法務委員会 第9号
- 発言数
- 89 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1979/04/24
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます。 理事補欠選任の件についてお諮りをいたします。 委員の異動に件い、現在理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。 よって、委員長は、理事に中村正雄君を指名いたします。 ————◇—————
○佐藤委員長 お諮りいたします。 本日、最高裁判所牧事務総長、大西総務局長、岡垣刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○佐藤委員長 内閣提出、刑事事件の公判の開廷についての暫定的特例を定める法律案を議題といたします。 本案につきましては、第八十四回国会におきまして、すでに趣旨の説明を聴取しておりますので、この際これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○佐藤委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案の審査のため、本日、参考人として、日本弁護士連合会会長江尻平八郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますか、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○佐藤委員長 江尻参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用のところ、本委員会に御出席を賜り、まことにありがとうございました。 本日は、法曹三者協議会における協議の結果について、御意見を承ることになっておりますが、御意見の開陳は、委員の質疑にお答えいただく形式で行いたいと存じますので、さよう御了承願います。 この際、法曹三者協議会における協議の結果について、政府から説明を聴取いたしたいと思います。前田官房長。
○前田(宏)政府委員 それでは、私から、去る三月三十日の三者協議会におきまして取りまとめがなされました「協議結果」等について御説明を申し上げますが、内容の御説明に入ります前に、三者協議会の趣旨、構成等について、若干申し上げておきたいと思います。 三者協議会は、法曹三者が広く司法制度に関する諸問題につきまして協議することを目的とし、原則として毎月一回定例的に開催することといたしまして、昭和五十年の三月に発足したものでございまして、その構成員は、最高裁は事務総局の総務局長、秘書課長、官房審議官、法務省側は官房長と司法法制調査部長、秘書課長、また日弁連は事務総長を含みます四名ないし七名の弁護士さんを常任の協議員ということといたしまして そのほかに最高裁あるいは法務省からは、依頼に応じて所管部局の課長あるいは参事官等が加えられるということになっているわけでございます。 この協議会におきましては、昭和五十年の十二月から五十一年の四月までは、いわゆる沖繩弁護士問題、また昭和五十一年の六月から五十二年の六月までは、いわゆる百日裁判事件の審理につきまして協議を行っておりまして、その後、どのような議題を取り上げるかということ等につきまして協議をいたしました上で、昭和五十三年の三月から、刑事裁判をめぐります当面の問題につきまして協議を重ねてきたわけでございまして、先ほど申し上げましたように、去る三月三十日の第四十四回協議会におきまして、これから御説明申し上げます取りまとめがなされるに至ったわけでございます。 なお、今後も引き続き開催することになっておりまして、実は昨日も協議会が開かれた次第でございます。 以上、前置き的なことを申し上げましたけれども、お手元にお配りしております資料によりまして、先ほど来申し上げております三月三十日に取りまとめがなされました「協議結果」とそれから「附属了解事項」というものがございますので、これを読み上げながら、若干御説明を加えていきたいと思います。 そこで、お手元に、いま申しましたように「協議結果」と題するものと、それから「昭和五四年三月三〇日協議結果附属了解事項」と題するものが、二つに分かれてお配りしてあると思いますが、前者の方がいわば本文的なものでございまして、後者の方が、その本文の項目につきましての三者のいろいろな了解というものを取りまとめた次第でございます。 まず、本文的な「協議結果」でございますが、「法曹三者協議会においては、刑事裁判をめぐる当面の問題に対処する方策について協議を重ねてきたが、差し当たり法曹三者において次のような措置をとることに意見の一致をみた。なお、更に協議を続行し、これらの措置の早急かつ具体的な実施を図ることとする。」という前文がついておりまして、その「次のような措置」ということで一から五まであるわけでございます。 まず一は「弁護士会は、裁判所から特別案件」その意味は「通常の推薦手続によることが困難又は不相当な事件」というふうに申しておりますが、この特別案件につきまして「国選弁護人の推薦依頼を受けたときは、責任をもって速やかに推薦する。そのため、弁護士会は、特別案件の国選弁護人を受任する意思がある相当数の弁護士を登載した受任候補者名簿を作成する。」これが一項でございます。 第二項といたしまして「日本弁護士連合会及び各弁護士会は、弁護人が不当な訴訟活動を行ったときは、当該弁護士に対する懲戒を公正迅速に行うものとし、そのため会則等の規定を整備する。」これが第二項でございます。 次に、第三といたしまして「裁判所及び検察庁は、右一及び二の日本弁護士連合会及び各弁護士会の措置の円滑な実施に資するため、できる限り協力する。」ということでございます。 さらに第四は「裁判所は、受訴裁判所が」この受訴裁判所と申しますのは具体的な事件を扱っている受訴裁判所のことでございますが、「受訴裁判所が特別案件の国選弁護人に対し、相当額の報酬を支給するのに支障を来すことがないよう、予算上の措置について努力する。」 最後に五でございますが、「法務省は、国選弁護人がその職務に関して生命、身体等に危害を加えられた場合の補償について、その実現方法を検討する。」 以上の五項目でございまして、最高裁判所の事務総局大西総務局長、それから日弁連の当時の増岡事務総長、それに私の三者が署名押印をしておるわけでございます。 次に、先ほど申しました「附属了解事項」と題するものについて申し上げますが、これは先ほど申し上げましたように、いま御説明いたしました「協議結果」につきまして三者がいろいろと意見を述べ、お互いに了解し合ったものを記録にとどめるという形でつくってあるものでございます。 1は、先ほどの五項目の中の一の後段の方にございます受任候補者名簿の関係でございまして、裁判所・法務省側から「受任候補者名簿の写しを裁判所及び検察庁に提出することとされたい。」という意見を述べまして、日弁連側におかれまして、これを「了承する。」ということになっております。 また2といたしまして、国選弁護人の推薦の期間の問題についてでございますが、日弁連側から「本文第一項の国選弁護人の推薦は、できる限り速やかに、かつ必ず行うが、場合によっては一箇月程度を要することもあることを了承されたい。なお推薦手続の進行状況につき裁判所に連絡する。」という発言がございまして、これに対し、最高裁側から「事案によっては推薦までにある程度時間がかかることもあろうが、推薦が著しく遅延した場合には、受訴裁判所が受任候補者名簿に基づいて選任することとなろう。」という発言をし、さらに、これを受けまして日弁連側から「法律上は受訴裁判所が推薦なくして国選弁護人の選任をなし得ることは承知しているが、懸念されるような事態は今後あり得ない。弁護士会は著しい遅延等なく、必ず推薦する。なお、弁護士会は、必要があると考えるときは、国選弁護人の数について裁判所に希望を申し入れることとしたい。」という応答になっております。 次に3といたしまして、日弁連側から「裁判所は、国選弁護人の推薦を依頼するに際し、弁護士会に事件の概要、従来の経緯等について説明されたい。」という発言というか御希望が表明されまして、これに対し裁判所側から「その点は、従来から行つてきたところであるので了承されたい。」また、これに関連いたしまして日弁連側から「検察庁は、弁護士会の求めに応じ、従来の経緯等について適宜説明し、今後の訴訟進行等について打合せを行うこととされたい。」という発言がありまして、法務省側が「了承する。」ということになっております。 次に4といたしまして、法務省と弁護士会側から「受訴裁判所は、検察庁と弁護士会とが打ち合わせた結果については、十分尊重されたい。」という発言がございまして、裁判所側が「当事者間の打合せの結果については、受訴裁判所においても十分配慮されるものと思われる。」という応答になっております。 次に5といたしまして、弁護士会側から「受訴裁判所は、国選弁護人選任後の最初の公判期日までの準備期間及びその後の出廷回数について、当該事案及び当該弁護人の実情について配慮されたい。」これに対し裁判所側から「受訴裁判所は、良識をもつて期日を指定するものと信ずる。弁護士会及び弁護人においても、審理の遅延防止について最大限協力されたい。」という応答になっております。 以上が、いわば国選弁護人の推薦関係の了解事項ということになろうかと思います。 次の6以下は、本文といいますか「協議結果」の第二項の懲戒関係についての了解事項になるわけでございまして、まず裁判所側と法務省側から「日弁連は、本文第二項の懲戒の公正迅速化についてどのような方策をとることになっているのか。」というお尋ねをしているわけであります、と申しますのは、本文第二項におきまして、「日本弁護士連合会及び各弁護士会は、弁護人が不当な訴訟活動を行ったときは、当該弁護士に対する懲戒を公正迅速に行うものとし、そのため会則等の規定を整備する。」というふうになっておりますので、その内容についての了解になるわけでございます。 その点につきまして、日弁連側から「日弁連は、次の措置をとることとし、早急に所要の手続を進める。」 (1)といたしまして「弁護人の正当な理由のない不出頭、退廷及び辞任等不当な活動が弁護士倫理に反するものであることを明らかにするため、その旨の倫理規定を制定するとともに、倫理規定違反が会則違反となることを日弁連の会則上明確にする。」 (2)といたしまして「日弁連の懲戒委員会における外部委員を弁護士委員の数より一名少ない数にまで増員する。」 (3)といたしまして「日弁連の綱紀委員会に外部委員を加えることとする。」 (4)といたしまして「各弁護士会に、懲戒委員会における外部委員の比率を(2)の例にならって増大するよう指導する。」 (5)といたしまして「各弁護士会に、綱紀委員会に会員外の者が出席し、意見を述べ得ることとするよう指導する。」 こういう五項目をとるということで、その所要の手続を進めるという応対になっております。 なお、いま申し上げました(2)のところの懲戒委員会における外部委員のことでございますが、現在、日弁連の懲戒委員会につきましては、外部委員といたしまして裁判官、検察官、いわゆる学識経験者が委員になることになっておりまして、それぞれ一名ずつということになっておりますが、この(2)の内容といたしましては、たとえば弁護士委員が八人である場合には、いま申しました学識経験者を含む外部委員が、それより一名少ない数の七名というような数になるという趣旨でございます。 それから、(3)のところは「日弁連の綱紀委員会に外部委員を加える」ということになっておりまして、この外部委員はいまの懲戒委員会の外部委員と同じ趣旨でございますが、(5)のところで、いわゆる単位弁護士会につきまして部外委員という言葉を使っておりませんのは、弁護士法上、各弁護士会の綱紀委員会の委員は、会員の互選によるというふうに法律上規定がされておるわけでございまして、この「協議」並びに「了解事項」は、弁護士法の改正をしないで、現行法の範囲内で運用でやるという前提でございますので、外部の委員ということではなくて、会員外の者が出席して意見を述べ得るというような形になるという趣旨でございます。 そのような五項目の措置をとられるという御説明が弁護士会側からございまして、これに対し裁判所・法務省から「各弁護士会が早急に(4)及び(5)の措置をとることを強く期待する。」これに対し弁護士会側から「日弁連として十分指導に努めるか、各弁護士会において会則の変更等手続上若干の日時を要することを了承されたい。」ということになっております、と申しますのは、それぞれの会則等は、各弁護士会がそれぞれお決めになることでございますので、日弁連としては指導という立場にあるという趣旨がここに出ておるわけでございます。 さらに、7といたしまして、具体的な懲戒事案に関する了解でございますが、弁護士会側から「裁判所及び検察庁は弁護士会から懲戒事案について資料提供の求めがあったときは、これに応じられたい。」ということでございまして、これに対し裁判所・法務省から「できる限り応ずることとする。」という受け答えになっておるわけでございます。 以上がこの「協議結果附属了解事項」の内容でございます。 以上をもちまして、簡単でございますが、御説明を終わりたいと思います。 —————————————
○佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎武五郎君。
○山崎(武)委員 まず、参考人の日弁連会長からお尋ね申し上げます。 今般の法曹三者協議会における刑事裁判をめぐる当面の諸問題に対処する方策についての協議をただいま御発表になりましたが、まことに結構なことであり、喜ばしいことであると考えておりますし、関係各位の御努力に対しまして深甚なる敬意を表します。 日弁連会長としては、この「協議結果」をどのように受けとめておられるか、まずお伺いいたします。
○江尻参考人 お答え申し上げます。 先ほど法務省から、いろいろと御説明がございました。私は、まず、山崎委員のただいまの御質問にお答えする前に、日弁連の会長といたしまして、この三者協議を成立させたいきさつ並びに成立を見ました「協議結果」を今後どのように具体化していくかということにつきまして、この機会に若干御報告申し上げさせていただきたいと存じます。 私どもは、この法案は、憲法が保障しております被告人の弁護人依頼権を侵し、また、民主主義社会におきまして確立しております刑事裁判制度の根幹を揺るがすものでございまして、国民の基本的な人権を守り抜く立場から、この法案に強く反対してまいったわけでございます。 法案反対の署名を開始いたしまして、きわめて短期間の間に、日弁連の全会員の約七〇%を超す会員の方が、この法案に反対する旨の署名を行ったことの一つを見ましても、私ども弁護士のこの法案に対する危機意識か並み並みならないものであることを御理解していただきたいと存じております。 この法案の危険性は、その後、広く国民各界各層の御理解されるところとなりました。いわゆる問題とされております連合赤軍事件あるいは連続企業爆破事件等、この法案の必要性を理由づけるところの事例として紹介されておりました事件は、この法案を提案する前から正常な審理が行われていたのでございますか、その後も引き続き正常な審理が続けられておりまして、この法案の必要性とかあるいは緊急性が根拠のないものであることも、客観的な事実となっておったのでございます。 そこで、私どもは廃案となることを強く期待してまいったのでございますが、しかしながら、仮に法案がなくなりましても、将来の課題といたしまして、弁護人の不出頭あるいは退廷、辞任等によりまして、弁護人不在の法廷が一時的にもせよ生ずるということは、被告人の人権擁護の観点から決して望ましいことではございませんので、これを未然に防止する方策といたしまして法廷対策連絡会議を設け、また、関係者の協議によって、弁護人不在法廷の発生を回避しようとの提案をいたしました。さらに、国選弁護人の確保に関する方策を法案の反対運動と並行いたしまして検討してまいったのでございます。 法廷対策連絡会議の設置につきましては、協議会におきまして、最高裁判所協議委員の御理解を得られなかったために、成案に至りませんでした。 次に、国選弁護人の確保につきましては、早くから、日弁連国選弁護運営委員会と東京の三弁護士会を中心に具体的な方策が考えられまして、昨年の十二月には、当連合会の基本的な方策がまとまったのでございます。 さらに、国選弁護人の確保の方策が三者協議会の中で討議される過程で、日弁連か昨年の十一月執行部の指針としてまとめました弁護士自治の問題に関する答申書に示された日弁連の綱紀委員会への第三者委員の導入など、具体的な方策に関する提案が取り上げられまして、それに加えて、次の四項目について、最高裁、法務省との間で、先ほど法務省委員の御説明をいただいたこの了解の合意を得るに至ったのでございます。 この四項目といたしましては、お手元に配付してございますけれども、「弁護人の正当な理由のない不出頭、退廷及び辞任等不当な活動が弁護士倫理に反するものであることを明らかにするため、その旨の倫理規定を制定するとともに、倫理規定違反が会則違反となることを日弁連の会則上明確にする。」というのが第一点でございます。 第二点は「日弁連の懲戒委員会における外部委員を弁護士委員の数より一名少ない数にまで増員する。」ということでございます。 それから第三点は「各弁護士会に、懲戒委員会における外部委員の比率を(二)の例にならって増大するよう指導する。」これが第三点。 第四点は「各弁護士会に、綱紀委員会に会員外の者が出席し、意見を述べ得ることとするよう指導する。」ということでございます。 このうち二ないし四項につきましては、弁護士自治の根幹にかかわるところの問題でございますし、また一の事項につきましては、弁護活動に関する重大な制約となりかねない内容でございます。しかしながら、特例法案が成立するならば、刑事弁護活動ひいては国民の基本的人権擁護にとって重大な障害となることは明らかでございますので、私どもは高度の政治的な判断をも加えまして、特例法案を廃案に導くためにやむを得ないのではないかと決断した次第でございます。 そういうふうに考えている次第でございます。
○山崎(武)委員 江尻参考人の御意見、私どもは、過去の経緯についてはとらわれずに、今回まとまったこれについて大変尊重し、実現方を強くこいねがっているわけでございます。したがって、私の質問とかみ合うような御意見の陳述を賜れば幸いと存じます。 次に質問申し上げますし 「協議結果」及びその「附属了解事項」には、今後弁護士会側において具体化すべき事項がたくさん掲げられております。これらの点を確実に実現し、その実効を上げていくのには、日弁連及び各弁護士会でいろいろな手続を踏み、努力を重ねていかなければならないと思われます。もし弁護士会の対応か不十分である場合には、弁護士会の誠意と自律機能が疑われ、ひいては問題の解決のためには立法措置を要するとの考えが高まるものと思われるものでございます。 日弁連としては、「協議結果」に掲げられた事項について、どのような内容のものを、どのような手順で実現しようというふうにお考えになっておられるのか、御説明を賜りたいと思います。
○江尻参考人 お答え申し上げます。 この「協議結果」の具体化について、日弁連がどの程度誠意を持ってこれを履行するかという御質問の内容でございますので、本日までの具体的な日弁連の努力につきまして御報告申し上げます。 まず第一に、国選弁護人の確保のための方策でございます。 日弁連は、この特別案件につきまして国選弁護人を確保するために、すでに昭和五十三年十二月十六日の理事会の決議によりまして、受任者名簿を備えつけする等の被推薦者確定方策の準備並びに隣接の会及び日弁連の協力を骨子とするところの要綱を決めまして、そして本年の一月十八日付日弁連の通牒第七号の会長名の文書をもって、この要綱に基づき、各弁護士会で国選弁護人の推薦に関する具体的な方策もしくは制度を早急に樹立し、日弁連に報告するよう指導いたしました。 その後、三者協議の進展によりまして、特別案件に係る国選弁護受任承諾者名簿を各弁護士会で必ず作成することが今年の三月十七日の理事会で決定されまして、日弁連は、本年の三月二十九日付の会長名義の文書をもって、各単位弁護士会長に対して、その旨の指導がされております。 また、本年の四月十四日現在におきまして、すでに全国の十四単位会、これは五十二単位会ございますが、十四単位会におきまして国選弁護人推薦に関する規則を制定しておりまして、また全国の九単位会が特別案件の国選弁護受任承諾者名簿をすでに用意済みでございます。特に、特別案件についての受任承諾者名簿の必要性が高いと考えられております東京、この三会におきましては名簿の整備を急ぎまして、四月十四日現在でございますが、百七十二名もの会員に名簿登載への御承諾をいただくことができておるのでございます。 次は、懲戒の公正迅速化のための方策について申し上げたいと存じます。 日弁連は、昨年の十一月の二十五日に懲戒制度の自主的な改善策を含めた弁護士自治の問題に関する答申書を理事会で承認して以来、その具体化に努めてまいりました。 まず、懲戒事件処理の一層の適正迅速化を図るために、会則及び会規を改正して、懲戒委員会の補助機関として調査員制度を創設いたし、また日弁連に対する異議の申し出事件につきましては、原則として六カ月以内に審査を遂げ、議決をなすべき旨の会規を置くことにいたしました。本年の四月二十一日の全体理事会で、この二つの改正についての発議がされまして、これらの会則及び会規の改正は、本年の五月二十六日に開催を予定されております日弁連の定時総会におきまして、可決、承認の議決を得ることになっておるのでございます。 さらに、ことしの三月三十日、先ほど御説明がありました、成立した「協議結果」の「附属了解事項」の第6項の(1)でありますが、この(1)が定めております不当な弁護活動に対する対策といたしましては、刑事法廷における弁護活動に関する倫理規定、これは会規をもって決める。この倫理規定を決めるということにいたしまして、弁護人は、正当な理由のない不出頭、退廷及び辞任など、不当な活動をしてはならないことといたしました。 なお、日弁連の会則第二十九条の第一項におきまして、この会規の遵守義務が決められておりますので、右会規違反は会則の違反になることになります。この会規は本年の四月二十一日の理事会で承認されましたので、同様に、本年の五月二十六日の定時総会において、可決、承認の議決をいただく予定と相なっております。 それから「附属了解事項」の第6項の(2)に決めております日弁連の懲戒委員会における外部委員の増員につきましては、弁護士である委員を八名、裁判官及び検察官である委員を各二名、学識経験者である委員を三名、外部委員を合計七名ということで八対七にすることにいたしまして、その旨の会則の改正につきましては、本床の四月十四日に理事会で発議されて、五月二十六日の定時総会で議決の見込みになっております。 「附属了解事項」の第6項の(3)に定める日弁連の綱紀委員会に外部委員を加える件につきましては、会則を改正しまして、最南裁判所の推薦に基づく裁判官、検事総長の推薦に基づく検察官及び日弁連の理事会の決議に基づく学識経験者を各若干名、委員として委嘱するということにいたしました。この会則改正につきましても、本年の四月二十一日の理事会で発議されておりますので、本年の五月二十六日の定時総会で可決、承認を求めることになっておるのでございます。 次に、「附属了解事項」の第6項の(4)及び(5)に定める各弁護士会の懲戒委員会における外部委員の増員の件及び綱紀委員会に会員外の者が出席して意見を述べ得ることとする件につきましては、各単位会の実情調査の上、日弁連の会則、会規の改正を待って、具体案を示して単位会を指導するつもりでございます。 以上が、この協議の具体化につきまして、今日まで日弁連がとってまいりました対応でございます。 要するに、法曹三者協議の場におきまする了解事項の具体化という重要問題でございますので、私ども就任間もない四月五日には緊急の全体理事会を開催して、全国から理事に集まっていただき、この具体化についての重要な協議をいたしましたし、さらに、四月の十四日通常の全体理事会を開き、引き続き四月二十一日臨時の全体理事会を開催するなど、いまだかつて前例のない熱意を持って、わずか三週間余りの短期間内に、先ほど申し上げましたように、来るべき定時総会に提案すべき会則改正案、会規改正案などにつきまして、全体理事会の承認をいただいて、本日に及んでおる次第でございます。 なお、きわめて短期間内における強行的なスケジュールのもとに取りまとめたために、現段階におきましては、必ずしも全国会員に十分に周知徹底しておるとは申しかねるのでございまするが、幸いに総会まではあと一カ月余りございますので、さらにより一層の周知徹底を図り、「協議結果」の具体化につきましては、全国会員の理解と協力をいただきまして、来るべき五月二十六日の定時総会におきましては満場一致をもって可決ができますように、日弁連の執行部は一丸となって一層の努力をしたいと存じておる次第でございます。
○山崎(武)委員 ただいま御説明のあった点についてちょっとお伺いしますけれども、日弁連及び各弁護士会において手続が完了し、倫理規定の制定、懲戒委員会の外部委員の増員等について完全な実施を見るには、今後どのぐらいの時間を要するであろうか、大まかの見込みで結構でございますが、御説明をお願い申し上げます。
○江尻参考人 御質問にお答え申し上げます。 日弁連といたしましては、五月二十六日の定時総会におきまして、いま私が申し上げましたような会則、会規等、この三者協議会に盛られた具体化が実現いたしますと、ただその施行という問題だけが残っておりますが、それは、われわれ執行部におきましてなるべく迅速に、少なくともこの総会が終わり次第、日弁連におきましては御期待に沿うような成果を上げることができる、こう考えております。 また、各単位会の指導でございますが、これはいろいろと事情もございますが、できましたならば、本年度内にぜひとも取り決めされた事項の実現を図っていきたい、こういう目標を持って指導をしていくつもりでございます。
○山崎(武)委員 「協議結果」の内容が細部にわたって具体化し、それが着実に実施されることを強くお願いいたしますが、刑事裁判の審理が適正迅速に行われるためには、刑事訴訟手続は裁判所を中心として進められるべきものでありまして、弁護人等関係当事者は、法令に従って冷静に訴訟活動を行わなければならないものと考えます。 この点についての参考人の御意見を一言お伺いいたします。
○江尻参考人 お答え申し上げます。まことに同感でございます。
○山崎(武)委員 最後に、懲戒事件の具体的な処理についてお尋ね申し上げます。 私は、昨年五月十二日の本委員会において、いわゆる東大事件の審理に関連してなされた懲戒申し立て事件がどのように処理されているかをお尋ねいたしました。その後約一年を経過したきょう、この懲戒申し立て事件はどのように処理されているか、お伺い申し上げます。
○江尻参考人 お答え申し上げます。 東大事件関係でございますが、東弁の懲戒委員会の議決に基づきまして昭和五十二年の十二月の二十六日、異議の申し出がされましたこの件につきましては、五十三年の一月の二十四日に日弁連の懲戒委員会に審査を求めまして、そうして懲戒委員会では関係人の事情聴取もすでに終わりまして、近々結論が出される予定であるということを伺っております。 それからもう一つの、第二東京弁護士会の綱紀委員会の議決に関しまして異議の申し出がされた件も、東京弁護士会の事件と並行して審議中でございますが、この件も、ことしの秋をめどとして結論を出す予定であるということを伺っておりますので、私も安心しておる次第でございます。
○山崎(武)委員 今般の三者協議会の「協議結果」についての法務大臣の御所感をお伺いいたします。
○古井国務大臣 先ほど来説明がありましたように、非常に誠意を持って、また熱意を持って三者の協議が進み、かつ報告のようなところまで来たわけでありまして、これはいわば画期的なことでありますし、非常によいことになったと思って喜んでおります。 いま日弁連の会長のお話もありましたけれども、これが本当にそのとおりに今後実行に移されることをわれわれは期待をし、これは間違いはないですけれども、必ずそうなるようによく見守っていきたい、成功させたい、こういうふうに思っております。
○山崎(武)委員 最高裁事務総長の御所感をお伺い申し上げます。
○牧最高裁判所長官代理者 関係者の大変な御努力によりまして、先ほど前田官房長から御説明がございましたような「協議結果」かまとまりましたこと、まことに結構なことだと存じております。私どもとしては、せっかくまとまりました「協議結果」が具体化され、確実に履行されることを期待している次第でございます。
○山崎(武)委員 終わります。
○佐藤委員長 横山利秋君。
○横山委員 先ほど、日弁連の江尻会長から冒頭のお話を承りました。日弁連としては従来の経緯をお話をなさったおつもりではございましょうが、やや私としては違和感を覚えざるを得なかったわけであります。私ども社会党も、お話の趣旨には全く同意見でございますが、本日としては、お立場の宣明をされるのはもちろんではございましょうけれども、いま法務大臣がおっしゃったように、全く三者協議の結果が画期的である。また、私に言わせれば、従来の歴史的な経緯をもって、きょうの三者の御報告がきわめて意義のあるものだと思いますがゆえに、一言その立場から、私の意見を含めて申し上げたいと思うのであります。 本委員会の各党の弁護人抜き裁判法案に関する立場というものは、すでに御存じのように、賛否両論あるいは中立と、きわめて多岐にわたっております。しかし、そうでありましょうとも、各党がこぞって考えましたことは、法案の成否以前に、法曹三者の信頼感を失ってはならぬということであったわけであります。 そこで、本年の二月十六日でございましたか、私ども野党が全党集まりまして、一つの申し合わせの趣旨をしました。それは、三者協議の成果を期待して、政府・与党の善処を求めるということであります。すなわち、野党の中にも賛否両論はあるけれども、しかし、それ以前に法曹三者の信頼感をいかにして確立をするか、立場の相違はあろうとも、相手ながらあっぱれである、立場の、意見の相違はあろうとも、法廷というものについてのお互いの信頼感というものを確立することが必要であるとして、野党の意見の一致があり、それを当委員会におきましても政府並びに与党に善処を求めた次第でございます。 しかるところ、日弁連、法務省並びに最高裁が私どもの趣旨を了とされまして、まさにいま御報告のように、異常とも言えるほどの熱意を持ってこの取り決めに成功されましたことは、私はまことに心温まる思いである。国会というところは、法律をつくればいいというものではない、法律を否決すればいいというところでもない。いかにして国民生活あるいは法律の運用を全からしめるかというところにポイントが置かれなければならないと日ごろ考えておりますだけに、私は、この法曹三者の合意について心から喜んでおるものであります。したがいまして、その趣旨がただ文字でなくして、文字の実行ばかりでもなくて、その本当の趣旨がこれから生かされていかなければならない。この文字は守りました、実行いたしました、しかしほかのところでは、また同じ問題が何かでできるということであってはならないと思うのであります。 そこで、私は三者にお伺いをいたしたいと思うのでありますが、この三者が決めた協議事項なり了解事項の骨格となる物の考え方、精神、それをどうお考えになっておられるかという点であります。つまり、具体的に言えば、今後とも法曹三者が、この三者協議をいろいろな問題で十分に胸襟を開いて話し得る条件づくりができたと私は思いますが、これだけの問題で話ができたということなんでありましょうか。これだけはできたけれども、あとは知らぬぞよということでは困ると思うのであります。これからも本当に、それぞれいろいろな問題について、法曹三者協議会が今後とも胸襟を開いて信頼感を持ってやっていくという気持ちがおありになるかどうか、政府、最高裁、日弁連からお伺いをいたしたいと思います。
○古井国務大臣 ここまで至りましたについては、関係の三者当時者が努力したことも無論でありますけれども、国会における御論議、皆さん方の御指導、これは非常に大きな影響があったと思っております。つまり、これはみんなが求めておったことであると思うのであります。最近は、実際問題三者のどこにおいでになってもおわかりになると思いますけれども、三者の間の空気がなごやかになっておりまして、何だか一軒の家みたいになってきましたように思っております。まだ少々甘いかもしれませんけれども、いまそういう感じがしておるのでございます。当面の一つの問題についてだけでなしに、法と人権を三者が守っていこうという、それぞれの役割りはあるわけであります。それは無論つくらなければなりませんけれども、しかし大目的から言えば、法を守り、人権を守っていくということが共通なのでありますから、そこで、大目的に考えて、この方向にこれからぐんぐん前向きに進んでいきたいと思います。 ただ、さっきもお話ししましたように、言葉は言葉としまして、実行の問題になりますと、それは弁護士会とされても、最後の実行がこうだというところまでいくにはなかなか骨が折れるだろうと思いますよ。察しておりますよ。けれども、やってくれると思いますし、これを期待して、われわれも対応していこうと思っております。
○牧最高裁判所長官代理者 法曹三者の間に信頼関係がなければならねということについては、横山先生御指摘のとおりに私どもも考えておるわけでございますが、ただ過去、この間、不信感が三者に相当あったことも事実でございまして、これは今後、このうちの一番大きな、この法案に関連して協議ができましたこの気分を大事にいたしまして、これから一つ一つ具体的な問題について、そういうものの解決を図り、法曹三者の信頼をそれぞれ確立していくように努力していきたいと考えております。
○江尻参考人 お答え申し上げますが、横山先生からは、今回の法曹三者協議会の成立につきましては、大変いろいろと御配慮、御支援をいただきまして、この場をおかりいたしまして、感謝申し上げておる次第でございます。 先生が申されましたように、法曹三者の信頼関係の回復、この確立、維持ということは、いまの日弁連としては最も重要なことでございまして、私どもも、先ほど大臣を初め最高裁判所長官代理のお話もございましたとおり、今後、司法制度の運営、改善等すべての問題につきまして、まずこの法曹三者協議会におきまして一応相談していくという精神には少しも変わりはございませんし、何よりも法曹三者の信頼関係の確立、継続ということはこいねがっている次第でございます。よろしくひとつ……。
○横山委員 ただ、政府並びに最高裁に一言申し上げておきたいと思いますが、この場の雰囲気が何か、日弁連次第だぞという、日弁連にすべての実行責任があるぞというふうな雰囲気を、もし結果として醸し出すとするならば、これは私は間違いがあると思う。この三者協議会におきましても、なるほど日弁連のこれから果たすべき役割りが主たるものではあるけれども、同時にそれは、最高裁における裁判官の訴訟指揮なり、あるいは政府の法案提出の態度なり、そういうものが今日の事態の端をなしておるということを私はかねて指摘をしておるところでありますが、三者ともどもにその責任を負わなければならない。 くどくは言いませんけれども、先ほど山崎委員の質問に答えて、江尻会長から誠実に、日程、経過並びに今後の点について、きわめて具体的に責任のある気持ちを御報告いただきましたが、同時にそのことは、政府並びに最高裁におきましても、この国会において、あるいは三者協議会の中におきまして指摘をされた諸問題につきましての反省もやはりいただいておきませんと、何かこの協議の結果が、すべて日弁連のこれからの作業にかかわることであってという雰囲気をお持ちになるとするならば、私どもは少し違うと思いますから、この点は強く指摘しておきたいと思います。 それから、法務大臣にちょっと所信を伺っておきたいと思うのであります。 江尻さんもそうおっしゃいました。私も、法案の可否以前の法曹三者の信頼感の充実こそ、与野党、政府、最高裁、日弁連、すべてのコンセンサスである、こう申しました。 そこで、いまその峠を登り詰めて、ようやくここに、お互いに心温まる思いでこの報告を受けるわけでありますが、そうだといたしますならば、弁護人抜き法案のありようについて、法務大臣として心に決するところがあると思います。そうでなければ画竜点睛を欠く、こう私どもは思いますが、その点はいかがでございますか。
○古井国務大臣 先ほど来のやりとりでお聞きのとおりに、三者の間がうまくいき、また弁護士会の方も、大きな責任をこれから果たしてやろう、こういう決心をされているわけでありますから、スムーズにうまくいくだろう、そういうふうに期待をいたしておりますが、きょうの段階におきましては、ことに弁護士会とされては会の方で、この取り決め、三者協議を実行するために、連合会として踏まれる手続もこれからということで残っております。五月二十六日に総会をされるということでありますが、そういう段取りもこれから踏まれるわけであります。それから、各単位の弁護士会の方、先ほど江尻会長がお話しのとおりでしたが、全国の弁護士会、これが皆同じように協力していただかぬといけないわけであります。 年度内ぐらいはかかりはしないかというお話もさっきありました。そういうふうな状況で、方向はもうこれで狂わないと思っておりますけれども、まだ段取りも踏んでいかれることもあり、それからまた弁護士会さんとされては、これは、それが本質でもありますけれども、弁護士の方々というのは、皆もう意見のある、理屈のある方の集まりですから、これはまとめていき、実行に移していかれるのに、なかなか骨が折れるだろうと私は思うのです。不誠意の問題じゃない、事柄が骨の折れる仕事だろうと察するのであります。 そこで、これからおやりになっていただくことは、私は、きょうの段階におきましては、これからそのとおりに進む状況をよくひとつ見せていただきたい、見届けさせていただきたい、こういうふうに思っておりますので、すぐさま法案をどうこうということを、きょうこの時点において申し上げることはちょっと困難でございますから、御了承を願いたいと思います。
○横山委員 われわれ政治家が次に直面するものは、この秋の衆議院の解散、総選挙、まあ恐らくそういうことになると衆人が予測しておるわけであります。 そうなれば、この法案は、いまの法務大臣のお気持ちから言うと、この国会中に処理をするお気持ちはないというふうに判断ができたわけでありますが、そういたしますと、仮に継続審議になりましても、これは廃案になる性格を、まあいやみだとかそういうものではなくて、客観的判断を持っているわけであります。それが一つであります。 それからもう一つは、この問題の処理、三者協議に至るこの問題の処理は、結局は与野党、政府、最高裁、日弁連、日弁連の内部、すべて信頼で今日まで来た、お互いに信頼しようじゃないかということで今日まで来たのであります。それが成功をしてきたと思うのであります。そうであれば、信頼をすべてし尽くすということでなければ筋が通らない。日弁連を信頼する、政府を信頼する、最高裁の今後の善処を信頼するということでなければ、それがうまくいかなかったら、また何とかするよというようなことでは、信頼で透徹ができないと私は思う。 もちろん法案は、政府が何とおっしゃいましょうとも、国会でまたわれわれがこの処理を決めることでございます。したがって、いま法務大臣のあうんの呼吸はわからないではございませんが、私ども、会期はあと一ヵ月ぐらいでございますか、ひとつここにいらっしゃる与党の同僚諸君にも、いまの私の申し上げる、この問題が信頼で始まり、信頼で終わるという、よりよき結果こそ有終の美をなすものだ、ぜひそれは与党の諸君も十分考えてもらいたい、そういう希望を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○佐藤委員長 江尻参考人には、御多用のところ御出席を賜り、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 ————◇—————
○佐藤委員長 次に、内閣提出、民法及び民法施行法の一部を改正する法律案、同じく土地家屋調査士法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 まず、両案について、政府から趣旨の説明を聴取いたします。古井法務大臣。
○古井国務大臣 まず、民法及び民法施行法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。 この法律案は、第一に、民法第十一条の規定中「聾者」、「唖者」及び「盲者」の文字を削ろうとするものであります。すなわち、現行の民法第十一条は、聾者、唖者及び富者について準禁治産宣告をすることができるものとしております。その趣旨は、これらの者が重要な財産上の取引において不利益を受けることがないよう、これらの者を保護しようとすることに尽きるのでありますが、この規定のもとにおいては、単に聾者、唖者または盲者であるということだけで、これらの者について準禁治産宣告がされるかのような誤解を生じ、ひいては不公平感を生じさせるおそれもあるのみならず、これらの者が社会生活上種々の不利益を受ける懸念もなしとしないのであります。 しかも、この規定中「聾者」、「唖者」及び「盲者」という文字を削りましても、これらの者について準禁治産宣告による保護をする必要がある場合には、十分対応することができますので、この際同条中これらの文字を削る改正をしようとするものであります。 第二は、民法法人の実態等にかんがみ、民法法人に関する規定の整備をしようとするものであります。すなわち、現行の民法には、民法法人でない者が民法法人であることを示すような名称を用いることを禁止する規定がないのでありますが、民法法人でない者が民法法人であることを示すような名称を用いて活動することを放置いたしますと、世人に誤解を与え、種々の弊害を出ずるおそれがあるのであります。 そこで、このような弊害を防止するために、社団法人または財団法人でない者かその名称中に「社団法人」もしくは「財団法人」という文字またはこれらと誤認を生じさせるような文字を用いることを林一川止し、かつ、これに違反した者は、相当額の過料に処するものとする規定を民法に新設しようとするものであります。 また、民法法人の中には、その運営の適正を欠くやに見受けられるものもありますか、そのような状況にかんがみ、民法法人の運営について規制を強化し、その適正化を図る必要があるのであります。そこで、民法及び民法施行法に所要の改正を加えて、主務官庁が民法法人に対して監督上必要な命令を発することができることを明確にし、この命令に違反した理事等を過料に処することができるものとするとともに、民法法人がこの命令に違反した場合において、他の方法により監督の目的を達することができないときは、これを解散させることができるものとしようとするものであります。 さらに、民法法人の中には、長期間にわたって全く事業活動を行っておらず、登記上のみ存在するいわゆる休眠法人か相当数ありますが、これを放置しておきますと、税法上これを悪用するなどの弊害の生ずるおそれがありますので、これらの法人を整理するため、民法及び民法施行法に所要の改正を加えて、民法法人が正当の事由がないのに引き続き三年以上事業を行わないときは、主務官庁は、これを解散させ、所要の登記を嘱託することができるものとしようとするものであります。 第三は、民法の罰則規定中過料の額を相当額に引き上げようとするものであります。これは、現行の民法が制定された明治二十九年以来過料の額が改められずに今日に至ったため、罰則規定がその機能を果たしておりませんので、現在の経済事情等に照らし、その機能を果たすことができる程度にまで、過料の額を引き上げようとするものであります。 以上かこの法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。 次に、土地家屋調査士法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、土地家屋調査士の制度の充実強化を図るため、土地家屋調査士の資格に関する制度を合理化するとともに、その職責、業務等に関する規定を整備しようとするものであります。 この法律案の要点を申し上げますと、第一に、土地家屋調査士となる資格について、土地家屋調査士試験に合格した者のほか、法務局または地方法務局において、不動産の表示に関する登記の事務に従事した期間が通算して十年以上になる者で、法務大臣が土地家屋調査士の業務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認めたものは、土地家屋調査士となる資格を有することとしております。また、未成年者または破産者で復権を得ないものは、土地家屋調査士となる資格を有しないものとするなど欠格事由に関する規定を整備するとともに、土地家屋調査士試験の方法として筆記試験のほか口述試験を実施するものとし、これに関する規定を整備することとしております。 第二に、土地家屋調査士の制度は、不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施に資し、不動産に係る国民の権利の明確化に寄与するためのものであること、及び土地家屋調査士は、常に品位を保持し、業務に関連する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行う職責のあることを明らかにすることとしております。 第三に、土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記につき、必要な土地または建物の調査、測量及び申請手続をするほか、審査請求の手続もすることができることとしております。 第四に、土地家屋調査士の登録または登録の移転の申請は、土地家屋調査士会を経由してすべきこと、及びその申請をする者は、その申請と同時に、土地家屋調査士会に入会する手続をとらなければならないこととするとともに、登録制度の適正な運用を図るため、登録に関する規定を整備することとしております。 第五に、土地家屋調査士の職責の重要性にかんがみ、懲戒処分による業務の停止の最長期間を現行の一年から二年に改めるとともに、土地家屋調査士会の自主性の強化を図る見地から、土地家屋調査士会は、法令に違反するおそれがあると認められる所属の会員に対して、注意勧告をすることができることとし、また、日本土地家屋調査士会連合会は、土地家屋調査士の業務または制度につき、法務大臣に対する建議等をすることができることとしております。 第六に、土地家屋調査士法に定める罰金及び過料の多額は、これを定めて以来長年月を経過しておりますので、相当額に引き上げることとしております。 以上がこの法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○佐藤委員長 これより民法及び民法施行法の一部を改正する法律案について質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎武三郎君。
○山崎(武)委員 最初に、民法第十一条の改正についてお尋ねいたします。 民法第十一条中の「聾者、唖者、盲者」という部分を削ることについては、そのような改正を求める請願が、すでに当委員会において採択されたことでもあり、いまや一般に異論のないところであると思うのであります。そして、視聴覚障害や言語障害のある方々が、そのような障害があっても、その能力において通常人と何ら異なるところがないということが、基本法である民法において明確にされることになるという意味において、今回の改正は、これらの方々にとって喜ばしいことであります。 ただ、現行の民法第十一条が、耳の聞こえない人、口のきけない人、目の見えない人を準禁治産者とすることができることとしているのは、これらの人々が財産上の取引において不利益を受けることから防御しようという趣旨であることは明らかであります。 したがって、今回の改正によって、これらの人々を準禁治産の対象から除外するということは、これらの人々をそのような保護の対象から除外するということを意味するのであります。私は、これらの人々のうちほとんど大部分は、そのような保護を必要としないと言ってもよいと思うのでありますが、果たして、すべての人々がそのような保護を要しないと言えるかどうかは疑問ではなかろうかと思います。そこで、そのような意味で、今回の改正の結果、これらの人々の保護に欠けることとなるおそれはないかどうかをまずお尋ねいたします。
○香川政府委員 準禁治産宣告をする必要性につきましては、準禁治産宣告制度の趣旨から考えますと、心神耗弱者あるいは浪費者、これに尽きるだろうと思うのであります。したがいまして、聾者、唖者、あるいは盲者、これらの身体障害者につきまして、一般の人と同じような心神耗弱あるいは浪費癖というようなことがございますれば、これらの文字を第十一条から削りましても、準禁治産宣告をすることができるわけでございますから、結果的にこれらの人たちの保護に欠ける点はない、かように考えております。
○山崎(武)委員 次に、民法法人でない者が民法法人であるかのような名称を使用することを放置しておくべきでないことは当然であります。特に、主務官庁の監督のもとで公益活動を行っているかのように装って、公衆から寄付を募るために社団法人とか財団法人を名のる悪質なものがあるようでありますから、そのような行為を規制する規定を民法中に新設することは時宜に適したことであろうと思うのであります。 しかし、今回の改正案を見ますと、第八十四条ノ二という新設規定において、その名称使用制限に違反した者は十万円以下の過料に処することとしておるようでありまして、果たして、この程度の額の過料の制裁によって、名称使用制限の効果が上がるかどうかということは疑問を感じます。 もっとも、他の法律における名称使用制限違反に対する過料の額を見てみますと、商法の五万円以下というのが最も高い方で、多くは一万円以下とか三万円以下となっており、学校法人や医療法人については五千円以下とされているようでありますから、十万円以下というのはこれらとのバランス上精いっぱいというところかもしれませんか、せっかく規定を新設いたしましても、規制の効果が上がらないようでは意味がないと思いますので、念のためお考えをお伺いいたします。
○香川政府委員 確かに御指摘のとおり、考えようによりますと、十万円以下の過料ということでは若干低きに失するきらいがあるという御意見もあろうかと思うのでありますが、いま御指摘もございましたように、他の名称禁止規定違反に対する過料の額が必ずしも統一がとれていませんで、五万円以下になっておるわけでございます。しかも今回の公益法人についての過料の制裁規定は新設するものでございまして、それやこれや考えますと、公益法人についてだけ飛び離れた高額の過料の規定を設けることはいかがかというふうに考えておるわけでございます。 もちろんこの問題は、民法の十万円の実績にもかんがみまして、他の法律中の名称禁止規定違反の過料の額を統一的に見直す必要があるだろうというふうに考えておるわけでございまして、その辺のところを検討して、近い将来、過料の額の整合性と申しますか、また実質的に実が上がるような制度の改正を考えるべきであろう、かように考えておる次第でございます。
○山崎(武)委員 次に、民法法人に対する監督の強化及び休眠法人の整理に関してお尋ねいたします。 民法法人に対する監督を強化する必要があること及び休眠法人の整理を促進する必要があることは、昭和四十六年十二月に行政管理庁の行った公益法人に対する指導監督に関する勧告において指摘しているところであり、今回の改正は、この勧告にこたえるものであると言えると思うのであります。 そこで、この勧告のうち、今回の改正に関係のある部分を簡潔に御説明願います。
○香川政府委員 行政管理庁の勧告のうちで今回の改正に関係いたしますのは、まず第一点としまして、事業活動を長期間行っていない民法法人については、その実態を把握して、事業開始の見通しの定かでないものは解散を勧奨して整理する必要がある。第二点は、事業活動が設立目的に必ずしも沿っていない法人などについては、その実態を確認の上、解散指導、事業活動の適正化など、それぞれ必要な措置を講ずる等の必要がある。 この二点が、今回の改正に関係しておるというふうに考えております。
○山崎(武)委員 ところで、行政管理庁のこの勧告に十分にこたえるには、立法上の処置を講ずる必要があるとの判断に立って、今回の改正法案を提出されるに至ったものと考えるのであります。 そこで、民法法人に対する監督に関する民法の現行規定はどうなっているのか、また、どのような点において、それが不十分なのかということを御説明願います。
○香川政府委員 まず現行民法での監督規定は、第一には、法人に設けられる機関である監事の監督が一つございます。それから総会の監督権、それから解散・清算に関する裁判所の監督権、それらのほかに、主たるものとして主務官庁の監督権があるわけでございますが、この主務官庁の監督に関する規定は、現代的に考えますとやや簡に失する、つまり、民法法人がその主務官庁の監督に属するという規定、それから必要な検査、報告を求めることができるというふうな規定でございまして、特に、監督上必要ないろいろの命令か出せるということは解釈上は考えられますけれども、その命令に従わない場合の制裁等、事後措置について何ら規定がないわけでございまして、ここのところが、現在の民法における主務官庁の監督のありようとして一番不十分でなかろうか、かように考えておるわけでございます。
○山崎(武)委員 次に、休眠法人の整理に関してお伺いいたします。 商法第四百六条ノ三は、最後の登記後五年を経過した会社を休眠会社として整理する対象としております。すなわち、株式会社は一定の期間登記をしないという外形的な事実に基づいて整理の対象とされているのであります。 ところが今回の改正案によりますと、民法法人は、一定の期間登記をしないとか、一定の期間工務官庁に対して報告、届け出をしないといった外形的な事実に基づいて整理の対象とされるのではなく、正当な事由なく引き続き三年以上事業を行わないという、いわば実質的な要件を満たすときに限って整理の対象とされております。 整理の対象とする休眠法人の要件をこのように定めた理由は何であるのか。また、このような要件のもとでは、主務官庁においてその要件の有無を調査し認定するのが困難であるために、休眠法人の整理がはかどらないおそれはないのか、お伺いいたします。
○香川政府委員 御指摘の商法における休眠会社の整理につきましては、五年間登記を行わない場合に整理できることになっておるわけであります。 これは御承知のとおり、取締役あるいは監査役等について、それぞれ任期が法律上定まっておるわけでございまして、当然任期が参りますれば改選ということになるわけでございますが、それに伴う登記が必ず必要になってくる。したがって、その登記が五年以上されていないということは、つまり、そういった役員の改選をやっていないということに通ずるわけでございまして、したがって、そういうものをとらえて解散の措置を講ずるということが適当かと思うのでありますけれども、民法法人については、理事等について任期の定めが法律上ないわけでございまして、したがって、単にそういった理事の登記が三年なら三年あるいは五年なら五年されていないということのみをもって、当該法人が事業活動を行っていないというふうに判定することはいかがだろうというふうに考えるわけであります。 そうなりますと、実質は結局事業活動を行っていないという点を認定して整理を行うということしかないわけでございますが、そのための認定が困難ではないかという御指摘でございます。これは、現在いろいろの報告、届け出等を義務づけておりまして、そういった定期的な報告、届け出がないときに、さらにそれに基づいて実態調査をするというきっかけが出てくるわけでございまして、そのような実態調査に基づいて、事業活動を行っていないという認定がさほど困難でなしにできるだろうというふうに考えておりますので、実質をとらえても整理が困難だということには相ならぬのではなかろうか、かように考えております。
○山崎(武)委員 ところで、法人制度を改正するに当たっては、監督の強化や休眠法人の整理のための処置とあわせて、いわゆる中間法人制度の導入を図る必要があるという議論があるようでありますが、この点について法務当局はどのようにお考えであるか、御説明願います。
○香川政府委員 先ほどお挙げになりました行政管理庁の勧告の中にも、いわゆる中間法人について検討する必要があるという御指摘があったわけでございますが、そういった指摘もございましたので、法制審議会の民法部会におきまして、若干この問題を検討した経緯がございます。 そういった検討の結果を踏まえて考えますと、民法一般法の中に中間法人一般法を設けるということは必ずしも適当でないのではなかろうか、むしろ必要のある中間法人につきましては、現在すでに特別法でそれぞれつくられておるわけでございまして、したがって、真に必要のある中間法人につきまして、やはり特別法で設けることにした方がベターではなかろうかというふうに考えておりますが、ただ、法制審議会におきまして、今後中間法人の問題については継続して検討していただく予定になっておりますので、その検討の結果を見て対処いたしたい、かように考えております。
○山崎(武)委員 最後に、過料の額の引き上げについてお尋ねいたします。 民法中の過料の額は、現在二百円以下という全く時代離れしたものであり、これでは罰則としての機能を果たし得ないのは明らかでありますから、これを引き上げる必要があることは言うまでもありません。今回、第八十四条の方は五十万円以下に、千五条の方は五万円以下に、それぞれ引き上げることとした根拠を御説明願います。
○香川政府委員 過料の最高限を幾らにするかということはなかなかむずかしいことでございますが、それぞれの事案によるべきことは当然でございますが、すでにある民法の額につきまして、その後の物価変動等を考慮すると同時に、他のいろいろの現在ある同種の過料の規定もしんしゃくいたしまして、御指摘のような額にいたしたわけでございます。
○山崎(武)委員 終わります。
○佐藤委員長 横山利秋君。
○横山委員 始まります前に、法務大臣に少し、緊急にちょっとほかの問題で伺いたいのです。これは法務大臣としてお伺いをするのです。 この間、東條英機外戦犯十四名が靖国神社に合祀されたことがわかったわけです。これは政治的な問題ですから、ほかの委員会でもいいとは思うのでありますが、特に法務大臣にお伺いをしたいのは、極東裁判というものに対する認識の問題と、それから法務大臣としてのお考えなんであります。 私は、この機会に極東裁判の国際的法律上の立場というものを一遍見直してみたわけでありますが、結局、アメリカ合衆国が連合軍総司令官のもとに裁判所を組織して、そしてその組織の設置の基礎はポツダム宣言である、直接の根拠はマッカーサー司令部の一般命令として公布された、そういう立場に立っておるものであります。よく俗説的に、勝った者が負けた者を裁判したのだからとか、あるいはその法的根拠がないからということを言う人がありますが、法務大臣としては、極東裁判について、それが勝った者か負けた者を裁判した勝手なものだとお考えになりましょうか。それとも、一定の国際法の立場あるいは占領軍司令官の命令という超憲法的な立場において行われたものであるから、極東裁判の判決というものは、日本国民としては是認し、受忍しなければならぬものであるとお考えなのか、どうでありましょう。
○古井国務大臣 大変むずかしい問題をお尋ねになって、少々当惑しているのでありますが、極東裁判は連合国が裁判をやったわけでありますが、裁判をやることは日本も根本的には受諾した。だから、勝手に無関係にやったとばかりは誓えないのだと思うのでありますか、ただしかし、これは連合国がやったことなんでありまして、日本の国民として戦争犯罪を追及する、外国にはそういうこともあったようでありますが、そのことは日本の方では、極東裁判とは別問題で、ああいうふうにはやらなかったというわけですから、あれは連合国がやった裁判だ。国民が戦争犯罪人の裁判というか責任追及をやることもできたのだろうと思うが、これはそうはしなかった、こういうことでありますので、そこを一緒くたに考えてしまうことができるか、もう少しこれは理論的に詰めてみないといけないので、国民のやった裁判と、こういうことまではすぐさま言えない、そこに微妙なものが残るのじゃないかしらんというふうに私は思っておるのでございます。
○横山委員 言葉を濁さないで、法務大臣らしい答弁をしてもらわぬと困るのであります。 要するに、日本に関するポツダム宣言、降伏文書の授権によって発せられた連合軍司令官の命令によって行われたものだ。サンフランシスコ条約も同じことですよ。サンフランシスコ条約も結局戦勝国が勝手に決めたことだと言えば言える。したがって、サンフランシスコ条約をわれわれは受忍をし、是認をする。 そうすると、極東裁判についても、その構成、その結果について、当然のことのように日本国民は受け入れた、国家も政府もそれを受け入れた、こう私は考えておったのですが、間違いですか。技術的な問題です。
○古井国務大臣 これは私も詰めてまで研究は十分しておりませんが、つまり、連合国が裁判をするということは日本も受諾して認めたのだと思うのですが、その裁判は連合国の裁判だと思うのです。 でありますから、国民の戦争犯罪追及のための裁判ということにすぐなるかならぬか、法律の理屈みたいなことですけれども、あとは政治的な問題になるのではないかしらんというふうに、私はいまのこの時点では思っておるわけであります。
○横山委員 何か法務大臣は逃げているような感触を受けるのです。 私の言わんとするところを先回りをして逃げていらっしゃるかもしれませんが、極東裁判は、ポツダム宣言受諾によって、それに基礎を置いて占領軍司令官が裁判をした。それはしかし、降伏文書、サンフランシスコ条約、そういうものから発しておる。したがって、私の結論するところは、極東裁判の判決で、戦争犯罪人として東條英機以下が指弾を受け、死刑を宣告され、処刑された。そのことについて、何かあなたは違和感を持っておられる。おれのやったことではないぞ、日本国民はあれを認める必要はないと言わんばかりの逃げ口をつくっているような気がするのですが、そうではないのですか。違いますか。 戦争犯罪人として宣告され、死刑をされた、それは日本国政府のあずかり知らぬところである、日本国政府は、そのことについて是認もしなければ受け入れもしないという感覚を、あなたは持っていらっしゃるのでしょうか。
○古井国務大臣 もっと理論的に法律的に究明して、議論を詰めた上でないと、うかつには言えないと思いますけれども、やった裁判は極東裁判なんであって、連合国の裁判なんであって、それをやることを日本は受諾してやったのですから、極東裁判、連合国の裁判としては認めなければならない。国民が戦争犯罪を追及するという意味の裁判は、また別個にやってもあるいはよかったかもしらぬので、ドイツなどはそういうこともあったのじゃないかと思うし、そこは観念的に一つのものになるのだろうか、もう少しこれは詰めてみなければいかぬ。 しかし、さらばと言って、極東裁判というのは全然知らぬことですよと、そうまで言おうというのではないのでして、少なくとも法律的なことはまだ十分究明して、足らないにしても、政治的にこれを日本国民としてどう考えるという問題はあるわけでありますから、逃げてしまうも何もあったのではなくて、筋がそういうことになるのじゃないか、こういうことを申し上げているわけです。
○横山委員 結論的に請えば、靖国神社に戦争犯罪人が祭られる、それに対して私どもがおじぎをする、それに違和感をどうしても私は覚えるわけですね。 だから、その違和感をあなたは覚えないような印象を与えておるのですが、そのことは極東裁判を受け入れない、あるいは人がやったことで、われわれはそれを受忍する、受け入れる必要はない、したがって、戦争をやった人間であるけれども、仏様になった以上は靖国神社に祭られてもいいんだという道筋をあなたはおつくりになっているのじゃないかという感じがするのですが、ほかの政治的な理屈なり何なりというのは、私は反対だけれどもわかるのですが、法務大臣として、その辺は筋を通した御答弁がいただけるかと思ったのですが、違いますか、私の言う理路整然とした——ポツダム宣言、降伏文書、マッカーサー命令、それによる極東裁判、それによる判決、処刑、戦争犯罪人、そういう一貫した論理性をあなたはお認めにならないのでしょうか。 したがって、その一貫した論理性から言うと、戦争犯罪人が靖国神社に祭られるということについては、法務大臣としては少し異議があってもいいのではないかという感じを持ったのですが、ちょっと失望いたしましたが、そういうことですか。
○古井国務大臣 政治的にどう考えるかということについては、現にあれについて違和感を持った人もあるようでありますし、それからそうでない人も国民の中にはあるようでありますから、これはめいめい国民かどう受け取るかということでありまして、これは法務大臣という立場で言うのではない、一国民として、それじゃこれをどうおまえは思うか、私はどう思うかという、つまり政治的な考え方になるのじゃないでしょうか、理屈上は。 だから、法務省はどう考えを統一しなければならぬかとか、そういうふうな……(横山委員「法務大臣は」と呼ぶ)法務大臣が考えることは法務省が考えることですよ。そういうものかどうかという点に、あなたの理屈にしては、少し理屈の詰まっていないところがあるのじゃないかというふうに私は思います。
○横山委員 私の方が……それはあなた、おかしいですよ。 法務委員会というところは、適当な言葉かどうかわからぬが、法の権威、そういうものが一つの柱になっておるところですね。法律的にどう考えるか、法律上それはどうあるべきか、法律の権威というものをどう考えるかという意味合いでは、極東裁判についての法律的な地位、法務省の法務大臣として、法務大臣という、その立場というものは、極東裁判に対する法的認識というものが理論的にあっていいのではないか、私はそう思うから、あなたに質問しているのです。 まあ、きょうは突然に質問したものですから、あなたも、それは国がやったことじゃないという逃げの一手で、最後の戦争犯罪人が靖国神社に祭られることについて、イエス・ノーも言いたくないものだから、政治的な御答弁をなさっていらっしゃると思うのですが、それはいけませんよ。結論はともかくとして、極東裁判に対する国家的立場、その地位、その国際法的な認識、それによって、極東裁判については法務大臣として法律しこう考える、そういうものが私は当然伺えると思ったのですが、突然でございますから、ちょっと戸惑われたとするならば、この次までにひとつ検討しておいていただきたい、よろしゅうございますか。
○古井国務大臣 私の申し上げておるのは、お尋ねの点は、法律問題ではなくて政治問題だというふうに考える、こういうことを申し上げているのです。あなたは法律問題、ちょっとごっちゃになっているような気かして、法律問題のことじゃないと私はこの段階で思っておるのです。政治問題としてどう考えるかということになるのです。そこの筋は混同のないように御了解を願いたいと思います。
○横山委員 どっちが混同しているのかわからない。 ですから私は、東京裁判、極東裁判におけるその国際法的な立場というものも整理をして出てきたのですよ。整理して出てきて、その国際法的な立場に誤りはないし、日本国民との関係は、降伏文書、講和条約、ポツダム宣言、それからマッカッサー命令、それによる裁判所の設置等々、超法規的といいますか、超憲法的に国民が受忍をする立場のものであるから、法律上これは誤りはないものではないか。その裁判所が行った決定、執行について、あなたは何か法律上の答弁を逃げておられる。だから、その点をひとつ整理をしておいてくれ、こう言っておるわけであります。最後には確かに政治的かもしれません。政治的かもしれませんが、政治的判断をする前に、法律的判断をまず明白にしなければならぬと言っておるわけでありますから、そのつもりで一遍御検討をいただいて、次の機会に伺いたいと思います。 それでは民法についてお伺いをいたしますが、各省の所管法人、公益法人、ここに法務省と総理府だけがありますが、一体各省庁別並びに各地方別に、どのくらいな概数があるか、ひとつさっと言ってください。
○香川政府委員 各省別の公益法人数、これは内閣調査室で調査していただきました結果に基づいて申し上げますと、本省所管分でございますが、総理府が五十八、警察庁十五、行政管理庁六、それから北海道開発庁二、防衛庁十五、経済企画庁十七、科学技術庁五十七、環境庁三十七、沖繩開発庁五、国土庁二十四、法務省百七十九、外務省二百六、大蔵省七十五、文部省千五百八十二、厚生省四百三十、農林水産省四百四十六、通商産業省五百九十六、運輸省二百七、郵政省九十九、労働省百四十八、建設省二百八、自治省五十五。 なお、各省の地方支分部局所管のものがございますが、これを申し上げますと、大蔵省につきましては二百八十六、通商産業省が五十三、運輸省が五百五十、郵政省が三十、労働省が百三十九、以上でございます。 これが本省あるいは本省の地方支分部局所管の数でございますが、一方、都道府県知事の権限委任あるいは教育委員会に委任しておるものがございますが、これがトータルで一万二千八百ばかりあるようでございます。
○横山委員 全部で幾つぐらいになりますか。
○香川政府委員 本省所管分、支分部局分も含めましての数と都道府県知事、教育委員会の所管分も含めまして、トータルは約一万八千でございます。
○横山委員 公益法人の設立及び許可基準を見ますと、ここにあります公益法人六法を見ますと、十三の省庁が公益法人の設立及び監督に関する規則をつくっています。 ずっと見ますと、ほとんど同じ内容なんであります。どこに違いがあるか、よほど注意をしなければならぬと思うのでありますが、実際問題として、各省庁別に公益法人の設立及び監督に関する規則をつくる必要が一体どこにあるだろうか。しかもその設置、運用、実態というものはきわめて区々にわたっておると私は思うのですが、この公益法人を全般的に総括をする、指導監督をする役所はないのですか。
○香川政府委員 公益法人についての主務官庁は、それぞれ各省の所管事務に関連して、別々に主務官庁があるわけでございます。しかし、横の連絡と申しますか、統一的な運用も必要でございますので、御承知のとおり、総理府に協議会が設けられて、設立、許可に際しての必要書類とか、あるいは監督の運用の基準とか、あるいは会計監査の基準等を協議して、逐次つくってまいっておるわけでございます。
○横山委員 この種の民法の改正は、法務省が法務委員会へ提案する、そして連絡事務は総理府かやる。総理府が最近やったことは、会計基準をつくる。しかし、会計基準については何ら拘束力はないから、適当にやってくださいと言っているだけである。 今回改正されて、休眠法人を整理するとか、いろいろ民法法人に関する処理をするのですが、法律を改正したところで、その実行責任を負う省は、実際問題として法務省ではないのですね。だれがその実行責任を負うのですか。各省がそれぞれ法律改正に基づいて指導をするだけでありますか。一体、だれがそれの責任を持つのですか。
○香川政府委員 法務省は法務省所管の公益法人について責任を持つわけでございまして、それと同様に、各省もそれぞれ主務官庁として所管の法人について責任を持つ、かようなことでございます。
○横山委員 総理府にお伺いをいたしますが、何回も私がここで力説をしておるところでありますが、この公益法人の監査基準を数年がかりでつくって、それをあなたの方でまとめて、そしてこれを各省がこの会計基準に沿って指導しておるという報告を昨年聞きました。 この実績を整理されたことがありますか。会計基準がどういうふうに実践され、どこに問題があり、どういう水準にいまあるかということについての報告を受けたいと思います。
○山崎説明員 お答えいたします。 総理府の管理室で庶務を担当いたしております公益法人監督事務連絡協議会で、公益法人の会計基準に関する申し合わせをしたのが五十二年三月でございます。五十三年度がこの会計基準の申し合わせをやって初めての会計年度でございます。この五十三年度の決算報告が主務官庁に上がってまいりますのが、監督基準によりまして、事業年度終了後三ヶ月内ということになっておりますので、五十四年六月いっぱいに決算報告書が提出されるということになっております。その決算報告書の提出されるのを待って、各省庁において各公益法人の会計経理事務の処理状況あるいは会計基準の適用状況を調査する、こういう話し合いになっております。
○横山委員 法務省は、この法律改正に当たって、全公益法人の実態を調査されたことがあるでしょうか。 今回の改正というものは、ある意味では形式的な問題が多い。たとえば、まあ聾者、唖者、盲者については別といたしますけれども、改正の焦点が天下一家の会の問題だ。民法法人でないものが民法法人であることを示すような名称の禁止だとか、あるいは所要の改正をして監督上必要な命令を発することができるとか、休眠法人を整理するとか言うておるけれども、実際問題として、民法法人の実態を全部つぶさに見て、その欠陥をえぐり出して、そしてそれに一つの注射を統一的に行うというようなお気持ちが本当にあって、おやりになったことかどうか。最低限最大公約数の問題だけを整理して、提案をされたような気がしてならぬのでありますが、討議をされた過程で、本当に一万八千の民法法人の実態、その欠陥、その問題点を整理されたのであるかどうかを伺いたい。
○香川政府委員 民法法人の実態につきましては、総理府内閣審議室にもお願いいたしまして、その数等を調査していただいたわけでございます。たとえば休眠法人の関係等につきましては、本省所管の関係は、それぞれの省にお願いしまして把握していただいた。遺憾ながら、都道府県知事あるいは教育委員会の所管の関係につきましては、いろいろの資料はございますけれども、ここで的確にこうだと申し上げられるだけの調査はまだできておりません。 今回の民法の法人に関する改正は、行管庁ともいろいろ協議を続けてまいりまして、何とか監督を強化していかなければならぬというふうなこと、あるいは休眠法人の整理ということについて法的な根拠を整備いたしまして、さような方向で努力していただくということで改正を考えたわけでございまして、かような点か現在当面問題だということを考えまして、それに沿った改正案を御提案している次第でございます。
○横山委員 形式的に報告が出ておるか決算が出ておるかじゃなくて、民法法人という、何といいますか、隠れみのによって何が行われておるか、どういう点に欠陥があるかということを剔抉をせずに、民法のこの種の法人の改正をするというのは、私は本当に軽率だと思うのであります。 いろいろな資料がありますか、ここに一つだけ持ってまいりました。これは週刊誌でありますが、「「公益法人」の仮面をつけた「私益の人」もう数十となく民法法人の欠陥が出ております。 たとえば日本緬羊協会。これによりますと協会の焼き肉店経営という”収益事業”のアガリが年間二千五百万円。それに、貸しビル業として会館の一部を広告会社に貸しておるのか家賃四百万。一方、”公益事業”と称する会員の名簿づくりや羊の飼育相談かもたらす“収入”が毎年たった十万円。ところが支出を見ると、人件費が千六百万円、大赤字。これは“公益事業用”職員の問題。その赤字はどうするか、その“収益事業”の焼き肉のアガリをここへ入れる。“公益事業”の方には一銭の税金もかからぬから、”収益事業”のアガリを公益事業に”流用”する、”収益事業”はその残りを申告すればよいし、税金が安くなる。 この理論は、私はちょっと間違いがあると思うのですが、しかし、実際はこうやっている。収益事業に、この焼き肉店に収益があれば、それだけで単独に切り離して税金がかかるのですよ。かかるのがあたりまえなんだけれども、ここに堂々と書いてあるように、実際は上がりをそこに入れて税金を安くしておる。本体は日本緬羊協会でなくして焼き肉店と家賃の収益事業だ。問題は、本体よりも別の方が本質的な事業だというのが、この種の公益法人の実態なんだ。税務署が行けば、そんなものはあかんぞ、その理論は間違っておるぞと言うのだけれども、実際はそうなっておるというのが一つの例であります。 それから、二つ目の例は休眠法人。休眠法人をここで整理するというけれども、休眠法人が三年以上事業を行わないときは解散させるというのだけれども、三年以上事業を行わないといったって、作文つくればそれでおしまいですよ、実際問題として。これをやっております、あれをやっておりますといって作文で報告したら、その作文についてチェックする機能がありますか。 法務省の所管法人、ここにございますけれども、これは更生保護会だけ出ておるようでありますから、更生保護会の問題ではそう言いたくないのでありますが、ここにありますのを見ますと、四国地方保護観察協会連合会、それから私の名古屋のあかつき会というのは、どういうのだかよく知りませんけれども、常勤もおりゃせぬ、職員もおりゃせぬ、総収入五万五千円、総支出十五万四千円。五万五千円の収入があって、十五万四千円の支出があって、一体何をやっているのだろうか。三年間何かやっておればいいということならば、五万五千円でも十五万四千円でもやっておることになるのだろうか。そうなりますと、休眠法人の三年以上事業を行わないという意味が各省ばらばらで、各省のさじかげんで何とでもなるのだから、休眠法人の整理なんて実際できるのだろうか。 これによりますと、四分の一か休眠法人という野放しのなぞである。そのなぞは何かというと、日本篤志献体協会は 「うちは基金不足のため、休眠すれすれ。その弱みにつけこんできたのが、自民党の大物政治家氏。“五億円の領収書と引換えに三億円の寄付をしよう”とか、“自分を理事長にしてくれたら、そっちの事業資金の面倒をみましょう”と“接近”してきた。……断わりましたがね。かなり、しつこかった」 これは理事長の話であります。だから休眠法人でも、こういう法律改正の作文が実効をもたらすとは私は思えぬのであります。作文を出せばそれで済む。五万五千円でも何ぼでもなる。だから、この改正案というものは全く無意味ではないか。 それから、茅誠司元東大総長が十八、東畑精一東大名誉教授が十二、東竜太郎元東京都知事が七つの公益法人の理事長におさまっておる。この人たちの言い分は 「私は友人知己に頼まれて、やむを得ずチカラになってしまいましてね。せいぜい十ぐらいの法人でしょ、今、引き受けているのは……」(東竜太郎氏) 「ぼくは法人の名前も実態も、まったく知らんねェ。理事長を十二もやってるって……二、三カ所かと思ったがねェ。ぼく、今年はもう八十歳になる。ボケて、何も知らん、知らん」(東畑精一氏) こういう休眠法人が、名前だけ大物を連れてくれば、実際ほとんどが許可されておるということなんですね。そして、休眠法人をつぶしても新設法人が後から後から出てくる。休眠法人の整理が一つの柱になっているけれども、休眠法人を一体どうしてこの文章で、この改正でやれるのかということが問題点なんであります。 それからその次は、「総会屋名簿にも名前がある」ということで、公益法人で総会屋名簿の中にきちんと名前が出ている法人が二十くらいあるそうでございますね。〇〇経済研究会、〇〇財政協会というものがある。総会屋の上野氏が占拠しているのは日本出版協会。去年、上野氏は死んだわけでありますが、総会屋がそういう公益法人に顔を出している。一番ポイントになりますのは、「運輸省“法人界”を占拠する」笹川良一氏の法人なんであります。 そういう偉い人、話題の人、知名の士が何かやっておると、まるきり認可もスムーズであるし、それからチェックのしようも何もないということか実態なのであります。そういうことで、一体どうしてこの改正が働くのか、この法改正は単にかっこうだけつけているのじゃないか、そういう感じがしてならぬのであります。どうなんですか。
○香川政府委員 民法の考え方は、申すまでもないことでございますが、休眠法人というものがあるということでございますれば、これを放置しておくことが妥当でないというふうに判断いたしますとすれば、現行法ではそういった休眠法人の整理ができないわけでございます。したがって、そういった整理ができるように道を開くという意味で法律を改正するのは、私は十分意義があるというふうに思うのであります。 また、いまいろいろ御指摘のような、必ずしも適当でない運営があるという場合に、そういったものに対処する道を開く意味で、監督上必要な命令を出して、それを聞かないときには過料の制裁を科するという方途を講ずることは、それ自体必要なことではないかというふうに考えておるわけでございまして、そういった基本法である民法におきまして道を開いて、それで解決するとはもちろん考えておりません、それを今後活用するかどうかということにかかっておるわけでございまして、その点は、総理府の協議会等でも今後の問題についていろいろ協議を重ね、実効あらしめるように活用を図っていくということを考えるべきだろう、かように思うわけでございます。
○横山委員 総理府に責任を転嫁なさるのだけれども、それじゃ総理府、どうですか。あなた方は、どんな権限、機能があって各省庁に、おまえのところのこの法人はおかしいじゃないか、おまえのところはこれを調査したらどうか、そういう機能、権限は持っていらっしゃるのですか。 先般来、何回も総理府から来てもらって、ここでもっときつい、たとえば会計基準にしても、強制力をこの段階から持たせていかなければならぬ、公認会計士の監査を一定規模以上の公益法人には必要とすることにしなければならぬ、あなたの方として各省庁に、公益法人のあり方について厳重にその指示をしなければならぬ。何ぼ言っても、あなたの方はぬかにくぎで、私の方にそんな権限はございませんと言って逃げているじゃありませんか。どうなんですか。
○山崎説明員 お答えいたします。 先ほど民事局長からも説明がございましたように、民法法人は主務大臣の監督に属すということになっておりまして、各省の大臣がそれぞれ所管の法人を監督指導する、こういうたてまえになっております。 総理府といたしましては、四十六年に各省文書課長会議の決定に基づいて設けられました公益法人監督事務連絡協議会の庶務を預かっておりまして、この場を通じまして、各省庁が監督指導のあり方について統一的な改善が図られるように、いろいろと申し合わせをやる、その申し合わせに即して、各省がそれぞれ指導していただく、こういうたえまえになっておりますので、御指摘のように、各省に対して指示命令する立場にはございません。
○横山委員 そういうシステムになっていることは百も承知の上で、それをどうしたらいいかということを聞いておるのです。 私は、結論的に言えば、公益法人基本法なり公益法人組織法なり公益法人の監査に関する法律なり、そういう一つの柱を持たなければ、百年河清を待つと同じことだと言っておるわけです。総理府が何ぼ机を並べて、コーヒーと菓子をそろえて、さあ来てちょうだい、皆さんの御意見どうですか、それなら最大公約数この辺までやってもらえますか、そして、会計基準をつくりました、皆さんの御意向の合意事項ですよ、それじゃそれをひとつお互いに善意に一生懸命やりましょう、はいさようなら、あしたはまあいいですよ、こんなことで、公益法人の会計制度にしたところが、あるいはいま言ったような脱税にしたところが、あるいはまた総会屋の乗っ取りにしたところが、それはちっとも改善がされぬではないかと言っておるわけですよ。 法務大臣、私の意のあるところはおわかりだと思うのですが、民事局かつくったこんなもので公益法人が多少なりともよくなるなんということを考えると、くつを三重底隔てて足をかいておるようなものです。どうですか。
○古井国務大臣 横山委員のお説を聞いておりますと、休眠法人などほっておいていいのだという意味ではないようです。こんな法律などはやめておけ、野放しにしておけ、繰り返されるとこういうふうに響かぬでもないけれども、そうじゃないので、こういうことだけでは足らぬのじゃないかということを言っておられるのでしょう。(横山委員「そうですよ、あたりまえだ」と呼ぶ)それなら、もっとよりよい方法はこうじゃないか、今度はこういうことを議論する問題になってくるのでありまして、休眠法人に対して何とかするということはだめなことだ、こう言っておられるのじゃないでしょうから、よりよい方法があるかないかの議論にいまはなる。 それからもう一つは、いまの提案しておる案ではゼロだ、ゼロじゃないですよ。それはあなたと見解が違います。やってごらんなさい、これは非常に効果が出る。あなたは、マイナスとまでは言われぬが、ゼロという判定のようです。そうじゃありません。つくってごらんなさい。それは、その上に法の運用について指示する権限はないけれども、総理府などで連絡協議会をやったり、大いにやっていこうじゃないか、こういうことになって生かす方法を考えれば、ゼロどころじゃない、まあやってみていただいた方が早わかりだ、私はそういうふうに思っております。
○横山委員 突然に大臣に聞いたものだから、私の言うことをしまいを聞かずに、あなたは私が建設的な提案をしていないようなお話なんですが、私は、公益法人基本法をつくりなさい、公益法人組織法をつくりなさい、あるいはもう一つ下がるならば公益法人の会計基準に関する法律をつくりなさい、その所管を総理府に決めるなら総理府でもよろしい、そうしなければ、これではくつの三重底から足をかくようなものであって、効果は上がりませんぞと言っているのです。だから、私は具体的に提案しているのですよ。 公益法人ということは、少なくとも民法によって公益性があるのだから、国民の皆さんに信頼をしていただいてもいいという、政府が折り紙をつけたものです。その折り紙をつけたものか、本体は五万だとか十万だとかやっておって、別働隊で脱税をやって焼き肉屋をやっておる。そんなばかげたことで何が国民に信頼してくれだ、私はそう言いたいのです。だから、収益事業も制限をしなければだめですよ、脱税もさせてはいかぬですよ。三年飼っておいて、作文だけ出せば解散は免れられる、そんなばかげたことはありませんよ。 だから、具体的に公益法人として政府の認可を受けたならば、また認可をしたならば、その認可についてももう少し責任をとらせるようにしたらどうだ、そのことについて何らの権限がどこにもないではないか。法務省は法律を改正したら後は知らぬことで、自分のところの民法法人だけやっておればいい、総理府はお茶とコーヒーだけで年に一回集まっておればいい、所管庁は、みんな天下りでそこへOBが入っているものだから、ほどほどにやっておるというのが実態じゃありませんか。だから、各省庁にその公益法人なり民法法人のいろいろなことを任せておいたら、それはうまくいきませんぞ、そういうことはあなたもわかるでしょうが。具体的に私は提案しているのです。どうですか。
○古井国務大臣 各省庁の実情や実態は、横山さんはもうだれよりもよく知っておられるぐらい知識を持っておられるのですが、あなたがいまかわるべき案として言っておられる具体の案は、基本法をつくれ、組織法をつくれ、あるいは会計の共通の法律をつくれ、それはなるほど一つの考えですよ。けれども、実際問題、あなたが御承知のように、この公益法人というのは、いま関係省は全部の省にわたっているぐらいなんでしょう。これらの省の話をみんなまとめて賛成を得て基本法をつくる、組織法をつくる、これこそどれだけ時間がかかって、いつになったらどれだけできるものか——問題を否定しているのじゃないですよ、誤解ないように。 だから、できることをひとつさっさとやったらどうだというのが私の考えです。そういうふうな問題をばっと広げてしまって何もせずにおるというのが、大体私は気に食わぬのです。民法の方にしたって、もう一つの準禁治産にしたって、民法の改正というのは、たくさん問題があるし、まとめてやったらどうだという議論があるのですよ。そんなことを言っておるから何もできぬ。問題がないことだったら、さっさとその部分をやったらいいじゃないか。形をまとめるとかいうようなことは後でやったらいいじゃないか。 私の考えは、いいことならとにかくやったらいいじゃないか、悪いことならやめる、その方が実際的じゃないか、こういう意味で申し上げているので、あなたのごりっぱな考えが悪いとか否定しているわけじゃありませんから、誤解のないようにお願いいたします。
○横山委員 いいことならやったらいいじゃないか。私の言っていることがいいことじゃないのですか。私は、何となく各省庁の最大公約数あるいは差しさわりのないことを、上っ面をさっとなでて民法改正をしているのか気に食わぬと言うのですよ。私の言うような公益法人基本法なり公益法人組織法なり公益法人監査に関する法律か、どうして一体あなたはいいことじゃない、それかできないと言うのですか。 民法法人以外の各種公益法人が一万七千ぐらいだと言われている。その認可基準や監督基準か各省庁ばらばらになっておる。けれども、見てみると、ほとんど同一じゃないか。同一だったら、何で総理府で統一的なものができぬか。総理府で統一的なものかできれば、それによって監督権限が生ずるじゃないか。各省庁に任せておいたら、OBがいっぱいおるのだから、そんなものは監督はようせぬから、もう一枚上から監督をする機能をつくらなければいかぬじゃないか。運営上不正や脱税や汚職がこの公益法人の中に続出しておるのは、私幾らも材料を持っているのですよ。それが一体どうして摘出できないのか。各省庁は、みんな先輩だから、ようやらないということなんですよ。 きょうはもうぼつぼつ時間になりましたから、一番いいところでやめるのはなんですけれども、ちょっと考えてくださいよ。民事局長に、どうなっている、おまえの言うことばかり聞いておったけれども、横山にしかられてしまったが、あれの言うことももっともだぞと言って相談してくださいよ。
○香川政府委員 横山委員ほど勉強していないせいかもしれませんが、冷ややかに申しますと、民法の法人基本法とかあるいは組織法というふうなことを考えました場合に、民法中の現在の公益法人に関する規定は、これまさに実質は法人基本法であり、組織法だというふうに思うのであります。 問題は、これで十分かどうかということ。主として横山委員の御指摘の点は、むしろ法制面じゃなくて、その運用といいますか、各省の活用ぶりといいますか、そういったことが問題になっているのじゃないかと思うのであります。 たとえば会計基準を一つ考えましても、総理府で示されましたあれは、あくまでも基準でございますが、民法法人の中には大小取りまぜいろいろの形態のものがあるわけでございまして、そういったものを一つの基準そのままを適用して会計監査をやれというふうなことを言うのは、かえっていかがなものかという感じがするわけでありまして、そういう基準に基づきまして、それぞれの法人の特殊性にかんがみて各省が、こういったやり方で会計監査をやるようにということを、今日までは行政指導的な面でやっておったわけでございます。今回、監督上必要な命令ができるという規定を設けることにいたしますと、その命令として、そういった個々の公益法人について、妥当な基準によって会計監査をやらせるという命令も出せるわけでございます。 そういったいろいろの点が運用の問題としてむしろ問題があるわけでございまして、基本法をつくり組織法をつくりましても、現在の民法の組織、基本的な考え方に何をプラスすればいいかという問題は、今後私どもとしても検討してまいらなければならぬと思いますけれども、さしあたりの問題としては、そういった監督が十分できるような道を開くことが何よりも大事じゃないか、かような考えでおるわけでございます。
○横山委員 運用の問題では解決しません。私は、それを申し上げておきます。 時間がございませんので、せっかく来てもらった文化庁に、次の宿題を出しておきます。 一つは、これは民法法人でありますが、宗教法人法、私がずっと見ております特殊法人の中で、宗教法人のありようについて、まことに看過することのできない問題が二、三ございます。この次の機会に、東本願寺の紛争の実態というものをひとつ文書にして提出をしてもらいたい、これが一つ。 それから二つ目は、世界基督教統一協会と宗教法人法ですが、その法人法の第二条に「この法律において「宗教団体」とは、」の中に「一 礼拝の施設を備える」団体、こうありますが、私の承知する限り、世界基督教統一協会は礼拝の施設がないのですね。文鮮明の写真が礼拝の施設か何か、それは知りませんけれども。礼拝の施設というものは、世界基督教統一協会では一体何なのか、それを調べてもらいたい。 宗教法人法について議論をいたしますことは、国政としてはなかなかむずかしいことではある。むずかしいことではあるけれども、民法法人の問題の所在と宗教法人の中の問題の所在とは、同一線上にあると私は思っているわけであります。脱税にしたって、あるいは会計の問題にしたって、会計基準か宗教法人に及んでいませんので、むしろ財政会計上の問題については宗教法人の方がかなり強い。東本願寺の紛争も、日本の古来の一番中枢にあります本願寺が、まさにかなえの沸くような内輪げんかをしておることについて、一体どうにもこうにもしようがないものかどうかということを痛感するわけでありますが、次の機会に文書をもって東本願寺の紛争の実態というものを提出し、かつ、この宗教法人法の代二条に関連する世界基督教統一協会の実態の解釈をひとつ御説明願いたいと思います。 時間がありませんので、次回にいたします。
○佐藤委員長 次回は、来る二十七日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十八分散会