大蔵委員会 第18号
- 発言数
- 75 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1979/04/26
会議録
○加藤委員長 これより会議を開きます。 日本専売公社法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 ただいまより本案について参考人から意見を聴取することにいたします。 本日御出席をいただきました参考人は、専売事業審議会委員長舟山正吉君、日本労働組合総評議会常任幹事福田勝君、医学博士前田信雄君の各位であります。 この際、参考人各位に一言申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。 本委員会におきましては、目下日本専売公社法等の一部を改正する法律案を審査いたしております。参考人各位にはそれぞれのお立場で忌憚のない御意見をお述べいただきますようにお願いいたします。 なお、御意見は十分程度にお取りまとめいただき、その後、委員からの質疑にお答え願うことにいたしたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。 それでは、まず最初に、舟山参考人からお願い申し上げます。
○舟山参考人 御紹介いただきました舟山でございます。 私は、専売事業審議会委員長という立場で、当委員会で御審議中の日本専売公社法等の一部を改正する法律案について私の意見を述べさせていただきます。 専売事業、とりわけたばこ事業が置かれている現状を見ますと、幾つかの大きな問題を抱えております。 第一に、専売制度、公社制度の問題であります。 御承知のとおり、昨年六月、公共企業体等基本問題会議におきまして、たばこ事業の経営形態は民営化が適当であるとの意見が取りまとめられております。また、この意見書におきましては、同時に専売納付金制度の改善等の問題も取り上げられております。このような背景のもとに、昨年九月、大蔵大臣から専売事業審議会に対し、公共企業体等基本問題会議意見書にかんがみ、日本専売公社の業務に関し改善すべき事項について諮問がなされ、審議会はまず、専売納付金制度の改善及び定価法定制の緩和化の二つの問題を取り上げ、昨年十二月答申を行ったのであります。 審議会においてまずこの二つの問題を取り上げましたゆえんのものは、第一に、現行の専売納付金制度につきましては、たばこの定価の中にどの程度の税相当分が含まれているかが明確でないため、定価を決める場合の価格決定方式が外部の者には大変わかりにくいという点がこれまでも各方面から指摘され、前回の定価改定の際には、当委員会におかれましても合理的な価格形成方式を確立するように附帯決議がなされているのであります。 第二には、前回の価格改定以降三年余の経過のうちで、公社は公社なりの合理化努力をしているのでありましょうけれども、物価の上昇などのためにコストが上昇し、専売納付金収入が伸び悩み、財政専売としての役割りが十分に果たせられなくなるおそれが出てきております。そのため、さしあたって適当の価格改定を行いますとともに、将来適時適切な価格改定ができますような仕組みを考える必要が出てきておるのでございます。 次に、具体的な法律案の内容に入りたいと思います。 まず第一に、専売納付金制度の改善について申し上げます。 現行の納付金制度は、毎年度の総収益から総損失を控除した額から若干の公社の内部留保を差し引き、残りの全額を国庫に納付することになっております。そのため、予算上納付金額は予定されているものの、それは単に見積もりにすぎず、決算によって初めて専売納付金の額が確定する仕組みになっております。 このように、現在の制度では、たばこ価格の税相当分がわかりにくいばかりでなく、コスト上昇の影響をまともに受けて納付金が減り、財政収入を不安定なものにし、同時に公社の経営責任をもあいまいなものにしております。専売納付金は消費者から見れば実質的には税に相当するものであることを考えますと、納付金率を法定化して消費者の税負担分を明らかにするとともに、財政収入の安定的確保を図り、一方、公社の経営責任を明確化することが必要であります。 専売事業審議会もこのような考え方に基づき納付金率の法定化を答申いたしましたが、この問題は公社経営改善のための長年の懸案であったもので、ぜひ今回実現することを念願いたします。 ただ、その際税相当部分をどの程度にすべきかについては種々御意見があるとは思いますが、今回法律案で予定しておる納付金率の水準は、過去の負担水準、さらには諸外国のたばこに関する税負担の水準から見ましても、妥当なものと考えます。 第二には、いわゆる定価法定制の緩和化でございます。 現在、たばこの価格は、種類別、等級別に最高価格を法律で定め、この最高価格を変更するためには、その都度法律改正を要することになっております。そこで、改正案のように、一応の枠を法律で決めていただき、その範囲内でコストの上昇等やむを得ない事情があるときは法律改正によらないで適時適切の定価改定ができるようにすることが、公社の経営に弾力性を与えるため必要と思います。特に、納付金率の法定化により定価中の企業利潤部分が制約を受けることになりますと、やむを得ないコスト上昇等による公社経営の赤字転落を円滑に防止するため、これはぜひとも必要な措置であると申さねばなりません。しかし、たばこ事業が独占事業であることをあわせ考えれば、定価の引き上げが恣意にわたらないように一定の歯どめがなければならないのは当然であります。その点では、今回の法律案の内容は、きわめて厳格な条件を付して価格の客観的妥当性が得られるように配意し、消費者の利益が十分尊重されるように制度化されており、適切な案であると考えます。 第三には、輸入たばこに対する関税の賦課であります。 この問題については審議会の答申は触れておりませんが、関税相当部分は納付金の中に含まれているという考え方から関税を免税とした従来の仕組みでは、国産たばこの競争力が著しく低下し、国内たばこ産業に打撃を与えることになります。したがって、納付金率の設定に伴い適正な関税率を設定、賦課することとしたのは、国際ルールに沿うことであって、当然の措置であると思います。また、このことは同時に、諸外国からの輸入たばこの定価決定方式の明確化要請にこたえることにもなります。 最後に、今回の定価改定について申し上げます。 定価法定制のもとにおきましては、コストの上昇があった場合には、税相当分の割合が低下し、いわゆる意図せざる減税という現象が起こります。このため、いずれかの時点においてコスト上昇分を定価に織り込むこと、すなわち、定価改定によって消費者の税負担をあるべき姿に戻す必要があります。 このような負担の適正化の必要及び最近の財政事情を考慮いたしますと、この際、平均約二一%という今回の値上げ案はおおむね妥当なものではないかと考えます。 以上が今回の法律案に対する私の意見でございますが、最後に、たばこ事業を取り巻く内外の厳しい情勢にかんがみ、政府並びに公社に対して一言申し上げておきたいと思います。 まず、定価の引き上げは、理由のいかんを問わず明らかに消費者の負担増を招くものでありますから、今後一層の経営努力を行って、消費者負担の増加の抑制に努めていただきたいのであります。 特に、定価法定制が一部緩和されたとしても、決して安易な値上げに走ることなく、慎重に制度を運用されることを望みます。 また、定価の引き上げの問題を別にいたしましても、納付金率の法定は経営責任を明確にすることになり、公社に対して厳しい試練を課するものであります。公社当局は、経営基盤が変化したことを強く認識し、経営責任の遂行に努力していただきたいと思います。 以上で、私の意見の陳述を終わります。
○加藤委員長 次に、福田参考人にお願いいたします。
○福田参考人 福田でございます。 私は、四年前にたばこの五割の値上げが提案されました際にも、お呼びいただきまして意見を申し上げたわけでありますが、その際は、物価なり家計への影響が非常に大きいということで申し上げたわけでありますが、今回は、単なるたばこの値上げだけじゃなくて、制度にかかわる非常に大きな改正案が出されておるということで、若干その点を中心にして意見を申し上げたいと思うわけであります。 今回の改正案の第一点は、何と申しましても二一%の値上げ問題でありますが、これは前回も申し上げましたとおり、物価、家計に与える影響、特にたばこというのは金持ちも低所得者もみんな一様に好みによって吸うわけでありまして、その意味では非常に低所得者に与える影響が大きい。それから、いま物価の上昇が盛んに心配されているときに、非常に身近なものから上げていくというところが非常に問題なのでありまして、この点につきましては、私ども、たばこの値上げが物価に与える影響というものを非常に心配いたしております。 それと同時に、値上げをした場合に、またたばこの消費率が落ちてくるのではないか。現に五十三年度のたばこの生産量が発表になっておりますけれども、予定は三・二八%と言われながら、実際は〇・一%しかふえてない。これは値上げがなくてもこの調子で、専売公社が考えておられるのとははるかに少ない生産量になっている。これが値上げされた際一体どうなるのか、この影響をぜひ考えていただきたいのであります。 そうなりますと、実はたばこの関係者に与える影響が非常に大きいわけでありまして、小売人二十五万人、それから葉たばこ耕作者十二万人、専売公社の職員四万人、関連企業が約五千人と言われておりますが、四十万人くらいに及ぶこのたばこ関連の業者なりあるいは労働者あるいはまた耕作農民に与える影響が非常に大きいのでありまして、この点から考えまして、今回の二一%の値上げにつきまして基本的に反対であるということをまず第一点として申し上げたいと思います。 二つ目に、納付金率の法定化の問題でありますが、これが今回の改正案の非常に大きな点であろうと思います。納付金率の法定化そのものにつきましては、税とコストを明確化するという立場に立ちまして、基本的に私どもは反対ではございませんけれども、問題は、今回の五六%という決め方が一体どうなのかということでございまして、これはぜひ慎重に配慮していただきたいと思うわけであります。特に五六%というふうに定率化を決めますと、残り四四%で原料費あるいはまた人件費、それから専売公社の諸経費というふうに配分されてまいります。冒頭申し上げましたように、たばこの消費が一定の割合でふえているというときであれば、パイがそれだけ大きくなるわけでございますから、この比率が保たれていくと思いますけれども、たばこの消費がふえていかない場合、現にいま生産調整などもいたしておりますが、そうすると、原材料費の六割程度を占める葉たばこ耕作者の賃金問題あるいはまた専売の職員の賃金、これがぶつかり合うというようなことになりまして、この四四%の枠内で葉たばこ耕作者と専売の職員の人件費等がぶつかり合う。このことは非常に問題になってくるわけであります。したがいまして、この五六%という定率の決め方につきましてぜひ慎重な御配慮をいただきたいし、もう少しこの点については妥当かどうかの検討をいただきたいと思うわけであります。 第三点といたしましては、いわゆる法定の緩和の問題でありますが、三割までは国会の同意を経ることなく上げることができる。この点は国鉄運賃と同じような意味におきまして、独占事業である専売事業、そして公共企業体である専売のたばこの料金を、国会の議を経ることなく三割程度も上げることができる。一定の物価の変動率の枠内という歯どめはありますけれども、どうもこの点は基本的に納得しかねるということを申し上げたいと思います。 それからまた、それじゃ外した場合においても、現在の専売事業審議会のあの中で、一体国民の意見が十分に反映できるのかどうかについてははなはだ疑問であります。この専売事業審議会の構成等につきまして、消費者代表と言われる人がどうも私の見る限り一人ぐらい女性の方が入っておられる程度である。あの米価審議会につきましても、学識経験者といいながら二十五名中生産者五名、消費者五名が入っているわけでありまして、専売事業審議会のあの構成では国民の声が反映をしているとはわれわれには思われないし、それからまた、国民の声を反映させるために公聴会なりあるいはまたどういう手段を考えておられるのか、一向明らかでございません。 以上申し上げた点からいいまして、法定の緩和につきましては基本的には納得できないということを申し上げておきたいと思います。 第四点として、関税定率法についてでございますけれども、この点は輸入たばこの圧力が非常にかかっておりまして、現在一%と言われておりますが、これが一割近くまで輸入たばこをふやせという非常な圧力がかかっていると聞いているわけであります。そういう中で、たとえばシガレットについて九〇%の関税率が一体保てるのかどうか。アメリカの場合は三五%程度と聞いております。これが次第に下げられるようなことであれば、輸入たばこがどっと押し寄せる。そのことによりまして、国内の葉たばこ耕作者を初め非常な圧力がかかってくるのではなかろうかということを心配いたします。そういう意味におきまして、この関税定率の設定等につきましても非常に問題点があるということを指摘しておきたいと思うわけであります。 以上、今回の法改正の主眼点である四点につきまして意見を申し上げたのでありますが、私がこの際特に申し上げたいことは、今回の法改正というのは、専売制ができてから八十年、公社が発足してから三十年の歴史的経過の中におきましての大改正、最も大きな改正ではないかというふうに思われるわけであります。このような大改正が行われるにしてはどうもいささか拙速ではないかという感じがしてなりません。 それと同時に、税制の面、収益をふやして国へ納付するというような財政対策面だけで出されておるような感じがするわけでありまして たとえば公社をどういう形で民主化するのか、専売公社の審議会を含めた民主化問題それから国民へのサービスの問題、たとえばいま広がっている嫌煙権問題とかがたばこに対して非常に国民的に言われているし、また表示の問題等でも一体どういうふうに国民へのサービスを考えているのか、あるいはまた専売労働者に対してどのように考えておられるのか、一向に明らかでないのでありまして財政対策のみから専売制度が始まってからの八十年来の大改正を行うというのは、どうもいささか不当ではないか。もっと多方面にわたってこの際改革をする一還としてこれを出してくるというならばそれなりに検討の余地はあると思いますが、その面におきまして非常にどうも一方的な財政対策のみであるということを御指摘申し上げまして、今回の改正については大変不満であるし、基本的には反対であるということを申し上げまして私の意見といたします。 どうもありがとうございました。
○加藤委員長 次に、前田参考人にお願いいたします。
○前田参考人 前田でございます。 きょうは、こちらの委員会の方から、最近、私自身が研究として発表しました喫煙による健康障害の費用とか経済的損失について主に話せということで、参りました。ですから、今回の法律案とは少し距離を置いたお話をするかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。 現在、男子人口では七割ぐらいになります喫煙者につきまして、健康障害あるいは火災、清掃、いろいろな被害の試算をやってみたわけですが、一九七六年につきましてこの総額が一兆一千四百六億円という計算を発表いたしたわけでございます。この研究自身は、大きい目的は、結局たばことかアルコールとか塩とか砂糖によってわれわれの健康障害が現実にあるわけですが、それが一体どれくらいの人数であり、しかも金額的に見まして、あるいはこれから低経済成長、高齢化社会、社会的ニードに対して財源難がはっきり予測される現在、どういった形の防ぎ得る健康障害、防ぎ得る経済的損害があるかという研究をやってみたわけでございます。 それで、その内訳で出ました一つの大きい問題は、私の試算でいくと、七六年段階でありますが、四万二千人の喫煙だけによる死亡が発生しておるという計算結果でございます。これについては資料がございますので詳しくは省略いたしますが、がん、狭心症、高血圧性疾患、胃潰瘍といったようなものでございます。かなりの傷病を落としておりますので、これは低目の試算だと言ってよろしいかと思います。なお、これは国立がんセンター疫学部長平山雄さんの国際的にもはっきり科学的に評価されておりますデータをもとにして私が独自に計算したものでございます。 それから、次に大きな損害でありますのは医療費の部分でございますが、その小さいものから言いますと、かぜをこじらせたとか、気管支炎だとか、いまの時期は気管支炎による医療費がかさむわけでございますけれども、そういったものを合算しまして二千五百六十五億円。私の研究の方の言葉で言いますのでは間接費用というものが、先ほど言いましたように約一兆円余り、そして医療費に関する部分が二千五百億円、こういったようなはじき方ができたということでございます。 きょうはそのうち、単なる健康だけでなくて、初めて計算したわけですが、たばこのごみの処理費とか火災による損失、こういったものも御紹介したいと思います。 一番はっきりしておりますデータの火災による損失、建物と林野を含むのですが、これは計算してみると案外そう多くなくて、百七億円でございます。それから、限局したわけですが、特定建築物のフィルターの交換の費用とか、それから一般の家庭での清掃の費用とか、こういった追加的な費用、これは喫煙だけによる追加でございますけれども、その部分の推計はいずれも何十億円というオーダーのものでございました。しかしこれは、もう少しこれらに対するいろいろな対応が進んでまいりますと、たとえば新幹線でもそうですし、アルミサッシの住宅やら建物になってまいりましたから、こういうところでニコチン、タールを除去するという、そういうエアコンディショニングをわれわれがやるとすれば、ある専門家の推計によりますと、一本のたばこのニコチンとタールを除去するのに五円は必要でないかという、これはまだはっきり研究されたものではございませんが、そういうような一つの試算も出ているわけでございます。ただ、私の計算については、駅のプラットホームでの吸いがらの清掃の費用は入ってないじゃないかというコメントがございましたが、その点は入らない形の試算でございます。 私はこれを糸口にしていま一つ考えておりますことは、委員長はきょう忌憚のない意見を述べよということでございましたので申し上げますと、やはり日本は喫煙大国だと思います。男性の喫煙人口は七〇%、アメリカは四〇%でございますし、イギリスは四六%。ただ、私ちょっと予測しておりますのは、いまの勢いでいきますと、女性人口が、イギリスはおよそ男と女は四〇、四〇でございますね、日本でも女性人口の喫煙率が高まっていくのではないかという予測を一つしております。 この場合に、一つ予測される、最近発表されたデータの中から、皆さんにショッキングな話題を提供する意味でではなく、学説的に知られておりますことを申し上げますが、妊産婦が喫煙によって死産、それから低体重児が生まれるということはわかっておったわけでございますが、これは若い婦人が出産の前になりましてやめましても、ある一定の年限喫煙しておりますと、やめた後でもかつその障害は残る。明らかに先天異常あるいは未熟児、死産、それから胎児の網膜剥離が起こる、こういうことが新たな形でいまアメリカの予防衛生研究所のプロジェクトチームの研究によって報告されております。 いまのは一例でございますけれども、がんは言うまでもないのですけれども、循環器疾患、呼吸器疾患、こういったような障害についてのもう少し科学的な、事実に基づいたいろいろなPRと申しましょうか、宣伝、啓蒙というものがこれから必要になってきますので、特に重要なことは、これから吸われるであろう将来喫煙可能人口については、学校教育あるいはいろいろな場でわれわれはぜひその正しい知識を投げかけていかなければならない。つまり、やめられなくなるという問題は、結局長い期間喫煙という習慣になじんだ場合がそうでありますので、どうしても早い時期に正しい知識を、できましたらアメリカやイギリスでやっておりますように、各専門団体、イギリスの場合は王立医師会でございますが、アメリカの場合は国立の喫煙に関する健康の情報センターのようなものを設けておりますが、そういったようなものを設けながら、やはり国民の健康を守るという立場でいろいろな政策の展開をお願いしたいと思います。 もう一つは、その場合に、たばこ耕作農家とかいまの専売事業のようなものとの関連のことが出てまいりますが、私もそれは重要な分野だろうと思います。それらについても産業転換を図るとか──私の個人的ないまの予測では、二〇五〇年には日本の喫煙人口は非常に少数者になっていくだろうと思います、現在は多数でございますけれども。つまり、一九五〇年あたりから二〇五〇年あたりまでの、人類の歴史の中ではごく短い間の一世紀ばかり喫煙という習慣にわれわれがなじんだという形に将来なるだろうと思います。それまで必ず減っていくことは事実でありますので、特に紙巻たばこについて——紙巻たばこについて私は申し上げておるのです。特に紙巻たばこのニコチンとタールの来世紀にかけての減少というものを高い立場から、政策決定者の立場からお考え願えれば大変幸いだと思います。特に、くどいようですが、後代の健康障害という問題をぜひお考え願えればいいと思います。 それでは、時間が参ったようでありますから、これで私の一応の陳述は終わります。 ありがとうございました。
○加藤委員長 ありがとうございました。 以上で参考人からの御意見の開陳は一応終わりました。 —————————————
○加藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 参考人の皆さんには、お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございます。 限られた時間で幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。 まず最初に、お三人の参考人の方に伺いたいのですが、たばこと人間といいますか、たばこ観といいますか、直接伺ったわけではありませんが、聞いていますと、舟山参考人はヘビースモーカーで大分たくさんお吸いになるとか伺っておりました。それから福田参考人は昨年の夏ごろまではチェーンスモーカーで、いま完全におやめになったということだそうであります。それから前田参考人は私存じ上げておりませんが、お吸いにならないのではないかというふうに……(前田参考人「かつてヘビースモーカーでした」と呼ぶ)それぞれおやめになった方、お吸いになる方、たくさんお吸いになる方がいらっしゃる。私は実は個人的な興味でお伺いするわけではございません。いまの前田参考人のお話にもございましたが、たばこと人間といいますか、たばこ観といいますか、たばこの将来といいますか、何か大きく変わっていくというその端緒があらわれているというのが今日の時期ではないだろうか。特に五十年以降数年間を見てもそういう感じがいたします。そういう流動化というか、多様化の時代、そういうことも長期的に考えてみて、これからのたばこ産業のあり方、対策も考えることが必要なのではないだろうかという気がするわけであります。いままでの審議中でも出たわけでございますが、数年前には公社のPRスローガンにも「今日も元気だ たばこがうまい」という言葉があった。今日時点でそれと同じことを公社が使われたら、社会的に大問題になるだろうと思います。そして、たばこは有害である、あるいはたばこはやめようというのが何か社会的正義のような印象も生まれている。それと同時に、これは舟山参考人が会長をされているところから出された本ですが、「喫煙の科学−人間はなぜタバコを吸うのか−」という本を読ませていただきましたが、そういうのを読んでみますと、たばこは百害あって一利なしというけれども、それは人間の言うならば肉体的、物理的側面に関することであって、ほかの面から見ますと、言うならば人間生活の面から考えると、これは読んでみましたら心理学者の宮城音弥さんの言葉が出ておりましたが、心理的には百利あって一害なしというふうな御意見も書かれております。そういうものが一体これからどうなっていくのか、どういうのが望ましいのか、そういうことがいろいろと変化、流動の時期ではないだろうかと思うわけであります。 そういうことを考えるものですから、恐縮でございますが、簡単にたばこと人間、たばこ観、これからのたばこというものを、当面の審議の問題を離れて、おやめになった方、それからたくさんお吸いになる方、一言ずつちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
○舟山参考人 私はたばこを吸いながらやめようとしばしば思うのでありますが、やめられない人間でございます。 人間の生活は理屈だけでなかなか割り切れないもので、ことにたばこは昔からの人間の生活にかかわり合いの深いものでございまして、理屈だけで問題は決められないと思います。しかし一方、医学的に害もあれば精神的な利益もある、こういうことが言われておりますが、悪いことは悪いという事実がございます。そういうものを否定してはいけないと思います。また、たばこのいい点を強調してたばこをのめ、こう勧めるのもまた間違いだと思います。 そこで、たばこの害につきましてはこれこれの害があるという医学的その他はっきりいたします点は、世間的に十分に教えていただいて結構です。ただ、そういうことを承知の上でやめられないものは、これは人間の弱さと申しますか、またやむを得ないことでございます。そういったような性格の嗜好品であるというふうに理解しておりますので、医学的な知識がだんだん進んでまいりますと、あるいは喫煙は減るかもしれません。それはそれで結構じゃないか、たばこ反対論者が反対なさるのも、これはその立場において結構だと思いますが、あとは個人個人の判断、たばこをのむことによる利害得失を比べまして、自己の判断によるといったようなことが適当ではないかと考えます。
○福田参考人 私は昨年の十一月からたばこを中止中でありまして、必ずしもやめたとは言い切れないわけであります、ちょっと体の調子が悪かったものですから。それまでは一日に五、六十本吸っておりました。それから約三十年間続けてきた経験から申し上げて、このたばこというのはなかなかやめにくいし、それからある意味では、肉体的にはいろいろありましても、心理的にはやはり一服の味というのは、いまでも大変吸いたいあれに駆られておるわけでありまして、そういう面から言いましても、また世界的にも、社会主義国、資本主義国を通じまして、禁酒の国はありますけれども、禁煙の国というのは余り聞いたことがない。そこらからいいますと、禁煙というのは非常にむずかしいのではなかろうか。そうすると、なるべく害のないたばこをどうつくるかというのが今後の専売公社などの仕事ではないか。できるだけ肉体的に害のない、そしてまたたばこがどういう害があるかということ、そういうことをきちっとするのが専売公社の任務ではないか。どうもそこらのところをいささか怠っているのではないか。 そういう意味におきまして、できるだけ害の少ないたばこを販売することがいまのところ最も妥当なのではないかという見解を申し上げたいと思います。
○前田参考人 私はもう十数年以上前にヘビースモーカーだった状態からやめたわけですが、きっかけは、自分自身で健康障害に気がついたからでございます。単純な動機でございます。 それで、いまのお尋ねは、人間とたばこというものが、いろいろな理屈だとか、いろいろな分析ができても、一体どういう本質的な関係があるのかということかと思うのですけれども、私はそういう関係についてはよくわからないのですけれども、私どもの同僚の国立公衆衛生院の浅野らの研究によりますと、精神的な面で非常にすっきりさせる、俗な言葉ですが、一服やるとすっきりするという現象はあるかどうかということについては、全くそういう現象はない。やはり一酸化炭素その他を吸収するということは脳細胞の活動を低下させる、鈍くさせる、そういう結果が出ておりますので、少なくとも生理学的にはメリットはない。ただし、やはり人と人との話を滑らかにするのではないか。一服やった状態でくつろいだ雰囲気というのはつくれるんじゃないかとか、そういったようなことはいろいろありますけれども、人と人との関係は別な形でも滑らかにできますし、それから現在急速に喫煙をやめておりますのは、医師及び歯科医師もやめておるのですけれども、それでは逆説的に、この人たちが人間関係がぎすぎすになっておるかというと、決してそういうことは言えないのでありますので、私は、やはりそういう意味のメリットはあっても、ごく主観的なものじゃながろうかと思います。
○伊藤(茂)委員 私は、先ほど申し上げましたが、今度の法案あるいは値上げ、制度改正の是非ということだけでなくて、やはりそういうたばこと人間といいますか、それからたばこの社会における将来とかいうようなことも、これからいろいろと議論があり、いきなりコンサスはむずかしいかと思いますけれども、いろいろな啓蒙があるということも社会的に見て必要な時期ではないだろうかという気がいたしますので、お伺いいたしました。ありがとうございました。 法案に関係いたしまして、それぞれ幾つかお伺いさしていただきたいと思います。 まず最初に、福田参考人にお伺いさしていただきたいのですが、先ほどの意見陳述の中でも、公社のあり方なりこれからの展望なりということについて、もっと民主的で開かれたシステムが必要ではないだろうかというふうなこともちょっとお触れになっておりましたが、福田参考人は勤労者の生活を守るということを中心にして活動をされている立場でございますが、民間企業それから公企体、双方にわたってより民主的で国民に開かれたシステムが求められているという主張をされていると伺っております。比較をしてみましても、国鉄には監査委員会があり、電電公社には経営委員会があり、それぞれ強力な権限を持っている。後ほど舟山参考人にもお伺いしたいと思いますが、まず福田参考人に、専売公社に対して、いま専売事業審議会というシステムがあるわけですが、もっと民主的で開かれたシステムということについて、どういうお考えをお持ちでございましょうか。
○福田参考人 いま伊藤先生から御質問ありましたとおり、三公社と申しましても、国鉄には監査委員会がございますし、それから電電公社の場合は経営委員会が総裁、理事の上にあるというところでありますが、専売公社を見ますと、監事と言われる方が三人ほどおられる程度で、委員会がない。これは同じ公社としても私は非常に不当ではないかという感じがしてならないわけであります。少なくとも公社が独立をして経営をしていく以上、経営委員会的なものが総裁の上にあるということはおかしいわけですが、やはり理事会を監督できるような立場で経営委員会が別個に存在するというのが妥当ではないか、こう考えられるわけでございます。公企体の公共性という立場から言いましても、そういう方向でぜひ専売公社のあり方、何か税金を取ることが目的のような公社に見えてならないわけでありますが、もっと国民の立場に立ちまして、いま申し上げたところ、二つの公社の面から言いましても、どうも専売公社というのは問題があるところではないかということの指摘を申し上げ、審議会の問題は先ほど申し上げたとおりであります。
○伊藤(茂)委員 それにちょっとつけ加えまして、また福田参考人に恐縮でございますが、春闘も公企体の関係は山場を越したということになっておるわけですが、これからの展望の中で、きょうの新聞を見ましても、経営形態、それから関連して労働基本権の問題などのことも大分話題になっております。公社の方でも、前の審議を通じまして伺いますと、現在の経営形態の中でより努力をしていきたいというふうな姿勢でお話を伺っているわけですが、これは去る四十一年ドライヤー報告その他ずっと議論があるわけでございますが、特に総評という立場で基本的な今日時点での考え方をちょっと簡単に御説明を願います。
○福田参考人 経営形態につきまして、先ほど舟山参考人の陳述にもありましたように、公共企業体等基本問題会議では、経営形態を民営に改めて、そこで労働基本権的なものを若干付与したらどうかというような意見があったのでありますが、私は、経営形態問題と労働基本権とは別個である、こう思います。 これはもう言うまでもなく、たとえばフランス、イタリア等のたばこ事業は国営でありますけれども、当然これはストライキ権を持っておりますし、それから国営であろうと民営であろうと、基本的に労働者がストライキ権を持っているということは、先進諸国におきましてはこれはもう常識でございまして、いまさら申し上げるまでもないと思いますし、また、昭和三十九年には当時の専売公社の阪田総裁は、国会で専売事業には一般の民間労働者と同様スト権を与えるべきだと述べておられるわけでありますし、また例のILOのドライヤー調査団は、特にたばこ、塩などの関係労働者からストライキ権を剥奪したということは不当であるということで、再三勧告をされている。一般論を見ましてもそうだし、特にたばこ、塩等の産業におきまして労働基本権を制約しているということは非常におかしいのではないか、これは経営形態とは別個の問題である、このように考えております。
○伊藤(茂)委員 福田参考人の先ほどのお話を伺っておりますと、冒頭に、物価との関連、特にインフレ懸念が高まっているときにという問題と、それから国民の所得構造の中に、特に低所得者に大きな影響を与えるというふうな指摘がございました。私は、そういう意味で申しますと、この前の五十年の値上げ審議のときとはやはり違った今日時点でのこれからの経済情勢ということもあるのではないだろうかというふうに思います。 それらの点について、この前の四八%程度の値上げ、今回は平均二一%、それに三〇%の緩和がついている。両方合わせれば相当大きな額になるわけでございますが、それらを含めて、いまの経済情勢と今回の値上げという問題、あわせてこういう経済情勢の中での公共料金についての考え方、特に福田参考人は消費者運動、国民生活擁護運動、その面での責任ある活動をなさっていると伺っているわけでありますが、その辺はどうお考えになりますか。
○福田参考人 四年前の昭和五十年の値上げの際にも私がここで申し上げた点は、たばこの値上げが低所得者に与える影響が非常に高いということと、その当時は安いたばこをなくしてだんだん高いたばこの方に誘導するということで、二重の意味で非常に低所得者層に影響が大きいということを御指摘いたしました。 今回は、いま先生から御指摘ありましたとおり、たばこの製造が非常に落ちている。いわば消費が落ち込んでいるという中での問題でございますし、それから、いま一応は消費者物価は鎮静をいたしておりますけれども、卸売物価等の高騰を見ましても、これからはもう物価がどんどん上がるということは確実でございますし、米が上がり、国鉄運賃の値上げがすぐ控えている。そこへたばこ、授業料等が押し寄せているわけでございますので、そういう面で公共料金の値上げが物価値上げを誘発するという意味におきまして、たばこの値上げ問題はぜひ慎重に考えていただきたいと思うわけでありますが、それと同時に、公共料金というものはどういうものであるのか、それから公共料金の値上げを単に財政面だけから考えていいのかどうか。そういう面におきまして私ども公共料金の値上げにつきまして、まあ公共料金の一種だとこのたばこの問題を考えておりますが、一定の国としての見解をぜひまとめる必要があるのではないか、このように考えるわけでございまして、そういう面でぜひこの公共料金の基本法的なものをつくることが必要ではないか、こういう点の主張を日ごろから持っております。
○伊藤(茂)委員 もう一つ福田参考人に伺いたいんですが、一番最初にもお伺いしましたように、何かたばこと人間、たばこと健康、たばこと社会、いろいろな意味で変わってきているということだと思います。この三、四年間を見ても、いろいろな意味で社会的な価値観が変わってきている。こういうものは将来どうなっていくのかということもあると思います。そういうことを考えますと、従来の経験、従来の実績からして納付金率を決める、それから従来の実績からして今後たばこ産業に大きな影響のある制度その他の問題をここで決めていくというのはいかがなものかというのを実は審議の中でも私どもやってまいったわけでありますが、やはり何かそういう広い意味でのたばこ産業の将来について、長期と言いたいんですが、なかなか長期までは展望がつかないでしょう、むずかしい問題がたくさんありますから。少なくとも五年、中期くらいのプランというものを、いまのシステムだけではなくて、もっと幅広い参加、あるいは最初に伺いましたいろいろな価値観の変化なども反映されるような場があってもいいのではないだろうか。これからのたばこ産業の将来を考える場合に、そういう中期の展望に立った、なるべく幅広い参加のもとでの活動があってもいいのではないだろうかという気がいたします。それは、一番最初に福田参考人に伺いました公社の経営のあり方という意味よりも、もっと広い意味であり得るのじゃないだろうかと思いますが、その辺、勤労市民の立場に立ってたくさんの団体と活動されている感覚からいって、どのような感想をお持ちでしょうか。
○福田参考人 御指摘のとおりでありまして、私も、今回の法案改正が専売制度が発足して約八十年来の大改正であるという面につきましては、そのわりあいにはたばこ産業の将来あるいはまた公社の民主化等の点についてほとんど触れられていないことを大変遺憾に思うわけであります。 先ほど来、前田参考人からも言われておりますように、たばこの問題につきましてここ数年来世論的にも非常な高まりを示しておるわけでありまして、その意味におきましてぜひ国民的な合意を求めていくということがいま専売公社として最も必要なのではないか、このように思うわけであります。一方、たばこ産業にかかわっている関連の業界なりあるいはまた耕作者、専売の労働者等も非常にその面では不安に思っておるわけであります。したがって、その関連の、四十万といえば大変な数でありますが、こういう方々に安心できるように、また国民に対しましてできるだけ害の少ないたばこを供給する、たばこのマナーも直していくという意味におきまして、この際広い意味の国民に問うような幾つかの点を積極的に提示をしていくことが必要なのではなかろうかと思うわけであります。 さしあたり専売公社の民主的な運営、それから審議会の民主的な運営、それからたとえば公聴会制度、中央だけではなくして広く各地で、このたばこの問題について積極的に専売公社が問題点を投げかけて、国民の意見を聞くような会合を持つとか、定価を上げる際だけ何かいろいろ言うのではなくして、日ごろから公社自身のそういう姿勢を求めていきたい、このように思うわけであります。
○伊藤(茂)委員 福田参考人、ありがとうございました。 次に、前田参考人に二、三お伺いしたいのですが、雑誌「健康保険」に前田さんがお書きになりました短い論文も読ませていただきました。大変興味のある研究だと思います。同時に、これから考えますと反論の部分も私はあるのだろうと思うのですね。要するに、医学的、物理的には百害あって一利なしである。しかし、人間生活あるいは人間社会という中でたばこが存在している、そういう側面からのメリットというのか、先ほど申し上げた心理学者の宮城さんの言われたような、心理的には百利あって一害なしというふうに言い切れるかどうか、あると思いますが、いろいろな議論が必要なときだろうと思う。しかも、それを短兵急に結論を求めて、やめなさいとかあるいはやめませんとかいう議論ではなくて、やはりこれからの社会を考えて、広いコンセンサスを求めていくような啓蒙あるいは議論、努力というものがあっていいのじゃないだろうか。やや気長にと言うとなんですが、短兵急ではなく、いろいろな啓蒙活動があっていいのだろうと思う。 私も大分吸う方ですけれども、たばこをお吸いになる方はだれでもそうだと思いますが、いつも家庭の話題になるのですね。家内か子供から、お父さん早くやめなさいと言われますし、値段が上がるとか、それから有害であるかないかとか、いろいろなところで、身の回りで話題になっているものだと私は思うのですね。 ですから、それらを、余り急激でも困ると思いますけれども、後ろ向きに対応するというのではない社会的なシステムがあっていいのではないだろうか。ですから、先ほど前田参考人がちょっと言われておりましたが、何かそういう広い範囲での意見を社会に提供していくテーブルといいますか、場といいますか、そういうものがあっていいというよりも、むしろ必要な時期なんではないだろうかという気がいたします。 先ほどもちょっと言われました、日本は喫煙大国である、七五%、確かにどこに比べてもそうだと思います。それから子供に与える影響、出産前の若い御婦人の問題もありましたが、私は医学のことは余り詳しくありませんけれども、お医者さんに行って妊娠の診断を受けるのは大体二カ月目か二カ月目近くになってはっきりする。そういたしますと、その前はわからぬというわけですね。 ですから、いろいろな意味で深められる問題もあるのだろうという気がいたしますが、何かそういうことを余り短兵急でもなく、それから押しつけでもなく、広い視野で情報を社会に提供し話し合う、そういうテーブルの必要性といいますか、いろいろ研究されていると思うので、国際的なそういうことについての動向とか、特徴的な動向などを含めて、お考えをお聞かせいただきたい。
○前田参考人 お答えします。 そういう国内的な何か話し合うテーブルのようなものはないだろうかということについて、その一つとして先ほど私は情報の提供をするセンター的なものということを申し上げましたが、いまのお尋ねは、いろいろな理解や見方や価値観があるのではないか、そういったものを出し合う場ということでございますので、私はそれには大変賛成でございますが、できたらもう一つ、この問題は経済の問題でもありますので、どうしても各国とも葉たばこの生産流通、販売、税という問題もありますので、やはり経済界の方も入れたそういうような、言うまでもなくこれから大きくなっていきますでしょうノンスモーカーの権利擁護、こちらの立場の人たちももちろん入れましたそういう場が必要になってくると思います。これは私は日本の中ではこれから、いままでなかったのですが、わりに賢明な形でつくり得るのじゃないかなとは思っておりますが、WHOもそれについてはいろいろな計画を立ててほしいということで専門委員会の報告を出して、その中で幾つかの勧告を出しております。アメリカでもそれについては各種団体を入れまして、生産やら消費やら市民運動とか専門団体とか、いろいろなものを入れた委員会をつくっておりますので、そういったような前例から学んだテーブルというのは早くつくられるべきでないかと思います。
○伊藤(茂)委員 前田参考人にもう一つお伺いしたいのですが、そういう意味で言いますと、これは私の感想ですけれども、前田さんが雑誌「健康保険」にお書きになったことが新聞に大分大きく報道されまして、公社の側での反応なども書かれてございます。これは広報課か何かの方ですから、何も総裁や経営の責任者の方々が相談をしてコメントされたわけではないと私は思うのですけれども、販売店、耕作者、公社職員、四十何万という人が関係している、そういうこともたばこの社会に対する貢献として見なければならぬ、それからたばこの心理的要因もある。ですから、そういう研究もあるのかという程度のコメントが新聞に載せられておりました。前田さんのような研究、それから健康という観点からの研究もたくさんなされておりますし、もっと必要ですね。そういうものももっとフェアにと言うと、いかにも現状がアンフェアみたいになるのですが、もっと落ちついていろいろと意見交換をするという姿勢が必要なのではないだろうかと思うわけでありますが、そういう姿勢でこれからの努力がなされることが必要だというお考えでいいのかどうか。 それから、行政上もあるいはたばこ産業担当者のサイドからも、当面何かもう一歩努力が必要だ。そうでないと、福田参考人が言われたように、財政事情と税収の感覚だけが先行しているのではないかというふうに国民が見たら、これは公社の方々にとっても不幸なことだと思います。そういう意味で前田さんは立場上、厚生省の近くにもあるわけですから、何か当面こういうことがあっていいのじゃないかという御意見がありましたら、立場に関係なく、示唆されることがありましたら一言伺いたいと思います。
○前田参考人 先ほどお尋ねのありました点、少し落としたかと思いますが、私の論文に対して反論とかいろいろなコメントがございました。いま御紹介いただいたもののほかに、大きいものは、前田さんはマイナスのことだけ書いている、プラスがあるのじゃないかということの指摘が多かったわけです。私、研究のレベルでこれについてお話ししますと、それが経済的に計算できるものだと私どもも計算したいわけですけれども、たとえばお酒の場合は食欲を増進させるとかいろいろなメリットがございますので、そういったものがあれば私ども研究としても当然入れてやってみたいわけですが、たばこについては残念ながらございません。そう申し上げる以外にこの問題についてはないのですね。あとは先ほど申し上げた主観的なお一人一人の満足という形のものがあるであろう。主観については私ども経済計算はできませんので大変恐縮ですが、経済学ではお答えできません。 それから、いまお尋ねの点で中心は、健康の観点、もう少し広い意味で、余りせっかちにならずに先ほどのテーブルの中で話し合うべき話題というものを詰めていくべきじゃないか、そういうことについて何かおまえ個人として意見がないかというお尋ねかと思います。私は先ほどその点については申し上げましたが、迂遠なようですが、正しい情報を広く、先ほど言い落としたことで言えば、企業に、職場にもう少し流していただきたいと私は思います。それから、お父さん、お母さんが吸う家庭の子供が明らかに喫煙率が高いので、そういう意味で、学校だけではだめなんです。やはり職場、特に有害物質が出ます職場がございます。アスベストだとか綿製品だとかウランを扱う職場だとかいろいろございますので、そういったようなところでは産業衛生対策として組んでほしい。 そういう意味で、これはひとり厚生省とかの場でなくて、先ほども申し上げましたように、学校教育との関係もありますし、子供の身体の発育とも関係しますので、私はたてまえだけでない意味の総合的な施策をやる場の方をむしろ強く希望いたして、もう一つ事実だけを申し上げますと、日本の場合は各国に比べまして、そういう王立医師会とか行政側の対応が健康面については現実におくれておりますので、そういった点でも何かそういうセクションをぜひつくっていただいてお進めになる方が早道じゃないかなと思います。 以上です。
○伊藤(茂)委員 ありがとうございました。 それでは、舟山参考人に二、三お伺いさせていただきます。 舟山さんはたばこ産業全体の中で非常に重要な立場におられるわけでございます。この審議の中でも大分話題になったのですが、公社が発足をして以来最大の抜本的な今回の改正であるというわけであります。そういう大きな転期にあるわけですから、先ほどからお伺いしましたような十年、二十年、五十年とかいう非常に長い目で見た場合それなりの視点でいろいろな意見交換なり啓蒙の場がつくられていくという社会的機能も必要だと思いますが、そういうこともベースに努力しながらら——これは公社と舟山さんの立場だけの仕事でありませんからもっと広い意味での関係者の努力が必要なことですが、そういう中でこれからのたばこ産業を進めていくシステム、現在の機能、機構の問題で何かこういう事態にふさわしい一歩前進が必要ではないだろうか。それはやはりしっかりした当面の展望を国民の前に明らかにするということ、これは大蔵省も公社としても、それから審議会の方でもぜひ御努力をいただきたいというのが国民の見ている目ではないだろうか。 ことしの計画でも三千二十億本。それから昨年の伸び率も、さっき話題になりましたが、わずか〇・一%、計画よりはずいぶん減っている。おととし、去年、ことしという関係だけではなくて、何か一つの時代の変化といいますか、そういう傾向がこれからずっと続くということではないだろうか。ですから、消費の問題にしても、成人人口の七五%がたばこを吸っているというのがこれ以上ふえるとは思えませんし、むしろ減る傾向が強いのだろう。喫煙人口率の問題、物価との関連、その他いろいろなことを考えてみて、この際、従来の経過から見た納付金率あるいは今後の事業計画の見通しその他というのではなくて、いまいわゆる五一中計というのですが、計画があるわけですが、そういうものを、この委員会審議での公社の皆さんの言葉をかりれば、もっとかたい数字で多面的に考えてみて、これからの計画を検討していく。情勢は変わってまいりますから、毎年それぞれローリングで検討して見直していくというのは当然だと思いますが、そういうことをこの際審議会としても御努力をいただくということが必要ではないかと思うのですが、いかがでございますか。
○舟山参考人 率直に申しまして、たばこ産業と申しますか、たばこ関連産業と申しますか、従来専売制度という国の厚い保護のもとに経過してまいりまして、その運営、考え方というものが惰性に流れていた点があることは認めざるを得ないと思うのであります。 〔委員長退席、小泉委員長代理着席〕 ところが、最近、売れ行きにつきましては、たばこの害のPR等によりまして喫煙人口も減る、反面また女性の喫煙者がふえるといったような異変を来しております。それからさらに、経営面におきましては、外国資本の進出というようなことがありまして、たばこ産業も従来の惰性に流れた運営ではやっていけないという自覚も起こってまいりました。いろいろの改革は期せられておるわけであります。 公社の基本的な制度といたしましては、公共企業体等基本問題会議で公社を解体して分割運営したらどうかというような意見さえも出ております。それは私どもの立場からはかれこれ言うことはできないので、その方面の御研究に任しておりますが、私どもと申しますか専売事業審議会としては、公社の運営並びに今度改正になります専売事業について何か意見を聞かれ、また意見を言うことはないか、こういう立場にあるわけであります。 まず、今回の法律改正は、公社の機能を十分に充実さしたらばどういうようなことができるかということを模索して、その結果また世間の批判を待とうという立場でございます。 そういうことでございますから、将来の中期、長期の見通しということはなかなかむずかしいのでありますけれども、たばこというものは人間生活に深いかかわりがあって、一朝一夕にたばこが社会からなくなるものではない。そうすれば、いかなるたばこ製品を供給し、そして国民のニーズにこたえるかということ、その運営につきましては極力合理的、近代的にする、こういうことが要請されておるので、その方向に向かって研究する。消費の将来の動向その他につきましてなかなか予測しがたい浮動的な時世でありますけれども、その間にあってそれだけの努力をしていくべきものであろうと考えております。
○伊藤(茂)委員 舟山さん、いま五十一年から五十五年、いわゆる五一中計とあって、それからさらに今後五年刻みになるのか。大体五年刻みでの計画もなされるわけですね。それは公社の方から審議会に諮問という形で審議会の御議論があるという形になるわけですが、やはり三十年来の大きな改正という時期でございますから、この際、何か主観的願望でまだたばこの販売本数はふえるだろうとかということではなく、ちょっと頭を冷静に考えていただいて、今日時点から、これからまた五年間新計画、あるいはこれから勉強していただきながら、一年後にでも結構でございますけれども、そういうことの必要性が非常に求められる時期ではないかと思うのですが、審議会の委員長としてすぐおやりになるかどうか、ここですぐ意思表示はできないと思いますが、そういう必要性とかそういう姿勢ということは、諮問に応じていろいろと審議なさる中でお感じになるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
○舟山参考人 長期と言われないまでも、中期のもろもろの計画が必要なことは御指摘のとおりでございまして、特にたばこ産業につきましては耕作という面がついております。耕作は一年、二年の短期の計画で転換あるいは改良等もできない、長年かかる問題でございます。それでありますから、中期計画を少なくとも定めまして、原料及び製品の需給を測定することに公社も努めておるのでありますけれども、このごろあらゆる計画が客観的情勢の変化によってなかなか正確を期しがたいこと、公社の中期計画も狂いが多いのであります。しかし、それに向かって努力しなければならぬことは申すまでもないところと考えます。
○伊藤(茂)委員 では、時間でございますから、もう一つだけ舟山参考人にお伺いさせていただきたいと思います。 先ほど来の話の中でも、もっと国民に開かれた公社あるいは国民によく理解のいかれるようなたばこ産業という方向が、公企体としての性格上もそうですし、それから今日の日本の経済、各産業分野にも求められていることだと思いますが、そういう指摘もほかの参考人からございました。これは任命するのは大蔵大臣の方ですから、舟山さんが審議会ですぐお決めになるというわけでもないと思いますけれども、また、たとえば国鉄なんかでも監査役に労働組合から参加したらどうかという話題も運輸大臣から出されているというふうな時代ですよね。それから、五一中計の当初を見ましても、職員の積極的な参加ということも中にございました。そういう意味でいって、いま大変一生懸命舟山さんも、それからほかの八人の委員の方も審議されていると思うのですが、やはりそういう長年にわたった合計九名の審議会というあり方も含めて、もっと積極的に開かれた場をつくっていく。さっき指摘もありましたが、これからやや高い納付金率が決められますと、その決まった枠内でのたばこ産業関連各界の競合が強まるのではないだろうかという懸念も表明をされましたが、やはり国民に向かっても、それからたばこ産業関係の分野に向かっても、いろんなところに向かってもっと開かれた努力をやっていく。私個人は、この際法律を改正して、いまの審議会自体の構成も二倍か三倍に広げた方がいいんじゃないかという気持ちも持っておるのですが、審議会の委員長として御努力をされてこられた中で、今日の社会で特にそういう必要性というものをどうお考えになっておられるでしょうか、最後にお伺いします。
○舟山参考人 公社が国民の協力を得て運営されるためには、そのあり方なり運営をもっと開かれたものにするということの必要は御同感でございます。それをどういう形であらわすかは、関係方面といろいろ相談して決めなければならぬことかと思います。
○伊藤(茂)委員 では、終わります。 参考人の皆さん、ありがとうございました。
○小泉委員長代理 坂口力君。
○坂口委員 三人の参考人の皆さんには大変お忙しい中を本日はありがとうございました。お礼を申し上げたいと思います。 時間が限られておりますので、若干の限られた問題だけお聞きをしたいと思います。 まず、舟山参考人からお聞きをさせていただきたいと思いますが、先ほどいろいろお話をいただきました中で専売納付金のお話がございました。私どももこの専売納付金が明確化されたということを了とするものでございます。しかしながら、一方におきまして、福田参考人がおっしゃいましたように、その率につきましてはいろいろ意見のあるところでございまして、私どもも五六%というのはやはり何となく厳しいという気持ちが強いわけでございますけれども、その辺の議論というものが審議会あたりでどのようになされたのか、あるいはその辺の議論は出なかったのか、大体この辺が妥当だということになったんだと思いますけれども、その辺の経過というものを、もし御存じならばひとつお聞かせをいただきたいというふうに思うわけでございます。
○舟山参考人 納付金は言いかえれば消費税に当たるものでございます。この消費税率をどうするか、どの程度にするかということはいろいろな意見が出る問題でございますが、さしあたって、ここ最近納付金率が下がっておりますけれども、その以前の状態、つまり五五、六%程度のところへ戻すならば、まあこれは大体の御賛成を得るのじゃないかというような考えで進めてまいりました。消費税になりますと、いわゆるぜいたく品は重課して生活に密着する物品の消費税は軽くするといったような政策的配慮があるのでございますが、そういう原則に照らしましても、たばこをどの程度にしたらいいかということはなかなか判断のつきがたいことで、さしあたって数年前の水準まで持っていくということで、今後いろいろ研究していくより仕方なかろうといったような経過を経まして、五六%程度という数字が出たわけでございます。
○坂口委員 福田参考人からも先ほどこのことにつきまして若干お話が出たわけでございますけれども、先ほどから議論のありますように、たばこは健康につきましてもいろいろの害があることははっきりいたしておるわけでございます。そういった面で、もう少し健康等のことについて専売公社も積極的に取り組んだ方がいいのではないか、ただ取るだけが能ではないのではないかというような意見もあるわけでございまして、その辺も含めて福田参考人、お時間もあるようでございますので、専売納付金を中心にしてその周辺の問題を、もう少しお話ししたいことがございましたらお話をしておいていただきたいと思います。
○福田参考人 先ほど私の方からも申し上げましたように、たばこの消費といいますか、生産が専売公社が予定しておられるように年率三%ほどふえていくというならば、納付金の納付率につきましても、従来の経験によって五六%程度ということにすればこれは従来のあれだろうと思うのですが、これが予定どおりふえない、むしろ今後減るのではないかというときに、五六%というのは一体どうだろうか。そうすると、残り四四%で耕作者あるいはまた専売公社の職員の賃金も出さなければなりません。分け前がふえないわけです。しかし、一方では物価が高くなってくる、ほかのところも賃金が上がってくる。そのときにたばこ耕作者も生産費及び所得補償方式でやっているのに上げないわけにはいかないだろう、専売公社の職員の賃金を上げないわけにはいかないだろう。一体どうするのか、大変どうも心配になるわけであります。その意味で、そこらを長期といいますか、ここ五、六年ぐらいの中期展望を持ってこの際慎重にやっていただかないと、ぶつかり合うような妙なことにならないかということを大変心配いたしております。 それから、いま先生の御指摘のとおり、健康にたばこが非常に問題になっておるわけであります。専売公社の一般国民に与える印象というのは、どうもたばこの税金を取っているところではないか。国民にたばこの問題をもっと積極的に投げかけて、開かれた公社といいますか、もっとそういう面の接触をしていかないといかぬのではないか。そういう中で国民の合意を得つつ公社の運営をやっていかないと、たばこ関連の人たちは、専売公社の職員を初め耕作者も将来について大変不安に思っている。どうも不安だという声を私ども非常に聞くわけであります。そういう面では専売公社が積極的に、開かれた公社として国民に問題を、ごまかすというか隠すのじゃなしに投げかけて、そういう中で国民的合意を求めるような運用をしていかないと長続きしないのではないかということを大変不安に思いますので、そういう方向につきまして、ぜひ民主的な運営を要請したい、こう思うわけであります。
○坂口委員 舟山参考人にもう一つお聞きしておきたいと思いますのは、法定制緩和の問題でございます。 この委員会におきましてもすでに同僚各議員からそういった質疑も実は交されているわけでございまして、特に財政法三条との関係等を考えました場合に、少し拡大解釈過ぎるのではないかという議論が非常に多いわけでございますけれども、その辺のところはどういう議論があったのかということも、もしもおよろしければひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○舟山参考人 価格法定制緩和の法律的問題につきましては私どもは有権的解釈をなし得る立場にないわけでございまして、法案として出てきておりますことは各方面の御了承を得られたことではないかと思います。 この点につきまして、緩和方策が必要だというようなことを一言つけ加えさせていただきますと、きょうも話に出ておりますように、財政収入を多くしようと思ってたばこの価格を上げれば財政収入総額が必ずふえるというわけのものではない。この程度上げたら総額としてはこのぐらいの収入が得られるだろうといったような微妙な点につきましては公社の営業感覚と申しますかそういうものに任せて、自由裁量の余地を与えたらいいのじゃないかという見地で、法律問題いかんにかかわらず、これはぜひこういう制度にしてほしいという要望を私ども申し上げた次第でございます。
○坂口委員 ありがとうございました。 それでは、前田参考人にひとつお聞きしたいと思いますが、先ほどの話をお伺いいたしますと、百害あって一利なしという言葉に尽きる感じがするわけでございます。なかなかメリットの方は計算もできないということでございます。私もそんなにたくさんだばこを吸うわけじゃございませんけれども、ときたま吸いたいという衝動に駆られることがございます。そのときに、やはり吸いますと何となく満たされた気持ちというのがございますし、何となくいらいらしたものが抑えられるという気持ちもあるわけで、何にもないのかと自分に問いかけてみますと、やはり何かプラスの面もあるという気はするわけでございます。その辺のところ、いろいろ学問的には計算ができないということのようでございますけれども、たとえばたばこを吸う前と吸った後と計算能力がどう違うかとか、いろいろやればやれぬこともないような気もするわけでございます。何かそういう研究がないのかどうかということをひとつお聞きしたいと思います。 それから、これは全く基本的な問題になるわけでございますけれども、それほど百害あって一利ないわけでございますが、なおかつそれでも人はたばこを吸いたがる。なぜ吸うというビヘービアが起こるのかということについての研究でも何かあれば、ひとつここで御披露いただければと思います。
○前田参考人 お答えします。 最初の方のお尋ねについては、先ほど少し御紹介しました浅野牧茂たちの「日本胸部臨床」という雑誌に一昨年発表された論文がございます。この文献は先生に後でお渡ししたいと思いますが、その中では、ニコチンがあるたばこ、ないたばこでもいい、疑似のたばこを実際に吸わせまして、脳波まではいかなかったと思いますが、ちょうど先生のおっしゃったような計算能力に近いものだと思いますが、複雑なものを与えまして判定する一種の心理テストがあるわけです。それをさせた結果、やはり吸っている方は明らかに能力が落ちてくる。ほかは同じなわけです。吸っていないときには全く同じ能力の人が、吸った場合には差が出てくるという研究が出ておりますので、先ほどのすっきりというのは、どうもくどいようですが、主観的なことである。 それから、先生がおっしゃった点では、結局自分の中に長い間ニコチンとかタールをとっておりますと、それが欠乏したときに生理的に欠乏状態が出てまいる、それに対して投入されますので、満足される状態がそこででき上がる、これは医学的にもはっきり示されていることでございます。ただそれは、お尋ねとはちょっと違うことになるかもしれませんが、長くやめた場合にはその欠乏感自身もまたなくなっていきますので、一たん欠乏感がつくられますとずっと続くという性質ではない。そういう意味では、アルコール中毒のような概念はありますけれども、たばこ中毒というものは、私その本当の専門家ではございませんけれども、医師らか言う話によりますと、たばこ中毒というものは概念的には存在しない。つまり、禁煙なさった場合、その後そのことによって幻聴あるいは幻覚、異常行動——異常行動といっても、いらいらとか、ちょっと落ちつかないという意味じゃなくて、医学的にはっきりした異常状態はない、そういった症例はまだ各国ではないという説が多数かと思います。これは余談でございますが、ちょっとつけ加えただけでございます。 以上でございます。
○坂口委員 専売公社の方も最近では年間一億円を超える健康に対する委託研究をやっておみえになるわけでございます。ただし、その結果がなかなか専売公社から正式に発表にならないとかいうようなこともございまして、そこが何となく疑惑みたいなものを持たれるゆえんかと思うわけでございます。私ども健康ということが一番大事でございますから、これから専売公社ももう少し研究等にも熱心に取り組んで、やはりその結果はより明らかにしていくということが大事ではないかと思うわけでございます。その辺の取り組みと、それからたばこ自身に外国のようにはっきりとした明示をする。たとえば、ニコチン、タールというようなものがどれだけ含まれておるかというところまで書くか書かないかは別にいたしまして、そういったものを明示するとか、包み紙等にも、アメリカあたりは紙巻きたばこはあなたの健康に有害であると結論を下したというようなことが書かれたりとか、あるいはカナダにおきますように、喫煙量が増すほど健康への危険が増大する、煙を吸い込まぬことというようなことが書かれたりとか、外国もそういった手はいろいろ打っているわけでございますけれども、日本の場合にそういう手がなかなか打たれていない。この辺のところは、たばこに「吸いすぎに注意しましょう」とはなっておりますけれども、少しなる過ぎるんじゃないか。たばこの内容はだんだんなるくなってまいりましたけれども、表示はもう少し的確な方がいいのじゃないかというふうにわれわれ感じております。 〔小泉委員長代理退席、委員長着席〕 それぞれ先生方、どういうふうにお考えになっておりますか、舟山先生からひとつお答えいただきたいと思います。
○舟山参考人 これは公社からお答えした方が正確を期することかと思いますけれども、公社もたばこの害についての研究には多額のお金を出して医学者に依頼しております。これは公共の立場での研究委託でありますから、結果はできるだけ公表するということであってしかるべきだと思います。ただ、ただいまは先生方の研究もなかなか的確な、はっきりした結論が出ないものが多いように聞いておりますが、基本はこれを国民に十分に示すべきものであろうと考えます。 それから、ニコチン、タールの成分とかあるいはたばこの包装にどういう字句を入れるかというような問題は、各人各様の意見がございますが、また公社の政策という面もあるかと思いまして、公社からお聞き取り願った方がいいのじゃないかと思います。
○福田参考人 いま坂口先生から御指摘の公社の研究等につきましては、ぜひもう少し公表をして、いろいろこういう問題があるということを投げかけてもらいたいし、それから、いま全専売の労働組合がスモコロジーという運動を喫煙と健康問題でやっておりますが、これはたばこを吸う方の健康問題と同時に、エチケットなり、何か国民の中で、これはなかなかやめられない問題ですから、そういうことも広く起こすようなことを公社自身ももっと、労働組合でさえやっておるわけですから、ぜひやるべきではないかと思います。 それから、表示の問題につきましては、これはある意味では嗜好品でございますから、そこが非常にむずかしいところだろうと思います。ちょっと外国のたばこに比べますと、アメリカなんかに比べると、日本のたばこの表示は少し弱いようには私ども思いますが、害がある、あるということばかり言うと、これまた嗜好品でございますので、そこらが非常にむずかしいところだろうと思いますけれども、これはやはり日常何らかの形でそういう点のPRをもっときちっとやってもらいたいというふうに思うわけであります。
○前田参考人 いまのラベリングの問題は、やはりWHOの専門委員会が第一に勧告しておりますように、「紙巻タバコのタールとニコチン量および紙巻タバコの喫煙に伴う健康障害についての警告を、包装と広告に記載することを義務づける立法化措置が行われるべきこと。」という勧告をしておりますので、これはやはり国際的な足並みといいましょうか、あるいは日本のたばこも将来は輸出というようなことになってくるかと思いますが、たばこという商品が国際化いたしますし、これは国連の場で合意しました事項ですので、ぜひ早くやっていただきたいものだと思っております。
○坂口委員 それから、これは福田参考人から先ほど御意見の出たことでございますけれども、審議会のメンバーにつきましても、もう少し消費者の代表が入るべきじゃないかという御意見があったわけで、私どもその点では同感をしているわけでございますが、舟山参考人からも一言だけお聞きしたいと思いますけれども、その辺のお話というのは何か出ているのでしょうか。それとも、そういうことはいまのところは問題になっていないのでしょうか。福田参考人から先ほど御意見が出ましたので、もしもつけ加えていただくことがあればで結構でございますし、なければ結構でございます。
○舟山参考人 各種の審議会に消費者代表を入れろということは声が起こっておるのでありますが、それでまた、抽象的に言いますと非常に結構なことだと思われますが、現実の問題になりますと、どういう方が消費者代表かということがむずかしくて、結局お流れになる事例も多いのでございます。考え方としては、それも消費者代表を入れるということについては別に異存はございません。
○福田参考人 いままでの専売事業審議会というのは文字どおり専売事業の審議会。ところが、今回はたばこの値段までここでやろうというわけでございまして、性格ががらりと変わるのではないか。しかも国会にかわってたばこの値段等審議するということになりますと、この中身はぜひ変えていただいて、人数もふやして、そして国会にかわってそれぞれ議論できるような方々を選んでいただきたい。人数をふやすことと、消費者といいますか、たばこの消費者ではなくとも、国民代表という人たちの参加を多くして、国会にかわるようなものでないとこれは意味をなさないのじゃないか。そういう意味で、ぜひ専売事業審議会の民主的運営をお願いしたいと思います。
○坂口委員 最後に、もう一つだけ前田参考人にお伺いして終わることにさせていただきたいと思います。 もし仮に日本人が全部喫煙をやめたとしたら、平均寿命は大体どのくらい延びるものなのでしょうか。何かそういう研究がございましたら、ひとつおつけ加えをいただきたいと思います。
○前田参考人 このデータは、どなたかのものがございましたですね。私はこれは夕べ勉強しなかったのですが、ただ、英国ではこういう研究がございます。 英国人も日本人もそう違わないと思いますが、毎日二十本ずつずっと続けて吸いますと、その方は平均余命を五年短縮する、こういうのが王立医師会委員会報告で出ております。これは間接的なお答えになると思いますが、五年減るということでございます。
○坂口委員 どうもありがとうございました。
○加藤委員長 福田参考人は、所用のため御退出されます。 福田参考人には御多用のところ御出席くださいまして、ありがとうございました。御退出いただいて結構でございます。(拍手) 竹本孫一君。
○竹本委員 参考人、きょうは大変御苦労さまでございます。 最初に、前田参考人には敬意を表しておきたいのですが、われわれに非常に参考になる研究資料を出していただきまして大変ありがたいと思っています。今後もそうした研究発表はどしどしやっていただきたい。 同時に、マイナスの面ばかりを強調したようになると公正を欠きますから、先生の発表をより権威づけるためにプラスの面もひとつ公平に書いて、バランスシートを出すのはなかなかむずかしいと思いますけれども、御指摘は御指摘として、プラスの面も指摘をしていただきたい。これは要望であります。しかし、いずれにいたしましても先生の研究はわれわれたばこをのまない人にとっては非常に参考にもなりますし、ありがたいと思います。 そこで、きょうは時間もありませんので、主として舟山参考人に伺っておきたいと思います。 ちょっと根本的な問題になって恐縮なんですけれども、私は日本の公社経営というものはおおむね成功していないと思っているのです。そういう意味から聞くのですが、専売公社は存在理由として一体いかなる意義と役割りを持つものであるかということについて、より根本的なことになりますけれども、伺ってみたい。 一つは、国営形態でいくか私企業でいくか、あるいは公社経営でいくかということは、戦後与えられた経済運営の大きな課題であったと思いますが、国営は能率が悪い、民間はまた利潤追求にばかり走り過ぎる、その両者の中間をとって、両者それぞれのいいところを大いに発揮してもらおうというのが公社経営の考え方の根本にあったと思うのですね。それが果たしてどれだけ成功しておるかというところに私は疑問を持っておる。 特に専売公社のたばこ専売に関して言うならば、財政収入ということを中心にして考えて、財政専売だというところにまた一つの大きなレーゾンデートルがあったと思うのですけれども、その面は今度は、先ほど舟山さんのおっしゃったように、消費税は消費税として五六%取るんだということになりますと、そこを抜いた後の専売公社というものは一体何が残るのかという点について、舟山さんは審議会の委員長もしておられる立場において、専売公社はこういうことをやる、これだけの成果を上げているから専売公社は必要なんだという点について、公益性の面でこういう特色があるというとか、あるいは先ほども意見が出ましたが、経営参加の面でこういう工夫をやり、もしくはやり得るから大きな意味があるのだとか、あるいは能率化の面において、私企業ではできないこういう広い立場における能率化を考えておるから存在理由があるんだとか、どこに存在理由があるかということについて、端的な質問で恐縮ですけれども、国民をして専売公社が必要なんだということを納得せしめる理由、根拠というものについてのお考えを承りたいと思います。
○舟山参考人 大変大きな御質問をいただきましていささか面食らう次第でございますが、大体公共企業体というものはどういうことをやるのか、そしてどういうところをねらうのかということにつきましては、公共企業体等基本問題会議で審議中でございます。そして専売公社もその爼上に上っておる次第でございますので、現在の専売公社の状況を審議する私の立場としてはかれこれ言えないわけでございますが、私見も交えまして申し上げますと、私は、たばこ産業は現在の公共企業体の姿が非常にマッチしたものだと思っております。 たばこ専売につきましては、財政収入を上げるための公共性という問題、それから経営をできるだけ効率的にする企業性の問題とありまして、公益性と企業性の両方をねらったものでございますが、二兎を追う者は一兎をも得ずということわざもございますが、なかなか両方を達することは矛盾する面もあります。しかし、たばこ専売が公社形態で行われておりますことのメリットは、結局、法律とかその他の公的説明にはあらわれておりませんけれども、できるだけたばこ製造販売につきまして無用の経費を省く、つまり世上にある営利事業に伴う広告宣伝費その他の出費をなくして済ますという大きなメリットがあると思います。その反面、公社の運営が営利によるインセンティブがないことの非能率性も出てきておるとは思いますけれども、たばこにつきましては、きょうの御審議にもいろいろ出ておりますように、これを必要とする者とこれを罪悪視する者と両方あるわけでありますが、もし資本の威力を発揮いたしましてたばこをじゃんじゃん宣伝して売るといったことになっては必ずしも適当でない。そこで、現在のような形で、そういう営利によるインセンティブはある程度抑えて経営していくという公共企業体の形がまことに適しておるのじゃないかと考えます。 御質問の範囲は大きいように思いますので、また重ねての御質問があればお答えいたしたいと思います。
○竹本委員 突然大きな問題を出して恐縮ですけれども、もう一度繰り返してちょっと伺いたいのです。 いまおっしゃいました公共企業体、これは結局二つの言葉をうまくつなぎ合わせて、公共性と企業体性と二つの原則が要るということを言っているわけですね。それの調和は、二兎を追う者一兎をも得ずでむずかしいと言えばそれまでの話なのですが、もう一遍問題を砕いて申し上げますと、たとえば吉田茂さんであったと思うけれども、たばこは民間の企業にしたらどうだというような意見が出されたことがあったと思います、いま正確には覚えていませんけれども。たとえば今度の場合でも、たばこ専売というのを、われわれはたばこ専売というから専売公社だということでわかったような理解をしているわけですけれども七千五百億円にしろ八千億円でもいいが、それだけのものは消費税というか、五六%の税率とかいう形で別に取るんだ。いままで吉田さんが言われたときに大きな批判が出た一つの理由は、民間企業にやらせてそれだけの税収を上げるということは事実不可能だあるいは困難であるということが、財政的な立場から見た大きな反対理由であったと思うのですね。私もその立場だった。ところが、今度のように五六%、これだけは税金なんだとはっきり分けてしまえば、あとは民間企業的要素しか残らない。そうではなくて、いまの前田博士の言われるような点も、公共企業体なるがゆえにこれだけのことを取り上げておる、だからわれわれは公共性を主張の根拠に持って、公社としての経営でなければ民間にはこれだけのことはできないではないかと言われるなら、それはそれでわかると言っているのですね。 ですから、私が聞きたいのは、大体能率は民間の方がいいと言われているのだけれども、しかし民間の過当競争が果たして能率的であるかどうかという問題もありますから、そういう意味において、能率の面についてもこれだけの優秀な利点を持っておる、それから公共性についてもこれだけの、特に民間には追随を許さない要素を持っておる、だから専売公社という形でなければ困るんだということを、もっと国民に積極的に説得力のある調子で述べられる根拠がなければ、ただ惰性で——大体いまの日本の財政制度というものはほとんど全部惰性だと思うのですね。私はよく言うけれども、銀行法なんというのは昭和二年にできたものをいままだそのまま持ってやっている。それも惰性の一つですよ。そういうような意味で、財政も金融も制度全体を洗い直さなければならぬという大きな転換点にいま立っておる。特にその洗い直す根本原則は、私はよく言うのだが、ブキャナンなんかが言っているように、いまは財政の無法状態、予算も無法状態、本当の意味の筋がない、バックボーンがない、プリンシプルがない。そういう立場から、五十年続いたあるいは三十年続いた制度というものを全部見直しをして、再検討を加えて、そして財政で言うならば赤字財政の再建という大きな課題に取り組まなければならぬ、その一環として専売制度を一遍見直さなければならぬ、私はこう思う意味で伺っているわけです。 たとえば、話がちょっと飛びますけれども、スターリンが共産主義国家の経済運営を言うときに、非常にぼくが感心したことを言っているのですね。彼は「レーニン主義の基礎」という本を書いておりますが、その中で、これからの共産主義国家における経営のあり方、ことに経営陣のあり方というものは何かというのを、革命家の新しいタイプということで言っておるのですけれども、そこでソビエト的熱中プラスアメリカ的ビジネスと言っている。ソビエト的熱中というのは、共産主義としての頭脳の洗脳をしてイデオロギーに徹しなければならぬというソビエト的熱中、しかしそれだけ言わないのです。スターリンが言っているのに注目すべきことは、プラスアメリカ的ビジネス、アメリカ的能率、こう言っているのです。 でありますから、そういうふうにうまくいったかどうかということについては私も共産主義経済に批判をしておりますけれども、しかしそれは別として、考え方のプリンシプルとしては、公共性あるいはソビエト的熱中プラスアメリカ的ビジネスということを言っている。 だから、日本の公社経営においても、公共性プラスアメリカ的ビジネスという能率化の面についても特段の工夫がなければならぬ。その工夫がどういうふうに示されておりますか。それから、いまの公共性という問題について、一体どういうふうに公共性が現実に示されておりますか。したがって、その結果これを民間企業に移せというような考え方が出てきても、それに十分対抗できるだけの強い根拠を持っているということになっているのかどうかという点を心配をするから、もう一度お尋ねしておきたいわけです。
○舟山参考人 ただいま御指摘のような問題は、先ほども申し上げましたが、公共企業体等基本問題会議で議論中の問題でありまして、なかなか決着がつかない。民営にしてアメリカ的ビジネスの効率性を発揮した方がいいのか、あるいはそうでない方がいいのか、こういうことを議論中であります。 それで、私のこれから申し上げます意見も、実はそういう会議に出て一方の議論として扱わるべき問題かと思いますけれども、私の所見を申し上げますと、いわゆる資本の威力あるいは企業心のインセンティブによってアメリカ的ビジネスをするということになりますと、いかなる手段を講じてでもたばこの販売高を上げて収入をふやすという方向に向かっていくと思います。 しかし、このたばこというものは、そういうことをやっていい商品なのかという疑問を私は持つのであります。財政収入を上げることが目的である財政専売ということになっておりますけれども、そのほかにまた、たばこの製品の特質ということからして、少なくとも現在たばこの有害、無害について議論のあるときに、アメリカ式商法でじゃんじゃん売り込むことについては問題もあるのではないか。そう言いますと、公益性という中に財政収入ということと、若干の、商品による国民の健康に関する関心というものも入ってくると思います。 それですから、公共企業体というような形で運営するのが適当ではないかと考えるのでありますが、その場合の欠点は、企業心というインセンティブがありませんから、企業の能率化というようなことについて欠けるところが出てくるのは自然の勢いかと思います。これは内部による経営の努力ということによって能率を上げていく、合理化を図っていくという以外にはないのじゃないか。資本の威力によって、営利という動機によって合理化、能率化を図るよりはその方がいいのではないか。この意味において公共企業体を肯定したいと思います。
○竹本委員 この問題は大変深刻な問題ですから、機会を改めてゆっくり論議をさせていただきます。 時間がありませんから、最後に二つだけ簡単に答えだけいただけばいいですが、一つは、今度の二一%、四年ぶりの値上げだというのだけれども、これで何年もっていけるつもりであるかという点についてのお考えを伺いたい。 というのは、一・三までの範囲においてまた上げられるという弾力条項みたいなものを考えるのだけれども、それを考えなければならない根拠ということが問題なんでしょうが、原料が値上がりするというようないろいろ説明はありますけれども、それらも含めて大体二一%の値上げでどこまではもっていけるというお考えであるかということが一つ。 第二番目は、その弾力的な考え方に関してでございますが、財政法第三条との関連において疑義はないかという点について、どういう御理解のもとにこれを出されたのであるか、この二つを伺って、終わりにします。
○舟山参考人 この二一%の値上げで何年もつかという問題ですが、これはたばこ製品のコスト、つまり原材料の値上がり、賃金の値上がり、こういうことによって決まる問題でありまして、公社の方でいろいろの見通しを持っておりますから、公社から御返事するのが適当と思います。 それから、財政法三条の問題は、先ほどもお答え申し上げましたが、こういうふうに法案の形になって提案になっております。私どもは法律の有権的解釈をなし得る立場にありませんので、一応、合憲的、合法的のものが提案されておると解釈いたしております。
○竹本委員 終わります。
○加藤委員長 安田純治君。
○安田委員 参考人の方々、大変貴重な御意見を述べていただきまして、ありがとうございます。 時間もございませんので若干の点についてお尋ねしたいと思いますが、たばこの定価の法定制緩和、これについてまずお尋ねしたいのですが、たばこの定価については、戦前においては法律事項ではなかったわけで、そのため戦費調達のため頻繁に値上げが行われましたけれども、戦後、憲法は財政を処理する権限は国会の議決に基づくことを大原則としているということでありまして、しかもたばこは国民生活と直接かかわっている公共料金であるわけです。先ほど来財政民主主義のたてまえなどについていろいろ議論がございましたけれども、現在国民から求められているのは、経営責任を理由とした法定制の緩和ではなくて、原価の公開とか審議会に消費者代表を参加させるなどのことや、あるいは国会の場で十分審議を尽くすなどの公共料金の民主的な決定であるのではないかというふうにも思うのであります。先ほど来同僚委員の質問もこういう点にかかわって伺ったと思うのですが、お答えは、財政民主主義のたてまえについて有権的解釈する立場にない、こういう法案が出た以上は、多分それはその範囲内なのであろうということでございますが、これは舟山参考人にお伺いするわけですけれども、専売事業審議会としてこういう制度を審議する場合に、全くそういうことは視野に置かぬということでいいのでしょうか。やはり憲法なり財政法なりのたてまえというのは、おのおの委員によって解釈の違いはあるかもしらぬけれども、そういうことはやはり前提に置いていろいろ審議されるのではないかと思うのですが、ただ経営上こういう方が望ましいというだけの答申といいますか議論をされるのか。その前提にある日本の法律制度の枠組みなんかも当然踏まえての議論だとぼくらは解釈するのですが、いかがですか。
○舟山参考人 審議会で諸事案を審議するに当たりまして、一応現行法の枠内で可能なことはどうかということを考えるのは当然でありますけれども、世の中の進展に従いまして、物事の実態を見てこういうふうに進めた方がよかろうかということを考えるのもまた必要であります。 今回の提案は、専売公社の経営の実態を見まして、こういうことが望ましいという結論を出したわけでございますが、それが憲法あるいは法律に違反するということであれば、それをあえてしてくださいということは毛頭申し上げません。こういうことはどうだろうかという提案に対しまして、政府においてもお取り上げになって所定の手続を経られたものであると解釈いたします。
○安田委員 いや、そういうことではなくて、審議される段階では、もっぱら事業の経営の望ましい姿といいますか、そういう観点だけで議論されるのか。その前提として日本の法律制度の枠なり何なりがあるのではないか。全く日本の法律制度の枠を外して望ましい姿は何かということを考えるということになると、物すごく何でも考えつくわけですが、やはり皆さん方が日本の専売制度を前提としてお考えになるのは当然だけれども、そのまた前提には、財政民主主義のたてまえなり、いろいろな大きな、もっとベースにある枠組みですね、これも前提として、その中での専売制度、その中での専売公社のあり方、その中でのたばこの定価の決め方などというふうに思考がなっていくのではなかろうか。それが全くそういう枠組みを外して、ただ現在ある専売公社をどうやったら運営がよくいくかというだけで審議されるのか、その点を伺っておるわけです。
○舟山参考人 各委員が憲法、法律を守りつつ諸事を審議していくことは、これは申すまでもないわけでございまして、今度の場合、お尋ねの趣旨はこう解釈するのでありますが、専売公社という制度の枠を離れて考えておるのか、あるいは専売公社という枠の範囲内で考えておるのかということだと思うのですが、公社の枠を離れて、これをたとえて言えば、民営化しろというような議論は、これは先ほどから何回も申しましたように、公共企業体等基本問題会議の方でお決めになる問題。専売事業審議会というのは、大蔵大臣から諮問を受けまして公社の運営について意見を述べる、こういう機関でございますから、その範囲に限定されることは当然でございます。
○安田委員 そうしますと、審議会の答申は、定価の法定制の緩和については一・三まではいいというようなことではなかったのでしょうか。そうでなくて、もう全然法定制は外してしまえということだったのでしょうか。
○舟山参考人 公社の運営を改善するためには定価法定制を緩和した方が実情に合うという結論を出しまして、それはある場合には、今度法律改正を要する。それが既存の法律なり憲法なりの趣旨に反するならば、それはとうてい無理な望みということで望めないわけでありますけれども、現に出ておりますように、今度の程度の法律の改正は、財政法、憲法の趣旨に照らして適当であるというふうに考えられるものと解釈いたします。
○安田委員 いや、私がお伺いしておるのはそういうことではなくて、答申でいろいろ申されておるようでございますが、公社の経営状態、国の財政収入も含めて考えるならば、全く適時適切に値上げした方がいいのだということになって、法定制撤廃、値段については国会の審議は必要ないということになった方が一番臨機応変だと思うのですね。本当に枠から外せば、一番やりやすい立場。あとは市場論理なりいろいろな消費者の声なりによって、値段が天井知らずになるということはあり得ないだろうけれども、少なくとも国会なり何なりで経済法則外のいろいろなことを考慮していろいろ口を出されると、それは経営としてはやりにくいことは事実だと思うのですよ。ですから、全く財政民主主義のたてまえから考慮外だ、公社の経営上どうだということを考えるというなら、法定制撤廃と、すっきりする方が早いような気がするのですが、緩和という言い方をなさいますと、それが一・三か一・五か、数字のとり方はともかくとして、何かそこに法定の必要がある部分があるというような前提のお考えがあるのじゃなかろうか。そこにやはり財政民主主義との適応という問題がベースにあるのじゃなかろうかというので伺っているわけですよ。だから、全くそれは関係なく、経営にはこの方がやりやすいからいいのだ、答申をしたところが、政府が一・三の割りで出したのなら、その辺ならいいのだろうと思う、われわれには有権解釈の権限はないのだ、そういう発想のように、先ほどの御意見の開陳ですと受け取れるわけですが、そうではなくて、やはり緩和というところを見ると、法定制は何らかの形で必要だ、ただ、いまのようにきちっと一々国会でやるのは不便だという程度のお考えのように思うのです。 ですから、伺うのですが、その法定制が必要なのかどうか。ということは、審議会としてあるいは審議会の委員長とされまして、法定制についてどうお考えなのかということを聞きたいわけなんです。
○舟山参考人 価格を自由に決められるようにしてほしいということになりますと、財政法なり憲法なりの趣旨に真っ向から反する議論でありまして、そういうことは申しておりません。しかし、財政法なり憲法に一種の制約がございますので、その範囲内で価格決定についても弾力性を持たすことはしてほしい、それではこういうことをやったらばよかろうということになったのが今度の案でございます。
○安田委員 それならそれで一応わかるのですけれども。 次に、納付金制度の法定化についてお尋ねしたいのですが、先ほど来からやはりいろいろ議論がございまして、私も聞いておって感ずるところがあったわけですけれども、たばこの消費拡大といいますか、これは余り望めないといいますか、販売数量が非常に大きくなるということは望めないというのは客観的に見てそうだろうと思うのです。そうしますと、そういうふうに市場の拡大といいますか、販売量の増大といいますか、これがない。その中で納付金制度の法定化をしますと、先ほど来同僚委員がお伺いしているように、この中での企業努力というのは限界があるんじゃないか、その上昇圧力を吸収すると言っても限界があるんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、その点はいかがですか。相次ぐ値上げということにならざるを得ないんじゃないかということと、製造コストの削減を強力に結局推し進める必要が出てくるので、葉たばこ耕作農家の経営を圧迫したり、専売労働者にも厳しい労働条件の押しつけになるんじゃないかということを心配するわけです。先ほど同僚委員もそういう質問をされましたけれども、これはどういうふうにお考えになるのか。
○舟山参考人 公社に対しましても企業努力は要請いたしますけれども、公社内で働かれます労働者、職員、こういう方の給与というものはまた別途社会的要件によって決まるものと考えます。ですから、企業努力を単に賃金の引き上げ抑止あるいはカットというようなことに求めるという意味ではございません。賃金水準というものは、また別途の社会的要請によって決まる。
○安田委員 それはそうなんですけれども、結局専売納付金が利益金処分の形ではなくて、今度法定されていく、いわば先取りされる。その中で企業努力ということを考えますと、これは圧迫要因になるんじゃないか。それを打開するための一つの方法としては、販売量の拡大といいますか、売り上げをどんどん伸ばしていくということになるんでしょうが、そうしますと、同僚委員も言いましたが、パイが大きくなればそれはいいかもしれませんよ、しかし販売量の増大ということはほとんど考えられないということになるとすれば、パイは大きくならない、分け前は先取りといいますか、五六%ですか、取られてしまうということになりますと、結局その残りで何とかしょうと思っても、企業努力には限界があるんじゃないか。だから、販売量を伸ばしていくという形の企業努力ならこれはできるかもしれない。パイを大きくしていくということで。そうでなくて、販売量の伸びは考えられないという枠の中で法定制で頭から引かれてしまう。もうかれば納めればいいという利益金処分制度ではないですから。そうなりますと、結局圧迫要因になって労働者や葉たばこ耕作農家に対してしわ寄せになる。それ以外に方法があるのかということなんですよ。何かうまい方法でもお考えでしたら、伺いたいと思います。
○舟山参考人 消費拡大は余り多きを認められない、これについてもいろいろ異論はあると思いますが、企業努力にも限界がある、その際の救済方法はいかんということですけれども、そのときは製品価格を引き上げるということかあるいは納付金率を減らすかということになると思います。それはそのときの情勢によって決定されるべき問題だと思います。
○安田委員 最後に、前田参考人に伺いたいのでございますが、「健康保険」の二月号に先生が書かれた論文も拝見しまして、非常に啓発されるわけでありますが、現在、日本のたばこは「健康のため 吸いすぎに注意しましょう」というだけの表示なんですね。こういう御研究をなさっている立場から、この程度の表示についてどうお考えか、伺いたいと思います。
○前田参考人 少し周りからお答えするようになりますが、いま日本で私の試算で四万二千人の毎年の死亡、それからイギリスは、日本の人口の半分ですが、三十五歳から六十四歳の働き盛りで二万五千人の死亡、アメリカは、日本の人口の約二倍強ですけれども、がんだけで八万人死亡している。これは喫煙のためだけなんです。いろいろな形で複合的に死亡の原因というのはあるわけですけれども、いろいろなものを除去していきまして喫煙ということだけで死んだ人数というのは、アメリカではがんだけで八万人。これの事実は、個人の方々か現在喫煙中かとか、それについてどういうお考えを持っているかとか、価値観の問題とか、先ほど私に鋭く向けられましたベネフィットの問題ですね、そういった点を越えて、そういう事実があるということだけは、とにかくぜひ皆さん御認識いただきたい。 と申しますのは、結局ニコチンとベンツピレンと一酸化炭素と、まだ余り皆さんに御紹介されていない場合が多いんですが、シアン化水素、これは青酸ガスに相当するものですが、これが一〇〇〇ppmありましてビタミンB12を明らかに壊します。ビタミンB12というのはだれにとっても成長——特に、私、先ほど子供と妊婦の場合を指しましたが、ビタミンB12を壊されますと、これが大変な作用を及ぼします。それからアクロレイン。われわれは隣の方が吸っておりましたのが自分の目に来るとちかちかとしますが、あの物質は目やのどを刺激しますアクロレイン、それからアンモニア、それに環境汚染でずいぶん議論になりました例のNOxと言われます窒素酸化物、こういったものが入っておりまして、専門家の見方としては、たばこというのはわずか一グラムの非常に軽いものですけれども、たくさんの化学物質を——先ほど私は妊産婦についての最近学会で発表されているようなものだけを申し上げましたが、これからもっとそれが明らかになってくるんだろうと思うのです。 そういうことですので、すでにもう数十年前からはっきりしておりますタールとがんの問題、それからニコチンの及ぼす幾つかのいろいろな複雑なものは、もう医学的に、自然科学的にわかっておりますから、これはぜひとも何らかの形で表示をしていただきたい、そういったことを強く希望します。 私がこういった研究をしました動機を、こういうちょっと権威ある席で御披露さしていただきたいのですが、寝たきり老人の研究を私やっておったのです。今度厚生省から、日本で六十五歳以上の寝たきり老人が三十八万人ぐらいいる。老人人口に対して四%で非常に高いわけですが、なぜ高いかという研究をいろいろやっていく中で、これをヨーロッパ並みの老人人口の二%ぐらいのところにまでぐっと下げるというのは実は大分時間がかかるということがいろいろわかってまいりまして、どうしても早く予防の方に長期的な観点からいろいろ手を打たなければならない。そこで、塩の問題。塩も欧米よりも非常にたくさんとっております。二十八グラムぐらいとっております。最近出てきた問題は、砂糖を非常に多くとって成人病をつくっておる。それとアルコールとやりまして、その後たばこの研究に入ったわけですが、もろもろのこういったものを取り巻くわれわれの食生活とか食の環境を変えていけば、またそういうことをしないとわれわれは次の世紀に、こういう老人人口の中で占める寝たきり老人の割合が四%という状況になった場合に、福祉とか医療とかという予算というのは、これはまた大変な問題になる、もう少し早く事前に手を打たなければならない、こういう観点からの研究でございまして、その意味からもやっぱりそういう表示ということは、いまアメリカでは、アルコールについて、妊産婦がこれを飲みますと、アルコール性胎児症候群というのが生まれてまいりますが、検討中でございますが、そういう国際的な動向もぜひおくみ取り願って、いいポリシーを決めていただけばと思います。 以上でございます。
○安田委員 どうもありがとうございました。
○加藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位には、御多用中のところ御出席の上貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。 次回は、明二十七日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十一分散会