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87回国会衆議院1979/02/27

法務委員会 第3号

発言数
66
登壇者
7
会派数
3
開催日
1979/02/27

会議録

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 これより会議を開きます。  小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  証人及び証言等に関する調査を行うため、小委員十三名より成る証人及び証言等に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。  次に、小委員及び小委員長の辞任の許可、補欠選任に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 お諮りいたします。  本日、最高裁判所大西総務局長、勝見人事局長、岡垣刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、同じく下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西宮弘君。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 ただいま提案されました法案の中の裁判所の職員定員法に関連いたしまして、お尋ねをいたします。  ここ数年間、裁判所の職員の定数はどういうふうな傾向をたどってきたかということを、あらかじめ通告しておいたのですが、簡単にお答えを願いたいと思います。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねがございました最近数年間の裁判所職員の増員の状況でございますが、五年前の昭和五十年からとって申し上げたいと存じます。  これは、純増ということで、裁判所職員定員法上増になりました数ということで申し上げますと、昭和五十年が二十六、五十一年と五十二年がそれぞれ二十、五十三年が十八、五十四年が十七、以上のような状況でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私は、裁判所から政府の方に——政府の方というか、予算の関係では大蔵省ということになるでしょうが、いわゆる予算要求として何名増を要求しておったのか、それも聞かしてもらうように言っておいたのです。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 それではもう少し詳細に申し上げますと、昭和五十年の要求が四百四十六、五十一年が三百五十四、五十二年が百七十、五十三年が百二十八、五十四年が百十三。それから増加人員を申し上げますと、五十年が七十四、五十一年が六十八、五十二年が五十二、五十三年が五十、五十四年が四十八。なお、いわゆる定員削減計画に対して御協力を申し上げるという分がございますが、それが昭和五十年がマイナス四十八、五十一年も同じくマイナス四十八、五十二年と五十三年がそれぞれマイナス三十二、五十四年がマイナス三十一というようなことで、先ほど申しましたような純増という結果が出てくるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 その定数の問題について、いろいろ問題があるのじゃないか。要求する数もだんだんに減ってきているというようなところにも、最高裁の姿勢として問題があるのじゃないかというふうに私は思うのですけれども、それとあわせて、数の問題も私十分質問をしたいと思うのですけれども、都合でこれは後に譲りまして、私は質の問題ということでお尋ねをしたいのです。  これは、あるいは法務省の方からお答え願ってもいいのですが、旧刑法では、裁判官の賄賂というのを普通の官吏よりは特に重く罰することになっていましたね。それは裁判官の職務の特殊性からきておったのだと思いますけれども、この問題は、今度の新しい改正案の審議、法制審議会等では、そういう問題は話題にはなっていないのかどうか、つまり、同じ賄賂でも、他の公務員よりは裁判官の場合は重く処罰をされる、そういう特殊性を重く見る、そういう考え方があっていいのじゃないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 御指摘のように、公務員の職務は多岐にわたっておりますが、その中には、一般世間から見て非常にとうとい職であり、いささかの疑念も生じさせてはいけないような職もあるわけでございますが、個々の職務に関して区別をして法定刑を定めるということは、現在、刑法全面改正の過程では考えられておりませんで、いかなる事態にも見合うような十分な法定刑を定める、その範囲で裁判所の健全な裁量にゆだねよう、こういう態度でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 浦辺衛という人の「ある裁判官の回想記」というものの中にも、われわれ先輩に感謝をする、というのは、裁判官なるものは非常に姿勢を正しくして、特にそういう問題について今日まで間違いを起こさなかったということについて、それは大変先輩に感謝をするという意味で回想をしていますけれども、確かにそうだと思いますね。  いわゆる収賄事件なんというのはきわめて少ないということは確かにそのとおりで、また、これがあったら司法に対する信頼だけではなしに、もう何もかも信頼するものがなくなってしまうのだから、それは当然だと思うのですけれども、ちょっと新聞をめくってみて、ちょうど十年ほど前に、これは大阪だったと思うけれども、裁判官が取り調べの警察官に金を渡したというので、裁判官が退職を命ぜられておるというのがある。判事が警察庁を招いて金を渡すという、ちょうど十年前の四十四年十二月二十八日の記事ですけれども、それなどを見ると、ただ、この裁判官は請託はしていない、あっせん収賄にはならない、こういうことで、単なる依願退職になっているのですけれども、もらった方が諭旨免官ということになっておって、何となく私ども釈然としない気がするのだけれども、さっき私は、裁判官の場合には普通人よりもむしろ厳しくするのが当然だろうということを言ったのは、そういう事実に関連をして言ったわけです。しかし、いまその説明をお聞きしようとは思いませんから、そういう点について、これが裁判官の伝統であるならば、このよき伝統をさらに一層かたく守っていくという姿勢を、ぜひ要望しておきたいと思います。  この間の、いわゆるグラマン問題に関連する証人喚問の際に、有森証人が、私は昭和三十八、九年ごろから四十二、三年にかけて、良心に恥じるいやな思い出がある、こういうことを言いましたけれども、実はわれわれ国会人も、その当時には良心に恥じるいやな思い出があるわけです。  それは、共和製糖事件とかあるいは台湾バナナとか、そういう問題が非常に世論の非難を浴びて、国会はついに四十一年十二月二十七日にいわゆる黒い霧解散ということで解散に追い込まれる、こういうことになったわけでありますが、このとき、当時の総理大臣でありました佐藤榮作さんは、国会の答弁の中で、最近の日本の政治は狂っておる、こういうことを述べておるわけですけれども、一方、幹事長であった田中角榮さんは、調査や公表は慎重にすべきであるという発言をしておるので、その二人の発言を聞いても思い当たる節があるわけであります。  そこで法務大臣、率直なお尋ねで失礼かもしれませんけれども、田中さんに対して、法務大臣はどういうふうに考えておられるか。要するに、いまは刑事被告人になっておるわけですから、あくまでもそういう立場で厳しく臨んでいかなければならぬというのは当然だと思うのだけれども、ひとつ基本的な考え方をちょっと述べていただきたいと思います。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 総理の地位にあろうが、あったであろうが、だれに対しても法は公正でなければならぬことは申すまでもないわけでありますから、だれだから、かれだからというような、そういう違いはあってはならぬ、これは当然のことだと思っております。  ただ、いまのロッキード関係から申しますと、問題はもういま裁判所に移っておるというわけでありまして、向こうの処理する範囲でありますので、きょうわれわれの方の関係では、どうこうするという余地もないようなわけでありますので、これは申すまでもないことでありますが、そういう段階でありますので、お含み願います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 その点はあくまでも厳正に、また峻厳におやりになるのだろうと思うのだけれども、私ども、少し取り越し苦労かもしれませんけれども、若干不安を感ずるのは、田中さんは日中国交回復に非常な努力をした人だ、そういう点では日中国交回復の功労者だというふうに見られておる。恐らく古井さんなどもそういう見方をしておるのではないかと思いますが、そういう点を非常に評価をして、田中さんに対しては、特別に好意的な気持ちを持っておるのじゃないだろうか、そういう心配をしておるのは私一人ではないので、そういう点について、もう一遍大臣の考えを聞いておきたいと思います。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 それとこれとは話が別というようなわけでありまして、悪いことをしたなら、それは悪いのですけれども、さらばといって、他の功績を抹殺してしまうということは、私は間違っておると思うのですよ。それはそれ、悪いことは悪いこと、そういうふうに考えるべきだと思うのでありまして、これをごっちゃにして考えるのはどうかしらん、私はそういうふうに思っております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 古井法務大臣は、大臣に就任されたときの記者会見で、特に罪を受けた者にも思いやりを持たなければならぬということを言っておられる。これは一般論としては私も大賛成です。法を犯した者に対しても深い思いやりを寄せなければならぬということは、一般論としては十分理解できるのだけれども、ことさらにこういうことを言っていることが、何かいまの田中さんと親しいというような点から、よけいな憶測をしたくなるのでありますが、これ以上聞いても、恐らく、その点についてはそういう気持ちはないという、さっきの答弁の繰り返しになると思いますから、あえて聞きませんけれども、世間で、大変俗な言い方だけれども、ほれた女には、相手が身を崩すようになっても一生離れられないというようなことをよく言うのです。そういうことで、そういう個人的な感情が入ると大変だということを、私は特に指摘をしたいと思うのです。  そこで、当面問題になることに検察官の人事異動がある、あるいは裁判官も同様だと思いますが、人事異動がある。これは昨年の暮れの読売新聞だと思いましたけれども、田中さんは、検察官の人事異動について非常な関心を持っておる、あるいは非常に憂慮しておる、こういう意味の記事が新聞に載っておったのです。検事総長も四月には退行しますから、当然、一連の検察官の人事異動があると思うのだけれども、そういうときに、いやしくも世間からそういう意味で不安を感じさせるような人事が行われたら大変だと思うので、そういう点についてのお考えを聞かしてください。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 お話しのように人事は非常に大切でありまして、これを間違えますと、後かれこれ言いましても、また個々の仕事にああだこうだ申しましても、なかなかうまくいかぬもので、人事が一番大切だと思うのであります。  でありますから、検察官にいたしましても、本当に公正な人事をしなければならぬ、われわれも一々詳しく事情に通じておるわけでもありませんので、格別いろいろな角度から実情を把握しまして、最も公正な人事をやりたい、これだけは私は、他にも増して大切に思って念願をしておることでありますので、そういうふうに御承知を願いたいと思います。  なお、ついででございますけれども、お尋ねじゃなかったのですが、別に罪を犯した者だからといって、いわば泣いて馬謖を切る、人間愛がなければいかぬというようなことを私が言ったということ、これが田中という人と関係がありはしないか、絶対にありませんよ、そんなことは。そうじゃなく、一般論を言っておるのでありまして、検察とか、権力に携わっている人々は、格別国民の立場というものに考慮を払わなければいかぬと私は思っておるのですよ。権力的、独善的になってはいかぬと私は思うのです。だから、その点は、機会あるたびに、部内の人にもそのことを申しておるのであります。公正でなければならぬが、同時に、いわゆる独善的になってはいかぬ、これはだれが考えてもそうじゃないかと思うのです。これは何ぼ繰り返しても足らぬぐらいに私は思っております。そういう意味でありますので、そこを取り違えないようにお願いいたします。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 その点は、特に強調された後段の方ですね、私も、さっき申し上げたように一般論としては大賛成でありますから、ぜひそうあってほしいと思う。そして、それが田中角さんと特別な、それを意図して、それを意識して言ったのではないということを、私も額面どおりにお聞きをいたしますから、ぜひそういうことで……。そして検察人事についても、あくまでも厳正公平、さっきお話しのとおりに、いやしくもそういう点で国民の疑いを持たれないように、これは重ねてお願いしておきたいと思います。  例の黒い霧という問題が続いたときでありますが、昭和四十三年の日通事件のときに、当時の代議士だった池田正之輔氏が、当時幹事長だった福田赳夫さんと、それから検事総長の井本台吉さんとを呼んで、新橋の高級料亭の花蝶というところで一緒に食事をしたということが、大変世間の非難を浴びたわけですね。これは池田さんが逮捕される少し前だったと思うのだけれども、とにかく、あの問題が非常にやかましい問題になっているその真っ最中に、福田幹事長と井本検事総長が、その問題の人物、池田正之輔氏と一緒に会食をするというようなことが大変問題になった。  そこで、一般世間のごうごうたる非難を浴びたわけですが、検察の仲間でも、たとえば東京地検の当時の次席検事であった河井信太郎さんですね、この人なども先頭に立って非難をした。その他、現場におる検察官などは、みんなそれぞれそういう立場だったと思いますが、いわば、その音頭取りみたいなのが河井さんだったということで、この人は後で最高検の検事に一遍回って、それから後は地方回りがずうっと続いて、とうとう東京に帰る機会が全くなかったということで、世間では、これを称して報復人事と言っておったわけです。新聞などでは、それを称して報復人事ということが言われておった。  こういう報復人事というようなことが、ことに今度のロッキードの問題で、もし検察官が仮に負ける、田中の方が無罪になるというようなことにでもなったらば、そのときはどえらい報復が行われるだろうといったようなこと、その他等々、検察官なり裁判官なりに対して、すごい報復があるだろうというようなことが、ちまたの話題になっているわけですね。私は、だから、さっきの日通事件に関連する報復人事というようなことが、また繰り返されるというようなことがあったら、まことに大変だと思うので、そのことを強く要望しておきたいと思う。さっきの答弁で基本姿勢はよくわかりましたから、これ以上言いませんけれども、ぜひその点は繰り返し強調しておきたいと思います。  裁判官も、最高裁の長官が近く交代をされるので、それに関連して人事が行われると思うのですが、これまた新聞記事などによると、恐らく田中被告は、第一審では無理じゃないかと、もうあきらめている、したがって、今度は第二審でがんばろうというつもりでおるのではないか、そのために、第二審つまり高裁の裁判官の人事について非常な関心を持っているというようなことを、これまた新聞等で報道しているのだけれども、裁判官の人事にそういうことがあってはならないと思うので、これは最高裁の方でありましょうが、ぜひ一応最高裁の態度を聞いておきたいと思います。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 高等裁判所判事以下のいわゆる下級裁判所、高等裁判所長官も含みますけれども、下級裁判所の裁判官の人事につきましては、西宮委員つとに御承知のとおり、最高裁判所におきましてつくりました名簿に基づいて、内閣で任命していただいておるわけでありますが、補職については最高裁判所が全責任を持って行っているものでございます。  裁判官の人事については、申し上げるまでもございませんけれども、えこひいきのあるようなことは絶対にいたしていないつもりでございます。今後とも、公正な人事を最高裁判所の裁判官会議にお諮りいたしたいというふうに考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私は、大臣にちょっとこういう提案をして、大臣の見解をお聞きしたいと思うのですけれども、最高裁の長官あるいは判事ですね、これを指名をしたり任命をしたりするというのは、いま内閣の責任で行われているわけですけれども、私どもは、かつてあったように審査会、審議会といいますか、そういうものを設けて、各方面の学識経験者、そういう人を集めた審議会、審査会というようなものをつくって、そこで、ある幅のある候補者を、人数に幅を設けてこれを答申をして、内閣がその中から指名をしたりあるいは任命をしたりというふうにする方がいいのじゃないかというふうに考えているのですが、大臣、いかがですか。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 最高裁の人事の公正を期するために、審査会のようなものをつくるという問題は、前もあったし、きょうもそういう議論もあることを承知しております。  そういうやり方、方法というものは、それは検討の価値はあると私は思いますけれども、きょうこの最高裁人事が非常に乱れているとか不公正であるとか、そういう現実問題にぶつかっているとは思いませんので、一般論として、そういう保障が与えられることはいいじゃないかという意味において、そういうことは検討の価値はあると思うのです。きょうのすぐの問題ということでもありませんし、それから、すぐ右から左にやるとなってもつくれるものでもありませんし、まあじっくり、これは皆さんもまたわれわれも、検討をお互いにしていったらよいじゃないか、そういうふうに思っております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 大臣は、きょうの問題ではない、いま直ちに決定できるという問題ではないけれども、十分検討に値する問題だというふうな答弁で、私も了解いたします。  これは、大臣は議会歴も非常に古いので御承知のとおりですが、昭和二十二年には、こういう制度を吉田内閣のときに設けたわけです。そして、第一回の長官あるいは判事の選任はこの機関によって行われ、その後廃止になってしまったが、二十六国会にまた再度提案をされているわけです。ただ二十八国会に国会が解散になって、それでお流れになってしまった。それでもうパアになってしまったわけだけれども、日本の最高裁の長官という地位はきわめて大事な立場でありますから、慎重にも慎重を期するという点で、十分関係者の意見を吸収できるような機関を設ける、審議会のごときものを設けるということは、大いに私はプラスになるというふうに確信をしているわけです。ぜひ積極的に前向きで取り組んでもらいたいと思います。  同じような意味で、例の最高裁の判事の資格を審査するというのを、いわゆるバッテンをつけて、罷免を必要とする、罷免をさせたいという人については、バツ印をつけて投票をするということが行われておるわけだけれども、バツ印のない者は信任されたものとみなすという規定になっておる。しかし、これはきわめて実情に沿わないわけです。大臣も恐らく、地方におられて始終そういう苦情を聞いておられると思うのだけれども、とてもわかりもしないし、何も書かないでおけば、全部それがフリーパスしてしまうというのはおかしいじゃないかという意見は、どこへ行っても、その声は満ち満ちていると思うのですよ。  だから、私はこれも改めて、罷免させる者にはバツをつける、それから信任する者については、罷免させない者についてはマルをつける、何もつけないものは棄権とみなすというふうな制度に改めるのが当然だと思うのですけれども、大臣いかがですか。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 いまの国民審査の問題でありますが、いまの制度については批判の意見があることもよく承知しております。しかし、これはよほどよく研究してみませんと、バッテンをつけない、それからマルもつけぬという棄権もずいぶん出てくるかもしれぬ。これはみんなだめだ、こういうことになる案ですね。どういうことが起こるか。これはきょうの実情から言いまして、どういう結果が起こるものかなども、よく検討してみないと、理屈から言うと、マルをつけ、バッテンをつけ、両方をつける、棄権をするというのは、一番筋が通っているようには思いますけれども、これはよく慎重に研究してみなければいかぬじゃないか、軽率には結論を出していけないのじゃないかというふうに私は思っております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 大臣が、どういうことが起こるかわからぬ、そういう心配は、たとえばこういうことだと思うのですね。マルもバツもつけないというような人がたくさんあった場合、そういう票が多かった場合にはどうなってしまうんだ、つまり、いまの全国の有権者の中で、棄権者が非常に多い、そういうときにどうなるんだ、そのどうなるかが心配だというのは、恐らくそういう点だろうと思う。だから、それならば全国の有権者の何分の一以上の投票があったら有効だ、それをかなり低い方にそのレベルを決めておけば、私は、そういう懸念は恐らくないと思う。したがって、そこではかなりそのレベルを下げておいて、それだけの投票があれば有効とみなして、そうすれば、あとはマルが多ければ信任、バツが多ければ罷免というふうにつくっておけば、決して心配はない。だから、たとえばそのレベルをどの辺に置くかというふうな問題等は、これは大臣おっしゃるように、慎重に検討しなければならぬ。  それじゃ、二つをあわせて、もう一遍大臣に御所見を聞いておきたいと思いますが、さきに申し上げた最高裁の裁判官、長官に対する選任について審査会を設けるとか、あるいはいまの国民審査の際のやり方ですね、この両方とも、私どもは、そうするのが当然だ、その方がはるかにベターだというふうに考えているのだけれども、大臣も、細かい問題は十分検討しなくてはならぬけれども、少なくともその方向については十分理解ができて、前向きの立場で検討するというふうに、大臣のお考えを私、了解しておいてよろしいかどうか、もう一遍お聞きしたいと思います。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 いまの国民審査の方の問題ですけれども、これは裁判所の人事、司法権その根源は国民にある、こういう理論を通さなければいかぬ点があるので、国民審査というものがあるのだと思うのですね、任命のときに関与しないのですから。  これは、理論としてああいうものがあるのだと思いますけれども、実際は、国民の投票する人から見ると、よくわからないで、本当に難儀しているのですね、最高裁の判事、いいのか悪いのか。ですから、あの状況から見ますと、それはよほど低い最低点を決めませんことには、棄権が非常に多くなるのじゃないかという感じが私はするのですよ、統計をとったわけじゃありませんけれども。そういうことを思いますと、これは、軽々に問題を提起しても、どういうものだろうか。  私は、そういう意味で、あれが大変満足なもの、きょうの制度が満足なものと思うわけでもありませんけれども、これは取り組んでみるというのはなかなか勇気が要るのじゃないか、非常な冒険がここにあるのじゃないかという気が、これについては、私個人は濃厚なんですよ。多少そこで、前の問題とは度合いの違いが、どうも少し私には残るのでありますが、正直に申しまして、まあそんなことであります。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 前の問題とは度合いが違う、つまり第二の問題の方は、簡単に賛成できないという御意見であったと思うのだが、前の問題について大臣が評価をしてくれているということを、私は大変結構なことだと思うのです。  ところで、いまの第二の問題も、いま大臣も、非常に難儀をしている、これは地方の実情を大臣も始終ごらんになっているでしょうから、だれにバツをつけていいかわからぬということで大変に難儀をしている、それは確かに実態だと思います。つまり、あれだけの十五名の裁判官を挙げられても選択のしょうがないというのが、国民の、まあこれはほとんど全部の気持ちであるということだけは間違いがないと思いますね。  そこで、そのレベルをどこに置くかというようなことが重大問題で、軽々には判断できないというお話で、それも私わかりますけれども、とにかく国民の大半が知らないで、知らないままに継続されてしまう、信任されてしまうというのはまことに理屈に合わない。だから、それは当然に知った人が、いい人ならいい人、悪い人なら悪い人というふうに判断のできる人が判断をして、そこで初めて投票の効果というか、投票をする理由が出てくる。だから、たとえ数が少なくとも、だれか知った人が投票して判断するということが絶対に必要なので、知らない人が黙っていてそのまま、いいか悪いか、とにかく既定の結果がただ機械的に出てしまうということは、これはまことに私はおかしな制度だと思うのですね。  だから、大臣が言われたように、軽々にレベルを決めたり、またその他軽々な取り扱いは適当ではないということは私もよくわかりますから、これは慎重には慎重を期してやらなければ問題だと思うけれども、少なくともそういう点について、まさに第一の問題も第二の問題も検討すべき時期に来ておる、検討するまことに重要な問題だということだけは、御認識をいただけると思うのですけれども、もう一遍その点だけ聞かしてください。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 まあ検討すべき問題ではありましょうけれども、第二の問題は大体もう見当がついてしまうような気がするのですよ、大づかみに全体論が。それだから、無責任に、いやこれは検討しましょう、こういうことまで申し上げるには、もう少しこっちが考えてみないといけないような気が、正直に言ってするのでありまして、それを申し上げたようなわけであります。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 いずれにしても、第一の問題も第二の問題も、ぜひさらに検討してもらいたい。私どもも、これをできるだけ正式の議題にして議論をしていきたいと考えていますから、そういう態度で臨んでいただきたいと思う。  この前の本委員会の際に、私の方の横山委員から、この間のようなグラマン、ダグラスあるいはロッキード、そういう問題が再び起こらないように、その予防措置として、いろいろなことをやらねばならぬということで、何項目か挙げて大事な問題を指摘をしたわけですが、私は、大臣に一つだけ伺っておきたいのは、・いま提案されている刑法の改正ですね、これは政府が提案している。これだけは少なくともこの国会で成立をさせるという決意を持っておられるかどうか、聞かしてください。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 五十一年に、あのようにいろいろ研究されて、せんじ詰まって賄賂罪の改正問題が残って、これの提案を当時からされてきておるというのが実情でありますが、あれはせんじ詰まった結論のようなものでありますし、これは大切に尊重しなければならぬと私は思うのです。この経過から見ましても、それからまた、きょうのこの目の前の状況から見まして、尊重して何とか成立をお願いしなければならぬというふうに思っております。  ただ、もっとたくさん、いろんな防止対策というものを考えなければいかぬのじゃないか。特効薬一つで、これでもう大丈夫だ、そうは簡単にいかぬので、私は、もっと面を広げて、再防止対策というのは考えなければいかぬ、そういうふうに思っております。複合的に考えていかなければいかぬじゃないかという気がしておるのであります。  これは、ある段階には政府全体の問題として、再発防止対策をどうするかということに取り組まなければならぬと思います。でありますが、きょうの段階は、当面のこの事案を究明することが第一でありまして、それもまだ中途というか、山を越しているか越していないかわからぬようなところで、すぐ次の再発防止でござる、そういう行き方は、私はどうかと思うのです。やはり、いまのやるべきことをまずやるということが第一だと思うのですね。  それから次の問題も、それは必ず考えるけれども、ごっちゃにして、いまの目の前の問題をお茶濁しするようなかっこうになってはいかぬ、私はそう思うのですよ。ですから、これは時期を見て、この問題は政府全体としても本腰を入れて取り組む、きょうからその準備を内部的にはしていく、こういうことのように私は思っております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 同じようなことをこの前も答弁をしておられたけれども、いわゆる防止対策という方向に走ってしまって、それでいまの事態の解明をお茶を濁してしまうというようなことになっては大変だ、これは全くそのとおり、それは私も完全に同意見です。しかし、これまた下手をすると、そういうことを言っていて、だんだん時間がなくなってしまう。そのいわゆる防止対策なるものも、大臣は、ある段階、ある段階ということをしきりに言われたけれども、いつの段階か知らないが、とにかくうやむやになってしまう、そういう危険性が私は多分にあると思うのですよ。  たとえば、この前ロッキードの事件が出た際には、閣僚協議会で防止対策を、たくさんの項目を挙げて決めているのですが、それさえほとんどやられておられない、ほとんど全く手がついてない。そして出されてきたのは、この刑法の改正ですね。ところが、これは政府が提案しながら一向に進捗をしていないという状況なので、だから私は、いま、さしあたり大事な問題はいまの事件の究明だ、これも大臣のおっしゃるとおりです。あるいは、単に刑法の改正だけではなしに、もっと総合的な対策をつくらなければならぬというのも、大臣のおっしゃるとおりです。しかし、そういうことを言っている間に、やれるものもやらないで過ごしてしまう。いまの刑法の改正案は、昭和五十二年の五月二十四日に提案をされているのですから、もうちょうど二年になるわけですね。たなざらしになっている。これをどうしますかということをお尋ねしたので、もう一遍、その一点だけお答えください。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 これは、さっきも申しましたように、すでに提案をして審議を願っておることでもありますし、きょうこの問題は消えてしまったとは思わぬのでありますので、引き続いて、これが成立を図りますように、われわれの方も皆さん方にお願いをしていきたいと思っております。  お尋ねは、ただそこだけの話でありましたけれども、これはただ犯罪の追及だけを考えて、それだけで一体きょうのわれわれの問題の再発を防止できるか。もっと面を広げて、私は考えなければいかぬと思うのですよ。無論、犯罪はぎりぎりの問題ですから、その点についても、もっと突っ込んで研究しなければなりますまいが、行政部内に、犯罪とまではいかぬでも不正、不当がないようにするにはどうしたらいいか、これは非常に大きな問題ですよ。それも考えなければならぬ、犯罪とはいきませんでも。  それから経済界の方についても、経済の活動、企業の活動を余り縛ったりなどするのは、活力を失わせていくので考えものだと思うのです。いわゆる角をためて牛を殺すことになってはいけませんけれども、倫理的なミニマムというものは守ってもらわなければならぬ。それは企業活動にもあるのじゃないか、その辺はどうなんだ、政治だけが悪いと言って、それで済む話か、そういうように経済界の分野においても私は考えるべき問題があるじゃないか。これも大事な面のように思うのです。  でありますから、あれがどうこうと言うより、もっとまた面を広げて考えないと、これで済みましたでは再発防止はできない、そう思うのであります。くどいようでありますが……。  それから、よけいなことでありますけれども、新聞などの人々も、社会党もそうのようですが、再発防止のことをきょうにぎやかに言っておられる。きょうの問題はどうする気か。もう次に行ってしまう。きょうのはどうでもいいのか、もう投げてしまったのか、熱しやすくても冷めやすくては困るのであります。ですから、世論の空気というものも、この両方のことをよく考えて、その空気が冷めてしまわぬようにしてもらわぬと、再発防止という問題も消えてしまうのじゃないか、いまからそっちばかり騒いでしまって。こういう気もするのでありますからして、われわれの方もそうですけれども、みんなの問題として、きょうの問題、それから再発防止の問題、両方考えていく、消えないように考えていくということにしなければならないと思っております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私も同じことを繰り返すことになるのだけれども、大臣のおっしゃることは、私も一〇〇%理解もでき賛成なんですよ。ただ、いまわれわれは、再発防止の方に問題を移行させてしまって、いまの問題をなおざりにするというような気持ちは無論毛頭ない。したがって私は、その再発防止の問題も数多い対策がありましょうけれども、ほかのことは何にも、一言も言ってないわけです。  そして、このせっかく政府が提案した法律さえも、今日まで滑った、転んだと言って審議をしない。これはまことにこっけいきわまる、あるいはまことに不誠意そのもの、こんなばかげたやり方はないと思うのですね。政府が提案しておきながら、それを全然取り上げない。だから、その一点はどうなんですか、私のお尋ねしたいのはそれだということです。私は、ほかのことは何にも言ってないのですよ。その一点だけをお聞きをしておるのです。それはそのつもりでやりますというお答えのようだけれども、あと続いて、その他広範な対策だとか、あるいはいまはその時期ではないとか、そういうことをつけ加えて長々と答弁される。したがって、これはやりますという最初のあいさつにも、何となく私はまゆにつばをつけて聞かなくてはならぬというような気持ちになるわけです。  これは大臣、前の大臣のときではありますけれども、こう言って提案をしているのですよ。昭和五十二年の五月の二十四日ですが、「近時、贈収賄事件が増加し、かつ、悪質化する傾向にある実情にかんがみ、この種事犯に対し、事案に応じた適切な科刑の実現を図り、かつ一般予防的効果を期するため、きわめて緊要なことであると考え、」と、これは当時の福田一法務大臣の提案理由の説明です。  さらに、この問題について与党の側から質問があって、それに対して伊藤刑事局長は「贈収賄罪の発生、検挙状況を見ますと、逐年、刑法犯一般につきましては横ばいないし減少の傾向にありますのに対しまして、累増の傾向にございます。」つまり、刑法犯一般は横ばいないしはだんだん減っている。にもかかわらず、贈収賄だけは累増の傾向にあります、こういうことを言っておる。「逐次発生が予想されます多額の収賄等の悪質な事犯につきまして、その事犯に即した量刑を行うという必要性が痛感されるわけでございます。」「収賄罪の多発化を防遏し、一般予防的な効果も上げることができると思う」これは、この法律を制定することによって、それができる、こういう意味ですね。「さらに副次的効果といたしまして、」「公訴の時効期間が従来の三年から五年になる、こういうことになるわけでございまして、これらを総合勘案いたしますと、今後における公務員の綱紀の粛正のために相当な寄与をなし得るものではないか、」と考えております、こういう刑事局長の答弁なんですね。  だから、これは刑を引き上げると同時に、その時効の点に大きく影響するわけです。今日、ロッキードにしてもグラマンにしてもあるいはダグラスにしても、非常に問題になるのは時効の問題なんですね。時効にかかって逃れてしまう。さっき大臣は、犯罪になるものだけではなしに、犯罪とはいかないけれども究明しなければならぬ問題がある、こう言われる。これは私も全く同感ですよ。ところが、時効にかかった人たちは、いわば堂々と犯罪を犯しておる。たくさんのそういう人がいるわけです。たとえば岸信介さんとか、ああいう人は古い人ですから、時効という問題になったら、完全に時効にかかってしまうでしょう。そういう時効の問題というのは非常に重大な問題です。いま大臣の言われた、犯罪にはならないけれどもきわめて悪質だというのには、十分該当するわけです。  だから、それをするために、こういう法律を提案するのだ、ぜひ御審議を願いたいということを、当時の法務大臣が提案をしておきながら、全然与党の側ではこれをやろうという意思がない。これが少なくとも今日までの状態だったわけです。古井法務大臣ではなかったけれども、今日までの状況だ。だから、古井法務大臣は、少なくともこの一点だけはこの国会中に成立をさせます、こういうことを明確に言ってほしいと思うので、もう一遍お答えください。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 先ほど来申し上げておるとおりでありますが、政府側の考え方というものは少しも変わっておるわけではありません。これは国会の審議の問題でありますから、実を言うと、私の方を責められるというのはちょっとぴんとこぬので、国会で審議していただきたい、こういうことなんであります。ですから、こっちの方はこっちの方ですけれども、国会の方でどうぞひとつよろしくお願いします。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 政府の方針は変わりがないから国会で審議をしてくれ、形式的にはその答弁でいいと思いますよ。しかし、これを進めるか進めないかというのは、古井喜實さんが所属をしている自民党の態度なんですから、その与党が少なくとも今日までは全然これを進めようという意思がないわけです。われわれ野党の側から、せっかく政府が出したものを審議をしないのはおかしいじゃないか、こういうことで追及しても、これに適当な答弁をされて、とにかくその審議をする意思がない、こういうことで、だから国会が審議をできないわけですよ。確かに形式論としてはいまおっしゃったとおりです。おっしゃったとおりだけれども、その国会なるものは、多数を占めているのは与党であり、古井喜實さんが所属をしている政党なんですから、その政党にそういう意思がなければ、これはにっちもさっちも動かないわけです。  これは古井代議士が、大分古い時期でありますけれども、昭和二十九年にお書きになったもので、私どもも古井代議士には非常に教えられるところが多いわけですが、毎年毎年非常にりっぱな、いろいろ国会の審議状況その他、古井さんの考え方ですね、こういうものを出版をしておられる。とてもわれわれにはこんなまねができないので、私どもは非常に恥ずかしいと思うのですけれども、そのお書きになった「国会生活第二年」というものの文章です。   いまわしい政界官界財界の空前の汚職疑獄が国民の前にさらけ出された。恥ずべきことであり歎かわしいことである。戦後いかに国民道義が頽廃したといっても、少くとも公の地位に立つ者にかかる醜事実が大規模に行われたとすれば、弁解の余地がない。われわれは現に起つたこの事実に対し、徹底的に粛正の誠意と実を示すと共に、これを天の戒めとして、いわゆる禍を転じて福となすべく、將来に対し、再びかかる不祥事が起らぬよう、抜本塞源的な法制の改正をも行うべきである。これはいわゆる造船疑獄などのときのことを指しておられると思います。   途に自由党佐藤幹事長逮捕問題となった。吉田内閣は法務大臣の指揮権発動という最後の手で検察当局を押えてしまったのである。驚くべき暴挙である。   私は、自由党は同じ保守陣営に属する友党であり、重大危局を乗切るために相協力すべき相手だと思っている。併し不正と暴力だけは、たとえ親であっても兄弟であっても許すことはできない。自由党の多数をたのむ暴力的政治に対しては断乎戦わなければならない。  こういうことを述べておられるわけですね。まだ、いまの自民党が合同する前でありますが、その自由党の幹事長ないしは法務大臣が指揮権を発動したという点を非常に強い言葉で非難をしておられる。これは全く当然だと思いますね。これが昭和二十九年なんですよ。それならば、何とかいわゆる災いを転じて福となすというようなことが、今日実現されておってしかるべきではないか、与党の大事な役割りを果たしてこられたのでありますから。  あるいは、これは昭和三十八年にやはり同じようなものを出しておられる。そのときの中にも 社会保障の完備や教育の振興のためには、政治の姿が正しくなければならぬ。汚職や疑獄がつきまとう不潔な政治や、派閥や圧力団体が跋扈し、金と力が支配し、道理が影を潜めた歪んだ政治の下で、弱い社会階層の幸せを図る政策が健全に発展できるだろうか。政治の刷新向上が基本である。こういうふうに述べられておる。まさに一〇〇%このとおりだと、私どもも感銘を深くするのであります。  昭和二十九年から数えるとずいぶん時間がたっているのだけれども、本来ならば、まさに災いを転じて福となす、そしてもう二度と再びこういうことが起こらない、そういう体制が今日できておるべきはずだと思うのだけれども、それができていない。まことに残念だと思うのだけれども、ひとつ御所感だけ聞かせてください。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 まことに無力であることを恥じるだけでありまして、同じことをいまでも思っておるのでありますけれども、そういうふうに思い、行動しておりましたおかげかどうか、何年来冷や飯ばかり食って暮らしてきておるという状況でございまして、はなはだどうも無力であったことを恥じておる。けれども、私自身の信念というか考えは、冷や飯食おうがどうしようが、変わるところは一つもありませんので、同じことをきょうも思っており、ただ微力であるというだけのことであります。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 微力をかこってこられたというお話でありますが、いまやまさに最もそれに適当するいすにつかれたわけですよ。ですから、いまこそ、この昭和二十九年以来の悲願を達成されるべきだと思う。ぜひ今度こそやっていただきたいと思います。いかがですか、現在の決意は。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 だんだん御質問も幅が広がってきたように思いますが、幅を広げた話といたしまして、何とか政治の倫理というものを取り戻せないものか、いま大事な時期じゃないかと思います。政府の部内で、微力でありますけれども、できるだけのことを努力していきたい、そう思っております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私は、もう一点、恩赦の問題について、ちょっとお聞きしておきたいと思うのです。細かい技術的な問題じゃありませんから、大臣にお答えいただきたいのであります。  さっき、法を犯した者に対しても思いやりを持たなければならぬ、そういうお言葉、まあ一般論としては私も大賛成だけれども、その念頭に田中角さんなどを考えているんじゃないか、大変失礼な言い方だが、そういうことを申し上げたのだけれども、恩赦のごときは、それに利用されるおそれが多分にあるわけです。  私は、自分で大分細かく調べたことがあるのでありますが、明治になってから八十年間に十六回の恩赦が行われている。憲法発布などの三件を除いては、いずれも皇室の慶弔に関連して恩赦が行われたというのが今日までの実績であります。戦後は八回の恩赦が行われている。この中では、皇・太子御成婚という恩赦がありましたけれども、それを除くと、あとは全部皇室の慶弔とは関係のない恩赦であります。その中で、これはほとんど全部と言っていいのでありますが、選挙違反を救済する、そういう意図のもとに行われておるわけです。  たとえば、一番それで目立ったのを申し上げると、昭和三十一年に国連に加盟したというので、これをお祝いする恩赦が行われたのですが、六万九千六百二十七人が大赦でその恩恵にあずかった。そして、そのうち選挙違反は六万九千五百三十五人。もう一遍繰り返すと、六万九千六百二十七人が恩赦を受けて、そのうち選挙違反で救われたという人が六万九千五百二十五人、そうでないのは百人あるかなしかなのですね。こういう恩赦が繰り返されてきたわけですよ。私は、かつて佐藤総理大臣のとき、沖繩恩赦というのがあるはずになったので、そのときなど、選挙違反はそれに該当させないかということをうるさく質問をしたのでありますが、きわめて言を左右にして答弁しなかった。そしてこの際も、やはり選挙違反を大量に救ったわけです。  私は、この次恩赦が行われるとすると、そういう選挙違反ではなしに、いま問題になっておりますロッキードその他の、そういう人をこれに該当させるということになる懸念がある。そういうことはやるつもりか、やらないつもりか、法務大臣のお考えを聞いておきたいと思います。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 いま、大赦とかああいう恩赦の問題が、目の前にやるかやらぬかという問題があるわけじゃないのでありますから、お尋ねも一般論だろうと思うのであります。もう、すぐそういう事態が起こる、こういうことじゃないのですから、まあ一般論だろうと思いますね。  やはり、そのときはそのときで、恩赦は恩赦で、これは格別に、とうこうするとかいうようなことではなしに、公正に恩赦はやるならやるべきものだろう、これは当然のことだろうと思うのです。いま具体問題があってのわけでもありませんし、一般論しかきょうはどうしようもないわけでありますから、そういう意味で、考え方はそうだ、公正に恩赦はやるならやる、こういうことだということしか申し上げかねると思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 確かに、具体的に何か問題がいま目の前にあるわけではありません。ありませんけれども、私は、いま元号の問題が大変に論議をされて、あれを法制化しようというので論議をされておるわけだけれども、あれなどを見ておると、ずいぶん失礼じゃないか、何かいかにも改元をしなければなら、ない問題が、そういう必要性が間近に起ころうとしているのではないか、そういうつもりで論議をしている。まことに私は失礼千万な話だと思うのですね。しかも、あれを急げ、急げというわけで、元号法を早く通せというので、急げ、急げと言って、大変に馬力をかけているわけですね。全く私は失礼千万なやり方だと思うのですよ。  これ以上申し上げません。ひとつそういう点も大臣も含んでおいてください。本当に、あんな失礼なやり方はないと思う。  私は、予想されるとすれば、そういう問題だと思うのだけれども、現にこれは、これまた読売新聞に出ておったのだけれども、この前の総裁選挙の際に、福田さんの方では、田中さんに対して、日中恩赦をやるから、われわれの方に協力をしてくれということを選挙の終盤で申し入れをした、そうしたら田中さんは、そんなできもしないことを言うなと言って、はねつけたということらしいという記事が出ておりました。だから、恩赦がそういうことに取引をされるおそれがあるわけですよ。私は、そういう懸念が多分にあると思うので、ぜひこのことを強調して、大臣も十分それは強く念頭に置いておいてもらいたいと思います。  それでは、残念ながら時間が参りましたので、これで終わりにいたします。

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 沖本泰幸君。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 予定した内容で、一時間以内に終わるかどうかちょっと疑問なのですが、残りましたら、次の機会をお与えいただきたいことをお願いいたします。  まず、所信表明からお伺いしたいと思うのですが、時間も余りありませんので、お伺いしたい個所をしぼってお伺いします。  所信表明の中に   第三は、犯罪者及び非行少年に対する矯正及び更生保護行政の充実についてであります。   犯罪者及び非行少年の改善更生につきましては、地域社会の温かい理解と協力のもとに刑務所、少年院等における施設内処遇を一層充実強化するとともに、保護関係機関を初めとする関係諸機関との連携を緊密にし、その効果を高めてまいる所存であります。   そのためには、まず施設内処遇につきまして、その実態につき広く国民の理解を得るとともに、良識ある世論を摂取し、時代の要請にこたえ解る適切な処遇態勢の実現に努力を払ってまいりたいと存じます。 このことなのですけれども、最近少年非行ということが大きな社会問題で、自殺する少年、これは非行には当たりませんけれども、いろいろな実態がえぐり出されてきている。たとえて言いますと、この前も高校生が銀行強盗をやった。理由を聞いてみると、学校をやめたいために銀行強盗をやった。ちょっと突拍子もないことをやる。そういうふうな、このごろの少年の、いわゆる考える内容なり、生活やあるいは社会環境、そういうふうなものが時代とともに、いろいろな文化とともに変わってきているわけですね。果たして、それに対応する機構そのものが整っておるのかどうか。大臣のおっしゃっている  保護観察等の社会内処遇に関しましては、引き続き保護観察官の活動の活発化を図り、保護司、更生保護会、関係団体との協働態勢を強化し、処遇方法の開発、多様化に努め、処遇効果をさらに高めてまいりたいと考えております。 こういうことなのですけれども、ところが果たして、その観察業務に当たる方であるとか、保護司の方であるとかという方々の少年に対する考え方、これが時代に即した的確なものをつかんでおるかどうかというところに、大きな問題があると思うのですね。  これは数年前ですけれども、私の知り合いの娘さんが、高校生ですけれども、ソフトボールの部のキャプテンだった。ところが怠ける子がおるので、バットでそっと、こう頭を当てたというわけです。それが、結局は殴られたということで警察問題になって、そして試験の最中に観察官の人が、調査官の方が学校へ呼び出しをかけている。全くやり方が非常識なのですね。その子供は、もうそれでショックを受けて、再起不能みたいな状態に陥るわけなんです。  そういうふうな物の考え方なり何なりというものが、少年の将来というものに対して、的確な方向性をつかんでできるものかどうか。あるいは保護司の皆さん方が非常勤であり、それからその地域社会の有名人であって相当の年配者であるということになると、相当年配の方の育った少年時代といまの少年の時代とは、もう百八十度、二百度違うわけですね。そういう者が果たして的確につかんでおるかどうか、ここらに一番大きな問題がかかってきておる。より非行を増大するような発言なりあるいは内容のものが介在しないかどうかということが、非常に不安だということなんです。  また最近は、もうお父さん、お母さんでも、子育てということに対して非常な神経を使っておる。子供にどういう物の言い方をしたらいいか、どういう態度で接していったらいいかということなんですね。いまはもう社会全体が、このことに大きな関心を寄せておるところなんですけれども、では、そういうものを大臣の所信表明の中からうかがい取ると、法務省の方としては、どういう形でこの時代に即した、こういうものに対する体制をお整えになっていらっしゃるかどうかということは、非常に疑問があるわけなんです。そのについて、お答えいただきたいと思います。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 問題は、非常にこれはむずかしい大きな問題だと思っておるのであります。保護司とか保護観察に当たる人とか、そういう人々が努力することは無論でありますけれども、社会全体の風潮というものが大きく影響しておることは申すまでもないのでありまして、若い、将来を背負う人だからこそ問題は大きいのですけれども、しかしながら、そういう人々のみならず年とった人間にも、社会全体をながめて、きょうはこのままでよいだろうかという問題はあると思うのであります。時代の一つの風潮のようなものがあるように思うのであります。この考え方というか目覚めというか、考え方を変えるというか目覚めるというか、これは時代の非常に大きな問題だと私は思うのです。  なぜこうなってきたのかですね。人によって、いろいろ見方はあると思うのですけれども、戦後の三十数年間の推移を考えてみましても、本当にこれはほとんど物質万能というか、物質しかわからないような風潮も非常に強くなってきたですね、物質がすべてのような。それから、自分のことしか考えないエゴイズムというか、他人や社会や民族や世界や、そんなことは頭にない、こういうのが一つの風潮のように私は思えるのですよ。それから、倫理というものが影をひそめて、目的のためには何をやってもいいという、手段を選ばず式のことが行われる。正しいこと、よこしまなこと、そういう昔の言葉で言えば正邪曲直、理非善悪というような考え方は薄れてしまっておるのじゃないか。つまり、倫理というものが薄れているのじゃないか。そういうふうなことが共通的に社会にきょうある。これが全体として変わってくるということをどうしたらいいかという問題にぶつかっているのではないか、私はそう思うのです。  それには、将来ある人間だから、若い人のことは心配で特に憂えるのでありますけれども、やはり先に立つ人から変えていくことをやらないと直らぬと私は思うのです。だから、子供にやかましく言うなら親が自分を直せ。物を言わぬでも、目で見せれば子供がよくなる。福沢先生のお言葉のように、徳教は目から入って耳から入らず、口でがみがみ言ってもだめだ、黙っておってやってみせることだ。生徒に対して心配なら、教師が、自分がどうするか、これをやるべきだ。国民に物を言うなら、政治家がまずみずからの姿を考えてみること。そういう式に、いわば指導的な立場におる人から先に立ってこの風潮を改めていくことをしなければいかぬじゃないかと、私は個人的にそう思っております。  ですから、少年の問題は、少年だけの問題と私は患わぬのです。また、これをどうよくするかという問題も、少年にがみがみ言うだけじゃだめだと私は思うのです。自分からして、みんなで直していってみせる、そういうことでなければならぬ。それを始めるべき時期にいま来ているのじゃないか、いろんな起こる現象を見ていると、そこに来ているのじゃないか、こういう気持ちがいたしますので、担当して諸君の持っておりますものは、それなりに努力することは無論でありますけれども、大きな問題として考えていかなければならぬのじゃないか。私はそういうふうに、そらす意味じゃありませんけれども、思うのであります。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 大臣が所見をいろいろお述べになったわけですけれども、大臣、フィーバーといったら何か御存じですか、フィーバーとかディスコとか。ちょっとお互いに理解しにくいような年齢に来ているのです。ですから、私たち、私も含めてですけれども、もう小さい子の文化に対する感覚とか、そういうものから、われわれが離れてしまっている。それは、ここでこういうことを議論する私たちだけでなくて、保護司や観察賞の方々の頭の中にもあると思うのですね。ですから、お互いのお父さん、お母さんの議論や、テレビやニュースの中でいろいろ出てくる内容についても、親が子供にどう接するかということが最大の議論になったり、あるいは求められる教師像とは何ぞやということが、大きな社会的な議論になっているわけですね。  そうすると、求められる観察官とか、求められる保護司というのはどういうものなのかということが必要になってくるわけです。ところが、ただ保護司さんなら保護司さんが、選挙という形はとっているけれども、旧態依然として古い方が保護司になっていたら、そこから何の進展もないし、役割りは果たしていかない、こういうことになるわけです。要求されるものは、次代を担うのは若い人たちなんですから、若い人にその財産を残してあげなければいけないのです。将来、日本の国を背負うための人柄をつくっていかなければならない。  そういう大きな責任があるということになりますと、そこで一番問題になるのは、非行少年であり何であるということよりも、まず現在の青少年そのものをわれわれが理解しなければ、どうにもならないということになるわけです。ですから、大臣もひとつゴーゴーダンスの場所へ行ってみて、どういうものかというものを見てこられたり、体験してこられることが大事だと思うのですね。  そういう衝に当たる方々も、実際のそういう現代の少年の生活実態というものをみずから行って見てきて、その中からいろいろ考えていくということでなければ、法律とか、こういうふうな条文の活字だけで問題が解決できるとは絶対考えられないということになってきますと、ことしも依然として非行少年の問題を取り上げておっしゃってはおるけれども、では去年とことしとどう変わっているか、五年前、十年前と少年対策はどう変わってきているかということが、変わり目というものもわかりませんし、上がってくる効果というものもわかってこないということになるわけですから、その辺を十分御検討していただきませんと、どうにもならない問題で、ただ上滑りだけで終わってしまうということになることを非常に恐れるわけです。  ですから、非常に広い問題を申し上げたわけですけれども、ではどうしたらいいかと言うと、やはりその衝々に当たる人が真剣に問題に取り組んでいって、それぞれの責任を果たしていく以外に方法はないわけですから、そこのところをひとつ大臣、お考えになっていただきたいと思うのですが、いかがですか。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 先ほども申しましたように、導く立場の人がまずみずから行ってみせることが、私は一番大切だと思うのです。自分は行わずにおって、やれやれというようなことばかり言っておったのではだめです。間違っているのは、すべてそこだと私は思うのです。教師は生徒にだけはやかましく言うが、自分は何している、ここが問題になってくると思うのです。ですから、そういう立場におる人は格別考えなければならぬ責任があると思うのです。  あなたがおっしゃったように、若い者がきょうどうしておるか、まあ連れていっていただけば喜んで見に行きますが、行かぬでもわかる、およそのことは心眼でわかる。見て回ったからといって、わからぬ者にはわかりはしない、そういうものです。しかし、機会があったらお願いします。連れていって見せてください。けれども、町を歩いてみようが、小さい子供に頼んであれしてみようが、その気でおれば、わかることはわかります。しかし、教えていただきたいと思います。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 まあ、テレビなり何なりごらんになっておれば、フィーバーとかディスコとかいうようなのは大体おわかりになっていくと思いますから、時たま、チャンネルを変えないで、若い人のチャンネルをごらんになっているお暇があれば、そういうことも一つの理解を深める問題ではないかと思うのですけれども、それなりに現代の青少年に即した対策を具体的にお立てになるということが大事だと思いますので、そういう点、御担当の衝に当たる方々、あるいは保護司であるとか更生保護会であるとか関係諸団体にも、特にこの点はよく御検討していただいて、そういう面の改革を図っていただかないと、これはもう無用の長物になってしまって、逆効果を起こすおそれがあると思いますので、その点はよろしくお願いしたいと思います。  余りそればかり議論できませんので、次に移ります。さらに大臣は、   法務省といたしましては、国民の間に広く人権尊重の思想を普及させるため、各種の広報手段によるほか、具体的な人権相談や、人権侵犯事件の調査、処理等を通じ、常に啓発活動を行っているところでありますが、いわゆる差別事象の根絶についても、関係各省庁等と緊密な連携をとりながら積極的な啓発活動を続けてまいりたいと存じます。また、今後とも人権擁護委員制度の充実を図り、国民の間に正しい人権思想が普及徹底するよう一層努力をする所有であります。 こういうことをお述べになっているわけです。  それで、部落解放同盟でも問題にしている地名総鑑、いま報告を伺いますと、こういう差別図書が減らないで依然としてどんどんふえてきておる、そういうふうな報告もいろいろあるわけで、まず、そういうものに対する法務省としての対策なり何なりということなんですけれども、これは言い過ぎかもわかりませんけれども、日本を大別して、岐阜県くらいから東の人と西の人では、同和という問題に対するお考えが大分違うのです。同和問題を全然御存じのない方もたくさんいらっしゃるわけです。ですから、何事だということも起こり得るわけです。その辺の実態というものをよく御検討いただいて、実態に即した、人権差別のないような行政をやっていただきたい、こういうふうに考えます。  また、人権問題を御担当になる法務局等につきましても、これは人権を侵されたという内容のものを訴えるわけですから、その訴えを受理して、そして調査なり何なりというものが十分行えるような、入りやすい窓口、飛び込みやすい窓口、また訴えやすいような窓口というものにも変わっていただかなければならないわけです。ところが、入っていくと、いかめしい方がいて、あっちへ回され、こっちへ回され、なかなか述べにくい、あるいは、もうそういうことがいやだということで逃げる人もおるわけですから、そういうところも、これから十分明るいものに変えていただかなければならないのじゃないかと考えるわけです。  ですから、裁判所の方も、簡裁においても駆け込みが十分行えるような内容に充実していただかなければならないと同時に、法務局等においても、人権問題でいろいろな問題が起こった場合に、そこへ行けば何でも訴えられる、そこでいろいろとアドバイスも受けられるし、問題が問題であれば処理してもらえる、取り上げてもらえるというふうな内容に整えていただかなければなりませんし、もし人権侵害内容があるとすれば、これは徹底的に調査して解決していただく方向に動いていただく、こういうことでなければならないと考えるわけですけれども、この点についていかがですか。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 この人権問題は、同和問題とかああいう具体的な問題だげではなくて、基本的に、われわれの社会で人権というものがどんなに大切か、重要であるかということの認識が、私に言わせれば、少し足らぬように思っているのです。  もともと、こういう民主社会が発展したのは人権宣言からです。人権というものの尊重、そこから始まったわけだと私は思うのです。けれども、ほかの方の原則で無視されるような場合がわりあい軽々しく無視される場合が多いような気がしてならぬのです。憲法に書いてあるだけじゃなしに、歴史的に言っても、これが一番基本だと私は思うのです。そこで、同和部落の問題が具体的に関係してくるわけでありまして、私は、根本のところに、その認識がまだ少々足らぬなという不満が実はあるのです。しかし、それはそれといたしまして、人権という問題は、すべての国会の活動でもよく考えていただく、審議活動でも考えていただかなければいかぬと思うことがあるのです。  それはそれといたしまして、具体の問題は具体の問題としまして、御承知のようにいろいろあります。いまの同和問題などについても、地名総鑑が次から次と出てくる。いかに商売だからといって、もうけになれば何ぼでもああいうものを出す。八種類か九種類か出ているというような話ですな。そういう具体の問題は、具体の問題として考えていくというしかないと思うのでありますけれども、お気づきの点があったら、われわれの方にもどんどん注意して、教えていただきたいと思います。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 所信表明の中にも、啓発とか宣伝とか、そういう点を十分徹底していくということをお述べになっておるわけです。  そこで、同和対策特別措置法も三年延長ということが決まったわけですけれども、この法律ができた四十四年には、物と心と両方の面を十年間で完全に解決するということが基本になってスタートしたわけですが、それがことしの一月いっぱいで切れてしまうということで、昨年延長ということになったわけです。ですから、その三年の間に実態を十分に調査して、さらに延長すべきものであるかどうか、どの程度徹底ができたか、あるいは物の面で対策が十分行われたかどうかという点を検討していただくということなのですけれども、また今度それをひっくり返して見れば、三年間で、残っている内容のものを全部やってしまうということに当たることにもなりかねない内容を持っておるわけです。  そういうことになりますから、いわゆる差別問題につきましても、特別措置法の内容につきましても、三年間で、法務行政の中で受け持たれる分野を徹底して解決の方向あるいは問題がなくなる方向に向かって、十分やっていただかなければならないわけで、また要求する側でも、三年間というものをめどとしながら政府なり各行政機関に要求していきますから、そういう点もひとつお考えの中に入れていただいて、これからの行政に対処していただきたい、こう考えるわけですけれども、いかがですか。

古井喜實自由民主党法務大臣

○古井国務大臣 お説全くそのとおりに思いますが、あなたも同和部落や同和問題はよく御承知だろうと思うのですが、私はよく知っておるつもりでおるのです。一緒に暮らしたり歩いたりで、幾らも知っておりますよ。歩いてみても、見た目では、物質的には、同和対策として施策が相当発展しましたよ。御承知のように、本当に十年前とはまるで変わったぐらいによくなっているところが相当多いですね。  だからといって、全部済んだのじゃないから、そういう方面も足るか足らぬか、これからの期間によく検討してみて、足らなければまた延ばしていくことを考えなければいかぬだろうと思いますが、われわれの関係します法務省関係の方は、三年や四年でピリオド、そういうやさしい話とは私は思っていないのです。考え方、精神的な方面においてもこの問題が解決されないと、どうにも本当の解決になりません。  これは時代で大分変わってもきました。このごろの小学校の生徒やあるいは高等学校程度は、昔の年とった人間とだんだん考えが変わりましたよ。時代というのは恐ろしいものです。そういう時代の変化も見ながら、物質的のみならず、本当に同和問題の差別が消えてしまう、そういうところを目がけて努力していくべきものだろうと私は思っております。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 大臣は鳥取の方ですから、よく御存じでしょうが、進んだところと、おくれているところとの格差ができているのですね。全然ないところに、案外問題があったりということがありますので、大臣がおっしゃったとおり、物の面で進んでいるということが目につくところもあると思うのですけれども、そうでないところも、まだこれから出てくるところもある、こういうことになります。  大臣がおっしゃったとおり、全く同感で、物の面はある程度のことをやっていけば解決できるものもあるわけですけれども、心の面という問題になってくると、これは一朝一夕に片づく問題じゃなく、なかなかむずかしいということが含まれておりますから、お願いしなければいけないわけですけれども、さりとて、これはなかなか解決できるものじゃないといって野放しにしておくと、永久に解決できないということになるわけですから、その点も十分御考慮していただいて、今後の対策を立てていただきたいと思います。  所信表明はそれぐらいにいたしまして、あと法案の方に入りたいと思います。  裁判所職員の増員についてですけれども、今度四名の増ということになるわけですけれども、四名増員の内容について、簡単にお話しいただきたいと思います。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問の四名増という趣旨は、ちょっと理解しかねたわけでございますが、今回の増員は、裁判官が判事でございまして合計五名、それからその他裁判官以外の裁判所職員が十二名、合計十七名ということでございまして、その内訳といたしましては、お手元に差し上げてございます法律案関係資料の第十五ページのところにございますように、裁判官につきましては特殊損害賠償事件、差止訴訟事件、新東京国際空港関係事件の処理等に必要な人員ということでございますし、一般の職員といたしましては、書記官が八名、事務官が四名でございますが、ただいま申しました裁判官の増員理由と同じような事件の処理のため、その他調停事件、交通事件等の処理に必要な人員ということで、増員をお願いしている次第でございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 今度の増員は、主として地方裁判所における特殊損害賠償事件、差止訴訟事件及び新東京国際空港関係事件の迅速な処理を図るために判事の増員を図った、こういうことになっているわけですけれども、素人考えでは、特殊損害賠償事件とか差止訴訟とかというのはなかなかわかりにくいのですね。これは活字になるわけですから、一応国民の皆さんが読んでみて、ああそうかとわかるような御説明をしていただきたいと思うのです。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 まず、特殊損害賠償事件というものがどういうものかということから、ごく簡単に御説明申し上げますと、二十五ページに事件数の表が出ておりますが、その内訳として「公害」と「その他」というふうに分けておるわけでございます。  この特殊損害賠償事件と申しますのは、公害によって損害を受けた場合——公害と申しますのは大気の汚染でございますとか水質の汚濁でございますとか日照、騒音、そういうようなものがございますが、そういうものに基づく損害賠償。その他という中には医療過誤、薬品に基づく損害、労働災害、欠陥自動車といったような、いろいろなものを含んでございますが、そういうものによって受けた損害の賠償を求める事件ということでございます。  差止訴訟というものでございますが、この差止訴訟につきましては、次の二十六ページに事件数が出てございます。これは内訳は特に書いてございませんが、特殊損害賠償事件のところの公害というもの、損害賠償の方は公害によって損害を受けた場合に、事後的にその損害賠償を求める訴訟でございますが、差止訴訟は、その公害の原因たる行為がなくなるように、あらかじめ差しとめを求める、そういう種類の訴訟ということに相なるわけでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 それがいろいろなところから訴訟が起こってくるわけですね。刑事事件の訴訟もあるでしょうし、民事の損害賠償ということもあると思いますけれども、そこで新聞を読んでみますと、   専門用語がポンポン飛び出して、科学論争が展開される光景はもはや珍しくなくなった。そして「水俣の原因は水銀か」「イタイイタイ病の元凶は、カドミウムか」「スモン病の原因はキノホルムかそれともウイルスか」「原子力発電所は果たして安全か」……など裁判の主要な争点が科学的、専門的な問題という訴訟も少なくない。こうした専門分野には裁く裁判官も素人なら、弁護士もまた門外漢。自分で文献を集めて知識を得たり、専門の学者を呼んで講習会を開いたり、被害者の経験を調査検討するなど「公害、薬害事件を担当している弁護士に苦労話は絶えない」 これは、日弁連の公害対策委員長がお話しになっているわけです。また   民事訴訟の中心はあくまでも損害賠償事件。この損害賠償で基本ともいうべき金銭賠償の原則がくずれ始めたのは四十四年末に大阪空港の騒音に悩む住民が国を相手に金銭賠償とは別に、同空港への夜間発着の禁止を求める訴訟を起こしてから。同訴訟をきっかけにそれまでの四大公害裁判などのように金銭賠償を求める訴訟から一歩進んで、北電伊達火力発電所建設差し止め、近鉄藤井寺球場のナイター用改装工事差し止め、四国電力伊方原発の建設差し止め——などの「差し止め訴訟」が相次いだ。   こうして大きな民事裁判の主流は公害訴訟を中心に環境権を前面に掲げ、「被害が発生してから損害の賠償を求めても元の健康な身体や住み良い環境は戻ってこない」として、訴えの内容も公害の発生を未然に予測して公害発生源の施設そのものの禁止を求める「予防訴訟」「差し止め訴訟」へと移りつつある ということで、   大雨で堤防が決壊して家が流されても、子供が道路の穴につまずいて大ケガをしても、昔なら「お天道様のせいだから仕方がない」「運が悪かった」とあきらめていたのが、「国や市の管理が悪い」と損害賠償を求め、何でもかんでも裁判に持ち込む風潮の中で、裁判に持ち込むことそれ自体に”アドバルーン的な効果”をねらったとしか思われないケースも出てきている。 こういうふうな内容、これはそちらがおっしゃるようなことを、時間の点でこっちで勝手に読み上げてみたわけです。  そこで、五人増員なさって、全国でどういう形で五人の方が担当していらっしゃって、何か起きたら、そこへ飛んでいかれるのか、あるいはいらっしゃるところへ事件を呼んでくるのか、そういう具体的なことがわからないわけなんです。  それからまた、いまからそういうことを養成して専門的におつくりになるのか、すでに勉強してでき上がった方が五人いらっしゃって、それをそこへ充足するのか、そういう点も内容がわかってないわけです。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 ただいま沖本委員御指摘になりましたように、差止訴訟、有名な訴訟をとってみましても、単に一カ所に起こっているわけではございませんで、各地方裁判所、高等裁判所にも一部控訴してまいっておりますが、いろいろな裁判所に起きてきておるわけでございます。現在、それぞれの裁判所において事件の処理に一生懸命になっておるわけでございます。  今度の五名の増員は、ある特定の裁判所に、その人員をすぐに増ということでもございません。もちろん具体的には、その増員になりました裁判官が、まだ決まっておりませんが、どこかの裁判所へ行くわけでございますが、裁判所全体としての差止訴訟の審理の充実強化を図る、適正、迅速な裁判が行われるようにするという意味で増員したわけでございます。したがいまして、この五名の裁判官について差止訴訟についての特別教育を施して、どこかの裁判所へ持っていって、そこの裁判所で集中してこの事件をやる、そういう意味合いのものではございません。  各裁判所におきましては、いま仰せになりましたように、差止訴訟事件につきましては特に科学的な知識等も必要でございますし、なかなかむずかしい事件でございますので、これは今度新たに増員になりました裁判官というだけではございませんで、各裁判所でこの差止訴訟、特殊損害賠償事件等の事件を担当しております裁判官は、それぞれ参考資料等をも十分に見まして勉強もしておりますし、最高裁判所、高等裁判所等で協議会とか研究会というようなものを設けまして、そういう知識を裁判官が保有できるような機会も設けておりまして、現在事件を担当しております裁判官が、それぞれに、その事件の処理に必要な科学的知識等の修得は怠らないようにやっておる、そういうことに相なるわけでございます。  ちょっと御説明が十分におわかりいただけたかどうかわかりませんが、一応そういう形になっておるわけでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 では、現状その五人の増員で間に合うのか、予算の関係でとりあえず五人だけふやしておくということで、五人を増員されたのか、あるいは、これは地裁ですから、判決が気に入らないということで、今度は高裁なり最高裁なりに持ってきたときに、そこでは御専門の方は御必要ないのかどうかという点も疑問なんです。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 この五名の裁判官は、一応それぞれいろいろな事件の処理ということで予算の概算要求をいたしまして、合計五名ということでございますが、その内訳といたしましては、十五ぺ−ジにございますように、特殊損害賠償事件の処理で二名、差止訴訟事件の処理で一名、いわゆる成田事件の処理で二名、こういうことで五名ということになっておるわけでございまして、これで十分かというふうにおっしゃられますと、理想的な形を描きます限りでは、これで十分で、もう必要はない、そういう意味のものではございません。  ただ、沖本委員かねてから御承知のように、裁判官については給源の問題もございまして、最近しばらくの間は、判事は、増員いただきましても実際なかなか充員ができないというようなこともございまして、昨年までは判事補で増員をお願いしておったわけでございますが、今年におきましては、判事の充員も可能であるということで、判事五名の増員という結果になったわけでございます。  そういうことで、この五名で十分足りるというわけではございませんが、現状におきましては、五人を増員するということによりまして、これらの事件の処理について、いまよりは一層迅速な裁判が図られるようになるだろう、そういう意味合いのものでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 後でも時間があったらお聞きしたいとは思っておりますけれども、そのことよりも、大平総理大臣がおっしゃった安上がりの政府ということに縛られてしまいまして、その辺で思うようにちっとも人をふやすことができない、むしろ、ほかの方では減員が起こっておるわけですね。  そこで、これは「ジュリスト」の「「迅速な裁判」と裁判の適正」、こういうところに出ておるのですけれども、   臨時司法制度調査会の意見書は、負担を軽減して審理期間を半分に減らすためには、五七〇名でしたか、裁判官の増員が必要であると言っいた。ところが、それから一一年になりましょうか、ふえているのは百数十名でしょう。しかも、二五六もの裁判官不在庁がありながら、欠員が慢性化しているという状況では、裁判官不足は明らかな事実なのです。   民事事件、労働事件などで、半年に一回ぐらいしか証人尋問が行われないというようなところもあり、権利救済が実際上非常に遅れている。それこそ遅過ぎた裁判です。しかし一方、たとえば交通事件などでは三〇分刻み、一時間刻みというような形で審理を全部終結していく。その中で果たして自分の言いたいことを聞いてくれているのだろうか、これで公正な裁判が期待できるかという、どちらかと言うならば、「迅速過ぎる裁判」に危惧を感ずるといったような面もあります。 これは飛び飛びに申し上げておるわけですけれども、   現在の状況を考えるとき裁判官不足という事実を無視できない。   実際には五〇%以上の事件が三カ月以内に処理されているわけです。一年以内で終わる事件というのは九五%前後でしょうか。そして通常の事件は三、四回の開廷日数で判決になっています。 こういうことです。いまおっしゃったのは弁護士の中田さんです。   むしろ最初からたくさんの審理時間が必要になることがわかっている事件を月に一回しかやらないというところの方が問題ではないか。たとえば証人が一〇〇人いる事件を一ヵ月に一回しか開廷しないというやり方自体に問題があるのではないかというように考えています。 これは押谷さんという方がおっしゃっているわけです。もとへ戻りますけれども、集中審理という点から、   現在の裁判穴の陣容では、一カ月に一ぺんとか二カ月に一ぺんとかいうように、「月賦方式」で事件をまわすほかないわけですね。そこで、このペースでいいのだと現状維持の説明をされることになる。   連続開廷をして、集中的に一日なり二日なりフルに使うということになると、いまの裁判官の数ではとてもやっていけないと思います。もっとたくさんの裁判官が必要でしょう。たとえばドイツあたりで集中的にできるのは、裁判官が一万人もいるからです。その意味で、「迅速な裁判」の問題は、先ほど中田さんから御指摘のあった、裁判官の数がいま足りているのかという根本問題につながっていく、 こういう点ですけれども、その反論として、裁判官をうんとふやすと、法廷の数もうんとふやさなければならぬし、検察官もまた倍になっていかなければならぬ、こういう連鎖的な問題があるということも考えられるわけですけれども、こういう月賦方式とか——迅速な裁判ということをかねてからうたっていらっしゃるわけですが、いま申し上げたような点について、実際には、どういうふうにお考えになって、これからの対応をしていかれようとお考えなんですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 裁判官の不足の問題は、かねてから各方面でそういう御意見がございまして、ただいまお読み上げになりました臨時司法制度調査会の意見書の中にも、裁判官の増員についての意見が出ておるわけでございます。もっとも、この臨時司法制度調査会の意見書は、すぐに増員をということではございませんで、たとえば手続の合理化でございますとか、裁判所の事務処理体制の合理化というものを図った上での増員ということを言っておるわけでございます。  それでその当時、審理期間の半減、それから合議率の倍増というようなことをするためには、いまお話がございましたような人員が必要だというふうな意見も出ておるわけでございますが、その臨司意見以後現在まで、それではどれだけ増員になったかと申しますと、裁判官だけにつきましては、約二百名の増員になっておるわけでございまして、必ずしも、先ほど来申し上げておりますように理想形ということは言えないにいたしましても、それはそれなりの成果があり、裁判所の方も、そういう意味で努力を続けてきておるわけでございます。  それでは、現在の人員でどうなるかということにも相なるわけでございますが、事件の方が質、量ともに変動いたします関係で、どれだけあればいいのかということは必ずしも言えない面はございますが、それだけの増員がございましても、事件数で言いますと、たとえば四十九年ごろまで数年間、事件が全体として少し減ってきておりまして、その後事件がふえておるという傾向がございます。一方、訴訟の審理期間を見ますと、十数年前に比べますと大分長期化しておりますが、ここ数年を見ますと、ずっと審理期間は短くなりまして、速くなってきておるというふうな傾向でございます。  いろいろな事情を考え合わせてみますと、裁判官が現在のままで十分かと言われますと、胸を張って十分だというふうに必ずしも申し上げにくい面はございますが、だからといって、裁判官を増員したから、いまお読み上げになりましたようないろいろな問題が解決するかと申しますと、必ずしもそういうわけではございませんで、今度の定員法の中にも出てきております特殊損害賠償事件とか差止訴訟事件というような事件がございますが、これは最近の社会情勢、経済情勢を背景として出てきた問題でございまして、当事者の利害の対立も非常に大きくなってきております。多くの争点を掲げまして、その争点については絶対争うという当事者の態度なんかもあるわけでございます。  そういうようなことをいろいろ考え合わせますと、裁判官の増員ももちろん必要であるかもしれませんが、それ以外のいろいろ解決しなければいけない問題があるわけでございまして、裁判所といたしましては、そういう方面にも鋭意努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 事件が多過ぎるので、処理の仕方として下級裁判所におろしていくという議論もあるわけです。  だから、いわゆる公正な裁判を求める国民の側からすれば、十分の裁判官がいていだいて、そうして十分瀞理をしていただき、検討していただいて、公正な裁判を求めるのが国民の要望なんですから、それは本音から言うと、もっと欲しいのだけれども、現状ではやむを得ぬから、結論すると、いまのままでがまんしてやっているというお答えになると思うのです。  たとえて言うなら、さっきのように、三十分とか一時間で上げていっている。実際、私も高等裁判所に行ってみましたけれども、とにかく行列して並んでおって、自分の順番を待って、ところてんみたいにすっぱすっぱ出ていくわけです。だから、あれで果たして裁判なのかどうなのかということが全く疑わしい状態なんです。交通事案が結局はまるで金で左右されていっているようなことで、本当に問題を起こしてはいかぬのだというふうな、国民的な物の考え方というものからはだんだん離れていっているということになります。ですから、道交法がぎゅっときつくなってくると、世間全般がうろたえなければならないというふうなことも起こってくるわけです。法律を守ることが大事なことなんだということよりも、法律を犯すようなことが通用しておったというのが道交法の内容なんですから、その辺も、交通裁判のあり方そのものも検討していただく必要があるのじゃないかというふうに考えられるわけですから、このくも十分お考えいただきたいと思うのです。  ですから、国民の正確さを求める問題に対しては、やはり充足していただくという方向で検討していただき、人員増加なり予算なりというものは、要求が通るまでやっていただくという形でやっていただかないと解決にならないと思います。  それで、同じようなことになりますけれども、裁判所の事務官が八名減員しておるということについては、政府の定員削減に協力する趣旨で減員しているということなんで、これは後の方を読んでみますと、検討すればまだまだ減員することができるということなんですけれども、果たして減員すること自体がほかの人にしわ寄せがいくのかいかないのかということにもなりますし、支障が起きないのですか、どうですかということになりますから、頭から政府が、安上がりの政府だということに裁判所も協力していますということなら、三権分立の司法権の独立というところからほど遠いような物の考え方みたいに私たちは考えるわけです。  それで、速記官そのものもずっと足りないままなんです。これは、昭和四十六年に私が同じことを聞いていることがあるのです。時の矢口人事局長もいろいろ弁解していらっしゃるわけですけれども、何分、速記官というのは、キーパンチャーみたいに頭の中で話を聞きながら数字で打ち込んでいかなければならぬ。なかなか技術が要るので、エリートというようなものを採るというのではなくて、そういう技術の熟練する人が必要なんで、なり手がなくて因っているんだということなんですけれども、その時分からいまに至るまで、この点は変わってないわけなんですね。  そういうことですから、また裁判官の休んでいらっしゃる方々とか、あるいは速記官の休職している方々の問題もあるわけですけれども、裁判官はとにかくとして、速記官の休職や事務官の休職の状況はどういうことなんでしょう。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 問題点が幾つかにわたっておりますが、前の方の部分について、私から申し上げたいと存じます。  裁判官の増員につきましては、先ほど来申し上げておりまするように、充員の関係があるわけでございます。最近、裁判官の充員も非常にできてまいっておりまして、だんだんと増員ができるという状況にも立ち至っております。裁判所といたしましては、今後とも増員については努力を続けるつもりでございます。  交通事件の処理のことをちょっとその際お触れになりましたが、裁判所は、それぞれの事件について、十分当事者の主張、立証を聞かなければいけないというのはまさにそのとおりでございまして、裁判所もその点については十分留意をしておるはずでございますが、ただ、交通事件等は全国で何十万、何百万件もあるわけでございますが、それぞれの犯罪が非常に定型的でございまして、基本的に十分主張、立証を聞かなければいけないということはそのとおりでございますが、事件の種類に応じて、やはりその審理方法にも差があるということにもなるわけでございまして、そこら辺のところはひとつ御理解をいただきたい、国民め皆さんにも御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それから、一般の事務官の三十一名の削減の問題でございますが、支障がないかどうかという問題にお触れになりましたが、裁判所は政府の閣議決定に拘束されるわけではございませんが、裁判所も、裁判事務をやっておるところではございますが、その裁判事務がスムーズに行われるための司法行政事務というのが一方あるわけでございます。司法行政事務は、しさいに考えますと、一般の行政事務と類似した面も一部においてはあるわけでございます。閣議決定に拘束されるわけではございませんが、そういう意味では、行政部門においては御協力するのが筋であろうということで、かねてから御協力をしてまいっておるわけでございます。  それで、家庭裁判所、簡易裁判所等では、支部では地方裁判所の支部と同じところにあるところもございますし、簡易裁判所で大きな地方裁判所とくっついた簡易裁判所等もございまして、そういうところにおきましては、行政事務をそれぞれ融通し合って、一括して行うというようなこともできるわけでございまして、その他いろいろの事務の合理化等もできるという部門でございますので、この削減によって裁判所の行政事務に大きな影響を及ぼすことはないというふうに、私どもとしては考えておるわけでございます。  以上、そこまで私からお答えを申し上げます。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 速記官の養成の問題でございますが、沖本委員から何回かにわたって御質問があった点でございます。  なり手がないのではないかという御指摘でございますが、四十九年までは内部採用を原則といたしておりましたけれども、内部からはなかなか適格者が得られないということで、五十年度からは外部採用に踏み切っております。裁判所の場合には、裁判所独自の裁判所職員初級職試験を行っておりまして、現在は約二十五倍程度の応募人員がございます。  それから欠員の問題でございますが、詳しく申し上げればよろしいかと存じますが、裁判所の速記官の養成が非常にむずかしいということを繰り返し申し上げておりますが、おいおい欠員の補充を行っておりまして、五十年度と五十三年度を比べますと、欠員状況が五十名ほど解消しているというふうに御理解いただきたいと思います。  それから休職者の実態でございますが、御承知かと存じますが、裁判官につきましては休職という制度がございません。五十三年の十月一日現在で、一カ月以上長期病休で休んでいる裁判官は合計七名でございます。それから裁判官以外の職員につきましては、御承知のように、休職は休職という発令がございますが、毎年五十ないし七十名程度の休職の発令がございます。全国で常時四十ないし五十名程度の休職者がございます。昨年の十二月末現在では、速記官には休職者はございません。  それから、加えて申し上げさせていただきますと、これらの一般職員の休職は、いずれも病気——私疾病、公務災害以外の病気等によるものでございます。公務災害に基づく疾病等を理由とする休職の発令は、現在のところございません。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 減員という点は、聞いていまして、どうもこれくらいは政府につき合っておかぬと後々都合が悪いから、この辺だけちょっとかっこうよくつき合っておこう、そういうふうな感じに受け取れるのですが、それはともかくとして、休職にいたしましても疾病の問題にいたしましても、勤務の内容そのものにしましても、下へ下へしわ寄せがいかぬようにお考えをしていただかぬと、名もなき人が一番しわ寄せを食っているということであっては、人権を一番重んずるところが、一番人権が軽んじられているということになったらいかぬわけですから、その辺はひとつ十分お考えになっていただきたいと思うのです。  まだ言いたいことはたくさんありますけれども、きょうはこれくらいにさせていただきます。

佐藤文生自由民主党

○佐藤委員長 次回は、来る三月二日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十八分散会

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