法務委員会 第16号
- 発言数
- 391 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1979/05/29
会議録
○青木委員長代理 これより会議を開きます。 本日、委員長所用のため、指名により私が委員長の職務を行います。 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○青木委員長代理 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事に中村正雄君を指名いたします。 ————◇—————
○青木委員長代理 お諮りいたします。 本日、最高裁判所岡垣刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○青木委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○青木委員長代理 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西宮弘君。
○西宮委員 私は、きのう政府委員室を通しまして、俗に狭山問題と言われる問題を材料にしながら、捜査あるいは裁判、そういう問題点を御質問したいということを、前から連絡をしておったわけでありますが、その問題に入る前に、前回五月の二十三日、いわゆる航空機汚職の問題に関連いたしまして、若干お尋ねをいたしましたので、その後、それぞれいろいろな方面に動きがありましたことに関連して、簡単にお尋ねをしたいと思います。 前回の委員会で私がお尋ねをいたしましたのは、まず第一に、授受された金額の問題、第二に、その性格の問題でございました。あのときも御答弁がありましたけれども、さらにこの問題について、もう少し詳しくお聞きをしたい。 まず第一に金額の点であります。五億に近いという説明でありまして、近いという表現が、私もちょっとその理由がよくわからなかったのです。海外で支払っているというような問題もあるので、半端が出るというお話でありましたが、きのうの参議院の証言では、いわゆる海外で受け取ったという金。額は、ワシントンとシアトルでそれぞれ五千ドル、合計一万ドル。それから家族がロンドンで一千ドル。これだけもらっておるという話があったのでありますが、海外で受領したという金額は、これが全部でしょうか。 〔青木委員長代理退席、山崎(武)委員長代理着席〕
○伊藤(榮)政府委員 海外で松野氏が受領されたお金は、数万ドルずつ数回、こういうことでございます。
○西宮委員 数万ドルずつ数回、こういうお話でございますね。 そうすると、私はきのう参議院で傍聴しておりましたが、それとは大分違うのですな。そうしますと、五億に近いとか、四億ないし五億と、御本人は非常に幅のある証言をしておるわけでありますが、あの当時は、レートは固定しておったわけでありますから、邦貨に換算しても、ドルなら三百六十円で計算すれば答えは出るわけです。五億に近いとかそういったような表現は、正確に言うと幾らになるのでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 五億円でございます。ただし、ドルの為替レートの端数がありますから、きっかり五億にならないという意味であります。
○西宮委員 よくわかりました。 それでは、次は性格の問題であります。金を贈った側ともらった側と、その性格はいわば百八十度違っておるわけでありますが、捜査当局の言うその金の性格、つまり目的その他ですね。そういう点については本人も御承知であるはずだ。つまり、承知できる状態に置かれておったということと、いわゆる「初めに五億円ありき」という答弁があったわけでありますが、その根拠を明確にしていただきたいと思うのであります。
○伊藤(榮)政府委員 まずお金の性格でございますけれども、日商岩井の側としては、F4ファントムのことがなければ、そういうお金は出さなかったわけであります。そういうものであるということを、受け取られた側がよくわかっておられたかどうか、これはまことに主観の問題でございまして、何とも申し上げかねるわけですが、私が前回申し上げた趣旨は、常識的な話として、さように申し上げたわけでございます。
○西宮委員 少なくとも「初めに五億円ありき」というからには、そのことが関係者の間で合意が成立をしておったというふうに、これはわれわれ聞く方の側で、常識としてそう考えざるを得ないわけですが、そうすると、スタートの際に五億円について両者の間に合意があったのかということはどうですか。
○伊藤(榮)政府委員 大変微妙な点でございますので、あえて比喩的な表現を私、用いたわけでございますが、ファントムの売り込みが成功したら五億円上げましょうというような話は出ていないように思います。 お尋ねでございますから端的に申し上げますと、受け取られる方からの何らかの御要望がなければ、五億円という金はそう簡単には出さないわけでございます。ただ、その御要望の趣旨が、要望された方としては、ファントムに絡んで要望されたものやら、純粋な政治献金のような気持ちで要望されたものやら、その辺は主観の問題でございまして、必ずしも定かでございません。
○西宮委員 そうすると、いまの御答弁は、受け取る方の側で要望したということが、まず前提にあるわけですね。そういう要望がなければ、出す方は出すはずがなかった、したがって、受け取る方の側が要望した、こういうことですね。もう一遍確認をしておきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 昨日の御証言でも、選挙で金が要るから持ってきてくれというようなことを言ったのだというようなことも一おっしゃっておりましたが、それは一端を述べられたのかもしれませんが、先ほど私がお答えしたとおりに御運解いただきたいと思います。
○西宮委員 わかりました。局長の答弁は、要望があったので、日商岩井の方はこれに応じたのだ、こういう御説明でありましたので、その点は了解いたしました。 それについては、いままで御答弁になりました五億という金額、ないしはその金を受領する側から要望があったことで話がスタートしたというような点についても、捜査当局としては、それを証明するだけの材料はお持ちなんでしょうね。
○伊藤(榮)政府委員 私も責任を持ってお答えをしておるわけでございまして、根拠のないことを申し上げるつもりはございません。 ただ、しばしばお断りしておりますように、これは刑事訴追の対象とした案件じゃございませんので、万々疑いを全く差しはさむ余地のないくらいにがっちり証拠が固められておるかというふうにおっしゃられますと、それだけの自信はない、こう申し上げざるを得ないわけでございます。一応の捜査の結果得ましたところを、率直に申し上げておる次第でございます。
○西宮委員 わかりました。その点も、いわゆる立件して訴訟を維持する、そういう立場での調査ではないでありましょうから、したがって、そういう裁判を進行する過程で訴訟を維持する、そういう立場で集めた証拠ではない、こういうことはわかったけれども、しかし、少なくとも責任を持ってお答えをしている、それだけの確信を持っているのだ、こういうお話でありますから、その点も、そういう点で了解をいたします。 その資料をいまここで見せてくれ、こういうことは私も決して申しませんけれども、必要な場合には、これは恐らく刑事訴訟法の四十七条のただし書きということになりましょうけれども、必要な場合にはそれによってでも、少なくともいま言われたようないわゆる刑事訴追事件ではないのだ、そういう前提で結構でございますが、その際は、その資料を私どもにも見せてもらいたいという願いをわれわれは持っているわけです。いかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまの御要求は、大変無理な御要求だと思います。 いずれにいたしましても、海部氏あるいは山岡氏等の公判請求しました事件、これは訴因も余り多くございませんから、わりあい早い機会に公判になると思うのでございます公判の過程では、それらのものは証拠として使用されるはずでございますので、そういう場を通じて国民の前に明らかになるのじゃないかと思います。
○西宮委員 私ども、その点は想像しておりました。訴訟が進行すれば、証拠としてその場で明らかになるということは私どもも想像もし、期待もしておるわけですけれども、何といいましても、私どもは、私どもというか国民一般がこういう問題についての捜査をするというような権限はもとよりないわけですね。 ですから、これはどうしても、われわれは捜査当局の調査を期待するという以外にないので、その捜査当局としては実に重大な権限を持ち、同時にまた、豊富な資金を持って捜査に当たっているわけですから、これこそ本当に国民が納得するような、そういう点を明確にしてもらうということが絶対に必要だと思うのですよ。いま国民が心配している問題は、まさにその一点にあると言ってよろしいと思うのでありますから、ぜひそういう点で、裁判の過程で出るのは当然でありましょうが、なお私どもの国政調査にも最大限度の協力といいますか、そういう点で取り組んでもらいたいということをお願いしておきたいと思います。 この辺まで伺えば、大体話はわかったようなものでありますが、もう一つだけ、ついでに伺います。 それでは、その金を贈った方の側では、この金が政治家を育てるための政治資金だ、こういうことは言ってもいないし、また当局が集めた資料の中にも、それを裏づけるようなものはないわけですね。
○伊藤(榮)政府委員 毎々申し上げておるとおりの状況でございまして、結果においてお育ちになるかもしれませんけれども、そういう意図であったというふうには認めておりません。
○西宮委員 ちょっと私「お育ち」という意味がわからないのだけれども……(「政治家が育つ」と呼ぶ者あり)ああ、そうですか。結果において、そういうことがあったかもしらないけれども、日商岩井の側で、これは政治家を育てるためのお金です、こういうことを言ったという材料はない、これはよろしいのですね。
○伊藤(榮)政府委員 そのとおりでございます。
○西宮委員 この間の衆議院における証言の中で、ちょっと一つだけ気になりましたのは、これは加地和委員の質問でありますけれども、その金をやったり取ったりしたときの状況を細かに質問している中で、質問の方は略して、松野さんの答えの分を読みますと「そのことはたびたびありました。」——「そのこと」というのは、その金の趣旨について、つまりいわゆる政治家を育てる云々ですね。そういうことを言ったことがありますかという質問でありますが、松野さんの答えは ○松野証人 そのことはたびたびありました。それは、第一回高畑さんのとき、第一回海部さんのとき、松野頼三に対する政治献金。それはもう、何回というとおかしいですが、そのたびとは言いませんけれども、常にその念頭は去っておりません。 ○加地委員 高畑氏とか海部氏が政治献金という言葉を使ったとおっしゃるのでしょうか。 ○松野証人 松野頼三を育てるための政治献金、明らかにそう言っております。 つまりこれは、単に受け取った松野さんの方で、あのお金は政治献金としてもらったのだというふうに私は理解したとか、そういうのではなしに、持ってくる方の側が、あるいは高畑さん、海部さんその他、そのたびごととは言わないけれども、常にそういうことで、これが「松野頼三を育てるための政治献金、明らかにそう言っております。」と、こういうふうに言っているのです。 いまの局長の答弁だと、そういうことは日商岩井の側では言ってもおらないし、またそういうことはあり得ないということでありますが、私は全くそのとおりだと思いますね。この証言は、その意味においても私は、少なくとも捜査当局の認識とは完全に逆だというふうに言わざるを得ないと思います。 いま、短い時間でありますが、いろいろお尋ねをしただけでも、私は、偽証の疑いきわめて濃厚だというふうに考えるわけであります。いま捜査当局で、これは偽証罪が成立をするというような見解はとうてい持てないと思います。しかし、少なくとも偽証の疑いがかなり濃厚だということは、私ども常識として考えられるわけですが、これはいわゆる法律上の構成要件を、幾つもありますから、それを一つ一つ検討をすると、恐らくいまの段階において、捜査当局が私どものその常識論と同じような考え方を簡単に持てるかどうか、その点は私もいささか疑問に思いますけれども、しかし、われわれ一般国民としては、偽証の疑い濃厚だ、こういう感じは強く受けるわけですが、局長の所見があったら聞かせてください。
○伊藤(榮)政府委員 議院におきます御証言が偽証の疑いがあるかどうかというようなことは、私どもが申し上げるべきことではございませんので、差し控えさせていただきますが、私、国会出席等でテレビの放映を終始見ておりませんのでございます。 ただ、新聞等で拝見したり、録画で一部拝見したりしただけでございますが、私個人の感想をあえて申し上げさせていただけば、よくお話しになったのじゃないかという印象を持っております。
○西宮委員 そのよくお話しになった結果が、私どもとしては、偽証の疑いきわめて濃厚だ、そういう感じを強く抱くわけであります。 かつて国会法に基づいて訴追をされた例に、有名な事件としては西尾末廣さんの問題があるわけですね。あのときを振り返ってみますると、西尾さんは最終的には無罪になりました。第三審まで行って無罪になったわけでありますが、あのときの争いは、西尾さんが受け取った五十万という金が、政党に渡されたのか個人に渡ったのか、こういう点であったわけです。それで西尾さんは、あくまでも個人西尾がもらったのだ、こういうことで主張いたしまして、それが認められて無罪になっているわけです、しかもこれには、その五十万の金を贈った方も、もらった西尾さんも、完全に同じ認識なのですね。完全にそれは一致している。したがって、そういう点を考えると、無罪になったのはむしろ当然だというふうに考えるわけですが、今回の場合は、そういう点でも全然百八十度違っているわけですから、私は、そういうことは当然偽証の疑い濃厚だという気持ちがしておるわけです。 これはいまの法務当局の見解——それでは最後に一つだけ、私、どうも日本語がよくわからなくて、さっき「お育ち」で大変面食らったのでありますが、松野さんがよく言ったと思いますという意味はどういう意味なのか、ちょっとそこだけ解説をしていただきます。それで終わりにしますから……。 〔山崎(武)委員長代理退席、青木委員長代理着席〕
○伊藤(榮)政府委員 例が大変適当でなくて恐縮でございますが、よく検察庁でも贈収賄事件の捜査などをやるわけでございますが、なかなかこの主観的な要素というようなものは述べにくいものでございます。 私、そういう頭で拝見しておったせいでございましょうか、ああいう公開の席で宣誓の上、いやしくも四、五億の金を受け取ったというようなことを中心として、一応お述べになっておりましたので、一応の御決心でお述べになっておるなという印象を持った、こういうことでございます。
○西宮委員 それでは次に、先刻申し上げた問題についてお尋ねをいたします。 いわゆる狭山事件と言われる、現在再審請求中の問題があるわけでありますが、これは一九六四年の三月十一日に浦和の地方裁判所で第一審として死刑が判決をされまして、直ちに控訴をいたしまして、一九七四年の十月三十一日に、第一審を破棄をして第二審は無期になった、こういう事件であります。私は、これを見ておりまして、まず第一に気のつくことは、公訴を提起してから判決が行われるまで、ずいぶん長い時間がかかっているわけですね。これは一体どうしてこういうことになったのか、裁判所の方からお聞かせください。
○岡垣最高裁判所長官代理者 先ほど御指摘のありましたとおりに、第一審の浦和地裁川崎支部でございますが、起訴になりましたのが、第一次起訴が三十八年の六月、それから第二次起訴が三十八年七月ということでございまして、それから判決が三十九年の三月十一日、第一回公判期日は三十八年九月四日でございますから、第一回の公判期日から数えますと、半年くらいになっておると思います。控訴審は、三十九年の三月十二日に控訴の申し立てがございまして、第一回の公判期日が九月十日でございますが、判決は四十九年の十月三十一日でございまして、御指摘のとおりに十年という期間がかかっているわけでございます。それから上告審は、四十九年の十月三十一日に上告申し立てがございまして、上告審の決定が五十二年の八月九日というふうになっておるわけでございます。 そこで、十年たったのが一番問題になるかと存じますが、裁判所でどういうふうに期日を入れて、どういうふうに進行させていくかということは、これは当事者の主張その他いろいろな事情を考えて、裁判所で最も適当と思われる訴訟指揮をされることだと思いますし、この事件についての裁判所の行き方について、私どもから、ああだこうだというふうな評価は差し控えさせていただきたいと存じますが、ただ、事実は御参考までに申し上げておきたいと思います。 それは、控訴審で判決を言い渡しますときに裁判所で明らかにされたこととしまして、こういうふうに言っておるわけでありますが、被告人は、原審で訴因をすべて認めていたけれども、当審では一転して、中田善枝に関する強盗強姦、強盗殺人、死体遺棄及び恐喝未遂の訴因は無実であるというふうに主張するに至ったし、捜査手続とそれから原審の審理不尽ということを含めて、訴訟手続の違法、違憲というふうな問題だとか、あるいは被告人が一体シロかクロかということ、これが一番の中心の問題として当事者間で争われたことなので、裁判所も、この点を中心に原判決の当否を詳細に検討したというふうなことを言っております。これは、そのときの高等裁判所が考えたことだと思います。 それで第一審は、先ほど申しましたとおりに、第一回公判期日から判決言い渡しまでに約半年でございますが、この間に証人の取り調べた数は約五十名、延べ四十九名調べておりまして、公判回数は十二回でございます。したがいまして、一回に大体五人くらいの証人を終わっていく、そういうペースで進んだわけでありますが、控訴審の方になりますと、公判回数は八十一回でございまして、そして証人数は、延べでございますが八十名、それから鑑定人が八名、それから被告人質問は十二回、検証回数七回というふうなことでございまして、これは開廷日数でごく平均的に割ってみますと、一回に証人一人調べるかどうかという程度で来ておるわけであります。 したがいまして、最初申し上げましたとおりに、高等裁判所としては、最初は自白で半年くらいで済んだ事件、それがさらに至って、当事者の主張その他いろいろ考えて慎重に審理を進めた、こういうことではなかろうかと存じます。 以上でございます。
○西宮委員 まず第一に、第一審が非常に簡単に片づけられてしまった。そして第二審に行って——つまり第一審はわずか半年くらいで判決までこぎつけた。そこで、いまの裁判は第一審重点主義、これは当然な原則ですね。その第一審の際にもっと詳細に、あるいはまたもっと厳しく状況を調べたら、恐らく今日問題になっているようなこういう問題は起こっておらなかったと私は思うのです。要するに、本人が自白をしておったということはありました。ただしかし、私は、なぜ本人がそんなに簡単に自白をしたのかということが実は問題だと思うのであります。 このことを後でもう一遍言いますけれども、まず私は指摘したいのは、最初の第一審がきわめて簡単に、安直に片づけられてしまったという点が問題だと思います。本人のいわゆる自白等ももっと厳しくその状況を、なぜそういう自白に至ったのかというようなことを考えるべきだと思う。いまの刑事訴訟法の大原則は、自白だけでは有罪を決定してはならぬということに、これは憲法でもあるいは刑事訴訟法でも決められております大原則でありますから、単に本人の自白があったからということで、非常に安易に扱ってしまったのではないかということを考えざるを得ないと思います。 それから、控訴に入ってから大変に裁判官が頻繁に更迭をしているわけですね。私は、これでは本当に信頼するに足るような裁判等は行われなかつたのではないかということに、まず第一に疑問を感ずるのですけれども、その間に裁判長は何人くらいかわっていますか。
○岡垣最高裁判所長官代理者 裁判長は、最初昭和三十九年から四十一年までは久永裁判長でございます。それから四十一年九月から十二月まで、これは短かったわけですが、井波裁判長、その後四十一年十二月から四十三年十二月まで、これが久永裁判長です。それから四十四年三月から四十四年四月、これが津田裁判長、それから四十五年から四十八年までが井波裁判長、これはちょっと四十一年に関与された裁判長と同じでございますが、それから四十八年以降判決までが寺尾裁判長、こういうふうにかわっております。
○西宮委員 その裁判長の更迭の経過を見ると、短い人は三カ月にも足りないというので転任をしてしまっている。たとえば、いま挙げられた津田裁判長のごときは三カ月未満ですよ。そういうことでかわってしまうというので、転々としてかわっていく。 無論、新しい人が後任として赴任をしてきても、直ちに審理にかかるわけではないでしょうから、この問題に取り組むということになってからの時間がまことに短い、そして非常に頻繁にかわっていくということで、私は、その間の審理もどうしてもずさんにならざるを得ないというふうに考えるわけです。あるいは、最後に判決を下した寺尾裁判長、この人などは、新しい証人とか証拠の申請は大部分を却下してしまって、この裁判長になってからは、たった一人の証人調べもやっていないわけですよ。全然やっていない。だから、いずれも前の人の記録を見て判断をしたのでしょう。しかし、その前の人は、いま申し上げたように、みんなきわめて短期間に更迭をしていっているわけです。だから、そういう人のつくった記録を見て判断を下す。自分自身としては、一人の証人調べもやっておらぬというのでありますから、私は、そういう点できわめて不十分な審理に終わってしまったということを痛感せざるを得ない。 こういうやり方は、これは明らかに、裁判の中身の問題よりも、いわばその司法行政、こういうふうに簡単に、せっかく裁判長になったと思ったら三カ月足らずで転任をさせてしまう、あるいはまた定年間近いという人を充てるとか、こういうことは、これはまさに司法行政の重大な欠陥だというふうに言わざるを得ないと思う。その点についての反省はありませんか。
○岡垣最高裁判所長官代理者 裁判官が事件を担当しました場合には、できるだけその事件が終結するまでかわらないようにいくというのが、これが理想でございます。その点については西宮委員御指摘のとおりだと存じます。ただ、いろんな事情があって、必ずしもその理想どおりにいかないという点も御理解願いたいと存じます。
○西宮委員 いろんな事情があって、そのとおりにいかない、答弁としてはそれだけだと思うのだけれども、それで裁かれる側は実はたまったものじゃないわけですね。 いろんな事情というのは、要するに、裁判所の事情ということで急に転任をさしたり、あるいは定年間近い人を充当したりというようなことになるのだろうけれども、そういう御都合でそうなるのだというのだけれども、裁かれる人、一生の運命を左右される人、そういう立場からいったら、そういうやり方で片づけられたのでは実に助からないと思う。 さっき、本人が自白をした云々という話がありましたので、その点について私、一言申し上げたい。 これは、見ようによってはまことに不思議なケースなんですね。本人は、私がやりましたということを言っている。弁護士は、そのときから終始一貫してやっておらないという弁論をする。まことに不思議なんでありますけれども、私は、その当時の記録を若干、拾い読みでありますけれども、読んでみますると、そのいわゆる自白なるものが、なぜそういう自白をしたかということに当然疑問を持たるべきだと思う。裁判官が、少なくともそういう書類を眼光紙背に徹する、そういう心組みで読んだとすれば、恐らくああいう結果は出てこない。ことに、さっき申し上げたように、控訴をされてからは、本人も自白を否定しているわけです。そして、しかも長い時間かけている。その間に、無期刑を宣告をした最後の裁判長は、さっき申し上げたように、書類だけを見て判断をした。こういうことなんだけれども、この寺尾裁判長なども、もし関係の書類を眼光紙背に徹する、そういう気持ちでこれを検討したならば、私は、結論は完全に変わっておったと思います。 特に私が指摘したい、なぜ自白を簡単にしてしまったのかという点でありますけれども、これは捜査の段階で、自白をすれば十年で出してやる、十年で出られるのだ、こういうことを強く印象づけてしまったわけですね。それで、どっちみち十年しんぼうすれば出られるのだ、そういう気持ちだった。しかも本人はごく軽微な、鶏をかっぱらったとかなんとか、いろんなことがあったようです。ですから、そういうのが全部ばれたわけです。それで、そういうのがばれたのなら仕方がない、十年ぐらいしんぼうしよう、そういう気持ちになった。 その心境の移り変わりも、記録を見れば明瞭であります。それで要するに、十年いれば出られるんだ、出してもらえるんだ、こういうことが捜査の段階で非常に強く印象づけられた。しかし普通の常識では、普通の世間の人ならば、今度の事件のようなのはまさに強盗殺人事件、極悪な犯人として挙げられているわけですから、それが有罪に確定した場合に、十年で出られるなんというようなことは考えられないんだけれども、その点が私は、この狭山事件という、いわゆる被差別部落の人に起こった特異な現象だと思う。 と申しますのは、最初の自白を引き出すときに大変な役割りを果たした人に、関源三という巡査部長があるわけです。この人は、大丈夫十年で出られるんだ、おれが保証するんだということで言った。だから弁護士などが来ても相手にしない。弁護士の言うことなど——第一、本人は、弁護士なんというのはどういうものだかさっぱりわからない。敵だか味方だか、全然見当がつかない、そういう人だったようですね。そこへもってきて弁護士が、いや、それはそういうことを言ったら大変なんだ、君はやっていないと思うんだけれども、それをうっかりやったなんていうことを言ったら、それはもう大変な重罪を受けるんだというようなことを言っても、にやにや笑っていて、いやいいんですというようなことで笑っているというんですね。その辺の状況が、いわゆる被差別部落の人の置かれてきた境遇ないしはそこから培われた心理、そういうことに十分な理解を持たないと、理解ができない問題ではないかと思います。 つまり、先ほど申し上げた関源三という巡査部長は、駐在所のお巡りさんだったけれども、その部落の青年団と接触して野球の指導員になった。それで、この被告人として挙げられておった石川一雄君なども、野球の指導員として非常に親しくして、非常に信頼をしておったんですね。 そして、これは私は特に指摘をしなければならない、そういう境遇に育ってきて、そういうところで培われた一つの心理という点で、ぜひ明確にしておかねばならぬと思いますのは、あの差別を受ける人、これは差別を受ける人全部に共通する、いまのいわゆる部落の問題だけではなしに、他の理由でも結構でありますが、差別を受ける人の心理は、自分は全く世間一般の人から相手にしてもらえないんだ、そういう非常に強い孤立感みたいなものを持っているわけです。そこへ、たまたまその部落以外の人が、被差別者でない人が乗り込んできて、一緒に裸になって野球をやるとかそういうことをすると、本当にその人に対する信頼あるいは敬愛の念というか、そういうのは人一倍強くなるわけですね。ちょうど前のそういう人に対する反感のいわば裏返しだと思うのです。いままで反感を持っていた人の中から、たまたまそういう人があらわれたということになると、これこそおれの味方なんだ、こういう気持ちが非常に強くなってしまう。これは私が長い経験を通して、このことは骨身にこたえて知っておるわけです。そういう環境になかった人には想像できない。そういう特殊な心理状態があるわけです。 だから、関源三という駐在所のお巡りさんが飛び込んできて、もう一緒になって野球をやるのだというようなことになると、矢も盾もたまらない。一も二もなくその人にほれ込んでしまう。何もかも一切合財その人におすがりをする、任してしまう。そういう心理になってしまうのは、長い間差別を受けるというような不幸な環境にあった人の心理です。だから、特にこの人を呼んで、全くこの人は石川一雄君の救い主だということで、彼が警察に来て実に親切に差し入れをしたり、いろいろ話をしたりしてくれるわけです。石川一雄君の書いたものによると、まさに地獄で仏に会った気持ちだ、こういうことを言っておりますから、私はまさに、地獄で仏という彼の感想は、その気持ちを端的に語っていると思う。その人から自白をしろ、お父さんやお母さんも心配しておるのだから、早く君が自白をして後は楽になった方がいいぞ、こういうことを言われて、それを信じ切ってしまったというところに、そもそもの悲劇の発端があったと私は思います。 ですから、そういう点について、恐らく第一審の裁判官は簡単に片づけてしまった。第二審はくるくると裁判官がかわっていく。最後の裁判官は書類審理をしながら判断をする、こういうことで、こういう結果になってしまったのではないかということを私は痛切に考えるわけですが、いま最高裁の刑事局長にそのことを申し上げても、私どもが期待するような答弁はもらえないと思います。 要するにそれは裁判所の問題だ、こういう答弁しか返ってこないと思うので、別の問題に移りたいと思いますが、しかし狭山事件の根底に横たわる最も重大な問題、いわゆる人間が人間を差別をする慣習あるいはそういう社会環境、その中で育った人、そういう人に対する正しい認識がないと、これは裁判ばかりじゃありませんけれども、間違ってしまう、こういうことが痛感をされるので、裁判の場合に、そういう点についてどういう見解を持っておるか、その点だけ一言聞かしてください。
○岡垣最高裁判所長官代理者 法の前の平等と申しますけれども、裁判所の目の前には差別すべき人というものはございませんので、それは裁判する上でも根本的な原則の一つでございます。
○西宮委員 法の前に差別はない、原則としてそういうお気持ちであることはもちろんわかるし、私もそうだと思います。 ただ私が指摘をしたのは、そういう環境に置かれた人が、そうでない人、差別をする側というか、そういう人の心理とは違った心理を持っている。したがって、常識では考えられないような、おれがやったんだということを平気で言って、幾ら弁護士が説得しても、それに応じないとか、そういう全くわれわれ常識で考えられないようなことが起こるわけですよ。それは要するに、容疑者ないしは被告人の立場をそこまで真剣に、深刻に考えて裁判に当たらないと間違いを来す、こういうことを言ったわけですから、その点ぜひ強く記憶しておってもらい、したがって、これから同じような事件を扱うこともありましょうから、ぜひそれを教訓として生かしてもらいたいということを申し上げておきます。 ところで、あとはいわば事務的なお尋ねをいたしますが、そういうことで、この人は未決の期間が非常に長くなってしまったわけですね。私は、早く仮出獄をさしてもらいたいというのが、これから申し上げる点であります。恐らく拘禁生活としてはもう十三、四年たっているのじゃないかと思いますね。そういう状態が続いておる。なぜ仮出獄をさしてもらえないのか。申すまでもなく、無期刑の場合には十年以上たてばその資格ができる、こういうことになっているわけですが、ただ問題は、その未決勾留という期間が長いということだと思いますけれども、どうですか、ぜひ早期に仮出獄、仮釈放してもらいたいという私どもの要求にこたえてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○豊島(英)政府委員 ただいまの御質問は、仮出獄を早くしてほしいという御要望のようでございますが、実はこれは刑法の解釈でございますので、私の方が申し上げるのが適当かどうかわからないのでございますが、刑法の二十八条に仮出獄の規定がございまして、無期刑につきましては、結局、刑執行開始の日から十年という規定に相なっております。 有期懲役の場合でございますと、刑期、つまり刑の執行期間を計算いたします場合に、その有期懲役刑の刑期から未決勾留日数を差し引きまして、そして三分の一の計算をするということに相なるわけでございます。 しかし無期の場合は、実は刑の終期がないということでございますので、結局、未決勾留日数の算入の余地がないというのが現在の刑法の解釈でございまして、私どもは、それを受けまして刑の執行に携わっておりますので、結局、執行開始の日から十年たたないと仮釈放の恩典に浴し得ないということ、これはやむを得ないのだろうというふうに考えております。ただしかし、十年経過の時点におきまして、本人の状況等をよくしんしゃくいたしまして、適当な措置をとりたいというふうに考えております。
○西宮委員 刑法の二十八条は、これこれの条件の場合に「仮ニ出獄ヲ許スコトヲ得」という規定になっているわけですね。そこで私は、仮に出獄することができるという規定でありますから、それを新しいいまの憲法のもとにおいて、新憲法下において判断をすべきだと思う。 いまあなたの言われた、無期の場合には未決勾留の期間は除外をして、本当に刑が確定してから時間を計算するのだ、これは明治四十一年の九月に出された司法省訓令「仮出獄及仮出場ニ関スル取扱」というのがその根拠になっているわけですね。しかし、その当時の明治四十一年のその司法省訓令なるもの、これは、いまの新しい憲法に変わった今日、もっと被告人まで人権を尊重するとか、あるいは獄中にある者に対しても、そういう点についていろいろな配慮が加えられてきているという今日としては、ぜひその明治時代の訓令にはとらわれないで解釈をすべきだというふうに、私は強調したいと思う。だって、いまお話しのように、たとえば有期刑の場合は、未決勾留の部分を差し引いて、その三分の一でいいのだ、こういうことだと、仮に十年の有期刑ならば、そのうち未決勾留が三年あったらそれを差し引いて七年の三分の一でいいのだ、こういうことになるわけですね。大変なアンバランスだと思うのですね。 無期の場合には、確かに刑期がないというのが特徴ではありましょうけれども、それにしても実にアンバランスだと思う。無期刑のときにも、刑が確定しておればもう十年で出られるのですから、それがいまの石川君の場合のように、未決勾留が十年以上もかかってしまったということになると、いまからまた十年かかるわけで、二十三、四年かかってしまう、そんなことにならざるを得ないので、そんな不均衡なことはない。ぜひそれは解釈を改めてもらいたいと思う。
○豊島(英)政府委員 ただいまの御指摘の点は、 一つの論点であろうかと思うのでございます。 聞くところによりますと、刑法の全面改正では、その点につきまして検討されたというふうに伺っておるのでございますけれども、現行法の解釈といたしましては、先生御指摘の明治の訓令、通達以後、大正、昭和になりましても、この解釈はどうも現在の刑法の解釈上、執行期間を前提にするというのは動かしがたいところでございまして、結局、無期について未決勾留日数を算入するというのは、・解釈上これはちょっと無理ではないかというふうに考えております。
○西宮委員 いわゆる執行期間を前提にすると、いま局長は答弁されたけれども、そこに私は問題があると思うのですよ。執行期間でなしに、つまり懲役なら懲役に付する、それと、懲役には付さないけれども身柄は拘束されているわけですね、その身柄を拘束された、自由を失っているという状態は全然変わりがない。私は、少なくとも人権の問題がやかましくなった今日としては、そこに観点を置くべきだということは当然だと思うのですね。 この間ある雑誌に、刑務所へ行ってみたらば健康第一、仮釈第二というスローガンが掲げてあった、大変に敬意を表したという、ある大学教授の感想が出ておりました。つまり、それほどあそこにいる人たち、自由を拘束されている人、これは 一日でもあるいは一分でも早くしゃばに出たい、そういう気持ちが旺盛なわけですね。旺盛というか、朝から晩まで、考えていることはそれ以外にないと思うのですよ。もう寝ても覚めても、考えていることはそれだけだと思う。だから、まさに仮釈第一だ。しかし、仮釈第一でそれで無理をして働いて、無理をして健康を害したら、出てもおしまいだ、だから仮釈よりは健康第一にしろ、そう言って教えているスローガンは大変りっぱだ、こういう感想を書いておるある論文を見て、私もそう思ったのでありますが、本当に彼らは、一分でも一秒でも早くしゃばの風に当たりたい、こういう気持ちだと思うのです。 だから、そういう点から言ったら、刑に服そうが、あるいは未決であろうが、与えられた苦痛については全然変わりがないと思う。だから、そこに着目すべきだと思う。どうですか。
○伊藤(榮)政府委員 事が刑法の問題のようでございますので、私からお答えしますが、まず、原判決において未決勾留日数の通算の言い渡しがなければ、ただいまの御議論は前提を欠いてしまうわけでございます。裁判所が未決勾留日数を通算しろと言っていないのに、行政機関が勝手に通算するわけにいかないわけでございます。 さて、それでは一般論で考えてみますと、西宮委員のおっしゃいますことも一理あるわけでございますが、今日あるいは将来なお一層そういう傾向が強まると思いますが、被告人の身分を有する場合におきます拘禁は無罪の推定を前提としておりまして、処遇が既決者と全く異なっております。十分な身柄の拘束はありますけれども、人権の保障その他自由が認められておる分野が広いわけでございます。 さて、そこで御指摘のように、未決勾留日数の通算を裁判所が言い渡すか言い渡さないかにかかわらず、これを務めた刑期に算入するというやり方をいたしますと、私が被告人だといたしますと、なるべく裁判を長引かせまして、未決拘禁者としての利益を享受した後に、刑が決まって間もなく出るというようなこともやりかねないと思うのでございまして、確かに御指摘は一つの論点でございまして、刑法の全面改正等に向けまして、十分検討を要する点ではあろうと思いますけれども、一面だけを見て、簡単に決めるわけにもいかない問題があるということだけを申し上げたいと思います。
○西宮委員 きょうは最高裁からも来てもらっているわけですから、裁判においても、いま申し上げたようなことをぜひ取り上げてもらいたい。そういう願いを込めて、ここでは議論をしているわけです。 いま言われた未決の場合は処遇が違う、それは確かにそうだと思いますよ。それはまだ犯罪人と断定されているわけではないのですから、違うのは当然だと思う。しかし、私の繰り返し指摘をしたいのは、自由を拘束されたそのお気持ちというのは、恐らく刑に服している者とほとんど変わりがないのじゃないか、全然変わりがないと言ってもいいのじゃないかと思いますよ。 これは、いつかも申し上げたことがあったような気もしますけれども、新しく検察官その他になる人が刑務所に入って、全く普通の囚人と同じような生活をしてみる、そして刑務所の生活を体験する、こういうことをやった。しかし、やったけれども、それは全然体験にはならなかった。つまり、飯がまずいとかなんとか、そういうことは体験できたろうけれども、自由を拘束されてそこに入っている人の、そういう心理状態は自分にはないわけですから、それは入ってみたって、そういう気持ちは理解できない、こういうことをある人が書いておりましたが、自由を拘束されているという点については全く変わりがない。したがって、未決であっても、そういう状態で長くとどめられた、ことにいまの石川一雄君の場合のごときは、裁判官がくるくるかわる、そういう状態の中で大変長い時間がかかってしまった。これは彼の本心ではないわけです。全く裁判所の御都合で長くかかってしまった、こういうことなんですから、全くこれをこのままに放置するわけにはいかない。 いま刑事局長も、刑法改正の際には検討するということを言ったが、すでに改正刑法の草案には、そのことがうたわれているわけですね。今度刑法を改正するときには、その点を私がいま申し上げたような方向で改正をするのだということが、すでにもう草案として発表されているのですから、当然に、裁判においてもあるいはまたその後の矯正の行政においても、そのことはいまから取り上げて一向に差し支えない。これは要するに、人権をさらに保護しよう、そういう立場からの改正なんですから、取り上げてもらって一向に差し支えない、ぜひそうあってほしいと私は思うのです。 では、今度の刑法改正草案に関連して、刑事局長から一言法務省の見解を聞かしてください。
○伊藤(榮)政府委員 事は懲役刑とは何ぞやというところに始まるわけでございまして、申し上げるまでもなく、現行刑法におきましては、懲役刑の内容が「監獄ニ拘置シ定役ニ服ス」すなわち拘禁されるということと、定役に服すということと、二つのいずれが欠けても、懲役の内容をなさないというふうになっております。そこで現在では、仮釈放期間を計算します場合に、未決勾留日数を除外して、実際に刑期の三分の一を務めたかどうか、無期囚については十年を経過したかどうか、これで論じておるわけでございます。 ところが、刑法の全面改正草案におきましては、懲役刑の概念を変えておりまして「懲役は、刑事施設に拘置する。」これが内容でございまして、拘置した上で、たとえば作業を課したり教育をしなさい、こういうことになっておりまして、懲役刑の本質は刑事施設における拘置である、こういうふうに転換しておるわけでございます。こう転換いたしますと、先ほど来委員が仰せになっておりますように、未決の拘禁と懲役囚としての拘禁と本質が異ならない、したがいまして改正刑法草案におきましては、仮釈放の期間を計算いたしますのに、判決で未決通算が認められました未決勾留日数も入れて数えてやりなさい、こういうことにしておるわけでございます。 そこで、そういう考え方を反映しまして、現行刑法のもとでは、ほとんどの裁判所が、無期懲役の言い渡しをされますときに未決勾留日数の通算を言い渡しておられません。しかしながら改正刑法草案のような法律ができますれば、その後は裁判所におかれまして、不必要にかかった審理期間に関します未決勾留日数を算入するようにされると思います。そういたしますと、先ほど御説明した新しい刑法の規定と相まって、西宮委員の仰せになりますようなことが実現されると思うわけでございます。
○西宮委員 裁判においては未決勾留の期間を算入しないという話なんでありますが、これは最高裁の方に答弁いただきたいと思いますが、実例として、未決勾留ではありませんけれども、占領下に起こった事件、日本の裁判権が停止中に起こった事件でありますが、強盗殺人事件で犯人は連合国の人間です。 この事件について、連合軍の裁判で二年十カ月二十七日服役をしたわけです。そして日本の裁判権に付されてから、日本の裁判所で無期刑になった、その際はこの二年十カ月二十七日というのを算入する、こういう判決を下しているわけですね。これは御承知でしょう。日を書いてこなかったけれども、とにかく占領時代から日本に裁判権がかわった、そのときのことです。
○岡垣最高裁判所長官代理者 最初に、先ほどの狭山事件についてお尋ねがあった際に、私は、浦和地裁の川越支部というつもりで言いましたが、川崎と言ったというふうに注意を受けましたので、ここで謹んで訂正させていただきます。川越でございます。 それから、ただいまの御指摘の裁判につきましては、私、準備不十分のため承知しておりません。後で調査いたしたいと思っております。
○西宮委員 御承知ないというのは、大変残念なことなんですけれども、これは昭和三十年六月一日、大法廷の判決です。 その大法廷の判決で、いまのように連合軍の裁判で服罪した二年十カ月というのを算入するといって、その際に、その判決文の中にはこういうふうに書いてあります。 その受刑期間のうち、相当の期間を本刑に算入して、右期間は、刑法二八条仮出獄に関する規定の適用については、既に「経過シタル」期間として通算されるものとすることも、また同条但書にいわゆる刑の執行の減軽にあたるものと解するを相当とする。されば、右のごとき期間の算入は、何ら無期懲役刑の性質に反するものではなく、 こう最高裁の大法廷で判決をしておるわけです。だから、その期間を算入するということは無期懲役刑の性質に反するものではない、こういうふうに昭和三十年に言っておる。 昭和三十年にそういう判決が出ておるし、さらに刑事局長が言われたように、今度の改正刑法の草案がそのまま成立をすれば、私が指摘をしたとおりになるというのであれば、これはますますもって、人権の問題がやかましくなった今日としては、改正刑法草案の精神をいまから採用すべきだ、これは裁判所も同時にまた法務省も、その精神に賛成をすべきだということを特に強調したいのです。 第一、それをやったからといって法律違反ではないでしょう。いまの最高裁の判例が「何ら無期懲役刑の性質に反するものではなく、」こういうことを言っておる。法律違反になるわけではないでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 私どもは、現在のような扱いから改正刑法草案が立法化されました場合と同じような扱いをすることは、現行刑法に違反するというふうに考えております。 ただいま御指摘の判例は、刑法第五条に「外国ニ於テ確定裁判ヲ受ケタル者ト雖モ同一行為ニ付キ更ニ処罰スルコトヲ妨ケス但犯人既ニ外国ニ於テ言渡サレタル刑ノ全部又ハ一部ノ執行ヲ受ケタルトキハ刑ノ執行ヲ減軽又ハ免除ス」こういう規定がございます。たまたま日本で言い渡しましたのが無期でございましたので、無期というのは無限大でございますから、二年何ぼを引くということを主文でうたわなかった例でございますが、ただいま続み上げました刑法第五条の精神を勘案いたしますと、そのような扱いも妥当であるという判例でございまして、外国判決の存在を前提としない現行刑法の立場としては、まことにお気持ちに沿わなくて申しわけございませんが、そういう措置はとり得ないと思っております。
○西宮委員 これは占領下において、つまり外国において起こった事件でありますから、未決勾留という場合と全く同じものではないわけですけれども、少なくともその精神は全然変わってないということで、われわれもこの判例を非常に貴重なものだと考えているわけです。 これは第一、決定する機関は更生保護委員会ですか、そこの決定でありましょうから、そことも折衝しなければならぬ問題ではあろうけれども、私は、いまや人権が特に尊重されねばならぬ、そういう時期に際会して、まことに不合理な、特にこの石川君の場合のごとき未決勾留の期間が非常に長かった、しかもそれが裁判所の都合で長くなってしまった、長くさせられてしまったというような場合には、何らかの便法を講じなければ、その人権擁護というような立場で大変な不均衡を来すということを強調しておきたいと思います。 実はいろいろお尋ねをしたいことを考えておったのでありますけれども、この仮出獄の問題などは、簡単に同意をしてもらえるのではないかというふうに考えておったので、時間を費やし過ぎてしまいました。したがって、いわゆるこの狭山事件の裁判については、捜査において、あるいは裁判において、きわめて異常な、またわれわれとしては納得できない、そういう状態が数多くありますので、この点はまた機会を改めて、ぜひそういう点を指摘をし、そうしてしかも一日も早くこの再審が開始をされるようにわれわれは念願を込めて、この質問を終わりたいと思います。
○青木委員長代理 横山利秋君。
○横山委員 先ほど伊藤刑事局長と同僚委員の話を聞いておりまして、航空機汚職問題につきまして、少し別な角度から質問をいたしたいと思います。 松野頼三氏の証言と伊藤刑事局長を初め政府筋の話との間に食い違いがあることは、国民もよく知っているわけでありますが、しかし、それであっても、この国会の審議を通じて、五億円が収受されたこと、それが四十二年から四十六年にわたって十数回行われたこと、そして松野氏は政治献金でいただいたと言っていること、それに伴って松野氏は政治資金規正法の届け出をしない、そしてある意味においては脱税の疑いもあること、そして飛行機の話は出なかったということではない、F4の性能は聞いたと証言をしていること、それから岸さんの秘書に海部を紹介されたと言っておること、海部、島田から主として金をもらったと証言していること、財産形成はしていない、政治活動に使ったと証言をしていること、これらの一連の御本人の証言によりまして、ある程度の問題は浮き彫りになったと思うのであります。 そこで私は、伊藤刑事局長にいろいろ伺いたいのですが、その前段として、この基礎になっております海部証人の調査、それが一体どうであったかということを、改めてひとつお伺いをしたいのでありますが、本人のこの問題に関する検察陣の調査は、順調に進んだわけでありますか。
○伊藤(榮)政府委員 お尋ねの前提として、松野氏の証言と海部氏の供述というものを対比されておられるようにちょっと伺ったわけでございますが、私、お答え申し上げておりますのは、海部氏の供述のみによりかかっておるわけではなくて、日商岩井側に関係しますもろもろの捜査を通じての結論を申し上げておるわけでございます。 さてそこで、ただいまのお尋ねでございますが、日商岩井側は、捜査については十分協力してくれたと思っております。
○横山委員 その協力によって、先ほども比較的公判が早い機会になるだろうとおっしゃるのですが、それはいつごろに想定されますか。
○伊藤(榮)政府委員 これは裁判所がお決めになることでございまして、私どもが軽々に予測はできませんけれども、従来の例からいたしますと、夏休み明けぐらいには公判を開いていただけるのじゃないかと思っております。
○横山委員 日商岩井及び海部御本人の供述によって、まず第一に、海部氏の所得税法、外為法、商法、それから日商岩井のこれらに関する法律違反は、どのような法律に違反している疑いがあるとお考えになっていますか。
○伊藤(榮)政府委員 法律に触れることが明らかになりました部分は、すでにすべて起訴してございますとおりでございます。
○横山委員 改めて伺いますが、海部証人の偽証は、何が偽証だということになっていますか。
○伊藤(榮)政府委員 偽証として訴追しております要点は三つございます。 一つは、ボーイング社からの追加手数料百五万ドルについて関知していなかったという偽証。それからもう一つは、マクダネル・ダグラス社からの事務所経費と称せられます二百三十八万ドル、これについても当時関与していなかったという偽証。それから三点が、世上、海部メモと言われます二通のメモにつきまして、全く関知していないと偽証した、この三点でございます。
○横山委員 海部氏に対する検察陣の調査によって、御本人は、このお金を何のために出したかということについて供述をいたしましたか。
○伊藤(榮)政府委員 当然いたしておるはずでございます。
○横山委員 それは、どういうことを供述いたしましたか。
○伊藤(榮)政府委員 供述の内容をストレートに申し上げることは御容赦いただきたいと思いますが、再々御答弁申し上げておりますように、日商岩井側としては、ファントム戦闘機のわが国への導入に関して支払った、こういうふうに認定いたしております。
○横山委員 最後に認定とおっしゃいましたけれども、それは海部なりあるいは、島田氏は死んでしまったわけですが、日商の責任ある地位にある者から、そういう証言あるいは供述を得たわけですか。
○伊藤(榮)政府委員 日商岩井側関係者におきまして、ただいま私が申し上げた認定に矛盾する供述をしておる者はございません。 そのほかに、供述だけで認定しておるわけでは必ずしもないわけでして、いつでしたか、たしか正森委員が島田メモというものをお示しになりましたようでございますが、あれも資料の一つでございます。
○横山委員 そうしますと、日商側としてはファントム戦闘機のために金を出した、こういうことは、推定でなくして、かなり関係者の証言がありて検察陣としては結論に達した、こう理解してよろしいですか。推定ではなくて、かなりの責任者の証言があったという立場ですか。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど西宮委員の御質問でちょっと申し上げてしまいましたので、その点を含めて申し上げますと、F4ファントムの導入について大変力になってくれる人からの要望であったから出した、こういうことが正確であろうと思いまして、それに関しては、日商岩井側の証拠関係は一致しております。
○横山委員 この四十二年から四十六年、十数回というのは、法務省の答弁及び松野証言においても一致をいたしますが、それは日商岩井側の調査によっては一致をいたしますか。それとも、日商岩井側の供述はさらに日にち、金額等が具体的でありますか。
○伊藤(榮)政府委員 事は金の流れでございますので、日商岩井側がいつ、幾らを、どういう方法で捻出し、何月何日にこれを支出したと申しますか発射したかということは、証拠で確定をいたしております。
○横山委員 証拠で確定をしておるという意味は、日付、金額、だれが松野氏に、どこの場所でということも確定をしておると見てよろしいのですか。
○伊藤(榮)政府委員 最後の方の、だれが、どこでというのは、日商岩井側の資料では確定できない部分が多うございます。 と申しますのは、その多数回のうちの相当部分を島田氏が関与しておりまして、亡くなられておりますので、どこでというようなことは、日商岩井側からの調査ではわからない部分がございます。
○横山委員 松野氏に五億円が渡ったとして、日商岩井側は、松野氏に渡すのだけれども、その金が次の第三者に渡ることを予見をしておった筋があるか。あるいはまた、それは一切松野氏に包括的に、無条件で、どういうふうにお使いになってもいいという立場であったのか。両方を含んでおるのか。どう調査をされましたか。
○伊藤(榮)政府委員 松野氏から先は、日商岩井としてはあずかり知らぬことで、推測もしていなかったように思います。
○横山委員 しかし、あなたが先ほどおっしゃったように、F4ファントムの導入のために力を尽くしてくれる人、これが松野氏であることは言うまでもありませんが、いかに松野氏が政治力があったとしても、五億円を松野氏が自分の、本人の言い分によれば、財産形成はしていない、政治活動に使ったと証言をしておるのでありますから、日商岩井としては、それが松野氏本人の政治活動、選挙活動ばかりでなくて、他の人に渡ることを当然予想をしておる、そういう雰囲気はありませんか。
○伊藤(榮)政府委員 ございません。
○横山委員 ございませんということは、日商岩井がそういうことを知らなかった、あるいは松野氏がどのように使おうと自由であって、あの人にも分けてくれ、この人にも分けてくれということは言わなかった、そういうことなんでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 日商岩井関係者の腹の中へ手を入れて探したわけでもありませんので、そこまでお尋ねいただきますと、ちょっとお答えする材料がございません。
○横山委員 私もそうだと思うのです。 仮に逆の立場で、松野先生、本当にお力添えをいただきましたから、五億円を四年間にわたってお出しする、先生がどういうふうにお使いになっても結構です、こう言うのは当然のこと。松野さんとしても、あれにやってくれ、これにやってくれと言って指図をされたら不愉快でしょうから、それでは包括的に、これは私が使わせていただくということだろうと思いますが、日商岩井側としては、いろいろ情報を受け、また要請をしておるのでありますが、そこで、松野氏から日商岩井側いろいろな情報を得た節がございますか。
○伊藤(榮)政府委員 F4ファントムの件について、何度も意見を聞いたことがあるようでございますが、さりとて、余り具体的な話というものもなかったようでございます。
○横山委員 そこのところは、あなたの方で刑事事件として立件をするものではないという前提があるのでありますから、何かくつの裏から足をかくような気がしてならないのでありますが、しかし、あなた方が、そういう刑事事件として立件をしない問題である、職務権限と時効で先が見えておるというふうに判断されても、普通の事件なら別として、国会としては政治を明朗化する、政治の姿勢を正すということであるから、当然この問題は、現行法を狭義に解釈して違法性がないとしても、その金はどういうふうに使い、その金、五億円ですから、どういう情報を得ておったのかという点については、あなたの方としても、これだけ政治問題化して、法務省の国会における説明が一体誇張しておるのか真実であるのか、まさに国民からそのかなえの軽重をある意味では問われておる、こう言っては大変恐縮でございますけれども。 そういう意味から言えば、あなたの方としても決断をしてこの峠を登り詰めたという感じがするわけでありますが、松野氏にしても日商岩井の調査にしても、そういうやりとり、質疑応答、調査というものは当然なされておったと思いますが、いかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 国政調査に御協力申し上げて答弁申し上げる私の立場としては、いろいろなことを検察当局が調べてくれておればいいわけでございますけれども、問題は、刑事訴追をいたしましたのは、海部氏の偽証と二百三十八万ドルの最後の交互計算にかかわります四十五万ドルに関する私文書偽造ということでございまして、松野氏に五億円が渡ったということ、これは二百三十八万ドルのからくりの発端でございますので、その意味で厳格に調べ上げておりますけれども、さてそれから先の話になりますと、まさに要証事実といいますか立証すべき事項の範囲外になりますので、おのずから限界があった、こういうことでございます。
○横山委員 問題を少し変えて質問をいたしますが、いまロッキード裁判で行われております田中角榮氏の裁判の中心は、五億円をもらった、もらわない、職務権限がある、ない、この二点に私は集約されると思うのでありますが、五億円を総理大臣の田中角榮氏が収受したとすれば、総理大臣の職務権限から言ってこれは違法性がある、こういう立場に検察陣は立っておられると思うのですが、いかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 田中角榮氏関係の五億円につきましては、同氏が内閣総理大臣としての職務に関連して詩話を受けて、その謝礼として五億円を受け取られた、こういうことで立証に努めておるわけでございます。
○横山委員 松野氏は五億円をもらったと言い、田中角榮氏は五億円はもらっていないと言う。そして両者とも職務権限はないという立場に立っています。 田中角榮氏側の弁護人の主張によれば、航空機の機種決定、特に民間に至っては、その会社の社長あるいはまた強いて言うならば運輸大臣に多少関係があるかもしれぬけれども、総理大臣にそのような職務権限はないという立場でありますが、それについて検察陣としては、どういうふうに主張をしていますか。
○伊藤(榮)政府委員 ロッキード事件の丸紅ルート公判におきまして、総理大臣の職務権限とのかかわりにつきまして、詳細な意見を陳述をいたしております。 これをかいつまんで申し上げますと、正確を損ねるおそれがありますので、御容赦いただきたいのでございますが、あえて申し上げますれば、総理大臣の固有の権限の範囲内に、民間機導入に関する行政指導も含まれる、こういう主張でございます。
○横山委員 総理大臣の固有の権限、総括的な指揮権とでも申しましょうか、私は、それはきわめて説得力のある説明だと思っておるわけでありますが、一方、先回私が申しましたように、今回のロッキードからグラマン、ダグラスに至る一連の構造汚職の一番基礎的問題は、直接的職務権限のある者よりも、それに対する政治的影響力のきわめて強い者、そこからの指示、その政治的影響力による収賄、贈賄というものが最も根底にある。そこに触れずして、日本の構造汚職に対して剔抉はできないと私は思うのでありますが、どうお考えになりますか。
○伊藤(榮)政府委員 私ども事務当局として、特段の感想は申し述べる限りではございません。 いずれにいたしましても、現在の刑罰法令に触れないことが客観的に明らかでございましたので、そのような結果になった、こういうことでございます。
○横山委員 別な角度でもう一つ。 検察陣からアメリカに調査に行かれたのは、たしか原田検事でございましたね。原田検事は、いかなる目的で、いかなる成果を得て帰ってまいりましたか。
○伊藤(榮)政府委員 原田検事は、前後三回アメリカへ参りました。 最初の二回は、SECの非公開資料を司法省から受領するためでございます。三回目に参りましたのは、なお補充的な資料を入手いたしますとともに、米司法省にお願いをいたしまして、ただいま起訴しております二百三十八万ドルとか百五万ドルあるいは海部メモと番われますものの関係につきまして、アメリカ国内における補充資料を入手する、こういう目的でございました。
○横山委員 原田検事ないしは他の検察陣の手は、チータム、ハリー・カーン、コーチャン、フォーサイスという人との接触は行われましたか。 〔青木委員長代理退席、鳩山委員長代理着席〕 その人々からの何らかの供述なり、何らか行われましたか。
○伊藤(榮)政府委員 具体的な名前につきましては、お答えを差し控えたいと思いますが、原田検事が米国内で直接第三者から事情を聴取したことはございませんで、必要があります場合には、司法省の検事にお願いをしてやってもらったようでございます。
○横山委員 つまり、そのことは、チータム、ハリー・カーン、コーチャン、フォーサイス、私は特定の名前を出したのでありますが、その人たちも今回の航空機汚職に関する事情の調査は行われたと見てよろしいのですか。
○伊藤(榮)政府委員 そういう方々に対して事情聴取を行ったとも行わなかったとも、お答えをいたしかねます。
○横山委員 私は、この松野証言の真実性あるいは法務省の説明に関する諸問題を裏づけいたしますのが、まず海部氏を含めた日商岩井の調査記録、そしてさらにその背後にあります、応対をしております米国のチータム、ハリー・カーン、コーチャン、フォーサイス等々の人々の調査記録、それが最も問題の真実を物語ると思うのであります。 出す人はF4ファントムのために出す、もらう人はそんなことは全然関係なくもらう、しかも五億円、世の中にそんなばかな話はないと思うのであります。五億円の大金を、あらゆる経理操作をして、あらゆるむずかしいやり方をしてまで出しておいて、もらう人は全然そのことに関係なくもらうということがあり得るはずがない。だから、私はいま新聞を見て、松野証言と法務省、検察の見解と対比をされておるわけでありますが、これは何かその二つだけ、特に一番立て役者でありますあなたの発言を松野証言と対比させて、どちらが本当だろうというふうな、五分と五分のようなと言っては本当に妙な言い方でございますけれども、それでは国民に対して、もう霧がちっとも晴れないという感じがいたすわけであります。 そこで私は、この刑訴法のただし書きを準用して、この際政府が、海部氏の供述調書、松野氏の供述調書、四十二年以来の松野氏の税務の申告書、海部氏の申告と、それからもう調査でわかっておるのですが、脱税の状況、調査結果、原田氏の訪米報告書等を国会に提出をしてもらいたい。きょう法務大臣がいらっしゃらないのですけれども、そういうものをひとつ刑訴法ただし書きを準用して、この際、国会に提出してもらいたい。 松野氏も、田中角榮氏と比ぶるならばよくしゃべったと、私も政治家の一員として、よかれあしかれそう思います。あなたの方も、法務省もよく国会に協力をして、いろいろと説明をされたと私も思います。しかし、それだけでは私どもの国会の調査に対して十分な判断材料にはならないと思っておるわけでありますが、あなたにそういうことを言うのは、いささかきょうは無理かもしれませんけれども、法務大臣にもお願いしょうと思うのですが、いま申し述べましたようなものの提出をぜひお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 私、大臣とも御相談いたしまして、今回の問題につきましては、国政調査権に御協力できるぎりぎりの限度まで申し上げさせていただいておるわけでございます。 さて、そのぎりぎりの限度まで申し上げさせていただきますと、それでは中身を全部出せ、こういうことでは私もまことに立つ瀬がないわけでございまして、法務大臣に御相談するまでもなく、お許しがいただけないものかと思います。
○横山委員 御相談するまでもなくと言われたのでは、これは国会でございますから、私が大臣に後で言いました際に、あなたが御相談するまでもなくお断りをしましたなどと言えば、大臣がうんと言うはずがないのであります。 少なくともこの問題については、本委員会はもとより、航空機特別委員会はもとより、あらゆる委員会において、刑訴法のただし書きを準用して、この際いろんな、全部が全部とは言いませんよ、少なくともなし得る限りの調査資料、供述調書、それらを提出してもらいたいということを私どもはお願いをするつもりであります。お願いではありません、国会法に基づいて要求するつもりでございますから、その点を篤とひとつ腹に入れて御相談を願いたいと思います。 さて次に、別な問題でございますが、法律扶助の問題について、政府側に質問をいたします。 五十三年十月二十七日、財団法人法律扶助協会事務局長から各地の協議会長、支部長あてに「昭和五三年度下半期扶助費収支均衡をはかるための方策」として、次のような指示がされています。 (1) 立替費用のうち、保全処分事件の保証金は原則として支出しない。 (2) 扶助決定にあたっては資金量を考慮し、緊急性、重要性の高いものから順次決定する。 (3) 追加支出等を要するもののうち、受任弁護士の了解が得られるものは順次繰りのべ支出 する。 (4) 償還を更に促進する。こういうことであります。まことに驚いたことでございまして、要するに、法律扶助について証拠金の要るものはやってはいかぬぞ、それから扶助決定に当たっては、銭がないのだから、特別重要なものだけにしろ、あるいは弁護士がいままだそうあわてぬでもいいというものは金を払うな、それから、返せるものはどんどん返させるようにしろ、こういう過酷な通達を出しておるわけであります。これを御存じでございますか。
○鬼塚政府委員 そのような要望を財団法人法律扶助協会各支部あて出していることは承知いたしております。
○横山委員 恐らくあなたも、出す前に御相談を受けられたか、あるいはあなたの方が、この扶助協会の現状からいって、こういうふうにしろ、せざるを得ぬと指示したか、どちらでありますか。
○鬼塚政府委員 この通知は事後に承りまして一事前にこちらの方で指示したり、または相談を受けたことはございません。
○横山委員 こういうことをしておることについて、あなたの方が事前に相談も受けなかったというばかなことはないと思うのでありますが、この通達を出したことについて、それでは人権擁護局としては、これでいい、仕方がないと本当に思っているのですか。
○鬼塚政府委員 これは指導に当たっております人権擁護局といたしましては重大なことであると考えまして、この通知に従って扶助を断った事例が果たしてあるかどうか、あるいはあるとすれば、その具体的内容はどうかということにつきまして、扶助協会に対し報告を求めておりますが、いまのところは、まだ具体的な報告はございません。
○横山委員 こういうきわめて重大な通達を出したのに、そんな事実関係があるのか、保証金は出していかぬぞというような事実があるのかないのかということをいまから調べる。そして、これが十月に出て、いま五月の末だというのに、報告も受けておらぬでわからぬということでは怠慢じゃありませんか。こんな通達を出すということは、この法律扶助について重大な通達だと私は思っておるわけであります。 私は、このために名古屋の扶助協会の関係者に全部会いまして、詳細な現状を口頭なりあるいは資料をもって拝見いたしました。名古屋のようなところは、まだ専従者もおるのでいいのでありますが、専従者のおらない県の法律扶助協会等にありましては、これをもらったらもう何もやる気はせぬということですから、申し込みがあってお断りするのでなくて、申し込みがあった瞬間から、いま銭がありませんので御協力できませんということになっておることは、間違いのないことであります。 あなたの方としては、これはどうするつもりですか。報告がないで、このままにほうりっ放しですか。
○鬼塚政府委員 人権擁護局から扶助協会の各支部に監査に参った者の報告によりますと、ただいま先生御指摘のような事例があるやに、私どもも最近耳にしております。 東京の例で申しますと、これは責任を持っております人権擁護管理官が東京支部で聞いた話でございますが、同支部におきましては、保証金支出のため二件につきまして合計約百万円を銀行から借りていたということを聞いております。 いずれにしても、最近これら事件の保証金額が高額になっておりますので、確かにこのようなことが起こり得るであろうという推測をいたしまして、これは至急扶助協会に対して具体的な資料を求めまして、予算請求の検討資料としたいと考えております。
○横山委員 あなたのところは怠慢じゃありませんか。 こういうようなものを出すのに、法律扶助協会があなたの方に相談に来なかったということが事実であれば、扶助協会もきわめてけしからぬと私は思っています。こういうものを出す必要性があるとするならば、当然あなたの方に扶助協会としても相談があってしかるべきだし、仮に相談がなくて、こういうものが出されたとして、後でわかったならば一これは法律扶助についての決定的な圧縮策で、原則的にそれは法律上はできませんよと言うに等しいような内容ではありませんか。それを、もう八カ月もたっているのに、あなたの方はこれに対する何らの方策もしていないということだとすれば、人権擁護局とは一体何をするところだと、私は疑問を持たざるを得ないのであります。 そこで第一の「立替費用のうち、保全処分事件の保証金は原則として支出しない。」原則でありすから、それは抜け道というか特例もあるでしょうけれども、とにかく地方においては、中央の承認がなければ保全処分事件の保証金は出すなということでありますから、それを何とかして本部から金をもらうために上申をするようなことは、めったにないと私は思うのであります。 そこで思うのでありますが、たとえば田中角榮氏、海部氏ともに保釈になる。何か現金で数千万円、海部氏は積んだそうですね。あれは現金だそうでありますが、ああいうものは、弁護士が保証書を出せば、現ナマを積まなくてもいいそうですね。そうですね。
○鬼塚政府委員 私どもの所管事項ではございませんが、そういうことがあるということは承知しております。
○横山委員 それにもかかわらず扶助協会の仕事の方は、扶助協会が保証書を出してもだめなんですか。
○鬼塚政府委員 それは裁判所の方で判断することでございまして、ちょっといま答弁いたしかねるのでございます。
○岡垣最高裁判所長官代理者 刑事の保釈の保証金については、お説のとおり保証書でかえることができるわけでございますが、民事の方につきましては、私ちょっと所管でございませんし、どういうふうになっておりますか、責任を持ってお答えしかねます。
○横山委員 これは、人権擁護局長に何としても骨を折ってもらわなければいけません。どろぼうした、人殺しした、汚職をした、その保釈のときに、弁護士が、いざというときには私が弁償しますという保証書を出せば、現ナマを積まぬでもいいそうでございますね、刑事事件は。 ところが民事はいかぬ。民事がいかぬには、いかぬ理由があるかもしれない。けれども、少なくとも扶助協会が政府の金で扶助をする、そして扶助協会の扶助は、恐らく一〇〇%勝訴の見込みがなければやりませんね。いままで負けた例は、全国で数件しかないそうですね。まず九九%は勝訴の見込みがあるものをやる。そして銭のない者を扶助する。返してもらう。そういうことですから、扶助協会が保証書を出して、もし敗訴になってとれぬときには、扶助協会が自分で国へ弁償すればいいのでありますから、これほど確実なものはない。 そういうことなのだから、扶助協会が扶助をする場合には、協会の保証書で現ナマを出さぬでもいいということに当然なっておるものだと私は思ったのでありますが、どろぼうや人殺しと汚職の人間は弁護士の保証書でよろしい、こっちの方はあかんぞ、現ナマを出せ、こんな理屈は一体どういう理屈なのですか。
○鬼塚政府委員 刑事訴訟法と民事訴訟法の違いがあると思いますので、その点はひとつ宿題にさせていただきたいと思います。
○横山委員 しかし、あなた方も最高裁も専門家ですから、即答ができぬようなことではだめですよ。 これは常識的な問題だ。しかも銭がないと言っている。銭がないから、予算がないから、もう保証金の必要な扶助はしてはならぬということなのですから、そういう問題ならば、ちょっとあなたの方で御相談になれば、どろぼうや人殺しや汚職の人間は保証書でいいというのに、こういう気の毒な人、国家が補助しておる人、国で回るだけですから、しかも、それは一〇〇%回収というか、国に損害を与えないのでありますから、当然私は、直ちに扶助協会の保証書でいいということになると思うのですが、あなた、いまどういうお考えですか。わからぬですか。あなたは扶助協会の責任者だ。
○鬼塚政府委員 先生の御趣旨はよく理解いたしますが、やはり裁判所の関係当局とよく協議してみたいと思います。
○横山委員 最高裁どうですか、きわめて当然、常識的でしょう。
○岡垣最高裁判所長官代理者 所管外でございまして、責任ある御返答ができませんので、御容赦願います。
○横山委員 役人というのは、そういうところが私はきらいでね。 少なくとも私だったら、私個人としてはよくわかります、私個人としても同感でございますが、所管外でございますから、よく同僚に言いましょう、努力いたします、そのくらいのことを言わなければ、役人だって最高の役人だったら、少しは気持ちを込めたらどうですか。努力してくれるのですか。
○鬼塚政府委員 私も本来は刑事が専門でございます。非常に不勉強で申しわけございませんが、いま民事訴訟法を見ますと、百十二条に「担保提供の方法」という条項がございまして、これによりますと「担保ヲ供スルニハ金銭又ハ裁判所カ相当ト認ムル有価証券ヲ供託スルコトヲ要ス但シ当事者カ別段ノ契約ヲ為シタルトキハ共ノ契約ニ依ル」ということでございますので、当事者が別段の契約をなさない限りは、これはやはり供託が必要だというふうに法律上なっているので、恐らくそういう関係じゃないかというふうに、とっさの判断でございますけれども、申し上げておきます。
○横山委員 知っていますよ。法律改正をする必要があったら、法律改正をすればいい。 それなら、何で刑事事件の汚職や人殺しは保釈金を積まなくても弁護士の保証書でいいのですか。その比較はどう考えたらいいのですか。
○鬼塚政府委員 先ほども申し上げましたように、常識論としてはわかるのでございますけれども、条文の解説といたしましては、こういう条文がありますと、やはりそれは立法の関係かというふうに考えます。
○横山委員 この間、私が法律扶助協会のことについて主張しておりましたら、官房長がやってまいりまして、先生、二つの問題を出しました。一つは、回収をもっと積極的にやってもらいたいということでありました。もう一つは、法律扶助協会ができてから今日まで、国費で十五億円くらい投入しているのだ、大蔵省に言うには、一体どのくらいこれから投入したら、長期的に安定性のあるものになるのか、回収率と扶助の需要と国費とのバランスはどのくらいにいくか、計画的なものが欲しいと言っていました。私はそれはごもっともだと思うのであります。 ところが、それを法律扶助協会で私もいろいろ懇談したわけでありますが、実際問題として潜在需要というものはかなり多いのであります、私の知る範囲においても。潜在需要が多い窓口でこんな通達を出すのですから、この法律扶助協会はだめです、とてもじゃないけれども相談に乗ってくれませんよということになるから、潜在需要がどのくらいあるかわからぬのであります。わからぬものを需要を推計するということになりますと、判断によっては違うわけであります。 それから回収率の方でありますが、地域によって違いますけれども、大体七五%から八〇%の回収率という話であります。ただ、その回収が、昔は返さぬでもよかったものだから、その風習が少し残っておって、昔のやつの回収が実際問題としては不可能だ。本人もおらぬ、弁護士も死んでしまった。それをいつからいつまで回収しろしろと言われても困る、ある意味では不良債権だというのですね。大分昔の不良債権を断ち切ること、需要の見込みについて少なくともある程度見定めをつけなければいかぬこと、回収率が大体いまでは七〇%から八〇%だから、その回収率を適用すること等によって、自分たちも努力をしておるけれども、率直に言えば法務省が少し判断をしてほしいところだ、私どもがこう言うとすぐ、もっと回収率を高めなければいかぬとかなんとか言って、それが堂々めぐりをして、結局いまもって結論がついておりませんと言うのであります。 まあ、あなたにも言い分があるだろうけれども、予算要求の段階であります。私は、法務大臣にも、ことしの扶助協会については格段の努力をしてもらいたいと言い、あるいは当理事会におきましても、再三委員長や同僚諸君にもお願いしておるわけでありますが、あなたのところが起爆剤、原動力なのですから、もっと熱心にやってもらわなければ困ると思うのですが、どうですか。
○鬼塚政府委員 先生御指摘のように、扶助の問題というのは、立てかえ金の償還率をもっと上げるということと補助金の増額、この二つであろうと思います。 先ほど先生がおっしゃいましたように、予算要求の関係で、長期的な見通しとやはり需要についての客観的な資料がございませんと、なかなか説得力がございませんので、その関係で私どもといたしましては、従来も格段に努力してきたつもりでございますが、日弁連と扶助協会と人権擁護局、この三者で扶助の運用に関するいろいろな具体的な問題についていま検討中でございまして、その成果を予算面に反映させたい。 それから、先ほど先生御指摘のような保証金の関係だと、現実に、先生も先ほどおっしゃいましたように、窓口で扶助を断るという例があることは私も耳にしておるのでございますが、そういうようなことは、できるだけ客観的な資料をつくりまして、予算要求に努力したいと考えておるわけでございます。
○横山委員 全国で扶助協会を担当しておる職員も、専従者は大都市でなければないのですね。弁護士さんも、この通達にありますように、金に困っておらぬなら後に払うので、しばらく延べ払いにしてくれよということも仕方がなくやっておるわけです。そういう人たちに精密な資料を要求して、それが出てこぬでけしからぬとか、悪いとか、おれの責任じゃないとかという雰囲気はないと思いますけれども、どうもそういう傾向が多い。法務省もそうなら、日弁連もそうなら、法律扶助協会の本部もそうなら、地方もそうだ、そういう感じが私はしてならぬのであります。 そこで泣くのは、結局は法律扶助を受けようとしておる貧乏な人たち、法律について知識の暗い人たちで、法律扶助の精神というものがいまや死文化しておる。こんな通達が出て堂々とまかり通るなどということをさせておいては、法務省としては恥だと思わなければいかぬ。あなたの職権からいっても、こんなものが出ておって後になって知ったということでは、あなたは何のために人権擁護局長をやっていらっしゃるのかわからぬと思う。おれに黙って何でそんなものを出すのだ、そんなものを出すなら出すように、少しは相談に来たらどうだ、そのくらいの気持ちがあなたの気概の中になければいかぬと私は思うのであります。 ともあれ、大分苦言を言いましたけれども、明年度予算にはあなたの政治力をかけて、それは大臣や官房長や同僚諸君にもお願いしてあることでありますから、法律扶助協会の仕事に脈々たる血潮が流れて、法務省の仕事の中で、ヒューマニズムの横溢した仕事の一つとして、これが十分機能いたしますようにお願いしたいと思いますが、どうですか。
○鬼塚政府委員 人権擁護局の職務は、御承知のとおり法務省設置法にございますが、その中で「貧困者の訴訟援助」ということがございます。これは、私どもの局の所管の最も重要な事柄の一つだと承知しておりますので、先生の御趣旨を体しまして、今後一層努力したいと存じます。
○横山委員 それでは、先ほど西宮委員から質問されました再審問題について、若干の補充質問をいたしたいと思います。 この間、新聞を見ますと、狭山事件で再審請求をしている中で、十六年目に新しい事実が生まれた。自白の日にちが四月二十八日としてなされ、判決でも四月二十八日と認定され、弁護側もそう信じてきた脅迫状ですね。それが、いまになってよく見て、赤外線フィルムで撮影したところ、四月二十九日とはっきり浮かび上がったということが大々的に取り上げられたわけであります。鑑定とか裁判所の判断というものは、一体どういうことなのだろうかとびっくりしたわけでありますが、最近それが明らかになったので弁護団が発表した。 なぜそういうことになったのか。よく見たら二十九日だということがわかるのに、なぜ二十八日になっておるのか。これは石川元被告の警察、検察庁での自白調書がすべて四月二十八日になったのでありますから、石川元被告が言ったのか、あるいは警察が誘導したのか、よくわからぬからそうなってしまったのか、私は非常に驚いたものだということを思ったのでありますが、御存じでございますか。
○伊藤(榮)政府委員 そういう新聞報道はもちろん承知しておりますし、現在、その問題について東京高裁に再審請求が出ております。その対応検察庁であります東京高等検察庁で検討しておるようでございます。
○横山委員 いま、それをどうこうと私が必ずしも言うわけではありませんが、少なくとも二十九日が事実としたならば、二十八日に石川被告がとった行動と二十九日にとった行動、それは記録でも明らかでありますが、二十九日なら脅迫状を書いておる時間はなかったはずだ、こういう問題が提起をされたわけであります。 そこで、私が議論をいたしたいのは、その証拠の問題であります。私ども社会党が、この間再審法案を本委員会に提起をいたしました際に、再審の現状について党内でいろいろと議論をいたしました。たとえば、再審請求事件で検察庁の保管中に証拠物が紛失した例として、免田事件、熊本地検の八代支部、犯行の凶器とされたなた一丁が紛失。財田川事件では、公判不提出の捜査記録の一部が紛失、被害者の着衣も廃棄ということでありますが、証拠物について、裁判所が押収した証拠物、各裁判所に提出していない証拠物、いろいろあると思うのでありますが、証拠物に対する規定はいまどうなっておりますか。
○伊藤(榮)政府委員 検察庁が独自で押収いたしましたり、あるいは警察から送致を受けます証拠物でございますが、裁判所に提出いたしますものは、裁判所が領置をいたしまして、用が済みますと、裁判所の方で還付その他の御処分をされておるわけでございまして、法廷に出しません証拠物につきましては検察庁が保管しており、事件の終結を待ってあるいは終結前に、所有権者等に還付したりあるいは無価物であれば廃棄する、こういうような手続をとっております。
○横山委員 最高裁の白鳥決定では、新証拠と他の全証拠を総合的に評価ということが出ておるわけでありますから、新証拠はもちろん被告側弁護人から出すにしても、他の証拠を十分に弁護側の中においても念査し、検査し、それを見るということがなければ、なかなかうまくいかないと思っておるわけでありますが、たとえば狭山事件では、被害者中田善枝が事件当日の第一時間目の授業のとき、被害者の万年筆を使用して書いたペン習字、清書等いろいろあるのですが、これらの中に新証拠が発見される可能性がある、すでにその証拠物の存在がわかっていて、弁護人から開示の請求があった場合には、どういうふうに取り扱われることになりますか。
○伊藤(榮)政府委員 一般的に、この再審請求のありました事件でございますとか、あるいは再審請求の可能性が強い事件につきましては、確定記録の保存あるいは関係証拠物の保管、これを当然軽々にしないようにしておるわけでございますが、ただ証拠物につきましては、所有権者がおられます場合に、その所有権者の権利を害するわけにもまいりませんので、御要求があればお返しせざるを得ない、こういう実情でございます。
○横山委員 それでは、証拠物について所有者から返還の申し出があった場合は、返還をすることがあり得るのか、いままでそういう申し出があったことがありますか。
○伊藤(榮)政府委員 具体的に私も承知いたしませんが、再審請求中でありましても、所有権者がぜひ返せとおっしゃれば、これはもう返さざるを得ないというふうに思います。
○横山委員 再審につきましては、もう先ほど同僚委員がいろいろ申し上げ、私どもの法案も出ておるわけでありますから、多くを申しませんが、一体政府としては、私どもの提案に対して、どの程度御検討をなさっていらっしゃるかということと、もう一つは最高裁として、最近非常に話題になる再審請求の取り扱いについて、現行法規のもとでも、裁判官にもう少し認識を改めてもらいたいと、私ども希望するところが多いのでありますけれども、再審が民主的に手続が行われ、民主的に検討され、民主的に再審開始になるために、どういうふうな工夫をなさっていらっしゃるか、承りたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 社会党の御提案になりました再審関係の改正法律につきましては篤と拝見をいたしておりまして、それなりに検討させていただいております。 一番の問題のところは、再審の要件の緩和の問題でございますが、これはいろいろ議論の余地がございますので、この際は省略をいたしますが、先ほど来御指摘の記録及び証拠物の保存に関する御提案につきましては、一応私どもも、実務上余り支障を生じておるとは思いませんけれども、理論上の問題として、十分傾聴に値する御提案であろうというふうに思っております。そのように、御提案の中には、私どもも大いに参考にさせていただく部分も多々あるように拝見しております。
○岡垣最高裁判所長官代理者 裁判所は、御承知のとおりに、法律の規定に従って、法律の範囲内でやるわけでございまして、したがって、その裁判所の動ける範囲というものは限定されているわけでありますけれども、現在の法律の中で、委員御指摘の点で問題として考えなければならぬと思われるのは、恐らく、事実調べをする場合に、どの程度当事者が関与するかという問題であろうと存じます。 その点につきましては、私どもも関心を持っておりまして、ちょっと古くなりますが、一昨年の暮れに刑事裁判官の会同を行い、再審事件を担当しておられる方々に集まっていただきまして、お互いの経験、事件事件によっていろいろ取り扱いが違うと思いますので、それを交換していただいたというふうな次第でございます。
○横山委員 まだ二、三ありますけれども、時間になりましたので終わります。
○鳩山委員長代理 午後二時十五分再開することとし、この際休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ————◇————— 午後二時十八分開議
○青木委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑を続行いたします。稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 刑事局長にお尋ねするのですが、この前予算委員会で出た海部氏の「西川社長殿」という文書がありますね。通称第三のメモと呼ばれているのですが、これは海部氏の書いたものですか。
○伊藤(榮)政府委員 捜査の結果では、海部氏が書いたもののコピーのようでございます。
○稲葉(誠)委員 そこで、この内容ですが、いろいろ書いてありまして「松野頼三」云々の点がございますね。これに関する点は事実なんですか、どうなんですか。
○伊藤(榮)政府委員 検察当局から報告を受けたところによりますと、すでに明らかになっております二枚のメモと同じように、多分にはったりと誇張があるということでございまして、たとえば「岸先生、増田、田中六助の合作劇であり」というようなところとか……
○稲葉(誠)委員 そんなことを聞いていない。松野頼三に関することを聞いているのです。あとのことはまた後で聞くよ。
○伊藤(榮)政府委員 「岸先生も大分佐藤を動かした様です。」というようなところは、明らかに海部の記憶と異なることであるというふうに聞いております。
○稲葉(誠)委員 そうすると「岸先生」以下が、「合作劇」という言葉がちょっとおかしいのだけれども、「岸先生」以下「増田、田中六助の合作劇であり」というところは事実と違うとして、松野頼三さんに関するところは、これは一人だから合作劇というのはおかしいけれども、そこはどうなんですか。
○伊藤(榮)政府委員 海部氏の主観としては、そのようにうそを書いたわけではないようでございます。
○稲葉(誠)委員 海部氏の主観というのは、どういうふうなことですか。
○伊藤(榮)政府委員 これは松野頼三氏のお力によるものというふうに思っておったらしい、こういうことでございます。
○稲葉(誠)委員 何を松野頼三民のお力によるものだというふうに思っていたのですか。
○伊藤(榮)政府委員 「これは」という、その「これ」でございます。
○稲葉(誠)委員 なかなか答弁うまくなったな。これはその上に書いてあることですね。 そこで、この田中六助さんの合作劇と書いてあるところ、これはもう事実と違うようなんですね。それで田中さんにおいで願って、あなたは告訴もされましたけれども、むしろあなたの弁明をお聞きしたいので、好意的に私はあなたにおいで願ったわけなんです。その点誤解しないでいただきたいのですが、ここに書いてあることはどうなんでしょうか。この当時は田中六助だったけれども、いまは官房長官ですが、どうでしょうか。
○田中国務大臣 どういうことでしょうかという意味は、どういうことでしょうか。
○稲葉(誠)委員 ここに書いてあるでしょう。海原追い出しが「松野頼三、岸先生、増田、田中六助の合作劇」である、そのことは事実なんですか、事実じゃないんですか、こう聞いているわけです。
○田中国務大臣 この事態は十数年前のことのようでございますし、いま、たまたま私は官房長官になっておりますので、こういうことに答えていいのかどうか、ちょっと疑問でございますけれども、しかも私は、告訴をしたのは官房長官としてではなく、一衆議院議員田中六助として告訴したわけでございますし、私の呼び出しは官房長官ということなんでございますが、その辺が私自身ちょっと割り切れませんが、せっかくのお尋ねでございますので申し上げますが、私は、いろいろなところで問われれば申し上げているのですが、こういう事実は全くありません。
○稲葉(誠)委員 ただ、この時期は、あなたが日商岩井から政治献金を受けていた時期ですか。
○田中国務大臣 私は過去十数年受けておりまして、この時期も入ります。
○稲葉(誠)委員 それから、この二枚目に大変失礼なことが書いてあるのですね。「尚、今回の件に関し、松野、六助、増田氏には多少挨拶したいと思ひます」こう書いてありますね。 あなたのことを「六助」と名前を呼び捨てにして、この後の「氏」に続くのかどうか、ちょっとよくわからぬですけれども、いずれにしても名前で書いてあるのですね。海部八郎という男は大変失礼だ、けしからぬ男だと思うのですが、どうしてあなたのことを名前で書くのですか。この時代にはそれほど非常に親しかったのですか、どうなんです。よく親しい人は名前で呼びますね。松野さんは「松野」増田さんは「増田」と書いてあるけれども、あなただけ「六助」と書いてある、どういうのかな、こう思うのです。「多少挨拶したいと思ひます」と書いてあるけれども、これはどういうふうにお考えになりますか。
○田中国務大臣 私と違うあなたがさっぱりわからぬと同様に、本人の私はまだわからないのです。
○稲葉(誠)委員 そうですか。わからないのだけれども、どうしてこんなふうに書かれるのですかね。 それでは、話はちょっとかえますけれども、あなたは、松野さんが証人に出られる前に、松野さんに電話されましたか。
○田中国務大臣 一度もございません。
○稲葉(誠)委員 ただ、私が聞いていて変に思いましたのは、衆議院のときには、中村長芳氏とあなたとが一緒に松野さんに海部氏を紹介したというふうに答えていますね。質問があったときに、あなたのことには少しも触れなかったですね。 参議院のときには、あなたは来られなかった、こういうふうに松野さんは答えたわけですね。それがどうも正しいらしいのですが、だけれども、あなたが別に単独に来たというふうなことについては、松野さんは何とも言わなかったのですが、いずれにしても、中村とあなたと海部と三人で松野さんのところに行ったことはないということですね。
○田中国務大臣 一々コンファームされて、私もあなたの質問に弱りますが、何にも関係ございません。
○稲葉(誠)委員 コンファームされて弱ると言ったって、弱ることはないんじゃないですか。弱るというのはどういう意味なのかわからないですね。 では話をかえましょう。加藤官房副長官がおられるから、時間の関係もあるから、あなたに先に開きましょう。 あなたは、週刊文春のある記者が田中六助さんのことに関連していろいろな記事を書こうとされておった、そのことに関連して、週刊文春の方へあなたが電話をされたことがありますか。あるとすれば、その内容……。
○加藤(紘)政府委員 私は、職務上各社の新聞、雑誌等の方によく会います。特に週刊文春には友人も多いですし、高校、大学時代からの同級生もおります。それでしょっちゅう会っております。 したがって、その中で会おうとか、どちらかともなく電話をし合うことがありますし、ごく最近も会っておりますが、特にいまおっしゃるような意味で電話申し上げたことはございません。
○稲葉(誠)委員 それは違うんじゃないですか。あなたの方で、週刊文春が田中さんのことをいろいろ書こうとしているということを感づいたんじやないのですか。 それで、あなたの方で、そういう記事は出さないでほしいという意味のことを、週刊文春の方に電話したんじゃないのですか。違いますか。そしてあなたは、そのときにまたよけいなことをしゃべったんじゃないのですか。違いますか。
○加藤(紘)政府委員 よく会いますし、何日のどのことをおっしゃっているのかわかりませんけれども、うちの官房長官の件でお会いしたいと私が電話した事実はございません。
○稲葉(誠)委員 お会いしたいじゃないですよ。
○加藤(紘)政府委員 会った事実はございません。
○稲葉(誠)委員 会ったじゃない、電話……。
○加藤(紘)政府委員 官房長官のことで会いたいということで電話した事実はございません。
○稲葉(誠)委員 官房長官のことで会いたいというんじゃない。官房長官のことで何か記事が出そうだから、そのことについていろいろ話したいとかなんとか話をしたことがあるんじゃないですか。
○加藤(紘)政府委員 それは会ったときに向こう側から、取材しているから、こういう点はどうだというような話はありました。私のわかるところは答えておりますけれども、ただそれは、私は向こうからの取材だと思っております。私の方から積極的に、この件でお会いしたいけれどもと言った事実はございませんので、いつどういう電話なのか、こちらで知りたいくらいでございます。
○稲葉(誠)委員 取材に来た人に会ったことは間違いないですね。そのときにいろいろ、ある程度詳しい話をされたのですか。向こうが知らない話まで、あなたされたんじゃないですか。
○加藤(紘)政府委員 何の話でございましょう。私はいたしておりません。向こうの取材に、こういうことはどうかということについて、それは事実と違うようですと答えているだけでございまして……(稲葉(誠)委員「そうかな」と呼ぶ)そうかなとおっしゃいましても、そうでございますので、具体的にどういうことか言っていただければ、私からお答えいたします。
○稲葉(誠)委員 私の方は、そのことで何かあなたが電話したというふうに聞いているのです。その記者は、いまあるところへ行っていていませんから、帰ってくればわかると思うのです。 そこで、もう一つお聞きしたいのですけれども、あなたじゃない、官房長官だ。いや、まだこっちは聞いてないんだから。 週刊サンケイが、ことしの二月ごろ田中さんの選挙区へ行って、約一週間いろいろな取材をした、それを出そうと思ったのだけれども、どういうわけか、その記事が出なかった。そういう話をどちらか御存じでしょうか。
○加藤(紘)政府委員 それは私、存じません。
○稲葉(誠)委員 それでは、週刊ポストの記者が二日間福岡の方の現地へ行っていろいろ調べた。その記者がまだ帰ってこないうちに、ポストの方へ電話があって、この記事は書かないようにしてほしいという意味の電話を、あなた方の周辺のだれかがしたことはありませんか。
○加藤(紘)政府委員 私は存じません。
○稲葉(誠)委員 あなたは御存じないかもしらぬけれども、まだその記者が福岡の方にいる間に、まだ帰ってこないのに、書かないでくれということをだれかが連絡したのですね。あなた方じゃないでしょうけれども、だれかがその意を受けたかどうかは別として、連絡しているのですね。非常に不思議なことがあるんですよ。そして今度の週刊文春の件がある。こうぼくらは三つのことを聞いているわけなんですね。その人はきのうから向こうへ行きましたから、帰ってくるとわかるが、これは田中さんの後輩だよ、早稲田を出ている人だから。聞いてみれば、よくわかりますけれどもね。 そこで田中さんに、一個人として告訴したというのがもうさっき出ましたね。田中さん、やけに渋い顔をしているけれども、あなたのために好意的に聞いてあげているんだよ。 その告訴したというのは、何をどこへ告訴したのですか。
○田中国務大臣 先ほどの週刊誌の件、あるいは私の後輩かどうか知りませんが、あなたはすでにいろいろな答えを持って、私や副長官にわけのわからないことをこの公の前で非常に含みのあることで聞いておられまして、聞いておる者は、何か暗いそういうものを私どもが隠蔽しておるという印象を受けますね。あなたは好意で聞いているんだと盛んに言っておりますけれども、私にはそういうふうに受け取れないのですが、それは別といたしまして、私どもはそういうことについて関知しておりません。 それから、いまあなたが申された、どこに告訴したかということは、あなたもそういう前歴を持っておられますので、つぶさにわかると思いますが、東京地検に告訴をしておるわけでございます。 それから、だれを対象にしておるかということでございますが、これは対象の人がわかりませんが、弁護士と相談いたしまして、怪文書と言われるものを流布したその人を、氏名はわかりませんが、そういう人を告訴しているわけでございます。
○稲葉(誠)委員 それでは、ほかにいろいろ聞きたいこともあるのですが、ぼくはあなたに好意的に、ここに書いているような事実がないならないということをはっきり言ってもらいたいために来ていただいたわけで、ほかに他意があるわけじゃないのですから、そうあれしないでいただきたいと思うのです。 そういう答えですから、官房長官、副長官も、一応いいですよ。
○加藤(紘)政府委員 官房長官も申し上げましたとおり、われわれはプレスと会うのが任務でございます。われわれは、日本のプレス及び雑誌が、われわれ内閣というのは権力でございますけれども、権力が言って左右されるほど脆弱なものだと思っておりません。私たちは職務でインタビューには応じます。それを何かあるかのごとく言うことは、われわれの残念に思うことであるということを申し上げたいと思います。
○稲葉(誠)委員 それはあなた方の意見として承っておきますよ、そういう意見もあるのだから。そうでないという見方があるかもわからぬけれども。 ぼくらが聞いているのは、週刊サンケイが一週間行った、当然記事に出ると思ったが、それが出なくなった、どうもおかしい、理解できない。週刊ポストが行っても、記者が向こうへ行っている間に、もうこっちへ電話があったという、そこら辺のところがどうもよくわからぬ。それから今度の週刊文春の点は、あなたの言い方と多少違うかもわからぬけれども、その記者はきのう向こうへ行きましたから、帰ってきたらわかるでしょうから、またそれはよく聞いてみます。 そういうことです。余りそう深くというか、別にどうこういうほどのことでもないんじゃないですか。
○田中国務大臣 別にどうということじゃないということで、あなたは国政調査権という権力のそういうもとでいろいろ聞いておるわけでございますが、そういう人が取材に行ったら、取材に行ったとおりにしたらどうでしょうか。書いたら書いてもいいじゃないですか。私どもは、そういうことを書くなとか書けとか言う権利もございませんし、それを追跡調査してどうとかという圧力を加えた事実は、もしあるならば、あなたがもう少し聞いてみて——なぜ、あなたがそういうことを言うのか、あるいはいま取材に行っているとか、いつ帰ってくるとかいうことを非常に詳しく御存じですが、そういうことの方が私どもむしろ奇異に感じます。
○稲葉(誠)委員 こっちも聞く権利があるから聞いただけの話で、別に奇異でも何でもないんじゃないですか。 前にそういうことがあるから、何かあなた方の方で、それを妨害と言っては語弊があるかもわからぬけれども、記事を出さないでくれというような運動をしているように、ぼくらはとったのですよ。だから、そうでないならそうでないということが、あなたの口から出れば、それでいいのですよ。それだけの話じゃないですか。
○加藤(紘)政府委員 そこは、われわれと、権力側とプレスとの関係ではっきりしておきたいと思いますけれども、われわれプレスをそれほど卑下いたしておりません。日本の民主主義社会の中できちっとあるべきだし、本当にそういうことができるならば、われわれの政権について、また自民党について、これほどいろいろ自由に書けることになってないと思います。私たちは、その日本を、いいプレスと権力の関係だと思っておりますし、それがあたかもいろいろやっているがごときの印象の御発言は、事実であれば私たち認めます。取材に応じたということが権力側の世論操作だと言われるなら、それは仕方がございません。見方でございます。しかし私たちは、プレスにそういう失礼な気持ちで当たっているつもりはないということを申し上げたいと思います。
○稲葉(誠)委員 それは、いまあなた方の言い分はそういう言い分であるということでいいんじゃないですか。それはわかりました。 では、お二人帰って結構ですよ。私の方は私の方で、それはまた調査しますからね、大分聞いているのと違うから。 そこで、刑事局長にお尋ねをしたいのですが、最初にさっき話の出ました五億円の問題で、海外で何か受け渡しがあった。こういう金については、これは五億円とは別のことなんですか。そういうふうに承っていいのですか。
○伊藤(榮)政府委員 五億円の中でございます。
○稲葉(誠)委員 五億円の中だとすると、その「最初に五億円ありき」という説明をされたその意味は、一体どういう意味なんですか。「最初に五億円ありき」というのはきわめて抽象的だけれども、どういう意味をあなたの方では言われたわけなんですか。
○伊藤(榮)政府委員 午前中にお答えしましたように、五億円の要望があって、五億円渡したということであります。
○稲葉(誠)委員 五億円の要望があってということは、最初から五億円という金額を指示しての要望があった、こういうふうに結びつけると理解ができますが、それでよろしいわけですか。
○伊藤(榮)政府委員 そういうつもりで申し上げております。
○稲葉(誠)委員 そうすると、政治献金として順次もらっておるので、合計幾らになったか明確でない、そういう答え方は、これはあなたがいま「最初に五億円ありき」ということで五億円の要望があったということとは矛盾するというか違う、こういうふうなことになるわけでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 私のような者が五億円もらうのでございますれば、あと何ぼ残っておるというようなことは一生懸命考えるでございましょうが、その辺はどういうふうにお考えになったか、私にはよくわかりません。
○稲葉(誠)委員 五億円がその都度何回かに分けて渡されておる、それはどういうことなんでしょうか。その都度要望があって渡されたという意味ですか、あるいはそういうことに関係なく、片方から片方へ持っていった、こういうような意味ですか。
○伊藤(榮)政府委員 その辺は、島田氏が亡くなっておられますので、よくわかりません。
○稲葉(誠)委員 それから、五億円の金が工作資金だとか成功報酬だとか、こういうふうなことは常識的な話として出てくる、理解されるというような意味の話でしたね。 そうすると、それは成功報酬だとか工作資金だとかということは、どういうふうな事実関係の積み重ねから出てくることなんですか。
○伊藤(榮)政府委員 日商岩井側の方で、そういうふうにみんなが認識しておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 常識的な話として、という言葉があなた方の答弁の中で盛んに出てきますね。それはどういうことを言われておるわけですか。
○伊藤(榮)政府委員 常識的という言葉をいろんなときに使いましたので、どの部分かよくわかりませんけれども、ごく最近使いましたのは、松野さんの方でそういうお金だということがわかったのではなかろうか、そういうお尋ねがありましたときに、常識的に言えば、そういうことにもなりましょうかというふうに使った記憶があります。
○稲葉(誠)委員 そうすると、常識的に言えば、そのようになろうかということは、常識的に考えるというと、普通人ならば当然、それが工作資金なり謝礼の金である、こういうふうなことは認識していたはずだ、普通の常識から考えると、当然その認識はあったはずだ、こういうふうに理解をされていいんでしょうか。いいと思いますがね。
○伊藤(榮)政府委員 私どものような者なら、わかるのじゃないかと思います。
○稲葉(誠)委員 私どものような者というのは、ちょっとよくわからぬけれども、あなたのようなハイレベルな法律知識を持った方という意味ですか、そうでなく一般的な常識を持った人という意味ですか、どっちですか。
○伊藤(榮)政府委員 余り金に縁のない者という意味でございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、金に縁のある人というか——普通人の常識では、日商岩井側の金の趣旨というものはわかっていただろうということは常識的に推察できる、こういう結論として承ってよろしいでしょうか。例外的な場合は、これは例外としてまた別であるけれども、それはそれだけの立証なり何なりが必要なのではなかろうか、こういうことになってくるんじゃないでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 事が政治家の方に関しますので、私まことに不勉強ながら、政治家の方のそういった問題についての意識の構造というものを存じませんので、何とも申し上げられません。
○稲葉(誠)委員 海部氏の偽証の問題で一、二、三とあった二が、ダグラスの二百三十八万ドルの件です。 このからくりの発端だという話がさっき出てきましたね。からくりの発端という意味が、まずどういう意味かということと、それから、からくりの発端だということになってまいりますと、それは当然通常の場合冒頭陳述の中に出てくるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 後の方からお答えいたしますが、多分冒頭陳述で出してくるのじゃないかと思います。しかし、それは個々の立会検事がやることでございますから、私の予測を申し上げるだけでございます。 からくりの発端ということは、要するに五億円出すために、アメリカ日商岩井で粉飾経理をしまして、架空の前払い金勘定を起こしましてお金をこしらえて送金して渡した、こういう事実がまずありまして、その前払い金の後始末をしなければいけませんから、それを戻し入れますために、F4ファントムの代理店手数料から穴埋めをしておったのだけれども、額が多過ぎて埋め切らないというので、RF4Eのないしょの手数料を二百三十八万ドル取って、その中から米国日商へ入れて前払い勘定を清算した、こういうことを言っておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 それはわかりました。前からわかっているわけですが、その点についての冒頭陳述が常識的にはあるとすると、その点についての松野さんの調書があるということは、当然理解できるわけですね。
○伊藤(榮)政府委員 仮にそういうことを冒頭陳述でやるとしますれば、それに見合う証拠はあるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 証拠というのは松野さんの供述調書だ、こういうふうに理解するのが普通の状態ですね。そればかりでないかもわかりませんけれども、それも一番大きなウエートだ、こう理解してよろしいですね。
○伊藤(榮)政府委員 そういうふうな御理解も一つの御理解であろうと思います。私は必ずしもそうは思いませんけれども。
○稲葉(誠)委員 必ずしもそう思わないというと、それはどういうふうに思うのですか。
○伊藤(榮)政府委員 日商岩井のこのお金をつくりました状況などは、客観的な証拠ではっきり出ますので、そういうものが一番大事だと思います。
○稲葉(誠)委員 それはわかっているのですけれども、とにかく松野さんの調書をとったことは、これはもう明らかになって間違いがない。そのときに一体、いま言った金の趣旨、日商側の言っておる趣旨と松野さんが受け取ったという趣旨、それが合致しているのですか。
○伊藤(榮)政府委員 松野さんの調書をとったということを自問自答なさいましてのお尋ねでございまして、何ともお答えいたしかねます。
○稲葉(誠)委員 松野さんの調書、だってとったことははっきりしているのじゃないですか、冒頭陳述に出るということが考えられるならば。とらないで、冒頭陳述にそのことが出てくるわけがないでしょう。それにくっついて松野さんの調書が出てくるのじゃないのですか。もうはっきりしていることだから、いまごろになって松野さんの事情聴取をしたということを否定する理由もないのじゃないですか。
○伊藤(榮)政府委員 松野さんから調書をとったというようなことは、私まだ一度も申し上げておらないわけで、そういう具体的なことは御容赦をいただきたいと思っております。
○稲葉(誠)委員 いや、具体的なことは御容赦をいただきたいはわかりますが、私の聞いているのは、日商側の言うことと松野さんの言うこととが一致しているのか、一致していないのかというのですよ。趣旨や何かについて一致していないとすれば、日商側の言い分をとって、成功報酬なりそれから工作資金だというふうに、あなた方は言われるわけでしょう。それには、それなりの根拠がなければならないわけですね。一致しているなら問題はないわけですよ。一致していないけれども、こうだということならば、どうなのかということですね。
○伊藤(榮)政府委員 松野さんは、二回にわたる証人として証言をしておられます。その証言内容は、私が申し上げておるところと食い違っております。 私は前から申し上げておりますのは、日商岩井としてはF4ファントム絡みの金として出したのだ、こういうことを申し上げておるわけでございまして、両者の受けとめ方を一致させるだけの捜査は、これが刑事訴追の対象ならば、そこまでやりましょうけれども、そこまで詰め切っていない、こういうことを再々お断りしておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 だから、もちろん刑事訴追の事件ではありませんから、そこまでの捜査をずっとやっていったわけではない、これは私もわかりますよ。だって事件になるわけじゃないでしょう。 だけれども、この前の答弁の中にもありましたけれども、職務権限を中心にして何か調べたというようなことが、この前出てきましたね。時効の問題よりも、むしろ職務権限を中心にして調べたというふうなことは、それは職務権限があれば、場合によれば事件になるかもわからないということで調べた、こういうふうなことですか。そこはどうなのでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 私が申し上げましたのは、職務に関しという要件を充足しないので、収賄罪の構成要件には当たらない事実関係であった、したがって刑事訴追の可能性がないので、それなりの捜査をしたのであるという趣旨のことをお答えしたと思います。
○稲葉(誠)委員 さっき刑事局長が言われた中で、私もよくわからないので、もう少しわかりやすくお話しをしてもらいたいのですが、たとえばテレビの喚問を見られてあなたの感想を聞かれたときに、偽証になるかならないか感想を聞かれましたね。 そのときに、よくお話しなさったということをあなたは言われましたね。そのよくという意味が、そのとり方にいろいろある、こう思うのです。私は、うまくお話しをされたというふうにちょっと聞いたのですが、そういう意味も入っているのですか。
○伊藤(榮)政府委員 宣誓して証言されるわけですから、お話しにならないわけにはいかぬわけでございますが、政治家として相当つらいことであったろう、しかし、ある程度までお話しになったというのは、私は評価できるのではないかという感想を述べたつもりでおります。
○稲葉(誠)委員 偽証になるかならないかということでの感想を聞かれたわけですね。そういうことについては、法務省当局としては答えられないというのが、私は普通ではないかと思うのですね、それは国政調査権に非常にあれするので、あなたの方で言われたのかもわかりませんけれども。 そのほかに、いま言ったようなことを言われたのですね。普通ならば、偽証かどうかということはお答えできませんと、そこで打ち切っちゃうのが普通だ。それを後引き続いて、よくお話しされたとかなんとかということをあなたが言われたのは、これはどういう意味なのですか。
○伊藤(榮)政府委員 他意なく、よけいなことをしゃべってしまったわけでございます。
○稲葉(誠)委員 他意なく——それはあなたの方で、ある期待を持って言われたのではないのですか。ある期待を持って、あなたの方で何かお話しをされたのではないのですか。
○伊藤(榮)政府委員 私としては、私個人の感想として、御質問につり込まれたと言っては失礼でございますが、申し述べたわけでございまして、ただいま申し上げましたように、全く他意はございません。
○稲葉(誠)委員 いままた、ぼくの質問につり込まれたのかもわかりませんけれども、ある程度しゃべられたという話をされましたね。 そうすると、これはあなた方の知っている範囲の中のある程度ということですね。はしなくも言葉が出てきたかもしらぬけれども、決して言葉じりをつかまえる意味ではありませんよ。ある程度しゃべられたという話をしていましたね。そうすると、あなた方の知っている範囲内のことは、全部しゃべってはいないということですね。隠された残されている部分があるということですね。
○伊藤(榮)政府委員 もちろん、御質問の委員の方々から御質問の出なかった事項についてはお答えになっておりませんが、御質問になった全体を通じて私、印象を受けましたのは、われわれがかつて検察の現場におりましたときに、政治家の方を何人も調べさせていただいたことがございますが、なかなかあの程度にまでおっしゃるものではないような、私は自分の経験からする先入感がございましたので、つい先ほどよけいなことを申し上げたわけでございまして、お気にさわったといたしますれば、いつでも撤回いたします。
○稲葉(誠)委員 いや、お気にさわったのじゃないのだよ。逆なのよ。よくそこまでしゃべってくれたという意味で、こっちは聞いている。これは全然お気にさわったのじゃないのよ。全然逆な意味ね、ぼくの言うのは。 そうすると、ぼくは、よくお話しなさったという意味のよくが、うまくしゃべったというように、ちょっとひねくれて聞いたのだけどね。ぼくはそういうふうに聞いたのだ、あなた方のあれから見ると。うまくしゃべった、なかなか引っかからないようにうまくしゃべった、こういうようにぼくは聞いたのですけどね。あなたの方としては、あれでは、何と言うのかな、新しい事態が出てきたときでもなかなかむずかしいというか、そういうふうな意味にとられたのでしょうかね、あなたの感想で。それはどうでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 どうも大変含蓄のあるお尋ねでございまして、私もまた何かお答えすると、おしかりを受けそうなので、要するに、先ほど申し上げたように御理解をいただきたいと存じます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、これは不起訴というか、事件になってないわけですね。なってないわけだから、その書類というものを出すか出さないかは、これは検察庁の判断に任せられているわけですね。 そうすると、公益上の必要があるということで、その決定というか何というかがあれば、松野さんの供述調書というか、そうしたものも国会へ出してもらうということになるわけですか。その点についての協力の度合いというものはどういうことでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 まずもって、公判維持のための支障になるものについては、お断りをせざるを得ないわけでございまして、そうではなくて公判には関係がないもの、これは純粋に捜査の秘密保持と関係者の人権と名誉の保護、こういう観点と国政調査の重みというものとを考え合わせまして、個々具体的に決めなければならぬと思っておりますが、その辺につきましては、具体的な問題になりました際に、大臣ともよく御相談申し上げて決めたいと思っております。
○稲葉(誠)委員 前に話が出たことで、繰り返しになって恐縮なんですけれども、念を押します。 「最初に五億円ありき」という話ですね。これは、そういう話があったことは間違いない。どちらからあったかということについては、どういうふうに理解したらよろしいのですか。
○伊藤(榮)政府委員 日商岩井側としては、松野さんからの五億円の御要望に対しておこたえをした、こういうことでございます。
○稲葉(誠)委員 その点ははっきりしてきましたね。五億円を出してくれ、こういう要望であった。五億円の金の性質というか、なぜ五億円を出してくれということになってきたのか、そこはどうですか。
○伊藤(榮)政府委員 その点は説明がございません。
○稲葉(誠)委員 説明がないって、どっちから説明がないの。どうしてそれを聞かないのです。その説明がないという意味がちょっとわからぬな。五億円の金を出してくれということを松野さんから話があったというのでしょう、それに対して説明を、だれがどこから聞かなかったのですか。
○伊藤(榮)政府委員 どういうことでございましょうか、松野さんから話を聞いた人が、どういう意味でお入り用ですかとか、工作費でお渡ししたらいいのでしょうかとか、そういうようなことを聞くべきであったというお尋ねでございましょうか。
○稲葉(誠)委員 いや、現実に聞いたのかどうかということです。
○伊藤(榮)政府委員 先ほどお答えしたとおりでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、五億円の金については、特に日商の方からも、その金の性質について聞かなかったということになってくると、その五億円の金がどういうふうに使われるかということについて、両方である程度の合意があった、こういうふうに常識的には理解をされると思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 五億円という要望にこたえて、五億円出したというだけのことでございまして、出す方の側としては、頼りになる方だと思っておりますから、言われるとおりお金を出した、その辺までしか明らかにされておりません。
○稲葉(誠)委員 それは海部の偽証の第二の、ダグラスの二百三十八万ドルの問題に関連して、そのときの状況というものは公判廷で明らかになる、直接の起訴でないかもわかりませんけれども、発端ですから、そのときのことは明らかになる可能性はあるわけですか。
○伊藤(榮)政府委員 海部氏が二百三十八万ドルの問題に当時関与していなかったという偽証が訴因になっていますから、関知していたのだということを立証するためには、五億円の話も海部氏であるし、したがって、その穴埋めも海部氏が関与せざるを得ない立場にあった、そういうような立証は必要ではないかと思っております。
○稲葉(誠)委員 だんだん話が、言葉は悪いかもしらぬけれども、率直に言うと、いいところへ来たというのかな。 そうすると、五億円出してくれというのについて、何のために五億円出してくれという話がなかったとすると、それはおかしいじゃないですか。そこら辺のところはあなたの方としても、海部なら海部から、何のために五億円を出してくれと向こうが言うのか、その点についての調べが当然海部側でできてなければならないでしょう。ただ五億円出してくれと言ったって、そんな話というのはないのじゃないですか。
○伊藤(榮)政府委員 私が五億円出せと言われたとしますと、五億円という金もありませんけれども、当然、大きな金ですから、いろいろ納得のいくまで聞くかもしれませんけれども、私になぜその辺を明らかに聞かなかったかとお尋ねになっても、私ではありませんので、何ともいたし方ございません。
○稲葉(誠)委員 だから、普通ならば五億円の金は何に使うのですかということを聞くでしょう、聞くのがあたりまえだ。それを聞かなかったとするならば、聞かなくても当然両者の間ではわかっていたのではないでしょうか、これが経験則から来る常識ではないでしょうか、一つはこういうことなんです。
○伊藤(榮)政府委員 どうもお金のことは私、常識が余りないのかもしれませんけれども、たとえば、いま継続しておりますロッキード事件の田中さんの場合でも、何にお使いになりますかと聞いたというふうにはなっていないようでございまして、余りそういうことは聞かないのが、そういうお金の礼儀なのかなと思ったりしておりますが、私はよくわかりません。
○稲葉(誠)委員 聞かないのが礼儀だということは、聞かなくても、その金の趣旨というものが当然両者間でわかっているから聞かないのだ、これはロッキードの場合そうでしょう。そのことから類推して本件の場合でも、どういう趣旨の金だ、どういうわけだから、こういう五億円くれということの話は出なかった、出なかったけれども、当然両者間ではわかっていたのだろう、こういうのがあたりまえの話ではないでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 大変理詰めでお尋ねでございますので、私自身が当事者だったら、何か御説明申し上げなければならぬ気持ちになるところでございますけれども、どうも私に幾らおっしゃられましても、明らかにされていないところは、明らかにされていないとお答えするよりしようがないのでございます。
○稲葉(誠)委員 だけど、偽証罪のからくりの発端であるということならば、それについて五億円を、松野さんがどういう意味でどういうことにするのだからくれというふうな話があったか、あるいはなかったかということについては、当然松野さんの事情聴取の対象になっていなければおかしいのではないですか。それでなければ検事は務まらないよ。だれだって、五億円くれと言いました、はあそうですか、この五億円は——それでおしまいだというのでは、検事は務まらないでしょう。その点については、当然松野さんにお聞きになっているはずでしょう、だれが聞いたか知らぬけれども。
○伊藤(榮)政府委員 要するに、訴因との関係では、五億円という大金が支出されてしまっておって、穴埋めをしなければならなかったということが大聖なんでございまして、その金がどういう色の金であったかということは必ずしも必要ではないわけで、いろいろな捜査をします場合に、もちろん金が動いたことですから、どういう気持ちで出したのか、どういう気持ちで受け取ったのか、そんなことは当然聞くわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、細かい心理描写的な調べまで詰めるような、そういう段階には至っていないようでございます。
○稲葉(誠)委員 しかし松野さんは、最初に五億円の約束——約束というと言葉は悪いですね、約束じゃない、要望かな、あったということは、衆議院でも参議院でも言っていませんね。
○伊藤(榮)政府委員 私、国会の委員会等がありまして、テレビを終始見ているわけにまいりませんでしたから、ずっとごらんになっていた方がございますれば、その方の認識の方が正しいと思いますが、私の印象に残りましたのは、何か選挙のときに、選挙だから金を欲しいというようなことを言って、もらったことがあるというようなことをちらっと聞いたような気がしておりますが、それらしいと言えばその程度のお話のようでございました。
○稲葉(誠)委員 それは、選挙も終わってから二百万か三百万持ってきたという話じゃないの。 ぼくの聞いているのは、いまあなたの言われるのは、五億円ということについて最初にありきで、松野さんから要望があったと、こう言うのでしょう。そのことについて松野さんは、衆議院でも参議院でも答えてないじゃないですかと聞いているんですよ。
○伊藤(榮)政府委員 それは、私にお聞きになりますよりも、テレビをごらんになった方に確かめていただいた方が正しいと思います。
○稲葉(誠)委員 もしそのことについて、最初に五億円という要望があったというふうなことを言ってないとすると、これはどういうことになります。うそを言っているということになりますか、あるいは隠しているということになりますか。
○伊藤(榮)政府委員 どういうことになりますかは、国会での証言のことでございますから、国会で御判断いただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 そうすると、国会で判断してもし告発ということになれば、そういう点も含めて重要な一つのポイントになる、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
○伊藤(榮)政府委員 仮定の問題でございますが、万々一告発がございますれば、告発の趣旨にのっとって捜査をすることになると思います。
○稲葉(誠)委員 それから、あなた方から見ると、この第三の海部メモについて、これがはったりだと盛んに言われますね。はったりだというのは、どこがはったりだということをもう一遍聞きましょう。なぜ、はったりだということがわかったんですか。
○伊藤(榮)政府委員 第一、第二の海部メモの調べを通じまして、海部氏みずからからも聞いており、かつ客観的に見ましても、大変はったりと誇張をきかせる人である、ある目的のためには。そういうくせと言っていいかどうかわかりませんが、そういう人であるように私は思っております。 このメモにつきましても、何かこういうようなメモをよく書く人のようでございますが、この中で「岸先生、増田、田中六助」という名前は、勝手に海部氏が書いたもののようでございますので、したがって合作劇というのも誇張になりますし、それからしたがって、岸先生が佐藤を動かしたようですというのも、はったりでございます。 それから一等最後に、今回の件に関し、あいさつしたいというところに「六助、増田」というよけいな字が出ております。これも何かの都合のはったりで書いたのではないかというふうに思われますが、この第三の海部メモについては、その程度に取り調べといいますか、捜査の結果を聞いておる程度でございまして、本格的な捜査の対象としておりませんから、先ほども官房長官がおっしゃっておりましたが、官房長官からと言うとしかられますが、田中先生からの告訴がありましたので、もう少し詰めて、これから調べることになるのじゃないかと思います。
○稲葉(誠)委員 いまあなたは、第三の海部メモ、これについて言われた中で「岸先生、増田、田中六助」それからあいさつの件で「六助、増田」これは言われましたね。松野頼三、それから今回の件に関しての松野、これをあなたは読まれなかったですね。これはどういうふうなことが理由ですか。
○伊藤(榮)政府委員 先ほども言いましたように、この問題について詰めておりませんけれども、日商岩井、特に海部氏としては、この人事の問題については松野さんの力があったものというふうに思っておった節がございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、松野さんの力があったというように思っていた節があって、そのことと、松野氏に多少あいさつしたいと思いますということは結びつくのですか。
○伊藤(榮)政府委員 お尋ねの趣旨に合致するかどうかわかりませんが、この第三海部メモというのは、中身から見ますと、昭和四十二年夏ごろのものじゃないかと思うのでございます。そのことがあった後、秋ごろから五億円の問題が始まっておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 大体話はわかりました。海部メモの、今回の件に関し松野氏には多少あいさつしたいと思うというのは、そこで生きてきておる、こういうふうにだんだん話がわかってまいりました。私は、そういうふうに理解をいたします。 いわゆる海部メモというのは、メモを書くのが非常に多いとあなたは言われましたけれども、このほかにも海部メモというのがあるのですか、たくさん。
○伊藤(榮)政府委員 ずいぶんいろいろあるようでございます。
○稲葉(誠)委員 いやいや、巷間出回っておるという意味じゃなくて、検察庁の方に押収になっておるものの中に、海部メモというのはこのほかにもあるのですか、こう聞いておるわけです。
○伊藤(榮)政府委員 お断りしておきますが、第三の海部メモというのは、検察庁で押収しておるものではございません。したがって、正確な言い方にならないかもしれませんが、検察庁で知っておる海部メモというのも何種類かあると思います。
○稲葉(誠)委員 何種類かある海部メモというのは、それはそれぞれ、どういうことが書いてあるのか知りませんけれども、人の名前が出てくるものですか。あるいは捜査の上で、ある意味を持っておるものと理解してよろしいものでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 それらはいずれも書いてあるとおり信用すると間違うおそれのある、そういうようなものでございますけれども、知っておる人の名前をむやみに使ってみたり、それからお金を出してもらうためのメモになりますと、金を払わせやすいような仕掛けにしたり、そういうようなものが何種類かあるように聞いております。
○稲葉(誠)委員 そういうふうに、海部氏というのははったり屋で、うそが多いということでありながら、五億円の収受に関連するところでは、先方から五億円要望があったということで、海部氏側の言うことをあなたの方では全面的に信頼しておるわけでしょう。 そこのところがどうも腑に落ちないのです。海部の言い分だけでなくて、それを客観的に裏づける何かがもっとプラスしてあって、初めて「初めに五億円ありき」そして松野さんからの要望があったということが出てくるのではないでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 そのとおりでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、それを裏づけるいろいろな証拠があるということですね。この点については、松野さんは「最初に五億円ありき」というふうなことについてはしゃべっていません、両方で。証人として出てもしゃべっていません。何かそこら辺のところがあいまいで、順次来たようなことにも書いてあるし、そこら辺は今後議事録を見て十分調査をしていきたい、こういうふうに私どもが考える一つのポイントですね。 だから、仮に偽証の告発があれば、検察庁はそれを受けて立って、捜査については万全を期すということには間違いはないでしょうね。
○伊藤(榮)政府委員 仮定のお尋ねでございますが、告発があった事件は、告発の趣旨に沿って捜査するのが当然でございます。
○稲葉(誠)委員 時間が来たものですから、これで終わります。 大体のことは、いろいろないままでわからなかったようなことが、ずいぶんわかってきたように私は思いますので、さらに両方の議事録などを詰めて、今後検討して、また質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。
○青木委員長代理 次に、沖本泰幸君。
○沖本委員 私は、初め飛行機の問題に関しまして、一、二問刑事局長に伺って、あと、やはり飯田先生が飛行機にほとんど関連しておりますので、集中的に飯田先生に先にやっていただきまして、後から再審問題に移っていきたいと考えます。 それで、一、二問というのは、私自身がテレビを見ておって少し疑問に思ったところなんですが、松野さんは、アメリカで五千ドル、五千ドル、合わせて一万ドル、それからヨーロッパで奥さんが一千ドル、合計一万一千ドル、こういう証言をなさっておるわけですけれども、伊藤局長は数万ドルということをおっしゃっておられますので、この数万ドルとおっしゃったのは、一万一千ドルを指しておっしゃっているのか、これまたほかに数万ドルという御指摘になる内容のものがおありになるのか、その辺をお明かしいただきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 私、詳細に模様を見ておりませんでしたけれども、確かに、ただいま御指摘のような質疑応答があったようでございますが、いつごろというようなことがどうも出てないように思ったのでございますが、そういうわけで、私が申し上げているのとこれが、金額の大小はありますけれども、当たるのかどうか、ちょっと判断いたしかねております。 松野さんがアメリカで五千ドルずつ二回というふうにおっしゃったのは、何か国会議員として御出張のみぎりというようなことのようであったようでございますが、そうでございますと、これはどうも例の五億の中とは違うように思います。 それから、御家族が一千ドルというのは、五億に対して一千ドルというのも、どうもちょっと金額が小さ過ぎて、合うか合わないのか、どういうことを頭に置いておっしゃいましたのか、ちょっと私、十分理解できない次第でございます。
○沖本委員 確かに、アメリカに行った際に、証言では五千ドル、五千ドル二回もらったんだ、奥さんがヨーロッパに旅行されたときに千ドルもらった、こういう表現なんですね。 ですから、局長が五億の中の一部という中身に入らないというお話でございましたけれども、例によって数万トルという中が——この数万ドルは、やはり五億をお指しになって数万ドル、こういう表現をして局長はおっしゃっているのか、その数万ドル自体は何と何、あるいは明かしていただけるなれば、どこどこで数万ドル、合わせて幾らになるんだというふうな点がわからしていただければ、われわれ非常にわかりやすいわけですけれども……。
○伊藤(榮)政府委員 一回が数万ドルでございますので、それが数回、こういうことでございますので、松野さんがおっしゃいましたのは、恐らく五億の枠の外の細かい方のものをあるいはおもらいになったのかもしれません。
○沖本委員 そうしますと、結局、局長がお考えになっている五億、日商岩井としては、確かに成功報酬的な意味合いの五億という以外に、松野さんがアメリカへお越しになったときには、その枠外の五千ドル、五千ドル、あるいは奥さんのヨーロッパ旅行の千ドルというのも、局長がお考えになっている枠外で、あずかり知らないところの日商と松野さんとの関係の金額だ、こう理解してよろしいのでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 私も、ただいま御質問を受けながら考えますと、どうも五億の中のものではなくて、別のもののように思います。
○沖本委員 飯田先生にあと交代いたします。
○青木委員長代理 飯田忠雄君。
○飯田委員 先般の松野証言によりますと、松野さんは、自分のもらったものは政治献金だということを言っておられますが、新聞によりますと、刑事局長は、このお金は工作資金だとかあるいは成功報酬だというふうに考えるとおっしゃっているということが新聞に載っておりますが、そのようでございますか。
○伊藤(榮)政府委員 日商岩井としては、松野さんがF4ファントムのわが国導入に力がある方というふうに思っておりまして、その力をかしていただくについて五億円差し上げる、こういうふうに認識しておったようでございます。
○飯田委員 そうしますと、いまのお話は、海部を取り調べた結果そういうことになった、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 海部氏の調べも一つの材料でございますが、これは海部氏一人でそんなお金のからくりができるわけはございません。相当大ぜいの人がタッチをしておりまして、また、それだけの金を日商岩井が出すにつきましては、相当苦労して出しておりますので、社内的な説明もなされておる面がございまして、関係者あるいは証拠、資料、これが相当程度ございまして、総合して認定しておるわけでございます。
○飯田委員 それでは、この成功報酬の対象になったと言われること、そのことに関連する航空機、これはRF4E機あるいはF4Eファントム戦闘機、こういうもののうち、どの飛行機でございますか。
○伊藤(榮)政府委員 日商岩井で考えておりましたのはF4ファントムでございます。したがって五億円の穴埋めを、最初はF4ファントムの裏口銭で穴埋めしておったのですが、埋め切れないというので、RF4Eが売れたのを機会に、事務所経費と称する裏口銭を取って、一遍に埋めた、こういう経緯になっております。
○飯田委員 松野さんがこの飛行機の売り込みの工作をした、その工作資金として五億円の金が使われた、このようにおっしゃったように理解したのですが、それに間違いないとすると、そういうことが行われました時期は、いつからいつまででございますか。
○伊藤(榮)政府委員 私は、松野さんが工作をするその資金というようなことは申し上げたことがないのでございまして、松野さんに対して差し上げる五億円、こういうことでございまして、渡った時期が昭和四十二年の秋から四十六年の終わりごろまででございますから、F4ファントムの導入問題の沿革と並べて見ますと、最初のうちはまだ導入は決定されておりませんから工作費的な性格を持ち、四十三年の秋に導入が決定されましてからは成功報酬的な意味を持つに至った、こういうことでお答えしておるわけでございます。
○飯田委員 そうしますと、松野さんが防衛庁に働きかけたという、そういう事実があるというふうに御認識でございましょうか。
○伊藤(榮)政府委員 そういう事実については、捜査で把握していないようでございます。
○飯田委員 松野さんが働きかけたかどうかということはわからない、わからないんだが、お金が五億円渡っている、そのお金は工作資金かあるいは成功報酬だ、こういうふうに何かの資料で御認定になったということなんですが、そうしますと、この問題は、松野さんがもらったとしましても、その時期は、先ほどおっしゃった時期は防衛庁長官の時期ではないように思いますが、もし防衛庁長官の時期でないとすると、これは職務権限がない。 そうしますと、その金というものは収賄にはならないのではないか。それからまた、防衛庁に対して工作をしていないというのであるなら、贈賄にもならないのではないかということになってしまうのですが、そういうことになってもいいのでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 確かに御質問のように、収賄罪の構成要件である「職務ニ関シ」という部分が外れますので、収賄には当たらないわけでございます。
○飯田委員 それでは、また別の方面からお尋ねいたしますが、日商岩井が、松野さんが防衛大臣であったというその縁故から、防衛庁には顔がきくであろう、だからその松野さんに頼めば何らか工作をしてくれる、こういうふうに考えて金を渡した、こういうことはあったでしょうか。何か証拠でわかりましょうか。
○伊藤(榮)政府委員 日商岩井としては、そのように考えておったようでございます。
○飯田委員 日商岩井がそのように考えたとしましても、松野さんはそう考えていないかもしれませんね、はっきりとあの人は、そう考えていなかったと言っているのですから。 そうしますと、この問題は、何らかはっきりとした事実を明らかにしなければ、大変な問題になると私は思うのですね。事実をはっきりするためには、松好さんが本当に防衛庁に対して働きかけをしたか、しなかったか、それを明らかにする必要があるのではないかと思うわけです。 そうしますと、それは結局は、松野さんが工作したであろうと言われる先ほどの期間、たとえば四十二年から四十六年、こういう期間ですね、この期間において、相手方の防衛庁の、つまり松野さんが売り込むという先である防衛庁の長官とかあるいはその衝に当たる防衛庁の局長だとか官房長とか、こういうような人にいろいろ聞いてみなければ、松野さんが本当に動いたかどうかわからないと思いますが、そういう点につきまして、お調べになったことはございましょうか。
○伊藤(榮)政府委員 F4ファントムの導入決定の経緯等については、所要の捜査をしておるようでございますが、松野さんが防衛庁関係者に働きかけをしたかどうかというような観点で、防衛庁関係の方からの事情を聞いたというようなことはやっておらないと思います。 と申しますのは、刑事訴追をしております事件の立証上必要なのは、昭和四十二年から四十六年ごろにかけて松野さんに五億円という大金を支出してしまって経理に穴があいた、そういう事実がわかればよろしいわけでございまして、それを調べるついでに判明したことはわかっておりますけれども、それじゃ松野さんがどういう動きをされたかとか、そういうような点は、先ほども御指摘ありましたように、犯罪にならない事実に関することでございますので、検察としては、そこまで踏み込んでいないのでございます。
○飯田委員 ただいまのお話ですと、犯罪にならない事実しかしていないので詳しくは追及しなかった、こういうお話だと思いますが、松野さんがそういう犯罪にならないことをしておった、そうしてお金をもらった、こういうことでありますと、その金は別にやましい金ではないことになるんじゃありませんか。もし、やましい金でないということになりますと、たとえ金額は五億円という膨大なものであろうとも、普通の政治献金に間違いはないということになってしまうと私は思いますがね。 この五億円が政治献金ではないんだ、常識から考えて、政治献金と言うには余りにも大き過ぎるというのであるなら、それが何らか、この防衛庁の航空機を購入するに当たって、松野さんの言動が防衛庁に影響を与えて、そしてその結果日商岩井が出した金だということが証明されなければ、今度の事件について、どうもおさまりが悪いように思います。このままではちょっと、引っ込んでおさめるわけにはいかぬでしょうね。 そうしますと、その点のところを明確にする必要があると私は思いますが、いかがでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 確かに、大臣もときどきおっしゃいますけれども、国民常識から見ておさまりが悪いことは、そのとおりだと思います。 しかしながら、犯罪捜査を職責としております検察としては、犯罪を構成しないということがわかりました時点で、そこから先へずかずかと踏み込むということは、権限の範囲から言っても許されないことでございまして、おのずからわかったことだけわかったというようなことになっておる次第でございます。
○飯田委員 まあ収賄の件につきましては、なるほどないでしょう。しかし、贈賄の点はあるのではないかという疑いは持ってもいいと思います。なぜならば、四十二年から四十六年まで松野さんが動かれた、恐らくは防衛庁の方へも話をかけられたであろうということであれば、その五億円という金の行き先はあるいは防衛庁の方の大官かもしれぬという疑いは、捜査官としては当然持つべきところであろうと私は思います。 そういう見地から、捜査官として、その方面の捜査をなされたのかどうか、なされないなら、どういう理由でなされなかったのか、お伺いします。
○伊藤(榮)政府委員 防衛庁方、面へ金が流れたということを推測させる資料でもあれば別でございますが、まるきり憶測から捜査に着手するということはできないわけでございますし、仮に松野さんがそれを贈賄というような形でお使いになっておったことがあったとしても、すでにして時効が完成して久しい問題でございまして、いずれにせよ、検察権の踏み込み得る範囲の向こう側であったというふうに言わざるを得ないと思います。
○飯田委員 検察権としてはそうかもしれませんが、このたびの松野事件は、大体最初からもう時効の問題、職務権限の問題はわかっておったはずでございまして、それが今日までこのように事件として取り上げられてきたということであれば、もう少し突っ込んで当時の防衛庁長官、防衛庁の各担当局長、官房長、こういうような人にお聞きになるのが至当ではなかったかと思います。 そこで、これは防衛庁にお尋ねしますが、いま昭和四十二年から四十六年の末までの間の防衛庁の責任者の方々のお名前は、具体的にどういうお方であったか、お知らせください。
○上野政府委員 お答え申し上げます。 最初にお願いと申しますか、御理解賜りたいことがございますが、従来、この国会の御審議におきまして、いろいろなテーマで御審議が行われました。本日のような類似のテーマで御審議が行われたことが、余り自慢になることではございませんけれども、幾つかございました。その御審議の際に、すでに防衛庁を退職しておる君たち、それから、退職しておらなくても、いわゆる疑惑と申しましょうか、そういうものにかかわったのではないかという趣旨のお尋ねに関しましての個人の氏名、これは申し上げないで済ましていただいておると申しますか、御了解をいただいておる経緯がございます。 これはくどくど申し上げるまでもございませんけれども、すでにやめておる方々は、市井の地におきまして安穏な生活をしておるわけでございまして、その方々に不測の御迷惑がかかることがあってはいけないと、そういう例があったからこそ問題になったわけでございますが、そういう例もございましたので、やめた方々につきましてはお名前を申し上げるのを差し控えさせていただいております。また現職につきましても、特に当時責任の地位になかった者につきましては差し控えさせていただいておるという状況がございます。
○飯田委員 実は、私がいま防衛庁の責任者の方のお名前をお聞きしましたのは、この人たちを悪いことをしたということで追い込むつもりで申したのではございません。 もし松野さんが冤罪であるなら、これが松野さんの冤罪を解く人なんだから、だからそういう人のお名前を承って、その人から防衛庁の方で事情を聞かれるなり法務省の方で事情を開かれて、もし松野さんが冤罪であるなら解くべきです。もし松野さんが冤罪でないなら、はっきりさせるべきだ。つまり、道義的責任を問うという問題は、松野さんが収賄とか贈賄にかかわったかどうかという問題において、道義的責任を問うということが起こるわけでございまして、それを両者ともないというなら、道義的責任を問うということもないと私は考えるわけです。 そこで、そういう問題を明らかにすることが、やはり人権保障という点から必要ではないかと思いますので、防衛庁のえらい人のお名前をお尋ねしたのですから、誤解のないようにお願いをいたします。私は、こういう防衛庁の方々が収賄されたとは考えていないのです。考えていないからこそ、そういう人たちに、松野さんの贈賄がないというのなら、ないという証明をしていただきたいということのために申し上げたわけでございますので、その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。 それから、こうした収賄があったか贈賄があったかという問題は、中途半端な取り調べではとてもわからないのでして、やはり贈賄の相手方がおりますし、収賄なら収賄の相手方もおる。その相手方を調べる、あるいは相手方から事情を聞くということが必要であろうと私は考えるわけですが、その点につきまして、どのようにお考えでしょうか、お尋ねをいたします。
○伊藤(榮)政府委員 贈収賄事件の捜査の一番の基本は、贈賄者から収賄者へ金が動いたという歴史的事実を把握することでございます。 金というものは一個の物体でございますから、物体がA点からB点へ動けば必ず軌跡が存在する。その軌跡をまず追い求めてまいりまして、その次に贈賄者、収賄者にその動いた金の趣旨を明らかにしてもらう、こういうことが贈収賄捜査の基本ではなかろうかと思っております。
○飯田委員 それでは別の点からお尋ねをいたしますが、松野さんは明らかに今日灰色的な扱いを受けております。 この灰色であるということは、収賄があるいは成り立つかもしれぬということなんですが、そのためには、松野さんが防衛庁長官であった当時に頼まれておった、何か約束があったということが必要であろうと思いますが、そのようなことについて、お取り調べになったことはございませんか。
○伊藤(榮)政府委員 松野さんと海部氏とが知り合いますのが四十二年の初めごろでございます。そのときは、すでにして防衛庁長官、農林大臣を歴任されて、おやめになった後でございますので、当然のことながら、在職中のいわゆる請託というようなものは、存在する余地がないように思われます。
○飯田委員 松野さんがそうした収賄もない、それから贈賄の機会もなかったということであれば、五億円という金は、非常に膨大な金であるけれども、結局犯罪性のない金として受け渡しがなされた、このように御判断でございますか。
○伊藤(榮)政府委員 そのとおりでございます。
○飯田委員 このたびの事件につきましては、実は国会では大変重要視いたしまして、証人喚問をいたしておることは御承知のとおりでございます。そして、そこでいろいろ松野さんから事情をお聞きしておるわけですが、それでもなお疑念が晴れない、あるいは松野さんがうそを言うておられるのではないかという疑念を、多くの人が持っておると思われます。 そこで、私は一つお伺いいたしたいのですが、五億円をもらったということは、松野さんがみずから認めておられることでありますから、間違いない客観的事実であろうと思います。五億円かどうかは知りませんが、五億円に近い金は事実であろう。しかし、松野さんはこれについて政治献金だと言うて証言しておられます。ところが、法務省の方の御答弁によりますと、成功報酬だ、防衛庁に対して売り込みが成功したので、それに対する報酬として日商岩井が払ったのだ、こういうふうに理解をしておられるわけですが、この成功報酬だということが、何か客観的な事実でもって証明されるかどうかが非常に重大な問題となってきたわけです。 この点につきまして、これが成功報酬だということあるいは工作資金だということが、客観的事実で証明できる材料がございましょうか。
○伊藤(榮)政府委員 おっしゃいます客観的事実というのが、どういうものを申し上げればいいのかよくわかりませんけれども、日商岩井側としては、F4ファントムをわが国に導入してもらうために必要な金という認識で出したのでございまして、そのことは、先ほどもちょっと申し上げましたが、日商岩井の当時この金にかかわりました者の共通した認識でございますし、またF4ファントムが導入されたときの採算の問題なんかも計算したり、いろいろしておりまして、そういう関係の資料等も残っておるわけでございまして、そういうものを総合すると、日商岩井側としては、ただいま申し上げたような気持ちで五億円を出したということについては、どうも動かないようでございます。
○飯田委員 日商岩井が成功報酬として出したと、そう日商岩井は思った、それは日商岩井の認識じゃありませんか。この点いかがでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 私は、従来から日商岩井の認識について申し上げておるはずでございます。
○飯田委員 五億円の金が日商岩井から松野さんの手に渡ったという事実、これは客観的事実として何人も承認しておる問題であろうと思いますが、五億円の金が日商岩井から松野さんに渡ったという、その客観的事実をどう解釈するかという問題で対立しておるのじゃありませんか。 松野さんは、純然たる政治資金だというふうに解釈しておるし、日商岩井は、成功報酬だと解釈しておる。客観的事実は五億円の金の受け渡しだけ、それに対する解釈が違う。これは認識の相違の問題にすぎないということになりませんか。もしそういうことであるならば、偽証ということは成り立たないことになりますが、いかがでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 仮に松野氏が収賄罪として刑事訴追をするというような案件でございましたら、徹底的にその辺を詰めまして、相互の認識がそごしておれば、そごしておる理由、その他徹底的に詰めなければならぬわけでございますが、先ほど来申し上げておりますような状況で、要は、日商岩井から五億円という金が松野さんに渡ったという事実が確定できればよろしいわけでございますので、その辺の詰めは、刑事訴追を行います案件に比して、相対的に粗であると言わざるを得ないわけでございます。 したがって、松野さんが御証書になっておりますのが、良心に従って真実をお述べになっておるといたしますれば、日商岩井と松野さんとの間には五億円をめぐる認識の主観的差がある、こう言わざるを得ないと思います。
○飯田委員 この問題は、私は大変重要な問題だと考えます。 松野さんが日商岩井から五億円の金を受け取った、この客観的事実は御当人も認めておる。しかし、それに対する主観的認識が違っておる。的認識が違うというだけで、今度の問題を引き起こしたということになるならば、それは、私は大変重大な問題だと思います。人権を侵害するにもはなはだしいと考えます。 しかし、ただ私は、この問題については、実はもっと深く捜査すれば真相がわかると思うから、したがいまして、人権侵害としてだけで追及しようとは思いません。五億円が渡ったということについては、もっと根本的な調査をおやりになれば、真相はわかるはずではないか。しかし、現在の捜査の段階では、松野さんには何ら犯罪性はないということになってしまいます。道義的責任を問うにいたしましても、犯罪性のないというものを、その段階で道義的責任は問い得ないのです。道義的責任を問うならば、犯罪性はあったのだけれども、あるいは時効になったために、これはだめだった、いわゆる灰色だということになって、初めて政治的責任が問い得るのではないか、こう思います。 そこで、私は防衛庁に少しくお尋ねしたいことがあります。それは、もちろん法務省にも関連をするわけですが、航空機を購入なさるに当たって、防衛庁は、会計法の二十九条の三の四項によって購入したとおっしゃっております。つまり日本で契約をできる場合である、こういうことでおやりになった。そうではありませんか。
○田中説明員 お答えいたします。 航空機を完成機として輸入する場合でございますが、その場合は、航空機を製造しております外国のメーカーと代理店契約を結んでおるわが国の商社が、わが国において販売権を独占的に保有しておりますので、競争が許されない場合に該当するということ、それから、輸入機でございませんで、わが国において生産される航空機を購入する場合には、わが国の航空機産業界の実態から見まして、航空機の製造についての技術能力、それから設備力等の面から、製造し得る企業がおのずから限られるということで、いずれの場合においても、会計法二十九条の三第四項により随意契約をいたしておるわけでございます。
○飯田委員 会計法という法律は、これは日本の法律でしょう。日本の法律というものは、日本国一内に施行されるものである。外国に行われるものではないのですね、日本の国内で行うものですね。明らかに会計法は日本のお役人さんに対する規制法です、会計屋さんに対する規制法でしょう。 それで、先ほどおっしゃいました国産の飛行機を日本の国で購入する場合は、技術の問題等があるから、これは随意契約でやってもいい、こういう趣旨の規定が二十九条の三の四項。外国にある品物を外国の商社から買う場合と、話が違うじゃありませんか。外国にある品物を外国の商社から買うのだったら、外国に行って買わなければならぬはずです。わざわざ日本で、その外国の商社の代理店をつくって、その代理店と契約を結ぶというやり方は、一種の脱法行為じゃありませんか。どうですか。
○田中説明員 いま御質問の場合でございますが、外国から買う場合、それが国内でライセンス生産をしないような機種であります場合は、外国のメーカーが販売上の便宜性それからサービスの供与が容易になるということから通常商慣行としまして購入国にある商社を代理店と指名しまして、その商社が当該国のユーザーと契約するという形態をとっていると承知しております。
○飯田委員 それは、行政官が行政のやりやすいためにお考えになった解釈なんで、この会計法の二十九条の三の五、項において、初めて外国で契約する場合の問題が規定されておるわけです。外国で契約する場合の規定があるのに、わざわざ国内で契約を結ぶために代理店をつくったとしか考えられない。そういう疑いを受けてもしようがない状況であります。 そこでお尋ねしますが、代理店を通じて契約を防衛庁がなさったのは、これは何びとかの要請に基づいてなさったのでしょうか。
○田中説明員 お答えいたします。 外からの要請等に基づくものではなく、防衛庁におきまして所定の規定によりまして、要求元であります航空幕僚監部が、調達実施を担当いたします防衛庁調達実施本部に要求をして契約をし、購入したものでございます。
○飯田委員 防衛庁が航空機を買い求められるときに、調査団を派遣されたことはありませんか。
○上野政府委員 お答え申し上げます。 大きなプロジェクトの場合におきましては、しばしば航空機の調達に関しまして調査団を派遣をしております。
○飯田委員 その調査団を派遣されたのは、どういう意味で、何のために派遣されたのですか。
○上野政府委員 何分にも大変大きな国費を要するものでございますし、長い期間調達を続けるものでございます。防衛上の見地を主にいたしまして、調達上の諸問題、いろいろな問題がございますので、それらを総合的に遺漏なく調査するために、調査団を派遣するわけでございます。
○飯田委員 その調査団を派遣しまして、どこの会社から、どういう飛行機を、幾らで買えるかということは調査なさったのでしょうね。値段を調査しましたか。
○上野政府委員 まず性能、それから価格、その他ございますが、そういうようなものを主にして調査いたしております。いろいろな航空機を調達しておりますが、それらによって多少違いますけれども、大きなところはそういうところでございます。価格面も、場合によりましては、その機種によってなかなか価格がわからないというものもございます。たとえば次期戦闘機について何機種も調査するわけでございますから、その全部の機種につきまして、全部一様にわかるという性格のものではございません。
○飯田委員 防衛庁の契約担当官おいでですか。担当官がおいででなければ、そのことがわかる人にお尋ねしますが、当時の契約担当官は、なぜ直接契約を要求しなかったのか。つまり、膨大な国費を要する問題なら、代理店を通じて買うよりも、直接アメリカへ行ってお買いになった方がいいではないか。つまり、契約担当官を外国に派遣して直接契約を結ばれる、それで事足りると私は思いますが、それをなぜ契約担当者として主張されなかったのか、その辺のことについてお答え願います。
○上野政府委員 先生の御質問の対象がよくつかめていないかもしれませんけれども、たとえばF4調達の場合に例をとりますと、次期戦闘機を購入する——いきなり契約担当官を派遣するということにはならないわけでございまして、まず海外資料の収集を行う。 〔青木委員長代理退席、鳩山委員長代理着席〕 それから、その収集した資料を持ち帰りまして、そしてある程度その中で選びまして、実現性のある機種を幾つかにしぼりまして、さらにそれについて詳しい調査に参る、これは性能とか価格という面も含めますけれども。 そうして、いよいよこれだなと決まってから、こういうものを買うのだという一つの機種にしぼりまして後に、その契約担当官、調達実施本部長、支出負担行為担当官でございますが、これが要求元の要求、F4の場合には航空幕僚監部でございますけれども、その要求元の要求を受けまして、少しでも安く買おうという立場から乗り出してくるわけでございます。契約担当官の出番はその際に起こるわけでございまして、当初から外国の地に赴きまして調査をするというやり方は、とっていないわけでございます。
○飯田委員 あなたはその当時の契約担当官じゃありませんから、あなたにお尋ねしても無理だということを重々承知しながらお尋ねしたので、悪かったと思いますが、契約するに当たりまして、先ほどおっしゃったように、防衛庁から調査団を派遣されますね。そのときに価格も調査した、その価格はわかっておるはずですね。 それで、そのときの価格で、そこで契約を結ばれればいいのですが、それをおやりにならないで、わざわざ日本の代理店で契約を結ばれたことになるわけですが、それは、実際やられたのだから、それでいいとして、その代理店で結ばれたときの価格と、調査団が調査した価格と比較して、どちらが安いかを検査されたことがありますか。
○田中説明員 お答えいたします。 一般に輸入品を購入する場合に当たりましては、類似品それから過去にやっておった前例価格等のほかに、諸外国における同種装備品の調達価格を参考にしまして、価格を決定しておるわけでございます。 代理店を通じます航空機の例といたしまして、RF4Eについて申し上げますと、当時すでに同機を導入しておりました外国の調達価格をできるだけ調査いたしまして、価格の妥当性を確認した上で契約を行っておるものでございます。したがって、調達価格は適正妥当なものであると考えております。
○飯田委員 あなたはそう勝手におっしゃってもわからないので、幾ら幾らで、調査した価格が幾らであった、代理店価格は幾らであったと、具体的な数字を示してお話しにならぬと、これはわからない。 きょうは、どうせ準備しておられぬと思うから、これ以上追及をいたしませんが——準備しておりますか、しておられたら言ってください。
○田中説明員 一般的に、外国の調達価格につきましては、当該政府との関係もございまして公表しないことといたしております。 ただ、先ほど申し上げましたRF4Eにつきましては、わが国の契約単価は約十七億円でございますが、同機種を導入いたしております西独の単価につきましては、国防白書によりましても、相当大幅に西独の価格が上回っているという確認を いたしまして、契約をしたわけでございます。
○飯田委員 こういう問題につきまして、日商岩井のもうけも入っているわけでしょう。それから、日商岩井が松野さんに差し上げた五億円も入っていますね。そのほか、いろいろの無用の金が入っている。 これを防衛庁が本当に慎重に構えられて、日本国家のためを思い、会計法の精神に本当にのっとっておやりになるなら、直接外国に出かけられて契約を結ばれたはずなんです。そういうふうにおやりになるのが、これからのこうした汚職を防ぐ唯一の道ではないかと思いますが、いかがですか。
○田中説明員 お答えいたします。 防衛庁が直接外国メーカーから購入いたします方法もあるわけでございますが、この場合には、在外調達ということの性質上、外国に派遣する調達要員それから在外調達事務所経費が要るということ、それからそのための準備期間も相当長期間を要すること、その他契約に伴います種々のリスク、それから紛争の処理についての業務を国みずからが負わなければならないということ等のために、現在この方式はとっておらないところでございます。RF4Eの契約に際しましても、以上のような理由から、直接外国メーカーとの契約によらず、商社を通じます一般輸入方式によったわけでございます。
○飯田委員 こういう問題につきまして、このたびの松野事件に関しまして、法務省の方では調査をなさったことはございませんでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 私ども、防衛庁の調達されます価格が適正かどうか、そういった点までは調査いたしておりません。
○飯田委員 会計検査院の方、おいでになっていると思いますが、お尋ねいたしますが、防衛庁の航空機購入につきまして、代理店方式と直接契約方式とあることは御存じと思います。 代理店方式をとるために直接方式をとらなかった、こういうことについて、会計検査の際に何か不思議な点を感じなかったかどうか、あるいはそのほか防衛庁の航空機の購入の問題につきまして、汚職介入の要素があるといったような問題について、何かお気づきになったことはないでしょうか。
○藤井会計検査院説明員 お答えいたします。 最初の件でございますが、外国のメーカーから製品を購入する場合は、その主なる経費を考えてみますと、品代と運送費であろうと思います。ところが、このほかにメーカーとの見積もり聴取とか、あるいは価格交渉をするとか、あるいは契約を締結する、あるいは給付を確認するといった仕事もございますし、また工場から、いわゆる受け渡し場所から、アメリカならアメリカの港まであるいは空港までの運送の手配をしなければならぬ、あるいは物によりましては、そこにおきます倉庫の手配とか再梱包の手配あるいは通関の手配、そういった数々の手数と費用が考えられます。また、日本に到着いたしましてからも、港における取り扱いの手配とか、あるいは通関あるいは運送の手配、そういったいろいろな手数と費用がかかるわけでございます。なおそのほかに、到着後その納入品に瑕疵がありました場合には、かわりのものを納入させなければならないとか、あるいは補修させなければならない、あるいは損害賠償の交渉をメーカーと直接行わなければならない。満足なものを得るためには、たび重ねてそういう交渉が行われることと思われます。 このような数々の仕事を処理する場合には、やはり相当の要員を置かなければならない、事務所も置かなければならない。このような場合に、この要員とかあるいは事務所経費、そういった固定費は、取り扱いの件数が多ければ多いほど、単価的には安くなると思われます。ところが、購入事例が少ない場合ですと、やはり単価的に大幅な負担になるというふうにも考えられます。商社の場合を考えてみますと、輸入品の取り扱いが非常に多い。そうしますと、そういう固定費の関係が単価的に安くなるだろう。防衛庁におきます航空機あるいは部品の購入を例にとりますと、先ほどの後者の事例になりますが、購入事例が案外少ないわけでございます。したがいまして、単位当たりの費用が高くなる、大きな負担がかかるのじゃなかろうかと思うわけでございます。 さらに、もう一点つけ加えさせていただきますと、メーカー等が倒産した場合、昔、例がありますが、そういうような不測な事態が生じた場合には、商社の場合ですと、商社に賠償させるということも考えられます。ところが、直接の購入でございますと、外国におけるメーカーと外国において訴訟をやらなければならない、そういったこともありますので、非常にむずかしい問題であろうというふうに考えているわけでございます。 なお、検査の点でございますが、先生御案内のとおり、F4Eファントムの購入につきましては、昭和四十四年に第一回の契約が行われました。その後、六次にわたりまして、五十二年度の契約で一応百四十機の製造を三菱重工に請け負わせておるわけでございます。また、RF4Eのファントム型偵察機につきましては、四十七年度に日商岩井から購入しているわけでございますが、これも四十九、五十年度に納入されているわけでございます。 この間、私どもにおきましては、これらの製造あるいは購入の契約価格につきまして、あるいはその生産状況につきまして検査いたしました。また、部品類の購入契約につきましても、それから整備機材の製造請負契約につきましても、一応検査を了しております。 その結果、四十七年度でございましたでしょうか、ボルト類の調達に当たりまして、国内メーカーの原価を調査する方法におきまして不手際があったということで、結局、高価な買い物をしてしまったという事例がございましたので、これを四十七年度の検査報告に掲記してございます。 以上でございます。
○飯田委員 航空機関係はこれで一応終わりまして、金大中事件について御質問を申し上げたいと思います。 新聞報道によりますと、今回明らかにされました金東祚・スナイダー会談の秘密報告につきまして公電があった、こういうふうに書いてありますが、この公電内容が政治決着を見直す新事実に当たるのではないかといったような報道がなされておりますが、この点に関しまして、どのように御見解をお持ちでしょうか、お尋ねいたします。
○三宅政府委員 お答えいたします。 すでに先生御案内のとおり、百四十四点の資料がアメリカから届きまして、すでに公開しているわけでございます。その中に、いま御指摘のありましたスナイダー大使発の電報がございます、 私たちは、まず百四十四点の資料を十分分析いたしまして、必要に応じましてアメリカ、韓国にそれぞれ照会したわけでございます。それに対しまして、アメリカ側はノーコメントという立場を維持しております。韓国の場合も、スナイダー電に関しましては、その金東作当時の外務大臣に聞きましたところ、記憶がない。韓国の外務部の方も、記録を当たったけれども、記録がないというような状況でございます。 私たちがとりあえず分析したところでは、必ずしも、現在の段階において公権力の介入があるという事態、そういう証拠をまだ得られていないというのが実情でございまして、もちろん今後とも真相究明のために格段の努力をしてまいりたいと思っておりますが、現在までの感触はそういうところでございます。
○飯田委員 ただいまの御説明にありました公電、これは米国ではもうすでに情報がございまして、KCIAの犯行である、こういうふうになっておる、こういうことでございますが、こういう情報は外務省に入手されておりますか。
○三宅政府委員 今回、アメリカ側が発表しました面四十四点、その中には極秘の書類、それから秘の書類も入っております。当然ながらわれわれ承知しておりますし、それ以外にも、情報としてはいろいろな情報を承知しております。 ただ、中身につきましては、第三国との関係もございますので申し上げられませんが、情報としては、いろいろな情報を外務省は当然ながら得ております。
○飯田委員 その情報が政治決着を見直すもとになる新しい事実だ、こういう判定をするのは、これは外務省でおやりになるのでしょうか、それとも、どこかでおやりになることになっておりますか。
○三宅政府委員 これにつきましては、まず与えられた資料を外務省でとりあえず分析いたしまして、それから捜査当局の方に資料も渡しまして、捜査当局の意見も踏まえまして検討した上、それが公権力の介入に当たるものであるかどうかということを総合的に判断するという仕組みになっております。
○飯田委員 政治決着の見直しという言葉がよく言われますが、このことの具体的な内容はどういうことでしょう。 つまり、過去において韓国と日本政府とが行った解決、これを御破算にして、なかったものとして、もう一度やり直す、こういう意味なんでしょうか。それとも、そうじゃなしに何か別の、前のものは前のものにしておいて、別のものをまたつくってくっつける、こういう意味でしょうか。その点、どうですか。
○三宅政府委員 政治決着を見直すということは、当然ながら、すでに総理大臣が本会議でも申し上げておりまするように、慎重に検討しなければならぬという問題でありますけれども、仮定論としまして、それでは政治決着見直しというのは、どういう態様があり得るかという御質問でございますが、これはそのときの状況によりまして、たとえば陳謝とか、たとえば原状回復と申しまして金大中をこちらに連れてくるとか、それからその他賠償の要求とか、ケース・バイ・ケースによりまして、必ずしも政治決着の見直しというのはどういうものであるかということは決まっておりません。
○飯田委員 日本政府は、この金大中事件につきまして国際的刑事事件だ、こういうふうに、これまでも何回も言うてきたということになっておりますが、この際、その国際的刑事事件として捜査された捜査結果を公表なさる御意思はございませんか。
○鳴海説明員 警察は、捜査本部を事件当初いち早く設置いたしまして、今日に至るまで鋭意捜査に当たっておるところでございます。 これまでの捜査の過程に得られました結果といたしまして、たとえば金東雲当時の一等書記官を重要容疑者として割り出す、あるいは当時横浜の領事館に勤務していた劉永福副領事、この方の車が犯行に使用された疑いがあるということを割り出すなど、成果を上げつつ今日に至るわけでございますが、ただ、これについての捜査結果の中間発表とかまとめての発表ということは、先生御案内のとおり、現在ただいま事件はなお継続捜査中でございます。捜査継続中に事件の内容をいろいろと公表するということは、今後の捜査運営上非常に支障となる面も多々ございますので、この点御了承願いまして、また国会の方で先生方からいろいろ御質問がございますれば、捜査の運営上支障にならない範囲で、私どもお答えさせていただくということで御理解願いたいと存じます。
○飯田委員 先般の政治決着は、伝えられるところによりますと二回あった、こう言うておりますが、その政治決着をするに当たりまして、KCIAが関与していたという疑いは全く晴れてしまった、だから政治決着を行われたのではないでしょうか。いかがですか。
○三宅政府委員 いろいろな情報その他、報道としてはいろいろございますが、政府といたしましては、KCIAが関与したという確実な証拠を得るに至らなかった、したがって、公権力の介入というものがあったという確実な証拠がなかったということでございます。
○飯田委員 そうしますと、この事件についての捜査は、もうそのときに終わっておったのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。まだ今日もやっておいでですか。
○鳴海説明員 私ども捜査当局が捜査をいたしておりますのは、この特別捜査本部の名称にもございますように、金大中氏逮捕監禁略取誘拐事件特別捜査本部ということで、この三つの罪名を糾明していくということで捜査本部を設置してやっておるというところでございます。 そういうことでございますから、いろいろ私どもの捜査の結果でわかりましたことの中には、被疑者というのが全部で六人いたというようなことでもございます。そういたしますと、先ほど申しました金東雲という人物は、これはこの容疑者の一人である、他の共犯者ということについては、いまだ割れていないということがございます。 それから、金大中氏は東京において逮捕監禁、略取誘拐されたわけでございますが、その結果、数日後でございますか、韓国にあらわれたということでございまして、この間において、どういうルートによってこれが運ばれたのかということについても捜査をして、解明をしてまいらなければならない、略取誘拐という罪の部分でございますが、そういうことで、われわれとしては、今後とも継続して鋭意捜査をしてまいるということでございます。
○飯田委員 それでは、現在の金大中事件の捜査体制というものがおありですね。それはどういうようになっておりますか。
○鳴海説明員 現在の特別捜査本部の名称につきましては、先ほど申し上げましたので省略いたしますが、現在もなお約二十名の捜査体制をしきまして、捜査を継続いたしておるということでございます。
○飯田委員 犯人につきまして最も重大な疑惑は、金東雲一等書記官の指紋による割り出しだ、こういうふうに言われておりますね。それ以外には、それが起こりました以後、そのような証拠はおつかみになったことはありますか。
○鳴海説明員 ただいま先生仰せのとおり、被疑者金東雲を割り出しましたのは指紋によるわけでございます。 しかし指紋のみではなく、複数の目撃者の証言もあるわけでございまして、こういったことから被疑者であると割り出したわけでございますが、何と申しましても、確信と申しますか、決め手となったものは指紋でございます。
○飯田委員 ICPO、つまり国際刑事警察機構というのがございますね。これは日本も韓国も加盟しておると思いますが、この機構を通じて、真実の容疑者の捜査及び引き渡しその他のことを行うのは困難でございますか。
○鳴海説明員 これはICPOという機関の性格に係る問題でございますが、この金大中氏事件と申しますものは、すでに御説明の要なく、元韓国大統領選挙の候補者でございました金大中氏が略取誘拐された事件であるということで、日韓両国政府が重大な関心を持っている事件であることは申すまでもないところでございます。 しかるに、このICPOと申しますものは、専門性であるとか迅速性という要請から、外交ルートを補完するものとして構成されたものでございます。この種事件、金大中氏事件のようなものについては、取り扱いはより慎重を期さなければならぬということから、ICPOルートによるよりは、外交ルートを通じて相手国に協力を依頼する方がより適切であるということで対処し、当初より今日に至っているということでございます。
○飯田委員 いままでいろいろ御説明を承りまして、金大中事件につきましては、捜査当局はまだ怪しいというふうに思うておられるように受けとめましたが、そう受け取ってよろしゅうございますか。
○鳴海説明員 いまだ捜査を継続すべき事件であるというふうに考えております。
○飯田委員 そうしますと、さきの政治決着が行われましたのは、実は政府としては、金大中氏がKCIAによって拉致されたということは、あるいはそうかもしれぬ、多分そうであろう、こう思いながら政治決着をつけられたように思われますが、そうでありますと、この政治決着をつけられました背景に、何か別のものがあったのではないかと思われますが、いかがでしょうか。
○三宅政府委員 政治決着は、先生御案内のとおり二回ございます。 第一回、要するに外交決着でございますが、そのときに、第一は、犯人の処理と監督責任者の処分については責任を持ってやる、そしてその捜査結果を通報する、また金東雲の監督責任についても相応の措置をとるということでございます。それから第二点は金大中の自由の問題、第三は陳謝、それから第四が将来再びこのような事態を起こさないという四点ございます。 このような四点を盛りまして、当時の総理がわざわざ韓国から来て総理に会いまして、いろいろと話し合ったわけでございます。その結果、事件の捜査は捜査として継続するにしても、やはり日韓関係の友好関係にかんがみて前の状況に戻そう、しかしながら捜査は捜査で続けるということでございます。 その捜査の点が実は残りまして第二次決着、これは先生御案内のとおりに、七五年の七月二十二日に、口上書をもって金東雲の行政処分について通報を受けたわけでございます。 そういうことでございまして、日韓の大局的な見地から当時の日韓の最高首脳が決められたということで、それ以外のものは全く何もないというぐあいに承知しております。
○飯田委員 国際間で決着をつけましたその問題を蒸し返してまた問題にするということは、国際法上どういうことになるでしょうか、あるいは国際慣例としてはどういうことになっておるでしょうか、お尋ねします。
○三宅政府委員 このような政治決着についての国際法というものが特にあるわけでございません。したがいまして、いわば二国間の間におきまして決められた決着というものいかんということになるわけでございまして、一般論でなかなか申し上げにくいわけでございます。 したがいまして、一たん政治的に決着したということは、それなりの、その二カ国間の大きな重みを持っておるわけでございます。いま、すでに申しましたように、それに該当する国際法というものが特にないわけでございまして、国際法上の問題ではない。したがいまして、この問題についての見直しというものは軽々に行うべきでない、そのことは、決して今後とも真相を追求しないということでは全くございません。
○飯田委員 国際間で一たん決着をつけた問題は、いわゆるこれを見直しするということはなかなかむずかしい、こういうことは最初からもうすでにわかっておるわけですね。わかっておいでになっておるのに、この前に、特別の新しい事態になれば見直しをするとか、あるいはこの金大中事件については、いろいろ問題はあるけれども、一応はこれで決着をつけるとか、いろいろなことがなされてきたわけなんですが、そういうことを一方から見れば、軽々しくやったということになるでしょうね。 つまり、もっと慎重にやればいいものを、軽々しくやってしもうて、国際間で一たん決着をつけたものをいまさら蒸し返すのは恥ずかしい話だ、日本国の体面にかかわる恥ずかしい話だということになってしまいますね。つまり、対外的にはですよ。国内的には問題でしょう。国内的には、政府のやり方はだめじゃないかと言うて非難はできます。しかし、外国と日本と行った問題について、これを再び直すということになりますと、これは日本国の責任じゃありませんか。そういうことにはなりませんか。
○三宅政府委員 当時の政治決着をいたしますときに、捜査は依然として今後も続けるということになっております。それで、捜査の結果、公権力の介入を示す新しい証拠が出てきた場合には、外交的決着を見直すことはあるということは、すでに先方にはっきりと伝えております。 したがいまして、そういうような公権力の介入があるという新しい事実がある場合には外交的に見直す、そのこと自体がすでに了解になっておりますので、そういう事態になった場合には、もちろんそういうことでございますが、先生御指摘のとおり、やはり一つの政治決着は政治決着として、大平総理がすでに述べられたように、軽々に言うべきことではないということを言ったとおりでございます。
○飯田委員 おっしゃったことが私はどうも理解できないのですが、KCIAがわが国の主権を侵したということがわからないので、したがって前に政治決着を結んだ。 ところが、そのときの約束で、将来、KCIAが日本の主権を侵したということが明らかになれば、この決着をもう一度見直す、こういう約束ができておるといまおっしゃったように思いますが、それは一体どういうことを意味するでしょうか。 決着をするときには、実際はKCIAの者であるであろうという疑いは持っておりながら決着したのでしょう。そうしておいて、後になってKCIAが行ったんだということが正確に明らかになったときには、これはもとに戻すというふうに、そういう約束を結ばれたということ自体が何か矛盾するんじゃありませんか。現在、大平総理が、見直しをするのは困難だ、しない方がいいとおっしゃっているのは、結局、初めの約束があいまいだからではありませんか。
○三宅政府委員 政治決着の中身自身は決してあいまいではございませんので、その当時全力を尽くして日本側も捜査いたしましたし、また韓国の方でも捜査した。韓国側といたしましては、公権力の介入は絶対してないということを言っております。 先ほど申しましたように、諸般の事情、四つの点につきまして、はっきりした了解が得られ、したがいまして、政治決着はするけれども今後とも日本側で捜査を続ける、そうして、新しい公権力の介入があるという事実が発見されれば金大中事件を見直す、政治決着を見直すということ自体は、はっきりと先方側に伝えてあるということでございます。
○飯田委員 あなたのおっしゃることは、それでそれなりに一通りの理由があると思いますが、私がいまお尋ねをいたしておりますのは、端的に申しますと、韓国政府は、たとえ金大中さんをKCIAがさらったのだということがわかっても、そうでないと言い切るのではありませんか。つまり証拠はないでしょう。先方のおっしゃることをそのまま日本政府がはいと言うて聞く態度をとる限り、やはり相手の言うとおりのことになるのではありませんか。そうすれば、約束そのものが実はあいまいなものだ、結局、効果のない約束をしたのだということになりませんか。
○三宅政府委員 もちろん、韓国側のことをうのみにするということではなしに、だからこそ日本側において今後とも捜査を継続し、新しい事実が見つかった場合には、再び外交的決着を見直すことがあるということでございます。
○飯田委員 大体あなたのおっしゃることはよくわかりましたが、私どものいま見ておる限りでは、アメリカの方の公電があったとしても、アメリカの方の公電でアメリカの方が、これはKCIAのやったことだということを幾ら証言したとしても、韓国政府の方で、それは知らぬ、それはアメリカが勝手に言うておることで、実はそういうことはないのだ、こういうふうに言い切ってしまえば、ないことになりますね。客観的事実があっても、主観的な判断でもって、ないと言い切れば、なくなるのじゃありませんか。その点はどうでしょうかね。
○三宅政府委員 アメリカの電報につきましては、米側にいろいろと照会しております。とりあえずでは、ノーコメントである、要するに、日韓の問題につきましてアメリカとしては介入したくない、したがってノーコメントであるということでございます。 先生御指摘の電報は、スナイダー大使から国務省あての電報でございまして、それと国務省がどう判断しているかということは、また別問題でございます。したがいまして、米国務省の正式な見解をわれわれは照会すべくやっておりますが、現在、先ほど申しましたように、日韓の問題には介入しない、ノーコメントであるということでございます。
○飯田委員 アメリカの方で、もし、KCIAがやったということをアメリカ政府が認めたといたしましよう。その場合でも、韓国は、そうではないと言い切るといたしましょうね。韓国はそう言い切ると思いますよ、そう言わざるを得ないから。その場合に、どういう措置をとられますか。アメリカの言うことを信じられますか、韓国の言うことを信じられますか。
○三宅政府委員 これは非常に仮定論でございまして、いかなる状況で、いかなるようなことが、どのレベルの人がどう言ったということでないと、私たちとしては、仮定論でございますので、いまはっきり一般論としては答える立場にないわけでございます。
○飯田委員 わかりました。終わります。
○鳩山委員長代理 次に、沖本泰幸君。
○沖本委員 私は、再審制度について御質問いたします。 ある社説に「再審の門を広げよう」こういうのがあるわけですが、その中で いま、一人の女性が、一通の要請書への署名運動をしている。宮城県で起きた松山事件(強盗殺人、放火事件)の犯人として、死刑が確定した斎藤幸夫(四八)の姉、斎藤たみ子さんである。 仙台地裁で調べていた同事件の再審請求の審理が終わり、近く決定が下りる。たみ子さんは、気が気ではないのだ。そこで、裁判長あての「再審決定要請書」を作り、署名を集め始めたのだ。佐野洋、木下恵介、市川房枝、林家正蔵さんら三十五人が署名した最初の要請書は、二か月前に同地裁に提出された。 ところが、たみ子さんには新たな不安もある。「こうした要請書はまずいでしょうか。裁判官をおこらせやしないでしょうか」というのだ。要請書の書き出しと、結びの部分は次のようだ。 「松山事件は死刑にかかる再審事件であるだけに、そのご心労はいかばかりかと拝察申し上げ、深く敬意を払うものであります」「ここに貴裁判所のご英断による再審開始のご決定を、衷心から懇願申し上げる次第であります」 このいかにも控え目な文章ですら、裁判に対する圧力にならないかと、たみ子さんは恐れている。裁判の公正さを信じ、裁判所の権威を尊重する平凡な姉の期待が裏切られないことを、私たちも心から祈らずにはいられない。 来月七日には、強盗殺人罪で死刑が確定した財田川事件の谷口繁義(四八)の再審請求に対する決定が、高松地裁から出される。やはり、明るい結果を期待したい。死刑確定事件で再審が始められると、わが国の裁判史上、初めてのことになる。 加藤老事件、弘前大教授夫人殺し事件(五十二年)、米谷事件(五十三年)と、最近、再審裁判の無罪判決が続いている。人間が裁く限り、誤った判断は避けられないかもしれない。しかし、誤判は、早く訂正することで、その傷口をいやすことができる。そのために再審の制度がある。その制度が、ようやく機能を発揮するようになったのは、喜ぶべきことだ。 その傾向を促進した最高裁第一小法廷の「再審開始の新証拠についても、疑わしいときは被告人の利益に、という刑事裁判の鉄則が適用される」(五十年五月、白鳥事件決定)という新判断は高く評価される。しかし、それでも、現行の刑事訴訟法が再審の条件としている「新証拠の新規性と明白性」あるいは「偽証の確定」などの規定は、あまりにも厳し過ぎる。 このため刑事訴訟法の再審規定を緩和することが必要とされる。 先月、西宮弘氏ら六衆議院議員(社会党)が再審法改正案(刑事訴訟法の一部改正案)を衆院に提出した。それは、日本弁護士連合会の草案ともほぼ一致する。現行法の再審条件である「明らかな証拠を新たに発見したとき」を「事実の誤認があると疑うに足りる証拠を新たに……」と改めることや、再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを禁止することなどを柱としている。 再審によって、真実の発見と人権の尊重が前進することは、「法の安定」と「司法の威信」を高めることにもつながる。再審法の改正に国会が真剣に取り組むことを強く望む。 こういうことでございます。この内容につきまして、最高裁の方と法務省の両刑事局長から御意見を承りたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 この世の中に誤判というものがあってはならないと思います。 さてそこで、再審制度を考えます場合にまず考えなければならないのは、再審でないもともとの裁判をいかに公正妥当にやるかということでございまして、人間というものに過ちが絶対にあり得ないとは言えないということを強調いたしますと、一審、二審、三審でも済まないのではないか、四審、五審とやるかどうかというようなことが問題になるわけでございます。国によっては二審限りのところもあるようでございますけれども、わが国は、多くの先進国と同じように三審制度をとって、そこまで裁判所に判断してもらった以上、その結果について何人も一応納得して決着をつけようということで、できておるわけでございます。 そこで、今度、それだけの慎重な手続をとっても、なお間違った裁判を受けた人があらわれてきたという場合のために、再審という制度が設けられておるわけでございますが、この再審制度につきましては、一方において一審、二審、三審まで人知の限りを尽くして事実を確定し、裁判を行ったという社会的事実、これを根本から揺るがせるような緩やか過ぎる再審制度というものは、これまたいかがかと思われるわけでございます。そのために、かえって再審でないもとの裁判というものの権威が地に落ちてしまうということではならないと思います。 さりとて、三審まで手を尽くしたのに誤った裁判があったというものが救えないようなものでもしょうがない、そこの兼ね合いをどうとるかということが最も重要なことであろうと思います。外国の中には再審というものをそもそも認めない国もありますけれども、ヨーロッパを中心とする多くの国が再審制度を認めておりますのも、そういう趣旨であろうと思われるわけでございます。 さてそこで、わが国の再審制度の間口の広さというものを諸外国と比べてみますと、先ほど御指摘の白鳥決定が出まして以来の運用に徴しますと、諸外国の中でも決して狭い方ではなくて、どちらかというと広い方になってきておると思うわけでございます。 さて、それでは日弁連が御提案になりあるいは社会党が国会に御提案になっております再審改正案の間口の広さというものを拝見いたしますと、率直に申し上げまして、再審でないもとの裁判の上告理由よりも広がっておるわけでございまして、これはちょっと行き過ぎではなかろうか。上告の理由にもならないようなもので再審を開始するということになりますと、本当の間違った裁判を受けた人でない人たちがいろいろ言いがかりをつけて、せっかく最高裁までいって安定した法的状態、これを争ってくるということになりますと、司法の権威というものは、そういう面で崩れがちになりはしないかと思われるわけでございまして、私どもの法務省の立場としては、白鳥決定を踏まえた現在の再審の間口の広さ、これは広からず狭からず適当なものであろう。 ただ、その間口を出入りされる方のいろいろな手続上の問題については、不備といえば不備、もっと改善すべき点もあるように思いますので、鋭意検討いたしておるわけでございまして、そういう面におきましては、日弁連の御提案あるいは社会党案の中には十分傾聴に値するものもあるように思っておる次第でございまして、率直に現在の認識を申し上げさせていただきますと、ただいまのようなことでございます。
○岡垣最高裁判所長官代理者 では、裁判所の立場から申し上げます。 再審という問題、つまり、すでに裁判を三審までやって確定したものを、どの程度の問題があれば、それをぶち壊してもう一度初めからやり直すかという問題につきましては、これはどこで線を引くかという一つの立法政策の問題でございまして、ただいま法務省の刑事局長がお答えになったこと以上に、私ども何もつけ加えることはないわけでございます。いずれにしましても、裁判所としては、現在ある法律の中で国民の信頼を得られるように最善を尽くすということ以外にはないというふうに考えておるわけでございます。
○沖本委員 従来からの再審を請求する場合請求した方の側が再審制度の中に自分の求めるものを取り上げてもらえないという隘路というようなものの内容、それはそれなりに裁く方の側、いわゆる刑事事件であれば検察庁なり裁判所の方の御意見もいろいろあり、いろいろな御都合もあるとは思いますけれども、最近は法曹三者のお話し合いもとみに進み出した現状でもあるわけですから、同時にまた、先ほど申し上げたとおり、日弁連からも草案が出ておりますし、あるいは社会党からの御提案もあるわけですから、ただ出たその案をそのままごり押しに通すということで、それを認めなさい、こういう意味合いでなしに、そういうものを一つの契機にして、過去からいろいろ議論されている問題を一つのまないたの上にのせて御議論をしていただいて、過去から隘路であるものが一歩でも二歩でも前進して開かれていって、国民が信頼するところの司法としての役割りを十分果たしていただくということになっていただければより一層だと私たちは考えるわけです。 そういうためにも、こういうふうに、マスコミの方でも社説としてこの問題点を指摘していらっしゃる面もあるわけですし、それからまた、細かいことに触れる前に、これも新聞の中で、冤罪についての本がたくさん出だしたということで、この裁判の構造そのものに問題点があるのではないかということから、いろいろと紹介記事が出ております。その中にも また「日本の刑事裁判」では、「何人も自己に不利益な供述を強要されない」など基本的人権を保障した憲法の規定が刑事訴訟法によって骨抜きにされ、人権抑圧的な戦前と変わらない自白至上主義がまかり通っているところに、冤罪、誤判の生まれる土壌を見ようとする。 これは出版された本の中身をとらえて、こういうふうに記事にしていらっしゃるわけです。また陪審制の復活、いろいろな問題が議論されてきておるわけですけれども、こういう問題を中心にして、やはりお互いに先へ進んでいき、より公正な道を選んでいくために苦悩もしていただくし、苦労もしていただく、こういうことであっていただきたい、こう考えるわけです。 そこで、この社説の中にもありますが、「再審理由としての証拠の「明白性」」ということで 証拠の明白性の要件については、例えば戦前の大審院決定に較べても厳しく、殆どの再審請求はこの明白性の点で挫折したといってよいであろう。これは再審請求申立にかかる新証拠のみによっても再審裁判所をして有罪の認定を覆して無罪の認定をなすべき理由明白なりと首肯せしむるに足ること、あるいは「再審請求人の無罪を推測するに足る高度の蓋然性」とか「確定判決の存在をとうてい容認できないほどの十分な根拠」、「有罪等の事実認定を覆えし無罪等の事実認定に到達する高度の蓋然性」を要求したことに主たる理由が在ったように思われる。 というところとか、 もし「新証拠のみによって」原確定判決を覆して無罪が認定される高度の蓋然性を必要と考えるならば、それは旧旧刑訴法三〇一条の列挙するような殺人事件における被害者の生存、別の真犯人の存在、犯行時におけるアリバイの事実を直接証明することができるような新証拠が発見されたばあいというような殆ど稀有な場合にしか救済されないこととなり、 そういうことで、 しからば、これを前提とした上で再審請求をうけた裁判所は明白性についてどのようにして判断すべきか。 こういうふうな内容が議論されている論文がいろいろあるわけですけれども、この証拠の明白性という内容について、裁判所の方では、いまどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
○岡垣最高裁判所長官代理者 その問題につきましては、最高裁のいわゆる通称白鳥決定と言われているものに明言してございまして、 「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」とは、確定判決における事実認定につき合理的な疑いをいだかせ、その認定を履すに足りる蓋然性のある証拠をいうものと解すべきであるが、右の明らかな証拠であるかどうかは、もし当の証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたとするならば、はたしてその確定判決においてなされたような事実認定に到達したであろうかどうかという観点から、当の証拠と他の全証拠とを総合的に評価して判断すべきであり、 というふうに判示しておられるわけでございます。 ところで、この白鳥決定があって、初めて裁判所がこういうふうな態度を一般にとるようになったというふうには、これは私の個人的な見解でございますけれども、必ずしも言い切ることはむずかしいのではなかろうかと思っております。 と申しますのは、裁判所というものは、その個個の事件について判断をするものであって、高等裁判所あるいは最高裁判所でいろいろ判決が確定いたしましても、それはその個々の事件について裁判官を拘束するだけであるということも、一つの例になるかと存じますけれども、一般的な控訴理由だとか上告理由というものに判例違反というものがあるといたしましても、本当に拘束力を持つのは個々のその事件についてだけである。 したがって、従来のその証拠に関する判例の言葉を見ますと、それはいろいろございます。たとえば大正十三年ごろの旧刑訴法の時代でも「確定判決ノ基礎ト為リタル事実ノ認定ニ影響ヲ及ホスヘキモノナル以上ハ再審ノ原由アルモノト解スルヲ正当ナリトス」というふうなものもございますれば、それから最も反対の極のようなものであるとしますれば、戦後のものでも、その「再審請求人の無罪を推測するに足る高度の蓋然性のある」というふうな高等裁判所の判決もあるわけでありまして、その表現はいろいろございますが、それは個々の事件についての判断というふうに受け取るべきものであろう。 個々の事件を判断する場合には、裁判官の気持ちというものは、やはり不辜を罰してはならぬという気持ちが根底にはあって、それで、そのときそのときの出てきている証拠関係等を見た上で、具体的事件に応じて判断されているもの、したがって、言葉で過去どうであったから今後どうなるとかいうものではないというふうに私は考えております。 いずれにいたしましても、現在は、大体主流といいますか皆さんのお考えは、この白鳥決定と同じような考え方でおられるのではないかと推察しております。
○沖本委員 専門的な立場でなしに、もちろん私、専門的な立場におりませんから、きわめて素人的な、一市民としての考えに立ちますと、大体判決があってそれを覆して無罪とするに足りるということは、普通、常識では至難なことになるわけです。ですから結局、新しい犯人が、私が犯人です、こういうふうに言って出てくださって、その真犯人が真犯人であるに足りるだけの証拠が全部そろえられた場合に再審が行われて、それで決定がされるという内容のものと、それから、いわゆる言葉の上で言われている疑わしきは罰せずという物の考え方、この疑わしきは罰せずという市民的な物の考え方と、専門的な物の考え方との間に大きな開きがあると思うのですね。 そうすると、その犯罪事実がある、ないということが関係するわけですけれども、それにしても、これには十分な証拠がないのに、なぜああいうことになってくるのだろうというような内容とか、それだけの証拠能力がないのに、この人は罰せられていく、あるいはそのほかの証拠が出てきたけれども、初めにその人を犯人にするだけのあるいは有罪を決定するだけの証拠能力の方が強くて、そうではないのだという証拠の方が非常に弱いので、というふうな細かいことになってくると、専門家の判断ということになってきて、法廷の中のいろいろなあれになっていくわけですけれども、結果的に出てくるのは、判決そのものを聞いて無罪だった、有罪だったということになってきますからね。 世間を震駭するような事件ですと、結果的なものがマスコミを通して国民にどう映っていくかということになってくると、いわゆる象牙の塔の中にこもっていらっしゃって、一切外のことはお聞きにならないまま、こういうことを決めてしまったんだというふうに国民が受け取ると、これは一つの大きな不信になって出てきますから、司法当局そのものがやはり国民に近いところにいらっしゃって、われわれは何でも裁判所に言っていくし、裁判所もそれは聞いてくれる、そのことに従っていろいろ調べてくれているのだ、そういうことに従って判断もし、公正に裁いていただけるのだという裁判所に対する信頼というものが、もっとわかりやすい形で出てきていただかないと、六法全書が非常に読みにくいのと同じように、事刑事事件として裁判の手にかかって法廷に出されたら、いかなる者ももうだめだろう、有罪、無罪あるいはその人がどういう破廉恥な事件を起こした、起こさない、そういうことは別問題にして、そういう考え方だけが国民の頭の中にあるようであってはならないと考えるわけです。 そういう面で、一例として、進行中の事件なんですけれども、非常に大きな社会的問題になっておる狭山事件の石川被告は十七年も経過しているわけで、えてしてこういう事件は、最終的に本人が無罪であったということになると、おじいさんになっていることの方が多いわけです。 そこで、この被告石川青年の脅迫状そのものは、専門家の判断として、大野教授が鑑定した結果は本人のものではない、こういうことを国語学会で発表しているということが出ているわけですけれども、もう一つ今度は、カラー写真で一字一字やっていくと、全然気がつかなかったけれども、消された日にち、日付が一日違っているということが新聞紙上にずっと出ておるわけですけれども、この点について、裁判所の方はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○岡垣最高裁判所長官代理者 私も、その御指摘の記事、新聞等によって見て存じておりますけれども、この事件は現在、御指摘のとおりに、東京高等裁判所で係属審理中でございますので、再審請求事件として私の口からとやかく申し上げることは、差し控えさせていただきたいと思います。
○沖本委員 何かの機会をとらえて、無実であればその無実、冤罪をそそいでほしいという立場に立つ人たち、またそれを支援する方々、これはたくさん出てくるわけで、審理が大ぜいの力だけでゆがめられてはいけないわけで、より正確な内容の審理をしていただきたいわけですけれども、先ほどからしばしば申し上げるように、素朴な人たちの気持ちを全然くみ取らないような決定があったりする場合に、いろいろな形で問題が起こされていきますので、現在審理中の問題であるから最高裁としては返事はできない、扱っているところだけが決めるべきことであるということになるわけですけれども、いろいろこういう問題が出てきておるという点についても、いろいろな角度から再審制度のあり方について十分お考えをいただきたい、御検討もしていただきたい、こういうふうに考えるわけですけれども、伊藤局長の方……。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまの具体的な事件の方につきましては、再審請求の補充申立書が先般出まして、それにいまの筆跡鑑定の問題なんかもつけられておりまして、裁判所が篤と御検討になっておるのじゃないかと思います。 それはそれといたしまして、再審の問題は、おっしゃいますように、確かに一人の無辜も罰してはならないという裁判の基本にかかわる問題でございます。したがいまして、常に問題があれば吟味をし、検討作業を進めていかなければならない問題であると思うのでございますが、前にもお答え申し上げましたように、具体的には昨年以来、法務省におきまして、再審制度のあり方について予算措置も講じまして、鋭意見直し作業をいたしております。 いずれ大方の結論が出ましたような際には、御提案になっております日本弁護士連合会などともよくお話し合いをいたしまして、完全に歩み寄って詰められるかどうか、いまから予測はできませんけれども、例の三者協議の場その他を利用して鋭意詰めさせていただきまして、国民の皆さんが納得されるような形で何とか作業をまとめたい、こういう覚悟でおりますので、何かと御支援をお願いする次第でございます。
○沖本委員 非常にむずかしい問題を申し上げたので、いますぐ結論をいただくという問題でもないわけですけれども、いろいろな問題がますます複雑化していっている最中でございますから、三者協議の中で十分に問題点を議論していただきまして、一致しない点もあるのじゃないかと思うのです、それは一致しないのは一致しないなりに分けていただいて、これは裁判所の立場だとか、これは法務当局の立場で、これだけはどうしても承知するわけにはいかないのだというようなことをお互いにわかり合って、理解し合っていただいて、それでお互いを尊重し合っていく、それの方が私たちにもよくわかる、説明にもなると思いますし、理解にもなっていくと思いますので、そういう立場からも前進していくような形をとっていただきたいということをお願いして、終わります。
○鳩山委員長代理 次回は、明三十日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十一分散会