物価問題等に関する特別委員会 第3号
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- 181 件
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- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1979/02/27
会議録
○鈴木委員長 これより会議を開きます。 物価問題等に関する件について調査を進めます。 この際、小坂経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。小坂経済企画庁長官。
○小坂国務大臣 本委員会の開催に当たりまして一言申し上げたいと思います。 先日の本委員会における私の所信で触れましたように、最近の物価をめぐる情勢には種々の変化が生じております。 政府といたしましては、早目早目に対処し、総合的機動的に物価対策を推進することが物価の安定基調を維持するために肝要であると考え、関係省庁間で協議を行ったところでありますが、昨日、物価担当官会議を開催し、「物価対策の総合的推進について」八項目からなる申し合わせを行いました。 具体的内容はお手元に配付いたしました資料のとおりでございますが、概略を申し述べますと、 第一に、生活関連物資及び国民経済上重要な物資について需給・価格動向を調査、監視し、状況に応じ供給の確保を図り価格の安定に努めることであります。建設資材の価格動向には特に注意すること、公共事業の執行に当たっては、時期的、地域的に需給の逼迫することのないよう配慮すること、カルテルの適切な運用を図ることとしております。 第二は、石油製品について、便乗値上げが行われないよう価格動向を注視し、必要に応じ所要の要請を行うこと。 第三は、物価に大きな影響を持つ通貨供給量の動向を十分注視すること。 第四は、食料品等の生活必需物資の安定的供給と価格の安定を図ること。 第五は、円高に伴う物価対策の推進に努めること。 第六は、公共料金について厳正に取り扱うこと。 第七は、地価について投機的土地融資の自粛の徹底を図る等地価安定のため所要の施策をとることであります。 最後に第八として、地方公共団体の物価対策についても国と同様の方針により取り扱うよう協力を要請することとしております。 物価の安定は景気の回復に大きく寄与してきたところでありまして、国民生活安定の基盤をなすものでございます。国民の理解と協力を得て官民一体となって物価対策を進めることは物価安定の実効を期すため不可欠であり、政府としては今後、ただいま御説明した方針にのっとり、物価対策を総合的に推進してまいる所存でございます。委員各位の格別の御協力を引き続きお願いする次第であります。 —————————————
○鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、次これを許します。堀内光雄君。
○堀内委員 私は、二月十五日の企画庁長官の当委員会におきますところの所信表明に対しまして、若干の質疑をさせていただきたいと思います。 所信表明でも長官がお触れになられておりますように、景気の方は好転の兆しが見えてきているような状態で、先行きに幾分でも明るさが見受けられるような状態だというふうに思われるわけであります。今後の経済運営の中で一番配慮をしなければならない重要な問題は、やはり何といっても物価問題になるだろうというふうに思います。 従来、物価の安定という問題につきましては政府が非常に努力もしていただきました。また、円高の影響というようなものも幸いをいたしました。そういうことで卸売物価、消費者物価ともに落ちつきを見せているわけでありますが、こういう安定を保ってきた状態に対して、最近では卸売物価がいささか強含みになってきております。非鉄金属などの海外市況の値上がりというような問題も具体的にあらわれてきております。そういう意味で物価の先行きに不安感を抱かせるような要素がいろいろと出てきているのが事実でございます。こういう要素に対しまして、大臣も所信表明の中で、十分こういう問題について注意を払って引き続き物価の安定を維持するようにするという力強い発言がございました。しかし、政府の経済見通しは五十四年度卸売物価一・六%の上昇、消費者物価は四・九%程度の上昇というものを見込まれているわけでありますが、この見通しの実現は、こういう新しいいろいろな情勢を見てきますと少しむずかしいのではないかという見方があらわれてきているわけであります。主要な項目を挙げるだけでも、五十四年度の物価を上昇させる要因というものは非常に数が多いわけでありますが、中でも次の四つは大きな影響力を持つのではないかと思います。 第一が、円高メリットの消滅というか減少というか、そういう状態であります。五十二年度には約二〇%の円高があらわれ、五十三年度には約三〇%の円高があらわれたということで、二年間に約五〇%の円高が物価に与えた影響は非常に大きなものがあると思いますが、これはことしはほとんど期待ができないんじゃないかというふうに思われます。 また第二番目に、OPECの原油の値上げというものも本年度四回にわたり一四・五%の値上げが行われ、ことしも実質的には一〇%程度の影響力を受けるだろうということになっております。これまた物価に与える影響は非常に大きい。 また三番目には、公共料金の引き上げでございます。これもいろいろと予測されるものが並んでおります。 四番目には、過剰流動性によるM2の増加というような事柄のインフレに与える影響、こういうようなものもございます。 こういう大きい項目を挙げただけで四項目、これが物価に与える影響というものは大変なものが考えられるわけでありますが、政府の五十四年度の目標の卸売物価一・六%、消費者物価四・九%程度の上昇という見込み、これが何かむずかしくなるのではないかという声がないわけではありませんので、大臣の現在におきますところの、この消費者物価四・九%あるいは卸売物価丁六%程度の見込みというものに五十四年度の物価をとどめていくという見通しについては、いまどのようにお考えになっていらっしゃるかお伺いをいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 堀内委員のただいまの御指摘は、私も同じような懸念を持っているわけであります。特に経済が、昨年末以来大分民間活力が大きくなってまいりました。私は、物価というものはやはり経済活動のまた一つの裏の面でありますから、物価が非常に鎮静してしまっているというときは国内の経済、景気が悪いという実感になると思います。その辺のところが少しずつ変化を来しておるので、それに加えてただいま御指摘の四つの点につきまして、私も多少配慮しなければならぬということを感じております。私は、卸売物価が一・六%、消費者物価四・九%程度の上昇に食いとめるということを政策の基本に置いておりまして、これが今年度末において達成可能か不可能かということにつきましては、全面的な努力をふるってこの目標達成に努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。 そうしたことをただ観念的に考えてもいたし方ございませんので、実は昨日、物価担当官会議を開催いたしまして、先ほど御紹介申し上げましたような方向の中で、全政府を挙げて物価の問題に取り組もうということを決定したわけでございます。やはり物価というものは気のついたときには少し遅く、対策がおくれるのが今日までの実例でございましたので、いわば早目早目ということで対応して、先ほど申し上げました四・九%の消費者物価の上昇以内に食いとめるということをこれから努力をしていくつもりでございます。
○堀内委員 ただいまの長官のお話で、本年度においてもいろいろな要件は出てきているが、卸売物価丁六%、消費者物価四・九%の上昇程度にとどめるというために最善の努力を払うという並み並みならぬ意欲のほどを承ったわけでございまして、ぜひそういうぐあいにお骨折りをいただきたいと思いますし、われわれもその点について大いに協力してまいりたいと思うわけでございます。 そこで、先ほどの物価上昇の要因として挙げました四項目の中で、最も直接的に国民の負担につながるのが公共料金だというふうに思います。大臣の所信表明におきましても、公共料金については一部本当にやむを得ないものについてはこれは考慮するが、全体的には公共料金の抑制をしていきたいという姿勢があらわれているわけでございまして、そういう面からもこの公共料金についてお伺いをしたいと思うわけでございます。 国民は公共料金の値上げに非常に強い関心を持っておりますので、こういう点についてもお答えをいただき、政府の姿勢というようなものをお知らせをいただきたいと思うわけでございます。これは大臣でなくて、担当の局長さんで結構でございますが、四月以降の予定をされている公共料金の値上げ、これをひとつ挙げていただきまして、またこの公共料金の値上げによる財政効果についてもひとつ御説明をいただきたいというふうに思うわけであります。項目と値上げの率、CPIの影響あるいは増収見込みのようなもの、こういうものをひとつ御説明をいただければありがたいと思います。
○藤井(直)政府委員 五十四年度の公共料金につきましては、予算に関連いたします公共料金について現在決まっているわけでございます。 そこで、第一に国鉄の運賃でございますが、これにつきましては増収額千六百五十億円を予定いたしまして予算を組んでおりますが、国鉄運賃の上昇によりまして物価に与える影響は〇・一%というふうに見込んでおります。 それから、その次は製造たばこの価格の問題でございますが、これにつきましては約二割の引き上げをいたしますことによりまして二千六百四十四億円の増収を予定いたしております。そして、このたばこの価格の上昇によりまして消費者物価に及ぼす影響は〇・三七%ということでございます。これは五月を予定いたしております。 それから、健康保険の制度の改正に伴いまして、診察料についての負担の増加が見込まれております。それによりまして消費者物価に及ぼす影響は〇・三%というふうに予定をいたしております。その健保制度の改正によりまして政管健保の患者の一部負担とか、それから保険料率の改定等を含めまして八百八十七億円というものがこの制度改正に伴います国民負担の増加ということでございまして、以上の三つが現在のところ予算で予定しているものでございます。 さらに、政府関係ではございませんけれども、電気料金とガス料金の割引措置を昨年からいたしておりますけれども、これは五十三年度いっぱいで終了いたします。その終了に伴いまして、実質的に価格が上がるということになりますが、それによります消費者物価への寄与度は年度中で〇・二%ということでございます。 現在わかっておりますものは以上のとおりでございます。
○堀内委員 そのほかに関心を持ってながめられているもの、あるいはうわさにあるようなもの、こういうものの中に高速道路の通行料があるわけであります。またタクシー運賃の値上げ、またこれは公共料金の値上げというところではありませんが、結果的にはガソリン税からの負担の増加というようなもの、あるいは地方公営企業関係の公共料金、こういうような問題がいろいろ並べられているわけでございますが、こういうものに対しての見通し、お考えはいかがでございますか。
○藤井(直)政府委員 現在、いまおっしゃった料金の中で申請が出ておりますものはタクシー料金でございます。それから高速国道の料金についてはまだ具体的に課題に上がってきておりません。それから地方公営企業等につきましての料金改定等は、今後五十四年度にわたって水道とか、それから地方公営企業でございませんが、公立高校の授業料とか、そういうものが出てくると思いますが、いずれにいたしましても個別に出てまいります料金につきましては、その料金改定の背景等について厳重に審査をいたしまして対応するということでございますので、現在どの料金の改定をどの程度やるか、それに伴いまして個別にどういう影響が出るかということを申し上げることはできないのでございますが、私どもとしましては、ただいま申し上げました予算関連の関係につきましての全体の公共料金の寄与度が〇・八%になるものと思っております。 そのほかに電気、ガスの割引終了でございますが、これは先ほど〇・二%というふうに申し上げましたが、年度の平均で言いますとこれは半分に効いてまいります。去年の十月からやったものでございます。〇・一%になります。 そのほか、先生のおっしゃったいろいろな料金につきましては、これは個別にとても積算できる筋合いのものではございませんので、過去の傾向等も考えまして、全体として〇・六%程度のものにおさまるのではないかという目安を持っております。合計いたしまして、全体として一・五%程度のものが五十四年度中の公共料金の改定による影響として見込めるのではないか、そのように考えております。
○堀内委員 そうしますと、公共料金に関する消費者物価の値上がりというものが全体の四・九%のうち一・五%ぐらいで占められるだろう。そうしますと、あと残りが三・四%程度のもので、その他の物価、海外要因だとか円高メリットのなくなった問題だとか、いろんな問題を大体三・四%ぐらいでこなせるというふうにお考えになっているのかどうか、ちょっとお願いします。
○藤井(直)政府委員 私ども物価の見通しを立てますときに、公共料金も一つの要因として考えておりますが、同時にまた、物価だけが経済全体の情勢と切り離して決めることはできないものでございますので、五十四年度の経済見通しにおきます生産とか消費とか雇用とか、それから雇用者所得の見込み、さらには海外物価それから為替レート等について、それぞれの想定を置きまして、全体としてどういう物価になるかということをマクロ的に算出をいたしておるわけでございます。したがいまして、その結果出てきましたのが四・九%でございます。いまおっしゃいましたように、その中に一・五%公共料金があるということであれば、残りは三・四という計算にはなります。全体として四・九%という物価見通しというものが現状において算定されるわけでございますけれども、そのためにはいろいろ努力をしていかなければならない。そういう意味で、これからも物価対策に取り組んでいくつもりでございます。
○堀内委員 そこで、今度の予算委員会の審議なども拝聴いたしておりますと、この公共料金の値上がりその他こういう関係のもので国民の負担増という数字が出てきているわけであります。その中で、小坂大臣は一兆七千九百億円という数字を挙げられておりますが、先ほどの発言にもございました昨日の担当官会議での新政策というようなものを通しましても、この一兆七千九百億という数字は変更はないものであるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 一兆七千九百億円というのは、社会党で計算された総トータルの数字でございまして、われわれの方の計算は、いろいろな不確定要素がございますが、そうしたものが一応現状のような形で行くとしまして、また予算関連事項につきましては正確にそのとおり計算をいたしまして、一兆五百億円程度ということをお答え申したわけでございます。この差が七千億あるのはどうだということでいろいろと議論があったと記憶をいたしておりますが、われわれといたしましては大体一兆円程度の負担増になるのではないか。予算関連でございますが、たとえば米価あるいは国立学校の入学料金の引き上げ等につきましては、これは社会党の計算と同じような数字になっておりますけれども、この分まで入れまして、五十四年度は六千七十億円というふうに計算しているわけです。
○堀内委員 議事録ではちょっとそうでなかったと思いますが、まあこれは結構でございます。 こういういまのような状態の中で、物価問題は非常に重大な対策ということになるわけでありますけれども、この四・九%を守るということは非常に重要な、大変なことだというふうに思います。先ほどの公共料金その他本年度のいろいろの負担増の方の面だけでも一・五%、残りは三・四%というようなことになるわけでありまして、そういう面から、この四・九%はどうしても守っていきたいという長官の御熱意と相まって、これに対しては並み並みならぬ努力をしていただかなければならないと思います。また同時に、いまの委員会の始まりますときの御発言にも、官民一体となってこの問題に取り組んで成果を上げていきたいというお話がございました。これにはやはり、こういう物価問題には官民一体、国民の理解と協力というものが必要になってくるというふうに私は思います。それだけに、現在、要注意の状況になり出してきているということ、これは言えるのではないかと思いますだけに、物価について黄信号といいますか、黄色い注意信号を出す事態に来ているのだというような認識がおありになるかどうか。そして、そういう御認識がおありになるとすれば、やはりその危険信号を国民に宣言されるようなそういう姿勢、そして国民の協力を求めるお考え、こういうものがおありになるかどうか、ひとつ伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 われわれ、物価問題につきましては、かつてのオイルショックの時代の非常に苦い体験を持っておりまして、そうしたようなこと以降、非常な国民の協力の中で物価がきわめて安定的に推移したという事実をわれわれ認識しておるわけでございます。やはり現状におきまして、特にイランの情勢変化及び中東の変化、あるいはまた中国とベトナムの関係の戦争的状態、それを踏まえた米ソの動き等を考えますと、先ほども申し上げましたように、一次産品の、特に戦略物資と称するものが世界的に非常に高騰している。そういうようなことが日本の卸売物価等に対する影響は確かに軽視できないものがある。しかし問題は、やはり委員の御指摘のように心理的な問題でございます。私は、心理的な問題であるからこそ、早目に早目に対策を打って、そしてまた、政府はそれに非常な関心を持っているということで、今回の物価対策の総合的推進という決定をしたわけでございまして、これがやはり国民にとっての一つの、物価に並み並みならぬ関心と配慮を政府としてもしているということをおくみ取りいただきたいというような意味でございます。
○堀内委員 心理的な面が非常に大きいこと、言うまでもございません。それだけにこの取り扱いを間違えますと、また大きな影響を及ぼすことにもなりかねないわけでございますから、その点について非常に慎重に対処しなければいけないと思いますが、ただ大丈夫だ、安心だというような面だけが出ておりますと、国民の協力、官民一致というような、そういう一致の中での対策というか、物価問題に対する取り組みというような問題、これに何か隔たりができるような気もするわけでございまして、非常に慎重を要することではありますが、ひとつ国民に語りかける、国民に一体となってこの物価問題に取り組んでもらう姿勢をつくってもらう、そういうようなことをひとつ大臣にもお願いを申し上げておくわけでございます。 次に、公正取引委員会の方にお伺いをいたしたいと思います。 不況カルテルの問題でございますが、今回の長期の不況の中で、非常に中小企業の倒産だとか構造不況だとかいうような問題、こういうものが起こったために不況カルテルが認められてきているわけでありますが、これはやむを得ないことだと思います。この不況カルテルというのは、あくまで緊急避難の枠組みの中で考えていくべき問題でありまして、現在、経済企画庁の長官も、物価に対しまして、非常に重大な配慮をしていかなければならない時期だというふうにお話しになられているわけでございますから、この不況カルテルについても、一日も早く打ち切りをすべきときに来ているというふうに思うわけであります。 そこで、公正取引委員会にお伺いしたいのでありますが、現在進行中の六品目のカルテルのうち、カルテルの内容と期限、こういうものをひとつお伺いをいたしたいと思います。 同時に、昨日の物価担当官会議でも、不要になったカルテルというようなものはすぐ廃止をするべきだというふうに論議をされたと聞いているわけでありまして、この機会に再検討をして、打ち切るようなものはあるのかないのか、その点も含めてお伺いいたしたいと思います。
○橋口政府委員 独禁法上の不況カルテルでござ いますが、昭和四十九年から始まりました今回の不況の際に、対象品目として不況カルテルを認可いたしたものは、五十一年以降で十三件でございますが、ピーク時には九品目のカルテルが実施をされておったのでございます。現在は六品目になっておりますことは御指摘のとおりでございます。そのうち二月末で期限が切れますのは段ボール関係の二品目、三月末に切れますのは三つございまして、合成繊維それから染料、アルミニウム地金というのが三月末でございます。四月末が両更クラフト紙ということになっております。そのうち段ボール関係の二品目は昨日業界の方から正式にカルテルの延長の申請はしないという申し出がございましたから、三月になりますと四品目でございます。 四品目につきまして将来どうなるかという問題でございますが、従来カルテルを認可したときの経緯等がございましておおよその展望というものは持っておりますが、御承知のようにカルテルを認可するかどうかは法律の要件に照らして判断する必要がございますから、二月末の時点で直ちに三月末、四月末のカルテルについてどうだということを申し上げるのはいささか穏当を欠くのではないかと思いますので、その点につきましての展望を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、従来からの認可の方針は、御承知のように業界の実情をよく把握いたしまして不況要件に該当しているかどうか、該当している場合に認可をいたしたわけでございまして、御指摘がございましたように、できるだけ短期間で卒業生になってほしいという念願を持っているわけでございます。ただ心ならずも、不況が長引いた関係等がございまして、更新に次ぐ更新を重ねている例もございますが、経済全体がよくなってきておりますし、それから四品目につきましても多少のばらつきはございますが、大観いたしまして市況の状況、需給の状態というものは改善されてきておるわけでございますから、期限が来ました際には十分よく審査をいたしたいと考えております。 幸いにして、この三月になりましても四品目に加えて新しいカルテルの申請の動きというものは、現在のところございません。昨年の末には一、二そういうこともあったようでございますが、市況の回復等で新たな申請がございませんから、現在よりふえるということもございませんし、それから実施中のものにつきましても、たとえば市況の関係等で価格が急騰するというような場合にはこれを打ち切るという用意もいたしておりますし、また認可の際にそういう念書もいただいておるわけでありますから、必要な場合には機動的な措置ができるということでございますので、将来カルテルがこれ以上ふえることはまずないだろうということは申し上げられますし、現在実施中のものにつきましても、要件がなくなったものにつきましてはもちろん打ち切るというつもりで作業をいたしております。それから、万一の場合には途中でも打ち切る、こういう体制で進んでおるところでございます。
○堀内委員 先ほどの言葉じりを取り上げるわけではありませんが、業界からきのう申請はもうしないからやめるというような姿勢ではちょっと困るわけなんでして、その辺にもう少し前向きな形で、要件を備えなくなった場合、先ほど最後にそうおっしゃいましたけれども、毅然たる姿勢の中でこういうものにお取り組みをいただきたいということをお願いするわけでございます。 公取の委員長がおいでになっていらっしゃるので、ついでといってはあれなんですが、ちょっとお伺いをいたしたいと思いますことは、公取委員会は書籍とレコードの再販制度というものについて、弊害があるという立場から実態調査に今月下旬にも入るということが出ておりましたけれども、進行状況というものはどんな状態になっておりますか、またお考えについて、どういうお考えのもとになさっていらっしゃるか、ちょっと伺いたいと思います。
○橋口政府委員 先ほどの答弁につきまして御注意があったわけでございますが、業界から正式に申請がなかったということは、それはあくまでも形の上の問題でございまして、当方としての内面指導は十分いたしておりますから、その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。 それから書籍、レコードの問題でございますが、書籍、レコードの主として流通の問題を取り上げておるわけでございますが、一つには流通問題に対して独禁政策を重点的に振り向けたい、こういう基本認識がございまして、これは申すまでもないことでございますが、産業構造の変化ということを踏まえまして、製造業に加えて非製造業の分野のウエートが高くなってきている、なかんずく流通問題の処理ということが重要性を持っている、緊要性を持っている、こういう認識に立っておるわけでございまして、その中での問題として書籍、レコードの問題を取り上げておるわけでございますが、書籍、レコードにつきまして特徴的なことは、昭和二十八年にいわゆる法定再販という制度が認められておるわけでございまして、格別の措置をとらないでも書籍、レコード等の著作物は当然に再販商品になり得る、こういう規定があるわけでございます。もちろんこれはメーカーと販売事業者あるいは小売業者との間の契約が必要でございますけれども、これは契約をすれば当然再販行為はできるといういわば特別の待遇を与えられておるわけでございまして、そういう制度ができましてから四分の一世紀以上経過しておるわけでございますし、その間独禁政策に変化もございますし、諸外国でも再販制度は逐次整理をいたしてきておりますし、日本でもかつてはキャラメルからワイシャツまで再販制度があった時代がございますが、だんだん整理をされまして、現在は指定商品としましては一部の化粧品と大衆医薬品だけになっておるわけでございまして、そういう再販制度に対する政策の変化ということもございますし、客観情勢といたしましても、この四分の一世紀の間にいわゆる大衆社会というものが出現してまいりまして、文化の側面で申しましてもいわゆる大衆文化の時代というものが出現いたしております。大衆文化は逆に申しますと使い捨ての文化とも言われておるわけでございまして、書籍の出版の事情、雑誌の出版形態にも大変大きな変化があるわけでございますから、そういう基本情勢を踏まえて、一体消費者にとって何が利便であるかという観点から法定再販の問題も含めて検討いたしておるわけでございます。ただ、一般に誤解がございますのは、公正取引委員会が法定再販はもう撤廃するという方針を決めたのではないかということが言われておりますが、そういう方針はもちろん決めておりません。また同時に、法定再販を永久に残すという方針も決めておらないわけでございまして、法定再販問題を含めました出版の生産、流通、販売の全形態について調査をいたしておるところでございます。 具体的に申しますと、二月二十一日に調査表を出しておるわけでございまして、これは出版社が約千軒、それから小売店も約千軒、それから取り次ぎは約百軒ございます。そういうものにかなり詳細な調査項目を書きましたアンケート調査をいたしておりまして、これは本格的な調査でございます。その調査表を回収いたしまして分析をして、さらに専門の学者の先生方あるいは版元、取り次ぎ、小売店、一般消費者等からも意見を聞いて、一体どういう制度が一番望ましいかということを発見してまいりたい。したがって、その中にはもちろん法定再版の問題も入っておりますけれども、それだけに問題の焦点を当てているわけではございませんで、それ以外に委託販売制の問題とかあるいは取り次ぎ寡占の問題とか、小売店のあり方の問題等々がございますから、そういう問題を含めまして出版全体の問題に本格的に取り組んでみたいというのが現在の時点の実情でございます。
○堀内委員 いまの大手再販というのは問題が非常にあるように私も思います。が、一方では出版物に価格が明示されなくなると高い価格で売られるようなことがないだろうかとか、今度は価格をつけない場合には値引きを見込んでの価格を出してくるようなこともあるのじゃないかとか、最終的に手に渡る消費者に対していまの制度がプラスなのかマイナスなのかというようなことでも大分いろいろ論議があるように感じているわけでございます。何としてもいまの大手取次店の寡占体制というものの独禁法上の問題ということは、これは当然メスを入れていただかなければならない問題だと思いますが、その手を入れてもらうのはいいのですが、結果的に書籍であるとかレコードであるとかいうようなものが消費者の手に渡るときに高いものになるようなことになったんでは、目的とするところと志と異なってしまうようなことにもなりかねないんじゃないかというふうな危惧の念があるわけでございます。そういう意味で、こういう物価の非常に問題のあるときでありますだけに、ひとつ公取としての法的な問題と、やはり物価に与える影響というような問題と、これをひとつ、両方よく見きわめながらお取り組みをいただきたいというふうに思っておるわけでございます。 そういう意味から、先ほどの各消費者あるいは商店というような、取次店というようなところへの調査が行われているということはそういうためだろうと思いますが、ひとつこの問題も非常に関心の多い問題、特に言論の自由というような問題から、いまのような形からでないと出版をしてもなかなか本も売れないというようなことにもなりかねないという声も片方ではございますので、慎重にお取り組みをいただきたいということをお願いを申し上げる次第でございます。その点もひとつぜひ御考慮いただきたいと思います。 時間でございますので、この物価の問題に公取でもひとつ大いに御配慮を賜ることをお願い申し上げまして、質問を終わります。
○鈴木委員長 武部文君。
○武部委員 一月二十五日、衆議院本会議において施政方針演説が行われました際の総理の演説の中で物価問題に若干触れてありましたが、余り真剣というか、物価に対しての感覚が少し欠けておるではないかというふうに私どもは聞いておったのであります。あの日に小坂長官の経済に対する演説がございましたが、あの議事録をずっと拝見をいたしますと、「物価は一ころの騰勢が影をひそめ、今日では安定した基調に推移しておる」こういう発言がございました。「また、家計も、物価の高騰等の、将来に対する不安から徐々に解放されており、」こういう発言もございました。さらに「最近の物価動向は、円高の影響等から、卸売物価、消費者物価ともに近年になく落ちついた推移を示しており、西ドイツ、スイスと並んで安定した状態にある」しかし、今後は物価の安定に大きく寄与してきたところの円高の問題とか、いろいろなことが考えられるので、現在の物価安定基調を引き続き維持するように全力を傾注する、こういう演説がございました。私は、現在の状況の中で、このような考え方は少し甘いじゃないか、切実感がないじゃないか、国民の物価に対する感覚と少し離れておるじゃないかというような気がしてならないのであります。 それを具体的に申し上げてみたいと思いますが、ことしの元日の朝日新聞の世論調査をごらんになったと思うのですが、非常にたくさんの世論調査が元日の紙面をにぎわしておりました。あの中に、「あなたが、政府に一番やってほしいことは何ですか。」という問いに対して、物価と答えた人が三七%、社会福祉が二〇、景気が一九、こういう数字が出ておりました。これは去年、各新聞社の世論調査がいろいろ出ておりましたけれども、ほぼ同じ順番になっておる、このように見てよかろうと思います。また、ついせんだってもNHKが全国の世論調査の結果をテレビで放映しておりましたが、その中の調査の項目の中に物価問題は、やはり半分以上が物価の安定を望んでおるという数字も出ておりました。 このように、国民の世論の第一は物価の安定だというのがどのマスコミの世論調査にも出てまいっております。 きょう私、朝、新聞を見たところが、ここにちょっと持ってまいりましたが、きょうの読売新聞の一面に同じような世論調査が出ておりました。これを見ると、後でちょっと長官の見解を承りたいのですが、この中でも群を抜いて物価安定への努力というものが高いのであります。一位であります。「景気をよくしていくには、あなたは、どんな手段が効果的だと思いますか。」こういうことの答えの中で物価安定への努力が五〇・八、公共事業の拡大が次でありますが二二・四、半分以下であります。このように物価に対する国民の関心というのは非常に高いのであります。ところが、この同じ読売新聞の解説の中に、きのうのこととも関連すると思うのですが、「小坂経企庁長官はここにきて、「やっぱり、物価より景気だ」と暗黙の結論を出した。」と、こういうふうに書いてあるのです。 先ほどちょっとお話がございましたように、景気と物価の問題というのは非常に相関関係があるように思います。これを見ると、だれがどう考えて書いたのか知りませんが、あなたはもうそのように、物価よりも景気だというふうに暗黙のうちに結論を出したと、こういうふうに書いてあるのですが、いま私が申し上げたように、元日の朝日新聞あるいはNHKその他のいろいろな各種の世論調査を見ても、物価問題に非常に関心が高い。後で具体的に私申し上げますけれども、こういう考え方が出ておるわけですが、これについて長官はどのように認識をしておられるか、最初にこれをお伺いをいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 お答え申し上げます。 私は、各新聞社でやっております世論調査、これをずっと前から非常に注目しておるわけでありまして、こういう時点の中で一時は景気回復の方が要望が強い時期もありましたが、また最近になりまして、特に物価の抑制ということを国民が非常に待望してきているという一つの気持ちの変化がある。私は、これはいまの世界情勢の非常なごたごたした状態というもので、やはり国民にはこれで物価が上がるんではなかろうかというような気持ち、これはもうどこの世界をとりましても、そのような武力的な紛争というようなものがあれば、当然国民はそれによって起こるであろうインフレというものを直感的に感じるものだなと、こういうふうに思っております。 私は、そうしたような事態に対してやはり政治及び政府は真正面からこたえなくちゃいかぬということをかねがね考えておりまして、先般来いろいろと各省間で話し合いを進めてもらっておったわけでありますが、ようやく昨日物価担当官会議を開きまして、政府は各省挙げて、全力を挙げて物価の安定に努力をしよう、それに対してそれぞれの政策目標を掲げてそれを決定したわけなんであります。本日それをまた閣議でも追認をいたしたわけでございますが、私はこうした努力そのものは、いま武部委員の御指摘のとおり、国民の要望というものが物価安定に非常に強く来ているということに対応して、物価安定政策を総合的に進めるということをこたえたつもりでございまして、今後こうした方向の中で努力を重ね、また国民の御理解をいただくということで進んでまいりたいと思っております。
○武部委員 そういたしますと、先ほど堀内委員からもお話がございましたが、五十四年度の卸売物価あるいは消費者物価の上昇についての数字を政府が発表しておるわけですが、政府見通しの四・九%という消費者物価の問題について少しく見解を求めておきたいと思います。 先ほどからもお話がございましたように、公共料金の値上げがメジロ押しに控えておる。OPECの値上げが四段階、平均年一〇%。しかし、イランの問題が起きてきた。イランは、日本は約一八%くらいの輸入を占めておるようでありますが、アラブ首長国連邦のアブダビ、カタールの追加七%の値上げというものが出てきた。さらに、スポット物の原油の値上げが相当大幅になっておる。商品市況は高騰の一途をたどっておる。地価はどんどん上昇して、この間の国税庁の路線価格を見ますと、日本で最高は新宿三丁目の一坪九百五十万円、こういう数字が出ておりますので、これは本当だろうかと思っておりましたところ、現実に新宿のあの国際電電、KDDの隣にある空き地、これは東京都のものでありますが、東京都が国際電電に対して購入を働きかけたその金額はくしくもこれと同じ一坪九百五十万円で話が進んだという事実があります。まさに驚異的な値段であります。この路線価格を見ますと、新潟が最高で六・八%も地価が上がっておるということがわかりました。国土庁が発表したついせんだっての五十三年の東京都の住宅地の値上がりは九・八%という数字が出ておる。これは全く異常であります。そういう問題が出ておる。さらにミニ過剰流動性が発生しておる、あるいはインフレマインドが高まっておる。こういう数え切れないほどの厳しい情勢があるのに、四・九というような数字を発表されておるわけですが、この見通し、この範囲内に消費者物価をおさめる自信が一体あるのか、私は大変疑問に思うのですが、長官はどうお考えだろうか、こう思います。
○小坂国務大臣 そのようないろいろな困難というものは、私は否定をいたしておりません。それにまた、昨日の物価担当官会議でも、特にマネーサプライの問題であるとか、あるいはまた土地の取得関連金融の自粛とか、相当きめ細かな土地に対しての警戒措置はすでにとっておるわけでございます。今朝も閣議において国土庁長官から、土地の問題についてはさらに強力に監視をして、いやしくも土地投機による地価の暴騰のないように全面的な努力をするということも特に発言があったわけでございます。 何も土地だけの問題ではございません。石油等につきましても御指摘のようでございますが、いま私の考えでございますと、当面は石油の量の確保がまあまあのところにいっておるわけでございまして、スポットを買いあさりをするというほどの状態ではないと思います。私は、御質問から少し外れてしまうかもしれませんが、そのような情勢、国内の在庫とのにらみ合わせ等々十分配慮しながら、私らが計画しております、一応OPECの年一割の価格引き上げに対して、消費者物価への影響を〇・三%程度にとどめておくという努力、それと卸売物価に対しては、やや強いのでありますが、〇・七%程度の影響というものはぜひこれを守りたい。要するに問題は、便乗値上げに対する相当強力な監視体制と、石油化学社に対して協力を求めるということをすでに始めておるわけでございまして、そのような多面的な政策を連動させながら、四・九%程度に消費者物価の上昇を食いとめたいということを考えておるわけでございます。 なお、先ほど公共料金の問題にお触れになりましたが、五十一年、五十二年、五十三年、そして五十四年について、一応どの程度の公共料金の引き上げが過去においてなされたか、その消費者物価への影響は何%程度であったかということも調べてみたわけでございます。それによりますれば、大体消費者物価に対する影響は、五十一年度は一・七%、これは予算関連の公共料金でございます。五十二年度は〇・八、五十三年度は非常に少なかったのでありますが、〇・三、そして五十四年度においてはこれを〇・八に抑えたいというふうにしておりまして、その結論として、その他の電力、ガス、NHKあるいは六大都市の交通その他等々入れまして消費者物価の上昇を見ますると、五十一年度は年度平均が九・四、五十二年度は年度平均六・七、五十三年度は四%程度、そして五十四年度の予測は四・九というふうに考えておりまして、過去における消費者物価の上昇率に比べても非常に低位に今年度はどうしても持っていきたいという努力、そしてまた、そのための、繰り返して申し上げますが、政府一体になっての物価安定政策の推進ということをとったわけでございます。 昨日決めましたような総合的な物価安定対策を政府が発表しましたのは、かの狂乱物価以来初めてでございます。現実には消費者物価その他もそれほど顕著な騰貴はない現状でございますが、委員の御指摘のような世界情勢の変化等による心理的な物価への関心というものに対して、政府もまた一体となってこれに対する対策を考えたいという気持ちで出したわけでございます。
○武部委員 いま長官は公共料金の問題にお触れになりましたので、私はこれから公共料金のことについて若干ただしておきたいと思います。 五十一年、五十二年、五十三年と数字をお述べになったわけですが、この間の予算委員会の席上で、公共料金の影響は一・五%程度と考えておるという話がございました。経企庁の試算で、先ほど物価局長の答弁を聞いておりますと、予算関連でたばこが〇・三七、国鉄が〇・一、健保が〇・三、これで〇・七七になりますね。すでに値上げされたもの、消費者米価〇・一、私鉄〇・〇五、円高差益がもとに戻る、電力、ガス、これで〇・二、これだけ合計いたしますと一・一二%になります。そのほかに、堀内委員も発言がございましたが、地方公共団体の許認可による料金を実は考えていかなければならぬと思います。このウエートは、現在の消費者物価指数の計算上からいきますと一万分の百九十六というウエートを占めております。先ほど一・一二いうことを申し上げましたが、長官の一・五と言われる中から差し引きますと、残りはわずかに〇・三八ですね。〇・三八しか残らぬということになりますね。 そこで、地方公共団体の許認可によるものを調べますと、家賃、水道、入浴料、清掃代、授業料、公立保育料、印鑑とかあるいは戸籍抄本の証明の手数料、こういうものが控えておるわけです。この値上げが一体どのくらい予想されるだろうかということは計算をしてみれば出てくるわけであります。たとえば主な地方公共団体の料金が去年一年間にどのぐらい上昇したか。前年比一四・七%上がっておるのですが、これは低かったときであります。去年は低かった。そのときでも対前年比一四・七上がっておるのです。これをいま申し上げたような百九十六のウエートを占めるものと仮定いたしますと、これが大体〇・四%消費者物価にはね返る、こういう計算が出てくるわけであります。そのほかにタクシー料金が約二〇%、高速自動車道路が約三〇%、自動車の免許手数料がすでに去年の十二月に四一%上がっておりますが、これが予定または実施されたものです。こういうものを全部合算いたしますと、長官の述べておられるような一・五という数字は明らかに低過ぎる、このように私は思います。私ども社会党が試算をした数字を申し上げますと、政府関連の公共料金の値上げは、直接的な影響が一・五%、間接的な影響が〇・三五%、地方公共団体がいま申し上げたように〇・四%、これだけで公共料金の値上げは二・三%という数字が出てくるのであります。あなたの御答弁になっております一・五%とここで〇・八%の差が出てくる。これは公共料金の値上げをとってみてもそういうふうに出てくるのです。四・九%といい一・五%といい、政府の見通しは何か意識的に甘くこの数字を見込んでおるのではないか、こういうふうに思えるわけです。 四・九というような、はしたをつけたことが、バーゲンセールで千円の品物を九百八十円というと何か安くなったように思えるのでよくやっておりますし、三千円なら二千九百円というようなことを言っていますが、そんな意識があって四・九などというはしたをつけたとは思わぬのですけれども、いろいろずっと計算をしてみると、何か意識的に数字を低く見込んで国民の前に出しておるんじゃないだろうか、悪くとれば、そう思えるのです。いま申し上げた数字をやっていくとはるかに上回るわけですから、そのように思えて仕方がないわけです。 政府の発表の数字は直接的な影響しか実は試算にないわけです。今日コンピューターがこれほど発達したのですから、いわゆる産業関連分析によって間接的影響というものは当然できる、しかも簡単にできる、そういうふうに思うのですが、なぜそういう試算をしないのか。私が申し上げたようなコンピューターを使えば産業関連分析によるところの間接的影響というものが出てくるわけですから、そういうことを検討する考えが経済企画庁にあるかどうか、この点いかがでしょう。
○藤井(直)政府委員 ただいま武部先生おっしゃった数字で見ますと相当開きがございますが、その原因といたしましては三つほどあるのではないかと思うわけでございます。 一つはCPIの直接的影響に関しましてウエートの違いがございまして、特にたばこについてウェートが相当開いているように思われます。もう一つは、私ども公共料金として扱っておりませんが、ガソリン税が入っているのではないかということです。それから、最後に御指摘になりました間接的影響の問題ではないかと思います。 それで、最初のウェートの問題でございますが、実は私どものCPIの計算の際には、CPIの中のレートでございますが、レートを家計調査から引っ張ってきているわけであります。家計調査といいますのは、現在の家計について毎日の支出実績を克明に記録いたしまして、そして全体としてどういう家計支出になっているかということを把握する、そういう意味できわめて貴重な統計なんでございますが、それを使わしていただいております。他方、産業関連表の場合には、物的接近法と申しまして、実際に生産されたものが各企業とか家計とか、そういうところでどう使われているかということをこれまた計算をして出しているわけでございますが、私どもとしてはやはり家計調査というものがありますので、できるだけその方の数字を使って家計への影響を算定していった方がいいのではないか、そういうことにいたしておるわけでございます。その関係がどうもたばこに出ているのではないかと思います。 それから間接的効果については、私どもも間接効果があることはもちろん否定いたしませんし、かなりのものがあり得ると思いますが、ただ、いまの価格形成はコスト上昇がそのまますべての部門にわたってどんどん転嫁されていって末端までいく、そういうことは現実的ではないのではないか。やはり需給の関係によって、コストが上がってもそのまま価格に転嫁できないということもございますし、また場合によっては値上がりしました分は節約ということもあるでしょうし、ほかのサービスや財にかわっていくこともありますので、どうも産業連関表で機械的にコスト計算をしてこうなるということについては、物価というものを考えるときにはやや適当ではないのではないか。 〔委員長退席、金子(み)委員長代理着席〕 しかし、そういう間接効果はもちろんございますので、全体としての消費者物価の見通し、たとえば四・九%というようなもの、さらには毎月の消費者物価の発表になります数字等については当然そういうものが入っておりますので、そういうものも含めて考えていきたい。公共料金だけで見たときには一応直接的効果だけをとっている、そういうことでやっているわけでございます。
○武部委員 あなたはたばこのことをおっしゃったけれども、私は、たばこはあなた方のおっしゃったとおり〇・三七というふうに計算をして数字を申し上げております。確かにいろいろ考え方があるし、算出の中にも方法があるだろうと思うのですが、四・九%の見通しの算出というのは、あなたの方は、ここにございますが、「経済諸変数を総合勘案して算出したものである。」こういうふうになっておりますね。「(卸売物価の上昇率一・六%程度、消費者物価の上昇率四・九%程度)は、財政政策、雇用政策その他の経済政策との整合性をとりつつ海外物価動向、生産活動等の経済諸変数を総合勘案して算出したものである。」こういう根拠に基づいて四・九というのが出たというふうにおっしゃっておるわけですね。 それで、私どもの試算に対しては反発をいたしたわけですがあなた方としては、それは間違っておるというようなことで批判だけをしておったのでは、はっきり言えば私どもとしてはあなた方と議論する余地がないのですよ。だから、そういう意味でこれから先、物価問題という非常に重要な問題を国民に認識させるためにも、お互いが持っておる算出根拠を明らかにして、そこで議論をしながら、どちらの数字が正しいか、どれが生活実感に合ったものか、本当のものか、そういうことをする必要があるというふうに私は思うのです。われわれもそれなりに一生懸命努力をしてやっておるわけですから、そういう方向を検討する意思があなた方におありかどうか、それをちょっとお聞きしたい。
○小坂国務大臣 実は、先般の予算委員会におきまして社会党さんから公共料金あるいはその他上がるであろうと思われるものの試算が出されまして、全体数で一兆七千億だという御提案がありました。私はこれは非常にありがたかったのでありまして、いままで物価問題だと、上がるか下がるか、高いか安いかというだけの観念論でございましたが、今度はそうしたことから一歩出て具体的な数字としての計算基礎をお示しいただいたこと、あるいはまた産業連関表等を通じてのいろいろな試算が出されましたことは、私らといたしましても非常にありがたいことでありまして、物価問題についてわれわれの間でいろいろと具体的に問題を処理できる端緒が開かれたということを大変歓迎しております。 ただいま武部委員のおっしゃいました皆様方の御計算の基礎とわれわれの計算の基礎というものは多少相違があることは認めざるを得ないし、またその具体的な数字等につきましてもお互いにさらによく詰め合わせる必要があると思う点がございますが、しかし私らといたしましては、皆様方の計算を決してただ聞き流しにしているつもりはないのでございまして、そうした方向についても十分配慮し、できれば、結局こうした現状の中において一番恐ろしいのは国民の関心でありますし、また物価騰貴への一つの心理的な動向でありますから、そうしたようなものについてお互いにこれを抑えていくというようなことを努力することも物価政策の非常に大事な基本であるというふうに考えております。
○武部委員 もう一つ物価の動向に対して重要な問題は石油の問題であろうと思います。そこで、通産省からお見えいただきましたので、OPECの値上げ、五十四年一月から四段階の値上げがすでに始まっておるわけですが、現在の石油の値上げの動向について、あるいはこれからの動きについて現在把握しておられる内容の説明をひとつ最初にしていただきたいと思います。
○箕輪説明員 先ほど先生御指摘がございましたように、OPECが昨年末決めました値上げは四段階でございます。それで最終的には十月一日以降一四・五%の値上げになるということでございますけれども、イランの情勢が緊迫化しまして、事実上イランからの輸出がゼロの期間がここ二カ月ばかり続いておるわけでございますが、その間いわゆるスポット物の価格というものがだんだん上がってまいりまして、一番最近の時点では七ドルないし九ドルというようなプレミアムもついておるのが現状でございます。このプレミアムがついております現状を産油国は非常に不愉快に思っておりまして、本来産油国に帰属すべき利益を一部ブローカーが得ておるのはけしからぬというような基本的な認識がございます。したがいまして、産油国におきましてもOPECの決めました段階値上げ以外の価格値上げをしてきているのが事実でございまして、まずサウジアラビアでございますけれども、これは一月一日にさかのぼりまして、昨年のシーリングの八百五十万に比べまして今年は九百五十万というシーリングを一−三で設けておりますが、この百万の増産分につきましては今年の第四クォーターの値上げ率、つまり一四・五%を適用するということを言ってきております。これは増産分についてということでございますが、現実にそれがたとえばアラムコを通じて売られます場合に、どれが増産分であるかというのは事実上把握できませんものですから、サプライヤーであるメジャーは、現在世界各国に対しましてバレル当たり十七セントないし二十セント、あるいは二十一セント引き上げますという通告をしてきております。 そのほかに、産油国といたしましては、先ほども話が出ましたUAE、首長国連邦でございますけれども、これも値上げを通告してきておりますし、それからカタールなんかも値上げの通告をしてきております。具体的にはそれぞれ二月十五日からバレル当たり一ドル、これは、先ほど武部委員のおっしゃいました七%近くに相当するわけでございますが、値上げを通告して実施してきております。そのほかにも、たとえばリビアですとかあるいはイラクというような国は値上げを検討しておるというのが事実でございます。 今後どうなるかということでございますが、私どもは非常な関心と憂慮を持って見守っておるのでございますが、三月末にOPECの懇談会が行われるそうでございます。そのときに話し合われるのは、いわゆるスポット物の価格というものをどう評価すべきかということも議論されるようでございまして、最も心配しておりますのは、昨年末決めました四段階値上げということがどのような変化を受けてくるかということがいま一番われわれの関心のあるところでございます。したがいまして、先行き国際的な原油価格の動向につきましては現状では見通し難であるというのが正確なところではないかと思っております。
○武部委員 この石油の問題は実は容易ならざる状態ではなかろうか、いまの説明を聞いておってもそのように理解できるわけであります。私は、この石油の問題というのは非常に物価に影響が大きいと思いますから、これから申し上げることについて、もし私の考え方が違っておれば御訂正いただいて結構です。 いまお話がございましたように、五十四年の一月からのOPECの四段階値上げが現実にはもうすでに崩れてしまっておる、このように理解できるわけです。仮に五十四年の十月が最終段階一四・五%、しかし年平均は一〇%だった、この影響は、先ほど長官が説明されましたように、消費者物価には〇・三%、卸売物価には〇・七%の影響がある、こういう答弁がございました。しかし現実にはもうそれは全く崩れ去ってしまっておるというふうに思わなければなりません。イランの情勢から出てきたわけでしょうけれども、特に原油の需給は逼迫しておる。お話があったように、二月からアブダビ、カタールの七%の上積み、これは生産量で見れば六%ぐらいでしょうか。ですから大したことはないでしょうけれども、すでに、お話があったようなスポット物は一バレル二十四ドル物が出ておる。これ秘すでに報道されておるとおりです。二十四ドルといえば、標準の原油よりも六ドルも一バレルで高いのであります。これは大変なことでありまして、そういうものが出現をしておる、こういう事態。さらに、いまお話があったような、最大の産油国であるサウジの百万以上のものについての値上げがもうすでに一月一日にさかのぼってやられておるというようなことも出ておるわけですが、これはまさに石油ショックが起きて、狂乱物価が出現をした時代の再来を思わせるような事態ではないだろうか、このように思っております。したがって、石油の値上げというものは私どもの日本の物価に非常に大きな影響を与えると見なければなりませんが、経企庁としてはこの状況をどのように把握しておられるか、最初にちょっとそれをお伺いしておきたい。
○小坂国務大臣 武部委員のおっしゃるような情勢というものは、やはり現時点では相当慎重に発言をした方がいいのではないか。アメリカその他は自前の石油を持っておりますから、こうした危機感をあおることは可能だと思いますが、日本の場合にはほとんど全量が輸入でございますから、そうしたことによって供給量がというか、あるいはその価格が非常に上がりそうだということを言うことは、これは非常に大きな影響があると思うのであります。したがいまして、われわれとしましては、そうした世界情勢についてできるだけフォローアップするとともに、できるならばやはり省資源、省石油、こうした政策を強力に国民の理解の中で展開する必要があるということ、またたとえば輸入先を多元化していくという努力、これなどもやはり私は一つの大事な方向ではないかと思います。同時にまたこうしたスポット物が高くなるということによる便乗的な値上げに対しては、あなたのおっしゃるように、石油ショックとは違った意味での大きな危機だという御指摘を踏まえるならば、より強力な監視体制を敷くべきではないでしょうか、等々、そうした問題もまたできるだけ早目早目に手を打っていくということ。特に、いまも通産省から表明のございました三月のOPECの代表者会議というようなものの動向に対しましては十分注視をしながら対応をしていきたい。 もう一つは、IEAと申しましょうか、消費国の基本的な話し合いが三月一日、二日にもうすぐ開かれると思います。それの結論が五月には行われるということ、この間で消費国各国がどのような体制を敷こうとしているのか、これまたやはり注目していきたいと考えておりまして、いま申し上げたような諸点を踏まえて、われわれといたしましては、石油関連の動向というものについて深い関心を払い続けていくということをお答えしておきたいと思います。
○武部委員 先ほど通産省の御説明の中に、首長国連邦のアブダビ、カタールの七%の上積みというものが他の諸国にも影響がありそうな話もございました。仮にアブダビ、カタールの七%の上積みというものが他の諸国に波及した場合、五十四年十月期の最終的な値上げはどのくらいになるかということを計算をしてみると、一四・五というような点からははるかに高い数字が出てきて、最終的値上げは二二・一%、こういう数字になってまいります。年度平均でいきますと一九・八%、こういう数字が出てくるわけです。約二〇%の平均値上げということになりますが、先ほど長官の御説明にありましたように、一〇%で〇・三消費者物価に影響する、単純計算でいけばこの影響は〇・六%の値上げになるということになるでしょう。私ども社会党が試算をした四百数十項目の品目について、原油の値上げがどのように影響するかという調査の結果出てきた数字は、二〇%の原油の値上げによって消費者物価を〇・八四%引き上げる、こういうことになるという結果が出てまいりました。具体的な資料を私ども持っておりますから、いずれ見ていただいて結構でありますが、当初考えておったような、〇・三などというようなことではなくて、私どもから見れば、この石油の値上げだけで物価を〇・八四%も引き上げる、こういう異常な状態が起きる可能性が強くなってきておるというふうに見なければならぬと思います。したがって、こういうことが想定されるわけですから、いま長官からいろいろなお話が出ておったわけですけれども、ぜひこの問題については、物価に対する影響が非常に大きいわけですから、政府全体として、真剣に取り組んでいただきたいものだというふうに思うのであります。 この際、もう一点申し上げておきますが、当委員会で参考人をお呼びして集中審議をし、ガス及び電力の差益還元の問題について一定の結論が前国会で出たわけであります。そうして、五十三年末でもって、先ほどもお話があったように、この還元分は切れるわけでありますが、あの際に、五十四年度中は電力、ガスいずれも価格は据え置くという答弁で、全部の電力、ガスから約束がございました。したがって、われわれは、五十四年度中の電力、ガスの値上げは一切ないというふうにあの場で約束を受けたわけですけれども、このOPECの値上げ、今後の石油の動向をにらんで、業界の一部に五十四年度中はとてもだめだという宣伝がされておるということは、大変私は残念に思います。 というのは、あの電力、ガスの差益還元の際の金額、この金額に非常に疑問を持っておったのであります。あんなわずかの数字で差益が帳消しになるはずはない、相当なものがあったし、それはほかの方に流用されておるというふうにわれわれは指摘をしたけれども、残念ながら具体的なそういう根拠をつかむことができず、あの差益の還元額というのは、電力会社及び通産省の合意によって、不満足な形でわれわれも了承せざるを得なかった。そういう当時の経過から考えますと、明らかに差益はまだまだあった、このように私どもは見ておるわけであって、今日、このOPECの値上げがいろいろと取りざたされ、将来の動向に不安があるというようなことから、五十四年度中の電力、ガスの据え置きについて、業界からそういう声が出るということを、私どもとしては大変遺憾に思うわけですが、現在企画庁としてはそういう動向をつかんでおるのか、あるいは通産省として、この問題にどういうふうに取り組んでおるのか、それを両方から、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
○藤井(直)政府委員 電力についての取り扱い、ガスについての取り扱いは、当時決めましたのは円レートが百九十円程度の時代、それからOPECの値上げも予想されなかった状況のもとでやったわけですが、そういうことで、五十四年度末まで料金を据え置くということを当時決めたわけです。ただ、その後、いま申し上げましたようなレートの変化、それからOPECの値上げが行われるということもございまして、それに対応してどうするかということにつきまして、昨日物価担当官会議で決めました物価対策の中で、「北海道電力を除く八電力会社及びガス大手三社の料金について、原則として五十四年度末まで割引前の料金を据え置くという従来の方針を維持する。」ということを決めたわけであります。 そういうことでございますので、これから大きな異常な変化がない限り、八電力会社とガス大手三社の料金について割引前の料金を据え置くという方針はここで再び確認をされたということに私ども考えております。
○武部委員 そうすると、そういうことは絶対にあり得ないということを政府としては確認した、このように理解してよろしゅうございますか。
○藤井(直)政府委員 ただいま申し上げましたように、従来の方針を再び確認したわけでございます。ただ、その場合、非常に大きな経済情勢の変化があるというような場合は別ではないかということで、原則として据え置くという方針を確認をしたわけでございますが、大体現状で申しますならば、五十四年度中は引き上げないということを確認したということで私ども理解をいたしております。
○武部委員 ちょっと気にかかるのは、大きな経済情勢の変化ということをおっしゃったわけですが、いまのところ百九十円から二百円そこそこの円レートですね、余り乱高下はないようですが、大きな経済情勢の変化とは一体どういうことでしょうか。ちょっと何かあればお伺いしたい。
○藤井(直)政府委員 それは可能性の問題としてということを申し上げたわけでございまして、その留保された利益についての処理ということになりますと、為替レートがうんと変化するとか、それからまた、燃料費がうんと上がるとか、そういうようなことではないかと思いますが、そういうようなことで非常に異常なことが起きて、そうして、留保された利益で間に合わないということがあればという意味での可能性でございまして、当面われわれが想定いたします状況におきましては、この据え置きという方針が貫かれるというふうに理解をいたしております。
○武部委員 業界から通産省に、いま企画庁からお話があったような、こういうことについて何かの意思表示はございましたでしょうか。たとえばいまの原油の値上げはこうだと見込みが立たないとか、あるいは上積みがあるとかどうだとかというようなことで、料金の問題についてああいうふうに約束したけれども、どうもむずかしくなったとか、いろんなことが業界からあなたの方にあったでしょうか、なかったでしょうか。通産省どうでしょうか。
○箕輪説明員 はなはだ申しわけありませんが、きょうは実は担当の公益事業部の方が参っておりませんので、担当が違いますので、私はお答えいたしかねるわけでございます。
○武部委員 私はもう一回申し上げておきますが、あの還元額というものについては、私どもは実は納得していないわけです。何遍もこの委員会で金額をお互いが述べ合ったけれども、相当な開きがございました。しかし、資料をどうしても私どもの手に入れることもできず、時間的な問題もございまして、あのような低い還元額になったのでありまして、まだまだ相当の差益が業界にあるという確信を私ども持っておるわけでありまして、そういう意味からしても、われわれは五十五年度までということさえ主張したわけですから、五十四年度中にそのようなことがよもや起こるとは思っていなかったし、今日、この程度のことで業界の差益が一遍に吹っ飛んでしまって留保がなくなるというようなことは考えられない。そういうことですから、これ以上のこと申し上げませんが、この問題については過去の経過があるわけですから、ぜひ五十四年度中は完全に料金の据え置きという約束を守ってもらうように政府側に強く要望しておきたいと思います。 そこでもう一つ、物価の問題、いわゆる四・九との関連からお尋ねをいたしたい点がございます。それはげたの問題であります。四・九%におさめるためには、五十四年度の当初のげたをどの程度見るか、これが大変大きな問題点の一つであろうと思います。現在、四・九という数字を出すに当たって、政府はげたをどの程度に見ておるか、最初にこれを伺いたいのであります。
○藤井(直)政府委員 げたを算定するといたしますと、この年度末であります三月という一時点の物価の数字というものも予測しなければならないわけでございますが、どうもこの時点の数字というのは、そのときの天候、特に季節商品などが関係いたしますと、非常に一時的な特殊要因に左右されやすいということがございますので、なかなか予測がむずかしいということで、現在、物価の見通しにつきましても年度平均ということでこれを決めておるわけでございます。 〔金子(み)委員長代理退席、委員長着席〕 そしてまた、仮に三月末にある程度想定ができましても、三月に非常に気候がよくて野菜等が安いという場合、逆に天候等が悪くて高いという場合、そのまま四月以降の物価の議論をすることがどうもできないのではないか。高い場合には後で安くなるということもありますし、また逆に、天候が悪くなれば四月以降また高くなるということもありますので、どうもげたを議論するということがなかなかむずかしいのではないかというふうに私ども思っておりまして、計算をしていないわけでございます。ただ、いま御指摘になりました、たとえば一月末の対前年同月比が三・五%でございますが、この三・五%でこれから推移をしていって三月末がどうなるかということで出しまして、そして五十四年度へのげたを試算いたしますと一・四%ということで、現状のままの姿でいった場合のげたというのは想定できますけれども、ただいま計算をしておりますものとしては、その数字があるわけでございます。
○武部委員 げたが一・四%あるということは、四九%のうちから一・四はすでにげたとして差し引かなければなりませんね。そうすると、残りは三・五しかございませんね。これは相当高い数字ですね。私どもいろいろと算定をしてみて、何ケースかやってみたわけですが、私どもの計算から見ると、実はあなたよりもちょっと低かったのです。低かったのですが、あなたの方の数字がちょっと高いので、これは物価に与える影響が大きいのですよ。そこで、まず私どもの試算で五十四年の一月、これが前月比で〇・二%、それから二月が前月比で〇・六%、三月が同じように仮定をして〇・六%、こういうようなかっこうで計算をしていきますと、げたは一・一%になるわけです。そのほか、あなたがおっしゃったような一・四というよう数字は試算の中にはございませんが、われわれは一・一としても余裕は三・八しかないと思っておりましたが、あなたの方の試算で一・四ということになれば、余裕は五十四年度中には三・五%しか残りませんね。それならば、なおこの問題は深刻になってくるというふうに思うのですが、この四・九の中に一・四もげたがあるということから考えると、まさに四・九%というものはますます困難な数字になってくるような気がいたしますが、そういう点はどうでしょうか。
○藤井(直)政府委員 げたの性格上、五十四年度に、五十三年度からのげたがこちらに波及してくる場合には、また逆に五十四年度から五十五年度にかけてもげたが移っていくということがございますので、まるまる四・九から一・四を引くということではなくて、またそちらに行く分も考えてやらないといけませんので、年度中の上昇率とすると、仮にげたが同じで動くとすれば、四・九そのものが残るということになるのではないかと思います。
○武部委員 そのとおりです。しかし、少なくともげたが一・四もあるというのは、これはいままで私ども何回か当委員会でもやりとりしてきたわけですけれども、これは相当高い数字だと思います。ですから、四・九という、何か大変低い数字をお述べになっておるが、その中にげたというものが相当大きな影響を持つものだというふうに私どもは理解をいたします。ですから、先ほどからいろいろ申し上げておるように、四・九という数字はなかなかむずかしい数字なのに、どうしてこういう数字が出てきたんだろうかということをいろいろ検討する中で、げたという問題も出てくるわけですから、四・九というものが大変困難な数字だということを、改めて私は認識をしたし、同時にそのことを政府側も認識してほしいと思います。 そこで、五十二年度もあとわずかで終わるわけですが、政府の見込みは四%ですが、これを下回るというようなことがすでに言われており、恐らくそうなるでしょう。しかし、この下回ったということは、別に政府の経済政策がりっぱであったから下回ったということじゃ、私はないと思うんです。これはもう言うまでもなく、この円高によるところの輸入品が非常に影響したということや、これだけ暖かくて、野菜は問題にならぬほど安かったというような点。したがって、この季節商品というものの影響が非常に大きかったということだけは言えますね、しかも、季節商品のウエートは一万分の九百、九%を占めておるわけでして、この季節商品が下落したということが、五十三年度の消費者物価の上昇率をこのように抑え込んだということにつながっておるというふうに見てよかろうと思います。 しかし、五十四年度はそうはいかぬ。このことが即五十四年度につながるというようなことを考えたら大間違いだというふうに見なければならぬと思うのです。それは、いまの海外市況の高騰を見れば一番おわかりだろうと思います。為替相場が安定した。二百円台そこそこで乱高下がないというようなところから、輸入物価というものが異常な値上がりをしておるということだけは皆さんも御承知だろうと思うんです。それは、五十三年の十一月を見れば、前月比二・五%上がっていますね。十二月に同じように二・七%、五十四年の一月には二・九%。これを年率に直しますと四〇・九%という数字が出てまいりますよ。こういうふうに、輸入物価というものは大変な勢いで上がっておるということを考えなければならぬ。五十三年度とは全く違った形というものが出てき始めておるということは、もう企画庁の方でも十分おわかりだろうと思います。したがって、この卸売物価というものが全く形を変えて出てきたということを私どもは注目しなければならぬと思うのです。去年の十一月の卸売物価は、前月比〇・二%上がっていますね。十二月には〇・六%はね上がった。一月も同じように〇・六%上がっていますが、これは少なくとも十旬連続高騰しておるのです。こういうふうに騰勢が非常に強まってきたということは紛れもない事実でありますが、この二月、今月は〇・七%から、ひょっとすると一%くらい卸売物価が上がるんじゃないだろうか。これはもうすでにうわさをされているとおりです。こういうことになってくると、年率一三%卸売物価が上がるのではなかろうかとさえ予想されるわけです。 ついこの間の二十一日に、日銀総裁が談話を発表しておりましたが、それも昨年の十一月からの物価の動きはやや異常だということを述べています。日銀総裁もそう述べておるのです。こういうふうに卸売物価の急騰が始まっておる。これは消費者物価には大体一ないし二期後に、約半年ですが、半年後にその影響があらわれるということは、過去の経緯から見ても当然のことであります。そうなってくると、卸売物価の値上がりというものが消費者物価に大きなウエートを占めてはね返ってくるということを予想しなければならぬ、このように思います。 また、季節商品、先ほど申し上げたけれども、九百というウエート、九%という季節商品、これがことしは非常に安かったけれども、野菜あるいは果物、そういう季節商品ですが、結局ことしはたくさんできて、豊作貧乏ということにもなったわけですが、そうすると、来年は作付面積が減少するのではないか、これも当然予想しなければなりません。そうすると、結果的には価格が高騰する、こういうことにつながるわけでありまして、そういうことをいろいろ考えてくると、先ほどから申し上げますように、五十四年度の物価上昇というものは容易ならざる事態を実は迎えておるのではないか、このように考えなければいけません。 私は、げたを一・一%、あなたは一・四%と言いましたけれども、仮に一・一%ぐらいこれが影響するということになり、公共料金が、冒頭申し上げたように私どもの計算では二・三%の値上がりです。原油の値上がりは〇・八四にまではね返るのではないか。これを仮に長官の〇・三ということが二〇%になれば〇・六ですけれども、私どもの計算は〇・八四ですが、これだけ合わせましても、この三つの要因だけでもうすでに四%を超すわけです。そこへもってきて、輸入インフレだ、季節商品は天候次第だというような、そういうことでは四・九%におさまることはとても不可能だ、ずっと私がいま述べたようなことを総合していけば当然四・九%にはおさまらないというふうに考えるわけですが、私がいま申し上げたようなことについて、長官は四・九%におさめたい、そういう自信をお持ちのようですけれども、いま私がいろいろ申し上げた各種の具体的な内容の数字を勘案して、どのようなお考えを持っておられるでしょうか、お伺いいたしたい。
○小坂国務大臣 武部委員のいま示された数々の将来に対する危惧の念と申しましょうか、こうしたことは非常にわれわれも拝聴しました。そしてまた、こうしたような事態が起こる可能性について全くそれがないという断言もできない状態であることもよく認識しておるわけでございますが、問題は、現在の日本の経済を安定的に成長させて、そして失業をふやさないというようなことが一番基本にあるわけでございまして、その一番重要なことがこの物価の安定であると考えておるわけでございます。 そうしたような総合的な見地から見ての物価政策につきましては、ただいまのいろいろな可能性についてわれわれもよく検討し、それに対応することにおくれてはならないというふうにも考えますが、この際四・九%程度の消費者物価の上昇ということに食いとめるべく努力をいたしますので、ただいまのいろいろな御発言は重要な参考として考えてまいりたいと思っておりますし、また、その意味での強い御激励をいただいたというふうに考えております。
○武部委員 時間が大分たちましたので、私はもう一点だけお伺いをしておきたいと思いますが、先日の当委員会における企画庁長官の所信表明の中に「物価対策」という項目がございまして、まず「第一に、食料品などの生活必需物資の安定的供給を確保し、その価格安定に極力努めてまいります。」こういう発言がございました。確かにこれは重要な政治課題だと思っています。 エンゲル係数を調べてみますと、日本は三三、アメリカが二二、フランスが二四、日本のエンゲル係数は高いのであります。こういう具体的な数字がございます。五十二年の国民生活白書がここにございますが、この中にアメリカ農務省の資料が掲載されておりまして、「主要食料品の小売価格の国際比較」というのが載っております。これを見ますと、牛肉、豚肉、バター、チーズ、牛乳、ジャガイモ、リンゴ、これは日本が世界第一位であります。この統計は一九七七年八月の統計でありますから、七月の一ドル二百七十三円で計算されておりますが、現在二百円そこそこでございますから、そうなってくると、もっとほかの品目でも世界一が出てきたのではなかろうか、このように思われます。 このように、長官が食料品のことに非常に力を入れて物価安定の第一にこれをやりたいとおっしゃっていることは当然だと私もうなずくわけです。そのように長官は物価対策として食料品のことについて大変力を入れてやろう、大変結構なことだと思うのですが、この二月二十二日に渡辺農林水産大臣は財界人との会合でとんでもないことを言っておるのです。これは何を言ったかというと、「日本の食料品価格はそれほど割高ではありません」「消費者物価のなかではむしろ上昇幅が小さい方で優等生」「こう熱弁をふるった。」と新聞に書いてあるのですよ。食料品は日本の物価の中で優等生だなんということを農林水産大臣がぬけぬけと財界人の前でしゃべっておるんですね。これは小坂長官とは全く考え方が真反対なんです。日本の牛肉は世界一だということはもうだれしも知っておるし、われわれはここでなぜこんなに高いかということを具体的に畜産振興事業団も呼んで内容を検討したこともございました。豚肉は私は安いと思っておったら、豚肉も世界一だというようなことが現実に統計の上から出ておる。 こういうことを考えると、全くその感覚を私は疑いたくなるのですが、一体閣内はどういうことになっておるのであろうか。片一方では物価の問題について食料品というものは大変大事な問題だから第一にやらなければいかぬとおっしゃっておるし、片や担当の農林水産大臣は優等生だと言うし、これは一体どういうことでしょうか。いま私が申し上げたことについて長官はごらんになっておらないかもしれませんが、ちゃんとここに「財界人に農相熱弁」こういうことで彼は、優等生で割高ではないと言っておるのですが、どうでしょうか。
○小坂国務大臣 他の大臣のことをとやかく言うのは困るのですが、私も実はその記事はちらっと見た程度です。しかし農林大臣としてはそういうことをいままでもみんな言ってきたのですから、特別新しいことを言っているわけではない。しかし、今度の物価安定につきましては、消費者米価の場合も、これは農林省としては、もっと食糧費を下げたいといういろいろな施策に、もう金がないのだということの説明で、結局いわゆる価格差補償金と申しましょうか、消費者米価の値上げに踏み切る場合も、農林省は私らの主張を入れて、上昇率を大いに低く抑えてくれということに協力してもらっております。それからもう一つは麦の消費者価格でございますが、これは原則から言うと、同時に引き上げなければならぬという不文律があったわけでありますが、私たちから、麦をもしも上げますと、パンや菓子やその他に非常に万般の影響があるということを申しましたら、これについてはすらっと協力をしてくれて、麦は据え置くということになったわけであります。 それから、生活必需物資の中で農林省関係の問題につきましても、いま農林省が非常に協力的に努力をしてもらっておりますし、さらに牛肉につきましては、これは農林大臣も全く同感なのであります。この問題につきましてもずいぶんいろいろとわれわれも話し合いをしておるわけでありますが、しかし、いまの現体制の中での牛肉価格を引き下げるということがいかに困難であるかという事態もわからぬではないわけであります。特に、国内の畜産業者の保護ということのために国会が全会一致で決めた方針というものがあるわけでありますから、こういうことに対しての配慮もしなければならぬでしょう。それで、きょう閣議で新たに五千トンの肉の輸入の枠をふやして、それをもって消費者牛肉の価格の引き下げと申しましょうか、安定化に努力をするということを、昨日決めました物価担当官会議での決定に加えてきょう閣議で発言があったわけでございます。そうしたことを考えますと、もちろんいまの国民の物価高という気持ちの最大のよりどころは、食料費の高いことと、もう一つは学校の費用の高いことでありまして、われわれもそれは十分踏まえて申しておるわけでございます。もうしばらく時間をいただきながら、また皆様方の御支援をいただいて、食料費の引き下げにはぜひ実現をするという方向で努力をさせていただきたいと思っております。
○武部委員 同僚の大臣とあなたが全く逆のことを言えないと思いますが、いままでも何遍も言ってきたとか、そういう放言をやってもらっては困るし、現実に内と外で違ったことを言って、閣議では協力しておる、外へ出ては、食料費は優等生だ、これではちょっと話にならぬわけです。あなたに言ってもしようがないわけで、その本人に言わなければしようがないわけですが、確かにこういう記事が出ると、国民から見れば、何だこれは、ということになる。私自身もこれを見て、何をとぼけたことを言っておるかと言いたくなるので、いまちょっと取り上げたわけです。そういうふうなことが現実に、たとえば牛肉の問題等にしても確かにむずかしい問題ですが、努力はしてもらわなければならない問題だと思っております。 もう一点最後にお伺いをして、お伺いというよりも、要望しておかなければなりませんが、ことしの国連の調査による世界各国の生計費水準の比較表というのがあります。これを見ますと、わが国の生計費は、ニューヨークを一〇〇として日本が一六二、世界一であります。もう一つアフリカの方に小さな国で同じ一六二という数字が出ておったようですが、全く小さい国で、日本が世界第一の生計費を占めておるということが国連の統計表に出ております。 そういう非常に高い生計費の中で生活をしておるわけですが、ついせんだって日経連が調査をした、日本の賃金の国際比較というのがございます。それを見ると、日本の名目賃金はアメリカや西ドイツとほぼ肩を並べて世界の高水準になった、こういうことが日経連の調査でわかりました。そして財界は、わが国の賃金はいまや世界最高の水準、賃上げはほどほどに、こういうようなことを呼びかけておるようです。ここは別に賃金の問題をとやかく論議することはなかろうと思いますが、問題は、この購買力から見た実質賃金水準というのが問題だと思うのです。確かに名目賃金はアメリカや西ドイツと肩を並べて高水準だが、購買力はどうか。先ほど生計費が世界一だということを言ったわけですが、日本の購買力から見た実質賃金というのはアメリカの四割しかない。西ドイツの五割、半分です。イギリスの七割程度、これはだれもが認めておるところであります。 その理由は、一体何だろうか。その理由は何だろうかという第一が、いま私が長官に述べました、また長官も取り上げられた食料品価格であります。食料品価格が国際価格の三倍から五倍もしておる。しかもエンゲル係数は非常に高いという、このことが、今日日本の実質賃金というものが購買力から見てアメリカの四割、西ドイツの半分、こういうところに置かれているところの最大の原因だということになるわけです。それだけに、この食料品の問題は非常に大きな問題になるわけですから、政府がこれに重点を置いて、まさに実質賃金が上昇するためにはこういうものの対策が立てられなければ上がっていかないわけです。しかも二番目に、やはり消費者物価が高いということが理由になっておるわけです。また三番目には、土地が高いのだ。土地が高いということもこれまた実質賃金を低下させておるところの原因だ。こう三つの原因が挙げられておる。これは確かに労働者にとっては重大問題であります。名目賃金だけは何ぼ高くたって、これは何のメリットにもならぬわけであります。こういう国際比較から見ても、物価問題というものがいかに重要なウエートを占めているかということが言えると思うのであります。 新しく就任された長官の先般のあいさつの中に、決意を新たにして取り組むということもございましたけれども、きょう私は冒頭から四・九というものの内容について疑問の点をただしたわけです。いまのような石油の問題が起きたり天候が異常であったり、そういうところから出てくる多くの問題がこれから待ち構えておるわけでありますから、困難な道でありましょうが、私がきょう申し上げたような具体的な問題についてぜひひとつ力を入れて物価政策と取り組んでいただきたいということを要望して、ちょうど時間が来ましたので、私の質問を終わりたいと思います。
○鈴木委員長 次に、宮地正介君。
○宮地委員 昨日は物価担当官会議で政府の物価対策の総合的な推進ということで八項目にわたる対応策が発表になったわけでございますが、特に五十四年度の経済運営の中において物価というものが非常に重要なかぎといいますか、国民生活におきましても最重要課題として、経済運営のかなめとして考えていかなくてはならない、こういう事態になっているのではないか、私はこういう認識を持っているわけでございますが、経済企画庁長官も、この物価問題につきましては、過日の予算委員会においても、警戒水域に入った、こういう認識をお持ちのようでございます。景気と物価、この両面にわたる対策を打ち出していく、また両立をさしていかなくてはならない。むしろ物価の安定こそが景気にさらに拍車をかけることになる、こういうような感じを私は持っているわけでございますが、経企庁長官といたしまして、この警戒水域に入ったという認識、どういう考え方に立ってそのような認識をお持ちになっておるのか、その点から伺っていきたいと思います。
○小坂国務大臣 宮地委員のおっしゃるのと私は余り変わった考えを持っておらないわけでありまして、やはり経済の景気をよくするということ即失業をこれ以上ふやさないで食いとめていくということ、また国民の生活上の不安をその面からなるべく軽くしていくということ、同時にまた物価を安定して実際の家計を守っていくということはきわめて大事なことであるし、また同時に、現時点におきましては、私はむしろ物価の安定こそ国民の安心感につながる最大のものであるという認識を持っているわけであります。しかし、経済は生き物でございますし、また一方から申しますと、経済そのものも、オイルショック以来の五年の長いトンネルを通ってきているわけでありますから、いまのような状態の中ではやはり相当前向きに走ろうという雰囲気が目に見えております。 私は、いまの日本の経済自体がもう二百兆円を超すほどの巨大なものでありますから、これが政府が号令をかけたからと言って、すぐどうこうなるものではないと思うのです。これは、挙げて民間の活力というものが主体的になって、また主導権を持って運営していくということによって、さらに経済の成長が可能だというふうに思うわけでございますが、ややもしますと、そうした民間の活力が物価高というふうに反映するわけでありますから、私が警戒水域と申し上げたことは、そうした雰囲気が少し露骨に出てきた。 もう一つは、いまの世界の情勢を見ますると、イランの問題を初めとする中近東の情勢とか、あるいは最近起こりました中国とベトナムの武力衝突というようなことは、これは明らかに一種の心理的な物価高へのドライブになってくるというふうにも考えられているわけでありまして、そうした意味で、経済成長の方よりも、現時点では物価の安定に対して政府は相当の努力を払うということが必要だという認識でございます。
○宮地委員 当初五十四年度予算の中におきましても、政府は、消費者物価については四・九%、卸売物価については一・六%、こういう目標を掲げたわけでございますけれども、この目標というものが、当初政府はどちらかというと、物価に対しては甘く見ていたのではないか。景気、雇用ということで、重点指向というものを景気に最重点を置いている。その手法も、いわゆる公共事業の公共投資というものを中心として景気浮揚、ここにやはり力が入っておったと思うのです。しかし、最近の状況を見てまいりますと、皆さんが総合政策の中で発表している八項目を見ましても、当初の政府の考えていた物価というものが意外に早く警戒水域に入ってきた。言うなれば、基本的経済運営の重点がむしろ景気よりも物価−どちらかということはこれはなかなか言いがたいと思いますけれども、やはり当初の経済運営に対するところの政府の予算案などを見ましても、また、当初政府が考えていた経済運営の中に占める物価というものの比重というもの、これは非常に甘かったのではないか。率直にその点についてお認めになりますか。
○小坂国務大臣 卸売物価が一・六%程度の上昇、消費者物価が四・九%程度の上昇ということについての基本的な作業の中では、相当広範囲にいろいろな配慮をめぐらし、また相当広範囲な分析を行って結論として出したものであると私は思っております。それが物価の安定ということを決して二義的に考えたというようなものではなしに、特に最近の景気上昇の一番大きな原動力は、やはり物価安定ということの中で、そろそろ時期が来たという民間の経済界の活力が生まれてきたわけでありますから、今日までとってまいりました政府主導による景気対策というものは、もうここら辺で一応打ちどめと申しましょうか、限界が来ている。また、見方によれば、日本の財政そのものも一種の限界に来ているということは十分踏まえて考えておったわけであります。ただ、先ほど申しましたようにイランの政変であるとか、アジアにおける武力衝突、そして米ソの対立というものが相当色濃くわれわれの目に映ずるようになったこの段階において、私は、この物価に対する関心をもう一度政治の中心に据えて対策をとり、国民の安心感をその面から確保していくことが政策課題としてきわめて重要であるという認識に立って、そうして物価対策の総合的推進というものを決定をしたわけでございます。
○宮地委員 私は、認識はまだそこまでいっていないと思いますけれども、最近の物価の騰勢を見ておりますと、オイルショック時のあの狂乱物価に類似している点は相当ある。ただ、そこまでいくかどうかは非常に問題があるにいたしましても、たとえば最近のM2と言われるマネーサプライ、通貨の供給が一二%台ということで相当ふえてきております。学説によれば、国民総生産のいわゆる名目成長、大体その辺をいっていれば安心ではないかという説もありますが、私は決してそうではない。 また、いま大臣がおっしゃいましたような、イランの政変によりまして国民生活の中核である石油製品の値上げがこれから十分に予想もされ、さらに本年は一月一日からOPECの値上げもあるわけでございます。また先ほどは、本年は一・五%くらいの寄与率というお話でございましたけれども、公共料金の値上げ、国鉄、たばこを初め政府主導型で大変たくさんあるわけでございます。 また、いま産業界、特に民間の力が強まってきたというお話でございますが、これはある意味では減量経営ということでぜい肉を落としたわけでございますけれども、雇用の面では大きな雇用不安を来しておる。 この次に出てくるとすれば、物価の面では価格への転嫁ということが十分に考えられるわけでございます。すでに建築資材を初め多くの国民生活に影響を与える、そういう製品に対しても価格転嫁の始まりが始まっているわけでございまして、むしろ生産の量的な拡大をして、安定したまた安い製品の消費需要をあおるのではなくして、価格転嫁によってさらに売り上げは下がっても内容的には非常に収支バランスの合った、そういう減量経営に、特に大企業を中心とした経営の中身が変化をしてきておるわけでございます。 そういうことを考えますと、国民の側から見ますと、過日のアンケート調査などによりましても、物価という問題については、やはり最大の期待と政府に対する経済運営の——ぜひとも物価という問題について取り組んでもらいたい、こういう要請が強いわけでございまして、そういうような点からいたしまして、あの四十八年当時のオイルショック時の狂乱物価には至らないまでも、非常に類似的な項目が多く存在している。この認識というものを強く政府が持って、先ほど来経企庁長官がおっしゃっておられますように、先手先手の手を打ってまいりませんと、これはまた大変国民生活に大きなひずみといいますか、生活圧迫につながっていくのではないか、こういう感じが私はするわけでございますが、この点の認識をどう長官として持たれているのか伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 ただいまの宮地委員のお話は、非常にわれわれにとってはありがたいお言葉だと思っております。事実われわれも、公共料金を初めそうしたものに対していろいろと抑制措置をとってきておりますし、特に実施時期等につきましては、五月くらいまで延ばせるものは延ばすというようなことで予算編成もしておるわけでございますが、もっと大事なことは、いろいろな情勢から見まして、オイルショック時代のような狂乱というものは全くいま私は予想しておりません。ただ、経済は生き物でございますので、われわれの政策や国民の協力がやや早目早目に手が打たれませんと、ひょっとするとはねることもあるという危惧を持っております。 そうしたような考えに基づきまして、まだ実態的には、消費者物価は三月までの様子を見ましてもそれほど大きな上昇はないし、今日までの低物価という基本は少しも崩れておらないわけでございますが、あえてこの時期に物価対策の総合的な推進ということを政府として決めまして、これを各省庁責任を持って実施をする。いままで余りなかったような、たとえば地方自治体との協力とか、あるいは先ほど御指摘になりました通貨の問題とか、量の問題とか、あるいはまた土地投機に対する対策であるとか、種々そうした将来にわたっての危惧の念を持たれる諸問題に対しましては強力な政策を推進してまいりたいということなどを決めておるわけでございまして、この点について十分な御理解を賜りたいと思うのであります。 それからもう一つは、物価が上がることによってだれも得しないという現実であります。私は、むしろ多少の値上がりはやむを得ないといたしましても、それが度を越しますと、その物価上昇の影響というものは国民全部が非常に大きな負担をしなければならない、こうした認識を国民がみずから大いに持っていただくためにも、政府がなすべきことを早目にやり、そしてまた、政府自体としてやれることは思い切ってやっていくという姿勢を示すことによって、国民のこうした御認識をいただけるものではないかというふうに考えております。
○宮地委員 昨日の物価担当官会議、恐らく本日の閣議で決定したと思うのですが、この総合的な推進の発表というものは、先ほど来申し上げましたように、ある意味では政府が物価に対して非常に神経をとがらしてきた、こういう感じを私は受けるわけでございますが、この四・九%というものがこの総合的推進で達成できるとは私は思っておりません。消費者物価についても、また卸売物価丁六%についてもできないと思います。この点についていまの段階から少し手直しをするかということは大変早計であろうかと思いますが、長官といたしまして、言うなら経済運営の重点指向が物価にだんだん移りつつある、これはもう国民の一致するところであろうと思います。それに伴って、やはりできないような目標にいつまでもこだわっているのも問題ではないか。あるいは努力する、これは当然であります。私たちも、国民に予算の中でこうして皆さんが公約したわけでありますから、最大の努力はしていただきたい。しかし、諸要件が非常に厳しい情勢下にあるわけでございます。この点についてまず一点、この重点指向、いわゆる経済運営のある意味では転換というもの、いわゆる景気重点指向から物価重点指向への転換というものを余儀なくされてきた、国民はこういう認識を持ちつつあると私は思うのであります。この点についてそのように理解してよろしいのか。 また、現実的に消費者物価四・九%あるいは卸売物価一・六%、これは単なる目標値なのか。どうしてもここにやっていかなくてはならない、当然これはやっていただきたい。それではやる。それでもしも大幅に目標がずれた場合、その責任は長官としてどうおとりになるのか、この点について伺っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 大変お答えしにくい御質問でございますが、私は、第一義的には四・九%程度の上昇に食いとめるということに全力を挙げたい。そしてまた、委員も御承知のように、この総合政策、物価政策というものを政府がまとめて出したのは六年ぶりのことだということでございます。こうした努力をわれわれはいたしておるところでございまして、これが達成するかしないかという問題に対しては、達成することを目途として全力を挙げてまいりたいということと、また、往々にしてこうした総合政策というものは各省の協力を得なければ何もなりませんが、今度の物価担当官会議におきましても、きわめて具体的な諸政策について各省から具体的にお話もございました。発表文の中にはごく一部分の骨、筋道しか出ておりませんが、こうした具体的なことが実現するならば、国民にもまた大いに安心をしていただけるのではないかという点が多々ございます。 いずれにいたしましてもこの総合政策の成果がどれほど出たかというようなことは、経済企画庁長官といたしまして責任を持ってフォローアップをいたして、足りないところにつきましてはさらに追加的な処置をお願いしていくということで努力をさせていただきたいと思います。
○宮地委員 さらに追加的な措置がないようにこれは最大の努力をしていただきたいし、今回のこの八項目の施策を見ましても、経企庁みずからが実行するものは大変少いわけでございまして、通産省初め関係省庁が積極的に取り組まなければできない問題が多々あるわけでございます。 そこで、この八項目の中におきましても国民が非常に考え直さなくてはならないということで先ほど来も御質問があったようでございますけれども、独禁法の不況カルテル六品目の解除は非常に重要な問題でありますし、中小企業団体法に基づく安定事業のカルテルの十九品目の洗い直し、当然公取としてもやっておられると思いますが、特に合成繊維とかアルミの地金、こういうものは国民生活に与える影響も非常に強いわけでございまして、このカルテルの申請もぜひできるだけ厳しく抑え込んでいただきたい。すでに鉄鋼関係ではアドバルーンが上がっておりまして、もしもこのカルテルの申請が受け入れられなければ、かえって物価にはね返るのではないかなどという話もちらちら出てきております。私は、まずこの実施中のカルテルの問題について、公取委員長、この時期においては、あなたにとっては行政官としての生命をかけて、勇気を持って取り組んで、目的を達成する、こういうものについては明確に廃止をして解除をしていくべきではないか、また中小企業団体法に基づく十九品目についても積極的に洗い直しをし、国民の納得いく対応策が必要ではないかと思うわけでございます。この独禁法による六品目と、中小企業団体法に基づく十九品目に対しての現在の調査といいますか、公取委員長としての考え、またこれから先どのように取り組んでいかれようとされているのか、伺っておきたいと思います。
○橋口政府委員 午前中の委員会でもお答えを申し上げたところでございますが、現在実施中のものに加えて新しい物資について不況カルテルの申請があるかということでございますが、見通しとしては現在のところそういうものはないと思います。したがいまして、三月に入りまして、残りました四品目につきましてはカルテル認可後におきましても市況の状態、需給の状況等について調査をいたしておるわけでございまして、さらに異例ではございますが、それぞれの物資につきましての損益の状態につきましても、具体的に申しますと月次試算表等を使いまして損益の状態についても調査をいたしておるところでございまして、一口で申しますと常時監視の態勢をとっておるところでございます。三月末になりましてどういうことになりますか、まだ二月でございますのでいまからはっきりしたことを申し上げるのは適当でないと考えておりますが、検討の内容といたしましては、具体的な物資別、たとえば合成繊維について申しますと、糸別に損益の状態を含めて検討いたしておるわけでございまして、糸別に見まして市況のよくなっておるものとそうでないものと、いろいろございます。また損益の状態につきましても、よくなっているものとそうでないものもございます。ただ、時間の問題がございまして、比較的最前の資料を入手いたしましても現時点では十二月でございまして、もう少したちますと一月の資料が入るわけでございますから、そういう点で申しまして、やはり一番注目しておりますのは市況の動向でございます。市価が急騰するという状態になりますれば、いつでも、カルテルは中途でも打ち切り得るという態勢をとっておるわけでございまして、そういう点から申しまして常に監視をし続けておるわけでございます。 それから、中小企業団体法の関係でございますが、これはもろもろの要素に基づいて生まれておるものでございまして、大半は中小企業関係のもので、かなり歴史の古いものもございます。ただ、いわゆる適用除外と申しますか、独禁法の例外の問題につきましては常に注目をいたしておるわけでございまして、この点も不況カルテルと同じように、物資所管官庁である通産御当局あるいは農林御当局とも常時相談をいたしておるところでございまして、重ねての御注意でございますから、現在のものにつきましてもさらに新しい角度から検討はいたしてみたいと考えております。
○宮地委員 そうしますと、独禁法のこの不況カルテル六品目のうちの外装用ライナーと、中しんの原紙ですか、これについては一応あすで切れるわけですね。これはもう申請は来てない。そうしますと、三月のものが合成繊維とアルミの地金と合成繊維用の染料、この三つあるわけでございますが、これらのものについていわゆる解除するかどうか。この点については、大体このめどですね、調査などいろいろされまして、いつごろになれば大体このめどが国民にわかるようになりますか。この点についてもう少し御説明いただきたいと思います。
○橋口政府委員 先ほど来申し上げておりますように、可能な限りの資料を入手いたしまして調査をいたしておるところでございますが、結論的に申しますと、やはり業界との合意ということが必要であると思いますので、有無を言わさず打ち切るというわけにもまいらないと思いますので、合維業界なりアルミ業界なりあるいは繊維業界の考え方もよく聞いてみる必要があると思います。 先ほど申し上げましたように、損益収支についても検討いたしておりますが、この検討について意見の相違があってはならないわけでございますから、先方とこちらとの間の資料の突き合わせ、判定の結果についての合意の形成ということも必要でございますから、私の個人的な観測としては、なるたけ早く結論を出したいと思っておりますが、三月末のものにつきましては、やはり三月相当深くなってから最終的な結論を出して差し支えないのではないか。もちろん、先ほど申し上げましたように途中で市況が高騰するとかいうことがあれば別でございますが、現在の状況で推移いたしますと、三月かなり深くなってから結論を出すということで差し支えないのではないかと考えているところでございます。
○宮地委員 そこで、最近産業界においても非常に値上げのムードが強いわけでございまして、先ほど私は少し触れましたけれども、量産体制に入るよりも価格に転嫁をする、そういう形のいわゆる方向にいま減量経営の次に進もう、またそういう形で進んでいる、こういった業界が最近非常に多いわけでございまして、当然この不況カルテルの解除あるいは中止、それと並行いたしまして、経済企画庁といたしましてもう増産体制への積極的な行政指導、そしてこれが価格の景気ではなくてやはり数量によっての景気に誘導していく、こういう形に、正常化といいますか、健全な形の産業界に対する行政指導、これは非常に重要なことであろうと思います。特に長官は、産業界、経済界からの出身の、言うならプロ的な、また経験豊かな長官でございますので、その点については目もがっちり届くと思いますので、その点について、そういうような方向に持っていくという御決意がおありなのかどうか、その点について伺っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 宮地委員仰せのとおりの方向が正しい方向だとはっきりと認識しておるのです。
○宮地委員 認識は結構でございますけれども、そういう方向に行政指導をして誘導していく、そういう御決意があるかどうか、伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 実施官庁でございませんので、担当各省大臣とよく話し合いながら、特に通産大臣とは常時会って話し合いをしておりますが、通産大臣も同じような考えでおられると思っております。
○宮地委員 経企庁長官、どうも歯切れが余りよくないので大変心配するわけですけれども、その点ぜひ強い姿勢で、やはり国務大臣という重要なポストにいらっしゃるわけでございますから、産業界に対する健全なリード、これも私はお願いをしておきたい、こういうふうに思うわけでございます。 さらに心配な点は、石油関係につきまして、最近イランの政変あるいはOPECの値上げ、こういうことで石油製品の値上げあるいは便乗値上げ、あるいは、これは決してそうあるべきではない、またそうあってはならないわけですけれども、いわゆる物隠しといいますか、あるいは製品の転がしといいますか、こういうようなものもまだまだ実態を調べてまいりませんと明確にはなりませんが、ただそういう気配といいますか様相が最近やはり十分にあるわけでございまして、まずこのイラン政変に伴う石油製品の国民生活に与える影響をどういうふうにとらえておられるか、通産省にお伺いし、公取といたしまして、この業界は過去においてもいろいろといわゆる国民に大変遺憾な行為があった、そういう業界であります。こういうチャンスをとらえて再びというようなことは万が一にもないと思いますが、カルテル行為がないように、積極的に、強い監視をしていくべきではないか、私はこう思うわけでございます。この点について、すでに監視を強める具体的な調査といいますか、そういうような段階に検討されておるかどうか、これを伺っておきたいと思います。
○箕輪説明員 お答えいたします。 石油につきましてイランの騒ぎが巻き起こしました波紋がわが国の国民経済あるいは国民生活にどういう影響があるかということでございますが、これは量的な問題と価格の問題、両方あるわけでございます。 まず量的な問題について申し上げますと、世界的な原油の需給と申しますのは、昨年末以来イランが輸出を完全にストップしておるものでございますから、国際的に五百万バレルぐらいのものが輸出市場から消えているというのが実態でございます。そのあいた穴を現状では他の産油国の増産で補っている。したがいまして、需給というのは国際的に非常に張った状態になっているというのが現状でございます。これは国際的なバランスでございますけれども、これが長期間イランの輸出停止という事態が続きますれば、徐々に大きな影響が国際的に出てくるということは間違いございません。したがいまして、国際的な原油、需給の将来というのは、いつイランが政治的な安定を示し、原油の輸出に踏み切るか、その時期にかかっていると言っていいのではないかと思います。 これがわが国に対しましてはどういう影響かということでございますが、量的に申しますならばこの一−三月につきましては昨年を若干上回る原油の輸入を確保できております。したがいまして、御存じのとおり一月から三月というのが石油類の一番の需要期でございますけれども、これは確実に乗り切れると申し上げていいのではないかと思います。したがいまして、今後の石油需給につきましては、四月から九月までのいわゆる不需要期にどれだけ原油の備蓄の積み増しができるかということにかかっておりまして、これは先ほどの繰り返しになりますが、イランがいつ、どれだけの原油を輸出するか、それから他の産油国がどれだけ増産を続けるかということにかかっていると思います。 現状では、いま申し上げましたとおり、量的にはわが国への供給というのは確保されておるわけでございますから、予定どおり今年度末八十五日備蓄水準達成というのは不可能でございますけれども、需給については心配要らない。ただ、これはマクロの話でございまして、仮に買い急ぎをするとか、あるいは売り惜しみをするというようなことがあれば、不測の事態というのは起こりかねないという事情は御指摘のとおりでございます。 こういうようなことがもし起こるような場合には、われわれとしては必要があれば備蓄を崩すと いうことも機動的に行いましてこれに対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。 それから価格でございますけれども、これは昨年末四段階の価格値上げというのをOPECで決定しておるわけでございますが、最近の国際的な原油価格の動向と申しますのは、これから若干外れた動きもすでに出ておるわけでございます。産油国の基本的な考え方は、原油の価格と申しますものは需給の実態に応じて決められてしかるべきものであるという考え方が強いということと、その値段が上がったことに対する利益は産油国自体が受け取るべきであるという考え方が非常に強うございますので、OPECの決めました段階値上げ以上の上乗せがすでに行われておるのが現状でございます。 これがわが国の国内価格に影響を及ぼすのはいわば当然であろうと思っておりますが、その際にもわれわれとしては、いやしくもいま先生の御指摘になりましたような便乗的な動きがあるかどうか、現在のところは製品価格にはまだ影響は出ておらないようでございますけれども、いやしくも便乗的だと思われるような値上げがあれば、これはそういうことが起こらないように十分ウォッチしてまいりたい、そのように考えておるわけでございます。
○橋口政府委員 石油元売り十二社と石油連盟は現在独禁法違反事件の被告人として東京高裁に係属中の当事者でございますし、それから改正法律によって課徴金という制度が設けられたわけでございますから、いまお示しがございましたように万に一つも協調的な行為はないものと確信はいたしておりますが、ただ、法律の規定によりますいわゆる同調的値上げの報告徴収の対象には、市場構造要件から該当いたしませんので、われわれとしましては、その通常の需給の結果としての価格の形成か、あるいは意図的な共同行為があるか、二つに一つしかないわけでございまして、したがって、そういう点万ないと思いますが、予算委員会でもお答えをいたしましたように、そういうことがあってはならないということでいまいろいろ広範に情報を集めておるところでございます。
○宮地委員 これは本来通産省に伺いたいのですけれども、きょう当局が政府委員として来ておりませんので、ちょっと物価局長の方で結構でございますが、通産省として、通産省の所管の物資二十四品目の需給、価格動向、これを洗い直しをし、あるいは便乗値上げするものについては厳しく行政指導をしていこう、こういう方針に基づいて、二年前から九業種、二十四品目を調査し、この価格動向、需給というようなものをやはり調査をしておる、このように聞いているわけでございますが、この点について経済企画庁に通産省から報告なり、あるいは特に最近鋼材問題あるいは非鉄、基礎化学あるいは化学製品、繊維、紙、石油製品、こういうものについてきめ細かく調査をしているようでございますが、逐次御報告を受けていると思いますが、この点について局長の方でどのように報告を受け、また価格の監視について通産省にどういうように経企庁として要請をしておるのか、その点について伺っておきたいと思います。
○藤井(直)政府委員 通産省の方で基幹物資情報ネットワークということで体制を整えて二十四品目について価格の動向それから需給の動向、在庫の動向等を調査されております。それは鉄鋼製品であり、石油化学製品であり、基礎化学製品であり、窯業製品であり、石油製品であるわけでございます。これについては今回の八項目の対策の第一の項目におきまして「国民経済上重要な物資について、需給・価格動向を調査・監視し、状況に応じ供給の確保を図り、価格の安定に努める。」ということにいたしておりますが、その調査・監視の体制の一つの柱でございます。これについては従来ともこの動きについて、価格の動きをお聞きしておりますけれども、私どもとしてもまた私どもなりの情報を得ましてこういう基礎的な資材についての価格の動向をウォッチしているわけでございます。これから、こういう対策もできたわけでございますので、この辺について連絡をよくいたしまして、重要物資、基礎資材の価格の動きについて適切な対応を図っていきたいと考えております。
○宮地委員 この調査結果については具体的に報告を受けておりますか。
○藤井(直)政府委員 この調査結果について、非常に異常な動きがあって、そして何らかの対応をしなければならないというようなことになればこの内容について伺うということにしておりまして、個々に毎月この二十四品目の価格が具体的にどうなったかということについては直接伺っておりません。ただ、先ほど申しましたように、私どもとしましても、これらの物資についての価格の動きはとらえることができますので、それはそれでやっているわけです。
○宮地委員 公取の方には当然、これは先ほど申し上げました不況カルテルの継続している業種もあるわけでございますが、公取に対してはこういうデータというものの報告はとっておりますか。
○藤井(直)政府委員 通産省の調査につきましては、先ほど申し上げましたように、価格動向についてどういう動きをしているかということでお示ししてございますが、その動きにつきまして大きな変化があるということになりますれば当然それは関係省にも連絡があると思いますが、具体的に公正取引委員会に対してこの調査結果がどう連絡されているかについては私ども承知しておりません。
○宮地委員 ぜひその辺の横の連携を、またデータを密にして対応してまいりませんと、縦割り行政で意外に穴を生じて国民生活に大きな影響を与える。たとえば価格動向にしてもあるいは便乗値上げ、こういう洗い直しをする、するとかけ声はありましても、あるいは不況カルテルの中止、解除、公取独自で調査されるのは結構でございますけれども、やはり通産省などの調査、こういうものに対する綿密な調査結果のデータの入手あるいは情報交換、こういう横の連携の中から国民生活防衛のために対応していくべきではないか、こういうふうに私は思うわけでございますが、この点について経済企画庁長官、大臣として所見を伺っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 今度の総合政策推進の一環といたしまして、ただいま委員の御指摘のような方向というものは当然やるべきかと考えております。
○宮地委員 それから、ちょうど時期的にそろそろ来ておりますのでこれも物価局長に伺っておきたいのですが、これは本来農林省でございますけれども、きょうは物価局長さんに集中的で申しわけないと思うのですが、牛肉と豚肉の安定価格帯の問題について、最近据え置きかあるいは値下げになるのではないか、こういう動きがあるわけでございます。過日も畜産局長などといろいろ懇談をしている中におきましても、農林省としてもぜひそういう形にしていくよう努力はしておる。この問題は配合飼料が昨年一年間で一四、五%下がっておる、こういうことからこの安定価格帯の据え置きあるいは引き下げ、こういうことをやることは今後牛肉や豚肉の卸売価格の上昇を抑えるという非常に重要な、特に小売価格に対する値上がりを防ぐ、こういう関係にあるわけでございまして、私たちも非常に重要な問題としてとらえているわけでございますが、三月末に結論が出るようでございますけれども、経済企画庁としてこの問題について農林水産省とどういうように連携をとりながら、また農林水産省に積極的に働きかけをすべきではないか、こういうふうに考えているわけでございますが、この点についてどういう行動をとられておるのか伺っておきたいと思います。
○藤井(直)政府委員 おっしゃいましたとおり、昨年の安定価格帯につきましては、それまで毎年上昇してきたのが据え置かれたということで、それが全体の食肉価格の安定に非常に大きく寄与したと思います。ただ、これは毎年決めることになっておるわけでございますが、本年度については三月に入ってから農林省から私どもに具体的な事案の協議があると思います。いまおっしゃいましたような配合飼料の価格の下落、そういうものが一方であるわけでございますから、そういうような点が十分その価格形成の中に織り込まれているかどうか、その点について大きな関心を持ってその協議案に臨みたいと考えております。
○宮地委員 本日はこれから本会議もあるようでございますので、私もきょうは少し早目に終わって、ぜひ大臣、また同僚の委員にも食事などをしていただきたいということで終わりたいと思いますが、私、当初からお話ししましたように、五十四年度の経済運営の中における物価の対応策は非常に重要な課題、言うなれば昨年は円高などによりまして、たまたま海外的なそういう為替の変動などで物価が安定することに、政府の努力がなかったとは言いませんが、労せずして非常に助かったという、これは率直に国民の持っているところではないか。ただ、ことしはどうもそうはいかぬ。為替に期待することはむしろ逆に円安という感じもあるわけでございまして、よほど腹を引き締めてまいりませんと、来年の三月になって政府の見通し、とんでもないじゃないかということにならないように私たちはしたいし、また一方では国民が生活実感から抱いている物価というものは、われわれがこういう論戦をしたり政府の皆さんがいろいろデスクワークで持っておる物価に対する感覚と非常にギャップがある。これは事実でございます。私は、そういう意味でもっともっと国民の持っている生活実感からとらえた物価というものに対しても政府としては積極的に耳を傾け、また調査をし、はだで国民の持っている物価への期待をつかんでいかなくては本当の意味の物価対策というものはできないのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。どうか経済企画庁長官のリーダーシップに期待するとともに、来年三月になってまた政府はうそをついたと言われないようにぜひとも努力していただきたい。先ほど長官、非常に大変な状態になってくればさらに追加的に措置をしていきたい、こういうお話でございます。その点を、ぜひ早目早目に先手を打って対応していただきたい、私はこのことを強く要望いたしまして質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○鈴木委員長 午後二時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時四十九分休憩 ————◇————— 午後二時五十六分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。中野寛成君。
○中野(寛)委員 私、先般の小坂長官の冒頭のごあいさつ、そしてまたきょうちょうだいいたしました「物価対策の総合的推進について」という文書等を中心にいたしまして若干のお尋ねをしたいと思います。第一回の質問でございますので若干総花的になろうかと思いますが、今後の審議そして対応等を考え合わせながら総括的にお尋ねをさせていただきたいと思います。 まず第一点。これは先般来の各同僚委員からもお尋ねがあったところでございますが、政府といたしましては昭和五十四年度の経済見通しにおきまして消費者物価上昇率を四・九%、卸売物価を一・六%と見込んでおられるわけでありますが、これをお決めになりましてからもうしばらく時間がたっております。その見通しをお決めになりました時点と、そしてまた今日の内外における経済環境等を考え合わせますときに、すでに円安傾向があらわれてまいりましたし、また海外の市況高という二つの点におきましては特に大きな変化が起こっているわけであります。こうした変化の中で政府の見通しそのものが大変厳しい状態の中に置かれてきたのではないだろうか、最近の輸入物価がだんだん上がりつつあること等を考え合わせますときにそのように危惧をするわけでありますが、現時点における長官の御所見をまずお伺いをいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 中野委員にお答え申し上げます。 私もあなたのおっしゃったような海外的な要因、特にイランの動乱とかあるいはまたアジアにおける中国とベトナムの戦闘というようなもの、さらにその後ろにあります米ソの関係等幅広い動きの中で、いわゆる戦略物資と称されるものが相当値上がりをしている事実はよくわきまえております。また、国内もだんだんと景気が少し温まってまいりましたので、何かこのところ動きが活発になってきた、これは私はやむを得ないことだと思いますが、自由主義社会経済におきましてはやはり経済活動が活発になりますと勢い価格の方にも影響を持つわけであります。 それからまた、最近特に注目を受けておるのがいわゆるM2と称する過剰流動性の問題等もありまして、こうしたことを考えますときに、四・九%の消費者価格の上昇程度にとどめていくという政府の基本方針はいまこれを修正する必要は感じておりませんが、しかしこれを維持することはなかなか骨が折れるし、また同時に非常に努力をしなければならぬという考えを持っております。そうした考えに基づきまして六年ぶりでございますか昨日物価担当官会議を開き、また本日も閣議でこれを追認したわけでありますけれども、物価対策の総合推進方策というものを決定いたしましたのも、いま中野委員の御指摘のような客観情勢の変化というものを踏まえて、早目に対策を打った方がよろしいという考え方で動いているわけでございます。
○中野(寛)委員 長官が先ほど来繰り返しおっしゃられます、常に早目にできるだけ手を打っていきたいという先般来の御発表でも触れておられますし、その御見識を多としたいと思いまして、その効果が上がることをぜひとも私どもも期待する以上に念願をしたいと思うわけであります。ただ、いまおっしゃられましたいろいろな心配の要素が生まれてまいりますと、私どももどうしても取り越し苦労をせざるを得ない部分が出てくるわけであります。 たとえば、先般昭和五十四年度の経済見通しをお立てになっておられますが、その中で国内需要の動向のうち民間最終消費支出が前年度比約九%余の程度の増加が見込まれているわけでございます。これは名目でございますから、実質は約四・九%程度を見込んでおられるわけでありますが、いま心配をされております消費者物価というものが四・九%で抑えられた場合、この民間最終消費支出の計算も想定の内容が達成されることは可能かもしれませんけれども、これが四・九%を超えてくるということになりますときに、名目ではプラス、マイナスが作用いたしますからそこそこのものがもし出たとしても、この場合の実質最終消費支出四・九%というものが果たして達成できるだろうかということが大変私ども心配になるわけであります。同時に、そのことがこれからのいわゆる国民総生産の算出にもきわめて大きな要素を持っているわけでございますので、その場合のいわゆるGNP六・三%の伸びというものが達成できるのかということにもやはり絡んでくるわけでございまして、大変心配するわけであります。消費者物価四・九%を超えた場合でも達成できるか、こういう仮定の質問をいたしますと、そういうことがないように努力するのだ、こうおっしゃられるかもしれませんけれども、現実の心配として私は起こり得る、こう考えるわけであります。 同時に、景気が回復基調にあるとは言われますものの、果たして秋口段階になってみて、それが本物であったかどうかということは、恐らくみんなが心配する種ではないだろうかと思うのであります。景気回復がもし万一思わしくないときに、これまた物価対策か景気対策かという選択を担当大臣としても迫られるわけでありますし、その場合に公定歩合はやはり引き上げるわ、補正予算は組みませんわというふうなこと等をあわせて政府の方針としてそのまま継続されますと、本当に国民生活というものは二重苦にあえがされるということになるのではないだろうか、こういう心配もあえてするわけでありますが、いかがお考えでございましょうか。
○小坂国務大臣 確かに消費者物価あるいは卸売物価が民間最終消費支出に大きな影響を持つことは御指摘のとおりだと思いますが、われわれはいまいろいろな困難が予測されるということを申し上げているわけでありまして、そのための早目の対策として一連の政策を出しておりますが、ただ、一つ申し上げておきたいことは、この六・三%程度の経済成長をやり遂げることによって、いわゆる景気の実質的な底支えになり、それが同時に失業問題への悪化を防ぐということで、われわれといたしましては、やはり景気政策そのものと物価の安定ということをそれぞれの時点の中できめ細かく両方を見詰めながら政策の運営をやっていこうという考えでございまして、いま当面は先ほど触れましたように、世界情勢が非常に荒々しくなってきておりますし、こういう情勢は国民には直接的に物価高というふうに反映しているのも現実だと思いますので、現時点ではやや物価政策に重点を置いて考えるという姿勢をとっておるわけです。しかしまた、これが成長の方にそれほどのマイナスがない場合には、やはり物価中心で進むのもいいと思いますが、その辺のところはそのときどきの情勢判断の中で、わずかではありましても細い道を通りながらバランスをとっていきたいというふうに考えております。 なお、民間で出された予測とわれわれの方でつくりました予測とはほとんど同時的に発表されたわけでありますが、この成長の度合いの中で国内需要についての計算はそれぞれ内容が多少異なるところがありますが、総体として見る場合に、民間の指摘する成長程度とわれわれの成長程度というものは余り変わっておらないわけでありますから、問題は、あとは円の価格による輸出入の問題が残されておって、基本的に見ますると、この六・三%程度というものと民間の調査の差というものは、輸出の大幅な減少を民間が大きくとらえているということでありまして、その面から言うと、百九十円程度の、あるいは二百円がらみの現状の円相場でありますると、日本の輸出はそんなに減らない。また輸入もほどほどというところでバランスをとるのではないかと考えております。 いま申し上げたいことは、やはり物価でいまここでがたがたといろいろなことが起こるということが日本の経済にとっては一番重大な影響を与えると思っておるわけでございまして、少しよけいなことを申し上げましたが、そうした観点の中で物価政策に全力を傾けたいし、またこうした考え方に国民各位の御理解をいただいて、ぜひ物価の安定で成功していきたいというふうに考えております。
○中野(寛)委員 国際経済的に見れば、その安定の第一の要素としてドル価格の安定ということが挙げられると思うのですが、国民生活の立場からすれば、やはり物価の安定、特にインフレを抑止することが何よりも大事であることは、先ほどの御答弁のとおりでございます。そういう意味で、私は幾つか国際的な要素と国内的な問題との絡み合わせにつきましてこれからお尋ねをしたいと思います。 まず、国際的な関係でありますが、まず円安の問題であります。 私はこういう心配をするわけでありますが、円安を口実にした便乗値上げというものがこれから非常に心配されるのではないだろうか。その可能性は大変大きいわけでありますが、先般来、いわゆる円高差益還元を目的といたしまして、輸入品価格動向調査というものが継続して行われているわけでありますけれども、今後円安傾向が続いても、やはり引き続き物価の動きが厳しく監視されていくべきであると思うわけでありますが、この調査の結果、そしてその結果に基づいた対応策というものは、経企庁としては十分御注意なさっておられるというふうに考えてよろしゅうございましょうか。
○小坂国務大臣 この動向調査についての細かい点につきましては物価局長からお答え申し上げますが、全体といたしまして円高の効果というものがタイムラグがあって、全商品にすっぱりとそのままあらわれておらないことも事実でございますが、そうしたものをずっとフォローしていくということの中から徐々に、たとえばインスタントコーヒー等のようなものあるいはブランド物というようなものにつきましてはまだその効果が十分出てない点もございまして、引き続きそれは監視をしていくという方向をとっております。また、円安の場合というのはこれも挙げて私は便乗値上げだと思いますが、昨日も総合政策推進につきまして、特に便乗値上げにつきましては全官庁が挙げてそれぞれ担当の物資について厳重な監視を行い、またもしもそれが理不尽である場合にはこれに対しての警告を発し、また改善を求めるという努力をいたすことになっているわけです。
○中野(寛)委員 何よりも警戒をするということがいま最も大切なことであろうと思いますが、ちょうどその便乗値上げのこと等につきまして、幾つかの品目を大臣はお挙げになられました。御指摘をなさったわけでありますが、おっしゃるように輸入品価格動向調査によりますと、インスタントコーヒーだとか化粧品だとか落花生だとかいろいろございますが、輸入価格が下落しているにもかかわらず小売価格が上昇するという傾向が今日までかなり続いてきた。私どもが一番身近に感じましたのは、コーヒーの輸入代金値下がりしているはずだがな、そろそろコーヒーを安く飲めるかなと思っておりますと、新幹線でコーヒーを注文しましたら、それまで二百円だったのが途端に二百三十円になりましたりして、そういうちょっとしたことでこういう問題を痛切に感じさせられるわけでございます。これらの品目が総じてどうしてそうなるかといえば、小売価格に対する輸入原価比率というものが低いということが主な原因だとは思うのであります。それが輸入価格の低下イコール小売価格の低下というふうに結びつかないわけでありますが、これをどの程度まで政府としては分析をされ、そして対処されるのか、また今日までそれについての具体的な対処されたものがございましたら御披露いただきたいと思います。
○藤井(直)政府委員 この輸入品価格動向調査は従来まで八回やっております。五十三年の十二月分の調査につきまして本日その結果がわかりましたので公表いたしておりますけれども、全体三十五品目の中で輸入価格が下がって小売価格も下がっているというものが今回の調査では二十品目ございます。それから、いま御指摘になりました輸入価格が下がって小売価格が下がらないというものが六品目でございまして、前月の調査では七品目であったわけでございます。一品目減っているというような状況になっております。このところしばらく六品目とか七品目くらいのものが輸入価格が下がって小売価格が下がらない部類に入ってきておりますが、これらを概してながめてみますと、いまおっしゃった小売価格に占める輸入原価の比率が低いということ、まさにそのとおりでございます。その点につきましては、非常に競争が行われにくいもの、競争が余り行われていないものについての価格がやはり下がってないということがまず第一に言えるかと思います。たとえば化粧品とか浴用せっけんというふうなものはブランドイメージが非常に強いためになかなか下がらない、下がらなくても売れるということもあるものですから、そういう状況が出てきていると思います。 それからさらに、六品目の中で申し上げますと水産物がときどき出てくるわけですが、今回の場合マグロが下がらない部類にまた入ってきております。これは年末の需要が非常に堅調であったというような事情もあったようでございます。 それから落花生になりますと零細な加工業者によってつくられているということがございまして、どうも加工過程のコスト増に食われるということがあったりいたしますので、なかなかこういうものも波及しないということがございます。 それから、インスタントコーヒー類につきましては、異常気象等に伴う国際相場の高騰の影響が残っているというような面もなきにしもあらず。また、一度値下げされましたけれども、その後値下げというような状況がなくて推移しております。こういうものについてはさらに内容を調べていかなければならないと思っておるわけでございますが、私どもとしては、これまでの調査の過程で出てまいりました案件につきまして政府としての指導をしているものがございます。石油製品、灯油、LPG等については早くからやっております。 それから、配合飼料も農林省が再三指導いたしまして、昨年三回下げてきたということ。それから細かいものではもやしなどにつきましても指導しておりまして、それも下がったグループに入ってきております。 それから、顕著に変化の出ましたのはめがねフレームでございます。これも大型量販店等のウエートが非常に高まってきたということもあるわけですけれども、かなりそういうものに引っ張られて全体としてのめがねフレームの価格が下がってきているということもあります。 それから、まだ物足りないという面もあるかもしれませんが、インスタントコーヒーも指導をして二三%程度昨年下がったということ、またチョコレートの製品等もございます。そういうことで個別にはかなり指導をして下げてきているということでございまして、今後もこの調査を続けるわけですけれども、その過程でそれぞれの物資の個別の事情に即して指導すべきものはするというようなことで対応してまいりたいと思っているわけです。 ただ、このような物資についてはかなり流通問題にかかわるところが大きいものでございますから、なかなか簡単にいかないということがあります。そういう意味で並行輸入を促進するというようなこともあわせてやっているわけでございますが、流通問題という観点から見ますと、少し長い目で見て取り組んでいかなければならないものが多いのではないかと考えております。
○中野(寛)委員 おっしゃるように、もちろん単に一カ月、二カ月で見てすべてをきめつけてしまうということはできないことでありますし、またなすべきことではありません。たとえば輸入価格が低くなっている、継続して低くなっていくときになおかつ小売価格がそれに伴わないということは大変よく言われました。いわゆる円高になってもそれは生活高につながらないという国民感情というものは大変根強く残っている。これからまた別の問題が、先ほど長官が触れられましたように起こってくるわけですが、暮らしに直結した品目については御指導をより一層適切にかつ強化をしていただくことをお願いしたいと思います。 さて、次に差益還元がおくれているものについてちょっとお聞きしたいと思います。 ここに、きょう御発表いただいたものの中に、「国際電信電話料金の改定につきさらに検討を進める。」こういうことであります。さらに検討を進めるといいますと、何ともはやまだ検討するのですかという感じがするわけであります。「国際航空運賃の方向別格差についても引き続きその是正に努める。」ということで、これは若干是正はされつつあるわけであります。私も先般たまたまアメリカへ行っておりましたが、向こうでいろいろな出来事がある。報告しようと思えば——こっちも持っている財布の方が心配なものですから、できればコレクトコールをかけたいけれどもこれはステーションコールにした方が結果的に得だぞと思いましてついそうしたくなる。最近はずいぶん制限をされているようですが、航空運賃も海外の知っている友達にお金を送って向こうで切符を買ってもらった方が安上がりだなんということで、いろいろと方便を考えるというようなことが継続して行われているわけであります。電気、ガス等について、円高差益を還元している業界がいる反面、そういうふうなところがおくれているということ、私どもとしては大変残念に思えてならないわけであります。きょうの文書を見ながら、確かに前向きではあるけれども、その内容がまだ大変たどたどしい、たどたどしいという表現はどうかと思いますが、そういう感じを受けてしようがありませんが、改めて積極的な御所見をお聞きしたいと思います。
○藤井(直)政府委員 国際電信電話料金については、昨年円高還元策を進めるときに、経済対策閣僚会議で決めまして、その際、取り上げられたわけですが、収支上、日本からの発信量と向こうからの着信量とを相殺して決済するということになっておりまして、どうも発信、着信の差が非常に少ないものですから、為替差損が出る一方で為替差益が出るというようなことで、いわゆる円高メリットの発生額が非常に少ないという問題があったわけです。しかし、よく考えてみますと、向こうからかけたときとこちらからかけたときとで差があるということについて見ますと、これはやはり円高ということに伴って方向別に非常に格差が出てきているということではないかということで、何らかその是正を図るべきだろうという考え方があったわけです。 そこで、当時、これは郵政省が担当されているわけですけれども、郵政省とも十分相談をしたわけですが、料金体系自身の問題としてかなりいろんな問題が出てくる。たとえば通貨の価値の変動によってやりますと、遠い国にかけるよりも近い国の方が高いというようなこともあり得るというようなこともありまして、少し料金体系としての問題を検討する必要があるということもございまして、しばらく料金問題を、国際電信電話料金について検討しようということでスタートしてきたわけです。 今回、昨日の物価担当官会議で決めた段階では、その検討を一層進めまして、いままでいろいろやってきたわけですので、国際電信電話料金の改定について検討を進めるということで、従来掲げておりました表現に比べますと少し前進をするということで、この取り扱いを決めたわけでございます。そういう意味では、多少時間はかかっておりますけれども、これから改定ということで郵政省当局において検討を進められるということになったわけでございます。
○中野(寛)委員 大体、見通しはいつごろまでかかるのでございましょうか。
○藤井(直)政府委員 これは郵政省の方でやっておられますので、私の方からいつごろということをちょっと申し上げにくいのでございますが、いずれにしても、こういう対策でさらに検討を進めるということでございますので、そんなに時間のかかる問題じゃないと思っておりますが、私の方からお答えいたすのは、ちょっと差し控えさしていただきます。
○中野(寛)委員 もちろん、直接の御担当ではございませんから、おっしゃるとおりであると思いますが、十分御指導のほどをお願いをしたいと思います。 次に、いま景気が上昇過程にある、こう言われますと、すぐ心配されますのが産業界の物価上昇を期待するムードというのが、これは大変うがった見方かもしれませんが、しかし実際はその実態があると思うのであります。そういうことが懸念されるわけであります。もともと、さあ景気が非常に上昇してきたぞという雰囲気が出ますときに、これで物がたくさん売れるということで、数量増を期待してくれれば、そしてまた、それが供給に、消費につながっていけばこれにこしたことはないわけでありますが、ややもすると価格志向型の傾向というものはどうしても現実的にあるわけであります。そして、これが度を越しますと四十七、八年ごろのような狂乱インフレの二の舞がまた心配されてくるわけであります。 さて、あの当時の四十七、八年ごろの狂乱インフレと今日の目下心配されている事態、情勢等を比較いたしまして、経企庁としては、その類似点、相違点をどのように分析し対応されようとしておられるか、お尋ねをしたいと思います。
○藤井(直)政府委員 狂乱物価のときとの比較でございますけれども、やはりあのときは石油価格が四倍にもなったという非常に大きな変化があったわけでございます。そういうところは一番大きな違いじゃないかと思いますが、さらに当時と比べますと、需給関係から見ますと、現在の方がまだ供給余力がある状況にあるかと思います。当時は、その前からかなり景気が拡大しておりまして、需給の関係は非常に逼迫していたと思います。 それから、通貨供給量の方も早くから伸びが高まっておりまして、二七、八%までいったわけで、現状では一二%程度のものということで、海外物価などにつきますと、少しずつ当時上がっていた、木材なども上がったわけですけれども、そういう状況は同じかと思いますが、その上がり方においては現状の方が低い、そういうようなことでございます。 それから、非常に大きな違いは、狂乱物価を経験して、やはり価格というものに対する認識、物価に対する考え方というものがすっかり変わっているわけですね。やはり価格が安定し、物価が落ちついているということが国民生活の安定にもつながるし、それから経済を発展させていくためにも必要であるという認識が非常に高まってきております。私どもとしては、狂乱物価のときの状況とは非常に違っているんじゃないか、このように考えております。
○中野(寛)委員 そこで、少しちょっとまとめてみたいのでありますが、卸売物価はこの二カ月連続して〇・六%、年率に直しますと七・四%上昇しているわけであります。このところ、そういうところから急速にインフレ警戒感というものが強まっていると思うわけでありますが、この〇・六%の上昇率に対してそれの原因となっているもの、いわゆる国内要因が寄与している率と海外からの国際的な要因が寄与している率というものを経企庁としてはどのくらいに御判断になりますか。たとえば五分五分だとか四分六分、七、三、いろいろ見方はあると思いますが、その見方によって対応策というものがおのずから変わってくるのじゃないかと思うわけでありますが、卸売物価の上昇に対する国内要因と国際的な要因の寄与率の比率を、簡単には言いにくいと思いますが、どのくらいに重点として見ておられますか。 また、あわせまして、これから円安の傾向が出てくるとして、いつごろその傾向を望み得るか。また、その場合の寄与率をどの程度と見ることができるだろうか。円安が輸入価格やそしてまた消費者価格に与える影響等をどのようにお考えになっておられますか。この際お聞きをいたしておきたいと思います。
○藤井(直)政府委員 月ごとに申し上げますと、十一月は〇・二%上昇しましたけれども、その際、海外要因は〇・三のプラスでございます。そして国内要因が〇・一のマイナスでございます。それから十二月になりますと〇・六%上昇したわけですが、そのうち国内要因が〇・二で、海外要因が〇・四、このときは海外要因が高かったわけでございます。それから一月になりまして〇・六、ここにおきましてはやや海外要因が高い。海外要因〇・三、同じく国内要因〇・三でございますけれども、細かい数字で見てみますと、海外要因の方が少し高いという状況でございまして、十二月、一月を通じて見ますと海外要因がやや多いのじゃないか、こう思います。 それから、海外要因の中でもいまおっしゃった円レートの要因と輸入価格の要因と二つに分かれますが、十一月、十二月におきましては円レートの要因は円安によりまして卸売物価を押し上げておりまして、これが十一月は〇・一、十二月は〇・三押し上げているということになっております。一月になりますと、円レートは落ち着きました関係で、ほとんど為替要因はありません。海外要因の〇・三というのはほぼその海外価格要因ということで出てきておるわけであります。 国内要因につきましてはいま申し上げましたとおりでございますが、ただ国内要因と申しましても、たとえば木材が上がってきて、そして合板が上がるというような場合には、これは今度国内要因の方に出てまいりますので、国内要因の中にも海外要因から上がってきたものが影響して出てきているものもあるということでございます。国内要因としては、そういう海外からの波及のほかに国内の需給の状況によって上がってきているものもございます。建設資材等の中にはそういうものがございます。そういうようなことで、国内要因にも二色あるのではないかと思います。 それで、現在のところ円レートの要因につきましてはそういうことでございますが、一月の状況で申し上げますと、昨年に対して卸売物価はマイナス一・六%でございますが、このうち円高によりまして押し下げているものというのはまだマイナス二・八ございます。したがって、いまのところではまだ円高というものが対前年同月で見たときには卸売物価をかなり押し下げる要因になってきているわけであります。先ほど申し上げましたように、十一月以降少し変わっておりますので、これによります押し下げ要因はだんだん減っていくのではないか、そのように考えております。
○中野(寛)委員 ありがとうございました。 続きまして、やはり国際的な要因の一つについてお尋ねしたいと思いますが、輸入木材、銅、鉛、亜鉛、コバルト、いわゆる一次産品が軒並み急騰いたしまして、原油価格上昇と相まって世界経済のインフレ化への懸念をますます強めているわけであります。そして、これらの一次産品がむしろ不自然と思えるほどに急騰をしていることをどう見たらいいのだろうか。単なる経済的な理由とだけ見ていいのだろうか。最初、世界戦略、軍事的な問題にも触れて長官からの御答弁がありましたけれども、そのようなこともあわせ、かつ国際的ないわゆる買いだめ等のことも考えあわせて広くその内容を分析しなければいけないのではないだろうか、こういう感じがするわけでありますが、日本国政府としては世界的な経済戦略の中でどういう位置づけを持っているのか、お尋ねをしておきたいと思います。
○小坂国務大臣 やはり私が一番最初に申し上げましたように、現在の世界情勢がやや安定を欠いておるあるいは非常に安定を欠きつつあるという認識を私は強く持っておりまして、その限りにおいていわゆる戦略物資が買いあさられているということはもう事実ではないかと思います。したがいまして、現在われわれが直面しておりまする海外要因価格上昇による日本の価格体系への影響というものは軽視できない。したがいまして、こういうことに対応してはある程度備蓄したものを放出していくということ。そしてまた、いまの現状がさらに長期にわたっていくというような場合、石油を初めいろんな商品に非常に影響を及ぼしてくるのではないか。むしろこうしたことに対して国内の経済の特に安定的な発展をわれわれとしては志向しておりますから、そうした場合にある程度の備蓄ということを基本的に考え直してみる必要があるのではないかと、これはまだ私見でございますが、私は思っておるわけです。そうしたことが現在の財政法その他によってはなかなかむずかしいわけでありまして、現状においては民間の備蓄というものを応援するという程度にとどまっておりますが、もう少しこうした情勢を、われわれが一番希望しない方向にいま世界は動いていると思うのでありますが、できるだけ早い安定を期待するし、そうした意味において備蓄をするということと同時に、やはり世界平和のために日本はできるだけの努力をして平和の実現のために世界に協力をするという外交姿勢と申しましょうか幅の広い対外政策というものを打ち出さなければいけない。これなどもやはり日本だけが世界から孤立するということの反面に、世界にいかなることがあっても日本の経済には全く影響がないと思い込むことが非常に危険なことであるというのと同意語ではないかと考えております。
○中野(寛)委員 いまの長官の御答弁、大変大切なことだと思うのであります。まだ私見だがとお断りになったわけでありますが、むしろそれが私見の範囲にとどまらず、早急にそれが正式に検討をされ、そしてその対応策が立てられることがぜひとも望ましいことでありますし、また同時に現在進みつつある情勢を考えますときに急を要するのではないか、こう考えるわけでありますが、大臣のその私見から改めて公のものになることの見通しといいますか、大臣のお心構えはいかがなものでございましょうか。
○小坂国務大臣 これは私の立場といたしましてはまだ私見と申し上げるよりほかはないと思いますが、しかしこのような事態は日本の戦後初めての非常にいやな問題だと私は思っております。なるべくこうしたことのないように世界が平和であってほしいということをいま心から願い、またその方向で世界的な協調にはできるだけ日本は協力をしていくということに努力を傾けつつ、一方、最も悪い時点というものを考えながらの対策を考えていくという程度の発言にとどめさせていただきたいと思っています。
○中野(寛)委員 日本の場合にはいわゆる軍事大国ではありませんし、まして経済大国と言われても果たしてその足腰の強さはどうだろうかということが常に指摘をされるところであります。いわゆる弱い動物は弱い動物なりに、草原で生息をしておっても、弱い動物ほどその敵を見分けるまたはその敵の近づきかげんを察するその情報収集力というものは大変強いものがあるわけでありますが、そういう対応策というものを日本のような性格の国はより一層敏感に持たなければいけないし、そしてまたいま御答弁のありました対応策というものがより敏感に、かつ早急に取り組まれなければいけない。そういう国の性格を日本は持っているんだと思うのでありまして、ぜひとも大臣の御所見が実現を早く見ることを期待し、そしてお願いをしたいと思います。 さて次に、昨年末OPEC諸国は七九年平均で一〇%、最終的な値上げとして一四・五%という原油価格の段階的な値上げ方式を決定したわけであります。しかし、加えまして、その後イラン情勢の激変をきっかけといたしまして、サウジアラビア、カタールなどの産油国が追加値上げを打ち出したわけでありまして、それに伴いましてスポット価格が急上昇をしております。このために七九年の平均値上げ幅が当初とはずいぶん変わりまして、一五%ぐらいになるのではないかと予想されているわけであります。通産省の試算によりましても一〇%原油値上げで、ことし十月には対前年同月比で卸売物価指数が約一%、消費者物価指数で〇・四%の上昇と計算をされているようでありますが、私どもは産油国の追加値上げがむしろそれ以上の影響を及ぼすのではないかと危惧するものであります。その追加値上げの問題を含めまして物価に対する影響をどのようにお考えでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 いまスポットの値上げ要請というものが二カ所から出ておることは承知しておりますが、これがどのような波及効果を持つか、私はまだそれを見守っておるところでございます。 またOPECの総会と申しましょうか、代表者会議あるいはまた消費国の代表者会議、いずれも五月に開かれるわけでございまして、やはり石油供給国の一方的な値上げがそのままストレートに通るような情勢だと読む人と、なかなか通りにくいと読む人とございまして、いまここで将来の不確定な石油の値上がりを前提にしての物価への影響というものを計算することはやや早急ではないかというふうに私は考えております。 でも、われわれといたしましては、もちろんそのような値上げが全般的に波及することを極力防ぎたいし、また石油の全くない日本といたしましては、そういうことをされればそれにフォローせざるを得ないという事態はまことに残念なことであると思いますが、現状におきましては、われわれはまだOPECの公表しました一〇%の値上げということをベースにしての消費者価格並びに卸売価格への影響を算定しているところでございます。いま中野委員の仰せられるように一五%になるであろうとか、あるいは大きく計算する方は二〇%ぐらいになるのじゃないかという御議論もございますけれども、現時点では一〇%程度の値上げでの波及というものを前提にしてわれわれは考えておるわけであります。 ただ、いまおっしゃいましたように、一五%上がるのではないかとか、二〇%になるのではないかというようなことが、むしろ石油業界に対しましては便乗値上げの非常に口実になるということを私は恐れておるわけございまして、事実、一〇%上げたということに関しましても多少業界には他の石油製品の値上げをしたい、あるいは発表をしておりますが、これなども果たしてそれだけの値上げをいますぐしなければならないかどうかということについては、われわれは先方にはまだその時期ではないと思うという返事をいたしておるわけでございます。 問題は、やはり便乗といいますか、心理的な値上げというものをいまの段階では最も注意をすべきであると考えておりまして、そうした意味もございまして、くどいようでございますが、物価政策の総合推進というようなことを政府としてはこの時点で決め、そして国民の御理解をいただき、協力をいただきたいということで出した次第でございます。
○中野(寛)委員 御答弁のように、現段階において私どもも最も心配するのは便乗値上げのことであります。同時に、スポット対策について石油の値上がりぐあいを早計に判断するのはどうかということとあわせまして、大臣の慎重な立場でございますけれども、常に日本の経済体質から言って、またエネルギーの体質から言って対応策が早過ぎるということはないと思うのであります。ただ、政府が余りにもあわてふためいたかっこうを国民に見せることはもちろんよくないことでありますけれども、しかし、それを防ぐためにも十分な対応策をしっかりと腹の内に持っているということは大変必要なことではないだろうかと思うのでありまして、あえてそのことについては要請をいたしたいと思いますが、便乗値上げに絡みまして、実は業界各社が為替相場の変動による差損、そして備蓄、防災費等々の諸経費のコストアップ、こういうふうなものを理由としてもうすでに石油製品の値上げを発表しているわけであります。当然経企庁としては、これに対して通産省等に対する要望や、その他行政指導等につきまして御配慮があろうと思うのでありますけれども、どのような対応策を講じておられますか、お尋ねをしたいと思います。
○藤井(直)政府委員 石油精製メーカーからいろいろ値上げの動きが出ているわけでございますけれども、実際の石油製品価格の値の決まり方というのは、それを買います需要家と供給側との交渉が行われるわけでございます。そういう交渉の結果、昨年来円高の還元等についてもその交渉の過程でかなり実現を見てきているという面があるわけでございます。そういうことで、当然そういう需要家との話し合いがこれからあるかと思いますけれども、それがどういうような価格になっていくかということは、まさにその交渉の中で決まっていく。私どもから見ますと、やはりそれが市場メカニズムが動くということではないかと思いますけれども、そういう中で決まっていくわけでございます。したがいまして、どういうぐあいに決着つくかということの見通しは非常にむずかしいと思いますが、ただ、そういう過程でその価格の決まり方として非常に不当な便乗値上げのようなものが行われるということがあれば、それは非常に問題でございますので、価格の動きを十分注視・して、そして必要があれば業界に要請をするということで、昨日の総合対策でも石油製品価格の監視、そして必要に応じて要請ということを決めているわけでございまして、この考え方でこれからも対応していきたいと思っております。
○中野(寛)委員 大変肝心なところだと思うのであります。常に経済界の持っている本質というものもありますし、それはプラスの面もありましょう、マイナスの面もありましょう。しかし、本来的に持っている宿命的な方向づけというものは、やはり消費者も経済界もあるわけでありまして、その中で消費者の立場をいかにして守るか、その役割りが、いまの御答弁の内容をより一層具体的に、積極的に行われることによって果たしていただきたいことをお願いしたいと思います。 時間がありませんからあと二点。国際的な要因についてずっとお尋ねしてきましたが、次に、今度は国内的な要因について二つだけお聞きをしたいと思います。 一つは、もうすでにこの物価担当官会議の中でも触れておられます、また私ども、予算委員会の総括質問の際等でもわが党の塚本書記長が申し上げたところでございますが、建設資材を中心にいたしまして市況商品の騰貴が大変続いているわけであります。その主な原因の一つとしてトラックの過積み規制強化というのが挙げられるわけであります。交通安全もとより大切でありますが、一月に入りましてからは車不足は緩和され、運賃の上昇もほぼストップしているにもかかわらず、市況が依然として大変強という状態であります。過積み規制の強化を理由に便乗値上げが広がる、また卸売物価の上昇を加速させるというような危険性は、これは目下どなたも指摘をされるところであると思うのであります。あわせまして、一方では国鉄が平均八・三%の値上げを五月二十日から実施するという発表であります。距離三キロまでの初乗り運賃は、昨年七月、六十円から八十円に値上げされたばかりであります。大手私鉄十三社が七十円にとどめているわけでありますが、一方、国鉄がそれを大幅に上回って百円にしようというのは、国民の国鉄という名が泣くのではないか。国民にとって非常に容認できない内容だと思うのであります。当然、経企庁としては、これを放置されたはずはないわけでありますが、今日までこれらの動きに対してどのような指導、要望をなされましたか、最後にお尋ねをいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 国鉄に関連いたしましては、実は、四月一日からの今年度の予算の当初から値上げを織り込みたいという強い希望がございましたが、私たちといたしましては、国鉄の運賃改定は、国民感情から見ても、また国鉄の現状から見ましても、不適当であるということで大分やり合ったわけであります。その結果、一応、これは「日本国有鉄道の再建の基本方針」というのが五十二年十二月二十九日に決まっているわけでありますが、それによりますと、やはり「国鉄の経営努力」と「国の行財政上の援助」、三番目には運賃改定、三つが必要だというふうになっておりまして、こうした観点に立って、財政当局はやはり予算に運賃値上げを計上したいということであったわけであります。それで、いろいろ話をいたしまして、四月一日の値上げの時期を五月二十日まで延期してもらいました。そして、五月二十日の時点で改めて国鉄の運賃引き上げというものについてさらに運輸省を中心にいろいろとお考え願うわけでありますが、われわれの方にも、物価政策上、十分な御連絡をいただいて、そしてこの問題の処理に当たってほしいということにしているわけであります。
○中野(寛)委員 トラックの過積みの問題は……。
○藤井(直)政府委員 建設資材が昨年の暮れから値上がりしているわけですが、その原因の一つに、道路交通法の過積み規制の関係から出てきている値上がりがございます。私どもとしては、やはりコストが上がるということにもなるわけでございますが、いまの業界の対応としては、輸送方法を変えていくとか、それから自動車の回転率を高めるというようなことで、いろいろ努力しているわけでございます。そういう様子をこれからも十分見ていきながら、輸送コストの転嫁については、適正な価格、適正なものの転嫁がなされるように、そしてこの際、便乗値上げが行われることがないようにということで関係各省と連絡をとって価格の動きを監視するという体制をとっておるわけでございまして、ここ当分、そういう体制によって動向を注視していきたいと考えております。
○中野(寛)委員 以上で項目的なお尋ねを終わりたいと思いますが、先ほど来のそれぞれの御答弁の中にもございましたように、最近の国際情勢を反映して、戦略物資を中心に、大変その後も値動きは激しゅうございますし、また各国々の経済情勢から、いわゆる経済戦争という言葉をまだ取り消すには至らない、むしろ国際経済こそはいまやまさに生き馬の目を抜くがごとき状態で、各国々も虚視たんたんとして自国の経済を守るためにいろいろな対策を講じている。日本経済そのものが当然それに対応しなければいけませんし、同時に、世界の国々から反感を持たれる状態であっては、なお資源的にも成り行かないわけでありますから、いやがおうにもグローバルな物事の考え方をしなくてはいけない。今日、経済企画庁の置かれている立場というものは大変重大な意味を持つと思うのであります。これからの経企庁の御努力を心から期待し、そして要請をして終わりたいと思います。ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、藤原ひろ子君。
○藤原委員 ことしは新年早々に私鉄の運賃の値上げがございました。二月一日からはまたまた消費者米価が引き上げられました。そして、五十四年度の政府の予算では、たばこの値上げ、大学の入学金、健康保険料を初めといたしまして、高速道路の料金、国鉄運賃の値上げなどが予定もされておりますし、商品市況は高騰を続けているということでございます。 政府は、今年度の消費者物価の上昇率が四・九%だ、これに抑えるということでございますが、これは確信の持てる数値なのかどうか、まずお答えを願いたいと思います。
○小坂国務大臣 今年度の日本の経済の運営の大きな中心課題はやはり物価の安定でございまして、そうした意味で非常に詳細なデータを集めての検討の結果、かつ、日本の経済の成長が六・三%程度を維持していくということ、同時にまた、対米関係を初めとする貿易収支の面でも、ある程度日本が世界的にバランスのとれた貿易体制をとっていくということ等かんがみました場合にも、私は、やはりこの物価の体制というものは非常に重要であるという認識を持っているわけであります。 それで、この目標を設定いたしまして、これに努力をしていくということ、現状におきましては、三月時点での推測では、物価の上昇は四%にはあるいは行かない、三%台の上昇にとどまるかもしれない。そうしたことから考えた場合に、来年度の物価の上昇を四・九%ぐらい考えるということは、それほど無理な目標ではないのではないか。ただ、先ほど来の各委員からの御質問のございましたような世界情勢の非常に急激な変化は、確かに物価情勢に対しての、ある面においては基本的な変化があるという認識を持っておりまして、そうしたことのために、昨日そして本日の閣議におきまして、物価対策の総合的推進というものを決めて、あくまで四・九%程度の上昇にとどめたいということを努力をしてまいる姿勢を示したわけでございます。
○藤原委員 最近発表されました国土庁の地価公示価格は、全国平均で六・三%です。東京では八・七%と近年にない上昇ぶりを示しておりますし、日本の資源エネルギーの大部分を占めます石油製品の値上げが石油各社から発表されておるわけでございます。これに関連をいたしまして、通産大臣が行政指導で抑えると発言しているにもかかわらず、資源エネルギー庁はそれを否定する意見を出していると伝えられておりますが、これはどういうことなのか御説明いただきたいと思います。
○箕輪説明員 私、大臣が発言されました席に直接おりませんものでしたから、後でどういう話であったかというたことを伺っただけでございますけれども、いま言われましたように大臣が値上げを抑える意向を表明し、事務当局がこれを否定したということではございませんで、大臣が言われましたのは、いやしくも便乗的な値上げがあれば、あるいはOPECが段階的な値上げをしております最終的な値上げ幅を先取りするような形で値上げをこの際行いたいということを言っておるのであれば、それは慎まれたいということを話したということでございまして、事務当局としても同じような考え方をしております。したがいまして、いま先生御指摘のような大臣の発言を事務当局が否定したということではございません。
○藤原委員 二月三日付の日経新聞を見ますと、今回の石油値上げに対する通産省の理解は、まず第一に、これまでに円高差益を過剰に、すなわち多く還元し過ぎたのだ、それを取り返すためだ、二番目には、備蓄コストの増加分を補うために、三番目には、OPECの第一段階値上げの五%引き上げ分を製品に転嫁した分だ、こういうふうに言っておられるようです。 そこで、お尋ねをしておきますのは、石油業界が円高差益を過剰に還元したということであれば五十二年度・五十三年度に幾らの差益が発生して幾ら還元をしたのか、差益の中にはユーザンスによるものだけではなくて、円高の進行によりまして起こってくる仕入れ価格の低下分、これも含めまして明らかにしていただきたいと思います。
○箕輪説明員 最初に申し上げておきたいことは、通産省は石油各社が値上げ希望を表明したことについて、これはこういうことでありますというようなことを外部に向かって言ったことは一度もございません。ただ、石油企業各社が希望している値上げの理由といたしまして、まず第一に、 OPECの値上げに対応するためのものである、第二に、最近では円安傾向になっておりますので、その分の値上げは当然見込まれるだろう、そして最後に、いままで下げ過ぎたものですからそれを取り返したいという希望を石油企業は言っておりますということは申し上げたことはありますけれども、通産省がそういう考え方をしておるということは申し上げたことはございません。 通産省の基本的な考え方は、石油価格と申しますのは、基本的には需給の状況に応じまして市場でもって正当に形成されたものがしかるべき姿であると考えておりまして、この考え方は従来といささかも変化はございません。 それで、どれだけ円高差益があったのかというお尋ねでございますけれども、先ほどの石油企業が言っております値段の下げ過ぎた分を返させてほしいということの背景と申しますのは、過当競争のため値下がりしたということが非常に大きく影響しているはずだと私どもは考えております。 円高のメリットというのは、いろいろな計算があるわけでございまして、計数的には正確には一−三月でもって見るべきなのだと思いますけれども、一つの例として申し上げますれば、原油代は通関のCIF価格で比べますと、五十二年の三月に比べまして五十三年の十二月にはキロリットル当たり約六千九百円値下がりしているのが現状でございます。これは五十二年の一月と七月にOPECの価格アップがあったにもかかわらず、円高が続いたためにこういう姿になっているということでございます。他方石油製品価格というのは同期間で約七千円全体で値下がりをしているという状態でございまして、この円高の差益というのは市場のメカニズムを通じまして還元されつつあるというふうに私どもは基本的に見ております。 ただいまお尋ねの幾らあるかということになりますけれども、これは理論的な計算をした推定しか実はできないわけでございまして、五十二年のいわゆる仕入れ差益というのが大体八千億であろう、それからいわゆるユーザンス差益と申しますのは二千百億程度であろうというのがわれわれの試算でございます。 五十三年につきましては実はレートの動きも非常に複雑でございまして、御存じのとおり十二月から円安に転じておりますし、今後あと一カ月ちょっとの間どのように動くのかわからないので、試算値というのは、これが試算値でございますということを自信を持って申し上げるような数字はまだ用意してございません。
○藤原委員 日経新聞でいま三点挙げました点は、言ったことはないということですけれども、先ほど小坂長官は、石油製品の値上げなどは、上げるような動きがあれば考え直してもらいたいというふうな点で指導していきたい、こういうことであったわけです、前の同僚議員に対するお答えとして。そうならば通産省も、こういうふうに誤解をされるようなことを書かれたりするようなことをおっしゃることは、おなかの中にそれがあって言うということに出てきたのじゃないか。もっと毅然とした態度をおとりになることが誤解を与えないことだ。新聞に書かれてしまって国会で聞かれて、そしていやそんなつもりはありませんでしたとか、先ほどの御答弁も、大臣は言ったか知りませんが私は後で聞きましたとか、事務当局でゆがめるあれはありませんとか、そういうことでない態度をぜひとっていただきたいということを強く要望したいと思います。次に、それでは通産省は便乗値上げをチェックする態度なんだというふうに伝えられているわけですけれども、これはおやりになるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
○箕輪説明員 何が便乗であるかということはいろいろな見方があると思いますけれども、私どもは、今後のOPECの値上げをいわば先取りしたような形での不当な値上げが行われるとすれば価格動向を十分に監視したいし、必要があれば行政的な指導もしたいと考えております。現在本省あるいは地方通産局あるいは都道府県を通じまして石油製品の価格動向を十分把握する努力をしております。したがって、具体的な問題が生じました場合には個別に適宜調査を行う等の措置も講じてまいるつもりでございまして、今後とも必要があれば適切な措置をとりたいというふうに具体的に考えているわけでございます。
○藤原委員 それでは、いまおっしゃいましたように、便乗値上げであるのかないのか、これをどうして判別するのかということですが、チェックするということであれば判別をしていく基準も当然お考えになっていると思うわけです。 お尋ねしたいのは、第一にどのようにして判別をしていこうとされているのか、それからそれはどのような体制をつくってやろうとしているのかということを説明をしていただきたいと思います。
○箕輪説明員 価格上昇の原因と申しますのは、原価のアップ、それから人件費その他管理費のアップ、あるいは流通経費のアップというようなものが一つの大宗を占める理由であろうと思っております。 それで、今回石油各社が値上げ希望を表明しております内容が、先ほど申し上げましたようなOPECの価格の上昇、それから為替レートの動きによります価格というか、国内原油価格の上昇、それから、これはある程度事後的になりますけれども、数量的には確定できるわけでございます。ただ、石油企業各社が言っております過去において、値下がりした分について取り返したいという希望につきましては、私の基本的な考え方はやはり各社それぞれ採算コストというのがあるはずでございまして、採算割れの状態があってそれを適正にカバーするという値上げであれば妥当と見ていいだろう。それが赤字経営ということになるのであれば、その価格の形成というのはやはり企業にとっては妥当な価格形成ではないというのが基本的な姿であろうと考えております。 したがいまして、便乗と申しますのはいろいろな便乗があると思いますけれども、たとえば、この前のオイルショックのときのように足りなくなるからということでコストを、あるいは正当な理由を度外視したような値上げをしておるというのは、いわゆる便乗に入ると思いますが、今回のような緩やかな原油代のアップということが仮にある場合には、やはり経営上採算がとれるのかとれないのかというところが一つの判断の基準になろうかと考えております。
○藤原委員 便乗値上げについて十分なチェックをしていただきたいという意図から質問を申し上げているわけなんですが、いまおっしゃられた基準、同時に体制ですね、どのような体制でやろうとしておられるのか。具体的にやりますと言われましたが、ここら辺を具体化をしていただきたい。そういうことで、本当に十分チェックできるのかどうか、その点なんです。
○箕輪説明員 答弁漏れいたしましてどうも申しわけございませんでした。 体制といたしましては、通常行っております価格調査というのは、これは灯油とLPGでございますけれども、消費者価格モニター制度というのが全国的にしかれております。これが一つの方法でございます。 それから、物価安定対策補助事業と申しまして、これは通産局ないし都道府県に委託しておるわけでございますが、ガソリン、灯油、軽油、A重油、LPGの価格調査を随時やっております。そのほか必要があれば特約店の価格調査というのをすることにしております。 さらには、元売り会社に対しての価格の把握でございますが、これは石油業法に基づきまして報告徴収するというシステムをとっておるわけでございます。
○藤原委員 それでは、経済企画庁長官にお尋ねをしたいと思いますが、長官は、日本の経済と国民生活の中におきます石油の役割り、こういうものについてはどんなお考えを持っていらっしゃいますでしょうか。
○小坂国務大臣 やはりエネルギーの一番根源的なものであるという認識でございます。
○藤原委員 私は、石油といいますのは、わが国の産業経済活動や国民生活の中で果たしている役割りは大変大きいというふうに思いますし、おっしゃいますように、エネルギーの大半を占めます地位にあるというふうに石油を認識しているわけです。言いかえますならば、これの安定的な供給と価格の安定ということは、日本経済にとりましてはもう欠くことのできないものだというふうに思うわけです。しかし、通産省は石油製品の値上げはやむを得ないかのような態度をとっておられるというふうに感じるわけですが、これではおかしいというふうに思うわけです。 〔委員長退席、武部委員長代理着席〕 五%のOPECの値上げが引き金になって、各社が一四%の値上げを一斉に打ち出すというふうな態度こそ便乗値上げであり、厳しく抑える必要があるというふうに思うわけです。昨年の十一月十八日付の朝日新聞は、石油大手九社の中間決算をまとめまして、差益は四千六百億円あったと報道しておりますし、内部留保を厚くする動きがあるとも言っているわけです。過剰還元などということはなかったと私も思います。 石油問題というのは、先ほども述べましたが、重要な課題であるというふうに思いますし、これに対する対策を十分にやることが政府全体にも求められているという点を改めて私は指摘をしておきたいというふうに思うわけでございます。 次に、輸入物価についてお尋ねをしたいと思うわけです。 経済企画庁は昨年末輸入品価格動向調査ですね、先ほどから問題になっておりますこの調査を引き続きやっておられるわけですけれども、ことしの一月の調査結果、これを見ますと、輸入価格は下がっているのに小売価格が下がっていないものとして七品目が挙げられております。この中には長期にわたって値下がりしないものが幾つかありますが、それはなぜそうなっているのか。先ほど十一月調査以降の調査もおっしゃいましたが、それはもう先ほどの委員へのお答えでわかっておりますので、私がお尋ねいたしたいのは、なぜそうなっているのかという点についてお答えをいただきたいというふうに思います。
○藤井(直)政府委員 一月の発表の分は五十三年十一月分の調査の結果でございますが、その際、輸入価格が下がっていて小売価格が下がっていないものの中には七品目あったわけでございますが、これはそれぞれ理由があるわけでございます。 品目別に簡単に申し上げますと、まず、浴用石けん、化粧品といいますのは、これはずっと最初からそういうグループに入っておりますが、やはりブランドイメージが非常に強くて、国内品との競争とか輸入品同士の競争が行われにくい性格のものでございまして、そういう関係で小売価格が一定した価格で推移してきているわけでございます。そういう意味でいわゆるブランドイメージものとしての価格形成がなされているということではないかと思います。 それから落花生ですが、これは二つ理由がありまして、非常に零細な業者、多数の業者によってつくられておりますので、その関係で中小企業の面のコスト増が非常にあって、それに食われてしまうという面もあるようでございます。それから落花生は非常にいろいろな種類のものがあるわけでございますので、月によって非常に価格の変動がある。ならしてみますと、五十三年、暦年で見ると、輸入価格の値下がりの比率というのは、一カ月で見た比率のマイナスが二三%であるのに対して六%程度であるということも原因になっているのではないかと思われます。 それから、グレープフルーツというのが当時ございました。これはかなり季節性の強いものでございまして、その後また下がってきております。 それから、インスタントコーヒーについては、かつての異常気象に伴って国際相場が上がったという影響が残っているという面もあるわけでございますけれども、そういうことで、これは八月に二三%引き下げられましたけれども、五十一年の十二月の時点で比較いたしますと、やはり輸入価格が下がって小売価格が下がってないという部類に入るわけでございます。この辺についてはなお私どもとしても農林省といろいろお話をして実態を把握しているところでございます。それぞれの理由が個別の物資に即してあるわけでございますが、私どもとしては全体がどうかということではなくて、やはり物資ごとに対応していきたいと考えておるわけでございます。
○藤原委員 いま御説明がありました中に、インスタントコーヒーというのがあったわけですが、これは昨年の八月にわが党の渡辺武議員が参議院の物価問題特別委員会で指摘した品目であるわけですが、そのときに農林水産省は約二三%の値下げが行われており、おおむね妥当なものだとお答えになっておりました。いま物価局長さんも二三%の値下げをしているというふうにおっしゃったわけですが、おおむね妥当というお考えに対して、いまもそれは変わりないのでしょうか、いかがでしょうか。それは、物価局長さん及び農林水産省の方からお尋ねしたいと思います。
○本田説明員 五十三年八月一日現在で品目によって若干違いがございますが、二三%から二五%の値下げが行われたわけでございます。これはメーカー出荷価格でございます。その当時、おおむね妥当というふうに申し上げたわけでございます。 現在どうなっておるかという御質問だと伺いますが、現在におきまして、試算というのは試算の仕方にはいろいろなものがあるかと思いますが、一定の仮定に基づかなければなりませんし、かつインスタントコーヒーなりコーヒー豆というのは自由に流通しておるわけでございまして、政府の管理する物品ではございませんので、そういう意味で詳しい数字を、企業秘密に属するような数字をなかなか把握できないという面もございます。以上のようないろいろな制約はございますが、仮にある仮定を置きましてその試算を再度いたしますと、五十三年の十二月時点で原料豆の輸入価格に、輸入CIF価格でございますが、物品税あるいは輸入諸掛かり等を足しました原料豆の輸入コスト、これが最高の時点でございました五十二年の六月に比較いたしますと、五十二年十二月の時点では五三%低くなっているということで、そのコーヒー豆の輸入コストが五三%下がったということでございますので、それがいかに入荷出荷価格に反映するかということになりますと、いわば原料豆のコスト比率のようなものが必要になってくるわけです。これはその時点等によっても異なりますが、私どもなかなか正確に把握できない面があるわけでございます。ただし、仮に五〇%ないし六〇%、これは前回のときと同じでございますが、そのように推定いたしまして、メーカー出し値の原料豆価格値下がりの影響を試算さしていただきますと、大体五十三年十二月時点では二六%ないし三一%という影響度があるのではなかろうかというふうに推察されます。 そこで、二四%の値下がりでございますが、このほかに労賃の引き上げあるいはその間の諸資器材等の値上がり等もございます。そういう関係も考慮すれば、現段階においてもなお、国際価格の動向等も踏まえまして——国際価格につきましては、生産国側が輸出価格についてはある一定水準を維持するためにそれぞれ制度をもって輸出価格の値下がりを防ぐとか、あるいは中南米のコーヒー生産国が寄りまして輸出価格についてのある一定の価格を維持するための基金制度を設けるとか、輸出価格につきまして国際的に値が下がることを防ぐような生産国側からの働きかけがいろいろあるわけでございますが、現段階におきましてコーヒー豆の国際価格も若干上昇傾向にあるということも勘案いたしますと、現在におきましても、メーカー出し値につきましては私どもとしてはおおむねこの程度がという感じでおるわけでございます。
○藤原委員 渡辺議員はその質問の中で五十二年七月から五十三年三月までの期間で七十二億、五十三年四月から七月までに三十九億円差益が出ていると指摘をしたわけですけれども、あなた方は詳しい数字は出さないで反論されたので、渡辺議員からその資料を出してほしいという要求があったわけです。 そこで、あなた方が提出なさった資料を私も見せていただきましたのですが、これを見ますと、これが渡辺議員の指摘に対する反論の資料になるのかどうか、とてもそうは思えないというふうなものなのです。つまり、当時答弁なさったことを要約して簡単に書いてあるという程度のものなんですね。あなた方は関係の会社から一体どんな資料をとっていらっしゃるのでしょうか。今度もおおむね妥当だ、おおむねよろしい、この程度ですとおっしゃるが、そういう資料は何に基づくのですか。一体とられるのか、とられないのか。とっていないとすれば、どんな理由でとられないのでしょうか。とられたのなら、このようなものではなくて、もっときちんとした資料が届けられてくるというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○本田説明員 まず第一点でございますが、参議院の渡辺先生からの資料要求につきましては、私どもがある一定の仮定に基づく試算をしたとすればその試算の仕方について資料を提出しろというお話でございましたので、そのような資料の提出になったわけでございます。 さらに第二点についてでございますが、どのような資料をメーカーからとっているのかというお話でございます。これにつきましては、先ほども触れましたように自由流通物資でございます、かつメーカーにおきましては、その資料の提出に際しまして企業秘密に属する点が多々あるということでございまして、私ども仮にこういう試算をさしていただくということであれば、これはやはり通関統計とかそういうものに基づきまして、世上公表されております資料に基づいての試算ということが原則かというふうに考えます。
○藤原委員 企業秘密に属するということで強制的にとる権限がないというふうなお答えですけれども、制度的に言えばそうかもしれません。しかし、国民から疑問を投げかけられていることについて政府がそれを明らかにするために必要最小限の資料提供を要請するということは、別に不思議ではないと思うわけです。しかし、それもおやりにならなかったということであるわけですか。それではあなた方が幾ら差益は出ていない、こうおっしゃってもそれだけでは国民に対する説明にはなりませんし、私はいまここに業界第二位であります味の素ゼネラルフーヅからいただいた資料を持っているわけなんです。これを見ますと、五十二年度の経常利益ではなくて純利益、五十一年度に比べまして一七六%の増加になっているわけです。これが販売量第二位で二〇%のシェアを持っておりますゼネラルフーヅの状態なんです。ですから、七〇%のシェアを持っておりますネッスル、ここは相当の利益を上げているであろうということはだれも予想ができることなんです。経営の実態も見ないで妥当であるとかないとかそういう議論はできないだろうと思うのですが、いかがでしょうか。 そこで、公正取引委員会にお尋ねをしていきたいというふうに思うのですけれども、いまも述ベましたように、インスタントコーヒーの業界は資本金が二百二十八億円、こういうネッスル日本、これが約七〇%のシェアを持っているわけです。そして資本金は三十八億円の味の素ゼネラルフーヅ、これが約二〇%、こういうシェアを持っているわけですが、両社で約九〇%になるわけです。しかもこの両社は上場しておりません。そのために経営内容は一切公開されていないわけです。こんな業界も珍しいと思いますけれども、逆にどんな価格操作もこれでは可能ではなかろうかというふうに思うわけです。こういう状態の場合には、少なくとも経営内容の公開をある程度義務づけることを考える、このことが必要なのではないでしょうか。御意見を聞かせていただきたいと思います。
○橋口政府委員 インスタントの業界は、いまお話にもございましたように、上位二社で九〇%を超える典型的な寡占形態でございまして、輸入が七%程度ございますが、国内シェアで申しますと、四社で完全な独占というような形態になっております。そういう場合に、価格形成についてはどういう原理が働くかということは前から問題のあるところでございまして、一昨年改正されました独占禁止法の改正論議の際にもこういう寡占的な形態の企業に対するチェックの問題というのが大変大きな議論になったわけでございまして、結論的に申し上げますと、独占的状態に対して何らかの措置をとり得るというのと、同調的値上げについての報告徴収ができる、こういう二つの権限が公正取引委員会には与えられたわけでございまして、残念ながら価格水準そのものあるいは価格の引き下げが不十分であるかどうかということについての調査は権限が与えられておりません。 それから、いまお話がございましたように、典型的な多国籍企業の日本における法人でございますから、株式の所有形態から申しましても公開制はございませんし、また財務諸表の公開もないと いうことで、実際にアプローチをするというのは大変むずかしいわけでございます。 〔武部委員長代理退席、委員長着席〕 私どもといたしましては、そういう制約はございますが、インスタントコーヒーの輸入なりあるいは価格の実態、それからコーヒー豆の価格の推移とインスタントコーヒーの価格との関係等につきましては、可能な限り調査をしたいということで現在調査をいたしておる最中でございます。 ただ、農林省からお答えがございましたように、事業者の秘密に関する部分につきましてどこまでアプローチし得るかということにつきましては多少の疑問もあるわけでございますし、それから直截にお尋ねがございました財務経理の公開とか経営の公開とかいうことにつきましては、残念ながら現行法では処置がむずかしいということが実情であろうかと思います。
○藤原委員 いま公開制なりアプローチが大変むずかしいというふうな状態の中で、制約があるけれども調査をしているという話でしたが、通産省どうでしょうか、さっきから競争相手がないからとか品目の中で御説明があったわけですが、気候の変化がありますからとかいろいろ言っておられますけれども、そういうことでいいのでしょうか。経営内容の公開というふうなことをさせていく、そういう指導を強力にやる、そして国民の期待にこたえるということは要らないのでしょうか。 それから、農林水産省としてもこの業界の大手三社に対して資料要求をして差益の実態を解明するというふうなおつもりはないのでしょうか。通産省と農林省と両方にお聞きしたいと思います。
○本田説明員 私どもといたしましても、コーヒー豆の国際相場なり円高傾向等踏まえまして、関係企業に対しまして資料の要求はいたしておるわけでございます。ただし、やはり企業の秘密に属する部分につきましては提出を拒まれるというようなことがございまして、決して努力をしてないわけではございませんが、結果としてそういうものになっておるということを御理解いただきたいと思います。
○島田政府委員 いまお尋ねのインスタントコーヒーの関係は全部農林省の方でやっておられますので、ちょっと私の方の答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
○藤原委員 私はもう一つネッスル社からの資料を持っているわけです。この資料には末尾にこう書いてございます。「上記諸資料の内、当社社内資料は申すまでもないことでございますが、外部に漏れることのなきよう格別のご留意を賜わりたくお願い申し上げます。」こう書いてありますので、一応ここでの公開は私は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、私たちは国民の疑問にこたえるべく努力をしてきたわけです。ところが肝心な政府が、片や農林水産省は妥当な値下げは行っている、こうおっしゃりながらそれ以上の解明はしない、企業秘密でございますからということの繰り返し。そして片や経企庁は、毎月毎月値下げをしない品目として発表をしてくださる。こんなことでは真に国民に責任を持つ態度とは言えないというふうに思うわけです。その発表が正しいのか、実態に合っているのか、メスを入れることができなければ、長官が円高の効果が国内販売価格に浸透するよう努力していく、こうおっしゃっても絵にかいたもちにしかならない、こう思うわけでございます。監視だけでは私はだめだと思うのです。そこにメスを入れていただきたい。長官、ぜひともメスを入れていただけませんでしょうか。いかがでしょうか。
○小坂国務大臣 いまのゼネラルフーヅとネッスル、これは先ほども公取委員長からお話のございましたような性格の企業であるわけでございますから、やはり事情を聞かしてくれという程度の踏み込みしかないのではないかと思います。しかしさらに言うならば、われわれといたしましては、可能ならば他の方からのインスタントコーヒーの輸入という手もないではないと思うのでございます。いま確かにこの両社だけで九〇%のシェアを持っていることは現実でありますが、しかし他のメーカーからの輸入ということも同時に考えて一向に差し支えないことだと思うのでありまして、そうした藤原委員の御疑問に対してお答えをするということとともに、本日は大変あなたに啓発された面があります。さらにわれわれとしてもよく考え、農林省とも相談をして、なるべく解明に近づくという努力をしてみたいと思います。
○藤原委員 ぜひ明らかにしていただいて、ずいぶんコーヒーを飲んでいる、朝はもうコーヒーとパンというのが日本の日常生活になっているような事態でございますから、農林省はお米に切りかえたいということですが、一遍にはいかないわけですから、ぜひともきちんとメスが入るように御努力いただきたいと思うわけでございます。 次に、私は、同じ輸入品目であります洋書の問題についてお聞きをしたいと思います。 まず、通産省にお尋ねをいたしますが、洋書の輸入から販売までの方法と他の商品との違いは何かあるのかどうか。それから輸入洋書は為替差益は発生しているのかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
○細川説明員 御説明申し上げます。 第一点でございますが、洋書の流通経路につきましては、通常海外から娯楽雑誌あるいは文庫本の輸入販売業者が輸入をする場合、それからその他の雑誌及び書籍輸入販売業者が輸入する場合がございますが、それぞれその支店を持っている場合は、その支店に直接流すようでございまして、さらに消費者のところに直接その支店から、あるいはその支店からさらに地方の独立した書店に流すという場合がございます。地方書店にいきます場合に、支店を経由せずに別途一般の取次店から経由していく場合もございます。 それから他の産業との比較ということでございますが、これは比較する産業によりまして異なるという事情はあろうかと存じます。 それから為替差益が発生をしておるかという点でございますが、これはそれぞれの、いわゆる換算レートで見るべきであろうと思います。したがいまして、書籍、雑誌の場合の差益につきましては通常の差益計算の場合とは多少事情は異なっておりまして、これは国際的にもこのような換算レートというもので価格の決定がなされておりますから、その換算レートの動向をもちまして差益があるかどうかというような把握をすべきだろうというふうに考えております。
○藤原委員 この輸入洋書は、昨年来、大学関係者や需要者の中から差益を還元せよ、こういう強い要望が出されております。去る二月十五日に大学関係の七つの団体の代表者の方々が私どもの方にもいらっしゃいまして、何とか還元をされるように働きかけてもらいたい、こういう強い要望があったわけでございます。そこで私もこの問題を少し調べさせていただいたわけです。 そこで、この問題について幾つかお尋ねしたいと思いますが、まず通産省は、このような需要者の要求に対してどのような措置をとってこられたのか、御説明をいただきたいと思います。
○島田政府委員 御案内のように企画庁の方で調査をまとめておられます五十三年七月から輸入品の価格動向調査の一環といたしまして、輸入書籍それから輸入雑誌につきましての価格動向に対する調査、監視を私ども続けておりますが、それによりまして消費者に対する情報提供を行うということをやっております。 それからもう一つは、五十二年の十月、さらに五十三年の八月の二回にわたりまして、洋書輸入協会というのがございますが、それに対しまして円高効果の消費者価格への反映について一層の協力ということの要請を行った次第でございまして、協会の方は傘下の会員各社にその要請の徹底方をしたという報告を受けております。
○藤原委員 需要者と業者の間でいま一番大きな争点になっておりますのはどこかと申しますと、現在の洋書の価格が輸入価格に輸入のための直接経費、つまり荷づくり料とか、運賃とか、保険料とか、通関費用とか、国内運賃とか倉庫料など、いわゆるマークアップ、こう言われておりますが、こういうものを加えた独自のレートを使って洋書レートというものを設定している。このレートは業界が独自につくっているもので内容はみんなには余りはっきりしない。この洋書レートというのは現在二百七十円ということになっているわけですけれども、これをいまの為替レート二百円に比べるならば七十円高いわけですね。これがいわゆるマークアップ分だということになっているわけですが、レートが固定相場制であったときには、いわゆる円レート三百六十円のときには洋書レートは四百円に決まっていた。したがって、その差は一ドルについて四十円であったのが現在では七十円に広がっている、これはおかしいではないかというのが需要者の方々の意見であるわけです。通産省はこれに対しまして何かお調べになったことがありますでしょうか。あれば教えていただきたいと思います。
○細川説明員 御説明申し上げます。 御指摘の書籍のいわゆる換算レートでございますが、これは一般的な商慣行といたしましてわが国のみならず諸外国におきましても用いられております概念でございまして、これには先ほど御説明ございましたように輸入先からの購入価格のほかに、輸入のために要しました通信費あるいは運賃、一人件費等といった営業経費というものが相当含まれておるわけでございます。したがいまして、書籍の換算レートは必ずしも円レートの変動に応じて、いわばそれに並行した形で変動するということにはならないわけでございまして、他の要素費用の動向というものは無視できないものであるというようにわれわれは考えております。 したがいまして、これらにつきましてそれぞれの細かいものに立ち入って調査をした経緯はまだございませんが、いま申し上げましたような諸物価が高騰、上昇するという傾向にございます中にありましては、経年的に見ましても時系列的に見ましてもある程度ずつ徐々に上がっておるということが実情でございます。
○藤原委員 私は先日、洋書輸入業界の中で一番大手であります丸善、ここに行ってきまして直接お話を伺ってまいりました。もちろん洋書の主流が多品種、しかも多品種であるにもかかわらず少量だという性格のために、他の商品と同じ扱いで見ることができないということもそれなりに理解することができます。また、そういう性格のためにいろいろと大変な御苦労をいただいているということもよく理解をしてまいりました。しかし、幾ら一般的にそんなことを業界の方が言っていたり政府が原価公開の権限がないからと言っていても、それだけでは問題の解決はできないというふうに思うわけです。 そこで、大切なことは需要者の疑問に対して納得のいく説明をすること、政府としてはそれをさせることが必要だというふうに思うわけです。何も原価公開をさせるというふうな権限はなくても、そういう指導はできるはずだというふうに私は思うわけです。私は、そのことを率直に丸善の担当役員であります福田取締役とお話をして、需要者の方からの切実な声なんですよと言って、聞いたいまの話を全部したわけですね。そしたら、丸善としても検討する、こういうふうに約束をしてくださったわけです。 ついでに申し上げますけれども、洋書購入の一番のお得意様はどこなのかといいますと、国なのですね。全国の国立大学の図書館、国会図書館など、各研究機関、合計いたしましたならば相当な額に上るだろうと思うわけです。たとえば一、二例を挙げますと、国会図書館は年間三億四千万円です。東京大学では、一九七六年には洋書で三億三百二十三万円、洋雑誌は三億九百六十四万円、合計いたしますと六億一千二百八十七万円、こういうことになっているわけです。ですから、この問題は単に需要者と業界の関係だけではなくて、国としても最大の需要者の一員として問題の解明をする必要があるというふうに私は思うわけです。通産省としてぜひ業界を指導してもらいたい、こう思います。丸善の担当役員さんが検討すると言っておられるのですから、政府が業界に対して要請すればもっと早くこの問題は解明されるだろう、こう思うわけです。そうして国民の疑問に答えていくということが大切ではないでしょうか。通産省としてぜひ働きかけをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○島田政府委員 いま非常にに御示唆に富むお話を伺いました。なかなか立ち入って細かい実態ということの把握ということになりますと、先ほどからも議論ございますが、業界としてそれぞれの企業秘密と申しますか、というようなものもございまして、なかなかむずかしい点があるという点は御理解いただきたいわけでございますが、いまお話がありましたように、業界の方でどういう事情でこういうことになっておるのかというような点について、やはりユーザー側にその辺のところをよく説明をするということを、業界の方がそういうことをしようというような気持ちがあるとすれば、われわれとしても非常に結構だと思いますし、ひとつ洋書業界の方にそういう点につきまして検討するように話をしてみたいと思います。
○藤原委員 時間がありませんので最後に一言お尋ねをしたいと思うのですが、昨年の八月二十九日の衆議院物価問題特別委員会で円高集中審議を行いましたが、そのときに天谷資源エネルギー庁長官、当時ですね、こう答弁をしておられるわけです。それは「原燃料の価格のディスクロージャーの問題も含めて電気事業審議会で御審議をいただきたい」と、こういうふうに考えているとおっしゃったわけですが、それはその後どのように審議が進んでいるでしょうか。どこまで進んでいるのか、通産省から御答弁をいただきたいと思うわけです。
○上杉説明員 お答えいたします。 電気事業審議会の料金制度部会につきましては、ほかの当面する諸問題も幾つかあるわけでございますが、事業活動の内容の公開と広報活動のあり方というものをテーマの一つに取り上げまして、十月以降、現在審議中でございます。審議の中身につきましては、まだ進行中でございますので御説明を差し控えさせていただきたいと思いますが、いまの見通しでは三月いっぱいで報告書をまとめるという取り運びになろうかと思います。
○藤原委員 でき次第、途中経過でもよろしいですからぜひ御報告をいただきたいというふうにお願いをしたいと思います。 それから最後に長官にお尋ねをしたいと思います。 私は、きょうインスタントコーヒーと洋書の二つの問題を取り上げたわけでございますが、これは長官も心配しておられると思いますが、現在は、昨年の一時期のような円高が進行している時期ではないわけです。その中で、円高の効果を国内販売価格に反映しよう、こういうわけですから、いままで以上に突っ込んだ対策が必要になっているというふうに思うわけでございます。経企庁としても、単に価格動向調査を発表するだけではなくて、国民から疑問が出ております品目については、その疑問を解明するための処置を関係省庁や業界に要求することが必要だ、そういう態度が、先ほど長官も何度もおっしゃっております早目早目に手を打ちますということではないか。早目早目とはまさにこのことをしていただくことだ、実際に足を進めていただくことだというふうに思うわけです。長官の御答弁をお聞きして終わりにしたいと思います。
○小坂国務大臣 藤原委員のただいまの御発言は、われわれを非常に激励していただいたお言葉だと受けとめてありがたく存じます。また早目早目ということは、現時点においてはきわめて大事なことでありますが、非常に概括的に見まして、円高の、現在は百九十円がらみ、二百円がらみで安定しておりますが、これは前のいわゆる急カーブに円高になったその影響がなお今年の前半までは継続するというふうに考えております。いずれのところにもストックがあるわけでございますから、輸入即販売ということはあり得ないわけでございますから、そうした面を踏まえまして、われわれとしましてはなお円高の消費者還元ということを追求しようという基本的な姿勢をとっているわけでございまして、さらにただいま御指摘の諸点につきましても努力をいたしてまいりたいと思います。
○鈴木委員長 次に、依田実君。
○依田委員 同僚の委員がそれぞれ御質問になりまして、二番せんじどころではなくて、六党目ですから六番せんじに相なるわけでありまして、なるべくダブらないようにと思いながら質問させていただきたい、こういうわけであります。 まず最初に、消費者物価の見通しについての御決意でありますけれども、政府は御承知のように四・九%と、こういう見通しを立てられておるわけであります。しかしことしの公共料金の値上がりは異常じゃないか。来年一般消費税を、こういうような思惑でことしのうちに駆け込み値上げ、こういう説もあるわけでありますけれども、しかし一月から私鉄の運賃、二月が消費者米価、三月国立大学あるいは国鉄、五月にはたばこ、その間にはまたガソリンなりタクシーあるいはまた例の為替差益を還元していただいておりました電力、ガスの料金の値下げがとまるわけでありますから、そういう意味ではメジロ押しであるわけでありまして、いろいろな民間の経済界の予測を見ておりましても、どうも五・五%前後、あるいはまたその上をいくような予測が出ておるわけであります。そういう中で、石油の思わぬいろいろの事情がありまして、果してこの四・九%を守り切れるのかどうか、この辺の御決意をお伺いしたいと思うわけであります。
○小坂国務大臣 四・九%はわれわれといたしましての一つの政策目標でございまして、この程度以下に消費者物価を抑えてまいりたいと考えております。ただ、いま御承知のような世界情勢の大きなうねりが起こっておりまして、そうしたことによる海外価格市場も大分動きが活発になってきております。また、同時に国内も経済活動がだんだんと活発になってまいりましたから、そうした過去五年間にわたって逼塞していた日本の経済界もここら辺で少し前向きに動こうという機運が出ておりまして、ちょうどそれが両者合体いたしまして、このところ少し物価の上昇が、特に卸売物価にはわりあいに顕著にあらわれてきたというふうに考えております。そのような事態に対しまして、政府はできるだけ早目に対策をとるべきだという考えに基づきまして、本日閣議において物価政策の総合的推進ということを決めたわけでございます。これはそれぞれ個条書きにしてございますが、これをさらに詰めてまいりますと、各省庁におきまして相当具体的に手を打つことになっておりますし、また現在の物価の動向に対しまして政府部内は一致してある程度の警戒心を持っておるわけでございます。そうした意味におきまして、ただこの書かれております字面だけではなしに、実際行動しつつ事態を監視し、またあるいは異常な事態があればそれに対応しようということで今後進んでまいるつもりでございまして、こうした努力の積み重ねの中で、いろいろ困難はありましても四・九%の目標を達成する努力を続けてまいりたいと考えております。
○依田委員 何と申しましても不確定要素は石油の値段がどうなるか、こういうことだろうと思うのであります。先般予算委員会で通産省にいろいろお聞きはいたしましたけれども、しかしこれは物価全体、経済全体に与える影響が大でありますから、きょうは経済企画庁の御意見を伺わせていただきたいと思うわけであります。 通産省あたりは原油の輸入はそう減ってないというお見通しで、わりあい楽観的でございます。しかし、一−三月は確かに日本へ入ってくる原油が二%ぐらいの減でありますけれども、いま中近東で油を積んでおる船の状況などを見ると八%ぐらい減になっておるようであります。それより、向こうを訪ねるいろいろなそういう商社あるいは石油関係の人の話を聞くと、量よりも価格である、こういうふうに言うわけであります。きょうも物価担当の閣僚会議がおありになったといまお話しでございますけれども、そういう会議の中で、この石油の価格についてどういう御議論をなさっていらっしゃるのか。つまり、OPECの平均年一〇%のままでいろいろ経済企画を皆さんがお話しになっておるのか、あるいはもう少しシビアにお考えになってお話がなされておるのか、その辺を伺わせていただきたいと思います。
○小坂国務大臣 現時点におきましては、もちろんスポットで相当高値を発言している国もございます。しかし、これはあくまでスポットでございまして、まだ現時点においてはOPECの一〇%年平均上昇でございますか、こうしたことを基盤にして考えておっても、輸入の大宗はそれに依存しておりますから、現時点においてそれほどスポットの影響というものを高度に考えるのはむしろ危険ではないか。しかし、そういう要求がすでに出されておるという事態は十分踏まえてまいらなくてはならない、そのような意見交換にとどまっておるわけです。
○依田委員 通産省はこの備蓄を取り崩して、こういうことでいわゆる経済、企業の活動には影響のないように、つまり経済成長を落とすことのないように、こういうことでございます。それには、この三月一日、二日開かれますIEAの省エネルギー、節約についての会議で、外国側に納得をしてもらわなければならぬわけであります。通産省はいろいろ省エネルギー対策というのを考えておりまして、第一次、第二次というような案がございますけれども、こういう案の作成について経済企画庁がどの程度いろいろ参画されておるのかどうか。たとえば、一次の方は自動車の運行を二〇%減らすとかあるいはエレベーターを二〇%減らすんだとかあるいは暖房を摂氏二十度にするんだ、その程度でありますから、企画庁がそう調整をしなければならぬということもないかと思いますけれども、しかし第二次案の方を見てみると、将来はいわゆる週休二日制にするとかサマータイムを実施するとか、こういうことが案として出てきそうであります。そうしますと、週休二日にするということになると、即企業の経済活動に響いてくるわけでありまして、あるいはまたサマータイムにすれば、文部省なりあるいは労働省なりの反対なり、いろいろそういうものが出てくるはずであります。その辺のことについて、通産省としては省エネルギーについてどういうお考えを持ち、そしてこれからどういうふうに各省間の調整をして、世界から認められるような省エネルギー案をつくっていくのかどうか、この辺のお考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。
○小坂国務大臣 ただいまの御質問は通産省に対してでございますが、いま御指摘のような全国的な、あるいはまた非常に大規模な省エネルギー運動と申しましょうか、そうしたようなことに関連しましては企画庁も非常に深い関心を持っておりますし、また案を持っているわけでございます。ただ、一応申し上げたいことは、外部で見るよりははるかに政府各省間の連絡というものは密にやっております。たとえば、今回の石油の第一次案と申しましょうか、三%と伝えられているような案でございますが、これなども各省との連絡が非常に密になされて一応の案ができております。ただ問題は、われわれの方から申しましたことは、イランの混乱というもの、そしてまた、十月からすでに石油がとまっているという事態は、国民は非常に憂慮している事態である。しかし、この事態が起こった、直ちにアメリカ式の非常に強力な省資源運動をやる、省エネルギーをやるということは、むしろ国民に、一方においては恐怖感、一方においてはインフレ感、そうしたものを過度に植えつけることを恐れまして——第一次案は、幸いにして三月時点までは通産省その他の努力によって一応の石油が入荷する見通しが確実に立っておりますから、こうした事態を踏まえながらも、余りこれを先走り過ぎると危険ではないかということで、むしろ第一次案的な手ぬるいものにすることは、私と通産大臣と大蔵大臣と外務大臣あたりで話しましてそのような案ができておるわけであります。しかし、現状の情勢の変化はなかなか予測しがたいものがございますし、特にイランの石油再開がいつになるかということはまだ全く予測のつかないこと、もう一つはインドシナ半島における戦乱の勃発ということを踏まえまして、いろいろな意味からこの石油問題はやや長期にわたる可能性が非常に色濃いというふうに考えまして、これらの点について私の考えを通産大臣にも率直に話しておるわけでございまして、その第一段階としては、三月一日、二日ありますIEAの理事会と申しましょうか、そこにおいて日本側から一応の三%程度の削減案を提示するわけでありますが、それがどのような審議過程を経てくるか、そしてまた、五月にある閣僚級の理事会と申しましょうか、それにおいてどのような消費者国側の意見がまとまるのか、私らはそうした事態の一ともかく三月一日、二日の様子を見て、さらにこれは長期的な考え方の中で行動する方がいいのかどうかというような判断をしたいと考えて、その点はエネルギー庁長官とも、参りますものですから、よく打ち合わせをしておるわけであります。 いずれにいたしましても、現在の石油問題は、非常に残念なことには、アメリカのように国産原油がたくさんあればよろしいのですが、日本は九〇%が輸入でございますので、ちょっと、政府が余り危険であるというような意思表示をいたしますと、それが一波万波を呼ぶ可能性があるので、その辺が非常に行政的にも政治的にもむずかしい点でございまして、その点について各委員からも、大変激励やらいろいろと示唆に富んだお話を承っておりますけれども、そうした日本の置かれている事態というものも一応認識しつつ、政府は行動しかつ迅速にやってまいりたい、そのように考えておるわけであります。
○依田委員 これは、通産省の方ではまだいまの段階でそう早急にとは考えていない、こういうお答えだった件に、例の配給制度、ガソリンあるいは灯油、こういうものを切符制度にするということも検討しなければならぬだろうというぐらいのいま状態だそうでありますけれども、もちろん灯油とかガソリンは国民の消費生活に密接な、物価を左右するものでありまして、こういうものなどについても、経済企画庁がエネルギー庁とよく御相談をなさっておられるのかどうか。通産省の中でいろいろ具体的な実務関係のことを検討されておるようでありますけれども、そういう中に企画庁がお入りになっておるのかどうか。それから、先ほどのサマータイムあるいは週休二日制というものは、実施するまでに非常に問題点がいろいろある。すぐあしたから、こういうわけにはいかぬわけでありまして、そういう意味で、企画庁がこういうものを調整官庁として熱心に御検討になる姿勢があるのかどうか。この辺をちょっと伺わせていただきたいと思います。
○小坂国務大臣 いま御指摘の諸点につきまして、われわれは非常に重大な関心を持っておりますし、また、そういう事態が起こらぬことをもちろん非常に心から希望していますが、これもやはり予測でございますけれども、そういう事態に対応する方向はすでに企画庁庁内におきましても相当に議論を進めておりますし、他の関係官庁に対しても相当にいろいろな点でアプローチをすでにやっております。
○依田委員 油の問題はそのくらいにいたしまして、次は、日本と外国、つまり海外協調、貿易、そういう問題について、長官の基本的お考えを伺わせていただきたい、こう思うわけであります。 きょうの夕刊を見てみますと、牛肉の輸入をふやす、こういう、われわれ消費者にとりましてはありがたいお話が出ておりますけれども、しかし、外国から見ておれば、まだまだ日本のそういう輸入に対する枠がきついんじゃないか。アメリカも盛んに例の牛肉、オレンジ、最近は皮製品、いろいろ言ってきておるわけであります。 確かに、日本の農業を守る、あるいはまた生産者の利益を保護する、いろいろありましょうけれども、しかし、現在の国際環境の中で、やはり何としても、もう少し前向きに日本は海外から消費物資を輸入する必要が大いにあるんじゃないか、こう思うわけであります。この点について、ひとつ長官の御決意といいますか、お考えをお聞かせをいただきたいと思います。
○小坂国務大臣 日本の貿易の経常収支の黒字幅というものは、これはまことに日本人の正しい勤労のたまものであって、決してこれをわれわれが多いとか少ないとか、また黒字減らしというような言葉で言うことはまことに不遜であるという基本的な考えを持っております。同時にまた、日本の今日までの経済構造そのものが、やはり原料を輸入して加工して出していくということでありますから、本質的に言って、日本の経常収支が黒字であるのは当然のことであると思っております。 しかし、その点につきまして世界は、特にアメリカは日本の黒字幅が多過ぎるということで、いろいろと現在日米間でその問題についても討議をしているところでございますが、その問題を余り頭から拒否するわけにもいかない。また世界的に見ても、日本が世界経済全体の復興に対して、余り大きな黒字を持っているということ自体が世界じゅうから指弾されているという現状は、やはり日本の安全と申しましょうか、同時にまた経済的安全に対してもいまやマイナス的であるということを考えて、非常な無理なことでありますが、たとえば緊急輸入というような、これは普通のことで考えたらばかばかしい限りのことであります。せっかくかせいだドルを緊急輸入で使わなくてはならぬなんというようなことは実に愚かしい政策だと私は思うのでありますが、そんなことも無理してやって、今年度五十三年度には四十億ドルと号令をかけて、やはりそれは三十億ドルぐらい入るわけです。これを百九十円で換算していただきましても、どれほど大変なお金が出ていくかということになる。しかしまた、来年度の五十四年度を考えましても、やはりある程度のそういったことをして貿易バランスのしりを、少し黒字を減らすという努力をしなくてはいけないということもございまして、来年度は二十億ドル程度の緊急輸入もしなければならぬということであります。 そのような努力と一緒に、われわれとしましては、できるだけ製品輸入をしたい、完成品の輸入をしたい。こうなりますと、原料は先方もなかなか快く出してはくれません。したがって、製品で輸入をしたい。製品で輸入するならば、これは明らかに経常収支においての黒字も減ることになるわけであります。そのために大変な努力をいたしておりますが、このところ、十二月、一月の状態を見ますと、輸入総量の中で製品輸入が、それ以前は一〇%か一五%であったものが、最近はどうやら三〇%ぐらいにまでなってきております。 こうした製品輸入につきましても、日本のメーカーの方がはるかに日本の国民のニーズに合うものをつくっておりますから、本当を言いますと、相手にもっと勉強してもらわなければいかぬのです。しかし、それもいまだんだんとふえてきております。あるいは日本の製品価格が上がってしまうようになれば、製品輸入というものはもっと拡大するかもしれません。しかし、われわれといたしましては、卸売物価もまた消費者物価も上げたくないということでがんばるわけでありますから、要するに製品輸入が三割あるいは三五%ぐらいまでいくという事態をしばらく継続することの中で、世界的に見た、日本の経常収支の黒字を減らす努力をしているという明らかな証拠になるだろうというふうに考えて、通産省におきましてもまた他の官庁におきましても、できるだけ製品輸入に力を入れていこうというような方針をいまとってもらっておるわけであります。
○依田委員 いま製品輸入のお話がございました。この閣僚会議の中でも出ておりますけれども、並行輸入、これを厳重に妨げのないように実施したい、こういうことでございますけれども、われわれの感覚で、ウイスキーなども並行輸入されている消費物資ですけれども、どうも余りこれが、活用されておるというか、スムーズにいっておるのかどうかというふうに疑問に思う点もあるわけでありまして、細かい点になりますので局長で結構でありますが、いまこの並行輸入はどういうものを、そしてどの程度の効果が上がっておるのか、その辺、概略お話しいただければと思います。
○藤井(直)政府委員 並行輸入についての実態把握というのはなかなか困難でございます。しかし、どのくらいの量になっているかということを申し上げることはちょっとできないのでございますが、製品の種類としますとやはりウイスキーが一番多いようでございます。それからゴルフクラブとかネクタイ、ハンドバッグ、ライター、腕時計、こういうものが並行輸入が行われていることがわりに多い。これについて総代理店ルートを通ったものと並行輸入のルートによるものとの価格についてどのぐらいの差があるかということを公正取引委員会の方で調べられたものがありますけれども、おおよそ三割ぐらいの差があるのではないかというふうにも言われているわけでございます。輸入品の価格動向調査などをしてみますと、輸入品について何らかの競争が行われているということがありますと価格が下がるということでございますので、私どもとしては今後の輸入品の流通問題に関しましては、並行輸入を促進することが一番大事だと思っております。 そういうことで従来から続けているわけでございますけれども、今回の対策の中でもまた並行輸入の促進ということを特に強調しているわけでございます。公正取引委員会におきまして、一層並行輸入の阻害行為についての排除といいますか、そのためのいろいろな調査活動、さらには監視を続けていられるということで大いに期待しているわけでございます。
○依田委員 ウイスキーなどはいわゆる関税、そして酒税のいろいろ問題がございまして、大蔵省の担当官の方がいないところで言うのも申しわけありませんけれども、何となく痛しかゆしじゃないかと私は見ておるのであります。しかし、こういうところで書いてあるのでありますからこの並行輸入についてはぜひスムーズに実行されその効果が上がるようにしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。 長官に再び、貿易問題で長官の基本的お考えを伺いたいのでありますけれども、アメリカ側が言っている議論、きょうも通産省の橋本審議官の帰国談の中にも、日本の構造的黒字、来年もまた百億ドル以上の経常収支の黒が出る、こういう予想もあるわけでありまして、こういうものが一向に減らない。日本は経済七%成長するんだと言いながら、それも大平内閣になったら口をぬぐう、向こうの言うことは、一貫して日本側がアンフェアだ、こういうことであります。言うことと実際が違うんじゃないか、これが基本的に向こうの対日不信感の底にあるわけであります。向こうが言っておる。きょうは銀行課長がいらっしゃいます。この間もちょっと伺いました。きょうは伺いませんけれども、例の外銀の日本の中における活動に対する制限あるいはまたいろいろなものを輸入するときの日本の検査基準がきつ過ぎる、いろいろ向こうはそういうことを言っておるわけでありますけれども、長官どうでしょう。基本的認識としてアメリカ側が言う、日本がアンフェアだということについてどういうようにお考えになりますでしょうか。
○小坂国務大臣 アメリカ側は何を指して日本がアンフェアだと言うのか、その辺のところは私もつまびらかではございません。ただ、私が先方に行っていろいろ会った人々の話を総合しますと、やはりできないことをできるようなことを言わないことだというふうに考えます。やはりできることはできるんだ、できないことはおっしゃってもできませんと言うことだと思います。私は、まず基本的にそのことの一語に尽きるのであって、そうしたことがいろいろと屈折されて何か不信感のようなものになっていること、それからまた、アメリカ自体がいま非常なインフレ的な様子で、景気は非常によろしいのですが、しかし外交的には世界じゅうの問題が押しかかっておるので非常に焦っている段階ではないかと思うのです。こんなことは言つちやいけないのかもしれませんが。そうしたことからくる何か一種の、日本のそうしたことをとらえてそこを著しく拡大して言っているように思えて仕方がない。 ついては、第一義的にはアメリカは民間人の国でありますから民間人、そしてまた議会の各有志の議員の方々ができるだけアメリカへ行って日本の実情をお話し願うこと、やはり議員交流の大事なこと、それから民間交流の大事なこと。私はもう一回この時点で、非常に動揺しているいまの世界の中で日本が安全を守っていくということのためには、政府対政府だけの話ではとてもだめなんでありますから、民間対民間の対話を拡大していく、そうした意味において本当のことをお互いに本当に話し合えるという関係を確立することが一番大事ではないかと思います。
○依田委員 次に、地価の問題に移らしていただきたい、こう思うわけであります。 先ほども同僚議員の中からお話がございましたように、東京近郊八・七%の地価の上昇、こういうふうに出たわけでありますけれども、実際問題、われわれ東京に住んでおりましてこの統計数字は非常に甘いんじゃないか、こう見ておるわけです。いま東京、いわゆる旧市内、二十三区の中で坪七十万円以下の土地はもうなくなっております。いろいろな業界の方に伺いまして、どんなに交通不便な足立区の端の方あるいはわれわれ住んでおります板橋の外れの方でさえ坪七十万円以下の土地はない、こういうことになっておりまして、その感覚からいうと、ここ毎年三〇%から四〇%ぐらいの上昇を示しておるんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。その原因は、いろいろ諸般言われるように、インフレヘッジ、これに尽きるんだろうと思うのですけれども、それとまた絶対量が少ない、これは基本的なものであります。しかし、諸般言われるように、いわゆる過剰流動性が土地の投資へ流れておるんじゃないか、こういう説があるのでありますけれども、きょうは大蔵省の方に来ていただいておりますけれども、過剰流動性いわゆるM2、これの最近の動きについていかがでしょう。これは銀行課長でよろしいのでしょうか。
○平澤説明員 いま御指摘のお話につきましては具体的な数字を持っておりませんが、私の記憶ですと一二%ぐらいかと思います。したがいまして、そう高いものになってきたということではな、いんじゃないか、そういうふうに思っております。
○依田委員 きょうは銀行課長においでいただきましたのは、先般も予算委員会で出ましたこの地価の高騰を、要するに金融機関が後ろであおっておるんじゃないか。つまり融資を不動産の取引にたくさんしておるんじゃないか、こういうこと。それで、それに対する資料を大蔵省が調査しよう、こういうことになっておったわけでありますから、きょうはそのお話をお聞きしたい、こう思うわけであります。 私たちも末端の銀行の支店長クラスの方とよくお会いしますけれども、実際問題として、いま金融機関というのは土地の出物、このニュースをいかに早く集めるか、こういうことで毎日飛んで歩いているんだ、こういうことをよく伺うわけであります。もちろん預金の勧誘もしておるわけでありますけれども、その預金の勧誘の合い間に土地が、どこか出物がないか、一種不動産屋の先兵みたいなことをして歩いているんだ、こういうことをよく漏らされるのであります。ということは、つまりいい物件があれば銀行が融資をいたしましょう、こういうことに相なるんじゃないかと思うのでありますけれども、皆さん方、予算委員会へ出て、資料を集めてそういうようなことがあるならば、これを厳しく指導しよう、こういうお話だったのですが、これはいまどうなっておるでしょうか。
○平澤説明員 先生お話しございましたように、最近土地の価格に動意が見られるわけでございます。昭和四十七年から八年にかけまして同様に、その当時は大変狂乱物価で土地が上がったわけでございます。その当時の金融機関の融資の状況を見ますと非常に大きな伸びを示しておりまして、たとえば不動産業向けの融資は年率で六六・四%というような非常に高い伸びであります。そのときの総貸し出しが二五・三%で、両方とも高いのですが、不動産業向けの融資が特に高いというわけでございます。しかし、最近の同じ数字をとってみますと、総貸し出しの伸びが十二月末で年率九・七、不動産業向けの融資が一二・六ということで総貸し出しを若干上回っておる。かつまた、それまでの伸びに比べますと、それまでの伸びは大体一けたにとどまっておりますけれども、この十二月末になりまして、一二・六と若干上向いてきている傾向が出てきております。これをどう読むかということにつきましては、いろいろな見方があるかと存じますけれども、われわれといたしましては、一昨年来、財政主導型で日本経済を引っ張ってまいっておりまして、その際に住宅投資等のための財政投融資というのが非常に伸びてきております。そういうようなことがいろいろございまして、実需としての土地その他の動きはやはりかなり出てきているのじゃないか。したがって、それに見合った金融機関の融資の伸びではないか、このように現段階では考えております。しかし、先ほど申し上げましたように、過去の非常に不幸な経験がございまして、狂乱物価を支える一つの原因としてかなりの金融機関の融資があったという前例もございますので、この際予防的な措置として金融機関に、今後そういう土地投機を助長するような融資は厳に自粛してほしいということで通達を出すとともに、それを裏からチェックするというような感じで数字を毎期四半期ごとに大蔵省に出してほしいということを通達したわけでございます。したがいまして、まだ通達を出したばかりでございますので、具体的な数字につきましては三月末の数字が恐らく四月の二十日過ぎくらいに出てくる、こういうことになるのではないかというふうに考えております。
○依田委員 それでは最後に、雇用の問題の中から一つだけお聞きをしたい。 きょうは労働省の方にも来ていただいておるわけですから、お尋ねをさせていただきたいのでありますけれども、最近国会などで、いわゆる中高年齢層の雇用につきましていろいろ対策が出されておりまして、本当ならば企業が払うべき給料の大部分を国が払うくらい手厚いめんどうが見られるわけでありますけれども、一方、新卒、これは大学、高校を問わず新卒、特にきょうは大学についてお聞きをしたいのでありますが、大学卒の就職というのが非常にむずかしくなっておるわけでありまして、新聞などによりますと、どうも四割程度あふれておるということでありますけれども、ことしの新卒の就職状況についてもうすでに統計資料が労働省に上がっておるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○田淵説明員 まず、中高年層に対する労働省の施策によって、中高年の失業者に対する対策を拡充しようとしておるわけでございます。それが新規大卒、高卒の就職戦線に影響を及ぼさないかという点についてでございますが、これは先生御承知のとおり、わが国におきましては、諸外国と違いまして、賃金、雇用慣行が年齢によって非常に差がございまして、わが国独特の年功序列賃金というようなこともございますし、それから、企業がまた新しく無技能の新規学卒を採用して、企業の中で教育訓練をして熟練工に育てていく、あるいは会社に精通した社員に育てていくというような過程もございますので、新規学卒についての需要は非常に大きくて、中高年の失業対策を進めるということに余り大きな影響は出ないのではないかというふうに見ております。 本年度の三月卒業生の状況につきましては、ちょっといま私どもで調べております数字は古いのでございますが、十二月末の私立の十一大学を例年抽出して問い合わせております数字では、昨年より若干内定率が、私立の大手の大学でございますが上回っておりまして、ほぼ昨年並みより若干強含みというように推移いたしております。高卒につきましても、毎年十月から採用が開始されておりますが、一昨年は十二月末現在で八一%決まっておりましたが、ことしも八一、二%程度で、ほぼ昨年並みに推移いたしております。したがいまして、本年三月卒につきましてはほとんど問題がないというふうに見ております。ただ、文部省の方の発表されました昨年三月卒の大卒の状況で、かなり無業者がふえておるという統計が出ております。これは、無業者が四万人ということで、かなり大卒の失業者がふえているのじゃないかというふうな記事でございますが、過去、五年ばかりさかのぼりまして昭和四十八年の、まだオイル・ショックの影響以前の好況期におきましても、卒業生が約二十九万の大卒に対しまして二万五千人ばかりの無業者が、当時でも八・六%ございました。それが若干ふえてはおりますが、昨年三月卒で三十五万人の卒業生、卒業生もかなり、六万人ほどふえております。無業者が二万五千人から四万人にふえておりまして、一一・四%でございます。確かに不況の影響で若干ふえてはおりますが、それほど心配するほどではない。そして、無業者四万人の中で二万人が四年制女子大生だという内訳も出ております。そういうような影響もあって、確かに大学卒業生は非常に数が多くなっておりますし、不況の影響も確かにございますが、一応私どもの学生職業センターというところで直接大学生の職場を扱っておりますが、まだ求人がかなり上回って、中堅企業等では欲しいけれども来てもらえないといったような企業もございます。
○依田委員 就職の総数もそうでありますけれども、問題は、就職試験のやり方について私このごろいろいろ感じておるのであります。企業で、これは労働省の御指導で十一月形式的にいわゆる解禁ということになるのでありますけれども、実際問題としては、もうほとんど一流企業では採用者を内定しておる。しかる上で形式的に試験だけをする。こういうような風潮が非常に多くなっておるのであります。ですから、試験場へ行ってももう採られる人は決まっている、学生はそれを知らないだけだ、こういうことで、非常に若い人を傷つける採用試験をやっておるところが非常に多いのであります。私は、これは非常に企業のわがままだろうというふうに思うのです。何か企業エゴイズム、会社だけがよければ若い人の心を少し傷つけてもというところが非常によくあらわれているのじゃないかというふうに思うのでありますけれども、労働省の方へこういう問題で学生さんなりから苦情なり、あるいはまた皆さん方がこの試験のやり方はおかしいじゃないかという、つまり企業の採用試験のやり方について何か感づいていらっしゃるのかどうか、調査なさっておるのかどうか、その辺を伺わせていただきたいと思います。
○田淵説明員 いま先生御指摘のとおり、中央雇用対策協議会という産業界の常設団体の集まりがございまして、労働省もメンバーに加わっております。その中央雇用対策協議会で決議をいたしまして、十月一日から企業と大学生との接触を開始する。いわゆる企業訪問と申します。それから、十一月一日以降に試験、採用選考開始という申し合わせがなされておりまして、これを守ろうということになっておるわけでございます。十月一日の線を破っておる企業というのは本当に特殊の企業でございまして、ごく一部だと思っております。 問題は、企業との接触が始まるものですから、十月一日以前に内定とかあるいは内々定という形で事実上かなり進行しておるケースが昨年は特に目立ったわけでございます。そういうことを受けまして、正直者がばかを見るというようなことであってはフェアプレイの精神にも反しますし、学生にとっても新しい人生のスタートがそういうような不公正な立場で行われたのではやはり問題があろうということで、昨年の十二月の末に開かれました中央雇用対策協議会では、この十月、十一月という協定は今後とも続けるけれども、その細目をより細かく取りまとめていただきまして、それを今後守っていく、場合によれば、そういうフライングをした企業名は公表するというようなことで社会的制裁を仰いで、決めたものを守っていこうということが決議されておりまして、座長は日経連の松崎専務でございますが、ぜひ守らすように労働省も監視の目を光らせろという御意見をいただいております。
○依田委員 ぜひひとつ細目をつくっていただきまして、せっかく試験を受けに行って、その公開試験の中から一人も採らない、こういうようなことがあっては困るのでありまして、ひとつぜひ細目をつくっていただいて、そしてまたそれを企業に確実に守っていただくようにしていただきたい、こういうふうに思うのであります。 それからまた、この新卒者の就職の一つの問題でございますが、これは名前を挙げていいのかどうかわかりませんけれども、最近特にほかの面で猛烈企業と言われておる百貨店、ここへこの三月に卒業して四月から勤める学生たちが十二月呼び出しを受けまして、年末忙しいから働きに来い、こういうことであります。二、三日のことならよろしいのでありますけれども、相当長期にわたって働きに来い、つまり一月近く来い、こういうことであります。新卒者としてはまだ学業半ばであります。本来ならば学校へ行きたいのでありますけれども、しかし、この就職が取り消しということになると困る、こういう危惧から勤めに出ておるわけであります。そしてまたその一人一人に、君たち一人ずつ百万円のお歳暮の注文をとってこい、こういうことを具体的に言われておるのであります。学生である身に百万円というお歳暮をとってこいというのは、これは余りにも行き過ぎじゃないか。学生がとれるわけはないのであります。親にすがるかしなければならぬわけでありまして、こういうことが行われているということは、私はやはり企業の何かもうけるためには何でもいいのだ、こういう態度が非常によく出ているのじゃないかと思うのでありますけれども、そういう点について実情をお聞きになったことがあるかどうかお聞かせいただいて、またそれがもし事実とすればどういうふうにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
○田淵説明員 実は私は、先生から内々承りますまでこういう事実を存じ上げませんでした。早速二、三そういう業界に問い合わせてみましたところ、そういう実習訓練というような気持ちでアルバイトをさせている企業があるということがわかりました。詳しいことはまだ承知いたしておりませんが、一般的に申し上げますと、採用内定後にアルバイトを強要し、あるいは目的を達成できないと採用しないというような条件にする、あるいは採用後に不利益を与えるというような強制的な形でありますと、やはり対等な労働契約の締結という意味で若干問題がありはしないかと思います。また教育上の見地から考えましても、在学中にアルバイトを強要し、本人に精神的、肉体的に過度な負担をかけるような場合におきましては、やはり教育上も問題があるのではないかと思います。ただ、私が聞きました企業では、決して義務ではなしに一つの目標であり、一切その後の取り扱いにそれによって影響する考えはないし、できなければできないでいいのだというふうに指示しておりますという御返事でしたが、今後具体的に問題があるようなときには必要に応じて調査をし、必要な指導を加えたいと思っております。
○依田委員 企業の方は義務ではない、こうおっしゃいますけれども、受け取る方は、これは強要だと受け取るのは当然だろう、こう思うわけであります。それ以上深くこの事実を私はここでとやかくは申しませんけれども、しかし全体の風潮として企業の姿勢にいろいろ問題があるのじゃないか、こう思うのであります。経済不況でありますから減量経営をしたい、これは当然だろうと思います。しかし、やはり企業の社会的責任として、好況のときだけは人をぼんぼん採るけれども不況になったら一人も採らぬ、こういう態度も私は納得できないわけであります。長官は、前は御自分の企業を持たれておるわけでありまして、この辺の最近の雇用に対する企業のお考え、態度についてどういうようにお考えになるか、一言お伺いをしたい。
○小坂国務大臣 何かそれ弾に当たったみたいですけれども、経営者というものはそんなに教養の低い者がやっているはずはないのでして、またもしもそういうことがあるとすれば、それは私は本当に恥ずかしいことだと思います。まして就職というものは青年にとっては一つの大目的なのですから、そういう大目的に純真にこたえている青年に対していまおっしゃるようなことが事実とすれば、私はそれは全く話にならない経営陣だというふうに考えております。
○依田委員 いろいろ伺わせていただきまして、長時間遅くまで長官にいていただきましてありがとうございました。これで終わらせていただきます。
○鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十六分散会