大蔵委員会 第8号
- 発言数
- 367 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1979/03/02
会議録
○加藤委員長 これより会議を開きます。 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島弘君。
○大島委員 租税特別措置法の一部改正法案につきまして、過般来いろいろな点から質疑が交わされておりますので、私きょうは別の角度からこの問題を取り上げてみたいと存じております。 大臣、二点だけ税務執行面のことにつきましてちょっと御意見を承りたいのです。 最近大法人の修正申告あるいは更正というようなことがたびたび行われておりまして、特に住友商事とか日商岩井という両商社なんかは、過去何回も修正、場合によっては更正処分も受けているということでございます。しかも重加算税も取られている。過少申告税も取られている。こういうふうなことで、税務執行の今後の問題点としてどういうふうにお考えになられますでしょうか。 それともう一点、更正決定の期間は現在三年、詐偽をすれば五年、こう通則法に書かれておるのです。一般の民事債権消滅時効が十年という立場から見ると少し短過ぎやしないかということで、たとえば一般の民事債権十年と比べていまの三年、五年を五年、七年とする、あるいは国と納税者との債権関係を早く打ち切るという趣旨であるならば三年は三年として、詐偽、不正のある場合は七年にするというふうな更正決定の期間延長ということについて、大臣はどういうふうにお考えになっているのか。これまた後ほど主税局とこの問題を詰めてみたいと思いますが、まず最初大臣から、いまの大商社の脱税、この問題に対しての今後の税務、徴税方針とそれからいまの更正決定の期間延長とこの二点だけお答えいただければ結構です。
○金子(一)国務大臣 前段の大商社の調査の問題でございますが、何分にも税務職員が十分じゃないので、何年に一遍というようなことで循環的に調査をやるような方式で従来調査を進めてまいったのでございますけれども、特に問題のあるような商社につきましては、やはり国税局が中心となって重点的に調査を充実させていくことがもう絶対に必要だと私は考えております。また国税庁当局もさような立場でやってくれていると考えております。 それから第二点の三年の更正期間では短過ぎるじゃないかという点でございますが、これはそういう考え方もございますが、とにかく数多くの納税者のある程度の調査をやっての更正でございますから、やはり三年ぐらいで課税の安定を考えたらいいのじゃないかということでいま三年でやっているのですけれども、問題のあるものは五年前にさかのぼって更正をすることができることになっておりますから、とりあえず私どもが現在の制度でしっかり調査を充実していけば、不公正は片づけられるのじゃないかと考えておる次第でございます。
○大島委員 そうしますと大臣は、更正決定の期間延長については否定的なお考えですか。
○金子(一)国務大臣 これをすぐ七年、十年まで延長するということはどうかなという感じを持っておるのでございますが、御意見もございますので、この点は十分主税当局に検討させます。
○大島委員 大臣、結構でございます。質疑の本論に入る前に、国税庁がいらっしゃいましたら、いまの問題をちょっと詳しく聞きたいと思うのでございます。 住友商事及び日商岩井の両社の過去の確定申告あるいは修正申告の状況を簡単に説明していただけますか。
○磯邊政府委員 住友商事、日商岩井につきまして昭和四十八年三月期からの状況を申し上げますと、四十八年三月期から五十年三月期はこの当時半期決算でございますから、年二回の決算期を持っております。その後五十三年の三月期までは年一回の決算になりますので三事業年度を持っておる。合計して八事業年度になるわけでありますが、この八事業年度の間におきまして修正申告を提出いたしました事業年度は、住友商事、日商岩井とも十回であります。それから当初の申告額と修正申告額との増差でありますが、この五年間におきまして、住友商事は四十八億三千七百万円、日商岩井は六十三億四千一百万円というふうになっております。
○大島委員 このような典型的な大企業がなぜこのように再三にわたって修正申告を提出したのですか。過去十回にも及んでいるということは非常に異常だと思うのですが、なぜでございますか。
○磯邊政府委員 御承知のように、法人が修正申告を提出いたします場合は、一つには確定申告書の提出後みずからその申告漏れを把握して自主的に修正申告を提出する場合と、それから国税当局の実地調査によりまして、その結果に基づきまして法人が修正申告を提出する場合と、二通りの方法があるわけでございます。 その場合にまず最初の自主的に修正申告を提出いたします場合というのは、たとえば本来当該事業年度の損益に帰属する事項でありながら、事務処理が遅延したりあるいは損益の帰属がまだ不確定であった、それからたとえば商社等におきましては、海外支店からの関係伝票がまだ未到着であったというふうなことで、当初の確定申告の際にはまだはっきりしていなかったものが、確定申告後にはっきりしたためにこれをみずから修正申告するという、いわば技術的な面の修正申告であります。それから二番目の調査による修正申告と申しますのは、実際に国税当局が税務調査いたしまして、その結果申告漏れがあったといったような場合、国税局の指摘に応じましてそれをみずから修正申告する、そういうふうな二つの例があるわけでございます。 それで、この住友商事、それから日商岩井の場合、このときにはどちらかと言えば、ただいま申した方法のうちで、むしろ税務調査の結果更正処分を受けるというよりは、税務調査を受けてその結果所得計算上の非違が発見された場合には、自分の方でそれを修正申告をしていくというような方法をとっている例が多いわけでありまして、それからさらにまた、こういった大法人におきましては、一つの行為というものが長年にわたっておりますので、したがって一つの事業年度を調査いたしました場合にそういった非違が発見されたときには、かなり過去にさかのぼってその修正申告を求めるというふうなケースもあるわけであります。したがって、一事業年度において二度あるいは三度の修正申告をするといったような例が出てきたわけでございます。
○大島委員 いまの御説明によりますと、日商岩井、住友商事の昭和四十八年三月期から昭和五十三年三月期までの当初申告額と修正申告額、これは最終分ですが、この合計の差額が、住商では四十八億三千七百万円、日商岩井では六十三億四千百万円、こういう御説明ですが、この差額の内容を御説明できますか。
○磯邊政府委員 それぞれの個別の法人の内容でありますので、余り詳しく申し上げるのもできるだけお許し願いたいと思いますけれども、先ほど申しましたように、一般的に技術的な所得の漏れというものを自分で修正する修正申告と、それからそのほか税務の調査の結果によって、仮装もしくは隠蔽によって所得を過少に申告しておったというようなもの、それから税務上の取り扱いを誤っていたもの、あるいは期間損益事項、あるいは単なる計算の誤りと、いろいろな問題があるわけでありますが、ただその中で申しますと、たとえば重加算税を課税されたような例といたしましては、木材輸入に際して輸入の原価の一部を水増しして架空原価を計上していた事例であるとか、あるいはいわゆるボーイング社関係の五十五万ドルの使途不明金の事例であるとか、あるいはこれに類するものとして架空の支払い手数料を計上していた、こういった例が見つけられるわけでございまして、そういった例に対しましては、重加算税を課税して税務処理を行っているということでございます。
○大島委員 木材の輸入の原価の水増しによる架空原価の計上とか、あるいはボーイング社関係の五十五万ドル、この五十五万ドルの件、これは何年ごろですか。
○磯邊政府委員 木材の仕入れによる架空原価計上でありますが、これは四十八年三月期であります。それから、ボーイングの五十五万ドルの件につきましては五十一年三月期であります。
○大島委員 ボーイング社の五十五万ドルは使途不明金として計上したのですか、それともその調査の結果、この五十五万ドルの使途がある程度わかりましたか。
○磯邊政府委員 この五十五万ドルの件につきましては、私たちも使途を追及して調査したわけでありますけれども、まさにこの五十五万ドルの大部分というのが、海外のもろもろの工事の受注のために海外において使用されたというふうなことでありまして、日商岩井側としてもその説明を当局にしたわけでありますが、ただ私たちとしては、それが明らかにそういった方法で使われたということを確信するだけの材料の提出がなかったわけでございますので、これを使途不明金として処理して重加算税を課したということでございます。
○大島委員 こういう大商社が架空原価を計上したりあるいは使途不明金として多額の金額をこういう経理処理するということは、中小企業ならともかく、大企業としては常識的に見てどういうふうにお考えになられますか。また、今後こういうことについて国税庁は基本的にどういうふうに処理されていかれる決意ですか。
○磯邊政府委員 一般的に大企業、中小企業を問わず、税務上の非違が発見される、あるいは不誠実な申告をするということは大変困ったことであると思っておるわけでありますが、特にこういった大企業というのは、日本の経済をリードする企業でありますし、それからまた対外的に見ましても日本を代表する企業であります。そういった意味で、こういった大企業の税務上におけるビヘービアというものがどうであるかということは、一般の納税思想に非常な影響を及ぼすわけでありまして、それだけに私たちはこの大企業がそういった税務上の問題を起こすということに対しては、きわめて遺憾に思っておるところであります。 それでこれに対しましては、大企業についての連年の実地調査をやるというふうなことで調査の充実に努めておるわけでありますけれども、同時に、こういった大企業の経営者自身が基本的に考え方を改めてもらいまして、いやしくも税務上の非違があるといったような決算を絶対に組まないということをやっていただきたいと思うわけでありますが、私たちとしてもそういった意味で、今後の大企業に対する指導を充実していく、それからさらに一段と調査を充実していきまして、今後こういった問題がないように努めてまいりたい、かように考えております。
○大島委員 これは今後の税務執行上の参考として大いに考えていただきたいのですが、いまから二十年ぐらい前までは、こういう大企業は重加算税を取られるということに対しては非常に恥辱を感じ、何とかして重加算税だけは堪忍してくれというふうなことがたびたびあったようでございますが、現在に至っては重加算税というものはもうあたりまえのことだという感触があるのじゃなかろうかと思うのです。前回質問しました三菱商事しかり、あるいは住商しかり、日商岩井しかり、こういう代表的なものが、重加算税を取られるのはあたりまえだというような感覚でおりました場合に、今後こういうものの後を絶つためには、もう少し強い制裁を課税する必要があるのじゃなかろうか。たとえばいまの輸入原価の水増しで架空原価を計上したなんということは、これはもう明らかにもちろん重加算税の対象でありますし、また場合によっては青色申告の取り消しというところまでいけないこともないと思うのです。そういうことで、もう少し強い態度でやらないと、こういうことは恐らく後を絶たないというふうな感じがするのですが、告発、起訴というところまでいければ、しかしこれは非常にむずかしい問題で、公訴維持の観点もありますしあれでございますけれども、せめて青色申告の取り消しをもって対応するというようなことぐらいはお考えにならないのですか。
○磯邊政府委員 青色申告の取り消しの問題につきましては、かねがね大島先生の御指摘を受けておるところでありますが、私たちも税法の規定に従いまして、青色申告の取り消しができるという規定にまさに該当する場合には、これを総合的に判断いたしまして青色申告の取り消しをするかしないかを決めておるわけでありますが、やはりこういった大企業の場合に、青色申告の取り消しを問擬されるような事態が起こるということそれ自体が非常に大変なことでありますから、私たちはそういったことがないようにかねがね指導というものに努めておるわけであります。 ただ、具体的に青色申告の取り消しをするということは現在、私たちはできるだけ青色申告を育成強化していくといったような基本的な考えでおりますので、実際にその条文の適用に際しては慎重にやっていかなければならないというふうに考えておるわけであります。
○大島委員 こういう大法人の調査は、毎期毎期必ず実地調査をやっておるわけですか。
○磯邊政府委員 いわゆる特別国税調査官の所掌法人とわれわれは言っておりますけれども、大体資本金が百億円を超えるような法人につきましては、毎年相当数の日時を費やして連年の実調をやっておると申しても差し支えないと思います。
○大島委員 いずれにしましても、その税歴簿にもどうせ重加算税課徴ということは載っているんでしょうし、ひとつこういう悪質な商社は徹底的に調査を強めてもらいたいと思います。場合によってはもう青色申告の取り消しも辞さないというぐらいの強い決意でもってやらないと、先ほど言いましたように、重加算税ぐらいではもう慢性になっていると言っても過言ではないと思いますので、この点は十分御検討いただきたいと思います。 なおこれに関連しまして、住商と日商岩井もそうでございますけれども、こういう不正のある場合の五年間という国税通則法の更正決定の期間は短過ぎはしないだろうかと私はいま大臣にもお伺いしたいのですが、後ほど主税局と詰めますが、国税庁の考え方は率直に言っていかがですか。現状の三年、五年でいいと言われるか、それとももう少し延ばして、たとえば五年、七年とする、あるいは悪質な場合だけ七年間にする。一般の民事債権の消滅時効が十年であることから比較して、その程度に延ばした方が、こういう五年たてばもうできないという事例は幾らでもあると思うので、非常に残念な事態が最近特に数多く発生しているわけです。これに対して、恐らく庁としての統一見解というのは無理でしょうから、長官の個人的意見でも結構ですから、最後に更正決定の期間延長の問題について所見をお伺いしたいと存じます。
○磯邊政府委員 税制にわたることですから、私の方から意見を申し上げることは必ずしも適当でないと思うわけでありますけれども、税の執行面から考えますと、御承知のように最近は実調率がきわめて低下しております。もちろん大法人につきましては連年の実調をやっておりますけれども、全般的に申しまして、法人、個人を通じて実調率はきわめて低下してきておる。これを法人で申しますと、大体全法人の八%弱、それから個人につきましては四%弱の実地調査しかできないというふうな状況でありまして、はなはだしきは二十年、三十年に一回しか調査を受ける機会がないといったような事例さえあるわけであります。こういった税の執行の問題だけから考えますと、やはりそういった更正もしくは決定の除斥期間というものが長ければ長いほど、そういった把握漏れが単に時の壁に阻まれて流されてしまうというふうなことがないわけで、やはりそういった除斥期間というのはもう少し長くてもいいんじゃないかなという気がいたしますけれども、しかしこれは単に執行面だけの問題ではなくて、すべてのことを判断の上で決めることであろうかと思いますので、単に私の個人的な考えとして申し上げておるのでありまして、これが大蔵省全体の意見というまでにはまだ至っていないと思っております。
○大島委員 長官、結構です。 次に、税制面で若干お伺いいたしたいと思います。 先ほど申しましたように、当委員会におきましてもう大抵の角度から医師税制とかいろいろ質疑がなされておると思いますので、私はちょっと変わった面から、つまり法人税の本質というような点をお伺いいたしまして、最後に本法改正に関して二、三の問題をお伺いいたしたいと思います。 まず、法人税の基本的仕組みでございますけれども、かつてもこれは非常に問題になっている点でございますけれども、いまの法人税の基本的仕組みというのは一応法人擬制説に立っているということは言えると思うのです。その点は間違いございませんか。あるいはいつごろからこの擬制説が出てきたのかということですが、簡単に説明していただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 法人擬制説に立っておるかという御質問でございますけれども、いまの法人課税の基本的仕組みと申しますのは、これは申し上げるまでもないことでございますけれども、配当に係る法人税と所得税を部分的に調整する方式として配当控除なり配当軽課というような制度、また法人の受取配当益金不算入というような制度を持っております。そういう意味で、それぞれを独立の主体と考えて法人税と所得税を全く調整しないという独立的な主体という考え方はとっておらないということでございます。 この考え方は、二十五年のシャウプ勧告に基づきます法人税の改正以来、制度の中身につきましては改定がございましたけれども、いま申し上げたような法人税と所得税の負担の調整をする方式としては変遷を経ながら一貫してとられてきておるというふうに解しております。
○大島委員 昭和四十三年の税調の法人利潤税仮案ということで、この仮案におきましては、いわゆる法人擬制説じゃなくて、個人株主には配当控除を行わないということが一つ。それから法人株主の受取配当は益金に算入する。ただし親会社のものは別だ。それから株主イコール経営者というような中小法人の場合は、これは分割課税制度を選択してもよろしい。以上のことからしたがって、所得税の税率は引き下げる。それから法人税に係る付加価値税をどうするかという、四十三年にここで初めて付加価値税という言葉が出てきたんだろうと思うのですが、それは別としまして、この法人利潤税仮案というような相当思い切った考えでおもしろい案だと私は思うのですが、これについてはどういうふうに考えられますでしょうか。 配当控除というのができましたのは昭和二十三年の臨時措置であって、その目的は証券の民主化に資するということが配当控除の主な理由であったと記録には出ておるわけです。そういうことで、いま現在となってみればこういう配当控除というものが本当に必要なのかどうかというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。
○高橋(元)政府委員 四十三年七月の長期税制のあり方についての答申の中に、ただいま御指摘もございましたように、税制調査会としては一つの仮案について検討を進めたわけでございます。 仮案の内容はただいまお示しになりましたようなことでございますが、その骨子を繰り返しでございますが申し上げますと、法人の純利潤を課税標準として、一本税率で、つまり配当、留保を区分しないで課税をする。それから中小法人については軽減税率を設けることを検討する。個人株主については配当控除を行わず、法人株主の受取配当は親子会社の配当を除いて益金に算入する。それから株主即経営者であるようなそういう法人につきましては、株主分割課税方式、パートナーシップ課税でございましょうか、そういうものの選択を認めることを検討する、そういうことで仮案を示しまして検討を行ったわけでございますが、大体四点について論議が行われたということでございます。 一つは、法人の純利潤算定に当たって、企業の自己資本充実の見地から、支払配当の損金算入を認めてはどうかというのが第一点。それから受取配当と受取利子の課税上の取り扱いを同一にしていいかどうか。先ほど申し上げたような支払配当の税制上の取り扱いをそれに改めますと、配当と利子が等しい扱いを受けますが、それでよろしいかどうか。第三番目に企業の支払利子と支払配当、社外流出と内部留保、これらの課税上の均衡をめぐって繰り返されている議論に決着をつけるために、付加価値税方式というものを企業課税の方式で採用することについてどう考えるか。それから大法人と中小法人の実態的な差異というものがあるという認識で、企業の規模による担税力の程度に応じた累進税率を設けるべきかどうか、これらの点について議論が行われたわけでございますが、結論としまして、「法人税制のあり方のわが国経済に及ぼす影響が広汎かつ重大であることにかえりみ、いたずらに結論を急ぐことなく、なお十分時間をかけて、基本的仕組みの変更による影響や効果を見きわめたうえで、安定的な税制の基礎を確立するという態度が必要である」という考え方になりまして、仮案について検討を行った結果でございますけれども、成案が得られなかったというのが昭和四十三年の経過でございます。 いずれにしても、現在直ちに法人税と所得税の調整を全く行わない方式、こういうものに移行することにはいろいろと問題が多いというふうに思います。さきの中期答申におきましても、法人税の基本的仕組みを直す場合には、その直したことによって企業の資金調達の形が変わってくる。個人投資家の金融資産選択のあり方が変わってまいる。それから個人企業形態をとった場合と法人企業形態をとった場合と、そういった事業の源泉の形式が法人であるか企業であるかということによって、法人源泉所得と個人源泉所得の税負担のバランスに問題が起こる、重大な影響が及んでくる、そういう重大な影響というものがどういうふうに波及をしていくか、その効果がプラスであるかマイナスであるか。また外国において法人の税制というのは非常に揺れ動いておるわけでございます。現在もまだ変動のうちにあると思いますが、諸外国の動向も考慮しながら時間をかけて検討することが適当だというのが、さきの中期答申の考え方であるわけでございます。私どもももちろん、中期答申の考え方に沿って現在いろいろの角度から検討を進めておるところでございますし、今後も慎重に検討をしていきたいというふうに思います。 もう一つのお尋ねでございます配当の控除の問題でございますが、これは二十三年そういう経緯があったということは承知いたしておりますけれども、これもまた委員よく御案内のとおり、シャウプ勧告に基づきます現在の法人税におきましてはその点は、配当控除はいわば法人と個人の負担の調整の基本的な仕組みという位置づけになって今日に及んでおるというふうに理解いたしております。
○大島委員 四十六年七月の答申では、「法人税の基本的仕組みについては、法人税の性格論に固執することなく、」すなわち擬制説か実在説かというようなことに固執することなく、「法人税制を法人の社会的・経済的実態に適合させるという方向で引き続き検討していくべきである。」こう書いているわけです。 もうすでに御案内のとおりアメリカでは、昔から法人を独立の課税主体として個人所得税との調整を行っていないということ、こういう日本の税法の母法ともいうべきアメリカ自体が、法人を独立の課税主体とみなして個人所得税との調整を行っていないという点から見るならば、四十三年答申を引き続きこういう方向で一遍具体的に検討するということは考えられておらないわけですか。
○高橋(元)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、企業課税のあり方ということにつきましては、それが国民経済に対し基本的な影響を持つということだけに、私どもとしても多角的な角度から検討を進めておりますし、これからも検討していくわけでございます。ただ四十六年の答申以来、いわゆる擬制説かいわゆる独立説か実在説か、そういう法理的な法人についての議論というものを基礎として、税のあり方というものをそれから演繹してつくり出すということは、必ずしも全面的に妥当するということではないであろう。法人企業なりその資本調達なりその利潤の配分なり、ひいては個人における負担の権衡なり資金の調達形態なりということが、いわば経済の基本にかかわることでございますから、それは一つの経済的な効果論と申しますか、それから課税の公平論また資源の効率論、それから企業の内部蓄積論、いろいろな角度から、それぞれ課税形式の変更によってどういう影響が及ぶかということまでも検討しなければならないというふうに存じます。過日、この委員会でお取り上げになりました日本経済調査会の長期税制のあり方という論文の中でも、法人企業のあり方についてそういう角度からいろいろな検討が行われておる各論の部分があったというふうに私は承知いたしておりますし、これにつきましても非常に示唆に富む意見ではございますが、そういうものを踏まえて検討していきたいというふうに思います。 アメリカが実在説と申しますか独立説をとっておるのは事実でありますけれども、ヨーロッパ諸国の法人企業に関する税制というものは、先ほども申し上げましたように、非常に変動しながら大局的な傾向として、やはりインピュテーション方式というものの方にまとまって来つつあるようにも思います。資本移動ということを考えますと、独立説、擬制説ということだけで法人課税のあり方を一概に律することはむずかしい問題を含むのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○大島委員 私たちなぜこれほど法人実在説に固執するかといいますと、もしこの基本的理論に立つならば、わが党がかねがね主張しておる法人の累進課税も可能であるというところからこういう質問をしておるわけです。 そこでお伺いしたいのですが、仮に法人税に実在説として累進課税をとることはどういうふうに考えられますか。所得税と同じく累進課税をとっていくということについてはどういうふうに考えておるか。これは非常におかしいですか。
○高橋(元)政府委員 累進課税ということは最も所得税になじむ制度でございましょうし、所得税の累進制度というものは今世紀になりましてから、ほぼ国際的に確立しておるというふうに思われるわけでございますが、法人に対して累進課税を課しておる国というものは、少なくとも先進国では見当らないわけでございます。ベネズエラとかカタールとかメキシコとか、そういうところで適用しておる事例があるという報告を私ども承知いたしておりますけれども、しかしながら現実に法人に累進課税をかけておる国がないということも一つの事実でございます。どうして累進課税を導入するのがむずかしいかということにつきまして、私どもが税制調査会でも御議論を経て現在まで持っております論拠というのが、およそ四つあると思います。 一つは、いわゆる限界原理と申しますか効用逓減と申しますかそういうことが、個人の場合には所得の額がふえてまいればその所得の消費によって得られる効用というのは逓減をいたしていくということでございますが、法人の場合にはそういう効用逓減という関係がないのではないかというのが一つ。二つ目に、所得税が累進課税を国際的なルールとしておることは、所得再分配ということであろうかと思いますが、所得再分配という概念が個人の場合には妥当するとしても、法人について妥当するというふうに考えることはできないということであります。三つ目が、先ほど申し上げた先進工業国で累進税率をとっている国はないということであります。四つ目に、累進税率を課した場合、たとえば企業分割によって容易に税負担を免れることができる、そこが問題ではないか、そこまで産業構造に対して非中立的な税制というものを設けるのは妥当であるかどうか、むしろ問題ではないかということ。さらに、いわば一種のスケールメリットといいますか技術的なスケールメリットというものがありますので、技術的なスケールメリットが大きい場合には資本装備も大きいし、得てくる所得の絶対額も大きい、そういうものに対して累進税率を適用することは、これまた産業のあるいは経済の中立に対して阻害になるのではないか。およそそのような理由で、法人税について累進税率をとることを妥当というふうに私どもは考えておらないわけでございます。
○大島委員 しかし、たとえば一橋大学の井藤半弥教授、お亡くなりになられたのですが、こういう財政の大家ですら、四十一年十月二十一日の税調長期税制中間報告にいわく、肉体を持つ存在ではないから、つまり累進税率によってその所得の限界効用を等しくしようという要請が法人にはないから。しかし、それ以外の面で個人と同じく私経済としての効用が問題になる。これですよ。私は法人実在説として累進税をかけても少しも不合理とは考えない。こういうことを井藤教授がつとに述べておられるし、それから歴史的にも日本は大正までは累進課税であったというふうに聞いているのですが、いかがですか。
○林(義)政府委員 私からお答えしますが、大島先生もそうですが、私も井藤先生の財政学をかつて学んだことのある生徒であります。井藤先生の御説もありますが、やはり法人税というのはいま主税局長から御説明しましたように、経済の実態に合ってやらなければならない。一つには、日本の成長ということになりますと、技術革新その他のもので相当なものが要るということがある。それからもう一つは、累進課税をとりますと法人の数を非常にたくさんにしてしまう。大きな会社を税を免れるために小さくして分割してしまうということも可能である。そういった点からして実際問題としてなかなかできないのではないだろうか、それが先ほど局長から答弁したことだろうと思うのです。 今後の日本は一体どういうふうな形でいくかということになりますと、やはり技術革新その他の問題は相当に重点を置いて考えていかなければ、日本経済はやっていけないだろうと思うのです。技術革新ということになりますと、ある程度まで相当の資本を持っているところであるとかなんとかいうことが必要だと考えられますし、そうした点からも私はいろいろな点、先ほど四点ほど挙げましたけれども、そういったものも含めてこれから長期的に検討していくべき課題だろうというふうに考えております。 あともう一つ、戦前にはそうであったかということにつきましては、事実のことでございますから局長の方から答弁させます。
○高橋(元)政府委員 詳細な資料をいま手元に持ち合わせておりませんが、私がいま見ております資料では、明治以来法人に課せられる利子配当の受け取り分につきましては、比例税で課せられておるというふうに承知しております。
○大島委員 私はたしか日本では、大正末期までは法人税に累進税率をとっていたというふうに記憶しておるのですが、もう一度よく調べていただけませんか、これは大事なことですから。 それから、政務次官にお伺いしたいのですが、いまの御答弁で、企業分割とかいろいろありますけれども、そんなことは現実の問題としてなかなかやり得るものではないと思うのです。それよりもたとえば株主イコール経営者というような中小法人と新日鉄というような法人を比べてみた場合、新日鉄が個人の集まりだという感触を素直に持てるでしょうか。社会に実在している法人なのだ。八百屋さんやお魚屋さんの株式会社と違って、新日鉄や川重とかいうようなものがある、これは明らに法人実在説だ。これは別に理論ではないとしましても、素直な感触としてそういうふうに思われませんですか。
○林(義)政府委員 素直な感じとしてということでございましたら先生のおっしゃるようなことがあると思うのです。そういった感じからコルムの学説などというのも出てきているのだろうと私は思うのです。しかし現実の問題として、税をどこで取っていくかということになりますと、やはり免れて恥なきというようなことは避けなければならないし、そうした点でいろいろな技術的な問題を考えていかなければならない、それが税の一つの仕組みの問題だろうと思います。そういったことを私は申し上げておるわけでございまして、そういう点も含めましてやっていかなければならない。新日鉄と小さな法人は全然違うのではないか、それは確かに違うと私は思います。その問題を、非常に違うからというところがありますが、いわゆる近くなったところの問題あるいは先ほど申しましたような諸問題、そういうものを考えると、どこで線を引くかというのも非常に問題になると思いますから、そういった問題も含めて私は今後検討していくべき問題だろうというふうに考えております。
○大島委員 それでは主税局にお願いしたいのですが、いまの歴史的に大正までは日本の法人税は累進税率であったかどうかということをもう少しよく調べてください。 それから、いま政務次官がおっしゃられましたアメリカのコルムの法人税の新しい理論ですが、要するにこれは、公開会社と非公開会社に分ける。公開会社には一応法人実在的なものでいき、非公開会社には配当選択でいくという案だと思うのですが、この案も私は非常に実情に即した案だと思いますので、この二つの御検討を十分していただきたいと思うわけです。もっとも公開と非公開に分けるということは、たとえばサントリーなどというのは非公開ですから、これはちょっとまた問題があろうかと思いますが、先ほど言いましたように株主すなわち経営者というような会社とそれ以外の会社、こういうふうに区別してできないものであろうかどうかということをひとつお願いしたいと思うのです。 昭和二十五年のシャウプ税制以来、もう法人擬制説ということで固まってしまったら、しかもそれがヨーロッパ方向に傾いていってしまっているということになりますと進歩はないと思うので、先ほど言いましたように、四十六年の税調の答申におきましても、法人の性格にとらわれることなく、社会的、経済的実態に適合すべく検討すべきであるということを述べておるのですから、この点を十分検討していただき、また他日当委員会で御説明を聞きたいと思いまして、この問題は一応これで終わります。 ちょっと参考に。いまのに関連しまして、日本の法人税率は主要国と比べて高いですか低いですか。 〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕
○高橋(元)政府委員 法人税率と申します場合に、国税の法人税率だけで比較いたしますのは問題があろうかと思います。地方税たる法人所得課税、また、ほとんどの場合原則として所得を課税標準とする事業税というものもございますから、それらを合わせましたいわゆる実効税率というので比べるのが相当であろうと思います。それで申し上げますと、日本の場合には四九・四七%、これは配当性向三〇%という前提ではじいております。それがアメリカの場合には五〇・八六、イギリスが五二ちょうど、西ドイツが五六・五二、フランスが五〇ジャストということでございますから、五十二年の中期答申でも申しておりますように、ほぼ等しいけれども若干低いというのが現状かと思います。
○大島委員 だから、いま問題になっております一般消費税の導入などという大きな問題もありますけれども、その前に、いまのように法人税も諸外国に比べて若干低いということは事実なんですから、まずこういうものの改正に向かっていく、あるいは場合によっては比例税率をもう少しやるとか、あるいは場合によっては超過累進税率だって不可能とは言えないと思う。そういう点で御検討いただきたいと思うのです。 次に、プレミアム課税のことについてお伺いしたいのですが、要するにこれは、昭和二十五年に至って資本と見られるということになりまして、いわゆる資本か利益かという問題に一応終止符を打たれたような形になっているわけですが、その前にちょっと、プレミアム課税の現状はどうなっているのですか、簡単に説明していただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 法人税は、法人の稼得した所得に対して課税するということでございますから、株主が拠出した資本に対しては課税しないということがたてまえでございます。 そこで、時価発行に伴うプレミアムというものにつきましても、株主の拠出した資本であるということが商法の二百八十八条の二に規定されておりまして、プレミアムは資本準備金として積み立てることが強制されております。その使途につきましても、利益準備金を取り崩してその後に欠損の補てんに充てるという場合以外は取り崩せないということでございますから、株主からの資本の拠出について課税しないという先ほど申し上げた法人税の基本的な考えによって、わが国の現状では投資のプレミアムに対して課税をいたしておりません。
○大島委員 プレミアム課税に対して恐らく当大蔵委員において取り上げられた問題の一番最初に、「昭和四十八年に、国会において時価発行に対するプレミアムに対して課税すべきかどうかが問題となった。これは、必ずしも、プレミアムに対して課税すべきであることを直接主張はしていないが、次のように述べている。」として、昭和四十八年四月四日、大蔵委員会議録第二十二号、ここに広瀬秀吉議員がこういう発言をしているわけです。「資本金の増加額が五百九十億、そして問題なのはプレミアムであります。発行額と額面五十円との差額がプレミアムとして商法上資本準備金ということで処理をされる。」「こういうようなプレミアムが、いわゆる大法人筋あるいは大商社等の過剰流動性の——四千八十九億ですから相当なものであります。」「これに対して、なるほどこれは今日の商法のたてまえ、そしてまた税法上のたてまえも、資本取引というものについて課税の対象にはしないというのが原則になっておりますしするのですけれども、これを課税の対象にしてならないということで、私どもはこれだけのものに対して指をくわえて見ているだけだ。あるいはうまいことをやったなということで庶民大衆は見ておるわけであります。」こういうふうに広瀬秀吉議員がかつてこの問題を四十八年に取り上げているわけですが、税法は必ずしも企業会計原則や商法に引きずられるということは私はないと思う。現にこのプレミアム課税は、古い話ですけれども、戦前はこれは課税されておった。また、これは明治の終わりですけれども、判例にも、当然これは益金を構成するという判例があるわけです。それで、これも昭和二十五年になって、いや資本取引だからということで、発行に要した費用も控除せずにそのままずばり非課税になっているということは非常におかしいと思うのですが、証券局として、大体最近の資料でこの時価発行の額はどのぐらいあるかわかりますか。
○宮下説明員 全額が時価発行による増資というかっこうをとりましたのは四十四年からでございますが、最近を見ますと、五十二年度の実績では、七千九十五億円の増資払い込みに対しましてプレミアムは四千三百一億円、それから五十三年四月から五十四年一月、一番最近でございますが、ここでは、七千四十二億円の増資払い込みに対しましてプレミアムは四千五百九十三億円となっております。
○大島委員 私のいただいた資料では、過去最高が昭和四十七年で、プレミアムは約八千七十八億、それからずっと下がりまして、これは不況の関係だと思うのですが、五十年、五十一年、五十二年、大体四千億程度から五千億程度というふうになっているわけです。これに対して課税するということは相当な税収になると思うのですが、なぜ資本準備金だということだけで課税されないわけなんですか。先ほど言いましたように、一般消費税の問題にしても何にしても、まずこういうものを取り上げて、どうしても課税できないというのなら話は別ですけれども、戦前は課税しておったのだし、また判例でもこれは当然益金を構成する、こう言っているわけですから、こういうものに対してどういうふうに考えられますか。 これは本当に、先ほどの広瀬委員じゃないですが、庶民は指をくわえて見ているということは私は事実だろうと思うのです。これだけの大きなプレミアムがあって、それが全然課税されないということは、確かに庶民大衆はうらやましいと思っているに違いないわけです。しかも永大産業にしましても、あるいは最近倒産しましたパシフィック株式会社にしましても、全部この時価発行の甘い汁を吸って倒産した会社だと思うのです、それが原因かどうかこれは別ですけれども。そういうことで、これは本当にこのまま指をくわえて見ておるということは、主税局としてはどういうふうにお考えになられますですか。
○高橋(元)政府委員 いま委員からお話のございましたように、昭和十八年の改正前は全額益金算入でございました。しかし、それはそれなりの理由があるわけでございまして、十八年の改正前は、額面超過金はすべて課税ということでございましたけれども、商法上法定準備金が一定限度に達した後は額面超過金の自由処分というのができた、それで額面超過金を利益と解する説が商法学説としても有力であったということでございます。その後制度の変更を経まして、額面超過金の二分の一を一定の設備拡張に充てた場合には益金に算入しないというような制度にし、それから一般的に二分の一は益金に算入をしないという制度にし、二十五年の改正以後全額益金不算入ということにしておるわけでございます。 先ほどもお答え申し上げましたように、現在の商法は、額面超過金、つまり増資のプレミアムを全部資本準備金と解してこれを資本勘定としてキープする、その使用についても厳格な制限を置いておるということでございまして、株主から会社に対して行う資本取引であるということは法律上また企業会計上確立しておる、それは二十五年の商法改正以後確立しておるというふうに思います。 そういうふうになっておりまして、資本勘定に課税するという考え方をとらない限り、プレミアムに対する課税というものはできないというのが私どもの現在の考えでございます。
○大島委員 戦前には額面超過金は全部益金に算入している、あるいは一時はそのうち五〇%を益金に算入しているといういろいろのケースがあったのですから、いまとなってこれはもう課税しないということ自体は私は考えるべきではなかろう、仮に課税しなくても何らかの特別税というような形でこれを取れないものかということなんです。その辺はいかがですか。
○高橋(元)政府委員 法人税法は、商法に基づきまして性格づけられておる株式会社ないしその他の営利会社、それからそれ以外の法人というものを、その人格付与の基礎法に即してそれぞれが企業計算をやり、それぞれが利益を算出する、その場合に公正妥当な会計慣行によってやる、そういうことを前提としての課税を行うということでございます。 ただいま沿革を引いてプレミアムについて何らかの課税をしてはどうかというお話がございましたけれども、払い込み剰余金、額面超過金、こういったようなものが持っておりますところの会社の資本としての営みというものが全体の経済に与える影響というものもこれまたあるわけでございます。効果というものを持っておるわけでございます。フローであります所得についての課税とそういう額面超過金、払い込み剰余金といった自己資本に対する課税ということの持っておる意味というのはかなり変わってこようかというふうに思っておるわけで、したがいまして、非常に広義の払い込み資本全般について課税するというような広がりの中でとらえるのでない限り、所得課税を広げていって拡張としてプレミアムに対する課税ということを行うことは、冒頭申し上げましたように、法人を構成する基礎的な法規ないしそれに基づく取引の実態というものを考慮いたしますと、非常にむずかしいのではないかというふうに思うわけであります。法人というのは株主だけで構成されておるものでもなく、法人自体で動いておるわけでもございませんで、顧客、雇用主、被用者、それから債権者すべてとの関係で財産を保持しながら動いていくわけでございますから、そこに利益の計上についても、社会公衆に対して一般的に守るべきルールというのがある、それが商法なり企業会計の原則だというふうに存じております。そういうものを守りながら、法人に対する課税のあり方をどういうふうに構成していくか、これは前の御質問にお答えしたことでございますが、企業課税のあり方一般の問題として私どもは現在総合的に勉強をしていきたいとは思っております。
○大島委員 それであるならば、逆の方から説明しますが、減資差益なんですが、現在資本金の払い込み以外で資産増加の原因となるべき一切の事実、これが益金だ、そうしたら、減資差益というのは株主の出資金の返還請求権の放棄の利益、こう見るんですからね、これすら現在非課税になっていますね、これは私はいまのプレミアムと逆の立場で非常におかしいと思うのですが、その点はいかがですか。
○高橋(元)政府委員 減資差益は、資本の減少により減少した資本の金額が株式の消却や払い戻しのために要した額を超える場合にはその超える部分の金額、これは申し上げるまでもないと思います。それが資本修正の結果生じたものでありますので、商法上は増資プレミアムと同様にその全額を資本準備金として積み立てるということが強制されております。商法の二百八十八条ノ二という規定でいま申し上げたようなことになっておるわけでございます。資本の払い込みや資本の返還のような資本取引とそれから生じた剰余というものを事業活動から生じた利益と厳格に区分してやるという考え方、これは商法でも企業会計でも確立された考え方であろうと思います。先ほどお答え申し上げたと同じことになりますが、税法上もそういう商法なり企業会計の基本的なルールと整合性のある取り扱いをすることが相当であろうというのが私どもの考えでございます。
○大島委員 しかしいまの減資差益だって、昭和二十五年までは通常の損益として課税されておったわけですね。これは二十五年になってから非課税になったということです。のみならず減資差益は、先ほどもプレミアムにもありましたように、これも昭和の二年に行政裁判所の判例があって、これは当然益金を構成するというふうになっていた。ずっと伝統を重んずる主税局が、戦前からやったものを急に二十五年になって一挙に廃止して、これは資本だから利益じゃないというふうに割り切って果たしていいものでしょうか。 特に所得税の場合は所得の種類が営業所得、農業所得いろいろありますね。法人はそれはないわけです。すべて一年間あるいは半年間の期間で純資産増加の原因となるべき一切の事実だ、減少となるべき一切の事実だ、その差額が法人税だ。所得税のように分類の細目がありませんので、こういうのは明らかに法人の利益であることは間違いないわけですね。減資差益あるいはプレミアム、法人の利益を形成するものは明らかだと思うのですが、それをなぜ資本準備金にこだわるわけですか。
○高橋(元)政府委員 昭和二十五年に商法が改正されまして、先ほど申し上げたことですが、法定準備金の限度に達した後の額面超過金というものの扱いが変わりまして資本準備金ということになったわけでございます。したがって、商法改正によって会社の計算と申しますか、それの基本原則が変わった。したがいまして、沿革を重んずるという仰せがございましたけれども、これまた商法で規定しております会社の計算というものを根拠にいたしましてすべての取引、法人内部、法人対外部の取引ができておるわけでございますから、これが非課税であるということにつきましては、二十五年の商法改正によってそれが基本的なルールとして改められたということで御理解いただきたいと思います。 なお付言いたしますれば、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、いずれの国におきましても増資プレミアムは課税をいたさないということになっております。現在の税制ではそうなっております。
○大島委員 商法は別に税法の立場を考慮していないわけですから、商法は商法として商人の帳簿をどう記入するかということを規定しているだけですから、私は税法は必ずしもそれにとらわれる必要はないと思うのです、しかも過去の実績というものがあるわけですから。 いまここでこれ以上論議すると長くなりますから、このプレミアムと減資差益の問題はこれで打ち切りますけれども、ひとつこれも今後の課題として、特に税収の不足という折ですから、思い切った改革でやっていただきたいし、それから後に一般消費税とかいろいろ出てくるべき問題だ、私はそれが順序論だと思うわけです。さっき言いましたように、膨大な五千億とか八千億というようなプレミアムをそのまま非課税にして放任しておくというようなこと、減資差益もしかりですが、こういうことは非常におかしいというふうなことを私は申し上げまして、次の議題に移るわけです。 通則法、更正決定の期間制限、これは、一般の民事時効は十年であるのに、現在原則三年、詐偽、不正の場合は五年。先ほど国税庁長官の個人的意見というものを聞きましたが、実際上国税庁では、非常に切歯扼腕するようなケースが特に最近において目立ってきておるということです。 なるほど考えようによりましては、たとえば五年を七年にするというようなことになりますと、税務署の権限強化ということにもあるいはつながりかねないと思います。しかし、不正がある場合は私は何ら弁明できないと思うのです。したがって最悪の場合には、不正の場合はいまの五年よりもあと二年、場合によっては十年にしてもいいのじゃなかろうかというふうに考えているのですが、これに対して更正決定の期間制限はどう考えられますか。
○高橋(元)政府委員 賦課権につきましての除斥期間でございますが、アメリカの場合、またイギリスの場合、脱税が発見された場合には賦課権についての時効はございませんので無制限ということになっております。ドイツの場合には十年でございます。日本の現行制度が手ぬるい面を持っているのではないかという御指摘でございまして、これにつきましては執行上の観点から先ほど磯邊長官から意見が述べられました。私はこの問題を考えてまいります際に四つ観点があると思うわけでございます。 一つは、法的な安定性というものをどういうふうに尊重するかという観点で、十年、十五年、無期限というふうに法的安定性が確定する期間が長くなるということについての問題点があろうと思います。二つ目が、ただいま申し上げました執行上の観点でございます。実調率が下がってまいる、これは現在の税務職員と経済の伸びの相関関係でございますから、現在かなり実調率が低くなってきておる。そこで、執行上把握できるインターバルというものが長くなってきて、やはり除斥期間もそれに合わせて延ばした方がいいのではないか、税務執行上の公平を保つためにそういう要請があることも事実だと思います。それから三つ目が、公債権の時効期間との関係でございます。明治以来、私債権は十年、公債権は五年という会計法のルールというのできておりまして現在に及んでおりますから、調査権を延ばした場合に公債権の時効期間を延ばすかどうかという問題がございます。それから四つ目に、じゃ商人と申しますか、一般の営利を営んでおります所得者の帳簿の備えつけ、保存ということがどのくらいの期間守られておるか。商法上十年保存すべしということになっておりますけれども、現実には十年保存されてない場合がかなり多いと思います。そういうこととの関係をどう考えるかということでございますが、これは大臣からもお答えいたしましたように、私どもはそういう諸般の観点を考えながら、いますぐ結論を出すということもなかなかむずかしいわけでございますけれども、除斥期間の延長について長期的な課題として勉強をしていきたいと考えておる次第でございます。
○大島委員 いま話がありますように、アメリカでは無期限に更正できるということですし、ヨーロッパ諸国でも大体十年というのが多いということは、やはり詐偽、不正の場合には非常に厳しいという態度でおるわけです。何も税法だけではないのです。アメリカで簡税その他外為法とか—外為法はちょっと別ですけれども、非常に厳しいということですが、日本の税制は少し甘過ぎるのではないかという気がするのです。 それからいま申しましたように、これを七年にやったからといって実調率が低まるとかいうことは私はないと思うのです。たとえば七年やったから、詐偽、不正が出てきた場合に、七年さかのぼって課税できるという権限の留保をこちらが持っているわけですから、それによって実調率が下がるというのはおかしいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
○高橋(元)政府委員 私の申し上げようが悪かったのかもしれません。実調率が傾向的に下がってきた、これを上げてまいるということがなかなかむずかしい、そういうことを考えますと、法人の場合には恐らく十五年ぐらいに一回、個人の場合には二十何年に一回というのが総体の納税者を割りました場合の現実の実調率でございましょう、そういう場合に、執行上の公正を保つといたしますと、課税権の除斥期間を延長する必要があるのではないかという執行上の考え方がございますと申し上げたわけで、いまの大島委員のお話と私の申し上げていることとは考え方は同じであろうと思います。
○大島委員 先ほど国税庁長官が、個人的意見と前置きしながらも、更正決定の期間制限、いわゆる除斥期間の延長について必ずしも否定的な発言ではなかったようですが、主税局としてもどうですか、必ずしも否定的ではないですか、将来に向かってこれは検討するというお考えですか。
○高橋(元)政府委員 先ほど申し上げました四つの観点、つまり法的な安定性をどうするか、国の債権の時効との関連をどう考えるか、商業的な慣行としての帳簿、諸証憑の備えつけ保存期間が現実にどうなっておるか、それと執行上の観点、それらを取り合わせて勉強してまいりたいということでございます。
○大島委員 それでは、次の問題に入ります。 今度の税制改正によって異常危険準備金を共済にまで認めるという案が本法改正案に出されております。ちょっとお伺いしたいのですが、異常危険準備金というのはそもそも、損害保険会社の責任準備金にプラスして異常の場合に積み立てておくべき準備金である。たとえば日本では、大火は十年に一回くらいあるだろうということで、非常に綿密な計算で保険計理人が計算しておるわけですが、まず、異常危険準備金というような一つの利益留保性の非常に強い準備金を数広く広げることが適当なのであろうかどうなんだろうかということをお伺いしたいわけです。 それからあわせて、異常危険準備金の積立額はどのくらいになっておるかということもちょっとお伺いいたしたいと思うわけです。
○高橋(元)政府委員 今回御提案申し上げております租税特別措置法の改正では、異常危険準備金の積み立てができる法人の範囲に森林火災共済事業を行う森林組合連合会を加えるということでお願いをいたしております。 つきまして、異常危険準備金の基本的な性格でございますが、いま利益留保性の任意の責任準備金の積み増しではないかという御指摘でございますけれども、そういう趣旨のものではないというふうに解しております。損害保険が大火、大地震のときに通常の危険率で算定できないような大災害に遭う、その場合保険金の支払いをやむなくされるという場合があると思います。そういう場合の異常災害、それに対して保険金の支払いに破綻を来すことのないように配慮していくという観点から、政策税制として異常危険準備金の設定を認めておるわけで、単純な利益留保というふうに考えておらないわけでございます。 なお現在の、五十二年度末でございますから五十三年三月の異常危険準備金の期末残高は五千八百七十億円でございます。
○大島委員 私はこれは一つの優遇税制の最たるものだと思うのです。もちろん責任準備金以外にこういう準備金を積み立ててくれるということは、契約者保護の立場に立ちますから大いに結構なんです。しかし、それと税法上損金に算入するということとは私は別問題だと思うのです。特に保険会社というのは強力な免許をもらっているわけですから強力な営業ができるわけです。いわば一つの独占的な営業ができるわけですが、そういうものに対してまでこういう優遇税制を認めなくてはいけないのだろうか。現に保険会社、特に損害保険会社というのは、これで非常に恩典を受けている最たる企業の一つですが、ちょっと試みに、マンモス東京海上の内部留保がどのくらいあるかおわかりになりますか。
○高橋(元)政府委員 東京海上の資本準備金、利益準備金、剰余金を申し上げますと、資本準備金が八十億、利益準備金が九十八億、剰余金が千十九億五千三百万円、これが五十三年三月の数字でございます。
○大島委員 そういう膨大な内部留保を持っている会社が、さらにこういう異常危険準備金というような非常に利益留保性の強いものを認める。本来ならばいま言いましたように、免許事業で特権会社ですから、もし万一の場合にはそういうものを取り崩しても契約者を救えるのだというならば、何もそれ以外にこういうものまで、利益留保の性格が強いのにかかわらず損金計上を認めるということはいかがなものでしょうか。
○高橋(元)政府委員 先ほども大災害、異常災害という場合の契約者保護と保険金の支払いに破綻を来させないための政策上の措置ということを申し上げました。もちろん政策税制でありますから、その整理合理化は負担の公平ということで強力にやってきておるわけでございまして、昭和五十一年度と五十三年度の二回にわたりまして、この異常危険準備金につきましても積立率の引き下げをやって制度の縮減を図ってきております。 〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕 現在は、五十一年、五十三年の縮減の経過措置の適用期間中でございます。今後とも政策税制の一環としてさらに検討を進めていきたいというふうに考えております。
○大島委員 それに仮に異常危険準備金を認めるとしても、保険会社に認めるというのではなくて今度共済にまで広げるということはどういうものなんだろうか。つまり、保険と共済とはどう違うのだろうかという問題になるわけです。 これは本来、保険部の仕事だと思うのですがきょうは保険部長が来ておりませんので、私の記憶によると、保険と共済の違いというのは、いろいろありますけれども、料率算定の基礎があるのが一応保険なんです。料率算定の科学的基礎がなく単に掛金というような方法でやっているのが共済だ、こういうふうに私たちは昔教えてもらったわけです。そうとするならば共済は保険ではない、ならば、この異常危険準備金という制度を拡張することは理論的にはおかしいではないかという感じがするのです。私は主として理論的に申し上げているわけですが、それはいかがなものでしょうか。
○高橋(元)政府委員 専門の外にわたりますので的確な御答弁ができかねるかと思いますが、保険の場合には事故率と損害率と申しますか、それが基本的な料率算定のベースであるということは御指摘のとおりでございます。それに比べて共済は、共済に加入している人たちが相互に共済し合うということなんだから、出し合った金の範囲内で戻ってくればいいじゃないか、そういう意味で、厳格な意味の保険とは違うんじゃないかという性格づけもあり得るとは思います。そこは所管の保険部、銀行局といろいろ意見をあれしていきたいと思うのでございますけれども、共済について異常危険準備金を設けております趣旨でございますが、相当の加入者がある。その場合に、通常の危険率を大きく上回るそういう共済につきまして災害による事故が生じてくる。その場合に支払い能力がないから支払えないということでは、これまた契約者保護、社会的な不安の除去ということに対してマイナスの効果が出てくると思います。そういう相当の加入者数を有する共済というものにつきましては、事故率の算定につきまして数理的な根拠と営業保険とのバランスというものも図ってやっておるものも多いわけでございますから、したがいまして、実質的に保険と変わらないような共済というものにつきましては、税法上異常危険準備金の設定を認めておるということが税制上の考え方でございます。共済農協連の営みます火災共済、特殊風水害共済、その他の風水害共済、生命共済つき建物共済、それから自動車共済、消費生協とその連合会、水産協同組合共済会、火災協同組合及びその連合会、共済事業を行う環衛組合及びその連合会、それらの営みます火災共済、これらを対象として異常危険準備金の積み立てが税法上認められておるわけでございます。
○大島委員 私はこういうふうな足腰の弱い共済なんかに対しては、異常危険準備金という名称を用いるかどうかは別にして、税法上の優遇措置を考えてやるのはいいと思うのですけれども、大企業で特権を受けている大損害保険会社にまでこういう異常危険準備金を損金として認める——責任準備金はあるのです。しかもこの異常危険準備金というのは保険業法に書かれていない準備金、行政指導で事業方法書に書かれているいわば格の低い準備金、法律的根拠がない準備金なんです。それにもかかわらずそういうものを損金算入としてやるということは、まさにこれは大企業優遇じゃないかと思うのです。 先ほど東京海上の内部留保はわかりましたから、あとちょっとわかりますか、たとえば大正海上、日本火災。
○高橋(元)政府委員 私いま手元に持っております数字は、安田、大正、住友、日本火災と四社でございます。 安田火災について申し上げますと、資本準備金四十六億一千四百万円、利益準備金三十三億、剰余金三百三十七億七千四百万円。それから大正海上、資本準備金六十五億六千六百万円、利益準備金二十三億円、剰余金三百十八億八千九百万円。住友海上、資本準備金二十三億七千九百万円、利益準備金二十一億三千万円、剰余金三百六億五千二百万円。日本火災、資本準備金二十三億二千九百万円、利益準備金が二十三億八百万円、剰余金百五十二億五千九百万円でございます。
○大島委員 いずれにしても膨大な内部留保を持っているわけですから、これ以上優遇をすることはないんじゃなかろうかというふうに思うのですけれども、第一、この異常危険準備金というのは取り崩した事例というのは数多くあるのですか。
○高橋(元)政府委員 異常危険準備金が大営業保険会社に対する優遇措置ではないかというお尋ねでございます。その点につきましては、契約者に対して普通の損害率の算定の場合に織り込めないような異常災害といいますか異常事故と申しますか、テクニカルタームはよく存じませんが、そういうものが発生した場合でも、なおかつ保険金の支払いを可能にするということは必要であろうかと思います。それが数字的に織り込めるものでございますれば、それは通常の保険料率の中に入っておると思いますが、それを超えた大災害というものは損害保険の場合起こり得るわけでございます。その場合に、保険契約者に対して不便を与えない、不測の損害をこうむらせないという趣旨でございますから、そういう政策税制があるわけでございます。 繰り返しになりますけれども、これは租税特別措置の整理合理化の一環として随時見直しを行っていままでも縮減してまいったわけでございます。これからも見直しを行ってまいりたいというように考えておる次第であります。
○大島委員 先ほど言いましたように、異常危険準備金というものは要するに、業法によって認知された準備金じゃない、いわば私生児的な準備金でありますし、先ほど大火は十年に一回と言いましたけれども、いま現在の鉄筋コンクリートへの建築の移行ということを考えたような場合にも、十年に一回というような大火が果たしてあるかどうかという問題、しかも大保険会社はそういうふうな膨大な内部留保を持っておる、しかも免許を受けた特権会社であるというような点を考えまして、異常危険準備金をもう一度再検討願いたいと思う。 これに類似するものといたしまして、最後ではありますけれども、電力会社の渇水準備金、これも利益留保のきわめて濃い準備金で、今回の改正には載っておりません、責任準備金だけですが、電力会社の渇水準備金の損金算入、これは利益留保が非常に強いと思うのですけれども、これはどういう理由で認めておるわけですか。
○高橋(元)政府委員 電気事業法で渇水準備金の積み立てが義務づけられております。 御承知のように電気料金は認可料金でございます。認可料金を設定いたします際に通商産業省では、平水状態をベースにした発電電力量、こういうものを基礎にして算定することにしておりますので、そういう電気事業の特殊な性格に基づいて渇水準備金の積み立てを認めておるわけでございます。 積立額にいたしましても、火力、水力の単価差に水力発電の予測値と実績値の差を乗じた額ということにしております。水力発電量の実績値が予定値を下回った渇水時には取り崩しが行われてまいるということ、現に昭和五十三年度は相当大幅な取り崩しになっております。五十三年三月末の準備金残高が百五十三億七千九百万円でございますが、年度間には三百三十億七千万円取り崩しが超過になっております。そういう意味で、客観的に渇水準備金につきましては積立額の積み立て限度が決まっておりますので、そうむやみやたらに大きな累積というものは生じ得ない仕組みになっておるわけでございます。電力料金の算定ということにつながっておりそれなりの合理性を持っておるということでございますが、渇水準備金につきましても、全体の特別措置の一環の中で今後総合的に取り上げて検討を進めていきたいと思っております。
○大島委員 ついでですけれども、東京電力と関西電力の内部留保、資料はわかりますか。
○高橋(元)政府委員 東電でございますが、これは有価証券報告書から拾って持ってまいりました。資本準備金、利益準備金、剰余金の合計で申し上げてよろしゅうございますか。——といたしますと、東電が千百八十六億四千万円、関電が千六十五億二百万円でございます。
○大島委員 いずれにしましても、そういう膨大な内部留保を持つ企業であり、しかも先ほどの保険会社と同じく免許事業として特権を与えられておる企業でございます。こういう渇水準備金というものは積み立てるのはいいですけれども、それを損金にまで認めて積み立てる必要があるのかどうかということを、私は非常に疑問に思うわけでございます。したがいまして、先ほどの異常危険準備金といいあるいは渇水準備金といい、やはり政策税制というか優遇税制というか、こういう色彩の濃い利益留保的なものはなるべくやめて、税本来の姿に返してもらいたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○加藤委員長 宮地正介君。
○宮地委員 今回の租税特別措置法の改正に伴いまして、これが国民生活に与える影響につきまして、特に最近は、五十四年度の経済運営の最も重要なかぎといたしまして、物価という問題が非常に注目を浴びてまいりました。 御存じのように、過日は物価担当官会議によりまして、八項目による政府の物価総合政策が発表になったわけでございます。その中におきましても、第一項目に、今後の石油の製品値上げということに対する監視を強めていく、こういう問題が入っているわけでございます。当然、本年一月元旦からのOPECの値上げに伴いましてこの三月には、ガソリンなどにおきましてもリッター当たり十円から十二円ぐらい卸の段階で上がってくる、こういうような状況にもありますし、また、最近のイラン政変によりまして、今後の石油の供給がまことに不安定である。これについてはエネルギー庁といたしましても、需給のバランスが崩れるようなことのないようにいわゆる備蓄の取り崩しも検討したい、こう腹をくくっているようでございます。 ところが今回のこの税制改正におきまして、揮発油税の二五%アップあるいは地方道路税の二五%アップによりまして、ガソリン税と言われるこれが現実にリッター当たり十円七十銭上がる感じになるわけでございます。私はそういう意味合いにおきまして今回の改正が、一方では増税であり、一方では国民の生活の中において物価高、確かに健全財政というにしきの御旗はございますけれども、一面そういう大きな国民生活への影響というものがあり、むしろ国民は増税と物価高を強いられるのではないかという心配がございます。この点について、まず大蔵当局の御見解を伺いたいと思います。
○林(義)政府委員 宮地委員からお話がありました問題、石油に関連しての御指摘でございますが、当面の経済の問題でわれわれが考えなければならない一番の大きな問題は、やはり物価の問題であるし、インフレーションにならないようなことをやっていくということが一番大きな問題であろうと思いますし、同時に雇用の問題、それから財政再建の問題があるわけでございます。そうした中でわれわれがいま考えていかなければならないのは、石油の問題にいたしましても、いろいろな手を尽くしまして、国民に安定した石油の供給を図っていくということが一番必要なことでございましょうし、外国の影響によりまして石油の価格が少し上がるのではないかという御指摘でございますが、それに対しましてもいろいろな手を講じて、安定的供給が図れるように努力をしているところでございます。 それから揮発油税の問題につきまして、外国の問題で値段が上がる、さらに揮発油税で追い打ちをかけるのではないか、こういうふうなお話でございますが、揮発油税の問題につきましては御承知のとおり、道路の財源という形になっておりますし、財政事情が非常に厳しい折でもある。そういたしますと、揮発油税でもって道路財源を確保するということは、この厳しい事情の中でやるわけでございますから、国民の皆様方にも御了解いただけるものだと思って私たちは提案をしているところでございます。そうした厳しい状況であるということを国民の各層にわかっていただくことが、やはり一番必要なことではないだろうかというふうに私は考えております。
○宮地委員 今回の揮発油税のリッター当たりにいたしまして九円十銭、地方道路税のリッター当たり一円六十銭、合わせましていわゆるガソリン税のリッター当たり十円七十銭の値上げが、今後国民生活にどういうふうに影響を与えるか、そういう点につきましてまず、これは蔵出し税的なものとして元売りの段階から徴収するわけでございますけれども、現実にはこれによって一つは、全国に約五万七千のスタンドがございますが、この中小零細企業のスタンドの経営の圧迫につながっていくのではないか。さらにそれが結局最後に押し出されるところは、国民、消費者のガソリンの価格にはね返っていく、こういうような実態になっていくかと思います。 そこでまず、通産省に伺いたいのでございますが、現在の全国のガソリンスタンドの経営実態、これはどういうふうに掌握されておるか、報告していただきたいと思います。
○竹内説明員 現在のガソリンスタンドの経営実態でございますが、先生御指摘のとおりガソリンの価格は、卸売物価指数で去年の十二月とその前年の十二月を比較いたしまして大体一二・一%低下しておる、それに対しまして小売物価指数、消費者物価指数につきましては一八・三%低下しておる、こういうことでございまして、消費者物価指数の低下の方が大きい、逆に言いますと小売の価格の方が下がっておる、こういう実態であるかと思います。私どもの方でやりました五十三年三月におきます販売業者の実態調査によりましても、ガソリンの販売業者のマージンというのは十三円程度ということで、売上高利益率におきましても〇・四%程度ということで、これは前年の〇・七%よりもさらに低下しておる一こういうふうな状況になっております。
○宮地委員 通産省は昨年の七月、五十二年度の給油所の経営実態報告を資源エネルギー庁から石油審議会に提出をしております。そのデータを見ましても、この給油所の経営実態調査の中で、約三五・二%が経営的に赤字をしておる。これは前回、五十一年十二月の調査のときには三二・六%であった。明らかに三%の上昇をしております。また粗利の状態を見ましても、あの石油ショックのときに通産省が価格指導いたしまして、四十九年四月でございますが、一リッター当たり百円に抑えた。そのときにはいわゆるガソリン税が三十四円五十銭で、粗利が二十一円七十銭であった。しかし今回のこの調査によりますと、リッター百円の場合にガソリン税はすでに四十三円十銭に上がっておる。そういうことで、粗利も十三円二十銭に落ち込んでいるわけです。さらに今回二五%の値上げになりますと、完全にこの粗利は消えてしまうわけであります。そうなりますと、当然ガソリン税の引き上げ分がストレートに価格に転嫁される、こういう可能性が十分にあるわけでございますが、この点、通産省としてはどのように考えておられるか。
○竹内説明員 このガソリン税本来が消費税でございますので、税の性格から言いまして最終的には消費者に転嫁されるべきか、こう考えておるわけでございますが、税の徴収そのものは先生御指摘のとおり、蔵出し税でございまして、元売り段階にかかるわけでございます。したがいまして、それが元売りから消費者までの段階におきましていろいろな取引があるわけでございますが、具体的にそれがどういうふうに転嫁されていくかということにつきましては、個々の取引実態、取引態様の中で決定さるべきものと考えております。ただ最終的にはやはり消費税という性格から、消費者の方に転嫁さるべき性格のものではないか、こう考えておる次第でございます。
○宮地委員 最終的に消費者に転嫁されるべきであると、通産省あたりがそういう暴言を言ってもらっては困る。というのは御存じのように、揮発油販売業法という法律がございまして、この「目的」をちょっとじっくりと読んでもらいたい。各委員の先生方に聞こえるようにゆっくりと読んでもらいたい。
○竹内説明員 揮発油販売業法第一条に「目的」がございますが、「この法律は、揮発油販売業について登録その他の規制を行うことにより、揮発油販売業の健全な発達及び揮発油の品質の確保を図り、もって揮発油の安定的な供給の確保と消費者の利益の保護に資することを目的とする。」以上です。
○宮地委員 その最後のところに「揮発油の安定的な供給の確保と消費者の利益の保護に資することを目的とする。」と消費者保護を明確にうたっているわけです。いきなり消費者が全部かぶるべきである、こう断言することを私は取り消してもらいたい。元売り段階から大蔵省は蔵出し税的なもので取る。元売りは今度はスタンドにガソリン税が上がったからといってストレートに十円七十銭持っていっていいのですか。
○竹内説明員 先ほど御説明申し上げましたのは、消費税という本来の性格からそういうことになろう、こういうことを御説明申し上げましたけれども、実際の税の問題につきましては、取引の態様、元売りの段階でかけられまして種々ございますので、その段階で個々の取引によって実施されていく、こういうふうに考えております。
○宮地委員 公取が来ていると思いますので、伺いたいわけでございます。 いま公取は石油業界といわゆるカルテルの問題で裁判中である、こういうふうに聞いているわけでございますが、一つは今回のOPECの値上げ、これによりまして、そろそろ各元売りメーカーもこの三月の下旬にはリッター当たり十円から十二円ぐらいガソリンにつきましても値上げを考えておる。さらには、これからイラン政変でいわゆる供給関係が非常に不安定ということで、石油関係製品が大変に値上げをするのではないかという国民の心配があります。さらに今回ここでもしもガソリン税が上がりますと、当然ここでまたリッター当たり十円七十銭ガソリンが上がります。そうなりますと、そういうようないろいろな要素の中で私たちが一番心配していることの一つは、あの石油ショック時におけるいわゆる悪徳商法の大変なレッテルを張られた元売りメーカーなどが、いろいろなこういうチャンスをとらえて便乗値上げ的なあるいは価格カルテル的な行為に出る懸念をわれわれは心配するわけでございます。現在いわゆる裁判で争っているという最中でございますから、そういうことは予想されないとわれわれは理解したいわけでございますけれども、私はぜひ公取といたしましても厳重なる価格の監視をしていくべきではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、公取の見解を伺っておきたいと思います。
○奥村説明員 石油元売各社が最近、石油製品の仕切価格の引き上げを発表いたしておるということは承知いたしておるわけでございます。先生おっしゃいますとおり、物価の騰勢が懸念されるときでもございますので、生産、販売の推移等には十分注目いたしまして、厳重に監視してまいりたいと考えておるわけでございます。
○宮地委員 さらに、このガソリンがそれではわれわれ国民生活にどういうような影響を与え、負担になってくるか、こういうことにつきましては、すでに大蔵当局といたしましてもいろいろデータを調べてあると思いますが、たとえば家計消費支出の中に占める費目別の支出割合の中で、大蔵省はどの程度にガソリン代が占めているか調査されておるか、伺いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 五十二年の家計調査年報、それの全世帯で申し上げますと、一世帯当たりで年間の消費支出の総額が二百二十八万五千九百六十一円でございます。その中でガソリンの支出が二万一千百八十四円、消費支出に対するガソリンの金額の割合が千分の九でございます。
○宮地委員 これはいま千分の九というお話でございますけれども、実際に野村総合研究所の自動車用ガソリンの需要構造に関する調査、これによりますと、家計消費支出に占める費目別支出割合というのが、食料費がトップで三一・六%、住居費が続いて九・三%、その第三番目にガソリン代が入ってきて八・〇%、光熱費四%、こういう順手でありまして、ただいま主税局長が千分の九と言いましたが、これは九%の間違いと思います。どうですか。
○高橋(元)政府委員 もう一つ別の数字を申し上げさせていただきたいと思います。これはCPIウエートでありますが、CPIウエート一万の中でガソリンという形で総理府が付しておりますウエートは百六十八でございます。この百六十八と先ほどの千分の九と数字が違うではないかという御指摘が直ちにあろうかと思いますが、この万分の百六十八と申し上げておりますのは、東京それから農村、それぞれによってかなりウエートが違います。都市部の場合には比較的自動車の保有率が少ないものでございますから、たしかCPIのウエートというものは百を切っておるように記憶しておりますし、それからCPIウエートだけで議論できないのは、揮発油の小売価格が相対的に全体の物価指数水準に比べて下がっておりますので、それを乗じますと大体万分の百二十二程度になろうかということでございます。
○宮地委員 大変数字のトリックといいますか、そういうもので切り抜けようとしておりますが、わかりやすく数字を示せば、この野村総研の数字は間違いないのです。これはわれわれ国民の家計支出の中で一割程度、ここでは約八%ですが、これは所得別に全部また違うのです。たとえば二百五十万円から三百万円ぐらいの年間収入の方々におきましての占めるガソリン代は九・三%で、これは所得が少なくなってまいりますとむしろ占める割合は高くなってくるのです。たとえば百五十万円未満の御家庭におきましては一三・四%を占めておる、そういうデータが現実にある。お見せしても結構です。 そうなりますと今回のガソリン税の引き上げが、先ほどの通産省のような答弁をしていますと、やはり取り締まる一番の行政官庁の通産省、ここが即消費者だなんと言っているんですから、これはもう明らかに国民の一番末端の消費者に価格転嫁されることをきょうは約束したようなものだ。取り締まるべき通産省がもう半ば大蔵省と同じような立場に立って、どうも弱い姿勢にある。これではやはりガソリン税一リッター当たり十円七十銭上がれば即国民にこれは転嫁される。 主税局長、いまガソリンは一リッター大体どのくらいで売られていると理解しておりますか。
○高橋(元)政府委員 私どもが小売の統計で見ております数字は、九十八円台でございます。昨年の十月現在で九十八円六十銭かというふうに記憶しております。
○宮地委員 このガソリン税が六月一日から実施されますと、じゃ六月一日以降大体どのくらいになるとお思いになりますか。
○高橋(元)政府委員 これは申し上げるまでもないわけでございますが、揮発油税は間接税でございます。したがって、納税義務者と税を負担していただく方とこれが異っておるというのがたてまえでございますから、間接税のたてまえで申し上げますれば、十円七十銭の税負担は全額消費者に転嫁されるという形で税制としては観念し構成をしておるわけでございます。 昨年の九十七円十八銭、先ほど九十八円六十銭と申し上げたのは記憶違いで恐縮でございますが、五十三年十月現在で九十七円十八銭でございますが、それを前提といたしますと、これに十円七十銭乗っかりまして百七円八十八銭ということに計算上相なろうかと思います。現実の小売価格の推移については私どもは所掌外でございまして、はっきりしたことは申し上げられません。
○宮地委員 その辺がやはり国民の生活実感から離れておるわけです。先ほどから私がお話ししている間にも、この三月には元売りからスタンド売り関係に大体リッター当たりOPECの値上げ分として十円から十二円卸しの価格が上がる、そういう状況にあるのだ。いま言った数字にストレートに十円から十二円足してごらんなさい、大体百二十円前後のガソリン代になってしまうのだ。リッター百二十円前後のガソリンでいま国民の皆さんが乗るとなったら、これは大変なことだ。この生活実感をどうとらえておりますか、経企庁。
○坂井政府委員 先ほど来御議論のございます物価への影響を中心に申し上げますと、全国で見まして消費者物価の中でこのガソリンのウエートというのは一万分の百六十八、東京都区部で見まして多少低くなりまして一万分の九十七でございます。そういう前提で計算をいたしまして、ガソリン税、仮にこれがまるまる転嫁をされた、そういう仮定を置きまして計算をいたしますと、この二五%の引き上げが消費者物価を〇・一%程度引き上げる、こういう試算に相なろうかと思います。
○宮地委員 さらに、国税収入に占める石油諸税の割合、これはどういうふうになっておりますか、御説明いただきたい。
○高橋(元)政府委員 五十四年度予算で申し上げますと、国税収入に占める石油関係諸税の比率でございますが、専売納付金を除きました国税としてとらえますと九・八%でございます。
○宮地委員 この九・八%は諸外国に比べてどうですか。
○高橋(元)政府委員 諸外国の場合、イギリス、ドイツ、フランス、いずれも石油に付加価値税がかかっております。その分を入れるか入れないかという問題がございますが、仮に外して考えますと、イギリスが六・八、西ドイツが七・五、フランスが六・〇でございます。石油及び石油製品にかかるそれらの国の付加価値税の収入額というのがはっきりわからないのでございますが、それでいま申し上げておるわけですが、個々の石油製品に課せられる税率という面で見ますと、ドイツ、フランスは日本よりも税率は付加価値税を加えて高いということが私どもがとらえております数字でございます。
○宮地委員 一番高いということなんですね。ということは、国民の納税者がこの石油諸税に支払う税金も非常に大きい、そして受ける打撃というものも家計の支出の中についても大きい、こういうことがはっきりしたと思うのです。 今回のこの揮発油税あるいは地方道路税の引き上げに当たりまして大蔵当局としては、国民生活への影響、皆さんから言えば財政も含んだ国民生活への影響というとらえ方でございますが、特に家計に与える影響、こういうものについては、あらかじめどのような調査をし、またどのような理解をして今回のこの税法改正を国会に提出されたのか、その点についての認識を伺いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 ただいまの委員のお話でございますが、石油関係諸税の負担を合計いたしますと日本の場合、バレル当たり一月六日現在の為替レートでドルに換算いたしまして六ドル八十五セントとなります。これは現在提案してお願いをいたしております揮発油関係税の二五%アップを織り込んででございます。これに対してイギリスが七ドル七十九セント、ドイツが九ドル九十一セント、フランスが十一ドル八十二セントでございますから、石油及び石油製品に対する諸国の消費税の課税というものは同じ量に換算いたしますと、日本よりは高い水準にあるということをまず申し上げておきたいと思います。 それから次に、増税が家計に与える影響につきましては、先ほど来経済企画庁からもお答えがあったわけでございますが、OPECの値上げ等がどのくらいの価格引き上げになりますか、お示しのように十円というような大きな金額、これは揮発油の得率の関係からいたしますと恐らくそう大きな金額にはならないというふうに私どもも思っておりますが、そういうことは別といたしまして、増税分が直接家計に影響するものとして、百八十三リットル一世帯が年間にガソリンを消費いたしておりますが、それをもとにはじき出しますと、年平均で一世帯当たり二千円程度の負担をお願いすることになる。それが物価に及ぼす影響は、先ほど企画庁から申し上げましたように〇・一%程度、さように考えておる次第であります。
○宮地委員 そこで、今回の揮発油税、地方道路税の引き上げはいわゆる道路整備緊急措置法、これにひっかかってくるわけでございまして、今後五ヵ年間に道路の整備をやっていこう、こういうことで、五十七年度末までという期限が符合しているわけでございます。 そこで、それでは今回のこの揮発油税あるいは地方道路税の引き上げということは、逆に言うならば今後五十七年度末までは引き上げは行われない、こう理解してよろしいのですか、その点について伺いたい。
○高橋(元)政府委員 これはもう財政需要の関係でございますから、歳出当局からのお答えも後ほどお聞き取りいただきたいわけでございますが、今回の揮発油税の引き上げは、一つは、揮発油にかかる税負担の現状から見て大変あれではございまするが、現在の財政事情からすれば消費者に負担の増をお願いするしかないというのが一つのあれでございますけれども、もう一つは、第八次道路整備五カ年計画の必要な財源の手当てというものでございます。今回の増税を入れて後の揮発油税収入をもって二十七兆八千億という第八次道路整備五カ年計画を賄ってまいるということを考えますと、特定財源比率は国で約九割という形になりまして、道路整備五カ年計画の遂行上支障がないというふうに考えております。したがって現在のところ再度、税率の引き上げを五十八年三月までにお願いいたさなくても計画の円滑な執行は可能であろうというのが私どもの考えでございます。
○宮地委員 今回の引き上げで五十七年度末まではない、こういうふうに理解をしたいと思います。 ただ、今回のガソリンのリットル当たり十円七十銭のストレートな消費者への価格転嫁というものが行われますと、さらに私たちがいま心配をしておりますのは、他の製品、あるいは当然ハイヤーとかタクシーとか、あるいは今回軽油税も上がるわけでございまして、そうなりますと貨物の運賃、こういうようないわゆる燃料が上がるわけでございますので、今度はトラックの輸送あるいはハイヤー、タクシーなどの国民の足に対しての影響が出てくるのではないか、こういう心配もあるわけでございます。この点について経済企画庁はどういうように認識をされているのか、伺っておきたいと思います。
○坂井政府委員 先生のおっしゃいます意味は、いわば直接効果のほかに間接効果が何かあるのではないか、それはどのくらいか、こういう御質問かと思いますけれども、何分にもガソリン税が果たして全額そのまま転嫁されるのかどうか、先ほど来通産省からも説明がございますように、取引あるいは需給の実態がどう動くかということにかなり大きく左右をされますし、それから、ガソリンを使っております各種の産業等のコストに果たしてそれがどの程度吸収可能かというあたりなかなか見通しが困難でございまして、いまここで間接効果幾らと直ちに申し上げるものを持っておりません。ただ、いま御例示になりましたタクシーでございますが、御存じかと思いますけれども、六大都市を中心にいたしまして、大ざっぱに申しまして二割程度の運賃の引き上げをしたいという申請を運輸省の方に出しておりますけれども、運輸省の方としてはいまのところ直ちにこれを取り上げるつもりはないということでございまして、その方面につきましては直ちにそういった反映はないのではないか、このように考えております。
○宮地委員 ぜひその点、経済企画庁も物価の大目付でございますし、政府の四・九%の消費者物価というものは大変にこれは厳しい情勢下にあることはあなた方が一番よく知っているわけでございますので、どうかこのガソリン税の引き上げが物価高騰の引き金にならないように、大蔵省とも連携をとって十分なる対応をしていただきたい、このように思うわけでございますし、特にガソリンというのは国民の消費生活の中においても重要な位置づけになっているわけでございます。逆に言えば、大蔵当局、財政当局としてはそこに目をつけたという感じもこれはあると思います。現在のこういう財政事情の中からやむを得ないという皆さんの立場であります。しかし国民は、不況、物価高などの中でまだまだ生活実感的には苦しい状態にあるわけでございますので、その点の認識を持って対応をしていただきたい、このことを強く要望したいと思います。 さらに、この道路の財源論について少しお話を進めてまいりたいと思うわけでございますが、今回の第八次道路整備五ヵ年計画につきましていま主税局長からも御報告がありましたが、全体計画といたしましては二十七兆八千億でございます。この中で国費が十兆二千二百四十億で、地方費が十一兆六千五百九十億、財投が五兆九千百七十億、その中で今回の揮発油税を七兆六千四百四十億見積っておるわけでございまして、この五十三年度の実績、それから五十四年度の見通し、五十五、五十六、五十七の年次別計画、この内訳は財源的にどのようになっておるのか、御説明いただきたいと思います。
○杉岡説明員 この第八次道路整備五ヵ年計画を遂行するに当たりまして、ただいま先生が言われましたように、国費は予備費を除きましたその全体の二十七兆八千億に対しまして三七%、地方費が四二%、それから借り入れ等が二一%ということになっております。それで、これの試算でございますが、国費三七%、約十兆でございますが、このうち、揮発油税をただいま先生がおっしゃいましたように七兆六千億余見込んでおります。これにつきましては、石油の供給計画に従いましておおむね三%程度の伸びを見計らって試算をいたしております。(宮地委員「年次別にちょっと五十三年度から」と呼ぶ)年次別に申しますと、まず五十三年度の数字に対しまして五十四年度でございますが、五十四年度は約四%の伸びでございます。これは……(宮地委員「額です。五十三年度一兆二千八百三十億でしょう。そういうふうに言ってくださいよ」と呼ぶ)五十三年度が一兆二千八百三十億でございます。それから五十四年度、これは今回の税制改正が行われるものといたしまして一兆四千六百六十三億でございます。以下五十五年、五十六年、五十七年につきましては、今後の財政計画あるいは予算等との絡みもございますが、一応その伸び等から試算いたしますと、五十五年度が約一兆六千億、五十六年度が一兆六千三百億、五十七年度が一兆六千六百七十億余を試算をいたしております。
○宮地委員 年度で大体一兆五、六千億円の税収を見込んでおる、こう理解をしたいと思います。 そこで、この五ヵ年計画のいわゆる財源の、特財と一般財源あわせて結構でございますが、第八次に至るまでの総トータル、この道路に対する投資の総トータル、お幾らになるか。
○杉岡説明員 この総トータル、いわゆる道路に投資しますのは、五ヵ年計画では二十八兆五千億で、それで予備費が七千億ございますので、国費、地方費それから財政投融資等の借入金、これを含めまして五ヵ年計画では二十七兆八千億を投資いたしまして、道路整備を計画的に行うということにいたしております。
○宮地委員 ですから、一次から八次までの総合計ですよ。
○杉岡説明員 きょうそれぞれの投資額は持っておりますけれども、総トータルはただいま手持ちにございません。
○宮地委員 じゃ私が教えてあげますよ。第一次から第八次まで、後で計算していただけばわかりますが、約四十六兆四千四十億になるようになっております。 そこでもう一つ伺いたいのですが、下水道整備五ヵ年計画というのがございますね。この下水道整備五ヵ年計画の第一次、第二次、第三次とこの現在までの投資をした金額、これをちょっと年次別に発表して、トータル幾らか言ってください。
○杉岡説明員 下水道五ヵ年計画につきましては、ただいま手持ちの資料を持っておりませんが、第一次約三千億、第二次が九千億、第三次がいまの二兆六千億、第四次が七兆一千億というふうに記憶しております。
○宮地委員 それも記憶がちょっと違っておりますね。第一次五ヵ年計画で、あなたの方の建設省でいただいた資料ですと、達成の方でいくと四千二百四十億、第二次五ヵ年計画が六千百七十八億、第三次が二兆六千二百億、今回第四次の七兆五千億、この数字に間違いないかどうか。
○杉岡説明員 実は下水道五ヵ年計画の資料を持っておりませんので、ただいま不正確な数字を申しましたが、先ほど申しましたのは計画ベースで申し上げまして、いまの先生のおっしゃいましたのは実績ベースかと思いますが、後ほど資料を確かめまして御返事したいと思います。
○宮地委員 これをトータルいたしますと、十一兆一千六百十八億になるのです。 そこで、私はなぜこれを提起したかといいますと、道路の方につきましては四十六兆四千四十億、これをざっと単純計算いたしますと、約四・一六倍道路に投資が行っておる、こういうことなのです。下水の方が四分の一であるということです、簡単に言いますと。 そこで、やはり最近国民の問には、いわゆる揮発油税というものあるいは地方道路税というものの財源がストレートに全部道路財源に行くということをそろそろ考え直すべきときが来ているのではないか。やはり国民の生活基盤あるいは社会保障の基盤というものを拡充していく段階において、どうも道路が先行して、下水がいま大体四対一の比率で後ろにきている、住宅は真ん中あたりにきているのじゃないかと思います。あるいはもっと広げれば、エネルギーの方にも財源に回したらいいのじゃないかという論議もあります。先進国の中において、当然道路も必要でありましょう、住宅も必要でありましょう、しかし最近、公共下水道が非常に立ちおくれているために文化的水準の生活ができてない。特に東京都心を中心とした人口急増地域におきましては、いまだに公共下水道の普及率が非常におくれておりまして、吸い込み方式と言いまして皆さん御存じかどうかわかりませんが、自分の家の床下に大きな穴を掘ってそこにいわゆる雑排水を捨てている。五年くらいたつともう機能しない。庭先に今度は穴を掘って変えていく、こういう宅造の家が非常に多いわけでありまして、私はむしろこういう公共下水道などにもっと重点的に財源の投資をしていくべきではないか、こういうようにも考えているわけでございます。 そういう中において、たとえば今回の揮発油税の引き上げに当たりましては、先ほど申し上げましたように、揮発油税そのものはいわゆる道路財源にしなさいなどということは善いてない。どこを探しても出てこない。いわゆるその足かせになっている法律が道路整備緊急措置法にあるわけであります。第三条で足かせをかけているわけであります。たとえば五十七年で今回の道路計画が一応終わった、五十八年以降また第九次になるかどうかわかりませんが、その段階で道路整備緊急措置法の第三条の足かせを取っ払ってしまうことは考えられないのだろうか、そしてもっと国民の社会保障、社会基盤、生活基盤を拡充する、均衡化をすることはできないのだろうか、こういう率直な感じを持っているわけでございますが、この点について主税局長の御見解を伺っておきたい。
○加藤(隆)政府委員 私どもの分担だと思いますので、恐縮でございますが……。 ただいま御指摘のように、わが国の公共投資の中で、治水が由来先行しておるわけでございます、明治以来申しますと。それから農業基盤、それから道路がただいま御指摘の二十九年以来、ガソリン税を特定財源といたしまして急速に伸びております。 下水道の御指摘、確かに戦後三十年を振り返りますとそういう経緯にございます。そこで、大体三次の下水道計画ぐらいから急速に下水道の方に資源配分のウエートがかかっております。本年の企画庁の二百四十兆の配分におきましてもそういうような考慮が払われている次第でございます。 そこでいまの緊急措置法、税法の方が普通税である、緊急措置法で足かせになっておるという御指摘、この問題は、ただいまお願いしております揮発油税法案の問題を離れまして考えてみますと、たとえば今度の八次計画が終わった段階で、そのときの道路整備の状況、それから自動車の増加状況、片やそれぞれの公共投資間のバランスの問題、それからただいま御指摘の他の歳出需要、たとえばエネルギーとかあるいは住宅とかそういうようなものとのバランス関係、こういうようなものについては、御指摘のような諸条件を踏まえて、もちろんこれは大蔵省だけでは議論できませんが、関係省庁の意見を踏まえて、その段階で改めて議論することは当然のことだと思います。世の中どんどん変わっていくわけでございますから、それぞれの時代の国民の要請にこたえて検討はしていかなければならぬ。ただ現段階で考えてみますと、道路の状況から見てぜひとも、大体損傷者負担といいますか原因者負担といいますか、そっちの方の揮発油税で道路の整備をこの八次計画に関する限りお願いするということがいいのではないか。それが終わりました段階では、御指摘のような点は十分検討する必要はあると思います。
○宮地委員 私も道路につきましては、地方の県道だとか市町村道、こういう小さいところについては、これはまだ三〇%ぐらいの舗装率とかそういう点を考えますとまだまだおくれている点は多々あると思います。ただ国道などにつきましては十分、そういういまお話しのような考え方もそろそろ見直していくべきではないか。たとえば五十四年度の予算案の公共事業関係費、この中に占める道路整備事業費の比率を見ましても二九・九%、住宅対策費の約二・七三倍になっております。また、公共事業部門に含まれておりませんけれども、文教施設費、この場合は三・三九倍になります。社会福祉施設費、保育所とか老人ホームとか身障者施設、これに比較しますと、これは何と十六・七倍になるんですね。こういうようなものからのバランスを見ますと、どうもやはり五十四年度予算案の中における公共事業関係費も道路主導型になっておる、こういうふうに思われるわけです。そしてさらにいま揮発油税で、今後五カ年においても非常に道路主導型になっておる。ですからいま主計局次長さんが、将来的に五十七年度が終わった段階でいろいろ洗い直しをし、均衡を保ち、そのときの実情に合わして十分検討しなければいかぬ、こうおっしゃっているわけでございますが、やはりもう五十四年度の予算あるいは五十五年度の予算の認識の中に、また基本的考え方の中に、道路が先行しているんだというこの認識ですね、この主導型、これはやはりある意味では改善していく必要があるのではないか、こういうふうに思いますが、この点いかがでございましょう。
○加藤(隆)政府委員 三点ばかり申し上げたいと思うのですが、ただいまちょっと手元に資料がございませんが、いま御指摘の一般公共事業関係の中で、一応生活基盤関係というようなグルーピングをしてみますと、絶対額では確かに差がございますが、伸び率でかなりそっちの方のウエートを高めております。たとえば具体的に申しますと、一般公共の中で道路は一八%の伸びでございますが、御指摘の文教などは二五、六%伸ばしておりますし、社会福祉施設の方でもそういう伸びをしております。それが第一点でございます。第二点は、道路が全部悪であるということではなくて、生活道路なり街路なり国民生活に生活基盤として非常にファンクションする。予算の経費は非常にたくさんの機能を持っておりますが、その中でどの機能を重視するかという問題はあろうかと思います。それから第三点は、全体の事業量で見なければいかぬ。一般公共だけではなくて、たとえば御指摘の住宅の場合、財政投融資の方の金額をあわせて考えるとか、そういうような全体の公共投資で考える必要があるのではないかと思います。 ただ御指摘のように、先ほども申し上げましたが、時代が変わり、国民の価値、欲求が多様化し、その中でそれぞれ社会経済の進展に応じまして資源配分は絶えず見直さなければいかぬ。現段階におきましては先ほど申しましたように、道路投資に関する限り、状況から考えてぜひとも揮発油税法案はお願いしたいということでございます。
○宮地委員 たとえばいまお話が出ましたが生活関連主導、こういう視点から、住宅あるいは上下水道、都市公園、こういったような整備に加えまして新たに、本来公共事業の範疇に入っておりませんけれども、学校の校舎とか体育館とかいう文教施設あるいは社会福祉施設などの整備、こういうものもやはり公共事業関係費で何とか促進をしていく、そういう時期に来ているのではないか。特にこれは地域偏差も比較的少なく、私たちはむしろ景気浮揚効果の面からも非常に望ましいのではないか、こういう理解をしているわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
○加藤(隆)政府委員 財政法の四条で、公共事業費という概念は御指摘のように、学校も社会福祉施設も入っております。そういう意味におきまして、私どもがいわゆる公共投資を論ずる場合、いま議論になっております道路が入っております公共事業関係費以外の学校、社福なりそういうものをあわせまして、予算編成の場合には議論をいたしておるところでございます。
○宮地委員 今回のこの揮発油税が、五十四年度におきましても約一兆四千七百二十億円の税収を見込んでいるわけでございますが、やはりこの揮発油税が創設された昭和二十六年の当時よりいわゆる揮発油、ガソリンの消費量、これは大幅に増加をしているわけでございまして、税収面とかあるいは道路整備の状況等を考えてまいりますと、もう客観情勢は昭和二十六年と今日では大変な変化を来しているわけでございます。そういう点から見ましても、私たちはそろそろ先ほど申し上げましたように、この揮発油税の一定割合、これを国民生活優先の視点から、住宅あるいは文教施設あるいは公園、社会福祉施設整備などにやはり充てるような総合的検討段階に来ているのではないか、こういうふうに考えているわけでございますが、もう一度この点についての御意見あるいは所見を伺っておきます。
○高橋(元)政府委員 現在いろいろ税制の上で、揮発油または石油、重油、石油製品、それからさらには自動車、そういうものに対する税負担というものがさまざまにございます。税制上自動車関係税が九種目ございますとか、石油関係税がこれまた七種目ございますとか、非常に多数の消費税で構成されておるわけであります。これを税制を整備していく、もっと消費税としてまた保有税としてすっきりしたものにしたらどうだという御意見が前々からございまして、私どもも税制を統一的に簡素にし、かつ、負担関係を明確にするということが必要であろうという考え方は持っております。ただ、石油関係税にいたしましても自動車関係税にいたしましても、一部重複した税目がございますけれども、いずれも現在の税制では普通税たる消費税でございますけれども、実際問題として歳出との関連で特定財源として使われておるものがほとんどでございます。そういう意味合いで、地方税、国税入りまじっておりますし、また特定財源税もございまして、それぞれの事業の長期的な遂行、事業に対する国民の需要というものを見合わせながら税制として統一を図っていきたいという考え方で、総合的に時間をかけて検討を続けておりますし、時々刻々税制改正でお願いをいたすということでございます。 ただ、いま仰せのありました揮発油税の財源をもっと全般の国の資本的支出の充実に向けたらどうだという仰せかと思いますが、現下のように公債の発行の限度、アローアンスというものが非常に小さくなっております段階で、すでに十五兆二千七百億の公債を投入しておるわけでございます。その中の七兆余億は建設公債でございます。この発行限度の中で公共的なというか資本的な支出を賄っていく。そのほかに学校もございますし住宅もございますし社会福祉施設もあるわけでございます。そういうものを賄っていく財源として資本市場から持ってこられる金額に限定がありとせば、揮発油税の増税によって今回国民に平年度三千億の負担をお願いいたすわけでございますが、そのお願いをいたしました負担というものが、建設公債の発行限度という形で他の資本的支出の充実に充てられておるという事情にあることを申し添えておきたいと思います。
○坂口委員 関連して。 主計局の次長さんは非常に頭のかたいことをおっしゃるわけですけれども、われわれも決して道路だけがいいと言っているわけでもなければ、逆に道路は全然だめだと言っているわけではないわけです。その割合をいよいよ変えなければならないときが来ているのではないかということを宮地議員は言っておるのでありまして、何も道路に使うことが悪だと言っているわけではさらさらないわけです。いま指摘しておりますように、生活関連の道路ではまだ整備をしなければならないところもあるわけですししておりますけれども、その変化をもうぼつぼつ芽を出さしめるときではないかということを言うておるのであります。それについてどうも、道路に回すのが悪だとこちらが言っているような、わかり切ってそういう答弁というのはけしからぬと思いますよ。もう一遍答弁やり直してください。
○加藤(隆)政府委員 舌足らずでございまして、決してそういう意図を持って申し上げたわけではございません。(「認めればいいんだ」と呼ぶ者あり)はい、認めます。
○林(義)政府委員 私から御答弁申し上げておきますが、やはりこれからの国民生活を豊かなものにしていくということは、お互い考えていかなければならないことでありますし、お話がありました道路とか生活環境の整備をやっていくということは、これからの一つの大きな課題であろうと思います。政府の方といたしましても、二百四十兆円の長期計画を立ててやっておるわけでございますから、そういった点で、これからいろいろなことをやっていくのが必要であるし、そのためには財源をどういうふうな形で調達をしていくかということも考えていかなければならない問題だろうと思います。ただ、主計局の次長から御説明しましたのは、道路緊急措置法というものがありましてこれが結びついている、こういうふうな話でございますから、そういった点は、先生の御指摘は十分によくわかっているということを申し上げておきたいと思います。
○宮地委員 次長も認めますということでございますので、今後の改善に十分期待をしておきたい、こういうふうに思います。 そこで、時間も刻々と来ておりますので、土地住宅税制の改正問題に絡みまして、少しお伺いをしておきたいと思います。 この土地住宅税制の改正が優良宅地の供給につながる、こういうふうに本当に大蔵省は理解しておられるのか、まずこの点から伺いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 昨年の夏以来、政府の税制調査会で土地税制のあり方についていろいろの議論をしてまいりました。その状況につきましては、すでに税制調査会の答申等で御案内のとおりだと思いますのでくどく申し上げませんが、その場合の考え方と申しますのは、土地税制が五十年から五十五年までという五カ年間の期間をもっていわば重課の税制として現在ある。したがって、その五カ年間問の税制の経過期間中に税制の改正をする必要がありとせば、それは宅地の供給の増加または地価の抑制、安定ということに矛盾しないものでなければならない。そういう考え方で、長期土地の譲渡につきまして真に政策的に緊急と考えられるもの、それについて若干の手直しをするとしても、基本的な投機取引の抑制とかそれから長期譲渡についての重課、そういう基本的な枠組みは維持すべきである、そういう結論になりまして、ただいま御審議をお願いいたしておりますように、公的な土地の取得につながるものとして三項目、それから優良な住宅地または優良な住宅の供給に資するものとして三項目、合計六項目につきまして今回、比例税率の限度二千万円を四千万円に引き上げて、それを超過する部分につきまして四分の三総合課税を二分の一総合課税に改めるという案の御審議をお願いいたしておりますわけで、先ほど来くどく申し上げておりますように、優良住宅地の供給につながり、かつ、公的土地の取得に役立つ、そういう範囲内に厳しい条件でしぼったわけでございます。
○宮地委員 国土庁はこの点どのように理解をしておりますか。
○佐藤説明員 お答えいたします。 最近の住宅宅地の需要を見ますと、大都市圏の住宅地の強含みの状態にあらわれておりますように、宅地供給が不足している状態にございます。したがいまして今回の税制改正は、他の施策を当然のことながら従前に増してとることとあわせまして、先ほど御説明がありましたような、現行の長期保有土地の譲渡所得税の四分の三が、一部大口土地譲渡について抑制的に働くという点について、二分の一の一般の所得税本則の税率に戻していただく点を含めまして御検討をお願いし、今回の措置によりまして私どもといたしましては、所定の優良住宅地の供給に対しましての軽減税率の適用によりまして、それに対するインセンティブが働くということを含めまして、十分な効果が上がるというふうに考えております。
○宮地委員 最近の地価高騰は大変に目に余るものがあるわけでございます。特に国土庁の土地鑑定委員会が本年の一月三十日に、五十三年の第四・四半期における地価動向調査の結果を発表したところによりますと、住宅地において昨年の地価のアップ率が、東京圏で八・七、大阪圏が六・四、名古屋圏八・二ということで、三大圏を平均しましても八・〇、特に首都圏八・七%という大変な上昇をしているわけでございますが、この原因をどういうふうに見ておられるか。また、今回のこの土地住宅税制の緩和がその後の、本年に入りましての土地投機の中に思惑として含まれているのではないか、こういう心配があるわけでございますが、この点についてはどのように認識をされておるのか、この二点伺いたいと思います。
○佐藤説明員 先生御指摘のように、最近の地価の動向につきまして土地鑑定委員会の発表いたしました五十三年一年間の地価動向は、全国的には五・一%ということでございまして、全体としては安定的な状態がまだ続いていると思いますが、三大圏の住宅地につきまして、御指摘のように八・〇%ということでございまして、強含みの状態にあることは事実でございます。 私どもは、地価の変動の要因として一つには、基本的に特に住宅地の効用の増、たとえば交通、地下鉄等の都心乗り入れ等によります交通の利便性の増加というような、土地自体の価値が上がってくる点が一つあろうと思います。それから第二点としましていまほど申しましたように、一般的な根強い住宅需要に対して供給が不足ぎみであるということがあろうと思います。今回の住宅地の値上がりに関しましては、いまほど申しました二つの点が原因しておると思いますが、後者の点につきましては先ほど来申しましたように、住宅地供給の促進を図るということによって対処すべきものと考えております。 なお、四十七、八年のようにいわば年間三〇%ないしは四〇%のような地価上昇を引き起こしましたのは、言ってみますれば土地の投機的取引が非常に横行したということでございます。この点に関しましては、その後の国会の御審議を得ました国土利用計画法の制定等なり、それから先ほど御説明申し上げました土地税制の短期重課等、要するに投機的取引の抑制の制度が非常に充実しておりますので、今後見込みといたしましてもそのような気配はないというふうに考えております。 第二の今回の税制改正に絡まる問題でございますが、今回の税制改正はいまほど申しましたように、いわば先祖伝来持っている長期的保有土地について、現行の四分の三課税の一部優良住宅地の供給に資するものについての手直しでございまして、先生御指摘のように、これからこういう税制になったから土地を買ってもうけようというようなことに関しましては、短期重課の制度、法人重課の制度ないしは特別土地保有税等の投機的取引を抑制する制度の枠組みもございますし、なお、国土利用計画法も的確に運用されることもございまして、そのようなおそれは全くないというふうに考えております。
○宮地委員 特に最近の市中銀行の預金のだぶつきに加えまして長期譲渡所得税の緩和、これがやはり土地の騰勢傾向にさらに拍車をかけているのではないか、こういう国民の心配もあるわけでございますが、この点についてはどのように理解をし、また調査をされておりますか。
○佐藤説明員 最近の土地融資の関係につきましては、銀行局の方、大蔵省の方で、五十年以来の通達についての所要の自粛要請を重ねておられるところでございます。ただ土地融資に関しましては、住宅ローンの伸び等がございますが、これは私どもの考えでは、いわば住宅宅地の実需に対応するものということと考えておりまして、これが地価の高騰をもたらすような原因になるものではないというふうに考えております。 なお、土地税制はいまほど来申しておりますように、長期保有土地に関する軽減でございまして、新たなこれから土地を買おうとする人に関して何ら税制の緩和をしておりませんので、御指摘のような問題はないのではないかというふうに考えております。
○天野政府委員 銀行融資のお話がございましたので、ちょっと補足的に申し上げさせていただきますが、最近不動産業に対します貸し出しがやや上向いていることは事実でございます。全国銀行ベースで見まして、総貸し出しの伸びが一〇%弱でございますが、不動産業に対します融資は一二・六%ぐらいになっております。ただ他方、個人に対します住宅ローン等の伸びは二〇%見当でございますので、私どもの判断といたしましては、不動産業に対します融資の伸びも、このような個人の住宅需要の増大を反映した実需に基づくものである、こういうふうに見ております。ただ何分にも地価の動向等もございますので、予防措置といたしまして、通達その他の手当てをしたところでございます。
○宮地委員 最近特に土地の高騰に対しまして金融機関が一役買っているのではないか、こういうようなことが言われておりまして、大蔵省といたしましても金融機関に対しまして、土地融資の自粛を要請した、このようにも伺っておるわけでございますが、この点の実態、また自粛を要請した後に、時期的にまだ間もないわけでございますので、その効果というものはなかなか見きわめがつかないかと思いますが、何らかの変化が生じているのかどうか、この点ちょっと伺いたいと思います。
○天野政府委員 私どもといたしまして、金融機関によります土地取得関係の融資につきまして通達いたしましたのは二月七日ごろでございまして、実はその後の数字的な状況というのはまだつかむに至っておりません。ただその際に、金融機関の土地関連融資について四半期ごとの報告を求めることにしておりますので、近い将来においてその実態はある程度つかめるようになると思っております。
○宮地委員 その実態をつかめるのは大体いつごろですか、近い将来と言いましたが。余り悠長なことをしていますと、土地の方は先にどんどん上がっていってしまいます。
○天野政府委員 ただいま申し上げました四半期ごとの報告は、一−三の分につきまして四月の終わりごろにははっきりすると思います。
○宮地委員 私はやはり地価の抑制問題は、単に国土庁だけに任せておいてはなかなか解決しない。確かに調整的企画、その辺の立場は国土庁にあるわけでございますが、そういう意味合いで国土法が制定されたのもそこにあるわけでございますが、私はやはり建設省、大蔵省、国土庁、三位一体になって真剣に地価の抑制対策を講じていかなくては、本当の意味の厳格なる地価抑制というものは国民の期待のできる方向に行かないのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、政務次官、この点について見解を伺っておきたいと思います。
○林(義)政府委員 きょうは税法の御審議をいただいているわけでございますが、土地問題というのはまさに宮地さんのおっしゃるとおり、税法だけで解決する問題ではないと思うのです。特に地価対策につきましてはいろいろなことをやっていかなければならない。国民が地価が非常に上がった、特にいま御議論がありましたように、投機で土地でもうけるというような考え方でいられますと非常に困ることになるのだろうと思うのです。一般の国民からも大変な非難を受けることになるだろうと私は思いますので、この辺はいろいろな角度から対策を講じていくべきものだろうというふうに考えております。私も大蔵政務次官でございますが、各省庁にもまた話をしまして、一層努力を傾けたい、こういうふうに思っております。
○宮地委員 そこで少しマクロ的になりますが、今回の租税特別措置法の改正によりまして、何点かやはり国民の抱いている疑問といいますか心配な点について伺って、締めていきたいと思います。 一つは、先ほどもお話が出ておりましたが、財政の健全化という名のもとに、やはり基本的には大企業優遇税制というものがまだ温存されているのではないか、こういう国民の率直な批判があるわけでございまして、各種引当金の見直しを初めといたしまして、その点についての国民の批判に対しまして大蔵当局といたしましては、どういう努力をし、またこたえていこうとされたのか、この点についての明確な答弁を伺っておきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 引当金の制度を設けました趣旨は、法人の所得計算というものの基本的ルールに従いまして、法人の発生から消滅までのすべてを通じての費用を各期間にどのように合理的に配分するのかという企業会計上の基本的な原則に従って引当金は経理さるべきものだと思います。税法上現在六種類の引当金を法人税法で認めておりまして、この引当金は企業会計の原則に従いますると、経費に算入しなければならない、引当金を取らなければならない、こうなっております。いわば企業会計上は必要的な損金算入項目でございます。これに対しまして私どもは、それはそうでありますが、現実の繰入率が貸倒引当金のようにあるいは概算率によっているもの、こういうものにつきましては、必要に応じて繰入率を実態に即したように見直していくということを基本的な考えにしております。 そこで本年の税制改正でも、これは政令をもって措置いたす事項でございますので、法案としての御審議をいただいておりませんけれども、歳入予算の方に税収として計上いたしておりますのですが、貸倒引当金につきまして、現在経過期間中の金融保険業を除きまして、繰入率を二割カットする、これによって約七百億の増収をするという措置をとっております。そのほか退職給与引当金等五項目の引当金につきまして現在のところ、繰入率についてさらに見直すということにつきましてはまだその結論に達しておりませんのですが、引き続き社会情勢、経済情勢というものを見ながら常時見守ってまいりたいというふうに考えております。
○宮地委員 さらに、所得税の減税の問題についても、党首会談でも大平総理もこの問題についてはなかなかかたい口を閉ざしたままであったようでありますが、国民はこの二カ年間、物価調整減税として戻し税が返ってきておりまして、五十四年度においては果たしてどうなのか。実際先ほど来申し上げておりましたように、四・九%の消費者物価指数の目標も恐らく超えるであろう。公共料金を初めといたしまして大変な物価攻勢がこれからやってくるわけでございまして、実質的に国民所得の目減りが五十四年度においては低所得者ほど厳しいのではないか、こういうふうに私たちは理解をしているわけでございます。所得税減税ゼロ、大変これは国民にとって厳しい、そういうふうにわれわれは理解をしているわけでございますが、最低、物価調整減税三千億円程度のものはできないのか、こういう期待とともに大変な切実な願いを国民は持っていると思うのでございます。この点についても何度か大臣からも答弁いただいて承知をしているわけでございますが、きょうは新進気鋭の政務次官でございますので、この点について所見を伺っておきたいと思います。
○林(義)政府委員 大臣からも繰り返し御答弁しているというお話でございますが、私も一般的な所得減税、こういうことになりますと、いまの段階ではやるのは適当ではないのではないか。というのは一つには、諸外国との比較におきましてもわが国の課税最低限というのは非常に高いところにある、そういったことでございますし、財政が大変むずかしいというところでございますから、そこで新しい物価調整減税というかあるいは所得税減税をやるというのはいかがだろうか。それだけむずかしい状況にあるのだということを国民にわかっていただくためにも、そういったことは今回はやるべきではない、また財政の事情はとてもそういったことを許すような状況でないということをぜひ御理解いただきたい、こう思います。 と同時に先生、戻し減税というようなお話がちょっと出ましたから、ついでに私このことにつきましても申し上げておきますが、二回ほどやりました戻し減税というのは果たして効果があったのかどうか。特にあれはいろいろないきさつで議員立法という形でやられたことでもございますし、いまの私たちの考え方からいたしますと、財政事情、経済事情からすればこれもやるべきではないのではないか、こういうふうに考えておるものでございます。
○宮地委員 私は戻し税については大変に効果があった、こう理解している一人でございます。政務次官も政治家の一人でありますから、選挙区に帰ってその辺を確認されれば一番よくわかることでございまして、いま御答弁されているようなことを帰ってやりますと、これは大変厳しいおしかりを受けると思います。これはわずかでございますけれども、低所得者ほど戻し税に対しては大変に喜びの声が多い、また大きかったというこの認識だけは、私はぜひ立場を超えて政治家として持っていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。 もう一点伺っておきたいのでございますが、今回の税制改正で本当に不公平税制と言われるものの是正ができたのだろうか、むしろどうも一般消費税を五十五年度から導入するその突破口にするのではないか、こういう逆の見方をする方々も非常に多いわけでございまして、率直に不公平税制の是正はもっと勇断を持ってやるべきではなかったか、私はそう思っております。この点について政務次官はどうお考えになっておるか。 また一般消費税の導入、これは現状の経済環境からしても断じてやるべきではないし、大平総理も今国会の提出を見合わせたようでございますけれども、やはりもっともっと慎重に対応していくべきである。大平総理も一般消費税の導入に対しましては、十分な国民との話し合い、合意、また対応をつくっていきたい、こう申しておるわけでございますが、政務次官としてこの問題についてどう考えておられるのか、所見を伺って質問を終わりにしてみたいと思います。
○林(義)政府委員 一つには、今回御提案申し上げましたところの租税特別措置法は十分かというお話でございます。私は一般論として申しまして、世の中にはすべて完全無欠だというものはなかなかないと思うのです。しかし私たちの方といたしましては、一生懸命にやりまして正すべきものは正した、これは見ていただきたいと胸を張って御提案できる案だというふうに考えております。 いま先生お話しのありました中で、これを突破口にしてというお話がございましたが、突破口にするということではないので、私たちの方としてはやはり正すべきものは正していく、こういったことで、今度は医師の優遇税制その他を初めとしまして、思い切った提案をしているというふうに考えております。 と同時に、消費税でございますが、これは一つの大きな法律でございますし、その取り扱いにつきましては軽々にやるべきものではないということは、そのとおりだと思います。ただ、こうした財政の置かれた状況の中で、いつまでも国債に大きく依存するのはどうかということで考えていきますし、また、そのほかの方法ではなかなかできないということであれば、これも国民の理解を十分に求めた上で実施していくべきものだろうと私は考えております。 以上でございますが、この問題につきましては私は、当委員会その他でまた十分に御議論いただいてやらなければならない問題というふうに考えていることを申し上げたいと思います。
○宮地委員 ぜひもっと国民の税に対する率直な考えというものを生活実感的な立場からもとらえていただきまして、大蔵当局の良識ある対応を強く要望したいと思います。 時間も少し早いわけでございますが、昼食時間を超えての同僚委員、また政府委員の皆さんの御努力に敬意を表しまして、終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
○加藤委員長 午後二時に再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時五十一分休憩 ————◇————— 午後二時一分開議
○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 租税特別措置法の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 租税特別措置法につきまして各委員から質問があったわけでありますけれども、時間の都合もありますので、私は執行上の不公平の問題についてまず初めにお伺いをしたいと思うのであります。 われわれがちまたといいますか選挙区と申しますか、そこにおりますと、やはり所得を完全に把握されている、トーゴーサンなりクロヨンという問題がかなり言われるということで、税法上の不公平もあるかと思いますけれども、それと同時に、執行上の徴税上の不公平というのをかなり耳にするわけであります。それで国税庁長官にお伺いをしたいのでありますけれども、長官の耳にもこれは抽象論としては入っていると思うのでありますけれども、この徴税上の不公平というのを長官の方としてはどういうふうに理解をされているか、まずそこのあたりからお伺いしたいと思います。
○磯邊政府委員 ただいま佐藤先生御指摘のように、私たちいま一番気になっておりますことは、いわゆる税制上の不公正の問題ということもさることながら、税務の執行上において不公正があるのではないかということであります。いま御指摘になりました世にいうトーゴーサンであるとかあるいはクロヨンというふうな言葉、これは一種のごろ合わせかとも思いますけれども、しかし謙虚に考えてみますと、やはり巷間そういった声が出ておるということは、税の執行上において不公正さがあるのではないかということであります。つまり、われわれの調査が不十分であるあるいは調査能力が足りない、そういったことによって、実際の所得の把握ができてない、あるいは極端な場合には所得者そのものも把握されてなくて見逃されておる人がおるのではないか、こういったことが一番気になっておることでありまして、現在私たちの税務行政の中心というのは、公正なる税務の執行ということを最大のポイントに置いているわけでございます。
○佐藤(観)委員 そこでちょっとお伺いしますけれども、一体現在総法人数がどのくらいあって、実際に、いまでいきますと五十三年度はまだ終わっておりませんから五十二年でしょうか、データとしては五十二年に一体どのくらい調査した法人があるのか、実調率の推移について若干お伺いをしたいと思います。
○磯邊政府委員 いわゆる実調率を所得税と法人税に分けて申し上げますと、所得税につきましては、昭和四十二年分でありますが、このときの実調割合は五・二%でございます。それがだんだんと低下してまいりまして、昭和四十九年分には最低の二・七%というところまで落ちました。それからその後内部的ないろいろな合理化努力あるいは職員の大変な努力によりまして、五十一年分につきましては三・七%というところまで回復したわけでございます。これが所得税については実調率が四%弱と言われておる実態でございます。 法人税について申しますと、これは若干時期のずれがございますけれども、四十三事務年度で申しますと、その当時の実調割合が一五・三%、それが法人税につきましては逐年確実にその実調割合が低下してまいりまして、四十九事務年度におきましては六・六%という最低に落ち込んできたわけであります。その後、これは所得税と同じように大変な努力によりましてその実調率の引き上げをやってまいったわけでありますけれども、これも五十二事務年度では七・九%というふうに八%を割っておるという状況であります。 いま法人税についての御質問がございましたので、試みに過去の例を申しますと、御承知のように申告納税制度が適用になりましてから昭和二十八年度ごろまでは、ほとんどもう各法人について毎年調査をするというふうな調査体系であったわけであります。それがその後次第に調査なり法人の管理のやり方を変えてまいりました結果、二十九年から三十八年度ぐらいにかけましては、これは当時、実地調査による三年一巡調査方式というものを採用いたしまして、その当時の実調率が大体四九%から二八%までなりました。その後三十九年度に入りまして、実地調査と臨戸調査を組み合わせまして三年一巡方式をとったわけでありますが、これが二五%から一三%ぐらいまでの間で実調をやっております。それが四十六年度以降はいわゆる質的管理体制というのをとりまして、法人をそれぞれ質的に区分いたしましてそれの接触体系を変えました結果、現在申しましたような大体一三%から最低六・六%までになるというような状態になっておりまして、かつての所得、法人を通じましての実調の割合から考えますと、まさに格段の差があるような状況でございます。
○佐藤(観)委員 いまお話がありました五十二事務年度で七・九という実調割合ですと、それは大法人も中、小もありますからこれは一概に言えませんけれども、全くならして考えますと実調率が七・九ということは、逆算をしますと、約十三年に一回しか税務調査は入らないということですから、これは余りにもひどいのではないかと思うのですね。何も調査に入ること自体が必要なのではなくて、正しい申告が本当にされていればいいわけでありますけれども、どうもその他のいろいろなデータを見るとそうでもないということになりますと、一体この背景は何だろうか。確かに法人数が非常に伸びている、あるいは定員がその割りには伸びないというような背景があろうと思いますけれども、一体その背景は長官としてはどういうふうにお考えでございますか。
○磯邊政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、このように実調率が低下してきたというのはやはり第一には、調査対象でありますところの納税者の数がふえたということであります。それと同時に、それに伴っての税務職員の増加がないという、その調査対象件数とそれから現在の税務職員とのギャップがきわめて大きなものになったということであるのが基本的な問題であります。もちちんそのほかに、経済取引の範囲が非常にふえたとか、あるいはその取引の内容そのものが非常に複雑多様化したとか、いろいろな問題が言われるわけでありますけれども、いずれにしましても、調査対象の増加に現在の税務職員の増加が追いつけないということが基本的な問題だろうと思います。
○佐藤(観)委員 それでは、だれでも考えることですが、庁の内部でもう少し機械化できないのだろうか、あるいはアルバイトを導入をして、大変ベテランの税務署の職員の方がやらなくてもアルバイトに依存できるところはないのだろうかとか、あるいは職員の配置がえをしまして、管理・徴収、間税部門の方をなるべく法人とか源泉所得税の部門に回すとか、そういうことを恐らくかなりやっていらっしゃると思うのでありますけれども、現場からいって、こういった施策というのももう大体限度にきているとわれわれは判断をしてよろしいのでしょうか。
○磯邊政府委員 ただいま御指摘のお考え、私も基本的にはそういった考えであります。御承知のように税務調査の対象者が非常にふえてきた、それから税務を取り巻く環境が非常に厳しくなってきたということで、その対策といたしましてはわれわれは、できるだけの定員の増加をお願いしておるわけでありますけれども、それだけではなくて自己努力といたしまして、人員を再配置する、つまり地方局から都市局の方に人員を再配置いたしましてその配分のバランスをとったということが一つ、それから税務署そのものを合理的に統合分割を続けてきた、それから税務署の機構を改革いたしまして、現在の課、係制度というものを廃止して統括官制度をとることによって、調査に最も効率的な機構に変えていった、同時にまた、いまおっしゃいましたように内部事務の圧縮を図るために機械化を進めてきた、それからまた、できるだけアルバイトを採用することによって単純な作業というものはアルバイトの人にやってもらう、というふうな努力は、国税庁としても精いっぱいやってきたつもりでありますけれども、しかし、いつまでもこういった内部的な自己努力の合理化というものだけでは限度がございますので、やはり今後の問題としては、人員をふやしていただくということがどうしても必要になってくるというふうに私は考えております。
○佐藤(観)委員 きょうは行管も見えておりますので、行管のいらっしゃるところで、この問題は私は行政改革とは違う次元で物を考えていかないと大変なことになるのではないか。それはおいおい御質問申し上げますが、そこで、税務署の職員が一人ふえたから直ちにそれだけコストがかかるというものではなくて、一人ふえて調査に入ればその分だけ増差税額が出てくる、そういった意味では歳入がふえるという問題がありますから、若干お伺いをしていきたいのであります。 たとえば法人税について、五十二事務年度で一体どのくらいの増差税額があり、一応法人税担当の職員の方はどのくらいいらっしゃるのか。それから、査察がありますね、査察によって脱税額は 一体どのくらい上がったのか、そして、延べじゃなくていいですが、単純な査察に要した人員はどのくらいか、ちょっとそれを数字を挙げてください。
○磯邊政府委員 増差税額の問題でありますが、所得税について申し上げますと、昭和五十一年分については全国の増差税額が八百六十三億円であります。もちろんこれは税額であります。それから法人税について申し上げますと、五十二事務年度については二千六百七十七億円となっているわけでございます。これは単純に割りますと、所得税については一件当たりの増差税額が二十九万二千円、法人税については一件当たりの増差税額が二百十二万七千円というふうな数字になっているわけであります。 なお、査察について申し上げますと、五十一年度で百八十七億円という増差税額を上げているわけであります。ただ、いま査察官全員で全国で約七百名ということになっておりますから、査察官一人当たりについて言いますと二千万円の税額を増差税額として課税しておるということになるわけであります。
○佐藤(観)委員 これは数字の問題ですからいいのですが、おたくからいただいた「日本における税務行政 昭和五十三年」というのを見ると、「法人税の課税額の推移」というところで、法人税については税務署所管分と国税局所管分で増差税額が合計千百七十六億円という数字が挙がっているのですが、長官がいま言われたのは五十三年かな、五十三年はまだ数字が出るわけがないめで、五十二年にしては数字が倍ぐらい違うものですから、ちょっとそれを説明してください。
○藤仲政府委員 ただいまお尋ねの点につきましては、ちょっと時間をいただいて、すぐに調べて御答弁申し上げます。
○佐藤(観)委員 数字のことですから後で調べればいいのですが、査察の額も、まあこういうものは一人当たりで出すことが必ずしもいいのかどうかわかりませんが、要するに私の言いたいのは、ベテランの調査員がやれば一人の人に出す給料よりもはるかに国の方には税収が上がってくるということを申したいわけでありますので、別に数字の細かいことについてはいいのでありますけれども……。 そこで、大臣が見えたら私はその次にお伺いしたいと思ったのでありますが、それに引きかえ、現在の国税庁の職員の年齢構成の問題なんですね。いま委員各位のお手元にも年齢構成の表が行っていると思いますけれども、これは国税庁から出していただいたわけでありますから間違いないと思いますが、これを見ますと、五十一歳以上の方が一万六十九人、全国税庁職員五万百七十六人のうちの二〇・一%、それから四十六歳から五十歳までの方が一万百五十五人、二〇・二%、昭和五十三年十月一日現在ということでこういう数字が出ているのですが、これは間違いございませんね。
○磯邊政府委員 そのとおりでございます。
○佐藤(観)委員 そうしますと国税庁の職員の方は、若くして早くやめられる方もいらっしゃいますけれども、大体が五十六歳ぐらいである、五十五、六歳でやめられる方が六割ぐらいになっているわけですね。そうしますと、この表を五歳右にずらしてみますと、たとえば五年たった後には、いまのベテランの五十一歳以上の方々一万六十九人というのはほぼやめていかれる、何か追い出すような言い方ですが、従来の経緯からいったら大体こういうことになりますね。よろしゅうございますか。
○磯邊政府委員 ただいま先生御指摘のように、現在の年齢構成から考えますと、そういった形でいわゆる五十歳以上の中高年層の方たちが退官していくということになります。
○佐藤(観)委員 さらにもう五年たちますと、つまりいまから十年後になりますと、四十六歳以上の方がやめていかれるわけでありますから、一万百五十五人の方はやめられる。つまり、もう十年たちますと何と現在の職員の方の四〇・三%、四割が、しかも一番ベテランの方がやめていかれる、こういう事態になるわけですね。 長官、税務署の職員が一人で十分調査等ができるなというふうになるには何年ぐらいかかるのですか。これは専門官を受かった人もいらっしゃいますし高校から入られる方もいらっしゃいますから単純にはなかなか言えないと思いますけれども、一、二年でそんなに一人で外へ出して調査ができるというようなことにはならぬと思うのでありますが、大体われわれの考えのもととしましてどのくらいだというふうに考えておいてよろしいのですか。
○磯邊政府委員 いろいろと見方もあろうかと思いますけれども、御承知のように、税務職員というのが一人前の職員として調査能力を持つというようになりますのは、やはりそれなりの知識経験が必要であります。私の個人的な考えでありますけれども、やはり五年は必要だという感じでございます。
○佐藤(観)委員 私の聞くところ、本当に一人前というのは、どういうのを本当に一人前というのかが違うからそれは必ずしも数字で出るものじゃないでしょうけれども、まあ七年から十年たたないと本当に一人を外に出して調査に行っていらっしゃいというわけにはなかなかいかぬというのが、職場の実態から聞いた数字であります。 いま大臣、政務次官からお聞きになったと思いますけれども、この表のようにあと五年たつと約一万人の方が、一番右の山の前の方がやめられてしまう。さらにもう五年たちますと、いまから十年後にはさらに一万人、つまり二万人やめられてしまうということを解明をしているわけでありますし、しかも後の方が入ってきても、それを補うためには長官のお言葉では五年必要だということですね。 そこで、新規の採用の方はどうなっているかということでありますけれども、これは長官、たとえば最近五、六年間はどのくらいの数字になっておりますか。採用者数、それから退職される方もいらっしゃいますから、純増として差し引きはどんな増加になりますか。
○磯邊政府委員 昭和四十八年度から申し上げますと、昭和四十八年度の採用者数とそれから退職者数の差し引きで四百七人の増加、四十九年度では六百二十九人の増加、五十年度では五百三十五人の増加、五十一年度では百九十七人の減少、五十二年度では百三十人の増加ということになっておるようであります。
○佐藤(観)委員 五十三年度は幾人。
○磯邊政府委員 五十三年度では、最終的にまだ退職者数がわかりませんので、差し引きというのは出てきていないわけでございます。
○佐藤(観)委員 そうすると、いま長官が挙げられた四十八年度からの五年間だけ見ましても、合計しますと純増としては千五百四人、大体全国に税務署五百ありますから、三人ふえたかふえないかというぐらいのところになるわけですね。しかもこの方々が、四十八年に入られた方は五年たっておりますから大体一人前になるかなというところになるわけですね。そうしますと五年後には、約一万人やめられていくけれども、いまのように新規採用はわかっているだけでもこの五年間で千五百人ということでありますから、これは人数の面だけ見てもゆゆしき事態が将来、この五年先を見ただけでも考えられるということになるわけであります。大臣、よろしゅうございますね。 そういうことになってきますと、冒頭にお伺いしましたように、徴税上の不公平をなくしていくためにはもう少し実調率を上げなければならぬということになってきますれば、いまのような採用者数のペースでは、とてもじゃないけれどもこの五年先を考えただけでも、明らかに八千五百人は人数だけから言っても足りなくなる。しかも、こう言っては失礼でありますけれども、質的に見ましても、大ベテランがやめていかれて、入ってこられた方はまだまだ経験が非常に浅いということになるわけでありますから、この事態は私は当大蔵委員会としても決して看過することができない問題ではないかと思うのでありますが、大臣の問題意識はいかがでございましょうか。
○金子(一)国務大臣 従来の経験から言えば大変な問題に直面しておるわけでございますが、しかし、これは日本の税界だけではなくて、どうも聞いてみると世界各国とも同じような問題に悩んでいるようであります。しかも、今後の対策をどうするかという問題につきましては、いま国税庁当局もいろいろ苦労してくれておりますけれども、やはりある程度機械化を進めると同時に、納税者の協力を得るようにもっと詰めていく、調査も重点的にやっていくというようなことで対処していくことが一番大事なことであると思います。 新規採用者につきましての研修と申しますか訓練につきましては、今後も積極的に努めてまいりたいと思うのですが、役所全体が、税の方だけではなくて、どうも大体こういうような傾向値にある、これはどうも免れない現象でございまして、今後これをどうやって切り抜けるか、御指摘のとおり大きな問題であると考えております。
○佐藤(観)委員 そこで、残念ながら大臣は前にいらっしゃらなかったのですが、各役所とも戦後の混乱期にある程度人を多く入れたということですから、同じように一つの年齢構成から山があることも私は知っております。それからいま申しましたように、長官からも前にお話があったのでありますが、確かに機械化その他でいま御説明があったような自己努力もしていただくことも非常に重要でありますけれども、長官のお話でもとてもこれでは間に合わない。しかも、重点的に調査をいまでもやっていらっしゃると思うのでありますが、それでも十三年に一遍しかとにかく調査が来ないということでありますから、とてもこの事態はこのままおいておくわけにいかぬということになると思うのであります。 そこで、行政管理庁にお伺いしたいのでありますけれども、いまこういった人員のことにつきましては、総定員法があり、あるいは閣議決定をいたしました。ことしで言いますと、昭和五十二年度以降の定員管理についてという五十一年八月十日の閣議決定があるわけです。そこでいま実際に定員をふやす場合に、どういうふうなやり方をしてふやしていらっしゃるのか。 それともう一つ、税の場合に私は先ほどちょっと触れましたように、仕事の内容が特殊だと思うのですね。他のところは定員削減をしましても、これはこういった言い方は悪いかもしれませんが、その分だけ行政事務はふえてきますけれども、人をふやせばコストもかかる。ところが国税庁の職員の場合には、これは先ほど言ったように必ずしもそうではなくて、税収が上がってくるという特殊性があります。これを行政管理庁としてはどういうふうに見ていらっしゃるのか。 それともう一つは、いま表がそちらにも行っていると思いますけれども、こういったことであと五年後にはいまの職員の方の一万人がやめられる。十年後にはさらに一万人がやめられていく。質的にも量的にも大変な低下を来すということを行政管理庁としてはどういうふうに理解なさっているのか。以上三点についてお伺いしたいと思います。
○百崎説明員 御説明いたします。 まず第一点でございますけれども、私ども毎年度の定員査定に当たりましては、国税当局の方からできるだけ私どもとしても現実の実情を把握するということで、詳しい御説明をお聞きして査定しているわけでございますが、私どもといたしましても先生御指摘のように、税務関係の職員は租税負担の公平の確保、それからまた財政収入の確保という非常に重要な使命を担っておりますことは十分承知いたしておりますので、たとえば計画削減におきましても国税職員については削減率をできるだけ低くする、一方、各省から毎年度定員を削減していただまして、そういったものを財源にしてできるだけ国税庁の方にそれを振り向ける、こういう努力をしているつもりでございます。 それからまた御指摘のように、国税関係の職員は一人ふやせばそれだけ税収が入る、こういう特殊な立場にございますので、私どもといたしましても、そういった点を十分考慮に入れて査定しておるわけでございます。 それからまた、先ほど御指摘の年齢構成のひずみの問題でございますけれども、私どももこういった点、将来一時的に相当大量のベテランの職員が退職されることは予想されますので、そういった点十分留意しているつもりでございますけれども、このひずみはなかなか一気に是正するわけにもまいりませんので、いまのうちからできるだけ新しい職員を大量に採用できるようにしてそういった職員の方々を研修していく、こういったことが有効な方策でなかろうかと思いまして、国税庁につきましては、一般の増員のほかに毎年度の新規採用が大量に確保できるように特別の措置を講じてまいっております。 以上でございます。
○佐藤(観)委員 その特別の措置というのは、なるべく削減率を減らしたりいま管理官から言われたようなことも含めて、それは確かに絶対数がふえておるというところは、文部省関係と厚生省関係と国税庁ということになるわけでありますけれども、その意味で大変御理解をいただいておることはありがたいと思うのでありますが、問題は、先ほど数字を挙げたように、五年先で一万人もやめていかれちゃうというのが、いまのこのペース、先ほど長官言われましたように、四十八年四百七人、四十九年六百二十九人、五十年五百三十五人、五十一年はマイナス百九十七、五十二年が百三十、そして五十三年が公務員の定数でいきますと七十ぐらいだと思うのですね、純増が。それから五十四年度の予算の中がたしか百人というペースで、とてもこれは追いつかないと思うのですね。私は追いつかないことは、これは数字の話ですから、管理官もおわかりになると思うのですが、そこでひとつお伺いをしたいのは、いまのように各省庁から人数を減らしてきてここをふやすといっても、減らす人数というのはおのずと私は限度があると思うのですね。 そこでまず、閣議決定の別表一という各省庁別になった定員と削減目標数というのがありますが、これの中に大蔵省の五十一年度末定員が六万七千四百三十八人、削減目標が二千百二十四人ということになって、削減率としては三・一五なんですが、これをひとつ国税庁だけは外してもらう。大蔵省の本省と国税庁とは、これは少し国税庁だけは別書きにして外してもらうことを考えなきゃいかぬのじゃないか。ないしは、これはひとつ自民党の方々も含めまして議員立法でもしなきゃいかぬのかな。こんな議員立法はちょっと大蔵委員会でもやったことありませんけれども、ちょっといまのような各省庁から人数を削減してきて、その人数を国税庁と文部省関係、厚生省関係に振り分けるというやり方をやっていま百崎管理官が言われるように御努力を願っても、過去のペースが先ほど挙げたような数字なわけですね。そうしますと、これは何か別のやり方に変えなきゃいかぬのじゃないだろうか。たとえば総定員法と現在の実数との間にたしか五千人ぐらいの差があると思いますけれども、これを何とかするとか、あるいは国税庁職員の整備というのか拡充というのか補充というのか、こういった特別の立法か何かを考えて将来に備えることとか、いずれにしろこの五年先には一万人、十年先にはさらに一万人ほぼやめられていくだろうということはわかっていることなんで、天災、事故じゃないものですから、これをやっぱりわれわれとしても十分考えていかなきゃならぬと思うのであります。 今日まで行政管理庁においても国税庁については、そういった意味での特別な要件を持っているがゆえに配慮してもらったわけでありますけれども、それはそれとして理解をし評価もするのでありますが、そのペースでは残念ながらとても事態は追いつかないのではないかということを大変心配をするのであります。いまここでどういうやり方をしたらということは、なかなか管理官の方から言えないと思いますけれども、これはひとつ早いうちに、来年度の概算要求が大体八月ぐらいですかね、もう少し後になるかな、概算要求までに、行政管理庁と大蔵省、国税庁で少し詰めていただいて、どういうやり方をすべきなのか。事態の重大さは大体当事者同士おわかりになっている話でありますし、しかも完全に予想されることでありますから、われわれは座していまのような実調率が下がった状態をそのままにしていることはできぬと思うのであります。ここでどういうやり方がいいというようなことはなかなか管理官の方からも言えないと思いますけれども、それも含めまして、また時期的にも次の予算時期には十分間に合うような行政的な措置をぜひお願いをして、専門の管理官から御意見を承っておきたいと思います。
○百崎説明員 先生のお話のうちの第一点の新規採用職員の問題でございますけれども、先ほど私、ほかの省の定員を削減して云々という特別な配慮をしているというような趣旨のことを申し上げましたが、国税庁につきましては、一般の定員の増を図るほかに、それに上積みをいたしまして年度の当初からある一定期間だけの定員、これは調整定員と申しておりますけれども、それを千数百人程度最近ふやしておりまして、それで国税庁の方の新規採用は十分賄えるのではなかろうかというふうに考えております。新人を大量に採用すると申しましても、やはりそこには実際上の限度がございますので、私どもその枠につきましては、国税庁の方から十分御相談を受けまして、大体このぐらいしか採用できないといいますか、あるいはこの程度であれば十分であるというような数をつかみまして、それを一般の増員のほかに上積みとしてつけてまいっております。 もう一つでございますが、たとえばいわゆる計画削減の対象から国税関係の職員を外すとか、あるいは総定員法の枠外に出すとか、あるいはまた総定員法のいわゆるすき間と申しますか、これを先ほど五千人ぐらいとおっしゃいましたけれども、これを十分活用するとかいうようなお話がございましたけれども、基本的な私どもの定員管理の考え方といたしましては、できるだけ広い範囲を対象にいたしまして、その中で、行政需要の消長に応じて、需要の減退したところから新規に需要が発生するところに定員を振り向ける、こういった基本的な考え方だけは今後とも堅持してまいろうと思っているわけでございますけれども、国税の場合にもそういった意味で、できるだけそういった定員管理の対象の範囲は広い方が適当ではなかろうかと思いまして、これにつきましては従来どおりの方針でまいりたいと考えております。 〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕 なお、総定員法の上限とのすき間が五千人ぐらいまだあるからそれを活用したらどうかというお話でございますけれども、実のところ先ほど申しましたように、省庁によりましては新規採用をどうしても大量に行う必要があるというようなところにつきましては、一般の定員の上積みとして調整定員というもの、実はそういう制度がございますけれども、この数が大体二千五百人ぐらいでございますか、そこで実際の定員法、総定員法の上限と五十四年度末の定員との差が四千八百人ぐらいでございますので、その差、つまり二千三百人ぐらいが実際のすき間ということになるわけでございまして、私ども、これは今後ある程度長期的に定員を円滑に管理してまいるためには、この程度ぐらいのすき間はやはり必要ではなかろうかというふうに考えております。 いずれにいたしましても私どもとしましても、先ほど申しましたような国税関係の職員の使命の重大さということは十分承知いたしておりますので、今後とも国税庁の方と十分相談しながら、いわゆる合理的な定員配置が行われるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 管理官、いろいろ御配慮願っていることはいいと思うのですが、そんなむずかしい話じゃなくて、とにかくがくっと五年間で一万人いらっしゃらなくなってしまう、この質的低下は大変なものだと私は思うのです。しかも、いまのようなペースで追いつかぬことはどなたもおわかりになると思うのです。ただし管理官が言われるように、学校の問題とか、そう一挙に入れてもいまなかなか施設がありませんから、そういったような細かい問題もあることはありますけれども、最後に長官と政務次官にお伺いしておきたいのであります。 長官ももう多く申すまでもなく、いまのような採用者数の増加ではとても、もう五年たったときには大変な事態になることはおわかりになると思うのですが、一体それをどう考えていらっしゃるか。政務次官には、次の概算要求のときぐらいまでに具体的にこれをどうするかという問題を大蔵省としても動かなければいかぬと思うのです。大きな政治課題だと思うのです。それについて一体具体的にどうするかというのは、なかなか全体とのバランスもあったりするわけで、いま管理官からお話があったように、私は何も総定員法のすき間のことに固執しているわけじゃないので、いろいろなやり方があるだろうし考え得るだろうし、やはり内閣としても大きな課題として挙げていかなければいかぬ問題だと思うので、その決意をお伺いをしたいと思うのです。ちょっと長官の方から……。
○磯邊政府委員 確かに御指摘のように、五年後に一万人、十年後にさらにまた一万人といったような税務のベテランの職員がいわゆる慣行退職の年齢を迎えるわけでありますが、そういった場合に、一挙にわれわれとして最も頼りにしているといいますか経験豊富な職員がいなくなって、実際の戦力が低下するのじゃないかということがありますと同時に、こういった諸君が退官していってそこで当然欠員が出ますから、そこでまた一挙にそれに見合うだけの職員を採用するということになりますと、これはまた三十年後に現在と同じような山が出てくる、そういった意味で、いろいろとむずかしい問題があるということは私は重々存じておりますけれども、できるだけ平準化してコンスタントに採用をしていく、そしてこういった年齢構成の極端な山が今後生じないようにしていく、それによって同時に、税務職員の調査能力の低下を防いでいく必要があるというのが、私たちの本当の希望でございます。 しかし、それは行政管理庁の方にもよくそういう点をお願いしたわけでありますけれども、御承知のように総定員法の関係等もございまして、いろいろ御配慮いただいていることは重々知っておるわけでありますが、国税庁としてはこれは早急に解決しなければならない大きな問題であるというふうに考えております。
○林(義)政府委員 佐藤先生のいまのお話をずっと聞いておりまして、非常にごもっともな御質問だと思いますし、長い間大蔵委員会でやっておられた先生らしい、非常に大蔵省のことを考えていただいている御質問だというふうに私も承っておりました。 実はここに数字がございます。五十一歳、五十歳、私は現在ちょうど五十一歳でございまして、考えてみますと、この時代に入った人というのは、当時大蔵省が非常に税務職員をたくさん必要とした時代に入ってきた人が多いと思うのです。ところが一方、一番低いところを見ますと、今度は四十歳代、こういう形になりまして、年齢的なギャップがあるわけでございます。こういったものはあってはいかぬので、何かこう見ますと、団塊の時代というカーブ、ずっと何かに行っちゃって、あと抜けてまた少し、こういうふうな形がいかぬのじゃないか、こう思いますし、いまいろいろお話がありました点を踏まえまして、これはやはり早急に対策を立てていかなければいけない。そうでないと税の不公正という問題になってくるわけでございますから、そういった形で早急に結論を得ようというふうに努力したいと私は思っております。
○佐藤(観)委員 それでは、次の医師税制の問題に移りたいと思います。 まず、私がちょうちょうと申すまでもなく、社会保険診療報酬課税の特例に関する租税特別措置法二十六条というのは、昭和二十九年に議員立法でできたわけですね。そのときの経緯というのは、社会保険診療報酬の適正化ができるまで暫定的な措置としてということが前提だったわけであります。 そこで、今度改正になるわけでありますけれども、一体そのときの社会保険診療報酬というのは、物価上昇率その他からいって適正化ができたのだろうかどうなんだろうか、これはやはり税を改正する以上、経緯がそういう経緯でありますから、そのことをさわらずにいくわけにはいかぬと思うのであります。ただ、これだけやっておるとまた時間がありませんからそんなには長く質問しませんが、社会保険診療報酬というのは昭和二十六年問題になったときから単価の水準として、昭和二十六年から五十一年でも五十二年でもいいですが、一体どのくらい上がったのか、これは点数表に薬価基準を加味した場合どのくらい上がったのか、ちょっとそれについて厚生省の方にお伺いします。
○竹中説明員 お答えを申し上げます。 診療報酬の改定を何回も繰り返して行っておりますが、お尋ねの昭和二十六年から二十九年まで改定がなかったわけでございます。それ以来現在、昭和五十三年の二月に改定いたしておりますが、それまでの改定率を全部累積をいたしまして、昭和二十六年を一〇〇といたしまして指数を出してみますと三二九・六、三・二九六倍ということでございます。それからお話しのございました、その間に薬価基準の改定をこれも何度も行っておりまして、そのたびに薬価を切り下げておるわけでございます。その分を引き算をいたしますと、これもやはり二十六年を一〇〇といたしまして二七八・三、二・七八三倍というのが現在の値でございます。
○佐藤(観)委員 そうしますと消費者物価指数、これを昭和二十六年を一〇〇にして総理府統計局の戦前基準によるもので調査室の方にはじいてもらったのでありますけれども、昭和二十六年を一〇〇にいたしますと——いまの数学が何年でしたか。
○竹中説明員 先ほど申しましたのは五十三年二月現在でございます。
○佐藤(観)委員 済みません、ちょっとメモが出てなかったものですから……。 五十三年といたしますと、いま申しました消費者物価指数というのが、昭和二十六年を一〇〇にして四七九・一という数字が出ているのですね。そうしますと、単なる点数もさることながら、点数表に薬価基準を加味した、つまり薬の頻度や何かというのはなかなかむずかしいのでそこまで詳しく御質問しませんけれども、それをそういったウエートをかけたものを入れても、いま医療課長さんの方からお話がありましたように二七八・三、二・七八三倍ということでございますから、その意味では、消費者物価指数と比べてみるとこれは伸び率としてははるかに低いということになると思うのですね。 そう言うと恐らく、いや国民総医療費がこれだけ約十何倍になっているとか言われると思うのでありますが、総医療費だけで言いますと、これはかなり診療の内容が違っていますし、人数も違っていますし、それから有病率も違うし、それを論議をしていったら非常に大変なことになるのでやめますが、主税局長、どうなんですか。そもそも租税特別措置法二十六条の問題というのは社会保険診療報酬が低いからということで、当時、あれは金子大蔵大臣がどこかの局長をやっていらしたのだな、大阪圏税局長かな、そのくらいの話でありますから、そのときの発端が社会保険診療報酬が低いということから発した税制でありますので、今度主税局長が責任を持ってここで直されたわけでありますけれども、薬価基準ないしは社会保険診療報酬は十分適正化なったというもとで今度の税制の改正を行われたのか、いやそれはおいでおいで改正が行われたというのか、それは主税局長、どうですか。
○高橋(元)政府委員 診療報酬の単価の水準については、いま厚生省からお答えのあったことでございます。それから、租税特別措置法二十六条が設けられました経緯については、ただいま委員からもお話がございました。 この問題は、その後の社会保険制度が非常に拡充してまいりまして、いまも仰せのありましたように、有病率が上がる、受診する人の数がふえてくる、そういうこともございまして、医業の方の所得水準というのが非常に高まってまいったというのが実情でございます。昭和二十九年、法制定当時を一として医療保健業の所得の伸び率というのは二十八・五倍、これは五十二年まででございますが、それに対して一般の給与所得者、私どもサラリーマンの所得の伸び率は十・二倍になっているようであります。そういうように医師の所得水準が格段に高まっているということが一つの問題であろう。そこで、四十九年に税制調査会で社会保険診療報酬の問題について御審議を願った際に、この問題の認識としては次のように述べられているわけであります。「社会保険医について税制により一定の所得水準の維持をはかるといった考え方はその社会的、経済的素地を失っているといえる。今や税制としては、それ自体の観点からこの特例につき基本的に見面すべき時期にきていると判断せざるを得ない。」こういうことであります。 今回御審議を願っております改正案は、こういう税制調査会の認識、それから国民一般の考え方というものをもとにしてつくられておりました四段階の案というものを基礎といたしておりまして、診療報酬の絶対水準がいかにあるべきか、これは社会保険政策なり医療政策なりそういった事柄との関係で決まってくるものでございましょうが、そういう社会保険診療報酬の水準のもとで現に医業を営んでおる方が得られる収入、それに対して課税を行います際に、経費率が非常に高く定められているためにやはりそこに税制上負担公平の問題というのが強く意識されておる、それを是正していくという観点から定められたものであります。
○佐藤(観)委員 何か長く聞いているとよくわからなくなってくるのです。それが名答弁ということになるかもしれないけれども、要するに社会保険診療報酬そのものは、厚生省が挙げられた数字のことは否定をされていないわけですから、物価上昇率以下であるということはどうもお認めになったようであります。 それから、いま挙げられた給与所得と医療関係者の所得の比較の問題、給与所得が十・二倍になった、それから医療関係者の所得が二十八・五倍になったということでありますけれども、これも名主税局長たる者が、いまは税調のものを読んだ形になっておりますが、それを読むというのは、それを受け入れているということだと私は思うのですが、名主税局長が単に給与所得と医療関係者の所得を比べるというのは、私はおかしいと思うのですよ。なぜならば、医療関係の所得については、後から質問しますけれども、たとえば看護婦さんを雇っていればその退職金を払うための費用だとか、機械を償却するための費用等も、医療の場合は全部込みにならざるを得ないわけです。そういう所得と給与所得とを全く同一にするのはおかしいし、それから、十・二と二十八・五といったって、医者になるには学校に六年も行かなければならぬし、それからインターンをやったり、開業をするための資金が要ったり、給与所得と性格が違うわけでありまして、単純にこれを比べて多くなったからというのは、私はおかしいと思うのですよ。どうですか。
○高橋(元)政府委員 ただいま私は一例として申し上げたわけでございます。これはいまおしかりもございましたが、税制調査会の四十八、九年のいろいろな御審議の際にも、私いま五十二年対比で申し上げましたが、四十八年対比の数字で御検討がいっておるので申し上げたわけでございます。 いま申し上げた医療保健業の所得は、これは経費率七二%ということを前提として、課税上得られた所得をもとにしてはじいておりますので、仰せのように確かに雇い人費とか減価償却費とかいろいろなものがかかっておると思いますが、税務上の立場からいたしますと大体この中におさまっておるのではないか、そういうことで申し上げたわけでございます。確かに医療保健業の方の労働がなお一層きつくなっておるということはあると思います。あると思いますが、それは一般のサラリーマンの場合にもいろいろな問題がございましょうし、全体としまして医療保健業所得対給与所得ということで比べますと、いま申し上げたようなバランスになっておる、こういうことでございます。
○佐藤(観)委員 これだけ論議をしても、ほかのデータもあわせていろいろやらなければいかぬので、時間がありませんから一応それはそれでおいて、次に、これは各委員からも御質問がありましたけれども、いわゆる今度の五段階控除逓減方式なる案ですね、これは一体どういう経費率をもとにしてこの経費率というのを出されたのか。各委員の質問に対して、会計検査院の数字ということも言われましたし、何か大蔵省が独自にやったような話もあるのですが、独自にやられたなら具体的な資料があるのかどうなのか。一体この数字というのはどういう意味を持って、何を根拠にした数字なのか、それをまずお伺いしたいと思います。
○高橋(元)政府委員 御審議をお願いしております五段階案の基本は、五千万円以上の収入階級について実態に近い経費率五二%を概算経費率とした、これが骨子でございます。 その五二%と申しますのは、近くは五十一年分の所得税の課税実績について検査院が御調査になって、収入階層一千万円以上の人について五十二%という平均経費率を出しておられます。いまも委員からお話がございましたが、私どもの方も部内の課税資料等をもとにいたしましていろいろの推計をやっておりますが、それによりましてもおおむね五二%に近い経費率ということになっております。両者の統計とも若干、母集団からの抽出された集団の乖離というものがありますから、正確に平均の実態をあらわしているかどうかということになりますと、やはり問題が全くないというわけではございませんけれども、二つの調査を突き合わせてみて五二%が実績の経費率であるという点については、私どもは確信を持っておるわけでございます。それより低い所得階層の部分につきましては、繰り返しになりまして恐縮でございますが、中小保険医の公共性に配慮した特例経費率であるというふうに御認識いただきたいというふうに思います。
○佐藤(観)委員 これは去年も当委員会で私は会計検査院に質問したのでありますけれども、時間がありませんから端的に二点だけお伺いしますが、会計検査院のこの報告というのは、平均五二%と出された数字というのは、要するに特例の適用を受けているもの、つまり経費率が七二%以下として適用を受けているものの平均が五二%だということですね。そうしますと、そこでは七二%以下の人だけを全部足したわけですから、当然平均は七二%以下になるのはあたりまえ、これは数学のイロハですね。 その次に問題なのは、主税局長もこれを一つの根拠にされているけれども、七二%以下の方の経費が正確にこの申告書に出ているとは私は思わぬのであります。なぜ思わぬかと言えば、経費を挙げるということはなかなか大変なことなんです。いま確定申告の時期で、各委員もやられていると思いますけれども、やれ損害保険料の領収証がどこへ行った、生命保険料の領収証がどこへ行ったか、これを探すのがなかなか大変なんです。まして私のところにも白色申告、青色申告の表が来ておりますけれども、正確にお医者さんがカルテをつけて、その後に毎月一回、二、三日かけて支払基金の請求事務をして、その後申告書を出す。出しても出さなくても七二%以下の方というのは経費は七二%認めてくれるわけですから、適当にここにありますね、経費の租税公課、荷造運賃、水道光熱費、旅費交通費、通信費、広告宣伝費、接待交際費、損害保険料、修繕費、消耗品費、減価償却費、福利厚生費、給料賃金、利子割引料、地代家賃、貸倒金、それから売上原価等がありますけれども、こういうものを、青色申告でも七二を超える方は税金が安くなるから一生懸命挙げるけれども、七二以下の方がこれを全部正確に書いておるというふうに認識をして統計を出すことは事実上誤りだと私は思うのです。税の専門家である主税局長、どうですか。
○高橋(元)政府委員 特例適用者のみのグループだから経費が比較的低い人が抽出されているのではないかという御指摘でございます。この点につきましては、青色の方でありましても特例適用をしておられる方もあるわけでございます。そういった方々の自由診療分というものに対応する経費というものを見ることによって、相当程度まで特例適用分の社会保険収入についての経費の態容というのも把握できるように思うわけであります。 それから、経費の全体を書き上げるのは大変むずかしいではないか、こういうお話、これはそのとおりだと思います。その点につきましては、青色の方々の経費というものがかなり正確に記帳されておるというふうに、各納税義務者の方について私どもはそう思っておりますので、それは青色の方々の経費収入の記帳というものを参考にいたすことによって相当程度実態に近いところが把握できておるのではないかというふうに思います。
○佐藤(観)委員 会計検査院、どうですか。
○前田会計検査院説明員 去年も先生に申し上げましたとおり、われわれが調査対象といたしましたのは所得一千万でございますので、社会保険診療、それから自由診療を五%と見まして、年収約三千四百万程度のお医者さん、これを千六百九十六人サンプルとして選んだわけでございますけれども、そのうちの大半の方は青色申告であった。それでも白色の方が若干おられましたけれども、これらの方々はいわば自由診療をたくさん持っておられる方でございまして、そのためにもやはり経費をちゃんと申告される必要がある、こういう方でございますので、ただいま主税局長がおっしゃった意見と私も大体同じ意見でございます。
○佐藤(観)委員 私はそこが納得できないのですね。忙しいお医者さんがその経費を全部書き上げる、これは落としたやつだけでも結構なるのですね。私みたいに大した収入がないけれども、たまに原稿料を書いたりなんかするやつでも、落とすと結構な数字になる。したがって、それ以上書き上げても税法上何もメリットがないものを、忙しいお医者さんが全部、これで七二%以下の方が経費を書き上げる、そうなっているというふうに認識をするのは私はおかしいじゃないか。 それともう一つは、先ほど主税局長は自由診療の話をされましたけれども、もう一つ自由診療に関して言えば、たとえば産婦人科、外科、労災、歯科、こういったところの実際の経費率というのはどんなところになっていますか。
○高橋(元)政府委員 いま手元に持っております資料だけでは、自由診療の割合程度のことしかわかりませんので、その経費率を分別して報告できないわけでございますが、検査院から報告いたしたいと思います。
○前田会計検査院説明員 いま先生のお尋ねは、社会保険診療収入と自由診療との……(佐藤(観)委員「違う、自由診療の認めている経費率」と呼ぶ)自由診療の経費率と申しますと、どういうぐあいに計算するかということでございますか。
○佐藤(観)委員 時間もありませんから、たとえば産婦人科というのはかなり自由診療が多いわけですね。そうすると、これは大体経費率三〇%ぐらいしか税務署は認めてくれませんよ。それから外科というのも自由診療が多いところですね、これが三五%、それから労災が四七%、歯科が三五%ぐらいしか認めてくれないわけであります。ですから、自由診療も含めて経費率を出せば、当然それは七二より全部少ない数字ばかりでありますから、これはまた経費率を引き下げる一つの要因になるわけですね。何か主税局長、反論ありますか。
○高橋(元)政府委員 計算の作業の問題でございますので、若干不正確な御報告をしたかと思いますが、自由診療と社会保険診療と収入を分けるわけでございますが、それに対応する経費は片一方は七二%になっておりまして、ある意味ではだんごになってわからないということもございますけれども、全体の経費をやはりそれぞれに対応させて分けまして、自由診療については自由診療の実額課税をいたすというのが現在の私どもの方の課税のやり方でございます。そのときの自由診療に持っていきました経費の中身を見ておりますと、それはやはり社会保険診療に持っていきました経費の中身も自然わかってまいるものが多い。そういうことからチェックしてまいりますと、先ほど仰せがありましたが、経費の落ち分というのはある程度は補整される、また、それが落ちがないということがある程度心証が持てると申しますか、私どもとしてはそういうところまでやっておるということを申し上げたわけでございます。
○佐藤(観)委員 それと、恐らく皆さん方は、自由診療と社会保険診療の比率というのは税務署に出してくださいという明細書の裏に、たとえば社会保険診療報酬の方では診療実日数、自由診療等の報酬には診療実日数というのが書いてありますね。だけれども、お医者さんが自由診療か社会保険診療か実日数を書けと言ったって、そんなもの、五十人も六十人も来る人が、実日数なんてわかりませんね。だから、書けというから恐らくお医者さんは適当に書いておる。別に適当に書いたって罰せられる書類でありませんから、これを書いておる。そういうものをもとにしてやっておるのではないかと私は思うのですよ。ですから私は、この五二%が平均だ、平均だというのは、いま言ったようなことから言ってもおかしいのではないか。 それと、今度の案では収入が多い人ほど実際経費率は少ない、こういう数字に皆さん方は見ているわけですね。ところが、これは一つの推計でありますけれども、これは正確に言えば保団連が五十三年九月に実施をした会員アンケート、人数は九百二十二人でありますから必ずしも抽出の数としては多いとは申せませんけれども、それに税金の申告というのが書いてあるわけですね。それで時間がありませんから簡単に数字だけ言いますと、青色で二八%が不適用、つまり七二%の経費を超えているという方が一千万未満で二五・八%、一千万から二千万までが一四・三%、二千万から三千万までが一六・六%、三千万から四千万までが一五・八%、四千万から五千万までが九・六%、五千万から七千万までが一五・八%、七千万から一億未満が三一・一%、一億円以上が四三・二%、こういう数字が出ているわけですね。この数字は何かと言えば、要するに経費率のカーブというのは、恐らく七二を超えるパーセンテージが一番少ないというのは四千万から五千万のところが一番少ないということで、一千万以下も七二を超えるところが多ければ、それから七千万以上の収入の方の七二%の経費を超えるのが多いということが一つこれで出ているわけですね。これは私がきのう夜中にグラフにしてみたのですが、これは要するに収入が少ない段階ではある程度経費率が高い。それから途中で一度下がるけれども、また上がるということになるわけです。しかしこれは経費そのものではないから正確ではありませんけれども、一つの傾向値として、必ずしも収入が多ければ経費率が下がるということにはなってない。 それともう一つ、これは数興の問題でありますけれども、たとえば病院の必要経費の構成要素を考えてみるわけですね。まず一番目に、患者が来なくてもかかる経費、家賃とか光熱費などの固定的な部分が一つあるわけです。それから比例的部分、つまり人数がふえれば多くかかっていく薬品とか水道代とか、こういった比例的部分が二つ目にあります。それから三つ目に、人数がふえればふえるほどかかっていく等比級数的な増加の部分、たとえば人件費がかかっていく。これを数学的に足してみるわけです。いま申しましたような固定的な部分と比例的部分と等比級数的な増加部分と足してみる。そうすれば、これは大蔵省の方でも一度やってみればわかると思いますけれども、ある一つのグラフができる。これを経費率でしてみますと、低いところは固定的な部分が多いですから、ある程度経費がかかる。ところが、少しいきますと採算の分岐点ができまして、経費が減少するところが出てきます。しかし、さらに今度は水揚げ、収入が多くなれば、等比級数的な増加部分、つまり看護婦さんや何かをたくさん雇わなければいかぬというところが大きなウエートを持ってきますから上がってくる。つまり、最初はかなり経費がかかる、収入が少なくてもある程度の固定的な部分が多いからかかる。その次が若干経費が下がりまして、さらに水揚げが多くなってくれば、今度は等比級数的な増加部分が多くなって経費が上がっていくということが、これは何だったら、全く数学の話でありますからやっていただければわかるわけでありますが、こういう傾向が出る。そしてこれはいま私が申し上げました青色申告で七二%を超える方の割合、七二%を超える経費の方の推計から言っても、これはある程度一致をするわけです。 〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕 そういうことを見ますと、皆さんがつくられた水揚げ、収入が多くなれば経費率が低くて済むのだ、こういうことは合わぬのではないか。常識的に考えたって、大病院となれば看護婦さんを雇うことが大変多くなるということになってきますから、経費はかなりかかってくるということでありますから、皆さん方がつくられた収入が多くなれば経費率は下がっていくのだという大前提というのは間違いではないかと私は思いますが、いかがでございますか。
○高橋(元)政府委員 先ほど申し上げたわけでございますが、七二%という概算経費率の持っております問題を是正するために、四十九年の税調の答申、それに基づきます五十年度税制改正答申、そういうものの中では、五千万円超の収入区分について五二%という実額に近い概算経費率をとる、これが原則であります。五千万円以下、ただいま御提案いたしております改正案でございますと、二千五百万円までの間に五七、六二、七〇、七二というふうに逓増していきます経費部分がありますのは、これはスケールメリットを代表して経費が下がっていくという意味ではないわけでございます。いまも仰せのありましたように、大体一番小さい階層、それからかなり大きな収入規模階層、そういった方々につきましては両端で経費がやや高いようであります。現に一億、二億となりますと、それからまた病院でございますと大体七二%の適用を受けておられません。その辺のところも私どもは検査院の数字等も見まして承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、ほぼ比例的に五二%ということでよろしいわけだという考え方もとれますけれども、これは大都市から僻地に至るまで広く地域医療を担当して日夜住民の健康維持に努めておられる中小規模の診療所、そういうものに対して社会保険医としての公共性、医業の特殊性というものを勘案して特別の控除をそういった経費率という形でつける、そういうのがこの案をつくりました趣旨でございます。経費がほぼ比例的であるということ、決して逓減という認識ではないということを申し上げておきたいと思います。
○佐藤(観)委員 ちょっと理解できないのは、たとえば私も二千万の収入の方、二千七百万の収入の方、三千五百万、四千五百万、七千万、一億の収入の方のこの五段階控除逓減方式で所得が幾らになって経費を幾らに見るか全部はじいてみた。これを見る限り経費率は、収入が多くなればなるほど一定して下がっていくのではないですか。だからちょっと主税局長わからないことを言ったのだが、収入が少ない方と多い方のところは経費をそれなりに余分に見ていると言われたけれども、そうならないんじゃないですか。
○高橋(元)政府委員 現在、五千万円以上の社会保険診療報酬のあられる方が、五十二年の課税統計で見ますとほぼ四分の一でございます。四分の三の方は中小規模の社会保険医と、先ほど私が申し上げた税制調査会の言葉で言えばそういうことになるわけでございますが、そういう方々については、二千五百万円まで七二という現行の控除率をそのまま存置し、それから大体一千万円刻みで六二、五七というやや高い経費率をつける、そういうことで、非常に収入が極大になれば恐らく経費は五二になるということでございます。五二の実額経費率というのを前提としてこの案はできておりますので、したがっていまお話のございましたように、合成した経費率は五千万円のところで六六・八、一億円のところで五九・四というふうにだんだん低くなってまいりますが、これは極大まで行きますと、くどいようですが、五二・〇になるはずでございます。中小規模の保険医に対する特別の配慮としての経費率というのがありますために、たとえば二千万の方であれば七二という経費率が残っておる、こういう趣旨に御理解いただきたいわけでございます。
○佐藤(観)委員 いや私の言いたいのは、極大になれば五二、それは数学的にいいんですよ。七二が残っているのもいいんですよ。そうではなくて、あなた方の考え方は、収入がふえれば経費は下がるのだという前提で、ほぼ一直線の棒で—実際にいま申し上げましたような段階ではじいてみると、経費率というのは、たとえば二千七百万の収入の方は経費率が七一・九、三千五百万の方は七〇・三という計算になるが、七千万の収入の方は五九・五、それから一億の収入の方は五九・四というふうに、私はきのうはじいてみたわけだけれども、なる。つまりその前提としては、収入がふえれば経費は下がっていくという前提に立っているのではないですか。 ところが私の言うのは、実際は私の推論及び先ほど言った病院の必要経費の構成要素から言ったって、数学的にもそういう形にはならぬだろう。それから実際には青色申告をしていて七二%以上経費が出る人の状況を見てみても、ある程度収入の少ない人が高い経費がかかり、だんだんふえていくごとに途中で下がり、それから経費が上がっていくということに私は推論しているのだけれども、皆さん方は、収入がふえれば一直線に下がる数字になっているわけですよ。それは事実と違うのではないか。そうすると、そこに出てくる皆さん方の言う経費率というのは、実際の私の推論する、あるいはその他のデータによって出てくるところの、一度ある程度の段階、それは四、五千万だと思いますが、年収四、五千万の方が一番経費率が少なくなって、さらにそれからまた上がっていくという傾向から言うと違うのではないか。したがって、皆さん方の言う経費率というのは一体どういう意味を持っているのか。 結論づけて言うならば、どうも私はずっと研究してみると、この経費率というのは、主税局長は恐らく、ハムレットじゃないけれども、尼寺へ行けじゃないけれども、青色申告になれ青色申告になれと囲い込み運動をやっているような気がしてならぬのであります。経費率の実際現在考え得る傾向と皆さん方の経費率の傾向とは全然違うわけですから、私は、それなら青色になればいいではないかということを裏で暗に言っているような今度の法案ではないか、経費率ではないかと思うのですが、どこか私、違っていますか。ただ一つは、それは私は推計が入っていますよ。先ほど言った青色申告の七二%を超える方の状況及び数学的な傾向といいますかこれを加えて推論の中で、一方的に年収が上がれば経費率が下がるということにならぬのではないかという推計のもとに言っているわけですが、皆さん方がどうやっても年収が上がれば経費率はどんどん下がっていくんだということを言い張るのなら、これはそれ以上言ってもしようがないわけでありますが、何かあればどうぞ。
○高橋(元)政府委員 五二%の概算経費率一本で定めるというのも一つの考え方でございます。私どもは五二%の概算経費率というのは、社会保険診療収入の収入階層区分のかなり長い部分をカバーしていると思っているわけです。ただそういうふうになりませんのは、すべてのお医者さんの社会保険診療報酬の五千万に達しない部分について特例控除を加えようという形で、経費率をむしろ、こう言ったらおしかりを受けるかもしれませんけれども、かさ上げしておるわけでございます。かさ上げした部分が五千万までついておりますために、したがってそれから先比例的な線をかきましても経費率は合成いたしますと逓減をする、こういうことになっておりますが、五二という実態経費率を超えることはないわけでございます。そこのところを、社会保険医の公共性に即応した特例的な経費率と実額に近い平均経費率との合成であるということを先ほどから申し上げておるわけですが、どうも説明が大変不行き届きで申しわけありませんけれども、そういうことを御認識いただきたいと思います。
○佐藤(観)委員 私は下が甘くなっているのはおかしいと言っているんではないのですよ。要するに皆さん方の方は、収入が上がればそのまま経費はだんだん下がってきますと言う。違いますか。
○高橋(元)政府委員 収入が上がれば特例経費の、言葉は悪いですがお許しをいただいて、かさ上げ分が全体の収入に占める割合がだんだんと減ってきますから、七二から五二に近づいていくわけでございます。そういうことを申し上げておるわけで、五二というのが私どもとしては平均的な実態経費率だというふうに考えておりますから、特例部分のかさ上げした経費率の割合がだんだん減っていくということを申し上げておるわけで、医業の実態として経費率が下がっていくと考えているわけではないのです。
○佐藤(観)委員 わかりますよ。いま主税局長が言うように特例的な部分、この言葉遣いが正しいかどうか別としても、だんだん収入がふえればふえるに従ってその部分が少なくなっていく、それはわかるのですよ。だけれども、実際に先ほど数字を挙げたように、二千七百万の人の経費率、この五段階控除逓減方式によるところの各段階ごとに足していく計算の仕方でやってみますと、二千七百万の人がさっき挙げたように七一・九、たとえば四千五百万の人は経費率六七・九、それから七千万の人が五九・五、一億の方が五九・四というふうにだんだん下がっていく。その中身はいま主税局長から説明があったとおりにしても、傾向としては、とにかく収入が上がれば、その特例的部分なんとかじゃなくて、実際はじいてみれば経費率は下がっていくではないかということを言いたいわけです。 時間がありませんから、このことだけじゃないので前に進みますが、それはそれとしていいです。もう一回後で論争しましょう。 それと、今度のこのやり方によって一番プラスの税金の率が多くなるのは一体どの収入階層ですか。
○高橋(元)政府委員 経費率でございますが、その裏の所得率で申せば、ちょっとくどいようですけれども、単純累進でいけば佐藤先生のおっしゃるような形になるわけですが、超過累進の形をとっておりますから、すべての所得区分についてやはり特例経費が働いてくる、そういう意味で佐藤先生のおっしゃるような形になっておるわけでございます。 そういうことでお考えいただきたいわけでございますが、税負担の割合が一番大きくなるのは、要するに社会保険収入の一番大きい方でございます。ちょっと例で申し上げますと、二億円の社会保険診療報酬があると、七二%の経費率のもとでは二千八百三十一万円をいまの五十三年までの税制では納めていただくわけですが、改正案で特例を適用選択されますと五千百二十三万円ということになりまして、計算上でございますが二千二百九十二万円税負担がふえてくるということになります。二億円が三億円になればさらにこの割合が大きくなっていって、さっき申し上げたことですが、最終的には二八%の所得が四八%になるところまで続く、こういうことでございます。
○佐藤(観)委員 一体そういう一億円を超えるような、あるいは七千万を超えるような収入の医者というのはどういう形態かということが、先ほど挙げました保団連のアンケートの中にも出ているわけですね。たとえば一日平均の外来患者数、これが四千万から五千万の方が八十二・三人、五千万から七千万が九十三・四人、七千万から一億が百十八・七人、一億円以上が百三十六・一人。従業員数で見てみますれば、四千万から五千万の人が四・七人、五千万から七千万が五・五人、七千万から一億までの方が八・二人、一億円以上の方が十三・七人の従業員を持っている。そういうふうに外来患者を多く診、そして従業員数を非常に多く持っている。そして労働時間としては、たとえば四千万から五千万が一週間の延べ診療時間が四十二・四時間、五千万から七千万が四十五・六時間、七千万から一億が四十三・六時間、そして一億円以上が四十七・七時間というお医者さんのあたりなんですね、一番今度の課税でふえていくのは。こういうたくさんの患者を診、そして従業員もたくさん使う、こういう医療、これに重課をするということが果たして日本の医療の今後のためにいいことなのか悪いことなのか。そういう医療というのはそんなにより重い税金をかけなければいかぬ医療のあり方なのか、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
○高橋(元)政府委員 現実に社会保険診療収入が三億ぐらいの方で特例適用を受けておられる方があるようでございますが、その問題は別といたしまして、私どもは規模が大きいから重課するというのではなくて、規模の大きい方について、実額の経費率で課税をしていただきたい。それは医業の特殊性もございましょうし、社会保険診療報酬はそもそもガラス張りの収入でございますから、概算経費率をお使いになっていただくという特例を認めるということにしておりますけれども、そこは実額経費率で所得をはじいていただくわけでございます。それより小さい方については、特例経費で実際の所得よりはやや所得が小さく出てまいるということを中小保険医に対する公共性という形で組み合わせておるということでございまして、大きくなればなるほど重課して医業の将来をどうこうという考え方とは全く別のものであろうというふうに私どもは考えておりますので、御了解いただきたいと思います。
○佐藤(観)委員 ですから、その辺が経費率の傾向をどう見るかという問題が少し違いますから、私は先ほど言ったように、青色申告へ行け、青色申告へ行けという今度のやり方だなという気がするのです。 大分時間が迫ってまいりましたので、ちょっと角度を変えて少しお伺いしたいのは、皆さん方のところでいつも社会保険診療報酬の所得計算の特例の減収額というのを出していますね。今度は千五百七十億減収になっているのだと言っております。この千五百七十億減収というのはどういう計算ではじいたのか、これをちょっと簡単に説明してください。
○高橋(元)政府委員 五十二年分の医療保健業の所得の課税実績というものが一兆二千五百十一億ございますが、これから、本来のお医者さんでないたとえばマッサージさんとかはりとかきゅうとかいうような医療保健業の中で医業でない方、それから医業であっても自由診療の方、それから社会保険診療の医業所得でも七二%を使っておられない方、そういう方々の所得部分を引きますと大体半分になります。したがって、一兆二千五百十一億円の半分が特例適用分の所得であるというふうに見込まれます。それが六千二百六十億。それに特例所得率二八%でもとに戻しますと、診療報酬額が二兆八千七百八十億ということになります。現行の特例、この現行というのは五十三年まででございますが、特例七二%と五二%の差額二〇%が実際の所得よりも軽減されている所得であるというふうに考えますから、二兆八千七百八十億に二〇%掛けますと五千七百五十億ということになります。特例適用を受けておられる方々の上積税率が四五%ぐらい、これは所得階層区分を見て、分布状況を推定をしてかけますと四五%になりますので、いま申し上げた五千七百五十億円に四五%を掛けますと二千五百七十億、こういうふうに出てまいるわけでございます。それが国会に御提出した数字でございます。
○佐藤(観)委員 そこで、若干お伺いしていきたいのは、その二兆八千七百八十億円の社会保険診療報酬の中には、国公立の病院とか私的な大病院、あるいは社会福祉法人とか医療法人とか農協とか、こういったような病院に払われる社会保険診療報酬の額というのも入っているんですね。
○高橋(元)政府委員 入っておりません。これは個人の所得税を払っておられる医療保健業の方でございますから、したがって全部個人形態でございます。
○佐藤(観)委員 わかりました。 次に、この五段階の方式の課税になりますと、お医者さんの傾向として、こういう税制になれば、なるべく経費を減らすかあるいはなるべく収入を少なくする。たとえばことしは大変収入が上がったから十二月はなるべく休みにしようとか、収入を減らすという傾向が出てくる可能性というのがあるわけですね。こういったことが医療の荒廃につながらないかというのが医療関係者の中で大変心配になっているのでありますが、その点については主税局長はいかがお考えでございますか。
○高橋(元)政府委員 実態に近い概算経費率を五二と考えておるわけでございます。五千万円以下の方については、申し上げておるように特例経費率がございまして、そのアローアンスというのが一番小さい方では二〇%あるわけでございます。そういう形で、中小保険医の公共性というものに配慮した特別控除が組み合わさってあるわけでございますから、実際地域の診療に従事しておられる社会保険医の方々に対しては、経費が実際よりもきつ過ぎてこれではやっていけないという形にはならないんだろうと思います。私どもは社会保険医のお医者さん方の公共性に配意して、特例経費率を含む今度の概算経費率の御提案をいたしておりますのも、医業の倫理と医業の公共性というものに対して格別の配意を税調答申に基づいて払っておるわけでございまして、そういうことで、いま仰せのような医療の荒廃というのが起こることはないと思いますし、起こらないようにぜひ医療行政としてもやっていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 この問題を論じても非常に時間がかかるわけでございます。私はこういった五段階のやり方というのでは、いま申したようなことにはならぬで、とにかくなるべく経費を減らす、収入を少なくする、こういう縮小再生産の医療にならざるを得ぬだろうという見方をしているわけであります。 そこで、今度の五段階制にしてもいろいろ矛盾があるし、それから私の見るところは先ほど言ったように、もしこれを超えるような方はどんどんどうぞ青色申告に行きなさいというふうに私はとれてしょうがないわけであります。それから一律七二%というのも、各科目によっていろいろ経費率が違うのにこれを一律にするというのも、ある意味では不公平なわけでありますから、そういった意味では、しかるべき医師の持っている公共性の観点あるいは不採算医療——医療分娩なんか五時間も六時間もやってもあるいは一時間であろうとも払われる診療報酬は全く同じであるというような問題やら、不採算のものがかなりあるわけでありますが、こういった不採算医療の問題、それから、医業というものをいまのように一種のどんぶり勘定にしておいて、局長は、七二%と実際経費率の五二%の間の二〇%で、たとえばこれから機械を買うための準備金だとか看護婦さんに払う退職金だとかこういったものを準備ができるんだというふうに見ておりますけれども、実態は必ずしもそうなってないだろう。そしてかけられる税率というのは、そういった部分にまでかけられていくわけでありますから、そこで、医業を続けていくための経費と全くお医者さんが個人として生活をするための家計というのは分けた方が本当に医業の近代化のためにいいんじゃないか。あるいは、技術を高めるためにお医者さんでありますからやはりいろいろな研修をしなければいかぬ、こういったような要素をこの税制の中に入れていこうということになりますと、基本的には、事業所得、医業を続けていくための所得とそれからお医者さん全く個人の所得というものとを分けることが、税制のためにもあるいは医業をこれから健全に発展をさしていくためにも一番いいんではないか。 ただそこでは、一体青色申告がいいのか、みなし法人がいいのか、株式会社がいいのか、あるいは一人法人ということを考えた方がいいのか、いろいろやり方があろうと思いますが、いずれにしろこの問題の基本は、事業所得とそれからお医者さん全く個人の家計所得——家計所得という言葉はないですが、家計を維持するための所得とを分ける。そしてその事業所得の中にはっきりと、たとえば医療事故のために備える準備金なり、あるいは看護婦さんが退職したときに払う退職給与の引当金みたいなものとか、あるいは学会に行くために休んでいく、そうするとかわりの人を雇わなければいかぬというようなために準備をしていくとか、そういったような準備金なり引当金なりをつくっていく。そしてお医者さんが個人の所得として五百万取るか六百万取るかわかりませんけれども、それはそれで給与所得としていくというやり方が、いま申しましたように、医業の健全な発展のためにも、また税法から言ってもすっきりするんではないか。それがやはり医者の持っている特殊性を加味をして考えると、税法として正しいあり方ではないかというふうに考えますが、局長いかがでございますか。
○高橋(元)政府委員 いま仰せのようなことをやっていくためにいろいろな方法があるわけでございます。個人形態のままで青色申告になられる、または青色申告でみなし法人課税を選択される、それから法人になられる、幾つかの方法があると思います。医療法人につきましては医療法の問題がございますから、私どものらち外でございますが、人格を法律によって与えられる場合には法人課税という形でいくわけでございますし、みなし法人についてはみなし法人課税の措置法の規定が働くわけでございます。 いずれにしてもいわゆる奥とお店ですか、普通の商売人であればお店と奥とを分けるというのが、企業経営を明らかにする一つの方法でございましょうから、何らかの形で医業の経営というのがそういうふうにいく方がいいと思いますけれども、その場合に、いま仰せのありましたような利益留保の積立金というものをどういうふうに認めていくかということになりますと、税法のバランスの問題もございますし、医業全体の発展の問題もございますし、今後検討を要するむずかしい問題であろうというふうに思います。
○佐藤(観)委員 結局青色申告の場合も、たとえば専従者給与が払われるとか貸倒引当金とか価格変動準備金とか、そういったものがありますから、その点ではメリットでありますけれども、これも家計と事業所得というものがまだまだ未分離なわけですね。それからみなし法人も、全国的にもまだ数%しか普及率がないくらい所得をどういうふうに算定するかもなかなかむずかしい。それからみなし法人の中には、配当所得というのがありますから、これは利潤を追求しない医業としては、法律的には少し問題があるんではないかという気がするわけであります。本当はこれもお伺いしたいのでありますが、時間がありませんので、みなし法人もその辺では少し無理があるんじゃないか。 それから、武見会長が株式会社にするんだということを理事会等で言っていらっしゃるようでありますけれども、これもアメリカにはあるようでありますが、利潤を追求しないという医業に株式会社というのはどうもなじまぬのじゃないかということになりますと、医療法人というのは、いま医療法の三十九条で三人、お医者さんがなければできないということになっております。ところが、これを一人ででもできるようにしたらどうか、そしたら三人でやるような医療法人——いま必要なのは税法上の家計と事業所得とを分けるということでありますから、果たして法人格まで必要なのかどうか、これは私もちょっと疑問があるのでまだ決定的ではありません。しかしいずれにしろ厚生省の方でも、いま申しましたようなことで、健全に医業を発展させていく、個人開業医の方が安心をして診療に従事できるようなことを考えていくためには、ひとつ一人法人と申しますか何らかそういった、院長個人の所得、それから医業を続けるための、そして将来に起こり得べき看護婦さんの退職金とか機械を買うための費用とか、起こってはいけませんが医療事故のために備えるとかあるいは研究のための準備金とかこういったようなものを、いま局長が言ったようなものはいろいろとバランスがあると思いますのでそれは別といたしましても、それは事業所得の方で留保できる、もちろん配当する必要はないと思いますので配当はしないというようなものを、何か厚生省の方でも考えてもらう必要があるのじゃないか。これは一人法人という言葉が正確かどうかわかりませんが、そういったものを考えていただくことが、五段階がいいとか七二%の一律経費がいいとかどうのこうの言っているよりも、本当に税の面からいっても医業の発展のためにもいいのではないかと私は思うのですが、厚生省の考えはいかがでございましょうか。
○森説明員 先生いま御指摘のように、現在の医療法人制度におきましては、病院または常時三人以上のお医者さんを使っておる診療所についてだけ法人化の道が開かれておる。それの理由といたしましては、医業に必要な資金の確保というような趣旨に照らしまして、病院あるいはそれに準ずるような大きな規模の医療機関についてその資金確保の必要性が比較的強いというようなことから、こういう制度になっていると私ども考えておるわけでございますが、いま先生御指摘のような点もございますので、この辺は医療法人制度のあり方全体の中でひとつこれから考えてまいりたいというふうに思います。 ただ、いま申しましたようなことで、これは医療法人制度全般にも影響の出るような問題かと思いますし、それから、いま一人法人といいましょうか非常に小規模な診療所から大型の病院まで全部一本の規制でやっていくことができるかどうかということまで含めまして、いろいろ詰めるべき点も多いと思いますので、この辺は関係方面の御意見も伺いながら検討してまいりたい、私どもはこういうふうに考えております。
○佐藤(観)委員 最後に、厚生省の方にも医療審議会等がありますから、個人開業医の経営形態としてのあるべき姿をひとつ早急に追求してもらって、いま課長さん言われましたように、個人の大病院からもう少し小規模な開業医まで一緒でいいのかどうなのかというのは非常に問題があろうと思います。当委員会でも他の委員から質問がありました資産の問題は、大体いまのままが移行できるという前提に立っておりますので、三人いなくても私はいいと思いますし、相続の問題も、大体お医者さんのところはお子さんが継がれる。継がれない場合には、法人ならば他の人にそれを譲るということになれば、そこに贈与なり相続なりの問題が発生してくる、これはまた別に考えるべきことだと思うのでありますが、いずれにしろ、税法によって医業が荒廃をするということがあってはならぬと思いますので、最後に政務次官にもお願いをしておきますけれども、どうかひとつ、これは税の問題も非常に絡んできますので、厚生省と主税局が一緒になってあるべき姿を早急に、この一年ぐらいの間に検討してもらうようにお願いをしたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○林(義)政府委員 佐藤先生からお話がありましたように、この問題は、基本的には医療行政の問題をどうしていくかという大問題があると私は思うのです。医療の問題につきましては、別途健康保険法などということもございますし、いろいろな点で考えていくことが必要だろうと私は思います。税の立場といたしましては、今回こういうふうな形で七二%をやめて新しい制度にするというのは、言うならば今回の改正の一つの大きな目玉でございますし、そこは政策的なものを税の公正を保つためにやめていこう、こういうふうな形でございますから、大蔵省の立場といたしましては、新しいいろいろな利益留保的なものを認めるということはいかがかというふうに考えております。なおそれも、もう一つは、やはり医療行政上どうしても必要だという話があればまたそれでやっていかなければならない。先生の御指摘のようなことでございますから、その辺はさらに両事務当局で検討させていただきます。
○佐藤(観)委員 終わります。
○加藤委員長 只松祐治君。
○只松委員 私は一昨年、こういう日本の経済の海外進出、いわば貿易の増大、経済の複雑化、これだけではありませんが、そういういろいろなことを考慮して、税制が経済に追いついていっておらない、その一つの問題として、海外における商社の脱税という問題をこの委員会で論議をいたしました。これは昨年一歩前進いたしまして、タックスヘーブン地域における課税の強化というようなことを実施していただきました。私も大変喜んでおるわけですが、その後、これによりまして具体的にどういう対策をおとりになりましたか、また実効が上がっておるかどうか。海外でこれこれ幾ら取れ税収が上がったというようなことはなかなか容易でないだろうと思いますが、全体的なこと、また具体的な顕著な例でもあればひとつお知らせをいただきたい、こう思います。
○磯邊政府委員 ただいま先生御指摘のように、昨年タックスヘーブン国関係に対する課税の充実の問題で法律改正が行われたのでありますが、御承知のように、タックスヘーブン国所在の海外子会社に係る申告書というのは現実にはまだ提出されていないわけであります。したがいまして、まだ税務調査を行う段階に至っておりません。ただ私たちは、今後タックスヘーブン国との主権の調整等をどういうふうに持っていったらいいか、また、今後どういうふうにすればこの法律改正の趣旨が効果的に上がるようになるかということでいま現在、こういったタックスヘーブン国の実情を調査したり、種々の勉強をやっておるということでございます。 なお、海外の子会社というのは、年一回で、しかも決算期は十二月という会社が多いわけでありますので、親会社が留保所得を加算する内国法人の決算期では昭和五十五年三月期ということになるわけであります。したがって、大部分のこのタックスヘーブン国関係の課税問題に関連しての申告書の提出は、昭和五十五年五月末というふうな形になると思います。
○只松委員 ひとつ大いに努力をしていただきたいと思います。 そのときに私は、米国三菱の問題を一つ例に出したわけでございます。また私が申し上げるまでもなく、ロッキード事件等が行われ、いままたグラマン、ボーイング事件が起こっている。こういうものを見ますと、日本側ではなくて外国、特にアメリカ側から問題提起がされておるわけであります。日本国内においては非常に強い国税庁も、どうも外国にはいささか弱いんではないか。そのときも私は申しましたけれども、現実にそういうことが相次いで起こっている。 そこで当面いたしますいまのダグラス、グラマン問題の中で、アメリカ国税庁から五十二年五月に依頼をされて、五十二年十二月二日付で回答を行われたものがありますが、そういうことがありますかどうかということが一つ。また、あればその回答文を資料としてお見せいただくか、お出しいただくかすることができるかどうか、お答えをいただきたい。
○磯邊政府委員 現在日本とアメリカとの間はいわゆる租税条約が結ばれておりまして、その第二十六条におきまして、相互に情報を交換するということになっているわけであります。ただいま先生が御質問になりました文書というのは、恐らく昭和五十二年十一月二日付で回答した国税庁からの回答文書かと思いますが、その内容につきましては御承知のように、二十六条関係におきまして、相互にこれは原則として外部に漏らさないことにするということになっておりますので、これはやはり今後の情報交換を効果的にわれわれやっていくことを念願しておりますので、その回答文書をここで御提出するということはお許しいただきたいと考えております。
○只松委員 出したことはお認めになりますか。
○磯邊政府委員 アメリカの内国歳入庁からの情報提供に応じて、それに対する回答を日本の国税庁から出したという事実がございます。
○只松委員 それはボーイング社対日商岩井、内容はお聞いたしませんが、その件に関してのことである、こういうことは否定なさいませんか。
○磯邊政府委員 ほぼそういった内容であります。
○只松委員 内容に立ち至っては租税条約上出せないということでございます。これも私は別な機会にこういう問題について、後でも多少聞きますが、どこまで出せるか出せないか。予算委員会やロッキード委員会だけじゃなくて、大蔵委員会でも全然資料提出ができないということじゃなくて、やはり税制討議のためにある程度は概要くらい出していただきたいと思います。したがって、ひとつ理事会においてこういう問題を今後検討されますよう要求いたしますが、委員長、よろしゅうございますか。
○加藤委員長 理事会において検討いたします。
○只松委員 そういう中で、その中身というのは、国税庁側から言われなければ私の方から言いますし、マスコミ等にすでに相当流れております。 いわゆる金額にいたしまして三百六十八万七千ドル、こういうことでございます。その中で、二百七十万ドルというのは一口でございます。恐らく趙重勲口座ではないかというふうに言われておるわけでございますが、こういう個人名はなかなか答えにくいだろう。ついで端数の八万七千ドルというのは、その関係の航空会社の役員の夫人あてのものである、こういうふうにうわさされております。残りの九十万ドルというのは四十六年から四十九年にかけまして、個人及び会社あてにそれぞれ送られておる、こういうことが言われておるわけでございますが、個々の人名につきましては、お答えができなければいただかなくとも結構でございますが、概要についてはそう大きな相違はない。それともいや全くデマで違っておる、こういうことでございましょうか、感触をお聞かせいただきたい。
○磯邊政府委員 昨年の八月にアメリカのSECからレポートが出されまして、それがいわゆる8Kレポートというものでございます。この内容を読んでみますと、「ある会社のコンサルタントに対し三百六十万ドルの支払いをしたが、権限を付与した会社の職員の理解では、この支払いにかかる金員は航空機または航空機に関連する目的のために当該航空会社または同社の株主により使用されたものと考えられている。」またそれと同時に、「同一航空会社の職員の要請に基づき、当社はそのコンサルタントに対し、当該職員のために八万七千ドルの支払いをした。」ということがうたわれております。——失礼いたしました。このレポートが出ましたのは、八月ではなくて七月でございます。 これより先、こういう内容のことに関連してわれわれも情報を得ておりまして、すでに国内において調査をいたしたわけであります。その結果この三百六十万ドル、具体的に出ておりませんけれども、すでに御高承のとおりの二百七十万ドル、それから八万七千ドル、それから八十万ドルというのが日本国外で、しかも日本人以外のところに支払われたという事実が判明いたしましたので、当方の課税処理には関係ないということでその旨われわれも処理を終えました。 その行き先はどこかということでございますが、ただいま先生が御指摘になりましたが、全くそのとおり申し上げるわけではありませんけれども、ほぼそういうふうに御了解になっていただいても結構だと私は思います。
○只松委員 その行き先の、これも人名はあれですが、国として、特に金融機関はアメリカだけではなくて、スイスあるいは西ドイツ等の銀行に送られた、こういう形跡も御承知でございますか。
○磯邊政府委員 この8Kレポートで指摘されておりますのは、ただいま三百六十八万ドルというふうな御指摘がございましたけれども、私どもの調査では正確に言いますと、三百六十二万八千五百ドルでございます。それ以外に実はまだあるわけでございますが、少なくともいま御指摘になりました三百六十二万八千五百ドルというのは、スイスの銀行に振り込まれたということはございません。
○只松委員 西ドイツ等もありませんか。ただアメリカだけでございますか。通常言われておるのは、日本には来ておらない、こう言われておるわけですね。そうすると、アメリカだけかというとそうではない、こう言われておる。スイス、西ドイツというのはたまたま私が挙げたわけでございますが、あるいはほかの国家でも結構ですが、アメリカ以外の国家にも行っておる、こういうことはよろしゅうございますか。
○磯邊政府委員 御指摘になりました三百六十二万八千ドルにつきましては、そういうところに行った形跡はわれわれつかんでおりません。
○只松委員 けさの朝日新聞によりましても、五十年六月にボ社が日商岩井に対して、これは社内事情で責任を持つからひとつ云々ということで、誓約書といいますか一札が入っておる、こういうことが朝日に出ておりますが、このことはお認めになりますか、否定をされますか。
○磯邊政府委員 認めます。
○只松委員 こういうおよそのことを聞きますと、三百六十二万八千五百ドルという正確なお答えがありましたが、大体の概要が浮かび上がってくるわけでございます。また、きょうは私はこれが本題ではありませんし、祖特の論議でございますから別な機会にも論議を進めてまいりたいと思いますが、要するにいま私が一口で言っておる、海外における調査が弱くて、外国側からこういう問題が出されたりあるいは尋ねられて明らかになってくる、こういうことはまことに残念でございます。それから、日商岩井というような大会社が、日本を代表するような会社が名義貸しをする。それで、これは通過しただけで実際入っておらなかったんだ。こういうことがたとえば三井だ、三菱だ、何だと全部の会社に行われる。行われても、それは税法上何にもならなければ、あるいは商法上背任罪も出てこない。何にも出てこない。そういうことになれば、たとえば税法上皆さん方がお調べになる場合でも、どこまでが本当やらうそやら何やらアメリカまで行って全部調べてこなければ一々全部わからない。この三百六十二万ドルの金が、名義貸しだけで中身はわからないんだ、こういうことがとにかく、これは向こうから照会が来たからわかったわけですが、わからなければ、端的に言うならば、大商社の税務調査なんていいくらかげんなものだ、甘いものだ、大変失礼な言い方ですけれども、そう言われても国税庁はいたし方ない。あるいは他の商社も、この前は丸紅あるいは三菱、そういう各会社、たまたま挙がったところだけ問題になるわけですが、そうじゃなくて、そういうものが、証拠が挙がらないあるいは指摘されないところでも同じようなことが大体行われているんじゃないか。しかも何ら罪に問われない。先ほどから申しますように、私きょう租特でございますから、法務省も呼んでおりませんし何も呼ばないで、ただ私は税法上の問題としてきょうは確認をしておきたい、こういうことだけで若干の論議を行っておるわけでございます。 きょうは大臣も来ておらないし、非常に残念ですが、政務次官、こういうことがまかり通る—事実通っているわけですね、こういうことがほかにもありはしないかと私は憂えますし、事実あるだろう。こういうことが許されるべきことかどうか、あるいは今後どうやってこういうことを阻止するか。私はタックスヘーブンのそういう問題を一つ出しておるわけでございますけれども、よほど急いでしないと、こういう問題が次々に海のかなたの方から暴露されたり指摘されて、日本の政界、経済界、あるいは日本は貿易立国でございますが、各商社等が次から次へこういう混乱に巻き込まれるということは必ずしも喜ばしい事態とは私は思わない。どういうふうにやって阻止されるか、ひとつお考えとともに今後の対策等も聞きたい。あわせて、国税庁長官のお考えもお聞きしておきたい。
○林(義)政府委員 只松先生からのいまの御指摘でございますが、正直申しまして、海外の問題を全部調べるというのは限度があるだろうと私は思うのです。たまたまこうした事件で、おかしいではないかということで調べてみると話が出てきた、こういうことでありますし、日本の中で起こったものにつきましては日本の国税庁がいろいろ調べるし、アメリカの方はアメリカの方の国税当局がやるというのが、いろいろな問題がありますけれども、その方が能率的だろう、そういった形で租税条約などというものがあるんだろうと私は思うのです。 もう一つの問題私思いますが、かつて昭和四十七年でしたか、商社の代表の方々を呼んで喚問をしたことがあるのです。私もそのとき、そのときは政務次官ではございませんでしたが、提言をしまして、大商社というものはやはり社会的責任があるだろう、その社会的責任に基づいて、当時丸紅なり日商なりありましたけれども、そういったことになっては困る、いろいろな不正なことをやってもらっては困るので、やはり大商社の社会的責任という形で海外におけるそういった不正な事実というものの防止を自発的に考えてもらうということも必要なことではないか、一つの御提案を私はそのとき申し上げたことがありますが、そうしたことをいろいろ考えてやっていかなければならない問題だろう、こういうふうに考えております。
○磯邊政府委員 ただいま政務次官の御答弁申し上げましたとおりに、こういった大商社のみならず大法人というのは、あらゆる意味において日本を代表する企業であり、それだけにまた社会的な責任も大きいし、税務に占めるいろいろなウエートも大きいわけであります。それだけに、こういった大法人それから大商社等に対しては、われわれは調査を充実していかなければならないというふうに考えております。 ただ、遺憾ながら大法人の調査は、現在のわれわれの陣容等から考えまして、調査が非常にむずかしいところがあることは否定できないわけであります。特に大商社等につきましては、それぞれの部門が事業部門制度になっておる、これは一つ一つの部門が独立採算をとっておるような状況がございまして、私たちの調査も、ことしはたとえば機械部門を中心に調査すれば、翌年は繊維部門というふうに循環的な重点調査をやっておるわけであります。したがいまして、その後になって不正な事例が発見されるというふうなこともあって非常に残念に思っておるわけでありますが、それと同時に、やはり海外取引が非常に大きなウエートを占めているということも調査を困難にしている大きな理由であります。それに対抗するために私たちとしては、もちろんその税務職員の訓練ということが必要でありますけれども、昭和四十六年から海外に調査官を派遣いたしまして、現地で各種取引の確認であるとかあるいは情報の収集等をやってきておるわけであります。もちろん調査というのは、国内の調査それから海外の調査それぞれ一体となってやるわけでありますから、海外に調査官を派遣してどれだけの増差が出たかということを的確に申し上げることはできないわけでありますけれども、しかし、いままでの実績で申しますと、多い年で、これは昭和四十九事務年でありますけれども、海外取引に係る不正所得の発見は百六十億円、それから少ない年で、年に三十億円程度の不正所得の発見をしておるわけであります。 こういったことでわれわれは、特にそういった大法人あるいは大商社が税務上の不正計算ということのないように今後とも万全の措置を講じてまいりたい、かように考えております。
○只松委員 この問題の最後に一つだけ聞いておきたいと思いますが、先ほど三つに分かれた中の八十万ドルの中で、このあて先の法人数及び人員、まあ個人名は言われないでしょうが、わかったら数を言っていただきたい。数も言えないということであれば、単数であるか複数であるかというだけお知らせいただきたい。
○磯邊政府委員 三つに分かれたその数字を申しますと、個人が二人、会社が一つであります。
○只松委員 この問題を終わりまして、次に私は国債の問題に入っていきたいと思います。 私が申し上げるまでもなく、ことしは約四〇%近い公債が発行をされております。これには理論としては替否それぞれあるわけでございます。 極端な理論は、千葉大の伊東光晴教授なんかは、過日行われた銀行強盗と同じではないか、人質にとって、景気拡大だ、雇用の増大だ、あるいは何とかかんとか言って、とにかく予算規模だけふくらませて公債を増発させておる、これは国家財政を破綻に導くものだ。もちろん賛成論者もありますし、大蔵省のように、余り賛成はしないけれども現実としてやむを得ないということで泣く泣く賛成をしている、こういういろいろな立場の人があるわけでございますが、いずれにいたしましても、これはわが国の財政にとりましてきわめて重大な問題であるということだけはだれも否定するわけにはいかないだろうと思う。 そういう中で、現在の国債がまたインフレをいまももたらしておりますが、必ず招く、こういうことも強く私は、いままでも指摘してまいりましたし、指摘しておきたいと思います。現実にいま九十九円五十銭、六分一厘の利回りで売り出されておるわけですが、既発債は幾らぐらいで取引されておるのか、法人間で、あるいは個人間によって違いますが、ひとつお教えをいただきたいと思います。
○田中(敬)政府委員 御指摘の六・一%国債の取引価格でございますが、店頭あるいは市場の気配が、大体九十四円八十五銭ないし九十五円程度というところが取引の実態でございます。
○只松委員 個人は。
○田中(敬)政府委員 個人という区分はいたしておりませんが、個人が売買をいたします金額は非常に小さいという前提に立ちますと、百万から一千万円の単位の取引というものは取引所に集中をするということになっております。そういたしますと、取引所の価格というのが個人が売買している価格ということになろうと思いますが、それはいま申し上げましたように、約九十五円前後でございます。
○只松委員 それは違いますね。いま法人が取引して、大口は九十四円内で、五円を割っておりますね。百万から三百万円やなんかの個人の場合、大体九十七円ぐらいで取引をされているとお教えをいたしておきます。 そういうことで、いわゆる額面を割っておりますね。したがって、新規発行債に対しては利率を上げろということ、したがって、それをしなければおれらは言うこと聞かないぞというわけで、ストライキまではいかないけれども、買わないというようなことでごねたりなんかいろいろトラブルが起こっておるというのが実情でございます。これは何も国債だけじゃなくて、社債、電力債の場合も、九十九円七十銭ぐらいで売られているのが九十七円二十銭前後というように落ち込んできておるわけであります。 ところが、ことしは十五兆円からのものを売らなければならないということになると、これは大変なことになるわけでございます。こういうことに対して皆さん方はどういうふうにお考えになっておるか、まず大局的なお考え方を——一般的に大蔵省側は、十三、四兆じゃないと、十五兆は売れないということで大分突っ張られたわけですけれども、そうじゃなくて十五兆を超した。なかなか売れないだろう。時間がありませんから細かいことまで論じられませんけれども、皆さん方が関与されておるこのレファレンスの中にもそういうことはうたって、大蔵省側は、十三、四兆しか売れないんだ、こう皆さん方自身の中の方がお書きにもなっている、こういうことなんです。こういう状態の中でどうやってこの国債をお売りになるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○田中(敬)政府委員 十五兆の国債というものは大変な量でございまして、これの消化には相当の努力を要する金融情勢であろうかと思います。 国債の消化につきまして最も配意いたすべき点は、冒頭に只松委員が御指摘になりましたように、国債の大量発行というものがインフレに結びつかないように、インフレ要因として作動することのないようにという配慮が一番大事だろうと思います。そういう点におきましてはやはり根本は、市場の実勢に応じた発行価格、発行利回りというものを尊重すべきであって、市場の実勢に応じて弾力的にこれを発行していく、金利を改定していくということがまず第一に必要なことであろうと思います。それと、やはり国債が非常に売れにくくなっておる原因は、大量国債の発行、大量の地方債の発行、これらがほとんど十年ものという長いもので行われているところに、長期資金の需給バランスが崩れ、それが値崩れを起こしている一番大きな原因でございます。そういう意味におきましては、弾力的に金利改定を行いますとともに、やはり市中にある資金の状況、資金のニーズがどこにあるかという点に着目いたしまして、中期債あるいは短期債を活用してまいるというようなことも非常に大事だろうと思います。 十三兆ないし十四兆しか消化できないというようなことを議論したこともございますが、いま私どもの見通しでは、来年度の総合資金需給を考えてみます場合に、本年度、大体民間金融機関の預金が一三%伸びました。それから昨年十二月末の実績ベースで見ますと、貸し出しが九%民間金融機関でふえております。それらの傾向、また資金の状況というものが、五十四年度につきましても同じような形で推移するということで来年度の総合資金需給を考えてみますと、いまの預金一三%、貸し出し九%の増ということを前提といたして考えてみますと、来年二十六兆円ばかりの公共債が発行され、そのうち、市中金融機関が引き受けるものが十五兆八千億程度と予想されますけれども、貸し出しとそれからこの十五兆八千億の市中金融機関分引き受けの公共債というものは、資金需給の面から見ればバランスがとれてはまり得る。ただ、金融の繁閑あるいは長いもの短いものへのニーズの問題というような点がございますので、冒頭申し上げましたように、発行条件の弾力化あるいは中短期債の活用ということを十分考えていかなくてはならないと思います。
○只松委員 いまおっしゃっていることを一口で言うならば、後で出しますが、私が常々言っておる、日本の過剰貯蓄性向というものに便乗したら何とかなるべえというようなことですよ。去年もうんと国民が貯金してくれた、ことしもするだろう、それだからそれを当て込めば何とかなるだろう、これが問題だと私は言うのです。 いま盛んに株が高騰を続けております。ところがぽつぽつ土地が上がってきております。きょうは租特の落ちというようなことで、私は土地の問題をやろう、こう思っておるのですが、皆さん方がまだこれで、そう言ってはなんですが、経済政策に失敗をして、公共債を国、地方で出しておるから、一挙にそこに行っているのであって、極端に言えば、それによって逆にインフレを救っておるのだというような学者、経済論者さえもある、こういうことです。 そういう論はさておきまして、そういう過剰貯蓄性向というものはどうやって出てきておるか。皆さん方の方からいただきました政府による調査によりましても、銀行その他の金融機関で口座数が一億五千百八十五万件、金額にして七十兆六千五百四十五億円、公社債あるいは証券、少額公債、これは特別マル優、あるいは財形貯蓄、郵便貯金、こういうものを合わせますと何と四億五千百八十九万口。貯蓄人口が幾らあるか知りませんが、国民が一億一千万人おりますから、半分ぐらいの約五千万人ぐらい貯金をいたしているといたしましても、約九口ぐらい一人で持っておる。いま言っているのはこれはマル優ですよ。ちょっと注釈を忘れましたが、単なる銀行の法人や何かの口座数ではなくて、非課税をいたしておりますマル優の口座数であります。これは私が申し上げるまでもなく、銀行三百万、郵貯三百万、財形五百万、国債三百万、合わせて一千四百万円まで一人でできるわけでございます。これの口座数が四億五千百八十九万口、貯蓄高が百十六兆三千七百二十九億円、これだけ膨大なものに上っておるわけであります。これは政府側からいただいた資料ですから間違いないと思いますが、お認めになりますか。
○藤仲政府委員 お答えいたします。 ただいまの計数は参議院の予算委員会の資料として提出したものでございまして、それぞれのところから提出されたものと承知いたしております。
○只松委員 これだけ膨大な口数、これも前に私が一遍言ったことがあるわけですが、郵貯の二億八千万口、みんな与野党それぞれいろんな思惑があってこれに触れたがらないわけです。ところが、これだけでも五千万人近い、五千万人は私はないと思いますが、口座数といたしましても六口近いものを郵便局に持っておるわけです。そうみんなで六口も持っていることはない。なぜこれはあるかと言えば、一人で五十口、百口持っておる人があるからです。 これも私は本論ではありませんから、とことんまできょうはやろうとは思いませんけれども、こういうふうに私は、利子配当の問題が一番大きな問題であるということをかねがね言ってきた。この問題にメスを入れない、触れないでおいてほかの税制の不公正を正す、あるいはいろんなことを、徴税や何かを強化しても、国民はなかなか納得しないということを私は繰り返し言っている。先ほど同僚委員がやりました医師の問題その他ありますけれども、それからまた、私が常に言っている公益法人や何かの税以外の問題もありますが、しかしいまの税法の中で一番大きなウエートを占める問題は何と言っても利子配当のこういう脱税行為だ。これだけのものを幾ら国民が貯蓄好きだからといってするわけがない。これはマル優だけですから、マル優以外にも貯蓄はあるわけですから、そのもとにおいて皆さん方のいま言った国債という問題も何とか曲がりなりにも処理できて、国家財政、地方財政がつじつまを合わされていっておる、こういう現状であるわけであります。 きょうは、これもきちっとお答えをいただこうとは思いませんけれども、こういう過剰な貯蓄性向に対して何らかのブレーキをかける。世界一の貯蓄性向でありますし、あるいはいろんな景気の問題、減税をするならばむしろ端的に減税する前に貯金を減らしていってそれを需要に向けていく、消費に向けていく。これはカナダの首相もかつて呼びかけましたし、あるいは西ドイツの首相も貯金よりも消費に回せということを呼びかけたことがある、文献をお探しになるとわかりますけれども。だから、日本でも勇気を持ってもう少しこういう問題をすべきだ。皆さん方も、国民の貯蓄性向に便乗して財政の破綻を免れたり糊塗するのではなくて、もっとやはり本来的な政治の姿勢あるいはいろいろな政策を行うべきだ、こういうふうに思います。 そういう本質的なことはさておきまして、こういう異常な貯蓄性向あるいは異常な口座数というものに対して何らかのチェックをすることをお考えになっておるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○林(義)政府委員 いまお話のございました郵便貯金等につきましては、郵政当局が監督をしているわけでございますし、郵政当局におきましても、いろいろな名寄せをやるとかいうような形で、これを厳重にチェックをしておるというふうに報告を受けております。 先生に私申し上げたいのですけれども、単に口数が多いからということだけですぐにそれが脱税だというふうになかなかいかない。たとえばの話ですが、私でも、下関に地元がありまして、下関の地元でも郵便貯金を持っておりますし、東京でも持っているというようなこともありますから、(只松委員「あなたみたいな金持ちは別だよ」と呼ぶ)それは金持ちだということではない、いろいろなところに持っておるというのが非常に便利なことなんでやっているだけのことでございますし、そういったことというのをやはり考えていかなければいけないので、口数が多いから単にすぐにそれが脱税だということにはつながらないのではないだろうか、こういうふうに私は考えております。 そのほかの金融機関につきましても、名寄せを行うとか金融機関を指導する等いろいろな対策を行いまして、マル優の脱税を防止するように私どもも努めておるところでございますし、今後一層そういうふうな形で努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○只松委員 それから先ほどからの論は、たとえば貯蓄が投資を上回っておる限り国債の消化は可能であるという論なんです。それからまた必要である、こういうことをおっしゃっておるわけでございますが、私はこれは将来完全な財政の破綻をもたらすということを言っておる。 〔委員長退席、小泉委員長代理着席〕 そういうのは、たとえば昭和五十七年度になれば国債の利子は、本年度の六兆八千億の社会保障費を上回ることにもなっていくわけでございます。こういうこと等を考えますと、その過剰貯蓄に依存した国家財政というものをやめていく、私はいまそういう意味の脱税だけを言いましたけれども、過剰貯蓄性向をやはり直接需要へ向けていく、こういうことを本来考うべきではないか、こう思いますが、その点に関してはいかがでございますか。
○林(義)政府委員 それは全く御説のとおりでございまして、私たちもできるだけ国債を減らしたい、特例国債はぜひ減らしていきたいという形で努力をしてきたところでございますが、なかなかそこまでも参らない、こういうことでございますし、私は国民の貯蓄というものは——貯蓄を減らしてというのは私はどうかと思いますけれども、貯蓄というのは、やはり国民の所得の分配の一つの方法でございますから、そうした上に立ってこれからいろいろなものを考えていく必要があるだろう。貯蓄があるからもう全部政府が吸い上げてという考え方は私はとるべき考え方ではないというふうに考えております。
○只松委員 こういうふうに金がたくさんあります。そうすると先ほどから申すように、株がどんどん、どうして上がるのかわからないけれども、上がっておる。過剰流動性ですね。株が上がってきて、次にどこに向いていくかと言えば、これもやがて前回と同じく土地に向いていく。それが、さっきから言っているように、いま皆さん方が公債、公共債を発行しているから、これに無理して銀行をおどかしたり何かしてやっているから吸い取られていくわけです。これを余り買わなくなる、こういうことになります。こういうことになってくると、いわゆる過剰流動性というものが出てくる。現にあると言われておる。 たとえば朝日生命の調査によれば、昨年の十月から十二月に十三兆三千億円あると言う。これは四十七年当時三兆九千億、三、四兆ぐらい過剰流動性がうろうろしている、こう言われておったのですが、それの約三倍ということになります。銀行局等で、いま過剰流動性はあるかないか、あればどのくらいあるとお思いになっておられますか。
○天野政府委員 お答え申し上げます。 このところ金融の緩和基調がずっと続いてまいっておることは事実でございます。それからマネーサプライ等の動向を見ましても、昨年来急に一二%プラスというようなことで、やや増加傾向にあることは事実でございます。ただ他方、企業の資金需要は現在も相当冷えていると思いますので、全体として見まして現在、過剰流動性の状況にあるというふうには考えておりません。
○只松委員 幾らぐらいあると想定をされますか。そのぐらいのことはある程度想定をしなければ金融操作はできないでしょう。
○林(義)政府委員 只松さんのお話、過剰流動性というお話が出ましたが、四十七年当時に過剰流動性ということが非常に言われたわけです。そのときの過剰流動性の問題は、私の理解しているところでは、当時大変に外貨がふえました。一ドル三百六十円から三百円になって、たしか私の記憶では半年ぐらいの間に五十億ドルぐらい一遍でふえたということで、差し引きましてざっと二兆円ぐらいの過剰流動性があのときに出たのではないかということが言われるわけです。それは現金として出ちゃったわけですけれども、それに関連しましていろんな思惑がついてくるというので、一説には六兆円とかなんとかというような話がありました。 私はそういったときに必要なのは、やはり金融政策が健全に動くということだろう、こう思いますし、現在は先ほど銀行局の方から御説明しましたように、M2などというのもそんなに高い数字ではない。当時の数字はたしか一七とか一八という話じゃなかったかと思いますが、いまは二、一二ぐらいじゃないかと思います。最近少しずつ上がりかけてきておりますが、これは通貨の供給というような形で少し景気が上向いてくればやはりそういったことも出てくるということは言えるわけでございますから、いまのところ過剰流動性がどのぐらいあるかとかというような話はどうもはっきりしたことは出てこないんじゃなかろうか。じゃいま金融政策で非常にだぶついた金をまいているかということになると、私はそういうことではないというふうに考えております。
○只松委員 私は埼玉に住んでおりますから、埼玉のことは多少わかるわけです。埼玉の場合、県知事も社会党でございますから多少の調査もしていただける、政府の場合は頼んでもいただけないことがありますが。後で埼玉の資料は出します。 大都市近郊の一つの典型的な例として、埼玉では再び土地買いが私たちの耳にも頻々と入ってくる。これも経済論争しようとは思いませんけれども、雇用数は減っておったりあるいは総売り上げが減っても会社の利益が、皆さん方から見れば優良企業ということになりますが、大企業が純利益を増大しておることは私があえてここで申し上げる必要もない。そういうのは、設備そのものは余っておるわけですから、よほどの新しい発明や発見や開発がなされない限り設備投資というものには向かない。さっきから言うように、株もいまのところではこれ以上そんなに上がらない、下手につかまされちゃう、こういうことになりまして、国債に回っても、国債は先行き値下がりすることこれまた確実。インフレが進むと値下がりする、するからまたこうなって、最後は悪性インフレに陥るわけですね。そこまでのことは私はまだきょうは断言はいたしませんけれども、とにかく国債が九十九円五十銭で売り出しているのが九十五円を割って九十四円になっておる、これは現実ですよ。論争するどころではなく現実に下がってきておる。これ一つだって、皆さん方しゃあしゃあと答えているけれども、昔ならこれは腹切りものですよ。売るときに、買っている会社や個人は損をしているのです。いいですか、株を買って損しているんじゃなくて、政府が発行した政府の一万円札や何かが下がっているのと同じくこれは下がっているのです。さらにこれが九十三円なり九十円に下がっていく可能性は十二分にあるわけですよ。そのときの責任はどなたがおとりになるのですか。日本国家なるがゆえにしゃあしゃあといる。皆さん方は、官僚と言っては悪いけれども、責任を一向に感じておられないけれども、それはやはり発行したところが責任を感じるし、とらなければいけない。そのことは目に見えている。 私はきょうは責任論争や何かをしようとは思わないのだけれども、要するに最後は行き着くところは徐々に上がりつつある土地に向いていく。現に埼玉あたり土地探しが相当行われている。ところが土地の税制を緩和しよう。今度の租特にまたお出しになっておる。いろんな働きかけがあったでしょうよ。しかし租税特別措置で緩和しようとされておる。それはなぜかというと、優良な土地、宅地や何かがないからです。私が皆さん方のお手元に参考までに一、二差し上げておりますように、埼玉県で五十二年一月調査した現在において、未利用地、これはほとんど会社によって買い占められた土地千平米以上、それを調査した結果、一千万坪、浦和市の約半分の土地がある。市街化区域でも百九十万坪あります。市街化区域で土地がないないと言うが、市街化区域ですよ、百九十万坪買い占められておる。他の都市計画区域という調整区域、ここで七百六十万坪、その他の無指定地域、山林とか林野にわたるところ五十万坪、これだけの一千万坪の土地が買い占められて遊んでおる。この土地をむしろどう使わせるかということが問題であって、いわゆる本来行っておった農地、お百姓さんや何かの持っておる土地をはたき出させてするというのが当面の土地政策ではない、租税特別措置制度ではない。今度行おうとしておるこういう租税特別措置を行うならばさらに土地は騰貴をする、私が言わんとするのはこういうことなんです。 新しく土地を手放して売りなさい、そういうことではなくて、こうやって土地を買い占められておる。いま埼玉だけで現存して残っておる。これを日本国じゅう類推いたしますと膨大なものになる。金額で私が若干類推をいたしますと、市街化区域が埼玉においては平均して三十万円ぐらいしているでしょう。二十万円の土地なんてほとんどありません。当時買い上げを仮に十五万円といたしますと二千八百五十億円、調整区域を七万円といたしますと五千三百二十億円、無指定地域は一万円としたって五十億円、合計八千二百二十億円、一兆円に近い金がここに投ぜられている。現実にはこれは全部値上がりしていますから一兆円を大きく超している。埼玉一県でですよ。私は前にこの土地投機に使われた金は約二十兆円である、こういうことを言ったことがある。ところが、いやそんなにない、大体七、八兆だろうとか何とかかんとかいろいろ言われました。しかしこの大蔵省からいただいた別の資料「土地関係融資について」という資料を見ますと、金融機関の土地関係融資状況調査、これも、融資残高一億円以上というのを見ましても三兆九千七百四十九億円、約四兆円。これは銀行や信用銀行以上でございますから、そのほかのものをとりますと、大体金融機関で明確に土地、こういうことにされているので五兆円を超します。現実に出ているものは五兆五千億ぐらいになるわけです。そのほかに、皆さん方、特に次官は政治家だから御承知だろうが、あなた銀行に借りてくれないかと話をすると、そんなら土地を買うのじゃ銀行は貸しやしないから、設備投資としておけとか牧場としておけとか何とかかんとか言われて、名義を聞くとあるいは運転資金というようなことで借りておるところも結構あるわけです。こういうものを私が推計をいたしますと、あるいは埼玉県一県だけで約一兆円近いというものを他の府県にずっと類推いたしましても、十兆を下るものではないということは、大蔵省の金融機関の融資状況あるいは埼玉県の土地に投機された状況というものから見ても決して多くはない、もっと私は膨大なものだろうと思うのですね。最低見積もって十兆、少し過大に見積もれば二十兆近いものが投じられている。その利子たるや大変なものだ。とにかくおれら働いてばからしいよ、とにかく銀行に一生懸命利子持っていくだけがいまおれらの仕事だということを私たちの年配の者は、会社の役員をいたしておりますが、みんなこぼしておる、そういう状況であります。 そういう中においてなおかつ今回、こういうふうに土地税制を緩めていかなければならないという理由はどこにあるのですか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○林(義)政府委員 只松先生からの資料をいま見せていただきました。この資料を見ますと、先生お書きになったのだろうと思いますが、全体で一千万坪、市街化区域百九十万坪、その他の都市計画区域七百六十万坪、無指定地域五十万坪、こうありますが、今回改正をお願いをしておりますのは、それぞれのところに書いてございます昭和四十四年一月以後の取得地というのは、これは全然手をつけないということでございまして、四十三年以前に取得した土地につきまして、これが……(只松委員「そこらは知っているよ」と呼ぶ)その問題につきまして、特にこれが住宅地になるあるいは公共のために使うという場合に限ってだけやりましょう。いわゆる短期としての土地重課制度、それから法人の土地の譲渡益の重課制度等の現行の諸枠組みは置いておかなければいかぬだろう。これを外してしまいますと、もう先生のお話しのように、たとえば二十兆も金が出てくる、待っていれば土地の暴騰になるということは明らかでございますから、その辺は置いておかなければしようがない。ただし一方で、住宅政策なり都会に住む人々の住宅の需要というものもありますから、その辺の調整をして、一応最小限度に限ってだけ部分的な手直しをしてやっていこうというのが今回の趣旨でございます。
○只松委員 私たちは野党ですから、たまには不公平なときは、公益法人なりと監査ぐらいしなさいというようなこともときどき言うのですけれども、税金かけなさいとはなかなか言えないですよ。ある意味では言う必要もないかもしれません。しかし、本当に土地政策を行うのならば、私はこの埼玉の例でも示しておるように土地は持っておる。大体不動産関係の会社が持っておる。したがって、持っておるのを吐き出させるということの方が先なんですよ。これ以上余り言うと、私たちの近所のお百姓さんがいろいろいますから、表現がむずかしいのですけれども、持っておるのをどう吐き出させるか、これはお百姓さんにも累が及びますからそうですが、だから私は買い上げられた未利用地の調査表を示しているわけです。それ以上はひとつ賢明な皆さん方は御推察をいただきたい。持っておる土地をどう吐き出させるかということが土地政策であるし、住宅用地を確保する道であって、売買によって生じる云々というようなことは、一つも必要じゃないとは言わないけれども、それは第二、第三の問題になってくるのですね。しかしその根幹のそちらには触れないでおいて、持っておるところはそのままにしておいて、あるいは私から言わせれば、インフレーションを進めてそういうものの借金の価値を下落させておいて、土地は高騰させて、そして売買のときだけは安くしていく、こういう形を今度は皆さん方お考えになっておるんだな。そこまでは全部必要じゃない。全部ではないけれども、いろいろ理屈はつけてあるけれども、結果的にはそういう傾向の方が強い。本当に土地政策をお考えになる、あるいは国民のために土地を造成しようとするならば、いま遊んでおる土地あるいは持っておる土地をどう吐き出させるかといいますか、売りに出させるかということを考えるべきだ。そういうことの租税特別措置の方がもっと大事なことではないのですか。そういう点についてどういうふうにお考えになるか、ひとつ次官ではなくて主税局長の方から御答弁をいただきたい。
○高橋(元)政府委員 ただいまお示しのございましたように、確かに土地を有効に宅地として供給させていく、その場合に地価に悪い影響を及ぼさないということのためには、税制だけではかたわなわけでございます。そのように未利用地を利用促進させるためには、これは国土庁の所管と思いますが、たとえば勧告とかそれから買い取りというような制度があるようでございまして、そういう形で現に持っているストックを吐き出してもらう、こういう必要は確かにあると思いますし、そういう面で運用の適切を期していただきたいと私ども思います。 税の問題にいたしましても、単に譲渡税だけでなくて、保有税と相まってその効果を上げていくという面が多いわけでございまして、そういう意味で申せば、国税、地方税を通じて土地税制の適正を期していきたいということだと思います。ただいま仰せのありました、私どもが御審議をお願いいたしております今回の制度は、そういう意味で、たとえばその法律の後ろの方を見ていただきますとおわかりになるわけでございますが、二年以内に確実に上に家が建つ、または宅地として利用して人に売られる、そういうことが確実なものに限ってこの制度の実施をしていこうという趣旨に三十一条の二はしぼってございます。二年以内に優良宅地として利用が可能でない場合には、言葉は悪いですが、税金の取り戻しが起こるという構成になっております。 現在の未利用地のストックというのは、確かにお示しのように非常に大きな数字でございますが、全国にわたりまして私どもの承知しておる数字では三十万ヘクタールくらいある。しかし、その中で市街化区域にありますものは一万二千ヘクタールというふうに承知しております。そういうストックを使いまして、かつまた不動産業者の手持ちのストックを使いまして、こういうものの押し出しのために実態的な政策を進めていきまして、なおかつ優良な住宅地の供給が必要であるということを国土庁から、また建設省から私ども税制調査会その他の場でお話を伺って、そういうものを総合した土地の需給ということは後ほど所管省の方からお答えをいたしますでしょうが、そういうものの一環として、現に優良な住宅地の供給を可能にするような部分に限って今回御審議をお願いしておるということでございます。
○只松委員 優良というか何というか、とにかくずばり言えば、いま一番不足しているのは、東京のど真ん中やら大都市に非常に近い地域のマンションブームのマンションの土地がなかなかないんですよ。だから、優良宅地、優良土地ということを不動産業界が盛んにおっしゃいますけれども、具体的に言えばマンション用地がなかなか取得できない、だからこれを何とかひとつ取得しやすいように、あるいは相手が売りやすいようにしてくれないかということ。それから小さい宅建業界といいますか、この人たちが町の中で扱っておったのもなかなか物件が少ない、あるいは売買もしにくい、こういうのを何とかしてくれないかというのも結構切実な声としてありますね。しかし土地全体としては、この埼玉の一例、千葉も神奈川も私は似たり寄ったりだろうと思うのです。千葉、神奈川がそうであると三千万坪。大体一個一万坪でできるんですよ。そうすると、それを三千個つくるものがこの関東周辺だけで遊んでいるわけですよ。これは多くは借金によって買われているわけですから、こういう土地をどう活用していくかということがむしろ国政上必要なことであるし、あるいは税制上考えるならば、そういう面をどう吐き出させていくかということが必要なことだと思うのです。 だから税制上お考えになるならば、これは私はたまたま埼玉県から手に入れたわけですが、国土庁なり何なりよく調べた上で、そういう実態の上に基づいて税制をどうしていくか。税調におる先生方が必ずしも雲の上の人だけとは申しませんけれども、そういう地方の実態あるいはこういう実態については私はうといと思うのですね。だから、今後税制のいろいろな方向をお決めになるならば、ぜひひとつこういう実態をよく調査の上で決めていただきたいと思います。本当に住宅を手に入れることに苦労している庶民、国民のためには、そういう方向から、たとえばこの持っている一千万坪を吐き出せば、これが全部が全部住宅地になるとは思いませんけれども、市街地におけるものだけだって相当の家が建つわけです。ですから、ぜひひとつそういう方向で今後土地税制については検討をしていく。これはことしだけ、来年だけで済む問題ではありませんから、基本的な方向をひとつお答えをいただきたいと思います。
○林(義)政府委員 只松先生のお話を拝聴しておりまして、私も非常に共感を覚えるところがあります。確かに今回の税制は緊急に必要なものだけをとにかくやろう。基本的な土地税制をどうするかということにつきましては、現在の税制は五十五年には改正をするということになっておりますから、いまお話のありましたように、やはり庶民の声を聞いてやらなくちゃならない。それからいまお話のありましたように、いろんなところに余っている。遊休地と申したら語弊があるかもしれませんけれども、そういうふうなところに持っている土地をどういうふうな形で吐き出させるか、いろんな点を考えてやらなければならない問題だろうと私は思います。この狭い日本の国土でございますから、しかも日本人というのはわりと土地に対する執着心が強いわけでございまして、外国などというのはどちらかというと、余り土地に対する執着心というのはないのですが、日本人は土地に対する執着心も大変に強い。そういったような国民性等もありますので、その点を考えて、本当に庶民のためになるような、全体としていい国土のできるような政策をやっていかなければならないと思っています。これは単に土地税制だけではないと思うのです。そのほかの国土利用計画、あるいは金融の問題もあるでしょう、いろんな点から総合的に政策を進めていくことが必要だというふうに考えておりますし、御趣旨に沿って努力をいたしたい、こういうふうに思います。
○只松委員 先ほど過剰流動性の問題は余り同意されませんでしたが、私は私の理論が正しいと思う。 さて、銀行局の方ですが、私が途中で出しました銀行局からいただいたものの類推、あるいは私が埼玉県の土地をいろいろ価格を評価した問題、全国に演繹した場合、それから類推というものをして最低十兆は下るまい、こういうふうに申しておるわけですが、その金というのはほとんどが借入資金になっておるわけです。こういう土地売買のためにというか、特に買うために使われておる金は大体幾らあると想定をされておりますか。
○天野政府委員 実は土地関係の融資につきまして、数字が非常にむずかしゅうございまして、継続的にとれますのは不動産業者に対する融資というものしかつかめないわけでございます。 その状況を見ておりますと、総貸し出しの伸び率よりは確かに最近、不動産業者の貸し出しの伸び率の方が高いということにはなっております。総貸し出しが九・七%に対しまして、最近では不動産業に対する貸し出しが一二・六ぐらいになっております。ただ最近、住宅ローンのようなものが非常に伸びておりまして、これは二〇%ぐらいの伸びになっていると思います。ですからそういう実需があって、それで不動産業者に対する融資も伸びているというふうに私どもとしては判断しているわけでございます。かつて四十七年度末あたりですと、総貸し出しが二五%ぐらい伸びまして、不動産業者に対する貸し出しが六六%ぐらいに伸びておりました。ですからそのころに比べれば、まだ土地投機的な動きというのは余りないんではないかと思っております。 それから、先ほどの過剰流動性の話でございますが、これはどういうふうに定義したらよろしいのか非常にむずかしい問題だと思いますが、私どもとしましては、一応マネーサプライの動きというものをフォローすることで判断しているわけでございます。 〔小泉委員長代理退席、委員長着席〕 非常にマクロ的な話で恐縮なんでございますが、マネーサプライは先ほど申し上げましたように一二%ちょっとの伸びになっているわけでございます。マネーサプライがふえる原因はいろいろございますけれども、非常に大きな要素の一つは、企業に対する貸し出しがふえるという形でお金がふえるということになるんであろうと思います。その面は現在、非常に鎮静しておりますので、総合的に見ますと、過剰流動性があるような状態ではないというふうに考えておるわけでございます。
○只松委員 私の問いには一つも答えないで、自分の言いたいことだけを言っておられるけれども、私が最後にすぱっと聞いているのは、具体的には幾らぐらい土地の買い占めというか買い上げというものに使われていると推定するかということを聞いているんです。それには何にも答えられない、ほかのことだけをいろいろ言っているが、ほかのことはいいから、その答えだけでいい。
○天野政府委員 最近、土地関係の融資の問題がいろいろ問題になっておりますので、先日通達を出しまして、土地関係の融資のフローを調べるということを始めております。その結果は、四半期別でございますので、一−三の数字が出るのは少し先になりますけれども、その段階でよくその数字を検討してみたいと思っております。それまではちょっとお答えできない。申しわけございません。
○只松委員 それも答えになってないんだな。私はここで初めて言っているんじゃなくて、前にもこういうことは論じたことがあるんです。それで調べると言っているんだ。現在把握しておる、あるいは去年の暮れでもいいよ、把握しておる土地だけ——土地をここへ抽出して、皆さん方は持ってきているんだよ。皆さんの資料だよ、いま言ったのは。土地だけに投資しているものは幾らだと聞いている。土地がどうしてもわからなければ、不動産業界にということを言っている。しかし、あなたたちが持ってきた、銀行局からいただいたあれを見たって、金融機関の土地関係融資状況は三兆九千七百四十九億円、したがってほかのものを含むと五兆五千億くらいになるわけです。これは銀行局から持ってきたんだよ。それから類推したって、私は十兆になるということを言っているわけです。だから、あなたたちが調査した、一部の金融機関がやっただけでこのくらいであって、これは純粋な土地という名目。しかし、私がいろいろ言っているように、土地以外にいろいろなことで貸し出している、借りられている。私だって、そういうことに口をきいたことがあるんだから、そのくらいのことは知っているよ。 またそういう現象が再び起こりつつあるから、土地投機を起こさせないためにも私は言っている。そのときも私たちはいろいろ注意したんですよ。だけれども、銀行からどんどん金が出ていったんですよ。金融機関の心ある人々さえも、こんなに土地投機させたんじゃ先生だめですね、日本は大変なことになりますよ、家が持てなくなりますよと言う。その当時もぼくらは金融機関の中の人から注意された。もう少し政治の力で、あるいは大蔵省の方で何とかとめる方法はないですかと言われたけれども、あのときは一億総不動産屋になったでしょう。一億総不動産屋という言葉が出たんです。いま再び、総不動産屋までは来てないけれども、土地が動き始めているんですよ。だから私は言っているんですよ。いま現在までのことを把握しておらなければ、いまから把握できるわけないだろう。だから現在まで幾ら出ているかということを聞いている。そういうことは全然わからないの、銀行局は。ここにあるけれども、あなたの方はいろいろな統計をほかにとっているだろう。土地のことだけは全然調査してないの。
○天野政府委員 先生御指摘の数字は、その時点におきます数字でございまして、その後は実は数字はとっておりません。ですから、移り変わりというのはわからないわけでございます。それで、今後それを続けてとるようにするために通達を出しまして、調査するということにいたしたわけでございます。
○只松委員 この人と押し問答したって、局長が来てないんだからもうやめますが、今後の問題として、税制はさっきお答えをいただきました。しかし、ほかのものでもそうですが、土地というものは一遍上がると下がりませんね。したがって、再び高騰さしてはならないということを考えれば、いまみたいな銀行局の指導では大変危うい。ぜひひとつそういう土地に対する貸し出し、金融というものは、具体的にマンションを建てるあるいは具体的にそこへ工場を建てる、こういうものでない限り、設計図なりそういうものを伴わない限り、とにかくやがて一万円札は木の葉のようになる、したがって先行投資として土地を買っておくにしかず、こういう機運が出てきておるんですね。ぼくらにもいろいろ相談を受けるときに、そう言っては悪いけれども、それに近いことを言うんですよ。そら金を持っておったってしようもないですよ、大体三年か五年たてば、石油が上がれば三年、いまの状態で行ったって、この皆さん方の政府試算にしたって五年たったら税金は二・五倍になるわけですから、こういういろんなところからして一万円は五千円札になりますよということを言えば、土地か何か物にしておこうか、こういうことになるわけですよ。一般的な空気としてインフレムードというのはもう出てきておるわけですから、そういうふうに銀行がこれを緩めてしまうと、どどっと昭和四十四年ぐらいから上がってきたその山になったピークになった状態に来るわけなんですよ。それが足音が聞こえるといいますか、そういう状況がわかるから、特にぼくが埼玉の数字を出しましたように、埼玉はまだこれだけのものを抱えておりながら、埼玉でも土地買い占めが始まっておるということを前提として言っておるんですよ。いいですか、したがって今後、そういう土地関係のものには厳しい規制をしていく、行政指導をするということをお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○林(義)政府委員 只松先生のお話、過剰流動性が株式市場に行き、私はもう一つ商品市場というのもあるんだろうと思いますけれども、さらには土地に行くだろう、これは四十七年のときの経験から徴しても明らかなことであります。先生もお話がありましたけれども、私もそのときに、どうやな、土地を買わぬかなという話まであったわけであります。私は買っておりませんけれども、買っておったらあのとき大変もうかっただろうと、私は個人的には思っておるのです。ただ、そういうことになったんではいけないと思うのです。先ほど申しましたように、土地というのはこの日本の中でお互いが利用していくものでありますし、この値段が上がってやるということになれば、インフレにもつながるということは事実であります。インフレというのは、お互い考えていかなければいかぬのは、一番の経済の敵だろうと思うのですね。そういった意味で、この点につきましては、土地の高騰がインフレの導火線にならないように対処していかなければならないことは当然のことでございまして、二月に銀行局の方で関係銀行の代表を呼びまして話をいたしましたし、また別途通達を出しましてやっておるのも、まさに予防的な措置をこれからとっていこうという趣旨でございます。御趣旨を体しまして、最大の敵であるところのインフレに私たちも向かっていく決意であることを表明申し上げます。
○加藤委員長 沢田広君。
○沢田委員 これは二回目になりますが、租税特別措置法というものがいかにわが国にとって重要であり、国民にとっていかに関心が深いかということを象徴するものとしてぜひ御記憶にとどめていただきたいと思うのであります。 先般参考人の方においでをいただきました。参考人の方には、税調会長さんを初めあと二人の方においでをいただいたんでありますが、その方々のお話を伺いました中に、税調としてきわめて遺憾だとは言わなかったけれども、ともかく今回の租税特別措置法の中ではどうもなじまない。一つは価格変動準備金、昭和六十三年度まで、こんなに廃止するまでに長期をかけている。こういうことはなじまなかったんじゃないか。それからもう一つは、これはニュアンスでありますが、医師の優遇税制の最低価格の引き上げについてみても、どうも税調の意見が取り入れられなかったという結果が出てきている。それからもう一つは、土地税制というのは税調の中では、これによって住宅供給ということには結びつかないであろう、これが大勢であった、これは税調の答申の中に。そういう三つが小倉さんを通じて、あるいは他の方も含めて言われていることなんでありますが、それについて、これはせっかく参考人の方においでをいただいて意見を述べられて、これを無視するということは国会の権威にも関係するものだと思うのであります。それぞれの立場の各党が合意した方を呼んだわけでありますから、その方の意見は尊重していく、こういうことについてはどうお考えになっておられるのか、その点ひとつ、次官からか当局からかわかりませんけれども、お答えをいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 政務次官から後ほど基本的な姿勢についてお答えがあろうかと思いますが、三点について具体的な御質問でございますので、私からお答えをさせていただきます。 最初に、価格変動準備金でございますが、価格変動準備金が、法人が享受しておりますところの租税特別措置の中で利益留保性の準備金であるという意味で、これの段階的な整理と申しますか縮減についてかねてから努力をしてまいりました。現在残っておりますのは、価格変動の著しい物品についての五%の積立率、一般の物品についての二%の積立率でございます。その利用は企業についてかなり広範にわたっておりまして、大体総企業の約二割でございましょうか、そのくらいの企業で積み立てておるようでございます。たな卸しのないものもございますからそういうことになると思います。そこで、残高が約八千億ということでございますが、これを段階的に整理していきます場合に、二%の通常のたな卸し資産のための準備金についていろいろ関係方面とも話し合った結果、五年間に段階的整理をしたいということになりまして、五%ものについては十年。もっと短くやるべきだという御意見は、そういう御批判は私どもは甘んじて承りますけれども、私どもも精いっぱいこういう利益留保性の準備金の整理について努力をして、成果について御審議をいただいておるというつもりでございます。 次に土地税制でございますが、これは税調の中で確かに仰せのように、税制をまけたらかえって土地の資産価格が上がるのではないかという御意見があったのは事実でございます。そこで税制調査会の御審議は、したがって土地税制の基本的枠組みを五年間の重課期間の途中に改めるべきでない、やるとすれば、当面必要になっておる公的な土地の取得、優良な住宅地の供給につながるものに厳しい制限をつけて限定すべきだというのが御答申の文章で、私どもとしては、その税調からのお示しのあった答申の範囲内で極力最小限にしぼったというつもりでございます。 もう一点、医師税制につきましては、五十年答申に基づいてやるようにということで、私どもも、二十五年来の経緯のありますこの問題でございます。極力努力をして、中小規模の診療所に対して社会保険医の公共性に基づいて特別の控除を認める、その部分につきまして、税調の答申よりも若干緩いと申せば緩い結論になったわけでございますが、前回の五十年答申以来日にちも経過しておりますし、現在の医業の分布状況から見て、中小規模の診療所というものの実態的な範囲というものは、五十年答申と今回お願いしております是正の案との間では遜色がないということを私どもとしては感じておる次第でございます。
○沢田委員 税制というものは、三人の方にも申し上げましたが、一応総体的な整合性というものが特に求められるものだと思うのですよ。片一方の耳だけ大きくしたり片目にしたり鼻だけ高くしたらてんぐになってしまうというふうに、やはりバランスというものがそれぞれ税制には求められているだろうと思うのですよ。 〔委員長退席、小泉委員長代理着席〕 そこで私があえてこの三つの問題に触れたのは、やはり政府であろうとあるいはだれがやろうと、総合性、いわゆるどの税を厳しくしたならば—これらは当然、一般消費税を導入していく政府としては一つの道筋の地ならしである。そういう前提で物を考えていく。そこへ穴を掘ったりあるいは高く土を盛ったりすれば、その地ならしは地ならしにならなくなる。その辺が今度御三人を呼んだ場合の大きな問題点だと私は思うのです。それの一つ一つには理由はあるだろうと思います。しかし、われわれは反対はしておりますが、一般消費税を導入していこうという、それを地ならしをしていく過程の中に、政治的であるにせよ何であるにせよ、でこぼこをつくれば、これは一般消費税を導入するという道筋は性格的に整合性を欠くということになる。これは好むと好まざるとにかかわらず結果として招来する。それをあえてやらざるを得なかったということが、不公正是正という一般的に言われている言葉が適当かどうかは別として、より一層拡大をすることにつながってしまう。美人も美人でなくなってしまう。だれかじゃないけれども、鼻に骨を入れて高くしたって、それが本当のものでなくなってしまうということにつながらないか。やはり整合性を欠くということにもう少し税務当局としては勇気を必要としたのではなかろうか。なじまないものをなぜ無理をしてそれを入れようとしたか。あるいは押さえるべきものは、六十三年じゃなくもっと縮めてきちんとやる。そういう整合性、そういうものに対する認識というものをこの際ぜひお伺いしておきたいと思います。
○林(義)政府委員 いま局長から御答弁申し上げましたように、先生御指摘の価格変動準備金、社会保険診療報酬制度の改正の問題、土地税制の問題、それぞれお答えしましたが、やはりこの大変な財政のときに、不公平税制を直していくという形で、いままでに比べますと数段進歩した御提案をしているというふうに私は考えているのです。したがいまして大きな方向としては、財政の大変なときにこうした形でやっていくという道筋だけは大きくつけたんだろうと私は思うのであります。 そういった意味で、この前の参考人の意見聴取のときに私も聞いておりましたが、方針としてはそう間違っているような御意見はなかったように私は感じておったわけでございますが、いまお話がありましたように、やはりバランスをとって物事を考えていくということは非常に大切なことだと思いますし、単に税制だけではなくて、政治の上においてもバランスをとっていくということは、非常に大切なことだろうと思います。大きな意味でのバランスをとっていくという意味で私は、道にでこぼこがあるということでなく、道にちょっと石があるというくらいの感じだろう、こういうふうに感じておるわけでございますが、そういった意味で、いままでに比べたならば大変画期的な提案をしているということを御理解をいただきたい、これをお願いする次第でございます。
○沢田委員 政治家同士では見解の差というのはしようがないのです。ただ税務当局を預かる者として、いわゆる公務員としての良心という面から照らして私は聞きたかったわけなんでありまして、政治家というのは上あごと下あごというもので若干変わってまいりますから、その点は、次官の答弁は政治的な御発言として受けとめておきたいと思います。 実はこの前のときに、土地税制の問題で、時間がなくなりまして落としたことを若干つけ加えて、質問をしておきたいと思うのです。 この土地税制の場合に、個人に限って限定をしたということが一つであります。それからもう一つは、市街化区域内における小住宅、私はこの土地税制は反対なんでありますが、多数でこれが押し切られるとした場合に、四十九戸の家あるいは九百平米の基準のものとの差というものはどうつけていこうとしているのかということが一つ問題になってくると思います。これはどこへ線を引いてもその問題は起きるのだという答弁かもわかりません。しかし、市街化区域内において五十戸というのは相当大規模だと思います。また、千平米というのも相当大きいものだと思うのであります。調整区域は話は別といたしまして、市街化区域に限定をした議論をしていくとすれば、その問題はきわめて高い、よほどの大手でないとなかなか手がつかないものではないかというふうな気がいたします。その辺に対する五十戸と千平米の基準の根拠、同時に、それはどういう業態を対象としておられるのか、お聞きをしておきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 優良な住宅地の供給または優良な住宅の供給と申します場合に、行政ベースに乗せてまいるといたしますと、現在の都市計画法の開発許可制度、またはそれに準じて行われております都道府県知事の優良住宅地の認定制度、市町村長の優良住宅の認定制度というものに乗せて行う必要があろうかと思います。 この税制は二年間の時限的な措置でございまして、取得後二年間に優良宅地として売り出されることを予定するものに限って適用いたすわけでございます。そういう意味で、非常に広範な新しい認定制度、許可制度というものでなく、現在、都市環境、それから関連公共施設等の整っておりますこと、それから造成された住宅地の形質が良好であるということにつきまして都道府県知事が開発許可あるいは優良宅地の認定というものをいたします基準というものが千平米でございます。千平米と申しますと三百坪余でございますから一反歩でございます。確かに仰せのように、相当な資力がないとできない区域もあろうかと思いますが、全国の市街化区域について適用が、または市街化調整区域についても未線引区域についても都市計画区域の中で行われればよろしいわけでございまして、そういう意味で、優良住宅地の供給に資するもの、または優良な住宅の供給に資するものということで千平米という面積をとったというのが一つでございます。 マンションや分譲戸建てのものについて、五十戸または三十戸という基準は辛いのではないかということでございますが、一戸一戸の家がよくても、全体としてまとまった場合に、一つの街区としての優良な住環境というものが維持される必要があるということが基本的なねらいでございます。そこで、ある程度まとまりのある優良な住環境を備えるものを制度の対象とする政策税制の制約からいたしまして、都市計画法の都市施設の基準五十戸以上ということなどに基づいて決めたわけでございまして、現在の公的な金融制度、関連公共施設に関する財政支出の制度その他におきましても、おおむね同じような対象のしぼり方がなされておるというふうに思っております。
○沢田委員 五十戸のことに限定をいたしますと、これは建設省じゃなく税務当局に聞きたい。優良住宅の基準で、この前質問をいたしました最低は何平米と税務当局では受けとめておりますか。
○高橋(元)政府委員 土地譲渡益重課、現在の法人土地重課の場合に適用されております優良住宅基準というのが、今度の場合にもこの前の建設省の御説明ですと適用になると思いますが、その場合には三十五平米以上、百六十五平米以下でございます。
○沢田委員 三十五平米といまおっしゃられました。三十五平米ということになりますと、その中に建てる五十戸。これは千平米の中でもし割っていくとすれば、三十戸の場合でも結局宅地面積をたくさんとれば千平米でも家数は少なくなる。それから逆に今度うんと小さな、マッチ箱のような家をつくるということになりますと、六百平米ぐらいな面積でも五十戸の家は可能になる、こういう形が生まれる可能性があるわけです。その場合については、これは言うなら優良住宅には適用しなくなってくるんじゃないか、まず一つの疑問は。 それからもう一つは、これには道路とか広場とかは含まない面積と解釈してよろしいのかどうか。従来の面積は、道路面積それから広場面積あるいはその他の部分も宅地面積に含めて計算をされているわけであります。優良住宅と言う以上は、将来市道なりに寄付してしまうであろう道路あるいは広場、そういうものはこの宅地面積の中には含まない、そうでなければ結果として優良住宅の基準値には達しない、そういうことになるわけですが、その点はどう御理解なさっておられますか。
○高橋(元)政府委員 一戸の床面積が三十五平米が最低基準でございます。したがって、三十五平米の家がどれだけの敷地の中に建つべきかということにつきましては、建蔽率なり販売条件なりそういうこととの兼ね合いで決まってくると思いますが、戸建ての家としては三十五平米というのは、私の素人論で恐縮でございますが、通常の場合には商品としては小さ過ぎると思いまして、三十五平米が適用になりますのは恐らく中高層耐火の共用住宅であろうと思っております。その場合には、確かに三十五平米だけ連ねて三十戸というマンションが仮にあるとすれば、その敷地は千平米よりも小さいということがあり得ましょう。したがってその場合には、市町村長の認定にかける、認定権者を市町村長にするということを法律に書いてあるというようにこの前も御説明を申し上げた次第であります。
○沢田委員 今度は商売人の方に言った方がいいと思いますから建設省の方にいきますが、この前も優良住宅の基準というものについていろいろ疑問点を提起したわけであります。 〔小泉委員長代理退席、委員長着席〕 いま言ったように、建設業者は千平米なら千平米、五十戸なら五十戸、その場合、建築基準法上の場合は、現在は不動産会社の土地ですから道路の土地も敷地面積に入ります。広場も敷地面積に入ります。それで建築申請の許可を出すわけです。ですから、実際には三十五平米とこういう規定づけをされたといたしましても、実体でき上がった結果、その場合の道路面積は敷地面積に含まれなくなります。あるいは公園、広場の面積も含まれなくなります。そうすると、この場合の三十五平米は満たしているものと解するのですか、満たさないものと解するのですか。
○浜説明員 御質問の趣旨が、たとえば建築基準法上のとり方とかそういう意味を持っておっしゃっているのでございますれば、それぞれの中に入っているというふうに考えたらいいと思いますが、この優良住宅認定基準は、敷地の関係よりも住宅そのもの、敷地の関係も一部過大敷地を排除するという基準を設けておりますけれども、それ以外は住宅そのものの基準として、いま大蔵省からお答えになりましたような最低は三十五平米、上は百六十五平米、そういうものを定めております。したがいましていまの御質問は、全部詰めていくと幾らになるかという御質問に受け取りましたので、その点、はっきりちょっとお答えできかねますけれども……。
○沢田委員 後の質問者も来られておって、私のは最初短く、今度は長く、今度は短くと変わりましたので、だからやりにくくなったのでありますが、詰めていきます。 次の問題に入ってからまたいまの問題に戻りますけれども、優良住宅の場合、流末の問題についてはたれ流しはともかく困る。優良住宅と言う以上は吸い込み方式はあり得ない。少なくとも流末というものを確保しなければ優良住宅とは言わない。これは一般常識として解釈してよろしいのかどうか。ただあそこの優良住宅基準では、水洗便所になっていればもう優良住宅で、どこへたれ流そうと構わない、こういう形になっているけれども、少なくとも今回提案されている優良住宅という名称の中には、あるいは現在建設省が出している優良住宅については、その流末に対して責任を持つ、吸い込みはない、それからたれ流しはない、こういうものの基準であると解釈してよろしゅうございますか。
○浜説明員 基準の中にございますのは、水洗便所を備えていること、つまり水洗化されてないものは基準外であると申しておりますが、同時にその前に、建築基準法等の建築関係法令に適合しているということがございます。その関係をまとめて考えますと、水洗便所以外のものも通常日本ではつくることができるわけでございますが、ここで優良住宅認定基準上水洗便所ということを求めますと、建築基準法の関係で、それは下水道地域であれば必ずパイプにつなぎ終末処理場に処理されるか、あるいはそれぞれじかに屎尿処理施設を持っているか、そのいずれかでございますので、そういう意味で建築基準法の確認手続の担保を通じまして、そのいずれもが、いま先生御指摘のような吸い込みというのでございましょうか、そういうものにはならないことを期待しているわけでございます。
○沢田委員 期待ではこれは困ってしまう。ですから、建築基準法上の手続として——この前も言ったように建築基準法は手続法です。こういう耐久力とこういう形になってこういう基盤ならばある程度震度三なら震度三の地震に耐えられる、そういう形によって強度を検討し、そして、あるいは雪に対応し、雨に対応する。土台はどう、こういうことになっている。そういう形の手続法であるから、その流末に対しても建築基準法はチェックができない。そこで私が言うのは、優良住宅というのは、水洗便所になったとしても年二回掃除しなければならない。しかしこれが守られているかと言えば、守られていない。そしてまた吸い込み方式というのは、それから流れたものを掘って、さっきも同僚議員が言ったようにそこを埋めておく。ふろ水が二日もたてばこれはどうしようもなくなる。それを優良住宅とは言えないだろう。だから、そういうものでは優良住宅とは言わないのだから、それの流末について責めを負ったものでなければ優良住宅とは言わない、この解釈をきちんと建築基準法の中で、これは省令だそうですが、省令の中で規定づけをしてほしい。いかがですか。
○松谷説明員 御答弁申し上げます。 ただいま先生のお話しになりました便所の放流の問題でございますが、建築基準法上は、下水道法第二条第八号処理区域におきましては下水道に放流しなければならない。それから通常のくみ取り便所をそのまま地域に放流しようとするときには、必ず屎尿浄化槽を設けなければならないという規定になっております。屎尿浄化槽の構造の規定につきましては、建築基準法の施行令の三十二条で細かく規定しておりまして、それが放流されても公害にならないような浄化度を規定しているわけです。
○沢田委員 その先を聞いているんだよ。時間のむだ遣いはやめてくださいよ。 それで、流された水が結局たんぼへ流れる、畑へ流れる、隣の家へ流れる、そういう問題について責任をどこで負ってそれをとめるのかということを、建築確認の際にしてもらわなければ困るということを言っているわけだよ。あなたの方で、浄化槽さえ適当なもので、JISのマークがついていれば何でもいいんだ、後はどこへたれ流そうと問題はないと一あなたが自分でそういうところへ住んでみなさいよ、あなたはどこに住んでいるか知らないけれども。そうなれば、隣近所の問題だって起きる。これは臭くもなる。そういう問題を優良住宅とは言わぬだろう。だから、どういうJISマークをつけようがつけまいが、流れていく。それで掃除しているかと言えば、実際には掃除していない。浄化作用はだんだん年々衰えていく。衰えていくから、結果的には問題が起きてくる、時間がたてば。ところができたときには、優良住宅はまだ使ってないところで認定するのだから、問題は起きないけれども、一年たって掃除しなかったらまた問題が起きてくるのだよ。あなたは答えなくてもいいところを答えている。だから答えてもらいたいのはその先なんだ。その先についてきちんと詰めがなければ優良住宅とは言わないでしょう。だから、吸い込み方式はだめですよ、たんぼやあるいは畑やあるいはほかの用水路やそういうところへ流すのではだめですよ、そうじゃないですか、こう言っているんですよ。それをきちんと守ってくださいということをこの優良住宅の中には規定づけをしなさい、こう言っているわけです。これはイエスかノーかで、そうしますか、しないか、どっちか答えてください。
○浜説明員 イエス、ノーのように簡単でございませんで、一言言葉でお答えさせていただきますが、優良住宅認定基準の手続の中では、そこまでの手続なり事柄の進行をフォローする基準を設けておりませんが、その中の基準として、水洗便所を求め、それが建築基準法で定めるところの基準に合致しており、それが先生先ほど御説明がございましたような手続で最終処理が的確に行われるという形で事柄が進むということで、イエスでございます。
○沢田委員 イエスだね。イエスだから、そのとおりひとつこれは守ってもらいたいと思うのですが、その次に、この優良住宅を認定するのは、五十戸を建てる、それから千平米の土地である、そしていま言ったような流末の責任を持つ、そして建築申請の届け出が出、結果的に許可をした場合に減税という問題が提起されるわけですね。ところがいま言ったように、広場も含めてしまった、実際には三十五平米であったけれども、それには道路の敷地も入っていた、あるいは四メートル道路の中の半分ずつはそれぞれの宅地面積に入っていたということで不適格だったという場合には、当然地主側から見れば減税が成立しなくなる。そうすると、これは当然詐偽になる、あるいは契約違反になる、こういう事態についてはどういうふうに処理されるわけですか。このことはあえて言うならば、汚職を醸成していく。これは許可にならなかったら大変です。家を全部取り壊すなり、あるいはもう全然人が住めなかったりということになってしまう。つくった者はえらい損害である。ですから地主さんにとってみれば、減税になるものが減税にならなくなるのですから、その分負担しろと言うに決まっている。家は売る分には高くなる、あるいは家に入れなくなる、そういういろいろな問題が起きてくる場合には、これは必ず誘惑というものが起きてくる。何とかこれは目をつぶってもらいたい、建築主事何とかしてくれ、目をつぶってくれ、土木部長何とか目をつぶってくれという問題にこれは発展しかねない。この減税はそういうふうな方向が結果として起きてくる可能性を秘めている。そういう意味において、皆さん方はどういうチェックをされようとしているのか。事前にその分まで保障していくような体制をとらなければ、そういうことを起こすのじゃないかという気がいたしますが、いかがですか。
○浜説明員 先生のいまおっしゃいましたことを前後に二つに分けてお答え申し上げますが、先ほどの御質問にもございましたその土地を、たとえば道路の区画とか公園にとった、そういうことによって当初の計画より目減りしてしまいまして優良住宅ではなくなったというような種類の問題が一つございますが、これは実際は手続上、そういうことを経た後の建築計画、あるいは、これは価格まで追っかけるわけでございますから、設計して発注するといったような状態のところまで追っかけていくわけでございますので、公園などが事前にスクリーンされたもので見ますので、優良住宅に認定後そういうことが起こるということは余りないわけでございます。 ただ、後段におっしゃいましたように、逆にその後の事情、これは私どもいささか懸念しているわけでございまして、やはり土地取引、土地譲渡課税ということと、具体に家が優良なものが建つめどが立つ、あるいは現にそういうものが成るというところには時間的な差がございますので、当事者に全く責任がなくても、たとえば最近はちょっとマンションを建てるということになりますならば、近隣住民との紛争とかそういうようなことがいろいろ起こります。その結果、当初の計画がずれ込んでまいりまして、土地譲渡のときにいろいろと考えて、買い主の方が税の軽減を期待できるということを条件で売買されましたものが、結果的にその条件を成就しなくなるということは考えられなくないわけでございまして、いま主税当局とも御相談いたしておりまするけれども、その間期間の余裕を見て、認定行為とそういう違いが起こらないようにするとか、いろいろな手だても考えますが、一番極論を推し進めますと、そういうところの手続を少し長くした別のステップのものをもとの取引関係に還元するということから見て、やはり多少民事的というんでございましょうか、そうなった場合には、課税の軽減が得られなかった場合にどうするといったような処理が最後には出てくるのではないかと実は懸念しているわけでございます。ただ、そういうことがないようになるたけ合理的に、通常余り極論を申しましても、たとえば三十戸のマンションといたしましても、そういう生産パターンというのは大体決まっているわけでございますから、その実態に即してそういうことが現実に起こらないようなやり方をしたいということで、関係業界の意見も聞き、あるいは認定に当たられる自治省の方の御意見もただし、現在その基準につき、先生が前回も御指摘になりましたような改善点をいかにとり得るかということを含め、大蔵省さんとも御相談させていただいているところでございます。
○沢田委員 それでは改善されるよう心から期待しますが、続いて一つだけ。 現在、建築申請の届け出から一カ月後にこれは出さなければならぬということに一応通達はなっております。もし優良住宅等のこういうむずかしい問題を提起した場合には建築主事は、受け取ってから一カ月以内にこの結論を出さなければならぬという場合にはきわめてむずかしい状況が起きてくると思う。そこで建築主事の任務分担から見ると、さっき言ったように、流末の了解というか承認書を持ってこなければだめだ、あるいはいま言ったような優良住宅になるということの保障をするあらゆる手段を講じなければならない。その手段を講ずる期間は一カ月の中に含まれるのかあるいは外なのか。これは後藤喜八郎さんじゃありませんけれども、下手をやると、不当に滞留しているという理由をもってまた行政機関が訴えられてしまう。ですからこの優良住宅というものをつくる以上は、建築主事の任務分担としては二カ月なり三カ月の余裕を持たなければ、それぞれ対応期間に対応した協議ができないと思うのですね。その辺の解釈は、従来の建築基準法では、一カ月以上滞留しておけば、何らかの結論を出さなければならぬということになっています。しかし、問題があるところについては長くしていいはずなんだけれども、業者の方は資金繰りや借り入れその他のこともあってどうしても急がざるを得ない。そういう場合に、果たして有効な措置が講ぜられるのかどうか、その疑問についてはどう考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
○浜説明員 先生の御質問の中で建築主事とございましたが、これは市町村長なら市町村長に機関委任として現在のは一任しておりますが、そういう形になろうかと思いますが、それは建築主事ではございませんで、別途の任務なんでございますね。ですから、建築基準法上の建築確認の任務と、この優良住宅認定の手続とをちょっと分けてお考えいただいた方がいいと思います。 その場合に同じことが現実にあるわけでございまして、それはたとえば土地の売買の契約からその引き渡し、あるいはそういう基本設計、それから具体的な近隣住民なりあるいは関係行政庁との折衝というのは、ものによれば適地せんさくの段階からも続き、あるいはサイトがおおむね成約してからも続きというのでございまして、そのすべてが土地の引き渡しまでの間に圧縮して起こるわけではございませんで、先ほど申しましたマンション建設という建設生産の具体のフローの中で無理なくはまればいい、たとえば期間のとり方なり手続の時期の設定を考えればいい、こういうふうに思っております。ですからそういう意味で、先生の御懸念なさる点はまさに御指摘のとおりでございまして、解決法としてはそういう形で解決したいと思っております。
○沢田委員 まあ意図はわかったようなわからないようなことなんですが、問題は、行政官が困るような条件にさせてはいけない、また申請する側に迷惑もかけてはいけない、それならそれなりの余裕期間というものをきちっととって扱っていくことが必要だということをいま言っているわけです。一カ月ということだけでいくと無理が起きる可能性がありますよ、その点については十分配慮してほしい。これまた後でイエスかノーかでお答えいただきたいと思います。 次に、前回も同僚議員が質問をされました揮発油税の問題で、これは提言してお答えをいただいて、大体終わりに近づけたいと思うのであります。 九十万キロメートル地方道がある。現在残っている未舗装分は、二五%程度しか舗装されてないので大体六十万キロメートルぐらいの未舗装道路が残っている。これは三メートルと見るか五メートルと見るかわりませんが、推定五メートル平均と見ますと大体三百万平方キロメートルになる。これを一万円の簡易舗装でやるとして三兆円である。この間は二年と言ったのでありますが、これは地方建設部会の意見を聞きますと、二年ではとても地方業者もしょい切れないだろう。ですからもし一応五年と分けるとすると年間六千億ぐらいになります。年間六千億ということになりますと、現在二千六百億程度の交付をしているわけでありますから、その差額は三千億とちょっとぐらいふやせばおおむねそのことが可能になっていくことになる。それでその六千億でシビルミニマムとしての地方道というものを当面この舗装を八割ぐらいは完全に舗装する、こういう条件はこの際必要ではないか、そういうふうに考えまして、従来の配分に若干色を加える程度の修正でありますけれども、いわゆる国道優先でなくてもう少し地方道とのバランスをとるという意味において、若干地方道の方にウエートを置いた配分を考えてもらえないかということなのでありますが、結果的にいま計算しますと、大体六千億ぐらいずつ、そうすると一兆四千億を見ておりましたから、一兆一千億ぐらいにこの国の分の配分は減るわけであります。その点の異同ぐらいな程度はぜひひとつ配慮をしてやって、いわゆる私たちが見ている限りにおいて子供が自動車にどろをはねられて通学をしている状況、あるいは奥さんが買い物に行くのに自動車になにをはねられている砂利道、これだけはせめて住民の最低限度の生活状況として守ってやるというのは、私は政治の温か味じゃないかと思うのです。ですから、国道優先も結構ですけれども、ぜひこの地方道について、どうせガソリン税をここで上げて取ろうというのにはその程度の配慮が国民生活の中にあってしかるべきじゃないか、こういうふうに考えます。それで、五年計画で改良は含まないで簡易舗装だけで通学道路、買い物道路、それから通勤道路、この程度のものの地方道は向こう二、三年の間に完全に舗装してやる、この完全舗装というのは私は簡易舗装という意味ですが、その程度のことは約束できないかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○渡辺説明員 お答えいたします。 道路はその地域社会の形成にただいま先生御指摘のありましたように、最も基盤的な施設でございます。しかしまだその整備状況は、第一次道路整備五カ年計画を昭和二十九年から始めたというようなことでございますので、まだまだ不十分でございます。そういった意味で、ただいま第八次道路整備五カ年計画におきまして、交通安全の確保という点、それから生活基盤の整備、生活環境の改善、国土の発展基盤の整備並びに維持管理の充実という五つの柱を立てまして、それぞれの施策につきまして緊急性、それから地域の特色、そういったものを勘案しながらバランスのとれた整備を進めようということで考えておるわけでございます。 市町村道の問題は、ただいま申し上げました第二番目の生活基盤の整備ということになろうと思います。御指摘がございましたように、市町村道の整備は大変おくれておるわけでございます。第八次五カ年計画におきましては、そういった観点で特に重点を置いているわけでございまして、先生御承知のとおり、公共事業の枠を二倍にふやすとか、あるいは年々の予算を他の道路に比べまして非常に大幅に伸ばすとかやっておるわけでありまして、舗装につきましても、簡易舗装等含めまして都道府県道等よりは格段の整備を進めてまいりたいと考えております。今後ともおくれております市町村道の整備促進につきまして、私どもでできる限りの努力を払ってまいりたいと考えております。
○沢田委員 念のためですが、現在の道路五カ年計画ではお伺いするところ、この五年間に十万キロしか伸びない。そうすると六十と見るか七十と見るか別といたしまして、実に残りは五十万キロ以上が残ってしまう。これではいま言った買い物あるいは通勤、通学、こういう道路の整備すらできないという状況になるわけです。 これは次官、今度ひとつ政治的な話です。この配分はどうであろうと別として、せめてこの最低限度、このバランスのとれた舗装道路、簡易舗装でありますけれども、生活道路、買い物道路、大人の通勤道路、こういうような市町村道をこの揮発油税で向こう五年以内にほぼ八割、八五%程度、この政府の計画では五年たっても十万キロしか伸びないのですが、せめてそのぐらいはこの揮発油税を上げた以上国民に還元してやるというのが常識ではないでしょうか。私たちも子供が自動車にどろをはねられながら通っている姿をいろいろと見てきているのです。その程度はひとつ直していただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○林(義)政府委員 いまのお話、私も市町村道ですか大いにやっていかなければならないという一般的な説につきましては全く賛成でございます。ただ、いま建設省から御答弁しましたように、財源の問題その他もありますし、現在行われておりますところの道路整備計画だけではなかなかできないというような問題もございますし、建設省ともよく相談をいたしましてできるだけのことはいたしたい、こういうふうに考えております。
○沢田委員 もう一言だけ。 きわめて抽象的でありますが、私の言っている金額もほんのわずかですから、次官の代に、おれはこれをやったとひとつ誇り得るように、全国の子供たちや奥さん方がどろにはねられないで通れる道路だけはつくった、こういう実績を残してもらうように特段の配慮を心から願って、終わりたいと思います。
○加藤委員長 土井たか子君。
○土井委員 御出席の政務次官、大変愛妻家で有名な方であります。プライバシーにわたることではなくて、一般的な社会通念上の問題としてひとつお考えいただきたいと思うのですが、政務次官並びに主税局長にもお尋ねをしたいと思うのです。 いま奥様が家族生活を維持していく上において、また夫婦生活を維持していく上において非常に努力をされ、そして協力を惜しみなく日夜続けていらっしゃると思うのですが、この奥様に対して、婚姻後協力のもとに形成された財産に対しては一体どれくらいの権利が社会通念上認められてしかるべきだと御自身の生活体験の上でお考えになりますか。特に政治家などは、これは奥様の苦労の方が多い方があちこち見ておりますと多いのですが、この点いかがでございます。どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○林(義)政府委員 土井先生からおほめをいただきまして、感謝を申し上げます。 いろいろと問題があるだろうと思いますし、その人の仕事によりましても、また置かれた社会的な条件によっても私は違うだろうと思うのです。私自身は、夫婦一緒になってやっていく、こういうふうな考え方でございまして、全部が家内の貢献だとも私は言うわけにはいかないと思いますし、私自身も協力をして家庭を立てていく、こういうことでございますし、まあ言うならば夫婦相和してやっていくということでございますから、なかなか評価をするというのもむずかしいと思います。お互いの努力をそれぞれに考えていく、その上で評価をするというのが一番正しいのではないかと思っています。
○土井委員 いまのは日ごろお考えになっていらっしゃる真情を吐露されたことでありまして、真情を吐露されるのは幾らなさっても結構でございますが、時間の関係もございますので、具体的に大蔵委員会というこの場所をひとつ御尊重くださいまして、どれぐらいというふうに数字で言うのはむずかしいけれども、強いて言えばというところをお示しいただけませんか。
○林(義)政府委員 数字で言うのは、これはなかなかむずかしいことだと私は思うのです。夫婦別産制というのがわが国のたてまえでございますから、そういったたてまえで議論をするということになれば、私の所得は私の所得、家内も若干の所得がありますから、家内の所得は家内の所得という形に相なるのではないかと考えております。
○土井委員 別産制から言うとそのとおりなのですが、夫婦形成財産というものはお互いの協力によって形成されるわけでございますから、いまおっしゃったのは名義の問題をおっしゃっていると思いますが、名義人でなくても、その財産を形成するのに対してはそれなりの協力、努力をされていると言わざるを得ないだろうと私は思います。したがいまして、そういう法律上考えられる名義の問題ではなくて実質的に考えて、数字で無理して示せばこれぐらいだろうとお思いになるところをお示しいただいてから本題に入ります。
○林(義)政府委員 わからないときには半分半分だろうと思うのです。これはやはり男女平等ですから、男の方が六十だとか七十であって女は三十というわけにはいかない。わからない場合におきましては推定規定を働かすということになれば、やはり半分半分というのが妥当ではないかと私は思います。
○土井委員 フィフティー・フィフティー、二分の一なんですね。 主税局長もやはりそのようにお考えになりますか。
○高橋(元)政府委員 人生の先達である政務次官がよくおわかりにならないのに、まして私どもはそれほどあれではないのですが、私の考えで申し上げれば、夫婦が円満に家庭生活を営んでいく限りでは、そこにはいわば有償の関係はないのだろうと思います。それが夫婦が分解して、たとえば一方が死んで相続が起こる、不幸にして離婚して財産の分与が起こる、そのときにどういうふうに考えるかという問題であろうと思います。 これは法律制度の話でございますれば、妻の相続分が三分の一ということに決まっておるそういう身分法の制度、それから協議の離婚の場合に財産分与をどう定めるか、これは協議の方法による。そのときには、いま林政務次官からお話があったように、半分半分というのが頭の中にあるのかもしれません。ですから、夫婦を分解していくときにどうするかという問題として考えるのがそもそもの考え方ではなかろうか、そのように思っております。
○土井委員 まだ質問は分解に至っていないのです。やはり維持し継続されるということが好ましい状況でございますから、そのための努力を前提として私は質問をさせていただきたい、このように思いますので、いまのような質問をまずさせていただきました。 それで、わが国の憲法というのは御承知のとおり、個人の尊厳性と両性の本質的平等に立脚して制定されておりますし、それに従って民法は夫婦財産について別産制というのを規定しているかっこうになるわけなんですね。しかし、夫婦の婚姻共同体を維持していくことのために、家政管理であるとか、家事労働であるとか、子供の養育であるとか、多くの場合には妻がその任に当たっているわけです。不幸にして私はまだそういう経験を持ち得ませんけれども、その努力や苦労たるやこれは理屈ではなく、言葉で言い尽くせないものがあると思うのですね。その結果、女性の立場に立って私自身も考えますと、世の妻という名の女性は、経済的自立というものが大いに阻害されている。夫婦の協力によって得た財産は往々にして夫の特有財産となる。こういう家庭生活の中で、しかしそれでも営々として歯を食いしばってがんばっている、こういうかっこうになると思うわけであります。 こういう一般的な夫婦の実情を考えてまいりますと、いまの純粋別産制の持っている問題点というのはいろいろあると思うのです。先ほど主税局長は、法で決められているのは三分の一でございますからとはしなくも言われたわけでありますけれども、いろいろ問題があると思うのです。実質的な平等をこの節、法制度上も達成することのために、いまあるところの税制上のいろいろな問題点を是正していくということの御努力を、それなりにいままでも心がけていてくださるということは私は確信してやみませんけれども、今後ともこの大きな課題に取り組んでひとつ改革をしていっていただかなければならない、そういうことのための法的配慮というものをやっていただかなければならない、このように思うわけです。片や、民法上の夫婦財産制に対しての改正の時期はいつであるかというのは別の問題でございますから、横に置いておきましょう。 そこで、継続されていっている夫婦間における財産移転の問題についてまずお尋ねをしたいと思うのですが、夫婦形成財産の移転の場合を考えますと、妻である場合、自分の潜在的な持ち分に対して、この潜在的持ち分を顕在化して認識するのがこの節、夫婦財産に対しての分与の中身であるというふうな認識を持っておりますが、これに対してどのようにお考えになっていらっしゃますか。
○高橋(元)政府委員 私の仕事柄として、夫婦間の贈与によって財産移転が起こった場合にどういう税金のかけ方をするか、こういうお話としてとらえてお答えしてよろしゅうございましょうか。——御承知のとおり、これは申し上げるまでもないのですが、婚姻中に自己の名で得た財産は特有財産、こういう夫婦別産制がたてまえでございます身分法でございますから、いわば人倫の道に従ってできておりますそういう身分法を前提として税制というのはできていくのであろう、そういうものであるべきであろうと私ども思っております。 そこで、夫の財産が生前に妻の名義に変わるというときには、妻への贈与という形で贈与税の課税ということが起こるのが、税のたてまえから当然であろうというふうに私どもは思うわけです。ただ、妻の座というお言葉がございましたが、税制上も妻の座に敬意を払いましてこれを優遇するという見地から、相続という形で妻の座がなくなった場合、先ほどの私の言葉で言えば夫婦の関係が分解してしまった場合に、法定相続分でありますところの遺産の三分の一、またはそれが四千万円よりも低ければ四千万円までの相続による財産取得につきましては、相続税は非課税というたてまえにいたしておるわけでございます。これはもちろん、妻の財産取得に対する優遇措置というものが、いま申し上げたように共憂共楽の関係であるべき夫婦、配偶者相互間の関係が壊れてなくなってしまった場合、つまり夫の死後にその必要性が強いというふうに考えておりますのは、配偶者に対する特例措置というものは基本的には相続税という形で行っていくのが、筋道としてそうであろうと思いますし、それで税制上も十分であろうかと思うわけであります。 配偶者間の贈与について贈与税をやめてしまったらどうだろうということでございますけれども、贈与税における控除額六十万円というのがございまして、それ以外に、二十年以上婚姻関係にあります妻に、これは夫でもいいのですが、居住している家屋を譲ります場合には、一千万円を限度として贈与税を課さないということにしておりますが、それをのけますと、そもそも六十万円の贈与税の非課税というものは、いわば少額不追求というような趣旨からできてきておりますので、これをさらに拡大して、同世代間と申しますか夫婦間の贈与について一般的に贈与税を大幅に軽減をするという措置をとることは、贈与税が相続税の前払いでございますから、その必要に乏しいというのが税制上の考えでございます。
○土井委員 そういういまのような御説明もよく理解はできるのですが、しかし本来、夫婦の協力によって取得した財産に対しては、名義人でなくとも配偶者としてそれに対する一定の協力があるという前提に立って考えると、潜在的持ち分があると言わざるを得ません。そして最初にお伺いした、一体どれくらいの協力をされているとお考えですかと申し上げたら、大抵の男性は、そうですね、やはりそれは二分の一でしような、一般的に言って二分の一でしようなと言われます。委員長初め、恐らくここにいらっしゃる男性の皆さんは、無難なところは二分の一と言うべきであろうとお考えになっていらっしゃると思うのですね。それからしても、いま夫婦間の財産移転についていろいろな御配慮が年来の御努力によって積み重ねられて今日に来ているわけでありますけれども、この節、いま申し上げたような原則に立って考えた場合に、二分の一が一方配偶者の潜在的持ち分である、このことを考えると、私も素人でありますけれども、本来税法というのは、単なる形式によらないで、やはり実質的な利益の享受や担税力に対して課税すべきものだという理解を持っております。そういうことからすると、夫婦間の財産移転の場合は、夫婦財産形成過程の実態というものによく着目して認識した上で、やはり二分の一の潜在的な持ち分の顕在化であるものについては贈与税を課すべきでないという、この本来の問題にいかにしてこたえるかという問題が実は税法上あるだろうと思うのです。この点はどのようにお考えになりますか。
○林(義)政府委員 お話よくわかるのです。わかりますが、やはり税法というのは、一つにはいまのお話しのような社会的な常識というか、社会的ないろいろな制度の上に立って、その中で税金をどう取っていくかということも考えていかなければならないと思うのです。そういたしますと、いま主税局長から御答弁申しましたように、夫婦別産制というようなたてまえになっているということが民法ではっきりしているわけであります。この辺の問題につきましては議論はいろいろあるだろうと思うのです。いろいろあるだろうと思いますが、やはり民法にそういうふうに書いてありますと、それを離れて半分だというわけにはなかなか税法の立場としても言えないのではないか、こういうふうに考えるわけでございまして、別産制ということになっていれば、そこでお互いの間で物の移転をするということならば、贈与税というものはどうしてもかけざるを得ないのではないか。そのときに、夫婦の間で一番大きなところの居住用財産については、先ほど申しましたようなことをやるし、また、六十万円未満のものにつきましては少額不追求というような形での制度を講じている、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○土井委員 あくまで民法上の規定を前提に置いて考えた場合に、税に対する考え方はそういうことになるだろうと思いますね。けれども、片や先ほど来申し上げるように、現行民法上の夫婦別産制における欠陥というものもあるわけです。十分に実情にこたえていないという不十分性というのはお互いの実生活の上で認識されているわけです。したがいましてそういう観点からすると、民法の改正を待つまでもなく、税の上でひとつこの点に対する配慮をやっていこうじゃないかという積極的な姿勢というのが税制上はあってしかるべきだと思うのですが、これはやはりいまの別産制の持っている欠陥を補完するという意味においても、実生活に対してこたえていく、妻の努力に対してこたえていく、これはやはり男性側がそれなりの努力をなさることは高く評価されるであろうと私は確信してやみませんけれども、これなりの御努力を払っていただくということは、やはり民法の改正を待つまでもなく現実の問題としてできてしかるべきだと思うわけであります。この点いかがですか。
○高橋(元)政府委員 夫婦別産制をたてまえにしております現行の民法について、現在の夫婦制度といいましょうか、夫婦そのものの実態または人間の生活のあり方というものが必ずしもぴったりこないというものかもしれません。それはそういう見方というのはあってもちろん当然だと思います。しかし税法が基礎法、つまり身分法を離れて、いわば私どもの言葉で申せば税法が出過ぎた立場をとるということは、これまた控えなければならないことではないかというふうに思っております。 ただいま委員からお話のありましたケースの中で、私、先ほどお答えしたわけでございますが、夫から妻に別産制で財産名義を移転するということについて特別の配慮を払わなければならない場合は何だろう。それは、子供が自分の死んだ後で妻のめんどうをよく見ないかもしれない、そういう場合には、やはり最低限妻が将来住む家というものを無償で夫の財産から妻の財産に分けておくということが必要でありましょう。それ以外の関係については相続のときに清算がされるわけでございます。相続について、親子の間の仲が悪いということはありましょうけれども、それは遺言によって遺留分を害さない程度の財産の配分というものはできるわけでございますから、したがいまして、生前に税制上手当てをしなければならない主要なケースといいますものは、やはり居住用不動産を夫が妻に贈与する、こういう場合について配慮するという趣旨で、先ほども申し上げましたような贈与税の特例ができておるわけでございます。それ以外に、現在の別産制のもとで、法律上別産制という構成になっておりますのを、あえて税法上は二分の一共有制であるというフィクションを置くのは、そこまで税制が出かけていくのはいかがなものかという気持ちを私はずっと持っておるわけでございます。
○土井委員 フィクションじゃなくて現実の問題なんで、これはやはり税制上——民法の改正というのも片や心がけなければなりません。三分の一を二分の一にしていくという努力を私どももそれは払っているところでありますが、これはしかし一朝一夕に解決してすぐに法の改正ということにこぎつけるという見通しもなかなか立たない。しかし現実の問題として、いまおっしゃいましたいろいろな配慮が従来の努力の中で積み重ねられてきたという、この税制上のあり方についても私は軽視するものではありません。しかし、なおかついろいろな問題点について、こういう税制上についての改革を要求する声が非常に強い、特に女性の側からそういう声が強いということもひとつ念頭に置いていただいて、そのための御努力を一層喚起したいと思うわけであります。これは別にフィクションでもないし、民法が変わらなければできないということでもなかろうと思います。その点の御検討を賜る御努力のほどは払っていただいて当然だと思いますが、いかがですか。
○林(義)政府委員 実は土井委員御承知のとおり、五十年の税制改正のときに相続税の大改正をやりまして、この問題を取り上げたわけでございます。実はそのときには、少し甘過ぎるんじゃないか、これだけあったらどうするんだという議論まであるぐらいなことをやったわけでございますが、その後いろいろ問題もございますから、さらに長期的にいろいろな角度から検討してみたい、こう思っております。ただ御承知のとおり、民法改正の問題もございますから、なかなか民法の考え方をひっくり返してこちらでやるというのは、むずかしい問題があるということだけは御了解をいただきたい、こう思います。
○土井委員 なかなか姿勢はかたい中にも一縷の、暗夜に一灯を見出したような感じでありまして、全く望みなきにしもあらずという感触をただいま得たわけですが、せっかくいま大蔵省の政務次官になられているわけでありますので、林政務次官中にこれが具体的に動いたという実績を残されるということは画期的なことであり、議会史上に一つの特記すべき事象をここに残されたということになるわけでありますから、その御努力のほどを喚起したいと思うわけであります。 さて、夫婦協力によるところの幸福な家庭生活が生涯営まれるということはだれしも望むところでありますけれども、残念ながら先ほど主税局長の言われた、お互いが万やむを得ざる事情により別れなければならないという、不幸にして離婚という状況に遭遇するという夫婦も世の中にはたくさんございます。ところが、その離婚をめぐって財産分与に関する税のあり方を見てまいりますと、まだまだ女性の側から言うと不利な点が多々ございます。従前に比べるとこれも相当配慮されたのでありますけれども、まだまだ不利な点があります。 まずお尋ねをしたいのは、離婚に伴ういろいろな財産分与に関して、それに関する課税が現在税法上明文化されておりますかどうですか。税法上の明文の規定というのはございますかどうですか。
○高橋(元)政府委員 離婚に伴いまして財産分与を受けた場合には、原則として贈与として見ないわけでございますから、これは取り扱いの問題でございまして、税法の明文ではございません。
○土井委員 それは取り扱いの計算上の問題という観点での決め方であって、いま御答弁のとおり、税法上に具体的な規定は現行法としてはないわけでございますね。
○高橋(元)政府委員 財産分与は、協議離婚した場合に財産分与の協議をいたします。その場合に、離婚によってすでに財産分与の潜在的な権利義務、潜在的と申して適当かどうか知りませんが、これが発生しておって、それを履行するわけでございますから、これは贈与に該当しない、したがって贈与としては扱わない、こういうことでございます。
○土井委員 それはそれで結構なんですが、具体的にどうなんでしょう、離婚に伴う財産分与に対する課税についての税法上の明文化された規定というのはないわけでございますね。
○高橋(元)政府委員 つまり、分与されたものがそれ自体で課税されることはないということについてその根拠を御説明したわけでございますが、贈与に該当するものでないので贈与税がかかっていないわけでございますから、これはなかなか法律に書きようがむずかしいのではないかと思います。
○土井委員 法律に書きようがむずかしいとおっしゃるけれども、これは全く不可能とも言えないんでしょう。
○高橋(元)政府委員 贈与でないものには贈与税を課さないという条文を書くわけにもまいりませんので、そこが大変むずかしいと申し上げた趣旨でございます。
○土井委員 贈与でないものには贈与税を課さないというかっこうで書くわけにはいかない、それは御趣旨のとおりなんですが、ただ、私がいま申し上げていることに対する御答弁としては、それはちょっと御答弁にならないんじゃないですか。税法上現に明文化された規定は、離婚に伴う財産分与に関する課税としては規定はないということですね。これはそうでしょう。
○高橋(元)政府委員 そのとおりでございます。
○土井委員 ここではその問題は筋違いになるかもしれませんが、離婚に伴う財産分与に対する課税という点からするとお調べになっていてしかるべきだと思いますのでお尋ねをいたしますが、民法で言うところの財産分与請求権、これはどのように規定をされておりますか。
○高橋(元)政府委員 民法七百六十八条、「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。但し、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。」以上でございます。
○土井委員 というこのいまお読みくだすったような条文がある限りでございますね。だから、これは比較的簡潔と言えば簡潔だということが言えると思うのです。非常に抽象的ですから、これについての理解解釈をめぐっていろいろな学説や判例がございまして、この問題に対する見解はいまだに一定していないわけでありますが、しかも現実の財産分与というのは、具体的な事例ごとにその内容、それからその具体的な事象というものが対象とされます。財産の形成過程もいろいろ異なってまいります。だから、いま取り扱われている取り扱い方というのを見てまいりますと、所得税法の基本通達の三十三の一の四、これに基づいて先ほどの民法のいう財産分与請求権が具体的に行使されていくというかっこうになると思うのですが、それはそのとおりに理解していいわけですか、所得税法の基本通達の三十三の一の四。
○高橋(元)政府委員 税法の扱いでは、いま御質問のとおりでございます。
○土井委員 そうしますと、これは何というのか、憲法でもちゃんと規定がございますとおりに、租税賦課法律主義なんです。本来租税法律主義というそういう見地から申しましても、実質的な課税をしていくというふうな見地から言いましても、いろいろ問題点がたくさんこの中に包含されたままで一律に一様に取り扱うというかっこうになっていかざるを得ない、こういう関係になると思うのですよ。 それで、財産分与を受けた者に対する課税について、相続税法の基本通達六十二条というのがあるわけですが、これ以外にございますか。
○高橋(元)政府委員 規定したものはございません。
○土井委員 夫婦の協力によって形成される財産の増大、それからいまはもうだんだん権利意識についても向上いたしてまいっております。財産分与の額というのも自然それに伴って考えられていくということになるわけです。したがって、離婚に伴って財産の分与者、それから分与を受ける者に対する取り扱いというのを何とかこれは明確に規定すべきであるという声が高いわけでありますが、こういうことを立法措置として講ずる場合に、現行別産制が持っている欠陥というものを財産分与制度の上で補完しながら、実質的な男女平等、法制上の妻の地位の向上というものを考えながら、税法上規定していくということは全くこれは不可能でございますか。無理ですかいかがですか、この点。
○高橋(元)政府委員 お示しでございますから、またいろいろ検討させていただきますが、所得税法三十三条の一項に「資産の譲渡」という言葉がございまして、この資産の譲渡の中にはありとあらゆる種類のものが入っているわけでございます。その中の一つの譲渡形態だけを特別に譲渡の特則として書く場合はまた別でございますけれども、たとえば土地等の譲渡につきまして租税特別措置法で特別の規定を設けるという場合にはさような規定を置きますが、税法、所得税法でいう譲渡課税の本来のあり方を受けていく場合に、その資産の譲渡とは次のものをいうという形で書く、その中に一々の取引の形態を列記するということは、法制技術上もなかなかむずかしいところであろうと思います。
○土井委員 いま技術的にむずかしい点も指摘されながら御答弁されましたけれども、これはそういう声もちまたにはだんだん強くなりつつあるということを一つは認識の中に置いていただいて、御検討を進めていただくようにお願いをしたいのです。 譲渡所得の税の問題について、そういう意味で少しお尋ねを進めてみたいと思うのですが、この譲渡所得の税の本質について最高裁判所でもいろいろ判例がございますね。近くは昭和四十七年の十二月二十六日の判例で、「譲渡所得に対する課税は、資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産の支配を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税する趣旨のものである」、いわゆる増加益清算説というふうに言っていいと思うのですが、そういう判例がございますね。それとともに、所得税法の三十三条の一項にいう「資産の譲渡」というのがございますが、「有償無償を問わず資産を移転させる一切の行為をいうものと解すべきである」、こういう判例が別に五十年五月二十七日最高裁判所で判示されております。 この所得税法の三十三条一項にいうところの「資産の譲渡」というのは、この最高裁判所の判例をいま二例挙げてみましたが、どういうふうに理解してしかるべきだと考えていらっしゃいますか。
○高橋(元)政府委員 資産の譲渡の場合には、まさにいま委員からお示しのありました五十年の最高裁の判例で言っておりますとおり、「有償無償を問わず資産を移転させる一切の行為」というふうに解釈をいたしております。
○土井委員 形式的に名義変更に伴って資産の移転があったというふうに仮定をしましても、資産の無償譲渡の場合には譲渡所得の発生を認める余地はないというのが最近の傾向なんですか、これについてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○高橋(元)政府委員 無償と申しますか、金銭の対価の移転がなくても、その場合に他の利益というものを資産の譲渡に伴って譲渡者が受ける場合というのがございます。そういう場合には、まさに譲渡所得が発生をしておるという状態であろうと思います。また、無償または非常に低額で譲渡した場合に、その譲渡が、いま申し上げたようなことで時価を著しく下回っているときには、時価で売ったものとみなすという規定も所得税法の中にあるわけでございます。
○土井委員 所得税法の三十三条一項にいう「資産の譲渡」というのは、有償譲渡に限定して解すべきだというふうな見解があることも御承知だと思うのですね。それで所得税法の五十九条の一項の規定は、譲渡所得計算に関する特例規定だというふうな最高裁の判例もございますが、これを所得税法三十三条の特例規定として位置づけてよいのかどうか、いかがなんですか。
○高橋(元)政府委員 繰り返しになりますが、私どもいま御引用になっておられる最高裁の判例のとおり資産の譲渡についての法律的な性格を理解しておりまして、このことは多年、税法の解釈及び運用に当たりましての原則というふうにして今日に至っておるわけでございます。
○土井委員 先ほどの御答弁のとおりに、有償無償を問わずというふうな立場で理解をされているようでありますけれども、財産分与として不動産なんかの資産を譲渡した場合、分与者はこれによって分与義務の消滅という経済的利益を享受したものというべきだというふうな判例も他にございまして、有償性というものを肯定しているわけですね。財産分与請求権に基づく財産分与行為というのは、財産分与義務の履行そのものにほかならない、経済的な利益の発生ということとは理解しがたい、財産分与行為というものは、婚姻中夫婦の協力によって形成された財産の潜在的な持ち分を明確にするいわば一種の確認行為と言ってもいいと思うのです。一種の確認行為と見るべきだというふうな見解がございますが、この有償無償を問わずということを前提に置いても、いま言ったような意味で、この財産分与行為というのは一種の確認行為というふうにみなすべきだ、経済的な利益の発生とみなすべきではないという、この考え方に対してどのようにお考えになりますか。
○高橋(元)政府委員 有償無償を問わずと、こだわるようでございますが、それが税法上の扱いでございます。それでございますから、無償で国等、または公益法人でもよろしいわけですが、国等に対して財産を寄付した場合、譲渡所得の課税を外す、こういう規定が特に措置法の中に入っております。 先ほど来申し上げたことでございますが、税法と申しますのは通常、良心をもって事柄を処していかれる、その場合の取引なり人間の間の関係の成り行きというものを素直に書くということが本来でございますけれども、そうやっていきました場合に、法の規定を拡大拡張して、それによって税の義務の通脱を図るというような場合もないわけでございませんので、したがいまして、人倫の道にしたがってそのまま素直に書いたらいいじゃないかという土井委員のお説もそのとおりだと思いますけれども、ただ税法としては、法の規定をくぐりまたは乱用するという場合についての配慮も怠れないわけでございます。そういう観点からいろいろなちょっと常識で考えておかしいじゃないかというような規定の仕方もあろうかと思いますが、私ども資産の譲渡について所得税法の三十三条の解釈適用ということを、先ほど来御説明しているような原則解釈によってやってまいりまして、それによって律して支障がない、特別に支障のある場合には、また法律の別の条文をもって特別に措置をいたすということで推移してきておるわけでございます。
○土井委員 それじゃ少し観点を変えてお尋ねしたいのですが、これは当大蔵委員会において、わけてもわが社会党の委員が御努力の末、先般五十三年度版の「財政分与と税金 国税のしおり」を、国税庁からこういうパンフとしてお出しになりました。まことに読みやすいパンフです。これには、一読してすぐわかるような配慮が非常にしてあるという気持ちで私も拝読したわけですが、この中にまず、「離婚によって財産の分与を受けた人」という欄があります。分与した人に先立って受けた人の方が先に書いてあるわけですが、「財産の分与を受けた人」という欄を見てまいりますと、「贈与によって取得した財産ではありませんので、贈与税はかかりません。」ということが書いてあるわけですね。「贈与によって取得した財産ではありません」というこの部分なんですね、財産分与によって取得した財産というのは原則として贈与により取得した財産とはならない、これはそのとおりだと思うのですが、ただ、財産分与がいろいろな諸事情を考慮して過当である場合とか、離婚を手段として贈与税、相続税の逋脱を図られているような場合には、その部分を贈与税の課税対象として、ここにそれは「しかし、次のような場合には贈与税がかかります。」と書いてある、そのとおりなんですね。 そこで、原則として贈与ではないと、こうする趣旨は、夫婦協力によって取得した財産の清算部分だからという意味なんですか、それとも財産分与というものが有償譲渡であるからということなんですか、いずれでこれは「贈与によって取得した財産ではありません」という認識がなされているのですか。
○高橋(元)政府委員 先ほど私申し上げました民法の七百六十八条でございますか、そういう財産分与の請求権が離婚の際にある、その履行として財産の分与が実行されるわけでございますから、それによって分与されてもそれは贈与に当たらない。これは前に御説明したことと同じことの繰り返しで恐縮でございますが、贈与税が課せられないというのは、贈与に当たらないからでございます。
○土井委員 そうすると、それは夫婦協力によって取得した財産の清算部分だからだとも言えるわけですか、いまの御説明からすると。
○高橋(元)政府委員 もう大変私こういうことに暗くて、一々隣から話を聞いたりして申しわけなく存じますが、財産分与請求権の性格というものにつきましては諸説あると思うのでございます。手元の法律学辞典などを引いてみましても、幾つかの説が書いてございまして、婚姻中の夫婦財産関係の清算説、離婚後における一方配偶者の扶養説、生前相続税、制裁説、サンクションですね、それから損害賠償、特に慰謝料説など諸説があって、まだいずれとも学説上も決まっておらないようでございます。ただ、これはよく土井委員御承知の、昭和四十六年の最高裁判決、これによって裁判上のこの権利に対する法律的な解釈というのが示されておるわけでございます。
○土井委員 法律的な解釈は結構なんですが、私がお尋ねしているのは、先ほどの主税局長からの御答弁を承っていると、それは夫婦生活においてそれまで協力によって取得してきた財産に対して、離婚のときに清算する意味を持っているという贈与であるから、この課税対象からは外しているんだというふうに理解していいかどうかということをお尋ねしているのです。つまり、清算部分としてそれは考えていいかどうかという問題です、繰り返しになりますが。
○高橋(元)政府委員 清算部分というふうに財産分与請求権の性格を限定するほど私どもは法律的に確信を持っておりません。これにつきましてはいま申し上げましたように、いろいろな説がございます。ただ、財産分与請求権の履行として引き渡されるものであって、したがって贈与でないということを先ほど来くどくて恐縮ですが申し上げておったわけでございます。
○土井委員 請求権の履行としてそれが実行される、これはいまの法制度上は当然でありますけれども、しかし、その持っている意味というのをいまお尋ねしているわけでありまして、いまのここにあるところの「贈与によって取得した財産ではありませんので、」と言われているこの意味についてさらにお尋ねを進めていった場合に、これは夫婦が協力していままで生活を維持してきた、不幸ながら離婚せざるを得ない、離婚するときに、いままで協力によって形成してきた財産に対して、その潜在分と申し上げてもいいと思うのですが、それを顕在化させるという意味において清算する、だから、これには財産に対して清算分割をするというふうな意味があるのだというふうに理解してよろしいかということを聞いているわけです。
○高橋(元)政府委員 そういう意味も含められているかもしれませんが、この分与請求権が一体何によって生じておるかという、その根拠、淵源を一言で言えという御質問だと思いますが、これはなかなか国税庁、私ども、いずれにいたしましても、分与請求権の法的性格を何か一つに決めるということではございませんので、それが民法に定められておる夫婦関係が壊れた場合に設けられた法の規定に基づいて行われておる、その法の規定の解釈については民法学者のいろいろな説を私どもは頭に置いておるということでございます。
○土井委員 るる御説明を賜りますけれども、しかしいまの御答弁からすると、どうもやはり私が申し上げている清算分に当たらないとはおっしゃっていないので、そういう意味も意味の中には含まれているということを半ば認識されているような御答弁というふうに私自身は受けとめて、いまお伺いしていたわけでありますが、先ほど来申し上げたとおり、税制上の明文の規定が現にないということと、民法七百六十八条という条文が非常に抽象的であって、具体的にその性格というものを規定していないということも相まちまして、現在これを取り扱う場合に、いままで夫婦が協力して形成してきた財産についての分与請求権の中身に対して、税制上これくらいは考えてみてはどうだろうという分野がいろいろ出てまいります。それは夫婦の協力によって形成した財産の清算分であるという意味がいま申し上げた点でいささかでもあれば、財産分与を受けた者は当初からその財産というものを協力して形成してきたという、そういう意味をその財産分与分については持っているということが言えるわけですね。そこで、分与者に譲渡所得税というものを課さないという旨をまず規定をしてしかるべきではないかという意見がいつでもこういう意味で出てくるわけです。しかし、それについてはなかなか壁は厚い、これはわかっているのですよ。いままでそのための御努力を払ってきていただいて現状だということも、私はわかっているのです。そこで、百歩譲っていまから申し上げることをひとつお聞きいただきたいと思うのです。 そこで財産分与について、これは夫婦財産関係の中でいま離婚に対しての贈与という中身を見ていきますと、先ほどから清算という意味も含めているということを言えば、一口で離婚による財産分与だと言われる中にいろいろあるのです。扶養料部分もあり、慰謝料部分もあり、さらに裁判所の審判を経て損害賠償ということをする分もあるわけですね。全部をひっくるめて離婚に伴う財産分与というふうに認識をされているわけなんです。そうでしょう。したがいましてそういうことから言っていくと課税上は、これが扶養料の部分だ、慰謝料の部分だ、損害賠償の部分だ、清算部分だというふうに区分をして、その区分の上に立って、せめて扶養料の部分や慰謝料部分については課税の対象から外すという立法的措置というのが何とか講じられないものか、こういうことを考えますが、この点はいかがでございますか。
○高橋(元)政府委員 分与を受けた方、つまりもとの奥さんにも、分与をしたもとの夫にも、分与をしたというだけでいずれの場合でも課税は起こっておらないわけでございます。課税をしておらないわけです。分与をした人に課税をするいわれはございませんし、分与を受けた人にもこれは贈与でないから課税してない。これは分与請求権に基づく義務の履行でありますから、譲渡者、譲り受け者、いずれについても課税されることはないわけでございます。ただ、土地をその分与として引き渡した場合に分与をした者に、分与をした時点において時価で譲渡したことになるから、譲渡所得が発生してくる。これは単純な贈与の場合、先ほど国等に対する寄付と申し上げましたが、贈与した場合でも譲渡所得は原則としてかかる、これが所得税法の考え方でございますから、分与に伴って譲渡が起こる、その譲渡についての課税というのはありますけれども、分与しまたは分与を受けた、それだけの事実では課税されるということはないわけでございます。
○土井委員 これはしかし、いまの譲渡所得税というのはかかるわけでしょう。だからそういうことで、扶養料の部分であるとか慰謝料の部分であるとかいうのをそこの対象から外すということは考えられていいのじゃないかということを私は言っているのです。
○高橋(元)政府委員 まあ一千万円であろうと一億円であろうと、現金を相手に渡しただけでは両者に課税は起こらないわけでございます。ただ、土地でございますから、土地を引き渡した場合には、これはキャピタルゲイン、譲渡利益というものがございます。その譲渡利益に課税するというのが譲渡所得課税のたてまえでございまして、これは原因となる引き渡しが贈与によるものであっても原則として起こってくる。この場合、分与者が分与義務の消滅という経済的利益を受けることになりますから、したがって、土地についてそれまでに生じていた値上がり益が土地の移転によって実現したというふうに見て、移転の際に譲渡所得課税を行うということが、他の譲渡の場合と比べて相当であるという考え方を持っておりまして、御案内のとおり、昭和四十七年の最高裁判所第三小法廷の判決でも、その考え方は支持されておるというふうに解釈しております。
○土井委員 これは現金の場合は、それは確かにおっしゃるとおりでしょう。でも、そんなに現金をたくさん持っておられる方がざらにありますか。これはいろいろ離婚に伴う譲渡所得税の関係からして、当然分与されてしかるべき財産について、この税金があるために分与され得ないというような妻があるのです、まあ離婚すれば妻たる地位を喪失するわけでありますけれども。この税金のために、当然分与されてしかるべき権利というものがむしろなけなしにされるというふうな実例がずいぶんあるわけであります。したがいましてその点は私は、それは譲渡所得税の対象から全部、これは妻が潜在的持ち分として持っておる分は外してもらいたいと言いたいのだけれども、なかなかここのところはむずかしいでしょう。これはまたもとのもくあみで、民法が変わらなければそれはどうすることもできませんということをおっしゃるかもしれない。それからまた、民法が変わったとしても、やはり税法として法上の明記の規定ということを置くことにはふさわしくないとおっしゃるかもしれない。いろいろ技術的にむずかしい問題があるに違いないと私思いますけれども、しかし現に離婚をしてから後、当然分与されてしかるべき財産に対して、譲渡所得税の関係から分与され得ないというふうな実例がいろいろあるわけでありますから、せめてこのところは、この扶養料部分であるとか清算部分であるとか慰謝料部分に対して、夫婦財産関係の中で財産分与の中にこれが全部含まれているという実情に着目して、これらの区分ということを明確にして、課税上この区分に従ってやはり妻の分与に対して税制の上での枠がさらにはめられることによって、当然取得すべき権利というものが喪失されないように配慮があってしかるべきだと思うわけであります。これはどうなんですか。
○高橋(元)政府委員 慰謝料それから扶養料、いろいろな部分に分解して、それで財産の清算に係る部分についてはキャピタルゲインの発生がなかったものとせよ、そういう税制を考えられないかとおっしゃるのだと思います。ただ、これはたとえば十万円で買った土地を三千万円という評価で別れていく奥さんに渡す、こういう場合に、夫がそれによって受ける分与請求権の消滅というこういう利益の対価として見ますと、やはりそこにキャピタルゲインというのは起こっているわけでございますね。それは十万円で買った土地を十万円で奥さんにやってしまうというこういうことであれば、これはキャピタルゲインも何も起こっていないわけでありますが、三千万円だ、こう言って渡す限りは、二千九百九十万円の譲渡益というものは起こっているわけでございますから、これを特別に譲渡所得課税を外すということは、これは先ほど来るる申し上げているように、税法全体の仕組みからいたしまして、大変お言葉にそむくようでございますし、大変人情のないことを申し上げているようにも私自身思うのでございますが、やはりこれは税法のたてまえとしてやむを得ないというふうに考えております。 万一、先生のおっしゃるように、それじゃ分与時に財産の譲渡所得課税やめておけという話になりますと、今度は別れた奥さんがだんなさんから十万円でもらった土地を将来売ったときに、その二千九百九十万円の譲渡所得を払ってください、こういう話になってしまって、取得価格の引き継ぎからなにをやりましても、いまの税制のもとではどこかで譲渡が実現した場合に課税が起こるわけでございますから、それはやはり別れていく妻に財産を渡すだんなさんのところでかけた方がむしろ現実的ではないだろうか、こういう考えでございます。
○土井委員 この問題は少し論議を深めていく必要があるように、私はいまの御答弁を承っていて思います。したがいまして、きょうは時間の制約がありまして、これ以上御迷惑をかけるのは私も心苦しい気がいたしますから、時を改めましてこれに対してさらに継続して質問をさせていただくことをここでお願いをして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○加藤委員長 次回は、来たる六日火曜日午後五時三十分理事会、午後六時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四十五分散会