法務委員会 第13号
- 発言数
- 133 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1979/05/22
会議録
○青木委員長代理 これより会議を開きます。 本日、委員長所用のため出席が少しおくれますので、指名により私が委員長の職務を行います。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所原田家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○青木委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○青木委員長代理 内閣提出、民法及び民法施行法の一部を改正する法律案、同じく土地家屋調査士法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 この民法の改正で心神耗弱者という言葉があるわけですが、この心神耗弱者という意味がどういう意味なのか、ちょっとよくわかったようでわからないようなものですから、そこら辺のところを最初にお聞かせ願いたい、こう思います。
○香川政府委員 心神耗弱者は、結局理非を弁ずる精神的な能力に欠ける点がある、そういった意味だろうと思います。
○稲葉(誠)委員 その心神耗弱者で法律行為をした。そうすると、その行為を自分で取り消すことができるわけですか。
○香川政府委員 準禁治産の宣告を受けていませんと、取り消すことはできないだろうと思います。
○稲葉(誠)委員 準禁治産の宣告を受けていると自分で取り消すことができる、こういうわけですね。 そうすると、理非を弁別する能力が欠けている者が自分の行為を取り消すということは、これは理論的におかしいんじゃないですか。
○香川政府委員 いろいろの問題はあるかと思いますけれども、民法の定めるところによりますと、取り消すことが利益につながるという観点で準禁治産者に取り消し権を与えているわけでございますから、その限りにおいて取り消し権があるということになろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 利益につながるのはわかりますけれども、理非を弁別する能力が足りない者が取り消し権を行使するということ自身が一よくわからないんでしょう、よくわからない者が物事を判断して取り消すわけでしょう。その取り消したものを今度また取り消せるわけでしょう。それはどういうふうになるの。取り消し行為があるでしょう。取り消し行為自身が不完全なのなら、また取り消せるんじゃないの。
○香川政府委員 取り消しの意思表示をさらに取り消すということは許されないだろうと思います。
○稲葉(誠)委員 それはどこに書いてあるんですか。
○香川政府委員 それは解釈でございます。
○稲葉(誠)委員 そんなことないよ。取り消しの意思表示というものは不完全なんでしょう。十分に物がわかっていて取り消すのなら話はわかるけれども、十分に物がわかっていないで取り消すのだから、その取り消し行為だってまた取り消せるんじゃないの。それでなければまた法律的におかしいんじゃないの。こういうのがよく二回試験——二回試験には出ないな。どうなの。
○香川政府委員 法律行為を取り消しますと、御承知のとおり法律行為がなかった状態に戻るわけでありまして、さらに同一の法律行為を現出させようとするときには、法律行為そのものの意思表示をすべきであります。 取り消し権を認めておるのはもちろん保護のためでございますけれども、相手方の利益も考えなければなりませんので、取り消し権の行使の意思表示をさらに取り消すとか、そういうことを繰り返すことは相手方の法律的な地位を非常に不安定ならしめるわけでございますから、したがって、取り消した場合に、再度考えまして、やはり取り消さなかったらよかったというふうに考える場合には、改めて相手方の同意のもとに同一の法律行為をするという順序によるべきだろう、かように考えるわけであります。
○稲葉(誠)委員 相手方の保護は催告権によって保護されておるから、それで十分なのではないか、こう思うのですが、まあいいでしょう。 そこで、私はよくわからないのですが、民法上に言う心神耗弱というのは、普通は心神耗弱が常況にある場合を言うわけでしょう。そうじゃないですか。
○香川政府委員 通常は常況にある場合を称するのだと思いますけれども、結局準禁治産宣告をする際にその辺のところが判断されまして、だから簡単に申しますれば、一時的には正気に戻ると申しますか、十分な行為能力を有する場合がございましても、むしろそういった行為能力を認めることによって不利益を受けるおそれがある程度の心神耗弱の常況があれば宣告するということになろうかと思うのであります。
○稲葉(誠)委員 心神喪失者だって、喪失の常況がやんでおるときには法律行為はちゃんとできるわけでしょう。条文にあるでしょう。 禁治産者であっても、禁治産の常況がやんだときには法律行為ができて、ちゃんと和解なんかできるのじゃないですか。そこはどうなっているのですか。
○香川政府委員 心神喪失者につきましても、心神喪失の常況がやみましたときには、やはり禁治産宣告の取り消しを受けないと、行為能力がないということになるわけであります。
○稲葉(誠)委員 そんなことないはずですよ。条文を見てくれませんか。現実に和解のときなんか、そのときに心神喪失の常況でないと、それで法律的効力があるのじゃないですか。条文はどうなっています。
○香川政府委員 常識的に申しまして、心神喪失という場合でございましても、禁治産宣告がされておりませんと、おっしゃるとおりそういうことはあり得るわけでございますけれども、禁治産宣告がされますと、常況がやんでいる場合には宣告の取り消しを受けない限りは行為能力がないというたてまえになっておるわけであります。
○稲葉(誠)委員 たてまえはわかるのだけれども、条文はどうなっていますか。
○香川政府委員 よくわかりませんが、いまおっしゃるように、禁治産宣告を受けておっても、ある時点において心神喪失の常況にないときには和解等ができるという規定はどこにあるのでしょうか。私、民法からはつまびらかにしないのでございますが……。
○稲葉(誠)委員 ぼくもわからないから聞いているのだよ。わかったら聞かない。聞いてくださいよ、後ろにいるから。裁判官でよくそういうことを言う人があるのですよ。和解のときに出てくる。いいです。 そこで、刑法の言う心神耗弱と民法の言う心神耗弱と、どういうふうに違うのかという点、これをまずお聞きしたいのです。 それから刑法は、第三十何条でしたかね、変な言葉を使ってありますね。何と読むのかよくわからないのだけれども、あれはどういう意味ですか。
○藤永説明員 御承知のように、刑法と民法で心神喪失あるいは心神耗弱という言葉が条文上出てまいりますが、法律の目的、趣旨が異なりますので、必ずしも同じ意味内容あるいは解釈の幅と申しますか、そういうものは一致しなければならないものではないというふうに考えております。 心神耗弱の場合、刑法上は、犯罪という事実行為をした者に対して、どの程度刑事責任を追及するかという観点から判断されますし、一方、民法では、本人の財産保護あるいは取引の安全という観点から、準禁治産宣告の要件として心神耗弱であるかどうかは判断されますことから、おのずから心神耗弱の意味、内容、幅は異なるものであろうというふうに考えております。 〔青木委員長代理退席、委員長着席〕 御指摘の刑法四十条にいん唖者というのがございますが、現行刑法の四十条は、いん唖者がいん唖者であるがゆえに心神喪失あるいは心神耗弱を擬制してしまうというようなことから明治四十年にできました現行刑法の立法当時と異なりまして、現在では聾唖教育などが著しい進歩をいたしましたところに、そのような規定を置くことの合理性について疑問が持たれておりますので、御承知のことかと思いますが、改正刑法草案では、これらの規定は削除するというふうになっております。
○稲葉(誠)委員 この刑法四十条のいん唖者というのは、民法十一条で言うと、どこに当たるのですか。
○藤永説明員 現行民法十一条に「聾者、唖者、盲者」とございますが、現行刑法四十条のいん唖者というのは、この聾者と唖者を含めた言葉ということで使われておると考えております。
○稲葉(誠)委員 この提案理由の中に「これらの者が社会生活上種々の不利益を受ける懸念もなしとしないのであります。」こうありますね。これは、どういう具体的なことがあったわけですか。
○香川政府委員 聞くところによりますと、これは誤解に基づく極端な例でございますが、市町村によりまして、聾者、唖者、盲者について印鑑登録をするあるいは印鑑証明書を交付するにつきまして、裁判所で準禁治産宣告を受けて、保佐人によってそういう行為をしてもらいたいというふうな条例を制定しておるところもあるやに聞いておりますし、また銀行によりましては、取引をいたします場合に、聾者、唖者、盲者につきまして、やはり準禁治産宣告を受けた上での保佐人によって銀行取引をすることを勧誘するというふうなことがあるやに聞いておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そこで、今度はこの十一条の「聾者、唖者、盲者」を削るわけですね。削ることと、このあることと、実際法律的にはどういうふうに違いますか、差異が出てきますか。
○香川政府委員 現行法十一条の解釈でございますが、私どもは、「聾者、唖者、盲者」というふうに規定されておりますけれども、聾者、唖者、盲者であることだけで直ちに準禁治産宣告ができるというふうには解釈すべきでないだろうと考えておるわけでありまして、そういった身体障害が原因になって心神耗弱ということでなければ、やはり準禁治産宣言はすべきでないのではないか、さような解釈をすべきだろうと思うのであります。 そういう解釈をとりますと、聾者、唖者、盲者を取りましても、そういった心身障害のゆえに心神耗弱の常況にあるということであれば、準禁治産宣告はできるわけでございますから、さような意味で、削りましても保護に欠ける点はなかろうというふうに考えるわけであります。簡単に申しますれば、削っても、それらの保護という点においては、いわば現行法と異なる点はないというふうに考えておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 順序は逆になって恐縮ですけれども、これはどちらに聞いたらいいのか、最高裁にお聞きするのがいいのかもわかりませんけれども、心神喪失を理由として禁治産の宣告を申請する、それに対して、心神耗弱だということで準禁治産の宣告をする、こういうことがまず許されるかどうかということですね。それが一点。それから逆に、心神耗弱だということで準禁治産の宣告を申請しているのに、それに対して心神喪失だということで禁治産の宣告ができるのかどうか。 こういう点、二つありますね。それは現実にはどういう取り扱いになっていますか。ことに後の問題ですね。これは青山さんの方がいいかな。どっちでもいいですよ。
○原田最高裁判所長官 代理者解釈上は許されるということになっていると思います。
○稲葉(誠)委員 やけに簡単だな、答えが。現実にどうなっているの、それは。特にドイツ民法との関係で、そこはどうなっていますか。最高裁の方は十分な通告をしてなかったので……(原田最高裁判所長官代理者「ドイツ民法をちょっと」と呼ぶ)いやいや、その方は法務省の方でよく研究をしていますから……。
○香川政府委員 ドイツ民法では、御承知のとおり禁治産、準禁治産というふうな、わが国のような二つの類型をとっていないわけであります。その程度に応じて、完全に行為能力を奪うか、あるいは制限的に行為能力を縮減するというふうなやり方をとっておりますので、当然おっしゃるような準禁治産宣告の申し立てというようなものはそもそもないわけであります。程度に応じて裁判所がそれぞれの措置をするということに相なろうかと思うのであります。 わが民法のもとでは、準禁治産宣告と禁治産宣告と二つの型があるわけでございますけれども、解釈といたしましては、準禁治産宣告の申し立てをいたしましても、心神喪失の常況にあるというふうに裁判所が判断すれば、禁治産宣告をしてしかるべきだろうというふうに解釈すべきものだと思います。
○稲葉(誠)委員 だけれども、申し立てをしない範囲について、しかも不利益な結論を出すということは、これは法律の制度からして認められないのではないですか。大体ドイツの通説もそういうふうになっているんじゃないですか。
○香川政府委員 訴訟法におきましては、おっしゃるとおり、申し立てない事項について裁判所が判決するということは許されないことでございますけれども、禁治産あるいは準禁治産の宣告の制度というのは、御承知のとおり非訟事件でございますので、裁判所がより後見的な立場で、そのしかるべき措置をするということが許されるであろうというふうに思うわけであります。
○稲葉(誠)委員 いま香川局長、が言われたように、訴訟事件と非訟事件とで違いますね。 そうすると、訴訟事件と非訟事件とを分ける根拠というか、それはどこでどうやって分けるのですか。いろいろな学説がありますね。これは鈴木忠一さんがよく本を書いているわけですね。これはどこで分けるの。
○香川政府委員 御承知のとおり、訴訟と非訟の区別はどこで線を引くのかということは、法学上いろいろ説があるわけでございますけれども、裁判所の取り扱う事件につきまして、当事者間の法律関係の紛争があって、その法律関係を裁判所の判断でもって決着をつけるという部類のものが訴訟であるわけでありまして、それ以外の裁判所の取り扱う事件は、私はすべて非訟事件だというふうに言うべきだろうと思うのであります。 ただ、その非訟事件と申しましても、いま申しましたように範囲が広いわけでございますから、御承知のとおりのいわゆる争訟的非訟事件というものもあるわけでありまして、その最たる例は借地非訟事件で、争訟的非訟事件という部類に入るかと思うのであります。 そういうものと対比しまして、この禁治産宣告とか準禁治産宣告のように裁判所が全面に後見的な役割りを発揮するというふうな、当事者間に別に法律上の争訟といいますか法律関係をめぐっての争いは何もないわけでありますけれども、裁判所の手をかりて事柄の公正と申しますか的確性というものを担保しようというときに、非訟事件としてこれを利用すると申しますか、さような形態のものがあるわけで、非訟事件の中には、大きく分けてそういった二つの類型があるのではなかろうかと考えております。
○稲葉(誠)委員 話が横道に入ってしまいますけれども、境界確定の訴えは本来は一体どうなの。
○香川政府委員 境界確定の訴えにつきましては、もう十分御承知のとおりいろいろの説があるわけでありまして、いま出た言葉で申しますれば訴訟なりやあるいは非訟なりや、さらにまた訴訟の場合でも、確認判決なりやあるいは形成判決なりやというふうないろいろな説があるわけでございまして、私は、境界確定の訴えというのは、非常に少数説かもしれませんけれども、やはり訴訟であり、しかもこれは形成の訴えだ、形成的効力を持つ判決だと解すのが一番合理的ではなかろうかと思っております。
○稲葉(誠)委員 形成判決とそうでない判決確認判決というか、それは具体的にはどういう場合に違ってくるの。
○香川政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、確認の訴えは、御承知のとおり、すでに実体法上ある当事者間の法律関係がかくかくしかじかなものであるということを裁判所が判決で明らかにする、いわば判決前に実体関係として当事者間に神様の目から見ればわかる法律関係があるわけでございます。 形成判決はそういった法律関係を判決によって形成するということでございますが、実体法的に申しますれば、そういった判決による形成の請求権を当事者に与えておるといった関係になるわけでありまして、いわば判決の確定によって初めて当事者間にそのような法律関係ができ上がる、こういうところが大ざっぱに言って違いだろうと思います。
○稲葉(誠)委員 そうすると、いま裁判所では、現実に境界確定の訴えが出れば、ほとんど和解でやっていますね。和解は、裁判官が中に入ったとしても、当事者間で和解をやっても効力はないのじゃないですか。和解はどういう効力があるの。
○香川政府委員 これは常識的にと申しますか、結果的には同じことなんでございますけれども、形成の訴えとしての境界確定の訴えが提起された場合における和解というのは、恐らくこれは形成的なものとは別個に当事者間で所有権の確認をし合うというふうな構成になっておるのだろうと思うのであります。 このことは決して境界確定の訴えが形成判決であるということとは矛盾しないことでありまして、当事者間でここを境界にしようという意味ではなくて、ここが境界であるということを確認し合う、つまり境界そのものをつくり上げるということではなくて、あなたの所有権の及んでおるのはここまでですという意味の所有権確認の和解ということに、理論的には理屈づけをすることになろうかと思うのであります。
○稲葉(誠)委員 そうすると、所有権確認の訴えと境界確定の訴えとは本来違うんでしょう。どういう場合に所有権確認の訴えをやって、どういう場合に境界確定の訴えをやるのか。ここら辺のところがいまの実務ではごちゃごちゃになっているんじゃないですか。そうでしょう。裁判官によっては、とても厳しい人がありますね。全然境界がわからない場合に、初めて境界確定の訴えを起こすのだ、あとは、ここからここまでが自分のものだというときには、これは所有権確認の訴えを起こすのだ、こういうふうに非常にやかましく言う裁判官もありますね。あるいはその点ルーズにしている人もあるということですね。話がよけいですから本題へ戻りますが、これは現実に非常に困っているのですね。だから境界確定の訴えなんか起こされれば裁判所は困っちゃって、大体一件で十年ぐらいかかる。 いずれにしても、それは別として、今度は浪費者ですね。浪費者に対して、これはいまの三つを削りましたね。だから浪費者も削ってというか、浪費者という認定はなかなかむずかしいですよ。だから浪費者が心神耗弱者である場合のみ準禁治産にするということでいいという学説も大分あちこちにあるのじゃないですか。それはどういうふうに考えておるのですか。
○香川政府委員 確かに、浪費者についても準禁治産宣告の制度を存置するかどうかは、立法論としては相当問題だろうと思うのであります。 ただ実際問題としまして、わが国の実情といいますか、家産を傾けるというふうな意味の浪費者について、親族がその財産を維持するためにこの制度を利用しておることは否めないわけでありまして、したがって、そういう実益があるわけでございますけれども、いまのような準禁治産制度というものによって、そういう保護を図るのがいいかどうかという点は相当問題だろうと思うのであります。 今回の民法の改正は、御承知のとおり、法制審議会においてこの辺のところをいろいろ議論されますと、いろいろの説が出てくるわけでございまして、したがって、私どもの考えとしては、法制審議会において全く異論のないような部分について、しかも急を要するものについてだけ改正をするということでございまして、浪費者等につきまして、あるいは禁治産制度あるいは準禁治産制度、先ほどお説にありましたような取り消し権の問題等も含めまして、さらに法制審議会で検討していただいて、その上でさらに改正を考えたいというふうな態度でおるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 いま局長は家産という言葉を使われましたね。家産というのは何なの。民法にそういう家産という言葉はあるのですか。いまの新しい民法の中で家産という考え方はあるのかな。
○香川政府委員 民法には家産という言葉はございませんし、考え方もございませんが、本家なら本家の主人が、その財産の所有者が非常に浪費者であるという場合に、親族が寄って、そこが倒れたのでは困るというふうな意味でよく家産というふうなことが言われておるわけでございますので、さような言葉を一般に言われておる程度の意味で使っただけでございます。
○稲葉(誠)委員 本家という言葉を使われたけれども、まだ本家というのはあるの。そんな、おかしいじゃないの。民法で家は廃止されたのじゃないですか。本家というのはどこにあるの。
○香川政府委員 これは法律的な用語ではもちろんないわけでございまして、一般に浪費者に準禁治産制度を利用される場合の、よく出てくる巷間の言葉という意味で申し上げただけであります。
○稲葉(誠)委員 法律のことを質問しているのですからね。どうも旧憲法的な感覚が多分にあるというか、まあそうでもないでしょうけれども。 そこで、いま家産を傾けるという話がありましたね。家産というのは常識的によく言われる言葉ですね。それは主として相続財産のことでしょう。家督相続による財産を考えておられるのだと思うのですがね。自分で働いて得た金を自分で使うのなら、あなた、それは構わないんじゃないの。そんなのどうしようとおっしゃるの。そういう場合はどうするの。それは家産ではないね、また本家とは関係ないね。
○香川政府委員 そういった意味で、先ほども申しましたように、浪費者というものを準禁治産制度のもとに置いておくのがいいかどうかという問題があるわけでございまして、現行法のもとにおきましては、相続財産を散逸するということから、相続人になる、へき者が不利益を受けるという意味で、準禁治産宣告の制度を認めておるわけではないと思うのであります。あくまでも浪費者本人の保護のためでございますから、したがって意図的と申しますか、実際の実務で裁判例として出てくるのは、多分に相続財産が散逸するという不利益を除去する意味で申し立てがされるケースが多いだろうと思いますけれども、制度そのものはそういったことを保護しようということではないわけであります。
○稲葉(誠)委員 そこで、保佐人の問題ですね。保佐人は同意権はあるわけですね。その同意権の根拠というのは、一体法律的にどこにあるのですか。 なぜそういうことを聞くかというと、当然法定代理人と同じように保佐人自身に取り消し権があってもいいのじゃないかと思うわけですね。それで初めて準禁治産者の保護というものが全うされるのじゃないかと思うのですが、そこら辺のところは日本の民法の場合は大分違うわけですね。私がずっと前に習ったころは、同意権がある以上当然取り消し権もあってしかるべきじゃないか、これは我妻さんもそういうふうな説をずっと述べておられましたね。そこら辺のところは、どういうふうに理解しておるわけですか。
○香川政府委員 民法は、準禁治産宣告を受けた者が一定の法律行為をするについて保佐人の同意を要する、同意がなければ取り消し得るということにしておるわけでありますから、この場合に保佐人に明文の規定でもって取り消し権を認めていないわけであります。したがって、解釈上いろいろあるわけでございますが、同意権がある以上は当然に取り消し権も認めるべきだという有力な学説もあるようでありますが、通説は取り消し権までは認められないというふうに解釈されていると思います。 これはむずかしい問題でございますけれども、結局準禁治産制度のもとにおいて保佐人に取り消し権を認めるということになりますと、少し行き過ぎではないかという感じが確かにあると思うのでございます。そういう意味から、論理的に貫いてまいりますと、取り消し権も認めるべきだという議論が出てくるかと思いますけれども、そこまで認めますと、その保護の意味からいって、中心がむしろ保佐人に移ってしまうと申しますか、法定代理人と全く同じような形になってしまう、無能力者と同じような態様になってしまうという点を民法は危惧したのではないか、したがって民法の解釈といたしましては、取り消し権までは認めるべきでないというふうに解釈すべきだろうと思うのであります。
○稲葉(誠)委員 追認権はどうなっているの。
○香川政府委員 追認権の問題は、理論的には確かに問題になろうかと思いますけれども、私は、解釈上は追認権もないと解すべきだろうと思うのであります。しかし、追認権を認めるかどうかということは、余り実際的な問題としては差異がなかろうと思うわけであります。
○稲葉(誠)委員 しかし、追認というのは事後の同意でしょう。だから、それは認めていいという判例もあるのじゃないの。古い判例だけれども、大審院の大正五年の判例があるのじゃないですか。
○香川政府委員 結局、追認を認めるといたしましても、これは保佐人が積極的にさような行為をする場合と、相手方あるいは準禁治産者からの勧誘によってするという場合とがあると思いますけれども、もともとそういうときには、本来同意を得てない行為は取り消し得べき行為にすぎないわけでありますから、ことさら追認をするというふうなことの実益と申しますか、取り消し得ない状態にしてしまうというふうなことでは、やはり準禁治産者本人の保護に反することにもなりかねないわけでありまして、さような意味で、通説としては追認権も認めるべきでないというのがわが国の大勢かと思うのであります。
○稲葉(誠)委員 いや、それはそうなんですけれども、だから追認を認めるような判例があるんじゃないですかと聞いている。大正五年二月二日の判例だ。あるでしょう。これはちょっと内容が違うけれどもね、そういう判例がある。
○香川政府委員 ちょっと記憶が定かでございません。
○稲葉(誠)委員 いや、テキストに書いてあるんですよ。青山さんに聞いてみてよ、テキストがあるから。
○香川政府委員 まあ教科書に書いてありましても、やはり判例と言われますと、現物を見ませんと、何ともお答えいたしかねるわけであります。
○稲葉(誠)委員 いや、よくテキストを研究してくるように言っておいたんだから、判例も見ていたんじゃないですか。まあどっちでもいいや、大したことじゃないから。 いずれにいたしましても、そういうようなことで今回の立法そのものはこれとして、私の質問はこれで終わりますけれども、非常にむずかしい問題がありますね。無能力者の方を——無能力者という言葉はいまやめますが、準禁治産者の方を保護するか、取引の安全を重視するかというようないろいろな問題が出てきますね。 そこで、十一条はいいんですが十二条、これはこのままでいいんですか。何か加えなければならないものがあるんですか、あるいは削除しなければならないものがあるんですか、どうなんですか、これは。
○香川政府委員 確かに十二条につきましても、再検討を要する問題は多々あると思うのでありますが、先ほど申しましたように、やはりかような点は法制審議会で十分議論していただいて、その結果によって立法措置を講じたい、かように考えておるわけであります。
○稲葉(誠)委員 法制審議会でこれから議論してもらうということですか、ちょっとはっきりしなかったけれども。それは判例で、たとえば手形の問題だとか無体財産権の問題、いろいろ出てきていますから、それはそれでいいんですが、「訴訟行為ヲ為スコト」というのがありますね。これは準禁治産者が訴訟行為をなして、そうしてある段階まで行って判決になりそうになったら、自分の方が不利だということになると、保佐人の同意がなかったからといって取り消すということになると、いわゆる取り消し得べき訴訟行為ということが出てくるので——この訴訟行為には、一体取り消し得べき訴訟行為なんてあるんですか。これはここに入ってくるのはおかしいんじゃないの、どうなっているの。 意味わかりますか。「訴訟行為ヲ為スコト」というのが入っているでしょう。ここに書いてあることは、私法上の法律行為のことがずっと十二条に書いてあるわけでしょう。「訴訟行為ヲ為スコト」というのは、私法上の法律行為ではないわけでしょう。それがここに入ってくるのはおかしいじゃないですか、こういうことを聞いている。 それから、後から取り消せるということもおかしい。一体訴訟法で、訴訟行為をやっちゃって、取り消し得べき訴訟行為なんてあるんですか。
○香川政府委員 保佐人の同意を得て追認するということは訴訟でございますけれども、全く同意なしにある訴訟行為、たとえば裁判所の和解も訴訟行為でございますし、あるいは自白のようなものも訴訟行為であるわけでありますが、そういう場合に、やはり民法のこの規定によって準禁治産者に不利益なものは取り消すことができるという解釈が出てくるだろうと思うのであります。
○稲葉(誠)委員 そうすると、あなたの解釈だと、取り消し得る訴訟行為というものを認めるの。訴訟行為にそういう取り消しがあるとかなんとかということ自身が、訴訟行為の原則に反するのじゃないですか。
○香川政府委員 一般論としてはそういうようなことだと思いますけれども、民事訴訟法には、訴訟行為につきましては民法の行為能力の規定によるわけでございますから、したがって、準禁治産者が訴訟行為をするについては保佐人の同意が要る、同意がなければ取り消し得るとなっているのが、いわば特則的な関係になるわけでございまして、したがって、この規定によって訴訟行為といえども取り消せるというふうに解釈すべきだろうと思うのであります。
○稲葉(誠)委員 現行法の解釈はそれでいいわけですね。だけれども、民事訴訟法の改正規定というのはあるのですか。それではそこのところは変わっているんじゃないんですか、五十四条というのがあるというのは。
○香川政府委員 訴訟法の改正につきまして、ずいぶん昔法制審議会で議論されたことがございますけれども、この辺のところは議論はされていないと思います。 むしろ、おっしゃるように立法論としては、十二条、その中で特に訴訟行為の取り消しというのは、民事訴訟手続との関係で再検討を要する大きな問題だろうと思うのでありますが、この辺のところは、議論になるといたしますと、恐らく、先ほど挙げられましたように、準禁治産者の保護と訴訟の安定と申しますかあるいは取引の安全というふうな関係との調整をどうするかというふうなことで、相当大きな問題になろうかと思うのでありまして、後日法制審議会において、その辺のところも十分検討していただきたいというふうに考えておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 じゃ土地家屋調査士法の改正の質問に入りたい、こういうふうに思います。 土地家屋調査士法の改正の中で報酬規定、これは私もよくわからないんですが、大体二年ごとに改正をするということになっているわけですか。
○香川政府委員 別に二年ごとに改定するというふうな原則を打ち立てているわけではないわけでありまして、物価変動等に応じまして、改定すべき理由があれば改定するという弾力的なやり方をしておるわけでありますが、結果的に申しますと、大体三年ぐらいで過去の例としては改定されているようでございます。
○稲葉(誠)委員 司法書士の方は大体一年ごとに改定になっているのではないですか。
○香川政府委員 司法書士の報酬につきましても、全く同じような扱いでございます。
○稲葉(誠)委員 私が聞いているのでは、大体二年ごとに改定をされておるというふうに聞いておるのです、土地家屋調査士の場合。この前の改定は五十二年一月一日でしょう、改定になっているわけですね。 そこで報酬の中で、認可をするものと、それから土地家屋調査士会で自分の方で決められるものとがあるわけですか。全部細かく認可事項に入っているわけですか。
○香川政府委員 報酬に関する規定は、司法書士法あるいは土地家屋調査士法によりまして、会則の一部でございますので、すべて法務大臣の認可で効力が生ずることになるわけでございますが、その認可の仕方と申しますか、あるいは認可を受けるその報酬に関する規定の仕方といたしまして、細かい基準については別に司法書士会あるいは土地家屋調査士会が決めるというふうな形で報酬に関する規定が定められてくることがあるわけでございます。これを法務大臣が認可いたしますと、さような細目については各会で決めるということが許されることになるわけでございまして、さような意味で、細目はそれぞれ逐一法務大臣の認可を得ないで会が決められるというふうな関係が出てくる、こういうふうな仕組みになるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 日当ですね、いま幾らに決まっているわけですか。
○香川政府委員 司法書士も土地家屋調査士につきましても、報酬規定上は日当という言葉は出てきていないと思います。
○稲葉(誠)委員 何か、日当ということで一万二千円だ、それから補助者の場合は六千円だというふうに聞いておるのですが、これは何ですか、そうすると。
○香川政府委員 それは、境界に争いがあります場合等に立ち会いをするわけでありますが、その立ち会った場合の報酬ということで、いまお示しのような規定が設けられておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 それは四時間以内のときは半分でしよう。 そうすると、いまの報酬というのは、境界に争いがあったときに、具体的にどういうようなことをやるんですか、土地家屋調査士は。
○香川政府委員 依頼を受けた調査士は、法務局における登記簿あるいは地図を調査いたしまして、そして現場に臨んで、たとえば所定のところに境界の石が埋められているかどうかというようなことを調べたりいたしまして、そして当事者と協議をしながら境界の線を引く、話を進めていく、こういうふうな作業だろうと思うのであります。
○稲葉(誠)委員 それはそのとおりですけれども、この一万二千円ということ、それから補助者は六千円ですか、補助者は一体何名まで使えるの、これは。
○香川政府委員 現在の承認基準といたしまして、調査士はたしか六名までだと思います。司法書士は五名で、調査士は一人多かったんじゃないかと思っておりますが、よく調べてみます。
○稲葉(誠)委員 私の聞いたのは五名以内というふうに聞いたけれどもな。しかもそれは許可で、いろいろ細かい、どういう人を雇うとかなんとかということを、経歴から何か、いろいろなものを出すんだそうですな、細かい履歴書や何かもね。そういうふうに聞いているんですね。どこへ何を出すの、補助者をあれするときに。
○香川政府委員 法務局長あるいは地方法務局長の承認を受ける際に、そういった参考資料として提出するわけでございます。
○稲葉(誠)委員 いや、だから、何のためにするの、そんなことを。それから、いまのはやはり六名ですか、五名じゃないの、どっちですか。
○香川政府委員 調査士は六名以内でございます。
○稲葉(誠)委員 じゃ私の聞き違いかもわかりませんね。六名ですか。何か非常にこれがやかましくてあれだというように聞いているのですがね、いろいろな手続が。だから、その補助者などについては会で何か決めればいいので、一々法務局まで何か承認を求めるという形になっているのですか。どういうのか知らぬけれども、履歴書から何から全部出すのだそうですな。そんな必要まであるの、これは。
○香川政府委員 司法書士、土地家屋調査士、いずれについても同じでございますが、現在法務省令で補助者については法務局あるいは地方法務局の長の承認を得ることを要するということになっておるわけでございますが、その趣旨は、結局補助者といえども依頼者との接触があるわけでございまして、登記所に出入りすることももちろんあるわけでございます。そういった者が非違な、違法な行為に出るということがあれば、これはやはり国民が迷惑するわけでございますから、司法書士あるいは土地家屋調査士にふさわしい補助者を使用すべきであるというふうなことが一つ。 それから従来から、これは決していいことではございませんけれども、補助者任せの業務の取り扱いぶりが目立つわけでございまして、そういうことになりますと、結局企業化すると申しますか、補助者が一人生まれることによって、司法書士あるいは調査士が半人前生まれるのと同じようなことになるわけでございまして、そういったことは競争の激化とかあるいは需給のバランスを失わせるというふうないろいろの意味から、司法書士制度あるいは土地家屋調査士制度、ひいては法務行政につきまして決していいことではないというふうなことで、その辺のところをやはりチェックする必要があろうということで設けられている承認制度でございます。 この点につきましては、おっしゃるように、会がいま申しましたような趣旨を踏まえて、自主的にそういったチェックをやるということが確かに望ましいと思うのでありまして、そういう方向にできることならばすべきだろうというふうに考えておるわけでございますけれども、この辺のところは両連合会と協議を今後詰めていくということになっておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そのいまの一万二千円と六千円というのは、これはいつ決まったのですか。今後改正するあれはあるわけですか。
○香川政府委員 これは五十一年の三月でございます。
○稲葉(誠)委員 五十一年の三月から、ことしは五十四年のいま五月ですね。あなた、物価の変動とかなんとか言われたけれども、物価の変動というのはどのくらいあったの、これは。
○香川政府委員 いろいろの取り方がございますでしょうが、二五%から三〇%程度まで高くなっておるというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 余り細かいことは聞きませんが、それらを含めて、こればかりじゃありませんけれども、全体を含めて今度検討するということになるわけですか、この法案が通ったら。
○香川政府委員 実は土地家屋調査士につきましては、昨年の暮れに連合会におきまして検討された結果を踏まえての改定案の提出があったわけでございます。 これは一口に申しますと、現在の報酬体系をすっかり変えてしまう、連合会の立場から申しますれば、より合理的なものというふうに考えておられるようでございますが、中身としては、現在の報酬体系では、いわゆる測量等については事細かな規定があるわけでございますけれども、調査そのものの報酬規定が明確でないといううらみがあると、こういう言い分があるわけであります。 確かに、この点は再考を要する点だろうと思っておるわけでございますけれども、現在提示されております連合会案なるものは、体系を全部変えるのと、非常にわかりにくいと申し上げてはあれでございますけれども、何分にも公共料金的なものでございまして、一覧性と申しますか、報酬を支払う国民の立場から、容易にわかり得る形のものでないと困るわけでございまして、そういう点もございますし、それから私どもがいまの改定案で試算いたしますと、相当大幅な値上げに連なることになるだろうというふうな点があるわけでございまして、したがって私どもとしては、昨年暮れに提示された案では、これは直ちに法務大臣の認可というわけにはまいらぬということで、大方の線は今後議論するといたしましても、このままではとても認可はできないということで申し入れてあるわけでございまして、確かに現行報酬体系は体系として若干再考を要する点もあろうかと思いますので、いろいろの角度から今後連合会との間で協議を進めてまいりたいというふうに思っておるわけであります。 しかしお説のように、すでにもう三年以上経過するわけでございまして、物価の変動も先ほど申しましたような三割弱あるわけでございますので、さしあたりは現行報酬体系のままで物価変動にスライドした改定を考えるべきだというふうに意見の一致を見まして、先般話し合いがつきまして、すでにその手続が進められているというふうに承知いたしております。
○稲葉(誠)委員 表示登記というのがよくわからないのですが、表示登記に至るまでのプロセスですね、どういう書類が要って表示登記になるのかという経過を簡単に御説明願いたい、こう思うのです。
○香川政府委員 表示登記といいますのは、土地建物につきまして初めて登記簿に登載する、その登記を不動産の表示の登記というふうに言っておるわけであります。 たとえば建物が新築されました場合に、これは当然建物の表示の登記の申請義務が所有者にあるわけでございまして、さようなことから調査士にその申請手続を依頼するということになってくるわけでございます。その場合には調査士は、現場におきましてその建物の種類、構造、床面積等を調査いたしますと同時に、所在図あるいは各階の平面図というものを作製しまして、そして一定の記載事項を記載する表示登記申請書というものを作成して、登記所に図面とともに提出する、こういうことになるわけであります。 さような書類が出てまいりますと、登記官は、その形式的な内容の調査のほかに、本来ならば実地に臨んで、その申請内容が当該建物の現況と一致しているかどうかということを審査いたしまして、一致しておればそのとおり受理して登記する、一致していなければ却下するという手続になるわけでございますけれども、ただ、却下いたしましても、登記官がその実地調査をいたしておりますれば、そういう建物が新築されたということは知っておるわけでございますから、職権ででもその登記はできるという仕組みになっておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 いまのお話にありました登記官の中で、表示登記官というのが普通の登記官と別にあるわけですか。
○香川政府委員 表示登記専門官という官職があるわけでございまして、これはいわゆる登記官の中で表示登記を専門にする登記官という意味ではないわけでございまして、実際申しますと測量専門学校に約半年委託学生として研修を受けさせまして、それを表示登記専門官ということにいたしまして、これは四等級でございますが、法務局における表示登記制度の運用あるいは制度の改正等についての比較検討をする、そういうふうな役割りを持っておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 表示登記専門官ですか、これは四等級ですか。五等級であって、三年たつと四等級になって課長になるというのではないですか。私の聞き違いかな。
○香川政府委員 現在の格づけは四等級でございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、普通それは三年たつと課長になるの。ほかへ行くのですか。実際はどういうふうになっているの。
○香川政府委員 別に三年たてば課長になるというふうな人事の管理運営基準を決めておりません。
○稲葉(誠)委員 普通は形式的審査権ですね。それが表示登記の場合に限っては実質的な審査権ということになるわけですね。それはいわゆる現調、現調と言っていますね、現地出張のことを。実際には現調をやっているのですか、あるいはやっていないのですか。実質的な審査権なら、仮にやらなくて、それが事実と違ってきて後で問題を起こしたときには、やはり登記専門官の責任にもなるのじゃないですか。そういう例が茨城かなんかでもありましたね。
○香川政府委員 不動産登記法のたてまえとしまして、実質審査権のもとでの実地調査ということが要求されておるわけでございますが、現在実情といたしまして、これは各登記所によって若干異なると思いますけれども、大体一割から二割程度しか実地調査ができていない。これは御承知と思いますけれども、一般に登記所における事務繁忙の度が非常にひどいわけでございまして、実地調査に行くといたしますと、一件について何時間か留守にするということになってまいりますので、なかなかそこまで、ないそでは振れないと申しますか、能力が十分でないわけでございます。 そういうことから、おっしゃるように、本来実地調査をすれば当然申請を却下すべきであった事案を、それを省略したために受理、登記したということで損害が生じたということになりますれば、これは当然国家賠償の責任は免れないだろうというふうに思うわけでありまして、現状ははなはだ不満足なと申しますか、国民の方からごらんになれば、不十分な取り扱いしかされていないということは否定できないと思うのであります。 この点は、いろいろの措置を並行的に考えながら、何とか、不動産登記法が所期しているような実地調査の強化と申しますか、あるいは表示登記制度の充実を早急に考えなければならないというふうには十分覚悟いたしておるわけでございますけれども、なかなか思うようにはまいらないということが率直な感想でございまして、まことに申しわけないことだというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 建物が建った、そして表示登記の申請をした、それが実際に受け付けられて表示登記になるまでは、不動産登記法のたてまえとしてはどうなっているのですか。やはりその日のうちにやることになっているのですか。保存登記ならその日のうちにやることになるかもわからぬけれども、実際はどのくらいかかっていますか。
○香川政府委員 これは、登記所の規模、繁閑の度によって、時期的にも異なると思いますけれども、およそのところは、申請から処理が決まるまで、登記完了なら登記完了まで、遺憾ながら約一週間ぐらいかかっているのが実情ではなかろうかというふうに思っております。
○稲葉(誠)委員 もちろん登記所によって違うけれども、私は大体十日間と聞いていましたが、不動産登記法はそこはどういうふうになっていますか。
○香川政府委員 権利に関する登記につきましては法律には明文の規定があるわけでございませんけれども、即日補正というふうな制度を規定いたしておりますことから、即日処理が原則だというふうに解釈されておるわけであります。 もちろん登記の申請の処理は受付番号の順序でしなければならぬわけでございますから、したがって表示に関する登記も、当然即日処理されるのが非常に好ましいことであることは言うまでもないわけであります。先ほど申しましたように、権利に関する登記につきましては、できるだけ即日処理の原則を崩さぬように努力はいたしておりますが、表示に関する登記については一週間程度のおくれが出ておるということで、これは何とか早急にしなければならぬ問題だというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 それから、この前ある法務局長に会ったら、マンションの登記で表示登記が非常に困ってしまうというのですね。 これはぼくもちょっとオーバーだと思うのですが、何千分の一じゃなくて何十万分の一とか、何百万分の一はないだろうけれども、そういう登記が出てくるというのですね。そうすると、その数字が登記簿に書けないというのですよ。その点は現状はどういうふうになっているのですか。
○香川政府委員 確かに、大都市あるいはその周辺の地域におきまして相当大規模なマンションが建設されますと、事件数としましてもいわゆる区分所有の建物の数が膨大になりますし、しかも土地に対する所有権の関係、これは共有でございますが、その場合の持ち分の決め方というのが、いわゆる区分建物の専有部分の面積の割合で決めておるというふうな関係がございますので、何百万分の幾つというふうなこともあるようでございます。 そういう関係から、区分建物の登記の方に相当の手数がかかって大変だということよりも、むしろ敷地の所有関係の登記が大変だというふうなことがあるわけでございまして、これは結局はそういった法律関係というものを実体法の問題として考えなければならぬわけでございますので、登記所側の手数を何とか少なくするという簡素化の線はもちろんございますけれども、何分にも登記簿の一覧性が非常に害される心配があるわけでございますし、きわめて複雑になるわけでございますので、ただいま法制審議会の民法部会におきまして、この区分建物に関する法律の再検討をお願いしておるところでございまして、その結論を待って、登記法ともども何とかしなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 それから、たとえば弁護士の場合は書類の保存義務が三年でしょう。その他法律でいろいろ決まっていますね。ところが土地家屋調査士の書類は永久責任ですって。それはどうなっているのですか。
○香川政府委員 申請書類は登記所へ提出するわけでございますが、その写し等については特に法律的に保存期間を決めていないわけでございます。 ただ、やはりある土地について測量したというふうな実績がございますと、何年か後にまたその調査士さんのところへ、その土地についてのいろいろの手続をすることを依頼されることが多いようでございまして、そういうときに備えて調査士の方では、永久保存かどうか存じませんが、相当長期間書類を保存しておるというふうに聞いております。
○稲葉(誠)委員 そこは条文ではどういうふうになっているのですか。ほかの法律で何とか士、何とか士といっぱいあるでしょう。それはどういうふうになっているのですか。弁護士の三年というのは、あれは責任がなくなるというか、保存義務三年でしょう。商業帳簿の場合は何年、会計士は何年というのがありますね。その測量図は永久保存だというふうに聞いているのですよ。古いのを持っていなければならないので、とてもかなわぬというわけです。それは法律的な条文ではどういうふうになるのですか。何年間で仮に責任なら責任がなくなるというふうに見ていいのですか。 というのは、古い測量図も持っていなければならなくて、それを台帳と無理に合わさせられたというようなかっこうになって測量図をつくらされることがよくあるらしいのですね、実際問題として。そうすると、長い間、二十年先、三十年先のものまで引っ張り出されて責任を負わされるのでかなわないという説もあるのです、実情はよくわかりませんが。法律的には測量図なんかは、免責条項というのか、それはどういうふうになっているのか。規定はないのか。規定がなければ永久保存なのか。何年たったら責任がなくなるのか。そこは一体どういうふうなんでしょうか。
○香川政府委員 地図とかあるいは図面、申請書、そういった調査士によって作成されたものにつきましては、当然登記所に提出されるわけでありまして、登記所で一定期間保存しておるわけであります。調査士法なりあるいは省令におきまして、そういったものの写しと申しますか、そういったものの保存義務の規定あるいは保存期間の規定というのは全然設けてないわけでございます。 いまおっしゃっておられるのは、先ほど申しましたように、恐らく、将来同じ土地についてまた依頼があることに備えて、自主的に各調査士が保存しておることだろうと思うのでありまして、法律的には、そういった保存義務を課したり、あるいは保存期間を決めておるということはございません。
○稲葉(誠)委員 すると法務局の方では、権利に関する移転登記や何かの申請書類は五年間の保存義務じゃなかったですか。どういうふうになっているのでしょう。
○香川政府委員 不動産の表示に関する登記の申請書は五年でございますが、図面は永久保存になっております。
○稲葉(誠)委員 そこで、よく土地の所有権の争いや何かの裁判のときに困るのです。登記の申請書類を取り寄せようと思うと廃棄してしまったとかいうのですよ、五年間だから。 そうすると、訴えが起きてくるのは五年たった後に起きてくることもあるし、その間に訴えが起きて、取り寄せ申請をしたときには五年たっているときもあるのですから、すると廃棄してしまったとかということで、申請の書類の、たとえば判こがどうだとか署名がどうだとかという争いが出てくる場合に、五年間は非常に短いということで困ることがあるのです。それは、別に考えていただきたいと思うのですよ。永久保存というのは別に義務づけられているわけではない。何か土地家屋調査士の方では、永久責任を負わされるのでかなわぬという意味のことを言っておりましたが、法律的な根拠はないというふうにお聞きしてよろしいですね。 それからもう一つの問題は、公共嘱託の問題です。公共嘱託の問題で、各県で知事との間に何か協定を結んでいるのがありますが、それは全国の中でどの程度ありますか。
○香川政府委員 さような協定でやっておるところがあるように聞いておりますけれども、ただいま正確な数字の持ち合わせがございませんので、お許し願いたいと思います。
○稲葉(誠)委員 正確な数字はいいのです。私の聞きたいのは、県知事と協定を結んでいるわけですね、土地家屋調査士会が。きょう持ってくればよかったのですが、栃木県のはちゃんとあります。それに報酬が書いてあるわけですが、それは各県一緒なんですか、ばらばらなんですか。それはどうなっているのですか。
○香川政府委員 先ほど申し上げました大臣の認可された報酬規定には、その辺のところは弾力的に会の方で自主的に決めていいというふうになっておるわけでございますが、これは恐らく連合会の方で統一はいたしておりませんので、各会ばらばらではなかろうかというふうに想像いたしております。
○稲葉(誠)委員 公共嘱託の登記というのは、私もよくわかりませんけれども、これは土地家屋調査士会が全体の中のどの程度の割合をやっているのですか。おおよそでいいです。
○香川政府委員 いま不動産の表示に関する登記、つまり調査士の職域の問題でございますが、件数から申しますと、調査士の手を経てくる申請事件というのが全体の約半数、あと半数というのがいわゆる国、都道府県、市町村等の公共団体からの嘱託登記というふうなことになっておるわけであります。 この嘱託登記の関係で調査士が取り扱っている事件がどれくらいあるかというのは、定かな数字はわかりませんが、一割か、二割まで至っていないのじゃないか、きわめてわずかなものではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、そこのところでつまり公共嘱託の問題が大きく出てきておる、こういうことでございます。
○稲葉(誠)委員 その公共嘱託の登記のときに、具体的に土地家屋調査士会がやるか、その他の公共団体がやるかを決めるのは、どういう形で決めているわけですか。
○香川政府委員 これはどういう形でやるかというか、法令上は、国その他地方公共団体におきましても、嘱託という申請手続と違った手続での登記手続が認められているわけでありますが、これをだれの手を経てやるかというふうなことは、法律的には何ら規制はないわけでございまして、地方公共団体におきまして、特定の調査士に依頼して嘱託手続をやらしてもよろしゅうございますし、あるいはその職員にやらしてもいいわけでありますし、そこは本人のと申しますか、地方公共団体の本来は自由なことであるわけであります。 ただ、一般的に地方公共団体の職員はそういった手続になれていないという面もございますし、間違いを起こすというか、逆に言えば、なかなか書類が書けなくて、登記所へ提出されるのに非常に時間がかかる。二年も三年も放置されているというふうな不都合なことも出てくるわけでございますし、片方、調査士の方から申しますれば、そういったことを集団的にやって、自分たちの職域の・拡大を図ると申しますか、そういったことを考えるのは当然のことでございます。 したがって、地方公共団体と調査士あるいは調査士会、その辺の折衝ということになるわけでございますが、現在は会そのものがそういった受託する能力がございませんので、結局会があっせん機関と申しますか、話し合いをして、個々の調査士のグループごとにそういった事件を地方公共団体から直接請け負わせるというふうな形をとっておるだろう、そういうふうに思っておるわけであります。
○稲葉(誠)委員 私の聞いているところでは、競争入札にされておるというふうに聞いておるのです。いまあなたのお話だと、競争入札でないようにも聞こえるのですが、そうすると、土地家屋調査士の場合は報酬は認可制でみんな決まっているわけですから、競争入札というのは理論的におかしいではないかということになってくるんじゃないか、こう思うのですね。だから、随意契約でやらしてくれというような声があるのではないんですか。私も、ちょっとそこら辺のところは実情がよくわからないものですからね。
○香川政府委員 私の聞いているところでは、確かにそういった問題があるようでございまして、会計法上、随意契約というのがどうもまずいんだというふうに聞いておるわけであります。 ただしかし、内部の職員がやる場合にはこれは問題にならぬわけでございますから、外に発注するといたしますと、そういったことを受託できるのは、簡単に申しますれば土地家屋調査士しかないわけでございます。したがって、土地家屋調査士の報酬規定が一本で決まっておれば、これは随意契約でもいいはずであります。 ただ先ほど申しましたように、現在の報酬規定では、そういう公共嘱託の受託報酬については弾力的に、法務大臣の認可した一般の基準の範囲内で、各調査士会が基準を決めることができるような仕組みになっておりますので、相当幅があるわけでございます。したがって、そこが個々の受託する調査士の裁量によって差が出てくるわけでございますから、その辺のところをとらえて、入札 でなければという議論が出てくるのではなかろうかというふうに想像いたしておるわけでありますが、そうだといたしますと、これは調査士会で、むしろ単位会ごとにそういった幅を持たしたような弾力的な規定ではなくて、一律に何割減ということで決めれば、当然これは競争入札という問題は起こってこないんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございますが、この辺のところは、公共嘱託の推進と絡めて、連合会と相談しながら円滑な方法でやれるように配慮してまいりたいというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 もう時間もあれですから、十七条地図の整備の問題です。 これは、いま一筆ごとにやっているということを聞いているわけなんですが、これではいつまでたってもできないのじゃないか、こう思います。だから、よくわかりませんが、外郭だけをやって、あと導水路の境界の問題とかいろいろな問題については土地家屋調査士会の方に任せる、こういうふうなやり方をとった方が早くいくのではないですか。
○香川政府委員 現在、国土調査法による地籍図の作製がされるわけでありまして、これが登記所に送られてくる、これが一番近代的な、わりあい正確な地図の給源であるわけであります。 そのほかに、当然登記所において地図を備えなければならぬ義務があるわけでございますので、法務局側において、自分でつくることのモデル作業を現在やっておるわけであります。その場合に、おっしゃるように、できるだけ地元調査士の協力で、経費も安く、しかも正確なものができるように考えていかなければならぬわけでありまして、おっしゃるような方向で現在検討がされておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 時間の関係もありますので、これで質問を終わります。
○佐藤委員長 次回は、明二十三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十四分散会