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87回国会衆議院1979/03/20

法務委員会 第7号

発言数
135
登壇者
14
会派数
4
開催日
1979/03/20

会議録

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 これより会議を開きます。  沖本泰幸君外二名提出、犯罪被害補償法案、沖本泰幸君外二名提出、刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案及び横山利秋君外六名提出、国籍法の一部を改正する法律案の三法律案を議題といたします。  提出者から、それぞれ趣旨の説明を聴取いたします。沖本泰幸君。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本議員 ただいま議題となりました犯罪被害補償法案につきまして提案の趣旨を御説明申し上げます。  労働災害での労災保険、自動車事故での自賠責、一般の疫病、傷害、死亡での健康保険、厚生年金、公害被害での公害健康被害補償制度などのように、私たちが日常生活において生命、身体が損なわれた場合は、不十分だとはいえ、救済の制度が設けられています。  ところが、通り魔的犯罪、無差別爆弾テロなどのいわゆるいわれなき犯罪によって被害を受けた人たちは、どこからも特別な救済の手が差し伸べられず、精神的にも肉体的にも悲惨な状況のもとに放置されています。しかも、いわれなき犯罪は近年次第に増加する傾向を示し、福祉国家を目指すわが国としては被害者をこのまま見過ごしにしておくことはできないところであります。  わが国における犯罪被害の救済は、現在のところ民法上の損害賠償制度による以外にありませんが、同制度は訴訟の長期化とそれに伴う経費の増大を避けることができないのであります。すなわち、同制度では犯罪被害者の窮状を速やかに救済することは実際的に不可能なのであります。  仮りに訴訟を起こしたとしても、加害者側に賠償責任能力に欠ける場合が多く、よくてわずかな見舞い金を受ける程度、悪くするとそれすらなく、被害者の大半は泣き寝入りしているのが実情であります。中には、加害者が不明あるいはつかまらない場合も多く、現行民法の損害賠償制度は、犯罪被害の救済に対し、ほとんど効果を上げていないといっても過言ではありません。  このように犯罪被害者に対する社会的救済措置が極端におくれている反面、犯罪者の人権保障は刑事制裁の緩和、社会復帰対策の促進、収容施設の合理化及び近代化など積極的に推進されています。犯罪者の人権保障の充実は憲法の規定に基づくもので当然のことでありますが、同時に犯罪被害者の人権保障もあわせて充実されるべきであります。犯罪被害者の救済を怠るならば、著しく社会的公正に欠けるとともに、刑事政策上からも片手落ちの観を免れないのであります。  以上の観点から、犯罪によって身体または生命にかかわる被害を受けた場合に、国が速やかに被害者を救済する犯罪被害補償制度を樹立するため本法案を提案した次第であります。  以下、この法案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、この法律の目的は、犯罪によって人の身体または生命が害された場合における被害を国が補償し、被害者またはその遺族の生活の安定を図ることとしております。  第二に、補償の対象となる犯罪被害は、日本国内における他人の犯罪行為に起因して、負傷し、疾病にかかり、または死亡した者の当該負傷、疾病または死亡としております。なお、外国人にあっては、日本国内に住所を有している場合に限り、補償の対象としております。  第三に、補償形式は一時金形式をとっておりますが、その種類として、加療期間が二週間を超える傷病の療養については療養補償金を、療養による休業については休業補償金を、後遺障害についてはその程度に応じた額の障害補償金を、死亡については遺族の態様により二千万円または千五百万円の遺族補償金を掲げております。なお、健康保険法、厚生年金保険法、労働者災害補償保険法等により公的給付が支給されることとなる場合にあっては、その額を控除して支給することとしております。  第四に、扶養義務者等が加害者である場合においては、補償を行わないこととするとともに、被害者側にも犯罪行為の誘発等の責めがある場合、報復措置がなされた場合等においては、補償の全部または一部を行わないことができるとして、公平な補償が行われるようにしております。  第五に、補償機関としては、各地方裁判所の所在地ごとに、補償実施機関たる犯罪被害補償地方委員会を、法務大臣の所轄のもとに審査機関たる犯罪被害補償中央審査会を設置することとしております。すなわち、犯罪被害補償地方委員会は、三人以上九人以下の委員で組織する合議制行政機関であり、その権限及び所掌事務は、補償申請の裁定、補償給付の支給、加害者の賠償能力及び生活状況の調査等としております。また、犯罪被害補償中央審査会は五人の委員で組織し、委員は弁護士資格を有する者のうちから国会の承認を得て法務大臣が任命することとし、その権限及び所掌事務は、犯罪被害補償地方委員会が行った処分に対する審査請求の審査等としております。  第六に、補償の申請は、その申請をすることができるときから二年以内に、犯罪被害補償地方委員会に所定の申請書等を提出しなければならないこととする等補償手続等について規定を設けております。第七に、この法律の公布日前二十年間に行われた犯罪によって被害を受けた場合も、公布日以後の補償事由について補償することとしております。  以上が本法律案の提案の理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。  現在の刑事補償法では、心神喪失等の責任無能力の理由によって犯罪が不成立とされ、無罪の判決を受けた者に対しても補償金が支払われることとなっています。  刑事補償の本来の目的は、いわゆる犯罪行為を犯していない者に対する補償を行おうとするもので、現に犯罪類型該当の違法行為を行い、かつ、責任無能力の理由で無罪となった者までをも補償する趣旨のものとは考えられないものであります。  昭和四十三年に、殺人者が、心神喪失中の殺人行為であるとの理由で無罪判決を受けた後に、その殺人者が国に刑事補償金を請求してきた事例において、東京地裁は、決定文の中で、刑事補償金の支払いが、法律上、やむを得ないものと認めつつ、「現行刑事補償法の立法的な解決を期待する」と述べております。また当時の法務省刑事局長も「健全常識から見て非常に非常識」と述べているのであります。  速やかな立法的解決こそ望まれるところであります。  しかも、さきにわが党が提案しました犯罪被害補償法案では、心神喪失等責任無能力の理由によって加害者が無罪となった場合においても、被害者等を救済することとしております。  当該犯罪行為によって、被害者等と加害者の双方が国家から補償を受けるということはきわめて不自然なところであり、常識的にも納得できないところであり、無罪の裁判を受けた責任無能力者に係る刑事補償については、裁判所の健全な裁量によってその一部または全部をしないこととする必要があると考えるのであります。  また、同様の趣旨により、無罪の裁判を受けた者に対する刑事訴訟法の規定による裁判費用の補償についても、犯罪類型該当の違法行為を行いながら責任無能力の理由で無罪となった者に対しては、その全部または一部をしないことができることとする必要があると考え、ここに本法案を提案する次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 続いて、土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井議員 ただいま議題となりました国籍法の一部を改正する法律案について、提案の趣旨を御説明いたします。  戦後、日本国憲法の施行に伴い、憲法十四条の法のもとの平等及び二十四条の家族生活における個人の尊厳・両性の平等の趣旨に基づき、旧来の家父長的家制度は根本的に改められることとなり、民法の親族編、相続編は全面改正されたのであります。  国籍法制についても旧国籍法を廃止して、一九五〇年に現行国籍法が制定され、その際身分関係の得喪がその国籍に影響を及ぼす点は改められております。しかし、子の国籍取得における父母同権については改められないまま今日に至り、また日本人を配偶者に持つ外国人の帰化要件における男女差別もいまだ改正されるに至っていません。  諸外国の例を見ますと、従来は父系血統主義を採用していた国も最近次々と法改正を行い、フランス、西ドイツ、スイスなどで子の国籍取得における平等が実現しているのであります。また国連で審議中の婦人に対する差別撤廃条約の第九条には「国籍の取得、変更等における権利についての男女差別撤廃」が用意されています。これらの例より見て父母両血統主義はいまや国際的趨勢となっております。  次に本法律案の要旨を申し上げます。  第一は、出生による日本国籍取得の要件に関する改正であります。  国籍法第二条によれば、出生のときに父が日本国民であれば日本国籍を取得できますが、母のみが日本国民の場合は、日本国籍を取得できません。日本人母・外国人父を持つ子と、日本人父・外国人母を持つ子とは、同等の権利を持つはずであります。  したがって、現行国籍法の父系血統主義は父母両血統主義に改め、出生の時に父または母が日本国民であるとき、子は日本国籍を取得することといたしております。  第二は、日本国民の配偶者である外国人の日本への帰化の要件に関する改正であります。  外国人が日本に帰化する場合には、居住歴五年、素行善良、生計能力などの要件が必要であります。そして、日本国民の夫である外国人男性が帰化する場合には、これらの要件のうち居住歴が三年に軽減されるだけであります。一方、日本国民の妻である外国人女性の場合には、居住歴も生計能力も不必要で、日本に入国せぬままに帰化することも可能であります。  ひとしく日本国民の配偶者である外国人が、このように性別により明白な差別を受ける規定は、早急に改正する必要があります。  したがって、現行法を改正し、現に日本に住所を有する十八歳以上の日本国民の夫、または十六歳以上の日本国民の妻である外国人について、引き続き一年以上日本に住所または居所を有する者は、平等に日本への帰化ができることといたしております。  以上が本法律案の趣旨であります。  何とぞ御賛同あらんことをお願い申し上げます。

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。      ――――◇―――――

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 内閣提出、参議院送付、民事執行法案、内閣提出、参議院送付、民事執行法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及び内閣提出、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案の三法律案を議題といたします。  これより、三法律案について趣旨の説明を聴取するのでありますが、民事執行法案は、第八十四回国会に提出され、本院において原案のとおり議決の上参議院に送付いたしたものを、参議院におきまして継続審査に付し、今国会、修正議決の上、去る三月二日、本院に送付されたものであります。  したがいまして、本案の趣旨につきましてはすでに十分御承知のことと存じますので、理事の協議に基づき、趣旨の説明を省略することとし、参議院における修正部分につきまして、参議院法務委員会における修正案の提出者参議院議員寺田熊雄君から、法案の修正の趣旨について説明を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  寺田熊雄君。

寺田熊雄日本社会党

○寺田参議院議員 民事執行法案に対する参議院における修正に係る部分について御説明申し上げます。  原案の第五十五条は、売却のための保全処分、第七十七条は、最高価買い受け申し出人または買い受け人のための保全処分、また、第八十三条は、買い受け人のための引き渡し命令について、それぞれ規定いたしております。  これらの規定に対しましては、差押え前より合法的に不動産を占有している労働組合や労働者の権利を不当に脅かすおそれがあるとする労働界からの強い意見表明がありました。その意見の是非はひとまずおくといたしましても、第五十五条及び第七十七条は、差押え手続中、買い受け人が所有権を取得する以前の段階におきまして、占有者の権原の存否が未確定のまま、これらの占有者を排除し、不動産を執行官の占有に移す等の保全処分を認めんとするもので、不動産に対する物理的な価格減少行為を防止する法的手段は他に幾多あることを考慮いたしますと、正当な権原による占有者の立場の配慮に薄く、債権者の保護に厚いきらいがあるという批判を免れないと考えます。また、第八十三条も、引き渡し命令という簡易な債務名義により、あとう限り有利な状態で不動産を買い受け人に引き渡そうとするものでありますが、これにより、差押え前より正当な権原により不動産を占有する者の排除まで認容せんとすることは、これまた前同様の批判を免れず、かかる占有者の排除については、買い受け人をして通常の訴訟手続によりその権利の実現を図らしむることが、むしろ妥当と考えられるのであります。  本修正は、以上の点の是正を図らんとするものであり、その内容は、次のとおりであります。  第一は、差押え後の不動産価格を減少させる行為を未然に防止するための保全処分の相手方を債務者に限定したことであります。  第二は、最高価買い受け申し出人または買い受け人に対し不動産の引き渡しを困難にする行為等を防止するための保全処分の相手方を債務者に限定したことであります。  第三は、代金を納付した買い受け人のための不動産引き渡し命令の相手方を、債務者または事件の記録上差押えの効力発生前から権原により占有している者でないと認められる不動産の占有者に限定したことであります。ただし、差押えの効力発生後に占有した者でも、占有権原を買い受け人に対抗することができると認められるものは、この限りでないものとしたことであります。  以上が、参議院における修正の趣旨及び内容であります。  以上でございます。

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 これにて、民事執行法案中参議院における修正部分の説明は終わりました。御苦労さまでした。  次に、民事執行法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及び民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案について、政府から趣旨の説明を聴取いたしたいと思います。古井法務大臣。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 まず、民事執行法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、現在御審議をいただいております民事執行法案が可決されました場合、その施行に当たり、民事訴訟法外六十の関連する諸法律について、字句の修正、条文の整理その他関連事項の改正を行う必要がありますので、これら所要の改正を一括して行おうとするものであります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。  次に、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、民事訴訟及び刑事訴訟における証人等の旅費について、急行料金を支給する旅行の範囲を拡大するとともに、新たに座席指定料金を支給することができるようにしようとするものであります。  現行の民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律におきましては、民事訴訟及び刑事訴訟における証人等に支給する旅費については、おおむね国家公務員等の旅費に関する法律の規定に準じて定められております。  今般、政府におきましては、国家公務員の旅行の実情等にかんがみ、国家公務員等の内国旅行に際して支給する旅費について、急行料金及び座席指定料金の支給範囲を拡大すること等を内容とする国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案を国会に提出いたしました。民事訴訟及び刑事訴訟における証人等に支給する旅費についても、右の法律案における取り扱いに準じて改正する必要があると考えられますので、急行料金の支給範囲の拡大等をしようとするものであります。  以上がこの法律案の趣旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  民事執行法案及び民事執行法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の審査に当たり、本日、参考人として、日本執行官連盟副会長八木代吉君及び東京執行官室労働組合書記長田中一志君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     ―――――――――――――

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 これより、民事執行法案、民事執行法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及び民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案の三案について質疑を行います。     ―――――――――――――

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 この際、お諮りいたします。  本日、最高裁判所西山民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長谷雄幸久君。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 初めに、民事執行法案の修正案についてお尋ねをいたします。  この民事執行法案につきましては、すでに私は、五十三年六月六日にこの委員会で質疑をいたしておりますので、この法案につきましては、修正案に限って質疑をいたします。  まず、民事執行法案につきましては幾つかの特色、傾向が挙げられております。そして今回の修正の対象になっている五十五条、七十七条、八十三条は、いずれもその特色から見ると強い執行法を目指している規定だと言うことができると思います。すなわち、現行の民事訴訟法中の強制執行及び競売法の規定、そしてその運用の欠点の一つは、執行妨害に対して非常に弱いということが挙げられております。そのため強制執行手続は国民に期待されるような機能を十分に果たしていない、そういう批判がこれまでございました。そこで、この民事執行法案は、そうした欠点を補うことが一つの目的であったと指摘されております。  そこで、質問の第一は、この法案中、今回修正の中で問題になっております保全処分を規定した五十五条と七十七条について、まずお尋ねをしたいと思います。  初めに、原案と修正案と比較して、法的効果においてどういう相違が生ずると考えているか、お尋ねいたします。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 原案と修正案の違いは、原案におきましては、債務者のほかに第三者が占有しておって、不動産の価格を著しく減少する行為をした場合も所要の措置ができることになっておりましたが、修正案で第三者が削られましたので、第三者が占有して価値減少行為をやった場合には防止策がないというところが大きな差異でございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 次に、修正案によって、法務省が当初原案で予定をしておった趣旨が、どの程度実現できるのかということでございます。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 現行法におきましては、債務者あるいは第三者が競売の目的である不動産を占有して、その価値を減少する行為をするような場合あるいはそのおそれがある場合におきましても、何らそれを防止する法的手段がなかったわけであります。この点が従来から改正を必要とするというふうに言われておりました。したがいまして、原案におきましては、債務者及び第三者が占有中に価値減少行為をやる場合に、その防止策を講ずることができるようにいたしたわけであります。  修正案によりまして、先ほど申しました第三者の場合は除かれたわけでございますけれども、競売の実際を申しますと、大部分は債務者が占有してさような行為をする場合でございまして、第三者の場合には希有の例と申し上げていいかと思うのであります。したがいまして、私どもとしては、念には念を入れるといいますか、大事をとる意味から、第三者も対象にすべきものというふうに考えておったのでございますけれども、修正されましても大半は用を足すということで、さほど原案の趣旨が死んだと申しますか効果がなくなったというふうには考えておりません。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 次は、八十三条についての引き渡し命令の規定でありますけれども、この点については、原案と比較して今回の修正案で、法的な効果にどういう違いがあるか。と同時に、原案で予定しておった趣旨というものはどの程度実現できるのか、お答え願います。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 原案におきましては、買い受け人が引き渡しを受け得る場合は、つまり買い受け人に対抗することができない第三者が占有しておる場合でございます。これはもちろん、その買い受け人に対抗できる権原を有するかどうかということは、執行記録上明らかな場合に限るわけでございますけれども、修正案におきましては、対抗できるかどうかということは考えないでと申しますか、対抗はできないけれども、たとえば差押え前から使用貸借あるいは賃貸借等で当該不動産を占有している者につきましては、引き渡し命令が出せないことになっておるわけであります。  つまり簡単に申しますれば、引き渡し命令の出せる対象が減縮されたと申しますか、したがって、引き渡し命令の制度そのものの効果が若干弱まった感じがするわけでございます。そこの違いが大きいところだろうと思います。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 裁判所にお尋ねをしますが、民事執行法案の二十一条によりますと、民事執行手続に関する必要事項は、最高裁判所規則で定めるとの包括的な規定がございます。  そこで、今回の修正案に関連をいたしますのでお尋ねをしますが、現在、悪質ブローカーを締め出すためにいろいろな工夫がなされていると思いますけれども、今後の対策についてお尋ねをしたいと思います。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 現在、悪質なブローカーの数は必ずしも多いというふうには認識しておりませんけれども、少数の者といえども、そういう者が競売場にはびこっていたのでは適正な売却ができないということで、それらが競売場にもぐり込まないというふうにすることが必要であることは申すまでもございません。現在でも、これらの悪質なブローカーを締め出すためには、裁判所の方としましては、次のような対策をとっております。  従前、こういう者がはびこりやすかったのは、売り方が競り売りという形をとっておりましたことに原因するものが多かったわけですので、それを入札を原則とするという方法に変えて、ブローカーの駆け引きを困難にするという対策をとっております。それから執行官だけが競売場で実施行為をしておりますと、なかなか目が行き届かないという面がございますので、執行官の監督官であります裁判官とか監督補佐官としての首席書記官その他の裁判所書記官におきまして、競売場に便乗してその入札行為あるいは仮に競り売りを実施するとしましても、その競り売り行為を監視するという体制をとって、未然に防止しておるわけでございます。それから執行官が競売場を主宰するわけでございますが、その場合には、競売場において私語を禁止するということによって秩序が保たれるような厳正な態度をとるということをやっております。  それから、何と申しましても、そういうブローカーはかりにばっこさせるというのではなくして、一般の人が買いやすい雰囲気を持たせるというのが必要なことでありますので、競売場の明朗化というものを図りまして、素人にも参加しやすいものとするように努力しておるわけでございます。  今後は、いま申し上げましたような方策のほかに、法案の第六十五条で、売却の場所の秩序維持のために執行官に権限が与えられておりますので、悪質なブローカーを排除するためには、必要に応じて執行裁判所に援助を求める等の、より実効性のある方策を立てていくことを考えておるわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 引き続きまして、最高裁の方にお尋ねします。  民事執行法案の六十四条によりますと、不動産の売却方法につきまして「入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める。」と書いてありますが、どのような方法を考えておられるのか。またあわせて、郵便による入札の制度というものを考えておられるのか、お尋ねします。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 まず、不動産の売却方法でございますが、現在は、不動産の売却におきまして、買い受け希望者がおりませんと、最低競売価額を一割低減して、さらに売却することになっておりますが、新しい法案では、原則として、このような低減方法をとらないというたてまえをとっております。これは差押え不動産の売却価額が不当に安くなることを防止しようとするものでありまして、その反面、不動産の売却方法自体が現行法と異なって、大幅に最高裁規則にゆだねるということにされておるわけでございます。  法案の六十四条二項によりますと、入札または競り売り以外の方法を最高裁判所で定めることになっておりますが、広く一般に買い手を募って、だれでも買い受けの申し出ができるようにする売却方法が原則として望ましいということは言うまでもないことでございますので、現在、私ども内々で検討しております最高裁規則におきましても、少なくとも必ず一回は入札または競り売りという公売の方法をとることにしておるわけでございます。  そういたしまして、入札または競り売りを実施しても適法な買い受けの申し出がないときに、差押え債権者の意見を聞いた上で、その直前の入札または競り売りにおける最低売却価額を下回らない価額で、執行裁判所が執行官に対して、入札または競り売り以外の方法によって、不動産の売却の実施を命ずることができるというふうな方法を検討しておるわけでございます。  さらに執行裁判所は、この売却の実施について、売却の実施の方法、期限その他の条件を付することができるという構想を持っておりまして、たとえば、買い受け希望者を探すために、新聞公告をしたり不動産業者にあっせんを依頼するというふうな工夫をこらして広く買い手を募る。そういうことによりまして、迅速に適正な価額で差押え不動産を売却するように努力するつもりでおるわけでございます。  次に、郵送による入札制度を考えているかどうかという御質問でございますが、現行法の入札制度におきましては、入札期日に集まってきた者が入札をした上で、その面前で開札をするということしか予定しておりませんが、たとえば軽井沢に別荘があって、それを売却するという場合に、その管轄執行裁判所は長野地裁の佐久支部というところになりますが、そこに買い手がわざわざ出かけていくということも大変だというふうなことも考慮いたしまして、たとえは東京にいる人が佐久支部の入札に郵便で入札できるようにするということになりますれば、買い受けの申し出についての便宜が図られるし、それだけ買い手が多く見つかるという可能性が考えられるわけでございます。  それから、実際の問題といたしまして、競売場ではかなりたくさんの人が集まってくるということで、そういう雰囲気に押されて、そこではなかなか買い受けの申し出をしにくいというふうなことから、一般の人が競売場に近づきにくいという面があることも否定できないものでございます。そういう場合には、わざわざ競売場に顔を出さなくても、郵送による送達でやれば、そういう買い受けの申し出のチャンスが得られるということがございます。  そういうふうな点を考慮いたしまして、時間的にも場所的にも融通性を持たせて、広く買い受け希望者を募るために、郵送による入札というものを考えたらどうかということで、現在考えております民事執行規則におきましても、それを取り入れるということを検討しております。幸い、不動産の売却の方法を、新法によりまして大幅に最高裁規則にゆだねられたものでありますので、その趣旨で検討しておるわけでございます。  以上、簡単にお答え申し上げます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 次に、法案の六十六条によりますと、不動産の買い受け申し出の保証の提供方法について最高裁判所規則で定める、こういう規定がございますが、どのような方法を考えているのかをお尋ねします。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 現行法におきましては、競り売り入札におきます保証提供の方法を、現金または有価証券に限っておるわけでございますが、有価証券のうち、株券とか社債のように価値の評価をする必要のあるものは、保証としては適当でない。銀行の自己あて小切手も、執行裁判所が預金口座を持っていない現在では、その処理に窮することがあるというので、実際には現金による保証提供だけが認められているような実情にあります。  しかしながら、最近の競売物件は非常に高額なものが多い。そうしますと、高額の現金を競売場に持参しなければならないということになりまして、非常に危険であるし、また執行官が一々現金の金額を勘定する手間も無視できないという状況にございます。  そういうことからいたしまして、新法で保証提供の方法を最高裁規則に委任しておりますので、小切手による保証提供を可能とするように検討しているところでございます。いわゆる送金小切手は取り立て手数料を要しないので、保証の提供方法として適当であると考えられますが、銀行の自己あて小切手も認めるかどうかなども含めて、なお十分に検討していきたいというふうに考えております。  さらに、入札または競り売りのときに、現実に保証金額を出損しないで済む方法を設けるならば、買い受け希望者は一層増加するというふうに考えられますので、いわゆるボンドと言われるもの、保険会社発行の保証証券による保証提供を認めることも検討しております。この方法は、買い受け希望者と保険会社が保証委託契約を締結いたしまして、その旨の保証証券を裁判所に提出することによって、保証の提供があったものとする制度でございます。そして、買い受け希望者が量高価競買人となったのに代金を納付しないという場合には、執行裁判所が保険会社に対して保証の額に相当する金銭を納付することを命じて、これを没取するということになります。  同じような趣旨で、保険会社だけでなくて銀行についても同様な支払い保証の制度が設けられないかどうかということも、あわせて検討しておるわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 次に、競売に関する情報についてでございますが、こういった情報はできるだけ国民に広く知らせる制度であることが望ましいと思いますけれども、これについてどのような方法を考えているか、お尋ねをします。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 現在の扱いといたしましては、不動産につきまして裁判所及び不動産所在地の市町村の掲示板に競売期日の公告を掲示することを義務づけております。それから執行裁判所が必要とするときには、一つまたは数個の新聞紙にも掲載することができるということにしております。  それから、動産につきましては、公告方法とか場所等については明定しておりませんで、執行官の手続規則におきまして、執行官の勤務する裁判所の掲示板に掲示する、執行官が相当と認めるときは新聞紙に掲載する等、適当な方法で公示することができるというふうにされております。  今度の執行法案の六十四条四項は、不動産の売却につきまして執行裁判所が入札または競り売りの方法により売却するときは、「売却すべき不動産の表示、最低売却価額並びに売却の日時及び場所を公告しなければならない。」と定めておりまして、公告方法等の細部につきましては、売却方法、売却物件に応じて適正な換価が実施できるよう、最高裁規則にゆだねられております。  動産の売却に関する公告につきまして、法は明文の規定を置きませんが、そのねらいは不動産に対するのと同じことであろうというふうに考えております。  そのような法の要請にこたえるために、公告はまさに広く一般人の目、耳に正確、迅速にその情報が到達するように、有効な手段をなるべくたくさん使うということが望ましいのであることはもちろんでございますけれども、一方、有効な手段でありましても、新聞公告の例をとりますと、かなり公告費用が高いということもございまして、売却物件の価額に比して、かなり公告費用が多額のものになるという場合があって、その負担をどうすべきかというふうな問題がございます。  考えられるのは、市町村が出しております広報紙を利用するということでございますが、これにいたしましても、売却条件を決定した後、売却期日までの間に十分な期日をとることができないために、そのような広報紙の原稿の締め切り日に間に合うかどうかという事態も予想されるわけでございます。また、物件概要書のようなパンフレットを出して、それに競売物件を集めて載せておくという方法も考えられるわけでございますが、それも印刷に時間がかかるとか費用をどこから出すかというふうな問題もありまして、にわかにこれといった名案が見出しがたい実情にございます。  しかし、できる限りこれらを克服できる方策を考えて、各市の実情あるいは各町の意見を勘案しながら、関係機関の協力を得て、有効な公告方法を実現できるように努力していきたいというふうに考えておるわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 大臣にお尋ねします。  民事執行法案につきましては、成立前にすでに重要な部分で修正をされるに至っております。本法成立後におきましても運用上十分な配慮が必要であり、場合によっては将来改正問題も起きてくるかと思いますが、いずれにしても、本法の趣旨が生かされるよう運用されなければならないと思います。  そこで、大臣のこの点についての所見をお伺いします。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 この民事執行法は十分綿密に審査も願ったことでもありますし、しかし、まあ重要な、いわば画期的な立法でもありますので、これから実行に移りますれば、大体はずいぶん研究していただいた結果だとは思っておりますけれども、やってみて、もし不備があるというなら、これはまたその際に、よりよくするための改正も検討しなければならぬと思いますが、まずまずこういうところでやってみてよいじゃないか、そういうふうに考えております。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 次に、民事執行法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について、お尋ねをします。  その第一条が民事訴訟法になっておりますが、この百十二条で、改正案を拝見しますと、民事執行法案十五条との兼ね合いで新たに「其ノ他最高裁判所規則ヲ以テ定ムル方法ニ依ル」、こういうことが担保提供に関して書いてありますが、この改正の趣旨、ねらいについてお尋ねします。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 執行手続の場合におきまして、いろいろ担保を供することがあるわけでございますが、御承知のとおり、今回の民事執行法案におきまして第十五条の規定を設けまして、担保の方法を規定したわけでございます。  現行法と違いますのは、供託すべき供託所を明確にしたことと、いま御指摘のとおり、供託方法としまして最高裁判所規則の定むる方法によってもよいということにいたしました関係上、民事訴訟法の訴訟の場合の担保提供についても整合性を図る意味で同趣旨の改正が必要であろうか、かようなことで、百十二条をいわば民事執行法の担保と同じような形に改正した、かような趣旨でございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 裁判所にお尋ねをしますが、いま私が読み上げた「裁判所規則ヲ以テ定ムル」ということでございますが、どういうものを予定しておられるのでしょうか。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 現在考えておりますのは、保険会社の発行する保証証券、これは先ほどもちょっと御説明申し上げましたのと趣旨を同じくするものでございます。  考えております内容をざっと御説明申し上げますと、担保提供者と保険会社が保証委託契約を締結いたしまして、保険会社が保証証券を担保提供者に発行する。担保提供者はその保証証券を発令裁判所に提出をいたします。その提供の相手方の方では、その保証証券を裁判所の方から受け取ることになります。それで、担保に係る損害賠償請求権について債務名義を得ました場合には、保険会社は相手方に保証金額の範囲内でその金員を支払う、こういう内容の保証証券を考えておるわけでございます。  それから、それと同様の構成をとったものでありますが、銀行の支払い保証というものも考えておるわけでございます。ただ、保証証券に当たるのは銀行の支払い保証証明書というものを考えております。  このような担保の提供方法につきまして、民事訴訟規則の中に規定するということを検討中でございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 第二条は民法になっておりますが、ここで二つお尋ねをします。  まず、民法三百六十八条でございますが、改正案によりまして削除されることになっておりますが、その趣旨とするところをお尋ねをします。特に民事執行法案の百九十三条との関連でどうなるのかということであります。  第二点は、三百八十四条の第三項が削除されることになっております。この削除の理由、あわせて民事執行法案百八十六条との関係について御説明を願いたいと思います。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 まず、民法の三百六十八条の削除の関係でございますが、この規定は、もともと実体法というよりは執行手続を決めた規定でありまして、必ずしも民法中に規定する必要もないわけでございます。今回の民事執行法案におきまして、御指摘の百九十三条の規定によりまして債権者の担保権の実行手続が明定されましたので、三百六十八条の規定は不要になった、こういうことで削除したわけでございまして、実質は何ら変わりはございません。  それから、次の三百八十四条の三項を削除いたしましたのは、この規定につきましては、まず第一に、増価競売の場合に債権者が代価、費用について担保を供するということになっておるわけでございますが、この担保の提供につきましては、御承知のとおり、今回の民事執行法案の百八十六条におきまして、同趣旨の規定を合理化して設けておるわけでございますし、費用につきましては、もともと増価競売の申し立てのときに担保を供するということは若干疑義があるわけでございまして、やはり裁判所がその費用を決めて予納をさせるというふうな手続によるべきである、これは民事執行法案の十四条でございますが、さような民事執行法案百八十六条及び十四条の規定が設けられることによりまして、三百八十四条の三項は不要になる、むしろ合理化されて改正された、こういうふうな実質にあるわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 第十条は公証人法になっておりますが、この五十七条ノ二のところでお尋ねをしますが、本条が新設されることになっておりますが、新設されることになった趣旨についてお尋ねをします。  まず、執行証書に基づく強制執行においても、この執行証書の正本、執行文等を執行の事前にまたは同時に送達しなければならないのは当然でありますけれども、この送達について、現行法での運用についてお尋ねをしたいということであります。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 現行法におきましては、実は公証人法にも定かな規定がないわけでございますので、解釈で運用されているわけでございまして、その運用の姿は、債権者が直接執行官に申し立てて、執行官送達によるという形になっておるわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 裁判所にお尋ねしますが、新設されることになります五十七条ノ二の条文によりますと、郵便による送達とそれから最高裁規則を挙げておりますけれども、最高裁規則では何を予想しているのか、お尋ねします。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 現在、運用として行われておりますのと同じ趣旨のものを、この規定で設けようというふうに考えておるわけでございます。  すなわち、債権者の方から直接執行官に送達を申し立てることができるという規定と、それから公示送達の関係でございますが、債務者の住居所等が不明な場合には、債権者が執行裁判所に対して公示送達の申し立てをして、許可を得た上執行官に対しその送達の実施を申し立てるという方法が現行法のもとでも行われておりますが、それと同じような規定を設けるということを考えておるわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 次に、第十一条は立木に関する法律でありますけれども、この法律の中で法定地上権、法定賃借権等の新設規定がございますが、この趣旨をお尋ねします。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 今回の民事執行法案の八十一条の規定によりまして、いわゆる法定地上権の成立の規定が新設されたわけでございます。もちろん民事執行法案の予定いたしておりますのは、いわゆる不動産のうちの土地または建物でございますので、法律上不動産とみなされる立木につきましても、同じような法定地上権の制度を認める必要性があろうということで改正されておるわけでございまして、つまり、抵当権の目的である立木が競売によって売却されました場合には、その立木のために土地に地上権が成立する、それから、土地が売却されました場合には、立木を存続させる意味におきまして立木所有者のために法定地上権が成立する、かような趣旨の規定でございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 次は、第四十八条の民事訴訟費用等に関する法律でございますが、これの第二十八条の二のところによりますと、これの新設がございますが、民事執行法案百五十六条の第三債務者の供託に関する規定によって、第三債務者に供託が義務づけられ、さらに事情届け出が義務づけられておりますが、本条の新設によりまして、第三債務者の利益が十分に保護されることになるのかどうか、お尋ねします。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、御存じのとおり、現行法では債権執行の場合の第三債務者の供託は民事訴訟法の六百二十一条に規定がございますが、この現行法におきましては、第三債務者が供託をしなければならない場合というのは、配当要求債権者の要求があった場合だけでございます。それからまた、現在の無名義主義のもとにおきましては、第三債務者が供託に要しました費用については、当該債権執行手続から配当により償還を受けるということが可能でございます。今度の民事執行法案によりますと、御指摘のように、第三債務者の供託をしなければならない範囲というものが非常に広がりまして、また有名義主義に変わりましたために、現行法のような形で救済を受けることはできなくなったわけでございます。  この民事訴訟費用等の法律の二十八条の二の新設規定によりまして、そのような費用につきましては、第三債務者が所要の経費を支出した場合に、一定の時期までにその費用の償還の請求をいたしますと、これは配当ということではございませんけれども、供託金の中から支給を受けることができるということになるわけでございまして、現行法と同様あるいはそれ以上に、第三債務者が保護されるという結果に相なろうかと思います。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 五十一条は仮登記担保契約に関する法律でございますが、これの十六条の二項が新設をされております。  この新設された条項についてお尋ねしますが、仮登記担保権に劣後する権利に関する新設規定でございますけれども、この新設の趣旨をどういうぐあいにお考えになっているのか、お尋ねします。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 民事執行法案の五十九条第二項、第三項、第五項によりまして、売却によって消滅する権利に対抗することができない権利は失効するというふうになっておるわけでございます。さような規定が設けられたことに伴いまして、売却によって消滅する担保仮登記に係る権利に対抗することができない権利もやはり失効するということを明定する必要がございますので、十六条に二項を加えて、さような関係を明らかにしたわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 この整理法については、その内容はほとんど関係法律の字句の修正と形式的な整理でございますが、中には、いま私が質疑しました法律内容の変更に関するものも含まれておりますが、まだ質問したい点もございますけれども、時間がございませんので、この法律案については以上で終わります。  次に、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案について、お尋ねをします。  この法律案では、民事訴訟及び刑事訴訟における承認等の旅費について、急行料金を支給する旅行の範囲を拡大することにいたしておりますが、その趣旨とするところは何か、お尋ねします。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 最近の旅行の事情を見てまいりますと、特急あるいは急行に乗車するということが非常に多くなりまして、国民の大半も昔のように鈍行に乗るという例が少なくなってまいりました。その結果、国鉄でも特急あるいは急行列車は多くなり、鈍行はだんだん少なくなるというのが現状のように承知しているわけでございます。  そういう状況でございますので、国家公務員の内国旅行におきましても、その実情に合わせて特急料金あるいは急行料金の支給できる範囲を広げよう、例を申し上げますと、新幹線で現行法のままでは名古屋から遠くに行かなければ支給できなかったものを、熱海ぐらいまでは支給できるようにしようというふうなことで、改正を現在審議中でございます。  それに合わせまして、証人の方も、同じような旅行の実情でございますので、同じように支給範囲を拡大しよう、こういう趣旨でございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 同じく証人等の旅費につきまして、新たに座席指定料金を支給することができるようにしておりますが、その趣旨は何かお尋ねします。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 これも急行料金と同様でございまして、座席を確保して旅行しようというふうなことが一般国民の間にも広がってきておるわけでございます。そういう面からいたしまして、証人の方につきましても、ある一定の距離以上の場合には座席指定料金を支給することにして、座席を確保した状態での旅行をしていただこうという趣旨でございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 裁判所にお尋ねをします。  民事訴訟費用及び刑事訴訟費用につきましては最高裁判所規則に、路程賃つまり旅費、日当、宿泊料の額について、その上限を定めておりますが、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案が成立した場合には、この最高裁判所規則についても当然見直しを迫られると思うのですが、この際、最高裁判所規則の改正の意向について、お尋ねをしておきたいと思います。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 証人等の宿泊料、路程賃それから日当につきましては、従前、国家公務員等の旅費法それから民訴費用法等の改正に準じて改定されてきておるということがございますので、今回もそれに応じて改定をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 終わります。

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 先ほど参議院から修正理由の説明がございました。  本法案の修正の基本的な原因は、過ぐる国会で、当法務委員会におきまして賛成可決をされた直後に委員長から発言があり、私ども委員会における五十五条、七十七条また八十三条の問題につきまして意見を付し、政府に要望したところから始まっておるのでありますが、参議院におきます修正につきまして、政府は異議ございませんか。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 私どもといたしましては、原案をぜひとも成立さしていただきたいと考えておることには変わりございませんけれども、修正によりまして、先ほども申し上げましたように、実質的には大半の場合防止策がとれるわけでございますので、したがいまして、所期の目的は十分達し得るというふうに考えておる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この修正がされる要因になりましたのは、言うまでもございませんが、労働組合が自主管理ないしは債権確保のための行動をしておることに対して、今回の改正案がそれを阻害するものではないかということから始まっておるのでありまして、そこから各院外における関係諸団体の意見を聴取し、そして委員長発言となったものであります。  その際に、私からも公式並びに非公式に申し上げたことがございますが、この民事執行法の施行によって実際行われる事態、現場における執行官のあり方、また裁判所のあり方に対しまして、労働界からきわめて不信の念が発せられたのであります。法務省やあるいは最高裁から、私どもに前国会におきましても御説明がございましたのは、改正案が決してそれらを阻害するものではない、またそれは杞憂である、また十分認識させるからそのような不安はない、文書において、あるいは改正法の説明において、いままた修正点についてお話があると思うのであります。  そこで、法務省はもちろんでございますが、特に最高裁に強く申し上げておかなければならない客観情勢がございます。いまは円高不況、長期にわたる不況下にあって、不渡り、倒産、会社更生法、それらの事例というものはきわめて日常茶飯事にたくさん起こっておることは御存じのとおりであります。  これらの事態に対して、労働運動のあり方、また労働組合の感覚は、戦後のこの種の倒産企業に対する考え方ときわめて変化をしておることを記憶にとどめていただきたいのであります。いまの労働組合がすべてそうだとは言いませんけれども、この不況下においては、とことんまでまいりますと、雇用が大事である、この企業を離れて自分の妻子を養っていく場所が見つからぬ、どんなことをしてもこの企業を守り、この企業を再建し、そして自分はここを自分の働く場所として考える、そのために団結し結束をして企業の再建に努力をする、そのためには、ある場合には給料が少なくなっても、超過勤務をして払われなくても、あるいは労働条件の一時的な悪化があっても、この企業を守る、自分の職場を守る、そういうような基本的な感覚が最近では非常に強くなっているわけであります。経営者としては、そろばんに合わなければつぶしてしまう、またつぶさざるを得ぬ、こういうような合理主義でございますけれども、労働者は生活がかかっておる。したがって、その基本的な目標のために会社、工場に立てこもってがんばり、経営者に反省を求める、その実力行使の中に起こる問題なのであります。  その実力行使がいろいろな形で行われるのでありますが、それらを見て、それは五十五条の原案にありますように、価格を減少させる行為である、ビラが張られ、赤旗が翻り、あるいはガラスが破れたまま放置されておるということでは、土地、建物の価格を減少させる行為であるとして退去を命ずる、こういうような状況では、この民事執行法案にわれわれはとても賛成するわけにはいかない。法律にどんなことが書いてあっても、執行官の判断により、あるいは裁判所の判断により、この法律が悪用されるおそれが十分にある。法律に書いてあることと現場の運用とはまた違う点がある、こういうようなことが労働者の主張と現場における状況なのであります。  したがって、私はまず、この修正に賛成をするものではありますが、その修正が法務省並びに最高裁の実際の法運用に当たって、果たしてこれらの労働者の要望が十分に生かされるような措置がどうしてとられるか、どういう方法でそれが行われるか、そのことについて意見を聞きたいのであります。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 ただいま大分手厳しい御批判をいただきましたが、そのような御懸念と申しますか、あるいは御疑問がどこから出てきたかということは、私つまびらかにいたしません。多分いままでも、そういう懸念されるような事例はなかったのではなかろうかというふうには考えております。  裁判官は、それぞれ独立して法令の解釈をして裁判をするということはもちろんでございまして、その限りにおきましては、自分で自分のやったことについては責任を持たなければならないと同時に、その自分の解釈、適用というものが法律から当然出てくるような論理を越えるようなものであってはならないという点の責任を持たなければならないことはもちろんでございます。  政府原案におきましても、保全処分を命ずる要件としまして「不動産の価格を著しく減少する行為をする」とか、あるいは「そのおそれがある」というふうなことで非常に限定をされておりまして、そういう要件から見ました場合に、いま先生がおっしゃいましたような、労働組合が自主管理をしておるという例が、直ちにそれに当たるものではないというふうに考えられるところであろうとは存じます。  それからまた、修正の案を拝見いたしますと、債務者に限定されるというふうなことがございまして、いま御懸念のような解釈、適用が生ずる懸念はますますないのではないかというふうに考えておるところでございます。  そうは申しましても、先ほど大分根深い不信の念のように拝聴いたしましたので、今後の問題として、私どもとしても、まず御懸念のような事態は起こらないであろうというところを少し申し述べてみたいと思います。  先回の議事、それから今回の議事もそうですが、この立法過程それからその審議過程におきます論議は、これは当然立法解釈の資料として裁判官も使うということはもちろんでございます。特に新しい法律でありますれば、それが解釈、運用の指針になるということは、もう一番強い意味を持っておるように思われます。私どもといたしましては、この法案が成立いたしました暁は、民事執行法についての裁判官用の執務資料を作成して、その中に国会における質疑応答の内容も掲載する予定でおります。それから、この民事執行法の解釈、運用について裁判官協議会を開催して、新法の運用に遺憾なきを期するという予定でおりますが、その中の問題の一つとして、いま問題になっております各条文についての解釈についても、意見交換をする機会を持ちたいというふうに考えております。それから恐らく、新法が施行されるまでには法務省当局の立案担当者によります公式の解釈というものが、いろいろな文献に載ることであろうかと思われます。それも当然裁判官の目に触れて、運用に誤りがないことになるであろうというふうに申し上げるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 その点については、あるいはあなた方から言わせれば誤解もあるであろう、あるいは認識不足もあるであろう。また、今回の修正によってさらに十全の満足が与えられると確信をするという御説明を私どもは了といたしますが、いまお約束願いました諸般の経過並びに結果に重大な関心を払うことにいたします。  次に、四十一年の執行吏制度についての附帯決議であります。この中で特に問題になりましたのが、「執行事務を直接固定俸給制の裁判所職員たる執行官において行う方向について検討を加え、早急にその実現方について鋭意努力する」という点であります。以来、十三年以上もたっておりますが、参議院におきます質疑を通読いたしますと、いまもって政府側においてこの国会の院議が実現の緒についていないことは、きわめて遺憾千万なことであります。私も、その実情、なぜ困難であるかということを知らないわけではありません。しかしながら、それにしても余りにも無為無策、十二年を経過して、なおかつ国会にこの問題についての方向すら与えられないということは、大変怠慢のそしり免れがたいことだと思うのであります。  時間の関係で、私は端的に申し上げるのでありますが、執行官の現在受けております収入を少なくとも総枠において減額をさせない範囲内において、固定給と歩合給との並行制によって実現ができるはずである、これが第一であります。  第二番目の問題は、執行事務に当たっておる職員の問題であります。国民から見れば、執行官がやってきて執行事務を行う、その職員は国家公務員であろうと、すべての人がそう思っておる。思わないのが不思議なくらい。あなた国家公務員じゃないですか、こういうことである。最近では、執行事務に対して暴力だとかあるいは脅迫とか、そういう事例はきわめてないようでありますが、しかしながら、強制執行の場合にはつきまとう諸問題であるとするならば、その職員が国家公務員でなくて一般の民間の人であるというようなことは、国民的にはどうにも理解のできないことであります。  よって、改めて申し上げますが、四十一年の附帯決議のうち、その柱となっております執行官の給与体系、特にその執行事務に従事する職員の公務員化について、何としてもここで政府の約束をいただきたい。いかがですか。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 いま、四十一年の附帯決議がそのままになっておるというおしかりを受けましたけれども、私どもも十数年間、ただ放置したわけではございませんで、いろいろ研究を重ね、正直申し上げますと、苦慮してまいったわけでございます。  ただいま御指摘の、執行官の補助事務をしておられます職員の方々の公務員化の問題につきましても、関心を深く持っておるわけでございますけれども、まず、その問題の解決としては、ただいまもお話がございましたように、執行官の給与体系をどうするかということが先決であろうと思います。その点につきましては、先生御承知のとおり、いろいろな問題がありますので、これから検討してまいりたいと思いますけれども、ただいまの御指摘のような、一部歩合制というような問題も非常に実情に合った、検討に値する課題であろうというふうに考えております。  その執行官の俸給制の問題を固めました後にと申しますか、それと並行して、職員の公務員化の問題を考えていかなければならないわけでございますけれども、東京のような大きな執行官室における職員の実態と、地方で家族のような方がやっておられるような状況と、いろいろと、その補助事務をやっておられる方々の実態も差異があるようでございます。したがいまして、制度としての公務員化と同時に、現在おられる方々についての定員化といいますか、これは任用の問題もございます。そういう問題も非常にむずかしい問題がございますので、あわせて前向きに検討を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法務大臣、十二年たって同じ答弁なのですよ。この間私が二、三回、これどうなっておるかと言ったところが、同じ答弁、少しも変わらない、少しも前進がない。これでまた、この民事執行法に関連をいたします法律案が出てくるのが十年くらい先かもしれぬ。また一般質問で申し上げても、同じ答弁かもしれぬ。やはりやる気がないからだと私は思わざるを得ないのであります。  むずかしい、むずかしいと言っておっても、やりようがある。歩合制と固定制の並行でもあるし、特に、その従業員の諸君が国家公務員でないということがおかしい、執行官が公務員でございますから。したがって、この問題の解決の方法は、意を決すればあると私は思うのでありますが、あなたからひとつ号令をかけてもらいたい。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 執行官、それを補助する人、そういう人の待遇、処遇を合理化するという問題は大切な問題だし、今後も、これは改善の方向に向かって検討していかなければいかぬと思うのでありますが、これはどうも私も反省してみなければいかぬと思っておるのであります。  それはそうですけれども、公務員という鋳型に何でもはめていくということが、私個人はそこを反省しようと言っているのですけれども、抵抗を感ずるのですよ、役人にしてしまうという型に。そんなものだろうか。私は昔者かもしらぬが、執行吏が執行官になって官というものになっておるということでも、それで何の問題なしにこうなったものかなと思うくらい、それくらいに頭が古ぼけておるので、これはやはり反省してみなければいかぬ。  参議院の御審議のときも、私は、こっちがよほど頭を焼き直してみなければいかぬなと思ったのですが、とにかく処遇の改善の問題としては、十年一日のごとく何年たっても同じことだというのでは、どうもざまがないような気がいたしますが、ひっくるめて、よく改善の方向に向かって研究してみたい。また私は、そこはようわからぬところが、さっき言うように目下反省中というところでありますから、改善の方向ということで、私の見解は申し上げておきたいと思うのであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大臣は専門家で、私のような素人でも一生懸命に民事執行法の勉強をしているのですけれども、大臣、いま率直に言われたけれども、その率直では、この法律案の本旨とするところが、大臣自身がわかっていないのじゃないかと私は思うのですよ。  少なくとも本法律の根底を流れるものは、適当な言葉であるかどうかは知りませんけれども、いわゆる平等主義から優先主義、執行事務の円滑化を図る。したがって、いままではあれもこれもと言っておったけれども、そんなことを言ってはだめだから、なるべく早くここが優先する、ここでひとつ早く処理をしよう、このためには執行官の権限もふやす、そういう意味の改善なんですから。執行官の権限が拡大されるのですから。執行官はいまでも国家公務員なんですよ。それについていく人間が民間人である。国民は、みんなそれは国家公務員だと思っているのです。聞いてごらんなさいよ。みんな国家公務員だと思っているのですから、その雰囲気、実態、業務の性格に合わせろ、こう言っておるのでございます。  あなたが、何かそれは一般論として、民間よりも公務員にすることはどうも気が進まぬなということでは、この法案の本旨とするところが、最高責任者であるあなた自身にどうもわかってないじゃないか、大臣に対する部下の教育が足らぬ、そんなことを私は思わざるを得ぬのでありますが、私の言うことは間違っていますかね。大臣、ちょっとおかしいですよ、そんなことしては。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 私は、正直に自分の気持ちを申し上げておるので、だから、さっきも言うように、私がそういう公務員という方ばかりというのが余り好きでないような気がするものですから、そういう考え方が時代におくれておるのか、もともと間違っておるのか、よく考えてみなければいかぬ、こう言っているので、あなたからも何ぼでも教えてもらいたい、こう思うのです。目下そこを自分でも考えてみなければいかぬと思っているところですから、幾らか進歩の徴候はあるのですから、それは了としていただきたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 時間の関係で、本法について、執行官がこう考えておるということを列挙いたしますから、それが間違いないかどうかについて確認をします。   執行官の権限拡大について動産執行においては   一、動産執行の対象が拡大され、これまで執行裁判所が執行機関として差押えをしていた手形、小切手等の証券類や二十トン未満の船舶が、動産執行として執行官においてこれを差押え、競売することになった。百二十二条。   二、また執行官が差し押さえた物件に対しては、債務者に差押え物の使用を許可し、またはその許可を取り消すことができる。百二十三条。   三、次に、適正な売却の実施を妨げる者を売却の場所から退場させる等、執行官に売却の場所の秩序維持に関する権限が付与された。百三十五条。   四、さらに、配当関係においては、これまで仮差押え債権者等未確定の債権者があるときは、執行官が配当の協議をさせることができなかったのであるが、このような場合にも執行官が協議配当を行うことができるようになった。百三十九条。  これが動産執行。  不動産執行関係では   一、これまで強制権限を与えられていなかった賃貸借等取り調べが現況調査として装いを新たにして登場し、これについて執行官に質問権、強制立ち入り権等を与えておる。五十七条。   二、さらに、不動産の売却に関しても、動産の場合と同様、いわゆる競売場の秩序維持に関する権限を与えた。六十五条。   そのほか、保全処分の執行においては、これまで目的動産について著しい価格の減少のおそれがあるときは、執行官は執行裁判所の命令によりこれを換価すべきものとされておるが、このような場合には、執行官が自己の判断に基づいて換価することができるようになった。百七十七条。 この権限拡大についての執行官の解釈は、そのとおりでありますか。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 そのとおりでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次に、大臣、あなたを教育しているのですよ。   事務の合理化という観点からながめてみると、新法は、運用に不都合を来していた現行法の規定を改正し、執行官の事務の合理化を図った。   一、現行法は、執行官が職務の執行に当たり抵抗を受けるとき、または債務者不在の場合には成年者二名を立ち会わせなければならないものとしておったが、新法は、立会人の人数を定めないことにしたので、相当と認められる者一名を立ち会わせて執行することができるようになった。七条。   二、現行法は、休日または夜間に執行行為をする場合は、執行裁判所の許可を要するものとしておるが、新法では、人の住居に立ち入って職務を執行する場合に限り許可を要するものとしたから、住居外で職務を執行する場合には、たとえば執行が長引いて午後七時を超えることになっても、執行官限りの判断で執行を続行できることになった。八条。   三、現行法は、債務名義を有しない債権者の配当要求を無制限に認めているが、新法は、優先権を有する債権者に限り配当要求を認めることとしたため、虚偽債権による配当要求を防止するとともに、配当申し立て事件は激減することが期待されるほか、配当要求認否を債務者に問う手続も不要となり、執行官の配当事務は著しく軽減される。   四、新法は、差押え物について相当な方法により売却を実施してもなおかつ売却の見込みがないときは、職権により差押えを取り消すこと  ができる旨の規定を新設し、売却の見込みがないのにいたずらに売却期日を重ねることのないように配慮した。百三十条。   五、現行法は、不動産の明け渡し執行等において、執行官が執行の目的外動産、すなわち遺留品を売却するには執行裁判所の許可を要するものとしておるが、新法は、右の売却については執行官限りで行うことができるものとしている。百六十八条。   六、動産の任意競売についても、新法は明確な方法を示しておるから、現行法のように競売期日に目的物が提出されるかどうか確認できないまま競売手続を進めなければならないというような不合理さが是正をされた。   これらの改正点を通じ、特に現況調査制度や執行官の裁量権の拡大等、新法が執行官を信頼し、これに期待する姿勢を示している。 この解釈も間違いありませんか。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 そのとおりでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 特に、現況調査事務ということがどういう影響を与えるかという点について、私どもも院外でずいぶん関係者と議論をいたしたのであります。     〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕 この執行官に現況調査事務という権限あるいは先ほど申し上げたようないろいろな権限を与えるということが、執行官の事務量にどう影響があるか、あるいはまた、執行官の教育をどういうふうにしたら適正な執行ができるか、その点についてどうお考えでありますか。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 現況調査の点につきましては、従前の賃貸借取り調べに要しました知識、能力に比べて、はるかに高度な法律的な素養と能力が必要になろうかというふうに思われます。その他、先ほどお示しのような権限の強化、合理化の点につきまして、これを遂行するためには、執行官がそれぞれの事務について深い法律的な知識を持たなければならないということで、事務を遂行するためにはかなり負担も多くなるでありましょうし、それからまた勉強してもらわなければならないということになろうかと思われます。  その関係で、一つの事務を遂行するのに、一人の執行官としては非常に負担が大きくなるということは言えるかと思われますが、それは何と申しましても、一つの手続の中で行われる事務がふえてくるということだけのもので、それが直ちに全体として執行官の事務量の増加につながって、増員まで考えなければならないというふうなものになるかどうかということについては、現在のところでは、むしろ消極的な考え方でおりまして、詳しくは実施の後の動きを見てから検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私も、東京やあるいは名古屋そのほかの執行官の仕事ぶりを見ておるわけでありますが、たとえば受け付け事務については東京と名古屋とやり方が違いますね。  本来、受け付け事務は裁判所でやるのか、執行官でやることになっておるのか、法律はどう考えているのですか。  第二番目は送達事務であります。東京は八月から全区でやめるようになっておるというのですが、全国的にばらばらではないのですか。だれがやるのが本当ですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 受け付け事務は、現在の状況といたしましては、執行官の方で受け付け事務を扱っている町と、それから裁判所の方で裁判所の職員が取り込んでやっている町と、二つに分かれております。指導といたしましては、人員の余裕ができる限りは、執行官の受け付け事務も裁判所に取り込みたいというふうに考えておるわけでございます。  それから送達の関係でございますが、これもいま御指摘がありましたように、民事におきましての休日、夜間の送達あるいは現在におきましては公正証書の送達というものについて、執行官がもっぱら担当しているという状況でございます。それにつきましては、執行官が本来の執行事務に携わることができるように、なるべく軽減をしていきたいというふうに考えておりますが、現在のたてまえといたしましては、執行官が送達実施の機関になっておりますので、その辺のこともにらみ合わせて、実務の運用といたしまして、なるべく負担を軽減させるような方策を考えていきたいと考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 四十一年の附帯決議の中で、「執行吏代理をはじめ執行事務に従事する職員の処遇並びにその地位の安定と雇用条件について格別の配慮を行うこと、」とされておりますし、「なお執行吏代理の執行官への登用については、その経験等を参酌してできる限り有利な取扱いを行うこと。」、この附帯決議がほぼ履行をされておると思うのでありますが、執行吏代理以外の職員の問題が残っておるわけであります。  現状においては、執行官事務所に長年勤務しておっても、どうも政府の行政態度は、長年勤めておる人間を執行官に登用するということに非常に消極的、憶病のような気がしてならないのであります。これは執行官登用の三つの条件ですか、おありになるようでありますが、少なくともその条、件に合致するような職員については、積極的に執行官にどんどん登用をする、そして執行官の教育ばかりでなくて、職員の新法に基づく教育活動も十分に行い、将来に希望を持たせるべきだと思うのですが、いかがですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の点はまことにごもっともでございまして、私どもといたしましても、そのような方向でやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 簡潔にお答えになったのでありますが、それが必ず実行できるように要望をいたしたいと考えておるわけであります。  執行官からちょっと外れますけれども、管財人について、日ごろ感じておりますことを申し上げて、ひとつ御意見を伺いたいと思います。  私、管財人の多くを知っておるわけでありまして、ここに「更生管財人を経験する」という「東京地裁広報」をちょっと拝見をして、その苦心のほどを知ったわけであります。苦心をされておる管財人もあれば、一方では、とにかく端的に言えば、先般本委員会で申し上げたのでありますけれども、管財人が悪いことをする、そして後任管財人が先任管財人を告発をする、そういうことが起こったのであります。  管財人を任命するのは裁判所であります。裁判所は管財人を選任して、後は知らぬ顔の半兵衛、管財人を任命した責任というものをどういうふうにとるか。管財人が前管財人を告発をした、その告発をして、任命した裁判所がその前管財人の裁判をやるということになる可能性があると思うのでありますが、そういう点では、裁判所は、管財人に対する指導監督の責任はどうおとりになるのですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 管財人は、選任の実情といたしましては、更生申し立てがありました後に、各債権者が集まって、その会社の更生にだれが一番いいであろうかという面から協議して決める場合もございますし、それから、裁判所が商工会議所その他の団体に照会をして、適任者を推薦していただくというふうな形で選ぶ場合もございます。  いずれにしましても、選任の責任と申しますのは、原則的には裁判所にあるということになるわけでございます。むしろ、そういう信用が置ける人を選ぶというのが裁判所の仕事でございまして、選任した以上は、後の業務の運営、財産の管理、すべてこれは管財人に専属するという形になっておりますので、基本といたしましては、何と申しましても、選任を誤らないということに帰するのでございますが、最近一つの例があらわれたようでございまして、その点はまことに遺憾と考えておるところでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 答えになっていないのですけれども、あなたの答えは、そうしますと、裁判所が任命した以上は、管財人が何やろうと、自分の方に監督責任はない、選任するときに、一生懸命にいい人を選ぶよりしようがない、こういうお答えですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 裁判所には、そういう意味での責任はあると考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 どういう意味の責任ですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 選任、監督についての責任を持っておるということでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 よくわからないのですが、選任責任はある、けれども、なった以上その人が自由裁量でやるより仕方がない、裁判所は、その後なった管財人が行う業務状況について、中間で指導し、監督し、注意をすることはできない、こうおっしゃっているのですか。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 選任、監督はもとよりでございますが、業務の遂行中は裁判所の監督権に服するということは当然のことでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 だから、どうしているのですか。どうするのですか。どうしたら適当ですか。裁判所はどうしたら適当なんですか。何もやってないですよ。

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 普通に行われるような監督……(横山委員「何もやっておらぬ」と呼ぶ)実務のやり方といたしましては、毎月例報告を求めて、それを監督するということがございますので、それが一番、監督についての資料の収集になろうかというふうに思われます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 時間がございませんが、答弁に不十分であります。  もしそれ、月例報告を受け取る権限があり、それを提出する責任があるならば、月例報告についての裁判所の、その内容についての問題点の指摘あるいはまた不正、汚職、そういうものに対する監督、そういう監督責任があるならば、それが必要であるならば、裁判所は、もう少し積極的に管財人に対する指導、あり方について原則的あるいは具体的にそれを行うべきである、そう思っています。何にもしていないから、注意を換起するのか、その点は何かなさいますか。     〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕

西山俊彦最高裁判所事務総局民事局長

○西山最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の点は、十分これから注意してまいりたいと思いますが、裁判所におきましても、更生事件についての協議会等を持っておりますので、そういう席上で、裁判所の管財人の選び方、それから監督の仕方、そういうものについて協議をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 終わります。     ―――――――――――――

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 ただいま参考人として、日本執行官連盟副会長八木代吉君、東京執行官室労働組合書記長田中一志君が御出席されました。  この際、両参考人に対し一言ごあいさつを申し上げます。  両参考人には、御多用のところ本委員会に御出席を賜り、まことにありがとうございました。  本委員会におきましては、ただいま民事執行法案及び民事執行法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の両案につきまして審査を行っておりますが、本日、両参考人から御意見をお伺いすることは、両案審査に多大な参考になることと存じております。  両参考人におかれましては、それぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いを申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げますが、八木参考人、田中参考人の順序で御意見をお述べいただくこととし、なお、御意見の開陳はお一人十分程度に取りまとめてお述べいただくようお願い申し上げます。次に、参考人に対しまして委員から質疑がありますので、さよう御了承お願いいたします。  それでは、まず八木参考人にお願いいたします。

八木代吉日本執行官連盟副会長

○八木参考人 日本執行官連盟副会長の八木代吉であります。本日は、会長が差し支えのため、私が伺った次第であります。  さて、約九十年にわたって国民の間に民事執行の面において利用されてきた現行法の改正に当たり、執行現場を担当する執行官として、実務上の問題点について重要な二、三点と、さらに法案に対する執行官の希望事項について申し上げ、その後に、足りない事項を御指摘により申し上げたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  一として、まず本法案は、現行法と同じく、国民生活に密着する執行上の現場処理はすべて執行官に任せられておりますが、まず不動産執行について申し上げます。  その担当部分は、主として競売不動産の現況調査と競売の実施、競売物件の引き渡し等であります。問題の不動産の現況調査は、競買人が競売物件を安心して競買できる調査を、執行官に強制力を付与の上、過料の制裁を加え、さらに裁判所の審尋によって調査の完璧を期し、これを物件明細書に記載し、一般の閲覧にも供する全く新しい制度で、新法の目玉の一つと言われるだけに、執行官の責任は重く、その調査が不完全であれば国が賠償責任を問われないとも限らず、執行官の調査能力と方法が重要問題として取り上げられることもあると思われます。その基本調査の結果が重大なだけに、執行官は全能力を挙げて取り組まなければならない重要事項の一つと認識している次第であります。  不動産競売場の秩序維持の規定は、将来、社会の複雑化に伴い、その必要性が生ずることが考えられ、また一面、法の存在自体が競売場の秩序維持についてその自制心が生まれて、適正の競売処理に役立つものと思われ、執行官に与えられた権限として、将来はその運用に誤りのないようにしたいものの一つであります。  二として、動産その他の執行について、法案は、従来、学界、弁護士会等が一致して主張されていた手形、小切手等指図証券を動産としての執行を認め、また執行物件の制限の改善、差押え物件の保管、競売延期の制限、競売場における妨害排除、競売代金の配当手続等にわたり、広範に執行官の権限が強化され、適正、敏速処理の精神が貫かれ、その他の執行についても種々改定された点が多くあるところ、これらのために直ちに執行官の負担過重を来すかは疑問であり、訓練により、ある程度は克服できるものと思われます。  三として、新法と執行官の能力でありますが、不動産の現況調査は、執行事件全般の数においてそれほど多いとは思われず、取り調べは従来の賃貸借取り調べにやや似たところがあり、二ないし三倍程度の労力を要する程度で足りるものと思われ、動産執行においても、従来の執行に比し困難性を増すことはもちろんでありますが、当分は法案に対処する努力により現在の人員で乗り切るべきであり、また、それは可能と思われ、法案施行後二、三年経過して処理能力の評価が決まり、その手当てをすべきではないかと信じている次第であります。  四として、本法案は手続法でありますが、それを運用するのは人であり、その現場のすべてを担当する執行官は、その職務について前向きの希望を持つことが最も肝要であり、本法案の運用に大いに影響するものであります。  それで、能率増進の方法として希望を述べることをお許しいただけるならば、1として、永年勤続した執行官の表彰制度を設けていただきたいのであります。執行官として表彰されることによって、裁判所部内においても苦労を認められたという満足感が満たされ、士気に非常に影響することが多いと思われます。  2として、執行官の職務の重要性、ひいては地位が広く社会的評価を受ける例として、春秋二回の叙勲の例を挙げることができます。従来の例を見ますと、裁判所や検察庁の職員に比し低いのではないかと感ぜられますので、裁判所職員と同様の取り扱いをお願いしたいものであります。これによって、社会的に困難な仕事と国家、国民に奉仕することが多かったという、老年になってから、自分は執行官として全力を尽くしてきたという満足感が得られ、七十歳を超え、人生最後のはなむけとして感謝するものと思われます。  3として、執行官の職務は激職であり、頑健の者でなくては勤まらない上に、手数料制と退職金皆無の制度を考えると、健康上のことが常に心配になるのであります。体に軽度の異常を覚えた場合に、病院に行くと長時間を要するため、ついに治療の時期を失う結果になりやすいので、一般公務員の受ける医療施設、これは歯科を含めてでありますが、これがある庁では、実費負担の上治療を受けて、これを治すことができることを希望するものであります。手数料制度においては、執行官は、時間は金と換価されてもいいと思います。  4として、執行官の手数料は、従来その職務内容に応じた改定がなされてきたのでありますが、本法案が実施されれば一段とその責任は重くなりますので、その点を、さらに物価情勢の双方の点から、俸給制に移行するまで、将来特に考慮されることを願うものであります。  5として、今回の手続法の改正に次いで、組織法の改正の一つとして私どもの執行官法も改正せられ、委任制度とともに歩いてきた手数料制は、俸給制への切りかえはそう遠くないものと心得ておりますが、その際は、職務の内容に見合う能率主義を加味した適切な待遇とともに、現在のような格差のないことを希望するものであり、現に存在している格差は、少数ずつでも今後漸減されることを切望しております。なお、切りかえに当たっては、現在執行事務の内部面での処理を分担していただいている事務職員の方々は、年齢、男女別、経験年数を問わず、全面的に全員裁判所職員として採用せられることが望ましいと考えます。  以上の希望事項は、実行できるものから逐次実現されることを強く期待する次第であります。  終わりに、強制執行は国民の経済活動について民事上の一種の清算手段の一つであるとも言えます。従来の、執行官を債権者からは仏に見られ、また債務者からはその反対に見られる時代はとうに過ぎ去ったのでありまして、現在は国民生活に明るく貢献しているという認識を国会におかれても持たれているということを信じて、本執行法案については、全執行官は強い関心と期待を持って、速やかに国会の審議を経て施行されることを念願していることを特に申し上げるものであります。  以上で終わります。

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 次に、田中参考人にお願いいたします。

田中一志東京執行官室労働組合書記長

○田中参考人 ただいま御指名いただきました東京執行官室労働組合の書記長をやっております田中でございます。  本日は、参議院に引き続き、委員の皆様の御協力により、本委員会に参考人として意見陳述の機会を与えていただき、深く感謝いたしております。  私は、東京を初め全国の執行官室に働く職員の声を代表し、職員の実態と新法に伴う今後の執行機関のあり方について申し上げたいと思います。  私どもは、参議院で職員の実態について発言してまいりました。詳しくは同委員会の議事録をごらんいただければ幸いかと思いますが、また、委員の皆様にお渡ししました昭和五十一年五月二十日付の「東京地裁広報」にも、これは東京の本庁のことでありますが、「執行官室の横顔」というタイトルで、当時の実態を詳細に紹介しております。全国の執行官室の状況について、昨年十月及び本年、参議院法務委員会以後、職員についてアンケートをとりました。三月のアンケートは集計中で、委員の皆様には資料として提出することができませんが、すでに三十通余り集計されております。時間が許せば、この点も紹介していきたいと思っております。  これから申し上げますことは、東京の場合が中心になりますが、全国的にも共通する内容も多分にありますので、その点を御参酌していただきたいと思います。  昭和四十一年の執行官法の施行によって、執行官は特別職の公務員として、身分、地位について官職の位置づけがより明確になり、職務内容も公務の性格を一層強めてまいりました。同時に、監督指導も強化され、裁判所当局との連携も密になってまいりました。しかし、制度問題については、将来俸給制の執行官を目指しつつも、全面的に着手することが困難であるということで、職員については附帯決議を採決するにとどまりました。その結果、現行手数料制を残し、事務員を雇用するということも現状の執務体制上認めることとなり、当時の代理者は臨時職務代行者として残り、以後代理制度は廃止されたのであります。  今回の民事執行法により法律は大きく進歩しましたが、制度問題については具体的な着手もないまま、また附帯決議も実施されず今日に至っております。十三年を経過して、職員の年齢も高齢化しております。私ども東京の場合、組合がありますので、執行官と労使関係を結んでおります。したがって、職員の賃金を初め、さまざまな労働条件を改善してまいりました。また、円滑な事務処理、附帯決議の自力的実現などについても努力してまいりました。これらは、執行官法施行以後、公務の性格を強めてきたことから、職員もその性格と職務の責任を認識し、取り組まれたものです。執行官提要、書記官研修用教材など書物の配付、正月四、五、六を利用しての講義、執行現場への同行、各職場への配置がえによる知識と経験の修得、執務処理の円滑化を図る事務協議や職員会議が進められてきました。しかし、これらの事柄も手数料収入が増収となってきた時期に可能ならしめたもので、東京の一執行官室だけのことでは限界があると思います。  次に、執行事務、賃貸借取り調べ及び不動産競売手続、送達事務など、各職務について申し上げたいと思います。  最初に、執行事務関係では、執行現場に臨場する外勤執行官十三名と臨時職務代行者が一名おります。内勤事務には執行官二名、職員十一名及び臨時職員五名が職務に携わっております。執行官が執行するための準備段階としての執行書類の受付、執行記録の作成、完結記録の処理等円滑な執行手続のための事務をしております。また、事件の問い合わせや苦情などが電話で殺到し、事件関係人と直接に接しております。これらの職務はすべて公務であり、私どもも公務員として見られているのであります。  次に、新法では現況調査となる賃貸借取り調べについて話したいと思います。  この職務には、執行官と臨時職務代行者三名が当たっております。事件当事者や利害関係人にも公務員としての立場で接し、そのため職務も円滑に処理されていると言えます。新法によれば、調査活動や報告書作成にかなりの時間を要すると思います。不動産競売の前段としての現況調査活動がおくれるならば、競売の迅速性ということにも影響を及ぼすという懸念さえ感じておる次第です。  最後に、送達事務関係について申し上げます。  送達事務関係では、警視庁や警察署、拘置所等の書類送達に携わっている職員もやはり公務員として見られ、これによって円滑な送達ができると言って過言ではありません。新法では、送達事務が依然として執行官の職務として残ることになっております。参議院では、参考人として執行官から、送達事務を執行官の職務から外してほしい旨の発言がありました。しかし、実際には現在でも、裁判所職員による郵便送達が不可能な場合また困難な書類は、執行官送達として回ってきております。現場検証や証拠保全、債権差押えなど緊急送達もあります。件数の多少にかかわらず、重要な職務として存在するのであります。  執行官から通常送達書類を外していくという立場から、都内二十三区のうち、現在二十区が廃止され、年内には残り三区も廃止するという方向が出されております。しかしながら当局は、警視庁あるいは警察署等に対する刑事関係の書類送達だけは残していこうという方針を持っているようです。結局、送達事務は残るわけで、これに関与する職員の処遇、体制など、どのように考えられているのか不安を持つものであります。  以上の職務内容は、いずれも公務以外の何物でもありません。公務員でない私たちが、これらの職務に携わってさまざまなことに対処するとき、その精神的苦痛ははかり知れないものがあります。今回の民事執行法は、職務範囲を広げ、執行官の権限の強化等、執行官の地位と職務を裏づけるように改善されてきていると理解しております。当然、執行官に雇用されている職員も職務上の責任が強まります。しかし、職員の地位、身分は依然として不安定なままに置かれているということは、職務の性格と責任から、いままで以上の精神的苦痛と疑問を抱かないわけにいきません。  執行官室の経済的基盤の大半は、不動産競売による手数料です。社会情勢によって左右される不安定な手数料収入によって一喜一憂する状況であります。このような状態で、法を生かした職務が執行機関として十分機能なし得るか疑問を持つものであります。書記官から執行官になった者は恩給と手数料収入があり、収入面でのメリットもあると当局は指摘しております。しかし、職員については何もありません。手数料収入と執行官の差配によって、賃金を初めとする労働条件が左右されるのであります。  これらの問題を解決するには、制度改正が必要であると思います。このことによって、執行官と職員の身分の安定、地位の向上が図られることになり、法を生かした執行機関になり得ると考える次第です。  また、制度改正が実現できない間にでも、次の点について御努力願いたいと思うのであります。一、職員の研修、教育を制度化すること、二、受付事務を初め各事務を裁判所に取り込んでいき、職員を公務員にすること、三、送達事務、賃貸借取り調べに関与する職員を送達官あるいは調査官として公務員にすること、四、執行官登用へは、無資格者にも臨時職務代行者等の資格を与え、機会均等にして門戸を広げること、五、以上の点について、長期勤続者については四等級に準ずるように賃金や処遇を改善するよう、全国的にも指導していただくこと、以上五点にわたり要望いたしたいと思います。  私ども考えてみまするに、昭和四十一年当時から当局によってこのようなことが具体的に進められておれは、将来への明るい希望を持ったでありましょう。高齢化のまま今日に至り、社会情勢も反映して、一層不安を感じておる次第であります。  最高裁当局は、執行官一人当たりに事務員一名という状況が全国的平均ということで、大都市の特殊性を無視しようとしているようです。このことは、欠員不補充の理由にされることになっても、職員の処遇の改善には何ら利益をもたらすものではありません。今回の民事執行法案施行を契機に、早急に公務員化への具体的方策を講ずることを重ねて要望をし、私の発言を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人の意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 これより、参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 お二人とも御苦労さまです。短い時間でございますが、二、三お伺いをいたします。  先ほど八木参考人から、体験上、昔は執行官は片一方から鬼と言われ、片一方から仏と思われる、しかし、それは時代が過ぎた、もっと近代的な立場で仕事をしておる、こういうお話がございました。  ここに、田中参考人のおっしゃったものだと思うのですが、「東京地裁広報」がございます。私、読みまして、現場の状況に気がついたのですが、こういう文句があります。  執行を告知し、債務者を説得し、そのショックや精神的な興奮をやわらげながら、きめられた短時間の間に、所期の目的を果たすように努力します。このときこそ、執行官にとって真面目発揮の場面だといえます。債務者との出会い、人間と人間とのふれ合い、それがその日の執行をきめます。功利的だったり、又ナマの人間である債務者との精神的、心理的な格闘が始まります。多くの債務者にとって、執行官は「招かざる客」です。いたいけな幼児や病妻をおいての執行は、まいります。先輩の言によりますと債務者から、かえりにお茶が出るほどになれば一人前だということです。しかし、それには執行官としての長年にわたるキャリアと、そこで培われた貫禄が必要だと思います。しかし時には、「招かれた客」となる場合もあり、又債務者の威嚇にも屈せず、厳然として、臨まねばならぬことがあります。これを読みまして、私は、皆さんの仕事の状況、心理がよくわかると思うのであります。  そこで、お伺いをいたします一、二の点は、こういう心理であるにしても、行われる執行事務が、東京では職員が二十五名ですか、名古屋の八木さんのところではたしか二、三名――一名ですか、どうしてそんな違いがあるのでしょうか。それはもっぱら執行官の業務のあり方に関連をいたしますか、どういうことでしょうか。

八木代吉日本執行官連盟副会長

○八木参考人 ただいま横山先生から「東京地裁広報」に載っているいろいろの事例を承りましたが、私どもも、執行官もやはり人間でありまして、妻も子供もあり、そうして執行現場に行って気の毒だと思う場合もあり、あるいは債務者がけしからぬと思う場合もあり、債権者がきつ過ぎる場合あるいは債権者が弱い場合と、いろいろあります。しかし、それに左右されては法の執行というのはできないものと私どもは心得ておりまして、いわゆる公正という点に常に注意しておりまして、執行官の現場における心構えとして、ふらふらしてはいけないのだということを常に心がけている次第でございます。  次に、東京の事務員の方の数と名古屋の事務員の数が違うじゃないか、なぜそんなに違うかということは、御指摘のとおりでございます。先ほどお話しのありました、全国的に見ますと一人ないし一人少々というのが執行官に対する事務員の方の数でございますが、名古屋は実は戦後伝統的としまして、自分に割り当てられた――この割り当ても、執行官法施行の翌日から名古屋は裁判所が取り入れて、裁判が番号順で執行官に配当されているわけでございます。会計事務も取り入れられております。そうして裁判所から配付された事件は事件簿に登載して、自分のところに回ってきたものは最初から、差押え、明け渡し、仮処分の執行を全部して、そして記載記録の点まで自分がそれをやるということで、連絡係の意味で女の事務員を高校出を一名従来ずっと採用してきたのであります。そのやり方がいいか悪いかわかりませんが、名古屋の執行官は、日曜も土曜もなしに責任を持ってやれ、やりますということになっております。  私、名古屋地方裁判所の本庁の幹事でありますが、事務員の数をふやさぬでもいいか、そういうことを聞くことがありますが、いまのままでよろしい、自分らが一生懸命にやりますからと言って、執行官の方も事務員をふやすことを希望しないのであります。そして事務員の方も実は年齢的に見て高校を出てすぐ採用いたしますので、自分の子供じゃなくて孫ぐらいに思って、どちらかというと労働者と見ないで孫みたいに考えて使っておりますので、非常にその点はうまくいっております。これは名古屋だけの特質の問題で、名古屋以外の四十九の地方裁判所でそのとおりというのは、ちょっと無理でないかと思われます。  以上でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 田中参考人にお伺いをいたします。  御要望の諸点については、私としては同感なのでありますが、俸給制移行について、先ほども政府と質疑応答を交わしたのでありますが、皆さんが俸給制になる前提としては、私の意見としては、執行官の俸給を固定給と歩合給の並行制にしろという意見を持っておるわけであります。現在は執行官の手数料が皆さんの給料になっておるのですが、それを切り離す。しかし、いまの執行官の給与体系をそのままにして、国家公務員に職員だけすることについては、どうも政府側としては難色を示しておるようなのであります。  その点、田中参考人ばかりでなくて八木参考人にもお伺いをしたいのですけれども、八木参考人は、現行の収入に過不足ないようにしてほしい、先ほどの話はこういうことでしたか。これは附帯決議をつくってから十二年にもなるではないかと言って、先ほど政府委員を叱責したのですけれども、一部には、あのころと違って執行官の収入が少なくなっている、だから、執行官の内部では、あのころの物の考え方と少し違う人があるのではないかということを漏れ聞いているわけでありますが、八木参考人には、どういう方法で俸給制にするか、もう少し具体的に。それから田中参考人には、執行官の収入とは直接関係ないにしても、それが問題になるとすれば、それらの点について御意見を承りたいと思います。

八木代吉日本執行官連盟副会長

○八木参考人 御参考になるかどうかわかりませんが、執行官の手数料そのものの額について、債権者から言わせれば安いにこしたことはないのであります。国から言えば、適当な給料で執行官を採用するというのは、これは当然であります。ところが、刑事事件の場合にはやはり民事と違う場面が多いので、警察とか検察庁とか裁判所とか、いろいろな経費のかかる機関が設けられておりますが、民事の、金銭の損害をこうむったとか、家屋を貸しておって返してくれないとかいうような個人の利益を図るのに他人の税金を使う、そしてその税金を納める国民の側から見れば、余りにたくさんかかるのは困るという議論が必ず出ると思います。それで、その調和をどこに図るかというのは非常にむずかしい問題だと思われます。執行官から言えば、それは給料が高い方がいいに決まっております。しかし、それは国民側から言えば困る。  そういうことで、どういう点が妥当かということの結論になりますが、まあ似たような仕事をしております税務署職員、県税とか市民税とか、いろいろな徴収の職員がおりますが、それはそれ自体の金銭的の徴収だけで、刑事以外の労働争議を含めた民事上の全部を処理する執行官とは性質が全然違いますので、そういう点を考慮いたしますと、同じような職種でありながら、やはり違うという点を特に御考慮願いたいと思います。  それじゃ、具体的にどういう程度がいいかということは、ちょっと私からは研究不足で申し上げられませんが、少なくとも現在の執行官の手数料の収入をそのまま俸給制に切りかえて、そして大蔵当局でそのままというわけには、これは国民から言わせれば、たとえば裁判を受けるのに、収入印紙の額はわずかであります、執行官の手数料は非常に多いのであります、多いそのままで切りかえて執行官の俸給というのは、これはちょっと無理でございます。ドイツの例では、俸給制になると何倍かの人員が要る、そうしてそれに歩合制というようなことを常に私ども聞いておりますが、どうも勉強不足で、具体的に何ということも申し上げられませんが、そういう、周囲にいろいろな困難な事情があるということだけ、御参考に申し上げておきます。

田中一志東京執行官室労働組合書記長

○田中参考人 先ほどの手数料の問題ですが、私たちの調べた範囲では、現在アンケートをとって集計中でありますが、全国的に三百人近い職員がおると思われます。したがって、その職員の人件費というものを考えますと、現在の平均的な賃金水準ということを念頭に置いて算出したわけですが、約十億円近くになるのではないかと思われます。ところが、執行官の手数料収入そのものは、四十八年当時ですでに十三億円余りあるわけです。四十九年に手数料が改正されておりますから、当然増収になっていると思われます。したがって、ある程度の採算がとれるめどがつけられるのではないかと思われます。  ただ、先ほども申し上げましたように、手数料収入は社会情勢によって非常に左右されるという状況にありますので、特に東京の場合、不動産収入は五〇%以上を占めておるということで、この収入がなくなると全く執行官の収入はなくなる、職員の人件費だけで終わってしまうと言っても過言ではないというふうに思います。そうした状況を見まするに、将来、社会情勢の変化に伴って収入が著しく落ち込むことも考えられるわけで、そういう点で非常に不安を感じているということが言えると思います。  以上、終わります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 終わります。

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 飯田忠雄君。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 八木参考人及び田中参考人、御両人のお方に御質問を申し上げます。  きょうは大変御苦労さまでございますが、主としてお尋ねいたしたいのは、身分関係の問題給与関係の問題それから秩序維持の問題について、お尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、執行官及び執行官室の職員の方々の身分関係を実際に取り扱っておられるのは、どういうところでおやりになっているでしょうか。たとえば執行官の場合は、直接最高裁でおやりになっているのか、どこかの裁判所でおやりになっているのか。あるいは執行官室の職員は、執行官みずからがおやりになっているのか、あるいはどこかよその裁判所で扱っているのか。こういう問題でございますが、いかがでございましょうか。

八木代吉日本執行官連盟副会長

○八木参考人 御参考に申し上げます。  事務員の採用は、執行官が自分で採用して、自分で給与を決めておりますが、私、名古屋地方裁判所に勤めておりまして、先ほど横山先生にお答え申し上げましたとおりに、事務員は一人しか名古屋は使っておりませんので、給与、退職金から全部裁判所の職員と同じように、人事課で聞きまして、その額のとおりに、たとえば十二月になりますと四月からさかのぼって支給するとか、そういうことは、たった一人でありますから、完全に裁判所職員と同じような方法でやっておりまして、名古屋はそういう点では、小言も聞いたこともございませんし、実にありがたく思っております。

田中一志東京執行官室労働組合書記長

○田中参考人 先ほど八木参考人の方から話がありましたように、職員はそれぞれの執行官によって採用されるということであります。これは、各地方裁判所の方へ履歴書等を提出して、許可を求めるという形になっておるようです。  ただ職員については、東京の場合、労働組合がありますので、いわば執行官と団体交渉等で紛争状態になるということになりますと、監督である地方裁判所の方から、いろいろな指示といいますか、監督的な内容で組合の方にもいろいろ話が出てくるわけであります。組合がないところでは、そのような状態が生まれないということで、恐らく執行官と一対一の関係で話を進めているか、もしくはそういう状況にないということで、いわば黙ってそのまま現在の労働条件で甘んじざるを得ないというふうな状況に置かれているかと思います。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 それでは次に、給与関係の問題についてお尋ねをいたしますが、執行官の御収入は執行の手数料ということを聞いております。そうしますと、その額の多少によって、職員の給与を出すのも大変苦しくなるということも考えられるわけでございますが、そのような場合に、実際問題としまして、裁判所の方から援助があるとかあるいは全然ないとか、そういうような問題については、どのようになっておるのでしょうか。  それから、職員の方は執行官との間で労働協約をお結びになると思いますが、その場合の労働条件というものにつきまして、こういう手数料収入しかないといったような問題は、全然考慮外に置いておやりになるのでしょうか、それともそういうことも考慮されておるのでしょうか、お伺いいたします。

八木代吉日本執行官連盟副会長

○八木参考人 先ほどから申し上げておりますが、実は執行官七人に対して事務員一人でございまして、もちろん名古屋のような都会では国庫補助を受けるようなことは全然ございませんので、事務員に給与が支給できないとか、あるいは給与が高いから値切るとか、もっと労働時間を延長するとかいうことの悶着もございませんし、実は一人でございますので、あるいは労働条件についてということも考えられますが、いままでそんなことを考えたこともございませんし、苦情もないので……。  それで、私、幹事になりましてから、七人、高校を出たのを順次採用して、そして二、三年たちますと全部結婚しますので、すぐ自然退職、退職のときには裁判所に定められた退職金をそのまま支給する。執行官の方にもそれについて苦情がございませんし、そしてやめるときには次の事務員を皆推薦してまいりますので、人物も安心でございますし、比較的金銭を扱う場合がありますので心配でございますが、そういう点でも、給与の面でも待遇の面でも苦情が起こったことは、名古屋では一つもございません。これは全国的の問題とちょっと違いまして、私からちょっとお答えいたしかねるのでございます。

田中一志東京執行官室労働組合書記長

○田中参考人 先ほどの執行官について一言申し上げたいと思いますが、四等級に準じる者が執行官になるという一定の条件があるわけです。しかしながら職員の方からの採用では、これが六等級に位置づけされて執行官になるということになっておるわけです。したがって、恩給等あるいは国庫補助の点で、そういった格づけされている補助は多少差があるのではないかというふうに思います。  次に、労働条件の点ですが、私たちの方も、ある程度手数料収入というものが把握できますので、当然それらを考慮しながら労使関係を維持しておるわけであります。  以上です。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 それでは次に、俸給制についてお尋ねいたしますが、先般、執行官法の改正の問題のときに御質問を申しましたところ、執行官の俸給制を考えないのは、俸給制にいたしますと、どうしても執行がなおざりになる、職務熱心でなくなる、だから、俸給制よりも手数料制の方が仕事を進める上において非常に便利なのだ、こういう御意見がございました。  これについて、執行官の御意見はいかがでございましょう。

八木代吉日本執行官連盟副会長

○八木参考人 ただいま御質問のありました事項はごもっともでありまして、能率主義といいますか、一種の請負制度というのが現在の手数料制度でございますが、明治の初めにできた当時は、やはり俸給ということは考えられたかもわかりませんが、どちらかというと、現場で非常に困難な仕事をするので、月給制度では午前一件、午後一件しか片づけられない。それで、働けば働いただけ収入があるということは、委任ということと絡み合わせて、そして現在まで至ったのではないかと思いますが、委任ということがなくなって、国家に対する執行の申し立てということに、現在の執行官法施行のときになりましたので、そうすると、自然、国の方針として国が執行の面を、請け負うのではなくてめんどうを見るという点が強くなって、それがまた、一、二の外国の例はあるようでありますが、やはり俸給によって処理するというふうに、近代的の国家では全部なっております。  ただし、先ほど申し上げました手数料制も能率の点ではいい点があるということで、ドイツなどでは固定給プラスそういう能率給ということを考えて、処理能力の落ちないように執行官の生活の安定を図る。現在ですと、不動産の収入がない場合には全く惨めで、執行官室の共益費用が出るか出ないかということが一応考えられますが、世の中はようしたもので、そんなに極端にはいっておりませんというのが現状でございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 次に、研修関係の問題についてお尋ねいたしますが、執行官とか執行官室の職員の方々に対する業務研修というものは、従来行われたことがございましょうか。あるとすると、これはどの機関が、どのように行っておるのでしょうか、お尋ねいたします。

八木代吉日本執行官連盟副会長

○八木参考人 ただいまのお話ですが、実は研修というのは採用当時にはございませんで、先輩の者から指導を受けてやっております。最高裁で十日間、研修所に全国の執行官を集めて、交代で研修を専門的にしていただいております。  それから、研修とちょっと離れるかもわかりませんが、「執行官」という雑誌をずっと年に一回ずついただいております。また、年に一回は必ず地方裁判所の執行事務協議会、それから高等裁判所の所在地ごとに協議会がございまして、研修とそれと相まって、判例の動向とか時勢におくれないような訓練を私ども受けております。

田中一志東京執行官室労働組合書記長

○田中参考人 先ほど申し上げましたように、職員については、東京の場合、執行官の収入が増収になったときに、組合という形で研修もしなさい、こういう形で要求して実現されたというケースだけで、全国的には何もやられていないようです。これはまだアンケートが全部集約されておりませんが、その中の幾つかの中にも報告されております。私どもの場合、東京で二回ばかり研修がやられましたが、これも執行官といわばタイアップしたような形でやられたというのが二回ほどということです。当局の関係からは制度化されておりません。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 それでは、また別の問題に移りますが、不動産競売場の秩序維持の問題でございます。  これは、実際の場合に、競売場へお行きになりまして差押えをした物を売ろうとする場合、妨害があるということがございましょうか。もしあるとすると、そういう妨害に対して秩序を維持するために、妨害排除という問題について、実際にはどういう組織で、どういう程度の妨害があった場合に、どういうことをするのか、そういう点につきましてお伺いをいたします。

八木代吉日本執行官連盟副会長

○八木参考人 ただいま御質問のありましたのは、執行官が差し押さえた動産の競売場でございましょうか、あるいは不動産の競売場でございましょうか、どちらですか。(飯田委員「両者」と呼ぶ)  それでは、まず動産の場合について申し上げます。差押えの場合には、状況によっては相当抵抗がありますので、パトカーを呼んだり、あるいは事前に警察に手配して、スムーズにいくようにすることがありますが、差し押さえた後の競売については、そういうことは名古屋ではほとんど心配はございませんで、円満にうまくいっております。  それから不動産については、私、十九年間名古屋でずっと不動産も担当いたしておりますが、不動産競売場に暴力団が入るとかその他で、裁判所に援助を求めるとかあるいは警察の援助を求めるということは全然ございません。ただ私ども、今度の新法の規定を拝見しまして、そういうことが規定されれば、将来、執行官としては対処するのに非常にやりやすくなる、ありがたい規定だ、こう理解しております。  名古屋の場合には、不動産、動産とも困ったという例は全然ございません。

田中一志東京執行官室労働組合書記長

○田中参考人 ただいま八木参考人の方から話がありましたように、動産の場合については、私どもも、研修の一つの形態ということで執行官と同行し、差押え現場等に赴いたことが何度かあります。そこの場所では、債権者と債務者、それに執行官を含めて三者でやりとりがされ、トラブルが起こるというケースは余りありません。ときたま、債務者が不在の場合、このときになされた執行等が、後から電話で、私のいないうちになぜ執行されたのかという形での苦情といいますか、文句といいますか、そういう形では来たことが何回かあります。  それから不動産競売ですが、これは庁舎内に不動産競売場が設けられておりますので、混乱するようなことは余りありません。私の記憶では、一回ほど労働事件関係であったかと思います。すなわち、そこに働いておる労働者が、不動産競売にかかっている建物を自主管理したいので競売されないようにということで、ビラがまかれたことがあったかと思います。ただこの点も、暴力的な形で混乱するということではなく、それほどまでいかない状態で秩序維持がされてきているということが言えるかと思います。  なお、混乱等については、それぞれの地方裁判所の警備員等を要請し、この秩序維持に当たらせるということが過去一回あったかと思います。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 どうもありがとうございました。終わります。

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 正森成二君。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 私から、まず最初に八木さんに簡単に聞かしていただきます。  先ほど同僚委員も質問されましたが、皆さん方は収入を手数料制によって得ておられるわけですが、地方と大都市では格差があると思うのです。それで、私の承知しておりますところでは、月額収入が四等級七号俸ですか、その額に達しないものは国からの補助を受けるというように、執行官法二十一条でなっていると思うのですが、国庫補助を受けておられる地方あるいは執行官の数は、全体で何割ぐらいございますか、御承知でございましょうか。

八木代吉日本執行官連盟副会長

○八木参考人 私は連盟の副会長でありまして、在京の役員ではありませんので、その数については心得ていないのでございますが、中部地区の管内では東海、北陸で二十九名の執行官がおりますが、そういう補助を受けている者は一名もございません。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 現在、執行官の数は全国で三百数十名と聞いております。一方、私どもの調べによりますと、オーストリアでは七百五十万人の人口で四百人、西ドイツでは約六千万人の人口で二千五百人で、人口比にいたしますと、わが国はドイツに比べると十五分の一程度ということになるわけです。  皆さんは非常に激務で、たとえば新しく執行官になられた方は、仕事を済まして帰ってこられて、おふろへ入って休まれるのが一時、二時という話さえあるわけです。そうすると、後継者をなかなか得られにくいのではないか。また、今度のような新しい権限を付与されますと、執行の中で、これは事件記録に記載するかどうかで、えらく差が出てきますから、重大な問題を引き起こすと思うのですが、それらについて何か改善策とかお考えがありましたら、お聞きいたしたいと思います。

八木代吉日本執行官連盟副会長

○八木参考人 ただいまの御質問はごもっともだろうと思います。  新法につきまして、手続法はできても組織法が完備しなければというふうに理解いたしましたが、昨年、田中会長が欧州に参りまして、いろいろな執行制度を見て帰ってきましたが、先生のおっしゃるとおりで、非常に数が多いのであります。  ところが、欧州の国民と日本の国民とは、法に対する認識といいますか、法を利用することについて格段の差があるように聞いております。たとえば弁護士さんの数にしても、アメリカの国民に対する弁護士さんの数と、一億の日本国民に対する弁護士の数とは格段の相違があると思います。  だから数だけで、つまり、ドイツが十五倍執行官がいますから、日本も十五倍要るのだということにはもちろんなりませんが、冒頭で申し上げましたとおりに御心配だろうと思いますので、もし本法が公布されて、そして現在の人員は、法律は非常に守らなければならぬというのがわれわれの法を取り扱っておる者の考えでございますから、そういう法律ができれば全力を挙げてやるという心構えはみんな持っておりますので、まあ二、三年はひとつ模様を見ていただいて、どうしてもいけなかったら、今度はひとつ増員をお願いしたい、これは執行官の方から、とてもたえられませんから増員をお願いしますということを、最高裁なり法務省なりに連盟として申し出ることになりはせぬかという心配はありますが、いまのところ、まだ新法がどういうふうに回っていきますかわかりませんので、御心配ごもっともでございますが、ちょっと申し上げるのはあれなんでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 いま、できるだけがんばってみるが、どうしてもやれぬような状況なら、最高裁なりしかるべきところにお願いに行くという話でございますが、どうぞ国会へも遠慮なくおっしゃっていただきたいと思います。  それから、今度の新法で、現在の賃貸借の取り調べより、どのくらい執行官として調査がしやすくなるか、権限が与えられますからね。そこら辺について、直接現場に携わっておられるあなたのお考えを聞かしていただきたい。  あわせて、それとうらはらの関係になるわけですが、権限が与えられますので、誤った場合には国家賠償の請求をされる可能性がある。国家だけならいいのですけれども、現実にその行為を行った者にまで、場合によったら請求が来るかもしらぬということも考えられないでもないと思うのです。それについて、どういうようなお考えを持っておられるか。  その表と裏、それについて簡単で結構ですから……

八木代吉日本執行官連盟副会長

○八木参考人 私、約十年ぐらい前から、実は立法をなさる係官にいろいろのことを承り、執行官に、現在の賃貸借取り調べに強制力を与えないと買う人間が不安で困るから、どうもそういう方向にあるように、私とれましたので、その当時から、もしそういうことになると、やはり国家が責任を負わなければならないことになりますから、執行官としては責任が何倍か重くなりますということで申し上げていたわけでございます。  現在、実は賃貸借の取り調べにつきましても、債務者の方は、執行官の賃貸借の取り調べと鑑定がそろえは、競売期日が入ることになるわけでございますが、それで執行官の賃貸借取り調べを避けよう、逃げよう、執行官に会わないというのが実情でございまして、それにもっていって、こういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、世の中の知恵者というのが債務者側の方につきまして、うまくいろいろな工作をして、そういうようなことを教えるわけでございます。  それで、まず当事者に会うことが賃貸借の取り調べでは困難でありますが、今度強制力を与えられまして、そしてなおその上に、うそを言ったり、しゃべらなかったら過料という制裁もございますが、執行官の仕事は、御承知のとおり占有という形のあるものを処理する、所有権は裁判官が判断するという法律のたてまえになっておりますので、現場に行きまして賃貸借があるかということを聞きましても、いままで一割から二割までは、証書を示してこのとおりでございますというのがないのでございます。  それで、執行官にそういう権限が与えられましても、参りましてどうかして聞きましても、恐らく従前と似たようなことになりまして、それを執行官が断定することは非常に困難と思います。もし執行官が、賃貸借がないのにある、あるのにないと言って報告して、それが審尋でもそのまま見過ごされて、そうして競売されて、買った人間から国家賠償が出たときには、まことに困ると思いますし、そういうことが間々あるのではないかということが、現地の執行官としては非常に心配でございます。同時に、国家賠償で国の方が負えということになりますと、その後には、取り調べた執行官に求償権の行使が必ずついて回ると思います。  そういう意味で、非常に責任を感ずると同時に、国の事務の一部を扱っておる執行官の責任は重いということを重々感じております。それが、その後に明細書になってみんなに見せなければならぬという規定までできているようでございますから、非常に大変なことだということは事実考えております。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 いまお話を伺って大変だということがわかりましたが、われわれとしても、執行官の皆さんが余り過当な責任を負わされることのないように、いろいろ考えていかなければならない、こういう感じがいたします。  それでは、ありがとうございました。  次に、田中参考人に伺いたいと思います。  四十一年に執行官法が改正されましたが、今日まで、執行官室の職員の中から執行官に登用された人が何人ぐらいおられるでしょうか。それからまた、執行官以外の部門の裁判所職員になられた方はおられますか。それは大体どういう部門が多いですか。

田中一志東京執行官室労働組合書記長

○田中参考人 まず、職員から執行官になった者ですが、先ほどもお話ししましたように、東京の場合もやはり六等級という格づけで登用されたようです。人数的には七名ほどいるかと思います。ただしこれらの人は、東京以外の川越とか浦和とか、そういう地方へ赴くということになっております。  それ以外の職員ですが、これは昭和四十七、八年ごろだったかと思いますが、ちょうど東京の場合の執行官室の手数料収入が増収傾向にない、収入が落ち込んできた時期に合わせて、裁判所の方から、裁判所職員として転職させるという方向が出されてきて、それに便乗したような形で採用されたというふうに思われるわけですが、職種については廷吏ということで、年齢的には四十歳前後ということで制限されておりました。しかも、執行官室の勤続年数等が十分参酌されて格づけされたというようにも思えないのであります。また、これらの職員になった者についても、たとえば労働組合の三役をやっている人間は、一応採用の条件には当てはまらないというようなことも伺っておるわけです。  以上です。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 皆さん方のうち二十五年以上の経験を持っておられる方は、当然執行官として登用されてしかるべきだというお考えがおありだと思いますが、その場合には、どのような形で執行官登用を行うのが妥当だとお考えでしょうか。それが一点。  それから、二十五年以上の勤続者で執行官登用の年齢的条件を満たす者については、少なくとも賃金面で書記官待遇をしてほしいというように望んでおられるようですが、その点に関連して、あわせて御意見をお述べください。

田中一志東京執行官室労働組合書記長

○田中参考人 執行官の登用ですが、先ほども話しましたように、四十一年当時、執行代行者あるいは執行代理者ということで、それらの資格を持っている者が執行の実務そのものを多少経験し、それが執行官登用の一つの条件になるということであります。  したがいまして、現在は四十一年当時の資格者は臨時職務代行者という形で残っているわけですが、その代行者のうち、執行実務に関与している者しか執行官登用されないということになっております。したがって、それらの資格がない事務員は、能力的には職務代行者と同じ程度の能力を持ちながらも、その資格がないために、執行官登用には道が閉ざされているということが言えるかと思います。  それから、執行官登用への年齢的な問題それから書記官待遇の問題ですが、執行官そのものが、四等級に準ずる者が執行官登用への条件になるということもあります。したがって、執行官に雇用されている職員ということになると、変な言い方ですが、その四等級よりは低い位置づけにしかならないだろうということが考えられます。しかしながら、二十五年勤続しておれば、高卒で入った者でも四十歳以上ということで、執行官登用の年齢的な条件は備えるわけですし、また、二十五年勤続しておれば、いろいろな知識あるいは経験等も修得するわけで、当然執行官になれる条件が備わってくる、したがって書記官並みの賃金待遇があってもしかるべきではないか、かように思っているわけです。  以上です。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 全国的に考えまして、執行官室の収入と公務員制にした場合の人件費の関係が、どういうぐあいになると労働組合の方では考えておられますか。あるいは、この問題で執行官または連盟と話し合われたことがございますか、その場合に執行官側はどういうような意見を述べておられますか、簡単にお述べください。

田中一志東京執行官室労働組合書記長

○田中参考人 お答えが前後しますが、まず、連盟あるいは執行官との交渉でありますが、執行官連盟には、いままで公務員化とかいろいろな全国的な職員の処遇改善について申し入れたことはありません。今回の民事執行法案を契機に、参議院法務委員会でもお話ししたわけですが、それ以後執行官連盟にも、処遇改善あるいは公務員化ということについて協力をいただけるよう申し入れをしました。  東京の場合は、東京の執行官と労働協約を結んでおりますから、当然、団体交渉等機会あるごとに職員の処遇改善について協力を求めてきたわけです。この点について東京の執行官も、公務員化ということはいわば労使一体となってやる性質のものだ、アベック闘争をしていく必要もあるのだ、こういうような回答も得ておるわけですが、現実には、具体的に進展していないという状況があります。  以上です。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 いまお話を伺ったのですが、やはりこういう問題の場合には、執行官連盟と話し合うだけでなしに、裁判所側の御理解を得なければいかぬと思うのです。逆に、裁判所側が執行官や執行官職員の実情を知る必要があると思うのですが、裁判所側が何か皆さん方と話し合うとか実態を調査されたことがございますか。あるいは裁判所が執行事件についての研修などを行っているでしょうか。また、今度の民事執行法の実施に当たって、法案に予定される規則の内容について、裁判所側が説明の機会を持つということをなさいましたでしょうか。  二、三の質問が重複しましたが、時間がございませんので、まとめてお答えいただいて、私の質問を終わります。

田中一志東京執行官室労働組合書記長

○田中参考人 いままで当局の方から、研修制度については何ら説明されておりません。先ほども申し上げましたように、研修制度を制度化してほしいということにもありましたように、何らこれまでにもないし、また、そういう話もされておりません。  それから、今回の民事執行法案の資料についてですが、私どもが参考人として呼ばれるという前後に、資料的な内容が話されたということで、具体的な規則等についても、賃貸借等で関与している者については、それらの要綱が配付されたようですが、全体にそれらを検討させるという形で与えられておりません。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 それでは質問を終わらせていただきますが、執行官の皆さんや執行官職員は、いわば国家的な業務の一環を担っておられると思います。ところが、いま伺っておりますと、その御待遇も十全とは申せないようですし、裁判所側の連絡あるいは協力体制も必ずしも十分でないというニュアンスの御答弁がありました。私は、これらの点について改善されることを希望して、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  両参考人には、貴重なる御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。(拍手)  次回は、来る二十三日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十二分散会      ――――◇―――――

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