大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第2号
- 発言数
- 147 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1979/08/08
会議録
○小泉小委員長 これより税制及び税の執行に関する小委員会を開会いたします。 税制及び税の執行に関する件について調査を進めます。 質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。只松祐治君。
○只松小委員 質問に先立ちまして、いまから日本の財政を左右するきわめて重要な税制問題の小委員会、したがって、閉会中でも開会を要請したわけでございますが、与党側が出席がない、あるいは小渕さんだけ、こういう状態で大変残念でございます。国政はあるいは民主主義は堂々と論戦し論じ合うところから国民の信頼を得、民主政治というのは確立されるわけですから、今後こういうことがないように冒頭お願いを申し上げておきたいと思います。 私は昨年二回、ことしも一回、円高によりまして中小零細企業者や地場産業等が非常な困難に陥りまして、新潟県の燕市のような零細な輸出業者あるいはおもちゃ業者のようなところが多くの倒産を見まして、政府は特別の財政支出等をいたしたり応急対策をいたしました。そういう中にありまして、円高でがっぽりもうけておりながら、そうしてここに後で順次明らかにいたしてまいりますが、これは確かにごく一部でございまして、ほかに石油の備蓄あるいは装備の不良等に名をかりまして設備更改等を行う、そういうことをたっぷりやりましてもなおかつ利益をひた隠しに隠して、まことに非国民的といいますか、大法人の非良心的さにあきれるわけでございますが、そういう問題を再三追及してまいりました。前回、九百十八億円という、これも恐らく史上最大の脱税額でございますが、国税庁は増差ということで脱税という言葉を使いたがらないわけでございますが、一般の中小零細企業者、民間の場合にはこういう事件は明確に脱税という言葉が使われ処理をされます。中小零細企業者であれば、非常な圧迫とまでは言いませんが、強制調査を受けている事例を私は山ほど知っておるわけでありますが、増差という言葉で言っているが、明確な脱税でございます。これがほぼ一段落したわけでございます。その概況をお教えいただきたいと思います。 私も野党でございまして、与党ではありませんから、国民の側からの増税を決して要望するものではありませんし、また、国税庁側もこれだけの税金をたたき出すのには容易でなかったろうと思います。その御苦労には感謝を表しますけれども、それでもなおかつ、冒頭に申し上げましたように、基本的なわが国の税制、財政に関する問題でございます。一応終わりましたけれども、今後とも厳しい態度をお願い申し上げたいと思いますが、とりあえずその調査の終了した概況を御報告いただきたいと思います。
○磯邊説明員 いわゆる円高差益享受法人に対します調査状況につきましては、本年五月二十五日の衆議院大蔵委員会で只松委員からのお尋ねに対しまして、昭和五十四年三月末現在の調査経過をお答え申し上げたわけでありますが、その後調査も順調に進捗いたしまして、本年六月末をもってすべての調査が終了いたしたわけであります。御質問でございますので、その調査結果につきまして御報告させていただきます。 当初調査計画いたしました法人は三百七十七法人でございましたけれども、その後調査対象業種ごとに見直しました結果、最終的には三百九十二法人を調査いたしたわけであります。 その内訳といたしましては御承知のとおり、最優先調査対象業種として選定いたしました石油精製卸売業、電気供給業並びにガス供給業、この三業種でありますが、その三業種で百十一法人、それから、優先調査対象業種として選定いたしました貿易業あるいは金融業、証券業等特に外国為替取引の多い業種、それを優先調査対象業種として選定いたしたわけでありますが、その業種につきましては十一業種でありまして二百八十一法人となって、合計いたしまして三百九十二法人というものを調査いたしたわけであります。 この調査は、全国国税局の調査官が延べ三万四千日の日数を費やしまして、これは総体の年間の調査日数の約一七%を占めておるわけであります。 この調査の結果によりまして把握いたしました追加所得は、最優先調査対象分が六百億円、優先調査対象分が四百四十三億円で、合計いたしまして千四十三億円となっておるわけであります。この前御答弁いたしましたときは、これが九百十八億円でございましたけれども、最終的な結果といたしましては千四十三億円となったわけでございます。ただ、ここでお断りいたしますけれども、これらの追加所得の中から円高差益に係る利益だけを抽出して区分することは事実上困難でございますので、したがって、ただいま申し上げました千四十三億円は、すべてが円高差益によるものではないということをお断りいたしておきたいと思います。 追加所得の内容といたしましては、当期に計上すべき収入を繰り延べていたもの、あるいは原価の見積もりを誤っていたもの、あるいは翌期に計上すべき経費を繰り上げて当期に計上していたもの、あるいは固定資産の取得価格とすべきものを修繕費として計上していたものというものから成っておるわけであります。 なお、追加所得のうちに、仮装または隠蔽によって故意に脱漏したと認められましたいわゆる不正所得というものが六十五億円ありました。これは最優先調査対象として選定いたしました業種につきましては五億円、優先対象分が六十億円となっているわけであります。 不正所得の内容といたしましては、架空経費を計上していたもの、あるいはたな卸し資産の一部を除外していたもの、あるいはまた交際費課税を免れるため売り上げ割り戻しや販売奨励金などに仮装していたものがあったわけであります。 この結果、どれだけの税額が徴収されたかと申しますと、これは一つの仮定のもとに計算せざるを得ないわけでありますけれども、実効税率を三三・〇四%というふうに法人税を算定いたしまして、その他重加算税の適用あるいは過少申告加算税の適用、それからまた延滞税等を合計いたしますと、国税につきましては三百九十億円、それから地方税につきましては、本税でありますけれども百七十一億円、合計いたしまして五百六十一億円の増収があったというふうに算定いたしております。 以上でございます。
○只松小委員 ちょっと先に、いまの課税の中に加算税、重加算税等が入っておりますか、それは別でございますか、その最後の税額。
○磯邊説明員 国税につきましての算定は、重加算税とそれから過少申告加算税、並びにこれが約十一カ月間の延滞があったと見まして延滞税を算定し、それを合計いたしております。
○只松小委員 この三百九十二お調べになった中に、課税された、あるいは不正所得が出ておりますが、修正申告したものは一〇〇%でございますか。何か新聞によると九七%というような形も出ておりますが、不正なものは別にいたしまして修正申告——私から言えば全部不正でございますが、あなたたちが見て修正申告をさせたものは何%でございますか。
○磯邊説明員 ほとんどが修正申告の提出を求めまして、修正申告で処理したわけでありますけれども、中には、修正申告の提出を承諾しませんで、国税当局におきまして更正処分をしたというケースもございます。
○只松小委員 そうすると、そういう更正を含めましてほぼ一〇〇%、ほとんどあった、こう見てよろしゅうございますか。
○磯邊説明員 さようでございます。
○只松小委員 大変に残念なことであると同時に、いままでも、先ほど申し上げましたように御苦労なことであったと思いますが、まだ調べればあるいはあるということも、いま調査対象がほとんど一〇〇%脱漏があったとするならば、あるということでございます。まあ一層の御努力をお願いしたいと思います。というのは、いまも石油の枯渇等に隠れまして石油類等の売り惜しみや値段の引き上げ等が行われつつあるわけでございまして、こういういわゆる経済事象に名をかりて一般の経済行為、商業行為とは異なって暴利をむさぼるということは、国民としては許せない問題であります。したがってそういう面については、一般の政府の行政指導をまつことはもちろんでございますけれども、税は税としてやはり取っていくという構えが必要だろうと思いますので、さらに一段の御努力をお願いいたしておきたいと思います。 そういうことでございますが、この額といたしまして、そう言ってはなんですが私としては、日本の税制史上あるいは国会で論議された脱税としては恐らく最高、また今後もよほどのインフレにでもなって貨幣価値が下落しない限り、こういう一千億からの脱税というのはそうそうたやすくあるものではないだろうと思います。私は史上最高の脱漏事件だと思いますが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
○磯邊説明員 史上最高と言えるかどうかわかりませんけれども、少なくともこういった円高差益を適正に申告しているかどうかということを税務面で統一的に調査したということは初めてでありまして、同時にまた、そういった一つの目的を持った調査の結果、われわれとして修正申告もしくは更正をいたしました税額としては、まとまった税額としては最高のものになろうかと思っております。
○只松小委員 そういう中に、先ほど必ずしも円高差益だけじゃなくていろいろなものが派生的に見つかった、あると言われております。住友商事の脱税事件が、これも報道をされております。その住友商事の事件とは一体どういうものであったか、ひとつお知らせをいただきたい。
○磯邊説明員 住友商事の不正所得というものに対して国税当局が更正処分をしたということは、ニュース面で流れていることは私、承知しております。ほぼそういったことがあったということは私は否定いたしませんけれども、その具体的な内容についてここで御答弁申し上げるのはお許しいただきたいと思います。
○只松小委員 まあ公務員の守秘義務がありますが、私はいつも言っておりますように、所得番付等に載る、所得が一千万円以上の人は個人でも公示されるわけです。脱漏した者が守秘義務で守られるということはけしからぬ話です。特に法人の場合は告示義務があるわけですから、私はあえて長官も、道義的にあれですが、法律的には縛られる必要はないだろうと思う。すでに新聞にも大きく報道されて、住商の方も否定しておらないので、認めた発言をしております。私があえてここで取り上げるのは、国税庁側はこれに重加算税を課しておるということが報道されております。これは間違いありませんか。
○磯邊説明員 私はあのニュースが出てきたということに対して、正直に申しまして実に残念に思っておるわけであります。といいますのは御承知のように、修正申告を提出いたしました場合には、年間の所得が法人につきましては四千万円超の場合には当然公示になるわけでありますけれども、国税当局の方で一方的に更正いたしました場合にはそれは公示にならないわけでありまして、したがいまして、ニュース面でああいったことが流れましたけれども、これは公示されてない、いわば公開されてない行政処分でございます。そういった意味におきまして、新聞に出ておりますあるいはニュース面に流れましたことについて私は否定はいたしませんけれども、やはり公の席でこういった処分をしたということをお答えすることは御容赦いただきたいと考えておるわけであります。
○只松小委員 その場合に住商の方では、脱税ではない、こう言っているのですね。認めるわけにはいかないけれども否定はしないという言葉は微妙な言葉ですが、それに対して住友商事は脱税ではない、見解の相違だ、こう言っているのです。ここが私は大切なところだと思うのです。本当ならば委員長、これは重要な問題で、十六億五千万円も脱漏があったわけですから、国税庁は重加算税を課している、悪質とみなすわけです。仮装、隠蔽とみなす。住友商事側は、いや見解の相違だけれども、一言で言えばうるさいから払ったんだ、こういう言い方をしておる。天下の住友商事だからいいけれども、中小零細企業者であったならばというか、逆に天下の住友商事でさえも国税庁に対してこういうふうに悪質とみなされて払うということになれば、国税庁が言っておるように脱漏であるならば当然ですが、住友はあくまでも違う、また天下の公器の新聞なり記者会見で言っておるわけです。一社だけでなくて各社に言っておる。そういうことになると徴税業務として、私が前段に取り上げました為替差益のああいう問題も納税者の心理に微妙な影響を及ぼしてまいりますが、こういう問題も必ずしも私は国税庁の信頼につながる、まして尊敬ということまでは容易でないと思います。この問題はやはり明らかにしていかざるを得ないだろうと思うのですが、そこいらの見解の相違といいますか、住商側も本当ならここへ呼んできて少し詰めて、これだけはっきり言っているんだったら不服審判所に申し入れるなりなんなりすればいいのですが、払うのは払いました、こう言っているのです。しかし、これはこの事件一つとらえますといまみたいに微妙な問題で発言しにくいかもしれませんが、一般論として論じた場合には非常に大きな問題を含んでおるわけです。そういう観点から私はこの問題を個々の問題ではなくて、一つのテーマとしてやはり徴税業務というものについては私はただしておきたいと思ってしているわけです。そういう観点からはいかがなものでございましょう。
○磯邊説明員 これは更正処分をするかあるいは修正申告を徴するかといういわゆる税務行政の基本に触れる問題も含んでおると私は考えております。 御承知のように、国税当局が調査いたしましてそこで増差が発見されました場合にその是正を求める方法としては、修正申告を徴する方法と更正あるいは決定処分をするその二つの処分があるわけであります。ただ、そのいずれの処分をとりましても、その増差の内容がいわゆる仮装、隠蔽の行為によったものでありました場合には、たとえ修正申告を出していただきましても重加算税の対象になるわけで、結果としては変わらないわけでありますけれども、ただその過程におきまして、納税者の方が納得をしていただいて修正申告を出していただく場合と、あるいは納税者の方と国税当局と意見が対立したまま国税当局で一方的に決定いたしまして重加算税を取る方法と、この二つのその過程において相違が出てくるわけであります。 その結果どうなるかといいますと、修正申告をお出しになった方は、その動機が納得されたものであろう、それからまたいま先生がおっしゃいましたように、いわば泣き寝入りといいますか、一方的に国税と争うのはどうもいやだからということで修正申告を出された場合、こういった場合には結果といたしまして、その後の救済措置がないわけであります。ただ更正処分をいたしました場合には、その後の主張を通すために不服審判所あるいは裁判というところまで権利救済の道が開かれるわけでありまして、そのどちらの方法がいいかという問題になりますと、基本的にはやはり更正処分をするというのが、開かれた税務行政といいますか、納税者の方の権利を最後まで救済する道が開かれるものとして私はその方がいいというふうに考えております。ただ納税者の方にとっては、特に零細な納税者の方は、不服審判所までは手続が簡単でございますけれども、その後民事訴訟まで移行するということになりますと、これは手続的にもなかなか大変でございますから、零細な企業者に対しましてはできるだけそういったことなしに、当初の課税の段階で議論をし御納得をいただいた上で修正申告を出していただくという方法をとっておりますが、しかし大企業になりますと、やはり天下に向かってあるいは公の場で御自分の説を堂々と主張し、その権利を擁護していくということはこれまた必要と思いますので、私は大企業等につきましては修正申告ということよりはむしろ、更正処分ということによって御納得いただけなければ、その後のもろもろの権利救済の手続をとっていただくということがいい、かように考えておるわけであります。 したがいまして、このたびの住友商事に関しましては、新聞紙上等で伝えられるところによりますと、国税局の方から更正処分を受けたけれども、しかし納得してないというふうなことを言っておられるやに聞いておりますので、もし本当にそうであれば、今後の権利救済の手続をおとりになって争っていってしかるべきだと、私はかように考えております。
○小泉小委員長 ただいま参考人として税制調査会会長小倉武一君がおいでになりました。 小倉参考人には、御多用中本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。 質疑を続行いたします。只松祐治君。
○只松小委員 いま長官からも不服ならばいろいろな救済手段を講じたらいいという話がありました。零細企業者の一人一人をお呼び立てをするのもあれですが、きょう私はぜひとは言いませんが、委員長、ひとつ頭の中に置いておかれて、次の臨時国会がどうなるかわかりませんが、時間があれば、徴税問題なりを一つの問題として住友商事を参考人に呼ぶなりして、本当に不服なのかどうなのかあるいはどういう事態なのか、ひとつ私の方からも聞いてみたいと思いますので、きょう確実にという要請までいたしませんが、ひとつ頭に置いていただきたいと思います。 それからロッキード事件に関連して丸紅の問題等もこの調査の中でさわられたと申しますか明確になった、こういうふうなこと等も言われておるわけでございますが、この事件に関連してそういう問題もお調べになったかどうか、あるいはどういう進捗状況であるかお聞かせをいただきたい。
○磯邊説明員 先ほど御答弁いたしました中で、優先調査対象業種の不正所得が六十億円あるということを申し上げましたが、その中におきまして、日商岩井のいわゆる今度の航空機輸入に関する税務調査の見直しをした、その増差も入っておる——失礼いたしました。いま丸紅の方の御質問でございますか。
○只松小委員 丸紅と言いましたが、丸紅、グラマン、日商岩井関係その他航空機事件の一連の疑惑事件を私たち前から追及じてきてお尋ねしてまいっておりますので、そういうことがこのトータルの数字の中に入っておるか、それからどういうふうにそれを処理されておるかというようなことをお聞きしたい。
○磯邊説明員 航空機疑惑に関連いたしましての増差は日商岩井だけでございます。 日商岩井につきましては、国会におきまして航空機輸入に関する調査特別委員会等が設置されましたし、また国政調査の非常に重要な問題として論議されましたので、これにつきましては具体的に御答弁させていただきたいと思います。 日商岩井の見直し調査の件につきましては、検察当局の捜査が終結いたしましたので、その捜査の過程の中で明らかにされましてわれわれも税務処理上見直しの必要があるという問題につきまして、再度見直し調査をいたしました。その調査の見直しの対象となりましたのは、いわゆる二百三十八万ドルの事務所経費の処理の問題、それからジェットエア・リーシング社等からの仲介手数料の収入の二点でございます。 これらの調査の結果を申し上げますと、事務所経費の二百三十八万ドルにつきましては、会社計算によりますと、二百三十八万ドルから費用と認められる十二万六千ドルを控除いたしました残額二百二十六万一千ドル、そのうちの百六万二千ドルというのが日商岩井の収入として計上されておりまして、残りの百十九万八千ドルというのが米国日商岩井へ分与されたということになっておったわけであります。しかし、捜査の結果判明いたしました事実によりまして私どもがこれを見直しました結果、米国日商岩井へ分与した百十九万八千ドルというものを否認いたしまして、これは日商岩井本社の収入として計上するべきものであるというふうに認めまして、それからさらにまた十万ドルの未収入金がありましたけれども、それも加算いたしまして、合計いたしまして百二十九万八千ドルを日商岩井本社の五十一年三月期の所得に加算するということで税務調査をいたしたわけであります。 それからさらにまた、もう一点の日商岩井の山岡元航空機部長が受け取った航空機リース仲介手数料、これが十万二千ドルありますけれども、これは日商岩井の収入に計上されていなかったので、一部時効に該当いたします部分を除いた残りの九万一千ドルを日商岩井の五十年三月期及び五十一年三月期の所得として加算いたしたわけであります。 日商岩井は、以上二点の申告加算漏れの合計額百三十九万ドル、円レートで換算いたしまして約四億一千三百万円をそれぞれ該当する事業年度の所得として加算いたしました修正申告を七月の上旬に提出いたしました。これによりまして、今国会でいろいろと論議されました航空機に関連する日商岩井についての法人税の調査は終了したということでありまして、同時にこの金額というのは、ただいま申し上げました円高差益享受法人等に対する特別調査の中に含まれておるわけであります。
○只松小委員 そういう数々の派生的な事件もこの中から出てまいったわけでございます。先ほど申し上げましたように、いま油等の騰貴で類似の問題等も出てきておりますので、大変御苦労だと思いますけれども、一層の御研さん、御努力を国民のためにお願いしたいと思います。 続いてもう一つ、これは後で、せっかく小倉税調会長がお見えになっておりますから、時間があれば国内のタックスヘーブンの問題を取り上げたいと思います。そういうことで、公益法人の問題を提示をいたしまして、若干前進を見ておることと思いますが、結論はまだ出ておらないようでございますので、トータルなり詳しいことは結構でございますが、どういう状況であるかひとつお知らせをいただきたい。
○磯邊説明員 公益法人の課税問題、あるいはそういった公益法人というものが国内におけるタックスヘーブン化しておるのではないかというふうな御指摘がございまして、それによりまして私どもは各国税局の方に指示いたしまして、全国の税務署で公益法人に対しての実態の把握をいたしたわけであります。 その結果、すでに把握をしていた公益法人といたしましては五千三百九十三法人ございまして、そのうちに、収益事業があるという法人が二千八百十九件あったわけでありますが、その実態調査をいたしました結果、この二千八百十九件に加えまして、新たに収益事業があるというふうなことが判明いたしまして、これに対する調査を開始いたしましたのが五百三十九件でございました。 その内容につきましては、ただいま各税務署で鋭意やっておりますからまだ報告が上がっておりませんけれども、少なくとも五百三十九件というものが新たに把握された。それからさらにまた、これを契機といたしまして、そういった隠れみの的な公益法人の収益事業というものに対しましては調査を充実していきたいと考えておるわけであります。
○只松小委員 せっかく小倉さんがお見えになっているのでこれで終わりますが、ひとつぜひ公益法人を——公益法人だけでなくて、教育あるいはいわばセックス産業、そういういわば第三次産業の末のものを私は第四次産業と言っているわけですが、こういう産業の課税というものが、大変に脱税をいたしておる、あるいは極端に言えば全然課税されておらない。たとえばトルコぶろの課税をしようとするならば、暴力団と同じようにまず犯罪を立件して、売春行為を立件してからでないと課税は事実上不可能なわけです、収入源が明らかでありませんから。しかし一方、家庭の奥さんが内職をなさると、長官の御努力で二十万が三十万になりましたけれども、年間三十万、わずかに月二万五千円から課税をされる。こういうきわめてアンバランスといいますか不公正といいますか、あるいは、こういう産業構造なり社会構造の変化に伴って税制が対応していかなければならない。 これは後でお聞きします主税局やら税制調査会の問題でございますけれども、税法の改正とともに、現行税法の中においてもこういう問題はやはり不公正というものを是正をしていかなければならない、こういうふうな観点から私は公益法人という問題を一つの例示として取り上げておるわけでございまして、そういう産業構造が大きく変化をして第三次産業が全国で五四%を超す、こういうことになって、第三次産業の収益というものが上がりながら課税が必ずしもそれに伴っておらないということは、トータル上も数字上も歴然としてきております。それは今後ますます伸びこそすれ減りはしない。第一次、第二次産業というのは、今度の中期財政答申の新たなものを見ましても減るということは完全に予測をされております。こういうところからのみ税金を取って、第三次産業から取らない、第四次産業と言われるそういう面にわたるものを非課税なり、あるいは公益法人が二三%、学校法人が一七%、収益を上げておるのにこういうふうに減免をしておる。そういうことを続けておったのでは、まじめに働く者だけが税金を負担をしていかなければならないし、二十二、三歳まで学校に行きあるいは老後が長い、こういうときの財政問題をどうしていくかというきわめて大きな問題に入っているわけであります。 後で税調会長からも御意見をお聞きしたいと思いますが、そういう意味で、公益法人もですが、大きな脱漏問題を——繰り返し言いますように、野党の私たちが政府・与党がやらない税金を納めろと言う必要はないわけです。ただ、余りにも不公正なものが目立って、まじめな者だけがよくクロヨンなりトーゴーサンと言われますようにやられるということ、いわば国政に協力しているとまでは申しませんが、そういう立場から私は論議をしているわけであります。いままでも大変だったと思いますが、ぜひひとつ三期目留任された磯邊長官の御奮闘をお願いいたしまして、国税庁に対する質疑を一応終わりたいと思います。 それからなお、さっきの日商岩井の問題についてのあれがあれば、後で議事録を見ればわかるわけですが、数字だけ資料としていただけるならばいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○磯邊説明員 承知いたしました。
○只松小委員 それでは結構です。 税小ということで、きょうも与党から一人でございますが、やっても二、三十分で、新たな税制問題等論議する機会が少なかったわけでございます、小倉さんにたびたびおいでいただきましたけれども、十分か二十分でちょいちょいと。きょうもすでに三十分おくれましたので、きょうは二時間ぐらいありますからゆっくり御論議をしていただきたいと思ったのですが、多少時間がなくなりましたので、幾つか問題をお聞きしたいと思います。ひとつよろしくお願いしたいと思います。 その一つは、何と申しましても一般消費税の問題でございます。税調では答申をなさって、本年度からの実施を要望されたわけですが、本年はだめで、国民のためには喜ばしいわけですが、税調としてはせっかく総理大臣の諮問機関として権威ある——私はもう少し事務局等を確立して、もっと実質的な権威をお高めになったらどうですかということをたびたび申しました。あなたも原則的には賛成であるとおっしゃいました。ところが、こういうものを答申されても実施されないということになれば、極端に言うなら有名無実のお飾りの調査会にしかすぎない、こういうことになりますが、税調の権威についていかがお考えになりますか。
○小倉参考人 大変むずかしいお尋ねでございますが、これは恐らく税調を構成をする委員の諸先生諸氏の個人個人の権威いかんということに結局帰する、また同時に他方、政府が税調についてどういう態度、考え方で接するか、また答申その他をどういうふうに政府の施策の中に生かしていくかということにかかわるわけでありまして、一概に申すわけにもまいりませんけれども、私なんぞが会長の席を汚しているのは余り権威を高めるゆえんではないと思いますけれども、やむを得ず席を汚している次第であります。
○只松小委員 これに伴っていろんな行政機構の簡素化とかなんとかいうことのうらはらに増税問題等論じられておるわけでございます。そういう中で、総理の諮問機関ですから、調査機関でありますけれども、いわば筆頭の行政機構の一つだと思うのですね。ぜひひとつもう少しプライドを持ち、やるならやる、余りばかにされるというかなめられるというかそういう形のものではなくて、そのかわりりっぱなものを出していただきたいと私は思いますけれども、権威を持ってしていただきたいと思います。 そういう観点も含めまして税調会長としては、消費税が大体来年度実現できる、こういう感触をお持ちでございましょうか。総理もあるいは与党の税調会長も、あるときやるかと思えばあるときはやらない。いまは特に総選挙の風が吹き荒れてきているということでございまして、さらに右へ左へと揺れておりますが、そういう中におきまして政治的な情勢を多少、全然抜きというわけにもまいりませんでしょうけれども、税調会長としてはどういうふうに来年からはできるんだ、こういうふうにお考えでございますか。また、しなければならないんだ、こういう観点等もひとつ意思も含んでお答えをいただきたい。
○小倉参考人 お話しのように一般消費税につきましては、もうすでに税制調査会といたしましては、来年から導入を図るということが適当である旨の答えを政府にいたしておる次第でありまして、そのときの考え方あるいはそのときの税調の答申の趣旨は今日までそのまま生きておるというふうに存じております。したがいまして政府におかれましては、それをどう政策に移し、立法に移していくかということについて種々工夫をされているように承っております。 無論導入に当たりましては、税調の答申もさることながら、導入そのものが経済にあるいは特に物価に与える影響、あるいは、税調としては余り重く見るわけにもまいりませんけれども、現実の問題としては政治の問題もお話しのようにございます。そういうことを踏まえて考えてみましても、いろいろむずかしい点があるようでありますが、私どもとしては、できるだけ早い機会にと申しましても五十五年ということになりますけれども、導入があってしかるべきものではないかというふうに考えております。 もっとも昨今、一般消費税について税調で、その後政府がどう考えておられるかということについては直接お聞きしておりません。私どもは新聞等で総理あるいは政府関係者がどう考えておるかということを承知しているだけでありますが、税調としては答申が済んでおりますので、後は政府がどう処理されるかということを税調委員一同静かに見守っているという状態でございます。
○只松小委員 主税局長、税調会長は静かに見守っているということですが、政府・与党の方は右に左に揺れております。けさの新聞等を見ますと、大蔵省は消費税に向けて一大PRというようなことも書いておる新聞等もあるわけであります。事務当局としましてはどういう考えをお持ちでございますか。
○高橋説明員 先ほど会長からお話がありましたとおり、昨年の十二月二十七日に一般消費税の大綱というものをつけて五十五年にこれを実施すべきであるという御答申をいただきました。その後私どもといたしましては、この税の仕組みについて国民の皆様方、また関係の団体の方々に対するPRと申しますか、御理解を得るような努力を重ねてきております。それから、御答申の中にまだ詰めが十分できてないといいますか、むしろ政府に任せられておる部分というのが幾つかございまして、それにつきまして現在、行政的に各省なり関係の団体との間で詰めを行っております。そのほか、こういう新しい法案でございますから立法化と申しますか、現実に導入してまいりますためにさまざまな準備が必要でございまして、そういう準備を進めておるわけでございます。 たびたび大蔵大臣以下、こういう国会の場なりそれ以外の場で申し上げておりますように、こういうふうに財政再建を図ってまいる、それによって経済の健全な発展と国民生活の安定向上を期してまいる、そのために一般消費税の導入は、いろいろな御議論はございましょうけれども、避けて通ることはできない問題であるというふうに考えておりまして、そのために、五十五年度中のできるだけ早い時期に一般消費税の導入を図ることが必要である、こういう考え方につきましては、年度当初以来申し上げておるとおり、考え方は変わっておりません。
○只松小委員 税調会長は静観しているということをおっしゃいましたが、この問題が正式に答申をされまして各界各層に大きな波紋を描いて、賛否というか、賛成は少のうございますが、反対の意見がたくさん出てまいっております。あるいは、積極的、消極的な要望意見、改正意見等も出てきておりますし、お手元に届いているだろうと思います。そういう意見等を参照されまして、大きな改正点、あるいは改正までいかなくても討議を進める、いわゆる前回あった大綱を狂わせるような討議をしておるとかしたとかあるいは今後するとか、そういうお考え等がありますか、いや、そういうことは馬耳東風で勝手に言わせておけばいいので、あとは主税局当局、大蔵当局がやればいいんだ、ぼくらはやるということを答申だけしておけばいいんだ、こういうお考えですか。それとも、やっぱりいろいろ意見が出てきたから——繰り返しますが、私は決してやれというのじゃなしに、やるならば、そういう意見をいろいろ吸い上げたい、そういうお考えで、今度やがて税調が始まると思いますね、秋に向けて始まる、そういう中でも、国民のいま出てきた意見等をさらに検討したい、こういうお考えでございましょうか、いかがでしょう。
○小倉参考人 すでに税調といたしましても、少し月日がもうたっておりますが、それまでに各界あるいは各方面から一般消費税について開陳された意見あるいは疑問点その他について、一応の整理をしたものを主税局の方からお聞きしたことがございます。なお、まだそのころは多分一般消費税を法案の形として頭に描いた上でのことでもなかったかと思いますが、仮に法案として描くということでありますれば、さらに細かく詰めなければならぬ点もございましょうし、そしてまたその間に、すでに税調が答申をいたしました一般消費税の大きな枠組みと申しますか大きな考え方について、たとえばなおこういう点はこう是正すべきであるというようなことがありますとすれば、あるいはまた、委員の中からでもそういう点についての発言があるというようなことがございますれば、適当な機会にそういうことを取り入れて、役所での研究あるいは立案の途上の問題点、あるいは税調の委員から提出される問題点というようなものを踏まえて、よりいい考え方にしていくというようなことはあり得るというふうに存じております。したがいまして、一遍答申したんだから全部馬耳東風であるというようなことでは毛頭ないと思います。まだしかしその段階、そういうことになるかならないか、一般消費税の導入についての税調のこれまでの大きな考え方、それについて重要な改定を加える必要があるかどうかということの判断をいまする必要があるかないかということを申し上げる段階ではちょっとないように思います。
○只松小委員 税調会長から、馬耳東風ではない、ただ考えるかどうかという結論はまだ出さないということでございます。 しかしいずれにしても当初、総理もそうですが、大蔵当局がなおさら熱心に来年度からの実現ということを目されておる。そうすると、もう政府やあるいは与党を説得するためには法案の骨子というものくらいできておらなければ、ただやるやるということだけでは、これだけの大増税あるいは大法案でございますから、そう十日や一カ月でできるという品物ではない。いろいろ意見を出して手直し等もしてもらわなければなりません。主税局の試案というようなものはできておりますか、あるいは全然そういうものは意中にない、こういうことでございますか、主税局長どうでしょう。
○高橋説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、昨年の暮れにちょうだいをいたしました大綱、その中で、これは大綱でございまして、細目を行政で詰めるようにということで任せていただいておるものがございます。その点につきましては、関係の各省なり取引の実態、業界の実態というものの話を聞きながら、意見の交換を通じて詰めていくという必要があるわけでございます。そういう詰めにつきまして、いままで私ども二百数十回民間の各団体と接触をいたしてきておりますので、逐次明らかになりました問題点を入れまして、いま只松委員からもお話のありましたような、いわばその大綱に対する細目というようなものを鋭意進めておるわけでございます。ただし、たとえば非課税となります品目の範囲とかその他地方との税源ないし財源の配分の問題とか、基本的な部分でまだブランクになっておる部分もかなりございますけれども、いま仰せのありましたような細目の詰めを鋭意進めておるというのが現状でございます。
○只松小委員 詳細はいまからだけれども大綱は固まっておる、こう判断してよろしゅうございますか。
○高橋説明員 現在そのような線で進めております。
○只松小委員 この消費税のメリットの問題がいろいろ論じられております。後でお聞きしますが、できなければ所得税を税率アップするとかあるいは法人税をアップするとかいうことも、総理みずからも発言をなすっておりますね。このメリットですが、五%で約三兆円余り、こういうふうに言われておりまして、GNPが伸びますと少しふえると思います。その中で、行政の国費あるいは地方財政その他公共団体にはね返るのが約一兆円近く、それから輸出戻し税で払い戻しが一兆円を超すだろう、こういうことを言われている。そういうことになれば、実質税収として残るものは一兆円余りではないか、こういう論議もされております。実質上、そんなに大騒ぎしても消費税のメリットはないのだ。これは五%でございまして、将来一〇%なり一五%というふうに上がってまいりますとこれは話が違ってまいるし、将来私はそういうことになるだろうということで反対をしておるわけでございますけれども、とにかく五%では一兆円少しではないか、こういうふうに言われておりますし、私も考えるのですが、大体メリットはどのくらいあると税調会長、やっぱり三兆円そのまますっぽり入っていまの財政破綻が救われたり赤字公債が大幅に埋められるのだ、こういうふうにお考えでしょうか、それとも、いやそれほどでない、しかし出発としてはそういうことでいたし方ない、間接税にウエートを置くために、出発はそうだけれども進めるのだ、こういうことですか、それとも、当面いきなりずばりと財政の救済になるのだ、こういうふうにお考えでございましょうか、どうでしょう。
○小倉参考人 一般消費税導入による税収が、五%とすれば三兆円ぐらいだろうというふうなお話でございますが、税制調査会でもさような数字を前提として考えておった次第でありまして、別にそこにそごはないと思いますが、一般消費税導入の結果、政府なり公共団体の調達する物なりサービス、それがまたそれだけ上がって歳出が増大するじゃないか、したがって、その分は税収から差し引いて見なければ実質的な税収の増が見積もられないのではないかというお話、輸出の問題についてはその三兆円の中で恐らく計算がされているのだろうと思いますので、それで一兆円云々ということはないと思いますけれども、歳出の方の一兆円というのは私これは存じません。先生のお話、あるいは新聞等でそういう考え方のある先生方もおられるということは一応知っておりますけれども、ただこれから、これは税制そのものよりは予算の編成の問題にもなりまして、私どものお答えする範囲外のことになるかと思いますが、こういう苦しい財政の状況でありますから、一般物価なりサービスの料金が上がったからといって、これは何も一般消費税だけの問題ではありませんがほかの理由であろうと、そのまま歳出の増として当然単価増にするのだということはなかなか至難な状況ではないかと思います。そういうことを素人ながら考えてみますと、当然それがそのまま政府、公共団体の調達の物資、サービスに影響して、したがってそれだけ財政支出がふえるというふうには必ずしも考えなくてもいいんではないかというようなふうに想像しておる次第であります。
○只松小委員 主税局長、ずばりメリットは幾らでありますか。
○高橋説明員 私どもは五十五年度ベースで三兆円というふうにいま概算で申し上げておりますが、この三兆円の中には地方消費税として都道府県が徴収する分が含まれております。したがいまして、五%の場合に国と都道府県が合わせて三兆円の歳入があるということを予定しておるというのが第一であります。 それから、輸出が見込んでないんではないか、輸出の戻し税分が全部ロスになるんではないかという御指摘でございますが、これは総課税対象額をはじきました後で非課税分として輸出なり輸出類似の取引は除外をいたしまして、それで昨年九月の特別部会報告の際にたしか一%当たり四千三百億ないし四千五百億、そういう数字を申し上げておったかと思いますが、その場合には除外をしてございますから、輸出の分がさらにこれから戻るということはないと思います。 それから、国ないし地方公共団体が最終購入者であるという場合に、それの購入コストが一般消費税課税によって上がる、それが即歳出の増として積み上がる、したがって税収で入っても、それは両建てでと申しますか、いわば通り抜けになってしまうのではないかという御指摘ですが、それはまさに歳出のあり方の問題であろうと思います。購入する物の価格が上がった場合に歳出水準をどういうふうに組むかということは、予算編成の具体的な問題というふうに心得ます。したがいまして、こういう時期に実施をいたします一般消費税でございますから、財政再建上やはりそこは歳出の方でいろいろしょっていただかなければならぬという金額はかなり大きいというふうに思います。
○只松小委員 仮定の問題ですから論議もしにくいだろうし計算もしにくいかと思いますが、できれば試算、概算で結構でございますから、その中で、足し算だけしないで引き算したところのメリットの額をもしお出しいただければ、資料としてもいただきたいと思っております。主税局の方にひとつお願いします。
○高橋説明員 実は、私ども利用できるデータが非常に少ないものでございますから、五十一年ベースで計算をいたしましたのをその後の消費支出の伸びなり物価の伸びなりで修正をいたしておりますので、大変ラフな推計であります。それで、それを数字としてお出しいたしますだけの自信が実はないわけでございます。たとえば国内の事業者の生み出します総付加価値と申しますか課税対象額、それに輸入されたもの、それから国内の純投資分、これは投資を差し引きますのでそれを差し引きいたしますと、合計百十五兆というのが五十一年ベースでの課税対象……(只松小委員「いや、だから後で資料をもらえるかどうかということだけ伺いたい」と呼ぶ)輸出と輸出類似の取引がその中から二十二兆引かれておるということを申し上げておきたいと思いますし、そのほかに非課税品の範囲によりましてかなりがたがた動いてくるわけでございます。それから既存の個別消費税の調整によりましてもこれまた金額が動いてまいります。そこは非常にラフな推計を置いておりますので、公開の資料としてお出しするのは大変遠慮をさせていただきたいという気持ちでございます。
○只松小委員 公開まではあれですが、余りもうからないのを国民の反対が強くてやる必要もなかろうかと思いますので、主税局なり税調なりで、できれば小委員会だけでも結構でございます、ひとつ御努力をお願いしたいと思います。 それから総理は、この消費税が反対が強かったりあるいは困難ならば、総選挙前だから増税隠しということもやっておりますが、そうじゃなくて少し前は、二百から三百とも二百から五百とも新聞によって違いますが、いわゆる勤労瀞の中間所得層の課税が低いから上げたい、それから法人税も、これは私たちが常々言っておるのですが、諸外国に比して低いから何%か上げることができる、こういうことをおっしゃっておりまして、一時にぎわったことがあるわけですが、もしどうしても来年度できない場合には税調としては、このまま来年もまた十五兆からの赤字公債を発行したりするということは耐えられないということは大蔵省が繰り返しPRをしておりますし、財政当局としては当然だと思うのですが、これは何らかの形の対応策をとっていかなければならないということも考えられるわけです。そうすると、一番手っ取り早い話はこの所得税のアップであるし法人税率の引き上げと、こういうことになるわけです。それを総理はずばりと言ったんだと思いますが、税調としてもそういうお考えをお持ちであるかどうか、お聞きをしておきたい。
○小倉参考人 一般消費税が導入できない場合という前提ではまだ考えたことはございませんけれども、類似の問題は、一般消費税を導入をするのが可か否かということを討議する際に、所得税の増税という方法があるではないか、そこはどこがぐあいが悪いのかというような討議を踏まえて、一般消費税の導入やむなしということになったいきさつがございます。したがいまして、一般消費税がだめな場合に所得税ということには必ずしも税調としてはなりにくいのじゃないかというふうに、従来の審議の経緯から見てそう考えられるわけであります。もっとも所得税、あるいは法人税もあるかもしれませんが、そういうものに全然触れないというわけではございませんので、一般消費税の導入とともにほかの税源につきましてもできる限りはある程度の増税をお願いするということはあり得ると思いますが、一般消費税にかわってというようなことは少しいまの段階では考えにくい、こういうわけでございます。
○只松小委員 いまの段階ではそうですが、いよいよぎりぎり、きょうじゃなくて十二月あたりの、これは十月、十一月あたりの段階かもしれませんが、そのとき政治情勢どうなっておるかわかりませんし、その間に皆さん方作業は進めなければならないわけです。予算編成は進めなければならないわけですから、決して私は仮空、仮定のこととは思わない。だから、税調としてはやはり必要に迫られて論議しなければならないから、いわばお覚悟のほどをここで聞いておきたい。
○小倉参考人 お話しのように、そういうことが起こらないということは私も申し上げる筋でもございませんし、そういうことが仮定として成り立つとは思いますけれども、先ほど申しましたように、税制調査会の審議の過程から判断すると、一般消費税にかえて所得税の増税というふうにはなりにくいような、審議の過程があるということだけを申し上げた方がいいのじゃないかと、こう思います。
○只松小委員 主税局長、消費税ができない場合には財源措置どうしますか。総理さえ言っておるわけですから、あるいは主税局長はもっとシビアにお考えだと思いますが、いかがでしょうか。
○高橋説明員 いま会長からもお答えがありましたように、私ども現時点で、一般消費税の導入ということが五十五年度中に可能となるように諸般の準備を進めておるところでございますから、せっかくの御質問でございますけれども、これにストレートにお答え申し上げるという用意がないわけでございます。ただ、五十五年度の予算編成の過程で、いま会長からもお話のございましたように、既存の税制の中で可能な限りの増収措置というものも検討してまいらなければならないと思います。どういう形で一般消費税を具体的にどのくらいの金額で導入することが可能かどうかということも、五十五年度の予算編成のプロセスの中で具体的に決まってまいることでございます。現時点でそのような点について申し上げるということは時期尚早であろうかと考えるわけであります。
○只松小委員 するかしないかということはなかなか答弁、特に総選挙前ですから与党の税調会長なりなにとしてはあれなのでありますが、今度は逆に聞けば、絶対にしないと、こう断言なさいますか、いや、そこまではしないと、こういうことですか、絶対にしないと断言なさいますか。一般所得税なり法人税の税率アップ、消費税ができない場合は絶対しないと、これはお約束になりますか。
○小倉参考人 絶対しないというお約束をするわけにもまいらぬと思いますけれども、無論一般消費税にかわるような所得税の増税ということは先ほど申しましたように非常にむずかしい、これは私個人的にそう言うというよりは税制調査会の審議の過程からいってそう思うということであります。
○只松小委員 これ以上は押し問答になりますからやめておきますが、ただ総理が言っているように、税率だけで諸外国と比較するということは、生活実態から考えていかなければならないので、わが国ほど教育レベルも商いけれども子弟に教育費のかかる国はないわけです。そうすると、二百万から五百万ぐらいの国民の中間階層というのは非常に教育費が高い。住宅その他の問題は諸外国に比すべくもなく高い。こういうことを全部考えまして生活というものを比較しますと、税率が低いから楽な生活をしているということにはならない、つながらない、こういうことなのですね。なかなか容易でないという御答弁をいただいておるわけでございますが、簡単に総理が言っているように——取る方としては確かに取りやすいのですね。ばっと税率がアップさえすれば、事業者に委託してあるわけですから、単純計算で一番安易な方法ですよ。しかし、それは大変なことになるからぜひひとつ慎重なお取り計らいをお願いしておきたい、こういうふうに思います。 それから、来年の十二月で利子配当の分離課税が切れるわけでございます。これは何もなくても来年度は取っ組まなければならない大問題です。私は常々この利子配当の分離課税というものが日本の税制を根本からゆがめておる、こう言っておるわけでございますが、事実そうだと思います。この利子配当分離課税の問題については、もう新聞でも一部論議がなされておると報じられておりますが、どういう状況でございますか、お聞かせをいただきたい。
○小倉参考人 利子配当の課税問題につきましては、もう只松先生も御承知のとおりだと思いますが、税制調査会といたしましてはかねてから論議を進めて、結論的に申しますれば、総合課税に移行すべきであるという方針を明らかにしておるわけでありますが、しからば、それを具体的にどう実行するかということになりますといろいろむずかしい問題がある。総合課税にするテクニカルな方法、それに要する費用あるいは仕組みといったような問題を、先月特別部会を税調の中に設けましてもっぱら——もっぱらと申しましても土地税制とあわせてでありますが、利子配当の総合課税について審議を進めておるわけであります。 中身はあるいはもう御承知かと思いますが、いかにすれば名寄せができるかあるいは本人確認ができるかという問題が最も重要な点でございますが、それに関連しまして少額貯蓄の優遇税制あるいは郵便貯金の問題、これらについてもどのようにして限度の把握がうまくできるかということ、さらに、そもそもそういう少額貯蓄の優遇措置がいまなお必要なのであろうかという問題等について審議を進めております。九月になりますればさらに審議を続行するというような段取りになっておるわけであります。
○只松小委員 この場合、全廃をするというのが一つの方法、次は税額といいますか税率アップその他の方法、それから背番号等を付して、認めるけれども厳正に行う方法、いろいろな方法が考えられてくると思うのですね。だから、そのどれをとっていくかをいまから御論議になると思いますが、私は原則としてはやはり全廃すべきだと思う。ただこの場合に、特に配当の場合はそんなに無理しなくてもできるのですよ。いわゆる預貯金の利子でございますが、これのマル優をどうするかという問題になってきます。これも賛否が相半ばしているかどうか、いろいろ新聞投書等にも出ておりますけれども、そのとおりだろうと思います。一般的には無条件に廃止すべきではない。しかし多くは脱税の隠れみのになっておる。といって、退職金なり零細な預貯金をされた方々なりのそういうものも全部、特にインフレーションが進んでいる中でするのもまた余りにも非情なことということにもなりかねない。そこいらをどういうふうにするかというのはなかなか微妙であるしむずかしいと私は思うのですね。そういうものを総合いたしますと、多少手数はかかるけれども秘密がある程度守られながらもそういうことができるのは、預金者手帳というものをつくって、どうしても預金したいということならば手帳を一冊つくれば、いまのようにマル優が郵便貯金だけで二億四千万口ある、こういうことはなくなっていくわけでございます。 そういういろいろなことが今後考えられるわけですが、いろいろなことと言ったって一年以内に結論を出さなければならない、来年の三月までに結論を出さなければならないわけですから、ぜひそういう意味で、総合課税の方向に持っていくと同時に、お年寄りやらあるいは零細預貯金を脱税並みに取り扱うということはやはり十分配慮をしていくというふうにひとつお考えをいただきたい。私もずっと前も提案をしたわけですが「みどりの手帳」、緑か紺かは別にいたしまして、とにかく預金者手帳というようなものをつくっていくことが適当ではないかと思いますが、そういう点についてどういうお考えをお持ちになりますか。
○小倉参考人 お話の中にございましたような「みどりの手帳」という考え方も確かにありまして、税制調査会でもその点について審議もあったわけであります。ただ、「みどりの手帳」だけでは総合課税に移行するということが当然可能であるというわけにもどうもまいらぬようであります。 それからなお、零細な預金者あるいは老後のための零細な預金者あるいは退職金等々を考えて、そういう方々の預金について不利なことにならぬような配慮が必要であるという御指摘でありますが、そういう御所見については、税制調査会で特にまだそこまで審議を進めておるわけでもありませんけれども、考え方といたしましては十分取り入れてしかるべき考え方、御意見であろう、こう思います。
○只松小委員 どうも羅列的で大変恐縮でございますが、臨時国会になりましても冒頭解散であるかどうかでございます。その間に税務行政の作業は進められるわけでございますので、ちょこちょことで失礼でございますが、一応ほかの面もずっとお聞かせをいただきたいと思います。 続いて、エネルギー課税の問題が石油資源の枯渇、そういう問題をめぐりまして論議されておりますが、こういう問題について御論議をされておりますか、される予定がありますか、いかがですか。
○小倉参考人 エネルギーの開発のための新しい税制あるいは財源という問題については、私どもまだ公式には聞いておりません。いわば新聞等で承知しているだけであります。したがいまして、まだそういう問題を取り上げているというわけではありません。しかし、いずれ恐らく来年度の税制に関連して課題になるのではないかというふうには思っております。したがいまして、そういう際には当然、税制調査会で取り上げられる性質のものであるというふうに思います。
○只松小委員 主税当局は反対であるかのように風聞をいたしておりますが、そうでございますか、そうではなくて消極的ながらでも最後は賛成する、こういうことでございますか。
○高橋説明員 現在、エネルギー関係でございますが、石油、石油製品、それから電気、ガス、そういったものに合計十種類の税金がございます。五十四年度の予算または地方財政計画ベースで申しますと、十種類で合計いたしますと二兆八千三百六十億という歳入が予定されております。うち、国税が一兆九千五十億、地方税が九千三百十億であります。 こういう錯綜しておりますところのエネルギー関係の税金にさらに新しいエネルギー転換促進税とでも言うべきものをつけ加えることが税制の立場から、また納税者の御便宜なりこれの税負担の転嫁という観点から適当であろうかどうかということが、税制が複雑であっていいということはないわけでございますから、その辺が第一の問題であろうかと思います。 それから第二の問題といたしまして、まだ具体的に検討が進められてこういう形のものだという御提示がないわけでございますから、エネルギーの転換促進税というものがどういう内容を持つものか、どういう課税客体を想定したものかわからないわけでございますが、一般的に申しまして私どもは、財政というのはすべて一般財源によって一般的に歳出を優先順位をつけて決めていくべきものという考え方を持っております。こういうような財政状況のもとで新たに特定財源を設けていくことについて、財政の原則からいたしましても、また現下の財政事情からいたしましても問題があろうかというのが第二の考えであります。 それから第三の点でございますが、石油製品につきましていろいろな原料段階または製品段階で課税をされておりますから、税の累積ということを回避するためにいろいろな複雑な仕組みというものが必要になってまいります。そこで、こういう税を設けて新しくエネルギーの転換促進を図っていくそういう財源に充てるということが、既存の財政の枠の中で、ほかの歳出と入れかえを行ってそういうことを可能にしていけるかどうかという問題も含めて、これから五十五年度の予算編成にかけての具体的な問題としてまず議論をしていただいて、その段階でまた必要に応じて税制調査会にそういう税制について具体的なお諮りをしてまいりたいというふうに考えております。
○只松小委員 これもすでに問題にはなっておりますが、ことし来年という問題じゃないけれども、三年後、五年後あるいは十年後という長期的に見れば、ある意味ではエネルギーだけじゃなくて資源全般の問題になりますが、先行投資で貿易立国で無資源の日本はこれに対処していかなければなりません。そういうこともありますが、きょうはさておきましていずれにしても、エネルギー対策というのは当然に考えていかなければならない。そうすると、その対策には財源が必要であるし、一般財源に求めるか特殊財源に求めるかということになると、特殊財源というものが考えられる。そうすると、いまガソリン税など道路にほとんどそれが使われておるわけですけれども、これを国鉄に回すというような御意見さえあるように——きょうは時間がなくなってきましたが、産業構造がこういうふうに変化してくると、国鉄が自動車やら飛行機にとってかわられる。そうすると、自動車や飛行機は民間で、国鉄だけが国営でやっている、赤字になるのはこれはあたりまえのことですよね。それを国鉄だけがわっこらわっこら言って値上げをしていく、インフレへの牽引車を国鉄にさせるという意味も多分持っていると思うが、裏を返せば。しかし国鉄だけに赤字を、問題を出して、そうしてあとはこれに対応して自動車や何かを上げていく。今度は自動車をある程度上げてくると、また国鉄や私鉄が上げてくる、こういう悪循環にも陥っております。 こういう物価の問題もさることながら、とにかく石油の問題にあるいはエネルギーの問題に何らかの形で対応していかなければならないということはもう必然でございますから、ことしいきなりの結論はいかがかと思いますが、むしろこれは主税局よりも税調の問題だろうと思う。ぜひひとつ消費税に対応するぐらいの熱意と申しますか、エネルギーの税制対策、税金対策というものをひとつお考えをいただきたい。したがいまして、私も勉強したいから、世界各国のエネルギー資源に対する課税状況の資料を主税局の方でおつくりをいただいて当委員会にお出しをいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
○高橋説明員 作成の上、御提出いたします。
○只松小委員 次に、私は前々から男やもめという問題を提示いたしました。おやめになりましたが、前の大蔵次官の大倉さんが主税局長のときから大体お約束をいただいております。ところが、所得税をその後二年間いじらないからということで、所得税をいじるときは実施するということですが、衆議院議長の灘尾さんが会長をなさっております全国社会福祉協議会、こういうのがございますが、ここでサンプル調査ではありますが調査をしたところ、十万一千世帯ぐらい男やもめのあれがある、こういうことが出てきておる。これは埼玉県でもいたしております。それによりますと、ある程度こう言っていきますと、十八歳未満の父子家庭が一万を超えておるわけでございます。さらに、四十歳の働き盛りの人が一番多くて、その中の四六。八%、こういうふうになっておる。この原因は、五一・五%、半数以上が離婚、それから四八・五%が死別、こういうことになっております。これが前回の調査では逆でございまして、死別が五三・八%、離婚が四六・二%、こういうことですが、今度は逆に離婚の方が多くなってきておる、こういう男女平等の現在の時代を反映をしてきております。いわば父子家庭というものはどんどんふえてきております。 こういうことに対して、主税局もそうですが、税調会長もう少し、決して見殺しにはされないと思いますが、男でございますし、男女平等の世の中に逆に男性が差別されているというのは、恐らく税法でこれだけだと思います。ぜひ来年は努力していただきたいと思いますが、いかがでございますか。去年も簡単に触れて答申はしていただいているのですね、もう少し私は積極的にお願いしたい。
○小倉参考人 税制調査会といいますか私といたしましても、先生かねての御持論、忘れておりません。お話にありましたように、昨年の答申にもちょっと触れておる。ちょっとと言うとはなはだ失礼かもしれませんけれども、忘れていない証拠というふうにひとつおとりになっていただきたい、こう思っております。
○只松小委員 さらに内容を申し上げますと、父子家庭でお父さんが帰るのは平均七時を過ぎるのですね、七時を過ぎて帰ってくる人が六割以上、こういう状況ですね。これを見たって、今度は減税だけじゃなくて、母子の場合いろいろ母子福祉年金や何か福祉法も制定されておる、こういうのも全然ない。こういうところも順次しなさい。ところが、地方で岐阜県の郡上郡の町だったですか、手当を支給されているところがあるのですね。やはりその町長さんが自分が子供のときにお父さんの手一つで育てられたというのがその発端だそうですが、そういうことで、私のことを知っておった向こうの中部日本新聞の方から連絡をしてくれてコメントを求められたことがあるわけですが、もう一カ所どこかで父子手当を支給しておる市町村があります。 御承知のようにいろんな福祉手当というのが地方から起こってきて国がやったり、あるいは老人医療の場合もそうですが、地方におくれをとらないように、たまたま岐阜県の場合はその町長さんが子供のときにお父さんの手一つで育てられたということのようでございますが、そういう人情的な面だけじゃなくて、男女平等の世の中にはぜひしてもらいたい。そう言ってはなんですが、せいぜいやったって五、六十億ですからね、減税は。冒頭に申し上げました為替差益を、私は取ったとは言わないけれども、六百億からの金が出てきているわけですから、ぜひひとつこの問題を来年は実現してもらいたい、こういうふうに私は思います。 税制調査会長はするということですが、主税局長、ひとつ具体的に法案としてぜひ提案をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○高橋説明員 前々から申し上げておることでございますが、所得税法改正の機会を得て対処してまいりたいというふうに考えております。
○只松小委員 来年は恐らく所得税法を何らかの形でいじらなければならないと思いますから、来年はほぼする、こういうふうに理解しておいてよろしゅうございますか。
○高橋説明員 所得税法改正の機会が来年到来するかどうか、これから五十五年度の税制改正の問題として検討してまいらなければならないというふうに思います。
○只松小委員 ひとつぜひ実現をお願いしたいと思います。 それから最後に、これも前回もちょっと触れましたけれども、先ほど触れました公益法人も私は一つの素材にいたしておるわけでございますが、日本の産業構造というものが完全に変わってきつつある。先ごろ七カ年計画の中期財政試算が桜田さんの方から出ました。そういうものを見なくても、これは国税庁の直税部中心におつくりいただいたり、あるいは経済企画庁やら通産省等の方にもいろいろ調査をお願いをいたしました。どれを見ても大体、第一次産業がすでに一一%を割って、やがて九%になっていく。第二次産業がすでに三六%になっている。これは就業人口によりますと三六%を割っている。第三次産業が五四%、これは統計では五二・何%ですが、実際上は五四%をすでに超している。そういうことになって、やがて五五%を超し五六%になる。 第三次産業は第一次産業、第二次産業にあらずんば全部第三次産業ですね。第三次の中に、先ほど私が触れました公益法人、これは公益産業、それから学校法人、教育産業、宗教法人、宗教産業、あるいはホテルからキャバレー、ピンクサロン、こういうセックス産業、あるいはリース産業、このリースも、単に機械ということじゃなくて、警備保障あるいはいろいろなパートタイマー等を送り出す人的なもの、そういうものがあります。だんだんそれがふえてきておる。いま雇用はそういう変化をしておる。そういうものはほとんど非課税か課税対象になっておらない。海外におけるタックスヘーブンということを去年私は取り上げたのですが、これは国内におけるタックスヘーブンゾーンだと思うのです。これにどう対応していくかが今後の大きな税制、財政の問題だと思うのですが、そういう点を御検討なさっておりますか、いかがですか。国税庁には私が前につくらしておる資料がありますけれども、主税局なりあるいは税制調査会なり、産業構造に対応して当然に税収が変わってくる、こういうことはあたりまえのことだ、対応していかなければならぬ、私は対応されてないと思うのです。また、きわめて不十分であるという前提に立って常々御警告を申し上げたりしておるのですが、そういう点についていかなるお考えをお持ちでございますか。
○高橋説明員 たびたびお示しのことでございますが、私どもとしては仰せのありますように、産業の構造が変わってまいると申しますか、消費支出の内容が変わってまいると申しますか、いまお話しのありましたような対個人サービスと国民所得概念上言うような部門がだんだん大きくなってまいります。物を生産し販売していく、そういう比較的わかりやすい部門に比べてもっともっと所得の把握がむずかしい業態がふえてまいっておるということに対応いたしまして、新しい課税の執行及び必要に応じて税制上の仕組みの検討をいま勉強中でございます。従前から源泉徴収の範囲を広げてまいるとか、支払い調書の発給をよりふやしてまいるというように改善にかなり努力してきておりますけれども、今後ともそういう検討を続けてまいりながら、御指摘のような業種について税制上の公平が保てるように格段に配慮してまいりたいと思っております。
○只松小委員 これは税法を根本から変えないと、いま発生主義ですからね、所得が確定されなければ課税できないですからね。そこで消費税、流通税というものを構想されてきたのですよ。だから、消費税はそういう角度から考えるなら別の意義がある、こう言っておるのです、消費税に反対ですけれどもね。財政の穴埋めだからということで大蔵省は発想しておるから、その発想は貧困であるし誤っておる、こう言っておる。 たとえばさっきちょっと触れましたけれども、いい材料ではないわけですが、暴力団だって課税しておるといえば課税しておる。しかし実際してない。麻薬が一兆円ぐらい流通しておると言っておるけれども、それの中で課税されておるのはごく微々たるものです。警察が事件を摘発して構成した場合にのみ課税されておる。トルコぶろだって同じ、売春が事件として確定し構成された場合には課税できる。たまたま今月の初め関東甲信越の税理士会があった。その大会にあいさつに行きました。こちらは百人そこそこの小ホール。向かいの大ホールには若い美女の大群です。何かと思ったら、埼玉県特殊浴場組合の決起大会、いわゆるトルコぶろの御婦人連中が集まっている。それは大宮市民ホールを埋め尽くしておる。そういう人たちが課税されておるかといえば、自主的に御申告をされるということ以外に課税はできない。できるならできると言ってください、あるいはしたという実証を示してください。 繰り返しますように、野党だから必ずしも取れと言う必要はないけれども、逆に家庭の主婦あるいは内職、パートタイマーも、七十万を超えれば課税されるだけじゃなくて、今度八十万を超すと妻の控除がなくなってくる、こういう厳しい取り立てで、いわゆる第二次産業の製造業に従事しておる関係者はびしびし取られる。それは何かといえば、工場を持ち、生産の現場を持っているものは収入が確定をいたしておりますから、また課さなければならないから、そこに出てくる家庭の主婦やパートタイマーはびしびし取られる。そうでない、預貯金からおろしたり給料から使ったり、そういう形で収入源が明らかでないそういうものはほとんど捕捉されておらない。これが何兆円、何十兆円だと思うのです。 そういうふうに産業構造が抗産業、あるいは非産業、もっとずばり言えば非生産的なもの、そういうものの分野が非常に多くなっていくわけですから、きょうのあれを見ても週休二日、単に遊ぶということじゃなくて、いかにレジャーなり余暇を有意義に生かしていくかということが、これは単にトルコぶろとかピンクサロンとかそういう形ではなくて、いまからの政治のあり方、日本の社会のあり方、世界の人類のあり方として、こういういわゆる生産に従事しない間を——若いときは、十八歳未満の高等学校あるいは二十二、三歳まで大学、これも非生産ですね。非生産のところには国や県や市町村、公共団体がいろいろな形で教育機関なんかにでも投資をしなければいかぬ。あるいは世界一若い定年制、五十五歳ですが、長くても六十歳。世界では若くて六十歳が定年で、長ければアメリカは七十五歳というようなものがある。したがってその後は社会保障制度の費用も少なくて済むのですが、日本の場合は放置されているし、また社会保障制度がだんだん多くなっておる。だから共済組合というのは、いまほとんど破産をしかけているのですね。日本国家の財政の破産も、その理由とほとんど変わらないのですよ。取るべき税金が取られておらない。それは税法の誤りにあるし、主税局や何かの怠慢にある、政府・与党の税制の無能さにある、こう私は思うのです。 そう言っちゃなんですが、マルクスが資本論を書いたときに、第三次産業というようなものがこれだけふえるとは恐らく夢にも思わなかっただろう、こういうふうに産業構造というものが根本から変わってきつつある。生産の場だけ課税がされておる。ところが生産でないものには課税がいま閉ざされている。そういうものはむしろ汚らわしいものだ、あるいは国税庁や大蔵省は、えらいとかさわるべきものではない、忌みきらうという形において、そういうところで課税を避けていっている。ところが、ますますそういうものが多くなってくる、そういうところにしか職というものがない、こういうふうになってきたときに、そこに課税しなければ、国家財政が赤字になって破産するのはあたりまえのことじゃないですか。国鉄が自動車や飛行機にとってかわられるのは、交通の構造の変化が起こればあたりまえのことですね。そうすると私が言うように、税法の第一次、第二次、第一次はほとんど取っていないが、第二次中心のいまの税法というものは再検討の時期に来ているというのはあたりまえだ。 だから、きょうこれ以上は余り申しませんが、税調会長、ぜひ抜本的にそういうもののお考えを提示して考えていただきたい。そうするならば当然に主税局としても、経済企画庁やあるいは通産省やそういうところと現在の産業の実態というものを調べて対応していく、こういうことも必要かと思います。それぞれにひとつ御所見を承りたいと思います。
○小倉参考人 ちょっとうろ覚えで恐縮ですが、明治維新の直後ぐらいは、国税の収入の七、八割は農地、耕地から取っておったのです。ところがいまや市町村における税収のうち、農地から来るのは一%未満ということになっているんじゃないですか。非常に長期的に見れば、そのことが先生のお話しのように、大変な産業構造変化に税制もついてきておるということと理解ができるわけです。 お話しのような三次産業、あるいは三次産業の中にさらに四次産業とも称すべきものが出てくるということでありますれば、税収の方も一次から二次、二次から三次あるいは四次というふうにウエートが大きく変わってくるというのは当然のことですし、税制がそれにまたある程度追従していくといいますか、是正をしてそういう方向に持っていくことはおのずから必然の方向ではないかと思います。ただ、四次産業と先生がおっしゃられる中は、あるいは広く三次産業の中は、多種多様ないわばその他大ぜいというところでございますので、それらをどういうふうにして適正に把握して税制として仕組み、また、その税制のもとで徴収をどういうふうにして適正にしていくかということはなかなかむずかしい問題があろうかと思います。いわば一次産業、二次産業と違って表顕的なものが少ないわけでありますので、非常に把握がむずかしいと思いますが、しかし、徴税上の問題ではなくて税制上の問題もあるというようなお話でございますので、そういうことをひとつ主税局等におかれても研究されて、何かお考えがあればいずれ税制調査会にお諮りを願ってということでどうだろうかと思います。 それからなお、政府あるいは税調としてはちょっと言いにくいことでありますけれども、お話しのように直接税ということでは把握に限度がある。ヨーロッパ等で付加価値税あるいはその前の取引高税なりその他の一般間接税というものに税収のウエートが置かれてきたというのは恐らく、表向きと申しますとおかしいのですけれども、税制の上でははなはだ公平に見えるものだけに依存しておったのではかえって実質的な不公平になるというようなことで、付加価値税が導入されておるという実態もあるのではないか、これは憶測でありますが、私はそう憶測しておるわけです。それを強いてどうこうというわけでもありませんが、そういう点も確かにあるのではないかと思います。
○高橋説明員 国税庁が執行面でいまお示しのような業態につきましてどのような問題に当面しておるかということにつきまして、毎年毎年私どもは国税庁と意見の交換をいたしております。 先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、源泉徴収とか支払い調書とかいう制度は、事業者が発給するという場合には可能でございますが、個人が個人に金を渡すという段階でそれが可能な手法であるとも思えませんので、実態調査の結果、それからまた、国税庁の税務統計だけではわからないわけでございますので、一般的な商業統計なりサービス統計なり、それからその裏になっております実態なりというものを勉強いたしながら、いまお示しのありましたような事柄につきまして適当な税制上の対応策というものについて検討するようにしていきたい、こう思います。
○只松小委員 ただ余り軽く考えないで、これもちょっと海外のタックスヘーブンという問題、ことし、来年あたりから多少タックスされると思うのですが、貿易量が増大していくとこういう現象が起こってくるのはあたりまえですね。同じように産業構造をやってきて、繰り返し言いますけれども、まともに働く製造業者、商店あるいは給与所得者、これは明らかですから取りやすい。ところがそういう人からだけ取って、あるいはそういう人の税率だけを高めていくというような安易なことでなくて、国内におけるタックスヘーブンゾーン、あるいは国内における非課税地帯、あるいは税制優遇地帯というものをなくしてひとつ税制の公正を期する、こういうことは、私があえて国税庁長官に退席願ったのは、現行だけでは十分じゃありませんが、国税庁はそれなりに努力していると思いますが、もうこれ以上はある意味では税制の対応にまたなければならぬ、こういうふうに私は言っておる。したがって、海外のタックスヘーブンの問題の立法化を私は提案したわけですが、国内のそういうタックスヘーブンゾーンに対する税制の対応というものをいま言っておるわけで、ぜひそういう点をするということをひとつ確答していただきまして、まだ時間が若干ありますけれども、遅く始まりましたから早く終わりたいと思います。 税法をタックスヘーブン地帯、そういうものもくんで根本的にひとつ検討してみよう、こういうことを税制調査会長なり主税局長どちらも、極端に言えば単にさわってみようというような形ではなくて、もっと真剣に取り組むという態度を示してもらいたい、そういうことを言っておるのです。
○小倉参考人 よくわかりました。
○高橋説明員 非常に貴重な御意見でございますので、検討を十分進めてまいりたいと思います。
○小泉小委員長 貝沼次郎君。
○貝沼小委員 質問に入ります前に、きょうの委員会がこういう形で開かれたということは私は非常に残念だと思います。国会法というのは何のためにあるのかということを改めて考えさせられた事件だと思っております。委員長、今後はそういう点をよく注意をしてやっていただきたい。私は賛成ではありませんでしたけれども皆さんがやるようですからやるようになりましたけれども、やはり国法というものはきちんと守っていかないと、何のための法律かということになってくると思う。 それで、税調会長の方も大分お忙しいようでありますので、簡単にはしょってお尋ねをしたいと思います。 大平総理大臣が七月十日、内外問題研究会におきまして、財政再建と予算編成に絡んで大幅な増税を検討していることを改めて示すとともに、所得税の負担を願うか一般消費税の形でいくか、具体的に協議していかねばならない、こう述べまして、二者択一を迫る問題提起をしたようであります。 それで、所得税を増税する場合の対象及びその理由としては、一つは、現行は年間所得二、三百万の層は重い税制ではない、こういう理由であります。それからもう一つは、農村に対する税金は諸外国に比べ最も安い。三番目には、独身者や子供のいない若夫婦など若い層の税金は安い、もっともらってもいいのではないか、どうもこういうふうに話があったようでありまして、総理の発言としてはきわめて具体的な内容を説明したというふうに私は思っているわけであります。 したがいまして、これは国民生活に非常に大きな影響を与える発言でありますので、私はこれが単なる総理個人としての思いつきでもって発言したものなのか、それとも、これからの日本の少なくとも来年、再来年の税制のあり方を総理が責任を持って言ったものなのか、非常に戸惑って聞いたわけでございます。そういう関係で、大蔵省あるいは税制調査会の会長はこの発言をどのように受け取られておられるのか、両方からその感触を承っておきたいと思います。
○小倉参考人 総理のおっしゃったことは私は新聞で承知しておるだけでありまして、どういう意味でおっしゃられたのか、その前後の脈絡なり場合を心得ておりませんので憶測になって恐縮でありますけれども、恐らくこういうことじゃなかろうかと思います。 今日の財政を考えればどうしても増税が必要である。その際に大きく考えられるのは、一般消費税であるか所得税の増税であるかどちらかであろう。仮に所得税の増税ということを考えればどうなるかということに触れてのお話かと思います。そこで、恐らく総理の頭にあった日本の所得税の負担の関係というものを見ますというと、最近はイギリスが新しい内閣になって所得税を減額したというようなこともありまして、高額所得者は日本は、先進国といいましても米英独仏日でありますが、その中で一番高い負担の率になっておる。ところが中堅所得者と申しますか、あるいは二百万−四百万という範囲ぐらいの方は、どちらかというとむしろ負担の率は低いことになっておる。そこで、仮に所得税で相当の負担をお願いするということでありますれば、そういう階層に相当の負担をお願いするということになるのではなかろうかということだと思うのです。そしてまた、それは総理のおっしゃることがほぼ当たっているのではないかというふうに思います。 なお、先生のお話に農家の所得の問題がありましたが、一般に農家の所得税の負担あるいは国税の負担は他の産業従事者なり自営業者に比べて低いのではないかというふうに巷間伝えられております、実態はよくわかりませんけれども。外国の農民と比較してどうかということではなかったかと思いますが、一般的に物の本によりますと農家というものは、他の産業従事者に比べて比較的税の負担はいろいろな方便で軽減されているというのが他の先進国の農業についても言われているところであります。したがって、ほかの先進国と比べて日本の農業が特に税が低いんだというのは私はまだ余り聞いたことがありませんので、その点はちょっと何とも申し上げるわけにはまいりません。 そういったようなことで、どちらかというと農家も入れての話でしょうが、二百万ないし四百万のところに所得税で増税をお願いするとすると、そういう階層に負担が重くなるというのはむしろ問題であるということを総理はおっしゃったのであって、そうあってしかるべきであるというふうに積極的に発言された意味ではないのではないか、これは憶測でありますがそう考えております。
○高橋説明員 総理から個々の点で具体的な御指示をいただいておるわけでないので私、若干の自分自身の推測を含めてお答え申し上げることになると思いますが、いずれにしても四割の公債を抱えているわが国の財政を早急に健全な方向に持っていかなければならない、再建を図らなければならない、その観点から、もはや自然増収だけに頼るわけにいかないので、かなり大きな税負担の増加を国民の皆さんにお願いをしなければならないということが基本であろうと思います。 そういう観点で見ますと、これは税制調査会の話に戻って恐縮でございますが、五十二年の秋にちょうだいをいたしましたいわゆる中期答申の中でも、「結局のところ、所得税及び個人住民税について一般的な負担の引上げを求めるか、あるいは、広く一般的に消費支出に負担を求める新税の導入を行うか」、これは「まさに国民の選択すべき重要な課題」だということに、総理のおっしゃっておられることは同じことになろうというふうに思います。所得税か消費税かという選択の問題としてとらえる場合に、税収としての見方と税制としての見方とおのずから二つあろうと思います。そこを総理がおっしゃったのだろうと私は思っております。 所得税の実効税率というものにつきまして、またその累進の度合いにつきまして、いま税調会長からもお答えがございましたけれども、日本の場合、高額所得者についてのみ負担の引き上げを行うべしという意見に従っても税収的には余り大きな金額になりませんし、また税制として累進や最高税率の実態から見て適当でない。そこで所得税、住民税を中軸として問題の解決を図るとすれば、必要な増収額は大きなものであると想定されるところから、「高額所得者のみならず中堅以下の所得階層を含めて広く一般的に負担の増加を求めることは避け難い」、それが一昨年の税制調査会の中期答申の表現であります。そのことをやや数字を含めて総理としては仰せになったのだろうと思いますし、これは私ども主税局といたしましても、また政府の税制調査会におかれましても、つとに検討を重ねてきたことと同じ内容のことを御発言になったのだろうと思います。
○貝沼小委員 いま税調会長から、そういうふうになってはいけない、重くなっては大変である、だから一般消費税というような発言がございましたけれども、恐らくこれは一種の陽動作戦的な意味合いのものだろうと私は思うのです。要するに、一般消費税がいやならこうならざるを得ないのですよ、それでおどかしておいて一般消費税に持っていこう、こういうことだろうと思うのですが、そういうやり方は非常によくないと私は思うのです。 そこで、この財政欠陥を財政再処しなければならぬということを一生懸命言うわけでありますし、また当然しなければならぬのですけれども、大体財政がこういうふうになった理由があるのですから、そこのところにふたをしておいて、それでなくなったから何とかふやすことばかり、口では小さな政府とかということを言っておるけれども、実際は巨大な政府をつくることに一生懸命になっておるわけでありますから、私はそういう面では非常に不満であるわけです。 そこで、財政再建のあり方についてでありますが、たとえばいま言ったように、効率ある政府だとか小さな政府、こういうふうに言ってきたけれども、実際は本年度見込み額に対しての財政を見ましても、一般会計分が一六・六%ですか、そのほか三十九特別会計やら三公社、十二公団、二銀行、地方財政の公共部門というふうな日本の財政の総体というものを考えると、重複部分は差し引いても大体百兆円くらいになると言われておるのです。したがってGNPの実に四五%を占める巨大な政府になっておるわけです。その上一般消費税とか所得税の増税のどっちかやらなければならないなどという二者択一のことを迫ってきておるわけでありますが、これはさらに巨大な政府をつくることになるわけでありまして、これは財政再建の決め手にはならないと私は思っておるわけであります。巨大な政府は国民に負担を強いて経済を衰退させるし、また社会の活力を奪ってしまう、こういう意見を言う人もいますし、また、欧州諸国でも租税負担の高い国ほど成長が鈍化しておる、民間の活力がなくなっていることがこれを証明している、こういうふうに言われておるわけであります。したがって、財政再建ということを考えるときには、総理がいつも言っておるように、より小さな政府を目指しながら、増大する財政需要に租税負担を合わせるのではなくて、現状の租税負担に財政支出を合わせるように見直し、あるいは圧縮あるいは徴税の効率化その他いろいろあると思いますが、そういうところに全力を注いで再建しなければならないのじゃないか。その上でどうしても増税しなければならないのかどうなのか、税制は考えなければならないのじゃないかと思います。 たとえば先ほどもちょっとエネルギー税制のことについてお話がございました。そのときの答弁として、つけ加えることが適当か否かは問題であるということと、一般財源ですべきで特定財源は考えない方がいいのではないかというような意味の答弁があったようでありますし、他の歳出と入れかえることも含めて検討しなければならないのではないかというような答弁もあったと思いますが、たとえば石油の関連の税、こういうものだけを見ても、現在果たしてそれが妥当なものであるかどうかということに非常に疑問があると思っておるわけであります。この辺のところを税調会長としてはどういうふうにお考えなのか。要するに、そういうような財政再建でいま財政が大変だから、税制をつくって、そうして新税を取って穴埋めしなければどうしようもない、それより方法はないのだというお考えなのか、それとも、現有の税制のままで、そしてさらに今度は支出とかその他を考え合わせた上で検討すべきだと考えるのか、その辺のところの見解を承りたいと思います。
○小倉参考人 ほぼ同じ趣旨で、特に私ども異論はございません。 考え方といたしましては、まず、既存の歳出について節約あるいは合理化すべきものはないか、要するに歳出の節減ということをまず考えるべきであるということは、税制調査会でも申していることであります。その上で、それではつじつまが合うようなことになるのかということになりますと、歳出自体を洗うのが税制調査会の仕事でもありませんし、そこは私どもがいたしたわけでもございませんけれども、いろいろ話をし、審議を進めているうちに、やはり歳出は当然合理化しなければならぬし、節減すべきものは節減しなければならぬけれども、それだけでは歳出歳入のつじつまが合うというわけにはまいらないというふうになりまして、しからばどういう税源があるのだろうか、どういう方面に増税をお願いすることができるのだろうかということで話をあるいは審議を進めてきたわけです。 もう一つ、その中に加えられなければならぬのは、いわゆる不公平税制、税調で言う政策税制について、やはりこれは是正を図っていく、政策的意味合いの薄れてきたもの、なくなったものはできるだけ早い機会に廃止していくというようなことも含めて、その上でなおかつ、財政の健全化を図ることができないという見通しの上でのやむを得ない増税というふうな経過をたどってきたわけでありまして、その途中を実は余り省略したというわけではないのであります。
○貝沼小委員 税調会長の時間が余りありませんので、もう一点、先ほど一般消費税の導入のことについて答弁がございまして、一般消費税を導入しないときという前提では所得税増税は考えたことはない、これはそうだと思います。だめな場合、それにかわって所得税とは、従来の審議過程から考えるとなりにくいのではないか、これもわかります。ある程度の増税はあり得るかもしれないけれどもと、これは単独の意味でおっしゃったのか、それとも、一般消費税の導入というのが非常にむずかしくなってくれば、その範囲をうんと狭めて両方合わせてやるというお考えだったのか、その辺のところをちょっと確認しておきたいと思います。
○小倉参考人 税制調査会で審議した範囲で申しますと、一般消費税の導入というのが結論でありますけれども、なおそれに限るわけではございませんで、他に所得税あるいは法人税等についても増税の余地のあるもの、増税をお願いしてよいものがあれば、それは当然取り上げるべきであろうということになっているというふうに御理解願っていいのじゃないかと思います。私は先ほどそういう意味を込めて申し上げたのでありますが、しかし、仮に一般消費税が来年なかなか導入できないという見通しのもとでどう考えるかということでありますと、また別の問題ということになるかと思いますけれども、まだそういう想定のもとで来年度の税制をどうするかということについては審議は全く進めていませんので、どういうふうにその点をお答えしていいかは私、個人的に申し上げるわけにもまいらない、こういうわけであります。
○貝沼小委員 それから話は変わりますけれども、法制審議会の身分法小委員会は七月十七日に「相続に関する民法改正要綱試案」をまとめました。主なものを見ますと、遺産相続の際、たとえば配偶者と子が相続の場合、配偶者の相続分を現行三分の一を三分の一とか、あるいは配偶者と夫の両親が相続人の場合、妻の相続分を現行二分の一から三分の二などあるわけであります。さらに、寄与分の項目を新設しております。これは税調の答申でも寄与という言葉が使われてありましたので、それでわざわざ言っておるわけですが、寄与分の項目を新設して妻の地位の向上を図った、こういう内容となっておるわけであります。 このことを踏まえて法務省当局でもこれから議論がされると思うわけでありますが、当然、いままで妻の地位の向上ということで当委員会でも種々議論があったわけでありますので、大蔵省あるいは税調でこういう問題について今後議論をされていくのかどうか、その点が一点でございますが、時間がないからそれだけにいたします。されるかどうか、その点について、されるとすればどういうふうな方向でされようとなさるのか、お答えを願いたいと思います。
○高橋説明員 「相続に関する民法改正要綱試案」というのが過般出たわけでございますが、これは法制審議会の民法部会の試案でございます。今後法制審議会で各界の御意見をお聞き取りになりながらさらに御審議が進んでいくというふうに思います。法制審議会で御審議が進んでまいりまして、これが民法改正案として法制化できるという段階になりますと、当然のことながら相続税法の現行のあり方と関連をしてまいりますので、その状況を見きわめながら税制調査会に御相談をしてまいるというのが私どもの考えでございます。
○小倉参考人 いま主税局長からお答えがあったとおりと私も考えております。
○貝沼小委員 それでは結構でございます。
○小泉小委員長 小倉参考人には、御多用のところ御出席くだされ、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。御退席されて結構でございます。 質疑を続行いたします。貝沼次郎君。
○貝沼小委員 先ほどの総理の発言に関しまして、私は年収二百万ないし四百万の人たちに対して増税をするという考え方、これは断じてやるべきではない、こう思っているわけであります。それは、やろうとするわけではないが一般消費税がいやならそうならざるを得ないという話なんだということかもしれませんけれども、しかしそう二つ並べて国民に迫るような問題ではない、こういうふうに考えておりますので、その点について主張しておきたいと思います。 なぜそういうことを言うかと申しますと、この二百万ないし四百万の年収の人たちの生活実態というものを調べてみると、たとえば総理府の家計調査年報昭和五十二年版、これによりましても、可処分所得に対する貯蓄の純増割合、それから黒字の割合を見ますと、低額所得者よりも高額所得者の方が比例的に多くなっておるわけであります。そして貯蓄の純増は、年間収入二百万ないし四百万円の人は一カ月一万八千九百十四円から三万六千二百九十八円というふうになっておりまして、可処分所得から見ても低額所得者の方が高額所得者よりも厳しい生活を送っておる、こういうことがわかっておるわけであります。 それから総理府の世論調査によりましても、これは五十四年五月によるわけでありますが、暮らし向きは一年前と比べてどうかという問いに対しまして、楽になったというのは一〇%であり、去年と同じというのが五十七%ありまして、苦しくなったというのが三二%でふえておるわけであります。したがって非常に暮らし向きは苦しくなってきておるというのが実態であります。そして、生活費のふえた理由の設問に対しましては、一位が物価が上がったからというので六九%ありまして、子供の教育費がかかるようになったからというのが三三%、こういうふうになっております。それから、どんな目的の貯金に回すのかという設問に対しまして、子供の教育資金というのが二九%もあり、老後の生活のためというのが二九%ありまして、将来の事故や病気になったときの備えとしてというのが二六%、住宅や土地の購入資金は一七%で、子供の結婚資金が八%であります。 しかも総理府の家計調査の実態を見ると、年間収入に対する教育費の割合は、低額所得者であろうと高額所得者であろうとその割合は変わっておりません。また、住居の所有関係を見ましても、高額所得者ほど持ち家が多く、低額所得者ほど借家、借間が多いということになっておる実態が出ております。そして住居費では、低額所得者であろうと高額所得者であろうと余り大差はないというふうになっております。 これらの統計や世論調査から推察をすると、低額所得者は高額所得者より厳しい生活を送っておるということが言えると思います。そしてその中身も、子供の教育費に金がかかり、そのためにも貯金をし、また住居の面を見ても、借家やその他住居関係を見ましても多額の住居費を納めておることがわかっておるわけであります。 これらの現実を見ましても、総理大臣の言ういわゆる二百万ないし四百万円の階層、すなわち庶民という階層になりますが、これから大幅な増税あるいは税を取るというふうに考えることは非常に過酷なことであって、決してすべきではないと私は思っておるわけであります。こういうような政府自体の資料から考えて主税局としては、それでもなおかつこれは取るべき余裕がある階層であると判断されるのか、それを伺っておきたいと思います。
○高橋説明員 先ほどもお答え申し上げておりますように、五十二年の中期答申というのは、税制調査会及びその事務局として私ども主税局で長い間かけて、現在の税制及び今後の税制についての議論を固めてまいったその検討の結果が答申になっております。その中で、先ほども申し上げたことの繰り返しで恐縮でございますが、財政の再建について税負担の引き上げをお願いするならば、所得税でいくか、一般的に消費支出に負担を求める新税でいくか、それは国民の選択すべき重要な課題だ、仮に所得税でいくというルートをとるならば、それは高額所得者の税負担の引き上げだけでは間に合わないと申しますか、一つは、税制的に高額所得者の累進または最高税率をさらに上げていくということは適当でないのみならず、また、税収が十分でないということが指摘されております。したがって、高額所得者のみならず中堅以下の所得階層を含めて広く一般に負担の増加を求めるということはやはり所得税を選んだ場合にも避けがたい問題だ、そういうふうに税制調査会の中期答申で言っておられるわけであります。それが適当というふうに判断するかどうかは、先ほど税調会長からお答えがございました。私ども現段階で、やはりそういうことを勘案いたしまして、一般消費税の仕組みについて昨年来、税制調査会でも御検討を願い、私どもとしてもいろいろ各界と意見の交換などをして周知徹底に努めておる、こういう段階でございます。 一般消費税も所得税もやらずして財政の再建ができるということはなかなか考えがたいところでございますから、いずれかという話になれば、やはりそういう中小所得層に負担の増加を求めるような所得税増税というものか、一般的に消費支出に負担を求める新税かいずれか、こういう具体的な選択という問題になろう、これは客観的な事実であろうと思っております。
○貝沼小委員 当局はそう言いますけれども、それは要するに、財政が赤字だからどこかから取るという考えですね。私はそういう安易な考えではいけないと言っているわけであります。 そこで、この二、三百万の所得の階層を今度は年齢別に見てみますと、三十四歳以下と六十歳以上に集中しているのです。これも政府の資料で私、見たのですけれども、一々申し上げませんが集中している。そうすると、若い人たちにかかってくる。ところが、若い人たちというのは、これから自分の生涯設計を立てていかなければならないときであるというところから、この出発点に増税がかかってくるということは非常にショックであり、将来影響してくるということであります。それから、六十歳以上の人にこれがかかってくるということは、いままで一生懸命働いて納税してきて、ようやく老後の生活を何とかやろうという人に対して、人数が多いから税金をかけるというやり方はこれまた過酷である。こういうところから日本人というのは、若いときにはこういうことをし、中年のときにはこういうことをし、老後にはこういうことをするという一つの考え方があって、それで若いときにあるいは二百万ないし四百万のときにこれだけの税金を負担しても将来は大丈夫ですよ、何かそういう基本的なものがあるのなら話は別ですけれども、財政が赤字になりましたから、その辺たくさん人がおりますからどんどん集めましょうというやり方は、これから生活をしていく人たちにとって非常に頼りない政府として映るだろうと思うのです。したがって、政府の言うことはとにかく自分たちの御都合主義ばかりだ、お金がなくなれば取ることを考えるというふうにとられたのじゃ、税制をどんなにつくってみたって、どんなに厳しく取り立てをやってみたって、これは政治不信に陥った場合にはとても徴税がうまくいくわけがありません。 こういうようなところから私は、そこまで政府が言うならば、日本人の基本的な生涯設計というのはこうなのだということをはっきりと示してでもやらなければいけないのじゃないかな、こう思っておるわけであります。ところがいまそういうような考え方がない。たとえばいま、若いときに少々税金が高くても、それに協力をするならば、今度は年をとるに従って、収入がふえるに従って、住居一つにしても、買いかえをやって、中古住宅なら中古住宅を買いかえていくならばそういうことが可能ですよ、そのために政策を掲げて中古住宅の税制の面も考えますよというような方法が何かあるのなら納得しないこともないと思いますけれども、ただその辺のことは個人に任せておいて、もう財政が足りないからなるべく多くの人から税金を取ろうというので大衆課税を強いるというやり方は、私は納得がいかないわけであります。これはやるべきではない、しかも一般消費税と並べて二者択一を迫るなどという姿勢ははなはだよくない、こう思っておるわけであります。そういうような主張を私はしたいわけでありますけれども、当局の答弁は恐らく、いまないのだから何とかお願いしなければならないのだということでしょうから、答弁は要りません。私の意見だけ述べさせてもらいたいと思っております。 それから、先ほど話がありましたが、農家は税金が安いという話でございますけれども、これは本当に安いのかどうか、主税当局としてどう考えているのか、適正なのか適正でないのか、この辺はどのようにお考えですか。
○高橋説明員 課税統計上、農業所得者の所得額、それから税額、それぞれ出ておりますけれども、これは農業を主たる所得とする方々であります。したがって専業または第一種兼業という方がその中で把握されるわけであります。第二種兼業なり農家の持っておられるその他の所得でも、源泉徴収でおしまいになっておりますようなものにつきましては、申し上げておりますように統計上把握できないわけであります。 税制上は農業につきまして租税特別措置法上の措置というものはございますけれども、これはもう営業の方々と同じように事業所得として把握されておるわけでございますから、収入金額から必要経費を差し引いてという所得計算の原則については変わりないと思います。問題は、把握がどういうふうになっておるのか、またそれについての世間の考え方はどうなのかということであろうかと思いますが、税制上農業につきまして特段の差別をしておるといいますか優遇をしておるということは、租税特別措置法の規定を除きまして原則としてはございません。
○貝沼小委員 農業の所得につきましてもいろいろな意見がございまして、特に「財界、労働界の農政批判に対する系統農協の見解」というのが出ておりますね。これに詳しく出ておりまして、決してそんな軽い税制ではないというふうに言っております。大蔵省がもしそれは軽いのだと考えるのなら、その理由をはっきりしながらやればいいわけでありますが、そういう団体としてはそういうふうにはっきり説明しております。 それから農林水産大臣も七月十一日に、農業者だけが税金が重くなるというようなことは考えておらない、総理といえども考えておらないことをここで断言しますというふうに閣僚の一人が言っておりますし、また、もし私に話があればそういうことは拒否いたします、こういうふうに農林水産大臣も言っておるわけですね。したがって恐らく農業の話というのは農林水産大臣にも話がない、相談もない、総理大臣が勝手に言った言葉ではないかと私は思っているわけでありますけれども、少なくとも一国の総理大臣でありますから、そういう軽々な発言をしてはならぬと思いますが、ここでぜひ農業に対する税金はそう簡単なものでないということなんだから主張しておいてもらいたいという意見がありましたので、一言言わしていただいたわけであります。 それからもう一点は、財政の再建ということを考える場合にどうしても自然増収のことについて一言聞いておかなければなりませんが、今年度の税収見込みに対して自然増収というものがどれぐらいと考えられるのか、これは先のことでありますからそう簡単には数字は恐らく出ないと思いますが、相当あるというふうに考えられるのか、余り期待できないと考えられるのか、この辺の感触を伺っておきたいと思います。
○高橋説明員 六月末までの税収しかいま判明しておりません。二兆二千八百二億円でございますが、それをもって予算額二十一兆四千八百七十億円に対してこれから来年の五月までに、足りないと言うんではございませんが、足りるのか、どのくらい余るのかということをいま判断することは不可能でございます。まして昨年以来、五月税収というのを当年度とることにいたしました。したがいまして、五十四年度の経済情勢のよって五十四年度の税収がぴしゃりと決まってくるわけでございます。三月税収が翌年度に入りますと、前年度の経済情勢で法人税につきましては、当年度の税収のかなり大きな部分がわかるということでございますから、いま申し上げたような収納区分の改定がございましたので、したがいまして、いまの段階で何とも申し上げかねるというのが偽らざるところでございます。
○貝沼小委員 それじゃ自然増収というものが、これから景気がよくなってきた場合に自然増収は伸びると思いますが、そういうようなことがもしあれば、来年度税制を考える上でかなり影響があると考えられますか。
○高橋説明員 これは私の所管と申しますよりも大蔵省全体と申しますか、歳出当局からお答えすべきかもしれませんが、仮に自然増収というものが出てまいった場合に現在の財政状況のもとでは、公債の発行額を縮減してまいるというのがまず第一になすべきことであろうというふうにお答え申し上げた方が正しいと思います。
○貝沼小委員 それじゃ最後に、国税職員の定員大幅増加に関する要望というのが出ておりますので、その問題について伺っておきたいと思います。 先般、私ども大蔵委員会の行政視察といたしまして九州の方へ参りました。そのときも、国税職員というものが非常に少ない、その反面、仕事の方はどんどんふえておるということで大変だなという実感を持ってきたわけでございます。この内容についてはもう私がくどくどここで申し上げなくても恐らくよく御存じのことばかりだろうと思うので、そう詳しくは申し上げないつもりでありますが、たとえば徴税面の公平という問題、これがあると思うのですね。この徴税面の公平を期すためには一体どういうふうにすればなされるのでしょうか、これは国税庁の方にお伺いしておきます。
○磯邊説明員 国税の現場のいろいろなむずかしい問題につきまして、貝沼委員の方で温かい御理解をいただいておることに対しまして、厚く御礼申し上げます。なおまた、この前の国会におきまして大蔵委員会の附帯決議といたしまして、新たに特に定員の増加ということについて附帯決議をいただきましたことを大変心強く思っておる次第でございますので、まず最初に厚く御礼申し上げます。 ただいま先生御質問の、どのようにして課税の公平を図るべきかという問題でありますが、私たちは御承知のような限られた人員で、いかにして公平な課税を実現していくかということに日夜努力いたしておるわけであります。そのためにまず第一には、できるだけ調査に当たる人員をふやしていきたいということが一つであります。しかし、それについても限度がございますので、日ごろから調査以外に納税者に対します指導、それからまた相談事務といったものを充実いたしまして、納税道義の高揚を図ることによってまず、納税者自身が誠実にして正しい申告をしていただくように、そういった環境づくりといいますか、お手伝いをすることに努力をしているわけであります。 しかしながら遺憾なことには、すべての納税者が正しい申告をされる方ばかりとは言えませんので、あるいはまた、意図的ではなくてもいろいろな計算の間違いあるいは税法の誤解による少額な申告といったこともございますので、そういった方に対しましては、調査によってこれを是正していくということをやっておるわけでございますが、いかんせん、その調査に従事する人員というものは御承知のように限られております。したがいまして、この限られた人員をできるだけ効率的に活動してもらわねばなりませんので、従来から調査に当たりましては、高額もしくは悪質なと思われる調査対象者を選定いたしまして、それに対する調査をやっておるわけでありますが、しかし一方、こういったいわゆる悪質もしくは高額の調査対象者だけに接触しておりますと、一般の納税者に対する接触の機会がなくなってくるわけであります。 これを数字で申しますと、法人税につきましては全法人に対しましてその実調率が八%弱であります。それからまた、個人につきましては実調率が四%程度であります。こういったことから極端な場合には、一人の納税者が自分で事業を主宰しておられる一生の間に一度も税務の調査を受けることはなかった、また税務署員と接触する機会もなかったといったような場合があるわけでありまして、こういったことでわれわれとしては、あるいはいままで漠然と少額所得者であるからということで放置しており、あるいはまた、地域が広いために実態を見てなかったといったようなことがあって、その結果、隠れた潜在、高額所得者といいますか、そういった方もおられるのじゃないかということで、最近は、高額重点主義ということは中心に置きながらも、できるだけ余力をつくりましてそういった幅広い調査といいますか接触といいますか、納税者と幅広く接触する機会をつくりまして、隠れた潜在所得者あるいは大口所得者の発見ということに努めておるわけであります。 もちろんそのほかに、各種の有効な資料の収集であるとかあるいは関係官庁との緊密な連絡であるとか、そういったこともやっておるわけでありますけれども、もろもろの手段といいますか、税務職員の努力、それから工夫をこらしまして、課税の公平というものの実現のために努力しておるというのが実情でございます。
○貝沼小委員 行管庁の方にお伺いいたしますが、ただいま長官からいろいろお話がございまして、要するに、徴税というものを本当に公平にやることはなかなかできないのだ。十五年に一回とか一生に一回では、やっているかやっていないか実際外から見たらわからないぐらいなんですね。ところが国税の職員は毎日朝から晩まで大変な仕事をやっている。しかもこの仕事は余りほめられないのですね。あの国税職員は一生懸命やっているからといって、みんなからほめられるということはない、かえって煙たがられているそういう職業でありますから、この辺のところは行管庁としても、何でもかんでも削ればいいというものではないと思うのです。特に先ほどから強調されておりますように、財政がパンクしそうだというわけでありますから、そういう場合は、歳出官庁と歳入官庁というものの人員の増減については別に考える必要があるのではないか。しかも税制に対する正しい理解というものを国民の方にしていただくためには、やはり公平な徴税でなければならないというようなこともありますので、この辺のところを行管庁としてはどのように考えておるのか、伺いたいと思います。
○百崎説明員 国税庁関係の職員の方々が、財政収入の確保ということはもとよりでございますけれども、先生御指摘のように、税の執行面での公平の確保という非常に重大な使命を担っておられて日夜御努力になっているということは、私どもも十分承知しているつもりでございます。そういった意味で、定員の査定に当たりましてもできる限りの配慮はしているつもりでございます。ただ現実には、先ほどからお話がございますように実調率が低くて、十年、二十年に一回しか税務調査が回ってこないというような実情にあることも事実でございます。それからまた、税務関係の職員の方々を一人ふやせばそれに応じて税収がふえる見込みがある、そういった特殊な面があることも私ども承知しているところでございます。 今日、とにかく財政の再建ということが非常に大きな課題になっておりますので、私どもといたしましても、歳出の合理化に努める一方、以上申し上げたような点を踏まえまして、今後ともできる限り合理的な定員配置が行われるように努めてまいりたい、かように考えております。
○貝沼小委員 できるだけ定員配置に努めてまいりますということは、国税職員がふえるというふうに受け取ってよろしいですか、その点をまず伺っておきます。
○百崎説明員 国税庁関係の定員につきましては先生御存じのように、非常に厳しい定員事情の中で、必ずしも十分とは申せないかもしれませんが、毎年百人内外の純増を図ってまいっております。そういった意味におきまして、今後とも事情の許す限り私どもといたしましても、適正な定員配置が行われるように努めてまいりたい、かように考えております。
○貝沼小委員 どうもはっきりしないのですけれども、事情の許す範囲というのはそれではどういうことなのか。たとえば前年度要求の二〇%減とするとかいうふうなことも聞いておりますけれども、そのことを言っているのか、それとも、そういう事情を勘案して幾らか色がつくということなのか、まずその辺をはっきりしていただきたいのが一つ。それからもう一点は、この国税の職員の場合は、非常に特殊な仕事でありますので、よそからぽんとかわってきてさっとできるという仕事ではないわけですね。初めから訓練をしていかないとできない仕事の分野でありますので、こっちの方が余ったからこっちへ持ってきて、それで頭数だけふやせばいいという簡単なものでないということも恐らくよく御存じだろうと思いますから、どういう考え方なのか、もう一回お伺いします。
○百崎説明員 今日、私どもの置かれております環境は先ほど申しましたように、非常に厳しい財政事情あるいは定員事情の中に置かれているわけでございまして、政府全体を通じてみましたら、一方ではさらに合理化を図るべき部門があろうかと思います。そういった面をそのままに放置しておいて行政需要の増大する部門にだけ増員をするということは、先ほど先生お話しのようにますます大きな政府になるというようなこともございまして、私ども鋭意行政改革に努めているわけでございますが、そういった事情も反面にございますので、そういう意味で、片方で合理化を進めながら、できる限り、事情の許す限り必要なところには定員を振り向けたい、こういうことでやってまいっているわけでございまして、今後とも基本的にはそういう方針で臨みたいと思います。 それから二〇%の話でございますが、これは要求段階でシーリングを設けてまいっておるわけでございますけれども、各省庁におきまして、非常に厳しい事情にあるということを要求の段階で再認識していただくと同時に、不要不急な要求をできるだけ抑制していただいて今日の厳しい事情に対処する、そういう趣旨で設けているわけでございまして、その辺の事情は先生も御理解いただけるかと思います。 いずれにいたしましても私どもといたしましては気持ちとしては、そういう環境の中で事情が許せばそれは幾らでも増員いたしたいと思いますけれども、反面で政府全体として合理化を進めるべき部門を抱えておりますので、そういった点の合理化を進めながら、全体として公務の定員ができるだけふえないようにということもこれまた国民の素朴な御要求でございますので、そういった点も踏まえながら事情の許す限り必要なところには定員を振り向ける、こういう考えでございます。
○貝沼小委員 とにかくいまの状態では徴税の公平ということはできないし、恐らく国民もそれに不満を持っておるであろう、したがって行管庁の責任も大きいと私は思うわけであります。それから、非常に経験の要る職業でありますので、人員の移入ではこれはむずかしい、そういうためにも、新規採用の増員をやっておかないと将来のためにもよくないということを申し上げておきたいと思います。 いずれにいたしましても、国税職員の定員大幅増加に関する要望というのは恐らく行管庁の方にも出ておると思いますので、私はくどくど申し上げませんでしたけれども、この中身をよく御検討いただいて、より前進した内容にしていただきたいことを要望して、終わりといたします。
○小泉小委員長 安田純治君。
○安田小委員 前に二人の同僚委員の方がいろいろな角度から伺いましたので、時間も余りございませんから、私は問題点をしぼって質疑をしてみたいと思います。 まず、最近非常に大きく問題になっておりますいわゆる疑獄事件などの再発防止策に関連して伺いたいわけですが、ロッキードあるいはソウル地下鉄あるいはまたグラマン、ボーイング、ダグラス、こういう問題を契機にいたしまして、これら疑獄事件を未然に防止する再発防止策を早急に確立することが国政上の重要な問題になっておるということはもう明らかでありますが、総理のもとで航空機疑惑問題等防止対策協議会が設置されまして、九月中旬にも答申されると聞いておるわけであります。当然大蔵省、国税庁も関係事務当局として何らかの考え方なり準備もされていると思いますし、省としてどのようなかかわり方をしているか、どのようなことを検討項目にしているかを伺いたいところでございますけれども、時間の関係で、まず脱税の時効の問題についてお伺いをしてみたいと思うわけであります。 もちろんその前提といいますか前置きには、この税制の問題だけで疑獄の再発防止の決め手になるかどうかということ、あるいは、企業倫理の問題についても税制の問題だけで解決するというふうに私どもも思ってはおりませんけれども、かといって、税制は全く何の役にも立たぬとも思っておらないので、税制問題の方からも再発防止の重要な幾つかの施策があり得るだろうというふうに思うわけです。 そういう観点から伺うわけですが、再発防止策の重要な一つに脱税防止対策があるだろう、その第一に課税の時効の問題があると思いますが、例の松野氏が日商岩井から受け取った五億円は、全額所得と認定されれば単年度で四億円を追徴できるものだと思います。ところが御承知のようにわが国の場合、単純な申告漏れですと三年、脱税でも五年という時効があって、松野氏の場合には、昭和四十二年から四十六年にかけて受け取ったとされるこの五億円については、法的には全く追徴されていない。ソウル地下鉄問題でも、資金の流れがあったのが昭和四十八年の一月から五月、したがって六年たっているから期間から外れるということで全く課税をされていない。これでは全くのもらい得になってしまうんじゃないかということがあるわけであります。 ところで、アメリカなど主要諸国では日本より相当厳しい制度がとられているように聞いておりますが、その点まずどうなっておるか伺いたいと思います。
○高橋説明員 いわゆる賦課権の行使期間の制限でございますが、これにつきまして外国の立法でございますけれども、単純な過少申告の場合に賦課権の行使期間制限は、日本、アメリカ、これは三年でございます。それからイギリスが六年、ドイツが軽過失に基づく場合四年、重過失に基づく場合五年、フランスが四年。これに対しまして、脱税の意図に基づくものであるという認定を受けました場合には、日本は五年でございます。アメリカ、イギリスは無制限、ドイツが十年、フランスが六年、こういうのが各国の立法例でございます。
○安田小委員 いまの御答弁でもありますように、どうも主要諸国では日本が一番脱税の時効の期間なんかについて短いというようになるわけであります。これは少なくともフランス並みの十年ぐらいに長くする必要があるのではないかと思うのですが、まず、脱税の時効が五年になっているこの立法の趣旨についてはどうお考えでしょうか。
○高橋説明員 これは明治三十年以来の制度のようでございます。それで、課税権の除斥期間の規定は、昭和三十七年の通則法制定前は、単純な過少申告について三年とするという規定が所得税法にございました。それ以外の脱税の場合は国税徴収法、もっと昭和三十四年以前は会計法、その規定に従いまして国税債権の時効を五年にするという解釈できたわけでございます。ただいま明治三十年と申し上げましたのは、会計法の五年という期間が明治三十年以来そういうふうに定められてきた、これが沿革でございます。 五年の期間と定めた理由といたしまして、商事債権の時効期間と同じように短期時効という規定を設けましたのは、大量性、反復性という特殊性から法律関係の迅速、画一的な処理が要求される、そのために、公債権につきましても五年という期間が定められておるというふうに私どもは理解して、そういう解釈に基づいておるわけであります。
○安田小委員 確かに商事債権の短期時効といいますか五年というのは、大量、反復する、継続する、そういう取引について法律関係を早く確定させなければいかぬという配慮があると思うのですが、しかし脱税の場合といいますか、国の租税債権の場合にそういう必要があるのかどうか。徴収面におきましては確かに、確定したそういう債権の取り立てる面については国は非常に強い執行力を持っているわけですから、これをいつまでも放置しておいて後になってから取るというのは、これはちょっと国の怠慢を認容することになりますが、こういうロッキード、ダグラス、グラマンのような問題が起きてまいりますと、どうもそれと横並びで短期時効といいますか五年というのは、明治三十年来変わらないというのはいかがか。ことに海外取引など非常に複雑な事案がふえてまいりますから、そうなりますと、確かに租税債権の存否とその額を確定する場合、それも国の方は一般の商人と違いまして、調査の機能や権限も十分備えているたてまえにはなっておるわけですが、しかし実際問題として、これだけたくさんの企業を実地調査をやってきちっと全部やるというのは不可能である。しかも海外取引など非常に複雑な事象がふえてきておる。それでもなおかつ明治三十年以来の五年でしていいのかどうかという点、非常に疑問に思うわけであります。 ちなみに商法を見ましても、商法の第三十六条では、商業帳簿など重要書類、これの保存は十年保存せよということになっておるわけであります。これも昔からの規定でございますけれども、確かにこの商法の三十六条の規定は、税法上のどの程度の書類が入るのか必ずしもはっきりは書いてありませんが、しかし相当関係するわけであります。これは訓示規定ではございますけれども、訓示規定だからといって守らなくてもいいということではないので、言うまでもなく訓示規定というのは、それに従わなかった場合にその法律行為の効果については影響がないといういわば事後救済的なもの、あるいは罰則の適用がないというものであって、国法であることは間違いないわけですから、これは守るべきが筋であります。商法にちゃんと帳簿の保存期間など十年となっておる趣旨から見ましても、これは少なくともフランス程度の十年ぐらいにする必要があるのではないか。時効なしという考え方もあり得ると思いますし、アメリカなど英米法系の法体系のもとで時効の中身の考え方について多少、これは実体法上の権利の存否かあるいは訴追の権利の存否かという請求権の問題でいろいろありますが、少なくとも日本の制度でも人を殺しても時効があるわけですから、これは時効なしというところまで私は主張しませんけれども、せめて十年くらいにはならぬのか。その点について先ほど申し上げておりますように、この航空機疑惑の問題など発生してみますと、これは多国籍企業の問題、いろいろ複雑な問題が出てきますので、せめて十年くらいはどうかというふうに考えますが、その点で国税の方を管轄する当局はどうお考えか、伺いたいと思います。
○磯邊説明員 ただいま安田委員御指摘のように、私たち税務調査いたしまして、それがきわめて複雑な事案であり、また大口な事案であるような場合には、まずそういった調査のヒントなり端緒をつかむのに時間がかかり、また、その調査を完成するために通常以上の時間がかかるというのが通例でございます。したがいまして、せっかくそういった事実を把握いたしましても、やはりそれが三年なり五年の除斥期間が満了したために課税することができなくなったというケースがあって、われわれとしては非常に残念に思うことが多いわけでありますが、ただしかし、この時効なりあるいは除斥期間の問題になりますと、単に税務上の問題だけではなくて、ただいま先生御指摘になりましたように、あらゆる国の債権の時効の問題であるとか、あるいは商事債権の短期時効消滅の問題であるとか、それからさらにまた罰則につきましては、ただいまのところ罰則として所得税法あるいは法人税法違反の場合には最高三年以下の懲役ということになっておりまして、そういった場合には刑事訴追を求める場合でも公訴時効が三年で満了する、もろもろのそういった各種の法律の関係があろうかと思いますので、単に税務の執行上の問題だけでこの問題を議論するのは、国税の執行に当たる私たちとしては非常にむずかしい問題があろうと思っています。しかし実感といたしまして、やはりこういった除斥期間がもう少し長ければみすみすそれを把握しておきながら徴税に至らなかったというふうな問題がなくて済むのではないかというふうなこと等を残念に思うといったような機会がしばしばあるのが実態でございます。
○安田小委員 確かに公訴時効の観点から見ますと、刑罰を上げなければ公訴時効が短いということにもなりましょうけれども、時効と除斥期間の問題、ちょっと私も一緒くたに使いましたけれども、確定された国の債権についての時効、これとその前のいわば五年という除斥期間の問題、この問題とは区別して考えていいのではなかろうかと思うのですね。時効は中断というようなことがございまして、しかも国税というのは非常に簡便な方法がございますね。一般の民事の債権でしたら、最終的には裁判所なりに訴えなければ時効中断になりません。したがって、訴訟を提起して勝訴の見込みがあるということで大分いろいろ考慮せざるを得ないのですが、国の確定された債権の場合にはわりかし簡単にこの時効中断ができるわけですから、そういうものでしかもぶん投げておくということではならぬと思うのですよ。だからその時効については、それは一般の民事の十年よりも短くてもいいだろうとは思うのですが、その前の除斥期間、前といいますかそもそも租税債権を確定するためのいわば問題、この除斥期間の五年というのはいかにも短いというふうに言わざるを得ないので、その点で、他の法律と確かに関係する部分はございますので、大蔵当局だけで法改正するとかなんとかと簡単には断言できないでしょうけれども、大蔵当局としてはいま私が申し上げているような方向での法改正について御検討されておるのかどうか、その点伺いたいと思います。
○高橋説明員 長官からもお答えがありましたが、除斥期間が外国の立法例に比べて日本の場合に短いではないかという御指摘がございます。先般の通常国会でもたびたびそういう御指摘をいただきました。 そこで考えてみまするに、一つは、先ほども商法の三十六条で商業帳簿の保存期間が十年になっておるから、したがって課税上の資料としても十年に賦課権の除斥期間を延長しても差し支えないではないかというような御議論があるわけでございますけれども、実際問題として商人の商行為以外には、また商業帳簿と営業に関する重要書類以外にはこの十年という商法の規定の適用がない。したがって、譲渡でございますとか雑所得とか、弁護士さんとかお医者さんとかいった士の方々の商業帳簿保存義務というのはございません。そういう点をどう考えるのか。また、短期時効が商事債権についてございますので、実際問題としてはこれはもう五年以上商業帳簿を保存しておられる方は少ないようでございます。そういう規定があるから直ちに除斥期間を延長して執行が可能になるというわけにいきませんので、納税者に書類保存の年限の延長をお願いしなければならないけれども、それが可能かどうかということを実態面からも慎重に考えなければならないというのが一つ。それから第二番目に、一般的な公債権の時効期間、それから公訴期間とのバランス、これは長官から申し上げました。第三に、経済取引の法的安定性というものと課税の除斥期間の延長ということの関係をどう考えるのかというようなことが問題点になろうかと思います。 それらの問題点はございますけれども、除斥期間の延長につきまして執行上の観点も一つございますことは長官からもお答えがありましたが、長期的な課題として現在勉強を進めております。
○安田小委員 いまの御答弁の中で、商法では十年になっているけれども、士法なんかを見ますとそうなっていないとおっしゃいますが、現実問題としてといいますか、法制の問題として見ますと、たとえば弁護士の場合だと、他人から預かった書類の返還義務は三年ということですし、いろいろあるのです。お医者さんだったらカルテの保存は何年とか、それを見ると五年より短いのがたくさんございますね。だけれども五年になっている。だから、法律制度の上で職業によって関係書類の保存期間はいろいろ違うわけで、五年より短いのもあるけれども、除斥期間は五年になっている。商業帳簿は十年に一応システム上なっておる。ですから、商業帳簿が十年だということだけで私は横並びにしろと言っているのではない。非常に大きな一つの根拠として言っているだけで、商法に書いてあるから十年にしろということだけを根拠にしているわけではございません。しかし非常に大きな根拠にはなるだろう。ことに租税債権の問題で考えれば、何と言ったって商取引、商人の方々が対象としては一番多いわけです。たとえば弁護士だったら一万数千人、お医者さんだったら十万人くらいしかいないわけですから、圧倒的に商人の方が多いわけであります。 しかも脱税となれば本来、脱税するような人というのは、自分自身がそういう証拠書類を残しておくことは少なかろう。反面調査によって調査ができるのではないかということを考えますと、たとえば弁護士の場合、自分のところで預かっている書類などは三年でなくなってしまってどうということはないということになっても、弁護士に払った報酬なりなんなりの記帳は、支払った相手が商人であれば、そして商取引に関係するものであれば、たてまえから言うと十年は帳簿あるいは重要書数は保存しておかなければならない、全くプライベートな離婚とかなんとかの支払いは別ですけれども。そういうことにたてまえはなっているわけですから、そうなりますと、せめて十年くらいは延ばしてもいいのではないかということですし、また、実際問題として帳簿の保存を納税者に延長をお願いしなければならない、法律には書いてあるけれども、実際にそんなに残しておくことはないとおっしゃいますけれども、それは税法の改正といいますか、除斥期間の変更、こういうおたくの方の決意いかんによって出発してくるのではなかろうかというふうにも思うのですよ。 長期の勉強課題であるとおっしゃいましたけれども、長期というといつごろまでになるかわかりませんが、実にこういう疑獄事件が多発いたしまして、これからますます多国籍企業のそういう事業活動について社会の監視の目も厳しくなっていくでしょうし、世論としてもそういう傾向にあると思うのですが、そういう中で長期の勉強課題というだけでは済まないのではなかろうか。やはり適当なめどをつけてそこに向かって検討を詰めていくという姿勢が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○高橋説明員 これは税法の分野と申しますよりも、取引に関連いたしますさまざまな民事法なり経済法なりそういうものの分野全体を含めて考えなければならない問題だと思います。そういう意味で、非常に複雑錯綜した範囲の広い問題でございますから長期的と申し上げたわけでございまして、だらだらといつまでもやっておるという意味で申し上げたわけではございません。外国の法制にしましても、その執行が現実にどう行われているかということを勉強しなければなりませんし、仮に規定だけ直して十年としても、帳簿なり書類なりの保存が悪くて執行ができないのでは非常に多くの問題が起こってまいりますし、事柄が基本的に、税制に対する信頼を深め、税の執行の公平を期するというところにあるわけでございますから、そういう目的にあわせて広範な勉強をいたしておるということでございます。
○安田小委員 とにかくこの航空機疑惑の再発防止策について、一たん出発はしたわけですが、もうすでに新聞では「やる気問われる首相」、「棚ざらし懸念の声も」などと報道されておるわけでありまして、長期の勉強課題だということではなくてぜひ鋭意詰めていただいて、この脱税の除斥期間の是正をひとつ大蔵当局としても熱心にやっていただきたいということを強く要求しておきます。 次に、グラマン事件と関連して日商岩井初め最近では住友商事なども、先ほど只松委員の方からも御質問があったようでありますが、多くの大企業で脱税が行われていたことはまことに遺憾にたえないわけであります。大企業の場合、本来このようなことがあってはならないということは、大企業じゃなくてもそうですけれども、ことに大企業の場合、その活動の社会的影響からいっても当然であるし、税の不公平感を助長させないためにも非常に重要なところと思うのです。 ところで法人税の実地調査をどのように行っているのかをちょっと聞きたいのですが、最近時点における処理件数、実調件数、更正決定件数、不正申告のあった件数、それに増加所得金額は一体どうなっているか、前にも多少お伺いしたことがあったかもしれませんけれども、この点についてどうなっているかお伺いしたいと思います。
○磯邊説明員 全般的に脱税があってはならない、特に大企業についてはそういった不正ケースがあってはならないという安田委員の御意見、まことに同感でございます。そういった意味におきまして、私たちは大企業に重点を置いて調査をいたしているわけであります。 これを昭和五十二事務年度、つまり事務年度と申しますと七月一日から六月三十日までを区切っておりますが、五十二事務年度の事績を申し上げますと、まず調査課所管法人、これは原則として資本金一億円以上の法人でございます。これにつきましては全部で一万七千法人ございます。税務署所管法人につきましては百五十九万四千法人あるわけであります。 この調査課所管法人の一万七千法人につきましての実調件数は四千二百九十五件で、実調割合が二五・四%であります。税務署所管法人につきましては、実調件数が十二万一千五百五十九件で、実調割合が七・七%であります。これを合計いたしますと、法人全体として七・九%の実調割合となっておるわけであります。 また、一件当たりの調査日数を申し上げますと、調査課所管法人につきましては平均四十七・二日、税務署所管法人につきましては平均七・一日であります。 それから、更正決定等の処理をいたしました件数は、調査課所管法人につきましては四千五十六件で、その更正決定の割合は九四・四%、税務署所管法人につきましては九万四千二百四十三件で、その更正決定等の処理割合は七七・五%であります。 さらに、その更正もしくは決定いたしました中で不正発見、いわゆる重加算税の対象になるような件数は、調査課所管法人におきましては実調した法人の中で一七・三%というものが不正発見をされておりまして、税務署所管法人につきましては二二・四%であります。 それから、増差所得金額でありますが、総体といたしまして、調査課所管法人につきましては二千八百六十三億円、税務署所管法人につきましては四千四百八億円、これを一件当たりで申し上げますと、調査課所管法人につきましては六千六百六十五万五千円、税務署所管法人につきましては三百六十二万七千円ということになるわけであります。 なお、不正所得について申し上げますと、調査課所管法人につきましては一件当たり三千六十七万三千円、税務署所管法人につきましては五百六十五万四千円ということになっておるわけであります。
○安田小委員 今後ともこういう点でますます悪質、大型化していく脱税についてぜひ力を入れてやっていただきたいと思うのですが、多国籍企業の課税問題についてちょっと伺いたいわけです。 「税務弘報」という雑誌のことしの七月号に、国税庁の調査課長の五味さんが「使途不明金と最近の税務運営」というのを書いておられますね。それを見せてもらいますと、結論から言って、日本の大企業がどんどん多国籍化している、いろいろやっているけれども、アメリカなどがやっている特別な調査方法も研究して、複雑巧妙にやり出している企業側のビヘービアにおくれをとらないよう努力を重ねていく決意を述べられておるわけでありますけれども、具体的にはどんなことを検討しているのか、その努力を重ねていく決意の具体的中身を明らかにしていただければありがたいと思います。
○磯邊説明員 御指摘のように最近の大企業は、企業活動そのものがきわめて複雑化あるいは国際化してきておりますが、さらにまたそれを進めまして、多国籍企業化という現象があらわれておるわけであります。 そういったところで、私たちの税務運営の中心、調査課所管法人に対する税務調査の重点事項ということで取り上げておりますのが、まず第一には、海外取引を利用した不正所得の把握について十分留意していく、特に海外子会社を有するような大法人につきましては連年実地調査をして充実した調査を図り、特にこういった海外子会社との取引、あるいは送金関係あるいは入金関係を重点的に調査するようにということを指示しております。 同時に、内部の職員に対しましては、外国語、貿易実務、それから海外取引の調査技法の研修等を内部で盛んにやっておりますし、同時にまた、調査に当たりましては、わが国企業の海外事業所等の実態把握等の調査のために、米国を中心に年間数組の調査チームを派遣して実地調査をやっておる。もちろんこれには当該国との主権の調整等もございまして、なかなか思うような調査はまだできないのでありますけれども、少なくとも米国との間においてはかなり突っ込んだ調査ができておることは事実でございます。 それから同時に、現在二十七カ国との間に租税条約が結ばれておりますけれども、この租税条約に基づく情報の交換が行われておりまして、現にこの前航空機問題でいろいろと問題になりましたボーイング社であるとかあるいはグラマン社であるとかに対する日本の商社の課税問題等につきましては、この情報交換によってわれわれとしては非常にいい事実をつかむことができたということもございます。 そういったことをやっておるわけでありますけれども、同時に、御承知のように税法面におきましては、昭和五十三年にいわゆるタックスヘーブン対策税制が導入されましたので、今後は法的な整備もできましたからこの税法を積極的に活用していきたい、かように考えておるわけであります。 それからさらにまた、アメリカ並びにEC諸国等を中心といたしまして、企業活動がグローバルになってまいりましたので各国間でそれぞれ連携いたしまして、多国籍企業に対しましては同時調査をするとかあるいは積極的な情報交換をするといった方法がとられておるわけであります。私たちとしては、できるだけ日本もそのような連携調査といいますか、そういったところまで各国と協調してやっていくようにしたい、かように考えておりまして、たとえば連年、イギリス、フランス、アメリカ、西ドイツ、そういったところの国税庁長官もしくは実務担当者が集まって打ち合わせなりあるいはディスカッションをやっておるわけでありますけれども、できましたら日本もこの共同作業のグループに参加させてもらいたいというふうなことで、過日こういった列国に対して申し入れをしたというような実績もございます。いろいろなこういった各国との主権の調整等もありますけれども、多国籍企業等に対します課税の問題は、それぞれ各国で同じような悩みを持ち同じような目的に向かって進むことができる仕事であるだけに、各国間の協調というものを今後さらに一層強めてまいりたい、かように考えておるわけであります。
○安田小委員 なお一層努力をしていただきたいと思いますが、時間の関係でほかの点もいろいろお伺いしたいことがあるのですが、ちょっと細かい問題について伺いたいと思うのです。 いままでの話とちょっと違いますが、税法上の扶養親族でございますけれども、この扶養親族をたとえば納税義務者が二人いた場合、そのうちのどっちにつけるかという問題が出てきますが、そのときにどうも法令を読みますと、所得税法の施行令なんかを見ますと、申告によるというのが第一義で、この申告がぶつかった場合といいますかこういう場合は、先に認定され決まった方、それで認定できない場合には所得の多い方みたいに大ざっぱに言えばなっているようでありまして、第一義的に、その複数の扶養義務者の方の話し合いといいますか意思によって決まるというふうになっておるというのは、それでいいのでしょうか。そういうふうにやって間違いないですか。
○高橋説明員 所得税法施行令の二百十八条という規定がございまして、「二以上の居住者の扶養親族に該当する者をいずれの居住者の扶養親族とするかは、」これらの居住者の提出するその年分の「申告書等に記載されたところによる。」これが原則です。ただしその第二項がございまして、「二以上の居住者が同一人をそれぞれ自己の扶養親族として申告書」に書いたときには、「その年において既に一の居住者が申告書等の記載によりその扶養親族としている場合には、」その者の扶養親族とする。それでもまだ決まらない場合には「居住者のうち総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額」の「見積額が最も大きい居住者の扶養親族とする。」これが第二項の規定でございます。
○安田小委員 そこで、この扶養親族の範囲ですけれども、これは税法上のいわゆる扶養親族の範囲と、あるいは、国家公務員や地方公務員その他民間にもありますが、いわゆる扶養手当ですね、こうしたものの支給を受ける扶養親族の範囲とかその立法の趣旨とかは違うと思うのでございますけれども、税務当局の方で言いますと、扶養控除を受けられる扶養親族がある一居住者の方にあったとしますね、共かせぎの場合なんかを考えまして。そして勤務先で今度は共かせぎの別な他方が扶養手当の申請をする、それは食い違ってくる、そういうことがあっても差し支えないわけですな。範囲が違ったり立法の趣旨が違いますので、たとえば夫が子供たちを扶養親族として税法上は申告をする、そして共かせぎの妻が勤務先で扶養手当の申請をする、ばらばらになるということがあり得ても税法上は構わないわけですな、税務当局として。
○高橋説明員 具体的にどういうケースを指しておられるのかよくわかりませんが、税法上の扶養親族の要件を持っておる人を自己の扶養親族として先ほどの所得税法施行令の二百十八条の規定で申告をなされば、その人について扶養控除の適用があるというのが税法の立場でございます。
○安田小委員 ちょっとお伺いしたのは、扶養しているという実態に着目してそれに控除を加えるということであれば、法令の規定を見ますと、第一義的には申告書の記載によるということになっておるわけですから、実態はともかくとして申告書の記載で決まるということになりますね。ところが扶養手当の場合には今度は、実際の扶養者がだれであるか非常にこだわられるようでありますが、そこで食い違ってくるところが出てくる場合があるわけですね。夫の方に子供を全部扶養親族としたら税法上の控除は夫の方で受ける、手当の方は妻の方の勤務先で受けるということだってあり得るわけで、その場合にこの税法上の規定を見ると、申告書によるわけです。ですから食い違っても、これは法律上そういうことがあり得ても当然だというふうになりますけれども、それでよろしいのですか。
○高橋説明員 税法の立場からは、所得税法の二条に規定されております扶養親族でありますれば、先ほどの規定に従って申告書に記載があれば扶養控除をいたします。
○安田小委員 そういう法令になっておるわけですが、そこで、それに関連して税法上以外の問題で伺いたいのです。 夫婦共かせぎの人で、妻が国家公務員でも地方公務員でもいいですが公務員である、夫の方は給与所得者か事業所得者かわかりませんけれどもそれ以外のところから所得を得ている。子供の扶養手当の問題ですが、妻の方がこれを申請した場合にこれは認められることになるわけですか、扶養の実態さえあれば。
○斧説明員 先生いまおっしゃいました共同で扶養親族を扶養しているという場合に、扶養手当はいずれにしても一口しかくれないわけです。したがいまして、仮に夫が民間会社に勤めているという場合に、そちらで扶養手当をもらっていれば公務員の側は出さないということになります。それではそちらでもらってない場合にどうするのかということになるわけですが、これは主として扶養しているかどうかというその扶養の実態に着目しまして、主として扶養していれば出す、何も夫に限ってもらえるので妻はもらえないというわけではないわけです。その場合に、何でその主としてということを見るのかということになるのですけれども、これは収入がどちらが多いかとかあるいは家計をだれが主として支えているかとか、そこら辺は扶養手当をもらいたいという側も扶養手当を認定する側も社会常識に従ってやってもらうよりほかはないのじゃないかと思っています。したがって、妻は夫がいる場合、しかも収入がある場合は扶養手当は絶対出しませんというふうにはなっていないということでございます。
○安田小委員 実態をいろいろ調べてみますと、必ずしもおっしゃるようには運営されていないようなケースがあるわけでして、たとえば簡単な話、夫婦共かせぎの場合に、夫の方が子供が生まれた場合に申請すれば、事情も聞かず、それこそ税法上の申告書どおりに大体認めているような実情ですけれども、妻の方が申請をしますと、あなたのだんなはどれくらい収入があってどうやっているのだということを聞く、そういう実態はどこの役所でも実際問題としてあるようであります。けしからぬことだと思うのです。夫の場合だと、男が養うのが当然だというのは、あなたのおっしゃる常識かどうか知りませんけれども、私どもは何もそうは思わない。ことに先ほどの質問にもありましたように、妻が遺産相続の半分をもらえるようにしようじゃないかというような話まで出ている世の中で、男性が申請すればほとんど申告書どおり、まさに税法上の申告書どおりにやっているはずです。あなたの奥さんがどこでどれくらい収入があるかとか一々根掘り葉掘り聞かぬ。ところが奥さんの方が出すと、あなたの亭主はということを聞かれるので、女性の方がびびっちゃって、ひるんで、最初から体裁が悪いわということで出さないケースも大分聞くわけでございます。こういう運営が実態としてあるので、私はけしからぬと思うのですが、一つ具体的な例で伺います。 福島県で、妻が学校の教員で、夫は民間会社に勤めておるあるいは民間団体に勤めておるという場合に、妻が子供の扶養手当の申請をいたしましたところが、これは福島県の教育委員会が、慣例として妻の方には扶養手当をつけぬのだということで、いわばその申告書の届け出の取り下げを求めたのですね。実際はそれはもう女性の方が妥協して一たんはおろしたと思うのです。ですからトラブルとしては表面に出てきていないのですが、その点に関して文部省に伺いたいわけですが、そういう御指導をされておるのかどうか、その点を伺いたい。
○倉地説明員 この件は、具体的には県の給与条例の具体的な運用の問題でございますし、また、私ども若干連絡をとっておるわけでございますけれども、その件の場合は、教員に限らず県庁職員、県全体の職員の共通の扶養手当の問題でございますので、私どもが直ちににわかにどうこう申し上げるのはなかなか困難な立場にあるわけでございます。先生のお話にもございますので、私どもといたしましては、一度県教育委員会当局から詳細にその間の事情をよく聞きまして、いろいろ調査してみたい、このように考えております。
○安田小委員 聞くところによると、その教育委員会は、自治省の指導に従ったまでで他意はないというようなことを言っておる向きも聞くわけであります。私は性別によってやったりやらなかったりというのはけしからぬことであって、先ほど人事院の方がおっしゃったように、主たる扶養者、実態はどうかということになるわけですが、その中に常識で判断するというお言葉がありましたけれども、その常識の中にも女と男で区別する必要は毛頭ないだろう、これは一切性によって判断基準の一部分にでもしてはならないだろう、性ではないんだ、それ以外のファクターなんだろうと思うのですね。自治省でそういうようなニュアンスの御指導をされておったかどうか伺いたい。
○井下説明員 主たる扶養者の認定に当たりまして、それは任命権者はどうするかということにつきましてその認定基準は、先ほど人事院の方からお答えしたのと同様でございます。自治省といたしましてはしたがって、主たる扶養者は男でなければならないという指導は一切したことはございません。ただ県におきまして、これは給与条例の運用について大量の取り扱いをいたしますので、その事務処理手続上、あるいは何らかの内規を設けているというような例があるかもしれません。
○安田小委員 そうすると自治省では、一切そういう女性の方は遠慮しろなどというようなニュアンスのことを指導したことはないということですね、はっきりお答えいただきたいのです。それがないかどうかということをはっきりお答えいただきたいのが一つと、現実にそういう運用は好ましくないと思うのですね、これは憲法の規定を持ち出すまでもなく。女性だから、妻の方に扶養手当をつけるのはおかしいというような運用はおかしいのじゃないか。現実にそういうことがあったら、それを是正するように指導されますか、この二つ。
○井下説明員 再度お答えいたしますと、自治省として、男でなければならないという指導をしたことはございません。 それから、そういった例があった場合に指導するかということでございますが、これは事務処理の簡素合理化といいますか、そういった見地からも考えてみなければならないというふうに考えておりますので、さらに実態を検討の上で考えたいと思っております。
○安田小委員 その事務処理の簡素化というのはどういうことですか。
○井下説明員 これは一番困りますのが、扶養手当を二重に支給するというような形が一番困るわけでありますけれども、そういった場合に、これは扶養手当をもらえさえすればいいわけでありまして、それについてどちらかということが非常に問題になるのかどうかわかりませんけれども、それが漏れがないようなかっこうで大量の要務処理ができればいいという感じがしているわけでございます。
○安田小委員 あなたはそんなことをおっしゃいますけれども、たとえば民間会社の場合には、これは扶養手当をどういう条件で支給するかはその会社会社で勝手でございまして、扶養手当の制度がないところだってあるわけでございます。また、別なところでもらっていたからといって支給しないというふうに決めるか決めないかもその民間会社の自由ですね。 給与局のこの運用に対する回答なんか見ますと、昭和三十四年ごろの回答ですが、同じ財布から夫婦が、つまり同じ県庁職員とかなんとかである場合に、第一子、第二子で扶養手当に違いがありますね、この場合に、最初の子供を夫の方につけて二番目の子供を妻につける、両方とも一番先の子供と同じ金額をもらいたい、こういうようなことはいかがかという質問に対しては、それはだめだという回答があるようであります。ところがそうではなくて財布が違う場合、これは昭和三十四年ごろの行政実例だと思いますけれども、たとえば片方は公務員であるけれども、片方が電電公社とかそういうところの職員である場合には、そっちの方で第一子としてもらっているかどうかは考慮する必要はないというような言い方をしているわけです。二重取りとはちょっと性質が違いますけれども、両方が第一子としてもらえる。つまり、電電公社の方で第一子として届ければそっちは第一子の子供としてもらえる、二番目の子供を今度は公務員の方が自分の方の扶養親族として届けるとそれも第一子の子供としてもらえる、これは差し支えないんだというようなお答えが給与局の課長さんの回答として出ておるようでありますけれども、二重にもらっているのとはちょっとニュアンスが違いますけれども、第一子の金額を二重にもらっているといいますか両方でもらっているということにはなるわけですね。それでも財布が違った場合構わぬという回答まで人事院の方からあるように私どもこの行政実例を見ると思いますが、したがって、民間でもらっているかいないかということは非常に重要なあれになるわけですか、それは決定的なものになるわけですか、その点なんですね。 大量に処理するために——いまの御回答の方でなくて、自治省の方にお伺いしたいのですが、大量に処理するために云々とおっしゃるのだけれども、そうすると共かせぎの場合は、これは性に関係ないとおっしゃれば、夫が申請しても妻が受けているか受けていないか、一々調べるということになりますね、それを実際はおやりになってないでしょう。それこそ大量処理のためにはそんなことはできっこないから、ほとんどやってないと思うのですね。何十万人もいる公務員で、夫婦共かせぎの場合に、妻が民間会社で扶養手当をもらっているかどうか、一々調べていますか、調べておらぬと思うのです。ところが妻が出して、夫が共かせぎであるといろいろおっしゃる、それがどうも私としては納得がいかぬわけですね。ですから、大量の事務処理のためにというのでしたら、性は何ら関係ないと思うのですが、何か性と関係する、つまり妻であるか夫であるかということが関係をすると、事務手続は簡単になるのですか。
○井下説明員 これは人事院の細則でございますが、地方公務員につきましてもこの例にならっておりますのでそれについて申し上げますと、民間その他から扶養手当に相当する手当の支給を受けている者については、これは一応調べることにはなっているわけでございます。ですから、これについては男であるか女であるか、夫であるか妻であるかということは全く関係ございません。
○安田小委員 そうですね、だから夫の場合も全部、子供が生まれて妻が共かせぎであれば調べられる。現実に全部調べていますか。
○井下説明員 これは全部の地方公共団体について私どもの方でそれを調べているかどうかについては承知しておりませんが、想像するところでは、大体府県についてはやっているのではないかというふうに考えています。
○安田小委員 時間がなくなりましたので、ここで押し問答したくありませんけれども、実際国家公務員の場合も、夫の方が子供が生まれたといって申請した場合、妻が働いているかどうか、その先でもって扶養手当をもらっているかどうか、何十万という人に対して調べているということを聞いたことはないですね。妻が出すと、何だかんだ聞くというのが実態なんですよ。地方公務員の場合も同じ。かえって県によっては、いま言ったように慣例だなどと称して頭から受けつけないというところもあるわけです。ですからぜひその点、自治省の方でもそういう運用は好ましくないと思うので、お調べになって御指導いただきたいと思いますが、どうですか。時間がありませんので、端的にお答えいただきたい。
○井下説明員 そういった事実関係をさらに調査の上で、検討いたしてまいりたいと思います。
○安田小委員 いや私が聞いているのは、私が申し上げたように妻が出した場合は、慣例だから認めないとかいうような事実があったとすれば、指導されますかと聞いているのです。それは放置するのですか。
○井下説明員 そういった事実がありました場合につきましては、これは具体の事実に即して指導してまいりたいと思います。
○安田小委員 時間が来ましたので、ほかにいろいろ一般消費税や何かの問題で聞きたいことがあったのですが、只松委員や貝沼委員もいろいろその方面で伺ったわけでございますので、この点は後の機会に譲りたいと思います。どうもありがとうございました。
○小泉小委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後二時十一分散会