の事業主の首切りではないかという矯激な表現をとられたわけでございますけれども、率直に申しまして、いまお述べになりました味の素にしましてもサントリーにしましても中小企業とは言いにくいと思うのでありまして、これは明らかに大企業であります。もう多くは申し上げませんが、売上高、純資産等から見まして日本の大企業の百社の中に入る企業でありまして、私どもが一般的な集中状態を調査します場合には、上位百社が日本経済に対してどういう影響を持っておるか、こういう調査の作業をいたしておるわけでありますから、決していわゆる中小企業者とは申しにくい。 それから、市場構造をどういう基準でとらえるか。その場合に、やはり一定の事業分野、つまり特定の商品の市場支配力、市場影響力というものを中心にして考える必要があるわけでございまして、企業の大きさあるいは企業の単なる影響力だけで競争政策の対象にするということも、これまた大変論議のあるところでございますから、いろいろの御提言、われわれも検討しなければならぬと思いますけれども、冒頭に申し上げましたように、いまの時点で改正法に対して論評するということはひとつお許しをいただきたいと思います。
○大原(一)委員 これは公取委員長に質問して大変申しわけないのですが、七カ年計画の話をしている中で申し上げているわけでありまして、自由競争原理を生かそうということをこれから考えていらっしゃるならば、先進国手法もいろいろありますけれども、そういった形で独占禁止法というものを見直してみる必要はないかということを申し上げたわけでありまして、先ほどおっしゃいましたが、何も中小企業だとは私は申し上げておりません。中小企業のパイオニアで、こういう会社になりたいという中小企業の大きくなった代表だ、こう申し上げているわけでありまして、その企業自体が中小企業だと申し上げるつもりはないわけであります。現に、現在の企業支配力ということになりますと、現在問題にもなっていますが、三井、三菱、住友、日商岩井、丸紅飯田、伊藤忠、この六社でもって九兆九千億円の融資をしておる、大銀行の二つを合わせたほどの融資をしておるということ、これらの会社が一〇%の株式保有の関連会社が約三千社になるということ、その他、役員の送り込み等を考えますと、相当数に上るわけであります。そういったものに着目しながら、それが市場機構を硬直化させるような場合には、独占禁止法の対象にしていただくような手法を考えたらどうかということを申し上げているわけであります。 次に、時間がいよいよ来ましたが、この前申し上げました財政手法の転換の問題でございます。 あのときは時間がなくて十分申し上げられませんでしたが、利子補給制度の積極的な導入ということを申し上げたわけでございます。現在、大蔵省は利子補給制度を採用していらっしゃるわけであります。私がいただきました資料をちょっと見ますと、五十四年度の予算で、八百二十億円の利子補給をして四兆円の資金を動かしていらっしゃるということです。これはどういうことかといいますと、民間セクターから民間セクターであります。その予算項目は、全貌はこの数字にはございませんが、大体主なもの十七項目について、低いところで〇・六%、高いところで七%という利子補給をしながら、民間にある金を民間部門に注入していっているわけであります。こういった運用をしていけば、かなりの部分が国債によらないで民間資金の活用を図り、財政負担を重くしなくて済むのではないかということを申し上げたわけでございます。 ところで、いま百十一あります政府関係機関につきまして、こういった手法がもう少し思い切ってとれないかどうか、その点を大蔵大臣でも主計局長でも結構でございますが、お答えいただきたい。
○長岡政府委員 お答え申し上げます。 民間資金の活用につきましては、私どもも活用し得る分野があればできるだけ活用するという方向で検討を進わております。だだ、いまお話がございました特殊法人の実施しております仕事について、御質問の趣旨は、特殊法人形態をやめて、要するに民間にその仕事をやらせて利子補給をしてはどうかという御趣旨だろうと思うのでございますけれども、特殊法人についてはいろいろ問題もございましょうが、やはり何らかの意味で公的な性格を持った仕事を実施する機関として特殊法人が設けられておるわけでございます。その中には利子補給を受けている機関もございます。純粋に民間の企業体に国が利子補給をすることによって、何らかの公的な仕事を、特殊法人のやっておるような仕事を肩がわりさせるという考え方もあり得るわけでございますけれども、その際の一番の問題点は、国民の税金で利子補給をして、それだけの金利負担の軽減が公的なメリットを持って国民に還元されなければならない、それをいかにチェックするかという仕組みが必要になるのではないかという点でございまして、その点が未解決でございますので、私どもとしては、いま特殊法人等のやっている仕事を直ちに民間に移すことにはちゅうちょを感じておるという事情でございます。
○大原(一)委員 昭和三十年ごろに三十ぐらいしかなかった政府関係機関が現在は百十一にふえております。そして一般会計では四十四年以降定員の削減をやってまいりまして、ネット八千ぐらいの減員になっておりますが、同じ期間に特殊法人の増員が五万六千九百七十八名ございます。これでは幾ら一般会計で定員削減をやられましても、特殊法人でどんどんふやしていったらかご抜けになっているわけですね、多かれ少なかれ政府が関与している金が行っているわけですから。こういった点は、ひとつ抜本的な改革が必要だと思うのです。私はやはり、あれもやらなければならぬ、これもやらなければならぬという高度成長時代の累積だと思うのです。お金が枯渇して、そこに注入する油がなくなれば、もうずうたいばかり大きくなっちゃって体は動かないというような形で形骸化していく可能性があるものが相当あります。行管庁にもお聞きしましていろいろ細かいものをお聞きしましたが、私はいまここで幾つかの特殊法人の統合の問題を申し上げたいのであります。 その第一は、住宅公団と宅地開発公団の統合です。この統合を申し上げます理由は、住宅公団には現在五千百十人の職員がおります。宅地開発公団は五十年九月にできたばかりでありますから三百二十六人。これはほっておけば今後二十年ぐらいにまた五千人ぐらいになっちゃうのですね。しかも住宅公団の方には千五百人という宅地部門があります。同じ宅地をやっているのです。対象は違いますよ、よくわかっております。一方でそういうものを残しておいて一方で新しいものをつくっていく、これも私はむだではないかと思います。これは私はやはり統合をしていただきたい。しかも住宅公団の中で、日本一の家主でありますから九十万戸、これを管理する人が千五百人いるわけですね。これは民間委託はできないものですか。そういった形で簡素化され、宅地開発公団を住宅公団と統合していただきたい。 同じ建設大臣でございますから同時に申し上げますが、現在、道路公団というのが三つございます。日本道路公、首都高、阪神高速道路公団でございますが、これも、たとえば日本道路公団の場合も、当初八百人だったのが現在七千七百二十七名であります。日本道路公団の仕事はわかります。阪神、首都高は、当初計画はもうほとんど終わりにかかっておるのですね。ほっておきますと、役人のことですから幾らでも仕事をつくっていくわけです。しかも郵便貯金しか金はないというような状態になってきますと、これは仕事の量も限られざるを得ない。そういう意味で、この三公団を統合されて、簡素、合理化される意思はないかどうか、私はこの二つの問題を建設大臣にお伺いしたい。
○渡海国務大臣 住宅公団と宅地開発公団との統合でございますが、御承知のとおり行政監理委員会の答申によりまして昭和五十年にできたのが宅地開発公団でございます。これは強力なる宅地開発の機能を持たすということでできたものでございます。現在ではいま申されたように住宅公団とそれから宅地開発公団、この二つによりまして宅地開発をやっておりますが、むしろこれを強力に推し進めるために、五十二年十二月の閣議決定によりまして、住宅公団は建設部門をやる、宅地開発公団には強力なる宅地開発を行わしめるということで、その結果、現在住宅公団が持っておりますところの宅地開発部門を宅地開発公団の方へ統合しろという決定がなされたのでございまして、建設省といたしましては、この閣議決定に基づきまして、諸条件が整ったなれば、いま数字を挙げておっしゃいました宅地開発部門を宅地開発公団の方へ移管するように推し進めておる次第でございます。 なお、管理業務のことについて言われましたが、民間委託をいまでもやっております。今後もその方向でできる限り民間移譲をやっていきたいという方向で進んでおります。 もう一つ、道路公団三つの御提案でございました。御承知のとおり、阪神並びに首都、この両公団はその地方地方の都市計画に基づいての、その地方の高速道路の建設のために設けられたものでございます。道路公団は全国ネットワークのためにやっておるものでございまして、設立の趣旨が異なります。しかも、首都並びに阪神両公団は地元の地方団体と密接に協力していかなければならない性格のものでございますから、そのような趣旨で現在でもつくっております。 なお、大原委員御指摘の、もう事業が終わったじゃないか、終わりつつあると、こういうことでございますが、この点はまだ緊急なる事業を持っておりますので、直ちにこれを統合することには同意いたしかねると思いますので、御了承を賜りたいと存じます。
○大原(一)委員 こういう問題、これは各担当大臣にお聞きをしてもいい返事が返ってこないのは当然でありまして、私の持ち時間が大体終わりましたので以上で終わりますが、総理に申し上げたいわけでありますが、お答えいただきたいと思います。 いままでのいろいろの手法の積み上げで、これまでの政策はやはりあちこちのほころびを直すような政策でよかったと思うのですね。だんだん経済がふくれていくのですから、それでもよかった。しかし、これからは本当に政策が物を言う時代だと思うのですね。それがためには、総理が先ほどおっしゃいましたように、経済の各部門で動脈硬化があり、コレステロールがたまっておる、それを取り去る手法というのはやはり革命的な手法でなければならない。言葉はともかくといたしまして、そういったものをやはりわれわれも大平内閣に期待するわけであります。七カ年計画を読みまして、一番最初に読みましたが、政策手法の新しい開発、しかも構造政策が必要であるということ。予算の面にも、農業の面にも林業の面にも、経済の各分野の面で私はそういった問題が出ておると思うのですね。そういったことに、どうかひとつ勇敢に対処をしていただきたいと思いますが、以上の質問を通じて総理大臣の御見解を伺いたいと思います。
○大平内閣総理大臣 仰せのように、時代が大きく変わりまして、高度成長時代から経済の成長の減速時代を迎えてきたということ、さらに国民意識の面でも大きな変化があらわれておるわけでございまして、これに対応する政策は考え方も手法も変えていかなければなりません。こういう点は全く御同感でございます。 きょう、大原さんからは、若干の手法につきまして御提言がございました。政府におきましても新しい手法の開発には努力してまいらなければなりませんが、きょういただきました示唆は私どもといたしましても十分検討いたしまして、生かすべきものは生かしていくように努力しなければならぬと思います。
○大原(一)委員 関連質問に譲ります。
○竹下委員長 この際、関連質疑の申し出があります。大原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大成正雄君
○大成委員 お疲れのところ恐縮でございますが、引き続きよろしくお願いいたします。 私は、整備五新幹線の取り扱いあるいは東北、上越新幹線の取り扱い等についてまずお聞きをしたいと思います。 最初に、総理にお聞きを申し上げますが、いま大原さんが触れました中期経済計画、総投資額二百四十兆円の中で十七兆七千五百億という鉄道の投資が見込まれておるわけであります。この中に整備五新幹線の投資が含まれておるかどうかはわかりませんけれども、昨年の十月に閣議了解によりまして整備五線の着工の了解が得られた。そうして、いま私どもが審議しております今年度の政府予算、国鉄予算の中に、この整備五新幹線にゴーサインが出た、こういったことを私ども理解をいたしておるわけであります。国鉄、公団それぞれ二十五億ずつ、五十億の調査費、アセスメントの調査費、また別途、投資採算の調査費、そして歯どめはかかっておりますけれども、利用債を財源にした百億の工事費が見込まれておるわけであります。 総理も御存じのように、すでにまたこの委員会において十分論議がなされてきましたように、わが国の財政の現況がのっぴきならないところにきていることは事実でありますし、国鉄の財政自体が、この五十年に三兆円の赤字をたな上げして以来、運賃の値上げの増収を見込みましてもなおかつ九千億からの赤字を累積してきておるわけであります。 こういった財政の現状あるいは見通し等からいたしまして、総理はなぜ今年の予算で整備五新幹線にゴーサインを出したのか、また、将来これをどうしようというのか、まずその御所見から承らせていただきたいと思います。
○森山国務大臣 御承知のとおり、新幹線、東海道新幹線それから山陽新幹線、これができて、昭和四十五年に新幹線整備法という法律ができて、そういうことの趣旨は、やはり地域格差の是正ということであろうと思います。また、その要望が非常に地方によって強いわけでありますから、その中で整備新幹線について去年の十月、これは新幹線整備関係閣僚会議というところでやろうとなった。しかし、よくその内容を検討いたしますと、国の財政事情及び国鉄の財政事情等勘案して、所要の公的助成及び財源措置等の前提を十分検討してやろう。とにかく国の財政事情は、特に昭和五十四年度の予算編成過程でも御承知のとおり、なかなか容易でもありませんし、また、本家の国鉄は赤字でありますから、年間一兆円を超える赤字でありますから、したがって、国鉄経営上これ以上負担になるようなことは避けなければならぬということであります。 しかし、地元の五幹線の地区、知事さん、県にいたしまして二十県ぐらいでございましたか、非常に熱烈な御希望もありますし、また、関係議員の方は与野党を問わずぜひやってくれ、こういうお話でありますから、やはり地域格差の是正という観点から考えて、この問題についてできるだけ積極的にやっていきたいということで、ああいう閣議の了解になったと思うのであります。しかし、財源上の問題、さらにはまた、これを処理する特別会計等の問題から、最終的な結論を得ることができませんでしたから、とりあえず環境調査等に手をつけていこうということであります。これはいままでのように財投によって借金でやっていって後で返さねばならぬ金じゃなくて、これからの新幹線はいままでのような借金でやるのではなくて国費でやる、後で借金を返さなくてもいいような、利子を払わなくていいような、そういう資金でもって仕事をしようということで、五十億は環境調査費として予算がついたわけであります。そして、財源、ことし見送りになって継続審議になっておる財源措置のめどがつけば、まためどがつくように昭和五十四年度中われわれとしては努力をいたしまして、これがめどがついた場合においては、すでに百億の金を用意いたしまして、これは借金にして具体的に財源ができる前に仕事を始めよう、こういうことでありますから、われわれは地元の要望というものにこたえて、現段階においてなし得る最善の努力をしようというのが今日の政府の方針であります。
○大成委員 ただいまの御答弁のように、国費をもってアセスメントなりあるいは投資採算を調査をする、こういうことであります。しかしながら、国費をもってこれからこの整備五線をやっていこうというだけに問題があるわけでありまして、私も、それぞれの予想される経過地域の都道府県やあるいは与野党を挙げての国会議員のニーズはよく承知をしておるわけでありますが、投資採算の面からいいましても、調査を待つまでもなく、たとえば盛岡-青森間を例に挙げましても、採算輸送量七万というのが一万七千くらいにしか予想されないのではないだろうか、あるいは博多-長崎においても一万三千くらいにしか予想されないのではないだろうか、こういうことが言われておるわけでありまして、すでに調査を待つまでもなく、この整備五線が大変な赤字の再生産につながることはもう百も承知しておられたと思うのです。それが、歯どめがついたといえども、このゴーサインが出たということでありますが、赤字の拡大再生産につながってもなおかつこれを着工しなければならないという。また第八次道路整備五カ年計画であるとかあるいは第五次空港整備五カ年計画であるとか、そういった計画が同時に進行しておるわけでありますから、国土運営というか交通整備のビジョンからいっても非常に混乱しているというか、統一性がない、こういうふうに私どもは理解をいたすわけであります。いますぐ着工しなければならないかどうか、こういったことで疑問を持つわけでありますが、もう一回その点大臣に承りたいと思います。
○森山国務大臣 採算が合うかどうかということは、整備五線の中で、あなたは全部頭から採算に合わぬ、こういうふうにお決めになっておりますが、国費で後で利子を払う必要がない金を使えば、採算に合うところは一線、二線、三線程度はあるのではないかというふうに私どもは実は憶測をしているわけです。それで、環境調査をやり、地元が大いに協力をするということでやってまいりますれば、そういうところはやはり考えざるを得ないのではないかと思っておるわけでありまして、これはいままでのように財投等の借金でやれば、後で利子のお返しその他で赤字になって、ちょっと採算が合わぬということはありますが、資金の調達方法を変えることができれば、これはなかなかむずかしいわけでありますが、必ずしも私は不可能ではない、そういうふうに考えております。
○大成委員 国費をもってやろうがあるいは財投でやろうが、国民の負担においてやることだけは間違いがないわけであります。予想される総投資額十兆円とも言われておりますけれども、大蔵大臣に承りますが、政府は来年度一般消費税に手をつけようとしております。また本委員会に提出された財政収支試算においても九兆円からの増税を行わなければならぬという状態であります。そういった状態で、来年度予算の編成時の段階において、マイカー新税であるとかあるいは交通整備特別会計とかいった昨年来意図しておるそういった整備五線の建設の財源というものが国費で調達できると思っておられるのかどうか、大蔵大臣に承りたいと思います。
○金子(一)国務大臣 御指摘のとおりむずかしいと考えております。この財源につきましては、交通整備特会の新税というなにで、お話しのマイカーに対する課税の問題等が税制調査会において議論されましたけれども、少しむずかしいのじゃないかということで結論が出なかったということが実情でございます。
○大成委員 マイカー新税以外に、たとえば一般消費税等の財源等も見込んでこの利用債等のゴーサインが出るのかどうか、要するに具体的な着工のゴーサインが出るのかどうか、その点も確認しておきたいと思います。
○金子(一)国務大臣 一投消費税は、私ども元来一般会計の特に社会福祉に重点的に使わなければならぬと考えておりますので、とても新幹線の方へ回す余裕はないというふうに考えております。
○大成委員 運輸大臣に承りますが、今年度三千九百億からの予算を計上しておりますが、東北、上越、それぞれ完工を目指して鋭意努力をしておられることはまことに結構なことではございますが、大宮以南の問題については、御承知のとおりこれは大変なことだというふうに理解をいたしております。大臣がいま見込んでおられる東北、上越両新幹線の営業開始時期はいつとして判断しておられるのか、また、それを起点としてどのような資金計画を立てておられるのかが重要な問題でありますが、それらを含めて見通し等について承りたいと思います。
○森山国務大臣 先ほどの問題にちょっとつけ加えますが、地方の均衡ある発展とか地域格差の是正とか、そういうむずかしい言葉で言いますが、とにかく地方でぜひつくってくれという大きな声がありますから、その声はやはり頭からだめだと抑えてかかることは許されないと思いますし、ある程度の時間がかかればこれは実現せざるを得なくなるわけであります。たとえば北海道と本州を結ぶトンネルが数年後にできますからね。そのときにその鉄道を在来線だけでやるかあるいは新幹線でやるかということになれば、これはとにかく答えは出さなくたってわかっておるんじゃないですかね。ただ、いろいろな事情がありますから、いまからあなたのおっしゃるように頭からこれは非常にむずかしいんだ、できないというふうに私は考えたくはありません。どうしたって地域の均衡ある発展とか地域格差の是正とか、そういう観点からこれらの問題は建設の方向に向かって力を尽くしてまいりたいということであります。 それから、そういう角度でやはり必要なことは、一つは東北新幹線であり、上越新幹線が、これは現に工事中です。工事はすでに九一%もうできておる。あと一〇%ぐらいしか残ってない。昭和五十五年の完成予定でやるわけでありますが、ことしは昭和五十四年ですから、あと一年しかないということで、間に合うかとおっしゃられる。確かに私は心配であります。東京都の方は大分片がついたわけでありますが、埼玉県の方がまだ片がつかない。大いに国鉄の方もサービスをして、いろいろ通勤路線等をつくるようにやっておるわけでありますが、しかし、まあわれわれとしては五十五年につくるのだという方針でいまいきたい、こういうことです。実際はおくれるかもしれませんよ。しかし、とにかく現在まだ昭和五十三年度中ですから、その五十三年度中に五十五年度にできないと言うようなことじゃなくて、五十五年度にどうしてもつくるのです、そのくらいに言わないと、仮におくれるにしてもやたらにおくれては困りますから、五十五年度につくるのだという基本方針はいまは変えておりません。しかし、あなたのおっしゃるように、それはなかなか容易じゃないだろうと言われれば容易ではありません。しかし、そういうつもりで努力をいたしたいというのが現状であります。
○大成委員 まだいろいろこの問題についてもお聞きしたいことがありますが、時間がありませんので省略します。 次に、最近市況商品の値上がり動向からいたしまして、わが国の経済政策あるいは産業政策のかじ取りが若干ニュアンスが変わったかのような報道が一月の半ば以来各方面からなされておるわけであります。昨年、異常急激な円高あるいは構造不況、こういったことで、言うならばどしゃ降りのようなそういう空模様のもとで苦労してきた。政府も国会もそれに対していろいろな立法も用意して、また予算もつけて対応してきた。それらの施策の効果というものはこれから出てこようとしておる段階であります。 何か最近の発表を見ますと、十二月末の卸売物価〇・六%、五十一年七月ですかの〇・九を上回るといったようなそういう警戒信号が出て以来、一部の市況商品の値上がりもこれに加わりまして、景気浮揚よりも物価だ、こういったかじ取りの転換がなされるのではないかといったような、そういうことが見取れるわけであります。角をためて牛を殺すということがありますが、通産省や経済企画庁の上の空の模様だけが幾らか雨がやんで日が差してきて、東の方から天気が晴れてきたと、こう言っておりますけれども、造船なんというのは洪水に見舞われたような異常災害みたいなものでございますけれども、まだまだミクロの各業種段階でいろいろ考えた場合には、これは大変なことだと思うのです。そういうことで、この不況カルテルの取り扱いなりあるいは個々の産業の構造政策なりというものは非常に慎重に扱っていただかないといかぬと思うのです。何でもかんでも物価が大事だということで息の根を殺してしまうというようなことがあってはならない、いま私たちが講じようとする施策の効果を減殺するようなことがあってはならない、このように思うのです。 そこで、応問がありませんから端的に御質問申し上げますが、その観測等において経企庁長官の考え方と通産大臣の考え方に違いがあるのかどうか。その辺のところはどうなのか、両方からひとつ意見を聞かせてください。
○小坂国務大臣 われわれも、あなたのおっしゃるようにようやくここで少しいままで努力した成果が出てきているのじゃないか、これは大変喜んでいるわけであります。しかし同時にまた円高の問題がやや収束するような傾向が見えたり、また海外市況でのOPECの値上げとか、あるいは最近の御承知のような銅の値上げとか、そうしたものからだんだんと触発されて、少し物価の方も気をつけた方がいいのじゃないか。大げさに政策転換ということを言われておりますが、決してそうではないので、われわれはあくまで景気の回復を図って、そして労働需給と申しますか、雇用の安定を達成したい。同時にまた対外調整もある程度行いながら進む。できるならばさらに今年度においては、財政の改善の手がかりも得たいということが全体の政策の目標でございますから、その中で物価が優先したりあるいはまた景気回復が優先したりということがないようにして、せっかくいま起こりつつある民間の活力が阻害されないような形の中でこの困難な目標を達成したい、そのように考えております。
○江崎国務大臣 経企庁長官との間には考え方の相違はございません。私が特に強調しておりまするのは景気の回復、雇用の安定ですね。そうしてこれは対外的な問題ですが、そして相対的な問題ですが、為替相場の安定、そして続いて物価の安定。私は、物価は供給余力が十分ありまするので、適時供給を促進することによって物価はカバーできるものというふうに考えております。
○大成委員 通産大臣に具体的に御質問申し上げますが、たとえば合繊あるいはアルミといったように、安定基本計画を立てて、そして設備凍結なり廃棄なりをして、一千億も既往債務を抱えておる企業に対して、何とかその健全性を取り戻したい、活力を与えたい、こういった産業誘導政策をやっておる段階において、この三月末で切れるという合繊、アルミの不況カルテルというものはこの際延長すべきでないというふうに判断されるのかどうか、これは端的にひとつ通産大臣に承りたいと思います。
○江崎国務大臣 これは常にそういった問題は、需給の著しい不均衡があるのかどうか、コスト割れば一体どうなっておるのか、これに合致しておるかどうかということを公取と十分相談をし合って、実情に応じた裁断を下していく、これは当然なことでございます。
○大成委員 公取の委員長に承りますが、中小企業団体法の減産カルテルの取り扱いの方針だけ、きわめて簡潔で結構ですから承りたいと思います。
○橋口政府委員 中小企業団体法に基づきます安定事業につきましては、所管大臣が認可権をお持ちになっておるわけでありまして、公正取引委員会は協議を受ける立場でございます。ただ価格についての安定事業の場合は公取が同意をする、対等の立場に置かれております。したがいまして、主務大臣がまずどういうふうに御判断されるかということが中心でございますが、ただ独占禁止法の不況カルテルに比べますとやや要件上ゆとりがございますから、独禁法上の不況カルテルの不況要件を満たしていない場合であっても、時と場合によっては、事と次第によっては中小企業団体法の安定事業は継続する可能性がある、そういう基本的な考え方のもとに、ただ現実の運用におきましては独禁法の不況カルテルと団体法上の安定事業と、そう大きな違いで処理はしていないというのが実情でございます。
○大成委員 時間が来ましたので最後に外務大臣に承りますが、近く日米原子力協定の改定に臨もうとしておるわけでありますけれども、この多くの背景は説明しません。説明しませんが、わが国の原子力政策、エネルギー政策、そういった基本的な立場に立って、国益の上に立って外務大臣はどのような姿勢、態度で交渉に応じようとするのか、承りたいと思います。
○園田国務大臣 ただいまの問題の米国との交渉、原子力協定改定の現状、これは御承知でございましょうから省略をいたします。 米国との折衝とともに、わが国は核拡散防止条約に入っております。入っておりますゆえんのものは、この国際的な責任を果たしつつ、資源のないわが国が平和利用というものを最大限に受けたいからでございます。ところが一方、核拡散防止条約と並行してこの平和利用のために、ただいま会議、INFCEの会議が開かれているわけでありますが、ややもするとこちらの方も国際的な規制をもって核を持たない国を拘束しようという動きがややあるわけであります。こういう点から考えますると、資源のないわが国、イラン初め中東の状態、一九八五年ぐらいのところに大体の目標をつけますると大変な問題でありまするから、安易な妥協をしてはならぬ、こういうつもりでこの交渉に臨んでおるところでございます。
○大成委員 終わります。ありがとうございました。
○竹下委員長 これにて大原君、大成君の質疑は終了いたしました。 ――――◇―――――
○竹下委員長 この際、証人出頭要求の件についてお諮りいたします。 昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算の審査に関し、外国航空機購入予算問題について、来る十四日午前十時に植田三男君、同日午後一時に海部八郎君、同日午時三時に有森國雄君、また、十五日午前十時に郷裕弘君、同日午後一時に川部美智雄君、以上五名の諸君を証人として本委員会に出頭を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 衆議院規則第五十三条の規定により、その手続をとることといたします。 ――――◇―――――
○竹下委員長 次いで、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。 来る十五日に、外国航空機購入予算問題について、参考人として海原治君の出頭を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 次回は、明九日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十一分散会