P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
87回国会衆議院1979/05/31

大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号

発言数
120
登壇者
17
会派数
6
開催日
1979/05/31

会議録

小泉純一郎自由民主党

○小泉小委員長 これより税制及び税の執行に関する小委員会を開会いたします。  税制及び税の執行に関する件について調査を進めます。  質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島弘君。

大島弘日本社会党

○大島小委員 質疑を始める前に、御列席の委員の方々にぜひともお願いしたいことが一つございますので、この席をかりてお願い申し上げる次第でございます。  実は、いま金大中氏事件と並んで、韓国ソウル地下鉄一号線問題の疑惑につきまして、国民が非常に疑惑を持っておるわけでございますことは、御承知のことだと思います。何とかしてこれを解明したいというのが一億の国民の願いでもあり、また五万国税職員の希望でもある、これは避けて通れないことであると思うわけでございます。  私は昭和五十三年、昨年十一月二十一日の閉会中審査の大蔵委員会におきまして、参考人としまして三菱商事の常務取締役永島峻次郎君、それから同じく丸紅株式会社の常務取締役青井孝一君、この二人を呼びまして、私が質疑をいたしました。ここに議事録がございますが、その中で私はこういうふうに申し上げております。まず、永島参考人が「この韓国有力財界人は非常に信頼できる仁であるということで、」「その財界人を信用いたしまして指示どおりに支払った次第でございます。」こうあって、私は「その財界人はあなたは御存じですか。」と問いましたところ永島参考人は、「私は、韓国の有力財界人とのみ聞いておりまして、実際の姓名は存じておりません。」こう答えております。これに対して私は「三菱商事の役員としてあなたが知らないということは、三菱商事側としてはだれが知っているわけですか。その人の名前あるいは住所あるいは職業ということは、三菱商事側ではだれが知っているわけですか。」すると永島参考人は、「当時この地下鉄を担当しておりました者が知っていると存じております。」続きまして私は「その人は現在三菱商事におりますか。名前を言ってください。」すると永島参考人は、「現在弊社の常務取締役をしております林哲男というのが存じておると思います。」そこで私が「委員長、お願いいたします。次回の大蔵委員会においてその林重役をぜひともお呼びいただきたい。」と言いますと、大村委員長は、「理事会において協議いたします。」こう答えておるわけでございます。  私は当小委員会におきまして、ちょうどこの小委員会にふさわしく、この常務取締役林哲男君を本日参考人としてお願いいたしたわけでございますけれども、非常に遺憾ながら拒否されたことを私は残念に思っておるわけでございます。どうかひとつ次回の大蔵委員会におきましては、閉会中でございましても、ぜひともこの林常務取締役、それからその当時の最高経理担当責任者である現在大阪におる加藤竹松副社長、それから場合によっては、当時の社長であった現在の藤野会長、この三名をぜひとも最寄りの大蔵委員会におきまして、参考人で結構ですからお呼びいただきますよう、列席の委員の方々にも深く要請する次第でございます。  国税庁長官にお伺いしたいのですが、その後現在までこの韓国ソウル地下鉄事件に関しまして、どの程度の調査力を投入したか、延べ人員、延べ日数、それから現在の状況、将来の展望、そういうことがおわかりでしたら、この場でひとつ現在までの状況を説明していただきたいと思います。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 まず最初に、いわゆる日韓地下鉄問題に関連してどれだけの事務量を投入したかということでございますが、今回の問題に関連いたしまして特別の臨時の調査をいたしましたために、はっきりした事務量の計算はできませんが、一応この問題が発生してからの投入量を仮に試算してみますと、五十三年の十月下旬から現在までの間に延べ約百七十日、八人ないし二人の調査官が従事いたしまして、延べ百七十日に及んでおるという状況でございます。  なお、いままでの調査について御報告いたしますと、御承知のように、フレーザー委員会が指摘いたしました百三十万ドルのうちの百万ドルにつきましては、韓国外換銀行ニューヨーク支店からチェース・マソハッタン東京支店を経由いたしまして三井銀行本店、さらにバンク・オブ・アメリカ東京店へ流れたものと見られております。この資金の流れにつきまして調査いたしましたけれども、現在のところ、この資金は全くコマーシャルベースの金であるというふうにわれわれは認識しておるわけであります。  またさらに、残りの三十万ドルにつきましては、韓国外換銀行ニューヨーク支店から同行東京支店の口座に四回に分けて入金されておりますけれども、これの出金に関する伝票がすべて欠落しておりますために、出金先の把握はできない状況であります。  なお、このフレーザー委員会が指摘いたしました百三十万ドルのほかに、これらの資金の流れを調査する途中におきまして、この委員会の指摘とは全く別に、韓国外換銀行ニューヨーク支店から同行東京支店の口座に百万ドルの資金が入金されている事実を突きとめました。これは時期的にも全く同時期でありますが、これにつきましても前述の三十万ドル同様に、この百万ドルについての出金に関する伝票がすべて欠落しておりますために、出金先は把握できない状態であります。  ただ、ここでわれわれがさらに調査いたしました経過を申し上げますと、出金した当時の韓国外換銀行の総裁あるいは専務、それから当時の東京の支店長、これはすべて五十二年の四月に退職いたしております。したがいまして、現在の韓国並びに東京駐在の責任者についてはこの間の実情がわからないというふうなことでございましたので、われわれといたしましては、こういった欠落している伝票を早急に調べて日本の方に持ってくるようにということを要求したわけでありますけれども、韓国外換銀行の東京の責任者の話によりますと、こういった伝票はすべて日本にはない、本店の方に持っていっておるというふうなことでありまして、現在本店を中心に探索中であるというふうな回答を得ておりますけれども、まだ依然として伝票が到着してない。したがいまして、その出金に関する事実というものについては、それ以上の調査ができずに現在に至っておるというふうな状況でございます。

大島弘日本社会党

○大島小委員 一般論で結構でございますけれども、在日外国銀行の強制調査ということはできないのですか、またそういうことをした例はありますか。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 御承知のように、当該法人そのものの脱税容疑でありましたならば、当該法人に対する強制調査というのはケースによってはできるわけでありますけれども、今回の場合は単に銀行業務に関連して一定の伝票がない、したがってその出金先がわからないというだけの問題でありまして、韓国外換銀行の法人税そのものには関係ないわけでございますから、国税の立場において外換銀行を強制調査するということはできないというふうに考えております。

大島弘日本社会党

○大島小委員 調査が非常に難航していることはいまの御答弁でよくわかりましたが、これからの調査の方針、見通しということにつきまして説明していただきたいと思います。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 この資金の流れというのはすべて昭和四十八年の一月ごろから五月ごろにかけての問題でございます。したがいまして、現在からもうすでに六年経過しておるわけでありまして、きわめて残念なことでありますけれども、課税上としては除斥期間が経過いたしておりますので、この問題について特に新たな事実が発見されない限り、つまり、課税の除斥期間の満了してない期間において新たな課税問題が発生するような事実が出てこない限り、これ以上税法に基づく調査をやるということは事実上できないのじゃないかというふうに考えております。

大島弘日本社会党

○大島小委員 先ほども申しましたように、その新たな事実の一つの手がかりというのは、三菱商事の常務取締役の林君、これも一つの新たな手がかりだ。のみならず、当時の最高責任者である加藤竹松君、現在の副社長、これも当委員会に招致すれば恐らく新たな事実が出てくると私は思いますので、繰り返して言いますけれども、理事会におきましてはぜひともひとつお願いいたしたいと思います。それに関連いたしまして、私の手元に五月二十日の東京新聞、日曜日版でございますけれども、「ソウル地下鉄」で一億五千万円首相経験者二人に渡る 還流百三十万ドルの一部 検察・国税庁が確認 贈収賄立件は断念」これが五月二十日の東京新聞で、「首相経験者二人に渡る」、大体御想像がつくだろうと思います。同じく五月二十日の東京タイムズには、やはり「首相経験二人に一億三千万円 検察、国税当局突き止める 三菱など四商社連合 リベートの一部」こういうふうにトップ記事で書いております。その他の朝日、毎日、読売、日経、サンケイ等には見当たりませんでしたが、いま言いましたように東京タイムズと東京新聞には、首相経験者二人に一億三千万ないし一億五千万が渡っているということで相当詳しく書いておるわけですが、これについて国税当局は関知しておりますか。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 いま御指摘になりました新聞、さらにまたテレビにおきましてもそういったニュースが流されたということは私承知しておりますけれども、その内容につきましては、これは私どもとしては全く知らないことであります。

大島弘日本社会党

○大島小委員 検察当局からこの件に関しまして何か連絡はありましたか。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 正式の連絡ではありませんけれども、そういったニュースが流れましたので、検察当局の方にも確かめましたところ、検察当局の方としても、そういった事実は全くないという回答でございました。

大島弘日本社会党

○大島小委員 このニュースソースはどこか知りませんけれども、それでは、この事実に関しましては国税庁としては全然関知してないということでございますか。こう解釈していいですか。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 そのとおりでございます。

大島弘日本社会党

○大島小委員 先ほども言いましたように、本日参考人がおりませんので、これ以上聞いても余り意味がないと思いますので、ソウル地下鉄一号線事件につきましてはこれで終わりたいと思います。長官帰ってもらって結構です。  次に、やはり過日国税庁から新聞で発表されました、これは主として三面記事的なものでございますけれども、昭和五十二年分の申告所得税の調査によって発見された申告漏れ所得、これにつきまして、ワーストテソ業種とかあるいはその手口とかいうようなことが発表されましたので、もう大分前の話ですが、これにつきましてちょっとお伺いいたしたいと思います。  大体、五十二年で全国五百余りの税務署が調査した結果、相当数の申告漏れ所得が出てきたわけですけれども、その調査件数あるいは申告漏れ所得の額あるいは前年度の対比、こういうことにつきまして説明してもらいたいと思います。

藤仲貞一国税庁直税部長

○藤仲政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十二年分の申告所得税の調査件数は十一万八千五百十七件でございまして、その八九%に当たります十万五千四百四十六件に申告漏れ所得がございます。申告漏れ所得の総額は三千百七十六億円でございまして、これに対しまして追徴した税額は、本税におきまして六百二十億円、加算税におきまして五十一億円でございます。  この調査で一件当たりの申告漏れ所得が高額であった業種を見ますと、第一位は病院でございまして、一件当たりの申告漏れ所得は千二百八十五万七千円、追徴税額は、これも一件当たりでございますが、八百六十四万九千円となっております。以下、高いもので申し上げますと、土地売買業、産婦人科医、貸金業、パチンコ屋、大体こういう順序で続いております。  また、申告漏れ割合が高率であった業種を申し上げますと、一位は特定貨物自動車運送業でございまして、申告漏れ割合は一四二%となっております。以下、高いものから申し上げますと、畜産業、スタンド軽飲食、貸金業、スタンドバー、こういうような順序に相なっております。

大島弘日本社会党

○大島小委員 もう時間もございませんので、その中で医者の脱漏所得についてだけ伺いたいと思います。  御存じのとおり、租税特別措置法で特別な優遇措置を講じられておる医師ないしはその経営する病院、こういうのが非常に脱税が多いということでございますが、この理由はどうでございましょうか。税法上優遇されている医師ないしは病院というようなものが脱税するはずがない、また脱税の必要がないとまで私たちは思っておるのですが、それがワーストナソバーワンに挙がっているという事実をどういうふうにごらんになられるわけですか。

藤仲貞一国税庁直税部長

○藤仲政府委員 御指摘のとおり、申告所得税の毎年の調査事績におきまして医療保健業が高位を占めておるということは、税務当局から見ましてもきわめて遺憾なことであると思っております。  この医療保健業につきましては大体、景気の動向にも左右されず毎年高収益を上げておる業種でございまして、事業規模も他の業種に比べて大きいものが多うございますので、私どもは高額、悪質重点という調査方針からいたしまして、毎年のようにこの医療保健業につきまして重点を置いて調査をしておるわけでございます。ただ、医療保健業と申しましても、まじめに申告をしておられる方もおられるわけでございますから、このようにワレスト業種に毎年名を連ねるというような状態はきわめて遺憾でございまして、私どもとしましては、さらに悪質なものにつきましては徹底した調査を行うとともに、医師会であるとかあるいは歯科医師会であるとかそういうところの協力も求めまして、過少申告それから調査というような悪循環を断ち切りたい、かように考えて努力をしておるところでございます。

大島弘日本社会党

○大島小委員 そこで、全国の医者で措置法の適用があるのは社会保険診療収入でございますけれども、自由診療収入につきましては措置法の適用はない、こういうことでございまして、当然その中には青色申告者もあると思うのですが、医師全体の青色申告と白色申告の割合、青色申告が取り消されたような場合、あるいは重加算税を課された場合というのはわかりませんでしょうか、わかったら説明していただきたい。

藤仲貞一国税庁直税部長

○藤仲政府委員 お尋ねがありました第一点の医師につきます青色申告の普及状況でございますが、これは先生も御案内のとおり、業種別の青色申告者数につきましては三年に一回の全数調査を行っておりますが、最近では五十一年分の調査をいたしたものが最も新しいものでございます。その結果によって申し上げますと、医師全体を通じて見ますると、青色申告の普及割合は四一%でございます。それから歯科医師について申し上げますと、普及割合が六八%となっております。さらに、医師の中で診療科目によりまして普及割合の高いものを申し上げますと、一番高いのが個人病院でございまして九一%、それから産婦人科が七六%、整形外科が七一%、外科が六五%、こういうところが診療科目別に見て普及割合の高いものでございます。  それから次に、医師につきまして調査の結果、重加算税を徴収したり青色申告の承認を取り消したものがあるか、こういうお尋ねでございます。私ども個々の事例は承知しておりますが、大変申しわけないのでございますが、全体としてのそういう統計を業種別にとっておらないという事情がございまして、お答えをできないということにつきまして御了承いただきたいと存じます。

大島弘日本社会党

○大島小委員 先ほども言いましたように、申告所得税におきましては、高額所得者である医師ないしは病院の脱税が非常に多い。法人におきましても、先ほど言いましたような三菱商事。三菱商事は過日当委員会におきまして、例のアメリカ三菱を通じましての株の売買の脱税約六十億近くと記憶しておるのですが、そういう大法人あるいは高額所得者、こういうものが巨額な脱税をしているということになりますと、もちろん一般納税者の納税意欲はとても普及され得るはずもない。こういうものに対しまして、たとえば重加算税の徴収とかあるいは場合によっては青色の取り消し、さらに場合によっては査察立件というような断固たる方針で進むよりほかに道がないと思うのですけれども、これに対して長官、最後にあなたの考え方を一遍聞かしていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 御指摘のように、大法人あるいはそういった医者等を中心といたします高額所得者というのは、単に税額が多いというだけではなくて、社会的な意味におきましてもあるいは経済的な意味におきましても、いわば日本を代表しあるいはいろいろな意味において指導する立場にある人だと私は考えております。そういった人が税法上の不始末をしでかすことに対しましては、国税の立場といたしまして非常に残念で、かつまた、遺憾なことであると思っておるわけであります。したがいまして調査におきましても、こういった高額、悪質重点の調査をいたしておりますし、それからまた査察の立件等につきましても、御高承のように医師に対する査察立件はかなり多い部類に入っているわけであります。こういったことを通じまして重加算税、あるいは場合によりましては青色申告の適用を取り消すといったようなことを通じまして姿勢を正させ、また同時に、納税者全般に対して、国税の立場として高額、悪質に対してはきちっとけじめをつけた処理をしているのだという信頼感を持っていただけるようにこれからも努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。

大島弘日本社会党

○大島小委員 本日、参考人がおりませんので、私の質問はこれで終わりますが、最後に長官にお願いしたいのだけれども、ソウル地下鉄一号線事件というのは全国民が注視しているわけだから、決してこのままあきらめることなく地道な調査を続けていただきたい。いずれ新たな事実が出てくる可能性も非常にあると私は思います。時効にかかっている部分は仕方がないにしましても、まだ時効にかからない部分もあることでしょうし、この話はそう古い話じゃないので、地味でまた非常に苦しい調査ではありますけれども、ひとつ調査を続行されるよう要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。

小泉純一郎自由民主党

○小泉小委員長 只松祐治君。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 きょうは私は、前から続けて問題にいたしておりました公益法人問題を中心にして討議を進めたいと思います。  申し上げるまでもなく、私たちは野党でございますから、この前の為替差益の問題といいきょうの問題といい、いわば正義といえども国民にとっては増税になるわけでございます。時の政府・与党に税金を取ってあげるという責務はさらさらないわけでございます。しかし国会議員として、余りにも顕著な脱税あるいは不公平な税制が行われておる、そういうものをずっと追及をしてまいっておるわけでございます。そういうものの一端として、いま申します公益法人の問題をきょうは多少論議したいと思います。だからぜひひとつ誤解のないように——本当は税調会長がお入りになってきておると、初めからそういう問題も聞いていただきたいと思ったのですが、まだ入っておりません。増税路線につながるとかそういう意味でもありませんし、誤解のないようにして論議を進めていきたいと思います。  もともとこの公益法人というのは、善意の団体といいますか、必ずしも私たちもこの趣旨は了といたしませんが、資金的に余裕のある人々が社会のために何らかの奉仕をしよう、あるいは、いろいろそういう社会的なことをみんなでやっていこうということであります。したがって、そこに非課税地帯が設けられておるわけでございます。あるいは、収益があってもその収益の税率を低くしよう、こういうことにされておるわけでございます。ところが、それを逆手にとりまして脱税をしておるというような部面が非常に見受けられる状況でございます。それから、小倉参考人もきょうはお見えになるようでございますので、最初にちょっと趣旨を申し上げたのですが、また後で順次お話申し上げます。  この前の本委員会で申し上げましたように、産業構造の変化に伴って第三次産業が、通常言われておる第三次産業ではなくて第四次産業的な面というものが非常にウエートを増してきておる。こういうのは課税の捕捉がきわめて困難である。こういうことと相まちまして、そういう面の脱税というものがきわめて顕著であります。そうすると、国家財政というものは年々ふくらんでまいっておるわけでございます、中期財政試算等を見ましてもそうでございますから。財源をどこに求めるかといえば、ことしのように公債を大増発するか、あるいは限られた第二次産業中心のそこに非常な徴税攻勢がかかりまして、個々の一生懸命働いておる人、あるいは定職なり定住しておる工場を持っておるこういう人々が重課を課せられるしあるいは徴税率も非常に高く捕捉をされる、こういうのがいまの税制の実態だと私は思うのですね。だからこういうのを改めていかなければならない。別な機会にまた論議をしたいと私は思います。  とかくわが国は使う方だけ予算委員会がばっとはでになるし、あるいは予算を先に決めてしまって歳入はよきに計らえ、ひとつ大蔵省なりあるいは国税庁取ってこい。大蔵省の中においても、このごろは大分なくなってきたけれども、主計局長というのがいばっておって、主計局はでかい顔をしている。国税長官は多少、二流とまでは言いませんけれども、磯邊さんのような名長官が出てきてから少しは光ってきたけれども、とにかく何か国税庁というのはすみっこの方で、おまえら取り立ててこい、こういう形に置かれておるのがいままでの現状じゃないでしょうか、率直に言って。財政の基本的なあり方、あるいは税制あるいは税の取り方、こういうものをもう少し変える。私は前から言っているように、歳入委員会というものをもっと重要視して、税調会長お見えになっていますが、逆にこれだけ税金をことし取れるからこういう予算をつくったらどうかということで、税の方を先に見てそれから予算をつくるというのは、通常家計で言えば、父ちゃん、今月は幾ら月給だから幾ら使おうということになるのじゃないですか。あるいは民間会社でも、これだけの収益があるからこれだけの賃金を払ったりこれだけの商売をしようということになるのじゃないですか。国の場合は逆に、予算をだあっとはでにつくっておいて、税収は幾ら、それで足らなければ公債をどんどん出しちゃえ、こういうのがいまの実態ですね。こういうわが国の財政のあり方、したがって税制のあり方、そういうものを抜本的に見直す時期に来ているのではないか、こういうふうにも私は考えます。そういういろいろな意味からも、前から私は問題をちょいちょい——いつも言いますように、三十分か一時間の細切れの討議時間しかございませんので、なかなかまとまった意見が出せないわけでございますが、きょう私が討議するのもそういう趣旨であるということを御理解いただきたいと思います。  私がこの前から各省庁を呼びまして、ダブっているのを差し引くと一万二千九百社の財団、社団の公益法人があるということがやっといわば私の手によって明らかになってまいりました。その課税の概要について長官の方からお答えをいただきたい。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 過日のこの大蔵委員会におきまして只松先生から御指摘のありました、いわゆる公益法人につきましてかなりこの中に収益事業を営んでおるけれども、実際に税金を納めていない法人が多いのではないかというふうな御指摘がございました。それで、先生の方から御提示を受けました公益法人一覧表に登載されております、民法第三十四条に基づく社団、財団につきまして、これが全部で一万三千三百二十五件ございますけれども、早速実態調査を行った次第であります。  それによりまして、わが方で新たに判明いたしましたことを申し上げますと、まず収益事業を営んでおる公益法人の数は三千三百五十八件でありますが、そのうちに、すでに税務当局において法人税の申告の義務があるというところで把握してみましたものは二千八百十九件、今回只松先生の方から御提示いただきました資料をヒントといたしまして新たに調査いたしました結果、法人税の申告義務があるものとして新たに把握したものが五百三十九件となっておるわけであります。  それで、ただいま申し上げましたすでに把握しておりました二千八百十九件につきまして、収益事業を営む公益法人の収益事業に係る収入金額は一兆二千二百九億円というふうになっております。また、その二千八百十九件のうちに、千八百十一件というものが有所得申告法人でありまして、その総所得金額は四百三十億九千百万円となっておるわけであります。

小泉純一郎自由民主党

○小泉小委員長 ただいま参考人として税制調査会会長小倉武一君がおいでになりました。  小倉参考人には、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  質疑を続けます。只松祐治君。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 いまその概要を御説明になりましたが、さっきから私が議論を進めておりますように、貿易量が増大いたしますと、どうしても海外における脱税行為が顕著になってくる。また国によっては、会社を誘致して幾らでももうけようと思って、タックスヘーブンゾーンというのがつくられておるわけです。こういう公益あるいは学校法人、宗教法人その他いろいろなものが、本来の目的を逸脱して収益を行い、非課税地帯になっておる。私は国内におけるタックスヘーブンゾーン、こう言っても過言ではないと思う。非課税地帯が存在する。いままでは社会的に、医療費の社会保険の問題、あるいは私たちはいつも問題にしますが巨大企業の租税特別措置、こういうもの、主としていわゆる現行法制上の枠内における論議をいたしております。そうではなくて、こういうふうに本来公益を行うべきもの、あるいは、これもたびたび一例に出しますピンクサロンだとかトルコぶろというような、家庭内職の人々は年間三十万円から課税されながら、そういう面にはほとんどの課税が及んでおらない。だからこういうものはますます増大する傾向にある。これも、法制上ではありませんが、徴税上のタックスヘーブンゾーンだと私は思うのです。こういうものがますますふえてきておる。ますますというより急激に増大しておると私は思うのです。  例を挙げたいが、別の機会に——きょうも税小は午前中ということですからあれですが、本当はきょうもここまでやって、一人が二、三時間やったらどうだという提案を私はしたわけです。時間があればまた提案しますが、こういう国内におけるタックスヘーブンゾーンというものが現存していると思いますが、これは主税局長もあわせてお考えを聞かせていただきたいと思います。税調会長には後で別な質問をまとめていたしますが、税制上あるいは徴税上国税長官は、そういうものが存在することをお認めになりますか。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 徴税上で申しますと、かねがね只松先生の方から御指摘ございますように、こういったいわゆる第三次産業、その中で第四次産業というお言葉をお使いになっておりますけれども、そういったサービスを主体とする企業というものについての課税上の把握の問題非常にむずかしい問題があるわけでありまして、御指摘のように、この面につきましてはまだ十分な調査あるいは把握が行われていないのではないかというのが私どもの心配しておるところであります。  世上よくクロヨンあるいはトーゴーサンというふうな言葉が使われておりますが、それは一つのごろ合わせであろうかと思いますけれども、率直に申しまして、やはり一般のサラリーマン等に比べて飲食業者に対する所得の把握というのは、中には不十分な面もあるのではないか。全部が全部とは申しませんけれども、不十分なことになっておる面もあるのではないかというのが心配されるところであります。特にその中でもただいま申しましたように、サービス業等につきましてはなかなか調査がむずかしい。これはその理由といたしましては、一つは、外形的に見ましてなかなか事業の内容がわかりにくいということもあります。それから経営者の交代、それから開廃業が非常に頻繁である。それからさらに現金商売が主である。しかもその取引の相手は不特定多数である。そしてその値段というものが一定しなくてきわめてばらばらになっておって、実際にどれぐらいの収入があるかということは一律に把握しにくい。こういったいろいろな問題がありまして、私どもとしては苦労しておるわけであります。しかも最近のように国民の生活様式が変わり、いろいろなレジャーというものが発達してまいりますと、従来われわれが勉強していなかったような業種が非常にふえてきておる。したがって、これに対する調査なり資料収集の面においても、まだまだ私たちには勉強不足な点もあるわけでありまして、こういったことをすべて総合いたしました結果、やはり第三次産業に対する所得の把握というのは不十分な面があり、それがひいては国内におけるタックスヘーブンとは申しませんけれども、やはり何らかの不公平な結果になっているのではないかというのが、われわれの最もおそれておりますし、また反省しなければならない、同時にまた、これが今後の大きな税務執行上の問題点となるであろうということを考えております。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 また税理士法の問題のときにも論議をしたいと思いますが、税理士が開業してなにすると、今度は仮装、隠蔽というようなことでちょっとでもすると、非常に税理士まで怒られるというような税理士法の改正が行われようとしている。一方、私が一、二こうやって指摘しておりますように、現実になかなか困難があるだけではなくて、この前私はパチンコとインベーダーの問題も出しました。あるいは、こういう木製の家具や何かでこれは税がかかる、新しくつくられたスチール家具等で新規のものは、入っていなければ課税がされないというような、いろんなそういういわゆる非課税地帯というのはあるわけですよ。これは若干はやむを得ないですね、国全体。しかし、私がきょう取り上げておるのは、そういう一般的な問題とともに、話をもとに戻しますけれども、公益法人、いまお話しになりましたように、私の指摘だけでも五百三十九社というものが全く新しく出ております。これも国税庁の御努力でありますけれども、私はこれでも必ずしも一〇〇%とは思っていないのです。いろいろ中身まで申しませんが、この一万二千九百社当たるのは大変でございまして、これを全部当たっておられるわけではない。今後これをさらに調査を進めていけば、六百になるか七百になるか、もっと私は出でくるだろうと思います。全然収益を行っていないとしておられるところも、行って調べてみれば収益を行っておるのが、私は続々か続程度か知りませんが、とにかく出てくる。あるいは、把握された現在までの税務署を通じて調査をされた一兆二千二百九億円というのも、これはあえて一部とは申しませんが、十分なものではない。調査をしていけば、一兆五千億になるか二兆になるか、私はもっと出てくるだろう。いわばこういう地帯は、非課税地帯としていままでほとんど課税の対象外にあった、あるいは実調外にある。  これは学校法人等においても、それは顕著に見ることができます。きょうは学校法人まですると時間がありませんから私は挙げませんけれども、いま何か問題になっておりますが、ああいう入学のあっせんというような問題一つとりましても、そういうことは幾らだって出てまいりますね。だから私は、そういう意味でもう少し税制全般を、消費税、消費税とおっしゃっていますけれども、現行法の中における税の見直しというものを行うべきである。あるいは、第二次産業で本当にまじめに働いておるそういう人たち中心の、これにウエートを置いた調査や徴税ではなくて、もっと現行税制の中でも産業構造の変化に対応する徴税業務を行ってもらいたい。  私はこういうことを言うために、こういう実例を出してきておるわけでございますが、私がいま申し上げますように、いま長官が御答弁になりましたことは必ずしも一〇〇%私は了承をいたしません。一〇〇%十分なものとお思いになりますか、そうではなくて、今後まだ努力する余地がある、努力する要素が出てくる、こういうふうにお考えになりますか。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 先ほど申しましたように、これはまだまだわれわれとしても不十分だと考えております。  一つには、最近のように納税者が非常にふえてきておる、課税対象物件が非常にふえてきておる、にもかかわらず、それを処理するだけの十分な職員がふえていないということにいろいろな問題が出てくると思いますが、この点につきましては、毎年税法改正に関連いたしまして、衆参両院の大蔵委員会におきまして税務職員の充実ということを附帯決議していただいて、非常に私たちも感謝いたしておるところでありますけれども、そういったことで、必ずしも十分な調査ができてないということは、これは遺憾ながら事実でございます。  私どもといたしましては、できるだけ今後いろいろな勉強をすると同時に、実調率を高めまして、それによって、ややもすると見逃されていた隠れた潜在所得者あるいは隠れた高額所得者の把握ということに今後とも努めてまいりたいと考えております。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 この五百三十九社から幾ら出てくるかというのはいまからの問題ですから、なかなか容易でないと思いますが、たとえばいままで皆さん方が利益率を公益法人の収益事業からはじき出された、そういうものを参考にいたしますと、少なければ二、三十億であるかしれないけれども、多ければ七、八十億、まあ少なくとも数十億前後のものが出てくるだろうと私は想定をいたします。これはことし一年ではなくて、今後ずっと永久にわたっていくものであります。そこで私は一番冒頭に、与党に税金をやってやるという義務はない、こういうことを言ったのですが、そういう金が今後、皆さん方から言えば増差かしれませんが私からいえば本来取るべきものが取ってなかったというものがあらわれてくる、こういうように考えてよろしゅうございますか。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 このたび把握いたしました五百三十九件、これはまだ十分でありませんけれども、今後さらに把握漏れとなった収益事業を営む公益法人についての調査の充実を図って、この五百三十九件そのものもまたふえていくことを私は期待しております。  ただ、この新たに把握されました収益事業に係る税収がどれくらいになるかということにつきましては、いろいろな試算のやり方がありますけれども、まだ的確にわれわれとしては予想が立てにくいというような状況でございます。  それから、御指摘のありましたように、まさにこれは増差というよりは新規把握によって純増といいますか、そういったことで税収の増加につながっているということは事実でございます。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 頂門の一針とでも申しますか、そこの中できわめて悪質なものをひとつ二、三御例示をいただきたいと思います。その中で、業種がいろいろありますが、多少業種に及んだ形で二、三御例示をいただきたい。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 まず最初に、このたび把握しました五百三十九件のうちの、これを収益事業の内容で申しますと、一番多いのが請負業。請負業といっても、これは土木建築等の請負業でございませんで、各種のいろんな事務処理等を請け負っている請負業でありますが、これが百五十三件、それから不動産賃貸業百二件、物品販売業八十四件というふうな形で把握しております。  その中で、これは今後これからいろんな調査によって、これらの業種がどれだけの収益事業を営んでおり、それから税収がどれだけ上がるかということはわかるわけでありますけれども、いままでに公益法人の調査をいたしまして、特に悪質であるということでわれわれが注目いたしましたのは、たとえばこれは財団法人でありますが、これは請負業をやっておる法人でございます。この財団法人は、公共住宅の建築や改良等に関する事業を行うほか、収益事業として住宅の建築、設計監理等を営んでおったわけでありますが、過去三年以上調査をしていない、それからまた収入規模が大きいというようなことから調査対象にいたしました。調査いたしましたところ、毎月の給与を水増しして計上して、その水増し分を別途留保しておったというふうなことがございまして、これは当該公益法人に対する役職員の源泉徴収の問題として問題になりましたのと同時に、当該調査対象事業年分に計上すべき設計料収入や分譲収益を計上していなかったというようなことがございまして、この財団法人の二年間における脱漏所得は一億五千九百万円で、うち、不正として重加算税の対象になりました金額は九百万円であります。こういった例がございます。  それから、物品販売業としてわれわれが調査いたしましたのは、これは社団法人でありますが、この社団法人は、家畜改良等に関する事業を営んでおりますほか、収益事業として動物の人工授精用の精液を販売しておるという法人であります。ところがこの法人は、期末のたな卸し商品を操作することによりまして過少申告をしたということで、その結果といたしまして、三年間における脱漏所得は四千八百万円、うち、不正所得は千三百万円ありました。  それから、ある財団法人でありますが、これは貸席業、旅館業を収益事業として、われわれは調査いたしたわけであります。この財団法人は、英霊の顕彰等に関する事業を行っているわけでありますけれども、収益事業として結婚式場それから旅館の経営等を行っておる、こういった法人につきまして調査いたしましたが、高級な魚類等の大部分について数量を除外しておったというようなことがありまして、過少申告をしていたわけであります。この法人の三年間における脱漏所得は三千二百万円、うち、不正所得は二千二百万円、そういうふうなのが代表的な不正事例でございます。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 まだ詳細にお聞きしたいのですが、時間がありませんから進みますが、法務省の方お見えになっていますか。——今度の法務委員会の民法改正におきまして、いま申し述べておりますような事態を踏まえて民法改正に対する附帯決議がつけられておりますが、私はその附帯決議の内容は、こういう事態とともに、したがって後で証券局長にお聞きしますけれども、当然少なくとも監査ぐらい行うべきである。この徴税もさることながら最低限、とにかく税を減免しているわけですから、遺産相続のときから始まってずっと。したがって、適正なる監査をすべきであるということから私はこの問題に取り組んだわけでございますが、監査も全然行われておりません。これは法務委員会において今度附帯決議がつけられましたけれども、その趣旨はこういうふうなものだと私は解しますが、ひとつその内容についてお聞かせをいただきたいと思います。

宇佐美隆男法務省民事局参事官

○宇佐美説明員 先生御指摘のとおり、現在の民法では公益法人につきまして、公認会計士の監査を義務づけておるわけではないわけでございますが、ただこれを法制化するということになりますと、公益法人というのはどうも性格もそれぞれまちまちでございますので、一律に法律でこれを義務づけるのはいかがかと存じておるわけでございます。ただ、今度の改正によりまして監督規定が整備されましたので、たとえば一定規模以上の法人につきまして、行政官庁の方におきまして監査をすべきだというようなことを考えました場合には、監督命令を出しまして、収支決算書につきましては公益法人は公認会計士の監査を受けてくるように、こういう命令もあるいは可能かと存じますが、運用によりましておいおいそういう点が改善されていくのではないかというふうに考えております。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 証券局長にお尋ねいたしますが、これも私は前からこういうふうな意見を申すと、まあ民法上の問題、民法が改正されなければとかいろいろちょいちょい逃げの答弁がいままで多かったわけですが、こういうふうに附帯決議までつけられておるわけでございます。ぜひひとつ直接公益法人を監査する——総理府来ておりますね。一緒に聞いて一緒に答えていただきたいと思いますが、証券局流に言いますと、いやそれは私の管轄じゃなくて総理府だからと、こう言う。総理府に行くと、いや私の方は各省にこうやって、各都道府県でしているのだからと、こうやってみんな責任の所在が明らかでないから、私はここに十三省全部呼んで資料提供を、大変僭越だったけれども要求をした。ようやくここまで来ておるわけなんですが、総理府は総理府として、いまの民法の附帯決議に基づいて——聞くところによると、去年の九月に私の指摘によってこの会議が持たれて以来一回も持たれていない、こういうでたらめといいますか、ずさんな状況のようでございます。それから証券局の方としても、私の方は直接ではない、それは確かに公益法人はそうだけれども、御承知のようにアメリカでは七万二千人の公認会計士がおる。日本には四千四百人しかおらない。その四千四百人が、後で言うが、税理士法の改正をめぐってけんかをするように仕事がない。そこで税理業務を主として行っておる。こういう実態の中にあるならば、当然に公認会計士と有機的な関係にある証券局というものは、こういうことに目を向けるのはあたりまえのことじゃないですか。したがって、あなたのところに権限はないとしても、総理府その他と話し合って監査業務に加えるぐらいの努力があってしかるべきだ、そういう点についてひとつお答えをいただきたいと思います。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 公認会計士の監査対象に公益法人を加えるべきであるという只松先生の御意見は、前からよく承知しております。また、今般民法の改正案が法務委員会におきまして附帯決議で、公認会計士の監査という方向で努力すべきであるという決議をちょうだいしておりますし、また、商法の改正案が国会を通過いたします際にもそのような趣旨の附帯決議があったと承知しております。  私どもの立場から申しますと、公益法人にもいろいろなものがあるわけでございますけれども、すでに公認会計士の監査を受けている公益法人もあるわけでございます。あるいは、学校法人等の場合には学校法人法に基づきまして、国から補助金を受けている学校法人は公認会計士の監査を受けるというふうな規定もあるわけでございまして、方向としては先生のおっしゃるとおりだと考えております。ただ先生も御承知のとおり、いまお話もございましたように、公益法人の数というのは一万三千ございまして、それぞれ主務官庁というのがあるわけでございます。したがいまして総理府にもお願いいたしまして、各省庁集まりましてこの問題を前向きに真剣に取り組んでいただきたいということでお願いをいたしておりまして、五十三年度のそのような公益法人の事業報告書が出た段階でさらに真剣に取り組もうということになっているわけでございます。  また、税の方でもいろいろと御調査いただきまして、収益事業を営んでいるということで新たに課税を受けたものがあるわけでございますから、公益法人の規模あるいは収益事業を営んでいるかどうか、あるいは営んでいる可能性があるのかどうかということを踏まえまして、非常に小さな公益法人まで公認会計士の監査の対象とすることはいかがかと思いますけれども、そういう内容を見ました上で、先生の御趣旨あるいは国会の附帯決議も体しながら、証券局としましては各省庁にお願いいたしまして、そういう方向で努力してまいりたいと考えております。

小野佐千夫内閣総理大臣官房管理室長

○小野(佐)政府委員 お答えいたします。  各省庁におきます公益法人の指導監督の統一的な改善を図る目的で、先生もすでに御承知のことでございますが、昭和四十六年の十二月に設けられました公益法人監督事務連絡協議会におきまして、五十二年の秋から十回近くにわたって、公益法人の会計経理に公認会計士を導入する問題について研究を重ねております。この間大蔵省からも、公益法人に対する公認会計士の導入の意義等についての御説明をいただくとか、あるいはまた、公益法人におきます公認会計士の導入の状況等を関係省庁からお聞きするなど、鋭意検討を重ねているところでございます。  昨年の九月十二日に開かれましたこの協議会におきましては、公益法人に公認会計士による監査を導入する問題につきましては、公益法人から昭和五十三年度の決算報告書がこの六月末に提出されますのを待ちまして、五十三年度から行っております公益法人の会計基準の適用状況の実態を把握いたしまして、その結果を踏まえまして公認会計士の導入の具体的な必要性についてさらに検討を進めていくということに決定されておるわけでございます。  なお、去る四月に開かれましたこの協議会におきまして、次回の協議会で会計基準の適用状況調査の実施について協議するということにいたしておる現状でございます。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 ぜひ関係の皆さん方において御努力をお願いしたいと思います。  私がたびたび申し上げるまでもなく、公益法人というのは善意のもとに出発した団体であるし、したがって財政等は当然公開さるべきである。そうではなくて、逆に悪意に満ちたり、非公開で脱税を行ったりなにしたりというのは、これはその社団、財団側にも一半の責任はありましょうが、それをもともと相続のときに非課税にしてこういう財団をつくらせた皆さん方当局が、その後、各省庁の総務課に一人か二人、担当官ではなくてそれに関与する人がおるという程度にとどまっておるのが、私が今日指摘しておる公益法人の実態。こういうふうに公益法人だけではなくて、他にもわが国には非課税地帯、外国におけるタックスヘーブンではなくて、日本国内における完全なタックスヘーブンのゾーンがあるということを言っておるわけでございます。また別な機会に私はこの問題も提示したいと思いますけれども、ぜひ十分に私の意のあるところを御了承いただきたいというのが一つ。  それから、冒頭に申し上げましたように、これで百億になるか二百億になるか、相当のものが恒久的に取れていくわけです。取る方はだまっておいただきになりますが、私が前から言っている男やもめとか、こういうふうに国民が苦しんでおる、奥さんを亡くしたあるいは離婚や何かして苦しんでおる、これに要する費用は、かかっても数十億にすぎないわけでございますが、与える方になると一向に知らぬ顔でなされないわけでございます。別にこれだけ取ってやってるからよこせというわけではありませんけれども、税の公正を期するために、取るべきものは取る、あるいは、男やもめのようにだれが見てもこの男女平等の世の中に不公正なものというのはやはりちゃんとする、こういう努力は、私は後で、小倉会長せっかくお見えになっておりますから、税体系そのものも聞きますが、そういう点を現行法なりである程度できることはやっていただきたいと思いますが、この問題に対する主税局長のお考えを聞いておきたいと思います。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 だんだんお話がございまして、税の面で執行、制度の両方を通じて公平を欠くような事態があれば、それはぜひとも解決をしていかなければならないというふうに私どもかねがね申し上げておりますし、さような努力をいたしておるわけでございます。  仰せのありましたように、だんだん国民の生活時間というのでございましょうか、そういうものの中で余暇時間の割合がふえている、それに伴って消費されていく内容というものが非常に多面化してまいりまして、先生のおっしゃいますように、物をつくってそれを売っていくというだけでなくて、申せば取引の形態からすれば金が動くだけだという取引がだんだんふえてきて、そこから起こってまいる所得というものをどうやって把握し課税をするかという、むずかしい技術上の問題が山積してまいっておると思います。  一つ私どもが税制の面で従来からやっておりますのは、たとえば公益法人につきまして申し上げますれば、収益事業の範囲を見直していく。たとえば民法三十四条法人でありますとかそのほかの法人でございましても、やっております副業の範囲というものがだんだん多岐にわたってきまして、したがって、公益法人であるからといって課税の外に置いておくことが適当でない分野というのがだんだんふえてまいります。それを現在、所得税法ないし法人税法のそれぞれの政令で定めておりますが、そういった非課税となります事業の範囲について常時見直しをして、法人の実態に即して課税の適正を期していくということはございます。  もう一つは、所得の捕捉の問題でございまして、所得税、法人税その他申告諸税を通じて良心税というたてまえになっておりますが、とかく把握できない所得がだんだん多くなってきていることもまた事実でありまして、それに対して、たとえば源泉徴収というテクニックを使いますとか、支払い調書という方法によりますとか、何らか制度的に所得の把握というものを確実にしていく方法を考究すべきであろうということで、これもその都度具体的な問題をとらえて国税庁の御意見も聞いて制度の改善を図ってきておるのが現状でございます。  お示しのように、確かに公益法人それから仰せのあります第四次産業を通じて、まだまだ把握が不十分で、それによって税に対する国民の信頼を今後とも確保すべき余地がある、回復していくために改善を加える余地がある、これは仰せのとおりであろうと思っておりますので、いま申し上げたようなことを通じまして、公益法人を含む第四次産業全体に対する課税の適正というものを期してまいりたいと思います。  そういうものをまた超えまして、全体として税の公正というものをさらに制度的に確保するような勉強というものを、お隣においでの税制調査会長にもお願いをして、毎年の税制改正、それから中期的な税制のあり方というものの中で御審議をいただいておりまして、各年の税制改正を通じてそういう基本的な方針をできるだけ具体化してまいりたいというふうに考えておる次第であります。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 小倉会長にはせっかくお見えいただいて、ほかの質問が長くなって申しわけございません。いま私が討議しましたことも小倉会長ひとつよくお聞きをいただきたかったのですが、そういうものの一つの、全部じゃありませんが、データが、直税部の藤仲部長を中心につくられまして、日本でいままでにないデータができております。  私はかねがね申しておりますように、税調にも事務局くらい置きなさいと言うけれども、それはないわけです。ひとつ国税庁からそのデータをおもらいになって、第三次産業が収益あるいは就業人口ともに五三%前後になっております。過半数を超しております。これは統計によってそうですが、あるいはその統計が私が言うように一〇〇%正しいとは思えない。もっともっと第三次あるいは私が言う第四次産業的な面にわたっている面が多くなってきておるし、今後さらに多くなります。ぜひひとつその点を今後の税調の参考資料に取り上げていただきたいということがまず一点であります。  それから税調では、中期答申あるいは五十四年度の答申にいろいろなさいましたが、その一番大きな中心というものは、「昭和五十四年中に諸般の準備を行い、昭和五十五年から別紙の大綱に基づく一般消費税を実施すべきである」こういう答申をなさいました。ところが今日に至るも御承知のように準備は、行っていると言えば行っているかもしれないが、少なくとも五十五年から実施する準備、ここに法案は大蔵委員会に今日まで提案はされておりません。したがって五十五年度実施できるとは思いません。こういうことに関して小倉税調会長はいかなるお考えをお持ちになっておられますか。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 いまお話のございましたように、五十四年中に諸般の準備を整えて、五十四年度から一般消費税の実施を図る、導入を図るという趣旨の答申を政府に申し上げておることはそのとおりでございます。その後、政府がどう取り扱っておられるかということは詳しくは存じませんけれども、政府としては、特に大蔵省におかれては、法案の作成に準備をされておるということでありまして、準備の整っておるかどうかについてはいろいろと御見解もおありでしょうけれども、いまの準備段階では五十五年度には導入できないんだというふうに即断されるということはどうか。準備はある程度整っておるのではないか。もっともその準備が整っておるかどうかにかかわらず、他のいろんな情勢もございましょうから、そういうことは私ども必ずしもよく存じておりませんけれども、準備はある程度事務的に処理できる範囲において整いつつあるというふうに伺っております。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 えらい簡単にお考えでございますが、私はそうは考えておらない。特に政治情勢をお考えになるならばさらにこのことは困難である。総選挙があるかもしれない、あるいは参議院選挙がある、参議院の自民党の中にも自民党の造反といいますか、それに反対という署名運動も起こっておる。こういう状況の中で、簡単に消費税が行われる——あるいは院外におきましても、広範な大衆運動というものが出てきつつあります。この消費税の実体を知れば知るほど反対運動が強まります。そういう中で、一片の答申と言っては大変失礼でございますが、答申が出されたからといって通るものではない。  しかし、これは少なくとも総理の諮問機関であって、しかもわが国税制の根幹をなすものである、しかも中期税制答申で基本的な方針としても答申されて今日来ておる。これができないとするならばその責任は、別に総理やら内閣の一員ではありませんから、そういう意味の政治責任というものまでは私は論議しようとは思いませんけれども、しかし、国民ときわめて重要なかかわり合いを持つ税制、その税調の責任者として、そういう責任は一つもお感じになりませんか。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 できないというふうに仮定をすることは、これはできないことはございませんでしょうけれども、少し時期尚早じゃないかというふうに思います。政府ではいろいろなことをお考えになって、税調は一応答申したのでございまするから、これ以上この一般消費税についてどうこうということを政府に申し上げるということは恐らくなかろうかと思います。政府の方から積極的にお尋ねになれば、あるいは税調でも審議するということは起こり得ることは無論でしょうけれども、いまは要するに、政府がどうなさるかということを私どもも国民の一人として非常に関心を持っておるということであります。したがいまして、まだそれができないというふうには考えておりませんけれども、いろんな方法によって、仮に一般消費税ができなくても済む、導入しなくても済むということであれば、それはそれなりに結構な話かもしれないと思うのです。だけれども、一般消費税を導入しないで済んで、ああ結構なことだったということになるというふうにはちょっといまのところ私、想像できません。したがいましてまだ、ただいまお話しのようないろんな政治的な問題その他含めまして、私どもの判断の外にあるようなことも多いかと思いますが、いずれにいたしましても、いまこの段階で一般消費税の導入ができるできないということで私の方から、これを前提にして余り物事を申し上げることはちょっとどうかという気がいたします。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 別に言葉じりはとらえて論議はしませんが、結構な話というのは失礼ですよ。いいですか。消費税を、それができないのは結構な話というのは、国民に対して失礼千万な話ですよ。消費税が悪い悪いというものを税調が答申した、こういうことなんですよ。きょうはそれ以上申しません。いいですか、言葉はひとつ慎んで言ってください。  仮に、消費税ができないとする、少なくとも来年度はできない方が見通しが強いという場合に、税調としてはそれにかわる財源というものはどういうふうにお考えになりますか。  私は一番最初に、この始まる前に言ったのですが、金を使う方、予算委員会の方がはで、あるいは金を使う方は先にばっと決めまして、そうしておいて後、税収はよきに計らえということで取ってくる。こういったことはけしからぬじゃないか。先に税収、収入、入るをはかっておいて出る方は後にすべきじゃないかということを、私はお見えになる前に申し上げたのですが、これが余りにいまの国家財政をこういうふうにしておる原因だ、こう言っておるのです。  それはそれといたしまして、そういうふうに消費税が仮に、いろいろな政治情勢で私は来年度は困難という判断に立つわけですが、長期的に将来までは別ですが、そういうことになれば当然に、新たな財源というものを相当大幅なものをつくらなければ、これ以上また来年も十数兆円赤字公債を発行するということは大変なことになります。きょうは公債論議までしませんけれども、きょうの新聞を見ましても、六・一%の公債は史上最低を記録しておるわけですね。こういう事態等を見まして、来年も十数兆円を上回る公債というものはこれは不可能でしょう。そうすると、やはりどこかに新たな財源というものを求めていかなければならない、こういうことになりまして、全く中期答申あるいは昨年度答申なさいましたこの答申と大きく異なってくる、税調の考え方と異なってくる、税のあり方というものを考えていかなければならない、こういうことになるだろうと思うのです。  きょう時間もありませんし、結論まではずばり会長個人でお答えは困難だろうと思いますが、知はそういう事態の方がきわめて強いと予測されるわけです。そういう点について、新たな財源は努力すればある、こういうふうにお思いになりますか、それはなかなか困難だ、また公債増発に頼らなければならないというふうにお感じになりますか、そういう大まかなお答えできようは結構でありますが、ひとつお答えいただきたい。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 先行きの見通しをはっきり前提にされた上でのお尋ねでございますから、いよいよもってこれはお答えがしにくいことが一つございます。  それからもう一つは昨年、本年度の税制のあり方について政府に御答申申し上げて以来、御承知のとおり税調は一度も開いていないわけです。したがいまして、仮に同じようなことを、仮定すると言うと失礼ですが、仮定をしましてどうするかということについて、そういう仮定が成り立つとしましても、税調では論議したことが実はないわけです。したがって、私個人として申し上げるにしても、多少は税調の論議を踏まえてこうではなかろうかということでないと、全く個人の感想を申し上げてもこういう席ではなはだ申しわけないことになると思います。  ただ、お話にありました根本的な前提ですね、何といいますか、入るをはかって出るを制するんだというような、非常にプリミティブな話かもしれませんけれども、そういう原理原則を最近政府といいますか、多少ないがしろにしてきておるんじゃなかろうか、そういう点は少し憂えなければならぬというふうな気は、私個人的に非常にいたしております。したがいまして、一般消費税がどうこうということは別に、できるだけ歳出の合理化とともに歳入の充実と、もしできるならば、お願いできる方面がありますならば、増収の道も講ずるということは金額の大小にかかわらず考慮すべきことではないか、こういうふうに感じます。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 きょうは時間がありませんから、これで終わりますが、また本委員会において税制小を開きます。おいでいただいて、いまの続きといいますか、消費税が取れないならば、どういう税項目−社会党は社会党なりに提案している問題等もありますので、また御意見をお聞かせいただきたいと思います。  きょうは、どうも御苦労さまでした。

小泉純一郎自由民主党

○小泉小委員長 高橋高望君。

高橋高望民社党

○高橋小委員 私は、与えられた時間が短いので、項目的にお話を伺いたいと思います。  一つのお願いと二つのお尋ねということで、まず一つのお願いは、これは税調会長に直接というよりも、大蔵省の全体に通じてのお願いになるのですが、赤字財政だ、したがって増税だあるいは国債発行だということをいろいろおっしゃるのですけれども、私たちみたいにこの道に携わっている者には、そのものの弊害というものがどういうものかはある程度は理解できます。しかし、現実に暮らしている国民一人一人の大多数の方が、現実に国家財政が赤字だといったときに、どれほど自分たちの生活に影響が出てくるかということについての理解は、私はお考えになっているほどには理解していないと思うのですね。世の中の風潮として最近、これは上場会社なんかにもよく見られますけれども、役員の方でも雇われ役員で、自分の任期内だけのことを大過なく過ごせば、次に繰り越していけばいいという発想がずいぶんとございますから、仮に一軒の家を考えてみても、親がした借金を子供が本当に返す気があるのかどうか。逆に言えば親自体も、自分たちの生きている間じゆうにだけやりくりしちゃえば後は後でまた別に考えろというようなことで済ます風潮が私は最近日本の国にあると思うのです。  そういう点も兼ね合わせてまいりますと、政府の言われるように、ただ赤字財政で将来これが返すときに負担があるといっても、じゃ将来を担当する人がそのときになると、また次の将来の人に負担させればいいのじゃないかという理論も出てくるわけです。こういう点について、お願い事項というか基本的に伺いたいのは、とにかく政府はもう少しこういう問題に対しての一般的なPR、していらっしゃるとはおっしゃるけれども、松野さんばかり新聞記事にしないで、何かそういった意味でのPRというものをより強烈にしておいていただかないと、われわれの論議とか検討というものは空回りするおそれがあるのですね。この辺について、きょう大臣はもちろんいらっしゃらないことは覚悟の上なんですが、どなたかお立場、お立場でお考えいただけますか。次官、いかがでございます。

林義郎自由民主党大蔵政務次官

○林(義)政府委員 借金を幾らでもしたら次から次へとやっていくということは、私は国民の風潮として非常に嘆かわしい話だと思うのです。先ほど只松さんからもお話がありましたが、入るをはかって出るを制すという東洋の思想がありますね、そういったやはり基本原則というものがどうも狂っているのじゃないかという感じが私はしてならないのです。その辺は、行政当局ではなくて、お互い政治家がやはり考えていかなければならない問題だろうと思います。自立心というか自己というものを立てていくというのは、そういった一つの規律というものが私は必要だろうと思いますし、先生の御説まことにごもっともなお考えだと思って、PRの点、一生懸命いろいろな点でやっておりますが、なかなかこれはうまくいきません点もまだありますし、いろいろな点ありましたならば御教示も賜りたいし、また、おたくの党その他の党におかれましても大いにPRのほどを心からお願いをいたしたい、こう思っております。

高橋高望民社党

○高橋小委員 それでは、きょう税調会長にわざわざおいでいただいたので私、私たちの国の税制の中期的な立場に立って二つばかりお伺いしたい。  一つは、御承知のように租税特別措置のあり方というものを見直す時期が来ているんじゃないか。歳出面ではゼロバジェットという名前で大平総理直々に各省にお話があったようでございますけれども、この租税特別措置を含めて、私たちの国の税制も何か大分考えなければいけないところへ来ている。特に租税特別措置は、企業的な立場で見た場合には、従来はどちらかというと競争力の強化とか企業の体力強化ということで、資本蓄積と内部留保に重点が向けられてきたような気がしてならない。こういう時代はすでに去りつつあって、私は何か新しい方向を持った租税特別措置が企業に行われるべきであろうと思っているのですが、最近のエネルギー問題も含めて、租税特別措置の方向に対して最近税調で——いま伺うと昨年の十二月以来会を持っていらっしゃらないとおっしゃいますけれども、小倉会長、税制調査会の一メンバーとしてでも結構なんですが、この租税特別措置法の方向づけに対する何か御所見あるいは意見をお持ちでいらっしゃいますか。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 お話しのように、租税特別措置をこの際、根本的に考え直すということも一つの考え方で、そういう御意見もごもっともなこともございますけれども、じゃこの際根本的にという前に、毎年検討を実はいたしておるわけです。ごく最近におきましては、いわば根本的な立場に立って租税特別措置ないし類するいわゆる不公正税制についての基本的な考え方を、たしか一昨年でございますか、ずいぶん広く長く検討いたしまして、大筋をそこで中期税制のあり方の中にお示しをいたして政府に答申をした。以来、それに基づいて毎年見直しをするということに実はいたしております。  恐らく租税特別措置が始まったころは、いわば産業政策を補完するというようなことで、御質問の御趣旨に合ったようなことがあるいはウエートが高かったかと思いますが、最近は、中小企業あるいは社会政策的なこともずいぶん中に含まれておりますので、言葉をかえて申しますれば、いわば大企業に特別の恩典を与えるんだというウエートは漸次減ってまいっておるということだと思うのです。したがって大きな流れとしては、租税特別措置の全体的な達観の上では、お示しのような線で動いているのではないかというふうに観察できはしないか、そういう感想を持っております。

高橋高望民社党

○高橋小委員 ここへきて例のエネルギー問題を中心にして、この問題に対する税制上の新しいお取り扱いというものはお考えになっておられませんでしょうか、またお考えになろうとなさいませんでしょうか。と申しますのは最近、カリフォルニアヘちょっと用で行ってまいりましたときに、御承知の金門橋を渡る自動車ですね、あれの通行料、日本で言うと有料道路になりましょうか、その料金を一台の車に三人以上人が乗っているとただにする。従来はもちろんそんなことなしに一台について幾らで取っていたんでしょうけれども、ここへ来て三人乗っているとただにする。その背景は、一人が一台車を動かすアメリカ社会の常識から言って、三人が乗っているということは三台分を一台で済ました、だからここでいわば通行税に相当しましょうか建設の方に相当するかその辺はよく私わかりませんけれども、いずれにせよ料金をただにするということを現実にやっているわけですね。  これはちょっとポイントがずれているかとは思いますけれども、租税特別措置法なんかの展開の中で、エネルギー問題に関して何か基本的にお取り組みになっているということはございますか。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 エネルギーの問題は、特に石油あるいはガソリンの問題は別でも、税制調査会でときどきといいますか、毎年ぐらい審議されておるわけです。しかし、特に特別措置の関係においてそういうふうなことを重点に置いて論議されたという記憶は余りありません。お話しのように、省エネルギーということを促進するために、何か特別の措置があるとこういう効果があるんだというようなことがありますれば、当然審議されてしかるべきではないかという気はいたしますけれども、そういう観点から余り論議はされておりません。ただし、自動車の公害問題については若干、そういう点からの御議論がありましたけれども、さて、現在の自動車関係の諸税が果たして省エネルギーという観点からうまく税制が仕組まれておるかどうか、ちょっと私ここでお答え申すほどの知識はございません。

高橋高望民社党

○高橋小委員 例の設備投資減税で省エネルギーの施設に対しては税制上の優遇が一つはございますね。私はああいうものの拡大をこの際お考えになられる時期がまた来ているんじゃないか、そういうことを伺っているわけなんです。基本的な考え方としていかがでございますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 会長からお答えのあります前に、技術的な問題でございますので私の方から申し上げさせていただきます。  仰せのように、たとえば省エネルギー施設でございますか、そういうものを設置いたします場合には、租税特別措置法の中に特別償却の規定がございます。これが五十三年度に実施しましたいわゆる投資税額控除の場合にも、それから本年度から明年度にかけまして二年間やりますいわゆる産業構造転換投資促進税制の中にも、こういった特別償却に当たる設備の取得については税額控除が受けられるということになっております。そのほか、現行の税制で申しますれば、たとえば地域暖房ですか、公害を避けると同時に熱効率を上げていく、そういった地域暖房につきましても特別の制度があることも事実でございます。  ただ先ほど税制調査会長からお話がありましたように、エネルギーの使用の効率化を企業の中で高めていく、これは企業のコストを縮減するという効果を持っております。特別償却というものもかなり有効に働いてくるんだと思います。そういうことから、もちろん租税特別措置でございますから、時々刻々の経済の情勢というものを踏まえまして、最も効率的な方向に、あるものは改変をしていくという必要がありますので、また税制調査会でも御審議をいただけるようになることかと思いますが、一般的に企業設備の外でエネルギーが使用されます場合に、使用効率を高めていく手段というものはなかなかむずかしいものである。これはコストに反映されないような形で、たとえば家庭で使います油または輸送機関の燃料として使われます油、こういったものをどういう税制上の手段を講じたら使用効率を高めていくことができるかどうか、これはもっと広角的な見地というものも必要でございましょうし、それから、家計を切り盛りしていく人たちの心構えというものに訴えなければならぬ面もございましょうし、もっと広くエネルギーコストというものを通じてエネルギー政策の中で解決しなければならないものもあると思います。そういうものの総合的な勉強がいま通産省、資源エネルギー庁を中心に進められておるようでございますので、私どもの方もそういうところとよく連絡をして、有効な手段で、税の公平を害してもあえて導入した方が社会的にもいいであろうというものがございますれば、それはまた検討の対象になると思いますが、海外の事例等もいろいろと勉強はいたしておるわけでございますけれども、エネルギーを税制でどうとらえてどういうふうにその使用の効率を上げていくかということにつきましては、各国ともいろいろ試行錯誤の最中でありますので、私どもも内部でも勉強いたしますし、また必要に応じて税制調査会の御審議をいただいていく、こういうふうに思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 エネルギーの問題はもう御承知のとおり、税制問題としても一番重要な事項にもなっておりまして、特に日本のような立場にある国といたしましては、お話しのような省エネルギーという観点から国策を進めていくということはこれは大切なことだと思います。その際に、税制上の問題でそれに寄与できるということであれは当然審議してしかるべきものであろう。私どもこの税制調査会の中から、こうすべきだという積極的な提案をすることはむずかしいかと思いますけれども、それぞれ関係の役所もおありのことと思いますので、そういうところの御要望なり御意見なり十分踏まえて善処してまいりたい、こう存じます。

高橋高望民社党

○高橋小委員 残念なことに時間がございませんので、もう一問だけ全く別のことを伺います。  それは、税調会長にお伺いしたいんですが、現在私たちの国の税調のあり方として、われわれの国の例のキャピタルゲインに対する基本的な課税態度というものはどういう態度をとり、また今後もとられようといたしておられますか、キャピタルゲイン課税についての基本的な態度をちょっとお示しになっていただきたい。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 非常に一般的なお話で、どうお答えしてよろしいか、私ども……

高橋高望民社党

○高橋小委員 それでは、特に株券に判断してお考えいただきたい。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 そういう株の譲渡利益なり株価の値上がりによる利益、そういう種類のキャピタルゲインは、やはり一般の所得と同じく把握して、かつ、総合所得でやっていくというのが、この税制全体の考え方かと思います。ただ、キャピタルゲイン、いろいろございましょうから、なかなかいまのお話の株券などになりますと把握がむずかしい。それをどう克服していくかというようなことが実は当面の問題で、税制調査会でも多分、国会の関係をにらんで再開されるであろう会合ではそういう問題も触れられるんではなかろうか、こう思っております。

高橋高望民社党

○高橋小委員 重ねてお伺いしておくんですけれども、基本的に非課税物として考えるかあるいは課税する対象として考えるか、ずいぶん後の取り組み方が末端に行けば行くほど違ってくると思うのですね。そういう意味で、では、いまの税調会長の御意見からいけば、大体税調の立場では課税である、こういうふうに判断してよろしいわけですか。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 これは税制調査会で、そこをはっきりきちっと決めてそういう方針であるということで申し上げるわけではありませんけれども、総合課税でいくべきであるという観点はいろいろな場面に出てくるわけでありまして、そういう観点から申しまして、株につきましてもできるだけ総合所得の中に取り入れて課税をしていく、こういうのが基本的な考え方でございます。ただ、その実行をどういう段取りで、またテクニカルな問題をどう克服していくかということが検討の課題か、こう思っております。

高橋高望民社党

○高橋小委員 残念ですけれども、時間が参りましたので、質疑を終わらしていただきます。ありがとうございました。

小泉純一郎自由民主党

○小泉小委員長 坂口力君。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 新聞なんかには早々と来年度予算のことにつきましての記事が流れているわけでございますが、昨日でございましたか大蔵委員会におきまして大蔵大臣も、まだ勉強段階であるというお話をしておみえになるわけでありますので、そう固まったものがあるとは私も思いませんけれども、しかし、来年度における税制改正の一番目玉になるものということになれば皆さん方に何があるかということをお聞きをしたい。一般消費税の問題はこれはございますけれども、一般消費税はひとつ別にしていただいて、それ以外のものでどのようにお考えになっているか、これは局長さんと、それからもしも税制調査会の会長さんも御意見がございましたら、ひとつお答えをいただきたい。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 五月の十八日でございますか、閣議でいわゆる予算のサマーレビューということをやっていただくような決定を願ったわけでございますが、そのときの参考資料でもおわかりになりますように五十五年度の歳入を、私どもが二月につくりました財政収支試算の五十五年度の税収そのものをとりまして二十五兆四千億、五十四年度に対して約四兆円増の二十五兆四千億を置きました場合でも、公債を現在よりも二兆円ばかり減らすためには、国債費と地方交付税を除くその他の歳出が伸びが全くないということを前提としなければできない。五十五年度の経済情勢、それから五十四年度の経済情勢、いまだ見通しが非常にむずかしいわけでございますから、非常に抽象的な数字ではございますけれども、五十四年度に十五兆二千七百億という公債を出しまして、この大量な公債発行をもう一年続けるわけにいかない、としますと、その歳出の伸びをゼロとしてもなおかつ、国債の減額の余地は一兆九千億にとどまるということが、私どものその際閣議にお出しをした試算の内容でございます。  このことからおわかりになりますように、一つは、五十五年度の予算を円滑に編成していくためには、歳出面でゼロ・ベース・バジェットと一口に申しますように、一切のいきさつをもとに戻して、真に必要にしてやむを得ざる歳出だけに切り詰めていく歳出洗い直しの努力が必要でございますと同時に、歳入面におきまして、二十五兆四千三百億というのが財政収支試算の数字でございますが、これは五十九年に特例公債から脱却するために、各年度等率で税収が伸びていく、一八・二%の等率で伸びていくという簡単な前提を置いておるわけです。経済の局面が五十四年、五十五年とどう推移するかによりまして、その際に現実に予算で見込み得る税収というものはまた変わってくると思います。この中には増税が入っておるかどうかということは必ずしもはっきりしておりませんが、二十五兆四千億の計算の過程では、税制改正による増収分というものを一兆二千六百億計上いたしております。ですから、二十五兆四千億に当たる現実の税収というものがいかほどになるか、それにさらに税制改正によって新たな歳入を追加することがどれだけ可能であるかということが、五十五年度の予算編成全体を通じて、これから夏から秋にかけて現実の数字の問題として深刻に検討し、解決を図らなければならないわけでございます。  いずれにいたしましても税収面で、現行税制の執行を通ずる充実も含めまして現行税制から期得し得る税収以外に、新しい税収を国民にお願いすることが必要であろうというふうに一般的には思います。ただし、それをどういうふうに具体的な税目で展開してまいるかということにつきましては、まあ来月から恐らくお始めいただくであろう税制調査会の御審議の中でいろいろな各方面の御意見も伺って、その御審議の状況を踏まえて私どもとしても行政的に考えてまいるわけでございますが、恐らく、会長おられて恐縮でございますけれども、五十五年度にぜひとも改正をしなければならない項目というものは二つあるわけでございます。一つは利子配当の課税制度でございます。これは五十五年分をもって現行制度が終了いたします。その後どういうふうにしていくか問題がございます。それからもう一つが土地税制でございます。これも租税特別措置法の中にあります現行の土地税制は五十五年分をもって終了いたしますので、どうしても五十五年度、本年の暮れには方針を決めていただかなければならぬ。その辺を中心として新しい税制をどのくらい取り込むことができるか、それはこれからの税制調査会の御審議の結果でもあろうと思います。五十五年度を見通した財政の持っていき方の基本方針ということも関連をいたすということになります。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 ただいま主税局長申されましたように当然、税制調査会として審議しなければならぬというものは、期限到来が予想される土地の関係、それから利子配当の総合所得の関係、これを難問でございまするけれどもどうするかということかと思います。しかしお話しのように、目玉というような御質問を聞いてのことはそれと恐らく違った問題だと思いますが、しかし、いまのような当然期限の来る問題について税制調査会では処理をする傍ら、役所の方でもいまお話しのような点で、新しい財源たり得るものをひとつ検討願って、そのうち税制調査会でもまた審議を進めるということになろうかと思います。いまどういう税目が考えられるかということは少し申し上げにくいかと思います。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 会長は時間の御都合があるようでございますので、もう一問だけお聞きをして終わりにさせていただきたいと思います。  利子配当の問題も、いま御指摘のように非常にむずかしい問題の一つではないかと思うわけでございますが、いわゆる背番号制等との問題も絡んでまいりますし、この辺のところをどういう形で落ちつけるかということが大変むずかしいであろうと思うわけであります。会長御自身のいまお持ちのお考えの段階で結構でございますけれども、その辺のことにつきましてもう少しお考えでございましたら、お触れをいただきたい。  それからもう一点は、一般消費税の問題につきましては、昨年非常に長い期間をかけて議論をされたわけでございますけれども、この問題については何かまた見直しというような意味で、ことしも議論を続けられるのでしょうか、この問題は一応あれで終わりということになるのでしょうか、その辺のことにつきましてもひとつお聞きをしておきたいと思います。  この二点をお聞きしまして、お答えをいただきました後、お帰りいただいて結構でございます。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 前段の利子配当総合課税の処理の方向でございますが、これまでの税調の審議を通じて考えますと、御質問の中にございましたような背番号制と言ってはちょっと語弊がございますが、国民の納税者番号といったようなものを考えて総合化を図るということはどうしても必要で、それをやらなければならぬという考え方が一つございます。ただ、これには大変いろいろ準備もかかりまするし、また相当の経費もかかる等々がございまして、また、背番号あるいは納税者番号だけで一体総合化ができるんだろうかという、そういう問題も実際問題としてもう一つ出てくるやに思います。したがいまして、背番号制というのはほかの点からもまた問題があるというふうなこともありまして、背番号制によらないで総合化する方法はないかという考え方をとるのが第二の考え方であります。第三は、これは並列的で申し上げると恐縮ですが、そういう特別の納税者番号などをやらなくても、とにかく総合化に踏み切るということにしたらどうか、こういう御意見もないことはございません。ただそういうことであれば、何のために初めから議論したのかちょっとわからなくなる点がございますけれども、何らの準備なしに総合課税をするということは、徴税上の面からでしょうけれども、かえって不公平税制を助長する、そういうことがありまして今日に及んでおるわけでありますが、そういう三つの考え方がありまして、どれに集約するかということは、来月あたりから特別部会でもお願いをして審議を集約的に進めてまいろう、こういうようなことになっております。  それから一般消費税のことでありますが、利子配当についてもそうでございますし、その他もそうでございますが、国会でどういう論議が行われたか、あるいは世の中でどういう論議が行われたかというようなこともありましょうが、主として国会でどういう論議が行われたかということを役所の方から税調に御披露願って、その上でまた、政府のお考え方もその後どういうふうになっておるのかということも伺わなければならないと思いますが、そういう上で、一般消費税についても考え直すというか、もう一度吟味してみるという必要がありますれば、これは税調としてもそういうことを審議するにやぶさかではございませんけれども、いままでのところ、想像できる限りにおきましては、税調として積極的に一般消費税についてさらに検討を重ねるといいますか、再検討するというような段取りにはなりにくいのではないかと思いますが、しかし再開をいたしました上での委員の先生方なりあるいは役所の考え方なりということによりましてそこはどうなるか、まだしかとこうだというふうに申し上げるわけにはちょっとまいらないような状況でございます。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 ありがとうございました。

小泉純一郎自由民主党

○小泉小委員長 小倉参考人には、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。御退席されて結構でございます。  坂口力君。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 先ほど高橋議員の質問にもございましたが、省エネルギー等に関します税のあり方というものにつきましては、今後大きな議論を呼ぶものになるだろうと思うわけでございますけれども、先ほどのお話のように、特例法の範囲内でこの議論をとどめておくのか、あるいはもう少し税の基本にかかわるところまでこの問題を取り込んで議論をしていくのかということなついては、将来に大きな違いが出てくるだろうと思うわけであります。現段階で行われておりますもの、あるいは先ほどのお話は特例法の範囲内における話であったと思いますが、この辺のところはもう少し基本的な問題として取り組んでいただく必要があるのではないか、またわれわれも取り組む必要があるのではないか、こう思うわけであります。このことについても次の問題とあわせて、もしも時間がございましたらひとつ御答弁をいただきたいと思います。  それから、エネルギーに関係したものといたしましては、現在の段階は新聞情報だけでございまして、私どももしかとその内容を知っているわけではございませんけれども、代替エネルギー開発導入促進税という問題について先日の新聞に出たわけであります。恐らく通産省の中におきましても、この問題はそう固まり切った問題ではなかろうと思います。多分現在検討の段階であろうと思いますが、しかし考え方といたしましては、将来に対しまして非常に重要な考え方の一つではないかと思うわけでございます。ただ、現在までのエネルギーに係ります税制との絡み、これをどうするのかというような問題がございますし、そしてまた、改めて取る必要があるのかというような問題、あるいは道路等に使われておりますものをもう少し減らすべきだという意見も出てくるであろうと思います。これはいろいろ議論を呼ぶところであろうと思いますが、重要な問題の一つではあろうかと思います。  それからもう一つ、最近新聞に出ました問題で、いわゆる工業再配置への投資減税の問題がございました。この投資減税の問題は、昨年の租税特別措置法の一部改正案の中にも出てまいりましたし、五十五年、五十六年、業種によりましてはこれが現実問題として通用できるようになっているわけでございますけれども、今回提案されるのかどうかわかりませんが、考えられておりますものは、地域別によって特定の地域に対して投資減税をしてはどうかという考え方のようでございます。これも地方に参りますと、たとえば工業団地等をたくさん市町村レベルあるいは県のレベルでつくりましても、それがなかなか売れなくて弱っているとかいろいろな問題を抱えておりますので、これも考え方としては非常に重要な問題を含んでいると思うわけでございます。ただしかし、これをそれではどんどん進めていいかという、そこにもまたいろいろの問題が横たわっているのではないかと思うわけでございますが、これらの新しい面について、大蔵省当局としてどのようにお考えになっているのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 新聞に報道をせられておる程度にしか私どもも内容をよく承知をいたしておりませんし、また、通産省ないし関係の部局にあらましの話を伺ってみたいと思ってこちらの方でヒヤリングなどをする段階でもないと思っております。  ただ、先ほど高橋議員から御質問がございましてお答えしました際に私申し上げたいと思っておりましたのは、租税特別措置を通じて省エネルギー設備の使用を促進するようなたとえば特別償却というような制度をつくってまいることは、これは省エネルギーの設備を導入することによって企業のコストを将来下げる、それの最初のインセンティブとして評価できる、したがって特別償却が切れて取り戻しが始まりましても、それによって低コストの生産体制ができるわけでございますので、自動的に省エネルギーの体制に進み得るわけでございます。  工業再配置の減税についていまお話がございましたが、この場合には、たとえば工業再配置を図るべき政策対象地域に企業が進出して、その後、労働力なり環境なり交通上の問題なりマーケットなりというものを考えて、従来よりも有利に企業運営ができるという前提で工業の再配置についての企業の対応というものがすでに兆しておって、それに最初の刺激を与えてやればその政策対象地域に続々と企業が進出するという見通しがあってやることでありますれば、これは確かに一時期の政策税制の対象になり得るかと思います。ただ、どうしても将来にわたって特別措置がなければとても採算が合わないというような際に、特別措置を講じて無理にやりましてもこれは結局、政策の効果も上がりませんし、いつまでたっても特別措置の改廃ができない、政策の転換ができないということになりますので、エネルギーの節約につきましても、またいまお示しのありました工業再配置につきましても、税制という手段を税の公平を犠牲にして政策の手段として使用するということにつきましては、いずれもそういう基本的な考え方について十分に配意してまいる必要はあろうと思います。  具体的にエネルギー導入促進税というものは、拝見をいたしますと、一つは、石油ないし石油から製造されたエネルギー、電気、ガスを含めて、そういうものに負担を課して、それによって得られる財源を新エネルギーと申しますか代替エネルギーの開発のためのRアンドDないしその設備化ということの財源にしていこうということにあるようでございます。これは新エネルギーの開発のためのRアンドDを公的に促進することによって、どういう新しいエネルギーへの展望ないしその実用化への見通しが開けるかということと一番深く関連しておると思います。ですから、何千億か金を持って、その金を目的税ないし特定財源として新エネルギーのRアンドDにもっぱら用いるという発想がまずあるべきではなくて、どういう代替エネルギーのためのRアンドDをすべきか、それに公的助成をすべきか、それが何年かにわたってこりくらいの規模であって、それには一般財源を用いるよりは財源を特定した方がいい、そういうことがまずあって、その後で、それではどういう税制を設定すべきかという御主張になるのが筋道かと思います。  私どもは、新エネルギーの開発の必要性、これは、世界的にあるわけでございますし、IEAあたりでも議論されておるわけでございますし、あることはもちろん否定はとうていできないと思いますけれども、研究開発のための新しい特定財源を創設する必要があるかどうかということにつきまして、また、それを創設するとすればどのような具体的な開発構想なり効果なりというものが期待されるかということにつきまして、さらには、その際の所要財源の規模につきまして綿密な検討がなければ、こういう新規の税制の御提案につきまして、直ちにそれは御趣旨結構ですというようなことにはならないのではないかというふうに思っております。関係の省庁とも十分連絡、協議をいたしますけれども、いまの段階で私の考えをお尋ねがあれば、そういうごく抽象的なことを申し上げることになろうかと思います。  それから、工業再配置のための投資減税でございますが、現在不況地域につきましては、ことに中小企業につきましてはより広範に、五十四年度、五十五年度に投資減税が行われるわけでございます。これをさらに五十六年度以降も制度を継続していくべきかどうか、さらには、そういうものとまた別に、現在あります地域特別償却の制度を洗い直して、低開発地域と申しますか過疎地域と申しますか、そういった地域特別償却ないし地域減税というものをもっと広げていくかどうかということになりますと、これは政策の効果ないし現在の税制上の特別措置の利用状況の反省とそれから政策の効果についての見通し、それぞれについて慎重な検討が必要であろうと思います。現在、低開発地域、工業開発地区、過疎地域、産炭地域につきまして地域特別償却という制度がすでに長きにわたって設けられておりまして、それの既存の制度の活用だけで足りないのかどうか、むしろそういった政策対象地域が広過ぎるから問題が起こっているのかもしれないということも含めて、深く検討を慎重に進めてまいらなければならぬというふうに考えております。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 政務次官は通産行政にも非常にお詳しいわけでございますが、いまの工業再配置に対する投資減税、これは局長の方からお話をいただいたわけでございますけれども、慎重に検討してということで集約できると思いますが、政務次官としてはどういうふうにお考えになりますか。

林義郎自由民主党大蔵政務次官

○林(義)政府委員 いま高橋局長から御答弁したようなことに尽きると思うのですが、工業再配置という問題、私はもう一遍やはりこの際考え直してみる必要もあるのだろうと思うのです。いままでの政策で、地域振興整備公団その他が中心になりましてやりましたり、また過疎対策というかっこうでやりましたけれども、国土の均衡ある発展というものをどうしてやるかということは、もう一遍観点を新たにしてやることも私は必要だろうと思うのです。先生のところもそうでしょうし、私の地元でも実を言いますと、団地をつくったけれどもなかなか工場がおいでにならない、工場を一生懸命誘致をしなければならぬ、こういうふうな話がある。それは単に税金がどうだこうだという話でなくて、そのほかの理由も相当にあるだろうと思うのです。むしろそういったものを総合的に考えて日本全体の国土の均衡ある発展、それはやはり地域振興につながるものでありますから、そういったことから私は考えていくべきではないかと思うのです。産業構造なり地域構造というものが変わってぐるということが一つにありますし、御指摘がありましたようなエネルギーの問題というのはそういったところにも私は影響してくるのだろうと思うのです。そういった点も踏まえてこれから大蔵省も研究をし、勉強してもらわなければいかぬし、通産省なり国土庁なりあるいは建設省、各方面で検討してもらう必要があるのではないか、私はこういうふうに考えております。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 投資減税の話につきましては私も、そのほかのいろいろのファクターがあるわけですから、これをしたからそれによって急に進むとは考えられないわけでございますし、それこそ検討しなければならない面が多いと思うわけでございますが、局長のお考えは、しかし検討には値するというふうにお答えになっているのでしょうか、その点どうですか、ちょっとお気持ちわかりにくい面もあるのですけれども……。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 工業再配置は本来、市場機能というものが働いて初めて永続的に効果を結ぶのだろうと思うのです。市場機能に従って工業の再配置が起こり得る体制というものは常になくてはいけない。そのときに初めて政策的な税制の効果が結実をするというふうに考えます。政務次官からお答えになりましたのも恐らく、そういうことが根幹にあるような全体としての地域政策というものの上に乗って、もし税制が働いて何がしか役に立つという場合に税制上の手段を講ずベきであろうというお話であったかというように思います。したがって、現在たくさんあります地域特別償却というものを練り直して新しく地域投資減税制度に組みかえていくということには、基礎になります工業の再配置への兆しないしは大きな市場機能に従った動きというものがあって、それが一時の促進策として政策減税を使うという見通しがないと、それは実際にやってみても効果も上がらないし、いたずらに税制の不公平を増すだけになるということになると思いまして、私はそこのところがいま一つ御提案には、言われておりますような提案につきましてはっきりしないという考え方を持っております。そういうことも含めまして、もちろん政府の中でございますから、御提案があれば検討いたさなければなりませんが、検討していった場合にまずそういう点の基本的な反省が必要だろうという考えもあわせて申し上げておきたいと思います。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 もう一つは、全く違う問題でございますけれども、時間でございますのでもう一つだけお聞きをして終わりにしたいと思います。  五十四年度におきます租税特別措置の改正におきまして、いわゆる社会保険診療報酬にかかわります問題は改正になったわけでございますが、いままでいわゆる自由診療と言われておりました部分に調整率というのがかかっておりました。これは当然青色申告をなさる方に自由診療部分について調整率というものがあったわけでございます。この調整率は医科、歯科によっても違うと聞いておりますし、また、何か地域的にも格差があるということも聞いているわけでございます。この辺につきましても、今度の改正にあわせて変化が生じるのかどうか、その辺のところをひとつお聞きをしたいと思います。

藤仲貞一国税庁直税部長

○藤仲政府委員 大変専門的な御質問でございますので、私からお答えを申し上げます。  医師等につきまして、医師等の収入には社会保険診療報酬、それから自由診療の収入があるわけでございますが、措置法二十六条の適用がございます場合には、これを収入の別に収支計算を行う必要があるわけでございます。この場合に、収入自体を区分することは容易でございますが、必要経費についてはなかなかむずかしい問題がございます。一つには、収入別に必要経費を区分するということが繁雑でございまして、実際に区分経理をしておられる例は少ないということがございます。それからもう一つは、両収入に共通的な経費がございまして、これをいかような基準で案分するか、こういう問題があるわけでございます。  ただいま御指摘がございました調整率は、この必要経費というものを社会保険診療報酬と自由診療の収入比によって案分する場合に、両者間の経費率の格差というものを調整する目的を持って定められた率でございます。もう医療問題非常にお詳しい先生でございますから御案内かとは存じますが、一般に自由診療は社会保険診療報酬に比べまして利益率が高い、裏返して申しますれば経費率が低い、こういう実情でございますために、現在の措置法二十六条の規定が創設されて以来、こういう両者間の経費率の調整のために使用されておるものでございます。  そこで、この調整率が診療科目あるいは地域によって異なっておるではないか、こういう御指摘でございますが、そのとおりでございます。それはなぜそうなっておるかということを申し上げますと、この調整率は各地域ごと、これは具体的には国税局単位でございますが、各地域ごとの標本調査に基づいて定められておるものでございます。それで、社会保険診療報酬と自由診療収入の割合、それからこの両者間の経費率の格差というものによってこの調整率が定まるものでございますために、診療科目によってこの調整率というものが異なる場合がございます。それからまた、いま申し上げたようなことで作成されております関係から、それぞれの地域の実態に応じまして地域的にも一部異なっておるものがございます。  御質問は、今回の税制改正に伴ってこの調整率というものを変更するのか、こういうことであったかと存じますが、私どもいま申し上げましたような調整率の性格から申し上げまして、今回の税制改正がこの調整率を定めている要素に直接影響を与えるものとは考えておりません。そういうことで、さしあたってこれを改正するということは考えておりません。ただ私どもは従来から、こうした調整率の基礎になっております数値と申しますか、そういうものの実態につきましては絶えず注視をしてきておるつもりでございますので、今後ともそういう点は続けていきたい、かように考えております。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 時間がありませんので、もう一言だけ申し上げて終わりにしたいと思いますが、医療機関の脱税問題等もいろいろマスコミ等でもにぎわしている昨今でございますし、特に青色申告の場合はできる限り適正にこれは申告をしてもらわなければならないわけでございます。青色申告で適正に申告をしろという反面において、何か調整率みたいなものがございますと、何となく適正に申告をしろという言葉とうらはらになる欠陥も含んでいるわけでございますので、また、それだけ掛けられるからというのでそのことを考慮してというようなことが起こってもこれは困るわけでございますので、その辺は適正に申告がされるということを一番中心に考えていただいて配慮をしていただく必要があるのではないか、こういうふうに思いましたためにお聞きをしたわけでございます。何かございましたらつけ加えていただきたいと思います。なければこれで終わります。長官、何かございましたら……。

磯邊律男国税庁長官

○磯邊政府委員 技術的な問題といたしましては、ただいま直税部長が御答弁申し上げたとおりであります。ただ、基本的に青色申告の普及の問題で、特にお医者さんの青色申告の普及というのは必ずしもわれわれ期待しているほど伸びておりません。それは業種によってかなり違いまして、たとえば産婦人科であるとか整形外科であるとかあるいは一般外科、こういった方はわりあいに青色申告が普及しておる。と言いますのは、経費が非常にかかりますので、それからしかも高額所得者が多いというようなことで青色申告が普及しておりますけれども、逆に今度は眼科であるとかあるいは内科、そうなりますと青色申告の普及は低いのであります。これはむしろいまの社会保険診療報酬の特例でいった方が簡便であるし、端的に申しまして税金的にも有利だというようなお考えがあろうかと思います。しかしそのためにわれわれとしては、ただいま申しました調整率等を使いましていろいろと実態に合ったような課税を持っておるわけでございますけれども、やはりお医者さんというのは、その地域におきましての高額所得者でありますし、それから税金の面だけで申し上げましても、やはりその税界においてもリーダーになっていただきたいというような方ばかりでございますから、こういった方にはできるだけ青色申告をしていただくというふうなことで私たちは期待しておりますし、そういった方向でいろいろの行政をやっていきたい、かように考えております。

藤仲貞一国税庁直税部長

○藤仲政府委員 長官から申し上げましたのは私どもの基本的な姿勢でございますが、調整率に関しましてもう一点申し上げておきます。  先生も御案内かと思いますが、診療科目によりまして自由診療収入の割合の比較的多いものとそうでないもの、いろいろそういうものもあるようでございます。まして個々の医師の方についてはいろいろあろうかと思います。それからまた、診療科目によりまして経費率の格差というのがあるのもこれまた実態でございます。したがいまして私どもは、先ほど大島委員にもお答え申し上げましたし、ただいま長官からお答え申し上げましたとおり、医師会等の協力も得て、適正な申告をしていただくようにいろいろこれから努力をしていきたいとは思いますが、各診療科目間においてそういう実態があります以上、何らかの方法においてこれを調整していかざるを得ない、それがまた公平という面から要請されるのではなかろうか、こういう点がございます。  ただ、先ほどもお答え申し上げましたように、そういう数値等の実態につきましては、私ども税務調査を通じて毎年毎年これを見ておるところでございますので、なおそういう面で見直しの必要が出てくるかどうか、そういう点については今後とも注意はしていきたい、かように考える次第でございます。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 時間が参りましたので申しわけございませんが、いまおっしゃるように、科によってずいぶん違うわけでございますので、科によって調整率が違うというならまだ理解ができるのですけれども、地域別になっているというところにちょっと私の理解できないところがありましたので、きょう申し上げたわけでございます。ひとつ今後この問題について検討していただきたいと思います。これで終わりにします。

小泉純一郎自由民主党

○小泉小委員長 安田純治君。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田小委員 私は本日、いわゆる個人企業の専従者控除の問題について若干伺いたいと思うわけであります。  まず伺いたいのは、専従者控除という制度を設けた趣旨でございますが、この趣旨について御説明をいただきたいと思います。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 所得税法の五十六条では、居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る所得金額の計算上、必要経費に算入しないということにしております。現在の所得税は、もうこれは申し上げるまでもなく、所得の稼得者単位の課税でございます。しかし、所得分割が恣意的にしかも容易に行われるようになりますと、人的な控除の問題もございますし、税率の問題もございまして、所得に対する課税の適正が期しがたい。そこで、所得分割を恣意的かつ容易に行い得るような所得につきましては、合算して課税するということを基本的な考えにしておりまして、事業と家計が分離されていないような白色の事業者の場合には、ただいま申し上げたような五十六条というような規定を設けまして、家族の従業者がいる場合でもすべて事業者の所得として課税するというたてまえをとっております。  そこで、昭和三十六年にいわゆる白色の専従控除というものができたわけでございます。現に家業に従事している家族従業員につきまして、従事していない家族と同列に見る、小学校に行っておる弟も、現に白色の事業で働いている成人のお兄さんも、同じように扶養控除というものだけでいいというふうに考えるのもいかがかという問題、つまり、家業に従事している家族従業員について、従事していない家族と同列に見るのもいかがかという問題、それから、青色の事業者や同族会社の家族従業員に対する給与の扱いとのバランスの問題、こういうことを考えまして、家業に従事していない家族の場合の扶養控除にかえて特別の控除を認めるという形で発足したわけでございます。それが所得税法の五十七条の第三項以下にあります白色専従の控除であります。白色の事業者の専従者控除はこういう事情を勘案して設けたもので、基本的な制度の趣旨は現在も同様であるというふうに理解をいたしております。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田小委員 そうしますと、昭和三十六年に白色の専従者控除が認められたときは七万円だったと思いますけれども、この金額を算定した基礎になった理屈といいますか根拠、これはどこにありますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 白色の事業専従を設けました趣旨はただいま申し上げたとおりでございます。それで、そういう小規模な事業所得者が家族従業者を有する場合の配慮という形で創設をいたしましたので、そういう観点から当初は、たとえば農家の家族労働報酬なども検討の一つの資料にしておりましたけれども、同時に、ほかの控除とのバランスということも考えまして、過去の経緯をごらんいただけばおわかりになりますように、配偶者控除と扶養控除の中間という形で推移をいたしてきております。  そういうことをちょっと数字で申し上げますと、昭和三十六年に創設いたしました際には、青色の専従が十二万円、それから配偶者控除が九万円、白色の専従が七万円、扶養控除が五万円であったわけでございます。この後、青色の専従控除が引き上がりましたのにある程度同じ時期に上げたこともございますけれども、大体、申し上げておりますように配偶者控除と扶養控除の中間という形で金額は決められてきたと申し上げていいと思います。四十九年、五十年というふうに配偶者控除を超えたかなり高い水準に定められて、現在四十万というふうになっております。配偶者控除は御承知のように二十九万、扶養控除も二十九万でございますが、白色の専従控除は四十万というふうになっております。そういうことから考えまして、白色専従者の控除の水準というものは相当なものであろうというふうに現在判断をいたしております。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田小委員 この白色専従者控除を認めるきっかけになったといいますか、これは昭和三十五年の十二月の税調の答申とこの審議内容を拝見いたしますと、いろいろそこに言われております。審議内容をずっと見ますと、要するに昭和三十五年十二月当時のことを考えますと、一つは、局長おっしゃったように青色とのバランスという問題も言われていますけれども、同時に、家族労働報酬の取り扱いの問題なんだということが問題意識であって、そしていろいろ述べておりますけれども、青色申告になかなか親しまないといいますか、農業労働の労賃などを基準にすべきではないかというような議論も踏まえて、当時の農家の臨時雇いの労賃に関する調べをいろいろいたしまして、どうも農家労賃の線にほぼ落ちついたというふうな審議経過だと思いますが、それに間違いございませんか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 三十六年にいま申し上げましたような配偶者と扶養控除の間に白色の事業専従者控除の水準を定めた場合に、農家の家族労働報酬というものの水準を参考として定めたという経緯はございます。それはたとえば四十一年度改正の際の税調の審議経過の説明の中でもそういう考え方がありますけれども、ただその場合に、農家の家族労働報酬の実態だけで決まっておるということではございませんので、「個人企業の体質を強化するため、特に個人企業において家族労働の占める地位が大きいことを考慮し、専従者控除制度を次のように改めることが適当であるとの結論に達した。」こうなっておりまして、それは設定する場合の一つの考え方でありまして、全体として人的控除の水準を考えてその間に入るように定めてきておるというのが実態でございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田小委員 三十五年の十二月のいま申した答申でも、「控除金額は、どの程度の金額が適当であろうか。」という設問をしておりまして、「家族労働報酬としての控除であるから、一般の給与を参考として決める必要があることは言うまでもない。」ところが、給与の額はいろいろ都市と農村、大企業、中小企業とで相当の開きがあるということで、当時農家の労賃あるいは製造業の規模別の従業員の賃金とかいろいろ見まして、そして「定額控除を農村賃金を目安として決めるものとすれば、大体年額七万円の控除が適当と考えられる。」、こういうような審議経過が昭和三十五年の十二月の税調においてなされておると思うのですが、基本的にはこうした家族労働報酬であるという考え方はいまも変わっておらないかどうか。基準のとり方は、それは政策的にもいろいろあるかもしれませんが、専従者控除の基本的理屈は家族労働報酬であるということは、考え方においてはやはり変わりがないのかどうか伺いたいと思います。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 白色の事業専従を設けた趣旨については、冒頭にお答えを申し上げたわけであります。それが白色事業専従控除の意味でございます。その当初三十六年に創設いたします際に、家族労働報酬の高さというものもいろいろ考えて、配偶者と扶養控除のちょうど中間に決まるようにというバランスで、その後四十九年の改正に至るまでそういう考え方で推移してきておるわけであります。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田小委員 この昭和三十五年十二月の答申の以後の四十一年度の「税制改正に関する答申及びその審議の内容と経過の説明」というのを見ますと、これは四十年の十二月ですが、専従控除というのはやはり家族労働報酬が基本的考え方であるということは踏襲されておるようですが、ただ、その家族労働報酬としてどの辺の数字をとるかということについては、したがってその基準が農村の労賃になるか、あるいは農村の労賃を参考にしながらまた別なファクターも加えて、青色申告とのバランスとか配偶者控除の問題とかいろいろ別なファクターも参考にするけれども、基本的な考え方は家族労働に対する報酬をある程度認めなければいかぬのじゃないかという考え方であるというふうに受け取れますが、しつこいようですが、基本的な考え方はこの税調の答申の審議のとおりに伺ってよろしいのでしょうか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 お言葉を返すようで恐縮でございますが、いまお示しのあった四十一年の「税制改正に関する答申及びその審議の内容と経過の説明」という文章で申し上げますと、「白色申告者の事業専従控除については、従来から青色申告者になりがたい農家の家族労働報酬の実態を考慮して定めている。」ということであります。したがって、七万円という当初の水準を設定いたします際に、そういうことを考えて七万円というのを決めておって、それ以後も参考として決めておるということでございますけれども、制度の趣旨につきましては繰り返しで大変恐縮でございますが、冒頭お答え申したように御理解をいただきたいと思います。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田小委員 とにかく参考にしてという言葉にしろ、農村労賃を参考にして決めてずっと従来来ておったわけですが、その後専従者控除の比較を見ますと、昭和五十年以来四十万の頭打ちでずっと五十四年までくる、こういうことになっておると思います。  ところで、青色とのバランスということも一つの問題だということでありますが、私の考えでは、青と白と家族労働報酬であれば本来差をつけるべきではないと思いますけれども、仮に青色を奨励するという政策的目的で多少差をつけるにしても、非常に差が離れ過ぎている。言うまでもなく完全給与制に昭和四十三年からですか大体なっておると思うのですが、その実態を見ますと私、計算したところによると、五十二年で青色の専従者控除は平均百九万九千円くらいの控除がなされておる。しかし昭和五十年以来ずっと四十万で白色の専従者控除は頭打ちのまま今日まで来ておる。ですから、青色とのバランスから見ると三倍を超えている実態です。この一面、参考にするとはっきり書かれておる農家の農村労賃、これもまた非常に大きな金額の違いが出ておると思います。時間がございませんので、この点細かい数字を挙げて議論をする時間的余裕がございませんけれども、青色申告からのバランスから考えても、それから農村労賃の実態から見ても、現在ずっと長く据え置かれている四十万というのは低過ぎるのではないか。ですから、税調答申が三十五年の十一月ですか、それと四十年の十二月行われたその当時の考え方とは全く違う、いわば何と言うか、きわめて政策的なつかみ勘定で、そのくらいにしておけ——参考にしてとかなんとかもっともらしいことを言っているけれども、全くそういうことを外されちゃったのじゃないか、基準が。農村労賃から見ても、青色とのバランス関係もはなはだしくこれは実態に合わないということを言わざるを得ないと思うのですよ。何らかの基準、何らかの物差し、基準と言っても余り固い基準ではなく、それはいろんなファクターで考えるのでしょうけれども、少なくとも一つの参考にしておる、それが参考にも何もなっておらぬのじゃないかと思うのですね。ですから、五十年から四十万になって以降、農村労賃というのは全く参考になっていないと思うのです。それから、もちろん青色の場合はこれは完全給与制に移行しておりますので、実際の実態から見ても、その控除されている部分と四十万との間に三倍の違いが出てきておる。これでは何の基準もなくてやっておるというふうにしか言えないのではないかと言わざるを得ないと思うのですが、その点はどういう基準で四十万円が妥当であると考えるのか。羊、してその四十万円が、もしその答えが農家労賃なんか全然考慮してない——この推移を見るとそう言わざるを得ないのですが、あるいは考慮したというならばどういう点で考慮したのか、その点をはっきりさしていただきたいと思うわけであります。  それから、時間がございませんのでついでに言っておきますけれども、もう青色の専従者控除との間に三倍も開きが出てくるということになりますと、単に青色にしてもらいたいということでいわば政策的に青色に優遇措置をとっているといっても、三倍にもとなりますと、むしろ帳簿をつけないといいますか白色にしているということ自体で懲罰的な差ができたのではないか、極端に言えばそのくらいに言わざるを得ないと思うのです。一方において、この税調答申の中でも言っておりますように、農業所得者などについてはなかなか青色申告に親しまない。その後もいろいろ改良を加えられまして、記帳方法の簡易化なども図られましたけれども、それでも実態から見ると、いま農業所得申告者の十分の一でしたか、一一%ぐらいしか青色申告をしておらないという実態がここにあると思うのです。税調もまた、そういう実態であり、業務の性質上農業所得などはなかなか正確な継続記帳が期しがたいというようなことが答申の議論の中で言われておりますが、いまでもそういう実態は、青色の記帳方法が簡易化されたにしてもまだ存在するということは、この農業所得の申告について見ますと青色が一一%しかまだ達していない、全体的に見ましても必ずしも青色が多いわけではない。先ほどの同僚委員からの質問に対しても、お医者さんでも九〇%もやっておる業種もあれば大分低いところもあるというお話で、業種によって違いましょうけれども、昭和五十二年度版の国税庁の統計を見ましても、青色申告の普及度は全体的に見ても五三%だ、農業なんかは一一%だ、こういう実態が存在するわけですね。ですから白色申告の専従者控除がこんなに低く抑えられており、しかも税調の答申なんか見るともっともらしく、農村の労賃を参考にすべきだとか、家族労働報酬が本質的な性質だとか、あるいは青色申告とのバランスがどうだとか言っておるけれども、実態はまるっきりそういう参考にすべきものは何もないのじゃないか、ただ四十万と決めてあるというだけだ、こういうふうにも受け取れますけれども、その点を踏まえてひとつ御答弁を願いたいと思います。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 所得税法の規定の趣旨は先ほど来お答えを申し上げておりますが、白色の専従者控除の特徴と申しますか、これは青色の専従者控除と全く違っておりまして、給与の支払いがあってもなくても控除するという性質のものでございます。したがって、現実に白色事業者が家族従業員に何ぼ払っておられるかということ、それと専従者控除とは関係がなく決まっております。そこで、家計と企業を分離して、かつ、実際に給与の支払いをしておる青色事業者の専従者控除の水準と白色の専従者控除とは全く性質が違いますので、単純に比較して議論をしていただくということになじまないであろうというのが基本的な性格であります。  それで、白色専従者控除の額がそれ自体として妥当な水準に定められるべきものというふうに考えまして、所得の懇意的な分割を避けるということでありますが、ただ実態、家族従事員としておられるので扶養控除というわけにはいかないだろう、小学生の弟と独立して働いておる兄貴と同じというわけにはいかぬだろうというようなことから、配偶、扶養控除とのバランスというものをも考えまして、総合的に現在四十万円というふうに決めております。これは基礎控除とか配偶者控除の二十九万円を大幅に上回るというふうに四十九、五十年の改正以後なってきておりまして、現在白色事業者について特に不当な扱いをしておるというふうには私どもは考えておりませんので、御理解をいただきたいと思います。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田小委員 本会議もありまして時間が来ましたので、後の質問者に迷惑をかけますからこれでやめますけれども、農村労賃なんか参考にしているのかどうかについてはいまお答えがございませんでした。ですから今後引き続いてこの問題について、何を参考にして四十万というものを決めたのか、もう少し数字を細かく伺いたいと思いますが、この白色の専従者控除の金額についてはぜひ見直しをするために検討していただきたいということを強くお願いを申し上げまして、質問を終わります。

小泉純一郎自由民主党

○小泉小委員長 永原稔君。

永原稔新自由クラブ

○永原小委員 時間が詰まっておりますので、なるべく簡単にお答えをいただきたいと思います。  相続税の物納制度に関連して、私ども資産のない者が言う必要はないかもしれませんけれども、何かちょっと矛盾を感ずるような点がありますので、一、二伺ってみたい。  一体ここ数年、物納というのは件数、金額あるいは地目別の面積、そういうものでどのくらいあるのでしょうか。

田中哲男国税庁徴収部長

○田中(哲)政府委員 ここ数年ということでございますので、昭和四十五年から、五十三年の数字はまだ出ておりませんので五十二年度までの数字でお答えさせていただきたいと思います。  まず物納申請の件数でございますが、四十五年度七百五十人、四十六年度九百三十一人、四十七年度五百三十六人、四十八年度六百五人、四十九年度九百六十七人、五十年度五百二人、五十一年度四百十四人、五十二年度四百四十人となっております。  物納が許可になりましたのが、人数を申し上げさせていただきたいと存じますが、四十五年度四百五十四人、四十六年度三百二十人、四十七年度二百四十人、四十八年度二百六十八人、四十九年度二百八十七人、五十年度二百九十六人、五十一年度百七十六人、五十二年度百九十九人となっております。  内容でございますが、これは年により非常に食い違っておりまして、たとえば五十二年度の場合百九十九人許可になったと申し上げましたが、そのうち、土地が百七十一人、建物が十三人、有価証券が三十一人となっております。これと非常に対象的な姿になっておりますのが四十九年度でございまして、土地が八十一人、建物が十七人、有価証券が二百十一人、その他一人、合計二百八十七人となっております。内容はそのときどきの経済情勢によりまして、土地が非常に多いときと少ないとき、大別すると大体そういうふうに分けられるところです。

永原稔新自由クラブ

○永原小委員 このうちで土地の問題について特にしぼってみたいのですけれども、収納価額の評価はどういうようになさっているのでしょうか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 物納財産の収納価額の評価でございますが、財産の課税価格ということでございまして、したがって相続税の評価額一すなわち、相続開始時の時価ということでございます。相続税法の四十三条、二十二条、その辺からいま申し上げたようなことが規定をされているわけでございます。

永原稔新自由クラブ

○永原小委員 物納しますと決算上、現金主義から見るとおかしくなってしまうのですけれども、どういうふうに処理なさっているのですか。

田中哲男国税庁徴収部長

○田中(哲)政府委員 物納いたしますと、収納いたしました時点に税金の収納があったということに処理するわけでございます。

永原稔新自由クラブ

○永原小委員 ですから、決算上は徴定額を落としていくということですか。

田中哲男国税庁徴収部長

○田中(哲)政府委員 いま主税局長が申し上げましたように、それぞれ評価額があるわけでございます。したがいまして、課税額と評価額が全く同じ場合にはそれだけの税金の収納があったということになるわけでございます。また逆に、課税額と評価額で評価額の方が若干足りないような場合は、その差額が滞納になっているという形になるわけでございます。

永原稔新自由クラブ

○永原小委員 ですから決算上は、収納された評価額相当分は徴定を落としていくわけですね。

田中哲男国税庁徴収部長

○田中(哲)政府委員 そうでございます。

永原稔新自由クラブ

○永原小委員 では、後々の財産管理はそれぞれの財務局でやっていらっしゃると思いますけれども、普通財産、たとえば河川敷の公用廃止などによって生まれた普通財産とこの物納された財産とは同じような管理をなさっているのでしょうか。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 物納許可によりまして税務署の方から財務局に引き継ぎます。それは普通財産でございます。河川敷の方も公用廃止をすれば建設省の方から引き継ぎます。それも同じく普通財産として同じような管理をしております。

永原稔新自由クラブ

○永原小委員 たとえば財産、これは相続税の財産評価のときのいろいろな方法、実際は公示価格よりはかなり安く決定していらっしゃると思うのです。その評価は、財産評価のときの価額で収納していけば、これは一般の売買実例からすると非常に安く収納するという結果になっているのではないでしょうか。ですから、財産としてこれを管理していく場合に、普通財産として国有財産一般と同じように管理していけば、処分するときに売買実績、時価によって処分していかなければならない。だから、収納価額と売買価額との間に相当大きな開きが出てくるのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。

迫田泰章大蔵省理財局次長

○迫田政府委員 御承知のように、国有財産の方は時価によって売り払いをいたします。国税の方の相続税の評価というのは、時価で見ることになっておりますが、非常にかた目に評価をされますので、その間に実際に売り払った場合には何らかの差額が出ることは通常考えられるところでございます。

永原稔新自由クラブ

○永原小委員 実際の売買を見ますと、これは収納価額よりは売買実績はかなり高いのじゃないかと思うのですね。それで、たとえば処分ができたくて物で納めるという人が実際多いと思いますが、すぐ国有財産としてそれを処分するということはなかなか困難かもしれません。しかし、その間に時代の変遷がありあるいは地価の高騰があり、そういう中で、租税債務としてたとえば二千万のものが納められなくて物納した、何年かの間にこれが処分できた、二千万以上のものにあるいは三千万近くのものに売れたというようなときに国は、租税債務を弁済させるために収納した財産であるとするならば、そういうようにもうけを生み出すということが果たして税制上適当だろうかということに若干疑問を持ったわけです。こういうものについて、租税として収納し、その租税債務は確定しているのですから、それ以上の価額になって処分されたときには差額について、還元というとちょっとおかしいのですけれども、考える必要があるのではないかと思いますが、そういう点についてはどうお考えでしょうか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 先ほど徴収部長からお答えをいたしておきましたが、国と納税義務者との間の債権債務関係としては、一物納の許可がありまして物が収納されれば租税債務はその限度で消滅するわけでございます。しかし、国の歳入に立ちますのはその物を売り払ったときでありまして、物納がありましても税収としては決算に立ってこない。その物を処分しましたときに国有財産売り払い代という形で歳入に計上される性質のものでございます。  いま委員からお示しのありますことは、実はどういう価額で相続税の課税をするかというところから淵源しているかと思います。相続税課税について、相続税で言っておる時価というもので課税している。特定の何筆という土地の値段は、相続税の課税価格としては相続税の体系の中で決まってまいります。ところが、国有財産を管理しております大蔵大臣がこれを処分しますときは、これは財政法九条の規制を受けておりますから適正な時価、つまり現実に売れる値段で売ってしまう。そこでどうしても相続税の評価水準と現実の取引水準との間に差がございます。それをどうすべきかという問題がありますけれども、税としては課税したものを課税の財産の中から納めていただくわけでございますから、課税額とその物納価額の評価を変えるわけには、これは長い間どこの国もそうでございますけれども、できないということでございます。  物納が起こってから長い間たって売ったらそこに値上がりの利益があって、それを納税者に返したらどうかというお話でございますけれども、そうなりますと、すべての権利関係というものを未確定にしておかなければならぬ。いわば国が納税者からそういうものを預かりまして、現実に売ったときにその代金相当額をもって租税債務を消滅するというような、仮預かりのような制度を考えなければならないわけでございますが、そうなりますと、租税債務の消滅ということが非常に不安定になります。上がっていくばかりならよろしいのですが、たとえば同族会社の株式なんという物納がありますと下がる場合もありまして、下がった場合、上がった場合両方に物納額と現実の歳入との差額が出てくるわけであります。したがって清算によって、その清算額をもって租税債務を消滅させるかどうかということを制度として考えるには、大変むずかしい問題があろうかと考えるわけでございます。

永原稔新自由クラブ

○永原小委員 お話もよくわかるのですけれども、何か租税債務をさっき伺ったように、決算上は物か収納されればそこで徴定も落としてしまうのでしょう。そして収納されたものとしてしまう。現実に売り払ったときに本来ならば租税債務が、そこで税として納められればいいですけれども、しかし税と国有財産処分との分離はそこではできないでしょうが、数字的にはわかっているはずなので、そこで得た利益について考えるのも一つの行き方ではないかなという気がするのですが、検討に値しませんか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 税制の問題といたしますと、しばしば起こってまいりますのはこういうことであろうかと思います。たとえば借家人が入っておる、家と土地を物納したい。本来であれば、その借家人に立ち退き料を払って出てもらいまして、それを売って得た金銭をもって即納なさる、または延納なさるのが一番いいのであろうと思います。しかし、現実にそういう賃借権等の権利がくっついております不動産というのは、権利関係が錯綜しているために相続税の納期六カ月後までには売れない、売る見込みが立たないということが多いわけです。そういう場合が多い。したがって、金納が困難であるから物納をやむを得ずしておられる方が多いだろうと思います。  昭和四十何年かにその点を改正いたしまして、関係者で話し合いがついて売れる見込みがつけば、物納の許可があった後一年以内であれば物納の撤回を認めるという制度をつくっておりまして、現実に値上がりの見込みがある不動産であれば物納になさるはずがないわけです。それから値下がりの見込みがはっきりしていれば物納を選択なさる、これはどうしても人情の自然でございますけれども、その場合に、国と納税義務者との間のそういう財産の値段の上がり下がりによるトラブルというのを避けるために、やはり全体を相続発生時、開始時の評価ということで統一をしておりまして、物納財産としてその厄介な財産をいただく。それが売れて金で納めた方がもっと楽だという場合も、一年以内なら戻れるわけですね。そういう制度の活用という道も開かれておるということを申し上げさせていただきたいと思います。

永原稔新自由クラブ

○永原小委員 よくわかるのですけれども、ただ、国税当局が収納して財産、土地ということになると、もう国税の手を離れていきなり財務局の方に移管になっていく。そこで管理して、これは相続税評価のときにはかなり温情的に安く評価なさるので、物納の収納価額も安いわけですね。そういうもので決済しておいて、それでもう国税の方は終わり、後は理財の方でということで財産管理をなさっておる。これは高く売れば売れただけ国がもうかるんだということになってしまいますので、何かそういうところに断層を感ずるのです。やはりもう少し国税として、どういうように処理されたかということまで追っていく必要があるんじゃないか、取り過ぎた場合にはそういうものについて考えるというのが、庶民サイドに立った一つの制度として生きるのではないだろうかという気がするものですから伺ってみたのですが、私この点についてまだ十分割り切れたような理解が示されませんので、もう少し勉強させていただきたいと思います。  時間が来ましたので、質問を終わります。

小泉純一郎自由民主党

○小泉小委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十四分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗