社会労働委員会 第13号
- 発言数
- 266 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1979/04/25
会議録
○森下委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森井忠良君。
○森井委員 ことしの原爆被爆者対策について、率直なところ、かなり前進がございます。たとえば特別手当の大幅な増額でありますとか、あるいは沖繩の被爆者に対しますほぼ解決に近い措置でありますとか、あるいは健康診断項目の追加でありますとか、幾つか私どもとして評価できる点があると思うわけでありまして、この点につきましては橋本厚生大臣の御努力を多といたします。 しかし考えてみますと、前進した面はありますが、まだまだこれから強く改善をお願いしなければならない問題もこれまた多いわけでございます。特に最も遺憾といたしますところは、去年現行二法の見直し、これは去年の三月三十日に最高裁の判決が出されまして、単に医療法だけでなくて、この判決の実質的な効力というのは特別措置法にも及ぶんだという、小沢厚生大臣の認識が明らかにされました。そういった点からいたしますと、当然現行二法を見直しをいたしまして一本にする、そして名称も原子爆弾被爆者の援護に関する法律、いわゆる援護法に変えていく、こういった去年一連のスケジュールがございました。当時の小沢大臣からは、この問題につきましてはさまざまな困難はあるがその実現に努力をする、こういう答弁があったわけでありますが、きわめて残念でありますのはその点でありまして、結果としてまた特別措置法の改正案が出されたにすぎない、こういう形であります。 まず、この点について橋本厚生大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 昨年の原爆二法の審議の際にそうした御議論があり、それを受けた附帯決議等も行われ、また当時の小沢厚生大臣から御指摘のような御答弁があったこと、私も本委員会の委員として拝聴いたしておりました。その後、小沢厚生大臣時代におきましても、昨年十二月私が厚生大臣を拝命いたしました後におきましても、その御意見を踏まえて種々検討もいたし、内閣法制局等に対する意見の聴取等の機会も持ってまいったわけでありますが、結果的に、積極的に二法を一本化するに足るメリットがないというようなことで、法制的にも否定的な見解が出されたようなこともありまして、こうした状態で再度御審議を願うという状態になりましたわけでありまして、その点、努力はいたしましたが力足らずでありましたことは、この機会におわびを申し上げたいと思います。
○森井委員 当然、特別措置法の改正案を国会に提案なさるに当たっては、社会保障制度審議会に諮問をなさったわけでございまして、その諮問の中にも「被爆者に対する制度の基本的なあり方について、未だ十分な検討がなされていないことは遺憾にたえない。」こういう制度審の答申が出ておるわけであります。しかし、結果としては特別措置法の改正案になったわけでありますが、このままではいけない。私どもといたしましては、昨年の附帯決議からすれば、当然今回のような提案になっていないはずであるという感じがするわけでありますが、申し上げましたように、これはいずれにいたしましてもやむを得ないことだと言わざるを得ないわけでありまして、そうなりますと、昨年の最高裁判所の判決の趣旨を踏まえて、原子爆弾被爆の問題に関する基本理念を明確にするとともに、現行二法の再検討を行うべきであるという社会保障制度審議会の答申は、私はきわめて時宜を得たものだと思いますし、率直に申し上げますれば、被爆者やあるいは昨年国会審議に参加をいたしました私どもの気持ちをあらわしておるようにも思うわけであります。 そこで、この答申に臨む厚生大臣の基本的な態度をまず承っておきたいと思うのです。
○橋本国務大臣 御指摘のように、今回の社会保障制度審議会の答申の中で、昨年の最高裁判所の判決の趣旨を踏まえ、原子爆弾被爆の問題に関する基本理念を明確にするとともに、現行二法の再検討を行うべきであるという考え方をちょうだいいたしましたのは、私どもといたしましても、今後における非常に大きな示唆をいただいたもの、そのように理解をいたしております。 そこで、私どもといたしましては、この答申の御趣旨に沿って早急に専門家による権威のある組織をつくりまして、原子爆弾被爆に関する問題についての基本理念を明らかにすると同時に、制度の基本的なあり方、またそれに伴って派生する種々の問題について検討をさせていただきたい、そのように考えておりまして、本院における御審議また参議院における原爆二法の御審議というものを踏まえながら、早急に組織づくりをいたしたい、そのように考えております。
○森井委員 二法の一本化、援護法を当面の措置としてことしやろうじゃないかと、ある程度のコンセンサスを得た問題について、私どもにおきましても、たしか過ぐる二月の社会労働委員会の理事懇談会におきまして、政府ができないなら国会としてできることがあるかどうか、なるべくならまとめる方向で委員長を中心にして作業してみようという確認ができました。しかし、そういった中で、いま御質問申し上げましたような制度審の答申が明確に出されまして、権威ある方々による御審議を煩わすということになったものでありますから、この内容のいかんによっては、ある意味で、私どもが当面国会で作業しなくても、この平行線はいずれ一本の線になるのではないかという感じが私はしておるわけであります。 そこで、いま私の心境を申し上げれば、ことし間に合わなかったけれども、専門家による御審議を煩わすこと、そして一日も早く結論を出すということは、非常に時宜を得たものだというふうに私どもとしても考えますし、これに期待をするところも非常に多いと思うわけであります。 そこでお伺いをするわけでありますが「専門家による権威ある組織」、これは一体どんなものだろうか。制度審の答申でありますから定かではありませんけれども、これは厚生省としてある程度明確なお考えがあるはずであります。したがって「権威ある組織」の中身について、たとえば人選はどうするのか、どういうふうな人を選ばれるのか、あるいは人数は何人なのか、そういった点について明らかにしてもらいたい。
○橋本国務大臣 私どもは、こうした問題でありますだけにやはり非常に広範囲の中から、本当に権威のある方々を選ばなければいかぬと考えております。むしろいままでは、ある意味では、原子爆弾被爆の問題といいますと、医学の分野に往々にして問題を偏ってとらえてきたというようなことも、従来からいろいろな機会に御指摘をいただいたわけでありまして、せっかくこうした基本理念を明らかにするために広範囲な分野での組織づくりをするとすれば、たとえば社会科学でありますとか、あるいは自然科学、あるいは司法の関係、また言論界等の権威者の中から、国民的なコンセンサスの得られるまた得るに足るような方々を考えておりまして、いま具体的な人選を進め、交渉中でございます。私どもとしては大体七名前後の方々を各分野で考えておりまして、大体それで基本的な問題点について御議論を願うに足るだけのメンバーはキープできるもの、そのように考えております。 また、この組織をつくるということの中で、利害関係者を入れるかどうかというようなことも実は私ども当初考えたわけでありますが、議論の全体から考えまして、むしろ利害関係者は入れない方がこの場合にはよかろう、もう一つ大きな立場で議論ができる体形の方がよかろう、そういう考え方をいま持っております。
○森井委員 広範な分野で、社会科学、自然科学あるいは司法、言論界等、そういった各界からお出しになるという点については私どもも異存のないところであります。ただ、できればそこから出た答申については、後で御質問申し上げますけれども、これは非常に権威のあるものにしていただきたいという点がございます。したがって選出の母体と申しますか、人選についての各分野についてはわかりますけれども、ちょっと適当な言葉がないのですが、やはり権威ある人を選んでいただく必要がある、こう考えるわけです。 たとえて申し上げますと、たまたまこの問題は制度審の答申にもかかわっておるわけでありますから、たとえば制度審の会長さんでありますとか、あるいは答申の中で出てまいります昨年の最高裁判所の判決ですね、基本理念の審議はこれを踏まえてということになっていますから、そういうようなことになりますと、やはり同じ司法界にしても、これは最高裁判所の判事さんをやられたような、言葉は適当でございませんけれどもそういったいわゆる大物を網羅して、国民的な課題でありますから、出された答申にうんと重みをつけていただくような、そういう御努力は願えないものでしょうか。
○橋本国務大臣 いま具体的なお名前を申し上げる段階に至っておりませんので、一般論としてお答えを申し上げたいと思うのでありますが、たとえば、やはりこれは制度審として答申をお出しいただいたわけでありますから、制度審の会長さんを含めた社会保障制度審議会を代表するに足るような方々、これも当然その委員の候補の中にはあろうかと思います。また、最高裁の判決を一つの念頭に置いた場合に、その司法の代表者を選ぶ場合に、そうした権威というものを当然考えの中に加えていく、そういうことも当然あろうかと思います。 ただ、同時にある程度、この組織は有名無実のものではないわけでございますから、時間的に忙しい日程をお持ちの方々ばかりでありますと、なかなか開けないようでは困りますし、また、余りお年を召されておりますと、体力的に審議の上で、精力的な審議ができるできないとか、自信があるないとかいったような問題もございますので、いま御示唆になりましたようなことも踏まえて、人選については十分慎重に努力をいたしたい、そのように思っております。
○森井委員 利害関係人を入れると、国民的なコンセンサスを得る上である程度支障になる場合もあり得るという判断だろうと思うのですけれども、御案内のように、しかし、この委員会で審議をお進めになる場合に、委員としてではなくて、各方面の意見をお聞きになる必要はあるのじゃないか。たとえば被爆者の代表でありますとか、あるいは被爆者の問題を熱心に取り上げてまいりました学者の方でありますとか、いわゆる弁護士の方々でありますとか、あるいは先ほど大臣からもお話しのありましたお医者さんの方々でありますとか、いずれにいたしましても、そういった各界の代表の方々を、これは委員会と申しますか、この委員会に来てもらって、そこでいろいろな意見を聴取する、そういう意味で参考人をこれからどんどん招致するということについては、私はぜひやっていただく方がいいのじゃないかという感じがいたしますけれども、この点いかがですか。
○橋本国務大臣 やはり検討の結果というものが国民的なコンセンサスを得られるようにするためには、当然いろいろな考え方の参考人の方々をできるだけ多く呼んでいただきまして、その意見をお聞きいただくことがやはり大切だと私も思います。その中には当然被爆者の代表の方々もありましょうし、また、直接御自分は被爆されておらなくてもその後において被爆者の援護にずっと従事してこられたような方々、また学問的に研究をしてこられたような方々、いろいろな角度からその参考人というものは選ばれるであろうと思いますし、当然その中において、被爆者の代表の方々等が大きなウエートを占めるであろうことは私も想像にかたくない、そのように思います。
○森井委員 ぜひそういうふうにしていただきたいと思うのです。 次に問題は、こういった「権威ある組織」をつくっていただきまして御審議を煩わすわけでありますが、期間が私は気になるわけです。三年も五年もかかってくれたのではこれはもうどうしようもないわけでありまして、やはりなるべく早く結論を出していただきたい、こういうように考えるわけです。 基本理念について議論を願う、制度審の答申では基本理念とあと現行二法の見直しというのがあるわけでありますが、私は、この基本理念が解決をすれば現行二法の再検討というのはおのずからもう道が開ける感じがするわけでありまして、基本理念は非常に大事だと思いますし、事実長い間の国会での与野党の議論もそうですし、それから裁判で争われておる根底にやはりこの基本理念の問題もあったわけでありますから、したがって、この基本理念をぜひとも十分な議論をいただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、そう長い期間かかっては困ると思うのですね。大体どれぐらいの期間を考えていらっしゃいますか。
○橋本国務大臣 私どもの方から専門家による権威のある組織をつくっていただくことをお願いし、そこで問題を御議論願うわけでありますから、たとえば私どもの方でいきなり半年で出せとか一年で出せとか、なかなか注文をつけにくい部分はありますけれども、私がいま考えておりますのは、この議事の進行状況等にもよりますけれども、少なくとも、その基本的な理念については一年以内に御意見がいただけるようにぜひ御努力をお願い申し上げたい。ただ、そこから出てくる派生的な問題についてまで、全部一度に一年以内にお答えをいただきたいとは私は思わないけれども、基本的な問題点についてはできれば一年以内に御意見をちょうだいいたしたいということを、この会合がスタートいたします冒頭において委員の方々にお願いしたい、そのように考えております。
○森井委員 なるべく早く、公衆衛生局の所管から援護局の所管になることを期待いたしますけれども、公衆衛生局長さん、いま被爆者の手帳を持っている人の平均年齢は幾つぐらいになっていますか。
○田中(明)政府委員 昭和五十年に実施いたしました被爆者の実態調査の結果によりますと、被爆者の平均年齢は、男性につきましては五十四・一歳、女性につきましては五十三・四歳、全体で平均いたしますと五十三・七歳となっております。
○森井委員 それは五十年ですね。そうするとこれは四歳足すわけですね。
○田中(明)政府委員 亡くなる方もおられますけれども、大体そういうことになるかと存じます。
○森井委員 それじゃ、五十年の時点でいいですけれども、六十歳以上は何%ぐらいになっているんですか。
○田中(明)政府委員 六十歳以上の者の割合は五十年では三三%となっておりまして、これは実は十年前、昭和四十年に実施しました同様の調査と比較いたしますと、四十年のときには二三%でございましたので、明らかに被爆者の高齢化が進行していると考えられます。
○森井委員 大臣、お聞きのようにこれだけ老齢化が進んでまいりました。六十歳以上の方は恐らく四割にいっているんじゃないかという感じがいたします。平均でも五十七歳ぐらいだと見ればかなりいっていると思うのです。いま審議の期間について基本理念については一年以内、こうおっしゃったわけでありますけれども、これはもっといろいろ議論を積み重ねなければなりませんが、一年以内ですから極端に言えば一カ月でも一年以内ということになるわけであります。もちろん審議の期間に注文をつけることはできないわけでありますけれども、基本理念についての議論をいただく場合に、少なくとも各界の権威者を網羅していただくとすれば、一年以内にということを大臣が冒頭に話していただくということについては非常に結構だと思うわけであります。そう長い議論をしなくてもある程度の結論が出る場合もあり得ますね。ですから、一年以内というのは、私は何も一年にこだわるわけじゃなくて、これは早ければ早い方がいいと思います。 それから、現行二法の見直しという問題については、これは仮定の問題で恐縮でありますけれども、もう少し詰めさせていただきたいのは、基本理念ができたら、あとは、現行二法の見直しは役所の方がたたき台を出したらどうかということも、恐らくあり得るかもわからないですね。そういうようなこともありますので、つまり私が申し上げたいのは、改めての御答弁は要りませんけれども、早ければ早い方がいいという意味で、先ほど申し上げました被爆者の高齢化の問題とあわせて、御了解をいただいておきたいと思うわけです。 そこで次の質問でありますが、そうなりますと、いずれにしても急いでいただくことになるわけでありますが、ややもしますとこういった委員会の審議というのは年に一回とか二回とか限られたものになると思いますので、大体どれくらいの頻度で委員会をお開きになるのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
○橋本国務大臣 私どもは、いま委員の方々の人選を進め、就任をお願いしておるわけでありますが、その過程において、開催頻度等おおむね二カ月に三回ぐらいは開催させていただきたい、そのおつもりでお引き受けをいただきたいということでお願いいたしておりまして、開店休業になるような事態は万々ない、むしろ二カ月に三回程度は開けるということを前提にして、委員の方々にも就任についての諾否を伺っておるという状況でございます。 先ほど森井さんから言われましたように、一年以内というのは早ければ早いほどいいんだ、それは私どもも同感でありまして、こういう問題は余りずるずる長引かせることがいいとは決して思いません。いま委員の方々にも、そういう回数でお願い申し上げたいということで交渉いたしております。
○森井委員 厚生大臣のお気持ちと委員会の全貌がほぼ明らかになってまいりました。率直に申し上げまして評価ができると思うのでありますが、問題は、私が一番聞きたいところなんですけれども、答申が出された場合の扱いの問題であります。 ちょっと耳に痛いかもしれませんが、ややもいたしますと、健康保険法のように、政府がお出しになる、与党が今度修正の動きをお見せになるというふうな形になりますと、これはせっかくりっぱな答申が出ても果たして従っていただけるのだろうかどうだろうか、こういう気持ちがいたします。大臣からは先ほど来の御答弁があるわけでありますが、きょうは与党の方もいらっしゃるわけでありまして、政府と与党は議会制民主主義なり議院内閣制等から見ますと一体のはずなんでありますけれども、なかなか奇妙なところがございまして、必ずしも呼吸が、健保に限り、合わなかったように思うわけでありますが、その轍を踏まないように、これは先ほど質問をいたしましたように、権威ある国民的なコンセンサスを得るような答申が出るものと期待をすれば、もう無条件で従ってもらわなければならぬと思うわけであります。白紙で従ってもらわなくてはならぬと思うわけです。大臣の立場では必ずしもそこまでの御答弁はむずかしいのじゃないかと思いますが、従来の例でいきますと「答申を尊重します」と言われるわけでありますが、少なくともこの問題については政府・与党とも気合いを一つにしていただきまして、いま私が申し上げましたようなニュアンスも含めながら、答申を本当に守っていただけるものなのかどうなのか、大臣から御答弁をいただいておきたいと思うのです。
○橋本国務大臣 これは私どもの方から作業をお願い申し上げるわけでありますから、その検討の結果として、私どもにちょうだいをいたします御意見については十分に尊重いたすつもりでありますし、またそれを受け取った段階において、そのお答えの内容の方向に向けて努力することも当然だと私は思っております。
○森井委員 もう一度申し上げておきますが、これだけの組織をおつくりになって、これから厚生省も取り組まれるわけでありますから、私どもとしてもその姿勢を評価申し上げまして、出た答申については白紙でお従いになるものと理解をいたしまして、次の質問に移らしていただきたいと思います。 では、権威ある委員会につきましてはこれぐらいにしまして、次に、今度の予算で、これは去年の国会でも確認をされているわけでありますが、被爆二世の方々の健康診断の問題であります。 これは昨年の本委員会でも、当時の厚生大臣から、いわゆる研究の名目であるけれどもやってみようというお言葉がございまして、橋本大臣もそれを着実にお引き継ぎになられまして、今度も二世の方々の健康診断の費用が出されておるわけであります。しかし、せっかくお出しになったんですけれども、言うなればまだその扱いについてはあいまいもこといたしております。特に二世の問題については法的な裏づけがございません。しかも、名目もいまのところ研究費というふうな形になっておるわけであります。この研究費というのは私は余り気にしてないのであります。たとえば原爆病院等に対する助成も、歴史的な経過から見れば委託研究費等から出されまして、きょうは大蔵もいますが、やがて白昼堂々と運営費の補助等になってきた経過もありますから、そう気にしていないのでありますが、二世の皆さんについてもそういうふうなスタートをお切りになったんじゃないか。そうすると、少なくとも、希望する二世の方々については健康診断を行うという点を、法的にも明確にする時期にそろそろ来ているんではないか、こういう感じがするわけでありますが、いかがですか。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、被爆者の二世の健康診断につきましては、五十四年度におきましては予算措置によって行うということにいたしておりまして、法律改正ということを考えていないわけでございますが、これは、私どもといたしましては、現在の医学その他の自然科学の研究結果によりまして、原爆の放射能の影響というものが、幸いにいたしまして、被爆者二世までには及んでいるというような結果が出ていないということにかんがみまして、しかしながら、被爆者二世の方々で健康の面に不安のあるという方がおありになるわけでございますので、そういう方々の不安を除くという観点から、予算措置でもって健康診断を希望する方には行うということにいたしたわけでございます。私どもといたしましては、そういうような考え方で、希望する方には全員健康診断を行うように、間違いなくいたしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。 また、健康診断の内容につきましては、今後関係者の意見を十分聞いて決めてまいりたいと思っております。
○森井委員 現実に二世の皆さんのアンケート調査が幾つかあるわけですね。これは広島県、広島市がおやりになったものもありますし、あるいは職場のグループ、広島の全電通の労働組合の皆さんが、その組織の二世の方を対象にして調査をされたようなものがあります。役所の側からいけば、これはまだ権威あるものでないということと医学的に解明ができていないということもあるんだろうと思うのですけれども、ただ、現実にそういったアンケート調査等をやりますと、健康に不安を感じている二世というものがこれは紛れもなくあるわけです。それから、アンケート調査でありますからはっきりはしないのですけれども、現実にいわゆる非被爆二世のグループとそれから被爆二世のグループとを比較をしてみますと、過去に大病にかかった率が多いとかそういったものがありますね。そういうふうなことで考えてみますと、二世の健康診断というのは、当面二世の対策は、私どもがかねて要求しておりますように、健康診断をした上で、一定の症状が出ればやはり被爆者として扱うというのが私どもの基本的な要求でありますけれども、いろんな制約がまだありますし、厚生省としても、いま調査をずっと継続をしておられるわけでありますから、その点については明確に申し上げたいところでありますけれども、それはしばらく時間を置くとしても、当面健康診断は必要不可欠のものである。したがって、行政措置と言われましたが、これは人数の問題もあると思うのでありますが、数はやってみなければわからないわけです。第一、まだ二世の数の把握もできていない。——ちょっと聞いてみますが、二世の数の把握はできていますか。
○田中(明)政府委員 残念ながら、二世の数の把握は現在のところできておりません。
○森井委員 私どもの抽出調査ですけれども、あらかた申し上げれば、ほぼ被爆者の数ぐらいは二世の方がいらっしゃるんじゃないかという判断を一応しております。そういたしますと、人数からいたしましても、もちろん希望する人ですから、すべての人に強制するわけじゃありませんけれども、申し上げましたように現実に不安を感じておる。それから医学的じゃなくても、結婚をして子供さんができるときに、子供さんが生まれてくるまで、あるいは生まれてくる子供に何か障害がありはしないかという不安もあるわけです。だから、あなた方は、いま盛んに医学的な調査を進めておるから待てとおっしゃいますけれども、待てない要素もある。だからこそ、健康診断費を今度お組みになったんだろうと思うのです。法的な問題についてはいますぐには申し上げませんけれども、来年度以降についてぜひひとつ一応の検討課題にしておいていただきたい。 それから、もう一つ心配しますのは、これは厚生省の予算要求の段階からいけばかなり予算を削られましたね。だから、希望する者は全部やるとすれば果たして予算が足りるのか足りないのかという問題がある。もし希望者が多くて、いずれにしても、予算が足りないというふうなことがあってここで締め切りというようなことがあっては困ると思うのですけれども、その点についてはいかがですか。
○田中(明)政府委員 予算が足りないために、希望される被爆者二世が健康診断を受けられないというようなことは絶対にないようにいたしたいと存じております。
○森井委員 次に、手当の年金化の問題です。 これも多くは申し上げませんが、特にことしは厚生大臣の御努力によりまして、特別手当等は、大幅と言えば語弊があるわけでありまして、私どもは戦傷病者戦没者遺族等援護法と同様、基本的には国家補償であるべきだという考え方でありますから、その意味ではかなり開きがありますが、従来の額からすれば大幅に引き上げになったわけでありまして、申し上げましたように御努力は多といたします。いずれにいたしましても、去年の段階ですでに、厚生大臣は、実質的に年金化をしておる、ですから、御答弁でもそうでございましたし、附帯決議でも、実質的に年金化していることに着目をして、制度の改善や金額の増額を図ってもらいたい、こういう附帯決議になっているわけですね。この点についても、そのままナシのつぶてで、今度特別措置法の改正案という形になった。私はきわめて遺憾だと思うのです。先ほど申し上げました意味で、特別手当等については大幅に引き上げになったのですから、したがって名称等についても、この機会に年金に移行する必要があるんじゃないか、当然併給制限等はなくしていかなければなりませんが、これは前例もたくさんあることでありますからそう問題ないと思うのでありますが、いずれにしても、ぼつぼつ年金化の時期じゃないかというふうに理解をいたしますが、去年の議論等もあわせまして、一体これは局長、厚生省としてどこまで審議をして検討をしていただいたのですか。
○田中(明)政府委員 手当と年金との違いにつきましては、先生御案内のとおりいろいろ議論のあるところでございまして、単なる言葉といいますか、字句の違いであるというような意見もございますし、あるいは実質的に表現する内容が違っているんだという意見もあるわけでございます。私どもといたしましては専門家の御意見も拝聴していろいろ検討してまいったわけですが、現在のところ、手当を年金というふうに変えるところまでは踏み切れなかったわけでございますが、内容的に違うものを表現するということになりますと、これは制度の本質的な内容とも関係してまいることと存じますので、これにつきましても、先ほど大臣から御説明申し上げました専門家による権威ある組織におきまして、そういう本質的な部分については御検討いただきたいというふうに考えております。
○森井委員 手当と年金というのが、金額が同じだからいいじゃないかという議論もあるんですよ。いまわが国の年金の体系の中で見ますと、手当と年金というのは必ずしも明確になっていないきらいがある。たとえて言いますと、同じように骨子家庭でも、御主人が亡くなられた家庭では御案内のとおり母子福祉年金です。それから離婚をなさった生き別れの母子家庭については児童扶養手当、こうなっているんですね。額も同じなんです。これらはどう考えていいのか。児童家庭局長、手当と年金というのはどう違うんですか。あなたの造詣の深いところでひとつ御教示をいただきたいと思うのです。
○竹内政府委員 年金と手当というものの整理でございますけれども、形式論といたしましては、手当は月を単位として支給、、法律上も月額で示す、年金については年を単位として、年額で示すという仕組みをとっております、この根っこの思想の中には、年金というものについては基本的に年金権という、受給権の長期的ないわば長期確定債権という一つの性格があろうかと思います。手当に関しましては、これはあくまでも福祉措置という思想が残っておりまして、福祉措置でございますので、一定の福祉措置に対応する支給要件というものが随時変化する、変化をすれば、支給要件に当たれば当たったときに支給をし、その要件が欠けても、すぐ次にはまた該当することもあり得るというようなことで、手当それ自体にはあくまでも、年金の場合のように、たとえば夫の死亡であるとか、あるいは一定のだれもが当然に到達するであろう老齢であるとか、あるいはかかり得る疾病、負傷といったような、いわゆる保険事故を想定して社会保険という仕組みの中でそれを見るということはないわけです。ある事故が生じて所得の欠損が生じたときにはそれを一定額補てんするための仕組みとしてあくまでも年金というものがあり、もともと一定の要件に関してのみ年金権を想定をしておるわけであります。 ところが、児童扶養手当の場合になりますと、離婚をしたという状態それ自体はなかなか、本来的にあり得る事態、起こり得る事態というふうに社会の通念の中から想定するのがしかるべきかどうかというのは、またいろいろと議論がございましょう。ただ、私どもといたしましては、少なくとも、離婚をしあるいはまた再婚をするという形態もしばしばございますし、最近の統計数字を見ましても、離婚の件数は非常にふえてきておりますし、そういったような中で、生別の母子世帯に関して、私どもは、夫と別れたかどうかということ以上に、子を抱えているその家庭の生計状態、子の健全な育成というものを国として図るためにはどの程度の福祉措置をとるべきであるかという観点から、母子福祉年金と違って、児童扶養手当というのが、いわば生別のものと死別のものというような外形的な類型差はございますが、そういう実態になじむのではなかろうか。それで、基本的な発想としては、児童扶養手当の中ではあくまでも子に中心を置いて、その中の要件が、その家庭を取り巻く要件の変化に従ってそれぞれ対応するようになっておる。したがって、一般的には手当についてはほとんど所得制限がついております。年金については原則として所得制限はございません。福祉年金でも、これはあくまでも経過的な福祉年金についてのみ所得制限というのがついておるわけでありまして、その点、福祉年金の状態をもって、所得制限があるからといって、年金と手当とはイコールであるという理論には私どもはなりにくいのではなかろうかと思っております。 以上のような、大ざっぱな考えでございますけれども、手当と年金についての区分を一応いたしておるわけでございます。
○森井委員 これはむずかしくなりましたが、それじゃ公衆衛生局長、たとえば特別手当、健康管理手当、それから保健手当とありますね。例を保健手当にとりますか。これは二キロ以内で被爆をしていれば無条件で出るのですね。そして生活の態様も一切関係ない。これはいまの児童家庭局長の説明でいくと、これならむしろ年金に当てはめなければおかしなことになるんじゃないか。しいて言えば、月額か年額かというのが違うぐらいで、これはお役所の人の勝手な解釈でありまして、月額と年額で、これは全く同じ金額ですからね。現に福祉年金の類にいたしましても、われわれへの説明は、ちゃんと年額で説明されることもありますが、月額の方がわかりいいものだから、各種の年金については月額で話を聞くこともずいぶんございますね。特に老齢福祉年金、この間国年法等の一部改正案のときに私どもは修正いたしましたが、これは月額で二千円の修正、実際は修正案はそうではありませんけれども、説明はむしろ月の方がわかりいいので、一万八千円を二万円にしましょう、こういうことで修正したのですよ。そう考えていきますと、月と年とで手当と年金との違いがあるなんというのは理屈にならない。受給権について申し上げましても、親の立場からいけばどうか知りませんけれども、子供の立場からすれば、生き別れも御主人が亡くなられた場合も母子家庭には違いがない。だから一定の条件が整えば、たとえば生活その他、あるいは事実上の夫になられるような方がいらっしゃる場合もありましょうから、単に離婚の家庭だけというのは確かに査定の段階で議論のあるところでしょうけれども、いずれにしても要件が整えば、母子家庭という点については全く同じなんですよ。ただ、あえて、先ほども言われましたように、御主人が亡くなられた場合は未来永劫にもう御主人は帰ってこられないわけでありますから、そういう意味では離婚家庭の再婚の場合と違うという点はありますけれども、状態については全く同じで、むしろ私は、そこに差別思想があるんじゃないかという感じがするわけです。特に子供にとってはそのことは言えると思うので、これはしばしばこの社会労働委員会でも議論をしてまいりましたけれども、ぜひ再考願いたいと私は思う。 とにかく、先ほど御答弁がありましたように、児童家庭局長のいわゆる年金論によりますと、これは月と年の違いはありますけれども、むしろ三つとも年金にした方がいいんじゃないですか。公衆衛生局長さん、いかがですか。
○田中(明)政府委員 私、児童家庭局長と違いまして法律の専門家でございませんので、厳密な法律的な問題につきましては、先ほど申し上げましたようにいろいろ専門家に検討していただいて御意見を拝聴しているところでございますので、今後とも先生の御指摘の点も含めまして、専門家の御意見を拝聴して対処してまいりたいというふうに考えております。
○森井委員 去年、実質的に年金化していることにかんがみ、という厚生大臣の御答弁もあったわけです。ここのところを頭に入れて、私はさっき差別という言葉を使いましたけれども、いずれにいたしましても、これは後でまた御指摘を申し上げますが、国家補償的なことも十分考慮に入れた上で、たとえば戦傷病者戦没者遺族等援護法にはちゃんと「年金」と書いてあるのですから、この辺のところはぜひ踏み切っていただきたい。ただ、最終的には専門家による議論にお任せをするということでありますから、重要な項目として、これは基本理念が解決すれば解決するのだろうと思いますけれども、ぜひひとつ御記憶いただきたいと思うわけであります。 次に、所得制限の撤廃の問題であります。これはきわめて遺憾な問題でありますけれども、まず局長さんにお伺いしたいわけでありますが、所得制限については厚生省の基本的な考え方はどうですか。それは大蔵当局とのこともありましょうけれども、考え方としてはいかがですか。
○橋本国務大臣 いま局長を御指名いただいての御質問でありましたけれども、本年度の予算編成におきましても、閣僚折衝まで持ち上げました問題でありますので、私からお答えを申し上げたいと思います。 これは本委員会でもたびたび論議のありますとおり、私どもとしては基本的にはこれは撤廃すべきものだと考えまして、予算要求の段階でもそういう予算要求をし、閣僚折衝最終まで大蔵大臣と論議をいたした項目の一つであります。ただ、本年度の場合におきまして、遺憾ながらそこまで諸般の情勢の中でまいらなかったということも、これは御了察をいただける状況もあろうかと思います。 先ほどからいろいろな角度での御議論がございますけれども、私どもは、この問題はやはり、何といいましても、ある意味では、現行あります原爆二法につきましても、その性格に非常に大きな影響を与える基本的な問題であり、むしろ年金化とかあるいは手当という言葉の問題以前に、非常に基本的な問題を含んでおりますところだけに、私どもとしては、これは専門家の十分な御検討を願って、その中で最終的な結論を見出したい、そのように考えておりますテーマであります。
○森井委員 厚生大臣が、ややもすると他の制度におきましては所得制限強化の方向に行きつつあるやに私ども理解をしているわけでありますが、そういった中において、確かに所得制限の問題につきましてはいい方向に、わずかではありますけれども努力をされたことについては、私どももその御労苦を多とするわけでありますが、これは、厚生省が毎年所得制限の撤廃を要求されながら、大蔵省が常に断るわけですが、大蔵省はどう考えていますか。大体、あんたのところはいつもけしからぬよ、この問題については。
○安原説明員 所得制限の問題につきましては、種々御議論があることは承知いたしております。 原爆被爆者に対します各種の手当の支給の趣旨に振り返って考えてみますと、被爆者対策としての手当は、被爆者の置かれております特別の状態に着目しまして、社会保障の一環としてそのニーズに対応しようとするものでございまして、これらの手当の支給を受けなくてもそのニーズに即応し得るという方には、これを御遠慮願うということもやむを得ないものと考えております。 ただ、所得制限につきましては、原爆被爆者の実情に即しまして、これまでから改善を加えてきておるところでございまして、五十四年度におきましても改善措置を講じたところでございます。
○森井委員 ですから、前向きな姿勢については私も理解しているのですよ。 ただ、これはどうも大蔵省にちょっと言いにくいけれども、ついでに言わしていただくと、去年三月三十日に出た最高裁判所の判決ですね、これを読んでいただきますと、私は少し考え方が変わってくるのじゃないかと思うのですね。いまあなたが言われましたように、医療法についてでありますけれども「被爆者のみを対象として特に右立法がされた所以を理解するについては、原子爆弾の被爆による健康上の障害がかつて例をみない特異かつ深刻なものであることと並んで、かかる障害が遡れば戦争という国の行為によってもたらされたものであり、しかも被爆者の多くが今なお生活上一般の戦争被害者よりも不安定な状態に置かれているという事実を見逃すことはできない。」こうなっておるのですね。これは医療法なんですけれども、基本的な国の戦争責任その他についてはこれを明確に出されているし、特に原爆被爆者の皆さんは、ここに書いてありますように一般の戦争犠牲者よりも不安定な状態に置かれている、こううたっておるわけですね。だから、そういった点に着目してもらいますと、確かに、いままで所得制限の及ばない範囲が九五%から九六%にいったのですから、それは評価をいたしますけれども、最高裁の判決をきちっと大蔵省も理解をしていただけば、これは私はもっと変わったことがあり得るのじゃないか、つまり所得制限の撤廃ができるのじゃないかという感じがするわけです。ですから、同じ役所でも厚生省の方が理解が早いですな、もう二年も三年も前から所得制限の撤廃をしてくださいという要求なんですから。ですから、そういった点に着目をすれば、私は大蔵当局にこの際猛省を促しておきたいと思うのです。 この点はどういうふうに理解していますか。医療法では御承知のとおり所得制限はないのですね。たとえば被爆者手帳を持っていますね、そしてお医者にかかる、これは所得制限一切なしです。これはどういうふうに理解していますか。質問の趣旨がわかりにくいかと思いますが、たとえば老人福祉法によりますところの老人医療の公費負担制度でいけば、所得制限がついていますね。ところが原爆被爆者については、医療については御案内のとおり医療法という法律でありまして、所得制限なしであります。この意義はどういうふうに理解していますか。財政当局としてはちょっと専門的にわたるので、もしむずかしければ、やむを得ません、厚生省から答弁いただきますが、主計官、ちょっとあなたの認識の片りんぐらい出してみてください。どうですか。
○田中(明)政府委員 非常に専門的な問題にもかかわっておるように存じますので、私からまずお答えさせていただきたいと存じますが、私どもは、被爆者の医療という問題は、被爆者が原爆放射線による傷害を受けまして非常に特異、特殊な状態にあるということに着目いたしまして、その放射線の傷害の医療というものは、まず第一に基本的に被爆者に対する手当てをすると申しますか、補償をすべき問題であるという観点から、この医療につきましては無料になっているというふうに考えているわけでございます。したがいまして、特別手当、健康手当その他の所得保障とは、被爆者の健康を阻害されている方の医療という問題につきましては、若干ニュアンスが違いまして、より基本的に補償すべき問題であるので、これは所得制限がかかっていないというふうに考えております。
○安原説明員 ただいま公衆衛生局長から御答弁のあったように、同じように考えておりますが、先ほど私が特別の状態に着目してということを申しましたが、もう少しかみ砕いて申しますと、原爆による放射能を多量に浴びた方でございますので、健康上特別の配慮が必要であるというところがポイントであろうかと存じます。そういう見地から、医療につきましては万全の施策を講じておるわけでございますが、手当につきましては、先ほど申しましたような観点から所得制限を課しているということだろうと思います。 所得制限の問題につきましては、先ほど厚生大臣から御答弁がありましたように、所得制限のあり方は基本的な制度のあり方と関連いたしますので、いま御議論がございましたような専門家会議で、基本的な理念についてあるいは制度のあり方について検討されるということでございますので、その専門家会議の検討結果を注意深く見守りたいと考えております。
○森井委員 そうすると、お伺いしますが、専門家会議で結論が出れば、もちろん無条件で大蔵省は従うのですね。
○安原説明員 先ほど来御議論がございましたように、権威ある専門家会議が構成されましてそこで十分な審議が行われる、その結果出てくる結論というのはそれなりの重みがあるというぐあいに理解しております。ただ、どういう結論が出てくるか、いまの段階では予測はできませんので、出ました段階で十分に検討させていただきたいと考えております。
○森井委員 うまく逃げましたね。出ました段階で考えるというのは、これは大臣の答弁とよく似ているな。橋本厚生大臣じゃなくて、よくそういう言葉が出ますが、これは、しかし、いままでの厚生省と大蔵省との長い折衝が続いているわけでありますから、当然従っていただけるものと思います。 ただ、私も、ことしもあなたにも非公式に申し上げましたように、所得制限の問題については、少なくとも五十三年度の予算の編成の段階と五十四年度の予算の編成の段階では変わっているんだ。というのは、最高裁判所の判決が出たということをよく考えてくれということを申し上げたわけでありますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、あなたが言われましたように、去年の最高裁の判決の要旨は、被爆者の多くが一般戦争被害者よりも不安定な状態に置かれておるということもありますけれども「原爆医療法は、このような特殊の戦争被害について戦争遂行主体であった国が自らの責任によりその救済をはかるという一面を有するものであり、その点では実質的に国家補償的配慮が制度の根底にあることは、これを否定することができないのである。」その次にどんぴしゃり書いてある。「例えば、同法が被爆者の収入ないし資産状態のいかんを問わず常に全額公費負担と定めていることなどは、単なる社会保障としては合理的に説明しがたいところであり、」こう書いてあるのですね。これは確かに判決は医療法について出ておるわけでありますけれども、この根底の部分については同じだと思いますから申し上げたわけでありますけれども、現にこれは所得制限がついていないのですね、医療法については。その解釈をあなたは大蔵省流に説明をなさいました、公衆衛生局長は公衆衛生局長流に御説明になったのですけれども、判決ではこう書いてあるわけです。これは争いのあるとこるでありまして、既判力の問題がありまして、判決というのは結論だけに従うのか、あるいは中途のいわゆる判決に至るまでの各文章についても拘束があるのか、この辺は確かに議論のあるところだと思いますし、それは、話は余談になりますが、昭和三十八年の東京地裁の判決だって、これは明確に原爆が国際法違反だとうたっておるわけでありますけれども、これが途中の経過なものですから、最終的な判決の問題となっておらないという問題で、まだ議論がずっと残されたままになっておりますけれども、これらは権威ある委員会でこれから議論をしていただくことになるのでしょうが、いずれにしても医療法には所得制限がついてない、特別措置法についているというのは、これはどういうふうに理解したらいいのですか。食い下がるようで恐縮ですけれども、これはどちらからでも結構です。
○田中(明)政府委員 先ほどのお答えをふえんするような形になるかと思いますけれども、私どもは、原爆医療法の方は、原爆という特別な影響力を持つ爆弾によりまして、普通とは異なるような健康上と申しますか身体上の損害を受けた者の医療につきまして第一義的に考えて、所得制限なしの補償を行うということであろうかと存じますが、所得の面につきましての諸手当につきましては、そういう健康を損なわれた人が、いろいろと所得あるいは生活上の困難に当たられるということについての保障であるというふうに考えられますので、先ほども申しましたように健康上の問題がまず第一義的にございまして、それに引き続いて起こる問題に対する対応の仕方であるというふうに考えられるわけでございまして、私どもといたしましては、予算編成の当初においては、健康の問題を取り扱う医療法と同じように所得制限を撤廃してはというような考え方に立っておったわけでございますけれども、予算編成の過程におきましていろいろ基本的な考え方についての討論がなされまして、今回は一応ただいま御提案しているような形で提案させていただくということになったわけでございまして、本質的な面につきましては、先ほど大臣から申し上げましたように権威ある専門家の組織に十分に御審議いただきたい、その結果を待ちまして私どもとしてこれに対処してまいりたいというふうに考えております。
○森井委員 私は、きょうは具体的な問題でありますとか技術的な問題はなるべく避けて、要するに権威ある専門家の御審議をわずらわすのですから、そういう立場でいろいろな議論をいま皆さんに申し上げておるわけで、この点理解をした上で御答弁をいただきたいと思うのですが、こういうことじゃないでしょうか。昭和三十二年に医療法ができましたが、医療法だけでは足りないということで、補完的な意味で特別措置法というのが四十三年にできた。この理解はどうですか。一言、そうかそうでないかだけおっしゃってください。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおりに、私どもも解釈しております。
○森井委員 そこで、これはまた古い話を持ち出して恐縮なんですが、昭和三十九年に、いま私が質問したことについて衆参両院の本会議で決議があったわけですね。それによりますとこういうふうに書いてあるのです。三十九年四月三日の衆議院本会議の決議ですけれども、その一部に「原爆被爆者に関する制度としては、昭和三十二年に原子爆弾被爆者の医療等に関する法律が制定され、被爆者の健康管理及び医療措置が行われているが、原爆被爆者に対する施策としては、なお十分とは認めがたい。よって政府は、すみやかにその援護措置を拡充強化し、もって生活の安定を図るよう努めるべきである。」こうなっているのです。ですから、いまの御答弁で私ども国会の意思と合うわけです。そうしますと、くどいようで恐縮ですけれども、医療法については所得制限がない。医療は別だと言われましても、所得制限は他の制度ではほとんど皆ついているわけです。だから老人福祉法にしてもそうです、ちゃんとついている。そういたしますと、あえて医療法に所得制限がついていない。それがどうして特別措置法に、いま申し上げましたような補完的な意味で特別措置法ができたとすれば、私は、法理論としても特別措置法に所得制限がついているというのはおかしいのじゃないかと思う。これは厚生省は私と同じ考え方で、事実所得制限の撤廃を要求していらっしゃるのですから、非常に聞きにくいわけですが、大蔵省、この点の認識だけもう一回だけ答弁してください。
○安原説明員 先ほど御答弁いたしましたことの繰り返しになるわけでございますが、原爆被爆者の方が医療を受ける必要がある、そういう場合に、必要な医療ケアができるように万全の施策を講じておるということだろうと思います。さらに補完的に、健康状態が不安な方につきまして特別な経費がかさむ面もございます。そういういろいろなことを総合勘案しまして、生活の安定に資する面も考慮しまして、特別手当という制度ができているのだろうと思いますが、その場合に、一定以上の所得があればその手当の支給を受けなくてもそのニードを満たし得るということでございますので、そういう方につきましては手当の受給を御遠慮願うということでございまして、そういう意味から、手当につきましての所得制限ということはやむを得ないものと考えております。
○森井委員 あなた、どんなに説明をしても、医療法だって実際には、全額国が負担しておるというかっこうになりましても、たとえば一般疾病の場合には健康保険証を使うわけですよ。だから、本人負担分について国が負担をするというかっこうにいまなっているわけですね。これは老人医療についても同じです。原爆の医療法についても同じなんです。片や所得制限があり、片やないというのは、やはり、私はそこに、特に一般疾病と——細かな議論になるのでやめますけれども、考えてみたら、あえて医療法に所得制限がないというのは私は十分着目していかなければならないし、そうだとすれば、その補完的な意味での特別措置法による各種手当について、少なくとも同じように所得制限をなくしていくという厚生省の考え方は、私は正しいと思いますよ。あえて、あなたがそこまで言うのであれば、これからいずれにしても専門家による御審議を煩わすわけですから申し上げませんけれども、この際、その点猛省を促しておきたいと思うのです。 そこで、次に外国人被爆者、なかんずく朝鮮人被爆者の問題についてお伺いをしておきたいと思うわけであります。 これはちょっと整理をさしていただきますと、朝鮮人被爆者の中で、この法律の審議ではないのでありますが、戦傷病者戦没者遺族等援護法の審議等で出てまいりまして、要するに朝鮮半島が不幸にして二分されておりますので、朝鮮民主主義人民共和国の国籍を有する方々については、まだ措置は終わっていない、被爆者に対してもそういうことになると思うのですが、それに対して、韓国とはもう講和条約等締結されておりますから、そして対日請求権等の放棄の問題もありまして、いままで紋切り型の答弁からいけば解決しております、こういうようなお答えが返ってきておるわけです。いずれにしても、朝鮮人被爆者の方はたくさんいらっしゃるわけであります。もちろん台湾にもいらっしゃるし、アメリカにもたくさんおられるということで、外国人被爆者は多いのでありますが、特に朝鮮人被爆者の皆さんの数が多いものですからお聞きするわけでありますが、大体朝鮮民主主義人民共和国の方は、国交がないという点もあってなかなか答弁しにくいのじゃないかと思うのでありますが、いわゆる在韓の被爆者というのはどのくらいいまおられるのですか。
○田中(明)政府委員 正確な数はつまびらかにいたしませんが、大体二万人ぐらいおるというふうに伺っております。
○森井委員 これは公式的には、韓国に関しては、講和条約等も締結されておりまして、一定の解決を見ているという公式の答弁になってくるわけでありますが、現実に、たとえば原水禁の皆さんでありますとか核禁会議の皆さんでありますとか、そういった原水爆禁止運動をなさっておられるような団体の皆さんが韓国の方々と交流をいたしますと、たとえばお医者さんが足りない、それから医療施設がもちろん不足しておる、それから医療の技術水準も非常におくれておる、こういったことを私どもしばしば聞くわけであります。しかし、政府の公的な答弁は、もう韓国については、一切請求権も放棄しておりますから、解決しておりますということになっております。ただ、そうは言いますものの、人道的な見地からいけば、解決をしておりますでは済まない問題がやはりあります。ですから孫振斗さんのような事件も起きてくるわけでありまして、治療してもらいたさに不法入国ででも何とか来たいというようなこともあるわけであります。 橋本大臣は、韓国の被爆者の問題につきましても非常にお詳しいと私は聞いておるわけでありますが、特に最近の日韓閣僚会議以降、とにかく、外交ルートをどうするかという問題は別にして、韓国内でそういった声、何とか被爆者に対する医療援助をしてもらいたいという動きが出ておるように聞いておるのでありますが、その点、大臣いかがになっておりますか。
○橋本国務大臣 公式には、いま森井さんが、政府は多分こう答弁するであろうという前提のお話しをなさいましたようなことを、私も申し上げなければならぬと思います。 ただ、昨年ちょうど訪韓をいたしました際に、釜山地区あるいはソウル地区等において在韓の被爆者の方々にもお目にかかる機会がございまして、その実情等もいろいろ伺いました。そして、実態においていろいろ苦労しておられる部分が多いことも承知をいたしております。そしてその際に、その方々に、外交ルートにその話を乗せるようにしていただきたい、そしてそれが日本国政府の方において、たとえば厚生省の方へ回付されてくれば、私どもとしても誠意を持った検討をしたいということも、その当時は私は閣僚でございません、自由民主党の一員としてのことでございますが、そのようなこともそのときにお話しをしたことがございます。 ただ、そのときに私は非常に感じましたのが、被爆者の方々自体が、いま御指摘のような医学の問題等々もありまして、果たして現在自分の持っている疾病が原爆に起因するものかどうか自体について悩んでおられる。また医師の方々もその点の判定について自信が持てない。むしろ国ベースの問題よりも以前の話として、たとえば韓国のお医者さんが日本に来られて、あるいは広島なり長崎なりの医療機関において判定の技術そのもの、またその中において出てきた疾病について対応し得る診療形態があれば、そうしたものについてまずその点をマスターすることから始めないと、なかなか実施が困難であるというようなことも承っております。 その後において、今度私が厚生大臣として、今日までの過程におきましては、厚生省に対して、外交ルートを通じて韓国側からの御要望というものをまだ正式にはちょうだいをいたしておらない状況でございます。
○森井委員 大臣が言われましたような実情については私も認識をしておるわけでありますが、いずれにしても、日本の被爆者に比べますと、治療その他の面で韓国の被爆者の皆さんは非常におくれておると申しますか、放置をされておると申しますか、日本の医療技術をもって、そしてまた医療施設等をきちっとすれば、私はかなりな韓国の被爆者の皆さんの救済になると思うのですね。単に外交上もう解決をしているというだけでは済まない問題がそこにあると思うのです。大臣、この点は私と気持ちが一致するのじゃないでしょうか。
○橋本国務大臣 公式なお答えをすることになりますと、私も大変日本語の選択に苦労いたします。ただ、韓国と限定せずに一般論で申しまして、かつて広島あるいは長崎に居住をされた日本国籍以外の方々で、それぞれの母国に帰られて、その地域において原爆関係に対しての医療に不自由をかこっておられる方々が多いということは事実でありまして、それなりに、私どもとしては受けとめていかなければならない課題だと考えております。
○森井委員 外交ルートに乗せれば一番いいのだろうと思うのですけれども、大臣の現状の認識からすれば私はそう変わらないと思うのでありまして、何とか韓国の被爆者の方々を救援したいというお気持ちには、どうも変わりがないように私は理解いたします。朝鮮民主主義人民共和国の問題についてはまた別の機会に私ども取り上げるといたしまして、当面外交ルートに乗せるためにはどういう方法があるのか、そういった点の研究をなさる御意思はありませんか。
○田中(明)政府委員 私どもが積極的に御質問のことについてどうこうするという立場にございませんですが、外務省におきまして韓国の方から協力の要請があった場合には、私どもとしては厚生省の立場からそれに協力いたしたいと考えております。
○森井委員 デリケートな問題がありますから多くは申し上げませんけれども、韓国人被爆者の皆さんを放置できないという点では、私はいろいろな方法があると思う。外交ルートに乗せる方法もありましょうし、あるいは、思いつきで恐縮でありますが、たとえば日赤等のルートに乗せる方法もありましょうし、あるいはそれぞれの国内の団体同士の交流ということもありましょうが、最終的には医師の養成、あるいは、日本にしょっちゅう渡航してくるということもできませんし、医療器具等はいまのところかなりおくれているのじゃないかと想像いたしますので、医療器具なり、病院等の医療施設なり、そういったものも最終的には——先ほどの御答弁によりますと二万を超しておると言われる、その被爆者の方々の健康、命にかかわる問題ですから、前向きにぜひ取り上げていただくように、これはあえてこれ以上申し上げませんけれども、私は強く要望しておきたいと思います。 そこで、予定された時間が若干余りましたので、最後に附帯決議の問題についてお伺いしたいのでありますが、去年の附帯決議の最後の項目です。「死没者に弔意をあらわすための具体的措置について、他との均衡を配慮しつつ検討すること。」こうなっておるわけですね。去年の附帯決議の一番最後に一項目入っておりますが、これは具体的な措置はどういうふうになさいましたか。
○田中(明)政府委員 従来から広島、長崎の両県において、それぞれ原爆投下の日に行われております死没者に対する慰霊祭に対しまして、厚生省といたしましても御協力申し上げるということで、予算的に合計大百万円の額を計上しております。
○森井委員 大臣、聞いてください。去年の附帯決議で、被爆者に弔意をあらわす具体的な措置について何をしたかと言いましたら、広島、長崎の祈念式典にお金を出しました、こういうことなんですが、これはこういう質問なんですよ。私は当時の小沢厚生大臣に、原子爆弾による死没者の遺族に対して弔慰金を支給するお考えはありませんか、こういう質問をしたのです。それを広島、長崎の祈念式典に——もちろんこれは悪いことじゃありません。結構なことではありますけれども、それはそれとして、私が質問したのは、いま申し上げましたように、死没者の遺族に対して弔慰金を支給するお考えはありませんかという質問をしたわけです。それに対して「現行の被爆者対策は、被爆者が放射能の影響によって疾病にかかりやすく、また治りにくいなど、特別の需要に対しまして各種手当の支給を行い、福祉の向上を図っておるところであります。御質問の件につきましては、」ここからが大事なんですが「御質問の件につきましては、死没者に弔意をあらわすための具体的措置について、他との均衡を考慮しつつ、これから検討いたしたい」、これが附帯決議になっているのですね。もとは、繰り返し申し上げますように、死没者の遺族に対して弔意をあらわす具体的な方法をとりなさいということなんです。祈念式典も考えようによっては死没者に弔意をあらわすことになるかもしれませんが、これは恐らく広島、長崎両主催者に交付金か補助金か何かで渡すわけでありましょうから、これはあさっての方向に向いているわけでして、附帯決議の趣旨と、それから私が質問した趣旨とも全く違っておるわけですよ。そこで「他との均衡を考慮し」というのがあるわけですね。私の理解では、これはそれぞれの場合を理解をしていくのでしょうが、他との均衡ということになると、広島、長崎にいま言われましたような祈念式典の金を出されたということは、他との均衡とは関係ないと思うのです。他との均衡とは弔慰金の話ですから、質問の要旨は弔慰金を出しなさいというあれですから。そうしますと、たとえば戦傷病者戦没者遺族等援護法、これはちゃんと弔慰金という制度があるわけです。これも他との均衡です。それからしばしば厚生省が指摘してきておられますように、一般戦災者の皆さん、これも他との均衡でしょう。これは両々相まって——時間の関係がありますから私はあえて申し上げませんけれども、少なくとも、広島、長崎の祈念式典に金を出されたことによって問題が解決したとはとうてい思えない。むしろ、事志と違っておるという感じがしてならないわけです。これはいかがですか。
○田中(明)政府委員 先ほど先生の最後のお言葉がぴんときて、具体的な措置ということで、短絡した回答を申し上げて申しわけございませんでした。 遺族に対する弔慰金の問題につきましては、先生ただいま御指摘のとおり、戦傷病者戦没者等の遺族に対する弔慰金との均衡の問題もあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、従来、一般戦災死亡者との均衡の問題を考えまして、原爆の被爆者の方々に対して弔慰金を差し上げるということは非常にむずかしいというふうに考えてきているわけでございまして、今回もそこまでは踏み切れなかったわけでございます。
○森井委員 この問題につきましても、専門家による委員会等で基本理念が明らかになればおのずと解決する問題だと思いますので、これで終わらせていただきます。 最後に、橋本厚生大臣、これ以降の原爆被爆者の援護対策について、大臣の決意のほどを承って、質問を終わりたいと思います。
○橋本国務大臣 基本的に、私どもは、いま社会保障制度審議会の御答申の趣旨を受けて、原爆被爆というものの位置づけからの検討を権威のある専門家の方々におゆだねをし、少なくとも基本的な部分については一年以内にぜひお答えをちょうだいいたしたいというお願いを申し上げるつもりでおります。そこから先、それを受けての問題になりますと、これはまだ多少時間のかかる問題もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、私どもからお願いをし責任を持った御検討を願うわけでありますから、そこからちょうだいをするお答えについては私どもとしては十分それを尊重し、具体化をするために積極的に努力をしてまいりたい、そのように考えております。
○森下委員長 次に、大原亨君。
○大原(亨)委員 森井委員からいろいろ質問がありましたのに対して政府の答弁があったわけです。ちょっと初めの部分は、交通事情で私、おくれてまいりましたから聞いていないのがありましたですが、大体は調査室から聞きました。そういうことで、重複を避けながら、重要な問題について、非常に重要な段階ですから質問いたしたいと思います。 私も社会保障制度審議会の委員であります。これは自民党からも出ておりますし公明党からも出ておる。ただしこれは、党を代表して出るというよりも、制度審議会は御承知のように学識経験者を中心とする専門家あるいは経験者の会ですので、三者構成ということではありませんから、あるいは党をストレートに代表するということではありませんから、十分に意見を述べて合意を得る、こういうことであります。その審議の結果といたしまして、御承知のような基本理念について権威のある研究機関を設けてそれを明確にして、それを守っていく、こういう建議がなされておるわけです。これはいままで、社会保障制度審議会が三、四回にわたって、基本理念を明確にしたらどうか、こういう議論をやったわけです。 問題は、大臣の最後の答弁にもありましたけれども、厚生大臣が、国民のだれが見ても、重要な問題について一定の方向を出すにふさわしい、言うなれば国民の良識でだれでも納得できる、こういうような人を委員として出していただきたいということが一つあるわけです。それからもう一つの問題は、委員の選任の問題以外に、これは私的な諮問機関ではありますが、内容的に権威があるということだと思います。それで、厚生大臣はどういう問題について諮問をされるかという問題が一つあります。 私は、この問題について、いままでの経過を振り返りながらずばりと質問をいたすのですが、われわれは国会で昭和三十二年以来ずっと審議をしてきまして、その間、医療法をつくって、特別措置法をつくってまいりました。これは内容的には、いままでしばしば議論されているように、当初に比較いたしましたらかなり前進はしておるわけです。ですからこの二法は、いま森井委員の方で個別的な議論がありましたように、これを整備いたしまして若干再構築するという点もあるわけですが、内容的にはかなり進んできた。だから、この時点で基本理念を明確にして、そして体系的に整備をするということが必要である。これは言うなれば、われわれは三十数万の人柱の上に世界平和を構築しようということで、唯一の被爆国ということは、しばしば政府も対外的にも言ってきたわけです。ですから被爆者援護法、救済法に対する基本理念を明確にして、再び繰り返さない、こういう高い次元から一つの方向を出すべきではないかという議論が専門家の間、学者等の間でもあったわけです。ですからその専門家の委員会に付議される問題は、委員の選任の重要性と一緒に、やはりそういう上に立って基本理念を明確にするという問題点について重要な意見の具申を受ける、こういうことだと思うのです。内容的には、いままでの経過その他がずっとあって問題点はある。重要な問題点で、たとえば国家補償という立場を明確にした場合にはどうなるということが内容的にあるけれども、こういう問題点の余り専門的なことは、やはり政府当局なり国会等の議論を踏まえて整理をしていく問題ではないか。こういう点について、大臣のこの権威のある委員会という考え方の中における、その点に触れての見解をお答えいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 大原さん御自身が制度審の委員でおられて、制度審から御承知のような答申が出てくる経緯は逐一御承知でありますから、その中身について申し上げることは差し控えますが、確かに基本的な理念を明らかにすると同時に、法体系についても検討を加えろという御意見を制度審から私どもはちょうだいをしたわけであります。ですから、先ほど森井さんにもお答えを申し上げましたように、この機関というものについては、国民的なコンセンサスの得られるような立場から、広く自然科学あるいは社会科学あるいは司法あるいは報道、各分野から権威のある方々にお入りいただいて作業願うわけでありますが、その基本理念を明らかにするという中には、当然原爆というものが戦時国際法上どのような位置づけをされるべきものかというようなことも入りましょうし、それを受けて、日本の国内法の体系の上から言って国家補償の体系になすべきものか、さもなければ、現在のような一般的社会保障の中において、それだけでは対応し切れない特殊な状態に着目をした立法体系でいいのか、こうしたことの基本的な問題を明らかにしていただくことが最大の課題であろうとは思います。ですから、その部分については、私は冒頭に、一年以内にぜひお答えをいただきたいとお願いを申し上げるつもりでありますが、それだけで役割りが終わりだというものではないと私は思います。そしてまた、委員の方々にお願いをする以上、細かい問題はこちらでやるのだからとか、こういう問題はこちらでやるのだから、あなた方はそれだけやってくれればいいんだ、というようなお願いの仕方は私どもはできません。御議論の中においてその中から出てくる、その方向づけが定まった段階において、おのずから出てくるであろう問題について御検討願うことが至当であろうと私は思っております。
○大原(亨)委員 手当の年金化とか、遺族に対して国としての弔意を表するとかいうふうな基本的な部分があるわけです。これは内容的にはかなり議論は進んでおるし、それから戦傷病者戦没者遺族等援護法をそのまま引き写しするわけにはいかぬわけですから、そういう点で、やはり、いま大臣が指摘された基本理念を明確にするならば、おのずからこういう問題はこうあるべきだということは一われわれは国会で国民の立場で要求して議論するのですが、これは与党の皆さんもいろいろ努力したわけですね。ですから、内容的にはかなり進んでいるのです。進んでいるのですが、基本理念が明確ではないではないかということを制度審議会は数回にわたって指摘をしているわけです。それをやることによって、被爆者の立場、心情、そういうもの等を含めて、日本の国の施策について内外にそういう理念を明確にするということが必要だ、こういう観点が流れておると私は思う。それで、これは良識のあるそういうそれぞれの道の専門家に議論をしていただくにふさわしい問題であって、これについて国会は、あるいは政府も尊重してやるということは当然である、こういうふうに考えるわけです。私と大臣の考えの相違はそれほどないと思いますが、念のためにもう一度お答えいただきたい。
○橋本国務大臣 ですから、基本的な理念の御検討を願うことが、可及的速やかに御検討を願いたい最大の課題であることは間違いがございません。ただ、それだけに限定するわけにはまいらないと私は思います。
○大原(亨)委員 それは、権威のある委員の人に枠をかけるようなことは、大臣は余り権威ないからやってはいかぬが、権威を尊重するという意味においてそういうことは十分良識で考えられる、こういうことだと思います。 もう一つは、この問題は各界の皆さんみんなかなり意見を持っておられると私は思うのです。それから材料もあると思うのです。そこで、時期の問題について議論があった、可及的速やかに、一年以内をめどに、こういうお答えがあったというふうに私は理解しております。それで、私はいままでの経過から見て、たとえば年内にということを言うとちょっとどうかといって、大臣も頭をひねって答えたように見えるけれども、たとえば年内にやるということは、いままでの予算の編成や新しい年度の方針を立てる上から言うと一つの目安である。私は、この審議に当たって、そのことを希望として強く出しておきたいと思うのです。 〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕 それで、できるだけ速やかにということを含めて、可及的速やかにという内容の中に、私の希望について理解を大臣自体がしておいてもらいたい。この点についてお答えをいただきます。
○橋本国務大臣 お気持ちは理解ができますが、なかなかそう簡単にはいかないこともあろうかと私は思います。というのは、すでにもう五月が来ようとしておるわけでありまして、これから、衆議院の御審議が終わりまして、参議院の御審議の中でまた参議院の御意見も伺い、そして人選を進め、スタートをさせる、そういう手順を考えてまいりますと、本当に年内にというような枠をはめて御審議を願えるかどうか、これはなかなか大変なことだろうと私は思います。そういう御希望があることは委員の方々にもお伝えをいたしますが、一年以内というぐらいが限度ではなかろうか、基本的な部分と申しましてもそれぐらいが限度ではないだろうか、私はそのように思います。
○大原(亨)委員 大臣から、できます委員会に、国会の議論としてそういう議論があった、こういうことについてお伝えいただくということですから、それ以上は言いません。 そこで、国会がいままで議論してきた問題でありますから、限られた時間の中ですが、私は、重要な点について、国会自体が議論してきた中身を集約的に質問をいたしていきたいと思います。 第一の問題は、国家補償の理念ということについては、これは野党が全部一致して野党の案をつくって出してきたわけです。そして、与党の中にもこのことを真っ向から否定する人はいないわけです。ただし、いろいろな政策論議の中でこの問題はネグレクトされてきたという経過があるわけです。それから、橋本大臣は普通の大臣とちょっと違って、社会労働委員会で議論はかなり聞いておられるはずです。しかし委員というのは、座ったらすぐ出るとかして、まとまって聞くということはないが、大臣はちゃんとそこへ座っておられるのだから、簡単に、いままでの経過で重要なポイントだけを質問いたします。 私が振り返ってみて、これは裁判なんかもこの議事録を活用されているわけですが、昭和三十四年の十一月十九日の社会労働委員会で、藤山外務大臣ほか条約局長の出席を求めまして、国際法上の、戦時国際法における原爆投下の問題について議論をいたしました。外務省からきょうは出席をしてもらっているのですが、これは議事録を精査していただいておるはずです。 そこで、これは簡単なんですが、いろいろな経過でいままでのような政府の間で議論をいたしまして、藤山外務大臣は一定の区切りの答弁といたしまして「国際法の精神には違反しているように思われます。」こう答弁したわけです。これはヘーグの陸戦法規から、つまり大量殺戮兵器の禁止とか、毒または毒を施した兵器を使用することを禁止した問題や、あるいは毒ガスや化学兵器以上の兵器であるということを承認した上での答弁であります。ただしこれは、その前には実定法として国際法で禁止した条約がない、こういうことの議論もあって、集約的に「国際法の精神には違反しているように思われます。」こういうふうに明確に答弁をされました。 これはいまでも外務省は、政府の原爆投下に対する国際法での議論といたしましては、異論はありませんか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 ただいま大原先生から仰せになりましたように、この問題につきましての議論の過程で、藤山外務大臣よりそのように答弁いたしております。先生の仰せになりましたように、当時の交戦法規の解釈といたしまして、実定国際法上、原爆投下が国際法の違反であったということに明言はいたしかねるけれども、国際法というものは本来、特に交戦法規におきましては人道主義というものを基本理念にすべきである、そういう精神から申せば、それに違反するものであろうと考えるというふうに大臣も答弁いたしておるわけでございまして、私どもも、現在におきましてもそのように考えております。 ただ、現在におきましてもまだ実定法上、明確に禁止する国際実定法ができておりませんので、何とかそのような立法については努力してまいりたい、このように考えております。
○大原(亨)委員 念のために議事録に残しておきたいのですが、昭和二十年八月の十日に、十五日の直前ですね、八月六日、九日の原爆投下の後ですね、日本の政府は、新型爆弾に対しまして、政府として正式に抗議をした抗議声明があります。この中には私が指摘をしたようなことが明確に書いてありまして、これは「鬼畜米英」と言っておったときですから当然でありますが「新奇にして、かつ従来のいかなる兵器、投射物にも比し得ざる無差別性惨虐性を有する本件爆弾を使用せるは人類文化に対する新たなる罪悪なり、帝国政府はここに自らの名において、かつまた全人類および文明の名において米国政府を糾弾すると共に即時かかる非人道的兵器の使用を放棄すべきことを厳重に要求す」こういう抗議声明を日本の政府は出しておる。これは外務省、承知しておりますか。
○山田(中)政府委員 先生仰せのとおり、当時、スイスの代表を通じまして米国へ抗議をする手続をとっております。日にちは先生おっしゃいましたように昭和二十年八月十日でございます。
○大原(亨)委員 だから、その国益を代表して、戦時国際法にのっとって日本の政府がきちっと意思表示をしたことがあるわけです。 そこで、いろいろ敗戦、占領という時代があったわけですが、そこで藤山外務大臣の答弁を引き継ぎまして、御承知のように、サンフランシスコ平和条約で戦争損害に対する対米請求は一切放棄する。そこで、放棄をした日本政府は、やはり人道の名において、これに対して補償するということが当然ではないかということについては、藤山外務大臣は、国務大臣として政治的にはその御意見については十分了承し得るところであって、その点は賛成である、こういう答弁をいたしております。これはいまの政府の、外務省の国際法の精神に基づく見解としても、違いはありませんか。
○山田(中)政府委員 先生仰せのように、サンフランシスコ平和条約におきまして、戦争から生じました請求権の放棄をいたしております。ただ、先ほどもお答え申し上げましたように、原爆投下というものが国際法の精神には違反するというふうには考えておりますが、実定法上の明確な違反であったかどうかということにつきましては断言いたしかねるというのが政府の立場でございますので、その放棄いたしました請求権の中にそれがあったということも断言できない立場でございます。ただ藤山外務大臣が答弁いたしましたことは、先生もおっしゃいましたように国務大臣として、政治家として日本国内の問題としての御答弁であった、このように理解いたします。
○大原(亨)委員 そういうことは当時の議論で明確であります。これは国家補償の精神による新しい立法理念といたしましては、その後の判決等を含めまして十分参考にし得る問題である、こういうふうに思います。 それから第二の問題は、いままで私も議論してきまして、あるいは野党の立法趣旨の提案説明にもございますけれども、戦傷病者戦没者遺族等援護法の制定のときに、言うなれば、国との雇用とか権力関係について線引きをいたしました。それで順次これを拡大いたしまして、準軍属から、準軍属の範囲におきましても警防団、医療従事者等を、私も議論いたしまして拡大してまいりました。これは防空法関係にも及んだわけです。防空法関係は線引きをしてネグレクトしておったのですが、防空監視員以外も、警防団、医療従事者をやったわけです。これは四十九年から実施をされておると思います。 そこで、私が指摘をしておるのは、その援護法の中の一項にある、二十年三月二十三日の国民義勇隊に関する件の閣議決定というのがありますね。私が指摘をいたしましたのは、この閣議決定は、そういう特別関係論の政府の立場に立っても、これはずっと四月から、東京空襲から沖繩の陥落、それから制空権を渡したという状況から、順次ずっと、六月二十二日、三日の臨時国会に至るまで情勢が緊迫いたしておりましたから、それで「国民義勇戦闘隊ニ関スル件」などというふうな閣議決定が順次ありまして、義勇隊は編制いたしましたら直ちに戦闘隊に移行するのだ、こういう制空権下の本土決戦の体制ができて、そして私が指摘をして、これは従来の経過があるからということで、政府は、これを一部認めながらも、全面的に認めておりません。 これはここにもありますが、全部ゼロックスでとってみましたが、もう一回この出したものを読んでみました。 昭和二十年六月の第八十七帝国議会で、これは亡くなった保利茂さんも議員の中に入っております。その衆議院の議事録が全部ここにあるわけです。これを見ますと、義勇兵役についての法律は簡潔な法律であって、九条までしかないわけです。ないのですが、総動員法と兵役法とそして今度は国民義勇兵役法をあわせまして、ちょっと男女について年齢のチェックはありますけれども、しかし家族と一緒ですから、いわば全部の国民です。それに対しまして国民義勇兵役に関する義務を法律で課しまして、これは空襲下の議事録にこういうふうに生々しく載っております。那須という兵務局長、これなんかも出席をして答弁しております。大臣のお父さんはまだそのころはいなかったから出ていませんが、昭和二十年のときだ。それで、その義勇兵役法は罰則もつけてきちっとやって、勅令や政令もやりまして、即日公布する全部の段取りができて、義勇兵役法とは何かということで議論しております。 それによると、簡単に言うと、戦傷病者戦没者遺族等援護法の中の一項目にある三月二十三日の国民義勇隊組織に関する件、これは一部準軍属で適用しているわけです。それがずっと六月に至るまでいろいろな閣議決定をどんどん進めてきたわけですが、これは陸軍と海軍とそれから内務大臣との権限争い等があって、亡くなった迫水官房長官から私はそのことについて聞きましたが、それで、それらを全部おっかぶせて、九カ条の国民義勇兵役法をやって、罰則もつけたわけです。ですから、それを背景にいたしましていろいろな動員が各ルートを通じてなされているわけです。ですから、義勇兵役法は施行までの全部の手続は終わったけれども、実際に施行したかどうかわからぬというのがいままでの政府の答弁でありましたし、唯一の逃れの道でもありました。しかし、これは当時の情勢から言うならば、特に原爆が投下された段階におきましては、すべての国民に対して、軍をトップといたしまして内務大臣その他、市町村、県知事等を総動員いたしまして、動員体制ができておったことは間違いないわけです。これは議論いたしません。 そういう特別権力関係から言っても、この国家補償の問題については、ある程度国民の良識で納得できるような、そういう立法を進めていく必要がある。これはもう万全な形で、軍人であったとか公務員であったという議論ではなしに、そういう全体の議論の中においては特にそうです、それで、特に準軍属などは軍属と同じように処遇したわけです。これは権力関係は薄かったのです。薄かったけれどもそうしたのは、準軍属という立場からしかも国に協力したということは、むしろ法律的に権限があって保護されておるという方以上の状況で、いわば無保護の状況で、たとえば災害を受けるとどうだ、あるいは遺族に対してどうだ、そういう法の保護がない状況の中において動員をされたんだという観点からいくならば、これは実質的には最も大きな戦争の犠牲者である、総動員体制のもとにおける犠牲者であるということが言い得ると思うわけです。その議論は蒸し返す意思はありませんが、そういう議論の内容について大臣は理解をされておると私は思います。これはノーとかイエスとかいう問題ではなしに、私がかいつまんで申し上げたこういう議論について、理解をいただいているかどうかという点の御答弁をいただきます。
○橋本国務大臣 いま大原委員がお話しになりました問題点、従来当委員会で私も委員の一人として拝聴し、そしてその中で、確かに広島において国民義勇隊というものが設置をされて、ある程度実際の指揮命令のもとにおける活動というものがあったということから、軍との特別の権力関係があるというみなしをし、援護法の中に含めたという経緯があったことは私も存じておりますし、また、その過程の御議論等においても首肯し得るものが多かった、そのように記憶をいたしております。
○大原(亨)委員 第三の問題は、基本理念の中で私は議事録にとどめて委員会においても議論してもらいたいと思う点は、やはり戦争を開始をし戦争を終結するのは国がやったわけですね。その中で原爆の被害が起きたわけです。そして実際には、申し上げましたように三十万の被爆者がなお今日、はかり知れない放射能の後遺症を含めて、生きながら苦しんでおる、あるいは不安を持って生活をしておられるわけです。ですから、日本の政府は、そういう人柱の上に世界の平和というものがあるんだという立場をとって当然のことであるし、園田外務大臣も去年などはしばしば演説をしておられました。本当に理解をしているかどうかということになると私も若干の疑義がありますけれども、それはちゃんと日本はやっておるわけです。つまり一つの平和の担保といいますか裏づけになっているわけですから、これは一般戦災者との共通点はもちろんあるのですが、しかし、第一項で述べた国際法違反というのは、これは政府が指摘したようにかつてない非人道的な兵器ということですから、非人道性と国際法違反という問題は一体。それから総動員体制のもとにあったことも、国家権力論から言ってもこの問題は真っ正面から否定する何の理由もない。もう一つは、政治的に三十余万の犠牲者、この人柱の上に世界の平和があるんだということであります。 私も数年前に東ドイツの領域のポツダムに行きましたが、あそこであの当時首脳会談をやって戦後の処理問題をやったときに、アメリカ大統領のトルーマンは、ある家で、アメリカが原爆の実験を成功させた、広島や長崎へ落とす、こういうことについてどうかという問題について、やるべしというボタンを押した、指令を出したというところを聞きましたが、そこにはソビエトからスターリンが出席をしている、イギリスではチャーチルにかわってアトリー労働党の党首が出た、こういうところであります。そのときに、実験が成功したということは、これは戦後の経営においての、ソビエトとの関係、その冷戦状況を予想いたしましたなにがあるわけです。したがって、そういうところでヘゲモニーをとるために、アメリカは一つの決断をした。もちろん日本の軍国主義、日本の軍部のいろいろなヤルタ協定以来の経過があることは御承知のとおりです。秘密協定も連合国はやっておったわけですから、虚々実々の作戦の中で原爆投下があったわけです。しかし結果としては、三十数万の人柱というものが世界平和の言うなれば一つの支えになっておることは、私は間違いないと思うわけです。 核時代における戦争と平和の問題と国家利益の問題をめぐりまして、今日いろいろな複雑な情勢が展開しておりますが、そういう中で、唯一の被爆国である日本が原爆に対する理念、そういうものを明確にする上からも、第三点として、世界平和の人柱、言うなれば日本外交においてはこれが一つの担保となって駆け引きがなされたこともあるわけですから、言うと言わないとにかかわらずあるのですから、そういうことから言っても、国といたしましては、被爆者に対しては、これから原爆は、人類生存のために、人類が生き抜くためには禁止しなければならぬという裏づけといたしましても、被爆者援護法の理念を国家補償によって明確にすべきであるという、政治的な論点からの指摘をいたしておきまして、その点について政治家として、国務大臣としての御答弁をいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 ですから、そういう御意見を踏まえて、従来の政府の方針とは大きく異なるわけでありますけれども、基本理念からの確定をいたしたいということで、今度、私の方は、その専門家による権威のある組織による御検討をお願いするわけでありまして、それをもって御理解をいただきたいと思います。
○大原(亨)委員 それでは、次の質問に移ります。 そこで、放射能の後遺症、これは原爆の傷害作用に起因するということで、認定制度として確立されてきたわけであります。最初からこれが問題であったわけです。その問題点については、先般来原爆小頭症のお母さんの畠中さんの問題等を通じまして議論してきたのですが、ここで二、三の点について、集約的な問題点と前向きの政策について議論を若干していきたいと思います。 そこで、認定申請に対する認定の比率の資料を私が要求をいたしまして出ておるわけですが、この資料によりますと、認定申請件数と認定件数と認定率というものに分けて整理をしてもらったわけですが、申請に対する認定率が、昭和三十二年−四十七年は八八%、それから昭和五十二年度が四二%、五十三年度は二五%、こういうように申請に対する認定率が減っておるのです。これはなぜかということです。実際に審査に当たった専門家、事務局を担当しておる審議会の技官もおられるはずですけれども、局長が全部答弁する必要もないし、事実が明らかになればいいのですが、なぜ減ったのか、こういうことです。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり認定率は逐年下降の傾向をたどっているわけでございますが、昭和三十二年から四十七年度にかけましては八八%ということでございましたが、その後五〇%台から三〇%台に落ち込んでいるわけでございます。私ども考えますに、制度ができた当初におきましては、認定を申請される患者の方々につきまして、医学的な専門的な見地から審査いたしまして、明らかに原爆に起因する疾病であるというふうに認定される疾病が非常に多かったわけでございます。しかし、最近申請が出てまいりますケースにつきましては、原爆に起因する疾病であるかどうかということを医学的に検討をいたしました場合に、原爆に起因されるというふうに認定されるに足るいろいろな資料がそろわない、逆に申しますと、原爆等に起因するというふうには考えられないというようなケースが非常にふえてきている、そういう事実を反映して認定率が下がっているものであるというふうに考えております。
○大原(亨)委員 それは一面です。しかし実際には、被爆者なりこれを診断した医師が申請する際において、時間がたてばたつに従って立証するのがむずかしいということが一つあると思うのです。それともう一つは、この制度自体に欠陥があるのではないか。こういう点についてはいままで二回にわたって議論をいたしました。そこで畠中さんの例のように、去年の十二月に認定されて、そして認定書が来たのが亡くなってから後の一月初めである、こういうふうな事態が出ている。そうすると、認定制度の実際上の趣旨、この中心となっている趣旨が生かされていないではないかということであります。その点の改善が必要である。こういうことでございまして、先般来の議論では、この問題について一定の考え方で、政府は審議会に問題を提起されておると思います。その経過等についてお答えをいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 御指摘の点につきましては、従来私どもは、疾病の認定に当たっては、疾病の種類、患者さんの年齢等の状況のほかに、被曝線量の多寡ということにつきましても十分考慮を払って、認定審査を行ってまいったところでございますが、最近被爆者の高齢化というようなこともございまして、従来にも増して認定を急がなければならないというような、いろいろな要素も考えられるわけでございますので、先生が先般御指摘いただいた点につきましては、原爆医療審議会に私どもの方から御検討をお願いしているところでございます。現在、審議会におきましてこの問題について検討していただいているわけでございますので、できるだけ早く審議会の御意向をいただきまして、私どもとして善処してまいりたいと考えております。 また、この認定を速やかにするということの一つの要素といたしましては、従来とも努力してまいりましたけれども、いわゆる認定の事務につきましてできるだけ速やかに行っていくということがあるわけでございまして、この点につきましては引き続き、われわれといたしまして努力してまいりたいと存じております。
○大原(亨)委員 これは順序不同ですが、たとえば認定をする手続の最後の段階ですが、医療審議会に諮るわけですね。医療審議会は二カ月に一回しかないわけです。したがって、その間に起きた問題や、以前からの経過の問題で決着がついていない問題等について時期を失するという例が、畠中さんの例でわかるわけです。そこで、審議会の運営について皆さんに御議論いただいて、小委員会等を設けて、問題点については一定の授権をされた範囲内において適時適切に処理する、こういうことをもう少し組織的にやるべきではないかという議論があるわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
○田中(明)政府委員 原爆医療審議会の委員の構成につきましては、御案内のとおり、全国の権威ある専門家の方々によって審議が慎重かつ当を得てなされるように図られているわけでございまして、非常にお忙しい方々が全国に散らばっておられるわけでございまして、回数をふやすということはなかなか困難な面が多いわけでございますが、先生御指摘のとおり、専門委員会というようなものを設けて便宜を図って促進を図るというような点につきましても、審議会の方で御検討いただいておるわけでございます。
○大原(亨)委員 これは質問を続けていく前の前提で、いままでも議論したことがあるのですが、直接放射能、初期放射能と残留放射能が御承知のとおりあるわけです。それで、認定の場合に少なくとも明確であるのは、初期放射能は被爆地で明確なわけです。残留放射能については、その位置を考えながら、またその人が従事をした仕事等も念頭に置かなければならないわけで、たとえば、いまのこの被爆者の基準は、死没者を十人扱ったらその人は線量をたくさん受けたとして、被爆手帳をもらうわけですね。そういう残留放射能の問題もあるわけです。その前提となる初期放射能と残留放射能の障害を与えるウエート、それはどういう比率になりますか。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、初期の直接被爆放射能につきましては、被爆地からの距離をもって測定されるわけでございます。もちろん、この場合に何か被爆者を遮蔽するようなものがあったかなかったかというようなことによって、当然距離だけでは判断できないわけでございますが、一応そういう途中の障害物がないとした場合の被曝量については、距離によって被曝量が推定されるわけでございます。しかし、残留放射能につきましては、これは先生もただいま御指摘のとおり、被曝量の判定というのは非常に困難でございまして、当該者が被爆後どういう物件にどのぐらいの時間近寄っていたかというようなことによって決まってくるわけでございますけれども、その近づいた物件がどのぐらいの残留放射能を持っていたかということは個々の物件によって違うわけでございますし、またそれに近づいた時間というのは個々のケースによって違うわけでございますので、これは一般的な法則をもって論ぜられないわけでございまして、したがいまして、直接放射能のようにはっきりと被曝放射線を推定するということは困難であると考えております。
○大原(亨)委員 広島市と長崎市が、学者の答申を受けて昨年の国連に出しました資料は、学者の調査研究の言うなれば集約として、かなり権威があるというふうに言われているのですが、その中に「残留放射線」というところに「爆発一分以後から長時間にわたって、広島と長崎の地上には残留放射能が存在した。それは、初期放射線のなかの中性子が土壌や建築物資材などに衝突し、原子核反応の結果二次的につくりだした誘導放射能(ガンマー線とベーター線を放射)、核分裂生成物の放射能(ガンマー線とベ−ター線を放射)および未分裂核爆発物質の放射能(ガンマー線とアルファー線を放射)によるものであった。これらによる被害の程度は、各人の行動条件に強く左右されるので、一般的表現はかなり困難であるが、大体の傾向として次のように要約することができる。」ここですが、「広島で爆心地から約一キロメートル以内を、長崎で約〇・八キロメートル以内を爆発後約百時間以内に行動した者は、誘導放射能のガンマー線を体外から受けて、かなりの障害が与えられた。それは爆心地に近い場所に長時間滞在したほど大きく、考えうる最高値は広島で約百ラド、長崎で約五十ラドであった。」つまり長崎の原爆は、これは地域問題で議論になるんですが、初期放射能では広島よりもひどかった。しかし、残留放射能では広島の方がひどかった。残留放射能は非常にむずかしい。むずかしいけれども、こういうことがこういう地域、時間において推定し得るんだ、こういうことであります。これは一年間の職業人や一般人の放射能の許容量からいたしまして、非常に大きな問題であります。「爆発直後に広島の“黒い雨”が降った地域(北部から西部)および長崎の東部地域では、遠隔地まで強い残留放射能が認められ、特に核分裂生成物の放射能によるガンマー線の体外照射によって、相当の被害を受けた。考えうるその残留放射線量の最高値は広島で約四十ラド、長崎で約百五十ラドであった。」こういうふうにあります。影響力は、直接放射能を五としますと残留放射能は十五、こういうふうに言われております。現在、死んだり生きておる被爆者に対する影響力はそういうふうに言われておる。それから熱線、爆風というのは、エネルギーをパーセンテージで出した資料がございますね。そうすると、直接放射能と残留放射能との影響を数字化しますと、いま申し上げたような数字がございます。 そこで、認定の際に留意すべき点は、初期放射能についてはわかるわけです。直接被爆地、どこでやったかということはわかっておる。残留放射能については地点や時間がなかなかわからない。だから今度は、症病を中心としてその大体の様子とか背景を、バックグラウンドを考えながら認定していく、こういうことになると思いますね。それはやむを得ない。その二つの方法があるというふうに思います。これは十分審議会において審議をして、結論を出して、改善をしてもらいたいというふうに思うわけです。これは地域問題にも関係をしてくるので、この質問をやっておりますといろんなことに関連してきますから、後で時間があれば、質問通告にございませんが申し上げることにいたします。 それで、一つの問題として、去年私がここで質問いたしました際に、乳がんとか唾液腺がんなどは認定の中に入れるべきではないかという議論をいたしましたが、どうなっているか。これが一つ。それからもう一つは、認定疾病、その人が放射能を浴びていて、傷害と疾病との因果関係を認定するんですが、認定するときにどういう疾病を認定するのかということについて、患者の側も医療機関もよくわかっていないのじゃないか。この認定疾病を公表をして、いままで審議会で審議をした経過をよくわかるようにして発表してはどうか。この二つの問題、いかがですか。
○田中(明)政府委員 原爆に起因する疾病であるかどうかの認定につきましては、先ほど申し上げましたとおり、被曝量あるいは疾病の種類あるいは患者の年齢等を考慮いたしまして、個々のケースについて専門家が判定しているわけでございますが、先生御指摘の乳がんそれから唾液腺がんにつきましては、五十三年度におきまして乳がんで認定されました患者が三名出ております。 どういうような疾病が認定されるのかということにつきましては、一般的に申しますと、悪性新生物あるいは造血機能の障害、肝機能の障害、甲状腺機能の障害あるいは原爆白内障あるいは外傷性の疾患というようなことでございますが、さらに細かく申しますと、いろいろのがんの種類に分かれてくるわけでございます。 〔越智(伊)委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 ただ、冒頭に申しましたように、疾病の種類だけによって認定、非認定が決まるわけでございませんので、どういうような病気が認定されているかということにつきましては、私どもすでに、この認定の業務を行ってまいりましてから数多くの事例が蓄積されておりますので、それを整理いたしまして、一概にこういう疾病、あるいは爆心地から何キロ以内ということは言えないわけでございますけれども、認定されました例につきまして、こういう例が認定されているというようなことを系統的に整理して、認定の申請をなさる方の便に供したいというふうに、現在前向きに検討しておるところでございます。
○大原(亨)委員 その点はぜひやってもらいたい。それは健康管理手当についても言えることなんですけれどもね、関連疾病の場合にも。たとえば循環器障害とかいろいろある、被爆者の人も何かわからないと言う、専門家のお医者さんでも聞いてみるとわからぬと言う、そういう関連疾病の場合も、非常に包括的な医学的な病名ですから、だからそういう点はどういうことかということを、被爆者にもわかるように、親切な解説なりガイドブック等をつくって、ある程度やってあげるべきだ。可能なものについては、特に認定についてはやるということですから、このことはそういう希望だけを付しておきます。 それから、傷害作用に起因するという医学的な因果関係、局長は専門家だがもうほとんど知識はなくなっていると思うのだけれども、しかし開拓の余地はあるから言うのだが、傷害作用に起因するという因果関係について、医学者や科学者は研究をしましても、それを定説になるようなところに発表したり、努力をしたりして、まとめるということがないから、因果関係に対する究明というものが進んでいないじゃないか。私はこの間、アメリカのスリーマイルアイランドの事故を見て、アメリカはかなり広島、長崎のABCC等で研究しておきまして、大あわてにあわてておったけれども一応のデータを持って処置をしておったというように、その点は思います。しかし、因果関係についての究明が、日本には医学的なたくさんの経験者があるのだけれども、臨床医が発表しましても余り権威がないというふうに言われるし、医療審議会がありますけれども、あるいは後遺症研究会を政府は設けておりますが、その発表は妥当だと思うのです、思うのですが、因果関係の医学的、科学的究明についてこれは余り進んでいないのじゃないか、こういう印象を私は持ちますが、どうですか。
○田中(明)政府委員 先生は余り進んでないという御印象をお持ちになっておられるわけでございますけれども、これは余り進んでいないというのか少しは進んでいるというのか、まあ遅々ではございましょうが着実に、因果関係が認められたというような疾病も放射線影響研究所の調査等でふえてまいっておるわけでございますし、また私ども、先生がいまちょっと御指摘になったようなことに関連するかと思いますけれども、認定部会におきまして審査いたしましたケースにつきまして、従来その資料の整理がよくいっていなかったわけですが、これにつきましても今後は資料の整理をきっちりいたしまして、その中から統計的な整理によりまして、何か学問的に因果関係が見つかるような研究も進めてまいりたいというふうに考えております。 何分にも原爆と因果関係のある疾病というのは非常に例数の少ないものが多うございまして、また、原爆と関係なくても起こるような疾病であるわけでございますので、原爆との特定な因果関係を証明するためには、非常に多くのケースを集めまして厳密な検討をいたしませんと、原爆との因果関係が証明できないという面がございますので、非常に時間がかかるわけでございますけれども、そういう意味におきまして、現在着実にこの面の研究は進んでいると私どもは思っております。
○大原(亨)委員 かなり研究は進んでいるけれども、これは完全に集約してまとめて、実際に認定制度等に活用されているという面から言うなれば、なお努力中である、こういう意味に解釈できる答弁です。 私は、いままでの経過から言うなれば、ABCCが広島、長崎にありまして、今度放影研に変わって日米共同体制ができたわけですが、これは疫学的あるいは統計的な研究でしょう。私は専門家ではないがそうでしょう。それから、その途中で、日本自体でもつくらなければおかしいじゃないかということで、広島大学と長崎大学には原医研ができております。科学技術庁には経過的に問題はあったが放医研ができておる。薗田博士が所長であるかと思いますができておると思うのですが、そういう研究機関とか、あるいは日赤の原爆病院とか、長崎の原爆病院等の組織的な交流やデータの整理というものはできていないのではないか、あるいはその予算が足りないのではないか。今度の予算の中にそういうものを対象とする予算がありますか。
○田中(明)政府委員 御指摘の点につきましては、関係する研究所等の横の連絡を密にするようにいろいろ努力してまいっているわけでございますけれども、本年度の予算の中に特にそのための項目として計上しているものはございません。
○大原(亨)委員 それは、実際に被爆者対策をやっている公衆衛生局が、この予算はそれぞれ調査研究費が若干あるわけですから、放影研の予算としてもやるべきじゃないですか。この点は特に希望しておきます。よろしいですね。 そこで、特別手当と生活保護の関係ですが、特別手当は御承知のように実費弁償的な、認定患者の医療に伴う経費をやっていると思うのですね。実費弁償的なものです。生活保護は生活保障であるということで、生活保護の認定から外すべしということがしばしば議論になっているのですが、この問題については進歩いたしておりませんね。いかがですか。
○山内説明員 従来の国会での御審議の経過を十分踏まえた上でお答えするわけでありますが、御存じのように、現在、被爆された方で生活保護を受けていらっしゃる世帯の場合に、確かに特別手当については、全部が全部認定から外れるわけではございませんが、医療手当なり健康管理手当を受けていらっしゃる方の場合は、その全額を収入から外すという前提をとっておるわけでございます。ただ、特別手当につきましては、従来から、その額がかなりになるということ、やはりそれ自身に、先生のおっしゃる基本的な色合いの違いはあるにしましても、所得保障、生活保障として重複する部分が十分ありますものですから、生活保護制度の中で放射線による障害者加算という形で、おっしゃるように一定の額を手元に残るような仕組みをとっているわけでございます。 この問題は二つの問題がございまして、ほかの老齢加算なり障害者加算、母子加算等の中では、一番高い加算がすでに設定されておるということをひとつお考えいただきたいことと、もう一つは、健康管理手当だけをお受けになる方の場合、もちろん生活の実態が違うわけでございますが、その方は従来放射線障害者加算と同額ぐらいの収入が認定外になる。ですから、これをもちろん改善の方向で私どもいま事務的な検討をしておりますが、直ちに特別手当の手元に残る額を大幅に改善するということは、健康管理手当だけをお受けになる方とのバランスがどうなるかという問題もあるわけでございます。 ただ、いままでの国会での御審議、十分踏まえておりまして、なお、放射線障害加算の拡充拡大については十分検討してまいりたいと考えております。
○大原(亨)委員 これも社会保障か国家保障かという議論も一つあるのですが、特別手当というふうなものも、認定患者で原爆に起因するということで、白血病でも白内障に対しましても、非常な重度な人をやるわけですね。ですから、それに伴う、たとえば寝たきりの状況とか通院とか生活とかには非常な経費がかかるわけです。あるいは用心をしなければならない、そういう健康管理が必要なわけです。ですから、それは特別手当等の手当があるわけですから、生活保護というのは独自のミーンズテストをしているわけですから、政策の趣旨が違うわけです。生活保護は所得制限等をぴしっとして厳しくやっているわけですから、制度の趣旨が違うわけですから、これはそういう収入認定から外すということは、論理的にも実際的にも当然だと私は思うのです。この点は大臣、十分留意をして、後でこの問題の今後の処理をしてもらいたい。大臣の答弁をいただきたい。
○橋本国務大臣 今後十分注意をしてまいりたいと思います。
○大原(亨)委員 保健手当は非常に進んだ考え方の制度であるというふうに思います。これは御承知のように二キロ、二十五レムということを頭に置きながら、直接被爆者を対象にいたしました保健手当であります。これは放射能障害というものが、認定制度と一緒に、非常に深刻であるという認識の上に立った制度であります。 私は、読んでみまして、ああ当時からりっぱな人がおったと思いましたが、日赤の都築博士が言っておられるのですが「人体の細胞の中の核に放射線が作用するということが明らかになった。核の中の染色体だけに作用するという障害は他の細菌や毒薬になく、放射能だけのものだ。」こういうふうに書いて、ずっと放射能障害について言っておられるわけです。都築博士というりっぱな人がいて、いま亡くなられたと思うのですが……。 そこで保健手当について問題が残るのは、やはり一定の時間と一定の条件で残留放射能を直接放射能よりもたくさん受けたというふうに認定できる人を、私がさっき読み上げた文章がありますが、認定できる人を保健手当の支給の範囲で強化することは、行政事務上できないことなのかどうか。保健手当の改善の問題について、私がちょっと調べておりまして、問題として出しておきましたが、いかがでしょう。
○田中(明)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、残留放射能の被曝量につきましては、個々のケースにつきましていろいろの条件によって違うわけでございますので、爆心地から何キロというような一律な規定ができないわけでございまして、その点、残留放射能を受けた人に対して保健手当を支給するということには非常に事務的な困難性が伴うと存じますが、先ほどの先生のお話しですと、爆心地から一キロ以内に百時間というような長時間でございますがいた場合には、五十ラドから百ラドというような被曝量になるという専門家の見解もおありになるようでございますので、検討さしていただきたいと思います。
○大原(亨)委員 森井委員から被爆二世の問題について本格的な議論があったのですが、手順と健康診断の内容、ことし予算を使う内容ですね、これはどういうことでやるわけですか。
○田中(明)政府委員 被爆二世の健康診断につきましては、該当者のうち希望のある方につきまして健康診断を行いたいと考えているわけでございますが、その内容につきましては、これから専門家と相談いたしまして決めてまいりたいというふうに存じております。
○大原(亨)委員 医療費の給付に当たりまして、つまり、原因の解明には部分的にもまた全体的にもある程度議論なり意見は出ておると思うのですが、しかし、放射能障害の後遺症に対する治療方法は非常にむずかしいというふうに思われる。疾病の進行を停止させるあるいは疾病が致命傷に至らないようにする、こういうふうな治療方法しかないように一部に言われている。 そこで、そういう中で、私どもが、だんだん高齢化していく中で、被爆者の方から現地でよく聞くのですが、最近スモン病で、はり、きゅう、マッサージ等には一定の基準で医療費を交付するということをいたしました。いま日本の制度では、医師の承認のもとで、医師の枠の中でやっていくわけですが、非常に単価が安いとか、いろいろなことがあります。こういう人が一カ月間に何回かは自分で行けるというふうな制度にして、東洋医学のはり、きゅう、マーサージ等の総合的な、自然体といいますか、身体全体に対する治療方法、言うならば外科的なあるいは化学療法的な療法でない、東洋医学的な療法を取り入れてもらいたい、こういう希望を聞きます。これはいままで決議もしなかったことですが、局長は十分心にとめて、ひとつ前向きに研究してもらいたい。いかがですか。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
○田中(明)政府委員 実は、スモンの患者につきまして、はり、きゅう等の治療を行った場合に医療費を補助するという、新しい行政的な措置を導入したわけでございますが、これにつきましては、実は従来から、スモン病の研究班におきまして、電気ばり等がスモンに有効であると、これは全体的に一般的にまだ認められるに至っておりませんでしたが、そういうような研究業績もありましたので、一応暫定的にそういうふうに認めたということでございます。 ただ、被爆患者につきまして、はり、きゅう、マッサージ等の東洋医学の有効性ということにつきましては、残念ながらまだ全く解明されてない面が多いわけでございますので、これを、費用を負担する医療として認めるかどうかについては、私どもとしては現在のところは否定的であるわけでございます。
○大原(亨)委員 これはひとつ、検討課題にしておいてもらいたい。 それから被爆者の医療費は、本年度の予算で二百二十六億九千八百万円計上しているわけです。これは保険の残りの自己負担分が入っていると思いますが、認定患者については、これは根っこから全部出しているわけです。ただし、異動したりいろいろなことで健康保険に入りていない、しかし治療を受けなければならぬので、保険証がない人に対しては、関連疾病等に対しましても被爆手帳を持っている者には根っこから出す、こういうふうに理解してよろしいですか。
○田中(明)政府委員 おっしゃったとおりでございます。
○大原(亨)委員 国民健康保険では、公共団体、それに準ずるもの、保険組合等に対して調整交付金が出ておる。受診率が上がっていくわけですから、それを国が、被爆地だけの被保険者に負担させることはいけないということで、調整交付金が出ておる。これは御承知のとおりです。その理屈から言えば、政府管掌健康保険もそれから組合管掌の健康保険も——たとえば広島には組合管掌の健康保険があるわけですよ、国庫補助は全然もらってないで、労使で負担しているのがあるのです。そこには被爆者が多いわけなんです。そして、それは現在の被保険者が負担すべき問題かということについては、やはり調整交付金の制度があるわけですから、その点については、受診率が上がるのですから、医療費が上がるのですから、国が調整交付金に類するものを、全部でなくても一部出しても不思議はないのではないか。共済についても同様です。これはいかがですか。
○坂本説明員 健康保険組合の関係でございますけれども、現在、制度として政府管掌健康保険というものが本来ございまして、健康保険組合はその政府管掌健康保険から独立した形で運営されております。そこで、この健康保険組合に対しましては、原則としては給付費に対する国庫補助というものは法律上ございませんで、中には財政的に非常に苦しいところもあるということから、予算上の措置として、一定額の臨時的な給付費補助金が支給されております。 しかしながら、この考え方といたしましては、いろいろな要素によって医療費が多くかかる、あるいは被保険者の標準報酬が必ずしも十分でないというふうなところから、特に政府管掌健康保険よりも保険料率が上回っているところを対象にいたしまして、この補助金の交付を考えておるわけでございます。したがいまして、医療保険の場合には、どうしても実際にかかる保険料率を基準に考えるのが本来の筋ではなかろうか。仮に受診率が高くなることによって料率がどうしても高くなるということになれば、当然その段階でこういった補助金の対象として考えていくことになろうかと思うわけでございます。ですから、政管よりも保険料率が相当低くて済んでいるようなところをいま直ちに国庫補助で手当てをするということについては、私どもはちょっと問題があろうかと考えておるわけでございまして、いろいろな要素によって料率がどうなっていくか、高くなったということに着目して、そのための手当て、臨時的な給付費補助金を交付するように考えておる次第でございます。
○大原(亨)委員 苦しい答弁ですが、説明にならぬ答弁だけれども、時間がないから次へ進みます。 一つは政府管掌健康保険を頭に置くなんて言うが、一番悪いのを頭に置くというのがおかしいのだけれども、これは議論しておってもしようがないから別にしまして、国民健康保険、それから組合管掌、共済なんかで、それよりも条件の悪いのがありますから、そういうところで被爆者を抱えている場合には、受診率が上がるのですから、医療費が上がるものはやはり医療費の中で見るような制度が必要ではないか、こういう問題を指摘しておきまして、これは後でいろいろ議論します。もう少しちゃんと勉強しておいてくれよ。いまのでは勉強が足りない。 それから、原爆病院の運営費が二千六百万円ほど計上されております。この支出の内容については大体は承知しておるのですが、原爆病院は、医者が経験のある専門医ですから、各方面から来たり、あるいは出て行ったり、あるいは外国へ出て行ったりということで、自分の仕事外のサービスであるわけです。それから看護婦さんその他は、これは保険外の負担をとるわけにいかぬから、たくさん要るわけです。だから実際上配置しておられますね。しかし、そういう直接的なことでなしに、原爆病院がその機能を果たせるように、もう少し手厚い補助が必要ではないかということです。いかがですか。
○田中(明)政府委員 原爆病院に対する二千六百万円の運営費の補助につきましては、定額の補助でございますので、何に幾らという費目の指定を特別しているわけではございませんで、原爆病院は原爆患者という特殊な患者を扱うために、普通の病院と違って特別な費用がいろいろ要るであろうということで、補助をいたしておるわけでございまして、そういう意味におきまして、先生いま御指摘のいろいろな、原爆病院なるがゆえのサービスというようなためにかかる費用も入っていると考えてよいのではないかと思われます。
○大原(亨)委員 それはもう少しよく実情を把握されて、私ども見ておって大変なことだと思いますから、十分次の機会に配慮してもらいたい。これはよろしいですね。言っておること、わかりましたか。では、答弁してください。
○田中(明)政府委員 ただいまお答えいたしましたような趣旨で定額の補助を行っているわけでございますが、額が十分かどうかという点につきましては十分検討してまいりたいと思います。
○大原(亨)委員 家庭奉仕員の予算が二千五百万円計上されているのですが、ホームヘルパーは三分の一の国庫補助になっておるわけです。それで普通の、これは大臣も知っておられるのですが、重度障害者、老齢者、寝たきり老人に対するホームヘルパーの場合には三分の一、三分の一、三分の一で、国、県、市町村、こういうふうになっていますね。しかし、この場合には国が三分の一だけ見ると、三分の二は市町村が見なければならなくなるのではないか。それで、それを県にも負担させるということは、やはり全体から見ると不公平になるのではないか。基準財政需要からの計算の仕方はありますが、これはいかがですか。
○田中(明)政府委員 この家庭奉仕員の国庫負担率につきましては、先生御指摘のとおり、他の制度との関連におきましていろいろ検討すべき点があるということは承知しておりますので、今後とも検討を重ねてまいりたいと思っております。
○大原(亨)委員 これは実際は検討を要する点がある。 それから、公衆衛生局長、公衆衛生局の配慮等があって、これは広島、長崎等もあると思うのですが——あるかないかはわからぬが、保健婦を増員しまして、保健婦を保健所に一人ずつつけておいて訪問看護をやって、必要な人にはそこへ行っていろいろなアドバイザー、相談相手になってやっている。これは四名プラスアルファはやっているようですが、非常に喜ばれているのじゃないかと思う。訪問看護をいたしますと、保健の知識のある人がいろいろな相談相手になって、健康についてやってもらえるわけで、この制度というものは、将来奉仕員との関係はあるけれども、制度として確立すべきではないか。いかがですか。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、私どもも同様な考えから保健婦の増員を計画したわけでございますが、残念ながら予算上は実現いたしませんでした。しかし、予算の運用の面で何とかさらに改善いたしてまいりたいと考えております。
○大原(亨)委員 原爆小頭症の手当が、これはこの前から畠中さんの議論をいたしましたが、予算が八百万円でして、昭和五十三年三万円で、五十四年も三万円で据え置かれているわけですね。それは三十二ぐらいになるわけですから、費用から言えば大変なことです。もしその人が疾病その他を出した場合には、これは大変な所定の経費以外の負担がかかるわけです。これはせっかくいい制度として発足したわけですけれども、なぜこれを改善して、他の制度と一緒にスライドの措置をとらないのか。
○田中(明)政府委員 原爆小頭症の患者につきましては、御案内のとおり、昭和五十三年におきまして二万円から三万円に額の引き上げを行ったところでございますので、また、この原爆小頭症の患者さんは全員特別手当も受給していらっしゃるということも勘案いたしまして、本年度は増額を行わなかったわけでございます。
○大原(亨)委員 それではいけない、こういうことを言っているのですから、その趣旨を十分尊重して、改善措置をとってもらいたい。 それから放影研のことですが、もとのABCCですね、これの研究費といたしまして十五億五千万円、これが本年十六億円になっておりますね。これは増額されておるのですが、この中には賃金のスライド分は入っているのですか。これは春の賃上げ分は入っていますか。 それから、この放影研というものはうまく本来の機能を果たしていますか。理事長がかわられたようですが、うまくやっていますか。それはどういう評価をしていますか。
○田中(明)政府委員 予算の増額の中に、公務員の平均のベースアップ分の一般職三・八四%は含まれているわけでございます。 また、放影研の評価の問題でございますが、これは私の方から申し上げるのも適当ではないかとも思いますが、いろいろ改善すべき点はあるかと思いますが、新しい理事長を得まして、逐時改善の方向に向かっているというふうに考えております。
○大原(亨)委員 申し上げたようにたくさんな研究機関があるのですが、やはり実際に厚生省が関係があり、そしていままでの経過をたどって国際的な視野での研究もできる、こういうことですから、十分機能が発揮できるように積極的に考えてもらいたい。そして、各研究所の研究成果の交流や何かも、これが本当に被爆者に役立つようなことにならぬと意味ないわけですから、積極的に行ってもらいたい。いまこれは二世問題を研究しているようですが、一つの大きなプロジェクトらしいですので、十分研究してもらいたい。 それから残留放射能の精密調査委託費というものがありましたね。去年ですか、これはかなりの、八百九十三万円ほどあったわけです。この調査の経過と結果について、どういうふうに処理をいたしますか。発表はいついたしますか。
○田中(明)政府委員 実は昭和五十年度におきまして第一回の残留放射能を調査いたしまして、その際に、長崎の西山地区その他数カ所において他より残留放射能が高い地点が発見されたわけですが、これが本当に科学的に意味があるのかどうかという点で、専門家の間で問題になりまして、その点を究明すべく、昭和五十三年度におきまして第二回目の補完的な調査を実施したわけでございますが、その結果につきましては現在専門家の間におきましてとりまとめているところでございますが、近日中に結果を発表する予定をしております。
○大原(亨)委員 長崎で三地点、広島で二地点の研究の結果が出ていますから、これは地域との問題があると思うのですね。これらの地域についてはもうデータは出ているのです。これは地域指定との関係で、私もいろいろ誤解を受けておりますけれども、どうなんですか。
○田中(明)政府委員 先ほど長崎の西山地区ほか数カ所と申し上げましたが、先生御指摘の広島の二地点、長崎の三地点で放射能が他に比べて若干高いと思われる値を示したわけでございますが、これは先ほど昭和五十年と申しましたが、昭和五十一年度に実施しました残留放射能の調査におきましてそのような結果を得たわけでございますが、この五地点の残留放射能が広島、長崎の原子爆弾によるものという結論を出すには至らなかったわけでございまして、この点をさらに科学的に解明するために、五十三年度におきまして第二回目の調査を実施したわけでございますので、当然、いま先生御指摘の点につきましての解明がなされているというふうにわれわれは解釈しておりますが、専門家の検討の結果はまだわれわれもつまびらかにはいたしておりませんので、具体的にお答えできませんが、当然先生の御指摘の点について回答が出されるものと思っております。
○大原(亨)委員 これは風向きとかその他によってうんと放射能が違うわけですよ。それから、その当時砂煙の立った地域で、空中でそのじんかいに当たって放射能が変質したりしておる。その影響等いろいろなことがあるわけですが、しかし十二キロの問題が一つあるわけです。この問題については私の考えを明確にしておくんですが、十二キロということになると、直接放射能でありましたらばこれは非常に微量になってまいります。この表を見てまいりますとわかりますが、保健手当の二キロ、二十五レムということは、ずっとやってまいりますと級数的に減ってまいります。しかし問題は、実際に放射能を持っている死亡者や傷害者等の、死体等の処理とか傷害者のめんどうとかいうのを周辺が皆見たわけですね。そういうところの者は一定の基準で被爆者手帳の中へ入れているわけです。その基準がいいかどうかという問題はありますが、問題は、残留放射能の問題だろうと私は思うわけです。ですからそういう点で、科学的な一つのデータがあれば、放射能が幾ら少なくてもこれは危険性があるということは一つの大きな学説ですから、定説ですから、私はそういう点は十分に検討してもらいたい。ただ、ちょっとこの程度で調査したのでは、実際上科学的な根拠が出るのかどうかということですね。調査の仕方が悪い、いまの調査を見ましたら何も出てないのですから。この調査の仕方が悪いのかどうかという問題を含めて、いまいろいろな研究機関があるわけですから、データがあるわけですから、放影研にもそういうデータがあるわけですから、それらを総合的に考えてこの問題は科学的に結論を出す、こういうことが必要ではないかというふうに思います。これは私の考えを申し述べまして、大臣の答弁は要りません。 以上で、私の時間がちょうど来ましたから、ぴしゃっとやめます。
○森下委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。 午後一時三分休憩 ————◇————— 午後二時二分開議
○森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。谷口是巨君。
○谷口委員 私は、非常に重大でございますので、午前中の質問と若干ダブることも出てきますけれども、質問をいたしたいと思います。 五十四年の一月二十九日に出されましたいわゆる社会保障制度審議会の答申につきまして、この中に非常に大事なことが幾つか述べられているわけでございますが、この答申によりますと「本審議会がしばしば指摘してきたにもかかわらず、被爆者に対する制度の基本的なあり方について、未だ十分な検討がなされていないことは遺憾にたえない。」と述べておるわけですね。審議会で指摘されながら厚生省として今日まで十分な検討がなされなかったという、そういう指摘された理由というのは一体どういうことですか。
○田中(明)政府委員 御案内のとおり、原爆被爆者の対策につきましては、被爆者が原爆による放射能を多量に浴びまして、健康上特別の配慮を必要とするという特殊事情に着目いたしまして、一般の社会保障では十分でないという観点から、原爆医療法及び原爆特別措置法を制定いたしまして、これに基づいて施策を実施し、できる限りその施策の改善充実を図ってまいっておるわけでございます。 政府の考え方といたしましては、以上述べましたような基本的な考え方に基づきまして、従来から施策を実施し、その改善充実を図ってまいったわけでございますが、これにつきまして制度審の方から、基本的なあり方について十分検討がなされていないという御指摘を何回か受けているわけでございまして、私どもといたしましては、いろいろな観点から、従来の施策につきまして検討を重ねてまいっておるわけでございますけれども、基本的なこういう考え方を変えるというところに至ってないわけでございます。 これも、御案内のように、この原爆被爆者の対策につきましては、国家補償の精神に基づく援護法を制定する必要があるというような御意見も従来からあるわけでございますが、これにつきましては、私どもといたしましては、一般の戦災者との均衡等の問題があるので困難であるという態度で考えてまいったわけでございます。こういうようなわれわれの考え方につきまして、制度審の方から、基本的な考え方の検討が十分でないのじゃないかという御指摘があったと存じます。 われわれとしてはいろいろと考えた末、従来から御披露しておりますような考え方に立って原爆被爆者の対策の改善充実を図っているわけでございますが、このたび制度審の方から、特に具体的に「専門家による権威ある組織を設け、」制度の基本理念等について検討すべきであるという答申を受けたわけでございますので、この点を含めまして、答申の線に沿って今後検討してまいりたいと思っております。
○谷口委員 従来の二法によって十分に目的が達成されるものならば、制度審もこんなに繰り返し何度も勧告することはないわけであり戻すから、その点は厚生省だけで決められる問題ではないけれども、強力に折衝して、その勧告どおりに実現を図るべきだと私は思うわけですね。その決意のほどをひとつ、簡単で結構でありますから伺いたい。
○橋本国務大臣 いま局長から申しましたような従来経緯がございましたが、同時に、昨年の本委員会における御審議の際に、せめて現行二法を一本にすることでもできないだろうかという御意見が大変強く出されまして、私も就任以来いろいろ努力をしてみたわけでありますが、現行法制のもとでありますと、二法を一本にまとめる積極的なメリットがないというような法制局等の指摘等もありまして、実は後どういうふうにしていったものか、正直困惑をしておったときに、社会保障制度審議会の御答申をいただいたというような状況でありまして、広く有識の方々にお集まりをいただいた会議の中において、基本的な理念の問題から御論議を願う、その結果を踏まえて私どもとしては、これは私どもの方から専門家にお願いをするわけでありますから、そのお出しをいただいたお答えというものについて、それを十分に尊重して努力をしてまいりたい、そのように考えております。
○谷口委員 決意を伺いましたけれども、私の非常に感じますのは、厚生省というのは予算をもらう方ですから、言うことが十割は通らぬ立場にあることは知っておりますけれども、ともすると弱い立場で削られやすい、そういう傾向があるのではないか。したがいまして、厚生行政に非常に明るい新しい大臣ができたのだし、ひとつ政治力を大いに発揮していただきまして、目標達成を願いたいと思います。 それからもう一つ、一般的に審議会の答申というのは非常に意味が深いと思うのですね。たとえばどういうことかといいますと、政府がやりたいと思うことが出てくるとすぐ尊重して実行に移るという場合もあるし、あるいはどうも気に食わない答申が出てくると十分に検討して云々と、こう出てくるわけです。したがいまして、筋論として、答申を求めた以上は、どんなことがあろうとも、その答申の趣旨に沿って実現を図るべきであると私は思うわけです。これについてはどうですか、大臣の見解は。
○橋本国務大臣 一般的に、審議会の御意見を求めるのに私は二つのケースがあると思います。一つは、いま私どもが、まさにこの原爆の問題で有識の方々にお集まりをいただいて御議論を願おうというような、あらかじめ白紙をお渡しして、その白紙の上に図面を書いていただきたいという求め方の場合で、もう一つは、予算なら予算が確定をし、それを受けて、たとえば一つの具体的な法律案の形になりまして、その国会提出の手続の過程において審議会に諮問をする場合であります。 第一の場合でありますと、これは、そのディスカスの中において出てくるものというのは政府としても比較的受けとめやすい。たとえ当初考えておりましたものと違ったお答えをいただました場合でも、白紙の上にちょうだいをするものでありますからいただきやすいわけであります。ところが第二の、予算の裏打ちをして法律案の形で諮問をいたしました場合には、それと真っ向相反するような御意見をいただきました場合に、これは下手に手をつけますと予算の修正を伴ったりというような問題がありまして、せっかく審議会からの御意見をいただきながら、必ずしもそれに即応できないというケースがございます。 ですから、後者のような場合でありますと、いままさに谷口さんが御指摘になりましたように、審議会から御意見をいただいてもそれが生かせないという場合があるわけでございますから、今回の場合はそういうケースとは異なりますだけに、私どもとしてはそれを十分に受けとめて積極的に対応していきたい、そのように考えておる次第であります。
○谷口委員 次の指摘が、いわゆる「権威ある組織を設け、」云々とあるわけですね。先ほど答弁がございましたが、これはどのような組織でいかれるのか。またこれが出てきたら、いまの強い決意でおおよそわかりますけれども、もう一度、これは出てきた結論の方を尊重するのかしないのか、重ねてくどいようですが、お答えいただきたい。
○橋本国務大臣 いま私どもは、本日本院における御審議を願っておるわけでありますが、引き続いてこの原爆二法は参議院でも御審議を願うわけであります。その両院の御審議の結果を踏まえて、できるだけ早い機会にこの組織をスタートさせたいと考えております。私どもとしては、いま委員の方々に御就任を願うような交渉をいたしております段階でありますので、具体的な名前は控えさせていただきたいと思いますけれども、社会科学あるいは人文科学あるいは司法関係あるいは報道関係等各般から、国民的にこの方ならと言われるような方々を、大体七名ぐらいというつもりでおりますがお願いをいたしまして、それによって御議論を願いたい。基本的な理念につきましては、その会合の冒頭に、私からお願いを申し上げるごあいさつの中で、基本的な部分については一年以内にぜひお答えをいただきたいというお願いを申し上げたいと思っております。 そこで、いま私どもは、委員の方々に具体的にお願いを申し上げております中に、少なくとも二カ月に三回程度はその会議を開きたい、皆さん大変お忙しい方々ばかりでありますから、二カ月に三回ぐらいは開かせていただくその懇談会に御出席がいただけるでしょうかということも含めて、実はお願いをいたしておる段階でございます。
○谷口委員 いま、すでに相手については交渉中である、できるだけ早い期間とおっしゃいますが、私どももいろいろな立場がありますし、大臣もその決意であっても、大臣が果たして一年先まで大臣であるかどうかわからないし、われわれもそうでありますから、一刻も早くこれは実現を図らなければならぬということは共通した問題であります。したがって、早い期間にこの委員会をつくりたいとおっしゃるが、早い期間とはおよそいつの早い期間ですか。たとえばこの国会内なのかどうか。
○橋本国務大臣 当然国会内、国会内と申しますよりも、両院において現在御審議中の原爆二法の審議が終了いたし次第、これは本当に可及的速やかに私はスタートを切りたい、そのつもりでいまお願いもいたしております。
○谷口委員 実現に向かって大臣の非常に強い決意を聞いて、非常に心強く思うわけであります。言われたことの実現にひとつ全力を尽くしていただきたいということです。 それから五十三年三月の最高裁判決、この趣旨を踏まえまして、速やかに基本理念を明確にするということで厚生省としても取り組まれるのでございましょうけれども、厚生省としては、現行法の二法の中にいわゆる国家補償的な考え方があるという考え方をとっていらっしゃるのか、ないと考えていらっしゃるのか、ひとつ明確に、あるなしでお答えいただきたい。
○田中(明)政府委員 先ほども申し上げましたように、従来私どもは、被爆者に対する法律といたしまして、一般の社会保障の関係の法律とは違う原爆医療法、原爆特別措置法というような考え方をいたしておりましたが、三月の最高裁の判決におきまして、すでに現在の原爆医療法及び原爆特別措置法には国家補償的な考慮がなされているという御指摘を受けたわけでございまして、私どもといたしましてはそこまで思いが至っていなかったわけでございますが、最高裁におきましてそのような御見解をいただいたわけでございますので、現在では私どもはそういう国家補償的な考慮が現行の二法の中にもなされているというふうに考えております。
○谷口委員 何か話を聞いていると少しややこしいようですが、指摘をされる前までは自分たちはそういう国家補償的な考え方はなかったと思っていた、指摘をされたからその中に含まれていると思った、こういうことですか。もう一回確認を。
○田中(明)政府委員 そういうことになるかとも存じますが、われわれとしましては、先ほど申しましたように、普通の社会保障関係の法律とは違うものであるというか、特別な社会保障法であるというような表現を使ったこともございますけれども、そういうものとして現行の原爆二法を考えておったわけでございますが、明確にこれが国家補償というような理念を組み入れたものであるというところまでは思い至っていなかったわけでございまして、その意味におきましては、最高裁の判決をいただきまして、私どもの考えがそこまで至っていなかったということを知ったわけでございます。
○谷口委員 答弁が非常に回りくどいように感じられて非常に上手な答弁だと思いますけれども、横で大臣が笑っておられるようですが、潜在的なものがあるとあなた方がいますでにお考えになっているとすれば、これは明文化してもちっとも何の障害もないように私は思うのですね。したがいまして、このいわゆる国家補償の考え方を明文化することについてはどのようにお考えですか。
○田中(明)政府委員 国家補償的な考慮が現行の原爆二法の中にもすでになされているという最高裁の御見解であったわけでございますが、その国家補償的な考え方というものが具体的な形となった場合に、どのようなところまでどういうように行われるかということが、実際の立法の場合には問題になってくるのではないかと考えられるわけでございます。この点につきまして、私どもの考えと世の中のいろいろな方の考えと必ずしも完全に一致していない面もあるのではないかというようにも思われますので、私どもといたしましては、今回の社会保障制度審議会の御答申の趣旨に沿いまして、早急に専門家による権威ある組織を設けまして、この基本的な理念を明確にしていただきたいというふうに考えております。
○谷口委員 審議会に諮問する場合に、要するに厚生省の考え方というのは非常に大事だと思うのです。全く白紙といっても、全く白紙ではないはずですから、私たちは基本的にはこういうふうに考えておりますということになると、国家補償的なものが最高裁で出てきたのですから、私たちはそのような考えになりました、したがって、どうぞその線で、あなた方はどうお考えになりますか、こういうふうに審議会で言わない限り、それはなかなかむずかしいのだと思います。したがいまして、また出てきますと、その結論を踏まえて云々あるいは検討いたしますということになってくるわけですから、そういう考え方を明確にしない限りは私はいつまでたっても片づかないと思いますが、重ねてもう一言、いかがですか。
○橋本国務大臣 いま局長が御説明申し上げましたように、従来から厚生省は、いわゆる一般の社会保障の形態の中では原爆問題というものは対応し切れない、こういう認識のもとに原爆二法をつくってまいったわけであります。ただ、その時点においてはいわゆる国家補償という考え方までは至らない、社会保障の従来の枠の中では対応できない特別なケースというとらえ方をしておったわけでありますが、それ自身がまさに国家補償的なものだという最高裁の御指摘を受けた、これは事実そのとおりであります。 ただ、谷口さんがいま言われますように、厚生省はこう考えますが、いかがでございましょうかという諮問の仕方もありましょう。しかし、この問題については、むしろ国家補償以前の問題として、原爆というものの使用が戦時国際法に抵触するものなのかしないものなのか、またそれが戦時国際法に抵触するものだとしたならば、それに対しての国内法の対応はどうあるべきかというところから、御議論を願わなければいけないのではないかと私は考えております。その過程における御議論の参考資料と言っては恐縮でありますが、御議論の一つの参考として、最高裁の判決理由というものは非常に大きなウエートを持つものだと私は思っておりますし、委員の方々がそういうものを要求されれば当然お渡しし、御検討を願うことはあろうかと思います。 ですから、この際、一番基本的に御議論を願わなければならない問題は、国家補償であるかどうかという以前の、原子爆弾という兵器そのものが果たして戦時国際法における合法的な兵器であったのか、その使用自体が戦時国際法の上で違法であったのかというところから基本的に御議論を願いませんと、整合性のある答えが出てこないというふうに感じておりまして、私はそういう態度で委員の方々に御検討をお願いしたいと考えております。
○谷口委員 大臣の決意を聞きましたけれども、もしそういう考えでいきますと、日本の現在置かれた立場から考えて、一年以内に結論がそう簡単に出るということはむずかしい面も出てくるのじゃないですか。
○橋本国務大臣 私は必ずしもそうは思いません。と申しますのは、本委員会で今日まで繰り返されてまいりました質疑の中において、すでに外務省、私も実は藤山外務大臣の当時だということは先ほど知ったばかりでありますが、以来、戦時国際法に抵触する兵器であるということは外務省の条約局自身も、またそれを受けて外務大臣からもお答えを申し上げてきておる経緯がございます。そういう意味では、その基本的な部分について、論議にそんなに長い時間がかかるものではないと思います。 ただ、原子爆弾の被爆者の方々に対して、本当に基本的理念を明らかにし、それに基づいた対策を考えるという基本に立ちますならば、やはりそこから御議論を願うのが至当ではなかろうか、またその方が理論的に整合性のあるものになるのではなかろうか、私はそのように考えておる次第でございます。
○谷口委員 ひとつ、強い決意で前進をしていただきたいと思います。 次は手帳交付申請に関する問題でありますけれども、非常に問題になっておりますのは、たとえば同一家族であっても家族のだれかが先にもらったとか、あるいは証明してくれる方がおりまして証明をしてくれるわけですが、その証明の内容について食い違いがあるとか、いろいろ障害があるのです。したがいまして、私は県会におりますときにずいぶんこの問題を取り扱いましたが、現実の問題として、たとえば早くいただいた方々は非常に簡単にもらったのです。もうするするっともらった。そのもらったときの申請書の内容は、本当にすべてを書きあらわしたものじゃなかったのがたくさんあった。したがいまして、行政の責任として、あの最初にいろいろな申請書を出してもらった方々のいわゆる記載内容について、本当にこれは将来重大な影響があるのだからということを十分に理解させたかどうかということになると、私は非常な疑問を覚える。そのことについて、当時のことはむずかしいことですが、私は現場を知っているから十分答えてくださいよ。
○田中(明)政府委員 先生の御指摘のとおりのようなケースがいろいろとあるということは十分存じております。午前中に大原先生から御指摘のありましたケースにつきましてもそうですが、実は奥さんと御親戚の方が同じところで被爆したにもかかわらず、違った時期に申請したために、違った場所で被爆されたように記載されていたというような例もございます。記憶に基づいてつくられたものでございますし、ことに初期におきましては非常に多数の方が申請されましたので、そういう事務処理の問題もございまして、いろいろと誤記等もあったのではないかということは十分存じているわけでございます。 したがいまして、私どもといたしましては、最近手帳の交付申請をされる方につきまして、ことに、もうすでに原爆が落とされてから非常に長い期間がたっておりまして、本人あるいは関係者の記憶も薄れているということも当然あるわけでございますので、その場合に、すでにあるいろいろな書類との食い違いが起きた場合には、関係の担当官が十分事情を確認するように努力して、適切に事務を処理するようにということを、従来から繰り返し府県に指導しているところでございます。
○谷口委員 あなたの答弁は一応それで通ることになりますけれども、私が指摘しておりますのは、後々にそういう重要な参考資料にするものならば、最初の申請書を出すときに、家族はおりませんでしたか、一緒にいたのはだれでしたか、これを書き落としたら先で響きますよ、こういう指導がなされていいはずが、なされていないのです。大臣もこれは聞いておってくださいね。現実になされていないのです。したがって、いまになっていろいろなことを言ったら、あなたの奥さんは書いてないじゃないかとか、いろいろなことを言ってきているのですね。これは私たちが現場におってよくわかることです。 たとえば通達によりますと、五番目が本人の申述書でしょう。これによってもよろしいという解釈が一応はできるわけです。だけれども、現実にこれでもらった人というのはほとんどいないのじゃないですか。しかも、昭和三十五年、四十年、四十五年に実施された国勢調査でも、原爆に遭ったか遭わなかったかという、マル・バツ式なのです。これもまたいま大きな資料になっているが、そのときそれをどうして正直に書かなかったのかと幾度も聞いてみますと、深刻な事情があるのですよ。自分の子供があるいは将来孫がどうなるか、結婚の支障になるのじゃないか、そういうことですね。いまのように至れり尽くせりのいわゆる手が尽くされるとわかっておるなら、相当考えたでしょう。だけれども、そうではなくて、また一面、逆に、そういう調査でありますから、私は実例は知っていても、ここであの人だと言うわけにはいかないけれども、たとえば部落の責任者の会長さんあるいは町内の会長さんが、まあ遭ったと書いておかぬですかというようなかっこうでやったという実例も聞いている。いま出してくるのは、結局自分から虚偽の申請をして手当をもらおうとする悪質なものも入っているかもしらぬ。だけれども、一方、いまになって年を取って非常に困った、何とかしてもらいたいという切実な気持ちの者もあるわけであります。 たとえば私が例を挙げますと、昨年の分科会で前大臣の小沢さんのときに私はこれを取り上げた、が、長崎県の諌早市の熊野好さんの問題、これは御記憶があるでしょう。非常にIQが低くて、とにかくまともな人ではないのですから、三回も申し立てを出したけれども一々全部違うというので、したがって信頼性がない。あたりまえですよ、本人は頭が、極端なことを言えば痴呆なんですから。それを周りの人がああだった、こうだったといろいろ想像して書くのだから、ぴしゃっと合ったらこれはインチキですよ。しかも当時の上司だった、現在の課長がいろいろな書類をつけて出したにかかわらず、あのとき却下したのでしょう。私は現実間違いないと思って、粘ってやっと今度交付されましたけれども、一年間かかりました。非常にあなた方の努力にも感謝いたしますが、こういう行政には私はきわめて温かい気持ちがなければならぬと思うのです。本省でただ書類の上でぱっぱっと片づけて、そしてこれはだめ、これはだめ。だめと言われた者は一体どうなるのか。本当にみんな行政を恨んでいますよ。こういう問題をもっとしっかり考えなければならぬと私は思うのです。 たとえば五項目あるでしょう、手帳交付申請にあたっての添付書類というのは。ここにその通達がありますね。この中の「当時の罹災証明書、その他公の機関が発行した証明書」これは文句ないのです。二番目は「前号のものがない場合は、当時の書簡、写真等の記録書類」それから「前二号のものがない場合は、市町村長等の証明書」四は「前三号のものがない場合は、第三者(三親等内の親族を除く。)二人以上の証明書」五番目が「前各号のいずれもない場合は、本人以外の証明書または被爆当時の状況を記載した申立書、申述書および誓約書」になっていますね。 では、試みに聞きますが、あなた方が本当に血の通った行政をなさっているのなら、この第五番目の項目で日本全国でいま何名もらっているか、教えてください。
○田中(明)政府委員 私ども広島と長崎の数を承知しておりますので申し上げますと、広島県広島市におきまして三百七十二件、長崎県長崎市におきまして五十五件ということになっております。
○谷口委員 何万人とおる中で、この第五項が活用されたのは、わずかに合わせても四百何ぼですね。いかにこれがむずかしい条項であるかということがおわかりになるでしょう。だから、中央のお考えになっているいろんな考え方が、地方に行きますと考え方が非常に複雑になってくるのです。それぞれ自分たちの立場というものがある、そういういろいろな自分たちの職責というものを考えていくと、つい慎重にならざるを得ないのでしょうけれども、そのために、私たちに言わせれば、もらうべきものがなかなかもらえてないという現実の事態が起こっているわけです。 たとえばある女性が、長崎市に入るためには日見トンネルという大きなトンネルを越えるわけですけれども、いまはその出たところもすでに長崎市内ですけれども、いわゆる被爆をしたときに、バスがそのトンネルまでしか行かなかった。トンネルまで行ったということはその運転手が認めた。だけれども、そこでおりてどう行ったかは自分ではわからない。それは当然のことです。だけれども肉親を探しにいった。あれから先はもう被爆者の地帯ですよ。その証明がないためにいまだにもらえない。もらう希望が断たれているのですよ。 あなた方は、もう少し血の通うような行政というものをやはり各地方の行政の中に生かすよう、強力な指導が必要だと私は思いますが、これについては、申しわけないが大臣にその精神についてひとつお答えいただきたい。
○橋本国務大臣 いま具体的に事実関係を地元でよく御承知のお立場からの御指摘、私どもなりに非常に参考になる御指摘だと思います。 こういう制度というものは、少しでもそれによって救われる方が多いことを望んでつくるものでありますから、できるだけそれが生かして使われるということにならなければ、せっかくの法律の意味がないことはそのとおりでありまして、これは関係県を中心に、やはり部長会議あるいは関係課長会議等の場合におきましても、またそれなりに、それぞれの地域に対しましても適切な行政が行えるような指導を十分にしていきたいと思います。
○谷口委員 非常に当局の積極的な気持ちを伺いました。局長も恐らく同じ気持ちだろうと思いますけれども、現実に困っている方々の立場を本当にお考えいただいて、しっかりひとつその点は留意をしていただきたいと思います。 もう幾つも例はあるのです。私たちが会ってみて、現実に聞いてみて、本当の話、もう間違いないだろうと思うのも、実に厳しくチェックされているのです。そういう面が幾らでもあるわけです。私は決して地方の行政の中でその担当者が冷酷だと言うのではなくて、やはりそこまで厳しくやらねばならない何物かが、私の推測では本省の中にあるのだろうと思う。もしないと言うのなら、口だけでなくて、何か特別な通達でも出して、もっと温情を持ってやれと、ぴちっとしたものを出すべきだと思う。いま大臣の決意から見て、恐らくそうされるであろうと思いますし、この次に質問に立ったときは、そうされたかどうか聞きたいと思います。深刻なものです。私も家族を原爆で三人亡くしました。だから、家族の人たちの気持ちは実に深刻だと私は思う。しかも年を取ってきましたから、いままではがまんしておったけれども、どうしてももらいたい。そうして、いままでしんぼうしてきたことは国に損害をかけなかったことなんです。そういう人たちが結局いま苦しんでいるわけですから、本当に温かい気持ちをもって臨んでいただきたいと思うのです。 それからもう一つ、大臣はしょっちゅう聞いていることでございますが、広島の方もそうでございますけれども、長崎市のいわゆる適用地域といいますか、範囲の問題です。これは非常にいままで矛盾があるのですよ。それは、長崎というのは南北に非常に細長いところでありまして、周りがずっと海か山、そして間に細長い平地があるわけです。その南北十二キロの地域がいわゆる行政地域でありましたために、当時健康診断の対象地域になった、それがそのまま被爆者の手帳にもつながってきたわけです。したがいまして、だんだんその範囲が拡大されてきたのですけれども、いまは非常にむずかしい問題に突き当たっていますね。たとえば残留放射能の検査をしてみた、してみたけれども、もう戦後三十何年なんですから、出るはずだと思うところに出てこない、そうして、ここはと思うところに若干強く出るという、そういう矛盾が出ているわけです。そうなってきますと、もう残留放射能といういわゆる科学的な検査の結果は、現状を考えてみて余り役立たないのではないかということです。これにいつまでも執着しておると、この地域拡大の問題ということは片づかないのじゃないか。そうなってきますと、じゃ、いままでの地域拡大は政治的に決着したんだということになってくるわけですけれども、政治的な決着となると、これは大臣あるいは局長の決断が大きな問題になってくるわけでありまして、いま地域拡大のできない真の理由はどこにあるのか。局長からひとつ伺っておきたいと思います。
○田中(明)政府委員 厚生省といたしましては、先生もいまお触れになりましたように、被爆地域の指定に当たりましては、科学的な根拠をもとにして行うという考え方に立ってやっておりますので、私どもといたしましては、必要とする科学的な根拠というものがない場合には、現在の地域を変更するということは考えられないというふうに思っております。
○橋本国務大臣 ちょっと補足させていただきましょう。 私は、事務当局にお尋ねをいただけば事務当局としてはいまのようなお答えを申し上げる以外に方法がなかろうと思います。またそういう答弁をするとおしかりを受けることでありますけれども、事務当局としては、それがまた一つの当然なとるべき態度だろうと私は思うのです。 ただ、昨年、衆議院の社会労働委員会の国政調査で長崎県に参りましたときにも、関係者の方々の御意見も十分に私も伺わせていただきました。ことに予想して世間で言われているのとは異なって、すでに被爆地域に指定をされ、自分たち手帳を受けておられる方々が中心になって、いまその恩典に浴していない方々までもその中に取り込もうということで、地域拡大運動をしておられるという実情も、私はよく存じております。その時点におきましても、実は私は、これは本当に政治的な場の判断というもので最終的には対応せねばならぬだろう。ただ、いまちょうど残留放射能調査を厚生省自身がやっている最中なので、それの結論は私どもも見させていただきたい。これは超党派の調査団でありましたけれども、代表してそのことを申し上げ、各党御参加いただいた方も御異論はなかったわけであります。 その後、私が厚生大臣に就任いたしました後に、当時お目にかかりました長崎県の被爆者代表の方々もお見えをいただきまして、そのときにも私は実は同じことを申し上げまして、私はまさにあの時点では、厚生大臣になると思っていなかったから、国会で、広島、長崎の両県の話し合い、合意というものが前提だけれども、その中でどこかで決断をするときがあるだろうと申し上げたが、今度は私は立場が違ってしまって、予算要求をしているものを一銭でも多く取ることが先になってしまった、そういう事情を理解していただきたいというお話しを申し上げた次第でございます。 きょうの午前中の審議の中におきましても、たとえば放射線量その他において科学的な理由があればというような趣旨での御発言が出ておりましたが、行政当局とすれば、やはり残留放射能調査というものを踏まえた対応しかできないということは御運解いただきたいと思うわけでありまして、その先において、今度は広島、長崎両県の相異なる立場で御調整を図られて、国会においてまた方向をお決めをいただいていく限りにおいては、私どもはそれに従っていきたい、そのような考え方を持っております。
○谷口委員 ぜひそのような努力を大臣が在任中にやっていただきたいと思います。これは当事者だけでは非常にむずかしいのじゃないかという感じがいたします。 最後になりますけれども、大臣は御存じと思いますが、自民党と公、民との間においていわゆる原爆被爆者に対する特別措置、この増額がたしか論議されて意見の一致を見ているはずだと存じますが、この問題について、その一致したとおりの結果をいわゆる尊重されるのかあるいは尊重されないのか、非常にむずかしい問題がありましょうが、私は尊重されるだろうと思って質問しておりますけれども、大筋だけお答えいただけばいいです。
○橋本国務大臣 予算委員会の審議の過程において自由民主党が各野党とお話し合いをいたしました中で、公民両党との間において福祉年金額の引き上げ、それに連動する問題の一つとして、原爆関係の諸手当についても御論議があったことはよく承知をいたしております。当時の過程で、社会労働委員会において与野党の合意ができれば政府はそれに誠意を持って対応するということをお約束をしてきておる経緯も存じておりますので、そのとおりにしてまいりたい。本委員会の御議論が決すればそれに従ってまいりたい、そのように考えております。
○谷口委員 時間が来たようですから、以上で終わります。
○森下委員長 次に、平石磨作太郎君。
○平石委員 大臣も大分お疲れのようですが、けさほどから国家補償に関連をして大変論議が重ねられました。私もそういった面での質問を、角度を変えて大臣にお伺いをしてみたい、こう思うわけです。 昨年の四月二十七日のこの社労委員会における附帯決議によりますと「昭和五十三年三月三十日の最高裁判所の判決もあり、国家補償の精神に基づく被爆者の援護対策について、その制度の改善に対する要望は、ますます強くなっている。よって、政府は、来年度までにこの趣旨に沿って、現行二法を再検討し、被爆者の援護の充実を期するとともに、」こういうことなんです。大臣は、そういったことを受けて部内で検討をいたしました、検討いたしましたが、結果的には現行二法を一本化するところの積極的な理由が見つからない、それから、現行法においても一応処遇ができるんではないかといったような結論を得ました、という答弁をなされているわけです。そして今度の審議に入ったわけですが、内部検討というのは省内の検討ですか、政府内の検討でございましたか。
○橋本国務大臣 私が着任をいたします以前の段階について、私は正確な状況まで存じておるわけではございませんが、小沢厚生大臣の時代におきましても、厚生省内ももちろん検討はいたしておったわけでありますけれども、厚生省だけではなく、主として、たとえば内閣法制局等の意見を聞くなどの検討を重ねられておったと聞いております。また、私が昨年十二月に着任をいたしましてからも、内閣法制局の意見等を新たに聞き直したりなんかしながら、研究をしてまいったことも事実であります。 ただその中で、結局、法の根底の考え方というものが変更されない、そして全然従来になかった新しい政策的な柱を大きくつくるというような状態ではない、そうすれば、現在の二法をただ単に一つにまとめるというだけでは施策の前進としての体制が出てこない、法制局としてはそういう形での法律の一本化というものには積極的な理由を見出しがたいということで、内閣法制局からは、そういう形での一本化というものについては反対という意見をちょうだいしたわけでございます。仮に、たとえば所得制限が完全に撤廃をされるということがあれば、これはまた態度が別であるというような答えもいただきました。その所得制限の問題これは実は大蔵大臣との閣僚折衝まで持ち込んだわけでありますが、結果的に、手当の増額の方を要求どおり満杯で大蔵省は認めるかわりに、支給停止についてはその率を緩和するというところまでで、議論を終結せざるを得ない状態になりまして、法制局としての、積極的なメリットを見出しがたいという状態がそのまま継続をしたということでございました。
○平石委員 大体わかりました。 ところで、そのネックになるもの、それはいまの原爆二法一この原爆二法というものがやはり社会保障的な基盤の中での原爆二法であるということが一つと、もう一つはやはり一般戦災者との均衡の問題もあるでしょう。それからもう一つは、国家補償の線にまで足を踏み込むということになりますと、戦傷病者等の援護法、こういったものとの関係が出てくるのじゃないか。そういうところで、国内法的な面から見た場合にはやはりネックが出てくる。そういたしますと、特別権力関係にないのだからということで、結局他の一般戦災者との均衡の問題が出てくる。こうなりますと、そこで、現行法にあるところの、これは医療法にもございますし特別措置法の中にもございますが「特別の状態」ということが第一条の法文にあるわけですね。だから、私はここで、これは医療法ですが「原子爆弾の被爆者が今なお置かれている健康上の特別の状態にかんがみ、」というのが法文の中にございます。それから特別措置法の中にも同じような文言があるわけですが、この「特別の状態」というのは一体何か、このことをひとつお聞きしたい。
○田中(明)政府委員 医療法に規定されております「特別の状態」と申しますのは、原子爆弾の被爆者というのは、普通の爆弾等と違いまして放射線による被害というものを受けているわけでございまして、これは普通の爆弾あるいは焼夷弾等と違う医学的な作用を人体に及ぼすわけでございまして、その影響は普通の爆弾等と比べまさに特別な作用があるわけでございますので、そこに着目いたしまして「特別の状態」というような表現がなされているのではないかと考えられるわけでございます。 それから、特別措置法の方に「今なお特別の状態にあるもの」という規定がございますが、これは、原爆の放射能の影響によりまして健康上、生活上の悪条件下に置かれている被爆者が、一般の人と異なる特別の出費を必要としているということに着目いたしまして、そういう規定をしているというふうに解しております。
○平石委員 いまの御答弁でおわかりのように、一般戦災者とは特異な関係になっている。したがって、これはもちろんそこの点で非常に頭を悩ましておられると思うのですけれども、いま言うたように、この被災そのものが特異な爆弾によるものであるということ、そして、その人が健康上、ずっと放射能を浴びたというところからいつ発病するやらわからない、そういった健康上の不安を持って被爆者はおられる、ここに特異な点が、法文上もあるいは取り扱い上においても認められておるということです。 そうなりますと、いま言う一般戦災者との間は、そこで一つの、特異な面においての特殊性が出ておるんじゃないかということが指摘できる、このように思うわけです。そして、そのあらわれが、いわゆる被爆者の生活実態の上にどのようにあらわれてきておるか。このことを厚生省は四十年の調査、さらに五十年の実態調査で行っておるわけですが、これが一般の被爆を受けてない世帯との対比においてどのようにあらわれておるか、ひとつお答えをいただきたい。
○田中(明)政府委員 昭和四十年及び五十年に実施されました原爆の被爆者の実態調査は膨大なものでございまして、先生ただいまお話しのあった中で、特にまた御指摘がありましたら、その都度……
○平石委員 時間がたちますから、私が言います。 四十年の調査を見させていただきました。この四十年の調査を見てみますと、被爆世帯は、他の世帯に比較をしたときに、相対的に非常に世帯がひ弱であるということ。そのあらわれが、世帯の構成やら経済状態、健康状態、障害状態、そういった面に対比をしたときに、非常に顕著にあらわれておるということです。これはやはり、被爆を受けて体が虚弱で、しかも健康不安を持ちつつ生計を営んでおるというように、まさに特別措置法ができたときのあの法律に言う特別の生活実態、そういう者に対する手当ての特別法を四十三年につくらざるを得なかったという根拠が、ここにあると思うのですね。 そういたしてみますと、やはり私が一番びっくりするのは、傷病状況を見てみましても、通院をしておるかどうかということは、五十年十月の調査で見ましたところ、六三%が通院をしておるという調査の結果が出ております。それから、傷病のあった者の割合が五八・八%といったような数字が出て、他の非被爆世帯の数字では二九・四%というようなことで、ちょうど倍の傷病経歴があるという結果が出ておるわけでございます。 それで、そういった面から考えましたときに、生活実態の上で被爆者という者が特異な状態に陥っておる、こういうことを考えたときに、いまの社会保障の考え方でこれが律せられるかどうかという問題点が一つ出てくると思うのですね。だから、いわば一つの社会保障水準があるとした場合に、この被爆者世帯は引っ込んでおる。私、厚生省のある方と話したときに、この一般水準の上へ持ち込んでいくと均衡を失するというようなお話も承った節があります。だが、この厚生省の調査から見ますと、一般水準からむしろ引っ込んでおるんです。だから、これへ十分な手当てあるいは生活保障的なものを考えていけば初めて水準に達するんだというように私は理解をするのですが、そういう立場からもこれは一つの指摘ができるのじゃないかと思うのです。そういうような一つの考え方に立って、今後、国家補償という観点から、ひとつこの問題について大臣は考えていただきたい。 それから、今度、社会保障制度審議会のあの答申に基づいて委員会をつくって研究せられるということでございますが、これへ諮問をせられるという御答弁もいただきました。その諮問に当たっても、いま言ったようなこと等をも十分、厚生省としては資料として提出をしていかねばならぬじゃないかというような気が私はするわけです。これはどうですか。ひとつ御答弁をいただいておきましょうか。
○橋本国務大臣 これは先ほど谷口さんにもお答えを申し上げたわけでありますが、この基本的な理念というものを明らかにしていき、それに基づいてこの問題を考え直そうとすれば、相当いろいろな角度からの資料等の御要求も委員の方々からあろうかと存じます。私どもとしては、そういう資料の御要求等に当然積極的に対応して努力をしてまいりたい、そしてよりよい結論が生まれるように努めてまいりたい、そのように思います。
○平石委員 そこで、この現行法の中で十分に対応ができるという結論が出た、こういうようなことの答弁もあったわけですが、仮に現行法で対応をしていくということにすれば、どの面で対応ができるか、その点、ひとつお答えをいただきたい。
○田中(明)政府委員 私どもが現行面で対応できると申し上げておりますのは、ただいま国会において御審議いただいております五十四年度の予算を含めて、現在行っております改善、充実でございますれば、現行法でもって十分対応できるという見解でございます。
○平石委員 十分対応ができると言うのであるなら、私はこのように思うわけです。 部内で検討した、検討したけれども、現行二法ではなかなかむずかしい面もあるが、一応いろいろ調整の結果、いま言うたような結論を出した。出したけれども、厚生大臣としてはどうも気に食わぬ。だから、ここはひとつ社会保障制度審議会の答申もあったことだし、情勢も変わってきた、判決もいただいた、こういう観点に立って部内論議をやったけれども、十分に説得できない。そうすると、これにも見切りをつけて、諮問をして、基本的な理念を勉強してもらい、われわれにアドバイスをいただきたい。こういう立場での今度の諮問ですか。
○橋本国務大臣 これは、すべての論議をし尽くした上で、私が云々というのではございません。私ももちろんでありますけれども、公衆衛生局長以下も全員相談の上で、こういう形態で対応しようと考えておることでございまして、厚生省は私だけではなく、皆同じような気持ちで対応しておると御理解をいただきたいと思います。
○平石委員 それは協議して諮問するのでしょうが、そのもとの考え方は、現行二法ではいまの要請にこたえることができない。そして、最高裁の判決ももらったし、こうなると、ここで考え方をある程度国家補償の面へ踏み入れないといけない。そうすれば現行二法ではどうにも対応ができない。こういうことを、いまの答弁では処遇の改善によってできるとおっしゃいましたけれども、本音はやはり、これではどうもむずかしい、部内説得もできない、だから新しい情勢に対応して、これからの処遇を改善し、さらに被爆者に対する援護強化を図るためには、やはりここで答申を受けようという決意に立ったのかどうかということなのです。
○橋本国務大臣 先ほど谷口さんにも申し上げたところでありますけれども、私どもは、公式に専門的な御検討を願う組織をつくって、そこに問題をお願いをしますについては、われわれがこうしたいとかこう思うとかということではなくて、もっとそれ以前の問題としての、原子爆弾の使用というものが戦時国際法に抵触するものかしないものなのか、戦時国際法に抵触するものであったとした場合に、これは、今度は、国内法において国家補償を必要とするようなものなのかどうなのか、国家補償を必要としないものならばどういう形態で対応すべきものなのか、国家補償を必要とするものならばどういう形で対応すべきものなのか、その基本から御議論をいただくべきものだと思っておるわけでありまして、その過程において、谷口さんは最高裁の判決を引用されたわけでありますが、そうしたものも一つの資料として御要求があれば、私は重要な資料として提供することにやぶさかではありませんし、そのほかのものも提供いたしますけれども、これはあくまでも国民的なコンセンサスを得ていく一つの過程として、基本的な部分から、原子爆弾という兵器の性格から位置づけをしていただくことが必要なことではないかと私は思っております。 政府としては、外務大臣自身が、はるか藤山外務大臣の当時だそうでありますが、戦時国際法違反という見解をすでに明らかにしておるところでありますが、これを、一つの専門的なお立場からの検討の中で裏打ちをしていただくところから、御議論が始まるべきものではないかと思っております。
○平石委員 そこまで整合性を求めることも必要でしょう。ただ、私が申し上げておきたいことは、私もはっきり覚えてないのですけれども、何か日本国政府が、違法な爆弾であったとかいったような声明を出したことも読んだことがあります。後で訂正されておりましたけれどもね。それで、いま言ったように、やはりこれが戦時国際法に違反しておるかどうか、そこまで私ども論議はいたしませんけれども、少なくとも原爆肯定の考え方に立ってもらっては困る。原爆は否定するという立場でやはりこのことを判断していかないと、肯定か否定か、ここはまだわかりませんけれども、非核三原則をとっておるいまの日本の国内の情勢からいったら、私は、これは違法なんだという考え方に立って問題整理をすべきではないかというように思いますが、これは答弁は要りません。そういう関係で、大臣は、これからの厚生行政を進める上については、一般の社会保障制度よりも一歩踏み込んだ形に持っていくという考え方を持ってやっていくのだというように理解していいですか。
○橋本国務大臣 従来から、原爆二法につきましては一般的な社会保障の形態では対応し切れないという、そういう前提のもとに対処をしてきたわけでありますが、昨年の最高裁判決において、私どもとしては、一般的な社会保障の枠を一歩踏み出した特別な社会保障という位置づけをしておりましたものが、そのものがまさに国家補償的なものだという最高裁の御指摘もいただいたわけでございまして、この基本的な見直しをしていただく、その理念の確立を図っていただく上において、こうした点ももちろん考慮に入れていただけるものと思っております。 〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕
○平石委員 いまの御答弁で、大体厚生省の基本的な考え方というものが前向きであるというように理解をいたしまして、この質問は終わらせていただきますが、ひとつそういったことを、さらに前進の意味で大臣も積極的にやっていただきたい、これを申し上げておきたいと思います。 そこで、個別的なことになりますが、昨年の改正のところでも私は御指摘申し上げたのですが、特に私は地元の関係では余り被爆者がおりません。おりませんけれども、現状を見たときに、やはり指定病院等が少ないといったような関係の影響が出ておるのではなかろうかということが感ぜられますので、さらにお伺いをしてみたいと思いますが、高知県には手帳所持者が三百六十名くらいおるわけです。その中で健康手帳が交付されておる者が、第一号交付の者が二百七十五名おるわけです。第一号交付ということになりますと、これは被爆地の市域内におった者で、直接被爆を受ける可能性の強い者が第一号の交付手帳をもらっておるわけですが、これが非常に多いのです。非常に多いのにかかわらず、特別手当を受けておるいわゆる認定患者というものはたった一名しかいない。よその県あるいは全国的なものと比べて見てみますと、非常に顕著にこれがあらわれておるということです。これは一体どういうところからそういうことが出てきておるのか。ひとつ局長の御答弁をいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 御指摘のとおり、高知県におきましては被爆者手帳を持っておられる被爆者が三百六十名でございまして、そのうち直接の被爆者は二百七十五名で、その中の認定被爆者が一名でございます。それで、直接被爆者それから入市の被爆者と申しますか、二号によって被爆者と認められた者及び三号による被爆者と認められた者、あるいは四号によって被爆者と認められた者の割合は、これは全国的にも直接被爆者が非常に多いわけでございまして、その点につきましては、そう高知県が異常であるというふうには考えられないと存じます。 その中での認定被爆者の数が一名であるという点が先生御懸念の点ではないかと思いますが、高知県の場合は全体の数が非常に多いというわけではございませんので、一名ということになっておるのだろうと思います。 御案内のように、直接被爆者の中でも、爆心地からの距離が近くて被曝量が非常に多い、あるいは医学的にも放射線による因果関係が考えられるというような患者につきまして、専門家の審査を得て認定疾病というものを認めているわけでございまして、その数は、直接被爆者に比べまして、全体的に見ましても非常に少ないものでございます。ただ、高知県の場合の比率が全国にそのまま当てはまるということではないと存じますが、これは分母が少ないので、たまたま分子が一名、二名違っても、率としては非常に違ってくるということになりますので、そういうことが起こっているのだと存じまして、特に変なことが高知県で起きているというふうには私どもは考えておりませんです。
○平石委員 全体の数は少ないのですが、全国的な率で見ると、特別手当のいわゆる認定患者というのは大体一%おるわけですね。高知県の場合はどうなるかと言いましたら〇・二七なんですよ。さらに、これは一名とか二名とかの数字の問題ではなしに、高知県では指定病院も一カ所しかない。そして、非常に広範な地域に散在をしていて、山また山といったようなところで、結局健康診断にも十分に応じていないのではないか。それは行政的な面から考えたときに、もっと手を足して、健康診断を受けられるような方途を考えていただかなければいかぬのではないか。これについては、昨年私が指摘いたしましてから非常に改善はされております。改善されて、昨年からいいますと顕著な数字が出ておりますから、一概にどうのこうのは申しませんけれども、ひとつもっと積極的な行政指導をしてもらいたい。 それから、この検査を見てみますと、全国平均では受診率は二〇%なんですね。高知県ではどうかと言いましたら、受診率は四九%にすぎないという結果が出ております。これから見ましても行政指導が十分でない、PRが足らないという面が出てきておるのではないか。そして、それが結局、認定患者が少ないという数字にあらわれておるのではないかという気がするわけです。そういった面での徹底的な行政指導をさらに強化していただきたいのですが、どうですか。
○田中(明)政府委員 先ほど私が申しましたのは、一般的な統計的な観察といたしまして、分母が三百六十ということでございますから、一名があと二名あるいは三名ふえますと全国とほとんど同じになるということでございますので、たまたまこのぐらいの違いは起こり得ることではないかという意味で申し上げたわけでございます。 いずれにいたしましても、そういう数字の解釈は別といたしまして、被爆者の方が適時必要な健康診断を受けることができ、また必要があれば十分な治療を受けることができるように、国として、あるいは都道府県として努力するのは当然でございまして、従来からもその線に沿ってわれわれ努力いたしておるところでございますが、今後ともその努力は続けてまいりたいと存じます。
○平石委員 それでは、高知県のことはこれで終わらせていただきます。 そこで、時間もちょっとありますので論議をまた蒸し返してみますが、現行法の中でいま各種手当が出ております。この各種手当を年金という形に統合できないものか。ひとつ大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 先ほどから何回も御議論が行き交っておりますように、現行法上、被爆者対策の本旨として考えておりますものが、被爆者の方々が原爆放射能の影響を受けて健康上、生活上特別な状態に置かれておるところに基づくものでありますだけに、この手当も、その状態そのものに着目して、これは実体的には変更あり得べきものではありませんけれども、理論的には変化のあり得る方々に対して支給をしておるわけでございます。 それで、午前中の御議論にもちょっと出ておりましたが、私ども、年金というものといわゆる手当というものとに一つの仕分けをしております理論的な根拠は、いわゆる年金権という言葉が示しておりますような年金の性格、それから、そのときそのときに置かれている特定の状態にある方々の、その特定の状態に着目して、月々に支給をしていきます性格のものを手当と分類をする、そういう考え方から言いますと、被爆者の方々に対して現在行われておる手当がきわめて年金的な性格であることは間違いありませんが、理論的には、その状態を回復する場合あり得べしというものでありますだけに、それを一遍に年金的に切りかえてしまうというわけには現行法上はなかなかいかないのではなかろうか、そのように私は理解いたしております。
○平石委員 私どもは当初年金ということで質問しましたが、生活の実態を考えたとき、他の一般戦災者と非常に違うのだ。それから、午前中にも論議をお聞かせいただいたが、年金ということになると、やはり生活保障的な性格を帯びてくると思うのですね。それから手当ということになりますと、やはり生活補完的なものだというように一応考えられると私は思うのです。そうなりますと、生活実態から考えたときに、生活補完的な物の考え方では律し切れない、戦傷病者戦没者遺族等援護法等が生活保障的な考え方でおるように、やはり年金という形で生活保障的なものにしていくべきではないかというような気が私はするわけですが、いかがですか。
○橋本国務大臣 ですから私どもは、制度の基本的なあり方について専門家の方々に御議論を願います場合の、基本的な理念の問題からすぐ派生して出てくる大きな問題点の一つが、この手当と年金という性格づけの問題に波及するであろうと考えておりますし、またこれは、その位置づけによりましては、当然支給制限等の問題についても入っていく性格のものでございまして、私は「権威ある組織」という言葉を使って先ほどから申し上げてまいりましたが、専門家の方々による御検討の中でこの点はぜひ検討していただきたいと考えております。 ただし、現行法において御質問があります限りにおいては、私どもは、これはやはり手当という性格で対応すべきではなかろうか、そのように考えております。
○平石委員 そういうことで諮問もされると思うのですが、私はやはり、この年金化ということについては、現行法の中でも対応できるという結論が出ておる、こういうこの前の答弁から言うたときに、現行法でいまどこでやれるのかということをさっきちょっとお聞きしたのですが、保健手当、これもさっき論議がありましたけれども、二キロ以内に在住しておった者は一応、所得制限とか云々とかいうことでなしに、その事実に基づいて支給しているということになりますと、やはり年金的な性格を帯びておるというように先ほどの答弁でもお聞きしたわけですが、そのことから考えたときにも、やはり私は、年金化ということはいまの法制の中でも何とかこじつけていけるのじゃないかという気もしておるわけです。これは諮問の関係でどのようになるかわかりませんけれども、生活の実態から考えて他の戦災者との違いが出てきた、そういうことを保障する意味において年金化をしていく、そして、いま特別手当等をいただいておる方々が亡くなった後の遺族についてもやはり保障をしていく、私はこういう形のものにしていくべきではないかという気がしておるわけですよ。だから、これはすべて後へ宿題として残るということにもなろうかと思うけれども、私は、厚生省の考え方そのものが、そこへいくにはやはり衣をかえないと、いまの法律では困難だといういまの大臣の答弁でございましたが、やはりそういう面で大臣に特にお願いをしておきたい、こう思うわけです。 それともう一つは、今度被爆者調査がなされるようですが、これはどういうことでなされますか。
○田中(明)政府委員 広島、長崎の被爆者の方々の調査につきまして、従来からもいろいろ調査がなされておったわけでございますが、今回は、従来問題となっておりました爆心地から二キロ以内というのをさらに枠を広げまして、二キロの外側の被爆状況、具体的に申しますと二キロから三キロまでの地域における原爆による被爆状況を調査したいということで、予算を計上しております。
○平石委員 二キロの問題でもいろいろと論議がなされておったようなわけですが、この三キロに拡大をして調査をしようということは、やはり保健手当の拡大、こういうことが一つの目的になっておりますのか、どうですか。
○田中(明)政府委員 調査の目的として、特にそういう制度の改善ということを直接的には考えておりません。ただ、調査の結果として、あるいは現行の制度を考え直さなきゃいかぬというような結果が出てくるかもしれませんが、目的として、先生が御指摘になったようなことを考えてやる調査ではございません。
○平石委員 保健手当の地域拡大については、団体等の非常な要請も上がっておると思うのです。私のところへもたびたびそういう要請があるわけですが、せっかく調査をせられることですから、保健手当の適用拡大という面で、厚生省も積極的に、その調査をもとにして対処していただきたいと私は思うわけですが、これは時期的には大体どのくらいかかってやるものですか。
○田中(明)政府委員 五十四年度を初年度として開始するわけでございますが、一年だけでは終わらない調査である、やはり数年かかるのではないかというふうに私どもは考えております。
○平石委員 先ほど老齢化といった問題も出ておりましたが、だんだんと老齢化していくというような現状を考えたときに、これは早くやるべきじゃないか。少なくとも一年でできなければ二年ぐらいでやって、早く処理していくことが必要でないかと私は思うのですが、二年ぐらいをめどにできますか。
○田中(明)政府委員 これは調査の専門家とも御相談申し上げなければいけないことかと存じますけれども、われわれとしても、その地域の範囲あるいは調査の事項によって要する期間も決まってくるかと思いますが、必要な資料をできるだけ早い期間に集めるように、関係者の先生たちにもお願いいたしたいと存じております。
○平石委員 それでは時間ですから、これで終わらせてもらいます。
○越智(伊)委員長代理 次に、和田耕作君。
○和田(耕)委員 今朝来の委員の御質問に対して厚生大臣が、昨年三月の最高裁の判決、つまり国家補償のような精神でという趣旨の判決とか、あるいは今年一月二十九日の社会保障制度審議会の専門家等を交えての制度の見直し等の答申、そういうような問題にかんがみて、権威のある専門機関をつくりたいということを言明されておるようですけれども、その問題について御所信をお伺いしたい。
○橋本国務大臣 これは和田さん、ずっとこの社会労働委員会で長年一緒に過ごさせていただきまして、途中の経緯はよく御承知のとおりでありますが、従来私どもとしては、被爆者対策というものが一般の社会保障では十分ではない、何らか特別の観点からの対策を必要とするという考え方のもとに、原爆二法を制定して今日まで進んでまいりました。その過程においても、これを国家補償の観点から見直すべきだというような御議論もあり、また二法を一本化すべきだというような御議論もあったことは事実でございます。 ただ、政府としてはそういう考え方をとり今日まで参ったわけでありますが、私どもとしては、一般の社会保障を一歩踏み出した特別の社会保障という考え方でとらえておりました従来の原爆二法の考え方というものが、昨年の孫振斗さんの訴訟を通じて示されました最高裁の考え方として、これは被爆者の方々の健康面に着目した社会保障であるとはしながら、その根底には国家補償的配慮が流れているという御指摘をいただき、私どもとしては一歩踏み出した特別対策と考えておりましたものそれ自体が、ある意味では国家補償的な色彩を持つものという見解をちょうだいしたわけであります。 また一方では、昨年の原爆二法の本院における審議の際に、二法の一本化というような強い御要請もいただいたわけでありまして、そうしたものを踏まえながら、いろいろと今日まで内部で検討を進めてまいったわけでございます。とにかくこういう状態の中で、二法の一本化ができないかということがまず第一の問題点だったわけでありますが、部内検討をし、また内閣法制局の意見等も聴取をいたしました過程において、何らかの根本的な変更がないと、二法の一本化というものについては積極的なメリットがない、そういう観点から、法制局としては賛成しがたいという見解を示されまして、私ども正直言って、はたと弱ったわけであります。ただ、その中で、生活面における特別措置については残念ながらいまなお所得制限が行われておるわけでありまして、所得制限が仮に撤廃されるようなことがあれば、二法の一本化というものにもそれなりの意義を見出し得るという法制局の見解もありましたので、今年度の予算編成時に財政当局との間でその点の論議を詰めたわけでありますが、残念ながら、閣僚折衝まで持ち上げましたものの、手当額の三倍増への引き上げといったような問題も並行して抱えましたために、所得制限の緩和というのにとどまりまして、実は法制局の要求される撤廃というところまではまいれませんでした。ずいぶん予算編成の過程において論議をしてきたところでありますが、結論としてそういう事態になったわけであります。 ところが、この点につきまして、社会保障制度審議会から基本的な理念問題を提起され、また二法の一本化といったような問題についても真剣に考えろという御指摘をいただきましたのをとらえまして、広く社会科学、自然科学あるいは司法関係、また報道関係等から、まあこの方ならと、国民の方々に御納得のいただけるような方々を選びました権威のある組織というものに着目をし、そういうものを組織することにより、その基本的な理念についてまたそこから発する諸問題について御意見を伺わせていただき、それを今後の原爆被爆者対策というものに生かしたいということが、今日の状態でございます。
○和田(耕)委員 非常に速やかな対応だと評価したいと思いますけれども、もうすでに腹案は決まっておりますか。そして、大体いつごろから発足させて、いつごろまでに結論を期待するというような、そういう腹案は大体決まっていますか。
○橋本国務大臣 いま、具体的な人の名前については、まだ折衝中でございますので、お許しをいただきたいと思いますが、いま申し上げましたような斯界の方々を中心にして、私どもとしては七名程度の方々を選びたい、そしてその方々には、最初の会議の冒頭に私から、基本的な理念について一年以内にお答えをいただきたいということをお願い申し上げることを前提にしまして、そのためには少なくとも二カ月に三回程度は会議を開いていただかなければならないだろう、そうなりますと、大変忙しい方々ばかりでありますから、それに出席が願えますかということをつけて、委員の方々にいま交渉をいたしておる段階でございます。 きょう午前中の委員会の御質問の中に、そういう答申を出された社会保障制度審議会からもだれかお入りいただいてはどうか、というようなお話しもございました。私どもも、できれば会長かまたはそれにかわるような方々の中で、社会保障制度審議会の中からも加わっていただければそれにこしたことはない、そのようにも考えておるところでございます。
○和田(耕)委員 これは私どもも、長年、野党全部歩調をそろえて、例の原爆被爆者の援護法を主張してまいった。これはいろいろなことで政府の考え方と食い違っておったりなんかしたのですけれども、私どものところの主張した点もかなり実際に行うという面から見れば、問題もたくさんあったと思うのですが、せっかくのいい機会だし、いい考えを持ってやろうとされておりますから、ぜひともひとつ、基本的な諸問題を具体化していただきたいと思います。 それにつきまして、一つ私からお願いがあるのですけれども、国家補償の一つの観点から見ると、被爆者の子供さん、まあ子供の場合は原爆症の何らかのあれを遺伝しているというふうな場合もあるでしょうけれども、そういう場合でない人もあるわけですね。そういう場合にはつまり遺族に対して何らかの措置を考えるというふうなことも、どういうふうにするかは別として、議論として出てくる問題だと思うのですね。そういうことになりますと、ここで考えていただきたい点は、あの原爆投下で、そのときに亡くなられた人ではなくて、それから十数年、この法律ができたのは三十二年でしたか、この法律ができるまでの十数年の間に原爆症として亡くなった方がたくさんおるわけですね。実は私の義弟も、中央官庁のある課長をしておったのが広島へちょうど行っていて、原爆症になって三年後に亡くなった。こういう例はいろいろあると思うのですね。これは病院のいろいろな例を調べればわかることだと思うのですけれども、いま原爆の再調査をする、二キロから三キロに広げてやるという意味のお話だったのですが、その現場の調査だけでなくて、戦後亡くなられた人を一度調査していただきたいと思うのですね。そういうことをしないと、公平の原則と言えばちょっと変だけれども、この病気は、この被爆者は非常に特殊な障害者であって、いろいろな問題があるわけだから、法律ができてからこの被爆者に対してはいろいろと措置されたけれども、それまでの十数年間に亡くなられた人に対しては何らの措置もされていない。これはいまの原爆二法からいえばできないものですね。けれども、この問題は、制度の根本的見直しをするという機会にやはり考えてみる必要がありはしないか。大臣が専門委員会に諮問なさるときに、こういう項目も含めてというふうなことが言えるかどうか知らぬけれども、とにかくそういうことを含めてぜひとも検討してもらいたいと思うのです。いかがでしょうね。
○橋本国務大臣 私は、この組織がスタートいたしました当初からは、いま和田さんから御指摘になりましたような案件を御相談にかけるということにはちょっとならないのじゃないかと思うのです。と申しますのは、いまお身内のお話しもありまして、お気持ちもよく理解はできるつもりでありますけれども、この専門家の権威ある話し合いの中で、国の被爆者対策がいかにあるべきかということの基本をお決め願いますためには、私は、原爆というもの自身が本当に兵器として、果たして戦時国際法に許された兵器であったかどうかというところから、御議論が始まらなければならないのではないかと思います。これは政府としては、戦時国際法違反ということは前から申してきておるわけであります。そういう御議論の中から、仮に国家補償という概念が出てきて、国がそういう形で対応すべきだというお話が出てきた次の段階において、いまのようなお話が——これはあくまでも仮定の話でありますけれども、そういうものが出てくるとすれば出てくるのではないだろうかということでありまして、いまのような推移を仮にそこでの話がたどるとすれば、その時点において私どもとして対応いたすべき問題ではなかろうかというふうに理解をいたしまして、当初からやはり御議論にのせていただくというのには、ひとつ性格としてはその次の問題ではなかろうか、そのように理解をいたします。
○和田(耕)委員 大臣の御意見は理解できます。そういうものを今後の問題を考える一つの関連の問題として、ぜひとも頭に置いておいていただきたいと思うのですね。局長さんもひとつお願いいたします。そうではないと、いろいろ考えてみても、やっぱりかなり片手間の問題という感じを受けるわけですね。どうぞひとつ、御検討するときに責任者として頭のどこかに置いておいていただいて、この問題の扱い方をひとつ検討してもらいたいと思います。 それから、その次の問題は韓国人の中の被爆者の問題なんですけれども、これはいままでの相当時間がたっている経過の中でどのような御処置をなさっておられるのか、そのことをお伺いいたします。
○田中(明)政府委員 現在韓国には、正確な数はつまびらかにいたしませんけれども、約二万の原爆被爆者がいるというふうに言われておるわけでございます。被爆者対策はわが国の国籍を持っているかどうかということを問うものではございませんでして、現行法は国内法であり、日本政府が他国の領域内で直接これらの法律を適用して、被爆者に対する措置を講ずるということはできないわけでございますので、韓国人の被爆者のうち、韓国におられる方につきましては、残念ながらわが国の現行二法を適用するというわけにはまいらない次第でございます。 これらの韓国人、外国に存在する韓国人の被爆者の救済につきましては、われわれといたしましては、第一義的にはそれぞれの国の国内問題として処理すべき問題である。したがって、日本国政府は、そういう国から外交ルートを通じて具体的な協力の要請があれば、その段階で関係省間で検討いたしたいというふうに考えております。
○和田(耕)委員 これは在日韓国人の場合は、日本人と同じような援護の措置はやっておられますね。
○田中(明)政府委員 御指摘のとおりでございます。
○和田(耕)委員 今度韓国の日本大使になった方は、これは被爆者だということを聞いておりますけれども、いまの韓国の約二万人という数は、この人たちに対して何か日韓の間の外交的な問題になったことはありますか。
○橋本国務大臣 私が厚生大臣を拝命いたしましてから今日までの間にも、いろいろな場面で、韓国国内における被爆者の方々のお話というものが耳に入っておることは事実でありますが、きょうの時点までに、私が着任をいたしましてからは正式に話をいただいたことはございません。ただ、日韓閣僚定期協商会議の席上あるいはその休憩のときにおける話題として、この問題が提起をされたことはございます。
○和田(耕)委員 まあ韓国政府のことですから、向こうからぜひ必要であれば日本に言ってくると思うのですけれども、そういうあれがなければ、向こうで適宜に処置をしているかもわかりませんが、しかしこれは道義的な問題として、やはり日本からもそういう問題を提起するような姿勢が、この原爆問題に関しては必要だと私は思いますね。ぜひひとつ、今後そういう問題をそういう姿勢で考えていただきたいと思います。 それから、原爆二世の問題、被爆者の二世ですけれども、この実態についてわかっておる限りで御報告いただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 原爆被爆者の二世の現状につきましては、残念ながらわれわれには余り詳しいことはわかっておりません。 〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、その方々の中に、原爆による何らかの健康障害を心配されておられる向きがかなりおられるということは承知しております。
○和田(耕)委員 これはいろいろ個人的なプライバシーに関する問題もあると思いますので、隠しておられる人も当然あると思いますが、わかっている人はわかっているわけでしょう。
○田中(明)政府委員 ちょっと御質問の趣旨があれですが、病気であるということがわかっているという意味でございますか。——それにつきましては、従来から放射線影響研究所等の長年の調査によりましても、これは非常に幸いなことだと存じますけれども、原爆の影響が被爆者の二世にまで及んでいるというデータは出てないわけでございます。したがいまして、現在の医学の水準をもって考える限りにおきましては、被爆者の二世の方には原爆の影響による原爆症というものは心配しなくていいのではないかというふうに、われわれは医学的には考えております。 ただ、被爆者の二世の方の中には、とは申しましても、いろいろ自分の健康について不安に感じておられる方もおられますので、それらの方々の健康につきまして、健康診断を実施して、希望者の要望にこたえたいということで、昭和五十四年度には、被爆者二世の健康診断の予算を計上したわけでございます。
○和田(耕)委員 原爆症という問題のきわめて特徴的な要素がこの問題なんですね。したがって今後も、本格的にこういう問題を考える場合に、やはり被爆者の子供、孫、こういう人たちがどういう状態になるのか、これに対して国はどういう責任をとるべきかという問題は、やはり、いま厚生大臣のおっしゃった今後の委員会の非常に大事な項目になるべきだと私は思うのです。こういう問題がなければ、他のものと余り区別はないのです。こういう問題があるから原爆という問題の特別な一つの地位が出てくるわけで、これはひとつ、個人的にはいろいろプライバシーの問題もあるからやりにくいけれども、厚生省としての原爆に対する姿勢としては、こういうものを被爆者の方で言いたがらないからということだけで、これは済ませる問題じゃないのです。本質的に考えてみて、そういうことをひとつ認識になって、もっと積極的な姿勢をとる必要が私はあると思う。やはり処置する方法としては、いろいろ健康診断等の実施については当然配慮しなければならない問題がたくさんある。やるとしても、もっと積極的な姿勢をとらないといけないと思うのですが、いかがでしょうか。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、これは非常に本質的な問題であり、かつ重大な問題であるわけでございまして、私どもといたしましては、放影研等に依頼いたしまして、この点についての調査を精力的にいま継続しておるところでございます。その結果が、先ほども申し上げましたように、幸いなことに、現在までの結果では、放射能の影響が二世にまでは及んでいるという結果は出てないということでございます。
○和田(耕)委員 まだいろいろ個別的なあれがありますけれども、これは他の同僚委員からすでに質問のあったことばかりだと思いますから、きょうはこれで、あとは省きたいと思いますけれども、ひとつ各医療の問題とか生活上の諸問題についてできるだけの、いまの現行法に基づいての援助を次第に強化していってくださると同時に、一年間の予定で厚生大臣が非常に意欲を燃やしている制度その他の見直しの問題を、ぜひともひとつ精力的にやっていただきたいと思います。 まだ時間がありますけれども、これで質問を終わります。
○森下委員長 次に、浦井洋君。
○浦井委員 これは、各党の委員からけさ方来いろいろ質問があったのでありますが、一応私の方からも尋ねておきたいと思うのです。 今回の社会保障制度審議会の、この改正案に対する諮問の中で出ておる問題でありますけれども、一般的に言って、政府はどう対応しようとしているのか、もう一度大臣から見解を聞いておきたい。
○橋本国務大臣 けさから何回か申し上げたところでありますが、私どもは、今度の制度審の御意見というものを受けて、権威ある専門家による基本理念の見直しという御指摘を受けたわけでありますから、それをちょうだいをし、七名程度の社会科学あるいは自然科学あるいは報道また司法といった各分野の専門家の方々、権威ある方々を一つの懇談会のような機構に御参画を願い、その中で、この被爆者対策というものの基本理念の洗い直しをしていきたいと考えております。 その基本は、昨年の最高裁判決で私どもは御指摘を受けたわけでありますが、従来から、政府として、一般社会保障施策の中では対応し切れないという観点のもとに、特別な社会保障対策として原爆二法をここまで進めてきたわけでありますが、その精神そのものが国家補償的なものという最高裁の御指摘もあったわけでありまして、いま基本的な見直しを迫られているわけであります。 その中で御検討願いますのは、先ほどから私は非常に省略した形で申し上げてまいりましたけれども原子爆弾というものが、それこそ戦時国際法において、それが形成された時期において想定され得なかった兵器でありますだけに、直接条文上否定をされる条文はございませんが、しかし、戦時国際法の精神からいけば、まさしく不当なる兵器ということでありましょう。ですから、これは私は戦時国際法違反、こう言っておりますけれども、正確に言えば、戦時国際法の精神に反する兵器と申すのが正確かもしれません。そういう兵器であるということかどうか。そしてそれがそうであれば、その国際法の精神に照らして違法なものに対して、それを受ける国内法のたてまえはどうあるべきなのか。そうして、その国内法から出てくる施策というものはどうあるべきか。こういうことを基本的に見出していただくのが、この懇談会の役割りだと思っております。 私どもとしては、いま委員のお名前は控えさせていただいておりますけれども、鋭意人選を進めておりまして、両院の原爆二法の御審議が済み次第できるだけ速やかにこれを発足させ、その冒頭の会合の席上、私から、少なくとも基本的なもろもろの問題点については一年以内にお答えをいただきたい、議事の進行上のこともありましょうけれども、基本的には一年以内にお答えをいただきたいということをお願い申し上げるつもりであります。また、一年以内に基本的な検討を終えていただける客観的な状態をつくるためには、少なくとも二カ月に三度ぐらいはこの会合はお開きをいただかなければならないと考えておりますので、委員の方は大変お忙しい方々ばかりになりそうでございますけれども、少なくとも二カ月に三回この会議に出席がいただけますかということをあわせて、委員におつきをいただけるかどうかのお返事をいまちょうだいをしている、それが現状であります。
○浦井委員 もちろん、これは厚生大臣の私的諮問機関という形になるだろうと思うのですが、その検討事項の問題で、戦時国際法の精神に反するというところから、そうなるかどうかというのは審議を見てみなければわからぬわけですが、ですから、そういうところから出発していけば、当然、現在は社会保障的なもの、それの特別なもの、それから最高裁の判決を経て国家補償的なもの、それから国家補償といういろいろな段階があるだろうと思うのですが、いまよりも後退することなしに、そういう特別なものというところから国家補償というところに至る、そういうところが当然基本理念の検討の一番大事なところになるわけですね。
○橋本国務大臣 私は、少なくとも、日本国民の中から選びます委員の方々に、現在の被爆者対策を後退させるようなお答えをお出しになる方があるとは思っておりません。まずそれが基本であります。ですから、私は、本当に乱暴に、戦時国際法違反と言っておりますけれども、正確に言えば、戦時国際法には原爆というような非人道的な兵器はもともと想定しておらぬわけでありまして、戦時国際法の精神に反する兵器であるということはどなたもお認めになるだろうと私は思います。また政府も、従来からそういう答弁をしてきておるわけであります。そうすれば、その延長線上において、私どもが特別な社会保障と考えておりました現行の原爆二法そのものが、すでに国家補償的なものを根底に持つという最高裁の御指摘をいただいておるわけでありますから、おのずから御議論というものは進むべき方向に進むのであろうと思います。ただ、その御議論の成り行きというものをいまから規定してかかることは、専門家として委嘱をいたす委員の方にも大変失礼な話でありまして、むしろ、基本的に御審議を願うその中において御要請があれば、たとえば孫振斗さんの事件についての最高裁の判決でありますとか、参考のための御要求のある資料というものはどんどんお渡しをしていくということであろうと思います。
○浦井委員 大体の意図はよくわかりました。私どもとしては、国家補償の立場、精神に立った援護法の制定をこれまで主張してきた者として、当然これはこれで、そういう方向に行くことを期待をしておきたいと思うのです。 そこで、現行特別措置法の問題に関連をして質問したいわけなんですけれども、まず認定の問題ですが、現在、認定患者の認定基準であるとか指針というようなものはどういう取り扱いになっておるのかということを聞いておきたいと思う。
○田中(明)政府委員 被爆者がいわゆる認定疾病に該当するかどうかにつきましては、被爆者の申請に基づきまして、原爆医療審議会におきまして専門的見地から被曝放射線の量、あるいは疾病の種類、患者さんの年齢等を考慮いたしまして、提出されたデータを綿密に検討して、専門的な判断を個々に下しているわけでございまして、一般的な基準というものは現在特にございません。
○浦井委員 個々に認定を下しておる。去年も松浦公衆衛生局長は、各委員の頭の中にあるんだというような発言をされた記憶があるわけなんですが、これは大臣も御承知のように、やはり一番問題は放射能の被爆による障害だと思うわけです。三十二年に医療法が制定をされて、現在まで認定患者が七千四百七十五件ということになっておるのですが、個々に認定をされたにしても、その七千四百七十五件の認定件数の整理、疾病名であるとか障害名であるとかあるいは被爆の状況であるとか、そういうものの整理、統計というようなものは当然あるのでしょうね。
○田中(明)政府委員 まことにお恥ずかしい次第でございますが、その点のしっかりとした統計的な整理がいままでなされておりませんで、今回予算を取りましてそれをやるということにいたしたわけでございます。もちろん記録は残っておりますが、統計的な整理というようなのはいままでなされておりませんです。
○浦井委員 われわれ日本国民にしても、あるいは核兵器禁止を願う人たちも、その被爆の状況が具体的にどうなのかという一番の手がかりになるようなものは当然整理、統計化されておるというふうに私は考えておったわけなんですが、全然ないわけですか。では、それはいつやられるわけですか。今回やろうということなんでしょう。
○田中(明)政府委員 五十四年度の予算にその所要経費を計上しておりますので、予算が御承認いただきましたら、すぐ取りかかりたいと存じております。
○浦井委員 私は実は内訳をここで示してほしいというふうに言おうと思っていたのですが、全然ないと言われるとそうも言えないわけなんですが、どうですか。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、この制度が始まりましてからすでに七千名でございますか、非常に多数の認定患者がおるわけでございます。そのすべてについての統計的な処理というのは、まことにお恥ずかしいことでございますがないわけでございますが、最近の事例につきましては、幾つかの指標によります数字はできております。(浦井委員「それを言ってください」と呼ぶ)たとえば、昭和五十年度から五十二年度に認定を受けました患者二百十名につきまして、その疾病の種類を見ますと、悪性新生物が七十六、造血機能の障害が十三、それから肝機能の障害が六十六、甲状腺機能の障害が十二、原爆の白内障が七、外傷性の疾患が二十五、その他二というような内訳になっております。
○浦井委員 この数字ぐらいしかないようでありますけれども、その整理は、ある程度分類をし、やろうと思えばすぐできるわけですから、ぜひ早くやっていただきたいと思う。 それで、いま局長の言われた数字からもわかりますように、悪性新生物であるとかあるいは肝臓障害というのが非常に多いわけでありますし、被爆者は高齢化されておるわけであります。だから早く認定をしてほしいという要望が強いわけであります。だから、厚生省の方で努力をするならば、七千四百七十五件累積をしておるわけでありますから、その実績を整理をして、傷病名であるとかあるいは爆心地からの距離であるとか、そういうところから推計をして、一定の基準がまさにいまもうでき上がるのではないか、もう十分にやれるように思うわけなんです。だから、そういうものを厚生省だけで死蔵しておくのではなしに、各指定医療機関であるとかあるいは地方自治体、こういうところに示して、早く要望のある認定という行為を、患者さんの要望によって早くやれるようになるのではないかというふうに思うのですが、どうですか。
○田中(明)政府委員 先ほど一部を御報告申し上げましたが、先生いま御指摘の、爆心地からの距離等も五十年から五十二年の患者についてはとっております。もし御要望がございましたら、後ほどお知らせいたしたいと存じますが、いずれにいたしましても、こういうような統計は資料を整理いたしますれば出てくるわけでございますので、われわれとしては、先ほど申し上げましたとおり、できるだけ早くその作業に取りかかりたいと思っております。 ただ、こういう病気の種類であるとかあるいは爆心地からの距離、これは被曝線量との関連でございますが、そういうような要素が複合されまして、個々のケースが認定疾病に該当するかどうかということを専門的な見地から御審議、御検討いただいているわけでございますので、われわれといたしましては、すでに相当たくさんの認定のケースがあるわけでございますので、これを何らかの形で系統的に整理いたしまして、こういうような例は認定されたという事例集のようなものをつくって、被爆者の方々の便宜に供したいと思っておりますが、一般的に、何キロ以内ならオーケーであるとか、こういう病気ならオーケーというような基準はできないと存じておるわけでございます。
○浦井委員 そうすると、局長の言われるのは、指針まではいかないけれども事例集ならつくれる。そうであれば、それを、各指定医療機関やらあるいは各都道府県などにある相談室とか、そういうところにおろすことは可能であるわけですね。
○田中(明)政府委員 そういう線でやれば可能であろうと考えて、いま検討しておりますので、できるだけその実現を早期に図りたいと思っております。
○浦井委員 そうしたら、次の問題でありますけれども、まずこれも人数をお聞きしたいのですが、原爆に起因する傷病によって死没された方々の数です。それも三つの時期に分けて、原爆投下時のいわゆる直爆による死亡者がどれくらいなのか、それから昭和三十二年の医療法制定時までの死亡者、それから医療法制定以後の認定被爆者のうち死亡された方の数はどれくらいなのか、どうですか。
○田中(明)政府委員 原爆投下時の死傷者の数は、これは当時の県警の調べでございますが、広島で十万一千五百六十一名、長崎で四万九千二十二人というふうに、広島につきましては昭和二十年の十一月、長崎につきましては十月現在で調べました数がわかっているわけでございますが、そのうちの死亡者につきましては残念ながらここに数字はございません。 また、被爆時から昭和三十二年までの死亡者につきましては、これは残念ながら数字はございません。 それから、原爆医療法が開始されましてから現在に至るまでの死亡者でございますが、これもわからないわけでございます。ただ、原爆特別措置法によりまして葬祭料が支給されるようになりましてからの、葬祭料の支給件数は判明しておるわけでございます。最近の数字を申し上げますと、昭和五十二年が四千九百二十九人、五十一年が四千七百五十二人、五十年が四千八百十八人、四十九年が四千六百六十七人ということになっております。
○浦井委員 私、大臣に要望したいのですが、いまの答えぶりから見ましても、やはりぐあいが悪いわけです。だから、政府の責任でできるだけ資料を集め、調査をして、実態をつかむようにしていただきたいと思うわけです。よるしいですか。
○橋本国務大臣 いま三期に分けてお尋ねになったわけですが、特に古い部分のものにつきましては、これは現状不可能に近い問題ではなかろうかと思いますが、その後においての数字等、いろいろ困難な問題点はあろうと思いますけれども、できるだけの努力をさせます。
○浦井委員 私がそれを言うのは、確かに、いまの二法による被爆者対策というのが生存者対策に限定されておるわけですね。だから、最大の被害者である死没者対策というものがなおざりにされておるところがあると私は思うわけです。 ちょっと尋ねますけれども、昭和五十四年度予算で原爆死没者慰霊式等開催地ということで計六百万円ですか、これが計上されておるわけですが、これはやはり死没者に対して国が弔意をあらわすということなんですか。
○田中(明)政府委員 御指摘のとおりでございまして、この補助金は、原子爆弾による死亡者の霊を慰め、また恒久平和の確立を祈念するために、国といたしましても、広島、長崎両市の主催で例年八月に開催されております慰霊式等の式典開催事業に対して、経費の一部を補助するということで行っているわけであります。
○浦井委員 そこで、弔意を示すということであるならば、もちろん慰霊式は結構であります、われわれもそういうことをもっと積極的にやらなければならぬと思うわけでありますけれども、個々の死没者に対してもやはり何らかの対策を立て、それに伴う費用を出すべきではないかというのが、私どものかねがねの要求であります。特に、大臣が認定をするという形になっております認定患者については、弔慰金であるとかあるいは遺族に対してそれに準ずるような遺族年金の支給なんかも、筋としては当然もう出すべきではないかというふうに私は思うわけでありますが、これは大臣、どうですか。
○田中(明)政府委員 従来のいきさつを申し上げますと、厚生省といたしましては、ただいま御指摘の遺族に対する原爆死没者の弔慰金というものは、そのほかの一般戦災者との均衡を考えまして、実施することが困難であるという態度をとってまいったわけでございますが、この点につきましても、原爆被爆者に対する措置の本質的なあり方ということを専門家の権威ある組織に御検討をいただいてお考えをいただければ、それに関連して、またわれわれの考え方を整理いたしたいというふうに存じております。
○浦井委員 基本理念に関することだと言われるわけなんですが、当然死没者対策というのは早急に実施されなければならぬというふうに私は思います。 それと同じ意味で、けさ方来問題になっております所得制限の問題、これは現在九六%まで支給されておるわけですが、九六という数字はどこからつくられるわけですか。
○田中(明)政府委員 別に九六という数字をわざわざつくったということではございませんでして、従来九五であったわけでございますが、それを改善いたしまして九六にいたしましたということでございます。われわれといたしましてはさらにこれを改善いたしたいというふうに考えているわけでございます。
○浦井委員 原爆被爆者の各種手当の所得制限については、たとえば老齢福祉年金であるとかあるいは老人医療費とか、他のそういう社会保障制度に比べるとかなり緩和されているわけでしょう。そういうふうに理解していいですか。
○田中(明)政府委員 この原爆特別措置法以外の年金あるいは手当の関係では、所得制限が五十四年度には緩和されなかったものも相当あるわけでございますので、そういう意味におきましては、この原爆特別措置法による手当につきましては、そのほかの制度に比べまして特別に緩和されたというふうにも考えられるかと存じます。
○浦井委員 九六%までは支給をされておる、そういう残し方はどうなんでしょうね。所得制限について、あと四%という残し方は。これも、また大臣は基本理念の問題だということになるかもわかりませんが、やはり私は、せめて特別手当についての所得制限は撤廃されるべきだというふうに思うわけですが、大臣どうですか。
○橋本国務大臣 私どもも概算要求において撤廃を要請したわけでありますけれども、結果的に、予算編成の結果、緩和で終わったというのが実情であります。
○浦井委員 これは当然撤廃するという方向で努力されることを、私は要望しておきたいと思うわけであります。 そこで、もう大臣もずっと社労委員をやっておられるのでよく御承知だと思うのですが、特別措置法が四十三年に制定されて、きょうのこの改正案の審議で十回目の審議に当たる、そのたびに社労委員会は附帯決議をつけておるわけなんです。 私、先ほどから三つほどの項目について質問をしたわけでありますが、毎回そういうことが言われておるわけなんです。たとえば、第一回の改正案の審議の四十四年の附帯決議案を見ましても、第二項に「認定疾病の認定に当たっては最近の被爆者医療の実情に即応するよう検討すること。」この趣旨は現在ももちろん続いておるわけであります。第五項には「葬祭料の金額を大幅に増額するとともに、過去の死没者にも遡及して支給することを検討すること。」これは現在も続いておるわけであります。それから第七項には「原爆死没者を含む被爆実態の調査(地方調査を含む。)を明年度中に実施すること。」というふうに、これは多少表現は変わっておりますけれども、その趣旨は現在も続いておる。だから、十年間にわたって国会の附帯決議が同じといいますか、かなり重複をして繰り返されてきておるわけでありますけれども、しかしいまだにそれが実現をしておらない。もうこの辺で、特別措置法の第一回の改正以来のすべての項目の附帯決議の実現に努力すべきではないかというふうに私は思うわけですが、どうですか。
○田中(明)政府委員 御指摘の項目のうち、なかなか実現できないことにつきましては、やはり実態がなかなかむずかしい問題を含んでいる面がございますが、原爆症の認定につきまして被爆者の実情に即応するように改善するということにつきましては、私どもも従来から絶えず努力しているところでございまして、本日もいろいろ足らない点を御指摘いただきましたが、今後ともそういう点について改善を図っていきたいというふうに存じております。 それから、原爆の死没者の被爆実態の調査でございますが、これは先ほどのお話とも関連するわけですが、現在被爆後三十年を経過して、実際問題といたしまして、今日の段階では、統計的手法を用いても、この死没者の実態を調査するということは専門家の方々の意見ではなかなかむずかしい、あるいは不可能に近いというような御指摘をいただいているわけですが、死没者の調査を含めて原爆の被爆による被災の実態を知るということはどうしても必要なことでございますので、われわれも、五十四年度におきまして実施を計画しております広島、長崎の被災調査におきまして、できるだけ精度を高めまして、こういう関係のデータを得るように努力したいというふうに存じております。 また、葬祭料の額については、御案内のように年々増額されているわけでございますが、これを過去の死没者に遡及して支給するということにつきましては、現在の制度上の問題が一つございますほか、実態的にも、ただいま申し上げましたように死没者の把握ということ自体が非常にむずかしいというようなこともございまして、なかなか実現いたしかねているところでございます。
○浦井委員 毎年聞かされておるような答えの趣旨しか言えないのでしょうが、時間がないので、最後に大臣に強調しておきたいと思うのですが、核兵器で人間を殺傷するというようなことについて、そんなことが再び繰り返されてはならぬというのが世界の人たちの願いだと思うし、特に広島、長崎というふうに世界でただ一つの被爆国である日本国民の、私は非常に強い要望、決意だろうと思うわけです。だから、当然政府としては、国民のこういうような願いにこたえて、そうするのだということを世界の人たちに表明するためにも、この被爆者援護というのは、やはり国家補償の精神に基づく制度に改めていくことが必要だというふうに思うわけです。 政府の方としては、けさほどからの審議の中で、基本的な立場を踏まえて現行制度の再検討をやっていくということを言われておるわけなんですけれども、そのことはやはり国家補償による被爆者援護をやる、国家補償の精神に基づく被爆者援護法の制定を目指すものでなければならぬというふうに私は思うわけで、その点についての努力を政府に強く要求をして、私の質問を終わりたいと思います。 以上でございます。
○森下委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○森下委員長 この際、委員長の手元に、向山一人君、村山富市君、古寺宏君、西村章三君、浦井洋君及び工藤晃君から、本案に対する修正案が提出されております。 提出者からその趣旨の説明を聴取いたします。向山一人君。 ————————————— 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○向山委員 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 修正の要旨は、 第一に、特別手当の額について、月額五万四千円を六万円に、月額二万七千円を三万円にそれぞれ引き上げること。 第二に、健康管理手当の額について、月額一万八千円を二万円に引き上げること。 第三に、保健手当の額について、月額九千円を一万円に引き上げること。以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○森下委員長 これにて、修正案の趣旨の説明は終わりました。 この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があれば、これを聴取いたします。橋本厚生大臣。
○橋本国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府としては特に異存はありません。 —————————————
○森下委員長 これより本案及びこれに対する修正案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 まず、向山一人君外五名提出の修正案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森下委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森下委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○森下委員長 この際、戸井田三郎君、森井忠良君、古寺宏君、西村章二君及び工藤晃君から、本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者からその趣旨の説明を聴取いたします。森井忠良君。
○森井委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 原子爆弾被爆の特殊性にかんがみ、国家補償の精神に基づく被爆者の援護対策について、その制度の改善に対する要望は、ますます強まつている。 しかしながら、被爆者に対する制度の基本的なあり方について、いまだ十分な検討がなされていないことは遺憾にたえない。この際政府は、直ちに専門家による権威ある組織を設け、昭和五十三年三月の最高裁判所の判決の趣旨を踏まえて、一年以内の速やかな時期に被爆者に対する制度に関する基本理念を明確にするとともに、現行二法の再検討を行い、被爆者の援護対策の確立を期するとともに、本法の施行に当たり、次の事項についてその実現に努めること。 一 各種手当のうち一部のものは、すでに実質的に年金化している実態に着目し、各種手当の額の引上げ、所得制限の撤廃、適用範囲の拡大(地域を含む。)等制度の改善に努めること。 一 原爆病院の整備改善を行い、病院財政の助成に十分配慮するとともに、その運営に当たつては、被爆者が必要とする医療を十分受けられるよう万全の措置を講ずること。 一 特別手当については、生活保護の収入認定からはずすよう検討すること。 一 原爆症の認定については、被爆者の実情に即応するよう制度と運営の改善を検討すること。 一 被爆者に対する家庭奉仕員制度を充実するとともに、相談業務の強化を図ること。 一 被爆者の医療費については、全額公費負担とするよう検討することとし、さしあたり国民健康保険の特別調整交付金の増額については十分配慮すること。 一 被爆者の実態調査を今後の被爆者援護施策に十分活用するよう努めるとともに、被爆による被害の実態を明らかにするよう努めること。 一 被爆者とその子及び孫に対する放射能の影響についての調査、研究及びその対策について十分配慮するとともに、原爆医療調査研究機関相互間の連絡調整を図ること。 一 死没者に弔意を表すための具体的措置について、他との均衡を配慮しつつ検討すること。 以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○森下委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森下委員長 起立総員。よって、本案については戸井田三郎君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することと決しました。 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本厚生大臣。
○橋本国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。 —————————————
○森下委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森下委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○森下委員長 次に、内閣提出、医薬品副作用被害救済基金法案及び薬事法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣橋本龍太郎君。 ————————————— 医薬品副作用被害救済基金法案 薬事法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○橋本国務大臣 ただいま議題となりました医薬品副作用被害救済基金法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 医薬品は、今日、医療上必要不可欠なものとして国民の生命、健康の保持及び増進に大きく貢献しているところでありますが、他方、このような医薬品の副作用による健康被害の発生もまた、近年見逃すことのできない問題となっております。 これら医薬品の副作用による健康被害対策の基本は、その発生防止にあることは申すまでもありません。このため、国は、医薬品の承認審査の厳格化、医薬品副作用情報収集体制の整備、既承認医薬品の安全性及び有効性の再評価等各般の対策を進めてまいったところであり、また今般、この観点から、これまでの行政の実績を踏まえて薬事法改正の実現を図りたいと考えているところであります。 しかしながら、医薬品の特殊性から、現在の医学、薬学の水準によっては医薬品の副作用による健康被害の発生を完全に防止することはむずかしいことも事実であります。これらの健康被害については、現行法制度のもとでは、その救済を円滑に図ることが困難である場合が多いことから、その救済のための制度を一刻も早く確立することが社会的に強く要請されているところであります。この要請にこたえるため、医薬品の副作用による健康被害に関し所要の給付を行うことを業務とする医薬品副作用被害救済基金を設立することとし、この法案を提案した次第であります。 以下、この法案の主な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、医薬品副作用被害救済基金は、医薬品の副作用による健康被害の救済について学識経験を有する者が発起人となり、厚生大臣の認可を受けて設立することとしております。 第二に、医薬品副作用被害救済基金は、医薬品の副作用による疾病、廃疾または死亡につき、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金及び葬祭料の給付を行うこととしております。 第三に、医薬品副作用被害救済基金がこれらの給付を行うに当たり、医薬品と健康被害との因果関係等専門的判定を要すると認められる事項については、同基金の申し出により、厚生大臣が中央薬事審議会の意見を聴いて判定を行うこととしております。 第四に、医薬品の製造業者及び輸入販売業者は、医薬品副作用被害救済基金の業務に要する経費に充てるため、同基金に拠出金を納付しなければならないこととしております。 第五に、著しい健康被害が多発した場合等における医薬品副作用被害救済基金に対する政府の補助、その他同基金に対する監督命令等所要の規定を設けることとしております。 第六に、この法律の施行期日は、この法律の公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内において政令で定める日としております。また、救済給付は、医薬品副作用被害救済基金設立の日以降において厚生大臣が告示で定める日から起算して六カ月を経過した日以降の医薬品の使用により生じた健康被害について行うこととしております。 以上が、この法案の提案の理由及び内容の概要であります。 次に、ただいま議題となりました薬事法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 現行薬事法は、占領下において制定された旧薬事法を昭和三十五年に全面的に改めて制定されたものであり、以後ほとんど改正が行われずに今日に至っております。 しかしながら、医薬品を取り巻く環境は、この間に大きく変化してきており、特に昭和三十六年に発生したサリドマイド事件は、世界的に大きな衝撃を与え、医薬品の有効性と安全性の確保が、各国薬事行政の最重要課題として改めて深く認識されるに至ったわけであります。 このような状況に対し、諸外国においては、薬事法の改正を行い、各種の対策を講じてきたところでありますが、わが国においては、新薬承認の厳格化等主として行政指導により各般の施策を積極的に展開してきたところであります。 今回の改正は、これまでの行政指導による施策の実績を踏まえ、さらにその徹底を図ることを主眼とするものであり、したがって、医薬品等の有効性及び安全性の確保がその中心課題となっております。 以下、この法律案の内容について、その要旨を御説明申し上げます。 第一に、日本薬局方に収められている医薬品についても原則としてその製造または輸入を承認に係らしめること、承認拒否事由を明示すること等医薬品等の承認に関する規定を整備することとしております。 第二に、すでに承認されている医薬品と有効成分等が明らかに異なる新医薬品については、承認を受けて六年後に、厚生大臣の再審査を受けなければならないしととするとともに、この間、当該医薬品の使用の成績等に関する調査を行い、その結果を厚生大臣に報告しなければならないこととしております。 第三に、厚生大臣が中央薬事審議会の意見を聴いて公示した医薬品については、厚生大臣の再評価を受けなければならないこととしております。 第四に、厚生大臣は、薬局等における医薬品の試験検査の実施方法その他薬局開設者、医薬品の製造業者、一般販売業者等がその業務に関し遵守すべき事項を厚生省令で定めることができることといたしております。 第五に、医薬品等の使用の期限の表示、一定の成分を含有する化粧品及び医薬部外品の成分の表示等医薬品等の表示に関し、所要の規制を行うことといたしております。 第六に、医薬品等による保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するために、必要な場合に厚生大臣が発する緊急命令に関する規定を新たに設けるとともに、承認の取り消し、回収等の規定の整備を行うこととしております。 第七に、医薬品または医療用具の製造業者、卸売一般販売業者等は、薬局、病院等の開設者または医師、薬剤師等の医薬関係者に対し、医薬品または医療用具の有効性及び安全性等に関し、必要な情報の提供に努めるものとするとともに、薬局開設者等は製造業者等が行う情報の収集に協力するよう努めるものとしております。 第八に、承認申請資料として必要な臨床試験成績の収集を目的とする治験の依頼に関し、治験計画の事前の届け出等所要の規制を行うことといたしております。 第九に、一定の動物用医薬品について、食用に供される肉、乳等への残留を防止する観点から、使用できる対象動物、使用の時期等につき所要の使用規制を行うこととしております。 以上のほか、承認手数料の徴収、罰金の額の引き上げ等所要の規定の整備を行うこととしております。 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、また、この法律の施行に伴い所要の経過措置を設けることとしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○森下委員長 これにて、両案についての提案理由の説明は終わりました。 次回は明後二十七日、午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十三分散会 ————◇————— 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。第二条第三項の改正規定中「二万七千円」を「三万円」に、「五万四千円」を「六万円」に改める。 第五条第四項の改正規定中「一万八千円」を「二万円」に改める。 第五条の二第三項の改正規定中「九千円」を「一万円」に改める。 ………………………………… 本修正の結果必要とする経費 昭和五十四年度一般会計予算(厚生省所管)において原爆被爆者手当交付金が約二十九億七千七百三十三万六千円の増の見込みである。