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87回国会衆議院1979/04/26

農林水産委員会 第10号

発言数
87
登壇者
14
会派数
4
開催日
1979/04/26

会議録

佐藤隆自由民主党

○佐藤委員長 これより会議を開きます。  農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  この際、渡辺農林水産大臣から、日ソサケ・マス漁業交渉の結果について発言を求められておりますので、これを許します。渡辺農林水産大臣。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○渡辺国務大臣 サケ・マス漁業交渉の結果について御報告を申し上げます。  四月三日からモスクワにおいて行われてきた日ソサケ・マス政府間協議は、モスクワ時間四月二十一日午後妥結するに至り、同日、日本側魚本駐ソ大使、ソ連側カメンツェフ大臣の間で、「北西太平洋における千九百七十九年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書」に署名を了しました。  合意内容は、大要次のとおりであります。  総漁獲割り当て量、当初ソ連側は、極東サケ・マスの資源状態が悪いことを理由に三万八千トンの提案を行ってきましたが(日本側提案五万トン)、わが方としては、本年はカラフトマスの豊漁年でもあり、ソ連側提案は受け入れられないとし、粘り強い交渉に努めました結果、昨年と同量の割り当て量四万二千五百トンをもって合意したのであります。  禁漁区域につきまして、当初ソ連側は、特にソ連側が強い関心を有するベニザケ、シロザケ及びギンザケの資源状態が悪いことを理由に昨年の禁漁区域の拡大を要求してきましたが、わが方といたしましては、禁漁区域等の拡大はわが国漁船の操業に重大な影響を与えるなどのことからこれは受け入れられないとし、種々説得に努めました結果、禁漁区は昨年どおりとすることで合意しました。  操業期間につきましては、昨年と同様五月一日から七月三十一日までといたしました。ただし、ソ連側が禁漁区の主張を撤回した水域一東経百七十度、東経百七十五度、北緯四十四度、米国二百海里の線で囲まれる水域一につきましては、ギンザケ、未成魚等の保護を図るため、終期を前年の七月三十一日から六月十五日に繰り上げることで合意いたしたのであります。  漁業協力につきましては、極東サケ・マス資源の保護、再生産等のためにソ連側が支出をした経費の一部を補てんするとの趣旨で、本年について三十二億五千万円に相当する漁業協力を行うことで合意いたしました。ただし、漁獲割り当て量の四万二千五百トンが達成できない場合には、比例的に減額されることとなっております。  以上の結果、今次交渉の当初心配されていたわが国サケ・マス漁業の操業の継続が確保されるとともに、減船という憂うべき事態も回避できるものと考えておるのであります。  日ソサケマス漁業交渉結果の概要につきましては、お手元に配付した表のとおりでございますので、御了承を願いたいと存じます。  以上をもちまして報告といたします。

佐藤隆自由民主党

○佐藤委員長 以上で説明は終わりました。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新盛辰雄君。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 ただいま日ソサケ・マス漁業交渉の結果について大臣から御報告がありました。この問題について、交渉の経緯に当たっていろいろと議論なされたわけでしょうが、総じて漁獲量は昨年どおり、しかし実質的には削減を受けているという実情の中で、漁業協力費などを中心にしたいわゆる金でつったサケ・マスじゃないかとか、あるいは高くつく沖取りではないか、消費者にとってはこれは大変な迷惑な話だというようなことなど、いろいろと批判があります。他方では、昨年のように減船にならなかったということは一定の成果があった、あるいはまた交渉も短期間に行われたということでも従来に見ないある程度の前進ではなかったかというような評価の一面もございます。  この際、農林水産大臣として、今回の漁業交渉の結果を見てどういうふうな御感想、御見解を持っておられるか、まずお聞かせいただきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○渡辺国務大臣 結論的に申し上げますと、今回の交渉は、森水産庁長官を団長として数名の方がおいでになり、また漁業者代表の大日本水産会会長やまた顧問団の方々ともいろいろと協議をせられた結果、真剣な交渉をしたのでございますが、私は、その結果はおおむね良好なものである、こういうように評価をいたしておるのでございます。  その理由を簡単に申し上げますと、各国とも海洋法会議等において合意せられておることは、やはりサケ・マスは母川国主義をとるということでございます。つまりサケ・マスはそれぞれの国に帰属すべきものであって、したがって、アメリカにおいてもカナダにおいてもソ連においても、それを公海上でとるというようなことはいたしておらないわけであります。したがって日本も、日本のサケ・マスもおることであるから、日本のサケ・マスは日本の川や日本の川の出口の近く、沿岸でとったらいいじゃないか、途中でとってしまうから、数カ月前にとってしまうので、大きくなるものを小さいうちにとってしまう、こういうことはやめようではないかという話なのであります。これはこれなりに私は一つのりっぱな理屈があるだろうと存じます。  日本におきましても、すでに二万トンぐらいしかとれなかったサケ・マスを、放流をすることによって、また川をきれいにすることによって、いまや五万トンを超えるサケ・マスが日本の沿海及び河川でとれるようになったわけですから、これをどんどんふやしていって、近い将来には八万トン、十万トンにしょう、また、できる可能性を目の前に見ておるということでありますから、やはり日本でつくったものを韓国なりあるいはほかの国が来て日本の周りでとるということになれば、日本だって当然これは文句を言う時代が来るはずであります。こういうことを考えますと、それはそれとしてやむを得ないことである。しかしながら、日本は長い間、公海、あるいはソ連の二百海里の中に入るようなところもございますが、そこで長い年月の間とっておったという現実の実態があるわけでありますから、その現実の実態を踏まえると、伝統的な漁業者といたしまして、それが一挙にあるいはかなり経済的な混乱を生じるような状態にやられることは困りますよ、これについては両方で話し合いの上で決めていこうじゃありませんか、これも世界じゅう認められておる思想でございますので、そのとおりわれわれは交渉をし、そうしてその母川国については、これこれの費用がかかっているんだ、ソ連側においては日本がとっているサケ・マスをふ化放流するためにこれだけの費用がかかっている、その費用の相当部分について、つまり日本は四万トンからとっておる、ソ連は十二万トンしかとっていない。したがって、十六万トンの総漁獲高の中で、四分の一相当のものは日本が持ってくれということでありますから、それについては応分のものを持つということもこれはやむを得ないということで、向こうは三十五億円を持てということであったが、こちらがいろいろなことの交渉の結果、禁漁区域も開放してもらうというようなことなど、いろいろ条件といいますか、いろいろな交渉の経過を経て、三十二億五千万円を支出することになったのでございますので、まあ全体から見ればまずまずであるというように私は考えておるわけでございます。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 交渉の任に当たられた森水産庁長官、御苦労さまでした。それで、この交渉の具体的な問題でお聞きをしておきたいと思います。一  今回の場合、確かにサケ・マスの総漁獲量という面における初めのやりとり、その後、最終的に決定した四万二千五百トン、この中で、公海いわゆる三角水域と言われる東側の部分について、相当ソ連側の方が執拗に禁止区域を拡大しようという動きが当初見られたのですが、その後、急転直下、そのことは一つの交渉技術の裏側に隠して、実は漁業の協力費を増額する、倍増するということにつながったようであります。言ってみれば、資材、機材その他いまソ連側の方として沿岸地域にこうした母川国主義の方式をとって、言うなら、サケ・マスのこれからの産卵ふ化、そういうことに力を入れるということで、昨年もそのことで一応の協力費を出したわけでありますが、どうしてこの協力費が倍増に近い三十二億五千万円、こういうことになったのか。森長官は、この評価としてはサケ・マスの再生産のために日本とソ連で漁獲量に応じて経費を負担していくという算定方式は妥当だという御認識に立っておられるわけですから、これからの沖取りがさらに継続をしていくのか、あるいは沈下していくのか。もうとれなくなって、母川国の沿岸側に移り変わっていくという形の中で、こういういわゆる漁業協力の経費というのが倍増されたのか。この辺のところが、どうも交渉上のテクニックだけには思われない節がありますので、このところをひとつ、根拠についてまず御説明いただきたいと思います。

森整治水産庁長官

○森政府委員 漁業協力費につきましては、ソ連側の主張は、算出そのものについて去年とことしとは違うんだということを当初から主張をしておったわけでございまして、昨年の漁業協力費の決め方というのは、漁獲金額にパーセンテージを掛けまして漁業協力費を算出するというやり方であったわけでございます。そのパーセンテージをめぐりましての折衝が行われたということは、昨年農林大臣からも詳細に御説明があったと思います。  で、ことしは、私どももそういう算定方式なり算出の基礎を一応考えておりましたけれども、ソ連側は、パーセンテージが幾らであるかという確たる論拠というのはないではないか、それであるならば、それこそ去年わが方は一〇%という主張をしたと、ソ連側はですね、そういう過程で決められた数字であって、四・五は、イシコフさんが非常に漁業に詳しい人であったわりには、私はいまでも何であんな少ない額に決めたか不思議でならないという話までいたしました。  要は、ソ連側が言っておりますことは、一つは、いま日本がとっておりますのはほとんどがソ連系のサケであるということ。それからもう一つは、そのソ連系のサケに対して、ソ連側が再生産なり保全のために相当な経費を支出をしておる。その経費を支出しておるのはいろいろ各省にわたってやっておって、一億四千万ルーブルという数字を出しましたけれども、そこまでは言わないが、漁業省が支出している四千七百万ルーブルを負担してもらいたい。そのうち、先ほど大臣が御説明をいたしましたように、約四万トン日本がとるとすれば、当初三万八千トンと言っておったわけですが、ソ連は十二万トン、これはゴスプランの計画生産であるという説明を向こう側はいたしました。そこで、十六万トン。十六万トンのうちの四万トン、すなわち二五%を日本が負担するとすれば、約一千百万ルーブルになる。それを円換算いたしますと約三十五億円という数字を出してきたわけでございます。その額を負担していけば、むしろ安定した計算になるし、安定操業にもつながるではないかとまで向こうが言ったわけでございます。ですから——ですからというのはおかしいですが、先ほど先生からも御質問がございましたけれども、将来の問題も一部考えながら、それからもう一つは、やはり総漁獲量の上積みをしてもらいたい、それから禁漁区の解禁はぜひやってもらいたい、この二つの要求と、漁業協力費のどこまで出せるかということの絡み合いで決まったわけでございまして、片や去年相当数の減船を行わざるを得なくなった中で、考えてみますと四百五十億の政府の交付金を出しておるわけでございまして、そういう事態が何とかして避けられるならばということもございました。  いずれにいたしましても、ある一つの算定の基礎としましては、私は考え方としては一つの考え方ではないかというふうに思っております。ただ、その額のいかんという問題につきましてはいろいろ御論議はあろうかと思いますが、そういう経過で妥結した数字が三十二億五千万円ということでございます。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 国民の側から見ますと、単純に昨年の総漁獲量四万二千五百トン、ことしも漁獲量として四万二千五百トン、昨年並みになっている。昨年の漁業協力費は、算出根拠についていろいろといま説明ありましたが、十七億六千万。ところが今回は、内容の面ではシロザケとかベニザケの尾数が減少しておりますし、また新たにギンザケの尾数制限を受けているのです。だから数が少なくなった。それなのにどうして三十五億。これは四千七百万ルーブルの四分の一、だから三十五億になるんだが、それはちょっと高過ぎるから三十二億五千万円にと、交渉の面でそういうふうになったとしましても、倍増するというのは理屈が通りますか。漁業協力としてすでに昨年も機材などを、この十七億六千万円相当のものをソ連側の方に渡しているわけですね。そして今回また新たにこういう機材でもってやろうというのです。私どもは勘ぐるわけじゃありませんが、サケ・マスのふ化の、母川国主義ということでいろいろ沿岸整備をされるとかそういう面で、果たしてそれにかかわる機材だけを要求されるのかどうか、それはよくわかりません。しかし、これは余りにも高額じゃないか。資源保護対策費をソビエト側の方が四千七百万ルーブル使ったから四分の一という算出根拠なり、あるいはソ連十二万トン、日本四万トン、二五%といえばこういうふうになるんだという単純計算で積み上げとしては理解できないわけじゃありませんが、余りにも金額が多過ぎるじゃありませんか。だとすれば、毎年毎年沖取りの数量に応じて恐らく額がどんどん上がるんじゃないかという不安を持たれるのは当然でありまして、われわれ素人筋が見ましても、これはまたどんどんふえていくんじゃないかという心配もあるわけです。  だから、この辺を考えていけば果たしてこの漁業協力費の性格は何だろうか、このことについてぜひもう一回御説明をいただきたいと思うのです。

森整治水産庁長官

○森政府委員 私どもが理解しております漁業協力費は、ソ連が母川国として極東のサケ・マスの資源の保護、再生産のために経費を支出しておる、それからわが国が漁獲をしておりますサケ・マスがほとんどがソ連系であるということで、ソ連が経費を投入した分に応分の協力を行うという趣旨のものというふうに理解をしておるわけでございます。  それから、先生いま申しました中で、この協力費はすべてサケ・マスの再生産なり保存に使われるものであるということは確約を向こうもいたしておりますし、そういうものに役立つ現物、機材なり設備を日本側で民間がそろえて供与をするというやり方になっておるわけでございます。したがいまして、その機材なり設備が再生産のために再投下されるわけでございますが、過去に使われた費用の一部を負担するということではございますけれども、それが再びソ連系のサケ・マスの再生産に使われて、資源の拡大維持に寄与していくという性格のものと私どもは理解をしておるわけでございます。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 その性格についてはどうも明確じゃありませんが、入漁料の関係とは一体どうなるのですか。それだけ聞かしてください。

森整治水産庁長官

○森政府委員 いまわれわれと世界の各国との交渉でいろいろ問題になっております入漁料は、まさに二百海里の経済水域なり漁業水域の区域の中におきます漁業を行う、逆に言いますと、沿岸国が管理権を持って管理しています水域におきます漁業を行う見返りに払う入漁料でございまして、公海におきまして、少なくともソ連の二百海里以内では漁獲は禁止をされており、またとっておらない。公海におきますソ連の起源のサケ・マスに対しまして、先ほどから申しました再生産、保存のための費用を応分に負担していく漁業協力費ということでございます。性格は全然違うものであるというふうに考えておるわけでございます。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 それはおかしいじゃないですか。漁業協力費というのは、再生産のために沿岸の母川国主義を、これは海洋法上の問題がありますが、協力費という形の中でいまおっしゃっているように資源保護対策という面も含めてのことなんで、性格は違うのだとおっしゃるわけですが、ソ連への漁業協力費と別に、昨年の一九七八年に支払った入漁料、これは各国政府間協定に基づくものなんですが、あるいは米国、ニュージーランド、パプア・ニューギニア、南アフリカ共和国あるいはカナダ、ギルバート、ソロモン、こういうのに入漁料としてお払いになっているのですね。この一部分には、海外協力事業というものもこれは別にあるかもしれませんが、あるいはおっしゃるような漁業協力費というのも入っているのかしりませんけれども、これは公海二百海里以内における各国沿岸でとったりする場合に払う政府がいままでやってこられた分が、これで三十億八千七百万というふうな資料が出ております。ところが今回の漁業協力費というのは、日本の総漁獲量一千百万トンのうちの〇・四%、四万二千五百トン、ソ連への分だけに何で三十二億五千万という莫大な経費をかけなければ、協力費を出さなければならないのか。そしてまた、ソ連を除く去年の海外協力事業費、これはすでに研修員の受け入れとか、専門家を派遣するとか、機材の補助だとか、中小漁業投資前調査の専門家を派遣するとか、これでわずか一億五千百七十五万、こういうものを支出しておるわけですよ。これは海外協力の部面じゃないか。いわゆる漁業協力の関係でやっておられるとおっしゃいますが、一部分は海外協力の面と理屈は同じじゃないか。また一部分は入漁料じゃないか。だから、私どもいろいろ調べましたら、これは漁業協力費だと言っているけれども、本当は入漁料が倍増したのだ、恐らく今度は南太平洋フォーラムの各国々の二百海里における入漁料もこれにつれて倍増していくのじゃないかという不安をお持ちになっているわけです。だから、本当に入漁料なのか、海外協力費とまた別だとおっしゃるならこの漁業協力費、この辺の性格がわれわれどうもピンと来ないわけです。そのことをひとつ大臣どうお考えですか。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○渡辺国務大臣 実はこの金を決めるときに私どもとしては一番はっきりさせておかなければならぬというのは、その点なんです。そこで、問題は、入漁料と同じと思われるとほかの国もまねをするのじゃないかというあなたの心配は、私も心配をもちろんしたわけです。そこではっきりしよう。一つは、入漁料は二百海里の中でしか払ってません。これは公海のところであって本来なら一円も払う必要もないところなんです。ところがサケ・マスという遡河性の魚類については、これはそれぞれその国のものであるということがすでに海洋法の第七回の会議で各国とも合意に達しておるところですね。  それからもう一つは、そういうようなサケ・マスをふ化放流をしたり、いろいろな経費をかけたりした場合には、話し合いの上でそれ相応に対する金を払うこともこれは結構なことなんだということも決まっているわけです。  そこで、もう一つは、その金を払っても、その払った金が全然別なところに使われるということでは困る。入漁料の場合は金を払ってもどこへ使おうがその取った方の国の国庫に入っちゃうだけであって、別に特定の目的を指定しているわけでもなんでもない。ところが、今回はソ連がすでにかけた経費と、今後いろいろな機具、機材を提供をしてさらにサケ・マスをたくさんとれるようにしましょう、こういうことですから、もうちゃんと大日本水産会が業界から金を集めて、しかも品物で、なるほどこういうふうなことをやればサケ・マスもっとふえますねということをお互いに話し合った上で、将来のサケ・マスがふえるというためにつくられる施設を施設としてこちらが持ち込んでいくわけですから、他に流用されることは全然ないという点も、入漁料とはまるきり性格が違うということなんですね。もう魚がふえるための施設しかつくらぬわけですから、そこが全然違いますよと。  それからもう一つは、それにしても額が多過ぎるじゃないか、もっと少なくしたらどうだ。われわれは本当にもうただにしてもらったらそれは一番いいのです。ところが、御承知のとおり禁止区域をソ連は設けまして、それなら最後になったら、それじゃイエスかノーかどっちかという話になったわけですから、あと二日間で何とかして決めなければこれは困る。当然払うのは漁業者が払うわけですから、政府が払うのじゃないですからね。したがって、漁業者の代表をちゃんと一緒にモスクワに連れていっているわけですから、これはどうするか、やめて帰ってくるか、それとも少しよけいになるけれども、禁漁区域も全部広げて撤廃してもらって、それでとにかく金も払って決めるか決めないか、どうするという相談もしているわけですよ。この交渉で、さらに安い高いでやると一週間や十日すぐかかってしまう。すると五月一日の出漁ができない。魚は動く。ことしは特に暖かいから、さっさと魚がソ連の二百海里内に入っていったら全然とれなくなってしまう。枠だけもらって入漁料安くしても、一匹も魚いなかったじゃこれは困るというようなこともありまして、相談の結果、まあ仕方がないわ、これでどうだ、減船しないで済むか、何とか減船しないで済みそうだ、もうけは少しその分だけ薄くなる、それはそういうことになりますわな。まして期日も狭められておるわけですから。そこで相談をした結果が、ともかくそれでもう早く決めてもらいたいということなので、政府としてはそれじゃ決めようという断を最終的に実は下したというのが実態でございます。そういうわけでありますから、何分御了承を願います。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 苦しい御答弁ですし、わからぬわけじゃないのですよ。何か交渉のたたき売りみたいな形で、それはソ連側のいままでの交渉の経過から見まして、今回はあくまでも理詰めで来たのだ、数量の面に対して日本が分担すべきものはこれだけ、遡河性の問題ではこうなんだ。海洋法統合草案第六十六条で修正されたこの内容から見ましても、母川国と合意の上、特に財政面で遡河性魚種の再生産のための措置に参加する国には、その漁獲について母川国は特別の考慮を払うということなどもありますので、そういうことになったのでしょうけれども、どうも釈然としないのは、なぜこういうふうになったのだろうか、もともと漁業協力費が高騰したということについては、これは去年来の交渉からの経緯を見てみると、ちょっと日本側の責任もあるのじゃないかと思うのです。それは、昨年の日ソのこのサケ・マス交渉において、ソ連側に日本の方から、漁業協力援助を出すからそのかわりサケ・マスをとらせてくれというような、中川さんも、それはもちろんイシコフさんとの交渉のやりとりですから、お考えになって、よしそれじゃ十七億六千万円出せ、それじゃこれだけの数量を与えましょうということで、ことし並みの四万二千五百トンですか、こうなったわけです。ところが、毎年毎年実は減っていくわけですね。五十年が八万七千トン、五十一年八万トン、五十二年六万二千トン、五十三年四万二千五百トン、五十四年四万二千五百トン。これからまだ随時減るんじゃないか。減る方になるのか、沖取りがさらに狭められるのか。そしてそのことによって、後ほど質問しますが、沿岸のふ化事業という問題に政府が力を入れる、これは日本政府がですよ。だから、そういう面と、それから輸入ですね。カナダあたりからもうすでに五万トンくらい毎年入っているわけですから、そういうようなことから見て、やがてはもう沖取りなんというものはしようがないわというふうにお考えの向きがあるのか、いやそうではないだろう、そんなことをしていたら国内の減船につながる話ですし、独航船など行くところがなくなるということにもつながりますので、そこまでは考えないとしても、この協力というのが、これはソ連だけに漁業協力協定と、こういうふうになっているわけですが、人工ふ化や共同研究センターを建設するとか、サケ・マスの産卵、自然増殖のしやすいように河川を修理するとか、あるいはブルドーザーを入れて土木機械を使っていろいろ改修その他をやる、その辺が各種の協力、機材の協力ということでソ連側の方にお認めになっているわけですね。ところがこれは、初めはソ連側にとっても、そんなのはだめだ、とにかく資源保護のためにサケ・マスはとらせないのだ、こういうふうに一貫していたわけですよ。ところが最近になったら急にちょっと変わってきまして、機材をどんどんくれるならばよろしいと言って、ぱっと倍増したということは、実はもうたたき売りみたいなもので、こっちの方がたたき出したようなものでして、こういうのじゃ、どうもこれは大変なこれからの問題を含んでいるのじゃないか、こう思えますので、その点、去年来のいきさつの中で、こういうふうに倍増しなければならないことになったというのは、まあ苦しい御答弁もありますけれども、どうも釈然としないということなので、今後の展望を率直に言って大臣はどういうふうにお考えになりますか。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○渡辺国務大臣 これは海洋法というのは、まだ署名されておらないわけですが、部分的には合意されているところもかなりあるわけです。合意されている中では、やはり原則的にはサケ・マスというものは母川国のものである、したがって、自分の専管水域の中でとりなさいというのが原則ですね。しかし、伝統的漁業者というものがあって、そこでそれを禁止することによって結局その伝統的漁業者に非常に経済の混乱が起きるというような場合はこの限りでない、それは話し合いをして協定か何かできちんと決めなさいということになっておるわけですから、そのとおりやってきておるわけです。われわれとしては、やはりいままでもやってきておることでもあるのでやらせろという交渉は継続して毎年やりたいと思っておる。しかし、ソ連の方は別でしょう。向こうは、そいつをなくしてしまえば毎年禁漁区というものをつくって全面禁止、去年も全面禁止と打ち出したわけですし、ことしも全面禁止と打ち出してきたわけですから、だんだんじわじわそれを締めて、日数を締めていくとか海域を締めていくということは、彼らとしては要するにだんだんなくしてしまう、入漁料が入るからそれじゃあけておくのか。入漁料じゃなくしてコンペンセーションですな、コンペンセーションをもらわなくてもいいから自分たちがよけいとれればいいという方向になるのか、よくわかりません。わかりませんが、ただ言えることは、沖取りが減ったのと反比例してソ連のサケもふえ日本のサケもふえた。これも事実なんですな。ですから、これはもうあと五年ぐらいで七万トンから八万トン、うまくいったら十万トンぐらいになるのじゃないかという見方の人もある。そういうことになれば、結局沖でとったものを沿海でとるということに変わってくるということになります。しかし、われわれは何といっても、まず自分で必要なだけの魚の量を国内で確保できれば、そんな輸出するほどとらなくたっていいわけですから、私はそうなればこの問題は、そんなに無理難題をふっかけられてまで金を払って高い油を使ってとりに行く必要はなくなるわけですから、こちらに弱味があると、どうしても向こうに強く言われると、実際は泣く子と地頭には勝てないような話になってしまうのです。ですから、こちらに力をつけるということが先決問題じゃないか。まず沖でたくさんとれるようにする、日本で放流もするし、川もきれいにする。そして、余り高いことを言うならもう要りませんよ、仕方ありません、お互いにとらないことにすれば、みんなどこかへ行くのだからというところまで持っていければ一番いい。しかし残念ながらいまの段階ではそこまでいってないということになると、この額がどんどんふえたらどうするのだと言うけれども、これとてもコストの問題ですから、それは母船を組んで行って、毎年毎年赤字になったら、そんなことは国ならやるかもしれぬけれども民間はやれませんよ。ですから、限界はどこだと言えば、もうそろそろ限界ですね。これではもううんともうかる状態ではありませんから。損するということになったら、それじゃ出ないということになりますよ。もう限界ですよ。だから向こうも、いつもゼロなどと言っているのだけれども、科学的に、はったりをかけるのではなくて、ことしは最初から三万八千トンと出してきたわけですから、交渉態度が最初から違うわけです。いままではゼロからこんなにふえたりしているわけでしょう。今度はそのかわり、出すものは出すけれども余りふやさぬぞ、二千トンぐらいしかふやさないとがんばったわけですから、それでせいぜい四万トンだ。ですから、いままでと違って、政治的な駆け引きでふえたり減ったりなんということはこれからなくなってくるのじゃないか。やはり科学的根拠に基づいてデータをそろえて、お互いに認め合って、出すものは出す、だめなものはだめというように、交渉の幅というのは狭まってくるのではないかというのが今後の見通しであります。  しかし、われわれは長い伝統を持っている伝統的漁業者であるのだから、採算のとれるような限度で沖取りをさせろということは主張し続けたい。まして一万六千人も関係漁民がいるというのでしょう。家族まで含めたら六万人ぐらいいるのじゃないか、こう言われているわけです。それが一遍に混乱が起きるようなことは、これは海洋法会議においても、そういう場合は別なんだと言っているのですから、われわれとしては主張するべきものは今後も主張する。しかし、そう政治的に、ゼロになってみたり五万トンになってみたりなんということは、これからはなくなるのじゃないかという見通しを持っております。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 よくわかりました。確かにこれは相手のあることですから、交渉の場面でも大変厳しいものがあると思いますが、何にしましても漁業協力費は高過ぎるのじゃないか。三十二億五千万というのは、四万二千五百トンでこれを割っていくとキロ八十円ぐらいですね。七十六円四十七銭、こうなるのですが、一切れのサケが百グラムとして八円につくのですよ。これは大変なコスト高になりますね。  だから、入漁料の問題で先ほど申し上げたのですが、アメリカは水揚げの三・五%、ソ連の場合は昨年で四・五%でした。今度の場合は九%ですから大変なんでありまして、これと関連して、これから入漁料が大幅に上がるのじゃないか。ことしでしたか、せっかく南太平洋漁業振興基金というのをつくって、いま南太平洋方面の入漁料問題でみんな大変なところにあるわけでして、そういう面では、大臣おっしゃっているように、今度の交渉を契機に、沖取りの問題あるいは漁業禁止区域の問題、これは恐らく拡大をしてくる。初めからもうソ連側は禁止してほしいというのが腹にあったわけでしょう。それを今度は変えて、金でやろうということになったのは、沿岸整備の面では共同操業、ある意味では沿岸の整備をやるためにそういうふうに出てきたのじゃないかとも思われるわけでして、今後のその交渉の展望について、外務省来ていらっしゃると思いますが、漁業水域の規制、そして漁業期間の制限、こうしたことがこれから先、いまの交渉で定着したとおっしゃるのですが、さらに厳しくなっていくのではないかと予想されます。  それで、これは政府の外交手段として、日常の親善ということもありますが、渡辺大臣も、実はおれも行ってソ連側の漁業相と会って十分親交を深めていきながら向こうの腹も知りたいというお気持ちのようですけれども、これからこういう決着をつける場合、毎年毎年その都度、数量が変わらないでも中身が変わるという形、あるいは漁業協力費がその都度変わるというのではたまったものではなくて、経営者の方だってこれでは見通しがつかなくなりますね。三カ年ぐらいの長期協定とかそういう形にコンクリート化するというのはむずかしいかもしれませんが、一定の枠組みを示す必要があるのじゃないかと思うのであります。  それで、二百海里時代における議論の中でも、漁業専管水域の問題で議論しましたが、操業水域規制あるいは操業期間の面、あるいは今度は共同操業というような話が飛び出しておりますから、そういう面でソ連側との外交手段として、議定書は議定書でつくったのだ、これは外務委員会で承認を受けられたわけですけれども、今後この辺はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、外務省ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。

加藤吉弥外務省欧亜局外務参事官

○加藤説明員 ただいま先生の御指摘の点の一つ、日ソ間で安定的な漁業を続けなければいけないという点につきましては全く同感でございます。今回の議定書の交渉に当たりましても、昨年の際もそうでございましたけれども、御指摘のとおり、長期協定の中には取り締まり条項、法律的な問題だけを書いて、毎年の漁獲高だとかあるいは漁期、禁漁区の問題は毎年打ち合わせていこう、こういう提案をしたわけでございますが、ソ連側は、そういうサケ・マスについての法律的な事項を協定の中に書き込むことは、裏返しにしてみれば、長期間にわたってサケ・マスの漁獲を認めることである、これは沖取り禁止というソ連の原則的な立場に反する、こういうことで非常に強く抵抗いたしまして、残念ながら長期的な協定は結べない、こういう状態になりまして、毎年毎年議定書の改定という形で交渉を進める次第になったわけでございます。  第二に、先生御指摘の日ソ漁業全般についての展望でございますが、御案内のとおり、日ソ関係の中で漁業の占める比重は非常に大きなものがございます。この状態は今後とも変わらないと思っております。もちろん、二百海里時代を迎えまして国際環境が非常に厳しくなっておりますけれども、漁業が日ソ関係の大きな柱の一つである、こういう事情には変更はないと思っております。ソ連としても、漁業資源の保存というようなことを考えておりますけれども、日本側としても、それに協力しながら伝統的な漁業実績を守る、こういうことで関係を続けてまいりたいと思っております。  また、日ソ間の相互の人的な交流、単に漁業交渉の場合だけではなくて、それ以外の場合においても、大臣初め民間、政府、そういう方々が絶えず意思疎通をしてお互いの考え方をはっきりつかんでおく、こういうことが必要ではないかと考えております。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 これからの外交手段、あるいは海洋法会議あるいは二百海里等、各国々のそれぞれの様相が変わってくるかと思いますので、それに対応するソ連とのこういう交渉は、ひとつぜひ日本の利益、国権を守るために、今後の努力をいただきたいと思う。  それで、昨年の漁業協力費が十七億六千万で、そのうち四五%、七億九千六百万円ですが、国が助成されましたね。それで今回のこの三十二億五千万にどの程度国が補助されるおつもりなのか。大体もう固まっておられると思うのですが、どうですか。

森整治水産庁長官

○森政府委員 昨年は御指摘のように十七億六千万円のうち七億九千万円を政府が助成したわけでございますが、今年の事情は、三十二億五千万円というのは四万二千五百トンが確保された場合の話でございまして、その額に達しない場合にはそれ相応の減額をするということになっております。したがいまして、漁期が終わりまして実際の実績が出まして額を決めて、それから向こうとの話し合いで設備なり機材、どういうものをするかということになりますが、そのうち、ことしと同じように、政府が助成するのにふさわしい設備なり機材というものを仕分けいたしまして、それについては政府が海外漁業協力財団を通じまして四分の三の経費を支出するということにいたしたいというふうに思っておるわけでございます。ちなみに申しますと、ことしの七億九千万円というのは四五%程度のものでございます。そういうことで実際の支出すべき額が決まり、機材、設備が決まりまして後に、われわれといたしましては助成の額を決めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 そこで、四万二千五百トンの数量を決められて、去年の実績ですけれども、これはどんなふうになっていますか。  それと、いま漁獲量に応じていわゆるこの漁業協力費がまた増減があるのだという御説明もございました。昨年の実績と、したがって採算状況がどういうふうになっているかということをお知らせをいただきますが、それと同時に、いま現状、母船式四船団百七十二隻、中型鮭鱒二百九隻、太平洋小型で六百七十八隻、日本海流し網で百二十六隻、日本海はえなわで二百六十隻、こういう数値があるのですけれども、これだけの船団、いわゆるサケ・マスをとる船の四万二千五百トンの割り振りをしなければいけない。昨年の実績に応じてそういうふうになるということになるわけですが、数量が変わるわけですから、これは決められた数量はありましたけれども、去年の実績を聞いていませんが、ことしもまたそれにならってどういうふうな割り当てをおやりになるのか。日鮭鱒とか全鮭鱒、日本鮭鱒漁業協同組合連合会、あるいは全国鮭鱒漁業組合連合会、こういう種類の各団体があるわけですが、そういうものと相談をしながらやることによって一これは減船とのかかわり合いもあるわけですね。減船のときは昨年相当めんどうを見ました。二百億前後の金でめんどうを見たわけですね。今回の場合は減船にならなかったわけですが、こういう出ていく船の割り振りというのは当然決められなければならないわけですが、そういうことについてはどうなんでしょうか。それと、サケ・マスの時期が外れたらその裏は何をやっているのだろうか。裏作はマグロ・カツオあるいはイカ、サンマ、そういうものの操業をやることになるのですが、最近のように南太平洋フォーラムあたりの二百海里によってUターン現象が起こっておりますから、そういう場面との競合を調整しなければならぬ場面も起こるわけですが、この裏作についてどういうようにお考えになっているか、その点をお聞かせいただきたい。

森整治水産庁長官

○森政府委員 昨年の四万二千五百トンのクォータの実績は四万一千五百十七トンでございます。  そこで、今回決まりました四万二千五百トンの内訳をどうして決めていくかということでございますが、これは母船式サケ・マスと太平洋中型流し網につきましては船別クォータを決めて出漁をさせるということになります。五月一日の出漁に間に合うべく諸準備をいま進めておるわけでございますが、まだ具体的な張りつけを決めておりません。しかし、問題は昨年と同じに四万二千五百トンでございますが、総漁獲尾数は逆にふえております。マスがふえておるということでございますが、それともう一つは公海分の割合が減少いたしております。これは禁漁区解除に伴います漁期の制限が入ってきたためでございます。そういう事情がございますが、昨年の割当を参考としまして目下検討中でございます。至急配分を決めてまいりたいというふうに考えております。  それから最後に御質問のサケ・マスの漁業の裏作の問題でございますけれども、当然この問題は、サケ・マスが非常に短い期間でございまして、裏の問題というのは非常に重要な問題でございますが、いずれもイカ釣りなりサンマの棒受けなりマグロのはえなわなりというそれぞれの漁業があるわけでございまして、それぞれいろいろな問題を抱えておるわけでございます。そういう問題につきましても、当然われわれといたしましては、それらの漁業の経営の問題につきまして十分意を用いていく必要があるということで、機会のあるごとにいろいろ協議をいたしまして、全体としての経営の安定が図られるようにわれわれとしても万全の努力をしていくつもりでございます。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 経営の安定が図れるように努力をされる、また、四万二千五百トンの漁獲量完全消化に向かって全力を挙げるというお答えもあるわけですが、今回の交渉の中でソ連側が沖取りを認めたのは、日本側のサケ・マス業界の再編成が終わっていないからだ。だからやむを得ず沖取りを認めたんだ。将来この沖取りの展望というのはそういう面から見ますと非常に重要になってくるわけですが、この業界の再編成というソ連側の言っている言い分、日本側で考えている、これらの数量はどんどん毎年減っていくのですから、恐らく母川国主義あるいは沿岸のふ化事業というのが活発になってきます。そういう面では沖取りが減っていくというのは当然でして、そうすると、業界の再編成というつながり方は即減船ということにもつながっていくわけです。いわゆるいままでの考え方を転換しなければならないということにもなるわけですが、そういうことについて水産庁はどういうようにお考えになっているのですか。また、その具体策があるのですか。

森整治水産庁長官

○森政府委員 ソ側が、業界の再編ができていないからという理由を挙げたことは事実でございますが、ソ側が考えております再編というのが何を意味するのかということにつきましては、私どもつまびらかにはいたしておりません。しかし、それがどういう再編成ということを言っているのか、かつて非公式ではございますが、漸減をしてなくしてしまうということも漏らしたことはございます。しかし、それを正式に言ったこともないし、われわれはそれを正式にというか、非公式でも認めたことはないわけでございますが、いずれにいたしましても、仮に母船式の事業に従事しているのを基地独航船に変えるというようなことを考えているとすれば、それまた禁漁区をふやしまして、だんだんどうも操業が遠くの方へ追いやられるということになりますと、まさに母船式操業でないとできない。そういう状況でございますから、そういうことは現在ソ連がやっていることとも逆行していくということにも相なるわけでございます。いずれにいたしましても、それで沖取りの漁業が今後漸減していくのかということにつきましては、いままで八万トン、六万トン、四万トンと、こういうふうに減らされてきましたけれども、私どもは今回、ともかく昨年と同量のクォータを確保したわけでございます。今後とも粘り強くやはり必要性は強調し、また逆に規制措置は守っていくということで所期の効果が出てまいりますれば、われわれが沖取りをしてもソ連の沿岸に回遊していくものもどんどんふえていく、またそういうものの再生産にもわれわれは協力していくという形がもし続けられるならば、沖取りを全面的に禁止するということを考え直す時期ができれば来るのではないだろうかというふうにも思うわけでございます。  逆に、それではいまのままずっと減らされていって何か考え方かあるかと言われますと、減船という非常につらい措置しかとれないのが現状でございまして、あくまでも従来の沖取りの主張を続けながら再生産にも協力していくという考え方で対処していくべきものと考えておるわけでございます。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 そうした日ソ漁業交渉の将来展望というのは、なかなか前途多難な要素を持っておるわけでありますし、この際サケ・マスのふ化放流、この事業強化の面でぜひ推進しなければならなくなってきたと思うわけです。  そこで最後に、サケ・マス漁業をめぐる国際動向等のこうした対応として、わが国の起源のサケ・マス資源を計画的に増大を図る。北海道ではすでにサケ・マスふ化場の整備を図るというようなことで力を入れておるわけですが、この際、本州の放流事業も拡充していく必要があるのではないかというので、今回の予算書の中で明らかになっておりますように、新たに未利用の河川の開発調査や魚道の設置あるいは河川環境の維持対策、回帰率の向上のために稚魚を海中で飼育させる経費を持つとか、具体的な提案がなされています。こういうふうな結果になるであろうという予測もあったのでしょうが、北海道のサケ・マスふ化場施設の拡充、これが八億四千七百万尾のを九億八百万尾にふやすとかあるいはサケ・マスふ化放流の事業の推進を内地の方にもひとつ力を入れようじゃないかというので、これは相当予算がついたようであります。こういう展望からいきまして、当然これから力を入れていかなければならないわけでありますが、政府が、五十三年度から見ますと五十四年度の予算額では相当な意気込み、三十二億四千五百万、こういうふ化事業を計画をされています。そのうち北海道は三十億なんですけれども、内地を、これは恐らく未利用の河川調査やら、太平洋側は青森から千葉に延ばすとか、あるいは日本海側は鳥取まで延長するとかという計画があるのでしょうけれども、もう少し内地側の方のこういう放流事業について力を入れる必要があるのじゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。

森整治水産庁長官

○森政府委員 北海道と本州との間のバランスの問題の御指摘と思いますが、いろいろやり方——やり方と申しますか、国営であり片方は民営であるというたてまえも違っております。しかし、いずれにいたしましても、本州の方の河川をさらに再開発していくという考え方でやっておるわけでございますが、もとは基本は親魚をどうやって確保していくかということでございます。その年に使っていくのと同時に、その年に再生産のために卵をとっていく、それをある程度まで、極端にやることもできません、したがいまして、計画的にこれを伸ばしていくということを考えておるわけでございます。先ほど大臣が申されましたように、現在の倍ぐらいの生産は可能であろうということでさらに計画を見直しまして、新しい計画を立てる。その中での本州の位置づけもやりまして、増産を図っていくということにいたしたいというふうに思っておるわけでございます。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 時間が来ましたので、北海道地域は国営という形なんですが、内地の方は民営、それを一挙に国営化していくというのは予算的にも大変なんでしょうが、いま長官がおっしゃいましたように未利用資源の確保という、もうすでに昨年でも五万二千トンぐらい。そしてこういうように力を入れているのですから、急激にサケ・マスがふえるというわけじゃありませんが、恐らくことしは六万トンくらいになるのじゃないか。この際輸入の方も輸入枠が拡大されて、これはもう沖取りが大変だから、ソビエトの方がもうこれだけ詰めてしまったのだからどんどん輸出しよう、カナダあたりはそういうふうに見ていると思うのですが、そういうふうな面でも国内の内地側の方も国営化していくような努力をひとつぜひしていただいて、沿岸地域における遡河性のサケ・マスでございますから、今後対ソ交渉等の面で非常に苦労するという展望であるならばなおのこと、そうした面で、今度各業界を含めてまた減員になったり減船になったりなどということも発生しないように、欲張って言えばそんなことにもなるわけですが、十分ひとつ今後の対策をお立ていただくことをお願いして終わります。

佐藤隆自由民主党

○佐藤委員長 野村光雄君。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 日ソサケ・マス問題につきまして、実は昨日外務委員会におきまして、基本的な問題はすでに外務大臣並びに渡辺農林水産大臣にお伺いをいたしておりまして、昨日触れておりません問題等を重点といたしまして、若干お尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、大臣にお尋ねいたしますけれども、いずれにいたしましても、あと五日後に出漁期というものを迎えたそういう中で、この日ソサケ・マスの議定書問題が時間的に制約をされております。そういう中で、今日の長期にわたる日ソ漁業交渉に対する労苦は労苦として、私は非常に関係者に対して敬意を表するわけでございます。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 いまここでこの議定書の内容について賛否という立場に立って私は質問しようとは思っておりません。ただ、今回行われました日ソ漁業交渉の議定書の内容を通しながら、よりよく今後の改善すべき課題また対応すべき課題が相当残されているのじゃないか、こういう立場の中から、やはり反省すべき問題は反省して、明確にすべき点は明確にして、そして今後の将来のためにこれをどう有利に展開していくか、こういう立場に立っていかなければならないと思うのですが、そういう中で昨日以来大きな論点の課題となっておりますのは、確かに四万二千五百トンという総枠に対しましては、昨年並みである。しかし、その内容においては、特に高価なサケ、これが匹数制限をされた。さらに漁獲期日の大幅な短縮をされた。さらに協力費の大幅な増額、しかも、ことしは豊漁の年であるという、こういう年を迎えながらこういうことに終わったということに対しましては、昨日来水産庁長官並びに大臣も、減船を避けることができた、この一点だけで非常に今回の交渉の内容は成功であった、こういうふうに一貫しておっしゃっているように思いますけれども、しかし、現在、ただいま申しました内容の点からいきますと後退の実態であるということは、やはり反省すべき点として、大臣はそういう立場に立って考えていくべきでないか、こう私は考えるわけですけれども、率直に大臣はこの内容の諸点についてどのように反省していらっしゃるのか、認識していらっしゃるのか、率直な大臣のお気持ちを伺いたい。でないと、きのうもお話ありましたように、せっかくソ連の新大臣と訪ソなさいましてのいろんな基本的な問題の話し合いが今後行われるわけでございますから、やはりそれも含めた中で今回の議定書の日ソ交渉の内容についての認識というものを、率直に私はまず考えを聞きたいと思うのです。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○渡辺国務大臣 私は、こういうような利害の相反する問題ですから、日本が万々歳だと言えば、向こうは不満だという話になるのでしょうし、向こうが万々歳ならこっちはえらく不満だという話になるのでしょうから、私は、こういうものはお互いの友好関係というものを持続する上において、譲るべきものはお互いに譲り合っていくということでなければけんかになっちゃう話ですから、私は現在のいろいろな状態から見ると、まあ仕方のない、まあまあという程度のところではないかというように思っておるわけであります。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 端的に、大臣、私もわかります。私も二回ほど漁業問題で訪ソさしていただいておりまして、その点、確かにアメリカさんあたりとはすべての交渉でなかなかそう簡単な相手ではない。私は実感を込めてわかるわけであります。しかし、そういう中で一生懸命努力はした、しかし内容については満足すべき内容ではなかった、こういう率直なお考え、こういうふうに受けとめてよろしいのですか、確認さしていただきますけれども。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○渡辺国務大臣 私は、全体から見てそんなに不満だと思ってないのですよ。まずまずのできばえである。だから、満足といっても、それは満足にも程度がありますから、まずまずのできばえである、こういうふうに考えております。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 その点、若干私どもの受けとめております立場と食い違いがある。これはいまさらやむを得ないだろうと思う。しかし、私は、いままでの交渉の経緯の中で今後の課題として一番教訓としていかなければならない問題は、新しいカメンツェフ漁業相というのは、科学的に学術的にしかも実利的に、さらに経済的に有利な理論構築をしてきている。それに対して、わが国がそれに対応するだけのものがあったのかどうなのか、こういうことに対して私は若干疑問を抱いているわけなんです。特に資源の評価の問題でありますけれども、交渉の冒頭、経緯からいきますと三月三十日でございましたか、この資源の評価問題で双方が対立したまま終わってしまったようでございますが、この資源の評価に対しまして、科学的また学術的な立場からいって、ソ連の資源評価とわが国の評価とが一致しない内容について、一体どういう点が一致しないのか、この点ちょっと明らかにしていただきたいのです。

佐野宏哉水産庁海洋漁業部長

○佐野説明員 お答えいたします。  ただいま先生お話のございました三月三十日の時点で日ソ間の資源評価が対立したまま別れたというのは、三月三十日がちょうど日ソ漁業委員会の最終日でございますが、日ソ漁業委員会における資源の審議を通じて日ソ間の見解が不一致のまま終わったという事情を指しておられるのだろうと思いますので、日ソ漁業委員会において資源小委員会の日本側の責任者を私が務めましたので、その間の事情を簡単に説明をさせていただきます。  実は、たとえばベニザケ、シロザケあるいはあらゆる魚種を通じて、極東のサケ・マス一般について沿岸への来遊状態が七七年及び七八年の規制措置の効果として著しく好転をしておるという事実については、日ソ双方の科学者は完全に意見が一致しておりました。ところが、問題は、日本側の考え方によれば、資源状態は好転しておるのであるから、来遊状態は好転しておるのであるから、よって七九年の規制措置を決めるに当たって七八年以上に規制措置を強化する必要はないはずであるというふうに日本側は主張いたしました。ところが、それに対しましてソ連側としては、確かに沿岸への来遊状態は好転しておるけれども、ただ好転の度合いがはなはだ不十分である、ことにベニザケとシロザケについては望ましい水準での再生産を確保するために必要な親魚量の約四分の一程度の遡上親魚量しか確保されておらないということを主張いたしたわけでございます。それで一問題は、実は望ましい水準での再生産を確保するために必要な親魚量というのは一体いかなる概念であるかということにつきまして、これは日ソの科学者の間で激しい議論が行われました。日本側としては、周知のMSYの概念をもとにして必要な遡上親魚量というものを考えるのでありますが、ソ連側はそれに対して、最近資源状態が悪化しておるためにいろんな生物学的な条件が変化しておるので、必ずしもその数字のつじつま合わせとしてのMSYということでははかれない、もっと大きな規模の親魚量が必要であるというふうに考えている点が一点。  それからもう一つは、ソ連側としては、現地の細かな河川まで一々事情を知っているというソ連側の立場からあるいは当然のことなのでしょうが、一つ一つの細かいサブポピュレーションについても必要親魚量が確保されるというふうにするためにはかなりのアローアンスが必要なのであって、そういうことを含めて考えた場合の所要親魚量というのは、日本が考えているのよりはるかに大きいということを主張いたしました。  それからもう一つは、その水準をどう考えるかは別にいたしまして、資源状態が回復していく速度の問題でありますが、ソ連側としては、要するに可及的速やかに資源状態を回復させる必要があるというふうに考えておりまして、日本側のように、沿岸への来遊状況が好転しておればそれをもって一応十分であるというふうに考える考え方はソ連側としては受け付けられないというふうに主張をしたわけでございます。  でございますから、いま私が御報告したところからもおわかりいただけると思いますが、ある意味では純科学的な問題については日ソ双方の科学者の間にさしたる意見の不一致があるわけではなくて、むしろその望ましい資源の豊度の水準をどの程度の水準を想定をして議論をするか、あるいはそこに至る回復の速度をどの程度に見込むことが相当であるかという、その政策判断にわたるような点で意見が対立をしたわけでありまして、こういう意味では、日本側の沖取り漁業の経済的問題を一切捨象して、純資源論的に言えば資源の回復は早ければ早いほどいいわけでありますし、回復させるべき豊度の水準は高ければ高いほどいいわけでありますから、そういう意味では、ソ連側の事情としては確かにソ連側の議論はもっともな点があるわけでありまして、日本側はそれに対して、日本の漁業の実態との兼ね合いで、資源論的にも許容される範囲では経済的に余り不都合のないような規制措置にしたいという点をベースに置いた議論をしたというところが争点の実態でありまして、純科学的な議論として日本の科学者がソ連の科学者に太刀打ちできなかった、そういう状況ではなかったということを御報告しておきたいと思います。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 時間がございませんもので、資源論だけで終わってもあれですから、私ただいま申しましたように、資源の回復問題、これは御存じのとおりわが国の年々の人工ふ化事業、これは大きな成果をあらわしておりますし、そういう面からいきますと、資源論が結局は人工再生産、こういう立場から言うと、私どもはやはりもっと強力な立場でこの問題は人工再生産というものを含めながらソ連に対する強力な対応をしていくべきでなかったのか、こんな考えを持っておりますが、これに対しての御答弁は要りません。  次に、協力費の性格の問題でありますが、これはやはり非常に大きな論議を呼んでおります問題でありまして、一般素人的な立場から考えますと、昨年と漁獲総枠が同じであり、しかも高価なサケが著しい制限を加えられた。そういう中で、昨年が十七億六千万、ことしが三十二億五千万。この根拠というもの、どうしてこんなに急に二倍になったんだ、これは一体入漁料なのか補償費なのか協力費なのか、いろいろ論議されておりますけれども、補償費の性格が非常に強くなった。しかし、この根拠というものをきちっと明確にしておきませんと、ことしはことしでこれはやむを得ないとしても、明年からまたこれがさらに増額されるのではないか、こういう不安を非常に抱いております。この点に対して、明年のさらにまた増額という不安というものがあるために、やはりこの際特別に二倍にふえた協力費の性格、これを明確にしておく必要があると思うのですが、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、ひとつ明確にしていただきたいと思います。

森整治水産庁長官

○森政府委員 昨年の入漁料は、漁獲量にあるパーセンテージを掛ける、四・五%ということで十七億六千万円が決まったという経過がございます。  ただ、どういう性格のものかという問題につきましては、ことしも去年も変わりはなしに、ソ連が母川国として極東のサケ・マス資源の保護、再生産等のために経費を支出している、そのまたわが国がとっているサケ・マスのほとんどがソ連系である、この両者を勘案して、ソ連の経費を投入している分に対して応分の協力を行うという趣旨の性格のものという理解をしておりますが、先ほど言いましたように、去年はパーセンテージを掛けて算出をした。ことしは、ソ連の実際に使っているという漁業省支出の四千七百万ルーブルの二五%、要するに四分の一、日本が四万トン、ソ連が十二万トン、十六万トンのうち四万トンの分を日本に負担してほしいというのが三十五億円であったわけであります。四千七百万ルーブルに二五%を掛けますと一千百万ルーブルになります。その一千百万ルーブルを円とルーブルとの換算でやりますと三十五億という数字が出てまいりまして、その三十五億を日本側に負担してもらいたいというのが向こう側の言い分でございました。したがいまして、考え方としては去年とことしは変わっておりませんが、算出の計算の方法としては、ソ連側はそういう主張をし、わが方はやはり漁獲量にパーセンテージを掛けるというやり方もあるではないかということで議論はいたしましたが、最終的にはソ連側の三十五億のうち三十二億五千万円を負担しよう、全体の勘案のもとに、要するに漁獲高、それから禁漁区の解除、そういう問題との絡みで三十二億五千万円を負担するということに決めたわけでございますが、いずれにいたしましても計算の基礎は確かに変わっておるわけでございます。  それからもう一つ、性格論との関係で今後いろいろふえていくかどうかという非常に御心配があると思いますが、要するに、いまの計算方法から言いますと、漁獲高が、四万二千五百トンという数字がふえていけばふえていく性格のものであろうと思います。それが一つ。  それから、いま言いましたように、ソ連の漁業省が負担しているのは四千七百万ルーブル、そのうち三十五億を負担してほしいということで案分したわけですから、ソ連の漁業省が支出している額がふえれば、いまの理屈から言えば、向こうはもっと負担してほしいということに相なるかと思います。その二つを除きますと、ふえる要素というのはこれ以上ないはずでございます。  で、後は、今度はそういう算出方法をもし受け入れていくとすれば、今後もそういう協力を通じながら漁獲を確保していくという道にもつながるのではないかというふうに私は判断をいたしたわけでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 いろいろ見方はあると思いますが、そういう事情でございます。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 非常に苦しい御説明をなさっていらっしゃるようでございまして、四万二千五百トンが明年から漁獲量が交渉の結果さらにふえれば、当然協力費もまたふえていくでしょう、こういう結論のようでございます。  私が言っているのは、昨年も四万二千五百トン、ことしも四万二千五百トンで、同じ量でありながら二倍にふえた。しかし、来年からはまたさらに量がふえれば、それに連なってふえるのだ。じゃ、ことしは同じでなかったか、こう言いたくなるわけでございますが、時間がございませんので、この課題はまだ納得のできる問題ではないと思いますが、今後の課題としてやはり関係漁民なり国民が納得できるような具体的な根拠というものを示していただきたい、強く要求をいたしておきます。  次に、基本的な問題でもう一点お伺いいたしますけれども、二百海里時代を迎えまして、日ソ間ばかりでなくて国際漁業の規制が非常に厳しくなってきた、こういう時代で、わが国の生産体制をこの際やはり見直しをするような時期に来ているのじゃないか。そして、これを将来の展望を明確にしながら整備を図っていく必要があるのじゃないか、こういうふうに私は考えるのでありますけれども、この点に対しては、大臣、率直に将来展望、生産体制の見直しというものに対してはお考えを持っていらっしゃるのか、いらっしゃっていないのか、この点ひとつ端的にお尋ねをしたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○渡辺国務大臣 それは、将来の展望としては、やはり日ソ交渉をやる上におきましても、国内でサケ・マスがとれなければ、どうしたって弱い立場になるわけですから、国内でサケ・マスがとれるように、ふ化放流事業を初め、河川をきれいにしたり、それから北海道だけでなくて、北海道でやった成果というものの実績を内地にも及ぼして、かなり広い範囲でそういうようなサケ・マスの漁獲高のふえるようないろいろな施策を積み重ねてまいるつもりであります。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 最後に、私、時間が来ましたので、特に大臣が近く訪ソなさるようでございますので、私は本年の一月早々、当時のイシコフ漁業相でございますが、お会いをいたしまして、幾つかの課題、深刻な問題を要請いたしてまいりました。これはぜひひとつ、せっかく基本的な課題を提げながら、将来の日ソ友好親善のためにも、これは好むと好まざるとにかかわらず、隣国である以上はやはり将来ともにつきまとっていく課題でございますので、ぜひひとつ御要請を申し上げておきたい点が五点ほどございます。  その第一点は、これは大臣も同じだと思いますけれども、この日ソ漁業協定が特に暫定協定ということで、年々単年度交渉、こういうことになっております。これはやはり出漁期を毎年迎えながら、その漁獲量、漁獲の区域それから漁獲の期日、こういうものが非常にぎりぎりいっぱいでないと決まらない、こういうところに、わが国漁民が中期、長期にわたっての漁業計画というのがなされない——一体、ことしはこうなったけれども、来年はまたどうなるのだろうと一年一年不安に思っている。こういうところで、すべてに長期的、中期的な協定はできないとしても、せめて区域でありますとか、または期日でありますとか、こういう基本的な問題、科学的の根拠ではっきり計算のできる範囲内のものは、やはり少なくとも三年ないし五年ぐらいの中期的な展望に立った協定というものにひとつこの協定のあり方を本質的に変えていただきたい、こういう要請をぜひひとつしていただきたい。  その次に、北方海域での日本漁船に対する罰金問題でございます。これは、今回わが党といたしましても要請いたしてまいりました重要な課題でありますけれども、一つは、御存じと思いますが、大臣、この罰金の性格に一貫性がないということと、根拠が非常に不明確である、こういう点。それから、特に北海道漁民あたりが言っておりましたけれども、混獲いたしましたヒトデでありますとかケツブ、これはわが国は有害物としているわけですけれども、向こうは大陸棚資源というようなことで、このヒトデ、ケツブにまで罰金をかけてくる。こういう問題に対しては、イシコフ漁業相にも私は厳しい申し入れをいたしておりまして、善処するということではありましたけれども、しかし、もう少し国の立場に立った、大臣の立場でこれをひとつ具体的な実態を持って行かれて、きちっと対処していただきたい。  それから第三番目に、日ソ漁業間におきまする賠償処理委員会の処理問題であります。現在、御存じのとおり、モスクワに四十三件が審議会にかかっておりますけれども、いまだにただの一船も処理されていない。この中には、私はイシコフ漁業相にも申し入れてまいりましたけれども、北海道沿岸で小型漁船がソ連のトロール船によって追突されて沈没させられた、生々しいこういう実例が入っている。こういうものまでもいまだに払おうとしない。具体的に、いつ、どこそこで、どの船がと、きちっと船名から場所から全部明確にしている、こういうものさえもいまだに賠償金が払われていない。何年たっても払わない。一体、処理委員会——日本の方も腰か弱くてもらえないのかどうなのか、はっきりしていただきたい。こういうことで、私はイシコフ漁業相に生々しい実態を突きつけてまいりましたけれども、これはやはり国の最高の機関として、ひとつ大臣、この問題に対して責任を持って明確な折衝をお願いいたしたい。  最後にもう一つ、ぜひ大臣にこの際お願いいたしたいことは、昨年の東京における日ソ漁業交渉によりまして、ソ連のまき網漁業、棒受け網漁業、これが本年から十二海里周辺で操業することに操業区域が拡大されました。そういうことによりまして特に北海道沿岸漁民が、さらにまた、ようやく二百海里時代が来ましてソ連の大型漁船が北海道近海にあらわれなくてやれやれ、こう思っているやさきに、これがまた、ことしの七月、十一月から漁区、漁期が拡大されまして、いま言った大型トロール船等が沿岸に出没する、こういうことに対しまして沿岸漁民が非常に不安を抱いております。そういうことで、大臣御存じのとおり、一九七七年に日ソ間で締結されておりますところの日ソ漁業操業協定、これを厳重に遵守する、こういうことでひとつ強力な申し入れをしていただきたい。  この四点を私は特に、訪ソなさいます渡辺農林水産大臣にぜひひとつ責任を持った立場で折衝をお願いいたしたい、こういうふうにお願いするわけでございますけれども、大臣の御所見を承りたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党農林水産大臣

○渡辺国務大臣 いずれも重要な問題を含んでおることでございまして、大変私も参考になることであります。十分に検討して、しっかりした処理の方法について要請をしたいと考えております。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 以上で終わります。

佐藤隆自由民主党

○佐藤委員長 ちょっと速記をとめておいてください。     〔速記中止〕

佐藤隆自由民主党

○佐藤委員長 速記を起こしてください。  この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。杉山畜産局長。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 先般、畜産物の価格について、三月末に決定を見たわけでございます。その経緯について御説明申し上げたいと存じます。実はいま資料を政府委員室の方から取り寄せておりますので、その資料をごらんいただきますが、とりあえず私、手元の資料で御説明申し上げさせていただきます。  まず、審議会の答申でございます。これにつきましては三月二十九日に乳製品についての答申をいただいております。本文だけをまず読ませていただきます。「需給均衡の可及的すみやかな回復を図るため、過度の生産刺激を避けるとともに消費の積極的拡大を図ることを旨として、価格及び数量を適正に定めること。」  それから、建議といたしまして二項目、「一 経済事情に著しい変動が生じた場合には、本審議会の意見をきくこと。二 保証価格等の算定方法について更に慎重に検討すること。」  このような答申及び建議をちょうだいいたしておるわけでございます。  これに基づきまして、私ども政府部内において検討し、調整をいたしました結果、五十四年度の加工原料乳の保証価格等につきましては、次のような決定を見たわけでございます。  まず、加工原料乳の保証価格でございますが、これは一キログラム当たり八十八円八十七銭、前年度と同額でございます。いわゆる据え置きということになっております。  それから二番目に、加工原料乳の基準取引価格でございますが、これは一キログラム当たり六十四円三十銭、これも前年度と同額、据え置きということでございます。  三番目に、指定乳製品の安定指標価格、バター、脱脂粉乳、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳、それぞれの価格を単位当たりに決めておるわけでございますが、いずれも前年度の価格据え置きでございます。金額は後ほど資料で配付申し上げますので、読み上げることは省略させていただきます。  それから四番目に、生産者補給交付金に係る加工原料乳の数量の最高限度でございます。これは百九十三万トン、前年度が百八十三万トンでありますから、十万トンの増加ということで最高限度を決めております。  これらの結果、参考までに申し上げますと、補給金の単価は、先ほど申し上げました加工原料乳保証価格から同じく基準取引価格を差し引いた、一キログラム当たり二十四円五十七銭ということになります。これは前年度と同額でございます。補給金の総額は、数量が増加いたしておりますので、総額で四百六十五億円、前年度に比べて二十四億円の増額となっております。  それから、関連対策でございます。  価格決定に伴いまして諸般の対策がとられるわけでございますが、まず第一に、需給調整対策、これは生乳の需給均衡の回復を図るために、生乳消費拡大その他需給調整のために必要な対策を推進するということで三十三億円が、これは畜産振興事業団からの助成事業として支出されることが予定されております。  それから第二番目に、酪農経営合理化資金、これは酪農経営における経営の合理化と負債軽減を図るために低利資金を融通するということで、経産牛一頭当たり十五万円、総融資枠百億円ということで決定を見ております。これに要する利子補給のための所要額は十二億円、この額も畜産振興事業団からの助成として実行されるということに予定されております。  それから第三番目は、五十三年度加工原料乳特別措置、これは御承知のように、五十三年度の加工原料乳は、限度数量をオーバーして約二十万トンよけいに出てまいったわけでございます。これにつきましては、五十三年度限りの特別措置ということで、不足払いを行ったと見合いの額の助成を行うということで五十三億円を措置するということにいたしております。  以上が、加工原料乳保証価格等の決定に関連する説明でございます。  次に、指定食肉安定価格等の決定について申し上げます。  審議会の答申を申し上げますと、本文だけこれも読ましていただきます。三月二十八日付で、時間は前後いたしますが、先ほどの加工原料乳価格等の答申に先立つ二十八日にこの答申をちょうだいしているわけでございますが、本文は、「昭和五十四年度の指定食肉の安定価格の決定に当たっては、牛肉について据え置くことはやむを得ないが、豚肉については、生産費の動向、需給の実態その他経済事情を十分考慮して決定すること。」  それから、建議といたしまして六項目にわたって御意見をちょうだいいたしております。「一 経済事情に著しい変動が生じた場合には、本審議会の意見をきくこと。二 食肉流通の改善を促進し、消費者価格の引下げに努めるとともに、食肉消費の拡大を推進すること。三 最近における素畜価格の動向にかんがみ、その安定のため特段の配慮を払うこと。四 肉畜飼養の安定合理化を図るとともに、肉質改善のための施策を推進し、肉牛については、合理的な肥育技術体系の普及指導に努めること。五 畜産振興事業団による需給調整については、価格動向に即応した機動的な対処に努めること。六 安定価格の算定要素については、なお検討を進め、改善に努めること。」  これらの答申をちょうだいいたしまして、政府部内で調整した結果、価格については次のような決定を見ております。  まず第一に、豚肉でございます。御存じのように、皮はぎ法、湯はぎ法により整形したそれぞれのものがあるわけでございますが、皮はぎ法により整形したものについては枝肉一キログラム当たり安定基準価格六百一円ということで決定いたしました。これは前年が六百二十七円ということでありますので二十六円の引き下げということになります。安定上位価格は七百三十五円ということで決定いたしております。  以下同様の関係でございますので、豚肉については説明を省略いたしまして、牛肉について申し上げます。  これは去勢和牛の肉とその他の去勢牛肉ということで二種類あるわけでございますが、まず去勢和牛肉、枝肉一キログラム当たりの価格は安定基準価格千三百三円、安定上位価格が千七百三十円、これはいずれも前年度の価格と同額でございます。その他の去勢牛肉も前年度と同額で決定いたしております。  それから、食肉の価格決定に関連いたしまして措置いたしました対策でございます。  まず第一に、子牛生産奨励対策、これは肉専用種の繁殖経営の規模拡大等によって経営の合理化、子牛生産の拡大を図るため生産奨励金を交付するということで、子牛一頭当たり二万円を交付することといたしております。これは一般的には二万円でございますが、特例といたしまして肉用子牛価格安定基金に加入している場合にあっては三万円ということにいたしております。これに要する所要額は総額で百二十一億円でございます。なお、この単価は前年度措置した単価といずれも同額でございます。  それから二に、繁殖豚資質向上対策でございます。養豚農家が優良な繁殖豚を導入し、肉質の改善と経営の合理化を図るために低利資金を融通する。これは繁殖雌豚一頭当たり八万五千円、種雄豚同じく一頭当たり十一万五千円ということで、総融資枠は百億円を予定いたしております。これに要する利子補給の所要額は十億円でございます。  それから三番目に、食肉消費流通改善対策でございます。これは実は価格決定と同時に、それに関連してとられる対策ということだけではなく、以前から消費流通改善対策として考えておりますところのもろもろの事業を、この際生産者対策とあわせて、このような消費流通改善対策も行うこととしていることをお示しする意味で、改めてここに掲示をいたしたわけでございます。食肉流通の改善を促進し、消費者価格の引き下げを図るため、牛肉値下げルート新設事業の拡充、産地食肉処理施設、部分肉流通拠点、食肉消費総合センターの整備等を推進し、消費の拡大を図る。これの所要額は百三十八億円。  いずれもこの関連対策に必要な財源につきましては畜産振興事業団の差益を活用いたしまして、同事業団の助成事業として行うということにいたしております。  以上でございます。

佐藤隆自由民主党

○佐藤委員長 以上で発言は終わりました。  質疑を続行いたします。島田琢郎君。

島田琢郎日本社会党

○島田委員 ただいま、三月三十一日付をもって告示されました牛乳、食肉等の畜産物の価格決定の経過の説明を受けたわけでありますが、きょうはその中の加工原料乳に関しまして若干の質疑と私の意見を述べたい、こう思うわけであります。  まず、ただいま説明のありました中で、決定されました価格の問題についてはちょっと置いておきまして、関連対策の部分でお尋ねをしておきます。  新たに価格決定に伴う牛乳の需給計画というものが立てられたわけであります。この需給計画表の中で従来なかった要調整乳量二十一万トンというのが新たに設定されているわけでありますが、この点に関してひとつお尋ねしておきます。従来こういう新たな項目を設けて別枠に乳量を置くというようなことはなかったわけでありますが、この点について、その理由と、それから今後それをどういうふうにしていくのか、その点についてまず概括的に承りたいと思います。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 今回このような形で生乳の需給表をお示ししたことは確かに初めてでございます。これは今日現時点の牛乳の需給事情を考えますと、その実態を明らかにし、その対策を関係者一同でもって真剣に検討するという意図を込めまして、このような需給表の形式にして説明をいたしたわけでございます。  需要につきましては、飲用乳の計が三百九十七万七千トン、乳製品の計が二百二十六万八千トン、自家消費量十二万八千トンということで、合計六百三十七万三千トンを見込んだわけでございます。これはそれぞれかなりな需要拡大の努力を払ってようやくこの程度の需要が実現し得るという期待を込めましての需要見込みでございます。  それから、供給につきましては、飲用の計が三百九十七万七千トン、乳製品の計が二百二十六万八千トン、うち特定乳製品は百九十三万トンというふうに見ております。自家消費量が十二万八千トン、これだけの需要に見合う供給が行われるわけでございますが、実際の生産はどうかといいますと、これらのものを合計したものよりやや多く、二十一万トンさらに上回った六百五十八万三千トンというものが見込まれるわけでございます。  この供給につきましては、現在の乳牛の月齢別の実際に存在する頭数、それから生乳量、そのほかもろもろの要素をいわゆるころがし計算といいますか、物理的なルールに従って計算してみますと、対前年伸び率は五・二%程度は伸びるであろうということで、抑制の努力をしてもなおかつ六百五十八万三千トン程度は一般的には出てくるということを考えたわけでございます。こうなりますと、需要のない生産が二十一万トン出てくる。そこで、この分については調整を要するということで、生産者の皆さんにもこの実態を御理解いただき、こういうものが出回ってくれば需要として裏づけがないことになり、価格全体も引き下げることになる、そのことはかえって酪農経営の長期的安定を阻害するということで、その対策をお願いする、同時に、当然このことは政府としてもそれに対する指導そのほかの努力を必要とするわけでございますが、この問題を提示したわけでございます。  今日この要調整数量の取り扱い、来年度の全体の生産をどう持っていくかということ、あるいはさらに需要の開発についてどのような努力を行ってこれを実現していくかということについて、関係者一同協議をいたしている段階でございます。

島田琢郎日本社会党

○島田委員 つまり、いまの説明を聞きますと、特定乳製品向けの生乳需要量というものを推定してはじき出して、それを即限度数量というふうに持っていったというのが今回の決定に当たっての特徴的な点でありますけれども、生乳需要量の算出の中で、五十四年度の国民一人当たりの特定乳製品向け生乳需要量というのを十六・五八キログラム、こういうふうにしています。この見込みというのは一体どういう根拠に基づくものなのかを一つは知りたいのですけれども、そもそも要調整乳量といったようなものは根拠法の不足払い法にもないことですし、いまのお話の中でも、これをお願いする、こういうふうな行政側の姿勢というのは、そもそも要調整乳量というものを新たに別枠に置いたという最も根拠になっている点だというふうに思うのですけれども、法律にないような事項をこれからお願いをするというのは、これは一体どういう理由に基づくのか、その点きわめてあいまいでありますから、はっきりしてほしい、こう思うのです。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 特定乳製品の生乳需要量、これにつきましてはいろいろな計算の仕方がございます。原則的に、一人当たり消費量に推定人口数を掛けて出すということになるかと思いますが、私どもが今回出しましたのは、五十四年度国民一人当たりの推定特定乳製品向けの生乳需要量は十六・五八キログラムというふうに見ておるわけでございます。人口は一億一千六百四十三万二千人、そして数量が百九十三万トンということでございます。  そこで、十六・五八キログラムの一人当たりの消費量でございますが、これは昭和三十九年度から昭和五十三年度までかなり長期間にわたる実績を見まして、これの計測したところの回帰式によってはじき出したものでございます。この期間のとり方によって若干の差はもちろん出てくるわけでございますが、私ども、先ほど申し上げましたように、できるだけこの需要を拡大していくという期待も込めまして、算定上、統計数学的にはじき出される需要量の算定としては幅のある中で、一番上限として考えられるこの三十九年ないし五十三年度を基準とする計測を行って算出いたしたものでございます。  それから、需要のある特定乳製品に限ってこれを限度数量として取り扱うということについて、法律にないことをということを仰せられたのでございますが、法律は別段、特定乳製品の数量についてこのように算定しなければならないということを言っているわけではございません。実際問題として、この限度数量の性格を考えますと、一つはやはり適正な生産についての指針、一つは財政負担の限界を示すという性格を持つものというふうに考えるわけでございます。その意味で、私ども従来残渣方式というような形で、余ったもの全部が特定乳製品に向けられる、それは需要があろうがなかろうが全部不足払いと同様の財政措置の対象とするということは、これは妥当でないということで、適正な生産量に戻す、私、お願いするという言葉を使ったわけでございますが、これは生産者自身の立場からすると、なかなかこういう厳しい実態についての理解が十分行き届いていない、この点について十分理解をしてもらいたいということで、なかなか苦しい事情もおありであろうが、その点はみずからの問題として受けとめて努力していただきたいという意味で、お願いするという言葉を使ったわけでございます。  法律上の性格の問題としては、ただいま申し上げましたように、適正な生産の目標を示すということで、それ自身は特段違反するとか間違ったことをしたというものではございませんので、御理解いただきたいと思います。

島田琢郎日本社会党

○島田委員 法律上に疑念はない、こう言っても、しかし用語として新たに出てきた問題でありますし、用語だけではなくて、中身が非常に問題の点を含んでいるわけでありますから、その点は根拠法の精神に抵触しているのではないか、私はそう思うからそのことを強く言っているわけであります。  しかし、いま国民一人当たりの消費量、需要量というものを設定した、そういう根拠の中に、これは国内で生産された牛乳、こういう立場ではじき出されているわけですけれども、現実には外国から二百五十万トン以上入ってきているわけですね。そのうち、それは人間の胃袋に入らぬものも確かに計算すれば百万トンくらいありますよ。しかし、残り百五十万トンあるいは百六十万トン近いものは確実に日本の国民の胃袋に入っているわけでありますから、それを計算しないで十六・五八キログラムという設定をするというのはそもそも根本的に間違いじゃないですか。私は家畜の胃袋に入ったものまで一緒にして計算せいとはいま言っていません。これはおかしいのじゃないですか。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 確かに生乳量に換算いたしまして約二百五十万トン相当の乳製品が現実日本に輸入されております。いま先生御指摘のように、その多くの部分は、多くの部分といいますか、相当部分は、飼料用の脱脂粉乳等でございます。しかし、バターだとかチーズ、あるいは乳糖、カゼイン、さらには調製食用脂、ココア調製品といったものは食用に向けられるものでございます。問題は、こういった輸入品を抑制して、そして、それを国産品をもって置きかえることができるかどうかという御指摘であろうかと思います。  この点については、現在一般的には輸入規制を行って一元輸入の対象品目としているものが基本的にあるわけで、これは国内の生産を保護するという立場からとられている措置でございます。ただ、事情やむを得ないものについて、つまり特殊な事情があって国内産では代替し得ないとか、あるいは政策的に特に、これは学給用の脱脂粉乳等でございますが、入れざるを得ない、安い価格で供給する必要があるというようなもの、あるいは技術的に日本国内では生産し得ないというようなものについては、これは輸入せざるを得ないわけでございます。  この内容を見てまいりますと、今日輸入がふえているものは、特に食用関係ではチーズであると私ども見ております。チーズにつきましては、残念ながら価格の点、品質の点で国産の需要を見込むことはきわめて困難でございまして、そういうことは事実上国際問題も考えますとほとんど不可能な話かとは存じますが、仮にチーズについての輸入規制を行ったとした場合、今日の日本の生産されるチーズの価格なり品質ということで需要が増加されるであろうか、また現在の設備、技術水準からして供給がそれだけふやせるだろうかということを考えますと、きわめてその点は困難であるというふうに考えております。

島田琢郎日本社会党

○島田委員 ぼくはそんなことを聞いてないのですよ。つまり十六・五八キログラムの国民一人当たりの需要量と見たこの根拠の中に、外国から入ってきたものも入っていますかと。入ってないでしょう。それに理屈をつけるという理屈を言ってくれと言ったんじゃないのですよ。そういう計算の仕方というのは間違いじゃないですか。家畜の胃袋に入ったものまで言っていませんよ。それは国内でできようができまいが、技術的に不可能だとかなんとかいう理屈を聞くためにぼくはいまお尋ねしているのじゃないのです。外国から入ってきたものでも百五十万トンないし百六十万トン程度のものは確実に国民の胃袋に入っているのじゃないですか、それも計算の中に入れなければ根拠としてはおかしいのじゃないですか、こういうことを聞いているのですよ。  それじゃ、輸入物も全部含めて需要量は一体何キロになるのか計算していますか。つまり、この十六・五八キログラムの需要量というのは、明らかに輸入物を先取りしておいて残りの分で計算されたというふうになるのじゃないですか。こういう計画といいますか、見通しというのはおかしいのじゃないですか。そこのところをはっきりさせなければ、本当に国民の胃袋に何ぼ入ったのかということがはっきりしてこなければ、これから先の需要の見通しなんというのは立てられないんじゃないですか。その点はどうなんですかと聞いたわけなんです。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 輸入については、御指摘のように、これは需要量の中に算定しておりません。その点は私、答弁の方を先取りして申し上げて失礼いたしましたが、与件として考えておるわけでございます。国内産のものについて従来どれだけの実績があり、どれだけの伸びの傾向があったかということをベースにして、国内産は国内産についての需要量を推定するという方式を従来からとっているところでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田委員 われわれは、これは乳製品に限らぬのですが、その他の農産物でも輸入物と国産とをどうやって位置づけをしていくのか。確かに足りない実態に牛乳だってあるのだから、まるっきりそれはだめですと言っているのじゃないのです。足りなければやはり入れなければならないのです。しかし、輸入の方を先取りしておいて国内の方を計算して、余るからこれは要調整乳量だという置き方をされたのでは、生産している酪農家は納得ができないじゃないですか。いままでこういう要調整乳量なんというような、そういう別枠に置くようなやり方はしてきませんでしたからよかったのだが、ことし新たにそういう問題が発生してきているわけでしょう。それは外国から国内産のやや半数に近いような輸入物が掛け値なしに入ってきているのに、そいつはそれで仕方がないのだ、こうやっておいといて、国内で生産されたものは二十一万トン余ります、こいつは何とかしてくれよ、こういうふうな話では私どもとしてはいただけないのではないのか。まず、全体をやはりひっくるめて、国産も輸入物も需給表の中にきちっと入れて、そのうち国内ではこれだけできる、足りないのはこれだけだから、これはこういうふうに入れてくるんだ、こういうふうな説得力のある説明というものが計画表の中にだってきちんと盛り込まれなければ国民は納得しない、そう思うから、いまの中身についての問題になる点を指摘をしたわけです。今後もそういう方針を続けていくつもりですか。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 需給の推算の方式については今後さらに検討を進めていく必要があると思いますが、ただいまの島田先生御指摘の、輸入の実態についてよくわからせないままに国内産だけについての需給を示すことは不満を持たせるではないかという御指摘は、私はごもっともだと思います。その意味で、需給表そのものには入れておりませんけれども、今回の審議会の審議に当たり、あるいは関係団体等への説明に当たりましては、従来なかったような輸入についての詳細の資料も発表いたしまして、その実態について御理解をいただく、それから、私いま一部答弁で申し上げましたが、輸入についてどのような考え方のもとに今日まで政策運営を行ってきたか、その考え方の基本を御説明してまいったところでございます。今後ともそういった点についてはさらに努力する必要があると考えております。  なお、輸入について全く野放しにしているわけではなくて、基本的なものについては一元輸入の対象にしておる。それから、チーズ等については三五%の関税を課している。そのほか、IQ物資という形での割り当てを行っているものもある。それぞれ実情に即して、そのときそのときでの判断も加えまして、従来かなりな、諸外国から見てむしろ不当に過保護であると言われるような障壁を設け、保護対策をとってまいってきたところでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田委員 ところで、この関連対策で出てまいりました需給調整対策費の三十三億円の問題でありますけれども、これは一体どういう考え方で出すことにしたのか。それから、それは今後どういう使われ方をしていくのか。使われ方をするということになれば、各県ごとにこの配分というやつもこれは必要になってくるでしょう。どういう分け方をするのか。この辺のところの基本的な考え方を聞かしてほしいと思います。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 三十三億円は、従来乳価ではございませんでしたが、乳価とは別に乳質改善奨励金という形で農家にキログラム当たり一円七十五銭の助成が行われておりました。これは総額で約三十三億円になるわけでございます。今回の価格決定に当たってはこの乳質改善奨励金を廃止いたしたわけでございますが、財源としては三十三億円それで浮くことになる。これをそのまま取り上げてしまうということではぐあいが悪い。今日の問題を考えますと、需給調整が何よりも必要な事業である。そこで、乳質改善奨励金は廃止したが、これらの事情も勘案して需給調整の対策のために必要な経費として三十三億円を計上するということにいたしたわけでございます。  この三十三億円をどのように使うかということにつきましては、これは関係団体等の意見も聞いてこれから決定するわけでございますが、名前のとおり需給調整、これに貢献するような事業に使うということになるわけでございます。需の方から言えば、これは消費拡大、たとえば団体等の間で議論されております項目としては、現在、学校給食に牛乳が入っておりますが、幼稚園に対して牛乳給食を行うことはできないかとか、あるいは現在の学校給食そのものも予定計画量を下回るような実績になっている、これをさらに拡大することはできないかとか、あるいは先ほど輸入品について問題の御指摘がございましたが、チーズは品質上あるいは価格上外国産に対抗できないということになっているけれども、本当にそうなのか、国産チーズについてその可能性を開発、研究する必要があるのじゃないか、その生産を少しでも伸ばすということについて努力する必要があるのじゃないかとか、それから生産の面につきましては、現在、外国からの飼料用の脱脂粉乳をかなり入れて子牛とか子豚に飲ませているわけでございますが、特に酪農家の段階で子牛には親牛の乳を飲ませるというようなことを指導で普及させていくことはできないかというようなことをもろもろ検討しているわけでございます。それらの事業について、これは当然役所も一緒になって最終段階では結論を出すわけでございますが、その決定を見次第、事業に必要な財源としてこれは充てられていくということになっているわけでございます。どの県にどれだけというような地域別で問題を考えているのではなくて、どのような事業にどれだけということで考えているわけでございます。これが行く先はどのように配分されるかということは、まさに事業の内容そのものによって決められていくものというふうに私は考えております。

島田琢郎日本社会党

○島田委員 ところで、この二十日に中央酪農会議が緊急生乳需給調整対策の実施要綱というものを発表しました。つまり、計画生産対策の具体的な実施要綱であります。いま局長のお話によれば、それはまさに後ろ向きの対策ではなくて前向きに対策する、しかも、そのために三十三億円を使っていきたいのだ、こういう考え方が示されましたが、そうだとすると、この中央酪農会議が発表しておりますこの点については、あなたのお考えとはずいぶん違った内容がこの中に盛り込まれている。この対策はどう評価しているのですか、どういうふうに見ているのでしょうか。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 中央酪農会議なり指定団体の団体長が全国的に会合を持ちまして生産調整のための相談をしている、そうして二十日には一応の結論を出したということでございます。これは事態を非常に正確に受けとめて生産者が努力しているということで、私は評価さるべきものだと考えております。ただ、三十三億円、需給調整対策の経費をどのように使っていくかということになりますと、この生産調整に全部充てるのだというようなことで決めているわけではございません。生産調整を具体的に実行する段階で、どのような事業が必要であるか、その助成のために財源が必要であるというなら三十三億円もそれに充てられることはあり得るわけでございますが、先ほど申し上げましたように、あわせて消費拡大もきわめて重要な問題でございます。すでに設立を見ておりますところの全国牛乳普及協会、そういった組織等を活用して、従来に見ない大規模な需要拡大運動をやはり展開していく必要もあるのじゃないかというふうに考えておりますので、それら全体を見た上で経費の配分は決められるというふうに考えております。

島田琢郎日本社会党

○島田委員 もう時間が来ちゃったのですけれども、一体限度数量と需給調整費の配分というようなものについては、いつごろをめどにこの決定をする方針ですか。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 いずれも五月のできるだけ早い時期にと考えております。

島田琢郎日本社会党

○島田委員 私はその前に、時間がなくて十分触れることができませんでしたけれども、前向きに消費を拡大するという方向で取り組む、この姿勢はきょうは明らかになったと思うのです。いささかもこれを後退、いわゆる後ろ向きの方向で三十三億円が使われたり、あるいは行政の指導が行われたりするようなことは絶対に許すわけにはまいらない。こういう点ではきょうは局長もしっかりひとつ腹に据えてくれたと私は思うのですが、何といっても輸入制限の方向というものを明確に示さないで、単に生産調整を行う、こういうふうなことだけは絶対許すわけにはまいらぬと思うので、その点をしっかり腹に据えてこれからこの対策に当たってほしい、こういうふうに希望を述べておきますが、政務次官、いまのお話を聞いていて、ひとつそういう方向で努力をするという気持ちをしっかり持ってもらいたいと思うのですが、いかがです。

片岡清一自由民主党農林水産政務次官

○片岡政府委員 ただいまの御意見、深く肝に銘じて、そういう方向に向かって努力をいたしていくことを申し上げます。

佐藤隆自由民主党

○佐藤委員長 芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 最初に、水産庁長官にお尋ねいたします。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  農林大臣並びに森水産庁長官から、先ほど日ソサケ・マス漁業交渉の経過と結果について報告を承りました。また、本日は本院の本会議においてこれに関する議定書の国会承認を行うことになっておるわけでございますが、この際、水産庁長官に対して、私としては長官就任以来、果たして森水産庁長官がどのような漁業政策上の国内あるいは外交上の手腕を発揮するかということに対して期待といささか不安を抱いておったわけですが、今回、前例のない、全く大臣抜きでモスクワに行って、十分に日本の主張、国益を守るという見地で努力された、その努力の結果については私としては相当の評価をしておるところであります。  それで、サケ・マス交渉の結果はわかりましたが、この次の問題として、以前から重大問題として一日も早く解決を期待しておる韓国漁船の北海道近海における全く国際信義を無視したような不当な操業に対して、いままで自民党・政府として何ら積極的な解決が行われていないわけです。従来からの農林大臣の説明を聞きますと、段階的に、まず日本の水産庁の次長クラスと韓国の同等のクラスの会談を行って、そこで解決ができない場合には、両国の水産庁長官クラスの段階で話を詰める。それでもまだ解決ができないという場合には、最後の段階として両国の担当の大臣間における政治的な折衝をして、そこで決着をつける。その決着の時期というものはおおよそ四月いっぱいということで問題の解決を図りたい。当然これは日本の国内においても日韓間においても複雑な問題があるわけでございますが、最後の決め手としては、韓国に対してだけまだ実施されておらぬところのいわゆる二百海里の操業海域の問題等を最後の決め手として相当の決意を持って解決に当たるということを、渡辺農林大臣からも数度当委員会で方針を示しておるわけです。いよいよ今度はこの問題にどうしても取り組んでもらわなければならぬわけでございますが、この際、大臣はいま退席しておりますけれども、今後のスケジュールといいますか、いつまでをめどにして問題の最終的な解決を図るという目標と交渉の内容について明らかにしてもらいたいと思います。

森整治水産庁長官

○森政府委員 去る三月三十日、三十一日に長官同士の会談をソウルに行ってやったわけでございますが、その後、いま御指摘のように、一カ月、四月中という予定でおりましたが、いまのところ五月に入るのもやむを得ないのではないかというふうに思っております。しかし、五月に入りましてできるだけ早い機会に再びソウルに行って話し合いを詰めたいというふうに思っておるわけでございますが、この問題につきましては私どもといたしましては相当強硬な態度をもって臨みました結果、向こうもある譲歩案は出してきておるわけでございます。ただ、この問題につきましてもわれわれ満足できるようなものではございません。そこで、五月早々にも、できるだけ早い機会に、大臣にもよく御相談の上、ソウルに行って解決の方途を見出したいというふうに思っておるわけでございます。まだいまのところどういう方向での解決になるかはっきりいたしておりませんけれども、事はあるいは日本全体と韓国全体との関係にまで発展しかねない問題であるというふうに私どもは認識をいたしておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、五月いっぱいをめどにして決着をつけるというわけですね。特にこの韓国問題については、ただ単に漁業問題に限らず、政府の部内あるいは与党の内部においても、全部ではありませんよ、相当の発言権とか影響力を持った一部の者が特に韓国問題については国民の考えと異なったような、そういう外交上の姿勢とか、両国間の問題の処理に当たってしばしば政治的な動きを示しておる。大きな例としては、金大中事件等についてもそうです。こういう流れが、結局明快に解決すべき日韓の漁業問題の中における北海道近海の不当な、黙過することのできないような事態というものがなかなか解決できない。そういう背景があることは水産庁長官も十分認識されておるわけでございますからして、ぜひこの点については、モスクワへ行ってがんばった以上に勇気を持って取り組んでもらいたい。そこで成果が上がれば、なるほど森長官相当なものだということになるわけですから、五月いっぱいの解決を期待しております。  それから次に、先ほど杉山畜産局長から五十四年度の加工原料乳並びに食肉に関する政府価格の決定の経過あるいはまた内容を聴取いたしましたので、ことさらに内容に触れる必要はありませんが、ただ、今後の取り扱い上問題となるような点だけについて明らかにしておいてもらいたいと思います。  一つは、昭和五十四年度の加工原料乳に対する限度数量が、昨年の百八十三万トンに対して十万トン増加の百九十三万トンとなりまして、これには先ほども説明のありましたとおり、昭和五十四年度以降、加工原料乳の限度数量に超過を生じた場合においては、名目のいかんを問わず、何らの措置も講じないこととする、これはまさか告示に掲げてあるわけではないと思いますが、わざわざだめ押しのようなことを言っておるわけですからして、政府の姿勢というものはおよそわかるわけです。  そこで、百九十三万トンの限度数量に対して、年度当初に都道府県別に数量配分を行うことになるわけでございますが、この配分についてもことしは相当慎重を期してやられると思うわけであります。そこで、この配分の方針等について、どういう基礎に立って行うか、あるいはまたこれは当然、第三次酪農近代化方針の期間の中でこういう現象か生じておるわけでありますから、それらとの関係等についても局長としても十分配慮されておると思いますので、まず、この点についてお尋ねいたします。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 御指摘のように、従来でございますと超過したものすべてについて措置されたということから、限度数量の配分について各県間で特別の問題は生じなかったということが言えますが、五十四年度は、これは仮に超過するような事態が生じた場合でも特別な助成の対象としないという方針を明確にいたしております。そのことから、各県間でそれぞれ特殊事情があり、自分のところの配分量をよけいしてほしいというような要請か強まるものと思います。私どもとしては、各都道府県、全国を対象にして、公平な不満のない、理由の通る決定をいたしたいと考えております。  配分の基本的な考え方は、これは全体の生乳の生産量に対する加工原料乳の都道府県ごとの割合をベースにいたしまして算定するということになるわけでございますが、その場合、加工原料乳の発生見込み数量、発生割合をどういうふうに見込むかは、過去の年次をとるにいたしましてもどのような幅でとるかという問題がございます。それから、生乳の生産量全体の問題につきましては、これは先ほど来御説明申し上げたところでございますが、現在、生産調整ということで各生産者団体がそれぞれの県でどれだけのものを生産するかということの調整を行っているところでございます。それらの動向も見定めまして、各団体、各地域の意見等も承って公正に決めるということにいたしたいと考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 五十三年度までの限度数量の各都道府県配分は、毎年生乳の総生産量がふえるに従って加工原料向けの数量もふえていくわけですから、逐年限度数量が増加して、結局積み上げ方式のような形で昨年まではやってきておるわけです。つまり、それは酪農近代化計画の中においても、その地域の生産された生乳が主として飲用向けになっておるか、あるいは加工原料としての計画からの期待がなされておるかという点ははっきりしておるわけだから、恐らくその基礎に立って去年は百八十三万トンを、ブロック別にすれば北海道、それから東北、関東、北陸、東海、近畿、中国・四国、九州、これが近代化計画のブロック別の昭和六十年を目途にした内容で、六十年に到達すべきその地域の生乳の生産量と、内容については飲用向けを幾ら、それから加工原料がどうということになっておるわけですが、やはりこういう点は基礎にされて行うと思うのですよ。とにかく去年より十万トンしかふえてないのだから、わずかなものだから大したことはないじゃないかといっても、酪農関係というのは特に農家の中でも経済観念が強いというか、わずかなことでも、一円とか二円でも真剣な動きをするような、そういう特性を持っておるわけですから、これはその数量の増加分が少なければ少ないほど事務当局としては適正な配分に苦慮すると思います。これは決めて配分すればわかることですが、それまでの前段作業というものは理論的にもきちっと、後で非難を受けないようにぜひやってもらいたいと思います。参考までに、去年は百八十三万トンのうち北海道地域は百四十九万三千百九十五トンですから、総体の大体八〇%が北海道、それだけ北海道は飲用向けが少ないわけだからことさら価格面においても低い値段で抑えられているということはわかるわけです。  それから次は、五十四年度に、従来の乳質改善奨励金の一円七十五銭を、ちょうど数量的には百九十三万トンに見合うわけですが、三十三億円計上してある。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 これは従来のように乳質改善の目的で生産された乳量に対して支給するというわけじゃないですね。だから、この効果的な使用というものは非常に関心の持たれるところです。たとえば、北海道の場合には、五十四年度一年間におよそ二百万トンの乳量を対象にして生産者からキロ一円の基金を集めて、これは二十億円になるわけですけれども、これによって消費の拡大を北海道独自の立場からも積極的に展開するというようなことにもなっておるわけですが、これを単に生産者団体や生産者だけに押しつけるということは政府として絶対に避けなければならない問題ですから、こういうような点についても、何のために使うかというような点についても十分に目的を明らかにして指導性を発揮してやるべきだと思うわけですが、それについてはどう考えておるかという点です。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 前段の限度数量の配分につきましては、近代化方針そのものを直接限度数量の配分に算定して織り込んだということはございませんが、北海道の生産の実績はそれなりに近代化方針を実現し得ているような形で従来動いております。従来実績をそういう形で間接的に反映しているということは言えるかと思います。いずれにいたしましても各県間の問題、十万トンは最大のところを見込んだものではございますが、各県の希望等からすれば決して多い数量ではございません。わずかとは言いましても確かにおっしゃられるように重要な問題を含んでおりますので、公平を期して配分してまいりたいと考えております。  それから、乳質改善奨励金を廃止し、五十四年度は新たに需給調整対策費三十三億円を計上いたしております。これの使途につきましては、需給の調整でございます。その事業としては、先ほど島田先生の御質問にもお答えいたしましたように、需要の開発、たとえば幼稚園牛乳を学校給食のように及ぼすことができないかとか、そのほか需要拡大対策を考えております。それから、生産調整につきましても、実際に事業費がかかるような事業が出てくるということも考えられるわけでございます。これらの事業を見まして、効果の上がるように、需給調整の本来の趣旨に従って配分を決めてまいりたいと考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に、ことしの原料乳の保証価格が先ほど説明されましたが、畜産局長としてもあるいは統計情報部長の立場から見ても、ことしの保証乳価の決定はキロ当たり八十八円八十七銭でありますが、これはあくまでも乳脂肪率三・二%の生乳については八十八円八十七銭である、そういう保証価格の決定であるわけですね。だから、生産者が出荷した生乳が三・二%のものであればそのまま八十八円八十七銭の取引になるわけでございますが、昨年の北海道における牛乳生産費調査の結果から見ると、乳脂率は三・五九%になっておるわけですね。だから、水増しをしないで実乳量でこれを計算いたしますと、三・五九%のものは一キロ当たり九十九円七十四銭ということになるわけです。これを超えるものもあると思いますけれども、とにかく三・二%を超える生乳についての取引の適正化という問題を従来と異なった立場で農林省としても十分に指導して、政府の生産費調査に基づいて算定をした価格というものが実態に合致するようにする必要があると思うのです。局長も御承知のように、いままでは三・二%を超えた分については〇・一%ごとに一円加算ということになっておるわけですね。ところが、政府決定の価格から計算をいたしますと、乳脂率の格差というのは〇・一%についてキロ当たり二円七十八銭の差があるわけです。これは先般の委員会において統計情報部長からも説明を得た点でございますが、だから、正確な取引ということになれば〇・一%、一円という加算でなくて、少なくとも〇・一%超過分については二円七十八銭の割合で正確な取引が指定生産者団体と配乳先である乳業者との間においてきちっと行われるということになれば、水増し換算で算定をしてもあるいは実乳量で算定をしても一その基礎となるものは生産費調査によるわけでありますから、そこで問題は起きないと思うわけです。直ちにそうするということを局長として言うだけの度胸があるかどうかわかりませんが、長年の宿題ですから、一体これをどう考えておるのですか。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 大変むずかしい問題でございまして、計算上確かに先生御指摘のような対応関係になることは事実でございます。ただ、実際の乳業メーカーと生産者との間の取引というのは必ずしもそういう品質、特に計算された乳脂率だけに基づいて行われているものではない、その他、地域のそれぞれのすべての条件を総合した、反映した形で〇・一%に対して一円というような価格もそれなりに実現されているものと考えられるわけでございます。それから、地域によってまた時期によって乳脂率には格差もございます。そういう状況を考えますと、一律の指導をにわかに行うということはきわめて困難な問題であると考えております。ただ、生産者との間の取引については、それぞれ総合的な実情を勘案して不当な取引の行われることのないよう、これは全体として指導してまいるという考えは持っておるところでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 冗談じゃないよ、局長。いいですか。三・二%の乳脂率の生乳については保証価格八十八円八十七銭でありますということを自分で決めて告示したのでしょう。それ以上のものは一体どれだけの、乳脂率というものを価格に置き直せば格差が出るかということになれば、これは私がいま言ったとおり二円七十八銭ということになるわけですから、そういうことは農林省として、この価格決定の当事者が、指定生乳団体に対しても安い原料乳の供給を受ける乳業者に対しても、十分に周知徹底して認識させる必要があるのですよ。ともかく不足払い法ができてから十四年もたっているわけですからね。毎年毎年この問題を取り上げて、この不足払い制度の前の畜安法時代、これが昭和三十六年、その時代から十五年以上も取引の適正化という問題について、三・二%の水増し換算でやる場合にはこういう問題が生ずるわけだから、行政当局として権限でこれをどうさせるというわけにはまいらぬが、実例としては農産物価格安定法の中のでん粉の原料芋の歩どまり格差に対する価格差を設けるということも、これは政府が決めて告示してやらせておるわけですから、これはこの次の機会までに内部においても十分検討してはっきりするようにしてもらいたいと思います。  あとは、時間がありませんからこの次に譲ります。  この際、別な問題ですが、これは委員長もよく聞いてもらいたいと思うのです。  委員会において各委員が質問する場合、畜産局にしてもきのうの林野庁にしても、質問要求の委員に対して、どういう内容の質問をされますかと質問の要旨をあらかじめ聞きに来る。これは長年の慣例だからどうということはないですよ。しかし、その場合、一体どういう姿勢で政府としては質問を要求した委員にその内容を聞くかというのが問題です。これは一例ですよ。昨日の午後四時ごろ、私の部屋に畜産局の者ですという若い職員が来まして、畜産局のどこの課の何だということも言わぬで、会館に来たら電話が来て、芳賀先生のところに行って質問を聞いてこいと言われてきました。きのうのきょうですから、大体こういうような内容の質問をするということは親切に教えました。普通ならメモを出してちゃんと丁寧に書くでしょう。あなたも若いときやった覚えがあるでしょう。それが、破れかかったような古い封筒を持ってきて、こういうふうに二つに折って、こんなものに書いているのですよ。これから推してみても、いまの農林省、あるいは特別畜産局に限るかもしれませんが、局長としては一体どういう態度でわれわれ国会議員に対して質問内容を聞きに行ってこいと言っているのですか。会館に来たら電話が来ておまえ行って聞いてこい、これじゃ無線タクシーを呼ぶようなものじゃないですか。一体何だと思っているんだ。本当なら局長が来てあいさつをして、どういうような質問をされるかと言うのがあたりまえでしょう。従来は大体課長補佐ぐらいが来るのが、これは慣例だから、別に気にもしないですけれどもね。どんな身分の者だか、どんな立場の者だかわからぬ者が、名刺も出さぬで、畜産局の者です、それでよれよれになったような古い封筒を引っ張り出して、そういうようなやり方というのは、これはあなたがやらしているのでしょう。これは姿勢の問題ですよ。われわれ政府側にお願いをして質問をしているんじゃないですよ。問題があるからそれをただすために委員会を開いて、農政上の問題等についても真剣な論議をやっておるのです。それをいい若い者がひょこひょこ入ってきて、畜産局の者でございますが、行って聞いてこいと言われたから来ました、私としては初めてこういう者にぶつかりましたけれどもね。これは杉山局長になってからの出来事ですからね。十分に部内の職場規律とか農林省全体としてのきちっとした秩序維持というものを図っていかぬと、これは取り返しのつかぬことになるんですよ。これは何も答弁要らぬですよ。片岡さんも来ていますが、こういう問題があるんだから、私のところに来てさえそうだから、他の委員の諸君についてはまだこれは無礼千万なことをやっていると思うのですよ。これは非常に大事な問題ですから、注意を兼ねてこの機会に申し上げておきます。

杉山克己農林水産省畜産局長

○杉山政府委員 答弁は要らないということでございますが、済みません、答弁させていただきたいと思います。  御無礼のあった点、まことに申しわけないと思います。これは仕事以前の私どものしつけの問題であると考えます。十分今後しつけを改めるように努力いたしたいと考えます。

佐藤隆自由民主党

○佐藤委員長 津川武一君。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 最初に、水産庁長官に、日ソサケ・マス交渉についてお尋ねいたします。  今度の議定で、漁業協力費が、五十三年の十七億六千万円から五十四年三十二億五千万円へと倍近くになっております。しかも、この三十二億五千万円という金額は、くしくも日本国内のサケ・マスふ化放流事業への国の投資額と同じになっております。漁業協力費と言っていますが、実質上は入漁料、五十四年度をとってみますと、水揚げ額の九%になっています。国際的な常識では三・五%、高過ぎませんか。少し日本の方が腰が弱かったんじゃないか。議定書をつくる間における皆さんの苦労はよくわかりましたが、この点が国民の間に、漁業関係者の間に多少疑念を持たれておりますので、そこいらの経過をひとつ説明していただきたい。これが一つ。  第二番目は、プラント、機器類でこの協力費は現物供与する形をとっておるが、これが果たしてソ連で主張しているように有効に使われる見込みがあるのかどうか。森水産庁長官が、サケ・マス資源の再生産に必要な資金のうち、過去に使った金を、日本とソ連がとるべき数量に比例して日本が払ってほしいというもので、ソ連側の算定方式に従った方が安定的なサケ・マス操業につながる、こう言っておりますが、これも何かもう少し突っ込んでほしかった、相手の言いなりでなかったのかなという、これが二つ目の質問です。  三つ目の質問は、日本のサケ・マスふ化放流の高い技術水準の交流をも含め、もっと日ソ間の協力事業として協力費を性格づける、明確にする、その効果、実施場などというものの報告を求めるべきである、こんなことが言われております。  この三点について答えていただきます。

森整治水産庁長官

○森政府委員 漁業協力費についての問題でございますが、これは去年が約十七億六千万円、ことしが三十二億五千万円ということでございまして、私どもは去年は漁獲高の四・五%という計算で十七億六千万円を算出いたしたことは御承知のとおりでございますが、本年はやはりそういうやり方もいろいろ私ども提案はいたしました。そういう過程でそういう話もあったわけでございますけれども、終局的には、向こうは考え方としては、むしろすでに去年使った四千七百万ルーブルの四分の一、要するに日本が、三万八千トンから始まったわけですが、一応四万トンとしまして、向こうはゴスプランの十二万トン、全体で十六万トン、それで四万トンですから、それは四分の一の二五%、四千七百万ルーブルというのは漁業省が支出した会計上明確な金であります。その二五%の一千百万ルーブル、それを円に換算して三十五億、それをすでに使った金なんだから、応分に負担してもらいたいというのがソ側の主張でございました。パーセンテージで出すことにつきましては非常に不安定な、何%がいいかということについては何も根拠がないという主張でございました。非常に政治的に何%で手を握るとか、そういうような確かに何%でなければならないという話は、これはまたないわけであります。  それからまた、先ほど御質問がございましたように、入漁料ではございません。公海上の操業でございますから、公海で何も金を払う必要はない。むしろやはり母川国のサケ・マスの再生産の保護と再生産に協力するという意味で金を支出する、現物でございますが、そういうものを支出するということでございまして、結局、高いかどうかということにつきましては、漁獲量と禁漁区の解除と全体を絡めましての話し合いになったわけでございます。高いと言えばそうかもしれませんが、行かれました顧問の方々と相談をいたしまして、出漁の時期もありましたものですから、低い方が確かによろしゅうございますが、最後の瞬間、そこで判断をせざるを得なかったというのが率直なお答えになろうかというふうに思います。  それから、中身につきましては、これは交渉の過程で向こう側も、ソ側も、供与する、協力費で出すものにつきましては、これは必ずサケ・マスの再生産のためのものに使うし、またこれは現物の施設なり設備につきまして全部われわれと話し合いで出ていくわけでございます。大体日本でできるものを渡すわけでございますから、これはまず間違いはないというふうに思います。  それから、どこの場所に、どういう川にそれを設置するかというところまでは、これはチェックはいたさないわけでございます。そこまでやれという御意見もあるかと思いますが、そこまでは考えていないというものでございます。  それから最後に、漁業協力としてもう少し正確にやるべきではないかというような御質問がございましたけれども、これにつきましては、別途漁業協力協定が結ばれておりまして、先生御承知のように、漁業科学技術協力の情報、資料の交換でございますとか、共同調査の実施ですとか、専門家の交換でございますとか、種苗の交換、そういうことを毎年協力計画を定めて行っておるわけでございます。ここで漁業協力費、先ほど言いました三十二億五千万円というのは、全然漁業協力計画に基づくものではございませんが、極東のサケ・マスの資源の保護、再生産のために母川国であるソ連が投入している経費に対して応分の協力を行うというものでございまして、形式といたしましては、わか民間、一応代表として大日本水産会が現物、機材をソ連側に供与する、それについて政府が了承をするという形式をとりました内容の書簡をソ連側に出しておるということでございまして、協力の内容が、わが国が持っております技術なり知見を機械なり設備の形で提供するものであるというふうに考えれば、これも漁業協力の一環として位置づけられるものではないだろうかというふうに思う次第でございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 困難な課題だけれどもがんばってほしいと思います。狭い民族主義なんかにとらわれないで、日ソの先の広い立場から、しかも日本の権益を守りながらがんばっていただきたいと思います。本当に御苦労さまでした。  最後にもう一つ。この水産会などが出してやるのに対して国が援助する、補助するということもこの際必要と思いますが、いかがでございますか。

森整治水産庁長官

○森政府委員 昨年は、十七億六千万円のうち七億九千万円国が支出いたしましたが、この考え方は、機材なり設備なり、それにつきまして国が出すにふさわしい、そういうものを選び出しまして、漁業協力財団の漁業協力に対しまして四分の三補助をしておりますが、それの規定を使いまして、国が四分の三の補助をしておるということでございます。結果的には、民間だけで出すものもございますから、全体の中で七億九千万円というのは四五%に相当したわけでございます。  ことしはどうかということでございますが、三十二億五千万円というのはクォータを達成した場合で、クォータを達成しない場合にはそれに応じて減額をする。そこで額か決まって、ことしと同じように、機材なり設備を見ながら国が応分の負担をしていく。別にちびるというつもりは毛頭ございませんし、ことしのやり方も参考にしながら、見るべきものはよく見ていきたいというふうに考えておるわけでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 次に、ナガイモなどの畑作物の価格低落についてお尋ねをいたします。  ナガイモは、一昨年のキロ四百五十円、去年の二百十円に対していま七十円、大変な暴落になっております。また、埼玉のネギ地帯のネギでも、昨年の二月二十日現在とことしの二月二十日現在を比べると約十分の一、八十円物が八円というふうになっておりまして、ひどい暴落を起こしております。政府は暖冬だからという形で片づけようとしている向きもございますが、そうばかりはいかない行政上の問題が出ております。それはことしの農業白書にこう書いてあります。「最近自由市場で価格形成が行われる野菜、果実、畜産物等のうち一部の品目については、生産のわずかの変動によって価格が大きく変動する動きがみられる。」ここなんです。  そこで、ナガイモの価格が落ちた、そしてネギの価格が落ちましたか、いままでどのくらいの野菜畑があったのが、ことしの水田利用再編対策でどのくらいふえたか。政府は全力を挙げてふやすまいとがんばったことは私たちも承知しております。だが、現実にどのくらいふえたのか、そのふえたのが価格にどう影響しているのかをお答え願いたい。  というのは、いままでは単品が上がっていって、上がるがすぐ下がる。今度はかなりの品目の野菜が下がってしまった、しかも下がったものが長期に続いている。こういう情勢の中で、白書がはしなくも言っているように、わずかの増産が価格を決定的に支配しているということなんで、ここらの考え方。これから水田利用再編対策をやるとすれば、野菜物というのはやりやすいので農民の方がかなりいくと思うのです。  まず、この点を答えていただきます。

犬伏孝治農林水産省食品流通局長

○犬伏政府委員 御指摘のとおり、野菜の卸売市場におきます価格は、出荷量が需要量に対して超過する場合には価格は低落をする、その低落の仕方が、白書でいまお話がございましたように、供給量の増加のわりに比較して価格の低落の程度が著しいという性格を持っております。  水田利用再編対策を五十三年度から新たに始めたわけでございますが、その際、野菜のそのような性格にかんがみまして、需要と見合った形で野菜の転作を行うということにつきまして指導の徹底を図ることでやってまいったわけでございます。五十三年度の転作野菜の面積は約八万ヘクタールでございまして、前年度に比較をいたしまして約二五%の増ということになっております。ただ、野菜の全体に占める転作の面積は約一割程度でございまして、昨年の野菜の総作付面積の動向は、前年に比べますと、転作では二五%ふえましたが、全体としてはほぼ横ばいということになっております。それまでは野菜の面積はほぼ横ばいというよりか、むしろ漸減傾向でございましたのが、減少しないという形で、様相が変わったというふうに見てもいいのではないかということでございます。  転作の関係で野菜の生産なり供給に大きく影響いたしますのは夏、秋野菜でございまして、昨年は御承知のような何十年かに一遍の干ばつ、高温でございまして、夏野菜はむしろ作付面積がふえたにかかわらず価格は高いことで推移をいたしました。転作の関係で冬野菜の方はさほど面積はふえておりませんが、しかし御承知のような暖冬で反収が非常に向上するということで、供給量が非常に大幅にふえ、これが価格の低落をもたらしたということが言えるわけでございます。  そこで、本年度五十四年度の転作につきましては、昨年指導いたしました需要に見合った生産を行うということをさらに徹底すべく、すでにそのようなことで、生産県に対し、あるいは生産者団体に対し、指導を行っておるところでございます。  ネギ、それからナガイモの点につきましては、ネギは面積はさほどふえておりませんが、反収がふえた。ナガイモは作付面積がふえたことによる供給量の増加、これが響いたというふうに見ております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 政府が懸命になってもなお二割五分の野菜畑がふえた。ここのところで、ことしからの減反にはかなり計画的に指導していかなければならないので、再びこの轍を繰り返さないように要求して、もう少しナガイモで進めていきます。  一昨年の四百五十円から去年の二百十円、いまは七十円ね。これは暖冬だというけれども、ナガイモは地下に深く入るから気候は余り影響ないんだよ。決定的な影響は転作なんだ。青森県でどのくらいあったかというと、五十二年には、千六百九十ヘクタールに対してナガイモのふえた転作が六十八ヘクタール、五十三年は二千百四十ヘクタールに対して百二ヘクタール、四分の一ふえた。長野県ではどのくらいふえたかというと、五十三年、六百七十五ヘクタールに対して二十ヘクタール。わずか二千や三千のところでこれだけの、百や百五十のふえ方が決定的に価格を低落させておる。暖冬じゃないんだよ。ナガイモは地下にいるから、そんなに暖冬は影響ない。ここいらは厳重に教訓をくみ出すべきだと思う。  したがって、以下四つの点。  一つは、ナガイモ、生産調整するのかどうか。青森県と長野県と茨城県、鳥取県、主産県で生産者たちが自主的に何か協議しております。そこで、やはり政府は力をかしてあげないと、ナガイモの生産と価格を維持していく上にはちょっとめんどうだと思うのです。この点がどうされるのか、一つ。  二つには、ほかの野菜だと一年に三作、四作なんだ。ナガイモは一年一作なんだよ。ほかの野菜で取り返すことができない。したがって、いま下がれば下がりっ放し、長期的なんだ。この価格補償に関して何らかしなければならぬ。する腹があるのか。野菜生産出荷安定法の中の価格補償の部分かある。全国的な中央市場の方にはこれ取り上げられていないが、ここで取り上げるべきだと思う。というのは、青森物は東京と大阪の市場に来ていて、まさに全国的な視野から価格を補償すべきで、青森県や茨城県、長野県、鳥取県で特定野菜として指定しているかどうかもここで明らかにしていただく。その上で、さらに全国的な価格の対象物に取り上げるべきだということが二つ目の質問でございます。  三つ目には、被害を受けた農家たちがかなり苦しんでおる。借金がふえている。特に長野県では、この間わざわざ皆さんが政府に陳情にまで来ていましたが、自創資金の中の経営再建資金、こういうのがございまして、これはかなり有効に喜ばれている。これがどのくらい適用されるのか。金額のゆとりがあるのか。鳥取でどうか、長野でどうか、茨城でどうなっているか、青森でどうなっているか、ここいらを明らかにしていただきたいと思う。  最後のものは、消費拡大なんだ。それで、畑作物というのは一体にたん白質がない。ナガイモは畑作物の中でたん白質のあることがこれまた特徴的なんだ。したがって、野菜からたん白質をとるという点では、ナガイモの消費拡大がうんと必要なんだ。ところが、東京の市場には長いのがあるが、大阪に行くと長いのはないんだよ。青森物と鳥取物が入っていなくて、そして何だか短い、根の生えているやつ。したがって、消費拡大に対しても、これは全国的に東京にも足の生えているやつを消費拡大の道を開くと同時に、大阪や福岡の市場にもナガイモなどという消費拡大の道。この消費拡大の道につながっていくもう一つの問題は、お菓子など加工品に使うこと。それから、イモのしょうちゅうができているみたいに、ナガイモのしょうちゅう、私はこれはすばらしいものだと思うのです。青森県の県当局、副知事に話したら、副知事が早速青森県の工業試験場に、ナガイモからしょうちゅうをつくることをやっているのです。これは長野、茨城などということで、やはりこの点は政府は消費拡大において道を開いてあげるべきだと思うのですが、この四点に対して答えていただきます。

犬伏孝治農林水産省食品流通局長

○犬伏政府委員 ナガイモの供給量がふえたというのは、暖冬というよりかむしろ作付面積の増加ということでございます。一昨年までは比較的面積の増加も少のうございまして、価格は高価格で維持された。その高価格に刺激されて作付面積が増大したというふうに見られるのでございます。昭和五十年を一〇〇にいたしまして主産県五県で見ますと、昭和五十三年では一三二%ということで、大幅に面積がふえております。  ただいま転作のお話がございましたが、青森県で五十二年と五十三年との面積を比較しますと、全体では四百五十ヘクタールふえております。その中で、転作は三十四ヘクタールで、転作でふえたというよりか、やはりこれは本来的には畑作物で根が深うございますから、畑地帯でふえた分が相当あったというふうに見ていいのではないかというふうに考えられます。  そこで、このように価格が低落をし、作付面積が多くなったままで推移していいかということになりますと、やはり需要に見合った形での生産を行うという必要かございまして、先ほど御指摘がございましたように、主産県が相集まりまして、ナガイモの生産及び出荷についての相互の意見交換を含め話し合いを進めておるところでございます。やはり需要に見合った生産、出荷を行うということが基本であるということで、そのような趣旨で指導を行っておるところでございます。  それから、しかしながら、一方価格は現実に低落をしておるということにつきまして、今後このような価格が低落する場合にどのような措置をとるかということでございますが、価格の低落に対する価格補てん制度が、昭和五十一年から、都道府県の野菜価格安定法人の行う補てん事業に対して助成を行っておる道を開いておるのでございますが、その当時は価格が高いということで余り必要性がないということで、現実には加入がほとんどございません。五十四年度はかなりの主産県からの希望がございます。できるだけその希望に沿いたいということで、ただいま前向きに検討をいたしておるところでございます。  それから、需要拡大の面についてのお話でございますが、ナガイモにつきましては、いわゆるナガイモと、それから関東、埼玉周辺のイチョウイモ、別名ヤマトイモと申しますが、これと、それから関西方面にありますツクネイモ、そのほかにジネンジョというものがあるわけでございまして、その地域地域のやはり消費性向というのがございまして、それに応じた消費が行われておる。長いナガイモにつきましては、大阪までは出荷されておるようでございますが、西の方には一そういった消費の性向というものがございますので、なかなか行かない面がある。また、それに応じた生産も行われておるということでございますので、西の方の消費拡大というのはなかなか困難ではなかろうかと考えております。  ただ、加工の面でのお話がございましたが、ナガイモの加工需要といたしまして、かまぼこでありますとか、あるいはめん類にこれを加える、あるいは生のままで加える以外に粉状、粉末にいたしましてそれを加えるということも行われておるのでございまして、そういう面でできるだけ需要拡大を図るということは今後の課題であろうかと思います。  しょうちゅうのお話が出ましたか、青森県の工業試験場でその可能性について研究をしてみるというふうに聞いておりますので、県の方からお話がございますれば、大蔵省の方にもそのような希望がある旨を伝えて協力をしてもらえるようにいたしたいというふうに考えております。  資金面の点については、構造改善局の方からお答え申し上げます。

大場敏彦農林水産省構造改善局長

○大場政府委員 私からは資金面についてお答え申し上げます。  お話のありました経営資金につきましては、自作農維持資金の経営再建資金というものがございますが、これは五十億、五十四年度から創設したわけでございます。それを御活用願ったらいいというふうに思っております。年度当初でございますからまだ資金枠はたっぷりございます。それから、具体的問題になっておりますナガイモの資金需要がどれだけあるかということにもよりますけれども、これはいま各県にどの程度の御希望があるかということを照会中でありますから、その結果を待ってできるだけ御希望に沿いたいというふうに考えております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 一つだけで終わりますが、食品流通局長の答え、説明に終わっているところがたくさんある。  そこで、価格補償ですが、各県の特定野菜としてこれからやると同時に、これだけ全国にありますので、中央卸売市場の価格の、出荷安定法の全国的な価格補償の対象にすべきだと思いますが、ここらの考え方はいかがでございます。

犬伏孝治農林水産省食品流通局長

○犬伏政府委員 先ほども申し上げましたように、特定野菜といたしまして制度の道を開いておるのでございますが、まだそれが十分に活用されていないという面がございます。五十四年度はその希望がずいぶん出ておる、出荷先は、青森県についても大阪から東ずっと出荷先となっておりますので、出荷先は全国的である場合でも特定野菜として十分対応できるということでございます。ただ、今後さらに大幅に全国的な消費の拡大があるという事態になった時点では、さらに指定野菜として対象にするかどうか、その時点で検討をいたしたいと考えております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 終わります。

佐藤隆自由民主党

○佐藤委員長 次回は、来る五月八日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十四分散会

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