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87回国会衆議院1979/02/21

文教委員会 第3号

発言数
224
登壇者
14
会派数
5
開催日
1979/02/21

会議録

坂本三十次自由民主党

○坂本委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野寛成君。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 しばらく本委員会に失礼をいたしておりまして、大臣に改めてお目にかかる感じがするわけでございますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。  大臣の所信を拝読いたしまして、今日まで教育一筋に四十数年お取り組みになられました、その経歴を生かして、経験を生かされて、これからの日本の教育行政の充実のために一層努力していこうという御決意を読みながら、ぜひ御期待を申し上げ、また検討をお願いしたいと思うわけでございます。  「教育一筋に四十数年」と言っておられるのを見まして、私も、これじゃとてもじゃないけれども正直言うと太刀打ちできないかなと思いましたが、私の生まれる前からでございますので、本当に大変な御経験をお持ちでございますが、同時に、また、大臣の今日までのその教育に取り組まれた中で私みたいな者もお育てをいただいたわけでございます。中には、私を見て、やはりいままでの教育は間違いだったとおっしゃる方がいらっしゃるかもしれませんけれども、しかしながら、今日あることを考えますときに、むしろ感謝をしなければいけないかと思う次第でございます。  しかし、大臣御自身が触れておられますように、今日までの学校教育は本当に比類を見ない拡充を遂げたというのは一面の真理であり、かつ、解決すべき幾多の課題を抱えているということもまた事実であると思います。それがいかなるものかということをせんさくする必要はないだろうと思います。確かに国民の大多数がそういう実感を持っていることだけは間違いのない事実であろうと思うわけでございます。  たまたま、その中で、ことしが国際児童年に当たっております。日本も、いま、経済の問題から文化の問題に至るまで、国際社会の一員としての果たすべき役割りがますます大きく問われる、言うならば大人になった日本という感じが私はつくづくとするわけでございまして、その中で大臣もお触れになっておられますが、「国際的にも信頼と尊敬をかち得るたくましい日本人を育成する」ということ、いわゆる国際的な視野を広げつつ、かつ、未来を展望してこれからの教育行政がより一層充実されなければいけないということをまず冒頭に触れておられるわけでございます。  そのことについては同感でございますが、一点、その一つの国際的な区切りとして、またある意味ではスタートとして国際児童年というものがことし国際連合の場で指定をされているわけですが、実は、この所信の中にはそのことは一言も触れておられません。確かに担当は総理府というふうに聞いておりますが、この問題は文部省として無視することのできないもので、担当事務当局が総理府であったとしても、その精神的または実質的な中心となって取り組まなければいけないのは、それは所管はむしろ文部省ではないのだろうかという感じが私はするのでありますが、まず、そこからお聞きをいたしたいと思います。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 中野先生のようなりっぱな方が育たれたことを私は大変うれしく思うのでございますが、実は、ちょうど六・三制をやるときに私は英語を勉強しておったんですよ。当時国賊と言われたんですけれども、勉強したおかげで、司令部との折衝をいたしまして、最後に六・三制をどうしてもやれということでこれはやったんですけれども、私が一番困りましたのは、シャウプ勧告で全部金を取られちゃったんだ。一文なしで六・三制をやれと言うから、それは無理だと言ったんです。それで天野先生を助けて、ここにいらっしゃる坂田先生もお骨折りくださって、それで義務教育費国負担法が成立して半分、あとの半分を定数法で小中学校、高等学校をつくったので、小中高等学校が飛躍的に伸び、大学がいま非常に伸びたことは、教育が普及したことは私は非常にいいことだと思っている。  そういう意味で、日本は資源がなく、資源小国日本で、あるのは人間だけですから、いまあなたがおっしゃるように、これが国際的に信頼と尊敬をかち得るような日本でなかったら日本の未来はないと思う。そういう意味を考えまして、お話しのように、国際交流はやはり非常に大事なんです。  幾つかの問題点を取り上げましたが、私は、国際交流もこれからの大きな課題だと思って、特に国際児童年でございますから、これは総理府が中心でございますけれども、文部省としても合唱団を送るとか、あるいは向こうから舞踊団を招くとかして、子供たちのときから仲よくして、日本という国はすばらしい国だという国際感覚を向こうにも持ってもらいたいし、それから日本人にも外国人に対して何か親しみを持たせることが大事だと思って、国際児童年に際しまして文部省としてもできるだけのことをやりたいと思っていますが、やはり総理府が中心でございますから、総理府と協力してしっかりやりたいと思っています。  どうぞよろしくお願いします。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 たとえば舞踊団の問題だとか、国際交流の一形態としてのそういう問題も私はわかりますけれども、そういう二、三の問題——実は、文部省予算の中を見ましても、いま大臣がおっしゃったような部分しか出てこないんですね。本当は国際児童年というのはもちろんそういう事新しいことだけでやるものではなくて、たとえば老人の日だけ老人を大事にすればいいというものではないのと同じように、常に真剣に前向きに教育そのものが全体として取り組まれなければいけないことはよく承知をいたしておりますけれども、しかし、文部省としての意気込みをこういう中で示していくために、大平総理の所信の中にも文化の問題、教育の問題がかなり強調されているが、そういうときに教育に対する基本的な意気込みというものがこういうものにおいてももっと表現されてしかるべきではないか。また、もっと取り組まれてもしかるべきではないかという感を私は持つものであります。  きょう、私は、大臣の所信そのものが多岐にわたっておりますからすべてに触れたいわけでありますが、時間の関係でそれがとてもできませんので、いわゆる児童憲章に制定されていますところの、「児童は、人として尊ばれる。児童は、社会の一員として重んぜられる。児童は、よい環境の中で育てられる。」という、この言葉にあらわされた内容を中心にして、むしろ小中学生の問題を中心にお尋ねをしたいと思いますが、ぜひとも私のその趣旨を踏まえてこれからのお尋ねにお答えをいただきたいと思うわけでございます。  さて、きょうは総理府からもお見えいただいておるわけでありますが、国際児童年の意義と、そしてこれから取り組まれようとしております内容のうち主な基本的な問題について御説明をまずいただきたいと思います。ただ、時間の都合で短時間でお願いできればありがたいと思います。

加藤栄一青少年対策本部参事官

○加藤説明員 それでは、御説明申し上げます。  国際児童年は、国連で児童権利宣言が採択されましてから二十周年にことしが当たりますので、それを記念して設けられたものでございますが、国際児童年の目的としましては二つございまして、第一は、児童の福祉の必要性につきまして社会の関心を高めること、第二は、児童のための施策というものは経済、社会の発展にとって不可欠の要素であるということの認識を社会の中で高めていくこと、この二つが国連で示されております。  わが国におきましては、もとより児童の行政につきましては関係各省多岐にわたっておりますが、総理府におきまして、国際児童年事業の円滑な推進を図ってまいりますために国際児童年事業推進会議というものを設けまして、各省の代表の方とそれから民間の有識者の方にお入りいただきまして、その円滑な推進調整というものを御審議いただくということにいたしておりますが、具体的な進め方につきましては、昨年の七月に国際児童年事業の推進方針というものがこの会議で決められておりまして、それには三つの柱を立てております。  第一が、児童の福祉についての国民の認識を高めるための啓発活動を実施していくということでございまして、これは各種の記念行事あるいは国民に対する広報活動というものを行っていくということでございます。  第二は、児童に関する国内施策の充実でございまして、これは心身障害児に対する対策でありますとか、母子保健対策でありますとか、あるいは児童のための施設の整備といったものをそれぞれ各省において進めていただくということでございます。  第三は、児童に関する国際協力の拡充ということでございまして、これに基づきまして、国連の児童福祉基金、ユニセフへの拠出金の増額等を考えていただくということでございます。  この三つの柱を中心にいたしましてことしの事業を進めていただくということになっております。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 国際児童年の意義について、三つの柱について御説明をいただきましたが、その中で、児童の福祉についての啓発活動については、特に国内の問題として大変重大だと私は思うのです。  総理府も確かに、青少年の育成やそしてまた非行防止その他について心を配っておられますが、ちなみに、いまの子供たちを取り巻く状況というのはどんなものだろうかと並べ上げてみますと、たとえば自然破壊、環境破壊、公害による子供たちの健康、安全の阻害、地域社会の連帯感の欠落、遊び湯の不足、不良出版物のはんらん、誤った性の解放、そして学歴偏重の社会的風潮、塾通いの子供の増加、偏差値テストの費用による父母の教育費負担、それから学校教育の場では、教師の責任感、教師に対する信頼感等の低下による教育の荒廃、落ちこぼれ、こういうふうに新聞のタイトルをちょっと見ただけでもずいぶんと並ぶものでございます。これらにつきまして、やはり、教育の基本的な問題として一つ一つ取り組まなければいけない。そしてそれはもちろん文部省だけではなくて、また総理府だけではなくて、全国民的なものとして考えなければいけない。  私は、事ここに至れば、全国民の教育に対するコンセンサスづくりというものは本当に大切なものだと思うのであります。ややもすると学校に子供を捨て子をする、そして学校が頼りにならなければ塾に捨て子をする、子供を回してしまう、と、そういうふうなことがよく言われます。私は、これは大変情けないことだと思うのであります。そういう意味で、学校、家庭、社会の本当にスクラムを組んだ教育に対する気持ちというものは大変大切であります。  たしか、大臣は、以前教育憲章的なものの設定について御提案をなさったことがおありのように記憶しているわけでありますが、私も昨年来この委員会の席上で申しましたが、教育基本法もなるほどいろいろな問題について指摘をし、本当によくできていると思いますが、しかし、大変表現もむずかしゅうございます。また、精神的なものだけではなくて手続的な部分に触れられている。ですから、読んでも大変おなかにもたれる感じがいたしまして、おなかがふくれる感じがするのですけれども、それがもたれて消化不良を起こすという感じがするのであります。  私は、教育に対して、これからの日本の教育は国民みんなでつくっていきましょう、そしてそれはもっとわかりやすいものにして、折に触れて、家庭で、社会で、職場で、みんなの気持ちを一つに溶け合わせた感じの中でつくり上げられるものにしょう、そういうものがやはりあった方がいいのではなかろうかと、このような気がするのであります。ただ、それをつくるときに、総理大臣の選挙対策的スローガンもしくは文部省でお仕着せ的につくられたりするようなものではなくて、国民各界各層の皆様方の代表によって、国民みんなが参加したという気持ちの中でそういうものがつくられるならば、そのプロセスもまたきわめて大きな意味を持つし、でき上がったものの意味も大変大きいのではないかと私は思うのであります。  その辺、今日まで大臣が折に触れておっしゃったことは、時にはこれが教育勅語論争になってみたりする部分がありましたけれども、私は教育勅語を歴史の一書物としては知っておりますけれども、教育勅語を学校で習った世代ではございませんので、知りませんので、そういう意味で、それに対する偏見も何も持ちません。ただ、その真意は別にして、そのことが軍国主義教育的な部分に利用されたという歴史は知っております。しかし、いま教育勅語論争は別にいたしまして、本当に国民のコンセンサスをわかりやすくつくり上げるためにどうしたらいいか。そのことについての大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 中野先生の御意見はまことにごもっともでございます。  私は、実は、これは学校教育だけの責任じゃないけれども、いまの子供はかわいそうだと思うのです。塾が繁盛しておって、本当に子供はかわいそうだ。これは一つはやはり試験地獄に悩まされているのかもしれませんけれども、自殺者が出てきたり——本当に日本の宝は子供ですから、子供を健全に育てたいというのが私の本当の気持ちです。  そこで、子供を育てるには確かに社会的な環境が大きいと思うのです。しかし、直接は学校の先生と親、家庭だと思うのです。やはり、家庭がしっかりしていなければいい子供は育たないと思うのです。学校の先生が本当に子供に愛情と信頼を持って子供を育てていただくことが大事だと思うのです。ところが、私が見ておりまして、学校は学校、家庭は家庭、社会は社会で、みんなてんでんばらばらではいい教育は育たない。やはり、学校、家庭、社会を通じて共通の価値観があるといいなというのが私の願いであります。  いまお話しのように、教育基本法も一応全部書かれておりまして、あれはあれでりっぱにできておると私は思いますけれども、何か抽象的で、いまおっしゃるように、親も子供も学校の先生も社会も共通の価値観を持って子供を育てるという点で何か物足りないものを私は感じたのです。そういう意味で、できたら教育憲章みたいなものがあった方がいいなあという感じが私はしたわけなんです。  ですから、私は、いま具体的に案を持っておりませんし、そういう大きな問題ですから今後慎重に検討したいと思いますが、御趣旨のように、これは文部省の官僚がやるとかだれかがやるというようなことではなくて、国民の総意でないと教育的な影響力というものはないと私は思うのです。それで、みんなで子供を育てるという基本認識がやはり大事だと私は思うのです。その点は先生と全く同感でございます。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 本当に長年教育界にあって経験を積まれた大臣が、その問題について案は持っていないとおっしゃられるが、それはそれでいいのではないかと私は思うのであります。むしろ、私はこういう案を持っています、文部大臣になった機会にこういうものを発表したいと言われたら、これはまた大変な論議を呼び、また大変な誤解を生むことになるでしょう。むしろ、いま大臣がおっしゃられた御決意の中で、その手続を具体的に踏み出すことだと私は思うのです。  そういう意味で慎重に検討したいという御答弁が今日までの本委員会では行われたと思うのですが、せっかくこの問題について積極的に前向きな姿勢をお持ちの大臣か、具体的な手続に大臣の任期中に踏み出すという御決意がおありかどうか、そのことをまずお聞きいたしておきたいと思います。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 できたらそういうものはあった方がいいなという気持ちなんで、次代を担うのは青少年ですから、その青少年を親がどういう気持ちでどういうふうに育てるか、学校の先生がどういう気持ちで育てるか、子供自身はどういう気持ちでそれに応ずるか、できれば共通の価値観が欲しいなというのが私の願いなんです。  おっしゃるようになかなかむずかしい問題ですから慎重にやりたいと私も思いますが、むしろ御信用いただきたいと私は思っております。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 大臣に、欲しいなという希望を持っているとだけお答えいただかれますと、本当に私どもはどうしていいかと思うのです。確かにいろいろな機会に同じような意見が国会の各委員会で、また各党から、そしてまた社会の中の各界から出てくることが望ましいでしょうけれども、しかし、そういうものに対する音頭取りになり根回しというものはやはり大臣が中心となってやっていただくというのが筋ではないか。きっかけづくりというのはどうしてもだれかがやらなければいけません。そういう意味で、大臣の働きかけというものが大変大切なんではないだろうかと思うのであります。  たとえば、その方法については、それが民主的であるとか、全国民的な中から生まれたとか、そのプロセスについてはいろいろな方法があるだろうと思います。たとえば私どもも、そのことだけではありませんが、教育の中立性を守るために、司法、行政、立法と並んだ第四権としての中央教育委員会の提唱等をもう数年前からいたしております。また、中央教育審議会を設けたらどうかという御主張があることも承知をいたしております。そういうものをつくっていくためのワンステップとして、各界の皆さんが参加して、教育に対していろいろな意見をまとめ上げ、つくり上げていく。そのために一つの、たとえば教育憲章的なものを話題として論議がなされる。これは私はことしが国際児童年だから言うわけではありませんが、しかしそれも一つのきっかけが必要ですから、そういう意味では大変いいチャンスではないかという気がするものですから、あえてしつこくお尋ねをさせていただくのでありますけれども、大臣にむしろもっと前向きの御答弁がいただけないものであろうか。  今日までの内藤先生の個人的御見解がかなり印象に残っているものですから、内藤文部大臣としても、あえてそのことの積極的なお取り組みの姿勢をお示しいただきたいという、こういう気持ちで重ねてお尋ねをさせていただくものであります。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いろいろと御忠告をまことにありがとうございます。  ただ、文部省として、現在せっかく指導要領を改定いたしましたので、指導要領が本当に教科書にも出るし、まず、しっかり地につくようにしたいというのが私の願いでございます。  それから、いまお話しの価値観の問題は、共通の価値観をできればつくりたいなというのが願いでございますが、これにはおっしゃるように民主的な手続、各界各層の人の御意見をまとめなければいけませんのでなかなかむずかしい問題でございますが、私も及ばずながら努力させていただきます。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 いわゆる産業と学問を決して混同して考えてはなりませんが、少なくとも今日の資源のない国としての日本が国際社会の中で生き延びていくためにも、国際分業の問題とか、産業構造の転換に伴う教育の構造転換とか、いろいろなものがこれから出てくると思います。国民の各界各層の意見が、あらゆる知恵が教育に対して集中的に寄せられることかいま必要な時期であり、そしてそれは決して一刻たりともおろそかにしてはならない時期ではないかと私は思いますので、大臣に、いまの御決意をより一層ふるい立たせていただきながらお取り組みいただくことを私はお願いしておきたいと思います。  さて、昨日の新聞で、総理府総務長官の私的諮問機関ですか、「青少年の自殺問題に関する懇話会」というものをお設けになるようなことが報道されておりましたが、これは本当に大変な問題であります。実は、私は、週末になって家へ帰りますと、私あての子供からの手紙日記が届けられるのでありますが、ときたま小学校三年の私の娘が、「お父さん、人間はどうして死ぬの」とこの前書いておりました。そして、「死ぬということについて考えて、夜、それがこわくて眠れないことがあります。」と私あてに子供が書いておりました。むしろ、小学生の死に対する気持というものは、自分の子供だから言うのではありませんが、自分自身の経験からしてもそういう感覚の方が正常であろうと思うのであります。しかし、死を余りにも軽々しくもてあそぶ傾向があるということは本当に大変情けない気持ちがしてなりません。  たまたま思い起こしますと、私も中学三年のときに校内の弁論大会に出場して優勝したことがありますけれども、振り返ってみますと、そのときにも私のテーマは「学生の自殺について」というのがテーマでした。自分のことを御紹介申し上げるのは大変恐縮なんですが、私はそのときにも言ったのですけれども、富んでいるからとか、また貧乏であるからというふうなことがそれに必ずしも関係するとは限らない。私は、当時、六畳一間でしょっちゅう雨漏りのする農家の納屋に七人家族で住んでおりました。それで、雨漏りがするとバケツとか洗面器とかをきょうだいみんなで運んで、いかにして雨漏りを防ぐかということをやった。そういう中で育ちましたし、学費から生活費から、中学生のころから自分でかせいだ経験がありますから、少なくともそういう中で私自身が自殺を考えたことは一回もありませんでした。  そして、いま振り返ってみると、自分はいまこういう勉強をして将来何になろう、こういうことをやりたいなという希望を持っていれば、その目標に向かってあらゆる困難を乗り切っていこうという気持ちが自然に子供の心の中に育つと私は自分でも信じております。すなわち、子供の生きがいというものがやはり必要なのではないのかという感じがいたします。総理府で「青少年の自殺問題に関する懇話会」を設けられるということですが、本当に遅きに失した。しかし、本当はそういうものさえ設けられないで済むに越したことはない。  そういう事態を考えるときに、大臣はこういう現象についてどういうお考えであるのか、また、総理府はその懇話会をどのような運営をなさるのか、このことについてお聞きをさせていただきたいと思います。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いま中野さんのおっしゃるように、子供たちが希望を持つことが非常に大事だと私は思います。私も小学時代を思い出しますと、自殺なんて考えたことがなくて、やはり、希望に燃えていると生活に張りが出てくると思うのですね。ですから、これも確かにお話のように子供たちに希望を持たせることが大事だと思う。  ただ、私は、いまの社会を見ておりまして、あの試験地獄を見ておりまして、何か少しかわいそうな気がするので、そういう問題も、やはりこれは改善の一つだと思う。  それからもう一つは、やはり家庭だと思うのです。家庭があなたの育たれたような家庭だといいと私は思うのですけれども、このごろの家庭を見ていると、どうも家庭が何か欠陥があるのじゃなかろうかと思うのです。昔は大家族制度で、これはいい悪いは別ですけれども、みんな楽しくしていたのですが、やはり、そういう楽しい家庭が子供に影響するのじゃなかろうかと思うのです。  家庭の問題、社会環境の問題等いろいろありますけれども、一番大事なことは、先ほどおっしゃったように、子供が未来に希望を持って、そしてたくましい青年であることが大事だと私は思う。そういう意味で、親も先生も社会もみんなが子供を育てていただきたいと思います。

菊池貞二青少年対策本部参事官

○菊池説明員 先生の御指摘のように、最近青少年の自殺が相次ぎまして大きな社会問題となりましたことは、青少年対策に携わっておる一人としまして非常に憂慮しております。  青少年の自殺の原因とか動機とか、あるいはその背景につきましては、非常に複雑なものが先生の御承知のとおりございまして、その防止対策も容易なものではないことは十分認識しております。しかし、このような事態でもございますし、関係の省庁とも協議いたしまして、先ほどの先生のお話しのように、「青少年の自殺問題に関する懇話会」というものを総務長官の私的懇話会という形で開かせていただきまして、心理学あるいは精神医学とか、教育の実際の面とか、そういった多方面にわたって総合的に子供の自殺の原因というものを検討していただきまして、その検討の結果を踏まえまして、早期に検討の内容を整理いたしまして、施策の樹立あるいは今後の方向なりを考えてまいりたい、そのように考えております。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 効果がありますか。

菊池貞二青少年対策本部参事官

○菊池説明員 効果があるかというお話でございますが、私は、効果があるかないかということよりも、やはり、こういったことにつきましてはできるだけのことはしていくということが必要なのじゃないかと考えております。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 その意気込みがぜひ効果につながることを期待したいと思いますが、それが単にこういう人を集めてこういう論議をしました、こういう結論を出しました、そして文部省はこうしてください、警察はこうしてください、各家庭ではこうしましょうといっても、それが実施されなければ何の効果も生まれないだろうと私は思うわけであります。そういう意味で、むしろ今日までいろいろな方がいろいろな論議をされたと私は思うのです。今回も、そういう諮問機関がないよりはあった方がいいと私は思いますが、そして期待したいと思いますが、それが単にその機関を設けられた、懇話会を設けられた、そして政府はやったんですよといったPR的なことで終わってしまうことのないように心からお願いを申し上げたいと思います。本当に深刻な問題だと思うからであります。  総理府へのお尋ねは、せっかくお越しいただいたのですが以上で結構でございます。ありがとうございました。  そこで、あわせて文部省にお聞きしたいのですが、いま、大臣の御答弁の中で、家庭教育の重要性というものを大変強調されましたが、私は、まさに、特にお母さんの役割りは大変大きいと思うのです。私はきょうたまたま国会へ出てくる前にNHKのテレビを見ておりましたら、母と子の問題についていろいろな方々がお話をしておられました。たとえば上野動物園の管理係のおじさんがこう言っていました。一日に約百五十人から百七十人ぐらいの迷子が出る、そして、その迷子の子供たちにほとんど名札がつけられていない、名札をつけるぐらいのお母さんでしたら恐らく子供を見失うことはないでしょうけれども、しかし、現実はそういう姿だ、そしてマイクで呼び出して、お母さんがその迷子預かり所に来て、その五割以上のお母さんが子供に向かって、「あなた、何してたの」とまず最初にどなりつける、「お母さんが注意していなくてごめんね」と子供に謝るお母さんは一割いないと、こういうおじさんのお答えでした。そして、また、ある国鉄のおじさんが、駅でごみを捨てるときに、「駅員さんに見つかったら怒られますよ」と、子供たちにそういう注意をするお母さんが非常に多いという指摘をしておられました。家庭の教育は本当に大切だと思うのであります。  去年の話の蒸し返しで恐縮ですが、そういうお母さん方というのは実は私と同世代です。ですから、そのことを言われますと、何か自分に向かって言われるような気が私自身もいたします。実は、私は昭和二十二年に小学校へ入学したわけですが、われわれの世代というのは、戦後の混乱期の中で、内藤先生は御健闘中であったかもしれませんけれども、そういうしつけの問題だとか、そしてまた新しい日本国民としてのあり方だとか、そういう問題については実は学校でも家庭でも本当にまとまったものを教えていただいたという感じがしないわけであります。そういう世代がいま親になり、教師になっている。そこに大変迷いがあることも否めない事実だと私は思います。ですから、結局、学校の現場の先生方に対する再教育、そしてお父さん、お母さんに対する教育というものは本当に大事だと思うのです。  さて、それではそういうものをどう具体化していくかということなんですが、たとえば家庭教育について、両親教育の機会というものが何らかの形で確保されないだろうか。たとえば聞きますと、西洋諸国の中で、お母さんが妊娠すると母子手帳的なものをもらいに行くが、そのときには、教育有給休暇のまず出発点として有給休暇がとれて、そして交通費、地下鉄で行く人は地下鉄の切符代、車で行く人はガソリン代が支払われて、両親、つまり、新しく母親になる人と父親になる人がそろって出かけていって、そこで親になる心構えやまた生理的な問題やいろいろな問題が教えられる、また、お互いにそういう人同士で、アドバイザーのもとでいろいろな経験交流や議論がなされて、これからいよいよ親になるんだということの認識が高められていくという、こういう制度がだんだんつくられてきているということを聞きました。  そういうことだとか、またはたとえば働いているお母さんでも、子供さんが満一歳に達するまでは育児休暇をやる、それも有給もしくは国からの何らかの手当があって、生活的な面で苦労しないような方法をもって——その休暇か持てない、少なくとも満一歳にならないのに保育所かどこかに子供を預けるというような、そういう悲劇はやはりなくさなくてはいけない。満一歳になるまでの育児権というものはむしろ保障されるというくらいの前向きの姿勢というものが必要ではないのだろうか。または、たとえば高等学校くらいのときに、女生徒だけに家庭科の時間に育児の問題やその他のことを教えるのではなくて、むしろ家庭科という名前ではなくて、生活科みたいな形で、いわゆる家庭を持つ場合の心構えというものを男女両生徒に教えていくという時間もあったっていいのではないだろうか。  まだいろいろと御提案を申し上げますと切りがありませんけれども、そういうことを一つ一つ具体化させていく必要があるのではないだろうかと私は思うのでありますけれども、こういう提案に対してはいかがお考えでございましょうか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いまのあなたのおっしゃる御提案はまことにごもっともであります。ただ、終戦直後はみんな生活に困って、そして買いだめをやったりして、恐らく教育に専念できなかった事情があると私は思うのです。  しかし、その中でも中野さんのようなりっぱな方もお育ちなんだし、家庭教育は大事だと思うし、家庭教育で親がふだんからしっかりと子供のめんどうを見ることが大事だと思うので、そういう意味で御提案の趣旨はよくわかるのですが、具体的にどうするかについてはなおよく検討させていただきたいと思います。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 たとえば、先ほどの総理府の「青少年の自殺問題に関する懇話会」でもそうですし、それから大臣初め皆様の御答弁でもそうでありますが、私は、実は、こういう問題について問題認識を持っているという御指摘だけでは本当に心もとない気がする。これは私は決して不信感を強く持っているという意味ではありませんで、むしろできるだけ問題認識を御披瀝なさると同時に、その問題認識を解決するために具体的にこういうふうにしていくんだという御提案、またはこういう部分について前向きにこういうめどをつけながら審議をしていくのだという態度といいますか、前向きの御決意が欲しいわけであります。  いま私が申し上げたのも、単なる思いつきによる御提案かもしれませんけれども、しかし、これは、単にゆとりのある教育ということで学習指導要領をいじってみたり、またはその他の社会教育制度をいじってみたりということだけでは解決されない、もっと本当に新しい時代にマッチした教育はいかにあるべきかと、具体的にかつ基本的に論議されなければいけないだろう、このように私はつくづくと思うわけでございまして、ちょっと総論的なことばかりお尋ねいたしましたので、この辺でこの問題については終わらせていただきますが、大臣の御決意のもとにぜひとも力強く教育行政が進められることをお願い申し上げたいと思います。  さて、私は、子供たちが心身ともに健康であるということ、そしてそのために教育環境の場が保障されるということは大変大切なことだと思うのでありますが、こういう問題が起こっていることでちょっとお尋ねをさせていただきたいと思うのです。  それは学校の教育環境の問題でありますが、実は、「都心のミニ校奮戦記」という本を私が先日見ておりましたらこういう言葉が出てまいりました。これはある小学校の校長先生をしておられた方がお書きになった文章でありますが、「凍てつく運動場で」というタイトルですが、「本校の運動場は、冬の訪れとともに、全くといってよいほど、陽がささない。ビルに囲まれているからである。一、二校時は、霜が凍てついていて、なんとか運動場が使えるか、」——これは霜がいてついているから使えるというのですが、「気温の上昇で霜がとけ始めると運動場は一面、ぬかるみとなってしまう。気温が低いと、一晩でまた凝結するのだが、気温が下がらないときには、軟弱になったままの状態が続く。軟弱の度合によっては、運動場使用不能の赤い標識がでることもある。幸い、業間運動は、二校時のあとなので凍てついている時が多い。」と、こういう書き方であります。そして、この都会のビルの谷間にある学校では、子供たちに少しでも日が当たる時間があれば、そこに子供たちを連れていって、そこでなわ跳びをさせたり駆けっこをさせたり、それが授業中にそうなるとは限りませんから、いろいろ工夫をして、「幸い、業間運動は、二校時のあとなので凍てついている時が多い。」というふうな工夫がなされるということになるのであります。  これは決してこの一つの学校の特殊な例ではございません。私はここに幾つかの書面を持っておりますが、これは、実は、昨年、昭和五十三年九月一日に出されましたものですが、東京都文京区にあります区立真砂小学校の生徒さんたちが、「学校の運動場の前に高い九階建てのマンションが建つ、何とかこれをやめさせてください、それが建つともういよいよ運動場に日が当たらなくなるのです」という訴えを起こした。これは訴訟の控えであります。そしてこれは残念ながら、十分な裁判による結論を得られないままに、話し合いの中で、不十分なままに終わってしまいました。  いま私はここにもう一冊の書面を持っております。これはたまたま毎日新聞の大阪版ですが、大阪で、「学校から太陽奪うな」ということで、「マンション建築禁止訴え」という裁判を起こされています。これの仮処分命令申請書を持ってきておりますが、これは大阪市道仁小学校の例であります。これも、結局、北側に校舎を建て、南側に運動場を置き、そしてその周辺は、これは百何年たっている学校ですから、周囲の人たちができるだけこの運動場の周囲には建物を建てないでおこうということでやってきた。中には、自分の土地を、都心部ですから活用の仕方によってはもっと金もうけができるにもかかわらず、平地のままにして駐車場に使うとか、または建物を建てるときは一階建てか二階建てにするとか、そういうふうにして百何年間この学校を守ろうという努力がされてきている。  しかし、たまたまその一部分が人手に渡って、そしてそこでこれまた九階建てのマンションが建とうとしている。それが南側に建つのです。それができ上がると、この校舎とマンションの間にプールがあるのですが、四六時中そのプールに日が当たることはなくなってしまいます。特に太陽光線が欲しい冬場には校舎のほとんどに日が当たらなくなってしまいます。こういう状態の中で、百四十人の子供たちが、私たちの学校を守ってくださいといま訴訟をしております。  こういう問題は、実は、決して私がいま御紹介申し上げた三つの学校だけではありません。いま全国のあちこちでこの問題が起こっています。中には、そういう問題を防ぐために、水道の水を供給しませんよといってストップした市長さんがいることも御存じのとおりです。そのほかいろいろな自治体での努力もなされていますが、その自治体の努力だけでは及びません。これはやはり教育環境を守るために、国の立場からもっと包括的な基本的な対策が必要なのではないだろうかと私は思うわけでありますが、こういう事例につきまして、大臣の御所見をまずお聞きしたいと思います。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 やはり、子供たちを健康でたくましくすることが一番大事だと私は思うのです。そういう意味では環境をいかにして守るかということが大きな課題でございますので、いまお話しのように住民の皆さんが協力して守ってくださればいいけれども、しかし、そこにも限度がありますので、よく関係省庁と協議して学校の環境を守りたい。  やはり、太陽を奪ってしまったら子供たちは健康でなくなるだろうと思いますから、そういう意味において、文部省も関係各省と協議して学校環境を守るということで努力してみたいと思います。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 都心部は特に公園も少ない。また、必ずしも体育施設というものも充実をしているとは言えない。また、そういうものをつくろうとすれば大変お金がかかります。必然的に学校に期待する度合いがますます大きくなります。  学校の体育館を使い、プールを使い、運動場を使って、子供たちだけではなくて、もっと大きな青年たち、そしてまた一般の大人たちの運動の場としても期待をされているわけであります。まして子供たちにとっては、一年から六年までの六年間この学校で——こういうところは、東京の文京区でもそうですけれども、都心部にもかかわらず人口の流動がそれほどないところです。そうすると、そういうところで六年間日光に当たらないで子供たちは育たざるを得ないわけです。家に帰っても、家の近所で遊ぶ場所は、激しい交通状況の中ではとてもありません。学校しかないのです。そういうところで、文部省としても、各自治体と協力をしてその実態というものを十分調査をされて、そして教育環境を守る。それは決して学校教育だけではありません。これは社会教育の面でも大変重大な意味を持ちます。  その実態を踏まえられてどうか御努力をいただきたいと思うのでありますが、大臣の包括的な御所見がいまございましたけれども、これらの事例について文部省としては具体的にどのような掌握または調査がなされているのでありましょうか。また、問題意識をどのようにお持ちなんでございましょうか。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 先ほど大臣から申されましたように、文部省といたしましては、やはり学校の施設はよい環境に保たれることが必要であります。とりわけ日照の問題は、児童、生徒等が健康で明るい学校生活を過ごすために非常に大切な要素であるというふうに考えておる次第でございます。  学校施設をよい環境に保ちますためには、学校施設自体が具体的に適切に整備されなければならないわけでございますが、あわせて、学校周辺の住民等の理解と協力を得ることも基本的に大切なことであろうというふうに考える次第でございます。  そこで、現在、御指摘の日照の問題について、これを確保するためには、中野委員も御承知のように、建物の高さは建築基準法及び同法に基づきます地方公共団体の条例で制限されることになっておるわけでございますが、御指摘の大阪の道仁小学校の件につきましては、その法律が改正されまして、いわゆる中高層建築物の高さの規制がなされる以前に高層建築の計画がされたもののようでございまして、そして現在の状況といたしまして、私どもが聞いておりますところでは、今月中に四階までの躯体工事が修了するというような運びになっておるようでございます。当該建築の確認は五十三年の五月に行われたというふうに聞いております。  そこで、大阪市の教育委員会といたしましては、当該建築主に、学校環境を守るという見地から市長部局を通じまして交渉を続けてきたようでございますが、現在のところでは、建築主は、その建築自体はこの手続は適法に行われているということで譲らないという状況でございまして、御指摘のこの仮処分の裁判につきまして、二月中に裁判所が何らかの判断を示す模様でございますので、教育委員会としてはその結果を現在待っておるという状況であるというふうに聞いておる次第でございます。私どもとしては、当事者間の話し合いを詰めていただきまして、できるだけ円満な問題解決に至りますように期待するものでございます。  それから、今後の問題といたしましては、建築基準法なりあるいは環境の問題といたしましては、ほかにも都市計画法あるいは騒音規制法、旅館業法等、それぞれ関係法令があるわけでございますが、これらの規定がそれぞれの地域の実情に即しまして効果的に運用されることが必要でございますので、先ほど大臣からも申されましたように、関係省庁とも十分協議をいたしまして学校環境の確保に努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 円満に話し合いでとおっしゃられるのですが、利害が絡んでまいりますとそう簡単に話し合いがつくものではありません。現実に、今日までの段階では、百余年間にわたる学校の歴史もあり、そして周囲の皆さん方が自分が出た学校に対する愛着も持ちますから、できるだけその学校に悪影響を及ぼさないようにということで皆さんが努力をしてきた事実があるわけです。しかし、そういうことを全く踏みにじるように新しい業者がそこへ入ってきますと、それまでの地域住民の努力はもうもとのもくあみになってしまうという実態があるわけです。やはり法的な規制や、そして文教行政の中における、また町づくりの中における制度的な対策というものがどうしても望まれるわけでありますが、これは都市計画法等が改正をされる前に認可がおろされたようにお話がございましたが、それでは今後こういう問題は起こらないのでしょうか。  それから、また、新しい制度の改革が行われているという状態があるならば、その前にこの認可がおろされたとしたって、裁判所は新しい時代に対応した判断というものを今日までおろしてきたのが実情でありますが、そういうことを考えますときに、文部省の意向や、そして建設省の意向等はこれからの訴訟にさえ大きな影響を与えることをも考えますときに、私は、このような事例に対する文部省の積極的な御見解を重ねてお聞きをしたいと思うのであります。  その前に、これらの事例については、現在の法制度の中で今後再び繰り返されることはないのでしょうか。また、これを現在の段階で防ぐ方法はないのでしょうか。建設省の方からもお見えでございますからお聞かせいただきたい。

和田友一建設省住宅局市街地建築課長

○和田説明員 ただいまの文部省からの御説明にもございましたように、日照の問題につきましては、昭和五十一年の建築基準法の改正によりまして日照に関する制限が盛り込まれております。当時の改正の趣旨は、建築基準法全般にわたって言えることでございますけれども、都市計画との関連において日照を確保する必要のある、そういう地域について日影の規制をする、そういうようなかっこうになっておりまして、現実の地域といたしましては、住居専用地域とか住居地域とかというような住宅を主とする地域についての規制ということになっております。  先ほども申し上げましたように、建築基準法では各種の建物に対する用途上の規制とかあるいは構造上の規制というものをやっておりますけれども、その規制の根拠は、ただいま申し上げましたように都市計画上の観点からする制限ということになっております。ですから、個々の建築物等について出てまいります規制ということにはなじみにくいという点がございます。  先ほど御指摘のございました幾つかの事例につきまして私どもは詳細に状況を把握しておるわけではございませんけれども、それぞれについて条件が違うようでございます。  いま申し上げましたような前提で見ますと、東京都の例としてお挙げになりました学校は、学校自身が住居地域の中にございます。大阪の事例は商業地域の中にあるようでございます。  建築基準法の法律が改正になりまして、実際の規制は条例によって地域を指定して制限をするという仕掛けになっておりまして、その条例が、東京都の場合にはたしか昨年の十月からの施行になっておると思います。大阪の場合にはことしの四月からの施行予定と聞いております。  したがいまして、現在問題になっております事例は、いずれも建築基準法の改正後の条例の施行という手続が完結する前の事例であるということは共通だと思いますけれども、一歩進めまして、では現在の条例が施行になった段階でどういうような効果があるだろうかということを見ますと、東京都の場合には住居地域内の学校でございますので、これは当然に制限の対象として、実際に建つ建物は商業地域でございますけれども、規制を受けるかっこうになると思います。大阪の事例の場合には非常に広い商業地域の中にある学校で、学校も商業地域の中ですし、建物の建つ方も商業地域というかっこうになりますので、ここでは日影の規制というのは直接的には働かないというふうに考えております。  それで、いま現状ではそういう状態でございますけれども、それではそういうことに対して何らかの方策というものをどういうふうに考えていったらいいかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、建築基準法の建築物に対する規制はあくまでも都市計画法の上に根拠を置いた規制でございますので、端的に申し上げますと、都市計画とその学校というものをどういうふうに結びつけたらよいかということになろうかと思います。  現在の都市計画につきましては、私は所管ではございませんけれども、いろいろとそういう細かい意見まで配慮した地域の指定ということは、制度的にもまた運用上にも非常にいろいろな問題がございまして困難な状態になっておりますけれども、地域によりまして、そういうところで学校という施設に着目して何らかの指定ということが考えられないかどうかというようなことにつきましては、文部省の御当局ともよく御相談して検討していくというような余地があろうかと、かように考えております。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 本件の具体の事例につきましては、先ほども申し上げましたが、建築中止の仮処分の申請が出ておることでもございますし、近々裁判所が何らかの判断を示される模様であるということでございますので、私どもはまずその判断の結果に期待をいたしたいと思っておる次第でございます。  なお、この種の問題につきましては、これまでも教育委員会に対しまして機会をとらえて指導してまいっておりますが、今後とも常時市町村当局におきまして、建築計画の確認担当部局とできるだけ密接に連絡を保ちながら、学校周辺の日照を著しく阻害するおそれのあるような建物が建設される計画がございます場合には、やはり、確認の手続の事前に関係者と十分に調整を行う機会が得られますような、そういう運びにするように努めていただくように今後とも指導を徹底してまいりたいというふうに考える次第でございます。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 事態は進んでいるのですね。仮処分申請がされておりますから裁判の結果も出るでしょうけれども、その結果を待ちますということも、それも確かに一つの立場でしょう。しかし、私は、教育環境を守るという、その最前線に立たなければいけない文部省としては、やはりそれだけでは納得しがたいと思うのです。  総論的には、冒頭に大臣からお答えがございましたように、そのようなことがあってはならない、だから関係各省庁とも相談をして前向きに検討するという大臣のお答え、これが最もふさわしいと私は思いますが、しかし、それが協議の段階でなし崩しで、結果的には何らの対策も手も打たれなかったということではどうしようもないわけであります。現実に進行している問題は、これはこうして具体的に裁判やまたはマスコミに取り上げられてやっておりますから、私もこういう機会に申し上げることになりましたけれども、実は、こういう事例というのは、同時にすでに終わってしまった。すなわち先ほど本の一節を読みましたが、そういうふうにもう悪い環境にされてしまったところがたくさんある。そういうところも、むしろ何らかの方法で子供たちのために、よりよい環境をつくるために改善策を講じなければいけないわけでしょう。  そういう意味で、この一つの事例の裁判を待つということだけではなくて、もっと積極的に教育環境を守る立場から、文部省としても制度的にもまた実際上も具体的な手を打ちますということがどうして言えないのか、どうしてそれができないのか、私はむしろそのことにいら立たしさを覚えますが、いかがでございましょうか。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 この事例につきましては先ほども申し上げましたが、直接には当該学校の設置者であります大阪市の教育委員会が交渉を続けてきたわけでございますが、やはり、先生がおっしゃいましたような利害の対立ということで、建築主側との折り合いがうまいぐあいにつけられないという事情でございます。  さらにこういった交渉を続けていただくように、私どもの方も事情を調べながら市の当局とも相談もいたしてまいりたいとも思いますが、そういう状況でございますので、先ほど申し上げましたように裁判の結果云々というふうに申し上げたわけでございます。  それから、制度論としては、先ほど建設省の方から御説明があったようなわけでございますので、私どもは、今後の問題といたしましては、建築確認の段階でのいろいろな手だてとあわせまして、ほかにさらに適切な方向がないかどうかにつきましては、建設省を初め、関係の省庁に御相談をおかけしてまいりたいと存じます。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 二度と再びこういう事例が起こらないように、かつ悪環境に追い込まれてしまった学校については積極的に打開策が講じられるように、全国的な問題として、文部省が制度面も含めて本当に積極的に真剣にこの問題にお取り組みいただくことを私は心から期待をしたいと思います。  同時に、これら具体的な諸案件について一々大臣が口出しをするのはというお気持ちがおありかもしれませんけれども、しかし、むしろ、大臣の積極的な、何とかならぬかというお声が一声かかるだけでも実際は大変大きな効果を発揮するわけでありますが、大臣、そういう意味で、せっかくの教育環境を守るために、そして子供たちのために大臣の積極的な行動をお願いしたいと思うのでありますが、最後に一言大臣からお願い申し上げます。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 子供の健康は一番大事でございますから、学校環境を守るように私も及ばずながら一生懸命関係各省に協議して、守る方向に努力します。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 ありがとうございます。  さて、これに関連をいたしますが、いま申し上げた学校の環境のような場合には社会教育的な意味が大変大きゅうございます。社会教育の立場から学校開放が期待をされるのは大変多うございます。昭和五十一年でございましたかにも、各都道府県教育委員会に次官通達が出されて、「学校体育施設開放事業の推進について」ということで提起がなされております。  さて、たとえばこれはある町の学校開放事業の計画書なのですが、都市部での学校開放は、これは学校を社会に開放すると同時に、社会がまた学校に開放されるというふうに、家庭、社会、学校のつながりの中からもこれらの問題は大変大切だと私は思うわけであります。  さて、こういう文部省の積極的な姿勢がございますので、かなりの財政的な補てんもなされているのであろうという期待を申し上げつつ実は内容を見てみましたが、ところが、以前にも一度申し上げたことがあるのですが、一つの学校を開放いたしますのに一年で大体どのくらい経費がかかるのだろうかと思って計算をしていただきますと、運動公園として運動場六十日、体育館百五十日を開放いたしますと、二百三十万四千百円この町の事例ではかかっています。児童公園開放としてかかっておりますのは二百六十万八千三百五十円です。しかし、そういうものをやりますときに、たとえば大人が野球をやり、そのボールが飛んでいって教室の窓を割っては困るわけでありますから、校内の防護をすることと、周辺の民家等に迷惑をかけてもいけませんから、学校の周辺を守る必要がありますし、また、学校の施設そのものを無差別に使ってしまうということでも困ります。そのためには学校開放のための施設が必要でございます。  そういう面から考えますと、施設費としてネットフェンスでございますとか、クラブハウスでありますとか、いろいろなものが必要になってまいります。もちろんトイレに至るまで必要になってきます。実はそこまでは文部省は期待していないのだと言ってしまえばそれまでですが、しかし、社会の要求はむしろそれ以上のことを期待しておりますし、そうしなければ社会体育の内容は実現できないのであります。  そこで、文部省からどれだけお金が出ているかというと、管理指導員手当として年間六万円、フェンスをつくりますのに二十六万円、クラブハウスをつくるときに百九十三万円で、これが昭和五十四年度の補助金であります。これでどうして文部省から通達を出された学校開放事業ができるのだろうか。実は、学校開放というものが本当に望まれる地域というのは、教育施設費だけで教育費の七〇%も支出している町がざらにあるのです。そういうところほどこの学校開放はまたあわせて望まれているわけであります。言うならば財政逼迫が著しいところであります。そういうところで結局作文だけ、通達だけが流されて、その裏づけがなされていないということになりますと、これは本当に大変であります。  問題点を簡単に列記いたしましただけでも、「学校施設の運動場、体育館、プール等を開放するためには、管理指導員の日数基準が百日では不足であり、又、謝礼金単価は千八百円では不足である。」これではどうしようもないと、このように嘆かれているわけであります。「又、学校開放事業は、管理指導員手当だけでは事業はなり立たず、開放事業に要する需用費、特に光熱水費等に対する補助を考慮されるべきである。」それから「施設設備整備補助についても、単価及び基準等緩和されるべきである。特に、ネットフェンス等は、基準以上に利用度のよいものが出来ている。」「昭和五十三年度までは各市町村で開放していても、定額補助であるため、補助対象外の開放校があったが、今後は、全開放校が補助対象校となるよう考慮されるべきである。」と、こういう幾つかの要請が実はそういう地域からは出されておりますが、これについてどのようにお考えでございましょうか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 学校開放は非常に大事でございますが、ただ、学校との関連もありましてなかなかむずかしい問題もありますが、いまお話のように、照明灯をやるとかあるいはよそへ飛ばないようにフェンスをやるとか、その他いまおっしゃるような職員の問題とか、文部省としてもできるだけの努力はしておりますが、不十分な点は今後改善していきたいと思います。

柳川寛治文部省体育局長

○柳川政府委員 ただいま大臣がお答え申し上げましたとおり、あらゆる場所であらゆる機会に国民が自主的にスポーツを行えるように、国、地方公共団体はその諸条件の整備に努力する必要があるわけでございまして、その趣旨から学校開放につきまして諸施策を進めております。  いまの先生の御指摘のとおり、管理指導員の配置につきまして来年度も十億三千万円、それから夜間照明施設あるいは境界さく、あるいはクラブハウスの設置等の施設整備費につきまして十億七千万円の予算を計上しておる次第でございまして、管理指導員の稼働日数が百日、実態がそれより超えておるのではないかという御指摘が具体的にございましたが、これにつきましては、学校における今後の実績をさらに調べて、それに具体に対応できるような努力をしてまいりたいと思っております。  また、御指摘のとおり、確かにフェンス等につきましても、現在百メートルのフェンスということを一応補助基準にいたしておりますが、これではなかなかに実態との間に御指摘のそごを来しておりますので、いま財政当局の方と、むしろフェンスの面積で積算するという方向をとりながら改善の方途を図ってまいりたいというように検討をいたしておるところでございます。  なお、光熱水料等の需要費あるいは具体の備品購入費につきましては、交付税の単位費用に積算して、交付税を通しまして各市町村の需要にこたえておるということでございますので、これにつきましても今後の開放の実績を十分把握しながら、その改善に努力をしてまいりたいと思っております。  なお、五十三年度から学校開放の実が本当に上がるというためにはもう少しクラブハウスが整備されるべきじゃないかということで、新しくクラブハウスにつきましては二階建てといたしまして、約二百平米、六百七十万ほどの補助でございますが、二階の部分はミーティングもできまして、場合によっては指導者が宿泊してでも指導できるというような、宿泊の面も含めましたクラブハウスをつくっていく。一階の方は器具室、更衣室や、もちろんシャワーもつきましたシャワー室等も設けるということの新しい試みを五十三年度からいたしております。  これは今後ともその面の拡充も図りたいし、その面からも、学校施設がまさに児童、生徒の教育の場であると同時に、地域社会の文化センターとしての機能を十分持てるというような学校の役割りに資してまいりたいというように進めておるところでございます。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 時間がありませんのでちょっと走りたいと思います。  このようにいろいろな施策を文部省で提案をされて、各市町村に通達して流すのですが、結局その裏づけというものが常に問題になるわけであります。そしてそれは例の超過負担という言葉になってはね返ってくるわけであります。これに対する努力というものはまだまだこれから御努力いただかなければいけないわけでありますが、たとえば大臣の御所信の中にも、それぞれその学校施設について、「大幅な財政上の措置を講じておりますが、特に老朽危険校舎の改築には意を用い、」とか、「生徒の急増により必要となる高等学校の新増設に対する国庫補助を充実し、」だとか、「児童生徒急増市町村における小・中学校用地取得費の国庫補助の交付率を改定する」とか、かなり前向きに取り組まれたことが触れておられるわけであります。しかしながら、私は、これらの問題を考えますときに、また地方議員をしておりましたときからの経験から考えますときに、これらの問題を計算するときのまあ何と複雑怪奇なことよといつも思い続けてまいりました。  昨年も触れたことではありますけれども、たとえば交付率は、これは用地取得費の国庫補助の交付率を今度七〇%からたしか七五%になさった。大蔵省の抵抗がきつい中で、実は最初は人によってはこれはことしは無理ですよとあきらめていた人もあったぐらいですから、文部省の御努力やいかばかりであったかと想像するのであります。しかしながら、それにしても、交付率七五%掛ける補助率三分の一、それに聞き及びますところによると配分率というのがあるようでございます。すなわち、総枠が国の方で決まっているから、地方からの要望がそれだけ多いと、結局この交付率、補助率を掛けただけでは間に合わないので配分率を掛ける。こういう話まで聞いている。そうすると、実質上は七五%じゃなくて七〇%を切るという実態があります。まして三分の一の補助率を掛けますとどれだけになるか。おまけにこれが三年間にわたって分割でおろされるわけであります。  そうすると、結局その間の起債における利息もこれまたばかになりません。これは施設にいたしましても似たり寄ったりであります。交付率が掛けられ、補助率が掛けられ、いろいろなものが掛けられて、実際は国と地方の負担区分はそれでは何対何になっているのか。こういうことになりますと、国の立場からすると、私は何か大変心細い感じがするのであります。  その辺について、実際は何対何になるのか、そのことについてどういうお考えをお持ちなのか、お聞きしたいと思います。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 五十四年度の予算案におきましては、用地取得費に対する国庫補助につきまして、中野委員の御指摘のように交付率につきまして改善を図りましたと同時に、事業量についても前年に比べまして一六・一%の増をいたしました。それから歳出額としては二五・八%の増をいたしまして、校地取得の円滑な実施に協力するという体制にいたした次第でございます。  したがいまして、これまでも御指摘の申請と予算措置との開きからきますギャップがあったわけでございますが、これもそのギャップが少なくなるように年々努めてまいりましたが、ただいま申し上げましたような率での増を図りましたので、五十四年度の執行につきましてはそういった面は非常に改善されるであろうというふうに、私どもは市町村側の計画とにらみ合わせながら現在のところ判断をいたしておる次第でございます。  それから、実際の市町村の負担がどうなるかという点でございますが、これは個々の事例、それからそれぞれの学校の置かれておる地域的な条件でいろいろであろうかと思いますが、仮に一つの試算でございますが、標準規模と申しますか、十八学級の小学校をとらまえて用地取得費について見てまいりますと、六億三千八百万の取得費がかかったといたしました場合に、そのうちの国庫補助金額は、三分の一に対しまして交付率七五%でございますから、取得費の約二五%に当たります一億六千万円ぐらい、それから交付税措置分が約二億五千万余りとなりまして、国費で措置する総計が約四億一千万余となります。  したがいまして、国費以外の地方負担分は二億三千万弱ということで、用地取得費の約三六%の金額に当たるというような試算を、先生の御質問があるということでございましたので一応仮にやった次第でございます。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 実は、いろいろなテクニックがあるものだと本当に思うのであります。起債で認めるという話かある。交付税に算入するというテクニックがある。しかし、実質上は、いろいろな負担をトータルいたしますと、大半は地方がまだ負担しなければならないという数字は消えないと思うのであります。  私は、そういう実態を踏まえつつ、せっかくの御努力を決して評価しないものではありませんで、評価いたしますが、これからも教育にかける中央地方の負担というものはむしろもっと——特に、義務教育に関連をいたしましてはもっともっと国庫の負担というものが努力してふやされるべきものというふうに考えるわけでございまして、ひとつぜひよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、時間の都合がございますので一つだけ申し上げますが、ことしから養護学校教育の義務化の問題がございます。そこで、これは要望のみいたしておきたいと思いますが、たとえば先般の新聞の報道でも、普通学級へか、養護学校へかということでトラブルかまだなかなか解消されない。これは学校側も、そして親も子供も一緒になって考えなければならない大変真剣な問題でございます。就学指導委員会というのが都道府県に設けられて御努力なさっておられるようでございますが、ひとつぜひともその効果が上がりますように要望しておきたいと思います。  中には、学説的にも、または教育方針の上からも、または各政党政派でも、統一教育かもしくは施設における分離教育かというようないろいろな意見の分かれがあることも承知をいたしております。しかし、要は結局子供の幸せがいかに守られるかということであろうと思います。私自身統一教育を実は否定する立場ではございません。私の子供も、同じクラスに障害児がおられて、そしてその子供かきょうは笑ったよとか、きょうは一緒に歩けたよとかいう報告を私はときどき自分の子供から聞くにつけても、その教育効果か単に障害児だけではなくて、いわゆる健常児と言われる子供たちにとっても教育的な効果をいかに発揮しているか、それは担任の先生なり学校の先生方の御努力も大変大きな効果を上げているわけですが、そういう意味で私は今回の義務制について大変期待をするものでありますけれども、しかし、一〇〇%それについて理解があるわけではございません。その理解をより一層深めていただくためにも、それからその該当するお子様のためにもより一層の御努力をいただきたいと思います。  同時に、先般、第八十四国会でございましたか、学校保健につきまして、実は、教育職員免許法の「免許状」の中で、学校保健を必須科目にするように検討してほしいという要請がなされておりますが、これはまだちょっと時期尚早的だということで保留になっていると思いますが、保健体育審議会の昭和四十七年の答申でもこのことが触れられております。私は、特に、養護教員が一人いて、それでもうその人に任せてしまっておくなんということじゃなくて——また、最近の子供たちの体格は大きくなるけれども大変もろい。寒さに弱かったり、朝会のときに直射日光に当たりますとすぐにばたばたと倒れる子供が出てきたり、またはスポーツ大会で、鍛えているはずの子供が野球大会等で開会式をやっている最中にばたばた倒れるというケースも直接見受けます。  先ほど申し上げた教育環境を守ると同時に、特に小学校、中学校の先生方は、自分たちが担当している子供たちの健康を守るためにも、この知識というものは大変重要な意味を最近なお一層持ってきたと私は思うのでありますが、そのことについて前向きに御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 おっしゃるように、学校保健は非常に大事な問題でございます。保健審議会からも答申がございますが、ただ、教職教養というのは一定の単位がございまして、その単位の中に新たに保健を入れるというようなことは制度上の問題があってなかなかむずかしい問題でございますが、御趣旨の点はよくわかりますし、保健ということはこれから非常に大事な問題ですから、早期に発見して治療するというようなことが大事だし、特に最近虫歯の問題もございますので、保健問題についてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 時間がありませんのであと一点だけ、ちょっと変わった感じの質問をさせていただきます。  大臣の所信の中で、実は、留学生の受け入れの問題、国際交流の問題が触れておられますが、大変いいことだと私は思うのです。  昨年私も東南アジア、ASEAN諸国を回ってまいりまして、いろいろな方々にお会いしました。また、日本から行っている海外青年協力隊の皆さんにもお会いをいたしました。ところが、それぞれの国々で言われましたことは、日本の留学生への受け入れ対応というのはまだ悪いということです。一つはこれは日本の大学に対する信頼の問題もあるのですけれども、結局、どうしてもわれわれは英語をしゃべるという関係もあって、アメリカ、イギリス、カナダ、そしてまたフランスというふうなところに留学をする傾向があるということと、それからもう一つの事例として、韓国で、これはそれこそ余りよくない歴史の中からですけれども、日本語を話す人がたくさんいらしたのが、いわゆる日本語族が韓国のいろいろな分野で指導者の役割りを果たしておったのが最近は英語族に変わってきたと、こういう表現をなされている部分がございます。  私は、そういういろいろなこと等を考え合わせて、留学生の受け入れの問題というものは本当に真剣に考えなければいけないのじゃないだろうか、そういう近隣諸国との友好関係はそこから始まると言ってもむしろ過言ではないのじゃないかと、このように思うわけで、日本に留学して日本でいいものを学び、そしていい印象を持って帰られた方々が、将来その国のいろいろな分野で指導者となっておられるときに、第二のふるさと日本に対する彼らの感覚というものは、日本とその国との関係にとって本当に大きな役割りを果たすだろうと思うわけであります。  それから、もう一つ、こういうことがあります。その海外青年協力隊員の話の中で、こちらの国ではアジアの先進国としての日本語を勉強したいという希望者が大変多いのです、そして私たちはいま日本語教室で日本語を教えているのです、ところが、日本語を外国人に教えるための指導書がないのです、と、こういう意外な指摘を受けました。それから、実は、たとえば香港で総領事館等で日本語教室をやっていまして、約三千人から五千人くらい日本語を習いたいという希望者が出てくるそうです。ところが、費用の関係その他で、その一割にも満たない人たちしか受け入れられないという実態があるようであります。  私は、言葉はまさに文化の中の代表みたいなものだと思うのであります。日本を理解してもらうために日本語を覚えようとする方々の需要にこたえることは、これは言うならば本当に一番効果が早期にあらわれる内容のものだと思うのでありまして、この機会に、民間で外国人向けの日本語の指導書をつくるといったってなかなか採算ベースに合わないわけですが、文部省がどこかへ委託をされるとかいろいろな方法を講じていただいて、こういう日本の文化を知っていただく、日本を理解していただく、そして日本とその国とのより一層の交流のきずなを深めていく、将来の国際関係をより一層日本が孤立した関係にならないようにしていくというように、いろいろな意味を込めまして、この一つの小さな事業が大きな効果を発揮することを考え合わせまして御検討いただけないだろうかと思うのでございますが、いかがでしょうか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 まことに御説のとおりで、私は、やはり留学生の受け入れば非常に大事だと思っており、せっかく日本に学んで、これが向こうへ帰って排日になったら何にもならないと思うのです。  そこで、一つの大きい問題は日本語なんですよ。日本語をやさしくとにかく理解できるようにすること、これが大事なことなんで、そのために、文部省では、国立国語研究所の中に日本語教育センターがありますから、ここで日本語教育をしっかりやるようにする。そしてまた必要な指導書もつくらせておりますので、日本語教育を充実し、外国人にとってしっかりとわかりやすくすることが一つです。  それから、いま一つは、これは宿舎だと思うので、せっかく学んだ人が気持ちよく生活できるような宿舎が大事です。ことし文部省でも留学生の会館を整備いたしましたか、お説のとおり留学生を大事にしなければならぬと思っておりますので、詳細につきましては局長から答弁させます。

篠澤公平文部省学術国際局長

○篠澤政府委員 ただいまの宿舎のお話と日本語教育の問題ですが、宿舎につきましては、現在国費で呼んでおります留学生のほぼ全員をカバーするように宿舎の整備を進めております。来年も二大学に宿舎を設置するという計画で前向きに取り組んでいるところでございます。  また、特に日本語のお話がございましたが、新しい試みといたしまして、できれば来年度から、それぞれの国におりますそれぞれの国の方々に対して、日本語及び日本文化の短期研修という制度を設けてこちらに招致いたしたい、このように考えておるわけでございます。

中野寛成民社党

○中野(寛)委員 日本に来た方に日本語を教えるというか、そのことはできるし、また、そういう意欲を持ってこられるわけですが、ただ、現地にあって、たとえば日本からの観光客を初めとしていろいろな方がおるのですが、日本のことを知りたい、できるだけ簡単に日本語を勉強したいという方々の需要にこたえる意味での的確な指導書というものがどこの皆さんに聞いてもないとおっしゃるのです。そういう方々は知らないのかもしれませんけれども、知らなければそれを知らせてあげていただきたいと思いますが、その開発というものがぜひなお一層進められることを期待したいと思います。  大変長時間にわたりましたけれども、その他大学の問題とか生涯教育の問題とかたくさんの問題が残っておりますが、次の機会にしたいと思います。  ただ、子供たちが本当に健康で、そしてよく言われます知・徳・体がそろって——特に大臣はその徳をまず今度持ってこられておるようでありますけれども、本当に子供たちが心身ともに健康で育つようにせっかくの御努力をお願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)

坂本三十次自由民主党

○坂本委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議

坂本三十次自由民主党

○坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 総理府もおいでていただいておりますので、最初に国際児童年の問題について少し伺いたいと思います。  私の党は、去年の十一月二十日に、福田内閣のときでございましたが、国際児童年に関する申し入れ書を提出いたしておりまして、これは国連の決定を支持する立場と児童に関する諸施策を実行していくというものでございますが、それを提出しました。  私は、まず、いわゆる児童宣言に書かれております「人類は、児童に対し、最善のものを与える義務を負う」という言葉は非常に大事な言葉だと思っておるわけです。  今度の児童年に当たりましての予算が大体各省にあるわけですが、三百七十六億と言われております。しかし、この予算が、主として児童年に関する行事費あるいは「こどもの城」を青山につくる七十億を含めましてそういう費用になっておるという、こういうことに対する批判も新聞にも出たりいたしております。  ある新聞を見ますとこういう発言も出ております。先天性四肢障害児の父母の会の代表である野辺明子さんの言葉でございますが、「最近にわかに国際児童年という言葉がマスコミに登場し、雰囲気だけは浮き浮きとして何かが起こりそうです。しかし、お祭りが仕掛けられ、終わった後の広場はごみの山では困ります。」という言葉が出ておりますように、母と子の保健の問題保育所や学童保育所の児童施設の計画的な建設の問題、あるいはゆとりのある教育の問題、よい文化の普及の問題などにつきましては、国際児童年を迎えましても、予算の面でも依然として従来どおりのスローぺースであるというふうに思っておるわけでございます。  たとえば保育所にいたしましても、保育を必要とするすべての乳幼児が措置されることを目指しまして、当面六千五百カ所の保育所が必要ではないかということを党としては申し入れをしておりますが、今度の厚生省の予算を見ますと、収容幼児一万人、例年どおり八百カ所の予定しかしていないように思います。これでは本当に国際児童年にふさわしい日本国の対応の仕方ではないというふうに思うわけでございますが、この点について総理府としてどういうお考えを持っておるか、最初に伺いたいわけです。

加藤栄一青少年対策本部参事官

○加藤説明員 御説明申し上げます。  国際児童年の事業につきましては、政府といたしましては、総理府に国際児童年事業推進会議を設けまして、関係各省並びに関係の有識者、民間団体の代表者等の方々におきまして御協議をいただきまして、国際児童年事業の円滑な推進を図ってまいるということで推進方針もつくりまして、今般の予算案におきましても、その推進方針の線に沿って御考慮を各省でお願いしているわけでございます。  その推進方針におきましては三つの柱がございまして、第一が、国際児童年の趣旨からいたしますと、児童の福祉についての認識を高めるというのがまず基本的に必要でございますので、啓発活動というものにも力を入れております。行事と申しますのは、記念行事関係はこの啓発活動という趣旨で、広く国民の方に国際児童年の趣旨等について認識を願う、また、児童問題の重要性について認識を願うということでやっております。  また、第二の柱として、国内施策というものについて、関係各省でそれぞれ児童について必要な施策の拡充をお願いしているところでございまして、予算的にはこの国内施策の部分が一番比重が高いわけでございます。  第三は国際協力でございまして、児童の福祉向上の面からも国際協力をいたしていく。  また、政府の施策のみならず、地方公共団体やまた民間団体の御協力も得まして、国民みんなが子供のことを考え、また児童の福祉の向上のために力を尽くしていくということでやってまいるのが基本の方針でございまして、先生がおっしゃいました各種の施策につきましてもそれぞれ各省で取り上げていただく。また、保育所につきましても、この国内施策の中で一つの項目に入っておりますが、その拡充等についても関係各省にお願いしておるというところでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 啓発活動を初めとして構想はお話しくださいましたが、たとえば学童保育所の制度化の問題なんかも私どもはいままでずいぶん要求してきました。厚生省の推計によりましても、これは不十分な推計だと思いますが、六十五万人の小学生が放課後いわゆるかぎっ子という形で不安な状態に置かれておるということでございます。これは五十二年度の推計でございますが、現在学童保育所は、父母などの努力によって経営されておるものを含めまして、全国で三千カ所のわずかに九万人という状態でございます。  それから、また、児童にとって重要な母体の問題につきましても、妊産婦の死亡率というのは、実は先進国の中で日本が一番高いのです。昭和四十九年の十万人対比で申しますと、日本が三十四・五という数字が出ておりまして、イギリスの十二・七、アメリカの十四・六、それからスウェーデンの七・三、フランスの二十二・一などに比べましても、母体保護という点でも非常におくれておりますし、また、児童の死亡率は、これも十万人単位に対してでございますけれども、一歳から四歳までの死亡率が日本が九十・八、フランスが七十四・九、イギリスが六十五・三、オランダが七十一・三、スウェーデンが四十三・九というふうに、どういう数字を見ましてもかなり問題があると思います。  そこで、先ほども中野議員からもこの問題が冒頭に触れられましたが、恐らく各党ともこの問題についてはいろいろの関心を持っておると思います。そこで、一つは、できましたら委員長にお願いしたいのですが、もし理事会等において一致を見られるならば、この児童年についての所管の委員会とすれば、いろいろな意味で一番関係のあるのは文教委員会だろうと思いますので、ここで場合によっては集中的な審議をする方法をとっていただきたいと思うのです。前に、婦人年のときに社会労働委員会で集中審議をやりまして、それが大きな契機になりまして婦人年の運動が非常に急速に発展をしていったという経験もありますから、この点ぜひ後で御検討いただきたいということを御要請申し上げます。  それから、総理府の方に対して伺いますが、いままで笹川良一氏が主催をしておりました宇宙博を今度の児童年の総理府の行事として、場所を変えるとかあるいは経費を安くするとかいうことはやられておるようですが、これを受け継いだ形でやられるということが出ておりますが、これはそういうことなんでしょうか。また、今度政府がやられます場合に笹川良一という名前が出てくるのでしょうか。これを伺っておきたいのです。  御承知のように、去年の国会の中におきましても問題になったのですが、株買い占めの問題その他を含めていろいろのうわさのある人物が、こういう政府の主催する児童年に当たりまして、子供たちの福祉その他を考える面におきまして、これを受け継ぐこと自体に私は非常に疑問を持っておりますけれども、これはどういうふうになっておるのか、伺っておきたいのです。

加藤栄一青少年対策本部参事官

○加藤説明員 国際児童年事業に関連いたしまして、宇宙科学博覧会は、第一回目はことしの一月十五日で閉幕になったわけでございますが、主催者の宇宙科学博覧会協会におきまして、国際児童年に協賛する意向で、本年三月より改めて国際児童年協賛宇宙科学博覧会ということで開催いたしたいという意向がございました。  これは政府の事業として実施するということではございませんで、実施主体はあくまでも宇宙科学博覧会協会がなさるということでございます。総理府といたしましては、これに後援名義を使用させるという形でございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 そうしますと、これは結局宇宙博覧会協会がやるということになりますと、笹川良一氏が実質上はやっておるものですね。しかも、これは御承知のように競艇のテラ銭でかせいでおるのですよ。そんなものを児童年に政府が後援をして共催でやるなんということが正しいことかどうか。私は、これは中止すべきだと思う。  もっと別のものを考えて、本当に日本の子供たちの文化、福祉の発展のために役立つようなものを当然別途に計画すべきだと思いますが、では、笹川良一氏の名前は出てくるわけですね。

加藤栄一青少年対策本部参事官

○加藤説明員 宇宙科学博覧会協会におきましては、会長が笹川良一氏、理事長が茅誠司先生ということになっておりまして、その限りにおいて出てまいります。  また、いま政府が共催と申されましたが、総理府は後援でございまして、宇宙科学博覧会が国際児童年に協賛する、こういう趣旨でございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 本当にこれは私は不見識だと思うのですよ。せっかく子供たちの児童宣言が国際的に出まして二十年たって、その二十年目を契機にして、国際児童年として、何か子供たちの幸せ、各国における飢餓の子供たちを救うとかいうようなことをやろうとしておるときに、幾ら金がないとはいえ、乗るにもほどがあると思いますよ。これは私は考えていただきたい。競艇のテラ銭でかせいで悪態の限りを尽くしておる者が日本の子供たちを指導するような計画をして、しかもそれを政府が後援をしてやるというのは全く児童年にふさわしくないやり方です。  これは文部大臣もそうお考えになると思いますけれども、大変不見識だと私は思いますが、どうでしょうか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いろいろな人が御協力してくださることは結構なことだと私は思うのです。  国際児童年というのは、児童の福祉について社会の関心を深めるという意味で、いろいろな人が御協力してくださることはいいのではなかろうかと思っております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 何でもかんでもいいというものではないのですよ。もっとすっきりした清潔な——国がやるならやるらしく、また国が後援するなら後援するらしく、文化団体だってたくさんあるわけですから、本当に児童の気持ちにすっきりと入るような形でやるべきであると思います。  文部大臣はこの事業の主体ではございませんからこれ以上お尋ねしませんけれども、総理府の参事官がお見えになっておりますが、これは私は総理府総務長官にきのうの予算委員会で質問するつもりでございましたけれども、こういう意見が国会の中にはあるということをぜひお伝えいただきたいと思います。いいですね。——では、総理府の方は結構です。  次に、筑波大学におきますところの問題について伺いますが、昨年の十二月十日の茨城県の県会議員選挙に当たりまして多数の学生が不在投票しました。そしてこれが買収事件として新聞に報道されまして大変な物議を醸したわけでございますが、この点について、警察庁の方から事件の概要並びに捜査の経過についてお伺いをいたしたいと思います。

宮脇磊介警察庁刑事局捜査第二課長

○宮脇説明員 お尋ねのことは、昨年の十二月十日に施行されました茨城県の県会議員一般選挙におきまして、新治郡、選挙区から立候補して当選しました藤沢順一派の現金買収事件についてのことと存じます。  同派の選挙運動員十二名が、筑波大学の学生に対しまして、同候補への投票を依頼して現金五千円ないし三千円を供与した事件につきまして、茨城県警察において捜査をいたしました。その結果、同大学学生百三十七名を公職選挙法第二百二十一条第一項第四号、これは買収罪の現金の受供与の罪でございますが、これの被疑者といたしまして二月一日検察庁に送致いたした。そういう報告を受けております。  これは警察におきまして、当地で不在者投票が多いという聞き込みを得まして関心を持っておりましたところ、他派の違反の事前検挙の報道を見て驚いた学生が金を運動員に返したりして警察に申告をいたしまして、これが端緒となったものでございます。  そして検挙いたしましたのは十二月の六日でございますが、これは十日が選挙の施行日でございますので、いわゆる事前検挙という形になりますか、こういう形をとりましたのも、事犯が明瞭でありまして続発を防がなければならない、そうかといって警告で済まされる事案ではないというようなことで事前検挙に踏み切ったものでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 いまの警察庁の御説明で、そういう経過でございます。  それで、筑波大学は御承知のように学群、学系という新しい形態をとった学校でありますが、百三十七名を見てみますと一第一学群で九名、第二学群で六名、第三学群で十名、体育学群で百五名、芸術七、医学ゼロ、計百三十七名、学年に分けますと、一年生が三人、二年生が六十人、三年生が五十一人、四年生が二十三人、そして男女の別は、男子が百十六名、女子が二十一名、こういうことになっておりまして、けさもテレビで見ておりますと、これは小学以下の事態だということですね。  テレビの出席者が申しておりますように、全く不可解なことで、どうしてこんなことが起こるのか。しかもこれは大学ですね。どうしてこういうことが筑波大学において起こったのか。この点について文部省としてはどういう判断をされておりますか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 筑波大学の買収されたということは非常に遺憾なことだと思って、文部省でも厳重に筑波大学に指導しておるのであります。  いま警察庁からお話がありましたが、万一、捜査の結果によっては退学処分もやると、そのくらいの決心で筑波大学を強力に指導しているところでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 大学局長もそういうことで御指導しておるんですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 大学当局は、当日直ちに学長告示をもって全学に遺憾の意を表明し、また全学を戒め、直ちに六日に厚生補導審議会を開催いたしまして、この問題を調査研究するための特別調査委員会を発足させて、不在者投票を行った学生に自発的に申し出るように求めたわけでございます。不在者投票を行ったと大学当局に申し出た学生は百七十八名、この中には書類送検をされた百三十七名のすべてが含まれているわけでございます。  これらの学生に対しましては、所属の各学群長から厳重に注意をいたしますとともに、教官が個別指導に当たりまして事の重要性を十分に認識させ、そして今後かかることのないように指導を重ねております。  もともと筑波大学の学群という制度は、学長の告示にもありますように、学生がよき社会人として育っていくためには、あらゆる事象に対して正しい判断力と健全なモラルを持つことが必要である、そのような判断力とモラルを高めるためには、単に学問を知識として教えるだけではなくて、人間としての心の交流を教職員と学生あるいは学生相互間に確立することが必要であるということで、学群、学類という筑波大学の組織はそのような目的のもとにつくられているものであり、教育と厚生補導を一元的に行うことが学群、学類の任務であると、そういう認識に立って大学は以来鋭意努力をいたしております。  私どもは、今回の事案というものが、特に筑波大学について、筑波大学のこれまでの教育のあり方というものに起因をして出てきたというふうには考えておりません。学生一般に見られる社会人としての自覚の不足の傾向というものがたまたま筑波大学において起こったというふうに考えております。  いずれにしても、大学の学生指導について、さらに大臣から申し上げましたように、大学側に対して十分な配慮を求めているところでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 大臣は断固退学まで考えるというお話でございましたが、私は学生の処分のことを申し上げているのではありません。ここではもうすでに処分が行われているわけですね。  学則にはないところの厳重注意ということで、退学ということではもちろんないと思いますが、その辺は、いまの大臣の答弁から考えましてどういう関係にあるのでしょうか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 おっしゃるように、十分な指導はいたしております。しかし、捜査の段階によって必要があれば大学当局も処分は辞さないと言っていますから、私は大学当局を信頼しているわけです。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 大学当局の処分はもう終わっているんですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御指摘のように、不正投票を行った学生につきましては、すでに学群長から厳重注意の処分が行われております。  しかし、今後さらに調査の進展あるいは捜査の進展によりまして、このような不正投票を行った学生の中で、たとえば不正投票のあっせんをするというような特に要質な者が出てきた場合には、その者については、状況が判明次第、学則による懲戒を含む厳正な処分をさらに考慮したいということを大学は申しております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 いま、この大学の性格から生まれたものではないというふうに局長はおっしゃっておられるわけですが、私は、ここの場合、問題がどこにあるかといいますと、今度の処分につきましての処置、いわゆる学則にない厳重注意ということにつきましても、これは学群長、学系長で決定をしておると聞いておりまして、教員会議は全く知らない。一般教員は知らないのです。だから、だれがそういうことに関係したのかも、あるいはどういう事態が起こったのかも実は知らないのですね。だから、一般教官、特に学類教員会議あるいは学群教員会議には一切諮られていません。ここに筑波大学の特殊な状況があるんじゃないでしょうか。  学生の処分については、他の大学だったら当然教授会その他でやるわけですね。同じところに茨城大学があるのですが、茨城大学ではこういうことは起こっていないのです。筑波大学で起こっているわけですから、筑波大学における当局の道義的責任といいますか、教育上の責任というものは大変重大だと思います。  しかし、学生を処分するに当たりましても、一般の教官が知らない。だから私は先ほどあえて一年生何名、二年生六十名というふうに申し上げましたが、だれがそういうことに関係したか知らないものですから、教官としては指導のしようがないという状態が出ているわけです。だから、ここの筑波大学の持っておる非民主性ですね。筑波大学法案のときに、文部省としては、開かれた大学あるいは紛争のない大学などということを盛んに喧伝されましたけれども、この大学の教授会軽視ということが一つの欠陥になっているのではないか。今度の処分に当たってはそうです。教官にとってみたら、自分のところの指導生徒の中にそういう者がおれば、先ほどおっしゃったような社会的な見識を強めるとか、あるいは教育基本法によりまして政治的教養を与えなければならぬということがちゃんと書いているわけですが、そういうこともできない状態があるわけです。  言うならば、このように筑波大学は学長にすべての権限が集中している。それから参与会その他がありまして無責任体制だ。だから、だれも全く責任を感じなくてもいいというようなことになっているんじゃないか。この点は局長はどういうふうにお考えになりますか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 全学の教職員に対する事態の周知につきましては、先ほども申しましたように、学長の告示あるいは厚生補導担当副学長の筑波大学の広報紙上における事態の報告並びに教職員への訴えのような形で行われておりますし、また、大学としては、厚生補導審議会という学生の厚生補導を担当する審議会が直ちにこの問題に対応をし、特別調査委員会を発足させて事態に対処しているわけでございます。学長、副学長評議会あるいは厚生補導審議会、そのような学生の厚生補導に対処をして事に当たるべき機関がフルに活動をしている状況でございます。  筑波大学の現在の状況は、決していま御指摘のような無責任体制というようなものではございませんし、それぞれの厚生補導を担当する教官がそれぞれの学生に対して、先ほども申しましたように個別指導まで行って事態の重要性の認識をさせる努力をしているわけでございます。  さらに大学側に対しては、より十分な対応を求めるということはもちろんでございますけれども、筑波大学はやはり大学として懸命の努力をしていると考えております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 この問題は個人の不心得によって生じたというようなものではないと思うのです。そういう場合には大学当局としても責任をそれほど感じなくていい場合もあると思いますけれども、いま局長もおっしゃったように、何しろ百七十名というようなものは、日本の大学の中でも前代未聞ですよ。  ただ、個人の不心得で起こったものではなくて、大学当局としても何らかの責任をとる場合、だれが責任をとるかというと結局学長でしょうか。何かの責任をみずからとるとするならば学長でしょうか。ところが、実際に大学当局が出しております文書を見ましても、こういうことが起こったのは、本学の学生が関係していたことはまことに残念であるという程度のことであって、大学当局としてはこれからどうしなければならぬか、どういうところに問題があったのかというようなことは、事件が起こりましてからもう何カ月もたちますけれども一切起こっていないわけですね。  だれも処分されていないし、また、大学の自治の問題ですから処分せよというようなことを言っているわけじゃないけれども、どこかが何かの責任をとるというか、責任を感じるというか、あるいはその責任について、今後こういう問題を起こさないための何らかの方針が出るとか、それは一体どこがこれをやるのですか。しかも教授会は知らない。教授会といいますか、それが知らないから一般教官は手の打ちようもない。こういう状態に現在あるのじゃないですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 先ほど申しましたように、大学の事柄でございますから、最終的にはもちろん学長が責任を負っているわけでございますけれども、担当の副学長が非常な苦労をしております。また、関係の審議会がフルに動いているわけでございまして、そのもとで厚生補導を担当している教官がそれぞれの学生に対する対応を考えております。  また、それぞれの学生のことだけではなくて、今後この大学において良識のある公民たるに必要な政治的教養あるいは自覚を身につけさせる、そのために学生の課外活動を助成したり、あるいは入学時のオリエンテーションにおいて特に注意を喚起する、あらゆる機会にそうした社会意識の涵養に努力する、そういうことを大学側は考えておりますし、また、私どもにもそのような方針を報告を学長がいたしております。  さらに、今回の事件では、先生が先ほど御指摘のように、体育学部に所属する学生に不正投票者が多いという状況が見られますので、体育系のサークルの指導というものにつきましても今後さらに意を用いてまいりたい、このように大学側は考えております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 局長、実際に指導に当たっておる一般教官全員が、どの生徒がこの問題に関係しておるかというようなことを知らないというのですが、この点はどうなんですか。事実はそうでしょうか。それがなければ指導のしようがないんじゃないですか。指導教官としてどういうふうにしていくかということは出てこないでしょう。その辺が問題じゃないですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 大学当局は、先ほども申し上げましたように、本件の事件の調査に当たりましては、まず全体の学生に呼びかけて、不在者投票をした者は大学当局に申し出てほしいということを呼びかけ、そしてその申し出に基づいてさらに事情を聞くという非常に慎重な配慮をいたしております。  したがって、個々の学生の氏名等が公になるということについて、教育上の配慮ということから大学はきわめて慎重を期しておりますから、それが一般的に外に出るということはあり得ないことだと考えますけれども、しかし、それぞれの学生の今後の指導に必要な限度においては、もちろんそれぞれ担当の教官には事柄を明らかにして、それぞれの学生の指導というものが十分に行われるように取り進められているところでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 結局、一般教官は全く関与できないような状態にあるのがいまの公式のもので、大体うわさでわかったりするかもしれませんけれども、そこにいわゆる筑波大学の教官、教授の総意によっての学校運営をしていくということの体制の欠如がある。これを制度的に筑波大学は持っているというところに一つの問題があるということを私は指摘しておきたいと思います。  それから、もう一つは、学生の自治というものについてでございますけれども、自治活動が全くできないと言ってはこれは言い過ぎでございましょうけれども、何しろ成人でしょう。有権者でしょう。しかも日本国の主権者としての青年たちですからね。政治的ないろいろな活動もできるのは憲法上当然のことでございますが、これが筑波においては極度に制約されている。だから、一枚のビラを出すのにも検閲、許可が要る。何をするのにもすべて許可、検閲が要る。  あるとき、自治会という形ではないかもしれませんが、記念祭に日本の五つの政党の代表を呼びましてシンポジウムをやるという計画を立てたが、これも中止になった。だから、政治的教養を身につけるというような状態はあの大学の中ではないわけです。ないというか、ないようにさせられている。それが筑波大学の性格なんだ。そういうところから、今度の百七十名を超すところの、考えられないようなことが起きている。しかも、選挙の買収なんというのは破廉恥行為の最たるものです。  しかも、これは将来知識人になる人たちだ。この大学は、多くの学生諸君は将来教育者として巣立っていく人が多いわけでございますが、こういう基礎部分が欠如している。高等学校の生徒だって、中学校の生徒だって知っておるような、この重要なことの欠陥部分を持っておるということは、これは大変なことなんです。何でこういうことがこの大学で生まれてきたか。隣の茨城大学では生まれないでどうしてここで生まれてきたかということは、これは自説を強調するだけではなくて、深刻な反省が必要だと私は思います。  そういう点で、文部大臣、この大学の運営につきまして、文部省がこうせいこうせいと言って監督したりする必要はありませんけれども、本当にもう少し指導、助言をして、どこに問題があるかということだけはやはり出していただいて、その反省をして、これから後の筑波大学の民主的な発展に寄与するということがいまの段階で必要ではないかと思います。このまま放置していくならば、形式的な処理は終わったけれども、また事態はどんなことが起こるかわからないということになりかねませんので、その点では、しっかりした筑波の教育に対する検討といいますか、どういうふうに発展させたらいいかということはここで当然みんなが考えるべきではないかと私は思うのですが、その点はいかがでしょうか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 筑波大学は新しい構想の大学として発足したわけで、私もよく存じておりますが、いま御指摘のような点はまことに遺憾であり、こういうことは二度とあってはならぬと私は思って、学長以下関係者には厳重に注意するつもりでおりますが、こういうことのないようにいたしたいと思います。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 もう一つ、局長に伺いますけれども、筑波大学で今後の改善の方向について何か案を練られておるようなうわさといいますか、仄聞をすることもあるのでございますが、それがあるかどうか聞きたいということと、それをするとするならば、いま、相当深部にわたっての反省と申しますか、そういう分析と申しますか、そういうことをした上でなければ、これはまた屋上屋を重ね、また、場合によってはよけいに自治活動を制圧していくというような結果になりかねないと思うのですが、この点について何か方法が考えられておるのかどうか、最後に伺っておきます。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私は、筑波大学の制度上の問題ではなくて、たまたまこの事件が起きたというふうに判断しておりますが、大学局長からいまのお尋ねについて答弁させてもらいます。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 私の方へ大学から報告をしておりますのは、先ほど申し上げましたような一般的な今後の学生指導に対する方針についてでございます。  具体的にどのような体制をさらに考えるかということについては、大学側からは聞いておりません。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 今後の動きにつきましても、私どもも関心を持って見てみたいと思っております。  次に、私が昨年の十月に取り上げました松本歯科大学の問題について、私も発言をした責任がありますので、その後の問題について少しお聞きをしたいと思うのです。  昨年の十月に私がこの委員会で取り上げまして、そして文部省は、その後松本歯科大学の理事者側から五回にわたって事情を聴取しております。  その経過を見ますと、十一月二十二日の事情聴取の中で、寄付を二十四億五百八十万円集めた、そして学債が二千六百万円で、合計二十四億三千百八十万円であるということがわかったとなっております。ところが、その前の九月二十日にも事情聴取をしておりますし、九月二十九日の事情聴取の段階では、理事者側としては、寄付は取っていないし、学債も取っていないと、こういうふうに文部省に説明をしてまいりました。そしてそのときに、約二十五億に近い金を集めたいと九月二十日の日に言っております。さらに九月二十九日になりますと、十二億から十三億程度を集めたいと言っております。ところが、十一月二十二日になりますと、初め申し上げましたように二十四億集めたということが告白されたのであります。そしてさらに二月に一億六千万円、三月に千三百万円、四月に八千六百万円、そして七月までに四億七千九百八十万円、十月に急遽十五億七千二百万円を集めた、そして十一月に三億五千万円を集め、合計二十四億五百八十万円が出てきたのでございます。  あれを取り上げましたときに、私の調査によりますと、三十数億円が三月段階で集められているということを私は指摘しました。そして、その中で七件につきまして具体例を挙げて申し上げたのでございますが、この七件のうち、文部省の私に提出していただきました報告書によりますと、事実に近いものが二件であるということが報告されておるわけです。  そこで私はお聞きしたいのですが、ここで責任を持って発言したことについて、これは新聞にも発表されまして、山原の指摘した七件のうち二件だけが事実に近いものであるというようなことになりましたが、この二件を探し出した経過から見まして、当然、学生名と金額と支払い日時の寄付納入帳簿を照らし合わせてこの二件が出たのではないかと思いますが、そういう確認をされて私の方へ報告をしていただいたのでしょうか。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 松本歯科大学に対しましては、これまで数次にわたる事情聴取を行ってきたわけでございますが、私どもの調査はあくまで任意の調査でございますので、回を重ねまして、そして当事者側の協力と申しますか、それを深めてまいりますように努力をいたしまして、できるだけ事実に即した報告をしていただくように相努めてまいりまして確認に努めてまいったわけでございまして、それの概況につきまして、私どもは、公表と申しますか、必要なものにつきましては新聞関係、報道関係にもお伝えいたしますとともに、先刻来当委員会でも取り上げられた関係もございまして、山原委員にもそのような報告をさせていただいたわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 私は、ここで申し上げる以上は責任を持って申し上げているわけで、もしお調べになるならば、本当にその帳簿と照らし合わせまして、そしてお調べになった結果、山原の言ったことは七名挙げたけれどもたった二件しかなかったとかいうことならわかりますけれども、そうじゃなくて、何か私がここでうそ偽りをついたような発表をされると困るわけで、いまの管理局長のお話でございますと、国会で指摘されたんだけれども、結局そういう帳簿まで調べてやったんじゃなくて、言うならば学校当局の事情聴取に来た者から聞いたことを率直に言えばうのみにして発表したのだと、こういうこと以外にはないと思います。この点は非常に残念でございます。  だから、三月段階までに三十億円集めておるのに、それが私に持ってきた書類では、五月、六月、七月、八月、九月、十一月というふうに分けてきているわけですよ。そんなことじゃないんです。そこで、文部省も本当にいわば口先一つで、それ以上捜査能力はないわけですからやむを得ない点もあるかもしれませんが、全く不正確な事情聴取をやっておるということを申し上げておきたいんです。  そんなことだから、今度はこれから私が新しい事実を申し上げますよ。ことしに入りましてから、一月の十二日に事情聴取をまたされております。その前に文部省は八項目の改善要求を松本歯科大に対して出しておられますね。その回答が来ておりますが、その回答の中に、入学合否判定については、松本歯科大学入学者選抜実施委員会規則というものをあなたの方へ学校当局は持ってきたわけでしょう。局長、わかっていますね。これを持ってきたわけです。この実施委員会というものの規則を持ってきて、これによってこれからの——もうきのうことしの最終的な入学者発表をしておるはずでございますが、それを公正、厳正にやると言ってきたわけですが、これは文部省は御承知なんです。  ところが、この委員会はできていないんです。その事実を知ってますか。選抜実施委員会規則をつくってこれでやります、専門委員会もつくりますと言って文部省に持ってきた委員会が、松本歯科大学では今年度の入学判定についてつくられていない。だれも任命されていない。これについてはどうですか。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 ただいまの前段の御発言についてお答えをさせていただきたいと存じますが、先ほど御指摘の、山原議員提供になる具体例七件に対して二件云々ということにつきましては、これは別に私どもそういう調査結果を公表したりしたことではございませんで、山原委員の御質問の関連でございましたので山原委員に状況を御報告申し上げたのでございます。  そして、具体例七件につきましていろいろと先方の書類等にも当たって調べましたところ、金額でございますとか、あるいは受け入れの日付あるいは小切手の日付といったものにずれがあるものがいろいろあるわけでございまして、その中で非常に具体例として事実に近いというものが二件あった。そういうことでございまして、私どもは、山原議員の御調査がどうであったかというようなことで、それを対外的にどうこうというような、そういう持っていき方はいたしておらないのでございます。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 一月二十日に教授会に諮って、入学試験委員会の委員を学長が委嘱をいたしております。六名の委員を委嘱しております。  ことしの入学試験の実施に当たってのこの委員会の活動の仕方が必ずしも完全であるとは思いませんけれども、一応今年度からは教授会の責任のもとに委員会を設置して、それが選抜に当たるという体制はとれていると考えております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 これは教授会でこの規則ができたことは事実ですが、これに基づいた委員会の任命はなされていないのです。教授会は知らないんです。恐らく一部の理事あるいは学監の方からこれこれを任命するなんということを言っておるかもしれませんけれども、だから新聞にも出ましたように、ことしの合否判定の最初に出されました教授会の文書は、採点の点数だけが出たわけですね。だから受験番号が出ていない、氏名が出ていない、何が何だかわからぬ意味のないものが教授会に出されているわけでしょう。  私が追及しましたのは、この大学の運営のやり方について、松本歯科大学を徹底的にやってやろうという気持ちでやっているんじゃないのです。教授会の議を経て合否の判定が下される、正当な資料が教授会に出されて、採点されて、そしてその横に受験番号、氏名が出てこそ初めて教授会は判定する、ここまでの子供なら採りましょう、これだけの点数ならとりましょうというようなことが合議されて、そして判定が下されるというのが当然のことですけれども、点数だけ出ているわけですから、全く意味がないわけですね。こういうことが依然として行われておるということでございます。  これは新聞へ出ましたから、この点は当然改善すべきものだと思いますし、そういう意味で本当に学則にありますとおり教授会の権限をはっきりさせまして、そして理事会側の要求もあると思いますし、学校経営上のいろいろの都合も出てくると思いますから、それについて教授会に対してこれだけのことは認めてくれというような話はあるかもしれませんが、しかし、一点数だけ出してこれで判定せよなどということはもってのほかです。  それから、もう一つ、この「五十四年度入学手続き要項」でございますけれども、ここへ私は持ってきておりますが、文部省へ提出されておるはずでございます。この要項によりますとこういうふうに出ているんです。「納付金・学債引受申込金の納入完了者に入学許可書を送付するとともに、入学に必要な提出書類について通知します。」となっています。そうしますと、結局納付金、学債の引受申込金というものを完済をしなければ入学許可が出ない。そうなりますと、この納付金はもとよりでございますが、いわゆる学債も強制徴収状ですね。これも出さなければ入学許可書を出さぬというのですが、これは御存じですか。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 そういう記載が行われていることは承知しております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 学債というのは、たとえば講堂をつくるとか体育館をつくるとかいう、そういう特別な必要性があってこれに御寄付をお願いします、学校もこれだけ困っておりますから、あるいは物価も高くなってまいりましたから、そういう点でこういう御協力をお願いしたいという文書は確かに学長から行っています。けれども、この「入学手続き要項」を見ますと、それを完納しなければ入学許可書は行きませんよ。これは行き過ぎじゃないですか。幾ら文部省でも、御存じだったらそういうことはいけませんということはしないのですか。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 明年度以降の学生納付金並びに学債の問題につきましても、数次にわたる事情聴取並びにそれに基づきます指導の経過におきまして、私どもは大学側に対して説明を求め、かつ助言もしてまいった次第でございます。  その際、学債の問題でございますが、学債はいわゆる寄付金でございますとか納付金とは異なりまして、一種の貸し付けと申しますか、資金の供与でございますので、その性格並びに取り扱いは異なるところがあっていいかと思います。  しかし、この大学につきましては、これまでも入学時に寄付金をめぐっていろいろな適正でない事柄がたくさんあったわけでございますので、私どもの指導の内容といたしましては、学債は一種の学校の借金ではございますが、学債につきましても、これを入学の条件となるような形で募集をすることでなくて、やはり入学の許可後に任意に募集するというふうにすべきではないかということを重ね重ね指導したわけでございますが、これにつきましては、学校側が私どもの指導のとおりにそれを受け入れなかったというのが実情でございます。  ただ、これにつきまして、厳密に申しまして、法律違反と申しますか、法律上非常に困る問題になるかどうかの点でございますが、これにつきましては、通常は入学者選抜におきまして合否の決定後に授業料等の学生納付金を納入する、これを条件にして入学許可を行うということでございますが、この学生納付金の一部として募集要項に明記をいたしまして学校債の引き受けを要求するということも、あるいは私学の一つの行き方としてこれを否定はできないということが任意の線ではないかと私どもは考えておる次第でございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 ずいぶん寛容なものだと思うのですね。皆さんの今度指導されておる文書によれば、寄付金、学校債について、「長期資金計画の下に任意の寄附金、学校債、日本私学振興財団等からの長期借入金等によって調達することとし、」となっている。ということは、学債はあくまで任意ですね。そうでしょう。  ところが、私がいま申し上げましたのは、この合格通知書に「入学時納付金・学債引受申込金の納入完了者に入学許可書を送付するとともに、入学に必要な提出書類について通知します。」だけじゃなくて、その次には「注意、その他」というのがございまして、「入学手続き期間内に所定の手続きを完了しない場合は、入学を取り消すこともあります。」となっているのです。そうしますと、これは入学生と父母にとっては明らかに強制です。さらに、この金額は一口百万円でございますが、五口の五百万円ということがちゃんと印刷されている。こういうふうに口座振り込みも五口五百万円で、「入学手続き要項」の中に「学校法人松本歯科大学学債引受申込書」とちゃんと印刷をして、五口で五百万円と数字が印刷されておるのです。それから、口座の方を見てみましても、任意ならばたとえば四百万円の人だっておるでしょうが、それが五百万円とぱっと書かれておる。そうしますと、納付金の九百何十万円と五百万円、合計して千五百何十万円という金を入れなければ入学許可書はこないということです。  ここまでくると、これは任意なんというものじゃないし、これだけ国会でも指摘をされて、もっと何とかしてほしいということで私もやって、入学の手続についても、教授会にちゃんと諮って公正な入学をさせなさいということを幾ら取り上げましても、文部省自体が底抜けで言うままになっておって、何で私学に対する公正な指導ができるかと私は言いたいのですが、どうですか。こんなこと許しておくのですか。これでいいとお考えですか。これは好ましくない、だから今後指導するというふうにお考えですか。そこだけ聞いておきたいのです。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 一昨年九月に指導いたしました際には、任意ということは、あくまでも寄付金については任意でなければおかしい——寄付でございますから、強制ということと寄付ということはもともと相矛盾する観念を含むように思われます。  先ほど御引用になりました個所の記述も任意の寄付金ということでございまして、それとはまた独立して学校債という、そういう資金の調達の手だてを列記しておるわけでございます。  それから、ただいまの具体の松本歯科大学の問題でございますが、もともと学生納付金につきましては、私どもはこれにつきまして規制いたしましたり、あるいは協議を受けましたりするという制度にはなっておらないわけでございまして、やはり学校法人がその学校の経営の責任を負うわけでございますので、その学校経営のための主要な財源の一つでございます学生納付金についても、学校自身がみずからの判断と良識ある一つの見通しを持ってお決めいただくという筋合いのものでございます。  ただ、昨年来ここの学校が寄付金につきまして非常に問題になりました経緯もございますために、私どもは、明年度以降一体どういう方針を持っておるのかということにつきまして、事実上学校に対して説明を求め、指導、助言をいたしたわけでございますが、五十三年度におきましては、私どもの調べでは、入学者一人当たりから平均約一千五百万円のいわゆる入学時寄付金を取っておりましたものを、それを全部やめるという、そういう方針を学校側として決めたわけでございます。  それと直接結びつくかどうかは別といたしまして、一つの学校側の財源の確保の手だてとして、新たに、いま山原委員御指摘の五百万円の学校債というものを取り入れまして、そして書類にも明記して入学志願者にわかるようにしたというのが実情でございます。  なお、五十四年度の松本歯科大学の学生納付金につきまして、当初予定しておりました初年度の納付金額が——これは納付金てございますが、入学金、授業料、施設費等を含めまして、初年度で千四百五十万円というものを予定しておったわけでございますが、これを九百四十五万円というぐあいに修正をするというようなことも、学校側としてはいろいろそれなりの工夫、配慮はしてきたのではないかと思っておりますが、しかし、これは冒頭に申し上げましたように私学の納付金のことでございますので、私どもがそれでいいとか、それならば結構だとかいうような筋合いではないわけでございます。  基本的にはなるべく負担が低い方がいいに決まっておるわけでございますが、個々の学校がそれぞれの実情と必要に即しまして金額を決めざるを得ないということであろうかと思っております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 うまいことを言っておられるわけでございますけれども、「任意の寄付で、学校債、私学財団」と書いてあるのですが、それは任意でないから五百万というふうに印刷しても構わぬということになって、合わせて千五百万という金が頭から取られる。本当にこれは普通の家庭ではこういう学校は行けないという状態もあると思います。まだこれから私は調べてみますけれども、これだけではないと私は思っているのです。まだいろいろのうわさを聞いておりますけれども、それはいま申し上げませんが、そういうことを文部省として許容するような構えでいいのかということを、大臣としてもちょっとお考えいただきたいと思うのです。  それから、もう一つは、常務理事の降格の問題なんかについても、全然相談なしに、テレビを見たらいきなり自分が降格されているということがある。降格といったってこれは理事ですが、その辺の人事の問題なんかも依然として雲に包まれたまま、教授会は全く何も知らない。そして大学の入学の合否についても全く知らないままに進行するというようなことですから、暴力団顔負けの輪姦事件とか、いろいろな事件が起こってきたわけですね。それから一億円の詐欺にかかっている。一億円の金が詐欺にかかってなくなっているのに、警察に届けもしない。そんなことを文部省が許しておるからそういうことになるのです。だから、学生諸君も気持ちよく落ちついて勉強できないから、暴力団顔負けというふうに新聞に書かれるような事件が起きる。いまでも三名逮捕されているのでしょう。それに対して学校も適切な処置ができないままに進んでいくということになりましたら、これは学生もかわいそうです。  しかも、事情聴取に来られたのは、もう学監をやめた加藤さんが来ているわけでしょう。学長は来ないでしょう。何回も事情聴取をされても、たしか学長は文部省に一度お見えになっただけです。あとは来ておられない。学長は責任を持ってやるという体制がないところに問題がありますが、この学校でこんな事件が起きてきたのはもう三回目です。このままいくならばまた四回目が起こる可能性がないとは言えません。そこを本当にこの学校のことを心配してあげるならば、もっともっと文部省としては内部について突っ込んでお聞きをしまして、そして大事なことは本当に教授会の権能を——これはこの前から言っていますが、そこが一番問題ですから、教授会が合否の判定や人事の問題につきましてもある程度は知り、合否の判定については、学則に決められておるとおり、当然教授会が全部関与できるということを貫けば問題の解決になると思います。そこのところをごまかしていけば、また第四の事件が発生しないとは言えません。だから、そのことを私は申し上げたいと思うのです。  このことについて最後に文部大臣から、私の話を聞きながらどういう御感想を持つか、伺いたいのであります。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私立大学もやはり公共的な機関でございますから、御指摘のように一点の疑いもあってはいかぬと思うのです。文部省としては、寄付金等学校の徴収金を全部要項に明記して、それ以外は取っちゃいかぬ、任意の寄付金なら別でございますけれども、取ってはいかぬという指導をしておるわけです。  ただ、松本歯大については、いまお話しのようにいろいろ問題があることを伺いましたが、これはある意味では公共の機関でございますから、厳正にしなければいかぬと思う。私もまだ初めてでございましたので、いまあなたからお話を聞きまして、こういうことが二度とないように、今後大学当局に厳重に注意したいと思います。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 最後の問題として、障害児教育の四月からの義務化を前にしまして、国立大学の附属養護学校の実態について申し上げまして、この改善を要求いたしたいと思います。  この義務化の問題につきましては、これはまさに義務化されるということで、いわばことしから義務化元年と言うべきことになると思いますが、そういう点でいろいろ問題はまだ残っておりますけれども、しかし、文部省として本当にやる気があるならば、解決できる問題は解決していただきたい。  都道府県に対しても、義務化に当たって十分な努力をせよとおっしゃっているわけですから、その点から考えますと、国立養護学校が現在、少し違いがあるかもしれませんが、たしか三十六の国立大学にあるように思いますが、ここの教職員の配置が大変アンバランスになっています。実情を申し上げますと、教諭の定数が、たとえば昭和三十九年にできた金沢大学の養護学校が十八名、四十年にできた熊本大学の養護学校が十九名、四十一年にできた徳島が十九名、四十二年にできた宮城、愛知が十九名、四十四年にできた京都教育大学の養護学校が十九名、高知大学は四十五年にできておりますが、これが十九名、四十六年にできた福井並びに神戸大学が十八名と十九名、四十七年にできた秋田大学が十八名、埼玉大学、愛媛大学が十九名、それから四十八年にできた千葉、三重、大分、山梨の国立大学の養護学校が十九名の教員配置です。四十九年にできた弘前、岩手、静岡の場合が二十一名、山形が二十二名です。それから昭和五十年に発足をしました香川大学、宇都宮大学、信州大学が二十四名となっております。そうしますと、四十九年以前にできました国立大学附属養護学校は十八名ないし十九名、四十九年にできましたところが二十一名と二十二名となっておるわけでございます。  これらのことは、公立養護学校は二十四名でございますから、国立の養護学校か——しかも国立といえば、当然その県におきまして一つの模範的な内容を持っておると思うわけでございますが、こういう差があるということに初めて私は気がついたのです。私はびっくりしまして、国立養護学校だからむしろ先生の加配ぐらいされておると思ったのですが、公立学校が二十四名で国立が十九名、十八名ということで、そのままずっと放置されている。これを見まして大変驚いたわけでございますが、これは事実でございましょうか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御指摘のとおり、五十年度以降新設をいたしました附属の着護学校は、公立学校標準法に定める教員数と同数を配置しておりますけれども、それ以前に設置されました附属養護学校二十六校につきましては、標準法で定められた教員配置にはなっておりません。三名ないし六名の不足という状況でございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 さらに小学部三学級、この三学級も問題なのですよ。いわゆる小学部、国立の場合は複式になっているわけですね。私が高知大学の養護学校へたまたま行って聞きましたら、三学級ですから、それで困って、先生方が五学級にして無理やりこれをやっているのです。これにも問題がありまして、公立の標準定数法で言えば、この基準とも全く合致しておりません。こういう状態でございます。  附属養護学校の任務というのを見てみますと、障害児の教育はもとよりですが、二番目に国立学校設置法施行規則の第二十七条に、「附属学校のその附属する国立大学への協力」として、研究協力、教育実習の実施という任務が他の公立の養護学校よりも一つ多くあるのですね。そうすると、標準定数法の十五条によりますと、研修定数、研究協力校には定数の加配が行われるというふうになっておりますから、これは当然任務がつけ加わっておりますところの国立養護学校の場合も加配されていいくらいのものであるのに、それが逆に公立は二十四名、国立の場合は十九名、十八名ということでございます。これはもうどなたが考えてもおわかりだと思います。  そこで、先日、高知大学の附属養護学校へ行って、どんな状態なのか調べてみました。これは高知大学だけではありません。調べてみましたら、全部そうです。これはもうとてもやっていけないものですから、非常勤講師を二人、教務補佐を一人、事務職の方を一人、技能員補佐を四人、そういうのを入れざるを得ない。ここの養護学校の予算は五十三年度千六百万円ですが、そのうちの非常勤を雇ったための経費が五百五十万で、何と全支出の三分の一を占めておるということでございます。だから、これがその学校の運営に非常に負担となっております。  さらに、これは関東の例ですけれども、用務員もPTAの雇用にしなければならぬ。それに支出しているお金がPTAから百三十一万円、ほかにPTAから公費補助として百二十八万円、何とPTAから二百五十九万円出ておるという状態です。関西の場合はPTAの会費から百五十三万五千円出ているということでございます。(「ピーチーエーか」と呼ぶ者あり)  私の方は「ピーチーエー」と言いますからね。土佐の標準語でございます。  こういう状態を申し上げましたが、茶化す人もおりますからこれ以上申し上げませんけれども、実際、各都道府県に対して、義務化の初年度に当たって一層努力せよということをおっしゃっておられる文部省ですから、これくらいはやはり解決して、義務化初年度に対する文部省の決意を示すべきではなかろうか。ふやしましても百人程度ですね。経費にしましてもそれほどの経費はかからないわけでございますから、この点は文部大臣ぜひ決意を固めてください。各県に国立大学が一つしかないところに一つの養護学校があって、そこが模範的なことをやってくれておると思っておったところが、こういう実態では余りにもさびしいわけでございます。  それから、栄養職員がいないでしょう。完全給食をやっているのに栄養職員が配置されていないものですから、養護教員がそこへ行ってやっている。そして料理をつくったり献立をやったりしている。しかも、ああいう障害児の子供たちを抱えて養護教員というのはずいぶん忙しいわけですが、その仕事もできないということで、これでは国立大学附属養護学校と言えないと私は思います。  その名に値するようなことを文部省としても緊急の問題としてやっていただきたいと思うのでございますが、文部大臣の所見を承りたいのであります。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私は、いま先生からお話を伺いまして、実はびっくりしたのです。公立学校でも全部やっておるから多分全部やっておると思っておったのですが、お聞きしたところによりますと、五十年度以降はちゃんと定数法どおりやっておる。しかし、その前の分は御指摘のように十分でないわけです。  それから、特に養護教員についても同じなのでございまして、やはり国立の養護学校でございますし、これは全国に対して一つの模範になり基準になるようなものですから、私ども改善について積極的に努力するつもりでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 大学局長、よろしいですね。これはぜひやってください。どうですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 当面、御指摘の非常勤講師等によってできるだけの対応をして、一応支障の生じないようにはいたしておりますけれども、もちろん整備をしなければなりません。  ただ、率直に申しまして、附属養護学校の新設を推進する必要がまだございます。毎年度三校程度の設置を進めてきておりますが、今日の非常に厳しい財政あるいは定員の事情のもとで、既存のものを含めて整備をし、さらに新設校をつくっていくというのは大変困難な課題でございます。できるだけ既設校の定員の改善に努力をしてまいりますけれども、直ちに一両年をもってというわけにはいかない点があることを御理解いただきたいと思います。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 これは本当に国立の場合ですし、皆さんの決意によってできるわけですから、ぜひ実現をしていただきたいと思います。  局長の答弁は文部大臣の答弁より少し後ろ向きになってしまって、あなたに聞かなければよかったといま思っておるわけでございますが、やはり大臣の趣旨でやってください。よろしいですね。  それから、もう一つは、たとえば一例でございますが、障害児の父母の会の会長さんの御婦人の方から手紙をいただいておりますけれども、今度義務化によって——私は強制するなんということは反対ですけれども、高知県の東の端の室戸市に十七名の障害児の子供さんがおりますが、今度高知市の隣に養護学校ができまして、そこへ行けというわけですね。ところが、行くためには往復で一万五千円要るのです。そして政府の基準は大体年七回ということでございますけれども、障害児の子どもというのは親がときどき会わないとだめなんですね。親の顔を忘れてしまいますし、それから非常に荒れてくるのです。先生方も困るわけですから、なるたけ親御さんが来られて見てもらいたい、一時間でも一緒におってもらいたいということなんです。これは親の気持ちでもありますし、そういうところから、いまの七回で、しかも段階的な旅費の給付ではとてもじゃないがもういけない。むしろそれよりもこっちへ学校をつくってくれという声がほうはいとして起こっているというような状態がございます。これは私もそう思います。お母さん方の要求としては、毎週土曜、日曜には子供を見にいきたい、ときには連れて帰って家の御飯も食べさせたいということで、これは当然の人情でもありますね。  そういう点で、これは改善をしてもらいたいという要求がありますので、このことを申し上げたいわけですが、これはいまのところどういうふうになっておりますか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 養護学校につきましては、義務制を迎えましたので、いままでに五百三十校ですか、本年度予算でもさらに百三十校の増設を見込んで、できるだけ御期待に沿うようにいたしております。  特に程度の軽い子供は特別学級で学んでおりますが、重い子には訪問教師の制度もありまして、やりますが、ただ、問題は、障害の種類と程度によって適切な教育を行うのがこの学校の趣旨でございますので、そういう意味で就学指導委員会の意見を聞きながら適切な配置をいたしたのでございますが、詳細は局長から答弁させます。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 養護学校へ就学をさせるための手だてとしては、寄宿舎の制度とそれからスクールバス等を使っての家庭からの通学と両方あるわけでございますが、通学の場合についてはスクールバスの助成等、本年は約百台のスクールバスの購入補助を見込む等措置をいたしました。  寄宿の場合は、いまおっしゃるように、本人がときどき家へ帰って親と交流をするというのは非常に大切だということはわれわれも承知しておりますが、その帰省に要する経費を就学奨励金の一部として予算措置をしておるというのは御指摘のとおりでございまして、これは少しずつ回数をふやしておりますが、現在は年七回というふうに見ておりまして、この就学奨励金は、そのほかに御承知のように寄宿舎居住費の負担であるとか、あるいは学用品であるとか、各種の補助をしておるわけで、その一環としてこれからもできるだけ手厚くしてまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、現時点では御指摘のような回数になっております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 最後に、教職員の定数とそれから学級定数の問題で昨日大蔵大臣にお尋ねをしたわけですか、文部大臣はこの前参議院の本会議で学級定数は四十名にするという決意を表明されまして、昨日は大蔵大臣も前向きにやりたいということを言っておるわけですが、その中でやはり出てくるのは、いま文部省がやっておる調査のことですね。  調査というのはずいぶん待たされておるわけでございますが、その調査というものになかなか一つのウエートがかかってきております。そういう意味で、これはいつ調査が完了するのですか。  私どもの聞いたところでは、十一月と言われておったり、十二月と言われたり、一月末と言われたりしてきたわけですね。ところが、二月の中旬を越しましてもいまだに出てこないわけですが、完全な調査結果というのはいつ出るのでしょうか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 先般の定数小委員会の御審議の際にはまだエラーがあって、そういう意味で全体の集計が正確にできていないという御報告を申し上げたのですけれども、その後不正確な部分について県へ一遍返して書き直してもらった等の措置をしましたから、現時点では調査そのものは集計を終わっているわけでございます。  ただ、今度はそれを電算機に入れまして、いま、たとえば四十五人から四十人にする場合に、現在四十一人以上の学級というのが中学校であれば全学級の五〇%、小学校であれば二五%あるということになっているわけですが、それらがまた東京、大阪等の過密九県くらいに集中している。そこでそういう九県などを中心にして、それらの県で四十五人をもっと減らした場合にどのくらい校舎が要るかとか、あるいは校地の問題はどうかとか、そういう分析をしなければいかぬ。それがしばらくかかるわけでございまして、そういう分析の結果をもとにして、それではいつから何学級くらいの方針でやっていこうかとかいう計画を立てるわけでございます。そういう意味でまだしばらく時間がかかる、こういう意味でございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 まだしばらくかかるという、そのしばらくというのは大体どういうことですか。ずいぶん早く出るようなお話がこうなってきまして、いまになってもまだしばらくかかると言うのだが、たとえば三月末ごろにはそれができますか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 いま申しましたように、テーマごとの分析と、そのほかにもたとえば逆に僻地の小規模学校の免許外教科担任教員はどのくらいで、その教科はどういうふうであるかというような分析をまた別にやるというようなことで、それらを総合して、しからば次の年次計画は何年くらいでどういう内容でやろうかということを決めなければいけないわけですが、私どもの計画としては、いずれにしても五十五年度から計画を発足させたい。とすれば、五十五年度の予算要求において初年度の定数を幾ら要求するかということ、これははっきりしなければならぬ。  そうすると、その初年度の定数要求は五十四年度の八月の末に大蔵省にいつも出すわけでございますから、その時点までには一応の計画を策定したい、こういうめどでやっておるわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 そうしますと、五十五年度から実施をしたいということに基づいて、その調査結果を活用するということですね。  でも、その前に、たとえば各党だって定数改善についての政策を持つでしょうし、それからすでにこの国会へも政党として提出したい場合もありますね。それから文部省としても、これだけの計画を立てたいという場合の基礎になる資料そのものができた段階で公表していいんじゃないですか。それに基づいて政府の方で、文部省として、八月の概算要求までにこれを基礎にしてやりたいということはわかりますよ。それはわかりますけれども、少なくともこれだけ悉皆調査をやるということで去年の五月から開始されて、待って待ってきたわけです。小委員会も間に合わないようなかっこうになってきまして、では文部省はこういうふうなやり方でやるんだけれども、その調査の結果に基づいてこういうやり方もありますよということだってできるわけですね。  だから、その調査の結果はまとまった段階で発表すべきではないか、それはいつできるかと言っているのです。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いまのあなたのお話ですけれども、ただ非常に困っているのは、過疎過密がたくさんあるのです。過疎と過密の場合、これをしっかりつかまえなければいけないし、特に過密の場合には校地を考えなければいけない。土地の問題が絡んでくるのです。  そういう問題をいま悉皆調査で具体的にやっていますから、そう急に言われても無理なんで、一生懸命文部省も精力的にやっていますが、具体的には局長から……。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 そのお考えが私は納得できないのです。だから、過密過疎の問題があります。校舎をどれだけやらなければいかぬかというようなことは、それを文部省がお考えになるのは当然ですよ。  でも、悉皆調査をやった結果というものをやはり出しまして、そしてそれぞれそれについて検討もできると思いますし、そうしてこそ初めて本当に計画的にやっていく文部省の参考にもなると思います。だから、そこまで文部省がやるために、いつまでも調査の結果を発表しないということはぐあいが悪いのではないかと私は言っているわけです。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 ちょっと理屈っぽくて恐縮ですけれども、この調査はあくまでも文部省の行政目的で、その計画を策定される際の基礎資料として調査をした。たまたま去年定数小委員会というものを文教委員会におつくりになって、そこで集計の結果だけでもちょっと見せなさいという御要望があったので、それは誤差がありますけれども、必要があればお出ししましょうということは申し上げましたけれども、現時点において、その小委員会ももう解散しておられるようでございますので、私どもとしてはこれを一般に公開するつもりはないので、やはり、その行政目的に即して計画を立てる際の資料にしたい、こういうことでこれから分析をしていきたい、かように考えておるわけであります。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 これはおかしいですよ。小委員会が解散したから出さなくてもいいと言ったって、小委員会はこれが出るのを待って待ってきたのだけれども、つまり出ないものですから、困り入ってああいう結論を無理やりにつくったのがこの間の最後の幕切れのところですよ。  だから、できればそれを出すおつもりだったんでしょう。それを出すおつもりだったのが小委員会が解散したから出さなくてもいいなんということを言い出したら、委員長、本委員会へこれは出していただかなければなりません。それは皆さんもう当然ですよね。(「当然だ」と呼ぶ者あり)  これは文教委員会として当然出していただかなければならぬと思います。だから、委員長、この点について御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。

坂本三十次自由民主党

○坂本委員長 後刻理事会にお諮りをいたします。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 終わります。

坂本三十次自由民主党

○坂本委員長 午後四時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後二時四十三分休憩      ————◇—————     午後四時十三分開議

坂本三十次自由民主党

○坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。西岡武夫君。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 内藤文部大臣の所信の表明をお聞きしたわけでございますが、きょうは大臣の基本的な教育政策についての姿勢を中心にお尋ねを申し上げたいと思います。  まず、初めに、現在の教育基本法についてですが、教育基本法の中に書かれております事柄はもちろん非常に高邁な理想がうたわれている。しかも、究極のところ日本の将来は教育の成果にかかっているということを高くうたい上げているわけでありまして、その基本的な考え方には私も賛成でございますが、現在の教育基本法には、日本の伝統、文化を尊重するとか、あるいは人間形成の中においてもっと別の角度で大事にしなければならない教育の原理、原則というものが若干欠けているのではないかという感じを私自身も持っているわけでございます。  そこで、大臣の教育基本法についての御認識について、これを新しい筆で書き改める必要性を、未来を展望する中で現時点でお持ちになっておられるかどうか、そこの基本的な御認識をまずお伺いいたしたい。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 西岡先生もよく御存じのように、ちょうど終戦直後私もおりまして、教育基本法なり学校教育法制定に携わった一人でございますが、学校教育法は、いまの六・三制をつくるためにいままでの教育制度をあそこで全部変えましたが、教育基本法というのは、特に教育勅語を廃止した後の教育の基本理念を明らかにしたいという点でできているわけです。  その点、何しろ総司令部相手でしたから、おっしゃるように日本の歴史的な問題とか、そういう点においては多少具体性が欠けるのではないか。基本法自体については、あれはあれでりっぱにできていると私は思いますが、おっしゃるように具体制に欠け、また日本人の特質というものが十分に出ていないといううらみはあると思います。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 それでは、大臣は、現在の教育基本法を新しい視点に立ってこれを一部分いじる、書き改めるという意味ではなくて、新しい筆で書き直してみるという必要性をお感じになっておられると理解してよろしゅうございますか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 せっかくできた教育基本法であり学校教育法で、いま終戦後三十数年、日本の教育の支柱になってきた法律でございますから、私はこれはやはり尊重したいと思います。  もし足らない点があれば別に補足したらいいと思いますが、いま教育基本法を改正する気持ちは私は持っておりません。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 それでは大臣がおっしゃっていることと矛盾するわけで、大臣はいまの教育基本法には足りない部分があるということはお認めになっておられるわけであって、いまの御答弁では納得できないわけなんです。  これはこのままにしておいて別のものをつくるというわけにもいかないはずでありますし、再度御答弁をお願いいたしたい。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私は、基本法としては一つの体系が整っていると思っているのです。ですから、おっしゃるように、終戦直後日本の実情を知らないアメリカ人を相手にやったわけですから、確かに御指摘の点は私もわかるわけですけれども、それならこれを改正するかといったらこれもなかなか大変なことですから、足らない部分があったらそれは補うし、特に、文部省も最近指導要領の改定をしまして、小中高等学校の教育内容の改善をいたしておりますので、これでひとつやってみたいと思っております。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 私がお尋ねをしておりますのは、教育基本法を新しい筆で書き改めていくのだということが大変なことであるということは、現状ではそのとおりだと私も思いますが、しかし、大変なことであるということと、大臣としてこれを新しい筆で書き改めるべきであるというお考えを持っておられるかどうかということは別の問題だと思うのです。直ちにできるかできないかという問題と、それから大臣の教育に取り組む基本的な姿勢として、たとえばわが国のこれまでの教育はどちらかといいますと学校教育中心であったが、しかし、これだけの大きな社会構造の変化、国際社会の中における日本という中で、いままでのような学校教育を中心とした文部省の行政は根本的に改められなければならなくなってきている。これも大臣はお認めいただける現実の姿であろうと思います。  そうした中で教育の果たさなければならない役割りは、おのずからここ三十年の間に大きく変化してきている。こうした面からも、教育のあるべき姿、基本的な考え方をどこに置くかについては、文教行政の最高責任者としての文部大臣は、教育にこれまで取り組んでこられた豊かな御経験を踏まえて一つの信念を当然お持ちだと思うのですが、いかがですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私も教育一筋に四十年参りまして、終戦直後の教育をやってまいりました関係で、どういう点がいいか、どういう点が問題があるかということは私もよく存じているつもりです。しかし、お話しのようにそう簡単にはいかないと思うのです。  そこで、法律をつくるのも一つですけれども、実際の措置で具体的にできるものから私はやりたいと思っております。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 私が申し上げているのは、大臣に御就任になったときにまず抱負を述べられた中でいろいろな御発言があったわけでございますが、私はここであえて繰り返して申し上げませんけれども、あの御抱負を承る限りにおいては、教育基本法というものについて新しい視点でこれを見直していくというお考えが基本的にはやはりあったと思うのです。そうじゃありませんか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 それも一つの考え方でございますけれども、せっかくできた法律を、私はやはりそれは尊重していきたい。もし足らない点があれば、これはまた新たに考えたらどうかというのか私の考え方です。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 新たに考えたいというのはどういう意味でしょうか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 新たにというのは、いま足らない部分があれば、指導要領の改定なりその他いろいろな面で、実際面でこれを補う方法があるのではなかろうか。要するに教育の効果が上がればいいわけですから、どうしたら教育の効果が上がるかについて私も慎重に検討してまいりたいと思っております。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣は御就任のときに、繰り返していまのわが国の教育には一本筋が通っていないという趣旨のことをおっしゃったわけです。それは指導要領をどうするとかなんとかという問題ではなくて、一つの指針というものがいま必要なのではないかということを言われたはずです。そうでありませんか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いま日本はお話しのように資源小国で、あるのは人間だけですから、やはりりっぱな人間をつくることが根本じゃなかろうかと思います。  六・三制をやってまいりまして、教育の普及率は世界において比類を見ないほど普及したけれども、しかし、その内容たるややはりさみしいものがあると思うので何とかしないといけない、自殺が多いし、子供たちをりっぱに成長させるために何か足らない点があるのじゃなかろうか、そういうことを申したわけでございます。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 それを、一部分教育基本法を手直しするというような意味ではなくて、二十一世紀を展望する中で、日本の教育のあるべき基本的な姿勢、理念というものをここで考えてみるべきではないか。ということになれば、教育基本法というものを見直すということにならなければ、日々の行政の中でこれをするという問題とは事柄が違うのではありませんか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いや、教育を見直すということは私も賛成なんで、ですから、終戦後の教育でいまや三十数年たった今日、やはり見直すべきだと思います。どう見直すかについては、関係各方面の意見を聞いて慎重にやりたいと思っております。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 私はいま文部大臣にお尋ねをしているわけで、関係各方面の御意見を大臣にお尋ねしているわけではないのです。  教育の基本的な理念というものに、現在の日本の教育に欠けるものがあるということを大臣は御就任のときにおっしゃったわけでございますから、それは具体的にはどういう形でそれを改めようとなさるのか。そのことは教育基本法の改正というよりは、新しい立場で、新しい筆で教育基本法というものを書き直してみるんだというお考えはないのですかということをお尋ねしているわけですから、大臣のお考えをお聞かせいただきたい。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いや、私は別に教育基本法をこう直さなければならぬとは思っていない。  いま日本の教育で一番足らない点は徳育だと思うのです。国際的に信頼と尊敬をかち得るような日本人をつくるにはどうしたらいいかということで頭がいっぱいでございまして、別に法律だけやれば済むというわけでもないと思うので、そういう意味で教育全体を見直すことは必要だと思っています。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 そうすると大臣は、教育基本法以外に教育の一つの指針になるようなものを別におつくりになりたいと、そういうことをおっしゃっているわけですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いや、いま教育課程を私も見て、指導要領を改定したばかりですから、この指導要領の中で十分足れりと私は思っていますから、指導要領をしっかり守っていったらどうかと、こう思っております。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 それでは、大臣が御就任になったときに、わが国の教育の現状を憂えておられて、戦後の日本の教育には一つ基本的に教育の理念に欠けるところがあるということをおっしゃったのは、その問題にはもう今後具体的にお取り組みになるというお考えはお捨てになった、行政の問題だということに問題をすりかえられたということですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 去年せっかく指導要領の改定を行ったわけですから、この指導要領の改定でこれから教科書も出るわけですから、これによって私はしばらく様子を見たいと思っています。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 私は学習指導要領の問題を言っているのではありません。大臣はおわかりのはずです。教育の基本的な理念についてですから、それを受けて学習指導要領というものも出てくるわけで、話が逆転しておりませんか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いや、要するに教育は中身の問題ですから、どういう教育をするかということですから、そういう意味で指導要領の改定を行ったわけで、おっしゃるような基本理念というのは、基本理念があって、それが指導要領に出ているわけですから、指導要領はせっかくできたのですから、この成果を見ていきたいと、こう申し上げておるのです。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 これは非常に大事な問題ですから、重ねてなおお尋ねをいたします。  大臣は、戦後の日本の教育の基本理念に問題があるということを御就任のときにおっしゃったわけです。私は学習指導要領の話をしているのじゃないのです。問題をすりかえていただいては困ります。御答弁ください。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いや、私はすりかえてはいないのです。要するに、戦後の教育はおっしゃるように何しろアメリカ人が中心でやったわけですから、日本の歴史とか日本の教育の事情というものはやはりよく存じないでしょう。ただ、私は、六・三制をやってみて、これだけ教育が普及したことはやはりよかったと思う。  そういう意味でいい点もあるわけですから、しかも私がいま申し上げているのは、せっかく指導要領ができたんだから、この指導要領で改善できる点は改善していきたい、こういう趣旨なんです。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣は肝心なことにお答えにならないわけで、戦後の教育基本法を初めとするいろいろな教育の施策というものがアメリカの考え方に基づいてスタートしたということを大臣おっしゃっておるわけですから、そこに問題があるということをおっしゃっておるわけですね。それは間違いありませんか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 それは間違いはございませんけれども、しかしながら、三十年の長い間教育課程の改正もやり、日本的なものに改めてきたのですよ。私も文部省のときに一生懸命努力しましたが、とにかく終戦後社会科なんか何をやっているかわからなかった。それも改めて、なるべく地理や歴史や社会的事情を教え、改善に改善をやってきたわけです。  そこで、今度せっかく小中高の指導要領を改定しましたから、この成果を見て、なるべく日本の歴史と伝統に基づいた教育の充実を図っていきたい。この趣旨でできた指導要領でございますから、私はこの指導要領は尊重していきたいと思っております。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣は御就任のときにはそういうことをおっしゃらなかったのです。基本的なところに問題があるとおっしゃったわけです。そこをきちっとしなければいけない。  もちろん日々の文教行政も大事ですし、学習指導要領というものも大事でしょうけれども、もっと根本的なところに問題があるということをおっしゃったはずなんです。それを大臣に御就任になって、日にちがたつにつれて一番大事なところを——御就任のときにおっしゃらなかったなら別ですけれども、自分はこれまで四十数年教育一筋にかけてきた、その総決算として、日本の戦後の教育の持っていた基本的ないろいろな問題に積極的に取り組みたいと、そういう意気込みで大臣に御就任になった。そのように私も承っているわけで、それをいまのような御答弁では私は納得がいきません。  しかし、これは幾らきょう私が御質問をいたしましても同じような御答弁しかなさらないようなことで、そういう信念がいつの間にか、何の理由かわかりませんけれどもどこかに吹っ飛んでいってしまうというようなところに問題があると思うのです。ということを指摘して、この問題はまた次の機会に譲ります。  ところで、制度の問題でございますが、大臣は、現在の六・三・三・四の学校制度というものが将来にわたってこのまま相当長い期間継続していくことが望ましいとお考えかどうか。  もちろん、六・三・三・四の学校制度というものが教育の量的な拡大というものに果たしてきた役割りは非常に大きなものがあります。それは私も評価いたします。しかし、戦後教育制度がスタートしてからちょうど三十年経過いたしまして、教育に課せられた役割りというものは非常に大きく変化をしてきております。生涯教育という視点で教育全体を見直さなければならない。そういう時期が来ている。しかも、新しい経済情勢の中で、いままでのようにそのときそのときの経済の要請に教育の方が対応するというのではなくて、教育が日本の社会をリードしていくんだという役割りを果たさなければいけない。  そういうような意味から言っても、現在の六・三・三・四という学校の制度というものが、いつまでもこのままで新しい時代を切り開いていく制度とは私には思えないわけですが、大臣はどうお考えでしょうか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いろいろ問題はあろうと思いますけれども、しかし、今日六・三制でここまで日本の教育が発達して、これからやはり国際交流をしなければならぬ時代ですから、問題の点はないとは私も申しませんけれども、余り制度いじりをやっていますと教育の本体を見失いはせぬかという心配もいたしているわけで、どういうふうに改善したらいいか、いろいろ中教審からの答申も出ていますから、それについてさらに検討していきたいと思っています。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 ここ数代の文部大臣は必ず基本的な問題については検討してみたいとおっしゃって、一年かそこらですぐおかわりになって、また新しい大臣が御就任になって検討、検討と、検討大臣みたいになってしまっているわけですね。  内藤文部大臣、いままでの四十数年にわたる長い間文教いちずに人生をかけてこられた、その総決算として文部大臣に御就任になったわけですから、これは大臣がいまさら御検討になるというのはおかしいじゃありませんか。大臣のお考えはいかがですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 西岡先生はよく御存じのように、あなたも教育一筋にやられて、私も教育一筋にやってきた。ですから、私個人の考え方というものもありますけれども、それはやはり私の個人的見解ですから、皆さんの理解と協力を得なければなりませんから、私はいまその問題については差し控えたいと思っています。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣の信念というものを伺わないで理解も協力もないではありませんか。大臣の御信念を伺いたい。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私の信念は教育を大事にするということなんで、どうしたら教育を大事にできるか。日本は資源小国だから教育しかないんだから、どうしたらいいか。特に、国際交流が盛んになり、これからの日本は海外に発展しなければならぬから、そういう意味で、あなたのおっしゃるように、ある意味で見直しも必要だと思います。それは今後よく検討させていただきたい。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 教育を大事にするということは、何も文部大臣でなくとも、だれでも、教育をおろそかにしていいということを言われる方はおられないと思うのです。そんなことはわかりきったことで、それは大臣の信念でも何でもないわけで、現実にいまの六・三・三・四の学校制度には多くの問題がある。もちろん利点もあるでしょう。しかし、実際のいまの日本の教育の置かれている現状は、たとえば高等学校の問題一つを取り上げてみても、これは実態を大臣御自身御存じのはずなんですね。そうしたものを踏まえて現在の学校制度というものを手直しをすべきである。  いろいろ検討するとおっしゃっていますけれども、その中身はとにかくとして、すでに昭和四十六年に中教審の答申が出て、先導的試行でこの六・三・三・四の学校制度についても改めてみるべきではないかという具体的な提案も出されているわけです。そうしたものも何にも文部省としてこれを正式に取り上げようとしないで、しかも、内藤文部大臣が誕生してなお検討してみるというのはどういうことなんですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 それはいろいろ問題があったからいままで動かなかったと思います。  詳しいことは局長から答弁させます。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 私はきょうあえて政府委員の皆様方の御出席はいただかないで、文化庁の長官だけおいでをいただいているわけですが、それは文部大臣としての御見識を承りたかったからです。これは初中局長とか大学局長とか、局長の皆さん方がお答えになる問題ではないのです。  文部大臣としてどうお考えか。局長からの御答弁なんかは私は全くいただくつもりはありません。第一、御出席にもなっておられないわけです。大臣、いかがですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 だから先導的試行もやっておるわけなんですから、それがまだ十分実っていないことは事実でございますけれども、やれることはいま事務当局もやっておりますから……。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 先導的試行を全然やっておられないじゃないですか。どういう具体的なことをおやりになっておるのですか。やっておられないのです。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いや、検討はしているはずですよ。ですから局長から答弁させますと、こう言っているのです。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣、それを御存じないのですか。これは学校制度を改革するかどうかということは文部省にとっては大変な問題でしょう。それを大臣が局長から答弁させなければわからないというはずはないですね。きのう、きょう文教に携わられた方じゃないわけですからね。  私は、現在の六二二・三・四の学校制度というものはもう具体的に手をつけなければいけないところに来ているのではないかと思う。それは高等学校のいまの位置づけ一つを取り上げてみても、高等学校の進学率が九四%になっている。そういう中での中学校三年、高等学校三年という、こういう小刻みな区切り方自体にも問題がある。学習指導要領の改定等を行うというようなことももちろん、一歩かあるいは二歩の前進かもしれないけれども、そういうことでは済まなくなってきているのではないか。あるいはまた、職業教育等の学校教育における位置づけという問題についてもわれわれは真剣に考えなければいけないところに来ている。たとえば最近のいろいろな、ここにデータもございますけれども、議院立法で成立をさせたいわゆる専修学校の制度というものもスタートをして、これも十年くらいスタートしたのが遅かったと私ども反省をいたしておりますけれども、これがここ数年来非常な発展を見ているということを考えたときに、これはまさに六・三・三・四の学校制度に対する国民全体の一つの批判のあらわれであるとも私は思うのです。  そうしたことを総合的に考えれば、文部大臣、私は来年から六・三・三・四を直ちにいじるべきだということを申し上げているのじゃないのですが、大臣として、いまの六・三・三・四の学校制度はできるだけ早い機会に改める必要があるかどうかということをどうお考えか、それをお尋ねしているのです。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 お話しの点もわからぬわけじゃないですけれども、いま、中高の問題にしても、中学校は義務教育で市町村なんですね。そして高等学校は大体県が中心でございますから、そこに問題点があるわけなんで、そう制度改正とおっしゃってもいろいろ実際問題もまたあるわけです。  それから、専修学校制度についても私も一生懸命やりまして、こういう制度にして、短大卒業程度の扱いまで人事院ではしてくれておりますから、あるものを改善していくことが大事だと私は思うのです。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 私が六・三・三・四の学校制度を改革すべきであるということを申し上げているのは、小学校、中学校が市町村、高等学校が県だという、そういう行政の責任の所在をどうのこうのという問題を含めて六・三・三・四の学校制度をどうするかということを申し上げているわけで、大臣のお話をお聞きしていると、内藤文部大臣は大臣に御就任になって、結局根本的な教育の改革の必要性は全く認めておられないということですか。要するに根本的には何にも手をつけないということでしょうか。そう理解してよろしいのですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私はいまの制度が悪いとは思っていない。ただ、改善すべき点はもちろんありますけれども、余り制度いじりばかりしていると教育は定着しませんから、悪い点があればその悪い点から直していきたい、こういう趣旨です。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣、制度いじりばかりと言ったって、いつなさったのですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私が制度いじりと申したのは、制度いじりをしているとやはり教育の効果が上がらない面があると申し上げたので、いまの六・三制の悪い点は、これは直していかなければならぬけれども、しかし、根本的に教育改革はこうやるということは、これはなかなかむずかしいことだと私は思っております。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 教育の改革がむずかしいということは、もうそのとおりだと思うのです。しかし、むずかしいからこそ、教育にまさに経験豊かな内藤文部大臣が御就任になったので、それで私はこういう御質問を申し上げているわけです。  しかも、大臣が御就任のときの御発言たるや、まさにそういう意欲満々というふうに国民全体は受けとめたと思うのです。それがわずか数カ月もたつかたたないかの間になぜこんなに後退したのでしょうか。私は不思議でたまらないのです。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 そういうふうに先生から御批判を受ける点は私の不徳のいたすところですが、実は、私は、昨年の六月に胆石の手術をして、正直言って体が弱いのですよ。それで、体が弱い私がそういうことをやるには、もう少し健康になるまで多少待っていただきたいと思うのです。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 いまの大臣の御答弁では、論議を進めるのはちょっとどうかということになりますが、いまの御答弁は私はお聞きしなかったことにいたします。  大臣、国民の一人一人が教育にこれだけ大変な関心を持って、しかも最近子供たちの自殺が相次いでいる。少年の刑法犯罪というものが激増してきている。予算委員会の総括質問でも私が指摘をいたしましたように、戦後いままでに二回ピークがあったわけですが、五十二年はこれまでのピークをさらに上回る少年犯罪というものが激増をしてきている。しかもそれが十四歳、十五歳、十六歳というところに激増してきている。これはもちろん学校だけの問題ではないと思います。基本的には広く家庭教育に問題があるだろうし、あるいは社会のあり方にも問題があるだろうし、また政治自身にも反省すべきところが基本的にある。しかし、現在の六・三・三・四の小刻みな区切り方、特に中学校三年、高等学校三年という小刻みな学制の区切り方というものが、子供たちの進学の問題をめぐってのいろいろな悩み、自分の個性というものを本当に落ちついて発見できない、それを指導できないという、そうしたいろいろなことと重なり合っていまの社会の状況というものをつくっている。  そういうことを考えるときに、中学校の三年と高等学校の三年という問題については、文部省として当然もっと真剣に考えていい問題ではないのですか。どうでしょうか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 確かに子供たちの自殺も多いし、いろいろ問題があることは私もよく存じているのですが、ただこれはおっしゃるように社会的な影響もあるし、家庭教育のこともあるし、それから特に大学進学で試験地獄にさいなまれていることもあるし、戦後の教育でいろいろな問題があると思う。  生命を大切にするとか、いろいろな点で不備な点があったと私は思うので、ですから、いまおっしゃるようにこれが中学と高校を三・三に分けたからそういう事件が起きているというはっきりした証拠があるなら、それは改善することにやぶさかでないのですけれども、その点は、私も、三・三に分けたからそこで犯罪ができたというふうにはまだ納得いたしかねているのです。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 私はそんなことを断定的に申し上げているのではなくて、一つの要因として、やはり中学校三年、高等学校三年という——これは高等学校の進学率がもう全員入学に近いところまで来ている。地域によってはもうほとんど全入に近い状況が起こっている。そういうようなことを踏まえて、これは不自然な姿ではないか。しかも三年というのはいろいろな面で不安定である。中学校一年に入って初めて中学生になって、中学の三年というのは、三年になれば次は高等学校に入るということでどうも落ちつかない。要するに中学生としての本来の教育、落ちついた教育というのは二年生の一年間しかないというようなことも指摘をされている。そういういまの高等学校への入学試験のあり方とか、そういうものも全部総合して考えたときに、高等学校の現在の状況は、高等学校になってから九九のことも十分覚えてないというような子供たちがたくさんいる。この前の日教組の教研集会等でも多くのいろいろの事例が指摘をされている。そうしたことを考えると、いまの三・三と区切っている学校制度に問題があるということは、ある程度そういう側面というものは認めざるを得ないのではないか。  私が申し上げているのはこれだけではありません。たとえば子供たちにもっと勤労体験、社会奉仕、連帯感というものを教えていくんだというようなことも学校教育の一つの体系の中に、これは社会教育との関連も含めて体系づける必要があるのではないか、そうしたことをもっと積極的にやっていかなければいけないのではないか、学校という一つの箱の中で教育をしている時代はもう終わっているのではないかということを考えると、いつまでもいまの六・三・三・四という学校の一つの枠組みだけにこだわっていないで、もっとダイナミックな教育改革に踏み出していくのでなければ、これは一体どうやって日本の将来を切り開いていくのですか。大臣もおっしゃっているように、まさに教育に日本の未来はかかっている。それを教育の制度いじりを余りやるべきではないといま大臣はおっしゃりながら、戦後の教育はアメリカの占領政策のもとでやっていろいろ問題があるんだということで、大臣のお話には一貫性が全然ないと思うのです。  私も、大臣がいまここで六・三・三・四の学校制度の改革が必要であるとおっしゃったからといって、来年から直ちにそれじゃ六・三・三・四の学校制度を改めるというふうに大臣がおっしゃったなんて決して申し上げるつもりはないわけです。現在の学制の改革というものについてはもう真剣に考えるべきときが来たかどうか、その大臣の御判断をお聞きしているのです。はっきりお答えいただきたい。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 あなたはこのごろ中高の問題をおっしゃいますけれども、高等学校へは九四%が行っているんですよ。ですから、ほとんどの者が高等学校へ行くんで、中学校からそれほど余り悩んでいるんじゃないんじゃなかろうか。むしろ大学との関係の方が多いんじゃなかろうか。これはあなたと私の認識の違いなんですけれどもね。ですから、そういう点も私もこれからよく検討させていただきますが、もちろん改善すべき点は改善したいと思っております。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣、私は内藤大臣にこうして質問をするからには、大臣が検討してみるとか、そんなことを御答弁になるなんとは夢にも実は思わなかったのです。大臣の御見識を承りたいと申し上げておるわけです。西岡君の考えが間違っているんなら間違っているとおっしゃっていただいて結構なんです。それはそれの御見識として私は承ります。しかし、いまの教育には多くの問題があるということをお認めになっていながら、教育の専門家である内藤大臣が検討するとかなんとか自分のお考えを明確におっしゃらないというのは私には納得ができない。  しかし、大臣、これはいつまで問答していても同じ御答弁しか出ないのであれば、大臣がいまむしろ大学の入試に問題があるとおっしゃったんですが、私は、中学校と高等学校との満十五歳の子供たちの学校における生活、社会における生活、家庭における生活というものを本当にもっと大事にしなければいけないと思う。満十五歳という年齢の発達段階というものは、もっと情操的に芸術の機会に触れるべきであるじ、スポーツに本当に励んでいくという時間をもっととらなければいけない。そういうようなむっと豊かな学校生活というものを送らせるべきである。そういう意味でも、いまの三・三という区切り方というものは不安定だし、実情に合わない。これはもう大臣は御自身が学校の学長などもなさっておられて十分御存じのはずなんですね。  それを大臣になられたから下手なことは言えないなんということで急に口をつぐんでしまわれたならば、何のために内藤大臣が誕生したのか全く意味がないのではないかと私は思うのです。そのことだけ、この問題については最後にお尋ねをしたいと思います。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 どうもあなたの御期待にこたえないことは私は非常に残念に思っていますけれども、私は、いま確かに日本の教育を考えなければならぬと思っており、一つは試験地獄の問題もありますし、一つは道徳教育の問題もあるし、一つは教員養成のあり方もあるし、問題はたくさんあると思いますから、具体的に一つ一つ改善に努力していきたいと思っております。  ただ、いまおっしゃったような中高の制度一貫の問題とか、これも大きい問題ですけれども、なかなかこれは大変な問題ですから、もう少し検討させていただきたいと思います。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 もう少し検討という御答弁だと、それじゃいつまでにお答えがいただけるのですかと申し上げたくなるわけですが、これはこの程度にいたします。  大臣が先ほど御指摘になった大学の入試の問題ですが、ことし行われました共通一次試験というものが、いろいろな問題をたくさん含みながらも関係者に大変な御努力をいただいたということは私も評価をし、感謝を申し上げたいと思います。  ただ、大臣もこれは十分御承知のとおりに、現在行われている共通一次試験は、当初構想されたものとは、その位置づけ、性格が大きく変わってきている。もちろん難問奇問、ふるい落とすためのもの−とにかくそれを中心として高等学校における学習の到達度を見るべきである大学の入試が非常に曲げられてしまっているということを改めていくのだという意味においては、今度の共通一次試験というものは受験生の諸君もまあまあというふうに評価しておられる意見も大分出ているわけで、これは一つの成果を果たしていくだろうと思いますが、ただ、基本的に幾つかの問題があるのは、一つは共通一次試験の科目数が多過ぎるのではないかということが一つと、もう一つは、私学がこれに参画していないという問題について、これをどうすればいいのかということ、三番目の問題は、共通一次試験をやって、なおかつ二次の試験をたくさんの学科についてさらに試験を行う学校が相当数あるということになれば、これはまさに受験生にとっては二重負担になる。これは当初共通一次試験という制度を考えたときには、私も若干これには関係したわけですけれども、そういうことは当初考えていなかったわけです。  いま申し上げた三つの点について、大臣は来年度、五十五年度の問題としてどうお考えか、お尋ねをいたします。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 第一次テストについてはおおむね妥当だという評価を得ているので、これが科目数が多いとおっしゃいますけれども、高等学校の勉強を一通りやったというので、文科、理科に分ければ別でございますけれども、いまの制度であれば私はおおむね妥当だという評価を得て、わりあい一次試験はよかったのじゃないかと思うのです。  問題は二次のあり方でありますが、これは西岡先生もよく御存じのように、二次は学科目を減らせということで、だから全体としては減ったわけなんです。ただ、幾つかの大学で多過ぎてしまったんですね。ですから、やはり学科目はなるべく減らして、あのときもいろいろ御議論しましたように、内申書と小論文と面接を中心にというような意見もありましたのですが、大体その趣旨に沿っているのですけれども、多少二次試験でまだ学科目が多いというような問題があるようですけれども、これは二次試験が終わった後で関係大学とよく相談して改善に努力してまいりたいと思っております。  それから、私学の点については、これは私学が大体八割でございますから、私学が参加していただかないと入試改善にはならないので、文部省も積極的に私学に働きかけを呼びかけたいと思っております。特に医科大学については協力的な態度が見えておりますけれども、全体的に御参加願うように文部省も積極的に働きかけたいと思います。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 この共通一次試験、大学入試の改善については、過去内藤文部大臣と私の考えとはほぼ一致をしていた時期がございましたが、大臣、いまでもそのお考えは変わりませんか。  内容はちょっといま申し上げません。長くなりますから省略いたしますが……「機密事項か」と呼ぶ者あり)いや、後から中身についてはさらに御質問いたしますが、大臣、お考えは変わっておられませんか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私はあのとき入試改善小委員長をさせられて、西岡先生と一緒にやりましたから、そのときの気持ちは変わっておりません。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 それではお尋ねいたします。  中身に入りますが、大学の現在の共通一次試験というものを大学入学の資格試験として位置づけると、方向として大臣はこのようにお考えですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 あのとき西岡先生も御一緒にいらっしゃったが、資格試験でやろうという案が出たのですが、ただ、問題は、資格試験でやった場合に、それじゃ資格試験を落っこっちゃったらどうするのだということです。いまは高等学校卒業で資格が出るので、簡単にもらえるわけです。ところが、資格試験で落っこっちゃったらいまの私立学校なんというのは困るのじゃないかという意見がたくさん出まして、あれはあのときやめたことは先生御存じのとおりだと思います。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 実は、それはやめていなかったので、やはりあれは内藤大臣も御賛成になって、当初の案は——当初といいますか、その後これは変更されていないはずですけれども、入学資格試験としてこれを位置づけるということは、もちろんいま大臣がおっしゃったように、ではそこから落ちた場合はどうなるかという問題があるわけです。それが実は六・三・三・四の学校制度の改革とも密接な関係を持ってくるわけなんです。ですから、私が冒頭に日本の教育が根本的に改革されなければいけないということを申し上げたのは、入試の問題も大事ですが、しかし、一つ一つを場当たり的に手をつけていっただけではもうどうにもならないところに来ている、もっと体系的、計画的に日本の教育をどうするかということを考えなければいけない時期に来ていると、そういう意味で申し上げたわけです。  大臣のいまの、一つ一つの問題で、それをやればこうなる、だからできないというような御発想というのは私は間違っておると思うのです。ですから、そういうようなものをもっと総合的に考えたときには、六・三・三・四の学校制度も含めて日本の学校教育全般の大改革をしなければ、これは小手先のことではもうどうにもならないところに来ているというのが少なくとも日本の学校教育の現状ではないだろうか。  大学の問題をちょっといじるとしても、教員養成の問題とも非常に大きなかかわりを持ってくるし、私学の助成のあり方とも非常なかかわりを持ってくるということで、これは全部が関連してきている問題になってきている、一つをいじると全部に波及するということで、結局何にもやらないできたというのがいまの状況だと思うのですが、そうではありませんか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いや、私は多少あなたとはそこのところの見解が違うのです。六・三制をやらなかったら全部に関連するからだめだというのではなくて、いま問題になっている問題を着実に一つずつ改善していく、たとえば入試改善の問題あるいは教員養成の問題とか、徳育の問題とか、そういう問題はいま焦眉の急の問題だから、それはやっていく、こういうふうにしていきたい。そしてやがてあなたがおっしゃるように全体的な改革へ持っていくなら持っていきたい。  とにかく、いま当面の問題を処理していくことに精いっぱいなので、あなたのおっしゃるような大改革までは、まだとてもそういう暇がないのです。しかし、あなたのおっしゃるようなそういう全体的な構想はよく検討しておかなければいけないと思っております。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大学の入試の問題ですが、共通一次の五教科七科目というのが多過ぎないと大臣は本当にお考えなんですか。これを少なくする必要はありませんか。  あるいは職業高校等の受験生等にももっと多くの配慮をする、選択の科目をふやしていくというような、そういう手直しをやる必要があるというふうにお考えではありませんか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いまお話しのように、職業高校についてはやはり手直しをしなければ無理だと思いますから、そういう問題については検討させていただきます。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 もう一つお尋ねをいたしますが、その教科のことで、これからの国際社会における日本人としての活躍というものを考えたときに、国際社会の中で大いに活躍していくためには、やはりその国の言葉が自分のものとして使えるということが国際的な理解を進めていく上でどうしても必要である。これからの新しい若い世代の皆さん方はもちろん日本語を大事にしなければいけないわけで、この日本語を大事にするということについても、これはもっと本格的に取り組んでいかなければいけないと考えているわけですけれども、そのことはまた別の機会にいたしまして、外国語を本当に自由に使いこなせるという教育のあり方として、いまの学校教育における外国語の教育というのは受験のための教育になってしまっている。しかも、それが余りにも英語に偏り過ぎている。  もう一つ問題なのは、それが必要であるということ、その問題と、日本の大学に入るためにどうしても外国語ができなければ入れないというのはおかしいことではないのか。もっと具体的に言いますと、大学の入試の科目から英語を中心とした外国語は外して、これは別建ての習得の教育のシステムを考えるべきではないか。  大臣、この点はどういうお考えをお持ちですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私は、外国語というのは非常に大事だと思います。日本語が世界じゅうに通用すれば一番いいのですけれども、なかなかそうはいきません。  そこで、やはり外国語をしっかりやらなければいけない。入試から外してしまいますと、今度は英語を勉強しなくなってしまうと思うのですよ。私自身は終戦直後実は英語をやると言ったら国賊と言われたのですよ。それでも英語をやった。司令部を相手に六・三制をやったのですからね。  私は、外国語というものはやはり習得すべきだと思います。ことに日本がこれから国際的に出るには、やはり外国語は身につけておく方がいいと思う。日本語を外国人に十分理解させることは大事ですけれども、いま英語が大体国際的な国語になっていますから、少なくとも英語ぐらいは話す、しゃべるぐらいは日本人はできるようにしたいと思います。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣、そこに実は問題があるのですね。  いまの状況で、実際問題としては大学の入試は英語を中心として、必修になっているわけですね。大体、四年制の大学へは、英語ができなければ、ほかのものがどんなにできてもとても入れないというのが残念ながら現状になっている。ところが、その英語たるや、いま、話せなければいけない、聞いてわからなければいけないとおっしゃったけれども、一体、日本の中学校や高等学校における英語の教師がどれだけそれだけの能力を持っておられるのか、はなはだ疑わしい。これはかなり詳しく調べたデータもあるわけですけれども、こういうようなことで、本当に国際的に通用する日本人という意味での外国語の教育というものは不可能だと私は思うのです。  むしろ大学の入試からはこれを外す、そして、大学の入試に入れなければ外国語教育は成り立たないというものでは決してないわけですから、これは別のシステムを考える。これだけでも入試の改善に大きく役立つと私は思うのですが、大臣、どうお考えですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 昔はどこの中学校でも外国人教師を雇ったのです。今度はイギリスの外国人教師を二十五人ふやす。できるだけ各学校に外国人教師を配置して、英語で話すことと聞くことができるようにすべきだ、英語で会話ぐらいはできるようにすべきだと私は思うのです。  入試から外しますと、やはり英語をやらなくなるのじゃないかという不安を私は持っているのですけれども……。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣、そういうお考えでは改革なんて全然できませんね。やはりもっと本格的な外国語の教育というものを、学校教育の場だけではなくて、きちっとした体系立ったものにする必要がある。そのためには教師の再教育から必要だと私は思うのです。  いま大臣がおっしゃったように、外国の教師の方々を二十何人あれしたからなんて、そんなことを言っていたのでは何百年かかってもどうにもならないわけで、よほど根本的なことをおやりにならなければだめだと思うのです。そういうことが非常に広い意味でも、日本の将来、安全保障という問題にもかかわってくると思うのです。話を飛躍して申しますとね。そういうことを考えれば、入試のための外国語教育というものを改めるためには、思い切って大学入試から英語は外すということが、外国語教育自体についても改革の一つの糸口をつくり上げるというふうに私は思うのです。  それと、もう一つは、英語に余り偏り過ぎていると思うのです。ここで、たとえばこれは東大の教養学部の例なのですけれども、専任講師以上の外国語教師の数を申してみますと、英語が三十八名、ドイツ語が三十六名、フランス語が十八名、中国語が二名、ロシア語が六名、西欧の古典語が一名、スペイン語が一名、ポルトガル、イタリア、朝鮮語などはゼロです。日本の一番近い朝鮮半島の皆さん方とお話をするというようなことは、こういうような数字の中からも非常に偏ってしまっている。こういうようなことも根本的に改めなければいけないのではないか。これは全国の大学をずっと見渡してみても非常に偏っているわけです。  こういうようなほとんど英語を中心として大学入試に位置づけているといういまのあり方、これが外国語教育をゆがめているとはお考えになりませんか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 ともかく、外国語をやるために現場の先生を外国へ——イギリスだけじゃなくて外国へ派遣したりして研修を強化しております。そして、英語の先生が話す、聞くぐらいはできるようにしていきたいと思っています。  試験科目から外したら英語が伸びるというふうには私は考えておりません。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 私は、大学の入試を改善するという意味からも、いまの英語を中心とした−大体、日本の大学に入るのに外国語ができなければ入れないということはおかしいと思うのです。これは外国語を自由に使いこなせる若い世代の国民を育成していかなければいけないという問題とは別の問題だと思うのですが、大臣、その点はどうですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 とにかく、これから日本が世界に雄飛するためにはやはり外国語の一つくらいはやるということで、それで英語が国際語になっているからやっているわけですけれども、いまお話しのように外国語のあり方をどうするかについては、これは私もよく慎重に検討させていただきます。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大学入試の問題については、大臣は御就任になる直前までは、大学の入試の改善はもう本格的にやらなければだめだ、法律をつくってやろうと私に個人的には積極的にお話しになって、御相談しましょうと申し上げていたわけですか、いまのままで、これは一部の大学を除いては私学も全くそっぽを向いているという状態で、いまや国公立を中心とした共通一次試験に私学が参画するということは、文部省が御努力になると言われても、いつまでにそれが実現するのかということは見通しが立たないと思うのです。  そうであれば、国公立が実施しているような共通一次試験みたいなものを私学の間で独自に工夫するというようなやり方も一つのやり方ではないか、そうしたことに積極的に取り組んでいくべきだと私は思いますが、どういう見通しを大臣はお持ちですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 これは私学側とよく懇談しなければなりませんが、しかし、あなたのおっしゃるように私学が国公立と別にやるというのも、これも一つだと思います。  いずれにしても、私学側と十分協議して改善策を相談したいと思います。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣は、入試の改革について、大学入試に関する制度を法制的に整備するというお考えはありませんか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いまのところはないのですけれども、必要があればそういうことも考えなければならぬと思います。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣は必要性をお認めになっておられたわけですが、あればではなくて、大臣はいまどうお考えなんですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 いまのところ、国公立については各大学が協力してやりましたが、問題は私学でございますから、私学がどういうふうにされるのか。私は、法制措置というものは余りやるべきものじゃない、なるべくならば理解と協力を求めてやるのが筋じゃなかろうか、と考えます。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 私も、法律万能で何でもやるというのはもちろんよくないと思いますし、皆さんが法律によらずにそうしたことを自発的に、やはり入試のいろいろな弊害を積極的になくしていこうというふうに関係者がお取り組みいただくことが一番理想だと思います。  たとえば国公立にしても、二次試験について依然として数科目、平均でも三科目はそれを行う。東大などは全然これは改善しないということであれば、現状では過重な負担を受験生に強いるということになる。現状ではやはりそういうことにならざるを得ないのですね。過重であると言わざるを得ないわけです。これはいつまでに改められるという見通しはないわけです。その点、現状でいいと大臣はお考えですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 できるだけ理解と協力を求めていきたいと思うので、これは余り二重負担になりますと昔の進適の二の舞いになると思うので、そういうことのないように大学当局に十分理解と協力を求めるように、私も最善の努力をしたいと思っています。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 私もその進適を受けた世代に属しているわけでございますが、これは毎年毎年の受験生というものを私どもは大事に考えなければいけないわけです。将来将来と言って、ことしの受験生、来年の受験生、再来年の受験生というものがやはりそういう過重な受験のための勉強をしなければいけないということを、そのままいつまでも放置していいはずはないわけです。  ですから、せっかく教育に造詣の深い内藤大臣が誕生したわけですから、大臣の英断でこうした問題について強力な行政指導をなさり、それでどうしても大学当局がそれに対応してこないということになれば法制化もやむを得ない。大臣、いかがですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 西岡先生のおっしゃるように、入試改善の問題は非常に大事な問題だから、私も学長会議に出て皆さんにお願いして、できることなら理解と協力を求めて改善措置を講じていきたい。  それができない場合はどうするかということは、そのときになってまた皆さんと御相談したいと思います。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 そのときというのは、来年五十五年度の共通一次に向けて検討するということと理解してよろしゅうございますか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 五十五年度については改善するように努力いたします。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 それは国公立の大学で、大臣の考えておられるようなこと、あるいは受験生の皆さん方が過重な負担であるというふうに実際に実感として受けとめているようなこと、それが自発的に改善されない場合には、大臣としては五十五年度に向かって別途の措置をとるというふうに理解してよろしゅうございますか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私は、できるだけ理解と協力を求めて最後までがんばるつもりです。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 それが不可能な場合はどうしますか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 まだそこまでは考えておりません。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣もこの問題にはかなり長いことお取り組みになっておられたわけで、考えておられないはずはないと私は思うのですけれども、これは毎年毎年の受験生のことを考えていただいて、ぜひ英断を持った改善をしていただきたい。  共通一次の問題については、五教科七科目は多くはないとおっしゃいましたけれども、私はこれは多いと思います。そのことについても再検討をいただきたいが、いかがですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 御趣旨の点はよくわかりましたので、よく検討させていただきます。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 それでは、共通一次試験の問題については、現在の試験科目について職業高校の卒業生受験生が不利にならないという改善も含めて、教科数を減らすというふうに大臣がこれから御努力になるというふうに受けとめて、この問題はこの程度にとどめまして、大体時間が参りましたので——文化庁の長官においていただいたのですが、その問題に入る時間がなくなってしまったのですが、大臣に大学の管理運営の問題について最後にお尋ねをいたしたいと思います。  幾つかの問題があるわけでありますが、私どもの参議院の有田議員が参議院の本会議でも大臣にお尋ねをいたしましたように、大学紛争のときにつくった特別の措置法は、これは現在法律としては有効に残っているというふうに大臣はお考えでしょうか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 廃止しておりませんから、有効に残っておると思っています。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 それでは、あの法律にはたしか、委員を任命するというふうになっていたと記憶をいたしています。その問題を審議する委員を、ですね。現在委員は任命されているのでしょうか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 おっしゃるように五年で廃止ということになっていますから、形の上では生きておりますけれども、実際的には動いていないと思っております。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 それではあの臨時措置法は死に体になっている、形は残っているけれども発動できない法律であるというふうに理解してよろしゅうございますか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私はそう理解していますが、詳しくは局長から答弁させます。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 局長の御答弁は結構でございます。  そこで、問題は、いまの大学の運営というものが全く無責任体制になっている。大学紛争のときに、これはもう痛いほど私どもは体験をしたわけでございます。その中で、臨時的な措置として時限立法であの法律がつくられた。少なくともあのときの考え方は、五年間の時限をつけて法律をつくって、その五年の間にもっと根本的な大学の改革、運営のあり方についてメスを入れていくべきだということだった。当時は東大を初めとする大学の中にもいろいろな改革の委員会ができて、案もできた。しかし、結局結論は何の改革も行われないまま現在に至っているというのが残念ながら実態だと思うのです。  そこで、いまの国立大学の管理運営の責任というものは、教育公務員特例法の中で読みかえ規定によって臨時的に管理機関というものを定めているわけです。これは全く臨時的な措置だというふうに私は理解をしているわけですが、大臣は、大学の管理運営について、新しい制度というものをつくる必要性をいまこの時点でお認めになりますか、どうですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 結論から言うと、私は認めておらぬのですけれども、お話しのように教育公務員特例法で暫定的にああいう規則ができて、しかし、この暫定的なものが三十数年続いてしまったから、これを改正するということはなかなか困難ではなかろうかと私は思うので、お話しのように大学臨時措置法をつくった後どうするかという点について改善措置がされないままに今日に至った点は私も非常に残念に思っていますけれども、しかし、最近の大学の実態を見ておりますと、大学も自主的に改善措置を講じつつあるようですから、いましばらく私はそれを見たいと思っています。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大学紛争が起こってからもうちょうど十年以上になるわけです。大学紛争に対する具体的な対応の措置法が成立してからももうすぐ十年になろうとしている。いつまで待てばいいのか。いまだに、つい最近までは、ある国立大学などは学長か自分の部屋にも入れないという状態が続いていた。東大の状態というのはもう御承知のようなていたらくである。これが国民の税金で全部賄われている大学の——全部といいますか、授業料ももちろん入っているわけですけれども、これも心ある生徒の家計の負担である。  こういうことを考えれば、文部省の責任は非常に大きいと思うのです。重いと思うのですが、大学の管理運営について、学長を初め文部大臣御自身が責任を持てないといういまの体制になっている。それはそうでございましょう。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私は、大学について、学長会議にも出て、やはり国民の信頼と期待にこたえるようにしっかりした管理運営をしてもらいたいと思う。私自身も積極的にお願いをするつもりです。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣、そういうことを御答弁になる時期はもうとっくに過ぎているわけです。大学の学長の皆さん方を前にして文部大臣が演説をなさったって大学の改革は一つも行われないわけです。あれだけの大騒動をして、いま思い起こしますと、大学紛争のときには、本当にこれで日本はどうなってしまうのであろうかと多くの国民が心配をした。本当に私どもも大変な思いをあの当時した体験があります。ところが、一向に実態は改められていなくて、しかも実態は、病原菌は前より静かに深く潜入しているというような大学もある。  先般、衆議院の決算委員会が東大の構内を視察に行ったときも、国会から派遣された正式の調査団が阻止されたわけです。学長も学部長の皆さん方もその場に居合わせながら、それをどうにもできないまま引き揚げていったという経験を私自身もいたしました。こんな治外法権みたいな状態というものを文部省は一体いつまで放置しておくのか。それを、大臣が国立大学の学長の会議でいまから何回演説なさったって、いままでの経験から言いますと、これは改められるはずはありません。  積極的に文部大臣の責任においてこれをどう処理されるのか。法制化が必要であれば法制化を図るのが文部大臣としての責任ではありませんか。どうですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 あなたの御意見もわかるわけですけれども、私は、国立大学は国民の信頼と期待にこたえなければいかぬと思うので、おっしゃるように国民の税金で賄われている大学ですから、これは真剣に考えていただかなければならぬ。  私が聞いているところによりますと、最近は紛争も大変縮小していると聞いておる。ですから、やはり、各大学の自主的な運営によって改善の努力を尽くしていっていただきたい。私はそれを願っている。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣、御存じの上でおっしゃっているんだと思うのですけれども、これは問題だと思うのですね。  たとえば東大の精神病棟の問題にしても、あれは全くいいかげんな妥協をして、そして表面的にごたごたを抑えた。そうではありませんか。それを正常化と大臣は本当にお認めになるのですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私が伺っているところによると、教授、助教授も任命し、そして外来から来た者から入院させる、こういう方針に切りかえたということを聞いておるわけなんですから……。  もし必要があれば大学局長から説明させます。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣は大学の実情やその他ももう十分御承知だと思うのです。現在の国立大学の管理運営について制度的にも不備がある。これは大臣もお認めでございましょう。どうですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 制度的に不備があることは私も承知しております。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 制度的に不備があるということをいま大臣はお認めになったわけですが、不備があるのをなぜ文部大臣として放置なさるのですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 しかし、私はいままで三十年やってきたのですから、先生方の理解と協力を得て、不備な点は改善するように努力していただきたいと思っております。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 文部大臣、その議論は、文部省が具体的に不備のあるところをどう改めるかという文部省としての具体的な改革の案を国会に提示なさる、それを国会の場において議論をする、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 私は、これはやはり大学自治の問題とも関連しますから、できるだけ大学の自主的な改善を期待している。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 制度的に不備があるということと、大学の自治に期待するということは別の事柄ではありませんか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 それは制度的に不備のあることはわかっていますけれども、それでも例の紛争まではちゃんとやれたのですから、これからもやれないはずはないと思うので、できるだけ大学の自主的な改善を期待している。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 制度的な不備がある。あるいは大学が前近代的である。閉鎖的である。一番進歩していなければならない大学、日本の社会を知的な牽引力として引っ張っていかなければいけない大学が、実は一番おくれたところになってしまっているということがやはり大学紛争の一つの引き金になったと私は思うのです。それをどうやって大学の自治に期待してこれが改善できるのでしょうか。私はそうは考えられない。少なくともここ十年間の実情は、大学紛争が起こって十年たって、なおかつ何らの自主的な改革も芽生えてきていないわけです。これは大臣もお認めになると思うのです。大臣は大学の実情に一番お詳しいはずなんですからね。その問題点というものを国民の前にきちっと明らかにして、どうすべきかということを積極的に示していくのが大臣の責任だと私は思うのです。  あと時間がわずかでございますからもう一点伺いますが、大学の改革の一つの決め手になると思いますのは、これは前から提案をいたしておりますけれども、大学の教員、教官の任期制というものを検討すべきではないか。業績というものをやはり評価するという、これは大学人の間で自主的にそういうような機関をつくる必要があると思います。そういうものをやる必要があるのではないかと私は思うのですけれども、ここに一つの新聞の社説がございますが、簡単ですから一部分だけ読み上げてみます。  「無能な教授群もこの際是非とも学園の外へ追わるべきである。そして今後も無能教授を淘汰するための常設的機関を置く必要がある。何かの因縁で一旦教授になれば、特別の事故のない限り、研究の熱意や成果とは無関係に昇進して停年に至るという制度は、学問や大学の一般的特質から見て誠に奇怪なことと言わざるを得ない。」これは一九四五年、昭和二十年、終戦の年の十月十二日の読売新聞の社説なんです。こうしたことは軍国主義とともに追放されるべきであるという、これは終戦の年の社説なんです。  この社説はいまの社説であってもおかしくない大学の状態だと思うのです。こうしたことはこの辺でもう積極的にやるべきではないかと思うのですが、大臣、どうお考えですか。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 先ほど、紛争以来まだ改善されていないとおっしゃったけれども、この欠陥はあるけれども、ともかくあの大学紛争までは何も問題はなかったのですよ。ですから、私は制度的に……(西岡委員「あったのですよ。そんなばかな認識ないです」と呼ぶ)  いや、なかったです。ともかくそういう紛争まではなかった。紛争後おっしゃるような事件が起きた。これはよくない。  それから、任期制とか学問の審査ですね。それは私は大変結構なことだと思うのですけれども、これはやはり大学が自主的に改善策を講ずべきだと思っている。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 時間が参りましたから、最後に一点だけ申し上げます。  大臣、大学の自治、自治とおっしゃいますが、私も、大学の自治というものは学問のために大切なことで、これはみんなで守っていかなければいけないと思う。しかし、一方で、国立大学は国民の税によって賄われている。そのことを文部大臣としてどう責任をおとりになるのか。そういう観点から言えば、いまの社説にあったように、三十四年前の社説が今日もそのまま通用するような状態というものが大学にある。全部とは言わないけれどもある。  大臣、これはやはり大学の自治、自治ということでお逃げにならないで、前向きに積極的にこうしたことは改めていくんだ、国民に対して申しわけないと、そうお考えにならないのですか。これははっきりした御答弁をいただきたい。

内藤誉三郎自由民主党・自由国民会議文部大臣

○内藤国務大臣 改善すべき点は積極的に改善したいと思います。  ただ、できるだけ大学当局の人の理解と協力を求めて改善したいというのが私の願いです。

西岡武夫新自由クラブ

○西岡委員 大臣のきょうの御答弁は全面的に納得できません。この問題は引き続いて私の質問を留保いたします。  文化庁の長官には、来ていただきまして御質問を一問もできなかったことをおわびをいたします。

坂本三十次自由民主党

○坂本委員長 次回は、来たる二十三日に開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十二分散会

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