社会労働委員会 第8号
- 発言数
- 329 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1979/03/20
会議録
○森下委員長 これより会議を開きます。 村山富市君外九名提出、定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案を議題とし、提出者から提案理由の説明を聴取いたします。村山富市君。
○村山(富)議員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 戦後の日本では、男女ともに平均寿命が急速に伸びてきたことは、皆様御承知のとおりであります。 いまや五十代は、精神的にも技能的にも、最も成熟を遂げた働き盛りであります。にもかかわらず、五十五歳定年制、六十歳未満定年制が、明治時代の遺物のごとく、いまだに多数の大手企業に存続しているのは、時代錯誤もはなはだしいと申さなくてはなりません。 定年は少なくとも六十歳まで延長するようにと一昨年の国会で決議したにもかかわらず、まだ六十歳未満の企業が多く、特に大企業では、五十五歳にとどまっていたり、以前よりもかえって引き下げる企業さえ、数多く見受けられます。 有効求人倍率は、数年前から四十五歳以上では〇・二、五十五歳以上では〇・一程度にまで低下したまま、一向に改善されません。 つまり、五十五歳を超えて職を失った人が、再び職につくことは、象が針の穴を通るごとくむずかしくなっているのであります。 もはや、単なる行政指導などでは不十分であることが実証されております。定年は、法律によって当面六十歳まで延長することが、ぜひとも必要になっておるのであります。 また、四十歳以上の人々には、今日、雇い入れの窓口がほとんど閉ざされている実態を見ますと、雇い入れに当たっては、年齢を理由として、中高年齢者の雇い入れを拒んではならないということも、法律で定める必要が大きくなっておるのであります。 社会党は、このような状況にかんがみ、この法律案を提案する次第であります。 次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。 第一は、この法律の目的であります。 この法律は、高齢化社会における中高年齢者の雇用を確保し、六十歳未満の定年制及び中高年齢者の年齢を理由とする雇い入れの拒否を制限すること等により、その職業の安定を図ることを目的といたしております。 第二は、適用労働者等についてであります。 この法律は、船員、家事使用人等を除く労働者及び求職者に適用するものといたしております。なお、中高年齢者とは、四十歳以上、六十歳未満の労働者を言うものといたしました。 第三は、定年退職等の制限についてであります。 事業主は、六十歳未満の年齢を定年として労働者を退職させてはならないものといたしました。また、定年が定められていない場合も、事業主は、年齢を理由として、六十歳未満の労働者を退職させてはならないものといたしております。 第四は、雇い入れの拒否の制限についてであります。 事業主は、労働者の雇い入れに当たっては、年齢を理由として、中高年齢者の雇い入れを拒んではならないものといたしております。 ただし、小規模企業においては、すでに中高年齢者の雇用率がかなり高率になっているものも少なくない実態にかんがみ、事業所における年齢別の雇用構造に照らし、その事業の運営上やむを得ないものとして、一定数の労働者につき、年齢を雇い入れの条件とすることについて、公共職業安定所長の許可を受けたときは、この限りでないものといたしております。 第五は、職業紹介の拒否の禁止についてであります。 職業紹介事業者は、中高年齢者の年齢を理由として、職業を紹介することを拒んではならないものといたしております。 第六は、募集広告の制限についてであります。 事業主または職業紹介事業者は、労働者の募集または職業紹介に係る求職者の募集に際し、中高年齢者が除外されることとなる広告をしてはならないものといたしております。 第七は、不利益取り扱いの禁止についてであります。 事業主または職業紹介事業者は、労働者または求職者が行政機関に対し、第三または第五の規定に違反した旨の申し立てをしたことを理由として、その労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをし、または求職者に対して職業を紹介することを拒んではならないものといたしております。 第八は、特定職種についての特例に関してであります。 六十歳未満の年齢を定年として退職させることが、業務の遂行に必要とされる能力に照らし、やむを得ないものとして政令で定める職種については、退職、雇い入れの拒否等の制限の年齢六十歳未満を、政令で定める年齢未満とするものといたしております。 第九は、報告及び立入検査についてであります。 労働大臣または公共職業安定所長は、この法律の施行に必要な限度において、事業主または職業紹介事業者に対し、労働者の定年、雇い入れの拒否の状況について、報告を求め、またはその職員に、立ち入り、関係者に対して質問させ、もしくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができるものといたしております。 第十は、施行期日及び経過措置についてであります。 この法律は、一九八〇年四月一日から施行するものといたしております。なお施行の当初においては、適用対象者の上限年齢は五十八歳とし、以後上限を一歳ずつ逓増して、一九八二年四月一日から完全実施するものといたしております。 第十一は、定年等の引き下げ防止についてであります。 この法律の施行の際、現に就業規則、慣行等により、五十九歳以上の年齢を、定年その他の退職の理由としている事業主は、その年齢を引き下げることがないように努めなければならないことといたしております。 以上、この法律案の提案理由及びその内容について、御説明申し上げました。 この法律案は、いまや全有業者人口の七割を占める労働者の、きわめてつつましくも切実なる要望であることを十分に配慮され、御審議の上、速やかに御可決されんことを切望いたします。(拍手) ————◇—————
○森下委員長 次に、古寺宏君外三名提出、定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案を議題とし、提出者から提案理由の説明を聴取いたします。古寺宏君。
○古寺議員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 平均寿命の伸びによる労働力構成の高齢化現象が進んでいますが、労働省が発表した労働人口の推移の予測によると、中高年齢層の全労働人口に占める比率は、昭和五十年で三〇%であったのが、昭和六十年には四〇%を占めるようになります。このような推移の中で、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法で定めた高年齢者の雇用率六%以上の基準に達している企業はわずか二三%にすぎず、同法が全く精神規定にとどまっていることを示しています。また、労働省の高年齢者雇用実態調査で見ますと、高年齢者の雇用率は大企業ほど低く、千人以上の事業所では一人も雇用していないものが、三〇%にもなっています。しかも長期不況は、わが国の産業構造、貿易構造の転換と経済成長率低下の対応を企業に迫り、減量経営の進行とともに雇用へのしわ寄せは失業率の顕著な上昇となり、中高年齢者の失業を増大させています。 このように、高齢化社会への進行と中高年齢者雇用の状況から見て、中高年齢者雇用対策を充実することはきわめて緊要な課題となっています。そのため年齢による雇用の差別を禁止することを法制化する必要があり、それが定年延長につながり、雇用の安定、国民生活と社会の安定に寄与するものと考えるものであります。 以上が定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案を提案する理由であります。 次に、法案の概要について申し上げます。 第一に、この法律の目的は、六十五歳未満の定年制及び中高年齢者の年齢を理由として、事業主が雇い入れを拒否もしくは労働者を退職させることを制限することとしました。 第二に、この法律で中高年齢者とは四十五歳以上六十五歳未満の者と定めました。 第三に、事業主は、労働者の雇い入れに当たって、年齢を理由として中高年齢者の雇い入れを拒んではならないことといたしました。ただし、省令で定めるところにより、当該事業所における年齢別の雇用構造に照らし、当該事業の運営上やむを得ないものとして、一定の数の労働者につき年齢を雇い入れの条件とすることについて、公共職業安定所長の許可を受けたときは、この限りでないことといたしました。 第四に、事業を行う者が、年齢を理由として中高年齢者である求職者に対して職業紹介を拒否したり、または求人の場合に中高年齢者を除外する広告をしてはならないことといたしました。ただし、第三に述べた省令による制限の緩和規定を適用することができるものといたしました。 第五に、この法律で規定する定年退職等の制限、雇い入れの拒否の制限、職業紹介の拒否の禁止及び募集広告の制限等に違反した場合は、六カ月の懲役または三十万円以下の罰金に処することといたしました。 第六に、この法律は、昭和五十七年四月一日から施行することといたしました。 第七に、経過措置として、この法律中、六十五歳とあるものについては、当分の間、六十歳とすることといたしました。 以上が、この法案の骨子でありますが、何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。(拍手) ————◇—————
○森下委員長 次に、内閣提出、港湾労働法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。労働大臣栗原祐幸君。
○栗原国務大臣 ただいま議題となりました港湾労働法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 港湾労働法は、港湾運送に必要な労働力の確保と港湾労働者の雇用の安定その他福祉の増進を図るため、一定数の日雇港湾労働者を登録するとともに、優先的に雇用させることによって、港湾労働者の雇用の調整を行うことを目的として、昭和四十年に制定され、国民経済の発展に大きく寄与してまいりました。 しかしながら、近年、コンテナ輸送の増大等港湾における輸送革新が著しく進展し、港湾運送業務における日雇労働者への依存度が逐年低下しています。このため、登録日雇港湾労働者の就労機会が減少し、登録日雇港湾労働者に支給する雇用調整手当の収支状況もきわめて悪化しております。 このような情勢を背景として、港湾調整審議会から雇用調整手当制度について、立法措置を含め緊急にその改善策を講ずること等を内容とする建議が労働大臣に対して提出されたのであります。 政府といたしましては、登録日雇港湾労働者の雇用と生活の安定を図るとの立場からこの建議の趣旨を尊重し、港湾労働法を改正する必要があると考え、関係審議会に諮り、その答申に基づいて、この法律案を作成し、提案した次第であります。 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。第一は、登録日雇港湾労働者に対して、雇用保険法を適用し、日雇労働求職者給付金等が支給されるよう措置するものであります。 第二は、ただいま申し上げた措置に伴って、雇用調整手当と日雇労働求職者給付金等との調整が必要となるため、雇用調整手当の日額が日雇労働求職者給付金等の日額を上回る場合は、その差額に相当する雇用調整手当を支給することとする等所要の規定を設けるものであります。 なお、この法律案は、昭和五十四年十月一日から施行することとしております。 以上、港湾労働法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○森下委員長 これにて、三法律案の提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○森下委員長 次に、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山富市君。
○村山(富)委員 雇用問題につきましては、予算委員会の集中審議等を通じて、ほとんど問題は出尽くされたような感もございまするけれども、そうした審議経過を踏まえて、主要と思われる点の若干について御質問申し上げたいと思います。 石油ショック以後の不況の中で、雇用を安定させるためには、景気回復が第一だ、こういう立場から、景気回復政策を重点にとってまいりました。その成果も若干上がって、いま、緩やかではございまするけれども、景気回復の兆しは見えておると思うのです。ところが、景気は回復しつつありまするけれども、雇用問題は一向に改善をされない。 一つは、よく言われますように企業が減量経営を行っておる。ことし三月の決算は恐らく相当増収、増益になっているのではないかというふうにも言われておりますが、企業はこの不況の中でもうけておるにもかかわらず、雇用問題は一向に改善をされない、こういう事実が明らかになっておると思うのです。 同時に、これからの推移を見ましても、国際的な、たとえばイランの石油問題とかあるいは対中貿易の問題とか等々を勘案してみましても、国際的にも国内的にも余り大きな経済成長は期待できない。しかも、そうした経済の動向の中で、毎年毎年新規の学卒者が出てくる。あるいは農村も相当行き詰まっておりますから離農者がふえる。同時に、減量経営で吐き出される離職者がふえていく。こういう全体の動向を考えた場合に、雇用問題は一層厳しくなっていくのではないか。こういうことが想定をされるわけでありますが、そうした情勢を踏まえて、今後の見通しあるいは労働省の対処の方針等について、冒頭にお伺いをしたいと思うのです。
○栗原国務大臣 確かに村山さんのおっしゃったとおり、多少景気が回復の傾向にございますけれども、いろいろの事情を勘案いたしますと、雇用情勢は非常に厳しいということは事実でございます。減量経営というのが今後どういうふうになってくるかということが一つの大きな問題でございますが、しかし、減量経営は体質改善のためにやむにやまれずやったというものであるならば、むしろこれは企業の体質が改善されたわけでございますから、そういう意味ではこれからいい方向に向かっていくのではないか、体質改善ができたところにつきましては少なくとも悪い方向には向かわない、そういうことが言えるのではないかと考えております。 しかし、私どもは、当委員会で申し上げましたとおり、余力があるにもかかわらず減量経営を続ける、減量経営に藉口して人減らしをするということは、これはもう厳に戒めなければならないということから、関係の方面に強く要請をしておりますし、これからも強くこれを求めていきたいと考えております。 ただ、雇用情勢の厳しさに対してどう対処するかということになりますと、これも当委員会で毎々申し上げましたが、一つには経済成長というものを考えなければならぬ。イランその他等の問題がございますけれども、イラン情勢については注意はしなければならぬ、警戒はしなければならぬ、楽観は許しませんけれども、しかし当面の政府の施策といたしましては、石油等についても大口の節約はしない、こういうことでございまして、景気の動向については十分配慮をしていきたい。 それから、いわゆる造船業等の不況業種につきましては緊急の需要を創出する、あるいは公共事業の重点的配分をする、あるいは生活・福祉、医療・保健、教育・情報、そういった方面に対して力を入れていくというようなことで、雇用創出につきまして重点的な配慮をしていきたい。 なお、今回御提案申し上げております中高年齢者の給付金、これをフルに活用していく。その他、定年制の延長の問題あるいは高齢者の就業率を高めていく。いろいろの給付金と相まちまして、そういうことをしていきたいというふうに考えるわけでございます。
○村山(富)委員 本年度、労働省が十万人の雇用創出を打ち出して前向きの姿勢を示したことについては、先般も申し上げましたように評価することにやぶさかでないわけです。ただ、もちろん雇用創出を図っていくことも当面の緊急の課題ではございますけれども、やはりできるだけ失業者を出さない、離職者を出さない、これが大前提でなくちゃならぬと思うのです。 そこで、減量経営をやったことは企業の体質改善がなされた、したがって体質改善がなされて企業は収益を上げているけれども、しかし、これからさらに人員をふやしていくあるいは確保していくというようなことは、余り期待できないのではないかというふうに私は思うのです。その証拠に、景気は回復しつつあるけれども人員は逆に減っている、こういう現象があるわけです。しかもその現象は定着しつつあるわけです。したがって、必ずしも雇用問題にいい効果をもたらさないというふうに私は思っているわけです。 そこで、できるだけ失業者や離職者を出さないようにするためには、たびたび議論もされてまいりましたように、時間短縮や、週休二日制や、あるいは年休の完全実施や、定年延長等がやはり積極的に行われていくということでなければ、失業防止にはならぬというふうに思います。 国会でも一昨年、この定年延長やいま申し上げましたような問題を含めて決議をされておりますし、そうした経緯から考えてみましても、余り効果が上がっておらぬのではないかというふうに私には思われるわけであります。とりわけ、減量経営が定着をしてさらに一層強められる傾向にある、不況を背景にしながら体制的に合理化をかけてくる、こういう状況にあるだけに、この問題は労使だけの話し合いで解決できる問題ではない。ですから、たびたび言われておりますように、何らかの強制的な制度がやはり必要ではないかというふうに思われるわけでございます。 きょうも社会党、公明党から定年制やあるいは年齢による雇い入れ拒否の制限等についての提案をいたしましたけれども、こういうものを求めておる声は大変強いのではないかというふうに思うのでございますが、こうした問題と関連をして、労働省の考え方を聞きたいと思うのです。
○栗原国務大臣 減量経営が相変わらず続くのではないかという御指摘でございますが、問題は、企業のコストの問題と絶えず相関関係があると思うのです。そういう意味合いからいたしますと、私どもは、再々申し上げているとおり、余力があるのにもかかわらず減量経営をするということについては厳に慎んでもらいたい、ということを言っているわけでございます。 そして、法律でたとえば解雇規制をしろとか、あるいは定年制延長を法制化しろとか、あるいは年齢差別制限法をつくれという御議論でございますけれども、解雇につきましては、もう村山さん御案内のとおり、判例でも、恣意的な解雇というものは認めない、労働基準法とかあるいは労働組合法では一定の理由による解雇ということになっております。あとは、これはもうやむにやまれないものかどうかという判定は、使用者と労働者との間でお互いによく知っていることであって、それをこれは恣意的な解雇である、これはけしからないとか、それはよろしいとかということは、第三者がなかなか入れない問題でありますので、それを法律で規制をして減量経営を食いとめていく、解雇をとめていくということは、毎々申し上げているとおり適当でないと思います。 なお、定年制の法制化等の問題につきましても、これは結局コストの問題になりますので、例の年功序列の賃金体系あるいは退職金の問題あるいは人事管理の問題、こういった問題を法律で規制いたしましても、たとえば人事管理の面などというのは法律でなかなか規制できないわけですね。そういうようないろいろの面がございますので、これはやはり労使が定年制を延長するためにざっくばらんに話し合う、そういう体制をつくらない限りにおいてはこれはいけないのではないかというので、私も大臣になりましてから強く、いままでの行政指導を見直してみたらどうだ、本当に労働省としても行政指導をしたと思い切って皆さん方に言えるほどわれわれもがんばってみよう、いま国会中でございますけれども、できるだけ早く私みずからも行政指導の前線に立ってみたい、こう考えているわけでございます。 したがいまして、私どもは行政指導で徹底的にやってみなければならぬと考えておりますが、しかし、予算修正の際に各党の間からいろいろ御提案がありまして、自由民主党もそれぞれの党に対して御回答申し上げております。その中には法制化等々の問題もございますので、そういう自由民主党が各党に回答されました線につきましては、これは誠意を持って検討いたしまして適切な措置を講じたい、こう考えておる次第であります。
○村山(富)委員 できるだけ、法で規制をせずに労使が話し合いでもって解決するということが一番いいと私は思うのです。だけれども、先ほど来申し上げておりますように、実態から判断をしますと、たとえば、いつか私はこの委員会でも申し上げましたけれども、造船なんかの場合、もう逆に仕事を取り上げて、そして仕事がないのだないのだと言って裸にしておいて、そしてもう閉鎖か合理化か、こういうかっこうで来られましたら、これはもう労使が対等で話し合いできるような条件にならぬのですよ。そういう事態がこれからも起こることが心配されますから、したがって、この問題は単に労使間だけで解決できる問題ではない。 同時に、行政指導行政指導と言われますけれども、行政指導をやってきたにもかかわらず逆の現象さえ起っているわけですから、行政指導にも限界がある。 そういう全体の問題を判断した場合、やはり何らかの制度的な規制を加えていく必要があるのではないかと私は思うのです。これはいま大臣からも答弁がございましたように、与野党の話し合いの中で一定の方向も出されておるようでありますから、そうした方向についても今後十分検討していただくということで、これ以上申し上げても仕方がありませんから、そういう意見だけ申し上げておきます。 それからもう一つは、そうした深刻な雇用問題の中で、とりわけ当面一番深刻になっておるのは、さっきも提案申し上げましたけれども、中高年齢層の雇用問題だと思うのですね。これは集中審議の中でも重点的に取り上げられておりますのでくどくど申し上げませんけれども、ただ、中高年齢者の雇用率六%という努力目標を設定してあるわけです。努力目標を設定してあって、内容を分析しますと、千人以上の大企業についてきわめて悪い、中小企業が一方的にしわ寄せを受けている、こういう現象もありますね。そこで、これはやはり義務的に割り当てた方がいいのではないか、こういう意見もございますし、同時に、そうした非協力な企業に対しては企業名を公表したらどうか、こういう意見もございますね。そういう要求に対してあなた方のお答えは、まず行政指導を徹底する、そのためには、達成計画の作成を命令して、その実施状況等も踏まえながら勧告をする、こういう手段がありますから、そういう手続を踏んだ上で、こういう御答弁でございますけれども、実際に企業に対して作成計画を命令した事例というのはあるのですか。
○細野政府委員 高年齢者の雇用率の達成計画の作成命令でございますが、これはことしの一月早早に通達をいたしまして、この一月から三月までの間に計画の作成命令を出すように、安定所長に指示をいたしました。現在はまだその実施状況を把握しておりませんけれども、三月末で、各所の具体的な実施命令の発出状況を私どもは報告をとることにいたしております。(私語する者あり)
○森下委員長 お静かに願います。
○村山(富)委員 この三月に出すのですか。
○細野政府委員 一月から三月の間に出すようにという指示を、各安定所長にいたしておるわけでございます。
○村山(富)委員 一月から三月というと、もういま三月ですね。そうすると具体的に出しているところがあるのですか。
○細野政府委員 一応三月末で、各安定所から出した状況の報告をとることにいたしておりますので、現時点においてはまだ、現実に出ているかどうかという点についての把握はいたしておりません。
○村山(富)委員 これはいつかも言われましたように、五百人以下の企業の場合はほとんど雇用率をオーバーしているわけですね。ところが、千人以上の企業の場合にはわずかに三・九しかないわけでしょう。ですから大規模の企業がきわめて悪いわけですね。したがって、これはよほど厳しくしていただかないとなかなか努力目標は達成しないのではないかと私は思いますから、三月末に集計するなら集計したで、しっかり点検してやってもらいたいと思うのです。 そこで、この作成計画を出させる内容の問題ですけれども、たとえばこういう話も聞いているわけです。千人以上のAという企業がありますね。そして、そのAという企業が下請の企業に対して五〇%以上資本を占めておる。こういう企業に対しては、一つの企業グループとして一その下請をBとしますよ。そうしますと、AとBと合算をして六%に達成すればいい、こういう内容のものですか。どうなんですか。
○細野政府委員 単に親企業、下請企業という関係にあるというだけではなくて、その企業自体の実態が、親企業との間に同一企業と見てもいいような関係があるということと、もう一つは高年齢者の雇用率についての特別の配慮をしている実績があるという、この二つの要素を見まして、親企業と同一とみなしていいというふうに見られる場合について、これをいまおっしゃるように合算をしていこうということで、無制限に下請なら何でも合算しようという趣旨ではございません。
○村山(富)委員 いや、それは無制限でないでしょうから、やはり一応基準、物差しがあるのでしょう。その一つの中身を言ってください。
○田淵説明員 特例的な取り扱いをすることとしております子会社の基準としましては、具体的には、資本金の全部または大部分が親会社の出資によるものであることという要件、それから常用の高年齢者を多数雇用している子会社であること、それから三番目に親会社との経済的、組織的な関連性が緊密であること、たとえば子会社の役員に親会社の役員または従業員が選任されているというような場合、それから特に高齢者を雇うために特別の配慮をしてつくった会社であること、こういう要件がございまして、子会社全部を対象にするわけではございませんで、本来なら親会社の中で、ある部門は高齢者向きの職場だから一つの部として置けるような性格のものを、その親会社ではなかなか定年以上まで置けないような場合に、一応形だけ別会社にして、高齢者の職場を広げるという努力を特別に企業がしている場合に特例的に認める、こういう趣旨のものでございます。
○村山(富)委員 それはしかし、そういう内容のものを出先がもらったとき、出先でそういう判断がつきますかね。たとえば具体的な例を申し上げますよ。これは企業名を挙げませんけれどもね。いま言いましたようにAという親会社が六〇%資本を占めておるというような、大部分ですね、占めておる。そして、Aという企業からBという下請の企業に社長以下役員を全部送り込んでおる。だけれども、内容的には一応別会社になっておる。こういうことを考えた場合に、このAとBとを含めて六%達成すればいい、こういうようなことになるのですか。
○田淵説明員 この子会社の取り扱いは、身体障害者の雇用率の算定の場合にも同じような配慮をいたしておりまして、お尋ねのような場合には子会社と認めることができると思いますが、最後に申し上げました、高齢者のための作業施設や作業設備を特別に改善して、高齢者の職場をつくるためにつくった会社であるかどうかということがポイントだろうと思います。 それにつきましては、具体的に一々申請をさせまして、安定所の方でそれを認定して特別に認めたものだけを、届け出たものを全部認めるのではなくして、届け出て、こちらが特別に承認したものだけを子会社として取り扱うという判断を下しておりまして、身体障害者の場合にも全国では数件しか実際には出ておりません。
○村山(富)委員 いま言いましたように、たとえばAならAという親企業が五十五歳定年をしいていて、五十五歳以上でやめさせる。こうした場合に、そうした者のはけ口としてどこかに下請を設けてやる。こういう場合には、それも含めて六%ということになるというのですね。
○細野政府委員 先ほど業務指導課長から申し上げましたように、単にいまのお話のようなものが該当するというのではなくて、特別に高年齢者のために作業施設なり作業設備を改善する等の、高年齢者の雇用に特別な配慮がなされているかどうかということも一つの大きなメルクマールになっておるわけでありまして、その運用も、先ほど申し上げましたように身体障害者の場合においても現実には数件しか該当がないというふうなくらいの、厳しい運用をしているわけでございまして、この高年齢者についても同様の運用をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○村山(富)委員 そこらはやはり、もっときちっとしていただく必要があるのではないか。そうしないと、さっきから何回も言っていますように、大企業が比較的減量経営が達成されて、その減量経営のしわ寄せが全部下請中小企業にいく、こういう傾向になるような指導をしているわけですからね、それは大変な問題だと思うのですよ。そんなことでは、幾ら六%の努力目標を設定しても達成されぬのはあたりまえなんで、大企業が一番悪いのですから、大企業を重点に中高年者を雇い入れさせるという方向の規制を加えていかないとならぬのではないかと思いますから、この点はひとつ強く要請しておきます。そうした事態を考えてみましても、単なる行政指導だけでは、あるいは努力目標だけではなかなか達成し得ないと思いますから、身障者と同じような制度をつくるかあるいは法律でもって規制するか、何かを加えていく必要があるのではないかということも、一面の理由として私は強く要請しておきたいと思うのです。 それから次に、今度の予算に雇用問題の政策会議をつくることになっていますね。この雇用問題の政策会議は、労働三団体の方からも、こういうものにしてもらいたい、こういう要請の文書も出ておるようでございますが、そうした労働三団体の要請等を勘案しながら、これから、その雇用問題政策会議というのは、どういう目的で、どういう構成で、どのような運営をしていくのか、その概要についてちょっとお聞きしたいと思うのです。
○細野政府委員 雇用問題政策会議は、御指摘のように来年度の予算の中に盛り込まれているものでございますが、とりあえずの私どもの考え方は、労働者、事業主、学識経験者等国民各界から、雇用政策について広く意見を求める、衆知を結集していこうじゃないか、それによって雇用政策を前進させていこうというのが一つの面でございます。同時に、雇用政策に対します国民の理解と協力を求めていきたいという、二つの面を持ちまして、特に私どもは、総理大臣等主要な閣僚の方にも御出席をいただいて、雇用問題に対する政府の全体としての認識も深めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。 そういう意味で、これが十分な機能を果たすかどうかという点につきましては、先ほどお話がございましたように、各界からのいろいろな御要望もございますので、そういう点も十分踏まえながらいかなければいかぬと思っておりますが、同時に、御案内のように雇用発展職種研究開発委員会というふうな雇用創出についての専門家の委員会等も、この五十四年度予算の中に盛り込まれているわけでございまして、こういうものや、あるいは関係のいろいろな審議会等を総合的に活用しまして、全体として有効な雇用創出のための対策が作成され、推進されていくというふうにやってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○村山(富)委員 労働省が考えている全体の構想をちょっと聞いておきたいと思うのですが、いま申し上げましたように、雇用問題政策会議というのがつくられますね。それから一方では、十万人の雇用創出というのが出されておる。そしてもう一つには、雇用発展職種研究開発委員会というのがつくられる。こういう三つのものは、どういう関連があってどういうふうに推し進めていくのか、ちょっと具体的に説明してくれませんか。
○細野政府委員 雇用問題政策会議はいま申し上げたとおりでございますが、一方の雇用発展職種研究開発委員会は、今後雇用の増加が見込まれる職種あるいは、もう少し広い意味での業種的なものというものがどんなところであろうか、それからそういう分野に対応して、雇用政策の方向としてどういうことが今後新たに必要かどうかというふうなことについて、専門家によって検討をしていただきまして、私どもが具体的な施策を企画し、立案する場合の参考としてやらせていただきたい、こういう考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、現在、たとえばいま御指摘の十万人の雇用創出というふうな、現在決まっている中高年雇用開発給付金その他のものの具体的な運用等につきましては、たとえば現在ございます中央職業安定審議会で現在も御検討いただいているわけでございますが、そういうものとか、あるいはもっと大きな議論ということになれば、先ほど申し上げました雇用問題政策会議等においてその御意見を伺っていくというふうなこともございます。それぞれの分野に応じて、それぞれの会議なり審議会というものが連携をとって活用されていく、いま申し上げた委員会なり審議会なりあるいは政策会議なりというものがばらばらに運営されるということのないようにしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○村山(富)委員 職業安定審議会もありますし、いろいろ機関をつくることは結構ですけれども、ただ、十万人の雇用開発というのは、いまお話がございましたように中高年の開発給付金ですか、これを充てながら何とか十万人の雇用は確保したい、こういうことですね。そしてなおかつ新しく創出できるような職場、分野等々についても研究していくというのが研究開発委員会、そしてこれからの雇用政策全体の問題についていろいろ議論をしていくのが雇用問題政策会議、こういうことになるわけですね。要するにこれは、全体として雇用の創出をどう図っていくか、あるいは雇用の安定等をどう確保していくのかということが全体的な課題だと思うのです。こうしたものを推進することによって、いま申し上げましたような問題に関連をして、どのような効果を期待していいわけですか。
○細野政府委員 たとえば、十万人の雇用創出にかかわります中高年雇用開発給付金等などは、現行の制度自体もかなり現在、PRが徹底してきましたせいもありまして活用されておりまして、これを御案内のように期間なり助成率なりを大幅に拡充しますから、私どもは、かなり活用されて、所期の見通しあるいは目標というものの実現が可能なのではなかろうか、また可能にしなければいかぬというふうに考えているわけでございます。 しかし、やや中長期的に見ますと、先ほど先生からもお話がございましたように、今後とも高年齢者の層というものはだんだん厚くなっていくわけですから、そういう方々が、単に開発給付金があればどこかに就職できるさということではなくて、もう少し具体的に、どういう分野というものが高年齢者の方々あるいは中高年の方々を採用していただけるような分野として期待できるか、あるいはそういうふうに結びつけていくためにはどうしたらいいかというふうな問題についても、今後十分考えておかなければいかぬのではなかろうか、そういう観点で、私どもは、いまやっております施策に加えて、新しい見通しなり、あるいはそれに基づく対策なり、あるいはこれに対応する職業訓練のあり方というようなものを中長期的に対応していくとか、いろいろな面についての効果をいま申し上げました諸会議、諸委員会の中に期待をしているわけでございます。
○村山(富)委員 中高年の雇用率六%の達成の問題にしても、目標は策定したけれども、実際には力の強い企業がしり抜けになって、しわ寄せが中小企業にくる、こういう事態があるように、単なるこういう経過でこういう努力をしましたというだけでは意味がないので、やはり実効が上がらなければ意味がないわけですから、したがってこれからの問題ですから、各団体、とりわけ労働組合等の意見も十分吸い上げて生かしていただけるように、心から要請しておきたいと思います。 そこで、現状もそうですけれども、これからの雇用の拡大というものを考えた場合に、どういう分野に拡大できるだろうかということを想定しますと、大体第三次産業分野が一番可能性が多いのではないかというふうに言われておりますね。たとえば私的なサービス業、最近喫茶店やあるいはラーメン屋、そういう中小零細のサービス業がふえていますが、こういう私的なサービス業あるいは企業のサービス事業等々、私的な機関だけではなくて社会的なサービス事業、たとえば都市環境の改善とかあるいは医療保健、教育等の生活関連公共サービス部面、あるいは福祉サービスといったような部面に、積極的に雇用の拡大を図る必要があるのではないか。これはたしか藤井労働大臣のときに、そういう構想を出して提言をした文書も拝見したことがございますけれども、これは単なる作文に終わってしまったのではないかというふうな気がいたします。これは単なる名目だけではなくて、具体的に雇用創出を図ることが可能な分野だし、それがまた国民生活を引き上げていく、水準を高めていく要素にもなるわけですし、日本の国は高度成長の中でも一番そういう部面が立ちおくれているわけですから、したがってそういう立ちおくれている部面をこの際充足して、雇用の拡大を図っていこうという積極的な努力が必要ではないか。そのためには単なる提言で終わるのではなくて、計画的に、政策的に、政府全体が取り組んで実行していく、こういう条件をつくることが必要だと思うのですけれども、そこらについては大臣、どうですか。
○栗原国務大臣 お説のとおりでございまして、今度の五十四年度予算でも、医療保健、生活環境あるいは教育情報、そういった部面につきましては、関係省庁とよく連絡をとりまして、それなりの予算を組んだつもりでございます。しかも、いままではばらばらでございましたけれども、大蔵省がその点については大変積極的な取りまとめをやってくれましたし、私どももそういうことができ得ますように十分注意をし、見守ってきたわけでございます。そういう意味では、満足ではないかもしれませんけれども、しかし、ことしの予算の中にはそういった部面が相当含まれておるというふうに思います。 なお、これだけでは十分ではございませんので、さらにその精神を公的部門だけでなしに民間部門の方にも持っていきたい、こういうふうに考えております。
○村山(富)委員 これはやはり労働省が主体になって関係各省と十分詰めて、そして本年度は何名ぐらい増員ができるというようなところまで政策的に推し進めていくような気迫がないと、単なる話だけで終わる可能性がありますから、ひとつそういう点は今後十分腹を据えてかかっていただきたいというふうに思います。 〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕 そこで次に、これはいつかも問題になりましたけれども、いま申しましたように、雇用の拡大される部面というのは主として第三次産業部面が多いわけです。これは製造部面で離職をした人たちの大部分が第三次産業分野に吸収されておる、こういう傾向にあると思うのです。この第三次産業部面だけではなくて、とりわけ製造業においても、臨時工とか季節工とかパートタイマーとかあるいは社外工とか請負工とか、そういう言うならば臨時、日雇いといったような不安定な労働者の層がふえているということは、もうはっきり言えると私は思うのです。 そこで、こうした不安定な労働者は現行制度の適用が非常にしにくいという部面がございますね。これは労働組合の組織もないし、首切りも自由ですし、首切りが自由だから、結局そういうことになるわけです。ですから、減量経営というのは、もう必要な最小限度の常用しか抱えない、そして繁忙期には臨時で雇う、弾力性を持って職員の運用ができるように措置をする、こういう方針をとっていますから、したがって減量経営が徹底するし、その減量経営になった部面で吐き出される層は、そういう日雇いとか臨時とかいったような不安定雇用でもって働かされておる、こういう状況になっておるのが現状じゃないかと思うのです。この現状は、やはり企業の体質改善が志向されている限りにおいては、ある意味では一層推し進められていくのではないかというふうにも考えられるわけです。こうした部面に対応するいままでの労働諸法規というものは、なかなか適用しにくい条件にあったのではないか。だから現に、たとえば時間外勤務にしても実際三六協定なんかしておるところはないですよ。そして労働基準法もあるいは社会保険も全部適用除外、こういうことになっておる労働者が大変多いのです。これはやはり、これからの大きな一つの課題ではないかというふうにも私は思うのですけれども、こういう現状に対してどういうふうに把握していますか。
○岩崎政府委員 いま先生御指摘の臨時、パートあるいは季節工その他いろいろな雇用形態がありますが、御案内のように労働基準法あるいは最低賃金法、労働安全衛生法というような労働保護法規は、雇用形態のいかんを問わず、全労働者に対して適用があるという法制上のたてまえは当然のことでございます。 ただ、いま御指摘のようなそれぞれの雇用形態等におきまして、必ずしもそれが十分に機能していないじゃないかというような御指摘がございますが、私どもも、雇用の確保ということは、単なる雇用の量の確保ということではなしに、質もまた確保されなければならないという基本的な考え方に立ちまして、従来ともに、その労働基準監督指導行政に努めてまいっておるところでございます。 ただ、最近いろいろな、臨時、パートというようなものの雇用形態あるいはその実態というようなものが、必ずしも十分な把握が私どもにもできていないといううらみがございますので、これは来年度この関係の実態調査を十分にしたいと思っております。 また、私どもの監督指導方針といたしましても、特に第三次産業等においてそういう雇用実態が多く予想されます、また、私どももそういうことであろうというふうに認識はしておりますが、そういう面につきまして、先ほど申し上げた雇用の質の確保という観点から、監督指導については計画的、重点的にその監督指導を強めてまいりたいという基本方針で臨みたいと考えております。
○村山(富)委員 いまある各種の労働、社会立法なんかがそういう労働者にも適用されるというのは当然なんですよ。適用されるにもかかわらず、現状では全然適用らち外に置かれておる、あるいは谷間に置かれておるというのが現状じゃないかと思うのです。こういう労働者がどういう状況になっているかというのはつかんでいますか。
○岩崎政府委員 私が所掌しております労働基準関係でまいりますと、労災補償保険などというものは当然適用になります。ただ、健康保険あるいは厚生年金それから雇用保険というような面でどういうようなことになっているかという問題も、先生御指摘のようにあろうかと存じます。先ほど申し上げましたように、実態を十分に把握するために、私どもそういう観点からの調査を早急にいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○村山(富)委員 さっきも触れましたように、たとえばいままでは主としてサービス業とかあるいは中小零細企業とかそういう分野に多かったのです。ところが、いまは減量経営ですから、大企業もそういう方針をとっておるわけですよ。そして、臨時で賄えるようなものあるいは需給の見通しが明確でないような企業等々については、最小限度の必要な人員だけを抱えておって、そして弾力的に雇用の運用ができるようにするために臨時や日雇いで賄っておる、あるいは下請で賄っておる、こういう雇用形態にいまはなっていますからね。したがって、製造業を中心とした大企業の分野の中にもこういう層がふえているのではないかと思うのです。したがってここは、いま言う労働法規やらあるいは社会保険関係等々、いまある制度の恩恵は現実に受けていないわけですから、そういう層が多いわけですから、したがって、そういう層に対しては——私は何も、小さな家族的な業者とか何かの分野を言っているわけじゃないのですよ。そういう大企業の分野にまで広がってふえていますから、そういう層はやはり見逃してはいけない。だから、ここらはもっときちっと、労働安全衛生の問題もあるでしょうし、あるいは社会保険の関係もあるでしょうし、あるいは超過勤務の関係もあるでしょうし、いろいろな問題がありますから、もう少しいまの法がきちっと適用できるような体制に指導していく必要があるのではないかということを言っているわけですが、どうですか、その点。
○岩崎政府委員 大企業、中小企業等におきましてたとえば臨時、パート等がございましても、その就業規則あるいは労働協約というものが、労働組合に入っていないということになると別でございますけれども、就業規則等はそういった労働者にも適用されるものとして制定されていなければならないたてまえでございます。したがいまして、そういった場合に、たとえば時間外労働等が必要だということになりますれば、これは当然その企業、事業場における全労働者の過半数の労働者代表と協定がなされなければならない。その中には適用対象として当然臨時、パート等も含まれるわけでございますから、三六協定による時間外労働というものを的確に行わなければならないということは当然でございます。 ただ、何と申しましても、いわゆる常用労働者につきましては、賃金形態等におきましてもたびたび指摘されますように年功序列制の賃金形態であるし、また退職金等もあるというようなこととの関係において、一種の事業の繁閑の調節弁と言っては語弊があるかもしれませんが、そういうものとして臨時とかパートとかいうような雇用形態が一部とられているということを、企業の実態から申しますと、必ずしもそれが即、悪であるというふうに否定し切れない点もあると思います。それからまた、労働者の側といたしましてもあるいは、やはり毎日パートの形でもって雇用される、あるいは短期間の雇用を望むというような労働者の方の志向もないとは言えません。したがいまして、そういった点の総合的な絡み合いの中で、実際は労働組合があれば、そういう労働者も含めて本来労使間でもって労働条件その他が決定されるべき性質のものだと思いますが、私どもといたしましても、監督指導の面から実態の把握に今後とも十分努めまして、そういった面でのしかるべき監督指導を強めてまいりたいと存じます。
○村山(富)委員 さっきから何遍も言っていますように、当然いまの諸法規が適用される分野ですね。ところが、現実には全く谷間にあって適用されておらない。この種のものは、いままでは主として組織された常用労働者等々を対象に考えられていました。したがって、そのらち外にあるものは対象外になっていたわけです。その対象外になった層がふえているから、これは私は悪だとは思いませんよ。雇われる方の必要によって私は半日しか働けませんという者もあるわけですから、悪いとは言わないわけです。しかし、そういう者がえてして法のらち外に置かれて何らの保護も受けられておらない、こういう条件のことは許されないんじゃないか。だから監督指導をもっと徹底して、基準法違反があれば是正させる、改めさせるということの指導が必要なんですね。これから現状調査をして把握するなんということも、本当を言いましたら問題だと私は思うのです。日常常に現状把握をして適切な指導をするために監督署はあるわけだから、それをやらなければならぬのがやられていないわけです。 したがって、これは緊急の課題として、これからもっと積極的にそういう分野にまで手が伸べられるように、そしてそういう条件に置かれている労働者が十分法の保護も受けられるし、一人前の条件の中で働けるという環境になるように指導すべきではないかと私は思うのです。大臣、その点はどうですか。
○栗原国務大臣 経済の実態に即応して、労働基準監督署の監督も重点を移していかなければならないと思いますので、いまのお話につきましてはよく検討いたしまして対処いたしたい、こう思います。
○村山(富)委員 これは遅まきながら、これから十分やっていただく必要があると思いますから、積極的に取り組んでいただきたいと思うのです。 最後に、いままで国会の中でも雇用問題が一番中心課題として議論されてきているところなんですけれども、地方の基準局や監督署あるいは職業安定所等々が、いまの客観的な社会的要請に十分こたえるだけの体制になっておらないということを率直に指摘せざるを得ないと思うのです。このことは、たとえば中央労働基準審議会あるいは中央職業安定審議会等々の審議会からも、たびたび、労働基準行政職員の増員に関する要望とか、あるいは公共職業安定所の体制の確立強化についてという建議も出されております。同時に、衆参両院の社会労働委員会では事あるごとに附帯決議の中に取り入れておるわけですし、とりわけ職業安定所の問題等については、地方議会からも、自治法に基づいて議会で議決をして、意見書も数多く出されています。こうした審議会等の要望や建議あるいは国会における委員会の附帯決議、地方議会の意見書等々を、大蔵省や行政管理庁はどういうふうに受けとめているわけですか。
○安原説明員 ただいま労働省の定員問題についてのお尋ねでございましたが、その前に、国家公務員の定員管理の全体の考え方についてちょっと申し述べたいと存じます。 国家公務員の定員管理の基本的な考え方でございますが、総定員法に基づきまして管理しているわけでございますが、全体として、財政状況が非常に厳しいものがございますし、それから行政に対して効率性が求められているわけでございます。こういう見地から、行政事務を進めていきます上で、できるだけ合理化を図っていくという姿勢をとっております。一方で、新しい行政ニーズが生じてまいりますので、それに対応して、円滑に事務を処理できるという要員も確保しなければならない、そういう合理化の推進と所要の増員の確保、こういうことで、全体として定員管理をやっているわけでございます。 御指摘の労働省の定員の問題につきましては、最近における厳しい雇用情勢を踏まえまして、われわれとしても、厳しい中にあってできるだけの努力は払っていかなければいかぬというぐあいに考えている次第でございます。各界からの御要望があることも十分承知いたしておりますが、全体の厳しい中で、われわれとしても最大限の努力を払っているということは御理解いただきたいと思います。 数字について申しますと、たとえば五十二年度は、全体として労働省の定員は、定員削減と増員とを差し引きいたしまして七十九名の減でございましたが、五十三年度には差し引き三名の減、五十四年度には定員削減と増員が同数でございまして、差し引きゼロということで、このことからも、努力しているということは御理解いただけると思います。 その中にありまして、特に安定官署につきましては重点的に配意しているところでございまして、たとえば五十四年度におきましては全体として二十二名の増員をしましたほか、さらに相談員につきまして、特定不況地域、特定不況業種対策を強力に推進していきますために、五百名の相談員の雇用ができるように予算措置をいたしているところでございます。 全体としてそんなところでございます。
○武智説明員 お答えいたします。 行政管理庁といたしましても、ただいま大蔵省の主計官が答弁されたのと同じでございます。 正直申しまして、毎年度毎年度、労働省の職業安定所あるいはその末端の基準監督署、そういうところで業務が非常に厳しいということを聞いております。その厳しいことに対応いたしまして、それらの実態等を聞いた上で相当の増員措置を講じておるところでございますけれども、ただいま主計官が言われたとおり、国家公務員全体に対する定員削減が相当厳しいという状況もございまして、ただいま言いましたとおり相当の増員をやっておるわけでございますが、先生御指摘のような、かなり末端で苦しいというような状況になっておるのではなかろうかと思います。 われわれとしましては、今後とも、安定所なり基準監督署の必要な業務量、その特性等に応じまして、所要の措置を講じていきたいというふうに考えておるところでございます。
○村山(富)委員 私が冒頭に聞きましたのは、そういう審議会や何かの建議やら要望あるいは議会の附帯決議、地方議会の意見書等々は、ああ来たなという程度に受けとめておるのか、どういう扱いをしておるわけですか。それを聞いているわけです。
○武智説明員 地方の陳情書なり国会の両議院における附帯決議等につきましては、われわれも十分上司にも上げておりますし、われわれが内部で定員の査定等をやる場合にも、そういうことを議論しながら十分配慮しておるところでございます。
○安原説明員 ただいま行政管理庁の方から御答弁ありましたと同じでございまして、各界の御要望を承りまして、それで労働省とも十分協議しながら、厳しい中で最大限の努力をしているというのが現状でございます。
○村山(富)委員 これは単なる陳情書じゃないのですよ。地方議会の意見書というのは、地方自治法に基づいてちゃんと手続をやって出てきておるわけですからね。だから単なる陳情書の扱いをされたのでは困りますよ。同時に、国会の決議なんというものは陳情書と同じ扱いですか。これはどうなんですか。
○武智説明員 お答えいたします。 われわれとしましては、国会の決議あるいは地方自治法九十九条に基づきますものにつきましては、決して一般の陳情書並みに扱っておるわけではございませんで、そういうことが出てきた背景等も十分考えた上で、対応いたしておる次第でございます。
○村山(富)委員 そこで、先ほど大蔵省から説明がありましたけれども、四十三年から五十四年、現在までのこの推移を見ますと、全体として二千三百十五名の減員になっているわけですね。これは全体として間違いないですね。本省も出先も全部含めて、二千三百十五名の減員になっておるわけです。これは、さっき説明があった国家公務員の定員管理の考え方がわからないわけじゃないのですよ。しかし、画一的でなくて、やはりその社会的なニードというものは変わっていくわけですから、したがって、その必要度に応じて必要な人員は確保していくのが当然な話であって、そういう考え方でやられてきたと思うのだけれども、しかし、労働省に関する限りは、これはもう四十五年から四十六年、四十七年、ずっとそうですけれども、毎年五百名近くの人員減になっておるわけですね。ここで人員ががくっと落ち込んでおるわけですよ。しかも、さっきからお話がございましたように、職安関係やあるいは基準局関係や、当然しなければならないことがされてない分野がたくさんあるわけです。そのことによって、たとえば安全衛生の問題なんかについては、最近重大事故の発生も死亡者なんかはふえていますよ。もっと安全衛生が徹底していれば事故を防げたわけです。安全衛生が徹底されないために事故が起きる。その事故者に対して、労災の給付をするとか、またいろいろな負担をかけなければならぬ。ですから、全体で職員を削減をして経費の節減を図ったことが、結果的には大変な負担になっているというようなこともあり得るわけですから、そういう意味における仕事の分野というものは労働省関係が一番多いのではないか、ほかの分野もあるでしょうけれども、多いのではないかと私は思うのです。 さっきここで、不安定労働者がふえておるというふうに申しましたけれども、どんどん不安定労働者はふえていますよ。これは当然いまの諸保護法の適用を受ける、該当する労働者なんですよ。それが、指導が徹底しないためにあるいは監督が徹底しないために、全く谷間に置かれて何らの保護も受けておらない、首切りも自由だ、こういう状況に放置されている。そういうところは、さっきこれから調査してやりますという話がございましたけれども、しかし、いまの基準局の定員やあるいは安定所の定員では、そういう分野にまで徹底してやり得ないと私は思うのです。人員から考えてそういう能力はないですよ。そういう状況になっておるのですね。そして、いまお話がございましたように、ことし特に特定不況地域とか何かの相談員をふやしたり、あるいは安定所の職員をふやしたりするようなお話もございましたけれども、一方で、必要なところには多少定員増をしているわけです、職員をふやしているわけですが、ところがもう一方の裏側では削減計画がありますから、その削減計画とプラスマイナスすると、五十四年度はゼロになっておるわけでしょう。しかも職安関係がわずか二十一名ふえていますね。いま全国に職業安定所というのは大体六百カ所くらいあるのでしょう。この六百カ所に対して二十一名ふやしても、どういうふうに配置しますか。実際言いまして、もらった労働省の方は配置するのに困るのじゃないかと思いますよ。そして、こういう社会的ニーズの高い客観情勢の中で、この程度の人員でもって十分、いや、とても十分とまではいきませんね、ある程度最小限のことができるかできないか、こう判断した場合に、職安業務にしてもあるいは基準局業務にしてもまだまだ無理がある、こういうふうに私は思うのです。そこらはどういうふうにあなたは実態を考えていますか。査定をしたりいろいろしているはずですから、わかるでしょう。
○武智説明員 お答え申し上げます。 先生の御指摘のとおり、この十年間で二千人強減少しておるのは事実でございます。これは先ほども申し上げましたとおり、四十三年度から第一次定員削減をやり始めまして、現在も続いておるわけでございますが、その間に、労働省で四千五百四十九人の定員削減がございます。その間に同じく増員措置も、それぞれ必要性に応じまして二千五百五人したわけでございますけれども、結果として、四十三年から五十三年までとりますと、全体で二千四十四人の減というようになっておるわけでございます。 ただ、先生も御承知だと思いますけれども、削減につきましては同じところでやるわけでございませんで、それぞれその過程におきまして、労働保険の徴収の一元化ですとか、あるいは失業の認定回数の短縮だとか、そういうふうないろんな合理化を伴うと同時に、あるいはまた庶務系統で合理化を図っていく、一方安定所の窓口はふやす、あるいは基準監督署の監督官につきましては、毎年毎年、少ないと言いますがわれわれとしては最大限やっていると思いますが、三十人ずつふやしていくというようなことを考えまして、対応いたしておるわけでございます。 〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕 確かに厳しい情勢であるとわれわれも思っておりますが、一方では定員管理の、公務員全体の定数を抑えるというような一方の厳しさもございますので、その両者の中におきまして、われわれとしては最大限の努力をいたしておるところでございます。
○村山(富)委員 最大限の努力をしていないとは申しませんけれども、結果的に見ればそういうことになっているわけでしょう。 これは職安関係だけを見ましても、失業の予防と雇用の安定とか、あるいは失業者の生活の安定と再就職の促進とか、こういう意味における各種の給付金がありますけれども、その給付金は百一種類ありますね。これは私どもも何遍説明を聞いてもなかなかわからないわけですよ。ですからある意味からしますと、こういう繁雑さがやはり効果を上げ得ない一因にもなっているんじゃないかと私は思います。ですから、整理して見直しをするところは見直して、もっとわかりやすく使いやすいようなものに、改善できるものは改善してもらいたいと思うのです。そういう意味の合理化を当然やっていただかなければならぬと思いますけれども、しかし決定的に不足しているのはやはり人員だと私は思います。もっと人があれば利用者に徹底もできるし、もっと親切に指導もできるし、もっとこの制度が活用できると思う。だけれども、人が足りないばかりに、知らない事業主もたくさんあるとか、あるいは教え方が不徹底であったとか、あるいはめんどうが見れなかったとかというような部面も、安定所の中でも起こり得るわけですよ。したがって、安定所にしても監督署にしても、いまの事業分野、いまの仕事量、やらなければならぬこと等から考えた場合に、私はほとんどと言っていいぐらいに不可能な状況にあるんじゃないかというふうに思いますよ。これは現状のままでずっていきますよ。ずっていくけれども、ある意味では、ずっていくしわ寄せは全部対象者が受けるわけですからね。 そういったものを考えた場合に、効率効率と言いますけれども、さっきもちょっと言いましたように、もっとここを徹底すればこんなことはなかったのに、徹底しないばっかりに問題が起こった、それで結果的には大変な負担になったという、どっちが効率的でどっちが経済的かわからぬようなところがありますよ。ですから、そういう点も十分勘案をしていただいて、やはり現状を率直に認識をしていただいく必要最小限の人員は当然確保するよう努めていただきたい。 いま言いましたように、一方ではなるほど、社会的ニードはここにあるからここへ人員をふやす必要があるなといって人員をふやす、だけれども裏側では、削減計画があるから人を減らす、表を見たところが何のことはないプラス・マイナス・ゼロだ、これでは人員増になっていないじゃないですか。ですから、画一的に枠をはめて人員の削減を図るのではなくて、そうした実情をにらみ合わせ、結果を考えて、どっちが効率的かということを十分判断をして、やはり必要な人員は人員として確保させてもらう必要があると私は思うのです。 さっきからちょっと議論しました、いま不安定で谷間に置かれておる労働者の実態調査をするとかいう話、これはよく計算をしてみますと、そうした全事業場を監督指導するためにはいまの人員では二十年かかるというのですね。全部の事業場に一回行くのに二十年かかるというのですね。ですから、これは不徹底になるのは当然ですよ。労働省、いまの監督署やらあるいは基準局やら職安の職員の定員でもって、いままで大臣が答弁されたり局長が答弁されたことについて、これはできぬとは言えぬでしょうけれども、大変むずかしいんじゃないですか。どうですか。
○栗原国務大臣 御指摘のとおり、労働省の職員が好況のときには非常に減った、それが続いておった、いまになって、非常に経済の変動に伴って、むしろ労働省の職員を動員させなければならない、そこへもってきて、政府全体としての行政機構の簡素化というものとぶつかっておりますので、そのジレンマがいろいろ出ておる、特に労働行政に強く出ているということは、御指摘のとおりだと思います。 きょうは行管や大蔵省の方からも担当の方が見えておりますけれども、この方々でお答えをするのはいささか問題が大き過ぎまして、私も国務大臣といたしますれば、労働省の中の問題というよりも政府全体の問題といたしまして、いま村山先生からのお話は御激励、御鞭撻の言葉と聞きまして、これから私もいろいろ現地を見さしていただきますから、その上でしかるべき発言はいたしたいと思います。 ただ問題は、いまの機構でも本当にこれ以上のことをできないのかどうか、もっと合理化はできないのか、もっと効率化できないのかどうかというのが、同時に大きな課題だと思うのです。人さえふやせばそれによって効率が上がるという考え方は、この際厳に慎まなければならない。そういう意味でも、現地に出向きまして、実態を私の目で見て、その上でいろいろ対処いたしたい、こう考えます。
○村山(富)委員 もう時間になりましたからやめますけれども、改善できる点はもちろん改善してもらわなければならぬですね。そして、行政的に合理化の必要なところは合理化する必要があるでしょう。だけれども、それはやはり限度があるわけですから、したがって、その限度を踏まえた上で、いまの社会的ニードに最小限、私は最大限とは言いませんよ、最小限こたえ得る人員の確保というものは当然必要ではないか、こういうふうに思いますから、きょう大蔵省や行管から来られている方にそうした問題を求めたって、これは一つの枠の中で答弁するわけですから無理でしょうけれども、そういう意見が強く委員会で議論されておったという実態も十分認識をされて、今後、予算の査定についてもあるいは職員増による適正な職員の配置についてはひとつ十分配慮していただいて、来年はある程度人員が確保できるということを期待して、私は質問を終わります。
○森下委員長 次に、矢山有作君。
○矢山委員 最初にちょっと、いまの村山さんの質疑に関連をして一、二伺っておきたいのです。 まず労働省の方が、いまの職業安定所だとかあるいは労働基準監督署あたりの定員の状態と業務量との関係をどう認識しておるのかというのが、この問題の私は一番中心だろうと思うのですよ。そこで労働省の方で、いまの定員の状況、業務量の状況で、職業安定所の本来の業務が十分果たせると考えておるのか、あるいは労働基準監督署の仕事が果たせると考えておるのか、その点を私はまず伺っておきたいと思うのです。
○宮川説明員 たびたびお話しございますように、労働行政は確かに人と人との行政でございます。安定所の職業紹介しかり、それから監督署の災害防止の関係も全くそのとおりでございます。そういう意味では、事務の簡素化あるいは合理化、職員の再配置等には努めておりますが、それにもおのずから限度がございまして、当然増員もお願いしなければならないところではございます。 ただ、先ほどもお話しございましたように、この十数年にわたりまして二千三百十五名という減員がございましたけれども、その内訳を見てみますと比較的前のお話でございまして、この一両年はかなりの関係省庁の御理解を得ている、そう考えております。今後ともその方向でぜひ努力してまいりたい、そう考えております。
○矢山委員 それから、たとえば中央職業安定審議会というのは、職安法の十二条で法定をされた審議会ですね。そこから出る建議というものを一体どうとらえておるんですか。ただ単なる、地方自治体からの意見書だとかあるいはいろいろな方面からの陳情だとかいうのとは、全然性格が違うと私は思うのです。
○細野政府委員 審議会から出されました意見につきましては、私どもはこれを尊重いたしまして、行政の実態に十分反映させるように努力をしているところでございます。
○矢山委員 いままで建議が、三十三年以来私がちょっと知っておるだけでも、まず三十三年にあったでしょう、それから三十六年にあった、四十一年にあった、四十八年にあった、五十三年にあった。これは中央職業安定審議会のことを言っているわけですが、いつの場合にも、定員と業務量とはアンバランスがあり過ぎる、職安としての本来の業務が果たせてないと、非常にきつく建議をされているわけです。そういうふうにたびたび建議が繰り返されておる。しかも一つ事についてですね。それが実際において実現をされないで、見ておると定員はだんだん減ってくる、そうして業務量は反対にふえてくる、そういう状態の中で、建議を尊重していますということにはならぬと思うのです。口先だけで片づく問題じゃないですからね。
○細野政府委員 先ほど秘書課長からもお答え申し上げましたように、職業安定行政におきましては御存じのように、大型電子計算機を導入いたしましていろいろな業務の合理化、簡素化あるいは効率化というふうなことも、一面において、これも私どもは相当内部的な努力をしているつもりでございまして、そういう側面と、それからいま御指摘の、新しくふえてくる業務量との調和を図りながら、必要な人員の確保に努力をしているところでございます。特に、先ほど来お話しございましたように、ここ一両年につきましては、職業安定行政につきましてかなり関係各省庁の御理解を得て配慮をされてきたところではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○矢山委員 それがなかなかそうはいきませんよ。きょうは基準監督行政のことについては余り触れませんけれども、基準監督行政の面から見ても、記憶がはっきりしないのですが、いまの陣容ではたしか全事業所の四、五%しかカバーできてないはずです。そういう状態で、労働基準行政というのが運営されると考えておられるのかということです。 それからまた、職安の問題で言うと、四十八年九月に行われた建議ですけれども、ここまで言っていますよ。「また、今後の失業保険の五人未満事業所への全面適用に伴う業務量増についても、いわゆるトータルシステムの導入により対処し、極力増員をおさえる等、可能な分野については、極力機械化、合理化を行なっており、も早や業務の簡素化を行ないうる余地は殆どないものと認められる。また公共職業安定所が失業保険等義務的業務の処理に追われ、職業紹介機関としての機能を十分に果していない現状については、上述したとおりである。政府はこの際公共職業安定所の職員を積極的に増員し、今後の社会・経済の変動に伴う新たな事態の発生に対処する体制を早急に整備する必要がある。」あなたがいまおっしゃった、極力機械化を進めておる、そのことをちゃんと認識した上に立って、その機械化を進めてもなおかつ、いまの実態では職業安定所の本来の業務を果たし得ていないんだ、だから増員が必要なんだ、ここまで指摘しているのですよ。だから、いまや、機械だとか何だとかいうことではごまかし切れぬところまで来ているんじゃないですか。
○細野政府委員 先生御指摘のように、機械化による合理化というものが相当進んでいることも事実でございます。しかし同時に、先ほど来申しましたように、そういうことも踏まえまして、最近関係省の御理解を得て安定所関係につきまして増員に実効を上げていただいておりますほか、先ほどこれも大蔵省の方から御説明ございましたけれども、相談員制度というようなものを非常に大きく取り入れていただきまして、安定所の専任の職員が、相談等によって職業紹介とか本来の業務に手が回りかねる、そういう事態のないように、本来の業務に専心できるような体制も逐次とりつつある、どういう状況でございます。
○矢山委員 大臣、事務当局の言うことを聞いておったら、これは進みませんよ。局長あたりは全然現場の実態を知ってないのだ。幾ら機械化したって、求人開拓だとか職業紹介なんというのは機械化できないのですよ。その地域にどういう事業所があるか、そこの事業所はどういう人を求めておるのか、どの程度の人を求めておるのか、こういったことをきちっと把握した上に立って、そして職業相談に来る人に対しては、それに果たして向くのかどうか、これをやらなければならない。まさに対人業務そのものですから、機械化の余地はないのですよ。私は地元の職業安定所へときどき行っていろいろ話を聞くのだけれども、もうどうにもならないと言っておるわけです。職業紹介なんというのはできません、日常の認定業務その他に追われて、手いっぱいだと言っておるわけですよ。そういう実態を認識してない人たちをあなたは抱えてこれからの労働行政をやるのだから、そういう認識をそのままそのとおりだと思ってやっていたのでは、あなたが幾ら気張っても大したことはできませんよ。あなたは先ほど、これは一行政管理庁あるいは大蔵省のきょう見えている方々だけの問題ではない、まさに政府それ自体の問題だとおっしゃったけれども、いまの雇用・失業情勢の厳しい実態を見ればまさにそのとおりなんです。総定員法の問題もあるけれども、しかしそれに縛られておって、実態に即応しないような行政をやっているのでは話にならぬわけですから、あなたみずから、静岡にも職業安定所や労働基準監督署はあるでしょうから、そこへ少し出向いていって、そして実際の職員の話をよく聞かれて、本気で取り組まれた方がいいのじゃないですか。どうですかね。
○栗原国務大臣 私、先ほど申し上げましたとおり、現場をよく見た上で自分自身の判断を固め、政府部内で発言をいたしたい、こう考えております。 ただ、政府の方は審議会のあれを尊重しないのじゃないかという御意見ですが、私は詭弁を言うわけじゃございませんが、そういう審議会の非常に強い要望があるから、まあまあ労働省の定員といいますか、ほかの省はどんどん削減されますね、それが削減されない、プラス・マイナス・ゼロというようになったのには、消極的な意味があると思います。ですから、審議会の答申そのものにはいかなかったけれども、審議会の答申というものは消極的な意味で相当効果もあったし、われわれは審議会の答申というものを今度はさらに前向きに前進させるように努力をいたしたい、こう考えております。
○矢山委員 あなたは積極的な方だから、審議会の建議の消極面だけで満足しないで、ひとつ積極的にこの問題を解決するために努力していただきたいと思います。 この問題でいつまでもやっておっても仕方がありませんので、次に話を移します。 現在の雇用・失業の情勢についてどういうふうな認識を持っておられるか、総論的な意味でお聞きしておきたいと思います。
○細野政府委員 現在、雇用・失業情勢は、景気自体が回復の足取りがやや確実なものとなってきつつあるというふうなことを反映しまして、一部に、たとえば求人がふえ、かつその求人の中身も常用求人の増加率がふえる、あるいは求人の出てくる企業も規模別に見てだんだん大きい方にいくというふうな、明るい面も出てきております。しかし全体として見ますと、これがなかなか失業者の減に結びつかないという基本的な問題がございますし、それから安定所の窓口におきます求人倍率、これも有効で見ます限り、繰り越しの求職者というものが相当数ございますので、したがいまして、たとえば一時の〇・五かすかすみたいな状況からようやく〇・六台、それも〇・六五くらいのところまでに現在来ておりますが、しかし、依然として求職の大幅超過であるという点については変わっていないわけであります。 そういう意味で、先ほどもいろいろ御議論ございましたように、今後の経済情勢自体につきましても大きくかつてのような高度成長的なものを期待するということは困難である、そのほかの不安要因もいろいろあるというふうなことを考えますと、やはりここしばらく雇用・失業情勢につきましては楽観を許さない状況が続くというふうに考えているわけでございます。
○栗原国務大臣 これは、私が答えた方が適当だと思いますから申し上げます。 いま局長も言いましたけれども、若干景気に明るさは見えておりますけれども、依然として構造不況業種というのは残っておる、これは一体どうするか。それから、労働人口というものが非常にふえてきておる、したがって新規就職者数よりもむしろ労働人口の方が多いので、そこら辺の者がなかなか埋まっていかない、特に婦人労働が大幅に出てくる、こういう観点からいきますと、これはなかなか問題だ。その上、御案内のとおり高年齢者の雇用、高年齢社会に向かいまして高年齢者をどう雇用するかという、きわめて重大な問題が横たわっております。 そういう意味で、私どもは諸般の施策を講じて雇用の拡大に努めなければならぬけれども、ここ当分は相当厳しい状態が続く、こういうような認識でございます。
○矢山委員 多少景気回復の兆しが見えて雇用状況も回復しつつあるのじゃないかという認識もあるようですけれども、しかし、先ほど大臣もおっしゃったように、そういった状態の中でいろいろ注目しなければならぬ現象が起こっておるし、さらに、最近の企業の状態を見ておると、やはり過剰雇用が相当あるということを強調しておるわけですよ。私どもはそれほど過剰雇用があるというふうには思われないのだけれども、企業の側あるいはいろいろな民間調査機関の調査なんかを見ると、過剰雇用が相当あるということを盛んに言っておるようですね。そこへもってきて構造不況種等を中心として産業再編成が進む、こういう情勢があるようですから、雇用情勢というのは決して楽観を許さない問題があるのではないかというふうに私は考えておるわけです。したがって、いまの雇用・失業の情勢の中の特徴的な問題をとらえながら、それなりの適切な手を打っていただかなきゃならぬのじゃないかと思いますが、そういう雇用・失業情勢の特徴的な問題は何かということは、もう議論しなくても皆さんおわかりだと思いますから、そういう議論は省いて、次のことをお伺いしたいのです。 こういう情勢の中で、雇用対策としてこれまでいろいろな制度が採用されて、いろいろな給付金が出されておるわけですね。この間、私の手元に少しばかり資料をいただいて調べてみたのですが、その各種給付金の運用の実態というのは、予算と実績との乖離が非常に大きいということが露骨に出ておるわけです。これを見ておると、果たしてこういう制度が雇用の面でどういうふうな役割りを果たしておるのだろうかということに、疑問を持たざるを得ないわけです。と同時に、どうしてこういうふうな予算と実績との乖離が出てくるのか、その原因は何かということについてもやはり検討する必要があるのじゃないかと思うのですが、こういう点、どういうふうにお考えになっていますか。
○細野政府委員 雇用対策関係の各種給付金もいろいろございまして、たとえば職業転換給付金関係などはかなり活用されて、予算と実績の問にそれほどの乖離はないというふうに考えておるわけでございますが、主として御指摘の問題は雇用安定事業、雇用改善事業等についての御指摘でないかと思うわけでございます。 雇用安定事業につきましては、たとえば雇用調整給付金等は、制度発足当初の昭和五十年ごろにおきましては、むしろ予算を数倍上回るような活用がされているというふうな実績もございまして、もともと安定事業の中の給付金自体はかなり景気の動向によりまして波動の大きい給付というふうに考えられて、したがって安定資金というふうな制度が準備をされているわけでございます。そういう意味で、ある程度の波動性あるいはあるときにどっと出てあるときにはほとんど使われない、そういうふうな性格が出てくるのはやむを得ないのじゃなかろうか、こう思うわけでございます。たとえばいまの雇調金で申し上げますと、最近休業という形での雇用調整というものが現実に減っておりまして、したがいまして、この制度自体が予定しているような経済の実態自体が少なくなっている。これは別の統計によっても明らかでございまして、そういう意味で、雇用調整の形態が変化したのに伴って利用度が下がっている、こういう側面が一部の給付についてはあるわけでございます。 しかしながら、たとえば定年延長奨励金等の雇用改善事業関係について見ますと、やはり景気が停滞化したことに伴って、高度成長のときに比べて定年延長の延びるテンポがおくれてきているというふうなことが、この給付金関係にも影響が出てきているという側面もございます。 それから一方の問題、たとえば事業転換関係のものにつきましては、これは訓練が絡まっているというようなこともございまして、それに対する対応がなかなか企業側で、制度が発足してそう日がたっていないということもありまして、十分にいかなかったというふうな側面もございます。 しかし共通して言えます点は、この給付金についての周知徹底が足りていない、これが知られていないという面もかなり大きなウエートを持っているというふうに考えるわけでございます。 そういうことで、いろいろな原因が考えられるわけでございますが、特に最後に申し上げましたこの制度の周知徹底等につきましては、この給付金の内容の改善と相まちまして、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○矢山委員 ところが、局長、この雇用安定だ、雇用改善だ、いろいろと給付金はたくさんあるのですが、一体幾つぐらいあって、その中身はどうなっているか、御存じですか。
○細野政府委員 詳しい要件の細かいところまでは私も十分承知してない点もございますけれども、給付金の内容についてはおおむね理解をしているつもりでございます。
○矢山委員 それは優秀な局長ですわ。私はこの間地元の職業安定所へ行きまして、一体いまごろ給付金というのがたくさんあるが、どういうふうなのがあって、この支給条件なり支給対象はどうなっているのか、ちょっと教えてくれぬかと言うたら、いや、わしらもようわからぬと言うのです。つまり、局長は優秀だから御存じなんだろうけれども、私が聞くところ、百ぐらいあるというのだね。それで、どの給付金がどの場合にどう使われるのかという、そういうことが恐らく専門の職業安定所の職員にわからぬぐらいだから、ましていわんや、利用する方の側の事業主や労働者にわかるわけがないのです。(「わかっちゃ困るからわからないようにしてある」と呼ぶ者あり)わかつちゃ困るからわからないようにしてあるという話もありますが、そうなると、これは利用せいと言ったって、利用のしょうがないのじゃないですか。だから私は、やはりいろいろな給付金をこしらえる、また状況が変わったから、その上にまた制度をつくって新しい給付金を積み上げていく、そういうやり方をしておったのではだめなんじゃないか。だからここらあたりで、百に及ぶと言われる各種給付金を全部洗い直してみて、そして事業主や利用者によくわかりやすいような体系に整備をし直す、こういうことをもうそろそろ考えてもいいのじゃないですか。これは私は何か座談会の記事か何かを読んでおったら、労働省の局長さんもそんなことをちょっと言われておったようですが、これは言うだけでなしに、やはり……(「つくった者がわからぬのだ」と呼ぶ者あり)つくった者がわからぬというのじゃ困るわけだから、全部洗い直して整備をしてみたらどうですか。
○細野政府委員 私事を申し上げて恐縮なんでございますけれども、私が十年前に職業安定局の課長をやりましたときに、真っ先に、この給付金の数が多過ぎて、これを何とか整理統合できないかということが、実は私の最初に検討を始めた問題でございまして、そのときにもある程度努力をいたしましたが、同時にいろいろ検討している過程で、必要なものもまたふえまして、結局、整理したものとふえたものとの差し引きは余り変わらなかったというふうな記憶がございます。 現在あります給付金の中にも、いま御指摘のように、確かに種類が多過ぎてこれを一遍に暗記しようといったってなかなかむずかしいというのは、御指摘のとおりでございます。 ただ問題は、たとえば雇用奨励金をとってみますと、この奨励金を出す場合の要件の違いごとにその名前が一つずつついている。したがって、同じ雇用奨励金でありながら、率直に申しまして八つほど同じ雇用奨励金があるのですが、これなんかは、むしろ扱いやすいことから言えば、同じ雇用奨励金でも、その取り扱いの内容、要件の違いごとに名前が違っていることの方が、まあ実体的にそれほど変わらないかもしれませんけれども、覚えもやすいし扱いもしやすいのじゃなかろうか。そういうふうな面での合理化というものを今後まず手をつけるべきじゃないか、こういうことを現在検討しているわけでございます。 それから、現在ほとんど使われてないけれども経済情勢が変わると使われるというふうなものもございまして、それぞれがいろいろな事情に基づいてそれぞれの関係の方々の御要望によってできているものでございますから、一遍にばっとなかなかいかない面はございますけれども、しかし、今後についてもなかなか利用が少ないといったものについてどうするか、この辺は利害関係の方ともよく相談いたしまして、先生御指摘のように、今後どうするかについても十分考えてまいりたい。そういう意味で、一方において整理統合、合理化というふうな措置を進めてまいりたい。 それからもう一つは、確かに数は多いのですけれども、たとえば高年齢者を雇うときに使う給付金とか、あるいは人を移動させるときに必要な給付金とか、そういうふうに事項を限定すると実は二つか三つしかないということでございまして、そういう意味では、現にすでにやっておりますけれども、そういう場合別に応じて給付金を整理しまして、こういうときに事業主にお使いいただく給付金、こういうときに労働者側がもらえる給付金、そういうふうに事項と対象を限定すると、それぞれの項目にはまるというのは大体二つか三つということでございまして、そういう意味での整理した簡単な表みたいなものをつくっておりまして、したがって、お見えいただいた利用者の方の態様に応じて、その表を見ると、給付金の種類と大まかなその内容と要件が書いてあるというふうなことを、各安定所も実は工夫をいたしております。ですから、いきなり百種を見たときに比べますと、現実にはかなり、利用上不便の生じないような措置は本省も考えておりますし、それから各府県、各安定所も、自分のところで頻繁に使われるものについて特にそういうふうな工夫をしているというふうな、そういう事情もございまして、ある程度の利用には支障のないような体制はできているのじゃなかろうか、こう思っておるわけであります。 しかし、冒頭申しましたように、とにかく、最初見ただけでうんざりするほどたくさん数があるという点は御指摘のとおりでございまして、今後ともその内容をよく検討いたしまして、その合理化、それから利用の便利なような方法をいろいろな角度から検討してまいりたい、こう思っておるわけでございます。
○矢山委員 あなた正直におっしゃったように、十年も前から、これは複雑多岐でとてもじゃないが大変だということだけは認識しておられたわけですから、そうすれば、やはりこの段階では、私は、それぞれ利害関係もあろうしそういう点はわかりますけれども、やはり、そういったいままでの問題が損なわれぬような形で、整理統合していくということは可能であろうと思います。そうしてまた、その中で支給条件等の緩和もやらなければならぬだろうし、あるいは手続の簡素化もやらなければならぬだろうし、こういうことはぜひ積極的に推進してもらいたいと思う。 それから、いまおっしゃったように、安定所なんかでいろいろ工夫して、一覧表なんかにしてわかりやすくしているということをやっているのです。ところがやっておっても、それを見た方の側がさっぱりわからないのです。安定所が少しでもわかりやすくしようという気持ちでやる、しかしせっかくやってもらいながら、利用者の方は見たって何が何だかわからない。ところで、わからないから相談したい、じゃいらっしゃい、相談に乗りましょう、これはこうなんですよ、この場合はこうなんですよと言って、親切に相談に乗っていくほどの余裕が、いまそれぞれの安定所にもないというのが実態なんです。それは先ほど言いましたように職員の数が非常に少ないことに関係してくるわけですから、そういう実態なんだということを十分御認識の上で、この問題には積極的に対処していただきたい。お約束いただきましたから、それがなされるだろうという期待を持って見守っておりたいと思います。 それから次に、雇用対策のためのいろいろな給付金は、事業主に給付するものと労働者が受け取るものとあるわけです。ところが全体をずっとながめてみると、事業主に給付するものが支配的になっているわけです。その効果は、現実の雇用・失業の実態から見るときに、雇用安定や失業防止に必ずしも役立っているとは言えない面があると私は思う。むしろ逆に、企業側が減量経営の推進や産業再編成のために労働者を解雇する際に、できるだけ摩擦をなくしてスムーズに解雇していくための有用な役割りを果たしているのではないか。こういう面が多分にあると私は思っているわけです。 というのは、たとえば一つの例を挙げますと、雇用調整給付金というものがある。会社が非常に不況でやりにくくなったので一時帰休をやっていく、そして調整金を受ける。そうすると、そういう事態はどういう事態かというと、労働者の方は、そういう事態で会社が雇用調整金を受けて一時帰休をやらなければいかぬような状態になった、それを労働者も労働組合の方も受けざるを得ないということになる。そうすると、そこではもう賃上げどころの話ではなくなってくるわけですね。それからまた、そういうことをやったことによって、労働者も労働組合自体も、うちの企業には過剰人員がおるのだ、おれたち本工も余っているうちなんだ、こういうことになってしまうわけですね。そしてそのうちに、それをやっていると、今度その次に出てくるのは、雇用調整給付金をもらってやったがもうどうにもならぬ、やめてくれぬか、こうなってくるわけです。そうすると、そのときはもう何の抵抗もなしにすっと解雇されていくわけです。そういうのが現実の問題として起こっているわけです。 そういうふうに見てくると、この各種給付金の制度というのは必ずしも労働者の立場に立ってのみ役立っておるのではない。私は労働者の立場に立って役立っておる面を否定するものでありません。ありませんが、それ以上に、減量経営を強行しようとするあるいは産業再編成の中でこれを進めていこうとする企業側にとっては、解雇をスムーズにやっていくための有用な手段にされておる、こういうような面が強いのだということを認識をしておっていただかぬと、すこぶる問題ではないかと私は思うわけであります。 この点については、もう一つ問題点が指摘されております。 たとえば日本女子大学に佐藤進という教授がおるのですが、この人あたりに言わせると、雇用促進のためとは言っても、労働者に現金給付をする仕組みではなしに、企業に現金給付することがどんどん拡大されていくことは、雇用保険法の範囲内の問題だとは言いながらも問題があることは否定できないのではないか、こういうふうな指摘をしておるわけです。 私もそう思うのです。一番大切なことは、職を失って生活におびえている者の生活保障をやることが非常に重要な問題だと思うのです。その点が第二義的な扱いを受けて、そして事業主に対する給付金がどんどん支配的な立場を占めてくる、これは非常に問題があると私は思う。まさに、そういう方向は解雇をスムーズにやっていく意図以外の何ものでもない、そういう感じがするのですが、どうなんでしょう。
○細野政府委員 たとえば雇用保険自体をとってみても、雇用保険の給付が非常に充実されればされたほど、いわば事業主が解雇がしやすくなるという側面が全然ないとは言い切れないわけでございまして、したがって先生も御指摘のように、失業者対策の制度は、強いて言えば二面性というのはどうしても必然的に伴うものであるという点は、私どもも否定できないと思います。 ただ先生も御案内のように、保険関係の中で特に事業主側に給付する給付が非常に多いというのは御指摘のとおりでございますが、これは、事業主側だけの保険料負担の中で設けられている雇用安定事業なり雇用安定資金なりという制度そのものが、一般の保険給付の関係に加わっておりますから、どうしても給付の種類から言うと御指摘のようなことになるわけでございます。したがって、こういう雇用安定事業を含めて四事業みたいなものがどんどん拡大していくという点については、保険制度全体の問題として一つの問題があると思います。 そういう意味で、先ほど佐藤進教授のお話がございましたけれども、社会保障制度審議会におきましても、こういうものがどんどんふえることについては一考を要すべきだという御指摘もございました。たとえば今度の四事業関係の保険料率について弾力条項を設けたというのも、ある意味ではそういう意味の、ここが野放図にふえていくことに対する一つの考え方、対処の仕方でもあるという考え方で、四事業関係でございますが、私どもは今回保険料率についての弾力条項を設けた、こういう経緯も一つあるわけでございます。
○矢山委員 事業主に対する給付金は雇用主側の負担において行われておるのだということはわかりますけれども、しかしそう言いながら、そういうやり方をやることが解雇につながっていくという面が非常に大きいということも注目しなければならぬ、こう私は言っているわけです。先ほども言ったことの繰り返しになりますが、やはり中心は失業者の生活保障になければならぬわけですから、そこのところが抜けて、企業側にしてみれば解雇がやりやすくなるような、その地ならしをするためのいろいろな給付金がどんどんふえてくる、ここに問題があると思うのです。これは主義、主張の立場を超えて、やはり人間が生きていくための問題として考えるべき問題だと私は思うのです。 だからこれは、労働大臣にも、いまの制度がそういう側面を持っておるんだということは十分に認識をしていただきながら、失業者を出さないためにどうするのか、これが第一義的な問題ですから、そこに施策の焦点を当てて考えていく。どうしても失業をした者についてはその生活保障と、さらに雇用の機会を拡大して就職を促進していくという問題が出てくるわけですから、その点については十分認識を持って対処していただかなければならぬと思うのですがね。
○栗原国務大臣 いま局長からも言ったように、二面性があると思うのです。雇用維持といろいろの安定事業、調整事業、そういうものがあると思うのです。ただ同時に、俗に言うだんだんと安楽死させるといいますか、そういうかっこうのことにもなるのではないかというのは、流れを見ているとそういうふうにもとれると思うのです。ただ問題は、景気が悪ければしょせん企業は減量経営をやるでしょう。その場合に、こういう制度があることによって人減らしがやりやすくなるという面はあるけれども、もしこれがなかったら、もう非常にショッキングな形で減量経営が行われるという側面もまた出てくると思うのです。ですからどこまでも、いま矢山さんの言ったとおり、失業者を出さないための方策をどうするか、そこら辺に焦点をしぼって、制度そのものがわき道にそれないように十分に注意をしていきたいと考えております。
○矢山委員 そこで、失業者をできるだけ出さないというのが雇用政策の第一の重要な課題だろうと思うのです。そうすれば、私は、いまのように過剰雇用が盛んに強調され産業再編成が進む中で、失業問題というのは重大な局面に立っておると思いますから、そういう点でやはり失業防止のために解雇規制の法的措置というものを考えなければいけないのじゃないか、こういうふうに思っておるのです。 これはもう御承知のように、一九五一年には西ドイツで解雇制限法ができていますね。それからフランスでは一九六八年に解雇保証に関する全国協定ができまして、それを基礎にして七三年に個別的な解雇規制法、それから七五年には経済的理由による集団的解雇規制法、こういったものができておるわけです。そしてそれぞれ、社会的に不当な解雇は無効だとかあるいは実質的かつ重大な理由がなければ解雇をしちゃならぬとか、かなり厳しい解雇規制の措置をとっているわけです。だからこの点、わが国においても、いまの深刻な雇用・失業状態から考えたら、積極的に考えるべき問題じゃないかと思うのですが、どうでしょうね。
○細野政府委員 外国の立法例についての御指摘がございましたので、若干私から御説明申し上げまして、大臣からまたお答えがあると思います。 外国の立法例を見ますと、確かに先生御指摘のように、解雇にかかわる立法が最近各国において行われたというのは事実でございますが、しかし、達観してみますと、たとえばアメリカ、イタリアなんかはまだ協約だけでやっておる状況でございますし、それからスウェーデンなんかは労働者の代表へ通知するというだけのものでございます。西独、イギリス、フランス等も労働者代表や行政機関へ通知するという規定が中心でございまして、少なくとも解雇そのものは、たとえばフランスの場合でも届け出後三十日を経て効力を発生するというふうになっておりまして、経営に問題が生じて人員整理等を行わなければならない場合について、行政機関の介入によってその効力を否定するというふうな立法例はないわけでございまして、そういう意味で言いますと、日本におきましては、たとえば基準法における解雇予告の制度とか、あるいは御存じの雇用対策法におきます大量解雇の届け出制度とか、解雇の基準そのものが労働条件として、単に協議ではなくて、まさに団体交渉の対象事項になっているというふうな労働組合法の考え方、こういうものを総合して考え、また最近のように、判例の積み重ねによりまして日本におきましても権利乱用の理論が発達しておりまして、そういう意味での解雇権の乱用というものは許されないという、判例自体が積み重なってきておるわけでございまして、全体的に見て、各国の立法例から見て日本の法律制度が不備であるというふうには考えられないと私ども思っておるわけでございます。 なお、その解雇規制そのものについてのあれは大臣から……。
○栗原国務大臣 各党の方から解雇規制ということについての強い御要請もございますので、私も私なりにいろいろ調べてみたのでありますが、結論的に言うと、いま政府委員から申し述べたとおり、諸外国の解雇規制というものは解雇そのものを規制するというよりも解雇の手続を整備する、そういうふうに見た方が素直ではないかというふうに考えておるわけです。 しかも、先ほど矢山さんからもお話がありましたとおり、過剰労働力を企業が抱えておるということ、これはどういうことかというと、いろいろ言われるけれども、日本の雇用慣行というものの中に諸外国と違ったものがあるということの一つの証左でもあろうと思います。そういった経営実態を考えてみますと、いま労働基準法あるいは労働組合法による一定理由による解雇という法律的な規制がありますし、また判例も恣意的な解雇は認めないということになっておる。やむを得ずやるという場合には、その経営実態を一番よく知っているのは労使である、したがって労使において十分話し合いをする。しかも解雇の当否が争われるときには労働委員会でいろいろやれる。こういうような現行制度というものはおおむね妥当ではないか。 ただ、いまのように俗に言う減量経営というものが行われているときでございますので、余力があるのに減量経営をする、人減らしをする、減量経営に藉口する、そういうものについては厳しく行政側としても受けとめて、企業側に社会的責任を強く求めていくという態度でおるわけでございます。
○矢山委員 いま資本主義の世の中ですから、したがって解雇を全面的に禁止しろと言ったって、それはできないと私ども思うのです。しかし、たやすく解雇ができないような形で、解雇に対して相当な規制をしていくということは考えてもいいのじゃないか。なるほど判例が出ているとおっしゃるけれども、しかしそれだけでは問題は処理できないのじゃないか。というのは、これは一般論ですから、具体的な例を挙げて言うわけじゃないですから、その点は御了解いただかなければならぬけれども、たとえば昨年の九月期の決算状況というのは、それぞれの企業の決算内容は非常に好転しているわけです。引き続いてことしの三月期の決算では、四十八年水準を上回るほどの利潤を企業は上げておると言われているわけですね。それだけ利益を上げながら、しかも、今後もどんどん減量経営の方向で解雇が進んでいくのじゃないかというおそれがあるわけです。そうなると、具体的に見なければわからぬけれども、解雇に対してある程度の歯どめをする立法措置を考える。あなたがおっしゃったいわゆる解雇に至るまでの手続を厳しくするとか、そういったことは立法として考えてもいいのじゃないですか。
○細野政府委員 先ほど申しましたように、手続面から言うと、日本の現在の制度は必ずしも各国の例に劣らない、むしろ進んでいる面もあるぐらいでございまして、そういう意味で、これ以上の手続というものが必要かどうか、ひとつ私ども今後とも検討しなければならぬと思います。 それから同時に、製造業の場合を中心にして、その雇用労働者の数が、最近減り方自体のテンポはだいぶ鈍ってまいりましたけれども、たとえば毎月勤労統計なんかによる常用雇用の対前年同月の増減率で見ますと、まだ三角が立っておるというふうな状況でございます。ただこれは、解雇という形で行われているというよりも、欠員を補充しないというふうなやり方で行われている場合が大部分でございまして、いわゆる解雇というような形で行われているのは、御存じの造船あるいは金属、鉱山その他の一部の産業が非常に目につく。そのほかの産業ですと、業界全体というよりもむしろ個別の企業の例でございます。 そういうふうに思いますと、結局欠員不補充というのは、これまた解雇規制その他の手段によって規制することがとてもできない性質のものでございまして、いずれにしましても、今後とも検討すべき問題かとは思いますけれども、すぐ何か措置をとらなければならないという、そういう性質のものではないのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
○矢山委員 時間が迫られておりますから、その議論はそれとして、私とあなたの見解ではある程度平行線のようですが、しかし私どもは、いまのこの解雇の実情を見るときにある程度の解雇規制は要ると考えておりますし、それからもう一つは、憲法二十七条というのがあります。「すべて國民は、動勢の権利を有し、義務を負ふ。」この規定がある。これは憲法二十五条に「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む権利を有する。」とあります、これの一つの形態として、労働権を保障しているわけですね。それから労働基準法の第一条に「人たるに値する生活を営むための必要を充たすべき」労働条件、こういうことを言っているわけですが、その労働条件の中には解雇も含まれておるのだというのが通説なんです。そうすると、労働基準法に解雇一般についての制限規定を設けるということは、むしろ私は当然なんじゃないか。それを欠くことはかえって逆に、憲法二十七条の第二項に勤労条件の法定の原則が定めてありますね、第二項というのは「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」、この勤労条件は法定をするということの原則が規定されておるわけですが、これから相反するのではないか。私は憲法論としては、理屈を言うようですが、そういうふうに言い得るのじゃないかと思うのです。だからしたがって、憲法のたてまえから見ても、やはり解雇規制をやるというのはこれは当然の話じゃないか、こういうふうに思うのですが、その点の見解はどうですか。
○細野政府委員 もし補足がございましたら、基準局長から後で補足させていただきたいと思いますが、御存じのように、たとえば基準法の中でも、先ほど申しました解雇予告に関する規定があるとか、あるいは一定の業務上の疾病あるいは産前産後その他についての解雇について規制の措置があるわけでございまして、したがいまして、そういう意味での解雇に関する制限、直接的な制限もあればあるいは手続的な規定等もございますので、したがって、憲法の規定だけを理由に、解雇について何らかの内容的な規制措置というものがなければいけないのじゃないか、こういうことには必ずしもならないのじゃなかろうかというふうに私どもは考えているわけでございます。
○矢山委員 基準局長もそうですが。
○岩崎政府委員 そのとおりでございます。
○矢山委員 そうすると、これは私との見解の隔たりはかなり大きいわけで、私は労働基準法に野放しで解雇できるようになっていると言っているのじゃないのですよ。しかし、ああいう規定があっても、いま解雇が減量経営の名のもとに、産業再編成の名のもとに強力に進められてきた、その結果が、企業は昨年九月期からことしの三月期に至るような非常な利益を上げたわけです。そういった状態から考えると、わが国で行われておる解雇というのは、形式はともかくとして実態はまさに、企業側の解雇権の乱用と言ったらきつ過ぎるかもしれぬけれども、企業オンリーの解雇が強行されておるのじゃないか。したがって、それに対するより強化された歯どめというものは必要であるし、それをやることは決して悪いことではない。むしろ逆に、憲法の立場を踏まえて議論をするなら、それがあることの方があたりまえなんだ、こういうことを言っているわけです。したがって、これは私は今後の議論に譲っていきたいと思います、何しろ、もう時間がないから。 そこでもう一つ、二つお聞きしておきたいのですが、中期労働政策懇談会が提言をされておりますね。この提言の名称は言いませんが、その提言の中で、ワークシェアリングの考え方が重要だということで、労働時間の短縮だとかいったものをやはりやるべきだということを言っているわけですね。その労働時間の短縮等については、どうもこれまでの労働省の考え方というのは、労使のお互いの自覚でやっていくべき問題だというふうにお考えのようですけれども、やはりそういう考え方ですか。
○岩崎政府委員 いま御指摘のように、私どもとしては中期労働政策の建議、それから一昨年秋の中央労働基準審議会の建議に基づきまして、長期的に見れば労働時間短縮というものが雇用の確保ないし増大に役に立つのではないかという観点で考えておりますが、現在の時点で即時、即効的にということになりますと、いろいろ問題が出てまいると思います。したがいまして、私どもはやはり労使が十分な話し合いをし、また国民的なコンセンサスを得ながら労働時間短縮を進めていく。労働時間短縮のあり方には、過長な時間外労働の削減あるいは年次休暇の取得、また週休二日制、それから週ないし一日の労働時間そのものの短縮というようなさまざまの形態が含まれると思いますが、こういったものは第一義的に、労使の話し合いの中で国民的コンセンサスを得ながら進めていくということでなければ、長期的に見て実効が上がらないという観点から、私どもはそういった観点に立っての行政指導を積極的に進めていこう、このような考えで対処しております。
○矢山委員 そうおっしゃるだろうと思ったのですが、ところが、最近労働時間の実態をちょっと調べてみますと、失業、半失業が増大し、雇用不安が広がっておる中で、一九六七年以降、非常に労働時間の長い労働者がふえておるという統計が出ておりますね。つまり二百日以上の雇用労働者について週内の労働時間を見ますと、四十九時間から五十九時間の労働時間でやっておるのが、七四年に比べて七六年は二八・二%ふえておる。それから、六十時間以上の労働というのが七四年に比べて七六年は二四・六%ふえておる。それから逆に、三十五時間未満の労働時間というところが一四・一%減っておる。それから三十五時間から四十二時間の労働時間のところが一二・五%減っておる。こういうふうな統計が出ております。 これで明らかなように、首切り合理化の一方で、長時間労働が非常に進んできておるわけです。こういう実態の中で、労使の自覚あるいは労使の自主的な努力で労働時間を短縮していくのだ、こういうことを言ったって、これはできるのかな、言ってみるだけじゃないかなという感じがするわけです。これはかねて私どもが主張しておるように、やはり法制化する必要があるのじゃないかと思うのですけれどもね。
○岩崎政府委員 いま先生御指摘の調査資料、私どもちょっとわかりませんのですが、私どもがつかんでおるところでは、五十年、五十一年ぐらいが非常に労働時間の底になっておりまして、たとえば所定外労働時間を見ますと、四十五年あるいは四十七、八年ごろが相当な時間数になっておりますけれども、五十年、五十一年ごろの不況の底においては非常に時間外労働が少なくなっておる。それが最近景気の回復に伴って若干ずつ時間外労働がふえてきているという実態をつかんでおりますが、しかし、これもまだ四十五、六年ごろの時間外労働の長さには達していないということから、全体として労働時間の縮小傾向というものが着実に進んではいるんじゃないかというふうに考えております。ただ、いま申し上げておる労働時間の問題も、大企業あるいは中小規模の企業ないし産業、業種といった形態のいかんによって、それぞれ違いが出てまいります。 そこで私どもは、一方において大企業あたりでは、もうすでに四十時間を割っているような所定労働時間の中での時間外労働がどのくらいあるかという問題と、中小企業、零細企業におきまして、四十八時間の所定労働時間にさらに時間外労働が積み上げられまして、それで過長な時間外労働になっているというような実態等について、やはりそれぞれに判断をいたしまして、しかるべき監督指導をそれぞれに向けてやっていきたい、このような方針で臨んでおります。
○矢山委員 これは、そちらのお持ちの調査と私の言ったのとが食い違っているようでありますが、それは一般論としては、不況のときに仕事がないというので残業を切り捨てていくというようなことがあったということを考えるならば、そういう意味で全体としての労働時間が短縮したという面は出てきたと思うのです。ところが、そういう状態の中で減量経営が進んでどんどん労働者を解雇していく、今度は解雇した労働者を、仕事ができたからといって常用労働者として再雇用するという形でなしに、臨時だ、日雇いだという形で時に応じて埋めていく、そしてその中で、しかもそれもできるだけ人員を抑える形の中で埋めていく、そういうふうになってくると、やはり長時間労働という問題がそことの関連で出てくるんじゃないか、そういう意味合いでこの統計は出てきておるんじゃないか、私はそういうふうに思っているわけです。 今後の見通しで考えてみると、やはり企業が減量経営を志向する限りは、できるだけ数の少ない労働者、しかもそれは常用労働者でなしに臨時、日雇い等で埋めて、そしてしかも労働時間はできるだけ延ばす形の中で消化していこうということは、資本の立場からすれば当然出てくる考え方じゃないかと思うのです。そうなってくると、やはり私は、これは労使間の問題だといって放置するのでなしに、むしろ積極的に労働時間を短縮する方向での法的な措置というものが重要性を持ってくるのではないか、こういうふうに考えておるわけです。
○岩崎政府委員 各企業におきまして、やはり景気の上下に対応いたしまして時間外労働がふえたり減ったりという、若干のことは当然あり得ることだと私どもも考えております。ただ、大臣がしばしばおっしゃいますように、減量経営の名のもとに行き過ぎた人員整理というものをして、したがって、その後残った人たちで恒常的な時間外労働をさせるような形で運営していく、あるいはいま先生が御指摘のように、一たん解雇をした者を今度臨時、パートというような形で再雇用する、私ども必ずしもその関係は実態把握が十分でございませんが、この点については私どもも注意してまいりたいと思いますけれども、私どもはやはり、雇用の確保というものが、量的な確保のみならず質的な確保ということも、私どもの監督指導としては重点的に指向しなければならない問題だと思っておりますので、その点の実態の把握などもいたしながら問題に対処してまいりたいと思っております。 法的規制の問題につきましては、大臣からおっしゃっていただければと思います。
○栗原国務大臣 いま政府委員からいろいろお話がございましたが、企業によって時間短縮という問題はできるところとできないところがある。できないところはなぜかというと、結局コストとの関係ですね。非常に経営が苦しいあるいは余り経営がよくないという場合に、一律に時間を短縮するということになれば、単位時間当たりのコストの問題が出てくると思うのです。そういう意味合いで、一律に法的にこれを規制するということはなかなかできないというのが一面の実態だろうと思うのです。 ただ私は、やはりこれからは国際協調の時代ですね。それから雇用という面から、あるいは福祉という面から、週休二日制とか時間短縮というのは本当に真剣に取り組まなければならないと思うのです。そういう意味では、しかも時間短縮、週休二日制をやることによって長期的にはそれが生産性の向上につながってくるということでございますから、そこら辺のPRを十分にしていきたいと思っております。しかも、よく見ますと、中基審とかあるいは両院の御決議で当面行政指導を徹底的にやれ、こういうことでございますので、おまえはまた行政指導か、こう言いますけれども、しかし両院の御決議もございますし、行政指導を徹底していきたい、いまの場合、罰則のつくような法的措置は適当でない、こう考えております。
○矢山委員 おっしゃることは私も理解できるのです。それは、経済政策が先行して雇用の問題を考える場合には、どうしてもあなたがおっしゃったような問題が出てくる。だから、労働時間一つの問題でも、これは労働時間の問題だけとして切り離して解決しようということは無理なんですね。やはり全体の経済政策の中で労働時間の問題も考えなければならぬ。そうなってくると、最近言われておりますように、経済政策の後追いの雇用政策じゃだめなんだ、やはり雇用を確保するという立場に立っての経済政策の展開が必要だ、こう強調されておる。私はまさにそのとおりだと思うのです。だからそういう意味においては、一労働省だけの問題ではないということはわかります。しかしながら、少なくとも雇用を確保することがこれからの低成長経済時代の重要な課題であるとするなら、やはり全体の経済政策の中でその問題を処理していくという姿勢がなければ問題は解決しないのじゃないか、そういうふうに私は考えますので、そうした点からお取り組みをいただきたいと思います。 それから、時間が参りましたので残念ですが、あと定年延長の問題なりあるいは高年齢者の雇用率制度の問題について触れたかったわけですが、もうまとめて一口で言ってしまいますと、たとえば定年延長ということが最近盛んに言われてきておりますし、それから新経済社会七カ年計画、中期労働政策懇談会、ここらの中からもこの定年制延長の問題が強調されておるわけです。そして、定年制延長のためにそれぞれの制度が行われ、給付金も支給されるということをやられております。じゃ、そういう中で定年制の延長の問題はどうかというと、徐々に定年は延長されてきておるというのも事実であります。しかし同時に、七四年の不況以来この定年延長のテンポが鈍っておるということもこれまた事実。さらに、最近は減量経営という立場から定年の年齢をむしろ下げていこう、こういう動きすらあるという状態です。 したがって、こういう状態を考えるときに、労働大臣の持論であるこれはもう行政指導だということでは、なかなか問題は片づかぬのではないか。だからこの問題を処理しようと思うなら、そこにやはり法的な措置というものが必要とされるということを私は強調しておきたいし、それからまた高年齢者の雇用率制度の運用の問題につきましても、これは失業を出さないという立場から重要な一つの施策でしょうが、これについても雇用率制度を達成しておるのは比較的小企業、全体としては達成してない率が非常に高い。達成しておる中でも小企業の方が案外達成をして、大企業ほど達成率が少ない、こういうような状態があるわけです。そして、この高年齢者の雇用の問題についてもいろいろな給付金を出してこれを促進しようとしておるが、現実は必ずしもそういう期待する方向に動いてないというのも事実です。そうなれば、雇用率制度の運用についても、これは雇用率を達成しない企業に対してはある程度のペナルティーを科していく、罰則を科するとか、あるいは高額の納付金制度を採用していくとか、こういうようなことが考えられなければ、ただ単にこういう制度がいいんだ、これをやるんだと言っても、事態は逆の方向に動いていくおそれすらあるのではないかと思うのですが、この点まとめてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○栗原国務大臣 まとめて簡潔に申し上げます。 定年制の延長の問題については、私どもは行政指導を徹底したいという気持ちでいままで答弁をしてまいりました。 また、高年齢者の雇用率の問題についても、身体障害者と同じように俗に言うペナルティーを科すべきではないかという御議論、これにつきましても、よく突き詰めていきますと、いま矢山さんもおっしゃったとおり、大企業がこれをやらぬのですね。大企業がなぜやれないかということの中には、やはり定年というものがある。しかも年功序列がある。また、だから定年で退職する一方、この雇用率を達成するためによその方から人を雇うということになれば、自分の会社の職員を定年で退職させてよそから持ってくるのは何事だというようなことで、これまた職場の秩序が大変乱れるというようなことで、高年齢者の雇用という問題も達成されてないのは大企業でございますから、これを達成させるために一番有効な手だては何かというと、やはり定年を延長させることだというようなことから、定年延長問題にこれもまた待たざるを得ない。これを、私どもはいま申しましたように行政指導ということでやっていきたいと考えておりますが、予算修正に当たりまして野党の方々からいろいろ御提案がございまして、自由民主党もそれについて回答しております。したがいまして、私どもはその回答の趣旨を踏まえまして誠意を持って検討していきたい、善処していきたい、こう考えておるわけでございます。
○矢山委員 これでやめますが、あなたが最後におっしゃったように、それでは、定年延長の問題については自民党の方から審議会等で検討していく、こういうことになっているのですが、それをあなたもおっしゃったわけです。審議会で検討するとすれば、どういう審議会でいつから検討を始めていくのか、その点はもう一つの腹案を持っておるわけですか。
○栗原国務大臣 まだ具体的な検討はしておりません。
○矢山委員 あなたは行政指導論者ですからね。この間の雇用の集中審議のときには行政指導でやるんだということで、何かそれはおかしいじゃないか、与野党の話し合いはどうなったんだという話もあったようですが、自民党の方で少なくともそういった審議会で検討すると言った以上は、あなたが幾ら行政指導論者であろうと、これはぜひ早急に、適当な審議会を設置してこれを検討するという方向で進めていただきたいと思いますが、よろしゅうございますね。いいですか。
○栗原国務大臣 しかるべきときにしかるべき措置をとりたいと思います。
○矢山委員 では、これで終わります。
○森下委員長 次に、森井忠良君。 〔委員長退席、向山委員長代理着席〕
○森井委員 先ほど来の議論を聞かしてもらっておったわけでありますが、栗原大臣、いま所管の仕事で、雇用をどう確保するかというのが非常に大切なポイントだと思いますし、大臣は予算委員会その他でいろいろ答弁なさっておられますが、いま大臣として一番積極的に取り組みたい問題というのは、一口で言いますと何でしょうか。
○栗原国務大臣 国会でいろいろ御議論をいただきました、それについて私も答えております。その中で、自分の答えたことが現実に末端にどう浸透できるか、末端でどのように動いていくか、そのことを見きわめ、なおお約束したことを実行させる、そのために、早くそういうことのできるような時間が欲しいというのが私のいまの最大の願いであります。
○森井委員 国会が長期間開かれておるわけでありまして、これは当然やむを得ないことなんですけれども、百五十日の通常国会というのは、これはもうちゃんと決まったことでどうしようもないわけであります。大臣はかねがね、積極的に労働行政については指導を徹底させたいとおっしゃっておられて、いまもそういう御答弁があったわけでありますが、国会の審議に妨げられ、妨げられると言うと語弊がありますが、時間をとられまして思うに任せない、主要な政府委員についてもそれは同じことが言える、こういうことだろうと思うのですが、申し上げましたように、国会が通常国会もあるいは年に何回かは臨時国会もあるわけでありまして、物理的に時間をとられることも当然考えられます。そういたしますと、いまおっしゃったようないわゆる指導路線を徹底させるということについては一定の限界がある。なかんずく、大臣が何もかもおやりになろうとしてもこれはもう無理であります。したがって、先ほどもおっしゃいましたが、指導を徹底させたい、仮に名づければ労働省の行政は指導路線であると申し上げてもいい。私どもが、定年の延長にいたしましても時間短縮にいたしましても、法律をつくりなさいと申し上げますと、いや、指導でいくんだ、この答弁は実は栗原大臣だけでなくて、歴代の大臣がほぼ基本的にそういうふうな答弁をなさいました。指導指導と言うけれども、その意味でもう物理的にもずいぶん問題がある。もちろん文書を書いて流せば、通達その他で徹底をするという面もあるのでありますが、しかし、何かこの指導だけではいかないものがずいぶんある。その辺どうでしょうか、何か具体的に指導が徹底をする有効適切な方法はないのか。これは国会から解放してくれと言われても無理ですよ。それ以外で何があるのか。この辺どうですか。
○栗原国務大臣 国会から解放してもらいたいと思いましても、これはなかなか許されないと思います。ただ、国会は四六時中私を必要とするというばかりでございませんので、私は合間を見まして、全国津々浦々には行けませんが、重点的にぜひ現地を見たい。これはもう国会開会中でも、私の工夫と関係の皆様方の御協力をいただければやれることですから、それはぜひやってみたい、こう考えております。とにかく、私は、自分自身で納得がいかないと、それに対してなかなか自分の心の中で承知のできないというたちでございますので、いまはこの方針でやらせていただきたいと思います。 なお、行政というのはしょせん徹底しないのだから法律でという話になるかもしれませんけれども、では法律をつくれば何でもかんでも動くかというと、これまたそういうわけでございませんで、法律をつくることの適否という意味合いからすると、実態をよく見きわめなければならないということだろうと思います。そういう意味で、せっかく私も国会の中で御協力いただきましてしっかりやりたいと思いますので、御鞭撻を賜りたいと思います。
○森井委員 指導も、全国各地ももちろんございますけれども、この国会の近くでできる指導もあるのですね。いみじくも先ほど大臣おっしゃいましたけれども、たとえば高齢者の雇用にいたしましても定年の延長にいたしましても、悪いのは大企業だと先ほどいとも明確におっしゃったので、私も意を強くしたわけでありますけれども、まさにそのとおりだと思うわけであります。そういう意味では、たとえば日本の経営者の団体であります日経連その他、ここへも乗り込んでいかれるのでしたら、これはそう時間をとりませんがね。しかも足しげく行って話をすることもできる。大臣の所管じゃありませんが、たとえば日本医師会あたりへは、厚生省の関係の人や、場合によっては与党の皆さんがしょっちゅう行って、いろいろ話をしておられるようであります。私は、評価は別にいたしまして、その労苦は多とすべきかと思っているのです。その意味からいくと、先ほど大臣は、やはり大企業が考えてくれないといけないという意味でおっしゃったのだろうと思いますけれども、もっとそういう意味で、経営者団体と精力的な話し合いをなさる基本姿勢が必要だと思うのです。それも指導の中に入りますか。
○栗原国務大臣 私のやつはもちろんそれは入ります。ただ基本的には、自分の言ったことが下の方に徹底しているかどうかというのが一番なんです。ただ、いまのやつは、大企業の場合には減量経営とか定年制の問題だと思うのです。過般も経済団体の方々と話をしまして、それから労働団体の方とも話をしました。それから、公式ではありませんが、非公式の際には、私は、経済団体の長の人あるいは事務局長といいますか、そういうような人たちに対しても強く言っているのですよ。これは私が余り早合点をしてはいけませんけれども接すれば情発すという言葉がございまして、熱意でやりますとだんだん考えてくると思うのです。労働界の方々にも、定年延長の問題について、ずばりここら辺を直さない限りにおいてはどうにもならぬですよという話をしたのです。そうしたら、それはわかる、わかるが経営者の方にもひとつ考えてもらいたい。というのは、どうもいままでの労使というのは、労働側から要求をして経営者側の方から答えるというパターンだった。だから定年延長の問題についても、経営者側からすると、定年延長をしてくれないか、われわれの方がこうするからあなたの方もこうしてくれないか、と言うことを待っているのではないか。労働側の方についてももっと勇気といいますか、進んで言ってもいいのだけれども、中には言えないものもある。その場合、言ってこないからということで経営者側が待っているというようなことのないようにしてもらいたい、という話があるわけです。わかった、もうそんな、何か知らぬけれども、どっちから言い出すかなどというのじゃなくて、この高齢化社会に向かって企業も労働側も話し合いをすべきだ、私も経営側にそれはしかと申し上げましょうというお約束をしておりまして、公式ではございませんが、非公式にはその点は経済団体の代表の方々にもお伝えをしておるのです。そうだな、わだかまりをなくさなければなりませんね、ということでございました。そういう点についてもいま御発言があったように積極的にやりたい、こう考えております。
○森井委員 職安局長さん、最近の雇用情勢、たとえば完全失業率あるいは有効求人倍率、一番新しいので幾らになりますか。
○細野政府委員 完全失業者の数は、五十四年一月の数字が一番新しいので一月で申し上げます。実数が百二十七万、それで失業率も生の数字で二・三%、これを季節修正いたしますと二・〇六ということでございます。 それから求人倍率でございますが、新規の求人倍率、これは一月で〇・九七、それから有効の求人倍率は〇・六五、こういう状況でございます。
○森井委員 依然として完全失業者の数が減らないわけですね、大臣。すでにどなたかから言われたと思うのですけれども、企業の業績というのは上向いておることは間違いないのですね。そこだと思うのです。いわゆる減収増益が去年の秋に問題になりました。その同じ時期の完全失業率というのは二・四二%で、これは新聞の表現を使いますと、昭和三十四年のなべ底景気以来の高水準だ。確かに私が調べてみましても、三十五年に次いでぐらいじゃないでしょうか、高うございました。そういうときに、減収増益であれだけ——これは東証上場一部の企業ですけれども、これはもう間違いないと思うのです、日経連タイムス等でもそれを認めている記事が出ていますから。しかも失業者が百二十七万、百三十万前後というのは異常な数字ですけれども、やはり大臣と同じ気持ちなのですが、大手製造業が考えてくれなければならぬ。たとえばたしか新日本製鉄、企業の名前を挙げて大変恐縮ですけれども、新日鉄あたりでもまだ配当はせっせと続けていらっしゃる。それも六%から八%ぐらいに配当はふえておる。しかも御承知のとおり、これはたしか一年ぐらいの間に三千人ぐらいの人が企業を去っておる。こういうふうな状態を考えてみますと、マスコミの報道にまつまでもなく、やはり減量経営はオーバーランをしているに違いない、もっと持ちこたえることができるのではないかという気がしてならないわけです。とにかくすごい数が、大手製造業から失業者の群れに入ってふえていっているわけですね。この辺の企業の社会的な責任と申しますかそういうものについて、きわめて抽象的な質問で恐縮ですけれども、私はやはり、大臣が経営者の代表の皆さんと会うとか、あるいは先ほどの労働組合の、あるいは労働者の声を伝えるとかいうだけでは通じない、何物かがあるような気がするのです。しかも、これも言葉が悪くて、気を悪くなさらないでほしいのですが、たとえば去年の臨時国会で特定不況地域の離職者法ができましたね。はっきり言いますと、地域の指定にいたしましても、それからいろいろな措置にいたしましても、どちらかというと通産省主導型で、労働省の方はしりぬぐいをさせられるという感じが私はしてならないわけです。だからそういうふうな面から考えますと、通産省あたりは確かに減量経営を指導してきたきらいがある。後で申し上げるわけですけれども、たとえば造船にいたしましても、特安法等によりまして設備の廃棄も含めまして積極的に減量経営を進めてきたという経過はありますけれども、やはりこの辺でもう一遍後ろを振り返ってみて、果たしてこれでいいのだろうかという再検討をこの時期にすべきではないか、私はこう思うのです。大臣の所感はいかがでしょうか。
○栗原国務大臣 労働省が産業政策のしりぬぐいをしてきたという考え方があるわけでございますが、私も、見方によればそうだと思うのですよ。高度経済成長期からこういうふうになりましたからね。こういう事態を政府全体として予測していませんでしたから、したがって労働省がそのしりぬぐいをしてきたという立場はあると思うのです。しかしこれからはそうであってはならない。産業政策と雇用政策というものは両輪のごとく行かなければいかぬ。そのために労働省が文字どおり、名実ともに産業官庁になっていかなければいけないと思いますね。そういう点では全く認識は同感であります。 ただ、通産省にリードされて、労働省がその後だけ行っているのではないかということにつきましては、それはそんなことはないのですよ。通産大臣も雇用問題につきましてはなかなか真剣でございまして、最近は、経済団体の方々のところへ行くときにも通産大臣が行って、減量経営ということに藉口して余力があるのにやってもらっては困るということを言っておりますし、それからこの間は、労働団体の代表のところにも通産大臣が参りまして、産業経済の発展というのはしょせんは雇用の問題につながる、そういう意味で、私に対してもいろいろ物を言うてくれと言うてきて、おりますので、いままでいろいろ御批判はあったかと思いますけれども、現在またこれからは、そういうことのないようにやっていきたいと思います。 それから、減量経営ということに藉口していろいろやるということについては、われわれ行政サイドでも十分に見守って、行政としてできる適切な措置を講じていきたい、こう考えております。
○森井委員 職安局長さん、特安法ができて、ああいうふうに企業規模の縮小その他具体的に行われているのですけれども、いまどれくらいの離職者が出たと分析しておられますか、わかれば……。
○細野政府委員 特安法そのものというのではちょっとわかりかねるのですが、私どもの特定不況業種の離職者臨時措置法による特定不況業種として指定されたものがございますが、このところから出たいわゆる合理化離職者、つまり自己都合退職者と定年退職者、もちろん希望退職ではあっても、これが合理化の一環で行われて事実上の人員整理であるものについては、これは合理化離職者として勘定しておりますが、その数は、現在までのところ五万二千人という数が手帳の発給対象になっております。
○森井委員 大臣、これも逆説的な質問で恐縮なんですが、私自身も含めまして、いま一つの反省があるのですよ。たとえば特定不況業種離職者臨時措置法ですね。これは御案内のとおり、いままでの雇用保険制度からすればかなり条件をよくした法律になっています。そして、雇用安定資金等がその前にできていますから、いずれにしても、離職者の受けざらというのは非常に以前よりはスムーズになってきています。もちろん、離職なさった方につきましては、まだこれでも足りないくらいの措置だと私ども認識をしておりますけれども、ただ減量経営との関連で見ますと、あんたやめても、かなりよくなっているのですよ、訓練だってもうちゃんと手当ももらえるのだし、待期すれば待期手当ももらえるのだし、いろいろな意味でよくなっているのだよということで、私が申し上げました反省というのは、一連の離職者法ができて、むしろ企業の減量経営に私は拍車をかけたという側面があるのではないか、こういう感じがいましてならないわけであります。 もちろんなければ困る法律ですけれども、同時に、これはやはり企業側がうまく便乗して減量経営に拍車をかけたのではないか、こういう見方もあるわけでありますが、この点どうですか。
○栗原国務大臣 先ほどの矢山さんの御質問と大体同じだろうと思うのでございますが、物の見方によりまして、そういう見方も成り立つと思います。ただ、法律の制定の趣旨はそういうものじゃなくて、特定不況地域あるいは特定不況業種の離職者に対してそれなりの処置をするということでございますから、法の制定の趣旨はそうだろうと思いますけれども、結果としてそういう見方をすることは、これはそのされる方の自由ではないかと思います。 ただ私は、減量経営の問題と関連して言いますと、労働組合の中にもいろいろの反省が出てきて、特に春闘などに際して、業績のいい企業についてはこの際雇用の拡大という問題を考えるべきではないか、長期的に見て雇用というのが一番大切じゃないかというような意見が労働組合の幹部の中から出てきておるという意味では、相当落ちついてみんなが実態を見てきた証拠ではないかと思っております。ですから、すべて雇用につながるためにはどうしたらいいか、そのために経営者側が努力すべきこと、労働組合側が努力をしあるいは場合によるとがまんをしなければならぬこと、そういったことについて詰めていくのがこれからの自主的な労働行政ではないか、こう考えております。
○森井委員 時間がかかりますからこの問題はこれくらいでやめますが、大臣から御答弁をいただきましたように、やはり大企業も少し考えてもらわなければならぬということについては、重要な警鐘として私はこの委員会でも明確に申し上げておく必要がある、こう感じたから、しつこいようですけれどもああいう質問をさせていただいたわけであります。 それから、もう一つの問題ですけれども、今度雇用開発事業の創設がありますね。根っこはもちろん前からあったわけですけれども、あえて雇用開発事業の創設と銘打ってお出しになった、その動機と目的は何ですか。簡単に……。
○細野政府委員 先ほど森井先生から御指摘がございましたように、景気が回復の足取りが非常に確かなものになりつつあるにかかわらず、しかも求人がある程度伸びているにかかわらず、失業者が、伸びは確かにとまりまして、たとえば先ほどの百二十七万というのは前年の一月と比べて一万増、ですからほとんど横ばいぐらいにまでなってきておりますが、しかし御指摘のように、これも減ってはいないわけです。したがって結局、現在のように景気回復に伴う求人の増加、それを具体的に失業者の吸収と結びつけるためには、やはり具体的な措置が必要なんじゃなかろうか、こういう考え方に立ちまして、中高年齢者、特に中高年の男子の失業者が非常に滞留しているという問題がございますので、そういう方々と現実に伸びている求人とを具体的に結びつけるための手段として考えたのが今回の雇用開発事業である、こういうことでございます。
○森井委員 私もこれは目玉だと思うので、もちろん賛意を表するわけですが、従来の政府側の答弁は、これは労働省だけじゃありませんけれども、たとえば予算の中に占める公共投資の割合というものをずいぶんふやしてこられまして景気を回復させる、そうすれば雇用も拡大をするのだという、そういう発想でしたね。だから、それはそれなりに一定の効果を私も上げてきておると思うのでありますが、申し上げましたように、景気は前向きに、もちろん企業間の段差はありますけれども、とにかく前向きになりつつあるという認識ではほぼ一致をしている。しかし、そのわりに失業者の吸収の役に立っていないじゃないか。したがって、言うなれば呼び水として民間の活力に期待をする、そういうことなんじゃないでしょうか。どうですか。
○細野政府委員 おっしゃるとおりと考えております。
○森井委員 これは言われているように、大体十万人ぐらいの失業者がこれでなくなるわけですか。
○細野政府委員 中高年齢者雇用開発給付金によりまして五万五千、それから雇用保険の受給者の教育訓練をやって採用するという場合の助成金によりまして三万七千、それから御存じの特定不況業種離職者臨時措置法による離職者を訓練しながら雇い入れた場合の助成金によりまして八千人、合計約十万人というふうに考えているわけでございます。
○森井委員 たとえば中高年齢者の雇用開発給付金が、いまの答弁を聞くと五万五千ですね。少ない数字ではないですが、これは現状から見ると、五万人そこそこで満足できる数字でないこともまた当然ですね。これは何かの目安があったのですか。いま具体的に五万五千だとか、三万七千だとか、八千だとか、合わせて十万、こうきちっとごろのいい数字になっているわけですけれども、先ほど栗原大臣が言われました、指導によってはあるいはPRによってはかなり適用されるものだという、ある程度皆さんと同じように私は期待を持ちたいわけですよ。何か根拠がありますか。
○細野政府委員 御存じのように、中高年開発給付金は現在も、助成率なり期間は短いのですけれども、やっておるわけでございます。それから、特定不況業種の方も現在、同様の制度を安定資金制度の中でやっているわけでございます。この二つにつきましては、従来の実績をもとにしまして、それに、特に中高年の場合には今回の大幅な内容の改善による効果というものによってこれを積み上げまして、それによって五万五千という数字を出したわけでございます。 それから雇用保険の方の関係は、雇用保険の従来の安定所経由の就職者の中で就職している人の数がわかりますので、その中で、教育訓練等を受けて就職する人の割合というものを想定しまして、そういうものをもとにして、やはりこの制度の効果というものを見込みまして数を出したわけでございまして、したがいまして、いずれも、現在の実績にこの制度の効果というものをプラスさせた形で出しておりますので、全く架空なものではなくて、たまたまその結果が十万という切りのいい数字になりましたが、これはそう意図的にやったわけではございません。 なお、現在の開発給付金自体が、助成の内容等は来年度予算に比べるとはるかに劣っているにかかわらず、急激に最近伸びておりまして、現在のところですと、五十三年度予算の少なくとも二倍、うまくすると三倍ぐらいいくんじゃなかろうか、こういう情勢でございますので、先ほど来申しておりますような大幅な制度内容の改善がございますのと、今後ともPRを徹底することによって、この五万五千は何とか突破したいし、突破できるんじゃないかなというふうに考えているわけでございます。
○森井委員 ちょっと次元は違うのですが、定年延長奨励金ですね、これは中小企業の場合二十万が三十万になりました。ちょっと一言減らず口を申し上げますと、二十万が三十万になって定年を延長してくれるぐらいなら、もっと金を出してもいいと思うのだけれども、大企業の場合、成績の悪い大企業の方が二十万でしょう。言葉は悪うございますが、二十万ぽっちもらって、それじゃ五十五の定年を五十八にしようかなどというのは、まあ五十八というのは期待が大き過ぎますが、仮に一歳でも延長しようかというような空気になるかどうか、二十万もしくは三十万でね。そういう危惧はありますが、この対象人員は何人ぐらいを考えているのですか。——では、後で答弁をしてください。 そこで、大臣にお伺いするわけですが、恐らく、いま申し上げました定年延長奨励金にいたしましても、せいぜい三万人ぐらいが算出根拠ではないかと私は想像しておりますが、中高年の雇用開発給付金にいたしましても、せいぜい五万五千人ですね。これはいま安定局長がいろいろ説明されましたけれども、わかったようなわからぬような算出根拠でありまして、結論はやってみなければわからないのと、大臣のおっしゃった指導の仕方によってはうんと増減があるものと私は理解をします。 そこで、予算はきちっと組まれているわけですけれども、多いことを期待したい。というのは、これは基礎の数字が少な過ぎる。したがって、積極的な指導によってうんと対象人員をふやすような努力をお願いしたい。その場合に、いま説明がありました、その中高年の雇用開発給付金では五万五千という壁のようなものがあるわけですし、定年延長の奨励金につきましても、恐らく予算が限られておるのだと思うのですけれども、そう大きな金額にはならないと思いますので、極端な話をしますが、これが倍になっても何らかの予算措置をするというふうなことは言えるのでしょうか。
○栗原国務大臣 これはわれわれとしても非常に力を入れているところでございますし、また各党の皆さんあるいは国民の中にもこれを御評価いただける向きもあるわけでございます。しかし問題は、御指摘のとおりこれがうまく運用されるかどうかで、そのためにはやはりPRを徹底的にやる。それから、乱用は慎まなければならぬけれども、簡便にこれが出ていく。乱用はいけぬけれども、できるだけ簡便に、そういう工夫をこらしていきたい。その結果、この予算額よりもよけい出るということはむしろわれわれとしては歓迎すべきである。たとえばのお話でございますけれども、二倍になったらどうする、結構でございます、雇用特会の中でこれは十分に処置をいたしたい、こう考えます。
○森井委員 じゃ、そういうことで次の質問に入りたいと思いますが、造船業界の深刻な不況については、これはもうお互いに困ったものだと考えているわけでありますが、新聞の報道等によりますと、大手の造船業界で大量の、まあ希望退職という名前ではありますけれども、事実上の解雇に近い離職者を出す動きがあります。 時間の関係がありますから特に二社だけちょっと、私、政府の方から資料をお願いいたしまして取ってみますと、三菱重工がすでにオイルショック以来で五千四百七十一人離職者を出している。これは本工の方でありまして、関連業界がほぼ同じ数の五千百十八人、これはざっと過去四年間の減少人員であります。それから石川島播磨重工、これが本工の部分で四千百八十二人、関連業界の部門で二千九百一人、これはざっと過去四年間の数字であります。非常に多いのでありまして、これだけでもう一万八千人近い人が職場を去っていっておるわけであります。これは先ほど申し上げました、いずれにいたしましても、雇用保険にまつわる諸制度の対象になっておりまして、その意味での支出がずっとなされておるわけであります。しかも、これからもまだ先行きが非常に暗いのでありまして、いまたまたま三社の例を申し上げたわけでありますが、現在、どちらも希望退職の締め切りを終わっておりますけれども、これは非常に深刻な問題だと私は思うのですね。 ちょっと簡単でいいですから、運輸省もしくは労働省の方から、大体どういう実情なのか、何人募集して、現在応募者が何人あるのか、いずれも締め切っておりますから、まず明らかにしてほしいと思います。
○田淵説明員 まず石川島播磨重工業につきましては、本年二月一日から三月十五日の間におきまして、退職金優遇措置による希望退職者を募りまして、その結果、約四千六百人が応募したということを会社側から聞いております。 それから、先生御指摘の過去にさかのぼっての数字はちょっと調べておりませんが、昨年一年だけを調べましたところでは、約三万六千五百人から三万五千人へと、昨年一年間で約千五百人減少しております。 それから三菱重工業につきましては、五十三年十二月二十二日から五十四年三月十五日の間に希望退職者を募集いたしまして、五十四年三月十四日現在で千四百十二人が応募していると聞いております。
○森井委員 それぞれ両社とも、希望退職を無制限にやるというわけにはいきませんから、ほぼ何人ぐらいの減量経営をしたい、そのためのいわゆる目標の人員というのは大体どれぐらいですか。
○田淵説明員 三菱重工業につきましては、五十三年十月現在の六万六千六百人を五十五年の中間には五万六千ぐらいにする必要があるということで、組合側に合理化計画の提案がなされたようでございます。石川島播磨につきましては、予定人員をオーバーいたしまして、今後募集は行わない、こういうふうに聞いております。
○森井委員 そうすると、石播の場合募集人員オーバーということでしたけれども、募集人員は幾らですか。これは無理なら運輸省の方からでも御答弁いただきたい。
○向山委員長代理 運輸省の方でわかりませんか。
○細野政府委員 手元にその近辺の新聞報道を持ってきておるのですが、それによりますと、希望退職者数については人数は明らかにしない、こう言っておりまして、私どももちょっと現在、希望退職を募ったそのときの人数が幾らであったか、手持ちの資料を持っておりませんので、後日もしわかりましたら、調べました上で御報告したいと思います。
○森井委員 運輸省、わかりませんか。
○間野説明員 私どもの方も承知しておりません。
○森井委員 新聞に載ったのは、御承知のとおりきのう、きょうじゃないのですよ。私は、確かに具体的な問題だから通告をしなければならないということで通告をしましたが、その時期が遅かったこともあります。しかしそれにしても——いいですか、新聞に載って、いまの答弁では四千六百名からの失業者が出るのでしょう。法律だったら、雇対法もあればそれから特定不況業種離職者法もあるのです。これは全部届け出の義務があるでしょう。こんな答弁じゃちょっと困ると思うのだな。目標の人員もわかりませんか。そこに私はやはり労働省の姿勢があると思うのですよ。行き届いていないわけです。もちろん、石播にしましても事業所が一カ所だけではないのですから、それは大変なのはわかりますが、そうかといって無数にあるわけでもない。所轄の職安はどんなに数えたって十もないと私は思うのですよ。——いや、わからなければいいです。私の調査でいきましょう。それとも、これはまず調べますか、具体的に大きな問題ですから。運輸省も当然監督官庁としての責任もあるのだから、両方からひとつ答弁してください。
○細野政府委員 安定所単位では、御承知のように再就職援助計画という形で当然届け出られておるわけですから、これは調べまして御報告します。
○間野説明員 石川島に限りませんで、希望退職をいたします場合に、希望退職の目標数というのは、大体組合と話し合いをする際にも出さないと私は聞いておりますので、恐らくないのではないかというふうに理解しておりますが、先生おっしゃることでもございますし、石川島にもう一度念のために確かめてみたいと思います。
○森井委員 確かに何人の目標というのは、それはいろいろな意味で差しさわりが出てくることはありますよ。それは私も理解できる。ただそれは、退職金の準備をするにしても、それから仕事のオーダーを組むにしても、やった結果何人減ってどうなるというぐらいのことは、ある程度表に出るのが——表というかな、社内で明らかにされることは当然でありまして、目標を定めるなというのは、確かに、私どももよく組合の皆さんが言われることはわかっておりますけれども、首切りの目標になるから、わかるのですけれども、しかし少なくとも、いま申し上げましたように当然造船不況でありますから、恐らくまだだんだんと仕事量は減っていく段階ですから、だからそういう中である程度人員計画というものをはじいていかなければならぬ。しかし、これは両社とも、造船部門だけでなくて陸上部門を持っているわけですね。大体一対二ぐらいで、造船が一で、石播の場合も二ぐらいはいま陸上部門になっているのではないでしょうか。だから当然配置転換等の計画もありましょうし、また離職者を出さないという立場からすれば、これも雇用安定事業の中に入っているわけですから、当然配転その他の適応する適切な指導というものはなされなければならない、そういうことだと思うのですね。だから目標人員ぐらいはわかっているのではないかと思いますが、いまはもう仕方がありません。両省ともわかっていないと言われるのですから、私も調査によったものしか言えませんけれども、大体少なくとも石播の場合千人、多くて千四、五百人という目標だったと思うのです。その場合に四千六百人から出ちゃったわけですね。これは労働省、ああ、そうですか、それでは四千六百人、そのまま離職者として適切な措置をとりましょう、という立場なのか。いま申し上げましたように、これは調べてもらわなければわかりませんけれども、仮に予定人員の三倍から行っているということになると、これは先ほど申し上げましたように受けざらは主として雇用保険法なんですから、そうですかと言って引き下がるのは、私は問題があると思う。どうしますか、これ。
○細野政府委員 よく事情を調査しました上で、適切な処置をとりたいと思います。ただ、新聞で伝えられますように、本人の御希望でということになると、これはそのこと自体をとめる手というのはなかなかむずかしいと思います。ただ、いま申しましたように事情をよく調べた上で対処したい、こう思います。
○森井委員 私も幾つかの退職勧奨に使われた文書を見ていますが、それはもうおるにおれないような形でやる。それは石播とは申し上げませんよ。幾つか持っていますけれども、その文章を見ても、もうこのままおったらとてもじゃないけれども、針のむしろにおるよりまだつらいというふうな形で、形の上では本人の申し出によりやめる、こうなっているわけですね。この石播の場合も、私がいろいろ聞いてみますと、若い人がずいぶんやめているのです。これも問題なんですが、大ざっぱに言いますと、五十歳以上が大体四割、それから三十、四十代が三割、まだ若い人です。それから二十歳代がやはり三〇%ぐらい。これは、サラリーマン同盟の皆さんのいわゆる社会的先任権ということから見れば、欧米型の退職のスタイルになっておるのですけれども、しかし若い人の退職者を聞いてみますと、大抵配置転換です。ここはだめだからうんと遠くへ行かないか、どこそこの事業所へ転勤しないか。それでは、とてもじゃないけれどもむずかしいですという形で、事実上若い人がやめていっておるというケースなんです。いずれにいたしましても、これはゆゆしい状態になるわけですね。 いま調べてもらうということですから、多くは申し上げないのですが、私の感じで言えば、せめて目標人員でとどめるべきではないか。つまり目標人員とは、企業の方でいろいろ検討なさいまして大体これぐらいやめていただけばという数でありまして、あそこは賃金や一時金のカット等を労働組合に提案されまして、一部歯ぎしりをかんでそれに応じられたと聞いておりますけれども、それ以外に、減量経営の問題が出てきておるわけです。したがって、いまの時点で仮に私の申し上げた目標の数値が正しいとすれば、千人ないし千四、五百人ぐらいやめてくれれば大体いまの形で経営は成り立つ。先ほど四千六百人とおっしゃいましたが、私の調べでは四千六百十人、とりあえず締め切りのときに出ていると聞いておりますが、その差は三千人以上なんですね。この際それについて適切な指導をすべきではないか、一挙に目標の三倍に上るような大量の離職者を出すことはいかがなものか、こういう感じがするわけでありますが、労働省の指導方針はどうですか。
○細野政府委員 先ほども申し上げましたように、本当に本人の御希望でやったとすると、指導といってもなかなかむずかしいと思います。しかし、その辺よく事情を調べた上で、実情に対応した適切な措置をとらしていただきたい、こう思っておるわけでございます。 なお、先ほどちょっとお答え申し上げました中で一つだけ訂正させていただきたいと思いますのは、大量の雇用減等による届け出は、退職を募集してそこで応募があって決まった段階で届けてくる、こういう形になりますので、したがいまして、最初の目標の数字というのは安定所には届け出てくるかっこうにはなっておらないわけでございます。しかし、その届けとは別に、目標がどうであったかということは、先ほど申しましたように会社からも確かめまして、事情がわかりましたら御報告するようにいたしたいと思います。
○森井委員 そうすると、特定不況業種離職者臨時措置法に再就職援助計画というのがありますね。それとか先ほどの雇対法の届け出、これは援助計画を提出すれば雇対法の義務は免れるわけですけれども、その辺の手続はどうなっているんでしょうか。
○細野政府委員 昨年の十一月三十日にまず計画が提出されておるわけでございますが、その後、本年二月十五日に変更の届けがなされまして、最終的には三月二十二日に提出される予定、こうなっているわけでございます。したがいまして、再就職援助計画は出ているわけですが、それの変更という形になるわけでございます。
○森井委員 明確にしておきたいのですが、局長は盛んに本人の希望と言うが、確かに自己都合による退職というのはありますよ。しかし、今回の場合はどれに当てはまるのですか。私は離職者法上の離職者だ、そう理解せざるを得ないわけです。三十人とか百人とか数字がございますね。それに該当する人々だと理解したいのですが、これは調べてみなければわかりませんか。
○細野政府委員 具体的な法の適用につきましては、いま御指摘のようによく事情を調べた上で判断させていただきたいと思いますが、余りしゃくし定規な法適用はやるべきじゃない、こう考えております。 ただ、指導をするということになると、本人の気持ちがかなり自主的に自分の意思に基づいているということでございますと、指導の効果というようなことがなかなかむずかしいんじゃないかという意味で申し上げたわけでございます。
○森井委員 大事なことですから明確にさせていただきますが、会社が希望退職を募集しますね。それに応募しますね。これは自己都合の退職ですか、そうではありませんか。
○細野政府委員 従来は、その企業における経営の実情その他の状況、全体を総合的に判断しまして、たとえ形が希望退職の募集であっても、これをいわゆる合理化離職者としての取り扱いをしているわけでございまして、今回におきましてもそういう意味で、総合的な判断で実態に即した取り扱いをしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
○森井委員 ついでに聞いておきたいのですが、例の中高年齢者雇用促進法なり身障者雇用促進法なりがありますが、身障者の場合は雇用率達成の義務があります。それで中高年の場合は義務はあるけれども罰則がないのですね。この二社について、これの達成状況はどうなんですか。
○田淵説明員 各企業別の状況につきましては、毎年六月一日現在の状況を現地の職安にそれぞれ届けることになっておりまして、本省まで報告が上がってきておりませんので、個別の企業の状況はわかりません。
○森井委員 本省に上がってきたらわかるのですね。
○田淵説明員 職安から報告を求めまして、後ほど先生のところへお知らせしたいと思います。
○森井委員 先ほど大臣が御答弁になりましたように、大企業ですから、身障者も中高年も恐らく雇用率未達成の事業所だろうと思うのです。だから、強力な指導とおっしゃいましてもやはり一定の限界がある。特に人員整理をこれからそういうような形でやるんだろうと思うのですけれども、その場合に、もう人員整理でせっぱ詰まったという点から見れば、恐らく身障者なり中高年なりを雇えというのは無理ですよという企業もありますけれども、私は先ほど申し上げましたように、何といいましても天下の三菱であり、天下の石播であり、少なくとも他の企業で達成できているような身障者や中高年の雇用率の達成ができなくはない。したがって、この機会にそういったものの指導も積極的にしてほしいと私は思うのです。これはどうですか。
○細野政府委員 合理化の際におきましても、高齢者なり身体障害者なりについて、目に余る形でこれを整理の対象にするというようなやり方をやっている場合につきましては、個別に調査をして、その具体的事情に応じた適切な指導をしているわけでございます。 今度のケースの場合にはその辺の事情がよくわかりませんので、よく調べた上で対処してまいりたい、こう思います。
○森井委員 造船課長さん、石播と三菱の場合ですが、先ほど明らかになったような数字の離職者が出るわけです。事業量との関係でどうなんでしょうか、これからそう先々の見通しはないにしても、現に受注量を持っておるわけですから、そういった点から三菱の千数百名、石播の四千数百名という、仮に希望者全員をやめてもらうということになれば、私は仕事との関係もかなり出てくるような気がするのです。その点はどうでしょうか、分析しておられますか。
○間野説明員 造船業は全体といたしまして、現在の仕事量、五十四年度、五十五年度における仕事量と申しますのは、最盛期の大体三分の一程度しかないのではないかというふうに捕捉しております。したがいまして、非常に不幸なことではありますけれども、単純にそれから計算いたしますと、最盛時に比べてまだ人の減り方が少ないということでございます。ただ、先ほども先生御指摘のように、石川島播磨で造船の部門は三分の一減るかと思います。三菱におきましてはもっと低いと思いますので、造船の方でそれだけ余ったからといって、直ちに離職者をそれだけ出さなければならないということではございませんし、今度希望退職の応募がございました石川島の四千六百名というのも、恐らく全部門から出ていると思いますので、造船の方で余った人間はまたそちらへ回すというふうなこともありまして、造船だけで今後どれだけ離職者が出るかということは簡単に申し上げられないと思いますが、いまのところ、仕事に差し支えがあるほど減っておるということはないと思います。
○森井委員 時間が来ましたから多くは申し上げませんが、これは釈迦に説法になりますが、特定不況業種離職者臨時措置法の第三条で「事業主等の責務」というのがありますね。「特定不況業種事業主は、その雇用する労働者について、配置転換、教育訓練又は雇用保険法第六十一条の二第一項若しくは第二項の雇用安定事業に係る教育訓練等の実施その他の必要な措置を講ずることにより、失業の予防に努める」、こうなっているわけですね。あらゆる手段を講じたかどうかというのは、私は疑問があると思うのです。いまはもう時間がありませんから多くを申し上げませんが、一つの例で申し上げますれば、訓練調整給付金等の制度もあるわけです。一体本気で事業転換、事業転換というよりも配置転換ですね。それぞれ陸上部門を抱えて、やればいろいろな意味で方法はあるわけですから、そういった雇用安定事業等を積極的に活用して、歯を食いしばってでも、離職者を少しでも減らすというような努力の跡が見られるのかどうなのか、この辺もポイントだと私は思うわけです。とにかく調べてないとおっしゃいますから、質問のしようがなくて、のれんに腕押しのかっこうなんですけれども、いま申し上げましたような点は、これは監督官庁であります運輸省もお見えでありますから、単に労働省だけでなくて、両省相まって積極的な指導をしていただきたい、よろしゅうございますか。
○細野政府委員 よく事情を調べまして実態に応じた対応をしてまいりたい、こう思っております。
○森井委員 運輸省の方、いいですか。
○間野説明員 もう一度調査いたしますが、ただ私どもも一度問い合わせたのですけれども、そういうものはないという一応の返答をもらっておりますけれども、再度問い合わせたいと思います。
○森井委員 そういうものはないというのは、何のことですか。
○間野説明員 希望退職の目標募集数と言うんでしょうか、何千人かを退職させたいという目標があって募集したということではないというふうに、返答をもらっております。
○森井委員 これも、調べておられませんからあえて言いませんが、会社の関係者の人は一様に目標を上回っていると言っております。たとえば、私は呉でございますけれども、やはり石播の工場がございます。三百五十くらいの目標に対して大方千人近く来た、こうもっぱら言われておりまして、ずいぶん多いじゃないか。しかも、ついでに一言多いのでありますが、そういうふうに退職に該当された方は、いまでも自己の意思どころか非常に大きな不満を持っている。あそこは特に、いま県会議員の選挙に、会社からかあるいは組合からか知りませんけれども、候補者をお出しになりまして、一人何軒歩けというふうなことで問題になりまして、呉の市議会で満場一致で決議をされて、会社に抗議を申し込むというふうなことがございます。いずれにいたしましても、そういった意味で、会社の都合とかその他言うことを聞かないような人が、若い人の中にもずいぶん首を切られて、いま非常に大きな問題になっている。あの人たちは慰労休暇と呼んでおりますが、年次有給休暇をとって、もうすでに実質的な退職の状態に入っているということを申し上げておきたいと思う。ここまで申し上げれば、私は一定の調査をしていただけるものというふうに思うわけであります。 時間が参りましたから最後に一問だけでありますが、せっかく自治省に来ていただいておりますので、自治省に一問だけ聞きまして質問を終わります。 というのは、いまこれだけ深刻な雇用情勢になってまいりますと、職業安定所だけではなかなか、新規の雇用の拡大であるとか、いわゆる雇用創出というのは非常にむずかしさがあります。特に最近の職業安定所は紹介業務だけでももう大変な仕事量でありまして、なかなかうまくいっておらない。なかんずく、雇用の創出というふうなところまでいこうとすれば、どうしたってこれは市町村、県までは御承知のとおり労働部等がありますけれども、市町村にはないのですね。政令指定都市もこれらに対応する部とか課とか局というのはないのですよ。これは昨年の社会労働委員会でも私は一度問題提起をしたのでありますが、この間も私の県を回ってみましたら、雇用に関するお世話とかそういうのはどこでしているのですかと聞いたら、商工課でやっておりますとか、あるいは北九州市のように民生部の中に応急の部課をつくったりしてやっているというような実情があるわけです。自治省の方も特定不況地域の指定をなさったり、それから特定不況業種離職者臨時措置法等もできているので、いずれにいたしましても、市町村も国とタイアップして雇用の創出を図らなければならないという状況に来ていると思うのです。残念なことに、いままでは雇用・失業というふうなものは国の仕事だということで、なかなか市町村は対応してくれませんでしたけれども、身につまされて、最近はずいぶんそれぞれの地方自治体が応ずる態度になってきていると思うのでありますが、これはひとつ法改正も含めて、市町村も雇用・失業対策あるいは雇用創出というふうなものが積極的に取り組めるような検討をしてほしい。検討でいいですから、検討してほしいと思うのだけれども、自治省のお考えとこれからの取り組みの見通しについて聞きたい。 以上です。
○金子説明員 職業安定行政につきましては、御承知のように主として国の責任でやっておるところでございますが、現在の不況問題につきまして地方公共団体も非常に重要な関心を持ち、地方公共団体としても雇用安定は非常に大きな課題であるということで、ただいま御指摘がございましたように、それぞれの実態に応じまして、職業安定所等と連絡をとりまして、各種の相談業務を実施しているところも非常に多くあるわけでございます。 法律を改正して職業安定業務を地方公共団体でもできるようにというお話でございますが、御承知のように地方自治法の二条で、地方公共団体の事務として職業安定の事務というものがございます。今後におきまして、国の職業安定機関等と十分に連絡をし協力をいたしまして、国の施策の方向に沿ってできる限りのことをやってまいりたいというふうに考えております。
○森井委員 終わります。
○向山委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 午後一時三十八分休憩 ————◇————— 午後三時開議
○森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する質問を続行いたします。草川昭三君。
○草川委員 草川昭三でございます。 まず最初に、今度の雇用保険法の改正について、雇用安定事業についてお伺いをするわけでございますが、雇用安定事業というのは五十年度に発足をして、たしかあれは五十二年からですか、名前が変わったわけでございますが、過去の中で一番高度に利用された給付金というものは具体的にどういうものか、まずお伺いします。
○細野政府委員 お尋ねございました雇用安定事業の中で一番活用されましたのは、御存じの雇用調整給付金でございまして、制度が発足しました昭和五十年度から五十二年十月までで、約七百二十八億円支出されているというような状況でございます。
○草川委員 最初はこれも非常に活用されたわけでございますが、その後景気の上向き等もあるわけでございまして、それでこれが問題になってまいりまして、いわゆる保険料率の弾力条項の創設について、使用者側の方からも、約一千億に上るお金が余るというのですか、それが蓄えになるわけでございますので、いろいろと意見が出ておるわけでございますが、その中で、過去一番よく利用をした産業というのはどこがございますでしょうか。
○細野政府委員 雇用調整給付金の活用を産業別に見ますと、一般機械器具製造業が最も多くて、全体の約二割でございます。次いで平電炉等の鉄鋼業が約一八%でございます。以下、電気機器製造業、陶磁器等の窒業、金属製品、繊維、木材・木製品などが多くなっております。
○草川委員 そういうような機械製造業がやはりいま大きいわけでございます。 第二に、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正の中で、弾力条項の創設というところへつながってくるわけでございますが、この弾力条項の創設はいつごろやられるのか。あるいは、これはいろいろと要件があると思いますね。残っておる金額と保険料との差額とかということがあるわけでございますが、大体いつごろの見通しになりますか、お聞かせいただきたいと思います。
○細野政府委員 お尋ねの件は、弾力条項が発動される時期というふうに承ったわけでございますが、その点につきましては、現在の安定事業全体の運用がどうなっていくか、特に来年度新設しますたとえば開発給付金なんかは、かなり利用されるのではないかと私ども思っておりますので、したがいまして、断定的にいつ適用になるとか、ならないというふうなことをちょっと申し上げることのできる時期に現在ないので、その点はひとつ御了承いただきたいと思うわけでございます。
○草川委員 その点は私も、過日労働大臣の所信表明のときに、もし原資が不足した場合にもとの資金の方から流用ができるかどうかという質問をしておるわけですが、ぜひそれは大胆に使えるようにし、またこの弾力条項ができる限り発令なしに、せっかくためたものはそのまま使えるようにしていただきたい、こういうことをちょっと申し上げたいわけなんです。 そこで私は、実はきょうは、雇用の問題あるいは雇用から離れた失業者の問題、さまざまな問題があるわけでございますが、私の選挙区のある在日韓国人から、雇用の差別という問題を中心に非常に切々たる訴えの手紙が来ておるわけです。この方は、第二次大戦の植民地時代に強制的に日本に連れてこられて、暗黒時代というのでしょうか、非常に激しい虐待を受けて、戦後三十数年間、この方も二世、三世という自分の子供をそれぞれ生みながら育ててみえたわけでございますが、永住権を持ちながらも、実は学校を出ても就職するところがないという切々たる訴えが来ておるわけでございます。また、明後日からは本委員会でも国民年金法改正の審議がございますので、ひとつそちらの方にも私ども意見反映をしたいと思っておりますけれども、きょうは中心的には、日本におみえになります在日韓国人の方々の就職状況というものが一体どうなっておるのかということを少し報告をしながら、ぜひこれは大臣の見解をまず最初に賜りたい、こう思うわけであります。 いまいわゆる一世と言われる方々は大体三七%、二世、三世という方々は六二・八%ぐらいにふえておるわけでございますし、それから毎年新規に高卒あるいは一部大学卒業者もおるわけでございますが、そういう千人近い方々が新規労働力として労働市場におみえになるわけでございますが、半数以上の方々はいわゆる在日韓国人の組織体だとか会社のつてで就職をしてみえまして、いわゆる製造業、特に有名企業、一部上場会社等にはほとんど皆無と言ってもいいわけでございます。かつて有名な日立の問題がございまして、ずいぶん問題があったわけでございますが、つい最近、団勢調査と言って居留民団の方々の国内の一斉調査が行われました。その資料を見ますと、いま申し上げましたように製造業はほとんどない。十大業種というのがございまして、パチンコが二三・八%、それから焼き肉が二三・四%、それから古物商ですね、これは戦前からすごく人のいやがる仕事というふうに理解をした方がかえってわかりやすいと思うのですけれども、二〇・三%、土木建設が八・六%、喫茶、スナックが八・六%と、現実に調査された方々も、差別撤廃が非常に必要だ、改めて衝撃的な調査だというようなことを言われておみえになるわけでございます。日本の勤労者の平均収入というものが一カ月約二十五、六万ぐらいになっておりますけれども、在日韓国人の方々の所得というのは平均して十五、六万にしかなってないという、非常に劣悪な条件になっておるわけでございますが、製造業に就職が非常に少ない、一流企業にも少ない、そういう状況について、労働省として一体どのように見ておみえになりますか。まず最初にお聞かせを願うわけであります。
○細野政府委員 安定所の扱い自体につきましては、先生も御案内のように、憲法を受けまして職業安定法の中でも、均等待遇の原則を定めておるところでございまして、そういう意味で私どもは、御指摘の方々に対しましてはこれを均等に、しかもできるだけいいところに就職できるように対処する、こういうことではございますが、問題は、一番基本になりますのは、事業主側のそういうことに対する理解がどれだけ浸透しているかどうかというのが非常に大きな問題でございまして、いま御指摘のような状況を伺いますと、やはり今後とも一層事業主側の理解の浸透に私ども努力していかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
○草川委員 これは事業主側にもいろいろと、あらゆる機会を通じて、いまおっしゃられたようなことを労働省としてもぜひやっていただきたいと私は思うわけでありますし、それから民間の企業にそれぞれ働きかけをする前に、やはり私どもは、過去の日本の負っておる歴史的な経緯というものも十分考えながら、反省をしながら、これに取り組んでいく必要があると思うわけでございますし、特に公務員関係に門戸を開いてもらいたいということをいろいろと申し上げてみたいと思うわけでございます。 実は公務員の採用については、人事院の方からかつて、公権力の行使、地方公共団体の意思の形成に参加をする職種にはつけ得ないという一つの通達というのですか、そういうものがあるわけでございます。きょうは特に人事院の方は呼んでおりませんけれども、私どもも、一体このような公権力、国家の意思形成というものが、具体的にはどういう職種だとか職能だとか地位に当たるのかという問題も、本来は一回論議をしなければいかぬのじゃないだろうか、こう思うわけでございますが、それでもぼつぼつと、地方公務員の採用についてはそれが広がってきておることも事実であります。しかしそれも非常に限られた範囲になっておるわけでございまして、特にお医者さんなんかの特殊なケースだとか単純労務に限られておるようでございますので、これはぜひ労働省としても考えておいていただきたいと思うわけであります。 そこできょうは、具体的にどういう状況になっておるかということについて、三公社の方々においでを願っておりますので、電電と国鉄と専売の方がお見えになっておられますので、公社としての就職についての門戸の開放はしておるのか、あるいは実質的に差別をしておるのか、その点について、電電は過去一度具体的に問題点もあったわけでございますので、まず電電の方からお聞かせ願いたいと思います。
○坂部説明員 電電公社でございますが、公社の職員採用に当たりまして、国籍についての特段の制限は設けておりません。
○草川委員 じゃ、続いて国鉄にお願いしたいと思います。
○泉説明員 お答えいたします。 国鉄では、職員を採用するに当たって、特に外国人ということで採用の機会を拒むことはございません。
○草川委員 じゃ、専売の方、お願いします。
○森(宗)説明員 お答えいたします。 専売公社でございますが、専売公社におきましては、外国人の採用につきまして特に制限をしておるということはございません。
○草川委員 じゃ、いま電電の坂部職員局長、それから専売の森職員部長、国鉄の泉職員課長三人の、それぞれの窓口の担当者の方々から、特に差別、制限あるいは外国人等という資格についての差別は行っていない、こういう明確な御答弁があったわけですから、それで結構でございます。私どもは、現実にいま門戸は開放されておるということがこれで明らかになったわけでございますが、実質的には採用ということについては非常に少ないということもよくわかっておるわけでございますし、それから学校の先生等に相談を申し上げても、なかなかそれはむずかしいからもうやめて、どこか縁故のところをたどった方がかえっていいのではないだろうかという進路相談というのですか、就職相談もあることも事実です。しかし、そういうようなところで狭い市場に追い込めば追い込むほど、かえって事の本質というものは解決をしないということになるわけでございますから、ぜひとも、いまおっしゃられたような形での門戸の開放というものをより地方自治体全体に広げるとか、あるいはまた公務員全体にその枠が広げられるよう強く要望しておきたいというように思います。 続いて、今度は、これも現実に起きておる子供の問題でございますけれども、たとえば子供が中学校でどこの高校へ行くかという相談をする、そして頭のいい子がみんな公立高校へ入れれば問題はないわけでございますけれども、私学へ入る場合なんかに、中学校の先生が、あそこの学校は君では多分無理だろうというような進路相談をする場合が、かなり多く各地で行われておるわけであります。具体的に名前を挙げてもいいのでありますけれども、きょうはそのこと自身が目的ではないわけでございますので、これも文部省の方にお聞かせ願いたいわけでございますが、実際に私立高校で、やはり建学の精神というのですかいろいろな私学の長い伝統もあるわけでございますから、具体的に差別をしておるような例があるのかないのか、あるいはまた進学拒否をするという意味でございますけれども、そういう場合があるとするならば、文部省としてどのような指導をしておみえになるのか、この点についてお聞かせ願いたいと思うわけであります。
○菱村説明員 私立学校の入学者選抜につきましては、私学の自主性の立場もございますので、私学の主体的な判断で決定するということになっております。私どもとしましては、日本の中学校を卒業した外国人の方でも、できる限り高等学校教育の機会が与えられますように指導しているところでございます。現実に一部の私学で、入学要項等で外国人を対象としないような旨の記載のあるところがあったようでございますが、そうした事例も、だんだんとそういう条項を外しつつあるというふうに理解しております。
○草川委員 現実には、いまおっしゃられましたように、一部そういう学校もあることは事実であります。私は非常にむずかしい問題もあると思うのです。あるけれども、それを一歩踏み越えて、そして私学の入学等についても一切入学差別ということのないようにすることが、今日のわれわれが置かれております状況からしても、また、いま世界人権宣言等の批准の問題も一方の委員会では進んでおるわけでございますので、ぜひとも私は、そういう指導をやっていただきたいということをこの際申し上げておきたいと思うわけであります。特に荒廃する教育現場という問題もあるわけでございまして、これは全国的にはかなりの具体的な例も出ておるわけでございますので、ぜひ私が申したような趣旨で今後のまた指導方をお願い申し上げておきたい、こういうように思います。 次に、これはいろいろな具体的な例を一つ一つ出してくるわけでございますけれども、私も最初は就職差別という問題から始まったわけでございますが、いろいろとお話を聞いておればおるほどに、教育の差別を初め、入学の問題もさることながら入居、住宅の問題等についても大変な悩みを持ってみえるということがわかってまいりました。特に、在日韓国人の方々も納税義務というのは一般の国民の方々と同様な形でやっておみえになるわけでございますので、たとえば市営住宅だとか、県営住宅だとか、住宅公団だとか、あるいは地方の住宅供給公社の利用等についても、非常に強い要望があるわけでございます。ところが、市営住宅なんかにもなかなか入れない。この方々の地方自治体に対するずいぶん長い間の要望等がございまして、最近では、これも一部ではございますけれども、余裕があるならば一定の割合の中でそれを認めるというところがあるわけでございます。しかし、これも地方住宅供給公社の利用はまず不可能になっておりますし、住宅公団の利用は現在では認められておりませんし、相当強い不満があるわけです。 もう一つ、地方の方々とお話をしておりますと、住宅金融公庫の融資の対象にもぜひしてもらいたいという要望が非常に強いわけでございますが、きょうここに住宅金融公庫の方においでを願っておるわけでございますから、住宅金融公庫の場合は現在どういう取り扱いになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
○高橋説明員 お答えいたします。 住宅金融公庫の住宅建設融資は、住宅金融公庫法という基本法によって実施いたしておりますが、その住宅金融公庫法の第一条に、住宅金融公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設に必要な資金を供給することを第一義とするような趣旨の規定がございますので、まず国民の方々に必要な資金を供給することにしております。現在のところ、まだ国民大衆の方々の住宅金融公庫の融資に対する需要が旺盛でございまして、それ以外の方々に御融資をする余裕が生じておりません。したがいまして、特殊な事例を除きましては御融資をいたしておらない状況でございます。
○草川委員 いま住宅金融公庫の方の態度が出たわけでございますがいま私も話を聞いておりまして、これは別に住宅金融公庫だけの態度ではなくて、一般に全部に共通する御発言なんですけれども、いわゆる一九六五年の国交正常化の時点から、あのときの条文なんかも私も改めて見ておるわけでございますが、前文で「これらの大韓民国国民が日本国の社会秩序の下で安定した生活を営むことができるようにすることが、両国間及び両国民間の友好関係の増進に寄与することを認めて、」と明確に書いてあるわけでございまして、日本での安定した生活を保障したこの地位協定、あるいは内外人平等の原則を明確に打ち出しておる国際人権規約、これは特にいま他の委員会で審議をして、今国会では何とか批准をしようということで、外務省もかなり力を入れておるわけでございますが、この基本的な精神に照らしても、いまのような態度は、早く言うならば後回し、余裕があったら考えましょう、そういう態度は、相入れないものがあると私は思いますし、特に長い間の歴史的な経過というものを私どもも真剣にかみしめるならば、いまのようなそういう態度を一歩前進することが、世界人権宣言の基本精神にこたえることにもなるのではないだろうか、こう思うわけでございます。これは住宅金融公庫のいまの立場に対して、いまここでどうのこうの申し上げても始まらぬことでございますので、きょうはこの程度で終わりますけれども、住宅を建てて安定した生活を営みたいという方々に対する要望にもぜひこたえるよう、これはまた特に建設省にもお願いしなければいかぬことだと思いますが、以上を申し上げて、この住宅の現状という認識を終わりたい、こういうように思います。 その次に、いまのような要望も受けながら、私は今度は日常生活の方に入っていくわけでございますが、今度は法務省の方に一いろいろな具体的な例を挙げて申し上げます。 外国人登録証明書の常時携帯のことについてお聞かせ願いたいと思うのですけれども、この外国人登録証明書の常時携帯というのは、国の法律でございますからあたりまえといえばあたりまえのことでございますから、それはいいわけでございますが、日常の生活圏の範囲内においても必ず持っていなければいけないのかどうか、あるいは持っていないがために非常にきつい処分というものを受けてきておる、こういう例をずいぶん私ども聞いておるわけであります。 一番最初に、本当にふろ屋に行くときにも、たばこを買いに行くときにも、あるいはちょっとスーパーへ買い物に行く場合でも、こういう常時携帯の義務づけの範囲内になるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○藤岡説明員 お答えいたします。 問題が二つあろうかと存じますが、まず外国人登録証明書の常時携帯の義務、これはどうしても必要なものかどうか、法律上当然のことながら、必要であるとお答えせざるを得ないわけでございます。 もう一つは、しからば、いま具体的に例を挙げてお尋ねがございましたように、すぐ近くの銭湯に行くとか、つまり自分の住まい、生活圏の狭い範囲内においても、やはりはだ身離さず身につけてなければならないのかどうかということだろうと存じますが、その辺は、結論的に申しますと、どの範囲ならばいいという、物理的に何メートル以内ならばいいということはなかなか申し上げられることではございませんので、携帯義務はある。ただし、先ほどお尋ねのように、そういうきわめて狭い生活圏の範囲内で、たまたま身につけてなかったところを当局からとがめられた場合に、厳しい処分をしている例があるじゃないかということでございますが、その辺は罰則の問題でございますので、第一次的には警察、検察等の当局の問題でございますが、私ども外国人登録法を所掌いたしております法務省の立場といたしましては、入国管理局の立場といたしましては、さようなしゃくし定規な運用のないように、当局に良識ある運用をしてほしいものだとかねがね思っておりますし、機会あるごとにさような指導をしておるわけでございます。
○草川委員 入管の方としても、警察というのですか、そういう第一線の方々に良識的な運用ということを指導しておるというお話でございましたが、現実にはこういう例があるのです。これは去年の一番新しい例でございますけれども、去年の十一月十日に広島県の尾道ですか、スピード違反で、交通取り締まりで本人は違反をしたわけでございますけれども、たまたま免許証と外国人登録証明書を紛失して所持していなかったために、取り締まりの係官がこういうことを言ったというのです。朝鮮人のくせにとか、ひざまずいたら許してやるとか、こういうような暴言を吐いた。そして尾道の警察署に連行されまして、本人も六時間勾留をされたという事実が明らかになったという、こういう、いわゆる在日韓国人の方々に対して、本当に行政上の行政罰だとかいう指導でなくて、犯罪の取り締まりというような意識で物を見るという考え方、特に外国人登録法違反の起訴率が高いのではないかとか、いろいろなことが言われておるわけでございますが、この外人登録証明書の呈示方法というのは、先ほど触れられましたように常識的な取り扱い、日常生活圏の範囲内では、これはどこに線を引くかということは別としまして、常識的な運営ということを私は法務省の方にも強く求めていきたいと思っておるわけであります。 また、三年ごとに外国人登録法による更新をするわけでございますけれども、その場合に指紋の押捺というのがあるわけですね。指紋を押さなければいけないわけですけれども、これは市町村のそれぞれ窓口でやる場合もあるでしょうし、どういう取り扱いをするのかというので各地で多少の違いはありますけれども、公衆の面前でやる場合が多くて、十四歳とか十五歳とかの小さな子供、なかんずく女性の場合だと非常に犯罪人扱いをするというので、屈辱的だという非常に強い怒りというものがあるわけであります。ですから、外国人であることは事実でありますから、たとえばの話ですけれども、一番最初に原簿というようなものがあってそして永住権を持ってみえる方々には、指紋の押捺義務というものは廃止したらどうなんだろうか。これは、それこそ世界人権宣言ではございませんけれども、基本的な権利の問題として、この押捺義務というものを三年ごとに繰り返すことがいいのかどうか。いろいろな方々からも、文化人からもこの問題については何回かの要請もあるようでございますが、法務省としてはどのようにお考えになっておみえになっているのか。
○藤岡説明員 確かに御指摘のように、だれしも指紋をとられる、押捺させられるということは快いことではないはずであります。とりわけ市区町村の役場の窓口と申しますかさようなところで、公衆の面前ということでもございませんが、公衆の目に触れ得るような状況のもとで指紋の押捺を求められるということについて、人権感情を逆なでされるような感じを受けられる向きがあるだろうということは、私どもは想像にかたくないわけでございます。 ただ問題は、三年ごとの外国人登録証明書の切りかえ、法律上は確認と申しておりますが、切りかえに際して、その都度その都度指紋の取り直しをしなくてもいいじゃないか、一回最初にとったら、それで後はとらなくていいのじゃないのかという御指摘でございますけれども、さような点を含めまして、私どもといたしましては、そもそもなぜ指紋の押捺を求めるのかという基本的な必要性を原点といたしまして、そこまで立ち戻りまして、いかなる場合にどの程度まで指紋の押捺を、回数を減らすと申しますか、軽減することができるかをいろいろ検討中でございます。まだ成案を得て御報告申し上げるところまでいっておりませんけれども、関心を持っておりますので、さよういたしたいと思います。
○草川委員 いまある程度の改正のような意思をお見せになって、検討中だというお話がございましたので、それは私どもも、申し上げたような趣旨で、なるべく早くいまのようなことが実現できるようにぜひ進めていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。 その次に、これは実は出かせぎの方々にも非常に多いわけでございますが、外国人登録事項の内容が二十数項目のたくさんなものにわたっております。職業だとか勤務所だとかいろいろな内容があるわけでございますけれども、登録事項に変更があった場合にはこれは当然申請をしなければいかぬということになるわけですが、十四日以内にこれを行うべきだということになっておるわけです。ですから、この委員会でも何回か問題になっておりますけれども、たとえば出かせぎの方々で飯場というのですか、建設現場が変わる場合があるわけですよ。必ずしも一定の地域に長期間働く場合とは限りません。そういう場合には、やはりこれも十四日以内に一々変更の届け出をするわけでございますが、いま言いましたように、各所の窓口ということについても、申請の手続がなかなかめんどうだとか、そのために仕事を休まなければいかぬとか、大変不便になっているわけでございますが、この登録事項の簡素化、特に永住権を持ってみえる方々の取り扱いについてはもう少し便宜取り扱いができないのか、あるいは事業場の方で責任を持つならば、一般の単純な常識的な意味での短期間の外国人の方々と違う取り扱いをしてもいいのではないだろうか、こう思うのですが、簡素化という問題についてどのようにお考えですか。
○藤岡説明員 現在、いわゆる登録事項として二十項目ございます。その中には生年月日であるとか男女の別であるとか、要するに変わりようがない、変わらないものもあるわけでございます。それらを含めまして、やはり外国人登録制度と申しますのは一ただいままで主としていわゆる在日韓国人、特殊な背景をしょって日本で暮らしておられる在日韓国人の問題を念頭に置いての御質問のように承りますけれども、外国人登録制度そのものは、およそすべての外国人の中で六十日を超えて本邦に滞在する者について適用することにいたしておりますので、もう少しその登録事項を簡略化、簡素化できないかという御質問でございますが、おっしゃるところの、在日韓国人であるがゆえに、特殊な背景をしょっておる人たちであるがゆえに、その人たちだけについて簡略化、簡素化することが果たしていかがなものであろうかというふうに考えておるわけでございます。
○草川委員 私がどうしてそういう質問をしたかといいますと、実は外国人登録法の刑罰規定が非常に厳しいわけですよ。それは外国人登録法ですから罰則条項があることは当然と言えば当然なんですが、いまもお答えになりましたように、私はどうしても、日本におみえになります、過去の歴史的な非常に重大な経過というものをしょってみえた方々、特にその中でまじめに働いておみえになります勤労者の方々というものを頭に置いて質問をしておりますから、法務省とはどうしてもすれ違う点があると思うのです。それは承知の上ではございますけれども、実際この罰則条項の中には、たとえばうっかりしてある一定期間が過ぎてしまった、たとえば住居変更、飯場が変わったために、大変なマイナス要因というのですか、それが残っていくわけですよ。記録上積算をされていくわけでありますから、そのためにまた全体的に非常に不都合な点もたくさん出てきておる。ですからもう少し、たとえばの話ですけれども運用上、何かうっかりしたとかというような場合には、情状と言うのですか、そういうものが十分考えられる場合には、そういう取り扱いというものが全体の窓口にあってしかるべきではないだろうか。逆差別という意味ではないのですけれども、そういうものの理解があっていいのではないだろうかという立場から質問しているわけでございますが、その点どうでしょうか。
○藤岡説明員 さしあたり、いわゆる居住地を変更したにもかかわらず、法律で定めるところの法定の十四日という期間内に変更の登録申請をしなかった、若干おくれたというような場合が問題にされているわけでございますが、この種のケースは、罰則適用を運用いたします場合には、実際問題といたしまして、変更登録申請の窓口になるところの市区町村役場がまず把握するわけでございます。つまり、もう一つ実際的に申しますと、私は住所が変わりました、変更登録申請をいたしますと言って、在日韓国人であれその他の外国人であれ、窓口にあらわれる場合、よく話を聞いてみると、住居が変わってからすでに一カ月たっておる、あるいは十四日以上経ておるというようなことで、発覚と申しますかわかるわけでございます。 それがスタートになりまして、問題は、さような法違反の事実を把握、キャッチいたしました市区町村役場の吏員が、いわゆる捜査当局に、警察が普通でございますが、そういう法違反の事実があるという告発をすることになるわけでございます。 御案内のように、刑事訴訟法にも一般的な告発義務が法律上定められております。いわゆる公務員がその職務を行うに当たり、犯罪がありと思料するときは告発しなければならない。それから外国人登録法の中にも、大体同じ趣旨の告発義務を定める条項があるわけでございます。問題は、同じく法定の期間を徒過して法違反の状態に陥ったという場合に、それが全く酌量すべき、同情すべき生活環境のもとにおいて、しかも、徒過したとはいいながら、何カ月もほっぽらかしておったのではなくて、数日あるいは十数日ですか、要するに常識的に考えて短期間の徒過にすぎないという場合に、それを何と申しますか一々告発をして、いわゆる司直の手にゆだねるというような運用について、もう少し考える余地があるのではなかろうかという御趣旨のように私はそんたくするわけでございます。 その辺につきましては、全国の市区町村に登録事務をお願いしておる、委任をしておりますところの法務省といたしましても、一方に法律上の告発義務があるわけでございますから、それを無視するような指導はできませんけれども、血の通った運用をするように日常指導をいたしておるわけでございますので、今後ともそのように進めてまいりたい、かように考えております。
○草川委員 ぜひ血の通った運用ができるように、御指導方をお願い申し上げたいと思います。 時間がございませんので、最後になりますが、実は私のところへ来た手紙というのは小牧市の竹下さんという方でございますが、金在明という方でございますけれども、切々たる訴えの中で、私たち韓国人へのいろいろな人権抑圧には本当にがまんのならないところへ来ておるんだ、しかし私どもは、日本というところの中で本当に一生懸命日常生活を送っておるし、また日本社会に対しても誇り高く貢献をしておるんだ、しかし市民的な保障も権利もないし、いろいろな偏見と差別中心の政治が続く限り、本当に両国の親善友好というものはないのではないだろうかという訴えでございますし、特にこの方々は、自分の子供さんも非常に頭がよくて成績がいい、そして孫も近所の方々がうらやむほどりっぱな子供なんだけれども、現実に学校の先生に相談をしても、もう就職差別があるから自営の道を勧められておるという訴えがあるわけでございます。一面、そういうような状況の中で、本当に世界的に国際人権規約という問題が、先ほど来から触れておりますように進められておるわけでございまして、特に労働省の場合は、スト権の問題もございますから、またいろいろな立場があるわけでございますが、それはさておきまして、いまのような働く立場の就職差別等の問題を含めまして、労働大臣としてこの国際人権規約に対する見解はどのような立場をとっておられますか、最後にお聞かせ願いたいと思います。
○栗原国務大臣 いまいろいろお話を承りまして、実は日本人も北米あたりで非常な差別を受けた。しかし、今日はそういう点が昔の物語になった。こういう問題は非常に長い年月がかかることでございまして、そういう意味では在日韓国・朝鮮人の方々には御苦労をかけるわけでございますけれども、そういう方々はそういう方々で、ひとつ歴史の道を着実に、在日の外国人としてひとつしっかりやっていただきたいと願っております。 ただ、われわれの方といたしましても、それを待っておるというのじゃなしに、そういう方々が本当に、就職の機会あるいはその他の学校に入るとか何かそういうことについて差別のないように、積極的な努力をしなければならない。 国際人権規約というものは、私が申し上げるまでもなく、人権に関するきわめて重要なものでございまして、私はその重要性を十分承知しておるつもりでございます。今後、関係各省と一緒になりまして積極的な推進をしてまいりたい、こう考えます。
○草川委員 労働大臣としましても、ぜひその立場で、この批准が早期に行われるよう強く申し入れをいたしまして、私の質問を終わります。 以上です。
○森下委員長 次に、古寺宏君。
○古寺委員 最初に、昭和五十年の夏に打ち出されました定年延長を推進する上のいわゆる三原則に基づいて、どのような行政指導を行ってこられたか。また、この三原則の指導によりまして、定年延長はどの程度推進されてきたか。その状況をお伺いしたいと思います。
○細野政府委員 御指摘の定年延長を進める場合の三原則でございますが、これはもう御存じのように、年功的な賃金制度の改善の問題、退職金累増方式の是正の問題、それから人事管理の適正化の問題、この三つを私ども三原則というふうに通称呼びならわしておるわけでございます。これにつきましては、いまお話しのように昭和五十年にこれを打ち出しまして、労使の理解を進めながら定年延長の推進もあわせて指導をやってきた、こういうところでございます。 その中身としましては、高年齢者雇用率の達成計画の作成命令等を活用するというやり方、あるいは業種別の定年延長推進会議の開催をする、さらには定年延長奨励金等の助成措置の大幅拡充と活用を図る、こういうことを集中的にやりまして、定年延長の促進に努めているというのが現在のところでございます。 さらに、これももう先生御案内のとおり、先般労働大臣、通産大臣おそろいで経済四団体の代表に会われて、この問題についての理解を要請されるとともに、さらに労働四団体の代表とも懇談しまして、こういう問題について労働側が、理解と同時に現実的な対応をされるよう要請をしたわけでございます。 なお、二月に関西の産業労使会議におきまして、こういう問題についてかなり突っ込んだ原則的な了解が、関西の代表的な労使を網羅する会議の中で了解がついたという点も、私どもは高く評価をしておるわけでございまして、こういうことを各ブロック、各県にも拡大するというふうなことを努めてまいりたいと思っておるわけでございます。 なお、その間の成果はどうかというお尋ねでございますけれども、私どもの労働省でやっております雇用管理調査によりますと、一律の定年年齢を定めております企業全体を一〇〇としまして、その場合の各年齢がどうなっているか、こういうことでございますが、これを最近の四年間について見ますと、五十五歳定年がやはり非常なスピードで減っておりまして、昭和四十九年から五十三年の間に約五二%から四一%まで、一〇ポイント以上この四年間に落ちているという状況であります。ただし、六十歳以上定年の企業につきましては、三五%から三九%というふうに、高度成長のときに比べて、六十歳定年以上のところの伸び方がテンポが非常に落ちてきているということでございます。 以上でございます。
○古寺委員 先日ある雑誌を読みましたときに、年功序列型賃金体系に対する不介入方針というものを労働省は最初とっておったが、最近は、一月二十三日の通達のことを指しているのだと思いますが、その不介入方針を変更した、こういうふうに雑誌には書かれておるのでございますが、ただいま御説明がございました五十年の夏の段階、それからまた、今年一月二十三日の段階、この間におきますところの労働省のいわゆる年功序列型賃金に対する姿勢というもの、これは変更になっているのでしょうか、それとも同じでございますか。
○細野政府委員 先生御指摘のように、個別企業の中における一般的な労働条件の問題は、これは原則的に、労使が自主的な立場で団体交渉をやってこれを決めるというのが大きなたてまえでございまして、これに対する介入というものは極力避けるというのが本来の姿であろう、こう思うわけでございます。 しかしながら、先生御案内のように、定年延長ということを現実に実施しなければならない、このテンポを速めなきゃならぬというのは、現在のわが国の経済社会における高齢化のテンポなり、その影響の大きさということを考えますと、これはどうしてもやらなければならないというふうに私どもは考えているわけでございまして、その場合に、それを実現するために大きなネックとなっているのが先ほど申し上げました三点、大きく大別してあるわけでございまして、これについて一定の方向で解決をしなければ、どうしても定年延長自体が進まない、こういうことでございまして、そういう意味で、定年延長といういわばわが国の社会の大きな政治的あるいは行政的な最大の課題と言ってもいいような問題の解決のために、必要な範囲で、一般的な方向については私どもがこれについての考え方を述べているということでございまして、従来からの基本的な考え方について、特に大きな変更をしたというふうには考えていないわけでございます。
○古寺委員 それから、中高年齢者雇用促進法ですが、これはざる法である、こういうふうに雑誌に書かれてございました。こういう、このざる法によって雇用率を達成しなければならないわけでございますが、ただいまお話がございました三原則については、労働省が指導を徹底しながら定年延長は進めていく。そして、この中高年齢者雇用促進法はざる法であると言われますが、この法律によって雇用率を達成をしていく、こういうお考えのようでございますが、今後この雇用率達成に対する労働省のめど、特に大企業が一番悪いわけでございますが、この大企業に対して、このざる法をもっていかに雇用率を達成するか、こういうめどについてお伺いしたいと思います。
○細野政府委員 御存じのように、中高年齢者雇用促進特別措置法でございますが、この中で六%という努力義務を定めているわけでございますが、これについては、すでに先生御案内のように、ことしの一月に、雇用率未達成の大企業で、しかも特に雇用率の未達成の度合いが著しいというところに対しまして、これを達成するための計画の作成命令を出すよう各安定所長あてに通達をいたしているわけでございます。その中におきまして、一定の計画期間の中においてその企業が、六%という努力義務ではございますが、これを達成するための計画を作成するということをその内容といたしておりまして、この計画の作成指導、それから提出された場合にこれに対する適切な指導あるいは勧告というふうな制度を活用することによりまして、その達成を図ってまいりたい、こう思っているわけであります。
○古寺委員 計画を作成させる、それから二%以下の大企業に対しては計画を作成させるように指導をしているようでございますが、計画も作成します、勧告もします、指導もいたします。応じない場合、どうなりますか。
○細野政府委員 この計画自体がまず適正でない場合、それから計画の実施について適正にやってない場合、これについて、それぞれ勧告ができるという制度になっているわけでございます。 これができないときにどうするのか、こういうことでございますが、私どもといたしましては、現在の雇用情勢の中で、大企業等におかれても、たとえば定年延長の問題一つごらんいただいてもおわかりいただけますように、現在高齢者雇用という問題を避けて通れないということについての認識はだんだん深まっているわけでございますし、それから一方において、さっき申し上げましたように、関西の代表的な労使を網羅するところで、定年延長を含む自主的な雇用延長というものを当面六十歳まで持っていかなきゃいかぬというような決議が行われているわけでございまして、そういう意味での世論の喚起ということを今後ともブロック別あるいは県別にやってまいりまして、そういう形でこの実施を図ってまいりたい、こう考えているわけでございます。
○古寺委員 私どもも、大企業については達成は非常にむずかしい、こういうふうに考えて、本日もわれわれの法案を提案理由の説明を行っているわけでございまして、一般的に世論といたしましても、ざる法というような批判を受けるというのは、やはりそういう達成の見通しができない部面があるということだろうと思うのです。この面についてはやはり、私どもが主張しておりますように、今後この法制化の方向で、定年延長の問題あるいは雇用の年齢差別禁止の問題、拒否の問題ですね、こういう点についてはやはり前向きに検討をしていく必要があろう、こういうふうに特にまず申し上げておきます。 昨年の雇用保険の四事業、これを見ますと、各種の助成金や交付金を全部含めまして、五十二年度は五百九十四億円だったわけでございますが、その中の雇用安定事業については、予算の消化率が一五%なんです。今度は、五十四年度は新しく雇用開発給付金という雇用創出十万人を目指しての、これは目玉商品でございましょうが、こういう制度を打ち出したわけでございますが、この予算をどのくらいまで消化できる見通しか、承りたいと思います。
○細野政府委員 現在でも、中高年齢者雇用開発給付金という制度は、助成の率なり、助成の期間なりというものはいま予算でお願いしております内容に比べてはるかに小規模なものなわけでございますが、これ自体は最近非常に活用されまして、現在の見通しでは、五十三年度中に支給対象になる人間で大体二、三万、予算の金額で申し上げますと大体二倍ないし三倍ぐらいの消化ができるのじゃなかろうか、こういう状況にあるわけでございまして、特に最近景気の足取りが確実になると同時に、求人自体が大幅に増加傾向にございまして、その内容も次第に常用求人の割合が高まってきておりますし、それから求人を出す企業も、規模別に見ますとこれがだんだん大規模なところまで上ってきておりまして、現在のところ、千人以下のところですと大体前年同月に比べて求人が増に転ずるというふうな状況になっておるわけでございまして、そういう状況といまの開発給付金の内容の抜本的な改善とを結合することによりまして、現在滞留しておられる中高年の男子失業者をこういう求人によって具体的な結合を図って、雇用促進を図っていきたい、こう考えているわけでございます。 この内容の改善と相まちまして、この制度の周知徹底を図ることによって、私どもとしては開発給付金による五万五千人、開発事業全体で十万人という目標は達成できるのじゃなかろうか、あるいはぜひとも達成しなければならぬ、こういうふうに考えている次第でございます。
○古寺委員 それに関連いたしまして、今回の雇用保険法等の一部改正法案の中では、四事業にかかわる保険料率の弾力条項というものを創設いたしまして、雇用安定資金が四事業にかかわる保険料の一年分相当額以上になれば、四事業の保険料率を千分の三・五から引き下げる、〇・五ずつですか引き下げるということになっているわけでございますが、これは大体いつごろをめどに、どういう見通しでこういうような弾力条項をおつくりになったのか、いつごろになったら大体三・〇になるのか、その見通しをお伺いしたいと思います。
○細野政府委員 この弾力条項は、安定資金の積み立てが当初の予定のスピードよりかなり早く積み立てられつつあるという状況に着目しまして、この積立金自体がいわば天井知らずに大きくなるということ自体にも問題があるという考え方から、いま先生御指摘のように、積立額自体が一年分の四事業関係の収入である千分の三・五に相当するだけたまった場合には、対応する一年間千分の三・五を三に下げる、こういう内容ないし趣旨でつくられているものでございます。 それじゃ、いつ発動される見通しか、こういうお尋ねでございますけれども、この安定資金の残高というものは、安定資金にかかわる四事業、特に安定事業関係等につきましては、あるいは開発給付金関係もそうなんですけれども、景気の変動等によって非常に大きく左右されるということから、逆に言うと安定資金というのは基金制度が必要なわけでございまして、そういう意味で非常に景気の動向に大きく左右されるものでございますので、これを現時点で見通すということが非常に困難なわけでございまして、この段階でいつ発動になるとか、ならないとかいうふうに申し上げることは、ちょっと困難な状況にあるという点は御理解いただきたいと思うわけであります。
○古寺委員 私、大体金額にして二千億ぐらいというふうに上限を聞いているのですがね。そのくらいでございますか。
○細野政府委員 先ほど申しましたように千分の三・五というのが一つの基準になっているわけでございますが、この千分の三・五の方も、御存じのように賃金ベースが上がればこの実額自体も上がってくるという性質のものでございまして、そういう意味で、比較さるべき千分の三・五の中身の方もだんだん上がってまいりますし、それからさっき申しましたように、安定資金への残高がどのぐらいずつ繰り込まれるかというのは、まさにかなり波動性のある問題でございますので、したがって金額的に固定的な御説明もなかなかむずかしいし、したがっていつの時期にこれを発動するかということもなおさらなかなかむずかしい、こういう状況なわけであります。
○古寺委員 裏返しに考えますと、何か弾力条項をつくることによって四事業が推進されないというような心配も起こってくるわけです。と申しますのは、四事業の方の消化率が悪ければそれだけ資金が余剰になるわけでございますから、そうしますと企業の負担が下がる、こういう仕組みになるわけでございますね。したがって、四事業の利用を推進していかなければいけない。五十二年度のように一五%しか消化できないというようなことを繰り返しておっては、これはもう見せかけの看板だけの制度であって、中身は全く何もないということになるわけでございますので、これをどういうふうに完全に消化させるように、利用されるように今後労働省は推進していくのか、この点を承りたいと思います。
○細野政府委員 御指摘のように四事業自体、これが活用されないことによって安定資金がどんどん積み上げられて、その結果として弾力条項が動くということは、私どもの決して本旨とするところではございませんで、むしろ、私どももそう考えておりますし、同時に安定審議会においてもいろいろな御指摘のあるところでございますけれども、まず、現在ある四事業関係についてこれが十分活用されるように、事業の内容についての改善を加えること、それからそれの周知徹底を図ること、さらに新しく、たとえば先ほど御指摘もございましたけれども、開発事業を今度新たに加える等、新しい事態に対応して新しく効果を発揮しそうな制度というものを私どもとしても考えて、安定資金制度そのものの本来の趣旨に合うように活用していかなければならない。そういうことで、それぞれの方向に向かって今後とも努力をしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
○古寺委員 どうも私は納得いかないわけですね。余りにも消化率が悪い。それなのに弾力条項をつくる。何か矛盾したような感じで、資金がそんなにだぶついているならともかく、これから推進していかなければいけないそういう時期に、こういう条項をつくるということは何かぼくは理解がなかなかできにくいのです。いずれにしましても、四事業を強力にひとつ推進をしていっていただきたいと思います。 次にパートの問題でございますが、女子パートにつきましては、昭和四十四年に婦人少年審議会から労働大臣並びに厚生大臣に対しまして建議がなされました。昭和四十五年には女子パートの雇用の実情についての実態調査も行われているわけでございますが、労働省として、このいわゆる建議についてその後どのように対処していらっしゃるか、承りたいと思います。
○森山(真)政府委員 昭和四十四年の建議を受けまして、パートタイマーの保護と労働条件の向上を図るということで、パートタイマーが本格的な労働力として、企業の雇用体系の中に正しく位置づけられるようにということで努力をしてまいりました。 そのために、第一に、パートタイム雇用は身分的な区分ではなくて、短時間就労という一つの雇用形態でありまして、労働時間以外の点においてはほかのフルタイムの労働者と異なるところがない、こういうことを広く周知徹底をするということに力を入れてまいりました。 二番目に、パートタイマーの職業能力の有効発揮を図りますため、企業における教育訓練の充実、その就労職種の拡大などが行われますよう、いろいろな機会をとらえまして使用者に対して指導を行うとともに、労働基準法、最低賃金法の諸規定が遵守されますよう監督指導に努めているところでございます。 また一方、パートタイマーやパートタイムに就労したいということを希望している婦人に対しましては、労働基準法を初め、労働者保護に対する諸法令の適用があるということを周知徹底するとともに、可能な限り技術、技能を習得してから就職するようにということ、そして、就職に当たってはできるだけ職業安定機関を利用するようにというようなことを指導しているところでございます。
○古寺委員 最近は異常にパートがふえておりまして、大変な増加の状況でございます。時間がございませんので一々数字は申し上げません。ところが、パートの内容を見ますと、アメリカの週平均の労働時間が十九時間、イギリスが二十一時間、わが国は三十二時間、こういうふうになっているわけですね。ところが、女子パートのみならず、男子のパートにおきましても、労働基準法が当然全面的に適用されなければなりません。また雇用保険しかり、そしてまた健康保険、厚生年金等も当然適用されなければならない、いわゆる常用雇用に等しいパートが非常に多いわけでございますが、こういう問題について労働省はどういうような基準を設けて適用していらっしゃるのか。また、厚生省もパートに対してどういう基準を設けて適用していらっしゃるのか。承りたいと思います。
○川上説明員 私から、雇用保険法の適用についてお答え申し上げます。 臨時あるいはパートと呼ばれる労働者の方々でございましても、賃金、労働時間等の実態を見まして、常用的な方々につきましては雇用保険法を適用することにいたしております。したがいまして、常用的な就労実態にある方々については雇用保険法が適用されておるということでございます。
○此村政府委員 パートタイムでございましても、健康保険、厚生年金保険につきましては必ずしもその形式にこだわりませんで、ただいま雇用保険課長からお話しになったような基本的な考え方で、常用の関係にある者については原則として適用される。ただ、稼働時間がきわめて短い場合は別といたしまして、これまでも適用に努めておるところでございます。
○古寺委員 私がいろいろ調べた範囲内では、一日六時間あるいは一日四時間、各県によってばらばらでございます。一日四時間の県もあれば六時間の県もあります。そして、二十日以上就労した者については厚生年金とか健康保険、雇用保険を適用する、こういうふうに承っているわけでございますが、やはり同一労働、同一賃金という原則もございますし、全国的にきちっとした基準をつくって、何時間あるいは月何日以上、こういう基準をつくって、健康保険あるいは厚生年金の適用をする、また身分保障も行う、こういうパートに対するきちっとした対応というものが必要であると私は考えるのです。そのために昭和四十四年に労働大臣と厚生大臣に建議がなされているにもかかわらず、今日、実態を調べてみますと、ほとんど改善されておらない。むしろ、最近においては、企業は減量経営を行って、いわゆるいままでの常用雇用を減らしてパートに切りかえる、こういう安上がり経営というものをやっている傾向があるわけです。その場合に、パートで働いている方々に対してきちっとした保障をしてあげませんと、いろいろな問題がこれから起きてくるわけでございます。したがって、私がいま申し上げました健康保険あるいは厚生年金、これらの問題につきましては、労働省、厚生省でもって御相談をしていただいて、何時間、何日以上という基準を定めて、そしてパートの方々に対してきちっとした対応をしていただきたい、こう思うのでございますが、大臣いかがですか。
○細野政府委員 パートタイマーに対する雇用保険の適用につきましては、基準をきちんと決めて、それによって指導しているわけでございまして、したがいまして、場所によって取り扱いが違うというのはちょっと私ども解しかねるわけでございますが、今後とも基準の徹底を期してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○古寺委員 そうしますと、基準はどうなんでございますか。
○川上説明員 パートタイマーにつきましての私どもの設けております基準につきまして、御説明申し上げます。 パートにつきましては、労働時間が短い、あるいはそれに応じて賃金が若干、一般の労働者と異なってくるというような問題はございますが、賃金、労働時間その他労働条件が就業規則で定められておりまして、労働時間につきましては、所定労働時間、一週間の時間が、その事業場の同種の業務に従事する通常の労働者の所定労働時間と比べましておおむね四分の三以上であること、それからなお、時間の絶対数につきまして最低二十二時間以上であることという基準を、所定労働時間について設けております。 また、労働日とか労働時間、賃金以外のその他の労働条件につきまして、その事業所の同種の業務に従事する通常の労働者とおおむね同様なものであるということ。 それから第三番目には、就労が反復継続するというか、ずっと引き続き就労するような方、臨時的に一時的に就労するというようなことではない。 こんな基準を設けて、これは全国統一的にやっておるところでございます。
○古寺委員 それはきちっと徹底をしていただきたいですね。いろいろ調べてみますと、ほとんど不徹底でございますよ。したがって労働条件も悪い、身分も安定していない、もちろん女子のパートの場合には、生理休暇の問題でございますとか産前産後の休暇の問題でございますとか、そういういろいろな問題についても、全然これは認められていないというのが実情でございます。 したがいまして、もうすでに十年を経過しているわけでございますから、最近の雇用情勢というものも非常に変わっております。したがって、これは女子パートを中心にしまして、男子のパートも非常に多くなっております。特に男子のパートの場合は、いわゆる中高年齢層に多いのですよ。ですから、こういうような実態を一度徹底的に調査をして、本当に身分を保障できるようなパートに対する対策というものを、今後労働省としても、また厚生省としてもぜひやっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○此村政府委員 ただいま先生の御指摘になりました点は、雇用保険に比べまして、健康保険、厚生年金保険の場合は基準等が明確を欠く点は確かにあると思います。そういう意味で若干不統一の面も見られますので、現在、各都道府県の実態あるいは社会保険の適用状況等も考慮いたしまして、鋭意検討を進めております。今後労働省とも十分御相談をしてまいりたい、かように考えております。
○森(英)説明員 臨時パートの実態につきましては、いろいろまだわからないことが多うございまして、その解明が必要なことは御指摘のとおりだと思います。すでに、私どももそういう意味で雇用動向調査を毎年行っておりますが、これによってパートタイマーの実数の把握を毎年やっておりますし、さらに五十三年度の雇用管理調査におきましては、パートタイマーを事業主がどういう動機で雇うかという点でありますとか、あるいは雇用日数、労働時間、労働条件等相当詳細にわたりまして、その実態を明らかにする調査をすでに行っておりまして、現在集計中でございますので、近い将来その結果を公表できると思います。 なお、パートタイマーの増加は特に最近第三次産業で顕著でございますので、五十四年度に予定しております第三次産業雇用実態調査におきましても、臨時パートの問題を、その雇用状況、労働条件等につきまして調べてみたいというふうに考えておりまして、今後ともそういう形で、随時必要な調査をやっていきたいと考えております。
○栗原国務大臣 いま政府委員からお答えをいたしましたけれども、結論的に言いますと、経済情勢が大分変わってきまして、パートがふえておるという実情にかんがみまして、実態調査というものをしっかりやらなければならぬと思います。実態調査を踏まえた上で、たとえば雇用保険の受給の基準その他、一応いまお示しをしてありますが、そういったものについて見直すべきかどうか、改善すべきものがあるかどうかということをひとつ検討してみたいと考えております。
○古寺委員 この問題に関連しまして、健康保険の被扶養者の認定基準の中の年間所得七十万円未満というのは、いつも七十万円未満なのですね。ベースアップをしない。これをやはり経済情勢に応じて改定する必要がある、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。
○坂本説明員 健康保険の被扶養者の問題でございますが、健康保険法の規定によりまして、主として被保険者の収入によって生計を維持しているかどうか、こういう認定をいたすわけでございまして、ただいま御指摘のございましたように、一応の基準といたしまして年間の収入七十万円、これより低い場合には被扶養者として扱う、こういうことをいたしております。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 これは、考え方といたしましては、現在所得税法上の扶養親族になり得る収入の限度額が年間七十万円であるということや、国家公務員共済組合その他の共済組合法におきましても、七十万円という基準でこの認定を行っている、こういうことを勘案して決めておるものでございます。 この基準額につきましては、確かに先生のおっしゃるように、いろいろと事情が変わってまいりますとともに、こういうものは当然考えるべきものとは存じております。しかしながら、これをどのようにいたしますか、その点につきましては、税制の問題でありますとかあるいは他の共済組合等との均衡、こういう点を十分考えながら、これらの制度の関連も含めまして、今後私ども十分検討してまいりたいと思っている段階でございます。
○古寺委員 この七十万円という問題はパートにも関係するのですね。ですから、物価の上昇あるいは経済環境、こういういろいろなものを総合して、この七十万円という線をいつまでも固持するのじゃなくて、やはり状況に応じてこれを引き上げていくことが必要だと思いますので、特にお願いをしておきたいと思います。 なお、これは先日も申し上げたのでございますが、海上労働者であるところの船員でございますが、非常に特殊な労働形態でございますので、福利厚生施設の整備充実が非常に大事なわけでございます。特に青森県の八戸市にある船員保険寮、これは非常に狭隘でございまして、不便で老朽化をいたしておるものでございますので、ぜひひとつ早急に整備していただきたい、こういうことを再三お願いしておるわけでございますが、五十四年度の見通しはいかがなものでございましょうか。
○此村政府委員 青森県の八戸市にございます船員保険寮につきましては、かねてから、利用船員の増加、水揚げ高の急増、さらに、いまの施設が港から遠いというようなことから、その移転、改築について要望が強うございまして、古寺先生を初め関係者の方々から非常に強い要望がございましたので、全般的にいろいろなことを勘案いたしまして、五十四年度におきましては場所を変えまして、漁港区域にあります県有地を移転先といたしまして、予算を一応予定いたしております。したがいまして五十四年度中に新しい建物に改築する、そういうように予定をいたしております。
○古寺委員 これは通告していない問題でございますが、昨日の新聞を見ますと、日米の貿易摩擦が大変深刻になっているわけでございます。政府としては、これに対してはいろいろな面で対処をしていかれると思いますが、今後この日米間の問題によってわが国の雇用問題はどのように情勢が変化するか、あるいはこれにどう対応すべきであるか、これについてのお考えを大臣に承りたいと思います。
○栗原国務大臣 日米間に大きな摩擦がある、特に日本は黒字が多過ぎるということから、黒字減らしをしろ、輸入をしなさい、輸出は規制をしなさい、こういう問題もあると思いますね。その場合に、それが雇用にどう影響するかというのを一般的に言うと、輸入が非常に多い場合は日本としても非常に困る。輸出を規制されるということになっても非常に困る。では、輸出は規制をしないけれども、海外投資をしなさい、海外進出、資本の進出は歓迎でございますといった場合でも、これまた雇用に関係がある。これは単に日米間だけではございませんけれども、いま日本の当面している大きな問題はすべて雇用と関係がございます。 そういう意味で、政府といたしましてもきわめて事態の重要性を認識しているわけでございますが、では具体的にどうするかということは、全体的な組み合わせでございますね。相手方に対して、これは譲るけれども、これは取らなければならぬ、そういう総合的なことでございますので、こちらだけいいというわけにはまいらぬ。しかし相手だけよろしいというわけにもまいりませんので、そこら辺はこれから政府部内で緊密な、しかも綿密な、俗に言う作戦をしなければならぬと考えております。
○古寺委員 それから、本日提案理由を説明いたしました定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案につきまして、労働大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、承りたいと思うのです。
○栗原国務大臣 それぞれの政党がそれぞれ自信を持ってやられていることでございますし、本委員会でどのような御審議がなされるか、それを静かに見守りたいと考えております。
○古寺委員 すでに本日、社会党、公明党がともに法案を提案いたし、これから審議をお願いするわけでございますが、政府としては今後、法制化の方向でこれを検討していく御意思があるのかどうか。きょう午前中にも質問がございましたが、この点についてまた改めてここでお聞きしておきたいと思いますので、御真意をひとつ承りたいと思います。
○栗原国務大臣 自民党としても、公明党さんの方にも御回答申し上げたと思います。その御回答の線に沿いまして、私どもは誠意を持って検討し、適切な処置をいたしたいと考えております。
○竹内(黎)委員長代理 次に、米沢隆君。
○米沢委員 政府当局の皆さん、朝から大変御苦労さんです。先ほどからいろいろと問題が提起されておりますので、ダブる面があるかもしれませんけれども、御容赦いただいて、若干の質問をさせていただきたいと思います。 まず最初に、景気回復と雇用情勢の関係についてお尋ねをしたいと思います。 御案内のとおり、四十年の不景気のときあるいは四十六年の不景気のときは、諸統計が示しておりますように、景気が底を打って上昇に向かいますと、待ってましたとばかりに求人がふえたという実績がありますけれども、今回の場合はちょっと事情が違うような感じがいたします。鉱工業生産は五十年から上昇に転じておりますけれども、求人は余りふえない。むしろ雇用情勢は悪化する傾向にあるわけです。そういう意味で、景気が上向いても雇用がふえないという、われわれが初めて経験する実態を、どういうふうに見ておられるのかというのが第一の質問でございます。 先ほどの議論から推察いたしますところ、結局は先行き不安から減量経営が先行しておるからというお答えになると思うのでありますが、しかし、たとえば野村総合研究所等が出した統計を見ますと、四十七年から五十二年までの五年間、従業員の数と売上高の推移等について調査をしていますが、簡単に言いますと、人減らしが最も激しかった繊維あるいは家電等も、この五年の間に人は減ったが、繊維なんか五年間で従業員は四分の一も減っておる、家電は五分の一も減っておる、にもかかわらず売上高は一・六倍から二・三倍と伸びておるわけでございます。 そういうことを見たり聞いたりいたしますと、確かに減量経営が余儀なくされておる厳しい環境は私もわからないわけではありません。しかし、労働省、労働大臣等がかなりの理解を示されて、減量経営は不可避だと、一見物わかりのいいような御判断を示されますと、先ほどから話がありますように、労働行政あるいは雇用行政というのは産業政策あるいは企業経営のしりぬぐいをするものではないか、そういう批判が出てきてもあたりまえだという感じがするのでありまして、一種のもどかしさを感ずるわけでございます。 したがって、ここでお伺いしたいことは、減量経営という企業の物の考え方に対する労働大臣の所感と、行政指導の基本方針を明らかにしていただきたい。同時に、現在の雇用調整の状況から見て、今後どういう形で進展するものか、あわせて御質問をさせていただきたいと思います。
○栗原国務大臣 減量経営を私が奨励をしておるようなニュアンスにもしとられたとするならば、それは大変な誤解でございまして、その誤解を解く努力を私もしなければならないと思います。 私が一貫して言ってまいりましたことは、減量経営をしている、そういうことはよくないから解雇規制をしろ、そういう御議論が非常に強いわけでございますが、しかし、ただ単に解雇規制という法律的な規制で減量経営がとまるかどうかということになると、それはそう簡単なものじゃない。特に昨年の秋あたりから企業では非常に収益を上げてきた。収益を上げてきたのは何かというと、やはり体質改善をしてきたからで、どうしても体質改善をしなければ生き伸びられない。一時非常にむずかしくなったときに、雇用を拡大することが非常に重要だからといったって、それらをどんな無理をしてもというわけにはいかないものもあるだろう。だから体質改善をするために、やむにやまれぬという企業の努力に対しまして、これをけしからぬと言ったら、雇用創出の一番もとのところを破壊さしてしまうではないか。だからそういう意味で、生き伸びるためにどうしても仕方がないというものについては、減量経営もやむを得なかろう。しかし、最近の傾向を見ておりますと、どうも減量経営に籍口して人減らしをするという風潮がいろいろと言われますから、それはいけない。減量経営に藉口して人減らしをすることは慎んでもらわなければいけない。特に余力がある場合には率先して雇用の維持、拡大に努めてもらいたい。そういう趣旨から、実は経済団体の首脳部とも会いまして、私どもいろいろ物を言っているわけでございます。 ですから、私どもの真意は、減量経営を結構だ、大いにやってくださいと言っているわけじゃ一ございませんで、減量経営に藉口する、そういう態度は困る、企業の社会的責任を考えていただきたいということを言っているわけで、繰り返し申し上げて恐縮でございますが、それが私どもの真意でございます。 なお、今後の雇用情勢の見通しでございますが、景気は若干上向いてきておるとは言っても、なおいろいろと雇用情勢は厳しいものがある。たとえば構造不況業種というのはいまも出ておりますし、まだこれからも出てきますから、そう簡単にはいかない。それから、新たに職を得る就業人口よりも労働力人口の方が多い。特に女子の職場に対する志向が非常に大きいということを考えてみますと、雇用情勢はなかなか大変である。特にその中でも中高年齢者の離職が現実に出ておって、これにどう対処するか、非常に厳しい状況でございますので、一つには公共事業の問題、あるいは造船等の不況業種については緊急の雇用を創出する対策を講ずるとか、あるいは第三次産業の中で、生活とか保健とか衛生とか医療とかあるいは教育とか情報とか、そういった方面で雇用を創出していく、あるいは中高年齢者の雇用開発給付金を大幅に活用していく、こういったこと、あるいは定年延長の奨励金給付を使う、あらゆるわれわれの持っておる政策手段を駆して、対処していきたいというのが考え方でございます。
○米沢委員 いま大臣がいみじくもおっしゃいましたように、やはり問題とすべきことは、減量経営に籍口して悪乗りするという、そのあたりをどう措置できるかということだと思うのです。私どもも何も、解雇制限法をつくったら解雇がとまるなんというそういうばかなことは考えておりません。 しかし、いまおっしゃったようなことを阻止するためには、行政指導というものに大変限界があるような気がしてならぬのでございます。行政指導を強力にされて、わかりました、悪乗りせずにまじめにやります、そういうようにうまくいったら、こんな問題は余り出てこないと私は思うのでして、そういうことで行政指導の限界を、いままでも一生懸命やってこられたと思いますが、かなり違った形の行政指導というものを展開されないと、私は、ただ言うだけで、実際は企業経営者のしゃにむにがんばろうというものには負けてしまうのではないかと思うのでありますが、そのあたり行政指導の限界を今後どう埋めていかれるのか、いい方策でもあるのか、お尋ねしたいと思います。
○栗原国務大臣 実は、解雇規制法という法律をつくったらどうだ、行政ではだめだから、それでは法律をつくったらどうだという御議論が当委員会でも出ているわけでございますが、たとえば解雇規制法そのものを見ましても、どうもこれは手続法でありまして、どこの国でも解雇そのものをけしからぬということではない、日本の場合には外国にはないよさがあって、いまの制度が十分ではないというそしりはあるかもしれませんけれども、これにかわって外国のまねをしたらいいかというと、それもなかなかとり得ない。 それから、いま英国の労働組合のマレーさんがお見えになって、きのう私のところへおいでになりました。英国あたりでも失業率が五%、六%、なかなかうまい手はないということでございまして、やはりわが国の資本主義、自由主義体制の中では企業の活力というものをある程度認めなければならない、これを認めない方向でいろいろの措置を考えるということはかえって雇用そのものにも響く、これは財界寄りとか経済界寄りだということでなしに、全体としてどうあるべきか、そのためには労使の自主的な良識ある話し合い、そういう環境をつくるために私どもが努力をするという以外にいまのところいい手はないのではないか、こう考えるわけです。
○米沢委員 誤解があると困るのですけれども、首を切るなというそういう狭い意味での解雇制限法なんというのは、おっしゃるように問題になりません。しかし、たとえば定年延長等を誘導する形での、雇用を差別するなというそういう感じでの法制化というのは、実態を見たところ決して考えられないものではない、私はそう思うのです。この議論は後で申し上げます。 次に、新経済社会七カ年計画の基本構想における雇用政策について、お尋ねしたいと思います。 完全雇用は一体どういうものかという議論については、かなりいろんな議論がありますから、その問題はさておきまして、しかし、今後の経済情勢を見たときに、低経済成長で行かざるを得ないというのは必至の状況です。そうした中で、いわゆる完全雇用を達成するというのは、口では簡単に言えまして目標とはなり得ても、実際は大変な問題だという感じがするわけでございます。そういう意味で、この経済基本計画に盛られた完全雇用というものを達成されるために果たしてどういうすべがあるのか、どういう手段を弄してやっていかれようとするのか、そのあたりをちょっと具体的に聞かしてほしいと思うのでございます。 あわせて、六十年ごろまでの雇用情勢の見通し、それに対応する政策手段、そこらをちょっと御説明いただきたいと思います。
○細野政府委員 先生御指摘のように、現在の経済情勢、それがまた雇用情勢に大きく影響しているわけでございますが、結局高度成長から安定成長への移り変わり、移行という非常に構造的な要因と、それから景気変動的な要因と、両方が重なっているところに一つの大きな問題があるわけでございまして、そういう意味で、御指摘の新経済基本計画の、いわゆる七カ年計画と言われるものの基本構想の中におきましては、その計画期間の前半におきまして、まず一番問題になっている需給ギャップの解消ということをやらなければ、なかなか雇用問題にもはかばかしい好影響というのは出てこないのではなかろうか、そういう観点に立ちまして、一方で物価というものに対する配慮も、これも相当配慮しなければならぬという情勢になってきているわけでございます。そういう意味で物価の動向に十分配慮しながら、雇用の問題、それから需給ギャップの問題、これに重点を置いた経済運営を行っていく。その結果、計画期間の後半には、ようやくその需給ギャップが縮小してくる、あるいは解消してくる。その結果として、雇用情勢も、ある程度目に見えた改善というものは、その段階において出てくるのではなかろうか。大まかに申し上げれば、こういうふうな想定に立っているわけでございます。 そういう観点に立ちまして、したがって、たとえば来年度の完全失業者の数なんというのは、今年度の実績見通しから見てなかなか減らないのではないかというふうな想定に立っておりますのも、そういう大きな全体としての見通しを踏まえての考え方になるわけでございます。 そこで、御存じのように昭和六十年度を目標にしておりますこの七カ年計画におきましては、その場合の失業率というものを一・七%程度以下にする、特に世帯主の完全失業率をなるべく低い水準にとどめる、こういうことを政策の目標としておるわけでございますが、やはりこれを実現するためには、いま申し上げましたような全体の見通しというものが確実に実現されていかなければならぬ、こういうことになるわけでございます。そうしますと、やはり適正な経済成長を維持するということ、それから産業構造政策を進めていくということ、こういうことによってまず一般的な雇用機会の拡大、創出ということが、やはり基本的にどうしても必要であるという認識に立たざるを得ないわけでございます。 しかしそれだけでは不十分でございますから、そこで雇用対策についてもかなり具体的な積極的な対策が必要ではないか、こういう認識の上に立っているわけでございまして、そういう認識の上に立って、教育、訓練対策の問題あるいは紹介の充実の問題、それから来年度の予算の中に開発事業等も盛り込んでございますけれども、こういう中高年齢者に特に重点を置いた思い切った制度というようなものを、いろいろな角度から検討していく必要があるのではないかというふうに考えているわけでございます。 なお、これらについて、雇用対策を単にばらばらにやるのではなくて、体系的な位置づけをもって総合的に進めるべきではないか、こういう必要がございますので、現在、この経済七カ年計画と並行しまして、第三次雇用対策基本計画を改定して、第四次の計画というものの策定を、雇用審議会を煩わして御検討いただいているという状況でございます。
○米沢委員 かなり先の話でありますから、努力目標しか出てこないと思いますけれども、実際は、先ほどからの議論がありますように、経済政策の中に雇用というものを常に頭に置いて議論をしなければならぬ、そういう意味で、労働大臣も、今後経済政策の諸決定のときには発言力を強化されて、がんばっていただきたいと思うのであります。 いまお話がありましたように、その新経済基本計画にあわせて、労働省ではいま第四次雇用対策基本計画というものを策定中だと聞いておりますけれども、その第四次の基本計画というものは、新経済基本計画を埋め合わせるための、いろいろなプログラムが具体的に組み込まれるというふうに理解をしてよろしいのでしょうか。 と同時に、第三次のこの基本計画が閣議決定されてから、現在の雇用保険法を初めとする数々の政策が出てきたわけで、制度的には大体完備されておると言っても言い過ぎではないぐらいに、枝葉はかなり分かれてきましたけれども、完備されておる。そうすると、この第四次基本計画では、特に主眼としてどういうものを、結局第三次の基本計画に盛られなかったこと、あるいはまたそこでかなり弱かったこと、新しく何か入れなければならないと御判断なさったこと、そういうものが第四次計画には入ってくると思うのでありますが、第四次基本計画の主眼とするところは一体何かという問題と、具体的なプログラムがその中には入っていくのかという問題、二点について御答弁いただきたいと思います。
○細野政府委員 現在の雇用・失業情勢なりあるいはその問題点というようなところは、ある程度は第三次雇用対策基本計画の中でも指摘されていたわけでございますが、しかし、やはり現実の事態に直面してみますと、そのとき指摘された情勢とかなり違う点もございます。つまり同じことが主張されておりましても、その内容なり幅なりあるいは持つ影響の力というようなものが、非常に当時の想定と食い違っているというようなところがいろいろございます。たとえば構造不況業種の問題も、これだけ大きな幅と深さをもって影響してくるということは、第三次雇用対策基本計画の中では必ずしも想定をされておりませんでした。したがってまたその裏返しの問題として、三次産業のウエートというものがこれだけ大きく増大をしてくるというふうなことについての認識も、必ずしも十分でなかったわけでございます。それから、労働力人口の高齢化の問題なんかも、やはり現実にこれだけ世論の大きな問題となるような広がりを持ってきているわけでございますし、それから各国共通の状況でございますけれども、家庭の主婦等を中心にする労働力供給圧力が強まるということ、これも当時の想定から見ると、そのテンポなりその幅なりというものがかなり違っているわけでございます。そういう意味で、労働力の需給両面にわたりまして構造的な変化がやはり、一応は考えられていたとは言いながら、あるわけでございまして、こういう問題に対しまして、たとえば第三次計画の中でも、定年の延長というようなことを当面の重要な施策として打ち出していたわけでございますけれども、しかし景気の影響等もありまして、その進捗状況は、いろいろ予算委員会なりあるいは当委員会において御指摘がございますように、そのテンポも必ずしも満足すべきものでないという点は全く御指摘のとおりでございまして、こういうやらなければならない問題を確実に実施していく、そういう面の問題と、それから最近雇用創出の重要性ということが大きな世論となっておりますけれども、こういう新しい問題についての対処の問題とか、そういうふうな関連でいろいろと、雇用対策基本計画の中で、衆知を集めて、実際の実効のある方策というものを御検討いただいていかなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。
○米沢委員 いまおっしゃいましたように、この第四次の雇用基本計画の各論に入ると思うのでありますが、やはり重要な問題は雇用創出という問題です。しかし、現状は百万人を超える失業者がおって、構造不況業種からまたさらに多数の失業者が出るやもしれない、そういう厳しい情勢でありますから、今後一体どこがふえていくのか、ふやさなければならないのか、そういう議論と、それから実際そういうものをどういうふうにして労働移動させるのか、これが何といっても私は大きな主眼点にならざるを得ないと思うのでございます。 新経済七カ年基本計画の中にも抽象的には、今後伸ばしていくべき分野というものが書かれ、あるいは予算委員会等でも大まかな分野は明示をされたわけでありますが、具体的には、たとえば保健の問題ならば、保健に一体どれぐらいの人間が今後需要として見込まれ、どういうかっこうでふやしていくのか、細かな具体的な論議を今度は詰めていかざるを得ない。そういうものも、この基本計画の中にかなり具体化された姿として入っていくというふうに理解してよろしいですか。
○細野政府委員 今後の産業構造がどういうふうに変換していくだろうかという問題は、これは労働省だけではとても判断のできる問題ではなくて、関係各省の総合的な検討が必要なわけでございますし、それから役所だけではなくて、産業界はもちろん、学識経験者等によるいろいろな検討、研究を総合的に結集していかなければならぬというふうに考えているわけでございます。 そういう意味で私どもも、来年度予算の中に発展職種についての開発調査研究会というふうなものを設けまして、ここで専門的な立場から、たとえば通産省が産業というものを中心に御検討いただくわけでございますけれども、私どもの方では職業というものを中心に、ひとつそういう展望というものを見ていこうじゃないかというふうなことを考えているわけでございまして、そういう意味でのいろいろな各省の総合的な検討を待った上でないと、なかなか明確な見通しというものが立たないわけでございますが、しかしそうは申しましても、ある程度の、今後こういうところが伸びるのじゃないかという見当もつくわけでございます。 それで、当面雇用対策基本計画の中で、これはことしの五月ぐらいにはある程度のめどをつけたいというふうに考えておるわけでございますけれども、その中で、いま申しましたような正確な産業構造の展望というものをすでに盛り込んだ形で御検討いただくというのは、まだ無理があるというふうに考えるわけでございますが、そうは言いましても、そういう産業構造の展望との関連なくして雇用対策の立案ということもまた困難でございますので、現時点におけるいろいろな各省各機関の検討の結果というものを当面活用しまして、雇用対策基本計画の中でそれに対応する対策というものを検討し、今後産業構造なりあるいは職種の構造なり、そういうものの検討ができた段階で、もう一度見直しをしていただくというふうなぐらいの考え方で進めないと、なかなか早急には、総合的な雇用対策を確立しなければならぬという要請と、それから正確に今後の見通しの上に立っていかなければならないという、二つの要請を満たすことがむずかしいのじゃなかろうか。そういう考え方で、いま申しましたような、二段クッション的な扱いがどうしても必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○米沢委員 おっしゃいますように、今後の雇用創出については一労働省あたりで手に負えるものではない。だから、各省庁にまたがった問題としてとらえなければならぬのでありますが、しかしいまでこそ雇用問題がこういう大きな問題になって、がやがや言うようになってから、各省庁もそれぞれその立場において、前向きに議論をし始めたような感じはしておるのでございますけれども、しかし御案内のとおり、やはり縦割りですから、労働省がこんなふうにして雇用創出してほしい、すべきだとおっしゃっても、実際は、わが省の事情でこうだとか、われわれはそう考えないとか、そんなものはまだわれわれの計画に入っていないとか、そういうことで、セクショナリズムがある程度はガンになるのではないかという感じもしないではありません。したがって、いま内閣として、雇用創出というのを一大目標として、各省庁ともに、雇用にポイントを置いて今後の行政施策あるいは予算等をとるという合意みたいなものは、実際はもう合意されておるのでありましょうか。
○栗原国務大臣 五十四年度の予算を組むに当たっては、政府の各省としてそれぞれ、どの程度の雇用創出ができるか、予算を編成する場合に、そういうことを念頭に置いてみんなやったわけです。労働省もそれはぎっちりやってもらいたいということを強く要望いたしましたし、財政当局もその点に思いをいたして、今度はいろいろ査定をしたと私は承知をしております。ですから、それで十分かと言われれば、十分だなどと申し上げるほど私は僣越じゃございませんが、まあまあことしはよくやったのではないかというふうに思っております。しかも、通産省や建設省や厚生省等といろいろ話をいたしますけれども、おれのところのなわ張りだからよけいなことをするなとかいうのは全然ございませんで、そんなことよりも、通産省を一つ例にとりますと、第三次産業について一体どういう方向に誘導していったらいいか。その第三次産業がどういう方向にいくかということについて、もう少しお互いに調査についても連絡をとり合おうじゃないか。あるいは第三次産業だけでいいのかしら、やはり第二次産業というものが活力がないと、第三次とか第四次とか第五次とかいろいろ言うけれども、そういった方向へどんどん広がっていくかどうかも疑問じゃないか。だから第二次についてはどうするんだ、いい知恵があったらお互いに出し合おうじゃないかということでございまして、いまのところ御懸念の権限争いというようなことはない、むしろ、どうして雇用を創出するかということに大変真剣であるというふうに私は考えております。
○米沢委員 これからの雇用創出というのは、いままでの四、五年来の労働力の移動を見ましても、やはり大きなウエートを占めるのは第三次産業ですね。この四、五年の統計を見ましても、製造業から第三次産業へかなり労働市場が流れておるわけです。四十八年から五十二年までのこの四年間、総理府の統計によりますと、製造業の就業者の数は百三万人減って、これに対して卸小売、金融保険、不動産業等が合計百三十万人、サービス業が九十二万人ふえておるわけですね。そういう意味では、製造業と農林漁業から出てきた労働力というものを第三次産業にのみ込んだ形だ、こう言ってもいいと思うのです。 しかし、中身を見ますと、先ほど来議論がありますように、やはり悪い労働条件という方向に実際は流れておるわけですね。それは中身はいろいろいいところもありましょうが、大企業の常用雇用者というのが減っていく反面、零細事業者の方がどんどんふえていくわけですから、労働条件、賃金、時間等々考えたら、実際は、悪いと言ったらおこられるかもわかりませんけれども、いい方向には変わってないわけですね。そのあたりが私は、これから先の大きな問題だという感じがしてならぬわけでございます。 いま大臣がおっしゃいましたように、第三次産業にふえていってそれで飯が食えればいいかもしらぬけれども、しかし実際は第三次産業なんて消費手段にすぎないわけですから、やはり第二次産業あたりがある程度の活力を持たない限り、特に日本のように資源のない国が、第三次産業でただ単に横から横に物を移してそれで飯を食うなんていう、そんな姿が将来の日本の姿であってはならない、そういうことはよくわかるのです。 それで、過去四、五年の経過を見ますと、流れやすいところに流れたということはあったとしても、しかし、本当は流れていってほしいというところとほしくないというところの区分けは、実際はできてないわけですね。これから先、第三次産業が一つの大きな労働力を吸収するかなりのウエートを示すといたしましても、私たちがいまから望んでいかねばならぬのは、社会的なサービスですね。そのあたりのところに誘導しない限り、実際は、人間が動いて結構飯は食うてますという姿だけでは、日本の経済のあるべき姿なんというのは追求できないわけでありまして、その意味で、どういうふうにこれから社会サービスを確保していくのか、いま一生懸命努力されているというお話を聞いたわけでありますけれども、これはただ単に国の問題だけではなくて、地方自治団体とも絡みますし、財源の問題も絡みますから、そのあたり幅広く今後御協議いただいて、がんばっていただきたいと思っておるわけであります。 そこで、いまちょっと触れましたように、これから先の問題は、確かに完全失業者をどうするかという問題と、失業者という姿ではなくなったけれども実際は不完全就業者ですね、そのあたりがかなりメスを入れてもらわねばならぬ分野ではないか、こう思うのです。 最近の雇用統計等を読んでみましても、常用の雇用が伸び悩んで、臨時の雇用者や日雇い労務者が増加しているのが特徴です。職種の壁もありますしあるいは職業訓練の不足などから、せっかくみがいた技能が生かせないままに、不本意ながらその職につくという姿が実際はあるわけです。これはやはり不完全就業者という形でとらえていいと思うのでありますが、日本の労働力調査による失業者というのは、御承知のとおり、月末一週間に一時間以上の仕事をせず、かつ仕事を探していた者、こうなっているわけですね。これは外国に比べましてかなり厳しいあるいは狭義の定義の仕方ではないか、私はそういう感じがするわけでございます。 たとえば西ドイツあたりでは、もっと働きたいけれども週二十時間未満しか就業していない者は、収入があるにもかかわらず失業者の中に入っているわけですね。そういう意味で、対策の仕方はいろいろ工夫があると思うのでありますが、日本の失業者の定義の仕方というのはかなり狭いわけです。ですから、狭いがゆえに、今度は不完全就業者というものを放置するという一面がやはり出てくるという感じがするわけですね。いま完全失業者だ、しかし働かなければ飯が食えない、こうなりますと、やはり少々の賃金が下がっても、あるいは労働条件がちょっと悪い、こういうのでも、特にこれは中高年齢層に見られるのでありますけれども、不本意ながら仕事をせざるを得ない、そういう、諸統計が如実にそのあたりを物語ってくれると私は思うのです。 そういう意味で政府は、この不完全就業者というものの存在をどういうふうにとらえていらっしゃるのか、今後どういう改善策を用意されておるのか、そのあたりが一番聞きたいことの一つなのでございます。特に完全失業者というのは、先ほどから言いますように大変狭い概念での失業者でありますから、実際は、ちょっとその隣の不完全就業者なんというのは余り実態は明らかにされないという傾向があるのではないかということを心配するわけですが、いかがですか。 〔竹内(黎)委員長代理退席、向山委員長 代理着席〕
○細野政府委員 先生御指摘のように、製造業の雇用が停滞をして三次産業の雇用が伸びている、その結果として、大きな規模の企業から規模が比較的小さいところへ労働移動が行われたということは、まず事実でございます。ただし、一般に言われているように、そのために非常に賃金が劣悪になったんじゃないか、その他の待遇が劣悪になったんじゃないか、こういう御懸念があったわけでございますが、その点については私どもも日ごろ関心を持っておりまして、いろいろと調べているわけでございます。 たとえば、平均賃金で賃金の規模別格差を見ますと、一時は開いたものが最近はまたやや格差が縮まる傾向になってきているわけでありまして、そういう意味で、必ずしも、規模間の労働移動というものが賃金条件の格差を広げるような意味での劣悪な労働条件のところにいったのかどうかというのは、一つ問題があるのではなかろうか、必ずしもそうは言えないのじゃなかろうか。 それからもう一つの問題は、三次産業が伸びているところも、いろいろと事例的に調べてみますと、かなり対事業所サービス、たとえば広告関係とか調査関係とかマーケッティングの関係とかそういうふうな、いわば近代的なサービス業というようなものもかなり伸びている。それから、従来の伝統的な意味での流通関係というものは案外伸びていない。これは結局、それぞれの業種の付加価値の関係もあるかと思うわけでございますけれども、案外伸びてない。したがってそういう意味で、昔言われていたような意味での不完全就業なり、不安定雇用なりというものが続々ふえているんだというふうには必ずしも見れないのじゃなかろうか。 ただ問題は、その辺の状況につきまして、たとえば三次産業がふえている中身の実態、その場合の雇用条件なり就業形態なりいろいろな面でクロスした意味での実態というものは、率直に言ってまだ明確にされていないわけでありまして、先ほど申し上げましたのは、いずれも手探りの単発的な調査の結果でございまして、したがってそういう点を明確にするために、三次産業等今後の伸びる職種についての総合的な調査というものを労働省も来年度計画をいたしておりますし、それから通産省その他の関係省においてもそういうものが計画をされているわけでありまして、そこも先ほど労働大臣からお話がございましたように、各省が連携をとりながら、ダブらず、かつ連携をとって、実態を浮き彫りさせるようにしていこう、こういうふうな検討を内々進めている、こういう状況でございます。
○米沢委員 私も、先ほど申しましたように、何もすべてが劣悪な労働条件になったとは言いません。しかし、臨時工がふえたりパートがふえたり日雇い労働者だけがどんどんふえていったり、それから移ったけれどもすぐまた転職する率が大変多いのですね。あるいはまた、そこに働いている人の転職希望率も大変高い。そういうのを見ると、自分では不本意である、同時に生活の安定という意味からは問題がある、こういう認識があるからそういう数字を示すので、そういう意味で、すべてではありませんけれども、かなりの部分がそういう状況にある。したがって、おっしゃったような不完全就業の問題に今後はかなり大きなウエートで力点を置いてもらわないと、いろいろな問題を起こすのではないか、こう提起をしたわけでありまして、そこらを御理解いただいて御努力をいただきたいと思うのであります。 それから次は、中高年齢層の雇用問題に移りたいと思います。いま日本が抱えておる問題は何といっても高齢化社会、かなりのスピードで高齢化社会が進んでおるということが言われております。特に中高年齢層というのは、御案内のとおり、もう失業しますと再就職するチャンスに非常に恵まれない。有効求人倍率等も大変低いものになっておりますから、この実態についてくどくど言う必要はないと思います。そこで、いま労働省としては、短期的には定年延長、継続雇用の奨励金、あるいは中高年齢の雇用開発給付金等を活用してそれに対応しよう。長期的には中高年齢層向きの雇用創出というものが図られねばなりませんでしょうし、今後の問題として定年延長、時短等々が上がってくると思います。しかしながら、現時点から見たときに、五十五歳から六十四歳の男子の労働人口というのは、昭和五十年から昭和六十年にかけて約百万人以上増加する、こういうことが確実だ、こう言われておるわけですね。そういう意味では、急激に高齢者の労働人口がふえていくという中で、いまのような補助金を言い方は悪いけれどもばらまいて、解決できるものではないという問題意識が常にあるわけです。今後の長期的な課題として、やはり先ほど来話をしておりますように、特に中高年齢層の雇用創出という感覚で、中高年齢者の就業分野というものを特に力を入れて開拓していかねばならぬのではないかと思うのでありますが、そのあたりについての御見解はいかがですか。
○細野政府委員 御指摘ございましたように、今度の新しい経済計画の中でも、約四百九十万ほど労働力人口がふえる中で、二百六、七十万というものが五十五歳以上人口であるというふうな指摘がされているわけでありまして、それに対応するためには、やはり高年齢者向きの職場の開発というものが非常に重要でございまして、そういう意味で、先ほど申し上げましたような雇用発展職種の開発研究委員会等におきましても、この高年齢者向きの職種なり職場というものの開発も、その一つの大きな研究課題というふうに考えているわけでございます。 ただ同時に、そういうふうにいま申し上げたような、労働力人口のふえる部分の相当部分がもう五十五歳ということになるわけでございますから、大企業といえどもいわば若年労働力にだけ頼る、そういう運営は今後できなくなるわけでございます。したがって、大企業自体も、そういう意味での高年齢者雇用というものを、遅かれ早かれ、好むと好まざるとにかかわらず、やらざるを得ないということになるわけでございます。したがって問題は、その大企業等の対応が、そういう労働力人口の高齢化のテンポにおくれたときに非常に大きな社会的テンションが起き、混乱が起きる。それをどういうふうにして早手回しに対策を講じて、その混乱を防ぐかというのが私どもに課せられた大きな任務ではなかろうかというふうに考えているわけであります。そういう意味で、どっちみち産業社会というものに対応せざるを得ないわけですけれども、一歩早目にその対応をやっていかなければならない。そういう点について、従来日本の産業社会というものは、ある意味ではほかの国に比べてそういう変化に対する対応が比較的スムーズに、ある意味では英知をもって対応できたという経験もあるわけでございまして、先ほど冒頭申しましたように、いろいろな新しい職種、職場の開発、これも重要でございまして、十分力を入れていかなければならぬと思いますが、先ほど申しましたような、わが国の産業社会の持っている英知というものを引き出しまして、これにみずから対応するという方向を早く引き出すということもまた非常に重要な仕事ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。
○米沢委員 端的に言いまして、中高年齢層向きの就業分野を開拓するのかしないのか。どうですか。
○細野政府委員 たとえば、いま議論されておりますように、ある程度の何らかの助成をすることによって、いわばコマーシャルベースとしても成り立つ、そういう事業みたいなものが今後考え得るかどうかというところが非常に大きな一つの研究課題であろうか、こう思うわけでございますが、しかしそういう意味での開発研究というもの以外に、何か非常に公共的な部門でもって直接吸収するというやり方を考えることについては、非常に大きな問題があるのじゃなかろうか。もちろん、先ほど先生からも御指摘ございましたように、公共的なサービス部門について、日本が諸外国に比べて必ずしもその分野というものが充実されていないということ、したがって、今後もそこに力点を置いて雇用の拡大というものが図られていくのではなかろうか。その場合に、公共サービス部門といえども、単に公共的な資金なり、いわば公務員的な形でだけでこの運営を考えるのではなく、たとえば病院で言えば、国立病院とかそういうふうな形でのみ拡大を図っていくのではなくて、民間部門における、そこの採算が成り立つような形での資金効率というものをどういうふうに考えていくかということが、今後ますます重要なウエートを占めてくるのではなかろうか、こう思っているわけでありますが、同様な意味で、もっともっとほかの分野におきましても、そういう民間の活力を生かした形での雇用の創出の場というものが研究できるかどうか、そういうことが開発できるかどうか、これが今後の大きな課題ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
○米沢委員 次の長期的な問題として考えねばならぬのは、やはり定年延長ですね。これについても先ほどからいろいろ議論がなされました。しかし、一時は定年延長もスムーズに伸びていくかに見えたのですけれども、こういう状況になりまして、もう五十歳ぐらいから肩たたきが始まって、逆に定年延長なんというのはないがしろになってしまうという、そういう傾向にあることも事実でございます。しかし先ほどから何回も言いますように、昭和六十年代というのは五十五歳から五十九歳までの層が急激にふえるという時期でもありますし、続く昭和七十年代は六十歳から六十五歳の層が急増する、こういうことでありますから、もう完全に放置できない問題だという認識だけは一緒だと思うのでございます。 そこで、急に現実的なものに返るのでありますが、この定年延長奨励金ですね。五十一年、五十二年は大変消化率が悪い。悪く解釈するならば、言うてきたら受けるというだけであって、実際定年延長を本当に正面切って指導されたのかという懸念があるわけです。単に定年の問題は労使の問題だと言って、だから窓口のところでこういうふうにしてほしいという議論をなさったにすぎないのじゃないか、そう思うのであります。先ほど来定年延長を推進するためにいろいろやってきたという話を聞きましたから、再度答弁を求めませんけれども、いままでやってこられた行政指導というのは、本当にパンチがあったというふうに自覚をされておるのかどうか、聞かせていただきたいと思います。
○細野政府委員 従来の定年延長に対する指導は、高度成長の過程におきましては、旗を振るだけでかなり進んできた。これは先ほど先生からも御指摘があったとおりでございます。しかしこれからは、定年延長を進める場合には、これもしばしば労働大臣からもお話がございますように、年功的な雇用賃金慣行、すなわち年功序列の賃金体系、退職金の問題、それから年功的な人事配置というものを直しつつやらなければならない企業が一般的に多いわけでありまして、そういう意味で、もう少し具体的に、しかも目標を持った行政指導というものが必要でなかろうか、こういうふうに考えているわけでありまして、そういう意味で、私どもは、むしろ六十年という長い期間の目標だけではなくて、中間時点において目標を持ち、かつ、定年延長の進め方につきましても、たとえばいま申し上げたような定年延長の阻害要因となっている三つの問題についても、これが一遍に労使間で話がつきにくいということであれば、たとえば再雇用制度を導入してその問題を一挙に片づけて、それを定年延長に切りかえる。これは関西の産業労使会議において現実にやられたやり方でございまして、私はこれは非常に現実に即したうまいやり方だというふうに感銘しているわけでありまして、こういうやり方を私どもも行政指導の手法の中に取り入れさせていただく。あるいは、高年齢者の雇用率達成計画を大企業について作成をお願いするということが、ようやく今回緒についたわけでございますが、定年延長なりあるいは再雇用制度なりというようなものを、計画の達成手段としてその計画の中に取り入れていただく。そういうふうなやり方で、定年延長問題と高年齢者の雇用率の達成というものを同時並行的に指導していく。そのためのやり方としては、たとえば先ほどの関西の産業労使会議の合意事項みたいなものを関東でもやってもらい、あるいは府県別にもやってもらうというふうなやり方で、コンセンサスづくりあるいは世論喚起をやっていく。あるいは、先ほど申しましたが、高年齢者に対する計画の作成命令の指導を集団指導という形で業種別に進めていく。いろいろな手法を積み重ね、繰り返し執拗にこれを続けていくというやり方がどうしても必要じゃなかろうか。そういう情勢の中で初めて、定年延長奨励金とか、それから場合によっては高年齢者の開発給付金自体が、高齢者雇用率というものを高める役割りを果たすわけでございまして、そういう各種の行政措置というものを具体的な行政指導の中で現実に活用されるように図ってまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○米沢委員 おっしゃるように、定年延長は確かに第一義的には労使の問題です。したがって、賃金だとか人事だとかあるいは退職金だとか等々の問題が絡むことは事実でありますけれども、実際定年延長をやったところを見ても、徐徐に延ばそうという話をしているところにつきましても、先ほどから議論が出ておりますように、民間は柔軟に対応できる、そういう姿勢を持っておると私は思うのですね。問題は、企業がその気にならないというだけのことでありまして、もし企業の方から提案をなされるならば、こういう情勢でありますから、雇用か労働条件かと二者択一を迫られても、民間は雇用の方を皆さんは選ぶであろうと思いますし、そういう意味では、問題は労使の問題だということで行政指導をそこに主眼を置かれるよりも、もう少し企業そのものがやる気を出してくれるという方向に主眼を置いてもらわないと、実際はそう簡単に進むはずはないという感じがするのです。実際、退職金等についてもかなりの格差の是正はなされておりますし、賃金等についても、昭和三十九年ごろに比べますと、半分ぐらいに格差は減ってきておるわけですよ。ですから、民間はやはり生きるすべを知っておりますから、実際はそういう提案がなされたならば柔軟に対応していくという、部分的にはときどきおかしいのがおるかもしれませんが、ほとんどがそういうものに対応するのはあたりまえのことだと、こう理解していいと私は思うのでございます。そういう意味で、今後の問題は、企業そのものに社会的な責任を自覚していただくとか、あるいは皆さんの行政指導のよろしきを得て、その気になっていただくというそこだけがポイントでありまして、今後特にそういう方向で行政指導を強められるということを、決意として、一回伺っておきたいと思うのでございます。 〔向山委員長代理退席、委員長着席〕 同時に、この委員会にも例の定年延長の法案が出されておりますけれども、企業そのものが、先ほど言いましたようにどうもその気になってくれない。それにしりをたたくのには、少なくとも何らかの法制化みたいなものが必要ではないか。確かに、首を切るなという単純な雇用制限法みたいなものでは法制化もむずかしいと思いますけれども、少なくともその気になってくれる、ある程度の余裕期間を置いて最終年度においては六十歳にならざるを得ないのだ、そういう一つの規範的な、誘導的な法制化みたいなものは、この段階では行政指導の限界を超えておると思いますので、そこらも利用されながら、緩やかな誘導策を示す法制化みたいなものはぜひ必要ではないかと思うのでありますが、大臣の見解を聞かせてほしいと思うのです。
○栗原国務大臣 定年を延長する、六十歳まで延ばすというのは大体国民的な合意になりつつあると思います。一つは、企業なり経営者の方がその気になりさえすればできるのだという見方も確かにあります。だけれども、経営者の方からすると、労働側が例の年功序列賃金体系、こういったものから本当に踏み切るかどうかということについて、いささか戸惑いがあるということも事実なんです。 この間、労働団体の方々にお会いしましたところが、労働団体の人たちが言うのには、いままでの労使のパターンというのは、労働側から要求する、それに対して経営側がいいとか悪いとか言う。今度の定年延長の問題については、われわれの方からも言えばいいのだろうけれども、仮にちょっとちゅうちょするところがあっても、むしろ経営者の方から声をかけてくれないか、声をかけてくれると非常にやりやすいという意見があったわけですよ。これは全体としてそうなるのじゃないかという意見がありました。私はそういうことはあり得ると思うのです。何か知らぬけれども、労働側から言えばこたえてよいし、あるいは経営側から言われたらおれの方でも相談に乗ってもいいという、どっちもお互いに、向こうから言ってくれればというのがあると思うのです。そこまでだんだん機は熟してきたと思いますので、またそれを私どもは行政の面で大いに活用しなければならない、こう考えておるのです。 それから、法制化の問題についてもいろいろ御議論がございまするし、この問題については自由民主党が、予算修正の際に各党に対していろいろ御回答を申し上げております。その回答を私どもは誠実に検討いたしまして、適切な措置をとりたい、こう考えておりますので、それはそれなりに、定年延長のための一つの大きな推進台になるのではないかと考えております。
○米沢委員 お互いに気がありながら、手を出し合わない姿というのがいまの姿だというふうに聞いておるのでありますが、実際はその起爆剤といいましょうか、きっかけといいましょうか、誘導策といいましょうか、いろいろ策はあろうと思いますけれども、そういうものがもし必要であるならば法制化も含めて検討される、そういうふうに私は理解をしたいと思うのですよ。 と同時に、ちょうど予算の最終段階で自民党の方から提案をなされまして、われわれは前向きだと評価しましたから、一々またわが党の法律案をつくって出すというめんどうくさいことはやめたわけでありまして、そのあたりはぜひ前向きに御理解をいただいて、少なくとも、その結論をいつまでもずるずると、労使の問題はむずかしいなんということであれば、それは期待をそぐことになるわけでありますから、でき得る限り、少なくとも一年ぐらいの間には、早急な検討を重ねた上、結論を出していただくようにお願いをしたいと思うのでありますが、大臣の見解を聞かしてほしいと思います。
○栗原国務大臣 御意見として十分承ります。
○米沢委員 それからもう一つは、中高年齢層の雇用の現在的な問題としまして、いろいろと定年延長だとか奨励金とか継続雇用奨励金とか開発給付金とかを組んで、いまからがんばろう、こう姿勢を示していらっしゃるのでありますが、そんなことより、減量経営の方がずっといいという経営者がおれば、こんなのは完全に吹っ飛んでしまうわけですね。現に減量経営の最大の被害者は実際中高年齢層ですしね。そういうことを考えてみますと、やはり非常にこれはむずかしい問題だと思うのだけれども、中高年齢層をねらい撃ちするというような、そのあたりは何らかの形で規制をする方法はないだろうか、私はいつもこう考えるわけであります。 口を開けば、日本は終身雇用制だ、したがって労働者の雇用を定年まで、あるいはときによっては定年後も守る制度というふうに一般的には理解をされておりますけれども、実際はそうじゃないですね。実際はむしろ逆なんでありまして、終身雇用制と言いながら、日本の企業主というのは従業員を簡単にほうり出すのですよ。たとえば、アメリカあたりでは先任権制度がありますね。だから、かなりブレーキがかかります。あるいは欧州等では、雇用削減を厳しく制限するという方向で保護する行政姿勢というのが強いのですね。ところが日本の場合には、終身雇用だと言いながら、実際は簡単にほうり出すという、そういう終身雇用のたてまえが生きていた時代はありましたけれども、実際はたてまえになっているものと逆の方向にいま動いているという認識の方が私は強いのではないかという感じがするのです。 そういう意味で、中高年齢層の切り捨てなどを防ぐルールもない、法律もない、そして中高年齢層がねらい撃ちされていく、そういう実態をながめましたときに、本当の意味で終身雇用という制度を打ち立てて、身勝手な人減らしをさせないという、そういうルールをどうしても私はつくらねばならぬのじゃないかという感じがするわけです。 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法、これもるるいろいろ議論されましたが、こんなものはあってなきがごとし、最終的には定年延長をしなければならぬということで逃げられてしまいましたけれども、実際は、この法の趣旨を生かすには定年延長が有効だと答えられながらも、実際は定年延長そのものに私はどうも逃げたような感じがしまして、定年延長が必要なのはこの法律が決まったときにもうあったわけですから、実際もうわかっておったわけですから、いまさらそこへ逃げられずに、定年とは別にして、この法律を生かすという道はぼくはやりようによってはあると思うのですよ。そのあたりを、先ほどからの御答弁を聞いておって、どうも納得しかねるところがあるわけです。だから、この法律を生かしたら、幾ら中高年齢層をねらい撃ちしようと思っても、少なくとも六%以下にはできませんよね。そういう点をどういうふうに理解なさっておるのか。どうもちょっとチンプンカンプンでわからぬことがありますので、整理をして説明していただきたいと思うのです。
○細野政府委員 高齢者の雇用率の問題と、それから定年の延長という問題が、非常に密接不可分の関係があるということを申し上げておりますのは、定年を延長しないで、たとえば五十五歳定年ということをそのままにしておいて、そして高齢者の雇用率を達成しようとすれば、結局のところ、自分のところの従業員の首を切ってよそから人を入れる、こういう仕組みになりますから、したがって、高年齢者の雇用というものを進めるためには、どうしてもやはり、定年延長という問題は、これは一遍抜いておかなければならない問題なわけでございます。そういう意味で、二つの関連を強く申し上げているわけでございます。 と同時に、結局、高齢者雇用というものが進むためにも、定年延長というものが実現するためにも、いずれもその前提条件となる問題が、賃金体系をどうするか、つまり定年延長後の賃金体系をどうするかということ、あるいは延長後の退職金というものはその後も積み続けるのかどうかというような問題、あるいは管理職ポスト等についている人たちの扱いというようなものをどうするのかというふうなそういう問題、その辺が解決しなければ、結局人事が詰まってと、こういう問題になるわけであります。その辺についての雇用慣行全体について、労使がコンセンサスの上で、これを打開をするということがなければ、高齢者雇用率の達成もむずかしいし、定年の延長もむずかしい。しかし、むずかしいからといって、手をこまねいているわけにはまいりませんので、先ほど来申し上げておりますように、そういう点について労使の間にできるだけコンセンサスづくりを早急にやって、定年延長の機運というものを強めていきたい。 それから、先ほど先生の御提案の、経営側にインパクトを与えるべきじゃないかという点も、まさにおっしゃるとおりでありまして、そういう趣旨から、私どもは、高年齢者の雇用開発協会というものを経営側につくってもらいまして、今後来るべき高齢化社会における、そういう定年延長を含む高齢者の使い方、それから健康管理問題そういうものを全部ひっくるめての総合対策というものを実践的に研究して、むしろこういうふうなことをしたいのだという、経営者側の案を開発協会においてつくってもらいたいというふうに考えておるわけであります。そういうものを労働側にこれでどうだというふうにぶつける、そういう積極性がむしろ必要なんじゃなかろうか。そこが、さっきのように、お互いにある程度原則論はわかりながら、各論になるとなかなか手が出ないというような、そこのところを突き崩す一つの有力な手がかりにしてまいりたいというふうに考えておるわけでありまして、そういう意味で、先ほど来申しておりますように、定年延長の問題とそれから高齢者の雇用率の達成という問題は、定年延長に逃げるという問題ではなくて、これは一緒にやらなければならないし、また一緒にやることによって効果が上がるのだというふうに申し上げたわけでございます。
○米沢委員 おっしゃることは私もよく理解できるのでありますが、何か話を聞いておると、中高年法というのは何だったろうかと思うのですね。結局、定年制をしいてない企業だけがこれは対象だったのですか。そういうふうにしか聞こえないのですよね。わかりながらもちょっとけちをつけておるわけでありまして、御勘弁いただきたいと思うのです。 そういう意味で、最終的には定年制と深い関連があることはよくわかります。そういう意味では、労使のコンセンサスの問題だというのは、この中高年の雇用を促進する特別措置法も、結局労使のコンセンサスの問題だ、こう逃げられたのでは、この法律は生きてこないのですね。定年制があったとしても、雇用率を達成させるというのがこの法律の目的だった、私はそう思うのですよ。ですからそのあたりを、ぜひそういうふうに理解をして御努力いただきたいと私はお願いしておきたいと思います。 同時に、こういう情勢でありますから、少なくとも中高年の特別措置法については、企業名を公表するとか、努力目標にすぎないとか言わずに、この時点において時限的にも強制力を持たしたらどうですか。それで逆に、定年制をどうしても延ばさねばいかぬということになったりするんじゃありませんかね。法的な規制力を少なくとも時限的でいいからこの段階で持たせるべきだ、こう私は思うのでありますが、どうですか、大臣。
○細野政府委員 先ほど申し上げておりますように、雇用率にしても、定年の問題にしても、いずれもその前提条件というものを解決しなければならないわけでありまして、その前提条件の解決と切り離して結果の方だけを法的に強制することには、やはり大きな問題があるというふうに私ども考えているわけであります。 ただ、先生が先ほど来おっしゃっておりますように、何かインパクトを与えないとなかなか進まないじゃないかという、高齢化のテンポとのかかわり合いにおいて非常に効果を急げという御指摘は、まことに私どもも同感でございまして、そういう意味で実効の上がる措置というものを、いろんなお知恵をかりながら実施をしてまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
○米沢委員 次は、中高年齢者の雇用開発給付金についてお尋ねしたいと思うのです。 今度、五十四年度の予算において、この制度を利用して五万五千人の雇用増を図ろうということでありますけれども、果たしてその根拠はいかなるものなのか。それから、この制度が発足しました五十二年の十月から五十三年十月までの一年間で、この制度の恩恵をこうむったのはわずか六千六百六十八人にすぎないのですね。こういうふうに対象者が少なかった理由はどこにあるのだろうか。あわせて御答弁いただきたいと思います。
○細野政府委員 まず、五万五千人の根拠というお尋ねでございますが、いわば予算積算的な意味での根拠というお話じゃなくて、これが実現できるようなめどがあるのかどうかという御趣旨のつもりでお答えをいたすわけでございますが、これは先ほどの二つ目の御質問と密接に関連するのでございます。 まず現在の中高年齢者雇用開発給付金の実績から申し上げますと、最近これが非常に伸びてまいりまして、人数で言うと大体五十三年度中に二万を超え、三万近くまでいくのじゃなかろうか、それから予算的にも、五十三年度の予算額の大体二倍ないし三倍ぐらいの実績が出るんじゃないかというふうに現在思っておるわけであります。 お尋ねの、当初これがやや伸び悩んだ点は、制度ができたばかりで周知がされてなかったということだと思います。それからもう一つは、不況の影響で求人等がなかなかはかばかしくなかったという、両面があるかと思いますが、最近はこの制度が非常に知られたこと、それから求人が先ほども申しましたように最近相当のスピードで増に転じてきているということ、そういうバックグラウンドの中で、いま申しましたように当初の予定をはるかに上回る実績を上げつつあるわけでございます。 来年度につきましても、現在の中年が三カ月、高年が六カ月、しかも補助率が三分の二、二分の一という状況でも、いま申し上げましたとおりでございますので、これが御案内のような抜本的に非常に内容が拡充強化されたという前提に立って考えますと、五万五千人の達成というものは来年度において可能であるというふうに私ども考えておるわけでございます。
○米沢委員 細かな問題がありますが、これは時間がありませんので拾てまして、雇用安定事業の弾力条項の問題でお尋ねしたいと思います。 今回、雇用安定事業等に係る保険料率の弾力条項が創設されることになったわけでありますが、その理由あるいは経緯については大体もうすでに出ておりますから、御質問は遠慮させていただきたいと思うのでありますが、しかし考えますところ、この雇用保険法が施行されて現在まで約三年ですね。雇用保険の目的に失業の予防が明記されて、制度発足当初の三事業に雇用安定事業が追加されて、雇用安定資金制度が創設されてまだ二年ですね。いまから本格的にこの事業の内容を充実させていかねばならぬ、このことは必然的に原資をたくさん使うということなんでありますけれども、こういう時期に、実績の低さをもって早速弾力条項が用意されることはいかがなものだろうか、そういう気だけはするのですが、いかがですか。
○細野政府委員 四事業制度というものが設けられます発足のときの御議論の中で、すでに安定資金というものの規模の議論が行われたわけであります。その中で考えられましたことは、おおむね四事業というものは千分の三・五という事業主負担の料率の規模でこれを実施する、こういう基本的な考え方がありまして、安定資金の中の積み立て、この積み立ての規模についても大体その年の収入と積立金と合わせて二年分というもので処理していこう、こういう基本的な考え方があったわけであります。 そういう意味から言うと、現在の安定資金の積み立てのテンポというものが、当時予想されたテンポよりはるかに速く積み上げが行われつつあるということに着目しまして、そこで、千分の三・五という当初議論されていた規模のところまで積み立てられた場合には、該当する一年間について千分の〇・五下げる、こういう制度を制度的に発足をさせたということでございます。
○米沢委員 いずれにせよ、雇用情勢が安定してきて、それでこの事業の力を借りなくてもいいということで安定資金の残高が累増し始める、そういう段階でこんな話が出てくれば素直に聞く耳を持つわけでありますけれども、いまからといった段階ですね、政府の方もここ当分の間は雇用情勢は厳しい、そして安定事業についてもかなり内容を充実させねばならぬと、こうおっしゃる中で、この弾力条項だけが早々と提案されるというところに、ちょっと疑問を感ずるのでありまして、これは意見だけ申し上げておきたいと思うのです。そういう意味では、逆に、行政努力によって二倍にならぬようにぼくは努力してほしいと思うのです。それだけ御注文しておきたいと思います。 それから、安定事業の中で特に事業転換等の雇用調整給付金の支給実績というものは極端に悪いですね。どういう理由によってこういう実績が悪いことになったのか、御説明をいただきたいと思います。その際、実績が悪いということからして、労働省自体としてこの事業転換がなされていくという中身について余りわかっていらっしゃらないんじゃないかと、失礼ながらそう思うのでございまして、この制度をつくられるときに、この事業転換対象となる事業転換の実態をどんなかっこうで実際把握をされたのか、あるいはまた指定業種に本当は問題があるのかどうか、あわせて御答弁いただきたいと思います。
○細野政府委員 この事業転換の給付金がなかなか出ないじゃないかという点については、全く御指摘のとおりでございまして、その原因として考えられますのは、一つには、この制度が発足して日が浅くて、この制度に対する対応がなかなか企業側においておとりになりにくかったという側面がございます。 それからもう一つは、中心が訓練という制度、それからもう一つは出向という制度でございますが、訓練という場合に規模要件が一つあったわけでございまして、この規模要件が、私どもが、当初はやはりどのくらい出るかという見通しがなかなかつきかねるものですから、やや慎重であったという点もございまして、その点につきましては、御存じかと思いますが、昨年の十月に広く労使から安定資金制度の改善に対する御意見を伺いまして、その中で、たとえばどうしても会計検査上必要だとか、そういうふうなぎりぎりのものを除いて、その他の点についてはほとんど労使の御意見を入れて改善をしたわけでございますが、その中で、この事業転換の訓練規模についても大幅な改善を行ったというふうなこともあるわけでございます。 そのほか、実際に賃金の計算上、いろいろな点で正確を期し過ぎて、相当事務的に練達な方がいらっしゃらないような企業だとむずかしいというような、そういう点の御指摘もございまして、それらの点も非常に簡便な方法に切りかえるとか、いろいろな改善を行いまして、今後これが活用されるようにしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
○米沢委員 余り時間もありませんが、まとめて御質問したいと思います。 そこで、この事業転換等の雇用調整事業の認定対象事業主の条件ですね。いろいろなところからすでに御要請がありますから理解の方は行き届いておると思うのでありますが、一つは、事業分野が多岐にわたる事業については、現在その指定業種に属する事業活動が当該事業主の事業活動のおおむね二分の一と、こうありますね。ここらを三分の一ぐらいに緩和する必要があるのではないかというのが一つ。 それから、事業の転換内容の条件として、指定事業等に係る施設または設備の廃棄、譲渡が行われることの要件のほかに、施設または設備の休止というものも対象とすべきではないか。それから、事業の規模の縮小の条件に、全部または一部の廃棄だけではなく、一部休止ということも入れることが必要なのではないか。実際事業転換をやっていく実態の中では、このあたりが大きな問題になっていることは事実でございます。そのあたりについて御答弁を賜りたいと思います。
○清水説明員 お答え申し上げます。 まず、業種の問題でございます。御承知のように、雇用安定事業は、原則といたしまして業種を指定して、その業種に属する事業主に対して適用する、こういうふうな仕組みにいたしておるわけでございます。事業転換の関係につきましても同様であるわけでございますけれども、ある事業所が二つ以上の業種にまたがって事業を行っているというような場合に、その事業所がどの業種に属するか、指定業種に属するかどうか、この辺の判断が当然必要になってくるわけでございます。これにつきましては、御指摘のように、事業量のおおむね半分というものでもって制度の適用を決めているわけでございまして、その業種の判断で五〇%を基準とすることは一般的に用いられる考え方でございますし、また、社会的にもやはり容認される性格のものじゃないかと思うわけでございます。 ただ問題は、たとえば造船業のように陸上部門と造船とをやっておりまして、そして造船の比重がどんどん低下してきているというようなものについて、具体的な事業転換の必要性に迫られている場合になかなかうまく機能しないのじゃないか、こういうような御指摘かとも思うわけでございます。したがいまして、私どもも、具体的な取り扱いのやり方といたしましては、決して現時点だけでそれを見るということじゃなしに、ある程度、三年までさかのぼりまして、その時点でどういう状況であったか、こういうふうな形で、具体的な妥当性が得られるようなことで運用をいたしてまいっているところでございます。 それから、施設の設備の休止の場合の対象でございますが、私どもといたしましては、その点もいわゆる廃棄とか処分とかいうことだけに限定して考えているわけではございません。特に造船なんかの場合に、ドックの廃止とかいうのはなかなか大変でございます。そういったことで、おおむね三年以上にわたって休んでいるというような休止、これも対象にするというふうな考え方でやってまいるということでございます。それから一部の休止につきましても、同様に弾力的に考えて現実に運用していく。また、指導面で徹底を欠くようなきらいがあるいはあるかと思いますけれども、そうした点につきましては、さらによく現地指導をいたしまして、十分に活用されるようにやってまいりたい、このように思っております。
○米沢委員 それから、これは附帯決議の中にも入れていただきましたが、この安定事業が雇用・失業情勢に対応して特に不況地域等において十分その機能を果たすように、休業規模要件の緩和等の改善措置をぜひ講じていただきますように御検討をいただきたいと思うのでありますが、その点いかがでしょうか。
○清水説明員 現在、一時休業を実施する企業自体の比率というのが、全国的に見まして非常に低くなってきておるわけでございます。ただ御指摘のように、不況地域におきましてはやはり相当それに依存をして失業救済を図らなければならない、そういう実態にあるわけでございます。雇用安定事業の活用という点につきまして、現在中央職業安定審議会におきましても部会の中でいろいろ問題点を検討する、こういうふうな態勢に入っているわけでございまして、そうしたところを通じましてさらに詰めてまいりたい、このように思っております。
○米沢委員 時間がなくなりましたので、船員保険の方は簡単に、御質問を一点だけしたいと思うのであります。 今度この保険料率が千分の三引き上げられた。しかし、結果的に、五十四年度末で果たして収支が改善されるかという疑問は持っております。したがいまして、五十四年度末において収支が改善されずに赤字となった場合、あるいはまた長期的にしょっちゅう料率をいじらねばならぬ、そういう状況になったということを前提にした場合、それに対応する措置をどういうふうに考えておられるのかというのが第一の問題でございます。だから、最終的には保険料率をしょっちゅういじるという方向に向かうのか、それともこの四分の一という国庫補助について引き上げを図ろうとされるのか、それとも他の保険との合体みたいなものまで飛躍をされようという気があるのか、これが御質問です。 それから海運業あるいは漁業等々、他の雇用実態と同じように厳しい状況にあることをよく知っています。そういう意味で、同じように雇用安定事業等についていろいろな要望もあると思うのでありますが、この雇用安定事業の導入等についてどういう御検討がいまなされつつあるのか、その点だけ運輸省の方にお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
○此村政府委員 ただいま御質問の船員保険の五十四年度の財政見通しでございますが、まず今回の対策といたしまして、五十四年度末におきますと、いまのままで何も引き上げなければ単年度で四十三億円の収支不足、こういうことが見込まれている状況でございまして、この結果、単年度収支の均衡を図るためには、現在の制度をそのままにするならばかなり大幅な保険料率の引き上げを要するという判断がございましたが、現在における海運業あるいは水産業の現状を考えまして、当面千分の三につきましては、昨年来の給付改善に見合うものについて引き上げるということで、関係審議会の御了承もいただき、今回御提案を申し上げたわけでございます。現在の見込みによりますと、今回保険料率の引き上げを行った場合、なお単年度収支差三十億というものが一応は想定をされております。 ただ私どもは、ただいま御指摘のように、いまのままでただ短期的な対策を講じていいものかどうか、収入、支出両面にわたって検討しなければならない。一面で言いますと、たとえば雇用事業の問題についてのいろいろな要求、御要望、需要があるわけでございますし、そういう意味で、社会保険審議会、制度審議会の両方におきまして、給付と負担の両面にわたって、総合保険としての船員保険の基本的なあり方の一つの問題として検討せよ、こういうふうに、失業部門の検討がいわば包括的に命ぜられておるような形でございます。私ども、そのような考え方を受けましてこれから鋭意検討するわけでございますが、社会保険審議会の船員保険部会におきまして、そういった根本問題をことしからさらに御検討いただいておりますので、その御意見を承りながら、今後十分対処してまいりたい。 なお、ただいま御指摘の船員保険のいわば一部解体論的な問題につきましては、それも一つのお考えかと存じますが、私どもとしましては、経緯あるいは総合保険としての長所、そういうものも考えますときに、いま直ちにそういう方向は考えておりません。
○松木説明員 雇用保険法で設けております雇用四事業に見合うような制度を、船員保険の制度といたしますことは、かねてからの問題でございまして、運輸省といたしましても、真剣に取り組むべき問題だと思っております。ただ、保険の問題でございますので、御案内のとおり、基本的にはやはり関係者の合意の必要なことでございますけれども、幸いなことに、現在、厚生省の社会保険審議会の場におきましても、この問題についての議論が始められておるということでございます。私どもとしましても、その経過を見きわめながら、積極的に対処してまいりたいと存じております。
○米沢委員 終わります。ありがとうございました。
○森下委員長 次に、浦井洋君。
○浦井委員 雇用保険法の改正に関連をいたしまして、いま問題になっております中高年雇用の問題、さらには身障者雇用の問題についてお尋ねをしたいと思うわけです。 非常に深刻になってきておるのが中高年、特に高齢者雇用問題であります。けさ方来、いろいろと企業主に対するいろんな奨励金のことも話に出ました。これは確かに、それも必要だと私も思うわけでありますけれども、しかし、現在ある制度をもっと厳格に適用といいますか、運用をしていくということが必要だろうと思うわけです。中高年齢者の雇用促進に関する法律、この中で雇用率が義務化されておらない、いろいろと努力規定が入っておるわけですが、その一つに、高年齢者雇用率達成計画の作成を命ずることができる、こういうことになっておるわけですね。これが、あえて言えば、五十二年の六月一日にすでに調査が行われて、そして去年やろうと思えば十一月にはもうやれたわけでしょう。いままでほったらかしにされておったのは私はけしからぬと思うわけであります。ところが問題は、一月二十三日に職安局長の名前で出された通達の中には、この命ずることができるという企業の基準は千人以上である、そして達成率が二%未満である、なぜそういうことにされたんですか。
○細野政府委員 先生御存じのように、雇用率の達成計画でございますが、これはつくりっぱなしでいいというものではなくて、つくった以上は、これを適正に実施をするかどうかということをフォローしなければならぬわけでございまして、そういう意味で、まず、この計画の作成を命ずる対象としましては、千人以上規模という大きな規模で、したがって新しい採用等についてもある程度期待ができるというふうなところで、しかも非常に雇用率が悪いというところを手始めに、計画の達成命令をかけまして、これにアフターケアをやっていく、漸次これを計画の履行状況等も勘案しながら拡大をしていこう、こういう考え方で、まずおっしゃった規模あるいはその雇用率のところに限定をしてスタートをした、こういう趣旨でございます。
○浦井委員 大臣、よく聞いておってくださいね。私が言いたいのは、千人以上やるというのはさしあたっていいと思うのです。しかし、一応法律では六%というふうに努力規定で決まっておる、それを二%未満にしたところに問題があるというふうに思うわけです。これは大臣も御承知のように、昨年の六月一日の労働省の調べられた高年齢者雇用状況、これを見ると、細かい数字を省略いたしますが、百人から三百人までの達成状況が八・三%ですね。それから三百人から五百人までが六・五%、五百人から千人までが五・八%、千人以上の企業が三・九%、明らかに千人以上の企業で高齢者の雇用状況が悪いわけです。数字を見てみますと、千人以上の企業千七百二十八社のうち千四百二十社、すなわち八二・二%が中高年法という法律で決められた努力をしておらない、六%を達成しておらない。達成しておらないだけでなしに、三・九%である。だからそういう意味で、やはり千人以上の企業でそして六%に達しておらない企業は、そう作業内容も変わらぬわけですから、全部この際作成命令を出して、計画を提出させるべきではないかと思うのですが、どうですか。
○細野政府委員 先ほど申しましたように、計画の達成をアフターケアしていくというのは、単に行って話をすれば済むという性質のものではなくて、たとえば賃金、雇用慣行の問題その他、いろいろな問題を含めての指導ということになります。そういう意味で、かなり手数のかかる指導であるというふうに私ども考えておるわけでございまして、そういう意味で、先ほど申しましたように確実に事を進めていくという考え方から、対象をまずしぼって、とりあえず一番悪いところからやっていこうじゃないかということにしておるのであります。 もう一つの理由としましては、これは企業単位ということにいたしまして、管轄の安定所がかなり大都会の、特に東京の安定所に集中するという状況もございまして、両方の側面から、いま申しましたように、実効の上がるやり方として、まずそこからスタートしようというふうに考えておるわけでございます。
○浦井委員 それでは不徹底になるわけですよ。だから、アフターケアが大変だという点は私は余り理由にならぬと思う。附帯決議がつくようでありますけれども、大胆に、そういう事業所の本社のあるところの職業安定所に、少し手をふやして、徹底してやるということで努力をしてもらわぬといかぬと思うのですよ。私はいろいろ調べたのですけれども、神戸の職安管内に本社がある企業、これを調べてみた。そうしたら、高齢者雇用率で、たとえば富士通が四・一%、それから神戸鋳鉄が〇・〇七%、川崎重工が三・四、三ツ星ベルトが一・三五、三菱重工が三・三、阪神相互銀行が三・八、日本毛織が二・九、それから太陽神戸銀行が一・〇、こういうことなんですよ。悪いですよ。法律では六%というふうに努力規定ではあるけれども決められておる。ところが、神戸に本社のある企業では、神戸では日本屈指の大企業もあります。そういう川崎重工、三菱重工、これがおしなべて低いわけです。しかもここで矛盾が出てくるのは、いま職安局長が言われた二%未満ということであれば、いまから企業をピックアップされるのでしょうけれども、この表でいきますと、私の調べたところでいきますと、神戸鋳鉄とか、三ツ星ベルトとか、太陽神戸銀行なんかはこれに当てはまるだろうと思う。一・〇とか、〇・ ○七とか、一・三五とかですからね。ところが川崎や三菱というところは三・四とか三・三ですから、計画を提出せぬでいいというかっこうになるかもわからぬ。いまの千人以上ではあるけれども、二%未満ということになればね。ところが、川崎や三菱が達成しなければならない数字をずっと調べてみますと、川崎重工で七百九十五人、三菱重工で二百二十六人、これだけ雇用しなければ、高年齢者を抱えなければ、この中高年法にいわば違反しておるといいますか、努力規定ですから罰則はないわけですが。だから川崎、三菱、こういうようなところの高年齢者雇用というのは、非常に影響が大きいわけなんです。こういうのを対象から外すというのは、私はきわめて不合理だと思う。だからさっき言いましたように、二%以上の企業であっても、千人以上の常用雇用がおるところは、命令を出して計画を提出させるとか、あるいは万一譲っても、たとえば達成すべき数が百人以上の企業、千人以上の常用労働者がおって、百人以上はまだ達成しなければならぬのだというような企業には、やはり命令をして提出させるようにすべきではないかと私は思うのですが、私の話を聞いておられて、大臣、どうでしょうか。
○栗原国務大臣 政府委員からもるるお話をいたしましたけれども、重点的にやる、その重点的な第一弾として、二%以下というところに的をしぼったのであって、今後の状況を見まして、逐次拡大していくことは当然でございます。
○浦井委員 私の言っているのはまともなことを言っているでしょう。どうですか。
○栗原国務大臣 それはそれなりの理屈があると思います。
○浦井委員 だからやはり、これは早急にやっていただきたい。命令を出して提出させるようにということを、私は要望しておきたい。何せ、労働省からいただいた数字でも、千人以上の企業が高年齢者の雇用率六%を達成すると、新しい雇用が十二万七千人ということになるのです。そうですね。ですから非常に影響が大きいわけです。せっかく中高年法という法律があるわけですから、これはやはり厳格に、シビアに適用していく。こういうように高年雇用が深刻な事態になっておるわけですから、その辺、もう一遍大臣の決意を聞いておきたいと思うのです。
○栗原国務大臣 ですから、重点的に的をしぼってやる、こういうことです。
○浦井委員 それともう一つ、これは要望になると思うのですけれども、先ほどちょっと申し上げたように、さっき局長も言われたように、本社が集中しておる地域を持っておる職安、管内に本社の多い職安、こういうところにはやはり特別の体制をとらさなければならぬだろうと思うのです。この点がお答え願いたい第一点。 それからもう一つは、これはどうでしょうか、神戸市に高齢者無料職業相談所がある、これは厚生省の所管なのですが、しかし、ここには労働省のOBが皆おられるわけです。そこで私は聞いたのですが、ここでは六十五歳以上を扱うわけです。そこで話を聞きますと、これは生きがいで仕事をくれと言うて来ているわけじゃないのです。統計をとってみますと、八五%までが生活のために職を求めて来ておられるわけです。ところが、いま中高年齢者は六十五歳までが労働省である。それで六十五歳以上は扱ってくれぬので、ここへ行っておる。そこへ持ってきて、六十五歳までは雇用開発給付金その他のいろいろな奨励金が出るというようなことになると、これはいろいろな派生的な問題が起こるのではないか。だから私申し上げたいのは、あえて六十五歳という上限はつけないような方向に努力すべきではないかと思うわけです。 以上の二点です。
○細野政府委員 まず、第二点目の方から申し上げます。 一応、給付金等の特別の財政支出を伴う手厚い施策については、これはやはり労働力政策として行われるものに焦点を合わすべきではなかろうか。そういう意味で、一般的な引退年齢であると言われる、これはわが国ばかりではなくて、各国においてもそう考えられておりますが、六十五歳未満のところにその対象を置くということが妥当なんじゃないかと考えておるわけでございます。 それから第一点の安定所の強化の問題でございますが、この辺はなかなかむずかしい問題でございますけれども、本社がふくそうしているというようなところにつきましては、たとえば本省が業界全体に対する集団指導みたいな形をやるとか、いろいろな形を工夫しまして、第一線の業務が比較的円滑にいくように考えてまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
○浦井委員 本庁が乗り出しただけでいけるかどうかという不安がありますが、これは実態をよく調べて、第一線が麻痺してしまわないようなやり方をやっていただきたいということと、いま言われたように、六十五歳というのは労働力政策の問題だろうと思うが、そして外国の例も引っ張られたが、しかし、やはり一つは、厚生省と労働省の行政の谷間みたいなところもあるわけなので、だんだん長寿社会になるわけですし、六十五歳以上でも生活のために働かなければならぬという人もふえてきておるわけなので、ひとつ大臣の方にもう一遍、この方向について、どうですか。
○細野政府委員 この問題は、先生御案内のように、たとえば深夜対策関係についての調査研究会、その他いろいろな議論を経てこういうところへ来ておるわけで、したがいまして、先ほど私一応というふうに申し上げましたけれども、労働省としてはかなり固まってきている方針でございますので、なお先生御指摘のようないろいろな問題について、今後も引き続き研究はさせていただきますが、なかなかすぐ簡単に、前向き検討というふうには申し上げられない問題だということだけは、ひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○浦井委員 谷間の問題と私は申し上げたのですが、国務大臣として、内閣の一員として努力しなければいかぬと思うのですが、よろしいですか。
○栗原国務大臣 いま政府委員から申し述べたとおり……(浦井委員「とおりではいかぬ。国務大臣として……」と呼ぶ)政府委員が述べたとおりで、引き続き検討いたします。
○浦井委員 なかなか大臣もガードがかとうなりはったような感じです。 次に、身障者雇用問題に移りたいと思うのです。 これも高齢者雇用の問題と同じ事情でありますが、雇い入れ計画の提出命令を出したのはいつで、何社に出して、その結果、達成すべき人員が何人であると集計をされておるか、まず聞いておきたいと思う。
○細野政府委員 お尋ねの身体障害者の雇い入れ計画作成命令制度でございますが、五十二年度におきまして、五十三年一月末日までに命令を出しなさい、そして五十三年三月末日までに雇い入れ計画を作成して提出させるようにしろ、こういうことで命令を出しているわけでございます。この命令によりまして計画を作成しました企業が六百五十二企業、これによりまして、雇い入れが予定される身体障害者数は約一万五千人ということでございます。
○浦井委員 この提出命令で出させる企業の基準は何ですか。
○細野政府委員 まず一つの要件は、身体障害者の雇用割合が著しく低いということでございます。当面は実雇用率が〇・五%未満であるということにいたしております。 それから二番目には、法定の雇用率を達成するために今後雇い入れなければならない身体障害者の数がかなり多いということで、当面十人以上であるということにしております。 それから三番目には、今後年間の新規の労働者の雇い入れが相当数見込まれるという、この三つの基準に基づきまして命令を出しているわけでございます。
○浦井委員 状況調査でも労働省もつかんでおられるように、この身障者雇用でもやはり大企業が悪いわけですよ。 そこで、先ほど私が挙げました高齢者の雇用率の悪いところを、同じように障害者の雇用率を見てみますと、上島珈琲が〇・一六、神戸に本社のある企業です、川崎重工が〇・七二、太陽神戸銀行〇・三八、日本毛織〇・八六、兵庫相互銀行〇・五一、阪神相互銀行〇・一三、大体そういうところです。これは法定が一・五ということになっておるわけですから、かなり、大企業であるとかあるいは太陽神戸というような金融機関が悪い。たとえば、先ほどの話と共通性があるのですけれども、いま命令を出して提出させているのが〇・五でしょう。〇・五であれば、川崎重工〇・七二、兵庫相互〇・五一、日本毛織〇・八六、こういうようなところはひっかからぬわけですよ。計画を提出しなくてもよいということになるわけですが、たとえば川崎重工なんかは〇・七二の雇用率、ところが達成に必要な雇用数というのは、例の造船ですから除外率設定業種というようなものを含めて勘案しても、まだ二百一人は雇用しなければならぬということになるわけです。これも先ほどと同じような話で、これはやはり、こういう〇・五というような甘い基準で命令を出して、計画を提出させるというようななまぬるいやり方では、いまの深刻な身障者雇用を少しでも解決するというところまでいかぬのではないか。私はやはりこの基準をもっと厳しくするべきだというふうに思うのですが。
○細野政府委員 当面は、いまの基準で計画を出したところにつきまして、その計画が実施されるようにフォローアップをしていくということに重点を置いて、逐次これを拡大をしていく、こういう考え方でやらしていただきたいと私どもは思っておるわけでございます。
○浦井委員 それでは、これはこんな状況であるということをはっきりと認識しておっていただきたいと思うのです。当然行政としてやらなければならぬことだと思います。 そこでもう一つ、数字をお知らせいただきたいのですが、身障者雇用納付金制度があるが、この制度による納付金の収入、あるいはいろいろな支出の方の助成額等について、五十二年度と五十三年度の見込みをちょっと……。
○細野政府委員 お尋ねの納付金制度でございますが、五十二年度におきましては約九十六億円の納付金が入っておるわけでございます。これに対しまして、調整金として約七億、報奨金として約三億、助成金として約七億、合計十七億を支出しているわけでございます。 それから五十三年度におきましては、約百八十七億円の納付金を徴収いたしました。調整金として約十六億、報奨金として約六億円支出しているわけでございますが、助成金につきましては現在申請受け付け中でございまして、まだ集計がされていないという状況でございます。
○浦井委員 そういう額を比べて見ましても、非常に収入は多いのだけれども、いまのところ助成をする額が少ないということは、やはり施策としては非常に不十分なかっこうになっておるのではないかと思われるわけであります。 そこで、助成が十分に生かされておらない原因というのは、結局は、身障者の適職の研究であるとかあるいは職種開発の努力が不十分ではないかというふうに言わざるを得ないわけなんです。これは一体どういうふうになっているか、簡単に……。
○細野政府委員 先生御指摘のように、心身障害者の職種開発の研究というのは非常に重要でございまして、身障者の雇用促進を図る上で、これは大きな決め手になるものであるというふうにわれわれも考えているわけでございます。そういうために、御存じのように職業研究所におきまして、かねてから、総合的な研究の一環として、心身障害者の職域開発の研究をやっておりまして、五十三年度におきましても、精神薄弱者の適職に関する実態的な調査研究等もあわせて行っているという状況でございます。 なお、身体障害者の雇用促進を専門にしております雇用促進協会においても、当然身体障害者の職域の拡大に関する調査研究が本来の業務になっておりまして、その中で障害部位別の能力開発とか、それから雇用管理上の問題とか、作業施設設備の開発、改善その他の、広い範囲にわたりましてみずからも調査研究し、あるいは専門機関に委託研究というようなかっこうでやっておるわけでございます。
○浦井委員 大臣、よう聞いておってくださいということなんですが、いま局長の言われた職業研究所ですね、これは中野のサンプラザにある。昭和四十四年にできて、サンプラザのワンフロアをとって、五十人の人が働いておるそうです。もちろん身障者の適職の研究だけではないとは思うのですが、それにしてもちょっと、なかなか成果が上がっていないように思うのです。だから、何かその辺について、しかも今度は、午前中に言われたように、五十四年度の施策の中には職種開発研究委員会ですか、こういうような、何かダブったようなかっこうのものが恐らくできるのではないか。もう少しまともに努力をして、本当に身障者のために適職を開発するという努力が、労働省は足らぬのじゃないかというふうに私は思われて仕方がない。 たとえば障全協という組織がある。障害者の生活と権利を守る全国協議会。すでに労働省の方に陳情に行っておるだろうと思うのですけれども、ここから、具体的には視力障害者の場合電話交換手であるとか、あるいは企業の中に一つのコーナーをつくって、たとえばこの間言いましたように松下電器なんかはそういうものをつくって、職業病を防ぐために産業マッサージというようなマッサージ師を置くとか、それからいま非常に要望されておる特別養護老人ホーム、こういうようなところのマッサージ師に雇用するとか、当面障全協の方々は、百人ほど視力障害者の雇用を確保してくれぬだろうかということで、強い要望が労働省にも来ておるはずなんです。それからさらに全視協、全日本視力障害者協議会という組織がある。ここからも、そういうようなことであればわれわれをぜひ雇用してほしいということで、すでに全国的に五百人の履歴書が集まっておるというふうに私は聞いておる。その中の五十人ぐらいは電話交換手もできる、こういうことなんです。聾唖者の場合には弱電関係の仕事であればできるということはほぼ見込みがついておるわけですから、やはりやる気があれば、真剣にやろうと思えば——ちょっとかっこうだけ制度をつくって、どうぞここへお乗りくださいというようなことでは一向に成果が上がらぬ。成果が上がらぬというよりも、むしろその人たちをいつまでも苦悩の中に坤吟さしておかなければならぬ。これはやはり労働省がその気になってやる。ちょっと専門家に聞きますと、労働省の障害者雇用というのは脊損患者重点であって、頭と手とがしっかりしておらなければだめなんだというようなことで、いま父母から要望のある聾唖者にしても、それから視力障害者にしても、あるいは脳性麻痺あるいは頭部外傷、こういうようなことについては知らぬ、素人なんだからわからぬというようなかっこうで、ある専門家の話ですが、そういう批判もあるわけです。だから雇用と福祉、これもさっきの谷間と同じですが、ここらをよう考えた、本当に障害者の立場に立った、こういうものを具体的に成果を出していただく、こういうことを私要望したいのですが、どうですか、大臣。
○栗原国務大臣 身障者の適職は何かということについては、これは真剣に考えなければいかぬと思います。私も関係の者にもよく聞きますし、また適職を授けるところ、そういうところもよく見まして、私なりにひとつ検討して、いろいろ指示すべきものは指示をしたい、こう考えております。 なお、これは労働省だけでなくて厚生省等とも関係しますので、そういったところともよく連絡をとりたいと思います。あなたのおっしゃるとおり、これはやる気になってやらないと解決しませんので、いままでもやる気がないわけじゃございませんが、さらにやる気を出してやりますから。
○浦井委員 やはり国が、政府が、企業主であるとかあるいは障害者なりその家族の方と協力をして、たとえばこんな方法があると私も言われたのですが、能力開発のために、企業が研修期間として一年間を設けて、そこで職場適応訓練の対象にしてやるというようなかっこうでやれば、いまよりも二歩、三歩ぐらいは前進するのではないかというような意見も私は聞いておるわけで、単にお役所仕事だけではだめで、やはり大臣、具体的にぜひ解決していただきたい、このように要望しておきたいと思う。これはぜひ大臣在任中に一歩踏み出してやっていただきたいと思う。 それで最後に、いつも問題になっております共同作業所の問題です。 これは、生きがいという点それから重度障害者の雇用という点で、各地で、父母の方やらあるいはボランティアなどが、文字どおり血の涙が出るような努力でやっておられる、共同作業所を運営しておられる。ところが残念ながら、率直なところ、大抵行き詰まっておるわけなんです。そこで、先ほども局長が言われたように、かなり納付金が集まっておる。だから、これをぜひ共同作業所に助成をしてほしいというのは、労働省当局もよく御意見は聞いておられるだろうと思うわけですが、これは労働省の方は、結局雇用関係がなければいけないんだ、こういうことだが、雇用関係があればいけるわけですか。
○細野政府委員 この納付金の制度自体が、先生もよく御存じのように、雇用率が未達成のところから取って、雇用率が達成しているところそれからこれから新しく雇い入れるところ、そういうところの雇用関係を充実するために使っていく、そういう趣旨で徴収されているものでございますから、そういう実態を踏まえ、法律も、雇用関係のあるところにしか出せないようになっているわけでございます。そういう意味で雇用関係のないところには出せませんが、雇用関係のあるところにはいま先生お話しのように出せる、これを対象にする、こういう趣旨でございます。
○浦井委員 そこで、先ほどの話と精神は一緒なんですが、やはり共同作業所が困っておられるという実情はよう御存じですね。だから、雇用関係がないとだめだということでほったらかしにするのでなしに、どうすれば雇用関係をつくり出し得るのかというような方向、それをつくっていきなさい、それなら私らが点検してというように、あれば出してあげますわということでなしに、一緒に雇用関係なるものをつくり出すような方向で、労働省がやはり努力すべきではないかと私は思うわけなんですよ。 それで、たとえばこういう話がある。非常にいろいろなネックがありますから、みんな悩んでおられる、苦しんでおられるのですけれども、何か具体的な基準を明らかにして、その条件を整えるために、まずそういう施設に納付金から貸付金を出す。その助けで、雇用関係という条件ができ上がったと見たときには、その貸付金を助成金に切りかえるというような方法がとれぬものだろうかというようなことを聞いております。それから、そういうところでは、一月二十三日の局長通達じゃないですけれども、共同作業所が受注した先の企業の身障者雇用率に、共同作業所の障害者を含めてもよいではないかというような意見もあるわけなんですよ。一月二十三日のは高齢者の場合のもので、これはちょっと矛盾してきますけれどもね。しかし、とにかくこれは労働省自身がその気になって、何とか雇用関係を一緒になってつくり上げてあげるんだ、そして助成をして共同作業所が上手に運営できる、こういうふうな努力、身障者やその家族の人の立場に立ったそういう努力をやはり私はやっていただきたいと思うのです。どうですか。
○細野政府委員 先生の御指摘のような例は、共同作業所にかかわらず、いろいろな場合にあるわけでございます。まるっきり実態的に雇用関係が無理なものについてまでというのはとてもむずかしいと思うのですけれども、ほぼすれすれに近い実態にあるものにつきましては、御要望に応じて、私ども、特に先ほどの身障の雇用促進協会が中心になりまして、雇用関係のあり方についての指導、相談を、したがってそれが実現できれば助成の対象になる、そういう形式が整わないために、実質がそれに近いにかかわらず助成の対象にならぬというものについては、そういう面についての指導、相談というようなことを協会みずからもやっておりますので、そういう点で今後ともそういう活動を続けてまいりたい、こう思っておるわけであります。
○浦井委員 それだけではちょっと不十分なので、協会が指導、相談に乗るというようなことだけでなしに、一遍労働省が真剣に考えて実態調査をするというようなこと、モデルケースをつくるような努力をやはりしてほしい。これは後で簡単に一言答弁していただきたいと思うのです。 それでもう一つ、たとえば兵庫県に、神戸の西の方に社会福祉事業団の身障者能力開発センターというのがある。ここでは指導員もおるしマンツーマンでやれるのですが、共同作業所方式でやらなければほかに身障者の雇用確保の道がないんだという結論になってやっておるのだけれども、やはり雇用関係がネックになっておる。県の態度もネックになっておる、こういうことなのです。職場の担当者に聞いても、話を発展させますけれども、外国の話ですけれども、やはり公社とか公共の立場でやらなければなかなかむずかしいというようなことも言われておるし、現に身障者雇用審議会の意見の中でも、保護雇用制度というものも参考にせよというような話もあるわけなんだから、先ほど私、脊損ばかり相手にしておってと言いましたが、脊損も大事ですけれども、やはり現場の声を聞いて、そして早急にその対策を立てるということをやっていただきたいと思うのですが、もう一遍局長と大臣に、それで終わりです。
○細野政府委員 実態的に雇用関係にないところについて、無理やり雇用関係に持っていくというような形というのはなかなかむずかしいと思いますけれども、しかし、たとえば一つのやり方として共同雇用みたいな形式をとる工夫がとれるかどうか、そういうふうな点についての研究、検討を今後とも続けてまいりたいと思っておるわけであります。 それから、先ほどの保護雇用関係の問題につきましては、これは審議会の中でも、外国の制度をすぐまねることにはなかなか問題があるという、いろいろな御議論があった過程を経て、あそこに表現されているような、非常にいろいろなむずかしい問題があるけれども、しかし今後のことを考えれば検討すべきだ、こういう御意見になっているわけでありまして……(浦井委員「実態調査とモデルケースは……」と呼ぶ)実態調査は、いま申しましたように、共同作業所については大部分が雇用関係というのにはかなりほど遠い実態にあるように伺っておりますので、むしろ非常に近いところについて御指摘をいただければ、私どもとしても御相談に乗るようにしてまいりたい、こう思うわけでございます。
○栗原国務大臣 いろいろございましたけれども、法律や制度の趣旨を最大限に生かすように努力いたします。
○浦井委員 終わります。
○森下委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○森下委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 雇用保険法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森下委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○森下委員長 この際、戸井田三郎君、森井忠良君、古寺宏君、米沢隆君、浦井洋君及び工藤晃君から、本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から、その趣旨の説明を聴取いたします。森井忠良君。
○森井委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、現下の深刻な雇用失業情勢にかんがみ、労働者の雇用の安定を促進するため、次の事項について特段の配慮をすべきである。 一 雇用安定事業等が雇用失業情勢に対応して十分機能を果たすよう、休業規模要件の緩和等の改善措置を講ずる等その適切な活用を図るとともに、雇用関係諸給付金の統合と手続の簡素化に努めること。 また、船員についても雇用安定資金制度の創設についてできるだけ早急に検討すること。 一 高齢化社会の到来に備えて、これに対する対応策を早急に検討すること。また、今日深刻な状況にある中高年齢者の雇用機会の増大を図るため、高年齢者雇用率の未達成企業に対し実効ある措置を講ずるとともに、中高年齢者雇用開発給付金の周知と積極的活用に努めること。 一 定年延長、労働時間の短縮と週休二日制の実施を一層推進するとともに、定年延長の推進については、立法化問題を含め、審議会の議を経て検討すること。 一 雇用拡大、失業、再就職などの雇用情勢の調査と分析の機能の充実を図ること。また、中央、地方の雇用関係審議会などの機関が十分に機能できるよう、その運営について配慮すること。 一 職業訓練が雇用及び産業の動向に対応し て、離職者の再就職に効果的なものとなるよう、職種の開発等その内容の充実を図ること。 一 日雇失業給付について段階制の是正等その改善について可及的速やかに所要の措置をとること。 一 国際的な漁業規制の強化等による船員の深刻な雇用失業情勢にかんがみ、船員保険における失業保険非適用の漁船船員について、その実態を考慮して特段の配慮を払うこと。 一 雇用失業対策の実効ある運用を図るため、公共職業安定所の機能の充実と強化を図り、このため必要な定員の増加に努めること。 以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○森下委員長 本動議について採決いたします。本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森下委員長 起立総員。よって、本案については、戸井田三郎君外五名提出の動議のごとく附帯決議を付することと決しました。 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。栗原労働大臣。
○栗原国務大臣 ただいま御議決のありました附帯決議につきましては、御趣旨を尊重し、努力してまいる所存でございます。 —————————————
○森下委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森下委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○森下委員長 次回は、明後二十二日木曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四十四分散会 ————◇—————