内閣委員会 第7号
- 発言数
- 383 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1979/04/17
会議録
○藏内委員長 これより会議を開きます。 元号法案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田卓三君。
○上田委員 元号法案につきましての質疑に入る前に、きょうは宮内庁の長官がお見えであると思っておるわけでございますが、ちょうど二年前の本委員会で、私は、宮内庁の長官がなぜ政府委員にならずに説明員になっておるのか、こういう点をただしまして、ぜひとも、次回の私が質問するときには、政府委員という資格で出てもらいたいということを前宇佐美長官に申し上げたわけでございますが、その点について宮内庁長官から御説明いただきたい、このように思います。
○富田説明員 お答え申し上げます。 二年前に、いま委員の仰せのとおりの質問をいただいた記録がございまして、当時長官でございました宇佐美からお答え申し上げたと存じますが、いわゆる国事行為たる儀式とかあるいは外交団の接受とか、いろいろそういう儀式が相当あるものでございますから、そういうものをうまく措置できるような場合には、できる限りいまの先生の御要望にも沿いたいと思っております。 そういう関係で政府委員は次長、経済主管が政府委員として任命されまして、いろいろ御答弁に当たっているような次第でございますが、いま申し上げたようなことを私としては含んでおりますので、御答弁申し上げます。
○上田委員 宮内庁以外の各大臣は国会に出向いていただき、われわれの質問に答えていただいているわけでございますが、宮内庁の長官だけが大変忙しくて、そのほかの大臣はわりと暇であるという解釈ですか。もう一度お答えいただきたいと思います。
○富田説明員 さようには存じておりません。ただいま御説明申し上げましたように、そういうこととうまく調整がとれる際には、私はできるだけ御質問にお答えするように心がけておるつもりでございます。
○上田委員 私は、宮内庁の長官というのは実際具体的に毎日何をされておるのかよくわからないのですが、各大臣の方々に比べて比較的、比較的ですよ、かえって暇なのではなかろうかという気すらしているわけです。だから、やはり政府委員として国会に出席していただくということがいいのであって、宮内庁長官だけ例外的に政府委員でないというのは、私は納得できないのです。もう一度明確に答えていただきたい。大臣の中で特別に——あるいは総理大臣でも当然委員会に出向いて答弁もされるわけでございますが、長官というのは何か特別なものなんですか。
○富田説明員 総理大臣初め各大臣のような立場にはないことは十分承知をいたしております。したがいまして、先ほど来申し上げたようなつもりで私はおる次第でございます。
○上田委員 過去はそういう理由で政府委員でなかったということは、私は了解という意味じゃなしに、そういう説明で政府委員になってなかったということであると思うのですが、少なくとも各大臣と同じように宮内庁長官についても政府委員であることが望ましいのではないですか。初めから忙しいのだからという形で政府委員から外しておく、次長をもって政府委員とするということ自身に間違いがあるのではないですか。過去のことをさかのぼってどうのこうのと言うつもりはないのです。しかし、少なくとも二年前私が問題提起をしたわけでございますから、そういう点でやはり政府委員として出席することが当然ではないかと私は思うのですが、その点どうですか。
○富田説明員 ただいまのさらに重ねてのお尋ねでございますが、これはその当時宇佐美もよくお答え申し上げたと存じますが、内閣あるいは国会のしかるべきところと十分内閣を通して研究をいたしてみたいと当時答えたと存じますが、私もそういうふうに存じております。
○上田委員 いやそうじゃなしに、長官、政府委員になりたくないというような形で固執するのじゃなしに、長官だけの考え方では無理だろうと思いますが、内閣とも相談してしかるべき云々ということがあったわけですから、きょうは説明員として御出席いただいているということであるにしても、元号問題で国会内外の世論を喚起しておるわけでございますから、開かれた皇室、人間天皇と言いながら担当大臣の宮内庁長官が何か国会から別途超越したような存在としてあるということにやはり問題があるのではないか。そういう意味で、過去のいきさつはどうあろうと、これからが問題であるわけでありますから、政府委員として出席できるようにしたい、そういう積極的な発言をぜひともお願いしたいと思うのですが、その点どうですか。
○富田説明員 御趣旨の点は、内閣の方とよく相談をいたしてみたいと思っております。
○上田委員 相談してというよりも、宮内庁の長官として政府委員に積極的になろうという意思があるのですか。そういう意味で御相談されるわけですか。
○富田説明員 宮内庁は総理大臣の管理に属しておりますので、総理大臣の御意向その他にも沿わなければなりませんので、十分御相談申し上げて、研究してみたいと思っております。
○上田委員 当然相談していただくことでありまして、非常に積極的な意味で相談するのだというように理解したいと思います。これは二年前に、先ほど申し上げましたように私の方から問題提起をしたわけでございますし、また何人かの先生方も恐らくその点について疑問を持ち、また国民の多くがそういう点について各大臣と違った立場で国会へ出ているということを知らないと思うのですが、そういうことを知る中で疑問は拡大されていくのじゃなかろうか、こういうように思っておるわけでございます。そういう点で、総理大臣も本委員会に出席云々ということも漏れ聞いておるわけでございますので、その中で考え方を私なり他の先生からの質問の中で明らかにしたい、こういうように思っておるわけでございますので、その点を踏まえて、総理大臣がここで答弁に立つときまでに十分相談されて、しかるべき方法を講じていただきたい、こういうふうに思いますが、それでいいですか。
○富田説明員 先ほど申し上げたように御相談申し上げたいと思いますが、いつということはちょっと、総理大臣のお考えもございましょうし、内閣のお考えもございましょうから、その点は私から申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
○上田委員 先ほど私申し上げましたように、元号法案の問題の審議で総理が出席されるやに聞いておるわけでございますから、当然その時点でわが党を代表して質問があろうと思いますので、ひとつそれまでに十分御相談をいただきたい、このように思います。まず、長官の政府委員の問題につきましては、そういう形で次回に譲りたい、このように思うわけであります。 さて、この元号法案が今国会に提出されまして、現在までの審議の経過を振り返ってみますと、本当にわれわれ憂慮することは、この法案審議に対する政府の姿勢であろう、こういうように思うわけであります。元号問題は、言うまでもなく次の世代にもわたって国民の生活あるいは価値観をも拘束しかねない深い広がりを持つ重要な問題である、こういうように思うわけであります。ところが、政府の態度は、冷静な雰囲気のもとで十分に時間をかけて国民各層の声を吸い上げて、そういう国民の疑問に答えるというのではなしに、元号に対する国民的合意をいかにつくるのかといった努力を避けて、何か性急に法案を成立させようという、そういう焦りみたいなものを考えるわけであります。その姿勢は、全く国民に理解しがたく、不可解なものと断ぜざるを得ない、こういうように思っておるわけでありまして、二月二日の今国会に提出したときの元号法案の扱いは、来年度予算案に次ぐ重要法案としての位置づけであったと思うわけであります。ところが、わが党の強硬な反対や、国民各層内部での合意を煮詰める努力を避けて、各予算関連法案よりも優先してまでも国民生活の緊急の必要事として扱う根拠は一体どこにあるのか、なぜそういう元号法制化について性急な態度をとっておるのかという点について、非常に理解に苦しむものでありますので、その点についての政府の考え方をまず明らかにしていただきたい、このように思います。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 政府が元号法案の取り扱いについて性急な焦りの姿勢を持っておるのではないかということでございますが、そうした姿勢は毛頭持っておりません。法案を、成案を得ておりましたので早期に提出いたしましたのも、通常国会において御審議を賜りたいということで提案をし、ただいままできわめて御熱心に審議を進めていただいておる状況を見ましても、私は非常にありがたいことであると考えておるところでございますが、この法案につきましては、いま御指摘がございましたように、長い間国民の中でこれが使用され、また広く国民の間に定着をし、国民の大多数の方が存続を希望しておられることは御承知のとおりでございます。そういう点で、政府といたしましてはそうした事実を踏まえまして、これを具体的にひとつどう処置していくか、存続に対してどうこたえていくかということを私は責任を持たねばならない立場にあるわけでございますので、今回法案として御審議を賜っておるということでございます。 御承知のように、国民の方々が存続を何とかしたいということでございますが、しかし、現在使用されております昭和という元号にいたしましても、これはいま事実たる慣習として使用されておるわけでございます。したがいまして、ある時期が参りますれば、何らかの処置によって改元をしなければならない時期が到来をするであろう。しかし、その点を考えてまいりますと、どういう基本的なルールによってそうした改元をするかということについては、これがなかなか明確でない。 そこで、国民の御要望にこたえるためには、何らか具体的な基本的なルールを確立する必要があろうということに相なるわけでございます。こうした点を政府におきましてはかねてから検討を慎重に進めてまいっておったところでございますが、最近に至りまして、地方議会等におきましてもいろいろこれの法制化というような声も出てまいりますし、政府におきましても法制化ということを最終的に決定をいたしまして、ただいま御審議をお願いをいたしておるという経過であるわけでございます。 そこでまた、法制化につきましては、いま申し上げましたように、この道を選ぶにつきましては、やはり一番民主的な機関である国会の場においてそうしたルールをお決め願うことがよりベターではないかということ、あるいは内閣告示でもよいではないかという意見も審議の中には出てまいりましたけれども、しかし、いま上田委員も御指摘のように、やはり広く国民生活の中で生き抜いてきております元号でございますし、関係も非常に多うございますから、民主的な最もいい方法としては国会の場で御審議を願うことであろう、そういうことで法制化ということに踏み切ったわけでございます。 そこで、ここで非常に急いでおるではないかということでございますが、決してそういうことではなくて、私は、そうした検討の結果、あるいは客観的な国民の御要諸等を考えてまいりますれば、一つのそうした要請の流れというようなものを判断をいたしますと、この時点が最も適当なときであろうということで、今国会に提案をいたしたわけでございます。私は、そういう意味で機が熟してまいったという受けとめ方をいたしておるわけでございまして、決して焦って法案を御審議願っておるということではございませんので、その点、御理解を賜りたいと思うのでございます。
○上田委員 長官のお答えでは、決して性急に、あるいは焦って法制化を図るという立場でない、こういう言い方をされながら、同時に最後には、一定の国民的世論というのですか、あるいは機が熟してきた、だからぜひとも今国会で云々、こういうことのようでございます。 御存じのように、この元号問題については歴代の内閣で慎重に検討を加えられ、と言うよりも、その必要性というものを内閣自身は認めながらも、やはり国民の世論の動向というようなものもあって、あえて言うならば避けて通っておった、この問題を、非常にむずかしい問題で慎重に扱わなければならぬ、性急にしてはならない、国民世論が分裂してそれが政治問題に発展しかねないというような形で、われわれから見るならばちょっとよけて通ってきたというような感じがしないでもないわけでございます。 先般の本会議での私の党を代表いたしましての代表質問のときに、総理にも私から御質問申し上げたわけでございますが、去年の臨時国会あるいは末の自民党総裁選挙などの絡みから、この元号の法制化というものが一部のそういう与党議員の中から急に持ち上がってきて、福田内閣自身は必要性を認めながらも、余り性急なそういうものはなかったように思うわけでございます。ところが、与党内部の一部の突き上げといいますか、そういうものから何か今国会に提出というような形になったというように思うわけでありまして、恐らくマスコミの論調などもそういうものでございましたし、国民の多くの方々がそのように受けとめておるのではないか、こういうように思うわけでございますが、その点について少し長官の方から御説明いただきたい、こういうふうに思うのです。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 先ほども申し上げましたように、国民の大多数の方がこの存続を希望しておられるということは、御承知のとおりでございます。したがって、政府も長期にわたって、この問題をどう処理していくかということは、政府としての一つの懸案事項であったと思うのでございます。ところが、国民の、地方議会におきましては都道府県の大部分、そしてまた大部分の市町村議会等において千以上の方々が法制化促進等の議決をなさるというような事態を踏まえて、前内閣におきましても何とかこの元号問題に取り組んでまいりたい、できれば前国会、臨時国会でございましたが、臨時国会において法案を提出して御審議を願ってはという御意見もございました。当時、私は国会対策の自民党担当者でございましたが、やはりこの問題は通常国会において御審議を賜ることが適当であろう、短期の臨時国会においてはとうてい審議を完了することは困難であろうということを与党にも申し上げ、また率直に各党の国対委員長さんの会合等におきましても、数次にわたって私はこのことを口頭で御連絡を申し上げてまいり、最終的には、臨時国会で出すことは適当でないと思いますので、今国会では出さないように与党、政府にもお願いをし、通常国会で取り上げていただくことにいたしたいと思いますということを御連絡を申し上げたようなわけでございまして、決して唐突に今国会に出すというようなことではございませんでしたので、御理解を賜りたいと思うのでございます。
○上田委員 長官はそうおっしゃいますが、やはり去年の暮れの自民党の総裁選挙のいきさつ、あるいは臨時国会の幕切れのそういうような状況の中で、自民党の中での一定の路線といいますか、そういうような一つの対立といいますか、あるいは政治的な絡み合いといいますか、そういうものがわれわれとしては非常にきな臭く、本当にそういう意味では自民党が強硬派に押し切られる、こういうような感じをわれわれ自身受けておるわけであります。 また、いま長官がおっしゃいますように、国民の多くが元号の存続を希望しておるということから機が熟してきたのではないか、こういうことの中から今国会で成立を図りたい、こういうことでございますが、これは後から触れますが、元号の存続を希望するということと法制化を望んでいるということは別のことでありまして、そのことは後の機会に譲りたいと思うわけであります。 いずれにいたしましても、何が何でも今国会で成立させなければならないという理由があるのかどうか。というのは、長官はここで慎重審議をしてもらいたいと言いながら、参議院も含めまして、今国会に果たしてそういうような時間的余裕があるのかどうかというような気がいたしておるわけであります。そういう点で、先ほど内閣委員会の理事会等でも、時間が制約されているような、国会議員の発言をある程度制限しようというような、国会常識というような形のものが出されて、われわれから見るならば、もうずっとスケジュールが決まっておって、そしてあとは強行採決というような感じで、慎重審議だと言いながらすべてのことを運ぼうとしているのではないかというような感じがしておるわけでございます。そういう点で、本当に慎重審議ということを望んでおるのか、さらに、そうであるならば何が何でも今国会で成立ということでないのか、それとも成立させなければいかぬという理由がそのほかにあるのかどうか、その点、性急な態度でないと言いながら非常に性急な態度をとってきているというようにわれわれは理解するわけでございますので、何か特別の理由があるのかないのか、その点についてお聞かせいただきたい、このように思います。
○三原国務大臣 先ほども提案の理由等につきましてはすでに申し上げたのでございますが、政府といたしましては、法案を国会に御提案申し上げ、国会において、良識の場でございますし、そこで御審議を賜っておることでございますから、提案を早期にいたしました法案でございますので、この国会でぜひひとつ御審議を終了願いたいというのは、政府としてはそうしたお願いを申し上げ、御協力を申し上げるという立場にあるわけでございまして、ひとつこの国会で議了を願い、法律として可決願いたいというのが政府の願望でございます。
○上田委員 元号を改めるということは、天皇のいわゆる寿命といいますか、こういうことを言っていいかどうかわかりませんけれども、亡くなられるという状況の中で新しい天皇が即位されるという一つのことをもって元号を改めるということのようでございますが、そういう決定というものは国民生活に非常に大きな影響を与えるものであります。同時に、天皇家御家族にとっても、たとえば皇太子の事実上の天皇名と戒名を決定し、さらには天皇の戒名を確定するという重要な事項でもあるのではないか、こう推測するわけでございます。 さて、天皇は御高齢というように聞いておるわけでございますけれども、大変御健勝である、こう漏れ聞いておるわけでございますが、現在の天皇の健康状態はどのようになっているか、この点について宮内庁長官からお聞かせいただきたいと思います。
○富田説明員 お答え申し上げます。 ただいまお尋ねの天皇陛下の御健康状態でございますが、一言で申し上げますれば非常にお元気でございます。すでに新聞等にも一部報道されておりますけれども、ただいまセネガル国のサンゴール大統領御夫妻が国賓として日本を訪問中でございますが、昨日も朝から歓迎の式典とかあるいは御会見とか、あるいはさらに夕方は宮中での御晩さんと、大変お元気に大統領御夫妻を心から歓迎し、両国の親善ということを非常に念頭に置かれて大変お務めでございます。また、そのお務めぶりが大変お元気に見えるわけでございます。昨日のことでございますから、陛下の御健康を表現するには一番新しいことでございますので、例を引かしていただいて、申し上げた次第でございます。
○上田委員 いま天皇の健康が非常によいということで、非常に喜ばしいことだというように思うわけであります。そういう意味から考えるならば、天皇の、俗な言葉で言うならば寿命といいますか、高齢であるとはいうものの、そういう健康状態とは関係なしにこの元号の法制化というものがあるということを考えるならば、天皇の健康状態からして、早くこの問題の法制化を図らなければならぬという必要がないというならば、さらに私は慎重にこのことを運んでいただきたいというように思うわけであります。 そこで、先ほど長官が、元号の存続が国民の多くの方々の意思といいますか、希望といいますか、そういうものであるというようにおっしゃったわけでございますし、また、地方議会の決議等についてもお述べになられたわけでございますけれども、商業新聞の世論調査によりますと、法制化は必ずしも国民の大多数が望んでいない、逆に望んでおるのはわずかであるというように、元号の存続ということになりますと八〇%近くが望んでおるが、それじゃ法制化はといいますと、今度は逆に法制化については望む者が少ないという結果が出ておるわけでありますが、その点について、長官はどのようにお考えですか。
○清水政府委員 私からお答え申し上げます。 ただいま御引用の世論調査の内容でございますが、私どもも御指摘のことを十分承知をいたしているわけでございますが、世論調査自体のことにつきましてと言うよりは、むしろそこで出ております、回答された方々の挙げられた御回答といいますか、御意見といいますか、その点につきまして若干私どもの立場から見た説明をさせていただきたいと思います。 御案内のとおり、法制化ということに明確に賛成であるという回答は、一つの調査におきましては五七、八%というような比率のものがございますが、そのほかの数回の調査におきましては、おおむね二〇%台というようなことになっております。それに対しまして、第二の選択肢に答えている御意見でございますが、これを見ますと、元号は将来ともあった方がいいけれども、そのための方式と申しますか方法としては、たとえば政令で決めるということでもいいではないか、あるいは内閣告示の形でもいいのではないか、あるいはさらに、現在のように慣習的に使っていくということでもよいのではないかというような趣旨の御意見が表明されているわけでございます。 ところで、この三つの御意見についてでございますが、前々からも御説明申し上げていることの繰り返しになりますけれども、一つは政令でという方法は、現在の法体制のもとにおきましては、法律上の根拠がないのに突然にと申しますか、直接単独の政令で事を定めるということはちょっとできない相談であろうと思います。それから、慣習的に使っていくということでよいのではないかという御意見でございますが、この御意見のお気持ちは非常によく推察できるわけでございますが、現実的な方法として考えてみますと、現在の昭和という元号は、現にこれは存在をしておりまして、使われているわけでございます。先ほど総務長官のお話の中にも若干触れましたが、昭和の次ということが問題でございまして、昭和の次の元号をどうするかということにつきましては、実は慣習というようなルールがないわけでございます。そういたしますと、大多数の国民は昭和の次の元号もあってほしいということは望んでいるわけでございますが、要するにこれをつくり出すルールがないということになるわけでございます。そうした点を考えてみますと、先ほど総務長官のお答えがありましたように、政府としては、この国民の大多数の存続の希望にこたえる方法というものについては、やはり政府の責任としてこれは受けとめ、考えていかざるを得ないというような観点から、今回、その方法につきまして政府提案の法案をお願いし、国会においてその点を御審議いただくことが最も妥当である、こういうふうに考えているわけでございます。 それとの比較でよく出されますのは、ただいまの世論調査の中にもあります内閣告示でもいいのではないかという御意見でございますが、この点につきましては、いまの法案との比較で申しますれば、これはやはりルールというものは、国会において法案の形でお決めいただくことが最も明確でもあり、安定性もあるということで、ぜひこの法案の形でお願いをしたいというのが政府としての考え方と申しますか、したがいまして、いまの世論調査にあらわれた国民の方々のお考えに対する政府としての立場からの御説明ということになろうかと思います。
○上田委員 私は、何も元号については内閣告示でいいのではないかというふうに言うておるのじゃないのです。そうじゃなしに、国民の大多数が元号の存続を望んでおるという、これは政府がされた世論調査で一定のものが出ておるわけでございますから、そのこと自身に直接どうこう言うのじゃないわけでありまして、いわゆる存続の方法として、法制化ということまでしなくてもいいのではないかというのがこれまた国民の大多数の世論ではないのかということなんですが、それに対してあえて法制化をしようということ自身、私は国民の意思を尊重しないことにはなりはしないだろうかというように思っておるのです。 もう一つ、四十六の都道府県あるいは千を超える市町村の議会で法制化の決議云々というようなことも聞いておるわけでございますけれども、実際そういう都道府県なり市町村の地方議会の決議というものが、これは事実あると思うのですけれども、どういう形で決議されていったかという経過は後で御説明いただくとしても、商業新聞によるところの世論調査で法制化までしなくてもいいじゃないかというものとのギャップですね、ギャップというものがありながら、そのことに対して、法制化しなくてもいいじゃないかということがあるにもかかわらず、あえて法制化に踏み切ろうということ自身、私としては腑に落ちないのです。その点もっと明確にお答えをいただきたいと思います。
○清水政府委員 その点でございますが、もちろん各種のアンケートといいますか、世論の動向というものにつきましては十分理解をいたすわけでございますが、やはり肝心な点は、その存続という国民の大多数の、これが実質的な願望といいますか、意思だろうと思いますけれども、これを一番よい方法で実現するのにはどういう方法がよろしいかという問題でございます。その点につきまして政府といたしましては、国民を代表するこの国会の法律という形で御審議をいただき、お決めをいただきたい、こういうふうに考えるわけでございまして、その点決して世論の動向を無視するということではないのではないかというふうに存じておるわけでございます。
○上田委員 おかしいじゃないですか。世論を無視するものでないと言いながら無視しているじゃないですか。国民の世論は、法制化までしなくてもよいというのが世論じゃないですか。そして、存続するのに一番いい方法——いい方法ということを考えることはいいと思います。しかしながら、一番いい方法はこれなんだということを政府が決めて、世論が法制化までしなくていいじゃないかと言っているにもかかわらず、それを押しつけようというのは一体どういうことなんですか。そこがわからないのです。
○清水政府委員 この世論調査の中で設定されております設問といいますか、選択肢の問題にもなるわけでございますけれども、元号は将来とも存続した方がいいけれどもということで、その次に、しかしその方法としてはこれこれこれこれというふうに二つないし三つの方法があるわけです。そういうふうに設問が示されておるわけでございますが、その点につきまして、これはなかなか技術的という言葉が適当かどうかあれでございますが、私どもとしては先ほど申しましたように、たとえば政令でもよいのではないかという選択肢の設け方というものは本来的に無理な選択肢の設け方であるようなふうに思うわけでございます。 と申しますのは、先ほど申しましたように、政令でじかに事を決めるということは現在の憲法以下の法体系の中では無理でございますので、そういう道はちょっと実現できないわけでございます。それからまた、慣習的でいいのではないかというのも、先ほど申しましたように、慣習といいましても、昭和の次の元号をだれが決めるのかというような点については全く慣習の中にルールがないわけでございますので、これも問題であるわけでございます。そういうようなことを申し上げたわけでございまして、結局のところ、国民の実質的な存続という希望に沿う方法ということになりますれば、内閣が自分でやるというふうに、いわば独自に物を言うか、それとも国民を代表する国会の法律という形でそれをお定めいただくのかという問題になるわけでございますが、これはもう政府の立場からすれば、当然に国会でお決めいただくという方が最も順当な考え方であろう、このようなことで先ほどの御説明を申し上げたわけでございますので、どうか御理解を賜りたいと思います。
○上田委員 どうもわかりませんな。納得できないですね。これはぼくが納得できないだけでなしに、国民の多くの皆さん方も納得できないのじゃないですか。去年の七月に読売新聞社が調査しておりますね。手元にあるから時たまこれを例に出すわけですけれども、問いは「元号は法制化すべきか」という問いですね。これに対して、「法制化した方がよい」というのは一五・一%ですよ。次に、「元号はあった方がよいが、法制化するほどのことはない」、これが何と六四・五%あるのですよ。あなた方はこれを無視するのですか。安定した方法だとか、あるいは元号を存続するのに一番いいと思う方法だということを——あなた方が方法を考えるのはいいが、国民の世論は法制化するほどのことでないと言っているのじゃないですか。それとも各新聞社の世論調査というのは間違っているというふうに考えておられるのですか、どうなんですか。
○三原国務大臣 お答えをいたしますが、この法制化ということを先行してわれわれは考えていないのでございます。ところが、アンケート等で設問をされる場合には、法制化をすることがどうだこうだということが先行するところに一つの問題があるということでございます。 そこで、国会の場でこうしてお答えを申し上げておりますように、いまも政府委員が申しましたように、法制化を先行して考えておるんでなくして、この元号を国民の大多数の方が存続いたしたいという願望を持っておられる、廃止する意向というのはわずか四%でございます。そういうことでございますから、結局元号を存続するということを中心に私どもは検討を進めてまいった。そこで、そういう場合に、法制化という道が一つあるではないか、あるいは政令という道があるではないか、あるいはまた内閣告示という道があるではないか、あるいは慣習でいけないかというこの四つ——一つ問題点があるわけでございますけれども、これをいま政府委員が解明いたしましたように、まず私どもは、存続をさせるということを重点に、そこを前提にして考えた場合には、政令ということは、法律がなくして政令で出せないということでございます。法のたてまえ上、政令ということは適当でないということが明確になるわけでございます。 次には、慣習ではどうかということ。いま昭和というのは事実たる慣習で、お互いが使用し、これが広く国民の間に定着をいたしておりまして、慣習で結構でございますけれども、慣習ということは改元という手続がございません。そこでわれわれは、その改元の手続を政府としては考えてやり、これを決める責任があるということになりますれば、したがって、いまのところは慣習で結構でございますけれども、改元という行為については、慣習では解決できないということになるわけでございます。 そうすると、残りますのは、法律でやるか内閣告示でやるかということでございます。しかし内閣告示の場合には、広く国民の生活の中で使用されておるものでございますから、それは内閣というようなものだけで決定することはベターでなかろう。それよりもなおベターであるのは、国民主権のこの日本の今日の政治体制の中では、国民を代表する国会にお諮りをするということがよりベターではなかろうか。それには、制度だけの手続法でございますけれども、法令を出して、そして国会で御審議願うことが国民の方々に最も御理解を願えることではなかろうか。 しかし、いまあなたが言われるように、アンケートの中には、いま申し上げましたように具体的に、法令の場合はこうでございます、政令はできません、あるいはまた内閣告示はこうでございます、あるいは慣習はこうでございますというようなことを十分御理解願うということにならなければ、法制化の問題というものが、国民の最後の意思表示として法制化しなくてもいいではないかというようなところまで結論をお出し願うことが困難である。したがって、そうした世論を問う場合のやり方としては、技術的に非常にむずかしさがあるし、なじまない点がある。そこで、こうして国会の場で御審議を願っておるのが現在の状態であるわけでございますので、決して法制化を先行して、是が非でも法制化が第一義的なものでありますということを優先して申し上げておるわけではございません。いま申し上げましたような四つの型がアンケートに示されておるけれども、その一つ一つを解明してまいりますと、国会の場で御審議を願う法律がよりベターでございますということを申し上げておるところでございますので、御理解を願いたいと思うのでございます。
○上田委員 設問が先行しているというのは、ぼくは失礼だと思うのです。政府の調査のときにその設問を意図的に外しておいて、そうして各新聞社が法制化までしなくてもよいという問いを出したからといって、それは国会でするべき問題であって、そんなものおかしいじゃないかという揚げ足取り、ぼくはこれは本当に国民は納得できないと思うのです。それよりももっと国民の意見というものを聞いて、そしてそれを反映したような形の中で国会審議をやるならいざ知らず、もう一たん民間でそういう一つの設問があって、一定の答えが出ておるというものに対して、それをそれこそ性急なというのですか、あるいは先行的にそういうものを無視して法制化の提案を国会へ出してくるということの方が問題があるのじゃないですか。長官、その点どうなんですか。
○三原国務大臣 お答えいたしますが、決して私はアンケートをお出しになった数社のアンケートを批判をするものではございません。私申し上げましたように、四つのアンケートにテーマが掲げてあるけれども、それは一つ一つを解明するとこういうことでございますということを申し上げておるのでございます。なおまた、一社でございますけれども、ある社から出されたのは五七%というのが出ておるわけでございます。そういうようなことでございまするので、私ども政府は、最終的には、先ほど申しましたように、大多数の国民が存続を希望される、そうした国民の方々の心情にこたえる責任があるわけでございます。そういう立場におきまして、問題は政府が慎重に決定をする責任を持っておるということでございますから、最終的には政府がそれらの諸般の状態を勘案をして、最終的にこういうことでいかがでございましょうかということで、法制化問題を国民主権、国民を代表する国会の場に御提案を申し上げて御審議を願っておるということでございますので、決して国民の方々の御意見を無視するとかいうようなことは毛頭ございません。あるいは数社でおやりになりましたアンケートの結果を無視するということでは当然ございません。そういうところに立って、最終的には政府がやはりそれらの諸般の情勢を勘案しながら、最終的な法制化という方針を決めて、国会で御審議を願うということにいたしたところでございまするので、御理解を願いたいと思うのでございます。
○上田委員 納得できませんな。というのは、国民の意思を尊重すると言いながら、元号をこのまま存続した方がいいというそのことだけを設問して、そのことだけじゃないにしても、そういう結論をとって、あとフリーハンドでいわゆる法制化しようとする。もう一つの国民の世論というものは、法制化までしなくてもいいというものが出ているのです。わかりますか。そういうものがなければ、元号を存続しようという、してほしいという意見が多い。だから、それを確かなものにするために法制化が必要なのだということは、それは一つのあなたの政府として責任を持ってこれをどう存続しようかという意味で、それなりのことはわかりますよ。しかしながら、民間で別途調査をして法律化までしなくてもいい。それをあなたの方は要らぬことをやってくれて、そこまで聞いてもらわなくていいのに、こういうような形で何かそういう一定の——その新聞社によって違いますよ。五七%という、NHKですか、NHKの場合は賛成が五七・二%と書いています。しかしながら、もっと端的なことを言うなら、政府自身が今日時点で慎重審議と言うのならば、その各社のそういうものを信頼しないということじゃなしに、別途それなら政府が国会審議の前にこの審議というものを凍結して、世論のそういう動向を調査するということは——私は、当然国民が元号存続を希望している、だから法制化するのだというように、政府の方が性急的じゃないのですか、あるいは先行的じゃないのですか。その点はどう考えていますか。
○三原国務大臣 お答えいたしますが、数社の世論調査を無視したりするような、軽視したりするようなことではございません。先ほどから申しておりますように、あくまでもそういうものを尊重し、特に都道府県なり市町村におきまする議会の決議というようなものは、政府においても非常に尊重せなければならない責任もあるわけでございます。そうした諸般の客観的な情勢を十分検討した上で政府が責任を果たすという場合には、国民の代表機関である国会の場で御審議を願って、最終的な御決定を願うということに持っていくことが最も妥当な線ではないかということでございまするので、決していま申されますような数社の世論調査を無視するとか、あるいはどうだというようなことではございません。そうした諸般の諸情勢を勘案して、最終的には政府の責任において国民の大多数が願望される元号の存続について対処してまいりたい、そういうことで法制化に踏み切ったところでございますので、御了承願いたいと思うのでございます。
○上田委員 くどいようですが、数社の世論調査を無視する気はない、無視する気はないと言いながら無視しているじゃないですか。都合のいい世論調査の結果を土台にして、元号法制化を皆望んでいるのだ、そしてそこからフリーハンドを得たように、急激にもう全部飛び越してしまって法制化というような形を押しつけてきている。片一方、法制化までしなくてもいいという世論があるのですよ。別途、いま長官おっしゃったように、地方議会の決議というのも確かにありましょう。しかしながら、それが一体どういう団体の方々によってどういう根回しでやられたのか。 それじゃ一回お聞きしますが、地方議会で請願者名があるはずです。どういう方々が請願者になっておるのですか。一定のそういう国民の中での偏った方々の請願者じゃないのですか。そういうものをどの程度審議されたかわかりませんよ。しかしながら、それが本当に地方議会、地方の住民、あるいはそれが全国的に言うならば全国民を代表するものであったとするならば、そうした数社がやった世論調査と食い違いはどのようになっているのですか。どっちが正しいのですか。地方議会の決議の方が正しくて、数社のこの調査が、やり方は別にしても、結果は間違っているのだということになるのですか。その点どうなんですか。
○清水政府委員 私から補足させていただきます。 先ほど来のお話の世論調査の問題でございますが、ごく要約して申しますと、存続を希望するという国民の大多数の願望というものがあるわけでございますが、それに対しまして、その方法が問題になっているわけでございます。その方法といたしましては、法制化でない方法といいますと、先ほど来出ておりますのは、政令あるいは内閣告示あるいは慣習によるというような考え方があるわけでございますけれども、実際問題としては、政令による方法とか慣習による方法というものは方法として成り立たないわけでございますので、したがいまして元号が存続しなくなるわけでございます。ですから、元号の存続を希望するというその希望にこたえるためには、ほかの方法を考えなければならないわけでございます。そのほかの方法というのが、先ほど申しましたように、内閣告示でも考え方としてはあり得るのではないかという御意見はございます。これは、もちろん考え方としては成り立つと思いますけれども、しかし、その方法よりも、国民を代表する国会で法律の形で御審議をいただき、新しい元号をつくるということのルールをお決めいただくことの方がベターであり、妥当であるということで、政府としての考えを申し上げているわけでございます。 それから、地方議会についてのお尋ねでございますが、私どもの立場からすれば、地方自治法第九十九条第二項の規定によって政府に対して意見書が提出されているわけでございますので、各議会におきまする決議の内容と申しますか、その経過につきましては、政府の立場から直接触れるのはむしろ適当でないというふうに思うわけでございます。 なお、地方議会の決議の表現につきましては、おおむねは似ておりますが、微細なところではもちろん表現が全部一致しているわけではございませんけれども、大体は「わが国の千三百年にわたる伝統のあるこの元号というものの存続を希望する。」ということと、それに続きまして、「よって、政府に対し、元号存続のための法制化を速やかに実現するよう強く要請する。」とか「一世一元の元号の法制化を図るよう要望する。」というような表現になっているわけでございます。
○上田委員 いずれにしても、内閣がある時期に内閣告示というようなことで決めたといいますか、そういう時期もあったわけでありまして、そういう点で、確かにいまおっしゃられたように、時事通信社の質問に対して「政令または内閣告示といった形式で定めればよい」こういった回答が四七・八%、この中にいわゆる政令または内閣告示というような形で二つ入っておる。政令というのは、法律をつくってそして政令ということになるんだ、法律抜きの政令ということにならないというような形から、あなた方はそういうようなことを言っておるわけでございますが、いずれにしても存続というのは法制化でなければならぬということはないのですね。法制化でなければ存続できないということはないのです。このことが一点。その点はどうですか。ただ一つの方法ですか、そうじゃないでしょう。
○清水政府委員 結局残りますのは、内閣告示か法律によるかということに議論が集約されてきたと思うわけでございますが、内閣告示という方法でございますと、そのときの内閣がどう判断するかということによって左右されるということになるのは事の性質上当然であろうかと思います。そういたしますと、元号の存続を希望するという国民の意思に対して、その時点における内閣が一体その願望に沿うのかどうかということが必ずしもはっきりいたしません。そういう問題があると思います。そういうことから考えますと、国民の希望に沿う方法としては、国会による法律の形でこれをはっきりしていただく。法制化というのは、つまり昭和の次の元号を具体的にだれが決めるのか、あるいはどういう場合にだれが決めるのかという点だけをはっきり法律で決めていただきたいという内容で御提案を申し上げているわけでございますが、方法としては結局その方がよりベターであり、妥当であるというふうに考えているわけでございます。
○上田委員 元号法制化するほどのことがないという世論もあるんですね。これ、世論でしょう。にもかかわらず、安定したものにするために法制化するのだと言うのは無謀じゃないですか。余りにも政府のひとりよがりじゃないですか。国民はそこまでしなくてもいいと言っているんじゃないですか。(発言する者あり)それじゃもう一回調査しなさい。そうでないと言うのなら、政府みずからで、政府は法制化しなければいかぬと思うが、皆さんどうですか。それは賛成、いや、法律までつくらなくてもいいというのが何ぼあるか調査しなさい。してください。
○三原国務大臣 お答えをいたしますが、私どもは国民の大多数が願望される元号の存続ということにこたえたいということでございます。元号は要らぬという御意見からいろいろな意見が出ますれば、これは私どもとしては意見が全く平行線をたどりますけれども、私どもは、具体的にはいまの存続を願望しておられる国民にどうこたえるか、そのこたえ方に最終的には内閣告示と法制化しかございませんということになってこようかと思うわけでございます。そうなってまいりますれば、内閣告示も当然考えてまいったことでございます。しかし、最も親切でベターな道は、やはりだれがいつやるかということだけでも、ごく簡単な法律になっておりますけれども、そうした制度的なものを法制化をして、国民の存続の願望にこたえた方がベターでございますということを申し上げておるわけでございますので、国民の間の法制化しなくてもやっていけやしないかという御意思に対しても十分これを踏まえながら、政府が責任を持ってやる場合に最もベター、しかも親切な道というのは、国民を代表する国会の場で御審議を願う、そうしたことで制度的なものを国会に法案として御提案申し上げて御審議を願うことが国民の願望にこたえる責任をとる立場あるいは民主的な立場、そういう点においてよりベターであろうということで決断を下して、国会の場で審議を願っておるところでございます。
○上田委員 元号を存続させるのによりベターであるということをおっしゃっておるが、国民の世論はそこまでしなくてもいいということになっておるのですよ。それを親切がましく押しつけることはないじゃないですか。よりベターだとあなたは思っているけれども、そんなのはよりベターではない、法制化しなくてもいいというのが世論じゃないですか。それと違うのなら政府の手で調査すればよろしい。そこまで言っているのですよ。答えになってないですよ。よりベターと言うのは思い上がりです。傲慢です。国民に対する押しつけですよ。何か先ほどから意見がすれ違うておるけれども、すれ違いがあること自身、あなたのところで説明し切れてないのですよ。政府の責任ですよ。国民は納得しませんよ。(発言する者あり)考え方の違いの問題じゃないですよ、こういう大事な問題は、慎重審議すると言いながら、すれ違いをほうっておいて多数決で決めるというような問題じゃないですよ。答えてください。
○清水政府委員 繰り返しになるようで恐縮でございますが、先ほど来申し上げておりますように、存続ということの方法の問題でございます。そういたしまして、結局先ほど来申し上げておりますように、国会で御審議をいただくというのがその方法を決める上で、現在の法体系のもとで一番妥当であろうというふうに考えておるわけでございます。 なお、先ほどの法制化するほどのことはないというアンケートは、昨年の七月時点で行われたときの答えでございますけれども、その時点におきましては、まだ政府から法制化の内容が発表されていたような状態がございません。そういうようなことも背景としてあったことを考えてみますと、その時点において法制化に賛成であるとかあるいは法制化するほどのことはないといった場合のお答えになられた方々の御理解の内容がどういう内容であったかということが必ずしもはっきりしていないということがあろうかと思いますけれども、現在において考えますれば、政府自身が御提案申し上げているような内容の法律案を御提案申し上げているわけでございまして、その内容はきわめて簡単でございまして、昭和の次の元号についてだれがどういう場合に決めるかということについてのルールを内容としている、こういうことでございます。そのように、全体の客観的な情勢と申しますか、事態の推移といいますか、そういうこともあるわけでございますので、政府といたしましては、この国会で御提案申し上げている法案を御審議いただくのが一番適当であろう、こういうふうに考えているわけでございます。
○上田委員 あなた方の腹のうちは大体読めましたわ。国会でやったら多数決で決まるけれども、世論調査したら法制化までしなくてもいいという結果が出るからでしょう。そんな自信があるのなら政府みずから調査なさったらいいじゃないですか。それが数社によってある程度の方向が明らかになっているから、政府がやったらまたぞろそういうような結果になったらえらいことだから、それを無視して、要するに国民の大多数が元号の存続だけを望んでおる、それを確かにするために、あと方法については国会で決めたらいいということで、いわゆる法案を提出してきているのじゃないですか、長官。そういうことですな、そうですな。世論が法律化しなくてもいいと言っているのに、国会で法律で決めた方がいいということですか。多数決で決めた方がいいということですか。それが民主政治ですか。国会が決めたら何でもいいのですか、そのことは。国民の意向をまるで無視していいのですか。答えてください。国民にはっきり答えてください。
○三原国務大臣 世論調査の結果を無視するというようなことは毛頭ございません。十分そういう点も参考にしながら国民の御要請にこたえる道は、政府が責任においてひとつこういう方法をとることが最も責任を持ち、民主的な方法であろうというようなことで決めたわけでございまして、決して世論調査を無視したり、国民の意思を無視してやるというようなことは毛頭ございません。政府は国民のために存在するものでございますので、その点は十分参考にしながら、最終的にそうした処置に出たわけでございますので、御理解を願いたいと思うのでございます。
○上田委員 世論を無視していますよ。それで調査もしようとしないし、そうして一方的なそういう誘導尋問的な設問で多数の世論がそういうことだということで、そしてそれから飛躍して法制化以外の何物でもないんだ、こういうやり方というものはファッショですよ。国会で何でも決めたらいいんだというような形ではなしに、国会の審議自身もそういう世論の背景というものをやはり考えなければならぬと思うのですね。法制化までする必要がないという世論も尊重すると言いながら一つも尊重していないんじゃないですか。一方的に法制化の法案を出してきているだけじゃないですか。そして時間がたったら多数決で決めるというやり方じゃないですか。形は確かに慎重審議で民主的かもしれないが、国会で決まったら何でも民主的だというやり方は、本当にいま情報化時代なんですよ。やはりいろいろな機関が世論調査というものをして、そういうものを十分に尊重したような形で国会審議がなされるならわかりますけれども、そういうものを一方的に無視して国会で頭数で決めるというやり方はわれわれとしては理解できないです。この問題は時間の関係もありますからおいておきます。これは答えになっていないから、私は納得できません。そのことを申し上げておきたいと思います。 そこで、元号そのものについて一つ御質問申し上げたい、こういうように思います。 いわゆる一世一元の元号というものは、あなた方が言うところの明治以後ということになるわけでございまして、いわゆる天皇主権、天皇絶対主義のもとで一世一元という制度が定められたわけでありまして、そういう意味では、戦後新憲法ができて以後は、この一世一元の元号の法的存在意義がなくなった、こういうように考えておるわけですが、それでいいですか。
○真田政府委員 お答えを申し上げますが、ことさらここで私が申し上げるまでもなく、旧憲法と現行憲法とを比べてみました場合に、天皇の憲法上の地位に大変な変革が起きたということは当然でございます。旧憲法では、天皇は元首であって統治権を総覧する、つまり主権者であらせられたわけでございますが、現在の憲法では、主権は国民にある。ただ、それにもかかわらず、日本国憲法はなお天皇制というものを残しまして——中身は違いますよ。中身は旧憲法と非常に違っておりまするけれども、なお主権の存する国民の総意に基づいて日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であるということを憲法が厳粛に宣言しているわけでございますので、その点をとらえれば、やはり元号のつまり改元の時期を象徴天皇の御在位の期間に関連させるということは、決していまの憲法の趣旨に反するものではないというふうに確信しているわけでございます。
○上田委員 一世一元の元号というものは、世の中が天皇を中心にして回っておるのだ、天皇がおられるために日本人が生活できるんだ、こういう天皇中心の考え方なんです。だから、新しく天皇ができれば新しい天皇のもとによって世の中が治められていくんだ、それを象徴する意味で改元が行われる、こういう絶対主義天皇制のもとでの元号であるわけですよ。その元号が、敗戦によって新憲法ができることによって存在理由がなくなった。そして後三十数年間はいわゆる慣習というのですか、国民から言うならば便利がいい、使いやすい、こういう形で使ってきただけのことじゃないですか。だから、そういう意味でいわゆる一世一元というものがいま象徴天皇制あるいは現憲法と抵触しないと言ったって、もともと一世一元というものがそういう思想背景のもとに存続されてきたものなんです。だから、幾ら現憲法において象徴天皇制があるからと言って、そのことを盾にとって象徴天皇がかわれば変えるんだということになれば、いわゆる戦前以前の明治憲法あるいは旧皇室典範のそういう思想をまたぞろ引っ張り出してくるということになってくるのじゃないですか。本当に象徴天皇制が残されたとしても主権在民であって天皇を中心とした世の中でないんだというならば、何も過去にそういういわく因縁のある一世一元の元号というものをいまさら——習慣で使いたい者は使わしたらいいですよ、そのことは。別に何もわれわれ使うたらいかぬということで強制する必要もないと思うのです。しかしながら、そういうものを使う必要ないじゃないかという人もこれまた習慣としてあると思うのですね。現実に大平総理は、自分の履歴書の中で私は一九一〇年生まれであるというように使われておるわけです。それは日本人個々の好き勝手と言ったらなんですけれども、それは本当にりっぱな文化であり、慣習であれば残っていくだろうし、それが法に照らしてというよりも道理にかなわないような非科学的なものであるならば、いつの日にかそれは忘れ去られていくだろう。確かにいま昭和という言葉が非常に日常言葉になっておるということで、このことについてはあなた方は何も恐れもおののいてもいないが、新しい元号ができたときにこれが立ち消えていくのじゃないかという一抹の不安があるがゆえに、あなた方はそういう国民の世論を無視して法制化で地固めしよう、そういう魂胆があるのじゃないですか。その点について答えていただきたいと思います。
○真田政府委員 旧憲法時代の元号、明治以後の話なんですが、旧憲法時代の元号が一世一元の制度をとっておったその意味合いは、その当時の天皇が主権者であられたということと密接な関係があるということについては、私は異論がございません。そういうわけでございますので、現在の憲法になりましてからは、そういう意味合いで一世一元の制度を採用するというつもりでは毛頭ないわけでございます。また、先ほど申しましたように、いまの憲法のもとにおいても、やはり天皇は国の象徴であり、国民統合の象徴であるということを主権の存する国民の総意によって厳粛に決めているわけでございますから、それとの関連に基づいて元号改元の時期を定めるということば、決していまの憲法の精神に矛盾、抵触するとは毛頭考えないわけでございます。 なるほど、いまおっしゃいましたように、一世一元の制度が明治の初めからできましたのは、その当時における国家主義のあり方と非常に関連が深かったということは重々承知しておりますが、今度の法案でそういう実質的な意味の一世一元の制度を起こしたからといって、天皇の地位を現在の憲法から旧憲法の方へ近づけるのだとか、そういう発想は実は毛頭われわれ持っていないわけなんでございまして、むしろ国民の理解、事実上の慣習の中身として、象徴天皇の御在世中は一つの元号で生活を営んでいこうという国民の意思というものを想定いたしまして、それを踏まえて、いまのこの法案を起草したわけでございます。
○上田委員 いわゆる天皇を中心にした一世一元の元号は現在の憲法では違法ですね。現在の憲法の精神、主権在民の精神から見たら、いわゆる明治憲法で言われたところの天皇中心の一世一元の元号制というのは違憲ですね。その点はどうですか。
○真田政府委員 先ほども申しましたように、旧憲法時代の一世一元は、その当時の主権の所在が天皇にあったということを踏まえてできておったわけですから、それと同じ意味合いで新しく法律をつくるということは、いまの憲法の精神には合わないかもしれません。しかし、いまの憲法も、なるほど主権在民ではあります。主権在民ではありますが、しかし国を象徴するものとしては、やはり厳粛に、それは天皇だということを国民が総意をもって宣言しているわけですから、その点に着目して、改元の時期を、皇位の継承があった場合に限って改元を行うという立て方をしたわけなんでございまして、決して憲法違反ではございません。
○上田委員 一世一元というのは、天皇を中心にして世の中が治まっておるということが前提になって定められておるのです。そうして、戦後、新憲法では主権在民で、天皇はあくまでも日本国民の象徴なんです。それ以外の何物でもないのですよ。それをいまさら、いわゆる天皇中心の世の中で通用してきたところの一世一元の元号をなぜ法制化しなければならないのか、これは現在の主権在民の現憲法から言うならば、はっきりと憲法違反ですよ。憲法違反でないと言うならば——確かに長官がおっしゃるように、いまは天皇中心の日本じゃない。主権在民、国民が主権者である。戦前と戦後、旧憲法と新憲法ではそれだけの違いがあるということは事実ですよね。そのことは事実ですよ。事実なら、なぜいま習慣として残っている元号、この元号ですね、これが端的な言葉で言うならば、私も地元へ帰りまして、支持者の方からいろいろ質問を受けるときがあるのです。 上田さん、何で昭和なくしまんねん、こんな使いやすいものはないやおまへんか、年を数えるのにも便利がいいし、ある人が私は明治何年生まれや、大正何年生まれや、千九百何年というふうに言うよりもその方が便利がいいねん。確かにそういう時代に生きてきた人はそれは便利がいいかもわからない。もっと端的な言葉で言うならば、天皇を中心に世の中が回っているというような、そういう時代に国民に押しつけられた一つの明治であったり、大正であったり、昭和であったというようなことまで深く考えずに、要するに便利がいい、そういう時代に生まれてきたのじゃないか、こういう形で一定の定着をしていることも事実です。 しかし同時に、いま元号の存続を望むという中には、それは各社によって設問の仕方が微に入り細に入って、いわゆる天皇がかわったときに新しい元号ができることを望むか云々ということを注釈が入っている部分もありますよ。しかし多くの人は、天皇が亡くなろうと新しい天皇ができようと関係なしに、この昭和というのがそのまま続くものだ、こんな便利がいいものをなぜなくすのだ、そういうような方々も元号の存続を望むというパーセンテージに入っていると私は見ているのです。それは古い人であれば、この昭和というのはいつまでも続くものじゃなしに、天皇が亡くなったときに、新しい天皇ができたときに新しい元号になるのだというようなことは、それはある部分の人は知っているかもわからぬけれども、本当にそういう意味では逆に、天皇というものに対して愛着を持っているのじゃなしに、昭和というものを五十四年間使うてきた、このことに対して愛着を持っているのですよ。何も昭和、昭和と言うている人間みんな天皇陛下万歳と言うている人間ばかりじゃないのですよ。天皇中心の世の中がまた来たらいいと思ってないですよ。五十四年間ずっと使うてきたこの昭和という言葉に、その深い意味合いというものを余り理解せずに、昭和天皇のもとでどういう罪悪がなされてきたか、日本人は過去の暗い傷を持っているわけです。そういうことを一応別にして、戦後ずっと三十数年間昭和というのは使いなれてきた、これは置いておいたらいいじゃないか、現実に使っているし、こういうことが元号存続の——ぼくは地元の人と話をする中で、そうじゃないのですよ、元号の法制化というのはもう昭和がなくなりまんねんで、そして、何かわからぬけれども新しい名前の時代が来ますねん、えらいことでんな、そんなことでつか、私は昭和が続くものや思うておった、何で昭和なくしまんねん、昭和をなくそうとしているのはひょっとしたら自民党かもわからぬ、政府かもわからぬ、こういうような議論さえ国民との中で対話となって出てきているのですね。 だから、そういう意味で私は、本当に、正しい意味というのですか、習慣というのですか、たとえば天皇が亡くなられて新しい天皇になったとしても、これは象徴天皇でありますから、それは亡くなられて皇太子さんが新しい天皇になるということは当然のことだろうと思います。これは憲法が認めていることですから。しかしながら、たとえばそういうことがあったとしても、昭和が六十年も七十年も、天皇が交代することと関係なしに昭和百年、昭和二百年、三百年、わしはそんな天皇とは関係なしに昭和が好きやねん、生まれたときから昭和を使うているのやということで、恐らく、昭和を愛する人が、そのまま使う人が出てくるんじゃないかと私は思うのです。天皇が新しくかわったからと言って、新しい法律で新しい元号ができたって、わしはそれは使わぬ、わしば昭和がいいのやという人も出てきますよ。そういうことも大いにあり得ることなんです。 だから、私ははっきり申し上げて、こういう過去の暗いイメージを持つところの、そしてそういう思想体系を持つところの一世一元、そういう旧憲法でのときの中身というものと、主権在民の新憲法下におけるところの一世一元の元号というものとを別だと言ったって、だれもそれは別だと思いません。その証拠に、元号法制化の促進の会議の面々を見ても、本当にそういう意味では右翼的なというのですか、国民の中では偏った考え方の、天皇中心の世の中をもう一度つくりたいというような方々が多いんじゃないですか。そういう人たちが中心になって元号法制化の運動をされているんじゃないですか。お答えいただきたいと思うのです。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 国民の方々の中には、いま上田委員の御指摘されるような、素朴な意味での昭和という元号に対する御理解もあるかもしれませんが、大多数の国民の方々は、この昭和という元号はいつの時代まで続き、いつ改元されるであろうかというようなことは、私が知る範囲内におきましては、天皇の退位をなさるその時点までは昭和であろう、次は新しい元号というものがまた改元されてくるものであろうというお考えのように私は承知いたしておるわけでございます。私はそういう受けとめ方をいたしておるわけでございますから、そういう点で、国民の方々に、いま議論になっておりますような改元の時期というのはそういう時期であろう、その次には新しい元号というようなものをひとつ策定してほしいというのが、元号存続に対する大方の御意思であろうと受けとめておるわけでございます。
○上田委員 長官、一度世論調査で、天皇が亡くなられ、新しい天皇ができても、この昭和という元号が続いたらいいと思いますか、それとも新しい天皇の即位と同時に別途元号をつくった方がいいと思いますかというふうにされたら、私は前者の方が多いんじゃないかと思うのですよ。一回、そういう意思ないですか。われわれは、天皇の交代とそういう元号というものと、ほんまに紀年法と言うならば、全く違った形で解釈されるならば、昭和ということが、語源をたどれば、一体どういう形になってきたか、なぜそういう形で設定されてきたか。いわゆる昭和天皇という形であったにしても、そういうものがあったにしても、いま昭和、昭和と使っているのは、日常語として、あるいは年の計算をするにしても便利がいいという形で使われている問題なんですよ。何もそういう思想的な、昔のような、昭和天皇のような、ああいう戦前のような状況になったらいいというような形で使ってないと思うのです。だから、天皇がかわってもかわらなくても、要するに昭和というのが続いたらいいと思うか、それとも昭和天皇が亡くなったことを契機にして、そのまま廃止してしまった方がいいと思うか、それとも新しい元号をつくったらいいかというような形のきめの細かい調査というものが私は必要だと思うのですが、その点はどうですか。
○三原国務大臣 私は、先ほどお答えを申し上げましたように、国民の大多数の方々は、紀年法でございますいまの昭和という元号は、陛下の退位されるというような時期には次の新しい元号が生まれてくるであろう、改元されるであろうという受けとめ方をしておられるものだと受けとめておるわけでございます。 〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕 そこで、いまそういう点について世論に問うというようなことをやるのかやらぬのかということでございますけれども、現在そういうことをやる意思は、ございません。
○上田委員 長官、あなたは、天皇がかわれば当然昭和がなくなって新しい元号ができるというように国民の大多数は思っているだろうと言うけれども、それはあなたの勝手な解釈であって、そのことについてどういう答えが出てくるかわかりませんよ。だから、本当に国民の世論を大事にしたいとか、国会の審議を十分にしていただきたい、慎重審議をしたいと言うならば、そういうあなた方の一定の考え方を持つということについて何もどうのこうの言わないけれども、何かそこに硬直した自分の考え方を議会に、あるいは国民に押しつけようというようなことになってくるんじゃないですか。象徴天皇というのは、国事行為以外は、いわゆる政治的な意味合いを持つものはしないということになっておるわけですね。だから、こういう元号問題というのは、そういう国事行為の中に入っていないはずです。当然、これは現在の憲法でそういう一世一元の改元について触れてないわけでありますから、そうしたら、そういう国事行為以外の、あえて言うならば、こういう国民生活に深くかかわり合いがあり、あるいはいろいろの経過から見るならば、あなた方はそういうことをおっしゃるかどうかは別にしても、政治色というのですか、あるいは宗教色というのですか、そういうものも多分にあるところのこういう複雑な、あるいは後で私は述べますけれども、やはり天皇中心のいわゆる神道ですか、そういうものの一つの儀式というものもあるわけでありますから、そういうものにただ単に新しい天皇が即位されるということだけじゃなしに、そこには大きな儀式があるわけです。その儀式の多くは、神道に基づいてなされることであるわけでございます。 そういうことで、予算の関係も後から御質問申し上げますが、本当に象徴天皇のもとで、現憲法のもとで、一世一元のそういう元号を法制化することは憲法違反でないということをあなた方は詭弁を弄しますが、実際われわれから言うならば、それ自身現憲法を本当に愚弄するものではないかというふうに考えざるを得ないのです。そういう点で、本当に過去の天皇中心のそういう時代、昔のような時代に持っていきたいがためにやられようとしているのか、もう二度と昔のようなそういう天皇中心の政治はいけないんだ、そういうことをやめていくんだということになってきた、そういう紛らわしいものをいまさら法制化して持ってくるということ自身に大きな疑義があるんじゃないですか。これは三原長官も真田長官も答えていただきたいと思います。
○三原国務大臣 先ほど法制局長官がお答えになりましたように、現憲法に今回の元号に対します法律が抵触するとは毛頭考えておりません。 なお、今後の元号の運用等について憲法違反になるというようなことを絶対に避けねばなりませんので、使用運用上につきましては、十分な配慮をしながら対処をしてまいる所存でございます。
○真田政府委員 今度の法律案が成立しました場合に、新しく改元が仮に将来行われた場合のその新しい元号を定めることと、いまの憲法が定めている天皇の国事行為とは全く関係がありません。関係が国事行為でないからこそ、今度の法律案で国会の御委任を受けて政令で決めるという構想をとっているわけでございまして、決して旧憲法のような、天皇が統治権者であられたような世の中を目指しているとか、そういうつもりは全く持っていないわけでございまして、その点は御理解願いたいと思います。
○上田委員 そういうことを考えていないというならば、何も明治、大正、昭和というような形の元号、これがある程度慣習として、全部が全部これを使っているわけじゃないのですね、両方使っている場合もあるし、西暦だけを使っている人も中にはあるわけでありますから。一般的には両方併用しているというのが私は正しいのではないかと思います。当然、新しい元号ができた時点で、それにはなかなかなじみにくいというので、ある人たちは西暦一本で表現するという方々もありましょうし、いや、やはり新しい天皇のもとで改元されたのだからということでなつかしむ、その場合は天皇中心主義の方々だろうと思うのですけれども、そういう方々もあるだろうし、先ほど言うたように、せっかく定着しているのだから昭和でいいじゃないか、天皇が亡くなって新しい天皇ができても昭和でいた方が私は計算しやすい、こういう方もあろうと思うのです。 要するに、それは法律でこうすべきだというものではなしに、いわゆる文化的な遺産というのですか、文化的な遺産と言ったって私は悪い遺産ならやめた方がいいと思うのです。またなくなっていくものだと思うのです。そういうような間違った文化的遺産なら忘れ去られていくものだ。しかし、それが何ぼ悪い遺産であったからといって、法律で禁じたり処罰したりとかいうものではなかろうと思っておるわけです。 ただ私は、元号の問題は、端的なことを言ったら、確かに明治生まれとか大正生まれというように非常に昔を思い出すというのか、いろいろ過去の局面、苦しかったことあるいは楽しかったことも含めて自分の一定の時代時代をなつかしむということはいいと思いますけれども、しかしそういう一世一元の三つの元号の時代というのは一体どんな時代であったのか、日本人民が世界の国民にどういうような害を与えてきた歴史であったのかということも考えなければならぬと思うのです。 そういう意味で、こういう元号というものは、使う者は使って、何もそれはどうのこうのとわれわれが言うべき問題じゃなしに、元号をそのまま存続してほしいという一定の世論があるならば、それはそれでいいと思いますけれども、何も法制化までしなくてもいいという世論もまた片一方であるわけでありますから、その点でこの問題について端的な言葉で言うならば、なくなっていくものは自然になくなっていくし、残るものは自然に残っていくべきであって、目的意識的に元号を残していこうということ自身、かつての旧憲法時代の、そういう天皇を中心としたところの世の中を目指そうとしているのではないか、あるいは現実に法制化促進に熱心な方々は特にそういう天皇中心主義の方々、宗教団体の方々あるいは与党の自民党の中でもそういう一定の政治的傾向のある方々ではないか、こういうように思っておるわけであります。 そういう点で、一世一元の元号を法制化して残すということは現憲法に完全に抵触している、象徴天皇ならば私は決してそういうことはなかろうと思っておるわけです。特にこういう一世一元の元号というものは、先般からいろいろ議論されておるわけでありますが、わが国しか残ってないと思うのですが、そういう点どうですか。
○清水政府委員 おっしゃいますとおり、元号は、現在におきましてはわが国だけで使われております。
○上田委員 わが国だけでしか使われてないということはまた、かってある時代——実際一世一元の元号が法的に存在したというのか、そういうものは八十年ほどの時代であっただろうというように思うのです。だから、大化以来今日に至るまで約千三百年のそういう元号の歴史というのですか、あると言っても、その中で一世一元の元号というものはわずか八十年ほどで、それも非常に特殊な関係、特にわれわれ国民にとってはがまんのならないそういう絶対主義天皇制のもとでの一世一元の元号であったということを考えた場合に、これを残そうという考え方というものは一体どこにあるのかということは、私は火を見るよりも明らかではないかと思っているのです。 そういう元号制度の発祥の地といいますか、そういう中国においてもあるいは他の国々においても、かつてあったにもかかわらず現在はないという形で、そういう意味では一世一元というのは、まさしく天皇を中心としたということをやはり諸外国の方々は、日本というのは天皇を中心にして動いているのか、ああ古臭い国だな——天皇に対するイメージというのは、日本人が考えている天皇というものもあります、確かに象徴という意味にはあるかもしれぬが、外国から見る日本の天皇というものに対するものは、もっときつい批判の目というものをわれわれはやはり考えていかなければならぬのではないか、日本の経済が多様化して地球が狭くなり、そういう意味では国際化する中で、元号法制化ということはもう時代錯誤もはなはだしいと考えざるを得ないのです。 そういう点で、たとえば度量衡の尺貫法などでも、やはりメートル法に変えていった。そういう点で、禁じたり罰するということだけで物事を整理できるものではないということははっきりしてきていると思うのです。物の数量とか重量あるいは年の数え方につきましても、やはり国際化を図ることが一番正しいことではないか、私はいまこういうように思っているわけであります。そういう点で、世界のそういう趨勢といいますか国際化社会の中で、日本がそのことによって孤立していくというように私たちは考えておるわけですが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○清水政府委員 わが国におきましても、元号のほかにももちろん西暦も自由に使われておるわけでございます。ただいま委員のおっしゃいました国際化の問題にいたしましても、わが国といたしましても、もちろん国際化の時代ということで、あらゆる角度からその問題に取り組んでいることは御案内のとおりでございますが、そのような中にありましても、元号というのは御案内のとおりわが国独特の紀年法ではございますけれども、そうした紀年法を持つことと、わが国がそうした国際化の中で孤立してしまうということとは別の問題と申しますか、独自のものを持っておっても、なおかつ国際化という中で各国と協調し、進歩を図っていくことは十分可能であり、現にそのような推移をたどっているものと思うわけでございます。 なお、先ほどもお触れになりましたが、いずれにいたしましても、この元号法案が成立をさせていただきました暁におきましても、一般国民が元号によって年を表示していくかあるいは西暦によっていくかという点につきましては、法は何ら拘束もしないし義務づけもしておりません。その点は全く自由であるわけでございますので、そのようなことを総合的に考えますと、わが国独自の紀年法というものを国民の願望に沿って存続するということは、国際化の時代に即応していくべきわが国の立場として何ら矛盾するものではないというふうに考えているわけでございます。
○上田委員 先ほども触れましたけれども、元号の法制化を推進している方々、特に推進国民会議ですかの議長であります石田和外氏はこういうことを、きょうは防衛庁長官も来られておりますので、お答えいただきたいわけでございますけれども、先般防衛大学校の卒業式において軍人勅諭を礼賛する発言を行っておるわけであります。こういうふうに言っております。かしこくもかつての明治天皇の軍人へのお諭しは時代が変わっても断じて忘却してはならない金言であります云々というぐあいで、まことにわれわれとしては驚きにたえない。このようないわゆる天皇の軍隊としての訓辞を堂々と卒業式で述べるということは、本当にそういう意味では反動的な意味での憲法改悪、そういう天皇を中心としたところのそういう世の中に時代を逆戻りさせようという以外の何物でもない、私はこういうふうに考えるわけでありまして、こういう点で、この元号法制化を推進している責任者がそういう考え方を持っている、持っているだけじゃなしに防衛大学校でそういうことをあいさつをしているということについて、どのようにお答えいただけますか。
○山下国務大臣 お答え申し上げます。 防衛大学校におきましては、毎年その卒業式に文化人とかあるいは外交評論家というふうな方々に来賓に来ていただきまして、その代表の方にあいさつをしていただいておるわけでございまして、たまたま本年の卒業式に当たりましては、従来法曹関係の方がおられなかったものでございますから、最高裁判所長官という経歴をお持ちの石田和外氏に来賓としておいでいただいて、祝辞をいただくように、防衛大学校の方で決めましたわけでございます。 そのときのごあいさつの中に、いまお読み上げになりました文言がございましたことは事実でございますが、ただこれは、私もそのときにおりましたのでございますが、決して昔の時代に逆行するとかあるいは天皇制を礼賛するとかいうふうなことではございませんで、ただ防衛大学校でございますから、武人としての徳目でございますが、そうしたものにお触れになったと私は承知いたしておる次第でございまして、決してそのことはいまの御指摘のようなことではない、このように思う次第でございます。
○上田委員 長官、これは、石田さんと長官は大体一緒の考え方を持っているということですか。
○山下国務大臣 先ほどちょっと触れるのを失礼いたしましたが、たまたま石田氏は元号推進国民会議の議長をされているようでございますが、これはもうたまたまそういうことでございまして、あくまで最高裁判所長官としての資格において防衛大学校は御依頼申し上げたと思っている次第でございますが、いずれにいたしましても、同じ考えとおっしゃいますと、どういうことでございまするか。 〔小宮山委員長代理退席、村田委員長代 理着席〕 決していまの自衛隊は天皇の軍隊でもございませんで、あくまで国民のための自衛隊でございますし、またそのような形においてわれわれは考えておるわけでございますが、ただ、いまのお話にございました武人としての徳目については、これは来賓のお言葉として承っていい言葉があったと思うわけでございます。
○上田委員 防衛大学校の卒業式に招待をしてあいさつをしてもらう。そうすると、いろいろの人があいさつしてもいいということにはなりますが、やはり法制化の実現のそういう国民会議の議長をされているのですね。 かつて日本の軍隊は天皇の統帥のもとにあったわけですね。そして、少なくとも法制化の問題も含めて元号のあり方というものがいま国会でも議論されていますし、やっぱり国民の中でもいろいろ議論されているわけですね。そういう中で、武人としての、そういうその一つの言葉、その言うたことだけを私は揚げ足を取って言うているのではないのですよ。しかしながら、全体を流れるそういう考え方というものをわれわれ理解せねばいかぬと思うのですね。やっぱり一つの流れというものがあるわけですからね。そういう点で、たとえばそういうかしこくもというような言葉、かつての明治天皇の軍人へのお諭しはというような形で、まあ言うたら非常に時代がかっていますわね、何か非常にそういう時代がなつかしい。そういう明治天皇の軍人へのお諭しというもの、そういうものというもので、時代が変わっても忘れてはならないのだというようなことを言っているということ自身、やっぱりそこに時代を過去にさかのぼらせようという一つの政治的な意図というものをその発言にわれわれは読み取ることができるだろうし、防衛庁としてそういう者を卒業式に呼んでいるということは、やっぱりそういう軌を一にする、防衛庁あるいは長官あたりのそういう思想背景がそこらあたりにあるのではないかと考えざるを得ないと思うのです。そういう点で私は、軽率に過ぎるというように思っているのですが、その点どうですか。
○山下国務大臣 石田和外氏は明治の人でして、そのような言葉があったかと思いますけれども、しかし、先ほども申しましたとおりに、いまの自衛隊は昔の軍隊ではございませんので、国民のための自衛隊としてあるわけでございますが、その明治の生まれの方がそのあいさつの中で武人としての徳目にお触れになった表現には明治らしい言葉があったかもしれませんけれども、決してそのことは、私ども国民のための自衛隊の防衛大学校におきまして、過去にさかのぼろうとか昔の軍隊に返ろうとかいうことでは絶対ございませんので、あくまでこの防衛大学校の卒業式に当たりまして、文化人とかあるいは外交評論家とかそういう有識の方々、その中に法曹界出身の方においで願ってお話を聞いた、その中にたまたま武人としての徳目にお触れになったことがあるということでございまして、御指摘のような過去に返ろうとか戻そうとかいう意図は、ただいまのところ絶対にございませんので、御了解賜りたいと思う次第でございます。
○上田委員 そういうことを長官はおっしゃっておるわけですけれども、われわれとしては、やっぱりこういう、はっきり言うならば、一定の政治的な立場のある人です。それは政治的な立場と番うたって、あなた方もそういう元号の法制化をやろうという立場ですから、そういう意味では軌を一にするのかもわからないが、しかしながらその中身というものは、まあ旧憲法に戻すものではない、あるいは国民主権を天皇主権に戻すものでないというような前提で、われわれとしては、そういうことを言いながら、違憲行為だというように思うわけでございますが、そういうものと、積極的にやはり過去に戻そうという、そういう思想背景を精神上持っている方々、中身においてはそれは違うのかもわからぬが、表だけ見るならば法制化促進という形で一致しているということで、そこにやはり私、それも特に防衛大学の卒業式の場でそういうふうに述べたということに対して、どういうような弁解がましい言いわけをしようとも、軽率のそしりは免れないというように私は思うのですけれども、今後もそういう形でこういう方々、そういう一定のお考え方を持っている人にあいさつさせようというふうに考えているのですか、どうですか。
○山下国務大臣 防衛大学校の卒業式に当たりましては、ずっとそういう各界を代表する方々においでを願って、代表としてのごあいさつをいただいているわけでございますし、今後とも意義ある卒業式にはそういう方々をお呼びしたいと思っておるわけでございまして、今回も最高裁判所長官という経歴の方をお呼びしたことは、防衛大学校の選定として間違っておるものではないと私は思っておるわけでございます。今後ともそういう卒業式にふさわしい方々をお呼びするつもりでございますが、決して特定の意図を持ちまして人選をするようなことはございません。
○上田委員 いずれにしましても、長官が幾らそういうことをおっしゃっても、やはり国民の疑問というものはぬぐえない、私はそう言わざるを得ないと思うのです。この元号問題一つを見ましても、たとえば有事立法などと軌を一にするものであって、有事という一つの想定をしていまの自衛隊を増強していこう、そしてああいう航空機の輸入にまつわる疑惑じゃないですけれども、平和産業で日本の経済を立て直すというのではなしに、何かそういう兵器産業などを起こして、かつて歩んできた道に戻そうとしておるんじゃないかというふうに感じざるを得ないわけであります。ずばり言うならば、元号法制化そのものに自衛隊なりあるいは防衛大学が、何と言いますか、そういう国民に誤解を与えるような行為というものは厳に慎んでもらいたい、こういうように思うわけであります。 時間の関係もありますので、さらに進めたいと思うわけでありますけれども……(発言する者あり)
○村田委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕 〔村田委員長代理退席、委員長着席〕
○藏内委員長 速記を起こして。 上田卓三君。
○上田委員 私の発言中に定数、過半数に満たないというような状況が起こりまして、委員会に先立ちまして理事会等で、私も傍聴させていただいたわけでございますけれども、定数に満たない、特に与党の自民党の先生方のこの元号法案に対する審議の過程で非常に空席があるということで、そういう定数が切れるということになれば直ちに審議には応じられないというようなことで、一応各理事さん合意のもとで開かれた、こういうように思っておるわけであります。定数が切れて自民党の先生方が二人ないし三人というような状況の中で、そういう意味では理事会の合意ということもありまして、これ以上質疑ができない、こういうような状況の中で、私ども社会党の理事でございます上原康助先生の方から緊急に議事運営についてという形で発言を求めようとしたわけでございますが、事務局の方で、それも定数に満たないので決定できないというような形で拒否されるというようなことの中から、特に社会党の二人の理事、そして出席しておりました先輩の岩垂先生並びに共産党の柴田議員などが現在欠席というような状況があるわけでございます。そういう点で、いまの時点で他の野党の先生方も御出席ということでございますが、やはり政府自身が、この元号法案については非常に国民の深い関心があるという状況のもとで、特に慎重審議ということで本当に真摯な態度で審議がされておるにもかかわらず、そういう欠席議員といいますか、出入りが激しい、こういうような状況では私としても非常に心外であるわけでございますし、いま理事の上原議員の方から私を通じてということでございまして、緊急に理事会を開いていただきまして、そして今後の運営についてお諮りを願いたいということでございますので、その点ひとつ私の方から委員長に申し上げまして、暫時休憩していただきまして理事会をやっていただくようにお願いしたい、こういうように思います。
○藏内委員長 上田君に申し上げます。 委員会の定足はすでに充足をいたしております。したがいまして、いまお申し出の理事相互の意見の交換は、あなたの質問の続行中に継続をしていただきたいと思います。質問を続けてください。
○上田委員 委員長、それじゃ理事会はやっていただけるわけですか。
○藏内委員長 やります。
○上田委員 それでは、私自身は発言させてもらってもいいと思います。だから、そういう点ひとつ理事会を招集していただきたいと思います。
○藏内委員長 上田君に申し上げます。 いま申し上げましたとおり、あなたの質問続行中に理事の協議を行いたいと思います。したがいまして、あなたの質問を続行してください。
○上田委員 それじゃ、私自身は何ら他意はないわけでございますけれども、要するに各先生方の審議におけるそういう努力というものに対して、わが党として疑義を持っておるわけでありますから、その点ひとつ直ちに理事会を開いていただきたい。その成り行きのぐあいによって私もさらに発言については保留さしていただきたい、こういうように思いますので、それじゃ続行して発言さしていただきましょう。 それじゃ時間の関係といいますか、防衛庁長官の関係もあるようでございますので、もう一つ防衛庁長官にお聞きをしたい、こういうように思います。 元号法制化推進国民会議の有力構成団体の一つに日本郷友連盟という組織があるようでございますが、その会長の杉田一次という人はその著書で、「忘れられている安全保障」という本があるわけでありますが、その中で、要約でございますが、自衛隊に天皇陛下が公式視察や閲兵に来ていただけないのは問題ではないか、こういうように嘆いておるわけであります。その中で、自衛隊(軍)が特殊部落的扱いを受けていると見るのも当然だろう、こういうように、本当にそういう意味では杉田さんは東部方面の総監であり、また陸上幕僚長まで務めた自衛隊の元高級幹部でありますが、こういう自衛隊の公式な視察とかあるいは閲兵というものに対して天皇陛下が来ないということは、そういう自衛隊自身がさげすまれ差別されている、こういう一つの嘆きの中から——本当にいま全国で六千部落主百万と言われる未解放部落のこの問題を解決するために、特別措置法が昨年秋の臨時国会で三つの付帯条件をつけられまして三年延長が出た。そういう意味では国民の大変関心のある問題でございますが、そういう未解放部落を賎称する差別用語としての特殊部落という言葉を取り上げまして、いわゆるこの自衛隊が特殊部落的扱いを受けている、こういうような、本当に聞くにたえない差別発言を著書でしておるわけでございますが、この発言に対して防衛庁長官として一体どのように考えておるのか。本当にそういう意味では自衛隊内部での同和問題に関する啓蒙とか、そういう自衛隊内部で過去においても忌まわしい部落差別事件が幾つかあったわけでございまして、そういう経緯も含めてこの問題をどのように考えておるのか、納得のいく説明をしていただきたい、このように思います。
○山下国務大臣 お答え申し上げます。 ただいま御指摘の点につきましては、杉田元陸上幕僚長が「忘れられている安全保障」という著書の中で、いま御指摘のような表現を使っておられることは御指摘のとおりでございまして、本人の真意はともかくといたしまして、これは誤解を招くおそれがある表現でございまして、必ずしも適当でないと思います。そしてまた防衛庁、自衛隊におきます教育につきましては、従前とも十分注意してまいっておりましたが、今後ともに留意して進めてまいりたいと思います。
○上田委員 自衛隊の中での隊員に対する部落問題の啓蒙といいますかあるいは研究といいますか、そういうものが一体過去においてどういう経緯の中でどのように取り組まれてきたのか。そういう中で、この杉田さんが元自衛隊の幹部であるという状況の中でこういう事象が起こってきているということ自身、全く通り一遍の啓蒙に終わっておったんじゃなかろうか、こういうように思っておるわけでありまして、そういう点ではっきりとその点についての経緯というものをお聞かせいただきたいし、まあ若干の考え方を長官から聞きましたけれども、そういう言葉がいけないということだけじゃなしに、はっきりとした差別用語を使っている、差別発言である、こう断定せざるを得ないと思うので、その点あいまいに残すわけにはいかないと思うので、その点について、さらにひとつお聞かせいただきたいと思います。
○山下国務大臣 自衛隊におきまして、過去におきましても御指摘をいま受けましたこともございましたけれども、自衛隊におきましては、人間尊重という基本理念のみならず、部隊組織下における規律の維持という観点からも十分留意する必要がありまして、各学校等におきましても基本的人権に関する教育を徹底し、隊員個人個人の良識の伸長を図っている次第でございまして、その趣旨につきましては、今後ともさらに十分留意して行いたいと思います。 そしてまた、この杉田元陸上幕僚長の言葉につきましては、先ほど私も申しましたように、私はこれは必ずしも適当ではないということをはっきり申し上げたと思います。そのような経歴のあった人でありますけれども、そういう著書において使われておることについては私も必ずしも適当でないと思いますが、本人の真意はともかくまだ十分よくわかりませんところがありますけれども、ただ自衛隊におきましては、このような誤解を招くことにつきましては厳に戒めて進んでまいりたいと思いますので、御了承賜りたいと思う次第であります。
○上田委員 誤解を招く言葉と言うよりも誤解も何もないわけで、部落差別をする、そういう意味ではわれわれにとっては本当にはらわたの煮えたぎるような怒りを感じる、そういう言葉を文章にあらわしておるということでございます。そのことだけがここでの元号法案の法案審議ではございませんので、別途これは本人からもひとつ長官聞いていただきたいと思いますし、また長官自身も十分まだ御存じのないことであろうと思いますので、そういう点で別の機会にとっくりとこの問題については審議をさしていただくということで、いずれにしてもこの杉田さんの考え方にあるのは、人の上に人があるんだ、いわゆるとうといもの、天皇というものを想定し、また人の下に人があるんだという形で、未解放部落を初めとするたとえば在日朝鮮人であるとか、あるいはそのほか本当に社会の底辺にあえぎ苦しむ多くの方々がおられるわけでありますが、そういう考え方が、人間の中に尊敬される者と差別される者があるんだ、そして自衛隊自身もそういう差別される者だというような形で卑下することによって、特殊部落と同じ扱いを受けているんだ、こういう形のものとなってあらわれておると思いますので、思想的に相当根深いものであろう、こういうように思っておるわけでありまして、先ほど申し上げた国民会議の議長の石田さんの考え方というものとも軌を一にしているものではないか、私はこういうように考えておるわけであります。そういう点で、長官もお忙しいようでございますから、一応この問題については留保する、別の機会にするということで席を外していただいて結構だ、こういうように思います。 次に、この元号法制化推進国民会議の中心団体の一つでございます神社本庁は、元号制度の確立、推進の急先鋒でもあるわけでございますが、その神社本庁の時局対策の資料の第十一集がございまして、「元号制度の確立をめざして」という題でございますが、その中で次のように述べておられるわけであります。十五というところでございますけれども、「国民の心理に及ぼす影響大」ということで、 年号は、国家の重大事から国民ひとりひとりの私生活にまで、深く広い関係がある。憲法の公布をはじめ一切の公文書から、私人の私生活、債権債務の契約、誕生、結婚、葬祭の年月、恋人との間の忘れがたい文書にいたるまで、過去も現在も未来も、時を記録するのが暦である。それが全て、キリスト或いはシャカ、マホメット、独立革命につながっていくか、天皇の御在位につながっていくかということは、何んでもないことのように見えて実は国民心理に及ぼす影響が極めて広くして大きいものと云わねばならない。 我々は、あの人は明治生れであるとか、大正、昭和生れであるとかの語を多く用いるが、それでその人のおよその年代的な感じがわかる。それは日本人の全てが、その人生と天皇の御在位とを結びつけて考えていることなのだ。明治天皇の御晩年に生れて、大正天皇の御代に少年時代をすごし、昭和の今上陛下の御代に青年期を迎えた、というような意味で、国民ひとりひとりが、その社会生活でも私生活でも、天皇の御在位の時代に関心をもつということなのだ。そのような意識は、国民の一人一人としては必ずしも強烈なものとは云い難いにしても、それが一億の国民の全ての間に広く隅々まで行きわだっているということは、一つの国民心理に大きな影響的作用を及ぼすものである。それは日本人を一つの国民として統合していくのに偉大な目に見えない心理的影響がある。 こういうように述べておるわけであります。ここにいわゆる元号法制化の意図というものがありありとわかるわけでございまして、象徴天皇制のもとでの一世一元の元号というものは、いわゆる戦前の旧明治憲法下での天皇を中心とした天皇主権のもとでの一世一元と違うのだ、こう言っても、現実にそういう思想的背景といいますか、そういう状況の中で現在の象徴天皇というものを一つの土台にして人間天皇というものを、かつてのような、天皇は人間の顔かたちをしているが、実際は神そのものである、こういうようないわゆる現人神というような考え方があるわけでありますが、そういうものに持っていこう、そういう意図ははっきりとしておるのではないか、こういうように思っておるわけであります。そういう意味で、現在の憲法の精神というものは基本的人権の尊重であり、国民主権、平和主義、こういうことであるわけでありますから、そういう点で私は、ここで象徴天皇というものと戦前の現人神的な絶対主義天皇制というものの違いというようなものについて、以下数点にわたってお尋ねをいたしたい、こういうように思っておるわけであります。 そこで、このまま発言を続けたいわけでございますが、いま別室で理事会等もやられておるようでございますし、そこでわが党の理事からも今後の議事運営等について意見を述べるということでございます。相当時間も経過いたしておりますし、政府委員の方々についてもお昼御飯も済まされてないということもありましょう。欠席の方々はすでにもうそういう点は御用を済まされたかもしれませんが、傍聴の方々のこともあります。そういう点で、私は理事会でこの問題について一定の結論が出るまで発言を留保して、退席をさせていただきたい、こういうように思いますので、よろしくお願いしたい、このように思います。
○藏内委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○藏内委員長 速記を起こして。 質問者の上田君に申し上げます。 先ほどあなたの質問続行中に理事の協議を進行させるというお約束で質問を始めたわけでございます。したがいまして、あなたの質問を続行してください。
○上田委員 今後の委員会の運営の方法について理事会で一定の結論を出してもらうということで、その間、どっちが先かということでなしに、若干理事会の決定がしかるべき方向で決まるものだということで、その後続行して私は発言さしていただいたわけでございます。ところが、いまだに理事会が正常に開かれておらない。特にわが党の理事が来てないということでございますが、それも経緯のある中でそういうことになっておるわけですから、私は再度委員長にお願いしたいわけですけれども、この委員会を一時休憩していただきまして、直ちに正常な形で理事会が開かれまして、今後の運営についてしかるべき方法を決定づけていただきたい。そういう意味で、私の発言については一時中止しまして、委員会についても御休憩をいただきたい、このようにお願い申し上げる次第です。
○藏内委員長 重ねて委員長から申し上げます。 委員長から先ほど申し上げましたとおり、今後の運営のために理事の協議はこれを行うということでございます。各党とも理事がそろっておられますが、ただいま社会党の理事さんだけがおいでになっていないという現状でございます。そういうことでございますから、社会党の理事さんが御出席し次第理事の協議を開始いたしますので、その間あなたの質問を続行していただきたいと思います。
○上田委員 ちょっと休憩してください。お願いします。(発言する者あり)
○藏内委員長 上田君、質問を続行してください。
○上田委員 本当に、私自身きょう資料を整えて、そして徹底的に元号問題につきまして政府側の意見を問いただしたいということで参ったわけでございますけれども、非常に不正常な形になっておるわけでございますが、これももとを正せば、前半におきまして、自民党の先生方が大変お忙しいことはよくわかりますけれども、委員会で中座をされる、定数に満たないというような状況、そういう意味では本当に二人、三人というような状況の中から、このままでは正常な委員会運営はできないじゃないか、こういうことで、委員会を一時休憩して、そして理事会を開いてもらいたいという上原理事の要請に対して、定足数に満たないからということで、事前に本委員会で発言する前に事務局段階で抑えられたということで、これでは委員会が開けないじゃないかという形で、この会議を中座されたようないきさつがあるわけでございます。 そういう点で早急に、やはり今後の問題もございますので、正常にこの委員会が開かれますように別室で理事会をぜひとも開いていただきたい、こういうことを私申し上げまして、そのことを了とされたわけでありますが、いまだに理事会が開かれておらないというような状況のもとで、私自身、できましたらそういう点で社会党の理事も出席した上で理事会が正常に開かれるように、それまでしばらく委員会での発言につきまして中止させていただいて、委員会を休憩に持っていってもらいたい、こういうふうに要請をしておるわけでございまして、私自身はいたずらに議事を引き延ばしたりというような意図は全くないわけでございます。 そういう点で、委員長の再三の御発言、私自身よくわかっておるわけでございますけれども、やはりこういう状態を正常に戻す、というのは、理事会での討議の中身は、本委員会をどのように正常な形で、今後においても、いまの時点では定足が満ちておるようでございますが、そういうふまじめな委員会運営があってはならないということのようでございますので、そういう点を十分含んでいただきましたら非常にありがたいと思います。何か委員長と私の方で、再度発言を続行してほしいということと、私の方から逆にちょっと休憩願えないだろうかということで平行線をたどっておるわけでございますが、その点について、このままいたずらに時間を経過するというのもどうかと思いますから、そういう点で、私もわが党の理事さん等とも十分に連絡をとらせていただきまして、後の問題をどうしようかということになるわけでございますけれども、何せこの場でくぎづけということでございますので、どのような処置の仕方もないということでございますので、再度ひとつ委員長のもとにおいて御休憩いただきまして善後策を相談させていたださましたら、そのことが今後の本委員会の運営にとってはプラスではないか、こういうふうに考えますので、ひとつ委員長の方で十分御理解いただきたい、こういうふうに思います。
○藏内委員長 上田君に重ねて申し上げます。 委員会の続行に関しては定足数を充足しておりますので、委員会は進行いたすことにいたしたいと思います。その上で各党の理事おそろいの上で今後の運営についての御協議をお願いするということは先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、上田君の質問を続行していただきまして、その質問中に社会党の理事さん御出席の上で理事の協議を同時に進行してまいりたいと思います。上田君に質問の続行をお願いいたします。——午後三時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後二時十分休憩 ————◇————— 午後三時一分開議
○藏内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 元号法案を議題とし、質疑を続行いたします。上田卓三君。
○上田委員 休憩前に引き続きまして発言させていただきます。 新憲法によりまして、天皇は、戦前のように現人神ということじゃなしに、まさしく人間であると宣言されたわけであります。われわれと同じ日本人であるということは当然のことでございます。そこで、象徴天皇というものと戦前の絶対主義天皇制のもとの天皇というものに、天皇制というものの変化はあるにしても、その実態はどうなのかということがわれわれ国民にとっては非常に疑問であるわけであります。そういう点で、象徴天皇、いわゆる現在の憲法下において、天皇の国籍といいますかあるいは戸籍といいますか、というのは一体どうなっておるのか、あるいは当然日本人は姓名があるわけでございますが、そういう点について、氏はどのように登録されておるのかという点が非常に疑義があるわけでございまして、その点についてまずお答えいただきたい、このように思います。
○真田政府委員 お答えを申し上げます。 天皇および皇族の身分に関する事項につきましては、皇室典範の第二十六条という規定がございまして「これを皇統譜に登録する。」ということになっております。したがいまして、一般の国民に対する身分の登録である戸籍の制度は適用がない、こういうふうに解釈されております。
○上田委員 それは皇室典範に書いてあるわけですか。
○真田政府委員 皇統譜のことは、皇室典範の第二十六条でございます。
○上田委員 ということは、天皇並びに皇族については戸籍はない、こういうことですね。そして氏もないということですか。
○真田政府委員 戸籍にかわるべきものとして、先ほど申し上げました皇室典範第二十六条に基づく皇統譜令というのが政令で制定されておりまして、その皇統譜に登録されておりますので、戸籍法の適用はない、これは先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、私たちが持っているような氏はございません。
○上田委員 天皇並びに皇族が外国へ行かれる例があるわけでございますが、パスポートにはどういうことを記載されてあるわけですか。一般国民との差はどういうように記載されていますか。
○西方説明員 お答え申し上げます。 天皇の憲法上の地位にかんがみまして、天皇の外国旅行に際しましては、旅券を発給しておりません。 一般の方々は、旅券というものが外務大臣の名前において渡航先国の交通の安全、保護を求める書面でありますので、その際、旅券を取った上で査証をもらうという手続がございます。
○上田委員 それでは、国勢調査などで日本の人口というものがある程度調査されるわけでございますが、国勢調査によるところの日本の総人口の中で、天皇初め皇族の方々の人口というものがどういう形であらわれておるのか、そういう点についてお答えいただきたいと思います。
○大濱政府委員 お答えいたします。 天皇、皇后両陛下を初め、皇室全員につきまして調査されております。
○上田委員 ということは、国勢調査の総人口の中に入っているわけですね。
○大濱政府委員 入っております。
○上田委員 私は、象徴天皇がやはり人間宣言され、そしてわが日本の国民の象徴である、こういうことでありますから、当然、国事においては定められておるわけでございますが、その他においては全くわれわれ日本人一般庶民と同じ扱いがあってしかるべきではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。だから国籍といいますか、あるいはパスポートのことを申し上げたのは、何の何がしは日本国民として云々というように、あるいは日本人である以上、ちゃんとした戸籍が国民と同じようにあるのが当然ではないかと思いますし、また姓名についても、名前だけがあって氏がないというような、そういうことは、戦前の絶対主義天皇制のもとの天皇あるいは皇族ならいざ知らず、やはり戦後主権在民のもとでの象徴天皇ということを考えたならば、人間宣言をしながら、何か人間でないというのですか、いわゆる神様というのですか、現人神というような、いつでも移行するような状況が醸し出されるのではなかろうか、こういうように思っておるわけであります。 ちなみに、北欧などの諸外国の王侯貴族の状況を見た場合、一般の国民と同様の生活や行政上の取り扱いといいますか、そういう差がない、平等であるということを聞いておるわけでありまして、そういう意味では本当に庶民と同じ生活をされて、国事とか何かの儀式のときには一定の役割りをされる。そのことがまた一面尊敬の念になっているというようにも聞いておるわけであります。たとえば、英国の国歌「ゴッド セーブ ザ クイーン」の歌詞の三番には、「王をしてわれらの法を擁護せしめよ」、こういうふうにもあるわけでありまして、あくまでも憲法をこそ最高のものとしておるわけでございます。 そういう点で、わが国の天皇においても旧憲法時代と大きく変わっておるわけでありますので、やはり基本的人権の擁護あるいは国民主権などの、いわゆる日本国憲法の基本的精神に合致した天皇の姿というものをとらえるべきではなかろうか、私はそういうふうに思っておるわけであります。そうでないと、象徴という名のもとで何か別な、そこにとうとい人間というものがもしかありとするならば、私は本会議の代表質問で申し上げたわけでありますが、亡くなられた先輩の松本治一郎先生がおっしゃったように、「貴族あれば賎族あり」というように、人間の上に人間があるならば人間の下に人間があるというような形で、部落問題もそうでございますが、やはりそういう構造の中で、人間の中でもとうとばれる人間と卑しめられる人間がある、こういう状況が大局としてつくり出されるのではなかろうかというように私は思っておるわけであります。 さらに、新憲法上、一世一元の元号の法的効果がなくなっておるにもかかわらず、国民の大多数が元号の存続を望んでおるということで、やはり法制化を図るということが天皇というものをまた一段雲の上に持っていくという形になりかねないのではなかろうか、私はこういうように思っておるわけでありますが、そういう点について政府はどのようにお考えなのか、そのことを篤と説明していただきたい、このように思います。
○清水政府委員 お答えを申し上げます。 いま御提案申し上げております元号法案自身の問題といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、現在の憲法の趣旨にも全く適合しておりますし、ただいま先生のお挙げになりましたような象徴天皇の地位に関して云々というようなことは全くないというふうに考えております。もちろん、政府といたしましても、先ほど総務長官から御答弁のございましたように、現憲法を厳密に遵守するという姿勢におきましては一貫しておるところでございます。
○上田委員 天皇がかわるということを通じて改元ということになるわけでありますが、いわゆるその儀式があるわけでありまして、現在審議中の元号法案が、昭和の天皇が死去され、そして皇太子が新しい天皇の地位につかれる、つまり新天皇の皇位継承と密接にかかわっておるわけでございまして、その改元の法的根拠を与えるために、この法制化の提案がなされておるわけであります。こういう点が一般の国民にはまだまだ理解されておらないのではないか。先ほど私も申し上げましたように、単なる一般的な元号の問題、あるいは昭和という現在の元号も五十年余も続いて国民はなれ、そうして親しんでいるのだから別に元号を廃止しなくてもいいじゃないか、こういうふうに誤解をしてとられるような状況も現実にあるだろう、私はこういうように思うわけでございます。そういう点で、特に法案中にありますところの「元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。」こういうようにうたっておるわけでありますが、そういう皇位の継承とはどういうことか、こういうことでございます。 これを旧皇室典範で調べてみますと、第二章「践祚即位」の項に次のように記されておるわけであります。第十条でございますが、「天皇崩スルトキハ皇嗣即チ践祚シ祖宗ノ神器ヲ承ク」、第十一条には「即位ノ礼及大嘗祭ハ京都ニ於テ之ヲ行フ」、また第十二条には「践祚ノ後元号ヲ建テ一世ノ間ニ再ヒ改メサルコト明治元年ノ定制ニ従フ」、つまり践祚、改元、即位、大嘗祭は一連の皇位継承にかかわる儀礼でありまして、元号は孤立したそれ独自のものではない、このように考えざるを得ないわけでありまして、その前後に行われるところの践祚あるいは即位、大嘗祭にはさまれて存在している、こう言っていいのではないか。これらの儀礼とともに皇位継承の儀礼は完成する、こう言ってもいいだろう。神道の立場からもそのように説明されておるわけでございます。もちろん、これは旧皇室典範による理解でありまして、現在のいわゆる皇室典範では第四条で、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。」とだけ述べられておるわけでありまして、践祚、大嘗祭、改元のことは削除されておるのは御承知のことだと思うわけであります。 そこで今回、この改元が元号法制化によって法律的に根拠づけられようとしているわけでありますが、改元の問題を皇位継承という一連の流れの一環として見た場合に、旧皇室典範に記されているような践祚、大嘗祭といった儀礼はどのような扱いになるのか、言いかえれば、元号の法制化は践祚、大嘗祭その他の皇位継承儀礼の法制化へと道を開く危険性を十二分に持っておるのではないか、このように危惧するわけでありまして、そういう点で、この点について政府はどう認識しているのかお聞かせをいただきたい、このように思います。
○真田政府委員 ただいま委員がおっしゃいましたように、旧制度のもとにおきましては、践祚とか改元とかあるいは大嘗祭とかというような一連の行為が連続して行われるようになっておったわけですが、今回の法案で考えております改元は、そういう即位の礼とか、それから大嘗祭なんというのは恐らく国事行為としても無理なのじゃないかと思うのですが、そういう皇室の行事とは全く縁がないのであって、たまたま改元を、昔よくありましたような祥瑞改元とか言ったのだそうですが、それだとか、あるいは国家について重大な事件があった場合とか、そういうようなことではやらないで、憲法第一条に書いてある象徴たる天皇の地位の承継があった場合に限ってやる、そういう改元のきっかけをそこへ求めただけでありまして、旧制度のように一連のいろいろな儀式の中に取り込んで改元を行うというような発想ではございません。
○上田委員 それでは、践祚とか大嘗祭という儀式はしないわけですか。
○真田政府委員 現行の制度で申しますと、践祚という概念が実はないわけなんでして、先ほどお読みになりました皇室典範の第四条で「皇嗣が、直ちに即位する。」ということと、それからいま一つ条文といたしましては、皇室典範第二十四条に「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」という規定がございます。この「即位の礼を行う。」という場合の即位の礼は、憲法の規定に照らせば、憲法第七条の国事行為の末号にある「儀式を行ふこと。」という儀式に入るのだろうと思いますが、践祚という概念はもうございません。 それから、大嘗祭については現在もう規定はないというふうにお考えになって結構だと思います。
○上田委員 いろいろ天皇の皇位の継承ということで、それは天皇家として皇位の継承でそういう一連の儀式はやるが、政府としてはしないということなんですか。その点どうなんですか。
○真田政府委員 皇位の継承に伴いましていろいろな儀式をおやりになるでしょう。そのうち、国事行為として行われる部分と、それから天皇家といいますか皇室の行事として行われる分と、それは分けてわれわれ考えているわけなんです。 それで、大嘗祭につきましては、これはもう少しせんさくしてみなければわかりませんが、従来の大嘗祭の儀式の中身を見ますと、どうも神式でおやりになっているようなので、それは憲法二十条第三項の規定がございますので、そういう神式のもとにおいて国が大嘗祭という儀式を行うことは許されないというふうに考えております。それは別途皇室の行事としてあるいはおやりになるかどうか、それは政府の方ではというか、私の方では実は直接関係がございませんので、もし御疑問でございましたならば、それは宮内庁の方にお尋ねをしていただきたいと思うわけでございます。
○上田委員 天皇のいわゆる皇位継承ということで、国事の範囲内のものと、また皇室の方で別途やられる儀式というもの、その区別が一体どこまでちゃんとされておるのか、そういう点がよくわからないわけでございますので、そういう点で、宮内庁の長官もお見えでございますので、どういう儀式を実際皇位継承のときに行われるのかということについて御説明いただきたいと思います。
○富田説明員 お答え申し上げます。 ただいまの御質問の経過の中でこういうお答えをするのが適切かどうかあれでございますが、旧皇室典範でどういう行事が行われていたかということを概略御説明申し上げまして、次に答えたいと存じます。 これは大正天皇が崩御されまして現天皇が即位の式を挙げられますまでの、まあ約一年余ございますが、この主要行事について、旧皇室典範並びに旧皇室令でございます旧登極令あるいは旧皇室喪儀令、こういうものによって定められております。 即位、つまり践祚という言葉が旧皇室典範にはございましたが、皇位の継承があった、直ちにいわゆる践祚の式というものが行われております。 それから御喪儀、いわゆる大喪の儀でございますが、これは葬場殿という、それが一番重い儀式でございますが、普通の言葉で申しますと、いわゆる本格的な葬儀、告別式、こういうものに当たる葬場殿の儀、これを中心にいたしまして、御陵をどこに定めるかという地鎮祭の儀でございますとか、あるいはちょうど一年たちました折に山陵一周年祭というようなものまで、大小いろいろ規模はございますけれども、それを指折り数えてみますると、二十九の儀式がちょうど一年間の間に数えられるわけでございます。 即位の礼は、当時の昭和の当初のあれとしましては、そうした一連の大喪儀に関する行事が終わりましたちょうどその後から始まっておりまして、これは即位当日紫宸殿の儀というのが中心でございますが、これもいろいろ大小取りまぜてございますが、数えますと二十八、旧皇室典範の様式からは数え上げられるわけでございます。 これが、大正天皇が崩御されまして現天皇が即位されたことに関連して生じました諸儀式でございます。 この諸儀式は、今後そういうような事態が発生した場合にどう考えていくか、こういうことでございますが、ただいま法制局長官からお答えもございましたように、皇室典範の二十五条には、「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。」それから二十四条には、「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」こういう規定がございまして、これは憲法第七条による天皇の国事行為の「儀式を行ふこと。」ということでとり行われるものと私どもは考えております。 しかし、その内容は国事行為でございますので、最終的には内閣の助言と承認によって天皇がこれを国民のために行う、こういうことに相なっておりまするので、その内容の最終的な決定というのは内閣がこれに当たられるものと思うのでございますが、当然のことながら宮内庁としては、これらの儀式の持っております伝統的なものとか、あるいは国及び国民の統合の象徴である天皇の地位にふさわしいものである、同時に、憲法が定めております諸精神というものを十分に尊重をいたして、それに違反のないように考究してまいりたい、かように考えております。
○上田委員 いわゆる皇室において、皇位の継承のときには一年間で二十九の儀式がある、こういうようにいまお述べになられたわけでございます。ちょっと私の方でも調べたわけでございますが、大嘗祭というのがありますが、これは、天皇が即位の後に初めて行ういわゆる新嘗祭で、天皇にとっては文字どおり一代一度の盛儀というふうに説明されておるわけでありますが、実際にどういうものなのか、私も見たこともないので、よく理解できません。 いずれにいたしましても、天皇の死去から新天皇の即位に至る儀式の一覧を、宮内庁の資料といいますか、メモによって、「大正天皇崩御後即位礼までの主要儀式」という形でこの儀式が行われるわけであります。これを見ると、大正十五年十二月二十五日に大正天皇が死去されてから昭和元年、それから二年、三年と、いわゆる十五年と元年というのは同年ということになるわけでございますが、二年間にもわたって六十一の儀式が行われておるようでございます。たしか一年間では二十九かもしれませんが、二年間に六十一もの儀式が行われておるようでございまして、これは、一つ一つのそういう儀式について、一体どういう儀式なのか、その概略、あるいは神道上の意味などを説明していただければ非常にありがたい、こういうように思います。これは、現在の天皇がいつ亡くなるかわからないが、亡くなられたとき確実に直面する問題であるわけでございまして、国民にとっても、元号の問題と関係して、無関係ではいられない問題ではなかろうか、こういうように思いますので、ひとつ、ごめんどうでございますが、正確に一つ一つお答えいただければ非常にありがたい、こういうように思います。儀式のやり方、特に神道上の意味については正確にお聞きいたしたい、このように思います。
○富田説明員 お答え申し上げます。 大正天皇が崩御されまして現天皇が即位されました事例に基づいて御説明を申し上げます。 践祚の早々の折には、つまり崩御されました直後の折でございますが、いまで申しますと内廷職員でございます掌典という、いわゆる私的な使用契約を結んでおります職員が、これを、いわば皇霊殿、御祖先をお祭りしているところでございますが、こういうところのほかに、こういう事実があって新しい天皇が位を継がれたということの奉告をいたす儀がございます。 そのほかは、あと二件ございまして、一つは、いわゆる剣璽、国璽、御璽、こういうものを継承される儀がございます。それから最後は、践祚されました直後に、限られた範囲の方々でございますが、お集まりをいただいて、践祚後朝見の儀、ただいまの言葉で申しますれば、即位後に拝謁の儀というふうな言い方の方がわかりやすいのではないかと思いますが、そういう儀がございます。これが直後の儀でございます。 それから、いわゆる御喪儀の関係でございますが、これは二十九もあると申しましたけれども、いわば御遺骸を平素お使いのような場所に御安置申し上げる、そして、その後正式の、いわば私どもの家庭でも、もしそういうことが起こりました場合には、床の間つきの部屋にそれを安置申し上げるというような意味におきまして残宮というところに、これは名前ですが、そういう場所にこれをお移しをする、そうして、その後は十日後あるいは二十日後、三十日後、四十日後、これは新天皇初め皇族その他内々の者がいわばお参りをする、こういう儀式等が相当入っております。 そういうことで二十九にもなろうかと存じますが、大事な儀式は、一つは、追号奉告の儀というのがございます。これは、旧皇室喪儀令では、大行天皇といういわば固有名詞といいますか、そういうものを使って前天皇を表現しておりますけれども、新天皇がその方にいわば贈り名をお決めになって贈られ、そうして御奉告される、こういう儀がございます。 それから、陵所と言いますが、御陵を一応確定をいたしまして、いわば営建工事にかかるわけでございますが、これもやはり工事の慣例の一つとして、いわば着工すべき日に一つの儀式を行う、こういうのが陵所祓除の儀で、これは相前後しておりまするが、そういう儀もございますし、一番大きな儀式としましては、葬場殿の儀、これは大正天皇の場合は、大正十五年の十二月二十五日におかくれになりまして、葬場殿の儀は昭和二年の二月七日に行われておりますが、この葬場殿の儀というのが一番の中心の儀でございます。 あと、いろいろお手元の資料でごらんになられたのではなかろうかと存じますが、権殿日供の儀とか山陵口供の儀とかいろいろございますが、これは権殿と言いますと御霊舎と申しますか、みたましろというようなものをお祭りをする、そういう実際の大喪の儀が終わりました後でそういう場所でみたまをお祭りする、一年たちますまでそこでお祭りするわけでございますが、そこにいろいろなお供えをするとか、あるいは祭祀を行うとか、そういうのが五十日、百日という式に、節目節目に出てまいります。そうして最後に、山陵一周年祭の儀ということをもって一連の儀式を終わっているのが大正天皇崩御のときの例でございます。 それから、即位の場合でございますが、これは当時のことでございますから、悠紀田、主基田というような田を決めまして、そうして、そこの新穀を、いわば新嘗祭の期日に当たる同時期ごろにとり行われました大嘗祭に穀物を供えたり、お使いになる、こういう意味でそういう田を決めるというような儀式もいろいろ入っておったりいたしますが、何と申しましても大きな儀式は、昭和三年の十一月十日に行われました即位礼当日紫宸殿の儀と表現してありまするが、これが今日の表現で申しますると、皇室典範に言う即位の礼に当たるものと思われるわけでございます。その後に大嘗祭をとり行われるということがございまして、当時は京都で行うように皇室典範あるいは関係皇室令で定めておりましたので、京都に行幸啓になり、還幸になる、こういうことの一連の行事が相伴うわけでございます。 大嘗祭につきましては、先ほど御指摘もあり、また法制局長官からもお答えがございましたが、これは皇室といいますか、天皇という御身分の長い伝統の中に密接に関連した儀式であるわけでございまして、その伝統というものを十分考えつつ、しかしながら憲法の趣旨、精神、こういうものを十分踏まえまして、さらに皇室の儀式としてどう考えて、どう扱っていくべきかを慎重に研究をしてまいりたい、かように考えてあります。
○上田委員 皇位の継承の儀式は、旧皇室典範そして現在の皇室典範があるわけですが、儀式としては旧皇室典範でいま述べられたそういう儀式が必ず行われるわけですか。
○富田説明員 お答え申し上げます。 いま申し上げました中には、ちょっと御説明申し上げましたように、亡くなられました方の非常におそば近くにいた、あるいは皇族というような方々がそのお慰めというような意味も兼ねてお参りするというような儀式が相当たくさん入っております。これは本当に内部の儀式、どこの家庭にもありますような内々の儀式に相当するもの、こういうふうに考えております。 先ほど例を挙げましたような追号の奉告の儀でございますとかというような一連のものをどういうふうに理解していくか、また、しかしながらこれは当然のことながら大事な儀式と私は考えております。したがいまして、それを皇室の儀式としてどういうふうに扱い、考えていくかということは十分研究をしてまいりたい。 そのうちで最もはっきりいたしておりまするのは、皇室典範に申します大喪の礼など、これは先ほど御説明申し上げましたように国事行為たる儀式としてとり行われるものと私は考えておりますので、これは十分内閣として最終的にお詰めをいただく性格のものでございますが、われわれとしては所管のものとして十分研究をし、詰めてまいりたい、こう思っております。
○上田委員 かつての皇位継承のとき、大正天皇が亡くなられたときの、そして昭和天皇の儀式が行われたわけでありますが、予算の関係もございますので、当時といまとは比較はなかなかしにくい要素もあろうかと思いますけれども、一応現在の金額にしてどのぐらいの費用がかかったのか。これは天皇の死去あるいは新天皇の即位までどのような儀式が行われるかという点と、同時にその予算措置を、国民の税金という形で直接関係してくる問題でもありますので、そういう点で、こういった儀式が国事行為あるいは皇室としてやられるにしましても、いずれにいたしましても、これは国民の血税によって賄われるわけでございますので、そういう点で予算措置の形態とかあるいは方法も含めて、ぜひ正確にわかる範囲、お聞かせいただきたい、このように思います。
○富田説明員 お答え申し上げます。 五十年近い前のことでございますので、手元にございます資料をあれこれ繰って、大蔵省所管歳出臨時部大礼費予算総括表というような式の資料なども残っておりますが、そういうものに基づいて申し上げますと、大正天皇の大喪の際の大喪費予算総額は二百九十八万九千百五十一円であります。これは昭和元年の十二月の官報にこの額は登載されております。 それから、今上陛下御即位の際における大礼費予算総額は、これは昭和三年になるわけでございますが、一千二十四万八千九百十一円と記録が残っております。 なお、これは当時いろいろと組織その他も違っておりまして、警戒あるいは雑踏警備、そういうようなものに所要いたしました、いわゆるいまで申しますれば警察予算の中に入るべき金も、ここに、その当時の大蔵省の資料等を見ますれば何となくそれがにおってくるようでございまして、その総額が三分の一を占めるのか、四分の一になって実際のネットは四分の三なのか、三分の二なのか、この辺はちょっと正確には申しかねるのでございますが、そういうものも含めております。
○上田委員 当時の金額であらわしていただいたわけでございますが、当時といまと大分違いますし、また当時行ったような儀式を全部やるのか、あるいはやったとしてもどの程度の規模になるのかという中身によっても大分違うというようにも思うわけでありますが、一応当時の予算、どの程度のものをこの数字があらわしておるのかということがありますが、一応当時の程度のものを現在時点でやろうとしたら、この金額というものは現在の金額にあらわしたら大体どのぐらいになるのですか。およそでいいです。
○富田説明員 お答えします。 なかなか日銀の消費者物価指数等いろいろ調べてみたのでございますけれども、ちょっと正確に出なかったいろいろ経過はございましたが、つい先刻、昭和二年を一としました場合の現在の倍率というもので、つまりこれは日銀消費者物価指数で換算をいたしますれば、大喪費の方は約二十九億円と換算をされるのでございます。それから即位の大礼の場合でございますが、これはいま申し上げたと同様の換算をいたしますれば百一億円、こういう換算に相なるのでございます。
○上田委員 われわれ日本社会党は、今回の元号法案について、これまで事実たる慣習にすぎなかった元号というものを法制化することによって、いわゆる法的強制力を持たせ、事実上の天皇主権の確立の道を開くのではないか、こういうふうにわれわれは危惧するものであります。ましてや、この元号法制化がその他のいわゆる皇位継承の儀礼と一体のものとして進められるのなら、それは現憲法に違反するゆゆしき問題を引き起こすことになるのではないか、こういうように考えざるを得ないわけであります。それは大嘗祭の持っている特別の意味を考えれば明らかでありまして、たとえば神道の考え方によれば、大嘗祭は天皇が神と一体となり現人神となる神聖な儀式だということになってしまうわけであります。 たとえば明治神宮の宮司であります伊達巽氏は、「践祚、大嘗祭は天皇御一代一度の大祭であるが、それは御即位の礼をお挙げになられるのと共に、天照大神をはじめとして、天神地祗を天皇みずからお祭りになる最高の祭祀である。この祭祀によって、天皇は皇祖天照大神の御魂を引き継いで神の御仲間入りをされ、真の天皇におなりになるのである」、こういうように述べておるわけでございます。このように、皇位の継承の儀式、特に践昨あるいは大嘗祭というのは、結局天皇になるということは、皇祖の天照大神のみたまを引き継いで神様になるんだ、人間の顔かたちをしておるが実際は中身は神様になるんだ、これはそういう神道の積極的な考え方であるわけでございますが、こういう儀式が伴うわけでありますので、そういう点で、こういう考え方について宮内庁長官あるいは総理府長官は一体どのようにお考えなのか、その点についてお聞かせいただきたい、このように思います。
○真田政府委員 私の家は実は神道ではございませんけれども、国民の皆さんの中には、もちろん神道を信じていらっしゃるお家の方もいらっしゃると思うのです。そこで、どなたかが死亡されますと、やはり神様になって、そして遺族の方は神として将来お祭りになるということじゃないんだろうかと思うのですね。皇室におかれましても、それと同じような意味で神様におなりになるということはあってしかるべきなんで、問題は大喪の礼というようなものを、そういう国事行為である儀式を、それを神道なりそういう宗教的な要素を持った儀式として行うことはいかがなものかということで、私の方で実は苦労しておるのは、そういう大喪の礼にしろ即位の礼にしろ、そういう一連の儀式のうち、そういう皇室の内々としておやりになること、これはもちろん構いません。それからそのほかの儀式であっても、宗教性を帯びている部分は、これは国事行為としての儀式からは外していただかないと、憲法上私どもの方では困るということで、非常に苦労して、せんさく、検討しているところでございます。
○富田説明員 お答え申し上げます。 ただいまは法制局長官から例も引かれて御説明、御答弁があったのでございますが、私も私の立場として法制局長官と同じような考え方でございます。あくまでも、しかしながら大事な伝統のある行事でございますものが多いわけでございまして、これをそうでないものと十分より分けまして、そしてそこは憲法の精神というものを十分に承知をして、慎重に検討を加えてまいりたい。しかし、大事な行事は大事な行事としてまた尊重もして、いかように扱っていくかということを十分工夫をさしていただきたい、かように考えております。
○上田委員 伊達氏のようなそういう考え方の人人は大嘗祭も国事として挙行せよ、こういうように主張されておるわけでありまして、元号の法制化をその第一段階として位置づけておりまして、そういう特定の宗派といいますか、ある神道の儀式を公式行事とすることは政教分離あるいは信教の自由を規定した憲法の第二十条に違反する、こういうようにわれわれは考えておるわけでございまして、そういう意味で、この大嘗祭あるいはそういう宗教的な色彩のあるものについては、国事としては絶対しないという考えであるのかどうか、その点についてもう一度明確にお答えをいただきたいと思います。
○真田政府委員 先ほど申し上げたとおりでございまして、宗教的要素を帯びている儀式は国事行為としては御遠慮願う、国事行為にはなじまないというふうに考えております。
○上田委員 それは一例を挙げるならば、大嘗祭は入りませんね。
○真田政府委員 どうも私、大嘗祭の中身を実はどういう順番でということをよく存じませんので、具体的には申し上げかねますが、考え方の原則はいま申したとおりでございます。
○上田委員 わからなかったら、答えてもらうことはないのだから、宮内庁長官、答えてください。
○富田説明員 お答え申し上げます。 皇室典範に規定しております即位の礼というのは、先ほど来お答えがありましたように、これはやはり国事行為たる儀式として行われるということから、憲法のいわゆる宗教の分離、こういう立場から、その辺の性格というものは十分見きわめてかからなければならないし、また、そうであろうと存じます。同時に、そういう意味で、大嘗祭もこれは皇室に伝わっておる長い行事でございますので、本当にそのままいわゆる宗教なのかどうか、実は私もその点いまここで明確にお答えするあれはございませんけれども、しかしながら、いま即位の礼で申し上げましたように、そういう問題は十分留意をいたしまして、皇室の行事としてどういうふうにあるのがいいのか、こういうことを研究を続けてまいりたい、かように思っております。
○上田委員 先ほど私申し上げましたように、大嘗祭というのは新しい天皇が神様になる儀式なんですね。それは個々の家庭であれば、信教の自由ですから、自分の費用でやることはわれわれ何ら異議をはさむものではございませんが、少なくとも旧憲法下におけるところの天皇じゃなしに、現憲法下の主権在民のもとでの象徴天皇といえども、これは天皇が神様であるというのはだれも信じてないだろうし、そんなことを言うはずもなかろうというようには思うのですけれども、しかしながら、そういう数多くの儀式の中の大嘗祭という、それだけではございませんが、特に大嘗祭というのは人間から神様になる、そういう儀式であるとするならば、それを国事でやるかどうかについて云々ということで言を避けておられるわけでございますが、私は、明確にこれはやはり国事でやるべき問題ではなかろう、こういうふうに考えるわけでありまして、やはり一番大事なところでありますので、その点ひとつもう一度、しないのだったらしない、するのだったらするということで、はっきりと国民の前に明らかにしてもらわないと、その点をあいまいにして一般抽象論を述べただけでは問題の解決にならない、私はこのように考えますので、もう一度その点を明確に答えていただきたいと思います。
○富田説明員 お答え申し上げます。 再三繰り返すようでございますが、この即位の礼というものの例を引きまして憲法との関係における考え方というのを申し上げ、さらにそれに関連をいたしまして、皇室の行事としてどうあるか——国の行事ということは申しておりません、私はいまは。そういう表現ではなしに、皇室として非常に大事な行事というものをどういうふうに扱っていったらいいのか、こういうふうに研究を続けてまいりたい、こういうふうにお答えしたわけでございます。
○上田委員 よくわからないのですわ。時間の関係もありますから深く追及いたしませんが、要するに言えることは、人間が神様になる、天皇になることは神様になるんだという、そういう儀式を行うについて、それが国事で行われるということになれば、本当に現憲法をじゅうりんするゆゆしき事柄ではなかろうか、私はこういうように考えておるわけでありまして、われわれとしてはその点についてはっきりとした明快な回答を求めたい、こういうように思っておるわけであります。純粋に神道的な宗教の儀式としての践祚とか大嘗祭が皇位継承儀礼のいわゆるクライマックスとして、その法律上の取り扱いは別としても、習慣としてもいまなお残っておるということが問題ではないか、私はこういうように思っておるわけであります。 元号法制化による改元は、このような宗教的皇位継承儀礼の不可分の一環であることが、いわゆる一世一元制のもとでの元号の本質ではないか、こういうように思っておるわけであります。今日、多くの右翼団体や神道関係者が特に元号法制化を激しく要求している背景には、元号法制化がいわゆる天皇の神格化につながる、皇位継承儀礼復活の突破口になる、こういうように考えてのことであるわけでありまして、この点をやはり政府は明らかにしなければならないだろう。少なくとも現憲法において主権在民の基本的な立場というものを否定するような、本当にまさしく象徴天皇だと言いながら、皇位継承には全く昔の、天皇が神様である、そして神のもとに、一君のもとに万民が云々というような、こういう宗教的色彩のある儀式が伴う、これに国家がかかわるということは、私は口を酸っぱくして言うわけでありますが、やはり憲法に違反する、憲法をじゅうりんする行為そのものではないか、このように考えるわけでありまして、われわれはそういうような憲法違反をしてまでそういう税金のむだ遣いをするということは断じて許されない、このように考えておるわけであります。 私は六時間ほどいただいておりますからでございますが、前半若干経過したというようなこともありますので、再開の委員会では一時間ほどしゃべり、あと十九日に別に残り時間をいただくということになっておるわけでございますが、最後にそういう意味で、一世一元の元号の法制化というものが、結局昔の旧憲法下のそういう天皇主権とは関係がないと言いながら、その皇位継承の儀式そのものは旧態依然たるものでやられるという、このことを考えた場合、やはり象徴天皇を定めた現憲法に一世一元の元号法制化というものは違反する、私はこういうように断言せざるを得ないわけでありまして、その点についてもう一度明確に答えていただきたい、このように思います。
○三原国務大臣 お答えをいたしますが、元号の法制化というのは現憲法に抵触はいたしません、違反するものではありませんということは、先ほど来るる申し上げてまいっておるところでございます。 なお、ただいま御論議があっております皇室におきまする諸行事中、即位の儀等におきましては、それは国事行為として行いますが、大嘗の儀につきましては、皇室で行われるものではございますけれども、まだ目下これは現憲法との関係なり全体を通じて慎重な検討を続けておるということでございます。いま委員の御指摘の点等も十分踏まえながら検討をしてまいる所存でございまして、決してこれとすぐもろに元号と関係するということは断じてございませんので、御理解を願いたいと思うのでございます。
○上田委員 長官は元号ともろに関係しないと言うのだけれども、関係しているのです。だから、きょうは一応時間の関係もございますから、次回にさらに残りを質問させていただくということで、きょうはこの程度で私の発言は終わっておきたい、このように思います。 ありがとうございました。
○藏内委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 まず新聞社の世論調査の問題ですが、政府が、多数の国民が元号法制化を望んでいる、こういうことを言っているのですが、何をもって多数の要望と言えるのかという問題です。 各新聞社の世論調査結果でも明らかなように、多くの国民は法制化には賛成しておりません。法制化に賛成しているのはごく一部分でしかないわけです。 まとめて言いますと、たとえば法案提出前の調査の昨年七月読売新聞の調査では、法制化反対が六八・七%、賛成は一五・一%。それから昨年十二月の時事通信、これでは法制化反対が四七・八%、法制化賛成は二三・四%。法案提出後になりますと、ことしの三月東京新聞の調査は、反対が四二・六%、賛成は二〇・一%。同じく三月、日本世論調査会、法制化反対が五九・三%、賛成は二三・三%。同じく三月の毎日新聞、法制化反対が七二%、賛成が二一%、こうなっているのですけれども、これは国民世論がこういう実態である。この実態を認めるのかどうか、お伺いします。
○清水政府委員 御説明申し上げます。 世論調査の点につきましては、先ほど来も申し上げましたが、ただいま委員の御指摘の各種世論調査におきまして、どの調査を通じましても、元号というものが昭和の後もあった方がよい、そういう国民の願望と申しますか希望というものは、おしなべて非常に高い比率になっておりますことは、すでに出ておるとおりであります。 そこで、元号の存続の方法の問題になるわけでございますが、この方法につきまして、法制化あるいはその法制化にかわるようなルールというような形で、各種のアンケートが行われておるわけでございます。端的に法制化に賛成であるというような答えは、一つを除きましてはおおむね二〇%台というような比率であることもただいま御指摘のとおりでございますが、ただ申し上げたいことは、そのような法制化ということと並びまして、次の選択肢が設問されておるわけでございまして、その点につきましては、先ほども申し上げましたが、存続はした方がよいけれども、その方法としては、たとえばあるアンケートでは、政令でもよいのではないかとか、あるいは内閣告示の形式でもよいのではないかとか、あるいは慣習的に使っていくということでもよいのではないかというような選択肢がございまして、そこにおおむね五〇%前後の回答が寄せられておるということでございます。 その点につきましては、私どもといたしましては、その方法の問題につきまして、たとえば政令の形で直接新しい元号というものの制定の手続を決めてしまうということは、現在の憲法以下の法体系のもとでこれはできない相談であろうというふうに考えるわけでございます。 一方で、慣習的に使っていくことでよいのではないかという答えについてでございますが、これは現在の昭和という元号を使っていく場合においてはもちろんそういうことでございますけれども、問題になっておりますのは、昭和の次の元号を存続させる上でその方法をどうするかということでございますが、慣習的にと申しましても、だれが決めるという慣習が実はないわけでございますので、言うなれば、次の元号を決めようがない、決めなければ元号は終わりになってしまう、こういうことになるわけでございますので、それも方法としてはどうもとり得ないということになるわけでございます。 そういたしますと、残るのは、いまの選択肢の中で申せば、内閣告示でもよいのではないかということが該当することになりますけれども、これにつきましては、申し上げておりますように、そのことは不可能ではございませんけれども、しかしながらそれはしょせん内閣がやるということでございますけれども、元号というものの性格からいいましても、それはだれがやるということについては、国民を代表する国会で法律の形でお決めいただくのがベターである、適当である、こういうふうに考えておるわけでございまして、いまの世論調査につきましては、政府といたしましては、存続の意思がきわめて高いということ、それからなお申し上げれば、元号を廃止した方がよいというのは各種世論調査を通じまして数%という程度にとどまっている、このような実態、それからまた、その他の府県等における動向等も総合的に勘案いたしますれば、政府として存続の方法について今回のような法案の形を選択したということでございまして、これにつきまして国会で御審議をお願いしたい、こういうことでございます。
○柴田(睦)委員 国民世論が法制化に賛成か反対かという問題の実態を聞いているので、いま言われたようなことは、私は大体ずっと委員会に出ておりますので、何回も聞いているわけです。だから、端的に答えてもらいたいと思うのです。存続希望ということにすりかえられては困る。ちゃんと答えてもらいたいと思います。 法案提出前の調査と提出後の調査とを比べてみても明らかなように、国民の多数が元号法制化に反対し、法制化に賛成する者はわずか二〇%前後にしかすぎないというのが一貫した傾向ではないか、このことははっきりしていると思うのです。法制化は多数の国民の要望であるなどと言うのは、これはもう実態から見れば真っ赤なうそだ。うそをついてまで法制化をごり押しするというのは、まさに議会史上も類例のない、ヒトラーばりのファッショ的なやり方だ、こう言わざるを得ないと思うのです。 そこで、この前、真田法制局長官が栂野委員の質問に対して、存続と法制化とは別問題であるという答弁をなさっていらっしゃるのですが、多くの国民は、元号存続には賛成しているけれども法制化には賛成していないというこの事実を認めるのかどうか、はっきり答えてもらいたいと思います。
○真田政府委員 私の発言を御引用になりましたので、私から釈明をさせていただきますが、元号制度を将来にわたって存続するかどうかということと、その存続をさせる場合にどういう手段をとるか、つまり法制化をするのか内閣告示でいくのかということは理論上は別であることは、これは申し上げるまでもなく明らかなことでございます。 ただ、ここで一言申し上げたいのは、国民の世論調査の結果、将来にわたっての元号制度の存続を希望する者が八〇%だとか、何か非常に多数の国民の方が賛成していらっしゃる、これが実は事柄の本質なわけなんですね。国民の大多数の方が将来にわたって元号制度を存続させたいという願望を持っていらっしゃる以上は、それにこたえるというのが政府の立場でございまして、そうなると、将来、現在の昭和の時代が終わった後で、では新しい元号をだれがどうやって決めるのか、そういう問題がもう論理必然的に出てくるわけなんで、その方法として幾つかの手段が考えられる。それを先ほど審議室長がるる御説明したわけなんでございまして、そしてその方法としては、法律自身で決めてしまうとか、あるいは法律の委任に基づいて政令で決めるとか、あるいは内閣告示で済ませるとか、いろいろな手段が考えられる。そのうちで、現在の憲法の精神に照らして最も民主的な方法として妥当するのは、やはり国権の最高機関である国会で議決を願って、かくして成立した法律の委任に基づいて政令で決めるというのが最も民主的であり、かつ実情に合うのではないかというのが政府の考えでございます。
○柴田(睦)委員 その答弁も私もうすでに聞いているわけです。私がいま聞いているのは、結局元号存続には賛成しているが法制化には賛成していないという事実を認めるのか認めないのか、このことを、これは総理府の方に端的に結論だけ答えてもらいたいと思います。
○清水政府委員 法制化につきまして賛成しておる比率が二十数%のケースが多いということが一つの事実だということでございますが、もう一つの次の答えは、法制化するほどのことはないというところに七月で言えば六四・五%の答えがある、十二月で言えば同じ質問に四八%の回答が寄せられた、こういうことでございます。多少細かいことを申し上げて恐縮でございますが、その法制化するほどのことはないという聞き方は、実はある意味では漠としておりまして、逆に言えば、その当時政府の法律案自体が示されていたわけでもございませんし、法制化の中身がはっきりしていなかったという状況のもとでそういうような表現が使われ、それに対してそういう回答が寄せられたということ、これは事実でございますが、そういうようなこともございますので、私どもとしては、その後の調査は逆にその法制化するほどのことはないというような聞き方ではなくて、法制化の方法を個別的にメンションいたしまして聞いているという点で違いがあるわけでございますけれども、その後の方の調査の選択肢につきましては、選択肢と申しますか、それに対して寄せられた回答の御意見につきましては、先ほど来申し上げておりますようにこれはとり得ないものがある、こういうようなことであるわけでございます。 したがいまして、言葉として明確に法制化に賛成であるという回答が必ずしも多くないということはありますけれども、同時に法制化でない方法について聞いておるところが問題を別の意味で持っておりますので、私どもとしては、むしろそこは存続の実質的な意思も含めて表明されているということと、それから、やはりそのためには何らかのルールが必要であるという認識はそこに示されているということもくみ取ることができる、このように世論調査を受けとめておるわけでございます。
○柴田(睦)委員 法制化するほどのことはないと言っているのは、これは結局法制化は必要ないと言っているのですよ。そこのところははっきり認めてもらいたいと思うのです。 次に、こうした法制化反対の国民世論の高まりがあるわけです。各界、各分野の著名人や各種団体の法制化反対声明や反対決議が相次いで出ております。有力な文学者の団体であります日本ペンクラブを初め、桑原武夫、江上不二夫、石川達三、そのほか多数の幅広い学者、文化人、それから日本学術会議の学問思想の自由委員会、日本歴史学協会や四千人に上る歴史学者、東大、一橋大学など大学教官多数も反対しております。また、日本キリスト教協議会初め宗教団体も強い反対の声を上げております。総評、日教組、さらには直接元号を強制される国公労連など多数の労組、平和、婦人、青年、民主団体も反対運動を強めております。なお、日経連会長の桜田武さん、それから東京電力相談役の木川田一隆さん、こうした経済界の人々も一世一元の元号法制化には反対している事実もあるわけです。(発言する者あり)すでにその当時の書いたものにちゃんと書いてあるのです。これは大多数の国民に定着した法制化反対の世論を代表するものでもあると思うのですが、政府の方はそうは思っていないのか。新聞の世論調査、それからいま言った質の高い学者の意見、こうしたものを踏まえて、これこそがまさに法制化反対の世論を代表するものだ、そういうふうに思わないかどうかお伺いします。
○三原国務大臣 御指摘のように、一部にそうした意見のあることも承知をいたしておりますが、また同時に法制化賛成の御意見のあることも御承知のとおりです。先般の参考人の意見聴取をしていただいた際にも明確にそういう二つの意見のあることはお受けとめ願っておるところであろうと思うのでございますが、しかし、私どもここでひとつやはり大事にいたしたいのは、地方公共団体の府県、そして市町村の大勢というようなものが法制化を促進せよという、そういう御意見の出ておるととは、これは地方自治法等を尊重いたしますわれわれ政府といたしましては、十分これらの御意見というようなものも尊重すべきであろうと思うのでございます。 なお、私ども、反対をなさる方々の御意見がどういうところにあるのかということも十分参考にして承っておるところでございまして、この点につきましては、今日までるる申し上げました。存続ということがまず大前提である。その存続するために政府としては責任を持たねばなりません。そういう立場でこの問題を取り上げてみますと、やはりその存続を希望される方々に対して制度的に、あるいは明確に安定した体制でその根拠を明確にせなければならぬということ、しかも、そういうことを考えてまいりますると、最も民主的な国会の場において御審議を願うという方法もとっておるわけでございまして、決して、御指摘のように私ども自身がそうした国民の方々なんかの意見を、あるいは世論調査の結果等を無視しておるというようなことでは断じてございません。十分参考にしながら最終的に政府としてこの法制化に踏み切ったところでございますので、御理解願って御審議に対して御協力を賜りたいと思うのでございます。
○柴田(睦)委員 いろいろ見解を異にしておりますし、それから地方公共団体の問題については——その前にもう一つ、多くの新聞も法制化に反対ないし批判的な論調を掲げておるわけです。たとえば毎日新聞二月三日号、「性急な元号法制化への措置には、率直な疑問を表明しなければならない。」「「生活の中に定着しているもの」ならば、なぜ、法制化を急ぐ必要があるのか」、こう言っております。 それから、これは読売新聞二月五日号、「そうだとすれば、反対を押し切ってまでことさら法制化する理由に乏しい。」「元号は、慣習として自然な形で継承していくことが望ましく、法制化にはなじまないといえる。」 それから二月六日の朝日、「国民的論議が熟さないまま、自民党内の派閥抗争や政党対立の場にさらすべき問題ではないはずである。」(発言する者あり)新聞を読んでいるのです。 それから四月十六日、これはきのうですね。「同法案の審議は、冷静な空気のもとで、じっくり時間をかけ、国民各層の声を正しく吸い上げつつ、国民的合意に煮詰めてゆくことが望ましい。性急に成立をはかる性質のものではない。」 こうした新聞論調は、元号の存続に反対しているわけではないのですけれども、その存続の方法論をめぐっては、政府の法制化方針とは真っ向から対立しているわけです。これは元号の存続には賛成でも法制化には反対するという多数の国民世論を反映したものであると考えます。この新聞論調が多数国民の世論を反映していることを認めるかどうか、結論だけお伺いします。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 多数の国民世論が法制化反対だというような受けとめ方をいたしておりません。それば、先ほど来るる申し上げました経過等から見て御理解を賜りたいと思うのでございます。
○柴田(睦)委員 これだけの新聞が書いているものを否定する、これは全くおかしな話です。 それじゃ地方議会の問題ですが、政府は、多数の地方議会が法制化を求める決議をしていることを、まるで法制化賛成の多数世論であるかのように称していらっしゃるのですが、この問題について若干お尋ねします。 この地方議会決議というものは、各種右翼団体など法制化推進者たちが数次にわたるキャラバンなどを挙行してつくり上げたものであります。自由新報の七八年八月八日号、「元号法制化の促進へ全国縦断キャラバン」、中身は、「党国民運動本部と元号に関する小委員会は、元号法制化実現国民会議と協力して全国縦断キャラバンを実施する。」ということが書いてありますし、「元号法制化全国縦断キャラバン」「東西へ三隊繰り出す」「各県連バックアップ」、中身に「党本部からは「あさかぜ」号を一台提供するほか、各県連がバックアップすることになっている。」こうじて自由民主党もこのキャラバンに人的、物的援助を与えて、彼らと一体になって運動を進めてきたということは、いまの自由新報でも明らかでありますし、紛れもない事実であると思うのです。キャラバンを始めて、その後一斉に地方議会の決議が上がってくるということになっておるのですけれども、この事実を認めるかどうか、お伺いします。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 府県、市町村等地方公共団体の議決を右翼団体の運動に基づくものだというような断定された御意見がございましたが、私どもは断じてそうは受けとめておりません。公正な地方議会における議会の議決というようなものは尊重すべきものであろう、そういう受けとめ方をいたしておるところでございます。運動がいろいろな形で展開されておるのは、これは賛成する方、反対する方、やはりそれらの運動のあることも承知いたしておるわけでございまするけれども、地方議会の議決に対して一部右翼の扇動に基づくものだというような受けとめ方は断じていたしておりません。御理解願いたいと思います。
○柴田(睦)委員 その点はまた後で聞きます。 地方議会決議は、結局多数を占める自民党など保守派と、それから中道諸党が一緒になって多数を頼んで強行したもので、これは地域住民の世論を反映したものじゃないと思うのです。本来、地方議員が選挙に出るときに元号法制化ということを公約するということはあり得ないことで、ちょっと考えられないことであるわけです。国民世論に逆らって多数で強行するという、これは民主主義とは全く無縁であります。こうした決議を論拠にして本法をここでごり押しをするというのは、やはりみずから反民主主義的な体質を暴露するようなものであるというように考えます。政府がいつも言われる、事実を尊重するとか国民的合意を形成するというのを本当に実行するならば、法制化反対のこの世論を尊重して、法制化をやめるべきではないか、この見解をお伺いします。
○三原国務大臣 先ほど来るる申し上げておるところでございますが、私は地方議会の議決というものは尊重すべきものであるという立場でございます。もちろん、世論の調査などをされた新聞社のアンケート等も尊重しながら、最終的な決断を下したところでございますので、どうぞひとつその点御理解を願って、元号法案の審議について御協力を賜りたい、重ねてお願い申し上げるところでございます。
○柴田(睦)委員 次に、元号制の持つ政治的性格についてお伺いいたします。 そもそも論から言えば、元号制は、古代中国の漢の時代に専制君主が領土とともに人民の時間をも支配するという考えに基づいてつくり出され、その後、わが国を含む東アジア諸国を中心に使われてきたもので、君主体制と不可分の政治制度であったということは歴史的にすでに明らかであると思うわけです。政府は、この歴史的事実をまさか否定するとは思わないのですけれども、いかがですか。
○清水政府委員 歴史的経過といたしましては、ただいまのような経過であったということは、私どももそのように受けとめております。
○柴田(睦)委員 特にわが国の場合、明治になって一世一元制が制度化されて以降、天皇主権、天皇の統治権と不可分の政治制度として大きな役割りを果たしてきたこともこれまた紛れもない歴史的事実であると思います。 そこで伺いますが、明治改元の詔書は、「詔す……朕、否徳と雖も、幸ひに祖宗の霊に頼り、祗みて鴻緒を承け、躬ら万機の政を親しくす。乃ち元を改め、海内の億兆と与に更始一新せんと欲す。それ慶応四年を改めて明治元年となす。自今以後、旧制を革易し、一世一元、以て永式となせ。主君施行せよ。」こうしているのですが、一世一元の元号制が天皇を主権者、統治者とする維新政府を支える重要な政治制度として確立したことをこれは示すものであると思います。政府はこの事実は認めるかどうか、お伺いいたします。
○清水政府委員 明治万年のといいますか、慶応四年九月八日のただいまお挙げになりました詔書並びにそれを反映いたしました行政官布告がございました。その内容といたしましてただいまのようなことでございまして、つまり一世一元ということをそこで宣言されたということは御指摘のとおりでございます。
○柴田(睦)委員 質問は、この一世一元の元号制が維新政府を支える重要な政治制度として確立してきたことを認めるか、ここにあるわけです。この詔書があるというのは、これはもう文書があるわけですから、そんなことを答えることもないわけです。 引き続いて聞きますが、その後、わが国の元号制は「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」、こう定めた大日本帝国憲法とともに、憲法的法典である旧皇室典範に一世一元の元号制が改めて制度化されて以降、天皇主権、天皇統治権と不可分の政治制度として大きな役割りを果たしてまいりました。特に明治元号が天皇の追号とされるようになって以降、天皇と元号との結びつきが一層強まりました。政府は、この事実は否定されないと思いますが、いかがですか。
○清水政府委員 事実の問題といたしましては、ただいま御指摘のとおりだと思います。 ただ、一つ申し上げたいのは、この元号の、いままで御指摘になりました変遷の過程の中でも、やはりもう一つ申し上げたい点は、当初歴史的な起源といたしまして中国からわが国に取り入れられたこの元号、それがやはりその後のわが国の千年以上にわたる長い歴史的な変遷の中で日本的に吸収されてきた、消化されてきたというような面があり、それはつまりわが国における独特の紀年法として使われてきたというような形で定着をしてきた、こういう側面がやはりあったものと思うわけでございます。ただ、その元号につきまして、明治より前は、御案内のとおり天皇の代始めの改元だけではなくて、その天皇の在位中にも、たとえば祥瑞あるいは異変その他の事由によりまして改元が頻繁に行われましたが、そのことが明治元年、先ほどの慶応四年のときの宣言によりまして、以後は旧制を改めて、一世の間は再び元号は変えないんだというふうにお決めになったということがあったわけでございまして、その点につきましては、歴史的に見れば、ある意味で元号というものの一種の合理化ということがそこにやはり意図されていたということも言えるかと思います。いずれにいたしましても、明治憲法と並ぶ皇室典範におきまして、先ほどのように元号というものが改めて十二条に規定をされたということでございますけれども、これは全体といたしまして、御案内の明治憲法の中における天皇の地位というものが憲法自体によりまして統治権の総攬者という地位にあったということであって、たまたま天皇が従来勅定しておった元号のことが皇室典範の方に盛られた、こういう関係であったと思うのであります。
○柴田(睦)委員 たくさん質問がありますので、聞かれたことだけ答えてください。 元号制が主権在民原則に逆行するというように私は考えるわけですけれども、これは戦後の新しい皇室典範から元号制定の項が取り除かれたことでも明らかであります。この点については、当時法制局に在職しておられた佐藤功氏、上智大学の教授をやっていらっしゃる方ですが、いろいろな論文の中で「もしも元号の制度をこの「象徴」天皇制に求めようとするのであれば、それはその限りで、天皇制には新旧両憲法の間に何らの変更もなかったことになるのではないか。」こう述べていることやら、新皇室典範の要綱案を答申した臨時法制調査会の委員をしておられた故宮澤俊義、東大教授をやっておられた方ですが、元号制に触れた各種の論文で、明治憲法の一世一元制は消滅してしまった。天皇主権から国民主権に変わった以上、主権者の交代ということはあり得ないから、一世一元制は存在の根拠を失ってしまったのである、こう述べておられるわけです。主権天皇制と不可分の元号制の法的根拠が、主権在民の憲法の精神に反するものとして、法的根拠が失われたということは明白であると思うのですが、いかがですか。
○真田政府委員 旧憲法下における旧皇室典範に基づく元号は、なるほど、おっしゃいますように主権者であらせられた天皇の御在位中改元しないという一世一元であったわけなんで、ところが新憲法になりまして主権在民の大原則が憲法上うたわれました結果、主権者の交代ということはないわけなんで、これはもう明らかなことなんでございまして、しかし、さればといって、いまの憲法が厳粛にうたっている第一条の象徴天皇、その象徴天皇の地位の継承があった場合に、それをきっかけとして改元をするということは、これは少しも憲法の精神には反しない。それは主権者である天皇の交代に着目して改元をするという制度は、これはもうなくなったことはあたりまえなんで、それを復活しようというわけではないのでありまして、現在の憲法第一条が言っている象徴たる天皇の皇位継承、その場合に改元をしようというだけのことでございますから、決して逆行であるとか、旧天皇制の復活を図っているとか、それに近づくとか、そういう感覚のものでは毛頭ないわけでございます。
○柴田(睦)委員 そういう説明を法制局長官はずっとされてきているのですけれども、しかし、新皇室典範は臨時法制調査会の答申に基づいて制定されたものであるわけですが、同調査会は元号制定の項を削除するということなどを答申いたしましたけれども、元号法案の制定については何ら答申しておりません。この調査会は、諮問でも明らかなように、憲法の改正に伴い制定及び改正を必要とする主要な法律の法案要綱を答申するために活動したのだから、政府の説明どおりであるとするならば、同調査会は元号制定の項を削除するという答申とあわせて元号法案要綱を答申したはずであるわけです。だが、同調査会は元号法案の要綱というようなものは答申しておりません。この事実は間違いありませんか。
○真田政府委員 お答えを申し上げます。 臨時法制調査会、これは昭和二十一年に内閣に置かれた調査会でございまして、その諮問としましては、ただいまおっしゃいましたように、「憲法の改正に伴ひ、制定又は改正を必要とする主要な法律について、その法案の要綱を示されたい。」こういう諮問が発せられまして、調査会で部会を設けまして審議が行われたわけなんですが、皇室典範につきましては第一部会というところで審議をいたしまして、その結果、「改元の規定は、典範より除くこと。」という要綱ができておるわけでございまして、そのときに元号法案の中身についてといいますか、元号法案そのものについて答申がないじゃないかとおっしゃいますが、しかし、それはここにいわゆる主要な法案という中には入らないというふうに見たんだろうと思うのです。 と言いますのは、議事の詳しいことは申し上げることは差し控えたいと思いますが、ある委員の方は、元号については皇室典範とは別な単行法律で規定するのが適当であろうという御意見を開陳なさっていらっしゃる部分がございます。これは元号制度をなくせというようなことでは毛頭なくて、皇室典範という新しい袋の中には皇室に関する事項を盛るのであって、元号は皇室に関するものとは言えないから、別の法律で定めるのが適当であろうという御意見だろうと思うのです。決して元号制度はいまの新しい憲法の精神と矛盾抵触するという趣旨ではなかったのだろうというふうに推測されるわけでございます。
○柴田(睦)委員 いまの答弁を聞いておりましても、一部の委員の意見である、会としては意見を出してない。主要な法律じゃないということになってしまうわけです。 ところで、政府は一九四六年に元号法案を国会に提出する方針を決定したのですが、政府が提出した閣議文書には起案者が明記されておりません。これはどこが起案したものか、お伺いします。
○真田政府委員 三十年も前の話で、実は申しわけないのですが、正確な記録が残っておりません。ただ、当時の翌々年ごろに法制局に入られました林修三元長官が法制局で起案したものじゃなかろうかというふうなことを聞いたことがあると いうことをおっしゃっている程度でございまして、実は正確な記録を持ち合わせておりません。
○柴田(睦)委員 この法案は、結局日の目を見ないでそのままさたやみになったわけですが、その経過につきまして、当時法制局次長の故佐藤達夫氏や当時法制局職員で現在上智大学の佐藤功氏など、その事実経過を熟知しておられる関係者が、これは同じように元号の制度は年を数えるについての一つの権威として天皇を扱うことになり、新憲法のたてまえからいって好ましくない、昭和の元号を事実上使うことには反対しないけれども、元号の法制化は承認できない、こういう占領軍の方の意向があったということが述べられているわけです。元号制が主権在民原則に逆行するということは、この一九四六年の元号法制化の企てが準備中の憲法の国民主権の精神に反するものとして断念された、これはこうした関係者の書かれたものを見ても、この経過が明らかであると思うのです。政府は、一九四六年の元号法制化の企てが断念された経過と理由について、どのような認識をしていらっしゃるか、お伺いします。
○真田政府委員 ただいまお尋ねの点も一応調べてみたわけなんですが、残念ながら正確な文書としての記録はございません。ただいま仰せになりました佐藤達夫元法制局長官のお書きになった文書等から当時の模様を推測するほかしようがないわけなんですが、その佐藤さんのお書きになったものによりますと、ただいまおっしゃいましたように、当時は、法律案の国会提出については、一件ごとにGHQのアプルーバルが必要であったわけなんですが、その際に、当初は司令部の方も結構だと言っておったようですが、その後、少なくとも占領中はそれは困る、使うことは一向構わない、むしろやりたければ占領が済んでからやればいいではないか、法制化するなら法制化するというようなことを言ったんだそうです。 それから見ましても、これは占領軍といいますか、GHQの係官の観念しておった思想の解釈をいまここでやるよりほかにしようがないわけなんですが、どうも憲法に違反するからと言うんではなくて、占領中にマッカーサー司令官のもとにある天皇にかかわりのあるような法律を出すことはどうも好ましくない、だからやりたければ、それは占領が終わってからおやりになればいいではないか、こう言ったという話でございますので、それから見ましても、どうも占領軍自体も、これは占領軍のことですから、何もここでそう権威を持って持ち出す必要はないことなんですが、当時の占領軍の理解のもとにおいても元号制度を、当時の政府が考えておったような元号制度、つまり一世一元なんですね、その元号制度をつくることが新憲法に矛盾、抵触するという解釈をとっておったんだとは言えないんだろうというふうに考えるわけなんですね。それでなければ占領が済んでからやればいいじゃないかなんというような発想とは結びつかないわけなんですね。やはり占領軍が占領している間に一世一元を含む元号法案を国会に出すことはどうも好ましくない、おれたちの気に入らないというだけのことじゃなかったんだろうかというふうに考えるわけでございます。
○柴田(睦)委員 だから、わざわざ佐藤功氏の言っていること、これはジュリストに載っているやつですけれども、それを先ほど読み上げたわけです。新憲法のたてまえからいって好ましくない、こう言われた、こう言っているのです。そういう意味じゃまさにあなたの説明よりも、当時この法案に直接かかわっておられた故佐藤達夫氏や、法制局に在職し、佐藤達夫氏が亡くなった後、同氏の文書を整理された佐藤功氏の語っておられることの方が何倍も重みがあるし、真実に迫る迫力があるわけです。憶測や伝聞で答弁するのではなくて、確たる記録に基づいてありのままの事実経過を明らかにすることは、いまはできないというような考え方ですか。
○真田政府委員 先ほども申しましたように、まことに申しわけないことながら、当時の司令部との間の交渉経過のいきさつを文書にしたものは残っておらないのです。ですから、佐藤達夫さんなり佐藤功さんなりの御記憶なりお書きになったものを通して、司令部の持っておった考え方をここでいままた解釈するということになるわけなんで、その解釈として、一義的に司令部が一世一元の内容を含んだ元号法案が新憲法に矛盾、抵触するというふうに判断しておったとは言い切れない。好ましくない、ただ、おれたちがいなくなってから、おれたちの目の届かない時代になったらつくればいいじゃないかと言っていることは、憲法に違反するならば司令部がいなくなったってやはりやっていけないことはいけないわけなんで、そうは言っていないようなんですね。そういうことから、その司令部の当時の理解をいまからまた解釈すれば、先ほど申しましたように、やはりマッカーサー司令官のもとにある天皇の在世にかかわらしめるような元号の定め方はどうも気に入らない、好ましくないという程度のものではなかったんだろうかというふうに解釈するわけです。 なお、一言申しますと、この司令部の解釈が、いまここで日本の国会が占領後すでに二十何年もたった今日、当時の司令部の係官がこう言ったから憲法違反だとかそういうようなことを持ち出すことは、はなはだ日本の独立国としての日本の権威にかかわることなんで、それは遠慮なしに、現在の時点においていまの法案が憲法違反であるかどうかということを判断していただければ結構でございます。
○柴田(睦)委員 聞きもしないことを答えないでもらいたいと思うのです。(発言する者あり)
○藏内委員長 静粛に願います。
○柴田(睦)委員 今度は一九五〇年に、政府の機関であり、日本の科学者を内外に代表する日本学術会議が元号制と憲法との関係について、元号制は新憲法の精神にふさわしくないなどの決議を行い、政府並びに衆参両院議長に申し入れを行ったことは周知のとおりであります。これこそ当時の学者の多数意見であったと思うのです。新皇室典範から元号制定の項が取り除かれた経過と理由及び一九四六年の元号法制化の企てが断念された経過と理由を明らかにするということは、今回の元号法案の審議にとってはやはり不可欠と言うべきものであるというように考えるのですが、政府はその経過と理由を、いま法制局長官の話を聞いていると、これはわからぬままにしておこう、こういうことのようです。 新皇室典範から元号制定の項が削除された経過と理由は、臨時法制調査会の総会、第一部会及び同部会の小委員会の速記録を見れば一目瞭然となるわけです。しかもこれらは現存しております。一九四六年の元号法制化の企てが断念された経過と理由については、当時の閣議文書や憲政資料室などに保存された関係者の文書その他を見れば一目瞭然であるわけです。しかもこれらは現存しておりますし、私はこれらの資料を提出するように要求しましたけれども、政府は提出を拒まれております。これは秘密のものでも何でもないと思うのですが、なぜ提出をされないのか、お伺いします。
○真田政府委員 臨時法制調査会の総会の議事録なるものは確かに現存しております。現存しておりますけれども、これはどうも各委員の方々の個人名を全部冠して記述してございますので、ちょっとお出しすることは差し控えたいと思うわけです。ただ、その中身につきまして私の役所で今回精査いたさせましたところ、第一部会なのですが、元号制度についてはそう突っ込んだ論議はなくて、先ほど申しましたように皇室典範の審議の際に、新しい皇室典範は皇室のことだけを書くのがいいのだ、元号制度は、これは新憲法のもとではやはり国政に関することなのだから、新しい皇室典範の中に入れるのはふさわしくない、別の法律でやった方が望ましい、こういうような意見が散見されます。その程度なのであって、詳しい、突っ込んだ元号制度についての御論議は見当たらないようでございます。
○柴田(睦)委員 この審議が始まって長官の答弁をいろいろ聞いておりますと、私は、非常に腑に落ちないことをいつも感ずるのです。だから、こうした、客観的な資料を出してもらいたい。しかも、もう何十年前というような歴史的文書なんです。ですから、これは秘密にする理由は何にもない、出すべきだと思うのですが、いかがですか。
○清水政府委員 先生から御要求の資料につきましては、私どもも出せるものはすべてお出しをいたしたわけでございまして、先ほど問題になりました閣議で決定をいたしましたときのもとになる文書が現在探しても出てまいりませんので、これをお出しできないということを申し上げているわけでございます。 それから臨時法制調査会の第三回総会の議事録、これは御提出をいたしたわけでございますが、この中には、ただいま法制局長官が申し上げましたように、ごく簡単に、元号のことはこれから除くという趣旨があるだけでございまして、それ以上のことが記録されておらないということでございます。
○柴田(睦)委員 それはあなたたちの言うことであって、その中身を見ないとわからない、だから出してもらいたい、こう言っているわけです。憲政資料室にちゃんとあるものもあるわけで、ない、あるいは中身が大したものがないから出せない、これでは審議できませんよ。公表できない理由をもう一遍はっきり言ってください。
○清水政府委員 ただいま私が申し上げましたことのほかの点につきましては、その前に法制局長官が申し上げたことと同じことになるわけでございますので、私の方から繰り返すことは遠慮させていただきます。
○柴田(睦)委員 現存するものを資料として出さないということは、元号制が主権在民原則と逆行する、私はそう主張しているわけですけれども、その主張に合うから出さないのではないか、政府みずからがそのことを認めることにも等しいと思うわけです。そうでないと言うなら資料を出すべきだと思うのです。どうですか。
○清水政府委員 お出しできるものは提出をいたしたわけでございまして、それ以外は、先ほども申しておりまするように、政府といたしましては、当時の経緯その他を今日の時点において総合的に理解をいたしておるわけでございまして、その理解は、先ほど来法制局長官から申し述べたとおり、元号法案自体が新しい憲法に反するというふうには理解をしておらないわけでございまして、当時の経緯につきましては、当時の占領軍の政策の問題はそこにあったということは言えるわけでございますけれども、それにとどまる問題であろう、このように理解しておるわけでございます。
○柴田(睦)委員 委員長に申し上げます。 この資料は、この法案と憲法の主権在民原則との関係を解明する上できわめて重要なものでありますので、委員会にこの資料を提出させるよう、理事会で検討してもらいたいと思います。速やかに結論を出してもらいたいと思います。 資料が出てくるまで、この部分についての質問は留保いたします。 先ほど三原長官は、元号法制化を天皇元首化、憲法改悪への一里塚、解釈改憲と位置づけて運動しているのはごく一部であるとか、あるいは政府の元号法案はこうした右翼勢力の策動とは無関係であるとおっしゃいましたが、私はこれは事実に反すると思うのです。 歴史的に見ましても、元号法制化を推進してきた中心勢力が天皇元首化や天皇の神性復活、正統憲法制定、自主憲法制定などを叫ぶ一握りの右翼勢力であることは、余りにも明白であると思います。元号法制化の推進母体は、昨年七月に結成された元号法制化実現国民会議であるわけですが、この中核勢力が、生長の家、神社本庁など、従来から公然と天皇元首化、憲法改悪を叫んできた右翼勢力であることは、これはもう周知の事実ではないでしょうか。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 委員も御指摘のように、そうした運動を展開される一部の方々がおられることは私も承知をいたしておるということを申し上げだわけでございます。しかし、いやしくも政府がその責任において法案を出し、与党あるいは他の野党の方々も御同調願っておるという、そうした実態というものを踏まえてひとつ御理解を願いたいわけでございます。一部にそういう運動を展開しておられる方のあるということは否定をいたしません。承知をいたしておるところでございます。
○柴田(睦)委員 では、生長の家政治連合のニュース、これは七八年の十二号ですけれども、国民会議の中核が生長の家や、その下部組織である日本青年協議会、神社本庁などであることをみずから認めておるわけです。各県ごとに組織された元号法制化実現県民会議についても、たとえば熊本県民会議の例で見ますと、熊本県神社庁、熊本県隊友会、不二歌道会、勝共連合、生長の家政治連合熊本県委員会、こういう構成になっているのですが、この右翼的勢力が中心であることは明白だと思うのですけれども、これも否定されるわけですか。
○三原国務大臣 お答えいたしますが、生長の家初めそうした団体において、元号法制化について積極的な運動を展開しておられるということは、否定をいたしておるわけでございません。そういう方々もおられるということを私は申し上げておるわけでございますが、しかし、政府が決断をいたしましたのは、それらの方々だけの御意見でやったのではございませんということを申し上げておるわけでございます。国民大方の方々の御意見を踏まえながら法制化に踏み切ったところでございますので、御理解を願いたいわけでございます。
○柴田(睦)委員 元号法制化を天皇元首化、憲法改悪の一里塚とする勢力は一部だとあくまでもおっしゃるならば、具体的に尋ねます。 生長の家政治連合の田中忠雄氏は、「内閣告示か法制化か」と題するパンフレットで、 もし真実に憲法の改正、正統憲法への復帰を願うならば、あしたに一城を抜き、ゆうべに一城を抜くがごとく、じりじりと敵の牙城に迫るべきである。現憲法下においても、一世一元の元号制が堂々と法的に成立すると言ったのは、これがためである。 こう述べているのですが、これは明らかに元号法制化を天皇元首化、憲法改悪への一里塚と位置づけた主張ではありませんか。
○三原国務大臣 私はそういう御意見のあることは、先ほども申しておりますように、承知をいたしておるわけでございます。 委員が御指摘のように、一握りの云々と言われましたが、私は、決してそういう一握りというようなことではございませず、そうした一部の方々にそういう御意見のあることを十分承知をいたしておるということを申し上げたところでございますが、しかし、最終的な私どもの決定というのは、先ほどからるる申し上げておりまするように、法制化をまず願って云々しておるということではない。国民の大多数が願望される存続ということを、いかにして政府が責任を持って存続を実現するかという一つの方法、手段として四つばかりのいろいろなケースが挙げられて、この世論調査等もなされておるわけでございますが、そういう点を詰めてまいりますると、結局その存続に対する国民の御要請にこたえる道は、最も民主的な方法で、国会の場において、この元号制度を法律によって御決定を願うことが最も好ましい方法ではないかということで決定をいたしたところでございます。御了承願いたいと思います。
○柴田(睦)委員 後段の言っていらっしゃる意味だけはわかります。了解するわけじゃないのです。 私がこれから具体的に聞いていくことに端的に御意見を聞きたいのですが、生長の家の青年会長の森田征史氏は「元号論争の奥にあるもの」と題する一文で、「天皇制擁護運動の課題と決意」を述べるとして、「第一は、わが国の建国の理想と天皇制の意義を、徹底的に語り伝え抜くこと」「第二に、現憲法下の象徴天皇制の各条文を、天皇制擁護の方向性にむけて、考え得る限りのあらゆる大小の課題で、解釈改憲行動を起こしてゆくこと」「第三に、断乎大日本帝国憲法復元改正が可能となる状況を作り出す。」こう述べて、元号法制化問題については、 “元号問題”は、われわれにとって又とない使命感を湧出させる課題なのである。元号の持つ国民の心への優れた統合力とは、それを確固たる法制化へ導くとき必ず天皇制永続のための不滅の城壁としての役割を果すであろう。 こう述べております。 ですから、いま森田征史氏が言っていること、これは明らかに元号法制化を天皇元首化、憲法改悪への一里塚、解釈改憲と位置づけた主張ではないかと思うのですが、その結論だけをお伺いします。
○清水政府委員 私からお答え申し上げます。 先ほども総務長官が御答弁申し上げたことと同じわけでございますが、政府といたしましては、特定の団体の主張でどうこうというふうに左右されるものではございません。私どもといたしましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、国民全体の中に、大多数の国民が希望しております元号の存続、そのための方法につきまして鋭意検討を重ねてまいりました結果、今回の法案を結論として得たわけでございまして、そのことを国会にお諮りを申し上げているということでございます。御指摘の団体が云々しておる主張自体については耳にはしておりますけれども、それに加担するという考えは政府としてはもちろんないわけでございます。
○柴田(睦)委員 だから、いま言っている主張について、こういうものをどう解釈しているか、聞いているわけです。 同じように、日本青年協議会の竹内光則氏と佐藤憲三氏は、「元号−いま問われているもの」という誌上の対談で、 元号法制化運動の一番根源的な問題は、天皇と国民の紐帯をより強化する、天皇の権威をより高からしめるというところに一番の眼目があると思うのです。 それから われわれの元号法制化運動は、たんに元号を法制化したらそれで良いという単純な運動ではないわけですね。彼が言う様に、「天皇制をとりまく付帯的な事実」としての元号とか、たとえば「神器」の 三種の神器ですね。 「神器」の問題とか、そういう戦後の象徴天皇制の下で無視もしくは軽視されて来た問題を復活せしめて行くことによって、「国体恢復」への「大きな流れ」をつくる運動なんだということが理解されなければならないと思うんです。 僕はこの様な具体的なたたかいを積み上げる中から、現憲法打倒の「大きな流れ」を作って行かなくてはならないと思っています。 こういうふうに述べているのですけれども、これは、元号法制化によって天皇制を強化し、憲法改悪への一歩と位置づけるものであるということは明らかではないか。だから、そうした元号推進会議、その有力な構成団体の人たち、そういう人たちの主張がここにあらわれているのですけれども、これはまさに、いま言ったような憲法改悪への一歩と、そういうように位置づけたものであるということを認めるかどうか、お伺いします。
○清水政府委員 一部の方々がそのような議論をしておるということは仮にあるといたしましても、政府が御提案を申し上げております元号法案は、それ自体におきまして全くそのような意図も考え方も持っておらないわけでございまして、法案自体で明らかなとおり、これは国民の存続をしたいという素朴な願望のための最小限の改元のルールをお決めいただきたいということでございます。その御指摘の方々のような考え方自体は、政府の元号法案とは、強いて申し上げれば無縁のものというふうに申し上げてよろしいかと私は思います。
○柴田(睦)委員 神社本庁の問題についても、やはり同じような問題があるわけですけれども、どうも答弁がすれ違っておりますので、これは省略いたします。 次に、西暦一本化策動糾弾全学闘争委員会とか反憲法学生連合全国委員会などと称する生長の家系の右翼学生が、元号法制化に反対する学者、文化人などに対して暴力さえふるっているという問題です。 昨年の五月二十七日に歴史学研究会総会会場へ日大西暦一本化策動糾弾闘争委員会が襲撃し、放水し、石灰をまき、発煙筒を投げつけました。反憲学生委員会全国連合について言えば、元号法制化反対の署名にサインした歴史学者の自宅や周辺にビラをべたべた張りめぐらし、糾弾集会を開いたり、研究室へ押しかけるなどの行為を働いているというゆゆしい事件まで起こっているわけです。また、都知事選挙で太田薫氏を選挙の最終日に新宿で襲撃した右翼団体の車にもこの元号法制化実現ということが大きく書いてあります。このように、元号法制化を叫ぶ者がこうした暴力を働いている事実は認めるかどうか、お伺いします。
○三原国務大臣 平和憲法ともうたわれる新憲法下において、いかなる事業を達成しあるいは願望を達成する手段といたしましても、暴力を用いるということは絶対に避けねばならぬことだと思うのでございます。ただ、プラカードに元号賛成と書いておるということも御指摘がございましたが、元号粉砕というようなことを書いておるプラカードもあるわけでございまして、そういう運動を正規に展開されることについて、私どもがとやかく申し上げることは慎みたいと思いますけれども、暴力はいかなる場合でも慎まねばならぬ、やってはならないことだと受けとめておるところでございます。
○柴田(睦)委員 ところが、政府も暴力はいけないと認めるその暴力を行使しているのが、まさにこの運動を歴史的に早くから推進してきた勢力であるわけです。国民会議の議長であります石田和外氏が朝日ジャーナルで、天皇は「元首、とはっきりすべき」であり、「天皇をあこがれの的として、これを中心に国民が考えて」いくようにすべきだと発言している。そして元号は、あこがれの的である天皇の「国民統治の作用を果すもので、天皇が代わられるたんびに元号も変っていくということが天皇と国民とを近づけるし、大多数の国民が同じ意識でやっていくんだと考えていくことが一つの日本としてのまとまりになる」、こういう主張をしていらっしゃることはもう天下周知の事実であると思います。しかもこの石田和外氏は、先ほども質問がありましたように、防衛大学の卒業式で軍人勅諭の礼賛発言までなさっているわけです。こういうことは、主権在民の日本を、天皇が統治する日本へ一歩近づけようとする考え方を持っているというように考えませんか。
○清水政府委員 いろいろの方々がそれぞれの御主張を持っておられるということは、これはそのままに受けとめていくべきことかと思いますけれども、したがって私どもといたしましては、そういう方々の特定のお考えに格別の意見を申し上げることは差し控えたいと思います。 いずれにいたしましても、元号の存続を図る方法として、今回御提案申し上げているような法制化をお願いする、たまたまその法制化をするという点については意見が一致しておるという面はあるということになろうかと思いますけれども、しかし、るる御指摘のございましたように、その考え方の背景と申しますか、あるいはそれをめぐる意図、そのようなことに関しては、政府はその立場を同じくしていないということは再三申し上げているとおりでございます。
○柴田(睦)委員 いままでの問題について、一部であるとか無関係であるとか、こう言われるのですが、元号法制化推進の中核になっている勢力が、元号法制化を天皇元首化、憲法改悪への一里塚、解釈改憲と位置づけていることは幾つか例を挙げたことからも明らかであります。こうした右翼勢力の策動は、戦後一貫して続いてきているわけですけれども、その策動の強まりの中で、人間宣言否定発言をなさるなど、天皇自身が現憲法の象徴天皇制と逆行する言動を強めているわけです。こうした中で、主権天皇制と不可分の元号制を象徴天皇制と結びつけて法制化することが、象徴天皇制を主権天皇制に一歩近づける役割りを果たすことは明らかであると思うのです。法制化推進派の最大の眼目は、彼らみずからが公言しておりますようにまさにこの点にあるわけで、これは紛れもない事実ではないかと思うのですけれども、いかがですか。
○清水政府委員 先ほど来申し上げておりますように、推進派の方々の考え方にはいろいろあるようでございますけれども、私どもが今回御提案申し上げております元号法案の立場というものは、憲法との関係におきまして、先ほど来法制局長官、総務長官からお話を申し上げておりますように、全く現在の憲法のもとで適合するものとして考えておるわけでございまして、内容といたしましても、存続をするための、だれがいつ昭和の次の元号を決めるかということについての内容だけを盛っている、こういうことでございまして、それ以上の内容はないわけでございますので、私どもの申し上げていることは御理解いただけるものと思うわけでございます。
○柴田(睦)委員 どうもかみ合いませんので、納得がいかないのですけれども、それでは天皇が国政に直接関係しておられる問題について具体的に尋ねたいと思います。 天皇の人間宣言の否定発言は、それ自体重大な問題であるわけですが、それ以上に重大なのは、天皇が憲法に反して国政に直接関与したという報道が行われております。その報道によりますと、アメリカが沖繩を四半世紀にわたって軍事占領したのも、日本が北方領土を放棄したのも、さらに日本がサンフランシスコ条約と日米安保条約によってアメリカの従属下に置かれているのも、天皇が出したメッセージによるということであります。外務省、宮内庁及び沖繩開発庁は、この報道をすでに知っていると思いますが、いかがですか。
○北村説明員 ただいま先生御指摘になりましたアメリカ側の文書と思われますのは、「世界」という雑誌に論文で出されました。その中で引用された昭和二十二年当時のアメリカ側の文書で、最近その秘密性を解除された文書のことであろうかと思いますが、私ども外務省といたしましても、あの雑誌を読みまして早速アメリカ側からその文書は入手しております。
○山本(悟)政府委員 雑誌「世界」の四月号にそのような内容の論文が掲載されたようでございますが、宮内庁には本件に関する資料は調べましても全然見当たりません。したがいまして、事実関係は全く不詳でございまして、現在のところ、これに対してどうこうというようなお答えは差し控えたいと存じます。
○三原国務大臣 沖繩開発庁長官としてお答えをいたします。 私、「世界」における記事であろうということで、外務省、宮内庁等におきましても調査をいたしましたが、つまびらかでございませんので、ここで私が責任ある御回答を申し上げることは慎みたいと思っておるところでございます。
○柴田(睦)委員 その「世界」の四月号に出された問題、それから琉球新報の四月十一日号に「天皇、沖繩の占領継続を希望」という形で報道された問題、この真相はいまの答弁によりますと今後の調査に待たなければならないと思うのですけれども、天皇が憲法に違反して日本国民の命運にかかわる重大な国政に関与した疑いがある、これは間違いないと思うのです。これが事実ならば、事態はきわめて重大であります。この点について、事実関係を早急に究明する必要があると考えますが、いかがですか。
○三原国務大臣 お答えいたします。 今日まで、私は関係省庁に対して事実を確認いたしたいと思いまして御連絡をいたしましたが、事実がつまびらかでございません。そういうことでございますので、お答えは控えたいと思うのでございます。
○柴田(睦)委員 じゃ外務省、これは調べられますか。
○北村説明員 先ほど御答弁いたしましたように、アメリカ側の文書、すなわち当時の占領政府の政治顧問をしておりましたシーボルトという人からマッカーサー元帥あてに出したメモであるとか、あるいはそれを国務省に送ったメモであるとかいうようなものは、これはアメリカの方で機密性を解除されまして、それが「世界」という雑誌に引用されているわけでございます。 その文書につきましては、先ほど申しましたように入手をいたして読んでおりますが、これは何分ともアメリカ側で当時の宮内庁御用掛でおられた寺崎英成さんとおっしゃる方がシーボルトのところで口頭でおっしゃったことを受けとめて書いたものでございますので、私ども日本側でどういう事実関係があったか、あるいはどういうことであるかということは、その材料はただいまのところ持ち合わせておりません。御承知のように、当時外交関係を日本政府は持っておらなかった時代でございますので、事実関係についてもなかなか明らかでないところが多いのではないかと思っております。
○柴田(睦)委員 これは重大な問題ですから、究明する必要があると思うのです。いままで調べたけれどもわからないと言うだけでは済まされない問題であると思います。こうした天皇と結びつけて一世一元の元号制を法制化することは、象徴天皇制を主権天皇制に近づけることが確実であると思うのです。それにもかかわらずこの法案が天皇元首化、憲法改悪への一里塚と位置づけている右翼団の策動と無関係であるとか、そうしたことを主張しているのは一部にすぎないと強弁されるわけですが、そういうことは通用しないと思うのです。いまの問題も含めて、なお無関係だとか一部だとか言われるのか、もう一遍お伺いします。
○三原国務大臣 お答えいたします。 戦後早々の時期における日米関係において天皇のお言葉がどうだというようなことが事実明確でないというような問題でございまするとか、あるいはまた国内における一部の団体の方が旧憲法下における天皇制の復活というようなことを言っておられるからどうだということで断定をされるわけでございますが、再三繰り返しておりますように、私ども、国民の大多数がその存続を願望されるその心情にどうこたえるかということでこの法案の提出を申し上げたわけでございます。その存続を希望されることにこたえて、制度的に明確に安定した体制でするには、法二条でございますけれども、そうした元号制度の法律を御提案申し上げたというようなことでございますので、その点をひとつ御理解賜りたいと思うのでございます。
○柴田(睦)委員 では、右翼勢力と政府との関係について具体的にお尋ねします。 大平総理は、本会議での私の質問に対する答弁で、「改憲を意図するとか、特定の団体の要請にこたえるとかいうようなものではない」、こう言っておられましたが、これは全くの欺瞞であると思うのです。 そこで、お伺いします。 右翼勢力が中核になって開きました、昨年十月三日の元号法制化実現総決起国民大会に総理大臣名でメッセージが寄せられております。終わりのところですけれども、「ここに、本大会が盛大かつ厳粛に挙行されることを祝し、政府といたしましても、皆様の御熱意を踏まえ、最善を尽くす決意であります。」こういうメッセージを送って彼らを公然と激励しているわけですけれども、これはどういうことでありますか。
○清水政府委員 御指摘の総理のメッセージでございますが、これはその前の方にも一行ほど文章がございます。「元号制度を将来とも存続させるべきであると考えております。このため、なるべく速やかに適切な措置を講ずる所存であり、その方法、手続等につきましては、目下、鋭意検討を進めております。」こういうことが述べられております。 これは当時の十月三日という時点におきまする政府の立場を非常によく示している表現だと思いますが、このような内容のものは、いずれにいたしましても、この元号の存続のための法制化ということをこの大会が掲げているということでございますから、その一点に関して言えば、政府もそのようなことを含めて適切な方法が何であるかについて「目下、鋭意検討を進めております。」ということを述べているわけでございますので、いわばこの大会に対する儀礼的なごあいさつというような趣旨のものと受けとめております。
○柴田(睦)委員 右翼勢力が中核になって開いている大会ということで問題にしているわけです。 それから稻村前総務長官、ミスター元号というようにも言われておりましたけれども、この人が総務長官当時に生長の家の「理想世界」という雑誌で、生長の家青年会長の森田征史氏と対談して「あなた方外郭団体もがんばってくれ」、こう述べておりますし、「J&A」という雑誌で、元号法制化の方針を閣議決定するまでに何回も首相を恐喝したなどと公言して、新内閣発足後は福田前総理などとともに国民会議の賛助員という役職につき、まさに彼らと一体となって運動を進めておりますが、この事実は認めますか。
○清水政府委員 その実情につきましては、私は必ずしも直接は承知をいたしておりません。したがいまして、大変恐縮でございますが、前長官のその点のことにつきましては、私の立場でコメント申し上げることは慎みたいと思います。
○柴田(睦)委員 総務長官当時のことですから、それは当然政府の責任だと思うのですけれども、三原長官もやはりコメントできませんか。
○三原国務大臣 元号存続を希求される大多数の国民に、前長官が政府としてこたえたいという積極的なお気持ちを持っておられたことは、私も承知をいたしておりますが、それが天皇統治の復活云々というようなことを企図してやっておられたものではないと私は十分承知をいたしておるわけでございまして、そこで言われたことについて、中身がどうであるか、つまびらかに私も承知をいたしませんけれども、稻村長官の気持ちは、党なり政府の気持ちを持っておられたと思うわけでございます。大会に出て儀礼的にどういうお話をなさったかどうかということについては、私自身承知をいたしておりませんし、ここでコメント申し上げることは慎みたいと思います。
○柴田(睦)委員 要するに、政府の一員である長官当時に、憲法改悪、復元憲法を主張する右翼の勢力に対して、皆さん外郭団体もがんばってくれ、こう言っているところに政府とのかかわり合いがあるわけです。 神道政治連盟が昨年の六月二十七日に、当時の福田総理に、元号法制化とあわせ自主憲法制定、靖国神社国家護持などを要求したのに対し、福田前総理が、要望の内容は一々もっともなもので、善処したいと答えております。これは、七八年の七月三日の神社新報に出ているのですが、この事実は知っておりますか。認めますか。
○清水政府委員 その点につきましては、六月二十七日ごろのことのようでございますが、お会いになっておられるということは大体わかるわけでございますが、そういうふうな会話をされたかどうか、その辺は私どもの方には全く記録がございませんので、何とも申し上げようがないわけでございますので、御容赦をいただきたいと思います。
○柴田(睦)委員 政府の方はわからぬ。しかし、相手方の神社新報の方にはちゃんとそういうことが書いてあるわけです。 それから大平首相もことしの一月、天皇主権の時代に逆戻りさせるような方針を掲げております日本を守る会が、元号法制化、建国記念日の政府主催による奉祝式典の実施などを要望したことに対して、政府の方でこれを受けとめ、こたえるべく努力をすると答えております。これは七八年の二月一日の中外日報に出ているのですが、この事実は知っておりますか。
○清水政府委員 ただいまの先生のおっしゃいましたのは、大平総理ということでございますれば、七八年ではなくて七九年、つまり昭和五十四年のことというふうに理解をいたしますが、当時のことが一月二十日あるいは十九日ごろの全国紙に二、三出ております。そのお話はいずれも見出し自体がそうでございますが、施政方針演説の中で、元号のことに触れるといいますか、あるいは盛るというような見出しで報道されておりまして、このことからも申し上げられますように、当時はすでに施政方針演説ができ上がっておりまして、その中に、御承知のとおりの元号の問題について政府の基本方針を述べておりますので、その用意があることをここでは言及しておられるんだ、それ以上のものではないというふうに言えるかと思います。
○柴田(睦)委員 まだあるんですけれども、ちょっと飛ばしまして、生長の家政治連合の機関誌生政連ニュースの昨年十二月号は、大平内閣誕生で閣僚二十一名中生政連推薦議員十二名が入閣した、元号法制化の推進役になる大平首相、田中官房長官、三原総務長官はいずれも生政連推薦議員である、今後田中、三原両長官を軸に強力な政府対策をやる、こう書いてあるんです。この面から見ても、こうした生長の家政治連合、この連合が主張していることは先ほど言いましたけれども、こういうものと無関係ということではないと思うんですが、いかがですか。
○三原国務大臣 政治家に対して一つの団体が御推薦をしていただくというようなことは、私はあり得ると思うのでございます。そのこと自体と、大平総理を中心にする大平内閣が、いかなる方針で元号法案を国会に提出したかということとは、私は一つにして考えていただくことは適当でないと思うのでございます。大平内閣が元号法制化を決定いたしまして法案を国会に出しました真意というようなものは、いままでるる申し上げたとおりでございまして、現憲法に違反をするというような立場は絶対にとらないという方針で進んでおるわけでございますので、御理解を願いたいと思うのでございます。
○柴田(睦)委員 幾ら無関係であると言われても、いままで挙げてきました幾つかの事例、一連の事実は、元号法制化を天皇元首化、憲法改悪への一里塚、解釈改憲と位置づけて運動してきた右翼勢力と無関係でないということを、私は如実に示していると思います。 こうした一連の事実経過を見ても、また、政府の基盤であります自民党自身が、その憲法改正大綱草案で天皇元首化をはっきりうたっていることから見ましても、元号法制化が戦時立法、「君が代」国歌化、教育勅語、軍人勅諭の礼賛発言、靖国神社問題などとともに、憲法に逆行する重大な政治、思想反動の一環であるということは明白であると思います。 以上の問題に関しましては、先ほどの資料その他が提出されるまで留保し、次に進みます。 次は、元号法制化と使用強制問題についてであります。 政府は、元号を法制化しても、一般国民には使用を強制しないということを繰り返して答弁されているわけですけれども、これは反対世論に対する対策の答弁である、こういうように思うわけです。 そこで尋ねますが、まず内閣告示から法制化に方針を転換した理由の問題で、三木内閣当時の内閣告示方式。三木内閣の当時には、内閣告示というのが国会でもそういう方式が答弁されていたのですけれども、なぜ今日の時点で法制化に変えたのか、方針を転換した理由は何か、内閣告示では都合が悪いとする理由は一体何か、これは一連の審議の中である程度答えられておりますので、その前提とするためにちょっと骨組みだけ答えていただきたいと思います。
○清水政府委員 まず第一は経緯についてでございますが、三木内閣のときに御指摘のような考え方が述べられた、あるいはその後さらに何回か国会で前々総務長官も述べておられるわけですが、その点につきましては私も多少経緯をずっと比較をしてみたわけでございますが、言えますことは、当時の諸般の情勢のもとにおいて万一の事態が招来した場合において、そのときにおいてすぐとる方法として考えるとすれば、そういう方法が一つの方法として考えられるというような気持ちがあったのではなかろうか。しかし、現に藤田総務長官の発言にもございますように、そういうことを含めましてどういう方法が最もふさわしいかということを政府としてはさらに検討をいたしたいということをすでにおととしの冬に申し上げているわけでございまして、それ以来私どもとしましては元号存続の国民の願望にこたえるにはどういう方法が最も妥当であるか、ふさわしいかということを鋭意検討を進めてきたわけでございます。 そのような経過の積み重ねを経まして今回の法律案に到達をしたということでございますが、あえて比較を申し上げますれば、内閣の告示でいくという場合には、これは一つの問題は、そのときどきの内閣の判断にそれはかかる問題でございますから、その判断によって左右されるというようなことになるわけでございまして、そうすることは元号の将来にわたる存続を願望する国民の願いというものから見まして十分な方法ではないのじゃなかろうか。やはり今日の法体制のもとにおきましては、そのような内閣が決めるにしてもその内閣が決めるんだというルールを国民の代表であります国会において法律の形で政府に授権をいただく、そのようなやり方がベターであるというふうな結論に到達したということでございます。
○柴田(睦)委員 内閣告示と法律とではどこがどう違うのかという問題ですけれども、提案理由の趣旨説明の中で言われております、制度としての明確性を図るということ、それから制度の安定性を図るということ、これは具体的にはどういうことを言うのか、お伺いします。
○清水政府委員 国会のお決めいただきます法律の委任に基づいて、内閣として新しい元号を決めるという仕事をすることになるわけでございますから、元号の存続という問題から見ますと、そのことが元号についてきわめて明確でもあり、かつ安定した制度になるということであろうと思います。
○柴田(睦)委員 内閣告示よりも法律の方が制度として安定するというようにおっしゃいますが、いまは議院内閣制なんですから、議院内閣制のもとでは実体的にはそれほどの違いはないと思うのです。多数党または多数連合が内閣を組織するわけですから、内閣告示を廃止するような内閣のもとでは法律の廃止ももちろん可能であるわけです。制度の安定性を図るなどという言い分は、これは法制化のねらいをごまかしているのじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
○清水政府委員 御指摘の点がどういう意味合いか受けとめにくい点があるわけでございますが、私どもとして申し上げておりますことは、存続の安定性ということに尽きるわけでございますし、それから法制局長官からも繰り返し御説明のございますように、そのような方法で決めるということ、つまり国会の御審議を経た法律の形で決めるという、そういうやり方が現憲法のもとにおいて最も民主的な手続だという面もあろうかと思います。
○柴田(睦)委員 その安定性という面から言えば、内閣告示であっても法律であっても変わらないじゃないか。何となれば、議院内閣制なんだから内閣告示があるものをやめるような内閣であれば法律もやめてしまう、多数ですから。そういうことでは安定性という意味においては同じじゃないか、こう言っているのですけれども、いかがですか。
○三原国務大臣 いま言われるのは議院内閣制のもとではという御意見を言っておられるようでございますけれども、私どもまず第一には、最も民主的な方法は何かということ、それをやはり国会の場において御審議を願って、法律によって制定をしていただくということが一番その基盤が明確であるし、安定性があるということにつながってまいるわけでございます。 それが一つと、一つには、国民が広くしかも長く実は存続を希望しておられるという、そういう事態を踏まえてまいりますれば国民にこたえなければならない、そういう点においては、ほとんど大多数の国民がそういうことの存続を希望しておられ、そして国民生活に影響があるという問題でございますので、これはやはり法律でお願いをした方が筋が通るのではないか、そういうような考え方のもとに踏み切ったところでございます。
○柴田(睦)委員 その安定性という問題についての質問であったわけですけれども、これもまたすれ違っているわけです。 今度は明確性という問題ですけれども、ここで言う明確性というのは、行政機関が元号を使用する法的根拠が明確になる、国会や裁判所、地方自治体が元号を使う、またはこれらに内閣が決めた元号を使わせる法的根拠が明確になる、さらに国民に元号の使用を強制する法的根拠が明確になるということではないかと思うのです。政府が、法制化された以上公的機関が元号を使うのは当然であるなどという法理を展開しているのは、まさにこのことを裏づけるものと言わなければならないように思うのですが、いかがですか。
○清水政府委員 明確性という点につきましては、私どもはそのようには実は思っておらないわけでございまして、あえて比較して申し上げますれば、昭和の次の元号というものをたとえばある日突然、内閣が、次は文明開化だというふうに決めた、それが一体元号として広く国民の間に共通に認識されるかどうかというような点、その点を比較すれば今度はこの法律の規定に基づいて、その委任に基づく政令という形で内閣が決めるわけでございますから、これはもう明確、明々白々であるわけでございます。そのような点に着目いたしまして、明確性ということを提案理由の中で御説明申し上げているつもりでございます。
○柴田(睦)委員 法制化された元号についての国民に対する強制の問題についてはどういう考えですか。
○清水政府委員 私から先に御説明させていただきますが、一般国民に対しましては強制をするものではないということは、毎回申し上げているとおりでございます。この元号法案自体には、元号をつくる、つまり元号を生み出すということについての規定だけがあるわけでございまして、生まれた元号がどういうふうに使われるかということについては、それは何も触れておらないわけでございます。したがいまして、その点は、つづめて言えば実質的には現在と同じような状態が考えられるということだろうと思います。つまり現在、元号というものが慣習的に定着し、公的機関におきましては原則として紀年法として元号によっているということでございますし、もちろん公的機関におきましても、西暦による方がより合理的な場合にはそれによっていることは御案内のとおりでございます。また、一般国民におきましては、全く自由に併用され、自由に使い分けが行われているというのが現状であると思いますけれども、その点は今後も変わらないということでございます。
○柴田(睦)委員 現状の問題については後でやりますけれども、どうも心の中を打ち明けられないようにしか感じられません。各種の右翼団体など法制化推進者たちが、この内閣告示では強制力が弱いとして、内閣告示などという因循こそくなやり方を粉砕するのが当面の緊急の課題であると位置づけて、政府を激しく突き上げてきたことは紛れもない事実であります。それから、内藤文部大臣なども元号法制化を決めた自民党元号小委員会で、強制しないなら告示でいい、だけれども強制しなければ意味がない、こういうふうな発言を、私、この小委員会の発言録を読んだのですけれども、繰り返して主張していらっしゃるわけです。それにもかかわらず、政府はあくまでも、法制化しても一般国民に強制しないということを一貫しておっしゃるつもりですか。
○真田政府委員 先ほど審議室長からお答え申しましたように、お手元の法案をお読みになれば、きわめて明瞭に元号の決定権者、それからどういう場合に改元を行うかということだけが書いてあるのであって、具体的に定められた元号の使用に関しては毛頭触れているわけじゃございませんので、おっしゃるように一部の人が法制化しなければ強制ができない、だから法制化だというようなことを、もし仮に思っている人がいたとしたならば、その人たちは今度の法案を見て大変失望するのだろうと思います。全く国民に対して強制する、「強」の字もなければ「制」の字もない、全く元号の決め方というもののルールを定めているだけの法案でございます。
○柴田(睦)委員 長官が出てこられたので、もう一遍念のため聞いておきますけれども、それでは先ほど言いました現内藤文部大臣が元号小委員会で発言しておられます、強制しないなら告示でいい、だけれども強制しなければ意味がない、こういうことから、法制化という主張をしているわけですけれども、そうすると、内藤文部大臣、この法案を見ればがっかりする立場になるわけですか。
○真田政府委員 私は事実の真偽は存じませんが、もし内藤誉三郎先生がそういうふうなことを本当に思っていらっしゃるとすれば、内藤先生もあるいは御失望なさっているのかもしれません。しかし、法案の中身自体はもう客観的に、先ほど申し上げましたようにお手元の条文をお読みになれば一目瞭然、全然使用のことには触れておらない。これはもう明らかな事実でございます。
○柴田(睦)委員 それでは元号は法的根拠が現在はない、そういう現在であっても事実上その使用が強制されているわけです。法制化された場合、この現状が固定化され、いま以上に強制されることは明らかであるということで国民がみんな心配し、そして法制化に反対している、そういう関係になるのです。 そこで尋ねますけれども、政府は西暦で年を表示した届け出書でも、窓口では元号に書きかえるよう協力を求めるが、協力してもらえぬ場合、西暦記載のまま受理すると言っておりますが、このことには例外はありませんか。あるとすれば、具体的にはどんな例か。その場合、元号でないと受理できないという法的根拠は何か。まず前段にこのことを伺っておきます。
○清水政府委員 私どもの考えておりますことは、まず現在におきましてもわが国における一番中心的な紀年の方法、年月日をあらわす方法というのは、まずこれは元号であるわけでございまして、これはアンケート等においても明らかなわけでございます。したがいまして、将来におきましても、格別にこれが支障があるとか、あるいはこれを変えなければならない特別の理由が出てくれば、それは別でございますが、そうでなければ当然にこの元号というものを基準にしてやっていく。私、いま申し上げておりますのは、具体的な公務の問題になりますけれども、そういうのが一番自然な姿であろうというふうに考えているわけでございます。現在、たとえば何とか法の細則であります省令の別表で申し出あるいは届け出、報告等のひな形の様式が定められているということがございまして、その場合に、その中に年月日を示す欄に「昭和 年 月 日」というふうに示してあるという例はもちろんございますが、その意味合いにつきましては、再々申し上げておりますように、それはそこへ特定の年月日を書く必要があるということを示しており、かつ、そこで昭和ということを言っておりますのは、わが国において現に昭和という元号による表示方法が一般的に広く行われているというその事実を踏まえて、いわばそれを反映した形でそこにそれを取り入れている、こういう意味合いであるわけでございます。 将来におきましてもそのようなことと考えておるわけでございますので、まず第一に申し上げておりますことは、そのような性格の紀年法ということでございますから、それ以上の特別の意味合いというものはないというふうに私どもは考えるわけでございまして、したがいまして、そのような表示方法によって日常のいわば公務を運営しておる。その公務のいわば統一的、したがってまた能率的な運営ということにはぜひ一般の国民の方にも御協力を要請したい。そのことはそれなりに合理的な要請であろう。したがいまして、そういうことは格別に強制ということではないのではないかというふうに考えるわけでございますけれども、そういう意味合いにおきまして、将来におきましても公務の斉一的な、能率的な運営という立場から、一般の方々に対しましても、公的機関に提出するその窓口業務の関係においては、元号を使っていただくことを御協力を求めていくという立場に立つことになると思います。 ただ、いまもお触れになりましたように、どうしてもその元号でなくて西暦で記入して出したいというようなケースがある場合におきましては、これはやむを得ないということでございまして、もちろんそれによって記入されたものも有効に受理することになる、そのようなこともはっきりと申し上げているわけでございます。ただ、そのようにいたしましても、受理をいたしました後に、いわば役所の中で、たとえば帳簿に整理をする、つまりまた記載をするというような場合においては、これは役所の中の帳簿が当然のことながら元号による表示方法ということで一貫して事務の要領ができておりますので、そのようになるということで御理解を賜りたいわけでございます。
○柴田(睦)委員 戸籍届や登記申請などで、どうしても西暦で書くということで、そうしたものについては西暦で受け付けて、そして内部で今度は元号に書きかえて原簿に転載しているわけです、現在。これはいかなる法的根拠に基づいて書きかえているのかお伺いします。法的な根拠をお伺いします。
○清水政府委員 それは、私は法的な根拠というようなことよりは、むしろ役所の事務のやり方がすでに慣習的にそのような元号表示ということで、帳簿なり何なりがずっと定着している、そのようないわば事務のやり方になっているということであるというふうに思うわけでございます。
○柴田(睦)委員 それでは事実上の強制の実態の問題についてお尋ねします。 郵政省では、最近第三種郵便物の認可につきまして、認可の年月日を元号で表示しないと認可を取り消すとか、認可しないなどと言って、いろいろなところで問題を起こしておりますが、これは強制ではありませんか。
○桑野説明員 第三種郵便物の認可申請書や発行人の住所変更届など各種の届けにつきましては、郵便規則などでその様式を定めておりますが、この様式では、申請年月日欄のところは昭和何年何月何日としております。ただ、これは様式を示したものでございますので、西暦による表示をなされましても受理いたしております。
○柴田(睦)委員 随所で問題を起こしているから聞いたのですけれども、受け付けているということですが、法制化後も受け付ける、強制はしないということですか。
○桑野説明員 これらの事務処理の取り扱い方法につきましては、いままでのやり方を特に変えることはないと存じております。
○柴田(睦)委員 次は、印鑑証明の問題ですけれども、これも社会党の岩垂議員が伺われたところでありますけれども、関連しまして……。 印鑑証明などは生年月日を元号で書かないと証明してもらえない、そういうシステムになっているところがあるわけです。これは強制ということにはなりませんか。
○木村説明員 お答えいたします。 印鑑証明は地方公共団体の事務でございますので、条例で定めており、その様式に元号が用いられていることがあると存じます。この運用につきましては正確には把握しておりませんが、西暦で持ってこられたものも受理して、役所において書き画す等の処置により処理しているものと承知しております。
○柴田(睦)委員 これは実態を知らないからか、わざとそう言っていらっしゃるのか、要するに、コンピューターシステムになっていてみんな元号で組み込んで、証明は全部元号で出る、そういう自治体がたくさんあるわけです。そういう事実は知りませんか。
○木村説明員 条例で年号を記し、コンピューターで処理いたしております場合には、事実上年号を元号によらなければコンピューターが受け付けないということになります。そういうものについては、どうしても御協力いただけないときには役所において処理しているものと考えます。
○柴田(睦)委員 どうしても協力しなければならないというのは、これはもう強制であるわけです。 それから印鑑証明に関連して、今度は、郵政省の進学ローンの申し込みの印鑑証明については西暦で年表示をしないことを規定し、西暦記載のものには貸付金を交付しないとしているわけです。これは郵政公報の、これには昭和五十三年十二月二十七日と書いてあります、私は七八年と言いますけれども。これを見ますと、結局「印鑑証明書について、次の事項を確かめる。」「申込人の生年月日が西暦表示でないこと。」注があって、「生年月日が西暦表示されているものは、外国籍の者であるため貸付金の交付はできない。」こうあるわけです。これは強制ではありませんか。
○岩島説明員 御説明申し上げます。 私どもの進学資金貸し付けでございますけれども、先生御承知のように、これは国民金融公庫の郵便貯金預金者向けの貸し付けの仕事を、私ども郵便局の窓口におきましては貸し付けをあっせんするという仕事を私どもやっておるわけでございますけれども 国民金融公庫の郵貯向け貸し付け、これは一般向けの貸し付けも同様でございますけれども、外国人を対象としておりません。したがいまして、私ども窓口におきまして外国人であるか否かということを見分ける一つの方法といたしまして、借り入れ申し込みのときにお持ちいただきます印鑑証明書、そこで印鑑証明書の生年月日の表示というのを私どもひとつ使わせていただいておるわけでございます。御承知のように、外国人の場合でございますと、外国人登録原票によりまして印鑑証明書の生年月日は西暦表示ということになっておりますので、私どもその点を使わせていただくということでこのような取り扱いをさせていただいているわけでございます。
○藏内委員長 柴田君に申し上げます。 時間が大分経過をいたしましたので、結論をお急ぎください。
○柴田(睦)委員 二時間という一方的に言われたことは、まだ五分しか過ぎていません。 そうしますと、いまの主張によりますと、西暦の印鑑証明書も発行する、先ほど言われましたね。——そういうものを持ってきたら今度は外国人として扱って進学ローンは貸さない、こういうことになってしまうわけですか。
○岩島説明員 お尋ねの件につきましてでございますけれども、これは国民金融公庫におきましても、過去数十年外国人をチェックするためにいま申し上げましたような方法をとっておりまして、私どもこの取り扱いを開始するに際しましても全国の市町村を調べまして、このような方法で外国人をチェックするというのが一番有効な方法であるということを確認いたしましたので、このような方法をとっている次第でございます。
○柴田(睦)委員 しかし実際上、これを見ると「申込人の生年月日が西暦表示でないこと。」ということが善いてあるし、日本人で西暦表示の印鑑証明雷を持っていったら外国人とみなされて貸さないということになってしまうわけです。法的根拠のないいまでさえこんなことですから、法制化されたらこうした事例が一般化するということが、これはやはり心配するのはあたりまえで、法制化の最大の眼目の一つはまさにこの点にあると思うのです。 元号法制化東京都民会議議長の宇野精一氏は、法制化されればちゃんと年号を書いてくださいと窓口で断るべきだ、こう言っております。われわれが調査したところでも、窓口業務を担当している人たちはみんな、法制化されたら元号以外のものは受理しないことになると思う、こういうふうにはっきり答えているわけです。これでも、現在でも元号の使用は自由である、法制化しても強制しないということを言えるわけですか。
○三原国務大臣 使用につきましては現状のままでございますということを再三申し上げておりますから、法制化されようと何しようと特別それで処置することはございません。御理解を願いたいと思います。
○柴田(睦)委員 具体的に印鑑証明の問題、戸籍の届け出などの問題、窓口の問題、こうした問題で実際は強制されている。こういう実態があるわけで、それがないと一方的に言い切ってしまうということですが、これも委員長にお願いしたいのですが、元号使用の実態がどうなっているのか、法制化されたらどういうことになるのかについて、実態調査を実施することを理事会で検討してほしいと思います。結論が出るまで、この部分についての質問を留保したいと思います。 もとに戻りますが、先ほどの天皇のメッセージの問題ですけれども、天皇が講和後の日本の安全保障体制の問題に関連いたしましてアメリカに提出されたメッセージの問題で、事実関係を究明するということの約束ができるか。それから、外務省は入手した関連文書を資料として出せるか、この確認だけお願いします。
○枝村説明員 その点は理事会でお諮りいただきまして、仮に提出せよということでありますれば、その段階で検討させていただきたいと思います。
○柴田(睦)委員 学校教育分野での使用強制問題ですが、教科書の執筆者や出版関係者の多くが、昨年の検定では従来以上に元号の押しつけが強くなった、こういう訴えをしております。出版労連の出しました「教科書レポート」によりますと、その実態について、「「〇年前」または「〇年後」という表現を、「昭和××年」という表現にせよという指示(改善意見)で、意識的に元号を強調させる。」「年表(明治以降)、グラフに年号を併記せよという指摘が、修正意見としてされている。」「「西暦よりも元号を優先せよ」との指示がみられた〔改善意見。たとえば、「わたしの……でも、一九××(昭和×X年)ころ、……しました」というような文章に対して、「話ことばとしては元号が先」という指示〕。」がなされた、こういう報告があるわけです。こういう事実は文部省、認めますか。
○諸澤政府委員 現在の小、中、高等学校の教科書は御承知のように検定制ですから、民間の教科書を書く方がいろいろ創意工夫をこらして教科書をつくる、それが学校教育の教材として、たとえば正確でないとかあるいは子供の発達段階に適応してちょっと程度が高い、そういうのを最小限チェックするのが検定でございますから、いまおっしゃったような元号の使用の仕方について、それはこうでなければならぬというようなことは、一般的には申しておりません。 ただ、いま先生がお話しになったようなことを、これは私が直接検定するわけじゃございませんから全部一々承知しているわけじゃございませんが、私が聞きますところでは、たとえば何年前というような表現でございますが、これは社会科の一般社会の記述の中で、ある地域の過去の災害、水害の問題などが記述にある。そうすると、何年前の水害についてこうだというようなことが書いてありますと、教科書は単年度でなくて何年間か継続して同じものを使いますから、それはいつの水害というふうに書いた方がよろしい。そこでいつの水害と書く、そのいつというのをどういうふうに使うか、表現するかということですが、これはいろいろ御審議等でもあったと思いますけれども、現在の日本人の感覚としてその年代を表記する場合に、普通西暦を使いますか年号を使いますかと言えば、年号を使っていると言うのが圧倒的に多いのが事実でございます。 そこで実際の生活に合わせて昭和四十五年のこういう出来事というふうに書いた方がよろしくはありませんか、こういうようなことを言うわけでございまして、私どもは何でもかんでもみんな年号を書かなければいけませんというようなことはさらさら言っているわけではない。いま言ったような観点から指示をしているわけでございまして、今後もそういうふうにやっていきたいということでございます。
○柴田(睦)委員 戦前の元号について政府は性質上強制されなかった、そういうことを言っているわけですけれども、小学国史、これは昭和十五年のものですが、これを見ますと、元号中心、また元号一本の表記となって、歴史区分は第何代何々天皇の御世というように天皇の代がわりごとに区分されておりました。元号の法的根拠がない現在でさえ、教科書での元号押しつけが実際上強まっているわけですから、法制化後はさらに押しつけが強まり、場合によってはこの尋常科用小学国史のようなものに逆戻りさせられるおそれがある。そういうおそれは全くないと明言できるのかお伺いします。
○諸澤政府委員 戦前の小学校の教科書は、御承知のように国定教科書でございますね。ですから、その国定の教科書というのはよろしくないということでいまの検定制というのが戦後、昭和二十二年ですか始まりました。それは先ほど申し上げましたように、ベースとしては民間の人が書く教科書を教育上の配慮から必要最小限のチェックをするということでございますから、この年号が法制化されて、その制度が今後も継続されるということになりましても、私どもはその教科書における年号の取り扱いは従来と同じというふうに考えておりますし、またそれはそういうふうになるということが十分予想されるわけでございます。
○柴田(睦)委員 先ほど言いました宇野精一氏などは、日本のことを書く場合は年号を先に書くべきだ、こう公言しているのですが、こうした主張は法制化推進派に共通した主張であります。彼らが政治、思想反動の重大な一環として教育分野に最大の的をしぼっていることは明らかであります。元号を法制化しても、教育分野ではいかなる形でも絶対に使用を強制しないと言明できるのかどうか、お伺いします。
○諸澤政府委員 元号と西暦を併記する場合にどちらを先に書くかということは、いま私が申し上げましたことからも御理解いただけるように、言ってみれば教科書を書く人の判断に任せるということで私はよろしいのじゃないかと思うわけでございます。したがいまして、一般的には、ここのところを必ず元号を書きなさいというような指示はいたしません。いたしませんが、先ほど来由しましたように、具体個々の記述の問題になると、やはりここのところはちょっと元号を入れた方がよくないですかと言うようなこと、これは教材の中身によってはあり得るということをひとつ御運解いただきたいと思います。
○柴田(睦)委員 それが検定ということでそういう意見が出されて、それを良心的に直せないという学者の場合は検定を通さないというような事態、これはやはり教科書に対する強制であると思うのです。 それからもう一つは、教師に対しても絶対に使用を強制しないと言明できるのかどうか、お伺いします。
○諸澤政府委員 いま学校の先生は何によって教育活動をするか、教育活動のよりどころは学習指導要領であり、そしてその指導要領によってつくられた教科書を教材として使うわけでございますから、それをどういうふうに使うかということは、教師の主体的な判断にまって、その創意工夫によって効果ある教育活動を期待するというのが私どもの考え方でございます。
○柴田(睦)委員 それから日の丸、「君が代」についても元号と同様にいま法的根拠がないわけですけれども、それにもかかわらず、多くの学校ではPTAを通じて圧力をかけたり、職務命令で強行したり、管理職が有無を言わさず実力で行使するという形でその使用が強制されております。 これは、ここにあります「国旗・国歌について」という東京都教育管理職員協議会の一問一答の中にそういうことが実際上書いてあるわけです。非常にたくさんあるわけですけれども、たとえば「校長自ら実力行使」ということまでちゃんと書いてあるわけです。元号が法制化された場合、これと同様に、国旗、国歌については法律がないわけですから、法律ができますと、それ以上のやり方で使用が強制されるおそれがある、これが偽らない気持ちであるわけですけれども、法制化してもこうした教師に対する強制はしないと言えるかどうか、お伺いします。
○諸澤政府委員 国旗、国歌については、いまの指導要領では、学校で「儀式などを行う場合には、」「国旗を掲揚し、国歌を齊唱(せいしょう)させることが望ましい。」こういうふうに考えておりまして、私どもはそうすることが望ましいという指導をいたしておりますが、学校では一部の先生が反対されるというようなこともあって、校長先生が大変苦労されるというところもございますが、元号については、そういう意味で、いまの指導要領にも何らこれを使うべしというような積極的な規定はございません。ただ、いま申しましたように、教科書等で元号というのが当然出てきますし、それは今日の戦後の三十何年にわたる学校教育においても、実態として定着しておるわけでございますから、元号の使用を教師に強制するとかしないとかということではなしに、事実上歴史の勉強をする場合に、元号を抜きにして日本の歴史などは私は勉強できないのじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。
○柴田(睦)委員 教育分野における強制の問題についても、やはり実態を調査する必要があると思います。このことを理事会で検討してもらいたいと思います。結論が出るまでその点についての質問は留保いたします。 それから、公務員の問題です。これは真田法制局長官が、公務員は上司から使用を命令された場合、服務規律として従わなければならない、従わない場合には懲戒処分もなし得るという答弁をしておりますが、これは明らかに法制化しても強制しないという国会答弁と矛盾するのではありませんか。
○真田政府委員 またまた私の発言を御引用になりましたので、釈明させていただきますが、私が申し上げましたのは非常に冷ややかな法律論を申し上げたのでございまして、その趣旨は、この法案が成立いたしましても、この法律ができたからということから直接に強制、たとえ公務員であっても新しい元号の使用が強制されるという効果は出てこない。これははっきり申し上げているのです。ただ公務員でございますから、公務員法が適用になりまして、国家公務員法の九十八条というのをごらんになりますと、公務員は法令に従わなければならない、また職務上の上司の命令が出ればそれに従わなければならない、こう書いてあるわけなんで、そのうちの前段の法令に従わなければならないという場合のその肝心の法令が、今度の元号法案で申しますと、その元号法からは使用の強制は全然出てこない。したがって、後段の上司の命令があれば、職務上たとえば公文書をつくる際に元号を使いなさいということが合理的な必要によって、たとえば統一ある、あるいは効率的な行政の運営というような合理的理由に基づいて上司が職務上の命令を出せば、それは法律の効果ということでなくて、その上司の職務上の命令に根拠を置いてそれに従わなければならないという効果が出てまいります、こういう趣旨でございます。 その点は、実は今度の法案が成立しようとしまいと、きょう今日でも、合理的な理由があって役所の上司が下僚に対して、元号で公文書をつくれということをもし職務上の命令を出せば、当然それは公務員法九十八条の規定の適用がありますので、それに従わなければ、場合によっては懲戒ということも理論上はあり得るという法律論を申し上げたわけでございまして、決して再々申し上げている、今度の法案と使用の強制とがその結果として出てくる、その使用の強制が法案の効果として出てくるというような趣旨で申し上げたことではないわけでございまして、これはかみ砕いてお話しすれば当然おわかり願えることだと信ずるわけでございます。
○柴田(睦)委員 わかりませんな。現在は法的な根拠がない。だから昭和を使えというようなことは言えないはずです。だから法制化する、そういうことになれば、そういうことから昭和を使えという命令を出せる、こういう解釈だろうと思うのです。そういうことが出てくるのだと思うのです。公務員の場合に西暦を使うさまざまなケースが実際はあり得るわけです。教師が教育の場で西暦を使ったり、研究者が研究レポートの中で西暦を用いたり、外務公務員が外交文書で西暦を用いるのは当然であります。これらに対して一般的、包括的に元号を使えという職務命令を出せないことは当然であるわけです。こういう人たちに対して、いつでも何らの限界も明らかにしないで、一般的、包括的な使用命令を出せるという考えを持っておられるのかどうか、こうした命令に従わなかったということで懲戒処分をなし得るという考えを持っておられるのかどうか、この点お伺いします。
○真田政府委員 だからこそ、先ほど合理的な理由があって職務上の命令が出た場合というふうにお断りを申し上げているのでありまして、外務公務員が外交交渉をするのに元号で言ったのではなかなか通用しないのであって、そういう場合にまで職務上の命令が出るなどとは毛頭考えておるわけではないのです。先ほど申しましたように、役所における統一ある、かつ効果的な行政の運営のために必要があるという合理性がある場合に、職務上の命令が出れば、それは従わなければならない、それはちょうど現在物好きな役人がいましてかたかなを使っている、それじゃ非常に役所の書類の整理上困る、皆さんひらがなを使ってくれという命令を出すことだって場合によっては理論上考えられるわけなんですね。それと同じことなのであって、役所の合理的な事務運営のために必要があって職務上の命令を出せば、それはそれに従わなければならないのは公務員としてあたりまえのことなので、政府が前々から言っている主張と矛盾するわけでは毛頭ございません。
○柴田(睦)委員 ひらがなを使えなんという命令を出したって、いまはそんな命令には従わないのはあたりまえでしょう。元号法制化と公務員の元号使用問題、この関係については問題が非常にあるわけで、長官の意見はどうしても納得できませんし、こうした問題については法律家を参考人として呼んで徹底した審議を尽くすべきであります。これも委員長、理事会で検討してもらいたいと思います。この問題については結論が出るまで質問を留保いたします。
○藏内委員長 柴田君に申し上げます。結論をお急ぎください。(発言する者あり)——静粛に願います。
○柴田(睦)委員 法制化しても強制しないという政府答弁が、法制面から見てもそのまま受け取れないわけです。毎日新聞の世論調査でも明らかなように、多くの国民、六〇%ですが、法制化による強制を心配しているわけです。国民の多くは元号存続に賛成でも法制化に賛成していないのは、法制化による強制を敏感に感じ取っていることのあらわれであると思います。 そこで伺うのですが、政府は使用を義務づける明文がないこと、罰則規定がないことを挙げて強制しないことの論拠としておりますが、これはごまかしだと思うのです。罰則規定のない憲法の例によっても明らかなように、法律が法的拘束力を持つ、これは原則ではないでしょうか。
○真田政府委員 一口に法律とおっしゃいましてもいろいろございまして、罰則があるから法律だ、ないから法律でないというような話は私は聞いたことがないので、国会は衆参両院をもって組織する、罰則も何もないのであってこれはりっぱな法律なんですね。今度の法案ができますと、もちろん罰則もないし、元号を使わない、西暦で書いた契約は無効だというような効果が出てくるわけでもないし、さればといって法律でないということはないので、国会で議決されれば法律になりまして、これはどういう効果が出るかと言えば、それは憲法七十三条第一号によりまして、内閣は法律を誠実に執行しなければならないということで、今度の法律案が成立した場合の元号法の本則第一項によって、政府は改元の事由が出た場合には改元をしなさいという効果が出てくるわけなんです。また逆に言えば、それ以外には改元はめったにやっちゃいけない、あるいは公式の元号は使用の強制はしないが、しかし、今度の法案が成立した場合の法律に基づいて定められるのが正式の元号であって、昔、私元号とか大化の改新の前に九州あたりでは九州元号というのがずいぶんあったようなんですが、そういったたぐいのものは認めませんという趣旨は出てくるわけなんですね。ただ言いたいことは、今度の法案が成立した場合の元号法によって定められる元号の使用は、法律そのものの効果としては強制しないのだ、それが実はポイントなんで、それを繰り返し、繰り返し申し上げているわけでございます。公務員の場合は法理がまた別でございます。
○柴田(睦)委員 年齢計算ニ関スル法律というのがあるわけですが、これは一般国民に対して何も法的拘束力はないという解釈ですか。
○真田政府委員 ちょっと聞き漏らしたのですが、年齢計算の方ですか、唱え方の方でございますか。
○柴田(睦)委員 年齢計算ニ関スル法律。
○真田政府委員 年齢計算は出生の日から計算するということそれ自体は、なるほど非常に簡単な条文なんですが、これはもろもろの法律と相まってその法律効果が出てくる、こういう関係になります。
○柴田(睦)委員 そこを聞いているのです。元号法案がもし通れば、ほかの政府の命令、行政の命令、そうしたものとの関係でずっと強制力が強まってくる、これと同じような問題になっていくということを指摘しているわけです。 それから、法制化された以上、公的機関が元号を使うのは当然であるという法理を政府は展開しているわけですけれども、法制化された以上、一般国民が元号を使うのは当然であるということを言い出しかねないという不安を先ほどの世論調査でも言いましたが、そういうことを言わないという保障はあるのかどうか、お伺いします。
○清水政府委員 御指摘のとおり、法制化が行われましても使用の問題については現在と同様の関係にあるということを再三申し上げているわけでございますので、私どもとしては使用についていま以上に、たとえば強制をするとかいうようなことは毛頭考えておりません。
○藏内委員長 柴田君に申し上げます。 時間が大分経過いたしておりますので、結論をお急ぎください。
○柴田(睦)委員 この点について早稲田大学の有倉遼吉先生は、 「法律であることから」国家機関や地方公共団体を拘束する、とする一方、「元号の性質」から国民を拘束しない、という。そこにいう「法律」から出てくる拘束性と、「元号」から出てくる非拘束性との限界はまことに不明確なのである。地方公共団体は国と別個の法人格なのであるから、「法律」であることから当然拘束性が出てくるとはいえないのではないか。地方公共団体について当然拘束性があるというのなら、国民についてもそうだとする可能性もあることとなる。 こう鋭く政府の答弁についての問題を指摘しているわけですけれども、国民についても当然拘束性があるとする可能性は皆無である、こう言えますか。
○清水政府委員 一般の国民に対しまする問題につきましては、再三申し上げておりますとおり、全くこの法案によって何ら新たな拘束なり義務づけを生ずるものではございません。
○柴田(睦)委員 有倉氏は、やはり「現実に有権的に通用するのは政府の解釈だ」としておって、「政府解釈は時勢に応じて変転する可能性があり安定性を欠く。いつなんどき政府解釈がかわって国民を拘束することにならないという保障はない」、こう指摘しておられます。未来永劫、絶対に国民に使用を強制しないと断言できるのか、政府の解釈は絶対に変わらないというように言えるのか、その保障があるのかということ、お伺いします。
○清水政府委員 この法案自体に明らかなとおりでございますので、使用の問題につきましては、私は、将来ともこの法案によって拘束を云々するということは、一般国民に対して、内閣がかわったからといって今度はその見解が変わるというようなことはあり得ないことだと思います。
○藏内委員長 柴田君に申し上げます。 後の質問者の関係もございますので、結論をお急ぎください。
○柴田(睦)委員 この部分につきましても、これは重要な法律解釈の問題ですから、法律家を参考人として呼んで徹底的に審議するように要求いたします。理事会でよく検討してもらいたいと思います。結論が出るまで残余の問題についての質問を留保いたします。 委員長から大分催促がありますけれども、大分飛ばして急いできたんですけれども、まだ問題がたくさんある。 文化問題です。元号があたかもわが国固有の文化的伝統であるかのように称している問題です。政府は、元号はわが国固有の文化的伝統などと言って、これを元号法制化の論拠の一つにしておりますけれども、わが国の元号制は中国から輸入されたものであって、固有の伝統とは言えないのではないかということ。
○清水政府委員 政府といたしましては、現在の国民が現になじみ、定着をしております、将来に対しましてもその元号の存続を望んでおります、そのような事実を踏まえまして、そのための手続についてこの法案をお願いをいたしておるわけでございます。もちろん、わが国におきまする元号の歴史は、御案内のとおり千三百年という長い歴史を持っておりますし、さらにその由来は中国から来たということも、これは事実でございますけれども、もうそれだけ長い歴史の中でこれはわが国独自の文化の中に定着をしているということも、また言えるかと思うわけでございます。 ただ、政府といたしまして、特にこれが文化的何々であるということを法案の格別の理由に申し上げていることではございません。元号というものが国民の中に定着しているというその事実の背景にはさらにそうした歴史があるということは、私どもも認識をしているということであろうと思います。
○藏内委員長 柴田君に申し上げます。 委員会の運営は理事会の協議に基づいて行っております。後の質問者もございますので、結論をお急ぎください。
○柴田(睦)委員 では、急いでやります。(発言する者あり)だから、私の方は時間ということについては合意しておりません。 伝統文化という点についてですけれども、江戸時代を見ても、公文書以外日常生活では庶民は、えとを使っておりましたしたとえば、いまでこそ天保の飢饉というようなことを言いますけれども、当時の農民や庶民が申年の飢餓と呼んでいたことは歴史的にも明らかであるわけです。江戸時代の元号は一、二年で変わったものも多く、一般庶民の日常生活ではほとんど用いられていないわけです。元号制は一部の支配階級の伝統ではあっても、広範な一般庶民の日常生活に根差した伝統文化ではなかったことは歴史学界の通説であると思うのですけれども、これを通説と認めるかどうかということ、それから、この法案は元号の歴史的伝統を受け継いだものと言えるのかという問題で、一世一元は明治以降のことで歴史的伝統でも何でもないわけです。創設以来千三百年間一貫して天皇が勅定してきた元号を内閣が決めるというのは、これまでの歴史と伝統とは全く異質ではないかということ、いまの点二つ答えてもらって、結論を申し上げます。
○清水政府委員 江戸時代におきましても、一般の国民の間で使われていた事実があるということは、私どもも歴史の勉強等において承知はいたしておりますが、ただ、歴史学の通説云々の問題につきましては、私どもは、むしろそれよりもごく常識的に、長い間で定着してきたというそういう歴史的な経過を尊重をいたしたい、このように思うわけでございます。 一世一元自体の問題につきましては、長い元号の歴史の中におきましては、そういう時代もございました。しかし、多くはそうでなかったことは、これはおっしゃるとおりでございます。しかしながら、それは先ほど申しましたように、やはり明治以降におきましてむしろ合理化された面があるというふうに受けとめることができると思います。いずれにいたしましても、元号が伝統という場合には、それはやはりわが国における紀年法として生々発展してきたという側面は、これは一つ伝統というようなことに値するのではないかと思いますけれども、私どもとしてこの法案について申し上げたいことは、現実に国民の大多数がこれをなじみ、使い、将来の存続を希望しておるこの願望を踏まえての御提案であるということでございます。
○柴田(睦)委員 たびたび催促されましたので、結論に入ります。 現在わが国では、西暦であれ、元号であれ、生活上の便、不便、世代や慣習、生活体験の違い、歴史観や天皇観の違いなどによって多様に使われております。多数の国民は、その存続には賛成でも法制化には賛成しておりません。わが党は、元号の慣習的使用に反対するものではありませんし、昭和後の元号問題についても、現在の慣習的使用の延長として憲法の範囲内で法的拘束力を持たない適切な措置を検討する用意があります。しかし、いかなる紀年法を国民が用いるかは歴史と国民自身の選択にゆだねるのが道理であり、これを将来にわたって固定的に法律で拘束すべきものではないと考えております。これまでの政府答弁でも明らかなように、この法案と憲法との関係、法制化による強制問題、一連の政治反動とのかかわりなど、この法案をめぐる疑惑と問題は、これを強引に進めようとする勢力にはないと強弁して言っておりますけれども、これは客観的には疑惑と問題がたくさんあって、解明されていないわけです。このままの状態でこの法案をごり押しすることは絶対に許せないと思います。この点についての政府の明確な答弁を願いたいということと、それから留保した問題を除いて終われということですから終わりますが、留保した諸点については、理事会で慎重に検討するようお願いいたしますし、その点についての委員長の見解も伺っておきたいと思います。
○三原国務大臣 お答えをいたしますが、元号は、先ほど来るる申し上げておりますように、国民の存続願望、大多数の国民の存続願望にこたえて、政府の責任においてこれをだれが決めるか、いかなる時期に決めるかというようなことを決定することの基本的なルールのない元号は、将来におきましては空白になるような時期も到来するというようなことが予知できますので、そういう点でいかなる方法かでその基本的なルールを決めなければならないわけでございます。 それには、大別すると内閣告示というような方法もございますし、また、いま審議をお願いをいたしております法制化というような方法、この二つになってまいるわけでございます。いま共産党におかれては、そうした意味での事実たる慣習としてのこの元号については、自分たちも反対をするものではないというお言葉がございましたが、そうしたことを考えてまいりますれば、事実たる慣習としては賛成をすると言われますけれども、事実たる慣習がいつかのときに改元をせなければならないという事態に遭遇する。それを、いま申し上げましたような二つの方法があるが、その選び方につきましては、最も民主的な方法である国会の場において決めていくことが政府の責任としてはとるべき措置であろうというような見通しと申しますか、決意のもとに、今回の法制化をお願いしておるわけでございます。 法制化のための元号ではございません。あくまでも国民の要望にこたえて、その道を、元号制度的なものとして法律にゆだねていこうということで審議をお願いをいたしておるところでございますので、御理解を願いたいと思うのでございます。また、将来に対しまして、これを国民に強制をするというようなことはございません。現在のままの状態で使用願ってまいるという方針でござ いますので、この点もひとつ御理解を願いたいと思うのでございます。
○藏内委員長 柴田君の御要望については、理事会において検討いたします。 中川秀直君。
○中川(秀)委員 私に与えられました質疑時間は二時間、百二十分でありますが、できる限り繰り返しの論議を避けまして、要領よくお尋ねを申し上げますので、御答弁の方も明快に、かつまた要領を得た御答弁を願いたいと思うのであります。 〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 まず、私ども新自由クラブといたしましては、元号につきまして、その文化的、伝統的な価値を尊重し、かつまた、元号の存続使用が国民の八割を超える支持を得て国民生活に定着しているということ、同時にまた、元号を改める、その改元について、事実たる慣習として確立をしていないという立場から、そしてまた、憲法の国民主権制の立場から、元号は国会で法的根拠を与えた上での制度の安定化を図るべきである、こういう立場から元号の法制化に賛成の立場をとっておるわけであります。 しかし、現行憲法下の元号は、何よりも国民のための元号あるいは国民のための元号制度、またその元号それ自体も国民に親しまれ、愛される元号にならなければならないと思うのであります。従来の元号が天皇元号とでもいうものとするならば、これからの年号は、私は国民元号というものにしなければならないと思うのであります。単なる一内閣の内閣元号にしてはいけないと思っておるわけであります。その点、いま御提案になっておられます政府の元号法案は、きわめて簡単なものであって、その運用についても不明確なところが多いと思います。また、最近の世論調査も検討いたしますならば、幾つかの問題点がないわけではありません。さらに、文化の国際交流の視点からも、元号の使用は国民に絶対に強制してはいけないと思うのであります。こういう点から、順次御質問さしていただきたいと思うのであります。 まず最初に、元号の持つ文化的価値というものについて政府はどのようにお考えなのか、お尋ねをしたいと思う。 現在、多くの識者、命者が元号の文化的価値について論じております。西暦がキリスト教文化の象徴とするならば、その意味では、元号は日本文化の象徴と言える。加えて、先日の参考人の方々の意見陳述でも、この点の議論や意見がなされたわけでありますけれども、千三百年の歴史があるその元号、その長い間、元号というものを共通に使うことによって、国民が同一の日本の文化、社会に属しているという、そういった帰属意識や一体感の涵養に大きな役割りを元号が果たしてきたことも事実であります。そういうことを総合いたしまして、政府としてはどのような見解を持っているのか。もし文化的価値を認めるのであるならば、どのような点であるのか、あわせてお尋ねをしたいと思います。さきの衆議院本会議における当法案の趣旨説明の際に大平総理は、そのようなことについては考えていないのだという御答弁でありました。私は、その御答弁もはなはだ明快さを欠いている御答弁だと思うのです。この際、政府の見解を伺っておきたいと思います。
○清水政府委員 御指摘の問題でございますが、政府が現在の法案を提案いたしておりますその直接的な提案理由につきましては、国民の願望に沿うためのものであるということを申し上げているわけでございますが、元号自体がわが国の長い歴史の中で、その変遷の過程の中で国民の間に定着をしてきた、そういう共通の紀年法というものを有することによりまして、ただいま御指摘のような国民の心理的な面と申しますか、そのような面におきまして、たとえば一体感というようなものの醸成にも資していたというようなこともあったという、そういう点については、やはり同感でございます。 そのようにしてわが国独自のものを育ててきた。そのようなことが全体として、やはりこれはわが国の文化であるということも同感でございまして、そういう意味におきまして、政府が文化というものを特に定義する立場にはございませんけれども、先生を初めそのような見解がわが国の元号について持たれているという点については、私どもとしても同感に思うわけでございます。そのような背景があるということが、今日におきまして、戦後三十年以上にわたってまさに事実たる慣習という形で国民の間に現に親しまれ、定着をしているということのまた基礎であると申しますか、背景であろう、このように思うわけでございます。
○中川(秀)委員 同じようなお尋ねになりますが、元号そのものが日本の国の統合の象徴だとする見解があるわけです。この見解を政府としてはどう評価され、そしてまた評価されるとするならば、今回の元号法制化による元号存続との関係をどのようにお考えになるのか、お尋ねをしてみたいと思います。
○清水政府委員 大変むずかしい御質問でございますが、これは私として考えますことは、わが国民が一つの独立国を形成いたしまして長い歴史を経てきております。このような現実というものは、いろいろの要因によって総合的に積み重ねられた結果であろうと思うわけでございます。その中には、元号という共通の紀年法の尺度を持ってきたということももちろんその中の一つの要因であり、あるいはまた結果であったということが言えるかと思いますが、いずれにいたしましても、元号の持つそのような心理的な面というものは十分尊重に値するものであろう、このように思うわけでございます。
○中川(秀)委員 そのことと、今回の元号法制化による元号存続との関係はどういうことになりますか。
○清水政府委員 失礼いたしました。 そのような国民の現在の願望と申しますか、強い希望といたしまして、このわが国独自の紀年法である元号について、現在のみならず将来にわたってもこれを存続させてほしいという願望が強いということでございますので、その点を政府としては尊重いたしまして、その方法について今回のような法案をお願いを申し上げている、このようなことになろうかと思います。
○中川(秀)委員 さて、その元号ですが、その法的根拠についてもすでにいろいろな質疑がなされたわけであります。現行憲法以前には、行政官布告とか旧皇室典範あるいは登極令によって法的根拠があった。政府は、現行憲法以前の法的根拠は、現行憲法施行の直前に公布された、皇室典範及皇室典範増補廃止ノ件及び皇室令及附属法令廃止ノ件により、昭和二十二年五月二日限りで廃止されたという見解をとっておられる。あるいは行政官布告、明治元年のものについても旧皇室典範に吸収された経緯があって、すでに失効しておる、こういう見解をとっておられるわけであります。そして、そのような法的根拠がなくなった現在の昭和は、事実たる慣習として使われているんだ、そういう見解をとっておられるわけであります。 改めてその点についてはお伺いをいたしませんが、しかし改めて確認をする意味でさらに一歩進めてお尋ねをいたします。 実は、この議論が今回の法制化が必要であるかどうかという議論ときわめて重要なかかわりを持つわけでありますので、改めて確認をさせていただきたいわけでありますけれども、では事実たる慣習というのはどういうことなのか、慣習法というのが法律論としてあるわけでありますけれども、その事実たる慣習と慣習法とはどう異なるのか、法制局長官、ちょっとお伺いをしたいと思います。
○真田政府委員 お答えいたします。 法律学の上で事実たる慣習あるいは慣習法という言葉がございますが、もともと慣習というのは、人が社会生活を営む上において行われているしきたりと申していいのだろうと思うのです。そのしきたりが非常に固まりまして、世間の人がそのしきたりに従わなければだめだという法的確信を伴うほど固まったもの、それは慣習法という範購に入れて理解されているのだろうと思います。そういう法的確信を伴うまでには至らない、幾らかやわらかい慣習があれば、それが事実上の慣習というふうに理解しております。
○中川(秀)委員 そうすると、現在の、現時点の昭和元号は人々が法的確信を持つに至ってない程度の慣習である、こういうことになるわけですね。 では、その法的確信を持つに至っていない現在、現時点の昭和元号は期限がついていないわけですから、その存続期間と現在の天皇の御生涯とは関係がない、そのために昭和という元号は将来も続くというかなり有力な説がありますね、宮津俊義先生ですか。これはどうなんですか。これは事実たる慣習として成立をしているのですか、いないのですか。
○真田政府委員 その点は、ただいま申し上げました事実たる慣習の基礎になっている国民の受け取り方といいますか理解、イメージ、それの内容だろうと思うのですね。もし、いまの国民が抱いている事実たる慣習の基礎になっている理解の仕方が、この昭和に限らない、将来ずっと同じいまの昭和の年号が続くのだというような理解であれば、いまおっしゃったようなことになるのですが、私たちはそうじゃなくて、いま国民が抱いている事実上の慣習の基礎になっている国民的な感情、感覚、イメージというのは、やはり現在の天皇が御在世中は、昭和という年号を用いるのだという内容の理解の上に、事実上の慣習として昭和の年号が通用しておる、そういうふうに理解しているわけでございます。
○中川(秀)委員 とすれば、その事実たる慣習の基礎になる国民の理解、これも言ってみれば事実たる慣習の主要な内容の一部ですね。当然そういうことになると思いますね。その主要な内容の一部は、少なくとも昭和という事実たる慣習の内容としては、現在の陛下の御在世中は使用するという認識、これが内容になっている、こういう御答弁であるわけですね。万一、陛下が崩御された後には使われない、こういう内容になっているという御答弁ですね。そうすると、これはいわば一世一元。一世一元が事実たる慣習、こういうことになりますね。 もし一世一元が事実たる慣習ということならば——この点については御答弁いただきたいのですよ、事実たる慣習というのならば、一世一元の制度自体に事実たる慣習が成立しているのだから、これに基づいて新元号を制定できるのではないかという説もある。おわかりになりますか。いま続いている、いま現行憲法下で昭和が使われている、これは事実たる慣習だと政府はおっしゃっている。この昭和といういまの元号は、いま法制局長官の御答弁では、陛下がお亡くなりになったらもう使われなくなるという国民の認識が基礎にある、それはいわば事実たる慣習の中身である、こういう御答弁です。それはどう考えたって一世一元ですね。そうすると、一世一元そのものが事実たる慣習になっているのだから、その事実たる慣習が成立しているのだから、それに基づいて新元号を制定することができる、法律学者の中にそういう説を唱える人がいるのです。これについてはいかがですか。
○真田政府委員 御質問の中身をもう少し詳しくおっしゃっていただかないとちょっとわからないのですが、事実たる慣習の内容としては一世一元ということに現実にはなるというふうに思っているわけなんですが、だから現在の天皇が御在世中でも何か新元号をつくれるということでございますか……(中川(秀)委員「違います」と呼ぶ)そうじゃなくて、いまの事実たる慣習をもとにして、そして現在の、恐れ多いことでございますが、陛下がお亡くなりになって新しい天皇が御即位になった後においても、事実たる慣習として元号が使えるのではないかという……(中川(秀)委員「制定できる、新しく改元ができるか」と呼ぶ)といいますか、それはいまの事実たる慣習の中身ですが、それはでき得るかもしれません。しかし、その場合に、じゃどうやってつくるか、だれがつくるか、どういうルールでつくるかということがまた問題になるわけなんで、それを解決しなければ、実はいまおっしゃったような内容の事実たる慣習がありとしても、現実にはその運用はできないわけなんですね。 どういう方法でだれが新元号を決めるかというルールが決まっていなければ、それは実は中身がもぬけのからみたいになるわけなんで、そこで何らかの手当てが必要である。その手当てとして幾つかの手段が考えられる。それは内閣告示でやってもいいかもしれませんし、あるいは法律で決めてもいいし、法律の委任に基づいて政令で決めてもいい、そのうちのいろんな選択が考えられますが、いまのお手元に差し上げている、御審議を願っている法案のような中身が最も合理的であろう、しかも民主的であろうということで法案を起草した、こういう関係になろうかと思います。
○中川(秀)委員 法制局長官、私は、そんな長官ほど法律の専門家ではありませんが、いまの御答弁はいろいろ問題を含んでいると思いますよ。もし改元そのものが事実たる慣習として成立しているということになれば、それに基づいて改元したらいいじゃないかという議論が当然出てくる。すでにそういう説を唱えている人もいるのですよ。政府がおつくりになった想定問等集にはこう書いてあるのですよ。「手続が空白で改元が行われていないので改元には事実たる慣習または慣習法が成立してはいない」、違うじゃありませんか。はっきり正確に御答弁にならないと、これはちょっと学界にも波紋を呼びますよ。
○真田政府委員 私の真意は、現在行われている事実上の慣習の中身は、現在の陛下の御在世中は昭和である、昭和を使うんだ、昭和が通用するという事実上の慣習がある、こういうことなんで、もしある説がありまして、そして事実たる慣習の中身は、将来にわたってもし皇位の継承があっても、その後も何か事実たる慣習が続くんだというふうな説が仮にあるとした場合には、今度は新元号をだれがつくるかということが問題になりますよ、こういうことなんです。現在行われている事実上の慣習が、現在の陛下の御在世中は昭和というものを使いましょうという事実上の慣習であるというその中身をとらえれば、なるほど一世一元なんですね。だけれども、いまの事実上の慣習の中身はそういう意味の一世一元であって、将来の新天皇のもとにおいてそういう慣習があるいはあるという説もあるかもしれませんが、しかしそれでは具体的にどういう元号が通用することになるか、そのルールがないじゃありませんでしょうか、こういうことなんです。
○中川(秀)委員 先ほど長官は、私が、一世一元も事実たる慣習になっているか、もしなっておれば、改元も事実たる慣習に基づいてできるのではないかという説がある、これはどうなんですかと聞いたら、それはできるかもしれないとおっしゃった。後で速記録をよくお読みになったらおわかりになりますよ。これはできるかできないかということは、法制局としてきちっと見解を出しておかなければいけませんよ。改元も事実たる慣習でできるなら、なぜ法制化する必要があるんですか。そうじゃないでしょう。これはきちっと政府見解を出してください。重要問題ですよ。先ほどは事実たる慣習に基づいて改元もできるかもしれない、法律論としてどうなんですか、政府の御見解は。しっかりと答えていただかないと困る。
○真田政府委員 現在の事実上の慣習の中身は、現在の天皇が御在位中は昭和の元号が通用する、それをみんな使いましょうという内容であるという理解をすれば、そういう意味合いにおいて一世一元なんですね。それで新天皇の時代になった場合になお続くという説が仮にあるとすれば、それは改元ということも考えられるでしょうが、しかし、それは現実の問題としては、だれが新元号をつくるかというルールがなければ宙に浮いた議論になってしまうのじゃないでしょうか、こういうことなんです。
○中川(秀)委員 長官にいま一度改めて御確認をいたしますが、その辺を余りあいまいな御見解にしていると、法制化は要らない、慣習でやればいいじゃないかという議論が、先ほど当委員会でも行われたように行われるのです。法制局としての見解をきちっと出してもらわなければ困る。改元は事実たる慣習になっているのか、または慣習法が成立しているのか。事実たる慣習は民法第九十二条ですね。慣習法は法例第二条にちゃんと定義されている。改元そのものもこの民法第九十二条に定義するところの事実たる慣習になっているのか、あるいは法例第二条の慣習法として成立しているのかどうか、これは法制局としてきちっと見解を出してもらわなければ困ると言っている。余りあいまいな答弁をしていると、この辺から議論が分かれていってしまう。先ほどの事実たる慣習で改元もできるかもしれない、そんないいかげんな答弁じゃ困るのです。
○真田政府委員 御質問の趣旨がはっきりいたしましたので、そこでお答えいたしますが、現在われわれの認識のもとにある事実上の慣習の中身は、現在の天皇が御在世中である、そういう意味合いにおいて一世一元という慣習であろうというふうにおっしゃったから、そのとおりでございます。それでその次は、それからが問題なんですね。それから中川委員はこういう説もあるのじゃないかとおっしゃるから、もしそういう説があったとしても、新しい元号をつくるルールがないから、それは現実の問題としては空論になります。ということは裏を返して言えば、私たちの認識のもとでは現在のままほっておくと、現在の陛下がもし崩御されたというようなことが将来あれば、そのときから実は元号制度が空白になってしまう。そこで何とか手を打っておかなければいけない。それで世論調査がいろいろ行われて、国民の非常に多くの人が将来にわたって——将来にわたってというのは、つまり新天皇、新々天皇の時代になってもやはり元号制度は存続したいという願望が非常に国民の間に強い。これは政府としては尊重しなければならないので、それで元号制度は存続しましょう、それが事の本質なんです。そこで、その次に例の方法論が出てきて、現在の憲法のもとでは、改元は民主的な方法によって国会の御委任を受けて政令で決めるというのが一番合理的であり民主的である、そういう理解のもとに法案をつくった、こういう次第でございます。
○中川(秀)委員 法制局長官、法制局長官としての御答弁をしていただきたい。つまり、改めてお伺いをいたしますが、一世一元というところには、一世が終わりましたら改元というものがあるのです。元号を新たにつくるという手続があるわけですね。そうでなければ一世一元にならないでしょう。その手続そのものは、事実たる慣習が成立しているのか、慣習法が成立しているのかどうか、それについて明快な政府の見解を出していただきたい、さっきからこう言っているのです。質問の趣旨がわかるわからないじゃなくて、そうお尋ねをしておる。法制局長官は、今度法案を出した意味合いなんかについて御答弁をいただくよりも私の質問に答えていただきたい。それはどっちなんですか、成立しているのですか、していないのですか。
○真田政府委員 現在の陛下がもし崩御されるということが起きました場合には、それは元号の制度は空白になります。つまり、事実上の慣習はもう働かない。現実にはそこで空白になって、事実上の問題は、しようがないから西暦などを使うことになるのだろうと思いますが、相当の混乱を生ずることになるだろうという心配がございます。そこで、いまのうちに新しいルールを民主的な方法でつくっておいた方がよろしい、こういうことでございます。
○中川(秀)委員 そうしますと、この議論をしておると何時間でもかかってしまいますが、——レクチュアしているから、また後で聞きましょう。よく私の趣旨を伝えてくださいよ。
○真田政府委員 お答え申し上げます。 現在の国民の感覚のもとにおいては、先ほど申したような事実上の慣習はございますが、新しい元号をつくる、改元をするということまでを含めた意味の事実上の慣習はない、したがって空白になる、こういうことでございます。
○中川(秀)委員 そういうふうに最初からはっきりおっしゃっていただければ議論が分かれない。そこの辺をあいまいにしておくと、法制化なんかする必要はない、内閣告示も要らない、事実たる慣習で続ければいいじゃないか、先ほどもこの委員会で、改元そのものもそうやる方法もあるかもしれないという御質疑があった。議論が分かれていく。やはりきちっとそういう議論をしておかなければいけない。 実は、なかなかそういうお答えが出てこなかったけれども、民法第九十二条に定義するところの事実たる慣習は、現在の昭和元号は昭和天皇が崩御されるまであるのであって、その後、一世一元で、新天皇が即位をされたら元号をまた新たにつくる、それは法に基づかなくても何しなくてもできるという事実たる慣習というものは成立していないのだ、昭和を使うということについては事実たる慣習は成立していますよ。その見解は私、支持します。だけれども、今度天皇陛下が新しくかわられた、かわられるたびに改元すること自体も事実たる慣習として成立しているかどうか、大事な議論なんです。それは成立していない、いま法制局長官の言われたとおりに私もそういう見解をとるものなんです。これははっきりしておかなければいけないと思ってお尋ねをしたわけなんです。だからこそ、法制化にせよ内閣告示にせよ、このどちらがいいかは後ほど議論いたしますけれども、いま改元の手続について何らかの措置をしなければいけない、そういうことになるわけですね。総務長官、そういうことでいいんですか。——うなずいておられるからいいということにいたしますが、私は、そうしたいまの元号の不安定さも考慮して、このたび政府が元号の法制化を決意したのであろうと理解をしておるわけです。 そこでまず、政府の元号問題に対する基本姿勢を伺っておきたいと思うのですが、私は、冒頭私の基本姿勢を申し上げたとおり、元号というのは何よりも国民のための元号という観点を忘れてはいけない、こう思うわけであります。歴代の総務長官は、元号問題を扱う際に、国民の動向、国民の意思を尊重する旨、幾たびも表明をされました。総務長官にお伺いしますが、依然このような姿勢にお変わりありませんか、いかがですか。
○三原国務大臣 そのとおりでございます。国民のためによい元号を選定いたしたいという願望には変わりありません。
○中川(秀)委員 なぜという言い方が正しいかどうかわかりませんが、あえてなぜと申し上げますけれども、では、なぜ元号について法制化なり内閣告示なりいずれにしても改元について、元号を改めるその法的手続あるいは方法について、いま現時点でそういう措置をとらなければならないかということについて、政府はなぜもっと国民に理解を深める努力をしないのか。国民の一部には、突然何か元号法案というのが国会に出てきていろいろな論議が交わされている、一体何でだろうか、何でそんな議論をしなければいけないのであろうか、面食らっている人だっているでしょう。あるいはその意味をはかりかねている人も実はずいぶんいらっしゃるのではないかという気がするのです。先ほど私は法制局長官とお話をしましたのは、つまり昭和は事実たる慣習として続いているけれども、改元そのものについて、その手続について事実たる慣習も何もない、だから、近い将来そういうことにもし万一なるかもしれないから、いま改元の手続その他について措置をとらなければいけないのだということで、こういう元号法案提出に至っているわけでしょう。そのことについて私は、もっと国民に理解を深める努力を政府がしなければいけないと思う。面食らっている人だっていますよ。 総務長官、お伺いをいたしますが、後ほど触れますけれども、各世論調査の結果から見て、いま元号法案が国会に提出をされ、審議をしているその背景というか、いまなぜそういうことをしなければいけないか、なぜ措置をとらなければいけなしいかについて、政府の国民に理解を深める努力が十分なされているとお考えになりますか、いかがですか。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 政府といたしましては、できるだけの国民への理解を得るための対処はいたしましたが、万全なものとは考えておりません。そういう点もまだ完全でないものもあるかもしれませんけれども、しかし、実際問題として大多数の国民が元号の存続を希望しておられるという事態、なおまた、都道府県の議会なり市町村議会等の強い法制化の要請、それから、これは申し上げにくいことでございますが、天皇も非常に御健康ではございますけれども相当な高齢におなりになったというような事態、そういうものを踏まえまして、政府といたしましては今日まで元号についていろいろ検討を進めてまいりましたが、時期的には今日国会にお願いをして、法律を提出して、改元についての制度的な手続法というようなものを明確にしておく必要がある、そういうことを判断をし、今日法案を国会に提出するということにいたしたのでございます。
○中川(秀)委員 審議室長にお伺いをいたします。 このままでは元号制度は空白になりますという、法的根拠なしの事実たる慣習で続いているわけですが、それもなくなります、このままでは元号は選定できません、内閣告示なりあるいは法制化なり、この点は後で議論いたしますが、いずれにしても、何らかの措置をとるような工夫をしないとなくなりますよということについて、国民に理解を求める努力というのは、たとえばどんなことをしてきたのですか。
○清水政府委員 その点のお尋ねにつきましては、具体的にそのことずばりについて何か大々的にPRをしたというようなことはなかったかと思います。そこには、やはり一つは陛下の御在世、それからその次のことというようなことがこの問題の一つのポイントになっているというようなことも心理的には影響があったかもしれません。したがいまして、私どもとしていたしましたことは、世論調査という形で、次の天皇の代になっても元号はあった方がいいと思うかどうかというような聞き方のアンケートを何回か繰り返して行ってまいったわけでございまして、その点は、まさに御指摘の面から言えば、多少奥歯に物がはさまったような感があるわけでございますけれども、そのような形でこの問題の所在に対して、言うなれば若干の意識は喚起したということはあったかと思います。
○中川(秀)委員 私は、今日、この事態でいろいろ元号問題について議論が交わされ、ある意味で不幸なことでありますけれども、意見が対立をしたりする、そのこと自体、いま室長が御答弁になったような、いわば奥歯に物がはさまったような心理的な遠慮というか、そういうものが今日のそういう意見が対立するようなことに無関係ではないと思う。というのは、少なくとも現行憲法になって、元号というものは事実たる慣習になった、そういう見解を政府もとっておられる。その事実たる慣習というのは、いわば国民のための元号というか、国民がそれを望んで慣習として使っているから事実たる慣習です、少なくともそういう割り切り方をしておくべきだった。とすると、次なる元号は、まさに先ほどお話ししたように、もう天皇元号のそういう法制下にはなくなったわけですから、当然国民元号としての何らかの措置をとっておかなければならないことは明白、いずれとらなければならないことは明白だったわけです。 そのことについて政府は、法律上のいろいろな観点からしさいに検討してみるとこういう空白になるんですよということについて、もっと国民に理解を求める努力をすべきだったと私は思う。あるいはいまからでもすべきだと思うのです。 〔村田委員長代理退席、委員長着席〕 今国会中、元号法案についていろいろ衆参両院で議論をされますでしょう。その間でもすべきだと思う。それがいまあらわれている各種世論調査等についていろいろ議論があるわけですけれども、そういうことにもいい意味で国民の理解を深めるという方向で影響がある、私はそう思うのです。いかがですか。
○清水政府委員 御指摘の御趣旨は、まことにごもっともだと思います。この段階になりますれば、私どもとしては、この国会における御審議、したがいまして、この質疑応答を通じまして、国民の方々に広くこの問題を訴えたい、そういうふうに思うわけでございます。 いずれにいたしましても、昭和の次というものは空白になるということは御指摘のとおりでございますので、私どもとしては、その点について、先ほども申しましたように、たとえば慣習的にというのは、方法としてこれは言うなれば空振りになるようなことでございますから、そういう点の国民の中における御理解というようなものを、ぜひそういう理解が広がってほしいというふうに念願をするわけでございます。
○中川(秀)委員 先ほど法制局長官も、最後には長官としての御見解で、改元そのものは事実たる慣習にはなっていない、こうはっきりおっしゃった。これからの国会審議を通じて、それは一貫した政府の見解である、私は堂々と発表すべきだと思う。ここで言うということは発表するのと同じですけれども、この問題については、まだまだいろいろな立場からのいろいろな議論があると思いますよ。しかし、それは政府の法的解釈として、確立された見解として、きちっとしておくべきだと思う。それはさっきのような、できるかもしれないなどという答弁では困る。生意気を言うようですが、私は困ると思う。それは変わらざる見解として、きちっとお通しをいただきたい。同時にまた、それについて国会の場を利用して、この段階に来たらPRをしたいんだというお話でございましたから、それはもう政府の見解なんだとはっきりさせておいてもらいたい。いかがですか、長官。
○清水政府委員 法制局長官が先ほど最後にはっきりと明言なさいました御見解が、即政府としての見解でございまして、御指摘のとおり、現在の昭和の次を決めるルールはない。したがいまして、このままでは元号自体が昭和の次は存続しなくなるという見解においては、政府は一致しておるわけでございます。ぜひこの点を国民の皆様にも御理解を賜りたいということを申し上げているわけでございます。
○中川(秀)委員 では、改元の手続、方式について議論を進めます。 かつて政府は、内閣告示の方式による元号存続の考えを表明したことがあるわけであります。近くは、昭和五十一年十月二十八日、西村元総務長官が国会でその考えを表明いたしております。ところが今回は、政府は元号法制化へと方針を変更したわけでありますが、これはどのような理由からでありましょうか。いままでの審議の中で同じような質問が出ておって、繰り返して恐縮でございますが、私も改めて後々の質疑がありますので、御確認をさせていただきたい。
○清水政府委員 いままでの経過の中で、一時的に当時の情勢のもとでは、そのような方法も一つの方法として考え得るということの御答弁があったわけでございますが、政府といたしましては、その答弁も含めまして、元号存続に対する国民の願望についていかにこたえるべきかというその方法、手段のあり方について慎重に検討を重ねてきたわけでございます。そのような検討の結果といたしまして、この元号というものが広く国民に使われるというような、そういう性格あるいはまた、そのようなものを決めるルールとしては、やはり現行法体制のもとにおきましては、国会における法律においてそのことを決めていただくというのが手順としても最も妥当であるというような考え方のもとに、今回の法制化をお願いするに至ったわけでございます。
○中川(秀)委員 先ほど私が、国民の理解を深める努力を政府がもっとしなければいけなかったということを御指摘申し上げましたが、それと同じようなお尋ねになって恐縮ですが、私も、元号のような国民が日常使用する、そうして将来も使用していくような重大な問題が単に内閣告示で決められてしまうことには反対なんです。それは言ってみれば、天皇元号から内閣元号へ変わっただけで、国民元号にはならぬと思います。それは天皇主権統治の明治憲法から国民主権、象徴天皇制となった現行憲法のたてまえからもおかしいと思う。元号と憲法の関係については、これは私は、総理が本会議の答弁で、主権の存する国民の総意に基づいて憲法は象徴天皇制を定めておるのだから、その天皇の在位期間に合わせて、紀年方式の一つである元号を改めるとしてもそれは違憲にはならない、そういう余地は生じない、こういう御答弁をなさっていますが、これは私どもも支持しております。同じ見解をとっております。したがって、この点については議論はいたしませんが、少なくとも内閣告示よりも法制化の方が現行憲法にもなじむ、むしろそれの方がフィットする、こう私どもは考えておるわけであります。 ところが、最近の世論調査では、法制化するほどのことはないとする意見が六四%、別の調査では四九%と多数意見であるという調査結果が次々と出ているのです。これはもうたびたびここでも議論をされました。 私は、この点についても政府は、内閣の告示と法制化の違いについて、たとえば告示では時々の内閣の判断により左右されるので、制度としての安定性に欠ける、あるいは告示では政府部内については元号の使用をはっきりさせることはできるけれども、たとえば国会とか裁判所とか他の国の機関に対しては協力を求めることができるにとどまる、あるいは先ほど私申し上げましたが、いささか法律用語にはなじまないかもしれないけれども、告示では新憲法のたてまえからしても、国民主権の原則の上で弱いなどという、法制化が必要であることの国民に理解を求める努力をもっとすべきだったと思う。十分だったとお考えになりますか。世論調査でこういう結果が出ていると、恐らく十分だとは言えないでしょう、そうはお答えしにくいでしょう。では、いまからでも遅くないから、私はもっと国民に理解を求める努力を政府はすべきだと思う、いかがですか。
○清水政府委員 私から先に答えさせていただきますが、御指摘の私どもの努力が十分でないという点につきましては反省をいたさなければならないと思いますが、内閣告示との違いの点につきましては、ただいまも御指摘のありましたこと、つまり安定性という問題もございますし、何よりも、内閣告示というのは、内閣が自分が決めるということを言っているわけでございますけれども、そういうふうに内閣が決めるものであるぞよということを法律の形で内閣に御委任をいただくことの方が、より筋道にかなっているのではないか、その方がまた元号というものの制度としても安定し、先ほどはまた明確ということも申し上げましたが、明確であると考えるわけでございます。その辺につきまして、ぜひこの質疑を通じまして国民の皆様方に御理解を深めていただきたいというふうに願望するわけでございます。
○中川(秀)委員 総務長官、この点については総務長官としての御見解も聞いておきたいと思うのです。 つまり、お聞き取りいただいていたと思いますが、いささか潜越かもしれませんが、法制化と内閣告示の違いについて国民の理解が十分とは私は思えない。少なくとも、政府は法制化の方針をお決めになった以上、そして国会に法案を提出する以上、告示と法制化がどこがどう違って、なぜ法制化が必要かということについてもっと国民に理解を求める努力をやるべきだった、十分とは言えないと思う。私は、いまからでも遅くないと思いますので、それをすべきだと申し上げたわけです。いま審議室長が御答弁になったのですけれども、総務長官にその点についての御見解を伺いたいと思います。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 先ほども申し上げましたように、万全というか十分でなかったということにつきましては、御指摘の点は私どもも率直に受けとめるべきであると反省はいたしております。 そこで、今後におきましては、こうした国会審議の場で御論議をお願いいたしますことも、大きく国民に対する理解と協力を得る一つの手段であろうと思いまするが、それ以外にも新聞社でございますとかテレビ等の座談会等にも、できるだけこれを利用して、今日までも努力をいたしましたが、今後もいま御指摘の点等踏まえてなお一層の努力を払うべきである、そう考えて対処してまいりたいと思うのでございます。
○中川(秀)委員 先に進みます。 これは国会のことでございますから、立法府が決めることでございますから、もし仮に法制化が実現しないような事態となった場合には、政府としては元号をどのようにお扱いになるおつもりですか。たとえば、再び内閣告示の方式に変える、戻るなどということをお考えでしょうか、いかがですか。
○三原国務大臣 お答えいたします。 この時点において、法制化が行われなかった場合にはというようなことは、いまのところ考えてはおりません。是が非でも今国会において御審議を賜り議了していただきたい、そういう心境なり決意でおるわけでございます。それに向かって最大の努力を払ってまいりたいという所存でございます。
○中川(秀)委員 立法府が独自の判断をするわけでありますから、これは分けて考えなければいけないと思います。もし法制化が行われない場合、また内閣告示の方式でやるなどということはお考えにはならない、あくまで法制化を目指して努力を続けていく、仮に今国会、法制化が無理であったという場合でも、あくまで法制化の方針を動かさないでやっていく、こういうふうにお考えなのかどうか、いかがでございますか。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 重ねて申し上げるようでございますけれども、ぜひこの国会で議了し、可決をしていただきたいということは、終始一貫した心境であり、お願いでございます。しかし、私は国会審議の良識なり国会を信頼をいたしておりますけれども、これが法制化がいろいろな問題を起こし、審議が渋滞いたしましても、またいかなる事態になりましょうとも、あくまでも法制化で貫いてまいりたいという決意は変える考えは毛頭ございません。お願いをいたしたいと思います。
○中川(秀)委員 その点はわが党としても同じ見解を持っておるわけでありますので、念のため申し上げておきたいと思います。 ところで、政府が提出した法案について、さらに進めさせていただきます。 これはきわめて簡単なものであります。「元号は、政令で定める。」元号を定めると申しても、そんな簡単なものではないと思う。いつ、だれが、どのようにして決めるか、これでもう三点ありますね。いつから使用開始するか、これで四点。少なくとも「元号は、政令で定める。」という条文の中に、合わせて四点問題がある、つまり議論しなければならない点がある。こうした四点をすべて政府の一方的な判断にゆだねよということなのでしょうか。 私は先ほど、冒頭に、私どもの立場を明らかにさせていただきましたけれども、単なる内閣元号に終わらせない、昭和の次にどういう文字が使われてどうなるかわかりませんが、その元号そのものを単なる内閣告示に終わらせないで、国民のための、国民に愛される元号にしなければならないと思うのであります。国民元号にしなければいけないと思うのであります。そのためには、元号の選定並びに元号制度の運用について相当の努力が要るだろうと思う。いかがでしょうか。
○三原国務大臣 お答えいたします。 御意見のとおり考えておるわけでございまして、先ほど来御意見がございましたように、国民のためによい元号を選定をいたしたいということでございます。これが選定に対しましても十分な配慮が必要であり、運用についても同様でございます。 そこで、まず選定につきましては、先般もこの問題に触れてまいりましたが、まずこの何人かと申しますが、できるだけ国民の御意思を代表するような範囲における学識経験者にお願いをして、元号の候補名を複数で提出を願いたいというのが、全くいまのところ私どもの腹案でございますけれども、そういう一つの選定についての考え方。次には、その出ました候補名を総理府総務長官を中心にしてまずこれを整理をいたしたい。次いで、官房長官、法制局長官、それから総務長官、三長官において、この問題について原案を参考として整理をまた進めたいというような手続。それから、次には、内閣総理大臣を中心といたします閣僚レベルにおける懇談の機会を開いて、審議をいたしたい。 なお、国会で法案の御審議を願っております立場でございますし、また主権在民の立場からする国会に対して、どういう意見を承るかというような点について、これはいまのところでは、正副議長さんに御意見をお伺いするというようなことを考えていくべきではなかろうかというようなことでございますとか、それが一応終わりますれば、最後に閣議で決定を願うというような、選定につきましては、そういうことを考えておりますが、本旨はあくまでも、先ほどから出ておりますように、広く国民の方々から、できれば公募もしたいということも考えたのでございまするけれども、手続上なかなか至難なことも予想されますので、現在のところにおきましては、いま申し上げましたような腹案でまいりたいということでおるわけでございます。 運用につきましても、これは改元の時期というようなものが一つ問題でございましょうが、そうした時期の問題、あるいは国民生活とどう関連をするか、そういう問題、あるいはまたこれは国民生活に非常に影響がございますので、できるだけ国民生活に負担なりあるいは混乱を来さないようにという配慮が必要でございますので、そういう点について、ただいまのところ、たとえば各省庁あたりにおいて、元号を改元した場合にどういうような具体的に問題が生ずるかというようなことを検討をいたしておるのでございまするが、そういう点で改元の時期、それから国民生活に対する負担をできるだけ軽減する、あるいは経済の混乱を来さないようにどうするかというようなものを十分勘案、配慮いたしまして、慎重な処置をいたさねばならぬ、そういうような準備をいたしておるところでございます。
○中川(秀)委員 長官は、本会議での趣旨説明の際の御答弁でも、元号の選定は最良のものが選定されなければならぬということで、ただいま御答弁になった具体的なことも多少お話しにはなっておられるわけでございます。 そこで、お尋ねでありますけれども、数名の学識経験者に策定を委嘱をするわけでありますが、普通、行政のいままでのやり方でいいますと、審議会というようなものでいろいろな議論をしていただく、いわゆる審議会方式というのをよくおとりになる。元号についてなぜとらないのか、その理由、あわせてお聞きをしたいと思う。いかがでございますか。
○清水政府委員 これはいわゆる審議会という方式にはどうもなじまないのじゃないかというふうに実は考えておるわけでございまして、ただいま大臣がおっしゃいました、何名かの学識経験者の方にお考えをいただくと申しますのは、つまり、それぞれの方々が御自分で最善と思われるものを二つなり三つなり要するにお考えいただくということをお願いをするということでございます。したがいまして、通常の審議会でありますれば、普通の場合には政府の方が、たとえばあることにつきましてこういう考えでどうかということを諮問をいたしまして、そのことについて相互に御議論をいただいて、よかろうというような御答申をいただくわけでございますが、いま考えております元号の選定のやり方という面から考えますと、どうもそういうやり方ではうまくないのではないかというようなことがあるかと思いますし、それからまた、そのような形で決めるという場合に、つまり審議会というものを仮に想定して申し上げるわけでございますが、このような種類のものを決めるということになりますと、政策論というような話ではございませんので、かなり意見が多岐に分かれるというようなことも当然予想されるわけでございまして、そのようなことを種々勘案いたしまして、先ほど来申し上げておりますような方法をとるのがよかろう、こういうような判断を現在持っているわけでございます。
○中川(秀)委員 元号の選定について速やかに行いたいと政府は言われておられます。また、この観点から、いまのような理由で審議会方式はとらないけれども、何人かの学識経験者にも相談をして、その原案といいますか、そういうものを選定、原案をおつくりになるというような意向も表明をされているわけでありますが、そこでお伺いをしたいのですけれども、何人かの学識経験者に相談をするといいましても、これまた相当に早期から、ある程度時間的な余裕を置いてお願いをしなければ、そう簡単なものではないと思いますよ。また、そう簡単に案をつくられても困ると思う。相当早期から、次の元号選定のための準備を、事前準備と言うとまた御議論があるのでしょうけれども、私はあえて議論があっても申し上げるわけでありますが、準備というものを、事前準備というものをしておかなければいけないのではないかと思うのです。 元号選定のための具体的準備はいつのころから始めようとなさっているのですか。いままでの御答弁では、事前には一切しない。一切と言うとおかしいですな。たとえば新聞報道によれば、天皇崩御を予定して前もって新元号候補を準備しておくのは不適当である、一般には天皇御不例となって具体的準備に取りかかる、こう新聞では、総理府の案として発表されておる。まあこれはどういう経緯で新聞に出たのかはわかりませんが、基本見解というかっこうで出たというふうに報道されているわけであります。 しかし、不謹慎なことを申し上げるようで恐縮でありますけれども、天皇陛下が崩御というそういう場合も、御不例の後、崩御をされるとは私は限らないと思うのです。脳溢血のような、突然の御崩御ということだってあり得ます。こういうことを考え合わせると、元号の選定は、相当に前から、少なくとも数名の学識経験者に相談をするという段階程度までは準備をしておく方が望ましい、その方が突然崩御という事態にも、元号選定をめぐってろうばいをしなくてもいいということになると思うのです。このように考えますが、いつから始められるのか、私がいま申し上げたようなことは全く考えていないのか、事前には一切そのような準備はなさらぬのか、御不例となって初めて準備に取りかかるのか、いかがでございますか。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 そうした準備についての検討をいたします際には、いろいろな意見も出てまいりましたが、現在におきましては、法案が可決、制定されますれば、直ちにそうした人選でございますとか御依頼でございますとか、そういうものにかからなければならぬのではないかという大体の方針で進んでまいりたい、こう考えておるところでございます。 なお、衆参の国会でいろいろな貴重な御意見を拝聴いたしておりますので、そうした御意見を十分踏まえながらまいる所存でございますけれども、現在では、法律が制定されますれば、即刻そういう準備にかかるべきであろう、こういう考え方でおるところでございます。
○中川(秀)委員 ただいまの長官の御発言、重要でございますが、私もそのように思います。ひとつそういう御方針で、法案成立後にはおかかりをいただきたい、このように思うのであります。 元号制度というものが法制化された場合には、国会でまた議論があって、その法律の効力を失わせる新たな措置がとられればともかくとして、元号制度そのものは続いていくわけであります。そうすると、次の次ということを考えてみた場合に、やはりいつから準備にかかるかというようなことについては、ある一定のルールをつくっておいた方がいいんじゃないかというような気が私はするのです。 たとえば一つの御提案ですが、先日も参考人の意見陳述のときにこういう御提案をしましたら、参考人の方から御反論がありましたけれども、なおかつ、あえて私は申し上げるわけであります。次期天皇が即位をされ、これにより新たに皇太子殿下がその位につきました場合には、たとえば次なる元号選定の、いま長官がお答えになったようなレベルの準備を始めるとか、それがなお早過ぎるというのならば、皇太子殿下御結婚のときからでもいい、そういう日を選んで準備にかかるとか、たとえば委嘱をする人はこういうふうにしよう、委嘱の手続はこういうふうにしよう。案そのものをつくってしまえと言うのではないのです。そういう準備に取りかかるということの方が元号の選定方法も明確になり、長官がおっしゃる最良のものを選ぶための時間的余裕も生まれてくると思う。あるいは国民に愛される元号をつくり上げていくためのいろいろな、長官が含みのある御答弁をなさいまして、国会でいろいろ提案をされておるようなことも検討してみたいという御答弁があったわけですけれども、仮にそういう方法を一部について導入をするとしても、そういう時間的余裕もできるのではないかという気がするのです。一つのルールとしてそのようなことを御提案してみたいと思うわけでありますが、いかがでございましょうか。そこまではまだ考えられないというのならばこれまたいたし方ありませんが、いかがでしょうか。
○三原国務大臣 お答えをいたしますが、貴重な御意見として参考にさせていただきたいと思うところでございます。
○中川(秀)委員 ひとつよろしくお願いをしたいと思います。 私は、数名の学識経験者に御委嘱なさるという場合に、わが国の最高の学識経験者がお集まりになっているたとえば学士院とか芸術院とか、政府の機関と言ったらまた異議があるかもしれません、疑義があるかもしれませんが、そういう現存する機関あるいはそこの人々、こういう方ももっと活用されたらいいのではないか、こう考えているのであります。そしてまた、ある一定の段階から準備を始めて、いよいよ候補名の案出に取りかかって、その候補名がしぼられてきたときには国会でも何らかのかっこうで、たとえばその案についていろいろな方々の御意見を聞く。国会で審議をして、国会がそのうちのどれ、これにするということではありませんよ。この案がよかろう、あの案がよかろうという程度の意見を聞く機会を国会でも持つ。そして先ほど総務長官がいま考えておられる内容としてお述べになった政府内部の手続を経る、こういうことは国民に相当支持をされる進め方だと私は思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 民主的なあり方であるべきである。なおまた、国民に親しまれ、愛され、よき元号として受けとめていただくためには、いま中川委員からも御指摘がございましたし、先般は鈴切委員からもいろいろな御指摘がございました。そういう点を十分参考にしながら、これから先の選定手続についてひとつ検討を積極的に進めさせていただきたい、そういうことでおるところでございます。
○中川(秀)委員 改めて御提案をするわけでありますけれども、元号は国民生活に深いかかわりを持つことでありますから、国会で案出をされてきたところの元号名あるいは案出をされるかもしれない元号名、あるいは委嘱をされそうな学識経験者のお話を聞く機会があるとするならば、それは恐らく報道機関もテレビの中継もするかもしれない。国民にいろいろ理解を深めていただく一つのいい機会になると思うのであります。それを公聴会と呼ぶか何と呼ぶかわかりませんが、少なくともそのような手続があってもいいのではないか、方法があってもいいのではないか、私は、立法府の一員としてそのように思うわけであります。それからまた、学士院あるいは芸術院というような一つの機関もあるわけでありますから、そういうところの議論も参考意見として求める、こういうこともあっていいのではないかと思うわけでありまして、いまの長官の御答弁で結構でありますけれども、ひとつ御検討いただきたいと思うのであります。 次に進みますが、元号を国民に親しみのあるものにする、国民に親しみのある元号を選定するためには、私は選定の基準が問題になると思います。時間がかかってしまいますので、すでに報道されている内容について私の方から申し上げて、お尋ねを進めさせていただきますが、新元号の基準として報道されているところでは、わが国の元号の歴史や国民のために定めることから、漢字二字、昔は四文字というような時代もあったようでありますけれども、元号は二文字にする。それから読み、書き、使用が容易なものにする。出典、出どころを有する。国民の理想としてふさわしいものにする。これまでに元号、追号として使用されたものでないものにする。俗用されてないものにする。以上六項目ぐらい、恐らくそのような基準が予想されるとされているわけであります。大体そのようなことでよろしゅうございますか。一言の御答弁で結構です。
○清水政府委員 私どもとしても大体そのような考え方を持っているということは申し上げられると思います。
○中川(秀)委員 そこで二つばかりのお尋ねでありますけれども、従来の元号の出典は、たとえば中国の史書、古典というようなものから引用されているわけでありますね。ほかにもありますか、それ以外のものは。
○清水政府委員 四書五経が主であることは確かだと思いますが、四書五経以外が一つもなかったかどうかという点につきましては、実は正確にはいま記憶いたしておりません。ただ、いずれにいたしましても、おおむねの場合には四書五経をもとにしておる、言うなれば中国の古典に出典を求めるということが一般の傾向であったということが言われておるわけでございます。
○中川(秀)委員 かなり前の論文でありますけれども、津田左右吉博士がこの元号の選定について、こういうことをおっしゃっているのです。今後の元号は「国民みずからの現実の生活を如何なる方向に進めてゆこうとするかの目標を、国民の日常用いていることば、即ち日本語によって示すという方針で」定めていくのが適当だと思う。いままでは、出典は全部中国の史書、古典——五経ばかりとは限らぬかもしれませんが、中国の史書、古典から引用している。これに対して津田博士は、次なる時代の国民が現実の生活をどういう方向に進めていくかという目標がうかがわれるようなものを、「国民の日常用いていることば、即ち日本語によって示すという方針で」定めていくのが適当だと思う、必ずしも出典にこだわるなということですね。こう言っておられるわけであります。この点について政府は、どのようにお考えになりますか。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 先般も中川委員と同じような御意見がございまして、その際にもお答えをしたと思うのでございますが、旧来の元号選定の経過等はいま政府委員からも申し上げたとおりでございますけれども、そうした旧来の選定の基準等を少し改革をいたしまして、広く国民に親しまれ、愛される、その時点における国民の英知なり知恵、良識というようなものを中心として、元号の候補名を考えるべきではないかという方針でおるわけでございます。したがいまして、学識経験者と言っておりますけれども、従来のような、漢学者であるとかあるいは国文学者であるとかという学者先生だけにとどまらずに、広く文芸人であるとかあるいは評論家の方あるいは経済人であるとか、そういう方々の御意見等も選定の際には聞く必要があると思いまするので、そういう点で、人選も、そうした広く国民の願望にこたえるような立場で人選をすべきであろう、そういう考え方でおるところでございます。
○中川(秀)委員 そうすると、先ほど私が選定の基準として申し上げた中に、三番目として、出典を有するというのがあるわけであります。この出典を有するという意味合いは、従来のような中国の古典、五経とかあるいはいろいろなものがありますね、それから史書——史記、漢書、後漢書とかいう歴史書ですね、こういうものには必ずしもこだわらない、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
○三原国務大臣 お答えをいたしますが、今日までの元号選定の歴史はそれなりに尊重はいたしますけれども、四書五経等でなければならないというようなことにはこだわらずにまいりたい、そういう考え方に立っておるのでございます。
○中川(秀)委員 そのように私も思うのであります。 次にお尋ねをいたしますが、新しい元号が選定されるその経過、あるいは数案あったならば、その案はどういう案であったということ、また、どういう理由でその候補案のうちこの新しい元号が選ばれたかという理由、また、新元号の持つ意味、解釈というようなものを国民にわかりやすく政府は公表すべきだと、こう私は思うのです。それが開かれた元号であり、天皇元号や内閣元号でない、国民元号たるゆえんだろう、そのようにする方法だろうと思うのです。その選定の経過、数案あったならばその案、どういう理由でその一案にしぼられたか、また、新元号の持つ意味、解釈、これをわかりやすく政府は国民に公表いたしますかどうか、いかがですか。
○三原国務大臣 お答えいたします。 ただいままでの私どもの検討の過程の中からお答えを申し上げますが、いつかの時点で、こういうような方法、手続等によって元号を選定いたしたいと思いますということは、事前に国民の方々にお知らせをいたしたいと思っておりますが、元号そのものにつきましては、決定後、いま申されましたように、こういう幾種類のものが出てまいりました、その中から具体的にこういうようなことで最終決定をいたしましたという、その元号候補名等につきましても国民に公表すべきであろうと、そういうことでおるわけでございます。
○中川(秀)委員 ぜひそう願いたいと思います。 それと同時に、新しい元号の持つ意味、あるいはわかりやすい言葉でいこうということですから、そこまでしなくてもいいという理由があるかもしれませんが、私は、意味というものを政府が、それがすべての意味合いではないかもしれないけれども、政府はこう考えてこうしたんだと、言葉の解釈とでもいいましょうか、言葉の持つ、新元号の持つ意味合いといいましょうか、そのようなものも、何らかのかっこうで、政府の見解というか、そういうものを公表すべきだと思いますが、その点についての御答弁がちょっとなかったのですけれども、いかがでございましょうか。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 元号を複数でお出し願うわけでございますが、その際には、元号の候補名を御提出願います方に、こういうことで私は元号の策定をいたしましたということをお書き願うようにお願いをいたしたいと思っておりますので、それをまた私どもが手続上何回か検討、整理をさしていただくわけでございますが、そういう整理のあり方、また、その最終的な決定の経過等につきましても、できるだけ国民に公表いたしたいと考えておるところでございます。
○中川(秀)委員 私は、国民に開かれた元号というのはそういうかっこうでいいと思うのです。幾通りか案があった、おれはその選に漏れたあれがよかったけれども、しようがない、そう決まったんだからこっちを使おう、あるいはおれはあれがよかった、そんな議論がもっとうんと行われるくらい開かれた明るい元号であっていいと思う。いまの長官の御答弁では、そういうことをしたいと、そういうふうに選定の途中で浮かんだ案についても、いずれかの時点で整理をしていく過程で国民にも公表したい、ぜひこれだけはしていただきたい、このように、あえてもう御答弁を求めませんが、そういう理由で私もお願いをしたいと思うのであります。その点は結構でございます。 それから、新元号の発効する時期でありますけれども、元号法案によりますと「元号は、政令で定める。」となっているわけでありますから、新元号が効力を持ち始める時期は当然政令の公布のときと、こう解釈をするわけでありますが、それでよろしゅうございますか。
○真田政府委員 新元号を定める政令の施行の日でございまして、その政令の通例なら附則で、いつから施行する、あるいは公布の日から施行する、いろいろそのときどきの事情によって定まることだろうと思います。常に公布のときとは限らないように考えます。
○中川(秀)委員 一番早い施行時期は、公布ということではありませんか。もし、その政令の細則というのですか、そういうものにいついつから始めますと書いてあれば、公布とは関係なしにその日から効力を持ち得ると、こういうことでございますか。
○真田政府委員 最も早いのは、やはり公布の日から施行するということだろうと思いますが、ただ、公布の日から施行するということだけが施行の基準だといたしますと、同じ日が二つの元号にまたがるというようなことも理論上考えられるので、そういうことになりますと、また別の混乱が生ずるというようなことも心配されますので、やはりそのときどきの事情によりまして、たとえば公布の日の翌日からとか、いろいろ施行の時点をその政令の附則で考える、こういう手順になろうかと思います。
○中川(秀)委員 私もそうだろうと思いますね。最高裁の判例もあるのですけれども、公布の時点というのは、官報が全国の官報販売所に発送されて、一般の国民の方々がそのいずれかの官報の販売所やあるいは印刷局の官報課へ行って目にしたときからでしょう、最高裁の判例では。そんなことを言っておったら非常にはっきりしないわけで、一般の方々には理解できないわけですから、たとえば期日をきちんと書いて、その日の午前零時からとかいうふうにすべきだと思うのです。いま法制局の長官の御答弁は、どうもそういうことをうかがえるわけですから結構なんですが、そうすると皇位継承のときと、皇位継承というのは天皇陛下が崩御をされた時点に即刻皇太子殿下が即位をされるわけでしょう。これにはタイムラグはないわけですね。ところが元号は、その皇位継承と時間的なすき間というのができることはあり得るわけですね、公布の日からですから。皇位継承、すなわちそのときから新元号になりますとは限らないわけでしょう。そう理解してよろしいですね。
○真田政府委員 結論的に申しますと、おっしゃるとおりでございまして、天皇が崩御になりますと瞬時にして、その瞬間において新天皇が即位されますから、まさしく時間的には政令の施行の時点との間に若干のタイムラグといいますかが生ずることは避けがたいと思います。
○中川(秀)委員 とするならば、同僚議員も質問を当委員会でしたのですが、私は踰年方式が一番ふさわしいと思うのです。どのみち皇位継承のときに改めると元号法案の第二項でなっているわけですけれども、皇位継承と新元号の発効というのがぴったりすることはあり得ない。それは後からさかのぼって、皇位継承の何時何分からにしましたと言えばあり得るかもしれないけれども、それは少なくとも後からやることです。即刻、そこで新元号がスタートするなどということは、お亡くなりになった、新元号がスタートしたなんということはあり得ない。後からそうなったかもしれないけれども、天皇陛下がお亡くなりになって一分過ぎに新元号になりました、そういうものではない。どうしても時間的な幅があり得るわけですから、私はそういうことから考えるならば、いままでの改元の場合にも、一時期を除いて、たいてい踰年改元、つまり年を越して翌年の一月一日からというような改元の仕方に、これは儒教の名分論か何かがあったようでありますけれども、なってきた。それを素直に採用した方が私はいいと思う。いかがでしょう、政府はいっそのことについての結論を出すのでしょうか。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 先般も中川委員のような御意見がございました。そこで私どもといたしましては、この皇位継承の時期、それから元号が国民生活に非常に大きな影響を持ちますので、国民に負担をかけてはいかぬという配慮、また経済に及ぼす影響等を勘案をいたしまして、ただいまのような御意見等を十分参考にしながら、慎重な検討をして決定をいたしたい、そういう考え方でおるところでございます。
○中川(秀)委員 少なくとも、この点については、国凡は余り理解をしていません。元号の選定というのは、自分の一生のうち一回あるか、二回も三回もあるというのは珍しいことでしょう。いまの幾つぐらいの世代ですかね、二回御経験なさった方もいらっしゃるでしょうが、明治生まれの方は少なくとも二回御経験なさったわけですけれども、普通からいったら一回ないし二回でしょうね、常識的に言うと。だから踰年改元とかいうことについての理解は余りわからないのですね。ところが歴史的に言うと、平安時代以降ですか、同じ年の改元というのは見当たらない。踰年改元が明治までは大体通例であったということがあるわけでありますから、先ほどお尋ねをしたように、新元号の発効の日と皇位継承というのは時間的にぴったりすぐくるというものではない。この法案の性質上からいっても違うわけですから、いま長官が御答弁になったように、国民生活の利便その他を考えても、翌年元日からということにすべきだ、それが至当だと私も思うのであります。含みのある御答弁でございましたけれども、ひとつそういう方向でお考えをいただきたいと思うのであります。この点は、早目にその縁失等についても国民に理解を深めるための努力をすべきだと思います。これも改めてお願いをしておくわけであります。御答弁は結構でございます。 時間がなくなりましたので、ほぼ最後のお尋ねをいたしますが、運用についてのお尋ねでありますけれども、元号法が成立した後、閣議決定等によって公の機関における元号の使用についての方針を指示なさるおつもりですか、どうですか。元号法が成立した後、閣議決定等によって、公の機関での元号の使用について何らかの指示をお出しになるのかどうか、いかがですか。
○清水政府委員 ただいまの御質問は、今度の元号法案が成立したときにおいてという御質問の御趣旨だと思いますが、現在のところ、私どもは格別のことは考えておりません。いずれにいたしましても、元号法案成立後の状況に何かあれば、必要に応じて検討はすべきものと思いますけれども、現在段階においては、たとえば役所が使うという問題につきましては、現に慣習的に確立した習慣になっておりますので、格別の問題はないものと思っております。
○中川(秀)委員 私は、冒頭私どもの立場をお話をいたしましたが、元号の使用は国民に絶対に強制しない、もちろん法案もそういうことだという御見解がたびたび政府から出されているわけでありますけれども、元号法が成立しましたら、いま公の機関での使用について格別の指示は考えていないということでありますけれども、それはそれでいいでしょう。しかし、国民と公の機関における元号使用についての、強制ではない、協力の場合でもこの程度までだ等々について何らかのやはり指示をすべきだと思う、強制してはいけませんよと。たとえば、同僚議員が何回も質問していますから繰り返しませんが、すでにいまの戸籍法の届け出の様式でも、当該様式では元号を書いてもいい、西暦を書いてもいいという欄になっているわけですね。どちらでもいい欄になっている。それは元号で出してもらうことに協力は求めるけれども、西暦でも受理するという御答弁を政府はいままでしているわけですね。その点についてきちっとした政府の見解を、元号法案が成立した後には、特に国民との接点になる行政機関あるいは地方自治体等々について、こういうことですよという説明を十分盛り込んだものを通達か何かを出すべきだと思う。いかがですか、そのお考えはありますか。
○清水政府委員 御趣旨はよく理解できるところでございますし、また私どもとしても国会の御審議の場においてはっきり申し上げておることは変わらないわけでございます。したがいまして、このことが行政機関の末端までよく徹底するようにすることは当然の配慮かと思いますので、いずれにいたしましても、趣旨が十分に行き渡るように必要な配慮はいたさなければならないというふうに思います。
○中川(秀)委員 法務省の民事局長がお越しでございますので、具体的にお伺いいたしますが、戸籍法第二十八条の「届書の様式」では、第一項に「法務大臣は、事件の種類によつて、届書の様式を定めることができる。」こう規定しておりまして、第二項では「前項の場合には、その事件の届出は、当該様式によつてこれをしなければならない。」こういうふうになっておるわけでありますけれども、この様式については西暦、元号両方を自由に使用できるようにしておくことが望ましいと私どもは考えておるわけであります。この書類を見ると、昭和か大正か明治かしか書いちゃいけないとは書いてないのですね。だから協力を求めるということはあっても、どちらでもいい、西暦でも受理をしますということになるわけですね。この点について、元号法案が成立したらもっとより詳しく再度ということになるかもしれないけれども、私は各登記所や出張所やいろいろなところには通達を出すべきだと思う。それが混乱のない一番いいことだと思う。この点について法務省の御見解を伺っておきたいと思います。
○香川政府委員 現在、戸籍法施行規則で御指摘の様式を決めておりまして、それに昭和という不動文字を印刷してございますのは、大半の国民が戸籍の届けについては元号を使用しておりますので、その便宜を配慮しただけでございまして、これで元号の使用を強制しているという趣旨では全くないわけでございまして、その点は、元号法が施行になりましてもいささかも変えるつもりはないわけでありまして、さような意味の趣旨を徹底する意味で、何らかの通達簿によりまして周知徹底を図りたい、かように考えております。
○中川(秀)委員 ぜひそうあるべきだと思います。審議室長の御答弁があったからあえて伺いませんが、これは法務省のみならず、いろいろな国民生活の接点でそういう強制はないのだということを、協力を求めるという御答弁はあるわけでありますけれども、強制ではないのだということを、仮にそれに従わない場合でも何でも受理するのだということを徹底をさせるために、ありとあらゆる国民の接点の場における行政機関には通達を出すべきだと思う。これは法務省もそうなさるというのだから、ほかの行政機関においても同じような措置をおとりいただける、こう私は思うわけで、あえて御答弁は求めませんが、ぜひそうしていただきたいと思います。 国民生活と元号の使用ということでは教科書の問題があって、先ほども議論があったわけでありますけれども、現在、文部省の教科書検定の方針によると、「日本の歴史の紀年については、重要なものには年号及び西暦を併記する。」校定基準実施細則、「第二 選択・扱い」の2に書いてあるわけであります。 元号法制化が行われた場合、文部省としては、検定基準を変更して元号を重視するような方向、そんなことはお考えになってないでしょうね。あたりまえのことですから、おかしいお尋ねになるかもしれませんが、あえて御確認をいたしておきます。
○上野説明員 お答えいたします。 全く現在同様、特にそういうことは考えておりません。
○中川(秀)委員 これは日教組の資料ですが、日本出版労働組合連合会というところが出している「「日教組第二八次・日高教第二五次教育研究全国集会」への報告書 79教科書レポート」、元号を使わないで書いてあります。それによりますと、いろいろなことがたくさん書いてあるのです。「今回、元号法制化の動きと歩調をあわせて、教科書への元号のおしつけが強まったことがあげられる。」というようなことで、たとえば教科書の記述の中に何年前、何年後というのを元号を使って、きちっと表示しなさいと言われた、こういう改善意見を出された。あるいはグラフがあって元号が書けないスペースなのに、それを西暦表示していたら元号も入れなさい、併記しなさいということを言われた。その他、具体的にいろいろ書いてあります。火災件数のグラフに昭和の年号を記入せよ、西暦は併記にせよという愚見が出されたとか、もう時間がありませんから適当にいたしますが、そういう指示があって、元号の使用を増大させようという試みを文部省は持っておってすでに始めておる、こういうことがたくさん書いてある。私は、そのようなことはあり得ないと思う。先ほどお話した教科書の検定基準実施細則でも「重要なものには年号及び西暦を併記する。」となっておるわけですから、元号の方を優先して使いなさいというような押しつけをしておるなんということは事実に反すると思う。文部省、いかがですか。
○上野説明員 元号を押しつけておるのじゃないかというような御質問でございますが、これはそれぞれの教科によりまして、それぞれ適切な記述がなされる必要があるわけでございますが、特に先ほど先生おっしゃいましたように、日本の歴史関係だけにつきましては、これは当然学習の目的からしましても必要でございますので、そういう元号を、あるいは西暦を重要なものについては併記させるということをさせております。 先ほど幾つか具体例で先生から御指摘がございましたが、これは先ほども柴田先生に私どもの方の諸澤初中局長が答えましたとおりでございまして、そういうことは一切ございません。
○中川(秀)委員 お尋ねを続けますが、従来教科書には、歴史の場合は長い時代の流れ、長尺の場合、これはその中での位置づけを見るという場合は、それに見合う長い物差しとして西暦を主体に記述をし、場合によっては元号を併記する、しかし、それ以外、日本の歴史とかあるいは短い物差しではかるとかという場合は、元号主体で西暦が併記というような主体関係、主従関係、そういうような色づけといいますか、位置づけ、そういうような方針で検定が行われていたようでございますね。それは事実でしょうか。私は、それならばその方針はいいと思うのです。それは守るべきだと思うのです。日本の国際化を阻まないためにも重要でありますし、元号が法制化されてもそういう方針は守るべきだと思いますが、その方針を継続していくつもりかどうか、確認をさせておいていただきたいと思います。
○上野説明員 歴史を学習する場合に、特に児童生徒の段階ですと、これは日本史の場合、通史として学ぶわけでございますので、いわゆる長い物差しといいますか、そういうものと、さらにそれぞれの具体的な時代の特色なり、短期的なとらえ方をするための、言ってみますれば元号に象徴されますもの、そういう元号というものを学習する必要があるわけで、これは両方とももちろん必要でございます。それで重要なものにつきましては併記していただくというようなことをお願いしておりますし、事実そういうふうに教科書も記述されております。
○中川(秀)委員 最後に結論を申し上げますが、最近の世論調査等を踏まえて、元号の審議にもっと時間をかけて、国民的合意を煮詰めていくことが望ましいという社説や見解もつい最近出されております。こうした意見に関して、政府としてはどんなふうに現時点で考えておられますか。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 報道機関等でそういう社説、論説等があることも承知をいたしております。そういうことで、今日国会において慎重な審議を行っていただいておるのもそういう立場からでございまして、そういう御意見を十分尊重しながら対処してまいりたいと考えておるところでございます。
○中川(秀)委員 私どもは、元号の存続を国民が強く望んでいらっしゃる、それにおこたえをしたい、おこたえしなければいけないという立場から、いま何らかの元号の存続についての措置、これをとるべきだ、こう考えておるのであります。そして、もしその措置をとらなければ、いまの元号に法的な根拠がないだけに、事実たる慣習にすぎないだけに、万一の場合に、改元そのものが事実たる慣習として成立していないわけでありますから、元号は昭和限りになってしまう。あるいはもし強弁をすれば、昭和が事実たる慣習としてずっと続くという御意見もありますが、われわれにはそういうことはとても理解ができない。そういう見解をとれないというような意味での存続論の立場から、あるいは法的な解釈論の立場から、そういう考え方はとれないわけであります。そして措置をとるとすれば、それは憲法の国民主権、象徴天皇制という原則からしても、あるいは国民一般に愛され、開かれ、いわゆる単なる内閣元号ではない国民元号というものに元号そのものを高める考え方からも、内閣告示のような行政権の範囲内で行われるものではなくて、今日のような開かれた国会審議を通じて元号は法制化をした方がいいと考えているのであります。 しかし、繰り返して申し上げますけれども、その場合、元号の選定と各分野での使用に当たっては、あくまで国民に親しまれ、愛される、そして開かれた元号にするためにいろいろな配慮をしていかなければいけない。元号法成立後の元号選定に当たっては、相当余裕を持った準備や、場合によっては公募とかあるいは国会のある程度の公聴会とか、あるいは芸術院や学士院の活用とか、選定理由と経過、意味するものの公表とか……(私語する者あり)ちょっと静かにしてください。
○藏内委員長 静粛に願います。
○中川(秀)委員 国民に使用を強制しない歯どめ、通達とか、そういうものをこの審議を通じて御提案申し上げているように、幾つかの点において政府の強い決意と御努力をしていただかなければいけない。これは最大の問題であるし、大前提だ、こう思うのです。そのことについて長官から最後の御答弁、決意をお伺いをして、私の質疑を終わらしていただきたいと思います。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 元号は、先ほどもるる御意見がございましたように、ぜひひとつこの国会において審議を議了願い、元号法の制定を願いたいと思うのでございます。しかし、いろいろ御指摘がございましたように、元号法の制定以後の使用上の問題あるいは運用上の問題あるいは諸手続等につきましては、これは国民のためよき元号を策定することが主たる目的でございますので、この国民に十分開かれた国民元号としての性格を明確にするためにも、十分な配慮をいたして措置してまいりたい、そう考えておるわけでございます。よろしく御協力をお願いいたします。
○中川(秀)委員 終わります。
○藏内委員長 次回は、来る十九日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時五十九分散会