社会労働委員会 第18号
- 発言数
- 129 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1979/06/05
会議録
○森下委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、医薬品副作用被害救済基金法案及び薬事法の一部を改正する法律案、両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。村山富市君。
○村山(富)委員 本委員会で審議をいたしております薬事二法につきましては、二日間にわたって質疑が行われてきたわけでありますが、この薬事二法の内容なりあるいはそれに関連する幾つかの問題について、確認をしておきたいと思われる点がございますので、そうした問題に限って質問をいたしたいと思います。 第一に、目下、恒久対策の確立について関係者の間で協議が続けられておるようでございますが、その解決の見通しについてお伺いします。
○橋本国務大臣 いわゆる恒久対策として実施すべき事項につきましては、現在、東京地方裁判所を通じまして原告・被告間で協議、検討を続けているところでありますが、先般田辺製薬も和解に参加をいたしましたことから、会社を含めての恒久対策の確立の機は熟したものと私も判断をいたしております。 したがって、現在関係者との協議を鋭意進めているところでございまして、具体案を提示をいたしました上で、早急に、今国会中にもその内容を詰めるよう鋭意努力をしてまいりたいと考えております。
○村山(富)委員 次に、救済基金法については本委員会においてその修正案を与野党間で検討中でありますが、われわれとしては、救済基金は、既発薬害についてもその被害者の救済に関する事業を関係者の委託を受けて行い、また、関係企業に対し必要な資金の貸し付けを行い、これに必要な資金の借り入れにつき政府の債務保証を付することが必要と考えているところであります。 しかしながら、このような修正を行っても、政府がこれを適切に運用しなければ、患者の救済が円滑に行われることは期待できない。また、恒久対策の財源については、政府が債務保証を行うかどうかにつき議論のあるところでございますけれども、これらについても政府の考え方を明らかにしていただきたい。同時に、その財源の確保についての考え方も、この際、承っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 政府保証は、限定された範囲において行われるべきであるという制度的な制約がございます。国と連帯債務でない恒久対策につきましては、そうした観点から、政府は保証を行うことはできないと考えます。 また、恒久対策の中心となりますのは年金的な給付であることから、貸し付けになじみにくいという事情もございます。 いずれにしても、基金が既発薬害の救済事業を行うこととなった場合、一時金の支払いに要する資金面の措置につきましては、大蔵省に協力を求め、患者救済に支障を来すことのないよう万全の措置を講じたいと考えております。 さらに、恒久対策につきましてもその円滑な実施が図られるよう、財源の確保につき十二分に配慮をいたしたいと考えております。
○村山(富)委員 スモン患者を救済する上で、鑑定が迅速に行われることはきわめて重要な問題だと思うのです。そうした鑑定を迅速に行うということについての見通し、考え方等について、この際承っておきます。
○橋本国務大臣 これまでに、提訴患者数約四千三百名中、約二千名について鑑定が終了しておりますが、従来の鑑定ペースからするならば、鑑定に要する資料が整いますならば、鑑定未了者につきましても今年中に鑑定結果が出されることは可能と考えておりますが、国としても、鑑定が迅速に進められますよう事務処理体制の充実を図ってまいりたいと考えております。
○村山(富)委員 医師の投薬証明書のないスモン患者の救済については、情況証拠等によって、キノホルム剤の服用が原因でスモンに罹患したということが認められるようなケースについては適用すべきである、こういう判決の例もございますが、このような判決を踏まえて、投薬証明のない患者の救済についても、早急に国としての対応策を明らかにしておくべきだと思いますが、大臣の見解を承ります。
○橋本国務大臣 国は、東京地裁の仲裁的和解勧告の内容に従って和解を進めているところでありまして、投薬証明書のない患者の方々に対する扱いにつきましても、現在、東京地裁に意向を打診しておるところでございます。 幸いに、田辺製薬の和解参加という事態になりましたので、私は、近い将来において東京地裁のこれらについての御意向というものが示されると考えておりますが、東京地裁の意向が明らかにされ次第、速やかに対応策を確立いたしたい、そのように考えております。
○村山(富)委員 救済給付の開始は、申請のあった時点から支給をされる、こういうふうに聞いておるわけでございますが、申請書類を整備して出すという場合に、たとえば投薬証明書がもらえないとか、あるときはカルテの提供ができないとか、こういう事由で、本人の意思とは無関係に、医師の協力を得られないためにおくれるということもあり得ると思うのです。したがって、こうしたケースも想定をしながら、扱いについては十分理解のある態度をもって対応すべきであるというふうに思いますが、その点はどういうふうにお考えですか。
○橋本国務大臣 救済給付の請求に当たり必要となる書類等の範囲は、厚生省令により定めることとなるわけでありますが、申請者は、これらの資料をそろえて申請を行っていただき、支給は、申請のあったときから行うことになっております。 しかしながら、申請者が医療機関に対しカルテを要求しても、御指摘のように、必ずしも容易に入手することができないという場合も予測される、確かにそういうこともあり得るかと思います。このような問題は、基本的には患者と医療機関の信頼関係に基づいて処理されるべき問題であり、両者の話し合いによる解決を期待するものでありますが、国としても、御指摘の点も踏まえて、当該医療機関に対しカルテ提出の協力を依頼するなど、副作用被害者の迅速な救済対策に万全を期してまいりたいと考えております。
○村山(富)委員 時間がございませんから、これは反論はしませんけれども、扱いについては十分弾力性のある運用をして、要は、患者が救済されるという方向に努力してもらいたいと思うのです。 次に、救済基金が委託を受けて行う健康被害の救済のために必要な事業については、その事業を行う場合に、被害者の意思を十分に尊重する必要があると思いますが、その点はどうですか。
○橋本国務大臣 御指摘のとおり、救済基金が委託を受けて行う事業というものは、当事者間に合意が成り立った事業でありまして、その内容は、単に現金の支給だけではなくて、被害者の救済のための各種の事業を含むことも考えられるところでありますので、事業の実施について被害者の方方の意思も十分尊重するということは、私ども当然のことと考えております。
○村山(富)委員 新薬の製造承認、あるいはまた再審査、再評価については、基準に適合するかどうかは申請者が立証すべきものであるというふうに思いますが、これもある意味では当然のことと思うのですが、その点の見解を聞いておきたいということが一つと、同時に、国は、申請内容につき十分な検討、審査を行い、必要な試験検査を行えるような体制を整備すべきであるというふうに思いますが、これについての大臣の見解を承っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 製造の承認、再審査また再評価につきましては、申請者の資料などにより、基準に適合するかどうかということを明らかにしていくことといたしております。 また、有効性及び安全性について疑義があれば、追加資料を求めまして、その立証を求めていくことといたしておりますので、申請者がこれを立証すべきものであることは当然のことであると考えております。 また、申請内容の適確な審査を行うためには、審査機構の充実が必要であることは御指摘のとおりでありまして、このため、専門的審査を担当する中央薬事審議会の充実には、従来から鋭意努力してまいりましたが、今後とも、その体制の充実については努力を重ねてまいりたいと考えております。 また、衛生試験所など国の試験検査機関の充実につきましても、努力をしてまいりたいと考えております。
○村山(富)委員 次に、薬事法の十四条の承認拒否事由では「その効能、効果又は性能に比して著しく有害な作用を有することにより……使用価値がないと認められるとき。」と、こうなっておりますが、「有害な作用を有するおそれがあるとき」ということも当然拒否事由の中に入れるべきであると思いますが、その点はどうでしょうか。
○橋本国務大臣 「おそれがあるとき」と申しますのは、通常は、そのおそれについて合理的な根拠があって予測されるときであると考えられますが、このような場合はむしろ「有害な作用を有することにより……使用価値がないと認められるとき。」という第二号の承認拒否事由に該当するものであると考えます。
○村山(富)委員 医薬品等の承認等について、国民に広く理解されるよう審査資料等が公開される、このことがやはり必要ではないかというふうに思うのですけれども、その点についてはどういうふうにお考えですか。
○橋本国務大臣 医薬品の承認等の審査に当たりましては、従来から、その審査に際して主要なもの、たとえば薬理あるいは毒性に関する資料及び臨床試験に関する資料などにつきましては、医学・薬学等の専門誌、たとえば日本内科学会雑誌、日本外科学会雑誌、日本薬理学雑誌などに公表されたものであることとしてきたところでありまして、こういう形を今後ともさらに徹底を図ってまいりたい、そのように考えております。
○村山(富)委員 医薬品等の副作用に関する情報の収集あるいはその提供の中核となる情報センターの機能を確立すること、また、国、製造業者及び医療機関の情報提供のルールを確立すること、さらにそれらの情報をすべて公開することが、薬害発生防止の上に絶対必要な要件であるというふうに思いますが、大臣はどのようにお考えですか。
○橋本国務大臣 医薬品の安全対策におきまして、情報の収集、提供というものがきわめて重要であることは、御意見のとおりでございます。 従来から、医薬品の副作用モニター制度の確立、「厚生省医薬品情報」の発行等の、情報伝達制度の整備などの対策を講じてきておるところでございます。 したがって、今回の薬事法の一部改正におきましても、情報の収集、提供、報告について規定が設けられておるところでありますが、情報活動が円滑に行われるよう国、製造業者及び医療機関の果たすべきあり方について明確にし、情報提供のルールの確立を図ってまいりたいと思います。 さらに、医薬品情報の収集、伝達体制の充実を図るため、そのシステム化を進め、特に、その中核となる医薬品情報センター強化のための具体的な構想を検討してまいりたいと思います。 情報の公開につきましては、従来からも一定の評価、検討を行った上で、速やかに公開することとしてきたところでありますが、御意見の御趣旨を尊重いたしまして、システム化等による情報の普及にあわせ、さらに公開原則の徹底を図ってまいりたいと考えております。
○村山(富)委員 改正薬事法第八十条の二、これは治験薬の扱いですが、この規定により遵守しなければならない基準について、被験者の同意及び被害発生時の補償措置について、当然所要の規定を設けるべきだと思いますが、その点はどうですか。
○橋本国務大臣 改正薬事法第八十条の二の遵守基準におきましては、治験依頼者が依頼をするに当たりまして守るべき内容が定められることになるわけでありますが、被験者の同意に関しましては、治験依頼者が治験を実際に行う医療機関の責任者に対して、「患者に投与をするに際して、原則として当該治験薬の内容を説明し、患者の了解をとること」を要請しなければならない旨を、また、被害発生時の措置に関しては、治験依頼者は、患者が被害を受けた場合に備えて、私的損害賠償保険に加入するなどの適切な補償の措置を講じなければならない旨を定めることをいま考えております。
○村山(富)委員 医師が患者に対して医薬品を投与する場合、用法・用量だけではなく、その効能、副作用等、当該医薬品の安全性及び有効性に関し情報を提供することが必要であると思いますが、その点はどうでしょう。 さらに、調剤に対する薬剤師の責任と義務を明確にするため、医薬分業を推進すべきだと考えますが、医薬分業に対する基本的な考え方、具体的な方策及びその推進に対する大臣の所信と決意を承っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 御意見のように、一般的には、医師が投薬等の治療をする際に、医療が適正に遂行されるよう、患者は医師の指示に従い、また医師は患者に対してわかりやすく丁寧に施療の内容の説明を行い、療養指導等を行うことが適当であることは間違いありません。 しかしながら、必ずしも患者にその内容を知らせることが治療上適当でない場合、たとえば悪性のがん等の場合が考えられますけれども、そうした場合もありますので、主治医が、疾病の種類と内容、症状の経過等を踏まえて、当該治療行為の内容について説明を行うべきかいなか、またどの程度説明すべきかなどを、具体的事例に即して判断をすべきものではないか、そのように思います。 したがって、情報の適切かつ丁寧な提供を行うことが必要な場合と、逆にそうでない場合とが、患者の治療の個々別々の段階において発生をいたしますので、各医師の道義的責務の問題として、関係各団体との連携のもとに指導を徹底していくことが肝要であろう、そのように思います。 また、医薬分業につきましては、数年来進展を示しつつありますが、国民医療の向上のためには、より一層の促進を図る必要があると考えております。 そのため、国民に対する啓蒙を積極的に行うと同時に、各都道府県に調剤センターや医薬品検査センターを設置してその充実を図り、処方せん受け入れ体制を強化するほかに、関係者間の連絡・協議の場を設けるなどの具体的な指導により、計画的に推進してまいりたいと考えております。
○村山(富)委員 以上で、質問を終わりますけれども、当面協議がなされておりますスモンの患者に対して、国がどういう責任ある解決を図るのかということは、大変注目をされているところでございますし、同時に、薬害の根絶については、これは単に法律で条文はどうなったとかというだけではなくて、運用する執行部の姿勢、行政側の姿勢に大きくかかってくると思いますので、異常な決意でこの薬害根絶に取り組んでいただきますように期待をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
○森下委員長 これにて、両案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○森下委員長 この際、委員長の手元に、竹内黎一君、森井忠良君、古寺宏君、米沢隆君及び工藤晃君から、医薬品副作用被害救済基金法案に対する修正案、また、竹内黎一君、森井忠良君、古寺宏君、米沢隆君、浦井洋君及び工藤晃君から、薬事法の一部を改正する法律案に対する修正案が、それぞれ提出されております。 提出者から、両修正案の趣旨の説明を順次聴取いたします。竹内黎一君。 —————————————
○竹内(黎)委員 ただいま議題となりました医薬品副作用被害救済基金法案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党一国民会議、民社党及び新自由クラブを代表いたしまして、また、薬事法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、それぞれその趣旨を御説明申し上げます。 まず、医薬品副作用被害救済基金法案の修正案について申し上げます。 その趣旨は、 第一に、基金の業務に保健福祉事業を加えること。 第二に、基金は、救済給付の支給の決定に当たり、必ず厚生大臣に判定を申し出るものとすること。 第三に、政府は、政令で定めるところにより、特定の医薬品の副作用による健康被害の救済を円滑に行うため特に必要があると認めた場合には、基金に対し、救済給付に要する費用の一部を補助することができるものとすること。 第四に、スモン等の既発生薬害の救済でありまして、基金は、当分の間、従前に使用された特定の医薬品の副作用による健康被害の救済を円滑に行うことが特に必要であると認める場合には、厚生大臣の認可を受けて、次の業務を行うことができるものとすること。 一、健康被害の救済のために必要な事業を 行う者の委託を受けて、その卒業を行う こと。 二、健康被害の救済のための給付を行う者に 対し、当該給付に必要な限度で資金を貸し 付けること。 第五に、政府は、貸し付けのうち、国と連帯して行われる救済給付に必要な資金の貸し付けに充てるため基金がする借入金に係る債務について保証することができるものとすること。 第六に、政府の債務保証に係る借入金により基金が貸し付けを行う場合、当該貸し付けを受けて救済給付を行う者は、その貸し付けを受けた額に相当する金額を貸借対照表の資産の部に計上することができるものとすること。 次に、薬事法の一部を改正する法律案の修正案について申し上げます。 その要旨は、 第一に、法律の目的を、医薬品等の品質、有効性及び安全性を確保することに改めること。 第二に、製造承認の審査項目として、副作用を明示すること。 第三に、新医薬品等で、厚生大臣が中央薬事審議会の意見を聴いて指定するものについての再審査期間は、六年を超えない範囲内において厚生大臣の指定する期間とすること。 以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○森下委員長 これにて、両修正案の趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○森下委員長 これより両案及びこれに対する両修正案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。 初めに、医薬品副作用被害救済基金法案について採決いたします。 まず、竹内黎一君外四名提出の修正案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森下委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森下委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 引き続き、薬事法の一部を改正する法律案について採決いたします。 まず、竹内黎一君外五名提出の修正案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森下委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森下委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○森下委員長 この際、竹内黎一君、森井忠良君、古寺宏君、米沢隆君、浦井洋君及び工藤晃君から、両案に対しそれぞれ附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から、順次趣旨の説明を聴取いたします。森井忠良君。
○森井委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、両案にそれぞれ附帯決議を付すべしとの動議について御説明申し上げます。 それぞれ案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 医薬品副作用被害救済基金法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行に当たり、次の事項につき格段の努力を払うべきである。 一 医薬品の特殊性を十分考慮しつつ、本救済制度に無過失責任を導入することについて、今後とも検討を続けること。 二 中央薬事審議会の判定部門については、委員の常勤化、事務局の充実その他の適切な方法をとることにより、機構の充実を図り、救済対象被害の判定が迅速かつ適正に行われ、被害者が不利にならないよう特に留意すること。 なお、委員の構成については、医学、薬学の専門家のほか法律の専門家を加える等公正な判定が行われるよう配慮すること。 また、判定については、主治医の積極的協力が得られるよう関係団体等に対し、本制度の趣旨の徹底を図ること。 三 救済対象から除外されるがんその他の特殊疾病に使用される医薬品の範囲については、真にやむを得ざるもののみに限定するものとすること。 四 救済給付の給付水準については、被害者の実情に即し、また他の諸制度も勘案し、その改善が図られるよう配慮すること。 五 国は、救済基金の安定した運営が行われるよう、国庫補助その他につき適切な措置を講ずること。 六 スモン患者を早期に救済するために、鑑定の迅速化を図るとともに、投薬証明書のないスモン患者についての対応策を早急に具体化し、さらに恒久対策を充実すること等によりスモン問題の全面解決を図ること。 七 既発生被害の救済に関する事業については、これが円滑に行われるよう、金融面その他につき適切な措置を講ずること。 ————————————— 薬事法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の事項につき格段の努力を払うべきである。 一 医薬品が国民医療に果たす重要な役割りにかんがみ、薬事制度については、今後も引き続き各般の問題点につき検討を行い、その基本的な改善方策の確立を図るよう配慮すること。 なお、その際には医薬品の特殊性を十分考慮しつつ、医薬品の副作用による被害について、いわゆる製造物責任を導入することについてもあわせて検討すること。 二 今回の改正の趣旨にかんがみ、国、製造業者等は、医薬品等の安全性の確保につきそれぞれ重大な責務を有することを自覚し、このために最善の努力を傾注すること。 三 薬事行政において、中央薬事審議会の果たす役割りは、このたび判定機能が付加されることにより、その重要度が一層増すことを考慮し、その組織、人員の強化充実を図り、その運営が適切に行われるよう配慮すること。 四 製造承認、再審査及び再評価の資料は、公表学術文献によるとの原則をさらに徹底させ、審査の内容が広く理解されるよう努めること。 五 医薬品の製造業者等の行う有効性及び安全性に関する情報の収集、提供、報告の重要性にかんがみ、これらの業務が確実に履行されるよう、製造業者等に対する十分な指導を行うこと。 なお、医療機関における情報活動の強化及び製造業者等の情報収集に対する積極的な協力の確保についても、その指導の強化を図ること。 また、国が自ら行っている副作用情報活動の強化に努めるとともに、公私の情報活動が有効に行われるようそのシステム化を促進し、その中核となる情報センター機能の確立を図ること。 六 添付文書等の記載、特に使用及び取り扱い上の注意については、十分指導を行い、記載方法の明確化を図ること。 また、再評価の終了した医薬品の効能、効果の表示については、当該効能、効果の立証の程度をも含めることについて検討すること。 七 第八十条の二の規定による臨床試験の依頼をする場合の遵守基準の制定に当たっては、被験者の同意を原則とすること、被害発生時の補償措置を確立すること等被験者の人権等について十分配慮すること。 八 いわゆるプロパーが果たす役割りの重要性にかんがみ、プロパーの資格制度等そのあり方について、早急に具体策を確立することにより、その資質の向上、活動の適正化を図ること。 九 医薬品の開発に伴う試験の実施に関する基準(GLP)の検討を進め、その制定を促進すること。 なお、この基準においては、医学、薬学のほか、獣医学等の専門分野においても専門家の知識技能が生かされるよう、それぞれの果たす役割りの明確化につき配慮すること。 十 医薬部外品及び化粧品の表示に関し記載が必要な成分に係る厚生大臣の指定に当たっては、その国民に与える影響にかんがみ、その使用状況を考慮し、適正な使用が図られるよう、厳正を期すこと。 また、医薬部外品が本来の使用目的以外に使用されることにより、保健衛生上の危害が発生することを防止するため、その適正な使用について関係業界を十分に指導するとともに、一般消費者に対する正確な知識の普及に努めること。 十一 調剤センターや医薬品検査センターの整備、活用等を促進するとともに、関係者間の連絡協議の場を設ける等の具体的指導同により、医薬分業を計画的に推進すること。 十二 新薬開発、特に難病治療薬等医療上必要な医薬品については、その重要性にかんがみ、政府においてもその推進を積極的に図ること。 十三 薬価調査による薬価の実態の把握にさらに努めるとともに、薬価基準の一層の適正化に努めること。 十四 製薬企業、特に中小零細企業の近代化の促進に配慮するとともに、中小御売業、小売販売業の自主的な近代化、協業化が促進されるよう、医薬品の流通機構の改善を図ること。 十五 化粧品について、さらにその安全性の徹底が図られるよう、その分類、広告のあり方について検討し、改善を図ること。 十六 動物用医薬品の使用基準が、厳格に遵守されるための必要な措置を講ずること。 以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○森下委員長 採決いたします。 まず、医薬品副作用被害救済基金法案に対し附帯決議を付すべしとの動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森下委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。 次に、薬事法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森下委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本厚生大臣。
○橋本国務大臣 ただいま御決議になりました二つの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重しまして、努力をいたす所存でございます。 —————————————
○森下委員長 なお、ただいま議決いたしました両案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森下委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○森下委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十時三十七分休憩 ————◇————— 午後二時十八分開議
○森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 第八十四回国会内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣橋本龍太郎君。 —————————————
○橋本国務大臣 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 医療保険制度の基本的改革は、かねてから重要な課題となっているところでありますが、医療保険をめぐる諸情勢は、近年厳しさを加えております。 かつてのような高度経済成長が期待できない情勢のもとにおいては、人口構成の老齢化や医療の高度化等により医療費の伸びが賃金の伸びを大幅に上回る状況が続くものと考えられます。また、医療費問題のみならず、救急医療などの医療体制の整備、老人医療の確保、医薬品副作用被害の救済等、早急に解決を図るべき諸問題が山積しており、一昨年の健康保険改正法案の国会審議の際、これらの諸課題の解決に取り組むことをお約束いたしたわけでございます。 したがいまして、医療保険制度の基本的改革に当たりましては、医療保険制度のみにとどまらず、医療制度、薬事制度、健康管理対策等、関連各分野においても逐次改善を図ってまいる考えでありますが、今回は、今後に予測される社会経済情勢に即応して医療保険制度の健全な発展とその合理化を図るため、その第一段階として、健康保険制度と船員保険制度について必要な改正を行おうとするものであります。 今回の改正に当たりましては、給付の平等、負担の公平、物と技術との分離、家計の高額な負担の解消、医療費審査の改善の三原則を柱として、これらの基本的考え方を盛り込んで改正法案を策定した次第であります。 以下、この法律案の内容について概略を御説明申し上げます。 まず、健康保険法の改正について申し上げます。 第一は、医療給付に関する改正でありますが、被保険者と被扶養者との医療給付の格差を是正して、同一水準の給付を確保することを基本とし、このため患者負担を適正なものとするとともに、高額療養費の支給等により、真に医療費負担による家計の破綻を防止しようとするものであります。 患者負担につきましては、初診時の負担を千円とし、投薬・注射に係る薬剤または歯科材料に要する費用の二分の一を新たに負担願うこととしております。ただし、高価かつ長期間連続して投与される薬剤や、検査・麻酔に使用される薬剤は、負担の対象としないこととしております。さらに、入院の場合には一日につき給食料に相当する額を負担していただくこととしております。 これらの患者負担の額が著しく高額となったときは、高額療養費を支給することとしており、患者負担の限度額は、現行被扶養者に対する高額療養費制度では月額三万九千円となっておりますが、今回は、その約半分の月額二万円程度にする予定であります。 また、療養費の支給要件を緩和し保険医療機関または保険薬局以外の医療機関等で療養を受けた場合であってもやむを得ない場合には、療養費を支給することとしております。 第二は、分娩費等の給付に関する改正でありますが、分娩費等の最低保障額や配偶者分娩費等の額を実情に即して改定できるものとするため、政令で定めることといたしております。 第三は、保険料に関する改正でありますが、保険料負担の公平を図るため、賞与等についても保険料を徴収することとし、賞与等の支払いを受けた月においては、その月の保険料額は、標準報酬月額と賞与等の額を合算した額に保険料率を乗じて算定することとしております。 なお、保険料徴収の対象となる賞与等の額は、その月に受ける賞与等の額につき、各被保険者の標準報酬月額の二倍に相当する額を限度とすることとしております。 次に、給与の実態に即して標準報酬等級の上限を調整できることとするため、上限に該当する被保険者の割合が百分の三を超えた場合には、社会保険審議会の意見を聴いて政令をもって上限を改定できることとしております。 また、政府管掌健康保険の保険料率は、厚生大臣が社会保険審議会の議を経て千分の八十を超えない範囲内において定めることができることとしております。健康保険組合の保険料率も同じく千分の八十を超えない範囲内において決定するものといたしております。 第四は、国庫補助に関する改正でありますが、政府管掌健康保険についての保険料率の調整に連動した国庫補助率の調整規定を廃止し、国庫補助率は、主要な保険給付に要する費用の現行の千分の百六十四から千分の二百の範囲内において政令で定めることといたしております。 第五は、財政調整についてであります。今後、全被用者医療保険間において財政調整措置を講ずることとしておりますが、その措置が講じられるまでの間、健康保険組合間の財政を調整するため、健康保険組合連合会は、政令の定めるところにより健康保険組合からの拠出をもって一定の健康保険組合に対し、交付金の交付事業を行うこととするものであります。 第六は、保険医療機関等の登録・指定等に関する改正でありますが、個人開業医については保険医の登録があった場合、保険医療機関の指定があったものとみなすものとして手続の簡素化を図る規定、保険医療機関等の指定を拒否できる事由を法定する規定、未払いの一部負担金について、保険者が保険医療機関等の請求により徴収処分をすることができるものとする規定を設けることとしております。 その他、給付の平等を図る見地から健康保険組合の附加給付を規制する規定を設けるほか、海外にある被保険者等に対する保険給付の実施と保険料の徴収を行うための規定その他の規定の整備を行うこととしております。 次に、船員保険法の改正について申し上げます。 船員保険の疾病部門につきましても医療給付、分娩費等の給付などについてさきに述べました健康保険の改正に準じて所要の改正を行うものであります。 次に、社会保険診療報酬支払基金法の改正について申し上げます。 社会保険診療報酬支払基金における審査について再審査に関する規定を整備するものであります。 なお、この法律の実施時期につきましては、公布の日から起算して一年を超えない範囲において政令で定める日から施行することとしております。 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○森下委員長 これにて、提案理由の説明は終わりました。
○森下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸沢政方君。
○戸沢委員 いよいよ、いわゆる抜本改正のはしりと称されております健康保険法改正案の審議が始まったわけでありますけれども、もはや審議日程も乏しく、その成否は見きわめがついておりません。また、院外では、いわゆる財政調整に関する自民党案をめぐっての賛否両論があらしのように吹きまくっているという状態でございます。これでは抜本改正の行方はどうなるか、このような情勢では、今後何年かかっても日の目を見ることはできないのではないかということを私はおそれるわけでございます。 そこで、私は、抜本改正の考え方、また今後の見通し等につきまして、私の若干の愚見も申し述べ、また大臣の御意見も伺いたいと思うわけでございます。後ほど、同僚の水平委員より、法案についての具体的な問題につきまして御質問があろうかと思います。 日本の医療水準は世界に遜色がない、医療の全国民への普及度も世界でも有数でございますし、また医療に対する国の財政支出も日本は最高でございます。 このようにいろいろ努力しておる、そしてこの国民医療をさらによくしようというために、この抜本改正案を考えておるわけでありますが、そういう案が出ますと、各方面から総スカンを食ってしまう、これは一体どういうことであろうかということをまじめに考えなければいけないと思うのでございます。 私は、これはとかく、その抜本改正案が部分的にあるいは散発的に発表されるために、それが単なる財政対策であるかのように受けとめられることが多いのではないかと思うのでございます。 医療保障がすぐれて財政問題であることは否めませんけれども、しかし、医療保障は財政対策だけでは本質的な解決が得られない、そこに医療保障と所得保障の相違があるのではないかと私は思います。 所得保障は、国民経済との関連におきまして、年金額とか手当の額とかをできるだけ充実させていくということで済むわけでありますけれども、医療保障はそうはまいりません。財政対策だけで医療保障の本質的な解決は得られないというところに、私は根本的な問題があるのではないかと思うのでございます。 それでは、医療保障の本質的な課題は何であろうかということを考えますと、私は一言にして言えば、それは国民に対して本当に良質の医療、質のよい医療を確保するということでないかと思うのでございます。私がいつも言うように、いつでも、どこでも、だれでも、必要にして十分な医療が給付されるということが、医療保障の一番根本的な命題ではないかと思います。そのためには、いずれの団体の利益にも偏ってはいけない、国民医療の立場から、良質の医療を確保するような対策でなければならないと思うのでございます。 まず、大臣に、今回の改正案につきまして、これは単なる財政対策にすぎないではないかという批判も一部にありますが、この点についてどういうふうにお考えになりますか、お伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 今回の健康保険法改正案、財政対策ではないのか、ないとすれば、その考え方の基本は何かというお尋ねでありますが、 御承知のように、一昨年健康保険法改正案の審議をいたしました際、健康保険法の改正というものが常に財政対策、短期的なものだけではいかぬという御指摘を、衆参両院の社会労働委員会において非常に厳しく御指摘をいただきました。そして、その御論議の中から、政府は、今後のいわゆる抜本改正についてのその項目を列挙し、また、それについてのおおよそのめどを国会に御報告を申し上げたわけでありますが、それがいわゆる一昨年十一月にお示しをいたしました十四項目というものになろうかと思います。 今回の健康保険法は、その意味におきまして、今後において予測される医療費の増高、また、社会経済情勢の変化に即応しながら医療保険制度全般にわたる改革を進めていく、その第一段階としての考え方を策定したものでありまして、給付の平等、また負担の公平、家計の著しく高額な負担の解消といったものを基本原則に置いているわけであります。 しかし、戸沢さんが御指摘になりましたように、医療保険制度につきましては、医療保険財政の長期的な安定を図ることはもとより必要でありますし、また当然のことでなければなりません。私どもは、いま申し上げましたような基本の原則を踏まえて、今回の改正法案というものは、政府管掌健康保険の短期的収支を考えるのではない、その十四項目の第一着手としての位置づけを持った法律案である、そのように考え、御審議をお願いしているところであります。
○戸沢委員 この医療保障の本質問題につきまして、もう少し進めてみたいと思うのであります。 私は、現在の医療保障にもし欠陥があるとすれば、それはやはり質の欠落ということではないかと思うのでございます。そこにメスを当てた抜本改正でなければ、本当の医療の改革にはならないんではないかというふうに考えます。このことを具体的に理解していただくために、現行の医療保険制度につきまして、診療担当側と費用負担側が抱いている本質的な不満というものはどういうところにあるのかということを、ちょっと考えてみたいと思います。 まず診療担当側の不満、考えでございますが、私事にわたって恐縮ですが、私は、昭和四十六年のいわゆる保険医総辞退問題が起きましたときに、保険局長としてその処理に当たっておったわけでありますが、そのときに、全国のお医者さんたちからたくさんの手紙や投書等をいただきました。その中に、多くの若い医師などから、社会保険をやめてみて初めて保険というものがどんなに窮屈なものであるかということがわかったとか、あるいは、社会保険をやめてみて初めて良心的な診療ができたというような手紙を、相当もらったのでございます。 私は、やはり、多くの良心的な医師というのは、自分の修めた医学とか技術とかをフルに発揮して、いい診療をしたいと考えておると思うのでございます。しかるに、現在の保険制度は、そういう良心的な医師の願望に必ずしも十分に対応していない。 たとえば、これは診療報酬制度の問題でありますけれども、学校出たての青年医も、経験三十年の名医も、またいわゆる三分間の神風診療も、また三十分もかけた入念診療も、全部料金は同じでございます。さらに極端な例を挙げるならば、間違った診療をしあるいは下手な手術をして患者の回復をおくらせれば、それだけ収入がふえるというたてまえになっておるのでございます。技術の優秀さ、医療設備の精度、そういったことも考慮されておらない。 そういう中にあって、良心的な医師は、医師本来の良心と科学的意欲に従って、いい医療をしたいと努力をするでありましょう。しかし、非良心的な医師は、現行保険制度の欠陥に便乗して営利的な働きをする者もあるかもしれない。私はやはり、こういう良心的な医師がいい診療ができるような医療制度改革でなければならないのじゃないかというふうに考えるわけであります。 次に、費用負担側の不満はどういうところにあるかということを考えますと、いわゆる支払い側も、正しい、いい医療を受けるための費用負担を決して拒んではいないのでございます。ただ、現行の保険制度にはむだがある、ときに不正や不当な医療がある、あるいは保険外負担の問題を解消してほしい、そういうところに大きな不満を持っておるのでございまして、これもまた、もっともな言い分であると思うのでございます。 このようなそれぞれの不満を解決して、いかにして経済効率的に医療の質を高めていくか、良質の医療を国民に給付するかという命題にこたえ得る抜本改正でなければ、国民の合意を得ることはできないのではないかというふうに考えるのでございます。 いろいろの問題が十四項目の中に示されていますけれども、その中からただつまみ食い式に改革案を出していたのでは、全体的な解決にはならないと思います。やはり全体をレビューした考え方を明らかにしないと、単なる財政対策のように受けとめられてしまうのではないかと思うわけでございます。 そこで、愚見を述べましたけれども、大臣に、この医療保障制度の理想像についてどう考えておられるのか。また、今後の抜本改正の見通し、取り扱い方、そういったものにつきましてお考えがありましたら、お伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 医療保険制度のあり方について、理念の上で考えますと、さまざまな理想像というものを構築することは可能だろうと私は思います。そしてまた、現に各方面からいろいろな御意見が提示をされております。しかし、同時に、現行の医療保険制度というものの沿革を考え、また国民世論の動向等を踏まえて、同時に、今後の社会経済情勢の推移というものを考えていきました場合には、私は、理論的にはいろいろな考え方ができましょうけれども、現行の医療保険制度の存続というものを当面前提に置かないと、なかなか地についた論議ができないのではないか。そういった意味から、一定の制約が、政府の立場で現実に取り組んだ場合には出てくるということを、まず御理解をいただかなければならぬと思います。 ですから、政府の立場から申し上げますならば、これからの医療保険を考える場合の基本的な方向としては、まず一つは、現行の制度というものを前提にして考えていき、その中において、どうすれば給付が平等に受けられる体制をつくるか、また同時に、負担が公平でかつ給付に見合ったものにできるか、同時に、限りある保険原資とうものがどういうふうにすれば効率的に活用されるかというようなこと、同時にもう一つは、長期的に安定した保険財政が維持できるものであるということを満足させなければいけないのではなかろうかと思うのです。 理論的にはいろいろな考え方ができることは、私は決して否定をいたしません。しかし、いまのような考え方に基本的に立ちますならば、やはり、それぞれの制度の持つ従来からの沿革というものも一応考えなければならぬわけでありまして、段階的な改革というものに国としては立たざるを得ない。そういう考え方としては、一昨年御提示をいたしました十四項目という問題指摘については、間違っておるとは考えておりませんし、その第一着手としてのこの改正案というものは、その一環であると位置づけておりますので、まずこの点から御論議を願い、給付の平等と負担の公平と、同時に著しい家計への圧迫というものを来さないという、その第一の要件を確保することに努めたい、そのように考えております。
○戸沢委員 私は、抜本改正をそう短期的に急ぐことは困難である、抜本改正に四年や五年かけても一向構わないのではないかと思います。政府がいいと思う壮大な案を国民の前に提示してもらって、それを、国会はもとより、各種審議会、関係団体、国民みんなで徹底的に議論して、その中から合意を見出していく、これが最も遠い道のようで最も近い道ではないかと考えます。この社会労働委員会の小委員会も、そういう建設的な意味でならば、超党派的に協力が得られるのではないかと私は確信をするものでございます。 次に、財政問題について一、二お伺いいたしますが、これは政府委員で結構ですが、今国会でこの健保法の改正が実現しなかった場合、健保の財政運営はどうなるか。これは、その数字と、それから法制上の問題、特会法の関係はどうなるか、そういったことについて御説明を願いたいと思います。
○石野政府委員 数字上の問題は後ほど医療保険部長の方からお答え申し上げますが、制度上の問題につきまして若干私から御説明いたしたいと思います。 今回の健保法の一部改正がもし成立しないという場合には、四つほど大きな問題がございます。 一つは、先ほど大臣から御答弁がございましたように、今度の健康保険の改正法案というのは、あくまでも全体的な制度の見直しということを前提にいたしました第一段でございます。したがいまして、今度の改正法案の第一段が最初から挫折いたしますると、その次の、老人の医療保健制度の問題やらいろいろございますが、そういう問題についての解決がなかなかむずかしくなってくるという点が第一点でございます。 それから第二点は、医療保険制度の改革がおくれればおくれるほど、医療費というのは年々ふえておりますし、一方、同時に、賃金所得の伸びというのは鈍化いたしておりますから、どうしても保険財政の面では悪化の一途をたどらざるを得ない、こういうことでございまして、いずれ医療保険制度が破綻をするおそれが十分にあるという点が、第二点でございます。 それから第三点は、特に多額の累積赤字を抱えておりまする政府管掌健康保険につきましては、収支の均衡という目途が全く立たないわけでございまして、それだけではございませんで、五十四年度の医療費等につきまして予算に不足を生ずることになりまするので、これは、なかなか借り入れも困難な事情からいたしまして、場合によっては支払い遅延というようなおそれも出てくる、こういうことがございます。 それから第四は、今後必要に応じましてやはり医療費の改定等も行わなければならぬわけでございますが、そういう問題についての対処の見通しが全くない、こういうことでございまして、大変な事態に陥るというふうに考えておるわけでございます。 したがいまして、本法案の審議をぜひ進めていただき、国民医療の確保に円滑なものができるようにお願いをいたす次第でございます。
○此村政府委員 ただいまの御質問のうち、財政状況、数字の問題と会計法の問題について御説明申し上げます。 もしも現在の健康保険法改正案が実現しない場合におきましては、今年度予算編成時の見込みによりますと、五十四年度は単年度で約九百億円の赤字、四十九年度以降の累積収支で見ますと約二千五百億円の赤字の見込みでございます。法改正が実現した場合に比べまして、約千三百七十億円の収支悪化を来すことになるわけでございます。 第二に、会計法の問題でございますが、厚生保険特別会計法の規定によりますと、戸沢委員御案内のとおり二つのケースがございまして、医療費改定または給付の改善が行われる年度、それからもう一つはそのいずれかが行われない場合、そういうふうに二つに分けておりますが、前段の医療費改定または給付の改善が行われる場合におきましては、現行の特会法によりますと、料率アップ、さらに一年以内に償還、こういうようなことが要件になっておりますので、すでに目いっぱいまで料率が定められておりますので、いま言ったような場合につきましては借り入れができません。 第二の医療費改定または給付の改善が行われない場合でございますが、こういう場合におきましては、現在の特会法上は一応借り入れが不可能ではございませんけれども、収支改善の目途がないままにさらに巨額の借り入れを行うということにつきましては非常な困難がある、かように考えております。
○戸沢委員 全くパンク状態になってしまうということでございます。医療費改定も、昭和五十一年四月と五十三年二月に行われて以来行われておらないわけでありまして、人件費のアップ等についてそういった要求がすでに出始めておる状況でございます。そういうとろでもってこの法案が通らなければ、もう料率も上げられない、全く手当てのしょうがないという状態になることを私もおそれるのでございます。 それから、保険局長にもう一つ、財政問題で、今度の改正でお聞きしたいのは、いわゆる弾力規定発動の縛りをなくしたということによって、医療費改定とか給付改善がなくても今度は保険料率を上げることができるということになるわけですね。そういったことによって、今後医療費の増加に伴って保険料率が急激に恣意的に上げられるというようなおそれがないかどうか、お聞きしたいと思います。
○石野政府委員 御案内のとおり、健康保険制度につきましては、これは年金のような長期保険ではございませんで、本来単年度ごとにバランスをとっていかなければならない制度でございます。したがいまして、今回の改正案におきましては、給付の改善なりあるいは診療報酬の改定の場合だけではなくて、必要な場合にはやはり保険料率の改定を行いまして、必要な費用と収入とがバランスをとれるように、そういうようにすべきものであるということから、弾力規定の発動の縛りをなくしたわけでございます。 しかしながら、その保険料率の引き上げにつきまして、これが安易に行われることは非常に危険でございますので、そういうことのないように、実は医療費の支出面におきましても十分その適正化を図っていかなければなりませんが、同時に、保険料率を安易に改定いたしませんように、審議会の意見を十分聴いてそして対処するということになっておりますので、そういう御心配は要らないというふうに考えております。
○戸沢委員 それから次に、患者負担の問題について一、二お尋ねしたいと思いますが、先ほど述べましたような良質な医療を国民にできるだけ保障しようとすれば、当然保険経済との調整が必要になってくるわけでございます。最高の医療を無制限に全国民に給付するというようなことはとうてい不可能でございますから、そこに当然受益者負担としての一部患者負担とか、あるいは疾病の軽重に従って給付に傾斜をかけるとか、そういった考え方が出てくるのは当然であると思います。私は、もし先ほど述べたような本当に正しいいい医療が国民に給付される、そういう課題に対応し得る制度であるならば、国民の負担についての理解も容易に得られるのではないかというふうに考えるわけでございます。 まず患者負担の問題で、今度の改正案で一番問題は薬剤についての患者負担問題であると思いますので、これについてちょっとお尋ねをいたしたいと思います。 いわゆる薬づけ医療の論議がやかましいわけでありますし、確かに薬剤についていろいろ問題があることも事実でありますけれども、しかし、そのことと医薬品の医療に占める価値、そういったものを誤解、混同してはならないと思うのでございます。 薬が、戦後の日本の健康環境の悪い中で国民の寿命の延長をもたらした事実、また平均寿命の伸びたことによりまして、高血圧症などの薬物に依存する慢性成人病がふえてきておるというふうなことから、医療の中で薬の占めるウエートは非常に大きくなってきていること、これは事実でございます。 そういう意味で、この薬の一部負担を考える場合にも、一部負担を重くすれば医者が患者に薬を出すことを抑制するであろうとか、あるいはさらに、日本人の薬好きが改まるであろうというふうな、単純な発想はどうかと思うのでございます。やはり薬の乱用防止の問題は、そういう直接的な方法ではなくて、診療報酬の合理化とか、あるいは薬価基準を実勢価格に合わせる努力とか、さらには医薬分業の推進あるいは正しい医薬品産業の育成、そういった本来的な方法で考えるべきではないかと思うのでございます。 そういう意味で、大臣にこの薬剤の一部負担についてお伺いするわけですが、薬剤の一部負担につきましては過去に失敗の実績もあるわけでありますし、薬剤の医療に占める位置というものを考えますと、今回の薬剤費患者負担は「角をためて牛を殺す」ことになるおそれがあるんではないかというふうにも考えます。この薬剤の五割負担という大きな患者負担につきまして、この考えを修正するお考えはないかどうか、お伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 戸沢さんがいまはしなくも例に引かれましたように、四十二年の夏の臨時国会において、健康保険法が与野党の最大の激突の問題となり、非常な混乱の結果成立をいたしました時点の最大の問題点が、この薬価の一部負担の導入でありました。そして、四十四年のやはり同じような与野党対立の中で行われた健保法の審議の際に、この特例法という考え方が修正をされ、その薬価の本人負担部分を除く特例法の内容というものは、健康保険法にそのまま引き継がれたわけでありますが、あの時点に薬価の一部負担というものを打ち出しましたのは、よく戸沢さんも御承知のように、あくまでも臨時応急的な財政対策としてこれを採用したわけでありました。そして、こうした本質的な問題を、こうした臨時財政対策の中に取り込むことがいいのか悪いのかというところからの御議論が非常に大きな混乱を招いた、そのように私は記憶をいたしております。 今回の改正案の中で、患者の一部負担の中に薬剤を取り入れましたのは、給付の面から薬剤問題の改善を促進をしていくためでありまして、現在いろいろな点から、医療の中における薬というものについての批判が世の中にあることも、御承知のとおりの状況でございます。ですから私は、これは必ずしも、四十二年の健康保険法の審議の際に与野党の論議の対象になったと同じような発想で、薬剤の一部負担というものを導入したのではないということをまず明らかにさせていただきたいと思います。しかし、それを離れまして、患者負担のあり方という点につきますと、これはいろいろな御議論もあると思いますし、また、私どもも薬剤の一部負担のみが患者負担のあり方であるとも考えません。ですから、今後、この問題については国民的な合意が得られるように、院の御審議においても十分御論議をちょうだいをし、また院のお考えというものも審議の場においてお教え願うことによって、より前進した考え方というものを取り込んでいくというつもりは私どもにもございます。
○戸沢委員 患者の一部負担につきましては、薬剤のほかに初診料とか入院料、給食費、そういったものをいろいろ考えておられるわけでありますが、これはそれぞれ意味はあると思いますけれども、この一部負担の窓口事務は非常に煩雑でござざいますし、また患者の側から見ても、いろいろな一部負担が多種多様にあるということは、非常に煩瑣な取り扱いを強制するわけでございます。この際、患者と診療側の双方の便宜も考えまして、患者負担を医療費の一定割合、たとえば一割五分とか二割とか、そういうような単純化するお考えはないかどうか。逆に言えば、それは保険の給付率を八割とか八割五分とかにするということでありますが、こういう考えに踏み切って検討なさるお気持ちはないかどうか、ひとつお伺い一したいと思います。
○橋本国務大臣 今回の改正案は、今後の医療費の動向とか保険料収入の伸びでありますとか、また家計における医療費負担の程度というようなものを勘案しまして、医療費の八割程度を保険で給付をいたしまして、二割程度を患者負担にしていただきたいという考え方に立ちましてまとめたものでございます。 ただ、それが今度は、患者の立場からすれば診療を受ける形態にもいろいろ差異があるわけでありまして、そうした点を考えながら、いま戸沢さんからまさに御指摘のありましたような患者負担というものを考えてきたわけでありますけれども、この考え方からいけば、一律に医療費の一定割合というものを患者負担とするのも私は一つの考え方であると思いますし、そういうやり方が決してなじまないものでもない、そういうふうにも思います。
○戸沢委員 しょせん、国民負担と医療給付との関係から、給付率というものをどの程度にするのが適当であるか、そこには一つの水準というものがあると思いますので、ひとつ患者負担の問題につきましても、そういう観点から検討することも大いに意味があるんじゃないかというふうに考える一わけでございます。 最後に、給付と負担の公平という問題、これは言うまでもなく抜本改正の大きな命題でございますけれども、今回の改正案で、本人と家族の給付率を同一にしたということは、これはわが医療保険史上画期的な改正であると、私は高く評価したいと思います。 もう一つ、負担の公平対策ですが、政府の改正案では、いわゆる財政調整につきまして、とりあえず健康保険組合相互間の財調を考えているわけでありますが、自民党のこの提案した財調法案、これにつきまして大臣はどんなふうにお考えか。ひとつ御感想をお漏らし願いたいと思います。
○橋本国務大臣 私は、いま政府の立場でありますから、議員立法の内容についてその可否を論ずることは必ずしも適切ではないという感じがいたします。 ただ、現在国会に提案をしております健康保険法の改正案におきましても、これは皆様よく御承知のとおり、将来、別の立法をもって、政管、組合のみならず、共済をも含めた、全被用者保険間の財政調整を実施するということを予定しているわけでありまして、その考え方からいけば、私は相反するものだとは考えておりません。 ただ同時に、これを実施するためには、各制度ともに、給付、負担、また管理運営面におきまして相当な差異があるわけでありますから、これを同じような条件にしていくということが必要でありますし、同時にまた、累積赤字の処理というものをどうするかといった問題も別途存在するわけでありまして、制度間の財政調整というものは、政府としては、これらの条件整備を図りつつ、段階的に実施する必要があるというふうに考えております。 そのため、今回御審議を願っております健康保険法におきましても、当面は、条件の比較的整った健保組合間における財政調整を行うという考え方を採用しているわけであります。
○戸沢委員 負担の公平を図るという意味から、財政調整の問題は非常に重要な問題である、また検討に値する問題であると思いますが、私は、財政調整の是非、あるいはそのやり方等につきましては、いろいろ考え方や方法があると思います。われわれも、今後、この問題については真剣に、また慎重にその内容を検討してまいりたいと思っておるわけでございます。 私の質問を終わります。
○森下委員長 次に、水平豊彦君。
○水平委員 私は、まず第一に、国民医療費の増大という問題についてお尋ねいたします。 先般、厚生省は、昭和五十二年度の国民医療の推計を八兆五千六百八十億と発表いたしております。国民所得に対する割合も五・五九%となりました。特に昭和五十三年度は十兆四千億、このまま推移するといたしますれば昭和五十八年は二十兆八千億に達するであろう。どうやってこれを賄っていくか、これはきわめて大問題であります。 もちろん、この国民医療が賃金や物価を上回って増大するならば、健保財政も赤字になるのは当然のことであります。負担というものは、いかなる負担でも少なければ少ないほど結構でございましょうが、これを賄っていくためには何らかの形で負担をしなければならぬ。 といたしますると、一つは保険料の引き上げ、あるいは一つは一部自己負担の引き上げ、あるいは国庫補助すなわち税金で補完するか、このいずれかの選択をせざるを得ないわけですね。 そこで、今回の改正案というものを一言で言うならば、加入者全員に共通した保険料の引き上げというよりは、医師に直接かかる患者負担を引き上げるという考え方を表に出していらっしゃる。 これにも一つの理由があるのでございましょう。健康に対する自己責任というもの、それが一つあるでございましょう。医療費格差を無視したところの同一所得同一保険料とするのは、かえって悪平等である。むしろ、所得と医療費の双方を勘案して負担の軽重度を認めるのが公平であるという意見があるのです。 もう一つは、保険とは相互扶助の精神が大事である。高額所得者より取るという形をとっていくならば、それこそ、医療というものは保険制度をやめて税金にしちまえというような意見もあるでございましょう。 そうした二つの考え方の中で、大臣は、今回の改正案を提案されるに当たって、その基本的な姿勢というものをいかなるところに置いておられるのか。適正なる給付率、適正なる自己負担、それから適正なる保険料というもののバランスは、いかなるものに求めていらっしゃるか。まずお答えを願っておきたい。
○橋本国務大臣 大変むずかしい問題点の御指摘でありますが、政府としては、ちょうど一昨年の健康保険法の審議の際、各党からいろいろな角度での問題点の御指摘を受け、それを今後の抜本改正のスケジュールとして、いわゆる十四項目という形で十一月に発表をいたしました。そして、その中において、今回私どもが目指しましたものは、一つは給付の平等、それから負担の公平、そして高額な医療のために家計に著しい圧迫を受けないようにする、ここに一つの基本線を置いたわけであります。 同時に、現在の国民の世論というもの、医療保険制度にいろいろな御批判があることも私どもは承知をいたしております。 同時に、オイルショック以降の今日における社会経済情勢の推移というものを見てまいりますと、いま水平さんがまさに御指摘になったように、大幅な賃金のアップであるとか所得の伸びというものはなかなか見られない。しかし一方で、人口の高齢化現象はますます拍車がかるわけでありますから、そのポイントだけをとってみても、高齢者がふえればふえるほど老人医療というものの圧迫が保険財政に影響を与えていく、どこかでバランスをとらなければならないという御指摘はそのとおりでありまして、そうしたところを私どもは勘案し、八割程度は保険で給付をする、そのかわり二割程度は患者で負担を願いたい。ただし、その二割というものにも一定の限界を設け、それ以上の医療費のかかる場合には、本人負担には高額療養費制度を設けてそこで抑える、そういう考え方を採用して、いま御審議を願っているわけであります。
○水平委員 いま大臣からいろいろな御所見を承ったわけですけれども、自己負担は二〇%ぐらいでいいだろうというようなことを端的に表明されました。いまの保険の実態は、数々の保険外負担というものがありますね。御承知のとおり差額ベッドしかり、付添看護しかりでしょう。こういうような保険外負担がたくさんある中で、それが必ずしも適正ではないというこの状態の中で、二〇%で大体適当であろうという考え方には、私は賛成しかねるのですけれどもね。そういうものを含めたらもう大変なことになるでしょう。保険外負担の問題というものを除外した上で二〇対八〇というようなお答えは、ちょっと虫のいいパーセントじゃないかなと私は思うのですが、どうですか。
○石野政府委員 具体的な数字で申し上げた方がおわかりやすいと思いますので、その数字で申しますと、現在の給付水準が八八%でございます。これを今後の医療費の伸びに合わせまして積算いたしますると、昭和五十三年度の政府管掌健康保険の場合の保険料率で実は千分の八十でございますが、これでも赤字でございます。これを単年度でもしバランスをとるとすれば、恐らく八十三ないし八十四ぐらいの数字でなければならない。 同時に、いま先生おっしゃいましたように、五十八年度の医療費の伸びを見ますと約二十兆二千八百億、こういう数字でございます。これを単純に、現行の給付水準で当てはめまして保険料率を算定いたしますと千分の百四、こういう数字になるわけでございます。医療保険だけで千分の百四でございまして、これにさらに年金の問題とかいろいろな問題が重なってまいりますると、保険料負担に果たして耐えられるかどうか。そういうことを考えてまいりますると、保険料率をそれほど上げることはできないではないかというふうに結論を出すのは当然だと思います。 そういう意味で、できるだけ給付水準の面はがまんしていただいて、しかも保険料率の方はほどほどにしていくという考え方をとりますると、八割給付というものを原則にいたしまして、若干の高額医療の負担によりまして給付率を改善する、これしか方法がないのではないかというのが私どもの結論でございます。
○水平委員 いまの局長の答弁、よくわかりますけれども、私は、数々の保険外負担をそのままにしておいて、しかもなおかつ給付水準を下げていかなければならぬ、ここのところがいけないと言っているのです。そうでしょう。今回のこの改正案は、一口にして言うならば、給付水準の引き下げと薬剤費の二分の一自己負担等によって保険財政を賄っていこうというのですね。財政上はいいでしょう、それで楽になりますから。ところが、財政上は楽になるけれども医療の実効的なあり方というものがそれでいいかどうか、効率的な医療供給体制というものが保障されるかどうかということを念頭に置いて考えていくならば、あくまでこれは財政上のつじつま合わせだと言わざるを得ないと思うのですが、どうですか。
○石野政府委員 大変失礼いたしました。 保険外負担の問題との絡みで申し上げなければならぬわけでございますが、保険外負担につきましては三つございます。一つは差額ベッドの問題、それからもう一つは付添看護の問題、それから歯科差額の問題、この三つが大きな保険外負担であると思いますが、第一の差額ベッドにつきましては、これはあくまでも行政措置という形でいままでやってまいりまして、かなりの改善を見てきたわけでございます。一〇〇%その差額ベッドを解消するということはこれは不可能でございますし、また、その必要性があるかどうかにつきましては論議が分かれるところでございますが、できるだけ私どもの方は適正な差額ベッドというものについての指導をいたしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○水平委員 差額ベッドの話とかあるいは付添看護の話は、後ほどまた私はじっくりとお尋ねをいたしますが、まず国民医療の増大の中で、もう少し質問を続けたいと思います。 それは何かというと、国民医療費の増大は、一つには診療報酬の引き上げと言われるように、政策的な増がありますね。片一方では自然増があります。この自然増は何かというと、たとえて言うならば人口の高齢化あるいは疾病構造の変化、まあ昔は疾病構造と言いましても結核が中心だった、それがいまや、治療期間の長いと言われる成人病とかあるいは慢性疾患がありますね。あるいはさらには高度な医療技術、CTスキャナーとかCCUとかICU、新しい高度技術が取り入れられている、それの償還問題がある。あるいは新薬の開発。これらのものは皆自然増ですよ。こういった政策増とか自然増というものは、私は全面的に肯定せざるを得ないと思うのです。 ところが、ここで一つ二つ、感心しないことを指摘しておきます。 それは何かというと、一つは医療供給体制の不整備であったということなんですよ。その医療供給体制の不整備であったがために、そのしわ寄せが健保財政の中にも入り込んできていると言わざるを得ない。たとえて言うならば何かと言えば、無医地区の放任ですね。救命救急体制の不完備もそうでしょう。それから予防健康管理体制といいますか、これは本来は保健所が中心となってやらなければならぬのですが、保健所にはその機能が十分発揮されていない。 さらに私が特記したいことは、公立病院なんですよ。この公立病院というものは、一口にして言うならば、独立採算制がしかれており、したがって、独立採算制であるがゆえに、不採算制医療とか高度医療を敬遠しがちなんです。したがって結局はどういうことになっておるかというと、一般開業医と競合しておるのです。本来共存すべき公的な病院というものが、競合をするというような実態ですね。私は、地域住民の健康状態を一番よく知っているのは開業医だと思う。開業医の診断を受けて、さらに高度な医療というものを公的病院等が受けとめていくという、病院と開業医の有機的なネットワークよろしきを得なければならぬというのが、私の指摘したい一つなんです。それが、あなた方の行政指導というものが不十分であったがために、今日のようなていたらくの公的な病院なんです。 こうした面についての行政的な責任をどのようにしてお考えになるか、まずお答え願いたい。
○橋本国務大臣 いま水平さんが御指摘をされた中には、二つの大きなポイントがあると思います。 一つは、確かに平均寿命の延長でありますとか乳児死亡率の低下だとか、また結核を初めとする感染性疾患の激減などということによる、国民の健康水準が非常に向上していること。またこれは、医療水準の向上だけではなくて、予防接種でありますとか健康管理などの公衆衛生活動というものの成果だということも、評価ができるでしょう。同時に、近年の人口構造の変化、いわゆる高齢化社会の出現による有病率の高い老人層の増加。それに伴う疾病構造の変化。また、国民の生活水準や教育水準の向上に伴った健康に対する認識の変化。そして、そういうものから出てくる保健需要の高度化、多様化という傾向。こうしたものを私も決して否定はいたしません。 ですから、五十三年度から、国も、いわゆる「生涯を通じる健康づくりの推進」というものを施策の中心に取り上げて、婦人の健康診査を初めとする各種健診の充実強化ですとか、あるいは健康づくり体制の基盤整備でありますとか、健康づくりの啓蒙普及活動等の事業を展開し始めたわけであります。 その保健所を中心とした公衆衛生活動に不十分なところがあったという御指摘は、これは地域によって、私ども否定をし得ない部分もあるかもしれません。ですから、具体的にいま、私どもが、市町村の健康づくり推進協議会の設置等を中心とし、また市町村保健センターの整備でありますとか、保健所の機能強化、あるいは保健婦の活動の推進、地区組織の育成などというものにいま力を入れながら、そうした需要にこたえようとしている一わけであります。 また、その医療資源の効率的な活用という観点からの御指摘もあったわけであります。 確かに、救急医療とか僻地医療対策というものに、私どもは従来から、緊急性が非常に高いということで取り組んでまいったわけでありますが、まだ現在においても、全国的に見れば千八百カ所余りの無医地区を抱えている状態でありまして、なお、こうした分野に全力を挙げなければならぬという御指摘については、私どももそのとおりにこれを受けざるを得ません。 ただ、その医療機関の機能分化について、現行制度上、病院、診療所を区分しているほかに、総合病院制度を設けて、患者の方々が、それぞれ需要に応じて、ふさわしい医療機関を選択できるようにしているわけでありますが、その中において、それぞれの医療機関の有機的連係にも欠ける部分があったのではないか、具体的には公立病院を指摘の対象として御議論があったわけでありますが、私ども、こうした点についてはなお努力を図らなければならないと思います。 ただ同時に、その不採算医療と言われる部門にも、まあ公立病院という御指摘がありましたけれども、公的医療機関等も含めまして、こういう問題にどんどん積極的に乗り出してもらわなければならぬわけでありますから、厚生省としても、不採算医療等に対し、また不採算地域の医療に対し、国としての助成措置を今日までも講じてまいりました。むしろ、私どもは、もっとこうした問題に、公立病院を含めて公的医療機関が積極的に取り組むような努力を、これは財政面の裏打ちもそうでありますが、それぞれの地方自治体とすれば、地域の住民のために設立される病院なんでありますから、そうした点にも十分考慮をいたされて前進を図っていただくように、努力をしてまいりたいと思います。
○水平委員 その点は、橋本大臣の積極的な今後の姿勢に御期待申し上げます。 もう一つは、先ほど戸沢委員からもお尋ねがあったと思いますが、乱診乱療だとか、あるいは検査づけとか、あるいはまた薬づけという言葉がありますね。きわめてセンセーショナルな言葉なんですが、(「ある、ある」と呼ぶ者あり)現実にあるといたしまするならば、これはもう完璧に、厳重に監視すべきであろうと思うのです。 ただ、ここであえて申し上げたいことは、では、検査づけというのはどこからどこまでが検査づけでしょうかね。血液検査とかあるいは尿検査というものはもう一般的でしょう。検査をすることによって、これは成人病を発見する有力なる手段であります。何回までの検査だったらばよろしいが何回以上だったら検査づけだというのは、私は言葉がちょっと当てはまらぬと思うのですね。 薬づけでもそうじゃないでしょうか。日本における薬は医療費の中に占める割合が多いと言われているのですけれども、日本の医療費は何かといいますと、傷病の治療にかかった費用ですね。では薬剤費は何かというと、入院と外来で合わせて使われたのが日本における薬剤費でしょう。だから分母が小さくて分子が大きいわけですよ。外国の場合の医療費というものは、傷病の治療にかかった費用に分娩代が入り、めがね代が入り、病院の建築費まで入る。そうした大きい分母の中で、薬剤とは薬局で処方、調剤された薬のみだ。入院患者分というものは入っていない。こういうところにも明らかに、薬というもの、薬剤の量に対する概念が違います。また、薬局で調剤——薬局の薬というのは何かというと、幾種類かの合剤なんですよ。医者の薬というのは一錠一成分、量がかさばるのです。これは医師が決めたわけではなく、国が決めたことなんですね。 私は、今日の医療制度というのは、だれが何と言っても、医者のモラルと患者の自覚なんです。だから、医者と患者の間の信頼関係というものがなかったならば、今日の医療体制というものは私はあってなきがごとしだ、こう思うのです。だから、こうしたセンセーショナルなことでいたずらに真のあるべき姿がゆがめられるということは、私は非常に心配する。この点について、むだがある、むだがあるということをよく聞きますけれども、そして、真の効率化を図っていけ、効率的に運営していけとよく聞くのでありますが、一体何がむだで、どこをどうしたら効率的になるのか、私のいま御指摘申し上げました面から、さらには医師と患者の間における信頼感回復へのあり方について、私は御所見を述べていただきたいと思います。
○石野政府委員 ただいま検査の問題、薬剤の問題についての御指摘があったわけでございますが、薬剤の問題について申し上げますと、確かにおっしゃるように、日本におきます薬剤の比率が高い。それは諸外国に比べて高いという御指摘で、それについてはいろいろ問題があるではないかということでございますが、それはそのとおりでございます。 五十一年の政管健保について発表いたしました数値では、三七・三%が薬剤費の比率になっております。しかし、これをその当時の西ドイツなりイギリス、フランス等と比べた場合にどうかということになりますと、やはり分母、分子の関係が違いますので、三七・三%と他の諸外国の比率とをそのまま比較するわけにはまいりません。一応同じベースに直しまして計算してまいりますと、五十一年の時点で大体三一%というのがその数字になるわけでございます。そのときに、西ドイツでございますと約二〇%、フランスでも二一%でございますので、やはり、そういう数字を直しましても比率が高いということは、これは事実でございます。 どうしてそうなるのかということになりますと、これはやはりいろいろ問題がございまして、確かに、一つは医師のモラルの問題もございましょう。それから、国民の薬に対します過度の信頼という問題もございましょう。そういうものにつきましての対策を考えながら、いわゆるむだ排除というものをしていかなければならないというふうに、私どもは基本的に考えておるわけでございます。 そういう意味で、第一には医師のモラルの確立と、それから国民の薬に対します過度な信頼感というものを、もっと被保険者教育によって是正していくという措置も必要であると思いますけれども、同時にやはり、行政的にでき得る限りのむだを排除するということは、これは当然だと思います。 そういう意味におきまして、薬価基準の問題について前向きで対処していかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
○水平委員 次は、私は、一部自己負担の問題についてちょっとお尋ねいたします。 今回の改正は、本人と家族の医療給付を同率にするために、一部負担金も大きく改定されるということになっておるわけですね。 そこで、先ほども局長からちらっとお話がありましたが、今回の改定案は、本人、家族とも平均給付率は八八%から八三%と、かなりダウンしておりますね。二〇%くらいは自己負担でいいじゃないかというその言い分からするならば、まだ三%余っておるというような感じがせぬわけではないですけれども、先ほど来申し上げておるように、現行給付水準を下げて財政の補てんに充てるということは余り感心しません。しかも今回、この改正案によると入院の場合は九二%なんです。外来の場合は七六%の給付率が予測されますね。そうじゃないですか。このことを解釈いたしますと、つまり入院のときには負担が軽く、外来には負担が重いということですね。 これも、厚生省が先般発表されました資料によりますと、盲腸の手術で言うならば、たとえば八日間入院した場合、注射を六回打って、十四日分の投薬をされたとすれば、現行では二万七百十二円、改正案だと一万三千三百五十五円、明らかにこれはマイナスになりますね。改正案では低くなる。流感の場合、二日間通院しそして五日分の投薬があったといたしますと、現行では千三百二十九円、改正案では二千二百三十円と、これはプラスなんです。もちろん、限られた医療費の効率的な使用、こういう考え方であろうと私は思うのですけれども、この外来に対する給付率が七六%に大幅にダウンするということは、明らかに受診抑制につながると私は思うのですね。 大体、初期の段階というものは大事ですよ。早期発見、早期治療というものは診療におけるところの大原則でありますから。たとえて言えば、千葉大常の中山教授は、粘膜がんの治癒率は、粘膜がんという初期的な段階のときには八〇%だと言うのですよ。これが粘膜組織がんになりますと六〇%で、筋肉層がんになるとこれは二〇%以下というきわめて低い治癒率になってしまうというのですね。こういったところからもおわかりのように、いかに早期発見、早期治療というものが大事であるか。そういうものを妨げるような受診抑制というものは、断じて許されてはならぬと私は思うのでありますが、この点の御所見を承っておきます。 先ほども戸沢委員が「修正されたらどうですか」と言って、戸沢先生大変紳士なお方ですから、非常におとなしくそこを表現されてみえましたが、私は、今回の改正案の中では一番大きな根本問題はここにあると思うのだ。私は、これは明らかに引っ込めるべきだと思うが、いかがですか。
○石野政府委員 給付水準を幾らにするかということにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、やはり、保険料負担とのバランスでどの程度が適当であるかという判断、選択の問題であると思います。その場合に、一部負担に何を課するかというふうな考え方に立ちました場合に、初診時の一部負担あるいは入院時の一部負担あるいは薬に着目した一部負担、いろいろな考え方があると思います。あると思いますけれども、やはり一番端的に、給付率の問題を考えてまいりますと、八二なり八三%ぐらいが現行の水準を引き下げてやっとバランスがとれるという状態でございますので、そのような形の一部負担を考えざるを得ない。その場合に、私どもは薬に着目した一部負担を課したわけでございますけれども、同時に、それが、いろいろな形で外来の給付率を引き下げることによって、受診抑制につながるではないかという御指摘でございます。 確かに、早期発見なり早期治療が必要でありますことはこれは論を待ちませんけれども、同時に、どの程度のものであれば受診抑制になるのかということになりますと、いろいろ議論があると思います。 私どもはあくまでも、この改正案におきましては、受診の際窓口での患者負担が多額になることを避けるために、たとえば手術でございますとかあるいは検査、麻酔、輸血、そういうものに使用されます薬剤なり、あるいは長期間かつ高価な薬剤につきましては、一部負担の対象から外しておるわけでございます。こうした措置によりまして、いわば重症でかつ高額の費用がかかります患者につきましての窓口負担は相対的に減少する、さらに言えば、薬価基準の適正化等によりましてさらに窓口負担も軽減できるというようなことでございますので、私どもは、これによって必要な医療が阻害されるということはまずないであろうというふうに考えておりますので、これを訂正する気持ちはございません。
○水平委員 いろいろと答弁がありましたけれども、たとえて言えば、外来といっても、腎透析のように非常に費用の高くつくものがあるのですから、それを、外来は軽症で負担率が低いからといって、それを肯定されるようなことはちょっとおかしいと思いますね。 だから、先ほども大臣から御答弁がありましたけれども、かつて健保特例法があって、受診抑制とか投薬抑制が起きたという事実があるでしょう。さっき大臣から答弁があったのですよ、昭和四十二年から四十四年にかけて。そういう実績を踏まえて、何でこんなものをいまごろ出したかというのが私にはわからないのですよ。さっきの局長の御答弁は、重症、重度医療に重点を置いておるのだから、そちらの方には相当負担率が軽くなっておると言うのですが、それはそれでいいと思うのです。そのことをぼくは何とも言っていないのですよ。外来というのは比較的軽症だからと、こういう意見のあることも知っておりますよ。軽症の場合はある程度自己負担でもいいじゃないか、重症の場合にはゆったり、ゆったりと言うと表現が悪うございますが、安心して治療にかかれるようにこうしたらどうだ、という意見のあることも知っているのです。私は、重症になってしまってはいけないからということで、軽症の段階において受診抑制が重なることによって大変なことになってはいかぬ、かえって医療費が増大することにつながるのじゃないかということを、そういう意味から言うておるわけですからね。その点、もう一度答弁し直してください。
○橋本国務大臣 いま水平さんから御指摘のありました点は、確かに、私どもも考えなければならないポイントであることは間違いがありません。言いかえれば、それは診療所における医療費、また病院における医療費、その配分という問題にも関連するものだと思います。 ただ、この案をつくりました時点の考え方というものを局長から申し上げましたわけでありまして、私は、現在の社会経済情勢の中で将来をながめました場合に、やはり一定程度の自己負担というものはどうしても必要にならざるを得ないという客観情勢があるということを、先ほどから申し上げております。この点は水平さんも御了解がいただけると思う。 たまたま、薬剤の一部負担について例示でいまおしかりを受けたわけでありますが、先ほども私が申し上げましたように、一部負担のあり方についてはいろいろなやり方もあろうと私どもは思います。ですから、政府案としていま私どもが考えてこういうものを出したわけでありますが、それは、四十二年当時に大変強い批判がありましたのも、薬価の一部負担というものは抜本改正の中でやるべきものであって、臨時応急の財政対策でとるべきものではないというのが、当時の一番の御指摘であったように私ども記憶いたしております。 今回、その抜本改正第一着手というところで、負担と給付のバランスをとっていく中にその一部負担の考え方を政府は採用したわけでありますけれども、先ほどから申し上げておりますように、これは国民的な合意によって成立させていかなければならない制度でありますから、その患者の一部負担のあり方については、先ほどの戸沢委員の御意見も含めていろいろな考え方があろうかと思います。本院また参議院における御審議の中において、よりよい方向が見出されることを私どもも期待いたします。
○水平委員 大臣からいろいろと配慮された答弁をいただいたわけでありますが、私は、何にしろ、この薬剤の一部負担が引っ込められない限りは、この案には賛成いたしかねます。 先ほども戸沢委員が指摘されておったと思いますけれども、自己負担させることによって患者も薬をもらうのに慎重にならざるを得ないであろうという魂胆があるに違いないと思う、こういうようなお話しがありましたね。私はここのところをけしからぬと思うのですよ。もしも本当に薬づけというものをこういう形で自覚させようとするならば、あなた方の指導下にあるところの公的病院と一般開業医と一体どっちが多量に薬を使っているか一遍答えてください。そういうことの患者当たりの調査をなされたことがあるかどうか。あわせてお答えを願いたい。
○佐分利政府委員 大まかに申し上げますと、薬の割合はやはり大学の付属病院が一番多いかと思います。また、その他の病院では、大きな高度の機能を持った病院が多いわけでございますから、自然、国公立の病院の方が多くなっていると思います。
○水平委員 そのとおりなんですよ、何の資料に基づいてお答えになったかわかりませんけれども。今日までの厚生省の見解を承ってまいりますと、その端々に、薬づけだとか薬を多量に使用するということになると、それはみんな一般開業医のような錯覚をあなた方は与えるのだ。 私の持っている調査をちょっと御紹介いたします。 これは外来患者の点数調べで、昭和五十四年三月の診療分でございます。病院の件数は一万九千五百四十八、これは六つの病院を対象といたしております。それから九つの診療所、六千百四十一、これを対象といたしております。その結果は、一日当たりの診察行為別の内訳、一件当たり投薬の点数は、病院では六百四点なんですよ。診療所、一般開業医は三百九十点。一日当たり投薬の点数は病院では三百二点。開業医では百三十五点。そして、今回の改正案のように薬剤費の半分を窓口負担にした場合には、病院では一千五百十円を支払わなければならぬ。一般開業医でございますと六百七十五円なんですよ。これは国民健康保険の患者を対象として調査をした結果でございますけれども、一番肝心な調査というものをきちんとなさって、私の質問を受けるまでもなく、今日までに、その実態を明らかにしておかれるのが、厚生省としてのとるべき態度ではないかと私は思うわけでございます。 私が一体何をここで言いたいかというと、今回の薬剤費二分の一自己負担というのは、先ほどもちらっと答弁があったかと思いますけれども、薬価基準の取り扱いによってその適正化を図ることが本筋だと思うのです。収支バランスをとるためという財政的な意識だけで、この健保改正案の中にこれを取り込むということは間違いであるということを私は言いたいのですよ。 確かに、薬価基準も従来の統一限定収載方式から銘柄別収載方式に改められた。少しずつ改善されているのです。だが、まだまだ調査も厳格ではない。自計調査に他計調査をプラスしてしっかりとやれとか、あるいは薬価の決定方式も、オンライン方式とかテレスコープ方式とかカットオフ方式がありますね。そういう方式もきちんとしろとか、改善すべきものがたくさんあるので、それを進めていくことでこの問題を解消すべきであると思うのですが、もう一回御所見を承っておきます。
○石野政府委員 薬の問題、確かにこれは単に一部負担の導入だけで解決できる問題でないことは、私も十分承知をいたしております。 これはやはり、まず多角的に薬の問題についてどう対処すべきかという基本戦略があって、その上で何をなすか、こういうことになるわけでございますが、私どもは、一つにはやはり、ちょっと申し上げましたけれども、医師のモラルの問題があると思います。それからもう一つは、被保険者と申しますか国民の薬に対します過信と申しますか、信頼度というものが過大であるのではないかという問題もございます。同時にやはり、行政的に一番しなければならぬ問題というのは薬価基準の適正化という問題であろうと思います。 薬価基準適正化の場合に一番大切なことは、薬価調査というものが厳正に行われる、薬価基準と現在の薬価の間に開きがない、少なくとも乖離が少ないということにしなければならないじゃないかということで、私どもの方は、実は薬価調査の方法につきましても昨年の六月に大幅な改正をいたしまして、できるだけ薬価の適正化に努めるという考え方をとってやっております。 同時にやはり、薬価基準そのものにつきましても、これからどういう方式でやるべきなのか、いろいろ検討しなければならぬわけでございますが、これは御存じのとおり、中医協という場がございます。その場においてまた議論をしなければならない、こう思っておるわけでございますが、同時にやはり、薬の一部負担を導入することがいいか悪いかという問題についての御論議がございますけれども、やはり何がしかの負担をしてもらうということは、国民の自覚の問題もございましょうし、いわば被保険者の教育という問題もございましょうし、いろいろな角度から、給付面におきましてある程度の制限をするということも、行政的に考えてはならぬということはないのじゃないか、こういうふうに思いまして、実はこの法律の改正案に盛っているわけでございます。
○水平委員 では、薬でもう一つだけお尋ねをいたしておきます。 日本薬剤師会あたりは指数バルク方式とかいって、全体量の加重平均価格に一定の指数を乗じて薬価を算出する方式を推奨している、こういうことですね。これは一体どうかということです。それをひとつ。
○石野政府委員 たしか愛知県かどこかの薬剤師会の先生が御発表になった数字じゃないかと思いますけれども、薬のバルクの問題についていろいろな考え方がございますが、やはり一長一短がございまして、なかなかこれがいいという案ができないのが実情でございます。中医協におきましても過去にいろいろ議論をいたしましたけれども、必ずしも適正な結論は得られなかった、こういうこともございまして、非常にむずかしい問題でございますので、それは、私どももそういうことについては勉強させていただいておるわけでございます。
○水平委員 それから一つ私が付言しておきたいことは、このごろの薬剤は非常に製品が大型化しておりますね。ですからそれを全部使い切れる場合はいいけれども、使い切れぬ場合は余ってしまうわけですよ。一定の有効期間を過ぎますと、薬みずからの持っている力価というのがありますね。この力価を越えてしまって廃棄処分にしなければならぬ。それを廃棄せずにそのまま使用しようとするならば、大変な化学変化を起こして患者に迷惑を及ぼしますね。ここらの実態を、流通過程とかあるいは使用量の中でよく考えていただいて、その分をインコストできるような形で薬価を決めていくということも、配慮していただかなければいかぬと思いますね。これを一つつけ加えて申しておきます。 それから、私は、医療の中でよく物と技術の分離ということを聞くのですけれども、大体薬価が一四〇%で食費と原材料費が一五%、合計すると五〇%以上になりますね。こうした実態から、技術料が圧迫されている。このことは、支払い側も診療側も不満とするところで、次期診療報酬改定からは逐次改善していきたいと言っておられるわけでございますけれども、物と技術の分離というか、技術料に対する正当な評価というものはどういうふうに思っておられるか。御見解を一言承っておきます。
○石野政府委員 物と技術の分離という問題につきましては、新診療報酬体系ができましてから最大の課題でございまして、何回かの改正をやりました段階におきましても、技術料を適正に評価するということについて、できる範囲内のことをいままでやってまいりました。 しかしながら、医療技術というのはどんどん進歩してまいりますので、それを追いかけるのも実はなかなか大変だという問題もございますし、それから、保険財政の面からどこまでそれを財政的に確保できるかという問題もございまして、医療機関側の御要望になかなか一〇〇%こたえるだけのものにはなってないと思いますが、財政の許す範囲内におきまして、技術を正当に評価するということはやはり必要なことではないかというふうに考えております。
○水平委員 私は、次に歯科の問題についてお尋ねいたします。 子供たちの虫歯の罹患率というものは上昇の一途をたどっておって、いまでは九〇%を超える羅患率だと言われておりますね。現在一歳半児及び三歳児に健診等が行われている、そしてこの予防に取り組んでおる姿勢というものは、きわめて熱心でありますから、私は非常に敬意を表するわけでありますが、青少年の歯科対策をもっともっと積極的に講じる必要があるのではないか。特に幼児の歯科疾患対策は、現在の一歳半児健診を契機に六歳になるまで、毎年一回の無料健診を実施すべきだと私は考えます。 そこで、厚生省の見解は、こうしたことの実現のためにどのような具体的な方策をお持ちになっておられるか。この二つについて述べていただきたいと思います。
○佐分利政府委員 昭和五十年の歯科疾患実態調査によりますと、一ないし十五歳未満の齲蝕有病者率は、乳歯で六二・五五%、永久歯、つまり五歳以上で八五・五三%、また乳歯と永久歯を合わせますと九七・二四%となっております。 小児の虫歯は、その性質から、治療のみでなく予防が重要であることは御指摘のとおりでございます。小児歯科予防対策につきましては、従来から、母子保健法に基づく三歳児及び一歳六カ月児の歯科健康診査による予防処置を行いますとともに、歯の衛生週間などを通じて、国民に歯の衛生思想の普及を図っております。 なお、乳幼児期を通じて、系統的かつ継続的な歯科保健対策を講ずべく、昭和五十一年七月に小児歯科保健対策検討会を設置し、現在鋭意検討を重ねておるところでございます。 なお、先生は、六歳までの歯科の健診を無料にしたらどうかというようなお話がございました。そのような考え方もあるわけでございまして、厚生省の施策の三歳児の健診とか、母子の健診から、現在では一・五歳の子供の健診まで、公費で負担するようになってきたわけでございます。御指摘のような方向で将来積極的に対処すべきであろうと存じますけれども、歯科の予防につきましては、欧米各国で見られますように、やはり母親が、子供の歯の衛生の管理についてどのように積極的に対応するかということが最も大切でございます。要するに衛生教育が大切でございます。したがって現在は、もっぱらそちらの方面に力を注いでいるところでございまして、おかげさまで、乳歯の虫歯についてはだんだん減るような傾向になってきたと考えております。
○水平委員 これからも前向きで検討し進めていくというお話しでありますから、ぜひ六歳児までの無料健診をお願いしたいと私は思うのです。しかとお願いをしておきます。 私は、特に重要な問題ですが、歯の治療について特にお尋ねしておくのですが、国民の歯科医療の実態というものを見るまでもなく、歯科医学上の立場から見ましても、歯の保存修理及び歯冠補綴までは完全に治療処理の分野であると考えられるわけであります。ところが今回の改正案では、薬剤費と同じように歯科材料費は患者の二分の一負担となっておるわけです。このことは歯科の治療体系から納得できない。材料費だけを分離することなく、十割給付にすべきであると私は考えるわけでございます。このことは、従来からさらに受診抑制につながる、いわゆる医療の低下だと私は断ぜざるを得ないわけでありますが、ひとつまた、しかと御答弁願います。
○石野政府委員 確かに先生のおっしゃること、歯科医師会からも御要望もございます。今度の歯科差額の問題につきまして、材料費について二分の一というふうにいたしたわけでございますが、これにつきまして、やはりどの程度のものか、これに全部該当さした方がいいのかどうかにつきましては、確かに議論がございますけれども、私ども現段階では、すべての問題について材料については二分の一にするという方針をとっておるわけでございます。しかし、これにつきまして歯科医学の面から妥当でないという問題があれば、これについてはまたいろいろ御議論願いたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○水平委員 わかりましたけれども、たとえて言えば、いま保険外負担であるところの金とかポーセレンでも、できることならば保険内で取り上げてもらいたいという要請があるくらいでしょう。どうしてもいかなかった場合には、材料の差額代だけでもいいからというところまで来ていますね。それを、いままで保険の中でやっていったものをわざわざ取り出して、しかも二分の一の負担をさせようということは、先ほど私が指摘いたしましたように、明らかにこれは歯科医療の後退を意味しているのだ。だから、日本歯科医師会は当然でありますが、国民も大いにこの点を強く要求しておるわけでございますから、先ほどの御答弁をさらに強化されて、これは前向きに検討していただきたいと私は思います。 次に、私はお尋ねしたいことは、保険料の算定基礎に賞与等一時金を含めるという、いわゆるボーナス問題について一言お尋ねいたしておきます。 ボーナスというものは、景気のいい会社もあれば悪い会社もある。景気のいいときも悪いときもある。いわゆる支給の回数も違えば、支給率も違う。したがって経済変動の影響を受けやすい性質のものでありますが、これを今後——先般は臨時的な措置としておやりになっておられたようでありますが、今後は標準報酬月額とともに恒久的な保険料算定の基礎とすることになったわけでありますが、その点問題がありはしないかということについてお尋ねいたします。
○石野政府委員 今回の改正案におきまして、保険料負担の公平を図るという見地から、実は賞与等をその算定の基礎に含めるとしたわけでございます。 確かに御指摘のように、個々の企業のボーナスの支給状況を見てまいりますると、年次によってかなり変動がございます。しかしながら、毎勤統計等を見まして、たとえば夏期、冬期の全産業についてのボーナスの支給状況を見てまいりますると、年々増加の一途をたどっておりまして、マクロの数字では必ずしも経済的な変動を受けてない。個々の企業につきましてはいろいろございますけれども、マクロの数字から見まするとそう大きな変動はない、こういうことでございます。したがいまして、これを算定の基礎にいたしましてもそれほど大きな不合理はないと思うわけでございますけれども、せっかくの御指摘でございますので、十分経済変動の影響も考慮しながら保険料率というものを毎年決めざるを得ない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○水平委員 では、さらにお尋ねいたしますが、確かに御答弁のように、ボーナスの実態というものは高所得者ほど支給率が高い、低所得者ほど支給率が低い、額も低い、だからボーナスに保険料を掛けることは、より公正、より公平な負担と言えるであろうとは私も思います。しかし、保険料算定を根本的に改正するというような法改正であるからこそ、今回の改正に当たって、基本的な見解として総報酬制によるべきか標準報酬制によるべきか、まずこの基本的な態度が明確にされない限りは抜本改正とは言えぬ、私はこう思うわけでありますけれども、その点についての御見解を申し述べていただきたい。しかも、労災や失業保険や国保も、これはある意味において総報酬制でありますね。これとの関連において私は注目すべきだと思うのですけれども、この点についての御所見を承っておきたい。
○石野政府委員 ボーナス入からの徴収というものを恒久対策にするということにつきまして、確かに理念的には、これを総報酬制にするかどうかということの態度を決めた上でやるべきではないか、こういう御意見、私もよくわかるわけでございます。 しかしながら、総報酬制に踏み切るということにつきましては、これは医療保険だけではございませんで、年金につきましても同じ問題がございます。そういう問題を含めて考えますと、社会保障全体の中で、保険料というものをそういう総報酬制に切りかえるかどうかにつきまして、十分な論議をしなければならない、こう思うわけでございます。 残念ながら、現在の段階におきまして、その結論が出ておりませんので、ボーナスからの徴収につきまして、将来のことは別といたしまして、現段階での不均衡是正という意味から、ボーナスからも徴収すべきである、こういう判断でいたしたわけでございます。 しかしながら、御指摘の総報酬制に今後切りかえていくのかどうかにつきましては、十分論議を尽くしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○水平委員 次に、保険料率の弾力的運営の問題がありますね。戸沢先生からもお尋ねがあったかと思いますが、一言だけ聞いておきます。 ボーナス等も算定基礎に含めるという保険料率が、今度は厚生大臣によって弾力的に運営されるというものでありますが、このことは、真の医療のため、医療費の効率的な使用を図ることは、これは当然です。当然ですが、結果は、収支のバランスをとれればいいんだ、したがって、そのためには保険料率の引き上げも、千分の八十以内とはいうものの自由に引き上げてもいいんだというような安易な考え方につながるとするならば、これは私はちょっとどうかと思うわけでありますが、大臣の御所見を一言承っておきます。
○橋本国務大臣 理屈の上で言いますと、確かにそういう心配をされても仕方がないと思うのです。ただ、これは厚生大臣の手によって決定すると申しましても、社会保険審議会の議を経てという一つの歯どめがあるわけでありまして、ここでは各側の代表の方々がおられて御議論をいただくわけでありますから、そう野方図な状態ができるとは私は考えておりません。ただ、その運営に十分心をいたさなければならないという御指摘は、私もそのとおりだと思います。
○水平委員 私がこれを何でお尋ねしたかといいますと、これは、厚生省側の見解をお尋ねすればいろいろな理由があると私は思うのですが、昨年この改正案を提案しようとされたときには、保険料率はボーナスを含めた場合千分の六十四ぐらいだと言っておられましたが、それが一年たったならばもう千分の七十でしょう。だから、このようにとっとと変わることに、われわれは一つの不安感を覚えるということと、ただいま厚生大臣は、審議会があるから、その審議会できちっと歯どめがあるのだとおっしゃったのですけれども、政令事項に委任されても審議会で審議してもらえればいいようなものの、やはり法律事項から外れるということは、国会の審議という場を経なくてもいいということになるわけでしょう。それだけ、われわれから見ると非常に不安感を覚える。それだけにこの点は特に配慮されたい、そういう気持ちでお尋ねしたわけですから、その点ひとつ十分御了承いただいておきたいと思います。 では次に、私は、保険医療機関等の指定拒否理由の法定化について、お尋ねいたします。 現行法における第四十三条三の二項は、私、読みますと「都道府県知事保険医療機関又ハ保険薬局ノ指定ノ申請アリタル場合ニ於テ其ノ指定ヲ拒ムニハ地方社会保険医療協議会ノ議ニ依ルコトヲ要ス」とあるんですね。これは現行法ですよ。今度の改正案では、ずっと続いて、途中からですが「本法ノ規定ニ依リ保険医療機関又ハ保険薬局ノ指定ヲ取消サレ二年ヲ経過セザルモノナルトキ其ノ他保険医療機関又ハ保険薬局とシテ著シク不適当ト認ムルモノナルトキハ其ノ指定を拒ムコトヲ得」と、こうあるわけなんですよ。従来、保険医療機関の指定または取り消しについては、現行法の第四十三条ノ十四の二項によって「地方社会保険医療協議会二諮問スルモノ」となっておるわけです。この条項は改正されませんから、指定または取り消しについては従来どおりでいいわけなんですね。これは納得できるのです。しかし問題は「著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」なのであります。従来は、さきに私が申し述べましたように、第四十三条ノ三の二項にあるように「地方社会保険医療協議会ノ議ニ依ル」ことを要したのでありますが、今回の改正案の中にはそれが外されている。単に「拒ムコトヲ得」ということになっているだけなんですね。このことは、健康保険法一部改正に当たっての法律案要綱においては「著しく不適当と認めるときは、地方社会保険医療協議会の議により保険医療機関等の指定をしないことができることとすること。」と述べております。要するに、法律案要綱の方にはうたってあるわけですよ。ところが、肝心な法案の方にはないんですよ。なぜ法案の中で明記しておらないのか。これはあなた方、忘れられたのか、わざと故意に外したのか、一遍その点を説明していただきたい。
○石野政府委員 いま御指摘されました、四十三条ノ十二というのは改正いたしておりませんので、当然地方医療協議会の議を経ることになるわけでございます。
○水平委員 いや、第四十三条ノ三の二項については、これはもう一回読むのはめんどうくさいですけれども「指定ノ申請アリタル場合ニ於テ其ノ指定ヲ拒ムニハ地方社会保険医療協議会ノ議ニ依ルコト」となっているんですね。これは間違えたらいかぬですよ。これが、改正案では「著シク不適当ト認ムルモノナルトキハ其ノ指定ヲ拒ムコトヲ得」とあるんですよ。それで、従来、保険医療機関の指定または取り消しについて、現行法の第四十三条ノ十四の二項によって「地方社会保険医療協議会ニ諮問スル」となっている。このことは、あなたのおっしゃったように改正されておらぬから、指定または取り消しについては従来どおりでいいわけなのです。しかし問題は「著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」が問題だと言っているのです。いま言ったように、四十三条ノ三の二項にあるように「地方社会保険医療協議会ノ議ニ依ル」ことを要したのであるが、このように「要した」場合は要しておるからいいわけですよ。今回の改正案の中にはそれが外されておると私は言っておるのです。しかも、それが単に「拒ムコトヲ得」というだけで終わってしまっておるわけですよ。このことは、法律案要綱の中にはうたわれているんですよ。ところが、法律の中にどこを見たってうたわれていないんです。だから私は、お忘れになったのか、これは大問題であるからわざとここのところは故意に外したのか、意地悪く言えばですね。それはどっちかということなのです。
○石野政府委員 私ども、法律の中では、第二項はそのまま、改正はいたしておりますけれども、第三項の「都道府県知事保険医療機関又ハ保険薬局ノ指定ヲ拒ムニハ地方社会保険医療協議会ノ議ニ依ルコトヲ要ス」というのがそのまま生きておりますので、これは改正いたしておりませんので、これについては当然入っているということでございます。
○水平委員 入っていますかね。では「著シク不適当ト認ムルモノナルトキハ」の「不適当」というのは、一体どういう場合ですか。これはだれが「不適当」と認めるのか。この「不適当」なるものの定義を一遍示してもらいたい。
○石野政府委員 「著シク不適当」と認められるというような場合でございますが、想定としては幾つかございますが、一つは、指定をすでに取り消された医療機関の開設者が、別の医療機関という形で指定申請をする場合がございます。そういう場合につきましては、これは「不適当」であるというふうに考えられますし、それからさらには、保険医療機関の指定取消しというものを二度以上重ねて受けるような場合もございます。そういう場合も「著シク不適当」と考えられますし、同時にまた、指導監査をたびたび受けているにもかかわらず、指示事項について改善が見られない、しかも指定更新時期を迎えたというような場合につきましては、当然これは「著シク不適当」なもので、これについては拒否をする、こういうことであります。
○水平委員 それから、たとえ「地方社会保険医療協議会ノ議ニ依ルコト」になったとしても、協議会のメンバーをながめてみると、医療の担当者が八人、支払い側が八人、学識経験者四人です。そうしますと、この比率からいって、医学的に適当であっても、社会的、経済的に不適当だと拡大される場合がありはしないかと思うのです。それとも、あなたのおっしゃった「不適当」とは、たとえて言えば、保険外負担等で、八〇%も九〇%も差額ベッドを有しておるような保険医療機関であるところの、特にこの場合は私立の大学病院等でありますが、そういうものを含めて「不適当」とおっしゃっておられるのか。ここらあたりの見解を述べてください。
○石野政府委員 「著シク不適当」という場合の常識的な判断があると思うわけでございますけれども、医療機関の全部が室料差額ベッドで、少なくとも室料差額を出さない限りは医療機関の医療を受けられないとなりますと、これは保険診療という面から好ましいことでございませんので、そういう場合は当然「不適当」というふうに考えざるを得ないと思います。
○水平委員 ちょっとバックいたしますが、先ほど私の質問した、法律案の要綱の中にはうたわれておるのですが、改正法律案の中に「地方社会保険医療協議会ノ議ニ依ル」ということが抜けておるような、私はそういうふうに思いましたが、もう一遍精査されて、そのところはどうなのか、後で文書をもって私にきちっと示していただきたいと思います。 それから次に、第四十四条で、患者が保険医療機関でない機関で受診した場合、今日までは「緊急其ノ他日ムヲ得ザル場合ニ於テ……保険者が其ノ必要アリト認メタル」場合は、療養費を支給することができたわけです。これが今回の改正案では、ただ単に「已ムヲ得ザルモノト認メタル」場合に給付できるとなっているのです。このことは、保険医療機関でない医療機関でも受診できる道が大幅に開いたということです。もっと言うならば、要するに保険者が勝手に不適当として保険医療機関として認めなくても、一方において、そこで受診した場合でも療養費が支給されるのだから、それでいいのだろうという言い方にもとれるわけです。これが私は本当の逃げ道ではないかと指摘したいわけですが、この点どうですか。
○石野政府委員 療養費の支給要件を緩和いたしました理由でございますけれども、現行制度におきましても、保険医療機関以外において診療等を受けた場合に療養費の支給が認められておるわけでございますけれども、特に自動車事故でございますとか、そういう救急医療のとき、あるいは伝染病で隔離収容されたときというきわめて例外的な場合に限られておりましたために、多くの場合には、患者の全額自己負担というケースが多かったわけでございます。 このために、その具体的な法文の修正といたしましては、でき得る限り客観的に療養費の支給される場合というのをとらえることにいたしまして、むしろ保険者によります裁量の余地を狭めることによりまして、被保険者の便宜と負担の軽減を図ることにいたしたわけでございまして、そういう意味で支給要件を緩和したということでございます。
○水平委員 従来、不正があって取り消される場合でも、医師本来の権利である診療権までも剥奪されることになるのでということから、非常に行政機関も、地方社会保険医療協議会も神経を使ってきました。 それが今度は、一方で受診の道さえ開いてやればということで、勝手に「不適当」という名目のもとに保険医療機関の指定を外していくということは、私は明らかに官僚統制ではないかと思いますよ。だから、言うなれば、保険者の意に沿わない診療方針や診療内容の保険医については、拒否できる権限を法定したものだと断ぜざるを得ないと私は思うわけです。この点、私どもの同志の中にも、同一意見を有しこれに賛成し、非常に心配している面が多いわけでありますが、その点を留意されたいと思うが、どうですか。
○石野政府委員 ただいま水平先生が御指摘になったような御心配、これは私ども全くいたしておりません。 いまの社会保険医療協議会の運営でございますけれども、三者構成になっておりまして、非常に厳正な審査をいたしております。一方、またその訴訟上の問題もございますので、保険者の意思あるいは行政機関の恣意によってそういうものが曲げられるということは、絶対にないというふうに私ども考えております。
○水平委員 では、いま局長の答弁にありましたように、官僚統制とかあるいはその権限拡大を法定化したものであるというふうに解釈されないように、留意をされたいと思います。 次に、私は、保険外負担の問題についてちょっとお尋ねします。 まず室料の差額という問題がございますけれども、この室料の差額というものは、正当な診療報酬の中に建物の減価償却が含まれていないために、それをペイするためにやむを得ない補完手段だとも言われております。また、入院料が適正に評価されていない結果、差額で補てんをするのだとも言われておるわけであります。また一方では、最近話題のガン保険を初め民間保険は、その差額ベッドあるいは付添看護など保険外負担に対処するためと言われ、そして、これらが保障されない限りは真の医療制度とは言えないと言われておるわけですね。 こうした考え方の中で、当局は、差額ベッドの実情というものをどういうふうに見ておられるか、今後どういう態度で処していかれるかということは、この改正案の中には明確にうたわれておりませんので、御見解を示していただきたいと思います。
○石野政府委員 保険外負担の解消というものをどのように図っていくかという御質問でございます。 保険外負担の解消の問題でございますが、これにつきましては、昨年の二月の診療報酬の改定の際におきましても、室料なり看護料、そういう入院料関係につきまして、一般より高い二〇%の引き上げを行ってまいりました。同時に、基準看護につきましても、二類の特別加算を新設をいたす、そういうような措置もいたしまして、保険外負担の解決のための条件整備を図ってまいったわけでございます。 同時に、行政指導の面におきましても、これに対応いたしまして、特に室料差額の問題につきましての解消を図るという意味で、毎年七月一日現在におきまして、室料差額徴収状況調査というものをいたしております。それを過去の五十二年と比べてまいりましても、差額徴収の病床の割合というのは、五十二年につきましては全医療機関につきまして一七・六%でございまして、五十三年の七月につきましては一五・七%というふうな数字に下がってきたわけでございます。 特に、私どもが一番この問題について関心を持っておりまするのは、三人室以上のベッドにつきまして何とかこれを解消したいということでございまして、五十三年には三人室以上の差額ベットの数字が七・二%でございましたけれども、これも強力な行政指導、医療機関側の自粛等によりまして、五十三年度では五・一%というふうに低下をいたしました。絶対数におきましても約一万五千床の減少を来したわけでございます。 私どもは、基本的には、この三人室以上の差額徴収をできるだけ短期間に解消していくという方針におきまして、都道府県でもこれにつきましていろいろ行政指導をやっていただきまして、三人室以上の差額病床を持たない県が全部で、五十二年におきましては七県でございましたけれども、五十三年では十九県というふうに増加をいたしまして、差額ベッドの改善については相当進んでおるというふうに考えておるわけでございます。 問題は、差額徴収のベッドは絶対いけないかというふうなことになりますと、これはいろいろ議論が分かれております。私どもは、少なくとも三人室以上のベッドについて差額徴収を取ることは、社会慣習上からもまた行政措置の面から見ても好ましくないという観点から、これを解消するために努力いたしておりますけれども、現在のベッドに対しまする需要という問題を見ますると、自分の生活をそのまま病院に延長させるという方の考え方もございます。そういう人のことを考えますると、これをゼロにするわけにはいかないであろう。 それでは、どの程度の差額ベッドが適当かどうかということにつきましては、いろいろ議論は分かれますけれども、少なくとも、一般の保険医療機関といたしまして被保険者が無理のない姿で病院に入院できる、こういう措置が必要ではないか。そういう観点から、私どもは、この差額徴収問題については対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○水平委員 三人以上というようなお話がありましたけれども、三人以上の場合に、あなたのおっしゃるように二・一%減少しておりますね、昭和五十年から五十三年にかけて。しかし一人室、二人室というものは全く減少しておらぬと言ってもいいのですよ。ということは、一人室、二人室はやむを得ぬということですか。
○石野政府委員 一人室、二人室でございますけれども、これにつきましても五十二年、五十三年の数字がございますけれども、比率につきましては、五十二年が一人部屋の場合に六九・七から五十三年には六八・八、それから二人部屋の場合でも四一・三から四一・二と、わずかながらこれにつきましては減少いたしております。しかしながら、三人室以上ほど大きな減少はないということは事実でございます。
○水平委員 そこで、こうした室料とか、あるいはまた、食費等の生活部分は別建ての保険にしたらどうかという意見があります。それからまた、診療報酬点数でただいま同一となっている、つまり一律適用されているこの室料の現状を再検討して、段階的な室料を設けて、これも診療報酬で支払い得るようにしたらどうか、それで患者負担はやめるべきだ、こういう意見がありますが、これについての御見解を承りたい。
○石野政府委員 確かに、保険外負担というものを診療報酬体系の中に取り込んで解消すべきだという御意見があることも、十分承知いたしております。ただ、その考え方について別に否定するわけではございませんけれども、やはりその場合の保険財政が果たしてそれでもつのかどうかという問題もございますし、それから技術的に見ました場合に、どれをどういうふうなセレクションでやるのかということにしませんと、これはだんだん、たとえば差額ベッド一人室、二人室の場合につきましても言えますけれども、いいものをつくればどんどん入ってくる、そうなりますと、全体の病院がみなその一人室、二人室をつくってくる、そうしますとそれに必要な費用が出るということになりますと、これは果たして日本の医療制度の中でこれでいいのかどうかということになりますと、やはり疑問が出てまいるわけでございます。そういう意味で、この診療報酬体系の中で解決できるのかどうか、非常に私は疑問を持っておるわけでございます。
○水平委員 そうしたら、日本医師会が過去三回にわたって、昭和五十一年八月と五十三年三月と五十三年六月に、室料の差額問題について見解を表明しているのですよ。その主張はどういうことかと言いますと、差額は自由経済に付随する部分であって社会保険の関与する部分ではないと言っておるわけなのです。これに対して当時の保険局長は、たしかこれは昭和五十三年三月の段階だと私は思うのでありますけれども、室料に関する行政指導は法的根拠がないと答えているわけですね。このことは、行政指導をしてみても効力がないということなのか、あるいは行政指導をしないということなのか。 先ほど、三人以上のベッドの差額解消率が多少は進んでおるけれども、一人室、二人室は余りぱっとしていないと言われたが、こういう実態から見ても、どうも行政指導をしても限界があるような感じがするわけですけれども。ところが今回の改正案の提案に当たって、当局は、強力なる行政指導の実施も含め、逐次改善を図っていくと言っておるわけですね。どうもここのところが、どっちを向いて物を言っているのかよくわかりませんけれども、ひとつこの点について、医師会の主張に対する保険局長の答弁との絡み合いの中で、明確に御意見を述べてもらいたいと思います。
○石野政府委員 日本医師会の方から、その室料差額の問題についての法的な明確な見解を示せということがあって、これは私じゃございませんけれども、前任者の方で、たしか明確な法的な根拠はないというふうにお答えしたと思いますが、その法的根拠がはっきりしない面がございますけれども、やはり社会通念上、室料差額という問題について、余り横行いたしてまいりますると、やはり医療保険制度全体の円滑な運営というものも困難になる面がございますので、そういう面で、私はやはり行政指導として当然やらなければならない問題であるというふうに理解をいたし、そのような指導をいたしておるわけでございます。
○水平委員 私も、日本医師会の言うように、差額は確かに自由経済に付随する部分だと思うのですね。また、本人が希望する場合もあるでしょう。特別その他の事情もあるでしょう。ところが問題は、先ほどもちらっと私が触れましたが、名前を言うていいかどうかわかりませんが、たとえば日本女子医大の付属病院とか慶応大学の付属病院というのは、これはもう差額ベッドなんというものは八〇%から九〇%を占めておりますね。かつまた、その費用というものは非常にばかにならない。たとえそれが私立大学病院であるとは申せ、この保険医療体制のしかれている現段階においてそういう現実があるということになりますと、私は医師会の見解はわかるわけではありますけれども、何十万というような差額ベッド負担をし得る者のみしか入院ができないという、つまり、もっといやらしい言葉を使うならば、金持ちしか入院ができないという実態があるということは、私は、保険医療体制がしかれておる今日、余り感心した光景ではないと思うのですね。そういうこと等を考えてまいりますると非常にむずかしい。むずかしいからこそどういうような運営に当たっていかれるかということを私はくどくど聞いたわけでありますが、そういう点をどう思われますか。
○石野政府委員 いまの御指摘、まことにごもっともな御指摘でございます。私どもが、特に今度の法案に関連いたしまして、差額ベッド問題を解決する場合に一番大きなガンでございましたのは、御指摘のように私大の付属病院でございます。私ども実は、昨年の七月から八月にかけまして指定医療機関の更新をやりました際に、東京、大阪等につきまして特に重点的に命じまして、この改善計画というものを出させるように強力に指導いたしました。もちろん大学でございますので、いろいろ理事会等に諮らなければなりませんけれども、そういうことについても正式に理事会に諮って、年次計画でこれを解消していくという方向を打ち出すことができました。したがいまして、これは時間はかかりまするけれども、特に私大の付属病院につきましては、今後この差額ベッド問題についての解消は相当できるのではないかというふうに期待をいたしておるわけでございます。
○水平委員 次に、付添看護の問題についてお尋ねしますが、基準看護病院であっても看護体制が整っていないところもあるし、これは現実にあるのですよ。ましてや重症患者が集中した場合、とても病院内での看護力で対応できない場合もあるわけなのですよ。こうした場合はどうするのです。
○石野政府委員 基準看護病院である限りは、当然その病院の看護婦あるいは補助婦、そういうものによって解決するというのが原則になっておるわけでございます。 したがいまして、基準看護病院の承認を受けながら、なお強制的に被保険者に対しまして付き添いをつけなければ入院させないというようなことがありますれば、そういう場合につきましては都道府県知事の方で当然基準看護の承認を取り消すという措置を講ぜざるを得ないわけでございます。 また、その場合に、公式的にはそういうことでございますけれども、実際の運営をしてまいりますると、一時的な問題もございましょうし、それからまた、患者さんの方から進んで付けさせてほしいというような場合もございます。そういうようないろいろなケースがございますので一律にはいきませんけれども、少なくとも現行の制度におきましては、承認を得た限りにおきましては、その病院で責任を持って看護をするというのがたてまえでございますので、そういう強制的な問題につきましては、私どもはこれを排除してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○水平委員 それはわかりましたが、それじゃ、基準看護病院以外の病院に対して、現在は療養費として現金支給されておりますね。恐らく単価の引き上げをやっていこうとか、そういうようなお気持ちがおありだろうと思いますが、診療報酬に付添看護職員の費用を設けて、そして医療機関に払うということにしたらどうですか。
○石野政府委員 そういう基準看護の承認を受けない病院の場合にどうするかという問題、いろいろ考え方がございますし、また先生のおっしゃったような御議論もございます。しかしながら、私の方は、基本的にはやはり現金給付という形で、あくまでも本人の実態に合うように、基準看護料として計算をしたものを支給するというふうなたてまえをとっておるわけでございますが、たまたまこれは自由開業といいますか自由な制度でございまして、私どもがいわば基準を上げてまいりましても、料金を上げましても、また慣行料金の方が上がってしまうというような、どちらかといいますと追っかけごっこみたいな問題もございます。そういう問題にどう対処したらいいのかについて、実は頭を悩ましておる点でございまして、今後について十分検討をさしていただきたいと思うわけでございます。
○水平委員 大分時間がたってまいりましたので、最後に一つだけお尋ねをしたいと思います。 それは老人医療の問題についてでありますが、これは御承知のように、衆議院及び参議院のそれぞれ社会労働委員会においても、その附帯決議の中にありますように、たとえば、全国民で負担をし、老人のめんどうを見ること、老人の健康管理や生活管理を初め、老人保健医療制度の創設の準備に直ちに着手すること、公費負担医療のあり方と退職者医療の再検討を引き続き行うこと、こうありますね。これは元渡辺厚生大臣のときもこのようなことが確認をされ、前小沢厚生大臣も確認をされまして、昭和五十三年度中に検討し、そして昭和五十四年には何らかの形で具体化したい、つまり法案として出したい、こういうふうに私は承っておるわけでありますけれども、今回の改正案提案に当たって、少なくとも抜本改正とおっしゃるからには、老人保健医療制度を明らかにしておくべきであろうと私は思うわけでございますが、この点についてお答えを願っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 確かに、現在御審議を願っております健康保険法、これは負担の公平、給付の平等といった考え方を御審議を願うわけでありますが、それに続いての大きなテーマが老人保健医療であることは間違いがありません。そして、厚生省自身としても、老人保健医療対策について、老人保健医療問題懇談会からの意見書に示された考え方を基調として具体案を検討しているわけでありますが、何分にも関係団体そのものの数が非常に多い、そしてまた調整を必要とする分野が非常に多岐にわたっておる等の理由で、まだ成案を得るに至っておりません。 ただ、この中で一つ、小沢大臣の退任前に七十歳からの医療給付、六十五歳からの予防給付という考え方を発表されまして、それも現在の考え方の一つになっておることは事実であります。 ただ、私個人として考えを申し上げますと、この問題には二通りの問題点があろうかと思います。 一つは、すでに現在年老いておられる方々の現行の老人医療の制度を頭に置きながら、今後それをどう扱っていくか、国民健康保険等の関係者から出されている老人医療についての問題点はそういうところであります。と同時に、現在これだけ成人病というようなものが問題になってきておる時代において、四十歳がいいのか四十五歳がいいのか、私は医学の専門家でありませんで、その年次はわかりませんけれども、少なくともその成人病の心配をされるような年齢になった時点から継続的な予防給付を行い、その人に対しての健康診断とその指導を実施していくことによって、将来健やかに老いた年寄りをつくり上げていく、これを老人保健医療の中の骨格とすべきだという考え方と、私は二つの分野があろうかと思います。 私は、どちらかといえば成人病というものに着目をし、四十歳なり四十五歳なりから予防給付を中心に、老人保健医療対策というものを組み上げていくべきだと考えておりますので、その場合においても、やはりすでに老いておられる現在の老人医療の対象になる方々の問題というのは、どうしてもこれは避けて通れない課題でありまして、現在こうした問題点について鋭意、企画担当審議官の手元で関係方面との調整を進めておりますが、できるだけ早い機会に成案をもって御審議を願える体制をつくりたい、そのように思います。
○水平委員 特に老人の入院日数が長いのですよ。あなた方はどういう調査をなされておるか、私は存じませんけれども、ゼロ歳から十四歳までは十六日で、十五歳から三十四歳までが三十・五日ですね。三十五歳から六十四歳までが七十・九日、六十五歳以上が何と百五日なんですよ。これは全世界の平均は十六日だというのですね。そこへいきますると、一般疾病の平均在院日数というのは日本では三十九・五日、そういう状況の中で六十五歳以上が百五日というのですから、これは非常に長いのですよ。しかも、政管や組合や国保の中でそれぞれの老人の占める割合が違う。そういうことからもあわせて考えますと、給付の平等化や公正化の見地からも、老人医療というものを別建てにすることは確かに意味がある。同時に、わが日本では核家族は六三・八%進行しておると言われておりますけれども、片一方、老人の同居率はというと、なお七四・七%だと言われているのですね。世界の中でも同居率が高い。そういう同居率の高さのよさを活用した老人政策もあわせて考えるべきではないか、私はそう思うのですよ。 まだ、私も、附加給付の問題とか、財政調整の問題とか、分娩費の問題とか、現金支給の問題とか、まだまだお尋ねしたいのでありますけれども、限られた時間を切ってしまいましたので、いま言いましたような問題を最後にして終わりますが、この点について一言御所見を賜っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 非常にたくさんの項目をまとめられまして、それについてという御指摘でありますが、これは、それぞれにお答えを申し上げれば相当長い時間を要する問題ばかりでございます。 ただ、私から申し上げたいことは、政府としてこの原案に決して固執するものではありませんが、現在の医療保険の置かれている情勢を考えてみたときに、私はやはり、負担の公平と給付の平等というものを中心にしながら、しかもなおかつ、余りに高額な医療費のために家計が破綻を来さないような工夫をすることというのは、早急にやはり確立をする必要があると考えております。そして、まさに私どもがこの法律案によって御審議を願いたい、解消を図りたいと考えておりますポイントも、そうしたところでありまして、いまいろいろの角度から御指摘のありましたような問題も含めて、今後できるだけ早期に院としての御検討を尽くしていただきますことを、心からお願いを申し上げます。
○水平委員 終わります。
○森下委員長 次回は、明後七日木曜日午後零時三十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十八分散会