大蔵委員会 第9号
- 発言数
- 112 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1979/03/06
会議録
○加藤委員長 これより会議を開きます。 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田耻目君。
○山田(耻)委員 きょうは本委員会に初めて総理の出席をいただいたわけですが、総理、就任なさって大変おめでとうございます。大蔵委員会の古いなじみでございまして、あなたの人柄などについてはみんなよく熟知をしておりまして、きょうお呼びをして御質問すること、三点ばかりございますが、あなたの人柄を信じまして、みごとな御返事がいただけることを冒頭期待をいたしております。 実は総理この大蔵委員会が夜なべをするのはきょうが初めてでございます。大蔵委員会というのは歳入委員会でございまして、予算と並んで大変重要視されておる委員会だと思うのです。三月三十一日、日切れ法案も抱えております。そういう関係で大蔵委員会は夜開くことが、あなたが大蔵大臣のころ常識になっておりました。しかしその結果、私も痛恨にたえないことがございますが、前の大蔵大臣の愛知揆一さんがお亡くなりになったことがあります。その前の晩大蔵委員会で、私が質疑者で審議をして、そうしてお亡くなりになったその新聞発表を見ると、かぜを引いておられた上に非常に過労がたたっている、こういう医師の表明があったと新聞は報道いたしております。愛知大蔵大臣がそうであったように、昨今のこの大蔵委員会には病人続出でございます。歳入委員会というのは夜開かなければならないというのは国会法のどこにもありません。私たちはこの状態を正常な姿だとは思いたくなくなってまいりました。あなたが大蔵大臣をなさっていたころ私たちは夜の審議を果敢に手がけてきたのでございますけれども、この八十七回国会から原則として夜の審議はしない、こういう立場をお互いに理事会で確認し合ってきたところです。現在見ましても、社会党はそう、公明党はそう、民社党はそう、病気で補充がきかない状態でございます。一体こういう事態を国会運営をながめておられる総理としてどのように、本委員会を熟知なさっておるあなたですから総理としての見解があろうかと思いますが、その見解を一言聞かしていただきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 久しぶりに当委員会に招かれまして、大変感慨無量でございます。 大蔵委員会、夜開かれることが多かったこと、山田さんのおっしゃるとおりでございます。歴史は往々にして夜つくられるということが言われておりますけれども、夜委員会を開くという慣行は、必ずしも仰せのように推賞できるものとは私も思いません。けれども、今日第一委員会である予算委員会というものが終始持たれておる状況におきまして、それと並行してどのように歳入委員会を持つかということにつきましては、皆さんも大変御苦心のことと思うのであります。したがって、推賞すべきこととは思いませんけれども、万やむを得なかったことと存ずるのでございまして、御質疑に対しましては誠意をもってお答えいたしまして、いたずらに深更に及ぶということのないようにいたしたいものと思います。
○山田(耻)委員 いまの総理の御答弁は、やはり夜やりなさい、しかしあんまり深更に及ぶことはやりなさんなというお答えのようです。 私は、歳入委員会と歳出の予算委員会との位置づけといいますか責任の度合いといいますか、そういうことをお答えいただけるものと思っていました。なぜ予算の委員会は夜やってはいけないのですか。月曜日から土曜日まで予算委員会はおやりになります。しかも四十日かそこらの大変短期間の委員会でございます。月曜から土曜日までおやりになるので、この歳入委員会の大蔵は火曜、水曜、金曜の三日間でございます。この三日間の委員会の審議を、せめて火曜なり水曜二回ぐらいは昼おやりください、その間は予算は夜開きます、こういうふうな原則的な運営というものはお考えになっていただけないのでしょうか。私はこれは提起でございますが、この委員会のほとんど皆さんたちの合意されておる問題点です。いかがでございましょうか。
○大平内閣総理大臣 予算は歳入と歳出の面面がございますが、従来歳出が重視されて、つまり歳入以上に重視されておったということは私も痛感いたしておるわけでございまして、本来歳入歳出は、山田さんおっしゃるとおり、どちらが優位であるかということは決められない性質だと思うのでございます。予算委員会と歳入委員会たる本委員会のどちらに権威があるかという問題は、どちらにも平等の権威があると私は思います。 ただ、最近になりましてようやく歳入計画の審議ということが非常に重要性を帯びてまいりまして、事実政府も予算の編成をやるに当たりまして、歳入計画が決まりますと、これでようやく予算の半分はでき上がったという感じを深くしておりまして、歳入計画、歳入委員会の重要性というものは、当然のこととはいえ、ますます深く認識されてきているように私は思います。したがってそういうものとして国会が、予算委員会とこの歳入委員会とをどのように審議のあんばいをしてまいるかということは国会の問題でございますが、予算委員会に偏重しておるという今日までの慣行は、これですっかりいいのだと私、思いません。思いませんけれども、今日までこういう慣行が行われてきたにはそれだけの理由があったわけでございまして、一概にこれを責めることはできないと思うのでございますが、漸次その重要性にふさわしい審議が歳入計画につきましても、国会において行われるようになることを私もあなたと同様期待をいたします。
○山田(耻)委員 総理もずいぶんとお考えいただいておるようでございまして、こればかり質問をしておるわけにはいきませんから次に進みますが、最後に、歳入歳出の委員会の運営について原則的にどうあるべきかということを一遍、現実の委員会運営に着目をして見直していただくように御努力をお願いしたいと思います。 それから、この委員会はきょうは租税特別措置法の議了する時期でございます。その意味でございますので、特別措置の問題について若干御質問いたします。 昨今の国民の意見、それは税の不公正を直してくれという声は非常に強いものがございます。私たちは租税特別措置を審議するときに参考人の方を三名お呼びしました。その参考人の意見も、一般消費税を導入するその前に、この特別措置の不公正を是正するということが最も重要なことであるという見解を述べられた参考人もいらっしゃいます。私はその意味から考えまして、租税特別措置が不公正税制の温床である。今回も提出されました法案の中では、部分的にはかなり手直しをいただいたものもございますけれども、まだ十全を期しておりません。少なくとも企業優遇税の中核である準備金制度の問題、引当金制度の問題、あるいは医師優遇税制の問題などなど、もう一度洗い直して次の国会には提起していただきたいものと念じておりますけれども、そういう洗い直しをなさる気持ちがあるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 不公平税制と一口に言いますけれども、何が不公正であるかということにつきましては、時代によって違いますし、またそれぞれの立場によって違いますし、個人個人の主観によって違うわけでございまして、山田さんと私との間でも必ずしもその点は一致していないのじゃないかと思うのであります。ただ一般的に申しまして、私はここ数年来、いわゆる租税特別措置の整理は大変進んだと思うのです。これはこの委員会の大変な業績であろうと思うのでございます。 これは租税特別措置というのはしょっちゅう見直さなければいかぬものである、事実見直すのだということを地で実行していただいたことでございまして、年々歳々幾つかの特別措置が取り上げられて、あるいは廃止されあるいは縮小されあるいは改善されてきたと思うのでございます。五十四年度におきましても幾つかの重要な項目が取り上げられて、いま御審議をいただいておるわけでございます。私はかなりの改善ができてきたと思っております。このことは、明年並びに明年以降もわれわれが追求していかなければならないことであろうと思うのでございまして、ことしはやるけれども来年は一休みするとかいうような性質のものではないと思うのです。年々歳々社会経済情勢がどんどん変わっていくわけでございますから、毎年毎年見直していくということでなければならぬと思うのでございます。いまあなたが挙げられましたような問題につきましても、原則として当然見直して、そのままやってまいるか、あるいは若干の改善を加えるか、思い切った改善を加えるか、このあたりはその年度年度真剣に検討していかねばいかぬ問題だと考えております。 それから第二点として、租税特別措置と一口に言うけれども、本来それに入らないものまでも言われておるきらいがあるわけでございまして、本来企業会計上当然の整理の仕方として会計の原則として定立してきておるものまでも特別措置ということになりますと、これは問題が少し曲がってくるわけでございますので、そのあたりは私は、企業会計原則という立場から素直に見て取り扱っていかなければならぬので、これはあなたの言われる特別措置の縮小、整理という問題とはちょっと違った問題ではないかと考えます。
○山田(耻)委員 何が不公正なりやということに対して、主観の違いによって異なる場合がある、それはそうでしょう。ただ、私たちが数日間扱ってきた租税特別措置の審議の過程の中で、この租税特別措置法の中に多くの不公正というものが存在をする、するから一般の税法とは違って時限立法にしている、政策目的を達成したら終わるということにしている、そういう問題が多く指摘されるので、私が申し上げた準備金なり引当金とか、その他医師優遇税制の問題等々については改めて見直してもらい、次期国会で出していただくということについてお伺いをしておるわけです。だからその点については、私とあなたとの主観の違いもございますけれども、そういう具体的な提起をしておるので、私はいまあなたの見直すのが原則だとおっしゃるそういう抽象論じゃなくて、来国会には当然見直し作業をして提起するという立場の御返事を期待しておるわけです。その点はいかがでしょうか。
○大平内閣総理大臣 当然私もそう考えておるわけでございまして、これは見直さぬことにするとかいうような横着なことは許されないと思います。みんな見直して、続けるべきか続けざるべきか、それをその年度年度厳密に考えていくべきものと思います。
○山田(耻)委員 見直していただくことになりましたので、それでは一応内部には入らずに了解をいたしたいと思います。 時間もございませんから順を追って入りたいと思いますが、この国会のあなたの施政方針にしても大蔵大臣の施政方針にしても一様に述べられておりますのは、雇用の創出、非常に最重点に立てられております。私も同感でございます。また、予算委員会におきましても雇用の集中審議をなされてまいりました。私はこういう経緯と、私とあなたとはこの委員会で昭和五十年四月二十三日、週休二日制の実施について、特に所掌事項であるこの大蔵委員会は金融制度の週休二日、その根元にある銀行法十八条の改正について提起をして、あなたとお約束をいたしました。 お約束は四点にわたっております。第一点は、あなたが一両年中に実現するように約束をする、こういう約束でございます。昭和五十年四月二十三日でございますから、私の確認で一両年とは日本語で一年ないし二年だ、こういう確認をいたしました。ことしは昭和五十四年、四月二十三日も間もなく訪れます。何年たったでしょうか、四年です。あなたの一両年というのは四年であったろうかと私は改めて問い直したいのでございます。 二番目に約束なさいましたのは、あなたは大蔵大臣として閣僚懇談会を直ちに開かせて、この一両年実施するということを提起をして、閣僚懇談会にも作業させるとお話がございました。こういう問題は全体の労働政策でもあるし、産業政策でもあるし、公務員政策でもある、そういう立場から、銀行法十八条の問題については全体を広く見て進めたい、そのために閣僚懇で十分論議を願って結論を出したい、こういうお話でございました。この閣僚懇は存在しておるのですか。あなたが私とお約束なさった五十年の四月二十三日以降何回開かれたのですか。一回も開かれていない、私はこういうふうに仄聞をいたしておりますが、その二点について、あなたは総理になられたのですから、全体の労働政策、産業政策、公務員政策の立場から、昭和五十年四月二十三日の約束をいま一体どうなさろうとしておるのか、この委員会でひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 ちょっと弁解じみて恐縮でございますけれども、一両年に実施するという約束はいたしておりません一両年の間に目安をつけたいと私の希望を付して、本委員会であなたと論戦をいたしたことはいま思い出すわけでございます。 非常にこの問題は社会経済全体に与える影響が大きいわけでございます。普通の金融機関ばかりではございませんで、農協その他みんな含めてやらなければ意味がありませんので、郵便局その他含めて考えなければなりませんので、大変むずかしい問題である。ただ、一両年の間にこれを軌道に乗せたいという願望を持って真剣に当たるというお約束はいたしたわけでございます。 そこで第一の関門は、これは銀行法の改正をやらなければならぬ仕事でございますので、この点につきましては金融制度調査会で、本年の前半には答申が得られるところまで審議が進んでおるように伺っておりまして、またその他の法制にもいろいろ関係がございますので、これに関連いたしましていろいろな事項を整備してまいらなければならぬわけでございまして、そういうことでございますので、政府として前向きに現に取り組んでおりますし、これをないがしろにするつもりは毛頭ございません。 第二の閣僚懇談会でございますが、必要がございますならば、関係閣僚の懇談会を開くというシステムを自民党政府はとっておりますので、これはいつでも開こうと思えば開けるわけでございますが、これに提案をするところの具体的な案件があれば開くことにやぶさかではございませんが、ただいままだそこまで至っていないということを御了承いただきたいと思います。
○山田(耻)委員 総理は非常に頭脳明敏で、言われたことについては責任を持たれるという方と私あなたの人格を信頼しておりました。だけれども、いまのお話は少し違うように聞えるのです。 議事録を読み上げてみましょうね。これはあなたがおしゃべりになったことです。「関係閣僚懇談会をこれこそなるべく早く御招集いただきまして、私から御提議して、週休二日制の結論をなるべく早く見出すように努力しますというお約束をいたしたわけでございます。それが第一でございます。」こうなっているのですよ。その閣僚懇談会を早急に開くと私と約束したのが、必要ならばいまからでも開く、これは四年たったのですよ。こういうお約束をしたことを、あなたも忙しいからお忘れになったのか、都合が悪いからお忘れになったのか、私はわかりませんけれども、委員会でお約束なさったことは実行していただきたい。 第二は、「しかし、なるべく早急にということでなくて、もっと具体的にということでございますので、」これは私の質問がですね。「一両年の間に出すように鋭意努力しますというお約束を第二にいたしました。」こういう約束をなさっているわけです。私はいま古い証文を出してあなたを責めようとは思わない。今日の経済情勢なり今日の失業情勢なり全体を見まして、一刻もゆるがせにできませんよということで翻意を求めているわけなんです。どうかその点について、同じことを繰り返すことになるかもしれませんけれども、あなた大蔵大臣から総理大臣になられたのですから、全般の労働政策、産業政策、公務員政策等を横にらみをしながら、ここでは確たる答弁をお願いしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 先ほど申しましたように、金融制度調査会の答申を踏まえまして、まず銀行法全体の改正と取り組みたいと思います。なおこの改正案は、本年末に召集が予想される通常国会に提出することを目途に作業を早急に進めてまいりたいと思います。 実際上の実施時期でございますが、今後の一般産業における週休二日制の進捗の状況、郵便局、農協等の週休二日制の進みぐあい、あるいは中小企業、消費者等金融機関利用者の理解がどの程度得られる状況になっているか等を見きわめますとともに、昨年三月の当委員会の金融機関の週休二日制に関する小委員会決議の趣旨を尊重いたしまして、真剣に検討に移りたいと考えております。
○山田(耻)委員 何をおしゃべりになったのかちょっと理解しにくいのですが、おっしゃっていることは二つに分かれていると思います。 一つは、本大蔵委員会で取り扱う銀行法十八条の改正について、金融制度調査会にいまかけておりますが、その結論が近く出る、その結論を受けて、次の通常国会に法律改正をかけたいというふうに私は第一番を理解しました。第二番目には、全体の週休二日実施について考えられる郵便局の窓口業務あるいは農協の問題、その他全体の経済情勢をにらみながら週休二日に踏み切る、そういうおぜん立てをしておるのだ、こういうふうに私はいまあなたの御答弁を私流に理解したのですが、間違いございませんか。
○大平内閣総理大臣 さようでございます。
○山田(耻)委員 そういたしますと、再度お尋ねをいたしますが、銀行法十八条の改正は、銀行法のほかの改正要綱とくるめて次の通常国会には改正法を提起するということが第一でございますね。これはいままでにない前進だと思っています。 そこで、十八条の改正を御提起なさいまして、問題はその後の措置でございます。その後の措置が、郵便局の窓口業務だとか農協の問題とか経済全般とか、こういうものをにらみながら週休二日の問題に踏み切っていく横にらみおぜん立てをしておきたい、こういう判断でございますが、その点をもっと詳しくあなたのお考えをお述べいただきたいと思います。
○金子(一)国務大臣 いま総理からお話のございましたとおり、郵便局なり農協の週休二日制をおっぽり出して銀行だけ独自にやっても、なかなかこれはうまくいかぬ場合もありますので、その問題も絡めて金融制度調査会でも御審議いただいておる、でき得べくんば同時施行に持っていけるような努力をしておる、こういうことでございます。
○山田(耻)委員 御苦心のところはわかるわけですが、郵便貯金だとか農協預金だとかこういう金融窓口を横並びでやっていかないと、銀行法十八条を改正してその他の金融機関の週休二日ということだけではなかない可能な成功度はおさめがたい、それらを十分配慮しながら措置をしたいというお話でございます。 郵便の預貯金業務については、これは郵政職員は国家公務員でございます。農協の問題は、それは一般の農民を対象とする農協サイドの金融措置でございます。特に前者の公務員関係につきましては人事院の担当局長が、この三月三十一日で第二次試行は終了する、第三次試行はあり得ない、第二次の試行が終了したら本格実施に入る立場で検討を進めたい、こういうことを申しております。これは総理にでございますが、そういうふうに公務員の問題もかなり従来と違って前進をしてまいります。そうなりますと、その見通し、判断をどのように総理はおつけになっておるのか、お伺いをしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 これはまあ社会経済全体に影響があることでございまして、パブリックセクター、プライベートセクター、それぞれ分けて手際よくやるという手はないと思います。したがって、いま仰せの公務員の場合と全然切り離してやれるというような性質のものでもないと思いますので、その点につきましてはやはり総合的な判断が必要で、連関して実効が上がる措置を総合的に政府としては考えていく、そうしないといけないと思うのでございます。 ただそういうことを、これはまだ私見でございますけれども、そういうどこにも差し支えなくできる条件が自然にできるものではございませんで、やはりどこかに突破口を設けて推進していかなければならぬ性質のものでございまして、せっかく本委員会では金融機関というものを中心に大変論議を深めていただいておるわけでございまするし、銀行法の改正がまたそういうことも含めて具体的な検討に入っておるわけでございます。したがって、このことの進みぐあいというものは同時に、公務員にかかわる問題につきましても一つの大きな影響を持ってくるのではないかと存ずるのでありまして、いずれにいたしましても、総合的に判断して実効が上がるようにしなければならぬのじゃないかと思っております。
○山田(耻)委員 あなたのおっしゃっている横並びで総括的にやっていかないと産業政策全体に影響があるのでという気持ちは、私も別に異議はありません。ただ諸外国の例を見ましても、この種の週休二日制の完全実施ということは、全体が包括して用意ドンで出発してはおりません。やはり金融機関が先行したりあるいは後発したりしておるのが実情でございまして、その意味では、いまあなたのおっしゃるどこかに突破口をという気持ちは、国際的なそういう推移の過程の中でも言えると思うのです。 そこで私は、大蔵委員会でございますから、銀行法十八条の改正については公務員のこともにらむ、全産業のこともにらむけれども、大蔵委員会というものが一つの突破口にならねばなるまい。そこであなたと五十年に約束した週休二日制対策特別委員会をつくったわけです。その特別委員会が去年の三月二十八日に特別決議をいたしまして、十八条改正の実施について意向を表明したわけです。私はいまの突破口という言葉の中から、それをひとつ取り扱ってきた大蔵委員会の賢明な措置に対して、総理大臣として一言あってしかるべきであろうと思うのです。 それからいま一点は、国際的な趨勢はそういう情勢の中から成熟してきて、今日では先進諸国ではすべて週休二日制に入っておるし、部分的には三日制に入ってきております。アメリカにしても昭和二十二年から完全に週休二日に入っておりますし、イギリスにしても昭和四十四年から入っております。 私はここでひとつ総理にお伺いをしたいのは、東京サミットがこの六月の下旬東京で開かれると伺っております。この東京サミットに世界の先進国首脳がお集まりになるわけでございますが、そのサミットで論議をされるのは、やはり日本の政府の貿易収支の黒字のさばき方に対する不満、あるいは、福田総理は経済成長を七%にした、大平総理は六・三%にしておる、このことに対する不満、こういうもの等がかなり議論されていくのではないかと私は思っております。その中で、貿易収支の黒字についてはもう古い話でございますけれども、日本の生産を上げていく勤労者が働き過ぎである、こういうことが裏打ちとなっておるのでございます。 そういう諸外国首脳のお集まりになる東京サミットに対して、東大の名誉教授有泉さんを初め十四名の学者の人々による完全週休二日制推進実現専門家会議というのが先月の二十七日に結成をされました。そうして五月の中旬に一千名規模の学者委員会を構成をして、総会を開き決議をもって東京サミットに陳情する、こういう動きがいま起こりつつございます。私は日本政府の若干恥ずかしいところ。大平総理がこの東京サミットに非常に期待をなさっていることも承知をしております。せめておれの総理のときにりっぱにやりたいという気持ちもその片りんをうかがわせていただいております。この東京サミットに学者先生が千余名も決議書をもって、日本の働き過ぎを解消するための週休二日制実行に対して先進国首脳の見解を問われる、これは日本の総理大臣として喜ばしいことじゃないでしょう。 この国会の予算委員会の審議を通してあるいは各関係委員会の審議を通して、国家公務員の本格実施に向かって追求の仕方、あるいは時間短縮から定年制延長にまで上る膨大な議論をしてきておるんです。情勢は私は熟しておると思うのですよ。そういう時期に直面をしておるときに、この大蔵委員会が所掌しておる銀行法十八条の改正は来国会にする、これは制度調査会の答申が出てからのことでございます。——私は今日、金融制度調査会に果たされてきた大蔵省銀行局長の御努力は感謝をしています。その順序が大体定まってきたことについても敬意を表しております。それを受けて総理大臣が、次の国会には法案を出すよう大蔵大臣と協議願って措置されることについても、新しい提起だといって私は一つの敬意を表しているのです。しかし、それだけでは週休二日の実施にはなりませんよ。だから公務員の問題、全産業的規模における問題等横並びに考えて、まずその突破口に銀行法十八条の改正、さて週休二日に入るぞ、こういう一つの意思表示というものが何らかの形式でなされなければ、公務員、人事院に対する一つの励まし、中小企業など全産業に対する励ましにもならないと思うのです。そういう突破口に対してどのような方法を御検討なさっていらっしゃるのか、あなたの決意をお伺いしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 六月末に東京サミットが予定されておりますけれども、これは先進国首脳が集まりまして、当面の世界経済に対する信認、それから将来の展望、そういう論議を通じまして連帯的な行動がとれないかという相談でございまして、それぞれの国の個別的な政策の是非をそこで論議をする場所ではないと思うのです。週休二日制の問題はすでに先進諸国におきましては実行の段階に入っておるわけでございます。わが国が諸般の事情で今日のような状態にあるわけでございますが、それに対する実行せよとの提言は日本政府にしていただきたいのでございまして、サミットに参りました首脳にいたしていただくような性質のものではないと思うのです。日本政府にしていただきたいと思います。 それから第二の点でございますが、仰せのように世界経済に大きな影響のある総合的な措置でございますので、どこかからか漸次糸口を見出しまして実行に移してまいる、一朝一夕でできる性質のものではないわけでございます。したがって、金融機関の週休二日制という観点から金融機関について二日制を実施するという問題は、前々からすでに相当論議が進んでおりまするし、法改正との関連でも議論が深められておるわけでございます。そういう意味で、ひとり金融機関だけの問題ではなくて、日本の経済運営の一つの大きな問題としてほかにも影響があるわけでございますので、私はそういう視野から、金融機関だけの問題としてでなく全体の問題の一環としてこの問題を処理いたしていくべきものと考えております。したがって、まず手をつけておりまする銀行法の改正を急がなければならぬと存じております。その策案に当たりまして、いま仰せのような視点から問題をよく消化いたしまして、全体の問題の一環であるというような観点からこの問題にまず取り組むということにいたしたいと思うのでございます。 それから公務員制度の方の問題、きょうはそういうところまで私は議論が進むと存じませんでしたのでまだ調べるいとまがなかったわけでございますが、最近までの経緯を一遍私なりに調査いたしまして、対応をどうするかということについて改めて内閣として考えさせていただきたいと思います。
○山田(耻)委員 時間も余りございませんので、長く続けられませんが、おっしゃっているように、金融機関週休二日制の前提としての銀行法十八条は、ことしの六月近く金融制度調査会で答申が出るから、これを受けて法改正をして来国会に提出をする、これは、いまの公務員制度の問題あるいは全産業的、特に中小零細企業の問題、こうしたものが横並びにございますので、少なくともその段階では、金融機関に所属しておる十八条の関係がちょっと先行していくわけです。私はこの役割りは非常に大きいと思うのです。おっしゃっているように、全産業の問題、金融の問題、公務員の問題、おしなべて一緒に週休二日にさっと入れればいい、しかしなかなかそういうものはできにくいという現状の方がいつも叫ばれてくるのです。五十年の四月二十三日の委員会であなたと私とやりとりしたときも、やはり横並び方式を提起をされました。しかしながら、この横並びのの中でどこかで突破口が生まれなくちゃいけないんだということから小委員会の設置をお願いして、あなたも四点のお約束をしたわけなんです。しかし今回はようやく、金融制度調査会の結論が出て、来国会では法律改正をするというところまで前進をしてきましたので、これも一つの突破口にしていかねばならぬと考えています。 そこで気になりますのは、公務員制度の本施行の問題、あるいは中小企業などの一般の産業経済の政策の問題からの見方です。こういう点がどういう形で横並びになるか、同じ状態になるかということについては私もわかりません。わかりませんから、とにかく公務員の問題なり全産業の人々を引き連れていく突破口として銀行法の十八条改正を価値あらしめたい。そのために大蔵大臣、そういう大蔵委員会の持つ銀行法十八条改正の任務、役割り、こういう点を大蔵委員会冒頭のときにあなたにも私はお願いをしたのです。ことしはこの大蔵委員会は重大な決意をして、いま総理から申された来国会法改正という問題について一分一厘違いがないように大蔵委員会できちっとする場を設けたいと考えておりますので、大臣も協力をいただけるものと思いますが、いかがでございますか。
○金子(一)国務大臣 昨年の三月の小委員会の結論も私、拝見いたしております。いまの山田さんの御意見十分了承いたしておりますので、ぜひ御意見のとおり実現できるようにしっかり努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
○山田(耻)委員 よろしくお願いします。 それでは、あと佐藤委員にかわって質疑を願いたいと思いますので、私はこれで終わります。ありがとうございました。
○加藤委員長 佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 私は医師税制の問題について、とりわけきょう、きのうの政治的な動きに絡んで、大平内閣の姿勢の問題についてお伺いをしておきたいわけであります。 きょうの夕刊を見ますとどの新聞も、自民党の方は医師税制の是正について、三年以内をめどとして見直すことを検討する、衆議院大蔵委員会で決議をして是正を保証すると新自由クラブに対して回答したというのが伝えられているわけであります。これは先ほど理事会の中でも、当大蔵委員会の自民党の理事の方に聞いてみても、おれたちはそんな話は知らぬということだから、そういうことはなかったのかと思いましたけれども、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、どれも同じ内容が出ているわけであります。三紙に同じ内容の提案が書かれているということになると、これは必ずしもうそではないんじゃないかと思わざるを得ぬわけであります。 そこで少しお伺いをしておきたいのは、当大蔵委員会でも新自由クラブの西岡幹事長が金子大蔵大臣に対して、三年ぐらいで見直したらどうかと言ったら、金子大蔵大臣は、いやそんなことはできませんといった答弁だったものですから、西岡幹事長も、わずか四十九分で持ち時間を残して質問が途切れてしまったというような経緯があるわけです。一体いまの大平さんの内閣、あるいは大平さんが総裁をやっている自民党というのは、それは確かに予算を無傷で通したい、新自由クラブさえ同調してもらえば逆転可決などということはしないでいきたい、大平内閣ができたばかりで初めての予算ですからそうしたいということでありますから、なるべく新自由クラブさんを引き入れたいという気持ちはわからぬわけではありませんが、これは事政策に関する問題だと私は思うのであります。もし自民党の方でそのような案が提示をされたというならば、金子大蔵大臣が当委員会で、この五段階制の医師税制というのは改正する必要はないんだ、とりあえずとにかくこの方式でいくんだと述べられた内容と違うと私は思うのであります。もし新聞に報じられるように、しかも三紙とも同じような文言で述べられているいま私が読み上げました二項目について提案があったというならば、これは提案はしたけれども新自由クラブが受け入れなかった、したがって引っ込める、こういう性格のものではないと私は思うのであります。こういう提案をしたということは、いまの医師税制に、もし新自由クラブからの提案があれば、疑問を持っているから三年間で見直そう、こういうことを答えたものである。そしてそういう主張をしながら新自由クラブがそれを受け入れなかったら今度はそれを引っ込める、これでは、一体政策とは何ぞや、予算を通すためにはあらゆる政策も全くごたごたにしていいのかという疑問を私は持たざるを得ぬのであります。 一体こういった事実があったのかどうなのか。大平さんといたしましては責任を持って、いま申しましたような内容というのはなかったのか。そして五段階の医師税制というのは恒久的な税制としてこれからやっていくつもりなのか。恒久的と申しましても、三十年、四十年という意味ではなくて、何年が恒久的かわかりません、税制でありますからいろいろな情勢が変われば変わるのが当然でありますけれども、少なくとも皆さん方の方は自信を持って出されたことなのか。今度の制度がいい悪いの話は別といたしまして、三年間で見直しをして新しい出発点にするのか。新自由クラブに一度提案をしたように新聞は報じているわけでありますけれども、新自由クラブが納得をしなかったら今度はこれを引っ込めるというのは、私は全く政策を政争の具にしているものだと思うのであります。一体こういう事実があったのかなかったのか、そして大平さんといたしましては、これは金子蔵相に命じたように、責任を持ってある程度恒久的にこの五段階制でいくんだというふうに考えていらっしゃるのか、この一点についてお伺いしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 予算に対する態度に関連いたしまして、わが党と新自由クラブとの間で折衝が行われたことは事実でございます。その一つの焦点は、佐藤さんが御指摘になりました社会保険診療報酬に対する課税問題であったと承知いたしております。これに対しまして新自由クラブさんの方は、三年たてば見直して改定するという強い意向を持たれておったと聞いております。わが方といたしましては、そこまでいまの段階で踏み切るわけにもまいりませんので、それを検討することはやぶさかでないけれども、改定を約束するということはできないというところで、両方の見解が一致するに至っていないということを私は承知いたしております。佐藤さんが御心配になるように、自民党は新自由クラブとの折衝が成功するかしないかで態度を二にするという政党ではありません。われわれは検討するというところまでは承知してよろしいのじゃないかと思います。先ほど山田さんといま議論したばかりでございまして、特例措置というのは毎年これを見直すということなんでございますから、三年の間に見直していいということは、私はそこまでで御了解いただけるなら結構なことだと思っておったのでございますが、この折衝の成否によって自民党の政策姿勢を二にするというようなこと、そういうことはいたさないつもりでございます。
○佐藤(観)委員 巧みに回答はなかなかずらされているのでね、総理のは。新聞は、自民党の方がいま申しました二点について、三年内で検討する、大蔵委員会で決議をするということを回答した、あるいは提案をした、こういう響き方になっているので、新自由クラブが三年内に検討しろと言ったのは事実でしょう、きっと、主張を聞いていても。それに対して自民党の方で回答したということが、いま申しましたように、くどいようですけれども、朝日も毎日も読売も、あるいは毎日新聞の「同時進行ドキュメント 攻防予算修正」というところにも詳しく書いてあるわけですよね。いまのあれだと、新聞はこれは皆間違って書いているのだというふうに考えないと、話が一致しませんわね。私は、租税特別措置法でありますから、原則的にすべて見直すのはいいのです。毎年毎年いろいろな政策が変わるのはいいわけでありますけれども、少なくも予算に賛成をしてもらうためにちょっと小出しにしてみて出してみた、賛成してくれなければ引っ込めるというような政治姿勢は、これは私は断じてとるべきものではないと思うのです。事の成否は、事のあり方というのは、政策の正しいか正しくないかにある問題であって、これはいま総理が言われるように、こういった政争の具にして政策を論ずべき筋合いの問題ではないと私は思うのであります。 重ねてお伺いしますけれども、もちろんいろいろな情勢は変わるわけでありますから、租税特別措置として当然見直すのは当然でありますし、むしろ私は、医師の持ついろいろな特殊性やら、あるいは個人開業医の経営のあり方というのは本来どうあるべきか、こういうような問題をもっと総理の見解もお伺いすべきでありますが、それは関連質問ですからきょういたしませんけれども、少なくもここで報じられたような三年見直しということではなくて、とりあえず次のよりベターな案が出されるまでは、私は一人法人というのをしてみたらどうかということを当委員会で質問したわけでありますし、厚生省等もこれは考えるということになっているわけでありますけれども、少なくも開業医にとりまして、日本の医療の将来にとって非常に関係の深いこの問題について、新しい結論が出るまではこれは続ける、新自由クラブに提案をしたと報じられるようなことは当面はないのだ、こういうふうに理解をすべきなんですか、重ねてお伺いをしておきます。
○大平内閣総理大臣 佐藤さんの仰せになることは、三年たってわれわれが改定するということをいま決めておった、そしてそれをやめたということであれば、おしかりを受けるかもしれませんけれども、検討するわけですからね。検討するということを言っておるわけでございまして、何も二枚舌を使っておるわけでも何でもないので、その点はひとつ御了承をいただきたいと思います。 それで、いまの社会保険診療報酬の課税特例でございますが、これは昭和五十年度の税制改正に関する税制調査会の答申を基礎としながら、収入の低い階層については、社会保険医の公共性の点をさらに配慮をいたしまして、若干手直しをした妥当な内容であると考えておりまして、相当の期間これは維持してよいものと私は考えております。
○佐藤(観)委員 終わります。
○加藤委員長 坂口力君。
○坂口委員 久しぶりに大平大臣に質問させていただくわけでありますが、予算委員会におきましては、わが方の提案に理解をしていただいたようないただかぬような、はっきりしない面もあるわけでございますけれども、きょうは大蔵委員会でございますので、ひとつどちらかわからぬような大平流ではなくて、はっきりとした御答弁をいただきたいと思うわけでございます。 まず最初に、一般消費税絡みのことでございますけれども、今回大蔵省が出されましたいろいろの法案の要約等を見ましても、その中に一般消費税は含まれていないわけでございますが、しかし、何よりもまず一般消費税のことが述べられているわけでありますし、またその他大蔵省から出ますパンフレットの数々を見ましても、一般消費税一色と言ってもいいほど一般消費税のことが書かれているわけであります。これは全然まだこの一般消費税が出ない現在のことでありまして、実際に出たらどんなことになるのやらと思うほどたくさん出ているわけでございます。 われわれは現時点における一般消費税の導入に反対をしているわけでありますが、大平総理の頭の中には恐らく、一般消費税の構想が未来図として描かれているのであろうかと思います。私ども税調等の意見をいろいろと聞かせてもいただいておりますけれども、その中で、一般消費税を導入するということになった場合に他の税制との絡みが一体どうなるのか。現在の税制の中にある日突然に一般消費税という別なこの税制がこっそりとそこに持ち込まれる形になるのか、それとも、もしこういうふうな新しい税制が持ち込まれるということになるならば、これは個人個人の立場で見ますならば、一人一人が払います相対的な税というものの率は大きく変わるわけであります。そういった意味で、この一般消費税というものの持ちます技術的な内面ではなくて、一般消費税と他の所得税でありますとか法人税でありますとかそういう税との絡みもまた大きな問題になるのではないかと思います。その辺のことにつきましては、一向にいままで語られていないわけでありまして、ぜひこの際に、私どもは反対でございますけれども、しかしどういうふうなお考えをお持ちなのか、まずお聞きをしておきたいと思います。
○金子(一)国務大臣 坂口さんにお答えいたします。 一般消費税を導入して所得税、法人税の方がうんと安くしてもらえるというような財政の現状ならば、それにこしたことはございません。しかし、御承知のとおりの非常に厳しい財政事情でございまして、所得税、法人税の補完税として一般消費税を導入したいというのが大蔵省の考え方でございます。つまり、所得に担税力を求める現在の直接税体系だけではとても財政はカバーできませんので、一般消費税の導入によって消費という実態に担税力を求めようという、両々相まって財政を支えていきたいというのが私ども財政当局の考え方でございます。
○坂口委員 所得税を引き下げてもらおうなどという、そういうけちな考え方から私は言っているわけではなくて、そういういろいろの税を同時に行うということになるならば、一人一人の負担いたします税というものは現在よりも変わることだけは事実であります。特に一般消費税でありますから、現在の時点におきまして食料についてはかけないということを言っておりますけれども、それにいたしましても、所得の割合からいたしますと低所得層により重くなることだけは事実であります。そういった絡みにおいて一体どうなるのか。中には、変えるとするならば、所得税の低下を来すこともあるだろうし、あるいは増加をする人もあるだろうし、それは人によってまた違うとも思うわけであります。その辺のところを、まあ金子大蔵大臣はいつもこの委員会で質問できますので結構でございます。きょうは総理大臣にその辺のところをひとつ伺っておきたい、こういうことでございます。
○大平内閣総理大臣 私も税の学者ではございませんので、的確なお答えができますかどうか自信がございませんけれども、元来、いま大蔵大臣が仰せになりましたように、所得課税の補完税として消費課税を考えておるんだということでございます。その意味は、私の理解するところでは、所得が完全に捕捉されまして、それに適正な課税が行われておるということでございますならば、あるいはこれは補完する税目は考えなくてもいいのかもしれませんけれども、事実、今日各人の所得あるいは各法人の所得をくまなく捕捉し切るというようなことは言うべくして行われがたいことでございまして、ほかの消費なら消費という行為を通じてそこに担税力を認めて、それでこれを補完していくということは各国がとっておる制度でございます。とりわけ欧米におきましては、この所得課税といういわゆる直接税の収入が約半分程度、半分程度は消費税を中心にいたしました間接税で補完しておるというように聞いております。わが国のように七、三の割合で直接税に偏っておるというところは少ないと思うのでございまして、今日のような財政危機に際会し財政の再建を考える場合、どういたしましても相当大きな財源を新たに必要とするという場合に、政府が所得課税に対する補完的な手段として消費財課税を考えたといたしましても、あえてとがめられるべき性質のものではないんじゃないかと思います。 第二に、しかしそうは申しましても、現実に一般消費税という大きな政策を考えるに当たりましては、相当工夫をしてまいらなければならぬわけでございまして、現に税制調査会が示しております案によりますと、中小企業にはかけない、あるいは食料その他大難な必需品にはかけないとか、いろいろな工夫が講じられておるように聞いておるわけでございまして、こういうやり方をとってまいりますことは、国民にある程度理解と支持を得られるのではないかと私は思います。
○坂口委員 私は一歩も二歩も譲った議論をしているわけでありまして、一般消費税というものを、われわれは反対ではあるけれども、もし導入されるというふうにお考えになるのならば、それによって国民の持ちます担税能力とはときには逆行して、個々の段階で見ましたときに、上に薄く下に厚い税制になりはしないか、トータルで見ましたときに。その可能性がありとするならば、これは他の税制にも影響を及ぼすことであるということを私は言っているわけであります。もしどうしても財源が足らないということになるのならば、それは増税もやむを得ないという立場を私はとっているわけであります。しかしながら、いわゆる税は公平でなければならない。先ほどから言われておりますようないろいろの税の公平ということを中心に考えていきますならば、総合的に見ましたときに、新しい税制の導入によってそこにさらにこの税の不公平が全体で拡大をしてはならないということを私は主張しているわけでありまして、その可能性がないか。それで、もしもないという認識をお持ちならばそれも一つのお答え。しかし、その可能性なきにしもあらずということであるならば、どういう検討をされようとしているのかという、細かなことはもう結構でございます、大まかなことで結構でございますけれども、その辺のお考えがあればこの際に聞かせていただきたいということでございますので、お願いをいたします。
○大平内閣総理大臣 坂口さんの議論を聞いておりますと、間接税というものは元来そういうものなんじゃないでしょうか。つまり、消費者が金持ちであろうと貧乏人であろうと、消費という行為に対して課税するわけでございますから、そういう観点から見ると、低所得者に対する重課になるんじゃないかというのは、間接税というのはもともとそういうものでございますから、それをどの程度加味するかということのかげんが問題じゃないかと思うのでございまして、各国も先ほど私が申しましたように直接税だけに頼っておるわけではない、日本はむしろ直接税に偏り過ぎておるとまで言われておるわけでございますので、私はこの程度の間接税を補完税として採択するということは、そんなに無理なことではないように思いますが、この点は若干意見が違うかもしれませんけれども……。
○坂口委員 まだ言いたいことがございますけれども、きょうはこのぐらいにしておきたいと思います。 それで先ほど総理は、税の捕捉率のことを言われまして、言うべくして行いがたいということを言われたわけでございますが、この捕捉率についてのことを一、二お聞きしたいわけであります。 現在、税の制度上の不公平の問題が議論になっておりますと同様に、また執行上の不公平の問題が大きく取り上げられているわけであります。これは先日の予算委員会の分科会でも私の方の広沢議員が取り上げたところでありますし、またこの委員会におきましても同僚議員から、この租税特別措置法の改正案のこの審議の中でも述べられたところでございます。 そこで私、その問題をもう一度総理にお聞きをしておきたいと思うわけでございますが、この執行上の問題につきましてはいろいろの見方もあり、クロヨンでありますとかトーゴーサンピンでありますとかいうようなごろ合わせの言い方もございますし、その中には、いろいろの感情も込められていると思うわけでございますけれども、しかし、それが単なる一部の人たちの感情ではなくて、それが現実であるところに重要な点があるわけでございます。特に国税職員の皆さん方は真剣にこの徴税に御努力をいただいているわけでありますけれども、その人数は、昭和二十七年とこの昭和五十三年とを比べましても、わずかに百七十四名しかふえていない。五万二千何がしというこの人数は依然として横ばいの状態に続いてきている。しかし片や、法人あるいはまたその他の納税者の数というのは非常にふえてきているわけでありまして、法人におきましては、大体この二十年ぐらいの間に三倍になっているというのは御承知のとおりでございます。この現実をごらんになったときに、私もそうでありますけれども、こういった事業所の数とそして徴税なさる職員の数とのアンバランスというものがやはり一つの大きな原因になっていやしないか、これは私だけでなしに総理も思われるのではないかと思うわけでございます。まず、この辺をどう思われるかということをひとつお聞きをしておきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 収納税額がずいぶん多くなりましたにもかかわらず、税務署の定員が必ずしもふえていないということは御指摘のとおりでございます。もう少し徹底した課税をするということになりますと行き届いた調査をしなければなりませんし、それだけの人数、要員が確保されていないということでございます。 これをもっとふやすべきかどうかということは確かに大きな選択の問題になるのじゃないかと思うのであります。もっとふやして、直接税体系の中で可能な限り充実した課税を行うということでいくべきか、先ほどわれわれが説明申し上げておりますように、所得課税のほかに消費課税という補完的な手段を考えていく方が賢明なのか、そこは大きな選択の問題ではなかろうかと思うのでございまして、最終的には賢明な大蔵大臣がお決めになることだと私は思います。
○坂口委員 賢明な大蔵大臣にお決めをいただくといたしましても、総理は関係ないというわけにはいかないわけでございます。国税庁からいただきました資料を見ましても、「調査困難事案の推移」というのがございますけれども、昭和四十一年に比べまして昭和五十二年、十一年たっておりますけれども、ここで大体二・六倍になっております。また滞納の発生額を見ましても、この十一年間に大体三倍に上っているわけであります。これは税務署の職員の皆さんをふやしさえすればなくなるというわけのものでもないと私は思います。しかしながらそこには、全部とはいかないと思いますけれども、一部には、先ほどから申し上げておりますように、調査をなさる税務職員の皆さん方とそして事業所その他の税を納める側の数とのかかわり、その辺のところにも大きな原因の一つがありはしないかということを述べているわけでございます。 「実地調査事績の推移」を見ましても、昭和四十一年には実地調査件数は十七万四千件でございますが、昭和五十一年には十一万八千件になっておりまして、昭和五十一年の方がかなり少なくなって、昭和四十一年の六五・五%になっているわけであります。最近皆さんが税に自覚をされて、そういう調査をするところが実際に少なくなってきていて、そしてこの結果が出ておりますのならば、これにまさることはないわけでございます。しかしながら実際問題といたしまして、簡単にそうとは言い切れないところがあるわけでございます。したがって、国税職員の皆さん方の増員の問題がやはりどうしてもここで大きな議題にならざるを得ないと思うわけでございます。 この職員の皆さん方の有給休暇をとられた日数等を見ましても、年々歳々以前に比べて最近の方が少なくなってきておりますし、またおうちにお持ち帰りになってお仕事をしている量というのもかなりふえてきているという現実を見ましたときに、このままにしておいていいかどうか、いろいろ打つ手はあると思いますけれども、どうしてもこのままにしておくことはできないのではないか。先ほど申しました執行上の公平ということを確保いたしますためにも、もうここで決断をしなければならないときに来ているのではないかと考えるわけであります。賢明な大蔵大臣もおつきのことではございますけれども、これは総理大臣からきょうはもう一言お聞きをしておきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 適正な定員を考えるということも確かに仰せのとおり大切なことだと思いますけれども、いま政府は、私の立場で申しますと大変大ぜいの公務員を持っておるわけでございまして、年々歳々大変な増員要求がございますが、抑えに抑えて、定数を増加させるということは、効率的な政府を実現するためには極力避けなければならぬということで、行管を中心にこれを極力抑えておるわけでございます。したがって、もし必要な面に必要な要員を確保して、しかも行政費が多くならないという道を選ぶのでございますならば、政府部内の配置転換ということによって事が可能であれば、私はそれは一つの方法かと思います。できるだけそういう方法によって行政費をふやさないようにしていくことが第一の分別じゃないかと思います。国税職員であれどの職員であれ、ネットに職員をふやすということに対しては私の立場では、大蔵大臣から御要請がありましても、容易にこれはオーケーと言えません。私の意見は、できるだけ部内の配転等で坂口さんの言われるような趣旨の要員の充実を図っていただくようにすべきじゃないかということでございますから、私はそういうのが正しい行き方ではないかと考えております。
○坂口委員 他の省庁から職員を回すことができれば、それも一つの方法かと思います。しかしながら、これは特別な職務の方々でありますから、きのうやきょう、それならばこちらからあちらへというふうに回されても、このお仕事はなかなかできないのではないかと思うわけです。しかもまた、このお仕事は他の職務と違いますし、どうしても税金を集めなければならないという特殊な立場にあるわけであります。でありますからこの辺のところは、もうこれ以上申しませんけれども、ひとつ積極的にお取り組みをいただかないと、制度上の不公平だけではなしに、やはり執行上の不公平というものが拡大するおそれもそこに含まれているということを私は申し上げたいわけであります。 総理のお話を聞きますと、その辺のところはやむを得ざる部分があるので、一般消費税等の新しい税制を導入して、そういう法人税や所得税については、捕捉できないところはやむを得ないからそのままにしておきたいのだ、こういうふうにもとれるわけでございますけれども、もしもそうならば、私は考え方が違うのではないかと思うわけであります。私の受け取り方が間違っておりますればそれにこしたことはないわけでありますが、もう一度この点だけをお答えいただいて、あと一問だけ次の問題を質問させていただきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 税の執行上問題があり、その点、充実した課税で不公平を結果しないようにしなければならぬ、そのためにはやはり適当な要員を確保していかないといけないという御趣旨は、私も賛成でございます。そういうことでなければならぬと思うのでございますが、それにはおのずから限度がある、その限度をどこに設定するか、そしてそれで満たされない面をどういう方法で補完していくか、これはわれわれが考えなければならぬ大きな課題ではないかと思う点が第一点。それから要員の確保の場合は、できるだけ部内の配転という点で充足するように工夫しなければならぬのではないかということが、私の第二点として申し上げたわけでございます。
○坂口委員 それじゃ大臣、ことし、これは昭和五十四年と申し上げてもいいし五十四年度と申し上げてもよろしいが、一年間ひとつ検討課題にするということにしていただけますか。
○大平内閣総理大臣 それは一般消費税と関係なく、いまの課税の充実の点と適正な要員の確保についての検討でございますね。検討させていただきます。
○坂口委員 それでは最後に、先ほどもいわゆる医師税制の問題が出ましたので、その重複するところはもう避けたいと思いますが、最後に一人法人の問題でございます。 これはどちらかと申しますと厚生省管轄の問題でございますけれども、先日も私、予算の分科会におきまして厚生大臣にこのことを質問したわけでございますが、厚生大臣としては、この一人法人制度をひとつ検討をしたい、こういう答弁でございました。そうは言いますものの、これは大蔵省とのかかわりも大きい分野でございまして、各省庁の各大臣の賛同がなければこれはなかなか前進しない部門ではなかろうかと思います。最高責任者の総理のこれに対する所見をお伺いをして、最後にしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 現在、医療法人は病院もしくは医師三人以上の診療所について認められておりますことは御承知のとおりでございますが、近年診療所につきましても、開設資金が相当大きくなっておる等の状況の変化もございますので、一人法人を認めることの意義については今後十分検討を加えてまいりたいと思います。
○坂口委員 ありがとうございました。終わります。
○加藤委員長 高橋高望君。
○高橋委員 総理並びに大臣初め皆様方、大変遅くまで恐縮でございます。ひとつよろしくお答えをいただきたいと思います。 きょうの主題は、租税特別措置法の一部を改正するということでございまして、私はまさに名前のとおり、租税特別措置法というものは特別のものでございますから、展開に当たってもそれなりの配慮が必要だろう、こう思うわけでございます。特に今年の租特は、私に言わしていただけるならば、ずばり不公平税制の是正というのが租税特別措置法を考える大きな柱だろうと思っておるのです。先ほど同僚委員とのお話の中で、何が不公正かについてはいろいろ意見があると、こうおっしゃいますけれども、私は何が不公正かというよりも、租税特別措置法というものは政権担当者の特権でやることですから、これは不公正とか公正とかいうよりも、まず第一に考えていただきたいことは、その特権を発揮するに当たっての基本的な取り組む姿勢があろうと思います。 その辺を考え合わせた上でまず伺いたいのは、同僚議員とは全く逆の立場から、租税特別措置法が国民に感謝されるためにはどういうふうな生命力を持たすべきなのか、この辺についてまず総理の御見解をいただきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 一般に租税特別措置といわれておるものは、私の理解するところでは、ある特定の政策目的を達成する場合に課税の軽減という手段をとろうとするものでございます。したがって、これが国民に理解され支持されるかどうかの問題は二つありまして、一つは、その設定した目的が国民の期待にこたえるものであるかどうかということでございまして、いまの租税特別措置法におきましても、住宅政策でございますとか、あるいは貯蓄政策でございますとか、あるいは中小企業対策でございますとか、環境保全とか、いろいろな政策目的があるわけでございまして、そういうことのために税を手段として使っていいか悪いか、これは第二の問題になりますけれども、まずそういう目標が特殊な手段を通じてでも実現を図る政策であるかどうか、それに対して国民の理解と支持が得られるかどうかという点が第一点であろうと思います。 第二点は、しかしこれが一般に課税すべきところをそれだけ軽減していくわけでございますから、確かに高橋さんのおっしゃるようにこれは特権を与えるわけでございますから、その程度が問題でございまして、先般もあなたも御指摘になっておりましたようにやはり期限が必要だ、見直しが必要だということはそこにあるのではないか。やはりこれが特権の上に眠るということになると許しがたいことでございまして、決して国民の支持を得られないものと思うのでございまして、そういった点を十分踏まえてかかるべきでないかと思います。
○高橋委員 そこで先ほどからお話が出ておりますけれども、やはり基本的に既得権化させたりあるいは圧力団体の圧力によってこれを設定したりするというようなことは間違ってもしてはならないことだろうと思うのです。ところが、残念なことに現在の情勢の中では、そうした意味で国民の皆さんがなかなか納得のできない、声の大きいもの、力のあるものが特権をかっさらっていっちゃう、与えられたパイの中から持っていってしまう、こういうふうな見方というものはずいぶんあろうかと思うのですね。ですから、これは抽象論の域を越えませんけれども、どうぞひとつ租税特別措置法の見直しというものに対して、他の圧力と申しましょうか、本来の要求以外の力で制度等をつくったり、ましてやこれを既得権化して永続化させるということのないようにひとつ御配慮をいただきたい、まずこのことをお願いを申し上げておきます。 続いて、私はきょうはキャピタルゲイン課税をめぐっての証券界のあり方、証券業に対する行政指導のあり方というものに総理の御意見をいただきたいと思うのです。 従来よく言われてまいりました言葉に、証券市場の健全化ということがあります。確かに証券市場というのは自由主義経済のとりででございますから、これに注目されるのは当然なんですが、それであってなおかつ健全なる育成とかあるいは健全化を図るとかといったようなことが行政の立場から出てくる、この背景については総理はどのように理解をしていらっしゃいますか。
○大平内閣総理大臣 証券市場の健全な育成というのは、健全な投資家を保護する意味におきまして、そこで有価証券の流通が円滑にまいって公正な値段が立っていくように、そしてそれを取り扱う業者が健全であるという姿に持っていかないといけない、そういう趣旨で実行されておるものと思うのでございまして、背景という趣旨がどういう趣旨かちょっと私も理解しかねますが、そういう必要があって現に立法あるいは行政指導でもろもろのことが行われておるものと私は承知いたしております。
○高橋委員 そうであればよろしいのですが、現実がそうじゃないところにこの問題があろうかと私は思います。 大変表現が汚らしいかとは思いますけれども、ちょっとした金がある程度だったらパチンコ屋に行ってパチンコをやる、少し金がたまると競馬や何かの馬券を買う、もうちょっと金があると株をいじる、こういうふうな株をいじるという表現でおわかりのように、現在までの証券界あるいは証券業の姿勢というものはいわゆるマネーゲームの域をなかなか越えていない。むしろその投機性をあおって、しかもそれによってある意味では不労所得のようなものに対しても課税の面で十分な把握のできないままに放置している。こういうことを実は私はその背景ということで伺いたいわけなんです。 このところ長い間言われてきている健全なる市場あるいは健全なる育成というようなことの中で、現実にどの程度証券業界に対して行政側が指導しているか。私これはじみちに働いている、暮らしている方から見ると、ずいぶんと甘えさせてしまっているというか、伸び伸びさせてしまっているというか、自由気ままにやらせておるように思われてならない。私に言わせるならば、特にこのところ、キャピタルゲインというのは不労所得だ、こう断言してもいいくらいの内容になっておりますので、これは総理、証券界に対するあるいは証券行政に対する御配慮を一段と煩わしたいと思いますけれども、いかがでございますか。
○大平内閣総理大臣 産業に必要な資金の確保の意味で、証券市場が健全な姿において運営されておるということを保障することは、国民経済から見て大事だと思うのであります。それで、個々の投資家がどういう意図で市場に臨むかということとは一応別に、市場全体として健全に運営されていくメカニズムをちゃんとしておかなければならぬことと思うのであります。 それから第二に、しかし市場が投機に走るあるいは投機に流れるというようなことがございます場合は、これに対しまして適正な規制を加えなければなりませんし、投資家自身にも御自覚をしてもらわなければならぬわけでございまして、それは同時に、行政指導上十分戒めてかからなければならぬことだと考えるわけでございます。 ただしかし、もっと厳密に考えてみると、やはり投資家保護と言いますけれども、保護されるような投資家じゃ困るので、投資家自身もやはり真剣に考えていただいて健全投資に徹していただかないと、市場を幾らりっぱに運営していこうといたしましても、なかなかそれは実行できないのじゃないかと思いまして、市場の健全化とそれから投資態度というものに対しまして自覚ある配慮を私は望みたいと思います。
○高橋委員 総理せっかくお見えでございますけれども、そこで金子大臣にちょっとお伺いしておきたいことは、そういった意味合いの中での証券行政が今後証券業に何を望まれているのかあるいは望もうとされているのか、これについて大蔵大臣、御見解をひとつお願い申し上げます。
○金子(一)国務大臣 いま総理からもお話のございましたとおり、長期の安定した資金調達なりあるいは投資家の資産運用等につきまして、価格の形成が公正に図られるということが一番大事なことであろうと思います。そういう意味においての業界の営業姿勢をしっかりと正していくことと、同時に、投資家によく情報を提供してやるということが、証券行政の衝に当たる者として大事なことだと考えてやっております。
○高橋委員 よく言われるディスクロージャーの問題も含めて、いままでは大変失礼ながら、投機心をあおって、そして興味本位のといいましょうか金もうけの対象としての投資、投機といいましょうか、そういうものに終始していたということは、私はこれは残念ながら現実の問題だろうと思うのです。ですからひとつその辺を踏まえて、特に今後のこういう財政事情の中でのいろいろの不公平の問題がある時期でもございますから、ここでひとつキャピタルゲインに関する課税も、従来やれないやれないということで、技術的にむずかしいという表現で見過ごしてきたといいましょうかあきらめてきた姿勢というものも、何か私はもう少し取り上げて改善していただきたい。キャピタルゲインというもの自体がまず不労所得なんだという割り切り方をかなり打ち出さない限り、こういった課税に対しての姿勢もできてこないのだろうと思うのですが、これは大蔵大臣に重ねて伺いますけれども、私の言うキャピタルゲインは不労所得だ、こういう割り切り方について御意見はございましょうか。
○金子(一)国務大臣 いろいろの見方はございます。不労所得のような場合もございましょうし、あるいはまた資産の譲渡所得、要するにキャピタルゲインだというふうな見方もございましょうし、いろいろな場合もございますが、今回は、従来の五十回、二十万株の課税からさらに一銘柄二十万株の譲渡のものに課税をするということで、百尺竿頭一歩を進めたつもりでおります。しかし、なかなか課税資料の収集その他の点から言いまして、全部捕捉して課税しろよと言われてもそれは簡単にできませんから、漸を追ってこのキャピタルゲインの課税に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○高橋委員 どうかひとつそういった意味で、不公平な税制の一つとして行われてきた過去のこの課税のあり方というものを御検討いただくと同時に、これをより前進させていただきたいとお願い申し上げて、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
○加藤委員長 安田純治君。
○安田委員 私は、不公平税制ないし租税特別措置の全般にわたってお伺いしたいところでございますけれども、時間もありませんので、本日は、いわゆる医師税制についてまず総理にお尋ねをいたしまして、もし時間があればその他の問題もお伺いしたい、こういうふうに思うわけであります。 昭和二十九年の附帯決議、当委員会での昨年の附帯決議でも決議がされてまいりました経緯もありまして、技術料を正しく評価することを含めて診療報酬の適正な引き上げは、開業医が国民にいい治療をして、診療機関の経営の安定のためにも必要である、私どもは引き続き要求するものでございますけれども、同時に、税制自体の不合理は不合理として実態に即して合理的に是正されることは、またこれは当然のことであろうというふうに思うわけです。 わが国の場合に、公的医療機関の整備充実がおくれておりまして、個人開業医は、一般診療所で八六・一%、外来患者数で六四%、ベッド数で五八%を扱っておるようであります。このように小規模小経営の開業医によって日本の医療、国民の健康と生命は支えられておるのである。それだけに国民のこの問題についての関心は非常に高くて、きわめて重要な問題だと思うわけです。私は、現行税制の改善は、このような開業医の社会的役割り、公共性に配慮して、医療を発展をさせる立場と、同時に、広く国民に理解を受け得る税制、税制上の公平を期するもの、こういうことを図っていかなければならない。この公平さと医療の公共性を正しく統一したより合理的なものとして確立される必要があると思いますが、総理の御見解をまず承りたいと思います。
○大平内閣総理大臣 公平さ、それから社会保険医の公共性、両方に満足を与える制度でなければならぬという趣旨の御主張と承りましたけれども、私どもが考えております政府案も、仰せのような点の調整を考えて策案いたしたものでありますことは、先ほどもお答えいたしたとおりでございます。
○安田委員 ところが総理、政府提案の今回の是正案につきまして見ますと、現に不公平税制を是正せよという声が大きいわけですが、その声の中からは、骨抜きだとかごまかしだというような声が上がっておる。ところが一方、お医者さんの側からは、実態を無視したものだという声も上がっておる。双方が不満を持って納得していないのが現状ではないでしょうか。きょうは時間もございませんので、具体的なことを一々指摘しませんけれども、政府案は先ほど述べた基本的な立場に立った合理的なものではないということで、一方において骨抜きだ、ごまかしだ、お医者さんの側から見れば実態を無視したものだ、こういうふうに両方が不満を持っているということは、これは合理的なものじゃない反映ではないかというふうに考えるわけです。現行税制の矛盾は、実際経費と法定経費率との間の関係を一切抜きにして、一律にしてやるというやり方からきておるのだということを思うわけです。この点にメスを入れるかどうかが問題だと思います。 今回の政府案は、実際の経費率との関係を抜きにして、単純に収入階層に応じて控除率を下げていくという安易な態度でお茶を濁すといいますか、こういうものになっておる。一定の手直しとはいえ、真に合理的なものとは言えないのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
○金子(一)国務大臣 私かわって考え方を申し上げますけれども、もうすでに何回も申し上げておることでございますが、日本共産党の提言におきましても、実額経費控除方式に改めて、高額所得層に対する課税を是正しろ、ただし実額経費算定方式に移行するに当たっては、記帳困難なものに対する経過措置として、概算控除方式の選択を認めるのもやむを得ないというたてまえをとっておられますが、今度の改正はまさにそういった考え方に立っておるとお考えいただいていいと思うのであります。十万人前後のお医者様、非常にお忙しい方が一々記帳することはむずかしいから、実額に近い五二%という法定経費率で経費を認めましょう。ただし、実額によって課税してもらわなければ困るという方は、青色申告で申告していただいて、経費を細かく出していただけば、それはそれでまた認めるわけでございますから、考え方自体は、この点はあなたの方の考え方と同じだと思うのです。 それから、医療の公共性を保障しろということですが、これはしょっちゅう私の方でも申し上げているように、日夜都市、農村を問わず地域診療に専念しておられるお医者様の公共性を考えて、七二%から六十何%までの特別控除を認めたわけでございまして、極力お医者様の置かれた今日の実態に合うような行き方をとっておる。まああなたの方はそうおっしゃいませんけれども、われわれの方としては、きわめて実際的な案と考えておる次第でございます。
○安田委員 しかし、大蔵大臣はそうおっしゃいますけれども、たとえば一律に収入階層によって下げていくというやり方をとりますと、同じ収入階層でも、実際の経費率がある人は四〇%、もう一方の場合は六〇%、こういうようなことだって起こるわけです。この方式によると税金は全く一緒になる、こういう状態ですから、やはり不合理そのものではないかと言わざるを得ないのですが、この点ひとつ後でお答えいただきたいと思います。 時間もございませんので、次の問題もあわせてお伺いしますが、いま大蔵大臣がおっしゃいましたように、医療の公共性ということもあわせ考え、同時に統一的に合理的に解決する道といたしまして、私どもはより合理的な是正策といたしまして、実際にかかった経費は経費として控除するいわゆる実額控除方式に基本的に改める、ここに基礎を据えることが大事であると思っております。この際、みずから診療にも経営にも当たる開業医の実情に照らしまして、税務申告は思い切って簡素化する措置をとる必要がある。それから、必要経費を差し引いた医業所得を、医師個人のいわゆる院長所得と、病院、診療所の経営に充てられる所得の二つに区分することが必要だ。そして医師個人の取り分については、医師も勤労者でありますから、一般国民と同じように給与所得控除を適用する、病院、診療所の経営に充てられる所得については、医療機関としての公共性を発揮し得るように思い切って一定の減免措置をとること。以上、先ほど大蔵大臣が日本共産党の提案というふうに言われましたけれども、こういうことをまとまって提案をいたしておるわけでありまして、これは今日の開業医税制の矛盾を取り除き、国民にもわかりやすく、それから開業医も地域の第一線として十分な社会的役割りを果たし得る合理的なものでないかと思うのです。 総理に伺いますけれども、医師税制を税制度全体から根本的に検討し直して、私どものこの提案も参考にしていただいて、医業にふさわしい合理的な制度を確立することを今後検討すべきであると思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
○大平内閣総理大臣 制度には、理論的に正しいかどうかという問題も一つございますけれども、同時に、いままでやってまいりました制度を変える場合、激変緩和と申しますか、急に激変を結果するようなことはなるべく避けなければならぬと考えております。したがって、今回私どもが提案いたしておりまする案は、理論的に完璧なものとは決して思っていないのでございまして、相当の期間こういうやり方で御理解がいただけるのではないかと考えて提案しておるものでございます。激変緩和的な要素も相当あるわけで、考慮いたしてあるわけでございます。 しかし、いつまでもこれでよろしいとは考えていないわけでございまして、租税特別措置全体がそうでございますように、本制度につきましても適宜これを見直していかなければならない。見直す場合におきましては、あなたの方の党から御提案になっておることもございますが、各方面からいろいろな御意見が出されておるわけでございますので、各方面の御意見を十分承りながらわれわれは見直していかなければならぬものと考えております。
○安田委員 医業税制でもう一つの問題は、当委員会でもたびたび指摘されてきましたように、開業医の法人規制の緩和についてであると思います。 現在、開業医は御存じのように、医師三人以上でなければ法人になれないという医療法上の規定がございますが、こういう意味では、法人化の点についてどうももう少し考える必要があるのではないかというふうに思うわけであります。厚生省の方も来ていらっしゃると思いますが、厚生省の立場から見れば、税金対策のための法人化の緩和ということは考えない、いわば医療の問題として、医療の充実などにメリットがあるならばそれは考えるというような立場になろうかと推察するわけです。ところが、これは単に税金対策の問題ではなくて、自民党の渡辺美智雄さんも新聞なんかでおっしゃっておりましたけれども、この一人法人化という問題は、医療の合理化、近代化に資するのじゃないかという意味のことをおっしゃっていたようであります。なるほど、いまの開業医の方の会計上の処理を見ますと、どうしても家計といわばどんぶり勘定になるという弊がなかなか免れないと思うのですね。そういう意味では、決して税金上いろいろ便利だからというだけではなくて、医療の合理化のためにも、経営の合理化のためにも資するのではないか。たとえば個人所得とされている部分の中に、看護婦さんが長く勤めてやめる場合には退職金もまた払わなければならないだろう、そういうものも潜在的に入っておるのじゃないかといろいろ考えられるわけでして、そういう意味で、医療法人の規制の緩和ですね、この点、厚生省としてまず考え方を伺いたいことと、総理としても、ぜひそういう点で医療法人の法人規制の緩和について御検討いただきたい、いかがかということをお答えいただきたいと思います。
○森説明員 お答え申し上げます。 いま先生御指摘のように、現在の医療法人制度におきましては、病院あるいはお医者さんが三人以上いる診療所については法人化の道がございますが、それに満たない小規模な診療所については、確かに法人化の道が閉ざされているわけでございます。 この問題につきましては、いま先生御指摘の点もございますし、また最近、開業に当たりまして必要な資金がかなり多額となってきているというようないろいろな社会、経済的な状況の変化もございますので、いま御指摘のいわゆる一人法人の問題につきましては、今後関係方面の意見も十分に聞きながら私ども検討してまいりたい、かように考えております。
○大平内閣総理大臣 一人法人の意義も理解できるところもあります。したがって、これは一つ検討に値する問題だと思いますが、ほかの医療行政の問題、税金の問題もあわせまして検討させていただきます。
○安田委員 時間が参りましたので最後に、総理は一般消費税導入の前提として不公平税制の是正を強調してこられたと思うのです。いろいろ今回の租税特別措置の問題についてお伺いしたかったわけですが、時間がございませんので、たとえばいま申し上げました開業医の税制に若干手をつける、それもどうも、いままで指摘してきたように不合理さをまだ残しておる、こういうことで、不公平税制の是正がすべて済んだかのような形式をとろうとされたらこれは大間違いだろう。不公平税制の最たるものは、高度成長時代の遺物というべき大企業、大資産家優遇の特権的な減免税である、こう考えざるを得ないので、そこにメスを入れるということが必要なのではないか。それなくして一般消費税の導入の前提としてといいますか、門前の掃き清めとしてこの程度の租税特別措置の手直しでいいのだというふうにお考えだとしたら、われわれとしてはどうも納得いたしかねるので、その辺を伺って質問を終わりたいと思います。
○大平内閣総理大臣 一般消費税を導入させていただく場合の前提条件が、すべて満たされたなどとうぬぼれておるわけじゃございません。これは毎年毎年鋭意やってまいらなければなりませんことでございます。租税特別措置法ばかりでなく、歳入歳出全般にわたりまして鋭意見直していかなければならぬわけでございます。ことしもそういう観点からやるべきことはやったわけでございまして、来年もまた同様にやるべきことはやってまいることは、先ほど山田委員にもお答えいたしたとおりでございます。
○加藤委員長 伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 私は、具体的な問題を二、三お尋ねをする前に、一般消費税の問題がすでに具体的に検討される状況の中で、私どもが当初から一貫して主張してまいりました行政の思い切った改革、あるいは医師税制を初めとする不公平税制の抜本的な思い切った改革ができなければ、私どもは本法案に賛成ができないばかりか、予算委員会では、これは仮定の問題でありますけれども、野党がそろって反対をする、そうしますと、予算委員会では否決をされて、予算は本会議で逆転をして可決をされるという事態になる危険性があるわけでございますが、こうした事態について総理はどのような考え方を持っているのかを、私は具体的な質問に入る前にまずお尋ねをいたしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 予算は国の基本的な一年間の計画でございます。そして、私どもの政権にとりましての一番大事な骨格でございます。したがって、各野党の皆さんの御理解と御支援をいただくべく、予算の編成前から御意見も伺い、これまでの国会における論議も十分踏まえた上で編成に当たったわけでございます。したがって、従来国会で議論されましたこと、そこで蓄積された知識は予算案に大分盛り込んであるつもりでございます。しかしそれでも、でき上がりました予算についてなお各党とお話し合いをいたしまして、実行上できることはできるだけ御意に沿いたいという趣旨で今日まで折衝、お話し合いを続けてまいったわけでございますし、明日いよいよ採決が予定されておるわけでございますけれども、いまからでも遅くはございませんで、御賛成をちょうだいいたしたいと思います。
○伊藤(公)委員 戦後の保守政治のもとで行政機構はますますふくれ上がって、それに費やす負担は非常に大きくなっているわけでございます。一般消費税に対する具体的な話が出ている中で、私どもはまず、行政の改革等に取り組まなければならないと主張してきたわけであります。たとえば政府が主張しているように、一般会計では公務員の数は八千人近くを減らしているという主張がありましたけれども、特殊法人では、四十四年から今日まで計算をしてみますと、六万人近くも逆にふえているという状況でありますし、高級官僚の公社、公団等への天下り、あるいはそれに対する退職金等の問題が国民の中でも非常に大きな批判の的になっている状況でございます。こうした中で私どもは、この際ぜひ思い切った改革をしなければならないという立場でいろいろな折衝もし、主張もしてきたわけであります。 そこで、私は具体的な問題で総理にお伺いをしたいと思いますけれども、一月の十九日の閣議で決定をされました昭和五十四年度税制改正の要綱で、「一般消費税については、昭和五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進める。」そして今国会でも大蔵大臣が、一般消費税の法案についてはできるだけ早く詰めて、結論が出次第提案をしたいと発言をされていると伺っておりますけれども、それでは総理のお考えは、法案の提出時期及び実際の導入はいつとお考えになっているのでしょうか。
○大平内閣総理大臣 一般消費税は五十五年度から導入させていただきたいと考えておりまして、ことしは諸般の準備をしなければならぬ年であると考えておりまして、成案を得次第、国会に提出して御審議をいただかなければならぬと考えております。
○伊藤(公)委員 それでは、一般消費税が実際に導入をされた場合、標準家庭においては負担増はどのくらいになるとお考えになっていらっしゃるのか。たとえば具体的に五%の税率ではどのようになるか。新聞報道等によれば、大蔵省の試算では年間八万円程度と言われておりますけれども、どのようになるのでしょうか。
○高橋(元)政府委員 税制調査会の一般消費税大綱に言っておりますように、税率を地方消費税を合わせて五%という前提でいろいろの試算を実はいたしております。ただ、たびたび申し上げておることでございますが、一般消費税を導入しました場合に、現に消費税のかかっておりますもの、国税、地方税を通じて相当数の税目がかかっておるわけでございますが、それとの調整をどうするか、それからまた非課税の範囲につきまして、一般消費税大綱で示されておる以外にどういう範囲にするか、現在調整中でございます。したがって、五%の前提で一般消費税を入れた場合に家計の負担増が幾らになるかという正確な数字を申し上げるのは、現段階で御容赦願いたいわけでございますが、昭和五十一年の「家計調査年報」を基礎としてやりますと、年間で五万七千円程度というふうに推計をいたしております。
○伊藤(公)委員 五万七千円にしても、平均的な家庭にとっては非常な増税になるわけであります。もちろん私は、この現在の財政危機を放置しておいていいと考えているわけではありませんけれども、増税を国民に強いる前に、政府自身はもっとやるべきことがあるのではないかというふうに思うわけでございます。 一般消費税の実施につきましては大蔵大臣は、先般の税制調査会においても積極的に進めていく、また、財政演説で言われておりますけれども、税制調査会の答申を尊重される趣旨の御発言がございました。同時にこの答申では、医師税制について、「昭和五十四年度の税制改正においては、「昭和五十年度の税制改正に関する答申」において提案した具体的な改善案に基づき、その是正を図るべきである。」こう言っているわけでありますけれども、どうも私は、答申の都合のいいところだけは増税の一般消費税を持ち出して、都合の悪いところは余り尊重しないというように思うわけでありますが、総理はどのようにお考えになられるでしょうか。
○金子(一)国務大臣 伊藤さんにお答えいたします。 一般消費税導入に当たりましては、先ほど来御議論のございましたように、特別措置法全体をさらに見直しするのみならず、歳出全般にわたってもさらにメスを入れていかなきゃいかぬということは十分考えております。 それから最後にお触れになりました医師税制の問題は、これは基本的には政府税制調査会の答申の上に乗っかっておるのでございまして、五二%の概算経費率もそのままとっております。四千万円以上の収入分については政府税調案と全く同じでございますが、それ未満の分について、やや現実に即して一クラス階級別の刻みをふやしただけでございまして、私はそれは医師の公共性についての特別の配慮、現実に即した配慮と考えて、決して政府税調の案より大きく後退した案だとは考えておりません。
○伊藤(公)委員 増税の前に歳出の洗い直しをするということは当然なことでありますけれども、私どもの西岡幹事長が委員会の中でお聞きをしていることでもありますが、この中でも、洗い直しについてはいまだ不十分である、こういう答弁をされております。一般消費税という大増税の準備は一方では進められているわけでありますけれども、総理のお考えは、いまのままの見直しで同時に並行してもよい、こういうお考え方で進めていらっしゃるのでしょうか、いかがでしょうか。
○金子(一)国務大臣 伊藤さんも御承知のとおり、行政の実際として、多少実情にそぐわないからといってもとから洗い直せという、理屈どおりやれという考え方もありますけれども、行政の実際からいったらやはり実情に即したように、先ほども総理からもお話のございましたような現実に即したやり方をとっていかなければなりませんから、そういう意味で、私どもが今日までここ数年間にわたって特別措置全般についても見直しを行っておるわけでございますが、今後も最近の情勢にそぐわなくなってきておるものにつきましては漸を追ってメスを入れてまいりたい、こう考えております。
○伊藤(公)委員 時間が参りましたので最後の質問をさせていただきますけれども、大蔵大臣御自身も予算委員会の中で、とにかく二十五年間この制度が続いたのであるから、この際控除額を一挙にゼロにしろという行き方は現実的な問題としてできるわけではない、こういう御答弁をされているわけでありまして、つまり、抜本的な改正はしなければならぬ、しかし長い間この問題を放置してきて一挙にここで改正をするということは、非常に大きな問題があるという御認識であろうと思いますけれども、いずれにしても、廃止をする方向で検討をし、消費税の問題が云々されていればこそ全廃の方向で、もう三年とか五年と言わずに、改正を思い切ってすべきではないかというふうに私は思いますけれども、その点についてはいかがにお考えになっていらっしゃるか。あわせて、先ほども少し御議論になりましたけれども、三年以内に廃止をする方向で検討する、こういう意向は変わらないのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
○金子(一)国務大臣 すぐ廃止しろとか、三年以内に廃止しろという御議論もございますけれども、それをやりましたらかえって混乱するのはお医者様の業界です。これは概算経費率を示すから、とにかく医療に専念しながら申告もできるわけですけれども、そうでなかったら本当に混乱するのではなかろうかと私どもはむしろ心配しておるわけでございまして、できる人は青色でどんどんやっているのです。ただ問題は、概算経費率自体が現実に即したものかどうかということでございますが、これは役所の調査によりましても、会計検登院の調査によりましても、きわめて現実的なものでございます。いますぐこれを廃止するとか、ここ二、三年でやめてしまうという気持ちは持っておりません。ただ、社会情勢が今後もどんどん変わってまいりますから、そういった時期が来ましたら、これは見直さなければならぬことは当然でございますけれども、それを半年、一年ですぐ見直しますというお約束までは、ちょっとするのはいかがなものかと考えておるわけでございます。今後当分の間ということにしながら、諸般の推移をながめていくということで御了承賜りたいと思います。
○伊藤(公)委員 三年以内に廃止の方向で見直すという考え方は、総理御自身はいまお持ちでありませんか、それだけ聞いて質問を終わります。
○大平内閣総理大臣 必ず見直しますというお約束はいたしかねますが、そういう問題について検討するにやぶさかでございません。
○加藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○加藤委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。池田行彦君。
○池田(行)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の意を表明するものであります。 本法律案は、現行の租税特別措置の整理合理化並びに有価証券譲渡益課税及び交際費課税の強化ほか、産業転換投資促進税制、長期譲渡所得の課税の特例制度を設け、また、揮発油税及び地方道路税の税率を引き上げることを主な内容とするものであります。 まず、租税特別措置の整理合理化であります。 租税特別措置は、特定の政策目的の実現という面に着目した場合、そのすべてが不公正なものとして非難さるべきものでないことは言うまでもありません。しかし、政策目的が達成されたものや政策効果が上がらないものについては、速やかに改廃を行う必要があることはこれまた申すまでもありません。 今回の整理合理化は、このような観点から見直しを行った結果であり、その内容は、廃止、縮減事項の合計三十項目に及んでおります。しかもその中には、多年の懸案である社会保険診療報酬課税の特例の是正や価格変動準備金の段階的整理などが含まれております。私は、政府が本問題に真剣に取り組んだ態度に敬意を表するものであります。 次に、有価証券譲渡益課税及び交際費課税の強化でありますが、一銘柄につき年間二十万株以上の株式譲渡による所得を課税対象に加えるとともに、交際費の損金不算入割合を高め、その控除額を縮減したことは、時宜を得た適切な措置であると考えます。 第三に、土地住宅税制でありますが、優良住宅地等の供給の促進に資するため、長期譲渡所得の課税の特例制度を設けるとともに、中古住宅取得に係る登記に対する登録免許税の軽減措置を講じたことは、まことに妥当な措置であります。 また、現下の最大の課題は雇用の安定確保でありますが、産業転換投資促進税制を創設するとともに、中小企業者の欠損金の繰り戻しによる還付の特例措置、特定不況地域内に新増設される機械等についての特別償却制度を設けるなど、適切な措置が講じられております。 最後に、厳しい財政事情に顧み、第八次道路整備五ヵ年計画に必要な財源の確保等のため、揮発油税及び地方道路税の税率を二五%引き上げることとしておりますが、道路整備計画推進の必要性、揮発油税等の税負担の国際比較等を考慮すれば、この措置はまことにやむを得ざるものがあると考えられます。 以上申し述べた理由によりまして、本法律案に賛成の態度を表明して、私の討論を終わります。(拍手)
○加藤委員長 伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。 私がこの法案に反対する理由の第一は、税の不公平是正がきわめて不徹底であることであります。 いま政府が強行しようとしている一般消費税を初め、重税時代の足音の接近と言われている中で、国民の税に対する関心は大きく高まっております。そうして税の不公平是正はまさに国民的要求となっております。 しかるに本法案は、国民世論に押されて若干の改革は行っているものの、医師税制の改革も不公平の四割程度が是正されたものにすぎません。さらにこれをどう改革するのかの展望も不明確なままであります。また、企業会計原則という理屈に固執して、退職金引当金を初め、各界から指摘されている数々の不公平税制の事実は取り上げられておりません。これは政府の大企業優遇税制温存の姿勢を示すものであり、五十四年度税制に関連して各界から厳しく指摘をされているところであります。 第二の理由は、今回の改正案の中で、政策目的があいまい不明確であり、また逆に新たな不公平につながると思われるものが含まれていることであります。 たとえば土地税制の一部手直しは、優良な宅地の供給に資するためと説明されながら、その具体的な効果、計画、見通し、あるいは現に急騰する地価対策については明確な説明ができない状態であります。揮発油税の引き上げについても、従来の特定財源方式のままであり、今後の経済情勢に効果的に対応する使途などについて総合的な政策展開の視点を欠いたままであります。重大な財政事情であるにもかかわらず、本法案のこのような不明確な側面は、税財政改革への真剣な取り組みの姿勢を欠いているものと言わなければなりません。 本法案に反対する第三の理由は、税制改革への真剣な努力よりも、できるだけ早く一般消費税を実行しようとする構えをあらわにしていることであります。 いま緊急に必要なことは、税財政の民主的再建のために、広く国民の参加を求め、謙虚に国民の意見を聞き、公平、民主的なシステムをつくり出すことであります。いまのような政府の姿勢での一般消費税強行の方針は、国民の理解が得られるはずはありません。このような政府の姿勢で納税に対する国民の信頼と納得も得られるものではありません。 政府がこのような姿勢のもとに、わが党が提案している土地増価税、利子配当所得の総合課税、法人への累進税率の適用、広告費課税など当然の課題を取り上げず、一般消費税実現のために不公平是正のポーズをとるだけというふうな内容のこの法案に賛成することはできないのであります。 以上の立場から、本法案に反対することを表明し、討論を終わります。(拍手)
○加藤委員長 貝沼次郎君。
○貝沼委員 私は公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、反対の態度を表明し、討論を行うものであります。 以下、その理由を要約して申し述べます。 まず第一は、政府の税制改正に対する基本姿勢であります。すなわち、不公平税制の是正はびほう的な処置で済ませながら、逆に、大衆課税の増強にある点であります。 これは租税特別措置法の改正を見ても、大衆課税とも言える揮発油税の引き上げによる増収が二千三百億円であるのに他の整理合理化が千九百二十億円であることや、所得減税の見送り、たばこの定価の値上げ、一般消費税の導入決定をしていることから明白であります。 また政府が、財政再建それ自体のみを目的として大衆課税の強化に奔走することは、当面の最重要課題である内需の拡大による景気回復に水を差し、結果としては角をためて牛を殺すことになり、財政再建さえもおくらせる危険性が十分にあると言わざるを得ないからであります。 第二は、利子配当所得に対する優遇税制を放置していることであります。 政府は、昭和五十五年度の期限到来を待って是正することにしておりますが、課税の不公平が現存することが明白であるにもかかわらず、それを一日延ばしに延ばし、全く手をつけようとしないことは、いたずらに国民の不信感と不公平感を増長させるものであります。 特にこの問題については、郵便貯金の実態が全人口の二倍を上回る口座数であったり、一世帯の平均預貯金高をはるかに上回る貯金額となっていることから考えると、いわば政府の徴税上の怠慢が不公平を拡大しているとも言えます。 したがって政府は少なくとも、名寄せ、仮名、無記名預貯金の廃止等の徴税技術面の整備を図るべきであるのに、それすら全く努力しないことははなはだ違憾であります。 第三は、政府が法人関係税について微調整で事足れりとし、抜本的改正の方途すら明確にしてないことであります。 政府は、法人関係の租税特別措置について五十一年以来、その縮減合理化に努力したと自賛しておりますが、その内容はきわめて糊塗的なものであり、決して適正化されたとは言いがたいものであります。 たとえば今回の貸倒引当金の縮小を見ても、税務資料に基づく実際の貸倒発生率と引当率を比較すると、いずれの業種も実際の貸し倒れの三倍から五倍の引当金を認めていることが明らかであります。 また、租税特別措置を初め法人に対する課税については、経済情勢の変化や財政状況に対応し、退職給与引当金の縮小、法人擬制説の見直しなど、その適正化が強く要求されているのであります。にもかかわらず、その方途すら明確にしないことはとうてい納得できないのであります。 第四は、いわゆる医師優遇税制と言われる社会保険診療報酬の課税の特例の改正が、国民の医療制度に対する不安感や税の不公平感を解消するものになっていないことであります。 政府が二十五年越しの懸案に着手したことは認めるとしても、この問題は国民の生命と健康にかかわることからも、歳出の医療費、診療報酬の適正化などを含む総合的観点から、その整合性ある改革を図る必要があります。 その意味から少なくとも、改正案に期限をつけるなど政府の姿勢を示すべきであります。しかしそれを拒否する政府の態度は、国民感情をいたずらに悪化させるものと言わざるを得ないのであります。 第五は、今回の改正案がインフレ助長と社会的不公正の拡大の誘因になるおそれがあることであります。 すなわち、土地税制の緩和は、優良宅地供給に対する認識が甘く、税制改正の本旨に欠けているものであり、また、有価証券の譲渡に対する課税強化も、原則非課税の枠を超えるものではありません。このように、いわゆる不労所得に対する優遇税制を拡大したり野放しにすることは、認めがたいのであります。 以上、申し述べました理由により、租税特別措置法の一部改正に反対し、私の討論を終わります。(拍手)
○加藤委員長 高橋高望君。
○高橋委員 私は、民社党を代表して、今回提案されました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。 十分に知られておりますように、租税特別措置は、時の政権担当者がみずから掲げる政策の徹底を図るため、いわば特権として行うものであり、その内容も深度も政権担当者の意思によって定められるものであります。 しかし、そうであればあるほど、これが実行されることによって起こる問題も十分に考慮されねばならず、何をおいても税の公平な徴収が損なわれることをまず考えねばなりません。租税特別措置はまさに不公平税制の原点であると覚悟することであります。したがって租税特別措置は、まずこれを実施するに当たって、不公平税制の拡大のおそれを絶えず考え、国民全体に対し納得させ、少なくともある期間これを認めさせる十分な根回しが絶えず必要になってまいります。いわんや政争取引の材料となるようなことは断固として避けねばなりません。 特に今回の対象となる年度は、極端な財政バランスの失調の中で、その修復の対策として増税路線を意図しているという異常な事態の中で、多くの国民が不公平税制の是正を叫んでおり、この是正なくしては新税構想は着想すら不可解であるとしておりますので、政府は、従来とは異なったみずからに厳しい姿勢をもって、租税特別措置を見直し、改廃する必要があります。 この点について、発表された案は、基本理解の甘さが余りにも目立ち、容認しがたいものであります。小手先の対策に終始し、その場限りの一時しのぎのみ目立ち、いままでに比べて前進したとの姿勢のみ強調しておりますが、その基準点であるいままでと言われる内容の本質こそ検討されるべきで、土地税制、キャピタルゲイン課税、医師税制等々、国民感情を無視したものと言わざるを得ません。医師税制については医師も国民も不満足であり、土地税制については、土地価格の騰貴を生ぜしめる危険性の除去に十分な配慮が行われたか、また、キャピタルゲイン課税が今回程度で不労所得の評価をぬぐい得たか、どれ一つとってもすべて不満足なものであります。 一方、新設対象としての転換投資減税については、もっと大胆に行うべきで、国民生活の長期安定を図るにしては余りにも内輪過ぎて、本来の姿勢を十分に国民に示し得たとは思えません。 以上、すべてについて小出しであり、小手先の対策であり、わが党としては本案に対し反対するものであると申し上げて、討論を終わります。(拍手)
○加藤委員長 安田純治君。
○安田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、本案に反対の討論をいたします。 第一に、本改正案は、個別的景気対策と称し、主として大企業、大資産家救済となる不公平税制を拡大していることであります。 その一つは、本年度実施の投資減税を受け継いだ産業転換投資促進税制の創設であります。 政府は、不況業種の事業転換促進と雇用対策に資するとしております。しかし現下の情勢は、一部の業種を除き、特定不況企業の経営状態は好転しており、特安法やこの投資減税の必要性すら疑問になってきているのであります。しかるに政府は、過剰投資、過剰蓄積など経済の危機的事態を引き起こしたみずからの責任を問うことなく、特定不況大企業の進める設備処理、人減らし合理化、関連中小企業への一方的しわ寄せを是認し、援助さえしているのであります。 今回の制度は、これらの大企業に対し、税額控除という最も恩典の高い措置を新たに与えるものにほかなりません。 またこの措置は、赤字で苦しむ多くの企業にはメリットがなく、むしろ好況企業ほど適用のメリットがあるものとなり、結果として企業間格差を広げ、不公平をますます拡大するものであります。 その二つは、宅地供給の促進を名目とした土地住宅税制の緩和であります。 今回の措置が果たして庶民の宅地供給の促進に資するかどうか大いに疑問であることは、本委員会の質疑でも指摘されたところであります。また、大口譲渡に係る高額所得者の実質税負担をさらに押し下げ、税の不公平を拡大するものであります。これは資産課税強化の政府の方向にも逆行するものであります。持ち家政策をあおる一方で、今年度に続いて来年度もとられる土地税制緩和は、現在の地価高騰にさらに輪をかけること必至であります。 結局今改正は、国民の望む住宅と地価安定に役立つものではなく、逆に土地保有者や不動産企業の救済だけの措置と言わなければなりません。 第二に、大企業、大資産家優遇税制の是正は、若干の手直しにすぎず、合理的なものではない点についてであります。 政府は、今回の是正は従来にないものだと述べております。しかし、価格変動準備金の長期存続、交際費課税の損金不算入制度の温存、実績に見合わない貸倒引当金、原則非課税のキャピタルゲイン課税などでは、税の公平は全く確保されるものではありません。 次に、社会保険診療報酬課税の特例については、若干の手直しがなされるとはいえ、医療制度や税制度を国民本位に改革していく展望と結びつかず、不合理な点を残したままの措置であります。 医業にふさわしい税制は、一、実額控除方式に改めること。二、医業所得を医師個人の取り分と病院、診療所の経営に充てられるものに区分し、医師個人の所得については一般勤労国民と同様に扱うこと。三、経営に充てられる所得には、医療の公共性の保障と地域保健医療の拡充、発展の立場から一定の軽減措置をとるべきであります。さらに、開業医の法人規制の緩和、つまり一人法人化を認めることなど、医療税制全体についても合理的な改善が必要であります。 最後に、来年度税制改正案は、国民に対しては二年続きの所得減税見送り、ガソリン、たばこの値上げなどで一兆円を超す税負担を強化する一方、不公平税制の是正は、初年度千七百八十億円と額においても全く不十分なものであります。また内容においても、高度成長時代の遺物ともいうべき大企業、大資産家向けの特権的減免税、とりわけ所得税、法人税の本法及び租特法の基本的部分にはほとんどメスが入れられていないきわめて不徹底なものであります。 以上の点を申し述べ、本改正案に反対の討論といたします。(拍手)
○加藤委員長 伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 私は、新自由クラブを代表して、本法律案に対し反対の討論をするものであります。 わが国の財政事情は、きわめて逼迫し、近い将来それが好転する見通しは立っておりません。このような事情をわれわれもよく認識をしているため、来年度予算編成に臨んで、五十四年度予算政府原案に対し、減額修正の方向で検討することを要求してまいりました。 その要求を改めて要約するならば、行政機構の抜本改正と補助金の根本的な見直しによる歳出の削減と、不公平税制の是正による歳入増であります。 行政機構の改革については、まず隗より始めよの格言どおり、まず国会議員の定数削減という立法府の改革から始めるべきことを提唱し、行政改革を実効あらしめるよう主張してまいりました。 また、不公平税制の是正については、租税特別措置法の全面的な見直しの必要を訴えてきました。租税特別措置は、税制度の本質から見て本来認められるべきものではありません。ただし、臨時、特別の政策的配慮から例外的に認められるべきものであります。 かかる観点からわれわれは、社会保険診療報酬課税の特例も、現時点において政策目標を達成しており、それを廃止すべきであると考えてきました。それと同時に、一般国民の中に横溢している税の不公平感を正し、租税に対する国民の理解と協力を得るためにも、医師に対するこの特例措置の全廃を至当なものと考えてきました。 しかるに政府は、このたびの租税特別措置法の一部改正案において、依然医師に関する特例措置を改めることなく、現行制度にわずかな手直しをしただけの改正案を提案をしてきました。これはまた、五十年の政府税調答申の線にまでも達していないものであり、新自由クラブの基本的な考え方からは大きくかけ離れたものであります。 悪化しつつある財政事情を改善するため、政府は五十五年度から一般消費税の導入を積極的に検討しているが、かかる新税を検討しながら、不公平税制の是正に真正面から取り組まず、一時を糊塗することは容認できません。社会保険診療報酬課税の特例措置の是正は、前述の税の基本理念に沿うのみならず、国民に対して真剣な政治姿勢を示す上でも大きな意味があると考えてきました。 かかる新自由クラブの基本的な考え方並びに従前の主張と政治姿勢に照らして、この租税特別措置法の一部を改正する法律案にわれわれは反対を表明するものであります。(拍手)
○加藤委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○加藤委員長 これより採決に入ります。 租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○加藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○加藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、愛知和男君外五名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。愛知和男君。
○愛知委員 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して簡単に御説明申し上げます。 この決議案は、各種準備金、利子配当の分離課税制度及び社会保険診療報酬課税の特例制度等について整理合理化を推進するとともに、土地税制及び揮発油税等の改正に伴い特段の配慮を行い、税務職員の処遇改善等について十分に努力すべきことを政府に要請するものであります。 個々の事項の趣旨につきましては、法案の審査の中で明らかにされておりますので、その説明は、案文の朗読によりかえさせていただきます。 租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、左記の事項について、所要の措置を講ずべきである。 一 価格変動準備金については、その整理期間をさらに短縮するよう検討するとともに、渇水準備金等各種準備金については、政策目的及び政策効果の検討を行い、その整理合理化を一層推進すること。 一 退職給与引当金等各種引当金については、その繰入率、取りくずしの方法等が実情に即するよう適宜見直しを行うこと。 一 法人の受取配当益金不算入制度及び支払配当軽課制度等法人課税の基本的あり方を検討すること。 一 利子配当所得については、昭和五十六年からの総合課税の実施を期するとともに、有価証券譲渡益課税の強化について、今後さらに検討を進めること。 一 社会保険診療報酬課税の特例については、社会保険診療報酬の推移、医業のもつ特殊性とその健全経営の確保等を総合的に配意しつつ、合理的な税制のあり方をさらに検討すること。 一 社会福祉充実の見地から、年金に関する課税の合理化を検討すること。 一 今回の土地税制の改正に伴い、地価騰貴の抑制、宅地供給の促進等について、諸施策の公正、かつ、機動的な運営に遺憾なきを期すること。 一 所得・物価水準の推移等に即応し、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減合理化(配偶者控除の適用要件である配偶者の所得限度の引上げ、白色申告者の専従者控除の引上げ等を含む。)に努めるとともに、税負担の公平化を推進すること。 一 医療費控除、雑損控除については、実情に即し適切な配慮をすること。 一 深夜労働に伴う割増賃金、寒冷地手当及び宿日直手当については、一定の非課税限度を設けることの是非について検討すること。 一 揮発油税等の改正に伴い、市町村道の整備の促進について特段の配慮を行うこと。 一 変動する納税環境の下において、複雑、困難で、かつ、高度の専門的知識を要する職務に従事している国税職員について、職員構成の特殊性等従来の経緯及び今後の財政確保の緊急かつ重要性にかんがみ、今後ともその処遇の改善、定員の増加等に一層配慮すること。 以上であります。 何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
○加藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 お諮りいたします。 本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。金子大蔵大臣。
○金子(一)国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意いたしたいと存じます。 —————————————
○加藤委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○加藤委員長 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 去る二月二十二日理事坂口力君が、また三月一日理事竹本孫一君が委員を辞任されましたので、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議なしと認めます。それでは 坂口 力君 及び 竹本 孫一君を理事に指名いたします。 次回は、明七日水曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後九時四十四分散会