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87回国会衆議院1979/02/28

大蔵委員会 第7号

発言数
197
登壇者
17
会派数
5
開催日
1979/02/28

会議録

加藤六月自由民主党

○加藤委員長 これより会議を開きます。  租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  ただいまより本案について参考人から意見を聴取することにいたします。  本日御出席をいただきました参考人は、税制調査会会長小倉武一君、日本経済調査協議会総合委員河野一之君、税制経営研究所所長谷山治雄君の各位であります。  この際、参考人各位に一言申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  本委員会におきましては、目下租税特別措置法の一部を改正する法律案を審査いたしておりますが、本案につきまして、参考人各位のそれぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお述べいただきますようにお願いいたします。  なお、御意見は十分程度にお取りまとめいただき、その後、委員からの質疑にお答え願うことにいたしたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、まず最初に、小倉参考人からお願い申し上げます。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 本日、租税特別措置法の一部改正につきまして審査の参考に供するという御趣旨でお呼び願ったわけでございますが、特別措置についてどう考えるかということは結局のところ、やはり税制全体についてどう考えるかということと不可分の関係にあるのではないかというふうに思います。  そこで、もうすでに御承知のことばかりかと思いますけれども、五十四年度の税制改正に関する答申を昨年の暮れ税制調査会として出しましたので、この答申を中心にしておおよその考え方を申し述べて御参考に供したいと思います。  答申がありましてからもう二カ月もたっておるのですが、その間、税制調査会は開かれておりません。したがいまして、税制調査会の各委員の御意見等を踏まえて今日の段階でどう申し上げたらいいかということになりますと、ちょっと申し上げにくいのであります。そういうこともひとつお含みおきを願いたいと思います。  今後の税制を考えます場合に、財政の現状でありますとか、また財政の健全化への展望を持つということがぜひ必要になってまいっておるのでありますから、そういうことを頭において考えるのが当然でございます。巷間、いわば増税時代が来たというようなことが言われておりますけれども、そのことはいま申しましたこととまさに符合しているのではないかと思います。  そこで、調査会の答申に盛られています基本的な考え方を要約いたしますと、今後、やはり何と申しましても公共サービスあるいは社会福祉等の財政需要が減るということはございません。ふえる一方かと思いますが、そういう需要を賄いつつ、他方、大量の国債依存から脱却するということでありますと、どうしても相当の増税を国民各位にお願いしなければならぬというようなことになるかと思います。この点は恐らく、大方の御異論のないところに今日はなっているように思われるのであります。  ただ、その場合の方策としてどういう方策をとるかということになりますと、いろいろ意見の分かれるところでございます。たとえば税負担の公平を求めるということに徹すればそれで道が開かれるのではないかという御説もあるようでございます。したがいまして税制調査会としても、その点を踏まえて検討を重ねたということであります。その結果といたしましては、いわゆる不公平税制の是正ということでは今日の財政の抱えている問題についての回答にはなりにくいというようなことであったかと思うのであります。したがいまして、どうしても所得税あるいはいわゆる一般消費税というものに相当の財源を期待せざるを得ないということかと思います。税制調査会としてはさような考え方をいたしたわけであります。  ところで、所得税でございますが、所得税につきましては、もっと高額所得者に税負担を求めるべきだという意見もあることも事実でございまするけれども、今日の財政の状況を頭に置きますと、所得税に依存するという場合はむしろ、中堅所得層に相当の増税をお願いしなければならぬということにならざるを得ないのではないかというふうに思われるのでありますが、これが果たして現実的であるかどうかということについてはどうも疑問があるわけであります。一体現在の所得税につきましても果たして公正なことになっているのかどうかということについては、巷間いろいろ言われているとおりでございまして、仮にその際に所得税を増税するということでありますと、そういうことに拍車をかけるということになりまして、とうてい公正な所得税の徴収ということが至難になりはしないかということが恐れられるわけであります。  のみならず、諸外国と比べましても日本の所得税はそう低くない、むしろ高い方に属しておるということであります。イギリスは別でございますが、その他の先進国と比べますと一番高いというようなことになっておるということもまたあわせて考えますと、どうしても消費一般に対してこの際は税の負担をお願いするということにならざるを得ないのではないかというようなことであったわけであります。したがいまして、その際の消費一般に負担していただくという税制のあり方としてはどういうものがよろしいかということについての検討に重点を置いてまいりまして、昨年九月には税制調査会の特別部会の試案を公表して世論に問うた次第であります。  そこで、そういう結果といたしまして一般消費税というものがやや具体的になりまして議論を重ねたのでありますが、その際出ました主なる意見といたしましては、当面の景気、この当面の景気と申しますのは現在の景気とまた違いまして、そのころの当面の景気との関係といたしましては、一般消費税を早期に導入するということは適当でないという意見もございました。それから、一般消費税を導入するのでありますれば、歳出面における節減合理化を特段に進める必要がある、あるいは不公平税制の是正をさらに徹底をする必要があるというような御意見があったのであります。さらにまた、所得税その他によって増収の余地がないかということについてもなお検討の余地があるのではないかという問題が指摘されたわけであります。無論一般消費税そのものにつきましては、いわゆる逆進性の問題でありますとかあるいは物価に及ぼす影響という点からの問題点も指摘された次第であります。  そういう問題等について意見の交換を行い、審議を進めた結果、おおよその考え方といたしまして税制調査会の大勢的な考え方が出てまいったわけでありますが、今日のような大量の国債に依存するという財政が長く続くということは、これは考えにくいし、またあってはならないことであるということでございますので、これからは経済の安定的な成長と同時に、財政の健全化ということも大きな柱として考えていくということでなくてはならぬだろう。その際、無論従来にも増して税制そのものの公正さを確保していく、あるいは歳出の節減なり合理化を進めていくということが当然前提になるだろうということでございました。これらの努力を重ねつつ、一方で消費税の導入を図るということにならざるを得ないのではないかというようなことであったかと思います。  その際、物価との関係でございますが、物価にある程度の上昇の影響が起こるということは、これは一般消費税という事柄の性質上当然あることであって、これは避け得られない。ただその際、いわゆる便乗値上げ等々が起こらないような措置あるいは工夫というものが必要であろうということであったわけであります。また、一般消費税は当然物価上昇になるということから、それらに余り着眼して他に措置がないと仮にいたしますと、インフレになる可能性が出てくる。その際の物価騰貴ということと比べるということもあわせて考える必要があるのではないかというような御指摘もあったわけであります。  また逆進性でございますが、これも御承知のとおりでございまして、消費一般でございますからどうしても逆進的にならざるを得ないのでありますが、ここはできるだけ工夫をする。たとえば食料品は除くというようなことによって大幅に逆進性が緩和されるということでありますので、食料品等は除くということを織り込んだわけであります。  以上申しましたような議論を踏まえまして、税制調査会といたしましては、五十五年度から一般消費税を導入すべきであるというように答申をいたしました。また、そのおおよその仕組みを答申の別紙として添えた次第であります。  次に、五十四年度の税制改正にしぼりまして申し上げますと、税制調査会の基本的な考え方といたしましては、まず所得税でありますが、所得税につきましては、たとえば物価調整減税というような御主張が税制調査会の内外にもあったわけでありますけれども、先ほど申しましたような一般消費税を早目に導入しなければならないといったようなそういう状況を踏まえて考えることも必要でありますし、他方、日本の現在の所得税の水準というものを考えてみますと、物価上昇に応じて、これは物価上昇の程度にもよるでしょうけれども、当然に所得税の減税をしなければならぬという程度に所得税が重税に失しているということもないわけでございまして、所得税の減税は原則的に見送るというのが適当であろう、こうされたわけであります。  次に特別措置そのものでございますが、特別措置につきましては、御審議いただいておるかと思いますけれども、できるだけ特別措置の合理化を進めるという方向で答申をいたしておるのであります。この特別措置の整理合理化を進めると同時に、他方、現在の財政状況にかんがみましてできるだけ税源を充実するという観点から、ある程度負担力のあるような部面につきましての増収措置を講ずるということで、揮発油税を増徴するとかあるいは航空機燃料税を引き上げるとかいったようなことを考えた次第であります。  これがおおよその税制調査会の基本的な考え方でございますが、なお特別措置についてもう一言つけ加えて申させていただきますと、社会保険診療報酬課税の特例でございますが、これは政府から御提案になっているものと税調がかねて答申をいたしたものとは若干の相違がございます。巷間いろいろ御批判がございますようでありますが、なかなかむずかしい、懸案となっておった本問題について、今回とにかく大きな前進をされたというふうに今度の改善案は見受ける次第であります。  次に、もう一つ大きな特別措置の項目といたしまして、利子配当の総合課税でございますが、これはなお税制調査会としては審議の途中でございまして、現在の特例が五十五年中となっておりますので、引き続き、できるだけ早い機会に総合課税の方向に沿った検討を進め、年内に税調としての結論を得たい、こういうふうに存じております。そのために、特別部会といったようなものを設置するというような方向はおおよそ税制調査会内でも了承を得ておりますので、再開するということになりますれば早速そういう特別部会的なものを発足したい、こう存じております。  もう一つ大きな問題になっております土地の譲渡所得の課税の問題でございますが、これは税制調査会としては、土地税制についての緩和ということについては慎重な意見が多かったことは申し上げなければならぬと思います。ただし、こういう今日のような住宅の事情のもとで、筋の通った宅地開発なり住宅の供給が増進できるということであれば、限定的なものについて、そういう的をしぼった減税によって、そういう措置で住宅の供給なり宅地の供給が容易になるということであれば、それはそれでよろしかろうというのが税調の答申の趣旨でございましたが、今回政府の御提案になっているものは、いろいろ工夫された様子がうかがわれて、およそのところは税調の答申の趣旨に沿っておるのではなかろうかというふうにひそかに考えておる次第でございます。  以上をもって私の意見の陳述を終わらせていただきます。

加藤六月自由民主党

○加藤委員長 次に、河野参考人にお願いいたします。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 本日は、来年度の税制改正、それから今後の税制のあり方について参考意見を述べよということでございますが、まず今後の税制のあり方についての日本経済調査協議会の考え方、これを私、河野委員会におきまして報告を取りまとめましたので、それの考え方について御説明申し上げ、最後に昭和五十四年度税制改正について若干の感想を申し述べさせていただきたいと存じます。  日本経済調査協議会は、最近の一部の風潮といたしまして、すべての租税負担を企業に押しつければ事足りるというような考え方がございまして、これを検討してみようじゃないかということで、一昨年の十月に税の経済的効果というテーマのもとに勉強を始めました。しかしだんだんと検討が進むにつれまして、税の、ことに増税その他の経済的影響ということだけの狭い領域で考えるのではなしに、今後わが国のあるべき税制の姿というようなもの、また租税負担のあり方ということを検討しようじゃないかということに姿勢が大分変わりまして、そういったことから専門の方々その他の御協力を得まして、報告を取りまとめた次第でございます。  まず、その報告の基本的な認識でございますけれども、現在の異常な赤字財政の原因は、減速経済への移行によって税収の伸びが停滞した、それにもかかわらず、財源の確固たる見通しもないままに、社会資本であるとか社会福祉を中心に経常支出をふやしていったことであるということであります。そして現在の財政赤字というのは、戦時中を除いてみましても非常に巨大なものである。国債依存度がそうでございますが、また国際比較の上においても非常に大きなものである。この公債をこのまま発行していくといろいろな問題が起こる。そのことについての詳しいことは申し上げるまでもないので省略させていただきますけれども、そういったことになる。それから最近の状況からしますと、国債の消化が相当限度に近づいているのではないかという見方もありまして、クラウディングアウトというようなことも心配されるわけであります。と同時に、この財政の赤字というものは構造的な赤字でありまして、景気がよくなればもとに戻っていく、財政赤字も吸収されてしまうというものではないというふうにわれわれは考えております。大蔵省の出した財政収支計算が正しいかどうかは別としまして、あれを見ましても、もし赤字をなくするために税収の増加を図るのだとすると、名目成長で三五%の経済成長がないとできないというふうな数字もあるようでございます。  そういうことで、財政の再建ということが現在大きな課題となっていることは御存じのとおりでございますが、こういったことから考えまして、財政収支のバランス改善は早急に考えなければならぬ。財政による景気の刺激ということもありますけれども、この制約の範囲内でないといけないのではないか。このことは、財政の刺激効果が五十年代において急激に低下しているということでもありますし、短期的に増大した財政赤字を減少させるというのは、このままの姿では大変困難である。したがって以上の状況からして、近い将来増税は避けて通れない道であるというふうに考えておるわけであります。  それで、その財政赤字のための増税でございますが、この増税というのは、いままでやった財政赤字の単なる埋め合わせというよりも、社会資本あるいは社会福祉の充実という方向で考えるべきものである。それでないと国民の納得を得られぬということもございます。増税の余地があるかどうか、これはいろいろ考え方もございますけれども、御承知のようにわが国の租税負担率というのは、国民所得に対する割合は非常に低うございます。しかし一方において、任意貯蓄の率が非常に高い。これは社会保障制度が進んでいないからというふうな言い方も確かだと思いますけれども、租税負担と任意貯蓄を合わせました国民所得に対する割合でいきますと、各国ほとんど同じでございます。したがって、社会福祉その他の財源として任意貯蓄のものを今度は強制貯蓄、いわゆる税の方に向けるということは可能なのではないか、考え方として成立するのではないかということを報告として考えております。  しかし、増税を実施するについては御承知のように、わが国には極端に貧しい人も少なく、また極端に富める人も他国と比してわりあいに低いということでありまして、したがって今後増税の方向を探る上においては、社会福祉の上からいいましても、やはり広く国民一般に負担を求める、こういうラインでなければならない。一般消費税にしろあるいはまた所得税に財源を求めるにしても、必然的に、言葉は余りよくないかもしれませんけれども、大衆的課税ということになりますか、そういったようなことを避けてはいけないのではないかという考え方でございます。  ただ問題は、こういう増税路線に国民の納得が得られるか、どうかということでございますが、この納得を得るためには政府は、なすべきことがたくさんあるということでございます。その前提として歳出の根本的見直し、それから行政改革の推進ということを取り上げておるわけでございます。このことは、何もこの報告で申し上げるまでもないことでございますけれども、民間のサイドからするならば、行政のコストの合理化に対する姿勢がまだ不十分だという声もございます。少なくとも一般大衆には、行政コスト削減の努力が政府部内で行われ、それが増税につながるというふうに進捗しているとは考えにくいと私どもは思います。したがってこの際、歳出の根本的見直し、ちょうど地方団体におきましても、超過課税をしますときには歳出の内容はことごとく洗われるということでございまして、これは国の財政についても当然のことだと思います。  そのことの意味といたしまして、この報告においては三つの提言をいたしております。それは、公務員の定年制導入の問題、特殊法人の整理、補助金及び行政事務の合理化、整理の問題、それから地方の分権化ということを挙げておるわけでありまして、このことについては詳しく申し上げる必要もないと思います。  ただ、こうしたことだけで現在の何兆円にも及ぶ財政の赤字がなくなるということは考えられません。公務員の定年制の問題につきましても、定年制を入れれば退職金がふえるという問題もございますし、また行政改革と申しましても、はでな機構改革も必要かもしれませんけれども、やはりじみちな行政整理の努力というものをやっていくのが実際的じゃないかと私は考えております。特殊法人の整理にしても、それが歳出整理にどの程度つながるか、これも大した金ではないと思います。補助金にしましても、十何兆の補助金のうち、社会保障関係、文教、それから公共事業をとりますと八割以上の補助金になっておりまして、何兆という補助金整理がその中から出るとは私は考えないわけです。したがいまして増税ということ、歳出の整理だけではできないわけでございますが、その増税をするにつきましてもまたいろいろな問題があると思います。  その問題は第一は、いわゆる不公平税制の是正という問題であります。増税に幾らマクロの指標を用い、あるいは国際比較の線から租税負担率は低いということを証明しても、実際に支払う納税者の側からしますと、納税者の負担を納得せしめるものでなくてはならないと思います。そういう意味から言って、身近にある税制上の不公平な事実を一つ一つ是正していくという努力が必要だと思います。  しかし、この不公平税制というのは一体何だということになりますと、これは見方がいろいろございますし、どれがどうということもなかなか言いにくいかもしれませんけれども、要するに租税負担を軽減、合理化する、それを政策の目的のためにやる政策税制との関連だと思います。ある政策の目的のために減税、あるいは税を先へ引き延ばすといいますか、あるいは税額控除をするとか、いろいろな手がございますが、そういった政策と税負担の公平の問題とはトレードオフの関係にあると私は思うのでありまして、その政策というものに対してその意味がなくなる、あるいは大した効果がなくなったということになりますと、不公平の方の意味合いが非常に強くなってくるということだと思います。それからまた、時世の変化による社会的な関係、ことに直接税の負担が大きくなりますと、そういった社会的な感覚というものが非常に強くなる面があると私は思います。医師の税制につきましても、昭和二十九年以来の非常に長い沿革を持ったものでありますけれども、長い社会変革の間において起こってきた非常な問題だと思います。あるいは土地の譲渡所得の分離課税の問題にしても、これが現実的にあらわれてきますと、やはり金持ちの優遇だというふうな声、そういったいろいろな点から考えて、やはり国民が感じておる現在の不公平な点というものを直していくということが増税の前提だろうと思います。  現在そういった面でこの調査会で取り上げております問題は、一つは医師の税制の問題でございます。この問題につきましては、当委員会にその案がかかっておりますので、特に申し上げることはないのでありますけれども、本質的には稼得主義に基づいて、ああいう標準率でないことが望ましいのだと思います。しかし長い沿革のもとにでき上がったことでありますので、私とやかく申すわけではございません。  それから第二にはいわゆる資産課税でございます。これは公社債、銀行預金の利子、いわゆる利子に対する課税。御承知のように、現在こういった資産所得の利子に対しましては三五%の分離課税が行われておる。七百万円以上のものにつきましてはやはり分離課税をした方が有利だということになります。それから配当につきましても、年収が五十万円以下については三五%の分離課税、これがやはりいわば資産所得に対する課税が他に対して非常に低くなっておる。もちろんそれにはそれだけの意味がこれまであったわけでありまして、資本の蓄積その他の意味があったわけでありますが、これは先ほど小倉さんからもお話がありました五十五年で期限が切れます。そのときにおいてこれを総合課税に移すということは必要なことだと思います。配当、利子の総合課税は、戦後一回総合課税をしましたし、それから現在フランスを除いては全部総合課税いたしております。天下の大勢ということもございます。  ただ、その際に問題になりますことは、総合課税ということは所得を総合的に把握するということでありまして、それには納税者の番号制度を実施しないとこれは実際は有名無実になってしまう。税務の調査というものはそこまではなかなかいきかねるというふうに思います。そしてその総合課税をする際において一つ問題になることは、現在のマル優、あるいは郵便貯金の問題もございますが、こういったものをどういうふうに考えるかということであります。こういった利子は少額貯蓄の利子ではありますけれども、少額所得者の貯蓄の利子ではないわけです。本質的に言えば全部総合課税するのが正しいのだと私は思います。銀行預金につきましても郵便貯金につきましても、それが正しいのだと私は思います。しかしこれは非常に長い沿革を持っておりまして、郵便貯金につきましてはもう百年の歴史があると思います。それからマル優についても、戦後これは三十何年になる。また、いわゆる利子に対する一つの国民の間に定着したといいますか、そういうこともやはり考えなければならぬ。  そうした場合において、総合課税との間のいわゆる金持ちの所得との間の問題をどういうふうに考えるかということでありますが、私としましては、銀行預金の利子、公社債の利子もそうでありますし、それから郵便貯金も全部一応源泉徴収で課税をする、そうして三百万円に相当する利子の税金、その分だけを申告で返すという仕組みにしたらどうかというふうに思います。三百万円までは全部その利子の分は返してもらえる。これはそうしますと、現在のマル優という制度は銀行で言いますと多数の店舗、その銀行だけではなしに全部その本人を確認し、名寄せをさせられておるわけです。これは実際は本当はできないのですけれども、それをやっておる。郵便局についても同じような問題があると思います。これはやはりイコールフッティングにする必要があるのじゃないかということであります。もちろん三百万円の利子は、それぞれの定期預金だとかいろいろありましょうから、これを定額で控除するのもいいと思います。そしてこれを年末調整のときに支払い調書を見てそれに相当する分を引いてやるというふうにしたらどうかと考えております。  それから、その資産課税のものとして有価証券の譲渡所得、いわゆるキャピタルゲインに対する課税でございますけれども、これも昔からいろいろ問題になっておりますが、総合課税の機会にある程度これは強化するということになるといいますか、そうすべきだと思いますが、これにもいろいろ問題がありまして、アメリカみたいなところにいくのが理想かも存じませんけれども、これも漸進的にやるべきでありますが、今回の税制改正にこの点が乗っかっているということは私は大変高く評価するものであります。  その次は法人税の問題でありますが、私は、法人税につきましては現在の税率、表面税率もそうでありますが、実効税率につきましても、ほかの各国と比して非常に低いとは思っておりません。一%ぐらい違うかと思いますけれども、これはいろいろ各国の制度も違うのでありますし、ことに償却資産に対する固定資産税というものは外国はありませんし、そういった点もいろいろありますので何とも申し上げられませんけれども、しかし現在の段階において、法人の収益が現在多少回復したといいましても、税率を上げる、増税するということは適当でないというふうに考えます。むしろ現在言われておる租税の特別措置、これを整理していくということであります。現在、過去においてあったいろいろな租税特別措置がずいぶん直されておりますが、資本蓄積とかあるいは技術振興とかあるいは公害とか、こういう意味のあるものもありますけれども、今後の問題としてやはり省エネルギーとかそういったことにしぼっていく、そうして実質的な増税といいますか負担増加を図っていくということが必要だと思います。受取配当益金不算入というのは、これはいわゆる税の二重課税を避ける措置でありまして、これは租税特別措置のいま言った不公平税制とはちょっと違うものだと私は考えております。  以上述べたようなことで、さて増税をいかなる財源に求めるかということでありますけれども、その場合において、所得税、法人税、一般消費税、経常財産税と四つのことがあるわけでありますが、法人税については先ほど申し上げました。それから経常財産税は、これは税の執行上いろいろ問題がありますし、形式的な公平がかえって実質的な不公平を増す、現在の段階ではそういうふうに考えられます。そうしたことからして、増税の財源というものは所得税と一般消費税に限られると私は思うのでありますが、所縁税につきましては、先ほど小倉さんからもお話がありましたけれども、現在八兆円に上る所得税、これを現在の段階、何兆円にも及ぶ財源を必要とする事態におきまして増税するということ、何兆円も増税するということはほとんど不可能といいますか、私は困難だというふうに考えます。これを増税するとしますると、課税最低限の引き下げをやらなければならないと思います。税率を上げるとかいうことも、ただ金持ちの上の方の所得者に対してだけやるといたしましても、現在三千四、五百万人の納税者がおると思いますが、一千万円以上の所得者というのは約三十万人で、税額としまして一兆円でございます。これを幾らふやしましても何兆という財源は出てこないわけであります。また過去の歴史を見ましても、所得税の増税というのは戦争のとき以外に行われたことはございません。毎年物価の上がる中において、調整減税ということが言われるのもよくわかるわけでありまして、そういったことからしますると、一般消費税ということにいかざるを得ないというふうに私は考えております。  しかし、この導入に際しては、税制調査会の案もございますけれども、まだまだいろいろな問題があると思います。やり方についてもそうでございますが、またこれに対しての国民の納得というものが、物価の問題もありますし、あるいは逆進の問題もあり、これについてはいろいろ意見がございますけれども、そういった点についての一般のコンセンサスがこれからだというふうに思えます。  その点に関しまして第一にこの報告で問題にいたしておりますことは、一般消費税の究極の負担者は最終消費者であるという性格を明確にしたらどうかということであります。これはEC型の付価価値税と同様にインボイス税額控除方式をとることが望ましいのだと思います。しかし、現在の段階で非常にむずかしい点があるようでございます。しかし青色申告がだんだんと普及していったように、そういった方向に持っていく必要があるんじゃないかというふうに思います。それからもう一つは、今後一年ぐらいPRの期間を置いて、一般消費税に対する正確な情報を国民に与えるということにしていただきたい。先ほど申しましたように、逆進性だとか物価の影響だとか国民になおいろいろな不安があると思います。ことにワンショットの増税が物価上昇を通じてあらわれる。しかし、これは物価上昇の姿を通じてその分を国家の方にいただくわけでありまして、そしてそれが取り切りではなしに歳出として出されるという点を考えるならば、必ずしも物価が上がるからというようなことでないというふうなこともやはり納得していただかなければならぬことと思うのであります。つまり、納税者の理解と協力がこれからの一般消費税の円滑なる実施について不可欠であるというふうに考えております。  最後に、五十四年度税制改正についての評価でございますが、これは先ほど申しましたように、二十九年から手つかずになっておりました不公平税制の最大と言われました医師優遇税制で非常に改善を見たことは、私は高く評価いたしたいと思います。ただ欲を言わせていただきますれば、不公平税制というものは先ほど申しましたように、時代とともに変化する、実情の変わるものでありまして、できればこれに期限をつけていただければというふうな気もいたします。  それから、有価証券譲渡所得の課税強化に一歩踏み出したこと、価格変動金の段階的整理、これは私としても非常に努力を払われておると考えております。要するに、われわれのリポートの税制公正確保の方向に向かって非常に前進を見ておるというふうに言ってよろしいと思います。なお、今後とも利子配当課税の総合課税その他につきまして一層の御努力をお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。

加藤六月自由民主党

○加藤委員長 ありがとうございました。  次に、谷山参考人にお願いいたします。

谷山治雄税制経営研究所所長

○谷山参考人 谷山でございます。  時間の関係もございますようなので、いまお二人の参考人が言われましたこととなるべく重複しないようにひとつ申し上げてみたいと存じます。もちろん私としましては、いまの小倉さん、河野さんの御意見に賛成のところもございますしそうでないところもございますが、一応いま申し上げたように時間の関係で重複しないということでひとつ申し上げてみたいと存じます。  まず、いまのわが国におきます税制の大きな問題が一般消費税の導入にあるということは言うまでもございませんが、私は、現在の一般消費税に関します議論の中でいろいろ欠けている点があると思うわけでございます。もちろん税そのものの持つ内容としまして、逆進性であるとか物価騰貴の影響であるとか、したがってそういう意味では最悪の大衆課税であるとか、いろんな問題が論議をされているわけでございますが、もう一つ大事なことは、一般消費税の持ちます財政収入の効果がどうかという問題が、議論として欠けているのではないかというふうに思うわけでございます。  私も一民間人でございますのでそういった膨大な調査機構を持っておりませんので、責任のある断定的なことは申し上げられませんけれども、二つの点からこの問題は言うことができるわけでございまして、一つは、物価騰貴をもたらす結果国や地方財政の歳出が増大するという問題がございます。この点をどのように一体評価をされるのか、これが一つ一般消費税に欠けております議論であると存じます。  第二の点は、一般消費税ができますと他の税収に及ぼす効果というものが当然出てまいります。一般消費税が導入されますといわゆるGNPの成長率が下がるという、そういう推測も成り立つわけでございますが、そうしますと当然、法人税収などが減ってくるという問題も考えられるわけでございますし、また、大変細かい話をして恐縮でございますが、一般消費税導入の結果機械設備等の価格が引き上がりまして、引き上がった価格によって減価償却が行われますと当然、法人所得の減収になるという問題もございます。したがいまして、一般消費税導入の結果、法人税などの他の税収の減収効果というのが当然私は予想されるわけでございまして、こういう点をどういうように予測をされておられるのか。  もちろん反対の場合も考えられるわけでございまして、たとえば一般消費税導入の結果物価騰貴によって広範なベースアップが起こってくる。そうしますと、所得税の増収ということも出てまいりますが、また同時に、それはもとに戻りまして、法人税の減収という問題も出てまいります。こういうように一般消費税導入の結果、財政や既存の税制にどのような効果を及ぼして収入の効率があるのかどうか、この議論が大変欠如しているように思われるわけでございますので、ここら辺、今後慎重な御検討をお願いしたいと思うわけでございます。  私の立場としましては、現在の段階で一般消費税を導入するのは反対でございますけれども、それはそれといたしまして、余りにも疑問の点が多いわけなんで、こういう疑問の解明について格段の御努力をお願いしたい、こういうことがまず第一に私の申し上げたい点でございます。一般消費税の中身そのものにつきましては、議論が相当出尽くしているという感じもございますので、一応ここでは省略をさせていただきたいと存じます。  次に、現在の赤字公債の異常な発行、こういう状態がよくないことは言うまでもございませんので、そうしますと財源という問題が当然出てまいります。いま申し上げましたように、一般消費税が大きな有力な財源というふうに言われているわけでございますが、いま申し上げたような疑問の点もございますので、そうしますと、税の負担の公正という観点と財政収入の効果という両方の点から考えますと、これはもうすでに言われておりますように不公平税制の是正という問題を、もちろんそれだけで全部が解決するとは言えませんが、まず優先的に手をつけるべきであろうと考えております。この点につきましては、今回の五十四年度の税制改正でかなり努力が行われている点は私も評価してよろしいと考えているわけでございます。  ここで二、三の問題を指摘させていただきますと、従来税制調査会や大蔵省の議論を拝見しますと、不公平税制あるいは租税特別措置というものを大別いたしまして、一つは政策減税と言われるものがある、これは極力整理をしていこう、こういう御方針のようであります。それから次は政策税制と言われないもの、たとえば引当金のように課税所得の計算の合理化に資するためのものであるとか、あるいは、法人の受取配当益金不算入とか支払配当軽課のような法人税の基本的な仕組みあるいは法人と個人との二重課税の調整に関する問題、こういう問題であるから不公平税制とか租税特別措置とか言われるのは当たらない、こういう御議論が従来展開されておったと思うわけでございます。しかし、今回の税制改正を拝見いたしましても、大変表現は悪いのでございますが、その点はチャンポンになっております。と申しますのは、たとえば租税特別措置法に規定してあります中でも、支払配当軽課という問題は全く俎上にのっておらないわけでございまして、それは先ほど申しましたように、法人税の基本的仕組みに関する問題だという趣旨のようでございますが、これは全然手をつけていない。その反対に、貸倒引当金であるとかあるいは個人の有価証券のいわゆるキャピタルゲインの課税を強化する問題であるとか、そういう本来所得税法や法人税法の本法に書いてある問題も今度は手をおつけになっておるわけでございますから、そういう点ではどうも首尾一貫しないという感じもするわけでございます。そういう意味では、租税特別措置あるいは不公平税制というものの範囲を緩やかに考える、拡大をしてもっと包括的に議論をすることが必要なのではないだろうかと私は存ずる次第でございます。したがいまして、これは政策税制だ、これは課税所得計算合理化だ、こういうふうに機械的に分けないで、よほど広く範囲を拡大して審議をしていただく必要があるのじゃないかと考える次第でございます。現在、財源の計算をしてみますと、もちろん準備金や特別償却等租税特別措置法に規定してあるものも大きな減収は来しておりますけれども、引当金とかあるいは法人税の基本的仕組みに関すると言われている部分がかなりの減収になっておりますし、これは不公平税制ということも言えるわけでございますから、そういうような観点から範囲を拡大して審議を願うことが必要なのではないか、こういうふうに考える次第でございます。  次に、法人税の問題でございますけれども、これは諸外国の例を見ましても、法人税についてはほぼ似通った形ができ上がっておるわけでございますので、私の申し上げることは大変とっぴなと申しますか常識ないようなことを申し上げるようでございますけれども、私は法人につきましては、法人擬制説とか法人実在説とかそういう法学的な議論を持ち込むことは、大変不生産的な議論であるというふうに考えるわけでございます。むしろ法人の所得の管理とか処分とかがどのようになっているのか、それを個人企業と比べてどうであるのか、そういう観点から検討してみることも、法人課税のあり方について前進させる一つの考え方であると存ずるわけで、いたずらに法人擬制説がいいとか法人実在説がいいとかそういう法学的な議論は、卒業するといいますか克服してよろしいのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  そこで、時間の関係もございますので大変急いで申しわけございませんが、あと三つばかりの点を申し上げてみたいと思うのでございます。  一つの点は、今度の昭和五十四年度の税制改正に関する問題に関連して申し上げてみたいと思いますが、今回のいわゆる不公平税制是正の中で幾つかの点がございます。私としましては、価格変動準備金を、五年とか十年とかというのは少し長過ぎるような気がするのですが、一応廃止するという方向に持っていく、これは結構なことだと思いますし、交際費課税の強化にしましても、資本金基準というのがいわゆる大企業に有利な制度でございましたので、これを廃止するということは大変思い切った措置であるというふうに私も評価をしておる次第でございます。しかしながら、有価証券の譲渡益に関する課税を一銘柄二十万株としたことにつきましては、一体どういうステップを踏んでだんだん強化していかれるのか、こういう段階の評価をお聞きいたしませんと、これは前進には違いないと思いますが、どういう位置づけをしていいか大変疑問といいますか問題が残されていると存じます。  それから次に、利子配当課税の強化並びにいま申し上げた有価証券の譲渡益の問題でございますが、私の考えを結論的に申しますと、私は納税者番号制ということももちろん検討の素材ではあると存じますが、しかしもっと前にやってもいい問題があるのではないか。私の申し上げることは大変極端に聞こえるかもしれませんが、あえて極端と申し上げておきますけれども、たとえば利子配当等の源泉課税の率を、シャウプ勧告当時に五〇%という源泉税率がございましたので、思い切って引き上げていく。極端に言いますと、八〇%に引き上げますと課税所得の公平という点では一応目的が達することになってくるわけでございますが、極端な案でございますので、あるいはそうなりますと、先ほど申しましたようにそういう利子から八〇%の源泉徴収をされたのでは一般の預金者はかなわないということになるわけでございますから、金融機関の支払い調書を持って税務署に行けば即座に還付をしてもらうという制度をとりますと、住所、氏名を明らかにして還付の請求を受けるわけでございますから、納税者番号制度をとらなくても漸進的に総合課税が可能になっていくのではないか。有価証券の売却益の課税にいたしましても、現在有価証券取引税が一万分の十八、大変少ない税率でございますので、これを仮に十倍に上げてみる。そうしますと、これも実際に個人で株式を売買している方は大きな負担になってくるわけでございますが、住所、氏名を明らかにして申告することによってキャピタルゲインの捕捉が可能になる。こういう操作をお考えになっていただくことが、いきなり納税者番号とかなんとかに飛びつく前に御検討いただいていい問題だと思うわけでございます。  なお最後に二つだけ申し上げたいと思うのでありますが、一つは医師税制の問題でございますけれども、これは現在世論が、いわゆる七二%一律経費を引くことについての議論が集中しているわけでございますけれども、今回の措置を考えますと、実は二つの側面で問題が残ると私は思います。一つの問題は、一般の七二%が過大ではないかと思っております国民の世論からいたしますと、これは骨抜きではないだろうかという非難が起こりますし、もう一方では、ただ増税されるということについてのいわゆる開業医といいますか医師側の不満がある、両方の面から不満が残るという問題があるわけでございますので、私は、もちろん原則は実額課税というのが正しい方針だと思うわけでございますけれども、そういう観点に立ちますと、現在の医師につきましては、ほかの事業所得者にはない逆の不公平といいますか逆に不利な点もあるわけで、たとえば法人化という問題もございますので、そういう問題も検討して、医師税制の問題につきましては、もちろんこの七二%の一律経費控除ということの改正については私も賛成いたしますけれども、しかし方向につきましては、もっと全体の税制の中で、医療制度との絡み合いで、どういう開業医に対する課税制度が合理的であり、開業医の人たちも国民も納得できるかという案をつくっていただくことが必要なんではないかと考える次第でございます。  最後に所得税の問題でございますが、先ほどいろいろ所得税については言われているわけでございますが、私は、一見異なった意見のように思いますが、二つの点を所得税については申し上げてみたいと思います。  まず第一は、課税最低限の問題でございますが、普通、課税最低限の問題といいますと給与所得控除を含めたところで比較がされるわけでございますが、いわゆる三千数百万に上ります所得税の納税義務者に共通した課税最低限というのは言うまでもなく、基礎控除、配偶者控除、扶養控除のこの三つでございます。そうしますと、四人家族で百十六万円ということになっているわけでございまして、現在の生活保護費が四人世帯でたしか百三十七万円になると思いますので、これよりも低い水準になってきます。そうしますと、現在ヨーロッパでもいわゆるポバティートラップということが問題になっておりまして、働いて所得があるとかえって実質所得が減るというようなことが問題になっているわけでございますが、日本でもそういうふうに、所得がなければ百三十七万円の生活保護の給付が受けられる、所得が百三十七万あると所得税や住民税が課税される、こういうことでは非常に不合理なことになりますので、基本的な控除については引き上げていく必要があるのではないかと私は考える次第でございます。  一方、所得税につきましては、全体としては負担を増加していくということは、将来の問題としてこれはむしろ適当であると私は考えているわけでございますが、しかし、一体増税していくラインをどの程度に考えていくか、これはなかなかむずかしい問題でございまして、つまり年収五百万円にするか七百万円にするか一千万円にするか、なかなかむずかしい問題がございます。私も結論は出ませんけれども、最後に申し上げた点について一つだけ申し上げておきますと、私も所得税については、課税最低限のいわゆるボトルの引き上げということについては減税で、賛成といいますか主張をしているわけでございますが、百歩譲りまして、五%の税率で一般消費税の導入をするのがいいのかあるいは四割程度所得税を引き上げたらいいのか、どっちがいいのか、どっちかにマルかバツをつけなければだめだというもし設問があるとしますと、年収五百万から七百万層についていいますと所得税の四割増税の方が負担が重くないということになってまいります。むしろ私はだから、所得税の増税を五百万円とか七百万円以上について全部やっていいということをいまここで直ちに申し上げるわけではございませんけれども、そういう比較もできるわけでございますので、所得税につきましては、ボトルの引き上げということと同時に、全体としては増収の方向でお考えになってよろしいのではないだろうか。じゃ具体的にどうしろということになりますと、私も具体的な案を持ち合わせないで申しわけございませんけれども、方向としてはそういうふうに議論をしていくべきではないかと考えている次第でございます。  いろいろ申し上げたいことがあるのでございますけれども、時間の関係もございますので、以上、私の思いつきと申し上げたら申しわけございませんが、私の考えを述べさしていただきました。どうもありがとうございました。

加藤六月自由民主党

○加藤委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の開陳は一応終わりました。     —————————————

加藤六月自由民主党

○加藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。沢田広君。

沢田広日本社会党

○沢田委員 各参考人には、大変お忙しい中をわれわれのためにおいでをいただきまして、またさらに、いろいろと御説明をいただきましたことを心から厚くお礼を申し上げます。  いままで述べられましたことで結論的に言いますと、一般消費税というものが、好むと好まざるとにかかわらず、国民としてはこれに対応をしていかなければならない時期に来ているということを言われているようであります。  私は一般消費税導入について反対なのでありますが、そこでお伺いいたしますが、現在赤字国債の累積が大体六十兆円になろうとしている。政府の試算によりましても、昭和六十五年には百八十五兆円、一般消費税を入れましても百五十兆円、その差三十五兆円ということになっているのであります。もしその年度までのことを見て考えますと、これは五%を維持していくつもりなのか、EC型みたいに二〇%ぐらいにまで上げていかなければつじつまが合わない、こういう前提で物を考えているのかわかりませんが、いま出ている財政試算では、将来のいわゆる赤字累積額は、一般消費税を入れても百五十兆円、入れないでいって百八十五兆円、その全体的な比率で、当時の国民総生産は三百三十三兆円ぐらいというふうに見ているようでありますが、そういうことだけで見ますと、いまこの段階における一般消費税の意味、価値というものは果たしてどれだけのというか、混乱を起こし、国民的になじまないし、いろいろな問題を持っている、そういう状況の中で、将来においてわずか三十五兆——わずかとは言いませんが、三十五兆円の差しか出てこないこういう税制を今日考えなければならないかどうか、それ以外の方法についてはこれから申し上げますが、その点についてだけ、これは小倉参考人と河野参考人からお伺いをいたしたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 財政収支試算のことは詳しく私存じませんけれども、あの試算によりまして、相当の増税を必要とするというようなことはよくわかる次第でございますので、この際税制のあり方としては、特段の増税の方法を考えざるを得ないというようなことでありまして、税制調査会の結論は御承知のとおり、あの収支試算というものの出る前のことでありますから、あの数字を踏まえて、また五%の消費税がどの程度の増収になってどうということを審議したわけでもございませんので、しかとしたお答えはできないのでございますけれども、とにかくあの試算は、いわばこれから相当多額の税収の増を必要とするということが示されておるというように考えますので、これにこたえる一つの手段として、それで足りるというわけじゃございませんけれども、一般消費税ということが考えられなければならぬということを示しているものではないかというようにひそかに考えておる次第であります。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 公債の累積はいま御指摘になられたとおりでございますが、問題はやはり赤字公債だと思います。五十年から二、五、七というふうにふえてまいりまして、赤字公債というのは、経常支出に対する財源を公債に求めておるので、これは早く解消しないといかぬと思います。そういった意味で、建設公債になればこれはいろいろな資産的なものでありますが、経常支出であれば経常歳入で賄うという姿でこの赤字公債をなくす。それには一般の財源を調達をしなければならぬということだと私は思います。

沢田広日本社会党

○沢田委員 そういうことで私は、余り効果がない、将来の財政試算の中で見ると、せいぜい二〇%くらいの程度の効率しか示さないわけでありますから効果がない。しかし参考人の皆さんの御意見を総括してくると、どうもそういうことに行く。今度はその前の前提条件ということについてはお三方の意見がほぼ一致している。谷山参考人のおっしゃったことにも反対であるけれども、万々一の場合のことを考えてもこれだけのことはしなければならないだろう、こういうふうにおっしゃられておりました。  私も時間が五十分しかございません。私の質問といいますか、私のお伺いしたいことにつきましては、一応御迷惑をかけてはいかぬと思いましたからそれぞれお手元に差し上げました。いままでの説明で大分消却したものもございますので、その部分は省略をいたします。  そこで、前提となるべきことは何かということで、国民とどうコンセンサスを得るか、その上に立っての次の増税の問題というのにならざるを得ない。その国民のコンセンサスの地ならしというものがどうされるのか、これに対するお三方の御意見も皆違うというところに問題があるのだと思う。  そこで、一致できることは何かと言えば、税とは、最終的には国民の生命、財産を守り、健康にして文化的な生活を営むというこの憲法に保障された条項を守るための税である。この点については、これは企業のためにあるのは手段であって、基本的な目的はそこにあるということは一致する条件じゃなかろうかと思うのであります。これはついでにひとつお三方からお答えをいただきたいと思うわけです。  そういうことを一つの共通の広場として考えました場合に、相互に不信感を持たない税制ということ、これが公平と言われているわけでありますが、公平な税制というものをどうしても実施をしなければいけない。  これは小倉参考人からもお伺いしたいのでありますが、たとえば税制調査会からもたくさん出ておりますが、土地税制の改正、大分不本意なような御発言でもございました。私もこれは大変不本意な税制なのであります。これで果たして優良宅地が造成できるのか、恐らくできないだろうと私判断しております。しかも、そういうことを税制調査会でも指摘をしている。しかるに政府は、それをあえて導入する、このことは、そのことだけで限定されるものではない。税全体の骨格というものが崩れるということに通ずるわけですね。そのことの方の意味が私はより高いと思うのです。その点は、小倉会長さんはどういうふうに思われているのかということが一つです。  ついでにもう一つ小倉参考人に申し上げたいのですが、異常危険準備金、それから物価変動準備金の解消の最終年度を六十三年度に置いているのです。これはさっきも谷山参考人もおっしゃられましたが、非常に長過ぎる。少なくとも一般消費税を入れようという段階において、こんなに長く価格変動準備金の年度解消を置いておくなんというのは、言うならば意味がないと私は言わざるを得ない。一般消費税を入れようというなら、もっとせっかちな制度改正でなければならぬだろう。もしそうなったら、一般消費税も突如としてここで提案するのじゃなくて、もっと先へ行って提案するという配慮が必要じゃないかという気がいたします。  それから、もう一つ小倉参考人にお願いいたしたいことは、医師優遇税制についても委員会の意見とは違ったものである。最低価格も変わってきちゃっている。これも全体の税制の中から見て、国民から見て一つの不公正のシンボルのように言われている状況の中から見て、あえて税制調査会が出した結果よりも違ったものを出されたことについて、腹を切って、政府がおれの言うことを聞かないようじゃおれは会長なんかやっておれない、そういうくらいの気慨がないのじゃしようがないのじゃないかという気がするのですが、それはいかがでしょうか。  それからもう一つは、石油税の問題であります。これにも税制調査会としては、一%で七百億ということで、大体三・五%というようなことが適当かということも載っております。この点についても、いわゆる形を変えて今度政府は提案をされているわけです。これについてはどのようにお考えになっておられるか。  そのほか、電気税とか不動産税とかありますが、これは地方税に関係することでもありますから省略いたします。  以上、ちょっと小倉参考人からお伺いをいたしたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 いろいろお尋ねがございましたが、御質問の順序と不同になるかと思いますけれども、まず宅地、土地についての特別措置でございますが、宅地の供給ということが非常に大きな問題になっておるということを前提に考えますと、税制といたしましてもできるだけそれに寄与をするということは考えられてしかるべきことかと思うのであります。無論これにつきましてはいろいろの批判がございます。     〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕 簡単に申しますれば、宅地になるような土地を持っておるという方は、どちらかというと資産家である、その資産家の税を仮に軽減するというようなものはいかがであろうかというような疑問もまず出てきますし、また、宅地政策自身が問題であって、これがうまく確立されればそれなりに宅地の供給も円滑にいくはずなのに、税制だけと申しては失礼かと思いますが、税制に余りに依存するということはいかがかというようなこともございます。したがいまして御推察のとおり税制調査会では、余りこの点については積極的でなかったというふうに申し上げてよろしいかと思うのでありますが、宅地問題というものが非常に重要な社会的な問題になっているという事実も否定できませんので、この点について必要最小限度の是正といいますか手直しをするということであればやむを得ないのではなかろうか、こういうような考え方をとったわけであります。  次は、社会保険診療報酬の特例の是正でございますが、これについてもお話しのように、昭和五十一年でございましたか答申をいたしましたところでもってやっていただくということが、税制調査会としての希望といいますか、当然の政府に対する要望であったと思います。ただし、今回国会に提案されている政府の改正案に即して税制調査会でこれの是非について審議したことはございません。したがいまして、税制調査会としてはその点をどう考えておるかというわけにはちょっとまいらないので、委員の中には、あるいは御不満な方もおられるでしょうし、あるいはまた、むずかしい問題によう手をつけたということである程度の評価をされる委員の方もおられるかと思います。したがいまして、私個人的な考え方だけしか言えないことになるのでありますが、私はどちらかというと後者のような感想を持っております。  それから、価格変動準備金等についてのお話でありますが、税制調査会としては、これの具体的な医師の税の是正のような数字なり年限を示しておりませんでしたので、税制調査会として恐らくこの点について特段の具体的な意見を申し上げるというわけにもまいらぬと思いますが、しかし、これもいろいろ見方によりましては、少し悠長過ぎるということでもございましょうが、経済なり企業に与える影響の緩和という趣旨も踏まえて、こういう年度割りの措置を考えられたのではなかろうか、こう存じておる次第であります。  冒頭に憲法のお話がございましたが、これは税金の根本的な考え方として、そういう憲法の趣旨を体して国民各位がやはり税について協力を願うということが望ましいという意味において、私も御趣旨に賛成でございます。  石油の関係税につきましては、石油税そのものは今回答申に入っておりませんし、政府の案にもなかったかと思いますが、ガソリン税その他含めましての石油一般に関連するもろもろの税につきましては、これは税制調査会としてもいろいろの意見がございました。道路財源としてのガソリン税につきましては、今日非常に財源が不足であるということ、しかも道路整備は急ぐ必要があるということで、これはやむを得ずそういう増税を認めるといいますか、そういう方向で答申ができておったわけでありますが、しかし、そこまでに至る過程におきまして、どうも石油関係諸税、あるいは自動車関係の諸税も含めまして、少し多岐にわたり過ぎ、あるいは目的税に偏し過ぎておるという点についていろいろ意見がございまして、できればその点を是正をしたいという意見が税制調査会の中でも相当有力であったわけでありますが、しかし、ここで目的税を部分的なり全面的に手直しをするというような答申をするというようなことまでには至らなかった次第であります。

沢田広日本社会党

○沢田委員 先ほど述べたように、一般消費税という一つの行く手を目指して、いま国民がどういうふうな税の納得状況をつくりながらそこの目的に到着をするか。ところが、政府は五十五年度、税調も五十五年度とこう言っているわけですが、だから五十五年度という目標が設定されているとすれば、それ以前に、悠長過ぎるのを言ったり、医師優遇税制も下を大分上げたり、あるいはその他の意見も取り入れられないままで、五十五年度、この三兆円というもの、しかもこれを二千万まで引き上げましたから、恐らく実際には三兆円入ってこないですね、ですから、それをあえて年度を区切って税調としては主張をしなければならなかった理由というものについては、私たちには若干理解しがたいのであります。  もう一つは、われわれがこの委員会でいろいろ大蔵省と議論しますと、税調にお諮りしましてからとよく言うのです。ですから、小倉参考人が言われているほど権威がなくはないのでありまして、非常な権威のある税制調査会なんです。ですから、おれの言うことが聞けなかったらおれは税調をやめる、委員も皆辞任してしまうというぐらいに、発表されたことを守らせるという点については、今後——非常に円満な御人格でいらっしゃるから、税調が出しても、自民党さんの方から言われて直されれば、これはしようがないやと、非常に妥協的といいますか遠慮深いといいますか、いままでそういう税調が存在したわけですが、最終的には税調だ、税調だと大蔵省は言っているぐらい非常に権威は高いのですから、ひとつ言われたことが守られなかったときには総辞職でも、ほかの委員までやめさせるわけにはいかないでしょうが、とにかく委員長だけでもやめてその責任の所在を明確にする。何もあなたに腹を切れということだけを言いたいのではないんですよ、気持ちの上でそういう姿勢が必要なのではないかという気がするのです。そうでないと、いつもジグザグ、ジグザグで、結果的に、これは税制というのは単独のものじゃないですね、やはり立体的なものです、どこかにへんぱなものが出てくればやはり形が崩れてしまう、そういうものですから、鼻だけ低くなればやはり美人ではなくなってしまうわけです。あるいは、目が少しおかしくなればこれも美人でなくなってしまうわけです。だから、一部分だけ手直ししたからといって、かっこうよくなるものではない。ですから、その辺の毅然たる態度というものがどうしても税調に求められるのじゃないかという気がするのですが、その点ぜひお答えをいただきたいと思うのです。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 一般消費税の導入について、五十五年度ということに税調として答申申し上げたという趣旨は、やはり全員ではございませんが、大方の委員の先生方が、今日の財政の状況は一種の危機的な状況であるというような御認識のもとに、できるだけ早い機会という趣旨で、できるだけ早い機会というのを五十五年ということに具体化された、こういうことと存じます。  それからもう一つ、全体の税制改正についての税調の答申、また税調のあり方についての覚悟についての御鞭撻といいますかお尋ねでございますけれども、お話しのように、答申に沿って政府が措置するということは当然期待されるところでありまするし、また、そのために政府も税調を設置しておるということでありますので、当然そういうふうになるべきものと思います。ただ、税調の構成とそれから政府・与党の諸先生の構成はそれぞれ違うということで、必ずしも意見の一致ということがそこで当然期待できるという性質のものでもございません。もっとも事柄によりましてはお話しのように、ぜひとも政府にこれはそのまま実現してもらいたいというふうな強い意見をもって答申をするというようなものも中には出てこようと思います。そういう節には、先生のお話しのような気持ちもひとつ持たなければならぬようなことも起こるというようなことはあり得ると思います。

沢田広日本社会党

○沢田委員 それでは、その気持ちでひとつこれからは当たっていただくことをお願いいたしまして、河野参考人にお伺いをいたしたいと思います。  河野参考人の申し述べられたことについては、太陽神戸銀行の相談役というような肩書きはこの場合は入っていない意見である、まずそういうふうに理解してよろしいのかどうか。その委員会としての立場だけに——だけにと言っては恐縮でありますが、そういう前提でお聞きしてよろしいのかどうか、それだけ先にお答えいただきたい。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 そのとおりでございます。私、太陽神戸銀行の者でございますけれども、この報告を求めますにつきましては、大ぜいの人が参加しておりまして、その取りまとめ役という職をとったわけでございます。

沢田広日本社会党

○沢田委員 それで、これだけのりっぱなものを私も拝見させていただきまして、私などにはとても及ばないような非常に優秀な提言が数多くなされております。これを率直に申し上げまして、どういうふうに具体化をなさろうとした気持ちでその委員会としては御活動なさっておられるのか。この提言はどこへどういうふうに発表し、それを消化させてもらいたいと思っておるのか、その点お聞かせいただきたいと思います。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 これはこういう問題ばかりでなしに、日本経済調査会でいろいろなこういう提言をやっておりまして、それは、政府なりあるいは一般の経済界なりあるいは国会の皆様方、それぞれのところでこの提言を御了承いただきまして、実行されていくことを期待いたしましてつくったわけでございます。

沢田広日本社会党

○沢田委員 そこで、若干中身に入るわけでありますが、税の負担率、租税負担率、言葉はいろいろ言われておるのでありますが、これも税調等が言っておりまする税負担率、それからこの計量計算から言っているいわゆる損金算入不算入の問題と関連をして、いわゆる準備金であるとか引当金とかというようなものを外した法人税、そういうものでいけば、負担率としては必ずしも日本は低くないんだ、そういうものが加わっているからということの意味にこの中には表現されているようでありますが、いまのこの段階におきまして、この税の負担率というものに対して、日本は一番高い高いと言われているんだが、実態は法人税にしても安くなっている、それはいわゆるそれぞれの減価償却を含めて損金算入分が入っているから結果的にそうなっているのである、こういうふうにいろいろ言われていると思うのでありますが、その点についてお答えいただきたいと思います。  続いて、医師の優遇税制に対する所見なんでありますが、これも私たちとしては、五〇%がもう青色申告になっているという現状から見て当然もう、私はあえて本会議でも、お医者さんが進んで自分で青色申告にすべきだ、いわゆる法律が変わったから変わらないからじゃない、安易に惰性に流されているということは、とにかく先生と言われている世の中の先覚者としてみずから省みて考えていかなければならぬことだ、法律が変わったからこうなったんじゃなくて、われわれ自身の手でそれは直していくというのが、やはり世の中の先覚者と言われる人たちの立場だろうと言いましたが、しかし、なかなかそうはいかぬようでありますが、その税制に対する所見をお聞かせいただきたいと思います。  それから、景気調整減税はある程度内需の拡大その他に伴って必要ではないか、こういう提言も一部、それぞれプラス、マイナスがあると思いますが、必要ではないかというふうにも言われておりますが、この段階で、景気上内需の拡大というために、対応する措置として減税についてどのようにお考えになっておられるか、最初はその三点についてお聞かせいただきたいと思います。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 税負担率というものをどういうふうに見るか、国民所得に対する税負担率ということもございますし、それから個々の企業に対しての問題もございますが、この法人税の場合におきまして、われわれ税負担率というものを計算いたしましたときに、これは各国のそれぞれの制度からしまして、本当に高いとか安いとか自信を持ってというわけではないのですが、ただ、先ほど先生のおっしゃいましたようないろいろな特別措置なり制度の違いがございます、それが大体同じ程度だというふうに考えますと、日本の法人税の負担というのは決して安いとは言えないんじゃないだろうかという認識でございます。もう一つは、これは専門の方のお話がございましたのですが、個々の企業にとってみれば、地方の超過課税なんかをとるというと、個々の企業について非常に違うし、それから、固定資産税というものの負担が海外と非常に違うのだというふうなことで、的確にどうだという数字は出ませんけれども、非常に低いという感じはいろいろな方は持っておられなかったというふうに私は思います。  それから、医師の税制の問題でございますけれども、これは二十九年、私まだ在官の当時でございましたけれども、それぞれに理由があってできたことだと思います。今回、長いいろいろな沿革のもとにこういった勇断の措置がとられたことを、私は高く評価いたしたいと思います。ただこの内容については、それぞれの皆さんの御意見があることはよく承知いたしております。  それから、景気調整の問題でございますけれども、よくそういうことをというか、いろいろ問題がある、ことにこれだけの赤字を出しておるときに、景気の調整について減税がそう非常に大きな役割りを果たすものであろうかどうかということがございます。各国でも景気調整の減税をやっておりますが、国民総支出に対する財政の割合が非常に高い、そういうところにおきましては、減税をするということも相当景気回復に役立つ。日本の場合は、その点が諸外国に比しましてまだ財政の割合が低い。     〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、積極的に公共事業その他でもってそれだけの財源を使ってやった方が、景気の調整に役立つのではないかというふうに私は考えております。

沢田広日本社会党

○沢田委員 これから昭和八十五年を展望しますと、零歳から十七歳までが大体三千三百万、それから六十五歳以上がおおむね二千万、労働人口といいますか、十八歳から六十四歳までおおむね六千万、これが昭和八十五年までにずっとこう人口構成は続いていくわけですね。特にゼロ歳から十七歳までの三千万台はほぼ横ばいでまいります。また、勤労階層の人の数も五千五百万から六千万台、ほぼこれも横ばいでずっとまいります。そして結果的には、いま現在一千万と言われております六十五歳以上が八十五年には二千万になる、これが昭和八十五年度の人口構成ということになるわけです。  河野参考人のこの本の中に、高齢化社会を迎えつつあるこの中で、職員の高齢化は行政の能率向上をやや阻害をする、人件費の増大につながるという危険性がある、こういう項目が若干載っておるわけであります。では、高齢化社会を迎えるわが国において、これは年金の問題その他もありますけれども、どういうふうにしたならばこの問題が解決をしていくのか、この問題がやはり一つどうしてもひっかかってくるような気がいたします。その点でもし御意見がありましたらお答えをいただきたい、こう思います。  それからもう一つは、非常に明確な税体系として完全総合課税方式ということを、まあ参考人の会の主張として言われております。これは非常に明確な論理で一貫するということになると思うのであります。問題は、この完全総合課税方式というものをとるために、その段階をどういうふうにとっていくかというそのプロセスがきわめて大切だと思うのです。これはこれなりの一つの一貫した税体系だと思いまして、いまよりはもっと明確な不公正の是正につながるであろうということは言えると思うのであります。なぜこれが取り入れられないのかということは、かえって国民をごまかしていくためには都合がいいからだというような気もしないでもありませんけれども、とにかくそれが取り入れられていないということは遺憾な点なんでありますが、先生はその点についてどうお考えになるか。  もう一つは、行政改革と歳出の見直しということを特に主張されております。これは具体的に言いにくいかもわかりません。追い詰めようなんて気持ちはないのでありますが、行政改革というものを行う場合にはどういう考え方に立ってやるべきだろうか、あるいは歳出の見直しということをやる場合にはどういう立点に立って行うべきだろうか、もし所見がありましたらお答えをいただきたいと思います。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 高齢化社会のことでございますが、定年制を設けろということを書いてございますが、やはりそれにつきましては、現在定年、まあ六十歳にしますか何にしますか、それ以上のところもあるし、また場合によってはそれ以下のところでいままで肩たたきの者がそこまで働くというふうなことになって、両方の面があると思います。しかし、全般的に高齢化していく、それの能率の低下を当然だというふうに考えるのですが、それとも、年をとれば経験その他も豊かになるということもございますので、必ずしも能率低下につながるとも思いません。また、それに伴ってやはり年功序列制度というものを考えていくことを公務員についてもすべきじゃないかというふうに私は思います。  それから総合課税の問題でございますが、これはこれから一年かけていわゆる背番号制といいますか、納税者番号制度のあり方についてお考えだと思いますけれども、国民全体でやるか、納税者だけについてやるか、あるいは納税者についても高所得者だけについてやるか、いろいろやり方があろうかと思います。そこは行政的に御検討を願わなければいかぬのでありますが、しかし、税というものの性格からいって、非常に金をかけて非常に零細な所得までも全部申告をしてそれを総合課税するということは、これは一つには形式的な公平もあるとは思いますけれども、一方においてそれによる徴税効率ということを考えますと、総合課税についてもどの程度やるか、あるいは申告については足切りをするか、あるいは社内徴収についても足切りをするか、そういう問題がやはり絡んでくると思います。  それから行政改革について、あるいは歳出のあれについて、私は根本は、現在の制度、慣行、長い間において情勢も変わっておるのに、行政もいろいろな組織も制度もそのままになっておるのをまず見直していくということだと思います。  以上でございます。

沢田広日本社会党

○沢田委員 プロセスについては今後御検討なさるのかどうか、それは後で若干お答えをいただきますが、一般消費税もやむを得ないのじゃないかという御発言もございました。  そこで、また石油税にちょっと触れるのでありますが、この本の中には石油税一%として大体七百億、その後上がっておりますから実際には八百億を超えるのじゃないかと思いますが、それを三・五%でいくと二兆四千億くらいということで、これは確かに石油製品その他物価上昇につながる危険性なしとしません。しかし、省資源あるいは省エネルギーという立点に立ったときに、一般消費税とどちらかを選択するとすればどちらがよいかということを考えた場合には、道路税とか航空機燃料税とかありますけれども、それを全部なくして石油税一本にしていくわけでありますが、差し引き計算しますと若干の出入りはあると思いますが、その点に対する御見解がありましたならば、どうなのかということでお答えをいただきたいと思います。  あとは、一般消費税はその意味においては余り取り入れないで、もっと直すべきものを直していくことが可能なのではないか、こういうことが一つ。  もう一つ、これは銀行という立場からお答えいただくことになるのかもわかりませんが、法人税の累進課税について、資本金が高いほど法人税が軽くなる。税金の単位価格それ自体はもちろん大きくなりますが、比率として法人税の場合に、資本金が百億であるとか五十億とか十億とかあるいはそれ以下という場合に、あらゆる統計資料から見ましても、どうしても資本金の大きい方が絶対額は別として税率が軽くなる、こういう傾向が否定できないのではないかと思うのであります。先ほど参考人は、法人税の累進は、まあ現状のいろいろなものを外せばそれで十分であるというふうに言われました。だから、外すことをまず前提でやっていただくわけですが、外した後やはり法人税の累進税、それがなだらかな累進税であるか急激な累進税であるかは別問題として、若干のバランスをとるということは今後の必要な課題ではないのかという気がいたしますが、その点いかがでしょうか。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 総合課税、つまり納税者番号制度をどういうふうにやっていくか、これは私ども素人でございまして、行政当局にお任せしなければいけないと思います。したがいまして、これについてどういうふうにやるかということを現在検討しておることはございません。  それから、石油消費税をやったらいいじゃないか、これは石油消費税は御承知のように目的税でございますし、それからいま自動車が一般的になっておりますけれども、これは国民全体が負担するものでありませんし、そういう関係からしまして、国民に広く負担を求めるという観点、財源の関係、それから一般的な福祉財源というようなことから考えて、やはり一般消費税の方が適当ではないかというふうに考えております。  それからもう一つは、法人税の累進課税の問題でございますが、累進課税というものは法人税になじまないのではないか。所得税については累進ということはございますが、法人税についてはどこの国も累進というようなことを考えておりませんし、また、資本効率、利益率も大企業と中企業とで余り変わっておらないように思いますし、負担の割合も、大法人と小さな法人と実質的な負担割合が非常に大きく違うということでもありませんし、それからまた、累進するとして何を基準として累進するかというふうな技術的な問題もあろうかと思います。したがいまして私どもは、法人税の累進課税はすべきではないという考え方でございます。

沢田広日本社会党

○沢田委員 もう一つお聞かせいただきますが、日本の国の富の配分というものは余り格差がないというお話がちょっとありました。まあ職員間の比例とすると、初任給の十倍というのが一般的想定としての格差というふうに言われておりまして、初任給が八万であれば社長の給料は八十万、実態は現在ややこれとかけ離れているわけであります。だから、どの程度の格差が妥当な格差だと言えるのかということが、一つは国民の等しからざるを憂えるという立場に立って考えなければならない問題だと思うのであります。ところが一方個人所得では、十五億だとかそういうものが長者番付には出てくるわけであります。これが果たして不公正でないと言い切れるかどうか。いま参考人は余り格差がないと言われておりますけれども、まあ十倍以上、世界のバランスからいってEC諸国あるいはその他の国を見ましても、せめて十五倍ぐらいが最高限度ではなかろうか、それ以上はいわゆる社会に還元をするという発想もなくはないんじゃなかろうかと思うのです。それで、いまは格差がないというふうな認識に立っておられることについて、まあ相談役としてどの程度おもらいになっているかわかりませんけれども、自分の実感もあると思うのでありますが、そういう意味においての格差というものがどうあるべきか、これはやはり税の一つの基本をなすものだと思うのでありますが、参考人からもしお聞かせいただければ幸いだと思います。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 所得の上下の差がどの程度あるのがいいのかということについて、私どうも確たるお答えを現在申し上げかねるのでございますが、諸外国に比較して貧富の差が少ないということは一般的に言われており、私もそうだと思うのです。もちろんずいぶん高額の所得の人がございますし、また一方においては非常に貧しい方もおられます。その一番極端なところを挙げますと大変でございますが、その分布から言いますと諸外国に比較して決して激しいとは言えないと思います。  これはまあ数字がいいかどうかは存じませんけれども、先ほども申し上げましたように所得税の納税者が三千三百万人、そのうち千万円以上の納税者は一%に足りません。五百万円以下の納税者が約三千万人ということでございますので、私は、上下の差というのは諸外国に比べれば非常に小さい、差がないのではないかというふうに思います。

沢田広日本社会党

○沢田委員 では、谷山参考人に。せっかくおいでをいただきまして申しわけありません。  いままで私からいろんな立場から質問をいたしました。一般消費税を導入したくないという意味においては私も同意見であります。とすれば、それにこたえるべきものは何だろうかということになると思うのであります。とにかくこのような累積赤字をしているんですから、これは自民党が高度成長経済からやってきたんだから悪いといっても現実が直るわけではないのでありますので、これは悪いことは悪いことでけしからぬとしかっておきまして、恐らく国民にあと判断をしていただく、こういうこと以外にないわけであります。それで、これにかわるべき財政再建の方法というものはどこに求めていったらいいんだろうかという点についてはぜひひとつお聞かせをいただきたいということが一つです。  それからもう一つは、わが国における長い徳川時代以来からの租税方向からいって、直接税、間接税、直間比率というものが、フランスのようにフィフティー・フィフティーというのもありますが、どういう形態が日本国民の国民性になじむのであろうか、こういう疑問があります。  三番目には、わが国は資源のない国であります。いやおうなしに貿易によって食べていくという国の性格を担っております。そのためにどうしても、輸出入の業界育成というものが保護貿易というものになっていかざるを得ない。私はあえて言うならば、開放して試練に立つべきだというふうに主張をしたいのであります。  以上三点について、いま先生どういうふうにお考えになっておられるか。一般消費税を導入しない妙薬をこの際ぜひお示しをいただきますようお願いをいたしまして、お答えをいただいて終わりたいと思います。

谷山治雄税制経営研究所所長

○谷山参考人 大変むずかしい御質問でございますが、第一の赤字財政のもとで一般消費税以外にどういう方法があるかということでございますが、妙薬というのは持ち合わせませんのでなかなかむずかしいのですが、赤字財政の原因というものと、もう一つ赤字財政下でも財政支出が重点的にばらまかれておると申しますか、そういうところがございますので、その二つに着目して財源を考えるのが一番適当であるし、国民の納得も得られるんじゃないかというふうに私は考えているわけでございます。  第一の点から申しますと、一口に申しますと要するに、高度成長とそれの破綻といいますか、両方の面から赤字財政が出てきておるわけでございます。だけれども、高度成長期にとにかくGNPが世界第二位というところに躍進をしたことでございますから、そういういわゆる過去の蓄積を社会還元という意味で、どのくらいのパーセントかは別にいたしまして吐き出していただく、こういうことがやはり一つ必要になってくるのだと思います。その意味では税の性格から言いますと、財産税というようないわゆる純資産税というかっこうになると思いますが、これは現在富裕税というかっこうで個人だけに考えられておるようでございますが、法人に対する純資産税というようなもの、西ドイツ、オーストリアという例もございますので、これはやってできないことはない。それで私は過去の蓄積の一部を社会還元していただく、これが一つの問題だと思います。  もう一つは、赤字財政にもかかわらず公共投資等でかなり景気が回復するあるいは利益が出てくる、こういう企業があるわけでございますから、これは不公平税制の是正という問題と関連をいたしますが、そういう観点に立って、法人税なりその他のそういった企業課税の見直しをする、これは大事な点であるわけで、私はそれでもって全部が全部赤字公債を解消できるとは思いませんが、それを優先的にやっていきませんことには国民の納得は得られないわけでございますから、以上の二点から、この赤字財政再建のための租税政策、税制改正、これをお考えになっていただきたいというふうに考えております。  それから第二の問題でございますが、直間比率という問題はよく議論されますが、私の考えから申しますと、頭から直間比率がどのくらいかということを決めてかかっても余り意味がないというふうに考えております。たとえば先進国の中でも、イタリアのように三対七というぐあいに非常に間接税の大きな国がございますが、これは直接税を取りたくても税務行政が貧弱というのでしょうか、取れないというそういう問題が大きな原因になっているわけですから、そういう意味で、どういう課税が日本の社会、経済にとって適正であるかという観点から新しい税をつくったりあるいは既存の税を改廃する、こういう観点から結果として直間比率が決まってくる、こういうように考えるべきだと私は考えています。  したがいまして、現在の日本の直間比率がたとえば七対三ぐらいで直接税が非常に多いという問題につきましては、それはそれでいいのだということで申し上げたいことが一つと、間接税の問題について、消費支出の割合に対する間接税の比率が低いと盛んに言われているわけでありますが、日本の生活を考えますと、基礎物価が非常に高いわけでございますから、一般生活費にしましても家賃にしましても非常に高いわけでございますから、そういう基礎的な物価が高いという観点を導入した上で間接税の比率をお考えいただきませんと、諸外国と比べて間接税の比率が低いから、だから一般消費税という議論は少し短絡的ではないかというように考えております。  それから第三の御質問は、ちょっと意味がよくわからなかったのですが、貿易立国云々という問題でございますか。

沢田広日本社会党

○沢田委員 結構です。  大変長時間にわたりまして御回答いただきまして、厚くお礼を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

加藤六月自由民主党

○加藤委員長 貝沼次郎君。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 先ほどから有意義な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。  そこで初めに、先ほどから一般消費税の話が出ておりますので、三人の参考人の方にお伺いしたいと思います。  第一点は、先般、たしかNHKであったと思いますが、一般消費税に対するアンケート調査の結果を発表しておりました。それによりますと、私詳しい数字はいま覚えておりませんが、七十数%の導入反対の意思表示があったと思います。政府並びに税調の方は、財源難を理由にして、また社会的なサービスをする上において、どうしてもこの一般消費税は避けられないという立場をとっておりますけれども、それならばそれで、政府あるいは税調、こういったところで、国民の意思というものはどういうところにあるのか一回アンケートか何かとって、そして導入反対なら反対、賛成なら賛成で、どういう点に疑問があるのかというような具体的な問題をやはり当たってみる必要があるのじゃないか、こう思うわけでありますが、お三人の方はどういうふうにお考えでしょうか。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 世論調査みたいなことが税制みたいなものとどういうふうになじむかということについては、私よくわからないというふうに申し上げる以外にはないと思います。たとえば所得税をまけた方がよろしいかというアンケートならば、まけた方がよろしいということに当然なるでしょうし、一般消費税をかけたら困るかと言えば、いや困るというふうになるに決まっておるような感じもいたしますので、余り単刀直入にそういう聞き方をしても、その結果というものをそのまま受け取るというわけにはまいらないような感じもいたすわけでございます。といって、それを全く無視していいというふうに申し上げているわけでもありませんが、仮にそういうアンケート調査をするならば、アンケートをどのように仕組むかということについてよほど検討された上でないと、そのせっかくされたアンケートの利用価値が余りないというようなことになるのではないかというような気がいたします。  これは何も税金のことに限らず、いろいろなことについても、そういうアンケートの仕方あるいはその対象その他を考えなければ余り参考になるということにならないこともあり得ると思いますが、特にこの一般消費税だけに限って申しますと、よほど苦心が要るのじゃないか。それをむだだとは申しませんけれども、よほど苦心をしたものでないと、結果というものがむだになるということになりはしないかという感じがいたします。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 私も小倉さんと大体同じような意見でございまして、こういう税のアンケートというものがそういうことになじむかどうかという——いまの段階ではおっしゃるとおり非常に反対は多いと思いますけれども、やはり国民に実態を、単に消費税の仕組みばかりでなしに財政の問題も含めてもう少しPRが必要なんじゃないか。もし一般消費税がいけないとなればどういう手があるのだというようなことまでも含めてやはり考えませんと、ただ反対の意見は初めからわかっている——それは対象のとり方にもよりますが、そういうことが絶対にいけないとは申しませんけれども、相当この問題の向背を決する上においてそれを絶対的な条件とすることはいかがかというふうに私は考えます。

谷山治雄税制経営研究所所長

○谷山参考人 私ただいまのお尋ねは、一つはだれがやるかという問題と、それからコストの問題と両方あると思うわけでございます。  これは直接御参考にはならないかもしれませんが、一般消費税、ヨーロッパでは付加価値税という名前でございますが、この付加価値税についてスイスで、一昨年の六月に国民投票が行われまして、これは大体六対四という割合で否決をしたわけでございますが、私どもの意見では、六対四というのは案外付加価値税に賛成も多いということなんでございます。ということは、やはり政府側も国民の側もお互いに宣伝合戦と申しますかPRをやって、そしてそういう一つの形をあらわしてみるというふうな、スイスの場合には法律の制度でございますし、日本の場合、国民投票という制度がございませんから直接参考にはなりませんけれども、そういうふうにお互いPRをして言いたいことを言い尽くすということが広く国民の間に行われて、しかる上で、そういった世論の収集と申しますかアンケートといいますかやることは、非常に意義があるというふうに考えております。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 それから、一般消費税導入に先立ちまして、先ほどたとえば歳出の問題であるとかあるいは不公平税制の是正であるとか行政改革とか、いろいろお話がございました。それで、不公平税制の是正の中に実は、たとえばクロヨンとかトーゴーサンとか言われる所得捕捉の不公平の問題があると思うのでありますが、これに対してはどういうふうに考えたらよろしいのか、これも三人の方にお伺いしたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 いわゆる所得の把握、徴税そのものから起こってくる不公正さというものは無論当然是正さるべきものであることは、これはもう申すまでもないわけでございますが、お尋ねの御趣旨は、恐らくどういう手段でそれが是正できるのだろうかということかと存じます。  これも徴税当局の御努力なりあるいは公正な所得の配分についての調査なりということが無論必要なんでしょうけれども、やはりこれはそこへいきますと何と申しましても、国民が自分のそれぞれの所得に応じて、所得税ならば所得税を納めるべきものであるという納税者としての義務というものについて自覚を持っていただく、こういうことがまず、いろいろな制度なり役所の心構えなりということのほかに根本的な条件になるといいますか前提になるのではないか、そういったような感じがいたしております。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 クロヨンとかトーゴーサンとかいうのは、これは不公平税制の問題ではなしに税務執行上の不公正ということだと思います。この問題を税制自体において取り上げるということでなしに、税務執行の適正化のためにどういうことをやるかという問題になるかと私は思います。  それには、いま小倉さんが言われましたように国民の納税義務ということもありますし、また税務当局の徴税上においての調査の問題その他、また先ほどもありました納税者の総合課税の制度、ことに納税者番号をつくってすべての所得が制度上把握されるというふうなことも一つの行き方でありまして、そういったものがすべて集まって、いま言った国民の間にあるある意味においては抜きがたい税務行政に対する不信を払拭することに努めなければいけないと思います。それが増税の前提要件であることは申し上げるまでもございません。

谷山治雄税制経営研究所所長

○谷山参考人 大体二人と同じような意見でございますが、その前に申し上げたいことは、クロヨンというのはもちろん科学的な根拠がある数字ではございませんので、かなり感覚的につかまえられている面もございます。つまり、給与所得者は全然脱税というのは考えられない、企業の場合には調査するといろいろぼろぼろ出てくるケースが多い、こういうことから感覚的につかまえられている点もございます。わが国にはいわゆる税の通脱と申しますか、脱税に関する推計も全然ございませんので、もちろん大変むずかしいと思いますが、いわゆるクロヨンと言われている実態をどのように考えるか、この辺をやはりはっきりと据えませんと感覚的な議論になりがちなので、そういう点、私はむずかしいと思いますが、実態がどうであるかということをひとつよくお調べになるといいますか実態を把握すると申しますか、その辺から議論を発展させていくことが必要だと思います。  それからもう一つ税務行政について言いますと、これは私もここで長々とおしゃべりすることはできませんが、人員の配置などももう少し考えていいんじゃないか、もう少し重点的に調査できるようなそういう内部機構の人員の重点配置と申しますか、そういったことをもう少し考えていいのではないか、そういう現実の問題もございます。その両方の意味から実態を把握することと、とりあえずはいまの二人の言われたことにプラスしまして、税務機構の人員配置の適正化と申しますか、そういったことをもっと考えていくということが必要なんじゃないか、かように考えております。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 もう一点だけお尋ねしておきたいと思いますが、一般消費税がもし導入された場合に、景気の問題とどうかかわるかということでございます。いろいろな調査が発表されておるようでありますが、いまかなり上昇しつつある景気をむしろ引っ張るのではないかという足引っ張り論が多いのでありますけれども、こういうことは税制調査会では議論なさったのかどうか、その状況はどうであったのか。それから河野参考人には、そういうような試算をされておられるのかどうか、この点について感触を承りたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 お話しのように、一般消費税の導入によりましていわゆるデフレ効果が生じて景気にマイナスの作用をするという意見が一般的にございます。税制調査会でもその点について御議論がございました。したがいまして、導入の時期についてはできるだけそういった意味でのデフレ効果が特段にあらわれるようなおそれのないときを選ぶ必要があるだろうというような意見もございました。しかし他方、こういう意見もございましたわけで、デフレ効果が生ずるか生じないかというのは、一般消費税の導入による歳入を全体の歳入の中にどういうふうに位置づけて、どういう歳出と結びつけるか結びつけないかといったようなことがまず問題であって、それを抜きにして一般消費税の導入だけを取り出してデフレ効果を云々するというのは、果たしていかがなものであろうかというような御意見もございました。税制調査会として、その点について一義的にこうであるというような結論は出せなかった次第であります。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 一般的に見まして、増税がデフレ的効果を持つことは申し上げるまでもございません。したがいまして、景気の非常に悪い時期にこれをやるということは確かに考えものでございます。  いまの景気をどう見るかということでございますけれども、御承知のように回復の気配に上っていることは確かでございます。と同時に、この一般消費税が物価を上げるという問題、これはワンショットでございますが、そうして得た財源をそのまま国が使わないということではないのであって、そのまま福祉その他の財源に使うわけでございますので、一般の増税とはちょっと性質が違うということが言えるのじゃないかと思います。一般消費税をつくることによって一般の国民が実質所得を減らすのかあるいは貯蓄を減らすのか、その辺なんかもいろいろ検討してみないとわからないと思います。そういうことにつきましての詳しい検討は実はいたしておりませんので、お答えできないことを大変に遺憾に存じます。お許し願いたいと思います。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 それから河野参考人にもう一点、今度は医師優遇税制の問題でお尋ねをしたいと思います。  いま発表になっております税制のあり方のパンフレットの中に、「提言四 医師優遇税制の抜本的見直し」というところで、「その発生の経緯はどうであれ、あくまで税制の問題としてとらえ、すみやかにその特例を撤廃する方向に踏み出すべきである。」というふうに二十ページに書いてございます。そういう観点からながめた場合、今回の改正案というものは満足なものであるのか、満足でないものだろうか、その辺の採点。  もう一点は、「その発生の経緯はどうであれ、あくまで税制の問題としてとらえ、」という考え方でありますが、この根拠はどこにあるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 これは本当にいろいろ意見のあるところでございまして、私は、この税制ができましたときには大蔵省におりまして、そのいきさつも実によく知っているのでございます。二十五年たって、いままでそのとおりにやってきたわけでございまして、御承知のようなことでこれは長いいきさつのある——理論的には私はこのことが正しいと思います。しかし、税制というものの急激な変化、それから医師の現在のいろいろな問題点というものを考えてみて、今度の結論はやむを得なかったというふうに思います。  ただ、これも申し上げましたけれども、時世は変化するものでございますので、前の税制が特別措置法の中に入っていって二十五年もそのままであったということ自体がやはり問題であったので、期限をつけていただければよかったなというふうに思うだけでございます。その他本質的には、ほかの所得がやはり必要経費控除主義でございますから、医師だけこれをそのままにするというのは理論的には筋が通らないと思います。しかし、それには段階的なものがあるということでございます。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 それから今度は、納税者番号制度の話、利子配当の問題が先ほど出ておりました。私はいまこれを研究中なのでありますが、この提案によりますといろいろ考えておられまして、一つは、「利子所得に対しては一定率の源泉徴収を行うと共に、別途、一定限度の元本に見合った利子に対する税額を所得税から税額控除する。この場合納税者は金融機関から発行される支払調書を添付して、確定申告の際、当該税額分を確定納税額より控除することとなるが、また年末調整の際、税額を差引くこともできる。」という方法が紀されてございます。これは非常にユニークな発想で、私は一つの方法であると思います。こういうふうに、何も納税者番号制度をただそれ一つしかないのだという考え方ではなしに、もっとほかの方法もあるのではないかという考え方に立ってはいかがか、こう思うわけでありますが、これは河野参考人、それから小倉参考人にちょっとお尋ねしておきたいと思います。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 総合課税主義を徹底する限りにおきましては、納税者番号制度は必須ではないかと私は思います。しかしその理論を貫く余り、ほとんど所得もないような人まで納税者番号をつけてやる必要はない、かえってそれの方がコストがかかるわけでありますから。それからまた、納税者番号をつけて、それで支払い調書を出すにつきましても、十円、二十円の利子まで出すということになりますと、これは徴税費もそうですが、国民経済的にも非常になんのことでありますから、そこに一つのバランスがあると思います。したがいまして私は、納税者番号制度をつくるにしても、全国民にやる必要はないのじゃないか、あるいは納税者だけについてそれも限ってやることで足りるのじゃないかというふうに思います。しかし、これは税務行政の実際の方のやり方その他については私つまびらかにいたしませんので、そういう感じを持っているということだけ申し上げさせていただきます。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 お話しのような納税者番号については、税制調査会ではまだ検討の途中でございまして、結論は得ておりません。  いままでの私の個人的な印象としては、なかなかむずかしい問題であるというふうに感じます。むろんこれが税制調査会の外のいろいろな方面で反対的な意見も強いというようなこともございますが、そういうことは別にしましても、これはなかなかむずかしい問題をはらんでおる。いま河野さんのお話にもありましたように、国民のどの範囲を番号で把握することにするのかというふうなこと、また、ある程度範囲をしぼるというと、そこにどういうというか、範囲外の人がこれの悪用をするというようなことになるとかならぬとかというような問題もこれまたあるかと思います。したがいまして、納税者番号総合課税の一歩前に、むしろ少額所得の非課税の問題の方が問題ではないかということをおっしゃる向きもございます。従来の特別措置の御審議の際でも、郵便貯金なり少額貯蓄等については、特にそれを不公平税制というふうにごらんになる方は少なかったように思いますけれども、どうも高額所得者が悪用というか善用といいますか、節税のためにそれを使っておられるようなことがありはしないかというふうな疑いがある。他方において、先ほど河野さんがおっしゃったように、銀行当局としては名寄せその他のために大変な苦労をされておるというようなこともございますから、先ほど先生のお読みになりましたような措置でもって、一遍とにかくいただく、その上で少額貯蓄者の方には税務署から税部分をお戻しするというふうな方法も、これは確かに一つの方法かと思います。したがいまして、税制調査会で特別部会が設置されますれば、納税者番号のほかに、なかなかむずかしいかと思いますが、それにかわるべき方法等についても検討を進めてまいりたい、また当然そういうことになろうかと思っております。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 最後に一問だけ税制調査会長に……。  今回の土地税制の緩和という問題で、宅地並み課税はなぜ手をつけなかったのかということでいろいろ声がございます。私は、宅地並み課税はただ一本でやるのではなしに、その地域によってやはりきめ細かくやらなければならぬと思うのですね。したがって、ただ全国一律のやり方でやらずに、もっときめ細かくやる方法は検討されないのかということが一点。  それからもう一点は法人税の問題でありますが、先ほど累進課税という話も出ておりましたけれども、法人税のランクをつくって、たとえば四段階くらいにして、そして税率を変えてやる方法は検討されないのかどうか、この点だけをお伺いしたい。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 宅地並み課税につきましては、お話しのような程度問題がございますが、ある程度きめ細かな措置をもって宅地並みの課税にしていくという方向は、恐らく税制調査会もそういう趣旨であったかと思います。ただ、そのきめ細かくという程度問題でございます。その程度問題と申しますのは、私も詳しくは存じませんが、市街化区域というものの設定までさかのぼりますというと、その設定が必ずしも、都市計画法にねらったような十年以内でしたかに市街化されるというふうな見込みもほとんどないところまで市街化区域になっておるというふうに言われております。また現にそういうところもあるそうですが、そういうところをさらに区分けしてやるというのが、先生の趣旨であるようなきめ細かいということかと思うのです。そういうきめ細かにやれば、あいている土地所有者も宅地並み課税についてそう異論を差しはさむということが少なくなるというふうな感じは私もいたしております。  それから次の法人税につきまして、累進とまでもいかなくても、もう一段階つくったらどうかというような御趣旨のようでございますが、現在も中小法人については税率が違っておるようですが、さらにそれ以外の法人につきましてもそういった措置をとるかどうか、これはちょっと問題だと思います。その点について税制調査会では検討したことはございません。したがいまして、そういう審議の結果を踏まえてのことは申し上げられませんが、あるいはそういうことを当然問題にすべきであるというような一般の声でありますれば、税制調査会でも議題に供されるということになろうかと思います。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 終わります。

加藤六月自由民主党

○加藤委員長 高橋高望君。

高橋高望民社党

○高橋委員 各御参考人、御多忙のところをおいでいただきまして、ありがとうございました。  いろいろと同僚委員がすでに御意見に対してお尋ねを重ねた後かと思いますが、重複いたしました節にはどうぞひとつお許しをいただきたいと思います。  そこでまず最初に、河野参考人にお尋ねをいたしたいと思いますが、私どもは手元に残念なことに、日本経済調査協議会の「これからの税制と租税負担のあり方」というサマライズされた二十七ページ程度のものしか持ち合わせないので、その点では多分に隔靴掻痒の感があるのですが、そういう点をお許しいただきたいと思います。  まずお尋ねしたいことは、この抄を読ましていただいて感じますことは、名前のとおりこれからの税制ということをいろいろお取り上げになっていらっしゃる。ただ、私たちの立場に立ちますと、これからをお考えいただくというのであればあるほど、現在までの税制とか経済政策というものを、より深くより内容を細かく検討していただいた上でお願いを申し上げたい、御発表願いたいと思うことがあるわけです。ですから、たとえば租税特別措置法にいたしましても、極端な話をすれば、租税特別措置法の全項目をこの際洗い直す、しかもゼロからスタートして見直していただきたい、こういう気があるくらいなんです。  そういう点を踏まえましたときに、この調査協議会で今回お取り上げになっておられる基本的な今日までの税制の仕組みに対するいろいろの御反省といいましょうか、政府でないから反省でないかもしれませんけれども、御意見というものがもしおありになりましたら、伺わせていただきたいと思います。いかがでございますか。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 これからの税制という以上、おっしゃることはよくわかるわけでございますけれども、戦後ずっと税制の変遷を見てまいりまして、戦後の復興時代から経済の高度成長、それから低成長というふうになってきたわけです。税制はそれなりに役割りを果たしてきたのじゃないかと思います。租税特別措置にしましても、昭和二十年代の後半、それから三十年代をずっと通して、資本の蓄積であるとか輸出の振興であるとかいろいろなことがとられてきた。また最近においては公害問題だとか投資減税とか、それぞれ役割りを果たしてきた。これからの時代においてそういうものをどういうふうに考えるかということでありますが、私この中にも書いてございますように、これからのそういう税制に対する特別ないろいろなやり方というものは、税制の不公平の問題につながるのでできるだけ整理してもらいたい。新しいものをつくらずに、そしてたとえて申し上げれば資源エネルギーの問題とか現在のものに限っていただくようにということで、そういう意味において見直してもらいたい、こういうことでございます。

高橋高望民社党

○高橋委員 実は御意見なんですけれども、その辺に問題がございまして、私どもにいたしますと、そういうふうにとかく現在まで見続けてきて、その弊害が現在出てきておるのじゃないか。逆に言えば、現在までやってきたことを少し評価し過ぎじゃないかと思うことがあるのです。もっと極端に言えば、たとえば私の党の立場などに立ちますれば、今日の税制あるいはその他の欠点というものは、戦後一貫してとってまいりました重化学工業化政策というか、それを推進させるために資本蓄積を至上主義にやってきた、あるいは分離課税でおわかりのように、平たく言えば金持ち優遇策で臨んできた、そういうもののすべてがいま弊害の形になって出てきてしまっている。その当時には確かに価値があったかと思われるのですが、現在、その価値を認めて、なおその上に何か考えていこうという姿勢に問題があるように思われるので、重ねてでは大変恐縮なんですけれども、こういういわゆる大企業とか金持ちに対する優遇策というものを基準にして築いてきた今日までの税制の仕組みというものを、考え直す時期に来たのではないかとわれわれは判断するのですが、この辺については参考人いかがでございますか。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 金持ち優遇の税制と言われましても、私もちょっとどういうことを申し上げていいかわからないのでございますが、たとえば総合課税をやっていないとか、あるいは有価証券の譲渡、いわゆるキャピタルゲインがもうほとんど原則として非課税になっている、そういうことは確かにあると思います。しかし、これはこれまでの税制をどう批判するかということはありましょうけれども、私は、それなりにずっとその時代の要請に従ってやってきた、それが政策税制であった、その政策税制が、いろいろな時代の変遷とともにいわゆる不公平税制と言われるようになったということで、その不公平税制の代表的なものを三つ出しておる、これは見直しの一番大きな問題だと私は思います。  それから租税特別措置につきましても、もとこの租税特別措置を始めましたころ、これはシャウプ税制に対するある意味の反省といいますか、と同時に、経済の生々復興に対して税制で役割りを果たさせるという一つの目的がございました。もちろんそれは補助金制度でもいいわけであります。そういうことも考えられますけれども、税の姿において、所得の中からそれを控除することによって資本蓄積をやり、あるいは合理化をやりたいということで、二十九年から後、三十年とずっと大きくふえてきたものが、現在非常に整理されてすっきりした姿になってきているんだと私は思います。ただ、たとえば資本蓄積ということで銀行預金、公社債の利子もまだ残っておりますが、これも五十五年度から総合課税になるということでありまして、方向としては、そういった見直しの方向に税制調査会でもお考えになって進めていただいておるというふうに考えております。したがって、今回の税制改正につきましても、出されました案について高く評価しておるような次第でございます。

高橋高望民社党

○高橋委員 税制調査会長、この辺については、私の考え方どのようにお考えになりますか。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 お尋ねの中にございましたようなことは、過去においても現在においても若干はまだ残っておるというようなことがあろうかと思います。それで、そういうのをどう是正していくかというのが、政策税制と申しますか、一般に言われる不公平税制の是正ということでございまして、その是正の方向をどうするかということになりますと、これは何としましても、政策税制と言われるだけありましてそれぞれの政策上の必要から生じてまいっておりますので、その必要がもうなくなりつつあるもの、あるいはなくなったもの、まだなくなっていないもの、いろいろございますから、一遍にきれいさっぱりとやめてしまうというわけにはなかなかまいらないのではないかと思います。したがいまして、期限の来るもの、あるいは目的の失われつつあるもの等について漸次整理をしていくということがおおよその方向ではなかろうかと存じます。

高橋高望民社党

○高橋委員 最後になりましたけれども、谷山参考人は私の考え方いかがでございますか。

谷山治雄税制経営研究所所長

○谷山参考人 私は、御意見のとおりで、日本の現在の税制、とりわけ企業税制、特別措置、こういったものは、いわゆる高度成長の時期の所産であるわけですから、こういう経済の情勢なり体制がさま変わりしつつあるときには根本的に見直すべきであろうというふうに考えております。  翻って、いまの引当金、準備金というものを考えてみますと、昭和二十四年当時にはなかったわけなんで、それがその後の経済復興なり高度成長なりを通じて次々連鎖的にできて今日まで至っているわけでございますから、この際昭和二十四年の原点に返れとまでは極端に申しませんが、一度とにかく見直してみることが必要である。その意味で私は御意見のとおりであろうと考えております。

高橋高望民社党

○高橋委員 私、実は医師税制につきましても本会議で趣旨説明をやらさしていただいたのですが、そのときにも、医師税制のできたときのことをもう一回考え直してみようということを御提案したのです。いずれにしましても、時の政権担当者が政策目的を達成するために、いろいろと租税特別措置等含めて税制をお考えになるのは当然だと思うのですけれども、何かもっと基本的に、社会全体でより多くの人の合意があるような状態というのをつくり出していく必要が絶えずこの税制にはあると思うのです。そういう意味合いからいきますと、現在までの各種の租税特別措置などは特にそうですけれども、逆に時代時代の圧力とかあるいは駆け引きとか、われわれの世界で言うと政治的な決断というのでしょうけれども、そういうことでどんどん本来の目的が変わってきてしまって、そして今日になると、袋で言えばみんな破れたところだらけになってしまって直しようがないという状態に来ているので、そこでこの際、こういう財政の事情の中では思い切って考えるべきではないか、こういうふうにいまでも考えているわけなんです。どうぞひとつそういった意味合いから、特に税制調査会の場合あるいはこの委員会の場合等々で、私どもの意向をひとつどこかへとどめておいていただいて、お考えになっていただきたいなと思います。  最後に、時間の制約もございますのであれですが、税制調査会長にちょっとお伺いしておきたいのは、私は、一般消費税の導入を力で強行してはいけないと絶えず申し上げているので、数や力で強行されては困る。そこで現在率直に申し上げて、税務実務者がどういうふうなお取り上げをされるかということが大蔵の方から全く出てこないし、これはまた当然、税制調査会のお立場ではなくて実務のレベルだと思うのですけれども、いかがでございますか、個人的な御意向でも結構なんですけれども、現在の制度に上乗せしてこういった制度を採用していった場合に、税務担当者、実務者が当然ふえてくるだろうというふうに御判断なさっておられますか、いかがでございますか。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 その点、御想像のように、一般消費税を導入する際に国税庁関係でどの程度の徴税のための役人の数が要るだろうかということは、討議にはなりましたけれども結論は得ておりません。したがいまして、どうだということを申し上げるわけにはまいりませんけれども、一つは、徴税の仕組み、税務署の中での仕組みとしてどういう分担をするかということが関係をするかと思います。間接税であるから間接税の係でやるということにするのも考え方の一つでしょうが、あるいは売上高なり所得なりということに非常に関係があるから直接税の関係のところで処理するのが適当であるか、そういうどちらにやるかによっても非常に違うのじゃないかというふうに思います。  聞くところによりますとイギリスでは、御承知かと思いますが、何か別な組織で、関税と消費税というのが直接税とは別の役所で、付加価値税を導入するときに相当数の職員の増員がされたということであるようでありますが、日本の場合も無論、相当の人員の増は必要かと思いますが、そこは徴税コストの問題もございまするから、できるだけ人員増が余り激しくならぬように、多くならぬような考慮を税の仕組みとしても考える。税の仕組みと申しますのは、たとえば二千万円といったような問題でありますとか、あるいはインボイスといったようなことを考えないでやるとか、そういった税の仕組みの問題と同時に、税務行政の中での仕組み等考えていただいて、できるだけ増員は避ける、しかし若干の増員は無論起こってくる、必要になってくる、こう思います。

高橋高望民社党

○高橋委員 どうもありがとうございました。

加藤六月自由民主党

○加藤委員長 三谷秀治君。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷委員 参考人の皆さんには、御多忙の折から御苦労さんでございます。  最初に、谷山参考人にお聞きしたいと思います。  医師税制についてでありますが、私どもも現行税制はより公平、合理的に是正すべきだと考えておりますし、その際何よりもまず広く勤労国民から理解される公平なものにする、同時に、医療の公共性、特殊性を考慮しまして、医療水準を維持発展させるという立場、この公平性と医療の公共性を正しく統一したものにする必要があると考えております。先生のお考えになっておられます是正策を幾らか詳しく、また、今回提案されております政策案と対比してお聞かせを願いたいと思います。

谷山治雄税制経営研究所所長

○谷山参考人 この医師税制の是正の問題につきましての考え方の視点と申しますか角度という問題でございますが、先ほど申しましたように、所得課税の場合には原則として実額課税でやるということが原則でございます。  ただ、ここで少し申し上げておきたいのは、と申しましても現在、給与所得控除の場合であるとか、あるいは弁護士、税理士等の自由職業の場合とかには、いわゆる給与所得控除の場合には高率でございますし、自由職業の場合には高率ではないわけでございます。概算経費率ということも認められているわけでございますから、実額課税の原則が正しいといいましても、過渡的といいますか、あるいは中にはそういった制度も全然否定するわけにいかない、こういうことも一つ前提の上で申し上げてみたいと思うわけでございますが、そうしますと、現在の医療制度を考えてみますと、二つの側面を評価する必要があるわけで、一つは、税制調査会の答申でも言われていることでございますが、保険医の場合には、いわゆる給与所得者と同じように、収入がガラス張りになっているという点がございますし、それから、いわゆる患者のために拘束的な労働と申しますか、そういう行為をやられている点もありますので、しかしながら、これを一般の事業所得並みに扱いますと、給与所得控除が全然適用にならないという問題も出てくるわけで、こういう点どのように改善していくか、つまり医師の医業労働と申しますか、そういう側面に立ってひとつ考えてみる必要があると存じます。  もう一つは同時に、医業というのは経営という面を持っているわけでございますが、これはやはり国民の健康と命を預かっている、そういう職業でございますので、公共性というものを認めるのは当然であると考えます。ただ私の考えでは、原則的には租税特別措置を拡大することは好ましくないわけですから、そういう意味で、公共性を認めるといいましても、どの程度までやるかという議論は私はいろいろあると思います。  ただ、現実の問題として、他の業種、他の企業にいろいろの準備金や引当金が認められている、また、たとえは悪いかもしれませんが、公益法人であります医療機関については所得の三〇%を無条件に損金にできる、こういうような規定もございますので、そういう比較、バランスといいますか、それをしますと、そういった公共性のあることに着目した控除というのも必要といいますか、考えてもいいのではないかというふうに考えます。  私も具体的にこうだという決定的な案は持ち合わせておりませんけれども、ただ現在の案のように、収入に応じて経費を逓減させていって税金がふえればいいんだということでは、私は根本的な是正案にはならないと存じますので、いま申し上げたような制度的な根本の改革について、さらに御議論を一歩進めていただく必要があるのではないか、かように考えているわけでございます。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷委員 小倉参考人にお聞きしたいと思います。  一般消費税についてでありますが、先般の予算委員会でわが党の工藤委員が、一般消費税を導入しました場合に、税が物価にはね返りますから物価の上昇という問題が当然起きてまいります。それから地方自治体などは、やります事業主等にすべてこの税が影響してまいりますから、税の負担者にもなってくるという点がありまして、物件費、設備費、さらに人件費にはね返ってきます税の逆効果と申しますか、こういうものを見てみますと、結局国の歳出を押し上げて、一般消費税の純収入効果は目指すところの三分の一程度になってしまう。したがって一般消費税は財政再建に役立たないという指摘を行いまして、大平総理も、重要な提案だからしさいを吟味したいと述べておりますが、この点に関して先生のお考えをお聞きしたいと思います。  またこれと関連しまして、どうしても所期の歳入を確保しようとするならば、歳出の比重の大きい人件費や物価上昇に伴う福祉予算のスライド制を抑えなければならないことになるわけでありますが、まさにその点について、税調の五十二年十月の中期答申では、一般消費税導入による物価上昇はそれ自身増税の反映であり、それ自身所得増税による可処分所得の削減と実質的には同じである、こういう意味のことが述べられております。言いかえますと、一般消費税によって物価が上がったからといって賃金や福祉は上げるべきではないという意味だと思いますが、そういうことでございましょうか。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 最初の方の御質問でございますが、一般消費税の導入によってお話しのように、諸物価に影響するというようなことは避け得ない。したがいまして、国なり地方公共団体で調達するもろもろのサービスなりあるいは物件、これがまたその分だけ負担せざるを得ない、これもそのとおりかと思います。それがどの程度になるかということでございますけれども、私どもこれは深く計算はしておりませんけれども、それが税収の三分の一にもなるというふうなことはよもやあるまい。恐らくこれは、たとえば人件費にまで影響を及ぼして云々というようなことは、回り回っていろいろなところに影響することも含められた計算かとも思いますが、一般消費税のたてまえとしては、一般消費者が最終的に負担する、そしてそれがさらに他に転嫁することはないという前提に一応立っておりますので、これはむろん絶対に転嫁がないというふうには言い切れないかと思いますが、たてまえとしてはそういう考え方をいたしておりますので、そこのところの考え方の違いがいまお話しのような結果の違いになってくるのではないかという気がいたしております。  それからもう一つは、一般消費税の問題につきましてのそれだけいわば所得が減った、消費者としましては消費税のかかる分だけ所得が減ったということに観念をされる。したがいまして、それは従来の消費水準を減らすということで対応する向きもあるかもしれませんが、多くは蓄積、貯蓄、従来の貯蓄率がそれの分だけ減るということに対応するというようなことかと思います。したがいまして、一般消費税に基づく物価等への影響を、さらに福祉の関係の諸施策を充実して云々するということは、全くないとも申しませんが、それは考えてはおらなかったということでございます。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷委員 一般消費税につきましては、谷山先生はヨーロッパ諸国にも何度か行かれまして、ヨーロッパの付加価値税について造詣が深いと聞いております。政府は、一般消費税は世界の課税の趨勢であるという姿勢をとっておりますが、果たしてそうなのか、日本の税体系や国情に合うものかどうか。また政府は、導入の理由としまして、赤字国債解消のためとも、また福祉のためとも言っておりますが、果たしてそのような理由が成り立ち得るのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。

谷山治雄税制経営研究所所長

○谷山参考人 これも大変中身の膨大な御質問でございますけれども、まず第一に、ヨーロッパ、とりわけEC諸国の場合はもう御承知のように、前に古い形の消費税あるいは取引高税、こういう税金がありましたのを付加価値税に改革したという、そういう性格を持っておりまして、そういう意味では、増税の手段として付加価値税を導入したということはまず導入時点ではないわけでございますから、それが日本とは非常に事情が違うということで、今日日本で問題になっております一般消費税も、形から言いますといわゆるEC型の付加価値税と大変酷似しているといってよろしいかと思いますが、いま申し上げたようにEC型の付加価値税導入の理由が、古い形の消費税あるいは取引高税の改革という点に最大の重点があったわけでございますから、日本とは非常に事情が違うということを一つ、これは御承知かと思いますが、まず申し上げておきたいと思います。  EC諸国以外に今日、EC型の付加価値税を導入しておりますのは、お隣りの韓国であるとか南米におきます国々、中南米の国々であるとか十数カ国ありますけれども、言うならば開発途上国あるいはそれに近いような国でございますので、いわゆる先進国と言われております国で一般消費税の創設が大勢になっているということは、私は全く間違いであるというふうに考えておる次第でございます、かように御判断を願えればよろしいんじゃないかというふうに、もちろんこれは私の意見でございますが……。  それから第二の点でございますが、一般消費税導入の問題は、これはもちろん私個人の見解でございますが、どうも理由がはっきりしないという問題がございます。と申しますのは、赤字国債解消のためというのであれば、一般消費税を導入して税収をふやした場合に、他の財政支出に使ってはならないわけでございますから、したがって、福祉に使うとかほかに使うということは論理的に成り立ちません。したがいまして、では赤字公債の解消でなければどうなるのかということで、どうも導入の目的が率直に言って大変あいまいであるということがございます。赤字国債のためであれば、これは福祉のために使ってはならないわけでございますから、そういう観点から目的がはっきりしないという問題がございます。  先ほども申しましたように純収入効果が、財政支出の面から言いましても、既存の所得税、法人税等に与える影響から言いましても、さほどの効果はそれほどはないのではないか、そういう問題もございますので、私は一般消費税問題というのは、税の一つとして検討する値はありますけれども、いま申し上げたようなこの情勢から見て、現在は——現在といいますか、いまの税制の中では適当ではない、反対であるというのが私の意見でございまして、赤字公債の解消の財源にはなり得ないというのが私の一つの結論でございます。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷委員 河野参考人にお尋ねしますが、不公平税制の是正は、所得税法、法人税法あるいは租税特別措置法の基本に立ち入ってより広く是正すべきだという意見がありますが、この中でも私は、五十二年度で五兆七千億にもなります退職給与引当金の取り扱いについてお伺いしたいと思います。  これにつきましては、会社計算で実際の支払い退職金の三十倍、税務計算でも十倍、十五倍にも達しておると言われております大変過大な引き当ての留保になっております。しかもこれが大企業ほど活用しやすくなっておりますし、またしておりますし、引き当てておきましても倒産したときには、計算上あるだけで実際にはこれが払えないというふうな問題もありまして、積立率をもっと下げるべきであるという意見、そして外部積み立てをさせてはどうかという意見もございますが、こういう点についていかがお考えでしょうか。また、これについては谷山先生も一言御教示願いたいと思います。

河野一之日本経済調査協議会総合委員

○河野参考人 私、御質疑を受けましたので、私が適当なのかどうか存じませんが、退職引当金の問題、あるいはその他いろいろ引当金がございますが、これは企業会計の問題であり、そういう企業会計の経理の行き方が正しいかどうかという問題から出発すべきものだと私は考えております。現に退職給与引当金という制度は各企業やっておりますが、これはある意味において将来の債務に対する引当金で、いずれは損金になるものでありますし、この積み立ての率がいいかどうかということはいろいろ検討の余地があるかと思いますが、制度自体としてやはり存続をさせるべき問題だと私、考えております。

谷山治雄税制経営研究所所長

○谷山参考人 退職給与引当金の問題は御指摘のように、確かに繰入率も過大ということもございますし、現実離れしているという問題もございます。したがって、この累積が大変多くなってきて問題になるわけなんで、私はこれは不公平税制是正の一環として、先ほど申しましたように貸倒引当金等には手をおつけになるわけですから、事のついでと申してはなんですが、退職給与引当金についても当然根本的な検討をされる必要があると存じます。  なお、退職給与引当金をもし存続させるといたしますと、その繰り入れ分については従業員の共同管理の預金にするとかそういうことをしませんと、ただ企業の内部留保をふやすだけの効果しかないわけでございますから、もし存続するとするならば、そういった退職給与引当金に見合う何らかの預貯金なり何なりのいわゆる労働者、従業員における共同管理のようなこういうシステムを導入しませんと、退職給与引当金の合理性についての納得は得られないのじゃないか、かように考えております。

三谷秀治日本共産党・革新共同

○三谷委員 どうもありがとうございました。

加藤六月自由民主党

○加藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議

加藤六月自由民主党

○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 金子大蔵大臣はかねがね、この大蔵委員会の主要なメンバーでもあり、そしてまた御出身も大蔵省でございますので、租税政策等については特に通暁をしていらっしゃる、そういう立場でいろいろお伺いをしてまいりたいと考えておるわけでございます。そういうような意味で、具体的な計数にわたります問題は主税局長や関係の政府委員の方々に御説明を願いたいと思いますが、今後の財政政策、その中における租税政策というものについての基本的な考え方はやはり大臣でお答えをいただくように、質問の初めに当たりまして要望を申しておきたいと思います。  そこで今回、租税特別措置法の一部改正が行われておるわけでございますが、この中でやはり私は、今後の租税原則というものがなければ今後の長期的な税制というものにたえられない状態に来ているのではないだろうか、こういうように考えておるわけでございます。政府の方でも、それはやはり租税原則というものを明確にした上で今後の長期的な税制というものを確立するために努力をしていらっしゃるのだろうと思うのでございますが、そういうような意味から、今回の租税特別措置法の改正案の租税原則というのは一体何なのか、その原則に照らし合わせて十分であるというふうに御判断をされているのであるのか、その内容について説明を願いたいと思うのでございます。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 専門家の村山さん相手の答弁ですから大変やりにくいのでございますが、これは百も御承知のとおり、いろいろな租税原則がございます。スミスの四原則だとかワグナーの九原則だとかいろいろありますけれども、やはり税制全体としては公平を旨とするということが基本になると思います。しかし同時に、国民経済的な要請とかあるいは徴税税務執行の立場からとかいろいろな要請がございますから、それはそれとして、そのときそのときの情勢に応じてそれらの原則をかみ合わせながら税制を立て、税の運営をやっていかなければいかぬ、こういう気持ちでやっておるわけでございます。基本はあくまでも税の公正が確保され、執行が公正に確保されるということが、長く税制を国民に支持してもらうゆえんである、このことは間違いございません。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 いまいみじくも課税の公正あるいは課税の経済効果あるいは最小徴税費、この三つの原則というものをお述べになったと思うのでございますが、その適用順位というものはどういうふうに把握をし、今回の租税特別措置法の中でどのように生かされておるのでございましょうか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 一般論を先に申し上げたのでございますが、この租税特別措置法に盛られているいろいろな項目は、いわば政策的な国民経済的な要請に基づいておるものが大部分でございます。したがって私は、税を政策遂行の一つの手段として使うことは一向差し支えないと思うのです。ただ、ほかの政策を使わないで税だけに頼ること自体についてはいろいろ問題のあることも多いと思いまするけれども、そういう意味で、租税特別措置法には政策目的のものがたくさん入っておりまするが、やはり公正という立場から常時見直さなければいかぬ。特に長く続けられてその目的を果たしたものもございましょうし、社会経済情勢の変化に従ってもう必要ないというものもございましょうし、そういうものはやはり随時見直して改正を加えるということが、租税特別措置法に対する財政当局としての立場でなければならぬと考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そういたしますと、経済効果と公正、この二つのいわゆる原則、基準というものは一応同列というふうにお考えになっておいででしょうか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 措置法だけを取り上げれば同列に考えてしかるべきじゃないでしょうか。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そこで、中身の問題でございます。今回の改正は租税特別措置法を中心にいたしまして税制改正が行われるわけでございますが、この中でちょっと数字の面についての説明を煩わしたいと思います。  予算委員会に提出をされました資料によりますと、法人税のいわゆる貸倒引当金等を中心にいたしまして、いわゆる負債性の引当金がどれだけ現在蓄積をされているのかという数字がございますが、これのトータルは幾らになりますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 法人税法に基づく引当金でございますが、貸倒引当金が二兆九千七百五十三億、退職給与引当金が五兆六千六百四十三億、賞与引当金が二兆五千百二十億、製品保証等引当金、これが六百十五億、あと特別修繕とかそういうものがございます。その残高は特に把握しておりませんが、以上合計いたしまして十一兆二千百三十一億円、以上が五十二年度末の引当金の残高でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そこで中身を見てまいりますと、返品調整引当金とかあるいは特別修繕引当金というものは特別に掲げてないわけでございますが、これらは含んでおるわけでございますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 その二つは特に御提出はしておりませんが、その残高は調べて御報告いたします。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 引き続いてお尋ねをいたしますが、租税特別措置法のいわゆる準備金でございます。これの表によりますと、どのような形になっておりますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 主要な準備金でございますが、価格変動準備金、これの残高が七千八百八十一億円、中小企業等海外市場開拓準備金千五百十億円、海外投資等損失準備金四千九百三十八億円、公害防止準備金、これはすでに廃止になったものでございますので残高が残っておりまして、千五百七十二億円、探鉱準備金三百九十七億円、以上が主要な租税特別措置法に基づく準備金でございますが、以上の合計が一兆六千二百九十八億円でございます。     〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕  あと判明いたしておりますもの、ばらばらで大変恐縮に存じますが、主なものを申し上げますと、特定鉄道工事償却十八億、原子力発電工事償却四百七十九億、特定ガス導管工事償却三十九億、これらはいずれも準備金でございます。それから電子計算機買戻損失準備金三百八十九億、株式売買損失準備金六百四十三億、証券取引責任準備金百六十六億、商品取引責任準備金百十六億、渇水準備金四百七億、違約損失補償準備金百四十六億、異常危険準備金五千八百七十億、中小企業の貸倒引当金の特例、これは二割増し部分でございますから、これは準備金というカウントをいたしますと千三百三十一億、それで、先ほど申し上げたのといま御報告をいたしましたのとの合計は、ただいま計算をいたしましてまたお答えをいたします。——準備金の合計でごさいますが、三兆一千七百八十六億円、これが五十二年度末の残高でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 資料として出されました租税特別措置法の準備金の項目として掲げられましたものをトータルいたしてみますと二兆一千四百七十八億、予算委員会に提出をされた分でございますが、それはいかがでございますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 私がいま御報告いたしましたのは、予算委員会に御提出をいたしました資料の中のB−5というナンバーをふりました資料、それが引当金と準備金でございます。B−6が準備金でございますが、それに基づいて御報告をいたしました。その計数の異同については早速取り調べますが、私がいま申し上げましたのが、五十二年度末の残高として国会に御報告した数字であることを御承知願いたいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 B−5(2)の「租税特別措置法による分」というので私は先ほど計算してみたのです。そうしたら二兆一千四百七十八億、こういうことに相なりました。  そこでいまお話がありましたように、三兆一千七百八十六億円が租税特別措置法上のいわゆる残高としてここに蓄積をされているということがわかりましたが、これは確認だけでよろしゅうございますが、財政金融統計月報特集号の三一九、これは大蔵省の証券局が出しました年報の中で、五十二年度末の特定引当金というのがございます。この中で計上されておりますのは三兆六千八百六十四億三千七百万円。中身についてはどうなっているのだということで私聞いたのでございますが、これはやはり特定引当金は商法二百八十七条ノ二によります表示であって、利益留保性のものである、その中身としては租税特別措置法の準備金がほとんどである、こういう説明でございます。  そこで、法人税法上のいわゆる引当金は十一兆二千百三十一億円、これは負債性の引当金として企業会計原則から見ましても当然の引き当てということで認知をされているものだ、こういうふうに税法の体系の中でも考えられておると思うのですが、そこで私がお尋ねしたいのは、諸外国の法人税体系の中でこのような関係のもの、負債性の引当金というものがどのようになっているのかというのを調べてまいりますと、会計法上は各種の負債性引当金の計上が行われているけれども、税務上は原則として認められていないというのが、「レファレンス」を通じて私が調べた結論でございます。中には、その中の貸倒引当金と法人税法の五十六条の二に係る製品保証等引当金、これは西ドイツに例があるようでございますが、そのほかは例を見ないのでございます。外国の場合には、貸倒引当金は合理的範囲であればよろしいということで、その条項については当てはまるのはあちらこちらございますが、返品調整引当金、賞与引当金、退職給与引当金、特別修繕引当金というようなものは外国に例を見ない、こういうことは主税局長十分に踏まえていらっしゃると思うのですが、それは事実でございますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 お答えの前に、私が先ほど御報告した数字が、先生の統計の数字と違うではないかという御指摘がごさいましたが——それはよろしゅうございますか。  それで、ただいまの引当金でございますが、各国の税制は、実は執行上認められているものもあるやに聞きましていろいろ調べてみて、むずかしい点も多いわけでございますが、貸倒引当金は、イギリスのようなものを除きますと大体共通に認められていると思います。退職給与引当金は、退職一時金を支払うという労働慣行ないし企業慣行がございませんので、どちらかと申せばわが国の特殊なものだというふうに考えます。それで、私どもが調べていま手元で判明いたします限りで申し上げますと、西ドイツの場合には退職年金の引当金、海外投資の準備金、価格変動準備金。後の二つは恐らく特定引当金かもしれません。退職年金引当金は負債性の引当金というふうに承知しております。フランスの場合には訴訟、修繕引当金というようなのが認められております。アメリカの場合にも休暇引当金というものがあるようでございます。  わが国の場合でも特定引当金は、いわゆる見越しの費用ではございませんで、確定した損失で当期の収益にチャージする必要のあるもの、将来その損失の発生が確実であって、その発生の原因が当期にある、内容が確定しておる、こういうことを要件といたしておるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 引当金は確定をしているものであるからこそ法人税法上の当然の損失というふうにみなされているのだろうと思うのですが、この問題はさておきまして、租税特別措置法上の三兆一千七百八十六億、これは企業会計原則から見た場合には、どういうふうに見ていらっしゃるのですか。

伊豫田敏雄大蔵大臣官房審議官

○伊豫田政府委員 準備金の企業会計原則上の見方というのは非常にむずかしい問題がいろいろございまして、まず特定引当金についての商法二百八十七条ノ二の解釈自体につきましても御承知のとおり実はいろいろ意見がございます。それで、当時の立法関係者の御意見としてただいま私が承知しておりますところは、商法二百八十七条ノ二の中にたとえばある種の準備金は含まれるというふうなことでありまして、改正当時におきましても、そのようなことで法人税法上の考え方も通しているものと記憶しております。  ただいまおっしゃいました企業会計上の問題につきましては、企業会計上引当金につきましてはいわば損として計上し、準備金につきましては、損として計上することと場合によっては利益処分によって計上することと両方をその場合、場合によって認めているもの、このようにただいま承知しております。ただこれは企業会計原則上の問題でございますので、私の方から的確に御答弁は若干いたしかねる点もございますのは御了承願いたいと思っております。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 おわびを申さねばならないのですが、先ほど御報告した準備金の残高でございますけれども、計算違いがございまして、訂正をお願いしたいと思います。二兆五千九百二億円でございます。これは予算委員会提出資料B−6に列記いたしました準備金の合計でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 先ほどおっしゃった三兆一千七百八十六億を訂正をされて、そして二兆五千九百二億、こういうことでございますね。この問題については、きょうはそんなに時間があるわけじゃございませんので……。  そこで、われわれが準備金を見てまいりますると、発生の統合性ですか、確実性、合理的な見積もり、そういうような原則に照らし合わせていった場合に、利益留保性のものがほとんどではないだろうかという見方がされるわけでございまして、そういうような意味から、これは整理をした方がいいのではないかということで、これは租税特別措置法上の措置についてもそれぞれ行われているのだろうと思うのでございますが、先ほど大臣は、公正とそれから国民経済ですか、課税の経済効果という問題を同列に置きながら問題の処理に当たりたいという御説明でございましたから、そういうような立場から、法人税法上の十一兆の引当金、それから租税特別措置法上の二兆五千億の引き当て、これらのものについては、やはり今後諸外国の例などを適用しながら見直しの作業をやらなければならない段階に来ておるのではないだろうかと私は思うのでございますが、大蔵大臣の御所見はいかがでございましょうか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 大臣からお答えがあります前に私から……。  引当金でございますが、法人税の課税のルールといたしまして、村山委員よく御存じのように法人税法の二十二条というのがございます。その中では、確定した決算によって申告をする、それによって会社計算と税務計算と二つが相分かれることによる繁雑ということを避ける、客観的に明瞭な利益の額を出す、こういうことが基本の原則になっておるわけでございますが、その確定決算というのは原則として「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。」ということがその条文の中に書かれておるわけでございます。その二つのことから、納税者にとっても税務官署にとっても所得計算が客観的に明らかであることが望ましいということが担保されているというふうに考えられるわけでございます。そういう意味で、たな卸し資産の評価とか減価償却、引当金、これは企業会計における期間損益計算と同様の方法がとられておりますけれども、適正な期間損益計算を行うために必要な仕組みというものは、企業会計上のものであれ税法上のものであれ、基本的には同様の仕組みになるということであろう、それが法人税法の基本の考え方であろうと思います。  そういう意味で、引当金につきましては、引当金への繰入率というものが実態と乖離していないかどうかということについて、常時見直しを行っていくということは当然であると思いますし、今回の税制改正でも貸倒引当金、これは政令でございますけれども、それについて縮減を図るということにいたしておるわけでございますし、かつて退職給与引当金につきましても、引当率を二分の一に切るというようなこともやっておるわけでございまして、これにつきましては常時見直しを行っていかなければならないと思いますが、引当金の必要性については、準備金とはやや類を異にするのではないかというふうなのが私どもの考えでございます。  準備金につきましては、先ほど大臣からも仰せのありましたように、確かに政策的な意味で準備金という特定の引当金を税法上認めるという立場でございますから、これにつきまして、政策の必要性、それから租税公平の確保、その二つの観点に立ちまして常時見直しを行っておりまして、現にことしも、租税特別措置法上二十二項目ございます準備金の中で、期限の到来するもの三項目のうち、二項目というものについて縮減を図っておるわけでございます。制度そのものの廃止ということも一つございますけれども、内容につきまして、また積立率とか取り崩しの方法につきまして、常時縮減をしていくということで臨みたいというふうに考えております。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 いま主税局長からるる説明ございましたとおりでございますが、財政当局としては、商法や企業会計原則が認めておる会社経理の原則を税の面から認めないぞというわけにはまいりますまい、やはり角をためて牛を殺すたぐいに陥ってはいけませんから、そこは十分考えながら、特に今日のような経済の変動期にありましては、雇用の源泉はやはり企業活動でございますから、そこら辺も十分考えながらやっていかなければいかぬと思うのです。  ただ、実態に余りそぐわないぞというようなものが出てまいりました場合には、だんだんと見直しをやらなければいかぬことは当然でございまして、従来からもその方針でまいっておりますし、今後もその方針には変わりございません。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 この準備金の問題については、企業会計原則で認められない利益留保性のものがこの中にあるのではないかとわれわれも見ておるわけでございまして、この全面的な見直し、その時期になりました際に、その繰入率等実情に合わせて点検を十分にしていただきたいということを要請申し上げ、ておきたいと思います。  そこで主税局長、このほかにございませんか。このほかにといいますのは、法人税法の特例で、租税特別の配当等の法人税の軽減特例措置とかいうようなものは、引当金なりあるいは準備金のほかにございますか、ございませんか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 ただいまお尋ねの配当控除の特例は、むしろ配当軽課に伴いまして配当控除を切っておる、そういう特別措置だったというふうに思います。いま早速調べますが、私の記憶ではそういうことでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 数字がありますか。——受取配当の益金不算入の原則がありますね、それによりましてどれだけの措置がとられているかということをお聞きしているわけです。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 どうも失礼いたしました。  これは法人税法の中でとられておる考えでございます。したがいまして、これが特別措置であるというふうに考えておりませんし、これに基づく減収ということも従って計算されておらないのでございます。  東京都の新財源構想研究会では、受取配当の益金不算入に相当するものとして千三百七十七億円という国税での減収を試算しておられますが、これは所得税と法人税の調整の仕組みの問題でございますから、私どもといたしましては、これによって減収が起こっているというふうに考えておりません。これは繰り返しでございますが、さように御理解いただきたいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 法人擬制説の問題からくる仕組みの問題だとおっしゃりたいわけですが、その問題は後で申し上げます。  そこで、大平総理の考え方というものを、大平さんが書かれた「私の履歴書」とかいろいろな本をひもといて、大平さんという人の人物像を浮かび上がらせながら、どういうような考え方をお持ちであろうかということで私も研究をいたしてみたのでございますが、大平さんは総裁選挙の公約もございますね、その中からの発言や、あるいは本の中に掲げておられる発言の中身を見てまいりますると、いわゆる小さな政府というのですか、そういう一つの思想的な背景をお持ちであるようでございます。チープガバメントあるいはリトルガバメントと書いてあるようでございますが、そういうような総理の考え方というものはそれなりに理解ができないでもございません。総裁選挙のときには、歳出の徹底した洗い直しをやるんだ、それから行政機構の見直しをやるんだということでありました。安上がりの政府を主張された。ところが予算の編成が行われた後、今国会に提案をされている歳入歳出の予算書を見てみると、これはどうもスローガンに終わってしまって、それに至るプロセスはどこにもない。節約をしたのは、海外出張費の伸び率をゼロにした、あるいは公務員のグリーン車を利用する制限が行われた、その程度であって、大蔵大臣は中南米局の新設を認め、放送大学の新設を認めるというようなことで、どうも言われていることと実際に予算化されたものとは違うじゃないか、こういうような印象を受けるのでございますが、そうなれば、これは金子大蔵大臣の思想がそういうようなものをつくり出したのであるのかどうか、大蔵大臣の御所見、お考えというものを明らかにしていただきたいのでございます。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 安上がりの政府という考え方は世界各国共通の考え方であろうと思います。とにかく結局、帰するところは国民の負担に帰するわけでございまするから、国民の負担を極力軽減して、国としてやむを得ぬもの以外は極力仕事を手放していく、圧縮していくという方向を——ここまで行政機構が大きくなり、国の仕事も地方団体の仕事も大きくなっていったのでは大変なことだろうと私も思うのです。村山さんもその点は十分お考えいただいておるのでございますが、大平さんはそういう哲学に基づいて第一回の予算編成に途中から取り組んだわけでございまするけれども、とにかくタイムリミットもございますし、必ずしも総理の思想が今度の予算に全面的ににじみ出ているとは思いません。     〔高鳥委員長代理退席、稲村(利)委員長代理着席〕 しかし、そういう気持ちで今度の予算編成に取り組まれたことは事実でございますし、私どももそういう意味から、特に財政が非常に膨張して、国債が雪だるま式にふえて、しかも国債消化にかげりが出ておるというような状況でございますからして、どうやってこれを圧縮するか。同時にまた、ことしの予算編成の問題として大変厄介な問題は、御承知のとおり景気と雇用をどうやって維持し確保するかという二つの相反する目的を追わざるを得ないようなことになったので、その点は大変中途半端な予算とあるいはお受け取りになるかもしれませんけれども、歳出面につきましてもできるだけ削ることには努力いたしました。これはしょっちゅう申し上げていることですから繰り返して申しません。同時にまた、歳入面におきましても、なかなかいままで手がつかなかったようなものにつきましても見直しを行う、ある程度のバランスを考えながら選択的増税に踏み切った、こういうことでございます。これは一年限りのことではございませんから、今後大平内閣が続く限りは、私どもそういう気持ちで予算編成に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そこで、大平総理の考え方なりあるいは金子大蔵大臣の考え方というのは、課税の経済効果に関する中立性の原則にかんがみて、市場メカニズムというものの持っている調整機能というものを信頼をしようという一つの考え方だろうと思うのでございます。しかしいまもお話がありまするように、思いはそこにあるけれども、なかなかそこまで至らないプロセスがあるというふうに言われたものだと私は思っております。  そこで、日本の租税体系は、米英の租税体系と同じように直接税を中心にした考え方でございますが、重点を置いておりますが、何か税制調査会なりあるいは政府の中に、直間比率をこの際是正をしたい、ラテン系の国々と同じような考え方に持っていきたいという一つの思惑なり方向というものがあるやに承っているのですが、その点はいかがでございますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 日本の直間比率は御案内のように、現在の御提案しております予算では直接税が六七・三、間接税が三二・七となっております。これはアメリカの場合は、連邦財政は極度に直接税に依存しておりますので、九一対九という比率でございますが、逆にフランスに参りますと四〇・一対五九・九で間接税の方が多い。イタリアも過半が間接税によっておりまして、四四・三対五五・七ということでございます。  直間比率と申しますのは、全体として税負担がさまざまの課税客体によって構成されておる複数の税法によって構成された方が、税収全体としての安定性なり国民に対して負担をお願いする場合の負担の階層別の配分にしても、単一の税によるよりは実際上よろしい、こういう考え方から出ておるものだと思いますが、何分にも各国の国内の産業構成なり所得の配分状況なり歴史的な沿革なりそれぞれ違いますので、かなり何といいますか固有の民族性というものを持っておるんだと思います。日本の場合戦前をとれば、直接税が三五で間接税が六五でございましたから、なるべく間接税の方に比重を高めていくべきだという御議論もあろうかと思いますが、現在私どもとしては、ことさらに間接税の比率がどのくらいでなければならぬ、直接税の比率がどのくらいでなければならぬということを考えておるわけではございませんけれども、それぞれの税制には理論的な好ましさと、その反面として執行上の問題点というのがうらはらになって伴っております。現実に国民に負担をお願いする場合には、それらの二つの問題も、税法としての理想性ということと、それが実際に国民にどういうふうに個々の税負担となって帰着するか、そういう現実のあり方と両方を含めて考えていかなければならない問題であろうかというふうに考える次第でございます。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 いまの大蔵省の立場は、主税局長が申し上げましたとおりでございますが、ここで一つ考えなければいかぬと思っておりまするのは、高度成長時代と最近のような中成長時代と経済構造が全然変わってきて、税収に及ぼす影響が非常に違ってきておる点でございます。成長時代でございますると、所得税、法人税中心の税制で十分財政が賄い切れたわけでございまするけれども、中成長になるとそれがうまくいかない。それで最近、ヨーロッパ各国なんか見てみますと、各国ともその点大変苦しんでおるのですが、ヨーロッパ各国、EC各国は大体間接税に従来から重点を置いておりまするけれども、それにしても向こうは御承知のとおり、三%だか三・五%というような成長率でございますから、日本よりはうんと悪いのです。所得税、法人税も入らない。結局それをカバーするのは、付加価値税をどんどん上げていく以外手がないぞという気持ちでやっております。これは私はやはり一つの大きな何というか参考になるんじゃなかろうか、日本の今後の税制を考える上においても。つまり、所得で負担力をはかるということが、今日のような時代になりますると、必ずしもそれだけで課税の公正を期することはできないので、やはり消費の大きさにも負担力を認めていくような方向にある程度考え方を変えていってしかるべきじゃないかという気持ちがするんです。  そういうようなところから、明年度から一般消費税の導入というようなこともお願いをしておる次第でございますが、だからといって、一般消費税だけに頼るなんということは一切言っておるわけではございませんが、やはり所得、法人の従来の直接税を中心に考えながら、極力経済構造の変化、経済の流れに合った財政政策というものをこれから考えていかなければいかぬ、ちょうどいまその過渡期に来ているようなふうに考えておる次第でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 大蔵大臣の考え方の中には、所得というものを一つの担税力として見ていく、その面と、消費を担税力の指標としてみなす一般消費税の導入というものと、二つを並べながら補完するものという形になるんでしょうか、そういう形で今後の直間比率の問題を考えていきたいということのようでございます。この問題は後ほどまたいろいろ論議をしてまいりたいと思います。  そこで、一体いままで日本の法人企業の税体系というものは、法人擬制説という立場に立ちまして、企業課税は一般消費者に対する税の転嫁であり、あるいは株主が最終的には企業課税の分をそれによって引き受けるという形態をとっているという、そういう法人税体系の考え方でございます。  ちょっとお尋ねをいたしておきたいのでございますが、いまの株式の所有分布というものは、個人株主と法人株主とに分けてまいりまするとどういう構成になっておりますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 全国証券取引所でやっております「株式分布状況調査」というのがございます。それの数字をよりどころにいたしますと、個人その他という分類になっておりますのが三二・ ○二%でございます。全体千九百二十八億株のうち、個人その他が持っておりますのが六百十七億株でございます。そのほかは、政府、地方公共団体、金融機関、証券会社、その他の内国法人、外国法人、外国人によって持たれておるわけであります。その比率もあわせて申し上げましょうか。(村山(喜)委員「法人だけおっしゃってください」と呼ぶ)金融機関、証券会社以外の法人が持っております分が二六・一七%、五百四億株でございます。金融機関の保有が七百二十九億株、三七・八二%でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 個人が持っているのが三二、それから金融機関を含めた法人が持っているのが約六〇、その他が残りでございます、こういう状態になってまいりますると、株の相互持ち合いという形の中で、そのいわゆる法人所得というものは配当所得と留保所得に分けてそれぞれ課税も行われているわけでございますが、そういうような形の中で法人間の受け取りについては、受取配当の益金不算入の原則を立てたりしながらやってまいりますると、一体法人擬制説という考え方がストレートに国民の前に納得ができるような形態であるのかどうか、どうもそのことについては特に疑問を感ずるような状況になってきたと私たちは見ているわけでございます。なお、地方税の中で見てまいりましても、どうも法人実在説の考え方に立ってこのごろは課税が行われている、こういうふうに受けとめた方が正しいのじゃないか。特に現行の住民税の場合には、法人も自然人と同じようにさまざまの利益を公共サービスから受けているんだから、それだけのそれに対する立場で法人に賦課をするという考え方が一般的になってまいりました。そういう考え方に立ってまいりますると、従来法人擬制説を強固に主張をしてこられた大蔵省でございますが、これについては、実情にかんがみて今後検討の余地ありとお考えにならないのかどうか、承っておきたい。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 ただいま御指摘の点は、五十二年の中期税制答申をつくりました際に税制調査会で、受取配当益金不算入制度のあり方について非常に詳細な議論を行ったわけでございます。  一つは、いまお示しのありましたように、法人は独立の課税主体である、したがって法人の受取配当はすべて課税されるべきである、その背景として法人の持ち株比率が増大しつつある近年の傾向というものが指摘されておる、それが一つの議論でございます。それからもう一つは、法人税は一回限り課税すればいいので、受取配当の益金不算入は当然であるという考え方でありまして、その点は、法人の受取配当の益金不算入がございませんければ、配当原資について二重、三重に同じものについて課税が行われる、配当原資が次第にやせ細る、主要諸外国の例でも、二重課税について何らの調整を講じてないアメリカにおいてすら、法人間の受取配当は親子会社間に限らず益金不算入を認めている、こういう説がありまして、結局「益金不算入制度については、税負担の公平の観点から、これを見直すべきであるとする意見もあったが、これに対しては、法人間配当の問題は、負担の公平の見地から論議すべき性質の問題ではなく、法人税の基本的仕組みの問題として検討すべきであるとする意見が多かった。」というのがその際の審議の結論でございます。  少し長くなりますがお許しをいただきますと、法人間の受取配当益金不算入は、法人間で行われる配当についての法人のダブル課税の排除のための技術的な措置でございますから、諸外国においても、いまも申し上げたことでございますが、法人の受取配当についてのダブル課税の排除を相当徹底した形で行っておるわけでございます。アメリカでは所得税と法人税の調整をしないというのが原則の考え方のように思えますが、アメリカでも八五%は益金不算入ということでございますし、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、いずれも全額益金不算入ということにしております。  なお、現在の受取配当益金不算入は御承知のように、負債利子控除ということをやっております。その配当を持つための必要な借入金の利子というものは受取配当益金不算入の場合に引いてしまうということをやっておりますので、実際には益金不算入になっておっても、なる部分は受取配当の半分くらいになっておるのが実際でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そこで、これは後ほどもお尋ねをいたしますが、最近の企業経営の実態の上から見まして、非常にアンバラが生じておる。景気のいいところはそれだけの所得もあり課税も行われておるけれども、最近は赤字決算というようなものが約半数近くあるというのが、国税庁の「税務統計から見た法人企業の実態調査」で出ているようでございます。そこで私は、業種別の実質税負担率というものをどういうふうに捕捉をしていらっしゃるのかという点をお尋ねいたしたいのでございます。  実効税率が日本は幾らでありアメリカが幾らであるというのは、予算委員会の配付資料の中にも出ております。しかし実効税率というのは、事実問題としても理論値でございますから、それを対比して日本の方が幾らか低いのだなあ、こういうふうに見るだけでは余り的確な課税の状況を知る判断の材料にはならないような気がいたします。ですから、実質的にどれだけの税負担が業種別に行われておるのだろうか、それは、法人税だけで見る場合もありましょうし、あるいは法人三税で見る場合もなければならないと思うのでございます。  これは東京都の四十九年の古い資料でございますが、業種別の実質税負担率というのを調べた統計表がここにございます。法人三税を中心にして見てまいりますと、電力、ガスを最高にいたしまして、最下位が保険という形で、そこには何倍かの開きがあるような、高いところでは七〇%くらいの実質税負担率になっておりまするし、低いところでは一〇%程度の負担率になっている、こういう統計的な図表がございます。そこで、景気の動向にも左右されて、売上高の利益率がどういうふうに変化するかということもありまするけれども、そういうような意味では、法人税の上でアンバランスというのはないのかどうか、あるいは法人三税で見た場合に企業課税というものがどういうふうに行われているのかということを、大蔵省としては実証をする必要があるというふうに思うのでございますが、その点については主税局ではいかがお考えでございますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 わが国の場合には、法人税以外に法人住民税とか事業税とか、法人の所得を課税標準としておる税金が他の国に比べれば非常に多いわけでございますから、標準の所得を基準にして税負担を考えます場合には、やはり三つの税金を合わせた実効税率というところで考えるべきだと思います。  ところで、業種別にそういう法人税の負担率がはじけるか、またはじいておるかというお尋ねでございますが、実のところこれは非常にむずかしいわけでございます。最近のように、たとえば例を挙げて悪いかもしれませんけれども、化学工業とかアルミの製錬業とか、そういうふうに赤字の法人が非常に多い場合には、特別措置の利用度というのは非常に少ないわけでございます。また、所得そのものがマイナスになっておるということもございまして、黒字企業だけ引っ張り出してそれではやってみるかという問題もございますけれども、これも年々赤字、黒字の割合が変わってまいりますと、なかなか安定した結果が出てこないだろうという感じがいたします。また、引当金や準備金、それから特別償却にいたしましても、わりあいと汎用性のある制度と申しますか、業種のいかんを問わず利用していくという制度が多いと思うわけでございます。渇水準備金のように電力業だけしか使えないというものもございますが、たとえば価格変動準備金をとりますと、これは大体すべての企業、すべての業種にわたって使われておるということで、私どもがよりどころとして先ほど御報告いたしました数字は、全国の法人税の申告書ないし決議書から抽出した標本によりまして作成して、それをまたサンプルに伸ばしましたいわゆる「法人企業の実態」というのを手がかりといたしておりますので、それの中から非常に業種数の少ないものについてサンプルをとりまして引き伸ばしをするという場合には、そういう抽出標本調査でございますから、自然その標本の抽出に基づく誤差というのも大きくなるという統計的なこともございますし、私どもとしては、金階層別に法人税の実質負担率というものを調べて、予算委員会、大蔵委員会に毎年御報告いたしております。それ以上の作業を現在のところやっておりません。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 これは大蔵大臣、法人三税の実効税率ではなくて実質税負担率というものを、やはりこの際点検をし直す必要が私はあるように思うのでございます。理論値ではなくて実態がどういうふうになっているのか、これを見てまいりませんと、公害ばかり発生をして社会的な資本に対する負担を大きくかげながら、しかもまた、資源は多消費の状況の中で、どうも税金の方はさっぱりだというような社会的な存在が企業にあるということも一面においては事実でございます。一体この所得というものがどのようにして生まれるかという中から法人税課税が行われるわけでございますけれども、どうもアンバランスになっているのではないだろうかという気がいたしますので、その実質税負担率の問題について御調査を願いたいと思うのでございますが、非常にむずかしい、適確性をどの程度持ち得るかという点になりますると、先ほどお話があったような点もありましょうけれども、やはり調べる価値があるような気がいたすのでありますが、大臣の御所見を……。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 いま主税局長から申しておりまするように、赤字の会社が多くてなかなか御要望に沿うようなものが簡単に私もできるとは思っておりませんけれども、しかし、法人の実態をもう少し的確に調べることは必要でございますので、時間はかかるかもしれませんが、検討さしてみます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そこで次に私は、時間の関係がありますので、財政硬直化の推移と今後の打開策の問題を中心に大臣の所見を尋ねてまいりたいと思います。  第一点は、新経済社会七カ年計画というものが基本構想として計画の目標を設定をされております。その中で「財政の再建と金融の新しい対応」という項目を見てまいりますと、租税負担率を昭和六十年には二六・五%に上げるんだ、それから社会保障負担率を一一・〇%に持っていくんだ、合わせると三七・五%、こういう表が出ております。一般消費税の税率を五%でやりましても、これはいろいろ基礎的な控除を、逆進性を防ぐという意味で食料品等については課税をしないという原則を働かせるでしょうから、それでいくと大体三兆円と言われております。一〇%で六兆円だろう。そうなってまいりますと、この期間中においても九兆円から十兆円のなにが必要だということになりますと、どうもやはり今後の税制改正の中では、これは仮定の問題として、一般消費税だけ充ててみてもなお税源が出てこない。となれば、所得税なりあるいは法人税という大物を、これを何らかの措置をとらなければならないだろうという考え方がこのいわゆる「財政の再建」の中には入っているんだ、こういうふうに見て差し支えないと思うのでございますが、それはいかがでございますか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 あの七カ年計画なりそれに基づいてできました財政収支試算は、御承知のとおり六十年度のあるべき租税負担の姿を描いて、それに結びつけるといま仰せのございましたような九兆何千億というような増税が必要だぞという数字を出しておるのでございますが、中身は実はこれは一般消費税の導入を前提にしてこういう数字を出したわけでも何でもございませんで、過去の十年くらいの国税、地方税を合わせたものの比率を延ばせばこういうことになりますよという数字を、機械的に各年度に割り振ったということでございまして、仰せのとおり仮に一般消費税で三兆円入りましても相当大きな穴があきますが、それをどう埋めていくか、これはこれからの問題でございまして、皆さんのお知恵も拝借いたしたいし、各方面の意見も聞いて、それから一番大事なことは経済が相当動いていくことでございます。これを長期に機械的にこうやりますよというわけにはなかなかいかない。そこら辺をどういうふうにかみ合わせながらこれからの税収を考え、財政の運用をやっていくか、大変むずかしい問題だろうと思いますが、二六%半ですかの租税負担くらいはないととても赤字国債は脱却できませんよというのが、あの数字の示している結果なんでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 とするならば、何らかの対応の方法を考えなければならないという意味では、所得税なり、あるいは法人税という企業課税等についてもメスを入れなければどうも数字が合わない、そういうことになってまいりますので、その点からちょっと、今回出されました同居老人扶養控除の特別控除というものと老齢者年金特別控除というものとの関係の中で、税という立場からこの問題をながめた場合に、一体何をねらっているんだろうか。課税の公平の原則、必要経費というものの上から見た場合に、年金所得者の場合は、基礎控除五十万円が働く、それに老齢控除七十八万円が働くわけですね。百二十八万円までは課税をされない、こういう仕組みになっている。ところが、若い人たちは所得を得るために必要な経費が必要であり、そして消費をしながら——勤労所得の必要経費というものはこの二つの要素から成っていると思うのです。お年寄りを大切にする、老齢者の年金所得者については社会に大いに貢献をしてもらったのだから、大事にしなければならないという思想は当然必要であります。しかしながら一体諸外国においては、そのような年金等に対する課税のあり方というものに日本のような考え方をとっているのであろうか、私もいろいろ調べてみると、どうも余りないようでございます。  そういう立場から、一体いまの必要経費というものをどういうふうに見ていったらいいのかという問題が当然出てまいりまするし、勤労世帯の給与所得者等は、勤労所得の場合の必要経費と事業所得の場合の必要経費と対比しながら、どうも必要経費については自分たちの方は十分に見られてない、こういうふうに見ておりますし、また事実事業所得者の場合には所得税を納めている割合等も非常に少ない。資本金の少ない人ほど年間所得もまた少ないという統計数字も出ております。必要経費というものについていままでは腰だめ式に、あるいはクロヨンとかというような税の捕捉率の上から拡大をしていきました。いまの段階の中でそれを一体どういうふうに洗い直していくのかという問題を含めて、また見直しをする必要がある段階を迎えてきているのじゃないだろうか。同時に、一定の割合の源泉徴収をいまは強制的にやっておるわけでございますが、標準的なものを設定いたしまして、必要経費がそれを超えるものについては申告ができるようにする、その申告に当たっては事業所得者との取り扱いと同じような取り扱いをしていくというような方法を考えていかないと、源泉徴収によると徴税費の比率は最低徴税比率をとることができるからまことに便宜だ、こういうような取る側の理論だけで今日まで来たようでございます。しかし、確定申告に当たりましては、医療控除であるとか、住宅取得控除であるとか、あるいは災害等を受けた場合の控除であるとか、いろいろな控除が働くようになっておるわけでございますから、そういうような意味ではさほど煩瑣な税務署の仕事にならない。だから、取捨選択制を認めていくというような立場まで踏み込んだものを考えていく段階にあるのではないだろうかという気がいたしてなりません。それについてはどのように大臣はお考えでありましょうか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 外国の所得税制というものの中で、給与所得の必要経費についてさまざまなあれがとられております。フランスの場合には、いわゆる実額との選択でございまして、一〇%の選択による概算経費というのが認められておる。ドイツの場合には、必要経費の概算控除とか被用者控除とかクリスマス控除、これを合わせて控除といたしております。一方で、イギリス、アメリカには給与所得者のみに適用される控除というものはないということでございますが、それぞれの国の法制を見てみますと、給与所得の必要経費の中身が非常に辛くできております。日本の場合には御案内のように、百五十万円までについて四割、その次の三百万円までが三割、六百万円までが二割、六百万円超一割という収入からの給与所得控除を認めておるわけでございますが、これに比べますと、こういった実額控除というものの実際の適用を見ますと、非常にわずかな経費しか認められぬのではないかというふうに考えます。たとえば消防夫の——消防夫は官服を着ておるんでございましょうけれども、ウエーターの制服でございますとか、作業服、ヘルメットというようなその作業上必要な被服費しか見ないとか、そういうふうに必要経費が非常に辛くできております。  いまお尋ねのようなことにつきましては、給与所得の必要経費も基本的にはその収入を得るために要する経費ということでございましょうけれども、その場合に、わが国のように給与所得控除を設けておりますのと、実額経費を設けていきますのと、その選択によりますのと三つの制度があり得るわけですが、いずれの場合でも、何が給与所得の必要経費であるかという概念ないし範囲というものを確定しなければならない。それがいま二、三例を引いて申し上げましたように、欧米の実定法の例をとりますと、非常にわずかなものしか恐らくないのではないかというふうに思います。こういう何が具体的な経費であるかということ、税法でございますから、給与所得者三千万の方を対象にしてやるわけでございますから画一的な基準というのは当然必要になってまいりますけれども、その場合に、そういう基準をどういうふうに決めるかという問題を残したままで選択制をやるということになりますと、立証の技術によって所得税の負担というのは変わってまいるという、非常にむずかしい問題と申しますか好ましくない問題が起こってくるのではないかということが一つ。それから、先ほど申し上げましたように、日本の給与所得控除というのはかなり控除の割合としては高いわけでございます。そういうふうにすでに相当の水準に達しているということ、その二つのことを考えまして、給与所得控除について実額経費を導入するということについては、現在の段階では相当ではないであろうというふうに私どもは考えておる次第でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 それはいままでもそういうような説明がずっと繰り返されてきたわけですよね。だが、これはやはり時代が移り変わっていくわけです。その必要経費についての設定も、それは確かに項目なりあるいは範囲の問題等設定するのはむずかしいとは思いますが、項目を研究して、そして概算控除額を算定して、必要経費がそれを上回るものについては申告を認める、だから選択制の方向の中で問題をとらえていくことが、税というのは取る方でなくて納得をして納めるんだというので青色申告の制度というようなのも始まっているわけですから、所得税だってそういうような立場から、勤労所得の場合でも発想の仕方を変えていくという立場で対処しませんと、なかなかいままでの考え方では律しられないむずかしい段階に来ているのではないかという気が私はいたすのでございますが、大蔵大臣はどういうふうにお考えでございますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 先ほどの御質問で一つ申し落としまして失礼をいたしました。  老年者年金特別控除のお尋ねがございました。これにつきましては、実は年金のみの受給者というものにつきまして課税最低限を計算いたしますと、老人で同じく老人の配偶者をお持ちの方につきましては、七十八万円の特別控除がありますために二百二十九万六千円という年金収入までは課税されないことになるわけでございます。それが若い夫婦でございますと、百十三万六千円の収入以上について課税をされるということになります。七十八万円の老年者年金特別控除が老人対策として大きいか小さいか、さらにふやすべきであるか、これはいろいろお考えが分かれるところだと思いますが、やはり所得税に対する特別措置でございまするけれども、税負担のバランスというものを基本的に私どもとしては考えていかなければならない問題ではないか。納税者の所得水準に応じて応分の負担を求めるという考え方に立ちますと、二百二十九万六千円を超える年金収入がおありだという方は恐らく年金収入以外の事業所得であり、あるいは資産所得である場合が多かろうと思いますので、その部分についてまで特別に税の負担を軽減するということについては非常に考えものではないかという考えを持っておるわけでございます。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 村山さんからお話しのいまの選択的な経費控除を認めたらどうかということ、これは考え方としては私も一つ成り立つと思うのですけれども、前々からこの問題はいろいろ議論しておったことがあるのでございますが、やはり税務行政の実際として執行面で厄介な問題が出てまいりますし、むしろ給与控除率をある程度引き上げることによってこの問題を片づけようということで、今日のようなことになっておるわけでございますので、これからも検討させていただきますけれども、実はなかなか簡単にまいらない問題があることを御承知いただきたいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 給与控除率を引き上げる中で問題をいままで処理してきたわけです。しかし、もうそれでは追っつかなくなってきているのじゃないかということを私は指摘をしておきたいと思います。  そこで、あと時間が十分ほどございますから、内容の問題について主税局長の設明を求めます。  五十四年度の税制改正による当年度の増減見込み額、この中で、その他の租税特別措置というのがございますね、二百億。     〔稲村(利)委員長代理退席、高鳥委員長代理着席〕 この中身はいわゆる整理合理化によってこれだけだ、こういうことでございますが、中身については説明がされておりませんね、そこでこの中身はどういうような分か。それは新設分が幾ら入っているのか、それから土地税制の改正が行われようとしている、その結果減収になる部分を幾ら見込んでいるのか、それから産業転換の促進税、中小企業の機械の一〇%の税額控除の問題でございますが、これによって幾らのマイナスになるのか、その説明は表にございませんので、この際、説明を願っておきたいと思います。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 その他二百二十億、初年度として一括してございます。これは一覧表のためにそういうことにしたわけでございますが、項目を分けて申し上げますと、価格変動準備金の積立率の段階的整理、これによります分が初年度三百四十億の増収でございます。それからその他の特別償却の対象資産の縮減、これは船舶につきまして対象資産を削ったりいたしております。その部分の増収が十億でございます。  減収になります分を申し上げますと、医療用機器の特別償却の制度をこのたび中小企業者の特別償却の中でお願いいたしておりますが、これによります減収が初年度八十億円でございます。それから既存住宅の取得に係る登録免許税の軽減、いわゆる中古住宅を買った場合でございますが、それが三十億円でございます。それから特定船舶製造業安定事業協会、これは造船業の過剰設備を買い上げる協会でございますが、これが払います登録免許税を軽減いたしております。千分の五十を千分の十六にいたしておるわけでございますが、これに基づく減収が十億円、それから昨年の臨時国会でできました特定不況地域対策特別措置法、これに基づきましてこのたび御審議をお願いいたしております特定不況地域対策税制の創設によります減収がマイナス十億、以上の計が二百二十億の増収ということでございます。  なお、土地税制の改正について、その増減収を計上してないわけですが、土地税制の減収は、実は土地の譲渡所得税の税収見積もりにつきまして私ども非常に難渋いたしておるわけでございますけれども、税制改正の効果が発現をいたしまして、土地の譲渡が増加する部分、それから譲渡一件当たりの税額が減る部分、それから土地の単価の異動による部分、それらの部分を正確に推計することはできませんので、従前からこういう税制改正の際にこういう改正増減収表でお示しを申し上げているように、このたび改正増減収は計上しないという考え方でおります。  それから、産業転換投資促進税制によって幾ら減収が起こるかということでございますが、実は、これは五十三年の税制改正に基づく増減収との継続性でそうなっておるわけでございますが、昨年千百六十億円投資税額控除で減収を予想したわけでございます。その中で特別償却制度から振りかわってくるものが七百八十億ございますので、したがいまして、固有の投資税額控除に基づく減収は三百八十億円ということでございました。それは昨年の八千九百五十億のいわば外枠であったわけでございますが、今回はそれを廃止いたしますのでそれが一遍増収に立ちまして、このたび御審議をお願いしておる産業転換投資促進税制の純減収三百八十億円というものと入れかえたわけでございます。したがいまして、増減収はゼロ、制度改正による増、それから制度創設による減というものが見合っておる、こういうことでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 わかりました。  ただ、土地税制の改正ですね、これは税収の見積もりはなかなかむずかしいだろうと思います。しかしこれは大蔵大臣、自民党の政策なんでしょうが、どうも最近は雇用の問題も心配でございますが、それ以上に物価が値上がりをする。特に最近は土地の値上がり、これは供給減に基づく値上がりだという意見もあるわけですが、過剰流動性の問題等も考えますと、土地に向かう投資資金というものは相当なものがあるわけですから、それによって前の狂乱物価の引き金になりました苦い経験をわれわれは持っております。土地税制の改正の中で、大蔵省の土地税制改正がいろいろ提案をされましたが、結果的には今日の段階で反省をいたしますと、土地成り金をつくり上げ、税収は若干ふえたかもしれませんが、狂乱物価の引き金になって、そうして不公正税制の拡大につながったという苦い経験をわれわれは忘れることはできないのです。  そういうような意味から、この問題についての見積もりは非常にむずかしいとは思いますが、果たしてこれによって土地がうまく動き、新しい供給がふえていく、こういうことが言われることになるのか、それよりもかえってマイナスの面に働くものが大きいのではないか。特に税制の公正さの上から、この問題が地方税にまではね返るわけでございます。土地成り金のそういう譲渡所得を得る者との間における所得税上の格差も拡大をする。公正な税制を目指す金子大蔵大臣の方針とは逆の働きが生まれてくるのがこの内容でございます。そういうような点を考えてまいりますと、これはよほど気をつけていただかなければならない非常に重要な問題だ、私たちはそういうふうに思っておりますが、大臣はそれに対しては、いやおれに任しておいてくれ、大丈夫だという自信がおありになるかどうかを最後に承りまして、私の質問を終わります。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 最近、株式市場が活況を呈したり、また都市周辺の地価がじわりじわりと上がり出したもんですから、うかうかするとインフレにつながるぞという御心配の声を各方面から伺っております。私どももその点につきましては十分注意をいたしておるつもりでございまして、銀行貸し出し等を見ますと、若干ふえておるようでございますけれども、狂乱物価当時のあの列島改造時代に比べますと、それほど金が動いているわけではございませんで、むしろ動いているのは実需によるもの、仮需要で金を借りるところまではまだいっていないというのが私どもの認識でございます。ただ、いま御指摘のような点もございまするから、四十七年以来三回ぐらいにわたって金融機関には注意を喚起するための通達を出しておりまするけれども、先般大蔵省に関係者を呼んで、あの通達は生きているぞ、仮需要のものについては貸し出しを厳重に注意してくれという注意を喚起しておきました。また、今後の四半期ごとに貸し出しの状況をトレースするような方策を講じておる次第でございます。  いまのところは、事業会社その他商社も土地を抱え込んでむしろ処分ができないで困っているのが実情だと思うのですが、一方において、マンションでなければとても住宅宅地を提供できないということで、相当その方面への投資が重点的にふえておることは事実です。それから、個人の住宅ローンなんかを見ましても相当ふえております。問題はやはり宅地がないということでございまして、一方においては税制を緩めても宅地の提供はふえないぞという考え方も相当有力なる考え方があるのですけれども、しかし政策当局者としては、国土庁、建設省、農林省、関係各省といろいろと連絡をとってみて、どこかで税の面でもお手伝いをしないと、いまの大きな社会問題になっている宅地問題はとても解決しないというところまで追い詰められたものですから、従来の土地重課の枠組みはそのまま残して、優良な宅地提供につながるものだけやかましい条件をつけて穴をあけた、こういうことでございまして、法律が通れば一月一日からさかのぼって適用するようなことになっておりますし、それが少しでも、これは相当効くのじゃないかと関係各省言っておりますから大いに期待をしておるわけでございまするけれども、お役に立てば幸いだと思っております。しかし、これによって物価騰貴なり土地投機を再燃させないような注意だけは今後厳重にやってまいるつもりでおります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長代理 それでは次に、高橋高望君の質疑に入ります。

高橋高望民社党

○高橋委員 会社自体はそれほど大きい会社ではなかったのですけれども、最近パシフィック通商という会社が倒産して、その裏側に、公募して、悪い言葉で言えば食い逃げしたという印象がちょっとあるのですが、この辺についていま証券局の方ではどの程度この内情を御存じでいらっしゃいますか。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 先般、パシフィック通商が自己破産の申し立てをいたしまして、この自己破産に関連いたしましていろいろな問題提起がいま行われているところでございます。私ども証券行政の立場からいたしますと、二つの問題意識を持ちました。  第一は、パシフィック通商は三月決算の会社でございますが、昨年の三月決算では四割配当をしているわけでございます。九月の中間決算では赤字になりまして、それで二月に破算という事態に至ったわけでございます。急激に業績が悪化したわけでございまして、そのように業績が急激に悪化する例も無論あるわけでございますが、その決算の内容について不適正な会計処理がなかったかどうか、この点を現在調査しているところでございます。パシフィック通商は上場会社ではございませんので、大蔵省に提出いたします有価証券報告書は、本省ではなく関東財務局に提出しております。したがいまして、所管しております関東財務局で現在、パシフィック通商の財務内容について監査に当たりました公認会計士から事情を聴取する等調査を進めているところでございます。  第二の問題は、昨年の二月に第三者割当増資をしたわけでございます。この第三者割当増資は時価で増資をしております。それで、会社が破産したわけでございますから、第三者割当増資を受けまして株主になった者にとりましては、たしかあのときには一株六百円ということで増資いたしましたので、それがゼロになったという問題があるわけでございます。  ただしこの増資は、第三者割当増資でございまして、公募増資ではございません。つまり、不特定多数の者に公募をしたのではございません。通常、公募と申しますのは、これは慣行でございますけれども、百人未満の場合は公募ではないという慣行がございます。そういうケースでございまして、したがってパシフィック通商は商法の規定に基づきまして増資を行ったわけでございますから、この増資の過程におきまして証券会社の引き受け行為というのはございません。発行会社と増資を割り当てられた人との間の直接の取引の問題でございます。ただし、第三者割当増資にはいろいろな形態がございますが、このパシフィック通商の場合には証券会社があっせんをしております。これは引き受けではございません、あっせんでございますから、証券会社は手数料を全く取らないわけでございますけれども、通常、発行会社からの依頼を受けるあるいは発行会社のメーンバンクから依頼を受けて、そういう増資を受ける第三者を証券会社が探す場合もございますし、あるいは発行会社等からあそこへ行ってくれと言われて行く場合もございますけれども、そういうケースでございますので、通常の公募増資の場合の引き受けとは違うというふうに私どもは理解しております。しかし、この第三者割当増資であっせんする際に、どういうような経緯があったかということを私ども、証券会社から事情を聴取いたしたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、主として発行会社それから主取引銀行からの依頼を受けてあっせんをしたという説明を受けているところでございます。

高橋高望民社党

○高橋委員 確かにお話しのように線引きのかげんで、これは直接御担当ではない、大蔵本省の御管轄ではないという御判断はわかるのですけれども、私は底流として持っているものは同じだと思うのです。  それからもう一つ、第三者割当といってもいろいろあって、この場合に三十七社ですか、かなりの大きな会社が一方的に引き受けているという事実も確かにございましょう。しかし私は、これもまた同じようにその底流に、この種の公募問題を含めた何か証券業の抱えている問題が、形は——形というか、表面に出てきているものとしては違った形になっておりますけれども、底流として証券行政が抱えている何か目の行き届かないというか、逆に言えば、従来のやり方がそのまま残してきたものがまたまた表面化してきたというふうに取り上げたいわけです。確かにお話しのように、五十円の額面をたしか六百円で三百万株か何か出しておられる、間違いございませんな。——そうなると、必ずだれかのところには金が入っているわけです。  ですからそういう意味を含めまして、大臣かわられたところでございますけれども、証券行政の従来からやっていらっしゃる近代化あるいは証券市場自体の近代化というようなことに関して、過去一年間どういうふうな手を打ってこられましたか、この辺ひとつ歴史的に振り返ってみていただきたいと思います。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 証券行政は、証券取引法の目的に即して行政を行うわけでございますが、証券取引法の目的は先生御存じのように、基本的には投資者保護であり、かつ、有価証券の発行、流通を公正ならしめるあるいは流通の円滑化を図るというのが証券取引法の目的でございます。  この法の目的に即して証券行政を行うわけでございますが、ただ、証券市場というのは非常に流動的なものでございます。同時に、証券市場に関しましては、証券取引所、それと証券業協会という二つの組織があるわけでございまして、いずれも証券会社が組織する機関でございます。同時に、これは単なる証券会社の集まりということではなく、証券界あるいは証券市場の自主規制機関であるわけでございます。いずれも証券取引法に基づく機関でございますし、かつ、取引所また証券業協会も、流通市場あるいは証券会社の営業姿勢の問題について自主的にいろいろなルールをつくっているわけでございます。したがいまして、証券行政上証券局がいろいろ展開していくというものばかりでなく、証券取引所、証券業協会が自主的にいろいろな措置を講じていく事例もいろいろ多いわけでございます。  そういうものを含めますと、たとえば最近急速に拡大してまいりました公社債流通市場、これが当面の問題であったわけでございますけれども、公社債の流通市場において投資者にその情報を開示していくということが一番必要なわけでございますが、御存じのように、公社債は全銘柄が取引所に上場されているわけではございません。証券会社の店頭売買が圧倒的に多いわけでございまして、したがいまして、証券会社の店頭売買の気配値というのが投資者に対して、流通市場における公社債の価格を開示するということになるわけでございます。かつてはそれを一週間に一回しか発表していなかったわけでございますが、それを三回にし、現在では毎日そういう気配価格を発表している。しかも、かつては売りと買いの仲値をとった一本の値段でございましたけれども、現在は売り気配、買い気配も出しているというふうに、公社債流通市場の情報開示というのもこの一年の間に整備が図られてきているというふうに私ども思っております。これは先ほど申しました自主規制機関である証券業協会の自主ルールでやっているわけでございます。むろんこういう自主ルールを作成するに当たりましては、証券局も相談を受けるあるいは必要に応じて助言を与えているわけでございます。  なお国債につきましては、全銘柄が上場されているわけでございまして、したがって他の公社債とは違い、もう少し取引所取引の厚みを増す必要があるのではないかという問題がございまして、これも昨年来いろいろ検討を進めまして、現在取引所のルール等の整備等も終わりまして、この四月から国債の取引所取引にかかわる新しい仕組みがスタートする予定でございます。これによりまして国債の取引所取引の厚みが増し、かつ、価格の公示という機能も従来以上に高まってくるのではないかと思っているわけでございます。  また株式市場につきましても、一つの事例を申し上げれば、先生すでに御存じのように、昨年来株式の買い集めの問題がいろいろ議論されまして、特別報告銘柄制度というのが発足したということも一つ言えようかと思いますし、かつまた、信用取引制度を改める問題、これは非常にテクニカルなことではございますが、大証券というよりもむしろ中小証券のいろいろな要望というものがあり、やはり中小証券の立場というものも考えながら、信用取引制度の改革、それによる流通の円滑化というのも促進してまいった次第でございます。  また、発行市場サイドを見ますと、円建て外債が急速にふえていく過程におきまして、発行形態の多様化等が、転換社債にも新しい種類が生まれる等、昨年来それが進んできておりますし、また今般は、外国企業ではございますけれども、日本にはいままでなかった無担保債の発行、これは厳格な適債基準を設けたわけでございますけれども、そういう発行形態の多様化というのも進んできているわけでございます。  ただし、そういういろいろな制度を進めていく上におきまして、やはり現実に問題になりますのは投資者保護の問題でございます。しかし投資者保護の問題は、その制度というよりもむしろ証券会社の営業姿勢自身の問題でございます。したがいまして株式の取引におきましては、いろいろ投資者保護の問題というのは現実に、そのすべてがそうということではございませんけれども、個々の問題で起こることは残念ながらあるわけでございまして、そういう際には私どもは、実態を把握し、証券会社の営業姿勢を改める、それを指導するということは個々の問題としてやっているわけでございます。  したがいまして、何か一つ非常に大きな制度に取り組み、それを実現したということは言えないかと思うのでございますが、しかし、証券市場というのは非常に流動的な市場でございますし、経済、金融の環境に伴って変化していくものでございますから、その状況のもとで私どもとしては、取引所、証券界とも十分意思疎通を図りながらそういう問題に取り組み、一つずつ積み上げてきていると思っておりますし、またそういう方向で今後もやってまいりたいというふうに考えております。

高橋高望民社党

○高橋委員 私が申し上げたいことは、大手の証券業界並びに大きな企業は、最近はこういう点ではずいぶんといろいろな意味で心するようになってきていると思うのです。問題は、線引きの問題もありましょうが、まず企業で言えば上場会社にならない程度の会社、それから証券業者の方で言えば悪い意味での過当競争をやるところ等々がいろいろ動くことによって、証券市場全体に対する信頼感といいましょうか評価を下げているということですね。ですからこれも別な言い方をすれば、取引の流動化が進むにつれて、何かもう少しいい意味で証券局がこの辺に対して、監督と言うとちょっとオーバーかもしれませんけれども、監視ぐらいをもう少し進めないと大変な、気がついたときにはぽこぽこまた穴をあけてきちゃっているというようなことが、いままでもありましたし、これから先もあるように思われてならないんですね。ですから、都合の悪いところになると取引所の機能の問題だとかというふうに割り切らないで、やはり一つの方針として大きく証券業界に対して流されて、それの翻訳をした形を業界にさせるといったふうなやり方の方が私は間違いが少ないように思いますけれども、その辺はいかがでございますか。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 先生のいまの御指摘の点、まことにそのとおりだと私も思うわけでございますが、しかし御存じのように、四十三年に証券業が免許制に移行したわけでございます。それ以前は登録制時代でございました。登録制時代は自由に証券会社をつくることもできましたし、また非常に小さい証券会社も数多くて、証券会社をつくったもののまたつぶれていくというケースも非常に多かったわけでございます。またそのつぶれていく過程で、保護預かりの有価証券を流用するというふうな大きな問題なんかもあったわけでございますが、四十年の証券不況を経験し、四十三年に免許制に移行しまして、私は登録制時代よりも、これは中小証券も含めまして、証券界の営業姿勢あるいは財務体質は改善はされてきていると思います。  しかし証券取引と申しますのは、特に株式取引につきましては、やはり株式の売買による利益追求という投資家の要求もございますし、そこでどうしても証券会社と投資家との関係で具体的ないろいろな問題が、前よりは減ったというものの、あることも事実でございます。そういう問題に対する基本的な考え方というのは、基本はもうすでに証券取引法に規定があるわけでございますし、かつまた、以前にそういう営業姿勢に関します基本的な通達も大蔵省から出しておるわけでございます。また、それを受けて協会でもいろいろな自主ルールをつくっているわけでございまして、そういう基本的な投資者保護の考え方というものは以前から打ち出しているつもりでございますし、証券界もそういう意識は持っていると思います。ただ、何分にも証券の営業マンの数も多うございますから、個々のいろいろな問題が残念ながら出ていることは事実でございます。したがいまして私どもは、検査等を通じて十分実態を把握し、個々に出てきた問題をとらまえて、それを単に証券会社に注意を喚起するだけではなく、そういうようなことが起こりにくくするような仕組みというものはやはり考えていく必要があろうかと思います。  そのためには、先ほど申しましたような取引所や協会のルールばかりでなく、証券会社の自主ルールという形で整理しているものもございますし、あるいはまた、証券会社に指導いたしまして社内ルールをつくらして規制しているものもございます。最近非常に多くなっております現先取引、特に着地取引の問題というのは、そういう自主ルールで秩序づけをしておりますし、また公社債につきましては、実を申しますと本券が出ない段階の売買が行われますので、本券が出ない段階では預かり証で受け渡しが行われている例もございます。これも雑に流れますと投資家保護の問題が出ますので、預かり証に基づく受け渡しについての自主ルールというのも近く指導して証券会社が設けるというふうなことも考えておるわけでございます。  先生御指摘の点、まことにごもっともでございまして、今後ともそういうことを意を体しながら指導してまいりたい、私ども考えてまいりたいと思っております。

高橋高望民社党

○高橋委員 いま少しお話を戻していただければ、私、今度のパシフィック通商の仕事をやったのは日興証券だったと思うのです。日興証券さんのような大証券会社がこんな程度の調査能力で、あるいは調査機能でこういうふうな仕事をする、この辺も考えてみればずいぶん雑な話だと思うのですね。少なくとも一年程度の間にこんな極端に破綻しちゃうような会社を五十円を六百円で募集しちゃったりなんかするという、名前を挙げてどうかと思うのですけれども、こういう日興証券さんなんかの体質から考えても、逆に言えば、証券企業の持っている、また証券業界の持っている、何か本来の大蔵省がお考えになっておられるようなねらいとは違った体質をまだいっぱい残しておるように思えてしようがない。ですから、会社自体、対象会社は小さい会社ですけれども、取り扱ったのは四大証券会社の一つですから、その辺をひとつあわせお考えいただいて、運営といいましょうかいろいろな指導と申しましょうかこういう点、局長、ひとつお考えになっておいていただきたいと思うのでございますがね。

渡辺豊樹大蔵省証券局長

○渡辺(豊)政府委員 先ほど申し上げましたように、第三者割当増資をいたしましたのが五十三年の二月でございます。一番直近の決算期が五十二年の三月でございまして、その五十二年の三月期までパシフィック通商は毎年五割の配当をしていたわけでございます。しかも、公認会計士の監査意見は適正意見であったわけでございます。五十三年二月に第三者割当増資をした後の五十二年三月期も、先ほど申し上げましたように四割配当をして、公認会計士の意見は適正意見であった、そういうことでございまして、その企業の財務内容に関しまして一番的確にその内容を見るのはやはり公認会計士でございますから、五十二年の三月期の決算内容が不適正なものであったかどうか、まだ調査中でございまして何とも言えないわけでございますけれども、やはり証券会社の立場からいたしますと、その財務内容にどこまで入って的確に審査ができるかという問題があろうかと思います。ただし、一般公募の場合には引受責任がございますから、そこで当然引受審査というのが行われるわけでございますけれども、第三者割当増資の場合には先ほど申しましたように、むしろ発行会社や取引銀行からの依頼を受けてやるわけでございますから、厳格な審査はしていなかったということは言えようかと思います。  しかしただいま先生御指摘のように、第三者割当増資といえどもあっせんということで、手数料はもらっていなくても、やはり証券会社として介在する以上は、極力その企業内容を見る必要があるではないかという御指摘かと思いますので、そういう点はこの機会をとらえまして、引受証券会社とも協議を進めながら、どの程度までこれをやっていけるか、実際にはなかなかむずかしい問題があろうかと思いますけれども、やはり慎重な態度でこういう問題に取り組むように、頼まれたからほいということではなくやっていくように私どもも指導してまいりたいと考えております。

高橋高望民社党

○高橋委員 それで、租税特別措置法の本来の有価証券譲渡益課税の問題に入らしていただきますが、従来の五十回、二十万株ですか、これでどれくらい一年間に、つかまえたと言うとおかしいのですけれども、押さえ切れたものなんですか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 申告に基づきまして各納税義務者から五十回、二十万株の継続的大量取引の納税が行われていると思うのでございますが、その部分だけをとりわけて集計をいたしておりませんので、全体としてどのくらいの税収になっておるかということは、所得税の本則の問題でございますから、私どもの方では把握をいたしておらないわけでございます。     〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

高橋高望民社党

○高橋委員 われわれの感じとして、これをしっかりと課税できたという感じは余りないのですね、正直なことを申し上げて。というのは、二つのうち両方がさわらなければ適用を受けないという課税の中において、なかなかこれは現実の問題として課税できてなかったのだろうと思うのです。今度は、一銘柄について二十万株以上というふうに大変はっきりとしていらっしゃったので、大蔵省御当局とすると、悪い言葉で言うと、これはかなり自画自賛なさるところがあるのだろうと思う、今度はうまくやるよという。その辺については、どんなふうなお見通しを持っておられますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 いまも御質問の中にもございましたように、従前の五十回、二十万株という継続的取引につきましては、特にその回数の基準について税務執行上困難があると執行当局の方からも私どもの方に言ってきておったわけでございます。今度一銘柄、年間二十万株以上の株式を売った場合、これを課税対象に加えるという改正をお願いいたしておりますが、これは回数のいかんにかかわらずという点で、従前の所得税法の外しております継続的大量取引、これに比べますと執行はずっと容易になってまいるということと、一銘柄ごとに課税の可否を判定し得るということで、執行面からも妥当な改正であるというふうに思っております。ただしこれにつきましては、申告所得税が本旨でございますが、納税義務者の申告というものを、原則として申告に基づいて課税を行っていきたいというふうに考えておりますが、そのほか、それが不十分である場合には調査ということになるわけでございますけれども、原則として特別の資料をとってそれによってこの分を課税するという制度をいまのところ考えておりません。

高橋高望民社党

○高橋委員 そうすると局長、現実の問題としては申告者の行為に任せる、こういうふうに割り切ってよろしいわけなんですか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 第一次的にはそういうことでございます。ただしその場合でも、一銘柄ごとに二十万株と客観的に非常に明らかになっておりますので、これは執行面でも従前の制度に比べれば容易であるということ、私どもとしてはさように思っております。

高橋高望民社党

○高橋委員 それでは、執行面で直接の窓口はどういうところでおやりになりますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 これは個人の所得税でございますから、原則として税務署でございます。非常に高額の所得者の場合に国税局ということがあるかもしれません。原則は税務署でございます。

高橋高望民社党

○高橋委員 その辺で、証券会社とのコンビを組むというようなことはお考えにならないのですか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 たとえば証券業者が売買をやった場合に、個人の銘柄ごとの売却株数を税務署に支払い調書とかそういった形でお出しいただくということは考えておりません。

高橋高望民社党

○高橋委員 その辺については理解いたしました。  問題は、やはりとかくこういう問題に不公平な税制というか金持ち優遇、持っているものだからこういうことができるんだという声が町にございますので、どうぞひとつ適用に当たってはより厳しくやっていただきたい。ある場合には調査の対象にして、年間を通じて何件こういうものが取り上げられたかというようなことを報告願えるような取り上げ方をしていただけると、不公平感が幾分でもやわらぐかと思いますので、その辺もあわせてひとつお願いを申し上げておきます。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 有価証券の譲渡所得課税の段階的な強化の措置でございますから、仰せのような点も考えまして執行当局とよく相談をいたします。

高橋高望民社党

○高橋委員 ありがとうございました。  それでは次に、通産省の方お見えいただいておりますので、転換投資減税のことでちょっと伺ってみたいと思います。  実際の数字等は大蔵省の方でお持ちかとは思いますけれども、まず最初に、昨年一年間の期限でおやりになられた投資促進税制、これは大体どれくらいの額になって、また見込みに対してどれくらいの見通しでございますか、金額的にどれくらいつかめそうでございますか。

山下正秀通商産業省産業政策局企業行動課長

○山下説明員 五十三年度におきましては御承知のように投資促進税制ということで、大企業においては特定設備を取得した場合、中小企業においては七十万円以上の機械設備を取得した場合に、一〇%の税額控除を認めるという制度が創設されたわけでございますけれども、これの実際の適用の数字につきましては、種々アンケート、金融機関等の調査でこの制度の周知の度合いあるいは利用の意向というものは、個々にいろいろな形で報告あるいは状況の把握をいたしておりますけれども、具体的な数字ということになりますと、これは事業年度終了後において税務申告いたしましてその数字が確定するということでございまして、まだ五十三年度年度途中でございますので、数字は具体的には掌握してございません。

高橋高望民社党

○高橋委員 確かにそのとおりだと思うのですけれども、要するにいまおっしゃるようにアンケートを含めて動きとして、反響といいましょうか恩典に浴したという声というのは、お考えになっているのに比べていかがでございますか。案外税制が生きてない場合もございますし、現段階ではいかがでございますか。

山下正秀通商産業省産業政策局企業行動課長

○山下説明員 大企業、中小企業それぞれに利用状況についての反応等ございますけれども、特に大企業の中には、これは特定の省エネルギーあるいは公害防止設備等の特定設備に対象が限られておりますので、その限りにおいては、そのような設備を取得する計画を持っている、現に取得している企業については非常に利用の意向が強いということでございますけれども、当然のことながら対象となっていないものについてはこの効果がございませんので、その点について、多少全体としての投資促進という効果につきましてはある限定されたものということでございますが、これは制度の性格上やむを得ないものということでございます。

高橋高望民社党

○高橋委員 大臣お疲れのようでございますけれども、恐れ入りますが、私、前にもちょっと申し上げたかと思うのですけれども、こういう財政事情の中で減税したくない、できることであれば増税だけで減税なんか一切したくないというふうにお考えになるのはわからないじゃないのですけれども、事製造業といいましょうか装置産業も含めて、ある時期に設備のスクラップ・アンド・ビルドをしっかりやっておかないと、後年国として大変なマイナスが出てくる。そういう点については、具体的な数字もさることながら基本的な考え方として大臣のお立場で、製造業と税制というものに対してどのようにお考えになっておられますか、御意見をちょっと承りたいと思うのです。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 昨年この制度、投資促進税制を取り上げるときもいろいろ議論があったのですが、とにかく非常な景気変動期、不況期だから、思い切ってひとつ投資促進の意味でこういう税制をこしらえようやということでやったわけでございまして、明年度におきましては、不況産業の産業転換についてということに限定をいたしまして、その制度をそっくり引き継がせるようなことにいたしたわけでございます。私といたしましては、この制度を新年度におきましても生かして効果を上げてもらえば大変幸せだと思っておる次第でございます。  製造業についてももちろん、ある程度思い切って投資の誘引になるようなところまでいけるといいのですが、財政上の限界もあるものですから、大変やかましい制限をつけてやっておるような次第でございます。

高橋高望民社党

○高橋委員 国全体の方向として私はこれをあえてもっと進めて、租税特別措置法の対象なんかにしないで、もっと座り心地のいいきちんとした法律にしてしまって、毎年検討するというよりはもう国としてそういう方向になっているんだからという取り扱いをすべきじゃないか、そこまで考えているわけです。と申しますのは、大変失礼ですけれども、どんなにやりくりが窮屈でも——どんなにというとちょっとオーバーですが、やりくりが窮屈でも子供さんを学校に行かすということについては、きちんとした御家庭であればあるほど、進学に対しては他の分を割いてでも学校に通わせてしまう、やりくりしてしまう、それが私は一つの家庭の無言のうちの約束事だと思うのですね。そういう点を考えていった場合に、租税特別措置法などで取り上げるというような程度では不十分だし、また、どうして一〇%にしたんだか、あるいは二年の年度にしたんだか、この辺も恐らく名前だけだろうと私は思いたいですね。こういう表題だけ変えて、実際は毎年ずっとやっていただきたいことを、昨年は投資促進減税、ことしは転換投資減税、こういうふうに名前を変えただけで年々展開をなさっておられると思いたいのですけれども、通産省はお役所内での意見が違うというようなことはまさかここで御説明願えないと思いますけれども、通産省御当局としては、こういう問題についてはどんなふうに考えておられますか。

山下正秀通商産業省産業政策局企業行動課長

○山下説明員 昨年といいますか現行五十三年度の投資促進税制ということにつきましては、その創設の趣旨、つまり適用を一年間限り、五十三年度限りということによって、景気振興策としての民間設備投資の促進、つまり実際の具体的な効果は、当初計画がこういう状況の中で翌年度以降に繰り延べられる、計画が予定どおりには行われれないという状況が一般でありますので、それが五十三年度中に行われることによって繰り延べられない、つまり予定どおり行われれる、そういう意味の歯どめ効果、及びインセンティブが五十三年度限りということによって五十二年度中の投資を新たに促進するという繰り上げ効果、その二つの趣旨から五十二年度限りということで創設したものでございます。これに対しまして今回、五十四年度税制改正において御審議いただいております産業転換投資促進税制につきましては、現在の経済情勢にかんがみまして、産業構造の変革の推進あるいは雇用失業問題の解決という政策目的を踏まえまして、構造不況業種、中小企業を対象とする投資税制を講ずる必要があるということを考えまして、大蔵省と種々御相談の結果このような案として御提案申し上げているわけでございます。

高橋高望民社党

○高橋委員 問題はそこら辺なんですね。ですから、名目だけとは決して申しませんけれども、中身としてもとにかくはっきりとした投資促進、去年は名前のとおり投資促進で、ことしは産業転換というのが上にくっついたようですけれども、私のように割り切って、産業転換という名前がつこうが、とにかくそんなことは関係ないんで、投資促進をするんだ、これは企業優遇でも何でもないんだ、これをしなければ国の長期にわたっての大変なマイナスになる、後年の人に対して無責任なことになる、こういうふうに割り切らなければいけないところに来ていると私は思うのです。去年も通産省の当時の立案者の方にもお願いしたのですが、どうしてもこういういろいろな文句をつけたり題目をくっつけたりしないと何か運びが悪いような風潮なんですね。ですから、この辺はもっと思い切ってお考えいただきたい。  ここで主税局長に伺いたいのですが、これまたどのくらいの減税を見ていらっしゃるのですか。去年と大体同じ程度の減税を見ていらっしゃるのですか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 今回の産業転換投資促進税制に基づきます減収額は、グロスで申しますと八百三十億でございます。ただしその中で四百五十億は、中小企業の特別償却とか特定設備の特別償却、これと選択制になっておりますから、恐らく特別償却よりはこちらの制度を使われるものと思いますので、そこは重複でございます。したがってネットのこの制度に基づきます減収額は三百八十億というふうに計算いたしております。全体の八百三十億の中で四分の三が中小企業、四分の一が大企業という利用割合になるのではないかというのが、通産省にいろいろお話を伺って私どもの方で立てておる目算でございます。

高橋高望民社党

○高橋委員 さらにくどく伺いますけれども、主税局長、たとえば私は中小企業の立場でお尋ねするとしたら、中小企業に対しては優遇してしまった、あるいはし足りない、どちらをお考えになっていらっしゃいますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 通産省からもお答えがありましたのですが、歯どめと前倒し、この二つの効果をねらうわけでございます。それによって産業転換の投資を集中的にこの二カ年度内にやってもらいたい、こういうことが政策のねらいでございますから、したがって、歯どめ、前倒し、いずれも期間に関係いたしております。一定の期間に集中的にそういうことをやってもらいたい、そのために時限的に税金を軽減いたします、こういうことでないとなかなか出てまいりません。一般的にたとえばアメリカでは、法人税法の本則で投資促進税制というものを設けております。これは一〇%の税額控除で、いまは下がっておるというふうに承知しておりますが、これもいろいろ言われておりまして、学者の意見などを聞いてみますと、ああいうふうにいつまでも七%ないし一〇%の税額控除があるということだと、法人税の負担をまけたということにはなるだろうけれども、投資を促進するということに果たしてつながるか。くどくなりますが、法人税を軽減した場合に投資に響いてくるのは二つあると思います。一つは、資金のアベイラビリティーがふえてくるということだと思いますし、もう一つは投資の見込み収益率が上がっていくということだと思います。それが恒常的に設けられたのでは、ねらっておりますような投資の吸い出し効果に疑義があるというのが、大体学界ないし評論家の考え方のようでございます。そういうこともございまして、当面の産業構造転換の促進を図ることが政策の急務であるということから、これに期限をつけておるわけでございます。

高橋高望民社党

○高橋委員 大蔵省のお立場からは、やらない方の資料を一生懸命見つけてくるわけですね。私たちの方では、やりたい方の資料を一生懸命探してくるわけです。私たちの立場に立てば、たとえば償却はこちらの方が長過ぎる、アメリカの方が償却が中小企業なんか短い、こういう例もあるわけです。ですから、そこは立場、立場でいろいろ違うと思います。  大臣、重ねてでございますけれども、余り短い間にちょこちょこ法律を再度また出してきたりというようなことじゃなしに、もう少し何か考えていただいて、優遇策の方へ変えられるのはありがたいのですけれども、現行と同じだなんて言うなら、法律の名前だけ変えて出さないで済むようにしていただきたいのですが、いかがでございますか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 あなたのような考え方、まさにあると思うのです。しかしいま一番必要なのは、とにかく投資が減退してしまって景気がなかなか回復しない、それを少しでもお手伝いして民間がひとり立ちできるようにするためにはどうしたらいいかということで、時限立法でこれを出したということでございます。今後の景況、景気の動向いかんによってはそれはまたそのときに考えることにいたしまして、とりあえずこれを十分に活用していただくように通産省を通じてお願いをしておる段階でございます。私も、民間企業に活力を与えるために少しでもお役に立つ手があれば、それは政策として大いにやってしかるべきだと考えておる次第でございます。

高橋高望民社党

○高橋委員 私の生の経験からいきましても、たとえば安全の装置をつけた機械については、償却の年数を短くするとかあるいは税額で有利な税を認めるというと、その機械の需要がふえるのですね。ですから、これはただ単に産業転換投資というのではなしに、とにかく何か刺激を与えれば投資減税というのは絶えず続くし、また続かせざるを得ない。それから、皆様御専門でいらっしゃいますけれども、たとえば機械が古くなってきた、古さを何で判定するかということも最近問題があるわけです。製造年月日が古くて油漬けになっている機械、それを古いというのか、あるいは高性能の機械、これは化産量とは言いませんけれども、高性能の機械に対してより高性能のものが出た場合には、古いものは仮におとといこしらえたものでも古いという取り扱いをしなければいけないとか、いろいろこれは通産省の方も含めてお考えいただいた上で、ひとつ投資ということに対してはお考えになっていただきたい。投資をするとすぐ数をつくるのだというふうにお考えいただくのはまことに狭い了見でして、数もそのうちの一つでありますけれども、その道、その道の人に言わせれば、高性能の機械というのが今後要求されますから、そうであれば、必ずしも産業転換などという言葉だけで表現されない、高性能の機械というものに対しての配慮、そうであれば、投資という名前だけで処理する方がよりまともに理解しやすいし、取っつきやすい、こんなふうに私は思うのですが、通産省の方では、この辺についてどんなふうにお考えですか。

山下正秀通商産業省産業政策局企業行動課長

○山下説明員 一般に石油ショック以後の経済情勢の中で民間設備投資が沈滞してきている、これは、設備過剰で設備の操業率が低い、よって追加投資の意欲が起こらないという、その現実の需給状況があろうかと思っておりますけれども、このような状況というのはある意味で、高度成長期から安定成長期への調整期に起こる一時的な現象という面もあろうかと考えておるわけでございます。最近数年のような非常に低水準の民間設備投資が、近い将来あるいは将来にわたって続くということになりますと、御指摘のような設備の平均年齢の長さ、老朽化といいますかそれが進むことによりまして、日本の製造業なり産業の競争力が衰えてくるというようなことが現実の問題として問題になる時期があるかどうかというところでございますけれども、われわれはいま現在の判断といたしましては、それだけの状況にはまだなったと判断するのは早いのではないか。十分状況を見定めまして、御指摘のような問題が生じないようにわれわれも産業政策の立場から十分注意してまいりたいと考えております。

高橋高望民社党

○高橋委員 くどいのですけれども、量をつくるのが投資というふうにお考えにならないでいただきたい。量もその一つでして、量をとめても質の面で競争力を持つということはいつの場合でも要求されますので、そういう意味での投資というふうにお考えいただかないと、私は後手を踏むのではないかと思います。  ここで私の考え方を申し上げるのは恐縮ですけれども、いま構造不況業種というものが抱えている問題の中で、どうして構造不況になったかということの一つに、質を発展途上国を含めて他の国々に見せ過ぎた、質を見せ過ぎたためにいま取り返しがつかないという問題が私はあると思うのです。名前を申し上げてよろしいかと思いますけれども、本田技研の元社長になられますか、本田宗一郎さんが私などに教えてくださった中で、あの工場を見に行くと、どこでもごらんになっていいです。写真を撮ってもいいですかと聞くと、撮ってもいいよと言う。それの裏づけというのは、現在工場のラインで動いている姿、逆に言えば、それで飯を食っている、現在かせいでいる品物も、もっと上のものがすでに用意ができていて、だから現在のものを見せたって大丈夫なんだよ、こういうことを本田さんが私に説明してくださったのを私はいまさらのように思い出すのですけれども、それだけの自信もあると同時に、それだけの研さんを積んでいらっしゃるわけですね。ですから、これは数ばかりではなしに質の面からいっても、もう一つ別なものが用意されて、次元の高いものが用意されていればこそ、現在の設備あるいは生産方法というものを人に見せられる。ところが、これがないままにただ単に調子よく発展途上国を含めて援助したりあるいは売ったりしてしまいますと、後でどうにもならないことになってきて、考えたときには非常な構造不況の一つの原因にもなってくる。こういう点も考え合わせますと、くどいようですけれども、どうかひとつ投資促進ということは、景気の問題とは同じ次元でお考えにならないで、とにかく景気の悪いときだったら質を一生懸命やる、あるいは国際競争力でとかく外部から声の出ているときも質を検討する、そうして一たん景気が出てきた場合には量も含めた闘いをする、こういうふうな取り組み方をすべきでないか。これは私の一つの考え方ですけれども、そんなような中でのこの問題の取り上げ方をひとつお願い申し上げたいと思います。  最後に、これはお届けしてなかったことですが、大臣せっかくお見えなので、いろいろなところで伺っておりましたが、例の医師税制のことについて一、二……。  今度お取り上げになった医師税制ですが、私は、いろいろな租税特別措置法は期限を切ってやるべきだということをよく一つの条件に申し上げているのですが、医師税制に対しての期限と申しましょうか見通し、これはいまどんなふうに御理解をなすっていらっしゃるのでございますか。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 医師税制は、たびたび申し上げておりますように、いろいろな経過をたどってやっとここまで来たわけでございます。私どもとしましては、概算経費率五二、それから特別控除等組み合わせて各段階にああいうふうな率を決めたわけで、まあまずまずのできばえだと考えておるわけでございます。したがって、これをここ二年とか三年とかいうことに特定する必要は毛頭ない。とりあえずこれで当分の間進めて、また社会経済情勢が変わってきたら、その段階において十分検討いたします。決して未来永劫これでいくなどということは毛頭申しておるわけではありません。必要なときにはまた見直しますけれども、当分この線でまいりたい、こういうことでございます。

高橋高望民社党

○高橋委員 当分の間というふうに今日段階で承ってよろしゅうございますね。——ありがとうございました。終わらしていただきます。

加藤六月自由民主党

○加藤委員長 美濃政市君。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 若干質問いたしたいと思います。  けさの参考人の意見を聞いておりましたら、まず、いまあらわれておる現象は、財政の赤字は巨大なものである、歳入の見積もりをないがしろにして歳出を拡大したのが最大の原因、今日になれば、予定した景気の回復が行われたとしても、その波及効果によって回収できるものではなくなった、こういうことを参考人は言っております。これは私もそんな気がするわけですね。しかし、過去において財政特例法やその他を審議した経過の中で政府側から、こういう財政運用をすればこういう結果が出ます、景気の回復やその他が行われるのでということで、最近言われておるような新たな一般消費税のようなものをつくって国民の税負担を求めなければ、こうして発行する国債の後締めはつきませんというような表現が国会で行われたことはないわけですね。この食い違いはどうなったのか。見込み違いなのか。初めからこうなるということを財政当局は知りつつ、そんなことを言ったら余り刺激的で、財政特例法なんか通らぬから、いいかげんなことを言っておいて、こうなることをあらかじめ予期しながら、さあこうなったんだから財政の危機だ、何か人ごとのように聞こえるのですね。財政当局みずから言っておりますね、財政の危機と、私どもから言うと何か人ごとのように。こうなった原因にはやはり人為的なものがかなり多いと私は思うのですね。過去の経過と、どうなったのか、食い違いなのか、最初から予期しておりながらいいかげんにやってきたのか、この御意見を承りたい。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 大変むずかしい問題でございますが、石油ショックの後、非常な不況に日本が襲われまして、それで当時の政策の中心は景気回復にあったと思うのであります。それでそれをやるためには、どうしても財政主導型の景気刺激型の予算を組まなければいかぬということで数年続けてきたのですが、経済構造の変化が余りにも大き過ぎて、景気刺激型、財政主導型の予算を組んでもなかなか思うように景気の回復効果があらわれなかった。特に昨年の例をお考えいただければこれはもう美濃さんおわかりいただけますように、当初はもっとしっかりした予算を組めよということで、これでもかこれでもかとやってみたのですが、七%成長もとうていできない。それは一つには、やはり日本だけの経済環境ではございませんので、特に昨年というか本年度のごときは、国内の方は内需はある程度伸びてきておりますけれども、為替の変動が余り激しくて、外需が内需の足を引っ張って七%成長できなくて、その続きで、新年度予算をどうするかということになりましても、やはり大きな経済の落ち込みがありますとこれはすぐ雇用に響きますから、景気と雇用はうらはらでございますので、政策の重点としてはどうしても経済をそう大きく落ち込ませないように、雇用だけはしっかり確保しなければいかぬ、これは政策目的として当然でございますが、その間、いろいろな外的な要因も加わって、しかも国内における経済構造の変化もありまして、思うようにいかなかったということは大変残念なことでございますけれども、率直に申しまして、初めからできないとわかっていながら故意に大丈夫ですと言ったわけでもございませんし、人為的な結果でこういうことになったわけでもないと私自身は考えております。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 そこでお伺いしたいのは、たとえば財政主導型で、景気が予定の経済成長を示して、たとえば税の自然増収が四兆円ないし五兆円というか、石油ショック以降財政主導型の財政に変わって、あの当時から税の自然増収が四兆円ないし五兆円見込める状態であれば今日、財政は違ったと思うのですね。ことし三十兆円近い税収が見込まれるということならば、何も財政上の問題はないですね。いわゆる財政主導型の公共投資が成功した、こう言えると私は思うのですね。そこへそれがいかぬところに、それが国民に転嫁されて、しかし財政をそのまま放置するわけにいかぬから、新たな税金をつくってでも財政再建をやらなければならぬ、こうなってきておると思うのです。当初はどうだったのでしょう、当初の計画どおりいったら、たとえばことしの税収はどのぐらいに見積もれたとお考えになるか、これを参考のために聞いておきたいと思う。当初の計画どおり景気が動いたとしたら、ことしの税収はどのぐらいに見積もれるであろうと推定してこれをやってきたのかということ。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 特例公債を発行いたしましたのは五十年度の補正からでございますが、五十一年の特例公債法とそれを含んでおります予算の御審議をお願いいたしました際に私ども財政収支試算というものをつくりまして、国会の御審議の参考に御提出したわけでございます。その際も、やはり落ち込みました五十年度の税収の実績から、通常私どもが用いております長期弾性値一・二で経済成長率を一〇%程度で延ばしてまいりました場合には、正確な金額をちょっといま調べておりますけれども、やはり十兆円に近い財政の、まあ増税用所要額と言いましたら語弊がございますけれども、現行税制で埋まらない財政のギャップというものがある。その場合でも投資的な支出につきましては、揮発油税等特定財源にされるものを除きまして、建設公債を出しながらなおその程度の大きな穴がある、こういう認識であったわけでございます。  いま美濃委員仰せのありましたのは、四十九年からこのようなエネルギーの価格ないし供給についての制約がなくして、四十八年度までの高成長時代がそのまま続いておったらどうなったであろうか、こういうことかと思いますが、その点につきましては、私どもは数字的な計算というのをいたしておりませんのです。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 出た結果の可否を論じても、それは結果でございますが、しかし私どもとしては、やはり財政特例法の審議の中でこういう結果が出るのではないかということが予測されて、審議の中あるいは採決にも御存じのような態度で臨んだわけです。したがって私どもとしては、こういう結果が出たから急に国民にこの結果を直ちに転嫁する——今度の課税特別措置の中でも、不公正の是正については不十分だという意見を持っておりまして、不公正の是正については賛成ですね、従来から言ってきておるわけです。しかし、揮発油税とかこういう全く新たに国民にこのしわ寄せを転嫁して、この結果に対する反省なり、あるいは簡単に国民負担によって財政の再建を図ろうというのじゃなくて、政府みずからが歳出の見直しなりそういう姿勢をきちっととることが先でないか、こういう考えは私どもにはどうしても、この審議をめぐってその主張はあくまで貫いていかなければならぬ、こう思うわけです。それに対してどうお考えになりますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 経済の構造がかように変わりまして、構造的に大きな財政の赤字を抱えるようになったという現状、それから雇用ないし、経済の維持を図りますために相当の大きさの歳出を維持しなければならなかったという事情、それらの点につきましては、先ほど大臣からお答えもありましたことでございますから省略いたしまして、いまの揮発油税でございますけれども、これにつきましては、まあ構造的な赤字の中でという問題は関連があるわけでございますけれども、五十一年から五十五年までの経済発展計画の中で、それに基づきましてつくられました第八次の道路五カ年計画の中で、予備費を除きましても二十七兆八千億という道路投資が必要であるという考え方に立っておるわけでございます。  この道路投資は、経済の現状にかんがみまして景気を維持するために投資をふやしてやるということとは関係なく、今後の均衡のとれた経済の発展というもののために道路需要がやはりそれだけある、それを満たしていくことが国の政策として必要だ、こういうことでございます。それを賄いますために五十四年度の道路予算というものは、前年に比べてたしか一六%の予算が伸びておるかと思います。その伸びております予算を賄います場合に、税収という特定財源の形で道路利用者に負担をお願いしませんければ、建設公債の増発という形になるわけでございます。建設公債七兆、特例公債八兆、合計十五兆を超える公債発行を五十四年度いたすというような財政でございますから、民間の経済のことを考え、それから将来の経済の安定ということを考えますと、やはりここは、二十七兆八千億という道路投資を円滑にやっていきますために特定財源の割合を上げていかなければならない。そのために揮発油の税負担というものを私どもよく検討いたしまして、揮発油の消費者にも負担をお願いする余地もある——あると申しましたら大変語弊がありますが、まあお願いせざるを得ないし、それは忍んでいただけるのではないか。そういう揮発油の税負担をすることによって特定財源比率を九割程度に維持して、二十七兆八千億という道路投資を円滑にやっていくことが必要だ。それが今回、五十八年の三月三十一日まで揮発油税の税率の引き上げを措置法で審議をお願いしておりますゆえんでございます。  なお先ほど私、道路予算が一六%伸びたと申しましたのは間違いで、一八%でございます。失礼いたしました。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 私は、公共投資を一概に否定するものではないですけれども、ここ二、三年やってまいりました従来の財政主導型のいわゆる財政支出の効果ですが、そういうものを見ておりますけれども、もちろん限られた日本の資源あるいはつくったものの需給ですね、売れ行きと言ってもいいわけですが、そういうことがあって、非常にめんどうなことでありますから、すぐそういうことが可能かどうかという問題はもちろんあると思います。ただし申し上げますならば、この公共投資に投入しただけの金を、いま言った資源なりあるいは需給なりの問題が解消されるとするならば、経済事業に突っ込んだとしたならば、その波及効果というものは必ず雇用の面にあるいは税の自然増収に出てくると思うのです。  公共事業を概して見ておりますけれども、その年度の経済の落ち込みを支える力はありますね。確かにこれだけの大型予算を組んで、前年の予算の執行分をとっても、あれだけの事業をやれば、五十三年度の経済の落ち込みを支える効果はあります。しかし翌年度に繰り越しませんね、経済事業でないから。物を生産するものでないですから、物によっては財政の足を引っ張りますね、りっぱにはなったけれども。たとえばある町に大きな公民館を建てる。町の名前は申し上げません、大きな公民館です。そうすると、その起債の償還と管理費の増大で約四千万の財政支出が一挙に増加する、財政の足を引っ張るわけです。住民は、りっぱな体育館ができて便利であるには違いないが、財政論からいけば財政の足を引っ張る、こういう面が一部出てくるわけですね、国の事業でも、地方の事業でも。ですから、公共事業というのは波及効果が少ないわけですね。だから何ぼ突っ込んでも、さっき大臣言われたように、これでもかこれでもかと突っ込んでも、結局投下した金を次年度に繰り越し——繰り越しじゃなくて、その波及効果というものが、経済事業ではないですから、公共事業からは概して、投下した社会資本に対してそれが基礎となって効果的に経済が直ってこないというところに、私は公共事業というものの性格があると思います。その年度の経済を支える効果は認めますけれども、経済事業と公共事業の差がある。ですから、これでもかこれでもかとやってもその効果がやっぱり薄い。  繰り返しますが、しからば日本の現況で、そういう公共事業以外に資金を投入して、それによって長期的に経済を支えるものがあるかということになると、これもなかなかめんどうだと思います。めんどうだが、やはり公共事業一辺倒でなくて、従来のやり方を変えて、公共事業に投下しておるこの資金を、いま申し上げたように直ちに経済事業に全部転換するということは困難だと思いますが、しかし可能な限度そういう方向へ、いままでのやり方を多少ここで変える必要があるのではないか。可能な限り変えていけば、雇用の増大にもなるだろうし、景気の回復に効果を図れるのではないか。一〇〇%転換するということは、理論は理論としても無理だということは私は承知しておりますが、ある程度これは変えなければならぬ。従来のやり方そのままをやっていけば、まだまだ財政は悪化するのではないか。たとえば昭和五十四年度もそう変わっておりません。五十五年度もまた同様な考え方でしていくと、国民の負担ばかり増大していくことになる。際限がない。その効果というものに懐疑が出てくる、こういう問題がまず出てくるのではないかと思います。  そこで大臣にお尋ねしますが、そういう問題について、これは大臣みずからもまた大平内閣としても、今後のあり方についてどういうふうにお考えになるか。従来どおりのやり方で行くのか、それとも多少実績と結果に基づいて転換を図ろうとしておるのか、それをお聞きしておきたいと思います。

加藤隆司大蔵省主計局次長

○加藤(隆)政府委員 一般論的な技術的な御説明を、大臣の答弁の前にさせていただきたいのですが、公共事業の効果でございます。  お話にございますように、公共事業は直接効果と間接効果がございまして、直接効果としては、その金で需要が起こる、雇用がふえ、資材が買われる、そういう効果があるわけでございます。間接効果として、たとえば道路ができますと非常に便利になるのでそこに工場が張りつくとか、そういうようないわゆる開発効果があるわけでございます。それから、直接効果の波及として産業部門に需要が移っていく、そういうような間接効果があるわけでございます。  それで、企画庁の方の勉強によりますと、サンプルが古い時代のSP17というときには、乗数効果というのは一・八くらいと言われていたわけですが、二、三年新しいデータを入れましたやつで一・三四とか、確かに乗数効果は落ちてきております。それから道路の直接、間接効果、いろいろ計測がございますが、グロスで大体三倍ないし四倍と言われております。それがただいま申しましたように乗数効果そのものも落ちてきておる。なぜ落ちたであろうかという問題になりますが、一つ言われておりますのは、非常に在庫が大きかったとか、あるいは設備のアイドルが非常に大きいとか、地方財政の問題とか、用地の問題とか、そういうようなものが言われておるわけでございます。  それで、将来どういう態度で行くのか、あるいは五十四年度予算でどう考えるのかという御質問でございますが、予算編成方針にも書いてございますように、一つは、そういうやみくもの総需要の増大という方向ではなくて、個々の雇用なら雇用の問題に着眼した具体的な政策、たとえば造船業でありますとか、構造不況業種の地域、いわゆる企業城下町対策とか、そういうような個別の対策をあわせてやっていく。それから長期の構造的な政策をできるだけ施行していく。たださはさりながら、当面の総需要対策というものをおろそかにできない。同時に三番目には、財政の状況が確かに御指摘のようにこういう状況になりますと、やみくもに建設公債を出して総需要を上げていくということが財政の体質を悪化させまして、そういう財政の体質の悪化の方が全体の経済の足を引っ張るような状況に来ておるというようなことで、整理して申しますと、一つは、従来の総需要政策もわれわれなりに適切な範囲でできるだけやっていく、同時に、個別の対策をより重点的に考えていく、それから財政体質の改善についてもできるだけの配慮をして、そういう調和を図っていく、バランスをとっていく必要があるのではないか。五十四年度予算におきましては、大臣の財政演説の中にもそういうようなお考えが述べられておりますが、私どもとしてはそういうように理解しております。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 いま加藤次長からお話をしましたような考え方でことしの予算編成をいたしたわけでございますが、公共投資の効果につきましては、昨年、一昨年来、公共投資か減税かということでいろいろ御議論のありましたことは御承知のとおりでございますが、われわれとしては、減税しようにも所得税はもうとにかくぎりぎりまで来ておりますから、むしろ公共投資の効果に期待をしておる、こういうことでございます。  それで、昨年からずいぶん努力をいたしました結果、美濃さんも御承知のように、最近は大分企業の体質改善もできまして、そろそろ一本立ちで動こうという企業が相当出てきております。企業活動が活発になりますためには、先の明るい見通しが立つかあるいは輸出にうんと力をつぎ込むかということでないと、企業というものはなかなか設備投資をしたり物をつくったりしてくれるわけじゃございませんので、そういった環境づくりを政策の重点に置いていくということが一番大切なことじゃなかろうかと思います。  今日、日本経済の景気の足をある意味において引っ張っておりますのは、先ほどもお話が出ておりました不況業種、城下町等が問題になっておるわけでありまして、こういった点についてきめ細かい個別対策をしっかりやっていくと同時に、やはり企業に元気をつけてもらうようにてこ入れをするというのが、私どもの財政政策としてとるべき筋ではなかろうかと考えておる次第でございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 この機会にもう一つ、別の角度からお尋ねをしたいと思います。  私ども小学校時代、大臣もそう習ったですか、仁徳天皇の善政の教科書がありましたね。三年間租税を全部中止して、三年目にやぐらへ上がってみたら、ほのぼのと国民全部の家から明かりが出る、あの原理は今日は、時代が変わっているから間違いでしょう。ああいう原理は限界と手段はありますよね、どこまでやるかということは別として。そこで租税の調整の中でああいう原理はいまも、どこまでやるかという方法、手段は別として、間違いないし、原理としては可能な限り導入すべき原理だ、こうお考えになるか、それともあれは全く原始時代の昔の話であって、今日ああいう原理は成り立たぬのだとお考えになるのか、いかがでしょうか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 大臣からお答えがあるべきことでございますが、古代国家での税金というものと、現在国民全体の社会に必要な諸般の施策の費用を賄っていくための租税というものの持っている意味は変わってきていると思うのでございます。近代国家、民主主義国家というのは一つは、租税国家だという言葉があるぐらいだと思います。そういう意味で、現在のような経済情勢のもとで直ちに租税を全廃するということは、いまの社会なり複雑な経済というものに即さない面を多々持っておるというふうには思います。  もう一つ、民間の消費支出が非常に沈滞している、したがってそれを刺激するために一般の所得税をたとえば減税すべきではないか、いまであればこういうことになるかと思いますが、経済を刺激してまいります効果という政策効果の観点から申しますと、先ほど主計局から申し上げたこともあると思いますけれども、その波及効果なり、そのもとになります貯蓄が非常に大きくて貯蓄の中に入ってしまうというようなものもございまして、政策手段として個人消費を通ずるチャンネルというものが必ずしも有効と思えない。かたがた、現在のようにわが国の租税負担率は非常に低うございますから、一たん減税したものは経済がよくなってまいった段階でまた増税するということもこれまた大変むずかしい問題なので、政策手段としていま申し上げるように上下対称性を欠いておるという場合に、それが一時の経済的な波動に対する一種の調整政策として使うことが賢明な方法ではないのではないかという考え方があるわけでございます。そういうことで、いま先生の仰せのあったことは非常に含蓄に富む御意見だとは思いますけれども、私どもとして経済の現状なり国民生活の現状から、国民の共通の費用を賄っていくために納めてきた租税を全廃ないし極度に軽減するという考え方はとりがたいところではないかというふうに考える次第でございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 私の聞いておるのは、いまどれだけ歳出をするかは別だということを前提にしておるわけです。答弁をいただかぬでも、いまの経済の中では、これは昔のことですから、あるいは実情を変えたかどうだかもわからぬ。しかしあの原理は、いまも採用していいという面では原理として効果が残っておるものか、全くゼロなのかということを聞いておるのです。いまこの質問でどれだけの減税をせよというふうに迫っておるわけじゃないわけです。原理として全く無価値になっておるのか、それともああいう原理は応用していい範囲は応用すべきという財政運用の中にあるのかということを聞いておるのです。大切な原理として効果があると見たときにはあの原理も応用することが大切なことなのか、全く無価値の原理なのかということを聞いておるわけなんです。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 総理がチープガバメントということをおっしゃっております。その根底には、国民のことはなるべくそれぞれの国民の責任においてやってもらって、余り税金なんかよけい取らぬでもいいような政府にするのが本来のあり方ではないかという思想があらわれておると思うのです。ただ、仁徳天皇の時代といまと違いますのは、われわれは社会保障をしっかりやっていかなければいかぬという問題がございます。もう時代が変わってきておりますから、とにかく社会的な弱者、老齢者、そういった方々に対する国としての施策を講ずることは政府の責任でございます。そういう意味での支出が一番大きいと思うのです、あるいは教育の問題にしてもその他の問題にしても。そのために必要な財源は何とか確保することが必要だという点が、当時の野放しの時代と今日のような高度化した社会との本質的な違いじゃないかと私は考えております。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 大臣の言うこともわかりますが、もう一回これは聞いておきます。  全くそれは昔話で、いまの財政で運用すべき事項ではない、そういうことはみじんも考える必要はないというお考えですか、限度において取り入れる余裕はあるというお考えなのか、どうでしょうか。限度において善政として取り入れる余裕があれば取り入れるべき事項だということか、それとも全く昔話で、あれは昔なんだ、いまの財政の中であんなことは考えるべきでないというのか、そこのけじめをちょっと聞いておきたい。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 それはもう税金は安いにこしたことはないと私は思うのです。正直言ってどこの国でも、喜んで税金を納める人はないと思うのです。ただ、その税金に見合うあるいはそれ以上の仕事を国がやってくれておるということで、皆税金を払うことに耐えておるのじゃないかと思うのです。だから、現状においてあの精神がどこまで生かせるかと言われれば、今日の財政経済情勢から言えば、残念ながらこの際、税金はうんとまけて、ひとつ皆さんうんと腹いっぱい食ってくださいよ、それまでは税金は取りませんよと言えないのじゃないかと思うのです、美濃さん。大変苦しい情勢であることはおわかりいただけると思います。今日それをやって、先ほど申しましたような年金、扶助料その他のあれを全部ストップするとか、医療をストップするなんということになったら、大変なことになるのでして、それぞれ勝手にやりなさいといったってそれは正直言ってできっこない、そういう時代に今日あるということはわれわれとしては真剣に考えなければいかぬ問題だと思うのです。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 それでは、次に進みます。  同じく参考人のけさの話ですが、大体答申の内容だけの不公正是正は行われなかった、こういうふうに会長みずからが言っておりますが、どうしてそれができなかったのか。答申内容だけの——しかも先ほど、善政であっても時代が変わったから、否定はしておりませんけれども、できないと言う。やはり増税に持っていかなければならぬというお考えがあるから、昔は善政だったといって今日行えない。これは現実には変わりはないと私は思うのです。それは申し上げておりますように、ここでさらに問答してそれを押しつけようとは思いませんけれども、そういう財政の実情にあるのですから、しかも不公正になっておる部分くらいは早期に思い切った解消をすればいいんじゃないですか。税制調査会の答申に沿っただけの——私どもから言えば税制調査会の答申そのものが、従来私どもが主張しておる不公正の是正から見ると不十分だ。その不十分な答申の実行すらできなかった。どういうことですか、どういう考えに基づくものですか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 私、ちょっとけさほど参考人から直接お話を承らなかったので申しわけないのでございますが、たとえば土地譲渡所得課税につきまして、この答申の中に具体的に示されていない、政府案ではそうなっていない。政府案の譲渡課税の軽減の内容が正確に答申に書かれていない考え方であるという問題とか、それから、社会保険診療報酬課税の特例の是正につきまして、税調の答申では、五十年度税制に関する答申において提案した具体的改善案に基づいて是正を図るべきだということになっておりますが、今回の御提案しております法案では、それをもとにはいたしておりますけれども、そのとおりになっていない、こういう点を御指摘になっておられるのかというふうに思います。  最初の土地譲渡所得税制について、現行の枠組みを維持しながら、「その手直しを図るとしても、優良な住宅地の供給と公的土地取得の促進に資するため、限定的な基準を設け、部分的なものにとどめるべきであると考える。」というのが税制調査会の御答申であります。私どもいろいろ御批判はあると思いますが、現在御提案いたしております特別措置法の三十一条の二、優良住宅地供給の規定と申しますのはまさにこの趣旨で、優良な住宅地の供給と公的土地取得の促進に資するものに限定をいたしまして、かなり辛い条件を付して現行の土地重課の規定の緩和を図っておるというふうに思っておりまして、これが税制調査会の御答申を逸脱しておるというふうには全く思っておらないわけでございます。  社会保険診療報酬課税につきましては、これは多年の経緯のあった問題でございますけれども、先ほど大臣からもほかの委員に対してお答えがありましたように、五十年度税制に関する答申で言っております五千万円以上のものにつきまして実額に近い概算経費率五二%にするという基本的な線を維持して、四千万円以上につきまして五七%という特例経費率、それ以下の分については若干を修正をしておるけれども、大局に基づいて是正を図るという税制調査会の仰せには沿っておるというふうに考えておる次第でございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 私は細かい論議はしようと思いませんが、しかし論議をすれば分かれていくと思うのです。ある面は平行線になるでしょう。ですから、先ほどもお話ありましたように、そういう課税特別措置をつくったときはそれなりの理由があったと思うのですけれども、今日こういう財政事情になってくれば、まず一点として、実質課税のたてまえである所得税に対して、法律をもって無差別に——無差別というか、実態ではなくて法律をもって経費率を明示しておるというのはこれだけですよ。それなら皆やればいいんじゃないですか、公正のたてまえから言って。たとえばいま所得率が低くて苦しんでおる一次産業、農業あたりだって、七二%経費と表示すればいいのです。ですから、こういうものはやはり早く本来の姿にして、実態が七二%の経費、たとえば医者は医院を開設する機能をもっておるわけですから、白色申告をした結果の経費が七二%かかっておるならばそれもやむを得ぬでしょう、実額課税ですから。高い安いの問題よりも先に、国民に対して差別的な税制が現存しておるということはいけないことだと思うのです。これが第一点です。  ですから、こういうことはやはり早く——今回の改正を見ても、私自身は疑問を持つわけなんです。あらゆる事業の中で、収入が多いから経費率が低いというのはちょっと、医療の実態はあるいはそうかもしれぬけれども、私の判断では必ずしも、そこを私が立ち入って調査する時間もありませんから、立ち入った調査はしておりませんけれども、客観的に見た場合、収入が多いから経費率は安くていいというものはちょっと日本にはないと思うのです。収入を多く上げるためには経費は伴うわけだ。こういう点を見ても、何かこじつけて、二千五百万以下の収入に対しては据え置きをして上の方をちょっとかっこうをつける。上の方のかっこうだから少し経費率が低くなってもやむを得ぬではないかというようなこじつけの改正であって、実質が伴っていないのではないかという感じがしてならぬわけです。どうも改正のあり方についてもそういうふうに受けとめざるを得ない、こういう点が目立つわけです。  もう一つは利子配当の問題。これは国会でずいぶん論議されておるが、今回何も改正されてこない。こういう問題について私どもとしては、今度の改正に非常に不信感を持ちます。本当に誠心誠意やったのか。口には財政の危機を訴えながら、こういう国民に不公平な、その改正が強く前々から国会においても論議されておる、それに対する財政当局の誠意が欠けておるのではないか。この際、たとえば一般消費税のような新たな税を国民に賦課するというのであればその前に、いままでの特例措置で、今日こういう状況を迎えておる、それをもう少しきちっと改正して、そのことが大きな金額になるとは思いません、今日起きておる財政を大きくカバーするほどの収入にはならないとしても、まず不公正は是正するという誠意が足りぬのではないか、こう思います。いかがでしょう。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 国民の一般の方々に税負担の増加をお願いいたす折からでございますから、ただいま仰せになりましたように、確かに税制上の公正を欠く点があるとすれば、これはもう是正を図っていかなければならないことは当然であろうと思います。私どもそういう観点で毎年毎年の税制改正でいろいろな措置につきまして縮減合理化を図りまして、法案として御審議を願い実施をしてきたわけで、今度の政府税制調査会の五十四年度税制改正の基本方針という中にも、税の負担の公平を一層確保するようにという御趣旨の原則がありまして、私どももその線に従ってやっておるつもりでございます。  ただいま利子配当について仰せがありましたが、利子配当につきましては私どもは昨年の九月に税制調査会で、利子配当を総合課税に移した場合に、本人の確認とか名寄せとかそういうことがありませんとかえって執行上不公平を招くもとでございますから、したがって利子配当を五十五年限りで現行税制を廃止して新しい総合課税を目指す制度に移行するとして、それを担保するためにどういう措置が必要か、それについての御検討を願っておりまして、私どもは五十六年に現在の源泉選択制度、また少額貯蓄なり郵便貯金制度、さまざまな制度を含んでおります利子の非課税制度につきましてこれは改めていくということで、現在税調でも相当真剣な御議論をいただいておるわけでございますし、より具体的にことしになりまして引き続いて御審議を願う、ぜひ五十六年税制ではその点を改めるというかたい決意を持っておる次第でございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 次に私は、交際費はもう少し圧縮した方がいいと思います。率直に申し上げますけれども、通例社交的礼儀として、お客さんが来た場合各企業の昼食、個人でも昼食の時間になれば昼食ぐらいは出すわけでありますので、社交上の礼儀として昼食はいいと思いますが、夜の接待は禁止した方がいいと思います。欧州諸国あたり、夜の接待をほとんど認めない国が多いのです。  参考に申し上げておきますけれども、私ベルギーへ行って農業視察をした。ベルギーの農政課長が案内してくれました。現地は、日本で言えば改良普及の所長さんがやってくれました。その日、大変お世話になったのですが、大使館が案内してくれました。ベルギーの市場は非常に画期的ないい市場ができていて、蔬菜市場とかそういうものを視察しておりました。その昼食はベルギー側でごちそうになったけれども、案内してくれた課長と現地の改良普及所長は、われわれはいわゆる出張旅費と日当をもらっているので便乗接待はできないのだと言って、同じ物を食べて伝票が二枚来て、ベルギー側の人が食べた分は自分のポケットマネーで支払っていた。ごちそうになりながら、日本流から考えるとまことに気の毒な気もしましたけれども、そのくらい交際費というものについては厳格ですね。  ですからもう一歩進んで、金額もさることながら、社交的な礼儀の接待は当然損金で見るべきだけれども、夜の接待というのはややもすると公序良俗を、大きく害するとは言いませんけれども、公序良俗から見てもいかがわしいものだと思うのです。夜の接待というのはやはり因果関係を生ずる。いかに個人、会社の取引関係にあっても、夜の接待というのは必ずしも公序良俗に適したものではないと私は思いますね。そういうものは、法律をもって禁止するというまでには至らぬとしても、少なくとも税法上正当な経費として認める必要はない、こう思います。そういう点はひとつここで、やりますと言えれば言ってもらいたいが、せめて検討するくらいのことは言っておいてもらいたい。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 本年の租税特別措置法の改正として御提案申し上げております中で、交際費の課税制度についてかなりの強化をお願いしておるわけでございます。その内容はくどく繰り返しませんが、損金不算入割合を八五%から九〇%に上げて、支出した交際費で原則二百万円を引きました残りについて九割に課税するという制度にしておるわけでございます。現在の交際費課税も、三十年代以来逐次強化をしてきたわけでございますが、五十二年の実績で申しますと、支出した交際費の大体三五%が法人税がかかるということでございましたが、今回の改正が御可決いただければ、それによりますと平年度で四九%の交際費について課税が行われることになります。  そこで問題は二つございまして、いま御提案がありましたように、これを損金否認して全額について法人税をかけたらどうかということでございますが、企業の売り上げと交際費の支出との間には、マクロで見ましても個別業種で見ましてもある程度関連があります。これを、使途不明金というのは全額損金否認でありますけれども、これと同じように否認をしてしまうという性質のものとは違うのではないか。やはり交際費について、企業のモラルとして支出を抑制していただくことは必要であるといたしましても、それが使途不明金のように全額課税されるべきものというふうには思いませんので、やはり一定の企業を経営していくために必要な限度までは損金に認容する。そうしますとやはり九〇%というのは、限度に来ていると申したら語弊がありますが、限度にきわめて近くなってきているという考え方を私どもは持っておるわけでございます。  もう一つの問題は、交際費を総枠で九〇%とか八五%というふうに否認しないで、たとえばいま仰せのありますように会食の中で特殊な会食、ぜいたくな会食というものについて、これを一々否認をしていったらどうだろうということでございます。外国の立法例でそういうものもありますので、私ども若干考えてみたわけでございますが、日本の場合には法人の数が非常に多うございまして、ドイツで十数万の法人の数が、日本へ参りますと百五十万でございます。百五十万の法人が、自分が否認されるべき交際費を支出したというふうに正当に申告していただけるかどうかということになると、大変な問題であろうかと思います。これは過剰な税務の介入になると、税務職員の方も大変でございますし、企業側も、これが正当な損金になる交際費か課税される交際費かという判断について税務署に調査を受けるというのも大変問題であろうかと思います。私どももかつて交際費の支出内容というのをサンプル調査いたしたことがあるわけですが、大体がその支出している交際費の六割が飲食費という形になっておるようでございます。現在普通の昼飯代というのは交際費の範囲に入っておりませんが、それ以外でもやはり若干の飲食費というものを含んでおると思いますけれども、九割まで損金を否認するということにいたしますれば相当効果が上がってまいるのではなかろうか、そういうことであります。御提案の趣旨、交際費の支出についての企業のモラルを高めていただく、それから課税について、交際費の課税を強化してまいる、こういうことで今後とも十分検討を続けたいというふうに思います。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 先ほど村山委員とのやりとりを聞いておりましたが、五十二年度末の各引当金については、純増はどのぐらいですか。戻しで積み立てをやるのですから、そういうものは企業の益金から積み立てるものじゃないのです。純増はどのぐらいになりますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 いま集計をいたしますが、先ほど申し上げました準備金が十五通りぐらいあるわけでございますが、その中で五十二年度中に純積み立てになりましたものは、海外投資等損失準備金でございまして、二百二億積み増しがあって期末に四千九百三十八億になった。それから原子力発電工事償却準備金は、四百七十九億積み増しがあってその四百七十九億が期末残になった、これは制度の創設でございます。電算機買戻損失準備金が、三十二億積み増しがあって三百八十九億になった。それから異常危険準備金、これは保険会社でございますが、五百十三億積み増しになって五千八百七十億になった。その辺が積み増しのありました項目でございまして、価格変動準備金、中小企業等海外市場開拓準備金、公害防止準備金、株式売買損失準備金、渇水準備金、そのほかの準備金につきましては、取り崩し超過になったというものが多うございます。そのネットがプラス百三十三億でございます。先ほど二兆六千、こういうふうに御報告した準備金に対して、五十二年度中の積み増し超過は百三十三億ということで、あとは取り崩しが非常に多うございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 それからもう一つ、税金を払って法定準備金を積むものがある、これはどのぐらいですか。税を払って企業の健全のために積んだものは何ぼあるか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 これは法人企業統計と税務統計と突き合わせないとちょっとわかりませんが、たとえばその一、二の例を申し上げますと、非常に大きな自動車会社でございますけれども、退職給与引当金を積みます場合に、税法では任意退職の二分の一まで積むことを認めておるわけでございますが、会社都合の全額というものを積んで大体四倍ぐらいになります。その分を有税でやっておるという例も私は聞いたことがございますし、確かめてはおりませんのでわかりませんが、そのほか有税で引き当てを取っておる事例というものは、貸倒引当金についてもあると思います。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 最後に、この関係につきましては、やはり私の考えでは、退職給与引当金、それから償却引当金、これは全部とは申しませんが、償却引当金の中に、たとえば新しい危険、この危険というのは何も公害的な危険じゃなくて、経営的な危険を冒して新たなことをやる、そういう場合における償却引当金等の特別措置、それから特に退職金というもの、それぞれの民間企業で働く労働者の間接的な安定のためにも、やはり退職給与引当金とこの特別償却引当金については十分考える必要があると私は思います。  価格変動とかその他の引当金は、私も農協という小さなことをやっておりますけれども、ややこしい内部保留措置を設けるよりも、こういうものはなくすることがいいと思いますね。これがあったからどれだけ健全な経営ができるか。現実に起きた場合には、価格が下がった場合あるいは掛け倒れができた場合においては、損金でちゃんと処理できるわけです。現実にやむを得ず起きた場合には、その年度の損金処理はできるわけですから、何もあらかじめ積んだからそう企業が安定するとか積まぬからどうだという問題はないと思う。ですからそういうものは排除する、なくしちゃった方がいいと思いますね。三年も五年もかかるのじゃなくて、こういうものは一遍になくしてもいいと思うのです。だけれども、やはり必要なものがあると思いますから、これは十分検討して、それをなくすることによって社会性が後退したり、あるいは減給もさることながら働いておる者の将来に不安を残さないような措置については、なおかつ存続する必要がある、私はこういうふうに思います。そういうものの取捨選択は十分していかなければならぬ。この特別措置が全部が全部悪いとは私は考えておりません。残さなければならぬものが若干あるのではないか。しかし、大体のものはこういうものはなくした方がいい。概して課税特別措置というのはこれはもう特別で、やはり不公正に該当するものが多いわけだけれども、ひとつそういうふうにお考えを願いたいと思います。  最後に一つ聞いておきたいと思いますが、所得税の課税最低限は据え置きになっておる。生活保護は年々の物価事情が反映して引き上げられる。ことしになると、課税最低限よりも生活保護の基準が上回った。大臣、これは政策として一つの矛盾になるのですよ。私はだから、その生活保護を下げろと言うのじゃなくて、こういう矛盾に対してやはり課税最低限を考える必要があるのではないかと思います。税金さえ多く取れればいいというものじゃないと思うのです。こういう政策の矛盾は、いまここでどうせいこうせいと言うのじゃなくて、やはり検討してもらわなければならぬと思います。いかがですか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 給与所得者の課税最低限は、夫婦子二人でございますといま二百一万五千円でございますから、給与所得者の場合に生活扶助基準を課税最低限が下回るということは通常まずないと思います。  問題は、事業所得で白色の場合というのであろうかと思います。事業所得の白色の場合に、生活保護基準に比べて課税最低限が低い場合も起こり得るわけでございますが、事業所得者の白色で男一人というような場合、これは事業所得だけで生活しておられるというケースが実際に当たってみましてもほとんどないようでございます。そこで恐らく、御病人であればその方自身が何かの扶助を受けておられるということもありましょうし、お年寄りであれば老年者控除を受けておられる、それから身体のぐあいが悪い方であれば障害者控除を受けておられるというようなことになりまして、課税最低限、いわゆる基礎控除だけということというのはめったにない、私どもが現実に調べてみますとそういうことでございます。事業専従でだれか使っておられれば専従者控除四十万円が働くわけでございますし、青色申告になればさらに完全給与制ということになるわけでございますから、白色の専従のごくまれなケースというものについて今後ともよくよく調査を続けたいと思いますが、いま繰り返し申し上げましたように、私ども現行の制度で白色事業の一人というものと生活保護とを比べて課税最低限の議論をするということについて、その必要性が非常に強いというふうには考えておりませんが、十分検討はいたします。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 もう一つ、最後と言ってあれですが、かねて一般消費税については本委員会あるいは予算委員会等で、いまの時点で大体出さないようなニュアンスの話を大臣から承った。あすからもう三月になりますから、そろそろ出さぬのなら出さぬという答弁がまだできませんか。今国会には出さないとはっきりできますか、この時点で。

金子一平自由民主党大蔵大臣

○金子(一)国務大臣 いま事務当局でせっかく中身を詰めておる段階でございます。国会の末期がいつになるかわかりませんが、これは関係する方面が非常に多うございます。それから役所がございます。そういうところに手間をとっておるわけでございまして、間に合いましたらひとつ御審議をいただきたい、こういう段階と御了承いただきたいのでございます。(美濃委員「出さぬということにはなりませんか」と呼ぶ)全然出しませんとまでは……。間に合うかどうかということなんですが、とにかく間に合わせるように事務当局が一生懸命にやっておる段階でございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 ひとつ私の方から、間に合わさぬように……。  終わります。

加藤六月自由民主党

○加藤委員長 次回は、来たる三月二日金曜日午前九時四十五分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会

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