社会労働委員会医療保険制度に関する小委員会 第3号
- 発言数
- 63 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1979/03/07
会議録
○戸井田小委員長 これより医療保険制度に関する小委員会を開会いたします。 医療保険制度に関する件について調査を行います。 前回御報告申し上げましたように、医療保険制度改革の基本的問題につきましては、大きく五項目に分類して順次取り上げていくことになっておりますが、本日は、そのうち給付と負担に関する問題について調査を進めます。 まず、厚生省当局から、本問題に関する考え方について説明を聴取いたします。小林保険局企画課長。
○小林説明員 それでは、お手元にお配りしました資料を御説明申し上げます。 順番が入れかわって恐縮ですが、一番最後のところに、一枚紙の「医療保険制度の現況」という資料がございます。これから御説明いたします。 これはもう皆様方御承知のことですので、詳しくは申しませんが、現在、わが国の医療保険制度は、この一番左の欄にございますように、政管健保、組合健保、船員保険、日雇い健保、それから各種の共済組合、そして国民健康保険、こういう制度に分かれております。この上の五つ、政管健保から各種共済組合まで、これが被用者保険あるいは職域保険と呼ばれる保険でございます。それに対しまして、一番下の国民健康保険は地域保険と呼ばれる保険でございます。 それで保険者は、政管はもちろん国でございますが、組合管掌健康保険は各健康保険組合、それから船保、日雇いはいずれも国、それから各種共済組合、これは各共済組合が保険者になっております。それから国民健康保険は、市町村の経営する国民健康保険と国民健康保険組合で行う国保がございます。ちなみに、組合管掌健康保険はいま保険者が千六百六十六ございます。それから共済組合は御承知のとおりに国家公務員の共済組合、それから地方公務員の共済組合、それから公企体職員の共済組合、それから私立学校の職員の共済組合と、こういう四種類に分かれておりまして、それぞれまた保険者が分かれていますので、保険者数でいきますと八十二組合でございます。それから国保は市町村が三千二百七十二、国民健康保険組合が現在百八十二ございます。 それぞれの加入者でございますが、次の欄にありますように、政管が本人、家族を合わせまして二千九百万、組合健保が二千六百万、船保が七十万、日雇い健保が六十万、各種共済組合が千二百四十万、国保は市町村と国保を合わせまして四千四百万、こういう構成になっております。 それから保険給付でございますが、ここにありますように、まず医療給付につきましては、本人の療養給付、これは、被用者保険の方は全部十割給付でございます。それから家族の療養費でございますが、これは全部一応七割になっておりますが、括弧書きで書いてありますように、組合健保と共済組合につきましては付加給付がございます。たとえば家族療養費付加金とか、そういった形で七割以上になる付加給付がございます。これに対しまして、地域保険であります国民健康保険は、本人、家族と言いますよりむしろ世帯主、世帯員と言った方がいいんですが、世帯主、世帯員とも七割ということになっております。それから医療給付で高額療養費制度がございまして、これは被用者保険、地域保険を通じまして全部共通でございます。自己負担が三万九千円を超えた場合にはその超えた額を後から保険者が償還する、こういう仕組みで、これは各制度とも全く共通でございます。 それから現金給付ですが、被用者保険グループにつきましては、傷病手当金、出産手当金、分娩費これは全く一緒であります。ただここでも、組合健保と共済組合につきましては付加給付が認められております。国保も同じように助産費、葬祭費、育児手当金、こういうものの給付が法律で決まっておりますけれども、法律上これは任意給付とされております。強制的ではなくて任意的な給付とされております。しかし、助産費とか葬祭費はもうほとんど大部分の各保険者が実施しております。育児手当金は約半数ぐらいが実施しているということでございます。ただ、支給額は被用者保険に比べて大分落ちるという現状でございます。 それから財源の中で、一つは保険料率でありますが、政管健保は御承知のように千分の八十で、八%でございます。それに、現在は特別保険料としましてボーナス等に一%の保険料が掛けられております。それから組合健保は、各組合によってばらばらでございます。大分幅がありますけれども、全組合健保を平均いたしますと七・七%になります。それから船員保険は六・二%でございますが、御案内のように船員保険は、健保、労災、失保、年金の四部門を総合的に実施するいわば総合保険でございますので、その中から職務外の事由による疾病分、つまり健保に並ぶ分を引き出しますと六・二%になる、こういうことでございます。それから日雇いは、一種特異な形態になっておりまして、定額制でございますが、賃金に応じまして一級から八級までランクがございまして、最低六十円、最高の八級で日額六百六十円という保険料になっております。それから各種共済組合も、各共済組合によって違っておりますが、大体五・六四%から上は一〇・六%ぐらいの問に分布しております。それから国民健康保険は、こういう料率というかっこうでとらえられませんので一応額で示してありますが、五十二年度の一世帯当たりの平均の年額でございますが、六万一千七百七十一円ということになっております。 それから財源の中でその次の国庫負担でございますが、政管は給付費の一六・四%、それから組合健保はこういう定率の補助はございませんで、五十三年度十二億円の定額の補助でございます。なお、これは五十四年度予算では十五億円の予算をいま計上しております。それから船員保険につきましても同様でございまして、定率の国庫補助はございませんで、定額の十二億円でございます。これは五十三年度でございます。これも、五十四年度予算におきましては十五億円に増額するように計上をしております。それから日雇い健保は給付費の三五%でございます。それにプラス六億円の定額の補助がございます。定率と定額の組み合わせというかっこうになっております。各種共済組合は国庫負担はございません。それから国民健康保険でございますが、まず市町村に対する国庫負担としましては医療費の四五%の補助がございます。詳しく申しますと、この四五%といいますのは四〇%部分と五%部分に分かれまして、最初の四〇%部分は医療費に一律にかけられる補助金でございます。残りの五%は各国保の保険者の財政力、市町村の財政力を調整するという意味で、財政調整交付金というかっこうで五%が配分される、こういうことでございます。両方合わせまして医療費の四五%を国が持っている、こういうことでございます。そのほかに、ここにありますように臨時財政調整交付金と申しまして、定額でありますが、五十三年度で千百二十一億円ほどの補助金が出ております。それから国保の組合の分でございますが、これは括弧書きで書いてありますように、医療費の下は二五%から上は四〇%の範囲内でその保険者の財政力に応じて配分がなされるというのが一つと、それからそのほかに臨時調整補助金というのが、五十三年度では五十九億円でございますが、これが別に国庫から出されるということになっております。 それで、この国庫負担の額をトータルいたしますと、五十三年度で全部で約二兆円でございます。二兆八百億円が五十三年度の国庫負担の総額でございます。これは五十四年度予算におきましては二兆三千百八十億円ほどになります。 最後の欄は、御参考までに七十歳以上のいわば老齢者の占める割合を掲げたものでありますが、被用者保険は平均で三・三%、そのうち政管はやや平均より高目になっておりまして三・六%、組合はやや平均より低目になっておりまして二・七%、国保が老齢者の占める比率が非常に高くて、七・五%が七十歳以上の者の占める割合だ、こういうことでございます。 以上が、わが国の医療保険制度の概況でございます。 次に、縦長の「給付と負担の問題に関する考え方」という資料を御説明いたします。 これは、先ほど小委員長からお話がございましたように、最初に検討なさいます給付と負担に関する問題について、内容を少し分析いたしまして細分化いたしまして、それぞれの考え方あるいは問題点を一応私どもの方として整理をしたものでございます。 まず1の給付水準でございますが「平均的給付率」というのは本人、家族をならしたところの平均的な給付率というふうに御理解いただきたいのですが、「給付水準についてどのように考えるか」という問題でございます。 まず(1)は、そもそも「社会保障としての医療保険の給付率はどの程度が妥当か。」という問題提起でございます。ここには(備考)としまして、お手元にお配りしてありますけれども、四十六年並びに五十二年の社会保険審議会の答申をつけておきました。簡単に言いますと、この両答申では本人、家族とも十割給付が目標である。「目標」という言葉と「目指すべきである。」という言葉があるわけでございますが、十割が目標である。しかし純然たる十割給付ではなくて、適切な自己負担はやむを得ないということでございます。それだけを書いてありまして、本人、家族をあわせて平均何%ぐらいの給付率がいいかというその絶対値といいますか、具体的な給付水準の率はこの答申には明記されておりません。 それから(2)として「医療保険各制度間の給付格差をどう考えるか。」という問題でございます。その中には、一つは被用者保険における先ほど述べましたような付加給付、つまり健保組合と共済組合に認められております付加給付を認めるべきかどうかという問題。三つ目としまして、これも先ほどの資料でお話ししましたように、被用者保険と国民健康保険の給付水準の差があっていいのかどうかという問題でございます。 (3)は「負担との関係で給付水準をどの程度とするか。」給付水準だけ決めるわけにまいりませんで、社会保険でございますから、給付水準を決める場合にはどうしても負担を同時に考えなければならぬということは当然でございますが、その負担を頭に入れて給付水準をどの程度にするのがいいかという問題でございます。そこには幾つかの考え方があると思いますけれども、一応a、b、cと三つを並べておきました。 まず「a 保険料負担率が大幅に増加しても給付水準を現行より引き上げる。」それから「b 保険料負担率の大幅な上昇を避けるため概ね医療保険全体の現行給付水準程度とする。」現行給付水準というのは現在大体八割程度でございます。被用者保険、地域保険、ならしまして全部を平均しますと大体八三%ぐらいになるのですが、おおむね八割給付程度、これが大体現行水準でございます。それから「c 保険料負担率をほぼ現行程度とすることを前提として、給付水準を定める。」これは、保険料負担額というのは当然これから上がっていくのはやむを得ないのですけれども、そうは言っても負担率が、率においては大体現行どおりとすることが正しいということであれば、それを前提として給付水準を逆に決めるという考え方があろうかと思います。これで参りますと、大体逆算いたしますと、保険料負担率をほぼ現行程度とするという前提で組みますと、給付水準はおおむね七・五割ぐらいになります。 そこで(備考)としてつけておきましたのは、昭和五十八年度に給付水準に対応した保険料がどうなるかという資料でございまして、給付水準についてはいろいろな御意見がございますので、十割給付から下は七割五分給付まで各ランクをつけまして、こういう給付率の場合には、昭和五十八年度には、政管と国保がこれくらいの保険料が要るというのを試みに出したものでございます。「注」にありますように、まず前提としまして、ここで計算しました際には老人医療費は別に計算しております。老人医療分というのは除外いたしまして、残った分について計算をしております。 そこで、これでまいりますと、ごらんいただけばわかりますが、たとえば十割給付をやろうといたしますと、五十二年度は千分の七十三程度でよろしいわけです。これは先ほど申しましたように老人は除いておりますから、現在の千分の八十という保険料率よりも下がるわけでございますが、現在千分の七十三、それが、十割給付を実施するといたしますと、政管の場合五十八年度には千分の百十一ぐらいの保険料率になる。国保は、現在五十二年度ベースで年額約五万円の保険料でございますが、それが五十八年度に二十一万六千円、現在の四・三倍ぐらいの保険料を払っていただかぬと十割給付はできない、こういうかっこうになります。以下、同じように見ていただけばいいのですが、たとえば八割給付ぐらいにいたしますと、政管の場合には五十八年度で千分の七十七、国保では十一万五千円でございますから、現行の約二・三倍ぐらいになるということでございます。ただ「注」で申しましたように、これは老人を一応外して試算しておりますので、老人分をこれに加算して考えないと、国民の負担感というのはわからないわけでございます。 それで困りましたのは、老人医療をどうするかということが現在まだ決まっておりませんので、どういうかっこうの負担になるかわかりません。そこで、ごく粗っぽい計算でございましてこれは正確ではございませんけれども、老人医療にかかる分から国とか地方公共団体で見るようなものを除きまして、大体四五%ぐらいは保険料でカバーしなければならぬという仮定を一応置きまして、それを政管健保の標準報酬で割り返して出したのが千分の十一でございます。これは相当粗っぽい数字であることは御勘弁いただきたいのですが、この千分の十一前後は先ほどのたとえば十割給付の場合の千分の百十一に上積みされる、つまり千分の百二十二ですか、その程度の負担を覚悟してもらわぬと十割給付はできませんよ、こういうことを示している資料であるということでございます。 二ページへ参りまして、「2 本人・家族の給付格差をどうするか」という問題でございます。 これは二つ考え方がございまして「a 給付の平等の見地から本人・家族の給付率に差を設けない。」という考え方、もう一つは逆に「一家の支柱である本人の給付に重点をおき、本人の給付を厚くする。」という考え方、この二つでございます。 これも、先ほど御紹介しました社会保険審議会の答申の中でも、本人、家族をあわせて十割を目標とすべきである、その際自己負担はやむを得ない、こう言っておりまして、直接本人と家族に差があっていいかどうかという問題についてはコメントがございません。ただ、お配りしてございませんが、四十六年の制度審議会の答申に、本人と家族の間に格差を残しているのは問題であるという指摘がございます。これは家族の七割給付実現前でございます。家族が五割時代の答申でございますので、いま通用する問題かどうか疑問がないことはございませんが、そういうのが一つあるだけで、ほかはみんな本人、家族間の差について審議会はコメントをしておりません。 それから「3 患者負担のあり方についてどう考えるか」という問題でございます。 (1)は「家計負担を考慮して給付率に差を設けるべきか。」という問題でありまして「a 重症の給付率を軽症の給付率より高くする。」という考え方、それから「b 入院の給付率を外来の給付率より高くする。」こういう二つの考え方があろうかと思います。ただ、aの重症、軽症の区別というのは、家計に与える負担がたとえば重症だから重い、軽症だから軽いというふうには直ちに結びつかないという問題がございます。つまり、病気の種類と家計負担への反映ということとは直接一致しないという面がございます。もう一つ、仮に無理をして疾病の種類で分けましても、それじゃどの辺から分けるかという具体的な問題として考えます場合には、非常に技術的にむずかしいという問題がありますので、一応御参考までに(備考)をつけておきました。 それから(2)の「患者負担の方法をどうするか。」でございますが、これは三つほど書いてございます。 一つはいわゆる定率の患者負担、たとえば医療費の二割相当額を患者負担とする、こういう意味でございます。二つ目は一定額、たとえば初診時千円、入院時千円というような定額で患者負担を決めるという考え方、三番目には政策的な配慮から特定の物、たとえば薬というようなものですが、これについて患者負担とするという三つの方式がございます。この(備考)にありますような社会保険審議会の意見書は、適正な範囲内においては一部負担はやむを得ないというのが大体一貫したトーンでございます。ただ五十二年十一月には、その社会保険審議会の意見書の中に、一部負担の項の最後のところに、たとえば外来投薬時の一部負担なんかについても検討すべきであるというコメントがついております。これはcの考え方をとったものだと思われます。 それから、次の三ページへいきまして、これも(備考)でございますが「一部負担割合の事例」としまして掲げております。これはイの「事項別一部負担の場合」でございますが、これは「一部負担割合」と書いてあります。一部負担の割合というのは、言いかえれば、こういう一部負担を取った場合には給付率ではどういう割合の影響があるかという、給付率への影響度合いというふうに考えていただけばいいと思うのですが、それを示したのがこの「一部負担割合」でございます。ただ、これはあくまで御審議の参考までに掲げたものでございまして、厚生省がこれを考えているとか、そういう主観的な判断を交えたものでないことはひとつ御理解いただきたいと思います。たとえば初診時千円を負担してもらうといった場合には、三・六%給付率に影響する。つまり、たとえばこの初診時千円だけを一部負担させた場合には、給付率は一〇〇から三・六を引いた九六・四%になりますか、九六・四%給付というかっこうになるわけです。それから、たとえば投薬時一部負担の薬剤費二分の一負担、一番下の欄で申しますと、一四・八%の影響度がございますので、これだけをとれば給付率は八五・二%になる、こういうふうにお読みいただきたいと思います。それから口の「外来、入院を区別して給付率を定めた場合」これもあくまで参考として示したものでございまして、仮に外来を八割にした場合、入院との組み合わせばこうであるということを示したものでございます。たとえば外来八割で入院を十割にすれば全体的に見ると給付率は八六・八%になる、こういうふうに見ていただけばよろしいわけでございます。 最後の②の「薬剤比率の推移」は、過去十二年間の医療費の中に占める薬剤費の比率の推移を示したものでございます。 それから四ページにまいりまして、4の「保険料負担をどう考えるか」という問題でございます。 まず一つは「医療保険における保険料率はどの程度が限度か。」大変むずかしい問題提起でございますが、よく保険料はもう限度であるというようなことが言われますけれども、果たして、医療保険における保険料率の限度というのはどの程度かという問題。 それから(2)は「累進料率制をとることは妥当か。」という問題。 (3)は、保険料率の労使折半負担の原則、これは果たして妥当かどうかという問題提起でございます。 (4)は「保険料算定の基礎となる報酬の上限をどう考えるか。」それには三つほど考え方がございまして、一つはaとして「応能負担の原則を徹底し、報酬の上限は設定しない。」つまり青天井にするという考え方も一つございましょう。それからbとして「医療保険における受益の面を考慮して、報酬に一定の上限を設ける。」つまり、医療保険の場合には拠出分と受益分というのが必ずしも相リンクいたしません。そういうことも考えますと、全然上限なしの青天井で保険料を取るというのは、果たしてどうであろうかという考え方もございます。そういう意味で、一定のところで限度を決めたらどうかという意見でございます。第三番目はcとして「報酬には一定の上限を設定するが、賃金の伸び等に応じて改定する。」これにつきましては、五十二年の十一月に社保審の意見書が出ておりまして「標準報酬の上下限の改定は可能な限り迅速に行われるべきである。」というようなことが書いてございます。私ども、改正法案ではこの考え方をとっているということでございます。 それから(5)の「保険料算定の基礎となる報酬の範囲をどう考えるか。」ということでありますが、これにも二つ考え方がございまして、一つはaとして「負担の公平の見地から賞与も対象とする。」つまり、決まって支給される給与以外のボーナス等も対象にする方が負担の公平であるという考え方と、bの現行どおり標準報酬制を維持するのだという考え方がございます。私どもは、改正法ではこのaの立場をとっているわけでございます。 それから5の問題でございますが「国庫補助についてどう考えるか」であります。 まず一つは「医療保険における国庫補助のあり方について、社会保険の性格、今後の国家財政を考慮しつつ、どう考えるべきか。」という問題がございます。これは大変むずかしい問題提起でございますが、そもそも社会保険でございますから、西ドイツ、フランスのように、国庫補助を当てにしないで保険料で賄うのが原則だという考え方もございます。それから、それは別にしましても、今後の国家財政、つまり国債依存度が非常に高い国家財政の将来を考えます場合に、そう国庫補助を当てにするわけにいくまい、そういう考え方がございます。そこら辺も考え合わせて、果たして、この国庫補助というもののあり方をこれから、どう考えていくべきかという問題でございます。 (2)は、しからばその「国庫補助の方式をどうするか。」ということでございますが、一つは「定率国庫補助」、いまの政管健保にとられておりますような定率の国庫補助、それからもう一つは「定額国庫補助」、これはいまの健保組合とか船保にとられておりましたような定額の国庫補助がいいかどうか。それからcは「財政力格差を是正するための財政調整交付金による補助」、つまり一律補助じゃなくて、財政力格差に応じてそれを是正するような意味で国庫補助を配分する。これは先ほど申しました国民健康保険に対する財政調整交付金、あれと同じような考え方をとるのはどうか。大体三つくらいの方式があろうかと思います。 それから(備考)に書きましたのは、国民医療費に対していま国庫補助額がどういうふうになっておるか、御参考までにつけております。五十三年度の見込みの欄をごらんいただきますと、国民医療費が十兆二千億、それに対しまして五十三年度見込みでは国庫補助額は全部で三兆円、これは保険だけでございません、公費負担医療なんかも全部入っていますから三兆円でございます。そうしますと、国庫補助率は国民医療費に対して二九・九%、つまり三割を国庫補助で持っている、こういうかっこうになります。 6番目の問題でございますが「差額ベッドについてどう考えるか」という問題でございます。 これについては、一つは「すべてを保険の対象とすることが望ましいので、一切の保険外負担の解消を図る。」という考え方がございます。(備考)で書きましたのは、現在保険外負担になっているもの、これは正確な数字はわかりませんが、推計でございますけれども、大体千二百億くらい差額ベッドの保険外負担があるという推計をされておりますが、それを仮に保険の方へ取り込むということにいたしますと、当然のことながら保険料の引き上げが必要になります。それからさらに、差額ベッドを保険に取り込む場合に、じゃ診療報酬を具体的にどういうふうに決めるか、これは大変むずかしい問題でございます。さらに、たとえば一人部屋、二人部屋を保険で見るというようなことにいたしました場合に、じゃ実際にどういう患者をどこへ入れるかという、患者の選別と申しますか、そういう問題が非常に実際問題としてはむずかしいということでございます。これは御参考までに(備考)で書いておきました。 それから②としまして「差額ベッドの解消状況」でございますが、これは一人部屋、二人部屋、三人部屋に分けまして四年間の解消状況を掲げたものでありますが、最近差額ベッドの解消を強く求めるように行政指導を強化しておりまして、五十三年七月で見ますと、特に三人室以上の差額ベッドの解消を重点的に私どもも努力しているわけですが、二・一%の減になっております。その前は〇・三程度の解消率でございましたが、二・一%の減になっておるということでございます。全部合わせまして計で一・九%、かなり小さいように見えますが、従来の傾向から見るとかなり大幅な改善が図られているということが言えるかと思います。 それから(備考)の三番目は、診療報酬つまり点数表において室料がどういうふうに変わってきたかという問題でございますが、現在五十三年二月では百点、つまり千円でございます。四十七年に三十六点でありましたから、約五年間で三倍に引き上げられているということになります。 それから、この差額ベッドにつきましてもう一つの考え方は「患者の病室に対する特別な需要があることから、ある程度の保険外負担は認める。」という考え方であります。先ほど申しましたように、私どもはこのbの方の考え方をとっております。つまり全部が全部禁止するというのは必ずしも妥当ではないので、患者に需要がある限りにおいては、それが過度にわたってはいけませんけれども、ある程度の保険外負担というのはあっていいのではないかという考え方を私どもはとっております。 それについて三つほど考え方がありまして、一つは、現行より差額ベッドの規制をさらに強化するという考え方。それから、現行どおりとする。現在は一人部屋、二人部屋以外は差額ベッド、室料差額をとってはならぬ、こういうことを言っておりますけれども、そういうことで現状どおりとするという考え方。それからもう一つの考え方は、三人室以上の大部屋、これは室料差額を認めていないわけですけれども、これであっても、たとえば設備が非常にいいとか、あるいは建物が新しいとか、あるいは地域差というようなことを考えて、三人室以上というその収容人員以外の要素も加味して、差額ベッドのあり方を再検討すべきではないかという意見もあろうかと思います。 それから、7番目の問題は「付添看護に関する保険外負担をどう考える」かという問題でございます。 まず(1)の「基準看護病院について」でございますが、現在私どもは、基準看護病院においては付添看護は認めないということで行政指導を強化しておりますけれども、この基準看護病院につきまして、まず一つは「基準看護病院では必要な看護が行われることになっているので、当該病院では付添看護を認めない。」という考え方。それからbとして「基準看護病院においても特別な事情がある場合においては、付添看護を認める。」という考え方もあるかもしれません。 それから(2)として「基準看護病院以外の病院」は、現在私どもは付添看護を別に禁止しておりません。禁止していないばかりではなくて、それが一定の条件に当てはまれば後から看護料、つまりこれは療養費払いでありますが、一定の基準に従って被保険者に一種の償還をするということでいまやっておりますけれども、それについて、ここではaとして「できるだけ基準看護病院としていく。」という考え方。それからbとして「従来どおり療養費払い制とし、単価を引き上げていく。」ということ。この二つが考えられるということでございます。 それから(備考)は御参考までに、診療報酬つまり点数表における基準看護料と基準看護加算、これがどういうふうに移り変わってきたかという推移が載せてあります。基準看護料は四十七年に三十点、つまり三百円でありましたのが五十三年二月の改定で九十一点、九百十円に引き上げられております。約三倍に引き上げられております。それから基準看護加算の方もごらんのとおりでございまして、特に四十九年からは特二類という、上に一つランクが積まれたということがございますが、特一類それから一類、二類、三類、全部四十七年以降ずっと引き上げられております。 それから最後に8として「その他」でございますが「分娩の現物給付化についてどう考えるか。」という問題がございます。これはいま現金給付になっておるわけでございますが、これをaとして「分娩の現物給付を行う。」という考え方と、bとして「現行どおり、分娩費の支給を行うこととし、実情に即してその額を改定する。」という考え方と二つございます。 ただ、ここにはちょっと御参考までに書きましたが、分娩費の現物給付という問題につきましては、一つは基準料金を設定するのが非常にむずかしいという問題。特に、一般医療の診療報酬とのバランスというものを考えて料金を設定しなければいかぬわけですが、これがなかなかむずかしい。それからもう一つは、医療機関以外の助産婦による分娩、助産所などにおける分娩が現にありますので、そういったものの格づけをどういうふうにしたらいいかという、技術的にはなかなかむずかしい問題がございます。 以上で説明を終わります。
○戸井田小委員長 ただいまの説明に対し、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。 なお、お一人の発言時間はおおむね五分程度でお願いしたいと思います。 相沢君。
○相沢小委員 いま給付と負担の問題に関する考え方を拝見して、問題を大変網羅的に挙げていただいているので結構だと思うのですけれども、これは意見になりますが、これから先の審議期間を考えますと、これだけの問題を全部端からやっていくのもなかなか容易なことではないので、ある程度しぼる必要があるのじゃないかと思われることと、それからもう一つ、いろいろ考え方を出しているわけですが、たとえば二ページに「家計負担を考慮して給付率に差を設ける」そのやり方として、重症と軽症の給付率に差を設ける、あるいは入院と外来で給付率の差を設けるというような考え方が出ていますけれども、備考に書いてあるように、実際問題としてこういうことはなかなか実行できないのじゃないか。つまり、区分の基準として給付費の額によって差を設けるということは考えられても、そういう重症とか軽症とか、入院とか外来とかというようなことでは非常に設けにくい。ですから、こういうことは検討の対象としては余り適当でないのじゃないかという気がするので、これは意見ですけれども、最初に申し上げておきたいと思います。 そこで、五分なので、あと時間は余りないのであれなんですけれども、被用者保険についての付加給付の問題についてです。私は、被用者保険については付加給付というのは当然認めていいのじゃないかと思うのですけれども、厚生省としてはそれをどうお考えになるのかということと、それから付加給付といってもずいぶん態様は分かれていると思うのですね。その実態がどういうふうになっているか、これはその実態をひとつ知らせていただきたい。 それから、本人と家族の給付格差をどうするかという問題について、本人と家族に給付格差があるのは、長い過去における歴史があるわけですけれども、その格差を設けるという考え方の基本はどこにあるかということをお聞きしたいのです。いままで設けておったその考え方ですね。 それからもう一点、差額ベッドの問題ですけれども、現在は一人もしくは二人の場合は――一人室というのですか。一人室もしくは二人室の場合は保険給付の対象としない。つまり、これは差額ベッドという表現が不適当なんで、どっちかと言えば差別ベッドというのですかね。ですから考え方としては、そういう場合も保険給付になる限度を越えるところについてのみ患者負担とするという考え方はできないのだろうかと、私はどうもその方が合理的じゃないかという感じがするのですけれども、その点。 それからもう一つ、一人とか二人ということが原則としてもう保険給付の対象にならないということですが、特別な場合というのは、どういうことか。これは私は実態を知らないからお聞きするのですけれども、ごく重症の患者でもう臨終に近いというような人については、当然これは一人の部屋ということを保険給付の対象と考えてもいいのじゃないかと思うわけです。 それからもう一つ、将来医療水準というか生活水準の上昇ということとあわせて考えれば、最近は宿屋でも昔みたいな相部屋というのはだんだん利用者がなくなってくる、受験生でもみんな一人部屋に泊るという時代ですから、患者の状況にもよりますけれども、やはりそういう一人部屋とか二人部屋というものも、方向としてできるだけ保険の給付の対象として考えていっていいんじゃないか。その点についてどう考えるか。 もう一つだけ、基準看護病院ということについて原則は付添看護を認めない、そういうたてまえでやるんだというのが厚生省のお考えのようですが、しかし病院の実態から言えば、特に重態の患者については付き添いがないという状態ではいられないと私は思うのですね。私も親などについて経験がありますけれども、それは基準看護病院だからいいんだというのは、どうも考え方として無理があると思う。だから、むしろそれは付添看護を認める、医者の判断が必要でしょうけれども認める、そういうことにもなっているようですけれども、原則をはっきりして、その看護料も保険給付の対象と考えていくべきじゃないか、こういうふうに思います。
○坂本説明員 最初の付加給付の関係について、お答え申し上げます。 付加給付につきましては、御承知のように政府管掌健康保険では認められておりませんが、健康保険組合では認められております。また、他の法律でございますけれども、各種の共済組合でも認められておるわけでございます。結局、そういった保険者が違うことによって給付に差が出てくる、こういうことはいかがなものであろうかというのが私どもの考え方でございまして、付加給付を受けられる方の方から見ますと、これはいかにもそれだけの負担をして付加給付を受けるのであるからと、当然のことのようにお考えの面がございますけれども、付加給付を受けられないという制度にいる方のことを考えますと、給付の公平という観点からいたしまして、少なくとも医療給付という面においては平等にいたすのがむしろ今後の方向ではなかろうか、こう考えておるわけでございます。 ただ、付加給付の内容として、医療給付のほかに傷病手当金あるいは分娩費というような現金による給付もございまして、この給付につきましては、いろいろと勤務の状態あるいは各事業所における給与の問題、そういったものもかなり差がございますので、一律にこれを全部外してしまうということもまた実態から見ていかがかな、こういう感じもいたしまして、少なくとも医療に関する給付はできるだけ平等に、それから現金給付に関するものにつきましては、ある程度そういった実態を考慮しながら考えていくのが適当ではなかろうか、こう思っております。 なお、現在の付加給付の状況につきましては、一番代表的な例は、家族が医療を受けたときの通常の三割自己負担、これに対する家族療養付加金の支給でございます。これも組合によりまして、そのうちのどれだけを支給するかというのはさまざまでございますけれども、これは多いところでは、給付率がちょうど十割になる程度給付をしておるところもございます。ただ通常の場合、満額ではなくてある一定額を差し引いた額を支給しておるようでございます。そのほかには、傷病手当金につきまして一日の支給額を法律で決めております額よりもふやす、あるいは支給期間を法定の期間よりも延長する、あるいは分娩費、埋葬料につきまして金額を法定の額を上回った額にする、そういったような種類のものがございます。
○小林説明員 第二番目の本人、家族の格差の問題でございますが、これは実は、健保制度が当時できますときは家族給付はございませんでした。いわば労働者保険として出発したものでございますから、本人だけでございました。それがその後、家族につきましても付加給付のかっこうで給付ができまして、その後に本人、家族とも法定給付、こういうふうにいま移り変わってきたという沿革的な理由がございます。だから、本人、家族に差がついているのは恐らくそういう沿革的な理由によるものではなかろうかと思います。 ただ外国には、こういう本人、家族別扱いにしている国は、私ども知っている範囲においてはございませんが、日本ではややそういう傾向があると思いますのは、たとえば国保なんかも時代によっては、世帯主と世帯員を給付率を違えていた時期がございます。あるいは過渡的にそういう本人、家族を差をつけていたということはあるかもしれません。ただ皆保険ができてから十数年たってみますと、果たして現段階で本人と家族の差があっていいかどうかという問題を考えますと、私どもは本人、家族は差がない方が妥当であると考えまして、今度改正法案でも、格差を改正するような法案の御審議をお願いしている、こういうことでございます。
○竹中説明員 差額ベッドと付添看護の問題でございますが、差額ベッドにつきましては、御承知のように現在一人部屋、二人部屋というようなところに入りました場合は、点数で定められております室料だけ、いま百点で千円でございますが、その分だけが保険から支給される。したがいまして、病院側が本来取りたいと思っております室料のうち、保険から給付されます千円を除いた残りの部分を、室料差額として病院が徴収しておるというのが実情でございます。 そこで一人部屋、二人部屋の場合、特別な場合、つまり重症でございますとか、病院の側が医療上の必要から一人部屋、二人部屋に入れるという場合には差額を取ってはならない、これは保険給付の範囲内でやってもらいたいという指導をいたしております。 それから将来の問題として、一人部屋、二人部屋をできるだけ対象にすべきではないかという御意見でございますが、確かに全体といたしまして、病院の病室そのものをより近代化していく、より高度化していくということは当然必要でございますけれども、現時点で直ちに一人部屋、二人部屋を保険給付の対象とするということにつきましては、先ほど企画課長が御説明いたしました六ページのaの備考にありますような問題もございますので、直ちにはなかなかむずかしいのじゃなかろうかと思っております。 それから付添看護の問題でございます。これもなかなかむずかしい問題でございますけれども、私どもといたしましては、家族が付き添うというのはやむを得ないといたしましても、それ以外にいわゆる付添婦がつくということは、医療上そういうことが必要であれば当然保険で給付すべきであるということでございますので、基準看護病院で付添看護を保険給付とするということについては、なかなか問題があるのじゃないか。もう一つは、病院の管理上の問題もございますので、基準看護の病院について付き添いを認める、あるいは保険給付とするということについては、検討すべき問題がいろいろあるのじゃないかと思っているわけでございます。 以上でございます。
○相沢小委員 差額ベッドということだから、そういうような御説明の実態だと思ったのですが、文章に「特別な場合を除き、一人若しくは二人室の場合は保険給付の対象としない。」と書いてあるので、ぼくはそうかなと思ったのです。この表現はちょっとおかしい。
○竹中説明員 おっしゃいますように確かに表現が若干妥当ではございませんので、差額が問題にされているということでございます。
○戸井田小委員長 大原君。
○大原(亨)小委員 あとで同僚委員からも、一回りしまして質問が行われますが、私から三、四点質問いたします。 日本医師会の武見氏も負担と給付の公平ということを言っているし、それから齋藤幹事長と武見会長の第二項にもそういうことを言っているわけです。これについては原則的に私は異議ないのですね。小沢厚生大臣のときも言っておりました。ただ問題は、長い演説はやめますけれども、つまり所得に応じて個人や法人から税金で保険料を取って保険財政を賄って、今度は必要に応じて公平に給付をしていく、こういう制度から言えば、保険制度ではなしに保障制度が好ましい、いまのように負担と給付の公平ということになれば。そこで、武見氏が言うように、制度間の財政調整から保険の統廃合へという、統廃合の構想なんですが、その考え方は、突き詰めていきますと、やはり私どものそういう考え方を実現する以外には実現のしようがない。しかし私どもは、そういう理念は持っておりますけれども、現実には社会保険の制度を是正するしかないのではないかという議論です。 そこで第一の質問は、この間ちょっと議論になりましたが、この議論をする前提として、社会保険制度、保険主義の保険制度のメリットをどのように理解しておるか、どのように認識をしておられるかということを列挙してもらいたいと思います。 それから問題は、給付の公平ということは当然なんですが、給付の公平ということは給付の金額だけではないのではないか、給付の内容が問題ではないのかということですね。たとえば給付の中身の中に、不正請求で出ていくものや水増しで出ていくものや、常識、基準を逸脱したような薬づけとか検査づけとかいうふうな、昭和五十四年度は十兆六千三百億円ですか、その医療給付の中にむだがいっぱいあるということが問題ではないか。 そのことに関連をいたしまして、政府管掌健康保険と組合管掌を自主的にそれぞれやっておるわけですが、組合管掌の中の中小企業を対象としている、たとえば全国印刷などは三十名ぐらいが一事業所の経営規模ですが、その総合健康保険と政府管掌との中における給付の公平という観点から見ての比較について、適確な資料は後で出してもらってもいいけれども、概括的な理解についてどういうふうに考えているかという点を聞きたい。 第三としましては、ここにはいろいろな格差についての問題、不平等の問題が出ておりますが、地域間の格差についてどのように実態を把握して、その原因について理解をしているかということですね。たとえば政府管掌でありましても、東京だけが独立をして政府管掌をやりますと黒字になるだろうという、つまり一人当たりの医療費とか一件当たりの医療費について、先般もちょっと質問をいたしましたけれども、それを比較してみて、地域間の格差はまさに給付の格差、十対六、七の程度ですから、これを単なる悪平等的に、給付だけを上に上にそろえるだけではいけないのではないかということですね。 それから第四で、政府管掌の一番悪い点は、つまり政府管掌へ健康保険組合、共済から労使が負担した保険料をならしていって、そこで払え、こういう議論ですが、給付の中身は、厚生大臣がやっている政府管掌の健康保険が一番悪いと私は思っている。そこでやはり、健康管理について政府管掌健康保険は金を使っていないのではないか。それは制度が悪いのかどうか。それから、審査はほとんど支払い基金で素通りになっておるのではないか。こういう面がぴしっとしなければ、給付とか負担の公平ということを言っても、国民の立場から納得できないのではないかという観点で、政府管掌健康保険における状況について答弁をいただきたい。 ほかにありますけれども、基本的な問題について質問をいたしておきます。時間が来ましたから、あとは答弁をしてもらって、あとの小委員もおりますから、また質問してもらいたいと思います。
○小林説明員 最初の御質問でございますが、要するに社会保険方式のメリットということでございますが、この間も御説明したように、諸外国の例でも、一つはナショナル・ヘルス・サービス方式、税金でお金を集めてそれで一種の国営あるいは県営で給付をする、こういうスタイルもございますし、それから西ドイツ、フランスのように社会保険方式をとるところもある。それはいずれも成り立つ案だと思います。 ただ、私どもは長年社会保険方式でやってきましたし、社会保険方式でメリットといいますのはいろいろございましょうけれども、やはり一口で言えば、均質な一つのグループをつくって、そのグループの中でいわば相扶共済といいますか、相助け合うという思想のもとに保険を運営していく、これが一番スムーズに医療を確保する道ではないか、こういう考え方が社会保険方式をとる国々の根底にある考え方、こう思いますので、そういう問題と、それから沿革的に長年日本においては社会保険方式でやってきたという、両面あわせまして、私どもは社会保険方式を踏襲する方がいいんではないかという考え方をとっております。考え方はいろいろあると思います。
○坂本説明員 第二番目の総合組合健保と政管健保の比較でございますが、総合健保も実態としてはいろいろございますが、平均的な数字として見てまいりますと、たとえば平均年齢につきましては、政府管掌健康保険の場合三十八・三歳、それから総合健康保険組合におきましては三十五・七歳ということで、若干総合健保が低くなっております。それから平均標準報酬月額を五十二年度の平均で見てみますと、政管健保の場合が十三万三千七百二十八円、それから総合健保組合が平均で十六万九十五円ということで、若干総合健保の平均が高くなっております。それから一人当たりの法定医療給付費をちょっと比較してみますと、五十二年度の平均でございますが、政管健保では被保険者一人当たり十三万二千四百十五円、それから総合健保組合の場合には十一万五百八十四円ということで、総合健保の法定医療給付費が若干低くなっております。それから保険料率でございますが、政管健保の場合には五十三年の三月で千分の八十を取っております。これに対しまして総合健康保険組合の全体の平均は五十三年三月で千分の七十八・六五ということで、保険料率も総合健保が若干低くなっております。 なお、総合健保も、どちらかといいますと中小企業の事業所が共同してつくっておる組合でございますので、いわゆる大企業というのは、それぞれ独自に一つ一つの会社が一つの健康保険組合をつくっておるいわゆる単一健康保険組合という形になっております。したがって、総合健康保険組合の事業所が平均的にどれぐらいの従業員を抱えているかという数字が一つ参考として出てくるわけでございますが、これを政管と比較してみますと、五十三年の三月時点で、政府管掌健康保険の場合一事業所当たり平均して十七人ということになっております。これに対して、総合健康保険組合の場合には平均して一事業所当たり四十人、こういう実態でございまして、若干総合健保組合の方が事業所の規模としては大き目である。 まあ、大体こういうような違いが出ておるわけでございます。
○大原(亨)小委員 国庫負担は……。
○坂本説明員 国庫負担につきましては、政府管掌健康保険の方が給付費の一六・四%、それからボーナス保険料に対しまして賞与額の〇・二%というものが出ておるわけでございますが、健康保険組合に対しましては、給付費の補助は、財政状況のごく悪いところに対する臨時的な補助金として、健康保険組合全体に対して五十三年度の場合には十二億円という補助額が支出されておるわけでございます。これは健康保険組合全体でございますから、総合健康保険組合に幾らという基準はございません。健康保険組合全体で五十三年度の予算では十二億円。なお政府管掌健康保険の方は五十三年度の予算で約四千億円の補助額になっております。
○此村政府委員 一つは地域間の格差の問題でございますが、これは大原先生御案内のとおり、たとえば五十二年度で被保険者一人当たりの医療給付費を見ました場合、給付費の高い県は奈良、徳島、高知、京都、長崎、低い県は沖繩、東京、山形、静岡、新潟、こういうふうになっておりまして、この問題につきましては、一つには老齢化指数の問題、それからもう一つは医療機関の集中度、その他の問題がいろいろ複雑に絡まり合っておると思います。なおこの中で、受診率につきましては、現実に事業所ベースでとりますと若干変わってまいりますので、私の方ではそういう面の検討もいたしておりますが、いま申しましたようにいろいろな要素が複雑に絡まり合っておる、かように考えております。 それから第二番目の、政管の健康管理についてどういうふうにやっておるかという問題でございますが、健康管理につきましては、従前から、事業所を対象にいたしまして中高年の疾病予防のための検査を実施しております。それから、昨年からは特に健康づくり対策の一環といたしまして、健康づくりのための諸施策を行っているわけであります。
○大原(亨)小委員 そんな答弁、いいよ。
○此村政府委員 はい。もう一つは、さっきおっしゃいました審査の関係の問題でございますが、はっきり申しまして、私どもの方はレセプトの点検を実施したいと思っております。五十二年度では百六十六億円の効果を見ておりますが、これは具体的に、たとえば健保組合の場合には資格喪失なんかがわりあいに把握しやすい、そういうような問題があると思いますが、私どもの方もそういう管理面の問題もできるだけ克服するということで鋭意進めておる、そういう点を一生懸命やっておる、こういうことでございます。
○大原(亨)小委員 もう時間がないので一つだけ。この中の問題点として一地域間格差が十対六ぐらいあるね。その地域間格差をどうして是正するかという問題を取り上げなかったら、国民から見て負担の公平と給付の公平をすることができないじゃないか。なぜ取り上げないのか、どう考えているのかという質問なんです。それを質問したわけですが、それに答えていない。
○石野政府委員 地域間格差の問題は実態としてはつかめるわけでございますけれども、その原因そのものが十分見きわめてきない、そうしませんとまたその対策も出ないわけでございますので、そういう問題点を挙げての一体どうするんだという場合の結論が出しにくい、こういう判断もあったわけでございまして、私、これは全部問題点の主なものを挙げたわけでございますので、もしそういう御意見であれば、それは問題点として挙げるのは結構だと思います。
○戸井田小委員長 古寺君。
○古寺小委員 最初に、これは古い資料で私、見ているんでございますが、一九七〇年の国民一人当たりの医療費の比較でございます。これはNHKの海外取材番組で「世界の医療より」という資料によるわけでございますが、日本は当時は非常に低いわけでございまして、日本の医療費の中に占める薬剤費が四二%、イギリスは一〇%、スウェーデンが一二%、アメリカも一二%、こういうふうになっているのですが、アメリカの当時の国民一人当たりの医療費を十万円と見ますと、日本の場合は三万円にまだ到達しておりません。これを今度は国民一人当たりの薬剤費の実額で見ますと、これは社会保障ハンドブックのナンバー六百八十と六百八十一でございますが、日本は一万五百円、アメリカが一万二千円、スウェーデンが九千六百円、こういうふうに出ているわけでございまして、この薬剤費の実額と、それから医療費に対する薬剤費の比率を計算してまいりますと、日本の国民一人当たりの医療費というものは、一九七〇年の時代では非常に低い医療費だったわけでございますが、それから大分年代も過ぎておりまして、日本は経済大国になったわけでございますので、医療費も相当伸びていると思うのでございますが、日本とイギリスとスウェーデンとアメリカの国民一人当たりの医療費の比較表、これをぜひひとつ御提出をしていただいて比較をしてみたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。 それから次に、これは保険年鑑の資料でございますが、健保組合と政管健保の収支の比較を見ますというと、付加給付費と保健施設費というのがございます。それから実際にいわゆる医療に使われている部分とありまして、私の手元の資料によりますと、健保組合は昭和五十年度におきましては九百三十六億が医療費、六百四十五億が付加給付費、八百十四億が保健施設費、五十一年度におきましては、これが一千百二十億、七百二十八億、八百九十六億、五十二年度になりますと、一千六百六十八億、七百七十四億、保健施設費は九百七十六億、こういうふうになっているわけでございまして、いわゆる付加給付とそれから保健施設費が占める割合というものは非常に高いわけでございますが、先ほど御提出をいただきました「医療保険制度の現況」の中にはちょこちょこっと「付加給付あり」、これしか書かれてございませんので、この付加給付を加算した場合に家族の療養費というものは何割給付になるのか、それからまた、この保健施設費というものを医療の方に全部これを割り当てた場合には、それでは全体の給付率というものはどのくらいになるのか、こういうものを出していただきませんと比較ができないわけでございますので、ぜひこれを出していただきたいと思います。 それから、時間が余りございませんのであれでございますが、入院料の問題でございます。この入院料の中には暖房費あるいは冷房費というものが含まれているのかどうか。もし含まれていないとすれば、そういう暖房費あるいは冷房費というものについてはこれは保険外負担として認めるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○小林説明員 最初のアメリカ、スウェーデンを含めた外国の国民医療費の比較でございますが、これは資料として提出いたします。 それから、二番目の健保組合の関係につきましても、ここで御説明するのもちょっとなにですから、資料として提出させていただきます。
○竹中説明員 入院料の中に暖房費、冷房費が含まれているかどうかという御質問でございますが、御承知のように北海道には特別療養手当というのがございまして、療養担当手当でございますが、これは御承知のように大変古い歴史のあるものでございまして、これを除きますれば、いまのところ、暖房、冷房に要する経費については入院料の中でお考えをいただきたい。したがいまして、暖房に要する経費、冷房に要する経費を保険外負担として徴収することは因りますということで、医療機関に申し上げておるわけでございます。 なお、今後暖房、冷房の問題は恐らくもっと普及することになろうかと思いますが、それについてどう扱っていくかということに関しましては、今後点数改定の際に、入院料をどうするか、暖房、冷房も含めてどう考えていくのかということで検討したいと思っております。
○戸井田小委員長 和田耕作君。
○和田(耕)小委員 国庫補助の問題についてお伺いしたいのでありますけれども、この前勉強しましたドイツとかフランスの場合には国庫補助という形の経費は非常に少ない、きわめて補足的な意味しか持っていない。日本の場合は、同じ保険制度を基盤にしておりながら、いまのままだと国庫補助の額がどんどんふえていくということになりかねないと思うのですけれども、この問題を将来の問題としてどのようにお考えになっておるのかということですね。たとえば、きょうは給付と負担の問題ですけれども、老人保健制度というのがもう計画の中に入ってきておると思うのですが、こういう問題を考えてみないと、なかなか各制度間の給付等の問題についても考えにくい問題があるわけです。国庫補助というものは、たとえば老人保健制度を創設する場合に大きな金がかかる、こういうふうなものに国庫補助を主として充当していく、あるいは差額ベッドあるいは付添看護婦という保険外負担の問題もできるだけ早く解消しなければならないけれども、こういう問題に国庫補助の資金を充当していくというふうに考えるのが私は本当じゃないかというふうに思うわけです。したがって、国庫補助を今後は、各保険制度に定率とか定額とかいう形でバランスをとることを考えるよりも、そういうところには保険料を上げるとかあるいは一部負担を導入するとかいろいろなことをやってバランスをとりながら、抜本改正をする場合においてこれから新しくやらなければならない問題、あるいは臨時にたくさんのお金がかかるような問題に国庫補助を投入するとか、そういう考え方ができないものか、こういう問題についてお伺いしたいのです。
○石野政府委員 大変むずかしい問題でございますけれども、いま先生がおっしゃったように、確かに、現在の医療保険制度が社会保険方式をとりながら相当多額の金額を投入しているという面はございます。これは国保を除きますと、まあ国保は別でございますので国保を除いて考えなければいかぬわけでございますけれども、そういう場合でもなおかつ四千億以上のものをつぎ込むことが、本当にそれがいいのかどうかという反省は確かにございます。しかしやはり、政府管掌健康保険というのは御存じのように体質的に非常に弱い体質のものでございますので、その体質の差によって、ある程度の国庫負担を導入するという考え方はこれはとらざるを得ない。問題は、それを無制限に伸ばしていっていいのかということになった場合に、これは反省しなくちゃならない問題がございまして、そういう場合に、いまおっしゃったように、何といいますか、医療給付費ではなくて保険外負担とか新しいものをやるときに国庫負担を導入するという考え方は、確かに成り立ち得ると思います。 いままでの国庫負担がふえてきましたのはやはり給付改善をする、その給付改善をする場合にむやみに保険料を上げられない、そこで国庫負担でもある程度導入して、五割を七割にするとかいうことをやってきたわけでございますね。そういう意味での一つの反省というものは私どももしておりますけれども、これもいままでやむを得ない事情もあったと思うのです。問題は、これ以上にどんどんこのまま伸びていけるのかどうかということについては私どもも疑問を持っております。いまのお考え方、確かに一つの考え方ではあると思いますけれども、これはなかなか合意を得るのがむずかしい面もございますので、大いに議論をしていただきたい、こういうように考えております。
○和田(耕)小委員 この問題は、特に各保険制度にわたって具体的に検討してもらいたいと私は思うのです。これは現在の国庫負担を減らせということを言っているわけではなくて、これ以上ふやさないで、そういういままで申し上げたような方向に金を使う、そして一部負担のことも、私どもも、かなり政府案よりも物によっては多くの一部負担を考えている問題がありますけれども、いわゆるいろいろな現在の医療制度のゆがみなどを直すためには、国庫補助を出すことじゃ直らないのです。やはり本人に適正な負担をしてもらうとか、そういうことが必要なんです。ただ、問題がある、要求があるからといって国庫補助という形で解決するようにしないで、もっと内部的な問題点も改革していくというふうにしながら、と同時に、国庫補助を全体としてはもっともっとたくさん出さなければいけないと思うのです。供給体制の問題もあります。それからいろいろな健康管理の問題もあります。全体としては国庫補助、国庫負担をもっともっと多くしなければならないけれども、その負担はやはり、いまのような形の保険料にかわるようなものであったり、あるいは強い者が要求したらその要求を聞くようなものであったり、何かそうなることを変えていかなければならないというふうに私は思うのです。ぜひともひと?一の問題を、いろいろ大変問題が起こってくるわけですけれども、こういう問題に入っていかないと抜本の問題には入っていけないという感じもしますので、御検討賜りたいと思うのです。
○石野政府委員 よくわかりました。ぜひ検討させていただきます。
○戸井田小委員長 浦井洋君。
○浦井小委員 総論的な質問をしたいのですけれども、まず医療保険というものをどう位置づけるかという問題です。 さっき小林課長が言われたように、四十六年、五十二年の社保審の意見書なんか見ても、要するに医療保険というのは病気になったときの生活破壊を防ぐための相互扶助措置なんだ、だから生計を破壊しない範囲で、あるいは受診抑制にならない範囲で自己負担もやむを得ないというような考え方が貫かれておるように考えられるわけですが、これをまず確認しておきたい。果たしてこれが適切なのかどうかという問題があるわけなので、私はやはり社会保障の一環として、医療保険も医療保障の中に位置づけて考えられるべきだというふうに思うわけです。そういう点でいけば、労働者保険の場合には、やはり雇用されて働くことによって、ほとんどが健康のひずみ、業務疾病が生じてくるわけなんだから、労働力の再生産であるとか家族の健康というものを保障するのは、いまの資本主義体制が続く限りはやはり雇用主が当然責任を持たなければならぬのではないか、こういう考え方で律していくのがいまの日本の社会保険の根本ではないかというふうに思うわけです。 それに関連して、政管の場合に保険料が折半になっておるわけなんだけれども、これは一体どういう根拠でなったのかという問題を尋ねておきたい。 そこで、そういう私の考え方に立つならば、いまよく言われておる応分の負担ということも、そもそも応分の負担というのは公費負担医療なんかで使われる言葉であって、むしろ雇用主がおってそれが本来的に責任を持たなければならぬところの社会保険、労働者保険にはそぐわない概念ではないかというふうに思うわけですが、その点はどうですか。 それから、たくさんあるのですが、薬剤費の一部自己負担というやり方は、これは患者負担で薬剤費を抑えるということで、私は根本的に間違っておると思うのですけれども、やはりかなり受診抑制になるのではないかと思うわけで、この点についての厚生省の意見を聞いておきたい。 それからもう一つ大きな問題として、われわれ医療保険の抜本改正を論じておるわけなんで、その場合に、たとえ負担と給付のあり方を論ずるにしても、いまのこの疾病構造の変化に伴った、それに見合うような医療保険のあり方を検討していく必要があるというふうに思うわけです。一言で言えば、昔の伝染病から現在は慢性疾患に変わってきておるわけなんだから、単に治療に対処する制度では間尺に合わないというふうにだれでも考えておるわけで、やはり予防であるとか健康管理、こういうようなものを取り入れることが必要だと思う。 そこで、現在十兆だと言われておる医療費、これはほとんど治療費だろうと思うのですが、予防とか健康管理で一体どれくらい使われておるのかという数字があればひとつ出していただきたい。 そういうことで、やはりそういう疾病構造の変化に対応するようなことで、保険局サイドだけでなしに、医務局も公衆衛生局も入って、ひとつ大胆な年次計画をつくって、この医療制度全体の改革を図っていかなければ、単に財政的見地からやっただけではだめだろうというふうに私は思うわけであります。これは意見的な質問ですが……。
○小林説明員 なかなかむずかしい御質問でございますが、最初の社会保険審議会の意見書並びに答申、これは先生御指摘のように、目標は十割だけれども適正な一部負担はやむを得ないということで終始一貫貫かれておる、これは事実だ、そう読むべきだと思います。 それからもう一つの、社会保障の中における医療保険のあり方といいますか、位置づけといいますか、そういう問題でございますが、お答えになるかどうかわかりませんが、先ほどもちょっと触れましたように、確かに、わが国の健康保険制度は当初は労働者保険的な性格で出発したことは、これは事実だと思います。ただ、現在皆保険ができてもう十何年たつという段階で、これが果たして労働者保険かというと、そうではないのではないか。つまり一種の社会保障の中の社会保険として、国庫補助もありますけれども、やはり社会保険方式として労使が互いに保険料を拠出して、それで被保険者のあるいは家族の疾病の治癒等を行うものだ、こういうふうに認識しているものですから、そこら辺はちょっと先生とは根っこの議論として食い違いがあるかと思いますが、私どもはそういうふうに考えております。 それから薬剤費一部負担のお話でございますが、いままでは確かに薬については一部負担はございませんでしたから、改正法案が実施になるとすれば、その意味では負担が多くなるかもしれません。ただ家族はもちろん減りますから、そこら辺、ふえるかふえぬかというのはむずかしい問題でございますが、ふえる場合もないことはない。ただし、私どもは薬剤費一部負担にかみ合わせまして、高額療養費制度としていまのところ二万円を超えるものは返すというシステムを併用して考えておりますから、そういう意味では家計負担はむしろ現在よりも減少するのではないかというふうにも考えておりますので、そこら辺もちょっと考え方の基盤が違うのかもしれません。 それからあと、疾病構造の変化に応じて予防給付とか健康管理とかに力を入れるべきだ、あるいは現状はどうかというお話ですが、これは資料として数字は御提出いたします。 考え方としまして、予防とか健康管理は大変大切だと思います。ただ、それを社会保険でやるのがいいかあるいは公衆衛生なり医務局サイドの政策としてやるのがいいのか、ここら辺は私は議論の分かれるところだと思います。現在は、社会保険には社会保険の枠があるので、そこら辺はむしろ公衆衛生とか医務行政の方の拡充の方を待つべきじゃないか、私はこういうふうに思いますが、そこら辺、いろいろ議論のあるところだと思います。
○戸井田小委員長 あと一分三十秒ほどありますよ。――それでは工藤晃君。
○工藤(晃)小委員(新自) 給付と負担の問題に関する考え方ということで、大変いろいろ資料が出ております。すべて不公平のかたまりがここに書かれているわけで、その中に整合性とかあるいは公平とかいうところを見出すのは大変困難なこういう状況の中で、これをどうするかという問題になりますと、一つ一つを討議しておりますと大変な時間とあれがかかるし、結論的に言って、こういう不公平というものをどう解決するかということが一番問題じゃないかと私は思うわけですね。その手段がどうであるかということが私は問題だと思う。 そこで一例を挙げて御質問申し上げますけれども、同じ制度の中に置かれている政管健保と組合健保、これだけを取り上げて考えてみても、負担と給付に大変な格差があり過ぎる。これは将来ともにどんどん拡大する要因はあっても、縮小されていく要因はない。そこで、人の命をどう扱うかということがこの健保の問題についての一番基本的な考え方であろうと思うのです。だから問題は、一つ一つの格差をどう是正するかという問題も大事でございますけれども、やはり国民の命をどう平等に扱いどう担保するか、こういう問題が一番大事なところじゃないかと思います。その中で健保組合は、一言で言っているように経営努力なんだ、だからわれわれは黒字になるのだ、こういう考え方だけで果たして、この問題をああそうですかと言って放置しておいていいものか、あるいはそれ以外の要因がたくさんあって、そのために一方はそういう構造的にどんどん赤字になる――政管健保の方は赤字になりますね。ことしも四百何十億ぐらいの赤字が推定されているわけですが、健保組合の方はいろいろなことで金を使っても、なおかつ大変な黒字が残っている。そういうものの是正を図らずして、いままでの制度の上で、高齢化社会を迎えて、いま言うような差額ベッドをどうするかとかあるいは何とかをどうするかとか、すべての人の命をどう大事に扱うかという問題から提起されているわけですから、現実においてそういうことができるのかどうか、やはりそういうことは大変できにくい問題だ。だから、どういうことがあっても、やはりそういうことの人の命を平等に扱うための制度というのは、できるだけ拡大して平等にリスクを保険し合うという互恵という考え方がそこになければ、この問題の解決にはつながらない、私はこう確信しているわけです。ですから、そういう問題についてどのような解決の方法を具体的にお考えになっているのか。いままでのような制度そのものを温存して、その上でこういう高齢化社会に対応し得る保険制度ができるのかどうか。やはりここら辺で思い切って、そういうものに対応するような制度に切りかえていくという発想があるのかないのか。また、もちろんそう言っても、一元化してしまうということはなかなか現実においては一挙にやるということは困難でしょうから、やはりそこにいろいろな問題を勘案しながら徐々にでもそういう問題の解決に近づく、こういう努力をするのかしないのか、そういう点が大変私は大事なところだと思うのです。特にこれは、あと十五年たつと平均寿命が八十歳まで延びる、健康社会をどうつくるか、また医療費は膨大にふくれ上がっていく、あと五年たてば、この試算でいきますと五十四年度は十兆円、五年後には二十兆円になるのだ、こういうことも言われていますが、そういうことに対しての根本的な考え方は、やはりそこに帰一すると思います。それについての基本的な国民のコンセンサスというものをいまつくらなければ十五年先に間に合わない、結局保険制度そのものが崩壊してしまうのではないか、こう私は非常に危機感を持っておりますので、そういうことに対して十分御説明をいただきたいのです。この一点です。
○小林説明員 政管健保と健保組合の間の比較でございますけれども、これは私どももよくいろいろな御意見を聞いて痛切に思うのですが、非常に偏った議論が多いのじゃないかと思うのですね。片や組合は、黒字が多いというのは経営努力だけのたまものであるという議論があります。片や政管の方は、体質が弱いのだから、当然赤字は政管の方が多いという議論もございます。私は、それは両方とも正しくはないので、恐らく体質の差と経営努力の差と両方あるのだろうと思うのです。片一方だけだということはないと思うのです。経営努力がどの程度寄与する面があり、あるいは体質の差がどの程度寄与する部分があるかという点は、なかなか計量的にはむずかしいのですけれども、概念的には恐らく両方あるだろう。したがって、どちらもある意味では正しくないのだろうと思うのです。 だからそこで、しからばそういう格差を是正するためにはどうするかという問題につきましても、いろいろ議論がありますが、私どもは、制度を統合してならすということよりも、むしろ、これは第一の話に入ってしまいますから詳しくは申し上げませんけれども、制度間の格差をそれなりに是正していくことによって均衡を図る道があるのではないかというふうに考えておりますので、決していまのままの制度で給付の均衡が、あるいは負担の均衡が保てないというのではなくて、それを実現する道はあるのではないかという気がいたしております。
○戸井田小委員長 次に、戸沢君。
○戸沢小委員 それでは、先ほど相沢委員から各論的な質問がございましたので、私から三、三総論的な御質問をさせていただきます。 第一は、国民の社会保障に関する負担が将来どういうふうになるかという見込み、これは何なら資料でいただいてもいいのですが、新経済社会七カ年計画、ああいったものでいいのですが、最新の資料で将来の社会保障に対する国民の負担、それと、できれば所得保障と医療保障の内訳、そういったものをひとつ出していただきたいと思います。 それから二番目は、御質問もすでにありましたけれども、私も、社会保険における国庫負担のあり方とか、限界ということについて問題意識を持っておるわけです。前回の各国の比較の場合でもちょっと質問いたしましたけれども、国民医療費の三割ぐらいまで国庫負担でもってやっているということは、さらにこれがふえていくということは、社会保険からだんだんとナショナル・ヘルス・サービスに近づいていく。それは国民のふところから出ることは同じことなんだけれども、社会保険と言う以上はむしろ保険料を主体にして考えるべきであって、国庫負担というのは限界もあるであろうし、またそのやり方につきましても、先ほどから御意見がございましたが、ただ給付額に対して一律に国庫補助をするという行き方でなくて、内容的に重点的に国庫補助をするとか、あるいは新しい制度をするときの摩擦緩和の意味で国庫補助をするとか、そのやり方についても検討すべきではなかろうか。 それから、国庫補助をただ一律にどんどん出しているというのは、国庫補助の意味が私はよくわからないのです。体質の弱い政管健保に対して、これを国庫による財政調整といった意味で出しておるのか。国民健康保険などは事業主負担にかわるべきものとして考えておるのかもしれませんが、どうも社会保険に対する国庫負担の性格、やり方について疑問を持っておりますので、その辺もひとつ考えていただきたい。 三番目は、トータルとしての給付水準を高くする方がいいか、それともトータルとしての給付水準は多少落ちても、緊急重度の疾病とかあるいは高額医療とか、そういう優先的に出すべきものに対しての医療を確保するようにした方がいいのか、今後の行き方としてどういう考え方がいいと思うか、その点をお聞きしたいと思います。 その次は、いま御質問等がございましたけれども、政管と組合の給付と負担の格差についての要因、これはやはり一度総ざらいをしてみる必要があるのではないかと思います。一方で経営とか管理という面において医療のむだがある、あるいは審査面において不備があるというようなこともありましょうが、また組合等については年齢構成その他についての体質的な問題もある。そういったものを双方の面から要因を総ざらいして、よく検討して、その対策を考えていくということをやらないと、格差というものを単純に比較できないのではないかと思います。 一応それだけです。
○小林説明員 第一番目の社会保障の負担でございますが、たまたま新経済社会七カ年計画がいままとめられておりまして、それによりますと、社会保障負担の対国民所得比で申しますと、五十三年度の実績見込みが九・〇%でございます。これが昭和六十年度の予測値になりますと、対国民所得比で一一%になる。ただこれは、社会保障負担という場合にやはり租税負担を一緒に考えなければいけないと思いますので、ちなみに租税負担を申し上げますと、租税負担は五十三年度見込みが一九・六%、したがいまして五十三年度は、社会保障負担と租税負担を合わせまして二八・六%になります。これが六十年度では租税負担が二六・五%になりまして、トータルで三七・五%になるということでございます。 それから、医療と年金の区別は出ておりませんが、もしわかるようでしたら、調べて後ほど御報告いたします。 二番目の国庫負担の問題でございますが、確かに先生おっしゃるように、先ほど第一表で御説明しましたように、各社会保険制度の種類に応じまして、その体質に応じて一種の財政調整が行われているというふうにとってもいいかと思います。たとえば、非常に体質の弱い日雇い健保は三五%、国保は確かにおっしゃるように事業主負担の肩がわり分という性格がありますけれども、両方で総医療費の四五%ですから、給付費に対しては恐らく六十数%になると思いますが、非常に高率な負担をしている。政管は一六・四で四千億、あと健保組合とか船保とかいわゆる体質のいいところは、ほんのちょっぴりの補助金だということでございますから、いわゆる国庫補助による一種の財政調整を図っているという面があることは事実だと思います。 それからもう一つあるのは、さっき局長から申しましたように、給付改善をするような場合に、保険料も上げるかわりにある程度国も応分の負担をするということで、政策遂行のためにその都度国庫補助をつけてきたという歴史的な経過もあることは、もちろんこれまた事実でございます。こうなってまいりますと、国庫補助の本来のあり方というものをこの辺で見直していかなければいかぬということは確かだと思います。ですから、言ってみれば、国庫補助の優先度といいますか優先順位と申しますか、そういうものを原点に立ち返ってもう一度考え直すべき時期に来ているのではないかという反省も持っております。 それから三番目の、トータルの給付水準は若干落ちても、家計負担に重圧を加えるようなものに厚い給付をすべきではないか、これは全く同感でございます。これから先の医療費の伸び、それから所得の伸びを考えますと、相当医療保険をめぐる情勢は厳しさを増してくると思います。したがいまして、そうそう甘い給付水準で将来医療保険が成り立っていくとは思えませんので、そこら辺を考え合わせますと、やはり限られた医療資源と申しますか、そういうものを最大限有効に利用するということが必要だと思いますので、そうなるとどうしても、いやがおうでも一番必要なところに厚い給付をする、軽いところはある程度患者の負担でがまんしてもらう、こういうようなざっとした理論ですけれども、そういう考え方がこれから先必要になってくるのじゃないかという面では、先生の御指摘の御意見と全く同感でございます。
○坂本説明員 政府管掌健康保険と組合管掌健康保険の格差の問題でございますけれども、確かに御指摘のように、いろいろな体質的な面での差というものは、これは数字ではっきり出てきております。 また、その他経営努力の面ということも否定はできないわけでございますけれども、この問題は何分にも数字にあらわすというのは大変むずかしゅうございまして、ここをどういうふうに比較するかというのは、これは私どもとしてもいろいろ研究する必要があろうかと思っております。 いずれにしましても、この政管と組合の格差というものにつきましては、御指摘のありましたように、いろいろな要因というものを十分に比べまして、その比較というものを的確にするために、相当突っ込んだ検討をしなければならない、こう考えております。
○戸井田小委員長 次に、金子みつ君。
○金子(み)小委員 初めに、資料要求を二つほどお願いしたいのをまず申し上げておきます。 その一つは、きょう説明をしていただきましたこの一枚刷りの「医療保険制度の現況」これの中の一番おしまいの欄に、七十歳以上加入者の占める割合というのが出ておりますけれども、六十五歳以上というのは計算しておありになるかどうかなのです。それはいまでなくてよろしいですから、六十五歳以上というものをひとつ資料としていただきたいと思いますのが一つ。 それからもう一つの資料は、日本の医療保険制度、さっき浦井委員の方からもお話が出ましたけれども、健康保険制度じゃなくて全くの医療保険制度ですから、言葉をかえれば疾病保険制度、こういうことになるのじゃないかと思います。そうすると、いままで何回も繰り返し繰り返し話が出てきておりますように、予防給付の問題が全然入ってないという問題で、本当の意味の国民の健康を守るための健康保険制度ではないじゃないかということが言われ通してきたわけですね。しかし、それは知っていてやってきていらっしゃるに違いない、これは疾病保険制度になっていますので。ただ実態といたしましては、先ほどお話もありましたように、実際には国保の医療費の中で、市町村組合に保健婦を置いて予防活動をせっせといたしましたところでは、初めの一、三年はむしろ逆に医療費がふえるのですけれども、三年目あたりからは医療費がぐっと落ちるという実例は、もう何回か聞いたことがあります。ですから、そういう実例があるということ。それから、最近は企業が健康保険組合に保健婦を採用しています。産業保健婦あるいは企業保健婦ですね。その人たちの活動で、企業の健保組合の医療費が下がってきたという発表があるわけですね。ですから、そういうものがぽつぽつとしかわかりませんので、まとめてどういう実績があるかということ、これは浦井委員の資料要求と結びつくと思うのですけれども、それをまずお願いしたいというふうに思います。 それから、きょう御説明いただきましたものに関連して、一つ二つお尋ねしたいことがあります。 その一つは、きょうの話し合いの中にもちらっと出てまいりましたけれども、社会保障制度審議会でも社会保険審議会でも取り上げて、もうここ二、三年話が出てきております老人保健医療制度ですね。これに関する取り扱いの問題なのですけれども、まだはっきりした御方針が立っていないみたいに思えるのですけれども、私どもがこの医療保険制度を論議するのに当たって、いま問題になっている老人保健問題をどうするのかということが、はっきり方針が立てられないと考えられないのじゃないかというふうに思うのです。ちょうどきょういただいた資料で御説明もありましたように、これは老人保健医療は入れてありません、老人医療費は除いて計算してありますということを一々言わなければならないように、老人保健医療の問題が引っかかっていることはみんなわかっているわけですから、それに対する取り扱いとして、政府側はいつごろをめどにこの問題を政策としてつくってお出しになるおつもりなのか、これをまず最初に教えていただきたい。 それから、あとは具体的な問題、この中のことでちょっとお尋ねをしながら伺いたいと思いますことは、患者負担のあり方についてどう考えるか。3の(1)に家計負担を考慮し云々、重症、軽症、入院、外来、こういうのがございますね。重症患者に対する家計負担の問題というのはかなり問題だと思いますので、何とかする必要があると思いますけれども、こういう考え方でできるかどうかということなのですよ。たとえば重軽症の定義づけというのは非常にむずかしいと思うのですけれども、この形でできるかどうかということは私も疑問があるので、何かしなければならないとは思いますが、もう少し何か考えられはしないかというふうに思いますことが一つ。 それから、(2)の方で患者負担の方法がa、b、cと並んでいますが、cの問題が今度の健康保険法の改正案の中にも出てきているように見えますが、薬剤費の二分の一負担とか一部負担ですけれども、なぜ薬だけの一部負担をするように考えられたのか、これが知りたいのです。患者側としては、なぜ薬だけについて一部負担しなければならないのかというのは理解に苦しむわけですね。医療費全体がこれだけかかったから、そのうちの一部を負担するというのはわりにわかりいいのですけれども、薬だけについてなぜ考えなければいけないかということは、やはり非常に問題があると思うのです。だから、写真を撮ったらその一部負担、検査をしたらその一部負担、こういうふうに出てくるのじゃないかということは、もうその次に考えられることです。その点が一つ。 それからもう一つ、最後になりますが、一番おしまいの付添看護の問題のところですけれども、ここで、一つは、先ほど家族の付き添いはやむを得ないがという御答弁があったのです。それを伺っていて、家族の付き添いはやむを得ないというのはどういうことかいなと思ったのです。家族というのは付き添っていても看護をやっていないというふうに理解していらっしゃるのか、それじゃ看護って何だということになるだろうと思いますが、その辺の理由もちょっとわかりません。職業付き添いはいけないけれども家族ならよろしい、これがわからない。だから、いま家族と称して職業付き添いがふえていますね。そういう逃げ道があります。 いま一つは、ここに基準看護の種類が上がっているのですが、基準看護をとっていない病院は普通看護という解釈になるわけですが、普通看護はどういうふうに計算して考えたらいいでしょうか。たとえばこの表でいきますと、三類までが基準看護ですから、それじゃ普通看護というのは四類以下のことを言うのかなというふうに思いますと、この三類が六人に一人ですから、それじゃ普通看護というのは七人に一人ぐらいの計算で看護料が入院料の中に計算されているのかしらというふうに考えられますが、その点を教えていただきたい。 以上でございます。
○小林説明員 最初の資料の御要求でございますが、六十五歳以上の老齢者の比率はお出しいたします。 それから、二つ目の資料の予防給付の関係でございますが、これはできる限りまとめまして、提出をいたしたいと思います。 それから、先ほど浦井先生にもお答えしたように、予防給付というか予防活動あるいは健康管理、これの重要性は決して否定しているものではございませんで、十分認めているのですけれども、保険でやるということ、つまり保険料でやるというのがいいかどうか、ここら辺は議論の分かれるところであろうというふうに先ほどお答えしましたが、その点ひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。 それから、老人保健医療の話でございますが、ちょっと所管外なので余り責任を持った御答弁はできませんが、国会における大臣答弁なんかを聞いておりますと、関係団体が非常に多くて、これからまだかなり関係団体との意見調整に手間取る、しかしなるべく早くやりたい、こういうことを答弁しておりますので、その程度で御理解いただきたいと思います。 それから、重症、軽症の話でございますが、おっしゃるとおり、重症、軽症という疾病の度合いに応じて区分をつけるのは、先ほど御説明したように大変技術的にむずかしい、むしろ不可能に近いと思います。問題は、病気が重いか軽いかではなくて、その病気による家計負担が重いか軽いかというところが問題でございますから、私どもとしては、今度改正法案でもそれが出ておりますけれども、むしろ高額療養費制度、つまり一定額以上について保険がカバーする、家計負担の限度をなるべくリーズナブルなところへおさめるという方向の検討が一番正しいのではないかと思っておりますが、ここら辺はひとつ御議論をいただきたいと思います。 それから患者負担の方法で、a、b、cと三つここに資料でお出しいたしましたが、cの薬というのを例として挙げてありますが、これはあくまで例でございます。「特定の物」という一つの例示でございますから、そういうふうに御理解いただきたいのです。じゃなぜ薬を取り上げたか、これは資料の話ではなくて、改正法案でなぜ薬を取り上げたかという御質問ですが、改正法案のお答えになりますのでどうかと思いますが、御質問でございますのでお答えします。 薬をなぜ取り上げたかというのは、一つはやはり、薬というものは疾病の治療について非常に普遍的である、大抵の患者さんが薬はもらうという、普遍的であることが一つ。それから、これは国民感情でございますが、やはり物でございますから、物をもらって患者負担を払うというのは、幾つかの一部負担のあり方の中でかなり国民に納得していただきやすいのではないかということ。それからさらに、巷間よく言われますような薬づけ医療の解消を図る、こういう御主張がありますが、大変ごもっともだと思います。そういう意味で、薬に着目するのが政策的に妥当ではないか。ここら辺の三つ、四つの理屈で、薬に一部負担をかけるということを考えたわけでございます。
○石野政府委員 専門家がいませんので、私が看護の問題をちょっとお答え申し上げます。 先ほど医療課長が申しました家族の付き添いの問題について、これは認めざるを得ないと言ったのは、要するに看護力ということではなくて、親の心情として、たとえば自分の娘が病気になって入った、どうしてもちょっと見ておいてあげたいという心情があると思うのですが、そういう心情の場合に否定するわけにいかぬだろう、こういう意味で申し上げたと思うのです。したがって制度としてそういう形ではなくて、そういう親の心情とかいう問題に対して、それまで否定するわけにいかぬだろう、こういう趣旨でございます。それから二番目の、普通看護の場合にどういう考え方なんだ、こういう御質問なんですが、九十一点というのが基準看護料になっておるわけですけれども、普通の看護というものは九十一点でできるであろうという推定をしてやっておるわけですけれども、その九十一点なるものの根拠につきまして、私もちょっとここでお答えをする資料を持っておりませんので、よく調べましてまたお答え申し上げたいと思います。
○戸井田小委員長 次に、平石君の発言にかわって古寺君。
○古寺小委員 ぼくは資料要求だけでございますので、追加でございますがお願いします。 先ほど体質論とか経営努力論というのが出ましたが、各健康保険を比較してみますと、車でいえば新車とか中古車とかポンコツみたいな、失礼な言い方ですがそういう体質を持っておると思うのです。厚生省の発表によりますと十四人に一人は患者さんである、こういう発表が前にあったようでございますが、各保険別に、何人に対し何人が患者さんになっているかという割合をひとつ出していただきたい。 それから、経営努力論が出ましたが、審査の問題があります。各保険の審査料、レセプト一枚について幾らという審査料、一年間に何件やって審査料が幾らで総合計で幾ら、これが出れば大体のいまの割合がわかるのじゃないかと思いますので、これをひとつぜひお願いしたいと思います。 この二点でございます。
○戸井田小委員長 平石君。
○平石小委員 私は、この三ページの「一部負担割合の事例(五十四年度ベース)」というのがありますが、ここでいままでの傾向を見てみますと、医療需要がだんだんと逓減されている、漸減している、だから受診率においてもちょっと下がっている。それから在院日数も横ばいないしは下降線。結局医療単価がぐっと上がってきておるという状況です。そうすると、この案の中で、いまもちょっと触れられましたが、医療単価が上がることについての抑制、その上がってくる医療単価をどう公正に負担するかという問題は当然のことですが、これの抑制について一つも案の中に出ていないので、そういう考え方を聞きたいということ。 それからもう一つは、五十四年度ベースの例から言いますと、結局医療需要の抑制につながるのではないか、医療単価を下げるというよりも、むしろ医療需要の抑制につながる形になりはしないか。ところが、医療需要はだんだんと逓減しておるのですから、ここらあたりの需要に対する影響の資料があれば出していただきたい。
○小林説明員 古寺先生と平石先生、何か同じような傾向の資料要求だと思いますけれども、たとえば古寺先生の最初の資料の御要求で、患者の率とおっしゃいましたけれども、ぴたり患者率というのは恐らく出ないと思うのです。受診率の傾向とかそういうもので置きかえてよろしければ、そういうことで資料をお出しいたします。 それから平石先生のいまのお話も、医療需要逓減とおっしゃいますが、受診率は微増でございます。
○平石小委員 外来が微増で、入院はぐっと落ちていますよ。
○小林説明員 それで、その場合も受診率の傾向値でよろしゅうございますか。
○平石小委員 いま出ているこの事例から言いますと、医療の単価を抑えるというよりも、需要を抑える形になりはしないか。需要については余り伸びていない、横ばいないし下降線なんだから、そこへ焦点を合わせてはおかしいんじゃないかということを言いたいわけです。だから、これをやった場合に、いままでの需要がさらにダウンしてくるはずだ、その影響についての資料が欲しい、こういうことです。
○吉村政府委員 確かに医療費の増高の原因として、一日当たりの単価というものが上がっていくことが一番大きな原因であることは間違いないわけでございます。したがって、そこのところを抑えるためには、最も一日当たり単価が上がっていく原因になるものについて、何かの抑制効果をねらうというのが一つあると思います。それは私どもの案では、薬というものが一つの一日当たりの単価を上げていく原因であるというように考えて、薬について考える。これは結局ここの資料では「政策的配慮から特定の物」に対して一部負担をかける、こういう政策的配慮もあり得る、こういうことになると思います。 それからもう一つは、確かに、そういう患者負担をかけるよりも、たとえば薬剤費というものに着目をした場合に、薬剤のたとえば薬価基準を引き下げていって一日当たりの単価を下げていく、こういう方法もあると思います。ただ、それは、私どもとしては患者負担の問題ではない、他の薬に対する対策として考えていく性質の政策だと思いますので、ここに挙げなかったのですが、一日当たりの単価というものを下げていく方法としてはそういうことも当然あろうかと思います。 それから、審査料とおっしゃいましたのですが、審査料というのは審査の手数料のことでございますか。審査の件数とそれに対して払った総額、こういう意味でございますね。
○古寺小委員 そうです。
○石野政府委員 いまちょっと気にかかったのですけれども、一件当たりの、一日当たりの点数ですね。単価が上がってくるという原因はいろいろあると思うのです。いま審議官が申し上げたことももちろんありますが、やはり長い年次で見てまいりますと、医療の内容が高度化されているというか、進歩しているという点もございますので、そういうものをネグレクトして考えるのはどうかなという感じがしておりますので、その辺も含めて検討しなければいかぬかと思っております。
○戸井田小委員長 川本君。
○川本小委員 先ほど来いろいろ論議されておりますが、先日は諸外国の保険制度について御説明いただいて、たとえば西欧諸国、フランスとかイタリアとかドイツ等においても総医療費がだんだん伸びてきておるということは、日本と変わらないのじゃないか。これらの国もやはり、疾病金庫とかあるいは保険財政というものは同じように赤字で苦しんでおる。フランスなどは、七七年で日本の金額にして大体一兆五百億円ぐらいの累積赤字があると私は聞いておる。そういうような状態の中で、医療費の増高を抑制するための努力というものはやはり諸外国においてもとられておると思います。そういうものを一応資料としてここへ参考に出していただくことはできないのかどうかということです。 それからもう一つは、先ほどからも論議されていますけれども、医療費の増高ということと給付水準の問題を切り離して考えることはできないと思うのですが、組合健保とかあるいは政管健保の問題について、先ほど来いろいろ論議がなされておりますが、先ほど和田先生が質問されたいわゆる総合健保組合ですね。この間も社労委員会で大臣に私も質問したのですが、約三〇%ほど組合健保の中に総合健保というものがある。その場合に、一事業所当たりの単位の被保険者数、いわゆる構成の規模は政管健保と似た規模なんですよ。そこで、先ほど年齢とかいうふうなことを言いましたけれども、政管健保の場合とこういう総合健保組合とを比較して、一人当たりの年間受診件数がどのくらい違うのかという表を一遍つくってもらいたいと思います。そして医療費についても、一人当たりの医療費が政管健保の場合は何ぼ、総合健保の場合は何ぼという金額の違いを明確にしていただいて、それが、先ほどからの説明のように、年齢とか構成の内容だけの問題なのかどうか、この点をもう少しメスを入れて考えてみる必要があると私は思うのですが、その点についてひとつ資料を次のときにいただきたい。 それから、もう一つは負担の問題ですが、この間の諸外国の例で見るとイタリアが入っていませんが、ひとつイタリアを追加していただきたいと思うわけです。私の手元にもちょっとした資料を持っておるわけなんですが、保険料負担の使用者負担と労働者負担の割合について、西ドイツとフランスの例をこの間出していただいたと思うのですが、そのほかにイギリスはどうなっておるのか、スウェーデンは社会主義国ですけれども、スウェーデンの場合はどうなっておるのか、イタリアの場合はどうなっておるのか、こういうことも一応示していただき参考にしなければいけないのではないか。いわゆる十割給付だったら千分の百十一とか、あるいは九割給付だったら何ぼとか、先ほど御説明がありましたが、しかし仮に保険料負担がふえても、外国では使用者負担が六〇%で労働者負担が四〇%というように、使用者と労働者が折半で負担しておるのはアメリカと西ドイツくらいで、イタリアもフランスもイギリスも全部、労使の負担割合は違うはずだと記憶しておる。そういうようなことも参考にすれば、いわゆる負担の限界がどこら辺にあるのかということも一つの論議として出てくるのじゃなかろうか。こういう点についてももう少し正確な資料を出していただいて御説明いただけないものだろうか。時間がありませんので簡単にそれだけ申し上げておきます。 もう一つ、審査の問題なんです。諸外国の保険の審査、フランス等では審査についてどうやっておるのか。日本の場合は、診療報酬の審査は医師会に委託しているのではないですか。ところが、外国ではそれをどういう構成をしてどういう審査をしておるのかということ、その点もひとつ……。
○小林説明員 第一の西欧諸国における医療費の伸びは、御指摘のように大変激しくて、各国とも保険財政が悪化して非常に困っているようでございます。かなり深刻な問題になっておるようでございます。これは前回お出ししました諸外国の資料の中で、一番最後のところに「最近の動き」というのがありますが、そこに、この間お出しした国については書いてあります。 なお、この間の外国の状況についての資料の御要求におこたえする資料をきょうお配りしてありますが、その中にも西ドイツの費用抑制法ですか、あれが入っていますから、それをごらんいただきたいと思います。 それから、最後におっしゃった審査の状況、これもきょうの資料の中に入っておりますので、ごらんいただきたいと思います。 それから保険料の関係でございますが、イギリスが資料の中に入っていませんでしたのは、これは完全なナショナル・ヘルス・サービス方式ですから、余り日本の参考にならぬということで取り上げなかったわけでございます。これはまさに租税負担でやっておりますので、ちょっと比較にならないかと思います。 それからスウェーデンの外来分と現金給付ですね。これはこの間御説明したように医療保険がやっておりますが、入院給付についてはヘルスサービス方式ですから、これもちょっと御参考にならないのじゃないかと思います。 イタリアにつきましては、実はこれは未確認情報でございますが、情報によりますと、ことしの一月から社会保険方式をやめまして国営方式になったというふうに聞いております。したがいまして、いま過渡期でございますから、新しいデータがちょっと手に入らぬと思います。しかももうすでに廃止になった社会保険のデータは参考にならぬと思いますので、その点御了解願いたいと思います。
○坂本説明員 いま川本先生から御要求がありました資料のうち、総合健保組合と政管健保の関係は、受診件数、医療費の金額等、資料としてお出しいたしたいと思います。 ただその際に、その違いが年齢構成等といった要因によるものなのか、あるいはその他の要因があるのか、この判断につきましてはかなりむずかしいのではなかろうかという気がいたしておりますので、どういうところからその違いが出てくるのか、これについてのお答えというものはどの程度出せるか、この点は少し調査してみませんとはっきりいたしませんので、御了解いただきたいと思います。
○戸井田小委員長 村山君から一言発言の申し出があります。村山君。
○村山(富)小委員 大分出尽くしていますから、一つだけ聞きたいと思うのですが、一部負担というのは、たとえば初診料の一部負担と入院時の一部負担とありますね。これはどういう根拠で、どういう目的で、何を期待して一部負担を取るのかということが、どうもぼくにはわからないのですね。 たとえば入院費の一部負担なんかは、今度の改正案では千円に上がってますね。そうすると、どこにおったって食事はするんだから、この千円というのは、食事代ぐらい見てもいいじゃないかという意味でするのか。そうしますと、入院している間は、食餌療法というのは医療の一部ですから、それを取るのもおかしいじゃないかという気もしますし、そこらの点はもう少し明確に整理しなければならぬ。なかなかむずかしいと思うのですが、そこら辺どうなんですか。
○吉村政府委員 一部負担についての考え方ですが、これはなかなかむずかしい議論だと思います。 そこでやはり、医療費のうちの保険料で給付するもの、保険の方から給付するものを何割ぐらいにするか、患者負担というのは何割ぐらいにするかというのをまず決めるべきだ、そして保険で給付する部門というのは、これは将来の保険料負担というものを十分考えながら、給付率というものを決めたらいいというふうに考えたわけです。そして、仮に医療費の二割の部分を患者に持ってもらうとした場合に、いろいろな持たせ方があるんではないか。たとえば医療費が一万円かかったときに、その二割を定率で、ともかく二千円持ってくれという持たせ方もあるでしょう。それから、二割になるようにたとえば初診料にかけるとかあるいは入院料にかけるとか薬にかけるとかして、総体として三割になればいいではないかという考え方もあるかと思います。 それから、何もかも一律二割かけるのではなしに、何かにかけるという場合には、やはり一番わかりやすいものにかけるのがいいのではないかというように考えるわけであります。たとえばいままで初診料にかけておりますが、少なくとも初めてお医者さんのところに行ったときに何がしかの負担をするというのは、医療の人情からいってそう変なかけ方ではないのではないか。それから入院の一部負担というのも、確かにいま先生がおっしゃいましたように、食事だって医療の一部だという考え方は、これは正当な考え方だろうと思います。しかし、少なくとも家におっても食事をするんだから、入院をした場合にその食費について負担をしても、均衡上、社会生活というような点からいって、それほど不合理ではないんではないかというような考え方で入院費に課するとか、それから薬剤費にかけるというのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、政策的ないろいろなことを考えて薬剤費を持ってもらうということで、薬剤費にかけたわけでありますが、そういうかけたものが総体として二割になるんならいいではないか。したがって、定率で二割課するのが公平だ。十万円かかった場合にも二割。最近は非常に高額の医療費がございまして、一カ月八百万円くらいの医療費もございます。それの二割というと百六十万円になるのですが、百六十万円というのを二割という形で課する方がいいのか、いろいろな考え方はあると思いますが、そういう形で一部負担を課した、こういうことでございます。
○村山(富)小委員 一言だけと言っちゃって、続けるのは悪いけれども、たとえば給付と負担を公平、平等にしていくという場合に、これは、給付をたとえば一律八割にする、あるいは九割にする、本人も家族も含めて。そして、その分の負担を総体的に全部見てもらうというかっこうで理論づけをするのか、あるいは保険給付になじまないといったようなものを除外して、それを一部負担で取るというふうにするのか。何か理論的な整理があればいいんですけれども、たとえば人工透析なんかの場合は、給食費は点数に入ってくるのでしょう。給食費は点数に入っておって、なおかつ食事代で取るというのは、理論的におかしいですね。だから、そこらの点を少し整理して検討する必要があるのではないか、こういう気がします。 ですから、よく言われるように、乱診乱療を防ぐために、初診料の一部負担をできるだけ上げた方がいいという意見もあることは事実ですね。だから、そういうねらいで初診療一部負担を取るんです、これならこれではっきり割り切ってきちっとすればいい。それから薬の場合は、薬づけ医療を規制するという意味で、もっと薬に対する認識を全体として高める必要がある、こういう意味で一部負担を取るんです、これならこれでぼくはまた一つの理論だと思うのです。ですから、そういうふうに一応整理してみて、きちっとしておく必要があるのではないか。そうでないと、何の根拠で、何の目的で、どういう効果を期待して一部負担を取っておるのか。それと、給付の公平、平等というか、そういうものとの関連は一体どういうふうに位置づけたらいいのか、そこらの点を一遍整理してみてもらいたいと思うんです。きょうは答弁はいいですから。
○戸井田小委員長 本日はこの程度にし、次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十七分散会