社会労働委員会 第9号
- 発言数
- 321 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1979/03/22
会議録
○森下委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川本敏美君。
○川本委員 わが国の人口の老齢化現象等の中で、国民生活あるいは政府の予算の中に占める年金の比重というものは、年々高まりつつあることは御承知のとおりです。いよいよ来年度の予算の審議に当たって、衆議院段階でもあるいは参議院段階でも、この年金の問題が大きな政治課題になったことは御承知のとおりであります。その中で、政府と野党との間でいろいろ論議が交わされたことが、恐らくこの年金法の修正という形で、本委員会においても新しい方針が打ち出されることになろうかと思うわけであります。そういう問題は後ほど委員会内部でもいろいろ論議されると思いますので、きょうはさておきまして、まず最初に、わが国の各種の年金の問題について二、三お聞きしたいと思うのです。 そこで、各種の年金のスライド方法ですね。年金あるいは手当というものがいろいろたくさんあるわけですが、特に国家公務員や地方公務員の共済年金あるいは恩給法による恩給その他、船員の年金とか、あるいは戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく年金とか、あるいは児童手当法、児童扶養手当法、特別児童扶養手当、こういうような問題とか、あるいは労災保険法にも年金があるわけですけれども、そういういろいろな年金の中で、特に恩給法による恩給とか共済組合法等による共済年金というものと厚生年金や国民年金とのいわゆるスライドといいますか、そういう方針に若干の違いがあるのじゃないかと思いますが、まずその点について御説明いただきたいと思います。
○木暮政府委員 年金のスライドの問題でございますが、御指摘のように厚生年金、国民年金あるいは共済組合等それぞれやり方が違っております。 まず厚生年金と国民年金について申し上げますと、この二つの年金制度は五年ごとに財政再計算をするということを基本といたしまして、その財政再計算のときには、生活水準の動向あるいは物価、賃金の動向等を加味しまして年金の水準を決めるわけでございますが、その再計算と再計算の問は物価に応じたスライドをさせる、こういうことになっておるわけでございます。その際、前年度の物価が五%を超えますときには自動的にスライドをするという方法をとっておるわけでございます。 一方共済組合でございますが、共済組合の場合には、毎年毎年必ずスライドさせなければならないというふうには法律上なっておりません。毎年毎年政策的に判断をして、必要があればスライドさせるということになっっておるわけでございますが、現実には、人事院勧告で現役の公務員の給与が変わりますと、それを基礎といたしまして共済年金のスライドが行われておるわけでございます。そういう意味では、いわゆる賃金スライドの形をとっておるということかと思います。 あと、御指摘のございました船員保険は、国民年金、厚生年金と同様の方法をとっておるわけでございます。
○川本委員 外国の状態を調べてみても、年金スライドの方針については各国により少しずつ違いますけれども、イギリスでは、賃金または物価水準のうち、受給者に有利な率で毎年算定をやっておるという方式をとっておる。フランスは、新規裁定分について、わが国の厚生年金や国民年金の財政再計算を五年に一回やるのと同じような形のものを、過去の賃金分として再評価を毎年やり直して、賃金スライド方式によって上げる。西ドイツの場合は、いわゆる新規裁定分については、一般算定基礎の自動スライド方式がとられておって、これには戦争犠牲者の援護年金等も全部連動するようになっておる。イタリーの場合は、中央統計局の物価指数が二%以上上昇したときに自動スライドさせる、こういうような形式をとっておると思うわけであります。 そこで、わが国の場合、いわゆる厚生年金と国 民年金については、いまおっしゃったようにいわゆる物価スライド、そして五年に一度の財政再計算、こういう二本立ての改定方式をとっておる。 その他のものは、賃金スライドと言いますけれども、政策改定と言われても仕方ないような形になっておる。こういう形のやり方が、果たして将来、多岐にわたる年金が、一つ一つ皆スライド方式が違うということが果たしていいのだろうかどうか。そういうことによって、私が後ほど触れます支払い時期の問題、支払い回数の問題等も含めてですけれども、昨今言われておりますように、年金の官民格差とかいろんなことが言われる一つの根底として、国民から見ていろんな形で不公平感が残ってくる。 まず、物価が五%以上ということは、昭和四十八年の改正でたしか改正されたものだと思うのですけれども、ことしは暫定的に、四%でも暫定措置としてやる、こういうことですけれども、それだったら、法律はあってなきがごとしだと思うわけです。さきに制度審議会が、いわゆる恒久対策として法の改正が必要なのではないか、こういうことを提言されたのも、私は全く当然の話だと思うわけです。 そこで、これは大臣にお聞きしたいのですけれども、一つは、そういうスライド方式というものを、各種年金を全部一つの方式でスライドをさせるというような、イタリーとかあるいはイギリスとかいうような形のものに統一していくことが好ましいのではないか、そういう方向を探るべきじゃないかということについての大臣の考え方を聞きたい。 もう一つは、現在決められておる、四十八年改正で決められた、五十年を一〇〇として五十一年度が一〇五になりあるいは九五になったというようなときには改定するという、いわゆる五%の改定、これについては、ことしは暫定的に四%でも改定するというわけですから、そうなれば恒久対策として、あるいは三%がいいのか四%がいいのか、イタリーのように二%がいいのか、こういう問題についてもう一度やり直す必要があるのじゃないかと思うのです。その点についてまずお聞きしたい。
○橋本国務大臣 御指摘のような問題点は、私も否定をいたすものではございません。確かに、四十八年の年金改正の際に物価スライドを採用する時点におきましても、実はいろんな議論が関係審議会でもありましたし、本委員会でも行われたことは事実でございます。 ただ、あの当時の時点においては、物価スライドを採用し、五%の上下というものを幅にとるということが一番ふさわしいということで採用されたわけでありますが、その後のオイルショック以降の物価の激変する時代においては、確かにこれは非常によく機能したということは、私は一面の事実だったと思います。 ただ、基本的に見て、各種の年金制度において、給付の水準についても、負担の公平という観点から見ましても、制度間のばらつきがあることは事実でありますし、そうした問題を解決しなければならないこともまた事実でございます。 現在、いわゆる年金懇において作業していただいている最中でありまして、本年、私どもは、社会保険審議会の厚生年金部会の御意見をちょうだいし、特例的な物価スライドを五%未満でありましても実施をしたわけでありますが、これはあくまでも特例でありまして、基本的には、年金制度全体の見直しの際において、こうした点についても、いま年金懇の御意見を待っておるわけでありますが、ちょうだいをしたものを参考にしながら、今後の対応をしていかなければならないことは事実だと思います。
○木暮政府委員 いまの大臣の御方針に従って、私ども事務当局としてもやりたいというふうに思っております。 ただ、少し申し上げますと、諸外国の年金制度は、かなり成熟段階が高くなっておるものが多いわけでございます。日本の場合にはまだこれからだんだん成熟していくわけでございまして、やはり五年に一遍再計算をして見直しをするというようなことは、今後も要るのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういう基本的な制度の組みかえというのは少し先のことになろうかと思いますけれども、いま御指摘の点につきましては、基本懇それから厚生部会等でも御検討いただく手はずになっておりますので、その結論を踏まえまして事務的にも対処してまいりたいと思います。
○川本委員 極端に言いますと、イギリスは毎年見直しをやっておるわけですね。わが国の場合、五十三年に予定されておった五年に一回の見直し、財政再計算を五十一年にやったのじゃないのですか。それで、今度五十六年が五年目ということになると、次の財政再計算については、さきに橋本厚生大臣が、五十六年を待たずに五十五年にでも財政再計算をやり直さなければいかぬというような、将来における論議やそういう確認をされたということが、新聞等でも報道されておるわけです。その点については大臣、どうなんですか。
○橋本国務大臣 本院における予算審議の際に、御承知のように年金についていろいろな御意見が出まして、その中で与野党の御意見の交換が行われたわけでありますが、その際の御意見の中の幾つかには、わが国の年金制度の基本にも触れるような幾つかの問題点がございました。そうした状態の中で、報道機関の方々から、そうしたものについてどう考えるかという意見を聞かれたことは事実でありますし、その成り行きによっては再計算年次を繰り上げてでも対応する必要が出るかもしれない、ということを申しましたことも事実であります。
○川本委員 少なくとも先般の予算修正の段階で、後ほどこれは社労委員会で修正されることになるのではないかと思いますけれども、老齢福祉年金が一万八千円から二万円という形で改定される、そうすると、一万六千五百円から二万円に変わることになるわけですね、年度の渡りとしては。そういうことになると、その二万円を基礎にして将来の財政再計算をやっていくのか。それと同時に、それと連動する障害年金、遺族年金、遺児年金、あるいは児童手当、特別児童扶養手当等への連動をどうしていくのかというようなことになると、私は、五十四年度にでも財政再計算をやり直さなければ五十五年以後の予算の編成はできないと思うわけなんです。そういう点についていま大臣は、そういう話の過程で大臣の考え方を聞かれたから、そういうことを申し上げたことはありますという答弁ですけれども、大臣として、現在の時点でいま私が言うようなことについてどう考えておるか。
○橋本国務大臣 本委員会における年金の審議はいま始まったばかりでありまして、これから与野党の間で御論議をいただき、将来の内容を御決定いただくわけでありますから、それがどういうふうに変わるかを想定していま私がお答えをするわけにはまいらないと思います。 ただ、いま川本さんのお話のように、老齢福祉年金の額か改定をされたから、それが自動的に年金全体の問題として再検討の課題になるとは私は思いません。それによって経過年金がどう変わるか、その経過年金の変わりについて、たとえば五年年金の金額をどうするというようなことについて与野党の間でどういうふうな御結論をお出しになるのか、私どもはそうしたものを踏まえてその後考えていくべき課題だと思います。 現在の時点におきまして、審議が始まりましたばかりの時点で、まだ与野党のそうした御相談が詰まったと私も伺っておりません段階では、これ以上申し上げるのはちょっと控えさせていただきたいと思います。
○川本委員 もちろん老齢福祉年金と五年年金とは連動させる、そうすると十年年金はどうするのかというような問題が起こってくるのは当然でありまして、これからこの委員会でいろいろ論議をした上での結論が出た段階で、それでは、そういう問題について改めて大臣の意見を聞くことにいたしたいと思うのです。 そこで、先ほど申し上げたこの五%という問題について、特例措置として暫定的に四%でも上げるという、ことしのこれは非常に評価できると思う。これは私は大臣の決断を評価したいと思うのですけれども、しかし法律は、そうすると恒久的にはどうするのか。今後三・九%というような物価の値上がりがあるかもわからない。私は、イタリーのように二%の物価指数の変動によって改定するとか、そういうふうに法律を改正すべきだと思うのですけれども、その点についてはどうでしょうか。
○木暮政府委員 物価スライドのあり方は、今度の制度審議会の意見書にもございますように、年金制度の基本的な仕組みの一つでございます。この物価スライドのあり方によりまして、年金受給者の年金の実質価値がどう維持されていくかというような面でも重要でございますし、また一方では、年金財政に与える影響というのは非常に大きい問題でございます。そこで、制度審議会でも、この五%のルールを決めたのは非常に時間をかけて検討した結果であるということを言っておられるわけでございます。私どもも、今回の暫定措置をとったわけでございますが、将来にわたりましていまのやり方がいいかどうかということは検討していかなければならないと思っておりますが、たとえばいま先生がおっしゃられましたイタリアの二%というやり方でございますが、この二%でやっておりますために、これはまだ確報ではございませんけれども、年金財政が非常に苦しくなって、そのスライド部分を国債で払ったというようなニュースが現在入っております。それからまた、ドイツの場合には、ある意味におきましては一%でも変化があれば変化するというような考え方をとってきておるわけでございますが、ドイツの場合にも、法律で決められておりますスライド率を低めて財政の維持を図っておるというのが、ここ数年の状況でございます。そういうことをいたしましてもどうしても保険料を引き上げざるを得なくなって、一九八一年からドイツはさらに保険料を引き上げるというような情報を得ているわけでございますが、このスライドのあり方は、年金受給者御本人にとっても大きな問題でございますし、年金財政にとっても大きな問題でございますので、せっかくいま基本懇や厚年部会で御審議をいただいておりますので、それを踏まえまして対処していきたいと思います。
○川本委員 そこで、やはり恒久対策として、二%がいいとか三%がいいとかいう論議は抜きにして、ことし四%で特例的に、暫定的にやるわけですから、少なくとも四%という法改正をやるべきではないかというふうに私は考えるのですけれども、それはひとつ要望をしておきたいと思う。 そこで、次に年金の支払いの方法の問題なんですが、厚生年金はたしか毎年二月、五月、八月、十一月という支払いで、国民年金は、拠出年金の部分が三月、六月、九月、十二月で、十二月は十一月に払うことになっているが、無拠出の福祉年金については四月、八月、十二月、それで十二月分を十一月、これ越年三回です。船員保険は二月、五月、八月、十二月。通算年金に至っては六月と十二月の年二回です。恩給法によるものは一月、四月、七月、十月、ただし一月分を十二月に払う。共済組合も旧令によるものと共済組合法によるものとありますが、旧令によるものも、三種類の支払い月がいろいろ違うが、年四回。各共済組合法は三月、六月、九月、十二月、これもまたみんな違う。戦傷病者戦没者遺族等援護法は一月、四月、七月、十月。児童手当法は二月、六月、十月。児童扶養手当法は四月、八月、十二月、これは三回ですね。特別児童扶養手当法は一月、五月、九月、これも年三回。労災保険法の年金は二月、五月、八月、十一月。国会議員の年金法は一月、四月、七月、十月、みんなばらばらになっておるようです。このように、たとえて言えば厚生年金は二月、五月、八月、十一月。国民年金の拠出の分は三月、六月、九月、十二月。無拠出の方は四月、八月、十二月。通算年金は六月、十二月と二回。児童手当法は二月、六月、十月と四月、八月、十二月と一月、五月、九月と、こういう三回になる。こうばらばらになっておるのはどういうわけなんでしょう。
○木暮政府委員 各種年金は、いまお話しのように支給月がみんなばらばらでございます。このばらばらの大きな原因の一つは、郵便局を窓口としてお払いをしておるわけでございます。銀行等も利用できますが、一番利用されておりますのは郵便局でございまして、郵便局の窓口が、ある月に年金の支払いを受ける人が殺到するというようなことを避けるために、こういう月を違えるということが行われておるわけでございます。
○川本委員 児童手当法による分は二月、六月、十月とか、児童扶養手当は四月、八月、十二月とか、三回になっておるのはこれはどういうわけなんでしょう。
○竹内政府委員 これも三回というのは、福祉年金の支給の期月にいわば平仄を合わせるという形で、そういう三カ月ごと、あるいは四カ月ごとというような支給の方式を定めてあるわけでございます。これも同じように、大体児童扶養手当、特別児童扶養手当はもともと福祉年金との整合性を考えて制度をつくりましたものですから、支給方式のことにつきましても同じように、福祉年金とのいわば整合性を考えながら、支給月をダブらないようにして、郵便局等の支払い機関の支払い事務の一時的な集中を防ぐということも配慮した、そういうことが原因だというふうに私どもも理解をいたしております。
○川本委員 そうすると、厚生年金とか拠出の国民年金とかいうのは、自分が掛けておるやつだからサービスで四回やるけれども、政府の一般財源の持ち出しの福祉年金とか、児童扶養手当とか、児童手当とかいうようなものは三回というふうにちょっとサービスを悪くする、そういうことなんですか。
○木暮政府委員 先生のお話のように、各年金につきましては支給月がそれぞれ違いますし、それからまた、年何回払いかというところもみんな違うわけでございます。それは一つには、郵便局の窓口に特定の月に偏りができないようにということでございますと同時に、またそれぞれ、厚生年金それから拠出制の国民年金等では社会保険庁で支払い事務をやっておりますし、福祉年金等につきましては市町村役場等にもこの事務をやっていただいておるわけでございますが、そういういろいろな点を総合しまして、現在のような形になっているわけでございます。
○川本委員 私は、こういうものは先ほど申し上げたように国民には不公平感が残る。あるいは、郵便局の窓口を利用しておるから、事務的にも年平均して一時に殺到しないようにするのだということでは、国民は納得しないと思うわけです。少なくともこういう問題については、払うべきものは全部同じように払う。少なくとも、通算年金は二回で、福祉年金や児童手当は三回で、拠出制の厚生年金や国民年金やあるいは共済組合等によるものは四回というようなことは、全く国民を差別したものだと思う。そういうことのないように、ぜひ支払い回数を統一していくべきじゃないかと思うのです。現在三回とか四回とかやっていますけれども、年金オンラインということについては後ほど聞きたいと思うのですが、そういうのも設置されつつあるようですから、すべての年金について支払い時期を少なくとも二カ月に一回、年六回にすべきで、本当は毎月支払うべきものです。しかし、いますぐに毎月やれと言っても無理でしょうから、四回を六回、三回を六回、少なくとも二カ月に一回ずつ国民の手元に渡るようにしなければ、所得保障としての年金の意味をなさないと思うわけです。これについて大臣、どうでしょう。
○橋本国務大臣 お気持ちはよくわかります。ただこれは、現実の事務量また定員配置等事務機構の問題とも関連をする話でありますから、検討はさせてみますが、御要望に沿うのはなかなかむずかしいのではないだろうか、という感じが率直な私の感想でございます。
○川本委員 それでは次に、私はもう一つ矛盾を感じておることがある。それは母子年金、準母子年金、遺児年金、あるいは母子、準母子、障害等の福祉年金、いろいろあるわけです。児童手当法によるいろいろな手当もあるわけです。こういうものはすべて、老齢年金とか老齢福祉年金にリンクして年金額が決定される仕組みになっておる。果たしてそれでいいのだろうかということについて、疑問を持つわけです。どういうわけで老齢年金や老齢福祉年金を一〇〇として、それにリンクして三割増しとか五割増しとかあるいは百分の百二十五とかいうような計算をすることになっておるのか。なぜそれが正しいのかの理論的根拠を簡単に説明いただきたい。
○木暮政府委員 年金制度は、日本の制度もそうでありますが、諸外国の制度も含めまして所得保障という形で組み立てられておるわけでございます。老齢になった場合の稼得能力の減少あるいは喪失、あるいは障害になりました場合の稼得能力の喪失ないし減少、あるいはまた、一家の生計を支えておりました被保険者が死亡して、後に残された遺族の所得保障、こういう所得保障という観点から年金制度は組み立てられておるわけでございます。その場合、制度的には老齢者の所得保障というのが中心になっておるわけでございまして、老齢によって所得がなくなったということを一〇〇といたしまして、障害で亡くなった場合も一〇〇ということでいいのではないか。あるいは、特殊な場合にはそれの二五%増しというような構成で来ておるわけでございます。
○川本委員 たとえて言いますと、私の近所に、薄い親戚の人ですが、一級の障害年金を受け取っておる青年がいる。いま二十二歳か三歳です。ところが、一生懸命自分の全能力を傾けて働いても、一カ月の収入が、一月からクリーニングの会社へ行っておるそうですが、それで六万円の給料、その以前は大体四万円くらい。ところが、全額出来高制に改定されたので、改定された月は一万円くらいしかなかった。それで一生懸命やって、また二万円なり三万円ぐらいになったけれども、これではとうてい食べていけないというので、今度クリーニングの会社にかわったそうです。そこではいま六万円いただいておるけれども、これが将来また歩合制等に改定されたら、またそれが四万円か何ぼに減る。一級の障害年金と合わせても、現在高等学校を卒業して働いておる同じ年代の一般労働者の賃金の平均までには、まだ三万円も四万円もの格差がある。少なくとも、これからもう二、三年すれば結婚適齢期になる。結婚もしたい、親の方もさせてやりたいと思っているが、しかし、いまの賃金といまの一級の障害年金では一家を構えて生活することはできないというわけです。そういうことを考えた場合に、諸外国はどうか知りませんけれども、少なくとも、いまのわが国における一級障害年金、あるいは二級障害年金というものの年金額が少な過ぎるのじゃないかと私は思うわけです。特に厚生年金の場合は、障害年金については一級、二級、三級まであるわけです。国民年金については、一級のほかに四十八年改正で二級が設けられたのです。ところが、その内容を見てみますと、たとえて言えば、厚生年金の場合の別表を見ますと、三級というのは、両耳の聴力が四十センチメートル以上では通常の話し声を解することができないものというような、働くということを想定して書いてあります。国民年金の場合の別表を見ますと、二級のところで「両耳の聴力損失が八〇デシベル以上のもの」というように、全く算定基礎が違うわけですね。もっとも片一方は労働する、片一方は労働しないというたてまえから立てておるなら別として、国民年金の障害年金をもらう人も働く人もおるわけです。こういう二つの法律の間で、障害の程度を決めるのに、こういう整合性のない別表の書き方というのは、これは児童手当法にもあるわけですが、全く私はおかしいと思うわけです。少なくとも整合性という点から考えれば、国民年金においても、障害年金は厚生年金と同じように一級、二級、三級と分けて、そしてその障害判定の基準についても同じような表現をもって、同じような形にしなければいけないということも、問題として一点ある。その点についての問題が一つ。 そして、いま申し上げた、障害のためにハンディを持っておるために、所得が少ない、それでも、障害年金を受給すれば同年齢の労働者とほぼ平準的な所得が保障できる、こういう所得保障でなければ障害年金の意味をなさない、私はこう思うのです。 その二点について、どう考えるか。
○木暮政府委員 障害年金の額の問題の方でございますが、厚生年金の場合にも国民年金の場合にも、社会保険方式をとっておるわけでございまして、各制度に入りました期間の長さに比例して年金が出る、また厚生年金の場合にはさらに高い所得で高い保険料を払われた方にはよけい年金が行く、こういう仕掛けになっておるわけでございます。ただ、そういうことでございますので、若いうちに障害になられますと、加入期間が短かったり賃金が低かったりしまして、年金額が高くならないという問題があるのでございますけれども、厚生年金につきましても国民年金につきましても、その点は、厚生年金の場合には二十年みなし、短い期間入っていた方も二十年までは底上げをしようということをいたしておりますし、国民年金につきましても大体それに準じたことをいたしておりまして、年金制度の上ではかなりそこに重点的に配慮をしているということは言えるのじゃないかと思います。 それから一級と二級の問題なんでございますが、諸外国の年金制度は、これは例外なしと言えるのではないかと思いますけれども、一番重い方が老齢年金と同額でございます。日本の場合には二級を老齢年金と同額にいたしまして、一級は厚生年金で言えば二割五分増しということをやっておりまして、これは恐らくほかの国に例はないのだろうと思いますが、年金制度としては精いっぱいそういうところに配慮しているということは申し上げられると思うわけでございます。ただし、いまのお話のような、年金と給料合わせても同年配の人の賃金に及ばないということはあろうかと思いますが、年金制度としては精いっぱいのことをやっているというふうに思うわけでございます。 それから障害の表でございますが、これも非常にむずかしい問題でございまして、先生のお話にもございましたけれども、厚生年金の場合には、職業能力にどの程度の影響があるかという点で障害の表ができておるわけでございます。国民年金の場合には、確かに働いておられる方もいるわけでございますが、家庭婦人も入っていただくというようなことで、生活にどういう支障があるかということで表をつくっておりまして、表のたてまえが違いますもので、同じような障害の扱いがそれぞれの障害の表では違ってくるわけでございます。ただこれも、厚生年金が先にできまして国民年金が後からできたという経過がございます。その際に、たとえば国民年金の一級の場合には厚生年金の二級のある部分を取り込む、それからまた国民年金の二級も厚生年金の三級を取り込んでおるというようなことをいたしまして、そういう配慮はかなりしておるつもりでございますけれども、それぞれの制度のねらいが違うものでございますから、同じ障害でも取り扱いが違ってきておることも事実でございます。
○川本委員 私は、そういう各年金間における障害の程度等についても、国民にわかりやすい形で、これは同じような形をしなければ国民は納得しない、このことを申し添えておきたいと思うわけです。 次に、外国の例を先ほどから言われますけれども、そうすると、遺族年金の問題ですけれども、遺族年金は、厚生年金の場合わが国においては、夫の受けておった、あるいは生活の中心であった人の受けておった年金の二分の一という形に基本的にはなっておるのではないか、そこへ寡婦加算とか子の加算とかいろいろあるわけだが、私は外国はほぼ六〇%程度じゃなかろうかと思う。先ほどから局長は、自分の都合のいいところは外国の例を言われるわけですが、そうなれば、遺族年金についてもわが国においても七〇%ぐらいにすべきだというようないろいろな意見がある。わが国においては、厚生省のやり方を見ていると、二分の一はそのままにしておいて、寡婦加算を引き上げていくという形でカバーしていこうというような毎年の姿勢が見られておる。それはそれとして評価できるとしても、いつまでも二分の一ということは納得できないのじゃないかと思うわけです。この点についてひとつ早急に是正をする必要がある。 もう一つは所得制限額の問題です。今度は本人の場合、これは児童手当やいろいろなものを通じて言えることですが、二百八万円ですか、そして扶養義務者の所得については八百七十六万円、この八百七十六万円というのはもう二年か三年そのまま据え置かれておる。しかし、物価も若干ずつ上がっておるし、労働者の賃金水準も上がっておる。ところが、八百七十六万円というのはかなり高額な所得だからそれでいいんじゃないかという形で据え置かれるということは、私はやはり、それだけずつ福祉は後退をしておるんだと思うわけです。厚生省がそういう大蔵省の、いわゆる所得制限をもっと厳しくせよという言葉に押されて、据え置きで、これで福祉を守っておるのだというようなことは、国民としては納得できない。それだけずつ福祉が切られつつある、後退しつつあるというふうに理解しなければいけない。だから、この所得制限の問題についての今後の厚生大臣の基本的な考え方をひとつお聞きしたいと思う。
○橋本国務大臣 この点については、川本さんの御意見でありますが、私は必ずしも川本さんの意見に賛成ができません。と申しますのは、この八百七十六万円の問題が昨年の五十三年度予算の編成の際に提起をされましたとき、私どもも党側としてその相談にあずかったものでありますが、結局、逆に本人所得制限の方に大幅な積み増しをして、そのかわりに扶養義務者の所得制限の方は据え置く、言いかえれば、むしろ御本人自身の所得の低い方に対してより手厚い配慮をしたということで、私は決して後退をしなかったと思っております。この考え方はことしも同じ状態を続けておるわけでありまして、その意味では、私はそれが福祉の後退だと言われるのは少々無理があろうという気がしてなりません。 もともと年金制度全体が、この老齢年金を中心として、御本人の稼得能力の喪失に対して対応していくという考え方をとっておるわけでありますから、先ほどからお話が出ておりましたような障害遺児年金、あるいは障害福祉年金等についての考え方というものも、そうしたところを基本にしておることは間違いないわけであります。国民年金に障害二級を創設いたしましたのは、まさしく、この社会労働委員会における与野党の合意による議員修正という形でなされたわけでありまして、先ほど表にばらつきがあるという御指摘を受けましたけれども、当時の関係者としては、私どもは、亡くなられた八木一男さんや何か多くの方の考え方として、障害二級を創設すると同時に、厚生年金の三級の相当程度まで中に取り込もうという基本的な考え方をとって、多少ばらつきが出ることも承知をしながら、国会としてやったことだということも御理解をいただきたい。 そうしたことを基本に置いていきますと、これから先、所得制限の問題というのは非常に大きな問題点になってくるだろうと私は思います。従来以上に大きな問題点でありましょう。それは何かと言えば、国民的に、非常にふえていく年金、それに対する負担、また給付の公平、こうしたものをどこに合意を求めるかということがまさにこの問題でありまして、私どもは、いたずらに所得制限額を引き上げていくことが、本当に必要な年金を——扶養義務者の所得制限についてですよ、それの引き上げということが、本当に必要なところの給付を確保する上で果たして望ましいことかどうかということについては、必ずしも先ほどの川本さんの御指摘とは考え方を一にしておらないわけであります。
○木暮政府委員 遺族年金の問題でございますが、先生の御指摘のように、諸外国では本人のもらっておる老齢年金の六割程度が一番多いと思います。私どもも、この点につきましては、夫婦で年金生活をしていた場合に、夫に先立たれたというとき、生活費が二分の一になるということではなくて、やはり頭数に比例しない生活費があると思いますので、この点はぜひ改善していきたいと思っておるわけでございます。当面、お年寄りの未亡人の方、それから子供のある未亡人の方に寡婦手当という措置をとったわけでございまして、これにつきましても、来年度さらに額を引き上げることを御提案しておるわけでございますが、基本的に遺族年金の改善ということもしてまいりたいと思うわけでございます。 その際、実は幾つか問題がございまして、一つは、日本の場合には、厚生年金で申し上げますと、夫が六カ月厚生年金に入った後で死亡しますと、遺族年金が出るということになっております。ですから、学生結婚か何かで就職をしまして、その直後夫が死んだというような場合でも、一生遺族年金が出るというようなことが一方にあるわけでございます。こういう点は外国は非常に厳しゅうございまして、ドイツの場合には、子供がないときには四十五歳以上でなければだめだとか、アメリカでは六十歳以上でなければだめだというようなことがございまして、そういう点も見直しをしていかなければならないと思うわけでございます。 もう一つ、一番頭の痛い問題は、サラリーマンの奥さん方が国民年金に任意加入できるということになっておるわけでございます。それで、これが現在、七百万人ぐらいのサラリーマンの奥さんが国民年金に任意加入をしておるわけでございます。そうしますと、厚生年金の方で遺族年金を六割なり何なり上げていく、その一方、国民年金の方も任意加入して、そこから独自の年金が出てくるということになるわけでございまして、この調整をいまのうちに考えておかなければならないということがございまして、そういうような前提条件の扱い方を詰めながら、遺族年金の改善につきましては努力してまいりたいというふうに思っております。
○川本委員 遺族年金の問題についてはひとつ基本的に見直そうということですので、了承したいと思うのです。まあ、いろいろな問題については後ほど安島委員からもそういう内容についての質問があろうかと思いますので、ここでは省略しておきたいと思う。 所得制限の問題については、大臣と私とは大分に考え方が違う。しかし、国民の福祉を後退させないような形で、大臣が、今後迎えようとしておる老齢社会に向かって、政府のあるべき姿を定めていくためにもっと積極的であってもらいたい、このことを要望しておきたい。 次に私は、永住権を持っておる外国人の年金あるいは児童手当、児童手当もそうだろうと思うが、こういうような年金制度が適用できるようにすべきだと思うわけです。この問題については、去る第八十四国会の社労委員会で、五十三年の四月六日に同僚議員からも、これは在日韓国人という形で質問がなされて、それに対して木暮局長からも答弁がなされておるわけです。私は、在日韓国人というのじゃなしに、永住権を持っておる外国人、この人たちは国籍こそ違え、あるいは一世もおるだろうし、二世もおるだろうし、三世もおる。日本で生まれて、自分の母国を知らない人もおるはずです。そういう人たちが、これからずっと長い問日本の社会の中で働いて、社会的にも貢献をしていく。この方々が現在国民年金等には加入できないシステムになっておるのじゃないかと思うのですが、厚生年金はどうなんでしょう、児童手当の場合はどうなっておるのでしょうか。ひとつお聞きしたい。
○木暮政府委員 厚生年金の場合には、国籍を要件としませんで、全部適用になっております。
○竹内政府委員 児童手当は、養育者について国籍要件を課しております。
○川本委員 そうすると、国民年金と児童手当についてはやはり日本国民でなければいけない。永住権を持っておるそういう外国人が長い間日本で住んで老齢化していく、そういう社会の中で、この前木暮局長は、いわゆる在日韓国人ということで限定しての答弁ですけれども、外国人一般の問題として考えなければならないので、単純に法律を改正するということにはなじまないというような性格だと言われた。私はなじまない性格のものだとは思わないわけです。特に、戦前強制的に国家権力をもって日本に連れてこられた朝鮮の方もおるでしょう、韓国の方もおるでしょう、あるいは台湾の方もおるでしょう、東南アジアの諸国の方もおると思う。そういう方々を、あるいはその方々の子孫をなぜ日本の国民年金に加入できないのか、あるいは老齢福祉年金が支給できないのか、児童手当が支給できないのか。私はこれは日本人の島国根性で、エゴだと言われても仕方がないと思うわけです。少なくとも、一般旅行者とか所用で来たとか一時来ておるという人じゃなしに、永住権を持つ外国人については、日本人と同じように老齢福祉年金や児童手当は支払うべきであるし、拠出の国民年金については加入を認めるべきだと私は思うわけです。その点についてどうでしょう。
○木暮政府委員 児童手当は児童局長から御説明を申し上げると思いますが、国民年金について申し上げますと、国民年金は実は非常に変わった制度でございます。変わった制度と申しますのは、年金というのは、御承知のように、被用者を中心としてまずできてくる。これは諸外国も同じでございます。それで自営業者グループに年金を及ぼしていくということが、どこの国でもたどった経路なのでございますが、日本の場合にもそうやって厚生年金ができ、そして国民年金が出てきたわけで、国民年金を日本の場合には社会保険方式でやっておるわけでございます。保険料を掛けていただいて、その保険料の掛け方を基準として年金を出すというやり方をしておるわけでございますが、外国の場合には、そういう自営業者に年金を及ぼす場合には、税金を財源としたやり方をする場合が多いわけでございます。まあ北欧諸国にそういう例が多いということになろうかと思いますが、そういう税金を財源といたしまして居住要件だけでいくというようなやり方をする場合には、この問題はわりあい対応がしやすいわけでございますが、日本の場合には社会保険方式をとっておるわけでございます。そして、端的に申し上げますと、二十五年間保険料を掛けていただかないと老齢年金が出ないということになっておるわけでございます。 それで、一般外国人ということでこの問題に対処していかなければならないわけでございますが、永住権を得るのには十年程度の居住期間が要るとかそういうことがございまして、やはり永住権を得られるときにはかなり高齢になっておられるというようなことが実態のようでございます。二十五年の保険料を納めるためには、三十五歳で永住権を得た場合にようやく間に合うということになるわけでございます。そういう事情がございますので、単純に国民年金を強制的に適用するということでは、年金権の保全と申しますか、そういうことができないという事情がございますので、この問題は簡単には踏み切れないということでございます。
○川本委員 局長のなじまないという理由については、その永住権を獲得するのに十年もかかる、そうして三十五歳までに獲得しなければ老齢年金の対象にはなりにくい、そういうところに論拠が置かれていますけれども、私は違うのです。私は、戦前日本の国家権力によって日本へ連れてこられた朝鮮人の方もおるだろうし、韓国人の方もおる。あるいは台湾の方もおられると思うし、中国人の方もおると思うし、あるいは東南アジア諸国の方もおる。そういう方々が、いわゆる今度は子孫として日本国内で生まれた方もおる。それが二世あるいは三世というのまである。そういう方々は本来永住権を持っておるはずだと私は思う。そういう方々をどうするのかという立場で私はいま聞いておる。
○木暮政府委員 一つは、年金制度の側から申し上げますと、特定の国籍の方だけを別扱いするわけにはいかないということがございまして、一般論で御説明させていただいたわけでございます。 それから、在日朝鮮人の方、在日韓国人の方が戦前から特別な事情で日本に住んでおられるということはよく承知しておるわけでございますが、年金制度で特定の国籍の方だけを別扱いにできないわけでございますが、仮に別扱いをするということを考えましても、すでに高齢になられた方は年金権に結びつく可能性がほとんどないということになるわけでございまして、そういう意味から、やはりむずかしい問題だというふうに考えておるわけでございます。
○川本委員 私は、高齢になられた方には老齢福祉年金を支給すべきだと言っておるわけです。そうして若い方々、まだたくさんおられるわけですよ。そういう方々に対しては少なくとも法改正をもってやるか、法改正ができなければ、どうでしょう、擬制適用というような方法もあるんじゃないかと私は思うわけです。そういうようなことについてはどうなんでしょう。
○木暮政府委員 老齢福祉年金でございますけれども、これは国民年金の中の制度でございまして、昭和三十六年に国民年金制度をつくったわけでございますが、すでに高齢のために、保険料を納めて年金をもらうということが間に合わない方につきまして老齢福祉年金をつくったわけでございます。したがいまして、拠出制の国民年金の補完的な制度であるわけでございます。で、在日韓国人の方、在日朝鮮人の方を考える場合にも、拠出制の国民年金の取り扱いが決まらないで、福祉年金だけを出すというわけにはいかないわけでございます。
○川本委員 私は強く、拠出制の年金にそういう永住権を持つ外国人が加入できるようにひとつ道を開いていくということで、前向きに検討をしてもらいたいと思うわけです。 時間がありませんので、次に、年金オンライン計画についてですが、オンライン計画というのは、大体いつ完成してどうなるのかということを簡単に御説明いただきたい。
○持永政府委員 オンライン計画でございますけれども、オンライン計画は、五十四年度を初年度といたしまして、前期、後期と二つに分かれておりますが、前期計画三年間、後期計画三年間ということで完成を見る予定でございます。
○川本委員 そうすると、三年間で計画は達成できる見込みですか。
○持永政府委員 前期の相談関係でございますとか保険料徴収関係の業務は、三年間で達成いたします。
○川本委員 そうすると、その他の支払い事務等はどうなるのですか。
○持永政府委員 後期に入りまして、裁定の関係を全部、社会保険事務所のディスプレイ装置と申しまして、窓口装置を通してやることになっております。支払いは一括して業務課で将来ともにやることになるかと思います。
○川本委員 年金オンラインというものの実施に伴って、労使関係においてもあるいはその他の問題においてもたくさんの問題が出てくると思うわけです。 私、社会保険庁にひとつお聞きをしたいのですけれども、一つは、社会保険事務所とかそういうところで働いておる人たちは、オンラインができると首切りとか定員の削減あるいは労働強化等が行われるんじゃないかということを心配しておると思うのです。そういう点についてはどうなんです。
○今泉説明員 オンライン計画の実施に伴いまして、職員の間にただいま御指摘のいろいろな不安や懸念があることは事実でございます。 社会保険庁といたしましては、これまでおよそ二年間にわたりまして、職員団体と忌憚のない意見交換を行ってきまして、その結果、この三月十三日に、首切りや定員削減が生ずるものでないこと、職員の健康保持のため所要の措置を講ずること、労働強化が生ずることがないことなどを中心といたしました当局の考え方を確認し合いまして、自治労との間におきましては、この計画の実施について基本的な合意に達したというような事情でございます。
○川本委員 それでは、地方事務官問題がやはりそういう中でも将来どうなるのかということが一つの大きな問題点であったと思うのですが、そういう身分の問題についてはどう考えておられますか。
○今泉説明員 オンライン計画は、ただいま御説明いたしましたように、手作業中心の業務処理方法から事務機器を活用いたしました処理方法に変わるという、あくまでも事務処理方法の改善でございますので、地方事務官の問題、身分に直接関係することはないというふうに考えております。
○川本委員 オンラインになると、国民のプライバシーが侵害されるのじゃないかというようなことがよく聞かれるわけですが、国民のプライバシー保護に対してはどう考えておりますか。
○持永政府委員 コンピューターとプライバシーとの関係はかなり各界でも議論のあるところでございますけれども、私ども、今回のオンラインにつきましては、まず記録の回答につきまして、本人とかあるいはその家族とかいう特定の理由をつけまして、そういった人たちにだけ記録の回答をするということを考えております。また、私どもの方のオンラインの通信回線は専用回線を使うことになっておりまして、ほかのデータに使用されることのないように、そういう配慮をいたすつもりでございます。
○川本委員 将来、このオンラインというのは、国民年金等の関係において、市町村にも直結するというような考え方でおられるのですか。
○持永政府委員 今回の社会保険のオンラインは、社会保険庁と社会保険事務所との間のオンラインでございまして、市町村との問題は現在のところ考えておりません。
○川本委員 大臣にお聞きしておきたいのですけれども、将来の被保険者の増加を考えるときに、オンラインができたから定員を縮小するということはできないのじゃないか、よりまだ定員をふやさなければ国民のサービス、先ほど来言いましたようにいろいろな問題についてできないと思うのですが、その点について大臣はどう考えておられますか。
○橋本国務大臣 これは川本さん御指摘のとおりでありまして、オンラインが仮に完成した時点を想定いたしましても、ふえていく業務量に比して増員をする数が多少減る程度でありまして、増員そのものはどうしても必要だと私どもは思います。
○川本委員 それでは、もう時間が超過いたしておりますので、私はいろいろお聞きしたいことがありますが、以上をもって質問を終わります。
○森下委員長 次に、矢山有作君。
○矢山委員 私はきょうは、いま川本議員の方からちょっとお触れになったようですが、在留外国人の国民年金適用の問題だけで、ひとつまた観点を変えてお伺いしたいと思います。 まず、最初にお伺いしたいと思いますのは、在留外国人の在留の状況というのを恐らくこれは法務省がつかんでおられるはずなんですが、概括的に御説明いただきたいと思います。
○藤岡説明員 お答えをいたします。 在留外国人の在留の概況でございますが、これを人数の点で把握いたしますのには、いわゆる外国人登録制度によっておるわけでございます。ただし、外国人登録をする必要のございます外国人と申しますのは、六十日を超えて本邦に在留する者に限られておるわけでございますが、さようなものとしての在留外国人の外国人登録の総数は、昨五十三年十二月末日現在で七十六万六千名余り、こういうことに相なっております。 なお、在留の実情と申しますと、いろいろな角度からアプローチの仕方があるのだろうと存じますけれども、もう少しその点、ここのところはどうだと焦点をしぼってお尋ねがございますれば、判明する限度でお答えをいたしたい、かように思います。
○矢山委員 きょうは何しろ時間が厳しく限られておるようですから、一々御答弁をいただいておったんでは時間の関係でうまくいきませんので、私の方から概略申し上げます。 ただ残念ながら、私の方の資料は法務省でつくられた七四年四月一日現在の資料で申し上げますので、そこに五十三年の資料との多少の違いがあると思いますが、概括的には恐らく大きな違いはないと思うのです。 というのは、在日朝鮮・韓国人の場合に永住的な在留、これに属する者が在留者の大体九六・二%ぐらいになっておる。それに、さらに特別在留の中の永住的な者を加えると、大体九八%ぐらいが在日朝鮮・韓国人の場合には永住的な在留になっておるのではないかというふうに思っているわけですから、そういう点ではきわめて居住濃度が高い、こういうふうに判断をしているわけです。また、中国人の場合には永住的在留が四三・六%ぐらい、こういうことになっておるようでありますから、これも居住濃度はかなり高い、こういうふうに見ておるのですが、その点は大体間違いございませんか。
○藤岡説明員 大体御指摘の線でございます。
○矢山委員 そこで、一九四五年八月に、敗戦直後の在日朝鮮人の数が大体二百十万人前後と推定をされておったようであります。これらの人々は、もう御承知のように、日本の敗戦まで日本に強制的に連行されまして、奴隷的な酷使を受けて生き抜いてきた人々が非常に多いわけだし、また強制的に連行されないにしても、日本の植民地政策の中で、日本に生活の場を求めてこざるを得なかった、そういうような人たちもあったわけであります。ところが敗戦後、朝鮮が日本帝国主義から解放され、それを機会に大部分が帰国していきまして、大体六十万人前後の者が当時日本に残ったと言われておるわけでございますが、これら一世と言われる人々が二世を生む、また二世は三世を生んで、今日在日朝鮮・韓国人の数は大体六十五万弱ぐらいではないか、こう言われておるようであります。しかも今日、日本生まれの二世以下が大体八〇%に達しておる、したがって朝鮮生まれの一世というのは二〇%そこそこになっておる、こう言われておるわけです。現在、在日朝鮮人の世代はもう本国の生活を知らない二世以下の世代に移りつつある、こういうふうに言えようかと思います。二世以下の在日朝鮮・韓国人の人々がこういうような状況にあって、全く本国とは関係のない風俗、文化、言語の中で生きており、日本の国の中で生活の基盤を築きつつある、こういう概略的な状況なんですが、こういうような在日朝鮮・韓国人の存在というのは一体何に基因するのだと考えておられるか、その考え方によってこれらの人々に対する施策の方向というものも変わってくるだろうと思うので、その点について、これは厚生大臣からお聞きをしたい。
○橋本国務大臣 大変むずかしいお尋ねでありまして、私から御答弁を申し上げるのが果たして一番正しいのかどうか、ちょっと私もわかりませんが、歴史的な経緯については私もよく存じております。ただ、その法的地位の問題になりますと、またいろいろな問題点、国交のある国、ない国、あるいはその他の問題もあろうかと思いますので、その辺については私は的確なお答えをいたしかねる部分がございます。
○矢山委員 私はいまの法的地位の問題を言っておるのじゃないんで、先ほど概略述べたような形で在日朝鮮人・韓国人というものが日本に存在しておる、その原因は一体何であったのか、こういうことを的確に認識をすることが、社会保障等の施策をこれらの人々に及ぼすか、及ぼさぬかということを考えていく上の一つの基本的な考え方につながる、こういう意味で申し上げたので、私の方から申し上げるなら、要するに日本の植民地支配がなかったら、こういうような状態で在日朝鮮人・韓国人というものが日本に存在をするということはなかった。そうすれば、そういった歴史的あるいは政治的背景の中で考えていくなら、この在日朝鮮人・韓国人に対して安定した生活ができるように、日本国内において施策を講じていくというのは当然のことではないか、こういうふうに思うのです。いかがでしょう。
○橋本国務大臣 ですから、私は歴史的な経過は存じておりますと申し上げておるわけであります。ただ、そこから先の問題について、特定国の国籍を持たれる方だけを、日本にたまたま永住をされるあるいは一時的に滞留をされるすべての外国人の中で、制度的に区分をすることにはいろいろな問題があろうと私は思います。
○矢山委員 これは、特定国の人だけを対象にして、たまたまこういう状態だからそれに対して法的な異なった扱いをするところには問題がある、こういうことなんでしょうが、私はそういうような考え方が問題だと言うのです。いまの在日朝鮮・韓国人の人たちは何も日本に来たくて来たのじゃない。強制的に連れてこられた。植民地支配の中で収奪に遭って食えなくなるから、生活の場を求めて、言葉は悪いけれども日本に流れてきた。そうすれば、日本の政策上の問題が大きにかかわっているわけであります。したがって、これを一般の在留外国人並みに考えて、その中で特定の人だけを対象にしてどうこうするということはむずかしいんだ、何だという議論にはならないのだ、私はこういうことを言っているわけです。その点については、私は、大臣以下認識を十分に改めていただきたい、特定国特定国ということでは済まぬというふうに思います。 そこで、次に議論を進めなければなりませんので、お伺いしたいのは、これは法務省がよく知っておると思うのですが、在日朝鮮人・韓国人の就業状態というのはお調べになっておると思いますが、どういう状態になっていますか。
○藤岡説明員 若干古い時点の統計になるわけでございますが、昭和四十九年四月一日現在で取りまとめました調査統計の結果に基づきまして、やや大づかみに分類をいたしてみますと、いわゆる在日朝鮮・韓国人の就業状態は、まず一つのカテゴリーといたしまして、いわゆる建設業あるいは技能工といったような生産工程に従事している人たちが四万五千七百二十四名、それから古鉄、くず物等々の販売業に従事している人たちが三万五百九十三名、さらに広い意味での事務従事者、いろいろな事務的な仕事をしている人たちが二万七百六十九名、自動車の運転を職業としている人が一万二千八百六十一名、こういったところが主なものでございます。 なお、つけ加えますと、いわゆる在日朝鮮・韓国人総計約六十五万名のうちで、職を持っていらっしゃらない無職の方が、やはり四十九年四月一日現在の統計によりますと、三十七万四千六百四十名となっております。
○矢山委員 そうすると、いまお話しをいただいた職業の分布の状況からして、恐らく、在日朝鮮・韓国人でも事業場に勤めておる以上は、厚生年金には加入をしておるはずだと思うのです。相当の加入者がおるのじゃないかと思いますが、この点どうですか。
○木暮政府委員 数は把握してございませんけれども、厚生年金の場合には国籍を問わず、その事業所に使用されるに至りますと、適用することになっております。
○矢山委員 数は把握できないが、事業場に勤めている以上厚生年金の適用対象になる、こういうことははっきりしたわけであります。しかし、在日韓国・朝鮮人の方々の場合、二十年なら二十年継続して雇用されるというのはわりあい少ないのではないか。そういう方もあるだろうけれども、しかし案外職場をかわられる人が多いと思うのです。そうすると、職場をかわった場合には、二十年の加入期間を満たさないとすればこれは年金対象にならない、こういう問題が起こってきますね。それに対して、年金対象にならぬ場合には脱退手当金を支給していく、こういう形になっておると思うのですが、全体的に、脱退手当金の支給を受けておるのは大体どういう実情にあるか、把握しておられますか。これは在日韓国人・朝鮮人だけでなくても、全般的な把握ができておればそれでもいいです。わかりませんか。
○木暮政府委員 しばらくお待ちくださいませ、すぐわかりますから。
○矢山委員 それでは、次に進みます。 脱退手当金が支給されるのは五年以上でしたね。そうすると、五年の加入期間を満たさぬ場合には脱退手当金も支給されないという、全くの掛け捨てになるわけですね。こういう状況はどの程度あるのか。これも先ほどのとあわせておっしゃってください。
○木暮政府委員 脱退手当金の支給状況でございますが、昭和五十二年度で申し上げますと二万一千件でございます。五十三年度についてはまだ年度中途でございますが、九月末現在で八千二百人程度でございます。 脱退手当金というのは、いまお話のございますように年金に結びつかない場合に出るわけでございますが、国民年金ができて皆年金体制になる前にはそういうことが非常に多かったわけでございますけれども、現在は国民年金ができまして、厚生年金をやめました場合にもその後で国民年金の被保険者になることがございますし、また厚生年金に入る前も国民年金に入っておるということも考えられますので、脱退手当金にも何にも結びつかないケースというのはほとんどないのではないかというふうに思っております。
○矢山委員 それは日本人の場合はそうでしょうね。脱退手当金にいたしましても、五年間加入しておって、六十歳になってから五年以内に請求して支給する、こういうことになっていますね。そうすると、六十歳になるまでは脱退手当金の支給の請求はできぬわけですわね。案外これは、脱退手当金の請求というのをやらずに放置されている事案がかなりあるのではないか。これは恐らく実態はつかんでおられぬと思いますが、あるいはつかんでおられればおっしゃっていただければいいのだけれども、わからないだろうと思う。 それからもう一つは、五年の加入期間がない場合には全く掛け捨てになる。日本人の場合にはそれは国民年金につなげるからそういう例は少ないでしょう。脱退手当金の支給にしてもだんだん減っているでしょう。しかしながら、在日韓国人・朝鮮人の場合には国民年金につなげないわけですから、しかも比較的、二十年間も一つの職場におるようなことが少ないと考えるなら、脱退手当金の支給対象にもなっていないし、あるいは完全に掛け捨てになってしまっておるという例が相当あるんではないかと思うのです。この点については調査をされたことがありますか。
○木暮政府委員 脱退手当金は六十歳にならなければ請求できないわけでございますが、このことにつきましては、脱退手当金をもらってしまったために年金の通算がされないで年金権に結びつかない、そういうことからできておるわけでございます。それに伴いまして、在日韓国人の方あるいは在日朝鮮人の方の場合に、国民年金に入れないことによって両方ともだめになるというようなことがあろうと思いますが、実態は把握しておりません。
○矢山委員 それは私は否定できぬだろうと思う。あると思う。 それから、例の女性の場合は、厚生年金に入っておって五年掛けるかあるいは五年未満でやめるかにしても、それから家庭に入ると、主人が厚生年金に入っておれば空期間制度が適用されていますね。日本人の場合はそれはできる。ところが、在日韓国人・朝鮮人の場合はそれができない。そうすると、厚生年金には、一般的に言うと五人以上の従業員のおる事業所に勤めておれば、これは強制的に加入しなければならぬ。ところが国民年金の方では強制的に在日韓国人・朝鮮人は排除されておる。そうすると、国民年金と厚生年金とのつなぎが全然できないわけです。そういうようなきわめて不公平な、不利な状況に在日韓国人・朝鮮人は置かれておるんだということはお認めになりますね。
○木暮政府委員 国民年金に在日韓国人の方、在日朝鮮人の方が入れない、厚生年金は適用になって国民年金には入れないということは事実でございまして、その関係から問題が出てくることもあろうかと思いますが、問題はやはり、厚生年金及び国民年金の性格にあると思うのでございます。 厚生年金は、できましたごく初めのころから国籍を問わずに適用するということになっておるわけでございますが、その理由は、労働者保護立法と申しますか、また労働者保険と呼ばれることもございますけれども、一定の事業所で働く方のけが、病気、失業、そういうものを含めまして年金も適用し、いわゆる労働者の保護の万全を期するという制度であるわけでございます。 〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕 そのために、これは被保険者の保険料だけではございませんで、事業主も二分の一の保険料を持つという形になっておりまして、そういう形で事業所で働く期間の安全を期する、こういうねらいであるわけでございます。 したがいまして、国民年金ができます前には、日本人の場合にも当然掛け捨てのようなことも起こるわけでございますが、しかし逆に、けがをした場合でも病気になった場合でも老齢になった場合でも、すべて保護されるという機能が厚生年金で果たされておったということ、また現在も果たしておるということは言えようかと思うわけでございます。
○矢山委員 厚生年金のそういった作用というか、そういったものはそのとおりだと思いますね。しかし考えてみると、厚生年金であろうと国民年金であろうと、年金の基本的な理論に全くこれは違うものがあるのですか。年金理論としての基本においては、国民年金であろうと厚生年金であろうとこれは変わらぬと思うのですが、基本的な理論において全然変わりますか。
○木暮政府委員 厚生年金も国民年金も、被保険者の老後に年金を支給するという点では変わらないわけでございますけれども、厚生年金の場合に、ただいまも申し上げましたとおり、あるいは健康保険、あるいは雇用保険、あるいは労災保険と一体になりまして、労働者が事業所で働く場合におきますいろいろなリスクに対して、強制的に保護をしていくという観点があるわけでございます。一方、国民年金の場合には、そういう労働者保護というような意味合いはございませんで、厚生年金あるいは共済組合の適用のない国民に対しまして、老齢年金を中心とし母子年金あるいは障害年金を出していくという制度でございますので、その点はスタンスと申しますか違いがあるというふうに思います。
○矢山委員 その点の違いは私も否定しておるのじゃない。基本的な考え方は差がないでしょう。それは全部を被保険者が掛けるか、事業主が掛けるかの相違はある。その相違はあるけれども、基本的に言うなら、お互いに掛けて、そしてその掛金でもって現在の老齢になっていく人たちを扶助していくのだ、この基本的な考え方には相違はないですね。幾らかの国庫補助が出るとか出ぬとか、そういう議論は抜きにしても。
○木暮政府委員 一定の対象を保険集団といたしまして、保険料を取り支給をする、そういう意味では変わりないと思います。
○矢山委員 変わりないですね。おっしゃるとおり基本的な年金理論に変わりがない。そういう中で、厚生年金には強制加入をさせて、国民年金からはこれを強制的に排除する、そこに大きな矛盾を感じませんか。そういうことをやれば、これは大変な不利益が出てくるというのはわかり切った話なんです。どうして国民年金の場合に居住要件と国籍要件に固執しなければならぬのか、それが私は問題だと思うのです。
○木暮政府委員 厚生年金の場合には、再三申し上げましたけれども、職場における労働者のけがとか病気とかあるいは老齢後の生活を維持しなければならぬということでございますので、事業主も金を出して保険を運営していく、こういうことになっておるわけでございます。国民年金の場合には国籍要件をかけておるわけでございますが、その理由でございますけれども、国民年金の場合には、老齢年金をもらいます場合に二十五年という長期の拠出期間を要求しておるわけでございます。これも詳しく申し上げますと、二十歳から六十歳の間被保険者になってもらうわけでございますが、その四十年の間に二十五年の保険料を掛けてもらうということになるわけでございます。(矢山委員「関係がない」と呼ぶ)いや、非常に関係があるわけでございます。先生はいま在日韓国人あるいは在日朝鮮人の方にしぼってお話をされておりますけれども、年金の立場からいたしますと外国人一般ということでやっていかなければならないと思うわけでございます。そういう場合に、二十五年という非常に長期の拠出期間を満たせない方に年金を掛けるということは、場合によればほとんどが掛け捨てになるという事態が起きるわけでございまして、そういう観点から、国民年金をつくります場合には国籍要件をかけておるということになっておるわけでございます。
○矢山委員 そこが詭弁だと言うのですよ。それは在留外国人一般論で言うならそういうことが起こる、あなたの言うことがあり得るということも私は否定しない。しかし、厚生年金だって二十年掛けなければならぬ。国民年金は二十五年掛けなければならぬのです。その場合に、なぜわざわざ在日韓国人・朝鮮人の永住的な日本へのその居住、定着しておる状態というものを私が最初に問題にしたかというと、そこに問題があるわけです。いま在日朝鮮人・韓国人は、もう二世ができ、三世ができ、日本に生活の基盤を持っているわけでしょう。そういう人たちが、いま朝鮮や韓国に帰れるような状態ですか。もう帰れるような状態じゃないのだ。まさに日本国内において生活の基盤を置いて、日本の国内において生活しておるのです。その実態が入管の調査でも出ているわけです。したがって、そういう定着しておる、まさに永住をしておるそういうような在日韓国人・朝鮮人を、いつ帰るかわからぬ、比較的長期に在留はしておるがいつ帰るかわからぬような外人一般と、あわせて論議をすることはできぬだろう、そういう点から私は議論しておるわけなのです。だから、国民年金の中に国籍要件をわざわざ入れて排除することに、私は大きな疑問を感ずる、こう言っているわけですよ。
○木暮政府委員 在日韓国人あるいは在日朝鮮人の方が置かれております歴史的な立場とか現状というのは、私も理解をしておるつもりでございます。ただ、年金制度を立てます場合におきましては、特定の国籍の方だけを特別扱いにするという原理がないわけでございまして、確かに在日朝鮮人・韓国人の方ほどではないにしましても、例は適当かどうかわかりませんけれども、宣教というようなことで日本に骨を埋めるというような方もおられるでしょうし、もちろん数の上では違うと思いますけれども、問題としましてはやはり一般外国人ということで年金としては対処せざるを得ない、こういうことでございます。
○矢山委員 そういうふうに定着し永住する人は、私は在日韓国人・朝鮮人にかかわらず、これは対象にしたらいいと思うのです。現実に、日米通商航海条約ではアメリカ人を国民年金の対象にしているでしょう。このアメリカ人については、それは相互主義でやっておるのだとおっしゃるでしょう。それはそうかもしれない。しかしアメリカ人は対象になっておる。しかも、これは強制加入になっていないでしょう。実際の運営は任意加入でやっておるのじゃないですか。そういうふうに考えるなら、在日朝鮮人・韓国人というものを、特別な日本とのかかわりがあるから、私はその一点にしぼって問題を提起しておりますけれども、であればあるほど、私は、その者に対する国民年金加入には配慮すべき必要があるのじゃないか、こう言っておるわけですよ。
○木暮政府委員 アメリカ人の場合には国民年金が適用になっておることは事実でございます。これは日米通商条約の第三条で内国人扱いをするということになっておるわけでございますが、これでつけ加えて申し上げますと、この通商協定ができましたときには国民年金はまだできておらなかったわけでございます。その後に国民年金ができ、国民年金が自動的にアメリカ人に適用になっておるわけでございますが、ただいま申し上げましたような不都合が起こっておるというふうに思っておるわけでございます。
○矢山委員 ここで議論をとめておると先へ行きませんから、後でこれは憲法との絡みでお話しをしたいと思います。 ところが、国民健康保険については、これも原則としては国籍要件があるでしょう。社会保障の制度にしても国籍要件がある。ところが、ありながらこれは国保法の施行規則で、例外として、地方自治体が条例で定めた国籍を有する者は、これは国民健康保険の対象にしていますわね。それは事実ありますな。あるかないか認めていただけばいいのです。
○木暮政府委員 韓国と日本で国交を復活いたしますときに、日本と韓国との間にいろいろな相談が行われておるわけでございます。その一環といたしまして、在日韓国人の方に社会保障をどういうふうに適用するかということは議論をされておるわけでございますが、そのときの取り決めによりまして、生活保護と国民健康保険、それから義務教育につきましては、日本政府が妥当な考慮を払うということで、日韓条約及び在日韓国人の法的地位協定が結ばれておるわけでございます。その考え方といたしましては生活保護、国民健康保険というような、生活の基本にかかわる問題につきましては配慮をするということであるわけでございまして、その線に沿いまして、国民健康保険等も運営をされておるということでございます。
○矢山委員 これは、この法的地位協定によるものだけでなしに、それに限定されておるのでなしに、地方自治体が条例をもって定めれば、その定めた国籍を有する者は健康保険法の適用対象になる、こういうことになっているでしょう、一般論は。そうじゃないのですか。
○木暮政府委員 国民健康保険はさようでございます。
○矢山委員 そうですね。それから生活保護の問題がありますね。生活保護の適用対象については、保護法で「すべての国民」というふうに「国民」ということがはっきり言われておるわけですね。したがって最初は、日本国籍を持つことが要件であるということで、適用対象外になっていましたね。ところがこれは、二十九年五月八日に厚生省の社会局長通達で、生活保護法を準用する、そして生活保護の対象に加える、こういうことになっていますね。
○木暮政府委員 さようでございます。
○矢山委員 それからそれに加えて、これはあなたの直接所管ではありませんが、日本育英会で奨学金を出しますね。その奨学金をもらうための出願資格は、従来は日本国籍を持った者に限られておったわけです。ところが五十年から、特定の外国人についてその制限を撤廃いたしました。その特定の外国人というのは、戦前から日本に在留する韓国・朝鮮人、それから中国人及びそれらの子孫、法律百二十六号の該当者、それから協定永住者、それらの子孫及び一般永住者、そういう人たちについては奨学金の出願資格を与えた、こういうことがあるわけです。そうすると、こういうふうな制度が一体どうしてできてきたのか。つまり、国籍要件というものがちゃんとありながら、それを通達においてあるいは施行規則においてその国籍要件を外して、そして在日韓国人なり在日朝鮮人をその適用対象に加えてきた。そのことは、日本政府として、在日韓国人・朝鮮人が日本におることの歴史的、社会的な背景といったようなもの、また日本におるその生活の実態というようなもの、そういうことを考えながら、これを適用対象にすることの方がよりベターであるという判断で、私はこういうふうに適用をされるようになってきたと思っておるのですけれども、これはどうでしょう。
○木暮政府委員 生活保護や国民健康保険で国籍を問わないということでございますが、それは生活窮乏の実態あるいは傷病のときに緊急に医療の必要がある、そういう緊急性に基づくという面が多かろうと思いますし、また生活保護の場合にも国民健康保険の場合にも、生活困窮とか病気になったとか、そのスポット、スポットでもって問題が解決していく性格のものだと思うわけでございます。ところが国民年金の場合には、一定のグループを保険集団といたしまして、その加入者に長年の拠出をしていただく、その結果老齢年金を出すということでございまして、生活保護や国民健康保険がその時点、その時点の対策であるのに反しまして、長期保険ということが言われておりますけれども、長期的な処遇が必要な制度であるわけでございます。端的には、二十五年の資格期間が満たせる可能性があるのかどうか、そういうことに絡んでいくわけでございまして、先ほど来先生のお話しの、在日韓国人等の置かれております歴史的な状況とか現況はよくわかるわけでございますが、国民年金ではなかなか対処がむずかしい、こういうふうに思うわけでございます。
○矢山委員 私は、年金の問題と、生活保護なり国民健康保険なりあるいは日本育英会の問題とが、性格は一つのものではないということは十分承知して言っているわけですよ。性格は一つのものではないけれども、国籍要件がちゃんとはめられておりながら、その国籍要件の枠を外して在日韓国人・朝鮮人に対して適用をしておるということは、いま言ったような、在日韓国人・朝鮮人の日本に存在をしておるという歴史的、社会的な背景あるいは生活、実態からして、これは適用するのが至当であるという判断に立ってそうなってきたのだろう、こういうことを申し上げておるので、これに対してはあなたも反論はできないだろう。 それから国民年金、厚生年金の問題で言うならば、先ほど来私が繰り返しておるように、年金としての基本理論においては国民年金も厚生年金も変わることはない。それが、一方が強制加入され、一方が強制排除をされるということ自体が問題である。私は個々の問題を言っておるのじゃないのです。事業所におって、事業主も保険料を掛けておる、被用者も掛けておる、そういう国民年金と厚生年金の個々の表面に出た具体的な相違で言っているんじゃないのです。国民年金であろうと厚生年金であろうと、年金理論の基本においては変わらぬはずだ。そのことはあなたも認められた。それで、一方が強制加入、一方が強制排除、こういうことをやっておることが問題なんだ。それは改めるべきじゃないかということの例として、生活保護に対する扱いなり、国民健康保険に対する扱いなり、あるいは日本育英会の扱いなりというものを、性格は一致するものではないけれども、一つの例として挙げながら、あなた方が国民年金に対する在日朝鮮人・韓国人の加入を認める方向で努力されることを考えながら、私はいま論議をしておるわけなんです。大臣、これはどうですか。
○橋本国務大臣 話の内容として、そのお気持は私どもよくわかりますが、基本的に、現在の年金制度の仕組みの中でこれをお答えをすることは、大変困難な問題だと私は思います。 〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕 一つの問題点としては、現在の日本と外国との関係の中で、仮に二国間条約等を締結し、日本人が相手国に居住する場合において同じような待遇が得られるかどうかということも、私は年金制度の上からは考えていかなければならぬような気がいたします。
○矢山委員 これは幾ら議論しても平行線だと思う。 そこで私は、もうちょっと異なった面から議論をしてみたいと思うのですが、憲法二十五条というのは御存じですね。「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」こういう規定がある。その場合に、これをどう解釈するかという解釈には、大まかに分けて二つの解釈があると思うのですね。いわゆる国籍主義の立場に立った解釈と、それから属地主義に立った解釈とがあるわけです。日本政府はどちらをとっているんですか。
○木暮政府委員 国籍主義だと思っております。
○矢山委員 そこで、国籍主義をとっておるということは、私も承知しております。ところが、国籍主義をとった場合にでも、国籍主義をとれば日本人のみを対象としてこの憲法二十五条の第一項は適用されてくる、こういうことになるわけですが、しかし、このことは、外国人を対象としてはならぬということではないということも言われているわけですね。これは外交上あるいは治安上、人道上、いろいろな問題から、外国人に適用してみたところで憲法違反ではない、こういうことが言われておる。 参考に、憲法学者の宮沢俊義さんが第二十五条についてどういうことを言っているかということを申し上げたいと思う。「基本的人権を保障することは、何より各人の所属する国の責任である。日本が何よりもまず日本国民に対してそれらの社会権を保障する責任を負うことを意味する。このことは決して、外国人はこの種の人権を享有しないことを意味するのではない」こう言っているわけですね。だから、国籍主義の立場に立ったとしても、これを外国人に適用して悪いという解釈はしてないわけです。 それからもう一つ、属地主義の立場に立った解釈で言うと、これはもう所属国籍を問題とするのではなしに、その国土における生活の根拠ということに視点を置いてこの二十五条を解釈すべきだ、そうするなら日本人と同等の権利性が認められるんだ、こういう解釈がある。 その属地主義論者の代表的なものは浅井清さんですけれども、その人は憲法二十五条の解釈でどう言っているかというと、「基本的人権は人権であって、ひとり国民のみが有する権利ではない。およそ人間たる者に対して等しく与えられるものであり、もし、憲法の定めた基本的人権はすべて国民についての権利であるとするならば、基本的人権に国家的色彩が導入され、その基本的人権たる本質を失う」こういうふうに述べておるわけですね。 私は、これは、いまの国際的な流れからしても、それから基本的人権を尊重するという基本原則を踏まえた憲法の立場からの解釈にしても、国籍主義に固執すべきではない、むしろ属地主義をとっていくべきだと思います。 ところが同時に、国籍主義に固執したにしても、いまの在日韓国人・朝鮮人の社会的、歴史的に日本に存在をするに至った背景なり、あるいはその人たちの生活実態を考えるなら、これはこれらの人にその適用を広げてみたところで、憲法二十五条違反ということにはならないはずなんです。そうすれば、私どもは、かつての朝鮮侵略に対する反省と、在日韓国人・朝鮮人が日本に住んでおるその生活実態ということを踏まえた場合に、これはやはり国民年金の適用を考えるべきである。しかも、これらの人々は日本においてちゃんと納税の義務を果たしておる。しかも、一方の厚生年金には強制加入させられる、国民年金は強制排除される。そうして、その中で国民年金と厚生年金とをつなぐことができない。したがって掛け捨てになってしまって、大変な不利を受けていることも事実なんです。それをそのまま黙視することはできぬでしょう。どうなんでしょう。
○木暮政府委員 日本国憲法の二十五条のお話があったわけでございますが、社会保障の面につきまして、外国人の方々の最も緊急な状態、生活困窮とかあるいは病気の場合に生活保護とか国民健康保険が適用されるということになっておるのは、やはりそういう考え方に立つということは言えようかと思うわけでございます。 しかし、年金の場合でございますが、各国の立法例を見ましても、被用者年金は強制適用する、それから被用者年金じゃなくて全国民を対象にするような年金につきましては国籍要件を問う、こういうことの立法例がむしろ多いわけでございます。イギリスの場合には国民年金も国籍を問わないということをやっておりますけれども、デンマークとかスウェーデンでは、全国民対象の年金につきましては国籍要件を問うということになっておるわけでございますが、それはやはり年金の技術論ということになろうかと思うわけでございます。どういう集団を保険集団として年金をつくるかという場合には、先ほど来申し上げておりますように、単に年金を適用してその実が上がらないということでは強制適用するわけにはいかないという判断は、当然あっていいことかと思うわけでございます。
○矢山委員 言葉じりをとらえるようですけれども、在日韓国人・朝鮮人に国民年金を適用して、効果が上がらないですか。私はそういうふうに考えぬのですよ。しつこいようですけれども、厚生年金にしろ国民年金にしろ、年金の基本理論においては変わらぬわけでしょう。変わらぬ。そういう状態の中で、しかも在日朝鮮人・韓国人にしぼって議論しておりますが、この人たちは日本からもう離れられないのですよ。日本に生活の基盤がある。そうすれば、どうしてこの人たちに適用できないのか。これは大臣ですよ。あなたの技術論を聞いたって話にならぬ。
○木暮政府委員 先ほど申し上げておりますように、年金の立場からは、特定の国籍の方だけを対象として取り上げることはできないということが一つあるわけでございます。在日韓国人・朝鮮人の方に限りましても、すでに高齢の方につきましては、国民年金に入っていただいても、資格期間を満たせる可能性がないわけでございますし、それから二世、三世の方につきましては、これは二十歳になってからでございますけれども、ずっと日本におられるということになるかどうかという問題もあろうかと思います。 繰り返して申し上げますけれども、外国人の取り扱いの場合には、一般外国人ということで年金の上では取り扱っていかざるを得ないわけでございます。
○矢山委員 お役人の方の技術論だけで議論しておれば、それだけのすれ違いになりますが、私は、国籍要件がちゃんと正面から法律で決められておる、その中でも国籍要件を外して適用されつつある社会保障制度もある、そういう現実を踏まえて、しかも厚生年金と国民年金が年金理論の基本において変わらぬとするなら、そして在日朝鮮人・韓国人が帰るかもしれぬと言うけれども、帰ることはできない、生活の実態がもう日本に根づいてしまっているんだから、そういう人たちを排除するというような理由にはならないだろう。あなたは、在日朝鮮人・韓国人の老齢の人だけを引っ張り出して言われておるのだけれども、老齢のもう六十を過ぎた人に国民年金に入れと言ったって、それはできない話です。だから、そういう極端な例を引くのではなしに話をしなければいけない。じゃ、それなら若い人たちが、二十の人、二十五の人がこれから、もう日本に全く根が生えておるのに、日本の生活を全部ほっといて韓国や朝鮮へ帰るかといえば、そういう状況にはない。そういう、生活の実態に根差して議論をしなさい、こう言っておるのです。 それで、日本政府は、国際人権規約を今度批准しようということで、国会に提案していますね。この国際人権規約というのは、御承知のように、まずそのもとには世界人権宣言がある。世界人権宣言は、その第二十二条で「すべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し」と、こうなっておるわけです。「すべて人は」となっている。「すべて人は、社会の一員として」で、国民の一員としてとはなっていないのです。それが一つ。それから、この世界人権宣言を補完する国際人権規約は、A規約の第九条で、この規約の当事国は、すべての者が社会保険を含む社会保障を受ける権利を有することを認めるとあって「すべての者」がと、こうなっておるわけです。そして、この国際人権規約のA規約も、B規約も、それから選択議定書も、すでに発効しておるわけです。日本政府はこれを批准しようというのでいま国会に提案をして継続審議中なんです。 そうなると、国際人権規約を批准するのなら、憲法二十五条に対する解釈も国籍主義にとらわれないで属地主義の立場をとる、あるいは属地主義の立場をとらぬにしてもその解釈の枠を広げていく、そして国籍要件にこだわらないで適用していく、そうすればその結果は国民年金の加入を認める、こういうことになるのじゃないですか。何のために批准案を出しているのですか。
○橋本国務大臣 まず最初に申し上げておかなければならないのは、国際人権規約の趣旨には私ども賛成でありまして、その趣旨に沿うように努力をしてまいりたいと思います。ただ、年金制度そのものの問題として議論をいたしますと、先ほど局長から申しておりましたような技術的な問題点は確かにあるわけでありまして、これらのことを踏まえての上で、国際人権規約の趣旨に沿うように努力するということを申し上げざるを得ないわけであります。 ただ同時に、国際人権規約を批准してかつ国籍要件を付している国として、すでにスウェーデンでありますとかデンマークの例もあるわけでありまして、先ほども私はちょっと申し上げましたが、将来において二国間条約が締結をされれば、むしろ法律より優先する条約のたてまえから、国民年金の適用ということを考える可能性もないわけではありません。ただ、それには、その国において今度は日本国民もやはり同じ処遇が受けられるということが一つの問題点でございます。従来から問題になっております話でありますけれども、在日韓国人・朝鮮人の方々に対する国民年金の適用については、四十年の日韓条約、在日韓国人の法的地位協定の際に、生活保護、国民健康保険、義務教育というものについて、両国の間で、日本が適当な考慮を払うということで地位協定に盛り込まれたわけでありまして、その後において、国民年金の問題は両国間の問題としてもなおかつ議論がついておらない部分があることも、これも矢山さんよく御承知のとおりの問題でありまして、私は、人権規約を批准する後において二国間協定が結ばれる状態になれば、当然そうした問題についての回答も違った答えが出てくるであろうと、そのように思います。
○矢山委員 政府の答弁というものは、都合のいいときには外国の立法例を引くし、都合が悪いときには外国の立法例はことさら無視してかかる、そういった習性があるのだが、そのことはそれとして、それはよろしい。 それから、いま大臣の言われていることは、やっぱり国籍主義を固執するという立場だ。そうすると、国籍主義を固執すれば、相互主義でなければこれは認めないというのがあたりまえの結論なんです。しかし、そういうことは、過去の経緯なりそういう理屈はわかっておっても、私は、在日韓国人・朝鮮人の場合には国籍主義を固執し、その中で相互主義によらなければ絶対に応じられないのだというような考え方は、むしろ矛盾しておるのではないかということを申し上げ、そして、それについて世界人権宣言なり日本政府が批准しようとしておる国際人権規約の問題を出したわけです。だから私は、何も諸外国がやるまでは日本もやらぬのだと、こういうのではなしに、国際人権規約を批准しようとするなら、このA規約第九条で定められておるように、これは国籍主義にこだわらないで在日韓国人・朝鮮人に適用したらいいんじゃないか、それを含む在留外国人、永住をすると考えられる在留外国人に適用したらいいんじゃないかと思うのです。その場合に、私がこの前説明を聞いたら、いやそれは、国民年金は強制加入だからなかなかそうはいかぬのだ、強制することはできないのだという議論もありました。しかしながら、二国間条約でいく場合には、アメリカ人のように、実態に合わせて、強制加入でなしに任意加入という方向を現実にとっているわけだ。アメリカ人の場合には通商航海条約によって国民年金の加入を認めておる。もし国民年金の加入を強制しなければならぬのだという立場に立つなら、在日アメリカ人についても強制しなければならぬ。しかしそれは強制をしていない。事実上の問題としては任意加入を認めておる。そういう柔軟性を持って処理しているわけでしょう。そうすれば、在日韓国人・朝鮮人も、その生活の実態に即していった場合に、柔軟性をこの際にこそ発揮すべきじゃないか。しかも、ましてや国際人権規約を批准しようとする政府は、この際こそ国民年金の加入へ踏み切るべきじゃないか。私はこうあくまでも主張したいのです。 そこで、時間の関係がありますから、最後にまとめて私の見解を申し上げておきたい。 一つは、在日韓国・朝鮮人約六十五万の存在は、かつての日本の侵略の結果に基因するんだ、これが第一点です。 それから第二点は、これは法務省の入管白書の中でも指摘されておりますが、在日朝鮮人・韓国人の老齢化の問題があります。一九七五年の入管白書によりますと、昭和三十四年には二十歳未満が四九%であったのが、四十九年には二十歳未満は三七%に落ちております。二十歳から四十歳未満の者が三十四年には二九%であったのが、四十九年には三六%になっております。そして入管の指摘しておるのは、高齢化が著しく進んでおる、こういうふうに指摘しておるわけであります。そうするとここに、帰るところを持たない在日朝鮮人・韓国人、日本に永住をしようとしておる、またそういう生活実態にある在日朝鮮人・韓国人の老後の生活の安定というものが、きわめて重要な問題になってきます。 それから、次の問題です。次は、在日朝鮮人・韓国人の四分の三はすでに日本で生まれ成長した二世、三世であります。自国語を解しない者も多く、定着化の傾向を強めておる。そして、日本の地域社会との深い地縁的なつながりをすでに有しており、将来とも深まっていくものと考えられる。これは入管の白書が言っているんです。 続いてまた、入管の白書はこう言っております。「昭和四十八年の在日韓国・朝鮮人の婚姻数七千四百五十組のうち、配偶者の一方が日本人の組は、三千五百七十六組で約半数に迫っている。これらの子は、国籍法上、日本人が父である場合は、当然に日本国籍を取得するが、母が日本人の場合は、父の国籍を取得し、外国人として在留することになる。そして、在日韓国・朝鮮人として出生する者約一万二千人の二割ないし三割は、このような日本人を母として生まれる子であると推計され、その数は今後増加していくものと予想される。このように血縁的にも日本人との関係が深まっていくのが、自然のすう勢であろう。以上のようにみてくると、今後の在日韓国・朝鮮人の処遇は、このようなすう勢をも念頭においた適正なものでなければならない。」これは入管の白書で法務省が指摘しているところであります。 さらに、日本政府はこれらの人々に対して納税の義務を課しておる。 こういうことをずっと総合的に考えるなら、在日韓国人・朝鮮人に対して、それを含めた在留外国人に対して、日本に対する定着性、永住性のある者は国民年金の加入を認めるべきである、私はこれをあくまでも固執いたします。 しかも、その理由は、国民年金であろうと厚生年金であろうと、いろいろな枝葉末節の議論は別として、年金理論においては基本においては同じであります。そういう中で、一方において厚生年金は強制加入、国民年金は強制排除、そのことによって生じてくる不利益というものは、先ほど脱退手当金等の問題で議論しましたが、これは莫大な不利益をこうむっているわけであります。こういうところからして、私はあくまでも今後、在日朝鮮人・韓国人に対する、しかもそれは永住性を持った在日韓国人・朝鮮人に対する、あるいはそれらの人を含む在留外国人に対しても、これは国民年金の加入を認めるべきである。そしてさらにもっと言うなら、国際人権規約を批准しようとしておる日本政府の方向とするなら、そういう方向を追求すべきものである。こういうふうに考えるわけでありますが、所見を承って、質問を終わりたいと思います。
○橋本国務大臣 ですから、私は、矢山さんのお話を一理ないものとは先ほどから申し上げておりません。一つの考え方であることは決して否定をいたしません。今後ともに、参考にさせていただきながら仕事をしてまいりたいと思います。
○森下委員長 次に、谷口是巨君。 〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○谷口委員 私は、本題の質問に入る前に、本院の予算委員会におきまして大平総理が、公明、民社両党の予算修正要求であります老齢福祉年金等の改定について、自民党からの回答内容を適切に対処してまいりたいと答弁がなされておりますけれども、厚生大臣は、老齢福祉年金等の改定について現在どこまで検討を進め、またいつの時点で結論をお出しになるのか、明確にお願いをしたいと思います。
○橋本国務大臣 谷口さん御指摘のように、本院の予算審議の過程におきまして、公明、民社両党に対し、自由民主党から、福祉年金の支給額を二万円に引き上げることを初めとした回答を申し上げておりますことは、私も承知をいたしております。その際の自由民主党の回答には、この社会労働委員会における与野党の審議の経過を踏まえてということがありましたはずでありまして、きょうから年金の御審議を始めていただいたわけでありますが、今後、本委員会におきまして与野党の間で御協議をいただきましたその結果については誠意を持って対処いたしたい、そのように考えております。これは、これから先与野党の中でお話し合いをいただく中に、どういうふうな御結論をお出しになりますか、それを拝見をした上で、誠意を持って私どもはその実現に努力をするということで、いまの時点はお許しをいただきたいと思うのです。
○谷口委員 大臣としては、総理大臣がお答えになったことについては十分御承知の上であり、その線に沿っていかれることと私は信じて、この話はこれでとどめておきたいと思います。 次に、私は児童手当について伺いたいのでございますが、児童手当につきましては、特に今年度は市町村民税の所得割の額のない方々、その方々に対する支給手当、これが月額が六千円から六千五百円に引き上げになるわけであります。また対象としましては、所得制限については従来どおり据え置かれているわけでありますね。こういう問題に関連をして質問をしていきたいと思いますけれども、五十二年の十二月と思いますが、いわゆる中央児童福祉審議会、これの意見具申が出されました。その前書きで述べてありますように、制度発足後もう五年を経過したわけでございますが、「この間の経済不況、財政状況等をも反映して、そのあり方については各方面において制度の拡充から縮小、廃止まで」両極端にわたる意見があると指摘しております。厚生省はこうした中で、この児童手当制度のあり方について基本的にどのようにお考えか、見解を伺っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 いま谷口さんが御指摘になりましたように、五十二年の七月から五回にわたって児童手当部会が開かれました過程におきまして「児童手当制度に関する当面の改善策について」の意見具申がなされました。また五十三年におきましても、児童手当部会を三回開催しました中で、十二月には「児童手当制度に関する当面の改善策について」の意見具申をいただき、現在も引き続いてその検討が進められているわけであります。 これは公明党を初め各政党からもいろいろな御意見を私ども承っているわけでありますけれども、一つは賃金体系との関連、また扶養控除等を初めとする税制における調整、また他の社会保障制度との関連の中で、給付と費用負担のあり方等の財政上の問題も含めまして、検討を要する大きな問題点が幾つか、国民のコンセンサンスを得る前に、実は横たわっているわけであります。私どもとしては、よく御承知のとおり、中央児童福祉審議会においてこうした点を踏まえた御審議を願っておるわけでありまして、この審議経過を参考としながら、目的に即した制度改正ができるように努力をしてまいりたいと今日では考えております。
○谷口委員 中児審のいわゆる結論というのがまだ出されていないわけであります。中間の状況しか出されていないわけですが、これの結論というのは非常に重大な結果を持つと思いますが、これは大体いつごろの見通しになりますか。
○竹内政府委員 現在、中央児童福祉審議会で御審議をいただいておりますけれども、先ほど大臣からお答えいただきましたように、税制における扶養控除の問題、こういったものとの調整、あるいは賃金体系の中におけるまた家族手当の問題、いろいろな問題が実は山積いたしております。横っちょで、実は私ども、中央児童福祉審議会の児童手当部会の検討そのものを進める過程で、いわば横目で見ながらというのは適切かどうか知りませんけれども、税制の方の動きあるいは現在の賃金の動向などを横に見ながら、この児童手当というものの基本的なあり方としては、今後ともこれを拡大すると申しますか、充実改善する必要があるという立場に立ちながらも、これをどのように持っていくかということになりますと、いわゆる御承知のように一子なり二子なりへ対象を拡大する問題と、手当額それ自体がどのようであるべきかという問題、この辺が一番大きな問題であろうと思いますが、そういったことのために、私どもがいまその審議を横で聞かしていただきながら承知をいたしておりますのでは、できるだけ急ぎたいとしておられますけれども、必ずしもはっきりした、具体的に何年の何月ごろまでにというところまでのめどを、御審議いただいておる部会の先生方それ自体でお持ちいただける状態にはなっておりませんので、私どもとしてはできるだけ早くということをお願いをいたして、若干幅を持たせていただきたい、かように考えております。
○谷口委員 中児審の中間報告みたいな意見具申では、児童手当制の必要性についてはいろいろ理由が述べられているわけですね。 一つには、児童のいる家庭の生活が非常に苦しいから、これを安定をさせるという意味が一つあります。二つには、児童の健全育成、これからの日本を背負う児童の健全育成、資質の向上、こういうことを図るという観点から、その必要性がますます増してきていると述べているわけであります。そして、この二つの目的が制度の仕組みの上に十分に反映されなければならないという意見を述べているわけでございますが、その考え方から見て、現在の児童手当制度はそれに十分にこたえていると判断をされているかどうか。
○竹内政府委員 私ども、中央児童福祉審議会の五十二年及び五十三年の十二月にそれぞれ出されました当面の改善策等につきましては、これを前向きに制度改善の実績の中に移せるように努力をしてきたところでございます。 もちろん、いま先生御指摘のように、私どもとしても、これから高齢化社会を迎えるという時代に差しかかったときに、その高齢化社会を支えるのはいまの次代の国民でございますから、これを健全に、しかもこの老齢化社会を支えていくのに足りるだけのいわば活力のある次の国民を育てるという立場に立ちますれば、やはり児童手当の持つ意味というのは非常に大きなものがあるのではないかということは、私どもも理解をいたしておりますし、また、現在審議をしていただいております児童手当部会の先生方も、その立場でこの問題に取り組んでいこうというふうにお見受けをさせていただいておりますので、私どもも期待しておるところでございます。
○谷口委員 所得制限が今度も結局据え置かれたわけでございますけれども、国民の所得の状態で、いわゆる現在の据え置かれた立場でいくと、対象になる児童手当の受給人数、これに当然異動が出てきますね。そういたしますと、これがどれくらい減ってくるのか、そういうところを数の上で把握されておったら教えていただきたいと思います。
○竹内政府委員 受給者そのものの減といたしましては約三万七千人、つまり五十三年度で平均して受給者が月に二百六万九百十人と見込んでおりましたものが、この所得制限の据え置きによりまして五十四年度では二百二万三千七百八人、このように私どもの方では一応予定をいたしておりまして、支給率といたしますと、従前の八六・九%でありましたものが八四・五%というふうになるのではなかろうか、こういうふうに理解をいたしております。
○谷口委員 この所得制限というのは非常にむずかしい問題があるわけですけれども、児童手当は、児童の多い家庭では養育費が家計を非常に圧迫する、子供のない家庭と比べると当然生活が苦しくなってくるわけであります。特に最近においては、生活水準の相対的低下は避けがたいわけでございます。その子供のある家庭と子供のない家庭とのいわゆる均衡、こういうことを図る必要があるということを意見具申の中で述べられているわけでありますね。そうして当面の改善に関する意見では、いわゆる支給手当額の改善についてはできれば実質価値の維持が望ましい、かつ効率的な運用からは低所得層について手当額の引き上げが望ましいということを言っております。また所得制限については本来行わないことが望ましい、緩和の方向をとるべきだということも指摘をしておるわけであります。 五十三年度は低所得層の手当が充実されまして、それ以外は見送られたわけでありますね。ところが今回は、その金額が五百円改善されることになるわけでございますけれども、昨年のいわゆる意見具申を見ますと、制度の基本に触れるような手当額、所得制限限度額の改定を行うことは適当ではないが、しかし据え置くということも相対的縮小を導き出すので適当でない、いわゆる無用論に傾くということもあるから望ましくないということも言っておるわけですね。今回はその所得制限の金額を据え置いたわけですけれども、これを据え置かれた理由はどういうことですか。
○竹内政府委員 ただいま先生がおっしゃいました点が、まさにそのかね合いと申しますか、基本的な問題について現在検討中であるだけに、本質論にはね返るような改善についてはしばらく待つべきだ、といって、制度それ自体が相対的な縮小をするということについてはまた中央児童福祉審議会としても好ましくない、こういう御意見、そういったことで、私どもとしては、昭和五十一年の児童手当に関する意識調査なども実は参考にしてみたわけでございます。その調査におきましても、所得制限の水準それ自体につきまして、現行程度でもよいというような意見が約半数を超えておりましたが、一方、厳しくした方がいいという意見も若干あった、そんなこともございましたので、福祉年金などの動向を一つ考えまして、御承知のように、福祉年金の中でも私どもの児童手当に一番近いと言われると恐縮でございますけれども、母子福祉年金につきましては六人世帯で四百九十二万円という水準、いわばそれを横目で見まして、四百九十七万円という水準にとりあえず落ちついたということでございます。 私どもとしましても、所得制限それ自体をどうこうということとでないにしても、いま先生御指摘のように、低所得層対策という一つの所得保障的な意味を考えましたときに、何らかそれに見合う対応策を考える必要があろうということから、低所得層の六千円を六千五百円という引き上げの措置を、いわばそれをカバーするという意味でとってみたわけでございます。
○谷口委員 昨年でございますか、委員会で審議の折に、いわゆる附帯決議がなされておりますね。衆議院の社労委員会でも「児童手当については、長期的展望に立って基本的検討を進めるとともに、当面、低所得層を重点として給付の一層の改善充実を図ること。」となっております。 確かにふえたのですけれども、この五百円の増加、それから所得制限の据え置きということから見ると、私はこれがどうも十分に生かされていないという気持ちになるのですが、所見いかがですか。
○竹内政府委員 お答え申し上げます。 結果論の数字を持ち出して大変恐縮でございますけれども、実は所得制限の据え置きということで、五十三年度と四年度との間で国庫負担分が七億一千二百万円の減になるわけです。そのかわり手当額を五百円、わずかという印象はございますけれども、この引き上げに伴います国庫負担の増加分が今度は九億八千九百万円、いわば差し引き国庫負担ベースにおきまして二億七千七百万円の改善、と言っていいのかどうかわかりませんが、そういう感覚になかろうかと思います。 私どもといたしましても、御指摘のように、果たしてどの程度のものが所得制限として本当に妥当なのかということについて、基本的な結論を早急にいただければ、これに即しまして、またまた附帯決議の御趣旨を体して、改善に努めたいと思っております。
○谷口委員 いろいろ伺いましたけれども、要するに、現在両極端に意見が分かれているという現状でありますね。 最後に大臣にちょっと意見を伺いたいのですけれども、要するに、児童手当そのものが第三子という中途半端な状態にあるわけです。このごろの若い御夫婦の姿を見ると、三人というのはわりあい少なくなってきまして、二人というのが非常に多いわけですね。こういう中途半端な状態から考えても、そこに欠陥が一つあるわけですが、私は先ほどからお話を聞いておって、厚生省もそうだとお思いになっていると思いますけれども、この第三子というのは、第二子とか第一子とか範囲を拡大していくべきであるし、全般的に手当金額も増加させなければならないと私は考えるわけでございますが、大臣のひとつ所見を伺っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 これは、児童手当を創設いたします時点から本当に尾を引いている問題点でありまして、実は私は、児童手当を創設した当時の厚生省の政務次官だったわけです。ところが、私は四人子供がいるのでありますが、所得制限をつけ過ぎましてもらえなかったわけで、非常に残念な思いをした記憶もございます。 ただ、一般的に言いまして、本当にほかの制度に比べて、児童手当については、国民の中の考え方というものに相当な開きがありまして、コンセンサスの得にくい状態というものがございます。私は、谷口さんのようなお考えというものもこれは一つのお考えだと思います。ところが逆に、第一子にだけ出せ、あとは要らぬという議論もありますし、その辺については最大公約数をつかみがねているというのが実は現状でありまして、私どもとしては、いまの御意見等も踏まえながら、中央児童福祉審議会の御審議の結論というものをなるべく早くいただきたい、そしてそれを受けながら今後の考え方というものを整理してまいりたい、そのように考えております。
○谷口委員 年金制度に入りますけれども、現在年金制度というのは八種類に分かれて、生い立ちから、歴史的経過もありまして、中身が非常に違うわけでありますね。要するに、支給開始年齢だとかあるいは給付の金額にそれぞれ差が生じているわけであります。これは歴史的な面から脅えて一面やむを得ない面もあるわけでございますけれども、これはやはり一本化していくという考え方が非常に大事じゃないか、私はそのように考えるわけであります。非常に高齢化社会というのがいま急速に進んでおりますから、長い年月をかけて改善をしていくという考え方に立って、基本的な合意を国民の間に得なければならないときが来ていると私は考えるわけであります。 そこで、まずお伺いしたいのは、この皆年金下において、年金は一人の人間にとって、たとえば社会を一応卒業していくような、生活力が乏しくなっていくようなそういう状況の中において、一人の人間というものに対してこの年金がどのような意義を持ち、どんな立場にあるのか、そういう認識の問題を私は求めておきたいと思います。
○木暮政府委員 日本の年金制度は、先生御指摘のように八つに分かれておりますけれども、現在、それぞれ目指す給付水準はかなり、国際的に劣るところのないものになりつつあるわけでございます。いわば国民皆年金体制ができておるわけでございますけれども、そのことによりまして全部の国民の方に、老後の生活の支えになる年金を差し上げる、あるいは不幸にして被保険者中に障害になれば障害年金を差し上げるということで、国民生活の中で欠くことのできない機能になりつつあるというふうに思っております。
○谷口委員 これは年金問題を論ずる場合に、老人の生活環境といいますか、たとえば若い息子さん方と同居しているとか、あるいは別居しているとかで、いろいろ状況によって、これは切り離せない関係があると思うのですけれども、私は古い方の資料しか持ちませんけれども、ごく最近のいわゆる同居率だとか別居率だとか、そういうものの実態を握っておられますか。
○山下政府委員 大変申しわけございませんが、一応私どもが整理をいたしております老人の生活環境の問題は、四十八年実態調査のものを持っております。 その老人を取り巻く生活環境の主なポイントの数字だけ申し上げておきたいと思うのでございますが、まず子供と同居をしておる割合でございますが、七四%程度というふうに理解をいたしております。これを意識調査の方から見ますと、同居を希望するものが約八一%、希望しないものが約一一%、その他は何とも言えないという状況に意識調査の面ではなっております。 それから、健康の状況でございますけれども、これも本人の状態、本人の聞き取りでございますけれども、ごく普通である、健康であるというものが六三・九%程度、体が弱くて病気がちでありますというのが三二・二%、寝たきりという状態にあるものが三・八%、それらの中で通院加療をいたしておるものが約一三・五%というような数字を把握しております。 それから、生計の状況でございますけれども、自活をいたしておる、自分の収入で生活をしておるというものの割合は約二九・八%、そういった状態とおおむね把握をいたしております。
○谷口委員 家族と同居しているという人たちが非常に一時減ってきたわけですね。ごく最近また少し実態が持ち直しているような気もいたしますけれども、高齢者の方々とお話をいたしますと、子供の世話になることは何となく肩身が狭い、そういう声が強いわけです。私どもが子供といいますかそういう年代のときは、もうこれは家族制度の盛んなときでありますから、長男は年をとれば親たちを見るのがあたりまえだ、そのかわり財産でも何でも全部もらう、借金までもらうということになっていたわけですけれども、そういう状況といま変わっているわけですね。したがいまして、先ほどちょっと話がありました病気だとかあるいは老後の収入だとか、いろいろな問題から、これは非常に大事な問題に今度なるわけであります。したがいまして、この年金の問題というのは非常に大事に考えていかなければならないわけですけれども、現在の年金では現実に食えないわけですね。共済年金の場合はまだある程度食えますね。それから厚生年金の場合もある程度食えるでしょう。国民年金の場合、これはなかなか食えないわけですね。こういう実情について非常にこれから真剣に考えなければいけないわけですが、老人の自活力が先ほど二十何%とおっしゃいましたね、二九・八%ですか、こういう状況でありますから、私たちがいま考えてみて、いわゆる老後の問題について、扶養体制は、子供さん方からある程度もらえるという私的な扶養体制というものが一つありますし、また社会的な扶養体制、この二つが相まっていくのが一番理想的なんですね。しかしながら、現状としてだんだん私的扶養体制というのが狭まっていっているわけですが、こういうことから考えまして、年金制度というのが今後どういうふうになければならないのか。はっきり言いますと、年金で完全に食えるような体制に持っていくべきだと私は思うのですけれども、その辺のところはどうお考えですか。
○木暮政府委員 先生御指摘のように、共済年金や厚生年金は、現在出ております年金もかなりの額となっております。その制度の発足が早うございましたので、長年掛金をしたことに対応する年金が出ておるわけでございますが、国民年金につきましては、昭和三十六年にできた制度でございまして、いま出ております年金は、優遇措置を実はとっておるわけでございますが、短期の被保険者期間に見合う年金が出ておるわけでございます。また福祉年金につきましては、昭和三十六年に国民年金制度ができましたときに、すでに高齢で掛金を掛けていただく余裕がないという方に対しまして、全額国庫負担で出しておるわけでございます。 それで、これらの国民年金の経過年金につきましては、私ども毎年重点的な引き上げを考えておりまして、政府原案でも九・一%増の一万八千円に福祉年金をしたいというふうに考えてきておるところでございますが、この経過年金のあり方につきましては、現在年金制度の基本懇談会でもって御審議をいただいておるわけでございますが、そこの御意見等も踏まえまして、さらに努力をしてみたいというふうに思っております。
○谷口委員 これは最後に一つ聞いておきますけれども、年金制度のいわゆる考え方というものは、やはり最低生活を保障するということが一番基本でなければならないわけですね。私はそう思うのです。そうなってまいりますと、いまの国民年金の状態では、これはその意に沿っていないわけですね。また、これから先も非常に改定を加えていかなければならぬものもあると思うのです。そういう基本的な問題、年金制度はいわゆる最低生活を保障すべきものであると私は思うのですが、政府の見解はどうですか。
○橋本国務大臣 この点はちょっと、谷口さんと私では考え方を異にいたします。と申しますのは、私は、最低生活の保障はこれは生活保護でやるべきで、現在の年金のように、老齢あるいは母子あるいは障害といった、御本人の稼得能力の喪失ということに着目をした制度で対応すべきものではない。最低保障というものはむしろ私は生活保護で対応すべきものだ、そのように思います。この点はちょっと谷口さんと私とでは考え方が違うのですが、その点はいかがでしょう。
○谷口委員 この問題は、これでとどめておきますけれども……。 次に、財政状態といわゆる費用負担についてでございますけれども、老後の最低生活を保障する、これはちょっと意見が違いますけれども、私の考えでありますから。それはさておきまして、老後の最低生活を保障するためには、年金額の増加などがこれは当然論議され、また従来も論議されてきたわけですね。そのたびごとに、問題になって前に立ちはだかるのは財政問題であります。それが第一に出てくるわけであります。財政状態の問題を無視して議論することは、もうナンセンスであることは十分承知をしているわけでございますけれども、名目的年金と言われるようなそういう批判、これはやはり私は解消されなければならないと思うわけであります。 そこで、現状の条件のもとで成熟化が進む中で、年金財政は今後どのように推移していくのか、またどのように推移さしていかなければならないのか、見解を伺っておきたいと思います。
○木暮政府委員 わが国の人口はだんだん老齢化してまいりますので、その結果としまして、年金受給者がどんどんふえてくるわけでございます。また、年金受給者がふえるばかりではございませんで、一件当たりの年金額も、長く年金に入っておった方の年金になってまいりますので高くなっていくわけでございまして、将来の見通しといたしましては、たとえば厚生年金で申し上げますと、五十三年度には二兆五千億程度の年金支出をいたしておったわけでございますが、昭和八十五年ごろになりますと、五十一年度の財政再計算の見通しで百四十三兆ぐらいになっていくということでございます。それで、その費用を賄いますためには、男子の保険料率で申し上げますと、現在九・一%でございますけれども、二〇・七%ぐらいまで上げていかなければならないのではないかというふうに思っておるわけでございます。一方、国民年金について申し上げますと、昭和五十三年度の年金支出が一兆二千億程度でございますが、これも昭和八十五年には、五十一年度の財政再計算のときの見通しによりますと三十五兆程度になるわけでございます。それで、保険料も現在一カ月二千七百三十円でございますが、五十一年度の価格で八千六百円ぐらいの保険料をいただかなければやっていけないというふうなことになろうかと思うわけでございます。それで、大切な年金のことでございますから、国民の御理解を得ながら保険料を上げさしてもらわなければなりませんけれども、一方では、いま申し上げたようにかなり高い保険料率になりますので、年金の支出の上でも見直しをいたしまして、真に必要な場合に必要な年金給付をするというようなことをしていかなければならないというふうに思っております。
○谷口委員 ちょっと最後のところが的確に私つかめないのですけれども、現在のように一律的な年金の給付状態じゃなくて、個々のいろいろな状況に応じて給付の状態が考えられるということになるのじゃないかと思いますが、その点を含めてもう一回ちょっと。 もう一つ、いまの計算でいきますと、いわゆる国民一人一人の負担が相当大きくなりますね。それだけ果たして国民がたえ得るかどうかという問題の見通し。 その二つを、再び見解を伺いたい。
○木暮政府委員 ただいま申し上げましたように、現行制度のままでまいりますと、かなり保険料負担が大きくなっていくわけでございます。どの程度まで国民の合意を得て保険料を引き上げていかれるかという問題があるのでございますけれども、これにつきましては、健康保険等の社会保険の負担もあわせて考えなければなりませんし、また、税負担等もあわせて考える必要がございますので、一概にどの程度までならば国民に負担をしていただけるかということは申しにくいのでございますけれども、仮に年金に限って申し上げますと、これも経験的なことでございますけれども、ドイツが一八%ぐらいのところで青息吐息になっているわけでございます。日本の制度は比較的ドイツに似ておりますので、その辺が一つのめどかとは思うわけでございますが、そこら辺、今後の推移を待ちながら御理解を得ていかなければならないと思うわけでございます。 そこで、仮にそうといたしましても、ただいま申し上げました見積もりでは二〇%を超えるような状態が推測されるわけでございまして、なかなか国民に全部を負担していただくというわけにもいかなくなるのではないかというふうに考えておるわけでございます。 先ほど最後に申し上げましたことでございますが、舌足らずでございましたけれども、仮に二〇%もの保険料を負担していただけないということが想定されるといたしますならば、現在の年金の給付の中で比較的ゆとりのある部分は削って、どうしても必要な部分に回していくということも考えていかなければならないのじゃないか、こういうことでございます。
○谷口委員 財政のそういう問題から結局いろいろなことが考えられているのでしょうけれども、今度は共済年金の支給年齢を六十歳に持っていくとか、こういうようなことに発展してきているのだろうと思いますが、こういう状態からいきますと、現在、年金の支給年齢というのが国民年金は六十五歳ですね、それから厚生年金は六十歳、共済年金は五十五歳になっているわけです。これを今回は共済年金を六十歳に引き上げたい、こういうことになっているわけですが、非常に生活等の問題もありまして、どうも複雑な問題があるわけです。いわゆる労働可能な年齢あるいは社会的な雇用の状態とか、それとにらみ合わせた年金の支給というのが問題になるわけですが、こうなってきますと、ますますこの年金制度というものは一つの統一された方向に行かなければならないと思いますが、その点どうですか。
○木暮政府委員 支給開始年齢の問題でございますが、現在厚生年金は六十歳、女子は五十五歳でございます。共済組合は現在男女を通じまして五十五歳でございますが、それを六十歳に引き上げていかなければならないということで、法律改正案が出ておるわけでございます。 〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕 厚生年金につきましても、先ほど来申し上げましたように、現在のままでいきますと、かなり費用負担が高くなってまいるわけでございます。そこで、費用負担に限界があるということならば、支給開始年齢の見直し等も行わなければならないのじゃないかという問題が出てくるわけでございまして、そういう点につきましては、現在、先ほど申し上げました年金制度基本構想懇談会で御審議をいただいておるわけでございますけれども、その御答申をいただいた段階で私どもも検討を進めていかなければなりませんけれども、支給開始年齢の引き上げについては避けて通れない問題であるというふうに考えておるわけでございます。
○谷口委員 労働省に伺いたいのですが、見えておりますか。−問題は、いわゆる高齢化社会が急速に進む中で、高齢者の生活の安定のための所得保障については、雇用を優先して考えるのかあるいは年金を優先して考えるのか、いわゆる年金制度の基本的なあり方も絡む問題でありますが、労働省としてはどうですか、どちらの方にウェートを置いて考えておられるのですか。
○田淵説明員 労働省といたしましては、中高年齢者雇用促進法という法律によりまして、四十五歳以上の中高年齢者について特に手厚い就職援護措置を講じておりますし、五十五歳以上の高齢者につきましては高齢者雇用率制度、民間企業では六%を設定いたしまして、それを努力目標に民間企業における雇用を進めるようにいたしておりますが、一応上限を、雇用率の算定では五十五歳以上でございますが、いろいろな就職援護措置、たとえば奨励金を出すとか助成金を出すとか、そういう雇用の助成措置につきましては上限を一応六十五歳までということで、労働行政と厚生行政の接点を定めてきております。
○谷口委員 厚生省の側から考えますと、恐らく年金支給の年齢を上げるわけですから、たとえば六十歳まで働け、こういうふうなかっこうになると思うのですね。それから労働省の方から考えると、年金の充実をしろというふうなことに考え方が傾いていくのではないかと私は思うのです。 したがって、大臣に最後に伺いたいのですけれども、いわゆる両方が絡み合ってくるわけですが、この二つの相関関係というのが非常に大事でございますが、どのように大臣はお考えですか。
○橋本国務大臣 非常に重要なポイントの御指摘だと私も思います。実は同じ問題についてやはり厚生省、労働省ともに、将来に対しての問題意識を持っておりまして、昨年来厚生、労働、両省の間におきまして、所得保障と雇用政策との調整についての懇談の機会を持ってまいりました。そうした中で、基本的には定年制の延長というものについて、労働省もいまお話しのとおりに努力をしてくれておるわけでありますし、私どもは、先ほど年金局長から答弁を申し上げましたように、将来において確かに支給開始年齢の引き上げというものは避けて通れない問題ではありますけれども、同時に、その場合においては個人の老後の生活設計を基本的に動かしてしまう問題でもありますし、雇用政策全般との関連ももちろんあるわけでありますから、当然そういう場合には段階実施をしていかなければならない、そして国民の老後生活の設計に不安を与えないような努力をしていかなければならないと考えております。 ただ、現実に厚生年金の場合、いま局長にも念を押して確認しましたが、平均してみますと、受給開始年齢はすでに六十二歳ぐらいになってきております。ということは、ある程度六十歳定年というものが社会にだんだん受け入れられてき、あるいはその後における再雇用、定年延長といった措置が定着しつつある一つの証左ではないかと私どもは受けとめておりまして、こうした点も今後の考慮の対象として十分考えていきたい、そのように思っております。
○谷口委員 まだいろいろあるのですが、時間が少し迫ってまいりましたので、最後の問題にしぼってまいりますけれども、問題は、婦人の年金権ですね。これについて私、伺いたいのですけれども、現在の年金というのは個人に与えられるものなのか、あるいはいわば家庭といいますかそういうものに与えられるものなのか、基本的な考え方をひとつお伺いしたいと思います。
○木暮政府委員 先ほど御指摘のございましたように、日本の年金制度は八つに分かれておるわけでございますが、そのうちの一つの国民年金は、個人個人を対象といたしまして被保険者にしており、また個人個人に年金を出すということになっておるわけでございます。 その他の七つ、これは被用者年金というグループになるわけでございますが、このグループにつきましては、世帯単位に年金制度が設計されておるというふうに申し上げていいと思うわけでございますが、働き手が年金に入り、老齢年金を受ける、それで配偶者の方はその夫の年金で老後生活を送り、夫に先立たれた場合には夫の老齢年金が遺族年金という形で変わってくる、こういうことでございます。 基本的には被用者年金は世帯単位、国民年金は個人単位ということでございますが、一つややこしくなっておりますのは、サラリーマンの妻の方は任意で国民年金に入れるということがございまして、大きく言いますと、世帯単位の年金と、個人単位の年金と、そのほかに、任意加入で被用者の妻も個人的な年金をもらう余地が開けておるということになろうかと思います。
○谷口委員 いまお話がありましたように、そういうところ、非常に大きな問題になっているわけですね。たとえば働いている御婦人あるいは末長く御夫婦一緒に御生活なさる御婦人にとっては、一応年金というものが保障されるような形です。しかし、働いてない御婦人で、しかも離婚、しかも高齢の状態の中で離婚なんかなさると、これは任意加入でありましたから、結局年金の受給資格がない、そういう人たちが出てくるわけですね。こういう落ちこぼれというと言葉は悪いですが、こういう年金から漏れる問題に対する救済をどのように考えるのか。 それからもう一つ、いわゆる未亡人になられた場合、御主人の年金を半分いただけますね。そういう場合には、結局自分の国民年金と二重にもらうわけですね。こういう矛盾が明らかにここにあるわけです。片方は二重にもらう、片方はもらえない、極端な例ですけれども、こういう問題に対してどのような救済の手を伸べようとなさるか、見解を伺いたい。
○木暮政府委員 いま御指摘の問題は、これからの年金制度を考えてまいります上の一番大きな問題の一つだろうと思います。それで、高齢になりまして離婚をした場合には、任意加入しておりませんと一銭も年金が出ない、あるいは出ても非常に低額な年金になってしまうということが一方にございますし、また一方では、女子の職場進出が進みまして、夫も妻も被用者年金をもらうというようなことが現実に出てまいります。その場合には、世帯として見ますとかなり高い年金が出る。それだけは結構なことかもしれませんけれども、費用負担の面では非常に大きな問題が出てくるわけでございます。両面をどういうふうにしていくか、基本構想懇談会でも一番大きな論点の一つになっておるわけでございまして、その点につきましても、基本懇の御意見がいただけるというふうに思っております。
○谷口委員 そういう御意見を待つだけじゃなくて、やはりこれは早急に、そういう婦人の立場ということを考えて、厚生省自身もしっかりした考え方で進まなければいけないのじゃないですか。いつまでも隠れみのみたいな、いろいろな審議会の意見を待って、そしていいも悪いもあなた任せ、それなら厚生省は要らぬわけじゃないですか、極論すれば。そういうことを言われたんじゃ困るので、厚生省は厚生省として、そういう弱い立場にある方をもっとじゃんじゃん積極的にやっていくべきです。こういうことをこう考えているがどうだと諮問するならまだいいけれども、初めから諮問するような立場では、私はいけないと思っております。 それからもう一つ、時間がありませんのでついでに言いますが、いわゆる御主人の年金を遺族がもらいますね。その二分の一というのが金額が非常に少ないのだという声があるわけですね。こういう問題について、私の先ほどの意見といまの二分の一で少ないという意見に対してどのようにお考えなのか、本会議が迫っておりますので、この答弁を聞いて、私の質問を終わります。
○橋本国務大臣 実は、その年金懇に諮問をした時点において厚生省当局がどういう考え方だったかは、これは私もちょっと判定のしようがないわけでありますが、確かに、こういう問題を諮問する場合に、方向を示した上でそれについての可否を問う、これは私は一つの原則だと思います。 ただ、この年金問題のように、ある場合には、いま谷口さんが例示をされましたようなケースで、非常に処遇の谷間にある方を拾い上げる、逆に一部の方については私権の制限に係るような部分が出てくるもの、これはやはり、何か一方へ切り落として役所として諮問するのはなかなかむずかしいことだということも、これは御理解をいただきたいと思うのです。 ただ、後の方の問題につきましては、これは従来からも本委員会でも何回か御議論がありましたし、私どもも必ずしも、二分の一というのが正しいという考え方は今日までもとってまいりませんでした。それで、その中でいわゆる寡婦加算等を創設してきたわけでありまして、配偶者が亡くなられた場合、それが二分の一という状態に必ずしも現実になっておらないことも、御理解をいただきたいと思います。今後ともに、これはまた年金懇の答申をと言うとしかられるかもしれませんが、私どもせっかく作業をお願いし、いま取りまとめをしていただいている最中でありますので、当然こうしたところに対しても答申の中には御意見があると思います。そうしたものを十分参酌しながら、将来に向かっての努力をしていきたい、そのように思います。
○谷口委員 大臣の答弁を伺って私は質問を終わるわけでございますが、要するに落ちこぼれる人、特に婦人の年金権については早急に、熱意を持って根本的な解決を、その他もあわせてですが、熱意のある努力を私は希望して、質問を終わります。
○森下委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十三分休憩 ————◇————— 午後二時五十分開議
○森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣橋本龍太郎君。 —————————————
○橋本国務大臣 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 昭和二十年八月広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者については、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により健康診断及び医療の給付を行うとともに、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により特別手当、健康管理手当、保健手当その他の手当等の支給を行い、被爆者の健康の保持向上と生活の安定を図ってまいったところであります。 本法律案は、被爆者の福祉の一層の増進を図るため、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律について改正を行おうとするものであります。 以下、その内容について御説明申し上げます。 改正の第一点は、特別手当の改善であります。特別手当は、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の規定により、原子爆弾の傷害作用に起因する負傷または疾病の状態にある旨の厚生大臣の認定を受けた被爆者に対して支給されるものでありますが、この特別手当の額について、現に当該認定に係る負傷または疾病の状態にある者に支給する特別手当の額を現行の月額三万三千円から五万四千円に引き上げ、その状態にない者に支給する特別手当の額を現行の月額一万六千五百円から二万七千円に引き上げるものであります。 改正の第二点は、健康管理手当の改善であります。健康管理手当は、原子爆弾の放射能の影響に関連があると思われる造血機能障害等の特定の障害を伴う疾病にかかっている被爆者で、特別手当の支給を受けていない者に対して支給されるものでありますが、この健康管理手当の額を現行の月額一万六千五百円から一万八千円に引き上げるものであります。 改正の第三点は、保健手当の改善であります。保健手当は、爆心地から二キロメートルの区域内において直接被爆した者で、特別手当または健康管理手当の支給を受けていない者に対して支給されるものでありますが、この保健手当の額を現行の月額八千三百円から九千円に引き上げるものであります。 また、これらの改正の実施時期は、昭和五十四年八月といたしております。 以上が、この法律案を提案する理由及びその内容の概要であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 ————◇—————
○森下委員長 内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。安島友義君。
○安島委員 現行制度には改革すべき問題点がいろいろありますけれども、それにも増して、将来にわたりこの制度を維持する、言うなれば現行の水準を維持するだけでも、これは大変な財政負担が今後待ち構えているわけです。したがって、この財政確立がきわめて重要であるという観点から、各種の年金財政、特にここでは厚年と国年に大体集約されるわけですが、一応順を追って、質問をしてまいりたいと思うのです。 老齢福祉年金受給者の状況、これは人員や金額、実績及び見通し、いつごろになればこの老齢福祉年金、現在の過渡的な措置のこの制度はなくなるのか、その辺も含めて、御答弁をいただきたいと思う。
○木暮政府委員 老齢福祉年金の受給者でございますが、昭和五十四年度につきましては、三百四十七万人と予定をいたしております。それに要します給付費は七千四百八十九億円でございます。 老齢福祉年金の受給者の方々の今後の推移でございますが、逐次減ってまいりまして、昭和六十年度には百九十八万ぐらいになるというふうに考えておりますが、なおその先に参りまして、昭和七十年には約三十万ぐらいの方が受給対象であろうというふうに考えております。
○安島委員 昭和七十五年には受給権者は大体七万人に激減するという見通しのように聞きますが、それは間違いございませんか。
○木暮政府委員 七十五年には、御指摘のとおり七万ぐらいというふうに見込んでおります。
○安島委員 したがいまして、老齢福祉年金につきましてはだんだん受給権者も少なくなる一方ですから、これは将来にわたる問題としてはむしろいまのような状況だということでございますので、次に、よく言われている老齢化社会にいよいよわが国も突入しておるということでございますが、わが国の老齢人口の推移についてお伺いしたいのです。特に、総人口に占める比率は昭和何年ごろから増大するのか。また、先進諸国との比較においてどうなのか。それから、ここでの老齢化社会というものの将来の見通しの根拠となっている人口増加率。それから、老齢化人口の推定の根拠は何によって見通しをつけられているのかを含めて、御答弁いただきたいと思います。
○木暮政府委員 昭和五十年の段階におきまして、六十五歳以上の老人の方は八百八十五万人でございます。これがだんだんふえてまいりまして、昭和七十五年の時期におきましては千九百万ぐらいになるというふうに見ております。さらに進みまして昭和百年の時期になりますと、二千五百二十七万人ぐらいになろうかということでございます。 それで、全人口において六十五歳以上の方々の占める比率でございますが、昭和五十年には七・九一%、約八%でございますが、七十五年には一四%、昭和百年には一八%というふうに見込まれるわけでございます。 これを諸外国の例に比較いたしますと、フランスでは現在この比率は一三・六%でございます。西ドイツでは一四・五%、スウェーデンでは一五%、イギリスでは一四%、アメリカは比較的その割合が低うございまして一〇・七%でございます。言いかえますと、先ほど申し上げました数字に戻りまして、昭和七十五年の前後で六十五歳以上の人の総人口に占める割合が西欧諸国と同じになり、さらに九十年から百年にかけましては、諸外国で例を見ない一八%台に達する、こういう見通しでございます。 なお、ただいま申し上げました日本の見通しは、厚生省の人口問題研究所が行っております推計でございます。
○安島委員 次に、国民年金の収支状況の現状並びに今後の見通しについてお伺いしたいと思うのです。特に収入、支出の内訳としては、保険料収入がどの程度か。それから国の負担分がどのようになっていくのか。それから、負担すべき名目保険料の月額がどのような推移をたどるのかについてお伺いしたいと思います。
○木暮政府委員 国民年金の財政状況でございますが、一番直近の決算で申し上げますと、昭和五十二年度になりますが、収入が九千九百五十億円でございます。そのうち保険料収入が六千二百九十三億円、一般会計からの受け入れが二千三百九十一億円、積立金の利子収入が一千百八億円、その他百五十八億円ということでございます。 それに対しまして、支出が九千五百二十七億円でございまして、収支残として四百二十三億が計上されておるわけでございます。 それで、将来の国民年金の収支見通しでございますが、支出で申し上げますと、五十三年度では一兆二千億というふうに見ておりますが、これが次第にふえてまいりまして、昭和六十三年ごろには、十年後でございますけれども四兆五千億ぐらいになるということでございます。 この支出を賄いますために、保険料は五十三年度では八千億を予定いたしておりますけれども、六十三年度には三兆三千億ぐらいの保険料を確保しなければならないということになるわけでございます。 国庫負担につきましては五十三年度では約五千億円でございますけれども、六十三年には一兆七千億程度の国庫負担が必要となるということでございます。 ただいま申し上げました保険料額を確保いたしますためには、現在二千七百三十円の保険料でございますが、現在価格で六十三年度には四千九百円ぐらいに引き上げなければならない、こういう見通しでございます。
○安島委員 各種の年金財政というものをいわば一応均衡を図るというために、これだけの負担が必要だという試算が行われているわけですが、それによりますと、いまの説明よりは、六十年には七千九百五十円、六十三年には一万一千二百十円の名目保険料が必要だということになっていると思いますが、いまの数字とのかかわりはどういうことになるのですか。
○木暮政府委員 ただいま申し上げました国民年金の収支見通しは、物価の上昇率等一定の推定を置いてやっておるわけでございますが、その推定に基づきまして、名目的な保険料は、ただいま先生が述べられましたとおり、六十三年で一万一千二百十円程度になるという見通しでございます。先ほど私が申し上げましたのは、五十一年度価格にデフレートした現在の価格で申し上げたわけでございます。
○安島委員 今度改正される国民年金のモデル年金額というのは、金額はどうなるのですか。それから、国民年金のいわばモデル年金額の受給資格が発生するのはいつになるのか。それから現在の経過年金の中で、特に十年以上等の場合の金額の水準はどういうことになるのか。これは最低保障年金とのかかわりにおいて質問するわけですが。
○木暮政府委員 国民年金の二十五年加入のモデル年金でございますが、発生は六十六年になります。ただいま予定しております金額は、夫婦受給で、かつ任意保険料も納められるという前提でございますと、四%の物価上昇を加味しまして八万八千八百八十四円ということになるわけでございます。それに対しまして十年年金でございますが、これは単身受給で、やはり四%の物価上昇があるという前提で申し上げますと、二万四千八百八十三円ということでございます。
○安島委員 他の委員会の方のかかわりがあるということなので、税務当局、来ておりますね。そこで順序を変えまして、老齢年金の税金についてお伺いするわけです。これは端的にお伺いしたいのですが、年金のみで生活している者から税金を徴収すべきでないという意見が、いま非常に国民の間に広がっているわけでございますが、これに対して当局側としてはどういうようなお考えでございましょうか。
○水野説明員 現在の年金の課税につきましては、老年者年金特別控除でございますとか、いろいろ制度的に配慮をいたしておりまして、相当な収入の方の年金につきましても課税が行われないように配慮されていると私どもは考えておるわけでございます。これを、その年金なりの収入が非常に多い場合あるいはほかにもたくさんの収入がある場合につきまして、年金というものを全く非課税にするということにつきましては、私どもとしては適当ではないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○安島委員 現在六十五歳未満の者は、配偶者がいない場合で七十九万円、配偶者がいると百八万円まで税金はかからない。それから六十五歳以上になると老年者控除が二十三万、これは年間所得一千万円以下という者に限定されますが、そのほかに老年者年金特別控除として一律七十八万円の控除があるわけです。これで見ますと、配偶者がいる場合には二百九万円まで……(「二百十九万」と呼ぶ者あり)税金はかからないということになりますね。 私が特にここで指摘しておきたいことは、こうして見ますと、現行の年金水準とのかかわりから見ますと、他に収入のない者は現行の制度の中でも大部分税金はかからない。だとすれば、年金だけを頼りにしている者は、またこれまでの生活の中では税金も納める、いろいろ国民の義務としての社会保険料も納めているわけですから、実質的にこういう状況であるならば、少なくとも年金のみで生活をする者、他に所得の生じない者については無税とすべきではないかということで、お伺いしているわけです。 それから、いまの税法上は、年金だけの収入ということだけで税の徴収を行っているわけじゃないでしょうから、なかなかむずかしいと思いますが、大体現行水準からしますと、いまのいろいろな控除のかかわりから言いますと、国に年金のみで生活している者から納付される税収というものは、これは微々たるものになるということになると思うのですが、実質的には、そういう点では無税にしても、特別国の財政には大きな支障があるとは思えない。しかもいま言ったような、年金にますますこれから比重がかかる経済社会の中で、国民に評判の悪い年金税というものに対しては考慮の余地があると思われるのですが、その点についてはどう考えますか。
○水野説明員 お言葉ではございますが、先生のお話しのように、今後年金取得者というもののウエートがだんだん上がってまいります。それから、そういうことからいたしまして、全体として国民の所得の中で振替所得的なものがふえていくのだろうと思います。そういう事態をこれから予想いたしまして、その中にございまして、年金所得というものを全く課税外に置くということはいかがかと感ずるわけでございます。年金につきましては、それを拠出する場合につきましては、社会保険料控除といたしまして、全額所得から控除をその段階でいたしておるわけでございます。また外国の制度などを見ましても、通常の老齢年金も含め、さらには遺族年金でも障害年金でも、およそ年金につきましては年金所得として課税をいたしておるという例も多いようでございまして、今後のこういった動向を考えさせていただきますと、やはり一定の水準以上の年金収入につきましては相応の負担はしていただく。しかし通常の水準の年金につきましては、先生お話しのございましたように、普通でございますと二百十九万円、さらには奥様が老齢者であれば二百二十九万円までは課税にならないように配慮されておるわけでございますし、これは普通のお年寄りでない夫婦の場合の課税最低限というものと比べますと倍ぐらいの水準にございますので、こういった形で配慮をしていくのが適当ではないのかというふうに私どもとしては考えているわけでございます。
○安島委員 現在の制度というものを逆にするような物の考え方は成り立たないのかと指摘しているわけです。実質的にはそれほど大きく変わりなくても、ある一定額を超えない範囲においては年金の税金は原則としてかかりませんよ、しかし年金であっても、その年金所得が高額なものについてはこの限りではありませんよ、こういうような考え方には立てないのか。実質的に現行水準とのかかわりにおいては、他に所得がなければ、かなり年金の所得が高額なものでない限りは、現行でも税金はかかっていない。ところが一般には、年金に税をかけるのはけしからぬじゃないかというような声が非常に多い。この辺の矛盾点を現行税法上の問題として、実質的にはそれほど変わりはないが、国民から見れば、税金は原則としてかからない、税金がかかるのは非常に多額の年金所得者である、この方が通りがいいのじゃないかという、国民感情から私は問題を提起しているのです。それから、これまでの保険制度として運営されてきたわが国の年金というのは、今後は社会保障的な性格がますます強まるだろうという見通しの上に立っているわけです。こういうものの関連を考えて、きょうは適切な御回答が得られないかもしれませんが、今後十分検討の余地があろうかと思いますので、最後に一言お伺いしたいと思います。
○水野説明員 実態といたしましては、ただいま先生御指摘のように、相当な水準までは税金がかからないという実態になっておると私ども言って差し支えないのではないかという気がするわけでございます。そうした実態が今後ともまたあるべき姿だと思いますので、そういった考え方で対処はしてまいりたいと思いますが、その実態につきましてもう少し国民の皆さんなり年金の取得者なりにPRをするなりして、こういう実態になっていますということを私どもとしてはむしろお知りいただければというふうに感ずるわけでございます。
○安島委員 若干答弁にはなお不満がございますが、まあ時間の関係からこの程度にしておきます。 次に、厚生年金の被保険者数の推移と受給権者の状況について、簡潔に御説明をいただきたいと思います。
○木暮政府委員 厚生年金の被保険者数でございますが、五十三年度で申し上げますと二千四百五十万人でございます。年金の受給者は三百四十万程度でございますが、そのうち老齢年金の受給者が約百五十万ということでございます。被保険者数につきましては今後少しずつふえることが見込まれておりまして、昭和八十五年の段階では三千百五十万人ぐらいになるというふうに見込んでおります。一方、年金受給者の数でございますが、合計で見ますと昭和八十五年には二千八百万人程度になるというふうに考えますが、制度の中心でございます老齢年金につきましては、八百九十万ぐらいまでふえるというふうに見込んでおります。
○安島委員 いまの御答弁にもありましたけれども、結局被保険者数というものは七十年代に入って三千七十三万で、それ以降はほとんど微増というか横ばいの状態だ。一方、受給権者は六十年以降は急激にふえる。六十年で六百五十万人、七十年で千三百七十万人、八十年には実に二千二百七十万人、こういうように急激に増大するということで、ここに年金財政の将来にわたる問題点がある。こういうふうに承知しておりますが、そういうことでいいですか。
○木暮政府委員 そのとおりでございます。
○安島委員 次に、厚生年金の収支状況及び見通しについて、概要を御説明していただきたいと思うのです。
○木暮政府委員 厚生年金の昭和五十二年度の収支状況でございますが、収入は四兆九千億円でございます。そのうち保険料が三兆四千億でございます。国庫負担が三千五百億円、積立金からの運用利子が一兆一千三百億円、合計でただいま申し上げました四兆九千億円でございます。 それに対しまして、支出が一兆九千億円でございまして、差き引き三兆円の残があるという状況でございます。 この支出の状況でございますが、先ほど申し上げました年金受給者の増等によりましてだんだんふえてまいりまして、今後三十年後の昭和八十五年には、百四十三兆ぐらいの年金給付費が要るという見通しでございます。そのため、この百四十三兆の年金給付費を賄いますために、昭和八十五年度の段階では百四十二兆円程度の収入を確保する必要があるわけでございますが、内訳といたしましては、保険料収入は九十九兆、国庫負担が二十四兆、当時の積立金から入ります利子が十八兆というようなことになろうかと思うわけでございます。そこで、この百兆近い保険料を確保いたしますためには、現在男子の保険料が給料の九・一%でございますが、これをだんだん上げてまいりまして、八十五年の段階では二〇%を超えた保険料にしなければならないというふうな見通しでございます。
○安島委員 この年金の将来にわたる財政の均衡を図るための試算として、いろいろな計数が使われているのですが、専門家が見ればこれはすぐわかるのですが、一般にはなかなかわかりにくいのですね。 それで、たとえば国民年金が非常に問題だというのはだれにも一目瞭然なのですが、厚生年金の場合には、この試算の中では保険料率等も五年ごとに逐次増率させているわけですね。そこで一方、それではその年度間の保険料の収入とこのいわば受給権者に対する支出というものの収支を見ますと、毎年毎年この試算では差し引き黒字になって、そしてかなりの積立金が累積されるということになるわけです。つまり、一般の人が普通収支というものを考えた場合は、保険料収入でその年の支出が賄えるならばそんなに不安はないんじゃないかというのがごく単純に考えがちですね。そこで疑問なのは、このように五年ごとに保険料率というものを引き上げていかなければ本当にこの年金の収支は賄えない、この均衡をとれないのかどうかという素朴な疑問が一つあるわけです。 それから、国民の負担というのもおのずと限界があるわけですね。そこで一〇%程度に、その辺が国民の負担というか、この被保険者の負担の限界だというようにもし固定して物を考えた場合には、財政はどういうことになるのか、いつのころから赤信号が具体的に生じるのか、その辺を明らかにしてほしいのです。
○木暮政府委員 お尋ねの第一点は、先ほど申し上げました昭和五十二年度の決算でもかなりの剰余金がございますし、また五十三年度末の積立金は二十兆程度になろうというふうに見ているわけでございますが、毎年毎年若干の残が出、かつかなりの積立金がある、それなのに保険料を上げていかなければならないのかということだと思いますが、先ほど先生の御指摘がございましたように、厚生年金の場合にはこれから年金受給者は急激にふえてまいるわけでございます。現在は、人口の老齢化が始まってはおりますけれども、世界の各国に比べますとまだ老齢人口の割合が少ないわけでございますので、比較的大ぜいの現役の被保険者が、比較的少ない年金受給者を見ていけばいいという形になっておるわけでございます。それで、将来だんだんだんだん年金受給者がふえてまいりますのを見通しまして、現在その年その年で必要な保険料よりも若干大目に取っておきまして、将来年金受給者がふえ、年金給付費がかさむのに備えるという財政方式を現在とっておるわけでございます。したがいまして、現在若干の剰余が毎年毎年出、かつ積立金がたまってまいってはおりますけれども、これでも将来の被保険者にかなりしわ寄せをしておるわけでございます。一応平準保険料をとれば後世代の方には迷惑がかからないというような目安になっておりますが、現在、その平準保険料というのは千分の百五十でございます。それに対しまして、千分の九十一が男子の保険料でございますので、必要な保険料の六掛け程度の保険料で現在やっているわけでございまして、その残りの四割あるいは今後物価スライドしていくのに必要な財源は、後世代の方に重い負担となって回っていくというような……(安島委員「もっと簡潔に、聞いていることに答えてください。一〇%程度で料率を固定した場合にはどうなるのかと聞いているのです。」と呼ぶ)二間お尋ねかと思いまして、前段は、毎年黒が出てかつ積立金が多いのに、なぜ保険料を上げていかなければならぬのかというお尋ねだと思ったものですから、現在の財政方式を御説明申し上げたわけでございます。 それで、端的に、現在の保険料を据え置いていったらどういうことになるかと申しますと、ただいまの見通しでは、昭和六十年代の終わりくらいまでは、その年度、年度は赤字を出さなくて済むであろうという見通しでございます。その後積立金を食いつぶしていくことになりまして、昭和七十年代の半ばごろまでは収支が償える。しかし昭和七十六年ごろには積立金を全部使ってしまって、今度は保険料でその年度の収支を合わせなければならないということになりますと、保険料を一挙に二倍近く上げなければならない、こういう事態が来るというように考えております。
○安島委員 橋本厚生大臣はこの道のいわば専門家と言われているわけですが、現在の年金制度に対してどういう評価をしておられるのか。つまり具体的な問題点として、少なくとも在任中にぜひこれだけはやっておきたいというお考えがあれば、その問題も含めてお伺いしたのです。
○橋本国務大臣 これは安島さんよく御承知のように、大変むずかしい問題の御指摘なわけでありますけれども、一般的に申しまして、私どもは、現在の日本の年金制度の中核であります厚生年金の水準というものは、一応国際的に見ても遜色のない水準にまで達しておる、そのように理解をしています。そして、国民の老後の生活の中に占める年金制度の役割りというものがますます大きくなっておるということも間違いありません。 しかし翻って考えてみますと、八つの公的年金制度の給付水準、給付体系に必ずしも合理的でない違いがある。また、今後長期的に見て、それぞれの制度いずれにつきましても、どのようにして財政の安定を図っていくかということが今後の大きな問題点ではないか、そのように理解をいたしております。そうした問題がありますために、年金制度基本構想懇談会に、しばらく前から、各それぞれの問題点について御審議を願っておるわけでありまして、近い将来このお答えがいただけるであろうと私どもは期待をしておるわけでありますが、私どもとしてはそれを踏まえて一つの案をまとめ上げて、同時に、これから先の長い間の日本の年金制度を律するものであるだけに、私どもがまとめました案というものに必ずしも固執するというのではなく、それに対して各界から御意見をちょうだいすることによってより安定した制度をつくってまいる、そういうことがこれからの私どもの責任ではないか、そのように考えております。
○安島委員 いまお話しにもありましたが、年金制度基本構想懇談会の答申は、これまでの委員会の討議経過の中では、本来は多分今月ごろ答申するという運びになっているのではないかと思うのですが、なぜ答申がおくれているのか、その理由を明らかにしてほしいと思うのです。
○木暮政府委員 懇談会は、ただいま報告書の取りまとめ段階に入っておりまして、ごく近い時期に出していただけるところまできておるというふうに思っております。 かなり時間がかかったということでございますが、おととしの末に出しました中間報告、非常に分厚なものでございまして、あれをごらんいただきますとおわかりいただけますように、非常に広範でむずかしい問題ばかりでございます。それで、懇談会の委員の先生方には、時間をかけて御検討していただくというような筋合いのものだと思うわけでございますが、次の年金の再計算時期も迫りつつございますし、また前の国会でなるべく早く出すようにということがございまして、委員の先生方に無理をお願いしまして、早い時期にまとめてほしいということをお願いをしておるわけでございまして、最終段階に入ってまいっておりますので、間もなくごらんいただけるようなことになろうかと思います。
○安島委員 これから国民の税金の負担はますます増大する。それから、年金を初めとする社会保険関係の負担も増大してくる。近い将来においては、収入の約半分ぐらいは税金と社会保険料ということになるというような、大変な時代をいま迎えているわけですね。そして、これは国や地方財政の健全化を図るということでいろいろ議論になっているけれども、その中には国債も限界に来ているんだということで、政府はいろいろ増税を考えているようだが、現行の不公平税制をまず根本的に改革すべきだという声が非常に強いわけです。 これと同じように、この年金財政の確立を図るためには、今後国民の負担は増大する、そのためには現在の不公平、不平等なものをやはり是正するということが基本的な考え方でなければならないと思うのです。 そこで、現在の厚生年金と国民年金の制度の中で、国民年金の場合には、それぞれが独立して、つまり夫婦であればめいめいがこの保険に加入できて、つまり夫婦で納めたものが老後の生活を支える、二人が納めた保険が最低生活を賄うというような仕組みになっているわけです。一方、厚生年金の方の場合は、そのだんなさんが納めた、いわば加入していると言った方がいいですが、厚生年金加入者の場合は、これは妻も含めた考え方に立っている。 そこで国と言いますか、国の保険財政が健全な保険財政であるならば、できるだけ国民皆年金というものはもっともっと可能な限り広めていくということも必要なんですが、そういう保険制度の仕組みとか出発点等も違ってきまして、このままに放置しておきますというと、将来にわたっていろいろな問題点が出てくる。しかし、現実にこれまで、国民皆年金でやるということで、いわゆる厚生年金加入者の妻、被用者年金の妻の任意加入制度が認められておりまして、現在すでに六百万を超えて、これが近い将来に八百万くらいにふえていくわけですね。 そういうことで、関連性を見ますというと、一方では、共済年金と厚生年金、国民年金等の官民格差ということが問題になっており、それはまた盲官格差などというふうな、官の中でも格差があるという問題、さらには厚生年金と国民年金の仕組みの中にも問題があり、そして厚生年金の妻の国民年金加入、任意加入を認めるという場合には加入した者と加入しない者とでの不均衡も当然出てくる、こういう問題については、五十二年度の中間答申の中でも指摘されているわけですが、これは厚生省としては、この問題についてはどのようにお考えですか。
○木暮政府委員 ただいま御指摘の問題は、これからの年金を考えていく上のキーポイントの一つであろうかと思います。 昭和三十六年に国民皆年金ができましたときに想定いたしておりましたのは、被用者の世帯は夫が外で働いて保険に入る、妻は夫の年金のいわばかさの下にいるという考え方でございまして、一方、国民年金の対象、主として自営業者になるわけでございますが、この場合には夫婦で年金に入っていただき、夫婦が年金を受給して二人分の年金で世帯経費を賄う、こういうような構想であったわけであります。 ところが、婦人の職場進出が非常に進みまして、一つの世帯を見た場合に、夫も妻も厚生年金に入っておるという事態がふえてまいりましただけでなく、妻が職場進出をしない場合にも、ただいま御指摘の国民年金の任意加入に入る方が非常にふえてまいったわけでありまして、その場合には、夫は厚生年金から、それから妻は国民年金から年金を受けられるというような形でございまして、二重の年金が出るということになる趨勢が非常に強まっておるわけでございます。それで負担に限界がなければ、それもまた一つの行き方かと思うわけでございますが、国民所得に占める年金の給付額は一定の限度が当然あるわけでございますので、そこら辺をいまから整理してかかりませんと、将来の年金制度は財政的にも維持できなくなるというふうに考えておるわけでございまして、この点につきましては、基本懇の御意見をいただいた段階で積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
○安島委員 誤解されないように一言つけ加えておきますが、これは妻の年金権というものが議論になり、そして政府も任意加入を奨励してきたわけですから、現在加入している者が将来、いまのような問題とのかかわりで、期待を裏切られたとか、こんなはずではなかったというふうなことになっては困るので、その辺、現在の加入者に対しても将来にわたるその問題が生じないように、いまからその辺を、制度全般の見直しの中に現在の任意加入者というものをどう位置づけ、これまで保険料を納めてきた者あるいは、自分が資格を発生した場合にはこうなるというように考えていた人たちを、裏切るようなことがあってはならないという趣旨で申し上げておるわけですから、その点はしっかり受けとめておいていただきたいと思うのです。 次に、特にこれは、いろいろな保険制度の中において問題はございますが、最大の問題は何といっても、国民年金の現行の収支が、一応の均衡はとれていると言いましても、これはしょっちゅう国庫負担が増大するあるいは保険料をかなり上げていかなければなかなかやっていけない、独立して収支の均衡を図るというのはもう困難だという状況になってきているわけですが、こういう現状から、先ほどもちょっと触れました負担の公正、平等化を図るという意味合いでは、国民年金の場合は低所得者も高額所得者も同額というのは全く納得できない。いかに事務的に手数がかかろうとも、それぞれこれは一定の税金を納めているし、税金のかかるいわゆる所得、申告所得であれ何であれ、一応の年間所得の目安がついているわけだから、特に、高額所得者に対して低額所得者と同じような現在の保険料の徴収をするというやり方、この点を根本的に改めるべきではないかと思うが、その点についてはどうでしょうか。
○木暮政府委員 国民年金の場合には定額保険料でございまして、すべての人が一律の保険料を納めていただくことになっておるわけでございます。その点につきまして、所得比例制を入れろという御提案が非常に多くの方面からなされておるわけでございますが、これには幾つかの視点があるわけでございます。 まず、国民年金財政が非常に困難でございますので、所得比例制を入れて、所得のある方からはよけい保険料を取るようにしたらどうかという点があるわけでございます。また一つの点は、やはり年金は自分の希望に応じた年金額をもらいたいということがございまして、保険料をよけい掛けてもいいから、給付もそれに応じたものにしてもらいたいというのがあるわけでございます。さらに、今後だんだん保険料を引き上げてまいりますと、一律保険料では低所得者の方がなかなか負担できないという問題が起きてくるというような点があるわけでございます。 それで、国民年金保険の対象者の方でございますが、所得の高い方が比較的に少ないというふうに私どもは思っておるわけでございます。五十二年度の税金の申告所得のある方を見ましても、国民年金グループに属する方は三百万を切れるのではないかというふうに思うわけでございまして、所得比例制を入れることによって国民年金財政を強化するということは、ちょっとむずかしいのではないかというふうに考えておる次第でございます。 それにいたしましても、できるだけ所得に応じた保険料を取るということが所得再配分効果の上からも大切なわけでございますが、まず、そのやり方として二つのやり方があろうかと思います。 一つは、強制的に所得比例制を入れるということなんでございますが、その場合には、さまざまな職業、さまざまな階層の方について所得比例の保険料を取るということは、現在は定額保険料を取る事務機構になっておるわけでございますが、相当大幅な改善を事務機構にしなければならないということが難点になろうかと思うわけでございます。 また、本人に選ばせて、高い保険料を選ぶ人には高い保険料を納めてもらって、その分を給付にはね返すというようないわば任意の制度とすることも考えられるわけでございますが、そういう任意の制度にした場合には、一つは、高い保険料を納めた見返りの給付をしなければならないという点で、所得再配分効果は出ないという問題があり、あるいはまた、任意にいたしておきますと、将来の方々もそれと同じような率で高い保険料を取ってもらうという担保がございませんので、将来の保険財政の上からはかなり危険が伴うというような問題点があろうかというふうに思うわけでございます。 しかし国民年金の大きな問題点の一つであることは間違いないわけでございまして、この点につきましても今後とも研究をしてまいりたいというふうに考えております。
○安島委員 大多数の者が低額所得者であるということは私も承知しております。たとえ一部であっても、このたてまえからすると矛盾があるのではないかという点については、やはり事務手続がめんどうだとかごく少数であるとかということでは、済まされなくなってきておるのではないかというふうに考えるわけです。 ところで、厚生年金は、今度改正されますと年金額はモデルで幾らになるのですか。それから、五十三年度の年金額というのは平均値で見ますとどういうことになりますか。
○木暮政府委員 まずモデルを申し上げますと、四%の物価上昇に見合うという前提で計算をいたしまして、十万八千四百二十五円でございます。
○安島委員 五十三年度の平均年金額は……。
○木暮政府委員 五十三年九月末現在で、八万二千百五十円でございます。
○安島委員 大分モデル年金に平均値が近づいてきているのですが、モデル年金にやや下限の場合でも非常に接近するというのは、大体いつごろになると見通しされていますか。大分モデル年金との差が縮まってまいりましたね。それで、大体大部分のものがモデル年金に近いという目安はいつごろですか。
○木暮政府委員 非常にむずかしい御質問でございまして、現在のモデル年金は二十八年加入の方の場合をとって設定をいたしておるわけでございます。現実に老齢年金を受けておられる方の平均被保険者期間が二十二、三年だと思います。これは両方とも今後動いていく問題でございまして、いつの時点で重なってくるかというのはちょっと申し上げにくいわけでございます。
○安島委員 毎年毎年モデル年金と平均値が差が縮まってきているということは、当然構成要因はそんなに変わってないはずだから、いつか必ず、完全とは言わないけれども、それにほぼ近いようなところに到達するということに統計からするとなるのですけれども、わかりませんか。
○長尾説明員 モデル年金の計算の仕方につきまして、御説明をさせていただきます。 現在のモデル年金を設定いたしました五十一年の財政再計算時におきまして、男子の方で新たに年金を受けられるようになる方の平均をとりまして、この二十八年という年数と平均標準報酬を決めましてこのモデルを設定いたしまして、五十一年の年金制度の基本的な水準を定めたわけでございます。 先生の御質問でございますが、男子の方と女子の方がどういうような比率で今後出てくるか。女子の方の平均標準報酬や加入年数が、実際低うございますし、短いわけでございますので、その点についての将来の見通しが大変不確定でございますし、ただいま局長が御説明いたしました平均年金額、これは男子の方も女子の方も全部まざっておりますので、いつの時点で大体一致するようになるかということはなかなか推計がむずかしゅうございますので、ちょっとお答えができないということでございます。
○安島委員 最後に大臣にお伺いしたいのですが、現在のこの年金制度というのは、保険制度の枠組みの中で、そうしていろんな経過の中から、不備な点がその都度取り上げられて改善をされてきたわけです。そこで、考え方の面でも若干、混乱という言葉が適切かどうか知りませんが、本来保険制度としてその枠組みの中で出発してきている中で、やはり社会保障的な性格を求めようとすれば、それなりに現行の保険制度の枠組みの中ではいろいろ矛盾点や問題も出てくるわけです。しかし、日本の将来を予測した場合には、そんなに経済の成長率というのもこれまでのようなテンポで進むとは思えない、財政的にもきわめて逼迫してきているという状況の中で、最低やはり年金で生活できるような措置を考えてもらう。そのためには、やはり勤めている期間中はそれなりに国民としての義務も果たしてもらう、こういうようなたてまえで、年金制度というものをこの際抜本的に見直す時期に来ている。そして、その財源の裏づけをどう措置するかというのがきわめて重要な問題でありますが、この際、社会保障的性格を強めるという見地からも、保険料徴収というやり方ではなくて、年金税というような考え方をとれば、先ほど言いました、一部の人ではあるけれども、国民年金の中で高額所得者が低所得者と同じだというような問題点はすべて解消される。そういう点でいろいろ研究の余地、簡単にいかない問題もあることは承知していますが、社会保障的な性格を強め、そして少なくとも、最低の年金はだれにも支給されるというような方向づけと、その財源の裏づけを図るための措置というものについて、大臣はどう考えておられるのかをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○橋本国務大臣 安島さんの御指摘のような点が、まさに、今後の年金問題を考えていく上で、給付と負担のバランス、また国民全体の負担能力の限界というものを考える場合に、一番の問題点であることは間違いありません。この御指摘には敬意を表します。 〔委員長退席、向山委員長代理着席〕 ただ、その中で、私どもがいま非常に迷いながら、同時に、年金制度基本構想懇談会の御審議の結論というものをある意味では心待ちにいたしておりますのは、確かに、先ほどからも幾つかの部分で御指摘があったように、年金制度についての国民的なコンセンサスがいまの時点でまだ見出されていない。負担についても給付についても、実はそういう問題点があるわけです。それだけに、そういうコンセンサスを求める一つの土俵が欲しい。そのためにはこの懇談会の御意見を待ちたいということで来たわけでありまして、いま御指摘になりました年金税といった考え方につきましても、制度の根幹に触れる問題として考えていきたいと私どもは思います。 ただ、ここで多少個人的な感想を交えて申し上げさせていただきますと、従来から、年金税あるいは福祉税というような構想が何回かあらわれたり消えたりしておるわけでありますけれども、そういうものが果たして間接税の形態で成り立つかどうか、あるいは直接税の形でした場合に現行の他の税制との間にどのようなバランスの問題を生ずるのか、またそれを含めた社会保障移転がどの程度でとどまるべきなのか、そういう点を考えてまいりますと、相当いろいろな点から問題を掘り下げなければならない部分がございます。私どもなりにこれからも勉強してまいりたいと思いますけれども、同時に、制度の根幹に触れるという観点からまいりますと、簡単に年金税というような言い方で財源対策をすることが正しいのかどうか、むしろ年金制度全体の成熟化の中で、将来における負担と給付の公平というものを前提に置いた国民の合意をどこに求めるか、問題はそこにかかってくるような気がいたしております。
○安島委員 最後に、ちょっと一言だけ付言させてもらいます。 現在の受給権者及び近い将来資格が発生される受給権者よりも、十年、二十年、三十年後の受給権者、つまり、その方々はこれからいやおうなしに高負担というものがもうはっきりしている。そして、現状の年金制度が、自分たちが資格が発生するころには一体大丈夫なのだろうかという不安感を持つようなのが現在の年金制度ですね。まだどこまでその点を認識されているかはわかりませんが、現在もう一番負担をしてもらうべき人たちに対しても、恒久的にこの年金制度が健全に発展させられる制度として、根本的に考えなければならないと思う。 それから、いろいろな保険制度の中では、おのずとその改革にも限界があるので、できるだけ整合性を持たせようとすれば、年金税の可否の問題は別といたしまして、少なくとももっと横断的な観点に立って、いまの保険制度のいろいろな諸矛盾を改革しなければならないという趣旨でありますから、その点を特に御留意の上、善処していただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。(拍手)
○向山委員長代理 次に、米沢隆君。
○米沢委員 私も、時間の許す範囲内で御質問をさせていただきたいと思います。 実は、私は社労委員会は初めてでありまして、先ほど来議論を聞いておりまして、一種の戸惑いみたいなものを感じておるのでございます。 それはなぜかと言いますと、たとえば年金の問題を取り上げましても、年金は国民にとっては高ければ高い方がいいわけで、しかし千円上げろ、二千円上げろというみみっちい議論では、やっても財政難だということで壁がある。また一方では、制度の根幹に触れるような問題を取り上げると、それは年金基本構想懇談会にすべてげたを預けられるような答えになる。そういう意味で、一体何を話をしたらいいのか、そしてまた議論がかみ合わない、そのあたりを、非常に疑問に思って先ほどから聞いておりました。 その一番大きな原因は、いま委員の最後の話にありましたように、社会保障なり年金の将来あるべき姿がきれいに明示されていない、一にかかってそこにあるのではないかという感じがしてなりません。緊急な課題については、こういうかっこうで逐次改正法案が提案されて、少しずつは善処されておりますけれども、将来あるべき姿が明示されないがゆえに、何か妙な議論に発展していく、そこあたりを大変危惧する一人でございます。 たとえば、まだいまから改善が要請されておりますこういう社会保障について、これから先低経済成長だから財政難にあえぐだろう、したがって、政府によってひょっとしたら歯どめがかけられるかもしらぬ、国民にとってはそういう不安があります。だからこそ、計画化して安定的に伸ばしていくことが必要だという議論がまた成り立つわけでございます。そしてまた、将来の負担につきましても、国民の合意を得るとするならば、コンセンサスを得るためにも、大まかでもいいから一種の計画化が必要だという議論は、昔から行われてきておるのでありますけれども、どうもそこらが前進しない、積極的に取り組んでくれない、そのあたりどういうふうに思っていらっしゃるのか、まず大臣にお聞かせいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 非常に基本的な部分から御指摘をいただいたわけでありますが、実は私ども、そうした考え方を決して持たなかったわけではありません。むしろ、四十八年における年金制度、また医療保険制度の改正を行いました時点では、私どもは、ある程度の長期構想の第一着手という考え方で、与野党ともにこれに取り組んだのであります。 ただ、その後において予想しないオイルショックの影響を受けて、計画が完全に根底から覆ってしまった。そしていま、その中から将来に向けての展望を迫られているわけでありまして、年金懇あるいは長期懇ということを申し上げるのは、決して、私は政府として逃げるつもりで申し上げているのではないということだけは御理解をいただきたいのです。 そこで、いま御指摘を受けましたように、長期計画をなぜつくらぬかということは、私どもとして、現在年金制度についても、また老人保健医療制度についても、具体的な将来構想そのものを固めつつある段階でありまして、個別政策のきちっとした数量的な目標が決まりませんと、全体計画というものはなかなかつくれません。そこで私どもとしては、当面社会保障の中心とも言うべき所得保障、医療保障について、将来展望をまず明らかにしたいということで努力をしているわけであります。一昨年の十一月に医療保険制度の改編につきまして国会に御報告を申し上げたいわゆる十四項目というものも、そうした将来についての努力目標ということで御理解いただければ私どもとしても幸いでありますし、年金につきましては先ほどから御議論があったとおりの状況であります。 ただ、実は五十一年、また四十八年の経済計画におきましては「社会保障の長期計画を」という記述をしておったわけでありますが、いま申し上げましたような条件の変わり、ことに経済情勢の変動というようなことがありましたために、今回の新七カ年計画の中におきましては「長期的な展望に立って、社会保障の体系的な整備を進める。」という文言に内容も実は改めたわけでありまして、いませっかく努力中のところでありますので、しばらく、もう少し時間をおかしいただきたいと思います。
○米沢委員 それなら、たとえば年金の問題に関しましても、この年金懇の結論が出て答申がなされて、それなりの御検討がなされた後には、少なくとも将来に向けてのあるべき姿を明示し、そしてそれを達成するための計画化みたいなものを、長期的なビジョンというものをつくるところまでいくというふうに理解してよろしいですか。
○橋本国務大臣 そのとおりであります。
○米沢委員 次は、スライド制の問題についてお話を伺いたいのでありますが、今回は五%以下でも特例をもって措置するという決定がなされておりますけれども、この特例に処置された、その特例でやる事情について御説明いただきたいと思います。
○木暮政府委員 ただいまの厚生年金と国民年金では、物価が五%を超えて上がりました場合には自動スライドをするということになっておるわけでございます。これは昭和四十八年度の改正で入ったわけでございますが、その前に長い経過がございまして、スライド制を導入すべきかどうか、スライド制を導入するとすれば、どの程度の物価上昇あるいは賃金上昇の際にスライドさせるかということにつきまして、ほとんど十年近い議論があったわけでございます。それで、社会保険審議会の厚生年金部会あるいは総理府の社会保障制度審議会の御意見をいただきまして、五%の物価上昇がありますときにスライドをするということが決まったわけでございまして、このスライドのあり方というのは、実は年金制度にとりまして非常に大きな問題でございまして、一つは、年金を受給しておられる方の立場に立ちますと、自分のもらっている年金がどういう場合に実質価値を維持してもらえるかということでございまして、そういう意味では年金受給者の生活に直接響く問題であるわけでございます。一方また、年金財政の面から見ますと、どの程度の物価なり賃金の上昇のときにはがまんしていただくか、どの程度の場合にはするかということは、年金財政に与える影響は非常に大きいわけでございまして、年金の制度の基本的なルールの一つかというふうに思うわけでございます。仮にこれを改正いたしますならば、相当の御議論をそれぞれの審議会でしていただいた上でやるということになろうかと思うわけでございます。 今度特例的に、五%以上の物価上昇のない場合にもやることにいたしましたのは、一方では、政府の見通しでございますと四%の物価上昇が見込まれるわけでございまして、これは五%に満たないまでもかなり高い物価上昇であるわけでございます。一方、共済年金等が、人事院勧告に基づいて現役の公務員の給与が上げられ、それにさらに準拠して共済年金が上がるわけでございますが、三・八四の人事院勧告がございまして、それを踏まえて共済年金も上げるということが一方にあるわけでございます。なおまた、私どもの方で申し上げますと、福祉年金もできるだけ上げたいというようなことがありまして、そういう事情を勘案しまして、この際は特例的に上げるというふうにいたしたわけでございますが、それに先立ちまして、社会保険審議会の厚生年金部会から同様趣旨の緊急提言をいただいておるわけでございます。それに基づいて、今回の特例措置をとった次第でございます。
○米沢委員 いま御説明いただきましたように、特例とされた背景については了解するものでありますが、その特例とするいまおっしゃったような背景というのは、ことしだけではなくて来年でも、それはいつでも同じように起こり得る可能性があるわけだ。そうした場合には、いわゆる特例というのじゃなくてなし崩し的に、極端に言えば、一%以上ぐらいだったら大体そういう措置がとられるという方向に今後ならざるを得ないと思うのですね。そのあたり、どういうふうにお考えなのでしょうか。
○木暮政府委員 物価スライドあるいは年金のスライドの問題、いまも申し上げましたように非常に基本的な問題でございます。特例的になし崩しでやるという筋合いの問題ではないと思うわけでございますが、ことしの事情というものが来年ないということもまた保証できないわけでございます。その点につきましては関係審議会の審議もいただける予定になっておりますので、その審議の経過を踏まえましてよく検討いたしたいというふうに思います。
○米沢委員 そういうことで、今後、制度審あたりの答申を得て、五%より低いパーセントであるいは法改正をするという、そういう方向に行かざるを得ないと思うのでございます。 それからもう一つは、四十八年度に改正になって、それ以後スライドされているわけですね。そういう意味では四十八年の実質価値をそのまま維持している、こういう見方ができるわけですね。そうなりますと、四十八年度時点のその年金の持つ価値そのものについても、やはりいろいろ異論があった、低いとか何とかありましたね、その分は、逆に放置されるということになるわけですね。そのあたりはどういうふうな改善策があるのですか。
○木暮政府委員 現在の厚生年金、国民年金では法律の規定がございまして、五年に一遍は必ず見直しをするようになっておるわけでございます。その際には、物価や賃金の動向とかそういうものを勘案いたしまして、年金の水準につきましても新しく決めるということをいたしておるわけでございます。その再計算と再計算の間を物価スライドでつないでいくということでございまして、四十八年の再計算の後、これはオイルショックがございまして、社会的な事情が非常に変わりましたので、五十一年に、五年たっておりませんでしたけれども、再計算をいたしたところでございます。
○米沢委員 次は、老齢福祉年金の件でありますが、ちょうどこの予算の最終段階において、自民党の方から実質修正案が出た。その後、大臣は閣議後の記者会見で、記者会見だったかどうかわかりませんが、老齢福祉年金を二万円に修正をすれば、五年年金あるいは十年年金に飛び火して、整合性を欠くという御意見を、総理大臣の方に言われたという話を聞いているのでありますが、今回のこの実質修正について、どういうふうにこれを受けとめておられるのか、大臣の御見解を承っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 民社、公明両党と自由民主党との間において、予算修正の話し合いがなされた際、福祉年金の増額を初めとした問題について意見が交わされたことは、私もよく承知をいたしております。そこで、米沢さんのお話でちょっと事情が違いますのは、途中福祉年金のアップのみが論議をされておりました時期がございました。その時点におきまして仮に福祉年金のみをいじる、あるいは連動して五年年金だけを福祉年金と同額にするといったようなことをなさると、非常に全体の制度にバランスを失しますということは、私は記者クラブの皆さんにも聞かれて申しましたが、それ以上に、党の政務調査会長の方から、その話し合いの進行過程において意見を求められた段階で、そういう意見を申し上げたと言う方がより正確であります。いまもうすでにその論議が終わり、その最終階段において、社会労働委員会の場において与野党の御意見が一致をすれば、与党としてもそれに対して誠意をもって対処するという話がなされた、そういう状況を踏まえての御審議でありますから、本委員会において御論議がまとまれば、それを受けて、政府としてそれに忠実に対処するということに変わりはございません。
○米沢委員 それから、この福祉年金あるいは経過年金は水準が低いということで、何とかして引き上げるべきだという認識は、これは共通なものだと思うのです。そこで、そういう福祉年金あるいは経過年金の国庫補助等々かなりの財源が要るわけで、今後これは将来的にはなくなるものでありますけれども、それまでの間、でき得る限り、そういう方がなくなるまでにある程度の水準を上げてやろう、そういうことでいろいろと努力がなされておると私は思うのであります。そうなりましたときに、現在の一般会計という一つの限界の中からは、そう簡単に飛躍的に水準を上げることができない。そういうことで、ある程度水準を短い期間に早くレベルをアップするというためには、やはり新しい財源対策みたいなものが考えられることが必要ではないか、そう思うのであります。しかし、現在の一般会計を見ますと、そう簡単に無理も言えない実情はよくわかりますし、そうなれば、じゃ増税か、こういうことになるわけですね。 そこで、いま一般消費税あたりを導入しようということで大蔵省、一生懸命でありますけれども、そういう過程において、たとばえ一般消費税あたりがひょっとしたら福祉の財源にもなるんだという議論をいろいろなところでされる人もおりますし、そういうことが書いてある本もあるわけですね。そういう意味で確かに、先ほどの議論にもありましたように、今後こういう福祉水準を上げていくためには福祉新税みたいなものを考える必要があるかもしれないけれども、しかし、一般消費税については、少なくともそれが福祉財源に、目的財源的に使われるなんというのは私は理解をしてないのでありますが、政府の中である程度何らかの形でそういう議論が進められておるのでありましょうか、大臣から聞かせてほしいと思います。
○橋本国務大臣 一般消費税については、これは税の問題でありますから私からお答えすることが適切かどうかわかりませんけれども、財政当局から事務的にその問題についての検討資料と言いましょうか、相談と申しましょうか、そういうものが厚生省に参っておることは事実でありますが、これはあくまでもまだ事務レベルの数字の交換といった状態でありまして、一般消費税の性格云々までの論議をするような状態ではございません。
○米沢委員 そこで、その話は今後の議論にまつにいたしましても、当面、福祉水準をある程度ハイピッチでレベルを上げていこうとする場合には、やはり何らかの財源措置が必要だ。そこで私たちは、たとえば一般会計から三分の二くらい出して、一方では、現在の拠出制年金で積み立てた金がありますね、その分から三分の一くらい借りて、今後福祉年金はなくなるわけですから、順次長期にかけて返していけばいいわけで、そういう金を一回集めてプールして、名前はどうでもいいですが、そういう基金をつくって、福祉年金を急ピッチでレベルアップする財源に使ったらどうなんだろうか、そういう提案もなしておるのですが、その点どういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
○木暮政府委員 福祉年金を受給される方がだんだん少なくなっていくわけでございますから、早い機会にできるだけの福祉年金の引き上げを図らなければならないという点は、各方面から御指摘をいただいておるわけでございます。私どもも福祉年金につきましては事情の許す限り上げてきておりまして、ことしの予算でも物価を上回る九・一%の引き上げをやろうということであるわけでございます。 そこで、福祉年金をさらに急ピッチで上げる場合の問題点が実は二つございまして、一つは御指摘のような財源の問題でございます。それからもう一つは、福祉年金を上げることに伴いましてほかの年金との関係をどう考えるかという、年金体系の問題があるわけでございます。 財源の問題につきましては、現在でも一兆円近くの一般会計を出しておるわけでございまして、いまの国家財政の現況からは、さらに一般会計から上積みをしてもらうということはなかなかできがたい問題でございますので、何らか新しい財源を求めなければならない。そこで、ほかの年金の積立金から借りたらどうかということが一つあるわけでございますが、借りた金を返す段階は、やはり一般会計で返すということになろうかと思うのでございます。一般会計の立場から見ますと、福祉年金のお金はだんだん減ってまいりますが、厚生年金と国民年金の国庫負担が福祉年金が減る以上にふえてまいるわけでございます。年金全体を賄うという立場から見ますと、福祉年金が減るからといって一般会計の負担が軽くなるどころか、非常に急ピッチで負担がふえていくわけでございますので、なかなか返す金の見当がつかないということになろうかと思うわけでございます。さらに、積立金から借ります場合の技術的問題等もあるわけでございます。 それで、この財源問題につきましては、先ほど来出ております基本懇でも何か新しい財源方法はないかということを御検討いただいておりますので、近く出ます意見書ではその点も示唆をしていただけるのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
○米沢委員 次は、年金の受給年齢に関連してお尋ねをしたいのでありますが、その前に、御案内のとおり残念ながら、いま日本の社会では定年年齢と年金の受給年齢が一致しない、ほとんどが分断をされておるという実態にあるわけですが、その実態についてどういう御見解を持っておられるのか。 同時にまた、定年になってから再就職される方は、賃金はレベルダウンしますけれども、まあそれはいいにしましても、今日のような厳しい雇用情勢になりますと、定年になったけれども再就職する場所がない、そして年金をもらうまでにはまだかなりの時間がある、そういう皆さんの所得保障みたいなものに対してどういう認識に立っておられるのか。 あわせて、二点について御見解をお示しいただきたいと思います。
○木暮政府委員 現在、厚生年金は男子が六十歳、女子が五十五歳から年金が出ることになっておるわけでございます。定年の普及状況を見ますと、やはり五十五歳が一番多いわけでございますが、ここに参りまして六十歳の定年をとる企業もかなりふえてまいりまして、定年の分布状況から見ますと、五十五歳と六十歳のところに二つこぶがあるラクダ型の分布状況にだんだん変わってきていると思うわけでございます。 それで、定年と年金の支給開始年齢が結びつけば一番理想的ではございますけれども、定年制をしいていない企業もございますし、それからまた、定年に達した後も延長雇用というようなこともかなりあるようでございますし、また職場をかえて再就職をされるということもあると思うわけでございます。現在、厚生年金の支給開始年齢は六十歳でございますけれども、現実に受給を開始されております年齢は六十二歳になっております。でございますから、六十歳から年金がもらえるけれども、何らかの形で六十二歳まで働いておられるという実態であろうと思います。個々の人にとりましては、働き口がなくなってしまって、年金の支給開始年齢が来るのを待っておるという方もあろうかと思いますけれども、大局的に見ますと、現在は、定年とは言わないまでも、雇用と年金支給開始年齢の間がわりあいうまく連結しているのではないかと思うわけでございます。 ただ、問題は、現在の六十歳の年金支給開始年齢は、遠い先のことを考えますとどうしても上げていかなければならないと思うわけでございます。その際には、雇用条件の改善というものも当然一つ考えなければならない要素だと思いますし、また年金の特質から申し上げまして、すでに中高年になっておられる方の老後の生活設計を非常に変えなければならないというような、急激な改正もできないと思うわけでございますが、雇用の関係とかそういうものをよく考えながら、六十歳支給開始年齢を引き上げる場合には、実情に合った計画を立てていかなければならないというふうに思っております。
○米沢委員 ところで、厚生年金の年金年齢に関連してでありますが、御案内のとおり受給開始年齢は共済の場合には五十五歳、厚年が六十歳、国年が六十五歳が原則でございます。今回、共済については二十年がかりで六十歳に引き上げようという提案があるということでありますが、受給開始年齢がこういうふうに不統一であるということ、それには歴史的ないろいろな背景があることは十分承知をいたしておりますけれども、国民に不公平感があることはこれは事実です。そこで、高齢化が急速に進んでまいります将来の課題としては、たとえばナショナルミニマムをどう設定するかとか、基本年金構想、そういう絡みもいろいろありますけれども、この三者の年金年齢の統一というむずかしい問題、それから将来の財政難ということから年金年齢を引き上げていく、そういう二つの問題が当面の大きな課題としてわれわれの前にあるわけでございます。 いま厚生省は、在職老齢年金の見直しとともに、これは後で触れますが、一般の老齢年金の支給開始年齢を、先ほど話がありましたようにどうしても六十五歳に引き上げる検討にかかっておる、こういうふうに聞くわけでありますが、その背景と検討内容はいかがなものか、御説明いただきたいと思います。
○木暮政府委員 現在厚生年金の支給開始年齢、男子六十歳でございますが、将来の年金の状況を見ますと、どうしても六十歳のまま据え置くということでは、老後の支えになる金額の年金を出すということがむずかしかろうというふうに考えておるわけでございます。 その背景でございますが、現在の六十歳の支給開始年齢を決めましたのは、昭和二十九年の改正でございます。当時六十歳の方の平均余命が男子で十四歳、女子で十七歳であったわけでございます。ですから、平均的には男子の方は十四年間、女子の方は十七年間年金生活を送っていただく、こういうことであったわけでございますが、現在の時点になりますと、六十五歳の時点の平均余命でございますが、男子は十四歳、女子は十七歳ということで、昭和三十年当時の六十歳の平均余命と全く同じことになってきておるわけでございまして、そういう観点から見ますと、男子十四年、女子十七年の老後の支えの年金という意味では、六十五歳にずらしませんと、従前どおりの重みのある年金が出せないというようなことがあるわけでございます。 これは言うまでもなく人口の老齢化に伴う問題でございまして、西欧諸国ではすでにかなり老齢人口がふえておるわけでございますが、そういう国々を見ますと、支給開始年齢は原則として全部六十五歳になっておるというように申し上げてもいいかと思うわけでございます。若干条件をつけて六十三歳から出すというような国もあるわけでございますが、こういう先進諸国の実例を見ましても、国民が負担できる限度の財政である程度重みのある年金を出せるためには、支給開始年齢をずらしていかなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。 しかし、そのことにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、一挙にやるということではすでに中高年になっておられる方の老後設計を著しく崩すことになりますので、先ほど御指摘のある定年を初め雇用の実情等もよく見まして、無理のない計画を立てていかなければならないというふうに考えております。
○米沢委員 かなり検討は進んでおるようでありますが、あとは着手される時期の問題ですね。お話によりますと、五十四年時点の財政再計算のときに着手したいという腹を持っておられたやに聞いておるのでありますが、しかし二十年かかってじっくりやるわけですから、財政にそう緊急な課題を投げかけない、こういうことで後にずらしたという話を聞くのでありますが、この着手される時期について五十九年前後あたりに持ってこられるという話も聞きます。そのあたりをはっきりしていただきたいということです。 もう一つは、先ほど来議論になっておりますように、これはやはり定年制度との関連というのをどうしても見逃せないと思うのです。定年もかなり延びてきつつありますけれども、最近になりまして、五十歳になったら肩たたきというような調子で、定年延長が逆にマイナスの方向に転じておるという企業もございますし、四十五歳ぐらいでもう選択定年制みたいなものをしくところもありますし、いままで定年制が少しずつ伸びてきたものが、ここにおいて現状維持あるいはレベルダウンするという方向にあるわけで、どうしても定年延長との絡みにむずかしさがある、私はそう思うのです。 そこで着手する時期につきましても、たとえば定年延長が六十歳延長が日本のほとんどの企業において一般的になったという段階でやられるのか、あるいはまたそういうものがある程度予測された段階でやられるのか、それとも、そっちの方はむずかしいというので、後ろ髪は引かれながらも、まあしかし何とかそっちの方はうまくやるでしょう、しかし私たちは見切り発車をするのだという時期を選ばれるのか、三つの選択が私はあると思うのです。当局としてはどういうふうにお考えですか。
○木暮政府委員 この問題につきましては、いま基本懇で御検討をいただいておりますし、また基本懇の御意見が出れば、直接には厚生年金の問題でございますので、社会保険審議会の厚生年金保険部会でも御審議をいただいて、それを踏まえて厚生省の方針を決めるということになろうかと思いますが、事務的な観点から申し上げますと、厚生年金が五十五歳から六十歳に引き上げましたのに二十年間かけておるわけでございます。それで、先ほど来申し上げておりますように、急激な支給開始年齢の変更をいたしますと国民生活に大きな影響が出ますので、できるだけ長い期間をとるというようなことが必要な問題であるだけに、発足はできるだけ早くさせたいというふうに思っておるわけでございます。それで、もちろん雇用の状況と大きな関係があるわけでございますが、無理のない計画を立てると同時に、また年金の支給開始年齢をおくらせる計画ができました場合には、関係各省の御協力もいただきたいし、産業界自体も六十五歳まで雇用を確保するような御努力をいただかなければならないというふうに思っておるわけでございます。
○米沢委員 着手の時期についてめどは示すことができませんか。
○木暮政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいま基本懇で御検討いただいておりますし、その意見が出ました際には、直接は厚生年金の問題でございますので、社会保険審議会の厚生年金部会の御審議をいただいて、その上で決めるという性格のものだろうと思いますが、事務当局としましては、事柄の性質上、できるだけ早く計画を決めたいというふうに思っております。
○米沢委員 定年との関連がありますので、そこは慎重に御配慮いただきたいと思います。 次は、在職者に対する年金支給の件でありますが、御承知のとおり、厚生年金の場合には、六十五歳未満の間は、定年再就職いたしまして月収が今度の改正で十四万二千円以上の人には年金は支給されない、こういうことになっております。共済年金の場合には、その人の在職中は別にいたしましても、ほかに再就職したときには無条件で五十五歳から支給される、こういうことのために高級官僚が公社、公団、民間会社あたりに天下った場合でも、あるいはまた国立大学の先生が私立大学の先生に移った場合でも、月給プラス年金の収入が五十五歳から保障される。残念ながらそういう形になっておるわけです。いいにこしたことはありませんけれども、これはちょっと余りにも不公正に過ぎるという感じがするのでありまして、制度の相違はありましても、不公平感がどうも免れない。その点について厚生大臣はどういうふうにお考えになっておるのか、聞かせてほしいと思うのです。
○木暮政府委員 ちょっと現行制度の仕組みだけ前置きで説明させていただきたいと思いますが、厚生年金も共済組合も実は制度上は全く同じでございます。と申しますのは、厚生年金は民間の職場を対象としておりますし、共済組合の場合はそれぞれ、公務員の場合には役所等々をその対象の職場にしておるわけでございますが、厚生年金をやめまして、国民年金の職場と申しますか国民年金の方に参りますと、厚生年金の年金はまるまるもらえるわけでございます。それで、国民年金の職場で得る所得とは併給になるわけでございます。共済組合の場合も、国民年金の職場に行きますと共済年金がまるまる出ると同時に、国民年金の職場で出る給与なり所得がまるまるもらえる、こういう形になっておるわけでございます。それから今度は、厚生年金をやめまして、これは実際上ないということに等しいと思いますけれども、共済組合の職場に参りました場合には、共済組合の職場の賃金と厚生年金の年金が併給になるわけでございます。それから、共済組合をやめまして厚生年金の職場に来ますと、共済年金と厚生年金職場からの給与はまるまる出る。こういうことで、制度の形式の上では全く同じでございまして、年金の集団を離れればその年金額は制限なしに出るということになるわけでございます。 ところが、実情に問題がございまして、先ほどちょっと申し上げましたように、厚生年金の被保険者が厚生年金をやめて共済組合の組合員になることはまずない。ところが、国家公務員なり地方公務員なりが共済組合をやめて民間に来る例はあるわけでございますので、そこに実態上の問題があるというのが現状でございます。
○橋本国務大臣 局長は事務的に制度の仕組みを御説明し、仕組みの上からは不公平はないという説明をしましたが、後段で認めましたように、実態の上においては問題があることは間違いありません。各制度間の異動に伴いまた不公平が発生していることも、これは間違いのない事実でありまして、私どもとしてはこれから先こうした問題も考えていかなければならない。ことに八つの年金制度の間の給付の、また負担の公正というものを確保していく上での一つの課題だ、そのように思います。
○米沢委員 大臣の方から前向きな話がありましたけれども、少なくとも、その前向きは話だけではなくて、実態に問題があることはこれは事実です。制度としての議論はもう御説明いただかなくても話は聞いておりますから。しかし、実態的にそういういろいろな、矛盾と言ったら矛盾みたいなものがあるわけで、特に共済についても年金の原資は少しずつ減っておるわけですね。この共済年金に関して、たとえばこういう公団、公社で高給をはみ、物すごい大きな退職金をもらう連中がプラス年金をもらうというのは、やはり問題だと思うのですね。そこらの改正の動きはありますか。
○山崎説明員 ただいま御指摘にありました公庫、公団の役員ということでこれをとめるわけではございませんけれども、私ども、今回の改正の中身といたしまして、高額所得者に対する支給制限の項目を採用いたしまして、現在国会に提出されております。
○米沢委員 それから在職者の年金についてでありますけれども、一方では、在職者の生活保障は本来ならば賃金で行うのが筋であって、そういう意味からも在職者の年金受給は合理的でない、そういう話もあることは事実ですね。しかし実態は、もらっておる連中は、おまえは年金をもらっておるからこれくらいの給料で働けというのがほどんどでありまして、御案内のとおり低所得者の在職老齢年金受給者なんというのがかなりあるということは、そのあたりを実態的に私は示しているのじゃないかと思うのであります。 しかし、財政が大変厳しくなったということで、厚生省の方でも在職者の年金について一回見直そう、できれば廃止したいというような腹があるやに聞いておるのでありますが、どうなんですか。どういう検討がなされておりますか。
○木暮政府委員 在職老齢年金につきましてはいろいろな問題点がございまして、これを検討してできるだけいい形のものにしていかなければならないというふうに思っておりますが、現段階でこれを廃止しようということは考えておりません。
○米沢委員 今回の改正で若干の改善は見られておるのでありますけれども、十四万二千円、それだけもらったら、六十五歳までの連中は年金はくれない。ちょっとこれは国民のニーズに合っていないと私は思うわけです。そういう意味で、今後もう少しぱしっと上げてほしい、私はそう思うのですよ。それと同時に、当面少なくとも、六十五歳以上の皆さんの在職老齢年金については一〇〇%支給されるような制度の改変はできないものかどうか。しかし、松下幸之助さんみたいな何十億とかせぐ人に何万円ぐらいの年金をやるというのは、これはちょっと不合理ですけれども、そのあたりは高額所得者にある程度の線を引いていいと思うのでありますが、六十五歳以上で十四万円以上もらったとしても、それに乗せられる年金ぐらいは全額やってもいいのじゃないかと私は思うのですが、そのあたりはどうお考えですか。
○木暮政府委員 在職老齢年金の考え方でございますが、すでに六十歳になっておって、しかも年金をもらう必要な資格期間を満たしておられながらなお働いておられる、こういう場合に出すわけでございます。現在、私どもが年金の水準を考えます場合に言っておりますモデル年金が、十万円ちょっとでございます。現実に出ております年金は八万円を超えておるというような現況でございまして、在職老齢年金を出します場合には、退職をされれば年金が受給できるという観点に立つわけでございますので、やはりこのモデル年金なり現実に出ておる年金の額というものを一つの目安にして考えていかなければならないのじゃないか。十四万二千円にしていただくような御提案を現在しておるわけでございますが、十四万二千円とそれから年金が出ますと、モデル年金では十万円でございますので、十五、六万には最低なるような形になるわけでございまして、年金を受給される場合の五割増し程度の収入ということになるわけでございますので、年金の立場からいたしますとその辺が限度ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○米沢委員 時間もありませんので最後の問題に移りたいと思いますが、遺族年金の水準の是正の件に関してお尋ねしたいと思います。 現行の被用者年金の二分の一を保証する、これが原則でありますが、これはちょっと低過ぎる、こういうことで八〇%に引き上げろとか、あるいはまた、定額部分は一〇〇%にして報酬比例部分だけ二分の一にして実質七五%ぐらいに引き上げたらどうか、そういう案がいろいろ出されておるわけですね。問題は、そうなった場合に、遺族年金の受給者本人が自分の老齢年金を受給するようになった場合の併給調整の問題が、やはり一番大きな課題ではないかと思うのですね。現行では、たとえば夫と妻が異なった年金制度に加入しておりますと、無条件にこれは併給されますよ。それから夫婦がどっちも共済に入っておるという場合にも無条件に併給ですよ。ところが、厚生年金に二人入っておるときには、年金の性格は違いまして、遺族年金か老齢年金かの選択をする、こういう形になっているわけですね。そういう意味では、最初の異なった年金制度に入っておる、あるいは共済に二人とも入っているという連中は、未亡人になったときには一人半以上ぐらいの金をもらうことに計算はなるわけですよ。ですから、そういうものを七五%、八〇%にまた引き上げろなんということは、これは社会的に見て大変不公正だと思うのです。しかしながら、現実的に現在のような状態では、年金額が老後の生活の基礎とするに足りない小さな額であっても併給を制限するということは、これはやはりちょっとおかしい、現実的ではないという感じがするわけですね、成熟期に達していないものがたくさんありますから。そういう意味で、これからの方向としては、たとえ二人分の保険料によって発生した受給権であっても、受給者が一人ならばやはり一つの年金の受給にとめる、つまり併給を認めないという方向はばしっとやった上で、現実的な話としては一定限度の額までは併給を認めるという、こういうものが早く、遺族年金の引き上げについて原則をぴしっとされないと、いつもこの議論が空回りする。一方的に都合のいい議論ばかりが議論されて、かみ合わないということになるのではないか。そのあたりは早急に原則を固めてもらう必要があるのじゃないかと思うのであります。そして遺族年金を上げる、こういう段取りを早くやってほしいと思うのでありますが、いかがですか。
○木暮政府委員 おっしゃることに全く同感でございまして、遺族年金を充実してまいります場合には、いま先生の御指摘のような問題があるわけでございます。それぞれ約束事で保険料を掛けてもらい、給付をするという仕組みで来ておりますので、急激に変更するということはなかなかできないと思いますけれども、その点を解決しませんと、遺族年金の改善も十分できないことは事実でございますので、十分勉強させていただきたいと思います。
○米沢委員 質問を残しましたけれども、終わります。ありがとうございました。
○向山委員長代理 次に、田中美智子君。
○田中(美)委員 先月の二月二十八日だったと思いますけれども、日本共産党の宮本委員長が、大平首相との党首会談で六項目の予算の修正を提示しました。そのときに、年金問題では、老齢福祉年金を四月から二万五千円に、年度内に三万円に引き上げるべきだ、これに見合って、拠出制の各年金をも改善するように要求したわけです。まず、この要求に対して厚生大臣としてはどういうふうにお考えになるか、ちょっと御所見を伺いたいと思います。
○橋本国務大臣 とうてい実行は無理だ、そのように思います。
○田中(美)委員 それはどういう意味でとうてい無理だ、こう言われるわけですか。
○橋本国務大臣 予算委員会の審議の過程における党首会談の内容についてのことでありますから、この場で改めてそれがいい悪いを私から申し上げることが適切かどうかはわかりませんが、現実の財政状況その他を勘案したときに、とうてい無理だと思います。
○田中(美)委員 党首会談でこういう話が出たというのであっても、実際には私自身も二万五千円にいますぐ上げるべきではないかと思う。これはもう二年、三年前から、田中正巳大臣のときにも、早急に二万円にはすべきだと言っているわけですね。その後物価も上がっているわけですから、二万五千円というのは、そのときの政府の姿勢からしても、決してこれが途方もない金額だというふうには思わないわけですけれども、そういう意味では、途方もない金額だというふうに思われるわけですか。
○橋本国務大臣 本年は、御承知のように拠出制の国民年金をも含めて厚生年金等、五%未満の物価上昇率でありましたが、特例的な物価スライドを行いました。そしてそれを上回る、福祉年金については九・一%の改善をいたしたわけでありまして、私どもとしてはこの数字をもってお答えを申し上げるということになろうと思います。
○田中(美)委員 そうしますと、いままでの年金審議の過程の中で、政府の姿勢また大臣の姿勢も、この福祉年金に対してはかっては早急に二万にはしたいということを大臣が言われていたわけですけれども、その点からすると、やはり後退したというふうな感じが私はいまの答弁で感じられるわけです。 それで次の質問に移りますが、老齢福祉年金、五年年金、十年年金の問題ですけれども、五十一年に財政再計算というのをやられました。そのときに老齢福祉年金は一万三千五百円、五年年金は一万五千円、十年年金は二万五百円、こういうふうに再計算されたわけです。そうしますと、五十一年当時の老齢福祉年金を一〇〇とした場合に、五年年金は一一一というふうになります。それから十年年金は一五二という関係になるわけですね。そうしますと、今度政府が提案されました五十四年度案では、老齢福祉年金は一万八千円ですから、これを一〇〇としますと、五年年金が一万八千二百八円ということで一〇一ですね。十年年金が二万四千八百八十三円、一三八というふうになるわけです。そうしますと、この格差の問題ですけれども、再計算されたときと整合性を持った形でいけば、やはり一〇一ではなくて五年年金も二一、十年年金も一五二になるべきではないかと私は思うのです。どんどん格差が縮んでいって、一〇一などということは、五年年金と福祉年金がほとんど同じというふうになってきている。こういうふうになってきていることを大臣はどうお考えになって、このような提案をなさったのか。
○木暮政府委員 五十一年の改正時点で、福祉年金、五年年金、十年年金は、ただいま先生がおっしゃいましたとおり、福祉年金を一〇〇といたしまして五年年金は一一一、それから十年年金は一五二でございます。その後でございますが、御承知のとおり五年年金、十年年金は拠出年金でございますので、物価スライドの規定によりまして増額をしていったわけでございます。一方福祉年金は、先ほども先生からお話がございましたように、福祉年金につきましてはできるだけ上げていくようにというのが各方面の御要望でございますし、私どももできるだけ上げていきたい。それには一般会計の制約もございますし、年金体系全体のバランスもございまして限界があるわけでございますが、そういう限界の中でできるだけ上げていきたいということで、福祉年金につきましては毎年物価を上回る引き上げをしてまいったわけでございます。その結果、いわば分母が大きくなってきておりますので、現在のバランスになったわけでございますが、それはそれで、福祉年金の充実ということの御要望にこたえた結果でございまして、五年年金あるいは十年年金を特に抑えたことではないわけでございますので、御了解いただける問題だと思います。
○田中(美)委員 一々私の言ったことをもう一遍繰り返して言うとなりますと時間がめんどうですから、ただ、おたくとこちらと同一レベルの土俵で話し合うために数字を言っているわけですので、違うときには御訂正願いたいわけです。同じときには一々繰り返さないでいただきたいと思います。 いまのは、故意に五年年金を低く抑えたのではない、こういうふうに言われますけれども、掛金を掛けた方と福祉年金が同じだというのはおかしいので、整合性を持たせるというのは、再計算するというのはその意味でするのですから、五年年金がぴっちり一一一にならないにしても、やはりそれに近い整合性を持った形にやるのが当然だというふうに思うのです。だから故意に抑えたという気持ちはないと言われても、結果的には故意に抑えた結果になっているということをいま私は申し上げているわけですね。気持ちがどうあろうとも、私は非常に不公平だと思います。それも、いただく方というのは六十五歳以上の方なんですからね。若いときからの年金と違いますので、そういう点では、私はこの五年年金のあり方というのをもっと上げるべきだというふうに思います。きよう理事会で自民党から出された案も、五年年金というのはやはり一〇一ということになるというふうに思っています。そういう意味で、五年年金というのは福祉年金よりもっと上げるべきだと思います。 それで十年年金の方ですけれども、五年年金の方は無理に抑えたつもりはないとおっしゃるのであれば、これを上積みしていくということは大臣の腹一つでできるではないか、こう思うわけです。しかし、十年年金になるとこれは法改正が要るわけです。そうですね。十年年金の場合には特例加算単価というのが法律で決められているわけですから、これを足していくということになりますと、五年年金のように気持ちの持ちようによって上積みするということはできませんね。いま加算単価が五百円ですけれども。そうしますと、十年年金はいつまでも抑えられていくということになるわけです。ですから、福祉年金の引き上げに見合って当然五年年金も十年年金も引き上げるべきだ。十年年金は法改正をすべきだと思いますけれども、これだけが取り残されているということは、幾ら故意に抑えていないと言われても、結果的には非常に故意に抑えられた結果になる。その点、どうお考えになるか。
○木暮政府委員 公党間のお話の段階でございますので、政府として意見を申し上げるのはどうかと思いますが、十年年金の性格だけ申し上げますと、御指摘のとおり五百円の加算単価があるわけでございます。これを変えるのは法律改正を要するだけではございませんで、この五百円というのは、十年年金以上二十四年年金まで全部共通しておる問題でございまして、十年年金の加算単価を上げますことは、それ以上の国民年金の全部の体系をいじるという問題になるわけでございます。そうしますと、事柄の性質上、当然財政再計算になりまして、保険料もそれに見合う引き上げをするというような性格のものでございますので、その点だけ申し上げさせていただきます。
○田中(美)委員 先ほども言ったように、私はいますぐ福祉年金を二万五千円にすべきだ、こう言っているわけですけれども、こうしたものをこのままにとどめおきますと、これが歯どめになって上げられなくなるということなんですね。結局、福祉年金が五年年金、十年年金より上がってはおかしいじゃないかということになると、上がらなくなる。それこそ頭打ちになっているわけですよ、そういう考え方からすれば。五年年金はもう一〇一と一〇〇ですから、十年がいま一三八と一〇〇ですから、これは頭打ちになるじゃないか。だから、常にここのところを上げていかない限りは、福祉年金を大幅に上げよという要求におこたえしていますということにはならないと私は言っているわけです。そういう点で、五年年金と十年年金の財政再計算について整合性を持ったような形でぜひ総合的にやっていっていただきたい。これはもともとが経過措置のものですから、将来なくなっていくものですし、年金制度の大きな柱とは違うわけですので、そういう意味では、いまおっしゃったようにほかを動かさなきゃならないからという理屈は、机上の理屈はあるかもしれませんけれども、経過措置なんですから、この点は考えていただきたいと思います。その点、大臣の御意見を伺いたいと思います。
○橋本国務大臣 先ほど局長からもお答えを申し上げましたとおり、政府は原案を提出しているわけでありまして、それなりの整合性は保っておると私は思います。予算修正の話し合いが行われました過程において、社会労働委員会において与野党が合意すれば、それに対して誠意を持ってこたえると自由民主党がお答えになり、また私どもも、政府・与党の関係でありますから、社会労働委員会の議がまとまればそれに対して誠意を持っておこたえするということでありまして、福祉年金を政府原案以上に上げた場合に五年年金、十年年金にどう影響が出るかという御議論は、むしろ与野党問の話し合いの中でお定めをいただきたいと私は思います。 ただ、それを超えて言えと言われれば、先ほど年金局長が答えたような問題があるということであります。
○田中(美)委員 私は公党間の問題をいま言っているのではないのです。あれはただ例として、やはり一〇一にしかならないじゃないか、こう言っているだけであって、その公党間のことがどうのこうのとは言っていません。それと政府のあれとは違うことですから。私の言っているのは、十年年金というものをいつまでもこのままに据え置いていたのでは福祉年金が上がっていかないじゃないか、ここも考えなければだめだ、こう言っておるわけです。いまの大臣のお言葉の中に非常に矛盾があります。整合性を持っていると思いますと言うけれども、全く整合性を持っていません。一一一が一〇一になり一五二が一三八になった。これは思想、信条を超えて、数字がすっかり変わっているわけですから、それもちょっとではなくて大きく変わっているわけですから、整合性を持っているという判断はそれは大臣の考えで、私の言うのは客観的な事実ですので、非常に整合性が崩れているというふうに言わざるを得ないと思います。 次の質問に移りますが、年金の修正がされますと、これは新聞情報ですので大臣に伺わないとわかりませんけれども、日経新聞の三月五日付によりますと、生活保護世帯を年金の改正と切り離すことはできないと言っておられます。そういう点からすれば当然だと思います。したがって、生活保護や失対賃金もそれに見合った措置をすべきだと思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○橋本国務大臣 ですから、与野党の御議論を社会労働委員会で願って、その議がまとまればと党も申し、私もいまここで御答弁申し上げておることであります。
○田中(美)委員 大臣、私の言っていますのは、いま年金の政府案が出ているわけでしょう。これからこれを公党間でどうするかということは、まだもっと修正されるかもしれない、これはまあちょっと別にしても、いずれにしても、修正されれば生活保護世帯の保護費を上げるということ、失対の賃金をそれに見合って上げていくということは当然だと思うけれども、それはどうかと伺っているわけです。
○橋本国務大臣 それは、与野党の御議論の中でどの程度の修正がなされるかによって変わりが出てくるものと思います。
○田中(美)委員 いま私は、どれだけにせよと言っているのじゃないのです。年金が修正されればそれに見合って生活保護と失対賃金を引き上げるのだろう、こう言っておるのです。
○橋本国務大臣 どういう理論づけによって変えられるかにもよることでありますし、その修正の性格、内容、そうしたものによって決まることだろうと私は思いますが、同時に、本委員会で年金の修正を御論議になれば、そうした問題も当然御論議になられるのじゃないでしょうか。
○田中(美)委員 御論議になられるじゃなくて、大臣はどうするつもりかと言っているのです。大臣はいま一万八千円を引き上げると言っているのでしょう。そうすれば、生活保護はどうするのだと聞いているのです。
○橋本国務大臣 私は一万八千円に改定をした原案を提出しているのです。
○田中(美)委員 原案を提出しているわけでしょう。ですから、それならばそれを提出するからには、当然生活保護も失対も上げるのでしょう、こう言っておるのですよ。そういうことになるでしょう。
○橋本国務大臣 生活保護基準の改定も、五十四年度予算の中には組み込んでおります。
○田中(美)委員 わかりました。 その次の質問に移ります。 これは一つの事例なんですけれども、こういう事例はいろいろあると思いますが、十年年金の事例を持ってきたわけです。社会保険事務所や区役所の窓口、それから本人、こういう人たちが十分に年金制度を知らないということから、いろいろなミスが出てくるわけですね。ですから、だれが悪いと私はいま言うわけじゃないですけれども、そうしたことによって、残された人生に大きな影響が与えられるということが起きている。その一つの事例をちょっとお話ししてみたいと思います。 これは名古屋市の港区というところに住んでおられる大島すぎゑさんという、大正三年一月八日生まれのおばあさんです。この方は、ことしの一月に六十五歳になったので、年金の請求をしたわけです。十年年金をずっと掛けていらしたわけですね。請求したところが、送られてきた年金証書には、年金額として十八万五千円となっているわけです。これは老齢福祉年金十九万八千円よりも少ないわけですけれども、六十五歳ですからね。本人は、区役所で、一カ月分少ないだけだから、大したことはないから安心しなさいと言ったので、自分も安心していたわけです。大して違わないだろう、こう思っていたわけです。そして、よく後であれしてみましたら、もうここまで話せば年金局長は十分おわかりだと思いますけれども、十年間、百二十カ月ですね、それが百十九カ月しかこの人が掛けていなかったわけですね。そのために結局、十年年金の、大正五年以前の十年というこれに該当しますと、これは特例の一ですね。そうしますと、さっき言った特例加算がつくわけですね。それが、一カ月少なかったために特例の特例になるというか、特例二の方に該当するということになりますので、そのために一カ月少なくなるだけではなくて、計算の基礎が根本的に違ってしまうわけですね。そのために特例加算単価の計算がなされないということは、結局十万五千三十円という加算というものがパアになってしまうわけです。そうしますと、わずか一カ月少ないだけだから、その分だけ減るんだから心配ないよと区役所でも言っていたのが、それが実際にはそうではなくて、十万五千円何がしという損失になったということなんですね。これは私は、制度としてはやはりどこかに線を引かなきゃならないわけですから、十年と言えばこれは一カ月欠けても十年ではない、こういう理屈は立つと思うのですが、しかし、余りにも年金制度というのはわかりにくいですから、区役所も知らない、それから保険事務所もそういう指導をしない、そうして本人も知らないから、これだけもらえるんだと思って、約十年間、一カ月足らないが、ずっと掛金を掛けていたわけですね。いよいよもらった段階になって、五年年金よりもこれでいきますと三万円少なくなるのですね。十年年金から十万五千円だけではなくて、五年年金よりも二万九千六百円減ですね。こういうことが起きているということは、一体どうしたらいいのか。どう思いますか。 法的に言えばこれはもう仕方がない。七十歳以上の方には福祉年金が出るんだと国民は何となく思っているけれども、これは明治四十四年四月一日以前の人だけなんだというように、じゃ一日後に生まれた人はもらえないじゃないかということと同じことにはなりますけれども、これなどはむしろ、十年間というもの掛けてきたわけですから、それは保険事務所も知っていらっしゃるわけですし、区役所も知っているのだし、それで一カ月足らなくて大丈夫かと聞いても、大丈夫だ、一カ月分減るだけなんだから、こう言ってきた。余りにも残酷な気がするのですよ。法的に言えばこれは仕方がないなと思うけれども、そこら辺のところは、どういうふうに大臣はお考えになるか。 こうした経過措置の中でのこういう問題というのが、何かこの人の人生にとっては、保険事務所の指導の不足、区役所の勉強不足、本人の勉強不足と言えばそうですけれども、余りにも残酷ではないか、何とか少しでも救済する道がないか、こういう事例はたくさんあると思いますので、考えていただきたいというふうに思うわけです。
○橋本国務大臣 いま田中さんの御指摘を伺っておりますと、確かに私も大変気の毒な感じがいたします。ただ、この方の場合には、むしろ、何か被保険者期間はもっと長い期間入っておられたような調査の結果が出ておるようでありますから、そうしますと、その間に相当期間の滞納があるいはあったのだろうかという疑問が私は実は一つ生じております。 ですから、非常にこの法律上の細かいルールがわかりにくいと言われる点はそのとおりでありまして、私も実はこういう細かいことになるとよくわかりません。むしろ年金局長から補足をすることをお許しいただきたいと思います。
○木暮政府委員 先生が全部おっしゃられてはおるのでございますけれども、国民年金をつくりますときに、五十歳で線を引きまして、五十歳以上の方は原則として福祉年金、しかし五十五歳までの方は保険料を掛けて、当初十年年金、その後五年年金も出ましたけれども、そういう道も残すという形だったわけでございます。それ未満の方につきましては、もう全部強制被保険者扱いをするということになったわけでございます。しかし、もう五十に近い方と二十歳になったばかりの方とは違うわけでございますので、五十歳に近い方については期間短縮をしておったわけでございます。 この方の場合には、十年納めれば年金がもらえるわけでございますが、六十歳まで十二年ないし十三年あるという年代でございます。したがって、十二年ないし十三年の間に十年間の保険料を納めれば十年分の年金がもらえるということであるわけでございますが、不幸にして一カ月それが欠けてしまったということでございます。本当は、それでは一銭も出ないということになるわけでございます。現在、国民年金の場合には、二十五年掛けてもらわなければ年金が出ない、それが一月欠けても年金が出ないということになるわけでございますが、申し上げるまでもなく、二十歳から六十歳まで四十年間のうち二十五年納めればいいので、言葉は悪いのですが、多少滞納する余裕があるわけでございます。ところが、この方の場合には、十二年ないし十三年のランクでございまして、十甲納めなければならないということになりますと、その余裕は二年くらいしかないわけでございますね。 〔向山委員長代理退席、竹内(黎)委員長 代理着席〕 そういうことを考えまして、十年納めなければ本当は年金が全然出ないのだけれども、余裕の期間が短いグループでございますので、この方の場合には、十年納めなくても、六年一カ月納めればいわゆる優遇した、上乗せはしないけれども根っこの年金は出しますという、いわばその特例措置には乗ったということでございます。私どもの方から申し上げますと、特例措置を講じて、いわば優遇をしてある問題だというふうに考えるわけでございます。
○田中(美)委員 ずいぶん、物の考えようというのはそんな考えようがあるものだなあと、いま感心して伺っていたわけですけれども、私は、感心というのはこれは皮肉で言っているわけなんです。 結局、年金制度ができたとき、そのときにあなた方は、制度をおつくりになって、これからこうするのだということですから、よくおわかりかもしれません。しかし、一般国民というのは、特に日本は非常に社会保障がおくれていましたので、年金で老後を送るという考え方は持っていなかったわけですね。特に私の年齢でさえそういうものは持っていなかったわけですね。ですから、突然そういう年金制度が出てきたときには、徹底的にPRをしていただかないと、そんなことは信じられないというふうに思うくらいの制度であったわけです。年金に対する考え方が低かったわけですね。ですから、入ったのが遅かった、すぐに入れば十二年間あったかもしれないけれども、もう入ったのが第一遅かった。そんなものでもらえるとは思わなかった。それで、知ってから初めて払った。そうすると、では、あなたがいま言うように六年払えばいいのだ。これは特例二の方ですね。そうだったら、それで払ってきたんだったら、私は制度が残酷だとは言わないのですよ。しかし、なぜ十年間というものどこもチェックもしないのか、どこもどうして指導してくれないのか。本人が聞いても、なに大丈夫、一カ月引かれるだけなんだから、そんなものはもう微々たるものだ、こう言っている。ここを私は言っているのです。制度が残酷であるとか、そうは言っていないのです。十年間、十年年金は年金をこれだけもらえるのだと思って、六十五になってやれやれと言ってやったところが、もらえない。そういうのは一体どう解釈したらいいのかと私は思うのですよ。役所が払え払えと言ったのに、払わないで滞納していたというのとは違うんですね。百十九カ月ですか、なぜその間だれもチェックしないのか。だれも教えてやらないのか。どうして六年のところで、あなたはいまから掛けたってだめなんだから、六年のところでおやめなさいとなぜ言ってくれなかったのか。こう言っているのです。おわかりですか、私の言う意味が。その六年さえ、これはもう特例なんだ。確かに経過措置というのは全部特例なんですし、言葉は何と言うか、おたくの方では恩恵と言われるが、もともともらえない人がもらえるのだから、恩恵だと言えばそういう言葉も使えましょうが、しかし、それじゃ六年のところでとめてくれたらよかったじゃないか。わざわざ区役所にまで聞きに行っているじゃないか。社会保険事務所の区役所に対する指導はどうなっているのか。もらえると思って、証書までもらって、おかしいと思って、そこでがくんと十万円少ないということは、残酷ではないか。人生はやり直しがきかないわけですからね。それを私は言っているのです。ですから、その人には恩恵だというお言葉は、私の質問に対するお答えではないと思います。
○木暮政府委員 恩恵という言葉は当たらないと思いますけれども、国民年金の発足のときには、厚生年金の場合と違いましてかなり細かい配慮をしておるわけでございます。厚生年金の場合にはもう年齢による期間の短縮とかそういうことは全然ございませんでやったわけでございますが、国民年金の場合には、ただいま申し上げましたように、五十歳以上の方は福祉年金に結びつけるようにしてございますし、五十歳にならない方はその二十五年という期間を短縮し、短縮した分は五百円のかさ上げをするということをいたしましたし、さらに五十歳の近くにある方については、二十五年を一年あるいは一月欠けても年金が出ないということになっておるわけでございますが、いま申し上げましたように、五十歳に近い年齢の方につきましてはさらにもう一つ、十年年金を受けようと思って掛け始めたけれども、十年満たさなかった場合にでも、一定の納付があれば、かさ上げのない年金でございますが、年金を出すような措置をとるということで、かなりきめ細かい配慮をした制度の発足であったと思うわけでございます。
○田中(美)委員 私の質問に対して答えていただきたいのですよ。そんなことはわかっている上で話をしているわけですからね。なぜ十年間というものを何にも教えないで、黙って掛金を掛けさせたのか。だれが悪いのかわからない。本人が知らないのが悪いと言えば、本人の知らないことが悪いのだと言うのか。それとも、保険事務所の指導が足らないと言うのか。区役所の窓口の勉強が足らないと言うのか。そこのところを——実際に残酷じゃないか。人の心を結果的にはもてあそんだことになるじゃないか。保険事務所の指導が足らないために、もてあそんだ結果になるじゃないか。もらえないことがわかっていながら、約四年間というものは営々と掛け金を払っていたのです。それが気の毒じゃないかと言っているのですね。ですから、制度がこのようにできていますという解説などはもう要らないわけです。その点で何か救う道がないのか。
○木暮政府委員 ちょっと御説明が足りなかったと思いますけれども、六年一カ月で年金が出るわけでございますが、さらにその上の、たとえばこの場合は九年十一カ月でございますね、六年を超えた期間もそれに見合う年金は出るわけでございます。ですから、六年一カ月納めて、あとの三年近くはむだではございませんで、年金額にはね返るわけでございます。
○田中(美)委員 それはわかっています。それはわかっていますけれども、その人の場合はあと十万円というものがもらえると思って、十年年金で掛けているのですから、それを言っているのです。幾らもらえるかと言うのじゃない。いずれにしても、あと十万円自分がもらえると思ったらもらえなかった。区役所の人ももらえると思っていたんだ。そこにやはりPR不足があるわけですね。保険事務所の指導不足もあるというように思うのです。ですから、こういうのは何とか救う道がないのかと私は言っているんであって、だからはっきり、もうよくわかっていますので、この救う道はないのかということを言っているんです。
○木暮政府委員 いま申し上げましたとおり、六年一カ月を超えて納める保険料はむだであるということであれば、区役所なり社会保険事務所で、もうここでやめておいた方がいいんじゃないかという御指導ということにもなろうかと思いますけれども、仮に十年にならない場合でも、掛けた保険料に応じた年金額になりますので、それは納められれば納めていただくということになろうかと思います。
○田中(美)委員 もう少し誠意を持って、私の聞いたことに答えていただきたいのです。私は特別加算がつかないと言っているわけです。これは区役所の人も、十年年金であなたはこれだけもらえますよ、こう言っていたわけですよね。それを言っているんです。六年一カ月掛けて、その上の四年間マイナス一カ月がむだになったと言っているんじゃないのです。この十万円がもらえると区役所でも言い、保険事務所でも言い、本人もそうだと思っていたところがもらえなかった。こう言っているんです。ですから、それについては救う道はないのかと聞いているんです。ですから、あるかないかをちょっと伺いたいわけです。
○木暮政府委員 現行制度ではそれを救う道はございません。
○田中(美)委員 ですから、年金制度というのは非常にわかりにくいので、これを何とかする、PRをするということをもっと積極的に社会保険事務所に言って、こうした残酷な事件が起きないように私はしていただきたいと思うのです。十万円は大臣にとってははした金かもしれませんけれども、この人たちにとっては実に大きな金額なんですね。もうがっかりしているわけなんですよ。これはもう私は制度上だめだと思うけれども、何か本人だけが悪いとは思えない。やはりいろんなところにミスがあったんじゃないか、このミスが重なってなったんじゃないかと思うので、いまこういうことが起きないようにしていただきたいということを言っているんです。 その次に移ります。 これは在職老齢年金の問題ですけれども、今度の政府案で上限が十四万二千円ですか、これに緩和されるということになったわけですね。そうすると、この支給率がこれによって二割とか五割とか八割とかというふうに変わってきますね。こういうふうに変わった場合に、社会保険庁が自動的に変更するということをしていると思うのですけれども、そうですね。これは自動的にやっているわけですね。
○持永政府委員 在職老齢年金をもらっている人たちについては、社会保険庁でリストを持っております。したがいまして、社会保険事務所に全部リストを出しまして、社会保険事務所で標準報酬月額を調べましてそれによって改定をする、こういうことをやります。
○田中(美)委員 ですから、もう自動的にいくわけですね。
○持永政府委員 本人から特別なあれがなくしてやることになります。
○田中(美)委員 ですから、本人はぼんやりしていても、社会保険庁の方で自動的にちゃんとやっていただけるということですね。
○持永政府委員 現在もらっている人たちの中で、支給割合が変わる人はそうでございます。ただ、今回のもので、いままでは全然もらってない人で新たにもらう人があります。そういう人については加給年金という問題がございますから、加給年金の該当者があるかどうか、これは改めて届け出を出してもらう、こういうことになっております。
○田中(美)委員 わかりました。 そうしますと、今度は六十歳から六十四歳の方が、低在老と言うのでしょうか、賃金が安いという人ですね。こういう方が六十五歳になったときに今度は申請しますね。そして、もう一度自分の年金を計算し直してもらうわけですね。そして今度は、六十五歳から割合も六十四歳までと違って十割か八割というふうになるわけですね。それから今度は、七十歳になったときにまたここで改定してもらいますね、計算してもらいますね。このときは、その受給者からすると、自動的にはできないのですね。
○持永政府委員 現在の制度では、請求によって改定をするということになっております。
○田中(美)委員 これは、私はどうしてできないのだろうかと思うのですね。すべての日本の社会福祉というか社会保障は申請主義をとっているということもよくわかりますけれども、一部分ではこういうふうに、いままで二割もらっていた人が上限が緩和されれば自動的に今度五割になる、ああ今度五割、多く来たということで、本人としては非常にありがたいし、便利なわけです。それが六十五歳、七十歳になったときには一々申請しなければならないのですね。この年齢というのは、さっきの質問でもそうですけれども、五十歳とか六十歳とかいっても、それは全部誕生日で区切って言います。普通の会話のときは、私はいま五十幾つよ、こういうふうに言いますけれども、やはり何月何日という誕生日できちっといくわけですから、それをちょっと忘れていれば申請はおくれるわけですね。ですから、特にこういう高齢者に対して申請主義をとるということは——後から遡及されるならまだいいですよ。一カ月、二カ月うっかりしていた、誕生日が来て自分が満六十五歳になったというのを忘れていたということで、それをあわてて申請すれば、遡及されるというのならいいです。しかし、これが一年も二年も忘れているというようなことになりますと遡及されない。ですから私は、これも自動的にできないのか、それくらいの親切なやり方を何とかできないだろうかというように思うのです。大臣、ここのところ、おわかりですね。申請してもらわなければどうしてもだめな人はやはり申請してもらわなければわかりませんけれども、予算が特別要るわけでもないしあれなんですから、そういう点では何とかここをできないものか、一部分でも自動的にできないものかということをお願いしているわけですけれども、いかがでしょうか。
○木暮政府委員 先ほど御質問のございました二割、五割、八割の区切りが違ってくる問題でございますが、この場合には、根っこにございます基本年金額の計算はし直ししないわけでございます。二割、五割、八割の率の違いだけ計算をする。ところが、六十五歳それから七十歳の改定の場合でございますが、それはそれぞれ、六十五歳の場合でございますと、在職老齢年金をもらってから以後の保険料の納付状況を六十五歳以降の年金にはね返らせて、それでさらに二割、五割、八割を決める。それから七十歳改定の場合には、六十五歳以降納めました保険料の反映をさせまして年金額をふやして、それでまた八割、十割を決めるというようなことで、基礎の年金額をはじき変えるということがございまして、いままで請求にしていただいておるわけでございます。
○田中(美)委員 どうしても請求しないとそれはできないわけですか。これは知らないでほってある人が非常に多いのです。それで後からしまった、しまったという声を聞くんですね。ですから、高齢者ですから何とかできないのでしょうか。理屈はあるでしょうけれども、何とかできる工夫はできないのかと聞いているのです。
○木暮政府委員 ただいま申し上げましたように、理屈の上ではこれは違うことなんでございますが、そこまでサービスができればそれにこしたことはないという面もあろうかと思います。在職老齢年金につきましては、いろいろな問題点が指摘されております中の一つの問題でございますので、検討の結果どういう結論になるかわかりませんが、検討させていただきたいと思います。
○田中(美)委員 しつこいようですけれども、本人には改定の請求をするようにと通知が来るわけですよ。ですから、その通知の事務もあるわけでしょう。それからまた、今度はこちらから請求していく。その場合どうやっていいかわからないというような、その事務の担当者からすれば単純なことでも、どうやっていいかわからないということで、あっちに持っていったりこっちに持っていったりして相談する。それで、私の事務所でも年金相談を専門家に来ていただいてやっているのですけれども、そこに、本当にちょっと聞いたらわかるじゃないかと思うことでも、相当あっちこっちに行って聞いているわけなんです。それでうろうろしているわけです。これが現状では非常に多いわけなんです。ですから、その間、結局遅くなりましてそのために遡及もされないということなので、できるだけ、そうしたら請求の事務も要らなくなるわけですから、それと差し引いて、どれぐらいそちらの方の仕事が大変になるかという問題になると思いますので、ぜひ検討していただいて、できるだけ自動的に、金額は少ないわけですから、なるたけお年寄りの当然の権利が知らなかったために失われるというようなことがないような、温かい血の通ったやり方をぜひしていただきたいというふうに思います。 その次に、前に戻るようですけれども、厚年ですけれども、六十歳になったときに在職老齢年金というのがもらえるのだということを知らない方が多いわけですね。それで、厚生省も言っていらっしゃるように請求漏れが少なくない、これは厚生省も認めていられるわけです。これもいまと同じことで、私は気の毒だと思うのですね。いま上がったと言っても月十四万で、非常に安いわけですからね。六十歳といいますと、この年齢ではまだまだいろいろと、住宅のローンが残っていたり、何番目かの子供が学校へ行っているという方もあるわけですからね。ですから、たとえ二割でも年金がもらえれば、ひょっとすれば五割もらえるかもしれないし、これは非常にありがたいことなわけです。ですから、五十四年度からオンラインを導入するというふうに言われていますので、このオンラインを導入すれば、こういう人たちに全部通知できるのではないかと思うのです。六十歳になったらこうなりますよという通知をして、請求漏れがないようにするような努力というのはできるのではないか。それで、検討していただきたいというふうに思います。これはいますぐということではありませんで、オンライン化の中でできるのではないか。こう伺っているわけです。
○持永政府委員 現在でも、社会保険庁としてはできるだけ受給権確保についていろいろ努めてまいっておりますが、御指摘のように、オンラインができますといろいろな点でそういう意味での前進が図れるかと思います。 ただ問題は、在職老齢年金の個々の通知でございますけれども、社会保険庁なり社会保険事務所としては、被保険者の住所まで管理しておりません。したがってそのやり方としては、事業所はわかりますけれども、ただ、その事業所へ個別に通知するということは、実はこれはまたプライバシーの問題もございますので、個々の事業所の中で、年金をもらうとかもらわないとかいうことがはっきりわかってしまいますので、そういう問題も十分配慮しながら、これは方策を検討していきたいというふうに思っております。
○田中(美)委員 その次は、母子年金の改善について質問いたします。 いま国民年金の母子年金、準母子年金、遺児年金、これは一番下の子供が十八歳になった翌日になくなってしまうわけですね。権利を失う。いまの子供たちというのは高校進学率が九十数%、ほとんど高校に行っているわけです。そうしますと、三月二日から四月一日までに生まれた人はまだぎりぎりいいのですけれども、そうでないと、たとえば四月生まれの子供ですと、高校三年生になった五月にこれがすぱっと切られてしまうわけですね。在学中に切られてしまうわけです。ですから、九十何%も高校へ行っているのですから、十八歳までという年齢にしないで、せめて年齢条件を高校卒業までというふうにはできないだろうかというのが私の質問です。
○木暮政府委員 母子年金等の子供の年齢制限十八歳を、高校卒までにできないかということでございます。一つの考え方だとは思いますけれども、この十八歳というのは、年金の上でも、あるいはほかの法制上もいろいろなところでとっておりまして、その横並びということが非常にややこしい問題がございます。十八歳にしておる制度全部で検討していくというような問題でございますので、なかなかむずかしい問題だというふうに思っておるわけでございます。 それからまた、そういう細かいことを言うなということになろうかとも思いますけれども、就職して高校に進学しない方とのバランスの問題とか、あるいはまた、かなり定時制高校等で十八歳を過ぎても長く在学する場合もございますので、そこら辺のバランス問題もあるわけでございます。
○田中(美)委員 たとえば厚年とかほかの被用者年金の場合ですね。この遺族年金の場合ですと、子供が十八歳になっても、確かに寡婦加算の加給金ですかあれはなくなりますが。しかしお母さんの遺族年金というのは五〇%のがあるわけですからね、ですから大きな変動にならないと思うのですけれども、国年の場合には、同じ父親がいないという家庭にとっては、高校三年になって途端に経済的な変動が家庭で起きるということですので、すべて低い線に沿って、ここと比べて不公平だと言えば、それは確かに九十何%高校に行ってもあと五%くらいは働いている人もあるわけですから、そういうふうに言ってしまえば身もふたもないんであって、九十何%も行っているということならば、一〇〇%それじゃいままでの年金が全部公平にいっているかというとそうではないわけですから、だからできるだけ公平にするために、経過措置をつくったりいろいろやってきているわけでしょう。ですから、同じ父親がないという母子家庭に、急に経済的な変動が起きるということはかわいそうではないかと私は思うわけなんです。そういう点で、国年が、むしろこちらの方が、意識的に差別しているわけではありませんけれども変動としては大きいんではないか。もちろん被用者年金の方でも十八歳にしないで高校を出るまでにしてほしいというふうに思いますけれども、これと比べても国年の方がひどいんではないか。そういう点でもうちょっとこういうところを考えてもらえないかというふうに思うわけです。これはぜひ検討してほしい。 母子家庭はいま月の平均収入というのが大体七万円から十万円と言われているのですね。そういう家庭ですからね、その中で高校にやるというのは、大変な苦労をしてお母さんはやっているわけですね。ですから、子供が在学中に家計に大きなマイナスが起きるということは、わずか一年であっても、子供に与える精神的な圧迫というものは非常に大きいという意味で、教育上の観点から見ても、一度検討していただきたいと思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○橋本国務大臣 この点については、田中さんの御指摘と同じ感想を私もかつて持ったことがありまして、同じ議論をやったことがあります。その点からいきまして、御指摘の問題点、私もよくわかります。 ただ、いま年金局長の答弁の角度と、実はその当時私どもが検討したときにぶつかりました壁が、違った種類の壁でありました。というのは、十八歳というのがいろんなところで援用されている一つの線でありまして、一つは労働基準法上の未成年労働者の保護の規定とか、あるいは逆に児童福祉法の年齢制限とかいろんなところにぶつかって、結局そのときも、実は私もあきらめてしまったことがあります。 ただ御指摘の問題点、そういう認識を私もかつて持ったことがありますだけに、そのお気持ちはよくわかります。大変むずかしいと思います。むずかしいと思いますが、検討はこれからも続けていきたいと思います。
○田中(美)委員 ぜひこの点、検討していただきたいと思います。母子福祉年金は義務教育修了前までというようなこともあったわけですから、ぜひこれは検討していただきたいというふうに思います。 次に特例納付の貸し付け制度についてですけれども、愛知県の社会保険事務所で聞きましたら、この特例納付、制度としては無年金者をなくすということで非常にいいことなんですけれども、この特例納付が予想よりペースが遅い。前のときには非常に多かったのです。特に十二月の三十一日でしたか、三十一日でも事務所を開いていて、受けるというような形で、殺到するということがあったわけですけれども、今度は、該当者が少ないわけでないのに、特例納付をせっかくやったのに、予想より非常にペースが遅いということを言っています。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕 払わない何人かの対象者に会いまして、私自身が聞いてみたわけです。そうしましたら、保険料が余り高いので大変だから、もうとても金策をする気になれない、それで、もう一生年金がなくともいいと言って、破れかぶれで投げ出している人が非常に多いわけです。それで世帯更生資金の問題を、前にも、何とか貸し付け制度をしてもらえないかという質問を一度ここでやったこともあったわけですけれども、やっと政府も、世帯更生資金の貸し出し制度をやろうということも伺っているわけですけれども、これは一日も早く実施してほしい。もうあと一年ぐらいしかないんじゃないですか。そうしませんと、早くしてあげないと、結局、いまあきらめておる人たちというのはまた無関心になっておるのです。せっかく特例納付ができたぞというのでみんながわあっとそっちを向いたのに、あれこれ苦労して、だめだというので投げ出して、無関心になっておる。おくれてぎりぎりになって金を貸してやるぞと言っても、またPRが届かないということになってしまうので、一日も早くしていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○持永政府委員 ちょっと、前段の特例納付の状況でございますけれども、前回よりも実施状況が悪いではないかというお話でございますが、全国的に集計いたしてみますと、ここ六カ月、ちょうど去年の七月から始まりまして去年の十二月までの状況でございますが、納めた件数三十一万件で、前回の特例納付が二十三万件でございますから、これよりもいい状況にございます。
○山下政府委員 世帯更生資金の基準改定、例年、予算が成立いたしました段階で決めていくわけでございまして、特例納付の分につきましても、基準改定とあわせて実施したいと思っておるわけでございますが、御趣旨を踏まえましてできるだけ早くするように努力いたしたいと存じます。
○田中(美)委員 前のときは金額も少なかったし、まだそういうことがあるのではないかということがあったわけですけれども、今度がぎりぎりで、もうこれでないのだということですね。それで大分みんなあわてているわけですけれども、三十一万件と言われますけれども、無年金者が何人いるか、これは百万件とも言われているし、二百万件とも言われておるほどの数がまだ残っておるわけですから、この無年金者をなくすことが目的ですからね。いまのところ三十一万件あったとしても、これで永遠にだめだということになれば、無年金者を救えないことになる。ですから、これを救うということは、一日も早く世帯更生資金の貸し付け制度を出してほしいと思うのです。 それにPRなんですけれども、この問のときにはPRが十二月になって、私がテレビでやってほしいと質問をして、結局、十二月三十一日までですよというPRはやるけれども、世帯更生資金十万円貸すのですということは全然やらなかった。間際になって、国会で私がやれやれと言っても、幾らやってもあと十日か半月しかなかった。そういうことではなくて、いまテレビがあるわけですから、テレビを通して、幾ら幾ら貸すのですよ、こういうふうにすれば、幾らは借りて幾らは自分で調達してという計算が成り立つわけですので、このPRを、新聞なりテレビなりラジオなりいろいろなもので、一日も早くPRをしてほしい。そして、特例納付で払って無年金者がなくなるように、最大の努力をしていただきたいというふうに思います。最後に大臣の御意見を伺って、質問を終わりたいと思います。
○橋本国務大臣 先ほど御指摘になった具体的なケースの一つも含めて、そういう意味では、きょうの御質問の中で、なお第一線に対しての説明その他についての努力が足りなかったという点の反省を私もいたしております。 最終に御指摘のありましたPRについても、私どもとしてできるだけの努力をしていきたいと思います。
○田中(美)委員 質問を終わります。
○森下委員長 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)委員(新自) きょうは年金に関連した質疑をさせていただきます。 まず最初に、わが日本が急激に高齢化社会へ向かおうとしているという現実、がございまして、これは社会構造にいろいろな形で対応を迫ってきているわけでございます。それも、ヨーロッパ先進国におきましては、百年あるいは百五十年という長い年月を経まして高齢化社会というのが成熟してまいった歴史がございますけれども、日本においては約半世紀でこれを達成し、なおかつ世界最長寿国にランクされたわけでございまして、今後ともに、そういう傾向はより増強されることはあっても減少されない、こういう形であろうと思います。あと十五年たちますと平均年齢が八十歳を超すだろう。これは医学、医術の進歩あるいは環境あるいは制度、いろいろな形が総合された結果の恩典でございますけれども、しかし、そういう高齢化社会が急激に訪れてまいるにつれて、逆に、定年制五十五歳あるいは終身雇用制、こういう問題に関連いたしまして、どのような対応をすればいいのか、大変迷っているという現状が一方にございます。もちろん、年金というのは生産年齢を離れたOBの方々の生活をそれによって保障していく、こういうものでございましょうから、その年金に頼る部分というのは、今後とも国民の非常に大きな期待、それからまたそれに対する当然の要求というか、そういうものもあわせて強くなってまいろうかと思います。 そういう状況の中で、わが国の人口構造が今後どのような推移をたどるであろうかということについて、御見解をまず第一番にお聞きしたいと思います。
○新津説明員 御指摘の人口高齢化の具体的な数字でございますが、一つの指標といたしまして、日本の全人口の中で六十五歳以上の人口が占める割合でございますが、それが、昭和五十二年で八・四%のものが昭和六十年で九・七、昭和七十五年で一四・三、昭和百年には世界でも例のないと言われる一八・一になりまして、以後は大体横ばいになるのではないか。仮にこれを六十歳以上で見ますと、全人口に占める六十歳以上の割合が、昭和五十二年で一二・二%のものが昭和六十年で一四・一、昭和七十五年で一九・八、昭和百年には二三・三%になりまして、以後大体同じ割合になるのではないか、一応こういうふうに推計されております。
○工藤(晃)委員(新自) いずれにいたしましても、生産OBの方々が非常にふえるということは間違いのない事実でございます。もちろん、年金というのは長期的展望の上に立ってその構想が練られているはずでございます。そういう意味において、年金が施行されてまいりました歴史的な背景を含めて、そういう展望については、十分これでたえ得る状態になっているのか、あるいはまた今後大いに改善していかなければならないのか、そういう点の見通しを御説明いただきたいと思います。
○木暮政府委員 ただいま企画室長から御説明を申し上げました、人口老齢化の影響というものが年金に端的に出てまいるわけでございます。 それで、現役の被保険者がどのくらいの年金受給者をめんどう見ていくことになるかという数字を見ますと、厚生年金では現在十七人で一人ぐらいの受給者の費用を負担するということでございますけれども、高齢化の波が押し寄せてまいりますと、昭和八十五年では三・五人の被保険者で一人の年金受給者の費用を負担しなければならないという形になるわけでございます。 国民年金につきましても大体同様の関係でございまして、八十五年には四・一人で一人の年金受給者の費用を負担するという形になるわけでございます。 これを保険料の負担率で見てまいりますと、厚生年金の場合には男子がいま九・一%の保険料でございますが、八十五年には二〇%を超えることになるわけでございます。なお、八十五年以降もかなりの勢いで伸びるという見通しでございます。 国民年金につきまして申し上げますと、現在二千七百三十円の保険料でございますが、五十一年度の価格で八十五年には八千六百五十円にもなるという見通しでございます。この見通しは現在の制度を変えない場合でございますが、この厚生年金の昭和八十五年で二〇・七%という保険料は、いろいろ制度の違いがございまして、なかなか一概には比較できないのでございますけれども、現在世界各国で例のない高さになるわけでございます。一番制度が似ておりますドイツで現在一八%でございます。一八%ではやっていけないという状況がドイツで出てまいりまして、スライドの実施時期を日本と逆におくらせるようなことをいたしましたり、それから準備金の額を下げるということをいたしましたりして、何とか一八%でやっていきたいということをここ四、五年やってまいりましたけれども、とうとうそれではできなくて、一九八一年から〇・五%上げるというようなことになったようでございます。この千分の百八十ぐらいのところがやはり一つの限界ということが経験的に考えられるわけでございまして、日本の場合には、いまの制度でいきます場合にはそれをはるかに超えてしまうということでございますので、だんだん高齢者の方がふえてまいりますから保険料を上げさせていただかなければならない一方、後から来る若い世代の方に過重な負担がかかりませんように、年金給付の効率化とも積極的に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。
○工藤(晃)委員(新自) いま御説明がありましたように、日本だけじゃなく、世界的な傾向として、年金の将来については大変厳しい状況が待ち受けているということは納得いたしましたが、それについて日本では、それではどの程度の負担率をもって将来妥当と考えておられるのか、もちろん所得の状況とかあるいは社会環境がいろいろ変わってまいりますから一概に申し上げられませんけれども、そういうことについて、たとえばここら辺が負担能力としては最高なのだ、これ以上はどうも困難ではないかというふうな想定がございましたら、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
○木暮政府委員 年金の費用負担の限界でございますが、私ども厚生省の範囲内だけでも、健康保険の負担がどうなっていくかという問題がございますし、また労働省関係の社会保険料がどうなっていくか、さらには税金の負担がどうなっていくか、そういうものを総合的に判断しなければなりませんので、大変むずかしい問題で一概にお答えすることができないわけでございまして、経験的ということになろうかと思いますが、日本と一番制度が似ておりますドイツの場合、先ほど申し上げましたように千分の百八十というところでぎくしゃくしておりますので、やはりそこら辺が一つの限界ではないだろうか。いわば他山の石として、日本の制度の見直しをしていかなければいけないと思っております。
○工藤(晃)委員(新自) そうしますと、千分の百八十を一つの想定限界と仮定いたしますと、日本は大体今後何年くらいでそういうところに到達するのでしょうか。
○木暮政府委員 現在のままでまいりますと、昭和八十年ごろにはそういうことになろうかと思います。
○工藤(晃)委員(新自) ただいま伺っておりますと、健康保険、税金、その他と連動するから、一概に言えないということをおっしゃっておりますし、また健康保険そのものの中にも、ただいま財政上の問題として、国民が今後どのような負担をしなければならぬかということで、大変厳しい状況の中に置かれていることは周知しているところでございます。もちろん、その中で、健康社会をどのようにつくっていくかということは重要な課題でございます。やはり、働けなくなれば当然年金を受けていかなければならない人もよりふえてくるし、またそれを支える方の分野がそれだけ減るわけでございますから、どうしても健康を保持するということが、年金の面からも重要な一つの課題であろうというふうに推定されるわけでございます。 ところで、健康保険も今後格差が非常にまり著明になってくる、だから、各制度間で財政調整をしなければならぬのじゃないかという意見も当然出てまいるわけです。また、年金の方に振り返ってみましても、官民格差とかあるいは官民格差とかいろいろなことが言われておりまして、その調整もやらなければいかぬということも一方で言われておりますし、また一方においては、厚生年金の受給資格を、どうもこういうふうに長生きするようになると延長しなければいかぬのじゃないか、それでなければ財政がやっていけないのじゃないかと、いわば、年金をお出しするというたてまえからすれば逆行するような発想が、真剣に取り上げられているのも現状でございます。 そういうものを含めて、日本の社会保障というか福祉政策というのは、総合的に大変厳しいということだけが明らかになってまいるわけでございますが、いまおっしゃいましたように、昭和八十年ごろになったらもう頭打ちになってしまうのではないか、恐らくそれよりかもっと早く頭打ちになるのではないかというふうに推定されますが、そういう中で、格差の是正という問題と、それから先ほど申し上げました受給資格の延長ですか、そういう問題についてはどのような見解をお持ちか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 いま工藤さんが質問してこられましたように、私どもの前途には大変むずかしい幾つかの壁が控えておることは御指摘のとおりです。ですから、私どもとしては大きく分けて三つの問題があろうと考えております。 一つは制度間格差、これを給付の面からも負担の面からもできるだけ公正にしていく、少なくとも理由の立つような状態にしていくという努力をすること。これについては、基本的には制度間の問題としていま年金懇においての検討を願っており、近いうちに御答申がいただけるであろうと思っておるわけです。 支給開始年齢の問題も、実はこれと並行した問題でありまして、やはり私どもこれを避けては通れません。しかし、その中で、先ほどから御指摘があるように、老後の個人の生活安定というものを考える場合には、当然それは段階的に実施をされなければならないものでありますし、また恐らく、工藤さんのお気持ちの中には、雇用政策とのバランスをどうするのだという御疑問がおありだろうと思います。 三つ目の問題というのは実はその点でありまして、私どもは、基本的には年金問題を懇談会にお願いして検討していただくと同時に、やはり年金の支給開始年齢が引き上げられるような雇用情勢、雇用政策というものを立ててもらわなければならぬ、また社会的に確立してもらわなければならぬということで、昨年から労働省と懇談会を持ち、両方の政策の連携といいましょうか提携といいましょうか、こうしたものについての話し合いを開始をいたしました。今後においてもそうした努力を私どもは進めていきたい、その中においてよりすぐれた年金制度に向かって進んでまいりたい、そのように考えております。
○工藤(晃)委員(新自) これは大変、考えてもむずかしい、頭の痛くなるような問題だと思うのです。一方においては、高齢化社会に対応するために定年制延長を図らなければならぬという至上命令があり、一方においては、それにスライドさせて年金を支給しなければならないという、これがどちらが先になっても、その間の谷間というものが大変問題になってくるわけでございますから、これははっきり申し上げて、年金の将来の厳しさと雇用の将来の厳しさ、あるいは中高年齢層の雇用の開発、こういう問題等々すべてが連動してまいります。ですから、そういうことについては一日も早く対策を考えておかれなければならないことと、それからやはり、総合的な政策の中で、いままで矛盾が起きておりますような点については、勇気を持ってこの改善を図っていくという決断が一番重要な問題であろうと思うのです。やはりおのおの立場上いろいろな御意見をお持ちになり、その意見は統一されることは大変むずかしいと思いますけれども、やはり高齢化社会という一つの大きなテーマに総括的に対応していかなければならない、これだけははっきりしていることだと思います。非常に急速なスピードで訪れてくることに対応するために、一番大事なことは、やはりこういう問題の解決のためには時を失わないということだと思う。そのためには、いろいろな立場からのいろいろな御意見もございましょうけれども、やはり国民の意思を統一させながら、そういう面に対する対応の円滑な転換を図っていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。それについて大臣、一言御意見を伺いたい。
○橋本国務大臣 確かに御指摘のとおり、これは根本的に突き詰めていきますと、出生率の低下と、学歴がだんだん高くなっていくことによって、逆に生産開始年齢も遅くなるという問題まで、実は詰めていかなければなりません。そういう意味では、時期的なタイミングを失わないようにという御指摘は、私ども十分受けとめて対処していきたい、そのように思います。
○工藤(晃)委員(新自) それについて、もしその対応がおくれました場合には、現実に非常に社会の不安を招きかねない状況が生まれてまいろうと思います。私は常にどの委員会でも申し上げているのは、まず第一番に、高齢化社会に対応するための健康の方をどう守るかという健康の保障と、その生活の保障、それに伴う生きがい、この三つの条件をどう調整しながら対応するかということが大事な政治課題だと思っておるわけなので、そういう面からきょうは年金の問題について触れているわけですが、もしそういうふうな、たとえば定年制の延長とか、あるいは年金支給の額の引き上げを含めて、そういう問題に対応するための厳しい条件をうまく解決すると言っても、現実においてはなかなかむずかしい状況もこれあり、もしそういう中で、年金の支給は受けられないで定年退職してしまった、次の再雇用が大変むずかしいという者があれば、こういう方々のためにやはり別途いろいろな方法も考えておく必要があるのじゃないか。それは公的年金に頼らず、たとえば民間の保険会社が最近売り出しておりますような私的年金制度、そういうものに対しても考える。そういうものを、生産年齢の時期から将来を展望して、おのおの国民の一人一人が、そういうものに対しての対応というものも考えているという現状があるから、そういう制度も生まれてきつつあるわけですが、やはりそういうことをより推進さしてやるという施策が一方においてなされていれば、もし公的年金その他の制度が多少ずれ込みがあり、あるいはまた目的どおりに推進されない場合にでも、そういう社会不安の解消の一助にはなるのではないか、そう思うわけで、たとえば民間の保険会社が売り出す老後年金のそういうシステムを、国民が積極的にそういうことに対応していこうという場合に、政治的な配慮というか、施策としてそれを誘導していくということも重要な一つの仕事に考えていいのじゃないかというふうに私は考えているわけです。これは厚生省だけで対応はできないだろうと思いますが、たとえば税の面で何らかの優遇措置を講じて、そういうところへ積極的に自分から入っていく、加入するようにする。たとえば、いま日本の貯蓄性向は世界一高いと言われている。所得の二五%も貯蓄をしている。しかし、目減りをすることはわかっているわけで、わかっていながら、何となくそういうことをしていかなければどうにもならないような、切迫した雰囲気の中で国民が貯金をしている。こういう現状も一方にありますから、そういう貯金をするという形の老後保障ももちろん必要でしょうけれども、あるいはまた、そういう民間のエネルギーを利用して老後の安定を図らせるという施策も、積極的に考えていいのではないかというふうに私は日ごろから考えているわけです。それについて大臣、ひとつどのようなお考えをお持ちか、お答えを願いたいと思います。
○橋本国務大臣 私は、これは確かに一つの考え方だと思います。工藤さんの考え方を否定はいたしません。ただ、そうした私保険的なものを国が推進する、あるいは推奨するといった場合には、たとえば現行の生命保険等で、それを控除対象とする、しないで、現実の問題として例があるわけでありますけれども、そういう問題までこれは波及をしていきますし、仮にそうした形での優遇措置をとって、私保険に国民の関心を向けていくことが、結果的には、公的な年金制度の整備についてブレーキになる可能性もあるわけです。これは工藤さん御専門の医療の世界で、たとえばがん保険等の普及に伴って、必ずしも好ましい状態ばかりが生まれてきているとは言えないという実例を見ても、そうした点についての私どもの危惧する点は御理解がいただけるだろうと思うのです。 ですから、むしろ、現実の国民ニーズがそういうものに向いていることも決して私は否定はいたしません。ただ、それはやはり公的年金制度の体系的な整備を急いで、国民のニーズをそこへ吸収することに、私どもの立場からすれば、全力投球をするのが本来の姿ではないか、そのように思います。
○工藤(晃)委員(新自) いま大臣おっしゃるのは、たてまえ上、大変りっぱな御返事でございますけれども、実際に、では公的年金で老後保障ができるかどうかという現実、たとえば今後十年あるいは二十年後にそういうことが可能であるかどうかということになると、その資料としてははなはだ乏しいところがあるというわけで、西ドイツもやはり一八%であっぷあっぷしているという現実を、他山の石とするということもいまおっしゃったわけで、なかなかそう口で言うほど、私は、公的年金に頼るという部分を余り国民に過度な期待を持たせることは、むずかしい状態が現在あるのではないか。あるいは、将来もっとひどくなるのではないかという心配からやはり、何もそれをメーンにしてお考えになったらどうですかということを言っているわけではないので、こういうことについても国民が自覚を持って、もちろん公的年金その他についての国民の理解もさることでございますが、当然これは、負担をしていく国民が理解をしなければそういうことはできないのですから、当然負担をすることについてのコンセンサスは今後十分図っていかなければならないけれども、一方においては、やはり個人が自分で健康を守るという意識をより向上さすと同じように、自分の老後の保障についても、自分の力を自由社会の中で具体的に、現在よりもより強く自覚しながら対応していくという知恵を、国民も備えていく必要が現実にあるのではないかという認識から、私は申し上げているわけで、そういうことについて、国民が勝手にやる分は勝手にしておけばいいのだということでは、やはり現実の問題としての老後の生活の保障というのはなかなかむずかしいのじゃないかということを御指摘申し上げたわけでございます。そういう中で、もし指導し、あるいは誘導し、あるいはそういうことについての推進を図り得る施策が将来ともに検討できるものであれば、積極的にこれを検討することは決して国民のために悪いことではない、こう思うわけでございます。大臣、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 大変申しわけありませんでした。御質問のポイントを多少取り違えたようです。 ただ、それにしても、私は、結論としては同じことを申し上げるのがやはり本筋だと思いますし、それからたてまえと先ほど言われましたが、私は、やはり支給開始年齢もやがて引き上げざるを得ないという現実は国民の前にもすでに申し上げていることでございますし、より必要な時期に必要な場所に給付を厚くするという基本的な考え方も国民に申し上げておるわけでございまして、そういう意味では、私どもはコンセンサスが一日も早く得られることを期待をいたします。 ただ、その上に立って、いま御指摘になりましたような部分については、これから先、私どももそれなりに考えてまいりたい、そのように思います。
○工藤(晃)委員(新自) ぜひ一つの対応として、何から何まですべて国がめんどうを見ていく、こういう発想は、実際問題としては、国民もそういうことに期待をかけ過ぎるとかえって悲劇をもたらすと私は思いますので、そういう意味において、やはり健康なときに十分働き、そういう対応のために努力をしていく、そういう施策も一方においては考えておく必要があるということを申し上げたわけでございます。 同時に、やはり人間の幸、不幸というものは一夜にして訪れる場合もございます。そういう場合に、ただ年金とかあるいは個人のそういう対応だけではどうにもならないようなそういうこともこれあり、やはり社会保障の一環として、どうしても公的に救済をしなければならぬという人たちのために、一方においては年金構想だけではなく、そういう意味における社会保障の推進もあわせて十分対応を考えていただいておかなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。 その中の、きょうの一つの問題といたしましては、この児童手当の問題も一つの問題ではないかというふうに考えます。これは、どうすればいいかということについてはいろいろ議論がございましょうから、それに時間を割く余裕もございませんので、問題点を多少指摘しておきたいと思いますけれども、児童扶養手当、特別児童扶養手当、福祉手当及び児童手当改正項目、こういうものを見ますと、こういうふうに改正をし、底上げをしていただくことは大変ありがたいことでございますけれども、この一つの議論として、やはり児童福祉、こういうたてまえから、こういう諸手当の改善が図られていると思うんですね。だから、そういうことで福祉を前提に考えた場合に、やはり一つは、一方においては公平あるいは公正あるいは整合、こういう問題が課題にはなります。しかしながら、一方においては、生活能力も十分持ち、子供を扶養することにいささかも経済的あるいは精神的不安がない方もこの世の中にはたくさんおられるわけですね。しかしながら、きのうまではそういう状態にいながら、突然ある日、今度は子供の生活をどうやってめんどうを見るか、あるいは家族の生活をどうやってめんどうを見ればいいのかというふうな、不幸な状況の中に追い込まれることもあるわけです。ところが、どうもこの差といいますか、たとえば児童手当を一例にとりますと、税金の負担能力のある人に対しては第三子は五千円ですか、もし数字が間違っていれば御指摘願います。それから低所得者に対しては六千円、これを六千五百円まで引き上げる、こういう一例がございます。しかしながら、考えてみますと、その低所得者とそれからいわゆる納税能力を持っている方々との差が、これを見ますと千五百円しかないわけですね。果たしてこれで児童福祉というたてまえが満たされているのかどうか。やはり福祉と言う以上は、そういう対象者に厚くしてあげることが一方においては大事なことであろうというふうにも思うのです。そうすると、五千円と六千五百円の差が果たして妥当かどうかという議論をひとつしてみる必要があるんじゃないか。 もう一点は、扶養控除という形で税金から引かれている部分があるのですが、その扶養控除の中で、低所得者の場合には扶養控除を受けるメリットがないわけです。一方において、片一方で六千五百円しか第三子以降はもらえない、片一方は扶養控除をしてもらった上で五千円の手当をもらうということになりますと、いよいよもって逆立ち的福祉というか、かえって経済的に満たされた人ほど福祉の対象としてはより手厚い保護を受ける、こういう現状をここに示しているという、この事実関係についてお認めいただけるかどうか、ひとつお返事をいただきたい。
○橋本国務大臣 工藤さん、大変失礼でありますけれども、児童手当の制度そのものが実は低所得者対策という発想からできていないということは、これもよく御承知のとおりでありますけれども、これは御理解願いたいと思うのです。そういうことで、私どもは、この児童手当制度をつくりました時点においては、次代を担う児童の健全育成、及び資質の向上ということを目的としてこの制度をつくったわけでありまして、その後において、むしろ少しでも所得の低い方には手厚くという発想をこの中に取り入れてきたわけであります。 ただ、最近になりまして、実は児童手当については大変いろいろな角度の御議論がございまして、いまあなたがお話しになりましたような角度からの御意見もありますし、むしろ児童手当制度そのものをやめてしまえという御議論もありますし、あるいは第一子だけ、出生率が低下している今日において、誘導的な意味合いを含めて出せというような御意見もありますし、実はいろいろな角度の御意見が出てきておるわけであります。 そこで、私どもは、いま基本的なあり方についてもう一度考え方を整理する必要があるということから、中央児童福祉審議会において御審議を願っておるわけでありまして、この審議会の結論というものを受けて、もう一度私どもは国民のニーズというものからこの制度そのものを考えていきたい、いまそのように考えているところであります。
○工藤(晃)委員(新自) この問題についての議論をしておりますと時間がなくなりますので、ただ、私にとって理解しがたいというそういう点を一応指摘して、この問題はやめます。この問題については、また回を改めまして、質疑をさせていただきたいと思います。 最後に、時間がだんだん切迫してまいりましたので、この問題と年金、老後保障等こういう問題と絡めて、ひとつ前向きにぜひ御検討いただきたい問題を提起しながら、申し上げたいと思うわけでございます。 それは、昭和五十二年四月二十日に、やはりこの社会労働委員会で、この高齢化社会に対応する年金のあり方についてという質疑の中で、私が言った、ちょっとその一部分だけ読ましていただきますと「一体どうすれば親子関係がうまくいくだろうかということを考えますと、やはり一番大きな問題は住宅の問題だと思うのです。親子が一緒に住みたくても住めないような、そういう環境の中では親子関係を円満にやるといってもむずかしい。日本の住宅事情は先進国に比べて大変悪いということは定評でございますので、やはり住宅政策の中に、この核家族化に対してもう一遍親子関係を円滑に行い得るような社会環境をつくってあげるための住宅政策というものを再検討しなければ、」云々、こういうことを申し上げて、これに対して渡辺厚生大臣から「厚生年金の還元融資というようなもので個人の住宅の資金等も貸すのですから、そういうときにはあなたのような発想も大事だと思うので、貸し付けの際に、老人と一緒に住めるような家をつくる人にはよけいに貸すとか、何か特別なメリットがつくようにするとか、考えてみましょう。それはわれわれのところはできるのですから。それと同時に、労働省や建設省等ともよく連絡をとって、御趣旨に沿うように私は努力いたします。」こういう御回答をいただいているわけです。 先ほどから申し上げましたように、日本の社会構造が戦後非常に変わって、核家族化になってしまった。親子一緒に済むという発想は非常に遠のいて、別々に生活していこうという社会環境が定着しているわけでございます。それに伴いまして、戦後何もないところに住む家をつくるということから、どうしても、コンパクトな小さな住みかでもいいから、とにかく雨露がしのげればいいという発想から、終戦直後の日本の住宅政策は出発したと思うのです。 そういう中で、日本も経済大国になり、今後急激に訪れてまいる高齢化社会、こういうものとの対応において、老後の保障を年金だけで果たして解決できるかどうかということについては、先ほどからるる質疑をいたしました中でも大変困難であろう、むずかしい問題であるということについては合意をしているわけです。その中で、ただ公的な……(私語する者あり)
○森下委員長 ちょっと静かにしてください。
○工藤(晃)委員(新自) 公的なそういう年金だけに頼ってこの高齢化社会を迎えるのがいいのか、あるいはまた、親子関係という自然な形の中で私的扶養の促進を図りながら、あわせて年金をそこにセットしていく方が国民にとってより幸せなのか、こういうことを改めて私は前から提起をしているわけでございます。 特に、お年寄りにアンケートをとりましても、その七五%が子供たちと一緒に住みたいのだというふうな、切なる愛情の部分の願いもあわせて考えますと、やはりそういう住宅政策というものが非常に大事なウエートを占めてくるのじゃないか。そういう親子三世代が一緒に住めるような住宅空間を積極的に開発し推進していくということが、逆に言えば、そういう年金構想に対しても大きなメリットを生み出しながら社会資本を蓄積していけるのじゃないか、こういう考え方で提案をしたわけでございます。 それについては前向きなお答えをちょうだいし、またその後五十三年四月六日の社労委員会でも、その当時の質疑の中で、とにかくそういう私の提案についてはいろいろと前向きに、具体的に予算の中に盛り込んでまいりました、こういうお言葉があるわけです。そういう経過について、これをどんどん毎年拡大推進していきたいという御意見もちょうだいしておりますので、そういうことが現在どうなっているのかという点をまず御答弁いただき、それにあわせて、きょうは建設省の方にもお見えいただいておりますので、日本の住宅政策の中にそういう問題をどのようにセットしていくかということについてのお考えもお聞きしたい。残された時間をそのように費やしたいと思います。あと十分でございますので、よろしくお願いいたします。
○橋本国務大臣 これは確かに、かつて工藤さんから御指摘がありまして、その御意見を参考にして、五十三年度から、六十五歳以上の老人と同居する場合の貸付限度額に六十万円の割り増しをするという制度をつくったわけでありますが、さらに五十四年度におきましては、六十五歳以上の老人との同居世帯のうちで、老人以外の家族が五人以上いる多数家族の場合、割り増し貸し付けの度合いを増しまして、厚生年金また船員保険は百二十万円、国民年金は六十万円でありますから夫婦加入で百二十万円という割り増しをいたしました。また、貸し付けの対象となる=戸当たりの居住面積については、四十九年から面積加算を行っておりまして、通常の場合に比べて、六十歳以上の老人を含んで三人以上の家族の場合には、三十平米を増しているということを御報告申し上げておきます。
○工藤(晃)委員(新自) 大変強力に御推進いただけるように今後も重ねてお願いをしておきたいと思いますが、このような核家族化を改めて、日本的な三世代一緒に住めるような社会へいい面は誘導していった方が、より有効であろうと私は考えております。 続いて建設省の方にお伺いしますけれども、こういう発想から、今後住宅政策をどのように御推進になろうとしているのか、あるいは現在そういうことについてはどのような対応をされているのか、簡単に御説明をちょうだいしたいと思います。
○鴨沢説明員 ただいま御指摘の老人同居世帯に対する政策といたしましては、まず前提といたしまして、全体の規模をなるべく広いものを供給していくことを主眼といたしまして、昭和五十一年度から発足いたしました第三期の住宅建設五カ年計画におきまして、六十年を目標とした最低居住水準及び平均居住水準を政策目標といたしまして、これを達成していくために公的な住宅の予算の規模をふやしていく。住宅金融公庫の融資等につきましても、限度額の引き上げ、利率の引き下げ、あるいは償還年限の延長という、いろいろな措置を講じてまいったところであります。 また、老人同居世帯に対する特別の手当てといたしましては、公営住宅におきまして、一般の公営住宅よりも規模の大きい、老人同居世帯向けの公営住宅、あるいは老人室つきの公営住宅、また老人と子供、夫婦が緊密な関係を保ちながら、相互のプライバシーを守れるように、ペア住宅という形式の住宅の供給をいたしております。 公団住宅につきましては、やはり全体として、老人を含む多家族の入居を可能としますよう三LDK以上の大型住宅の建設を促進いたしておりますし、六十歳以上の老人を含む世帯に対しては、募集戸数の一定の範囲内で当選率が一般よりも高い当選率になるようにという措置、あるいはまた、高層住宅におきましてはエレベーターの停止階に、中層住宅では一階に、老人の同居世帯が入居できるように措置をする等の措置をいたしております。 それから、住宅金融公庫の貸し付けにつきましては、先ほど大臣からもお話がありましたけれども、住宅金融公庫の融資につきましても、同様な割り増し貸し付けあるいは、五十四年度からは老人及び多家族の同居の場合の割り増し貸し付け等を実施いたしております。 以上のような老人同居世帯に対する優遇措置の公共住宅の供給戸数といたしましては、たとえば昭和五十二年度の実績見込みでは約七万戸をこれらのものに充てておるところでございます。
○工藤(晃)委員(新自) 事前におたくから御提供いただきました「住宅事情と住宅対策の現況」五十四年一月の資料でございますが、こういうものを拝見しておりましても、積極的に高齢化社会に対応していこうという姿勢は確かにうかがわれるわけでございますが、日本の場合には、戦後まる焼けの中から、住めればいいという発想でつくってまいりました住宅がばっこしているというか、そういうものが非常に多い。文化生活を営むために必要な空間とか、あるいはまた、お年寄りと一緒に住めるような住宅とかいうものに対する対応というのは非常におくれてまいった。ヨーロッパの先進国に比べれば非常におくれていることも確かでございますし、またそれが急激に訪れてくるというハンディもございますから、これは当然三倍も四倍もの速度で急いで対応していかなければならない。 こういうふうな状況を勘案いたしますと、ただいまちょうだいいたしておる資料から見ましても、たとえば最低居住水準の住戸規模とかあるいは平均居住水準の住戸規模とかいうような数字の中から一例を挙げますと、平均居住水準の住戸規模の六人の場合には、四LDKで住戸専用面積は百七平方メートルが妥当であろう、こういうことで推進をお図りいただいておるようでございます。しかしながら、先ほどから申し上げましたような形で、どうしても個々にもっともっとそういう推進を強力にしていかなければ対応できないのじゃないかという現実を一方に抱えておりますので、こういうことについては特別な住宅政策としての配慮が一方において必要なのではないか。全体的にレベルアップをしていくことも必要ですけれども、全体をながめて政策を推進するということになりますと、どうしてもそういう対応がおくれてしまうという可能性が一方においてあるわけですから、そういう意味においては、住宅政策の中で高齢化社会対応の住宅政策というものを特別に御配慮願わなければならないのじゃないか。こういう点が一点。 それからもう一つ、たとえばいまおっしゃいました住宅金融公庫の老人割り増し貸し付けの制度の中で、特に現在融資している枠を広げるということは一つの優遇措置ではございますけれども、それと同時に、現状対応ということになりますと、やはり自己資金を用意しなければなかなか建たないということも現実にあるわけで、そういう意味におきましては、全額融資をしてやることによって、一日も早くお年寄りと一緒に住めるような環境づくりを誘導してあげるということも必要なのじゃないか。自己資金を用意してそれができ上がらないとそういう恩典も受けられないということでありますと、お年寄りと一緒に住みたいという希望を持ちながらも、現実においては実現はなかなか不可能である。同時にまた、そういう自己資金の調達が計画どおりにいかなければ、お年寄りはさびしい思いをしながら死んでいかなければならない。こういう方も世の中には多いだろうと思う。そういうことを考えまして、いまここですぐその返事を下さいと言っても御無理かもしれませんが、特に融資の枠の拡大もさることでありますけれども、全額融資について何とか便宜を図ってあげる、そういう形の推進方は検討できないものかどうか、ひとつ建設省からお答えをいただきたいと思います。
○鴨沢説明員 第一点の、老人同居世帯に対して政策上いろいろ配慮をしていくべきだという御指摘に対しましては、私ども全く同感でございまして、御指摘のように戦後絶対不足の中で、非常に質の面がなおざりになっておったという反省から、これらの老人同居世帯の優遇措置は大体四十七年ごろから開始をいたしております。そういうことで、今後ともこれらの世帯に対する措置につきましては十分に検討をして、努力してまいりたいと考えております。 第二点の、住宅金融公庫の融資につきまして、現在の割り増し貸し付けだけではなくて全額融資はどうかというお話でございますが、原資の問題もありましてそういうところまでなかなか大変かと存じますが、先ほども申し上げましたように、昭和五十四年度におきましては、金融公庫の融資は、老人のみではなく、多数家族同居の場合につきましてさらに割り増しをするというふうな形で、限度額の引き上げを図っておるところでありまして、今後とも、この問題の重要性にかんがみまして、先生の御意見を含めましてよく検討し、推進方に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○工藤(晃)委員(新自) 時間が参りましたので、最後に大臣にお聞きをいたしますが、建設省も先ほどからそういうような前向きに対応したいという御意見もありますし、またただいまの年金の還元融資、こういう資金源も一方においてあることでございますから、できるだけ実際に、そういう早く住みたいという方に家が建つような施策を、ひとつ建設省とか大蔵省とも大臣が御相談いただいて、その中で、一日も早くそういう三世代が一緒に住めるような、またそういう希望をされるような方々に実現できるような方法をひとつお考えいただきたい、こう思いますので、最後に御答弁をちょうだいしてやめます。
○橋本国務大臣 この三世代同居ということがお年寄りの幸せをつくり出すためにきわめて大切な施策であることは、これはもう御指摘のとおりであります。そして、前回の御指摘を受けて私どもいままで努力をしてきたわけでありますが、これから先も、関係省庁とも連携をとりながらなお一層の努力をしてまいりたい、そのように考えております。
○工藤(晃)委員(新自) よろしくお願いいたします。 終わります。
○森下委員長 次回は、明二十三日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十二分散会 ————◇—————