社会労働委員会 第15号
- 発言数
- 347 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1979/05/09
会議録
○森下委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、医薬品副作用被害救済基金法案及び薬事法の一部を改正する法律案、両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢山有作君。
○矢山委員 予定の質問に入る前に、ちょっとお伺いしておきたいのですが、きのうの新聞の報道によりますと、七日に田辺が和解案を大筋において受け入れたということが報道されまして、それから、同日夜から厚生省に対する原告団の交渉要求があり、何かいま泊まり込みの座り込みに入っておるということですが、それらの問題をめぐって、この問題がどういうような進展状況を見せておるのか、可能な範囲でひとつお話しいただきたい。
○中野(徹)政府委員 先生の御質問の座り込みということでございますが、実は一昨日午前中に、懸案になっておりました田辺製薬の和解参加の件をめぐりまして、田辺製薬の方から大臣あてにある種の意思表示があったわけでございます。これを厚生省といたしましては裁判所に取り次ぎをいたしまして、一昨日の午後から、東京地方裁判所の民事三十四部は、田辺の和解参加についてのいわば最終的な調整のお仕事に入っておられます。われわれといたしましては、一刻も早くこの和解が最終的に成立する、つまり和解調書の調印が行われることを期待しておるわけでございますが、そのような状況に対応いたしまして、和解派であるところの第一グループ、第二グループが、東京地裁における調整の作業の行方を見守るということで、自分らとして非常に不安なのでここにいさせてくれというふうなことで、裁判所に非常に近いということもございまして、月曜日の夜から二晩にかけて座り込みと申しますか、泊り込みをやっておられます。その人数は約十名でございまして、別段雰囲気的に緊迫したことはなくて、とげとげしい雰囲気ではございません。 以上のような経緯でございます。
○矢山委員 その問題と関連して一、二聞いておきたいのですが、この間の二月二十二日のこの委員会で、わが党の大原委員の質疑に対して、厚生大臣の方から、もうこの際高度の政治的な立場に立って全面解決をやる段階に来た、こういう認識を持っておるというお話しがあったのですが、そのことの認識については変わりはないだろうと思いますし、その方針に従って今後も全力を挙げて取り組むということで、確認してよろしいか。
○橋本国務大臣 私としては、その気持ちに変わりはございません。 いま局長から申し上げましたように、一昨日田辺側からもある種の意思表示があり、それを裁判所にお伝えをして、いま裁判所の最終的な御判断を示していただくのを待っておるという状態でありまして、内容的なことは、これは裁判所にお預けをしましたので控えさせていただきますけれども、まあ相当程度状態は好転しつつあるのではないだろうか、当初私が希望しましたような方向に向かいつつあるのではないだろうかという気持ちをいま持って、裁判所の御判断を見守っておるという状況でございます。
○矢山委員 それからもう一点は、その際にもやはり論議になったわけですが、投薬証明のない者の救済ですね。これについて、その当時の議論の中で、東京地裁の判断を求めておる、その判断が近々三、四月ごろには出るんだというようなお話しだったのですが、それは出ていますか。
○中野(徹)政府委員 私ども、東京地裁に御判断をお示しいただくようにお願いをいたしたわけでございますが、御承知のように、田辺の和解への参加ということによって、地裁の御判断が大きく変わる要素が当然あるわけでございます。つまり、全面的な和解に関係企業が参加するか否かということが裁判所の御判断の一つのかなめになるように思われるわけですが、裁判所といたしましては、目下、田辺の参加ということについて全力を挙げて努力をされておるわけでございまして、この田辺の参加が実現しました暁には、当然裁判所としての投薬証明のない者についての御判断をいただけるものというふうに、われわれとしては期待をしている段階でございます。
○矢山委員 そのときもいろいろ議論がされたのですが、その議論は抜きにして、端的にお伺いしまして、裁判所でスモンと認められた者、つまり原告、これについてはそのまま、投薬証明のあるなしにかかわらず認めていくということで、承知をしてよろしいかどうか。 それからまた、今後の問題として、その投薬証明が得られぬでも、医師の診断があればそれをもって足りるということでやられる方針ですか。その点どうですか。
○中野(徹)政府委員 私どもの和解に臨みます立場といたしましては、スモンがキノホルムという薬物に関連したスモン症状ということを取り上げるわけでございますので、まず第一に、その薬物関連性ということから申しまして、投薬証明というようなものが必要であるという前提には立っております。ただし、投薬証明書というその紙と申しますか、それが、たとえばいろいろな事情によりまして、キノホルムを使ったことには間違いないというふうに状況判断されるけれども、たまたまどの薬を使ったかということの投薬証明書の欠けている者、ブランドが特定できない者、つまり薬物の関連性から言いまして、武田、チバガイギーの系統のものであるか、たとえば田辺製薬のエマホルムであるかというようなことが、事実上確認できないといったような者については、情況証拠の上におきまして確かにキノホルムによるスモンであるということがはっきりしているということであれば、何らかの対応をせざるを得ないという立場でございまして、その何らかの対応をせざるを得ないという場合に、どのような対応をするかということについて、裁判所の御判断を仰いでいるということでございます。 なお、キノホルムによるスモンであるかどうかということの判断の問題につきましては、先生御承知のとおりに、国の和解の方針といたしましては、全国統一的に、その判断が区々であってはいけないという観点から、十五、六名の主として神経内科の専門医によりますところの鑑定団を組織いたしまして、この鑑定団の鑑定をまちまして、その結果によって判断をするという立場をとっております。したがいまして、個々の主治医の判断というところまではわれわれとしては踏み切れないという形のものでございます。
○矢山委員 それで、その判断をする際に、スモンの臨床診断指針というのをこしらえているわけでしょう。だから、そういったものでやれば、スモンというような特殊の疾患というのは、キノホルムによるかよらぬかというのは大体わかるというお話ですから、だから医者の診断書があればそれでどんどん認定を進めていくということでないと、認定がなかなか進まぬのじゃないかというのが、いまいろいろ言われているところですから、だから、そういった点を含めていまの質問をしたわけです。 それから、投薬証明の場合、個々の証明書がないにしても、全体の状況の判断からキノホルムによると考えられたら、それで認定をしていっていいというふうに理解していいわけですか。
○中野(徹)政府委員 私が申し上げましたのは、その投薬証明書というものが存在しないということのために、キノホルム・スモンであるにもかかわらず救われないということは、やはり社会的公正を欠くのではないかという判断をしているわけでございまして、その件について具体的にどう対処するかということにつきましては、従前行ってまいりましたところの和解との関連におきまして、裁判所の判断を示していただきたいという立場でございます。 それからなお、先生の御質問の前段にございましたところの診断の指針の話でございますが、これについては、専門家の間でもその難易について意見が分かれておりまして、非常に容易にできるのではないかという説もありますし、相当高度の専門家の判断をまたなければいかぬという意見もございまして、私どもとしましては、鑑定団の鑑定の迅速化という観点から、迅速に鑑定を行うということに精力を注ぐことによって事態の早急な解決を図りたい、こういう立場に立っております。
○矢山委員 それから、もう一つ問題になっているのは例の恒久対策の問題ですよ。たとえば健康管理手当ですか、こういった問題が具体的に提起されておるようですが、この問題についてそう具体的な話はあるいはできぬとも思いますが、こういった問題を全然未解決のままでは、なかなかむずかしい面があるのではないかと私ども推察しているわけです。そういう点で、これらの問題を含めて大体解決の見通しというのは立っておりますか。
○中野(徹)政府委員 御承知のように、現在は、スモンの原告の方々は和解派とその他の判決派というふうな一応の分類ができるわけでございますが、それぞれのお立場がございますけれども、現在和解派との間では、いわゆる可部和解によるところの一時金の支払いが急速に行われつつあります。田辺が参加すれば、また田辺関連の分についても一時金が急速に支払われると考えているわけでございますが、この可部和解の条件といたしましていわゆる恒久対策、一時金の支払いのみによっては満たし切れないところの、将来に向かっての患者さん方の生活の上のいろいろなニーズをどうやってカバーしていくかという問題が残されておりまして、これは和解の条件といたしまして、将来に向かって引き続き裁判所の場において協議をしていくということになっております。 その恒久対策についてでございますけれども、その中身といたしまして、現在までは、たとえば行政施策等あるいは国の治療研究とか施設整備等の問題については、国として現段階でできるだけのものはやってまいったわけでございますが、なお民間企業参加のもとでいかなることが行い得るのかということは、現在まだ全く白紙でございます。 そのようなものについて、患者さん方からのいろいろな御要望に従って、恒久対策の中身として、たとえば一部にございますところの健康管理手当というようなものをいかに消化していくかということによりまして、和解派、判決派を通じての統一的な解決が図られるのではないかと考えておりますが、この場合に、民間企業の拠出による部分につきましては、大前提として、田辺がこの事態解決について国及び他の企業と同一の歩調に立つことが当然必須の前提になるわけでございます。そのような意味におきまして、田辺の和解の参加が実現しました暁には、この問題について急速な詰めを行ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
○矢山委員 いずれにいたしましても、先ほども言いましたような全体的な解決をやるべき時期でしょうから、そういう方向に向かって全力を上げていただきたいと思います。 引き続いて、きょうの議題の医薬品副作用被害救済基金法案の問題について質疑をしたいと思いますが、時間が非常に限られておりますので予定が全部済むか済まぬかわかりませんが、私の方も簡単にお伺いしますので、簡単にお答えいただきたいと思います。 まず第一の問題は、この医薬品副作用被害救済基金法案というもので構想されておる救済制度の性格は、どういうふうに理解したらいいのかという問題です。
○橋本国務大臣 今回御提案申し上げ御審議を願っております救済制度は、現行法上民事責任の追及が非常に困難な副作用被害を受けた方々に対しまして、製薬産業に要請される社会的責任に基づいた迅速な救済を行おうという観点から、立案をいたしております。
○矢山委員 そうすると、いわゆる民事責任の上には立っていないわけだから、この救済制度で救済をするということについては法的責任ではない、それはあくまでも法的責任以外のものであると考えておるのだろうと思うのです。そうなると、言われておるように、国の責任は、国民の健康及び福祉の増進を図るために薬事行政を担当しておるという立場から、こういう制度をつくってそれを運営していくのだという行政上の責任だ、つまり法的責任じゃない、行政上の責任だ、こういうふうに考えておられるのだろうと思う。それからまた、企業の責任は、医薬品は生命関連物質であり、したがって開発、生産、供給を担う製薬企業は、常に安全かつ有効な医薬品の供給を図るべき社会的責任がある。そういう責任を負っておるところで副作用被害が起きた。したがって、そういう社会的責任を果たすためにこの救済制度の中で一定の役割りを果たすのだ。こういうふうに理解する以外にはないと思うのですね。縮めて言うなら、この救済制度によって国なり企業が負っておるのは法的な責任ではないのだ、いわゆる社会的責任であり行政的責任である、こういうふうに理解しているわけですか。
○中野(徹)政府委員 先生御指摘の法的責任というもののとらまえ方でございますが、それがいわば、たとえば不法行為責任あるいは加害責任、民事上の責任という意味でございますれば、確かにそのような意味の法的責任ではございません。 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、これは製薬産業というものの、あるいは医薬品というものの特殊性に即した救済施策でございまして、これは国の行政上の責任からこのようなシステムをつくり、迅速に医薬品の副作用による被害者を救済するという観点からのものでございまして、その意味におきまして、先生の御指摘のとおりでございます。 その意味におきましては、たとえば西ドイツにおけるような無過失責任主義に基づく、製造物責任に基づくところの賠償責任制度とは、性質を異にするものと理解をいたしております。
○矢山委員 ところが、そういうふうに過失云々、故意云々を問題にしないわけだから、したがって法的責任ではない、いま言われたような社会的責任なり、あるいは行政的責任だということになるのでしょうが、そう言いながら、一方では、制度の中身を見ると、副作用を引き起こした原因医薬品、その原因医薬品を製造した企業、それからは付加徴収金と言ったらいいのか、特別拠出金と言ったらいいのか、付加拠出金と言ったらいいのか知りませんが、そういう特別なものを取る、こういうことになっており止ますね。このことは、過失がないし、故意もないし、負うべき責任がないのに、原因医薬品を製造した企業に対して特別拠出金をかけていくというのは、やはり一つは、無過失責任的な考え方に立たなければできぬ話なんですよね。そういう限りにおいては、法的責任はないんだ、社会的責任であり、行政的責任だけなんだと言いながらも、私はやはり無過失責任的なものを考えておられるのじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
○中野(徹)政府委員 無過失責任という言葉の定義の問題にかかわると思いますが、いわゆる無過失責任というのは過失を問わずしてたとえば賠償責任を負う。その場合に、実際の損害及び逸失利益あるいはその慰謝料等も含めて、いわゆる民事上の損害賠償責務を負うという意味に無過失責任を解しますと、それとはいささか趣きを異にするものであると考えておるわけでございます。 より具体的な例を挙げますと、このような事故に対して、たとえば民間におきましては、製薬会社がその副作用事故について過失責任の有無を問わずに見舞金を出すというようなことも、実際の慣行としてはあるわけでございます。仮にこの制度をいわばそのような一種の見舞金制度を法定化するものであると考えれば、全額その原因となった医薬品を製造した者の拠出にかからしめることも一つの案としては考え得るわけでございますが、製薬業界に対する拠出と当該医薬品を製造しました会社の拠出を要するにミックスすることによりまして、この制度の全体的ないわば費用負担の均衡を図ろうということから、原因医薬品をつくりましたメーカーの負担分をもあわせて財源拠出の中に加えたということでございまして、先生のおっしゃるような無過失ということ、確かにそのことについて過失がないという意味においては無過失でございますけれども、いわゆる無過失責任という意味でのレベルとは性質を異にするものと考えております。
○矢山委員 だから、その点では、法的に厳格な意味で無過失責任主義をとって、特別拠出金を出させるようにしておるんだというふうには思わないわけだけれども、しかし負うべき責任がないところに特別拠出金を掛けていくというのは、やはり無過失責任的な考え方が多少でもなければそれはなかなかできない話じゃないか。そういう意味で、無過失責任的な考え方の要素というものが多少この救済制度の中に入っておる、こういうふうな意味で申し上げたわけです。 そこで、やはりこの救済制度では無過失責任主義には立っておられない、いわゆる過失がないあるいは過失の有無が明らかでない、したがって民事責任が問えない、そういう場合にとりあえず悲惨な被害を救済しようというところでつくられておるんだ、こういうふうなことなんですが、医薬品のような危険なものに対してはやはり無過失責任理論というものを導入すべきではないか、こういうふうに私は考えておる。このことは御存じのように日弁連あたりでも強く主張しておるところなんですが、その論拠としてはいろいろ言われておるわけです。いろいろ言われておるわけだけれども、たとえば現実の日本の立法面から見ても、公害法にもそれがあるではないか、あるいは自動車損害賠償保障法にもあるではないか、原子力損害賠償法にもある、あるいは大気汚染防止法にもある、水質汚濁防止法にもあるではないか、こういう立法例も挙げられておるわけですね。さらに、そういう立法が行われておると同時に、公害や医療事故など非常に危険をはらんだ企業や業務活動については、実際上裁判等で、解釈によって実質的な無過失責任を採用していくというような傾向も出ておる。これも現実の問題としてあるわけですね。それから、最近は、例の消費者保護の立場から製造物責任の理論的検討がかなり進んでおる。そういうところからわが国でもこれは検討されておるようでありますが、たとえばこれは医薬品の副作用による被害者の救済制度研究会、この報告の中でも言われておりますように、比較的新しいもので、昭和五十年の四月の国民生活審議会消費者保護部会消費者救済特別研究委員会の「消費者被害の救済に関する報告」あるいは昭和五十年八月の製造物責任研究会の「製造物責任法要綱試案に関する報告」こういうようなところで、製造物責任の理論というものが最近非常に論議をされて、そういう中で無過失責任を採用していくべきではないか、こういうようなことが言われておる。こういうような傾向から見て、やはり無過失責任主義に立脚すべきではないか、こういうふうに私は思うわけです。さらに、そのことは、たとえば「医薬品の副作用による被害者の救済制度に関する意見」というのが日本製薬団体連合会から出ておりますが、この連合会の意見は究極においては無過失責任を否定しておるのです、否定しておるのだけれども、しかし、無過失責任主義を採用するのが最近の世界的な潮流だということをちゃんと指摘はしているわけです。世界的な潮流なんだけれども、いろいろな理由を挙げながら、わが国では現在の制度としては無過失責任主義には立たない、こう言っているわけです。したがって、そういう点から言うならば、医薬品のようなきわめて危険性の高いもの、しかも、一たん被害が発生するときわめて被害の実態というものが悲惨な状態になるというような点から考えて、無過失責任主義を採用する方向に踏み切るべきではないかというふうに思うのですが、この点のお考えはいかがでしょう。
○中野(徹)政府委員 先生御指摘の点は、実は、われわれといたしましても、御提出申し上げておりますこの法案の作成過程におきまして、たとえば西ドイツにおける現行薬事法の規定等も十分精査をいたしまして、検討いたした点でございます。 まず第一に、いわゆる製造物責任論というものにつきましては、先生御指摘のとおりに消費者保護の観点から、現在経企庁におきましてこの検討がされている。私ら厚生省に限定いたしましても、同様の問題を抱えているいわば行政の分野といたしまして、たとえば食品衛生の問題であるとか、あるいは医療サービス等の問題も当然関連する問題としてあるわけでございます。そのような分野全体を含めまして、製造物責任論というものを導入するかどうかということについては、経企庁の消費者保護の観点から慎重に検討さるべき点であって、われわれといたしましては、さしあたり副作用被害の迅速な救済を図るという観点から、そのような全体の検討の進行はそれといたしまして、当面このような立法が必要ではないかというふうに判断したという点が一つでございます。 第二の点といたしまして、西ドイツにおける新薬事法の無過失責任、製造物責任に基づくところの賠償規定でございますが、これは世上伝えられているような単純な無過失責任原則に基づくものとは言い切れない面がございまして、第一に、確かに無過失責任ではございますけれども、賠償額の上限を切っているという点がございます。それから、依然として、その賠償対象につきましては医学的に容認し得る限度を超えた副作用という規定が薬事法に入っておりまして、これが非常に論争を呼んでいる点でございまして、実際にはすべて裁判にいってしまうのではないかというふうに言われている。私どもは、西ドイツの薬事法によるところの救済制度が、その意味においてはすぐれた方法であるとは判断できなかったわけでございます。 それから第三に、西ドイツの薬事法におけるところの賠償範囲も、たとえば慰謝料を含まない等、通常の民事上の加害責任の賠償というものとは範囲を異にし、かつ限定されておるということもございまして、特に医学的に容認できる範囲を超えたというような条項が、裁判所でどう認定されるかということによって事柄が非常に複雑化していくという点もございますので、私どもといたしましては、あえて当面、わが国の実情にも即して考えれば、お手元に御提出いたしましたところの法案が、実際上患者の救済にとって最も迅速かつ能率的なものではないかというふうに考えて、この案を作成したという経緯でございます。
○矢山委員 その考え方はわかるんですけれども、無過失責任主義を導入しないとすると、それで当面の救済を急ぐということでこの制度をつくるとするなら、先ほど来議論しております、救済をするための法的な責任というものはない、いわゆる社会的な責任であり行政的な責任だ、こういうことになってくる。そうなってくると、当面、前面に出てくるのはとりあえずの救済なんだという要素の方が強く出てきてしまって、とりあえず困っておるから救済するんだ、こういうような形で非常に恩恵的な側面が強くなる。そのことは、裏返しとして、責任がないんだけれども恩恵的に早急に救済してやるんだということになるから、したがって救済対象というものがしぼられてくる、あるいは救済の水準というものが低くなってくる、そういうような問題ができてくるんではないか。そのことが、現実に法案を検討してみておってもやはりそういうことなんだなという感じがしておるわけですよ。したがって私どもは、薬害被害というものは責任を追及するといっても、責任追及が容易なことではない。たとえばキノホルムに象徴されるように、五年も長いのは十年近くもかかるというようなことで、容易なことではないんだから、したがって私は、むしろこういう制度を構想するならこれは無過失責任理論の導入ということを考えるべきではないか。ここで、一たんつくられた制度であろうから、直ちに無過失責任に切りかえなさいとは、なかなかあなた方の方でも、やりましょうと言われぬだろうし、すぐその問題で決着をつけるというのも私は困難だと思います。困難だとは思いますが、将来の制度の検討としてはそういう方向を追求するということが一つと、それからもう一つは、そういう方向を将来追求するとするなら、給付の対象、給付の水準等でも、できるだけこの救済に値するような内容のものにしていく必要があるのではないか、こういうふうなことを考えておりますので、それらに対する概括的な御見解でよろしいので、どうですか。
○橋本国務大臣 いま局長からも申し上げましたように、矢山さんが御指摘になるような考え方というものは、私どもも実は、この立法化の過程においてずいぶんいろんな角度から研究をしたわけであります。ただ、いま申し上げたとおり西ドイツの方式、確かに製造物責任と言いつつ限定的な無過失責任、これは逆に言えば、被害を受けた方々に対する給付についても逆に水準を下げる可能性のあるものというふうに、実は私ども判断をしたわけでありまして、この問題と直接かかわりはない部分もありますが、製造物責任そのものにつきましては、現行の損害賠償制度の基本的な原則にかかわる問題でありますだけに、政府全体の問題としてもいま慎重に検討を続けておることは、御承知のとおりでございます。 ですから、私どもとしては、これはある意味では本当に原則を左右するような問題として慎重な対応をしてまいりますが、これがまた議論が煮詰まるまで救済制度というもののスタートをおくらせるわけにもいかない、一方では私どもはそういう判断がありまして、現行の法体系を乱すことなしに、実態に即した対応をしようとすれば、こういう考え方をとらざるを得ないということで、この救済法をまとめたわけで、その辺についても御理解をいただきたいと思うわけであります。 むしろ給付の内容等につきましても、私どもは、予防接種事故による被害者の方々の救済と同等の内容を想定しておるわけでありまして、これは部分的に問題の差異がありますから、違う部分は当然出てまいりますけれども、基本的には、予防接種過誤による被害者の救済というものを一つの例として頭に置いておるわけでありまして、水準的に私はそんなに御批判を受けるようなものにするつもりはございません。
○矢山委員 無過失責任主義を導入しましても、西ドイツの法制に見られるように最高限度額ですか、あれは一応くくるというようなことをやっておるようですし、その他の詳細なことは私どもまだつまびらかにしませんが、無過失責任主義を導入しながらも、ある一定の制限というか規制というか、それがあるということはわかります。しかしながら、無過失責任主義を導入したという場合には、これは法的責任が明らかなわけですから、法的責任が生ずるわけですから、そういう限りにおいては、単なる恩恵的な救済制度的な考え方よりも、それはやはり、給付対象だとか給付の水準だとかそういった中身において悪くなるということは、これは当然考えられないことで、したがってその点は私どもそういうふうに理解しますし、それからいまの厚生省の考え方というものは、私どもも承認するとか了承するというのでなしにわかっております。したがって、その状態の中で無過失責任主義を、先ほども言ったようにすぐ導入しろと言っても無理な話でしょうから、これは今後そういう方向で、世界的な潮流もそうなっておるということを認めておるところだから、そういう方向で検討していただくということにして、次に進めてまいりたいと思います。 それは一つは救済機構の問題なんですが、法案によりますと、基金は救済対象の認定業務から給付金の支払い業務、それから必要資金の徴収業務全部含めて、基金でやるということになっておるようですね。これは私は余り好ましいことではないのではないか。やはり認定、支給の業務とそれから費用を徴収する業務というのは、これは別個の機関として切り離す。そして、費用の徴収はこれは基金でやるにしても、認定なり支給ということはこれは行政事務として処理していく方がいいんではないか、こういうふうに考えておるわけであります。その理由については、これはもうすでにいろいろ指摘されておるところでありまして、たとえばこの基金の運営に公正が期しがたくなるのではないか。金を集めて払うのを一つの機関でやるわけですから、そういう心配が指摘されておりますし、それから、集まった拠出金の範囲内で救済対象を抑制するというような傾向が出てきて、患者の切り捨てになるのではないかとか、いろんなことが指摘されております。日弁連あたりでは大体六つぐらいの問題点を挙げて指摘しておるようですが、私はやはりそういう心配はあると思うのですよ。だから、認定、支給の機関は基金がやらないで別個の機関で、国の行政事務として処理するということは考えられないのかどうか、この点はどうでしょう。
○中野(徹)政府委員 この案の中身につきまして、若干私ども御説明が不足している面があるかと思うわけでございますが、この基金は、たとえて言えば健康保険組合のように、金を集め、かつ、その金をマネージしまして給付を行うと言ったような、ああいう種類のものであるというふうにお考えいただきたいと思うわけでございます。 肝心かなめの点は、結局、先生の御指摘のいわば副作用と原因医薬品の間の因果関係の判定とか、あるいは被害程度の認定に相当する業務でございますが、障害のその程度の認定といったようないわば医学的、薬学的な判断を要する点がポイントになろうかと思います。これが公正に行われれば、先生の御指摘のような心配はなかろうというふうに考えておるわけでございますけれども、この法律の規定上は、権能規定という形で、お手元の法案にございますように、基金は、その医学的薬学的な判定を要する問題については、厚生大臣にその判定の申し出をすることができる、という規定が入っております。 私どもは、この「できる。」というのは、この基金の権能としてそういう申し出権能を与えたという意味で、法律技術的な表現はそうなっているだけでございまして、私どもの判断といたしましては、すべてのケースについて厚生大臣の判定を申し出るものというふうに制度としては考えておるわけでございます。厚生大臣は、これを受けまして、中央薬事審議会にこのための特別の判定部会を設けまして、公正かつ的確な判定を行い、この結果を基金に通知をいたしまして、それに従って基金はこの給付の支給を行うという形になるわけでございますから、この基金が徴収、給付あわせて行うということのためにこの業務運営が適正を欠くとか、あるいは抑制的な動きになるということはあり得ないものというふうに考えております。
○矢山委員 その点はわかりました。 ところが、この法文で見ると、やはり支給の決定は基金がやるということになっているわけですね。そして、基金は、いまおっしゃった「医薬品の副作用によるものであるかどうかその他医学的薬学的判定を要すると認められる事項に関し、厚生大臣に判定を申し出ることができる。」したがって、この判定を申し出よう、申し出まいは、これは基金が判断することだということになりますね。だからここのところを、もし、すべての判定というか認定を全部それは基金がやるのではないのだ、全部厚生大臣に申し出てやるのだ、それで厚生大臣が、それは中央薬事審議会にかけて意見を聴いて判定を出すのだ、こういうふうにするのなら、こういうふうになるような法文に改めないと、このままの法文では、それはやっぱり基金が基本的には認定権を持っておって、基金の判断でちょっとむずかしいものだけ判定に出して、あとの方は全部自分のところでやってしまうのだ、こういうふうに解釈をされてくるおそれがあるのですね。 それからもう一つは、その「判定を申し出ることができる。」それで、厚生大臣は中薬審の意見を聴いて判定を行い、その結果を通知する。「通知する」とあるだけで、これに従うのか従わないのか、従うということは必ず従わなければならぬのか、それとも基金の判断で従わぬでもいいか、こういう点はやっぱり厳格にきちっと規定をしておきませんと、認定業務というのは御存じのように一番困難で大事な仕事でしょう。その辺はどうなんですか。法文の表現としてもうちょっと、おっしゃったようなことになるのなら、検討する必要があるのじゃないかと思うのですが。
○中野(徹)政府委員 この「申し出ることができる。」という規定は、先ほども御説明いたしましたように、基金のいわば一種の権能付与の規定で「できる。」という、法律技術上はそういう表現になっているわけでございますけれども、実際の業務の一面におきましては、先生の御指摘のように、必ず申し出るのだということと私どもは理解をいたしております。 それから第二に、国の判定について基金が従わない場合どうなるかということでございますが、この基金は、直接厚生大臣の指揮監督下にある、いわゆるの認可法人でございますけれども、これは厚生大臣の監督権限ということからいたしまして、もしも厚生大臣の判定に従わない場合には、この監督権を発動しまして監督命令を発する、あるいは監督命令に違反した場合には基金の役員に対して罰則が科せられるというふうなことでございまして、基金が厚生大臣の判定に従わないというようなことは実際問題としてはあり得ないというふうには考えておるわけでございます。
○矢山委員 おっしゃった趣旨に解釈できるように法文を整えるということがまず私の第一希望ですが、もしどうしてもお整えにならぬというなら、この際やはり答弁を通じてはっきりしておかなければならぬのは、一つは、基金が単独で支給の決定つまり認定をするんではない、全部厚生大臣に判定を申し出て、厚生大臣はその判定については中央薬事審議会の意見を聞いて判定を出すんだ、出した判定については必ず基金はこれに従わなければならぬのである、基金が従わないとするなら、これは監督命令をかけてでも従わせるんだ、こういうふうなことですか。
○中野(徹)政府委員 そのとおりでございます。
○矢山委員 そうすると、ここで一つ問題が出てくるのは、この中央薬事審議会というものの役割りが非常にこれは重大な役割りになってくるわけですね。しかも薬事法との関連で言うなら、今回の薬事法の改正で中央薬事審議会の仕事というのもかなり分量的にもふえてくるだろうし、それから、一々この薬事法の改正で規定の中にはあらわれておらぬようでありますが、従来行政指導として薬事審議会でいろいろやらしておる仕事もたくさんあるようです。そういうことをあわせて考えると、これはやはり、中央薬事審議会が現在の組織、運営でそれだけの任にたえ得るのかどうかという問題が一番に起こってくると私は思うのです。そのことを私は中央薬事審議会自体も危惧したんではないかと思うのです。なぜかというと、それは御存じの答申の中にはっきりと言っているわけでしょう。「認定機能が新たに加えられることにより当審議会の現行薬事法上の機能が阻害されないよう特段の配慮が望ましい。」こう言っているわけです。したがって私は、判定部会を設けたということだけで果たしてこの薬事審議会がその仕事だけではないんですからたえられるのか、そこで言われておるように薬事審議会の組織、運営の改善ということが考えられないのかと思うのですが、この点、どうですか。
○中野(徹)政府委員 御指摘のとおり、この中央薬事審議会のわれわれの考えておりますところの判定部会は、本制度の運営につきまして非常に重大な使命を持つことになると考えております。われわれといたしましては、たとえば、さしあたり五十四年度は給付は開始いたしませんが、五十四年度中にたとえば一般因果関係、こういう薬に対応するのはこういう副作用というふうな、事前に周到な準備が必要であるというふうに考えておりまして、さしあたりその判定部会で、いわば判定についてのガイドラインづくりをあらかじめやっておいていただくというふうな意味を含めまして、五十四年度に給付は開始いたしませんけれども、この判定部会、正委員が三名、臨時委員三十名を一応予定いたしておりまして、業務の迅速化のためのガイドラインづくりを先行さして、お願いをしたいというふうにいま考えておるところでございます。 判定業務が実際に開始されます五十五年度におきますところの、さらに委員の増員とか必要に応じての常勤化というような問題につきましては、五十五年度の予算及び定員の問題として関係省庁と協議をいたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○矢山委員 幾らかの改善はお考えになっておるようですが、いま中央薬事審議会の問題点として指摘されておるのは、もう御存じのことでありますから言う必要もないと思うのですが、 一つは、単なる諮問機関ではないか、出した結論に対して拘束力も何もないんじゃないか、こういうことが問題点として指摘されておりますね。 それからもう一つは、先ほど一部常勤化の話が出ましたが、すべての委員が兼職では片手間仕事に流れていくから、したがって体系的、継続的な把握ができにくい、こういう点も指摘されておる。 それからさらに、御存じのようにその構成の中で問題点があるというのは、たとえば幹事は関係行政機関の職員から大臣任命ですかこういうふうになっておる、それでその幹事は所掌事務について委員を補佐するということになっておる、あるいは会の庶務は薬務局の企画課で行われておる、こういうふうな点からして、いわゆるこの審議会というものの独自性といいますか独立性といいますか、こういう点が危ないんではないか、したがって国民的な立場に立った審議が困離じゃないか、こういう点が指摘されておるわけですね。 それからさらに、もう一つの指摘点としては、この薬事審議会には何ら直轄の試験研究機関というものは持っていない。また、国立の病院だとかあるいは衛生試験所だとかその他いろいろな研究機関はあるが、しかし、ありながら、これとの有機的な連携を保たれて運営するというところにはいっていない、こういう点も指摘されている。 さらに、薬事審議会が適正な結論をいろいろな問題について出そうと思えば、いろいろな情報も収集したり資料もそろえたりしなければならぬだろうが、そういう情報、資料の収集という点においては、質的にも量的にもこれは非常に見劣りがする、こういうようなことも指摘されている。 それからさらに、審議内容が公表されない、したがって審議の経過がどういうふうになったのかさっぱりわからぬ、こういうことも指摘されておる。 つまり、これはただ単なる認定問題に限らず、もちろん今度認定の仕事が加わるわけですから、それを含めて従来薬事審議会が持っておる重要な機能を果たしていく上に不十分な点として、いま言った点が指摘されておるわけです。 ところがそれに加えて、今度は薬事法の改正というものが行われている。薬事法の改正の中では、先ほど言われたように、いままで行政通達や何かでやられておることが全部法案の中に盛り込まれておるということは言えないと思います。言えないけれども、しかし法案の中にないから、では従来行政指導で薬事審議会にやらしてきたものをやめるのかというと、そういうことではない。やはり薬事審議会にやらせる。しかも、むしろこの副作用被害の多発あるいは悲惨な状態から考えて、その副作用被害をなくしていくのだという観点に立っての一つは薬事法の改正なんだ、こう言われているわけですね。そうすると、中央薬事審議会の組織、運営というのはかなり思い切った改善がなされなければならぬと思います。いまおっしゃった点についてはある程度改善の方向が出されておるわけですが、いま指摘されておるようなもろもろの問題について、さらに今後検討して、この改善をしていくという方向をはっきりとお持ちになっておるかどうか、そういう点、いかがでしょう。
○中野(徹)政府委員 薬事審議会のあり方についてはいろいろな議論がございます。私どもといたしましては、先生御指摘のような現在の薬事審議会の、たとえばスタッフであるとか体制上の問題につきましては、現状の体制が十分なものであるとは考えておりません。当然にこれを充実し、行政を円滑に推進していくためのさらに充実強化を図るべきだという点については、先生と私どもは全く意見を同じくするものでございます。ただし、薬事行政全般を見ました場合に、これは、たとえば薬事行政といろいろな各種の判断との一体化という問題、つまり行政の一元性ということから申しますれば、やはり諮問機関としての薬事審議会の根本的な性格を変えるのは不適当で、あくまでも、厚生大臣が薬事行政全般について全面的な責任を負うという体制は変えるべきものではないというふうに考えております。しかし、さはさりながら、そこに高度の専門的な判断を必要とする面が多々あるわけでございまして、その意味において中央薬事審議会をさらに活用し、これを生かしていくための体制の整備充実ということについては、まことに先生の御意見のとおりであろうと思いますので、薬事法の全面施行を五十五年に控えまして、私どもは、明年度の定員その他予算面についても最大限の努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
○矢山委員 いまおっしゃった方向で、この薬事審議会の機能というのは、今後の医薬品の安全性、有効性を確保して副作用の被害を絶滅していくという上で、きわめて重大な役割りを果たすと思いますので、これはぜひ積極的に改善の方向に取り組んでいただきたい。これはひとつ、大臣の方からちょっとその決意をはっきりさせておいていただきたいと思います。
○橋本国務大臣 この制度自身が、世界的に類例のない全く新しいものでありますだけに、本会議の趣旨説明の際にも申し上げましだように、私どもとしては、現状では最善と考えて準備はいたしておりますけれども、なお、審議会のあり方あるいは判定部会の構成その他の問題について、努力をすべき部分は多々あると思います。いま御指摘のようなことも参考にしながら今後とも努力してまいりたい、そのように考えております。
○矢山委員 そのほか、認定問題では、認定の基準の問題あるいは認定した場合の効力の発生時期をいつにするか、これらの問題がありますが、もう時間がありませんから、また他の方の御質疑にひとつお願いをするとして、もう一つお伺いしたいのは、三十条の一項で「賠償の責任を有する者があることが明らかとなった場合には、以後救済給付は行わない。」ということになっておりますが、賠償責任を有する者が明らかになった場合に行わぬとは、一体具体的にはどういうことになるのですか。賠償責任があるのはこの人だと、それが明らかになったらすぐ給付はばんと切ってしまう、こういうことなのですか。
○中野(徹)政府委員 明らかになった場合というのは、私どもの立場では、たとえば訴訟が係属中であるという状態では依然として明らかでないと考えております。したがいまして、賠償責任についての判決が確定した時点ということを考えておるわけでございます。
○矢山委員 わかりました。訴訟係属中では明らかになってない、だから判決が確定をしていよいよ賠償金がもらえる、そういうことがはっきりしたときに中止にする。わかりました。それはそうしないと、給付が中止されたら、後で賠償が取れないということになったら、これは大変なことになります。 そうすると、一たん給付を受けていますね。ところが、どうも賠償の責任を持っているやつがほかにありそうだ、こういうことになって、被害者の方が訴訟を提起するということがあり得ると思うのですね。そういう場合には給付をどうしますか。
○中野(徹)政府委員 たとえば給付が開始をいたしまして、事後的に訴訟を提起されたという場合には、その訴訟が提起されたことによってこの給付を中止するという考え方はございません。法文に従いまして、先ほど御質問にありましたように、当該損害賠償請求の訴えにおきまして判決が確定する時点までは、依然として給付を続けるという考えでございます。
○矢山委員 それはそうしていただかぬと大変なのです。だから、給付が開始された、訴訟が提起された、給付をずっと継続していって、訴訟で決着がついて、判決が確定した段階で給付を切る、こういうふうにしたらいいですね。わかりました。 それから、もう一つは求償の問題ですけれども、三十条の三項ですか「賠償の責任を有する者がある場合には、その行った救済給付の価額の限度において、救済給付を受けた者がその者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。」これは請求権を取得するわけですね。請求権を取得して現実に求償が行われるということ、これはきわめて重大な問題なのですね。その場合、やはりはっきりと請求権を取得したら現実に求償が行われないと、これは基金の方に穴ができますから、大変な問題になってくる。したがって、この求償は必ずやるということですか。
○中野(徹)政府委員 御指摘のとおりでございます。
○矢山委員 それで、その場合に求償をやるのですが、私ども求償をやるかやらぬかについて疑うわけでもないのですけれども、やはり求償をやるならやるで、そのやった結果についてはっきりしておかなければならぬと思うのですね。だから、求償をやったかやらぬか、その結論についてはきちっと公開するといいますか、わかるように処理しますか。
○中野(徹)政府委員 これは、基金がこの請求権を取得いたしますれば、当然基金のいわば債権というかっこうになるわけでございまして、この債権を行使しなければ、その基金役員としては、いわば基金の、財産体としての基金に損害を与えたという結果になるわけでございます。そのような意味におきましては、請求権の行使は当然行われるし、これは基金の財務監督上もポイントをなす点でございますので、厚生大臣としても、そのようなものは正確に行われるように報告を徴収し、かつ監督をする、かように理解しておるわけでございます。
○矢山委員 それからもう一つ、この薬害被害者の救済で重要なのは、原状回復を図っていくということがきわめて重要な問題ですね。したがってそういう点で、先ほど言いました研究会報告の中でも、この「副作用による被害者は治療や社会復帰について大きな不安をもっているので、リハビリテーションや治療方法の開発などの特別の事業についても十分な考慮が払われるべきである。」こういうようなことを指摘し、さらに「医薬品の副作用による健康被害を受けた者の救済としては、そこなわれた健康を回復させ、社会復帰させるという原状回復を図ることがまず第一に考えられなければならない。このため、基金は、各種の給付のほか、広く被害者のために、被害者の健康の回復、保持、増進等のリハビリテーションや職業訓練などの福祉事業を行うべきである。」というふうに指摘しておるし、それからかつて発表された法案大綱でも、これは保健福祉事業をやるのだという規定があったと思うのです。それから日本製薬団体連合会の意見書の中にも、福祉事業をやるということを前提にしてのものが出ておるのです。なぜこの法案においては保健福祉事業、原状回復事業とも言っておるようですが、これを全部削ってしまってやらないことにしたのですか。
○中野(徹)政府委員 実は、先生の御指摘の点はそのとおりでございますが、この基金が救済給付以外にいかなる業務をあわせ行うかということについては、実は内部でいろいろ検討いたしました過程で、いろいろな議論がございました。 一つの観点は、先生の御指摘の福祉事業でございます。第二の問題は、この基金の業務の運営を通じて得られたところの副作用情報等を集積する、あるいは第一線の臨床家に対して、基金として、副作用の発生を予防する観点からのいろいろな情報の提供活動等を行うこと。火災の例をとりますれば、ちょうど防火のためのいわば事故予防の措置でございますね。こういうような事業も考えるべきではないかという御意見が、あるいはその内部での検討の際の意見にもあったわけでございます。 この二つのものについて慎重に検討いたしたわけでございますが、私どもといたしましては、この基金につきましては世界各国を見ましても前例のない制度でございまして、さしあたり発足する際におきましては、この救済給付を行い、その状況に応じましてさらに必要な業務を追加的に取り上げていくというふうな、いわばステップ・バイ・ステップでこの事業を手がけることが賢明ではないかというように判断をいたしたわけでございまして、原状回復のための福祉事業あるいは副作用情報等の第一線の臨床家の方への提供等の事業については、この基金の基盤が固まりました段階において第二段の問題として検討いたしたい、かように考えたわけでございます。
○矢山委員 そうすると、その基金の基盤が固まった第二の段階で法改正をやって、原状回復事業というものを入れていく、こういうことなのですか、それとも附帯事業の中で処理するのか。
○中野(徹)政府委員 そこについては現在まだはっきりした意見を持っておりませんけれども、場合によっては、その附帯事業でこれをあわせ行うということも考えられるかと思います。
○矢山委員 ただ附帯事業としてやるという場合に、それが果たして附帯事業という枠に入るのか入らぬのかという疑問も出されておるようですから、したがって、これはできるだけ早い機会に原状回復事業というのは入れるべきじゃないか。できるだけ早くというよりも、私は法案の中にこの際入れておくべきだと思う。先ほど来言われたように何も五十四年度からすぐ救済にかかるわけではないのですから、原状回復事業は入れておくべきじゃないかと思いますよ。これはわれわれの方としてもぜひ入れてもらうように考えたいと思いますけれども、これはそういうふうに考えておいていただきたいと思うのです。 それから、救済の対象についてかなり厳しい規制があります。これは実は一つ一つ指摘してまいりたいのですが、時間を無視してやらぬ限りとてもできませんので、その中で一つだけお伺いしておきたいのですが、医療費の支給の問題で、これは具体的にどういうふうにやられるのですか。つまり、恐らく健保優先に考えておられるのだろう。健保でやった分、その自己負担分について負担をするというような考え方ではないかと承っておるのですが、そうなんですか。
○中野(徹)政府委員 そのとおりでございます。
○矢山委員 そうなると問題になりますのは、むしろ、私は、これは基金で負担すべきだと思うのです。というのは、保険で負担をさせるということは、加害者責任を不明確にすることになるのです。これが一つ。 それからもう一つは、そうでなくても、わが国の医療保険制度というのは財政的に非常に悪化して問題があるのですから、その医療保険制度全体の財政的悪化にますます拍車をかける、こういう重大な結果を招くという問題が次に指摘される。 それからもう一つ、第三点の指摘としては、健保の枠内での診療に抑え込まれてしまう、こういう問題が起こるのではないか。特にこの第三点の問題では、研究会報告の中で「医薬品の副作用による健康被害は、一般の疾病等と異なり、治療方法が確立していない場合や長期の療養を必要とする場合が少なくないので、一般の健康保険等とは別の治療方法についても給付を行うという特別の配慮が必要である。また、特別の治療を受けるため医療手帳を交付することも検討されるべきである。」こう指摘しておるのです。それらの諸点からして、私は基金で負担をさせるべきであると思いますが、この点、いかがですか。
○中野(徹)政府委員 これは実は、先生が冒頭御指摘になりました基本問題に関連するわけでございますが、いわゆる無過失による不法行為と申しますか、賠償責任というものが前提になりますれば、これは当然健保に優先して、こちらの基金による給付が先行するということになろうかと思うわけでございます。これは単に健康保険のみならず、たとえば厚生年金あるいは国民年金の障害年金につきましても、賠償責任というようなものを前提として考えるならば、こちらが優先をするというようなことになろうかと思うのであります。 しかしながら、冒頭に大臣からもお話しがありましたように、この制度はあくまでも救済ということで、年金等についても併給をするというたてまえに立っております。医療に関して申しますれば、併給として行うということは、結局自己負担分をこの基金によってカバーをするということに帰着するわけでございまして、ただ、先生御指摘のように非常に特殊なケースがあった場合、特殊な医療というものがあった場合には、その必要に応じてこの基金で考えていく、補完的に考えていくという道は残されているというふうに考えます。これは、予防接種の場合のケースにおきましても、特殊な医療について例があったように記憶いたしておりまして、それと同様にお考えいただければよろしいと思います。ただし、その基本論として、こちらの給付が各種社会保険給付に優先するということにつきましては、冒頭申し上げました基本的なこの制度のたてまえからいたして非常にむずかしい、かように考えております。
○矢山委員 法理論からすればおっしゃる理屈もわかるのです。しかしながら、この救済制度自体が必ずしもそういう明確な法的責任論に立っての制度ではないのですから、そういう点を踏まえるなら、私はやはり健保財政の問題を重要視して考え、さらに治療内容の問題等を考えるなら、基金を優先さすべきだというのがあくまでも私どもの意見です。 それで、さらに診療の内容については、これはもう研究会報告もはっきり言っているのですから、これはやはり枠を取り外して、むしろこういうスモンに見られるように、副作用による疾患には治療方法が確立してないし、治療の問題なんかも全く模索状態ですから、これはあらゆる西洋医学から漢方医学を含め治療が受けられるようにするという、現実的な処理をぜひすべきだと思うのですが、いかがですか。
○橋本国務大臣 原則はいま局長がお答えを申し上げたとおりでありますけれども、実態はいま矢山さんがまさに例を引かれたように、たとえばスモンの場合のはりというように、その治療方法を探している中で特殊な対応ができるものが出てくれば、そういうものをこの中に取り込んでいくことは私はやはり当然だと思います。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 また、そういう道は開けておるということも局長が申しておるわけでありまして、そういう点の弾力的な対応というものは当然考えていくべき性格のものだと私も思います。
○矢山委員 もう一つだけ。 たとえばスモンのような既発の被害について、この薬事二法案を審議する際に一挙に解決したい、私どもはこういう考え方でおりますだけに、スモンに代表される既発薬害の処理について、この基金法の中で、修正にしてでも処理されるという考え方はありますか。
○橋本国務大臣 私どもがこの法案をつくります過程においても、内部でずいぶん論議をしたところでありますが、最終的には、医薬品というものが、いつ、どの医薬品から副作用による健康被害が発生するかもしれないという認識を持って、すべての医薬品製造業者の一定の拠出によってこういう制度をつくるというたてまえをとりましたために、このシステムの上からいきますと、既往の医薬品による健康被害の救済というものは現状法的に困難であるということから、この法律案を取りまとめました。 ただ、本会議でも私は申し上げましたように、私どもとして最善の努力はしましたが、なおかつ、その上に検討を要するものがあることも事実でありますし、また、本当にほかの国にない新しい制度をつくっていくことでありますから、私どもは必ずしも、こうした点について、私どものつくりましたものが一字一句動かしがたいものだというようなことを申すつもりは毛頭ありません。それこそ本院の御審議、また参議院における御審議等を踏まえて、私どもとしても弾力的に対応したいということを申し上げたとおりでありまして、今後の御審議の過程における御議論というものを拝聴しながら、私どもとしても弾力的な考え方で対応してまいりたい。あくまでも一番望ましい制度をつくることが目標でありますので、そうした点について考えてまいりたいと思います。
○矢山委員 わかりました。 私は、その言葉を承りまして質疑を終わりますが、何しろ薬事二法という膨大な審議、しかも一つは救済制度を新しくつくるという審議に、わずかの短時間でありますからとてもこれは審議にはなりません。特に、私は一つ問題として考えておるのは、この法律はまさに骨格的なものだけを決めたもので、重要な問題がすべて政省令に委任をされておる。この点については、これは薬事審議会等でもそのことを指摘しておるところでありまして、それだけに、審議を十分にやろうと思うなら、政省令の中身というものを明らかに示すべきだと思う。それでなければ単なる形式的な審議に終わってしまう。ところが、その政省令の中身いかんということをお尋ねして、私どもその資料をいただきました。その資料の中身を見てみましたが、ある程度具体的に示されておるものもありますけれども、この政省令でどういう中身の規定をやるのかということが、不明確な点が多々あります。したがって、こういう点については何としても、質疑の中でも確かめられていきましょうが、審議が終わる段階までに政省令の中身というものはぜひ明示をしていただきたい。そうせぬことには、これは率直に言うなら、政省令の中身がわからないままでは審議は進まぬということになるわけです。この点いかがですか。それで、終わります。
○中野(徹)政府委員 政省令の中身につきましては、できる限り、この御審議の過程におきまして、資料等も含めまして御説明いたしてまいりたい、かように考えております。
○竹内(黎)委員長代理 次に、川本敏美君。
○川本委員 ただいま矢山委員からいろいろ御質問がありましたが、大体医薬品というものは、他の物質とやはり異なった特殊性があると私は思うわけです。たとえて申しますと、医薬品には人体に対する特有な生物化学的な作用をする性質がある、しかも消費者にはこれを自分の判断で選択することができない、こういう特殊性があります。また、そのほとんどの消費が社会保険と公共的な医療制度の中で消費されていながら、流通市場においては他の物品と同じように自由市場の中で取引をされておる、こういう特殊性があるわけです。医薬品はわれわれ国民の日常生活に欠かせないものであるだけに、国民の立場から言えば安全でよく効く薬といいますか、それが適時かつ効果的に使用されることを国民は望んでおると思うわけです。そのためには、一つは、医薬品から国民を守るための国や地方公共団体の責任というところがどこにあるのか、あるいは二つ目には、製薬企業というものに対して公共的な利益を守らせる一つの義務の限界というものがどうなのか、あるいは三つ目には、医薬品を使用するのはその中心はお医者さんですから、いわゆるその医薬品使用のかぎを握る医師に国民は何を望んでおるのかあるいは国民は医師に対して何を期待しておるのか、こういうようなことがやはり今日の課題だと私は思うわけです。そうであるとするならば、今度のこの薬害救済基金法あるいは薬事法の改正、こういう中で、いま申し上げたような三つの点が完全に満たされるということでなければ国民は納得しないだろう、こう私は判断しておるわけです。 そこで、まず具体的に大臣に聞くわけですけれども、これは憲法二十五条、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利が国民にはあるということ、あるいは憲法第十三条の国民は個人として尊重される、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共福祉に反しない限り、立法その他国政のもとで最大の尊重が必要である、こういう憲法の規定から踏まえて、今度のこの法律というものは考えられなければいけないことはもちろんです。 この間、提案理由の説明が行われまして、その提案理由の説明の中で、まず医薬品副作用被害救済基金法の提案理由の説明の中でですけれども、大臣は「このような医薬品の副作用による健康被害の発生もまた、近年見逃すことのできない問題となっております。これら医薬品の副作用による健康被害対策の基本は、その発生防止にあることは申すまでもありません。」というようなことを言われた後で「国は、医薬品の承認審査の厳格化、医薬品副作用情報収集体制の整備、既承認医薬品の安全性及び有効性の再評価等各般の対策を進めてまいったところであり、また今般、この観点から、これまでの行政の実績を踏まえて薬事法改正の実現を図りたい」と言いながら、「しかしながら、医薬品の特殊性から、現在の医学薬学の水準によっては医薬品の副作用による健康被害の発生を完全に防止することはむずかしい」ということを言われた後、そういう状態を踏まえた中で、いわゆる薬害救済を円滑に図ることが社会的に強く要請されておるところだ、そこでこの法律案を提案したんだ、こういう趣旨のことを言っておられる。 そこで、私はまず大臣にお聞きしたいと思うことは、ここで「近年見逃すことのできない」と言うように、健康被害が多数発生しておるということです。これは私はやはりスモンを指すのではないかと思うわけです。その点についてどうなんですか。
○橋本国務大臣 スモンだけではなく、スモンをも含めた既発の医薬品による健康被害、そう御理解をいただきたいと思います。当然、ですからスモンも含んでおります。
○川本委員 それはスモンとかサリドマイドとかですけれども、しかし考えてみますと、やはりスモンというものが今日史上未曽有というか、空前というか、歴史上最大というか、そういう薬害事件であったということにおいては、私は認めざるを得ないと思うわけです。薬害被害者救済のための制度を一刻も早く確立することが社会的に強く要請されておる、こう大臣はこの間言われた。法案では附則第一条の第二項で、先ほどもお話しがありましたが、「厚生大臣が告示で定める日から起算して六月を経過した日以後に使用された医薬品が原因となって」云々ということで、今度のこの基金法の制度発足前の薬害というものは、いわゆるこの救済対策から除外していることについて、いま柔軟な答弁をされましたけれども、この審議の中でできるだけ皆さんの御意見をお聞きして、あるいは修正に応じるかのような、最終的に大臣の答弁があったわけですが、私はやはり、制度発足前と制度発足後とで差を設けるということは、これはもう全くけしからぬ話だと思うわけです。国の怠慢によって薬害が起こったわけです。その国の怠慢の責任というものを今度はこれを被害者に押しつける、転嫁をする、こういうようなことにもなりかねまじいのではないかと思って、私はそういうことは許せないと思っておるわけです。 今度、薬害救済基金法制定について、たしか五十一年六月だったと思うのですが、法案大綱が示されました。その段階では、既発生のいわゆる薬害についても一定のものは対象にするということがたしか入っておったと私は思っておるわけです。その点について先ほど矢山委員の質問もありましたけれども、そういう点について、私はスモンを除外してこの薬害救済基金法が審議をされあるいは成立をする、そしてそのまま施行されるということは、これは国民的な立場からも許せない問題だと思いますので、大臣、既発生の分を入れるということについて、もう一度はっきりとした答弁をいただきたい。
○橋本国務大臣 先ほど矢山委員にも基本的な考え方、お答えを申し上げたわけでありますけれども、この法律案を取りまとめます間の過程においてはいろいろな考え方がございました。そしてその中には、既発生の医薬品による健康被害を取り入れることを前提にした制度の組み立てを考えようという意見もありましたし、また非常に厳密な製造責任、いわゆる無過失責任的な考え方での法律案作成というものを考えられたこともございます。いろいろな角度からこの問題については研究をしてきたわけでありますが、最終的に今回のような形にまとめましたのは、一つは、やはり医薬品というものの特性から、川本さんが先ほど言われたお話を繰り返す必要もないぐらい、まさに予知し得ない事故の可能性というものを持っておるわけでありますから、やはりすべての医薬品製造業者の拠出によって将来の被害発生時の被害者救済というものに備える、一種の保険的な性格を有するものであるということが一点。 また、これは西ドイツの救済制度がよく私どものいま御審議を願っておる案と対比をして論議をされるわけでありますけれども、この西ドイツの救済制度におきましても、制度創設以前のものは対象から外れておる、制度発足後のものに適用されるという考え方をとっている。これは何もその点をまねるわけではありませんが、制度として法律がつくられた時点から以後のものというのが、いわゆる一つのいままでの通例的な考え方であるというようなこと。 また同時に、一昨日田辺の社長さんから私に対してある種の意思の表示があり、そしてそれを厚生省として裁判所にお伝えをしておるわけでありますけれども、本委員会でもたびたび申し上げましたように、スモンについては裁判上の和解というもので対応していこうとして、順調に進行しておる部分もあり、また、現在努力をしておる部分もあるわけでありまして、既発生の被害にこの制度が及ばなかった部分に対しては、国としてはそういう対応を考えてきたわけであります。 ただ、何遍も繰り返して申し上げますように、私どもは私どもなりに、現状の法律論の中で最善と思われるものをつくってきたわけでありますし、また政府としては、現状においては、ようやくここまでできたということで御審議を願っておるわけでありますが、これはまさに水田委員が本会議の趣旨説明で御質問になり、お答えを申し上げましたように私どもとしては最善の努力はしましたけれども、なお全く類例を見ない新しい制度として、これをよりよくすることに私どもは決してやぶさかではありません。何遍も申し上げておるとおりで、本委員会また参議院における御審議等を踏まえて、健康被害を受けられた方々にとって望ましい制度がつくられるように、私どもとしては努力をしてまいりたいと考えておるわけであります。
○川本委員 西ドイツの例なんかを引用されていま御答弁いただいたわけですけれども、西ドイツの法律を見習ってということであっても、都合のいいところだけ見習うということでは私は困ると思う。本来、西ドイツの法律は、先ほど矢山さんが盛んに論じておりました無過失責任論の問題についても、やはり十分取り入れて考えておられる。わが国の薬害救済基金法のように、社会的、行政的責任を補完するようなものとは本質的に考え方が違うと私は思っておるわけです。 そこで、いま大臣言われましたけれども、一昨日ですか、田辺の松原社長が厚生大臣のところに来られて、和解のテーブルに着くというような話をされたということで、東京地裁の民事第三十四部でいまいろいろ御審議を煩わしておるということでありますが、やはりこの行方を見定めてからでなければ、この法律を国会で早急にやってしまうということは問題を残すのではないかと私は思うわけです。 そこでちょっと念のために聞きたいのですけれども、田辺は従来いわゆるキノホルム説というものに対して反対をして、ウイルス説の立場をとってこられた。いわゆる因果関係の問題ですけれども、そういう点については、今度の和解のテーブルに着く際に、キノホルム説をはっきり認めるという立場を厚生大臣に明らかにされたわけですか。
○橋本国務大臣 その点に触れます前に、私どもは何も西ドイツの法制の都合のいいところだけを引用しておるわけではございませんで、たとえば西ドイツの製造物責任論の中から出てきた法体系の中には、国の責任というものは一切ございません。私は、日本においてそういう考え方が受け入れられるものではないと考えて、国もまたこうした問題に対しての責任を感じるべきだということから、法律案をまとめておるということも御理解をいただきたいと思います。 また、いまの第二点目の田辺製薬の問題についての御質問でありますけれども、一昨日田辺の松原社長から私に対しまして、田辺製薬も政府の方針に同調して和解したい旨の申し入れがございました。厚生省から直ちに、東京地方裁判所にその意思は伝えたところでございます。現在それをもとにし、裁判所として話し合いを進めておられる最中でございますので、この内容につきましては、これは裁判所の方にお任せをした部分でございますので、現段階で明らかにすることはお許しをいただきたいと思います。 私としては、田辺製薬の松原社長から受けました申し入れの内容を東京地裁にお伝えをし、東京地裁は当然またそれを確認する努力をしておられると思いますけれども、その内容というものは、原告の方々に対しましても受け入れていただけるような内容のものであると受けとめております。ですから、そうした状態の中で、私も早急にこの和解が成立することを強く期待をしておるところであります。
○川本委員 西ドイツの問題について、大臣再度言われましたが、この問題については後でわが党の委員さんからもいろいろお話があろうと思います。私は時間の関係でそのことは触れませんけれども、その法律の成り立ちが全部違うわけです。西ドイツの薬事法と日本の薬事法とは根本的に違っておるわけです。そのことを論じなければ一概に大臣の議論だけを私たちは納得するわけにはいかぬと思うのです。 実は、そのスモンについては、私どもの奈良県でも現在スモン訴訟が行われておるわけです。これは大体三百数十名のスモン患者が奈良県にもおると言われておりますけれども、たしか四十八年の一月二十二日に三十五名が原告となって第一次の訴訟を起こされて以来、五十二年の九月二十四日に第四次の訴訟があった。それまで合計四回で九十八名の原告が、合計二十四億七千八百万程度の損害賠償を要求して、いま裁判をしておるのですが、鑑定が非常におくれておるために、その判決というものはまた来年くらいにならなければ出てこないという見通しでおるわけです。 その患者の中には、実は昭和四十年前後から私が非常にめんどうを見てきた人もおるわけです。最初スモン・ウイルス説が盛んであった時分に、その原告の中の一人であった菊谷作治郎さんという方は、吉野町の方ですけれども、現在両足は全く麻痺しておって、両眼も失明しておるわけです。この方は、製材工場の腹押工をしていまして、作業中におなかをけがして、その手術を病院でしてもらったところが、その後とうとう退院できずじまいで、おなかのけがは治ったけれども、結局スモンで下半身が麻痺し、両眼が失明して、現在では介護人がおらなければ、丸太を転がしているような、非常に悲惨な状態にあるわけです。また、山中文子さんという方は五十六歳の方ですけれども、この方も、目は少し見えるんですけれども、下半身が全く麻痺してしまっておる。御主人と二人きりなんですけれども、御主人は介護せにゃいかぬから勤めにも行けないということで、森工機という会社に勤めておられたのを退職して介護しておられ、生活もできぬ。これは田辺のエマホルムを飲んだ方ですけれども、こういうような状態になっておる。あるいはもう一人、近藤隆雄さんという方は、たしかことし三十四歳だと私思っておるのですが、昭和四十三年に発病しておるのですから、大学生のときですね。この方は、目は見えるわけですけれども、下半身は全然動かない。こういうことで、いわゆる薬局で買った薬を飲んでおったのに、なかなか投薬証明がとれないということで大変苦労された方です。 私は、こういう方を今日まで目の当たりに見てきておるわけですけれども、このスモンの症状というものは、ほかの病気とは大分違う特異なものがあるわけです。この特異な症状であるスモン患者、こういう方々から類推をして、いわゆる薬害救済ということを考えたならば、先ほど矢山委員の質問の中でもいろいろありましたけれども、特に今度のこの基金法の中で、先ほど矢山委員が最後に言われましたいわゆる政省令に対する委任事項がたくさんありますね。こういう問題が明確にならなければ本当の救済にはならぬのじゃないか。先ほど、いわゆる医療の範囲ということについても、あるいは医療費というものの内訳についても、矢山委員から質問がありましたけれども、やはり医療費とかあるいは医療手当給付の対象となるそういう医療内容というものがどういうものなのかということ、あるいは給付条件としての廃疾の程度、あるいは給付を受ける遺族というのはどういうものが対象になるのか、給付の対象外とされる薬害はどういうことなのか、あるいは給付の額、請求、支給の方法その他給付に関する必要な事項とか、企業の基金に対する拠出金の算定方法とか、国が負担する場合のその負担の割合とか、こういう問題が全部政省令にゆだねられておって、現在明確でない。そしてそれについて、先ほど矢山さんも質問の中で言われましたけれども、私どもがその政省令を事前にもらいたいということで当局に要請してもらいましたけれども、その中身というものはもう全く人を食っておると思うのです。支給方法ということになると、支払いの時期とか支払い期日とかいうことが書いてあるだけで、支払いの方法がどうなのか、支給の期日がいつなのかということが明確にされていない。やはり先ほど話もありましたけれども、こういう問題について、この審議の過程できっちりした政省令というものをわれわれに示してもらわない限り、私は審議は終われないと思うわけですが、それについて局長から先ほど御答弁もありましたけれども、あれは医療に限った問題ですので、こういう政省令委任事項の中身について、もっと具体的にきっちりとした政省令の原案というものをわれわれ委員に示してもらいたいと思うのです。
○中野(徹)政府委員 もちろん、この政省令は御承知のように中央薬事審議会の諮問事項にかかるわけでございますけれども、われわれなりに現段階で考えております点につきましては、できる限り御説明あるいは資料の提出を通じまして明らかにいたしたい、かように考えております。
○川本委員 先ほど医療費の問題について矢山委員が若干触れておられましたが、私がいただいた政省令の原案では、医療費の問題については「病院又は診療所への収容」ということが書いてある。それだけのことです。それだけですか。
○中野(徹)政府委員 これはいろいろ問題がございますが、たとえば医療費の支給につきまして、軽微の一過性の健康被害といったようなものはわれわれとしては考えておらないわけでございまして、たとえば入院を必要とする以上の医療について医療費の支給を行うというふうに考えておりますので、結果的に、先生の御指摘のような入院に伴う医療費という意味で、そういう御説明をしたのだと思います。もちろん医療費の自己負担分を肩がわりし、かつまた、先ほど矢山先生の御指摘のありましたような、医薬品の副作用によりますところの健康被害に特有な、医療保険ではカバーし切れないようなものがあれば、先ほど大臣からも御発言がありましたように、ちょうどスモンにおけるはり、きゅう、マッサージによる治療のようなものでございますが、そういうものを取り入れていく余地は十分あるというふうに考えております。
○川本委員 時間がありませんので、私はここで一つ一つ詳しく聞こうとはしませんけれども、国が負担する場合と、その負担割合の問題についても、政省令の原案をもらって何と書いてあるかと思って見たら、負担する場合と負担しない場合と、こう書いてある。負担する場合がどういう場合で、どのくらいだ、負担しない場合はどういう場合だということが示されない限り、私たちはこれは審議できないと思うわけです。そういう点についてもひとつ審議の過程で明確にされますように、これは私は強く要望しておきたいと思うわけです。 それから、先ほどお話が出た福祉事業についても、先ほど私が奈良の私の近くの方々の実情を御説明しましたけれども、先ほどの福祉事業についての矢山委員に対する局長の答弁をお聞きしておりますと、いわゆる治療についても、治療施設をどうするのか、ベッドをどのように確保するのかというような問題等についても、今日までいろいろ御努力をいただいておることについては理解ができますけれども、そういうことをやはりこの基金法の中での事業としてはっきりと位置づけるためには、現在提案されている法律の内容では不十分なのではないか。まして職業訓練というような問題も私は大切だと思うわけです。リハビリとあわせて、職業訓練の問題も明確にされなければいけない。だから、この点についても十分配慮をしてもらうことを私は強く要請をしておきたいと思うわけです。 それで、実はこの救済基金法の第二条の第二項では「医薬品が適正な使用目的に従い適正に使用された場合」ということが書かれてあるわけです。先ほども申し上げましたように、消費者である国民の場合、薬というものが適正な使用目的に従うて適正に使用されているのかどうかということは、国民の立場から、消費者の立場からは私はわからぬと思うわけです。そこで、現行薬事法の中ででもそういうことについてはっきり位置づけられておるのかどうかという点については、これは現在の薬事法ではまことに不備だと私は思うのですけれども、その点について今度は改正がされようとしてない。 まず大切なことは、薬事法第一条の目的規定だと私は思うわけです。これはアメリカのキーフォーバー・ハリス法ですけれども、ここでは「医薬品の安全性、有効性および信頼性を保証し、医薬品名の基準化の権限を認め、監視権限を明確にしかつ強化するため、連邦食品・医薬品・化粧品法を改正して、公衆の健康を保護する。」と、こういうふうに、国が公衆の健康を保護するのだということが明確に書かれておるわけです。ところが、現行の薬事法の第一条では「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具に関する事項を規制し、その適正をはかることを目的とする。」これでは、大臣は安全性、有効性を確保するために今度の薬事法の改正を行うのだと言っておられるけれども、それはいままでのいわゆる薬務局長通知、通達、そのたぐいをただ法制化しただけであって、安全性、有効性のもとに国民の健康を守るということを明確に打ち出していない限り、私は消極的な改正だとしか受けとめることはできないわけです。私はそこで、有効性、安全性の確保ということについては少なくとも法律の文言上で明らかにされなければならぬと思っておるわけです。薬事法あるいは薬事行政が国民のサイドに立つのかあるいは企業のサイドに立つのか、その性格というものはこの第一条の規定で決まるわけですけれども、現行法はきわめてあいまいで、疑義を生ずる余地を残しておる。今日までのスモン訴訟の中でも見られるように、いわゆる薬事行政の混乱とか無責任さというものが出てきた、そのあげくの果てがこの未曽有の薬害事件を引き起こしたわけですから、私は少なくとも、この薬事法の第一条というものを改正して「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具等の安全性、有効性を確保し、もって国民の生命、健康の保持増進を図ることを目的とする。」こういうように改正しなければ、私はせっかくの法改正の目的が達せられないと思うわけです。この目的を達成するためには、私はおのずから、国の義務というものとそして事業者の義務というものが明確にされなければいけないと思っておるわけです。医薬品等の有効性、安全性に関する総合施策の策定とか、国民の健康を守るための必要な措置を講ずるという責任なり義務が国にはある。事業者には世界の最高の科学水準による注意義務を払って、そして薬の表示とか広告等の適正化といいますか、いわゆる先ほど申し上げました企業の一つの責任の限界というものを明らかにする必要があるのではないか。そういう二点について私は考えておるのですけれども、その点について局長、ひとつどうですか。
○中野(徹)政府委員 私ども、この法案を策定します段階におきまして、具体的にたとえば国の製造承認に関する審査がいかにあるべきかとか、あるいはGMP規定を盛り込むことによって医薬品の品質確保を図らなければならないとか、あるいは副作用情報を収集しこれを伝達するといったような、法律上具体的に明確にし得るものをその法律の中に最大限取り込んだつもりでございます。 先生の冒頭のいわゆる目的規定についてでございますけれども、これについてはいろいろな考え方もございましょうが、私どもとしましては、現段階では現行条文の「適正をはかる」ということで足りているのではないかというふうに考えておりますが、仮に先生の御発言のように、御指摘のようにたとえば条文を整理いたしますと、実はこの日本の薬事法は非常に変わっておりまして、変わっておるというのは、世界にちょっと例がないのですが化粧品、医療用具まで全部取り込んでおるわけです。先生御承知のとおりに、化粧品には有効性という観念がございません。そこで、医薬品、部外品、化粧品あるいは医療用具を通じまして安全性あるいは有効性の確保というようなことが、法律上の概念としては適さないということもございまして、私どもとしては、現段階ではこの現行条文で足りているのではないかというふうに判断をいたしたわけででございます。 なお、先生の御質問の後段にありますところの国の責務あるいは企業側の責務ということにつきましては、これは単に精神規定を入れるということでは法律上の意味をなしませんので、具体的に何をしなければならないか、国が何をするのかということをめぐりまして、製造承認、GMP、モニタリング、情報収集その他再評価とか、そういう現実に行政の場におきまして取り上げなければならないところの具体的な問題具体的な施策、またその要件というようなものを明確に法律で定めることに意味があるというふうに考えて、やったところでございます。当然その中には、先生の御指摘の国の行政上の責務、それから企業側の、製薬企業であることに伴うところの、製薬企業のあり方に伴ういろいろな製薬企業としての義務というようなものは、法律上これで明確にされておるというふうに考えておるわけでございます。 ただ、先生御指摘の目的規定の点につきましては、先生御指摘のような条文の表現も可能かと思いますが、ただ、化粧品そのものが有効性という観念がございませんので、そのようないわば一種の法律技術的な問題があるということだけを申し添えておきたいと思います。
○川本委員 有効性の問題については、化粧品が有効なのかどうかということについてはなんですけれども、政令の中では皮膚に栄養を与える効果があるとかなんとか書いてあるじゃないですか。だから一概に、私は、厚生省自身が政令の中で、このクリームは皮膚に栄養を与える効果があるとか書いてあるのだから、有効性もあり、当然安全性も守られなければならないと私は思っておるわけです。 そこで非常に具体的なことになるわけですけれども、私が先ほど言うた適正な目的に従い適正に使用されるということの中では、新薬の承認に当たっての問題として、私は一つ提起をしたいと思うわけです。 それはいわゆる表示文書、添付文書についてですけれども、現行法では五十二条の規定で具体化されておるわけですけれども、私はこれではいわゆる企業の新薬の承認に当たって不十分だと思うから、安全性や有効性を確保するという面から考えると、やはり新薬の承認に当たっては品目ごとにその記載事項もあわせて承認の要件とするというふうにして、そこで効能、効果とか用法、用量あるいは禁忌とか副作用、使用上の注意あるいはその他薬理作用全般について、これを処方するのはお医者さんですから、そのお医者さんに十分正しく伝達されるようにしなければいかぬ。現在他の薬と——このごろはもうともかく大量投与ですから、議員さんでもそうでしょう、大臣も知っておるでしょう、局長も知っておると思うが、委員会でも、お昼を食べたらポケットから薬を取り出して一生懸命何種類も飲んでいますが、一つだけ飲むのだったらその薬理作用は正しく作用するけれども、いろいろな薬を飲み合わせる。食べ物でも食い合わせというものがあるのです。薬の飲み合わせでその薬同士が薬理作用を起こして、どういう副作用を起こすのかというようなことまではっきりとお医者さんに伝達されていなければ、私は使用目的に従い適正に使用されたということにならぬと思うわけです。そういうためにも、新薬の承認のときに同時にその記載事項も承認の対象にする、こういうことを明確にしなければ、適正に使用目的に従い適正に使用されたと書いても、一体そこでいう適正とは何やね。そういう言葉で、不適正だということで、真の薬害患者が全部この基金法から除外をされてしまうおそれがある。私はこのように考えるわけです。その点について局長ひとつ。
○中野(徹)政府委員 先生の御指摘の問題は、非常に傾聴すべき御指摘であろうかと存ずるわけでございますけれども、私どもは、添付文書の記載事項というものは非常に重大なものであって、この添付文書の記載事項によって第一線の臨床家が医薬品に関する正確な学術情報を知り、それによって適正な医薬品の使用が図られるものである、したがってその意味において、添付文書の記載事項が非常に重大なものであるということは、先生の御意見のとおりであろうかというふうに存ずるわけであります。 ただし、現実に製造承認に当たっての審査対象とするということは、そこのところを変えるためには、製造承認の取り直しをするという意味を含んでおりまして、それが現実に、たとえば各種の副作用情報が集まりまして、この副作用情報を評価いたしまして、これを速やかに第一線の臨床家に、こういう副作用情報があります、これを十分に配慮して薬を使ってください、というふうな措置を機敏にとっていかなければいかぬわけですが、このためには、添付文書の記載事項というものがきわめて時々刻々に変化するというものがございます。これは先生御承知のとおりに、再評価その他の問題もございますし、モニタリングもございまして、そういう情報の収集に伴って記載事項が刻々に変化をする、また変化させなければいかぬという問題がございまして、私どもといたしましては、これを審査事項として承認にかかわらしめて固定をするということは、時宜に適さないのじゃないかという判断をしているわけでございます。その重要性にかんがみて、われわれといたしましては、この添付文書の記載事項はすべて綿密に、製造承認の際にその内容を指導いたしております。ただし、その指導をして、その後で集まった情報も含めて、さらにその添付文書をより新しい情報に即したものに変えていくというふうな、機敏な対応が必要であるという観点からいたしまして、これを審査事項として承認にかかわらしめて固定をすることは避けた方がいいのじゃないか、そういう判断で、この記載事項の重要さは十分認めますし、また、先生のおっしゃる適正な使用というものはこの記載事項に沿って判断されるということもそのとおりでございますが、これを審査事項として固定させるということは時宜に適しないのじゃなかろうかというふうに私どもは考えているわけでございます。
○川本委員 アメリカの法律では、やはりこれは承認の時の一つの必須要件として決めておるわけです。その後、いわゆる禁忌とか副作用とか薬理作用が臨床的に使われておる中でいろいろわかってきた時点で、長官が直ちにそれに対していろいろな措置を講じたり、あるいはその時点で添付文書をもう一度改めて訂正させたりする権限を有するようにされておると私は記憶しておるわけです。だから、そういう点はキーフォーバー・ハリス法というものは非常に具体的だと私は思う。そういうことについてももう一度考え直していただくように、これも強く私は要望をしておきたいと思うわけです。 そこで、時間の関係がありますので次の問題に移りたいと思うのですが、今度の薬事法改正に関連して、薬の価格というものがだんだんと高くなるのじゃないかというふうに実は私は心配をいたしておるわけです。 そこで、きょうは大蔵省からおいでいただいておると思うのですが、まず最初に一つお聞きしたいのは、来年からとかいろいろ論議されていますけれども、税調から一般消費税についての答申がなされておって、これがいろいろこれから論議されようといたしておるわけですけれども、一般消費税の中で医薬品というものがどういうふうに取り扱われようとしておるのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
○大山説明員 お答えいたします。 昨年の暮れに税制調査会から答申がございまして、その中で一般消費税大綱というものが示されているわけでございますが、その中におきましては医薬品は一般消費税の課税対象になると考えられております。一般消費税は消費一般に対して幅広く税負担を求めていくというのが基本的な性格でございますので、そういった趣旨から、非課税とされるべき物品はきわめて限定的に考えられるべきだ、こういう考え方に基づくものでございます。
○川本委員 法案大綱の中では、いわゆる非課税、特別な政策的配慮から課税することが適当でないものとして、一つは食料品、次に社会保険医療、次に学校教育、社会福祉事業、こういうようなものがある。ここで言う社会保険医療が非課税だということになれば、それはいわゆる社会保険診療によって診療報酬が請求されるときだけが非課税だと言うんですか。その点、もう少し詳しく説明してください。
○大山説明員 大綱の中で述べられております社会保険医療の範囲につきましては、現在厚生省とも御協議をしているところでございますが、その範囲といたしましては、たとえば健康保険でございますとか国民健康保険でございますとか、いま社会保険診療報酬の所得の計算の特例が特別措置としてございますが、そういったものでカバーされる範囲が考えられているわけでございます。それはさらに厚生省とも御協議を続けていかなければならない問題でございますが、お医者さんが医薬品を処方によりまして投与いたします。その処方による医薬品の対価の部分につきましては、社会保険医療の一環ということで非課税にはなると思いますが、それ以外の、通常薬屋さんなどで売られております医薬品、これは一般消費税大綱に示されておるところに従いますれば、課税ということでございます。
○川本委員 そうすると、ただいまの御説明によると、いわゆる健康保険とか国民健康保険とか社会保険で診療報酬を請求する場合に、お医者さんが処方した薬だけということになると、たとえば歯科の差額とかあるいは自由診療とかあるいは差額ベッド、そういうようなものは全部課税の対象になるというふうに理解してよろしいか。
○大山説明員 一般消費税大綱の考え方はそのとおりでございます。 なお、そういった点につきましては、大蔵省と厚生省の考え方は必ずしも一致しておらないところでございます。大蔵省といたしましては先生御指摘のとおりに考えておるわけでございます。
○川本委員 大臣、この一般消費税で、いま大蔵省の法案大綱はそうなっておるということですけれども、厚生省は一般消費税、賛成ですか、反対ですか。それだけはっきり。
○橋本国務大臣 いま大蔵省から述べられた御見解は大蔵省としてのただいまの御見解でありまして、厚生省はそれを了承しておるわけではございません。私どもは、少なくとも医薬品の問題でありますから、医薬品について一般消費税の対象にすることには反対であります。
○川本委員 大体これで、厚生大臣も一般消費税については反対の部分はあるということがはっきりしましたから、一般消費税というのはなかなか成立しがたいものだということが——大蔵省は結構です。どうもありがとうございました。 そこで、実は薬事法の今度の改正の中で、第九条第二項で「厚生大臣は、厚生省令で、薬局における医薬品の試験検査の実施方法、薬局の管理者の義務の遂行のための配慮事項その他薬局の業務に関し薬局開設者が遵守すべき事項を定めることができる。」こういうのが新たに入っておる。これは第二十七条等で、一般販売業にも準用できるというような形になっていますが、省令で定めるこの「その他」というのは、その内容はどういうことなんですか。
○中野(徹)政府委員 具体的な例を申し上げますと、省令にございますたとえば構造設備規則に適合しているかどうかという状況の確認をやっていかなければいかぬ、そういう確認方法であるとかあるいは試験検査結果の記録あるいはその記録の保存等、三番目に、具体例として申し上げるとしますれば、特定の医薬品についての仕入れ、販売に関する記帳及び記録の保存、こういったことでございます。
○川本委員 そこで問題になるのは、いわゆる一般医薬品の記帳義務ということですね。それに記録保存ですね。販売とか仕入れ先の記帳、こういうことが私は一つの大きな問題だと思うわけです。医薬品というのは、他の物品と違って市場構造に特殊なものを持っておるということで、非常に独占の支配を受けやすい商品であることはいまさら申し上げるまでもないと思う。こういうことになりますと、私は独占禁止法にも違反するおそれがあるのじゃないかと思うのです。 きょうは公取からおいでいただいているはずですが、公取としてはこういう問題についてはどう考えておられるのですか。
○樋口説明員 お答えします。 今回の薬事法の改正法案の立案に当たりまして、厚生省から、問題薬品の回収を図るというような目的で、医薬品の販売業者に対して、ただいま御説明がございましたように、その仕入れ先とか販売先の記帳等を義務づけたいということを法制化するということで御協議いただいたわけでございますが、私ども公正取引委員会といたしましては、問題薬品の回収に目的があるとは申しましても、全医薬品、全品目にわたって製造番号ごとに仕入れ先、販売先、数量等の記帳等を義務づけるということは、販売業者に著しく過大な義務を課すことになるおそれがあるのではないか。それだけではなくて、販売業者に仕入れ先、販売先の記帳等を義務づけることによって、メーカーによる販売業者の仕入れ先等に対する規制の強化、言ってみますとメーカーによる流通支配と申しましょうか、流通系列化ということにつながるおそれがある。また、いわゆる現金問屋とか言われているものの市場からの排除を招くということによりまして、薬価の硬直化をもたらすおそれがある。こういうようなことで独禁法上問題がある、そういうような認識のもとで、厚生省と調整を行ってきたわけでございます。
○川本委員 私も、いま公正取引委員会が指摘をされますように、いわゆるこれは一店一帳合い制といいますか、あるいは再販価格維持行為といいますか、そういうことで、メーカーに価格を独占的に決定する権限を与えるおそれが多分にあると思う。回収等について便利だと言われるけれども、回収等については、自動車でも欠陥自動車になるとこれは公表して回収しておるのですから、薬品の場合も、副作用等で問題があればこれは国民に公表して回収すればいいわけで、別にこういう形でやろうということは、私は大手製薬メーカー保護といいますか、価格のつり上げを認めるということにしかつながらぬと思うわけです。その点について、ひとつこの点は、特に認可の取り消し等の罰則的なものまでついておるわけですから、私はこの点についてはもう一度考慮を払う必要がある、こういうことを申し上げておきたいと思います。 時間がありませんので次に移りますが、やはり私は、薬の価格はそういう形で、一般消費税あるいは記帳義務を含む薬事法の改正という中で、薬の価格が独占的につり上げられていくおそれが多分にあると思うわけです。今日薬づけと言われる医療をなくし、あるいは薬害を根絶するためには、そこで大きな役割りを果たすのは、私はいわゆる社会保険の薬価基準あるいは診療報酬の算定方法にかかってくると思うわけです。 そこで局長にお聞きしたいのですが、本年の薬価調査は大体いつごろ、どういう方法でやられようとしておるのですか、ひとつお聞きしたい。
○中野(徹)政府委員 薬価調査は実は昨年も実施いたしまして、昨年の六月の取引実績を調査をいたしまして、その後先生御承知のとおりに、新しい方法といたしまして、事前事後のいわゆるサンドイッチ調査というのをやっております。それからさらにその後の経時変化と申しますか、価格の経時変動の状況の調査をずっと続けて、かつまた、本調査の不備な点と見られる面の補正等の作業をずっと続けておりまして、私どもといたしましては、その結果は現在申し上げる段階ではございませんが、サンドイッチ式の特別調査を加味することによりまして、実勢価格の把握に十分効果を上げ得たものというふうに判断をいたしているところでございます。
○川本委員 去年はそうでしょう。そうすると、ことしはやらないのですか。
○中野(徹)政府委員 昨年行いましたものをベースといたしまして、いわゆる経時変動調査でこれを補完する、より正確にさらにその後の値動きを把握していくという形で、処理をしているところでございます。
○川本委員 いままでの薬価調査は大体自主記入方式といいますか、いわゆる卸売業者が調査票に自分で記入するという方式をとっておるのでしょう。これからもやはりそういうことはそのとおりですか。
○中野(徹)政府委員 六月時点の取引実績に基づくところの調査につきましては、これは非常に膨大な量でございまして、他計で行うということはなかなかむずかしい点から、従前からの自計方式で処理したわけでございますが、その前後の特別調査につきましては、これはいわば抜き打ちに近い形の調査でございまして、これは他計でございます。赴きました係官がその調査をして、自分で把握するという方式でございまして、その後の経時変動調査につきましてもすべてその方式でやっておりますので、それとの照合によりまして正確な薬価が把握できたものというふうに考えております。
○川本委員 薬価調査についてもいろいろ御検討はいただいておるようですけれども、それでも、実態の把握ということについてはまだほど遠い実情にあると私は思っておるわけです。だからその点については、薬価調査の方法等についてもう一度ぼくは再検討する必要があるのじゃないかということを申し上げておきたい。 次に、薬価基準の問題です。これは大臣にお答えいただきたいと思うのですが、いわゆるバルクライン九〇という問題ですね。五十三年度の国民総医療費が十兆四千億と言われておる。これをバルクライン九〇からバルクライン七〇にすると、大体薬価が二〇%程度減る。そうすると、十兆四千億の中の三七%が薬代ですから、それで大体七千七百億くらい国民総医療費が下がるということが言われておるわけです。私はそういう観点から見た場合に、薬価基準を切り下げるというためには、バルクライン九〇方式というものを引き下げて、それによってその分を技術料に振りかえていく、こういうような診療報酬の立て方をやらなければ、もう薬代が上がれば国民総医療費も上がる一方だと思うわけです。その点について薬代を抑制する、高値安定をさせない、こういう積極的な姿勢を示すためには、どう考えておるのか、その点ひとつお聞きしたい。
○石野政府委員 薬価基準につきまして実勢価格にできるだけ合わせる努力をするのは、これは当然でございます。一番大きな要素は、やはり薬価調査を厳重にやって、その上で薬価基準を改正するのが一番手っ取り早い方法でございますし、また確かな方法であるわけでございます。 いま先生の御指摘のように、バルクライン九〇%を七〇%に引き下げれば大幅な薬価基準の引き下げになるではないかというお話でございますけれども、実はオンライン方式をとっている限り、九〇%を八〇なり七〇%に落としましても、それほど大きな影響はないわけでございます。前々から御指摘を受けておりますのは、むしろそういうことよりも加重平均方式をとるべきではないか。一つの方法として、カットオフなりあるいはそのほかのテレスコープの方式もございますけれども、そういう方式を考えたらどうか、こういう御意見はかなりあるわけでございます。しかし、バルクラインにオンラインをとっておりますのは、やはり薬剤費につきましては実費補償というたてまえを貫かなければならない。そうしますと、大多数の医療機関がその値段で購入できるものにしなければならない、こういう制約がございます。そういたしますと、加重平均方式をとりますと、薬価基準そのものは下がりますけれども、どうしてもそれで購入できない医療機関なり薬品がかなりふえてまいります。そういう場合のオンコストなりあるいはアローアンスという問題をどうするかという問題もございますし、それから買えない場合の実費補償をどうするかという具体的な問題もございます。いずれにいたしましても非常にむずかしい問題でございますので、私どもは中医協の方にいろいろ御議論願う、こういうことでいま準備を進めているところでございます。
○川本委員 時間がありませんので私は言いませんけれども、いわゆるオンライン法を加重平均をとるカットオフ法とかテレスコープ法とかに変えていくというようなことについても、やはりそういうことは検討しなければいかぬと私は思うわけです。 それから、バルクラインを七〇にするといろいろ問題があると言われますけれども、薬価基準といいますか、それの上位二十位までの平均では四五・六%ぐらいの値引き率があったとか、あるいは三十二品目については三五ないし三九%の値引き率があったとかいうようなことがいままで報告されておるわけですね。だから、そこにサンプルとか添付販売とかいろいろなことがあるわけですから、バルクライン七〇にしたから購入できない薬品ができるなどとは決して私どもは思っていない。その点をもう一度考えて、薬代を抑制する立場に立って積極的な検討をお願いしたいと思うわけです。 最後に、一つだけ私はお聞きしておきたいのです。 これは現行法の三十条、三十一条関係です。今回の薬事法の改正の経過を見てみますと、これは業界新聞とかいろいろなものを見ていて感じたことですけれども、自民党は自由社会を守るということをよく言われますけれども、今日の厚生行政や薬務行政の中で本当に自由というものがあるのかどうか。すべて業権絡み、利権絡み、弱肉強食の世界だと私は思っておるわけです。大手製薬にだけ最大限の自由が保障されている。厚生省の役人にもあるいは国民にも消費者にも、そして中小零細な製薬メーカーや販売業者にも自由というものはあり得ない。そういう中で裏で取引されて、今日この薬事法改正に至ったということを私は残念に思っておるわけです。だから、国民的立場といいますか業界の立場から見ても、中小零細な配置薬の問題についても、業権さえ絡まなければ三十条、三十一条は改正されてあたりまえだと思うのに、それが提案されていないということは、まさに大企業の中小企業倒しだと私は思うわけです。そういう点について、ぜひ今度の法律審議の中で改正してもらいたいと私は強く考えておるところですけれども、時間がありませんので答弁はいただかなくとも結構です。(発言する者あり)言いっ放しにしようと思ったんだが、それじゃ大臣、答弁を……。
○橋本国務大臣 答弁は要らないということでありましたので御遠慮をいたしましたが、いま御指摘のような配置その他の問題につきましても、どういう状況にあるか、後刻薬務局長からお聞きをいただきたい。それだけの十分な措置はしておると申し上げておきたいと思います。 ただ、その前に、公取からお話がありました部分で大変誤解を生んでは困りますので、なぜ私どもが、衛生法としての薬事法の中で記帳義務というものを考えたかということについてだけは、実例で申し上げておきたいと思うのです。 たとえば五十一年七月にグルタチオンという薬がにせ薬で問題になりました。最終的に判明いたしましたのは、これは偽造されたにせ薬であります。偽造された量は四千五百七十五万錠と言われておりますが、回収できたものは三百四十万錠であります。そして東京都が発見をされたものでありますけれども、愛知県あるいは大阪府、福岡県等の各関連府県等の現金問屋を通じて流れましたものは、回収不能でありました。また、五十三年三月にビブラマイシンという薬が、同じようににせ薬で発見をされました。これは警視庁の協力を得て摘発をしたものでありますけれども、回収できたものは七万錠であります。今日現在においても、にせ薬としてつくられて、たまたま現金問屋というお話がありましたけれども、それが現金問屋筋を通じて流れた。首都圏以外にも、関西方面にも一部販売された模様でありますが、流通経路をたどることができません。私どもとしては、にせ薬がこういう状況で流れるような状態を抑えることが、今回の改正の中で記帳義務を考えた点でありまして、川本委員の御指摘の中には少々私どもの考え方と違う御指摘があったようですが、こういうにせ薬という問題があることは公取にも御承知おきを願いたいし、委員の方々にも御承知おきを願いたい。衛生法上、こうした問題は見逃すわけにはいかぬと思っておることも申し添えます。
○竹内(黎)委員長代理 この際、午後一時まで休憩いたします。 午後零時十五分休憩 ————◇————— 午後一時十三分開議
○森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 医薬品副作用被害救済基金法案及び薬事法の一部を改正する法律案、両案に対する質疑を続行いたします。水田稔君。
○水田委員 スモンを初めとする薬害というのは、今度改正しようとする薬事法の医薬品の安全性の問題、有効性の問題あるいは再審の問題なり治験のあり方なり、そういう問題の詰めが一つ大事です。 もう一つは、被害が出た場合の救済ということで、医薬品副作用被害救済基金法案というのが出されたわけです。しかし、それで今後十分かというと、いま全体の医療を見るときに、大量投与される医薬品、医療全体のあり方ということも一つの反省の材料として取り組まなければ、本当の意味での目的というのは薬害が起こらないようにするということですから、そういう点では欠けている部分がある。 もちろん、この二つの法案に入る性格かどうかということは別の問題でありますが、その点について、基本的な問題でありますので、そういうぐあいにたくさんの薬が使われるいまの医療のあり方、そういう点はなぜ起こっているかということをまずお伺いしたいと思います。
○中野(徹)政府委員 私からお答えいたしますのが適当かどうかわかりませんが、薬務局としての考え方の一端を述べるといたしますと、先生御知承のとおりに、わが国では、皆保険の達成後、医薬品の使用量が非常にウナギ登りに増加してきているわけでございます。特に医家向けの医薬品の使用量が激増いたしておるところでございますが、これはそれなりに、先生御知承のとおりに、国民の一般の平均寿命を延ばすといったような顕著なプラス面の貢献をしてきたことは、医薬品の役目と皆保険の達成、この二つのものを絡めまして、積極的に評価すべき点も多々あろうかと存じます。 しかし、その反面におきまして、たとえばキノホルムによるスモンのごとき、あるいはサリドマイド事件のような非常に不幸な事件も、従前惹起してまいったところでございまして、このような実態をいかに改善をしていくかということが、先生御指摘のように、これらの法案を含めまして、われわれの一つの大きな課題であろうというふうに考えております。 一つには、薬務行政側からいたしますと、医薬品の製造承認に当たって、その副作用等の問題を含めましてこの製造承認を厳格化すること、さらに、副作用情報を集めまして、これを第一線の臨床家に対して十分に伝達をすること等、薬務行政の側で行わなければならない面も多々あるわけでございます。 一方また、わが国の医療における医薬品の多用という現象も一面にあるわけでございまして、これは、いわば日本の一つの医療環境と申しますか、そういうふうな形で医薬品の多用という現象が一つあることは事実でございます。 このような問題につきましては、たとえば薬価基準の適正化によりますところのいわゆる医薬品をめぐる利ざやを縮小させることとか、そのような対応策も含めまして、また一方で、臨床家の側におけるところの薬物療法についての反省評価といったようなものも、臨床家の方々によくお願いいたしまして、医薬品の使用の適正化ということを全般的に、いろいろな方策を含めまして推進していかなければならない。その中には、一つにはたとえば医薬分業等の施策も課題として残されている、かように考えているところでございます。
○水田委員 いま御答弁の中にありました、たとえば薬価基準の問題があります。それからもう一つは、これは川本委員からも触れられましたように、薬の収入ということより、技術をどう評価するかという、医療全体の、いわゆる医療保険のあり方という問題があるわけですね。ですから、私はもちろん、個々の問題をこれから質問していきますけれども、この薬事二法の改正だけで薬害というものがなくなるというものではなくて、基本的ないわゆる大量投与といういまのあり方そのものを変えていくという取り組みがなされないと、実のあるこの法案の成果というのは期待できぬのじゃないか。そういう点で、具体的なことは健保法の関係など、医療全体のあり方の中でやらなければならぬ問題ですが、少なくとも、この二つだけで薬害がほぼ防止できるということではなくて、そういう基本的な問題があるという理解をしてもらって、それに対する取り組みの決意ぐらいは、これはひとつ大臣からでも御答弁をいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 水田さんが本会議で質問をされましたときにも私はお答えを申し上げたわけですが、医療制度全般にわたるような基本的な問題について、たとえば、いわゆる薬づけ医療等の言葉が示すように、薬剤をめぐる問題が一つの大きな問題であることは事実そのとおりでありますし、また、医療費全体の増高の中で薬剤費の占めるウエートが高過ぎるという御指摘も、それは従来から受けているところです。ですから、私どもは、何もこの薬の二法が万能薬であると申し上げたこともありませんし、またそうも思っておりません。その意味では、一昨年の十一月に国会にお示しをしました健康保険制度の改正の方向づけにつきましても、こうした問題に対しての対応をお約束をし、現にいま御審議をお願いしている健康保険法の中で、薬剤の一部負担というようなものを取り込んでおりますことについては、そうした点からの規制を考えておるわけでありまして、その問題意識としては、私どもは同じような問題意識であろうと存じます。願わくはその健康保険の方も早急に御審議をいただくことによって、こうした問題にメスを入れていただければ私どもとしては非常に光栄であります。
○水田委員 それでは、具体的な問題を順次伺ってまいりたいと思うのですが、これは午前中の川本委員からも質問があったわけですが、この法案の第二条の二項でありますが、患者の側から言うと、医薬品の効用とかあるいは極量とかあるいは副作用が起こるかどうかというのは、中には知識がある人もあるかもしれませんがほとんど知識がない。そして、医者の処方によって調剤されたものを決められたとおり飲む以外にはないわけですね。ですから、この適正に使用されたかどうかという判断というのはきわめてむずかしいわけで、その場合、それは医者の誤りなのかあるいは薬の副作用なのかというようなことの証明の仕ようというのは、これは素人にはとてもじゃないがむずかしいことで、考え方としては、適正に使用されたという判断というのは、少なくとも医師の処方によって普通に薬を飲んだという場合には、これは適正な使用とみなして当然適用すべきでないか。あと問題は、それが医療ミスであるとか、あるいは本当の薬害であって責任者が出てくるかもわからぬとか、それはあとの問題でありますが、現実に被害を受ける本人が判断することができない、そしてそれを証明しなければならぬということは、とてもじゃないがむずかしい、そういうものをのけられたんでは本当の意味での救済にならないと思うのですが、その点の運用というのは一体どういうぐあいに考えておられるのか、お答えをいただきたい。
○中野(徹)政府委員 先生の御指摘の問題は、私どもとしてはかように理解しているわけでございます。 たとえば医薬品をめぐりまして、その副作用によりまして健康被害を生じた場合に、二つの種類があろうかと思います。 一つは、医師の投与いたしましたあるいは処方せんを発行いたしました、その処方自身が医薬品のいわば誤用という場合でございまして、これは明らかに医療過誤に属する問題でございます。この医療過誤の問題は、かような医薬品の誤用を含めまして、医師に対するいわば損害賠償請求権が発生する性質のものでございまして、かつまたこれは、たとえば日本医師会の損害賠償責任保険にも一応整備されているという形のものでございます。 そういう医師の医療過誤に基づかない、薬の側に原因を持ったもの、これは西ドイツの賠償関係の法規を見ますと、やはり同様のことで、医療過誤を省いて医薬品側にその原因があるものをとらまえているわけでございますが、その医薬品の側に属するところの副作用被害と医療過誤によるところの健康被害というものは、やはりたてまえとしてははっきり二分せざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。 ただし、しからばそこに言うところの適正に使用されたということをどう判断するかという問題に帰着するわけでございますが、これにつきましては、当然日本の医療の現在のいわば平均的なレベルというようなものを十分に踏まえまして、日本の現在の医療の実態として医師の過誤に帰し得ないような、要するに医師として平均的に十分な注意義務を払ったとみなされるような場合は、これはこちらの副作用被害の方に考えていこう。つまりその「適正」というのは、何よりもまず、現時点における日本の医療の平均的なレベルにおいて「適正」とみなされるものであったかどうかという判断をするわけでございまして、その意味におきまして、そういう流動的な、つまり日本の医療の実態の平均的なレベルとして期待し得るものであったかどうかという点から、臨床の専門家を交えまして、いわゆる副作用であるかどうかということの判定をしていきたいというふうに考えております。 これは薬事審議会等におきましても、この点をめぐりまして臨床家の代表の方々からもいろいろな御質問がございまして、これはあくまでも、日本の現在の医療の平均的なレベルにおいて適正使用であるというふうな観点から割り切るのであるという御説明で、一応臨床家の方々の立場でも御納得いただいている、かようなことであります。
○水田委員 その医療過誤であるか薬害であるか、あるいはどの薬品であるかということはわからないで、被害者の方は被害を受けるわけです。それで、たとえば処方せんを見てもわからぬわけです。判断は、まず基金に言って、その審査機関で審査する段階で仕分けができる、それは結構なことだと思うのです。しかし被害者の側から言えば、それらはもうすべて救済をして、そして、これは医薬品の場合でも原因者が明らかな場合は求償するというのが午前の答弁でもありましたね。ですから救済ということを主に考えるならば、当然医薬品によって起こったと思われるものは一応救済して、そして基金が求償権を持って、もし医療過誤ということが明らかならばそこから取る。いまのお話からいっても、これは医療過誤であると判断のできる方が審査をされるわけですね。そうするとそこでは、基金であればそういう判断が十分できるが、その被害を受けた本人であれば、だれか専門家を頼んで、あるいは弁護士を頼んで、専門家の鑑定を経て、それから直接民事でやらなけばならぬ。その最たるものがいわゆるスモンにおける訴訟で、これは十年間という年数がかかっておるわけですね。ですから、ほかのものまでとは言いませんけれども、医者の処方によって、薬剤師の調剤によって、あるいは医師が直接指示して病院で、診療所でちょうだいする場合もありますけれども、そういう場合は、たてりとして一応救済する。そして、あとの求償権の問題は、製薬会社に対してあるいは医療過誤なら医師に対して、これは別のところでやらなければならぬのかもしれませんけれども、今度の法律のたてりから言って、実際の運用上から言えば、そういう運用をした方が救済に役立つのではないか、そういう考え方を私どもは持っておるのですが、その点は変わりませんか。
○中野(徹)政府委員 先生御指摘の、スモンが非常に長引いたという点でございますが、このスモンにおきましては、先生御承知のとおりに、製薬会社及び製造承認に伴う国の責任を訴えまして、非常に長引いているというところが事柄の実態でございます。スモンのようなケースにつきましては、この法文にも明らかなように、先ほど午前中の御質問にもお答えしたわけでございますが、そういう製薬企業あるいは国の責任を問うて責任関係が明確にならない間は、この法律が動きまして救済を行うということでございますので、このスモンのような原因者と申しますか製造業者の責任あるいは国の責任を問うているケースについては、先生御指摘のような御心配はないというふうに御理解をいただきたいと思います。 一方、ですから入り口のところで、いわば医療過誤か医薬品の適正使用による副作用かというところの仕分けは、先生のおっしゃるように二つに分けて、一方の前者であれば、医療過誤であればこれは医師を相手に損害賠償の請求をし、これが日本医師会の賠償責任保険に担保されているという形のものでございまして、ただし、当然限界領域と申しますかボーダーラインのケースはあると思います。医療過誤と断定し切れないというようなケースはある。そのケースについては、当然に日本の医療の実態を踏まえてというふうに申し上げたわけでございますから、それを非常にシビアな形で、一方的に医療過誤の方に追いやるというような運用はされないというふうにわれわれは考えております。またこの点は、医師の過誤に属するものまでこの医薬品の副作用被害で救済をするということは、ドイツ等の先例を見ましても、つまり医師の医療過誤の一種の肩がわりを、この医薬品の製造業者の拠出金をもって主として行う制度に、その種の肩がわりを期待するのは、やや無理ではないかというふうに考えておるわけでございます。 ただし、実態の問題といたしまして、われわれは患者の副作用被害の迅速な救済を図るということを旨として運用するつもりでございますので、当然そういう観点で、臨床家の方々にも御協力を願うように十分連携をとっていきたい、かように考えているところでございます。
○水田委員 この法のたてりから言うと、医療過誤まで一時救済というのは無理かもしれませんけれども、現実にはそういうものがある。逆に言えば、その場合にはお医者さんで出してもらってファンドをつくって、そういう場合のということもやらなければならぬということになるかもしれませんけれども、少なくとも薬によって起こったと思われるものについては、一時救済をしておいて、後で求償権を行使するというたてりをとった方が——これは製薬会社もそうなんです。わからぬ場合だけでしょうけれども、これが疑わしいと思われるけれどもまだ断定できないというものについてだけ救済するわけですね。そういう点ではかみ合いませんけれども、私どもの意見としては、そういうものもすべて含めて一応基金の中で救済し、そして後から基金が求償権を行使するということで製薬会社から取る、あるいは医師から払い戻ししてもらう、そういうことを運用の中で何らか考えられないか、あるいは弾力的に、できるだけ疑わしきは救済するということで運用してもらうように、要望しておきたいと思うのです。 それから、これも矢山委員から質問があり、答弁のないままに過ぎたのですが、この支給の開始の時期の問題です。これは、たとえば被害発生の時期からにするのか、申請のときにするのか、あるいは認定決定したときにするのか、いろいろな決め方があると思うのですが、これはどの時点を考えておられますか。
○中野(徹)政府委員 この制度は一応申請主義を採用しておりますので、申請時点までさかのぼるというふうに考えております。
○水田委員 実際に被害を受けた人というのは、おかしい症状が起こって一体何だろうかという期間が長いと私は思う。恐らくいまの実態からして、ここのお医者さんではだめだから、あそこへ行って、おかしいということで、よく診たらどうも薬害ではないかというような、そういう期間というのは、被害を受けてから相当な期間だと思うのですね。したがって、たとえば労災の場合は被害発生時にさかのぼって支給されておる、法の性格が違うと言えばそれまでかもしれませんけれども、薬害の状況からいって気がつく時点、申請の時期というのは相当おくれるのではないかということが予想されるわけですから、私は申請の時点というのはどうも十分な救済にならないのではないか、むしろ、被害発生をどう認定するかという問題はありますけれども、その時点を申請の時期よりはさかのぼって、実際に明らかに被害が生じたと思われる時点等を審査の中でとるべきではないか、こういうぐあいに思うのですが、いかがでしょうか。
○中野(徹)政府委員 繰り返しになりますが、一応申請主義ということで、申請時点までは少なくともさかのぼるというふうに考えております。申請前にさかのぼれという先生の御指摘もわからないことはございませんが、実際問題として、たとえば過去における障害の程度等の認定がどこまでできるか。障害がある時点で発生して、先生の御指摘でいきますと、その障害が発生した時点から障害年金相当みたいなものを遡及支給しろというお話になろうかと思いますけれども、そこら辺の過去にさかのぼっての症状認定というのは実際問題としてはなかなかむずかしい。そういう技術的な制約もありまして、申請時点とするのが最も妥当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○水田委員 被害救済を主と考えるならば、当然被害の発生したときからということになる、ただしかし、それの認定がなかなかむずかしい。しかし、恐らくそういう場合には、自分で病気になったと思って治療を受けて、そしてさらによくならぬ、悪くなるということですから、これはカルテが相当あると思うのです。ですから、その薬害と思われる症状の出た時点というのは、専門の方々で審査されるのですから、御判断は出るのじゃないか。今度の法案ができてから後の薬害救済というのは、データも何もない遠い昔のやつを出してこいとかいうことではないわけですから、そういう点ではぜひ考慮すべきではないか。緊急に救済するということであれば、あるいは救済を主として考えるのならば、当然、発生の時期というのは断定しにくいけれども、顕著な症状の出た時点か何かそういう限定をしてでも、いわゆる申請時点よりは実際の被害が明らかに認められる時点、そういうことでぜひ検討をお願いしておきたいと思うのです。 それから次は、この法案には副作用の情報提供についての規定があるわけですが、この薬害の起こってきた中で、スモンを振り返ってみましても、製薬会社も、国も、使っているお医者さんも、当初はそういう副作用を全く知らなかったということです。三十一年以降について見れば、それが情報として医療に従事しておる医師のところへも通じない、あるいは不十分であったというようなことなどがある。そういうことが大きな原因だろうと思うのです。 そこで、実際には、新しい薬についてメーカーなりディーラーからユーザー、いわゆるお医者さんのところへいくときに、まあ局方収載のものは局方にある程度載っていますが、それを見ると、使っている薬はほとんど副作用があるというものばかり、それでも局方に載っているわけですから、そういう点は一体どの程度の情報が提供され、これからは、臨床で診断は非常に有能であるけれども、薬の使い方という点の情報が足らないためにああいう患者をたくさん出したというようなことをなくするために、副作用の情報ではなくて、まず医薬品の情報というのはどういうぐあいに、現実に使われるお医者さんのところへ流れていくように考えておられるのか。いままでの状況と、これからそれにどう対処されるかというお考えを聞かしていただきたいと思います。
○中野(徹)政府委員 医薬品も古くから使われているものと、新規開発、新規に製造承認したいわゆる新薬とあるわけでございますが、まず情報の収集ということから申しますと、たとえば今回の法律改正に従いますれば、新薬の製造承認を受けてから六年間は、先発メーカーに、当該医薬品について、綿密な使用実績を踏まえた有効性及び安全性に関する情報を収集することを義務づけるわけでございます。 このような情報は、第一次的にはその医薬品を製造販売いたしておりますところの製造メーカー、あるいは今回の法律によりますと、そこに一定の役割りを一般卸売業の方々にも負っていただくことにいたしておるわけでございますが、そういうふうにして収集されました情報は、これも午前中の御質問に答えました中にあったわけでございますが、いわゆる添付文書の中に情報として記載をされまして、これがユーザーの手元に的確に伝わるように措置をするというのが一つの軸でございます。 それ以外に、国が独自のモニタリングシステムを通じまして副作用情報の収集をいたしておりますが、これはこれなりに、全臨床家に伝わるように、この情報伝達を現に国としても努力をしているという状況がございます。 なお、もう一つの有力なパイプといたしまして、医薬品に関する学術情報の伝達ルートとしましては、製薬メーカーがみずからのマンパワーとして持っておりますところのいわゆるプロパーとか、リテールマンというふうな方々が日本全体にはおよそ三万人ぐらいおられまして、このリテールマンなりプロパーと言われている方々の医療機関あるいは開業医の方々に対する、第一線の臨床家に対する接触を通じまして、医薬品の情報収集の結果の情報伝達がなされるという、大体おおむね二種類のルートがあろうかというふうに考えております。 このいずれも、この二種類のルート、製造業者を中心としたもの、プロパーを使って伝達をするもの、添付文書によるもの、それからもう一本の柱が公的なモニタリングシステムによるところの、WHOの情報とも連動しておるわけでございますが、これを第一線の臨床家に伝わるように国の施策として行う。この二つのものが情報の収集、伝達の現在までの柱でございますし、また今回の法律改正を通じましてそれを強化いたしまして、今後もそれをさらに充実拡充していきたい、かように考えておるわけでございます。
○水田委員 一つ、私が最近具体的な恐ろしい例を聞いたので申し上げますと、いわゆる内科のお医者さんが皮膚科の薬、いわゆる軟こうを渡すわけです。薬剤師さんがその話を聞きまして、恐ろしいことだと言う。そのチューブを二本でも三本でも持っていけ、こう言うのです、皮膚科の御専門でない内科で。何が入っておるかというと、副腎皮質ホルモンです。それが現実なんですね。 それから、私の懇意な人がけがをして痛みがひどい、なかなか治らないということで、大量に腹がふくれるぐらい薬をもらってきて飲んでいた。全然よくならないから、別のお医者へ行ってこの薬を見てもらった。大量の精神安定剤を非常にきつい痛みどめと一緒に飲ましている。こんなことだったら大変ですよ、薬は飲みなさんなということになったわけです。 これはいずれもつい最近の話です。私はそういう点から、売り込む側の情報というのは効能が主にどうしてもなる。その危険なところはできるだけぼかしてということになりがちなんです。そういう点はやはりきちっと情報提供できないと、副作用があったという情報だけじゃなくて、新しい薬についての正確な実験データ等を含めて、やはり私は——いまお医者さんも忙しいですから、十分に診ようと思えば一日に三十人も診られないでしょうね。それが実際にはとにかく三分間診療ということでどんどん診ていく。そういう中で診断はされるけれども、薬のところまでそう十分な情報がないので、それを親切に流してあげない限り、やはり今度のような誤りを繰り返すのではないか。現実に私どもの田舎ではそういう実態があるわけですから、その点ひとつぜひ、情報については副作用の情報提供のみならず、新しい薬品についてはすべてそういう点を厳重にやっていただきたい。 それから、これはいま答弁にもありましたけれども、副作用の情報提供については本文ではいわゆる訓示規定といいますか、努力義務ということになっておるわけですが、いまの御答弁によりますと、省令の中ですかでそれは報告義務のようなものを課す。それは私どものところに手元にありませんが、それは省令の中でどういうものを規定されようとしておるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○中野(徹)政府委員 先生の御質問は、メーカー、が収集いたしました副作用情報についての報告義務の点かと思いますが、これにつきましては、新しい六十九条の「立入検査等」の規定の改正部分がございます。お手元の説明資料の十七ページ、十七ページというのはずっと後の方の下にアラビア数字が振ってあるところでございますが、この十七ページの上の方の傍線の引いてある部分がございます。この傍線の引いてある部分に「厚生省令で定めるところにより必要な報告をさせ、」というふうに書いてございます。この厚生省令で、副作用情報の報告義務を課するつもりでございます。そういたしますと、この六十九条に反して報告をしなかった場合には、同じ条文の八十七条の規定によりまして、直罰的に罰金刑がかかるという形になっておりまして、つまり入手した副作用情報を厚生大臣に報告しないということがあれば、罰則によって罰せられるという仕組みになるわけでございます。
○水田委員 ここで見ますと、これは必要があると認める場合だけなんですね。これは六十九条の「厚生大臣又は都道府県知事」が「必要があると認めるとき」であって、だから常時あればとにかく報告させるのじゃなくて、常時あれば報告させるということにはなっていないでしょう。だから、片っ方の方ではいわゆる努力義務、いわゆる訓示規定になっているのは、そういう点があるのじゃないですか。必要があると厚生大臣もしくは都道府県知事が認めたときに、それを言った場合に出さなかったということだけですから、常時あれば必ず出すということにしないと、これは実効が上がらないというような気がしますがね。
○中野(徹)政府委員 私どもといたしましては、この厚生省令に規定することによって、そういう報告が常時必要があると認めるという形で処理をしたいというふうに考えておりますので、この厚生省令では、メーカーが入手しますところの副作用情報について、一般的に、かつ、常時厚生大臣が報告を求める体制にいたす所存でございます。
○水田委員 はい、わかりました。 それでは次は、午前中に、私どもがもらいました医薬品副作用被害救済基金法案の省令の案がきわめて不十分で、こんなものでは十分わからぬ、こういう川本委員からの意見もあったわけですが、その中でもちょっと触れられましたように、国の医薬品の副作用被害救済基金に対する補助というのは、性格の問題としてきわめて重要な問題を含んでおると思うのです。たとえばスモンの場合は国も責任ありということで、いま三分の一持っているわけですね。しかし、今度の薬事法の改正によって国が安全性、有効性のチェックをきちっとやって起こらないということで、十分なもう・これ以上はできないという努力をしてなおかつ起こった場合、一体国の責任はどうなのか。その場合はいわゆる製造物責任ということだけでいくのかという問題等が、国の補助の率の問題、あるいは「補助される場合」というのは重要な関連を持っているわけです。それで、このもらった資料に、どのくらい補助するのか、それが大体省令に出ると思ったのですが、これを見ますと、同じように「国庫補助の内容(補助率等)」となっているわけです。それから「補助される場合」は何かは何も書いていないわけですが、これについてこの際、国の、厚生省の考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○橋本国務大臣 実は、この部分がいままでにも一番問題の多かった部分でありまして、仮に製造物責任論を採用し、西ドイツ式に部分的無過失責任を採用した場合に、国の責任というものは消えてしまうというような問題点も、国が一体給付に対して負担をするかしないかの部分で、非常に大きな議論を呼んだ部分でございます。これには本当に、あちらこちらからの意見を聞いてまいります中で、完全に議論が分かれておりました。完全無欠に企業に全部を負わせるべきであって国は一切手を出すな、そのかわりに製造物責任を明確にしろという御意見も一方ではありましたし、また一方では、いかなる被害が出た場合においても国はフラットに一定率の給付をすべきだというような御意見もありました。また、国が半数ぐらいの責任まではあり得るということで、その状況によって国の責任分担によって率を変えるべきだという議論もありました。これは私どもとしても、その考え方を整理する上でほとほと悩みまして、いま私どもが頭の中に考えておりますのは、給付費に対する国の補助というものは、これまでの副作用被害の発生状況から見まして、サリドマイドあるいはスモンクラスのような大規模な被害が発生した場合については、国がその一部を補助するという考え方を原則的に持っておりますけれども、今後、むしろ、本院並びに参議院における御審議を踏まえて最終の決断を私どもが下したいという部分でありまして、これは何も隠して書かなかったわけではなく、まさにこれから皆さんの御議論を伺いながら、その中の最大公約数的なものをとらえて私どもとしての最終の判断をしたい、そのように考えております。
○水田委員 時間の関係がありますから、治験の取り扱いについて、医薬品の製造の承認を含めてお伺いしたいと思うのです。 これは午前中の矢山委員の質問の中にも、中央薬事審議会の機能の強化、そして独自のいわゆる試験研究機関ということが言われたと思うのですが、これは医薬品等の製造の承認が十四条で、新医薬品等の再審査が十四条の二、医薬品の再評価が十四条の三、こういうことになっておるわけですが、これは現実には製薬会社が研究機関へ委託して、そこで臨床試験をやったものを書類で申請する。国は書類で審査をされておるわけですね。それで一体いいのかどうか。中央薬事審議会の権能の強化と同時に、臨床試験というのを追試という形かダブルチェックという形かで行う国の機関を特別につくるのか、あるいは公衆衛生院とか国立病院を指定してやるか、そういう追試をやった上で、国が独自にそういうデータのチェックができるということにしなければ、本当の意味の安全性の確認というのはできないのじゃないか。 これは事実かどうかは別として、私どもが聞くのは、どこの大学の教室はどこの製薬会社と常時非常にツーツーで試験研究がされておる。これはいい意味の研究もあると思うのです。だけれども、そういう点から言えば、これだけの薬害を起こした日本の現状からして、国自身がそういうチェックをする必要があると私は思うのです。その点はいかがかということ。 それからもう一つは、その場合の今度は届け出制、いわゆる治験薬の取り扱いについては届け出制ということなんですが、一体届け出だけでいいんだろうかどうだろうか。これは動物実験等のデータをつけて出すわけでありますけれども、その場合、薬の臨床試験をやるということについての審査をきちっとやって、許可制にすること。 もう一つは、大事なことは試験を受ける、いわゆる被験者であるところの患者の人権という点から言えば、当然内容をきちっと話す、こういうことが予想される、いままでの動物実験のデータによるいわゆる副作用の問題等も含めて、きちっと話をして同意を得る。そしてもしも障害が起こった場合、これは製薬会社のあれですから直接のいわゆる民事上の責任ということになるかもしれませんが、一応この場合には、もしもという場合にはきちっと救済の条件、そこらあたりまで詰めたものでなければ、治験というのはいけないのじゃないか、こういうぐあいに思うのです。 以上、時間の関係でまとめてたくさん質問しましたが、ひとつ御答弁をいただきたいと思いましす。
○中野(徹)政府委員 新薬等の製造承認につきまして、いわば試験をどちらの手で行うかという問題は根本的にあるわけでございますが、これはあくまでも私企業のいわば企業活動の一環として行われるということからいたしまして、その私企業側の負担において実験データを完備させ、これを公的に判定をするという方式をわれわれとしてはとっているわけでございます。これはいずれの国もそうでございまして、非常に多数の係官を擁しておると言われるFDAにおいても日本と同じ方式をとっておりますが、ただ公的機関が何にもしないということではございませんので、現在一般的に行われておりますのは、医薬品の規格試験等については、これを、国の機関でありますところの衛生試験所におきましてチェックをするという方式をとっております。 これが、たとえば民間ベースであるから信頼しがたい場合があり得るんじゃないか。言うなれば、企業とあるいは特定の研究室との間に癒着があり得るのではないかという御指摘も、その心配は全然ないとは言い切れませんけれども、われわれは一種のデータ公開主義をとっておるわけでございまして、基礎実験データあるいはその臨床データの審査をいたします際には、すべてこれは学術雑誌に公開され、世間一般の学界の目に触れるような形で公刊されたもののみを、その判断の資料としているという意味におきまして、そういう方式をとることによりまして、この実験データの公開主義をとっておるわけでございます。 そういう意味におきまして、もちろん国の機関で全部やればいいという、全部やるべきだという御意見もごもっともの面もあろうかと存じますが、何分にも、たとえば新成分については年間三、四十件、ゾロについては、妙な言葉を使って恐縮でございますが、その種類のものについては千から二千ぐらいの薬の新規の製造承認がございまして、これらをすべての国の機関でチェックをする、しかもそれが事私企業の企業活動に属するものについて、国が人員なり費用なりを投じてそういうことをやるというようなことは、やはり適当ではないんじゃないか。また、世界各国どこでも、大体日本と同じような審査方式をとっているというふうに御理解いただきたいと存じます。 それから治験の問題でございますが、治験の問題については、現在は事実上行政指導によって、治験計画の届け出を特定の医薬品について行わせているところでございます。今回その治験の問題を、取り入れました方式はほぼ西ドイツの方式と同じでございまして、事前届け制をしくということでございます。もちろん、国によりましては許可制をとっている国もございますし、あるいは、行政庁の側から拒否なり差しとめの命令がない限りは、一定の猶予期間を置いて実験に移行し得るという方式をとっている国もございますが、わが国の今回御審議を賜っております法案の中身は、西ドイツの方式にならって事前届け出制を採用したわけでございます。この事前届け出制のほかに、条文上ありますように、これはあくまでも、メーカーがある一定の計画を立てて、医療機関に対してその実施を依頼するわけでございますけれども、その依頼する計画の内容の規制を厚生省令で定めまして、そこに所要の事項を盛り込むという形にする。したがって、届け出があれば、その厚生省令に定めるところの遵守事項が守られているかどうかということを当然チェックできるというようなかっこうになります。その中身としましては、当然に、実験結果が信頼性のあるような、いわば依頼先をどのように選定するかという問題であるとか、あるいは万が一そこに被害が発生しました場合に、その治験の対象になった人の補償問題とか、そういうふうな所要の事項を全部、治験に関する遵守事項の中に盛り込みまして、人権の側から見ても、あるいはデータの信頼性の側から見ても、遺漏なきを期したいと考えておりますので、私どもとしましては、この方式で先生御指摘のような問題には十分おこたえできるんではなかろうか、かように考えているところでございます。
○水田委員 いまの答弁の中で一つだけ、被験者、治験を受ける側の同意という問題はその中に触れられていないのですが、そういう点も届け出の中に入れてお考えですか。
○中野(徹)政府委員 原則的に私どもは、たとえば現在国会で御審議中であるやに聞いております国際人権規約、あるいはヘルシンキ宣言等に即しまして、被験者という先生のお言葉ですが、この被験者の同意をとにかく得べきものと考えております。 ただ非常にむずかしい点がございますのは、たとえばがん等の治療薬の治験をする場合とか、あるいはダブルブラインドの採用といったようなものは非常に複雑な様相を呈してまいりますので、原則として当然同意というものは要求すべきだと思いますが、それが技術的にあるいは非常に特殊な例の場合にいかが取り扱うべきかという問題が、実はむずかしい問題としてまだ残っておりまして、これについては人権擁護の観点から、原則として同意を求めるということを踏まえながら、その特殊性に応じた適切ないわば遵守事項を定めてまいる、かように考えているところでございます。
○水田委員 それでは最後に、化粧品の被害の問題について質問したいと思うのです。 化粧品の被害というのは、化粧品会社が被害を受けたという人を追いかけ回してなかなか表に出ないようにしているわけですが、東京都の消費者センターが去年の十一月に「化粧品による被害実態調査結果報告書」というのを出しております。千世帯を対象にアンケートを出しておるわけですが、この中で大体五一%がトラブルがあった、いわゆる被害を受けたという報告があるわけですね。これは意外と多いわけでありまして、被害を受けた方々はいろいろ団体をつくっていろいろな運動をされておる。そういう中で改善された面等もあるわけでありますが、時間の関係でこれもまとめてお伺いしたいと思うのです。 一つは、化粧品というのははだ荒れを防ぎ、はだに栄養を与え、しみとかにきびを防ぐ、小じわを取ることができるという、そういう効力があるとお考えでしょうか。まずこの点をお伺いしたいと思います。
○本橋政府委員 化粧品につきましては、先生御存じのとおり薬事法上の定義といたしましては「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つ」ということを目的にいたしまして「人体に対する作用が緩和なものをいう。」というふうに規定されておるわけでございます。いわゆる薬効という言葉、医薬品等でいう薬効と申しますのは疾病と非常に密接に関連があるわけでございまして、医学、薬学の学問水準によりまして一定の客観的な水準といいましょうか、客観的な評価ができるものでございます。しかしながら、一般的に化粧品と申しますものの作用と申しますか、効果につきましては、主として使用者の主観によるというふうなことが考えられるわけでございまして、いわゆる薬における薬効というものとは異なるものであるというふうに考えております。
○水田委員 私の質問に答えていただいていないのです。私は薬効という言葉を使っていない。効果ということ、これは主観の問題と言われますけれども、嗜好品のたとえば酒を飲むとか、たばこを吸うとか、コーヒーを飲むとかいうものとは全く違うわけでありまして、私が聞いたのは、はだ荒れを防ぐことが化粧品でできるのですか、どうですか、栄養を与えることができるのですか、どうですか、しみとかにきびを防ぐことができるのですか、あるいは日焼けを防ぐことができる、そういう効果があるのですか。本人の主観じゃないですよ。現実に製造して売っておるわけですから、それを使っておるわけです。それで被害が片一方で出ておるわけですから、客観的にそういう効果があると厚生省はお考えなのかどうかを聞いておるわけです。あるか、ないか、答えはどっちかです。
○本橋政府委員 先生いまおっしゃいましたような効果につきましては、たとえば化粧品につきましては清浄効果と申しますか、きれいに汚れを落とすというふうな効果があるわけでございまして、それで、その清浄にする効果ということの付随的に、にきびができるということが少なかったり、あるいは水分等を与えるということで潤いと申しますか、湿気を与えまして、そうしましてそういう一部の作用があるものと思われます。
○中野(徹)政府委員 先生御質問の点は、実は前にも国会の場で、現在の薬事法の三十六年の施行通達の中に、基本的におさめられている部分の文面表現の件でございますが、私どもは私どもなりに、この施行通達の化粧品に関する部分は、現時点に立って考えれば大いに反省すべき点があるんじゃないかというふうに考えております。 ただし御理解いただきたい点は、その経緯から申しまして、その当時においても、何と申しますか、むしろもっとひどい広告をこの範囲に抑え込むという意図で、いわばこの施行通達でしぼったということだと思うのです。 現在の時点に立って考えますると、基本的に、先生の御指摘のようなこの文面表現にはいろいろな問題があるというふうに、率直に反省しておるところでございまして、その意味におきましては、国会の場で、薬事法の改正の施行の際に、化粧品に関するところの文面表現につきましては全面的に見直し、正しいものに直していきたい、かようにお答えしておるわけでございます。
○水田委員 三十六年の薬務局の通達については、まだ質問しない前に、いま局長の方から全面的に改めるということですから了承したいと思います。これは真実と違うことを厚生省が国民に教えておるということになりますから、ぜひ……。 時間がありませんから最後に一つだけ。 これは先ほどもちょっと触れましたように、化粧品を使ったことによって顔が真っ黒けになる。またひどいのは、それを治すお医者さんが、ドライアイス療法というのがあるそうですが、女の人の顔にドライアイスをばっと塗りつけて、黒くなったら、その皮をはいだらいいというので、ばっとはいだそうです。その人は私のところへおいでになりましたが「あなたそれはやけどですよ」こう言ったのです。まさにやけどの跡になっているのですね。一体日本の医療というのはどうなっておるのかということをまざまざと見せつけられたわけですね。これは最初行ったお医者さんは「これは化粧品ですよ」こう言う。「それじゃ次にここへ行ってください」と化粧品会社が一緒に行きますと、そこの医者は「これは違います」とこう言うのですね。なかなかそういう被害救済ができない、という問題等もあるわけであります。 そういう実態は時間の関係で申し上げませんが、この化粧品による被害というのも、一説によれば一千五百万人くらいあるだろう。あるいは本人が気づかないままに被害を受けておる方もおられるのですが、これは、今度の医薬品の副作用による被害救済基金的なものを、私は化粧品についても考えるべきではないかという考え方を持っておるわけですが、厚生省の方にそういう御検討をなさるお考えがあるかどうかをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○中野(徹)政府委員 化粧品は医薬品と異なりまして、先ほど御答弁いたしましたように、一定の疾病に対する治療効果というものを持っておるものではない。つまり、いわば人間の美しくありたいというような基本的な欲望を満たすものでございまして、その意味におきましては、根本的に医薬品とは性質を異にするものであるというふうに考えております。 したがいまして、この種の化粧品によるところの被害をいかに抑えるか、極小限にするということは、まず第一にわれわれの務めであろうと思います。 そこで、たとえばアレルギーを起こしやすいような物質については、成分表示を今回の法律によって義務づけるとか、あるいはその使用期限を定める、さらには添付文書によりまして使用上の注意事項を義務づけるというような、法制上の措置を今回の法律改正によってとるわけでございます。それによりまして、現在見られるような化粧品によるところの被害というものをミニマムにするということが、私どもとしては最大の問題であるというふうに考えております。 それ以外に、たとえばそのような手を講じましてもなおかつ残るような被害があるといたしました場合には、これはいわば一般的な家庭用品とか、あるいは食品とかといったようなものと同様のレベルにおいて、その被害救済をどうするかというような、やや幅の大きい問題になるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、それはけさ方も出ましたところの、たとえば製造責任論などとも絡みましてどのように検討していくべきか、今後の課題として残るのではなかろうか、かように考えております。
○水田委員 終わります。
○森下委員長 次に、安島友義君。
○安島委員 私は、いま審査中のこの法案について、医療健保制度の仕組み、運用というような広いかかわりを持ったものだ、したがって、法体系というのもやはり縦の面だけではなくて、横のかかわりというものを十分考えるべきだということから、いろいろそういう広い意味においてのかかわりをただしていきたいと思うのです。 そこで、午前中からも部分的に指摘されておりますが、医薬品の生産額の推移や構成というようなものを見てみますと、まず生産額の推移ですが、四十八年度に一兆三千六百七十一億円だったのが五十二年では二兆四千五百八十二億円、そしてこの間五十年度のみが前年度比で五・五%増という一けた台ですが、それ以外は全部二けた台、五年間の単純平均の増率は一八%である。これがたまたま医療費の伸びと正比例しておるということが見られるわけですが、この点についてどうお考えですか。簡単に答えていただきたい。
○石野政府委員 確かに、私の方の医療費用の傾向を見ますと非常に大きな伸びを示しておりますが、薬剤費の比率で申しますと、五十二年におきまして三七・七%という数字になっております。これは諸外国の例を見ますと、その比率は確かに高いということだけは言えると思います。
○安島委員 医薬品の総生産額に占める主要大手十二社の割合は、五十二年度が八千三十八億円で三二・七%となっているわけであります。これは他産業と比較しますと、必ずしも大手の企業のシェアが多いということにはならない、むしろ中小メーカーが医薬品生産には非常に多いということです。私は、中小メーカーがどうこうという意味で、悪い薬をつくっておるという意味にとられると困りますので、そういう意味で言っているのじゃないのです。事実関係だけを見ておるのです。私は素人ですから、いまいろいろのメーカーが売り出している薬は、名前だけ薬品名だけが違うけれども、主成分はほぼ同じような薬が多い。ということは、大手企業のみならず中小メーカーも一たん許可された薬と主成分は大体同じような、薬の製造販売が許可されていると聞いておる。したがって、現在までに市中に出回っている薬の種類は実に四万種類と言われている。そこで今度は、五十二年度中に承認された品目数というのは、皆さんの方から出した資料によりますと、五十二年度だけで四千品目です。四万の中の約一割が一年だけでもって許可されている。これは午前中にも指摘されておりますように、新薬の承認審査で一年間に四千品目も承認されておるというのは、いまの薬事審議会にいろいろ専門部会等もあるようですけれども、聞くところによるとほとんどが書類審査だ。いわば新薬を承認するそういう機関の構成というものが適切であるかどうか。それから、いわゆる類似薬品的なものがかなりいろいろな流通経路を経て市販に出ている疑いも持たれるわけですが、この点について、両面からまずお伺いしたいと思います。
○中野(徹)政府委員 先生の御指摘の、まずどれくらいの数のものかということでございますが、四千という数字は、もちろんこれはいわゆるゾロ製品というものを含めているものでございまして、従前知られていなかった、使われていなかった物質を新しい薬として承認しますものの件数は、成分にいたしましてもせいぜい年間三十件ぐらいというふうに御理解いただきたいと思います。そのように一度新規成分の製造承認が行われますと、現在のところでは、新薬製造承認に伴うところの副作用報告期間が約三年でございますから、三年の期間を経過いたしますと、いわばだれでもその物質について類似の薬をつくれるという状態になります。これがいわゆるコピー商品とかゾロと言われているものでございまして、これの類似商品の市場参入を、実はそのこと自身好ましいかどうかは別といたしまして、現在の法律の規定のもとでは、これをとめる権限というのはわれわれにはないわけでございます。そういうすでに既知のものの製造承認に当たりましては、安定性試験のデータ等ごく一部の簡易に入手し得るデータをもって申請されれば、これを承認せざるを得ないというのが現在のたてまえでございまして、多くの中小メーカーの方々がこういうコピー商品をどんどんつくられる。それが非常に市場で競争が激しくなって、値崩れが起こる。それで逆に、いわば薬価基準との格差が大きくなりまして、そういうゾロ商品を使っている臨床家の方々の利益が大きくなるというふうな、いわばそれが医薬品の多用に逆に結びつくというような一種の悪循環が起きていることは、先生御指摘のとおりだと思います。
○安島委員 新薬承認というのは訂正しますが、少なくとも四千品目の製造販売を承認したことは間違いないはずですね。それはどういうような手続で承認されているのですか。
○中野(徹)政府委員 これは、一般の新薬の製造承認の場合には、先ほどからお話に出ておりますように、基礎実験データから臨床データから全部自前でつくりまして、これを審査しなければいけないわけでありますが、すでに認められている、すでに製造承認を与えられた物質、その物質と同じものであれば、この審査はきわめて簡単なもので済むというのが実態でございます。
○安島委員 この辺にも問題があるように思われますが、時間の関係上、先に進ませていただきます。 次に、医薬品の用途区分別の生産金額というものを見ますと、ほとんどこの五年間の傾向というものは、医療用医薬品が大体八〇%、一般用医薬品が約二〇%、こういうような構成であるように思われます。このことは、この薬害の問題を考える場合に、もちろん薬局から買って飲んだ薬の副作用ということもあるでしょうが、大部分は医療用として用いられたものである。つまり国民の側で、この場合患者と言った方がいいかもしれませんが、買って飲んだ薬というよりも、医療機関による投薬というものが薬の八〇%以上を占めているということを考えた場合には、何らかのかかわりというものをこの面からもこれは考えなければならないと思いますが、抽象的な質問になりますが、考え方の面だけお伺いしたい。かかわりがあるとお思いですか。
○中野(徹)政府委員 もちろん、いわゆる一般用医薬品、家庭薬と言われているようなものにつきましては、これの医学的な知識あるいは薬学的知識に乏しい一般の消費者が飲んでも、健康被害というものは生じないように、安全性の面に極力注意してあるものでございます。そういう意味におきまして、一般用医薬品自身は副作用の発現率はきわめて低いものというふうな前提がまずございます。したがいまして、そのような前提に立って考えれば、先生の御指摘のような医家向けの薬と一般用向けの薬のシェアということも絡まして考えれば、副作用被害の発現は、主として医家向けの薬の医師の処方、もしくは医師自身の投薬によるものの方が大きいであろうということは、一般論として言えると思います。
○安島委員 次に、難病対策について、関連があるものですから若干お伺いしたいのですが、難病の定義はどういうことなのですか。
○田中(明)政府委員 いわゆる難病の定義でございますが、これは昭和四十七年の十月に出しました難病対策要綱によりまして、まず「原因不明で、治療方法が未確立であり、かつ、後遺症を残す恐れの少なくない疾病」、第二が「経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず、介護等に著しく人手を要するため、家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」という二つのカテゴリーになっております。なお、寝たきり老人あるいはがんなど、すでに別個の対策の体系が存するものについては対象から除くというふうにしております。
○安島委員 包括的な難病対策について、厚生省の場合にはいろいろな対策をとられているわけですが、厚生省の調査による特定疾患症状、そういう病名というのか、それは一体どのぐらいの数になっているのか。それから、五十二年度で出された資料を見ますと、この病名の症状区分別の患者数に非常に幅があり過ぎる。ということは、この実態がまだ十分把握されていないということになるのかどうか、お伺いしたいのです。
○田中(明)政府委員 厚生省がいわゆる難病ということで調査研究しておりますベーチェット病、重症筋無力症等の特定疾患については、その原因の究明、治療方法の確立のため、現在四十三の研究班を編成して調査研究を進めているわけでございますが、その調査研究の対象となっている疾患は六十二疾患でございます。 このいわゆる難病特定疾患の患者数についてでございますが、この患者数につきましては、各調査研究班におきまして推計がされているわけでございますが、推計の方法といたしましては、全国の医療機関へのアンケート調査あるいは人口動態統計、これは全国の死亡についての届け出による統計があるわけでございますが、この人口動態統計の死亡調査を使っての方法、あるいは物によりましては、都道府県の衛生部が発行いたしております特定疾患医療受給者証の件数等をもとに推計しておるわけでございまして、したがいまして、若干の幅を持って推計がなされているわけでございます。
○安島委員 これまでに調査班を編成していろいろ調査を行われ、その報告書が出されているわけですが、この報告書の結果に基づいて、これまでどのような措置をとられてきたのか、例示で結構ですから、お伺いしたい。
○田中(明)政府委員 御指摘のように、調査研究班の研究成果につきましては、報告書を作成いたしまして、各方面に配付いたしているほか、また、各学会あるいは専門誌等にも公表され、そのような研究の成果は、各種疾患の診断、治療法の普及に役立っているというふうに考えておる次第でございます。そのほか、各種特定疾患について症例集を作成いたしまして、都道府県医療機関に対するこれら疾患についての一層の知識の普及を図る努力もしております。 具体的に申しますと、一例でございますが、いわゆる難治性肝炎の調査研究班における成果といたしまして、B型肝炎に対する予防措置としてワクチンの開発の可能性が示され、それに基づきまして現在ワクチン開発の研究が進められているというような事実がございます。
○安島委員 早期発見という医学の進歩もさることながら、特定疾患として指定されているような病名、患者数というのは年々増大しているのですね。それから、難病の定義で明らかなように、原因がわからないから治療方法がないという、きわめて困った問題なわけであります。 これらの問題を考えた場合には、いまの現代病とも言われる諸問題の中で、生活様式とか職場環境の変化、さまざまな要素が絡み合って精神的、肉体的に及ぼす影響もかなり大きい。まあこれだけじゃないと思いますが、こういうようないわゆる複合した要因というもので、一体何が原因かということを見出すのが困難になっているように思われる。つまり、薬や現在の医学というものが相当進んでいるとはいっても、それ以前の問題等も十分調査、分析、検討の中に入れないと、長引くだけで、お金がかかるだけで一向に治らない、患者数は年々増大している、そして、家族を含めて相当生活にも困り、あるいは治る見込みがないというような状況の中で、精神衛生的にも大きな影響を受けている患者数が余りにも多いわけなんですね。 したがって、ここでは余り時間をとられませんが、私がここで申し上げたいことは、全部の患者を対象としての調査研究というのは困難と思いますが、少なくとも症状別に摘出して、モデルと言っては適切じゃありませんが、患者の協力を得て、罹病に至る前の職場とか、あるいは以前に病気をした経緯があるのかという、いろいろなその状態というふうなもの、あるいは調べられれば、どういうような薬をこれまで服用してきたのかとか、病院に入ってからどういうような薬を飲んできたのかとか、そういうようなものをやはり系統的に調べてみないと、本当の要因というのは見出せないのではないか。 治療法がないと言いながら、結局対症療法として、やはり頭が痛いとか肩がこるとか筋が張るとか言えば、その症状によって薬や注射を打っているわけでしょう。それで、それは一時しのぎであって、考えようによっては、要因が見出せずにそうして病院に入っている期間は薬も飲む、注射も打つ、一体これはどうなるのかという問題ですね。そして、治すために使われるお金ならば思い切って使うべきだけれども、お金がどんどんかかるわりあいには有効な治療方法が見出せない。それは根本的にはその要因というものを、やはり相当広い意味からの要因というものを見出すような、私は専門じゃないからこういうことを言うのはおこがましいのですが、精神衛生医学というふうなものもやはり十分取り入れた検討というものが必要であり、系統的な調査、研究、対策を講ずるためには、いまのような総花的な予算を使って、その予算の費目を見ても治療研究費となっているから、その名前のとおりに判断したところが、大部分は医療の一部を保障というか、補助するというふうなものに使われている。これも一部の症状だけと、対象者もきわめて限定されている。大部分は医療補助の対象にもなっていない。こういう問題を考えた場合に、私は思い切って予算を計上し、その予算の計上の仕方も、これまでより一歩進んだ形で、体系的にこれらの要因というものをできるだけ、中間報告でも何でも、そういうものから一歩でも二歩でも前進させるような方途を考えるべきだと思いますが、これは大臣、どういうふうにお考えでしょう。
○橋本国務大臣 もともと、いま御指摘を受けました治療研究費、私が政務次官当時に、スモンあるいはベーチェットの患者の方々に対して、国として対応の方法がないことから、ある意味では非常に無理をして考え出した、医療費に対する補助という目的を確かに秘めていたものでございます。ですから、そういう点からいって、いま安島さんが指摘をされたような問題点があることを私も否定をいたしません。 いま各研究班の方々が研究をしていただいております中には、確かにその原因の究明と同時に、治療方法の確立ということが一つの大きなポイントでありますから、いま安島さんが論議をされたような角度からの問題のとらえ方が、目立たないかもしれませんけれども、同時に、やはりその基本的な発生原因、発生メカニズム等を解明していきます過程においては、いまお話しがありましたような、その方々の罹病前の生活状況、あるいはその勤務しておられた職場における職場環境その他の、生活環境に類する部分のデータというものは当然必要になるべきものでありますから、そうした点、従来からもなされておると思いますけれども、いまのような角度からの研究というものをもう一度、公衆衛生局長にも見直してもらうようにしたいと思いますし、恐らくそういう方向で現実に研究が行われておると私は思っております。 ただ、いま御指摘のように、プライバシーに絡む部分等がございますだけに、これはやはり、今度は患者の方々にも御協力をいただかなければならない。また、そこでちょうだいをした資料について公開ができるかできないかというような問題もありますから、非常に人権問題等と絡んで慎重な配慮を要する部分も多くあろうと思いますので、行き過ぎることがないようにしながらも、そうした点に努力をさせていきたいと、そのように思います。
○安島委員 次に、医薬品の副作用の責任の所在について、若干お伺いしたいのです。 この副作用の要因ですが、これはしばしば指摘されておりますように、薬物そのものの特性ということにかんがみまして、利用する側、いわゆる医療機関、お医者さんですね。投与側と言った方がいいでしょうか、利用のされ方。それから、これは専門用語だと思いますが生体側、つまり患者の方の体の調子、栄養の状態、諸臓器が異常がないかどうか、感受性の問題、それからアレルギー等の特異性があるかないか。こういうことによって、薬の有効性と安全性のかかわりというのはかなり微妙に及ぼす影響が違ってくるわけですね。こういう点を考えますと、供給者つまり製薬メーカー、投与者つまり医療機関・医師、服用者つまり患者、こういう三者の関係というものが非常に密接不可分になってくるわけです。特に薬害と言われる薬の副作用については、これはもう常識的に製造販売を許可した国の責任、製薬会社の責任というものは明らかですが、投与者、医療機関の責任、これは、私は何も法的責任という意味じゃありませんよ。医療という問題を考えた場合には、やはりその責任分担というものが明確に担われているかどうか。ですから私は、医療制度や健保制度の仕組みや運用全般にかかわりが深い問題だというふうに冒頭指摘しましたが、こういう関連において考えないと、国民の健康は守れない、私はこう思うわけです。 そこで今度の法改正においては、医療機関というものの責任、何度も言うようですけれどもこれは当然の責任の分担の意味を言っているのですよ。法律的にどうこうということばかり言っておるわけじゃありませんが、この辺どういうふうに位置づけられておるのか。あるいは、法文の中に含めなくても、今度の法改正あるいはこの救済制度の発足との関連において、どういうように厚生省当局としては考えておられるのか。その点をお伺いしたい。
○中野(徹)政府委員 先生の御指摘の問題は非常にむずかしい問題でございまして、御指摘のように副作用の発現ということにつきましては、先生の列挙されましたようないろいろな複雑な要因があるわけでございます。 私どもといたしましては、その副作用被害というようなものを、ある面では副作用のない薬はないというようによく言われますように、その薬の作用によりまして疾病の治療をいたすというところのいわば薬のベネフィットというものと、それに伴って避けがたい一定のリスクというものがあるわけでございまして、その有効性と安全性のバランスの上で薬を、副作用というようなマイナスを極小限にするように現実の医療に当たっていただくということは、とりもなおさず臨床医家にお願いをしなければならない問題であるというふうに考えております。 そこで、その副作用を極小限に、最小限にとどめるためのいわば薬の製造承認に当たっての配慮事項、さらにはその副作用その他の情報を臨床医家に対して十分に提供するということ、さらに医学、薬学の進歩に伴いまして既存の医薬品も見直して、いわば有用性を失った医薬品、副作用の方がバランスから言ってマイナスが大きいというような医薬品をどんどん市場から消していく、そういう行政面の努力をこの新しい法律によって行っていくということが第一でございます。 第二に、医師の側におきましても、その医師に期待される十分な配慮をされても、なおかつ、どうしても薬の特性上発生する一定限の副作用につきましては、これはいわば責任をだれにもかぶせようのない問題でございますから、その被害というようなものはやはり社会的に分散をして、たまたまその被害に出っくわした人たちの経済犠牲だけ、あるいは肉体的な犠牲だけにとどめることをしないように、救済をするというのが、この第二の、健康被害の救済基金に関する法律の趣旨でございます。 いずれにいたしましても、それら全部を含めましても、なおかつ臨床医家のお立場で、いわば薬の副作用を最小限にするということについては御努力をいただかなければならない面が多々残っておりますし、また、薬の多用を促すような制度的な要因というようなものも、薬害の防止のためには、やはり取り除いていかなければならぬということも、先生の御指摘のとおりだろうと思います。 したがいまして、この薬事法の改正あるいは救済法の改正のみならず、全般の日本の医療環境の改善という形におきまして、われわれとしてなお努力すべき点は多々残っている、かような位置づけで、二つの法案を考えておるわけでございます。
○安島委員 注射を打ったり薬を飲んだ直後に著しい副作用反応が生じたという場合は、これは患者側もはっきりこの薬だ、注射だということがわかりますね。こういう場合を除いて、医療機関の過失責任を特に法的に問うということは、現在では不可能に近い。ですから、長い期間薬を飲んでいる、さっぱり病状はよくならない、むしろ症状として悪くなっている。患者の方は、どうも自分が飲んでいる薬がこの症状に合わないのじゃないかと思っても、患者自身にはわからない、こういう場合が大部分だと思うのですね。この薬の副作用というものを立証することの困難性。ですから私は、いま一番大事なことは、言葉が適切かどうかわかりませんが、医療のモラルを確立することだ。ですから、これは責任というのは、何も法律的な責任という意味ではなくて、私たちはすべてにおいて、私たち国会議員は国会議員としての責任、当然国民の代弁者としての責任、それぞれの分担責任というものを、別に法律的におまえが悪いんだという意味ではなくて、社会的なそういう責任の分担機能が明確にされない限り、私は、現象面を追っかけているだけにすぎない、根本的な対策というものにはならないということを、薬の問題に触れて、医療機関にもそういう点の一定の義務、責任というものをやはりはっきり認めてもらう立場で考えていくことが大事だ、こう思うのです。 そこで、この中でお伺いしたいのですが、法律の関係でかかわりがあるわけですけれども、たとえば今度のこの副作用による被害の救済の申し立て、患者が申請をする場合には何を根拠にして申し立て、申請をするということになりますか。
○中野(徹)政府委員 細かい点はこれから詰めなければいけないわけでございますが、私どもといたしましては、ある副作用が発現をいたしまして健康被害を生じたという場合に、その健康被害に関しまして当然医師の診断なり何なりがあるというふうに考えておるわけでございます。その医師の診断があって、一定の障害があるということの証明、それから廃疾の状態にあれば障害のその状態等の証明も必要でございますけれども、それと、医師の判断としましてまず先行するのは、これが特定医薬品の副作用ではないかという判断は当然臨床医家としてもなされるわけでございますから、その一定の診断にあわせましてその投薬の事実を証明する物証のようなもの、このようなものを添えまして御申請を願うということを考えております。その様式等の細目については私どもとしてはなお実施までに適確な形に詰めてまいりたい、かように考えております。
○安島委員 私は事務手続の問題に触れているわけじゃありませんから、根幹にかかわる問題に触れているわけです。つまり、薬の副作用によるものだということを医者が診断するような場合は、これはきわめて一般的にも立証されるようなケースであって、先ほどからの三者の関係で、投薬側の薬の使われ方にも問題があると思うので、そういう医療機関の関係者が、薬の副作用によるものというふうな診断を書くという場合はきわめてまれではないんでしょうか。患者は救済の申し立てが容易にできるとは思えない。その点についてどう考えておられるのかということをお伺いしているわけです。たとえば訴訟を起こすと、患者側自体が確実に当該薬による副作用だという疑いを持ったという場合を除いては、立証することがきわめて困難ではないんですか。ただ一つ、厚生省がこの副作用モニター制度ということで全国の主要病院を指定してそういう報告を受けている、これらが一つのモデルケースというか、副作用によるものという認定の根拠になると思いますが、それ以外のところで、申請する側の方が一体何を頼りにして申請することになるのですか。それとも、自分は薬による副作用だと思っている者が申請すれば考えてくれるということになるのですか。
○中野(徹)政府委員 先生の御心配の点は、恐らく医師の責任を問われるようなおそれがある場合は、医師のそのようなものについての協力体制が得にくいのではないかという御指摘だろうと思うのですけれども、私どものこの案は、薬の副作用については医師の責任と関係なしに、医療過誤でない限りにおいてはこれを救済するという前提の制度でございますから、当然臨床医家の協力は十分得られるかと考えておるわけでございます。 ただ、先生の御心配のような、たとえばスモン等の薬害事件におきまして、臨床医家の責任が訴訟上追及されるのではないかということから、投薬証明を得られなかったというケースを恐らく念頭に置いて御心配になっておるんだろうと思いますが、この法案は、医療過誤でない限りにおいては本人の患者救済が速やかに行われるという前提でございますから、この点についての医師の協力は十分に得られるものと考えております。
○安島委員 後でも触れようと思ったのですが、午前中もしばしば指摘しておりますように、いま社会的な大問題になっているスモン病患者の完全救済を前提としてないそういう法案で、これから発生するこういう薬による副作用の被害者の救済ということを言葉の上では言っても、具体的に救済の対象の範囲はきわめて限定されるし、その立証を厚生省は確約できるのですか。今度のように集団でこういう問題が発生し社会的な問題になった、しかも十年以上もかかってようやく因果関係が立証されるかどうかという問題でしょう。そういうことを考えた場合、個々の症状のケースで、しかもお医者さんとの信頼関係からしても、患者側が薬による副作用を申請するのはかなり勇気が要ることですよ。このことはただ単に薬に問題があるんだということが立証される場合は別だけれども、使い方にも問題があるということを私たちは常々、私は専門家じゃないからわからないけれども、生体側の関係、いわゆる患者側のその薬自体に対する反応というものはみんな個人によって違うわけですから、複雑ないまの医療の仕組みの中で、そういうような個々のケースの場合に患者が救済を申し立てるという手続が容易にできるとは思えない。そうすると、一般に訴訟問題を起こして未解決のようなケースの場合はその間に救済の対象になるかもしれないが、では、個々のケースの場合どういうことを考えるのですか。
○中野(徹)政府委員 医薬品の副作用は、医師が十分に注意を払っても不可避的に発生する副作用というようなものは、幾つかのカテゴリーがございまして、これは学問的にも、一定の薬と一定の副作用の一般因果関係というものは相当既知のものになっているわけでございます。そのような意味におきまして、全く未知の副作用を発現したという場合には、その判断に相当の時間がかかることはあるかと思うのでございますけれども、一般に既知の副作用に関しましては、当然にこの制度による救済ということを前提にすれば、当然、その臨床医家の側のその投薬等の証明についての御協力は十分に得られるものというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
○安島委員 午前中にも指摘されましたが、薬が適正に使われているかどうか、表現は別ですが、そういうのが今度の法案の中に出てきております。ということは、薬そのものの特性から、先ほどから言っているように有効性と安全性とは裏腹、両方の面の均衡の上に成り立っているようなものだと思うのです。一般的に薬というものはそうだと思うのです。 〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕 そうすると、投薬量とか回数にもかかわりがあるということから、皆さんの方では、抽象的だがあの表現はどうも、そういう問題もあるということから触れられたのと違うのですか。そうだとすれば、あなたのいままでの答弁はその点についてちょっとあいまいじゃないんですか。あの表現はそういう意味じゃないのですか。薬の使われ方にも問題があると考えられたから出してきたのじゃないですか、あの表現は。それはどうなんですか。
○中野(徹)政府委員 私が申しましたのは、一般的に日本の医療について医薬品の多用という批判があるわけでございまして、この医薬品の多用、つまり薬物療法に偏重するという日本の医療環境については、行政全体として反省すべき点はあるということは申し上げたわけでございますが、この制度の個々のケースの問題に絡めて申し上げたわけではございません。
○安島委員 特定疾患患者の中には、薬の副作用による者または疑いのある者は含まれているのでしょうか。いるとお考えですか。
○田中(明)政府委員 現在までに判明いたしておりますのは、先生御存じのとおり、いわゆるキノホルムによるスモンというのが一つございますが、そのほかの疾病につきましては、先ほども申しましたように、その原因について不明のものも対象にしておるわけでございまして、いろいろな原因が考えられておりますが、スモンに対するキノホルムというように特定されているものは、現在のところございません。
○安島委員 専門医の研究分析結果の中でも、スモン患者と認定はされていないが、スモンの症状と非常に似ているものが特定疾患として指定されているものの中にも幾つかあるということを聞いておりますが、これは仮定の話ですが、スモン患者の全面的な救済が当然図られると思うのですが、その場合の関連についてはどうお考えですか。これらの非常に症状が似ているようなものについてはどういうふうに考えられますか。
○田中(明)政府委員 救済の件につきましては薬務局長の方からお答えがあると思いますが、従来から、スモン病というのはわが国だけじゃなく外国にもあるわけでございまして、多種多様の症状を示しているわけでございますが、わが国におきまして、いわゆるスモン病の患者が多発したということに関連いたしまして、その原因が追求され、研究班におきまして、その大多数がキノホルムと関係があるというふうな判断がなされたわけでございます。したがいまして、キノホルムに関係のないようなスモン病の症状を呈する患者もいるわけでございますので、そこら辺の仕分けにつきましては今後の課題として残されているわけでございます。(「スモン病という病気はないぞ」と呼ぶ者あり)
○安島委員 どうもあいまいですね。 大臣にお伺いしますが、前にも同僚委員の方から指摘されましたが、私が冒頭申し上げましたように、薬事法の目的、性格を明確にするということが先決ではないかと思うのです。当然私は、この法案について不備なりにも一定の評価は惜しむものではありませんが、しかしこれはあくまでも出発点であって、もっと広い角度から問題というものを掘り起こして、やはり国民が安心できるような法体系に近づけるように持っていくべきじゃないか。そのためには、私は技術論や手続論では済まないと思う。それから、どんなりっぱな法体系をつくっても、運用そのものが国民の側に立つものでなければ何にもならない。そういう点からも、薬事法の目的、性格というものはやはり前文の中できちっと整理しておくべきだと思うのですが、この点、いかがですか。
○橋本国務大臣 安島さんが先ほどから御指摘になっておる問題点、私も決してそうした見方を否定するものではございません。ただ、従来から本委員会においてこの薬事法について御議論がありました中には、ただ単に有効性、安全性の問題ばかりではなくて、きわめて広範な内容があったことも御記憶のとおりであります。私どもとしては、一つはやはり、患者の救済というものを急ぐということから、今度の救済基金法を準備をし、それに伴って、薬事法の改正について従来からいろいろ御論議のありましたものの中で、まず第一歩として、従来の不良医薬品の取り締まりを主眼とした薬事法から脱却をし、承認時はもちろん承認後においても、有効性のない、あるいは安全でない医薬品等が流通することを防止するために、必要な規定の整備を今回は図ったわけでございます。ある意味では、薬事法の改正の第一着手が今回の御審議を願っておるものでありまして、むしろ今後においても、ですから私は、薬事法の改正が今回で終了したとは考えておりません。ただ、一番急がれる安全性についての規定の不備というものに対しては、この救済基金制度の創設とあわせて今回ぜひ対応しておきたい。そのためにここまで作業を進めてまいったわけでありまして、御指摘のような問題点も含めて、なお将来薬事法については御論議を願う場面があるいはあろう、そのように思っております。
○安島委員 わかりました。 なお、先ほど若干触れました今度の救済の法案の中身も、どうも対象範囲がきわめて限定されるおそれがあるということ、さらには、これを出発点として、今度の法案が出てきた背景から考えるとまだやや無理かもしれませんけれども、もっと難病対策的発想に立った広い意味の救済というものを考えないと——先ほど難病の症状数が六十幾つと言ったね。それで患者数は推定百万。治療法がない。したがって治る見込みがない。患者だけが病院にいるのでなくて、重い患者の中には付き添いも必要だ。そして、医療の一部補助が出ているのは、症状によってわずか数種類ぐらいだ。こういう方々、これはただ単に薬の副作用があるかないかというふうな意味で言っているのじゃないのです。こういうように現代病的なものもあるし、先天的なものもあるでしょうが、そういう広い意味で救済を図っていくということの中において、冒頭申し上げました現在の医療というものの仕組みや運用に関連した諸問題というものが、国民の側にもっとおりた、そしていろいろ議論をして、やはり私たちが安心できるような医療体制の確立を図るためにも、これがあくまでも出発点である。ですから、運用を一つ間違えば、何のためにこの法案を提案してきたのか意味がわからぬということでも困る。したがって、その前提は何度も言っているように、スモン患者等いままでに発生している薬害患者、疑いのある者を含めて救済をするというような考え方を出発点にして、今後国民の要望にこたえられるような法体系、そして運用というものを逐次整備していくべきだと思いますが、最後に大臣の見解をお伺いして、質問を終わります。
○橋本国務大臣 安島さんが御指摘になりました問題は、安島さん自身がおっしゃっておりますように、あるいは薬事法あるいは今回御審議をお願いいたします救済基金だけで対応できない問題が広範にあることは、そのとおりであります。私どもは、先ほどから何回も申し上げておりますけれども、現段階において、国会に御提案をいたすまでにいろいろな考え方を工夫してまいりました中で、既往の薬害にまでさかのぼることができなかったわけであります。ですから、私はこれについて固執をするものではありません。むしろ、本院並びに参議院の御審議の過程において、なお改善すべき点については、御意見に対して対応してまいりたいということを申し上げておるわけでありまして、御審議の過程の御論議というものは、先ほど政令について水田さんにも御説明を申し上げましたように、むしろ今後私どもが内容を固めていく上で参考にさせていただく部分が多々ある、そのように考えております。
○安島委員 以上で、終わります。(拍手)
○戸井田委員長代理 次に、谷口是巨君。
○谷口委員 朝から終始熱心な論議が続けられたわけでございますが、質問の中に若干重複するところがあるかもしれませんが、ひとつお答えをいただきたいと思います。 最初に大臣に伺っておきたいのですが、私は、本会議の代表質問で、薬害救済基金法案については質問いたしましたので、できるだけ深入りをしないようにいたしますが、心残りのことが幾つもございますから、それをひとつやっていきたいと思います。 いまお話がございまして、答弁がございましたけれども、私並びにわが党は、既発生のものに対して何らかの形でこれを救済する方法を講ずべきであるという、非常に強い意見を持っておるわけであります。したがいましてそのことについて、ダブりますけれども、もう一度大臣の答弁を伺いたい。
○橋本国務大臣 谷口さん、専門家として本会議でも非常に細部にわたり御質問をいただいたわけでありますが、その時点におきましてもいまの点について御指摘をいただきました。これは本会議というものの性格上余り細かいことまで申し上げる機会がございませんでした点、この機会に私の方も補足をさせていただきたいと思います。 谷口さんから御指摘のありましたポイントとして、一つは既発生の問題をどう取り扱うのかということと同時に、なぜ製造物責任、また部分的無過失賠償責任を取り入れなかったのかというような点が、基本に据えられておったように記憶をいたしております。 この考え方、私どもは本当に、途中でいろいろな考え方を検討をしてみた中において、既発生のものに対応することも当然考えて、どうにか対応ができないだろうかということも工夫をいたしてみました。また、同時に、製造物責任あるいは西独のように部分的無過失賠償責任というものを取り込むことも考えてみました。ところが、西独方式をとりますことは逆に国の責任が抜けてしまうという問題点があります。そして、これは果たして、いまの日本の国民感情の中において薬害というものを論ずる場合に許されるべきことかどうか、私どもとしてはやはり問題のところだろうと考えておりました。ところが、この西独の方式におきましても、実は制度創設以降のものを対象として法律がつくられておりまして、私ども、現在審議を願うような形に最終的には法律案をまとめてまいりましたが、既発生のものまでは取り込むことができなかったわけでございます。 ただ、本会議の際にも申し上げましたように、私どもなりに最善を尽くしてまとめた案ではございますけれども、要は、医薬品の被害によってみずからの健康を害されて、またみずからの人生に大きな傷を受けられた方々に対して、その救済を行おうということがこの制度の趣旨でありますから、私どもとしては国会の御論議というものを十分に拝聴させていただきながら、その御意見等をちょうだいをして、よりすぐれた制度にしていきたい、そのように考えておるわけでございます。
○谷口委員 では、もう一つ恐縮ですが、やはり本会議で要望いたしました、給付内容にいわゆる保健福祉事業を加えて、恒久対策の整備及び公的給付との併給を認めねば目的を達することができないと強く主張したわけですが、そのことについても、簡単で結構でありますから。
○橋本国務大臣 その御指摘はあのときも確かにございましたし、私がお答え申し上げましたとおりでありまして、この制度自身が、何といいましてもいまだかつて世界に類例のない、完全に新しい制度でございます。それだけに私どもは、この運用につきましてはいまから非常に神経をとがらせておるところでありまして、この制度が本当に生きていくためには、何といってもその中核であります給付というもの、またそれを裏づける費用の徴収業務が完全に円滑に行われるということがないと、制度自体が死んでしまいます。そういうところから、私どもはまず、給付及び費用徴収業務というものが円滑に運用できるように、全力投球をすることをいま考えておるわけでありまして、当面、当面はそれ以外の業務に取り組む自信がない。本会議でも申し上げたとおりでございます。
○谷口委員 では、内容に入っていきます。 副作用があったかなかったか、あるいは医療過誤であるかどうかという判定の第一段階は、まず患者自身であろうかと思うわけです。したがいまして、現在のような医師と患者、あるいは医師がくれる薬に対するいわば盲目的な信頼、こういう問題からいきますと、なかなか患者の一人一人が、ではこれは確かに医療過誤であるとかあるいは副作用であるとか、そういうことは感知できないというのがけさからの指摘であります。私も全くそのとおりと思う。したがいまして、これは一人一人が感ずるというよりも、多くの人が他発的に感じなければなかなか立証できない、あるいは具体的な行動に入れない問題が多分にあると思います。 日本のいまの医療のあり方について、政府側に尋ねるよりも、非常にうん蓄の深い答弁をされる大臣にちょっと伺いますが、医療の内容を公開していくようにしなければいかぬと私は思う。たとえば、先進国と称される国の大半が皆そうですね。日本はいろいろな面で先進国であるけれども、こっちだけはいわば開発途上国なんです。大臣、責任重大なんですよ。たばこを吸っているときではない。そういう重大な責任を持っている大臣にあなたはいま座ったんだから、やはりこの際、こういういろいろな意味からも、また自分がどんな治療を受けているのか、どんな薬品を投与されているのか、注射されているのか、これは特例は除いて、原則として患者に公開する必要があると私は思う。その問題について私は、社労の非常に長い経験がある大臣に基本的な見解を伺っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 私は、いまの谷口さんの御指摘というもの、一面、この薬事法とか救済制度の話とは離れた部分でありますが、一つの大きな問題点を提起しておられると思います。むしろ、私どもは従来、医療保険制度全体の中において医薬分業というものを進めてまいりたいということを申してまいりました。そしてまた、本年度検査センター等の、薬剤師の方々が都道府県段階においてセンター等をお持ちになりたいという御希望をお持ちの場合には、それが分業に資するものであるならば、それに対して補助ができるような体系もつくってきたわけであります。それは、その処方せんというものによって、ある意味では一つの公開といいましょうか、自分の受けておる医療の内容というものについての判断ができる、こういうような効果もねらった考え方というふうにおとりをいただければ私どもとしては非常に幸いでありまして、御指摘の問題点は私は一つの方向として考えておるところでございます。
○谷口委員 法案とは別の問題だとおっしゃいましたけれども、私は別の問題とはとらえていないのです。全くもういわゆる表裏一体のものだと思っておりますが、これは論議は後にいたします。 基金の業務につきまして、これは局長からで結構なんですが、基金はいろいろな内容の業務がございますね。第二十七条ですか、いわゆる救済給付の支給、拠出金の徴収、その他附帯業務が挙げられているわけですけれども、救済給付の支給に関しては、そこに至るまでの間に多くの決定、権限行使が行われなければならないわけであります。幾つもありますけれども、疾病と当該医薬品との因果関係の有無の判定があるし、申請してきた患者が副作用による疾病に罹患しているか否かの判定、あるいは疾病の程度が給付対象になり得るか否か、申請してきた死亡例がいわゆる医薬品副作用と因果関係があるのかどうか、あるいは申請をしていた遺族が給付を受けるに足る資格がある遺族かどうか、あるいは原因となった医薬品について賠償責任を有するものかどうかという法的責任の有無の判定、あるいは加害企業に損害賠償請求権を行使すべきか否かの判断、いろいろな判断がされるわけでありますけれども、基金が独自で判断する分野と判定に回す分野との区別があるのか、もう持ち込まれたものはすべて判定の方に回すのか、もう一度明快にお答えを願います。
○中野(徹)政府委員 基本的に、給付の決定に至る過程におきましては、全ケースについて判定を申し出ることにするように考えております。したがいまして、その基金の側で認定とか判定とかというようなことがあるとすれば、それは先ほどの御指摘の中の、たとえば故人とまずどういう関係があったか戸籍上確認するとか、そのようないわば事務的なレベルで判断できることのみに基金側の業務は限られるのではないか。さらに、判定を受けてそれに対する金銭支払いを事務的に行うというふうなことは、当然事務的レベルにおいて基金において処理されるということでございますが、大半の因果関係、一般的な因果関係、個別因果関係あるいは症度、被害の程度でございますね、このような判断は、すべて個別に厚生大臣に判定を申し出ることになる、こう考えております。
○谷口委員 くどいようですがもう一つ、第二十九条ですか「判定の申出」というのがございますね。ここで「副作用によるものであるかどうかその他医学的薬学的判定を要すると認められる事項に関し、厚生大臣に判定を申し出ることができる。」となっているわけです。判定の申し出のできる範囲とかできぬ範囲とか、何かそういう基準がありますか。
○中野(徹)政府委員 これは午前中も御質問がありまして「申し出ることができる。」というのは、しなくてもいい場合を認めるという趣旨ではなくて、基金に厚生大臣への判定申し出の権能を与えるという意味でございまして、実際上の問題としては全ケースについて判定を申し出るということでございます。 何が判定事項であるかということは、その上に抽象的に書いてございますけれども、「医学的薬学的判定を要すると認められる事項」全部でございます。そこには、したがって先ほど申し上げましたように一般因果関係、個別因果関係、症度認定等の問題が含まれるというふうにお考えいただきたいと思います。
○谷口委員 第二条にうたわれております「この法律で「医薬品の副作用」とは医薬品が適正な使用目的に従い適正に使用された場合においてもその医薬品により人に発現する有害な反応をいう。」と規定してありますね。これを見ますと、一応はこれは非常にりっぱなあらわし方でありまして、この言葉どおりに「適正な使用目的」、そして「適正に使用された場合」、この法案で救済するというのは、ほとんど幅が狭まってくるような感じが実は一面するわけです。しかしながらもう一面、これを考えますと、これは非常に深い内容が私はあると思うのです。どういうことかと言いますと、「適正な」という言葉の基準というものが一体どこに置かれるのか。時間の関係でこちらから申し上げますと、要するに医薬品の量につきましては薬局方がありますね。薬局方で指定されておるのは極量であります。それから常用量ですね。あと総量とかその他、いろんなことは規定されてないはずでありますね。そういたしますと、一体どういうところをもって「適正な」ということになるのか。けさからの質問を聞いておりますと、五十四年度にかかって一つのガイドラインをつくりたい、そうするとその中に入っているのかもしれないが、入らないかもしれない。私の立場から見ると非常にこれは漠とした表現でありまして、一応この考え方を聞いておきたい。
○中野(徹)政府委員 先生の御指摘の点が、ちょうどこの基金の運営に関しての最も重要なポイントであるというふうに、私どもとしても考えておるわけでございます。 私どもの立場を率直に申し上げますと、医薬品の使用によって生じた副作用、健康に対する被害といったようなものは、医薬品そのものに内在しているものと、その使用方法あるいは投与量、いわば医師の処方によるものとの二つに観念的には分けられる。問題は、医師の投薬行為の側に原因があったというものは、明らかに医療過誤の範疇に属するというふうにわれわれは考えておるわけでございます。そうしますと、全体のものを二つに仕切らなければならないわけでございまして、当然医療過誤というものは医師の責任に属するものである以上は、どこかで仕切らなければいかぬということは、だれが考えてもお認めいただけると思うわけです。ただ、その線の引き方というのは確かに非常にむずかしいところがある。私どもはこれを割り切りましたのは、実はこの点は先ほども申し上げたところでございますけれども、中央薬事審議会におけるこの法案の審議についても、特に臨床医家の立場に立たれる委員の先生からもこの点について詳しく御議論があった点でございますが、私どもの説明といたしましては、やはり日本の医療の実態というものに即して、日本の医療の平均的レベルにおいて、医師の側に責めを帰せられないということが、一言で言えば判断基準であろうかと思うわけでございます。ただし、これはあくまでも、現状における日本の医療の質とかレベルというものと密接に関連しているわけでございまして、これは、微妙な判定の問題がそこに入ってくるということはもう避け得ないところでございます。しかし、それは微妙だからやらないということではこの制度は前に進みませんので、いかなるものが医師の過誤に属せしめるべきものか、いかなるものが適正な使用によるところの医薬品の副作用であるかということの境界線というものは、やはり臨床医家のレベルをも十分に踏まえてこれを判断していかなければいかぬということでございまして、これは必ずしも固定したものではなく、その時代、時代におけるところの医療の平均的なレベルの変動に伴いまして、その線は動き得るものというふうに考えております。そういう意味におきまして非常に微妙な点があり、むずかしい面もあるわけでございますが、それはむずかしいから、あるいは微妙だからということでそれを投げてしまうならば、結局患者の救済はできないということになりますので、それはやはり、日本の第一線の臨床家の方々の立場に立つ方をも含めて、そこに適正な線引きを決めていかなければいかぬというような意味において、先ほど申し上げましたようにガイドライン的なものも十分に準備をしていきたい。むずかしい作業ではあるとは思いますが、それをやらなければこの制度は前に動きませんので、むずかしさを承知の上でこれをやりたい、こういうことでございます。
○谷口委員 局長の言われるように、私も非常に困難性を感じているわけです。したがって各人、各人の健康状態があるし、あるいはまたトータルの総量の中にどれくらいの休薬期間があったのか、あるいは個人、個人のいろいろなケースがありますから、これは非常にむずかしいだろうと思うのです。 そこで大臣、これは私が本会議で質問したことに関連が出てくるのですけれども、判定部会というものは本来ならば中央薬事審議会と切り離すべきだと私は思う。だけれどもやむを得ぬ場合は、この判定部会の内容が問題になるのと思うのです、私に言わせれば。大臣は十分にやりたい、対処していきたいと答弁になっておりましたけれども。そこで、この判定部会の構成内容についてもう少し、午前中より詳しく説明していただきたい。
○中野(徹)政府委員 当面五十四年度は給付が実際には動きませんので、この期間の余裕を使いまして、判定部会に事前にガイドラインづくりのようなものをやっていただきたい、こう考えているわけでございますが、これには、午前中御説明いたしましたように、正委員三名、臨時委員三十名のチームを編成いたしましてガイドラインづくりをする。先生御承知のとおりに、既知の薬害というもの、副作用というものが相当にございまして、これは一般因果関係が確立されている副作用でございます。そのようなものをいわばずっと拾っていくというようなことも一つございますし、そのような作業を十分に詰めるために、三人の正委員のお立場の方は、われわれの判断といたしましては一名は薬学の立場の方、一名は医学の立場の方、一名は、まだ最終的に決めているわけではございませんが、いわば法律と申しますか法曹関係の方というふうなことで、一応発足をいたしまして、それでガイドラインづくりをして、五十五年度以降はさらに正委員あるいは臨時委員の数もふやし、さらに必要があればその正委員の方々を常勤化する等の措置もとりまして、充実を期してまいりたい、かように考えているところでございます。
○谷口委員 もう少し内容を詳しく知りたいのですけれども、たとえばいわゆる常勤者三名、これはいま考え方が大分決まりましたね。そうすると、臨時の三十名というものの内訳は、どのような業種とその人数になりますか。
○中野(徹)政府委員 これは恐らく薬学、医学の混成という形になろうかと思いますが、それは恐らく三十人全体が一つのチームということではなくて、一定のカテゴリーの薬と一定の副作用とのそれぞれの対応関係をグループ別にとりまして、この三十名を幾つかのグループに分けて、そういう副作用の態様に応じたいわばガイドラインづくりをするというふうに考えて、中のメンバーの方々は結局薬学、医学の混成というかっこうになるのじゃないかというふうにいま考えております。
○谷口委員 この臨時の三十名というメンバーは、要するに、何か副作用が発生したときには、同じメンバーの中に入るものなのかあるいは別個にチームが編成されてくるものなのか、その辺、どうですか。
○中野(徹)政府委員 御質問の趣旨は、実際に動き出してからという意味でございますか。——私どもは、ガイドラインづくりをお願いした方々が相当数、五十五年度以降もお残りいただいて、実際の判定業務にタッチしていただくことが必要であろうと思いますけれども、いわゆるガイドラインづくりと実際の適用については若干様子を異にする面もございますので、すべてが残るとかいうふうな感じではないのじゃないかと考えております。
○谷口委員 大臣に伺いますが、たとえば常勤の三名以外の方々は、どういう職業の方でどういう率になるのか、これは非常に大事な問題だと私は思います。というのは、私は当たっているかどうかわからないが、現実にわれわれが承知している問題の中に、たとえば医療保険の中に査定がありますね、請求されたときに。その中に医師が入っておるわけですね。そのときにわれわれは開業医の方々のお話を聞くのは「やはり団体に入っておかないといろいろな問題がある、入っておかないと非常に困るのだ」ということを聞く。そういうことがいま当てはまるかどうかわからぬとしても、たとえばその中にいわゆる医師が過半数以上いるとなってくると、先ほど判定の問題は非常に微妙だと申したのは、ここにあるわけです。この人が本当にそういう医療薬品のいわゆる用量が必要であったのかどうかという判定を、医師が現実にやるわけですね。そうなってきますと、その判定の仕方によっては、医療過誤に属するかもしれないものが、この基金法案の中にどんどん入ってくる可能性も一面否定できないわけです。だから、私が本会議であそこを非常に重視して申し上げたのは、これを考えていたからだ。したがって、この内容については慎重の上にも慎重におやりにならなければ、将来に悔いを残すことになりかねないと私は思いますが、大臣の見解はどうですか。
○橋本国務大臣 確かに、この判定部会の委員構成というものは大変むずかしい問題を引き起こす可能性があるであろうことは、私も想像にかたくありません。いま谷口さんから御指摘になりましたような角度からの心配もありましょう。また同時に、その委員の選考には、医学、薬学の専門的知識を十分お持ちの方々が入っておりませんと、それこそ今度は、接点部分のような微妙な判定について過誤を来す危険性もありましょう。ですから、これはこの前も申し上げましたように、私どもとしては十分慎重の上にも慎重を期していくつもりでありますし、また関係の学界その他からもやはり十分お知恵を拝借していきたい、そのように思っております。
○谷口委員 私がいま申し上げていることが、杞憂にすぎなければ幸せです。しかし、それほど小さな問題ではないのじゃないかと私は考えておるがゆえに、重ねて大臣に、重大な問題としてひとつ提起をしておきたいと思います。 それから、薬事法に入ります。 今回の薬事法の改正というのは、薬害救済基金法案と関連して、医薬品等の有効性及び安全性の確保、これを図るために行われたものであるわけですね。改正の内容については、従来行政指導で行ってきたものについて法的根拠を与えるもの、あるいは製造、輸入の承認あるいは承認基準、再審査等が大きなポイントになっていると思います。 そこでまず伺いたいのは、第一条の目的です。これは午前中も論議がされたと思いますが、この目的は、ここにはこう書いてありますね。「この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具に関する事項を規制し、その適正をはかることを目的とする。」私はこれは不十分だと思いますね。この法の目的は、やはり安全性と有効性を保つために薬事法があるわけでありますから、こういう業務の内容を通じて安全性と有効性を保つ、生命の安全を保つための一つの手段として薬事法があるわけでありますから、そうなってくると、私は当然この第一条の目的は明確にすべきであると思う。重ねて見解を伺っておきます。
○中野(徹)政府委員 先生の御指摘の点は私どもとしても大いに同感される面もあるわけでございますけれども、現行の薬事法が世界各国の法令に比べましてやや特徴を持っている点は、一つは、先ほども触れましたように、医療用具やあるいは化粧品をも同一の法体系で規制をしているという点にあるわけでございます。確かに、医薬品というものをとらまえて考えまする場合に、今回の薬事法の改正に関しましては、まさしく医薬品の有効性、安全性の確保ということが一つの主眼だったことは事実でございますが、現行の法体系が医療用具あるいは化粧品等も広く包括して規制しております法体系であるために、この目的規定について現行規定で手直しをするということは、いわば法文の技術的な側面でなかなかむずかしかったことと、「その適正をはかる」ということによって、その文面表現によりまして一応読み取れるという判断で、この第一条の目的規定を現行のままとするという判断を一応したわけでございます。 私ども、その判断が十分なものであったかどうかという点につきましては、私どもなりにもう少し工夫の仕方があったかなという気もいたしますが、いずれにせよ最大の理由は、有効性という観念のない化粧品をも含めてのいわば立法であるという点から、現状のような提案になったという経緯を御説明しておきたいと存じます。
○谷口委員 局長の話を聞いておりますと、要するに化粧品は安全性に関係がないみたいにとれますね。しかし化粧品によって皮膚に湿疹を起こしたり、いろいろな障害が出ることは、あなたもよく御存じでしょう、薬務局長だから。そうすると、これは必ずしも、あなたがおっしゃるような化粧品がわれわれの生命の安全あるいは健康の保持、そういうものに関係がないという考え方は、私はいただけませんけれども、どうですか。
○中野(徹)政府委員 私の申し上げたのは、有効性という観念が必ずしも化粧品には当てはまらないということを申し上げただけでございます。安全性の問題は……
○谷口委員 有効性と安全性とは切り離せないものですから、要するに、どんなに効いてみても障害が出れば何にもならぬ。したがって、これは関係がないという考え方はもう根底的に改めてもらわなければならぬと私は思うのだけれども、大臣の見解はどうですか。
○中野(徹)政府委員 ちょっと補足いたしますが、私が申し上げましたのは、医薬品については有効性と安全性はペアの概念であって、そのバランスの上に医薬品の製造、承認等の規制がかかっていることは事実でございますが、化粧品に関しては有効性という観念がもともとないということを申し上げただけでございます。
○橋本国務大臣 谷口さんが御指摘になるような考え方、私も必ずしも理解をしないわけではございません。ただ国の有効性あるいは安全性の確保に対する責務といったような考え方、またそれをもとにしてのこうした薬事行政全体についての基本施策というものは、私は、現行の「適正をはかる」という条文上で十分読み取れるのではないだろうかと実は判断をいたしました。そして、その判断のもとに全体を整理してきたわけでありまして、ただ先ほどもお話が出ておりましたように、今回は、従来からいろいろの角度から御指摘を受けてきた薬事法の中において、従来の不良医薬品排除ということを主眼とした薬事法から、承認時はもちろん承認後においても、有効性のない、あるいは安全でない医薬品等が流通することを防止するための規定の整備という点に主眼を置いて、今回の薬事法改正をまとめてまいったわけでありまして、今後第二、第三とまた薬事法というものも考えられていくでありましょうし、そうした時点においてもまた見直しの努力もしてみたい、そのように思います。
○谷口委員 今度の場合は、要するに薬事法がほんの一部流通規定が改正になったわけですが、ならば、実際に抜本的ないろいろな問題を検討して、本格的に薬事法の改正ということは当然考えられるわけですが、これは一体いつごろがめどになるのですか。局長、どうなんですか。
○中野(徹)政府委員 私どもの判断といたしましては、たとえば、今回の改正につきましては緊急の案件に限定をいたしまして、いわゆる医薬品に直接タッチされる方々の身分問題とか、資格問題ということについては一切触れておらないわけでございます。また長い目で見ますれば、たとえば西ドイツにおきますところの新薬事法のように、そこに、むしろ経済的な観点を含めた流通問題というふうな観点も、場合によっては必要になる場合があり得るんではなかろうかという判断も、一面ではいたしておるわけでございます。それらの問題を含めまして、およそ医薬品の適正な取り扱いにつきまして多面的な行政を推進していくというためには、現行薬事法はなお単純な衛生取締法規の性格を脱しておりませんので、そういう広範な問題を踏まえてのいわば薬事法の全面的な見直しは、しかるべき機会に行わなければならないんではなかろうか、かように考えております。ただ、その時期等については現在申し上げるだけの自信は持ち合わせておりません。
○谷口委員 非常に答弁が私は不満足ですね。当面は考えられないような状況にも受けとれるし、あるいは早くできるかもわからぬし、さっぱり杳として、質問した結果が得られない。非常に大事なことだという認識はあなたにはあるわけだから、したがって、どれくらいのめど、あるいはいまどれくらいのところまでやっておるのか、あるいはこれこれだと、具体的なことを言わないとあなた、答弁になりませんよ。
○橋本国務大臣 これは実情を谷口さんに申し上げて状況を御判断願った方が正確かと思うのでありますが、実は薬事法改正を今国会に提出すると、昨年厚生大臣を拝命しましてから私が決断をいたしまして以来、薬剤師の方々や配置家庭薬に関係の方々や、たとえば高等学校で薬学を教育しておられる学校の方々や、実は大変幅の広い方々から、それぞれの身分問題その他についての御要望が、殺到したという言い方は非常に乱暴でありますけれども、正直殺到をいたしました。そしてその中には、同じ医薬品に関連する分野の業務に従事しておられる方々同士の中ではありますけれども、非常に相反する御要望等もあったわけであります。これはまた、その薬局の開設者また薬種商の方々あるいは何々と、拾い上げていけば実は切りがないほど大変たくさんの方々から、この薬事法改正の機会にぜひわれわれのこういう問題を取り上げてくれということで、本当に、ちょうだいした意見書だけでもこれだけあるんじゃないかと思うぐらいたくさんのものをちょうだいいたしました。ところが、むしろそういう中には、先ほどたまたま分業問題を私は他の部分の谷口さんの指摘に対して例示で挙げたわけでありますけれども、わが国の医療制度の根幹に触れるような問題をも含めて、非常に多種多様のものがございます。それだけに、薬務局としても今後継続してこれらの問題に対しての検討は加えていくつもりでありますけれども、これは薬事法だけで処理できる問題ではないことは、谷口さんもこれは御理解のいただけることだろうと思います。わが国の医療制度全般あるいはわが国の各職種における身分制度との勘案、いろいろな問題の観点があるわけでありまして、薬務局としても、というより厚生省としても、そうした御要望をいただいたわけでありますし、事実薬事法の改正に着手したわけでありますから、今後ともにそうした問題の検討をいたしてまいりますけれども、これは関連諸制度との関係が出てまいりますだけに、いつまでという目標を定めることには大変無理があるということは、御理解をいただきたいと思うのです。できるだけ私どもは努力をして、そうした問題の解きほぐしに努力をしていくつもりでありますけれども、いまいつという時期設定を求められますと、これはちょっと何とも、私も作業の進捗について自信を持ったことを申し上げられない実情でございますので、御理解をいただきたいと思うのです。
○谷口委員 大臣の答弁を聞いておって、ますますわからなくなってしまった。非常にわからなくなってきたのですね。いろいろなデータが片づくまで、じゃ何年でも、十年でも二十年でも三十年でも待たされるのか、ということだって極端には言えるし——首を振っていられるところを見ると、十年、二十年、三十年じゃないということですね。そのおおよそのめどを、努力目標のめどを示されれば示してほしい、こういうことを私は言っているわけでありますから、何らかのめどを示してもらわぬと、私も座るに座れなくなる。
○橋本国務大臣 しかし、谷口さんよく御理解のように、しかも関係者の中でもいろいろに重複する問題の解明でありますから、これはいつという時期設定は、私は、いま言われても、これは本当にお答えができないわけであります。 ただ、今度の薬事法改正をごらんいただきましても、関係者の中において、有効性と安全性との問題について改正をすることには合意をいただいて、その部分だけを今回こうして御検討願うわけでありますから、そういうふうにまとまっていきました部分については、全部の問題が解決するまで未来永劫に、解明が済むまで待っているというようなことを私は申し上げているわけではございません。ただ、どこの部分から着手するについてでも、関係者の間の御意見というものには非常に幅のある状況でありまして、私どもとしてもちょっといま、時期を設定することについては、これはお許しをいただきたいと思います。
○谷口委員 じゃ、それでとにかく引き下がる以外ないようですね。少なくとも、十年、二十年、三十年と言ったら、あなたは即座に首を振られたから、そんな先ではないという判断に立たざるを得ないわけであります。 時間の関係で先に進みます。 今度の薬事法改正におきまして、従来裁判で問題になっておりました国の責任というものは、どのように認識が政府は変わってくるのですか。
○中野(徹)政府委員 国の責任ということはいろいろなとり方がございますが、たとえば薬害訴訟等で争われておりますような医薬品の製造承認に伴う国の責任が、いわば国家賠償法の規定に該当するかどうかというふうな意味におきましては、その点につきましては、私どもは国の責任論というようなものは変化はないというふうに考えております。 この面における国の責任論というのは、御承知のように現在訴訟で争われておりまして、その面の判断というのは、結局訴訟の最終的な結果を待たないと決着がつかないのではないかというふうに考えております。もっぱら今回の法律は、先生御指摘のように、医薬品の有効性、安全性をめぐりまして、国のいわば製薬関係者に対する行政上の責任を明確化し、厳格化したというところに主眼があるというふうに考えております。 一方、企業の面におきましては、私どもも、企業の責任というようなことについていろいろ、たとえば薬害救済法との関連におきまして、西独の薬事法等も参照いたしまして十分検討いたしたわけでございますが、これは午前中にもお話ししましたように、製造物責任論というようなものを導入するということについては、時期尚早であるという結論でございまして、基本的に、国及び企業の民事上あるいは国家賠償法上の責任というものは、今度においても現行法との変化はない。ただ、そこにおける行政上の責任が明確化され、厳格化されたというふうに、今回の法律の趣旨を御解釈いただきたいと思います。
○谷口委員 時間の関係で聞くことが残り過ぎまして、時間が足りないのですが、自治省と公取、それから農林省見えていますね。——それでは、せっかくおいでいただきましたからお伺いしますけれども、流通段階での記帳の義務ということが当初問題になっておったはずですね。それが途中で非常に変わってきたわけですが、自治体病院を抱える自治省、あるいは国立病院を抱える医務局、あるいは公取、三つの御意見を、どうしてこのような結果になったのか、それぞれお考えを伺いたいと思います。
○猪原説明員 お答えします。 先生御承知のように、自治省は、地方公共団体が経営いたしておりますいわゆる自治体病院に対しまして、地方公営企業法等に基づく行政指導をこれまで行ってきたところであります。 そこで、五十二年度の決算を見ますと、自治体病院の累積欠損金、いわゆる赤字の累積額が二千四百一億円という膨大な額になっておるわけであります。医業収益に対する比率を見ましても二七%というような割合になっておるわけです。そういうようなことで自治省は従来から、病院事業の経営の健全性を確保するためには、できる限り経費の節減を図ることが必要であると言ってきたわけであります。その一環といたしまして、薬品等の材料費につきましてもその節減を図る必要があるとし、また薬品の購入先あるいは購入方法等につきましても、その合理的な決定を行うよう指導してまいったところであります。 そこで、このたびの薬事法の改正なんですが、医薬品の安全性を確保するということはまことに必要なことでございまして、その規制を行うことについては私ども重要なことだと考えております。ただ、いわゆる記帳を義務づけることによって医薬品の流通規制を招来し、ひいては自治体病院の購入医薬品について価格の硬直化を来して、病院事業の経営の健全性の確保に支障を及ぼすことが懸念されたというようなことから、今回厚生省と協議をさせていただいたわけでございます。
○樋口説明員 お答えいたします。 公正取引委員会としましては、この問題につきましては、独占禁止法を運用する観点から、厚生省と御協議申し上げたわけでございます。問題医薬品の回収というのは非常に重要なことであるというふうに私どもも認識しておりまして、この点につきましては厚生省の考えとはいささかも変わりないと思いますけれども、医薬品の販売業者に対しまして、全薬種、全品目にわたって製造番号ごとにその仕入れ先、販売先、数量等の記帳を義務づけるということになりますと、販売業者に著しく過大な義務を課すことになるおそれがある、こういうことが一つあるかと思いますが、それだけではなくて、販売業者に仕入れ先、販売先の記帳を義務づけるということによりまして、メーカーによる販売業者の販売先等に対する規制の強化、言ってみますと、私どもがいま一生懸命取り組んでおります、流通の系列化とかあるいは流通の支配というようなものにつながるおそれがあるということ、そういうことを通じまして薬価の硬直化をもたらすおそれがあるというふうに、私どもでは考えております。そういうような弊害が出てくるおそれがあるということで、厚生省の方にいろいろ御理解をいただいたわけでございます。そのような弊害が出てこないようにするためには、省令の段階で医薬品の記帳の義務づけというようなことをする際には、新薬とかあるいは経時変化の著しいもの等であって、保健衛生上特に必要性の強いものというものに限って、例外的に行っていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○谷口委員 論争の時間がないのでまことに残念ですけれども、公取の考え方はきわめて人間の生命を無視したというか軽視した考え方で、経済性優先の考え方と断ぜざるを得ません。いずれ後日機会があれば言おうと思いますが、私はやはり、過去の実績から言っても、この記帳の義務化は、不良医薬品あるいはインチキ医薬品、これのいわゆる禁止もしくは回収につながることなので、当然考えねばならない最重要事項であったと思うのです。恐らく、先ほど午前中に大臣が答弁した気持ちが、厚生省の意向であったと私は思うのです。納得してもらったのじゃなくて、あなた方が納得させたのかもしれないけれども、そういうことであります。これは私は時間がありませんので、意見の発表にとどめておきますけれども、まだ言いたいことはたくさんありますが。 次に、今度のいわゆる薬事法の改正で、獣医師の問題ですね。獣医師といわゆる動物用医薬品との問題点で、納得できないことが非常にたくさんある。たとえば獣医師法の第十八条には、激毒薬もしくは生物学的製剤の投与、処方は診断しなければならないが、その他は診断しなくて薬が与えられるようになっていますね。そうすると、今度四十七年に局長通達でいわゆる診察をしなさい、こういうように指導しているのですね。この指導しているということは必要があるから指導したのであって、それを今回の薬事法改正の中に明文化しなかったのはなぜなのかということが第一点。 それから、非常に残留性の強いもの、危険性のあるものについては、獣医師そのものじゃなくて、獣医師からもらったその薬を牧場主とかあるいは使用人とかが与えて、間違いがあったらその人が処罰されるのですね。これは従来の医師法だとかあるいは歯科医師法とか、そういう方面から見るとこれはちょっと中身が違うのですね。このように、いわゆる同様の内容が、たとえば医師法によっては無診察治療を禁止してある。それから処方せんの交付義務が課せられてある。ところが獣医師にはその規定がないということは、理由をひとつ簡単明瞭にお願いいたします。
○関谷説明員 御質問は二つでございましたが、 第一点でございます獣医師法上の問題につきましては、ただいま先生も御指摘ございましたように、行政指導によりまして診察を義務づけて、そういうことをしなさい、こういう指導をしておりまして、趣旨は、要指示医薬品については診察を伴うことがまことに望ましいわけでございますが、今回は薬事法改正ということで、獣医師法それ自体の改正ではなかった関係もございまして、これは獣医師制度全般の将来の問題として検討いたしたい、かように考えている次第でございます。なお、その場合、獣医師法十八条につきましては、単に要指示医薬品だけではなくて、たとえば人間の医師法の規定ではもっと幅広く診察義務をつけておりますので、こういう関係も見ながら、今後の問題として法律上の問題としては検討課題とさせていただきたい、かように考えております。 それから、第二点の使用者規制の罰則等の問題でございますが、これにつきましては、現在の獣医師法の規定が、先生御指摘ございましたように直接診察は義務づけておりません。そういうこともございまして、今回の薬事法改正の第八十三条の二の追加に際しましては、一般的にはこれは獣医師も飼養農家も含めて使用規制はかける、ただし獣医師がみずから診察をいたしまして対症的にどうしてもやむを得ない、この場合は使用基準によらないで、使用しないとどうしてもやむを得ないと判断した場合だけ除外をする、またその除外の仕方については獣医師の細かい指示等について省令で規定をする、こういうようなことを伴いまして、一般飼養農家と獣医師のその関係をそういうふうに整理いたしたわけでございます。
○谷口委員 議論の時間がありませんので残念でございますが、現在いわゆる獣医師の方々も、人間に使う薬品あるいは小児用のものを大分使っている事実がたくさんあるのですよ。そういう面からいきますと、これは厚生省も関心を持たなければいけないと思う。これは将来のいわゆる重大な問題として、軽々な考え方でいかれたら、一体だれが責任を持つのか、大変なことになると私は思う。したがって、これは厳重に警告しておきます。 最後に、たとえば薬剤師法の中に調剤についてはきちっと書いてありますね。これは医師法の中にも、歯科医師法の中にもあります。この調剤につきまして最初に医務局長に聞きますけれども、私が承知しておる範囲内では、医療監視員の人たちがいらっしゃるんだけれども、なかなかその面での摘発がございません。これはないと考えていらっしゃるのか、それとも報告がなされてないとお考えになっているのか、どちらですか。簡単にイエス、ノーで結構です。
○佐分利政府委員 医療法に基づいて病院に薬剤師を置かなければならないというような定めに関する御質問だと思うのでございますが、確かに、ただいま先生御指摘になりましたように、五十二年末でとりましても二割ぐらいは薬剤師のいない病院がございます。しかし、同じ医療法に、あらかじめ知事の許可を得た場合には薬剤師を置かないでもよろしいという規定があるわけでございます。また、外国の制度を見ましても日本以上に薬剤師がいない病院が多いわけでございますので、これは医療業務の運用の問題になってくるのではないかと考えております。
○谷口委員 あなたのお答えは答弁になってない。そういうことがあると思うのかないと思うのか、あっても報告がないのかと私は聞いているのです。答弁をはっきりなさい。
○佐分利政府委員 私はないと思っております。
○谷口委員 ないと思っても、もし私が写真なりを持ってきて証拠を突きつけたら、あなたは訂正しますね。
○佐分利政府委員 そのようなケースにつきましてはよく取り調べをいたしたいと思います。
○谷口委員 もう一度聞きますけれども、もしそういう事実があるとすればこれは薬剤師法違反になると思うが、あなたはどう考えますか。
○佐分利政府委員 一般的には薬剤師法十九条違反ということになろうかと思いますが、ケース・バイ・ケースになってこようかと思います。
○谷口委員 法律だからケース・バイ・ケースじゃ通らない。これはやらなければならないことを守ってないのがたくさんある。もう日本の常識なんですね。したがって、これは薬務局長、もう一回聞きますが、明らかに薬剤師法違反ですか。どうですか。
○中野(徹)政府委員 その法律の違反であろうと存じますが、なお実態の問題は私はよく存じませんので、一般論としては先生のおっしゃるとおりだろうと思います。
○谷口委員 よく存じませんとは、無責任きわまる。自分で現場をあちこち回って歩きなさい。 最後に大臣に伺いますが、こういう薬事法違反があるとすれば取り締まらなければいけないけれども、どういう厚生省の考え方ですか。
○橋本国務大臣 基本的に、医務局長からケース・バイ・ケースというようなことをお答えしておしかりを受けたわけでありますが、私自身が実態を存じませんので、いま谷口さんから御指摘をいただきましたので、私も薬務局長等が調べた結果を聞きたいと思います。
○谷口委員 医務局長、もう一つ。私は一昨年の分科会で、要するに病院薬剤師の定員の問題について質疑をいたしました。そのときに前大臣は、一日八十包・八十剤という基準が守られてない問題については行政指導するかと聞いたら、いたしますと答えました。その後、いわゆる口頭によるのか文書によるのか、どういう形で行政指導したのか、また行政指導の結果あなたの威令がどこまで届いたのか、具体的な数字で挙げてもらいたい。
○佐分利政府委員 その後の改善状況の資料は手元にございませんので、後ほど先生のお手元にお届けいたします。 行政指導は、毎年医療法に基づいて医療監視をやっておりまして、それに基づく指摘事項として施設に対して指示をするわけでございまして、それによって幾分は改善されていると思うのでございます。 一方において、いろいろ医学、薬学の進歩もございましていろいろと問題が出ております。昔のようにてんびんではかって薬をまぜるというような時代でなくなっておりますので、いろいろと事態が変わっているんじゃなかろうかというような問題もございます。先ほど申し上げましたように、欧米の病院では日本以上に薬剤師がいないわけでございますので、そういった点も総合勘案しながら、この問題は対処していかなければならないと考えております。
○谷口委員 医療監視でいろいろやっていると言われておりますけれども、薬剤師法の問題は何も効果が上がってない、医療監視の面を通じて考えると、余りぱっとした効果が上がってないように私は類推するのですけれども、もっと国会の委員会で討議されたことは真剣に、あなた方はやらなければいかぬと思うのです。私も、一度口に出した以上は、責任ある限り、とことんまで追及していく性格でありますから、ひとつ十分心していただきたいと思います。 では、時間が来ましたので終わります。
○戸井田委員長代理 次に、平石磨作太郎君。 〔戸井田委員長代理退席、向山委員長代 理着席〕
○平石委員 大臣にお伺いいたします。 今回の法案の提案に当たって、いままで、特にスモンの問題はたくさんな薬剤被害者が出た。恐らく二万人も被害者がおろうかというような中で、大体四千人余りの方が、訴えをもって企業の責任と国の責任を追及しておる。それで十年も裁判が続いておるわけですが、こういった社会問題になり、さらに、救済をすべし、こういったような大きな世論に当たって、厚生省は、いままでの薬務行政、これについて、そういった情勢をどのように認識しておられるのか。あるいは、いままでの薬務行政の反省の上に立って、今回の法案が整備されていくのか。この点を大臣にお聞きしたい。
○橋本国務大臣 いま御指摘のありました、スモンを初めとした医薬品の副作用被害が発生して、大きな社会的な問題になりましたこと自体は、私どもとして大変残念に思っておることを、何回も申し上げております。そして、厚生省としてもそうした事態を反省しつつ、従来から医薬品の安全性の確保について努力してきたわけでありますが、これは、薬事法そのものの改正をいたしておりませんでした段階においては、行政措置にとどまっておったわけであります。今回私どもが、薬事法の改正について、安全性を確保するという観点からの改正案の御審議をお願いいたしておりますのも、そうした気持ちの上からにほかなりません。 同時に、いまたまたま例示をされましたスモンにつきましては、私も一括全面解決をぜひ図りたいということを本委員会でも申し上げ、今日まで努力いたしてまいっております。一昨日、田辺の社長が私を訪ねてきてくれました中身において、国の方針に沿って田辺としても和解に入りたいということでありましたので、東京地裁の方にその内容を伝え、東京地裁も当然田辺を呼んで確認しておられると思いますが、いまその方向で努力を続けておる中でございます。詳細は、これは裁判所にゆだねておりますのでここではお許しをいただきたいと存じますけれども、私としては、解決の方向に向かいつつあることに大きな期待を持っておるという状況でございます。
○平石委員 そこで、法の不備もありましたでしょう。それから、行政指導では対応し切れないというところから、今回のそういう経験に基づいて二法の提案がなされたと思うわけですが、その法律を見ましても、やはりまだ不十分である、私はこのように考えるわけです。 それは後から質問の中で指摘をしてまいりますけれども、いま大臣からお話しのあった既発生の被害患者、これの救済が図られてないということがまず一点。 それからもう一つは、製造責任とは別個に、基金という形で救済主体ができる。だから薬物の製造主体と救済主体とが分離されるというようなことに相なるわけでして、この面から見たときに、非常に製造責任があいまいになってきた、希薄化してきたということが考えられる。 それからその次には、救済範囲がまことに狭いということです。医療過誤の問題もありましょうし、いろいろと副作用被害を受けることについては多々あるわけでして、こういった副作用被害というものを、ちょっとここに法律の上から書き出してみましても、企業に過失が認められるものこれは救済対象に入らない。それから一過性で軽微なもの、危篤状態にある患者に使用した場合等の副作用被害、制がん剤、免疫抑制剤など特殊疾病に使用される医薬品によるもの、動物用医薬品、ガーゼ等の医薬品によるもの、医療過誤等によるもの、あるいは不良薬品によるもの、予防接種によるもの、既発生のもの、こういった形で、副作用被害が出ても、これらは救済対象に入りません。そしてお医者さん、企業、それから自分も、全く適正に使用されて過失のない場合だけ、例外的にひとつ救済をしてまいりましょうというのが、今回の法案になっておるわけです。このように限定されますと、これらから考えたときに、既発生も抜けたというような中で、空洞化されてしまうのじゃないか。これが実際に機能を発揮することが期待できるのかどうか、非常にその点も心配なわけですが、その点、どのようにお考えになっておられるか。いま被害で大変苦しんでおられる方々を含めて、この法案が果たして十分に機能するかどうか。大臣に一言お答えいただきたい。
○橋本国務大臣 大変広範な部分にお触れになりましたので、ちょっと一言ではお答えし切れない部分がございます。(平石委員「簡単にお願いします」と呼ぶ)いや、これは簡単に言いますとちょっと誤解を生ずる可能性がありますので、少し正確に申し上げさせていただきたいと思います。 何遍も申し上げましたように、私どもは、この救済制度をつくるまでにいろいろな考え方を参酌いたしてみました。そして、その中においては、いま平石さんからお話しのありましたように、製造物責任という考え方を導入することも考えてみた、これも何遍も申し上げたとおりであります。ただし、製造物責任を強調し、部分的に無過失責任論を導入いたした西ドイツ方式のような制度をつくりました場合には、完全に製薬企業のみの責任の問題になり、あわせて同時に、患者の給付というものにも限界が生じます。わが国の実態から考え、また過去において国も共同の被告として提訴を受けました幾つかのケースにおいて、すでに地裁段階の判例は幾つか出てきておるわけでありますけれども、そうしたものを考えていく中で、何ら国が責任を負わない形の製造物責任論を今回の救済制度として採用した場合、国民は果たしてそれで納得をされるだろうかというようなことも、私どもは実は相当真剣に考えてまいりました。そして、そういう結果から今回のような考え方をまとめ、皆様方に御審議を願うわけでありますけれども、その中において、既往の医薬品による健康被害の方々に対する救済も、取り込めるものであれば取り込みたいという気持ちがあったことは間違いありませんけれども、新たに制度を創設するという時点において、私どもとしては法的にここまでが限界であったということも率直に申し上げております。 ただ、制度の内容についてこれは世界に類例のない新しい制度でありますし、問題が、医薬品によって健康に被害を受けられた方々に対する救済を目的とするものでありますから、国会等の御審議を通じながら、よりよい方向にそれが改善されていくことに、私どもとして何ら異存を申し上げるものではございません。これも先ほどから実は申し上げておることでございます。 ただその中で、たとえば不良医薬品という例示を挙げられましたが、これはまさに、不良医薬品によって健康に被害を受けられたら、それはメーカーそのものの責任だと私どもは思います。これが救済基金の中に入ってくるというようなことはおかしな話でありまして、これはメーカーそのものがその責めを当然負うべきものであろうと思います。そうした観点から、幾つかの限定はつけておりますけれども、私は、この制度というものは機能して十分に役に立つ制度になるであろう、ただし、こうした制度はむしろ役に立つことがない方が、こういう事故が起こらぬことの方が望ましい制度でありますけれども、もしそういう事故が起きました場合においてその役割りは十分果たし得る、そのように考えております。
○平石委員 この適正使用という場合で、ここに資料がございますが、いま私、十ぐらい事例を挙げましたけれども、これがすべてどうこうというわけではありません。いま不良薬品について言われたが、不良薬品等につきましては、もちろんこれは国の責任でもだれの責任でもないものになるわけでして、一概にすべてとは申しません。 この間、京都で医師の薬害防止のための国際会議というのがあった。そしてその中で、薬剤副作用についての新しい情報を全く知らなかったというお医者さんが、三分の二おるというような報告がなされております。これなんか見てみましても、内容は長いから抽出して申し上げますと、新しい情報源としては、やはり医学関係ルートが四九%、マスコミが三七%、添付文書からはわずか五%、薬販売員など製薬メーカーから直接知ったという回答はゼロだった、こういうようなデータが出ております。そういう意味から言っても、お医者さんが適正に使用しておるためには、やはりこのことが十分わかってなければならぬというような問題も出てきます。だから、これなんかにつきましても、企業から情報を得たということがゼロだったというような状態では、企業の製造販売責任ということが後退するような形でやってはいけないのじゃないか。ある程度企業責任というものをも踏まえた形、だから拠出金を取っておると言われればそれまでですけれども、どうも企業責任が希薄化していくのではないかという心配を持つわけでございます。 そこで、この法律の中に入らせていただますが、この被害救済法案の三十条で、救済給付の中止ができることになっておりますね。それから二項では、損害賠償請求権を基金が被害者にかわって取得するということもございます。それから二十八条では、賠償責任を有する者が明らかな場合、これは一応除外いたします。こういう形のものが見えるわけです。それから、原因企業がわかった場合はそれについて付加拠出金を取ることができる。そういったことを見てみますと、この法案は、薬害被害についての原因追及、それから損害賠償責任、こういったものが他の機関によって、他の法律によって判定が出たという場合にそういったことをするわけですが、これらの条項が予想しておるものは、一応民事責任はこの法とは別個に追及してくださいよ。民事責任のない者をいわば可及的速やかに、公正に救済をしようというのが法律の趣旨としてはなっているわけですが、この二十九条で判定部会において意見を聴き厚生大臣が判定をする、こうなっておるわけですが、この判定の内容は、そういった原因企業についても、どこそこの薬剤だといったようなこともあわせて判定するのか。それとも、ただ薬害被害を受けておるから給付対象になるんだという判定のみにとどまるものか。ここらあたりをお伺いしたい。
○中野(徹)政府委員 当然、関与企業というようなものは個別因果関係という立場におきまして特定していなければならないというふうに考えるわけでございますが、したがって、投薬関連の物証によりまして、この判定の際には、自動的に原因である医薬品のブランドが決まり、したがって関与企業が特定をするというふうに考えております。それらも含めまして、この当該ブランドの医薬品と健康被害との間に個別因果関係があるか、こういうことを結局厚生大臣に判定を申し出るという形になるわけでございます。
○平石委員 そうすると、関連企業としての原因企業は、そこで解明されるということですね。
○中野(徹)政府委員 特定するというふうに考えております。
○平石委員 そこで、どこそこの製品の薬剤だということが特定する、こういうことになりますと、今度は、この特定をされたものは民事責任がある形のものにまで判断ができるのですか。どうなりますか。
○中野(徹)政府委員 政府の趣旨としましては、民事責任についての判定は一切いたしません。受け身の形で、たとえば被害者が特定した関与企業に対して民事上の訴えを起こしまして、賠償責任の遡求をいたしまして、この判決が確定いたしますと、その当該企業が、つまり責任を有する者があることが明らかになったという状態になるわけでございますので、そのような場合には、判決が確定すれば、そちらの方で賠償責任を有するという形になります。それまで行われた救済給付につきましては、先生御指摘の三十条の二項の規定が働きまして、損害賠償請求権を基金が行使をいたしまして、行った救済給付の価額の限度において、その費用を償還をするという手続をとるわけでございます。
○平石委員 そこで、この大臣の判定は、いわゆる原因企業を明らかにするんだ、そしてその判定によって、今度損害賠償云々というような企業の民事責任を追及する場合に、この大臣の判定が、あなたには民事責任がなかったんだ、おたくの薬であることは間違いございません、だが民事責任はなかったんだということを、その責任の安全性をそこで反射的に公証することになりはしないか。それを公証したら、今度被害者が裁判に訴えたときに、いわゆる企業側にとっては、いや、これは判定部会の方で専門の先生方によく見ていただいて、そういった過誤のあるものではございません、ただ私の薬であることは間違いございませんけれども、そこまでの責任はなかったということの判定でございます、ということに逆にとられるおそれがある。そうすると、裁判を進める場合に非常な阻害要因になってくるということの心配はどうでしょうか。
○中野(徹)政府委員 それは、この条文にございますように、賠償責任を有する者があることが明らかな場合には行わない、逆に言えば、その賠償責任を有する者があるかないかわからないという状態においては、この給付を行うということです。あくまでも、厚生大臣の判断は、賠償責任を有するか有しないかということについての判断は留保しておりますので、この給付が行われたことが逆に先生の御指摘のように裁判上不利な要因になるということは、この制度の性質上あり得ないというふうに考えております。
○平石委員 あり得なければいいですが、私はその点ちょっと心配がございます。これは今後十分に考えていかないと、逆にそれを証拠として利用せられるということを心配するものです。 そういたしますと、次に、そういった判定部会で判定をしたら、今度付加拠出金を命じますね。付加拠出金を企業に、あなたの方の原因薬剤なんだから、あなたの方は特別に付加拠出金を出していただかないとぐあいが悪いですということが、何条でしたかにございますね。そうなりますと、原因企業がわかったから付加拠出金を出さすんだということでいいんですが、これに対して四十九条で不服の申し立てが出てくると思うのです。そうなりますと、それは私の方の薬ではありますけれども、副作用は出ておるはずはありません、私の方も研究所もつくりいろいろ検討して、おたくの大臣の承認と許可をいただいております、だから私の方の薬ではありますけれども、薬害、副作用が出たとは私は考えません。このように、不服の申し立てが出たときに、ここにまた科学論争が起きると思うのです。この科学論争がまた延々と十年続く、こういうようなことになりかねぬ。こういう心配が私はあります。だから、裁判の場合はそのように利用せられる。それから、当該法律によって付加拠出金について言われたときには、そこの問題が出てくるおそれがある。だから、大臣の判定に承服する義務があるのかどうか、私はこの法案を見てもわからぬので、だから、ここで拠出だけをとって言いましても、不服の申し立てをして承服できないという場合に、この承服義務があるのかどうか、ここをお伺いしたいのであります。
○中野(徹)政府委員 この大臣の決定に対しまして、判定あるいはそれに基づくところの基金の処分について不服がある場合に審査請求を認めるということは、関係者のそれぞれのいわば法律上の権利のようなものでございまして、それを禁止してしまうということは条理上おかしいのではないかという感じがいたします。もちろん、その審査請求がされ、それについてさらに延々と訴訟が起こるということは絶無ではないと思いますけれども、それはあくまでも企業との間の話でございまして、患者との間の事柄の進行をとめるものではないわけですね。ですから、たとえ先生御指摘のような事柄が起きましても、救済の進行ということには何ら支障は来さない。また、もちろんそれは運営の仕方ということにもよりますけれども、そのような不服の生じないように、この基金の運営に心がけていくべきものというふうに考えております。
○平石委員 運営に支障を来さないようにと、運営論で片づけられたわけですけれども、製薬企業が相当な付加拠出金を求められたという段階になりますと、製薬企業は、自信を持って厚生省の承認をもらい許可をもらってつくった薬剤ですよ。だからこれは「ああ、そうでございますか」というような形に、もちろん不服審査申し立てのできるような機会も与えることは必要です。これを一切とめてしまうということはできません。それは私はいいのですが、そういったときに運用の面で片づけられるような形にいくかどうか。あのスモン裁判でも、いわゆる因果関係云々で十年も続いて、さっきの大臣答弁で、田辺は和解に応じます、こういう形になるまで十年かかっていますよ。そのように出てくればいいのですが、やはりここで科学論争を起こし、そして、この付加拠出金については納めるわけにいきませんというような異議が出たときに、どのように処置をするか。これはいわゆる強制徴収はできることになっておりますけれども、向こうが承知しないものを強制徴収するという形のものになるのかどうか。ここです、私が言いたいところは。
○中野(徹)政府委員 もちろんこの制度は全く新しい制度でございまして、西ドイツの方式と全く異なる、いわば本邦初演というような形のものでございます。それで、先生の御指摘のような御心配は多々あると思うのでございますけれども、それならば、仮に現状のままでほうっておけば御指摘のような裁判が延々と続くという形になる。で、何はさておき、その患者の救済を先行させるという観点からいたしますと、この案が絶対唯一の案であるというほどのことを申し上げておるわけではないですけれども、現状に対する措置としては、私としては目下これ以上の知恵が浮かばないという感じで申し上げておるわけでございます。 一方、午前中にも申し上げたところでございますけれども、西ドイツの薬事法のように、民法上の原則に大修正を加えて無過失責任原理を導入した法律も、実際問題としてはすべて訴訟になるだろう。それで訴訟になって、無過失という点は、法律上一つの過失立証の責任を取り除いたといたしましても、因果関係から何から、それからごく重要な部分としまして医学的に容認できる範囲を超えているかどうかというふうな判定が絡まっておりまして、これがすべて裁判で争われるということでございますと、西ドイツの薬事法によるところの患者救済方式というのは失敗ではないかというふうに、私としては考えておるわけであります。そういうふうにやらないで、何はさておき、この一応行政的な機構の上で患者救済を先行させる。同時に、当事者の間の争いを、訴訟上の争点まで抑え込むことはできませんし、当然に、被害者として製造会社を訴えるというようなことを抑え込むわけにもいかないので、それはそれで、そのままそういう訴訟上の権利は温存して、また民間企業側もその審査を請求できるという道も開き、その上に立って、やはり何はさておき、患者の救済を先行するという方法を考えるとすれば、このような方法しかないというのが偽らざる心境でございまして、確かに、この制度の運営については、何はさておきやることでございまして、また前例のない話でございますから、いろいろむずかしい面はあろうかと思います。私どもとしては、いろいろな問題が出てこようかとも思いますけれども、それは、それなりに対処する努力を払う以外にはないのではないかという考えでおるわけでございます。
○平石委員 いまの局長のお言葉、ほかにもうないんだ、現在のいろいろな法制の中ではいろいろ考えてみたけれども結局これしかない、いまの段階では最善の方法だと、このように御答弁いただいたわけです。もちろん私も、そういった面での御苦労もわかるし、それから、いずれにしろ責任はともかくとして早く救済をしてやろう、被害者のいまの実態を何とか救済を早くしてやろう、私はこの点は評価できると思うのです。その点では評価はできるんですけれども、いま私が幾つかこの中から指摘を申し上げたように、いろいろ欠陥といいますか心配をする点があるわけです。それで、その心配をするのは何かということを、いままでの裁判、こういったことからずっと経験則から見たときに、一番ネックになっておるのは何なのかと言うたら、過失の問題です。企業に過失があったかなかったか、因果関係があったかなかったかということが一番ネックになって、十年裁判になってきた。そうなりますと、ここでいま局長がおっしゃったように、無過失責任をとっても裁判があります、そして西ドイツのあれは失敗ではなかったか、このようなお話が出ました。もちろんこれは、無過失責任をとるから早く片がつくとかというようなものではない、それはやっぱり裁判があるわけですから、その点はわかります。ところが問題は、ここに過失があったかどうかが論点になるのですから、無過失をとることによってその面での証明が非常に早く、やさしくなるということですよ。だからその面で長引くのですから、それなら私は、いま指摘を申し上げたような問題点等を考えたときに、やはり無過失責任論へ持ち込んだ方がいいんじゃないか。その方が、同じく裁判はありましても非常に早く裁判が片づく、このように考えられるので、無過失責任をやはり取り入れるべきではないか。このように思うわけですが、その点、どのようにお考えでしょうか。
○中野(徹)政府委員 無過失責任論につきましては、午前中も実は大臣からも御答弁があったところでございますが、一般論としまして、いわゆる製造物責任の観点に立ったその検討が、消費者保護の観点から経企庁を中心に行われているわけでございます。そういう観点に立って問題を取り上げるとすれば、たとえば厚生省所管のものだけでも、医薬品以外に、たとえば食品であるとかあるいは場合によっては医療サービスのようなものもそこに含まれてくるわけでございまして、民法上の原則に対する重大な修正というようなこともございまして、無過失責任論というようなものを、それ自身の原理をいま直ちに医薬品に導入できる状況にはないという判断が一つあるわけでございます。 それからもう一つ、先生の御指摘にお答えする意味でつけ加えておきますと、西ドイツの薬事法には、医学的に容認できる限度を超えた被害について、その賠債責任を負うというふうな規定があります。法律上そう書いてあるわけですが、医学的に容認できる限度を超えているかどうかということも、結局裁判で争うという仕組みになるわけでございまして、このお手元の法律は、いわば西ドイツの非常にあいまいな概念である、医学的に容認できる限度を超えていたかどうかということを、政令の上あるいは法律の上ではっきりさせるという形で処理をいたしまして、一刻も早く患者の救済が円滑に行われるように、いわば厚生大臣と判定委員会の権限で患者救済に踏み切るというのが、この制度の仕組みでございます。私は、現状といたしましては、先ほど申し上げましたように、このような仕組みが結局一番敏速に患者の救済も行え、かつまた、患者の私法上の損害賠償請求権に対しても何ら手を触れないで、それはそれなりに請求し得るという、その原理を両立させるためには、やはりこの制度が一番、いまのところ考え得る案としてはいいものではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○平石委員 それは見解の相違ですからどうのこうのは言いませんが、医薬品のように非常に日進月歩の薬剤について、しかも未知の副作用が含まれておる、これは考えられることですから、そのようにいまは副作用がわかってないで後からわかってくる、そういういわば両刃の剣のようなものを大量生産、販売、流通に乗せるわけです。そうすると、患者さんは、お医者さんから投薬を受けますと、もう盲目的にそれを信頼をして、これは厚生省の許可をもらったものだからということで、全くそこの判断なしに飲んでいくわけです。そして被害が出た。そういうようなものが、いわば危険なものを出しておる。だから、東京裁判の判決の中にもありますように、社会的につくられたものだということ、そこまでは言いたくありませんけれども、やむを得ない副作用が出てくる、これはいまの最高水準の科学的な試験をやってみてもそれが出てくる、ここに非常にむずかしさがあるわけです。そうなりますと、そんな危険をはらんだものを大量生産して販売していく、これは単なる過失責任主義では対応し切れないのじゃないか。過失責任を追及すること、これは個人がそういった手段は持っていません。さっきも論争がありましたが、個人はこれを立証するだけの力もなければ能力もありません。ところが企業の方は設備、施設、研究能力、これはすべて持っておるわけです。いわば専門家と赤児とのけんかになる。そういうことを考えたときに、やはり無過失責任論でないと、過失主義では対応し切れないようないまの情勢ではないか。だからこの法案は、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等にもありますように特別法として、この薬事法の中にそういったものを特別に導入する、いわゆる無過失責任というものがこれこれこういった状況には対応できるのだといういまの新しい行き方、これは法制局お見えになっていますから、無過失責任がなじむものかなじまないものか、法制局の見解を承っておきます。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。 いま先生の御指摘の点は、救済制度としていわゆる無過失責任主義がなじむものかどうか、こういう御質問だと承りましたが、救済制度としまして無過失責任というものが全くなじまないとか、そういうふうなことは私ども考えておりません。 ただ、事立法政策に関します問題でございますので、厚生省の方からお答え申し上げるのが適当かと思いますが、私ども今回の法案の審査をいたしました際にも、先ほどの迅速な救済というふうなことを考えますと、立法的に現段階におきましてこういう制度をとるべきではなかろうか、こういうふうに考えたわけでございます。
○平石委員 現段階においては、いまの厚生省の考えておる法体系の中ではこの方がいいのだろうといういまのお答えですが、先ほども大臣から、これはまず第一着手だ、将来はもっともっと理想的な薬事法の改正をしていくのだ、といったような答弁がありました。将来改正をしなければならぬ、改正をするのでしょうが、そういうときに、いま私が説明申し上げたように、いまの薬が大量生産、販売をされておるというような状況は、無過失責任になじむのかなじまぬのか、過失責任で対応できるのだということを将来ずっと考えられるのかどうか、その見解を聞いておるのです。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。 大量生産あるいは大量販売、そういったものについて無過失責任がなじむとかいうふうなこと、まさに、無過失責任制度それ自身につきまして民法の原則に対する相当な例外でございますから、実態を見ながら慎重に検討する必要はあろうかと思いますが、まさに先生御指摘のように、そういった無過失責任をすでにとっているものもないわけではございません。そういう点の比較考量の上で、実態を踏まえながら検討するということは当然あり得ようか、こういうふうな考えでございます。
○平石委員 やはり日本の中にも、個別的には、いま言ったような特定の法律には例のないことはないのですから、情勢に対応するのには無過失をとっておる法律が幾つもあるわけですから、私は架空の論議をしてはいないわけです。だからやはり、そういう面で、厚生省のお考えも出てきましょうけれども、これからこれが発動されて、できるかできぬかはわかりませんけれども、これが通ったとして、このことが運用に入った時点で、私がいま指摘したようにどうも対応できない、いろいろな科学論争も出てくる、この法では何にもならぬ、何にもならぬことはないけれども、運用面においてどうも実情にマッチしていないといったようなものが出てきたときに、やはり将来の面を考えたときには、そういう無過失のものがいいのじゃないかな、私はこのように考えるから、申し上げておるわけです。 それから、無過失責任を現況においてとれないということになりますと、私は次に提案を申し上げたいのですが、問題は立証です。あなたのところのものはこうこうだということを被害者が立証するのに十年かかる。しかも、それはやはり科学論争ですから、相当な専門家と相当な労力を要してやらねばならぬ。これは全く能力のない者が、いわば無手勝流で勝たねばならぬ、そういう不可能を強いるという状況にあるわけです。だからまた長引くわけです。 そこで私が申し上げたいことは、そういうときに、無過失責任をとれないとするのなら、いまの薬事法の中に挙証責任の転換を入れておく。だから、被害者は立証しなくていいのですよと。因果関係の推定といったようなことで、裁判所は非常に苦労しておる。これは可部判決を見ても、福井の判決を見ても、徳島の判決あるいは森永砒素の判決、こういったものの判決を見ましても、ここの点で裁判所は非常に苦労して、法的責任についての判断を下しておるわけです。時間がかかる。だから、そういった面については、一応挙証責任の転換の規定を入れておく。それで、因果関係については推定するのだといったようなことができないかどうか。厚生省にお聞きしたい。
○中野(徹)政府委員 民事訴訟上の挙証責任の転換という、いわば訴訟のレベルにおきますところの問題を薬事法の中に取り込むということは、その法制上、ちょっと前例があるかどうか、そういうことが適当であるかどうかは、私は専門家でございませんのでよく判断しかねますが、仮に、たとえば医薬品が関連いたしますところの、いわば薬物争訟みたいなものについての一種の行政委員会と申しますか、裁定機関を一般の司法裁判所以外に別途に設けるというふうな形の法体系が可能であるとすれば、そのような法体系をつくる場合においては、先生の御指摘のようないわば争訟手続の面での特例というようなものは取り込めるかと思います。ただ、現在の薬事法の中に民事訴訟レベルの問題を取り込むということには、法律の常識としてはやや無理があるのではなかろうかというふうに考えております。
○平石委員 私も法律の専門家じゃないのだからあるいは暴論を言うておるのかもわからぬし、あるいは笑い物にせられることを言うておるかもわかりません。ただ、いま局長さんがおっしゃった、一般の個別の法律の中へ訴訟法的なものを入れるということはできぬでしょうが、だからそのことはどのようにしたらいいかということで、私は学者の本をここへちょっと引用させていただきます。これは三ケ月先生です。 「挙証責任の転換とは、挙証責任分配の法則が例外的に修正される場合(一般的には原告が挙証責任を負うべき事由とされているが、特別規定では、被告が挙証責任を負うべき事由とされる場合など)を指すことになり、」だから、被害者が原告としたら会社がやる、こうなるわけです。「いわば法条構成の原則、例外の関係を表示するものに他ならぬことになる(従って転換されたものが依然として、恒常的なものとして、具体的な訴訟以前にあるのであって、決して何者かが具体的な訴訟において、転換されるものではない。)従って、この立場に立てば、挙証責任の転換とは、挙証責任の分配に関する一般的原則を特殊な場合に立法によって修正を加えることを意味し、挙証責任が訴訟の状況に応じて移動すると云う意味での挙証責任の転換と云うことは考へられることになる。」だから、特別法の中にそのことを入れたらいいんだということを書いているわけです。私もわかりませんよ。わかりませんが、私は、そういう意味から考えたときに、この薬事法の中へ特別規定としてそういうものを入れておいたら、非常に裁判が促進されるというように思うわけです。それは、いま直ちにそうしますと言うわけにもいきませんでしょうから、これは一応問題提起をいたしておきます。 そこで、時間も余りありませんから、ちょっと質問いたしたいのですが、現行薬事法の十六条に「医薬品の製造に関する遵守事項」というところがあるのです。この遵守事項で「厚生大臣は、生物学的製剤その他その製造に関し特別の注意を必要とする医薬品について、」こういう形で、医薬品製造について特別の注意をせねばならぬという注意義務が、ここで一応法律の上からは要請されているわけです。法律で求められている。ところが、今度の改正法でこれがなくなっているのです。ここで九条の二というところの準用になっておるわけですが、ここで準用になりますと、これを見てみましても、特別に注意義務を果たしてつくらなければならぬという薬剤はないわけです。これだけの危険性をはらんだ、抗生物質とかいったような、いわば両刃の剣のような、先ほどから申し上げたような、そういう薬剤を大量につくって流通に乗せていく、製造をせられる業者に対し、特別の注意を払ってやりなさいよ、こう言うて、いままでの法律では個々の品目について要請をしているわけですよ。それが消えてなくなったというのはどういうことですか。ひとつお伺いをしてみたい。
○中野(徹)政府委員 これは、考え方としてはこういうふうに御理解をいただきたいわけです。十六条は特に「特別の注意を必要とする医薬品」に限定をいたしまして、従前、いわばGMPのソフトウエアに関するものの遵守事項を決めておったわけでございます。これを今回は全医薬品に及ぼしたということでございまして、その全医薬品の中には、特に特別の注意を要するものはまた、特別の注意を要するものとしての特別の遵守事項を決められる形になっております。つまり、この十六条の現行規定はそっくり生かしたまま、包括的な規定の中に吸収したという意味でございまして、先生の御心配のように「特別の注意を必要とする医薬品」をなくしてしまったということではございません。
○平石委員 それはあなたの説明でして、わからぬことはありません。だが、この法律を比べたときに、改正案と現行法を比べたときに、これは特別注意義務がなくなっているのじゃないか。えらい企業さんは楽やなと、こうなる。だから、極端に申し上げますと「私の方は、この遵守事項をどうせ示されるのですから、遵守事項に従ってつくって、そして大臣の許可をいただいております。私の製品に欠陥があるのなら、どうぞ大臣に申してください。」、それから被害が出た場合、もちろん医療過誤のものはいいですけれども、いまここで救済しようというような被害が出た場合は「どうぞあちらへ言ってください」と、だから被害の責任は極端に言うたら先方へ、基金の方へ任すことになる。それから製造については、注意義務はなくなっておるのですから「大臣に許可をいただいております」と、企業にとったらまことに都合のいいことになるわけです。だから、私がこの案を見たときに感じたことは、大臣がさっきおっしゃった、あるいは私がずっと申し上げてきたように、将来薬事法を改正する際は、いまの過失の問題は、注意義務に反したか反せぬかが過失があるかないかの問題になるのですから、その前提の注意義務が消えてなくなったということになりますと、これは無過失だ、もう過失の有無を論ずる必要はないのだというような走りの考え方がここへ出てきておるのではないか、このようにも考えられるわけです。その点はどうですか。
○中野(徹)政府委員 それはちょっと私の方の御説明が足りないのかもしれませんが、要するに、従前は特定の医薬品について、つまり、「特別の注意を必要とする医薬品」というので医薬品の種類を限定をして、これに対してGMPのソフトウエアに類する遵守事項を決めておったということですね。今度はそれが全医薬品に及ぶということでございまして、要するに、遵守事項の対象になる医薬品が全医薬品に広がったということでございます。その広げた場合に、それぞれの医薬品の特性に応じてGMPのソフトウエア条項を細分するということは当然あり得るわけでございまして、これは決して「特別の注意を必要とする医薬品」がなくなってしまったとか「特別の注意」そのものが軽減されたということではないわけでございます。一部の医薬品に適用されていたものを全医薬品に及ぼすという趣旨でございまして、その点は私の方の御説明が足りないのかもしれませんが、誤解を解いていただきたいと思います。
○平石委員 それで結局、いままで限定しておったのが広くなったら、私に言わせたら、広くなって希薄化したということですよ。広くなったら、やはり法文の上で注意義務をうたっておいたらいいと私は思う。これはじゃまになるものでないのですから、かえってなければ困るものなんだから。いま局長の答弁をそっくりそのままいただくとしたら、字句が消えたから非常に広く適用されて、希薄化してしまった、このように見られるおそれがあるから、やはりこれは書いておかぬと、特定のものについてすら法文の上で要らなくなったのだな、だからただ遵守事項がきた、その遵守事項を守ったらそれでいいというように、軽くとられるおそれがある。これも心配な点ですよ。だから、そういうことをおわかりのはずの専門家がしてないのだから、これは将来過失を問わないのだな、過失の有無に関係なしに、将来は無過失責任へいく一つの芽だな、芽がここへ出たな、このように私は理解したわけです。これは法制局はどんな御意見でしょうか。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘の十六条でございますが、現在は「生物学的製剤その他その製造に関し特別の注意を必要とする医薬品について、」以下省略いたしますが「遵守すべき事項を定めることができる。」こういうふうに書いてございまして、今回は九条の二という条項を新しくつくりまして、その九条の二をこの十六条で準用するという形をとってございます。 ただいま薬務局長の方からもお答え申し上げましたように、私どもはこの「特別の注意を必要とする医薬品について」のみ従来遵守事項を厚生大臣として定めることができたというのに対しまして、今回はさらに一層広がって、その医薬品につきましては、遵守すべき事項を一般的につくることができるんだ、こういうふうなことで考えておりまして、民事上の責任云々というのとは今回のこの条文改正は関係ないもの、このように考えております。
○平石委員 そこで、最後に大臣にお伺いして、まだ時間はちょっとありますが、終わりたいと思います。 いま法制局の御答弁をお聞きいただいたと思いますが、それはいま局長の御説明があったように、それから法制局の見解が示されたように、決してそんなものを考えたことではない、こういうお話しです。ところが、そこに非常に紛らわしい、そんな疑いを持たれるようなことを今回やっておるわけですよ。だから、これは私の話がちょっと大胆な話かもわかりません、あるいはそんな暴論をとおっしゃる方もおられるかもわかりませんけれども、法律はいろいろ解釈は出てくるのですから、そこは、もし無過失責任を将来も考えないというのなら、ばっしりしておいたらいいじゃないか。それから、これは無過失責任の一つの問題が出てきておる。だから、ドイツの薬事法を見た場合に、ドイツの薬事法は、いま局長からも御説明がありましたが、限定的な無過失論をとっておるわけですね。だから、最高は二億マルク、日本円にして二百億。二百億まではあなたは無過失だという責任をばしっとかけてあるわけですよ。だから、これはやはり、企業のそういった面をも配慮してそのようにドイツの薬事法は決めてあるわけだ。だから日本も、いま言ったような、そういう進んだ先進国がこの薬害被害の救済には大変苦労しておられる。しかも、そこでは企業責任の問題もあるし国の責任も出てくる。だから私は、やはり企業がまず第一次責任を負うべきだ、そして国が第二次責任を負うべきだ、このように考えるから、そういった私のような変な考え方を持つような法案がいま出てきたのですが、大臣の最後の答弁を求めて、終わりたいと思います。
○橋本国務大臣 ある意味では非常に厳しい見方の中からの御質問をちょうだいをしたわけでありますが、先ほどから繰り返して御説明を申し上げておりますように、私ども、いろいろな体系を考え、過去の日本における判例等々を踏まえた上で、今回こういう案を考えたわけであります。ただし、ですからそれが、私どもとしては最善を考えたつもりでありますけれども、何分にも世界で一番新しいというか、例のない制度をつくってしまったわけでありますから、その中においていろいろな御議論が出てくることは、私は当然であろうと思います。そしてまた、国会の御審議の中において示される判断というものを、私ども自身が省政令の段階で基準にしたいと考えておる部分もあるわけでありまして、そうした観点から、なお今後ともに勉強してまいりたい、そのように思っております。
○平石委員 以上で、終わります。
○向山委員長代理 以上で、平石磨作太郎君の質問は終わりました。 次に、米沢隆君。
○米沢委員 相手かわれど主かわらずで、朝から大変御苦労さんです。かなり質問も出尽くした感がありますので、重複するかもしれませんけれども、私たちの立場を明らかにする意味で、御質問をさしていただきたいと思います。 薬害大国と言われながら、裁判以外には救済の道がなかったわが国にとりまして、本法案で、医薬品副作用被害の新しい救済法のレールが敷かれつつある。私どもは、一応この面、ないよりもいいという意味で評価をしたいと思うのであります。日夜、薬害に苦しんでこられた被害者にしてみれば、遅過ぎるという御意見もありますし、わが国の薬務行政が長い年月にわたって医薬品の安全性への配慮を欠いていたことを思えば、やはり前進だと言わねばならないと思います。 しかし、せっかくこういう救済法が提案されましても、現に薬害被害で苦しんでおる患者団体からは、この法案はきわめて人気が悪い。反対の意向が大変強い。一番喜んでもらわなければいかぬ人々がなぜこんなに反対の意向を表明されるのであろうか、そこに、彼らを納得させるに足る何かが欠落しておるのではないか、そういうふうに思うのでありますけれども、まず大臣の見解を聞かしていただきたいと思います。
○橋本国務大臣 私どもなりに最善を尽くしてきたつもりでありますけれども、確かにそういう声があることは、事実、私どもも承知をいたしております。そうした御批判が出てまいります、ことに患者の方々の中からそうした御批判が出てくる理由として、私どもが考えられますことは、一つは、これは患者のお立場からすれば無理もないお気持ちだと私ども思いますけれども、この制度が、要するに既発生の被害を救済対象に取り入れておらないというところに、一つのポイントがあろうかと思います。また、一部におきましては、この制度をつくることによっての救済が行われることが、逆に製薬企業の賠償責任があいまいになってしまうのではないか、あるいは責任追及が逆に救済制度ができたために困難になってしまうのではないだろうか、こうした不安をお持ちの方々もあるかと思います。そうしたところが、いま私どもに対してちょうだいをしておる患者の方々からの声の要約になろうかと思います。
○米沢委員 いまお答えいただいたような問題点も含めまして、制度の創設を急ぐ余り、多くの問題点を積み残したまま見切り発車をしておるのではないかという御意見があるのですが、いかがですか。
○橋本国務大臣 これは、私どもとしてはむしろ大変意外なと言っては失礼ですが、意外な御指摘でありまして、御承知のように本委員会におきましても、民社党さんも含めて、従来から、早く救済制度をつくれ、早く救済制度を創設しろという声が、委員会においてもずっと継続をいたしておりました。また、私も委員として本委員会に所属をしておりました間、そうした意見を持っておった一人でございます。それだけに、私どもとしては、できる限り与えられた条件の中で努力をしてまいったつもりでありまして、現在御審議を願っております救済制度が、現行法のもとでは救済されることがない、あるいは救済されることがきわめて困難な状況にあります医薬品の副作用による健康被害について、製薬企業の社会的責任に基づいて拠出をされる拠出金によって救済給付を行おうという考え方であり、私は、制度創設そのものについては、これはむしろ、いままでの強い御要請に沿ってきたものだと考えております。 いまの、最初に申し上げましたような理由がありまして、確かに御議論があることは私も承知をいたしておりますけれども、これは本会議以来たびたび申し上げておりますように、私ども与えられた条件の中で最善を尽くしてきたつもりではありますが、何といっても、これは世界で初めての制度でありますだけに、よりよいものにしていくために、私どももその労を惜しむものではないということでありまして、国会の御審議等の経過をも踏まえて、なお私どもとしても努力をしてまいりたいとたびたび申し上げておるところであります。
○米沢委員 私どももこの制度の創設が急がれ過ぎたとは思いません。しかし、後で述べますようにいろいろと問題点を残しながら、あるいはかなりの問題点があるという観点からいま申し上げたわけでありまして、そのような御理解をいただき、今後の努力をしていただきたいと思うのであります。 問題の第一は、これも先ほどから大変議論になっておるところでありますが、本法案が過失責任主義の立場に立って、医薬品企業に過失のない場合または過失の有無が明らかでない場合は救済の対象にするという限定の仕方をしているところに、私は問題があると思います。こういう法案は、先ほどから指摘をされておりますように、過失責任主義の上に立つか、無過失責任主義の上に立つか、あるいは実質的に無過失責任主義を採用するような対策を講ずるか、そういう原則、主義、主張のいかんによって、救済のあり方あるいはまた対象のとらえ方などに大きな差がある、これはもう当然であります。いま苦しんでいらっしゃるあるいはこれからひょっとしたら薬害にかかって苦しむであろう皆さんを救済しようというこの法案の趣旨、あるいは目的からいたしますと、無過失責任主義の立法を採用すべきであるということを、先ほどから御意見をいただいておる皆さんと同じように私は考えるのでありまして、この際、本法案が無過失責任立法を採用しなかった理由について、もう一回整理して御説明をいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 これも先ほどからたびたび申し上げておるところでありますが、医薬品から発生する健康被害というものにつきまして無過失責任を追及するということは、現行の民事責任の体系に対する重要な修正でありまして、むしろ民事責任とは切り離して、純粋に、副作用による健康被害者を迅速に救済することに焦点をしぼることが最も現実的であり、かつ妥当な方法であろうと私どもは判断をしたわけであります。 ただ、その過程において、製造物責任論その他の考え方を私どもが検討しなかったわけではございません。たびたび申し上げておりますように、製造物責任論をとることによって逆に国の責任というものが消えてしまう、西独の立法等をごらんいただけばそういう問題点もまたあるわけでありますし、給付の内容にも逆に、限定された無過失責任を採用したがための給付の上の問題点等もあるわけでありまして、こうした例を勘案いたしながら、私どもとしては、現在御審議を願っておるような考え方が最も現実に対応したものであると判断をした次第であります。
○米沢委員 私どもの無過失責任主義に立てという議論は、確かに立法論としてはいろいろなむずかしい問題があるかもしれませんが、立法論がむずかしいからどうだという議論ではなくて、実際に薬害に悩む皆さんをどうしたら一番救済しやすぐ、あるいは内容のある救済のあり方がつくっていけるのか、少なくともそこに私たちは立脚をしなければならぬと思うのであります。特に日弁連の方も主張しておられますように、いままでの薬害の被害状況を見ておりましたときに、やはり国民というものはいつも被害者の立場であるわけです。国民は医薬品の安全性を確認するための何らの手段も持たない、製薬企業の供給する医薬品の安全性を信頼するほかない。他方、国及び製薬企業は、十分な人的、物的設備を擁して医薬品の安全性を確保すべき能力を有し、安全性を確認し得る立場にある。こう主張されておりますように、全く私は同感だと思うのです。そういう極端な立場の差異がある被害者と加害者ということを考えたときに、私は過失責任立法においては救われないという感じがしてならぬのでございます。特に薬害について予見可能性を狭く解するか、薬に薬害があるのはあたりまえだという形で広く解するか、予見可能性をぎりぎり努力することによってまだまだ高度なものに高め得るかどうかという、そういう判断の仕方によって、その議論が大変変わってくるのじゃないかという気が私はしてなりません。そういうことで、ぎりぎり現在の科学の水準に挑戦するような気持ちで安全性を確保する、そういうものが本当にあるのだろうかという意味で、私は行政姿勢そのものが、無過失をとるか過失をとるかによって問われておるのではないかと考えるのでございます。 立法論には大変むずかしい面がありましょうけれども、救済する方法あるいは患者の立場に立った、被害者の立場に立った保護のあり方ということを考えたら、私はやはり無過失責任主義の上に立った立法論が今後は検討されていかねばならぬと思うのでありますが、大臣いかがですか。
○橋本国務大臣 先ほども申し上げましたように、製造物責任論をとりました場合、製造物責任は、もうよく御承知のとおりに製造したメーカーに全部責任がかかるわけでありますが、現在までわが国で、地裁段階とはいいながら幾つか示されております判例の中においては、これらの点についての国の責任もまた問題とされているわけであります。そして、国民の大方の空気の中でも、こうした問題についての国の責任というものを問題にしておられるように私どもは思います。そうなりますと、いわゆる無過失賠償責任に立脚した立法措置が米沢さんのお考えになられるような形になるかどうかについては、私は実態上はむしろ疑問を持つわけでありまして、患者の方々を迅速に救済するという観点からいけば、私どもの考えた、また現在御審議を願っておる考え方の方が実態に合っておるというように考えております。
○米沢委員 これはかなり意見の相違がありますので、この法案がもし通過して実際的に運用されたときの問題として、今後検討を重ねていかねばならぬ問題ではないかと思います。 さて、この法案で言います救済制度をつくるに当たりまして、五十一年六月の研究会報告は次のように述べております。医薬品における有効性と安全性のバランス、副作用の予見の限界、使用方法との関係など医薬品の克服しがたい特殊性と位置づけ、医薬品の必需性から見て多少の副作用はやむを得ない、従来そうであったように、将来も医薬品の大量生産、大量消費が続くから副作用も増加する可能性があると予想した上、これら副作用について民事責任を問うことは不可能または困難であるから、被害者救済制度を必要であるとした、研究会報告はこういうふうに述べておるのでありますが、そういうことからこの法案の提案になったと思います。 しかし、医薬品の克服しがたい特殊性を医薬品の宿命として認めるにいたしましても、この救済法が医薬品には副作用があるのはあたりまえということを前提にしている以上——この特殊性は過去にもいろいろと主張されました。現在においても主張されておりますが、強調されればされるほど、果たして医薬品における有効性と安全性について国及び企業は厳重なチェックを励行しているのだろうか、また副作用の予見につき万全の努力をしておるのであろうか、あるいは医師の使用方法に誤りはなかったのか等々疑念が残るのが、私は被害者の実感ではないかという感じがするわけであります。したがって、この際、幾多の薬害を発生せしめた実態にかんがみて、過去、現在における国の薬事行政、特に薬事法と医療保険制度の問題、製薬企業の社会的な責任、大量生産、大量消費の実態、医療従事者の安易な薬物療法への姿勢というものが問われた上、その責任が明らかにされた上でこういう法案が提案されなければならぬ、私はそう信ずるものであります。 〔向山委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、この問題も同僚議員からいろいろと御質問いただきましたが、薬害多発の要因を皆さんは一体どういうふうに解釈されておるのか。薬害多発の関連で、国の責任、企業の責任、一部医療従事者の責任あるいはモラル、医者をして薬をたくさん使わせるようにしむけておる社会的な要因、それぞれについて薬務局長、医務局長、保険局長、それぞれの立場から反省かたがた、今後の対処方針を明らかにしていただきたいと思います。
○中野(徹)政府委員 医薬品の副作用の発現の契機となりますものは、よく専門書にも書いてありますように非常に多種多様でございますが、いずれにせよ、医薬品というものは、よく言われますように人体にとっては常に異物でございまして、副作用が全くない薬は存在しないと考えられておるのも、学界の定説であると考えます。 しかしながら、われわれの立場におきましては、その副作用をゼロにできないにしても極小限にすることが、薬務行政の非常に大きな課題でございます。 このためにいかなる方策を講ずるかということでございますが、これについては、すでにお手元に提出してあります法案にございますように、過去において行政指導によって積み重ねてきたところの承認基準の厳格化とか、GMPの励行あるいは医薬品の再評価の実施、モニタリングシステムの確立とかいうことを通じて、医療の第一線の臨床医家まで含めて適正な情報を伝達し、かつ、危険性のある医薬品を排除し、薬事行政の立場においては、それらの方策を通じて、医薬品による健康被害を最小限のものにすることに努力するのが、われわれの基本的な姿勢でございます。なおかつ、その際に、医薬品の特性からして発現が免れない副作用の問題については、お手元にございます救済法によりましてその迅速な救済を図るというのが、われわれの基本的な姿勢でございます。
○佐分利政府委員 医務局は、医療担当者の側面からお答えするわけでございますけれども、基本になりますのは、情報を的確に伝達し、医療担当者を教育することが必要ではないかと思うのでございます。 出発点といたしましては、大学の医学教育から始まりまして卒後の医学教育、さらに生涯医学教育といった問題になってこようと思います。そこで、卒前の教育については、文部省とも相談して、さらにカリキュラム等について改善を図る必要がございますし、卒後並びに生涯教育ということになれば、厚生省が主として担当するところでございますけれども、そういった点について十分な配慮をしていかなければならないと考えております。 しかし、基本になりますのは、先ほど申しましたように、医療機関あるいは製薬メーカーからいち早く情報を収集して、医療担当者にそれを知らせ、実際の医療に反映させて、薬害が起こらないように努めることが大切であろうと思っております。そういう意味では、新しいものといたしましては、電算機等も利用いたしました薬害情報システムの開発普及といったことも、今後大いに力を入れなければならないと考えております。
○石野政府委員 医療保険制度の中で、薬づけ医療と言われておるものをどういうふうな形で措置するのかというサイドで、申し上げたいと思うわけでございます。 確かに、わが国の医療におきますいわゆる薬づけ医療という問題で、薬剤をめぐります問題はいろいろと指摘をされておりますし、現に増高いたしております医療費の負担の問題とともに、大変むずかしいかつ緊急に解決しなければならぬ問題であると認識いたしております。 そこで、私どもの方は、実は一昨年の十一月に、医療制度全体について、十四項目にわたります医療制度改革の基本的な考え方をお示しいたしました。その中で逐次制度の改革を進めていかなければならないと考えておるわけでございますが、一方で、一つには、医師のモラルの確立という問題と被保険者の教育という問題もあろうかと思いますが、それはそれといたしまして、保険診療の適正化の観点から、さらに薬価基準の適正化の問題、さらには指導監督の推進、こういう問題について図っていく必要があると思います。 同時に、私どもが御提案申し上げておりまする改正法案におきましても、こういう問題について何らかのメスを入れたいという形で、薬剤の患者負担の導入を給付の面から改善をしていこう、こういうことで御提案申し上げているわけでございますので、ぜひ健康保険法の改正について御審議をお願いする次第でございます。
○米沢委員 さて次は、この薬害に対する国の法的責任についてお尋ねしたいと思います。 今回薬事法の改正によりまして所要の改正がなされましたが、従来スモン訴訟等において国側が主張しておりました物の言い方は、製造承認に当たっての審査基準など具体的な規定はなく、国が特定個人の被害まで賠償する法的根拠はない、こういう主張で貫かれておった感がいたします。そこで、今度の改正薬事法におきましてその審査基準が明文化される、したがって今後は、現行法に規定がないから法的責任はないという論法は通らないと私は思うのでありますが、今後この国の法的責任について国は主張が変わっていくのかどうか、その点について所見を求めたいと思います。
○中野(徹)政府委員 結論から申し上げますと、国の製造承認に関係いたしまして、医薬品の副作用による被害者との間で国家賠償法上の賠償責任が生ずるか、民法上の不法行為責任があるかどうかという問題につきましては、私どもは現行法と基本的な立場の変化はないと考えております。 諸外国におきましてもたとえば、非常に厳重な審査規定等を置いている例はございますけれども、国がその医薬品によって生じた事故について直接に賠償責任を負っているという例は、予防接種事故の場合を除いては、いずれの先進国においても見当たらないわけであります。これはやはり、医薬品の製造許可がいわゆる学問上の警察許可に属するという理論から来ているものと思われるわけでございまして、この薬事法の改正によって、国の行政上の責任なりいわば判断基準の厳格化ということは明確にあらわれてくるわけでございますけれども、副作用被害者に対する国家賠償法上の責任については、現行法と何らの変化はないものと考えております。
○米沢委員 しかし、今度の改正を見ますと、効能とか効果とか性能等を審査して、そういう効能、効果または性能を有すると認められないときはだめだ、あるいは効果または性能に比べて著しく有害な作用を有するものはだめだ、不適当と思うものはだめだといって、皆さんが審査をされた結果、許可をされる、こういうわけでありますから、許可したその立場からして、行政責任はそれだけ厳格化されると同時に、法的責任も本当は強くなると思わなければおかしいと私は思うのです。ですから、法的責任を逃れながら薬事行政をやろうというところに問題があったと私は思うのでありまして、これも意見の相違が出てくると思いますが、薬事行政が法的責任を負いながら薬事行政をやっていく、そういう形にならないと、国民の皆さんから信頼できる薬事行政にならないという意見だけは述べさせておいていただきたいと思います。 それから、いま薬害訴訟になっております事件を挙げましても、たとえばサリドマイド、キノホルム、ストレプトマイシン、コラルジル、ミオブタゾリジン、クロラムフェニコール、 クロロキン、クロタオン等々があるわけでありますが、こういう薬害は他国においてもいろいろと発症しておると思うのでありますが、日本と同様の発生状況にあるのか、それとも日本の場合ほかの国に比べて有意差があるのか、そのあたりを説明してほしいと思うのです。
○本橋政府委員 御質問の、外国におきまして発生しております副作用被害というものにつきまして、キノホルムにつきまして見ますと、いわゆるスモン様の神経症状というものも、最近では米、英、仏等二十八カ国で二百人余りの患者さんがあるという報告がなされております。これは確かに日本の実態とずいぶん大きな差があるものでございます。それからクロラムフェニコールによります再生不良性貧血、それからクロロキンによります網膜症、ストレプトマイシンによります難聴等の副作用症例が、諸外国でもいずれも報告がございます。クロロキンにつきましては、わが国と若干使い方が違うようでございますが、主として米、独、スウェーデン等におきましてリューマチあるいはエリテマトーデスという疾患に使用されまして、副作用が出ておるという報告がございます。
○米沢委員 私もそれなりに調べてみましたけれども、やはり外国に比べて、日本の発生状況よりもぐっとあっちの方が薄いわけですね。外国に比べて、大体同じ薬剤を使いながら、薬害の発生状況があっちが少なくこっちが多いという、やはりそれは、医師の責任、製薬会社の責任、国の責任等々それぞれの立場から、やはり責任は問われねばならぬ、私はそういう感じがしておるわけであります。そういう意味で、今後の薬事行政に遺憾なきをよろしきを得て、ぜひその点、がんばってほしいと思うのであります。 それから、次はこの基金の財源の問題でございます。 法案によりますと、著しい健康被害が多発した場合など、救済を円滑に行うために「特に必要がある場合として政令に定める場合には、」国が国庫負担をする、こういう形になっておるのでありますが、これも問題が指摘されたと思いますが、国はどのような責任で国庫負担をするのか、国庫負担金の性格。それから「特に必要がある場合」というのはどういうことなのか。それから、この基金に対して恒常的に金を出すのか、それとも特別に指定をした場合に限ってあるいは必要な場合に限って金を出すという、そういう方向に落ちつけるのか。その三点を説明してほしいと思います。
○橋本国務大臣 国は、被害者の救済が公正に行われるように制度を制定し、また救済主体である基金の監督等を行うことによって、制度の円滑な運営を図っていくべき行政責任を果たしていくべきであると私どもは考えております。 基金に対する国の補助というものは、国のこのような責任に対応するものである、そのように性格づけをいたしております。 給付費に対する国の補助というものは、先ほどもちょっと御説明を申し上げましたが、私ども、最終的に数字をどうこうというところまで考え方を整理しきれておらない、というよりも、むしろ国会の御論議等を伺いながら落ちつくべきところを考えておる最中でありますが、現在私どもが考えておりますのは、副作用被害の発生状況から考えまして、スモンあるいはサリドマイドのような大規模な被害が発生した場合について、国がその一部を助成するという考え方をいま持っております。
○米沢委員 それでは、国は、運営費の一部と、それから必要に応じてサリドマイド的な、スモン的なものが発生したときに給付費の一部を負担する、そういうふうに理解してよろしいですね。 あと、やはり心配なのは、結果的にはこの基金に対して企業から拠出金を取ることになりますけれども、その分がみんな薬代にかわっていったら何にもならぬわけですね。社会的な責任を感じて拠出しましょう、だから製薬企業から金を出す、もしそれが薬剤の価格に転嫁されるようなことになりましたら、社会責任に応じて金を出しましょうと言いますけれども、結果的にはそれは一部、先に金を貸してやるというぐらいのことでありまして、そういう意味では、本当に社会的責任を感じつつこの制度に協力をしてもらおうというならば、やはり拠出金そのものが自動的に、あるいは間接的に薬代に転嫁されていくというところを防止してもらわないと、ええかっこうをされるいわれがないわけでございますね。その点、今後、拠出金を取られるその分を薬代に転嫁しないという行政指導をやられるおつもりがあるのですか。
○中野(徹)政府委員 先生御承知のとおりに、現在医薬品の価格の問題につきましては、一方で健康保険の側におきまして薬価基準というものがございまして、この薬価基準は実際問題といたしましては、何度もこの委員会で議論が出ておりますように、現在の市場価格をもとといたしまして、九〇%を割るくらいの線で設定されておるものでございます。問題は、いわば今回のこの基金に対する拠出金のコストが、現在の市場の状況から考えまして、これが薬品の市場価格に上乗せになるかどうかというところにポイントがあると思いますけれども、現在の市場においては、ごく特殊な銘柄を除きましては非常に強く競争原理が働いておりまして、この基金に対する拠出金が、自動的に市場価格に上乗せされるというふうな市況にはないというふうに判断をいたしております。したがいまして一般論として申しますれば、この拠出金が薬の価格に転嫁されるという事態はあり得ないというふうに一般論としては考えております。
○米沢委員 次は、これもたくさんの方が触れられましたように、既発生の薬害の取り扱いの問題です。やはり患者の皆さんがおっしゃいますように、いま苦しんでおる者を救わぬで何が薬害救済法か。これは私は正論だと思うのですね。そういう意味で、いろいろと技術的にむずかしい問題があったと思うのでありますが、既発生の薬害を除外した理由は何ですか。
○中野(徹)政府委員 技術的な面から申し上げますと、このシステムは、御承知のように業界全般の拠出と関与企業の拠出によって成り立ちますところの、一種の類似保険的な手法を採用している制度でございます。そのような手法からいたしますと、すでに関与企業が特定いたしておりますところの既発薬害に対しては、全体の業界からの拠出を求めるというその保険方式の手法が当てはまらないということがございまして、将来に対する適用ということで割り切ったわけでございます。これは、西ドイツの薬事法によるところの損害賠償制度への強制付保の手法も、全く同じく、将来に向かっての適用ということを考えております。ただ、この案を策定いたします前提となりました研究会レポートの中には、既発薬害については特別会計をつくって、そこに関与企業等からの拠出を求めて、この救済を行うという構想の一端も述べられているわけでございますが、当面、われわれの解決を急いでおりますところのスモンの解決問題につきましては、御承知のように政府は和解によってこれを解決するという方式をとり、なおその和解に対して、けさ方から大臣から申し述べておりますように、田辺の参加が実現しかかっている段階でございますけれども、この法案の提出時点においては、田辺の参加は見通せなかった事態でありまして、研究会レポートの手法によりますところの特別会計方式は、その点でも現実性のない問題であったというふうに私どもは理解いたしております。
○米沢委員 この既発生の薬害の取り扱いについては、けさほどから大臣の方もかなり柔軟な態度を示されておるように見受けるわけでありますが、いまお話しがありましたように、一昨日でしたか、田辺が結局、スモン訴訟の可部和解案を受け入れる方向というものを打ち出されたというニュースが伝わっております。田辺が一転していわゆる可部方式の三条件、それをのんだ上で和解案を受け入れることになったのは、当局のかなりの努力があったと感謝を申し上げますけれども、その際もし和解案を受け入れるということになりますと、これはかなりの金額的な支払いの出費が要請される。この和解を進めるに当たりまして、国はその資金手当てについて何らかの約束をしたのでありましょうか。特に、こういうところで言ったらどうかわかりませんが、支払い能力というものが問題になっておったわけでありまして、そういう意味では、和解に当たって国が支払い資金について何らかのお手伝いをするということの道が開けるならば、いま提案されておりますこの法案に準じた取り扱いをするか、あるいはまた低利な金を融資するか、そういう方法論はいろいろありましょうけれども、既存の薬害に対する取り扱いが一歩前進だというふうに理解をしたいと思うのでありますが、いかがですか。
○橋本国務大臣 一昨日、田辺の松原社長が、国の方針に従って田辺製薬としても和解に参加する意思ありという意思表示をされました時点において、いまお話しになりましたような資金手当て等々の問題については、一切論議は出ておりません。 ただ、その過程において、これは私も何回か田辺製薬の説得はしてまいりましたから、たとえばあなたのところは財政的な問題で受け入れができないのではないかとかいうようなことを私から聞いてみたこともございますが、そういう問題ではないというのが一貫して議論の中でありました。最終的に一昨日、田辺製薬として国の指示に従って和解に参加する意思ありということを表明された時点において、そのような話は出ておりません。 なお、それについての田辺側の意思というものは厚生省から裁判所の方に直ちに伝えましたので、恐らく地裁としては田辺を呼ばれてその意思を確認されたことと思いますけれども、その内容等については、これはいま私ども申し上げるべきことではございませんので控えさせていただきますが、いずれにしても、ようやく明るい方向が出てきたということで、私はこの方向を評価いたしております。
○米沢委員 この問題は、大事なところでしょうから、これ以上深追いはしたくはないと存じますけれども、今後、こういう法案もできるわけでありますから、そういう考え方だけは厚生省も持っておられるわけでありまして、それなりの対応をされることを要請しておきたいと思います。 次は、この法案の細かな問題点について逐次御質問いたしたいと思います。 一つは、救済対象の範囲の問題であります。これも何回も指摘をされておりますように、この法案を一見して言えますことは、対象者を余りにもしぼり過ぎておるという感じが大変強いのであります。 そもそも「医薬品の副作用とは、医薬品が適正な使用目的に従い適正に使用された場合においてもその医薬品により人に発現する有害な反応をいう。」こういうふうに定義づけられまして、適正な使用目的と適正使用という要件を満たさなければ救済対象にならない。しかしこの適正な使用目的、適正な使用なんというのは一体だれが決めるのであろうか。その上、再三話がありますように、いわゆる個人によってその薬の効果とかあるいは副作用の発現の仕方あたりは違ってくる、そういうことを考えますと、果たして「適正」とかいう言葉が使い得るものであろうかという感じがするわけであります。 もう御案内のとおり、既発生の薬害を見ましても、もし適正な使用がなされておったならば、そもそも薬害なんか発生しなかったであろうなんというのはたくさんあるわけですね。クロロキンなんかでもそうです。クロロロキン製剤を大量投与しながら、途中経過において眼疾患に影響があるならば投与をやめるとか、あるいはまた、内科医が眼科医に言うて検査してもらうとか、そういうあたりまえのことをやりさえすれば、私はかなりのクロロキン被害者なんというのはとめることができたのではないか、そう思うのです。しかしそれは過去のことですからどうしようもありません。 しかし、この適正な使用目的、適正な使用によっても、ここに言いますように一過性のものでもなく軽微なものでもない、重篤な薬害が発生するなんというのは、どんな例を予想されておるのですか。
○中野(徹)政府委員 適正な使用という観念は、たとえば西独の薬事法の賠償規定にもございますように、規定に従って服用されたというような、西独の薬事法の条文に対応するものでございます。つまり、医療過誤と薬そのものによる副作用というのをまず仕分けて、医療過誤によるものは医療過誤として、いわば臨床家に対する損害賠償の道が開けるわけでございますから、これを今回の、本来医薬品にとって避けがたい副作用の救済の基金の方でカバーをするということは、やはり基本的な発想からいって矛盾があるわけでございます。 そこで、まず適正使用と非適正使用を仕分けをいたしまして、適正使用によってなおかつ発生するものをこの救済対象とするという仕分けをするわけであります。これは、適正に使用されたとしても、発生する副作用というのはもちろん、現在の副作用の発現の契機となりますものは、たとえば本人の特異体質であるとか幾多のファクターが挙げられているわけでございまして、これは決して救済対象にならないということは全くございませんので、適正使用の範囲内においても避け得ない副作用というものがあるからこそ、医薬品についてのこの種の制度が必要だというふうにわれわれは判断しているわけでございます。 もしも適正使用によって副作用が発生しないのであるならば、すべては要するに臨床医家の側の問題ということになるわけでございまして、事柄がさようなものでないという観点から、幾つかの一般医療関係がすでに確認されている既知の薬害もあることでございますし、本人側の特異体質等の問題も多々あるわけでございまして、この制度の存在理由は十分にあるものというふうに考えております。
○米沢委員 適正な使用目的、適正な使用によっても、まだスモンのような薬害が発生するであろうなんということを予想されておるのですか。そうなった場合、私はその薬そのものの有害性というよりも、安全性についての問題ではないかと思うのですよ。いかがですか。スモンみたいなものがまた発生すると予想されておるのですか。
○中野(徹)政府委員 もちろん、サリドマイドとかスモンのような大規模な災害を二度と起こしてはならないというのがわれわれの立場でございます。現に四十二年以降、厳重な基礎実験及び臨床治験を通じまして新薬を導入しておるわけでございまして、二度とあの種の薬害を生ずることはないものと確信をいたしております。 しかしながら、御承知のように医薬品の特性といたしまして、治療効果というものと副作用のバランスの上に医薬品というのは成り立っております。現在の医薬品の開発過程をごらんになりますと、結局のところ、臨床治験例といいましても、たとえば千程度というふうなデータ例が集められるわけでございますが、実際に市場に導入いたしましてから、たとえば万分の一単位あるいは十万分の一単位の発現の確率であるところの副作用というようなものも絶無とは言えないわけでございまして、そのような医薬品は、まさしく適正に承認され適正に使用されたにもかかわらず、発生する副作用というものを絶無にすることはできない。そのようなものについては、結局この種の制度を考案しない限りは迅速な救済の方法がないというのがわれわれの考え方でございます。
○米沢委員 そうであるならば、私は救済制度のあり方から考えますと、医薬品の副作用被害者はやはりすべて救済の対象にするということにしなければならぬのではないかと思うのです。法案によりますと「賠償の責任を有する者があることが明らかな場合」にはノーだ、「がんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であって、厚生大臣の指定するもの」、これも発生してもノーだ、こういうふうにして非常にしぼられておるというところに、私はこの法案の趣旨からしまして大変おかしいという感じがするのでございます。民事責任も問えない、民事責任のあいまいなものだけを救済する、賠償責任を有する者があれば、裁判で長期間かかろうとも、その間患者がどう苦しもうとも、そんなのは勝手に、相手に対して賠償しろと文句を言うてくれ、こういう調子のものはおかしいという気が私はするのです。薬害を受けて苦しむ人の立場を考えますと、賠償責任の相手がおろうがおるまいが苦しい、だから救済しようというのがこの趣旨だと私は思うのです。ところが、賠償責任を持つ相手がおるならばそんなのはノーだ、そして民事責任もあいまいだという者に限って救済しようなんというのは、私は何を救済しようと思っているのかという感じがするのでございます。 そういう意味で、一部を救済する基金法案ならわかる、しかし、薬害に苦しむすべての人を救済するようなイメージを与えながら、実際はしぼりにしぼって結局は余り救済の対象にならない、こういう考え方が私はどうも理解できないのでございます。薬害を受ける本人にとっては、何も自分で好んで、相手がいることいないことを選択したものでもありませんし、それで一方では救済し一方では救済しない、こういうものは大変おかしい。やはり、賠償責任相手がおったとしても、いま苦しむならばそういう方も救済して、あとは賠償責任を持つ者は裁判なら裁判をして金を取った上で、逆にこの基金の方にバックペイするという道をとらない限り、こんなのは薬害で苦しむ人の一部を救済する法案だと思うのですが、どうですか。
○中野(徹)政府委員 実は先生御指摘のとおりになっているわけでございまして、たとえば賠償責任が確定判決で得られたという場合は別といたしまして、明らかになる期間まではこの制度は動いて、救済を行うという前提でございます。
○米沢委員 それならば、たとえば医師の過誤によってあるいはまた製薬会社の責任を問われる場合には、自動的に救済されるわけですね。
○中野(徹)政府委員 先ほど申し上げましたように、医療過誤と認定された者は当然医師が相手だというのは基本原則でございます。医師が責任を負うべき医療過誤までこの制度で全部救済するということは、筋としてとうてい考えられないことでございまして、ただし、その場合に、午前中に御答弁申し上げましたように、医療過誤であるかないか、つまり医薬品が適正に使用されたかどうかということは、あくまでも日本の医療の実態の平均レベルに即して考えるというふうに申し上げているわけでございまして、医師の医療過誤に基づく責任までこの制度でかぶってしまうということは、筋としてはあり得ない話だと私どもは考えております。
○米沢委員 おっしゃることがぼくはわからぬのですけれども、損害賠償の相手がおる場合には適用されるのですか、されないのですか。医療過誤でも、それはお医者さんに責任がある、損害賠償の相手がお医者さんだというだけであって、変わらぬのじゃないですか。裁判をして取ることができたら後で返すということで、一時的には、損害賠償相手がおろうとおるまいと救済するというふうに理解していいのですか。
○中野(徹)政府委員 何度も申し上げておりますように、入り口のところで医療過誤としからざるものの判定を厚生大臣がいたしまして、医療過誤によるものでないという判定が下された場合には、一応こちらの制度が動いて救済を行うということでございます。あと、よく問題になっております製薬会社等に対するところの賠償請求事件につきましては、訴訟と並行してこの救済給付が動き得るという形になっておるということでございます。
○米沢委員 次に、認定の問題でございます。 余り時間もありませんが、認定の仕組み、手続を簡単に説明してください。
○中野(徹)政府委員 請求がこの基金に提出されまして、この請求に即しましてその医学的、薬学的判定を要する事項につきましては厚生大臣に、基金から判定の申し出があるという仕組みになります。厚生大臣は、これを中央薬事審議会の新しく設けられます判定部会に諮問いたしまして、専門家の判断を待ってその判定を決定いたしまして、これを基金に通知する、基金はこの判定に従って給付を行う、こういう仕組みになっております。
○米沢委員 あとは、そうした場合に、厚生省として認定の基本的な方針みたいなものを決められるのか。それとも、すべてそれは判定部会にお任せするという立場に立たれるのか。それにしても、判定部会がそれぞれの立場で方針を決められたとしても、この認定の方針いかんによって救われる者、救われない者、かなりの差が出てくるのではないかという感じが私はするわけでございます。目薬連なんかの立場からは、厳正な認定基準でやってくれ、こういう話があるそうであります。しかし、過去の薬害等の認定に絡んだ流れを見ておりますと、因果関係を解明する場合でも、これは非常に長期間を要し、あるいはまた、現に薬害の健康被害者との個別的な因果関係の証明なんというのは、これまたむずかしい。そういうむずかしさを抱えておるわけでありまして、そういう意味では、疑わしきは罰するという言葉がありますように、疑わしきは救済するという基本方針が貫かれなければ、喜んでこの基金を使ってもらえることにはならないのではないかと私は思うのでありますが、因果関係等が疑わしい場合にはどうされるのですか。
○中野(徹)政府委員 いずれにせよ、この制度は、患者の副作用による健康被害の迅速な救済を旨として行うことになるわけでございます。この法律の趣旨に沿いまして、結局判定部会において、先ほども触れたところでございますけれども、業務開始前に十分に判定に際してのガイドラインのようなものを決めていく、この判定ガイドラインに沿いまして、個別の判定は迅速かつ的確に行われるように十分な準備をしておくということでございます。いずれにせよ、この法律の趣旨は、副作用被害に苦しむ患者さん方を早く救済するというところにあるわけでございますから、その線に沿って判定部会でも御判断をいただくということになろうかと存じます。
○米沢委員 私は、認定に至るまでが大変だという感じがします。特に潜在患者的なものをどう掘り起こすのか。この仕組みによりますと申請主義ですね。しかし、自分が薬害による健康被害者ではなかろうかと思い、そして思い立って申請をするときには、すでに遅いというところもたくさんあるわけです。あるいはまた、こういうものは本当に薬害なんだろうか、薬害の知識のない方あるいは、医者を信用し、薬を信用して飲んでおっても、まだ病気が一向治らない、新しい病気になってくる、これは別な原疾患が出てきたのかなと判断する善良な国民もたくさんおるわけでございまして、そういう意味では、救済するという本法の趣旨からいたしますと、潜在患者をどう掘り起こせるかということが非常に大事な問題ではないか、そういうふうに思うのであります。薬害と気づいたときにはもう遅いのでありまして、申請主義のたてまえだけではなくて、薬害を未然にあるいは薬害が広がらないうちに防止するという立場から、潜在患者をどう掘り起こすか、再三再四にわたって恐縮でありますが、どう掘り起こしていかれるのか、申請があってから遅い者に対しては、どう対応するのかということが第一点。 それから第二点としまして、まあ薬害ではないかと本人が思われたときに、一番最初に相談相手にするのがお医者さんだと思うのであります。しかし、お医者さんに行って、果たして薬害だという判定をしてもらえるかどうか。苦しむ連中は何らかの形で相談相手が欲しい。そういう相談相手の窓口的なものを、この判定部会は中央にしかできないわけでありますから、少なくとも各都道府県ぐらいには、薬害の相談相手みたいなものを開設する親切さがあってほしいと思うのであります。 この二点について、御説明いただきたいと思うのであります。
○中野(徹)政府委員 この制度が実際に発足いたしますと、実際の健康被害に関する環境は非常に変わってくるというふうにわれわれは考えております。というのは、一つには、もちろん、医薬品をめぐりまして臨床医家の方々に、その医薬品の適正使用を厳重に心がけていただくという要素がございますが、その反面、適正使用の限界内においては従前救済の方法がなかった患者の救済の道が開けたという事実が、そういう環境になるわけでございまして、その場合には、たとえば臨床医家の立場におきましても、これは、この救済制度の適用対象になるところの健康被害であるということを知るならば、当然その患者に対して、こういう制度があるというアドバイスはあり得るわけでございますし、一方において、臨床医家は、先ほど申し上げましたように厳重な副作用に対する警戒心を持っていただかなければならぬと同時に、この救済制度によるところの患者の救済について御協力をいただけるものというふうに、われわれは考えるわけであります。その意味におきまして、いわば健康被害をめぐるところの医療上の環境は一変するというふうに、われわれは考えておるわけでございまして、そのようなコースをたどって、この制度の運営が円滑にいくような状況をわれわれとしては期待をしているわけでございます。
○米沢委員 認定の段階におきまして、ある薬による薬害みたいなものがたくさん判定部会に申請をし始めた、その際には、その薬剤について即安全性をチェックするという、そういうシステムはあるのですかね。
○中野(徹)政府委員 もちろん、この救済制度と並びまして、そのような副作用情報がモニタリングシステムを通じて上がってきました場合には、当然中央薬事審議会の副作用を担当するところの部会が作動いたしまして、薬事行政上の仕組みが働くわけでございます。もちろん、この救済制度の実施そのものも、何らかの形を通じまして医療の第一線にフィードバックされていくものと考えております。
○米沢委員 時間もありませんので、最後に、医薬品の流通機構の改革についてお尋ねしたいと思います。 今回のこの薬事法の改正によりまして、薬局開設者及び医薬品の販売業者の記帳の義務の措置がなされることになりましたが、果たしてこれだけで、医薬品のブラックマーケットと言われるようなものに法的なメスが加えられるのかどうか、これが一つ。それから、いままでの摘発状況は一体どうなっておるのか。それからもう一つは、不正な医薬品流通がはびこる背景をどういうふうに考えておられて、それに対していまどういう対策を練りつつあるのか。その三点だけ御意見を聞かしていただいて、質問を終わりたいと思います。
○中野(徹)政府委員 今回の九条の二によりますところの、いわゆるGMPのソフトウエアの遵守事項が入ってくるわけでございます。 これにつきましては、われわれの改正法案の一つのポイントは、いわゆるその記帳の義務づけを通じまして、医薬品の適正流通ルートの確立ということを考えたわけでございます。それは逆に裏返して申しますと、たとえば不良医薬品等が発見されました場合に、通常の販売経路を逆にたどってその回収が行われるわけでございますから、不良医薬品の回収のためにも、そういう記帳が必要であるというふうに判断をしたわけでございます。このことが、先ほど、ここにも御出席になりました公正取引委員会の方から御異論が出まして、これについては、現在のところ、われわれとしましては、不良医薬品の発生頻度の高いような品目あるいは経時変化の非常に著しいような品目、あるいは新発医薬品等のものに限定をいたしまして、これを実施していこうかという案を持っているわけでございますが、いずれにいたしましても、現在ブラックマーケットと呼ばれているものは、単に流通過程だけの問題ではなくて、全体的にいまメーカー側に過剰生産基調がございまして、この過剰生産基調のもとで発生する一種の過剰在庫が、いわゆるブラックマーケットの方に流れていくという現象があるように思うわけでございます。ブラックマーケットそれ自身がいいの悪いのということよりも、いわゆるブラックマーケットはいわば医薬品の氏素性を無視して買い取るということがございまして、したがいまして、持ち込まれたものを右から左に現金で買い取って、それを逆にどこかに流すという商慣行を持っております。したがって、それがにせ薬であっても買い取るということがございましても、先ほどの大臣の御発言にありましたように、偽造医薬品がブラックマーケットを中心に出回るという、非常に嘆かわしい現象が生じているわけでございます。われわれといたしましては、一方において、過剰生産基調のもとにおいて生ずる問題でございますので、事は経済現象であるという面もございますが、一方においては、そのような商慣行の結果、偽造医薬品が出回るというようなことは、国民衛生上重大な問題でございますので、これについては厳重な取り締まり規制をやっていきたいと考えております。 今回の薬事法の改正によりまして、GMPのソフトウエアその他、われわれとしてもこのようなGMPの推進に必要な手だてが一応そろうわけでございますので、公取の考えておられる問題点は十分意識した上で、事態の改善を徐々に図ってまいりたい、かように考えております。
○米沢委員 終わります。ありがとうございました。
○森下委員長 次に、田中美智子君。
○田中(美)委員 まず、薬事法の問題と医薬品副作用被害者救済基金法について質問いたします。 この救済基金法ですけれども、救済基金法がつくられ薬事法が改正になるというこのきっかけになったのは、やはりスモン患者の皆さんたちの長い血のにじむような闘い、それが国民からその闘いは妥当であるという支持を受けて、国民の大きな世論が高まったというところで、厚生省もこういうことに踏み切ったのだと私は思いますし、大臣もそうだとお認めになると思います。それだけに、スモンを含んだ既発生の人たちがこの救済基金法の対象になっていないということは、きょう一日、前からも同僚議員からの要求があったわけですけれども、私もこれをどうしても強く要求したいと思うわけです。 というのは、いまこの基金法について、かんかんがくがくといろいろな意見が出ております。その一つに、これは被害者の救済ではなくて企業の救済基金ではないのか、企業の保険制度ではないのかというようなことを言う人さえあります。というのは、千分の二というので、二兆円産業ですから、これで最高の上限をとったとしても四十億じゃないかと。今度のスモンの問題、これを解決するには、何人が対象者になるかということは私ははっきりはいま言えませんけれども、たとえば七千人だとすれば三千億かかるじゃないか。もっと数が多ければ四千億かかるではないか。そういうふうなものが今後も発生するという可能性があるならば、こんな基金でどうして救済できるのかというような意見さえ出ているわけです。私はその意見が妥当であるかどうかわかりませんけれども、少なくとも、いま国民が、二度とこのような薬害が起きないような信頼というものを、政府に対しても企業に対してもある程度持てない限りは、この基金というものは、こうした不十分であるだけではなくて、企業の救済になるのじゃないかという疑いさえ出てくるのではないかと思います。それだけに、私は、スモンを置き去りにしたような救済法というのはあり得ないというふうに考えます。 それで、スモン患者に対して、国と企業の責任を明らかにした恒久的な救済対策というものを早急にやっていただきたい。これについての大臣の見解を、簡単で結構ですから、もう一度お聞きしたいと思います。
○橋本国務大臣 私どもは、この制度は、先ほどからたびたび述べてまいりましたような基本的な考え方を持ってつくったものでありまして、製薬産業というものは、副作用被害者を救済すべき第一義的責任が課されて、拠出金の納付義務を負うわけでありますから、企業救済というような御批判は私は当たらないと思います。 それからまた、スモンの患者の方々に対しては、私はこの前本委員会において一括全面解決を行いたいという意思を表明いたしまして以来、その一つの大きなポイントでありました、田辺製薬の和解への参加ということを進めてまいりました。一昨日、私に和解に応ずる意思のあることを伝えてまいりましたので、厚生省からその旨を直ちに東京地裁の方に御連絡いたし、現在東京地裁において最終的な詰めの作業を進めていただいております。ですから、これはもう裁判所に移っておることでありますので、内容等に触れることは控えたいと思いますが、私としては、近日中に和解の成立することを心から祈っておる次第でございます。
○田中(美)委員 それでは、その次ですが、投薬証明のない患者さん、この人たちの対策をどうするのかということをお聞きしたいと思います。
○中野(徹)政府委員 これは本委員会におきましても大臣から御答弁申し上げたことがあるわけでございますが、私どもは、客観的にキノホルムによるところのスモンであるということが確実であるにもかかわらず、いろいろな事情から投薬証明書が入手できない、したがってブランドが特定できない、どの薬品であるかが特定できない方々についての救済問題につきまして、国が推進してまいりました和解との論理的な整合性を持った上で一裁判所の判断を求めたわけでございます。しかしながら、先生御承知のとおり、先ほど御発言にありましたように、現在まで田辺が参加しておりませんでしたので、裁判所としてはその見解をなかなか表明できないという経緯でございました。田辺の和解参加が実現いたしますれば、裁判所の見解をいただいて、その線に沿ってわれわれとしてはその対策を検討したい、かように考えております。
○田中(美)委員 あした札幌判決があると思うのですけれども、漏れ聞くところによりますと、投薬証明のない人に対しても国の責任、企業の責任が問われるのではないかというふうに言われています。あしたのきょうになったわけですから、裁判所待ち、東京地裁待ちという行政でしたら、この国会だって要らないじゃないか、裁判所の結果が出なければ国会も機能しない、行政も機能しないというのでは困るのではないかと思います。もうここまで来たし、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、一括円満統一的解決の機が熟したということは、今国会での私のスモンの質問に対しても大臣は答えていられるわけですね。ですから、もうここまで来れば、政府としても行政の側としてどういう態度をとるか、税金だけで全部やるのか、それとも企業の責任もきちんと問うのか、こういうところの決意が何にもなくて、何しろ地裁待ちということではおかしいのじゃないでしょうか。
○橋本国務大臣 いまお話しのありました、税金だけでやるのか云々という部分の意味が、私にはちょっとよくわからないのでありますけれども、もともと投薬証明のない患者の方々に対しての措置をどうするかという御指摘が、本委員会でも何人かの方々からありました。私は、可部和解というものに国は従って、それによって和解を進めておるのでありますから、投薬証明のない患者の方々についての対応というものも、その延長線上の問題として、裁判所の御判断を仰ぐことが至当であろうということを考えておりますと申し上げて、その方針を一応お認めいただいて、今日まで進めてきているわけであります。 ただ、田辺の入っておらないという事態の中で、裁判所としても判断が示せなかったという状況は、いま局長から申しました。ですから、むしろ私は、裁判所にゆだねた問題で、裁判所の判断をお示しいただいてそれに従うという態度が、私は国会が要らないとかいうような筋合いのお話とは、ちょっと違うように思います。
○田中(美)委員 いずれにしても、投薬証明がない人も、日本で市販されている薬を、キノホルムを飲んでなっているわけですから、ただそれがいろいろな事情で証明できないというだけです。ということは、原末は必ず企業が売っているわけですので、そういう点で、私は、企業責任というのはここにはっきりとしているというふうに思います。ですから、東京地裁の判断待ち、それから、あしたの札幌判決は企業責任も恐らく問うと思いますけれども、こういうものに対して大臣はそれに従うと言っていられるわけですから、企業責任というものをやはりきちんとしていただきたいということを要求しまして、次の質問に移りたいと思います。 その次に、いまスモンの問題についても、製薬企業と厚生省の癒着というものが世間でいろいろと言われているのは、大臣も薬務局長もよく御存じだと思います。特に薬務局を中心として、課長補佐以上のクラスの人たちが製薬企業に厚生省をやめて就職している。これは非常に疑いを持たれる体質をつくっているのではないかと言われています。私が調査しましたところ、この十二、三年の間に約六十名の四等級以上というのでしょうか、課長補佐クラス以上の人たちが製薬企業に行っているわけです。特に製薬企業には三十二社に三十九名、製薬団体に十八名、化粧品企業に二名、特に大手十二社のうち八社に十名も、厚生省の偉いと言われるお役人が天下りしている。そのうちの半分は会社の重役のような役員をしている。こういう大企業の重要なポストに、厚生省にいられた、特に薬務局にいられた方たちがついて、そこと厚生省が接触するということでは、私は癒着の体質がこういう形でつくられているのではないかと思います。 それで、六十名の事例をこういうふうにざっと全部調べてみました。何をやっていた人が行ったかといいますと、一人を除いて全部が薬務局出身者なんですね。梅本純正さんという方は厚生省の事務次官だった方です。この人だけを除きましてあとは全部薬務局出身ですが、この人は武田薬品工業の専務、企画本部長というような役になっていられます。それから、やはり厚生省の事務次官坂元貞一郎さん、この方は中外製薬の副社長になっていられます。それから松下廉蔵さん、みんな御存じだと思いますけれども、この方も薬務局長をやっておられて、現在ミドリ十字の副社長をやっていられます。それから岡浩策さん、これは製薬第一課長。この人は第一製薬の取締役法規室長という形で天下りをしているわけです。まあ大きなところを四人ほど言ったわけですけれども、ここにありますように、武田、塩野義、三共、藤沢、エーザイ、第一、山之内、中外、挙げていくと切りがないのですが、持田製薬、大日本製薬、杏林、ミドリ十字、森下製薬、鳥居薬品、エスエス製薬、興和というふうなところに六十人が天下りしている。 国家公務員法の百三条によりますと、これには「私企業からの隔離」という形で、こうした人たちが営利企業に就職する場合には、人事院の承諾を得なければならないというふうに定めています。しかし、残念ながら、この直接私企業に行った六十人のうち四十名、製薬団体に行ったのをちょっと除きますけれども、四十名のうち十名しか承認は得ていません。承認を得ずに行っている。一体これは、国家公務員法の百三条に違反していないかということが一つあります。 それからもう一つですけれども、先ほど申しました坂元さんにしても、直接すぐに中外製薬の副社長になっていないのですね。もちろんこれは絶対できないと思うのです。人事院は承認はしないと思うのです。ですから、承認は得ないでおいて、環境衛生金融公庫理事長という形でおやめになっていらっしゃる。そして、二年間のブランクというものをそういう肩書きで過ごされて、そしてその後で副社長になっている。私企業に行っている。それから松下さんもそうです。この方も、日本製薬工業協会とか日本血液製剤協会とかいうところの理事長というような形で一たん行って、それからミドリ十字の副社長になっている。岡さんも、東京医薬紙器、紙の箱をつくっているところに行って、そして承認を得ないでいいような形をつくって行っているということは、国民の目から見た場合、おたくの方にもいろいろ弁解のあれはあるかもしれませんが、国民からこういう実態を見ますと、どう見ても法の盲点を逃れて、そして大きな私企業に直接に入っていっているというように私は思います。事実上国家公務員法百三条をなしにするような、踏みにじるような形で、そこまでして私企業に就職するということは、いま国民が非常に厚生省と企業との癒着というものに対して疑問を持っているときに、こういうことはやるべきではないのじゃないか。もう少しきっちりと、えりを正していただきたいというふうに私は思います。過去のことをとやかく、だれが国家公務員法に違反したかということをいま私は問うているわけではありません。今後ともえりをきちっと正して、このような癒着の体質をつくっていると疑われるようなことをしないでほしい、こういうふうに要請しているのです。大臣、一言お願いいたします。
○橋本国務大臣 そのお尋ねの前に一つ訂正をいたしておきますが、私は札幌地裁の判決の部分について何ら先ほどは言及をいたしておりません。東京地裁にゆだねております判断の問題にお答えした件だけは、正確にもう一度申し上げておきたいと思います。 いま製薬メーカーに厚生省の役人が大変たくさん天下っているというお話でありまして、また国家公務員法の適正な手続を得ていない者がたくさんおるというようなお話でありました。私は国家公務員法上の適正な手続を経ずに就職している者があるとは思いませんけれども、もしあったとすれば、これはおしかりを受けても仕方がないと思います。ただ、厚生省には薬学系統の職員はたくさんいるわけでありまして、これらの人たちが学識経験等を買われ、あるいは知識、技術を買われて、あるいはそれを生かして活躍を希望し、現在の公務員の退職時の年齢から御判断をいただきましても、特にいま中高年の雇用というものが問題になっておる時期でありますから、そういう方々が第二の人生を歩むことについて、私は問題があることではないと思います。また、それが、御指摘をいただくような癒着というような問題を引き起こしているとは考えておりません。もしそういうものが全部問題であるとすれば、たとえば大蔵省の諸君が銀行その他にたくさんおりますけれども、もっとそれはいろいろな問題が云々されるのかもしれませんし、通産省の諸君もずいぶんそれぞれの特技を生かして第二の人生を歩んでおります。それぞれの特技を生かし、国家公務員法上の所定の手続を経て第二の人生を歩むということが、私はいけないことだとは考えておりません。
○田中(美)委員 大臣のお答えは私の問いに対してぴったりと答えていません。私は第二の人生を就職することは決して構わないと思うのです。しかし「李下に冠を正さず」という言葉もあるように、薬務局出身の上級の役人が、ストレートに近い形でそうした大企業に副社長などになって行っているという、この体質というものは、やはり「李下に冠を正さず」という姿勢をとっていただきたいというふうに問うたわけですけれども、大臣は、いまそれをすりかえたように私は思います。しかし、この点は一応御忠告申し上げるだけであって、次の質問に移ります。 薬事法の問題ですけれども、昨年の四月、五月ごろ厚生省がこの薬事法の検討をなさったときの試案に、企業の責務というのと、それからプロパーの規制というのがあったというふうに聞いております。これは初めあったわけですけれども、どうしてこれが骨子の時点で抜けたのか、その経過についてお話しいただきたいと思います。
○中野(徹)政府委員 先生の御指摘のように、当初私どもは、薬事法の改正に当たりまして非常に慎重な手続をとったわけでございまして、まず内部の意思、内部の考え方をまとめるために一幾つかの問題点を洗い出したわけでございます。その問題点について一応の判断に達しまして、外部に公表しましたものが骨子でございますが、当然、今回の法案の検討に当たりましては、検討事項といたしまして、企業の責務というものをいかに考えるかということが、一つの重要な問題点だったことはそのとおりでございます。またプロパーのその問題につきましても、西ドイツの薬事法、これは世界的に例は一つだけでございますが、プロパーの資格規制を法律上正面から取り上げておりますので、その問題についても検討事項の一つとしたことは事実でございます。 企業のたとえば社会的責務と言われているようなことから、企業責任というものを今回の薬事法改正の中でどう取り扱うかということを、われわれとしましては内部的にもいろいろ検討いたしたわけでございますが、現在の製薬と申しますか、医薬品産業と行政のかかわり合いということから考えますと、先生御承知のように、そのことがいいか悪いかは別といたしまして、あくまでも自由市場主義によって事に処していくという前提がございます。その限界内におきまして、たとえば政府の公的介入なりあるいはたとえばワクチン等の買い上げ等、私企業にこれをゆだねて出てくる問題の限界に対しては、政府が補完的に手を出すという仕組みでやってきているわけでございまして、そういう自由市場主義の製薬産業の背景のもとで、たとえば公益関係の企業、公益企業等に考えられますような、地域独占になっておる企業の供給義務とかいったようなものが考えられるかどうか、一つには、品薄になったような、しかも医療上必要な医薬品の生産、供給の義務をたとえば私企業に要求できるかというところが、実はわれわれの最大の問題点としていたところでございます。ただし、そのような企業にいわば医薬品の提供、生産、流通についての責務を特別に要求いたしますとしますと、やはりそれなりに、それに対応していろいろな法制上の手当てをしなければいかぬ、そのようなことにつきまして、たとえば税制上の手当てとかいろいろな問題が出てまいるわけでございます。その私企業の社会的責務というものを法文化するということについては、いろいろ検討した結果、現行の体系を特に改める必要はないので、現行法文にあるところの、たとえばお手元にありますような副作用情報の収集義務とか報告関係とかそういったようなものにとどめて、特段社会的責務について書き出す必要はないのではないかという結論に達しましたので、それは落としたわけでございます。 それからプロパーの問題についてでございますが、これはその問題点に照らしまして、西ドイツの薬事法に照らして、実はプロパーの実態をよく調べてみたわけでございます。そうしますと、世界的に、プロパーを法的に規制している国もありますし、それから業界の自主規制にゆだねている国もございます。私どもは現状は決してこのまま放置していいとは思っておりませんので、特に第一線の臨床家に対する情報提供、学術情報の提供義務を持っておりますプロパーの資質向上というのは、一つの重大な行政上の課題であるというふうには考えております。そこで、プロパーの問題につきましては、業界に対しまして自主規制案の作成を要求いたしまして、この自主規制案は、業界との話し合いによりまして、六月中にはっきりしたものをつくって持ってくるという形になっております。われわれとしてはその業界の自主規制案を拝見いたしまして、われわれとしての判断を、あるいは将来どういうふうにやっていくかということをさらに判断していきたい、かように考えております。
○田中(美)委員 いまいろいろむずかしいようなことをおっしゃられましたけれども、なぜこれを除いたかということが私にははっきりわかりません。ただプロパーの問題は、六月中に自主規制というものを見て、それからまた考えようというようなことがちょっとあったように思います。 それで、私が調べましたこの二つの問題が抜けた経過、これは、いまここに六つの資料があります。ここにありますのは、企業側が厚生省と懇談をしたり、それから厚生省から書類をいただいたりというものを、コピーしたりそれを書いたりといった資料が六つあるわけです。 この第一の資料というのは、四月二十一日に、厚生省が「試案」として企業側に示した案なわけです。この案の中には「薬事法改正項目」というのがありまして、これには、第四項目の「医薬品製造(輸入)業者の社会的責任に関する事項」というところでは、医薬品の製造業者は「有効かつ安全な医薬品を安定的かつ適正に社会に供給するよう努めなければならない。」というように書いていますし、それから七項にはプロパーの規制が細かく出ています。 こういう意見が厚生省に初めあったということは、これで非常にはっきりしますし、私はこれに対して、ある程度満足する点が入っているというふうに思ったわけです。しかしその後、五月八日に「薬事法の改正説明会」というのを厚生省は化粧品工業会とやっています。五月八日月曜日十時から十一時半まで、場所は厚生省の第七会議室でやっています。ここで、責任者は新谷企画課長、中村室長、大西課長補佐外七名という人が出て説明しているわけですね。この中で新谷さんがあいさつをしていられるわけです。この中にこう書いてあるのです。「業界とは、改正案をオープンにして調整する前に、非公式にそれぞれの問題点につき意見交換を図りたい。本年六月中旬までに各業界との意見調整を終わりたい。厚生省の窓口は、電話直通五九一−四五八六、医薬品副作用被害救済対策室、大西、辻、福山、田中、こういうところに電話をしてください。」こういうあいさつをしているのです。これはだれが見ても、初めから厚生省の方が企業に対して、国民に全く知らせないうちに、これから仲よく話し合ってやっていきましょう、公開する前に非公開でやっていきましょう、このようにはっきりと新谷課長がお話ししていられるのです。 その次、三番目には、五月十日、これは口薬連薬事法改正審議会実務委員会というところで、四月二十一日のこの試案です。この「試案に関する当局との懇談」、厚生省と目薬連との懇談、質疑、要望などという形で、クェスチョンとアンサーという形になって書かれている。この中で「一週間後に原案をつくるから、その原案を目薬連事務局にお渡しできるから、検討し直してほしい」ということを言っています。そして、この中にこういうことがあるのです。社会的責務のことですが「製造(輸入販売)業者のみに限局するのは片手落ちと思うので、削除されたい」というふうに、目薬連の方が質問としてやっているわけです。これに対して厚生省は、精いっぱいの抵抗をしているわけですね。このアンサーとして、本規定を入れた理由は、社会的責務というものを入れた理由は、基本的動機は「薬害の多発等による製造物責任の所在の明確化にある。従って企業責任の明確化の要求が今後強く出ようし、民事責任の上からも企業責任を考える方がよい」こういうふうに抵抗していらっしゃるのですね。理念規定として、たとえば環境庁の公害、通産省の安全マークなどが存在しているではないか、法律の性格が警察法規的だというのに対しては、これは時代おくれな考え方で学者からも非難されているので、今後どのように取り扱っていくか詰めていきたい、業界とも互いによく話し合っていきたい、こういうふうに、話し合いはしていきますけれども、ここで厚生省が、業界の圧力に対して精いっぱい抵抗している姿が、この資料でまざまざとわかります。恐らくテープがありましたら、まさに物語になると思うわけです。攻防戦が行われているわけですね。 その次にありますのは、目薬連の事務局に一週間ぐらいで渡すからと言った「原案」ですね、これが説明されているわけです。この原案でも厚生省は屈していないわけですね。これにもやはり、社会的責務というものもきちっと出ておりますし、それからプロパーの問題もこれは抜いていないわけです。この五月二十五日の段階ではまだ厚生省は抵抗しているというところです。(発言する者あり)これは昨年の話です。 そうしましたら、この原案に対して今度は目薬連が「薬事法改正意見」というので意見を厚生省に上げているわけです。これによりますと、この四項目にある業者の社会的責務に関しては、「警察法規的性格を有する薬事法である限り、妥当性を欠くので、本規定は削除されたい」こういうふうに出ていますし、プロパーについても、こうこうこういう理由があるから「本項目は全面的に削除されたい」こういう意見書がずっと上がっているわけですね。これは、五月二十五日の厚生省の改正の要旨についての日薬連の要望が、また強く出ているわけです。 そうしましたら、これに対する答えとして「日薬連意見に対する企画課の見解」これは企画課の見解ですから大臣は御存じかどうかわかりませんが、責任者として新谷、大西、辻、手島、田中の各氏と書いてある。これによりますと、この四項目の社会的責務に関して、試案の公表時にはこれは入れないと書いてあるのですね。そして「当面はこれを削除するが、国会などで議論が出るかもしれない」私はこれを見まして、どっちに肩を持つというわけじゃありませんけれども、第一線の厚生省の役人が精いっぱい抵抗したけれども、企業の圧力にはもう抵抗し切れない、ついにここでふてくされて、削除しよう、しかし国会で議論が出てもしようがないよ、こういう形で、これはここで削除されているわけです。そして、プロパーもここで削除されているわけです。そして、七月二十一日に御存じの厚生省の骨子が出されているわけです。 いま中野薬務局長は、なぜ抜けたかということに対して何だかわけのわからないことをいろいろ言っていられましたけれども、こういうふうなことが行われた、こういう経過があったということを、中野さんはずっとそのときから局長でいたわけですから、大臣は御存じないのか、大臣からお聞きしたい。
○橋本国務大臣 そのころは私は田中さんと同じように社会労働委員会の一員でありまして、そういうやりとりがあったということは存じておりませんでした。
○田中(美)委員 薬務局長。
○中野(徹)政府委員 なかなか手厳しい御質問でございますが、私は、担当者が……(田中(美)委員「簡潔にお願いします。知っていたか知らないか」と呼ぶ)判断をします場合には、当然関係業界との連絡とか意見調整はあってしかるべきものだというふうに考えます。しかし、最後のところで議論のありました、社会的責務というものを原案から落としましたのは私の責任でございまして、その理由は、先ほど申し上げましたように、そういう特別的な法規の裏打ちになるような税制その他の見返り措置が必要ではないか、それが現在の自由市場体制の製薬企業の体制では無理であるという判断で、落としたということでございます。 それから、プロパーについては先ほど御説明しましたように、自主規制の案を採用した、こういう経緯でございます。
○田中(美)委員 そんなことを聞いていません。こういうことがあったかどうか、知っているか知らないかということを聞いているわけです。それについて、お答えになれないのだと思いますのでこれ以上私は聞きませんけれども、企画課で、これに対しては国会で議論になるぞ、こう言っているくらいです。ですからこれは国会で十分に議論をして、この目的の中に有効性、安全性の確保義務というものをはっきりと入れるべきじゃないか。最初の厚生省試案にあったものは、プロパーについても復活させるべきじゃないかということを私は強く要求いたします。 時間がありませんので、大急ぎで次に移ります。 プロパーの問題ですが、プロパーがどういう役割りをしているのか、どんなことをしているかということを、大臣は、大臣になられたばかりで、厚生省の中でこういうことがあったということさえ報告を受けていない大臣でいられるわけですので、プロパーの実態がどんなふうになっているのか御存じないかと思うのですが、私は、調べてみて、余りにもひどい退廃に驚いてしまったわけです。これは、先ほど薬務局長が、プロパーは医薬品に対する正しい情報を伝達する義務があるのだ、こう言われた。確かにその義務もあるし、そして販売もやっている。これがどれだけの比率であるかということはわかりません。しかし、いま理科系の人が減りまして、文科系の人がどんどんふえて、セールスにうんと力が入っていることは統計でも出ていると思うのです。そういう人たちがどういうことをしているか。 これは企業の指示でやらされているわけですが、御存じのように、薬を売るときに添付販売をしていた。何錠買えば同じ錠だけ何錠上げますという形で、二倍の薬を上げる。これが禁止された。そうしたら今度は景品つきをする。この景品も驚くべきものがたくさんあるわけです。ゴルフボールだけじゃない、ワイン、ウイスキー、観劇の切符、商品券、メロン、マスカット、バスタオルとか、いろいろな景品をつけて、あらゆるものをつけてやる。これも公取委で文句がつく。そうしましたら、今度はこういうことを考え出した。薬が一つのセットになっています。十二種類がセットになっているのが三千万円だ。この薬を、三千万円を一〇〇%販売した卸に対しては、正当なもうけ以外に五%のもうけをやるから、この五%を使って、その薬を買う人たちに対して、ゴルフ旅行に行ったり、イチゴ狩りに連れていったり、ヨーロッパ旅行に連れていったり、韓国などへの売春ツアーに連れていったり、ひどいのには、めかけの部屋代を負担するということまでしている。こういうことであります。 それで、両方に聞いてみますと、医者が要求するから、いやプロパーの方、セールスマンの方から要求があるからだと、こういうことが言われている。このセールスやプロパーの八〇%がこういうものをノルマとして課せられている。ですから、何が何でも売ってこなければ社員としては成り立たないわけです。私は、この人たちの倫理もきちっとしてもらわなければならないとは思いますが、しかし、問題は、そういう中に組み込まれているということです。そうすれば、これは個人の力ではどうしようもないと思うのです。生きていくためにはやらざるを得ない。九〇%の場合には四%やる、八〇%には三%やるから、それでもってこういうことをやれと言われ、現実にやっているのです。こうして薬は多量に売られ、多量に使われている。こうした退廃を招いているのは、結局プロパーに対する規制がないからなんです。 厚生省も、初めの試案では、これは規制すべきだというので、細かく、こういう人がやるべきだ、こういう人がやるべきだと言っているではありませんか。それをなぜなくしたのか。六月の自主規制を見てからと言われるが、こんな退廃的なことが国の監督行政下で行われている。全く国民不在じゃないですか。その薬を飲むのは患者ですから、こうした中でスモンも生まれているのです。ですから、プロパーやセールスマンや医者の責任というものは、倫理的なものは確かにあります。しかし、こうしなければ生きていけない面もある。生きていけないように追い込んだということは、やはり薬事法をきちっと改正してない政府の責任がありますし、企業のこういうやり方を見逃しているということが大きな問題だと思うのです。過去のことは問いません。このプロパーの規制というものをきっちりと薬事法に入れてもらわない限り、社会的責務のところも取ってしまう、これも取ってしまうでは、ますます警察法規的なものになっていってしまっている。これでは厚生省の初め考えたやり方とは全く違うではないか。逆の方に行っているではないか。こういう点を、私は大臣と薬務局長に強く要請したいと思うのです。こんな状態を放置していいのか。こういうのはもうプロパーはだれでも話しますよ。こういうことはやってますと話します。一度聞いてみてください。週刊誌にだってこれは公然と出ていますよ。そういうことをいますぐどうやって規制するか。これは大臣が乗り出して、きちっとやっていただきたいというふうに強く要求します。大臣の決意を聞かしてください。
○橋本国務大臣 御要求は確かに承りました。そして私は、いま薬務局長が申しましたように、自主規制案を業界がつくると言っているのですから、まずその業界の規制案というものを見せてもらおうと思っています。その中身によっては考えなければならぬ部分もあるでありましょう。ただ、すでにそういう話に入って自主規制案の作業をさせておるのでありましたら、私はそれを待ちたい、そしてその中身を見たいと思います。
○田中(美)委員 私は別に、大臣のいまのお言葉を信じないとは言いませんけれども、いままでの癒着から見れば、果たしてこの自主規制に対してどれだけの姿勢がとれるか。大臣はお若いのですから、正義感を出してがっちりとしていただきたい。 最後に、もう一つ要求したいことは、医者はいま医薬品に対する情報の提供を非常に望んでいます。たくさんの薬があるわけですから、薬も覚えられないとさえ医者は言っているのです。ですから、これに対する情報を提供する場をつくっていただきたいと思うわけです。日本医薬情報センターなどありますけれども、これはやはり企業が情報を提供する機関としてできているのであって、やはり国が責任を持った公的機関を設立をして、医者に正しい情報が提供されるように——この間の参考人の先生方のお話にもありましたように、開業医はほとんど情報提供をこのプロパーから受けている。そのプロパーの半分以上は文科系の人で専門家ではないのだということになれば、医者が薬を間違えて使う、多量に使い過ぎてしまうということは、医者の責任ではないのではないかというくらいになってくるわけです。医者に責任を問うためには、やはり医者に正しい情報が提供できるように国が責任を持っていただきたいと思う。そうしなければ国民は安心して医者にもかかれないではないかという、いま国民の医療に対する不信感というのは非常に強くなっているわけです。私の友人なども、もう病気になったら医者にかかるのはこわいから、なったらなったでそのまま死ぬんやと言うような、ここまでふてくされるような不信感というものを発する国民も多く出てきているわけです。これを直すということは、ただ医者に倫理感を要求するだけではなく、プロパーに倫理感を要求するだけではなくて、メーカーのこうした悪どいやり方というものをきっちりと規制し、それから、国が医者に対して正しい情報が提供できるような公的機関を早急につくるべきだ。いますぐつくれと言っても、あしたできるわけではありませんので、ぜひこれを検討していただきたい。これは大臣のお答えを伺いたいと思います。
○橋本国務大臣 古いことを知らないと言ってしかられたり、また古いことにとらわれるなというおしかりを受けたり、大変複雑でございますが、いま私は、御信頼がいただけるかどうかは別として、とにかく自主規制案を持ってくると言っているのですから、それを見て、その上で判断をしたいということを申し上げたわけであります。 国がすでに従来から「厚生省医薬品情報」等の副作用情報を作成して、医師への情報提供にも努めておりますが、今後とももちろんそれは努めてまいります。ただし、やはり民間企業としての医薬品産業が独自で開発された製品をセールスされる限りにおいては、みずからのつくられた製品についての正確な情報を伝える第一義的責任は、メーカーそのものにあると私は考えております。
○田中(美)委員 では、質問を終わります。
○森下委員長 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)委員(新自) 本日は、薬事法の一部を改正する法律案と医薬品副作用被害救済基金法案、この二法案の質疑に入らしていただきますが、その前に、私自身に与えられた質疑の時間は本日は七十分の予定でございました。しかし、大臣の大変大事な御用がございますそうで、時間を二つに分けまして、本日は四十分、あす三十分というふうに分けさしていただきます。それについて、本来言えば、この二法案がセットで出てまいりましたように、この問題の質疑に対しましてもやはりセットで質疑する方が非常に効果的でございますが、しかし、そういうふうに分けられましたので、本日は特に薬事法の一部を改正する法律案についての質疑を重点的にやらしていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。 それから、質疑に入る前に、この五月八日の新聞には、スモンに関して田辺が和解に参加してくるという意思を表明しているそうでございますので、ぜひ大臣にも、その問題をより円滑に早く御解決いただけるように、スモン患者の期待をぜひそこでつなぎとめていただけるように、お願いをしたいと心からお願い申し上げます。 質疑に入ります。 まず、大変総括的な質問から入らしていただきますけれども、今度の二法案を提案された目的あるいは趣旨等、簡単に御説明をいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 工藤委員から、いま大きく両案を提案するに至った経過をという御質問でありますが、これはもう工藤さんよく御承知のように、本委員会におきまして、従来から何遍も、医薬品の被害による患者の方々の救済について何らかの制度を設けろという御指摘がございました。また同時に、薬事法の上での不備について、ことにその安全性に関連する部分について、行政措置で対応しているのではよくないという御指摘もいただいておりました。そうした国会また各方面からの御意見というものを受けまして、厚生省としても、しばらくの間、こうした点についての検討を進めてまいったわけでありますが、その中には、救済制度そのものにつきましても、既往のものについて法律上さかのぼれるかさかのぼれないか、あるいは無過失賠償責任の考え方を、あるいは製造物責任の考え方を、西独と同じように日本も導入すべきであるのかないのか、また国の責任というものをこの救済制度の中にどのような形で反映させるのかどうか、こうした点についていろいろな方面からの検討を加えてきたわけであります。 最終的に、私どもは、現行民事法上の体系に影響を大きく与えるような部分については、これは政府全体の問題として、他の産業関係にも関連する部分でありますので、そうした部分を避けまして、現在御提案を申し上げたような考え方をとったわけであります。 それはあくまでも、第一義的に製薬メーカーの方々が、そのみずからの生産する医薬品というものを通じて、国民の健康に非常に大きな影響を持っているわけでありますから、その社会的責任として、不慮の、その時点における科学水準で予知し得ない事故の発生というものを、常に秘めている医薬品というものの特性から、もし健康被害が生じた場合に、その方々に対して、既往の医薬品による健康被害の事件の際に、患者の方々が受けられたような苦痛をできるだけ減らすために、救済基金への拠出を行い、迅速な患者の救済ができるようにという考え方をとっております。 また、薬事法につきましては、非常に広範な問題を秘めておりまして、先ほども一部、たとえば関係の方々の身分上の問題でありますとかあるいは業権絡みの問題でありますとか、また、その医薬品に関係される方々の中でも相対抗するような意見を持たれる方々の意見等も含めて、広範な意見をちょうだいをいたしました。そして、そういう中でまず第一に何といっても着手しなければならないことは、医薬品というものについての安全を確保するという観点から、従来の不良医薬品を排除するというだけではなくて、承認に当たっても、承認の後においても、医薬品の安全性を確保するために必要な措置というものをこの中に盛り込むことによって、まず第一歩としての薬事法改正を御審議を願おうということで今日に至ったわけでありまして、よろしく御協力を願いたいと思います。
○工藤(晃)委員(新自) 大臣の前向きのいろいろ御発言に対しては、大変共感するところが多いのでございますけれども、やはり一言で言えば、いままでの薬事法の欠陥を補い、そしてまた、不測のそういう被害者に対する救済措置を、どういう方法でもいいから早く救済できるような方法をとるべきではないか、この二点に要点がしぼられていたように思います。 その薬事法の欠点は、やはり安全性ということに対する確保が足りなかったということをお認めになっていらっしゃると思います。また、この法案の参考資料の中にも「これまでの行政指導による施策の実績を踏まえ、さらにその徹底を図ることを主眼とするものであり、したがって、医薬品等の有効性及び安全性の確保がその中心課題」となっているということをはっきり明記されている。そうするとやはり、目的の中心というのは安全性と有効性の問題であるというふうに解釈をするわけでございますけれども、その点は間違いなくそのとおりでございますか、大臣。
○橋本国務大臣 いま工藤さんの御指摘のとおりであります。
○工藤(晃)委員(新自) そうしますと、薬事法の改正の目的がそういう目的であるならば、やはりその有効性、安全性という問題を、改正する法案の中で明記する必要が私はあるのじゃないかと思います。 特に、この薬事法の第一章総則の中の目的規定であります第一条に「この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具に関する事項を規制し、その適正をはかることを目的とする。」ということがこの改正案前の法案の要旨でございますけれども、ここには、有効性とか安全性を確保するといういまおっしゃった目的は何らうたわれていないのでございますけれども、その点はどういうわけですか。
○橋本国務大臣 私どもこの問題を考えてまいります上で、こうした点について、いままさに御指摘になりましたような部分については、現行の法規の「目的」において十分対応できる性格のものだという、実は割り切り方をいたしておりました。と申しますのは、たとえば、先ほどから何回も議論に出ておりますけれども、化粧品の有効性、安全性というようなものが果たしてあるいは言い得るのかどうか。それはある意味では化粧品というものも、安全性、有効性というものが必要な商品であることはもちろんでありますけれども、同時に、化粧品を使ったことによって自分が美しくなったと思うかどうかというような、化粧品というものの持つ性格を考えますと必ずしも、たとえば国の有効性の確保義務、安全性の確保義務というような条文整理をいたした場合、体系上の問題が実は出てまいりますので、そうした点も考えてまいりますと、適正な使用、適正を確保するという考え方で、全体を通して対応できるという考え方を私どもは持ちました。
○工藤(晃)委員(新自) 大変苦しい御答弁のようでございます。それは、有効性と安全性を確保するということを目的に薬事法を改正するので、その必要がないんではないかということで、もとのままにしておくという御答弁でございまして、私にとっては大変理解しがたい点でございます。そこが今度の薬事法の改正あるいは救済基金法の一番大きな争点になるところであろうというふうに考えるわけで、その点を強く私は申し上げたわけです。 と申しますのも、こういう「規制し、その適正をはかることを目的とする。」と言う以上は、規制行政を薬事法に当てはめているというふうに考えられるわけで、そこには、国の責任とかあるいはいま主張されておりましたような安全性の確保とかということに対する責任が、どこにも出てこない。ですから、もしそれを書けば、今度は逆に言って、この薬事法の改正に伴ういろいろな各論的な問題についてももっと厳しく規制をしていける。逆に言えば、こういうところをいじったら大変問題がむずかしくなってくる。だからここはいじらないで、各論のあちこちをいじって、行政的に処置しておったものを法文化するというようなところで、お茶を濁しているんではないかというふうに私はまたとらえるわけであります。と申しますのも、各論のすべてにわたって、そういう問題からざる法になってくるという可能性をあちらこちらに散見するからで、やはりその問題は何かというと、その目的意識を明確にできないという政府の姿勢そのものにあるのではないかというふうに考えるわけで、そこのところが一番大事なところであろう、こういうふうに考えるわけでございます。 それからまた、たとえばこの承認とか再審査、再評価あるいは承認の取り消し等々、安全性確保のために大変重要な、必要な部分がございますけれども、これに対しても、その責任を明らかにしていくというふうには、全般にわたってこの法律案の中には盛られていないんではないか、そういうふうに考えるので、薬事行政の大きな推進とは言いがたい。いままでよりも一歩前進ということは一応認められても、これによって安全性を確保できるんだという保証は、私は何もないんではないか、こういうふうに考えるわけでございます。 それからまた、あした主に触れたいと思いますけれども、救済基金法案、これにも大きく関連してまいりまして、そういう救済についても、主として製造責任を前面に出して、そしてそこに拠出させていくという、それが社会的責任であろうとどういう責任であろうと、やはり製造者の拠出金によってその救済の原資を賄っていこうというところにも、国の責任の不明確さというものがはっきり出てくるわけでございます。 そういうわけでございまして、この薬事法の改正ということについては、今回はたとえばこういうことでいろいろな面において修正していかなければならぬが、将来においては大きく思い切って全面改正、抜本改正ということが絶対必要なんじゃないかというふうに私は考えたので、そういう点を御指摘申し上げたわけでございます。 その次に問題といたしますのは、薬事法改正に伴いまして、中央薬事審議会の組織、運営の改善については改正案の中に触れてきていないのですが、これは現状のままで対応が十分だというふうにお考えになっておられるから、そういう改正に触れられてこないのかどうか、その点についてはどういう御意見をお持ちか、ひとつ伺わしていただきます。
○橋本国務大臣 先ほどの御質問に対する答弁で、多少失礼をいたしました。私、趣旨を少し取り違えておりましたようで、改めて多少補足させていただきます。 と申しますのは、まさに御指摘のように、今回薬事法の改正案として御審議を願っておりますのは、従来行政行為等で国が進めてきた安全性確保の対策というものを中心にしながら、まずその有効性、安全性というポイントに問題をしぼった改正を考えたわけでありまして、いわば薬事法についての改正の第一着手でございます。それだけに、いま御指摘のように「目的」その他の点で今後なお検討していくべき問題はあろうかと考えておりますので、その点を補足させていただきます。 また第二の、中央薬事審議会についてのお話にいま触れられたわけでありますが、中央薬事審議会は、御承知のように今度は救済基金の判定業務をお願いするわけでありまして、そのために判定部会をその中に設けるわけであります。いま考えておりますのは、そこに委員の方々を三名、そして臨時委員という形でほかに三十名の方々を委嘱申し上げる。これは世界でも初めての制度でありますだけに、その三十名で絶対に足りるのかと言われますと、私も必ずしも自信はありませんが、これが発足いたし次第現実の給付あるいは判定等の業務が始まります前にそのルールづくりをお願いをしたい、そのような考え方を持っております。
○工藤(晃)委員(新自) 私がお聞きしたいのは、もちろん認定業務の促進のための組織の拡充、こういうことは大変大事なことでございますけれども、逆に、安全性を確保するために承認とか再審査、再評価、承認の取り消し、こういうことについて中央薬事審議会の意見を聴くということになっているのですね。ところが、聴かなければならないという義務規定がないわけなんですが、せっかくそういうふうに拡充をし、また専門家を集めて、そういうところの意見というものを、聴かなくてもいいあるいは聴くという、そういうどちらでもいいような方法をおとりになっていらっしゃる根拠というのは、どういうところにあるのですか。
○中野(徹)政府委員 基本的には、重要な事項について中央薬事審議会の意見を聴くということになっておるわけでございますが、当然、どのような事項が中央薬事審議会の審議事項であり、また中央薬事審議会の中の各部会あるいは常任部会の審議事項であるべきかということにつきましては、中央薬事審議会側の御意見に基づきましてその取り扱いを決めておるわけでございます。そういう意味におきましては、中央薬事審議会の御意見を全面的に尊重して事に当たっておるというふうに御理解いただきたいと思います。特に事柄が専門技術的な問題でございますので、行政側の意向によって物事をねじ曲げるというようなことは一切ございません。
○工藤(晃)委員(新自) 局長の最後の、そこの部分が一番大事なところだと私も思います。中央薬事審議会の機構が独立してだれからも不可侵であって、そしてその意見が尊重されていくというところに、安全性確保の機能が具体的に発揮できるという形になろうかと思いますので、そういう点だけはぜひ私も確認をさせていただいておきます。 あと、今度の薬の有効性、安全性の問題について、時間の許す限り各論的に、いろいろとお聞きをいたしたいというふうに考えるわけでございます。 将来、薬の安全性確保という問題は大変むずかしいことではないかというふうに大まかにとらえているわけです。その理由といたしましては、まず薬そのものの特性が、その有効性と安全性が並立しにくいという可能性を多分に持っているものでございますから、当然、有効性を期待すれば安全性の方に何かのしわ寄せがいく可能性も出てまいろうし、それからまた、安全性を非常に重点的に物を考えた場合には、今度は有効性の部分でいろいろな制約を受けてしまうのじゃないかという、そういう面を薬という物質は持っているような気がいたしますので、そういう問題をいかにして、安全性の確保というものを最優先させながらも、やはり逆に、今度は有効性というものを無視していくということは薬事行政上許されないことだ、医学の進歩あるいは科学の進歩に伴いまして、薬の今後の必要度というのはより増加されることはあっても、減少されることはないでしょうし、それからまた、そういう恩恵を受けることによって国民の健康の保持のために大きな役割りを果たしていくということであるならば、そういう両面の配慮というものが平等のウエートで置かれていかなければならない、私はこういうふうに考えるわけで、そうなると、言うはやすく行うはかたいという、こういう問題も多々出てまいろうかと思います。 それからもう一点、今度は逆に、医薬品の生産量の方から考えまして、これは大ざっぱな推測にしか過ぎませんけれども、大体のところをちょっと申し上げますと、日本の医薬品の総生産量が四十八年は一兆三千六百億、五十二年が二兆四千五百億、こういうふうに金額的には非常に急激にふえてきている。と同時に、日本の総医療費が今年度、五十四年度の見込みが十兆四千億でしたか、あと五年後の医療費が二十兆二千五百億、こういちふうにいま推定されているわけですけれども、やはりそれに伴って、いまいろいろなことが言われておりますけれども、薬の伸び率も非常に大きいだろう、こういうふうに考えるわけで、金額的に比較はできませんが、もちろん量の問題あるいは複合の問題、いろいろ問題はございますけれども、人口はそうふえない、にもかかわらず金額だけ見ても非常に倍増していくという、そういうものを、薬を一つの異物というふうに考えたならば、それだけ異物をたくさん吸収することになるわけです。ですから、そういう有効性を一方で配慮しながらも、片一方の安全性については、量的に考えた場合に、薬の安全性というものが量とパラレルであるという前提に立てば、やはり量をそれだけたくさんとっていっているということは、安全性についてよほど配慮しなければいかぬということが考えられるわけです。そういうことになりますと、今度は、現在でも安全性確保のために大変苦慮して、なおかつスモンのような大きな被害を出してきている。そういう犠牲者をつくりながらも、一歩でも前進しようという努力は多としながらも、やはり薬事行政の上においてそういうことについての規制を厳重にしていく、あるいはあらゆるノーハウを結集しながら、そういう安全性確保のために努力をしなければ大変むずかしいことであろうと思うし、また、ノーモアスモンと言いながら、第二のスモンが発生しないという保証はどこにもない。今後ともに、高齢化社会の訪れとともに、そういう薬の副作用による被害も別の形で起きてくる可能性が、そういう薬の生産量から逆に推定しても考えられる点でございます。 そういうことから、薬の安全性を考える場合に、薬事法を改正するということで果たして十分であるかどうかということを考えました場合に、この現在の改正法案そのものも大変不備なところがたくさんあって、私にとっては大変不満足でございますけれども、しかしながらそういうものでもなおかつ足りない、そこへもっていって、果たして、薬事法を改正するなりしてあるいは安全性をチェックする、そういうことで安全性が確保できるというふうに考えたら、非常に甘い考え方ではないかというふうに考えるわけで、薬の副作用の点についてはいろいろ意見もございましょうけれども、大体一般的に考えましたなら、薬の質と量とそれを使用して治療する機関という問題が、その副作用の発現について大きく影響をもたらすであろう要因となることは間違いない事実だと、こういうふうに考えるわけでございます。そうなりますと、やはり、そういうことに対して十分な総合的な対策というものが国の施策の中で考えられなければ、ただ、薬事法を改正することによって、安全性をチェックすることによってこの危険を防止するということは、大変甘い考え方だというふうに私は考えるわけでございます。 そういう意味で、ただいま申し上げましたように、現在の薬の多用あるいはまた今後の薬の伸び率というものもあわせて考えながら、すべての状態の中で、いま申し上げましたような副作用防止のために必要な施策を総合的にしていくということが大事なことであろう、こう考えるわけで、そのためには、それじゃどういうふうに考えればいいかということで問題があるわけでございまして、ただいまから申し上げることが一つの私の提案となろうかと思いますが、その中で、やはりいまの健康保険制度の中で、そのままでこの薬害防止をより推進するという点については、いささか反省をしてみなければならぬ部分もあるんじゃないかというふうにも考えるわけで、物にしか対価を与えていかないという現在の健康保険制度の根幹に、大きな問題点が一つあるというふうに考えるわけです。 やはり、物と技術というものを分離していくという、そういうものによって、薬害防止の一助たらんということは考えられるわけでございます。それからまた、じゃ、物と技術を分離するということをどういうふうにすれば推進できるかということになりますと、やっぱり健康保険制度の抜本改正、これは保険局長もさっきちょっと言っていましたが、上手に答弁の上に乗せておったようですけれども、いまのああいうふうな制度の改正だけじゃなくて、やはり制度的な欠点については思い切った制度間の財政調整をやり、なおかつ一元化を図っていく、そして負担と給付の公平を図っていくという、そういう社会保障的な発想の健康保険制度というものを片一方で確立しながら、今度は質の向上という面で物と技術を分けていく、そういうことをしないで、いまのような路線上で物と技術だけを分けようということは大変むずかしい問題だ、こう私は考えるわけで、たとえば物と技術を分けるということは、医薬分業、それもその中に含まれるわけでございます。しかし、医薬分業推進のためにも、やはりそういう制度の思い切った改革を一方で断行していかなければ、医薬分業も推進されにくいんじゃないか、こう考えますので、そういう意味においては、やはりもっともっと別の角度から、グローバルに物を考えてみる必要があるんじゃないか、その中に薬事法の改正も含んでいくという、思い切った改正法案を抜本的にしていくということも大事でございましょう。しかしながら、それだけをやればいいんだという発想あるいはそういう論拠には、私は大変不満足な意思を表明せざるを得ない、そう考えます。同時に、やはり、そういう総合的な対策の中で、安全性を確保するということは焦眉のことでございますから、どうかその方面も、ひとつ大臣、勇気を持って総合的に対策を講じていただくということによって、日本人の人命が安全に確保されるという形になってまいろうというふうに考えます。 そういう意味で、今度は薬剤師さんの使命でございますけれども、やはり薬の有効性とかあるいは安全性を確保するという一つの社会的な責任の一端を、私は、薬の専門家である薬剤師さんにも担ってもらわなければならぬ時代が来たのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。そのためには、やはり医薬分業の推進を図りながらも、一方ではそういう地域社会においてのチェックを、医療機関ももちろん厳重にチェックしていかなければなりませんが、一方において薬剤師さんも、そういう分業推進という形からダブルチェックをしていけるんじゃないか、そういう点に分業推進の一つのメリットが別の形で出てくるんじゃないかというふうに考えておりますので、そういう点については大臣ひとつ真剣にお考えいただきたいと思いますが、御回答いただきたいと思います。
○橋本国務大臣 御指摘の点は私どもも同感でありまして、医薬分業の推進という観点については従来からも私どももそのように努めてきたつもりでありますし、それぞれの地域において、薬剤師さん方の体制の整いました場所で、御要望があればできるように、検査センターがつくれるための補助も、国としてもことしも用意をいたしております。そうした方向というものは今後ともに努力をしてまいらなければならぬ、そのように思います。
○工藤(晃)委員(新自) それから、もう一点大臣にお聞きいたしますけれども、今度の薬事法改正法案の中には、薬害が発生した場合の対応について何ら項目を設けられていないのですが、やはりこれは設けて、基金法との関連を明確にしておいた方が、安全性確保のためにあるいはまた救済制度のためには必要なんじゃないか、こういうふうに思いますが、その点どうですか。
○中野(徹)政府委員 従前の条文を手直しいたしまして、薬害等の危険が発生しました場合に緊急命令を六十九条の二でかけております。その他、従前法規上認められていなかった承認の取り消し等の規定も整備いたしまして、回収あるいは承認取り消し等の措置によりまして薬害の広がることを防ぐという措置は、お手元の法案の中に含まれているところでございます。
○工藤(晃)委員(新自) 大臣、私の大臣に対する質問はこれで終わりまして、あとは局長にいたしますから、どうぞお引き揚げいただいて結構でございます。 それでは、局長にお伺いいたしますが、今度の改正法案の中で、各論的に幾つか聞いてみたい点がございます。あと十分しかございませんので、簡単に三つ四つ聞きたいと思いますから、お答え願います。 薬局開設者、医薬品の製造業者及び一般販売業者等の遵守事項ということがございまして「遵守すべき事項を定める」ということが書いてありますけれども、簡単で結構ですが、具体的にはどういうことを意味しているのか、御説明願いたいと思います。
○中野(徹)政府委員 九条の二につきましては、先ほども実は御質問が出たところでございますけれども、九条の二が全体に準用されているわけでございます。私どもの考えておりますのは、たとえば構造設備規則への適合の点検の方法とか、試験検査の実施の記録の作成保存、さらには、先ほどからちょっと議論が出ておりますところの医薬品の流通に関する記帳等が、直接考えておる具体的な項目でございます。
○工藤(晃)委員(新自) それに関連いたしまして、試験検査の実施等は、今後安全性確保あるいは有効性の確保のためにはもっともっと積極的に、きめ細かくやっていく必要があろうと思うのですが、その中で、薬剤師会が主として中心になっている県の検査センターがいまあちこちにつくられてまいっておりますが、そういうものをもっともっと積極的に活用していくという意思は政府の方にあるのかないのか。あるいはもしあるとすれば、そういう問題をより拡充することに対する積極的姿勢があるのかどうか。その点についてお伺いいたします。
○中野(徹)政府委員 現行の検査設備等は実は相当古い時代のものでございまして、現在は技術水準がどんどん高くなっているということもございます。その高い技術水準におきましてこの検査を実施するということは、あるいは個々の薬局とか個々の一般販売業者の手に負えないというふうな面も当然出てまいりますので、そこで、進歩した技術あるいは高度化された機械を使用いたしましてこの試験検査を実施するために、先生御指摘のような検査センターというようなものが十分高く評価できる機能を持っておりますので、これにつきましては、今後ともにその増設のための助成を続けて、先生の御指摘の線で努力をいたしてまいりたいと考えております。
○工藤(晃)委員(新自) そのためには数をふやすことも必要ですけれども、質の向上のための助成もひとつぜひお考えいただかなければならぬ。また、それに対する検査センターの社会的な資格というのですか立場、いわゆる権能というのですか、そういう面についてもひとつ十分今後それを実施し、権威ある結果が生み出せるように御努力を願いたい、こういうふうに考えますので、局長、一言。
○中野(徹)政府委員 いずれも同感でございまして、そういう線で努力をいたしたいと存じます。
○工藤(晃)委員(新自) 最後に、これは先ほど大臣もちょっと触れておりましたけれども、化粧品まで安全性、有効性の確保をするのは、そこまで厳重にチェックするということについては、いささかちょっと考えなければならぬ問題もあるのじゃないかということもおっしゃって、そういう御趣旨の発言もございましたけれども、私も、この化粧品の問題については多少そういう面を考えてみる必要があるんじゃないか。たとえば成分表示とか使用期限の問題、こういう問題について、もちろん人体に塗布することによって起きる被害、たとえばかぶれとかしみとか黒皮症、こういう問題について、そういうものを起こすであろうとかアレルギーになる可能性のあるものについては、これは製造業者の責任も大いに喚起しながら、また国としてもそういうことに対しての十分な配慮をして、そういう問題を起こさないように、使用者にいろんな形のPRを含めて喚起していくということは必要なことだと思いますから、そういう意味においては、その成分表示の中にそういう問題を含む必要があると思うのですけれども、しかし何から何まで、言えばもうほとんど人体に影響を及ぼす可能性がもう皆無であるというようなものまで、そういうものも全部表示しなければならぬというふうなことについては、これはやはり企業の方の立場も考えてやる必要があるんじゃないかというふうに私は考えるわけで、それは何のために表示するかと言えば、そういう人体に悪影響を及ぼすことを防止するという目的のためならば、そういう目的から外れたものまで一緒にあわせてセットしてやってしまわなければならぬという理由にはならないので、そういうことを考えますので、そういう点について、あるいはまたそういう使用期限の問題についても、これは開封してからいろいろ問題があるんじゃないかと私は思うので、放置しておいて使用期限を切れたらやはりこれはまずいというようなものは、当然使用期限をより厳重にチェックする必要がありますけれども、しかしそうでないものまで使用期限をつけなければならぬのか、あるいはそういうことは必要ないとお考えになっていらっしゃるのか、そういう点についてもお伺いしたいし、また、そういう使用期限をつけなければならぬというものについては大体どういうものを推定されているのか、そういう点についてひとつお聞きをしたいと思います。
○中野(徹)政府委員 成分表示につきましては、先生御指摘のように、全成分を表示するということではなくて、この法規が衛生法規でございますから、衛生の保持上必要な限度においてこれをやる、つまり過剰規制にならない限度においてやるという発想でございます。 そこで、成分表示は、たとえば過敏症の場合も、アレルギー反応等のおそれのあるそういう成分をチェックいたしまして、そういう成分の表示をするというのが基本的な発想でございます。これは消費者そのものに対する判断の材料を提供するということもございますし、また、そのアレルギーを起こした場合の医師の治療の判断材料にも使うという発想法でございます。 それから、使用期限につきましては、やはりこれも同様の発想でございまして、たとえば経時変化が非常に激しい物質、単純な例を挙げますとビタミンCのようなものでございますが、それが含まれているような化粧品につきましては、そのビタミンCの変化というようなことを考えまして使用期限を表示させる等を考えておりますけれども、安定性の非常に高いものについては、過剰規制を避ける意味で、使用期限を全面的にかけるというふうなことは考えておりません。
○工藤(晃)委員(新自) 過剰規制を「あつものにこりてなますを吹く」ような考え方でやりますと、結局は、そういうすべての不利益な部分は逆に今度はコストオンされて商品にはね返っていく、それで結局消費者が高いものを買わされるということにもなりますので、そういう点については十分配慮した施策を考えていただきたいということをお願いします。 それから最後にもう一点、この点についてはどのような御見解をお持ちになるか、簡単にお聞きいたします。歯みがき粉について、ある地方自治体では条例で成分表示をしろというようなことを言われているところがあるそうでございますけれども、そういうことと国の薬事行政の関連について、たとえばわずかなものであるならばいいんですけれども、今後そういう傾向が非常に強くなって、どこでもいわば国の薬事行政とはひとり歩きして、条例でどんどんそういうものが盛んになってまいりますと、かえって薬事行政全般の混乱につながる可能性も出てこないかという心配もするわけでございますので、もちろん表示をしなければならないものについては積極的にやる必要があるけれども、しかしながら、余り根拠のないものまで条例であちこちで勝手に決めていくという、そういうことについてはやはりデメリットの部分も考えなければならぬというふうに考えますので、最後に局長から、そういうことに対する御見解を承りたいし、また、そういう場合には国が地方自治体の方から十分そういうことを事情聴取するという、ワンクッションはぜひ必要なんじゃないかというふうにも考えますので、お答え願いたいと思います。
○中野(徹)政府委員 原則的に、医薬品あるいは部外品、化粧品等のたぐいに関する規制は、薬事法に基づきまして全国統一的に規制が行われることが望ましいというふうに考えております。ただ、薬事法の規制と外のボーダーラインケースのようなものにつきまして、たとえば消費者保護の観点からどのような取り扱いをするかという、いわば消費者保護の観点からの条例制定というようなこともございまして、そこの点につきましては、薬事法の趣旨を十分徹底いたしまして、われわれの方と消費者行政の担当部局の方との連絡を密にいたしまして、なるべく全国統一的な規制が行われるように、そういうことを趣旨といたしまして十分調整をしてまいりたい、かように考えております。
○工藤(晃)委員(新自) 時間が参りましたので、やめます。
○森下委員長 次回は、明十日木曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時三十三分散会