商工委員会 第12号
- 発言数
- 134 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1979/04/27
会議録
○橋口委員長 これより会議を開きます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 第八十四回国会内閣提出、エネルギーの使用の合理化に関する法律案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、参考人の人選及び日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橋口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○橋口委員長 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上坂昇君。
○上坂委員 来月の十四日になりますと、先般改正されました大店舗法、商調法、この関係が実施に移されてまいります。そこで、もうすでに省令なりあるいは通達なり、そうした指導要綱的なものはできているのではないかというふうに思います。一応手に入りました改正大規模小売店舗関係通達というのがありまして、これの改正方針というのが出ております。これは正式に決定されたものかどうか私はわかりませんが、この内容についてまずお聞きしたいと思います。 一番最初に、この改正方針の中で「「削減」の解釈について」という項があります。これは「届け出に係る店舗面積の全部を削減すべき旨の勧告を行うことも可能である」、こう前段にありまして、その次にただし書きで、第一種大型小売店舗、それから第二種大型小売店舗の店舗面積、これが五百平方メートル以下とすることはできない、こういうふうになっているわけでありますが、これはたとえば二千平米のものを届け出をして、それについていろいろ調査、審査をした結果、五百平米まで縮めることができる、しかし五百平米以下にしてはだめだ、それから、まるっきりゼロにしてはいけない、こういう趣旨であるかどうか、もう一度確認をしたいと思います。
○中島(源)政府委員 詳しくは政府委員からお答えしますが、私から取りまとめお答えをいたします。 店舗面積を五百平米まで調整できるということは、大店法にかかわる範囲でゼロ削減できるということでございまして、五百平米以下は商調法部分ですから、改めて商調法部分に関して申し出があれば、その申し出を受けまして調整することになりますし、特段の申し出がなければ調査、調整の対象なしに出店できるということになります。したがって大店法の削減のゼロというのは、五百平米までというのは大店法にかかわるゼロということになります。 また、そのゼロ削減の考え方ですが、もちろん出店の時期並びに大きさによりますが、大型店の出店によりまして、地元の周辺の中小小売商の商業活動に非常に大きな影響を与えるおそれのある場合、そのおそれを除くためにゼロ削減もあり得るということでございます。 したがって、つけ加えますと、出店大型店の大きさ、時期はもちろんでありますが、それを受け入れる方の環境も同時に含まれると思います。たとえばオーバーストアの場合もありますし、交通事情その他の都市計画上の難点もあるでしょうし、あるいは受け入れ側の中小小売商の近代化の進捗状況なども加味されるであろうというふうに思います。
○島田政府委員 若干補足さしていただきます。 いまお尋ねの件につきましては、法案の御審議の際にもいろいろ御質問、御議論のあったところでございます。私どもそれに対しましてすでにお答えをしているわけでございますので、いわばあのときにお答えしたとおりの解釈をしておるわけです。 念のためにもう一度申し上げますと、店舗面積に関する削減の勧告の問題ですが、勧告の限度につきましては、法律的にはいま政務次官から御答弁ありましたが、大規模小売店舗における小売業の事業活動が、その周辺の中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあると認められる場合において、そのおそれを除去するために、必要な限度内であれば特に制限はないという考え方でございます。したがいまして、個々の小売業者の店舗面積をゼロにまで削減することは可能でございます。ただし、建物全体として見た場合、大規模小売店舗全体としての店舗面積につきましては、いま政務次官御答弁いたしましたように、五百平方メートル以下になるような勧告はできないということになるわけでございます。五百平方メートル以下になりますと要するに大店法から外れるわけでございますから、したがいましてそういった勧告はできないということでございます。 影響の見方につきましては、要するに、周辺の中小小売商の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがある、これは七条の要件を正確に申し上げるべきでしょうけれども、七条の要件に該当するかどうかということで判断をするということになります。
○上坂委員 そうしますと、建物自体は五百平米以下にはできない、しかし、いろいろな付近の中小企業の影響によっては、そこに出店する店そのものについてはゼロもあり得る、こういうことですね。
○島田政府委員 そのとおりでございます。要するに、建物全体とその中に入る幾つかのお店との関係というふうにお考えいただきたいと思います。
○上坂委員 次に、「商業活動調整協議会の運用について」という項がありまして、これについて質問いたしますが、「商調協委員の構成及び選定方法」というのがあります。委員を、商業者、消費者及び学識経験者の代表者のうちから相互に均衡のとれるよう考慮して選定するとなっておりますが、従来と一体どこが違うのかということですね。 それからもう一つは、均衡のとれるようにというのはどういうことを意味しているのか。 それから、商調協の委員の構成を何名ぐらいにするということが妥当だと考えているのか。 それからもう一点は、この委員を選ぶ場合に、小売業者と大型小売業者、卸売業者の区分を廃止をする、こうしているようでありますが、これを廃止する意味というのはどこにあるのか。 それから、廃止することによって商調協の運営そのものにはどういうふうに特典が出てくるのか、これらについてお答えをいただきたいと思います。
○中島(源)政府委員 商調協の委員の数につきましては政府委員からお答えさせますが商調協の、特に商業者部分の区分を撤廃をさせていただきました。これは、大型店を除く中小小売商と大型店とそれから卸商という区分があったわけであります。それから、この人数につきましては、通達部分ではなくて、商調協規則というのがありまして、その中に大方のモデルの人数が書いてあったわけでございますが、これも再考いたすということにいたしております。 商業者の区分を撤廃いたしました理由は、一つは地方都市に参りますと、中小小売商、それから大規模小売商、それから卸商のそれぞれの選任がやや不可能な場合もございますし、むしろ商業者の区分を撤廃しまして、商業者の方々が御自分方の一番代表に足る方々を自由に選任できるというためには、区分がない方がかえって明確で明朗になるであろうという考え方が根底にあるということを申し添えておきます。 あと、人数は政府委員からお答えさせます。
○島田政府委員 お答え申し上げます。 従来も通達でも相互に均衡のとれるようにということが書いてありまして、その点は通達の考え方、要するに文章は同じでございます。要するに学識経験者、消費者、商業者、この三者の委員構成について、著しくバランスを失することのないように選任をしてほしい、こういうことでございます。したがいまして、考え方としましては各区分ほほ同じくらい、同数であることが望ましいというふうに考えております。ただ、それは均衡のとれるようにという考え方でございます。 人数につきましては、それぞれ地区の実情もありますので一概に申せませんが、大体十二人から二十一人くらいというくらいのところが構成の数としては適当であろうというふうに考えております。 それから、商区分をやめましたのは、いま政務次官から申し上げたとおりでございます。
○上坂委員 区分をしない方がいろいろな運営上いいだろうというお話ですが、大型小売業者の進出に対して中小小売業者の利害を調整する場になりますので、もっぱら被害を受けるのは中小小売業者でありますので、その利害代表者としての中小小売業者というものをきちんと残しておかないと、それが破られてしまうようなおそれはないか、この点を恐れるものですから、その点についてちょっとお答えいただきたい。
○島田政府委員 いま政務次官からもお答えいたしましたように、小売業者としてどういう人が適当かというのは、その地域の小売業の意見というのを総合的に代表できるような人を選任していただきたいということでございまして、それぞれの地域の実情に応じて、最も適切な選任をしていただくというのが適当であろうというふうに考えたわけでございます。したがいまして、いま御指摘のような御懸念は私どもはないというふうに思っております。
○上坂委員 次に、委員の委嘱の問題でありますが、商工会議所または商工会が候補委員の名簿を提出することになりますが、その場合、各委員の経歴書を付する、そして通産局の承認を求める、こうなっておるようであります。そして、求められて承認をする場合だと思いますが、通産局は知事ですね、都道府県に協議をする、こうなっているようです。 そこで経歴書を提出させるという意味はどこにあるのか。 それから通産局がすることになっているわけですが、承認できない、了承できないということがあり得ると思うのですが、こういう場合はどういう場合がそれに該当するのかですね。これはなぜかというと、商調協の委員を選ぶのに、何か通産局の方で干渉するような印象に受け取られる、その辺を恐れるわけであります。 それから、いわゆる都道府県と協議をするということですが、何を協議するのか。それで、協議するということになっているものですから、その前に商工会議所の会頭とか商工会の会長とかが、人選について事前に通産局に打ち合わせをしなければならなくなってしまうのじゃないか、あるいは知事の推薦を先に取りつけておくというようなことが生じてくるのじゃないかという感じがするわけですね。この辺のところについて少し疑問があるものですから、御説明いただきたいと思います。
○中島(源)政府委員 一番根本だけ申し上げます。 これは、通産局で審査をするという、干渉ではないかというふうに受け取られるおそれもあるのですが、商調協委員の職歴とか、それから事業者の場合には事業内容を提出していただくことになるのですが、その一番大きな意味は、商調協委員たる方で、進出大規模店と何らかの形で利害関係を持っておるような方は御遠慮願った方が明朗であろうということが根本にございます。したがって、人格識見を一々チェックするのではなくて、利害関係の有無を事前に考えて、利害関係のない方を選びたいというのが根本でございます。したがって、最初なくても途中で進出店と利害関係が生まれるような場合も、その方々は商調協委員を御遠慮いただくということになると思います。その場合に、人数が足らなくなった場合には、補助商調協委員を任命をいたすということが根本でございますので、すべてをチェックして政府の干渉だということのないように十分注意をいたしたい、このように考えております。詳しくは政府委員からお答えします。
○島田政府委員 いまお尋ねの点ですが、私どもいわゆる干渉をするという考え方は全然持っておりません。 ちなみに申し上げますと、現在の商調協の運用の通達におきましても、「商調協の委員の委嘱に際しては、通商産業局と事前に十分連絡をとり、その了承を得たうえで、次のような方針で商工会議所の会頭又は商工会の会長が委嘱すること。」ということになっておりまして、現在でもそういうことになっておるわけでございます。しかし私ども、従来の運用で商調協の人選について、非常に政府が干渉したというような非難は受けてはいないというふうに思っております。問題は、要するに適格か否かというのを一応判断する場合に、全然資料がなくては困りますので、事務的にいま政務次官が申しましたようなものを連絡していただきまして見る。それから、やはり地元の実情を一番よく知っておられる都道府県というものと十分相談をするということで、選任の適正化というものを一層図りたいという考え方でございまして、基本的には現在でもそういうことになっており、よりきめ細かくやるということでございます。
○上坂委員 経歴書は、普通常識的な経歴書がありますね。よく印刷物なんかであります。あの程度の経歴書を出すということなのですか。これは思想、信条まで及ぶと大変でありますからね。 それからもう一つ。「特定の案件について特殊な利害関係を有することとなった委員」、こうありますが、これは、たとえば省令なんかに入るときにはどういうふうになるのですか。具体的にそれを書くわけですか。そこのところをひとつ。
○島田政府委員 経歴書は、別にそんなに立ち入ったものじゃございません。いまお尋ねのありました一般常識的なものというふうにお考えいただきたいと思います。 それから、もう一つのお尋ねは、途中で利害関係を有するに至った場合どういうふうにするか、それについてどうなっているのかということですが、この点につきましては、現在の通達では、実はその委員の選任の際に、次のような方針で委嘱することという中に、「百貨店、スーパー等特定の大型小売業者への納入業者等特殊な利害関係のある委員は選定しないよう十分注意すること。」ということがございます。もちろんこの考え方は当然でございますが、その選任当時は関係がなかった、利害関係がないということで選任された人が、たまたま特定の案件に関して利害関係者になったというケースがございます。そういうケースが想定されますので、そういった場合にも、同じような考え方からしますと、その特定の案件の審議に関しては御遠慮いただくのが適当であろうというふうに考えておりまして、そういうような場合にはその審議に参加しないで、そのかわりに、必要があれば臨時委員というので差しかえていただくというふうにしたいということを、今度は通達の中にはっきりしておきたいというふうに思っております。
○上坂委員 もう一つお聞きしますが、通産局あるいは地方公共団体の職員を特別委員にするという理由はどういうことなのか。それから、特別委員会というものは事例ごとに置くというふうにするのか。それから、一体何人ぐらいの構成で、どういう役割りを果たしていくのか。これは、特別委員会がいわゆる特殊な権限を持って行政指導をするようなことになったらこれはうまくない、こういう考え方があるわけです。そうなってしまいますと、商調協が調整機関でなくなってしまうおそれがあるので、この点についての御説明をいただきたいと思います。
○中島(源)政府委員 いま特別委員会とおっしゃいましたが、特別委員会というものはございませんで、商調協委員の中に参与というものがいままであったのは御存じのとおりです。これは地方公共団体の、たとえば市町村長あるいは市町村の職員、これは参与ということで、参与ということになりますと、オブザーバーで発言権がございません。それを、発言権を持たせるために特別委員ということにいたそうというのが今度の趣旨でございます。 特別委員には市町村の職員あるいは通産局員も特別委員ということにさせていただきました。これは立場が逆のように思うわけでありますが、特に私が申し上げたいのは、市町村の職員あるいは市町村長、この発言を大いに求めたいというのは、先ほど第一点で、まさに削減のところで申し上げましたように、商調協の審議対象が単に進出店の規模あるいは時期だけではなくて、町づくりの観点から、地方公共団体の意見を公式の場で開陳をしていただくということは大いに参考になるのではないかということが根底でございます。 それからまた、通産局は、それを拝聴する方の立場であるにもかかわらず、特別委員として発言をさせていただくということになる根拠は、やはり通産局の方もそういう公の場で意見を申し上げた方がかえってフェアではないかということで、これも商調協に対する公正なる審議の干渉ということでは決してありませんし、また、ないように指導いたしたいと思っております。
○上坂委員 広域商調協の編成の問題がありますが、大型店舗の場合、商圏というものをどういう範囲に考えておられるのかということが一点。 それから、大型ナショナルスーパー、大型チェーンの場合は、その進出予定の商店街との競合を避けるという意味から、範囲をかなり広くとって、そうしてそこを対象にしているから、従来商店街が持っていたものよりももっとお客さんの数がふえるのだ、いわゆる顧客を誘導することができるのだ、そのことがその商店街にも非常に好影響を与えるのだ、こういう論法をとってきているのが実態だろうというふうに思うのです。そこでこの商圏が問題になってくると思うのです。 それからもう一つは、いま市町村の合併によりまして市町村の範囲が非常に広がってきました。実に広域になっていますね。ここのところはどういうふうに対処していくのか。これが二点目です。 それから三点目は、通産局長と知事が指示をするという項があるわけでありますが、この場合にはどういう拘束力を持つのかということについてお伺いをいたしたい。 それから、時間がありませんからずっといきますが、出店規模それから影響度合い、そういうようなものに籍口して、当該地域の商店のいわゆる勢力を分散させるような組織に広域のものがなってしまうおそれはないか、この辺のところをひとつ御説明をいただきたいと思うのです。
○島田政府委員 お答え申し上げます。 いま広域商調協についてお尋ねがございました。従来は、御承知のように通達では、それぞれその出店の地域の商工会または商工会議所の意見を聞くということで、その商工会議所に置かれている商協調が実際上検討するというかっこうでやっておるわけでございます。今回の国会の御審議の際にもいろいろ御議論がございまして、最近、要するに境界のようなところに出店が行われるために、出店する地域よりは、むしろその境界の向こう側と申しますか、隣接する他の地域、要するに他の行政区画の人を主たるお客さんとして進出をするというようなケースの場合に、どうも出店地域の商工会議所の意見というだけではやはり十分な議論ができないのではないかという御議論がございました。それで、前から、そういった場合に対処するために、広域と申しますか、拡大と申しますか、何かそういった形の商調協というものを考えたらどうかという御議論があったわけでございます。私ども、今回、運用をいま検討しておるわけですが、そういったような御議論に対して、一応広域商調協と仮に名前をつけておりますが、そういったようなものをひとつ考えようかというふうに思っております。 考え方としまして、その場合はどういうことかということになるわけですが、お尋ねのように、ある地域に出店する、その出店する店舗の主たる商圏が二以上の商工会または商工会議所の地区に及ぶという場合、これはいろいろな場合があるわけですが、その中で、その店舗の所在地が地区内にない、つまりお隣と申しましょうか、その地区で当該店舗の主たる商圏内の居住人口の相当部分を含むということになるような地区がある。そういうかっこうの出店が行われる場合には広域商調協を考えよう、こういうことでございます。 〔委員長退席、野中委員長代理着席〕 ではその場合、主たる商圏というのは何かということになるかと思いますが、商圏というふうに申しますと、これは非常に幅の広い概念になるかと思いますが、主たる商圏というふうに私ども考えておりますのは、店舗に対する顧客の大部分が含まれることになる地域ということを考えておりまして、そういう一定の範囲というものを考えよう、そういうふうに思っております。従来いろいろなケーススタディが行われておりますが、これは大体その店舗面積の規模に応じて異なるということになっております。したがって、店舗面積の規模に応じまして、いまのような実態調査を踏まえまして、合理的な範囲というものを設定しようということで考えておるわけでございます。 それから、お尋ねの、同一市町村内で幾つかの商工会または商工会議所がある場合、最近は要するに町村合併でそうなっているという場合について、いまの広域商調協はどういう考え方かということかと思います。 行政区画と商圏というものは必ずしも一致しないということでございます。したがって、それぞれの会議所の地区ごとに要件に合致するか否かを判断して広域商調協の編成を行うというふうに考えております。したがいまして、単に同一市町村内でも幾つかの会議所なり商工会がある場合に、その行政区画内にあれば全部のやつをひっくるめて、常に広域商調協を編成するということではない。要するにケース・バイ・ケースでその出店の地域と主たる商圏との関係を見まして、広域商調協をつくるかどうかというのを判断するというふうに考えたいと思います。 それから、なぜ指示をするかというお尋ねですが、これは要するに広域商調協をつくる、つくらぬという議論というのは、実態に応じていろいろ違ってまいります。そこでどういう場合につくるかというのについて、またいろいろ現地で議論が出てくるということも予想されます。したがいまして、私どもとしましては、いま申しましたようなある要件に該当する場合で、しかもその地元の、いまのケースで言えば隣接の商工会なり商工会議所の方からぜひ広域商調協をやってほしいというお申し出があった場合に、それを踏まえて出店地域の会議所に対して、広域商調協をつくったらどうかということを指示しよう、こういう一つの仕組みを考えているわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
○上坂委員 商調協の運営についてお伺いしますが、大規模小売店舗の審査方法というのをつくられるというわけですが、これの内容はどんなふうになるか、御説明をいただきたいのです。 それから、事前商調協というものを今回の通達では否定する結果になってしまうのじゃないかというふうに考えて、非常に危惧しているわけであります。ここのところの考え方をどういうふうにしているのか。説明を聞いていますと、正式商調協とそれから事前商調協というような言葉も使われているやに聞いておりますので、この辺の御意見をひとついただきたいと思います。 それから、審議会に商調協の意見を提出をすることに結局はなるわけでありますが、その場合、審議会の決定がどうも腑に落ちないというかっこうで、再審査を求めるというようなことが一体できるのかどうか。またそういうことを求めてきた場合には、これはどこで再審査をするのか、ここのところをひとつ御説明をいただきたいと思います。
○島田政府委員 お答え申し上げます。 最初のお尋ねは、審査指標の問題かと思います。審査指標の問題につきましては、要するに七条で通産大臣が勧告するあるいは命令をするという場合、そしてそれを審議会でその前に意見を聞くわけでございますが、そういった場合、それからまた現実にはその前にいまお話もありました商調協でいろいろ議論もされるわけでありますが、そういった場合に七条の要件というもので判断をするのが、その要件というのが非常に広範な、抽象的な概念でございますので、もう少し具体的にその辺のところを判断する目安と申しますか、そういったようなものができれば、議論が非常に整理されていいんじゃないかという御要望というのはかねてあったわけでございまして、私どもも、できる限りそういったものができることが望ましいというふうに考えております。しかし、これは前から申し上げておりますように、一つの物差しというものをつくりまして、何か一定の係数を入れればセーフとかアウトとかいう答えが自動的に出てくるという、そういう性格のものというのは、本件のような商業調整のむずかしい実態にかんがみますと、それは非常にむずかしい、困難であるというふうに考えております。ただ、大規模小売店舗の調整に際しまして、審査の手順あるいはデータのつくり方あるいはそのデータの解釈の方法というようなものにつきまして、もう少し具体的に明らかなものができれば、これは少なくとも審査を進める上で非常にプラスになるというふうに考えられますので、そういったようなものができないだろうかということで現在検討をいたしております。できるだけ早くそういったものを仕上げていきたいと考えております。 それからもう一つの点は、商調協について事前とか正式とかいろいろあるけれども、これはどういうふうな考え方かというお尋ねだと思います。商調協の問題というのは、御承知のように本来七条で勧告をする場合に、大店審が審議をする場合に、その意見を商工会議所あるいは商工会に求める。その商工会議所なり商工会が意見を出す場合に、実際に具体的案件をどう考えるかということは非常にむずかしい問題ですから、それを検討してもらう場として商業活動調整協議会というものをつくって、そこで専門的議論をしてもらう、こういう性格のものであるわけでございます。ところが、そういう商業活動調整協議会というものがございますので、それでこの問題についての検討をしてもらうのが適当であるということで、実際上の運用としましては、三条の届け出があって後に商調協でその問題をどう考えるかという議論を行っておるのが現実でございます。たしか国会ではこの前、事前商調協とは一体どういうものかとお尋ねになった場合に、実際上そういうものが行われておるというふうにお答えしたと思いますが、そういう性格のものでございまして、商調協の活動につきまして、事前とか事後とかというものを区分するというべき性格のものではない。商調協の活動がどういうものであるかによって、その辺が便宜事前商調協とか正式商調協とかというふうに言われておるのであろうというふうに考えます。 それから第三点の大店審の意見について異議があるという場合に、不服の申し立てができるのかというようなお尋ねだと思いますが、法律上の性格から申しますと、大店審というのは通産大臣から意見を求められて、それに対して答申をするという性格のものでございます。したがいまして、処分はあくまで通産大臣が行うということでございます。したがいまして通産大臣が行うものでございますので、行政処分としては、通産大臣の処分に対して不服の申し立てをするということになるわけですから、これは行政不服審査法なりそういう手続で行われる。大店審についてどうこうということは法律ではあり得ない、こういうことでございます。
○上坂委員 時間がありませんから進みますが、本年の一月二十六日に、マーケティング情報センター主催の「改定大店法の逐条解説と運用方向について」というセミナーが行われたわけでありますが、産政局の調整官、伊藤敬一君ほかが出席しているようでありますが、これは何名でだれだれが出席をしたかということです。それからそれぞれの講師の講義内容について、私は原稿があるのではないかと思うのです。もしその原稿があれば原稿を提出してもらいたいと思うのです。原稿がないということになれば、テープでもとってあればそのテープによる原稿をひとつ提出をしてもらいたい。 このセミナーでは非常に重大な発言がなされているようであります。何人かに私は聞きましたけれども、印象としては、どうも各都道府県が持っている条例とか指導要綱などは全然認めない、つぶそうというような方向に発言をしてみたり、あるいは何か届け出てくるものについては、これは大体許可するような方向に何となく指導するようなニュアンスがかなり強いように言われております。そして私たち政治家がこれに介入すると、何もわけもわからないくせにして、議論をしていてよけいなことを言うとすぐ引っ張られてしかられるなんという発言まで質疑応答で出ているというふうに聞いているんです。そういうことになりますと、大臣も含めまして、私たち政治家ですから、これはやはり問題なんですね。この点についての資料をひとつ提出してもらうことをまず要求をいたしておきます。 それから大型小売店の営業時間と休日についてでありますが、零細小売店の立場から見れば、大型店の閉店時間はできるだけ早く、それから休業日数もできるだけ多く、四十日とか五十日とかというふうになるのが望ましいと考えていると思うのです。その点についてこれからどういう指導をされていくかということです。最近の省エネルギー問題からいってもこれは非常に大切なことではないかというふうに思うのです。この点についていろいろ検討されている政務次官にひとつ御意見をいただきたいと思うのです。
○中島(源)政府委員 一月のことに関しましてはまだ報告を受けておりませんので、政府委員から……。 後段の閉店、休日につきましては、御存じのように現在月四日、六時というものが根本になっております。それを過ぎたるものは地域地域の商調協でお諮りをいただくということになっておりますが、御存じのように、一時、通達で、経過措置として当分の間ということで年四十日、七時というものが出たようでございます。しかしそれも当分の間というのは経過しておりますので、改めてここで考えるかどうかということでございますが、いままでの経過措置部分を含めまして第一種部分についてのものでございますので、いまここに新たに大店法で五百平米まで下げたということになりますと、第一種、第二種を含めて考えるべきかどうかという哲学を、もう一度やはり考え直す必要があるであろうと思っております。 二つございまして、一つは閉店時刻につきましてはある程度のめどをつけるといたしますと、いまの商業活動の流れからいたしまして、就業時間の問題をもう一度根本から討議せねばいかぬのではなかろうかというふうに考えます。特に第二種につきましては相当長い営業時間を持っておりますので、これを閉店時刻だけで規制することがすべてノーマルな商業活動に通ずるかどうかという問題がございます。たとえば、くだいて言えば、生産性からいけば、八時間の就労時間の倍数でいきまして、三倍の二十四時間営業が一番いいと考える方もあるであろうと思うのです。二十四時間営業が是か非かということになりますと、二十四時間営業は自由であるとしても、それを受け入れる周辺の中小小売商が、たとえば夫婦二人で営業している場合、二十四時間なんというのはとても過重労働でがえんじ得られませんので、そういう周辺の中小小売商との調整接点というものは、私ども考えていかなければならぬのじゃないかと思っております。ただ第一種に関しましては、百貨店、スーパーをとりましても、相当部分が七時以内におさまってきつつあるところでございますので、もう一押しこれに対して枠をかけるかどうか、いま検討中でございます。ただ休業日数につきましては一応月四日ということでございますが、これは百貨店の中でも余り統一されておりません。それで、先生がおっしゃいますように、ことしの夏あたりは相当電力事情も逼迫しておりますので、その点からすれば完全閉店休業日数をふやしてもらうということは大変望ましいことであると、省エネルギー上からも考えてはおります。その範囲はどの程度にするかはいま検討中でございます。
○島田政府委員 お答え申し上げます。 先ほどお尋ねのありましたケースにつきましては、実は私自身はその内容については承知いたしておりませんが、いまちょっと聞きましたところでは、いろいろ各方面の御要望に応じまして、改正大店法の考え方については御要望があった場合には御説明をいたしておることはございます。ただ、考え方としましては、私どもこの国会の場でるる御説明いたしておりますような考え方で改正大店法の運用をしていきたいということで、いまやっておるわけでございますので、それと違うような発言があったとは私思いませんし、もし私どもの考え方はどうかと聞かれれば、ことで申し上げておるような考え方であるということを改めて申し上げておきたいというふうに思う次第でございます。 それから閉店時刻、休業日数につきましては、いま政務次官からいろいろお話がありましたので改めて申し上げませんけれども、現在の実態は、私どもの調べておりますところでも、細かくは申し上げませんが、業種、業態、地域によってさまざまでございます。それはまたそれだけのいろいろな実態があるわけでございまして、これにつきましてどういうふうに考えていくべきかということにつきましてもいろいろな考え方があろうかと思います。基本的には、その閉店時刻、休業日数についての大店法での調整の考え方というのは、すでに先生御案内のように、周辺中小小売商業に及ぼす影響を除去するようにという観点からの調整を行うということでございます。
○上坂委員 時間がないので、いま政務次官からもらいましたので答弁はいいです。
○島田政府委員 失礼しました。
○上坂委員 もう一つ最後にお伺いしますが、中小企業分野調整法が本委員会で成立したのが五十二年四月二十八日で、ちょうど満二年になるわけです。そこで、分野法の精神を守っていくということが一番大切じゃないかと思うのですが、いままで分野法によっていろいろな調整が行われた事例あるいは紛争の調整をしたという事例、それから法の対象にならなかったけれども、いろいろな面で指導したというようなことがどのくらいあるか、これは件数だけでいいから教えていただきたいと思うのです。 それから最近、絵画用のキャンバスの製造販売業界に、東洋紡績の系列会社である大手クロスメーカー、東洋クロス株式会社が進出をしております。そしてすでに商品が出回っているというふうに聞いておるわけであります。日本キャンバスメーカー組合というのがありますが、これが東洋クロスに対して製造販売をやめてくれという申し入れを行っているわけであります。これについて一体どうなっているか、いきさつについてお伺いをいたしたいと思います。それからこれについては今後どういう指導をされていくのか、この分野法の精神にのっとっての指導のあり方ということについて、最後にひとつ御説明をいただきたいと思います。
○左近政府委員 分調法の施行状況についてお答え申し上げます。 分調法を現在まで運用いたしました実績でございますが、不動産仲介業の分野に関しまして、調査の申し出及び調整の申し出が建設省に出されましたのが一件ございます。それから、クリーニング業の分野に関する調査の申し出が、厚生省に対して行われた案件が一件ございます。この両件につきましては、いずれも調査結果はそれぞれの申し出者にすでに通告されております。調整については現在検討中ということでございます。それから、御指摘のありましたように、実はこの申し出をする事前に両者が自主的に話し合って解決した案件というのは相当ございまして、また法律自身も第四条で自主的解決をうたっておりますので、われわれも相談がありますれば十分事前に話をつけるようにという指導もいたしております。これにつきましては、件数についてはつまびらかにいたしませんが、例示的に見ましても相当な件数に上るのではないかと考えております。今後もこの分調法の精神に基づきまして、できれば自主的な解決を促進してまいりたいと考えておるわけでございます。 なお、クロスの問題については関係局長からお答えいたします。
○栗原政府委員 東洋クロス株式会社の絵画用キャンバスの生産につきまして、中小企業のキャンバスメーカーとの間におきまして紛争が生じておるという事態につきましては、私どもも承知しております。現在両者から話を聞いておるという段階でございます。東洋クロス株式会社と中小企業のメーカーとの間で現在意見の交換が行われているという段階でございますが、私どもといたしましては、やはり両者間で話し合いに基づきまして円満な解決が図られるということを、まず第一義的には期待しているものでございます。これからの話し合いの成り行き次第でございますけれども、仮にこの話し合いがスムーズに進まないというような事態に立ち至りました場合には、私どもといたしましても、その時点におきましてこの分野調整法の精神に基づきまして適切に対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○上坂委員 いまの御答弁ですが、適切に対処すると言うが、その適切というのがなかなかむずかしいので、よくわからないわけですね。そこで問題なのは、やはり大企業がこういうところへ進出して、中小企業の分野を侵すことのないように指導していくということで、これは特に強く要望しておきたいと思うのです。 終わります。
○野中委員長代理 板川君。
○板川委員 私はきょうは、公取とアメリカのスリーマイル原発事故の問題、この二点について質問いたしたいと思います。 まず、公取委員長にお伺いをいたします。時間の関係がありますので、私の質問を要約して、一括して申し上げます。公取委員長も一括して項目ごとに御答弁を願いたい、こう思います。 第一は、公取委員会は去る四月十六日付をもって、三越の納入業者に対する押しつけ販売は優越地位の乱用であり、不公正取引であるとして、排除措置をとるよう勧告をしました。その経緯と理由について報告を願いたい。 第二は、昨日の新聞によりますと、三越はこの勧告を不満として応諾しないということが報道されております。そこに社会を恐れない三越の岡田商法というのが見受けられると思うのでありますが、三越側が問題とする点、不満としておる点はどういう点だろうか。もちろん審判にならなければ正式にはわからないことでありますが、この点公取としてどう考えておりますか。 三点として、勧告を不服として、審判をもって争うということになりますが、その場合の手続は今後どういうふうになるか。 四点として、百貨店業界には、自主規制基準をつくって納入業者の意思を尊重して、秩序ある取引慣行をつくろうという機運があると報道されておりますが、自主規制基準の内容が妥当であるならば、昭和二十九年告示七号で決められた百貨店業における特定の不公正な取引方法について、すなわち特殊指定項目の中にそれを追加する必要があるのじゃないだろうか。その方が安定した秩序ある商慣習が確立されるのではないだろうか。 五点として、独禁法改正の際に約束にもなっておりましたが、公取は事業者団体に対する活動のガイドラインを公表するということになっておりました。その制度案が三月二十日に発表されておりますが、今後の取り扱いについて公取委員長の考え方を明らかにされたい。 以上五点について、時間の関係もありまして一括質問いたしました。詳細はいずれ機会を改めて質問いたしますが、公取委員長から一応その概要について御答弁願いたい。
○橋口政府委員 株式会社三越に対する独禁法違反事件でございますが、百貨店につきましては、かねてから優越的地位の乱用行為としての納入業者に対する押しつけ販売あるいは納入業者からの協賛金の強要等の事実があったわけでございまして、この点につきましては、幾多の納入業者から苦情の申し立てをいただいておりましたし、また公正取引委員会といたしましても、アンケート調査のほかにいろいろ予備的な調査もいたしておったわけでございますが、その中でも三越に対する苦情あるいは三越についての情報の提供あるいはアンケート調査の結果による実績等から見まして一番問題が多いという考え方のもとに、昨年十一月二十八日に立入検査をいたしたわけでございます。 具体的な被疑事実といたしましては、取引先納入業者に対して、いわゆる協力販売と称して自己の販売する商品、入場券等の押しつけ販売、それからまた売り場の改装等に際してのいわゆる協賛金の要求が、独占禁止法で定めます不公正な取引方法に該当するということで立入検査を行い、その後鋭意調査を進めてまいりまして、去る四月十六日に勧告による排除措置を要請したわけでございます。 この点につきましては、いま申し上げましたような経緯でございまして、勧告書の主文でも明らかにいたしておりますように、株式会社三越は、お勧め販売あるいはR作戦等の名称で、いわゆる店頭外販売行為を行っておるわけでございますが、これは他の百貨店に見られないような組織的、意図的、継続的、計画的な販売行為でございまして、一部に五十歩百歩とかあるいは一罰百戒というような活字も見えるわけでございますけれども、他の百貨店の商法とは隔絶した販売方法をとっておるわけでございまして、量的に見ましても質的に見ましても、これは一般の商慣行を明らかに逸脱した異常な行為である、こういう認識のもとに勧告の措置をとったわけでございます。それに対しまして、勧告を応諾するかどうかということにつきまして、一般の慣例に従いまして十日間の期限をつけたわけでございますが、四月二十五日に、同社からは津田代表取締役の名前で勧告を応諾しないと通知があったわけでございます。 一方、お話がございましたように、四月二十日には百貨店協会の理事会におきまして自主規制の案が最終的に決定を見ておりますし、それには三越も当然関与いたしておるわけでございますから、そういう点から申しますと、勧告を応諾しないというのはある意味では論理矛盾ではないかと思うわけでございますが、手続上の見地から申しますと、勧告を受けたものはその諾否を通知することになっておりますので、この段階で応諾しない理由について通知する必要はございませんので、当方といたしましてはその理由を十分承知をいたしておりません。いずれ審判手続が開始になりまして、審判の過程において応諾しない理由が明らかにされるものというふうに考えております。私なりのいろいろの個人的な感想はございますが、公の立場ではそれ以上申し上げることは御容赦をいただきたいと思います。 それから審判になりました後でございますが、審判の手続は、違反行為の排除措置を命じようとする相手方、つまり被審人に対しまして、審判開始決定書の謄本を送達することによって開始をされるわけでございまして、第一回の審判の期日は、審判開始決定書を被審人に発送しました日から三十日以後に定めることになっております。 そういう経過を経まして審判が開始されました後は、これに対しまして、審判の過程におきまして勧告の内容に同意するという申し出がありました場合には、いわゆる同意審決ということになるわけでございまして、審判手続を経た後に、依然として独占禁止法の規定に違反する行為があると認められます場合には、いわゆる正式審決をもって被審人に対して排除措置を命ずることになるわけでございます。 それからなお、申し落としましたが、審判の途中におきまして同意審決を受けることなく違反行為をみずから排除するという場合には、審決をもってその旨を明らかにするいわゆる違法宣言審決という道も残されておるわけでございます。 整理して申し上げますと、大体におきまして三つあるということでございます。違法宣言審決と同意審決と正式審決ということになるわけでございます。 それから百貨店協会で行いました自主規制の基準でございますが、業界としては、問題の性質を十分よく理解をして前向きに対処しておられますので、これにつきましては正しい評価をすべきものではないかというふうに思っております。お示しの趣旨は、さらに加えて、いわゆる特殊指定等の措置が必要ではないかということでございまして、私どもといたしましても、将来問題として特殊指定という措置を考えていないわけではございませんけれども、ただいまの段階におきましては三越以外の二十二社についての調査も続行中でございますし、その成果を見る必要もあろうかと思いますし、また、三越問題の成り行き等につきましても関心を持つ必要がございますので、現段階において、直ちに特殊指定を行うことが適当かどうかということにつきましては、現状におきましては消極的に考えております。将来の問題として特殊指定はさらに検討を進めたいというふうに考えております。 それから、事業者団体の活動に関する指針の問題でございますが、これは、かねてから事業者団体の活動の限界につきまして、はっきり成文化されたものがないということを中小企業の団体等から御注意をいただいておったわけでございまして、私どもとしましても、できる限り明確な文章で活動の限界なり範囲というものを明らかにすることが望ましいというふうに考えておったわけでございまして、約一年間の作業を経まして三月二十日に一応の案を発表したわけでございますが、これは事業者団体の活動に関する指針でありますと同時に、また行政上の取り扱いの指針でもあるわけでございまして、こういう成文化をすることによりまして、その成文化されたものをベースにして論議を展開し、また実際の活動例というものが蓄積をされることによって、将来事業者団体の真の活動のルールというものが生まれてくるのじゃないか、こういう期待を持っておるわけでございます。従来は公正取引委員会の方針というものがそれほどはっきりしないまま、直ちに取り調べなりあるいは審査を受けるというようなことも言われておったわけでございますので、今回こういう指針を発表いたしますと同時に、いわゆる事前相談の制度というものを設けまして、事業者団体である計画をお持ちになって、これを実施する場合に、一体事業者団体の指針なりあるいは独禁法に触れるかどうかということにつきまして照会をしていただきまして、これに対して回答をするという制度も開くつもりでございます。これによって事業者団体の活動内容についての安定性、それに対する行政の対応姿勢の安定性というものも確保されるのじゃないかというように考えておるわけでございまして、これはいま各界の御意見を拝聴しておるところでございますが、できれば六月中にも最終的な案をいただきたいというふうに考えておるところでございます。
○板川委員 わかりました。 時間の関係がありまして、次に、スリーマイル島原発事故と今後のわが国の安全対策についてお伺いをしたいと思います。 原子力安全委員会の内田委員は、過日、スリーマイル島原発事故調査のため訪米して帰国をされたようであります。帰国早々御苦労さまでありますが、調査の結果と、その原因は何であったか、どういう点にあったのか、感じたところを率直にまずお伺いをいたしたいと思います。
○内田説明員 内田でございます。 私は、四月六日から二十日までの間、約二週間米国へ参りまして、スリーマイルアイランドの事故につきまして米国の規制委員会の委員並びにそのスタッフ、それからペンシルベニア州に参りましてスクラントン副知事等ともお会いしまして、事故の経過、その原因、それからそれに対する対策等につきまして、直接これらの方にお会いしまして正しい情報を得て帰ってまいったわけでございます。 結論を申しますと、NRC、米国規制委員会の正式の情報と、これらの方からの正しい情報を踏まえますと、今回のこの事故によりまして、燃料はかなり被損しましたけれども、燃料の溶けたということはなかった。それから一般公衆に対しての放射線の影響というものも、当初予想されたよりもかなり低く、結果的には自然放射線の影響とほとんど同じくらいのものがプラスされたと考えれば十分余裕がある値ではないかという結果でありましたけれども、ともかく今回の事故は、商業発電炉としましては制御できない形の放射能が放出されたということで、非常に重大なものであると重視しているわけでございます。 幸い向こうへ参りまして、正確な情報を的確に得ることができましたので、今後それを持ち帰り、まだ専門家が数人行っておられますので、それらの帰国を待ちまして整理し、米国原子力発電所事故調査特別委員会の皆さんの御意見を踏まえまして、安全性の向上を一層期するためにこれらの調査の結果を使いたい、こう思っておる次第でございます。
○板川委員 いろいろ新聞やその他の資料で、一応事故の原因等については報道もあるわけでありますが、報道によりますと、二次冷却水系に異常が起こって機能しなくなった。本来ならばその場合に補助ポンプが稼働すべきなのを、補助ポンプを法令に違反して閉めたまま点検をしておった。こういうことで水圧が上がり、熱が上がりと、こういう結果になった。一番最初は二次冷却水系の機能が停止したというところに原因があった。それからはいろいろ操作のミスや何か、法令違反の措置などをとっておったためにああいう事故に発展したんだ、こう言われておりますが、この最初の事故の発端となった二次冷却水系といいますか、この故障になった原因は何だったんでしょうか。
○内田説明員 このスリーマイルアイランドの事故のそもそもの原因でございますけれども、いま先生のおっしゃいましたように、二次冷却系のトリップといいますか、停止したということでありまして、二次冷却系の停止したそもそもの原因といいますのは、復水器からの水を蒸気発生器に送る系統に主復水ポンプと脱塩装置と主給水ポンプが直列に並んでおりまして、それぞれが多重性を持っておるはずでございます。ところが、どういう原因かわかりませんが、その主復水ポンプと脱塩装置と主給水ポンプがほとんど同時に停止してしまった、トリップしたということがそもそもの発端でございまして、このような主給水系統が停止するということは運転中必ずしも珍しいとは言えない、当然予期できる問題でございますけれども、この三者がどうしてトリップしたかということは、これ自身私よく知りたいのですけれども、まだなかなか明確にはなっておりません。大体の情報でありますと、その脱塩装置の補修をしておるときに影響がその三者に行ったんであるということくらいはおよその情報でありますけれども、この点に関しましてはNRCに伺いましてもまだ明確になってございません。 以上でございます。
○板川委員 この原子力発電所は昨年の十二月三十一日に運転開始したばかりなんですね。いわば新鋭の装備を持った機械で、それが四カ月もたたないうちに脱塩装置あたりからトラブルが起きてそういう故障になった、こういうことなんでありますが、一説に、七八年、要するに昨年末までに運転開始をすれば税金が安くなる扱いがあったとか、あるいは補助があったとかということで、それを目当てに無理をして昨年の末に運転開始をした。そもそもそういうような一つの欠陥性を最初から持った発電炉ではなかったか、こう言われる向きがありますが、この点についてはどういう所感をお持ちでしょう。
○内田説明員 いま先生のおっしゃいましたようなことは、私も新聞等で全く知らないわけではございませんが、私が参りましたのは、ともかく今回のスリーマイルアイランドの事故そのものについて正確な情報を得るということでございますので、先生のおっしゃいましたそれ以前の話につきましては、私正確な情報を持っておりませんので、ちょっとお答えできないわけでございます。
○板川委員 次に吹田安全委員長にお伺いをいたしますが、原子力安全委員会は三月三十日、事故が起こってまだ四十八時間もたたないときでありますが、わが国ではこの種の事故は起こらないという趣旨の、表現は必ずしも一致してないかもしれませんが、委員長談話が発表されました。当時は米国でも原因や真相を究明中であって、原因についてまだ正式な発表もないのに、なぜ日本でそのような談話を急いで発表する必要があったかという点を私は問題にしたいのであります。安全であるということを宣伝をしあるいは国民に理解を深めてもらうことはいいんでありますが、国民が安全に対して理解を持つためには、拙速よりも正確さと真実さを要求されると思うのですね。だから、何もまだ原因が究明されてないのに、あわててわが国ではこういう心配はないんだ、こういうことを言う必要が三十日にあったのかどうか。ですからある学者に言わせると、わが国の原子力安全委員会は安全宣伝委員会である、こういう悪口さえ言われるわけでありますが、私の言いたいことは、なぜ三月三十日にわが国では大丈夫、こういう発表をせざるを得なかったか、その点の考え方を伺いたい。
○吹田説明員 三月三十日、あのような委員長談話を出しました背景には、実は非常に長時間をかけまして練った結果でございました。あの談話が出る過程で私たちが一番先に考えましたのは、ああいう事故を日本で起こしてはならないということでございます。 それから安全委員会は、それではどういうことがあのときにできるか、非常にいろいろな情報が公式、非公式にわれわれの耳に入ってまいりましたが、その情報の中からわれわれが非常に正しい情報であると考えられる情報が二つございまして、それは先ほど先生御指摘のように、あの事故が二次の冷却系からスタートした、そういう事実でございます。もう一つは、その情報の中からわれわれがキャッチできます確かなことは、人為的なミスが非常に重なっておるという、この二つの最も確からしい情報をあの三十日にキャッチいたしました。それはちょうど当日安全委員の田島先生と調査室長の佐々木君がアメリカのワシントンにおりまして、そういう情報源がございましたので、私たちはその情報のもとに、日本の原子力施設から国民の安全を守るのはわれわれであるという、非常に基本的な姿勢をそのとき打ち出すべきであると考えました。 それで、あの談話は四つの項目から成っておりますが、どういうわけかその第二項の実態を述べました、わが国の安全審査とか使用前検査でありますとか、それから定検などを非常に厳重にやっておりまして、多重防護のそれぞれの防護を厳重にやっているという実態を述べた第二項が非常にひとり歩きをいたしまして、安全宣言のようにとられてしまいましたのははなはだ遺憾でございまして、あの談話は実は四つの項、特に第三と第四——第三と申しますのは、そういう二つの非常に確からしい情報から打つべき手は、それは全原子力発電所に対しまして多重防護のそれぞれを質量ともに非常に強固にするというのが前半でございまして、三の後半は、人為ミスに対する手当てといたしまして、運転管理その他そういう人為ミスを減らすには現在どうしたらよろしいかというのを、実は通産及び関係省庁に指示をいたしました。それと同時に、私たちは非常に正確な情報を得るために、専門家を派遣いたしまして、実は来月の一日から……
○板川委員 委員長、恐縮ですが時間がありませんから。 私は、三月三十日という時点で、まだ正確なアメリカ側の調査の原因の発表もないのになぜ出したか、この辺を実は疑問点としているのですよ。それは田島さんが行っておって打ち合わせしたということがあるかもしれませんが、この基本設計や、あるいは多重防護がしてあるからと言っても、スリーマイル島の原子炉だって多重防護してあるはずなのであって、それが事故を起こしているのであって、多重防護してあるから心配ないんだ、設計上心配ないんだ、こういうことだけではやはり国民は安全に対して信頼をしないのですね。だから、私が言うのは、なぜ三月三十日の段階であわててこの事故についての発表をせざるを得なかったのか、この辺が実は国民の立場から言えば疑問で、だから安全宣伝委員会などと言われておるのであります。言わんとする趣旨は、資料もございますから私も承知しておりますが、私はこの発表された内容よりも、三月三十日という時点で発表したところに問題ありということを言いたい。それはよく調査も、原因もわからないうちに、わからないうちにと言ってはおかしいのですが、わからないうちに安全だということを言う必要はなかった、こういうことを言いたいのであります。設計上安全だと言っても、どこの原子炉だって、理論上、設計上は全部安全なのであって、それが実際事故を起こすから問題とされるのだと思うのですね。そういう点で、早まって出したことについて私が問題としたという点で御了承願います。時間がありませんで、失礼をいたします。 これは吹田委員長にお聞きしてもいい、政府でもいいのですが、この原子力発電の安全性について、御承知のようにラスムッセン報告というのが出されております。ラスムッセン報告というのは、原発事故の最悪の状態を想定して安全性を検討したわけでありますが、スリーマイル島原発事故と同じように、まず冷却水系が切断され、あるいは故障したとして、それによって炉内の水温、水圧が上昇する。逃し弁が働き、水蒸気や熱水が噴出をし、炉心が空だき状態になり、空だきが続くと炉心が溶融して破壊される。それを防ぐために緊急冷却装置、ECCSが自動的に機能する。冷却水を注入して炉心溶融を防止する。こういうのがラスムッセンの報告の想定になっておるわけでありますが、ECCSが完全に期待どおり作動するというならば、十人以上死ぬような事故は百万キロワット原子力発電所で二十五万年に一回である。百基原子炉が運転されても年間に五十億人のうち一人が死亡する程度であり、これは、アメリカにおける自動車事故で毎年四千人に一人死んでおる、あるいは飛行機事故で十万人に一人死んでおるのから見ればまことに微々たるものである。これはちょうど隕石が落ちて死亡するぐらいの確率しかない。こういう結論を出して、したがって原子力発電は安全である、こういうことを出したわけであります。一九七五年に三年間調査をした結果出した。アメリカではこの結論に物理学者などから反論が直ちに起こっておって、最近原子力規制委員会、NRCは、この報告の支持を取り消しておる、こう言われておりますが、日本ではこのラスムッセン報告について今日どのような評価をいたしておるのでしょうか。これは吹田委員長でも内田さんでも、通産大臣でも結構です。
○宮本(二)政府委員 ただいま先生が御案内のとおり、ラスムッセン報告につきましてお尋ねございましたわけでございますが、ラスムッセン報告につきましては、確率論的な評価を原子炉の事故につきまして導入したという点につきまして評価されておったわけでございますが、御承知のとおり本年一月でございますか、ルイス報告ということによりまして、確率論的な評価を導入したことを評価しつつも、その中の確率の数字その他についていろいろ疑問の点があるということで、その要約につきましての支持を撤回した、こういうことになっておるわけでございます。 こういう確率論的な評価を、わが国におきましては安全審査に導入しておるわけではございません。わが国におきましては仮想事故それから重大事故、こういうものを想定いたしまして、ラスムッセン報告の成果を用いておるものではございません。したがいまして、この問題について、政府におきます安全規制につきましては直接の関係はないのではないか、このように考えておる次第でございます。
○板川委員 私どもはいままで、原発には完全に多重防護装置がしてあるから絶対に安全であるという神話を聞かされてきました。その二、三を申し上げてみますと、森山現運輸大臣が科学技術庁長官時代に、当委員会やいろいろの委員会で発言した公式記録があります。たとえば電源開発促進税法案について本会議でこう言っておるのですね。これは森山科学技術庁長官の発言です。「原子力発電所が何か大爆発を起こすなんということは全くございませんから、どうか、そういう基本的な、初歩的なことは、こういう議場で御論議になられないように、ぜひお願いをいたしたいと思うわけであります。」今回、結果的には大爆発は起こらなかったけれども、しかしその寸前まで行ったということは、避難命令を出したという事実でもわかると思うのですが、そういうように大爆発なんというのは起こるはずがない。それから、「この原子力発電所を動かします際に、間違って機械を動かすとか、あるいはまた、機械でございますから、故障というものはあるわけでございます。間違って動かしたり故障がございましても、そういう場合には安全装置が動いて、かわりの機械が動くとか、あるいはまた機械がとまるとかいうことになるわけであります。どうも、機械がとまると、あぶないあぶないと言うのでありますが、機械がとまるから安全なのでありまして、」こういうことを言っておりますし、また、これは商工委員会において、昭和四十九年五月二十一日でありますが、「たとえば原子炉一つとりましても、機械でありますから、局部的な故障があります。人間が操作するわけでございますから、ミス操作はあるわけでございますが、そういう機械であるから故障があるとかミス操作がございましても、とにかくかわりの機械が動くとか、最悪の場合機械がとまるのであります。機械がとまるから安全のしるしなのでございまして、とまってから一々たいへんだというふうにテクノロジーアセスメントの技術段階においては考えるべきでないというふうに私どもは考えておるわけでございますし、」あるいは商工委員会で四十九年五月二十二日でありますが、「これにつきましては、どうも原子力発電があぶない、安全性に危惧の念があるように言う人がありますが、私どもはそういう考え方はもう間違っておると実は思っておるのであります。今日、わが国においてこれは通例になっております軽水炉発電におきましては、私はその安全性にもう一〇〇%の自信を持っておるわけでございます。」あるいは、「今日、軽水炉発電について安全性に疑念を差しはさむというのは、私は技術論より政治論だというふうに思っております。」こう言って、時の原子力委員長である森山科学技術庁長官は再三にわたって絶対安全だ、こう言ってきたのです。 それからもう一つ、これは朝日新聞社で二年ほど前に出された「核燃料」という有名な本なんです。これにはこう書いてあるのですね。簡単に言いますと、絶対に安全であって、ばかが運転しても安全である、それから誤操作があっても安全である、それから故障しても安全である、こうこれの二百七十六ページには書いてありますね。だから絶対に安全であるとして、しかもこの著書は最後の方で、革新系の指導者の中には、原子力や放射能に対する知識が全くない、反対せんがための反対をしているんだということで、朝日新聞社のような権威のあるところでも森山発言とほぼ同じですね。また、ある政党幹部は、原子力発電の絶対安全という神話を信じて、反対する野党は無責任野党だ、原子力を推進するのが責任ある野党だと得意げに主張しておった政党幹部がおりました。また、これは通産省エネルギー庁で出しました「原子力発電 その必要性と安全性」、これによりましても、これは言い方は違いますが、ばかが運転しても安全、誤操作があっても安全、故障があっても安全、これにはそう書いてありますね。一貫して絶対に安全だという神話を持っておるのですね。 私は、こういうようなばかでもどうしても絶対に安全だという神話が横行してきたその最大の原因は、原子力委員会にあるんだというふうに思いますね。これは原子力安全委員会などがもっと真剣にこの安全性というものについて検討して、こういう人たちが余り過信しないように、人間の行為ですからね。それは設計上、理論上では安全であっても、どういう場合に事故が起きるかわからないわけでしょう。これを絶対に安全だというような信念を持ち、それを他に押しつけるというのは私は神を恐れない行為だと思うのです。こういうことをひとつ原子力安全委員会がもっと真剣に、真実なり危険性なりを指摘をして注意をしてもらうようにしてもらいたい。われわれが言ったって聞く人はないのであって、それは原子力安全委員会がそういう思想を普及してもらうほかないと思うのですが、独立機関でもなくて自由な発言はできないかもしれませんけれども、自由な発言をして、そういうことのないようにしてもらいたい、こう思うのですが、吹田委員長、いかがでしょうか。
○吹田説明員 絶対安全ということは理論的には人間のつくったものにはございません。いま森山長官のいろいろな発言を挙げられたのでございますけれども、私たちは科学技術的見地からこの安全の確保を真剣に考えておりますので、多重防護を厳重にやりながら、しかし今回の事故を謙虚に受けとめて、今後、いま先生御指摘のような線を十分心得て安全委員会としてはやっていきたいと考えております。
○板川委員 時間がありませんから先へ進みますが、通産省は、スリーマイル島原発事故の影響で、今後わが国の原発の開発が大変むずかしくなると思うのです。政府は、六十年原子力発電の開発目標を変更するという意思はありませんか。
○江崎国務大臣 今回の事故はいかにも私も残念であったと思います。わが国に与えたショックも相当大きいし、また国民が、いまお述べになりましたように、せっかく安心感を持っておったものに不安感を醸成した現実を見逃すわけにはまいりません。しかし、いま原子力安全委員長からもいろいろお話がありましたように、わが国の場合はもう安全第一主義で、特に安全の規制については二つの法律を駆使して、十分の上にも十分を期しておることは御存じのとおりであります。特に今度のこの状況にかんがみまして早速点検を命じたり、その点検も一週間という期限つきで命ずる。しかもまた、その報告を待ってディスカッションをする、ヒヤリングをやる、その上で四月二十四日に原子力安全委員会に点検結果を提出いたしまして、いま判断を求めておるというように、万全の措置をとっておるわけであります。しかも、現在運転中の原子力発電所につきましては、特別保安監査チームを派遣して再点検の結果を実際に確認する、また使用機器につきましても動作試験等を実施しておるというわけであります。 今後の対策いかんということでございますが、これは石油が逼迫しておりますときに、この石油にかわる最も効率的な代替エネルギーとしてはやはり原子力が考えられるわけであります。したがって、安全確保にさらに私どもは万全を期しますと同時に、アメリカも事故原因については、カーター大統領も率直に世界に表明するということを申しております。したがって、私どももその事故原因を公表することはもとよりでありまするが、わが国の点検結果等につきましてもやはり率直に国民に訴えまして、安全性を確認すると同時に、粘り強く理解を求め、今後の原子力発電に協力を得るような努力を払ってまいりたいというふうに考えております。よろしくお願い申し上げたいと思います。
○板川委員 私は、このスリーマイル島原発事故によって絶対安全だという神話が崩壊した以上は、安全に関する国民の不信感が高まってきて、新たな安全に関する国民の合意というものが大変むずかしくなってきておると思うのですね。今度は住民の反対でなかなか進まないという感じがします。私ども社会党は実はこういう原子力発電に対する政策を発表しておったのです。それは、この辺で新しく許可をするのを一応停止をして、現在までのもので安全を実証しつつ、三年ないし五年間くらいの期限で、専門家によって安全について公開論争をしてもらって、その結論なり論争経過を見て次の方針を考える、こういうようにしたらいかがなものか、こうしたい、こういう社会党の考え方なんです。たとえば、実際実行されないのですが、学術会議などで主催してもらって、政府は金は出すが口を出さない、そして安全に関する新しい合意を求めてはどうだろうか、こう考えているわけであります。今度は避難道路もつくるとか、そういうことも市町村の合意を得るとかということになると、なかなか新しい許可というのはできないだろう。だから実質的には社会党が言うような政策にならざるを得ないのじゃないか、こう思うのでありますが、この新しい安全に対する国民の合意、こういう方式をどのように考えておられるでしょうか。これは吹田委員長からお願いします。
○吹田説明員 原子力安全委員会は、本年一月四日施行されました原子力規制行政一貫化、つまり責任を持った行政をやるということで、原子力発電炉につきましては通産が責任を持ってやることになっております。そういういろいろなわれわれの当面の施策につきましては、昨年の十二月二十七日に「原子力安全委員会の当面の施策について」というのを決定いたしました。いまお尋ねの住民のいろいろな意見を反映するのでございますが、まずその一貫性から、第一次の公開ヒヤリングというのを、軽水炉の場合でございますと通産で主催いたします。安全委員会といたしましては、通産から出ます審査案に対しまして第二次の公開ヒヤリングをいたしまして、これは現地でできるだけ開くことになっておりまして、安全問題のうち共通な問題に関しましては専門家によるシンポジウムを開催する方針でございます。この公開シンポジウムでは広く専門家の意見、いろいろな方の考え方を討論をしていただきまして、安全規制に反映させるところは反映するし、今後のいろいろな基準その他に反映いたしたいと思っております。 そのようにいたしまして、安全委員会としては再チェック、いわゆるダブルチェックでございますが、そういうことを通じまして地元住民の疑問、意見等を聴取して、特に過去のいろいろな経験からいたしまして対話方式を取り入れるということをわれわれは考えております。特に公開シンポジウムにおきましては広く学界の協力を得ていきたいと思いますので、先生のお考え全部には沿えないかと思いますが、ある程度はそういうことによって国民のいろいろな層の意見を取り入れていけるものと私たちは考えております。
○板川委員 最後ですが、アメリカの安全論争の記録などを見ますと、私が申し上げることもないと思うのですが、ECCSの公聴会なども一九七二年一月から七三年七月二十五日で会議が開かれたのが百二十五日というように、ECCSの安全公聴会ですらこういう長期間かけて専門家同士の質疑応答を行い、政府関係機関ももちろん出て安全論争をするのですね。日本の公聴会というのは本当にいままでは言いっ放し、聞きっ放しみたいなもので、終われば必ずつくりますという形になっちゃうから暴れ込む住民なんかも出てきちゃうので、この安全論争というのはやはり学界なりそういうところの論争、専門家の論争が必要だと思うのですね。最近どこかの市でアンケートをとって、七割賛成ならやろうというけれども、どうも何も知らないというか、実際よくわからない人、しかもその期間中は、選挙ではないけれども、反対の意見、賛成の意見を言っては悪いなんというようなことで賛否が決められたんでは、本当の安全論争にはならないと思いますね。原子力基本法がせっかく改正されたけれども公聴会に関する規定はないし、有沢答申による公開ヒヤリングということになっておるようでありますが、もっともっと公開ヒヤリングなり安全公聴会なりというのを充実をしてもらいたいということを要望いたしまして、時間が来てしまいましたからこれで終わります。
○野中委員長代理 玉城君。
○玉城委員 私は、訪問販売等に関する法律の運用強化並びにこの法律の改正の必要性があるのではないかという立場から、順次お伺いをしてまいりたいと思います。 御承知のとおり、この法律は訪問販売、通信販売、そして本委員会や物価問題特別委員会等で再三再四取り上げられ、それだけ大きな社会問題であったいわゆるマルチ商法について規制したもので、五十一年五月に成立をし、同年十二月三日より施行されているわけであります。すでに二年と四カ月が経過しておるわけでありますが、果たしてこの法律が万全のものであるのかどうか、むしろ見直し、つまり改正の必要性があるのではないかという立場から政府の見解をお伺いをしたいわけであります。 そこで、最初にこの法律の主務官庁である通産省にお伺いをいたしたいわけであります。この法律のそもそもの立法の趣旨はどういうものであるのか、あわせてマルチ商法についてでありますけれども、通産大臣の諮問機関である産業構造審議会の答申では、マルチ商法は実質的禁止にすべきだと出ておるわけです。立法時の本委員会でも、当時の担当審議官は、マルチについては実質的禁止にする法律である、この法律が施行されれば悪質なマルチの残存する余地はなくなると繰り返し言明しておるわけであります。すでに二年と四カ月が経過し、当初言われたとおりマルチというものがすべて撲滅されているのかどうか、このマルチの現状についてこれまで対応されたこと等につきまして概略お伺いをしたいと思います。
○中島(源)政府委員 詳しくは政府委員からお答えいたしますが、基本的には私どもは流通の近代化と消費者の利益の保護、これが一番大きな問題であろうと思っております。訪問販売、マルチ商法というものは、いままでの店頭販売という枠を超えました積極販売方法の一つだというふうに理解はいたしておりますが、それが押しつけ販売あるいはそれを受け入れる消費者に対します私どものPRの徹底も不足しておるかもしれませんが、そういうところにつけ込みまして、いろいろなトラブルその他が起こっておるわけでございますので、この立法の根本の趣旨はそういったトラブルあるいは消費者利便が阻害されるようなことを防止してまいるということが一番大きな問題。 それからもう一つは、商業取引に一定のルールをつくりまして、流通の近代化を守りつつ国民経済の健全な発展を守ろう、こういうところにあろうと思います。 マルチ商法につきましては、おっしゃるとおり二年四カ月を経過しておりまして、相当撲滅の成果も上がっておると思いますが、ある一方におきましては、マルチ商法の倒産しました後、また別の形で生き残っておるという点もありましょうし、あるいは最近におきましては青年層にこのマルチ商法が新たに起こりつつあるという懸念もございますので、この点は十分に注意をしてまいりたいと思いますし、一番大きな問題は、二年四カ月たってまだこれが消費者に徹底していない点を、できるだけ、あらゆる意味でPRをし、周知徹底をいたしてまいりたい、このように考えております。
○島田政府委員 いま政務次官、訪問販売、通信販売、マルチとそれぞれ御説明されたわけですが、いまお尋ねの、特にウエートがあるかと思いますマルチにつきまして私どもの立法の意図と申しますか、いままで、それからまた現状がどうなっておるかという点御説明申し上げます。 御案内のように、四十八年ごろからいわゆるマルチ商法の弊害が目立ってきたわけでございまして、これにつきましていろいろな議論が行われ、その結果、いま先生からお話がありましたように、訪問販売等に関する法律というのが制定されたわけでございます。本法は、マルチ商法の弊害というものを排除するために立法されたわけでございまして、したがいまして、運用に当たっては悪質なマルチ商法の撲滅を目標にいたしておるわけでございます。 現状どうなっておるかということでございますが、五十一年十二月の訪問販売等に関する法律施行以来でございますが、一般市民からの苦情受理公表制度というものを講じております。これによりますと、苦情は五十二年の七月をピークにいたしまして、当時五十二年の七−九で二百四十四件ございました。それが漸減いたしておりまして、五十三年十−十二月では十件ということになっております。この間、私どもの方といたしましては延べ九十二社につきまして調査をいたしております。本年二月に七社をマルチ企業として公表をいたしておるわけでございます。 いま申しましたように、マルチ商法は少なくとも表面的には一応下火になっておるというふうに考えられます。ただ、一つの業者がつぶれましても、そこでやっていた人がまた新たに開業するケースあるいはレジャー等と組み合わせて、学生等の若い人を誘うというようなケースもありまして、私ども決して油断はできないというふうに思っております。今後とも監視、それから啓蒙普及という点につきまして、遺憾なきを期していくという方針で臨みたいと考えております。
○玉城委員 確かにおっしゃいますとおり、この法律が施行されまして二年四カ月、業者の数が減っておることは事実でございます。先ほど審議官もお話ありましたとおり、二月十四日に通産省としても七業者につきまして公表をしておられるわけであります。そういう大変努力をしておられることは評価もいたすわけでありますが、まだまだやはりおっしゃいましたような形で残存しているという実態があるわけであります。 そこで警察庁の方にお伺いしたいのですが、ただいま申し上げました点につきまして、これまでの摘発の状況を、簡単で結構ですから教えていただきたいと思います。
○佐野説明員 検挙の関係につきましてお答え申し上げます。 本法違反の検挙は、昭和五十二年は三百二件、人数で三百三名ございます。それから五十三年には三百九件、人数にいたしまして二百四十九名となっております。このうちいわゆるマルチ商法、 マルチだけに限って申し上げますと、昭和五十二年は三十件、二十五名、業者数で申し上げますと七業者に当たります。それから昭和五十三年は五十八件、三十三名、業者数では三というふうな形になっております。 それからなお違反態様の関係で申し上げますと、十二条関係及び十五条関係を適用したものが、昭和五十三年では三業者、それから五十二年には六業者という数字になっております。それから十五条のみを適用して摘発しておりますのが、五十二年の一業者という数字でございます。
○玉城委員 この問題に関係いたしまして大変痛ましい事件が最近ありましたので、申し上げながらお伺いしてまいりたいのですが、このマルチ商法やネズミ講を追及している市民団体の悪徳商法被害者対策委員会という組織があるわけですが、そこに最近訴えられたマルチ被害の届け出があるわけです。その中で、この件はもう本当に痛ましい話でありますが、去る二月十七日に東京都の調布市で二十一歳の青年が飛び込み自殺をした。会社員だそうでありますけれども、副業のつもりでマルチの、先ほど通産省が七社公表されたとおっしゃいましたが、その中のS社に加入し、百万円余も出して特約店の地位についていたというのであります。それが行き詰まり、自殺に追い込まれたもののようであります。この事実を警察庁は知っておられるのか、そしてその自殺の原因についてお調べになったことがあればお伺いをしたいと思います。
○佐野説明員 御指摘のようなことをうかがわせる事案は、私どもも承知いたしております。 ただ、いずれにいたしましても本人がいなくなってございまして、あとの関係記録その他というものが、十分刑事事件につながっていくような形で掌握し切れておらないというふうな問題がございまして、事件としては一応ストップしておるやに聞いております。
○玉城委員 そういう事実があったということでございますが、先ほど申し上げました悪徳商法被害者対策委員会に関係者の方が訴えてきておられるところによりますと、なるほど遺書もないから先ほど申し上げましたS社に入会したことが自殺の動機かどうかということについては、だれもわからぬわけです。訴えてきたのは、この亡くなられた方と結婚を約束していたOL、二十三歳の方ですが、その母親とともに、涙ながらにS社が原因だ、借金をして出した百万円が元も取れず、精神的に追い込まれたものだと訴えており、会社の同僚も、おれはだまされたと言ったという彼の言葉を聞いているということであります。 悪徳商法被害者対策委員会の調べによりますと、四十九年からこれまでに、こういう関係のマルチの自殺事件はこれで十件目、うち一件は未遂で、今回九人目のとうとい生命が奪われたということになるわけです。確認されたものだけでこういう数字であります。 このOLの方は、そのS社にお金を返してと要求したら、金はびた一文返せぬと言われたそうであります。お金はともかくとして、このままでは浮かばれない、泣き寝入りすることはくやしい、どうしてこんな悪徳会社がのうのうとしているのかと訴え、その母親は、同じような被害がまた出るんじゃないか、一体警察はどうしているんだ、こういうふうに訴えているわけであります。 私たちの聞くところによりますと、この一月十四日にこのS社は都内のあるマンモスキャバレーを借り切ってショーを開いて、若い男女が千人ばかり集まり、そして次はさんふらわぁを借り切ると言ったというのであります。このOLの方もそこに誘われ、またディスコパーティーに誘われもした。そこには必ず初めて来たんだなと思われる若い人々がいたというのであります。こういうパーティーで巧妙に勧誘し、マルチのわなに引きずり込んでいるというのが実態です。 こういう実態を御存じあるのかどうか、通産省と警察庁にあわせてお伺いをいたします。
○佐野説明員 私どもの方でも、その種の情報によりまして、御指摘がございましたフィアンセでございますか、女友達の方の事情聴取に当たっておるわけでございますが、どうも警察での事情聴取に関しましては、なかなか口を割っていただけないというふうな事情でございます。それの裏にどのような事情があるか、私ども推測に非常に困難をきわめておるわけでございますが、そのような例というのは実は今回の例だけでなしに、ほかにも数件目立ちます。と申しますのは、マルチ商法に入っているという問題に関して、外聞をはばかるというふうな意識があるのか、あるいは刑事責任の問題として処理されても、それだけでは実際事態の解決にはならないというふうなお感じを持っておられるのか、その辺の被害者の意識の問題、どういうところに何を期待しているのか、その辺が私ども警察の方には的確に入ってこないというふうな状況がございますので、この辺をこれからどういうふうに解きほぐしていくかというのが課題であるかなというふうに感じております。
○矢橋説明員 先ほど具体的に御指摘がございました自殺の件でございますが、私どもに対しましても今月四月十八日に、悪徳商法被害者対策委員会の堺会長の方からお話があったわけでございます。そこで、私どもといたしましては警察庁に問い合わせをいたしましたところ、本人は福島県出身の独身男性、二十一歳、調布市在住で工員である。先生御指摘のとおり二月十七日に飛び込み自殺を遂げた、こういうことでございます。動機は、おれひとりでみじめだというような書き置きがあった由でございまして、いわゆる厭世自殺であろうということでございました。 そこで、このこととマルチ商法との関係につきまして、そのS社に問い合わせをいたしましたところ、この自殺をした方は五十三年の十月にいわゆる小売店契約をしておりました。この場合の出資額は六万円でございます。それから同年十一月には特約店に昇格をいたしております。そしてその場合の出資額は百五万円であったということでございます。 なお、私どもも悪徳商法被害者対策委員会の堺会長から事情をお聞きしておりますが、同氏のお話では、先生御指摘のような事情にあったとの由でございます。 いずれにいたしましてもこの件については具体的事情がはっきりしない点もございますので、もし事情が判明し、私どもにおいて会社に対する指導が行い得る余地があることでございましたら、その点しかるべく指導したいと考えております。
○玉城委員 こういう悲惨な事件が起こっていることは、私は非常にゆゆしい問題だと思うわけであります。そこで、ただいまの本当に痛ましい自殺をされた方がS社に加入されたのが、いまおっしゃいました昨年九月、また最近も、今度新たに、今年一月にあるマルチに加入した方もいらっしゃるわけです。これはマルチが業者数の上では減っていても、依然としてそのエネルギーは衰えず、ちょっと目を離すとすぐ復活することを物語っていると思うのです。現実に、実質禁止どころかますますこういうあくどい、悪といいますか、蔓延し始めているのではないか。この理由をお伺いしたいのでありますが、同時に、残っているこういうマルチには、当然法律違反がないとは言えないと思うのです。むしろ法律違反をしているから生き残っているのではないかと思うわけです。 〔野中委員長代理退席、渡部(恒)委員長代理着席〕 これもある被害者の書いた手記でありますが、どういう勧誘の仕方をしているかちょっと読み上げますと、「皆さんも週三回、一日三時間−四時間余暇を利用してサイドビジネスをすると月収三万−十万になり、さらに三ケ月−六ケ月間持続してプロ的にやると月収百万になり海外旅行も外車も夢でなくなる」、こういうこと。また、この方の場合は食品関係ですが、「この食品は食品衛生法に基づいて作られているのかとか、厚生省の認可はおりているのかなどとしつこく尋ねたのだが、もっともらしい返答をするので、僕はすっかり信じ込んでしまった。販売方法について、マルチではないかと聞くと、逆に貴方はマルチについてどのくらい知っているのかと聞きかえされ返答につまると、結局あなたはマルチについて知らないわけで、ちょっとした知識だけでマルチなどと言わないでくれといった。第一にあなたの友達がマルチであったらさそうはずがないといわれ、」これは一例でありますけれども、こういうふうな勧誘の仕方もやっておるわけです。 ただいま申し上げましたことは、訪販法の十二条の重要事項の不告知並びに十三条の不適正な勧誘の禁止に違反するのではないかと思うのですが、通産省のお考えを承りたいと思います。
○矢橋説明員 まず最初の御質問でございますが、なぜマルチがいまだに存在し得るのかという点でございます。これはいろいろなことが考えられるわけでございますが、一つには先ほど政務次官からもお答え申し上げましたように、仮に一つのマルチ会社がつぶれましても、そこで一たん甘い汁を吸った連中が、また別のものを再開をするということの繰り返しが見られるということでございます。それからもう一つは、他方現実に甘言に乗せられてそれに加入する者がなおあるということでございまして、そのためには、何と申しましても私どもにおいて根気よく啓発活動を行うという以外に対処の仕方はないのではないか、かように考えているわけでございます。 それから後段の御質問で、存在しているものについては、十二条の不適正勧誘等の違反事実があるからではないかという御指摘でございますけれども、私どもに苦情が寄せられました場合に、その苦情申し立て者からいろいろ事情を聞いております。その段階では、あるいは十二条違反の不適正勧誘があったのではないかと、少なくとも疑わせる材料はあるわけでございます。そこで業者を呼んでいろいろ追及をするわけでございますが、なかなか多くの場合には確たる証拠がつかみにくいというのが、正直申し上げまして実情でございます。
○玉城委員 この法律が制定された五十一年、本委員会で審議されたときにおいても、この問題は非常に重要な問題で、多くの論議がされておるわけです。その中で、この十二条の重要事項については、もしそれを聞いていたら加入していなかっただろうと思われる事柄と通産省は答えておられます。また、そのとき御出席なされた東大教授の竹内昭夫先生はこの重要事項ということについて、わが社の商売はある程度発展していくとデッドロックに乗り上げてもはや発展しなくなります、そのときには非常に多くの人が泣くことになりますということを告げないと、十二条にいう重要な事項を告げたことにはならないと述べておられます。今日、マルチという名の悪名は大分浸透しておりますが、マルチではないと言うことは明白な十二条違反になると思うのです。実はこの会社はマルチだと名のれば当然入る者はいないわけですから、マルチということは言わないわけですね。そこにやはり当然そういう知らせるべきものが知らされていない。 そこで、警察当局におかれてもこれまで鋭意努力をされて摘発をされてきておられるわけでありますが、ちょっと気になりますのは、大都市圏では警視庁あるいは愛知、大阪府警——大阪府警は詐欺罪で摘発しているのですね。そこで、最近のマルチで神奈川県の方にあることを御存じでしょうか、お伺いいたします。
○佐野説明員 本拠地が神奈川にあります業者として、私どもも三社程度、特に通産省の方から例の公表された業者というふうなものも幾つかは承知いたしてございます。ただし先生いま御指摘の点については、結局、他の都道府県で比較的検挙が見受けられるのに、神奈川県で少ないのではなかろうかという点にあろうかと思いますので、私どもの方も特別に神奈川県の方に電話を入れまして照会さしたわけでございます。それに対します神奈川県の方の回答といたしましては、苦情というふうな程度の、何といいますか不平、不満というものはある程度出ておるようでございます。ただ問題は、警察的に事件にするという程度の犯罪事実につながっていくような事実関係、この問題についての話は一切上がってきてない。したがって私どもといたしましては、その苦情の分析というふうな問題をこれから心がけてみたいという気はいたしております。したがいまして、今回の議論を踏まえまして、神奈川県にあります何がしかの、三社ほどだったと思いますが、マルチ商法の動きに関しまして、私どもも一応関心を持って見守っていきたいつもりではございます。
○玉城委員 先ほど気の毒に自殺された方の入られたS社の所在地がそこにありますので、ぜひその点、先ほど申し上げましたとおり、この法律の運用強化という立場から、こういう非常に悪徳商法を行う業者に対しては、厳しい摘発をやっていただきたいと思うわけであります。 そこで警察当局に重ねてお伺いをいたしますが、こういう悪徳商法、経済事犯取り締まりの警察の現在の体制と申しますか、最近マルチ、ネズミ講、サラ金の専門調査官を設置したということを伺っているわけですが、その体制がどういうふうになっているのか、簡単で結構ですからお伺いをいたしたいと思います。
○佐野説明員 私ども保安部の中には、覚醒剤の取り締まりとか銃砲の取り締まりとか、いろいろなテーマがございますが、各テーマごとに格別な定員を割り振っているというふうなことはございませんので、やはり既存の体制の枠の中で、その重点重点に応じた仕事を行うという形をとってございます。いま申し上げましたのは、特に都道府県の関係でございます。中央におきましては、特に最近の経済事犯、御指摘のようなマルチとかネズミ講の問題などもございますので、各都道府県の指導調整体制を整える必要があるのではないかということで、これは府令職でございますが、経済調査官というものを設置いたしまして、ことしの四月から発足いたしているわけでございます。したがいまして、府令職ではございますが、今後この経済調査官を中心にいたしまして、各種経済関係取り締まりの指導調整というふうなものが従来より一段と推進されるというふうに期待はいたしております。 それからなお重ねて申し上げますと、都道府県におきましても、最近課を分課いたしまして、経済関係のセクションの充実強化というふうな形で対処をしている府県も相当見受けられます。したがいましてこの種の効果が近いうちにまたあらわれてくるのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
○玉城委員 こういう経済事犯の取り締まり体制につきましては、きわめて市民生活にかかわりの深い問題でありますし、またなかなかその実態はつかみにくいということからしまして、警察御当局としても人員等の体制の充実強化を要望いたします。 次に、通産省と経済企画庁、それから文部省と厚生省に簡単で結構ですからあわせてお伺いいたします。 摘発とともに市民への啓蒙強化が最重要である。これまでの啓蒙の状況、これは通産省並びに経企庁、それから次に文部省の方には、特に最近は、先ほど冒頭にも御説明がありましたけれども、若年者に被害が集中しており、ことに地方出身者が多いようであります。文部省は各都道府県の教育委員会を通じて、このマルチの啓蒙についてはすでにやっておられると思いますけれども、被害者のほとんどすべてがマルチの何たるかを知らず、大体学校の先生さえ知らないということもあるわけで、せめて就職担当者と高校三年生の担任がこの実態を熟知をし、ホームルーム等で生徒に知らしめるべきではないか。昨年、大学生ネズミ講騒動で全国の公立、私立大学にネズミ講に注意という通達を文部省は出しておられます。マルチについても、各種学校も含めてそういうことをすべきではないかと思います。実は私、地元が沖繩でありますけれども、私のところにも沖繩出身の青年から被害の話が来ていますが、とにかく郷土意識と申しますか、一人がひっかかるとずるずると集団でひっかかる、そういう手紙も来ていますし、ぜひこれは文部省当局もそういう都会地に行く前に、その学校の段階で、いま申し上げましたことはやっていただきたいという点、これは文部省にお伺いいたします。 それから厚生省にお伺いしたいことは、厚生省管轄の公益法人、半公共施設と申しますか、そういうところをそういう業者が会場として使用してやっておるという実態を知っておられるのかどうか。もし実態を知っておられたら、どういう措置をとられたのか、とられようとするのか、以上、通産省、経済企画庁、文部省、厚生省にお願いします。
○島田政府委員 いま御指摘のように、一般人に対する相談あるいはPR、この啓蒙を積極的に進めるということが大事だというふうに私ども考えております。先ほどもちょっと申し上げましたように、苦情受理公表制度というのを私ども設けまして、一般からの相談に応ずるとともに、苦情をもとにマルチ業者名の公表を行って、被害の防止を図っておるわけでございます。現在まで七回実施をいたしております。同時にこれにつきましては、関係省庁等にも連絡しまして、周知徹底を図るようにいたしておるわけでございます。 また、最近、いまちょっとお話もありました、会社の寮などに居住して、生活に物足りなさを感じているような若い人に被害が出てくるというような傾向もありますので、企業に対しましても社内PRを要請するというようなことで、マルチ商法が拡散しないようにということで努力をいたしております。 それからさらに一般的には、リーフレット、パンフレット、PR映画の作成あるいはテレビ、深夜ラジオ等、マスコミに対しましてもいろいろお願いをし、啓発を行っておる、こういうことでございます。
○井川政府委員 経済企画庁でございますけれども、われわれといたしましては消費者教育という分野を担当しているわけでございます。 先ほど先生のお話にもありましたが、一面において消費者自身が賢明なる消費態度、それからまた、うまい話というのはこの世の中にあるはずはないというような賢い消費者になってもらう必要があるということから、各種の媒体を通じていろいろやっておるわけでございますが、特に国民生活センターがこうした消費者教育の中心になってやっておるわけでございます。そして、お話しのマルチ等々につきましては、テレビでございますとかラジオでございますとか、折に触れてやっております。たとえば、テレビにつきましては、マルチ商法レポートといったようなことで、こういうやり方をやっているぞというふうなことを放映したこともございますし、あるいはラジオにおきましては、ことしになりましてから、三月十五日に「まだなくならないマルチ商法被害」というふうなことで全国に流しております。しかし、全国というよりは、むしろ国民生活センターを通じまして、都道府県、市町村の持っております百八十の地方消費生活センターを通じ、各消費者に十分そういう趣旨を徹底していくということが重要である、こういうふうなルートを通じて、マルチ商法その他不適正な販売方法について消費者の知識の向上を図っているわけでございます。
○河野説明員 先生御指摘のとおり、いわゆるマルチ商法による生徒の被害等の防止につきまして、学校における指導が大変重要でございます。去る昭和五十年の四月に各県に連絡いたしまして、予防措置の推進方を指導いたしたわけでございますが、昨年の五月にも通産省の連絡を受けまして、各種学校も含めまして重ねて注意を喚起いたしたところでございます。この点につきましては、今後とも生徒指導上の問題といたしまして、十分注意してまいりたいと考えております。
○坂本説明員 先生が先ほど御指摘になりました事実についてでございますが、ごく最近私どもの方に、マルチ商法と言われておる会社が、東京にございますある健康保険組合の会館の一室を使っていわゆる勧誘の事業をやっている、こういう情報を入手したわけでございます。 何分にも、私どもの担当している事業とマルチ商法とは、通常の場合関係がほとんどございませんので、私どもも初めてそういうことを耳にいたしまして、いささかとまどったわけでございます。この会館と申しますものは、健康保険組合という公法人の所有施設であることは確かでございますけれども、法律によってその健康保険組合以外のものが使用するということも一応認められておりまして、そのこと自体が直ちに違法というわけではないわけでございます。しかし、ただいまいろいろ問題になっておりますようなマルチ商法のそういった活動の場に提供された、こういうことでございますので、私どもとしても、マルチ商法についてほとんどこれまで知識もございませんし、またどういうものか早急に判断もいたしかねた面もございます。したがって、今後十分関係の省庁ともよく連絡をとりまして実情を調査し、どのように対処すべきか検討いたしまして、適切な措置をとってまいりたいと考えている次第でございます。
○玉城委員 先ほど申し上げましたとおり、こういう悲惨な犠牲も出ているという状況からしまして、いやしくも政府の監督される立場にあるそういう会場が、そういう業者に使用されるということがあってはならないと思うわけであります。 時間がございませんので、訪問販売についてお伺いしたいのですが、最近も表札の訪問販売が摘発をされておるわけであります。それで、この訪問販売の件についても、経済企画庁には全国的に苦情、被害相談が来ていると思います。これはもう時間がございませんので省いていきますが、最近、訪問販売でも非常に巧妙な手口でなされている。これはちょっと例を申し上げておきますが、ある盛り場で声をかけて、喫茶店に連れ込み、海外旅行に安く行ける等々、甘い言葉で催眠術にかけるように契約に仕向ける、いわばマルチ的手口である。また電話をしてきて、あなたは留学ができることになりましたと言って誘ったり、ひとり暮らしはさびしいでしょう、いいお友だちができると言って、男が女の人へ、女の人が男へ、そして契約に持っていったりする。これは英会話のカセットでありますけれども、これが三十万円も四十万円もするので、時間がたって解約しようとしても、クーリングオフが四日間ですから、もう過ぎているということで、異常に多額の解約料を取られたりしている、こういう実態があるわけですね。カセットテープに限らず、他の指定商品にしてもクーリングオフ期間が四日しかないこと、現金決済をした場合はクーリングオフの対象にならず、カセットテープの場合は事務所に連れ込んで契約をさせるという手もあるわけです。これもクーリングオフの対象にならぬこと等は特に問題が多いと思います。この件については政府に都道府県から法律改正の要望が来ていると思いますが、どこからどういう内容の改正要望が来ておるのか、経済企画庁にお伺いをいたします。簡単にポイントだけおっしゃっていただきたいと思います。
○井川政府委員 一つは関東地方行政連絡会議というところが、昨年の八月に消費者行政に関連をいたしまして、訪問販売法の法律の一部改正を検討すべきじゃないか。四つございまして、指定商品の拡大を図ること、商品を受領しかつ代金の全部を支払った場合にもクーリングオフをできるようにすること、これが二番目でございます。それから三番目に、クーリングオフ期間の延長及び期間計算の始期を商品受領後とすること。それから四番目に、契約の解除に伴う損害賠償等の額等をあらかじめ書面に明示することというふうなのが参っております。これとは別に、昨年末に十大都市の消費者担当課長会議の要望として同じような内容が出てまいっておりまして、項目は多うございますが、具体的には先ほどのような内容ということになっております。
○玉城委員 通産省は所管庁ですね。都道府県からこういう改正の要望が出ておるわけですね。したがって、これまでお話のありましたとおり、二年四カ月経過しましてもまだそういう実態にあるということからしまして、やはり都道府県からそういう改正の必要があるという要望があるわけですが、それについてどのように通産省としては考えておられるのか、お伺いをいたします。
○島田政府委員 お答えを申し上げます。 いまお話がございましたように、訪問販売法は施行後二年有余というのを経過したところでございます。私どもやはり一番問題だと思っておりますのは、消費者に法律の内容といいますか、この制度の内容が十分理解されていない、したがってせっかくあるにもかかわらず、それが有効に使われていないという面が多いというのが一番問題ではないかというふうに考えております。 それから都道府県からの改正要望につきまして、私ども承知いたしておるわけでございますが、その内容を拝見いたしますと、必ずしも訪問販売のみにこれらの規制を課するというのが、他のものとのバランスといいますか、公平性という点から見て公平性を欠くのではないだろうかというふうにも考えられますので、やはり当面法律の改正ということではなく、啓蒙活動に重点を置いて、よくこの法律を使っていただくというところに重点を当てて対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。よくこの制度を知っていただいて、そういうような状況が出てきた段階でどういうことになるかというようなことにつきまして、なお今後十分注意深く状況の推移を見守っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○玉城委員 改正の前に運用強化をし、特に啓蒙をしたいということでありますが、たとえばこのクーリングオフ四日間ということですが、金曜日あたりになりますと、もう翌日は土、日、月で、四日という日にちがほとんど機能しないという状況にあるわけです。ですから、改正というまでは無理であれば、この四日を、たとえば解約するのだという自分の意思表示が相手に伝わる、これは火曜日あたり、あるいは五日、六日、七日あたりに相手に行くにしても、その四日以内でこの人が解約の意思表示を相手に伝える状況にあれば、こういうものも運用によって、四日だからだめなんだ、こういうことではなくして、その辺もぜひ検討をされるべきだと思いますが、その点は一点確認したいのですが、審議官いかがですか。
○島田政府委員 お答え申し上げます。 クーリングオフをめぐりましていろいろトラブルがあるわけでございますが、問題は、そのクーリングオフの制度そのものについての、先ほど申しましたように理解が消費者の間に十分されていないという点に起因する場合が多いというふうに考えられるわけでございます。 それからわが国のクーリングオフの制度は、発信主義を採用しておりますので、クーリングオフができる旨を記載した書面を受領した日を含めて四日以内にはがきとかあるいは封書等、書面を発信すればクーリングオフができるということで、四日間をほぼまるまる使えるということになるわけでございます。したがいまして、そういった制度というものを十分理解していただくように、私どももさらにPRに努めていきたいというふうに考えております。
○玉城委員 最後に、もう一つの通信販売について、これは公正取引委員会の方にお伺いをいたしたいのです。 この件でも、最近とみに、新聞広告ばっと一面を使っていろいろな通信販売の広告がされ、それに伴う苦情、被害がふえているわけです。東京都消費者センターに寄せられたものの場合、美顔器、脱毛器の苦情が多い。新聞広告で、実物を確かめることができないから広告に頼ってしまう。たとえばいろいろな例がございますけれども、この広告の効能は不当表示ではないかと思われるわけでありますが、公正取引委員会とされて、この通信販売の広告のあり方についてどのようにチェックをされておられるのか、お伺いをいたします。
○長谷川政府委員 お答えいたします。 御指摘のように最近不当表示ではないかという疑いのあるいろいろの美容器具が出回っております。現在そのうちの二、三のものについて調査中でございます。調査結果に基づきまして、必要な排除措置をとりたいと思っております。 なお、通信販売一般につきましては、これは一部の通信販売会社からも意見がございまして、公正競争規約その他何か表示の基準的なものをつくれないか。現在検討を始めたところでございます。これはいいことだと思いますので、極力推進してまいりたいと思っております。
○玉城委員 いまの通信販売の件ですが、御存じのとおりほとんど連日のように新聞の一面を使って、いろいろな通信販売の広告がされているわけですが、果たしてその中に書かれているとおりのものであるのかどうか、これは消費者サイドでは確認のしようがないわけです。ですから、そういう試用、テスト期間といいますか、そういうもの等も当然これは考えられないと、この広告自体にもやはり問題があろうかと思うわけであります。 いずれにいたしましてもこの訪問販売等に関する法律、施行されて二年数カ月たちましたが、いまだやはりそういう悪徳マルチ商法業者が存在し、そういう悲惨な犠牲者も出ている。特にいま、五月、六月になりますと、地方からどんどん都市地区に集団就職等で来るわけですから、そういう、時期としてはこういう事件に関しては、いままた非常に危険な時期だと思うわけであります。願わくは法改正の提案まで持っていく必要があろうかと思うわけでありますが、少なくともその以前におきまして、いままで申し上げました諸種の問題につきまして、関係御当局がより一層こういう問題の起こらない状態に持っていかれますように御要望を申し上げまして、質問を終わります。
○渡部(恒)委員長代理 午後四時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時九分休憩 ————◇————— 午後四時開議
○渡部(恒)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。中村重光君。
○中村(重)委員 公正取引委員会が、三越を中心とする百貨店の押しつけ販売であるとかその他の点についてきわめて適切な調査をし、さらにこれに勧告を行ったということですが、これに対しては三越が応じないということのようです。しかし、これは同僚板川委員から午前中に質問が行われましたから、私はこれを省略をいたしますが、百貨店だけではなくて、メーカーであるとか問屋であるとか、こうした力の強い企業というのが優越的な地位を利用して、系列店に対して強引に押しつけ販売をするといったようなことが、随所に行われておるような感じがするのです。たとえば家電メーカーの場合も同じようなことがあるのじゃないか、あるいは化粧品の場合にもあるのではないかと思うのですが、そこらについての調査は行いましたか。
○橋口政府委員 経済的強者の地位の乱用行為というのは、おっしゃるように経済の各分野に相当広範に見られるところでございまして、ことに経済の成長パターンが高度成長から安定成長に変わってまいりますと、そういう面からの弊害というものが、見逃すことができないような顕著な事象になってきておるように考えております。 百貨店につきましても、そういう角度から調査並びに立入検査を含めた積極的な対策をとっておるわけでございますが、それ以外の分野につきましても、いま調査をいたしておりますものといたしましては、自動車の販売業界の問題がございます。これは自動車のメーカーあるいは自販が経済的な強者の立場にあって、弱者であるディーラーに対して責任販売台数と称する押しつけ販売行為をやっておるわけでございまして、それ以外にもいろいろ問題があるわけでございますから、自動車業界につきましては、かなり調査が進んでおりまして、これにつきましては将来何らかの施策ができるものではないかというふうに考えております。 それ以外にも商品が川上から川中、川下を通って消費者に渡る過程におきまして、どこに経済的強者の存在があるかということの調査分析が必要でございまして、これは常に川上が強者であるとか、常に川中が強者であるとか、川下が強者であるというふうに決まっているわけではございませんので、物資の性格なり事柄の性質によりまして、経済的強者の存在の場所が違うわけでございますから、その場所に即した措置をとることが必要になってくるわけでございまして、いまおっしゃいました家庭電気製品につきましては、数年前に公正取引委員会が調査をしたことがございます。この場合にも主として家電のメーカーと系列店との関係におけるもろもろの問題、家電メーカーはいろいろな販売政策をとっておりまして、一時は量販店重視政策というものをとりまして、系列店の培養から撤収するというような動きがあったわけでございまして、量販店中心に販促をやるということでございましたが、また再び系列店を培養するというような考え方も生じてきておるように承知をいたしておりますし、その場合には能率のよくない系列店を思い切って切り捨てるというような、こういう合理化政策もとっておるように承知をいたしておるところでございます。これは衆議院の予算委員会でも御質問があったのでございますが、主としてカラーテレビの国内価格と輸出価格との格差の問題について調査をしろ、こういう御趣旨であったわけでございますが、そういう御指摘もいただいておりますし、家電の流れについて全く問題がないわけではないというふうに考えておりますので、昭和五十四年度の調査事項として、家電の流通の問題を取り上げたいというふうに考えております。 それから化粧品の問題でございますが、率直に申しまして、これも化粧品のメーカーで再販売価格維持契約を維持できるようなメーカーはそうたくさんございません。もちろん再販商品は千円以下のものに限定されておりますが、それ以上のものにつきましても、いわゆる美容部員という名の職員を化粧品店に配置をいたしまして、販売の促進とか、あるいは価格の維持行為に類することをやっているのではないかという問題があるわけでございまして、たてまえはもちろん技術的な指導ということが中心でございますが、その影響効果としてはいま申し上げたような弊害もあるやに承知をいたしておりますので、化粧品の業界につきましても何らかの程度の調査、把握をしてみたいというふうに考えております。
○中村(重)委員 いま公取委員長にお尋ねをしているのですが、通産省の所管の問題ですから、大臣もひとつお聞きをいただいて、また必要によりお答えをいただきたいと思います。 いまの化粧品の問題も、小売店が注文をしたものをそのまま送ってこないのです。組み合わせをしてくるわけです。注文もしていないもの、小売店では実際はそれは売れないのです。売れないから注文をしない、売れるものを注文をする。ところが、売れないものを今度はメーカー、問屋は抱き合わせて送りつけるわけだ。その送りつけたときに仕切り書をちゃんと入れているんだ。何カ月後にはそれの支払いをしなければならぬ、こう言う。こんなむちゃなやり方というのは、百貨店の場合の押しつけ販売あるいはそれ以上の、優越的地位を乱用した押しつけ販売の最たるものだと私は思う。しかも、再販制度というものは、化粧品の場合においては御承知のとおりまだ生きているわけだ。それからいろいろ宣伝の場合だって、メーカーの宣伝費というものを含めて今度有料で渡すという、小売店はそういった雑費までを支払わさせられるといったようなやり方があるわけだ。こういうことを放置しておいてはいけないと私は思う。 それから、いまの化粧品の問題を続けて言うのですが、講習会等を開くでしょう。それはメーカーの品物を売り込むために開く。これは百貨店の場合にも協賛金なんというものは、それは納入業者の方にも利益につながるんだからというんで、合意ならよろしいというような、そういうことを九項目の中で、何か自主規制という形で態度を決めたようですけれども、同じようなことが言えるんだな。それは、メーカーの宣伝をすることは、即その化粧品も売れるんだから小売店の利益にもつながるんだということにもなるんだろうけれども、一方的にやって、これだけの経費が必要だから負担をしなさいというような、これもまた押しつけなんだ。そういうことが行われている。ですから、百貨店を調査をされ、これに勧告をする等の措置をおとりになったことは、私は評価をしたいと思う。同時に私は、この問題はきょう初めて質疑をし、問題の指摘をしたのではなくて、実は前も申し上げたと思っています。これを一向公取は取り上げていこうという態度をおとりにならない。ですから、橋口委員長は私が期待しておった以上に非常に活発に、適切に取り組みをやっておるようですから、じゃんじゃんひとつやってもらいたいと思う。 それから、家電の場合もそうです。量販店というものには現金でやるでしょう。ですから、量販店は価格を安く売ることができるんですね。系列店はそうじゃないですね。高いですね。その系列店がよそのメーカーの品物を売るでしょう。いやがらせをやって、メーカーの言うことを聞かなければ、今度はすぐこの隣に、資金をやってあるいは店員を派遣をして小売店をつくって、自分の意の通り動かない小売店をつぶしていくという作戦をとる。こういうでたらめなことを、優越的な地位の乱用をやっておる。こういうことは私は放置してはいけないと思う。これらの点について、ひとつ通産大臣からも、公取委員長からもお答えをいただきたいと思います。
○橋口政府委員 たしか昭和五十二年の五月だったと思いますけれども、先生から同じような趣旨の御質問を前澤田委員長がちょうだいいたしておるわけでございまして、私ども化粧品の業界につきまして問題を軽視いたしておるわけではございませんが、ただ、一言お断り申し上げたいと思いますのは、さっきおほめの言葉をちょうだいいたしましたが、百貨店の場合は、相手方が百貨店に商品を納入する、納入する業者に物を売りつける。それから協賛金の場合でも、デパートの中に店を出している小売店にとって全くプラスがないにもかかわらず協賛金を取るという意味におきましては、化粧品や家電の場合は決していいというわけではございませんが、百貨店やあるいはスーパーの業界の慣習の方が、より優越的地位の乱用行為であるということは言えるのではないかと思いまして、そういう点から申しまして、これは国際的にもバイイングパワー、購買独占ということでいま問題にされつつあるわけでございますので、そういう点から特に百貨店、スーパーの業界を取り上げたわけでございまして、いま御指摘がございましたような抱き合わせ販売とかあるいはさしたる理由がないのに経費の分担を要請するとかあるいは現金販売による量販店と系列店とに差等を設けるとか、こういうことは確かに適当な措置ではないと考えますので、先ほどもちょっと申し上げましたように——それから、つけ加えますと、美容部員のあり方につきましてもいろいろ苦情も聞いておるわけでございますから、五十四年度計画におきまして、そういう点も含めまして家電の業界、それから化粧品の業界につきましても調査をいたしてみたいというふうに考えております。調査と申しましても、いわゆる一般的な調査ということで、実情の把握をいたしてみたいというふうに思っております。
○江崎国務大臣 御指摘の点は私も重要な御指摘だというふうに認識をいたします。自由経済ですから、売り方、買い方で、ある程度力が働くということはありがちなことでありましても、それが不当な力行為になるということは、商道徳の上から考えましても、正常な取引という点から考えられましても排除されなければならぬと思います。いま御指摘になっておりまする点については、私どもとしても十分調査をいたしたいと思います。
○中村(重)委員 公取委員長は、予算委員会で、カラーテレビの国内価格というのがたしか十二万一千円で売られて、アメリカでは十万四千円で売られておるということに対して、公取委員長も調査をするというお約束をしておられる。それから通産大臣は、まことにけしからぬ話である、行政指導をやってそういうことは改善させるとはっきり言い切っておられるが、その後この問題をどう扱われたんですか。そして、いま直ちに実績が上がっていないということをおっしゃるかもしれないが、私は、これは実績は上がらなければならぬ、はっきりしている問題だから。これはダンピングの問題とも関連をしてくるわけですからね。この点それぞれお答えください。
○江崎国務大臣 中村さんからの御指摘を受けまして、私も非常に重要な問題だというわけで、省内の関係者からも事情聴取をいたしましたし、新任の大臣が各業界個別に会うチャンスもございました。そういうときに一体どういうことであるのかと申しましたところが、いやそれはいろいろ実情の違いがあります、これは事務当局の申しまするのには、アメリカなどの場合、どうしても売りっ放しになります、いわゆるアフターサービス、アフターケアの問題が全然加味されていないということもあります、特に通信販売における値段などの場合は売りっ放しでございます。しかし、国内の販売の場合は、各代理店を通じましてやはり相当な保証措置もあるし、アフターサービスに万全を期さなければ商品が売れないという従来の商習慣の違いもあって、多少の値段の相違が出てまいりますというような説明を聞いたわけですが、それにしても余りにも値段の開きが大き過ぎるではないか。そのほかにもいろいろ事情は並べておりましたが、自粛をするように私からも強く要望をいたした次第でございます。
○橋口政府委員 家電の流通業界の実態調査につきましては、衆議院の予算委員会でお約束をいたしておるわけでございますし、事務的な準備も進めておりますので、来月には調査に入れるだろうというように考えております。広範な角度から、おっしゃいましたような価格の問題につきましても調査をいたしてみたいというふうに考えております。
○中村(重)委員 公取委員長、私の場合結構ですからどうぞ。 通産大臣、いまの御答弁は、私はそれなりに正しい答弁だと思うのです。それから予算委員会の場合におきましても同様に正しい答弁をしていらっしゃる。問題は、答弁のための答弁をしていただいては困るということです。少なくとももっと強力な行政指導というのか、そういう不公正なことを許してはならない。自由主義経済というものは、勝手たるべし、弱肉強食、切り捨てご免なんというようなことを指向していらっしゃるのじゃないだろうと思う。少なくとも江崎通産大臣は自由民主党の中の重鎮であられる。有能であるということは何人もこれを否定していない、肯定しているわけです。それならば、そのときそのときに適切な——答弁だけが適切であっても実効が上がらなければ無能大臣と言われるのですよ。あるいは宣伝大臣と言われる。そうでしょう。小坂さんの場合だって言えるのですよ。あの人はなかなかいいことを言われた。どんどん買え買えと言われて、何でもかんでも買います、それから経常収支によって、ただアメリカに対して陳弁これ努める、そういうことでなくて、総合収支で日本としては対処すべきだ、これは正しい。ところがどうですか、電電公社の電気機器の問題だって経済企画庁長官というのは関係があるし、記者会見等においてもじゃんじゃん意見を述べておられるのですね、どれほどの抵抗をされたのだろうかということで。きょうは残念ながら小坂さんがおられないので、欠席裁判みたいなことで悪いのだけれども、きのうも大阪の経済界との懇談会をおやりになって、まことにりっぱなことを言っておられる。物を余り生産しないで価格ばかりをつり上げるような野放図なことをやるならば、コストの公表というものを求めるぞ、こう言っておられるのですよ。本当にやる気があるのか、やれるのかということをきょう私は小坂さんに聞きたかったのだけれども、きょうは大臣が出られぬで局長がおいでになっていらっしゃるのだが、これを局長に答弁しろと言ったって無理な話だから、私は局長にこのことの答弁を求めませんが、これは通産大臣、あなたがおっしゃったことじゃないのだけれども、さきの答弁、いまの答弁等と合わせると、当たらずとも遠からず、こういうことになるような気がするのだな。どういうことで実績をお上げになりますか。いまの答弁を本当に——単なる自粛を求めるということではだめなんですよ。前の予算委員会で井上君が質問したことの連続なんだから。私は、この前の商工委員会においてもこの問題を取り上げて申し上げているのだから。だから答弁のための答弁は困りますよ。けしからぬことは直していかなければなりませんが、これは直させますか。それをきっぱりお答えいただければいいのです。
○江崎国務大臣 実は私、率直にお答えを申し上げておるわけで、中村さんからの重要な御指摘ですし、私自身もそれは重要な問題だということで、あの当時廊下でもたしか個人的にお話がありましたので、すぐ調べましょうということで、局長以下関係者を呼びましていろいろ話をしたわけです。それから業界とも話しまして、いま申し上げたように、中村さんも御理解いただけたと思いますが、日本の場合はアフターサービスの問題ばかりか、持っていって取りつけをして、テレビの場合むろんアンテナを張ったり、万全を期してそっくりそのまま見えるように支度をする、その間の手数料はもらえるが、日当などというものはむろん計算はできません、したがいまして多少高くなりますという説明でしたが、これはおっしゃるように、それだけではサービス万能の時代、世の中がサービス業がどんどんふえていくというようなこういう時代にもそぐわぬ話でして、これだけ競争があることによって、日本の顧客、消費者はサービスだと思っておるものが、実はちゃんと別な形でそれが値段に加算されておるということでは、これはサービスではないということですね。したがいまして、そういう、ごまかしという言葉は当たらないまでも、そこに値段格差が大きく開いておるということは、アメリカにとってもこれは問題になったように不愉快なことでありましょうし、また、その実態を知れば知るだけ国内の消費者にとっても不愉快なことでありますので、正常な形で、もっとわかりやすく、だれが聞いてもなるほどと思えるような説明ができる措置を業界にとらせるように、今後行政指導をしてまいりたいと考えます。
○中村(重)委員 家電なんかの場合は一年間の品質保証というのがありますね。それで、故障が起こった場合に修理をしてやる、そのための、そういうアフターサービスをやるための費用というものも、これはちゃんと利益の中に、税金をかけないで引当金として優遇されているんですよ。あたりまえの話なんです。だから、それは単なるサービスじゃないというのです。当然そのサービスは、ある意味においては国民の負担において、税金を納めれば国民にそれだけ均てんするわけだから、税金を納めなくてもいいように租税特別措置で優遇されているんですよ。国民の負担の中でやっているにすぎないということなんです。だから、外国の方はそこまでやりませんが、国内はやるんだから、価格が幾らか高くなるのはあたりまえですよなんというのは弁解にならないですよ。ですから、これを改善する措置をひとつ厳しく講じてもらいたい、こう強く要望しておきます。 それから、カラーテレビの問題になりましたから、続いてこのことをお尋ねするのですが、ダンピング問題は解決をしたのですか。これは大臣からでも森山局長からでも結構です。
○森山(信)政府委員 テレビのダンピング問題につきましては、中村先生御承知のとおり、非常に古くからある問題でございますが、最近の動きをごくかいつまんで申し上げますと、昨年の秋以降いわゆるデューティーを払えという通知が参りまして、これに対します日本政府及び日本の業界の抗議を続けてまいっておりまして、アメリカ側は三回にわたって徴収延期の措置を講じたわけでございます。三回目の徴収延期の期限が三月の十二日で切れたわけでございますので、通常でございますと、即刻いわゆる税金を払えということになるわけでございますが、私ども日本の立場からいたしますと、どうしても納得がいかない。つまり、従来適正な輸出であるという判断をいたしまして輸出をしておったものに対しまして、いわゆる物品税方式でカウントしますとこれこれのダンピングになる、こういう査定があったわけでございますので、これにつきましては、物品税方式は納得いかないということで、依然として抗議を続けているわけでございます。端的に言いますと、四千六百万ドルの一部を現金で払って、一部を手形で払ってくれ、こういう要求がアメリカから来ておりますけれども、なお、これにつきましては私どもは納得がいかないということで、強い姿勢で抗議を続けておる、こういう段階でございます。
○中村(重)委員 その四千六百万ドル、約百億ですね。これは七三年の上期までということになりますか、通算をして七カ年分ということになってくると約五億ドルですね。約一千億程度ということになる。それを追いかけてまた請求される、請求というのか、これはどういう形で五億ドルというのがはじき出されているのかわかりませんけれども、これはまた要求されることになるんではありませんか。
○森山(信)政府委員 おっしゃるとおり、四千六百万ドルといいますものが一九七二年と七三年の上半期の分、一年半分でございます。したがいまして、全体をひっくるめますと、推定で約五億ドルになるんではないか、こういうことが言われているわけでございます。先ほど申し上げましたように、これの数字はいわゆる物品税方式でカウントするとこういうことになるということでございますので、物品税方式をとったこと自身がアメリカ側としておかしいんではないかという抗議の姿勢を続けてまいりたい、かように考えております。
○中村(重)委員 そのダンピング税の要求を受けている者は業者ですよ。その場合、政府としてはどうなるんですか。いま強い姿勢でこれに臨むという態度をお示しになったんだけれども、それは業者をバックアップするという意味ですか。あるいは日本政府がこれを受けて立つということになるのですか。
○森山(信)政府委員 二通りあると思います。強い姿勢で抗議をするのは、金を払え、税金を払えと言われた日本の業者の方が、払いませんという訴訟なりあるいは提訴なり、こういったことをすることになると思います。それに対しまして争いのポイントが、先ほど来申し上げておりますように物品税方式をとったということでこういうことになるわけでございますので、物品税方式の撤回を求めるということは政府も交渉を続けたい、かように考えておるわけでございますので、政府は政府としての抗議を続け、業界は業界としての抗議を続ける、この二通りで進んでいく、こういうことでございます。
○中村(重)委員 抗議を続けるということは、それはそういう金を払う必要はないといったようなこと、これは抗議であり、交渉でありましょうが、もっと強い態度は、先ほどあなたがお答えになったいわゆる裁判ということになります。その場合、二通りの中の一方の方ですね、それは政府も訴訟を提起するというような形もあり得るのですか。
○森山(信)政府委員 本件の紛争の当事者が、一方におきましてはアメリカの財務省関税局でございます。これに対しまして一方の当事者が日本及びアメリカにございますインポーターでございますので、日本政府が直接の当事者になることはあり得ないわけでございます。したがって、訴訟は日本及びアメリカにございますインポーターが起こす、日本政府はまた別の観点からプロテストを続ける、こういうことでございます。
○中村(重)委員 その点はその程度にとどめておきます。 次に通産大臣。電電の機器調達の問題は大分詰めが行われているわけですが、新聞報道で知る限り、完全な解決にならないで、総理訪米後に問題を持ち越すということになっているようですが、どうしてこうまで執拗にアメリカが電電の機器の調達に食い下がってくるのですか。何か背景があるのですか。たとえばIBMの問題だってあるんだろうと思うのですが、何かあるような感じがしてならない。どういう見方をしておりますか。
○森山(信)政府委員 ただいま御指摘の電電公社の政府調達の問題につきまして、通産省のポジションはたびたび当委員会でも申し上げておりますが、アメリカ側から提起されましたいわゆる日本におきます市場の閉鎖性の問題、これのシンボル的なものとして電電公社を取り上げてきたわけでございますので、私どもは、日米の通商円滑化のためには、早くアメリカのリクエストと日本側の現状のすり合わせをしていただきたい、こういうポジションを続けてまいったわけでございます。 私ども仄聞いたしますところによりますと、ここのところ大詰めまでまいりまして、日本側としてできる限りの譲歩案を作成いたしましたけれども、必ずしもアメリカ側で納得が得られなかった、こういうふうに聞いております。しかしながら、一定の線を越えますと、やはり日本の電気通信事業を運営していく上におきまして大きな支障があるのではないかということでございますので、アメリカのリクエストに対しましては応ずるわけにはいかぬ、こういう考え方を政府全体として持っておるという認識を持っておりますし、通産省もそういう線で協力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○中村(重)委員 私は、日本側が何かずるずる譲るというのか、初めは本体なんていうのはとんでもないという態度だった。このごろは本体に一部入ってもよろしいなんというような形に、そこまで譲歩したような、真偽はわかりませんが、そういう印象を持って私は新聞情報等見ているわけですが、日本だけの一方的な譲歩ということによってこの問題の解決にはならないと思う。 〔渡部(恒)委員長代理退席、委員長着席〕 これはもうアメリカ経済というものがいま非常に弱体化してきた、ある意味では日米の経済は競合状態にある。だからして、対等の立場に立って問題の解決に当たるということにならないと、どうも電電の機器の調達というもの、それにのみしわ寄せをしていって、問題の解決を図っていこうということになってくると、非常にたくさんの零細企業というものが、何か二十億とかなんとかということを言われているんだけれども、零細企業、そこで働いている労働者は大変な犠牲を受けることになるんですね。だから、私は、もっと公正な立場に立って、ただ電電機器の調達の問題とアメリカとの問題の解決ということではなくて、そのことで電電の機器の製造あるいは販売、そういうものに当たっている企業の立場、働いている労働者というものがどういうことになるのかという問題を総合的に判断をして、問題の解決に当たっていくのではないと、向こうとは解決したけれども、国内において大きな混乱が起こるということになってはしようがないじゃありませんか。どういう方向でこれらの問題に対処していこうとしておられるんですか。また、いま対処しているんですか。
○森山(信)政府委員 まず私から事務的なお答えを申し上げておきたいと思います。 先ほど先生からお話がございました本体というものが、なかなか定義がむずかしゅうございまして、通常電話機から電話機までの間が全部本体である、こういう定義、これも大変抽象的な定義でございますけれども、一応定義されておるわけでございます。そこで、日本側の最終案といたしまして、若干のそういった部類に属するものの公開制を提案したもののようでございますけれども、必ずしも意見の一致を見なかったということでございます。そこで、先ほどお答えいたしましたように、やはり限界というものがあるんではないか、日本の電気通信事業を健全に運営していくための限界はあろうかと思いますので、その線につきましてはぎりぎりで譲歩すべきではない、こういうポジションを私どももとっておるわけでございます。 それから御指摘の、多くの中小企業の方々が影響を受けるんではないかということでございますが、この点につきましては全く仰せのとおりでございます。公開のいかんによりましては大変な犠牲が出るわけでございます。ただ、ここで一つ言えますことは、公開入札をとるということは、全部の物品が、あるいは資材が外国から流入するというわけではございませんで、どういう形で実際に調達されるかは入札の結果によるわけでございます。基本的には、日本の電気通信メーカーは大変りっぱな力をお持ちでございますので、国際競争力を持っているという基本的な認識はございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、入札の形態によりましては被害が出るところもあろうかと思いますので、そういう部面につきましては、私どもも中心になりましてできるだけの御支援をしてみたい、かように考えているところでございます。
○江崎国務大臣 経過はいま局長から申し上げたとおりでありまして、私ども通産省としては、やはり業界の商権をどう守るかということが私ども通産省の立場でございます。ただ、私は、国務大臣として内閣の困っておることにも理解を示し、協力はしなければならぬというわけでありますが、これはおのずと限界のある話でございます。したがって、結局相手の要求に対して必ずしも全部応ずることができなかった、それがストラウス来日はむずかしいということになって、総理訪米後の問題としてもう一度協議をしようということになったわけであります。したがいまして、今後どういうふうに問題が展開されますか、よくいま御心配の点などを体しながら、バランスのとれた形で、双方がなるほどと思えるような結論を得たいというふうに私自身も考えております。 いま森山局長が申しましたように、公開をしたから直ちに全部アメリカに落札するというものでもありません。したがって、ある程度やはり国際間において相当な競争力を持って、日本の電信電話関係機器が輸出もされておる実態から申しますならば、ある程度の風雪にさらされても耐え得るし、また企業としては耐え得る努力、改良を今後も進めていただかなければならないということは考えます。特に中小企業が犠牲になるような場合においては、これは十分わが通産省としては対策を講じたいというふうに考えております。
○中村(重)委員 公開入札ということになってくると、たてまえは大臣のおっしゃるとおりですね。ところが現実は政治的公開入札という形が出てくる。入札だって、大臣はよく職務に通じておられるから御承知でしょうが、土木建築なんかにしても、あるいは物品納入の場合においても同じようなことなんですが、業者が非常に多いものだから、いわゆる研究委員会とかという名のもとに、そこはいろいろと譲り合いながらやっているのですよ、国内においても業者間は。お互いの業者が、どうしても弱者の方にそのしわ寄せがされるのだけれども、大手の方はそこはしかるべく譲り合ってうまくやっているようです。よしあしは私はここでは言いません。国内においてもそうなんだから、また国内において発注する建設省にしてもあるいは農林省にしてもその他の省にしても、特定業者だけが落札をぼんほんやるということになったらいけないから、その場合は次の工事には、まだ工事をやっているときには入札には参加させないとかというようなことで、自由主義経済のもとにおいても調整をとっていらっしゃるのですね。それは公開として本当に公平な公開なのかどうかということになってくると、必ずしもそうではなくて、やはりある意味においての制約というものは行われる。その制約は決して悪いことだというようには私は思わない。だから、国際関係でありますからどうしてもそういう配慮というものが行われてくる。そういう道を開いたけれどもあなたの方は力が弱かったのだから、価格が高かったのだから、入札にならなかったのだからあきらめなさいよ、そういうわけにはまいらないでしょう。ですから、私はやはり慎重な態度をもって対処していくということでないといけませんから、やはり毅然たる態度、それと、また現実的にアメリカと日本は今日の経済状態の中においては競合関係の中に立っている。日本が一方的に譲っただけで問題の解決にはならないのだということを、肝に銘じて対処してほしいということを強く要請をしておきたいというように思います。 次にお尋ねをするのですが、原油の問題です。 こう上がりっ放しということ、共石がまた値上げを明らかにした。その他の各社もどんどん値上げを発表している。その値上げは、前のOPECが五%値上げをしたことに伴う値上げだということです。またOPECは値上げをした、今度はガソリン税なんというようなものもまた新たに追加されるということになる。そうすると、歯どめなく値上げになるような気がする。どこまで値上がりになるのですか、どう対処していこうとお考えになっていらっしゃるのですか。
○江崎国務大臣 私どもも日夜憂慮しておる問題であります。 御承知のように、前年同期と比べまして量だけはちゃんと入っておるのです。四−六の場合でも二百七十万キロリットルぐらい余分に入荷が見込まれる。一−三月は御承知のとおりもう百万キロリットル増量されて、これはもうすでに入荷したという実態であります。これは業者の手当てがよかった、努力は多とするわけでありまするが、これがいま御指摘のようにだんだん値上がりをしておる。今度のOPECの値上げは、六月の中旬以降下旬にかけて値上げになるわけで、いまの値上げ分は御指摘のとおりでありますが、その商社の仕入れ先によってはやはり相当なプレミアムをつけて、スポット物を初め長期物でもプレミアムつきを買ったというようなことも確かに加味されておると思います。思いますが、極力自粛をするように事務当局ではこれら業者に対してやかましく言っておるところであります。 したがいまして、今日、ぎりぎりの線だけを値上げしたのだという言いわけは私ども聞くわけでありますが、かりそめにも便乗値上げとおぼしきものは絶対許されてはならないという態度で臨んでおるわけであります。御承知のように、これは地方の通産局等を通じまして一いま御指摘のガソリン等については毎週チェックをするという形で進めておるわけでありまして、今後とも不当な値上げを招来いたしませんように、十分監視をしてまいりたいと思います。
○中村(重)委員 便乗値上げはやらさない、こう言っている。ところがどうなのですか、いま次から次に値上げの発表をやっている。これは便乗値上げではない、OPECの値上げに伴う正当な値上げであるという評価をしていらっしゃるのですか。
○神谷政府委員 最近の石油製品の値上げの状況について、そのバックグラウンドと私どもの考え方をまず御説明させていただきます。 ただいま大臣から答弁がございましたように、現在行われております石油製品の値上げは、原油の円ベースによる価格の上昇に伴うものであるということでございまして、その内容は、一つは、一月におきますOPECの第一段階目の値上げ、それから二月の半ばにアブダビ、カタール等、主として湾岸諸国の軽質原油を中心にして大幅なプレミアムが四月以降の値上げの前に行われております。さらに、そのほか、御承知のように、円が一月から今日の間にかなり円安になっておりまして、円高のときと逆の動きが円ベースでの原油価格に反映をしてくるようになっております。これらを原因とする価格引き上げが行われておるわけでございます。四月以降のOPECの価格の引き上げ、並びにサウジ以外のほとんどすべての国が行っておりますサーチャージの賦課、これに伴うものは現在原油備蓄量があるということで、その備蓄が一応一巡するまで値上げを差し控えるという姿勢でございますので、現時点ではまだ出てきておりません。 問題は、これらの原油価格の上昇、特に湾岸諸国のサーチャージ並びに円安に伴う原油価格の上昇というものが妥当なもの、要するにそれに基づく価格引き上げが妥当なものであるかどうかという御指摘につきましては、私どもその内容は十分ヒヤリングいたしておりますが、これが正当な値上げであるとか妥当な値上げであるというようなことで、いわゆる各石油会社の価格の引き上げを正当づけ、裏づけるつもりはございません。むしろヒヤリングをいたしまして、現時点において、政府が介入をするような異常な価格の引き上げが行われておるような事態であるとは判断していないということが、私どもの基本的な考え方でございまして、これらの各石油会社の引き上げ幅もいろいろ異なっておりますので、ユーザーあるいは市場における競争等を通じて新しい価格が決定していくというプロセスをさらに慎重に見守ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○中村(重)委員 大臣、わかったようなわからないような、介入するほどの価格引き上げは、いわゆる仮需要をやって、また別な言葉で言えば、かつての石油ショックのときにあたったように売り惜しみ、買いだめ、こういう形でいわゆる狂乱物価を引き起こしてきた、そこまではいっているようには思わないけれども、かといっていまの価格引き上げを、政府はこの際は正当であるということで裏づけをするというところまではやり切れない。まあ少し無理じゃないかな、ここまで上げなくたっていいじゃないかというような感じで、私もそういう印象を受けたから、大臣もそういう印象を受けたと私は思う。 そうすると、どうするかという問題が起こるのですよ。そっちの方も厳しく対処していかなければならないけれども、かつてIEAで五%節約を決めた。この第一弾、第二弾、第三弾というものを通産省は発表しているのだけれども、私は余り効果が上がっているとは思わない。徹底的にやはり節約をやらせて、これも宣伝みたいなことばかりやらないで、第一弾ぶったならば第一弾の実績を見る。それでもっと節約しようということで第二弾をぶったんだったら、第二弾の実績が上がるようにやる。そうして第三弾、そういう意味の節約のためのエスカレートという形をしていくというようなことでないと、いまの石油の値上げというものに歯どめを加えることにならない。政府は、何かと言うと自由主義経済だから余り介入することは適当でないのだ、そのときそのとき、いつも御都合でやっているような感じで、いまの答弁で私は割り切れないものを感ずるのだけれども、余りにも御都合主義があり過ぎる。具体的なことで言えとおっしゃるならば私は言い得るのだけれども、江崎通産大臣になってからじゃなくて、ずっと前からの関係のことを承知しておるつもりですから。だからいまのIEAの節約にしてもどうなのか、実績が上がっているのか、こういうことで十分節約の目的というものを達成し得るのかということ、それらの問題等も含めて、私は本当に信頼できるような対策を打ち出してもらわないとどうにもならぬと思う。
○江崎国務大臣 重要な御指摘だと私も全く同感です。そこで四月二十日に、前に打ち出しました五%節約方途をもっと徹底させようということで、その徹底方を打ち出しました。たとえば、テレビ会社等にも郵政大臣を通じて、波を売っておられるから事情はわかるが、やはり深夜テレビなども自粛をしてもらおう、ネオンなども一日三時間、これから夏場に向かいますと、所によって夕暮れの時間が変わりますから、午後十時までと決める一方、三時間以内で消灯、それから道路公団などの消灯も現実に三分の一は必ず消すようにとか、いやもっと強くできるところは強くやるようにということで徹底をしておるわけでありますが、これは本当に実効が上がるのかとおっしゃると、官庁段階では徹底いたしましても、なかなか民間がついてこないという傾向があります。日曜日のガソリンスタンドの閉鎖といいましても、これも法律ででも取り締まらない限りは、横着な業者がかえって利潤をひとり占めするという不平等な結果にもなる。したがいまして、今後、御趣旨の存するところは私ども十分理解できますので、不公平のないように、そしてまた実効が上がるということを第一義にして節約を徹底したいと思うのです。 お話がありましたように量はあるのですから、何も買い急いだり買いだめしなくても、本当に一方で節約を徹底すれば不当な値段のつり上げなどということはできないわけですから、そのあたりもあわせ徹底して、節約がすなわち値段の高騰を抑えるということをもっと国民の間に認識してもらいたい、こういう運動を展開する予定でおります。
○中村(重)委員 時間が来たようですから、実は経済問題をやるつもりでしたけれども、これをおきます。 いま大臣がお答えになったように、もっと強い決意で臨まないと大変なことになるということです。政府の方はうまくいっていると言うが、政府の方もだめなんだ。節約に対する政府自体の取り組みなどというものも、通産省が相当呼びかけをやっているのだろうけれども、私は実績が上がっているというふうには思わない。 そこで、電気、ガスの料金は二年据え置き、いわゆる五十四年度までは据え置きだというし、あるいはこんなにどんどん上がってみるとそうもいかないといった報道等もあるわけですが、既定方針どおり二年間、電気、ガスの料金は上げないということをきっぱりここで大臣は言えるのだろうと思いますが、経済企画庁からも局長がお見えですから、大臣と局長の方から明確にひとつお答えをいただきたい。
○江崎国務大臣 これは予算委員会等でもしばしば申し上げてまいりましたが、八電力、三大ガス会社に関する限りは、やはり円高の影響もありますし、経営内容は必ずしも楽ではありません。しかし、本年度は、今後石油の格段の値上げということがない限りは、値段の据え置きは徹底させたいというふうに思っております。今後石油が大変な値上がりをするという事態を招かないように、先ほど来の御議論の存するところを踏まえて私どもも節約を徹底し、据え置きが可能になるように十分努力をしてまいりたいと考えます。
○藤井(直)政府委員 いま通産大臣がお答えになったのに対しまして、私つけ加えるあれはないと思いますけれども、去る二月二十六日の物価担当官会議でも、物価対策の総合的推進という中に、九電力、北海道電力を除きますと八電力、それから大手ガス三社の料金について、原則として五十四年度中割り引き前の料金を据え置くということを決めておるわけでございます。その線で対処していきたいと思っております。
○中村(重)委員 それでは終わります。
○橋口委員長 工藤晃君。
○工藤(晃)委員(共) 私は、スリーマイル島原発事故をめぐって、政府のこれからの政策問題を中心に伺います。 通産大臣は五時までということですから冒頭になりますが、スリーマイル島の原発事故から通産省としてどのような教訓を引き出しているかという問題についてまず伺いたいわけであります。先ほど吹田原子力安全委員会委員長から、この問題を謙虚に受けとめて、教訓を引き出すという趣旨の答弁がありましたので、続いて通産大臣の方から伺いたいと思います。
○江崎国務大臣 これは今朝来参議院でもしきりに議論されたところであります。御承知のように、わが国の原子力発電所の安全規制につきましては、原子炉等の規制法、電気事業法、こういった二つの法律に基づきまして安全審査、使用前の検査、定期検査というものを実施してきております。また、保守、保安、管理体制につきましても、保安規定の認可等によりまして相当厳しい規制を行っておりまして、その安全性については十分確保が図られておる。しかし、アメリカの今度の事故が現実にあったわけです。初歩的なミスということが言われておりますが、やはりミスはミスでありまして、まさに予期しないときにミスというものは起こりがちですから、謙虚にこの事故を受けとめて、今後とも安全確保のために全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。そのことがすなわち、通産省としてはまだ原因が明らかでない時点で、原子力発電を持っておる各社に対しまして、原子力発電所の管理体制の再点検について、直ちに点検を行うようにということで点検命令を出したわけです。しかもそれは、御承知のように一週間以内にという異例の期日まで付して要請をしたところであります。 その後、報告が上がってまいりました。これについてはヒアリングもいたしましたし、ディスカッションもいたしました。その結果に基づいて四月二十四日原子力安全委員会に報告をいたしたところであります。再点検の結果は、幸いといいますか、現在のところ特段の支障となるような点は認められないということが言われておるわけであります。なお、安全委員会の結果を待ちますと同時に、われわれ通産省からは、その点検が的確であったかどうかという点をいま監査に出しておるというのが現況でありまして、今後とも安全の上にも安全を期して努力をしていきたいと考えております。
○工藤(晃)委員(共) いまの大臣のお話は、一方では謙虚に受けとめてということも言われましたが、同時に、これまでやってきたことが十分であるということも強調したいような御気分がありありと見られたわけでありますが、この問題はもう少し後で伺います。 私が今度のスリーマイル島の事故で非常に印象的だったのは、やはり一番の問題は、炉心溶融の一歩手前までいったというこの現実であります。それと同時に、四月十三日、ワシントンからの時事通信によると、アメリカやカナダでこれまで原子炉の部分的炉心溶融事故が何度も発生したことが明らかになったということであります。私はいまここでこのニュースについて伺うわけではありませんが、ともかくそういうことも伝えられました。 ところで、これまで問題になりましたラスムッセン報告では、実はこのラスムッセン報告は、先ほどもお話がありましたように、NRCの一月の声明で、その要約部分に対する批判といいますか、これをこのまま使わないという声明も出されておりますが、その問題はまた後にしますが、ともかくラスムッセン報告では確率論的に言うと自動車事故で死ぬのは一年間に四千人に一人、原子炉の事故で死ぬのは五十億人に一人ということで、日本でもずいぶんこれがはやりまして、国会でも政府側の御答弁に大分これに近いことがあったわけですが、この五十億人に一人という事故というのが、実はいわゆる原子炉の中の炉心の溶融、メルトダウンというのが想定されたわけなんです。それで、まさに五十億人に一人といったって、そこまでくれば結局数百人あるいは数千人という単位で死ぬのでしょうから、まずこの確率で言えば、ほとんど人口一億人の国なんかでは起きないということになってこれが使われたわけですが、それが目の前でまさにその寸前までいったということは、非常に重大に受けとめております。これについてまだ詳しい状況がわかっているとは言えません。NRC側の資料がありますし、それから科学技術庁の原子力安全局と資源エネルギー庁の四月九日のまとめた報告もあります。ニューズウイーク紙も四月九日号に少し書いておりますし、読売新聞が四月十二日から現地取材でいろいろ書いているものもあります。ともかく一番最後の段階で言えば、炉内の水素の気泡がふえてしまって、その増大にどういう対処をするかということで大わらわであったということは伝えられましたが、結論から言えば、これまでの無条件推進論者といいますか、安全論の神話が崩れたということになりますが、それをこれまで推進してきた当局として一体どこまで受けとめているのか、ここを中心にきょう伺いたいわけです。 そこで私は少し具体的に幾つかの問題点、この問題点は少なくともいままで知られた事実からは引き出せますし、私確信を持って申し上げられますが、今後もっと新しい事実がわかったとしても、この問題点というのは恐らく残る問題点だと思ってきょう並べるわけです。 その一つは何かというと、先ほども議論がありましたが、原子力発電は多重防護になっている、だから安全だというこの議論ですね。これはやはりこれまでのように無条件にこれを振り回して、だから安全だということはもう繰り返してはいけないのではないか。この多重防護ということは、同時にフェールセーフとかそれからフールプルーフという形で、失敗しても、人為的なミスがあっても保障されている、安全である、あるいはだれがやっても大丈夫だというような、人間の誤ちが許されるという考え方に立つわけです。ちょうど七三年十二月十九日の科技特におきまして森山長官が、いみじくも十重二十重の防護体制がある、したがって安全である、十重二十重論というのを大いにやられまして、十重二十重の防護が行われているということが言われております。だから、多重防護だから安全だといったこの主張、それでこういうことを推進の口実にした、これだから安全だということを言ってきた、それが大きく崩れた問題をひとつ反省しなければいけない、これが一つです。 二つ目の問題は、例のECCSがあるから最後の大事故は防げるという、これが二つ目の点であります。ECCSがあるから炉心溶融とか損傷まで至らないということですが、今度は、先ほどアメリカへ行かれました内田さんの話では、溶融には至ってないようだと言われております、しかし損傷があったということが伝えられておりますね。そうでなければどうしてあれだけの水素が出てきたのかという問題があります。少なくとも三分の一の損傷があったのではないかと言われております。そうしてまたこの問題では、NRCの報告として、ウエスチングハウス社型の原子力発電所にECCSが作動しないこともあり得るからということで点検したと伝えられているわけでありますが、こういうことで、二つ目の問題というのも非常に重大に私は考えております。 〔委員長退席、野中委員長代理着席〕 そのことで実は二十五日の参議院の科技特で佐藤議員が、大飯原発一号炉は、ECCSに従来のものよりさらに信頼度が高いとされるUHIを取りつけた新型であるということであったけれども、実は原子力研究所の七六年の実験ではこの新型の結果は悪くて、かえって冷却効果が弱いという結果が出たにもかかわらず、原子炉安全審査委員会はこの報告を無視して設置を許可した問題についての追及を行いましたし、それからきょうの赤旗をもうごらんになった方は、これは原研の中の炉でありますが、沸騰水型の炉で三年前にECCSが作動しなかった事故があったけれども、政府はこの事故を隠してきたという問題も出されて、ECCS問題が、実はこれまでのこれがあるから安全だという議論が大きく崩れたということも、大事な問題の第二点であります。 しかし、きょうはこのECCSの問題はここでは扱いません。なぜならば、参議院の科技特の方で原子力安全委員会委員長も行かれまして、こういう問題の議論が行われると思いますのでやりませんが、ここではともかくこの多重防護になっているから安全だということをこれまでやたらに強調してきたことを、いまどのように反省しているのか、この点について伺いたいわけであります。
○宮本(二)政府委員 ただいま工藤先生のおっしゃいましたように、原子炉につきましては非常に多重防護システムで、一つの防護システムに失敗がありましても、多くの防護システムによりまして事故に至る確率を非常に減らすような工夫がされておることは事実でございますし、そうすることが非常に安全性を高めるゆえんであることは事実であると考えております。しかしながら、今回のスリーマイルアイランドの事故を見ますと、防護システムがありながら、元来それが外されておるような規則違反がございますし、いろいろ誤操作等が重なりましてこういう事故を起こしている次第でございまして、私どもといたしましては、多重防護システムがあるがゆえに安全であるということは事実にいたしましても、その防護システムがやはり有効になっておらぬといかぬ。そういう点でそれ以前の、これは吹田安全委員長がよく言う言葉ではございますが、人間と機械とのかかわり合いの問題が一つあるであろう。やはり人間的要素をもう少し多く検討し直しまして、機械との関係においてやはりこの事故を謙虚に反省いたしまして、より信頼性、安全性の向上に不断の努力をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
○工藤(晃)委員(共) NRCのこの前出た資料と、それから日本原子力研究所の労働組合が四月十一日討論会を行った資料があります。特にこの後者の資料によりますと、十一の問題が指摘されております。NRCはいままで六つばかり原因を挙げていたというふうに覚えております。この十一について全部挙げませんが、たとえばここで挙げられた中で、二次冷却の水量がまず落ちた、その始まりが何であったか、それでタービンがとまったというわけですね。そのときに、復水脱塩装置の空気作動弁が、空気ラインの水蒸気が原因で遮断されたとそのときの情報でこれは扱っております。先ほど私、アメリカへ行かれた原子力安全委員会の内田さんに直接伺いましたら、どうもそうではなさそうで、復水器とそれから脱塩塔と、主給水ポンプがともかく三つ同時にとまってしまった。そのどのバルブがどうしたかわからない、これ以上わからないのだということですが、いずれにせよ、二次冷却水の水量が減るような何かが起きたら、それにかわってまだいわゆる補助給水系があるというそこへ行く前に、そういうことに対応して何らかの多重防護があってしかるべきだと思うのが、同時にとまったというのは一体何事だろうか。そうすると、この労働組合の検討会で問題になっている、設計段階からの問題も考えられはしないかということも出てくるわけです。たとえばこういうことがあったわけです。また考えなければいけないわけです。 それからもう一つは、これまでよく指摘されました二次冷却系のメーンが停止してしまって、補助給水系が働かなければいけないのに、バルブがみんなとまっていた。とまっていたというのだけれども、メーンがとまってしまったら、動かなくなったら、自動的にバルブがあいてなぜ悪いのか。恐らくそうなっているはずなんですが、何か人間が行ってきちっと何時間かかからないとあかないバルブじゃあるまいし、ちょっとそういう話にもなるんですが、ともかく多重防護にこれもなってないという例なんです。 そこでさっき私言いましたように、森山長官がかつて言ったように、十重二十重の防護体制で安全だ、この上もなく安全だというのが全くばかばかしい話になってしまうということを目の前で見たわけなんですが、こういう点で、先ほど人間要素ももっとということを言われたのですが、実は人間要素を入れるということになると、従来のフールプルーフだとかフェールセーフということですね、これは人間要素がどうあっても安全だということにいかない、別のことを考えざるを得ないということになってきたわけだと思うのですが、そういう点で、この問題の反省といいますか、謙虚に受けとめるということは大事だということを私再度指摘して、私が考えている三つ目の重要な問題は、計器が正常に働かなかったという問題です。 これは、加圧器の逃し弁が開きっ放しになっている、それでどんどん蒸気で噴き出したか、どういう状態で噴き出したか、液相、気相両方とも一緒に噴き出したとか、いろいろ考えられますが、そういう状態では水位計がそもそも正常に働くわけがないではないかという科学者の指摘もあります。だとすると、それは事前にわかることではないかという指摘がありますが、それはともかくとして、計器が正常に働かなくなる場合があるということが、これまでどこまで深刻に受けとめられていただろうかというこの問題が三つ目の大事な問題だと私は思います。というのは、いずれにせよ原子炉の炉の中であれ、加圧器の中であれ、あるいは全体を納める容器、装置の中であれ、直接人間が見られないから何らかの状態を測定して計器で見るわけなんですが、それでしか判断できない。そうすると、こういう状況の把握ということが、計器が狂うと狂わされてしまうのですから、これは、手動にしたとか自動的であったとかということは二の次の問題だと私は思うのです。自動的であっても計器が狂ってしまえば機械の判断が狂うわけでありますから、人間であったってもちろん狂うわけなんですね。だから、そういう問題について、やはりもう一つ深刻に受けとめなければいけないのではないか、この点についても伺いたいと思うのです。
○宮本(二)政府委員 ただいま先生のお話のございました加圧器の水位の問題、これは先ほどのスリーマイルアイランドの事故におきまして、加圧器の逃し弁が噴きまして圧力が蒸気で出ます関係上、加圧器内部の圧力が減っていくわけでございまして、一定の圧力になりますればそのまま噴きどまるのが通常の機構でございますが、これがあきっ放しになっておったという一つの機械的なミスがございますし、元来逃し弁には元栓で遠隔操作で閉められるようになっておるはずでございますが、これがたしか二時間以上だったと思いますが、そのまま噴きっ放しにしておいてそれをとめなかったという一つの操作のミス的な要素もございますが、いずれにいたしましても、これ一つだけでもそういう二重のミスが重なりまして噴きっ放しの状態になる、こういうときにおきましては、先生の御指摘のように、水位計が本当の水位を示さなくなるようなおそれが非常に濃い、こういうのが今回の事故の中から得られました一つの大きな知見でございます。したがいまして、これを受けまして原子力安全委員会といたしましては、わが国におきますウエスチングハウスタイプは、アメリカにおきます事故の原子炉とは大分いろいろ違っておる点がございますけれども、わが国におきますウエスチングハウスタイプの場合におきまして、やはりこの水位計の問題をきわめて重視し、深刻に考えたわけでございます。こういう加圧器逃し弁の一つの、二重に重なりました事故のこういう非常に特殊の状況下において、やはり最終的な安全解析につきましても、だめ押し的であっても確認をすべきである。こういうことで通産省の方に要請をし、通産省の指導により、ちゃんと解析が出るまでの間大飯の発電所を停止する、こういうことに実はなってまいっておるわけでございます。 そういう意味で、この先生の御指摘のような水位の問題につきましては、やはり私どもといたしましては安全第一というぐあいに考えまして、たとえそれが非常に特殊な状況下における事象でありましても、そのだめをはっきり詰めておきたい、こういうことでございます。通産省におきまして現在その解析をやっていただいておる最中でございます。
○工藤(晃)委員(共) 私は今回の事故でもう一つ、四つ目に大事な問題として指摘したいのは、やはりこれはアメリカの場合どうで、また日本の場合どうでというふうにいろいろ違いがあると思いますけれども、少なくとも今度の事件を見て、事故対策の想定に入れられていない状況がどこで、どこまでは想定に入っていたのかということを、もう一度考えてみる必要があるのではないかというふうに考えるわけであります。たとえばさっき言いました加圧器の圧力逃し弁が開きっ放しであったということから、中の一次冷却系の水がどんどん出ていく、こういうことになりますと、もともと安全弁は安全のための対策としてあるのだけれども、開きっ放しというために、今度は逆に危険要因に転化していくわけですね。こういう状況、それから水素のあわが発生したというような状況ですね、こういうことに対して具体的にこういう状況の想定があり、そのときのマニュアルというのがあったのかどうかということです。恐らく少なくともアメリカの関係電力会社にはなかったのだろうと思うのは、先ほど挙げました読売新聞の取材によりますと、NRCの関係者が現地に乗り込んでいって、会社のやり方をえらく批判していますね。燃料棒がやられていることを会社はもっと早く認識すべきだ、圧力容器に水素気泡ができていることを知らせてきたのは三日目になってからだ。つまり予想していないことが起きているから、会社側も燃料棒の損傷ということを余り気がつかない、重視もしない。また同時に水素の気泡が出てきていることもとらえるのが非常に遅かったのではないか。NRC側のスタッフは恐らくそういうことを予想していたのでしょうが、少なくとも現地の会社当局はそれを全く軽視してきたということ、これは非常に深刻な問題じゃないか。重大な状況が起きているのに、その把握さえできないし、おくれるということを目の当たりに見たと思うわけなのです。 そういうことで、実は時間が余りないのでごく簡単にお答え願いたいのですが、予測しない事態がいろいろ生まれたということは、四月十一日の衆議院の科技特で児玉資源エネルギー庁長官官房審議官も認めており、したがって、ここの一つの教訓としては、やはりあらゆる場合をシラミつぶしに想定して、それへの対応というものをつくっておかなければならないということになると思うわけですが、これまで、起こる事故というのをわりあいしぼってきたのではないだろうか、この辺の反省が一つと、それからもう一つ、これは通産省の方からこの委員会にぜひ資料を出していただきたいのですが、ではこれまで具体的に日本の電力会社でそういう加圧器の逃し弁が閉じなかった、計器が正常に動かなかったというときに、そういう異常時にどう対応するのか、そういう異常が起きたときだれがどうしろという判断を下すのか、何を基準に判断を下すのか、そういうこれまでのマニュアルはどうであったのか。これは東京電力と関西電力ですね。加圧型は関西の方でしょうけれども、関係電力会社からどういうマニュアルを使ってきたのか、これはここで提出していただきたいし、それからそれについて今後どうするかということを伺いたいわけなのです。これは通産省お願いします。
○向説明員 加圧器の逃し弁が噴いた場合に、事故時細則等でどういうふうになっておるかということでございますが、各電力会社のいま総点検の中でわれわれ調べておりますが、それによりますと、弁の開閉指示というのが中央制御室で出るようになっております。それで、もし閉まっているあるいはあいておるということで、ランプ表示が出るわけでございます。それからもう一つは、加圧器の逃し弁の出口側で温度を測定しております。それで、出口の温度が上昇しますことによりまして加圧器が開いているということがわかるわけでございます。そういうような事態で、逃し弁が閉まるべきときに噴いているということが確認された場合は、元弁を閉めなさいというのがマニュアルで決まっております。そういうことで、関西電力等でいまのような規定になっておりますが、もし詳細ということであればまた御説明させていただきたいと思います。
○工藤(晃)委員(共) 閉まるべきときにあいていれば閉めなさいというのなら、これはまた大変単純な話で、実は四月二十四日、資源エネルギー庁が発表したこの文書の中にもそれに似たことが書いてあるわけですね。開いた状態にある弁が加圧器逃し弁であるかどうかをまず確認する、確認すれば元弁を閉鎖するという、それだけの話なのです。しかし問題なのは、実はその後でNRCの側から、四月十二日と十四日ですか、運転者への通達というのが出てきて、その中でも、この問題は非常に深刻だからマニュアルの詳しいのをつくりなさいと書いてあるでしょう、特に四月十四日のには。書いてありますね。もともとさっき言った加圧器の逃し弁があいているというのは、ある安全を保証するためにあけられたのだけれども、どこで閉じるかという判断は、これまた簡単じゃないわけでしょう。しかもいろいろな計器が正常に働かなくなるというとき、少なくとも実際にあいているかどうかをどう確認するか、それができたとしてもどの時点で閉じた方がより安全なのか、あるいは閉じたことによって逆に危険を到来させるかもしれない、そういうきわめて大事な問題の判断が、閉じるべきときに閉じなさいというのは、これはマニュアルにならないので、これまでの四月十四日のNRCの通達を見ても、その計器で大体どういう係数が出たときにどういう判断を下すかということ自体が再点検されなければいけないという問題が出ているわけですね。だからそういう点で、いや、もうそういうマニュアルはあります、これはぜひ出していただきたいから、先ほどの要求どおり出していただきますが、しかし実際は、たとえば電気新聞の四月十四日にも、「現在の運転マニュアルが具体的な異常時においてどのような措置をとるかは盛り込まれておらず、ただ運転係長、課長、所長の許可をえて判断、操作するとなっているため、実際の異常時に対応できるかどうか不安が残る」という不安が示されているわけでございます。これは電気新聞の四月十四日号にあります。そういうことで、また通産省としては、このマニュアルをもっと精密にというか、実際に合ったものに直していく、改善していく、そういう指導をすべきだと思うのですが、それはどうなっているのか。というのは、先ほど申しました四月十一日の科技特におきまして、吹田原子力安全委員長は、マニュアルの再点検ということについて、瀬崎議員の非常事態への保安規定、運転要領マニュアルを全面的に見直す必要があるということに対して、少なくとも安全委員会の方はまことに同感だというふうに答えていて、通産省の方は、もうございますというのでは、これは済ませない問題だと思います。もし済ますというのでしたら、私はこの問題は非常に重視して追及しなければいけないと思うのですが、そこのところはどうなのですか。
○向説明員 ただいまお話ししました総点検の結果でございますが、現在安全委員会等にいろいろ御相談申し上げております。それで、先生から御指摘ございましたように、われわれといたしましてもいまの各社のマニュアル等を見まして、それで完全ということでございませんで、いまお話のございましたように、だれがどういう指示でどういうふうにするかという点につきましては、もう少しきちっと明確にした方がいいという点もございますので、それは安全委員会等と御相談して、電力会社を指導いたしたいというふうに考えております。
○工藤(晃)委員(共) 先ほど挙げましたNRCの運転者への通達が四月十二日に続いて十四日とあって、後者の方がより詳しくなっている感じでありますが、すでに新聞でも指摘されているような、たとえば加圧器の水位にかかわらず、どこで注水を行うかということでは、四月十二日は手動でやれと、結局そういう話になっているのですが、回路を変えろというのが十四日の通達に入ってくるということ、あるいはその後かなり通達が精密になっているのですが、こういうNRC側の指摘を日本政府としても参考にしたからこそ、大飯の原発調査の一つの動機になったろうと私伺っております。そういうふうにして、アメリカ側の通達もこれからどんどん変化するような状態にあるわけなので、したがいまして、この問題は、先ほど言ったように、いままでのマニュアルがどうなっていたか、これは資料を出していただくことにしまして、そういうものであるということを指摘にとどめまして、最後の一つの問題としまして、先ほど板川委員も出されていた点であります。やはり原子力の安全問題で政府が公式に示してきた態度について、これはこのままでよかったというふうにしては済まされないということを、私も強く指摘したいわけであります。 それで、先ほどのものに加えて、ちょっと出しておきますと、これは、たとえば佐々木長官のときですね、昭和五十年六月二十四日内閣委員会であります。「第三者あるいは環境まで汚染するような、そういう大事故というものが起こるのじゃないかというところに国民の不安があるのじゃないかと私は思うのです。それが絶対ないということ、原子炉そのものがそういうふうにできておるのでありまして、あり得ないということなんです。」「あり得ないということなんです。」こう言っていますね。「内部構造というのは一体どうなっているのだという説明をしますと、大変長々となりますのでやめますけれども、要するにそういう事故にはまず何億分の一しくじるということはあり得ないという調査になっております。」と、こういうことやら、これは同じく佐々木長官ですが、これは内閣委員会、昭和五十年六月二十四日ですね。「あらゆるケースを考えていって、そうして二段にも三段にも、あるいは独立して、これがだめであれば全部だめだというやり方では困るということで、独立して炉を消すような装置を幾段にも考えている。」これは多段のことですが、それからラスムッセンのことが引かれていて、「きょうは資料を持ってこなかったので正確には言えませんけれども、いん石の確率よりもはるかに少ないんですよ。何億分の一。こんなことはあり得ないのです。」ということを、大変勇ましく答えてこられたわけなんです。 先ほどの答弁を聞いておりますと、安全審査基準にはラスムッセンの行った報告の中にあるような、確率論的なものは入れてないというけれども、まさにこの問題での最高責任者が国会で答弁するときに、原子力の安全性を証明するために、このラスムッセンは、これはちょうど年は翌年になりますが、非常に頻繁にというよりか、これ以外根拠がないかのごとく使われてきたというのが現状なんですね。ところが、これは御存じのことだと思いますが、一月十八日のNRCの委員会声明の中にはこうありますね。要約の部分について「本委員会はこれまで公然隠然と行ってきたこの要約についての一切の承認を撤回する。」ラスムッセン報告、私も読んだわけではありませんが、要するに、本体は大変ややこしいもので、要約しか使われなかったということで有名で、大臣たちもその要約で話したわけですが、この要約は、NRCはもう撤回したわけですね。撤回するということを宣言するだけじゃだめなんだ。この中で、「本委員会は、」このラスムッセン報告が「提起した危険の絶対値を、」まあたとえばいん石がどうだとかですね。「規制の手続きでもまた公共政策の目的でも、無批判に使用すべきではないとの検討グループの報告の結論を受け入れ、過去において使用した事例を適切に修正することを保証するため、」過去にこういうふうにしゃべってしまったあるいは本に書いてしまった、これを修正することを保証するために、「すでにその措置をとってきたし、これからも引き続きとることにする。」どうですか、アメリカのNRC側の方では、過去に、いやもう五十億分の一だとかいん石だとか言ってきたことは、やはり修正しなければいけない。公共政策にこういうことを入れてその根拠にしてきた。わが国の政府として、これはやはりそういう措置をとらなければ、大体それを無批判に使ってきたということ自体見識がなくて、日本の物理学者の中には、この批判はもう山ほどありましたよ。それにもかかわらず無批判に使ってきたのは政府、そうしてアメリカ側がこれを撤回しなければいけないと言っている。過去に使った例も修正すると言っている。日本政府は、さっき言ったようにそれを修正もしない、何にもしないでそれでいいのですか。その点について、きょう大臣がいないのはまことに残念でありますが……。
○宮本(二)政府委員 先生からラスムッセン報告のことにつきましてたびたび御指摘があるのでございますが、先生もいまちょっと触れられましたように、ルイス報告でございますが、データベースの統計的処理に疑問があるとか、それから確率計算にかかわる不確実性を十分に強調していないとか、一つの行政的な施策としてこれを使うことは適当ではないとか、こういうことをたしか言っておったように思います。 先ほどから申し上げましたように、日本におきましては、これを一つの行政的な判断基準にはして、行政処分等には全く使っておらないわけでございます。いろいろ政策担当者の答弁の折に、まあ一つの強調したさにそういう表現があったという御指摘でございますが、その点は確かにオーバーであるということは言わざるを得ないと思いますが、そういうことで、現実の施策には全く使っておらないことにつきまして、ひとつ御理解いただきたいと思っております。
○工藤(晃)委員(共) 時間が参りましたけれども、現実の施策に使ってないというけれども、政府が、いかに政府のいま行っている原子力開発政策が正しく、かつ急いで実行すべきであるということを強調するときの、いつも論争になった点はこの問題でありまして、そのときの、まさに行政ベースの根拠にした最大のものと言っていいような強調のされ方が行われたのはもう現実であります。きょうは時間がありませんから、このほかに山ほど積み上げて、どのように使われたか、こういう使い方をすること自体もう非常にアメリカへの自主性のなさといいますか、それでいてアメリカの側で取り消してしまうともう恥ずかしくてまたと言えなくなるというのは、まことに情けないことだと思って私自身残念に思うわけですが、きょうはもう時間がありませんので……。 しかし、いずれにせよ、通産省のこれからの責任というのも原子力発電では新しい法改正後大きくなってきているわけで、ここの委員会でも繰り返し取り上げられることだと思いますし、私もこの問題は追及しなければいけないと思っておりますので、いずれにせよ問題をかなり残しましたが、きょうのところはこれで終わります。
○野中委員長代理 次回は、来る五月八日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十九分散会