社会労働委員会 第4号
- 発言数
- 295 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1979/02/22
会議録
○森下委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
○大原(亨)委員 きょうは、本日の午前十時に広島地方裁判所におきまして、金沢、東京、福岡の判決を受けまして四回目の地裁判決が出たわけであります。もちろん東京地方裁判所におきましては和解の勧告が出まして、それぞれ関係者において努力をいたしておるところであります。 しかし振り返ってみますと、厚生省が初めてキノホルムを製造許可いたしました昭和三十一年一月十七日から、二十数年たっておるわけであります。その間患者は、手がしびれあるいは針のむしろに座るようにちくちく痛み、そして中枢神経を麻痺させ、視力障害やあるいは歩行障害等を起こしてきたわけでありますが、その原因等をめぐりまして遺伝説やウイルス説があったために、夫婦は別れあるいは一家離散をし、そして失明をいたしまして、前途に全く絶望状況になって、家庭生活や人生を破壊に導いた、そういう大きな事件であります。 しかもこの事件は、薬害列島日本と言われておるように、日本において異常なスモン病が発生をいたしたわけでありまして、欧米等では一けたあるいは十数名であるのに、日本では一万名から二万名に及ぶという潜在スモン患者が想定をされる、そういう全く異常な事態が発生をいたしておるわけであります。 その中でそういう患者や家族の苦しみが続いておるわけでございまして、きょうの判決はそういう意味においては、いままで裁判所が和解や判決を通じましていろいろと被害者の救済、国民の立場から言うならば薬害の根絶、そういう問題を考えながらこの判決を進めてきたわけでありまして、それらの問題を広島判決を契機にいたしまして集約、総括をいたしまして、そして国会においても政府においてもこの判決を受けて政治的な大きな決断をしなければならない、こういう情勢にあるというふうに私は思います。 十時に出されました広島判決の全文がただいま私の手元に届いておるわけですが、その骨子だけを申し述べてみますと、 第一は、因果関係については、その骨子にもありますように、原因はただ一つキノホルムであって、ウイルス説を採用せずと明確に示しておるわけであります。 責任論については、製造販売の承認、安全性の確認を怠った国の国家賠償法による賠償責任を明らかにいたしております。 予見の可能性については、いままでは昭和三十六年までさかのぼったわけでありますが、広島判決におきましては昭和三十一年一月十七日エマホルムというキノホルムを国が初めて販売許可したときに予見できた、したがって注意義務に関係をいたしまして国にも会社にも過失責任あり、こういう判断を下しておるわけであります。 広島判決の損害額は最高が五千三百七十五万円、これは二人あるわけですが、これは福岡判決を若干上回っております。平均が二千四百八十九万円ですから、大体東京判決、福岡判決の水準であります。それに上乗せがあります。 問題は、第五の仮執行については、この判決を基礎にいたしまして執行できる金額を、従来の三分の一を三分の二というふうに判決を出しておるのであります。従来の判決を仮執行において倍増いたしておるわけであります。 私は、これらのことは、裁判を通じまして裁判所が、この長い間のスモン病患者の苦しみに対して一刻も解決が猶予できない、こういう観点で、患者の立場を考えながら判決を下したものというふうに考えてよろしいと思います。これらの判決を受けて、あるいは和解のいままでの積み上げ、その限界、特に福岡判決等の中における投薬証明の問題、そういう問題等を受けて、政府はいまや、この問題については全部のスモンの患者、遺族、そういう立場を考慮しながら、あらゆる和解判決のいままでの枠を超えて全面的な解決策を国が決定いたしまして、そして全被害者の要望にこたえるだけでなしに、メーカー、医薬品産業に対しましてもはっきりした態度をもって統一的な決定ができるようなそういう政治的な決断をすべきである、そういう時期に来ておるというふうに考えますけれども、広島判決に対する所感と、政府の考え方と、そしてこれらを受けてスモンの患者に対するどのような対応措置をするかという二点について、厚生大臣から見解を述べてもらいたいと思います。
○橋本国務大臣 本日十時から行われました広島地裁におけるスモンの判決は、国にとってきわめて厳しいものと受けとめております。 国は、いままで金沢、東京、福岡の各地裁で出された判決につきまして、現在控訴して上級審の判断を仰いでいるわけでありますが、この本日の判決に対する方針につきましては、至急判決文を入手し、判決において認められました国の責任の内容について、関係者とも十分協議をした上で態度を決定いたしたいと思います。 ただ、それと離れまして、いま大原先生が御指摘になりましたように、確かに私も、そろそろこの問題について一括解決をすべき時期に参った、機は熟してきたという感じは率直に持っております。それこそ、私が厚生省の政務次官のころにキノホルム原因説が確定し、至急その販売を停止した記憶を持っておりますだけに、それから今日までの時間を考えましても、その後の和解の進捗状況等を見ましても、そろそろ一括解決の時期が来た。それだけに、私どもとしても誠意を持ってこうした方向に取り組んでまいりたいと存じます。ただ、それだけに、いままで国がとってまいりました患者救済策につきましても、公正な御判断をいただきたい。それなりの誠意というものはぜひお認めをいただきたいと思いますし、患者の方々にもそうした点について御理解をいただきたい。私どもは一括解決を考える時期がそろそろ参った、そのように受けとめております。
○大原(亨)委員 大臣から、スモン研究班の結論が出た当時の大分昔のことを想起をしながら、一括解決についての心づもりについてお答えがあったわけであります。 いま国会では、薬剤の副作用による救済基金の法律案を政府は出し、そして薬事法の改正を出そうといたしておるわけであります。それはサリドマイドとかコラルジルとか、いろんな薬害を受けて、まだ十分なる決着、整理ができていない中で、スモン病という大きな問題と取り組んで、一定の新しい段階に来たわけでございます。私がいままで全部申し上げたように、判決と和解、それぞれ原告団のグループがあるわけですけれども、しかしそれらはそれぞれ一つの大きな貴重な実績なり経験なり、そして判決を通じまして国民の世論の喚起、四回にわたる判決のだんだんと明確な内容を通じまして、因果関係、責任論についても、将来のことを考えましても、もうこれ以上これが動くということはないわけです。これが逆転をするということは、よほどのことがない限りはないわけです。しかも今度は三分の二の仮執行が出てきておるわけですから、そういう被害者救済の措置もとられておるわけです。ですから、いつまでも法務省的な法律の見解だけでこの問題について控訴を重ねながら、そしてスモン患者の苦しい生活を長引かせるということは、これは患者の立場からも国民の立場からも、あるいは国際的な信用からも避けていかなければならない。そういう面で、この国会においては速やかにこの問題について一括解決の政治決着をつける、そういう点について確固たる腹構えを持ってもらいたいと思います。大臣が御答弁になりましたけれども、さらに一歩進めて、あなたの良心に恥じない決断を表明してもらいたいと思います。
○橋本国務大臣 いま申し上げましたように、私も本当に一括解決を図るべき時期が参ったと判断をいたしておりますだけに、本当に努力をしてまいりたいと思います。 従来から多少消極的でありました田辺製薬も、この患者の救済ということにつきましては国の方針に同調する旨の意向をすでに表明をするところまでようやくまいりましたので、私どもとしては本当に誠意を持って努力をしてまいりたい、そのように考えます。 また患者の方々に対しましても、これは国の方針についてできるだけ十分な御理解を求めてまいりまして、この大きな問題ができるだけ早い時期、かつ全面的に解決できますように努力をしてまいります。 国会におかれましても、どうかそうした状態をつくり出すための御協力をぜひお願いを申し上げたい、そのように考えております。
○大原(亨)委員 いま大臣は、一括解決についての決意の表明の中で、田辺製薬も損害賠償、言うならば名前は別にいたしまして、補償の問題、救済の問題については協力する見通しを述べられたわけでありますが、この問題はしばしば小沢厚生大臣当時からもそういうことが表明されていたわけであります。私どもが主張するのは、医薬品のメーカーというのは、たとえばカネミのライスオイル事件などというものや環境破壊、公害問題とはニュアンスの違うところがあることはわかるわけです。私どもは政治的にはそれを理解しなければならぬ。薬効と副作用というものはうらはらの関係にあるわけですから、薬効があるものほど副作用があるという側面があるわけですから、薬の使用については注意の上にも注意をしなければならぬ。でたらめな広告をしたり、薬づけの医療をしたり、医薬分業等を通じてチェックしないという問題等を含めて、国が政治責任を回避することはできない。患者の立場に立って、国民の立場に立って解決すべきである。そして、判決は判決の特殊性と限界かある。和解にも投薬証明の問題等を含めて限界がある。投薬証明のない者についてどうするかということについて、小沢前厚生大臣も中野局長もいままでしばしば見解を表明してきたけれども、実際は何もやってない。そういうことであるから、私は、国が全責任を持って処理するという方針を示すならば、田辺製薬も従来の主張について政府に同調して損害賠償に応ずるということがあると思うし、そうであるならば客観情勢はすべて熟しておるのであって、それらを含めて、患者がいろいろ苦しんできて議論してきて納得のできる、国民のだれが考えても当然だと思う線において政府との間に合意を求めて、そして医薬品関係業者もこの賠償に応ずるということが当然のことではないか。だから一括政治的に解決をするという政治的な決断をすることによって解決をすることが、この国会に課せられたところの最も大きな任務であって、いま問題の医療改革の中心的な課題である薬事法提案、薬害救済法案提案の中心的な課題であって、前提条件でもある。そういう点をとくと理解をして、法務省も三百代言のようなことを言わないで、大局から政府の方針を決定するという厚生大臣の見解について同調をして、政府として一体の措置をとってもらいたい。そういう点について厚生大臣は、法務省を含めて政府全体で新しい決意で一括解決について責任を持って処置するという、そういうふうに厚生大臣の御答弁を理解してよろしいかどうか、重ねてお伺いいたします。
○橋本国務大臣 けさ十時の判決を受けまして、いまの私の気持ちを率直に申し上げたわけでありますが、今後におきまして当然法務当局とも、また場合によりましては法務大臣ともお話をいたす場面が出て来ようと思います。 私は、いま申し上げましたように、ようやく和解というものが一方に進行しつつ、患者救済のある程度のレールが敷かれてきたときでありますし、田辺製薬も患者救済については国の方針に同調する旨の意向をすでに表明しておりますので、もう一括解決を図る時期がきた、そのように判断しておると率直に申し上げた次第でありまして、これからも逆に御協力をお願いいたしたいと存じます。
○大原(亨)委員 私どもは、私どもの立場で協力することについてはやぶさかではございません。 いままでの裁判の経過を見てみますと、田辺が控訴をし、そしてメーカーが控訴をし、国がまた控訴をし、そして当然患者も控訴をする、こういう形になったわけであります。この問題についてはどういうふうな対処の仕方をするおつもりですか、お答えをいただきたい。
○橋本国務大臣 私ども、いま判決の骨子をちょうだいし、また電話で状況のある程度の報告を受けただけでありまして、細かい判決理由その他はまだよくわかりません。それだけに至急判決文を入手いたしますと同時に、その判決において認められました国の責任の内容については、関係省庁とも十分協議をして態度を決定したいと考えております。
○大原(亨)委員 それでは、問題点が幾つかあるわけでありますが、一時金の問題につきましては、一括解決ということになりますと、いままでの和解や判決すべてを見渡しまして一定の基準が、投薬証明のない人も含めて出ると思います。 問題は、いままでの何回かの判決にも出ておりますが、一時金だけでは、長い間の人生を生きていく、あるいは家族を抱えて生きていく、自分が生活する、そういうことを含めまして十分な措置とは言えないわけで、恒久対策の問題、治療対策の問題、いままで二十数年もかかって、原因がわからなくても難病対策、特定疾患の対策として、原因究明、治療法の研究をしなければならないのにほとんどできておらぬ、こういう問題をどうするかという問題。 恒久対策の中では介護手当の問題あるいは医療に伴う、いろいろな名前で内容を表現しておりますが、たとえば健康管理手当の問題、そういう問題があります。この問題はどう処理するかという問題が一つあります。 それから、投薬証明のない患者をどういうふうに救済の土俵に上げて、解決をしていくかという問題があります。 それから、田辺問題については大臣もかなり確信を持たれたわけでありますが、田辺問題の損害負担の問題で解決できない問題があるとき、国はどういう態度をとって、企業との関係をどうするかという問題があります。 なお、これから一切このような問題を起こさない、こういう国民の立場からの薬害根絶の問題をどう処理するかという問題があります。 したがって、時間の範囲内において問題点を取り上げて、順次質問をいたします。 その前にお聞きをしたいのですけれども、実態の問題です。現在スモンの患者は何名いるのか、訴訟に参加した原告数は何人か、そしてその中でのいわゆる和解や判決、そういうグループの大きな枠組みはどうか、こういう点は局長でよろしいですからまずお答えをいただきたい。
○田中(明)政府委員 スモンの患者数についてでございますけれども、厚生省の特定疾患スモン調査研究班の昭和五十年度の研究業績報告によりますと、全国のスモン患者数は一万一千七名と推定されております。
○中野政府委員 最新の時点におきますスモン訴訟の形であらわれてまいっておりますケースは、原告数が四千七百二十名でございます。ただし、この中には患者さんが亡くなられてその請求権を継承したというふうな方々も含まれておりまして、この四千七百二十名の原告数に対応するところの患者数は、現時点では四千百六十六名でございます。 このうち過半数が東京地方裁判所に係属をいたしておりまして、東京地方裁判所に係属しておる者が二千三百二名でございます。これがいわゆる何と申しますか、グループ別に分かれているというふうな形をとっておりますが、たとえば東京地裁に係属中の二千三百二名の患者数に対応しまして、いわゆる第一グループと称せられる者が千百二十四名、第二グループが七百七十三名、第三グループが三百九十四名、その他いずれにも属しない者が十一名ということでございます。東京を除きまして、その他の二十二の地方裁判に係属しておられる方々がこれを除いた数でございまして、結局千八百名前後ということになりますが、いわゆるグループ別の色づけということは、東京以外の各地方裁判所の者については必ずしも明らかでございません。
○大原(亨)委員 投薬証明のない患者数は、推定を含めてわかっておればお答えをいただきたい。今日まで死亡した患者の数をお答えいただきたい。
○中野政府委員 お答え申し上げます。 まず投薬証明のない者の数というのは、実は現時点では正確な数字は把握しておりませんが、この中の数といたしましては、非常に大きな割合を占めているものじゃないというふうに理解をいたしております。 それから死亡者数につきましては、公衆衛生局長の方からお答えを申し上げます。
○田中(明)政府委員 先ほど申し上げました一万一千七名の患者のうち、調査研究班において死亡が確認されました患者さんの数は七百五名でございます。
○大原(亨)委員 次に、患者の長い間の闘病生活、いまのように七百名を超える死没者の遺族の生活、そういうものを厚生省は調査をしたことがあるか。患者の願い、患者の要求を調査し、把握をしているか、この二つの点についてお答えいただきます。
○田中(明)政府委員 患者の実態、特に生活実態の調査につきましては、スモン研究班におきまして毎年調査を継続いたしております。ただし、これは調査の性格上非常にむずかしい調査でございますので、県を特定いたしまして調査を実施しておるところでございまして、昭和五十二年度におきましては新潟県の患者について一つの調査を実施しております。
○大原(亨)委員 患者の要求ですね、生活実態に基づく要求、願い、こういうものを調べた資料があるか。
○田中(明)政府委員 調査の内容につきましては、患者の身体の症状、それから労働の可能性といいますか就労能力、あるいは生計上の問題について調査しておりますが、患者の要望については調査いたしておりません。
○大原(亨)委員 生活実態とか患者の長い間の苦しみや、そういう要望等については把握してないのです。あなたたち資料がないのだよ、私が言ったって。しかし、こんな大きな事件について対策を立てるのに、実態調査しないで政策が立ちますか。これは私は非常な怠慢であると思うし、これからやろうといたしますとどんどん時間が延びてきますよ。せっかく厚生大臣は新しい決断を示されたわけでありますが、私はこのことについては改めて、予算の関係、大蔵省との関係もあるわけですから、これは全部やれば一千億じゃ足りない、二千億を超える、さらにそれを超えるかもしれないという問題ですから、国が一定の比率で負担をするということを表明しているのですから、これは大変な言うならば問題です。だから、患者の生活、被害の実態も調査をしないで、それで裁判上の争いだけを続けていくというふうなことは、私は本末転倒だと思うのです。厚生大臣、いかがですか。
○中野政府委員 先生に御理解を賜りたいと思います点は、厚生省といたしましては、従前、難病対策の一環といたしましてこの特定疾患治療研究を進めてまいりました。この施策によりまして、医療費の自己負担分の肩がわり等の方途を講じてまいったわけでございます。 一方、私どもといたしましては、この点先生に十分御理解をいただきたいわけでございますが、訴訟の当事者といたしまして、いわば被告の立場にございます。被告の立場としての厚生省の立場におきましては、この案件をいわば和解によって解決をするという姿勢をとってきているわけでございまして、患者の方々の生活の実態によりますところのいろいろな御要望というものは、先生御承知の東京地裁における恒久対策の協議の場を通じましてその御要求を承り、これに対して恒久対策でいかなることが国を含めて実施可能かということで、十分患者さんたちとの間のコミュニケーションを保っておるつもりでございます。そのような意味におきまして、患者さん方の声を承る窓口は十分にわれわれとしては設け、その声を吸収してその対策を御相談申し上げておるという実態にあるわけでございます。
○大原(亨)委員 だから、そういう非常に狭い立場だけでこの問題を考えるなと言うのだよ。それは役人の悪いところ——君は非常に優秀な役人たけれども、しかし役人というものには限界があるのだ。役人というものは非常に冷たい。つまり、国は被告でございます、原告に訴えられているのです、そういう立場だけでなしに、一万名を超える、あるいは実際上はそこまでいかないだろうという人もあるけれども、その患者の立場とか国民の立場、患者の立場に立つならば一刻も早く救済する、国民の立場に立つならば薬害を根絶する、日本の医療に対する、医薬品に対する信頼を回復する、そういう立場であるのだから、そういう立場に立って、厚生大臣が言っている一括解決を図ろうというのは、いままでの和解であるとかそういうことにこだわった立場ではない、その実績を踏まえながら、判決の積み重ねを踏まえながら、全部の患者の立場に立ってそういう問題についての解決を図ろうということである。ですから、そういう接触の仕方などというふうなものは、その方針を転換しなければならぬということを言っている。そういう点について、私は、政府が患者の生活実態やあるいは要望等についてもう少し全体的に調査をして、それに対する統一的な解決の施策をやるという政治決断を実りあるものにすべきではないかということを言っておるわけであります。
○中野政府委員 もちろん私といたしましても、大原先生の御指摘の点は十分銘記いたしたいと存じますが、当然一方におきましては、先ほど申し上げました東京地裁の場におきますところの患者さん方からの御要望をそこで吸収をしていくということ以外に、先生御承知のとおりに何回か回を重ねて、他の第三グループも含めまして、患者さん全体の組織との交渉も私どもは行ってきているわけでございます。 もちろん、大臣の御発言にありましたように、いわば高度の政治的立場においてこの問題の全体的解決を図るということにつきましては、われわれとしてもそれなりの覚悟をいたしたいというふうには考えておるところでございます。
○大原(亨)委員 大臣がお答えになりました統一的な解決を図る段階にきた、そういう見解について、薬務局長は反旗を翻すものではない、こういうことを言うたわけだね。だから、君が答弁したそういう範囲では、やっぱり患者と国民の立場に立った解決にならぬじゃないか、こういうことを言っているわけだ。 私が指摘をいたしまして薬務局長が弁明いたしましたそういう経過について、大臣は理解できますか。
○橋本国務大臣 理解はできるつもりでおります。
○大原(亨)委員 それで、ひとつ具体的な問題にさらに進めていくのですが、投薬証明がない人も福岡判決は救済の対象にすべきだ、そして前の厚生大臣も、それから中野局長も、そのことについては明快に答弁をしているのです。投薬証明のない人に対する救済措置を、福岡判決の直後記者会見をいたしまして小沢さんも答弁いたしまして、一カ月以内に具体策を検討する、こういうことを言っているのだけれども、一括解決の上においてはこれは非常に重要な問題である。そのことを実行していないのはどういう理由なのか、どういうふうにしてこれを処置しようといたしておるのかということをお答えいただきます。
○中野政府委員 先生御承知のとおりに、投薬証明書という言うなれば一つの紙に書いたものでございますが、これが得られないという事情は、たとえば、常識的に考えますと、当該投薬をいたしました医師の方が亡くなられた場合とか、あるいはその医療機関側で事柄に巻き込まれることを恐れて投薬証明書をあえて出さないとか、いろいろなケースが考えられるわけでございます。 一方におきまして、先生御承知のとおりに、スモン協の研究結果によりましても、いわゆる症状としてのスモンの中には、キノホルムの投薬によらないものが明確にあることも判断されているわけでございまして、したがいまして、キノホルムの投薬事実ということについては、和解の実行上も必須の要件であるとは考えておるわけでございます。 しかしながら、一方において、明確にキノホルムを服用しながらも投薬証明書が得られないということが当然あり得るということは事実でございますので、そのような問題につきましては、われわれといたしましては、この件の処理をどのようにすべきかということについての判断を東京地裁に求めているわけでございます。 御承知のように、現在のところ、政府といたしましてこのスモン問題の解決について歩んでいる道は、東京地裁の和解の勧告による線でございまして、その和解の勧告の線上におきまして、このような投薬証明書のない方々についてどのように扱うべきか裁判所の御判断を仰ぎたい、その御判断を仰いで政府としての対処を決めたい、かように考えておるところでございます。これはすでに早い時期に、東京地方裁判所にそういう判断をお示しいただくようにお願いをいたしておるところでございまして、近い将来にその判断が示される、政府としてはこれを受けて適切に対処策をとりたい、かように考えておるところでございまして、近々にその判断が示され得るものというふうに考えておるところでございます。
○大原(亨)委員 小沢厚生大臣がやめる最後のときに、余りいいことはしていかなかったけれども、最後にスモンの救済については記者会見をしている。私は言ったのです。小沢さん、あなたはこれはいいことをやったと、最後の一つだけほめておきましたが、そのときに小沢厚生大臣は、投薬証明がなくても、何らかの状況証拠からキノホルム服用がわかれば、当然救済の対象といたしますということを記者会見で言明をして、一カ月の間に具体策をつくりますということを言いながら、いまのようにつべりこべりとこういうふうにやっておる。そうすると、和解や判決のテーブルに着くことができない投薬証明のない人が、答弁のとおり、あるわけです。そのことに対する救済を含めて頭に置きながら、これは無条件ということではない、頭に置きながら統一的な解決をつくらなければいかぬ、そういうのが政治決断である。そういう問題について言明したことについてやらないと、ますます患者と国民の間に不信が起きるのではないか。具体的に裁判所の見解を求めますというだけでなしに、厚生省としてはすべての事情を勘案してこうすべきだ、こういうような判断をやらなければ、速やかにこの問題の全体の決着をつけることはできないですよ。これについてはいかがですか。約束して何もやっておらぬじゃないですか。 それから、スモンの被害者については差別なしに、その中には和解のグループもあろう、判決のグループもあろう、そうでないグループもある、そういうものについてはスモン協、ス全協等との間においてちゃんと交渉するという約束をしている。やはり行政は、いまの段階に来たならば、大所高所に立って結論を出して、全部のスモンの——極端な人は別にいたしまして、全部の患者の、関係者の了解を得るようなことができる条件があるわけですから、いまやもう機は熟しているわけですから、そういうことについては積極的な考え方を示さなければならぬ。裁判だけにこだわってはいけない、そういう決断はできない。和解に入ってもう二年数カ月たっているのでしょう。和解に応じたという患者の気持ちは、恒久対策とか他の問題はあるけれども、早く救済の措置をしてもらいたい、長い人はもう二十年に達するわけですから、そういう気持ちがあったわけですが、二年数カ月たっても解決できないということはやはりどこかに限界があるということではないか。そして、いろいろな判決も出ているし、広島判決は仮執行については三分の一を三分の二にしている、患者を保護しているわけですから、そういう立場に立って、投薬証明のない患者に対する対応も、全部、一名までの数字はわからぬけれども、大体どういう方針でやるのだということについては明確に対応措置を示すべきである、約束どおり示すべきであると思うが、いつ示しますか。
○中野政府委員 私どもは、たまたま投薬証明書が得られないといういわば不幸な事態におられる患者の方々に対して、政府のとっております和解の方針に従ったところの救済を拒否するという構えではもちろんございません。先ほど先生から御指摘のありました小沢大臣の御発言でございますが、これはこの問題について何らかの対応策を決めたいというふうに申し上げたはずでございまして、これは、その大臣のお約束に従いまして、私どもとしましては、東京地裁の方に、裁判所の判断を仰ぐということにお願いをいたしたわけでございます。 お言葉を返すようで恐縮でございますけれども、国の立場といたしましても、国民の税金の中からこの和解金の支払いを行う、さらに企業の立場におきましても、当然に会社の立場におきまして正当な支出として問題の解決に当たるわけでございますから、やはりそこにはしかるべき手続を踏まなければいけないということがあるわけでございます。したがいまして、国の立場におきましても、その企業のいわば企業としての責任の立場におきましても、やはり裁判所から一つの明確な線が示され、それに対して応ずるという形におきまして、投薬証明書の得られない方々の救済策を円滑に図りたいというのがわれわれの考えでございます。 なお、つけ加えておきますと、裁判所に対しましては、この事柄の緊急性にかんがみまして、非常に早い時期に御判断を示していただきたい。漠然とした話ではございますけれども、たとえば三月とか四月とかそういう時期をわれわれとしては期待をしております。その場合に、裁判所から明確な判断が示された場合には、これに対応いたしまして、政府さらに企業とも協議をいたしまして対処策を具体的に決めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
○大原(亨)委員 そういう消極的な、訴訟だけにこだわった態度がいかぬと言うのだ。あなたはそのときに同席しておって、こういうことを言っているよ。一カ月以内に同局長試案の形である程度成算のある中身を示したい、こういうことを言っている。いいかげんなことを言うて逃げ回るからそういうことになるのだ。だんだんと問題がこじれてくる。そうすると世論は沸騰するし、裁判官だってちゃんと決着をつけなければいけないということで仮執行をやって、三分の一が三分の二になる。だからそういう消極的な態度がいけない、こう言うのだ。 時間がないから私は前に進んでまいりますが、もう一つの解決すべき問題は、判決の中身を検討いたしてみましても、一時金の形で損害賠償をするわけですが、しかし将来にわたっての逸失利益に対する補償をどうするかという問題については、非常に微妙な発言がしてある。判決、和解案等を含めてそういう表現になっておる。 つまり、長い間の人生を何とか生き抜いていかなければならぬというときには、この一時金だけでは、物価は上昇するし、治療法も見つかっていない。はり、きゅう、マッサージ等が一応出ているけれども、これも根治療法ではない。根治療法があるかないかの問題を含めて、神経系統の障害だから、はり、マッサージ等の東洋医学は非常に効果があるということで解決しなければならぬ、しなければならぬけれども、そういう問題を抱えて生きていく患者の立場に立つならば、恒久対策は絶対に必要だということについては、和解派も判決派も全部同じだ、表現は違うが。 その一つの案として出ている健康管理手——介護手当の問題は東京の可部方式の中にも出ている。しかしなかなか内容か決まらない。範囲が狭い。もう一つは栄養補給とか雑費とか、そうしていまのように保険外の負担、経費以外の負担が非常に多い。そういうものに対する管理的な費用、たとえば健康管理手当、そういう費用の恒久対策についての確立、こういうものについて何とかしてもらいたいというグループを越えた要望があり、検討してみるとある。 それで、いままでサリドマイドやイタイイタイ病あるいは公害健康被害補償法や種痘の被害の問題等を調べてみると、やはりそれぞれ一時金以外に出ている。そういう施策をやらないと施策といたしましては完結しないのではないかと思うわけです。法律的な問題を含めて、この問題については前向きに取り組むという決意があるかどうかをお聞かせをいただきたい。
○中野政府委員 御承知のように東京地裁の和解条件につきましては、先生御指摘のとおりに相当膨大な額の一時金が出ております。確かに先生御承知のように、将来にわたっての問題をいかにすべきかということについては、非常に微妙な点もあるわけでございますが、私どもといたしましては、前例といたしまして、先生御指摘の森永砒素ミルク中毒事件あるいはサリドマイド事件あるいは熊本の水俣病事件等におけるところのいわゆる恒久対策というようなものは、十分参考に値するものと考えているわけでございます。 当面、東京地裁の和解の場を通じまして、われわれといたしましては、五十四年度におきましては、はり、きゅう、マッサージ等の特別の施策、さらにスモンの治療研究のセンターの設置、さらに学問的な意味におきますところの治療方法の開発ということに重点を置きまして、それぞれ予算的な手当てをしたところでございます。 しかしながら、先生御指摘のようなスモンの重症の方々のいわば介護の問題につきましては、東京地裁では超々重症者について月額十万円、超重症者については六万円、これは物価スライド条項がついている給付でございますが、こういう年金形式の給付が、和解に参加された方々にはすでに支払われているところでございます。 それ以外に、いわばスモン患者さんたちの特殊な生活上のニードにいかに対応すべきかという問題は、確かに残されているわけでございまして、これについてはわれわれとしては、さらに先ほど大臣の御指摘のありました全面的解決ということとの絡みにおいて、それなりに覚悟を決めて努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
○大原(亨)委員 いまの可部方式による介護手当は、お話のように超々重症者と超重症者に出ておるわけですが、しかし、それでは実際上介護、介添えを要する患者、これは目が不自由になるし、足が不自由になるし、完全失明の場合もあれば、完全歩行ができない場合もある。しかし、いずれにしても視力障害や中枢神経の障害を伴うているわけですから、そういう介添え、看護の費用についてはもう少し範囲を拡大してもらいたいという意見がある。いまの二つの程度では恐らく全体の患者の一割程度ではないかと思うのですが、介護料が給付をされる対象は全患者に対して大体どの程度になっておるかをお答えいただきたい。私が見ておりますと大体一割です。 それで、介護手当についてももう少しきめ細かに改善をすることが必要である。たとえば恒久対策、健康管理手当、あるいは治療を継続するための費用、体を維持するための費用、雑費、栄養その他を含めての費用、こういうものについても大きな要求はないわけです。しかし、実際上は保険外負担なんかで、重症者になれば一カ月について数十万円かかるわけですから、そういう全部の要求はないわけですけれども、そういう問題については前向きに検討して、全面解決の際にこの問題についての決着を図りたい、こういう答弁でありますから、そういう点の改善等については十分留意をしてもらいたいという希望であります。お答えいただきます。
○中野政府委員 超々重症者及び超重症者がどれぐらいの比率であるかということでございますが、これはそれぞれの症度の鑑定等によりまして結果的に決まることでございます。したかいまして、概数どれぐらいかということは必ずしも正確には申し上げられませんか、おおむね先生の御指摘のように一割から二割の範囲内というふうに考えております。 それで、それ以外の方々で、いわばスモンという疾病の特殊性に応じて生ずるところの生活上のニードにいかに対応するかという問題は、確かに残っておるわけでございまして、この問題につきましては、先生御指摘のように、十分な前向きの姿勢で検討いたしてまいりたいと思います。 ただ一点、あれでございますが、金銭的な支払いについては、一応和解上の問題といたしましてはこれで決着がついたという理解がされている面もございまして、この問題はなかなかむずかしい問題であるというふうにわれわれは考えております。しかしながら、先生の全体的解決の御趣旨ということも踏まえまして、最大限の努力をいたしていきたいと考えております。
○大原(亨)委員 治療対策としてただ一つとっておるのは、はり、きゅう、マッサージの問題ですが、はり、きゅう、マッサージは確かにこういう中枢神経を冒されている場合においては一定の効果があると思うのです。しかし完全な効果であるかどうかはこれからのことで、未知数。そこで問題は、一件について八百円というのは、若干の上乗せがあるにいたしましても、いかにも少なくて実用的でない。実際に行って治療してもらえない。それからお医者さんに一々承認を得るというふうな手続は、これは余り気持ちのいい問題じゃない。したがってスモンの患者については、はり、きゅう、マッサージ等は非常に心理的にも効果かある、実際上にも自律神経や全体の体の調子を整えるのにいい、こういうことがわかっているわけですから、わかっている以上は、一週間に一回と言わないで回数をもう少しふやして、一カ月間に四回なんて言わないで回数をふやして、単価を上げて、医師の承認なしにも医者が承認できるようなルールに従って、一定の手続でスモンの患者が漢方治療を受けられるような、そういう患者の立場に立った措置の改善が必要ではないか。いかがでしょうか。
○中野政府委員 はり、きゅうの問題につきましては、先生御承知のとおりに、現在行っておりますものは、基本的な単価の上に一回につき三百円の上積みをいたしまして、月五回という範囲で実施をいたしておるところでございます。これにつきましては、鍼灸師の中央団体との間の話し合いを中央レベルで行いまして、これが円滑に行われるよう努力をしているところでございますか、もちろん地方におきましてはこれがなかなか円滑に行えないような状況も一部あるようでございますので、これを十分円滑に行えるようにさらに努力をいたしてまいりたいと考えております。 ただ、はり、きゅうの治療というものがスモンという症状に対しまして一体どのようにやれば最も効果的か、その頻度がどのようなものであるかということにつきましては、治療研究の一つの重大なテーマでございまして、私どもといたしましては、現在五十四年度の予算に、公衆衛生局の方にお願いをいたしまして、このような東洋医学的な手法の治療方法がスモン患者に対していかなる範囲で有効であるか、またどういうやり方をしたのが最も有効かということの研究を急ぎ、五十四年度予算で大型プロジェクトを組みまして研究を行う、東洋医学研究関連の方々を含めまして御検討願うというふうに事柄を進めてまいりたいと思っております。それで、そういう東洋医学の所見も含めました結論が出次第、この回数あるいは実際の治療の仕方について、適正な方法でこれを実施することにいたしたい、かように考えておるところでございます。
○大原(亨)委員 考えているということは大分理解できるわけであります。 もう一つ大きな問題は、やはり田辺問題の処理であります。これは概括的には大臣からも発言があったわけですが、私も田辺の労使の意見も直接聞いてみましたけれども、恐らく腹の中には、戦争中に軍や国が開発をしたキノホルムというものを使った実績があるものを、戦後引き継いで田辺が製造した、こういう経過から見ても、その安全性と有効性の問題についてはやはり国が責任を持つべきだということが一つあると思うのです。そういう感情がある。それからもう一つは、これは言うか言わないかは別にいたしまして、そういう劇薬や副作用のある薬の使い方の問題、医療機関の問題、医師や薬済師の責任、これは裁判の技術上出ていないけれども、私どもで政治決着をつける際には、医療改革の問題として、薬づけ医療の問題に絶対にメスを入れなきゃならぬ。薬害列島日本の汚名を返上して、真に信頼できる薬済を最小限度使っていくという原則を医療の中でやるならば、つまらぬことを武見医師会長等に話をせぬでもかなりの問題解決はできるはずである。一発言する者あり一重要な問題である。したがって、そういう経過から見て、メーカーが全部の責任を負うということはおかしいじゃないかという感情がある。それから、大変な費用の負担ということもあるだろう。しかしそれを乗り越えて、判決が示しておるように因果関係も明確であるし、責任論も予見性も明確である、そして国も責任を負うべきであるということで、国が統一的な解決の全体の展望を腹をくくって示せば、田辺は、日本において医薬品の製造を続けるという意思がある限りは、必ず説得できると私は思う。そういうことに応じないようなメーカーであるならば、これは製造の取り消しをしなきゃいかぬ。あるいは国がかわって賠償しておいて、そしてどうしても判決でやるという一部の患者もあるかもしれないけれども、やるならば、後で求償するということは、今度政府が出している薬害救済基金法の中にもその趣旨はある。ですから、国が腹をかけてやろうと思えば田辺問題の処理はできる。これを理由といたしまして四の五の言うて、控訴をしたり解決を延ばすということは、今度は私はないと思うけれども、今度二法案の審議をいよいよするわけですけれども、そういうものを前提としてこの問題に決着をつけなければ前へ進まない。これは医療改革の中心課題である。そういう面において、私は改めてこの田辺問題の処理についてひとつ見解、決意をお聞きをいたします。
○橋本国務大臣 先ほども申し上げましたように、患者の救済という点につきましては、田辺も国の方針に同調するということをすでに申してまいっております。ですから、いま大原先生御指摘のように、それこそ患者救済について独自の方針を出すということはない、私はそのように信じております。
○大原(亨)委員 時間が来ましたから守りたいと思います。 この広島判決の骨子の第三項にも出ておるのですが、たとえばアメリカではキノホルムの使用についてはアメーバ赤痢だけに限定して、量を制限しておる。それでもなおかつ数名の患者が出たものだからキノホルムを禁止した。だが依然としてキノホルムは有効な薬だといって、ヨーロッパでは医薬分業の中で使っておるところもある。そういうキノホルムや薬品に対する対処の仕方というものを、患者と国民の立場から根本的に改めなければいけない。そのことが患者の願いであり、遺伝であるとか伝染であるとかビールス説であるとかいって、周辺から袋だたきにあって自殺したり、生き延びてきた経験のある人たちからいっても当然のことである。そのことは患者の対象によって差別はない。だから、それぞれの対象と誠意をもって話をし、そしてこれだけの判決等を通じまして国民の世論があるわけでありますから、そういう国民的な基盤において、政府はこれ以外にないという全面解決、統一解決について強い決意で速やかに対処してもらいたい。そういうことが、これからの医療改革やあるいは薬事法関係の法律案を審議する前提であるというふうに私は信じておる。そういう面において、厚生大臣といままで実務を担当してきた薬務局長の見解を最後に聞きます。
○橋本国務大臣 きょうの広島地裁の判決を受けて、私は一括解決を図る時期が来たと考えておりますということを最初にも申し上げました。薬務局の諸君も当然私のその考え方に同調し、その方針で進んでくれるものと信じております。
○中野政府委員 大臣のおっしゃるとおりに考えております。
○大原(亨)委員 終わります。
○森下委員長 次に、森井忠良君。
○森井委員 大平内閣の発足によりまして、橋本新厚生大臣が生まれました。いままで厚生行政に対しまして、あるいは大きく社会保障問題につきまして熱心に取り組んでおられました大臣だけに、党の違いはありますが、私どもといたしましても、これからの御活躍を期待いたしたいと思うわけであります。 きょうは厚生大臣の所信表明に対する質疑でございまして、聞きたいことは山ほどあるわけでございますが、二点にしぼってお聞きをすることにいたしました。 なかんずく医療保険制度、健保改正案の問題につきましては、厚生行政の基本に触れるきわめて重要な問題でありますし、すでに予算委員会等でもこの問題をめぐって議論がなされておるわけであります。率直なところ、申し上げましたように橋本厚生大臣に厚生行政に関してかなりな期待を持っておるわけでありますが、事健保の改正案あるいは医療保険制度全般については姿勢がやや医師会寄りではないか。人によりましてはべったり医師会寄りではないかという話もあるわけでありますけれども、この点に率直に申し上げまして一抹の危惧を持っておるわけであります。 何と言いましても、去年の通常国会の終わりごろに健康保険法の改正案を提出をされました。そして継続審議を重ねて今日に至っておるわけでありますが、もともと提案の時点からきわめていびつな形になってまいりましたことは御承知のとおりだと思うわけであります。厚生大臣の所信をお伺いしたわけでありますが、健康保険制度の問題あるいは健保の改正案につきましてはいとも明確に「健康保険法等の一部改正法案をさきの通常国会に提出し、現在継続審査の取り扱いとなっているところでありますので、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに同法案の可決成立がなされますようお願いする次第であります。」こう明確に書いてあるわけであります。 そこで、まずお伺いしたいのでありますが、大臣これは本音でしょうか。
○橋本国務大臣 本音であります。
○森井委員 橋本大臣は、厚生大臣に就任をなさるやや以前は、自民党の健康保険法改正作業小委員会の主査だと承っております。さらに政府提出の健康保険法改正案の代替案をつくるために、言うならば事務局長的な役割りをお持ちになりました。正確に事務局長であるかどうかは定かではありませんが、事実上かなめになって自民党案をおつくりになるための努力をなさったと承っておりますし、いわゆる世に言う橋本私案をお出しになりました。これは結果的に与党の内部でいろいろ議論がありましてつぶされたようでありますが、この改正作業小委員会も、ちょっと言葉が適当ではありませんが、雲散霧消なさったような形になっておると聞いております。いずれにいたしましても、橋本厚生大臣は、大臣に御就任になる前は与党で一定の任務をお持ちになっておられたことは間違いないのではないかと思うわけであります。 そこで、そういう立場でちょっとお伺いしたいわけでありますが、昨年の通常国会の終わりごろになってお出しになりました健康保険法の改正案につきましては、与党の内部でいろいろ議論がございました。そして最終的には、政府の健康保険法の改正案の提出を認める、ただしこれは、修正も含めまして原案のとおり成立するかどうかについては保証できない、という意味の御決定があったやに私ども聞いておるわけでございます。そのとおりでございましょうか。
○橋本国務大臣 確かに昨年の通常国会に健康保険法改正案の提出いたしますにつきまして、与党の了承が得られないままに国会提出の手続をとることを了承したという事実はございました。ただ、五十四年度予算の編成に際しまして、私は党側に対しても、現在継続審議になっております健康保険法案をもって五十四年度予算編成を行うということで、党に対して了承を得ておりまして、その際、予算の編成過程におきまして党の関係部会における健康保険法案自体の御承認もいただいております。また、その予算そのものも党の正式機関を全部経由して了承をいただいたものでございますから、私は、健康保険法の改正案につきまして、確かに提出時期においてそうした問題があったことは事実でありますが、現在において健康保険法は党の了承を得た、承認を得たものと考えております。政府の立場としては、ぜひ一日も早く御審議をいただき、御可決あらんことを心から願っておる次第でございます。
○森井委員 ちょっと私の言い方が悪かったかもわかりませんが、私は、橋本厚生大臣が大臣に御就任になる前に党案をおつくりになることについては、これは決して悪いことではないし結構だと思うわけであります。ただ問題は、議院内閣制のもとにありまして、片方において国会提出を認める、片方においてこれは与党が修正するぞというそういう含みで提案をなさっただけに、私は橋本厚生大臣の立場はきわめて微妙だというふうに考えざるを得ないわけであります。どんなに強弁をされようとも、いまもはっきりおっしゃいましたけれども、ぜひこの原案で通してくれ、こうおっしゃるわけでありますが、やはりこれは予算委員会でも紛糾をいたしまして、大平総理大臣は当初聞いていないと、武見メモのあるいは齋藤確認の問題でありますけれども、聞いていないという御答弁があったようであります。しかし、その後承知をしておるということになりましたけれども、やはり党で一連の法案の修正の動きがあることについては、これは紛れもない事実だと私ども理解をいたしておるわけで、そういたしますと、早く通してくれと言われましても、一体そのとおり、原案のとおり通すのかということになると、いま大臣はいともはっきりおっしゃいましたけれども、私は何かそこに白々しさが残る、このように考えざるを得ないわけであります。 はっきり申し上げますが、もうすでによその委員会でも明らかになったことでありますし、私があえてこの問題を社会労働委員会で取り上げますのは、何といいましても法案については所管の委員会であります。したがって、この委員会でやはりこれから審議をしなければならない立場の委員会として、ぜひとも私は明確にしておかなければならぬと思うのでありますが、原案のとおり通してくれと言われる反面、あなたは大臣に御就任になりまして、その後武見医師会長のもとにしばしば足を運んでいらっしゃいます。そしてその中には、いわゆる山中税制調査会顧問ですか与党の山中貞則さんに武見さんから、いわゆる武見メモというものをお渡しになった。これは私どもの理解では、健康保険組合の解体ないしはその財政調整等もありまして、そういった具体的な中身が入っておりました。そして、これを齋藤幹事長に山中さんはお渡しになった。そして、齋藤さんから正式に与党として医療政策に関する基本方針、これは昭和五十三年十二月二十五日、武見会長に文書でお渡しになっているわけであります。原案を通せとおっしゃいましても、これだけはっきりした、いまの原案のままじゃいけないのだというそういう一連の動きがあり、しかも橋本厚生大臣も同席をなさった席で修正の動きをしておられるということから見れば、いま申し上げましたように、私はどうも原案のとおり可決をしてほしいというのは白々しく聞こえてなりません。むしろ、この機会に本音を言われた方が私はいいのじゃないか、こういう感じすらするわけであります。いかがですか。
○橋本国務大臣 いまお話になりましたことが事実全部そのとおりでありますと、そういった御疑問がでるのもあるいはやむを得ないかと思います。ただ、私が厚生大臣に就任をいたしました時点をもう一度御記憶にお戻しをいただきたいのでありますが、昨年の秋口から厚生省と日本医師会との間には関係の断絶状態が起こりまして、完全に厚生行政に協力の得られない状態の中で、私は厚生大臣に就任をいたしました。そして残念ながら、いまだにその状態というものは完全に回復ができておるわけではございません。ただ、私どもの受け持ちます分野においては、民間医療機関の協力を得なければならぬ分野というものか非常に大きいわけでありますし、私自身、今日もなお何とかしてその状態を解決したいということで、日本医師会との話し合いは継続をいたしております。そして、そういう中におきまして山中先生が会われ、また齋藤幹事長が会われるという話は私も聞いておりました。 ただ、山中先生が税の関係でお会いになりますことについては、これは私は税の主管大臣ではございませんから別に何も申し上げる筋ではないわけでありますが、齋藤幹事長がお会いになるという事態になりまして、私もそれに同席というよりも、どんな状況になっているか、確かに最後十分ぐらいでありましょうか、とにかくそこの内容というものを承知したいと思って、その会談の席に参りました。これはマスコミの皆さんもよく御承知でありますけれども、最後の時間、ちょうど十分ぐらいのところが三人同席になった場面だと思います。 その席上で、確かに、齋藤幹事長がいまこういう考え方を提示したという話がありまして、第一点のプライマリーケアの重視ということについては、これは私も異存がありませんと。ただ、第二点の制度間の給付・負担の不公平の是正、すなわち社会的公正の確保という問題について、これは財政調整を意味するという幹事長のお話でありましたから、これは日本医師会長を目の前で申しわけありませんが、幹事長、私はこれはできません、現在政府は健康保険法の改正案を提出し御審議を願っておるのでありますから、一方でこういうお約束に厚生省として協力をしろと言われても、これはできませんということを、日本医師会長に対しても齋藤幹事長に対してもその席上で申し上げました。そして、それはそうだろうなというお話でありましたが、翌日もう一度正式に厚生省の事務当局とともに幹事長にお目にかかりまして、その真意というものをお尋ねをしながら、第二点のいわゆる政管健保と組合管掌健康保険の負担・給付の不公平の是正という点については、厚生省としては責任は持てませんということをはっきり申し上げております。これは厚生大臣は難色を示したという表現で報道されたとおりのことでありまして、事実私はそう現実に考えております。 ですから、私は、現実に自分の責任の持てる話であればこれにも本当に同調しただろうと思いますけれども、いま私としてはこれに対して同調できません。現在党の方でこうした問題についての検討を始められるというふうには承っておりますが、まだその内容とかあるいは手順とかそうしたものが確定した、いつごろまでに結論を出されるということについても、まだ、決定をしているとかあるいはこういうふうになるということは、私、実は伺っておらないわけでありまして、私どもとしてこれに大変大きな関心を持っておることは間違いありませんが、しかし、党の結論というものが出ました時点でも、私どもはこれは十分慎重に対処をすべき問題であると思いますし、また十分御相談もしなければならぬと思っております。 いま私は、率直に申し上げまして、現在政府は、ちょうど五十二年の十一月でありましたか、健保制度の改正に対する十四項目の内容を国会に対して提示をし、そしてその中における第一着手として健康保険法を提出したわけでありますから、これを御審議いただきたい、これは本当にそう思います。
○森井委員 まず事実の確認ですが、武見医師会長と齋藤幹事長がお会いになった席にあなたも十分ほど同席をなさった、こういうふうにおっしゃいました。その席では明確に、私は第二点についてはできませんと、つまり政管健保と組合健保との負担・給付の不公平の是正、私どもは便宜上これを財政調整と呼ばせていただきますけれども、第二点についてはできませんと明確にお断りになった、これはそのとおりですか。
○橋本国務大臣 財政調整についてはそのとおりであります。ただ、その負担・給付の公平化ということにつきましては、現在御審議を願おうとしております健康保険法の中におきましても、ある程度そのバランスを回復する努力をしておるわけでございまして、その給付・負担の公平ということまでしないとは私は申しておりません。ただ、財政調整というものについては、これは私は責任が持てないということは明確に申し上げております。
○森井委員 若干、言葉の使い分けで私も理解しにくい点がありますけれども、大臣の真意はわかりました。 ただ、こういう業界、と言えば語弊があるのでしょうが、日本医師会は学術団体だとおっしゃいますが、どうも非常に理解しにくいのでして、私どもはある意味では業界の団体だというふうに理解せざるを得ませんけれども、その日本医師会が出しておりますこの日医ニュースの中で、はっきり書いてあるのですね。たとえば「斎藤さんは、「プライマリー・ケアの問題よくわかった」と。それから、「健保の付加給付とか負担の公平とかというふうな問題は、これは財政調整でやるんだ」ということをその席で説明をされた。大臣は、「社会保険審議会にかけたら通りませんよ」ということを言ったら、「議員提案でやる。健保連に対する課税の問題は山中先生が議員提案をする。財政調整の問題は小沢前大臣が議員提案をする。あとのことは橋本大臣のもとでやってくれ」ということで、私の前で党と厚生省と医師会との役割り分担が明確に決まった。」こう書いてあるわけであります。そうすると、これは事実に反するわけですね。ここに本物がありますが……。
○橋本国務大臣 いや、これも本物の半ぺラであります。この税の関係のお話については、少なくとも私の前ではありませんでした。それから財政調整の問題について云々の話は、確かに、翌日幹事長と私ども厚生省の事務当局と一緒に話し合いをしましたときに、幹事長からそのお話が出たことは事実であります。
○森井委員 学術団体と称する日本医師会の日医ニュースがこう不正確では私困ると思うわけでありますが、ここは大臣のおっしゃるとおりだと思いますので、私は大臣のおっしゃることをそのまま信用させていただきます。 そこで、保険局長にちょっとお伺いをするわけでありますが、もしこういった与党の一連の動き、負担の公平の問題であるとか特に財政調整の問題等が出てまいりますと、現在継続審議になっております健康保険法の改正案にどういう影響を及ぼしますか。
○石野政府委員 現在御提案申し上げております健康保険法の一部改正でございますけれども、これはやはり負担なり給付の平等という目標を掲げてやっておるわけでございます。そういう意味で、今度自民党で御検討になられるということが、ストレートに負担の公平あるいは給付の平等そのものを実現するために財政調整を行う、被用者保険間全部の財政調整を行うというふうになった場合には、これは健康保険法の現在提案しております中身は別の措置をすると書いてございますので、法律的なつながりはあるわけでございますけれども、その時期等がわかりませんので何ともお答えしようがございませんけれども、少なくとも、組合間の財政調整は今度の法案の中に御提案申し上げてあるわけでございます。したがいまして、それをさらに一歩出て、医療保険、被用者保険全体の中で財政調整をやることにつきましては、今度の法案の中の別に措置をするということに該当する、こういうことでございますので、今度の法案とストレートに関係が出てくるというふうには理解いたしておりません。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
○森井委員 厚生省の方で説明資料として、五十三年から五十四年度の政管健保の収支見込みを出しておられますね。これはもっと根っこから申し上げますと、四十九年以来の赤字を大体五十五年度までに解消して黒字基調にする、こうなっていますね。したがって、法案の審議は当然予算の問題と絡んでまいります。もともと、この健保の改正案というのは抜本改正と名前がついていますが、私どもに言わせれば、まことに辛らつな言い方で恐縮でありますが、それこそ財政の赤字をどう埋めるかということで、それ以外に何もないと言ってもいいくらい問題の多い法案だと私は思っておるわけであります。 財政の絡みからいっても、財政調整をどの程度におやりになるのか知りませんが、たとえば私どもが与党の齋藤幹事長を初めとする一連の動きを承知いたしておりますのは、この国会に提案をする、こうなっておるわけであります。それは財政調整の仕ぐあいにもよりましょうけれども、少なくとも組合健保から政管健保に金を一円も流さないということではないわけですから、「財政調整」の名前のとおりであります、当然いま出しておられる改正案に響いてまいりますし、ましてや、いつおやりになるかわかりませんがという言い方を保険局長はしておりましたけれども、仮に来年度から実施をするとしても、私の手元にいただいておりますあなた方の改正案によるところの財政収支から見れば、当然これは影響を受けてくる、こういうふうに理解をせざるを得ないわけです。もう一度その点について明らかにしていただきたい。
○石野政府委員 確かに、現在の予算につきましては財政調整を前提としない予算案でございます。問題は、先生おっしゃるように、五十四年度から医療保険制度全体について財政調整を行うということになりますれば、これは当然予算に関係してまいります。しかし、先ほど申し上げましたように、五十四年度から実施ということは私どもまだ聞いておりませんし、その中身についてもまだ固まっていない、内容についてもどの程度の財政調整を行うかについてもまだ議論がなされていない、こういうことでございますので、現在の段階において五十四年度予算に影響するとは私ども理解できないわけです。 それからもう一つ、しからば五十五年度からやった場合にどうなるのか、こういう話でございます。五十五年度にもしそういう法案が成立しておれば、当然、収支バランスの問題についても私どもはもう一遍考え直さなければならないという点は事実でございますが、その場合に、どの程度のどういう中身であるかについて決まらない限りは見直しができない、私どもこういうふうに考えておるわけでございます。
○森井委員 いわゆる武見メモによりますと、これは、昨年の十二月二十二日に武見医師会長のお宅で山中貞則さんがお会いになったときに、武見会長からお渡しになったものですね。これは御存じですか。
○石野政府委員 直接ではございませんけれども、間接的に資料は入手いたしております。
○森井委員 それによりますと、たくさん項目があるのですけれども、要するに一口で言いますと、これは健保組合の解体なんですね。 たとえば健保組合は「独立した医療企業体ではなく、保険料を勤労者と雇い主から徴収する機関として組合を存置する。」保険料の徴収機関とするというわけであります。そして「組合は徴収した保険科を直ちに政府に全額を納め、自己の手元にはこれを置かない。」こういうようなことになっておりますね。あなたはさっき響かないとおっしゃいましたけれども、そういう形の財政調整をやられたら法案に響くじゃないですか。
○石野政府委員 私どもが理解しておりますのは、齋藤幹事長と日医会長との間の合意というのは、こういう具体的な中身じゃなくて、負担ないしは給付の平等、そういうものの是正を図る、こういうことだと思います。 それで山中先生にお渡しになられたこのメモによりますと、おっしゃるように確かに現在の健康保険制度を根底から変えるようなことになっておるわけでございます。健保組合を単なる保険料の徴収機構にするということになりますと、まさに保険者としての地位を略奪するものでございます。政府と組合を全部がらがらぽんにして、一つの制度によって運営することを考えることと同じでございますので、私どもとしては妥当ではないと考えておるわけでございます。
○森井委員 健保組合の長所は何ですか。
○石野政府委員 健保組合の長所と言いますと、やはり小集団によりますメリットがあると思います。たとえば、小集団でございますので被保険者一人一人について行き届いたケアができるということで、医療費の方につきましても適正な支出も考えられますし、あるいは被保険者の教育の面につきましても徹底したものができるという意味で、私どもは健保組合のメリットについてはある、こういうふうに考えておるわけでございます。
○森井委員 大体いい答弁が出てきました。まさにそのとおりだと思うのです。健康保険組合というのは自主管理なんです。自分のところで働いている従業員についてそれぞれ健康管理をしながら、健康についていろいろな啓蒙活動をしながら、場合によっては早期発見・早期治療、したがって医療費も少なく済むというふうにずいぶんメリットがあると思うのですよ。政管健保みたいに、いま千三百五十万ですか、政府が一律に取り仕切って、とにかく医師が診たものは出来高払い、点数制でどんどんツケを回していく、そうして支払い基金からほとんどノーチェックで金が払われていく、そして健康管理はとてもできない、何せ全国一本にくくっておるわけですから。そこに大きな欠陥がある。別に健康保険組合の肩を持つわけじゃありませんけれども、その意味では、いまあなたがお認めになりましたように健康保険組合は健康保険組合としてずいぶんメリットがある。むしろ直していかなければならない、抜本的な改革をしなければならないのは政管健保じゃないか、私はこういうふうに思うわけですよ。 そういたしますと、再度お伺いしますが、そういう観点から立てば、山中さんにお渡しになり、そうして齋藤幹事長が目を通されて最終的に十二月二十五日の確認になったわけでございますけれども、その根底をなす武見メモのうちで、いま一つの例を上げましたが、健保組合を単なる料金の徴収機関とするということについては、保険局長としては賛成できない、こういうことですか。
○石野政府委員 はっきり申し上げますけれども、賛成できません。
○森井委員 私の方も全く同感でありますけれども、そうすると、いま国会に出しておられます健康保険法の改正案、先ほど私は悪態をつきましたけれども、やはりいまの赤字の原因はどこにあるのか、この機会に十分メスを入れていかなければならない。とにかくほっておけばまだまだこれから赤字は次から次へと出てくる。どうしたって改革が必要であります。単にボーナスから保険料を取ったり、あるいは薬代の一部を有料にしたりというふうなことで片づくのかどうなのか。なるほどいまの政管健保が赤字基調であることは私も認めます。しかし改革をしていかなければならぬ点は山ほどあると思うのです。 いま幾つか指摘をいたしましたが、一番問題なのは、国民の医療は国民の暮らしと切っても切り離せないものです。それが、せっかくあなた方が出したもの、中身は余りいいものじゃありませんけれども、それにいたしましても、国会にお出しになったものについてさらに医師会と与党との間の、たまには厚生大臣も立ち会われたわけでありますけれども、そういう密室の中の議論なんですよ。そうして、日医ニュースを見ますと生々しくそれが書いてある、場合によっては推薦をしないぞ、そういった形で与党の議員をおどす。いまアンケート調査が行われておりますけれども、これはひどいものです。河本政調会長の名前で、医師会のアンケートに対して一定の模範回答例が示された。しかし、もしも模範回答例のままの返事が来たらそういうやつは推薦するな、というところまで医師会は通達を出している。これは重大問題ですよ。私は、与党だけじゃなしに日本の政党に対する侮辱だと思う。 〔竹内(黎)委員長代理退席、戸井田委員長代理着席〕 そういう形の中で来ておりながら、せっかく皆さんお出しになっても、いつ中身が修正されるかわからないという形は、きわめて重大な問題があると思うのです。これは大臣、与党で御確認になったものだ。これはあなたが厚生大臣になられる前でありますから、したがって先ほど申し上げましたように自民党の健保法改正に関する一定の役割りを果たしておられたころの確認だと思うのでありますが、健康保険法の改正案の国会提出は認める、しかしその内容について承認したものではないと先ほど申し上げましたけれども、この事実との関係はどうなるんでしょうか、もう一度私は明確にしていただきたいと思うのです。
○橋本国務大臣 先ほども申し上げましたように、確かに提案時においては、提出手続をとることは認めましたが、内容については党内での論議を尽くしておりませんでしたので、場合によっては内容の修正等もあり得べしということで、国会提案を認めたことは事実であります。 ただ、この五十四年度予算編成というものが間に入りましてから、私は党のこの健康保険法改正案に対する態度というものは一変したと考えております。と申しますのは、私は党に対して、五十四年度予算は現在継続審査中になっております健康保険法案により予算編成をしますよということを申し、了承を得、そしてその過程において、この健康保険法の改正案に基づく内容で部会また政策審議会、さらに総務会等の正式機関の手続を全部終了して、今日までまいりました。ですから私は、党として健康保険法改正案に対して了承をいただいたものと考えておりますし、事実そのつもりでおります。
○森井委員 そうすると、厚生大臣として法案成立のためにこれからも全力をお尽くしになると理解をしてよろしゅうございますか。
○橋本国務大臣 私はそのとおり全力を尽くしたいと考えております。 なお、先日齋藤幹事長にお会いをいたしまして、いろいろな話がありますので、現在提出しております御審議を願おうとしております健康保険法改正案と、党のいろいろな御議論とについてどういうふうに考えたらいいのか、その確認を私はいたしました。幹事長からは、この財政調整問題について、現在政府が提案しております健康保険法改正案とは絡ませないという言い方での確認を受けております。
○森井委員 絡ませないと言われましても、先ほど保険局長から答弁がありましたように絡んでくると思うのですね。これはこれ以上は言いませんが。 そこで、もう一言大臣からお伺いしたいのでありますが、提出は認めるが中身について了承したものではないという、いまの健康保険法の改正案ですね。これは、もし差し支えなければ、一体与党としてどこが問題なんですか。
○橋本国務大臣 どこが問題と申しますよりも、内容について党内において十分な論議をする時間的な余裕がなかった、そう御理解をいただければ幸いであります。
○森井委員 私の理解をしております範囲では、たとえば、ここで健康保険法の改正案の継続審議にするかどうかの採決がございました。与党の中でもって起立しない人があったんですから。(「そんなことないだろう」と呼ぶ者あり)ありましたよ、ちゃんと。何なら名前を申し上げましょうか。あったんです。だから、そうなりますと一体どこに原因があるかというごとになりますと、私はずばり申し上げますが、医師会と調整がついていなかったということが一つ。そして二つ目は、やっぱりいろいろ一連の動きがございました社会保険診療報酬特例課税の是正の問題、いわゆる医師優遇税制の是正の問題について医師会からおかんむりがあった。それとこれとあわせて、医師会の強力な反対があったからだと理解をせざるを得ない。したがって財政調整については、何のことはない、もうすでに公知の事実とまで申し上げていいのでありますが、医師優遇税制の見返りとしてこの武見メモなりあるいは齋藤確認が出てきた、私はこういうふうに理解しておるわけであります。少しへそが曲がっておりましょうか。
○橋本国務大臣 私は、この社会保険診療報酬課税の特例につきましては、これまでの政府の税制調査会の答申及び確かに自由民主党の税制改正大綱を踏まえて、今般その是正が行われたというふうに理解をいたしております。齋藤幹事長と武見日本医師会長との間でのいわゆる合意というものは、これは党レベルの問題でありますから、私がこれについて見解を表明することは差し控えさせていただきたいと思います。
○森井委員 議院内閣制でしょう。私は、先ほども申し上げましたけれども、大臣が、大臣におなりになる前に自民党で一定の役割りを果たされたことについては、それはそれで結構だと申し上げておる。残念なことに、その案が政府の改正案として出てこないところに最大の問題点があるわけですね。救いがたい。あなたがどんなに強弁をなさろうとも、いま小沢前厚生大臣やあるいは山中貞則さんや齋藤幹事長が一連の動きをしておられることは、報道のとおりなんです。これはボタンをかけ違えているのですよ。与党の了承を得ないままで、提出は了承するが中身については了承しないというふうな、きわめていびつな提案をなさるからこういうことになる。しかも、経過を振り返れば、去年の通常国会の終わりごろ、あと何日もないというときに、それこそ駆け込み入学じゃありませんけれども駆け込み提出をなさった経過がある。ふまじめですよ。この機会に、やっぱり議院内閣制ですから一たん撤回をされて、その上で改めて与党と政府の気合いの合ったものを出してください。いかがですか。
○橋本国務大臣 私は、現在継続審議になっております健康保険法改正案をぜひ今国会において御審議を願い、御可決を願いたいと考えております。撤回はする意思はございません。
○森井委員 いずれその時期が来たときに、私どもも重大な考えがあるということを申し上げておきます。これは態度として一連の動きから見れば、私は納得できません。 質問したいことは山ほどあるのでありますが、もう時間が余りなくなりましたので、最後に一問だけ、これは保険局長にお伺いをしたいと思うのでありますが、保険局長はことしの一月二十五日と二十六日に二通の通知をお出しになりました。一つは都道府県知事あてに「保険診療適正化のための指導、監査の推進について」。これは監査をもっとしっかりやれという中身であります。私どもはこれを国会向けと受け取っております。本音は、明くる一月二十六日にお出しになりました健康保険組合連合会会長あてであります。この方は「健康保険組合の「医療費通知及び不正請求告発運動」について」。一口で申し上げますと、健保連が勝手に告発運動をやっちゃ困る、こういう中身になっておるわけであります。まず、この事実は当然お認めになりますね。
○石野政府委員 通知を出したことは事実でございます。
○森井委員 健保連が不正請求の告発運動を起こしたのは、ある日突然起こしたのじゃないんですよ。もう時間がありませんから多くを申し上げませんが、年々歳々医療費かかさんでくる。しかも国会でもしばしば指摘をされておりましたように、政府はそれに対してなかなか的確な手を打ってくれない。たとえば薬づけ医療の問題、御存じのとおり総医療費に占める薬剤費の割合か四〇%近い国はないですね。しかも薬価基準たるや実勢価格から見ればはるかに離れておる。あるいは不正請求か頻繁に行われておりまして、頻繁というと語弊があるかもしれませんが、とにかくしばしば新聞をにぎわしてまいりました。悪徳医師がおることは事実であります。しかしそれに対してほとんどまともなチェックはなされないと言ってもいいくらい、指導あるいは監査は微々たる件数であります。したがってそういった点から、やむにやまれず健保連はみずからの自衛策に立ち上がった。それに歯どめをするような通達が一体許されるものかどうなのか。書いてあることについては一応うなずける点もありますよ。医師との信頼の確保の問題であるとかはうなずけますけれども、なるほど法によりますと、都道府県知事と厚生大臣しかそういった指導、監査はできないことになっている。しかしそれでは、申し上げましたように医療費がどんどんかさんでくるというところに問題があって、ああいう運動を起こさざるを得ない、いわゆる自衛的な動きが出ておるのじゃありませんか。私の理解とあなたの理解は違いますか。
○石野政府委員 私どもの真意を十分御理解いただいてないのじゃないかというおそれが実はございますので、時間をお許し願ってちょっと御説明させていただきたいと思いますけれども、私どもがこの健保組合に対しまして通知をいたしましたのは、要するに医療費の通知運動なり告発運動についてこれをやめろということを申し上げているわけじゃございません、これは文章をお読みになればわかりますけれども。少なくとも、告発運動という問題につきましては、不正というものが明らかになって初めて告発すべき問題でございまして、その際に患者調査等をやりませんと実際には不正であるかどうかわからないわけでございます。そういう意味で、告発する場合には事前に都道府県知事の方に御相談願って、なるほど私どもがそういうことについて事実を知っていながらやらないとなれば、これは行政庁の怠慢でございますので私どもは厳重に指導してまいりますけれども、そうでない場合についていたずらに告発運動をやりますと、これはやはり先生おっしゃるように、医者と患者との信頼関係を真っ向うからぶち壊す、こういうおそれもございましたので注意を申し上げた、こういうことでございます。
○森井委員 時間がないから突っ込んだ質問ができないのでありますが、こういうことが書いてありますね。「健保組合から通知された医療費の額に不審な点・疑問な点があるような場合であっても、これをもって直ちに不正があるとは」いえないから、慎重にやれ、こういう中身になっているわけですね。私もある職場へ行ったら、こういう話がありました。健保組合から金額の通知があった、どうもおかしいと思って調べたら、三回しかお医者へ行ってないのに十回も請求が来ている、ずいぶんこういうことかあるんですよ。 そこで、一点だけ明確にしていただきたいのですけれども、個人がそういったふうに、これは明らかに不正があると考えて告発をしたような場合は、これは幾ら保険局長といえどもとめることはできない、基本的な権利であるというように私は思いますけれども、その点どうですか。
○石野政府委員 そのとおりでございます。
○森井委員 時間の関係ではしょらせていただきまして、最後に一問だけお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。 これは話が変わるのでありますが、昨年の国会で原子爆弾の被爆者に対します援護措置についていろいろ議論が行われました。結論的に申し上げますと、去年三月三十日に最高裁判所の判定が出たということもありまして、この際、現在あります医療法、特別措置法の二つの法律を再検討しよう、そして昭和五十四年度まで、附帯決議では来年度までという表現になっていますが、来年度までにその結果を明らかにする。そして具体的には、原子爆弾被爆者の援護に関する法律として二つの法律を一本にするという一定の話し合いがなされました。与党の皆さんも含めて確認されたわけであります。 しかるに、今度の国会におきましては特別措置法の改正案が出されました。そして諸手当の引き上げ等一定の前進が確かにあったわけでありまして、特別手当等については大臣の御労苦を多とするわけであります。ただ、いま申し上げましたように法制上の検討についてはついになされないまま今日に至った。私はきわめて問題があると思うわけでありますが、一体厚生省は、去年の国会を受けていまどう考えておられるのか、大臣から明らかにしていただきたいと思います。
○橋本国務大臣 私も本委員会におりましたので、その経緯また御質問がありましたこと、それを踏まえての附帯決議等よく存じております。 その後、五十四年度予算編成までの間に、いろいろな角度で相談、検討はいたしてみたのであります。法制局等にも意見を聞きました。しかし、結果的に二法を一本化するに足る積極的理由なしということでありますし、またこの二法のままでありましても対策の改善、充実を図り得るという状態の中で、今国会に従来のままの形で御提案をさせていただいた次第でございます。 小沢大臣から、さまざまの困難は予想されますが実現のために努力したいという御答弁がありましたことを記憶いたしております。そこで今回、社会保障制度審議会の答申の中におきまして、制度の基本的なあり方についてまだ十分検討されていないという御指摘を受けておりますし、もっと基本的な問題に権威ある検討を加えるべきものをつくってはどうかというような御提言もいただいております、先生もうよく御承知のとおりでありますが。私もこの考え方を受けて、本当に専門家による権威のある組織を設けて検討を行うという趣旨を踏まえた今後の対応をしてまいりたい、そのように考えております。
○森井委員 制度審の答申は、要するに、いままでの原爆被爆者対策に対する厚生行政のあり方では困るのだ、そういう趣旨だと理解をしておられますか。
○橋本国務大臣 そうしたお考えも多分あっただろうとは思います。ですから私は、この機関を設けました場合、そこで御議論を願う考え方の基礎というものは、原子爆弾被爆に関する問題についての基本理念を明らかにする、同時に被爆者に対する制度の基本的なあり方というものについての検討を願う、そういう姿であるべきだと思っております。
○森井委員 こういう表現が使ってありますね。「よって、政府においては、原子爆弾被爆の特殊性にかんがみ、専門家による権威ある組織を設け、昭和五十三年三月の最高裁判所の判決の趣旨をふまえて、速やかに」こうなっておりますね。したがって、そういった点から、いまお答えがありましたように答申の趣旨を尊重して、文字どおり専門家による権威ある組織を設けて検討していきたい、こういうお考えのようにお伺いしたわけであります。これは、一つには答申尊重の厚生大臣の具体的な姿勢であり、一つには被爆者問題についての長年の懸案だからこの際解決をしていきたいというお気持ちのあらわれだと理解をいたしますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
○橋本国務大臣 そのとおりであります。むしろ、こうした問題をいたずらに、いままで行われておりましたような平行線の議論で終始するということは決して望ましいことではありません。ですから、やはりこの問題についての基本理念というものは明らかにしなければならぬ、これがまず第一の課題だ、そのように受けとめております。
○森井委員 それでは最後に。 これは内閣総理大臣に対する答申ですね、したがって国会はこれに拘束されるものではない。国会での作業は、当然でありますが、昨年の通常国会での原爆に関する議論を踏まえて、すでに社会労働委員会の理事懇談会におきまして、委員長を中心にいたしまして各党で、先ほど申し上げました政府がお出しになりました特別措置法の改正案に対しまして国会としてどう対応するか、私の方からできれば去年の国会の確認どおりいろいろ各党で話し合いをしたいという提案をし、これは了承されておるわけであります。国会の動きについても厚生大臣として当然理解をしていただいておるものと考えますが、それでよろしゅうございますか。
○橋本国務大臣 一点だけ訂正させてください。 実は、この答申は厚生大臣橋本龍太郎あてでありまして、内閣総理大臣に対するものではございません。ただ、もちろんその答申というものが私どもを拘束はいたしますけれども、国会を拘束するものでないことは当然であります。そして従来からの経緯、私もよく存じております。そしてこれまでの経緯も考えてみまして、各党で十分に御議論をいただきまして、その結果結論が得られたものに対しては厚生省としても十分尊重いたしたい、そのように思います。
○戸井田委員長代理 次に、川本敏美君。
○川本委員 橋本厚生大臣が今度の大平内閣で厚生大臣に就任されました。いままでこの社労一本で取り組んでこられた最も厚生行政に理解の深い大臣だから、今後の活躍を私どもも大きく期待をいたしておるところであります。 先ほど来、同僚の森井議員から、当面の健康保険法改正をめぐる諸問題についていろいろお話がありました。私もその後を受けて、ひとつ連係プレーで、もう少しお聞きをいたしたいと思うわけです。 そこで、まず最初にお聞きしたいことは、先ほど森井議員の質問にもありましたけれども、大臣がおととしこの社労の委員長をしておられた当時に、自民党の党内の医療基本問題調査会、これは根本龍太郎さんが会長をしておられたと思います。九月の十三日に「医療制度改正の基本的方向」と題するいわゆる健保法改正についての橋本私案というものを発表されたことは、先ほどもお認めになりました。その内容をいまでも覚えておられますか、大臣。
○橋本国務大臣 いま御指摘になりました私のレポートは、森井委員がお取り上げになったいわゆる橋本私案というものとはちょっと違うと思います。そのときに私が出しましたものは、将来における医療制度全体の将来構想の問題でありまして、その中には保険財政の問題ももちろんございましたが、医学教育、また、医療関係者の教育の問題、あるいは国公立の医療機関と民間医療機関の役割りの分担、その他非常に幅の広いものをまとめたと記憶をいたしております。
○川本委員 いまお手元へお渡ししましたが、当時からまた橋本大臣は健保法改正の方向についていろいろな意見を持ち合わせておられる。ところがこの内容は、いま大臣おっしゃったとおりです、非常に広範な範囲について一つのあるべき方向を示しておられるわけでして、この当時の橋本私案に対しても、学者その他の方々の批判は、あるいは医師会寄りであるとかいろいろ意見が出されました。しかし、これは一つの意見として尊重さるべきものであることは間違いないと思う。 〔戸井田委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 ところが、その橋本私案を出された大臣が、大臣に就任されてから、先ほどお話しのように、今度は、先日来の予算委員会であるいは先ほど来ここで森井委員の質問に対しても、現在継続審査中の、国会で宙づりになっておるあの健保改正案については、ひとつ無修正で可決をしてもらいたい、この間大臣のあいさつの中にもありましたけれども、先ほども言われました。これは森井委員にも答弁されましたけれども、これではすべての国民は納得しないのじゃないかと私は思うわけです。橋本私案とは全然違うものかいま国会に継続中である、宙づり中である。私は大臣になりましたので、私の意見とは違いますけれども、どうぞこれを早く修正なしに可決してくれというのは、ちょっと矛盾が多過ぎるのじゃないかと思うのですが、もう一度大臣の意見を……。
○橋本国務大臣 いまちょうだいをいたしました「医療制度改正の基本的方向」というのは、私が確かにまとめたものでありますことは間違いありません。そしていま申し上げましたように、これは健康保険だけではなくて、薬害救済から非常に幅広いものをまとめておることももう御承知のとおりであります。その後におきまして、五十二年のたしか十一月でありましたか、本院におきましても、政府から十四の改正の方向、項目というものが提示をされ、その方向で作業が進められるように合意をしたことも事実でありまして、それを受けて、その第一着手として提出をされました現在の健康保険法改正案、これを御審議をお願い申し上げたいということと、私は必ずしも食い違いはないと思います。 また、昨年の党の小委員会の中におきまして、私が新健康保険制度大綱というものをまとめたことも事実でありますが、これは論議のたたき台をつくるべく、その当時、全面的な方向づけをされた案としては大きく提示をされておりました、日本医師会の案というものを基礎にして作成をした一つの案であります。その後において作業が中断をしたまま、今日に至っておるわけでございます。小委員会の論議の素材としてまとめたものでありますから、それと、現在大平内閣の閣僚の一人として政府が提案をいたしております健康保険法の審議をお願いをしたいということ、これは別にそんなに食い違った話だとは私は思いませんし、また、それをぜひお願いしたいという気持ちでおることも事実であります。
○川本委員 それならお聞きしますが、大臣、大臣自身がそういうことで、現在の健康保険法改正案に対する自民党内の小委員会の試案もまとめられた。その前には、一つの医療改革に向けての自分個人としての私案も持っておる。そういう大臣が、今度この国会中に、この健保改正案の宙づりになっておる政府案に対する修正案が出てきたら、それが自民党から出されたら、それに対しては大臣はどう思いますか。
○橋本国務大臣 私は、自由民主党の中でいろいろなお話をされておること自体は存じておりますけれども、それが現在の時点においてどのような内容を持つか、またどのような手順で進められるのか等きちんと整理をされたとも、実は聞いておりません。ですから、これは私が申し上げるよりも、ここにおられる自由民主党の理事、委員の方々に伺わなければならぬことでありますけれども、まさか修正なさるなどということはおっしゃらぬであろうと信じております。
○川本委員 そうすると大臣は、いま宙づりになっておるこの健保改正案に対して自民党から修正案が出ることはないだろう、こういう判断で今日おられるわけですか。
○橋本国務大臣 先ほども実は森井委員にお答えしたところでありますが、この五十四年度予算編成をするに当たりまして、現在国会に提案され継続審議中の健康保険法改正案で予算編成をすることについて同意を得、またその内容をもって党の正式機関すべてをクリアして今日まいっております。ですから、私は党の正式な承認を得たと考えておりますので、いま申し上げたようなお答えをしておるわけであります。
○川本委員 私は、実は、この間から予算委員会におけるわが党の川俣質問に対する厚生大臣の答弁や大平総理の答弁、これを聞いておりまして、こんなことでいいのだろうかということを率直に感じたわけです。大臣もひとつ、実際に国民の立場に立って考えていただきたい。いまの健保改正案が宙づりになっておる原因についても、もう国民は知っておるわけです。この健保改正案がいわゆる国民の合意を得たものでない。もちろん日本医師会も反対している。被保険者も反対しておるわけです。薬代の二分の一、半額本人負担という財政対策だけを目的にした、そんなものが国民的合意を得られるはずがないことも大臣自身知っているから、この前橋本私案をつくったんです。それはどの方面のコンセンサスを得ようとしてつくったのかは別として、そういう形の法律案なんだ、いまかかっておるのは。そのことは国民すべてが知っておる。だから恐らく、これが政府案のままで国会を無修正成立するなんというようなことは、だれも思っていないわけです。ところが大臣も総理も含めて、どうぞ無修正で早期に可決成立してもらいたい、こんなことでは国民が国会というものを信頼しなくなる、政治不信が起こってくる、議会制の危機をいま大臣はつくり出そうとしておると私は思うわけなんです。(「大げさだ」と呼ぶ者あり)大げさじゃないですよ、これは。国会というところは、国民の前で見え見えのうそを大臣がついて、そうでございますかと言うて納得して向こうへ行くような国会であれば、国民はもう国会、議会制度というものについて不信を抱くのは当然だと私は思うわけです。だからひとつ、きょうは予算委員会じゃないんだから、大臣の本拠地の社労委員会なんだから、本当の話をしてもらわなければ困ると私は思う。もう一度本当の話を聞かしてください。
○橋本国務大臣 これは川本委員よく御承知のように、医療保険をめぐる情勢というのはかつてない厳しい状態になっておるわけであります。減速経済の中で、医療費は人口の急激な老齢化でありますとかあるいは医療の技術的な高度化、いろいろな原因によりまして増高を続けておるわけでありまして、五年後の五十八年、このままでいけば二十兆円を超えるかもしれないという状況さえ心配をされている状態であります。この非常に膨大な医療費というものを、給付と負担の両面にわたってその格差の是正を図りながら、いかにして国民が負担していただける形体にしていくかということ、これはわが国の医療保険制度の抱えている最大の課題であります。そしてそういう問題に対処するために、五十二年の十一月に十四項目にわたる医療保険制度改革の基本的な考え方というものを政府は国会にお示しをし、その方針のもとに制度の基本的改革を段階的に図っていくということを当時申し上げておりました。そしてその第一着手として、今回健康保険法の改正案を御提案をいたしておるわけであります。ですから、それをぜひ御審議を願いたいと私が申し上げる気持ちに偽りはありません。
○川本委員 先ほどお渡ししたいわゆる橋本私案の一番冒頭に「医の倫理」ということが書かれてある。「医の倫理というのは「生存の保障」であるべきである」ということ、私は全く同感だと思うのです。これは「医の倫理」だけじゃなしに、保険の真理というものも、国民の健康と命を守る、こういう立場から言えば、私は生存への保障以外の何物でもないと思うわけです。国民的な立場から見て、それが保障されないような健康保険の制度というようなものを果たして国民が望んでおるのかどうかということを、私は改めて、これは橋本大臣が言われた言葉を逆手にとる意味じゃありませんけれども、そういう立場で考えた場合に、いまの宙づりになっておる健保改正案というものは国民的なコンセンサスを得ているものではないと思う。前に私は、大臣が、大臣になられる前だったか大臣になられてからかちょっと記憶にないのですが、こういう保険の改正というようなものについては、政党間はもちろん、いわゆる関係者を含めた国民的合意が必要だということをおっしゃって、私はそのとき非常にいいこと言わはると思って尊敬の念を抱いたのですが、いまでもその気持ちに変わりはないですか。
○橋本国務大臣 いま申し上げましたように、本当に国民的合意がなければこれは動きません。これだけ膨大な医療費というものを、どう給付の公平を図り負担の公平を図っていくかということには、本当に国民的な合意がなければ事態の改善はできないと私はいまでも思います。
○川本委員 大臣のその高道な基本的な考え方は、私は大切なことだと思うのです。そこで武見・齋藤メモの問題になるわけですけれども、武見・齋藤メモというのは、先ほど森井委員もおっしゃいましたけれども、いわゆる自民党の齋藤幹事長と日本医師会の武見会長が、十二月の二十五日に五分か十分、厚生大臣もちょっと同席されたそうですけれども、そこで取り交わされた約束、それを国民に押しつけるという形では、国民的合意はなかなか成立しないと思うわけなんです。そのためには私は、もっと国会の中のいわゆる野党も含めた政党間の合意をまず取りつける、あるいはそういう上に立って国民的合意をつくり上げていく、こういう努力というものがなければいけないと思うのですが、その点についてどうでしょう。
○橋本国務大臣 先ほども申し上げましたように、私は、自分としての考え方はその席上でもはっきり申し上げておるわけであります。 ただ、現在私どもが御提案を申し上げ、御審議をお願いをしております健康保険法改正案におきましても、将来においては、政府管掌健康保険と組合管掌健康保険のみならず、共済まで含めての財政調整が必要であるという認識のもとにできておるものであることは、先生も御承知のとおりであります。そして、そこへ行く過程としては、それこそ累積赤字をどう処理していくかとか、いろいろな問題点がございますから、そういう条件づくりができるまでの間、組合管掌健康保険間における財政調整というものを打ち出しておるわけでありまして、その辺については私どもとしては問題点があるということは、十分承知をしておるつもりであります。
○川本委員 いま大臣おっしゃいましたけれども、年々ふくらんでいく医療費、昭和五十三年度は実に二三%の伸びで、年度末には大体十兆四千億ぐらいの国民総医療費になると言われておる。 一方、医療保険の一番基礎になると言われる受診率とかそういうものを調べてみますと、いわゆる医療費決定の三要素と言われています受診率、二番目には一件当たりの受診日数、三番目には一日当たりの医療費、これを見てみますと、一九七二年、昭和四十七年になりますが、この年には受診率は入院で〇・一八二ですか、一件当たりの受診日数は入院で十八・七日、入院の一日当たりの診療費が三千六百七十九円であったのが、昭和五十一年、一九七六年には入院が受診率では〇・一五八、一件当たりの受診日数では入院が十八・六日、一日当たりの診療費が八千三百九十円、外来では一九七二年に千二百五十七円であったのが、五十一年の一九七六年には二千四百十六円、一九七七年には二千六百四十一円というように、一方で、受信率あるいは一件当たりの受診日数もわずかずつだけれども漸減してきておるにもかかわらず、一方において、一日当たりの診療費が倍、倍、倍というような形で激増してきておる。ここにやはり一つの問題点があると思うわけであります。私は、この問題の原因がどこにあるのかということをやはり分析をしてみなければならぬと思うわけです。特に大臣は、政管健保あるいは組合健保の財政調整の問題を先ほど来言っておられますけれども、保険局長、現在、組合健保は組合数にして幾らで、被保険者数は幾らぐらいありますか。
○石野政府委員 組合の数で申し上げますと千六百六十六で、加入者の数から申しますと本人、家族合わせまして二千六百七十四万人、こういう数字になっております。
○川本委員 そして、財政状況は、政管健保については昨年度並びに当年度はどういう形で推移をしておるのか、組合健保についてはどうですか。
○此村政府委員 政管健保について申し上げますと、昭和五十二年度の決算によりますと歳入一兆九千九百四十四億円、歳出二兆九十七億円、単年度において百五十三億円の不足を生じております。四十九年度以下の累積は千三百九十四億円でございます。また、本年度におきましては、五十四年度予算編成時見込みにおいて歳入二兆三千四百六十五億円、歳出二兆三千七百十二億円、差し引き単年度におきましては二百四十七億円の不足額を生じ、四十九年度以降累積収支不足は千六百四十一億円の見込みでございます。
○石野政府委員 健保組合の五十二年度で申し上げますと、経営の収支の黒字組合数が千六百六十六のうちで千四百六十四、それから経常収支の黒字額が千四百二十六億、それから一方経常収支の赤字額が七十二億ございますので、差し引きまして千三百五十四億の黒字、こういうふうになると思います。
○川本委員 負担の公平とか先ほど来いろいろ言っておられますけれども、政管健保は現在保険料率は千分の八十、そして組合健保は大体千分の七七・三という数字に間違いないと思うわけです。 〔竹内(黎)委員長代理退席、向山委員長代理着席〕 それで一方一政管健保の方は一六一四%のいわゆる一般財源からの国家負担の繰り入れがありますね。組合健保については事務費の一部負担程度で、金額にしてわずかな三十億か四十億程度だと思うわけです。そういう状態の中で、組合健保が現在でも財政的によい、政管健保が悪い、この原因はどこにあると局長思いますか。
○石野政府委員 健保組合の財政収支が非常にいいということを政管健保との対比でおっしゃったわけでございますけれども、これは大きく二つの理由があると思います。一つは、健保組合というのは小集団が多うございますので、そういう小集団によります経営努力ということによります面が一つあります。それからもう一つは、これは体質的な差があると思うわけでございますが、たとえば加入者の年齢層の問題、それから平均標準報酬が政管よりも組合の方が全体として非常に高い、そういう意味でつまり体質的な差がございますので、どちらがどちらというわけにいきませんけれども、両面合わせてその差が出ている、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。
○川本委員 私は、局長のいま言われたのですべてじゃないと思うわけです。いまの局長の答弁は、一番重大な点を一つ外しておると私は思うわけです。それは先ほど森井委員も言われた、いわゆる健康管理の問題とかあるいは審査機能の問題に全然触れていないところに問題がある。 いまお手元へ渡しましたのは、いわゆる全国運送業総合健保組合の決算比較表です。こういう総合健保組合というのは全国でいま幾つあるわけですか。
○石野政府委員 二百七十一でございます。
○川本委員 そうですね。現在健保組合千六百六十六ある中で、こういう総合健保組合というのは全国で二百七十一組合、組合の率にして二八%余りあるわけです。そうして、被保険者数は組合健保が一千百五万四千人と先ほどおっしゃいました。それに対して総合保険組合は三百三十三万二千人おるわけです。内訳にして大体三三%くらいの比率になると思うわけです。これはここにも、見ていただいたらわかりますように、運送業の総合保険組合ですけれども、総合保険組合というのは東京だけでも七十九組合あるわけです。東京だけで約百七十万人の被保険者がおるわけです。家族を含めると三百四十万人。これは、トラックとかニットとか、金属プレスとかプラスチック製造とか、文具販売とかあるいは電気とかいうような、いわゆる政管健保より規模は小さい、被保険者数が三人、四人、五人というような零細な事業場が集まって、一つの総合保険組合をつくっておるわけです。 だから一つの保険組合、たとえて言えば、ここで一番最初にある東京トラック総合健保組合を例にとっても、二万七千百五十八人という被保険者数、これは政管健保よりずっと零細なんですよ。それでも国庫負担ももらわずに黒字でやってこれておる。年齢的にもあるいは給与の面でも、決していま局長の言われたような状態にない。それをおしなべて大企業の健保組合だけを指して言っておるのか、こういうことも含めて局長は答弁しておるのか知らぬけれども、なぜこういう零細な総合健保組合が黒字でいけるのか。その背景には、いわゆる健康管理と自主審査が徹底して行われておるというところに黒字の原因があるということを私は信じておるわけですけれども、局長どうですか。
○石野政府委員 私が先ほど答弁しましたのは、総合組合も含めて一応申し上げたわけでございますが、総合組合だけについて申し上げでみますと、これはその一つ一つではなくて全総合組合についての平均と、それから政管との比較をしてみたわけでございます。そういたしますと、平均年齢の面におきましても、政管は三十八・三歳、総合健保組合の方は三十五一七歳、約二歳半程度の差がございます。それから平均標準報酬月額を見ましても、政管健保では十三万三千七百二十八円、それに対しまして総合健保組合の方は十六万九十五円、こういうこともあるわけでございます。 したがいまして、いまの自主審査とかあるいはいろいろな意味での努力等について私は否定しているわけではございませんか、総合組合全体として政管と比較した場合にはそのような差がございますので、やはり体質の差というのは否定できない、こう申し上げたわけでございます。
○川本委員 私、もう一度念を押しますが、私の言うように健康管理とか自主審査が行われておる、審査機能を持っておる、そういうことが健保組合が黒字になる一つの原因であることは、あなたは認めますか。
○石野政府委員 それは再三申し上げておりますように、そういう面もございます、こう申し上げておるわけでございます。
○川本委員 そこで大臣にお聞きしたいのですが、先ほど大臣は、健保組合と政管健保との財政調整の問題を若干言われた。(橋本国務大臣「共済も申しました」と呼ぶ)しかし、先ほど大臣にお渡しした橋本私案の中では、いわゆる財政調整の問題について、共済組合を除外して議論をするのはおかしいということを言っておられるわけです。いまでもその考え方に変わりないですか。
○橋本国務大臣 いまでもその考え方でございます。
○川本委員 そうすると、この間から予算委員会でいろいろ論議されておる武見会長と齋藤幹事長とのいわゆるメモ、ここで自民党案として、齋藤幹事長から示された健保組合と政管健保だけの財政調整をやるというようなことに対しては、橋本大臣個人としては元来それでは意味がない、こう言っておられるわけですから、いまでもその考え方に変わりないわけですね。
○橋本国務大臣 先ほども御答弁申し上げたつもりでありますが、私どもは現在御提案を申し上げております健康保険法につきましても、将来において、政府管掌健康保険と組合管掌健康保険のみならず、共済まで含めた財政調整というものを想定し、そこに至るまでの過程において、累積赤字の解消の問題その他解決しておくべき問題がありますので、それまでの期間、組合管掌健康保険問内部における財政調整を進めるという考え方でまとめておりますということを申し上げております。
○川本委員 大臣は私と違って舌を何枚も持ち合わせと見えて、いろいろ表現を変えられるわけですけれども、大臣になられる前だから、橋本私案で基本的にこうあるべきだと言ったことが、今日大臣になられてからその意見が違うということについては、私はそれはあって悪いとは言わないけれども、それではちょっと国民的な信頼を裏切ることになるのではないかと思うのですが、その点どうでしょう。
○橋本国務大臣 いや、ですから私は、かつても組合管掌健康保険と政府管掌健康保険とだけではなくて、共済まで含めた財政調整をすべきだと申しております。いまもそう申し上げておるのです。いまもそう申し上げております。
○川本委員 そこで先ほど私が言ったように、そうすると、齋藤幹事長と武見会長との間に取り交わされたメモには、大臣の考え方としては、そういうものはこそくな手段であって、財政調整のあり方としては基本的におかしいと、いまでも思っておられるのかと私は聞いているわけです。
○橋本国務大臣 ですから、森井委員にもお答えをいたしましたが、その重要性はよく承知はいたしますけれども、第二項について私は責任は持てませんということをはっきり申し上げておる。繰り返し先ほどからも御説明をいたしております。 〔向山委員長代理退席、委員長着席〕
○川本委員 そうすると、もう一度話はもとへ戻るわけですが……一「段階的方法論だ」と呼ぶ者あり一段階的方法論だ、こうやじがありましたけれども、大臣はそういう段階的方法論として、現在のそういうあり方を肯定するような論文は前には書いておらぬ。だから、その点について大臣の、橋本論文というものを読んでない人は段階的方法論を論じられても、私はそれでは大臣の基本的に思っておられることともう根本的に違うのではないか、こう思うので、念を押して繰り返し繰り返しお聞きいたしておるわけです。 そこで大臣、この前十二月の一日に小沢前厚生大臣が、退任される前に、老人医療の問題について記者会見をして、厚生省としての方針を発表しておられるわけです。 その中身は、もういまさら私が申し上げるまでもなく御存じだと思いますが、そこでは、現行制度とは別に新制度として老人保健医療制度というものを起こしていく、医療給付は七十歳以上、予防給付は六十五歳以上を対象とする、次に財源の費用負担は国が四・五、県や市町村か各〇・五、事業主一・五、一般市民三の拠出割合で、一定所得以上の老人からは十割負担金を徴収する、この制度については厚生省は五十五年一月から実施したいと考えて、今国会に関係法案を提案したい、こういうことを小沢前大臣は言っておる。この間の橋本大臣のいわゆる施政方針のごあいさつの中でも、老人保険医療対策について触れて、「新たな制度の創設について検討を続けてまいりましたが、目下のところ成案を得るまでには至っておりません。」こう言っておる。小沢前大臣のときにできておる成案が、橋本大臣になってから成案を得ておりませんというのはどういうわけですか。
○橋本国務大臣 小沢大臣が御退任になります前にそういう方向を打ち出し、一つちょっと違っておりましたのは、予防給付が六十と言われましたが、小沢大臣のは六十五であります。そういう方向で事務当局に検討を指示されたことは私も承知をいたしておりますし、それは一つの考え方であり、その作業は続行してもらっております。 ただ、同時に、これは川本さんもごらんになって御承知だと思うのでありますが、ここ一両年の間に疫学関係者の中で、がん及び循環器系疾患による死亡を図にあらわして、都道府県の地図を使いながら、郡市単位あるいは市町村単位に図示をされたものがございます。それなんかを見ますと、たとえば地域において非常に早い時期から健康管理、予防給付を開始しておりますようなところ、たとえば脳卒中で非常に死亡率の高い東北地方の中で、ぽかっぽかっとその場所だけが非常に死亡率の落ちておるところか出ております。で、六十五歳からの予防給付というものでいいものなのかどうか、これは個人的に多少見解を異にする部分がございます。それで、そういう面も含めてそういう考え方を検討してもらいたいということを事務当局には指示をいたしました。幾つかの考え方をいま議論してもらっておるわけでございます。 ただ、小沢大臣がお約束をされた時期までに提案ができなかったということについてはおわびを申し上げる以外にありませんが、こういう新しい考え方をもって制度をつくってまいりますについて、やはり関係者の意見というものは私どもは十分に聞いていかなければなりません。各党からすでにいろいろな御意見をちょうだいし、また関係者からもいろいろな御意見を出されておることを私はよく承知いたしておりますが、関係者とぽっと考えてみましても非常に広範なものがございます。それだけに、本格的な高齢化社会か参りますについてやはり慎重な検討をしておく必要がある、また十分調整を図っておく必要があるということで今日努力をしておりますために、当初より作業の日程がおくれておる、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
○川本委員 大臣がいま言われたことは、一つは、いわゆる武見・齋藤メモの中の第一の問題の、プライマリーケアの問題との関連もあると思うわけです。三十五歳以上から予防給付をしていこうという発想ですね。それからもう一つは、東北地方での問題は岩手県の沢内村等を指しておられると私は思うか、私はこの前沢内村まで行って、自分で村長さんや病院長にも会って、老人医療の沢内村のあり方についてもつぶさに調査をしてまいりました。私なりに一定の評価をしておるつもりであります。 そういう状態の中で、来年一月一日から実施したいとおっしゃった小沢前大臣の老人保健医療制度については、いまの橋本大臣のお話ですととうてい間に合わない、今国会に法案を提出し得ないのかもわからない、こういうふうに私は理解をするわけですけれども、どうですか。
○橋本国務大臣 私どもが当面、その関係団体として意見を聞かなければならないと思っておりますもの、たとえばちょっと申し上げてみますと、それこそ医師会あるいは歯科医師会、また看護婦さんたちの看護協会、さらに全国社会福祉協議会でありますとか全老連、全国老人クラブ連合会、また事業主の負担問題等が伴いますので日経連、さらに健保連あるいは各種の共済組合、そして地方六団体及び国保中央会、こうした関係者かずっとあるわけであります。また、当然労働者の代表としての方々の御意見も伺う必要が出るでありましょうし、関係各省庁との調整等も必要でございまして、いま一生懸命に努力をいたしておりますが、まだ公式に案を提示して意見を聞くところまでまいっておらないというのが実情でありまして、できるだけ早い機会に御提案ができるように今後も努力をいたしてまいりたい、そのように思います。
○川本委員 社会局では担当でこの問題と取り組んでおられると思うのですが、これは私は健保との関係が非常に大きいと思うわけです。老人医療をどうするのか、別建てにするのかどうするのか、全額公費負担にするのかどうするのか。小沢前大臣か言われたような問題を考えるときに、いまの健保改正案との絡みの中でこの問題は処理されなければいかぬ、切り離して検討すべきものではないと思うのですが、その点、局長はいまどういう考え方でおるわけですか。
○石野政府委員 これは大臣から再三申し上げておりますように、五十二年の秋に、医療保険制度全般についてどういう改革をしていくべきかという形で、十四項目の検討事項をお示しいたしました。そのスケジュールに従いますれば、当然健康保険制度そのものについての改正の問題、それから老人医療の問題、国保の問題、いろいろあるわけでございますが、それらすべて関連がもちろんございますけれども、それを全部関連づけて一挙にやるというのは、実際はなかなかむずかしい問題でございます。そういう意味で、健保改正については一応御提案申し上げておりますので、それとさらに並行して、老人医療保健制度をどうするかということで検討しておる、こういう段取りになっているわけでございます。
○川本委員 先ほど来いろいろ申し上げてまいりましたが、時間がないようですし、予算委員会に大臣も行かれなければいかぬそうですので、まだまだ半分も議論が行っていないわけですけれども、そこで一つここでお聞きしたいと思うことは、老人医療保健制度についていま検討を加えておる中身は、小沢前大臣が新聞記者発表した以外に、いま橋本大臣がいろいろ関係者間の意見の調整というか、合意を得るための努力ということはありますけれども、基本的には小沢前大臣が発表したものと変わりはないわけですか。
○橋本国務大臣 いまその調整をしておるさなかでありますから、最終的に御提示をできる案というものが必ずしもそれと同じものになるかどうかということは、いまの時点では何とも申し上げられません。ただ、小沢前大臣から引き継ぎを受けました時点においても、自分のときにおいては予防給付については六十五というところまでいくのが精いっぱいだったか、それはもっと下げられれば下げた方が望ましいと思うのだというようなお話も私は伺っておりましたので、そういうことも加味して、これからの取りまとめをしてまいりたいと考えておるわけであります。
○川本委員 先ほどの健保組合と政管健保との問題に関連して、もう少しお聞きしておきたいのは、一月二十五日にいわゆる診療報酬の監査、指導の強化についての通達を出された。先ほど森井委員も質問をしておられましたが、これは昨年いわゆる健保連がその問題提起をなさったわけですけれども、たしか大阪で、全国の医師のいわゆる所得番付第二位にある川合内科病院、ここの検査づけの問題についての提起がなされた後で、厚生省はこういう通達を私は出されたと思うわけです。私の親戚にも医師会で審査委員をしておるのがおるわけです。友達もおります。そういう人たちの話を聞きますと、政管健保は全然審査の機能がないというわけです。組合健保の場合は、たとえて言いますと、十二月分と一月分と二月分のレセプトを縦に並べて、そしてその一連のレセプトを見て、レントゲンの断層撮影を十二月にやってあるのにまた一月にも出てくるというような形であれば、これはおかしいということでチェックをしていく。政管健保の場合は、一年間に出てくるレセプトの枚数は局長、何枚ぐらいですか。
○石野政府委員 手元に確かな数字がございませんけれども、約四億六千万程度ではなかったかと思いますけれども……。
○川本委員 四億六千万ぐらいのレセプトの中で、審査できるのは二億以下じゃないかと思う。審査機能がないわけですね、政管健保には。それで、これは、いろいろ審査した結果の不正といいますかあるいは間違いといいますか、そういうもので診療報酬の点検調査結果というものが報告されておりますけれども、これを見ても、いわゆる記号が不突合のものだとか、業務上のが政管健保で請求が来ておったとか、第三者行為のが来ておったとか、他保険者の分だとか、重複請求だとか、そういうことがあっても、いわゆる請求点数の誤りとまでは行っても、そこから療養の内容にまで深く立ち入って審査はなされていないということ、私はやはりこれを指摘しておきたいと思うわけです。 そういう審査機能を持たない政管健保と、そしていわゆる自主的に審査する機能を持っておる組合健保との財政が違ってくるのは当然であって、そういう組合健保の努力というものを無視して、組合健保と政管健保の財政調整をしようというのは、全くこれは保険制度の根幹にも触れる問題で、全く健保制度というものをつぶしてしまうというような問題に触れると私は思います。その点については先ほど局長も、絶対反対ですという答弁を森井委員に対してされておりましたので、私はこれ以上深く申しませんが、重ねて大臣に最後に一つだけお聞きしておきたいと思うわけです。 大臣、今度のこの宙づりになっておる健保改正案、本気でこの国会で無修正成立されると思っていますか、どうですか。
○橋本国務大臣 国会の御審議の結果がどうなるか、それを私が予測をすることは大変不謹慎でありますから、その結果まで申し上げはいたしませんけれども、少なくとも御審議を願い結論をお出しをいただき、無修正でお通しをいただきたいという気持ちを強く持っておることは事実であります。
○石野政府委員 先ほど私四億枚と申しましたけれども、政管につきましては二億枚でございますので、訂正させていただきます。
○川本委員 一億九千万枚余りですね。その中で審査できるのはごくわずかですね。その点、私もちょっと資料を見ておったのですけれども、訂正します。 そこで大臣、ちょっと時間がありますのでもう一言だけお聞きしたい。 大臣、国会の中の議論まで私が申し上げることはできないとおっしゃいますけれども、そうすると、国会のこの社労委員会の中で、医療制度全般についての政党間の話し合いをするために小委員会等も設置をされておりますけれども、各党の間でいろいろ話し合いをして、この健保法案というものが修正されたときには、予算は違ってきますね。その場合はどうします。
○橋本国務大臣 小委員会は、私が社労委員長のときにお願いをして設置をしたのでありますから、小委員会があることもよく存じております。ですから、それは当然、国会の御審議の過程においていろいろな御議論が尽くされるのは当然でありますし、その間において与野党の間でいろいろな話し合いもなされるでありましょう。ですが、私は、その修正をされずに通過することを心からこいねがっておるということでございます。
○川本委員 終わります。
○森下委員長 午後三時十分再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時五十六分休憩 ————◇————— 午後三時十五分開議
○森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣橋本龍太郎君。 ————————————— 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○橋本国務大臣 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、年金の支給を初め各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回、年金等の支給額を引き上げるほか、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金の支給対象範囲を拡大するなど一層の改善を図ることとし、関係の法律を改正しようとするものであります。 以下この法律案の内容の概略について御説明申し上げます。 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。 改正の第一点は、障害年金、遺族年金等の額を恩給法に準じて引き上げるとともに、遺族年金等と恩給との不均衡を是正するものであります。 改正の第二点は、遺族年金等の支給対象範囲を、いわゆる再婚解消妻に関して拡大するものであります。 第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正であります。これは、未帰還者の留守家族に支給される留守家族手当の月額を遺族年金に準じて引き上げるものであります。 第三は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正であります。戦没者等の遺族であって、昭和五十年四月から昭和五十四年三月までの間に、公務扶助料、遺族年金等の支給を受けている者が亡くなったもの等に対し、弔慰の意を表するため、特別弔慰金として額面十二万円の国債を支給するものであります。 第四は、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正であります。昭和四十八年四月二日以後に戦傷病者等の妻となった者に対し、その特別な労苦に報いるため、特別給付金として額面五万円の国債を支給するものであります。 第五は、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、昭和五十三年の遺族援護法の改正により、遺族給与金を受ける権利を有するに至った戦没者の妻及び父母等に、特別給付金を支給するものであります。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
○森下委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○森下委員長 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。平石磨作太郎君。
○平石委員 今回継続審議になっております健康保険法の一部改正案、これについてまず大臣にお答えをお願いしたいと思うわけです。 けさの森井先生の質疑の中で、いろいろと党と厚生大臣との関係あるいは今回の継続審議になっておる法の取り扱い等についての質疑が交わされたわけです。その大臣の答弁を聞いておりますと、大臣は、党は承認をしたものと思う、このように答弁をなされました。それはどうも大臣の主観である。したがって、この法案が提出をされた昨年の五月、いわゆるかけ込み提案がなされたわけですが、それから以降全く審議がなされていない。その経過等を踏まえるときに、むしろ与党の中においても、これは審議をしてもだめだ、そういう一つの機運があったことは事実です。そういう中で次から次へと転がしてきたわけですが、今回審議に入ろうかと、こういうところで、先ほど答弁の中にもありました医師会長と齋藤幹事長との間の合意の問題、こういったことが法案として提案されておる一方でなされ、党の方でいろいろと雑音が出てくるわけです。そのことを考えてみますと、いま武見メモが大変問題になりましたが、その中のプライマリーケアだとかあるいは給付あるいは負担の公平等については、やはり前厚生大臣の小沢さんが担当として対処していこう、処理していこう、こういうようなことも出ております。そういうことから考えたときに、大臣は、この法案は何としても御協力をいただいて審議してほしい、こういうことですが、いわば政府・与党は二刀流を使っておる、こういうように感ぜざるを得ません。したがって私は、政党政治ということの観点から考えたときは、やはり与党の幹事長である齋藤幹事長の考え方、このことが優先をされ、しかも党の方針であるというように理解をするわけです。そういたしますと、大臣がそういった与党の動きの中でこの法案を審議していこう、このような姿勢におるということは、まさにこれは孤立をしておられる、このような感じすら私は持つわけです。そして、大臣は先ほどの話の中で、齋藤幹事長に確認をしましたが、この法案とは絡ませないのだ、このような話の確認もございました。 ところで、現実問題として、厚生省が出しておりますこの十四項目の中には、給付とそして負担の公平ということを抜きにしての抜本改正はあり得ないというようなことで、厚生省自体がそのことに触れておられるし、また最前の局長の答弁からしましても、あるいは財政調整の問題等についてはぐあいが悪い、こういうような答弁も出てきました。そうしてみますと、私はこの法案の審議を重ねていくということについては非常な問題点があるというように認識をするのですが、大臣の所見をお伺いしたい。
○橋本国務大臣 平石先生のせっかくのお尋ねでありますけれども、私はそのように考えておりません。と申しますのは、確かに、昨年の通常国会の会期末に提案をいたしますときには、党内で十分な論議をする時間がありませんでしたために、提出手続を進めることについての党の了承を与え、内容については今後なお論議をして、その結果によっては変動することあるべしということであった。それは事実そのとおりでありました。しかし、五十四年度の予算編成をいたすに際して、私は党に対し、現在継続審議中の健康保険法改正案というものを踏まえて予算編成をしたい、よろしいなということを申し上げ、その同意を得て予算編成をしてきたわけであります。その過程におきまして、この健康保険法改正案そのものが党の部会での御承認もいただきましたし、また予算全体につきましても党内の正式機関の全部の御了承をいただいてつくられてまいりました、そういう事実もございますので、私としては、この予算編成の時点において党の御了承をいただいたと考えております。 そしてそれと同時に、また武見日本医師会長と齋藤幹事長との二項目の合意メモというものは私もよく存じておりますし、これは党レベルの問題でありますけれども、私どもとして非常にこれは大事な内容を含んでいるものであることは間違いありません。ですから、党の方の御意見が固まりました段階において十分これは御相談をいたしたいと考えておりますが、第一点のプライマリーケアの充実という部分につきましては、これは私ども厚生省としても当然考えていくべきことでありますから、それについて十分対応していくつもりでおります。また第二点の、組合管掌健康保険と政府管掌健康保険の間の給付・負担の公平、すなわち社会的な公正を確保するという問題につきましては、現在私どもが御提案をいたしております健康保険法改正案につきましても、これは健康保険組合と政府管掌健康保険のみならず、共済まで含めての財政調整というものを頭に描きながら、そこに参ります過程における累積赤字の問題その他格差是正等のことを仕上げるまでの間、当面組合管掌健康保険間における財政調整を行うという考え方をとっているわけでありまして、その方向と基本的に大きく食い違うものではないと考えております。 また、いまお話しの中で財政調整云々というお話がありましたけれども、私どもはそういう意味では、将来共済まで含めての財政調整というものを頭に置いておるわけでありまして、局長も財政調整ができないとは申し上げておらなかったと、横で聞いておりまして私は記憶をいたしておりますが、そこまで行く過程というものがあるわけでありますから、組合管掌健康保険内部における財政調整をまず行う。これは、五十二年十一月に政府として国会にお示しをいたしましたいわゆる十四項目の基本的な改正方向というものの第一着手として、今回御審議をお願いしたいと申し上げておるわけでありまして、どうか慎重な御審議をいただきますと同時に、できるだけ早い御可決を心から願っておる次第でございます。
○平石委員 いま大臣の御答弁の中でもありましたように、党がこういう態度をとっておることには非常な関心を持っておるのだ、そして決定になればまた御相談も申し上げたい、こういう御答弁がけさもありましたし、いまもございました。そういうことから判断をいたしましても、やはりこの法案審議の一方で、党というものがそういう動き方があって、これを関心を持って見守っておるという現在の大臣の態度であるということが確認をされたわけです。 それから、先ほど答弁の中でありました財政調整、これは私ちょっと認識が違うておりました。単なる徴収機関だけであって云々ということについて局長は否定的な答弁がありましたので、そこをちょっと間違いましたので、これは訂正さしていただきます。 そうしまして、やはりいま言うたような形で関心を持っておられる。しかも、この継続審議に私の党は賛成をしたわけです。その賛成をしたときに、私たちがいろいろとその折衝の中で言われたことは、修正には応ずるのだ、内容については、いま大臣の答弁にもありましたように、党内審議すらしてない、そういういわばまことに異例的な提案がなされた。内容についてはそれぞれの党にいろいろと御意見もありましょう、そして私どももそれに固執するものではございませんという厚生当局のお話も聞いた。だから、これをとにかくまあまあ生かすことだけ生かしておいてほしい、次の年度の予算の関係もあるからというようなことが、大蔵当局との関係等いろいろありました。だから私どもは、それは生かすのならというような形もありまして、これは賛成をした。だが、内容については私ども異議がございますぞ、内容に賛成ではありませんぞ、こういう形でこの継続審議には私どもは賛成をしてきたわけですが、そういうことを考えてみましても、いままでの政府当局とさらに与党の中においても、内容についてはこの改正案について余り積極的な姿勢が見られなかった、こういうことが私は言えると思う。そういう中でこのことを進めていくということについては、私どもとしましても非常に困難な問題。だから、内容については十分な審議はやりますけれども、修正というような形が出てきたとき、大臣はどうしますか、そのことをひとつ。
○橋本国務大臣 私どもは国会の御意思を云々することはできませんから、それは与野党の間においてその審議の経過を踏まえて御意見がまとまりましたならば、それに対して十分考慮を払うといいますか、十分対応していくことは私は当然のことだと思います。ただ、私自身としては、どうか一日も早い御審議とともに、原案を速やかに御可決あらんことを心から願っている次第であります。
○平石委員 そういうことで大臣の考え方もわかりましたが、これが修正になるとかあるいは仮に修正になった場合、予算に関係が出てきたとき、大臣は予算は修正しないんだというような方針があるとか聞くのですが、どうですか。
○橋本国務大臣 ですから、私どもはいま原案で相願わくはお通しを願いたいとお願いをしているわけでありまして、それは最終的に与野党の御意見が一致した時点においては、私どもとしてのまた判断はおのずからしなければならぬときがあるかもしれない、そのように思います。
○平石委員 私はむしろそういうことを、予算との関連が出てまいりますので、予算修正は行わないんだと言ってがんばっておられるから、大臣はこれは撤回したらいい、そして撤回をするなりあるいはみずから修正をして出すなりそういうことの処置をすべきではないか、このように思うのですが、どうですか。
○橋本国務大臣 先ほどもそういう御提案がございましたけれども、私としては現在これを撤回するつもりはございません。と申しますのは、いまの医療費の増高状況というもの、よく御承知の内容でありまして、今後ふえていく医療費に対してその負担をどう国民的に公平な立場で行っていっていただくのか、そういう点についての合意を得ることは非常に大変な問題であります。そうなりますと、私どもとしては五十二年の十一月にお示しをした十四項目の基本的な方向に従って、その第一着手としてこれを提案しているわけでありますから、ぜひ御審議をいただきたい、そういう考え方からまいりましても、撤回をいたすつもりはございません。
○平石委員 そういう意思でいけばやはり大臣は孤立していく、いわゆる健康保険の組合からも総スカンを食わせられる、医師会からも反対を受ける、そういう中で実際これができますか。やはり国民の全般の反対という形の中でこれを進めていくということについては、大臣は孤立してしまう。むしろ撤回してやり直すということを私は要望して、この質問は終わります。 次に、保育の問題についてお聞きしてまいりたいと思います。 保育園については大変な、いまの状況を見てみますと未処置児童も出てくるという中で、法が施行せられたのは昭和二十三年、この当時の記録を見てみますと、これは厚生白書の記録ですが、全国で千四百七十六カ所、そして十三万五千人。現在五十三年度においては二万四百七十カ所、そして処置児童が百九十七万人、ざっと二百万、全国の各市町村で平均七−十カ所というくらいに普及してきたわけです。これまでの厚生省の努力というものに私も大変敬意を表するわけでございますが、この間に非常に社会情勢も変わってきた。したがって、経済成長に伴う婦人の社会進出あるいは既婚妻の共かせぎという形の中での社会進出ということも非常に大きくなってきたというような、社会情勢そのものが変わってきたということがございます。この婦人の労働というものが現在ざっと二千万、そういう中で、いわゆる非農林と言われる婦人労働者も六百八十八万という数字を示して、まさに五五%以上の婦人の就労が占められておる。こういう中で子供の保育をどうするかという問題が出てきたのですが、また意識の上におきましても、当初の「保育に欠ける」という形だけでなしに、教育的観点が生まれてきた。そしてほとんどのお母さん方は、四歳、五歳といったような高年児にまいりますと就学前教育、幼児教育という観点から入園を考え始めたということが出てきました。そうなりますと、いまの児童福祉法というものの制定当時から言いますと、社会背景が変わってきた。だから、それに対応する一つの考え方というものをも厚生省は持っていかなければいかぬのじゃないかというように考えるが、いかがですか。大臣のお答えをお願いします。
○橋本国務大臣 この点は、平石先生の御質問の方向と私は完全に一致であります。そして、むしろいまの保育園における教育機能の充実というものは一時期に比べて非常に高くなりましたし、義務教育就学時点における幼稚園卒園児と保育所卒園児の能力差というものはほとんどないというふうに私どもは認識をいたしております。なお、今後において保育行政というものは充実をしなければならぬわけでありますし、そういう方向で努力をしてまいりたいと考えております。
○平石委員 いまそういう方向でとおっしゃいましたが、そこで、これは行管の勧告も五十年の十一月になされているわけですが、就学前教育という観点から、文部省の所管しておられる幼児教育、この面についての要請も非常に出てまいった。こうなってきますと、やはり人間的な立場に立っての就学前幼児に対する処遇というものが、いろいろな面でちぐはぐになったりあるいは矛盾が出たりとか、こういうようなことがあらわれてきておるからこそ、行管の勧告もあったと思います。現在それに基づいて進んでおられる幼保懇の審議状況、進捗状況、そしてこれにどのようにめどをつけるか、その一応の時期等をもあわせお答えいただければ幸せです。
○竹内政府委員 いわゆる幼保懇でございますが、昭和五十年の十一月に行管の方からの勧告がございまして、五十二年の十月から、この懇談会を厚生省と文部省が共同で開催をしてまいったわけであります。おおむねこれまで七回開催をいたしております。大体二カ月に一回ぐらいの割合で開かれております。 これまでのところは、大体幼稚園と保育所についてのお互いのフリートーキングと、それから地方自治体で、幼稚園サイドあるいは保育所サイドそれぞれに、行政のウエートがあるところのティピカルなところを選びまして、それぞれの意見聴取をする、そして現在のところ、一応幼稚園と保育所の教育そして保育というものの連携についてのフリートーキングを重ねておるところでございます。そういうのが現在までの経緯でございまして、まだ私ども座長それ自体から御内容を正確に伺っておるわけではございませんけれども、もうしばらく、いまのフリートーキングなり必要に応じて自治体からの意見聴取などをしながら、問題点を煮詰めていきたいというふうに伺っております。 ただ一般論としまして、私ども、幼稚園と保育所というものの機能なり目的なりが基本的に違うこと、仮に幼保一元化というものができたときにどのような相互の行政上の、逆に言うと穴が出てくるか、そういった問題についても、この懇談会では相互に問題をはっきり提起しながら認識をして、果たして幼稚園というものあるいは保育所というものがどのようなあり方でいけるのか、相互の調整機能というものを果たすにしても、その調整というのはそれぞれの設立目的に対して一体本質的な問題なのか、こういうことについての議論がいま進められておるところでございまして、いまのところ、これからのめどなりあるいはどういう方向でまとまりそうかということについては、必ずしも私ども行政側としては推測をいたしかねるところでございます。しかし、いずれも設置目的ということについて確たる認識を、それぞれ懇談会の構成メンバーが理解をしてきているということについては申し上げられるのじゃないかと思います。
○平石委員 確たる見通しもまだ立たないということですが、これは私は考えてみますと、両方のそれぞれの立場というものが、学校教育法と児童福祉法との立場がありますので、現実問題としてなかなかむずかしいんじゃないか。だから、結局この幼保懇という懇談会は、学術的な一つの思想といいますかそういったようなものをどうするかという段階以上に、制度的な面で結論を出し得るというようなことが、これは期待はされておるんでしょうが、現実に出てくるかどうかという問題になりますと、非常に頭を傾けざるを得ない。 そういう中で、文部省の幼児教育の面では、これは後からも出てまいりますけれども、予算的に急激に伸びている。これは伸びることを私はここで云々するつもりはございません。結構なことですが、やはり十カ年計画、五カ年計画という中で、五十七年度を目途として少なくとも七〇%ぐらいは就園させようという目標のもとに、毎年の予算の推移を見てみますと、急激な伸びを示しているわけです。厚生省は、五十年にあの計画というものが切れて、そしてそのままになって、単年度、単年度の計画推進といったようないまの経過をたどっておるようですが、私は、この両方の進め方を見たときに、どうも厚生省は児童の保育ということについてちょっと弱いんじゃないか。予算の伸びそのものを考えた場合でもそういうことがうかがわれる。それから行政姿勢の問題についても、いま言うたような、計画年次というものは打ち切りになってそのままにしてあるというようなことを見たときに、行政姿勢の面からも心配な点があるというような感じを持つのですが、この点、どうでしょうか。
○竹内政府委員 お答えいたします。 先生から、そういう半ば御批判をいただいたことについて大変残念に思っております。私どもといたしましては、昭和五十年に終わりました第一次の社会福祉施設の整備計画の中で、それぞれの施設ごとに見ますとなかなか施設の整備計画どおりには進まなかったわけでございますけれども、保育所に関してはその計画目標を三〇%オーバーして、五十年の社会福祉施設の整備計画を終わったところでございます。以後、ほぼ毎年約九百ないし一千カ所近くの整備を続けてきております。 現段階で大ざっぱに見まして、要保育児童につきまして約二十五万人程度の欠がまだあるということ、欠員があると申しますかまだ不足であるという立場で、保育所の整備に力を入れてきておるところでございます。明年度におきましても、少なくとも五十三年度並みのものは確保いたしたいし、同時に質的にもこれを、たとえば補助単価の問題ないしは基準面積の問題等につきましても拡充をしてまいっておりますし、また措置費の面におきましても、実質的には十分現実の要請にこたえられるように、最大限の努力を払ってまいっておるところでございます。 ただ、一言申し上げさしていただきますれば、私どもとしては、量の問題については実はそれほど心配はいたしておりません。それはある程度対応していけるのではなかろうか。ただ、地域的な特性というものを考えてみますと、これに個別に対応するということになりますとなかなかむずかしい問題がございます。そういう意味では、保育ということの質の問題についてぜひこれから重点を置いて保育行政というものに対応してまいりたい、かように考えております。 繰り返しますけれども、少なくとも、保育所の整備なりあるいは保育の内容というものにつきまして、私どもとしては、幼稚園それ自体と単純な比較ということをするつもりはございませんけれども、行政に対する熱心さについては、大臣以下、文部大臣以下の幼稚園に対するもの以上のものが十分あるというふうに確信をいたしております。
○平石委員 そこで、先ほど意識も変わってきた、そういう面からの将来展望について、いま言ったように努力はしておられると思うのですけれども、ちょっと予算面で弱い面があるような気もします。 それから新設保育園等につきましても、五十一、五十二年度を見ましても半分ぐらいになっておるというような面もちょっと見たことがあるのです。いま資料が見当たりませんが、そのようにいわば弱気な姿勢というものがちょっと見えるわけです。 そこで、私は昨年の臨時国会のときに局長にお伺いしたのですが、これから内容充実に回るのか、それとも急増対策というものを云々という質問も申し上げて、やはり内容充実という面の時期が来たんじゃないかというような感じが私はするわけです。そういう意味で、これはまた文部省を例にとりますけれども、いままでの保育内容については、文部省には教育要領が出ておりますし、それから厚生省には保育指針というものが出て、これを基本にしてやっておるわけですが、文部省の方は、やはり各県の教育委員会なりあるいは市町村の教育委員会にも指導主事というのを置いて、そして教育内容を高める体制をとっておるわけです。だから、一方が約二百万、そして文部省の幼児教育においてもその程度の幼児を就園させておるわけですが、これらから対比したときに、社会の教育的な観点が保育に非常に高まってきたという時代を迎えて、私はそれに対応するだけの内容充実についての整備を図る必要がある。そのためには、やはり保育の主事といったようなものをそれぞれのところに配置をして、内容を高めることを考える時期が来たんじゃないかというように私は思われるわけですが、これについて所見をお伺いしたい。大臣、ひとつよろしく。
○橋本国務大臣 いままさに非常に大事な問題点の御指摘をいただいたわけであります。私は、幼稚園における教育体系と保育所における児童に対する教育体系とには、おのずから差があってしかるべきだと思います。というのは、午前中の一定の限られた時間内においてカリキュラム編成をしながら、ある意味では学校教育の前段階といったような形態をとる幼稚園教育のあり方、一方では保育に欠ける子供さんたち、親御さんの愛情にかわるべき使命を持ちながら、その子供の日常生活の遊びの中で教育的機能を付与していこうとする保育所のあり方、幼児教育の本来の姿とすればどちらがいいものか、非常に議論のあるところでありますが、実は子供にとりましては、その一日の時間の中で、遊びながら教育がされていく形態の方がむしろふさわしいのではないかという感じも私は持っております。 いま御指摘になりましたように、主事というような制度をつくることも一つの方法であろうと確かに思います。私はむしろ、そういう観点からまいりますと、保母さん方の教育的な機能をもっと充足していく、そういうことの方が中心ではないかと考えておりまして、現在までも厚生省は保母の研修指導というものに力を入れてまいったわけでありますが、今後においてもそうした観点からの努力をしてまいりたい、そのように考えておる次第であります。
○平石委員 いま大臣がおっしゃったように、やはり中児審の答申に言われておるように、遊びの中から学んでいくということ、私は賛成です。そういう大臣のお言葉を進めていくためには保母さんの再教育、これは保母の資格の問題、養成の問題、いろいろ出てまいります。いろいろ出てまいりますが、現実にもう二百万も処置しておるというような状況では、そのことも進めながら教育主事を置いて、一つのあの指針だけでなしに、あの指針をどのように現場に深めていくか、こういうことについての対応を私は強く要望したいと思うわけです。 そこで、この問題についてはまだいろいろ申し上げたいこともございますけれども、時間もございませんので次へ進ませていただきますが、保育園でよく人から聞くことは、保育料が非常に高くなった、このことをもうどこでも聞かれるのです。したがって、厚生省が示しておるところの徴収基準につきましても現地の市町村ではそのままストレートに行っておるというわけにいかないというようなところか間々あるわけです。そのように、保育料の引き下げということは無理かもわかりませんが、保育料の負担が非常に高まってきたということで問題が出てくるわけですが、そのことについてこれからお聞きをしてみたいと思うわけです。 厚生省は、保育料を決定していくについてはやはり公平ということを判断せられて、余り父兄にも負担をかけないようにというような考え方は持ってやっておられると思うのですが、現実には非常に上がってくる。しかも、この上がり方についてもいろいろとアンバランスがあるんじゃないかというような声を聞くわけです。この徴収基準を決めるのはどのようなシステムでどのようにして決めておられるのか、局長にお伺いしたい。
○竹内政府委員 徴収基準の決め方の具体的な作業過程ということになりますと大変複雑で長くなりますけれども、基本的には、ただいま先生からおっしゃられましたような趣旨を踏まえながらいっておるわけです。 まず俗にA階層、B階層と言われる階層につきましては、全額公費負担というたてまえをとっております。いわゆる市町村税の所得割を納める世帯につきましては、原則として一般生活費と申しますか、保育所における給食あるいはおやつ代あるいは若干の保育材料費、そういったような一般生活費の分については一応御負担をいただいて、それ以外のものについては全部公費負担、それからD階層、いわゆる所得税を納める階層につきましては、その所得の高低といいますか、それに応じまして、いわばC階層における負担をベースにいたしまして、大体所得に対応する相対的な割合を総人員の中から割り出しながら、負担の公平ということを前提に置きながら配分をして、計算をするという形をとっております。 私どもといたしましては、いま先生御指摘いただきましたように引き下げるということもなかなかむずかしゅうございますので、いわゆる二人目の子供が入ったときには二人目の子供についての保育料を半減するというような施策を、その階層をより広げていくというようなことで、ある程度の負担軽減策についての対応を一方ではとると同時に、平均的にやはり保育所の措置費それ自体も改善されてまいりますので、その改善された割合に応じての相対的な保育料の増額は御負担をいただきたい、そういう形で処理をしておるわけであります。
○平石委員 保育料については私ここにちょっと資料を持っておるわけですが、これは厚生省の社会福祉統計なんですが、昭和五十年、五十一年、五十二年と、このように統計を見てみますと、父兄負担というものがだんだん上がってきておる。そして、その一方で公費負担というものがだんだん落ちてきているということが見えます。物価の上昇その他によって当然経費増もありますから、子供さんの保育を措置するについては費用が出てまいります。それを負担するのについて公費負担の面がだんだん少なくなってくる。だから、五十年と五十一年を見ましても、父兄負担が五十年度は三九・五一%、それから五十一年度はなかなか軽減されまして三六・九二%、こうなっておりますが、五十二年度を見ますと再び三九・四五%、それから五十三年はこれは九月ですけれども、九月を見てみましたら四一・三一%というように比率が上がっておるわけですね。だから、保育の予算は伸びておっても、結局父兄負担の方が増大をしてきておるという傾向があるわけです。もちろんそれはいろいろの関係はありましょうけれども、そういう中において、措置基準額の決定の仕方においては何%上げたかというようなことについて、一応平均的には六%とか九%とか見られると思うのですが、比較的D階層の多い、いわゆる構成比の中から見てみましても、Dの3から5くらいのところ、ほとんどの人が保育へ入れておるというような世帯に多くかかるような形で、この措置基準の決め方を見てみますと、ここへ一番重点的に、大体一二・三%あるいは二四、五%の引き上げを図っておるということを見てみましたら、やはり取りやすいところ、そして非常に多いところへよけいかかって、一方、所得の高いあるいは低い、こういったところはわりかた、それほどの数字を示してないという面が見えます。これは事務的になりますので余り詳しく申し上げてもどうかと思いますが、そういうアンバランスがあるのですが、これについてはどうでしょうかね。
○竹内政府委員 お答え申し上げます。 答弁が長くなっては恐縮でございますので要点を簡単に申し上げますと、まず第一点の、全体のウエートが三九%ないしは三六%程度であったものが四〇%を超えたという御指摘につきましては、D階層の中で、特にDの7と申しますか、年収でいきますと大体五百万ないし六百万程度から上の階層のウエートが実は高くなっておるわけであります。つまり五十年で申しますと、Dの6以上に引きますと一〇・四というパーセンテージでございましたのが、五十二年ではこれがすでに一三%を超えておる。つまり所得の高い階層の子供さんが保育所に入所するウエートがだんだん高くなってきている。そういたしますと、やはり所得の高い階層にはどうしてもより多く、場合によっては全額徴収というケースも出てまいりますので、そうなりますと、どうしても全体として見たときに、ウエートとしては、総量としては確かに高くなっておる。しかし、現に先生御指摘いただきましたように、いわゆる低所得階層の負担については、最大限私どもとしてはその負担の増を図らないように努力をしてまいっております。 また、若干数字のずれがございまして少し高くなり過ぎたというようなところは、昨年もこういう高い階層についての徴収金の、保育料の引き上げ幅というものを低く、ないしは前年度をむしろ下回る程度にまで抑えるというような措置をとりまして、負担の公平論については十分配意をしながらまいっておりますし、本年度は、総体として見ますと昨年の約半分程度の保育料増でとどまるようにというような作業をいましておる過程でございます。
○平石委員 時間がなくなったので、私十分なことになりませんでしたが、非常に父兄負担がふえると同時に、この基準によって国は市町村との決済に使っておるわけですから、これに満たない場合には市町村の持ち込みがかなりかかってくる、こういうことになっておりますので、現実には市町村の措置権者はいわば非常な超過負担といったようなものを負担せざるを得ないということ、それからもう一つ、そういったような市町村の負担というものの上に、今度は児童福祉法の二十四条のただし書きの問題から、認可保育所の周辺に無認可保育といったような保育がたくさんございますが、これらに対しては、もちろん市町村の方は、あのただし書きによりまして、保育に措置できない場合には市町村長はそれにかわる措置をとらなければいかぬ、このように義務づけられておる関係上、これらの保育といわれるものについてどうにもならなくなって、市町村は単独自費でもってこれに措置をしておるというような現象が出ておるのですが、これを合わせて見ましたら、児童保育について市町村の負担が相当加重されている。これに対して厚生省はどのように考えますか。
○竹内政府委員 御指摘のいわゆる無認可保育所と申しますか、内容的には必ずしも、無認可保育施設というよりも無認可託児所的な、まれには無認可幼稚園的なものもあるわけであります。ただ、少なくとも保育所的な機能を果たしている無認可の施設につきまして、私どもとしては、基本的には保育所の整備ということがまず第一でございますし、次にはなかなか基準に合わないところを救うという意味で、小規模保育所で、少なくとも原則は六十人以上というものを三十人というふうにランクを下げ、さらに現実に無認可保育所的な活動をしているところについてはその認可基準を二十人までに下げて、その小規模保育所という形で、この無認可の施設を認可施設として、保育水準を上げるということにまず第一点努めてきたわけであります。 第二点といたしまして、私どもは、児童館ないしは児童厚生施設における児童厚生員というものの指導、活用を図るということと、もう一つは、一部の第三次ないしは第二次産業の多い地域につきましては、児童手当法に基づく児童手当の特会の福祉施設といたしまして、事業所内保育施設というものをできるだけ横へ整備しながら、そういったものの水準の低い、ともすれば事故の起こりやすい無認可施設というものの解消にはできるだけ対応してまいりたい。 ただ、どういたしましても、都会地に行きますとこの辺の規制というのが思うようにまいりませんので、御指摘のような点があることは十分承知しております。私どもとしてもさらに、ただいま申し上げましたような施策というものを充実しながら、これの解消に努めてまいりたい、かように考えております。
○平石委員 私の一つの提案ですけれども、そういった厚生省の幅の広いやり方というものも結構なことですが、この市町村の負担がそれによって軽減されるかというと、そうではありません。だから軽減さす意味において、これは特別交付税等に積算していくというような形のものを、これは自治省が来ておればいいですけれども、自治省がおらないので、今後自治省の方とそういう面でひとつ話し合いをしてほしい、このように思うわけです。 それから、時間がありませんが最後に一つお伺いしておきたいが、この軽減について、D8まで来た二子半減の問題、これは五十四年度はどのように取り扱われておるか。
○竹内政府委員 二子半減の件について、まだ最終的な整理は終わっておりませんが、できればもう一ランクほど広げて二子半減の対応策を進めたい、かように思って現在作業を進めておるところでございます。
○平石委員 もう時間がございません。この保育問題については、いま言う保幼懇の問題あるいは幼児教育との問題等、非常にむずかしい問題を抱えておりますが、これから厚生省は、その懇談会を進めることは当然のことでありますけれども、厚生省自体として、幼児教育あるいは幼児保育については、これは保育に欠けるという問題等もありますが、積極的にこれの運用その他について、ある程度の緩和を図るというぐらいの積極的な姿勢を持って、今後幼児保育について取り組んでいくかどうか、大臣のお答えを最後にお願いしたいと思います。
○橋本国務大臣 きょう、非常にいい御指摘をいただきまして、私どももこれからの参考にさせていただきたいと思います。そして、保育行政の大切さというもの、これは御指摘を受けるまでもなく、私ども真剣に対応しなければならぬ問題でありますから、今後とも全力を挙げて努力してまいりたいと思います。
○平石委員 以上で終わります。
○森下委員長 次に、谷口是巨君。
○谷口委員 私は、本日判決がございましたスモンの問題について、大分論議はされましたけれども、大臣の答弁の中からもう少し詰めておきたい問題がございますので、二、三について大臣の答弁を求めておきたいと思います。 一つは、きょうの判決もいままでの判決をさらに進めるような原告の全面的な勝訴という形で結果が出てきたわけでございますけれども、政府としても、この広島判決を受けて全面解決の方向に積極的に努力すべきだと思います。それは大臣が先ほど申された一括的解決のときが来たように思うということと関連をしておると思いますが、その辺のところをもう一度簡単明瞭にお伺いしておきたいと思います。
○橋本国務大臣 きょう十時に出されました広島地裁におけるスモンの判決につきましては、先刻も申し上げましたように、国に対して大変厳しい判決と受けとめておるということは事実でございます。ただ、その後、実は私はきょう完全に国会へくぎづけでありまして、あとを細かく内容についてまだ聞いておりません。ですから結論めいた話は、判決文その他細かく検討させていただいた上でないと何とも申し上げられない部分がありますけれども、それにしてもこれだけ長い時間がかかり、そして四つの地裁で次々判決が出されてまいりまして、一方ではまた和解の方向というものもここまで進んでまいりました。そうなりますと、確かに、本当に一括解決に踏み切る時期がそろそろ来たのではないだろうか、率直にそういう受けとめをいたしております。いまの時点では、これ以上申し上げるだけの細かい材料を受け取っておりませんので、先刻と同じ答弁を申し上げることになって恐縮でございますが、気持ちのみ申し上げます。
○谷口委員 もう少し詰めていきたいと思いますが、要するに現在の段階では裁判の段階ではない、それはもう過ぎた、あるいは過ぎつつある、したがって行政の段階にバトンタッチすべきときが来た、というのが大体大臣の見解であろうと思うし、私もそうだろうと思いますが、それでは一体具体的にどういうことになるのですか。
○橋本国務大臣 いま完全には、十時以降の情報を得ておりませんままでございますので、その点多少ばく然とした点はお許しをいただきたいと思います。 ただ、しばらく前から説得を続けておりました田辺製薬が、少なくとも患者救済については国の方針に同調する旨を回答してまいっております。これはいままでと大変大きな状況の変わりの一つではないかと思います。また、ようやく和解もだんだん進捗をいたしまして、いま細かい数字を持っておりませんが、たしか千名前後まで進んでまいりました。そういう中で、国は一般施策としての救済措置についてはいままでも努力をしてきたところでありますけれども、もうそろそろこの辺で、本当に御指摘のように裁判という形式によらずとも、この解決が図れる時期が来たのではないかという率直な感想を持っておるというのは、先ほども申し上げたとおりであります。この間、国が努力をしてまいりましたことにつきましても、患者の皆さんにもぜひ御理解をいただきたいと思いますし、これは私どもが一括解決を望みましても、なかなかむずかしい現実の問題はあろうかと思いますので、国会における御協力をもぜひお願いを申し上げたいと思う所存でございます。
○谷口委員 もう一つ詰めさせていただきますが、先ほどの答弁の中に、法相と協議するというのが午前中にあったと思いますが、この協議するということは、いままでの答弁を聞いております限り、もうこれ以上裁判に持ち込まない、控訴しない、どちらかといえばそういうウエートがかかった面での法相の協議と私は判断をするわけでございますけれども、そっちの方にウエートがかかっておると思いますが、その点が一つ。 それから、田辺製薬もいろいろなことがあって一理あると思いますけれども、しかし患者の救済からいくと急がなければならない。きょうまた控訴するという意思の発表があったようでございますが、これに対する大臣の指導は今後どうなさっていくのか、二点についてお願いします。
○橋本国務大臣 これは、先ほどもちょっと申し上げましたように、十一時以降私完全に答弁に立ちっ放しでありまして、先ほど大原委員から判決骨子をお渡しいただいた以外の中身をまだ見る暇がございません。それだけに、判決文そのものをやはり見まして検討した上でなければ、これはちょっとお答えのできない問題でありますので、その点につきましては回答は御容赦を願いたいと思います。
○谷口委員 いろいろ慎重な御答弁でございます。ベテランの大臣でございますが、非常に苦労して答弁されておるようでございます。 大臣の気持ちは、私が察するに、要するにもう一括解決のときが来たということであれば、当然そういう控訴とかに訴えない方向だと私は判断をして、この質問を一応打ち切ります。(橋本国務大臣「決めつけられては困る」と呼ぶ)決めつけているわけではなくて、判断をしておるわけでありまして、それは国民の念願であり、また患者全体の念願でございますから、多年の苦労をやはりあなたは大臣として救済される熱意に燃えている方でありますから、そういう意味でひとつ積極的な行動をとっていただきたいと思います。 次に進みますけれども、私は、所信表明並びに予算、その点について若干お伺いします。 昭和四十八年に福祉元年、こう言ったわけです。それで今日まで五年たちました。また、政府が高度成長から安定成長に移行しなければならないと表明してから、ちょうど五年経過しているわけです。その間の経過を振り返ってみますとどうなっているかといいますと、大臣御承知のように収入面が非常に減ってきました。一般会計にも赤字国債を発行しているような状態でありますけれども、これにつれて、さらに高齢化社会といいますか、こういう問題が非常に進行してきて、もろもろの負担が加わってくるわけでございます。そういうときに、結局福祉ばらまきの時代ではない、あるいは見直さなければいかぬという意見が出ているわけであります。たとえば医療保険の薬剤費の一部負担とか、あるいは児童の教科書の貸与とか、いろいろな考え方が出てきているわけですが、これから先、長期的あるいは総合的な施策というのが非常に大事でありますけれども、こういう状態の中で、大臣はどのような認識を持って今後進まれようとするのか、基本的なことで結構でありますから、お伺いいたしたいと思います。
○橋本国務大臣 非常に大きな御質問でありまして、なかなかお答えのむずかしい部分がございますけれども、確かにいま御指摘のように、四十八年のオイルショック以降日本の経済が完全に減速経済体制のもとにあって、非常に厳しい社会経済情勢にあることはそのとおりでありますし、また、人口の高齢化というものが非常に加速度的なスピードで進んでおることも事実でございます。それだけに私どもは、基本的に国民の福祉向上への努力を怠ることはできませんし、また、むしろ経済情勢が厳しければ厳しいだけその必要度は高まると考えております。また高齢化が進めば進むほど、個々の御家庭の中における私の扶養というものの限界も生じてき、それに伴って公の扶養というものの必要性も高まっていくでありましょう。そういうことを考えれば、私どもとして今後一層の努力をしていかなければならないということには間違いございません。 ただ、そこで一つの問題は、先ほども医療費との絡みでお話を申し上げましたように、これには国民の負担が伴うことでございます。そうなれば、必要な方々により重点的な配分を行い、必要な事業に重点的な配分を行い、効率を高めていくという努力は当然いたさなければなりませんし、国民の負担とそれによって受けられる給付とのバランスというものについて、国民の合意を得る努力というものを私どもは今後も欠くことができない、そのように考えております。
○谷口委員 確かに非常に経済的に苦しい方々がさらに圧力を受けるわけでありますから、これはひとつ十分な配慮を持って臨まなければならぬと思うし、予算獲得についても大臣の力量を発揮してもらわなければならないということ、私もその点は非常に同感であります。ひとつがんばっていただきたいと思います。 それからもう一つ、健保改正案の取り扱いに伴って厚生省と日本医師会との関係が非常におかしくなりましたね。いまあなたは好転させるためにずいぶん苦労されているように思いますけれども、齋藤幹事長から武見日医会長に提出された政管健保と組合健保とのいわゆる財政調整、これは先ほどからもありましたけれども、やるのかやらないのか、もう一度簡単でいいですからあなたの気持ちを聞いておきます。
○橋本国務大臣 私は前から、組合管掌健康保険と政府管掌健康保険のみならず、共済まで含めた財政調整が必要であるという考え方を持っておりました。そして、現在国会に提出をしております健康保険法改正案におきましても、将来そういう事態を予測しつつ、そこに至るまでの過程において、累積赤字その他制度間格差等の是正が進むまでの間、組合管掌健康保険内における財政調整を行うという考え方をとっておるわけでありまして、その方針で進んでまいりたいと私は考えております。
○谷口委員 次でございますけれども、昨年の十二月二十二日に出されました武見メモでありますけれども、この中にたしか三点ありましたね。第一点は、いわゆる健保組合を単なる保険料徴収機関にするというような意味だったと思いますけれども、これは先ほど話が出ました。第二点の、健保組合に対して課税せよというお話がありました。それから、健保組合の諸施設は国有財産とすべきものである、こういうふうないろいろなことがありましたけれども、これは厚生省と直接関係はないと逃げられればそれで終わりでありますけれども、こういう考え方に対して、厚生大臣としてはどのように考えておられますか。
○橋本国務大臣 まさに言われるとおり、直接的には税務当局である大蔵省の問題でありますけれども、私どもの立場から申しますならば、医療保険の実施主体としての健康保険組合の公法人としての性格、それから組合の事業の実情等を十分に踏まえて税務当局と相談をすべき問題である、そのように考えております。
○谷口委員 予算の問題でありますけれども、厚生省の予算の全額に対しまして、比率からいきますと、年金関係の予算あるいは医療保険関係の予算が大体六〇%を占めているのじゃないかと思います。一部には非常にこれは破格の取り扱いだ、こういうことが批判されておるようにも聞きますけれども、私はそうはとりません。もっともっと力を入れなければならない。たとえば老後の問題にしても、いまのお年寄りの方々を振り返ってみると、戦時中苦労され、あるいは身内を失い、あるいは戦後は自分の食べる物も子供に与えて苦労してきた、そして今日の日本の再興の原動力になった方々が、いま年をとられて、そうして核家族化が進んでいくために、非常に困っておる面も実際はあるわけです。こういう面で老後の最低保障、それからもう一つ、また国民の権利というか、いつでもどこでも十分な医療を受けられるという、そういう姿に向かって進まなければならないわけでありますから、私はこれは当然のことだと思いますし、厚生省として非常にがんばられた。しかし、もっともっとこれはがんばって獲得しなければならない予算だと私は思っております。しかし一部かもしれませんけれども、私が聞く範囲では、巷間においては、医務局向けあるいはとりもなおさず日医向け、こういう面の予算が非常に多い、そういう方面に顔を向けた予算であるというふうな批判も一部国民にはあるわけです。こういう問題について大臣の認識を伺っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 確かに、医療費が全部お医者さんのところへ行くということから言えば、お医者さん向けの部分が多いということは私も否定はいたしません。しかし、現実問題として、たとえば国民健康保険の財政助成にせよ、その他の施策にせよ、そういう御批判をいただくのはいかがかと思います。率直な感じとして、いま御質問をいただきまして私は意外に思いました。
○谷口委員 では話を進めまして、たとえば医薬分業につきまして非常に障害のある問題がいままであるわけですね。それはスモンにおいても見られるように、出来高払いであって、そしてむちゃくちゃに薬を与えるとそれだけ収入がふえるという一つの欠陥がある。あるいはまた、受け入れ体制に対して不備であるとか、薬剤師の資質について不足しているとか、いろいろ批判があるわけでありますけれども、いわゆる研修体制、たとえば医師、歯科医師、薬剤師の研修体制について国の予算がどのようになっているか、医師の研修体制に関する予算、歯科医師に対するもの、薬剤師に対するものの予算をひとつ答えていただきたいと思います。
○中野政府委員 先生御質問の研修ということにつきましては、実はいまちょっと医務局長がおりませんので、私がお答えするのはあれでございますけれども、医務局所管の研修と申しますのは、例の従前のインターン制にかわる二年間の卒後研修の……(谷口委員「金額で結構です」と呼ぶ)私は所管でございませんので、正確な金額は覚えておりません。すぐ調べまして御返事させます。 薬剤師の場合の研修と申しますのは、実は薬剤師につきましては、医師のような公式の研修制度というのは制度上はないわけでございます。ただし、薬剤師が現実に処方せんを受け入れまして調剤を行うことについての、いわば実務の訓練というほどの意味におきまして、実務研修の補助金を計上していることは事実でございます。本来これは日本薬剤師会が主体となりまして、全国的に調剤の専門技術を向上せしむるために行うものでございますが、日本薬剤師会の全国的に実施する研修事業に対しまして三分の一の補助金をつけております。五十四年度につきましては実地研修が十日間、講義一日ということで、全国約二百八十の病院で年六回これを受け入れる、一回一病院当たり三人の計算でございまして、昭和五十四年度は実務研修受け入れのための人数は約五千人、これに対する日本薬剤師会の計上します予算に対する三分の一補助額が六百二十三万円ということになっております。
○谷口委員 医務局が帰ってしまってちょっと困りましたけれども、予算を見ますと、医療研修体制の費用として四十五億二千二百万組まれていますね。この予算は間違いございませんね。歯科医師のが出てきませんが、薬剤師の方が六百二十三万。この研修については、医師、薬剤師の再教育あるいは生涯教育環境づくりというものは、やはり政府が先頭に立ってやるべきだと私は思うのです。そういう点に立って見るならば、これは明らかにどこかには厚くてどこかには薄いという予算の組み方になっている、こう指摘せざるを得ないと私は思います。その辺のところは大臣、どうですか。
○橋本国務大臣 医務局、実は御要求がありませんでしたので、連れてきておりませんでした点は失礼をいたしました。 ただ、いまお話がありましたけれども、私は必ずしもそうは考えておりません。今度の医薬分業関係の中でも、たとえば共同事業設備補助等も新設をいたしておるわけでありまして、これは地域の処方せん受け入れ体制の中核として機能する調剤センターあるいは医薬品検査センター等を整備するための経費であります。ですから、各都道府県の薬剤師会が事業主体となりまして、各都道府県と国の三者で費用を負担する、こういうものもスタートをさせておるわけでありまして、必ずしも御批判のようなことではないと私は考えております。
○谷口委員 予算の面で見る限り現実に猛烈な差があるわけですね。先ほどの、後で言われたことはまた後刻触れますけれども、資質の問題あるいは教育の課程の問題、いろいろあるわけです。 ちょっと関連して文部省に伺いますけれども、薬剤師の修学年数は現在四年ですね。それで教育内容について、現実に臨床面で四年では足りないし、したがってこれをもっと充実するとかあるいは延ばすとか、いろいろなことを考えなければならぬということになって、声がだんだん出てきておるはずでございます。こういう問題について、外国の例等もありますが、文部省としてどのように受け取っておりますか。
○五十嵐説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、教育年限につきまして関係者からいろいろ御意見が出されているところでございますが、薬学教育の関係者の大方の意見は、当面、学部段階の教育を充実していくこと、さらに、必要に応じて一年間の専攻科とか二年間の修業年限の修士課程の制度を活用することが先決であるというふうに承知しておりまして、各大学のそういう面の努力をさらに進めてまいりたいと考えております。
○谷口委員 では、また予算の面で伺いたいと思いますが、これは薬務局長に伺います。 医薬分業の推進予算として、医薬分業共同事業設備整備費五千万が新規計上されましたね。これは当初の予算要求と比べると約三分の一、非常にがんばって新規獲得をされたと思いますが、一億五千万くらいの予算の要求が五千万になった経緯をひとつ簡単に説明願いたい。
○中野政府委員 実は従前から、これも非常に少額であるということで先生のおしかりをこうむるかもしれませんが、御承知の検査センター予算といたしまして大体六百万ほどの金額を年間計上しておったわけでございます。これに対応するものとして本年度五千万という予算を計上したわけでございまして、数字の上からは十倍近い伸びにはなっておるわけでございますが、当初からの経緯を御説明いたしますと、当初は備蓄センターあるいは検査センター、さらには調剤センター等の三種類のセンター構想をもちまして、共同事業施設計二十二カ所の要求ということで大蔵省に概算要求をしたわけでございます。その予算編成の最終過程に至りますまでの間におきまして、この予算の実行性につきまして私どもさらに十分詰めを行ったわけでございます。 まず第一に、先生よく御承知のとおりに、分業関係の施設と申しますのは、分業の性質上当然そうでございますが、地域ぐるみで処方せんが発行され、さらにその処方せんに対して、地区薬剤師会と医師会の協力のもとに十分その受け入れ体制を整備するということが前提になっておるわけでございます。そういう観点から、そのような地区における地域ぐるみの分業体制の整備についての各種の可能性について、十分な詰めを実は予算編成の過程で行ったわけでございますけれども、当初二十二カ所ということを考えておりました。そういたしまして、その二十二カ所の予算につきまして、実際に県側の補助体制の受け入れの可能性をさらに十分精査したわけでございます。それで、この際に現実に県の方で、たとえば来年度の予算の上での裏打ちがあり得る可能性のあるもの、現実性のあるものをチェックいたしていきますと、当初薬剤師会の方からそういう二十幾つというふうな数字が出たわけでございますけれども、現実性のあるものとしてチェックをいたしますと、五十四年度におきましては十をやや上回る程度のものではなかろうか、そういう事情が一つございました。それで、当然この種の施設は、無理をいたしましてある一年に全体を吸収すると申しますよりも、やはり継続的に手がたくこういうものの施設の整備を続けていくというようなことが適当ではないかという判断から、五十四年度で消化します整備個所を十カ所にということで、大蔵省と合意に達したという点が一つございます。 それからもう一つの点といたしまして、実は大型の施設としての備蓄センターでございますが、これにつきましては、現在の地域ぐるみでの医師会及び薬剤師会との合意を得て、円滑にこの分業体制を推進するという観点からいたしますと、備蓄センター構想そのものについてはなお時期尚早、まだ条件が熟していないという判断を一ついたしたわけでございます。 そこで、この備蓄センターの構想を一応先に送りまして、調剤センター及び検査センターというそういう規模の施設で、数を当面実行可能性が非常に確実なもの十カ所にしぼりました結果、三分の一補助ということで五千万円、つまり実行上の予算額といたしましては総計一億五千万になるわけでございますが、その五千万を計上するようになったということでございまして、あるいは先生から概算要求の際における数字の詰めが甘かったのではないかという御指摘があるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、五十四年度予算としてはこれが適正な額であるというふうに信じておるわけでございます。
○谷口委員 説明は一応お聞きしましたけれども、五十四年度が十カ所ですね。そうすると総計どれぐらいを考えて、先ほどの調査では十五カ所とかなんとかいう話が出ておりましたけれども、その中で今年十カ所。そうすると、来年度も継続してこれは請求するということですか。
○中野政府委員 私が申し上げましたように、毎年毎年いわば手がたく、この種の施設の数をふやしていくということが行政上も適当であるという判断をしておるわけでございますから、当然五十五年度以降もほぼこれに匹敵する規模の予算を計上したい、こういうふうに考えております。
○谷口委員 一つ局長にお尋ねをいたしますが、五十四年の一月十六日に定例会見が行われておりますね。この席上であなたがいろいろお話しになった中に、こういうことがありますね。薬剤師会が医師会と事前に十分詰めてあるものだと思っていた、ところが突然医師会から反対が出て驚いている、こうはっきり言いましたね。これはどういうことですか。
○中野政府委員 先生御承知のようにこの種の予算は、当然日本薬剤師会がいわば全国的な構想を固め、これについて、私どもといたしましては、日本薬剤師会の全国的ないわば旗振りのもとで、各地方薬剤師会がこの種の予算の消化を行うという前提で考えておるわけでございまして、したがいまして、直接のそのきっかけといたしましては、日本薬剤師会のこの種のセンター構想というものにいわば国が賛同いたしまして、これをサポートするという形でこの予算は組まれているわけでございます。 それで、当然私らの判断といたしましては、医師会の意見がどのようなものであるかというその事の是非は別といたしまして、先ほど申し上げましたように、分業体制の推進ということにつきましては、地域ぐるみで処方せんを発行する側の臨床医家と薬剤師の側の協力体制がなければ、実際問題としては分業体制というのは進まないという判断をいたしておりまして、先生御承知のように、予算編成の過程におきまして、日本医師会の方からある種のクレームがついたことは事実でございます。私どもは、この話は当然処方せん発行側の方々との合意があるという前提で事柄を進めてまいりましたので、多少びっくりしたというようなことはその新聞報道のとおりでございます。それはそれといたしまして、いずれにせよ地域の医師会との合意、協力関係がなければむずかしいことでございますので、したがいまして、そこのところで意思の合致があるいは十分でないところの備蓄センターについては、これを五十五年度以降に、さらに条件が煮詰まるまで要求を保留するというふうに考えたことは事実でございます。
○谷口委員 私は、背景なり事情は理解できて話しているわけですからね。問題は、要するに薬務局が予算要求を厚生省として出したわけですけれども、それに対して非常に疑問に思うのは、事前の詰めが足りなかったということと、それからあなたは最後に、私も医師会と相談することもあるだろうというような発言をしていますな。予算の獲得についてもし必要ならば、事前にあなたみずからもそういう関係団体と相談する、これは必要ならばですよ。クレームがついて簡単に引っ込めるような厚生省の予算であるのならば、そういう重大な相手であるならば、厚生省よりも強いところがあるのなら、事前にあなたみずからもそれだけの努力を私はしてほしかったと思うけれども、どうでしょうか。
○中野政府委員 その点、私どもの詰めが足りなかったというふうに御指摘があれば、それは率直にそう認めざるを得ないわけでございます。ただ現実の問題として、私はそのような経過の中で医師会とも当然接触をいたしまして、この全体の予算を放棄するということでなしに、いわば円滑に実施され得る見込みのついたものについて、現実性のあるものとして先ほど申し上げましたような十カ所、五千万の予算を計上するというふうになったわけでございまして、当初私の方の理解なりあるいは詰めが十分なものでなかったのではないかという御指摘であれば、それは甘んじて受けなければならないというふうに思います。
○谷口委員 私が申し上げたいのは、気持ちはよくわかっているんですが、俗なたとえで言いますと、相手が強ければ頭を下げていく、相手が弱ければ追いかけていくというふうなことであってはいかぬのじゃないかと私は思う。やはりやるべきことは堂々と主張し、そして相手の力が弱かろうと強かろうと、国の方針には一貫したものがなければならぬと思う。これを見るとまるで、薬剤師会、おまえたちが何にもしないから、弱いから、努力が足りないから予算が取れなかったじゃないかという、いわばそういうあなたの指導みたいに見えますよ。そうだったらいけないじゃないですか。私はあなたを責めているんじゃない。私は最後に大臣に、私に言わせればそういう弱腰というか、ちょっとおかしい点は是正してもらいたいと思うけれども、どうですか。
○中野政府委員 お言葉を返すようでございますが、決して医師会の意向に振り回されて予算をおりたいというようなことではございません。私が申し上げておりますのは、この分業体制の推進ということにつきましては、地域ぐるみで処方せんを発行する側とこれを受ける側との協力関係なり、相互理解がない限りは物事が進まない。したがいまして、そのような意味において、条件の熟していないものについては条件の熟していないということを素直に認めて、実行可能な堅実な予算を編成したということでございまして、この予算については申しわけございませんが局長レベルでセットしたものでございますので、大臣に御迷惑のかかるような性質のものではございません。
○谷口委員 非常に忠実な局長さんでございまして、感服をいたしました。実は私が言いたいのは、背景があったでしょう、例の一週間処方せん発行とか、いろいろありまして、あなた方はどうにもならなくて、薬剤師会に体制を整えろと言ったんじゃないですか。それを受けて薬剤師会は、できないながらも一生懸命準備しました。そういう非常に冷たいぎくしゃくした関係の中で、予算がずっと煮詰まってきたんですよ。その中で、あなた方が医師会にもっと頭を下げていけばよかった、表現は悪いけれども煮詰めればよかったなんて言うのは酷ですよ。あなたの定例会見の中で、あなた方も足りなかったけれども私も努力が足りぬじゃったというなら話はわかる。これを見た限りでは私は憤激した。余りに弱い者をいじめ過ぎているんじゃないか。私は気持ちはわかって言っているんですよ、今後のために。いま厚生省というのは非常に国民に変に思われていますよ。言わぬでもわかることです。賢明な大臣ですから、一生懸命解決に努力されておりますけれども、国民は非常におかしなものを感じておる。あれはまるでどっちが指導するんだろうかという感じです。これはこれでとどめます。 次に進みます。保険局長いなくなったな、しまったな……。 一般消費税に関して大臣に伺いますけれども、今度医療サービスについては大体一般消費税はつけないというような考え方のようでございますけれども、一般の大衆薬なんかは事の性質上、きわめて一般消費税の対象になることは不適当だと私は思うのですね。そういう問題について大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 正直を申し上げますと、私自身いまだにその部分については判断に迷っておる部分がございます。と申しますのは、仮に医薬品全体を一般消費税の対象から外しました場合に、医薬品の中にはある意味では相当幅の広い部分がございますから、率直に申して、必ずしも一般消費税の対象にしないことばかりがいいとも言えないものがございます。ただ、これを他のものと均衡をとって考えてみました場合に、たとえば食料品が完全に一般消費税の対象から外れるというような場合、やはり医薬品というものもその対象から外すことは、当然大衆薬も含めて、私どもは財務当局と論議をいたさなければならぬと思います。ただ、部外品その他の問題まで入りますと、ここにはいろいろな問題が生じますので、この程度にさせていただきたいと思います。
○谷口委員 もっと懇篤な答弁をいただきたいけれども、大体気持ちはわかりました。 時間が迫ってきましたので、大臣、お立ちになったついでに伺いますが、いまの薬価基準ですね。これは局長にお尋ねすると答弁が長くなるでしょうから大臣に聞きますよ。私はやり方が非常に不適当だと思う。私はおたくからここに一つの基準をもらっているけれども、実際に調査した分の内容を知りたい。私は私なりに、こうなっているんだろうという予想はあるが、実際に資料をもらいたい。たとえば個人の診療機関あるいは公的な診療機関あるいは個人の開業、調剤薬局とか、いろいろありますね。これで一出てくる値段が全部違うはずです。それを九〇%バルク台でやるから非常に大きな薬価差が出てきている。これがいま諸悪の根源ですよ。それを勇断を持って大臣があるいは厚生省がやらぬ限り、いつまでたったって、言うだけですよ。何にもできやしない。決意を伺いたい。
○橋本国務大臣 これは谷口さんの御専門の分野でありまして、むしろ私ども、今後御意見をちょうだいしながらできるだけの努力はしてまいりたいと思います。
○谷口委員 私の言うことを聞いてくださるなら幾らでも申し上げますけれども、なかなか強いところがありましてむずかしいでしょうが……。 もう一つ、精神薄弱児者ですね。これについてちょっと伺いますが、いわゆる外部的な障害者に対しては国鉄に割引があるんですね。精神薄弱者に対してはないのです。所管じゃないのはわかっていますが、同じ厚生省の立場から言うと、これはひとつ同じようにしないといけないと思う。そういう考え方あるいは助言するというか、そういう考えはありませんか。
○山下政府委員 内部障害者、精神薄弱者につきましても国鉄において割引をしていただきますように、運輸当局にお願いをいたしているところでございますけれども、御承知のような国鉄の財政状況でございますので、現在のところ実現をいたしておらぬ状況でございます。私どもとしては、おっしゃるとおりにいたしたいというふうに考えております。
○谷口委員 国鉄見えてますか。——お聞きのとおりです。聞いてくれないのは国鉄のせいだということを言うんですね。よくお聞きになりましたか。お聞きになったら、一応答弁聞いておきますが、帰られたらひとつ慎重に、また温かい気持ちで応対してもらいたいと思います。一応答弁をいただきたい。
○須田説明員 いま厚生省の局長からも御答弁がございましたように、十分御要望のあることは承知をいたしておるわけでございますが、当方の財政事情が御案内のような状況でございますので、いま割引全体を運輸省と御相談をして見直しておる段階でございます。また関係各省とも十分御相談を申し上げてまいりたいと思いますが、大変困難な事情にございますということだけ、ひとつ御承知おき賜りたいと思います。
○谷口委員 時間がだんだん減ってまいりましたので急ぎますけれども、いまの意見に対して、それはわかります。わかるけれども、大した金じゃないですよ。ほんとにやる気があるならできると思うんだけれどもね。ただ、やる気がないからできないということですよ。しかし、国の行政において、片っ方にはそういう割引をして、片っ方にはしないというのは、おかしいじゃないですか。どうせ赤字出すならそっちの方にも出したらどうです。これは私の意見であります。 最後に大臣、答弁を伺いますが、大臣は社労の大ベテランでありまして、もうすべてがおわかりでございますので、いろんなこと申し上げません。長崎のいわゆる原爆被爆者関係の悲願でございます、あの地域拡大の問題でありますけれども……(「何にもわからない」と呼ぶ者あり)都合の悪いときはわからないということで、非常によくおわかりのはずでございますが、現在厚生省がおやりになっている科学的な調査というものは、残留放射能の調査だけですね。これが実は、御承知のように三十何年たちまして、科学的な調査のはずなのに、あんまり科学的な結果が出てこない。変なところに出てきてみたりして、出るはずなのが出てこない。これはどうも根拠になりそうもない。今後もやっていらっしゃるようだけれども、これにかわるものがどうもいまのところないようですね、科学的な根拠のあるものが。 そうなってきますと、長崎の場合、広島も若干あるでしょうが、行政区域で最初に健康診断の対象を決めたから、南北は十二キロあるのですよ。ところが、横は現在拡大されましてまだ六キロなんですよ。どう考えてみてもおかしいんだ、これ。だから十二キロを減らして縮めるというなら平等になるけれども、そうはいかないでしょう。何とか広げてもらいたいというのが念願ですね。これは大臣、やっぱりあなたが一生懸命になって政治的な解決を図ってもらわない限り、これはむずかしいんじゃないでしょうか。その辺のところ、私は大臣の決意を聞いて、場合によっては再質問しますけれども、満足が得られればこれで終わりたいと思います。
○橋本国務大臣 なかなかそう簡単に御満足のいただけるような御答弁を申し上げられるかどうかわかりませんが、昨年本委員会から国政調査で長崎県に参りましたときにも、知事さん以下、また関係の方々から、大変切実なお話として私どもも承りました。そしてその際にも、これは国会の立場の時点で申し上げたことでありますか、いま調査が進んでいるんだから、その結果を待ちたいということが一つと、同時に、そのお気持ちはよくわかるので、むしろ国会の中で相談をしたい。ただ同時に、一つの原則だけはぜひお願いをしたい。それは、被爆二県が足並みをそろえてもらいたい。少なくとも長崎県と広島県と、被爆された方々が相異なる御見解で動かれるのでは、これは非常に困る。ですから、その点の御調整だけはぜひお願いをしたいということを申し上げておる次第でございまして、それで御推察をいただきたいと思います。
○谷口委員 よくわかります。われわれも努力いたしますが、そういう悲願があることはひとつお忘れなく、最後まで努力をしていただきたいとお願いをして、私の質問を終わります。
○森下委員長 次に、和田耕作君。 〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○和田(耕)委員 もうこの問題は朝から大臣にいろいろ御質問があったと思いますけれども、大臣の所信表明の演説を拝見いたしまして気のつくことは、抜本改正の時代に昨年あたりからはっきり入っているわけですけれども、その抜本改正に関する前を向いた案が一つもないということですね。つまり、健康保険法の昨年から出しておる法案がその象徴みたいなものですけれども、これ自体はいろいろ問題はありましても、やはり薬づけと言われる日本の医療制度を薬の面から刺激を与えてなくしよう、よくしようという前向きの意図があったと思うのですね。それは私はそれなりに評価を昨年からしておるのですけれども、さてこの問題をいよいよ政府が腹を決めて、医師会も一応同意したという形で提案をしたところが、主として医師会の反対、他のところも大分反対をしておりますけれども、その議論の入り口の前に医師会の反対でこれがたなざらしになってしまった。今度も案を出しておりますけれども、このままの形では正直言ってなかなか論議ができそうにもない状態になっている。こういう問題を考えましても、この抜本改正という問題を、いよいよ具体的な日程になっておるのですから、大臣はひとつ、正面からこの問題に取り組んでがんばっていただきたいと思うのですね。 たとえば、この所信方針演説の中にも、昨年からいよいよ具体的になると思われた老人保健の問題がまだ準備ができてないということで延ばされている。まずこれからお聞きしますけれども、これはどういうふうな理由で延び延びになっておりますか。
○橋本国務大臣 小沢前大臣が退任をされます直前に、御自分の方針として、七十歳以上の医療給付、六十五歳以上の予防給付というものを柱にされた案を事務当局に指示をされた、これは御承知のとおりでございます。 ただ、小沢前大臣から私が引き継ぎを受けました時点におきましても、自分としてそこまで詰めてきたが、予防給付についてはもっと年齢を下げたいと思うがそこまで詰め切れなかった、努力をしてほしいというようなお話しもいただきました。そして私も、むしろもっと四十歳なり四十五歳なり若いときから予防給付を始めることの方が、将来において健康な老人をつくるという意味においても効果が大きいと率直に思います。 そこで私は、小沢大臣の御案は一つの御案としてそのまま検討を進めさせながら、同時に、むしろ予防給付を主体として考えたらどうなるかということについても、事務当局に検討を命じました。 また、老齢化社会か非常に急激に近づいております状況でありますだけに、十分やはり関係者とは意見を交わし、その上で案をまとめたいと私ども考えております。 その中にはもちろん診療担当者としての医師会、歯科医師会、また実際それをケアする看護協会の皆さん、あるいは逆に、社会福祉関係を代表するグループとしての全国社会福祉協議会、また全国老人クラブ連合会といったような関係の方々、また事業主の財政負担を伴うわけでありますから、日経連とかあるいは健保連、国保中央会、こうした関係団体それぞれにいろいろな意見をお持ちでありまして、いまその中の接触を続けながら、どういう形にすれば一番合意の得られる案がまとめられるかということで、苦慮している最中でございます。 国会におかれましても、各党からいろいろな角度での御意見をちょうだいしておりますが、共通する部分、相異なる部分、それぞれの特色がありまして、いずれにしても将来における一つの大きな社会保障の体系でありますだけに、できるだけ国民的な合意を得たものをつくりたいということで努力をしているわけでありまして、そうした作業の間に時間がおくれて、小沢大臣時代本年の通常国会に提出をするというお約束が守れなかった点についてはおわびをいたしますが、そうした努力を進めているということも御理解をいただきたいと考えております。
○和田(耕)委員 この問題は、現在日本の各医療保険機関が赤字でなかなかやっていけなくなってきている、その内容的な一番大きな要素が老人の医療の問題ですね。したがって当面の問題として、そのような意味で老人保健制度をつくって、そして、この医療制度全体から見てのひずみに対するある手当をしようという考え方がありますね。これは確かに急ぐし、大事なことだと私は思うのです。 一方、やはり全生涯の一つの見通しに立った、若いときから、年寄りになったら病気にならないように、あるいはなったらこういうふうな手当が必要だという観点から、老人保険というものを考えてみる必要がある。これはこの間医師会の武見さんと会ったときに、武見さんもそういう主張をしておりましたが、これはとてもユニークな、いい、おもしろい案だと私は思うと申し上げたことがありましたけれども。 この二つのことは別々の問題として考えられるのではないか。しかもそう困難な問題なしに、これは政府が相当お金を出す腹を決めなければいけませんけれども、そういう問題をぜひともひとつ。これは今年いっぱい案を立てるおつもりですか。その点いかがでしょう。
○橋本国務大臣 これは私は本当に、今年いっぱいとかなんとかいうよりも、できるだけ早く関係者の合意を得て、一つの案にまとめたいと考えておりますけれども、仮に予防給付を中心として考えてみました場合であっても、現在においてすでに病気がちの方々をどうするかという問題は残るわけでありますし、かといって、現在のたとえば国民健康保険における老人のウエートというものを減らすために別建ての老人保健をつくるということは、余りに私は考え方としていかがなものだろうかという感じがいたします。ですから、今年もたとえば国民健康保険における臨時財政調整交付金を相当大きく組みましたのも、一方ではそういうものに手当をしながら、やはり日本の将来を考えた場合、老人保健医療対策というものは相当腰を据えて整備をしておく必要があるという考え方をとりましたわけでありまして、できるだけ早い機会に一つの案をお示しできるところまで持っていきたいと考えておりますので、また国会におきましても御協力をぜひお願いをいたしたいと存じます。
○和田(耕)委員 それはこの国会でという意味ですか。
○橋本国務大臣 この国会で出し切れるかどうかについては、ちょっとまだ自信がありません。
○和田(耕)委員 これは大事な問題だし、政府の公約みたいなものになっておりますから、ぜひともひとつ結論を早く見出していただきたいと重います。 それからもう一つ、この医師会の態度なんです。この間、私、武見さんにも率直にお話し申し上げたことの一つなんですが、医師会がこういう医療制度の抜本改正の問題について、お医者さんというのはつまり正しい診療をしてそして患者を治す、あるいは病気にならないようないろいろな注意をするというのがお医者さんの任務ですね。このお医者さんが、そういう正しい医療をやるとかいろいろなことに対してもさまざまな欠陥がたくさん出ているのに、この問題には余り一生懸命ならないで、たとえば健保制度がどうのこうの、これの財政調整をやらなければ医療制度ができないとか、そういうことについて参考意見は出してもいいけれども、これをやらなければおれは厚生省と物を言わぬなんということ、これは私は出過ぎたことだと思うのですが、どうでしょう。
○橋本国務大臣 私が厚生大臣を拝命しました時点は、まさに厚生省と日本医師会と断絶状態の真っただ中でありまして、そういう断絶状態というものが早く解除できることを私は心から願っております。しかし、遺憾ながらまだそこまでまいっておらないことも事実でございます。
○和田(耕)委員 武見さんからその話を聞きましたから——組合健保という問題は確かにそれはいろいろな点で問題はあると思う。しかし、いろいろな条件はいいとしても、りっぱにやっている組合なんだ、りっぱに運営している問題なんだ、この組合に対して、単に労働者がいろいろ言うのではなくて、経営者もそして関係の大変たくさんの人がこの制度にコミットしている、これを簡単に直せるなんということをお考えになるのは、私はどうかと思うんだ。つまり、こういう問題を解決しなければ抜本改正の問題の相談ができないという態度は、確かにこれは私は医師会としては行き過ぎだと思う。こういう問題は大臣からひとつ、機会かあるときにはっきりと申していただきたいと思いますね。 たとえば、いまの医師税制の問題でも、医療制度の問題からすれば大した問題ではないのですよ、こんなものは。不公正税制としての問題はあっても、医療制度の立場から見れば大した問題じゃないのです。お医者さんがしっかり公共的ないわゆる使命に徹してやっておれば、もっともっと税金をまけてあげてもいいくらいのことなんですよ。そういう片一方の面ができてなくて、自分の力を背景にしていろいろなことを言うものだから、ああいう形でしっぺ返しが出てくるという形のものなんです。したがって武見さんが代表する医師会が、やはりいまとてもゆがんだ医療制度があちこちに出ているわけですから、この所信表明の演説でも医師の研修制度を拡充するという項目もありますので、こういう問題についてはひとつ、武見さんも非常に熱心なようでございますけれども、一生懸命やっていただいて、とにかくいいお医者さんになっていい医療のサービスをしてもらうということに対して、もっと国民から見て責任のある態度をとるために一生懸命になってもらう、余り他の方のことに対して、参考意見は当然述べられると思いますけれども、これをやらなければ医療制度はできないなんということは、これは本当に行き過ぎだと思います。そういう分に過ぎたことは、こういうことを言うことによっていまの抜本改正の議論が全部停滞しておるわけですから、この問題をぜひともひとつ、厚生大臣として正しい方向で打開をしていっていただきたいと思います。 先ほど問題になっておった薬剤師さんの問題でも同じことです。とにかく医薬分業は本当なんですよ。ただし書きで本当に必要なときに医者が出すというのがたてまえなんですから、厚生省が医薬分業を進める、せいと言うのはあたりまえのことでしょう。それに対してある地区から抗議が出たからといって考え直すなんということは、こんな不見識なことはないと私は思う。これも、さっきから大いに質問を応援しておりましたけれど一も、こういう問題もぜひともひとつ、たてまえとしては、抜本改正を考える場合はやはりたてまえの問題をおろそかにしてはいけないと思いますが、橋本さんは非常に勇気のある方でございますから、私どももひとつできる限りバックアップしたいと思いますから、ぜひともお願いいたしたいと思います。 武見さんがいいお医者さんをつくるための意欲というものは相当なものだと思うし、敬意を表しておるのです。そしてまた、大学の裏口入学に対してのあの人独特の一つの意見でもってあれしておることも私よく知っておりますけれども、しかし、抜本改正のときに自分が一番偉いような、一番正しいような、そういうようなことは少し控えてもらわないとね。とにかく去年の国会が一番いい例じゃないですか、必要な時期に全然進んでない。これは全部武見さんとは言いませんけれども、武見さんがあずかって力がある、停滞には。ぜひともこの問題は御注意になっていただきたいと思います。 それから、きょうスモンの問題で広島の判決が出たようでございますけれども、大臣、ここで私は二つのことをお聞きしたいと思うのです。 一つは因果関係です。キノホルムがスモンの犯人である、あるいはその他にもあるかないかというこういう問題を裁判で争われてきて、二つの例が判決で出ておるわけですけれども、こういう問題は素人の裁判官がやるのになじむ問題なのか、あるいは厚生省として国の権威のあるこういう問題に対して判断の下せる機関があって、その一つの結論というものが裁判の基礎になるというような制度をこの際持っていく必要があるんじゃないか、私は前からそういう感じがするのですよ。やはりこういう問題についていわゆる専門家が、それはたとえ間違ってもしょうがないんです、間違ってもしようがないけれども、日本の最高の専門家という人が審議を尽くして、これはこうだと言うことが最高の権威を持つようにぜひともしてもらいたい。そうでないと、裁判官によって、素人がこういう問題に対して、専門家の意見を聞くにしても、結局素人が判断をするというおかしな結果になると思います。その問題に対してが一つです。結局国の責任のある、こういう問題を審査してそしてシロクロを決める機関ですね、権威ある科学的な、学術的な機関ですね、これを、試験機関を持ったものでなくても、やはり最後は一つの権威的な人の集まりの決定になると思いますけれども、そういうふうなものをぜひともつくるようにひとつお考えいただきたいと思うのです。これはいかがでしょう。
○橋本国務大臣 私は、こうした大きな薬害が今後二度と発生することはないと信じたい気持ちでありますし、また発生させてはならぬと思います。 いま和田先生の御指摘のような機関、いわばそれはアブノーマルな状態に対応するための常置機関をつくるということでありまして、私は、むしろそのアブノーマルな状態をつくらぬことに全力投球をする方が先ではないかと思うのです。キノホルムの問題が提起をされ、キノホルムがスモンの原因と名指されましたとき、ちょうど私は厚生省の政務次官だったわけでありますが、あの時点におきましても、結局それぞれの分野における代表的な学者の方々にお集まりをいただいて研究班を編成し、実際上、臨時応急の法形態ではありましても、その時点における医学の水準を反映した調査、研究というものを行ってきた中から、キノホルムという物質か一つの原因者として明定をされてきたわけでありまして、そういう状態が起これば私は同じようなものをすぐに編成しなければならぬと思いますけれども、むしろ今後私どもか努めなければならないのは、ああした事故を二度と起こさぬということに向けての努力でありまして、いわばアブノーマルな事態を想定して常置の機関を置くという考え方は、私は、和田先生のせっかくの御意見でありますけれども、ちょっと賛意を表しかたい気持ちであります。
○和田(耕)委員 私はAF2のときにもこういう感じを持った。つまりアメリカのある機関がシロだと言えばこれを使う、後でクロだと言えばまた禁止する、ああいうことの繰り返しが食品衛生関係にもかなり多いですね。チクロもそうだ。こういうふうなことを早くなくするように、日本としてもそういうふうなものを判定する一つの権威のある機関を、いろいろつくり方があると思いますけれども、これは厚生省としてはぜひともやはり検討してみる必要があると私は思う。仮にそれが間違っておったとしても、それに従って行政をするということになれば、それに従った行政官の責任はないということになるわけです。そういうふうなものでないと、行政官だってこれはたまったことではない。またスモンのように、たとえばお医者さんがたくさん使うかあるいは少なく使うかという問題が非常に大きな決定的な意味を持ったりする場合には、なおさらだと思うのですね。 まあひとつこういう問題に対して、きわめてずるい大臣答弁みたいな答弁じゃなくて、ぜひともひとつ真剣に検討してみていただきたいと思います。これは、単にいまのこういうスモンのようなものだけではなくて、食品衛生全般に関する問題だと思いますから、ぜひひとつお願いしたいと思います。どうでしょう、一言。
○橋本国務大臣 いま和田先生から補足して御説明をいただきましたような観点でありましたら、私ども大賛成であります。むしろ、いまそういう意味では、私どもは国立衛試の内容の拡充強化とかまた、しばらく前に設立をされました食品薬品安全センターの育成とかいう考え方を打ち出し、現に進行させておりますのもそうした観点から取り組んでおるわけでありまして、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
○和田(耕)委員 もう一つの問題は、こういうスモンのような事件についての国の責任の問題なんですけれども、今度は薬害等に関する基金制度の提案があるようでございます。これに対して国は責任のある立場で関与していくということになるだろうと思うのですが、いままでこの問題は私何遍も取り上げたことですけれども、歴代の厚生大臣は薬事法上の責任はないんだという答えをなさっておられる。この四つの裁判でごらんになるように、そういう感じの裁判を出しているのは東京裁判判決ですね。これが半分ぐらいそういう種類の答弁を出して、あとの金沢と福岡とそれに今度の広島も「薬事法上」のというふうなことを細かく書くんじゃなくて、監督の行政官庁として、これを許可する行政官庁としての責任を主に問題にしている法的な解釈が多いですね。これは私は、こういう問題についてはその方が正しいんじゃないかと思うのですね。 たとえばいまのお医者さんの問題も、これはお医者さんの責任は相当あると思うのです。あると思うけれども、お医者さんに責任を持たすということはまた違った意味でマイナスも出てくるということで、こういうものも含めて、総括的な責任官庁である厚生大臣がそういう問題に対してもし事件が起こればやはり責任を持つという、そういう体制をはっきりしておかないと、厚生省の積極的な、逃げないでまともに対処してこれを解決していくという態度が出てこないと思うのですね。こういう問題について、いままで厚生省はいささか逃げぎみだったんだ。そういう逃げぎみではなくて、各裁判所でも出しているような、つまり細かい法律的な解釈論よりは、やはり薬を主管する省として、そして国民の健康に責任を持つ省として、そういう責任感に立ってもっと積極的に責任をとり、それを打開していくような態度をとる必要があると私は思う。それらしい予算も堂々と要求していくという態度の方が、やはり国民から見れば頼もしいことになるわけだと思うのですね。 これは製薬会社にも相当大きな責任があるし、責任を持たせなければいけませんけれども、製薬会社にはそれぞれ力のあるものとないものと中ぐらいのものがある。これに大きな責任を持たせますと大変不公平が出てきますよ。力のあるものは出せるけれどもないものは出せないなんてことです。また、製薬会社だけに責任を持たすということは、たとえば新薬を開発する意欲をなくしたりなんかする、そういうマイナス。お医者さんに責任を持たすとお医者さんがおどおどしてくるというようなマイナスと同じことです。 そういうこともあるので、総体的に政治的に判断をしても、もっと厚生省として前向きに、いわゆる責任をとった形で——これは悪いから責任をとるのじゃないのです。国民のこういう問題は、薬は必要なんですから、新薬も必要なんですから、新薬にはいつも危険が伴うのですから、そういうことを含めて前を向いた厚生行政の責任論に立って、そして積極的に打開していくという姿勢が私は必要だと思うのです。ひとつ広島裁判を最後にしてそういうふうな立場でぜひともやっていただきたいと思いますけれども、この問題について一言御答弁をいただきたい。
○中野政府委員 大臣の御答弁の前に一言事務当局の立場を御説明いたしますが、現在までの判決に対しまして国が控訴しております立場は、現行薬事法上生じました被害に対して、国のいわゆる加害責任と申しますか不法行為責任によるいわば国家賠償の義務があるかどうかという純法律論の局面におきまして、国としてはそのような不法行為責任は現行薬事法上負い得ない、ということは主張していることでございます。しかしながら現実に、たとえばキノホルムのごとく、因果関係につきまして権威ある調査協議会が判定をいたしたして、さらに国の行政上の責任においてこの問題を解決する必要があるということは、政府もそのとおりに考えているわけでございまして、その意味におきまして、御承知のように、他に例を見ないところではございますが、この薬害救済について三分の一の国費の負担をしているというふうな事情にあるわけでございます。 さらに、先生御指摘のように、今後のいわば一方においてメリットのある薬を使うために不可避的に生ずる薬の被害の救済というようなことにつきまして、今国会に救済法案を提出する予定にいたしておるわけでございますが、これにつきましても、単に民間企業の全面的な負担によるものではなしに、所要の場合、たとえば非常に大規模な被害が発生した場合等につきましては、国の応分の負担を予定した考え方の法案を提出をするというふうに予定をいたしておりまして、そのような意味におきましては先生の御指摘の趣旨に沿うものではなかろうかと思います。 ただ、純粋の法律論の立場におきまして、いわゆる不法行為責任を国がその承認に伴って生ずるという点につきましては、現行の薬事法上の解釈としてはこれは認められないという立場が従前の政府の立場でございます。 その法律論の問題と行政的あるいは社会的な問題の解決の責任というものを、区別して従前考えておりますので、その点も御理解いただきたいというふうに考えております。
○和田(耕)委員 それはいままでの御答弁と大体同じ方向だと思いますけれども、裁判所で、法律的な判断を下すところで、やはり法律論として責任があるとこう大部分は言っているわけです。東京裁判で半分ぐらいそれと近いあれがあるぐらいで、あとは全部、法律論として「薬事法等」との言葉も入っておるというのが二つ三つありますけれども、責任があるとこう裁判所で言っている。これに対して国は、責任がないとこう言っているわけです。この問題も細かいことを言うと国の方では十分検討したものだと思いますけれども、そうでなくて、こういう問題に対しての責任のとり方というのは、もっと大きな意味で、国がこういう問題を打開して推進していくという立場からやっぱり責任があるというふうにとって、責任をとることは悪いことじゃないわけですから、そういうふうな意味を含めてひとつぜひともこの問題については前向きな判断をしていただきたい、私は、こういうように思えてならないのです。
○橋本国務大臣 和田先生言われるお気持ちは私もよく理解できることでありますし、事実そういう気持ちをいまも持っておるつもりであります。ですから先ほども、実はもう一括解決の時期が来たという感じがするのだということも率直に申し上げました。ただ、法律論の上での論議というものは、これはやはりあるわけでありまして、それはそれなりの議論はさせていただく必要もあろうかと思います。ただ、それは決して現実にある患者救済に努力を怠る口実になるものではございませんし、また努力をしなければなりません。また同時に、こういう問題が和解という形で解決ができることを私どもとしては本当に心から望んでおるわけでありまして、今後ともにそういう努力は続けてまいりたいと考えております。
○和田(耕)委員 私もこういう問題は、患者は患者としての立場があると思いますけれども、やはり権威的ないろいろな機関があり、信用される機関が確立しておれば、和解という方法が一番なじんだ方法だと思いますね。先ほど言ったように、キノホルムが犯人とかなんとかということも含めて、これは裁判官に判断をしろと言ってもできにくい問題だと思いますよ。といって、全部ある機関に任してということもなかなか問題もあるわけだし、これはまた、先ほど言ったような国のいろいろな法律的な責任論もあれば、あるいは国民生活上からの国の責任ということもあるだろうし、やはり公正ないろいろな機関を置いた上での和解ということが一番なじんだ方法だし、また諸外国で一番成功している方法でもあるわけですから、ぜひともひとつ、しかるべき考え方を持ち、しかるべき機関を設置して、和解というような形でこれをできるだけ早く、そして手厚く解決していくような方法も必要だと思います。 これと関連しまして、スモンもそうですし、他の原爆症の問題もそうですけれども、はり、きゅう、マッサージ、漢方関係の療法がこういう難病にはかなり有効だという一般的な説がある。これはどうか知りませんよ。知りませんけれども、しかしこの問題については、はり、きゅう、マッサージの健康保険上の適用の問題がいろいろ出てきている。最近も、せっかく適用しても値段が実際は三倍もかかって、三分の一しか金が払われないという問題があって使われないということも出てきているようでございまして、こういう問題を含めて、ぜひともひとつ総合的に、これらの患者の救済の問題等をお考えいただきたいと思います。私もこうしろ、こうしろという案がありませんけれども、ぜひともこれは大臣にお願いしておきたいと思います。こういうもの、いかかでしょうか。
○中野政府委員 御指摘のように、実はわれわれは、スモンという病状のいわば治療あるいは症状の改善のためにいかなる方法があるのかということで、長い間治療方法の研究を続けてきたわけでございます。 今日までのところ、たとえばスモンに関して申しますと、わずかにはり、きゅう等の東洋医学系統のものがある程度まで効果があるのではないかということが認められているわけでございますが、それも、しかし残念ながら、たとえばどのような頻度でどのような症状に対してこれを行うことが適当なのかということについては、確定的な結論は出ておらないわけでございます。 そこで、今回のスモンの問題の解決に際しましては、実は従前からのスモン研究班の担当者の方々と東洋医学系統の方々との懇談をしていただきまして、さらにその懇談の結果に基づいて、五十四年度予算で一億円の研究費を計上いたしまして、この東洋医学系統の医学的な手法がこの種のいわば難治の病気に対しましてどのような効果を発揮し得るか、またそのためにはどのような治療法によるべきかということの研究を行っていただくということで、ついせんだって、来年度のそのようなプロジェクトをどのように進めるかということについての御示唆もいただいたところでございます。五十四年度予算一億円のプロジェクトになっておりますので、この成果をまちまして、東洋医学的な方法の難病等に対する適用についてぜひともしかるべき結論を出してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○和田(耕)委員 ぜひお願いをいたします。 最後に、先ほどちょっと触れました医者の研修制度というのが所信表明の中にありますけれども、あれはどういうふうに運営なさるおつもりですか。
○橋本国務大臣 一般的に医師の研修と申しましても、国家試験終了後のいわゆる卒後研修に当たります二年間の法的に義務づけを受けておる者、これは従来と別に変わるつもりはございません。ただ、最近になりましていわゆるプライマリーケアと言われるもの、初期医療の一つの形態、より高度なものと理解をいたしておりますが、等の問題が非常に大きく取り上げられるようになりまして、そういうものについての将来に対する布石をいまから行っていきたいということで、今日準備をしてまいりました。 いま考えられておりますのは、そうした分野において進んでいる国々に対して日本からお医者さんを派遣し、研修を受けてもらい、インストラクターとしての資格を持って日本へ帰ってもらいましたら、今度はその方々を全国的に、各プロッターつぐらいになりましょうか基幹病院とでもいうようなものをその間に準備をしておきまして、帰ってこられたインストラクターとしての資格をお持ちの方に、その病院において、今度は地域医療の一線を受け持っていただいているドクターの方々に対して、その新しく得てきた知識を付与していただく役割りをする、そういうようなことも今後の構想として考えておるわけであります。
○和田(耕)委員 このお医者さんの研修という制度は、もう十年ほど前に、何か登録医制度とかいうのがありましたな、非常にいい制度だと私思ったのですが、ずいぶん評判の悪い制度だったのでこれは出し方によって非常にむずかしい問題があると思いますけれども、常時この問題は考える必要があると思いますね。武見さんなんかもこの問題には一生懸命ですよね。また武見さんの一番いい点はこういう点だと思うのだけれども、ぜひひとつこの問題は怠らないでやっていただきたいと思います。ちょうど医務局長もおられますから、よろしくひとつお願いを申し上げます。 終わります。
○戸井田委員長代理 次に、田中美智子君。
○田中(美)委員 大変時間が遅くなりまして、大臣、局長御苦労さまですけれども、誠意を持ってお互いに審議を始めたいと思います。 まず最初に、スモンの広島裁判が患者側の全面勝利という判決がありました。この判決の中で「昭和三十一年一月十七日以降キノホルム剤の危険に対する予見が可能であった」と言っていることは、国と製薬会社の責任がさらに厳しく問われたものだというふうに私は思います。それで、国としてはこの判決を謙虚に受けとめて、裁判をした人もまたしなかった人も投薬証明のとれていなかった人も、すべてのスモンの患者を含めて一日も早く安心して治療が受けられるように、そして生活ができるように、恒久救済策を講ずべきだと私思います。大臣の誠意ある前向きの決意をお聞きしたいと思います。
○橋本国務大臣 けさ十時に行われました広島地裁のスモンに対する判決、私この委員会に入ります前にその骨子だけを伺ったわけでありますが、非常に厳しいものと受けとめておることは先ほど申し上げたとおりであります。 それと同時に、ようやく東京地裁を中心として約千名の患者の方々との和解が進捗してきたわけでありまして、一つの患者救済のレールとして定着してきたと私ども受けとめておりますが、従来一つの問題でありました、田辺製薬が患者救済については国の方針に同調するというところまでようやくまいりましたし、こうした状況の中で、一括解決に踏み切る決断をする時期がようやく熱したのではないだろうかというのが、けさの判決を受けましての私の率直な感想でありました。 法律的な問題としての論議は今後もあろうかと思いますけれども、それはそれとして、やはり患者の救済というものに主眼を置いていきます場合に、そうした意味での努力はいたしたい、そのように考えております。
○田中(美)委員 それでは、誠意ある前向きの解決をしていただきたいと思います。 次に、医療社会事業の問題について質問いたします。 日本福祉大学の名誉教授の浅賀ふさ先生、この先生は日本に初めてMSWを持ってこられた人だと言われています。この先生が定義をしておられますので、ちょっと読み上げてみます。 「医療社会事業は1単なる救済事業ではない。2医師を中心とする医療チームの一員として、医療の効果を妨げる患者の物質的・心理的・社会的障害や困難を解決するよう援助して、その属する医療(または保健)機関の目的を有効に遂行するために協力する。3ソシアル・ケースワークの一分野で、医療(または保健)問題を主要問題とした特殊なケースワークでありケースワーク原理を基礎とした仕事である」このようにMSWの仕事を明確に述べていられます。これか大体の合意事項になっているというふうに私は理解しています。 次に、厚生省でも、公衆衛生局長が都道府県知事や政令市長にあてて「保健所における医療社会事業の業務指針について」というのを出していられます。この中でMSWの定義を述べています。これによりますと「医療社会事業とは、医療並びに保健機関などの医療チームの一部門として、社会科学の立場から医師の診断を助けるとともに、疾病の治療、予防、更正の妨げとなる患者や、その家族の経済的、精神的あるいは社会的な諸問題を満足に解決もしくは調整できるように、患者とその家族を援助する一連の行為をいう」こういうふうにはっきりと厚生省も規定しています。こうしたMSWに対する要求というのがこのところ急激に高まっているということは、大臣も御存じだと私は思います。 それで、最近の患者団体の声を少し紹介してみたいと思います。 全腎協の小林孟史さんという方は「親殺し、子殺しや一家心中などいまの世相を見るにつけ、もっとMSWが多くいて相談できたらいいと思う」、日本てんかん協会の松本了さんは「てんかんの問題は、医師のみでは解決しない。他のパラメディスカルスタッフや教育、福祉の分野の援助が必要だ」、リウマチ友の会の島田広子さんは「リウマチは、古くからある病気なのに専門医か少ないことや、女性に多いということから、障害が重くなると、特に主婦の場合相当の負担が出てくる。大変な困難さを抱えている。MSWがリウマチ患者の一番の相談相手になってほしい」、こう言っていられます。また、全日本断酒連盟の霜田一男さんは「医療の分野だけでアルコール中旬の問題は解決しない。アルコール中毒はだめだということではなく、アルコール中毒を何とかしようということでMSWに援助してもらいたい」、こういう声が上がっているわけです。 日本学術会議が昭和五十二年に勧告を出しています。これによりますと、医療福祉士、これは仮称で、MSWのことですが「近年医療の中に福祉の視点が定着し拡大しつつある。ことに専門職によるチームワークが不可欠となり、リハビリテーション医療や地域医療の場で、他の専門技術者と対等の有資格者として、医療福祉士が参加することは絶対に必要である」、こういうふうに日本学術会議でも指摘しているわけです。また、日本医療社会事業協会では、ことしの初めから、MSWを置いてほしいという運動と要求を支持する署名活動を始めていますが、これに病院長や保健所長が続々と署名をしているというのがいまの現状です。 それから昨年の十二月八日、NHK教育テレビの「福祉の時代」で全賢協の代表が難病患者の問題を取り上げたところが、物すごい反響だった。それでNHKは再び「スタジオ102」でも取り上げたことは御存じだと思いますけれども、その後、全国からNHKに電話相談が二百件以上あったそうです。まだ二カ月ちょっとの間ですね。手紙が六十通も届いている。その中身の問題ですけれども、ほとんどが精神的援助を求めているもの、また多くが相談する場が少ないことを訴えている。ということは、MSWが欲しいということをこんなにたくさんの人がNHKに訴えているということです。 また、ことしの二月十日付の日本経済新聞には、MSWの仕事かいかに重要かというその仕事ぶりか報道されています。テレビのドラマの中にも、最近はこうしたMSWの方たちが出るというような状態になっているわけです。 さて、なぜこんなにMSWの必置制を要望する声が強くなっているのか。このところ急激に強くなっているということは厚生省側もお認めだと思うわけですね。長期の治療を必要とする慢性疾患や難病それから公害病などがふえているように、疾病構造というのは変化しています。かつては結核が病気の王者と言うとおかしいのですけれども、そういう時代もありました。いまは疾病の構造が非常に変わってきている。特に近年、公的な医療費負担制度、こういう制度が次々と改善されていったり、施設も少しずつですけれども整備されてきている、その上にこういう制度などが非常に複雑で多様化しているので、なかなか国民の皆さんには全体を把握するということが困難な状態になってきているわけです。こういう中で患者や家族の精神的経済的な負担はますます高まっていますし、その上に家族構成というものも急激に変わってきています。その中での人間関係というものが非常に複雑になっている。だからこそ、患者や家族の側からも医療スタッフの側からも、MSWを設置してほしいという強い要望が出てきているのだというふうに思うわけですね。それで、このような急激な変化に政府が敏速に対応していかなかったら、せっかく福祉制度というものを少しでも改善してもこれが本当に実効あるものにならない、そういうふうに私は思うわけです。敏速に反応していただきたいというふうに思うので、きょうこの質問をしているわけです。 それで、まず社会局長さんに伺いたいと思います。 昭和四十九年に、無料又は低額診療事業についての通知というのを出されています。これによりますと、社会福祉法人が経営する病院や診療については医療ソシアルワーカーの配置が条件だ、MSWを義務づけているわけですね。その後、厚生省の解釈では、非常に具体的に病院の二百床について一人のMSWを置くべきだと言っているわけです。この通知にあるように義務づけているということは、MSWの必要性を感じたからだと思うのですけれども、どのように必要性を感じていられるのか。簡潔に答えていただきたいと思います。
○山下政府委員 社会福祉事業法に基づく無料、低額診療事業を行う病院、診療所についての基準でございますが、お話のとおり、この種類の事業には低所得者でありますとかあるいは要保護者でありますとか、身体障害者でありますとか、そういった非常に困っておられる方が多く見えられますものですから、生活全般にわたって困難な問題を抱えているケースが非常に多いと考えまして、医療上、生活上の相談に応ずるためにこのような基準が設けられておる、このように理解しております。 〔戸井田委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
○田中(美)委員 その次に、公衆衛生局長にお尋ねいたします。 昭和四十九年度にMSWについて二つの研究がなされています。その一つは「ヘルスマンパワーの開発と将来需給−医療社会事業について−」こういう研究です。厚生省特別研究と言ってやられています。これを見てみますと、MSWを拡充せよ、こういう提案がなされている。もっと具体的に、たとえば五十から百床当たりにMSW一名を配置すれば一万五千人のMSWが必要である、こう言っているわけです。現在MSWは三千人しかおりません。ですから、五倍にやれということがこの調査で提案されているのですね。少なくとも一万五千人までいってもいいんじゃないか、こういう提案がなされています。 それからもう一つの、これも厚生科学研究という形で、「医療社会事業の現状と課題」ということで研究がなされています。これも結論としては、諸外国特に先進諸国においてはすでにSWを加えたチーム医療が実施され、効果を示しているのに対して、日本の医療は大きく立ちおくれている、これはおたくの方でなさった研究ですね。これではっきりと、日本の医療が立ちおくれている中には、MSWがないということが非常に大きいのだという結果が出ているわけです。 こういう二つの成果の上がった研究が出ているのですけれども、これに対して公衆衛生局長はどのように受けとめていられるのか、お答え願いたいと思います。簡潔にお願いします。
○田中(明)政府委員 ただいま先生から御指摘いただきました四十九年度の厚生科学研究、二課題の研究成果につきまして、われわれもその報告内容を十分検討させていただいておるわけでございますが、ここにありますように、先生先ほどちょっと触れられましたけれども、たとえばヘルスマンパワーの研究につきまして、現在、保健所あるいは病院でMSWを雇っておられるところの実態を報告されて、非常に役立っている、そういうような病院あるいは診療所を全国的に広げると、先ほど先生がおっしゃったような数が必要となるであろうというような御指摘があるわけでございますけれども……(田中(美)委員「どう受けとめているのかということについて聞いているのです」と呼ぶ)われわれといたしまして、その研究成果も踏まえ、また先ほど先生のお話にもありましたように、現在いろいろ疾病構造等が変わり、それに伴いMSWの仕事の内容も変わってきているということに着目いたしまして、さらに医療ソシアルワーカーの業務につきまして研究を深めているところでございます。
○田中(美)委員 業務を深めているということはどういうことですか。簡潔にお願いします。
○田中(明)政府委員 その後の疾病構造の変化あるいは社会、経済状況の変化等に対応いたしまして、医療ソシアルワークの業務の内容あるいは他の職種との連携というような点について、厚生科学研究においてさらに研究をいたすところでございます。
○田中(美)委員 いまのお話ですと、結局、これだけの成果の上がった研究が出ているにもかかわらず、早急にMSWをふやせという提案が出ているのについては余り触れないで、業務内容がどうなっているか、現状がどうなっているかということをまだ研究している段階だというふうに受けとめてよろしいのですね。
○田中(明)政府委員 研究報告につきまして、その内容についてわれわれが参照いたしましてすでに取り入れているところもございますが、先ほど申しましたように新しい事情に対応してさらに研究を深めているところでございます。
○田中(美)委員 研究をしているだけであって、ふやそうという努力をしているということが一言も出ないということだけ確認いたしまして、それでは次に、大臣に直接質問させていただきたいと思います。 先ほど申しました厚生省の通知、この通知の社福法人の病院では義務化せよというのを受けて、約三百十病院あるそうですけれども、ここでMSWの配置が一〇〇%行われている。ところがおひざ元の国立医療機関では二〇%を割るか、それとも二〇%程度しか置いていない。二〇%程度でいいと思っているのか。同じ厚生省で出した通知では、社福法人病院では一〇〇%置けと言っておきながら、自分の国立病院、一番のおひざ元の国立医療機関では二〇%しか置いていないというのはどうしてなのか、その御意見を大臣に伺いたい。
○橋本国務大臣 MSWの重要性は私どもも十分認識をしておるつもりであります。ただ現実の問題として、二〇%と言われましたけれども、それでも努力してようやく三一・九%までは実は上げてまいりました。これは一つの大きな問題点として、総定員法によって国立病院、療養所の定員が縛られておりますために、必要性は認識しながらも、どうしても看護婦さんの増員とかあるいは新しい診療科を設ける場合のお医者さんの増員とかいう方が優先してしまうという、私どもの内輪のつらさも御理解いただきたいと思います。 そこで、実はソシアルワーカーを配置していない施設におきましては、それを少しでも補うべく医事係の職員等が積極的に医療相談に応ずるなどの体制をとりまして、患者や御家族の御要望にこたえる努力をいたしております。今後の増員についても私どもなりに努力をしてまいりたいと考えておりますけれども、それには疾病構造の変化等、その必要性を十分検討しながらの努力ということでお許しをいただきたいと思います。
○田中(美)委員 必要性を研究しながらということは、私はおかしいと思うのですよ。これだけの研究がいままであって、これで必要なんだということは政府の研究で出ているのですからね。それに学術会議でも、医者も保健所長も患者も研究者もみんなが要ると言っているのですからね。政府自体も、これは要るから社福法人の病院には置け、こう言っているわけでしょう。それなのに、大臣がこれからまだ必要性を研究すると言うのはおかしいじゃないですか。
○橋本国務大臣 必要性というのをそういうふうにとられたのでしたら、ここはちょっと訂正させていただきます。ただ、すでにこれを配置しているところもありますし、また国立病院、療養所の中には、たとえば例示で大変恐縮でありますけれども、らいの療養所のようにむしろ療養所全体がその機能に向けて集中しているようなものもございます。そういうところは必ずしもいまMSWを配置しなくても、むしろ診療機能そのものがそういう方向にあるわけでありまして、ですから、その他の場所について努力をしないと私は決して申しておりません。
○田中(美)委員 それでは、必要性をこれから研究するというのは訂正なさったので、もう必要性はわかっているんだから……
○橋本国務大臣 その部分の必要性についてはですね。
○田中(美)委員 ですから努力するということなわけですね、これは。
○橋本国務大臣 ただし、総定員法の枠というものがあることも御理解をいただいて……
○竹内(黎)委員長代理 発言は委員長を通して行うようにしてください。
○田中(美)委員 先ほども総定員法というふうに言われましたけれども、そうしたら、自衛隊だけはどうして総定員法にひっかからないのか、おかしいと思うのですけれども。——いまおっしゃったように看護婦や医者が優先する、こう言われましたね。確かに医者も看護婦も必要です。必要ですけれども、いま疾病構造も変わり社会情勢が非常に変わってきて、日本の医療のおくれはMSWのないということ、少ないということにさえある。それで厚生省もそれを認めて、社福法人の病院には一〇〇%置けと義務づけている。それなのに国立病院には、私の見たのでは二〇%だったわけですけれども、一番新しい統計だと思いますが、いま一二・九%、まあ三二%になっているとしても、社福法人の病院と国立病院と一体どこが違うのですか。先ほどちょっと言われた言葉かあるのですけれども、無料だとか生活保護者だとか、障害者だとかが多いからというような言い方をなさいましたけれども、これは大臣じゃないです、社会局長が言われましたけれども、これはおかしいと思うのですよ。MSWというのは救貧対策とかそういうものではないのですよ。MSWの果たす役割りというものは貧乏な人だけを対象ということではないのですよ。障害者だけを対象ということではないですよ。それは研究の結果でもう十分おわかりのはずですね。ですから社福法人の病院に厚生省は一〇〇%義務づける、それも二百床に一人という数まで言っている。それなのになぜ国立病院には三二%しか置かないのか。総定員法があるから絶対だめだというなら、総定員法が取っ払われるまでは絶対にMSWはふえないのかということになりますね。社福法人の病院と国立病院とどこが違っているのですか。大臣、お願いします。
○橋本国務大臣 ですから、努力をいたしておると申し上げております。何も、総定員法かある限り一人もふやさないなどと私は決して申しておりません。その枠の中におきましてもできるだけ努力をしながら、少しでもふやしてきたという努力はお認めをいただきたいと思うのです。
○田中(美)委員 努力を認めろと言っても、八〇%になっているなら努力は認められますけれども、一般の社福法人には一〇〇%やれと命令しておいた張本人が、自分のところは三二%しかやっていないというのは、それは、努力というのは客観的に見ないと、主観的には努力していらっしゃるかもしれませんが、客観的には結果的に努力というものはあらわれていないと思うのですね。 それで、もう一つ申し上げたいのは、昭和四十八年に行政管理庁が、国立療養所の運営に関する行政監察結果に基づく勧告を出しています。これは御存じだと思います。これによりますと「国立療養所においては、医療社会事業の必要性は高いものと考えられる」「したがって、まず専任のケースワーカーの確保を図る必要がある」ということを行管が言っているわけです。勧告を出しておるわけなんです。それを受けて「医療ソーシャルワーク業務内容の分析 国立MSWの場合」ということで、厚生省の医務局で国立医療機関に働くMSWの方々に研究を委嘱したものがあるわけです。御存じですね。これのまとめでも「国立施設におけるケースワーカーの配置が需要にみあったものとなっていないことが、ワーカー業務の標準化をさまたげている。」こう言っているのです。先ほど業務内容を研究していくとか、そんなようなこともちょっと出ましたけれども、それは論理が間違っていると思うのです。あなたの方が行管の勧告を受けてさせた研究で、MSWが需要に見合っていないからワーカーの業務の標準化ができない、妨げているんだ、こう言っているのですね。標準化は妨げられているわけですから、こういう状態の中でそれは幾ら研究したって、むだだとは言いません、言いませんけれども、こういうふうにはっきり指摘されているわけですから、まず需要に見合ったものにすることで、ワーカーの業務の標準化というものはよりはっきり出てくるのじゃないですか。だから厚生省の研究成果というものは着々と上がってきているわけですよ。ただ、大臣はMSWのことはよく御存じのはずですけれども、どうですか、ここは落とされていらっしゃるんじゃないかと思うのですが、厚生省はこれだけ何遍も研究をさせて、お金はほんのちょっとですね。ほとんどは研究者が自腹を切ってやったものですね。しかし、一応厚生省は五十万とか六十八万とか金を出していますから、厚生省がやらせておるわけです。その結果がこういうふうに出てきておるわけです。そして行管でも言っている結果は、ワーカーを採用しなければ業務の標準化はできないと言っているのに、まだ採用が三二%というのでは、自分のやった研究にも余りにもおくれている。大臣は努力すると言っていらっしゃいますから、お若いし実行力はあるというふうに思いますので、ここを起点に、日本も欧米に恥じないようにMSWをやっていただきたいというふうに思います。 それで、最後になりますけれども、研究の到達点というのはここまで出てきているわけですね。ですから今後具体的にどうするか。ただ努力するという抽象的な言葉だけでは困るのです。ですから具体的にどうするかということを、まず医務局長とそれから最後に大臣に御意見を聞きたいと思います。
○佐分利政府委員 大臣が御説明いたしましたように、五十四年度の定員の増加数も非常に厳しい状況にございます。したがって、ここで何名というお約束はできないのでございますけれども、施設の方とよく相談をいたしまして、一名でも二名でも多くと考えております。それと同時に、先ほど大臣からお話ございましたけれども、医事課の職員が兼務でMSWを担当しております、こういった施設も約八十ぐらいはある、人数にすると九十人ぐらいはいるだろうと思うのでございますが、そういった一般職員の講習とか、あるいは社会局が行っております試験を受けるとか、そういうふうなこともあわせて考えてみたいと思っております。
○橋本国務大臣 率直な感想を申し上げまして、これはきょう行政管理庁もお呼びいただいたら、非常にいい私どもの応援をしていただけたと思います。むしろ私どもその必要性を十分理解しておるつもりでありますけれども、いまのお話は田中委員の方から行政管理庁に対してもぜひ強くおっしゃっていただきたい。私どももこれから先も努力をしてまいるつもりであります。
○田中(美)委員 簡単に、努力するので行管に言えなどというのは、ちょっと若い大臣にしては逃げ口上のような感じですが、いま医務局長、医事課の職員を講習してどうのこうのと、こう言っていますね。しかし、日本学術会議の調査では、いま日本ではソシアルワーカーというのは資格を持った人が非常にふえてきておるわけですね。大学もいま四十六の大学が福祉科を持っています。ここで卒業生がどんどん出るわけです。すべてがMSWになれるというわけではありませんけれども、十分にその資格を持った人はたくさんいるわけですね。先ほど出たように、需要もこの研究結果でいけばあのような計算をしても一万五千人は必要だということ、MSWはいまある医事課に兼務をさせてできるようなものではないですよ。それは十分御存知だと思います。何でも形だけこれは兼務しているんだと言えば数は幾らでも出ますけれども、実際には医事課の人には自分の仕事があるわけですからね。それをちょっこり講習をして兼務させるなどということは、これは事実上は実のあるものではないわけです。日本にMSWがいないというならば、その過渡的なものなら仕方かありませんよ。しかし、これだけ福祉大学もたくさんできて年々卒業している、その人たちの就職の場も困難だ、私は就職のことだけで言っているわけじゃありませんけれども、一番は、やはり患者の立場に立ったときにMSWが欲しい、こう言っているのです。あなたたちのやった研究でも、需要に見合ってないと言っているのです。その需要に応ずるだけの人間はいるんだ。それなのに、どうしてそんなこそくな講習などで兼務をさせようとするのですか。そういう曲がった道へ入っていくようにしないで、どんな困難があろうと、総定員法があろうと、そこでやはり厚生省が熱意を持って、一人でも二人でも国立病院に早急に、少なくとも八〇%、九〇%専門のMSWを置くように努力するというのが前向きの姿勢じゃないですか。いまの医事課を講習させてこうする、それは撤回してほしい。
○佐分利政府委員 先ほども申し上げましたように、非常に定員増の枠が厳しゅうございます。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕 一方においては、大阪の循環器病センターを初め、難病病床等もふやしております。したがって残念ながら、どうしても医師とか看護婦等の増員が優先するわけでございますので、先生のお気持ちよくわかるのでございますけれども、当面その不足を補うとすれば、どうしても兼務要員を活用していくしか方法がなかろう、一方においては少しずつ増員を図りますけれども。そういう意味で申し上げたものでございます。
○田中(美)委員 最後に一言申し上げますが、厚生省がもう少しMSWの必要性というものを強く感じていられれば、大蔵省に対してだってやはりその予算要求をしていくというような、そういう強い姿勢でやってほしいと思うのです。あるだけの金でちょこちょここそくにやろうとしないで、いま福祉というものを大きく広げていかない限りは、日本の混乱というのはますますひどくなるわけですから、もう少し厚生省がしっかりしてほしいというふうに思います。それを最後に申し上げて私の質問を終わりますので、大臣、もう一度決意のほどをお願いいたします。
○橋本国務大臣 できるだけの努力はいたします。
○田中(美)委員 質問を終わります。
○森下委員長 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)委員(新自) きょうは、昭和五十四年一月二十五日都道府県知事あてに厚生省保険局長から「保険診療適正化のための指導、監査の推進について」という通達か出されております、その通達について質疑をさせていただきたい、こう思います。 まず、この通達の目的はどういうところにございますか、大臣からひとつお答えをいただきたい。
○橋本国務大臣 保険診療においては、学術的な基盤に立脚して、しかも医学の進歩に即応した的確な診断と診療が行われる必要があることは当然でありますけれども、同時に、医学常識から極端に外れた診療であってはならないということも、これは事実であります。 これまで保険医療機関の指導、監査につきましては、診療内容の当、不当の判定というものが不正請求の判定とは異なって大変むずかしい、専門の分野でありますだけに大変むずかしいということもありまして、運用上、特に監査においては主として不正請求の疑いのあるものを中心に対処してまいりました。 しかし、保険診療の適正化を図り、同時に医学常識に沿った診療というものを確保するためには、不正請求であるものにとどまらず、医学的に見て不当だと思われるものも、やはりこれはきちんと正していくことが必要であろうと私どもは考えております。 そのため、医学常識から見て著しく不当と思われるようなケース、一件当たりの診療点数が非常に高いとか、幾つかの具体的なものを例示をいたしまして、指導、監査の重点的な対象というものを明確にさせたのが今回の通知でございます。
○工藤(晃)委員(新自) それに関連しまして、私の手元にございます雑誌にこういうことが書かれているのです。「厚生省は、橋本厚相と武見日医会長との合意にもとづき、二十五日付で「保険診療適正化のための指導、監査の推進」、二十六日付で「健康保険組合の医療費通知及び不正請求告発運動」についてそれぞれ保険局長名で地方へ通知した。今回の両通知は、懸案となっている指導、監査体制を強化する一方、健保組合が予定している医療費の通知等に行き過ぎがないよう警告したものであり、両者ともに関連性をもたせている。」こういうことが報道されているわけなんです。もちろんここに書かれていることを正しいという前提に立って質疑をするわけじゃございませんけれども、いま大臣がお答えいただきました目的は、私はそのとおりだと思うのです。本来を言えば、この医療というのは医師と患者の相互信頼の上にしか成り立たない、逆に言えば、それ以外のものは介在する余地がないというのが医療の本質だと私は思うのです。そこへもってきて指導、監査ということになると、そこへ割って入るという一つの作業をするわけですから、もちろんいま大臣がおっしゃったようなことの留意は必要でございますけれども、そういうことが適正に運営されるかどうかということはもっと大切なことだと思うのです。ということは、医師と患者の相互信頼というものをそこでなくしてしまうような、あるいはそれをゆがめた方向に持っていく結果が出るとすれば、逆に指導、監査はしない方がいいという、こういう結論にもなってくる問題だろうと思うのです。そういう意味で、大臣のいまおっしゃいましたそういう目的をここで改めていろいろな面から分解をし、より深い理解をもって運営をしていただかなければならない。そういう点については、やはり医療の本質というものがそういうものであるということの前提をお互いに確認したい、こう思いますので、その点についてはいかがなものか、ひとつ大臣にお答えをいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 医療の本来あるべき姿につきましては、私は工藤委員の御指摘のとおりだと思います。ですから私どもは、診療内容の当、不当の判断というものをいたすにつきましては、その判断をする人間自身がやはり高度の医学知識というものを必要とするわけでありますから、研修、講習等によりまして指導、監査の担当者の資質の向上というものに当然努めていかなければなりません。また、医療課長のもとに専門家を採用してその体制づくりをしようとしておるのも、まさに御指摘のような観点を私どもなりに考えていたしておることだということを御理解いただきたいと思います。
○工藤(晃)委員(新自) そういう観点からの今度の通達であれば、いままでの通達と違うところをひとつ明らかにしていただきたいと思うのですが、そういう点はどうですか。いままでと全く同じなんですか、それともどこか変わったところがございますか。
○石野政府委員 従来の指導、監査につきましてと基本的に変わった点ということは、要するに保険診療の適正化という観点に立って物事を整理した、これがやはり一番大きな違いだと思うわけでございます。要するに、単なる不正をあばくということはもちろん必要でございますけれども、やはりそれ以外に、適正な診療を進めていただくというためには、医学的に見て常識から外れた問題、それは先ほど大臣がお話しになったようなこともありますけれども、それ以外にもいろいろございます。そういう問題についてある類型を示して、そして具体的にそれについては御指導申し上げる、こういうことが一番大きな差異ではないかと思うわけでございます。
○工藤(晃)委員(新自) いっそうとは申し上げませんけれども、過去においては往々にして経済的な審査という傾向があった、そういうことがやはり一方において強調されている事実がございます。そういうことにかんがみまして、医療の適正化というのはどういうことをもって適正化と言うか、もう少し的確に御指摘いただきたい。
○石野政府委員 医療の適正化というのは非常に広い意味があると思います。たとえばいま申し上げました医学常識から極端に外れたものにつきまして、これはやはりいまの保険診療というたてまえからしますと好ましくない、これについては当然指導もし、監査もせざるを得ない。それから同時に、現在の医学常識から見て当然やるべきことをなさらないということも、これはやはり保険診療として適切でないと思うわけでございます。そういう意味で、要するに上下にわたって広い範囲のものというふうに私どもは理解し、通知を出したつもりでございます。
○工藤(晃)委員(新自) いまの局長の答弁は、あくまでも診療内容を向上させて医学の向上を図りながら、医学的な向上をその診療の中に含みながら国民の健康を守っていこう、こういうお考えでなさっている、そういう意味の適正化でございますか。そういう点についてもう一遍はっきりと。
○石野政府委員 そのとおりでございます。
○工藤(晃)委員(新自) そうしますと、私がこういうことを最もしつこくお聞きいたしました理由は、やはり運用というものが大変大きな問題になってまいろうというふうに考えるわけです。 特に、一方において権限を持ちあるいは指導、監査をする、この監査という言葉もニュアンスとしては私は大変不適当な言葉だと思うのです。 ということは、一枚の紙切れでそれが正しいか正しくないかということを査定すること自体が、大変むずかしいことだと思うのですね。ということは、もう過去の治療であり、現象をながめるわけじゃございませんから、あくまでもその人の主観的な物の考え方がそこに大きく導入されてまいる。 しかしながら、医療というのは、まず第一番に、医師と患者がお互いに信頼し合った中で、人命をどう扱うかという大変崇高な行為でございますから、それを後で、これが適正であったかなかったかということを判断するということは、そのグレンツゲビートというか、限界のところが大変むずかしいところじゃないかと思うのですね。 だからそういう意味も含めて、やはりこの運用ということについてはあくまでも冷静な、公平な、そしてまた適切なものでなくてはならないし、その手段、方法はあくまでも民主的でなくてはならない。官僚的な指導とかあるいは審査とか、あくまでもそういうふうな態度で接した場合には、往々にして私がいま懸念しておりますようなところへいってしまうのじゃないかという心配が一つございます。 それからもう一点は、審査される側の立場もやはり十分配慮してみる必要があると思うのです。その人が熱心の余り一生懸命やった結果が、これはあなたは適切じゃないのじゃないか、こういう意見が出たと仮定しました場合に、その人は、自分は一生懸命やったのだけれども、しかしそれがよくないという結果になれば、患者に対する自信というか、その方針というか、そういうものに大変大きな心情的な変化が起きてくるだろう。それがよく言われる萎縮診療、そういう言葉で表現されるようなことにもなりかねない。 ということは、局長が先ほどおっしゃったように、その診療内容が適切であるということはあくまでも医学的な見地に立ってやるのだということであれば、逆に言って、その医学的見地が本人にとって納得のできるものでなくては、やはり診療の結果にはいい結果が出てこないだろう。そういうことになると、やはりどうしても、対話という姿勢がまず第一番に必要なんじゃないか。 あくまでもあなたのやった結果はよくないですよというような、あるいはまた、ここにも「不正請求の疑いのあるとき」とか「保険診療の適正化」とか「医学常識から極端にはずれた診療」であったとか「漫然と長期にわたって診療を続けているもの」とか、こういういろいろな表現がございますが、これはすべて抽象論でございますね。だから、どれをもってその物差しとするかということについては、全部大変むずかしい問題が含まれているわけです。 その中で、目的はやはり患者の命というものを大事にするということに対して、適正な診療が行われるように指導するということが一番正しい指導の方法だろうと思いますから、そういう意味において、診療担当者の側の気持ちも十分察知した上で、親切なそしてまた懇切な指導をしていただかなければならない。それが往々にして、切り捨て御免だとかあるいはけしからぬとか人を見たらどろぼうと思えというふうな、そういう感覚でこういうものが運営された場合には、一体何がそのバックグラウンドに出てくるかといいますと、人命軽視がその下に出てくるのじゃないかという、心配を私はするわけです。それはだれもわからないわけですから、神様でもあるいは判断ができないかもしれない、そういうところへしわ寄せがいってしまうことを私は大変恐れるわけです。 だから、形のあるものは評価しやすいですか、形のないものを評価するという場合には、大変むずかしいことであるということをまず私は指摘したい。その上で、人が人を裁くということは大変困難な作業である。同時に、これは崇高な使命を、持った一つの問題についての意見の相違を主張しなければならないということでございますから、そういう意味においても、こういう審査、指導については、私がいま申し上げている部分を十分御勘案願いたい、そういう切なる願いでただいま申し上げたわけでございます。 以上の点について、大臣、いかがでしょうか。
○橋本国務大臣 確かに工藤さん御心配のように、たとえばつまらない規則の一字一句にたがわないようにすべきがたがっているからけしからぬとか、そんなことばかりを指導、監査の対象にすれば、私は御指摘のような御心配も当然だと思います。しかし、私どもそんなことを考えているのじゃありませんが、現実に、本当に常識的に見てちょっと異常と思われるようなケースも耳にいたします。そしてまた、お医者さんの仲間の内においてもあれはひどいじゃないかというお話が出るようなケースもございますね。やはりそういうものは、医学の世界においては医学の世界における常識というものが一つあるはずだ。それを超えるものについてはやはり、私どもは、ルールと言ってはいけないかもしれませんが、その常識の範囲にとどめていただくように指導し、また、それをなかなかお聞き入れいただけない場合には監査をするということも必要なことだろうと考えております。
○工藤(晃)委員(新自) 医師は人の命をあずかるという崇高な使命と、それに対して特権を国から与えられているわけでございますから、当然そういう意味におけるモラルというものが他の職業に比べて強く社会的に要求されてしかるべきだと思います。同時にまた、そういう方々の立場というものも逆に言ってそれだけ尊重されなければならない、そう思うのです。そういう意味においては、要するに法的に全く不正行為であるというような場合がもしあったと仮定したなら、これは厳正にそれに対処しなければならない。 しかしながら、それに夢中になるために、少なくともいい芽まで摘み取るようなことがあってはならないということは、一番私が心配することでございまして、少なくとも、いまの医療の荒廃が叫ばれている中でも、やはり医師と患者の相互信頼は一人一人に対しては失われていないのじゃないか、そう思うのです。そういうものをすべてひっくるめて、諸悪の根源は診療担当者なんだというふうな、そういう発想がもし社会に定着するとすれば、大変これは国民にとって不幸なことであり、正しい人の命を保全していくという道はふさがれてしまう、こういうふうに私は心配をいたしますので、改めてそういう面についての御留意を願いたい。 同時に、やはりこの審査とか、あるいは指導とかいうことはあくまでも公正でなくちゃいけない、厳正公正であるということが前提になると思うのですが、その点について大臣いかがですか。
○橋本国務大臣 それはそのとおりだと私も思います。 ただ、いま医師のモラルという点からのお話がございましたけれども、私も本当に、大多数のお医者さんというものは非常に高いモラルをお持ちになり、診療活動をしていただいていると思います。それだけに、もし一部に非常に非常識な行動をしておられる方かあって、その方が指導、監査の対象にならないがために医師全部が世間から何らかの偏見を持たれるような事態があるとすれば、やはりそういう方々には考えを直していただかなければならぬと思うこともこれは事実でございます。
○工藤(晃)委員(新自) 確かに大臣のおっしゃることに対して私は賛成でございます。しかしその運用だけはひとつ誤らないように、ぜひいいものと悪いものを的確に分けていただいて、いいものは育つように、そういうことをしていかなければ、すべていいものまで摘み取って悪だというふうなことになりますと、その医師と患者の相互信頼というものが阻害されてしまう、それが国民にとって大変大きな悲劇に通じるんじゃないかと思いますし、またもしそういうふうな不正な方が医師の中にいらっしゃるとすれば、他の多くの良心的な医師の立場まで大変悪くするということで、私は自粛していただかなければならない面だろう、そういうふうに考えます。 そういう中で私は一つの問題を提起いたしますが、組合直営病院についてあるいは診療所について、これは今度のこの保険診療の指導、監査の対象になっておりますか。
○石野政府委員 組合員の直営病院につきましては、指導、監査の対象にはなっておりません。
○工藤(晃)委員(新自) それはどういうわけでございますか。
○石野政府委員 組合直営病院のこれは特殊性でございますけれども、組合直営病院でも、たとえば保険医療機関の指定を受けている場合、これは当然一般の保険医療機関と同じように指導、監査も受けるわけでございますけれども、組合直営病院でクローズのものにつきましては、これは自分の責任ですべてを経営するわけでございますし、同時に患者自身は組合員に限られておる。しかもその運営につきましては組合会という、これはそれぞれ被保険者と事業主側の構成になりますけれども、そういう組合会の場を通じましてチェックがされるわけでございます。そういうことでございますので、特に組合の直営病院について従来でも問題があったケースはございませんし、そういう意味では、もし問題がありますれば当然保険者みずからこれを規制するということができますので、その必要はないと考えておるわけであります。
○工藤(晃)委員(新自) 大変理解されがたい御答弁でございまして、先ほどからるる私が申し上げたように、こういう診療に対して指導とか監査とか第三者が入り込む余地のないところへ入っていってそういうことをやろうというならば、あるところは一切フリーパスで無審査である、片一方はそういうものを厳正にやっていくのだというようなことがあったとすれば、それ自体が社会的に見ても不公平だと思うのです。だから、組合が直営しておる診療所には、医学内容においてそういう問題についての問題が一切ないのだという前提があるとすれば、その前提はどこから出てきておるのか私は知りたいわけで、そういう意味においては、診療内容を的確に審査するのだ、そしてその問題は医療の内容を向上させるのだというのなら、そういうところを審査ないし指導するところから外しておくということ自体が逆に言っておかしい話になると思うのです。 それからもう一点は、健保法上そういうふうになっておるからやっておるのだということであれば、これは医療というものを考え、また二十一世紀にかけて国民の健康をどう守っていくかという分かれ目に来ておる現在、大臣も所信表明の中で、高齢化社会への対応を迫られておって、総合的な観点に立って施策の見直しが要請されております、こういうふうにおっしゃっており、すべての制度そのものをいまここで大きく見直していって、思い切った勇気をもってそういうものに対応させるべく努力しなければならない、そういうときに、一方においてはそういうものを強調し、一方においてはすべてフリーパスで、直営の診療所、直営の病院だからそれが必要ないということは、根拠的に大変薄弱であるし納得できない、こう思います。 同時にもう一つは、組合直営といえども、診療報酬に対してはすべて同じシステムでやっておるはずですね。だとすれば、みずから金を払いみずからもうけておるわけです。利益をちゃんとその中に計上されておるわけですから、こんなおかしな話はないと思うのです。診療報酬は同じ点数で請求し、それをまた自分で払い、自分でもらうという作業をやるとすれば、そこへちゃんと利益が計上されていくわけです。払う人間ともらう人間が同じ人間で、その利益は一体どうなるのか私にはわからないけれども、それが正しいというのだったらおかしな制度だと私は思うし、そういう審査機構であれば正しい公平な審査、厳正な審査はできないと私は思うのです。健康あるいはまた公平ということは、一億なら一億の国民がすべて平等の扱いをされることから始まると思うのです。その中で一方はこういう形、一方はこういう形で、これで公平なんだということは、不公平感としか映らない。そういう感じを強く持っておるわけで、こういう意味からいきましても、この部分についてはぜひ御検討いただかなければならない部分だと思うのです。 時間が余りございませんから、それについて大臣一言でいいから、あなたの御見解をただしたいと思います。
○橋本国務大臣 これはある意味では大変むずかしい問題でありますけれども、逆に、要するに閉鎖的といいますか、特定の方々だけを相手にし、特定の方にだけで運営されておるもののあり方としての論議が一つと、また、いま工藤さんのお話にあったようなたてまえからの御論議と、二通りのものがあろうかと思います。なお今後において研究をさせていただきたい、そのように思います。
○工藤(晃)委員(新自) 大変不満足な答えしかちょうだいできませんが、大臣が思い切った勇気を持った行動をとられることを期待したい。これ以上幾ら突っ込んでも、恐らくそれ以外の答えは出てこない、こう思いますよ。ただ、こういうところにも大きな問題点があるということを私はきょう指摘します。 それで、二十一世紀にかけての国民の健康というものがどんなに大事であり、またそれがどんなに公平に扱われなければならないかということは、万人認めるところでございますから、そういうところにおいて、負担とかあるいは給付の不公平が診療のこういう面にもちゃんとあるということですね。保険料とかあるいは付加給付とかいう点においての公平とか不公平とか、そういう問題だけじゃ決してなく、審査の過程においてもこういう不公平がちゃんとまかり通っているのです。ですから、少なくともそういう面における公平感を主張するならば、国民かだれが見ても納得のできるような制度へ変えていかないと、私どもはこうやっておりますなんて言ったところで、だれも信用しません。そういう中からは正しい制度も生まれてまいりませんから、これは検討するのじゃなくて、ぜひ改正の方向へ向かっていただかなければならぬ。あるいはまた、そういうものを含めて抜本改正で、すべての制度を万人が納得できるようなきちっとした制度へ改革されるよう私は強く要求したいと思います。 それから、時間が少ししかございませんけれども、もう一点。 これは、いま八つも九つもある健康保険に保険加入して、制度が分かれておりますが、診療報酬というのは一律に一点十円で支払いが決められているわけですね。ところが、いまのようなことも含めて各制度間に何の整合性もない、また調整もない。私のものは私のものでございます、人のものは人のもの、そこにどんな格差があって、どういうふうな国民の健康そのものの不公平、健康を公平に扱うのじゃなくて、健康を不権衡に扱っている、不公正に扱っている、そういう制度があることは厳然とした事実なのですね。片っ方において保険組合は付加給付を認めている、政管健保は付加給付を認めていない、これだけでも人の命を不公平に扱っている証拠じゃないですか。そういうものの中で、それはそれでいいのだということであれば、診療報酬の中で赤字のところはこれは赤字に対してできるだけ対応してあげよう、だから保険料も上げなければならぬところもがまんして上げるのはやめましょうと。しかしながら黒字の組合ならば、これが社会保障でない保険であるならば、企業内保険であるなら、それは当然、その黒字に見合った診療報酬を払うようにするべきが私は正しい考えだと思うのです。それを一律に低いところで抑えてしまって、幾ら金が残ろうと何しようと、安いところで診療報酬を払っていかなければならないということが正しいという根拠はないような気が私はするのですが、大臣、その点についてはいかがですか。
○橋本国務大臣 私ども、現在健康保険法の改正案を御提案申し上げ、御審議をお願いしておる立場でありますが、確かに、制度間の格差があることは私どもも率直に認めております。そして、現在御審議を願っております健康保険法の改正案におきましても、将来において、組合管掌健康保険と政府管掌健康保険のみならず、共済までを含めた財政調整というものが必要である、ただし御指摘のように累積赤字のあるところもありますし、制度間のバランスを失しているところもありますから、それを是正しながら、将来に向けていく過程において、当面まず組合管掌健康保険内部における財政調整を行いたいということを打ち出しているわけでありまして、その中において、すでに御承知のように給付と負担のアンバランスを多少ともに直していくための努力は入れておる、そういう趣旨で御提案を申し上げておるところであります。
○工藤(晃)委員(新自) もう時間がなくなりましたので、最後にお聞きいたしますけれども、もしそういうふうな負担と給付の公平、平等というものが図れない、あくまでも図らなかった場合に、それでは逆に診療報酬の方で差をつけるということについては、大臣はそういうやり方をなさいますか。
○橋本国務大臣 私どもは、いま国民皆保険のもとに毎日を過ごしておるわけであります。ですから、むしろできなかった場合というのを私は想定したくございません。あくまでも健康保険法改正案の御審議をいただきまして、負担も給付もより公平な、すなわち社会的公正の確保のできる状態をつくり出したいと考えております。
○工藤(晃)委員(新自) いかなる場合でも、あなたは勇気を持ってなさいますか。
○橋本国務大臣 御承知のとおり非常に非力でありまして、自分の最善は尽くすつもりであります。
○工藤(晃)委員(新自) 大臣、一点でいいですから。日本の将来に対して大きな問題を抱えている問題については、御意見もいろいろございましょうけれども、ひとつ歴史に残る大臣になっていただきたい、これを切願しまして、私の時間が参り
○森下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十六分散会 ————◇—————