外務委員会 第14号
- 発言数
- 301 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1979/06/01
会議録
○塩谷委員長 これより会議を開きます。 廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾について承認を求めるの件、日本国とポーランド人民共和国との間の通商及び航海に関する条約の締結について承認を求めるの件、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約の締結について承認を求めるの件、南極のあざらしの保存に関する条約の締結について承認を求めるの件、北西大西洋の漁業についての今後の多数国間の協力に関する条約の締結について承認を求めるの件及び日本国政府とフィンランド共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、以上の各件を議題といたします。 まず、政府よりそれぞれ提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣園田直君。 ――――――――――――― 廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件 廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾について承認を求めるの件 日本国とポーランド人民共和国との間の通商及び航海に関する条約の締結について承認を求めるの件 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約の締結について承認を求めるの件 南極のあざらしの保存に関する条約の締結について承認を求めるの件 北西大西洋の漁業についての今後の多数国間の協力に関する条約の締結について承認を求めるの件 日本国政府とフィンランド共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○園田国務大臣 ただいま議題となりました廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 海洋環境保全の必要性なかんずく産業活動等の活発化に伴って生ずる海洋汚染を防止することの必要性は、つとに認識されてきたところでありましたが、海洋の汚染原因の一つである海洋投棄の規制に関する条約を作成することにつきましては、昭和四十七年六月にスウェーデンのストックホルムにおいて開催されました第一回国連人間環境会議においてその重要性が強調されました。この条約は、昭和四十七年十一月にロンドンにおいて開催されました条約作成会議において採択され、わが国は、昭和四十八年六月にこの条約に署名いたしました。 この条約は、昭和五十年八月に効力を生じ、現在フランス、ドイツ連邦共和国、ソビエト連邦、連合王国、アメリカ合衆国を含む四十カ国が締約国となっております。 この条約は、人の健康に危険をもたらし、生物資源及び海洋生物に害を与え、海洋の快適性を損ないまたは他の適法な海洋の利用を妨げるおそれがある廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染を防止することを目的とし、海洋投棄の禁止及び規制、違反行為を防止するための措置等締約国がとるべき措置について規定するとともに、地域的取り決めの締結、技術等の分野での援助等国際的な協力についても定めております。 わが国がこの条約を締結することは、わが国の沿岸海域を含むすべての海洋の環境の保全に資することになるとともに、この分野における国際協力の推進のためにも望ましいと考えます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約は、その締約国協議会議において、同条約の解釈及び適用に関する紛争の解決のための手続について検討する旨規定しております。この改正は、以上の規定に基づく検討の結果昭和五十三年十月にロンドンにおいて採択されたものであります。この改正は、条約の締約国の三分の二がこの改正の受諾書を機関に寄託した後六十日目の日に、この改正を受諾した締約国について効力を生ずることとなっており、まだ発効いたしておりません。 この改正は、条約の解釈または適用に関する締約国間の紛争であって交渉その他の方法によって解決することができなかったものについて、紛争当事国間の合意により国際司法裁判所に付託しまたは一方の紛争当事国の要請により仲裁に付託すると定めております。また、その仲裁の手続については、紛争当事国が別段の合意をしない限り、新たに追加された付録に定める規則に従うと定めており、付録において仲裁裁判所の構成、費用の負担、裁判手続等について規定しております。 わが国は、従来から、条約の解釈または適用に関して発生することが予想される紛争が公平かつ確実に解決されることが望ましいとの見地から、これらの紛争が最終的に国際司法裁判所または仲裁裁判に付託されるべきであるとの立場をとってきておりますが、この改正の内容は、このようなわが国の立場に合致するものであります。 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。 次に、日本国とポーランド人民共和国との間の通商及び航海に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 わが国とポーランド人民共和国との間には、昭和三十四年に締結された通商に関する条約がありますが、昭和五十三年二月にポーランド側より、ポーランドのガット加盟、両国間の貿易の飛躍的な発展等に伴い、現行条約に比してより広範な事項について規定する新しい通商航海条約を締結したい旨の申し入れがありました。政府としては、このような新条約の締結が両国間の経済交流等の一層の発展に資するところ大であることを考慮してこの申し入れに応ずることとし、昭和五十三年九月及び十月に両国政府間で交渉を行いました結果、条約案文につき最終的合意を見るに至り、昭和五十三年十一月十六日に東京において、わが方本大臣と先方ヴジャシュチック閣僚会議副議長との間で一この条約の署名調印が行われた次第であります。 この条約は、本文二十カ条及び議定書から成っております。この条約は、まず、両国間の貿易の発展及び経済関係の強化のために協力することを規定しております。次に、関税、租税、事業活動等に関する事項についての最恵国待遇、輸出入制限についての無差別待遇、身体及び財産の保護、出訴権についての内国民待遇及び相互主義に基づく最恵国待遇、商船の出入港等についての内国民待遇及び最恵国待遇等を相互に保障しております。また、この条約は、相手国国民を拘禁した場合の領事官への通報義務、その場合の領事官との面会及び通信、入港船舶に対する領事官の援助、両国間の輸送及び通信の促進、仲裁判断の承認及び執行、自由交換可能通貨による支払い、合同委員会の設置等についても定めております。この条約の締結により、わが国とポーランドとの間の経済交流がさらに安定的な基盤の上に一層促進されるものと期待されます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、特に水鳥の生息地として国際的に重要な、湿地に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地及びその動植物の保全を促進することを目的として、昭和四十六年二月にイランのラムサールで開催されました湿地及び水鳥の保全に関する国際会議において採択されたものであります。沼沢地、湿原、干がたを初めとする湿地は、経済上、文化上、科学上及びレクリエーション上大きな価値を有しており、また、そこに生息する水鳥等を保護するとの観点からも湿地の環境保全の必要性が関係国の間で認識されるに至り、この条約として結実したものであります。 この条約は、昭和五十年十二月二十一日に効力を生じ、イラン、ソ連、西ドイツ等の二十二カ国が締約国となっております。 この条約は、各締約国が、その領域内にある湿地を指定するとともに、その保全及び適正利用を図り、湿地に生息する動植物、特に水鳥の保護を促進することを主たる内容としております。 わが国は、自然環境の保全を促進する政策を推進してきておりますが、わが国がこの条約を締結することは、自然環境全般の保全に資することとなるだけでなく環境保全の分野における国際協力を推進する見地からも望ましいものと考えられます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、南極のあざらしの保存に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、南極のアザラシを保護するとともに、これについて科学的な研究を行い、合理的な利用を図ることを目的として、昭和四十七年二月にロンドンで開催されました南極のアザラシの保存に関する会議において採択されたものであります。南極大陸周辺の浮氷水域に生息するアザラシはいまだ大規模な商業的猟獲の対象となったことはありませんが、商業的猟獲が開始される前に何らかの措置をとることの必要性が関係国の間で認識されるに至り、この条約として結実したものであります。 この条約は、昭和五十三年三月十一日に効力を生じ、米国、英国等の八カ国が締約国となっております。 この条約は、締約国の国民または船舶がこの条約の規定及び附属書に規定される規制措置に従う場合を除くほか、南極のアザラシを殺さずまたは捕獲しないことを主たる内容としております。 わが国は、この条約の適用される区域でアザラシの商業的猟獲を行っておらず、また、近い将来これを行うことも予想されておりませんが、わが国がこの条約を締結することは、南極のアザラシの保存のための国際協力を推進する見地から望ましいものと考えられます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、北西大西洋の漁業についての今後の多数国間の協力に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 北西大西洋の漁業資源の保存及び最適利用のための国際的な協力は、昭和二十五年に発効し、わが国も昭和四十五年に加入するところとなりました北西大西洋の漁業に関する国際条約のもとで行われてまいりましたが、昭和五十一年に至り、北西大西洋の沿岸国であるカナダ、デンマーク、フランス及びアメリカ合衆国が条約の対象水域において相次いで二百海里水域を設定する旨決定したため、これに対応した新しい条約が必要であるとの認識から交渉が行われた結果、昭和五十三年十月にオタワにおいてこの条約が採択されるに至りました。この条約は、昭和五十四年一月一日に効力を生じ、カナダ、欧州経済共同体、ノルウェー、ソビエト連邦等が締約国となっております。 この条約は、北西大西洋の漁業資源の保存及び最適利用を促進すること並びに北西大西洋の漁業資源に関する国際的な協力を促進することを目的としており、総務理事会、科学理事会、漁業委員会及び事務局から成る北西大西洋漁業機関を設立し、科学的調査に係る協力の促進、一定の水域について適用される漁業資源の最適利用のための措置に関する提案の採択等を行う旨規定しております。 わが国がこの条約を締結することは、この条約の実施についてわが国の意見を反映せしめ、北西大西洋の漁業資源の保存及び最適利用のための国際的な協力に参加しつつわが国の漁業の安定した発展を図る上で有意義であると考えられます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 最後に、日本国政府とフィンランド共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 わが国とフィンランド共和国との間の文化交流を促進するためにフィンランド共和国との間に文化協定を締結することは、両国間の相互理解と友好関係の一層の強化に資するところ大であると考えられましたので、昭和五十二年二月のコルホネン・フィンランド共和国外務大臣の訪日の機会に、当時の鳩山外務大臣とコルホネン外務大臣との間でこの協定の締結交渉を開始することに意見の一致を見ました。その後交渉を行いました結果、昭和五十三年十二月二十七日に東京において、本大臣とブロムステッド駐日フィンランド共和国大使との間でこの協定の署名を行った次第であります。 この協定の内容は、戦後わが国が締結した各国との文化協定と同様、文化及び教育の各分野における両国間の交流を奨励することを規定しております。 この協定の締結は、両国間の文化交流の一層の促進に資するところ大であると期されます。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。 以上七件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○塩谷委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 各件に対する質疑は後刻に譲ることといたします。 ――――◇――――― 塩谷委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。井上一成君。
○井上(一)委員 まず冒頭に外務大臣にお尋ねをいたしたいことは、過日のUNCTADの総会で大平総理が、一般演説の後の内外記者団会見で、ASEAN諸国を対象にした、今後十年間にわたっての、毎年百万ドル、約二億円の留学生奨学資金制度を創設したいということを明らかにされたということです。 実はこの構想は、一昨年八月、福田前総理がマニラにおいて、いわゆるあの福田ドクトリンと称される演説の中で、決して日本は軍事大国にならないんだ、ASEAN諸国と対等な立場に立って連帯を強化していきたいんだということ、そのためにも真の友人としての心の触れ合う相互信頼関係を築き上げていきたいという立場を明確に表明されたわけであります。 もちろん、その路線を継承している一つのあらわれが大平総理のこの発言だと私は理解をするわけであります。がしかし、その構想を具体化する手だてとしてどのような方策を持っているのかどうか、そして外務大臣としても、このことについてのお考えをここでお聞かせいただきたい、こういうふうに思うわけであります。
○園田国務大臣 ただいままでも、御承知のとおり、ASEANの国々との間では研修、留学あるいは交流基金その他のことが行われておるわけでありますが、それとは別個に、いま御発言なさいました金額を拠出をして、そしてそれによってASEANの国々の優秀な子弟が、日本ばかりでなく、自分が勉強したいというところで勉強をするという一つの援助にしたい、こういう構想でいま具体的に折衝しているところでございます。
○井上(一)委員 昨日も当委員会で、私はわが国における留学生、いわゆる在日留学生の実態というものを具体的に指摘をして、政府の取り組みをただしました。 ただ、大平総理の二億円のその奨学金制度を受け入れる国に対してという、いわゆる呼びかけもさることながら、受け入れる体制というそのもの自体に私はやはり考えなければいけないたくさんの問題点があるのではないだろうか。いわゆる宿舎の問題、いわゆる留学生を受け入れる寮の問題あるいは日本語を習得する課程の問題、いろいろなこと、あるいはいわゆる病気になったときの対応の問題そういうことで私なりに指摘はしたわけでありますけれども、今回のこの大平総理の構想発表も、ただ単に金を出せばいいんだ、金を出すんだという、そういうにおいが、それだけで事が済まされるんだというにおいが何かしてならないわけであります。もっと具体的に、わが国が受け入れをするための一つの手だてとしてこういうことを考えているんだ、その実現はどうであるかは別として、こういうことを考えているんだということをできれば聞きたかったわけであります。もしまだ具体的にそこまで踏み込んでないということであれば、それでも今後の課題としてひとつ十分検討してほしいということでありますので、もう一度お尋ねをしておきたいと思います。
○園田国務大臣 一般留学生、ASEANを含む留学生についてとかくの批判があったり、あるいは日本に留学しておって、かえって帰ってから日本に対する悪い感情を持ったなどということ あるいはまた先般井上先生から言われたいろいろな問題も起こっておるわけでありますから、そのためには文部省ともよく連携をして、一番障害になっておる日本語の勉強あるいは宿舎あるいは社会環境の改善あるいは里親などをつくって日本の一般市民社会と留学生が溶け合うような方法を考えていかなければならぬと考えております。大平総理の言われましたこの問題は、これはいわゆる奨学資金でございまして、これは日本だけに来るということではなくて、本人が行きたいところへ行って勉強ができるような制度をつくりたい、こういう考え方で、これはいま具体的に予算的な折衝をしておるところでございます。
○井上(一)委員 もちろん、受け入れ国の意思というものを尊重していくということは十分理解をしております。が、しかし、わが国のそういう教育的に関与する資金というもので希望するのは当然第一義的に日本を指すものだ、私はこういうことを理解するわけなのです。日本の奨学金制度で他国へということは常識的には私は考えられない。だからやはり第一にわが国の受け入れ体制を十分整えていくべきであるということを強く指摘をしておきます。 今度は難民の問題についてのことですけれども、この問題については今月の十五、十六日でしたか、いわゆるジャカルタにおいて開かれたインドシナ難民手続センター設立に関する国際会議という会議に日本も参加をして、インドネシア領に難民センターを設立することが合意されたわけです。もちろんそういう会議の中で十分な討議、話し合いがなされたことだと思いますけれども、私はこのセンター実現のための前提条件というか、やはりそれ以前にわが国がなすべき姿勢、対応というものがあると思うのです。そういうことについて、ただセンター建設費の、維持、運営費の拠出をするのだということだけでは済まされないと思うのです。そういうことについてはどういうふうに理解をしていらっしゃるのか、ひとつ聞きおいておきたい、こういうふうに思うわけです。
○園田国務大臣 ただいま発言されました会議において、わが方からはアジア局の三宅次長が出席したわけでありますが、この会議の中でわが日本の代表が積極的にリーダーシップを発揮をして、各国いろいろ意見があったのをまとめたということで、今度は高く評価されているわけでありますが、そこでいまおっしゃいますとおりでございますので、まず費用をどうこうということよりも、それが実際に機宜に適したものであり、実際に効が上がるようなこと等、いろいろやることがありますから、まずこの会議で決定しましたことは、実地調査団と申しますかそういうものを各国から出してつくって、そしてASEANの国々からも出して、一緒になっていろいろな問題を検討し、調査計画を進めていこうじゃないか、こういうことになっておるわけでございます。
○井上(一)委員 私はひとつここで具体的に、この数字は総理府の調べでございますけれども、わが国に上陸した難民が約千九百人という数字が挙がっておるわけなんです。日本への定住を認められたのは九州に住むロイさん一家のわずか三人であるわけです。私はこのインドネシアにおける難民センター設立ということも当然大いに協力体制をとるべきであるわけでありますけれども、先進国だといわれる日本が定住受け入れの体制というものが非常に弱いということであります。ちなみに、アメリカ政府は定住の年間受け入れ数を現行五万一千人から八万四千人以上にふやすために議会と折衝を続けているということが伝えられているわけです。こういうことについても、ただアメリカがそうだからわが国もそうあるべきだという、そういう論理は展開をいたしません。すでに政府が五百人の定住受け入れを決められたわけですね。私はその五百人の定住受け入れの体制を一体どういうふうに整えようとされているのか、そこなんです。そういう予算措置を含めたあるいは受け入れ体制が十分政府によるしっかりとした体制を立てることがやはり先決ではないだろうか。そういうことを少し外務省も真剣に、政府自身も真剣に取り組むということを言っているのですから、具体的にひとつここで聞かしていただきたい、こういうことであります。
○三宅政府委員 お答えいたします。 先生御指摘のとおりでございまして、今回五百名という一応枠をつくったわけでございますが、問題はそれを実現するための条件をいかにして整えるかということでございます。そのためには、まず定住の希望者が出るためには、まず日本語の習得をさせて日本語をまず教える。その次に職業のあっせんその他で十分な安定的な職業が得られるような道を講じてやる必要があるということが非常に重要な問題でございます。そういう観点から、従来必ずしも政府の施策は十分でなかったということを深く反省いたしまして、現在外務省が各省と協議いたしましてそういう現実的な環境を整えてやる。そうすることによって、定住の希望者で、かつ定住の条件が満たされるということをしてやりたいということで、現在鋭意検討中でございます。さらに条件といたしましても、日本の定住の条件は若干厳しいということで、先般の四月三日の閣議了解に当たりましても、条件の緩和、特に実際的な条件の運用に当たっては弾力的に緩和していこうということの閣議了解が得られたわけでございますので、その了解の線に沿いまして鋭意努力している最中でございます。 なお、予算の面でございますが、先ほど先生御指摘のようにUNHCRに対しまして拠出してございますが、そのほかに、当然ながら上記のような私が申し上げました国内定住に必要な費用がかかります。それにつきましては、今後大蔵省と協議しながら実際的な手当てをしていきたいということでございます。
○井上(一)委員 外務大臣に、提案になるかもわかりませんし、あるいはぜひそういうことも検討し実現していただければ非常にありがたいと私は思うのですけれども、ただ単に難民あるいはその一定の条件が備わった者ということに限らずに、時あたかも国際児童年である、アジアの子供たちが何らかの理由で両親を亡くしたり、保護を受けることが非常に不可能な状態に置かれている、そういう子供たちを引き取ってまとまった環境の中で小学校にも中学校にも、そしてときには高等教育も、その中で技能訓練、職業訓練を受けて、その子供たちが日本で学びあるいは日本で受けた教育が自国に帰ったときに大いに役立つ、自分の人生の基礎は本当に日本で培ったんだという誇りを持てるような施設、そういうものをつくるべきではないだろうか。 ただ単に難民ということだけにとらわれるのではなく、そして家族という形の中で位置づけるのではなく、戦争によって両親を亡くして孤児になった子供たちもおるでしょうし、あるいは失業、病気その他でいま申し上げたような両親あるいは保護をしておる保護者がなくなっていく、そういうことを考えれば、国際児童年ということだけにとらわれなくても、いま難民問題とかアジアの抱えるいろいろな問題を考えたときに、もういち早くそういうことに取り組まなければいけない。学校もそうだと思うのです。そしてそういう形の中で日本の子供たちもそこで一緒に学べる、そういう中から、日本語の習得ということを生活を通して身につけるということが一番早いと思うのです。限られた教室の中で語学を教わるということもときには必要かもわからないけれども、そういうことを考えればぜひそのような、これは私の持論ですけれども、物事の最初は情熱的な発想、熱い胸から受けとめて事が始まると思うのです。それをいかに理性的に科学的に分析し対応していくかということが政治だと私は思っているのです。 そういうことを考えたら、いまの日本、ただ単に金をそれだけ使うんだ、あるいは予算を計上するんだということだけに事を済ましてはいけない。あるいはもし善意の発想から受け入れをしようという慈善的な発想の形の中だけで頼り切ってもいけない。当初はそうであったとしても、政府自体がアジア諸国との心の触れ合う対等の連帯を深めるというならば、まさにそのあかしとして児童に対する一つのそのような施設をぜひつくるべきである。国が国の金で、そして国がみずからの運営でそういうことをすることが一番望ましいと私は思うのです。そういうことが政治ではないでしょうか。そういうことが心の触れ合う外交ではないでしょうか、こういうことを申し上げたいのです。 このことについては、本当に精力的に世界を駆けめぐって日本の自主外交を推し進めていく園田外務大臣にぜひそのような実現方を私は心から強く希望するわけでありますし、そのためにも、私もそのことについては社会党の国会議員として私なりに十分協力していかなければいけないし、むしろ与野党がそういうことを目標を一にして世界の日本、アジアの日本としての位置づけを明確にするためにもそのような外交を推し進めていくべきである。やるとかやらないとかいうことで終わるのではなく、あるいはそういうことを私は答弁の中に求めているのではありません。私の考えておるそういうようなことが実現できるように取り組んでいただけるようなお考えを少しでもお持ちであれば、その実現方に外務省が先頭に立って大平内閣の一つの施策のあらわれとしてぜひ実現をしていただきたいということであります。大臣から大臣なりのお考えを聞かしていただきたいと思います。
○園田国務大臣 難民の問題は人道上の問題であります。そこで、これを一般普遍的なものではなくて、最も不幸なもの、そして子供、子供もまた気の毒な子供、こういうことを重点にやっていけという御意見は非常に大切な御意見であって、貴重な御意見であると思います。いまの御意見が必ず実際に生きていきますよう今後の行動、実行については進める所存でございます。
○井上(一)委員 期待をいたします。 さらに、私は、今度は在外邦人の問題について少しここでお尋ねしておきたいと思うのであります。 まず、国際人権規約が批准され、そして常に生きる権利をすべての力で保障していこう。いままた私は、常に一番弱い立場に置かれている児童に対する取り組みを国際的な立場に立って考えてほしいということも申し上げたわけであります。 反面、外国に居住するわが日本国民の現状は一体どうなのだろうか、そういうことを考えなければいけない。 まず、私は在外邦人の保険の問題について実情はどうなのだろうかということをここで聞かしてほしいと思うわけであります。その人の当然保障されるべきいろいろな権利があるわけでありますけれども、まず保険制度についてはどういうような保障がされているのですか、それからお伺いをしていきたいと思います。――外務省かこれを答えられないというのが現状なんですよ、外務大臣。私は、こんなことで本当にいいんだろうかと思うのです。もっと具体的なことは私は私の調査で承知しているのですけれども、いかがなんですか、そこに座っていらっしゃる外務省の人たちが一たん外国へ出られた、そして外国で勤務につかれた、その折に受けるみずからの健康を保持するためにあるいは病気にかかったときに一体どんな状態でいわゆる保険給付が受けられるのか、こういうことなんです。日本では皆保険、すべての国民がその保険制度の中で十分な保障がなされているわけです。そういうことを考えれば、外交官ですら十分に保障されてないわけです。外地に勤務するということだけで八割給付のところもあるでしょうし、当然国内においては十割給付であるという立場に立ちながら何割かの給付が削減されていく。一般邦人についてはどうなんだろうか。私はさらに条件が悪いと思うのです。教育の問題もありますけれども、そういうことを考えれば、もちろん相互主義という一つの原則もあるかもわかりませんけれども、相手国との話し合いということがあるかもわかりませんけれども、わが国が十分に体制を受け入れるようにしながら、そして、わが国の国民も相手国に対して受け入れてもらえるように十分な手だてをしていくべきであるというふうに思うのです。何かこのことでお答えがいただけるならば、補足でも結構ですからお答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 海外で働いておる在留邦人、外務省の公務員も含んで、一番問題になり苦労しておるのは、いまの病気、健康を保つということであります。アフリカその他では特に巡回の医療制度等もありますけれども、これは単に行って健康診断をする程度で、なかなか効果を出していない。そこで、医療センターをつくるとか、あるいは中心地に何か方法をするとか、さらに日本のお医者さんと現地のお医者さんの免許の問題等もいろいろあるわけであります。なおまた、いまおっしゃいました保険制度、これが海外へ行って働いている人は、国内の給付よりも不便であり、病気の場合飛行機で飛ばなければならぬわけでありますからかえって必要でありますが、現状においてはそれが国内における制度がそのまま実行されていない。こういうむずかしい面もありますが、一番大事な問題でありますから、きょうは関係の事務当局来ておりませんけれども、厚生省とも相談をし、これは一番わが外務省の身に及ぶところでございますから、ただいまの御発言を契機にして検討、努力をしたいと考えております。
○井上(一)委員 私はやはりこういうことも十分配慮するというのでしょうか、十分に検討をして、本当にそういう中からそれぞれすべての基本的人権というか、その人の生きることへの保障がなされていくというふうに思うのです。ただ単に数が少ないからとか、あるいは側に追い出されたからというような形の中で処理をしていくものではない、あるいは違った国に制度的な問題だということですべてを片づけていくということであってはいけないというふうに思うのです。大臣が今後この問題について十分な取り組みをしていただくということですので、このことについては、まだまだ教育の問題もありますけれども、在外邦人に対する医療、保険その他教育を含めて十分に配慮するようお願いをしておきます。 大臣、時間でしたらとうぞ。――外務大臣か時間で退席をされましたので、今度は担当の政府委員に、わが国の現在の海外経済援助、とりわけ無償援助についての実態というものを私は問いただしていきたいと思うのです。 さみだれ的、罪悪的海外経済援助であってはいけないということを終始申し上げてきました。そしてまた、その海外経済援助が多国籍企業の利権の場になってはいけないし、利益追求の先棒を担ぐようであってはいけない、これも私は強く指摘をしてきました。少なくとも、今日の経済援助の実態というもの、予算化がされて予算執行がなされるわけでありますけれども、その後における実情というものを十分に承知しているのかどうか、そして、そのことについての、いわゆる執行後の状態というものがどういう効果を出しているのかということについて、具体的に事例を挙げて私はここで説明をいただきたいと思うのです。
○武藤政府委員 わが国の経済協力、特に無償援助につきまして、それがさみだれ的であってはならないという先生の御意見、私どもといたしましても全くそのように考えているところでございます。特に最近におきましては、わが国の経済協力にもいろいろの形のものがあるわけでございますが、有償経済協力のいわゆる円借款、無償協力、技術協力、こういうようなものをできるだけ結びつけることによりまして効果的な効果を上げるという方向で努力をいたしているところでございまして、たとえば昨年来、アフリカのタンザニアでございますけれども、キリマンジャロの総合開発計画というようなものをわが国の開発調査の一環として実施いたしまして、その総合開発計画の中に盛られている諸計画につきましていろいろな形の経済協力、ただいま申し上げましたような有償、無償、技術協力を結びつけまして、その地域の総合的な開発に貢献するというような方向で努力をいたしている次第でございます。 それから、わが国は、特に無償援助につきましては、途上国の中でも一人当たりの経済水準が低い貧困国を重点的な対象として実施いたしているわけでございますが、この趣旨はあくまでも相手国の経済の発展、民生の安定に貢献をするということが眼目でございまして、すべてはそのような趣旨にのっとるような方向で実施されなければならないと考えている次第でございます。 最近わが国の経済協力も非常に拡大いたしまして、非常に多くの開発途上国にいろいろの援助が実施されているわけでございますけれども、私どもといたしましては、そのフォローアップにつきましてもできるだけ注意をいたしているところでございまして、在外公館を督励いたしまして、わが国が行った経済協力の実施ぶりについてできるだけフォローアップをし、問題点等あらば随時本省に対して報告するように指示いたしているというのが現状でございます。
○井上(一)委員 一見非常に丁寧な答弁のように聞こえるけれども、実際はあなた、私の質問の趣旨というものを理解しているのですか。そんな答弁は私には通用しない。経済援助の趣旨だとかあるいは方針だとかいうことはよくわかっているわけです。相手国の自立育成、民生安定、いろいろな形の中で本当に友好が深められるような援助でなければいけない。私の聞いているのは、そういうことが実際になされているであろうか、それぞれの経済援助について外務省は全部把握をしているのかということなんですよ。もう下へおろしてしまえば、たとえば具体的に、これは無償の経済援助とは少し違いますけれども、災害関係で災害援助をする、その場合に、特定の国に閣議決定で何億の災害援助をしようということが決まったら、決まる以前から商社がたむろしているわけです。担当におろしたらそれで外務省はしまいなんですよ。後、どうなって、どういうふうなことが取り決められて、どういうふうに相手国につないでいったか、相手国はそれによってどうなっているんだ――災害援助ですらそうなんです。まして私がいま指摘している無償援助、有償のもの、借款のものについてはまだまだあるのですけれども、無償の援助についてすら十分なフォローアップができていないし、実情掌握というものができていないと私は認識しているわけなんです。だから、そうであるのか、あるいは十分認識をしているというなら、その認識されている状態を、時間もありませんから、書面でわかるように出してもらいたいと私は思うのです。そういうことが十分でないというなら、今後そのような十分な取り組みをしますという決意を聞かしてほしい。こういうことなんです。十分掌握していると言うなら、ここでそのような状態を次回の委員会までに私に出してください。
○武藤政府委員 井上先生の方から具体的に御質問の趣旨を承りまして、別途御相談をしながらできるだけの資料は整えるということにさせていただきたいと存じます。
○井上(一)委員 あなた方は特定の企業の中身に入るのだと言って、政府の金で、国民の税金で買う、あるいは援助する、そういう形の実態すら報告をしないじゃないですか。だから大臣がいらっしゃるときにと思ったのだけれども、大臣にかわるべき政務次官なりあるいは責任のある人の答弁を私はここで求めたいと思うのです、上司と相談してとおっしゃるけれども。そうしたら、相談をして決断のできる人に答弁を求めましょう。こんなことで国際情勢について何ぼ質疑をしたってこれは本当に行き着かないわけですね。これは委員長の裁断で私は善処を要望したい。もう時間が参りましたが、あなた方、出さないでしょう、出すのですか。
○武藤政府委員 無償援助の実施の態様につきましては、井上先生よく御承知のとおりわが国で物資を調達して相手国に提供するのではなくて、相手国政府が調達をいたしまして、その調達のための資金をわが国が提供しているということでございまして、その調達の契約は相手国の政府と企業との間の第三者間の私契約ということになります関係上、わが方といたしまして、その内容につきまして必ずしも全貌を御報告できない場合があるということにつきましては御了承いただきたいと存ずる次第でございます。
○井上(一)委員 事実相手国の希望するようになっているのかどうかということですね。相手国はわが国からいわば無償で、ただいただくのですから、強い要求というものはできないわけなんです。しかし、こういうことをしてほしいということについては相手国が希望を言うわけなんです。私自身の判断は、どうも大手商社か経済援助という名をかりて商いをしておる、私はそこに暴利はないと思いますよ。ないと思うけれども、ややもするとそれが疑惑を生む一つの非常に大きなきっかけになっている、こういうことなんです。私はあえて無償ということに限ったわけではないわけです。経済援助、ただ具体的に資料については無償のものだけと、こういうことなんです。有償も含めて、借款も含めて、それじゃお出しをいただけますね。
○武藤政府委員 先ほど申し上げましたように、相手国政府と企業との間の第三者間の私契約にわたる部分につきましては必ずしもそのすべてをお出しすることができないということにつきましては、重ねて御理解をお願いしたいと思うわけでございますけれども、そのような私契約上の秘密に属さない範囲におきましてできるだけのものは提出させていただくこととしたい、このように考えております。
○井上(一)委員 このことについては後刻資料をちょうだいするということで、いま現在民間ベースで国際プロジェクトとして海外に進出している、大手十社が取り組んでいる重立ったプロジェクト名をここで挙げてください。
○武藤政府委員 恐縮でございますが、突然の御質問でございまして、いま直ちにお答えできません。別途調査させていただきたいと存じます。
○井上(一)委員 それじゃ国民の税金が流れるであろうと外務省が予想されるような、あるいはそこまで行かなくても、いま国際プロジェクトが危機に陥っているという代表的なものをおっしゃってごらんなさい。
○武藤政府委員 もちろん現在一番話題になっておりますのはイランのバンダルシャプールのプロジェクトでございますが、先生御承知のとおり、これは民間のプロジェクトに一部分政府の資金を供与している性格のものであるわけでございます。
○井上(一)委員 そうなんですよ。輸銀の政府資金。いろいろな形の中で政府がかかわり合いを持っているのですよ、イランの問題一つをとらえても。このイランの問題は逆に言えば、イラン政変の一つの大きな要因は何なのか、具体的に言えば、日本の企業もイラン政変の要因をつくり出したかもわからない。いわゆるロッキードから日本の政治家が金をもらっていた。日本の商社がイランの政治家に、時の権力者にそのようなことをやっておったかもわからないし、やっておったという疑いを私は持っておるわけなんです。それが国民のいわゆる所得格差をぐっと広げた。大衆は怒った。その中にイランの政変が起こった。こういうことがイラン政変の大きな要因の一つなんです。あなた、何を言っているのですか。そんなことも外務当局が十分に理解をしなければいけない。そして本当に相手国に喜んでもらえるような経済援助をするのが真の経済援助である。そういうことを強く私自身は求めているわけなんです。 いまイランの一例を出しました。インドネシアもそうなんです。インドネシアの大統領が近いうちにわが国を訪問されます。いろいろな経済援助を今後取り交わしていくでしょう。しかし、常に考えなければいけないことは、国民の税金、国民の金、そういうものがどんな形で関与していくか、流れていくか、そこのところには一点の疑いがあってもいけないということなんです。そういうことを私は強く外務省当局に言っているわけなんです。そういうことが外務省にも大きく関係のある一つの仕事である。私自身は経済援助については、皆さんの苦労を多とはするけれども、いま私が話したそういうことも今後十分配慮しながら取り組んでほしいということなんです。 時間が参りましたので、強い要望を申し上げて質問を終えます。
○塩谷委員長 午後零時十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時三十八分休憩 ――――◇――――― 午後零時十六分開議
○塩谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾について承認を求めるの件の各件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大坪健一郎君。
○大坪委員 海洋投棄規制条約、簡単に言えばそういうことになると思いますが、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約とその条約の紛争の解決に関する改正、この両方の問題についてちょっと御質問申し上げたいと思います。 海洋投棄規制条約の十三条には「この条約のいかなる規定も、国際連合総会決議第二千七百五十号Cに基づいて招集される国際連合海洋法会議による海洋法の法典化及び発展を妨げるものではなく、また、海洋法に関し並びに沿岸国及び旗国の管轄権の性質及び範囲に関する現在又は将来におけるいずれの国の主張及び法的見解をも害するものではない。」という規定がございます。いま海洋法条約の審議がなかなか難航しながら進んでおりますけれども、一体それとの関連がどうなるのかを少し具体的に説明いただきたい。 それからもう一つ、ストックホルムで昭和四十七年六月に第一回の人間環境会議が持たれました。海洋汚染問題が重要問題として取り上げられておりますが、その辺の関係を御説明いただきたい。時間が余りありませんから、ひとつ簡潔にお願いします。
○井口説明員 お答え申し上げます。 海洋法条約との関係につきましては、この海洋投棄規制条約の交渉の過程におきまして、あくまでも旗国を中心に取り締まることと領海の範囲内だけで取り締まる、したがって公海に関しては旗国、領海における投棄を取り締まるという立場が先進国の立場でございまして、それに対してカナダあるいは後進国は経済水域を先取りしたい、あるいは大陸棚まで広くカバーしたいという主張がございまして、結局管轄権の問題については海洋法会議が終わって海洋法条約ができ上がった段階で協議する、こういうふうになっているわけでございます。 しかしながら、すでに海洋法会議の方もテキストは固まっておりまして、非公式統合草案では海洋投棄の規制に関しては沿岸国の管轄権が条約上はすでにでき上がりつつあるわけでございまして、それによれば、領海のみならず、経済水域及び大陸棚において投棄をしようという場合にはここに主権的権利を行使する沿岸国の事前の同意が要るというふうになっております。したがって海洋法条約ができた暁に締約国会議が開かれる場合には、管轄権の範囲についてはもはや紛争は起こり得ない。それは経済水域及び大陸棚を管轄する沿岸国の許可を得るという形で行われることになります。 なお、公海の投棄に関しましては、当然この海洋投棄規制の条約によって全部管理されるわけでございます。それからもちろんいま申し上げたようにこの海洋投棄規制の条約は、内水を除く領海から規制が始まっておりますから、条約そのものが領海にも及ぶということでございまして、結局この条約の適用範囲に関する問題は解決されているわけでございますから、取り締まり権の範囲ということが問題になっておるわけでございます。取り締まりに関しましてはいま申し上げたようにあくまでも領海まで沿岸国の取り締まりであるという考え方と、経済水域、大陸棚まで及ぶんだという考え方がございまして、これは御存じのとおり海洋法条約ができ上がるのがおくれておりまして、関係国の一方的立法という形で処理しておりますから若干のでこぼこがございまして、それはこの海洋法条約ができ上がったときに調整されるということでございます。 それから、ストックホルムの人間環境会議というものの関係におきましては、実は海洋投棄規制条約はそのときに採択された環境宣言というものでも海洋汚染の防止ということが言われまして、条約の採択についても勧告が出たわけでございます。そして人間環境会議が開かれた七二年の七月の段階で、その年のうちにこれをロンドンで採択するということになりまして、年末にロンドンで採択されました。これによって海洋の投棄規制というのはむしろ単なる勧告あるいは行動計画ということではございませんで、国際法として確立されたということでございまして、人間環境会議の最も画期的な成果の一つだというふうに考えられているわけでございます。
○大坪委員 そこのところなんですが、条約締結によりまして今度はわが国が義務を負うことになります。国内法でこれの規制を、少なくとも日本の場合は領海内についてか、あるいは経済水域についてか決めなければならぬ。いま申しましたような海洋法との関係とこの条約と国内法とその三つの法的規制の競合関係というのか、ボーダーラインの調整関係というものはわが国としてはどういう立場で貫こうとするのか、そこのところをちょっと説明してもらいたい。
○井口説明員 お答え申し上げます。 実はこの条約と国内法との関係でございますが、もちろん憲法上条約が優先するということでこの条約に沿って国内法は改正される、あるいは国内法が施行されるということでございますが、ただこの条約よりもより厳しい措置も、国内法でとることは妨げられないという規定が四条の三項にございまして、たとえば附属書Iに掲げられているものの投棄はさらに自国についてはより範囲を拡大して禁止することもできるという趣旨の規定がございます。それから海洋法条約そのものもまだテキストが採択されておりませんけれども、国際規則とか地域的な規則をつくることを非常に奨励しておりまして、さらに自国がそれ以上に厳しい規則を課して自国民あるいは自国の管轄権の及ぶ範囲でそれを要求しても差し支えないということになっておりますから、あくまでもこの条約は国際的な一般的な基準でやるということでございまして、自国についてより厳しい規制を課すということは残されております。
○大坪委員 時間がございませんので最後になると思います。 この投棄規制条約の四条に、投棄物について段階に分けて、禁止をするものと特別許可をするものと一般許可をするものとに分かれております。それで特別許可をするものというのが附属書IIに掲げるものになっておりまして、その附属書IIに掲げるものの中に、附属書Iに含まれない放射性廃棄物その他の放射性物質というものを挙げております。 この点について特にお聞きしたいと思いますのは、日本は非常に狭い島国でございまして、エネルギー事情が非常に切迫した現在の情勢では、好むと好まざるとにかかわらず原子力発電というものを将来相当積極的に考えていかなければなりません。ところが原子力発電というのは御承知のようにいわゆる放射性廃棄物が出るわけでありまして、その処理をめぐってアメリカ大陸やソ連邦のように広大な土地があるということであればいろいろ処置の方法も考えられるでしょうけれども、大変むずかしい問題を持っている。そこでその辺のことと人類の海洋汚染に関する規制との調整というものを図らなくちゃいかぬ。この附属書Iに含まれない放射性廃棄物その他の放射性物質、いわゆる低放射性物質、そういったものをどう扱うのか、科学技術庁の考えをちょっと聞かしていただきたい。
○辻説明員 先生御指摘のように現在原子力発電所におきましては低レベルの廃棄物、これが通常の場合はドラムかんの中にコンクリートと一緒に詰め込まれておるわけでありますが、これが五十三年十二月末時点におきまして全国約十二万本たまっておるわけでございます。これは現在発電所におきます廃棄物の保管設備の約五〇%程度のものでございます。年々これが今後の原子力発電所の運転に伴いまして増加してくる、やがては廃棄物処理場が満杯になることは目に見えているわけでございまして、これの処分という問題が非常に重要なことになってきているわけでございます。 これを進めますために昭和五十一年十月に原子力委員会が放射性廃棄物の対策につきまして基本方針を決定したわけでございますが、それには御指摘の低レベル放射性固体廃棄物対策につきましては、処分の方法といたしまして海洋処分と陸地処分とをあわせ行う、このために事前に安全性を評価し試験的処分を実施することとする、またこれを実施するに当たりましては国民の理解と協力のもとに国際的協調を図りつつ進めなさい、こういう基本方針を決定したわけでございます。 この線に沿いまして実は科学技術庁の方におきまして、海洋処分につきましては四十七年以降諸般の調査研究を進めてきているところでございまして、その中心となりますのは何と申しましても御指摘のような海洋汚染あるいは安全性の問題でございまして、これを調査いたしますために、海底の海流の流れ方、その他たとえば投棄しましたそのコンクリートのドラムかんが仮に全部壊れた、そのために海水中に低レベル廃棄物が放出されるというような仮定を置きまして、その場合に一体それをプランクトンが食べ、魚が食べ、それを人間が食べる、こういったようなことを検討いたしまして安全評価を進めてきているところでございます。同様なことは国際的にも行われているわけでございまして、この条約では高レベル廃棄物につきましては附属書Iに掲げてございまして、投棄禁止ということになっております。附属書IIの方では、低レベルの廃棄物ということで、主管庁の特別な承認を受けた場合に投棄できるということになっておりまして、その際にしかるべき安全評価をやった上でやるということになっております。そのためにOECDにおきましてはNEAという国際原子力機関というところで、実際に海洋投棄をします場合の各国の安全評価につきまして、国際会議の場において調査検討を行うというようなことで進めるわけでございますが、わが国の場合は、これまで試験的海洋処分をこれからやろうということで、この辺につきまして安全性の評価検討を行っている現状でございます。実際にはまだ投棄をいたしておりませんけれども、水産関係者等の御理解が得られました暁には、これを実施していきたいというふうに考えております。 安全評価の内容につきましては、すでに科学技術庁が行いましたものを、ただいま原子力安全委員会においてダブルチェックをして、安全審査をやっていただいているところでございまして、安全性についてはまず問題ないという結論をいただけるものと思っております。
○大坪委員 そうすると、いまの点は非常に重要だからもう一遍念を押しておきますけれども、低レベルの放射性物質、特に放射性廃棄物については、そういう安全性のチェックその他調査を十分した上で特別許可の対象にするような国内法制上の措置をとるということですね。
○辻説明員 低レベルの放射性廃棄物の投棄の規制につきましては、原子炉等規制法によりまして現在規制が行われているところでございます。この法律の規定の中には、海洋投棄あるいは陸上処分も含めてでございますが、放射性物質の廃棄を行います場合には一々主管庁の確認を得なければならないという規定がございまして、すでに国内法的には条約で言う特別承認の規定は整備されているところでございます。
○大坪委員 終わります。
○塩谷委員長 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約、私もこの条約につきまして、数点伺いたいと思います。 私ども公明党は従来から一貫して環境あるいは公害問題を重視しておりまして、海洋汚染を含むところの水質汚濁の問題の解決に積極的に取り組んできているわけでありますが、これらに関連をして、わが党の七九年の基本政策におきまして次のように述べているわけでございます。 〔委員長退席、大坪委員長代理着席〕 これは一部のところを読むことになりますが、 公害防止・環境保全対策は、一時の経済的現 象に左右されることなく国民の健康と安全・国 土保全の確立のために、国家百年の大計に立っ て立案、実施されていかねばなりません。そし て長期的、科学的視野に立った環境保全政策の 展開と住民の意見を反映しつつ公害の未然防止 と良好な環境の創造を図っていくことが時代の 強い要請となっています。 わが党は、こうした認識に立って、公害防止・ 環境保全および公害被害者の救済に全力をあげ ます。こういうふうになっているわけですが、私は、いま提案されているこの条約について、以上申し述べたわが党の基本的な立場からその内容を吟味し、かつその締結の意義を考えてみたい、このように思うわけです。 そこで、まず政府としては本件条約締結の意義をどのように考えておられるのか、改めて伺っておきたいと思います。
○井口説明員 お答え申し上げます。 この条約は、ストックホルムの人間環境会議というものを中心に形成されたものでございまして、しかも、いままでの公海、公の海は自由に投棄できる、あるいは汚染していいというような海洋の浄化力というものに過大の信頼を置いていた基本的な国際的な体系というものを根本的に変えまして、この海洋の投棄というのはむしろ領海から公海まで原則は禁止である。しかも、投棄し得る場合には、有害性があり得れば個別に事前に許可をする、あるいは一定の条件のもとに厳密な形で許可を与えるという形の条約でございまして、やはり国際法上非常に大きな意義を持っているというふうに思われるわけでございます。 そうしてこの条約そのものは、ストックホルムの人間環境会議で早期採択ということが勧告されたときにもすべての国が賛成いたしまして、この会議自体がその年のロンドンで採択されるときには、九十に近い国が参加いたしたわけでございまして、すでに五十数カ国が署名しております。署名しておる五十数カ国のうちには、先進工業国のほかアジア、アフリカ、ラ米等の後進国、さらにソ連、東欧圏中華人民共和国、幅広い国際的な支持がありまして、すでにこの四十数カ国がさらに批准をいたしまして、毎年締約国会議を開きまして、この条約の運用あるいはそれに伴う基準づくり、国際的な協調体制の強化ということをやっておるわけでございまして、これは海洋環境の保護を全世界的な規模で打ち出したきわめて建設的な条約であると思います。 それから国内的な意義も、これは先生御存じのとおり、すでに運輸委員会、科学技術特別委員会でも国内法が準備されておりますが、わが国としてこの条約というものを実施する上で関係省庁に非常に広くまたがるいろいろな国内法が整備されているわけでございますけれども、その場合に新たに確認制度を設けて、規制する投棄廃棄物の対象、規制される有害物質の範囲を広げております。また、洋上焼却という従来規制の対象とされてなかったものもこの条約に入ることによって新たな規制の対象になるわけでございまして、国内的な手続もそれだけより厳格に強化されるということでございます。そうして今後締約国会議に日本が正式なメンバーで参加することによって新しい基準づくり、あるいは附属書の運用、条約全体の運用、国際協力というものの観点からさらに強い貢献ができる、こういう意義がございます。
○中川(嘉)委員 廃棄物の海洋投棄防止のためのきわめて重要な条約を、昭和四十八年の六月、この条約に署名を行って以来なぜいままで国会の承認を求めなかったのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○井口説明員 この条約が、先ほど申し上げましたように、領海から公海まで広い範囲にわたりすべての物の投棄を規制するということでございますので、関係官庁あるいは関係国内法というものも非常に広範囲にわたったわけでございまして、その場合に広く国内でいろいろな省庁において現行の法制の枠内で処理し得るか、あるいは新たな改正、施行令等をつくる必要があるかということでかなり内容の検討に日時を要したわけでございます。そうして途中から洋上焼却の問題もざらに加わって条約の附属書が修正されたということもございましたし、この条約の解釈や運用について国際海事協議機関という事務局がございますが、こういうところにいろいろ照会するということもございまして、非常に重要な国内法の改正を準備する上でも時間かかかったということでございます。
○中川(嘉)委員 そうしますと、この条約によって海洋汚染が現状に比べて十分に一歩前進の措置となるものかどうか、この点はいかがでしょうか。
○井口説明員 これはいま申し上げましたように、日本が従来オブザーバーでしか参加しておりませんでした毎年の締約国会議において、正式なメンバーとして新たに無害性、有害性、その他規制の基準づくり、勧告等において日本の体験あるいは要求に基づく発言がいろいろできることになるわけでございますし、特別な確認制度も国内法を改正して海防法ではそういうものをつくりましたし、さらに放射性物質につきましてはいままで事業者規制だったわけですが、これをいかなるものも禁止するという形で適用対象を広くいたしまして科学技術庁の方の国内法が改正されたわけでございますから、規制強化という見地から前進があると考えるわけでございます。
○中川(嘉)委員 従来オイルボールの存在であるとかあるいはオイルのたれ流し、PCB、Hgの濃度の上昇、これら報じられるところの海洋汚染の進行は、わが国の法制及び対応あるいはまた各国の法制及び対応、こういったものが十分ではなかったように思われるわけですけれども、今後はどのようにするおつもりであるか、この点も伺っておきたいと思います。
○西村説明員 お答え申し上げます。 いま先生御指摘のように、わが国周辺の海洋におきましてなお廃油ボール等多数見られておることも事実でございますし、それから東京湾、伊勢湾、大阪湾あるいは特に瀬戸内海等、そういったところでいろいろな意味での海洋の汚染に根源的な対策が十分に講じられていないので、そういう点では汚染の状態が引き続き憂慮するようなことで続いているということもまた事実でございます。 こういった状況にございますが、これまで政府といたしまして、特に海洋汚染、海洋投棄の問題につきましては、昭和四十二年に油につきまして国際的な条約が採択されました。それに合わせまして、国内法制といたしまして船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律、これを制定いたしました。そしてさらに昭和四十五年には海洋汚染防止法を制定いたしました。これは今回批准の承認をお願いしようとしております海洋投棄規制条約と対応するような形で、その当時といたしましては、世界に先駆けて全面的な廃棄物の原則的禁止という形をとって、やむを得ないものについてだけ廃棄を認めるという法制を用意しまして今日に来ているわけでございます。そういう点で、廃油ボールその他の取り締まり等を海上保安庁等が中心になっていたしてきておるわけでございますが、廃油ボールにつきましてはまだ見られるものの、幸い現状はやや減少の方向にあると言ってよかろうかと思います。今後私どもといたしましてはさらに現場の取り締まりを強化するとともに、条約をお認めいただき、そして今度の海洋汚染防止に関する国内法制が整備されますときはさらに運用を強化して、確認制度等も活用して一層の海洋投棄規制をしてまいりたい、そう考えております。
○中川(嘉)委員 この条約に入ることによって産業廃棄物の海洋投棄を行うことを正当化するのではないか、そういう懸念を表明する向きもあるわけですけれども、このような懸念は海洋環境保護ということからどう考えていったらいいのか、あわせてわが国周辺海域における海洋汚染の状況についても御説明をいただきたいと思います。
○西村説明員 お答え申し上げます。 産業廃棄物につきまして、今回この条約を批准承認いただきますと国内法制の方はどういう扱いになるかといいますと、従来以上あるいは条約と細かいところの適合から申しましてやや規制を強化する面も出てまいろうかと思います。条約に加入いたしましても従来の産業廃棄物に対します規制を強化していくという政府の根本的な姿勢にはいささかも変わりございませんし、のみならず今後十分に規制強化していきたいと考えております。
○中川(嘉)委員 海上保安庁が取りまとめた昭和五十二年におけるわが国の廃棄物の海洋投入状況、これを見てみますと、投入総量は三千三百四十四万トンで、その内訳が、海洋発生廃棄物、水底土砂といいますか、これが二千四百九十六万トン、全体の七五%に当たっている、それから一般廃棄物が四百七十七万トン、これが全体の一四%、それから産業廃棄物が三百七十一万トン、これは全体の一一%、こういうふうになっているわけですが、廃棄物が海洋に投入された場合の漁業に与える直接的な影響としては、空きかんとか段ボールあるいはビニールなど海中に浮遊し、あるいはまた海底に沈んだもの等が底びき網なんかにひっかかったり、屎尿とか土砂、廃酸、廃アルカリについては、魚群が逸散したり、あるいは屎尿が漁場に投棄されることによって食用としてのイメージがダウンするというようなことがあるわけであります。 そこで伺いますが、わが国周辺海域における廃棄物の海洋投棄によるわが国漁業への影響はどうなっているのか、この点を伺いたいと思います。
○西村説明員 現在海洋投棄をするにつきましては、海洋汚染防止法に定める基準に従いまして、そこでは個々の物の性状に応じまして投棄すべき海域を決めております。この海域を決めるに当たりましては、政令でございますが、水産庁を通じて漁業関係団体と十分協議いたしまして漁業に悪い影響がないようにということで投棄水域を決めたわけでございます。 具体的には、非常に沈降するようなものにつきましては、これが日本の黒潮等の海流に影響されないように海流の少ないはるか沖の方に沈下するように、あるいは海洋に自然に還元するようなものについてはまた黒潮に乗るように、そういう形でやっておりますが、たとえば底びき漁業とかそういうものの漁場との関係等、これらは具体的な調整をしております。また法制度としましても、海洋汚染防止法上そのようなことを配慮するということを法律でうたっております。 以上のようなことで、現在の海洋汚染防止法による投棄のさせ方、それが具体的に漁業に悪い影響があるというような意見は私どもまだ具体的にいただいておりません。
○中川(嘉)委員 投棄ポイントについて伺いますが、これはどこが予定されているのか、その理由はどういうところにあるか、特に放射性物質の投棄についてはどうなるのか、これらの点についてお答えをいただきたいと思います。
○辻説明員 放射性物質の海洋投棄の問題についてお答えいたします。 先ほどちょっと御説明いたしましたように、原子力委員会の方針に沿いまして、私ども海洋投棄の問題を検討してきているところでございます。 まず最初に、投棄すべき海域の調査をやっているわけでございますが、これは昭和四十七年からずっと今日まで海洋調査を行ってきております。この調査には水産庁、気象庁及び海上保安庁の御協力をいただきまして、海底流の状況あるいはその投棄ポイントとなるべき海域のプランクトンその他の生物の自然放射能といいますか、平常のバックグラウンドの調査、その他いろいろな調査をやっているわけでございます。そうした調査の結果、ただいま投棄の候補地と考えられておりますのが四点ございます。地図でお示しした方がよろしいのでございますが、まず第一点は、東京の東南方約千四百五十キロメートルの沖でございまして、北緯二十六度、東経百五十度の地点を中心といたしまするところの約一万平方キロメートルの広さの海域、第二点が、同じく東南方約九百キロメートル、北緯三十度、東経百四十七度の地点、もう一つは、東南東の方向でございますが、約二千キロメートルの沖合い、北緯三十度、東経百六十度の地点、さらにもう一つは、東方千七百キロメートルの沖合い、北緯三十六度、東経百五十八度の地点でございまして、いずれも平均の水深が約六千メートルという海域を考えているわけでございます。
○中川(嘉)委員 いま言われました海域ですね、こういった海域における権利者、すなわち海運業者であるとか、先ほど来お答えいただいております漁業者その他に対する影響というものはどんなものか、話し合い、了解というものはどうなっているのか、こういったことは完全に行われるべきであると私は考えますけれども、この点はどうかという問題ですね。 もう一点あわせて伺いますが、予期せざる事故が発生したら、どのような措置をとられるか、特に先ほど来問題となっております放射能物質の投棄、これに関連した立場からもお答えをいただきたいと思います。
○辻説明員 放射性物質についてお答えいたします。 まず一点は、御指摘の安全評価の問題でございますが、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、これも先ほどの海洋調査をもとにいたしまして、机上計算ではございますが、投棄をいたします場合に、コンクリート詰めにして海底に落とすわけでございます。このコンクリートにつきましては、すでに放射性物質を入れないいわゆるコールドテストにおきまして、六千メートルの海底におきましてもその固化体か壊れない、健全なものであるという実験は別途やっておりますけれども、安全評価の観点からはシビアサイドを見るということで、これが投棄した後直ちにすべて壊れてしまった、中に入っている放射性物質がすべて海洋中に放出されたという前提で安全評価をやっているわけでございます。先ほど申しましたような食物連鎖等の影響を考慮いたしまして、ただいま私どもが行った計算で、一体日本国民一人当たりどのくらいの放射線被曝の増加量があるかということを調べてみますと、これは四掛ける十のマイナス六乗ミリレムという数字が出ております。これは、私どもがこれからやろうとしております試験投棄のデータでございまして、投棄数量が約五百キュリー、ドラムかんの本数にいたしまして 一万本弱というものを前提とした数字ではございますけれども、四掛ける十のマイナス六乗ミリレムということでございます。 この数字について若干御説明申し上げますと、われわれ通常、ここにこうして立っておりましても、宇宙からあるいは地面から放射線被曝を受けているわけでございまして、こういう放射線被曝の量が大体年間平均百ミリレムという数字であるということになっておりますが、それと比べましても数千万分の一という数字になっておるわけでございます。また、これが試験投棄が終わりましていよいよ本格的投棄が行われるというような場合には、もう少し数量が多くなりまして〇・〇一二ミリレムという数字でございますが、これも自然放射線量の数万分の一ということで、安全性の評価につきましては十分安全であるというふうに私ども考えております。 漁業者との話し合いにつきましては、五十一年の十一月以降何回にもわたりまして、大日本水産会を窓口といたしましてこれらの安全性の評価その他の御説明をしてきたわけでございますが、最も最近の時点では、本年四月四日に大日本水産会の傘下各団体にお集まりいただきました会合におきまして、今回議題となっております条約及びそれに関連する国内法の整備関係について御説明をいたしまして、この法案につきましては漁業界としては賛成である、実際の投棄につきましては今後傘下各団体個別に科学技術庁から詳しい安全性等の説明を受けて検討していくということになっております。いずれにしても、科学技術庁といたしましては、こういった水産関係者との話し合いが十分ついた上でなければ試験投棄といえども実施しないという方針で、今後水産関係者との話し合いを進めてまいりたい、かように考えております。 また、万一損害が生じた場合にどうであろうかという御質問の点につきましては、原子力損害賠償法というものがございまして、この法律によって、万一起こりました損害についてはカバーされるということになっております。
○中川(嘉)委員 それでは、時間が参ったようですので、またこれらの点については改めて別途さらにいろいろと伺っていく機会をぜひつくっていきたい。きょうはこの辺で終わりたいと思います。
○大坪委員長代理 渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 本条約に関連いたしまして、第三次国連海洋法会議第八会期の中で、第三委員会だと思いますけれども、海洋汚染防止に関してどのような審議が行われていたのか、また進捗状況と本条約との関係というのはどういう形で出てくるのか、そこら辺をまず御説明いただきたいと思います。
○井口説明員 海洋法条約に関しまして海洋汚染というのは実は一つの重大な課題でございまして、これについては沿岸国の海洋汚染防止の管轄権の拡大という形で固まっております。したがいまして、経済水域二百海里は同時に海洋汚染防止水域でございまして、沿岸国が排他的に管轄権を行使するということになっております。しかしながら、海洋環境の保護はやはり国際的な枠組みで行うことが望ましい、国際的に汚染防止基準をつくることが望ましいということで、原則としては国際的な基準を国際機関がつくりまして、それを各国が二百海里の中で適用する、その基準に基づいて違反した外国船を取り締まるというような形で実はでき上がってきているわけでございます。 なお、海洋投棄に関しましても、先ほど申し上げましたように、公海から領海までいろいろ法的なレジュームがございますけれども、領海、経済水域及び大陸棚は沿岸国が主権的権利を行使して外国船に対する取り締まりができる、公海に関しましてはやはり旗国の管轄権というふうになっております。
○渡辺(朗)委員 いまお話がありました大陸棚の問題でございますけれども、この管轄権の問題で大陸棚の定義そのものが変更される可能性があるやに聞いておりますけれども、これについてはいかがでございましょうか。
○井口説明員 大陸棚につきましては、確かにジュネーブで四月二十四日に終わりました第八会期で実は定義が新たに設けられたわけでございまして、大陸棚の外縁というのは二百海里の経済水域と同じではなくて、それ以遠に自然の延長がある場合に百五十海里延びる、したがいまして、自然の延長がある場合には岸から三百五十海里までの大陸棚を持ち得る、もしくはさらに二千五百メートルの水深のところから百海里まで、石油等の堆積層があればそこまでが大陸棚として沿岸国に帰属し得るということになりました。
○渡辺(朗)委員 大陸棚のそういう定義も変わってくる、そうすると、特に大陸棚の問題が出てまいりますのは、海底鉱物資源の探査及び開発ということに非常に関連が出てくると思います。本条約の第三条のところでございますが、(a)、(b)、(c)とありまして(c)のところで「海底鉱物資源の探査及び開発並びにこれらに関連して行われる沖合における加工から直接又は間接に生ずる廃棄物その他の物の処分は、この条約の適用を受けない。」こういうふうになっております。石油開発というようなものも当然海底鉱物資源の中に入るわけでありますが、往々にして出てくるのは、海洋汚染というのは投棄物だけではなくてそういうふうな海底油田開発なんかの場合の石油の噴出であるとかいろいろな問題も出てくる。ここら辺はどのようになるのでございましょうか。「この条約の適用を受けない。」ということになっておりますが、適用外ということで放置されるわけでございましょうか。
○井口説明員 この点に関しましては、条約の締結の段階で意見の対立があったわけでございまして、開発途上国は、国際基準がそこまで及んで自国の大陸棚の開発について厳しい基準が課されるということに抵抗がございまして、むしろ先進工業国はこの条約に含めて国際基準をつくりたいという考え方でございましたが、結局、これは渡辺先生の御指摘どおり条約の直接の適用は受けないという形になったわけでございます。しかしながら、今後国際基準あるいは地域的な基準をつくってこういう廃棄は規制していこうということでございまして、海洋法条約の方ではそういう趣旨の規定がございます。 なお、わが国の国内法ではこの点、きわめて厳しくしているというふうに了解しております。
○渡辺(朗)委員 関連してもう一つお尋ねをしておきたいと思います。 同じく海底鉱物資源の探査、開発の場合に問題になってくるのにマンガン団塊の問題があろうと思います。マンガン団塊は採取の場合も、予想されるところでは、たとえばサクション方式もありましょうしバケット方式もあるでありましょう。しかしかなり汚染させるのではなかろうかという懸念があるのですけれども、これも条約の適用外だ。特にマンガンノジュールなんかの場合は、マンガンのほかにいろいろな希少元素も入っている、コバルトなんかもある。海上でそれを加工する工作船がすでに建造されている国もあるやに聞いております。そういった問題に対しては、これは規制を受けないということになるわけでございますか。
○井口説明員 深海海底の開発に伴う汚染の問題は、実は先生がおっしゃるように海洋投棄規制条約ではまだ具体的に規制するほど現実の開発が行われていないという点がございましたが、したがって、先生のおっしゃるとおりこの条約の適用対象外でございます。しかしながら海洋法条約の方では第百四十五条というのがございまして、これは深海底を管理する国際機関がいろいろな投棄物の規制に関しまして国際規則をつくっていくということになっておりますので、いずれ深海底開発についてこの国際機関がこれを管理するという事態になった場合には、別途海洋法条約に基づく国際規制を受ける、こういうことになる予定でございます。 なお、米国は実は自国の厳しい国内法というものを今後つくって、それを相互主義的に運用して先進国で厳しい基準をつくりたい、こういう動きが別途ございます。
○渡辺(朗)委員 米国ではそういう法律をつくったりして規制をするようなことが行われている。深海底資源開発という問題に関連いたしまして、わが国ではそういうような法律を用意しておられるのでございましょうか。いかがでございましょう。
○井口説明員 これはまだ政府段階ではそういうようなものを現在用意しておりませんけれども、今後暫定的な深海底の立法が行われる場合にはそのような規定を設ける必要があるというふうに多くの先進工業国は考えております。
○渡辺(朗)委員 それからもう一度また本条約の方に返りますが、第五条の規定によりますと緊急投棄を認めているわけであります。これは素人の懸念でありますけれども、この条項が乱用されると実際に海洋環境の汚染防止ということが損なわれるケースが多くなるのではあるまいか。公海上におけるそういった緊急投棄の規制というものが相当厳しく行われないと本条約の実効性に大きな穴があくのではなかろうかと懸念するのですが、この点についての御見解はいかがでございましょう。
○井口説明員 この点に関しましては、非常に緊急の場合にはやむを得ないということで、緊急避難に類するようなケースでございますから、五条 一項でそういう場合には投棄禁止のものまでも投棄し得るということでございますが、しかしながら、その場合にも投棄する結果生ずる損害が投棄を行わなかった場合に生ずる損害よりも少ないということを条件にしておりますし、人命や海洋生物に対する損害の可能性を最小限にするということでございますので、しかも国際機関に報告するという義務が課されておりますから、乱用に対する歯どめというものは十分に設けられていると思います。
○渡辺(朗)委員 それから本条約の前文のところでございます。御説明をいただきたいのですが、 「特定の地理的区域において共通の利益を有する諸国に対しこの条約を補足する適者な取極を締結するよう奨励することにより」と、こうなっております。そのことによって環境保護、これを改善するんだ、これは具体的にどういうことになりますでしょう。また、わが国にとって必要な地理的な区域、それからまたその取り決めの中身、そういったものはお考えになっていらっしゃいますでしょうか、教えていただきたいと思います。
○井口説明員 これにつきましては実はわが国周辺ではまだ地域取り決めはございませんで、現在ございますのは北欧諸国のいわゆるオスロ条約、あるいはバルト海沿岸諸国がつくったバルト海条約、それから地中海の沿岸諸国がつくったバルセロナ条約、さらにアラビア湾の諸国がつくったクウェート地域条約というものがございまして、わが国の周辺ではまだそこまで地域的な話し合いは進んでいないというふうに了解しております。
○渡辺(朗)委員 特定の地域として必要だと認められる地域というのはございますか。その点はいかがでございます、日本の周辺で。
○井口説明員 実は必ずしも専門的にお答えするわけではございませんけれども、やはり閉鎖海とか半閉鎖海とかそういうところでは、それだけ地域的な汚染防止の取り決めをつくる共通の関心事項がある、こういうふうに了解しております。
○渡辺(朗)委員 きょうは時間がありませんのでこれまでにしまして、またの機会をいただいて質問をさしていただきたいと思います。ありがとうございました。
○大坪委員長代理 寺前巖君。
○寺前委員 私は最初に原子力発電の問題について、大臣御不在の間、ちょっと聞きたいと思います。科学技術庁なり国土庁なり通産省なりお見えをいただいていますね。 今度のアメリカにおけるスリーマイル島事故の問題を見ておりまして、原子力発電というのは安全な状況にあるという立場から物を進めておっては大変だなということを私は感じました。安全装置というものについても必ずしも安全ではないんだな、さらに多重防護は必ずしも多重防護ではなくして、多重欠陥につながっていくというふうにも感じたわけであります。 そこで、専門的な炉の問題については、これは科学技術特別委員会に譲るとして、日本の発電所計画などにおいても、一体最大の事故が発生した場合にはどうなるものだろうかということをちゃんと想定をして、それに対応する安全というのか避難計画というのか、そういうものをちゃんと確立して、住民との間に納得の上でこういうものは建設されているんだろうか。そもそもアメリカはどうだったんだろうかということを、最近調査団が行かれたようでございますので、アメリカにおけるこの島をめぐってのそういう想定は、被害想定というのは一体どういうふうにあったのか。それに対するところの避難計画というのはどういうふうにあったのか。それに基づいてどういうことをやったのか。やった結果はどうだったのか。この点について御説明をいただきたいと思います。
○佐々木説明員 最初のお尋ねでございますが、米国においてはどういう被害予測をしていたのかということでございますが、この件に関しましては、私どもの専門家によります調査の結果では、特に米側では事前にこういう被害があるという想定のもとで緊急時対策をつくっていたということを聞いておりません。ただし、米国におきましても、こういう緊急事態に備えまして、一定の線量に達しますと、どういうアクションをとるべきかというようなことにつきましては、その線量を定めております。 今回の場合は、州知事がこの線量に基づいてアクションをとったというよりは、むしろNRCのヘンドリー委員長の助言、それからこれは州の副知事から聴取した話でございますが、州としましては、州の中の健康省と申しますか、そういう部門の長の助言と、さらに州知事のプライベートな医師団と申しますか、医者が何人かおりまして、その方々の助言、こういう助言をもとにして判断されたようでございます。 連邦政府では、一応、全身被曝におきまして一レムという値以下につきましては防護活動の必要はない、こういう指針になっていたわけでございますが、今回の場合は、結果的には、最も被曝線量の大きそうなところでも約八十数ミリレムと申しますか百ミリレム以下でございますから、このアクションレベルの十分の一以下であったわけでございますが、どうも原子炉の状態が、避難を勧告いたしました日の早朝におきまして、原子炉から制御できないような放射性物質の放出が起こり得るというようなおそれがございましたので、この線量に達する前にNRCは州知事に対してそういうことを勧告したわけでございます。 州知事の方は、この勧告等によりまして、住民に対して、当日、まず十マイル以内の住民に対しましては戸内にとどまりなさい、要するに無用な被曝を屋外で受けないようにということと、さらにその後、五マイル以内の地域につきましては、妊産婦とそれから学齢期前の子供について、避難をしたらどうかというこれは勧告を行いまして、ただ、その際、州知事は、重ねて、事態はそれほど深刻ではないということを強調したようでございますが、住民の方々は、やはり、たとえば同じ家族の中で、幼稚園に行っている子供が逃げなくちゃいけないのに、どうして小学校一年生は逃げなくていいのかとか、そういうような非常に疑問が出てまいりまして、結果におきましては、結局この五マイル以内、特に風が北風であったわけでございますが、北方にございましたミドルタウンの町は、ほとんどゴーストタウンになるようなことになったようでございます。 これは結果でございますが、アメリカにおきましては、州政府のほかに、さらにその下のローカルガバメントとしましてカウンティーというのがございますが、今回の事故では、四つのカウンティーがこの五マイル以内の対象になっておりまして、州とこの四つのカウンティーは、それぞれ五マイル以内につきましては事前に避難の計画を持っておりました。ただ、NRCの方から、さらに広い範囲につきましても避難の可能性が全然ないわけではないから、これを準備してほしいという要請が州の方に出されまして、州の方はそこで急遽計画を作成したようでございます。しかし事前にあったのはあくまでも五マイル以内というようなことであったようでございます。 それから、避難の実際のことについて先ほどちょっと御説明が不足したわけでございますが、これはあくまでも勧告であったということでありましたけれども、一応スクールバスが用意されまして、スクールバスによって退避をしたようでございます。 それから、調査の状況でございますが、原子力安全委員会は、内田原子力安全委員を初めこれまでに延べ七名の方をそれぞれ一カ月ずつぐらいアメリカの方に派遣しておりまして、その状況を調査しております。それから当然在米の大使館からも情報が入っておりますし、それからNRCは適宜プレスリリース等の手段でいろいろな資料を発表しておりますが、そういうものを踏まえまして、原子力安全委員会のもとに設けられております、今回の発電所の事故を調査する特別委員会のもとでいろんな検討がなされておりまして、つい二、三日前にその第一回の報告書を出しております。これは主として事実に関する報告書でございますが、今後この事実をもとに日本の原子力安全確保についてどういう改善がなされるべきかというようなことが解析されるというようなことになっております。
○寺前委員 いまアメリカの状況について概略の話を聞きました。私も昨日調査特別委員会の第一次報告書なるものをずっと読ませていただいておるわけですが、ちょっと見た目にもいろいろ考えさせられる問題がこの報告書の中にも見ることができます。 そこで、それじゃ一体日本ではどういうことになっているんだろうか、私は何といっても最初に事故が発生するという、万一という問題は常に想定をしておかなかったならば、避難という問題に対する対策もないことになります。避難という計画がなかったならば万一事故が起こったときの対応はおくれてしまうという、これはもう当然の帰結になってきます。ですから、一番もとになるところのこの原子炉の災害が発生した場合はどうなるかということを常に推測し計算をしておくということは当然だと思うのです。アメリカでは二十二年前の一九五七年、原子力委員会のもとにブルックヘブン国立研究所でWASH七四〇という報告書が出ておる。ここで推定の計算をやって、一応のそういう事態が発生したらどういうことになるかといういろんな推計をやっておられるようです。日本においても科学技術庁が日本原子力産業会議に委嘱をして、「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害に関する試算」というものをおまとめになったようです。私最近それを見させていただいておって、それじゃ個々の原子炉の場合にはどういうふうになるんだろうかということを責任を持って試算をして進めているんだろうか。この報告書を見ると、基礎になっているところの原子力の発電炉の大きさというのが非常に小さいです。十六・六万キロワットというもとにおける最大事故を計算をしておられるようです。いまたとえば日本の大飯の発電所でしたら幾らでしょうか、百何ぼになるのじゃないでしょうか。この間スリーマイルアイランドは九十五万九千キロワットですし、大飯の発電所は一基百十七万キロワット、一号炉。二号炉の計画の方もやはり同じじゃないでしょうか。そういうふうに非常に大型のものが次々と建設をされている。だからその当時の試算だけでは済まないという段階にずっと広がってきています。これをちょっと見ただけでも、その中には二十五キロメートル以内で死者が出るとか、百六十キロメートルで緊急の立ち退きとか、二百キロメートル以内で農業の制限、戸外活動の禁止など、最大事故の場合の想定の計算をしておられるようです。 そこで聞きます。まず一番最近のこれに似た炉としての大飯の原子力発電所の最大事故が起こった場合のいろんな推定、試算をおやりになっているんですか、どうですか。
○佐々木説明員 先生のお尋ねとやや違うかもしれませんけれども、原子力安全委員会におきましては原子炉の設置許可の際に安全審査というものを行っておりますが、この安全審査におきましては一応重大事故、仮想事故というものを想定いたしまして、それでその立地が適格であるかどうかということをチェックいたしております。しかしこれはあくまでも、事故を想定したというよりも、その立地が適格であるかどうかということを判断するために、一応その重大事故、仮想事故というものを想定して、立地が適格であるかどうか、具体的に申しますと、ある範囲内に人間が居住していないかどうかということと、ある距離以内に大きな人口の集中地域かないかどうかということをこの二つの想定した事故によってチェックいたしております。それは必ずしも緊急時対策のための事故の想定とは結びついておりません。
○寺前委員 そうすると事故が発生するという場合にはどういう事態になるかということと結びついていないということになりますから、避難計画というのはそれじゃ想定なしの避難計画だということになるかと思うのですが、次に聞きます。 大飯の原子力発電所の避難計画はありますか。
○米本説明員 日本におきましては原子力発電所の災害が万が一起こった場合のことを想定いたしまして、災害対策基本法でそれぞれ避難対策を含めました応急対策すなわち地域防災計画が定められておりまして、この地域防災計画によりまして避難計画等を含めましたいろいろな防災対策が定められておるわけでございます。したがいまして、大飯の原子力発電所のみならず、福井県におきます原子力発電所につきましてはそれぞれ福井県の地域防災計画の中にそういった計画等も定められておると承知しております。
○寺前委員 再度お聞きいたしますが、大飯町の諸君たちに避難計画は厳然として存在していますか。ありますね、間違いありませんね、大飯町として。
○米本説明員 一般の地域防災計画の一環として定められていると承知しております。
○寺前委員 私、そのわかったようなわからぬような日本語はわかりません。大飯町として住民に避難計画は提起されていますか、まずお聞きします。
○米本説明員 大飯町におきます防災計画につきましては、大飯町での災害対策基本法に基づきました地域防災計画が定められておりまして、これと福井県全体を含めました原子力の防災計画が定められておりますから、それらの両方の計画が相まちまして、仮に万が一原発に事故が起きました場合には、これらの計画と、さらにいろんな国としての指示等、専門家の派遣でありますとかいろんな指示等によりまして、そのような事態には対処できると考えております。
○寺前委員 あなた、本当にまじめに答えてくれているの。こういう事故か発生した場合にはこういうふうに避難を指示をします、こういうふうにやっていきます、そういう計画がちゃんと大飯町で住民に明らかにされていますかと私は聞いているんだよ。されているんだったらされているの一言で済むんじゃないですか。
○米本説明員 一般防災計画におきましてされておると承知しております。
○寺前委員 冗談じゃないですよ。してないですよ。住民に明らかにされてないですよ、そんなものは。そんなでたらめを答弁して、あなた、済みますか。現に原子力発電所が存在しているのですよ。そこで事故が発生した場合にはどういうふうに避難をするのか、原子力発電所の問題と結びついてどうやって避難をするのかという計画を国土庁の方は知っていますか。あるということを聞いていますか。確認できますか。
○柳説明員 突然の御質問で、現在手元に資料を持っておりませんが、私の記憶するところでは、一般の防災計画は定めておるというふうに聞いております。
○寺前委員 一般の防災計画であって、原子力発電所におけるところの被害との関係においては確認をしておられないということじゃありませんか、そうでしょうが。現地の町長なり市長なり関係者のところに聞いてみたら、みんな、一体どういうふうにしたものでしょうかと逆に聞かれますよ。これが現状じゃありませんか。そういう無責任なことを委員会で発言をされること自身重大な問題だ、そういうふうに私は指摘せざるを得ないですよ。 〔大坪委員長代理退席、委員長着席〕 住民の前に原子力発電所があってどういう事故が起こるか、その起こった想定のときにはどういうふうにしたら助かるのかということが示されていない以上は、住民の方が不安を持つのはあたりまえだ。もともと想定すら住民に明らかにされていない、こうおっしゃっているのだから。こういうような答弁で国会が進んでいくとすれば、これはえらいこっちゃなと私は思いますよ。しかも、アメリカの経験から言うたら、五マイルの処置をとっている、十マイルの処置をとっている、こうなるのでしょう。そうすると、あそこは福井県なのですけれども、お隣が京都府なのです。私は京都府の住民だからあえて言うのです。私は、このアメリカの事故の調査の結果を見せてもらって、えらいことになるな。ともかく電話回線は、集中してしまうからとまってしまうのだ、判断で措置するのが大あわてになってしまうのだ、その間に病院があったら病院対策はどうするのか、がたがたになってしまったということがこの報告書の中にちゃんと書いてあるのです。そうしたら、あそこだって同じことですよ。大飯町の周辺においても五マイル、十マイル、二十マイル、計算してごらんなさいな。そこにはこれと同じ事態というものが発生するという予測があります。そこには、住民に対して全然計画もないままに、明らかにすることもできないままに今日発電所だけが建ってきている一あなた、知らぬのだったらもう知らぬと言いなさい。その方が話が早い。知らぬのに知った顔をするのはやめてもらいたい。半径で描いていってごらんなさいな。その五マイルなり十マイルなり二十マイルの範囲内のところのそれぞれの自治体が避難計画を持っているとあなな言えますか。えらいこっちゃという騒ぎばかりが住民の中にあるのですよ。いまの事態においてまじめに考えるならば、それを検討します、この一言に尽きると私は思うのですよ。一つの府県の問題ではありません。府県をまたがる問題がある。それぞれの県だけでは済みません。国として基準をつくって総合的対策をとらないことには話になりません、こうおっしゃるならば、私は今次のこの調査団の調査された内容の検討を始めるのだなと耳を素直に傾けますよ。あなたのさっきの態度だったら、耳を傾けられませんよ。どうです。五マイル、十マイル、二十マイルという数字が今回のこれでこれだけ出ても、すぐに出た話です。その範囲内では府県をまたがることもあります。自治体は当然またがっています。基準をつくって総合的な対策は組むべきであるというふうに、報告から見ても少なくともお考えになりませんか。やりますか。
○米本説明員 先ほどの説明が不十分でございまして、先生に疑惑の念を抱かせましたことは非常に申しわけございませんけれども、実際に原子力発電所が立地しております地方公共団体におきましての防災業務計画というのは、一応災害対策基本法に基づきましてできておりますけれども、これは今回の事故にかんがみまして、さらにこれを実際一層よくワークするために、見直しといいますか、再検討を現在行っておるところでございます。 まずこのためには、地域の原子力ということで、地方公共団体におきましてはそういった専門的な知識が必ずしも十分でないということで、国としましてこういった防災の対策につきましては責任を持って指導助言をしておくことが必要であると考えておりまして、この事故が起こりました直後から関係省庁が省議をいたしまして、当面の原子力発電所にかかわる防災につきまして、当面とる措置というのを検討してまいってきておるところでございます。これは四月末に一応まとまりまして、現在まとまりました段階では、まず実際に災害が発生しました場合には、原子力発電所等の責任者が、直ちに地方公共団体でありますとか、通産省あるいは科学技術庁といった国の責任官庁に通報するということをさらに再度確認する、それから、通産省とか科学技術庁とかそういう責任官庁がそういった事故の通報を受けた場合には、その内容を判断しまして、その事故の影響が敷地の外部に及ぶ可能性があるといったことかどうかを判断いたしまして、これを地方公共団体に連絡をするとともに、原子力施設に対しまして専門家を派遣して指導を行うということも検討しております。 それからまた一方では、原子力安全委員会におきまして緊急助言組織といったものを招集いたしまして、ここに日本の安全問題に関する頭脳といった人たちを集めまして、地方からの情報に基づきまして必要な措置等につきまして助言をしながら、国における対策、それから地方公共団体に対する適切な指示等を行っていくということも現在検討して考えております。 それから、さらに科学技術庁とかあるいは通産省とかそういった責任官庁につきましては、中央における安全委員会の助言組織のみでなく、現地に実際に原子炉の工学の専門家でありますとかあるいは放射線防護の専門家でありますとかいった専門家を派遣することも考えておりまして、現在すでに人選を終わりまして、実際の派遣をする方法等について協議しておるところでございます。 それから、さらに敷地周辺の環境のモニタリング、放射線の測定といった緊急時のモニタリングにつきましても、必要な要員でありますとか機材等につきましても、国として責任を持って派遣するように準備をしておるところでございます。 それから、さらに万が一放射線障害といったようなものが起こった場合には、それらの治療、診断等に当たらせるための放射線障害の専門家等のチームを派遣するということも検討しております。 こういった専門家の派遣でありますとか、あるいは現地からの情報といったことを踏まえつつ原子力安全委員会が中心となりました緊急助言組織の助言を得ながら、現地の地方自治体における災害対策本部でありますとかあるいは原子力事業者に対しまして、国としての責任を持った指導助言を行っていこうということを考えておるわけでございます。したがいまして、こういった当面の措置として、中央にそういう助言の組織をつくる、あるいはさらには現地に専門家を派遣する、あるいはモニタリングチームを派遣するということを、今回の経験を踏まえて検討しておりますと同時に、さらに一方では、先生御指摘のようないろいろな災害につきまして、どのような範囲まで防災計画をあらかじめ考えておくべきかというようなことにつきましても、現在原子力安全委員会に防災対策の専門部会を設置いたしましてそういった専門的な問題につきましても検討を始めております。したがいまして、その結果を踏まえましてそれぞれの各地方公共団体におきます地域防災計画のあるべき姿といったようなものを見直していきたいと考えておるわけでございます。
○寺前委員 結局の話、住民の前にはどうしたらいいかというものはいままで何もなかったのですよ。それについて考えなければいかぬということをあなたはいまお認めになった、こういうことですよ。そう言わなかったら、住民をばかにするなと私は怒ります。私は住民なんだからよく知っているのだ。何もないんだ。それで関係の市町村長さんは、国としてきちんと基準を教えていただきたい、資材についても国として手を打ってもらわなかったらわれわれだけではできません、こういう陳情をわれわれにされるわけなんです。きちんとあなたそういうものを踏まえていただかなかったら困る。 そこで、この話をいつまでもやるわけにいきませんのでやめますが、最後に聞いておきます。 大飯の発電所だけではないのです。高浜発電所というのもその横にある。小浜もある。次々とあそこはいろいろたくさんあるところなんです。高浜についてもそういう計画はありません。それはあたりまえです。そこの町だけではない、そこの県だけではない、お隣の府県を含めて対象を広げて避難計画というのはきちんと準備をしてもらわなかったら、事故には県境はございません。そこで、これらの原子力発電所が再開をするに当たっては、条件として関係の自治体の住民の納得を得られるようにして運営するということでなかったならば再開はすべきではないと思いますが、その点だけをひとつ御確認をいただきたい。
○米本説明員 私どもは、防災の立場から申し上げますと、先ほど申し上げましたように防災対策につきまして国としても現在積極的に検討を進めておりまして、その結果につきまして早急に結論を出しまして住民の方々の不安をなくしたいというふうに考えておるわけでございますけれども、現在この問題は、防災計画の再点検といいますか、見直しという問題は、一般の原子力発電所の共通の問題として今回の事故を契機に再点検を行っておるわけでございますので、大飯の再開の問題は、私どもとしては別途の問題の安全性の再確認という点では大飯の問題としては考えられますけれども、防災計画と直接つながる問題とは考えておらないということでございます。
○児玉(勝)政府委員 大飯原子力発電所の再開につきましてお答えいたします。 先ほど来お話がございましたように、防災計画につきましては地元が非常に関心を持っていらっしゃるのは当然なことでもございますし、私たちとしても十分理解のできるところでございます。それで、先ほど米本室長がお話しになっておりますように、この防災問題につきましてはなお専門的に検討すべき問題もございますし、そういうことでは当面早速やるべき問題とそれからなおかつ詳細に詰めるべき問題とあろうかと思います。そういう点につきまして、五月の二十八日に福井県に通産省とそれから科学技術庁とが出向きましてその辺の御説明等しております。そこで、そういうような防災対策の強化ということについていろいろ地元でも御検討いただかなければならないこともございますし、またいろいろな手続もございますので、その点の問題の検討とそれからその内容の具体化という問題につきまして、ただいま福井県及び大飯町におきまして御検討いただいていると聞いております。その方々の御納得、御理解を得た上で原子力発電所の再開をしたい、こう考えております。
○寺前委員 私、いまの発言につけ加えてひとつ聞きたいです。 先ほども言いましたが、大飯原発には、行政区としては県境なり町境はあります。だけれども事故が発生した場合には県境とか町境というものはありません。明らかに京都府はすぐその横にあるわけです。電源三法でお金を出すときもちゃんと違う県に出ているわけです。片っ方では迷惑料とも言われるこれらのことをやりながら、片っ方のときにはそういう県境や隣の町村は知りませんでは、これは筋の通らない話だと思うのです。当然のことながらそれらも関係のところとしてきちんと防災計画を確立すべきだと思いますが、その点について、再開の場合にも当然のこととしてきちんと押さえていただきたい。いかがですか。
○児玉(勝)政府委員 防災問題につきましては、先生おっしゃいますようにそういう行政の区域というものには関係ないことは当然であろうと思います。そこでこの再開に際しましてのいわゆる防災計画の具体的な実効ある計画という問題をどのようにして行うべきか、またそういう問題について県または県外の問題についてどういうふうに対処すべきかということにつきましては、関係省庁でよく相談いたしまして対応したい、こう考えております。
○寺前委員 必ずそれをやってください。お願いをして、協定の問題についてお聞きをします。 もう時間もあれでございますので簡単にしますが、私は幾つかの点でこの協定あるいは議定書、不安を感ずるものであります。 事前同意権といいますか規制権というのか支配権というのか、日本等、カナダの原子力を供給している国に対して、その許可がなかったならば仕事ができないという立場がこの協定の中に出てくるわけですが、こういう支配をされていくということは日本の自主性の立場から考えてもおかしいのではないだろうか、自主的開発が損なわれるというおそれはないのか。従来平和目的ということで書いてあったものが「いかなる核爆発装置の製造のためにも使用されてはならない。」というような第四条などが書かれているわけですが、どうも自主的な開発に制限を受けることになる。あるいはまたこういう事前同意権、規制権といいますか、こういうものは、研究所の研究に対してもあるいは研究した結果を国際的にも国内的にも発表する、そういう場合にまでもこの権利で制限を受けてくる、一々お伺いを立てなければならぬということにはならないのだろうか。さらに極言をしていくならば労働運動や政治活動の分野まで供給国の制限をいろいろ受けてくるということにはならないのだろうか、あるいはまた事故が発生した場合にはどういうことになるだろう、そのときの対応はこうするんだという、そういう調査の結果についての発表もまた制限を受けるということにならないんだろうか。私は、この事前同意権というのは、そういう種類の問題全体に波及することを懸念するわけですが、こういう懸念は絶対にないということが言い切れるのかどうか。
○矢田部政府委員 改正されます協定は、確かに供給国の規制権を強化する方向で現行協定を改正するものであることは先生御指摘のとおりでございます。しかしながら、改正される主な点といたしましては、ただいま先生が御指摘になりました核爆発装置へ利用することを禁止するという点につきましては、これはもう先生御高承のとおり、日本といたしましては、平和目的といえども核爆発を行うという計画は持っておりません。平和目的と軍事目的と核爆発を区別することはできないというのが基本的な立場でございまして、もともと日本はそういう政策をとっておる。さらに、日本は核兵器不拡散条約の締約国でございまして、この条約におきましても、平和目的、核爆発を行うことはしないという義務をすでに負っておるわけでございますので、追加的に規制を強化されるということにはならないわけでございます。 それから、御心配の事前同意権でございますが、これは先生が御心配のような労働問題政治問題というようなことにまで供給国の介入を許すようなことにはいささかもなっておりません。供給国の事前同意権というものは、供給国から提供された、この協定の対象となっております核物質等を第三国へ移転することの事前同意権であり、また再処理、二〇%以上への濃縮を行う場合の事前同意権であり、また貯蔵をいたす場合の事前同意権でございます。こういうふうにはっきり定められた範囲の事前同意権でございますので、先生の御心配になるようなことはいささかもないとはっきり申し上げてよろしいかと存じます。
○寺前委員 はっきり心配ないということではなくして、研究の成果の発表なり、あるいは調査などがやはりいろいろ制限を受ける可能性というのは多分に見ておかなければならないのじゃないだろうか。もともとが自主性を規制を受けるんだから、そういうことになるという可能性は多分にあるということを私は指摘をせざるを得ないと思うのです。 その次に、核物質防護措置の結果、これが漏洩をするということに対する規制措置を、国内的にも秘密保護法などをつくっていくということに結果としてはならないでしょうか。私はその点を心配するのですが、大丈夫ですか。そこはどういうことになりますか。
○矢田部政府委員 核物質防護と申しますのは、先生御承知のとおり、核物質等が不法にテロリスト等の犯罪者の手に渡って不法行為に使用されることを防ぐために核物質等を物理的に保護する、防護する措置のことでございます。したがいまして、これは研究成果の発表を制限するというようなこととは何ら結びつかないものでございます。
○寺前委員 先ほどお話がありましたが、日米安保に基づいてアメリカの核部隊が存在しているということはもう天下周知の事実の方向に来ています。一時貯蔵持ち込みの疑いは決定的と言える段階に日本は来ているということで、国際的にも注目されています。去年の十二月、国連総会では、核兵器の移動に対して反対する決議に日本は反対をするということを行っているし、日本自身の最近のとっている行為に対して、国際的に疑惑を持たれている。国是として、持たず、つくらず、持ち込ませずという非核三原則を言いながら、こういう事態をとっているというところに、国際的にも、日本だってわからぬぞという要素があって、事前承認権の一つの理由になってきているのじゃないか、こういうことを考えると、私は、単に国是というだけではなくして、国際的にも説得力のある非核三原則を法制化して明確にさせておくということによって、こういう自主規制を外していく手を打つべきでないだろうかということを大臣にお聞きをしたい、これが一つ。 もう時間がありませんので、一緒に言うておきます。 今日のこれが基本になって、日豪の原子力の問題、日米の原子力の協定など、みんな自主性を奪われた協定に一層強まっていくということになるのじゃないかと私は思うけれども、その点はどうか、お聞きします。
○園田国務大臣 非核三原則の問題では、いま御注意の点もありますけれども、国連軍縮総会で、私は改めて各国に宣明し、その決意を語っておりますので、ただいまのところ、これを立法化するという考え方はございません。 なおまた、自主規制ということによって日本が自主を奪われるというようなことは、いま事務当局から説明したとおりでありますが、その点、運用に当たって十分留意いたしますが、この改定によって現行よりも自主性が奪われるということはないものと判断をいたします。 なお、後から来て申しわけありませんが、最初に寺前さんが言われたこと、これは全く御指摘のとおりだと私は考えております。災害基本法だとか防災計画とか、こういう火事、風、地震、洪水のようなものとこれとは全然別個の問題でありまして、それを基本にしてやるなんということはもってのほかでありまして、どうしてもわれわれの原子力開発というものを進めていかなければならぬ立場からいっても、一つは原子炉の安全性の確認、もう一つは、不時の場合にどういう計画をするか、避難計画、それから防護対策、治療、こういうものを含めたものはいまは全く皆無だと言わざるを得ません。そこで、いままでどおりに地域の人々に原子力の必要なことを説得するだけでは進まぬと私は考えます。御指摘のようなことを改めてやらぬと、厚生省、警察、総理府、それから安全委員会と、各省にまたがっておりますから、なるべく早い時期に、私、閣議でいま御指摘された点は発議をして、これはやはり特別立法をつくるということでなければならぬと思いますが、そういうことについて準備が早急に進むようにしていきたいと考えております。
○寺前委員 時間が来ましたので、終わります。 ――――◇―――――
○塩谷委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。 ただいまより総理大臣に対する質疑を行いますが、質疑者の各位は、理事会で申し合わせいたしました持ち時間を厳守されますよう、あらかじめお願い申し上げます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛野興一郎君。
○愛野委員 総理に対しまして二項目質問をいたしたいと思います。 その一項目は、東京サミットの問題でありますが、一九七五年ジスカールデスタン大統領がこの首脳会談を開かれて以来、今回が環境的には一番厳しい環境下で東京サミットを迎えると思うのであります。インフレの問題におきましても国際的に再燃の傾向にありますし、あるいはまた資源エネルギーの問題にいたしましても、先般のIEAの閣僚理事会でも見られましたとおり非常に深刻な様相であるわけであります。そこで、東京サミットにおきましてインフレ対策にどのような期待をしていいのか、あるいはまた資源エネルギー対策について東京サミットにおいてどのような期待をしていいのか、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 サミットは御承知のように、経済サミットとして発足して今度五回目の会合が東京で開かれることになっております。経済の問題といたしましては、愛野さんも御承知のとおり片やインフレの問題がございまして、片や雇用の問題がございまして、この二つの問題はいわばトレードオフの関係になっておる。どの国もこの二つの課題にどうこたえるかということで忙殺されておるわけでございます。インフレの収束を徹底的にやろうと思えば失業に若干の増大を見なければならぬということになるし、失業解消ということでいたしますならばインフレを招来いたしかねないという関係にあるわけでございまして、いまインフレ対策として経済サミットに何を期待するかということでございますが、経済サミットを行うこと自体がそれに対する答えでないかと思うのであります。 このサミットにおきまして、伝えられておりますようにいろいろな議題がございますが、まだ最終的にどういう議題が取り上げられるか、どういう順序で取り上げられるかは、この半ばのパリにおける準備会議でほぼ固まってくるのじゃないかと思いまして、まだ固まった段階ではございませんけれども、経済成長の問題でございますとか、貿易の問題でございますとか、あるいはエネルギーの問題、南北問題、通貨問題、そういった問題がいままで取り上げてこられたから、今度の場合も取り上げられるに違いないと思いますが、そういった問題全部が、結局インフレに対応してどうするかという身構えの問題になってくると思うのでございます。だから私の答えは、サミット全体でインフレの問題に取り組むためにいろいろな角度から問題に接近して、先進主要国の認識をできるだけ一致させる。これに対応する手段も協力できるものはできるだけ協力する姿勢を整えていく。そういうことのために今度のサミットは答案を出さなければならぬ責任があるのではないかと考えております。
○愛野委員 第二項目は、総理がUNCTADに御出席いただいたことを心から敬意を表します。そこで、そのUNCTADにおきまして開発途上国がわが国の総理に非常に期待をしたわけでありまして、この開発途上国の考え方をサミットに伝えていただきたい。また総理も約束をされたわけであります。そこで、このUNCTAD自体で先進国と開発途上国の間にいろいろな意見の相違があるわけでありますが、これをどのようにしてその約束を果たされるのか。また、わが国政府として、南北問題の審議にいかなる姿勢でこのサミットにおいて臨まれる方針であるのかお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○大平内閣総理大臣 わが国は先進主要国の中では一番おくれて近代化をいたした国でございます。したがって、発展途上国に距離的には一番近い、心情的にも一番近い間柄にあるわけでございまして、他の先進諸国に比べて南北問題というものにより深い理解を持ってしかるべき国でないかと考えております。その発展途上国の集まりでございまするUNCTADの総会がマニラで開かれるということになりましたので、これは日本としては出てまいりまして、わが国の南北政策についての考え方を鮮明にいたす機会だと存じまして出てまいりました。そしてその場の空気もくみ取ってまいりましてサミットに伝えるということも、私の責任でないかと感じて参しいたしたわけでございます。 UNCTADについてわれわれは何を申したかと申しますと、いまUNCTADが抱える問題は、UNCTADだけの力量で解決できない問題、やはり先進国の協力が要るのではないかということでございまして、先進国とUNCTADとの間の間柄というものをできるだけ建設的、協調的なものにすべきではないかということが一つでございます。 それから、わが国はその経済力に応じた貢献をしなければならぬ責任と役割りを持っておるということが第二でございます。 それから、第三といたしまして、しからば、いままでもいろいろ経済協力はやってまいったつもりでございますけれども、とりわけ、この際力点を置くのはどこに置くかということでございますが、まずそれは受益国である国々の、発展途上国の意思を尊重しなければならないが、発展途上国が望む限りにおきましては、農業開発と人づくりの問題に力点を置いてわれわれとしては考えていきたいということで、若干の具体的な提案も申し上げておいたわけでございます。 それから、UNCTADの空気でございますが、まだ会議が行われておるわけでございまして、締めくくりがどういうことになりますかは定かではございませんが、共通基金が骨格においてまとまって、その内容を詰めるというようなことになっておるところから見ますと、UNCTADの方もやはり相当、みずからの新しい経済秩序に合致した、すっきりとした理想的なことはなかなかできないけれども、先進国との協力が得られるような建設的な方途も講じなければならぬという空気があるようでございます。私どももそれを尊重して、そういう空気がある限りにおいては日本も応分の協力をしようというようにもお伝えしておいたわけでございまして、私の演説に対しまして、特に際立って反対であるとか批判的な空気があったとは私は考えていないわけでございまして、わが国の政策はそれなりに理解はされたのではないか、十分満足を得たものとはうぬぼれておりませんけれども、相当程度の理解は得られたのではないかと考えております。
○愛野委員 終わります。
○塩谷委員長 土井たか子君。
○土井委員 大平総理大臣が総理御就任以来、次から次へと大変な難題が相次いでいるわけでございますが、わけても航空機汚職やソウル地下鉄に見る政治疑惑、さらに、ただいままた大変国会では集中的にこれが取り上げてまいられております金大中氏事件、どれ一つをとりましてもすっきりしたものはございません。国民にいたしますと、いらいらしたやりきれない政治への不信と不満というのがただいま過巻いていると申し上げることができると思うわけでございます。 その中で、まずお尋ねしたいのは、松野元防衛庁長官のこの国会証言に対する偽証告発を野党はこぞって決定をいたしております。総理のこれについての御決断が非常にいま大事なときでございます。恐らくこういう問題を私がいまお尋ねいたしますと、それは国会でお決めいただくことだという御答弁が返ってくるだろうと思いますが、私は、ここでお伺いしたいのは、自由民主党という一党の総裁としてのお立場で、ひとつこの問題に対して御決断をなさるべきときではないか、それも総裁としての苦しみのある、通り一遍ではない、血の通った思いで、国民の信頼にこたえるという立場で、議会制民主主義を守っていくという健全なる立場での御決断であってほしい、このように思うわけであります。 まずこのことに対する大平総理の御所信をお聞かせいただきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 航空機輸入に絡まる疑惑でございますが、これにつきまして、政府の立場から、政治の立場から何をなすべきであるかということの第一は、まず捜査当局が刑事責任の所在を確かめる、公権力を用いて捜査をやりまして、そしてその所在を確かめるということでなければなりませんで、そのことは精力的に厳正に行われたわけでございます。 第二の問題は、政治責任、道義責任というものにどうこたえるかという問題であろうと思うのでございます。これにつきましてはいろいろな見方がありましょうが、国会におきましては国政調査権が発動に相なりまして究明に当たられておるということでございまして、これに対して政府は、かねがね申し上げておりますように、法令の許す範囲で最大限の協力を申し上げますという態度に終始いたしておるわけでございます。今後もその態度を崩してはいけないと考えておりまして、いま松野君の問題につきましてはまさにその範疇に属する問題であろうと思うのでございますので、まず国会がこの問題についてどのように対処されますか、それを見定めなければならない立場に私はあると考えております。 しかし政府としてそれだけでいいかといいますと、土井さんがいみじくも言われますように、国民はそれで決して満足はしていないと思うのでございまして、こういう事件がなぜ起こるのか、こういうことに対しまして、立法、行政その他いろいろな立場から、何がそういうことを防止するために行われなければならないかということについて真剣な検討がなされて、それが実行に移されなければならぬということが第三にあると思うのでございます。 そういう問題にこたえるために、三木内閣以来、再発防止のためにいろいろな建議、決定がございますので、それはそれとして実行いたしておりますけれども、私の内閣におきましても、昨日以来協議会を設けまして、あらゆる角度から検討を急いでおるところでございまして、できるだけ早い機会に結論を得たいと存じておるわけでございます。 そういうことでいま対処をいたしておるわけで、お尋ねの松野君に対する偽証告発問題というのは、大変恐縮でございますが、国会の方で御相談をいただいておるようでございますから、ひとつその成り行きを見定めたいと考えております。
○土井委員 続けて、金大中氏事件の問題についてお尋ねを進めます。 一昨日、参議院におきまして、わが党の寺田議員の質問に対して総理は、政治決着はきわめて不満であるという旨の御答弁をされております。何が不満であったのか、その点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 この種事件の徹底的な解明をいたしまして、そして捜査を完全に終えて黒白を明らかにして、そうして政治的な決着をするということが望ましいことなのでございますけれども、そういう捜査の途中におきまして、日韓両国の関係を考えながら政治決着に踏み切らざるを得なかったことは満足のいく措置ではないと思っております。けれども、また別な観点から申しまして捜査が完全に、ちり一つ残さずに決まるまで政治的決着を待つということもまた政府の立場では無理がございますので、その間の調和を図ってああいう措置を講じたわけでございまして、完全に満足のいく措置であるとは私は思っておりませんけれども、やむを得ない措置であったというように存じておる感想をそのまま述べたわけでございます。
○土井委員 いま満足のいかなかった措置であると言われながら、当時総理は外務大臣でいらしたわけでございますね。外務大臣であられた大平総理の御発言としては、ある意味ではまことに無責任な御発言だと私は思うわけであります。われわれ国民からいたしますと、何も知らされず、聞かされず、金大中氏の原状回復もされずに、ただいまやむを得なかったという御発言でございますが、そういうふうにやむを得なかったとおっしゃいましても、はい、さようでございますかとはとても言えないのです。一体何がどうしてやむを得なかったのでございますか。
○大平内閣総理大臣 ちょっと誤解がないようにお願いしたいのでございますけれども、あの政治的決着ですべての問題が片づいたとは考えていないわけでございまして、捜査は依然として続けてまいります、新しい事実かあれば問題を提起することあるべしという了解のもとで日韓の外交関係は正常化していこうということをいたしたわけでございまして、われわれはそういう政治責任にもこたえる立場にあるわけでございます。国際的な刑事事件に対する態度、それから日韓外交関係に対する対処の立場、そういうものをどこで調和点を見出すかということに苦吟を重ねました結果、ああいう姿において処理をしてまいるということはやむを得ない措置でないかと考えたわけでございます。
○土井委員 いまの御答弁はさらに釈然としないわけでございますが、順を追ってひとつお尋ねを進めます。 日本の捜査当局がいま捜査を続行していくことによって国民の疑惑を解消していくということで臨む、当初はそういう政治決着であったという意味の御発言が総理からございましたけれども、その捜査当局で出ている唯一の容疑者金東雲はKCIA要員であるというのはまさに国民の常識だと申し上げて私はいいと思うのです。韓国は無論、日本の政府の方も公権力かこの事件に及んだということをいままでは正式には正面切っては認めようとはなさっていません。しかし、国民の常識ではKCIAの犯行であるともう思っております。それは至極あたりまえの常識であると私は思います。そうして先日、当外務委員会におきまして園田外務大臣は、私がこの質問をいたしました節、いままであらわれてまいりましたいろいろな状況や今回のアメリカからの公電など一連の経緯からいたしまして、金東雲は憶測としてはKCIAの要員であるという趣旨の御答弁をされております。私は、これは非常に常識論だと思うのですよ。当然な常識論だと思うのです。これまで否定をされるようなことがあっては国民はたまったものじゃないと私は思うのです。 そこで総理にお尋ねいたしますが、総理はいままでの一連の経緯から考えてまいりまして、憶測としては金東雲はKCIA要員であることは常識であるというふうにお考えになられますか、いかがですか。
○大平内閣総理大臣 そういう憶測が一般にあるということはわかりますけれども、それを証拠立てるものはまだ掌握するに至っていないわけです。
○土井委員 先ほど政治決着についてお尋ねをしましたが、総理は余り釈然とした御答弁をそれに対してなおかつなすっておりません。私は、この問題は非常に重要だと思いますので、きょうは当時の会議録を持ってまいりまして、ひとつそれについてのお尋ねを進めることにいたします。 昭和四十八年十一月八日の外務委員会の会議録の中で、外務大臣であられた大平総理の御答弁が非常に気持ちを込めてなされているわけであります。この部分を会議録に従って読んでまいりますと、 今回外交的な決着を急いだのは何かということでございますが、八月事件発生以来、私どもといたしましては、この不幸な事件をなるべく早く解決したいという念願を持っておりましたけれども、しかしこれも解決のために解決をやるということではいけないわけでございまして、一応内外の御納得がいくような解決の目安を持って処理しなければならないと考えてまいりまして、最近に至りまして国際的に一応恥ずかしくない解決のめどが出てまいったものでございますから、それを評価いたしまして、ここで落着をつけようという決心をいたしたわけでございます。 非常に苦心をされているところがこの御答弁の中にはにじみ出ているわけでありますが、特に苦心をされた一つの点としてございますのは、金東雲の問題でございます。その点について同じ日の同じ会議録によって確かめてまいりますと、金東雲につきましては、 先方は、容疑はあるようである、したがって、解職の上よく調べてみる、その結果は通報をいたしますということでございまして、金東雲氏についての捜査を韓国側におまかせをいただき たいということでございまして、それはおまかせいたします、ただ、日本の国民が納得するような御報告を期待いたしますということになっております。 こうございます。 これは大平総理、ただいまもそのとおり確認させていただいて、もちろん会議録でございますからよろしゅうございますね。
○大平内閣総理大臣 その時点において私が申しましたこと、そのとおりであると思います。
○土井委員 そこでこの金東雲については、四十九年八月十四日に韓国から、捜査を中止する旨の韓国検察側の決定書か出てまいりました。この中身は、この御答弁におっしゃるように、日本の国民か納得するような報告内容であったとお思いになるかどうか。総理自身も、この御答弁をされた外務大臣として御納得のいくような中身であったかどうか。いかかでございますか。
○大平内閣総理大臣 たしか納得がいくようなものではございませんので、先方の方にもっとお調べをいただきたいというように要請したように私は記憶しております。
○土井委員 確かにそのとおりでございまして、十月二十五日にそのとおりになっております。しかし、再度今度は口上書なるものが日本側の催促に応じて出てまいりました。この口上書の中身については、国民は納得をし、総理自身も納得をされたということになるのでございますか。いかがでございますか。
○大平内閣総理大臣 そのときの政府首脳の判断といたしまして、この政治的決着をつけるべきでないかという判断を下したことは、私は理解できるところであります。
○土井委員 私はそういう質問を申し上げているのでございません。先ほどの八月十四日に出てまいりました韓国側の捜査を中止するという旨の検察側の決定書については、不満であるということをいまおっしゃいました。そうして、再度向こうに対して、その内容に詳細な説明をお求めになったわけなんですね。それに対して韓国側は、督促をさらに受けて口上書なるものを出してこられたわけでありますが、この口上書に対して満足をなさいましたかと聞いているのですよ。いかがでございますか。
○大平内閣総理大臣 いまあなたが言われておる昭和五十年の七月二十二日付口上書、それをおっしゃっておるわけですか。
○土井委員 そのとおりです。
○大平内閣総理大臣 仰せのとおり、こちらからの調査の要請に応じて「その後も秘かに捜査を続行したが、嫌疑事実を立証するに足る確証を見出し得ず不起訴処分となった」ということ等韓国側からの口上書が出てまいりました。これを踏まえて、当時の政府といたしまして決着をつけていくという判断をいたしたわけでございまして、それは私は先ほど申しましたように、それなりに理解できると答えておるわけです。
○土井委員 何がどう理解できるのかよくわかりません。というのは、口上書の中身も、先ほど不満足であったというふうにおっしゃいました韓国側の検察側が八月十四日に持ってきた中身も同一なのです。何ら変わりはない。同じことを、八月十四日に言ったことをさらに口上書で述べたにすぎない、こう申し上げて間違っていないと私は思います。片や八月十四日の検察側の決定書というのに対して不満でおありになるのならば、口上書に対しても不満でおありになるのが至極当然だと思われるわけでありますが、なぜその間、いまのように御認識が変わるということなのでございますか。同じように御不満でしょう、八月十四日にもたらされた決定書について御不満ならば。口上書も中身は同じなのです。
○大平内閣総理大臣 そのときも不満ですが、いまもなお不満なのです。不満に変わりはございませんけれども、政治的決着をつけたということにつきましては理解できるということでございます。
○土井委員 それは金大中氏事件について、金東雲関係についてはそのような側面が一つあるわけでありますが、もう一つは、もう一度十一月八日のこの会議録に戻りますが、意を込めて大臣がおっしゃっている部分は、申し上げるまでもなく金大中氏に関する部分であります。この点については 国民の納得がいく、国民が本件について関心を持たれた一つは、やはり同氏の人権の問題であったということでございますので、今回の処理にあたりまして、その点が何らか明らかになることを私どもは期待いたしておったわけでございますが、自由が保障されるということになりましたので、この点につきましてはしあわせな結果をもたらし得たのではないかと考えております。 「しあわせな結果をもたらし得たのではないかと考えております。」と言われて、そして出国を含めて自由の身であるはずの金大中氏に、そのうち七四年の六月一日にソウル地裁の公判に出頭せよという召喚状が出ているわけであります。このことに対しては、当時大平外務大臣も大変遺憾であるというお考えを公式に披瀝をされておりますが、この事実はいまでもお認めになりますね。
○大平内閣総理大臣 政治的決着をつける場合におきまして、金大中氏は一般の市民と同様の自由が保障されるということでございましたので、私は先ほどあなたからも読み直されたように、人権上の立場から申しましてそういう保障が得られるということは、大変幸せな結果が得られたということを喜んだわけでございます。その後の問題は国内における別件の問題でございまして、いわゆるあなたと私との間に議論しておる金大中氏事件とは直接かかわりは論理上ないのではないかと考えますけれども、何か関係があるのでございましょうか。
○土井委員 第一次決着の際のいろいろな了解事項の中で、いま御答弁の点は、はっきり別件逮捕はないと約束があったのじゃございませんか、金大中氏に対して。いかがでございますか。
○大平内閣総理大臣 つまり、一般の市民と同様の自由が保障されるということでございまして、金大中氏が治外法権の立場をとられるということではないわけでございますから、金大中氏が何か一般市民と別扱いにされるというようには私は理解していないわけでございます。
○土井委員 この十一月八日当日の議事録によって、一生懸命意を込めておっしゃっていた当時の大平外務大臣の御答弁の趣旨からすると、ただいまの御答弁は大分に変わられた。当時の論調からずいぶん変わっていらっしゃるというふうな感を禁じ得ません。これは議事録をもう一度大平総理自身がお読みになる必要があります。 そして申し上げたいのは、「後宮大使と金外相との間の外交折衝を重ねまして、金東雲に対する処理、金大中氏に対する処理、そういう点で合意点が記録されておるわけでございまして、私どもはそれを踏まえた上で今回の処理に踏み切ったわけでございます。」とはっきり答弁でお述べになっているのですが、そういう合意点を記録した記録があるわけでございますね。確認をさせていただきます。
○大平内閣総理大臣 御指摘のような大使レベルの接触があったことは記憶いたしておりますか、合意に達したというのは、首脳会談において達したものと思います。
○土井委員 しかし、記録にその合意点自身はとどめられているという趣旨だと受けとめますが、そう受けとめてよろしゅうございますね。
○大平内閣総理大臣 首脳会談の素材はそのような形であったものと思います。
○土井委員 追って、後でいろいろ私は、きょうは記録の提出方を要求いたしますから、その中にそれも含めたいと存じます。 この中で、しかし少なくとも当時の大平外務大臣が、政治決着に臨むに当たって留意されているのは、金東雲に対しての、犯行をさらに裏づけていく問題と、金大中氏の原状回復を含めての自由の問題であります。この二点ともが、意を込めてお述べになっていた十一月八日のあの大平外務大臣当時から、第二次決着に至るまで全部踏みにじられ、ひっくり返され、そして第一次決着のときの意のあるところを全然なくしたような形で第二次決着がなされたのじゃないか。つまり、言葉をかえて言うと、第二次決着によって第一次決着は覆されたと申し上げてもいいと思うのであります。このように理解をしてよいと思いますが、総理自身は、第一次決着に対してあれだけ努力され、あれだけ意を尽くして国会でも答弁をされ、そしてこれはいろいろあるけれども、しかし今日ただいま政治決着に臨むに当たって、日韓両国間においてはこれしかないと意を込めて考えられた中身というものは、第二次決着のときに生きておりますか、いかがでございますか。
○大平内閣総理大臣 金大中氏の自由の問題は、第一回の政治決着のときと狂いはないと私は承知いたしております。 それから、金東雲氏に対する問題は、第二次決着で不起訴処分となった、そして免官になったというようなことが記録されておりますが、当時の政府の判断はそれなりに理解できないわけではありません。
○土井委員 しかし総理、ただいまこの問題について、日本の国益から考えまして、今後の日韓間のあり方から考えまして非常に大事な時期だと存じますよ。そして、総理は御存じのとおり、アメリカの国務省から、事実について裏づけられる資料というのはこれからどんどん出てくるだろうと思います。客観的に立証する証拠というのは、動かしがたい証拠としてこれから出てくるだろうと思います。そういうときに、ただいま非常に重要であるという経緯からかんがみまして、総理自身が率直に第一次決着に対して意のあるところをあれだけ尽くされた、そういうお立場から考えると、第二次決着に対してのあり方というものは理解できないわけではないなんという、歯に衣着せたような言い方をしていないで、やはりこの節、日韓間のあり方を正常化していくという問題については、率直にこの点の御感想なり、当時の事情から推して、第一次決着をされた当時の外務大臣というお立場から考えて、総理としてどのようにお考えになっていらっしゃるかということをお述べいただく、これが必要だと思います。再度、御答弁願います。
○大平内閣総理大臣 この種の国際刑事事件というものは、史上幾つかの事例がございます。ございますが、国際間にまたがる事件でございますので、なかなか一国の政府の意のままにならない事情は、外交通の土井さんでございますのでその点はよく御理解いただけると思うのでございます。したがって、そういう中において、国際刑事事件の黒白をつけてまいるということは、非常にむずかしいいろいろな制約があるということは御理解いただけると思うのでございます。 と同時に、一国と一国との間というのは、生きた交わりがあるわけでございますので、そういった問題をいつまでも放置して不正常なままに置いておくということも、決してこれはほめたことではないのでありますので、そういう事情を勘案いたしますと、現実的にどのあたりが解決点かということは、政治家として当然考えなければならぬことでございまして、第一次の政治決着につきましては、当時、私は責任ある外務大臣として、こういう決着をつけましても、これは大きく非難をこうむることはなかろう、御理解がいただけるのではないかという判断に立ちまして踏み切った次第でございます。 第二次等の決着と称するものもまた、同様の苦吟の中から生まれた判断だろうと思いますので、私はそれを尊重して差し上げたいと思います。
○土井委員 それは一党の総裁として、同じ自由民主党の中に第二次決着に臨んだ方があるということを勘案されてはそういう御発言もあるかもしれませんが、国民の立場をお忘れになっては困るのです。そうして、しかも国民がこの問題に対して考えております最大の問題は、日本が被害国なんでございますよ。国際的な慣例もあるとおっしゃいましたか、確かに国際的な慣例もあるでしょう。が、被害者の立場が生かされないような国際的慣例なんというものはございません。加害者の言いなりになるような被害国というのは、国際社会において尊敬される国では絶対ない、これだけは鉄則でございます。 そういう点から考えてまいりまして、国際的ないろいろないきさつから考えてやむを得なかったなどとおっしゃるようなこの御発言は、大平総理らしくない御発言だと私は思う。外務大臣当時、どうしてあれだけ第一次決着に対して心血を注がれたわけでありますか。私は、心血を注がれれば注がれるほど、第二次決着に対して憤りをお感じになって当然だと思うわけであります。その間の事情を率直におっしゃっていただきたい、私は国民の一人としてお伺いしたいですよ。お願いします。
○大平内閣総理大臣 加害者の立場というものを尊重したのではなくて、日本の政府当局にあられた方々の苦吟の結果ああいう判断が出たということは、理解できないわけではないということを申し上げておるのです。
○土井委員 理解できないわけではないとおっしゃる、何を理解なさっていらっしゃるのでしょうか。
○大平内閣総理大臣 金東雲氏についてその後の捜査をいたした、そういうことでそういう処分もいたしたということで、この問題についてひとつ決着をつけようではないかというその当時の政府首脳の判断、それは厳密に言いましてもっともっと究明していくという一つの選択もあり得たと思いますけれども、このような選択をしたことも私は理解できると思うのです。
○土井委員 このような選択をしたことも理解できる、しかしこの選択は考えられ得る最高の選択ではなかった、また、この選択は問題の多い選択であった、こういうことは言えるのではないかと思いますが、いかがでございますか。
○大平内閣総理大臣 政府の行う判断と措置、なかなか間然するところのない完璧なものというのは現実におきましてはむずかしいわけでございますが、あの当時一つのけじめをつけたということはあながちとがめるべきものではないのじゃないか、そう思います。
○土井委員 釈然としない御答弁が続くんですが、総理、やがてサミットのためにアメリカのカーター大統領が来日をされますが、カーター大統領と総理は当然のことながら会談をされます。総理とカーター大統領のこの会談の中で、人権ということの見地から金大中氏の自由についてお話し合いになる御用意がございますか。事主権の問題になりますと、これは日韓間の主権侵犯があったなかったという問題でございましょうが、人権という見地から金大中氏の自由について話し合われるという御用意がおありになりますか、どうですか。
○大平内閣総理大臣 そういうところまで考えておりません。
○土井委員 しかしこれは非常に大事な問題であります。日韓間の問題であると同時に、日米間においても私は大事な問題だと思います。外務大臣はこういうことについての御認識はどのようにお持ちになっていらっしゃるか、お伺いします。
○園田国務大臣 総理大臣と同じでございます。
○土井委員 それは総理の横に座られると外務大臣はすぐに変わられるんで、困った話でありますが、私は社会党の名においてこの話し合いを総理に強く要求したいと思うのです。総理いかがでございますか。これはいまお考えになっていらっしゃらなければぜひその会談の中でこのことに触れて、ひとつひざを交えてカーター大統領と話し合うということをぜひお考えいただきたい。これは今後の活路を見出す上からいっても、私、大事なことだと思いますよ。いかがでございますか。
○大平内閣総理大臣 先ほども御答弁申し上げましたとおり、金大中氏御自身の自由の問題は、一般市民と同様の自由が保障されるという日韓間の了解は生きておると承知いたしておるのでございまして、この人権の問題はいまあなたと私とやりとりをしておる金大中氏事件そのものとは直接関係がないことと思うのでございまして、これは韓国の国内における問題でございまして、私どもがそれに容喙するということはいかがかと思います。
○土井委員 韓国の国内であると言い切ってしまわれますが、そればかりじゃないようですね。アメリカからはハーバード大学への招待の問題も出たりしておりますし、かつてはアメリカで居所を持って活動されたという経緯もあります。そして日本にアメリカから来られて、日本のこの首都である東京から拉致されたという経緯もあるわけでありますから、決して韓国の国内問題というふうに言い切ってしまって、全然人権問題において関係がないということになりはしません。ぜひその点は、今回これは貴重な機会でありますから、カーター大統領との会談で話し合いを進めていただいてはいかがかと思います。重ねて申し上げたいと思いますが、いかかですか。
○大平内閣総理大臣 私の方から提起するつもりはありません。
○土井委員 さらにこの問題については後ほど外務大臣に対しての質問で続行してまいりたいと思いますが、尖閣列島のことについて総理にお尋ねしておきたいと思うのです。 日中平和友好条約の際に園田外務大臣は、歴史的にわが国固有の領土であるという前提のもとで身を挺して話し合いをされてまいりました。そういう外交的な配慮の中で、最近の一連の政府の中にある行動というのは、中国でなくても、どうもちょっとはしゃぎ過ぎじゃないかというふうな感じがするわけであります。これでは客観的に見た場合には尖閣列島を日中間の紛争地域にしてくださいと言わんばかりだというふうにも目に映るわけであります。一部政府の中にある行為というのは、園田外務大臣がせっかく骨を折られました外交に水を差すものだというふうな意味で先日もこの外務委員会で質問をいたしましたが、総理はこの問題に対してどのように認識をしていらっしゃるか。そして続けて、いまうかつなことをやるということになりますと抜き差しならぬ事態になるということも考えられます。外務大臣は先日非常に苦悩の色をお見せになりながら、慎重にやりたいというふうなことを御答弁されたのですが、総理はこれに対してやはり政治の最高責任者というお立場で、どのように取り扱いをお進めになるという御所信でおありになるか。いかがでございますか。
○大平内閣総理大臣 外務大臣を信頼しておりまして、外務大臣が本委員会、本会議等でこの問題について言われておることを支持しております。
○土井委員 さらにもうあと一問は、いまのガット東京ラウンドに臨むに当たって電電公社の資材調達問題についてあしたストラウス通商交渉特別代表と牛場さんとの話し合いというのがあるようでありますけれども、一定の目安をつけて東京ラウンドに臨もうというふうなお気持ちでこのことを進めていらっしゃるのがただいまの姿でございますが、総理としてはこの問題に対してどのように対処をお進めになるおつもりであるか、そのことを一言お伺いして、私、これで終わります。
○大平内閣総理大臣 幸いなことに東京ラウンドに関する交渉はほとんど全部終わりまして、多くの国がこれに仮署名をいたしたことでございまして、わが国の場合におきまして政府調達問題も間然するところなく片づけておきたかったのでございますけれども、不幸にいたしましてこの問題だけが残ったわけでございまして、これが完結いたしますと東京ラウンドに関係いたしました案件はみんな片づくわけでございます。この間の日米首脳会談におきまして、この残った問題につきましてカーター大統領と私との間でお話し合いをいたしまして、早急にこの問題を解決する手順、方法というようなものを決めようじゃないかということになりまして、その手順、方法というようなものを決めて、それを土台にいたしまして日米間で具体的な交渉をして、八一年の一月一日からの実行に備えるというようにしよう、つまり二段構えの解決の手順で進もうということにいたしておるわけでございまして、明日牛場・ストラウス会談が予定されておりますが、さらにその前段の解決の手順と方法というようなものをお二人でお話し合いをいただいて、そこで日米間で合意したところに従って今後の具体的な交渉を念を入れてやろう、こういうことにいたしておるわけでございます。第一段の明日の牛場・ストラウス会談でこれが妥結する、合意に達するということを私は強く期待をいたしております。
○土井委員 終わります。
○塩谷委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 きょうは久しぶりに当委員会に総理がお越しくださいましたので、当面する諸問題についてお伺いしたいと存じます。やはり一番問題になっております懸案からお尋ねしたいと思うのです。 まず総理の外交日程でございます。この間から中国の首脳部と総理は何回かにわたってお会いになりまして、鄧小平副首相、鄧頴超全人代常務副委員長、それから廖承志中日友好協会会長、三者いずれも総理の訪中を要望されたようにお伺いするわけであります。またそれと一緒に華国鋒主席が訪日する旨の意思表示が行われたように報道等によって承っているわけであります。 申すまでもなくわが国の有力な隣国であり、私たちにとりましては歴史的にも、経済的にも、その他諸関係できわめて密接な中国との関係でございますので、三回も御招待をいただいたからには、総理も当然いろいろお考えになりまして、外交日程を調整なさっているところだろうとは思うのでございますが、三度招待されても返事をしないというふうにもし受け取られますと、これは別の政治的効果を発揮するのではないかと私は心配をいたしているわけであります。 もちろん、生臭い話ですが、衆議院選挙がいつあるなどという問題と絡んで議論もされているようでありますから、そういう日程についてお述べになることは、別の想像をされる可能性があるわけではありますけれども、この問題は、お隣りの中国との礼儀正しい友好関係を築くためにぜひとも早いうちに決断をしていただいた方がいいのではないか、スケジュールをお決めいただいた方がいいのではないかと私は思っているわけであります。 そこで、異例でありますが、この場で総理の外交日程について、中国その他いろいろございますから、御決定のある分についてお承りをし、特に訪中、そして中国からの華国鋒主席の訪日招聘というものについてどうお考えになっておられるか伺いたいと存じます。
○大平内閣総理大臣 私は多くの国から御招待をいただいております。仰せの中国からも再々にわたって訪中の御招待を受けておりまして、その点感謝いたしております。それで、できるだけ早い機会に都合をつけて参上いたしたいという旨は伝えてございます。 どのような時期にいたしますかということにつきましては、目下サミットまでの日程は決まっておるわけでございますけれども、それ以後の日程はまだ何も決めておりません。サミットを終わりますと、そういった問題も含めまして、外務当局中心に検討してもらわなければならぬと思っておりますが、中国に対しましてもできるだけ早い機会に訪中の機会を持ちたいという願望は常に持ち続けております。
○渡部(一)委員 総理の手がたい御答弁にはいつも敬服しておるわけでございますが、この問題については少し手がた過ぎて、含みがなさ過ぎましてよくわからぬわけでございます。サミットが終わりますと外交日程を検討する、いつするかをサミット後に決定する、こういうふうに考えて、受け取ってよろしいのでございますか。
○大平内閣総理大臣 いままで一応サミットまでということで息せき切っていま走っておるわけです。これを一応無事に終えさせてもらって、それから考えさせていただこうと思っておりますので、そういう御了解で結構です。
○渡部(一)委員 中国の方は桜の花の咲くころに伺うとか、梅の花の散るころにとか非常に優雅な言葉で言われるのですから、サミット後に総理も、もみじの葉が美しくなるころとか、北京のおいしい果物が食べられるころとか、あるいは中華料理のおいしいころとか、適切な比喩をもって、余り厳しくなくて、あらかじめの予定を少しお述べになっていただいたらどうか。少なくとも年内とか来春とか、もうお述べになっていい時期ではないか。余り延ばすと、こちらが忙しいのも中国が十分理解しているとは思いますけれども、外交上マイナス面、変な勘ぐりというものがよくあるわけでありますから、勘ぐりの段階にならぬようになさることが、むしろこれまで成功裏に発展しょうとしている日中関係を安定させるために必要ではないか、その辺いかがでございますか。
○大平内閣総理大臣 温かいアドバイス、感謝します。何か日程を決めるのが遅くなりまして外交上支障が起こるとかいうようなことのないように、十分気をつけていきます。
○渡部(一)委員 それではその問題はそのくらいにいたしまして、先ほどから金大中氏の問題につきましていろいろお話が出ているわけであります。総理もきわめて言いにくい立場でおられるだろうと御推察もしておるわけであります。といいますのは、外交交渉というのは右と左、縦と横というふうに対立した両国関係が衝突すれば、必ず結論というのはどちらか一方にとって一〇〇%満足のいくことはあり得ないからであり、決着がしばしば両国国民から非難され、罵倒され、破壊されようとすることが起こることも当然だろうと思います。金大中氏事件の後の政治的決着が日韓両国民から非難の的になっているというのは当然のことだろうと私は思うのです。ですからある意味で、先ほどからその非難の中でも決着された国際取り決めを守ろうという姿勢を示されているという点は、韓国政府に対して日本政府は約束を守るという点においてのみりっぱだと私は思うわけです。よくぞ耐えに耐え、不満を表明されながらもがんばっておられると私は思っているわけであります。 しかし総理は、すでに参議院の決算委員会におきまして、この第一回目の外交決着と第二回目の外交決着は不満足である、心残りがあるというような意味合いのお話をなさったと思います。私は、そこに次の手に至る総理の模索されている姿勢が見えるように思っているわけであります。そこで、それをいろいろお伺いしたいと思うのです。 まず、私は確かめる意味で申し上げますが、この政治決着の一回と二回はどういう点が不満足だったかをお述べいただきたい。
○大平内閣総理大臣 金大中氏事件の一つの柱は主権問題、主権侵害問題でございます。もう一つの柱は、日韓間に起こった事件である、VIPですか、大事な政治上の立場を持たれた方の拉致事件でございますから、日韓間に起こった事件として外交的な問題になるわけでございます。 前段の方の主権侵害問題から申しますと、土井先生も鋭く追及されましたように、主権侵害が公権力においてなされたということを完全に立証して、何らちり一つ残さぬように解決するということが模範答案だと思うのであります。ほかのことを構わずに一応それだけを追及していくのなら、それはそれなりにりっぱだと思うのですけれども、これは日韓間に起こった一つの案件として、日韓関係を考えた場合に、どのように処理すべきかという一つの現実の外交問題としての側面もあるわけでございます。私は、そういう両面の要請を考えて一つの決着をつけるということに踏み切った判断は間違っていなかったのではないか、すべて満足がいくものとは思ってないけれども、しかしやむを得ない判断であり、措置であったのではないかというように考えておるということを先ほど申し上げたわけでございます。
○渡部(一)委員 金東雲氏の指紋があって、それを捜査をやるべき日本の警察が捜査ができなくて、先方の警察がそれを調べて証拠不十分だなどということは、日本側の警察の表明によれば、考えられぬ出来事であると述べているわけですね。この日本の優秀な警察官の口ぶり一つ見ましても、どれぐらいふんまんが多いかを示しております。 またこの中に、本当は金大中氏はこれで政治的自由を回復して日本へやってくるものと私たちはみんな錯覚しておったわけですが、別の法律上の違反行為で押さえられてしまって今日まで残っておる。そしていつまでもいつまでもこの事件が尾を引く。私たちはみんなその意味ではペテンにかかったような気持ちになっているわけであります。現在そうした不満をお持ちの、明らかにどういう不満が――主権侵害ということをきれいに、ちりも一つ残さずとおっしゃいましたように、きれいに解決するというようにはいかなかったということを御自分でお認めになりまして、苦衷を漏らされているのに私は敬服したいと存じます。よくそこまで総理のお立場としておっしゃったことだと私は思っているわけなんです。だからこそ私たちは、同じ立場に立って今度は言わなければならぬ点があると思います。 それは、この間当委員会は大変な無理をいたしまして人権規約の審査にかかり、これを通過させたところであります。国際人権規約の意味するところは、かかる人権問題をなくするように、また国家というものが人類の福祉というものに、人権というものに奉仕するという観点から努力をすることを決めた画期的なものであったと思うわけでありまして、まさにこのような事件のようなものが存在しないようにすることこそ、新しい国家に課せられた使命であり、それを国連が取り上げられたのは大きな意味合いだったと私たち理解しているわけです。そうすると、人権規約を通すことによって大いに成果の上がった当外務委員会、またある意味でいまそれを大いに努力してがんばってこられた日本の外交姿勢というのは、非常に高いレベルに達しておるにもかかわらず、金大中事件という金大中の金の字が出た瞬間にたちまちレベルが下がるわけであります。日韓両政府でいやらしく取引をし、手を握り合って一人の政治犯をいつまでもいつまでも妙な形で押さえ込むというふうに見えるということは、それこそ金大中という一文字でどれぐらい日本が傷つけられているかわからないと私は思います。日本外交として得策でないだけではない、韓国政府としてもこれはどれぐらいみっともないかわからない。国際外交場裏で経済援助の一千万ドルをふやすよりも、金大中事件を一つ解決した方がどれぐらいいいかわからない。それぐらいのことが日韓両国のりっぱな人々によって考えられないのか、私はそれを言いたいのであります。 政治的決着が行われた、その政治的決着を見直すことがどうしてもできないというふうに先ほどからがんばっておられるとすれば、それも万やむを得ないとすれば、私は不満ですが、やむを得ないとすれば、では、今度は第三の決着をその意味ではつけるべきときが来ているのではないか。つまり、金大中氏というものの出国を自由にして、ある意味で原状回復を果たすということによって、日韓両政府は人権問題に対する両国の政府の姿勢というものを明示する必要があるのではないか。それが日本外交にとっても韓国の新しい外交にとっても私は賢明なことであり、両国の将来にとっても大事なことではないかと思いますが、その点いかがでございましょうか。
○大平内閣総理大臣 この国会におきまして金大中氏事件がいろいろ発生以来取り上げられて、真剣な論議が展開されたわけでございます。日韓両国民の監視の中で議論が展開されて、政府の判断も苦悶もいろいろ吐露された。また、質問される方々の不満もいろいろ吐露されている。それもやはり一つには、主権侵害問題であると同時に、あなたが言われるように人権にかかわる問題だという観点から多くの注目を集めたと思うのでございます。そのことはそれだけ評価されて、私は日本の民主主義の歴史の上からも評価された議論が展開されたと思うのです。だから、このことは決して徒事でなかったと思います。先ほどの金大中氏自身の市民としての自由が保障されるということも、そういう中で行われた韓国政府の一つの措置であったと思うので、ですから、私はそういう議論は、渡部さんのおっしゃるように、人権問題の論議ということから相当高い評価を受けてしかるべきだと考えておるわけでございます。 今後も、この問題終わったわけじゃございませんで、いろいろな角度からまた追及されることでございましょうから、われわれはまじめに人権問題の角度からも論議を深めていくということは、私は賛成でございます。
○渡部(一)委員 私はここまでがんばられたことに対して全然ノーと言っているわけではありません。しかしながら、現状というものは人権問題の点からいってもきわめて不満足であり、かつ国際的な評価の中でも不十分だと思うのであります。私は人権問題の観点から言いましたのは、もう一つ、主権問題の点から言うと、私たちは日韓条約を結んではおりますけれども、日韓合併という事件が起こって以来三十八年間にわたって韓国を日本国が支配したわけであります。そして朝鮮人の労働者二百万を日本に導入し、相当多くの犠牲者を戦争中に出したといういきさつがある。われわれは忘れていても、朝鮮半島の人々の中に、自分たちがどれだけ傷つけられたかということを現に生きている祖父が祖母が、子供に孫に伝えている段階の国家とわれわれは交渉しなければならぬ段階であります。したがって、私たちは主権に対する議論を進めるという観点も当然あってしかるべきではありますけれども、むしろ大きな人権問題の視点から韓国政府を説得することの方が適切であろうかと存じます。そうでなければいかに政治的決着を日韓条約でつけようと、何条約でつけようとも、決着のつかない感情が両国民の中に存在するからです。私はその意味で、今回の事件で問題なのは、こうした惨たんたる、それこそ百年間を経過した朝鮮半島の人々との間において、私たちが朝鮮半島の人々の人権を大事にするがゆえにこの問題を扱うという観点に立たなければならぬと存じます。そしてそのためには、この問題を落着させるために、一人の人権のために、日本の政府も国会もここまでやったという交渉が行われてしかるべきだ。 私は、したがって、日本政府の優秀な機能を挙げて金大中氏という一人の人権のために闘うということは、同じように金大中氏の陰に隠れて見えない朝鮮半島の多くの人々の平和とそして幸せのために、日本人はこれからも努力するということがわかるようにいま努力をしていただきたいし、そうでなければならないと思うのです。そのために、いままでの二つの決着にこだわっているだけで何にもしないとしたら、私は、決着したことにはならないと思います。いまの決着が不満足であるなら、何かの第三の手があるはずではありませんか。 私は、そういうことを全然やっていない政府だとは思いたくありません。だけれども、現状からいうと何ら希望が持てない状況になるということは遺憾です。これではこの問題はいつまでたっても終わらない。日韓間を仲悪くさせるために、二つの政府をこれからも非人権国家として世界に売り込むために、この問題は何十回も使われるでしょう。こんな愚かな外交をいつまでも続けていいものだろうかと私は重ねて申し上げ、総理の御見解を問い、質問としたいと存じます。
○大平内閣総理大臣 非常に貴重な御意見、御提言をいただきまして、私も謹聴いたしたわけでございます。 金大中氏事件の問題これまでのこういう経過をたどってまいったわけでございますが、これから先何をすべきであるか、何をすべきでないか。これは両国間に起こった問題でございますから、いずれにせよ、両国民の政治的力量において解決せにやならぬわけでございますが、それはどういう道があるだろうかということにつきましては、政府におきましても引き続き真剣に検討させていただきたいと思います。
○塩谷委員長 渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 総理に、きょうはサミットとそれからいまの日韓関係のあり方の問題につきまして、二つにしぼってお尋ねをしたいと思います。 サミットの準備が進行していると思います。その中で、たったいまさっきでございましたが、総理はサミットに対して、先進国の諸問題に対する認識あるいは足並みを一致させるという言葉を使っておられました。たとえばエネルギー問題が非常にクローズアップしております。これに対して、先進国の首脳が一堂に集まる、日本としてどういう方向で足並みを一致させようとしておられるのか、ここら辺をぜひお聞きしたいと思います。 といいますのは、先般来、先進国の中でもジスカールデスタン初め、いろいろな国からあるいはその首脳から、今度の先進国首脳会議に、産油国に対して警告を発すべきである、そういう提案をしでいこう、こういう動きもあります。違った言葉で表現するならば、消費国の共同戦線をつくる、そして産油国に対しての強い牽制を行っていこう、こういう動きにも受け取られるわけであります。 私は、先般外務委員会で園田外務大臣にその点お尋ねをしたときに、消費国同盟の構想というようなものには反対なんですねという質問をいたしました。外務大臣は反対だという立場をとられました。総理として、本当に、エネルギー問題一つ取り上げても、どのような方向でこれから足並みを一致させて臨んでいこうとしておられるのか、御見解のほどをぜひ聞かせていただきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、サミットにおける議題、そしてその議事運営のやり方、それをどうするかという点は準備会議の方にまだゆだねられておりまして、いま各国の代表者で検討が続けられておるということでございまして、まだ決まったわけじゃございません。そのことを前提にいたしましてお答えをいたしたいと思います。 エネルギーの問題が、渡辺さん御指摘のように、サミットの最も緊張を呼ぶ議題になるであろうと私も思います。サミットばかりでなく、いま世界が直面しておる最も深刻な問題の一つだと思っております。これに対して、やはりサミットとしても何かこたえるところがないといけないということは当然だと思うのでございます。 いままでの準備会議と、それからこの間園田、江崎両大臣が出席いたしましたIEAの閣僚理事会等の空気を見ておりますと、まず第一に、みんなで一致するところは、消費規制を強めていこうじゃないか、この間IEAの決議がなされた五%はともかく厳格に実行しようじゃないか、ことしばかりでなく、来年も実行しようじゃないかという消費規制を強めていくということにおいては、どこにも問題がないようでございます。どういう方法をとってまいるか、その国々によってそれぞれ若干のニュアンスは違うでございましょうけれども、この問題はそんなに大きな論議はないのではないかと思います。 第二は、石油代替資源の開発とかあるいは新エネルギーの開発とかという、比較的近い距離にあるものともっと遠い向こうにある問題、そういうエネルギー技術の開発という点、そういうような点につきましても、ほとんど私は、そんなに大きな意見の違いがないのではないか、どういう方法でどういう程度協力が組織されるかということは確かに問題でございましょうけれども、大きな論議が沸くはずはないと考えております。 だとすれば、問題は、いまあなたが言われたように産油国、OPECと消費国の間をどうするか、現実に、量的確保、それから、きょうあたりもずいぶんばらばらと値上げが発表されておりますけれども、そういう価格が非常に不安定の中でどのような態度をまとめてとれるかということだろうと思うのでございますが、その点は私どもまだ自信はございませんで、そういう問題についてフランクに話し合って、どこまで歩調がとれるものか、とれないも孝かということを見定めていくことが大事であろうと思いまして、サミットに入りまして、何もかも間然するところなくうまく協力体制がとれた、いい答案が書けそうだとは私は思いませんけれども、精いっぱいそういった問題について討議してみて、その中から協力できるものを拾い出して協力していく姿勢、建設的な方向に踏み出すことを一歩でも二歩でもできたら、それはそれなりに評価されるのではあるまいか、そのように考えて、いま関係者の間でいろいろ勉強をいたしておるところでございます。
○渡辺(朗)委員 いまお話を聞いておりますと、大変受け身な感じがするわけでございます。いろいろいま準備の最中であろうと思います。いろいろな意見も出てくるであろうと思います。しかし、その中において一体日本がこのサミットに対してどのような姿勢で臨んでいくのか、こういう点がはっきり打ち出されてくることによって、日本の国民も今回のサミットの意義がはっきりわかるであろうし、また国際的に日本の役割りがどうであるかという理解もできるわけであります。 そうでないと、何か偉いお客さんがたくさんやってくるお祭りになってしまう。無事うまく済めばよろしい、何かそういう対応にどうもなりそうな感じ、無事に済めばいいじゃないかとか、お祭として大いにPRになればいいではないかという形になるのではなくて、たとえばいまのエネルギー問題を一つ出しましたけれども、消費国と生産国の間で、たとえばOAPEC、OPECとそれからわれわれの工業諸国、この間が対決の姿勢をどんどん強めるような状況がいま出てきている。これに対してどう日本は対処していこうとしているのだ、やはりこういう姿勢を打ち出していただきたいし、その意味でいま御質問をしたわけでございます。 もう一度、その点については、ジスカールデスタンの考え方あるいはアメリカ側の方からも出ておりますような、対話の前に消費国の団結とその行動が必要だ、こういうような物の考え方に総理は同意されますか。どのようなお考えでございましょう。
○大平内閣総理大臣 日本はこの会議を・主催した国でございます。それで、この会議の議長を務めなければならぬ責任があるわけでございます。あらかじめこうするああするというようなことが仮にございましても、そういうことは御遠慮しなければならぬので、どのようにして会議をまとめていくかということを考えるのが主催国としての責任じゃないかと思います。渡辺さんが言われる趣旨、気持ちはよく理解できますけれども、いま日本はこの会議をこのようにやっていくつもりなのだというようなことを言いましたら、それはとても持ちこたえられるものじゃございませんで、私といたしましては、各国のきわめてフランクな意見、建設的な意見ができるだけ自由に吐露されて、それができるだけの広さにおいて協力の取り組めるようなことになることをいま念願しておるわけでございまして、日本がまずどういう考えでやるかということはその次の問題と心得ておるわけです。
○渡辺(朗)委員 サミットに関連してもう一つお尋ねをしたいと思います。 サミットに前後してあるいはまた関連していろいろな行事も持たれるのではないかと思います。あるいは会合やなどがあるだろうと思います。ロンドンあるいはボンの首脳会議のときには、世界の労働運動の指導者が集まりまして、そしていろいろ提言をする。特に先進工業国においては、御存じのように労働運動の側の参加と、そしてやはり創意、それを吸い上げていくことは非常に重要だと思います。インフレの問題あるいはまた雇用の問題、そういう点で今回は労働運動の側からそのような創意工夫あるいは参加を求めるというような考え方はお持ちでございましょうか、いかがでございましょう。
○大平内閣総理大臣 私が伺っておるところによりますと、この東京サミットを控えましてそれより前に東京で労働サミットが予定されていると聞いております。ボンの場合もそうであったと承っておりますが、いま経済を左右する大きな勢力である労働組合の当面の世界経済に対する考え方、姿勢というものを十分承っておくということは、サミットにとっても大変プラスになることでございますので、そういう方々が来日された場合には、私も進んでお目にかかって十分の御意見を承ってサミットに臨むような手はずにしたいものと考えております。
○渡辺(朗)委員 金大中事件についてお尋ねしたいと思いますが、時間が非常になくなりましたので、簡潔に私の方からまず御意見をお伺いしたいと思います。 この事件について韓国の公権力の介入があったという疑惑、これは非常に濃厚だと思います。総理もまた恐らく同じようなお考えであろうと思います。このままいきますと、大変もやもやしたものが日本の国民の中にも、もちろんまた韓国の側にも残ってまいります。これは両国の将来にとっては非常に不幸なことになりはしないだろうか。先ほどから苦しい総理の答弁、苦渋に満ちたいろいろなお言葉を聞いておりまして、確かにそのむずかしさというのはわかります。わかりますけれどもやはり国民が納得できるすっきりした解決策というものを、これは早く打ち出さなければいけないだろうというふうに思います。つきましては、総理としてどんな解決策が望ましいとお考えなのかということを一つ。 それから関連いたしまして、昨年の秋でございましたが、日韓閣僚会議が開かれております。そのときに園田外相も御出席されて、早い時期に日韓の首脳の会談を開こうということが合意事項としてございます。私は日韓首脳がそういう時期に金大中問題についても国民のすっきり納得のいく解決策というものをひっ提げて総理がお話し合いになる、これは重要なことであると思いますが、いかがでございましょう。この二つの点、お伺いいたします。日韓首脳会談をお開きになる、そういう合意事項、これは実行していこうとしておられますでしょうか。また、どのような解決策が望ましいとお考えでございましょうか。
○大平内閣総理大臣 政府は、いろいろな御批判がございますけれども、政治的決着をつけたわけでございます。したがいまして、それ以外の判断がございませんので、そういう決着をつけたわけでございますから、渡辺さんの言う解決というのは政府の問題ではなくて、両国民の間でこのようにわだかまった感じをどのようにすっきりさしていくかという課題ではないかと思うのでございまして、日韓両国民の間の理解とか信頼とかいうものの問題だと思うのでございまして、そういうことのために政府もその努力をしてまいらなければなりませんけれども、一たん決着をつけました問題について、またこういう解決を考えますなんということは政府としては自己矛盾でございまして、それはいたしかねるわけでございます。 それから、日韓首脳会談というお話がございますけれども、日韓の間には閣僚会議というものが政府レベルで最高の機関としてございまして、年々会合が持たれておるわけでございまして、それ以外の仕組みはいま考えておりません。
○渡辺(朗)委員 終わります。
○塩谷委員長 寺前巖君。
○寺前委員 簡潔に答弁漏れないようにお答えをいただきたい。最初にお願いします。 まず第一点、金大中事件に対する基本姿勢についてお伺いをいたします。 いまお話がございましたが、六年来当事件を国民は依然として疑惑を持ったままであります。国民の納得のいくところまで完全に解明をさせるという方針をお持ちかどうか。一つです。 第二番目、米国務省の公電公表をあなたは歓迎をしておられるのか、迷惑をしておられるのか。 第三番目、従来から主権侵害の疑惑ありとあなたも言ってこられた。いまもKCIAによる主権侵害と推測されると疑惑を持っておられるというふうに見てよろしいでしょうか。 三点お伺いします。
○大平内閣総理大臣 国民の納得が十分いっておるとうぬぼれておりませんけれども、政府としては、この事件はここらあたりでこういう姿で政治的決着をつけるべきであると判断いたしたことでございまして、その判断とその措置に対しましては間違っていなかったと考えております。 それから第二に、アメリカから公表されました資料は、迷惑であるとも歓迎するとも考えておりません。 それから三番目に、KCIAなるものはわが国の主権を侵したのではないかという点について、何と申しますか、疑いがあるということは、世間にもあるということは承知しておるし、私自身もそういう懸念がありはしないかと考えてきたわけでございますが、これは、これまでいろいろ調べました結果、それを立証するに足る証拠は握るに至っていないということでございます。
○寺前委員 世間にもあるし、あなたもお思いだった、いまも依然として思っているということだけを私は確認したいというのが質問ですから、もう一度後でお答えいただきたい。 第二番目です。事件当時の田中法務大臣が、新聞やテレビで事件当日の日のこと、この事件がテレビ放送で国民に知らされる前に、政府高官が自分のところへやってきて、そしてKCIAがやった行為だということを報告したということをインタビューに答えて発表しておられます。あなたは外務大臣でした。この事実をその当時知っておられましたか、今日に至るまで知りませんでしたか。どういう事態にありますか。
○大平内閣総理大臣 そういう報道は耳にしたことがあります。
○寺前委員 当日ないしはその時期には御存じでしたか。
○大平内閣総理大臣 当日だったか、その後であったか、ちょっと記憶いたしておりませんけれども、そういうことがあったという報道は耳にいたしております。
○寺前委員 これは当時の法務大臣が報告を受けておられる内容なればきわめて重大な事態ではないでしょうか。KCIAの犯行という断定が報告にあったし、そして御本人はいまもそのことを報道で言っておられる。しかも、テレビ放送によると、韓国に頭の上がらぬ癒着があったので、韓国の困ることは言わなかったとまで御本人は言っておられます。とすると、きわめて重大な、当時の閣僚の発言ですから、総理としては、これは調査をされる必要のある性格だと私は思いますが、いかがですか。
○大平内閣総理大臣 韓国の公権力がこの事件を通じて日本の主権を侵したのではないかという疑い、これは多くの方が持ったわけでございまして、したがって、これに対して日本の捜査当局も捜査をし、韓国の官憲も捜査をいたしたわけでございまして、疑いがあるから、なければ捜査をしないはずで、疑いがあるからこそ捜査をいたしたわけでございますが、その結果はまだ証拠をつかむに至っていないというのがこの実相でございまして、田中さんの御発言というものがあるようでございますけれども、日本の捜査当局、信頼すべき捜査当局からは、まだ確証は出ていないわけでございます。
○寺前委員 癒着があるから発表は困るとまで言われて、当時の閣僚か言っておって、これに対してきちんとしないということはおかしいのではないか。あえてもう一度質問をします。 第二、外国の公権力の主権侵害は、相手国が確認をしない限りにおいては、それは主権の侵害だという形で行為を示すことはできないというのは、自主的外交の原則に反するのではないか。アメリカがKCIAの犯行であるということをクレンザー委員会で発表する。何も韓国は認めておりません。あるいは西ドイツに拉致事件というのかありました。韓国が認めたから拉致事件として抗議をしたものではありません。外交というのは、自主的に、主権を守るという立場はみずから判断をすべきものではないでしょうか。これに異論があるならば異論があるとおっしゃっていただきたい。そして韓国だけは特別だとおっしゃるならば、韓国だけは特別だとおっしゃっていただきたい。はっきりしていただきたい。 そして第三番目に、国会が金大中氏を事件解明のためにお呼びをしたいということを決めたら、あなたは全面的に協力されますか。 以上です。
○大平内閣総理大臣 韓国政府が、みずからの公権力が侵したということを認めるような証拠、そういう証拠が出たらそれは成立するのではないかと思います。それから……(寺前委員「相手が認めぬ限りだめか」と呼ぶ)相手が、これは確かに私の方の公権力が侵したものであるということを認めるに足る証拠であれば、それは明らかに私どもの決着を見直すだけの値打ちはあるのではないかと思います。 それから金大中氏を迎えるということでございますが、それはまず国会がお決めになることなんで、私から何とも……(寺前委員「協力してくれるか」と呼ぶ)まず国会の方でお決めになられてから御相談いただいて、仮定の問題に一々答えよったらこれは大変ですから、まずお決めになられた上でまた御相談をいただければ、政府として何ができるかできないか検討いたします。
○寺前委員 終わります。
○塩谷委員長 依田実君。
○依田委員 当面する幾つかの問題につきまして総理にお尋ねをさせていただきたい、こう思うわけであります。 まず第一に、日米間の経済摩擦の解消についてでございます。 総理が行かれまして日米間に共同声明を出されました。その中の要点、市場の開放と内需の拡大、これをお約束になって帰ってこられたわけであります。これまで日米間でアメリカの日本に対する不信感、これは簡単な言葉で言えば、日本側が約束を守らない、こういう一点に尽きるわけでありまして、佐藤総理のときの繊維交渉の例を見るまでもなく、常に一貫してそういう傾向があるわけであります。ところで、この内需拡大の約束、この点でございますけれども、総理はいつも数字をもって実証する、こういうことを言われておるわけであります。しかし、この四月の貿易収支、アメリカの対日収支はまた赤字がふえてきておる、こういうふうに伝えられておるわけであります。それと、またいまは省エネルギー、これが大事になっておるわけでありまして、いわゆる通産省の出した民生中心の五%の省エネルギーではなかなか実効を確約できない、こういうことで産業用のエネルギーについても考えなければならぬだろうということも言われておるわけであります。こういう中で、総理がお約束になってまいりました内需の拡大、この約束が果たして実行できるのかどうか。その見通しと決意をお聞かせいただきたい、こう思うわけであります。
○大平内閣総理大臣 日米共同声明には、仰せのように、わが国は中期にわたって内需の拡大と市場の開放に努めることによって国際収支の均衡を図るように努力する、アメリカはエネルギーの輸入の削減とかインフレ対策を進めることによって赤字の克服に努めるという趣旨のことが盛られています。これは双方がこれから行わんとする政策の大きな方向を国民に示して中期的な展望を明らかにしようとしたものでございます。しかし、内需の拡大、市場の開放というのはアメリカからの要請があって日本が約束したというものではないのであります。日本自身がそういう政策をとっていくことは、もうすでに前々から御案内のようにとってきたわけでございまして、今後もとっていくような経済計画を立てておりますことは御案内のとおりであります。そのことを誤解のないようにお願いをしたいと思うのでありますが、しからばこの内需の拡大、市場の開放という点が、今後こういうエネルギー不安というような状況の中で追求できるかどうかという御質問でございますが、それがまさに私どもかいま非常に心配しておるところでございます。 ことしの六・三%を目標とするところの経済計画なるものも、エネルギーの価格がこのように上がってくるとか、供給がこのように不安があるというようなことを前提にしてつくっておるわけではないのでございまして、新たに出てきましたこういう条件を克服しながら、なお、内需拡大を進めていかなければならぬというのがいま私どもの立場でございます。どこまでやれますか、これはこれからの政府の経済政策運営の巧拙にかかってくるわけでございますが、われわれといたしましては、かねがねから申し上げておりますように、あらゆる手だてを尽くしましてできるだけ物価安定基調を保持しながら、経済の拡大基調を着実に進めていきたいと考えております。 それから、市場の開放でございますけれども、わが国は相当市場の開放をいたしておるわけでございまして、私はほぼ先進国並みの水準に行っておるのじゃなかろうかと考えております。ただ、この二、三年のように日本に黒字が異常に集積される、対米ばかり考えてみましても、経常収支で二百数十億ドルの黒字が日本側に記録されるというような事態は決して健全でない。そんなことがいつまでも続いていいはずがないので、そういう場合におきましては相当赤字国側の立場、要請というものも考えながら経済政策の運営をやっていくのは当然のことと思うのでございまして、前内閣以来アメリカとの交渉におきましていろんなことがございました。食料品、皮革、関税の前倒しその他いろんな措置を講じて経済の対外均衡、とりわけ対米均衡というものをできるだけモデレートなところに持っていくように配慮してきたわけでございまして、その態度は今後も変わらずにやっていくつもりです。
○依田委員 二番目は尖閣列島問題に移らせていただきます。 報道によりますと、北京を訪問の鈴木自民党代議士が鄧小平副主席にお会いになったときに、要するに尖閣列島問題については日本が余り騒ぎ過ぎるから中国としても抗議をせざるを得ない、こういうことでございます。しかしながら、この尖閣列島問題については日本の固有の領土である、こういうことで中国側も了解しておると私は聞いておったわけでありますけれども、日本の固有の領土なら日本が騒ごうが騒ぐまいか関係はないのじゃないか、こういうふうに思うのであります。しかるにいろいろ向こうは言うわけでありまして、園田さんの言っていることは正しいというようなことを言っております。しかし、大局的に何か解決をというような言葉が出ておるようでありますけれども、後世に問題を残さずに大局的な解決というのはどういうことを意味されておるのかどうか、日本側はこの問題について向こうの言う大局的解決というこういう策をとられるのかどうか、その辺について総理のお話をお伺いしたい、こう思います。
○園田国務大臣 御質問の趣旨にちょっと私意見がございます。私は、委員会でも本会議でも、尖閣列島は日本の固有の領土である、これは明々白な事実、これは言っておりますが、中国は最近、これはわが方の領土であるという主張をして、その基本的な立場は違っているとはっきり言っているわけで、中国がこれを認めているとは一言も私は言っていないつもりでございます。
○依田委員 ですからこそ、私は、この問題については後世にいろいろ問題を残さないように解決を図るべきだろう、こういうふうに思うわけであります。総理の御意見を伺わせていただきたい。
○大平内閣総理大臣 どこか大変不都合が起こっているのでしょうか。日本が有効な支配を続けておるわけでございますが、何か非常に支障がこれであるのでございましょうか。中国に注意を喚起しなければいかぬことがあれば御指摘をいただきたいと思います。
○依田委員 そうしますと、向こう側の言っていることは日本側としては抗議とも何とも受け取らない、こういうことでございましょうか。
○大平内閣総理大臣 中国がどのようにおっしゃるか、一々それにコメントする立場にはございませんけれども、尖閣列島に関して従来から引き続き日本が有効な支配を遂げて、あそこは大変な漁場でございまして、そこでみんな平穏無事に漁業に従事しておる海域なんでございまして、そういう状態であればそれ以上満足すべき事態はないのでないか。わざわざこれを取り上げるということが私には理解できません。
○依田委員 その辺については私の感じとちょっと違うわけでございます。 時間が来たということでございまして、金大中の問題についてお聞きをする時間がなくなりましたけれども、しかし、私最後にお尋ねをしたいのでございますけれども、ここ幾つかの政治の事件、たとえば松野さんの喚問である、あるいはこの金大中事件、こういうものを見ておりまして、素直に国民の皆さんの感情をお伝えするならば、やはりクロをシロ、カラスをサギ、こういうふうに言っている、これがいまの政治じゃないか、こういうふうに国民の皆さんは受けとっておるのじゃないかと私は信じておるわけでございます。 そういう意味で、よく政治的決着をつける、こういう話題が出るのでありますけれども、この際ひとつこういう問題について道義的決着をおつけいただくのが一番いいのじゃないか。つまり、六月、サミットがあるわけでございますから、それは円満にやっていただいて結構でございますが、その後ひとつこの政治の道義的決着をつけるということで解散をおやりになったらいかかだろう、こういうふうに思うのでありますが、最後に総理にひとつお聞きをいたしたい。
○大平内閣総理大臣 いまはそういうことを考える必要もないし、そういういとまもございません。
○依田委員 以上です。
○塩谷委員長 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 先ほどの総理の答弁の中で、金大中問題の政治決着見直しの条件として、韓国政府の方で公権力が介入したと判定されるに足る証拠があれば見直しの可能性があるという向きの答弁がありましたけれども、その韓国政府の公権力介入の可能性について、たとえば韓国政府というのは、当時の金外相の発言でもよろしいわけですね。
○大平内閣総理大臣 御質問の趣旨、必ずしも私理解していないのかもしれませんけれども、日本政府に対して韓国政府が認められるということになりますればよろしいのじゃないかと思います。
○楢崎委員 この問題にかかわるせんだっての公電の中で、一九七五年一月十日付の公電ですね、これについてはスナイダー氏が打っているわけですね、当時の大使が。スナイダー氏がもう一度この点を、しかとこの公電の内容を認めた場合には、韓国政府の公権力が介入した疑いがあるというその方へ一歩近づきますね。その点はどうですか、当時のスナイダー大使がもしもう一遍これを確認した場合には。
○大平内閣総理大臣 その辺のところは捜査当局にいま言われたことをよく検討してもらいましょう、私どもの素人で判断してもどうかと思いますから。
○楢崎委員 直ちに捜査当局ということでございますが、その前に外務省ということもあろうと思いますが、どうなんでしょうか、園田さん。
○園田国務大臣 外務省と捜査当局の関係は、外務省はいろいろな資料あるいは照会等をやり、捜査当局がこれによっていろいろ判断をして、そして新しい証拠が出てくれば、これに政治的判断を下すのは、これはまた政府だと存じます。
○楢崎委員 次に、一九七四年二月二十二日、ハビブ大使がキッシンジャー国務長官あての公電の中で「政治的な庇護の要請の可能性」という内容の公電を打っているわけですね。その中で、もし金大中氏が庇護を求めてきた際には、それに対しては適当に断る。それでいいだろうかというハビブ大使の照会に対して、キッシンジャー氏はそれを否定していますね。そして、 一時的な避難はまた金のような著名人で庇護を求める者にも認めることができる。かかる要請が単に米国をまきこみ、あるいは韓国政府を困惑させるためにのみ行われる可能性もあり得ると思料されるものの、事実が確認されるまでは、当該人物が身体に対する危害があると訴える場合にはこれを額面どおりうけとることが賢明であろうと思われる。 つまり、ハビブ氏の措置に対して、それはだめだ、庇護を求めてきたときには受け入れる、このキッシンジャー氏の考え、これは明らかにハビブさんと違うわけです。そして現在のカーター政権の人権問題に対する考え方を考慮した場合に、私はこの考え方はカーター政権も受け継いでおると思いますが、その辺の見解はいかがでしょうか。
○大平内閣総理大臣 いまアメリカ政府を代弁する立場に、私ありません。
○楢崎委員 これは外交の判断の問題として、こういう考え方は継承されていると私は思うわけですよね。これは重要なところでございますか、その辺の総理の判断というのは全然ないのでございますか。 私がこれをお伺いするのは、先ほどから仮定の問題については云々がございますけれども、先ほども社会党の土井委員から、カーター大統領とこの問題について話をすべきだという意見が出されました。サミットで二十八、二十九日日本に来るカーター大統領、そして韓国に行くわけでしょう。まだ私は日程を聞いておりませんが、たとえば自然な形でカーター大統領が金大中氏と行き会う、接触するということは、私は可能性の一つとしてあり得るのじゃないかという気がするのですよ、それもまた仮定とおっしゃれば何をか言わんやですけれども。だから、そういう点も含めて、米国のこの考え方について御見解はどうかと聞いているのです。どうでしょうか。
○大平内閣総理大臣 評論家だったら申しますけれども、私も政府を預かっておる立場で、アメリカ政府のやったこと、見解について評価するというようなことは、差し控えた方が賢明だと思います。
○楢崎委員 いずれにしましても、この金大中問題に対して、ああいう何回も意見が出ているように疑問のある政治決着をして、そして今度またその政治決着について、われわれから見るとそれを見直すに足るような公電がアメリカの方から出てくる。そしてまたこの国会でそれが論議になる。私は国際的に見て非常に恥ずかしい気がするのですよね。そして今度サミットがある。そういう点を私は非常に問題にしておるわけです。 もう時間が来たようですが、最後に一点だけお伺いしておきますけれども、何か昨日、航空機疑惑問題等防止対策協議会が持たれたようです。これは総理大臣の私的な諮問機関ですか、総裁としての私的なものですか。
○大平内閣総理大臣 総理大臣としてでございます。
○楢崎委員 私は、これは新聞ですからわかりませんけれども、数々の問題点の指摘はわかりますよ。その中で政治家の倫理ですか、そういうものが諮問の中に入っておるようにその新聞紙上では受けたのですね。一体あなたはどういうつもりで政治家の倫理に関して第三者機関に諮問なさるのです。政治家の倫理というものはお互いわれわれの問題じゃないですか。特に今度の航空機疑惑問題、これは主として政権党内部の自浄能力の問題じゃないでしょうか。その自浄能力をたな上げして、政治家は一体どうしたらいいでしょうかというようなことを第三者機関に御諮問になる、その神経が私はわからないのです。これはその自浄作用について、総理みずからリーダーシップの欠如を示すものじゃないでしょうか。お言葉では、国会の解明に協力する、するとおっしゃっている。きょうもその表明がありました。では、具体的な問題について、たとえば岸氏の喚問問題について、これは防止するためには事件の解明をしなければなりませんよ。どこに問題があるのか、解明なくして正しい防止対策は出てこないのです。その解明について国会でやっている、そのうちの一つの問題が、御承知のとおりの岸氏の喚問である。これは御案内のとおりのペンディングになっている。そういうところにリーダーシップを発揮され得なくて、いきなり政治家の倫理について第三者機関にお諮りになる。あの項目の中のほかの問題は別ですが、どうも私は釈然としないのですね。御見解を承りたい。
○大平内閣総理大臣 政治家の倫理というのは、ちょっとそういうことではなくて、政治の倫理ということについて、ごあいさつの中でも御検討を煩わしたわけでございます。つまり、一般の人と違いまして、政治家あるいは公務員というものは国民の知る権利に対してもっと厳しい立場にあるのじゃないか。それに対しまして、どういう制度的なものを日本の民主政治として考えたらいいか、諸外国にはどういう例があるかなどもいろいろ御参考に御教示をいただきたい。選挙制度にいたしましても、政治資金規正の方途にいたしましても、それにかかわるいろいろな問題があるようでございますので、見識のある方々から虚心にお話を伺うということは、責任をそういう人たちに負わすつもりは毛頭ないわけで、責任はあくまで私の責任でございますけれども、虚心にお話を承るということは大変大事なことだと思ってああいうことを言い出したわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○楢崎委員 では、これだけで質問を終わらせていただきます。 私が感ずるのは、三木内閣のときもこの種の懇談会ができましたよ。何にもなっていない。問題は、この国会に自浄能力があるかどうかですよ。特に政権党に責任が非常にあると私は思うのです。そういう自浄能力がなくして、どのような案を第三者が示したって何にもならないのじゃないかということを申し上げたい。今度は二度目ですからね。だから今度聞きますが、いつまでにその諮問を求めていらっしゃって、そして総理自身は、その出されたいろいろな案を参考にしながら、その防止対策をいつまでにしかとお出しになる決意があるか、それを最後に承っておきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 だらだらいつまでもやることはよくないと思うわけでございまして、この夏の間御勉強いただきまして、九月ごろには結論を得たいと考えております。
○楢崎委員 その結論を得られて、今度はあなた御自身は、それから防止対策を出されるのはいつごろまでと認識しておられますか。
○大平内閣総理大臣 まずどういうものが出ますか、それを見た上で判断させていただきます。
○塩谷委員長 大平内閣総理大臣に対する質疑は、これにて終了いたしました。 引き続き質疑を行います。土井たか子君。
○土井委員 先ほど大平総理に対しての質問をさせていただき、引き続きでございますから、同じ問題に、わたって御質問を申し上げる節、外務大臣としては御答弁について非常に配慮がおありになるであろうかとも思いますけれども、その点はひとつお許しをいただいて、まずどうしてもお尋ねしたいのは、政治決着についての問題でございます。 大平総理は、政治決着について不満であったと言われた。その中身についても御見解をきょうは少し披瀝をされました。しかしその中で、私どもが国民の立場から考えますのに、第一次政治決着というのもこれはまことにおかしいものではあります。しかし、百歩譲りまして、この第一次政治決着については政治的に理解できるというふうにきょう大平総理が御答弁になったその言葉を使えば使えなくもございません。しかしその後、その中でお互いが了解事項といたしましたことについて果たされないままに、むしろ第一次決着の中で了解したことが踏みにじられたようなかっこうになって、そうして第二次決着がなされたわけでありますから、いわば第一次決着に対しては政治的に理解できるものである、百歩譲ってそう考えるとしても、実は第二次決着に対して大変に不満に思う、こういうのが国民の常識だと私は思うわけであります。 こういう国民の常識から考えて再度お尋ねをしたいのは、外務大臣のこの問題に対する御認識なのであります。外務大臣としては、先ほどの総理の御答弁の後でございますけれども、ひとつ政治家としての御所信、そして外務大臣としてのこのことに対する御見解というのを、改めて私は、場所を改めた気持ちでお尋ねをしたい。いかがでございますか。
○園田国務大臣 二国間でやられた政治決着でありまするし、しかも、当時の政府、当時の外務大臣がやられたことでありますから、私が改めてこれに批判するわけにはまいりませんけれども、感じとしては、第一次政治決着の上にもう一枚ふたをしたという感じがしないではございません。
○土井委員 そこで、何と申しましても、第一次決着の中身についてもう一度やはり、経緯からいたしまして確認をする事柄も必要かとも思われます。そこで、きょうの質問の中で大平総理にもこのことに対しての御確認を求めたわけでありますが、「後宮大使と金外相との間の外交折衝を重ねまして、金東雲に対する処理、金大中氏に対する処理、そういう点で合意点が記録されておるわけでございまして」とございますその記録を、ひとつ改めて提出をしていただくように私は要求をしたいと思います。これはよろしょうございますか。
○柳谷政府委員 私どもが保管しておりますいろいろな資料に基づいて当時のことを見ますと、八月に事件が起こった後、主としてソウルにおいていろいろ日韓の外交当局がこの問題をめぐって、容疑者の出頭要請とか捜査資料の交換とかいろいろな努力が行われた記録があるわけでございますけれども、特に十月中旬から下旬にかけまして、いま御指摘のように後宮大使と金外務部長官との間でこの事件の解決の方向についていろいろな話し合いが行われたということは事実と思われます。そのような話し合いの上に立ちまして金鍾泌国務総理の来日に至ったわけでございますけれども、来日の前の十一月一日にソウルにおきまして金外務部長官が記者会見をいたしまして、韓国側の考え方を明らかにしたことがございます。この発言は、その翌日日本に参りました金鍾泌国務総理が田中総理にお会いになったときに、前日のソウルにおける外務部長官の発言をそのまま引用し、確認されたという意味において重要であったと思いますけれども、この金溶植外務部長官の記者会見の要旨をちょっと、重要な点でございますから改めて御披露いたしたいと思いますが、金溶植外務部長官は、そのとき、すなわち十一月一日に、金大中氏事件のため私と後宮日本大使との間で数回にわたって話し合いを行った、一応本日で本問題に関する日韓両国間の話し合いは終わった、今後の本問題に関する韓国政府の方針をここに明らかにしたいというふうに前置きしまして、三点を挙げております。 第一点は、金東雲の金大中事件関与の嫌疑に関し、政府はすでに同人の職を免じ、捜査を継続することとした、その結果に従って法により処理する、第二点は、金大中氏が帰国前日本に滞在中に行った言動につき、同人が今後反国家的な言動を再び犯さないならばこれに対する責任を問わない、第三点は、明二日、十一月二日になりますが、明二日金鍾泌国務総理が訪日し田中総理と面談する意向であるが、その機会に、本事件が日本の首都東京の真ん中で発生し、被害者も加害者もともに韓国人であるという点と、本事件により大きな物議を惹起させた点につき日本政府と国民に遺憾の意を表することになろう、と、その後記者団との間の一問一答が大分あったようでございますが、これがソウルにおける大使と先方外相との間の会談の結果について韓国側が取りまとめたものであったわけでございますが、その翌日金鍾泌・田中会談が開かれまして、すでにたびたび申し上げて御承知の両国最高首脳の間における了解事項が成立して、これがいわゆる後に決着と呼ばれるものになったというのが当時の全体の経緯でございます。
○土井委員 経緯についての御説明はいま承りました。それで、私が再度これは申し上げねばならないことになりましたけれども、いまの合意点が記録されているという記録書は、それでは果たして御提出願えることになるのですね。
○柳谷政府委員 私からお答えいたします。 いまもちょっとその要点を御披露いたしましたような話し合いが現地でございまして、当然現地の大使が本省の指示のもとに先方と話し合ったわけでございますから、その都度の先方との話し合いの内容は電報によって本省に報告されておりました。それで、それは当時恐らく外相さらに総理も御承知であったと思います。そういう記録があるかないかと言われれば、その電報の記録というものはあるわけでございます。ただ、先ほどちょっと御発言あったと思いますが、その記録を出せるかどうかという御質問に対しましては、従来から、常に申し上げましたとおり、一般に外交電報そのものを公開することは行わないというのが私どものやり方でございます。ただ、国民の皆様の非常に関心のある事項であればあるほど、その内容についてはできるだけ詳しく国会の御審議等の場において御説明するという姿勢は従来もとっておりますし、必要ならばできるだけの御説明は今後もいたすということに変わらないわけでございます。
○土井委員 そうなってくるとまた、私が資料要求について過去いろいろと憲法六十二条の立場から要求をしてまいりましたこの問題を、何回も繰り返してさらに展開をし続けなければならなくなってまいります。 この国会での答弁、もちろんこれは公式記録になるわけでありますから、一つの非常に大事な国民の知る機会でございます。しかしながら、国政調査権ということで国会から要求されたこの要求資料が出し得ない場合は、なぜ出せないかという理由を国民が納得できるように明らかにしていただかなければこれもまたなりません。原則としては出すのが義務なんです。これは憲法上のきちっとした明記の規定があるわけでありますから、そういうことからいたしますと、国会のこういう委員会での答弁で事は全部済むというふうに受けとめられかねないようなただいまの御答弁では納得いたしかねますので、記録としてあるものについての資料要求を私はしております。このことに対してのお答えを再度要求します。よろしゅうございますか。
○伊達政府委員 憲法六十二条国政調査権に基づいてということでございますが、私、憲法についての有権的な解釈をここで申し上げる立場にはございませんけれども、しかし当然のことながらこの外務委員会の場におきまして資料要求がありました場合に、もしその御要求に応じられない場合にはその理由を説明することは当然のことだと思います。 ただいまの外務省の記録に関しての御要求でございますけれども、外務省の公電というものは外交上の機密に属することといたしまして、従来から公表ないしは資料提出の御要求に対しましては外務省としてそのできない旨を申し上げて、お断り申し上げているところでございます。
○土井委員 どうも伊達さんらしくない歯切れの悪い答弁をるるここでされたわけでありますが、やはり原則として資料要求にはこたえるという姿勢は崩されたら、これは取り返しがつかないと私は思います。したがいまして、いまから続々資料要求というのを私たちいたしますから、それについて、これはいつでも言いわけさえすれば出さなくて済むなんというふうな姿勢を断じて外務省としてはお持ちにならないように、私たちも外交機密というものを守らなければならないという常識的な立場というのはもちろん留意しつつこのことに対しては取り扱いを進めてまいりますから、そういうことでの御認識をひとつはっきり持っていただきたいなと思います。 さて、外務大臣、あと資料要求は後ほどに回しまして、五月三十日の日に韓国では最大の野党である新民党の大会がございまして、大臣御承知のとおり党首が新しく金泳三氏になりました。金大中氏は公然とこの金泳三氏を支持をしてこられたわけであります。いわば金大中氏に対する支持派が多いというこの現実は、はっきりここで立証されたとも言えるわけなんですね。もう一言言うならば、金大中氏の影響力は非常に大きいということも言えるだろうと思います。この新民党首が新しくかわられたというこの事態は、事、金大中氏事件も含めまして韓国に対していろいろとこの対策につき交渉を進められますことについて、いままでとは状況が、こういう意味では変わったというふうに理解をいたしましてもよろしゅうございますか。
○園田国務大臣 他国のことでございますから、私がこれに対するとかくの発言をすることは控えますけれども、そのような事実は事実であって、外務大臣としてはその事実は考慮すべきことではあると考えております。
○土井委員 先ほど私は、日本に来られるカーター大統領に対して、この金大中氏の人権につきいろいろと話し合いの機会をお持ちになりますかと申し上げたら、日本側からそれを提案する意思はないと、こう総理大臣はお答えになりました。カーター大統領が訪韓をされる前に何らかの話し合いをアメリカ側と、日本としてはするということがあってもよいのではないかというふうに私は考えるわけですけれども、その点については外務大臣はどういうお考えをお持ちでいらっしゃいますか。
○園田国務大臣 総理大臣と外務大臣の関係は御承知のとおりでありますから、総理大臣が正式にこちらから出すつもりはないとおっしゃったら、外務大臣もその方針でこれに対処いたしますが、いろいろの御意見は十分拝聴しておきます。
○土井委員 さて、あと資料要求として、これは基本的に非常に大事な資料なんでありますが、幾たびとなく国会の審議の場で警察の側からの御答弁には出てまいっております。金大中氏に対するいわゆる供述調書でございます。韓国政府から正式に日本に対して送られてきているこの供述調書について提出方を要求をいたしたいと思います。よろしゅうございますか。
○鳴海説明員 先生ただいま仰せの供述と申しますものは、金大中氏の供述要旨ということで韓国政府よりわが国外務省を経由いたしまして去る四十八年八月三十一日、わが捜査当局が入手いたした資料であるというふうに存ずるわけでございますが、これにつきましては御案内のごとく、金大中氏に係る唯一の供述でございまして、これは捜査の手がかりとして非常に重要なる捜査資料でございます。すでに先生御案内のごとく、ただいま私ども捜査を鋭意継続中でございます。このような場合に、こういった重要な捜査資料を公表いたすということは、これは捜査の遂行に大変な支障を及ぼす、あるいは事件の関係者の名誉と人権上の配慮といったような原則がございまして、公開はいたさないということになっておるわけでございます。 捜査というものは、そういった捜査遂行の支障ということのほかに人権上の配慮ということもございまして密行をもって旨とする、こういうことになっておりまして、私どもの捜査規範という典範にもこういった規定が掲げられておるということでございます。が、しかし、先生ただいませっかくの仰せでございます。これまでもそうであったかとは思いますが、いろいろと先生からのこれに関する御質問をいただけますならば、私どもの身に課されました非常なる厳しい制約は、これは踏み行わなければならないところではございますが、こういった制約のもとにおいて捜査上に支障のない限り最大限の御答弁を申し上げて御報告さしていただく、そのように切に御理解をお願いいたしたいところでございます。
○土井委員 丁重なる、いろいろとなぜ出せないかという理由は御説明になりますけれども、しょせんはやはりこれは出せないというその結論が一番大事なところでありまして、これは追って、そうするといま捜査も継続中であり、その捜査の関係からして出せないというふうな経緯についての御説明でありますから、関係するところは全部これから質問でさらに展開をしていくということで、ひとつ十分なる答弁としてこの場で披瀝されるように、改めて要求をしたいと思います。 さて、金在権についてでありますが、すでに国会の意思で先年アメリカにおられるやに考えられるという客観的材料がありまして、アメリカ国務省に対して日本大使館から事情聴取についてのこのことに対する問い合わせをしたという経緯がございます。ところが、その節、金在権氏はすでにアメリカではないということでありまして、そのまま今日まで至りましたら、先日、わが党の小林委員の方からの御質問に対する返答として、いまはソウルであるということが明確に把握をされている旨、お答えとして出てまいりました。すでに金在権についての事情聴取は国会の意思としてあったわけですから、その居所が確かであるならば、改めてソウルにおられる金在権に対する事情聴取ということをしていただく必要が国会意思にかなうと思います。この点いかがですか。
○柳谷政府委員 お答えいたします。 現在、金在権氏が韓国またはソウルでございますか、そこにいるかいないか、まずこれを再度正確に確認するのが最初の要件ではなかろうかと思います。
○土井委員 しかし、これは先日、明確にそれを確認された上での御答弁ではなかったのですか。
○柳谷政府委員 私の前回の答弁、ちょっと正確に記憶いたしませんけれども、たしか私が申し上げましたのは、アメリカのフレーザー委員会によれば、金在権は韓国で自宅に軟禁されているというようなことであるという報道があるということで、これについては確認をしてみたいという趣旨をたしか御答弁したと記憶しております。
○土井委員 そうすると、そのことについての確認はされましたか。
○柳谷政府委員 これは、いまいろいろなことを確かめたいことがございまして、その方向で現在、考えております。
○土井委員 そうすると、それはただいま努力中ですね。
○柳谷政府委員 そのとおりでございます。
○土井委員 それについてはいつごろおおよそのことがわかるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○柳谷政府委員 先日来の委員会でいろいろなことか御指摘もありましたし、また、私どもの資料の検討の過程でいろいろ韓国側に確かめてみたいということもございます。それらを逐次取り上げたいと思いまして、問題のいつごろという点になりますと、これは韓国側の対応にかかっているということを申し上げるほかないと思います。
○土井委員 さらに、先ほど総理に対しての質問としては、時間の関係から一問にとどめましたけれども、電電公社の機材の調達の問題がございます。 これについて、総理自身は大筋において東京ラウンドまでに決着を見るべく期待しているというふうな御趣旨の御答弁でございましたが、これは外務大臣に御質問申し上げます。 先端産業の育成という点から考えてまいりますと、日本のエレクトロニクスの構造改善並びに開発というのは、これからの日本の経済発展という点から考えて大変に重要な問題であります。この点に対して、今回のこの問題はどういうふうな影響があるというふうに大臣としては把握をされているか、いかがでございますか。
○園田国務大臣 自由化というのはわれわれが望み、合意せられたところでありますが、自由化をするについては国内の産業に重大なる支障を与えないようにする必要もあるわけでありまして、そういう点も考慮しつつ進めていくべきであると考えております。
○土井委員 ただいま原則的なルールについて合意をされるということについても、国民、特に関連産業に働く国民の中にはまことに大きな不安を感じているわけであります。そうしてこれのいきさつに対して持っているのは、その関連する方々の生活だけの問題ではございませんで、大きくはやはり日本の外交姿勢が問われるということにもなると私は存ずるわけであります。 御承知のとおり、こういう問題に対しての話し合いは相互主義ということで進められねばならないわけでありますけれども、いま内閣の中の主務大臣でいられる白濱郵政大臣も、今回の問題に対しては開放に反対の立場であります。けさもNHKのテレビを見ておりますと、自演大臣は、通信機器の生産開発はそれぞれの国の規格がある、今回の開放については自分としては賛成はできないということをあの大臣にして非常にきっぱりと言われるわけであります。閣僚の中で、特に主務大臣がこのことに対してきっぱりと反対の立場だということになると、このことは絶対に無視できない一つの大事な交渉の場合の問題になると私は存じますが、外務大臣はこの事柄をどういうふうにお受けとめになっていらっしゃいますか。
○園田国務大臣 閣内で主務大臣が反対しているということが、あすのストラウス・牛場の話し合いで決まるはずはないと考えております。
○土井委員 さらに申し上げますならば、今回、一連の動きにつきまして相互主義という点から考えますと、アメリカ側は今度六月に議会で問題にされる法案が非常にこの問題に対して引っかかっている大きな前提になります。 さて日本側は、国会では野党ばかりでなく与党の中からもこれに対して反対の意見があるというこの現実を無視するわけにはいかないだろうと思うのです。アメリカが議会なら日本の場合は国会であります。この国会の意思というものを大事にくんで、それを前提とした交渉というのがやはり相互主義という意味ではなされるべきだと思いますけれども、外務大臣、当然のことながらこのことについてはどういうお考えをお持ちでいらっしゃいますか。
○園田国務大臣 それはおっしゃるとおりだと考えております。
○土井委員 そういたしますと、これを最後の一問にいたしますが、東京ラウンドまでの間にお互いが合意に達したいというふうに先ほど来総理大臣が言われたことは私は申し上げましたけれども、中身についてはどのように進め、一体どういうことをどのようにしていきたいというふうに、あらましのところ、外務大臣はいま胸中におさめていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 あすの牛場君とストラウスとの話し合いというのはそういう内容に関することではなくて、今後、両方がなるべく早く合意したいという目標に向かってどのような手順、段取りで話し合いをしていくか、骨組みはどうやるかということの合意だと私は想像いたしております。
○土井委員 ありがとうございました。終わります。
○塩谷委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は、この国際情勢の質疑の時間をおかりしまして、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議定書につき、疑問な点をお尋ねしたいと思っておるわけであります。 〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 外務省及び科学技術庁等の御関係の皆様方が長い間にわたりまして本議定書を改正するため精力的な御努力を払われたことに敬意を表したいと存じます。しかしながら、その内容につき二、三問題を詰めてお尋ねをしたいと存じます。テーマにつきましては、先ほど申し上げてございますので、御説明を通してお願いしたいと存じます。 まず、改正後の協定の第七条(a)(i)に基づきわが国で開発しておる新型転換炉、ATRの一部の設備がカナダから入手した機微な情報を利用して設計され、建設されまたは運転されていると指定され、この協定の各種の規制の対象となる可能性があると思われます。このような規定はわが国独自の原子炉等の開発に支障を与えるものではないのか、その点はどうなのかという心配があるわけでございますが、この点につき御説明を求めたいと存じます。
○矢田部政府委員 ただいま先生御指摘の第七条(a)項の(i)でございますが、これは改正後の協定の対象となるものといたしまして、供給国から移転された設備のみならず、この協定に従って移転された一定の技術を使用して受領国において生産された設備、そのような設備も協定の対象とするという趣旨の条項でございます。したがいまして、御指摘のATRでございますが、新協定に基づきまして、カナダから移転された技術をこのATRの開発上使用していない場合には、そのような設備が協定上協定の対象として指定されるということはあり得ないわけでございます。 いずれにいたしましても、供給国がこのような指定を行おうとする場合には、受領国との協議を経た後に初めて行い得るということになっておりますので、供給国の方が一方的にその意思を押しつけるということはあり得ないわけでございます。したがいまして、ATRを含めましてわが国が独自に開発する一定の原子炉等のわが国における開発、生産がこの条項によって不当に害されるということはないと私ども考えております。しかしながら、御指摘のようなことも十分念頭に置きまして、実際にカナダから一定の情報の移転を受けるというような場合には、事前にカナダ側の意向を十分確かめることはもとより、そのようなこ とを通じましてわが国の自主開発が毛頭阻害され ることがないよう遺憾なきを期してまいりたい、 このように思っております。
○渡部(一)委員 新型動力炉開発懇談会報告書、昭和五十四年三月三十日、原子力委員会新型動力炉開発懇談会発行のもののうち、二十三ページにおいて、 CANDU炉については、我が国における建設を想定した場合の技術的経済的評価を詳細に行うことを第一とし、併せて我が国の自主開発路線に重大な影響を及ぼさないことを確認すべきである。このため当面、次の方策を講ずる必要がある。 すなわち、電源開発一株一は、日本向けCANDU炉の技術的経済的評価のための設計を関係者の協力のもとに行い、我が国の安全性評価上からみた技術的問題を解明し、その経済性見通しを明らかにするとともに、我が国の環境、風土への適合性を確認するために必要な各種確証試験を実施するほか、導入に伴う負担の明確化を図るものとする。 この場合、カナダからの情報、資料の入手に関連して、日加原子力協定による制約が新型転換炉の自主開発に支障を及ぼさないよう事前に十分な措置を講ずる必要がある。 こう記してあるわけでありますが、問題のポイントは、わが方の自主開発というものが日加原子力協定による制約によって妨害されるのではないか、こちらがせっかく研究したことがCANDU炉を通してカナダ側からの技術移転によって行われたものと因縁をつけられる可能性があるのではないか。しばしば論じられてきたところであり、当協定の一番問題点であろうと思います。その点十分留意すると先ほど矢田部さんは言われましたが、問題にされることが本当にないのか、もし問題になったらどうするのか、その辺の見通しをもうちょっと突っ込んで伺いたいと存じます。
○矢田部政府委員 カナダから新協定に従いまして受ける規制と申しますものは、自主開発に対する規制ではございません。カナダが持ちます規制権と申しますのは、この協定の対象となる物質、設備等を第三国に移転する場合の事前同意権であるとか、あるいは濃縮する場合、再処理する場合の事前同意権であるとか、貯蔵する場合の事前同意権であるとか、そういう性質のものでございまして、日本自身における開発活動に対する規制権というものを規定しておることはないわけでございます。 ただ、恐らく御指摘の点は、カナダから移転されたものというふうにみなされることによって、この協定の対象ではないかという、そういう問題が起こるのではないかということであろうかと思いますが、これは先ほども申しましたように、供給国の方が一方的に指定いたすわけではございませんで、受領国と協議をいたしまして、受領国が納得いたさない限り、一方的にそのようなものとしてみなされるということはございません。したがいまして、御心配のような向きはないと確信いたしております。
○渡部(一)委員 両者の話し合いによってみなされるかどうかという問題が決定されるという御説明だと承るわけですか、それはそうなんでしょうけれども、少なくともこれを言いがかりにして、これを種にして、カナダ側が、私の方から見るとこの規定に違反するのだと主張することをとめることはできないだろうと思いますね。そうすると問題は、こちら側が合意しなければこの協定文は発効しないのだから、日本側がカナダ側と合意しない間は、何もこの規定に基づいて規制されるというふうに思う必要はないと、いま矢田部さん一生懸命言っておられるわけですね。それは法理論上、条約論から言ったらそうだろうと思うのです。 そこで、私どもか素人風に心配しておりますのは、まさにいま矢田部さんの御説明の前の方の部分、つまり、この規定によれば、要するに向こうは全部いろいろな技術を、わが方が発明した、わが方が発明した、わが方の発展のものだというふうに言う理由がある。そうするとわが方としては、たとえば原子炉圧力管のようなものでありますると、いまのところの設計、製作でやりますと、CANDU炉の場合と本質的に同じようなタイプのものしか考えられないという状況がありますから、その同じ流れのものとしてとらえられ、攻撃される可能性は十分生じてくる。そうしたときに、それに対して一々弁明したり説明したり、あるいは協定全部がだめになる可能性というものを、圧力を受けながら相談しなければならぬという立場になってしまうのではないか。そこが非常に問題点が多いのではないか。 だから、しつこく伺って恐縮ですけれども、そういうことを食いとめるためにはどうしなければならないのか。一つは、協定上の解釈において明確な解釈の宣言が行われる必要があるのではないか。わが方はこういうふうに思っておりますよということが外務大臣のお口から説明される必要があるのではないか。いま外務大臣にこの問題について意見を述べろと申し上げても、ちょっと専門的であり過ぎますから、私もこちらの方は比較的明るいのですけれども、これはちょっとややこしいですから、後で外務大臣に、この討議が終結するまでに、これに対する政府見解というものをお示しいただいたらどうか。わが方としてはこうこう思うております、こうでございますよというのを出していただいたらどうか、こういうふうに一つは思っているわけです。 もう一つは、わが方が発明なり研究なり工夫をする場合に、特許庁その他とも御相談いただいて、わが方の技術あるいは情報については、特にCANDU炉関係、カナダ関係の技術の提供のあるものと同じ部品を日本の下請等が製作する場合には、これは技術移転でないということを明らかにするバリケードを、特許法上あるいは原子力関係の諸法の上で、ここと違いますよという観点からつくっていく、そして初めからそのおそれのないように何かの線を引いていく。政令の上で線を引くか、省令の上で線を引くか、何かそういう科学技術上の仕掛けが要るのではないか、私はそう思うのですが、大臣、いかがでございますか。
○園田国務大臣 非常に御親切な御配慮をいただきましたが、非常に大事な点でありますから、十分研究して、これに対する対応の準備をして御報告いたします。
○渡部(一)委員 矢田部さんよろしゅうございますか。
○矢田部政府委員 関係各省庁とも十分協議いたしまして、御要望に沿い得るように努力いたしたいと思います。
○渡部(一)委員 わかりました。終わります。
○愛野委員長代理 渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 外務大臣も大分お疲れであろうと思いますので、たくさんではございませんが、質問をさせていただきたいと思います。 一つは、ASEANの最近の情勢についてお尋ねしたいと思います。 特にカンボジアの現況でございますが、一体どういう状態になっているのか、そこら辺をぜひ聞かせていただきたいと思うのです。日本政府としては依然としてポル・ポト政権を承認しているという立場だと思いますけれども、ASEAN諸国に対して、カンボジアの新政権を承認してはどう、だというようなサウンドの動きだとか働きかけもインドなどからあるやに聞いております。わが国のカンボジアに対する見方、そしてその現況は一体どういうことになっているのか、まずそこら辺を聞かせていただきたいと思います。
○柳谷政府委員 お尋ねの一つの点は、ASEAN諸国との関係、ASEAN諸国のカンボジア承認の動きがあるかどうかという点でございます。 これはインドが従来から、いろいろな考慮があってでしょうか、サムリン政権を承認することの可能性についていろいろ模索しているという報道はございました。そのインドの模索の一環といたしまして、他のアジア諸国、特にASEANの諸国がどう考えているだろうかというようなことをいろいろ模索しまして、インド外務省の高官がASEAN諸国を歴訪したという事実もあったようでございますが、いままで私どもがいろいろな筋から受けた報告によりますと、現在の時点において、ASEAN諸国がカンボジアのサムリン政権を承認するというような動きは全くないと聞いている次第でございます。 ちなみに、現在サムリン政権を承認している国は十七カ国、ベトナム、ラオス、ソ連、その他主として東欧諸国でございます。他方、ポル・ポト政権、従来のカンボジア政権を承認している国が現在六十九カ国という状況でございます。 それから、カンボジア情勢をどう見るかというお尋ねでございます。これは情報はまちまちではございますけれども、ベトナム側としては、本格的に雨期に入ります前にできるだけサムリン政権を支援して、その体制を後ろから支援するといいますか、サムリン政権の力、行政をガンボジア全土にな賄べく確立していきたいということで、いろいろ攻勢をかけるというようなこともあるようでございます。またその結果といたしまして、タイとの国境までポル・ポト政権ないしはそれの支配下にあります住民が押し出されてきて国境を一時越えたとか、タイ側はなるべくこれに巻き込まれないために、最小限の負傷者の手当て等をした上でまた国境のかなたに帰すというようなことをしているという、その辺に注目しますと、ポル・ポト政権側がかなり圧力を受けて、サムリン側の力が非常に伸びているような側面を感ずるわけでございますけれども、他の報道によりますと、山地山岳地帯、森林地帯等にはポル・ポト政権の力が温存されているというまた別な説もございますので、余り一口で物を言うのは危険かとは思いますけれども、私どもの一般的な印象としては、雨期前に大きな決着がつくというよりも、雨期前の一種の陣取り作戦というものははっきりした決着に至らずして雨期に入っていく。それで双方の対峙と申しますか、入り乱れたと申しますか、どろ沼的という表現をよく使いますが、そういう情勢が当面続いていくというふうになるのではないか。なかなか情報が乏しいわけでございますけれども、私どもの得られる限りではそんな判断を持っております。
○渡辺(朗)委員 現地のことがよくわからないでお聞きして大変恐縮なんですけれども、そういう情勢でありながら、日本政府としては依然としてポル・ポト政権を正統政府とし、そしてこれに対して援助を行うということがございますね。そうしますとこの援助というのは、内戦状態にあって、実効支配といっても、どういう地域がどうなっているかよくわからないところにどうやって援助をするのであろうか、どこのだれに援助するのか、そこら辺についてひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
○柳谷政府委員 佐藤在中国大使がポル・ポト政権にも同時に大使として発令されまして、昨年の九月でございましたか、その当時のプノンペンを訪問したわけでございます。そのときには先方から、日本からもいろいろ援助を得たいという一般的な話があったようでございますが、その後、ことしの四月末にケット・チョンという移動大使がUNKTADにポル・ポト政権を代表して出席する目的で日本を通過したときに、わが政権に対しても日本から何分の援助を得たいという意向を表明したわけでございます。ただ、そのときは必ずしも具体的な話に入ったわけではございませんでした。 御指摘のように、それではどうやって援助ができるかという問題は姿勢としてはともかく、実際上の実施という問題になるとなかなか非常にいろいろな問題があることは御指摘あとおりでございます。当面の日本政府の感じ方といたしましては人道的な問題、あの地域において人道上いろいろ非常に困難な情勢が発生しておりますので、そういうことになりますと、いずれの政権の支配する地域ということがなかなか決めかねるという意味においては、ある意味ではカンボジア人民に対する人道的な配慮という側面が出てくるような気もいたしますけれども、そういう人道的な配慮からの援助をする余地がないかどうか。その場合も、直接無理な場合に、通常こういう場合にはよく赤十字とかユニセフという機関がそこに介在する例もあるわけでございます。現在のところは、そういうことも含めて何かできることがあればということで検討したいというのが現状でございます。
○渡辺(朗)委員 いま聞いていると、ますます実施上むずかしくて大変だと思うのですね。人道上とおっしゃれば、これはますます、むしろ有効支配をしている政権に援助した方がより人道的に広がりもちゃんとあるだろうと思いますし、ジャングルの中にあるところにどうやって援助するのか、大変疑問でならぬのですけれども、援助することは決めておられるわけですか。
○園田国務大臣 経過を率直に申し上げますと現政権、われわれから言えばポル・ポト政権、これの副首相のイエン・サリが数回私に直接会いに来ております。会談もいたしました。そこで私は、アジアの平和と安定ということでどこの国も自立することが大事であるから、必要であれば経済援助をするという話をしたわけでございます。当時も副首相は、援助してもらいたい、しかし具体的な、どういうものを援助してもらうかということは具体的にはなかなか自分たちにはわからぬ、そこで、佐藤大使が来たときに具体的にお願いします、こういう話でありましたが、佐藤大使が行ったときにはそういうことで、なお向こうの方も考えが出ない。 一つは、いま先生がおっしゃいましたように、ああいう実情でありますから援助を受けたくてもどういう援助をどうやるのか、向こう自身が困難な状態にあるのだと思います。したがいまして、私がこれに対する援助というのはきのう改めて言ったわけではなくて、その連続で用意がある、こういうことを申し述べたのが真相でございます。 しかし、食糧とか医療品とかいうことになってきますと、これは人道上の問題でありますから、赤十字を通じてやるか、何をやるか、この方法等も研究しなければならぬが、研究しておく必要がある、こういうのが実情でございまして、援助というのは現実にはおっしゃるとおりになかなかむずかしいのじゃないかと思っております。
○渡辺(朗)委員 よくお気持ち、説明はわかります。ですが、疑問は、いま内戦の状態になっている。そこにおいてわが国は確かに従来からの関係もあってポル・ポト政権を支持し、また応援しようという気持ちがあるのは当然であるかもわかりませんけれども、しかし、今日の時点でそういう形を具体的にするかしないかは別として、援助するという姿勢を示されること自体かなり国際情勢の上にも響いてくるのではあるまいかという懸念をいたします。インドシナ半島の情勢に対して日本がどんどんコミットしていくということにもやがては受け取られるのではあるまいかという懸念があるものですから、この点をお聞きしたような次第です。 これはそれ以上に入ることをちょっとやめまして、関連するのですが、先般来ASEAN諸国の共同防衛というような動きがあるやに聞いております。ASEAN諸国がそういう動きをしていくこと、これに対して日本政府としては歓迎でございますか、あるいは好ましくないことでございますか、そこら辺お聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 ASEANの諸国とはじかにも数回会っておりますし、その他の緊密な連絡をいたしておりますが、私がこれくらいしばしば会っておりますのに、共同防衛という話は全然私自身聞いたこともありませんし、その話を聞いたこともございません。単に共同防衛というと簡単でありますけれども、果たしてそれが真の平和につながっていくか、あるいは対立の方につながっていくか、これはむずかしいことでございますけれども、私は全然聞いたことはございません。
○渡辺(朗)委員 続いて時間の関係で中東情勢に入りたいと思いますけれども、まだ担当の方がいらっしゃっておられないようでございますから、ASEANから今度は日本の周辺に参りまして、外務大臣、ASEANの方にはサミットを前にして特使を派遣されるということがございましたが、すぐ隣の韓国にはやはり特使くらいは派遣されることが必要じゃないかと私は思います。特に政治情勢、そういったものも非常に問題があるやに思いますので、韓国に対する特使派遣ということはお考えではございませんですか。
○園田国務大臣 韓国とはこれまた直接関係が深うございますし、一々意見も交換しておりまするし、かつまたカーター大統領はサミットの終了後韓国に行かれることと思われまして、サミットに対する韓国の意向等は知っているつもりでありますけれども、いまのところ韓国に特使を派遣するという考え方は持っておりません。しかし何らかの方法でその意向を聞くことは検討してみたいと考えます。
○渡辺(朗)委員 先ほど総理にお尋ねした際に、昨年秋の日韓閣僚会議で、これは園田外務大臣御出席でございましたが、合意事項として、日中平和友好条約あるいは米中間の新しい情勢、こういったものを踏まえて、新情勢下におけるこれからのアジアの問題それを話し合うためにも首脳会談が必要であるという合意事項があったやに聞いております。ところが先ほど大平総理に聞きましたら、何か全然そういうことは開く気持ちもないかに言っておられましたけれども、少なくとも総理大臣が日本でかわっても、去年約束したことがことしほごになるのでは、これは国際信義の上からもずいぶんおかしいと思うのですが、当事者であった外務大臣、そういう合意事項を実行していくお考えはいかがでございましょうか。
○園田国務大臣 日韓首脳会議は日韓閣僚会議で決まった話ではございませずに、実を申し上げますと、先生御承知のとおり会談が終わってから大統領と私の単独会見があったわけであります。 閣僚と一緒に大統領のところにあいさつに行って、その際大統領が、外務大臣だけちょっと残ってくれという話がありました。そこで、私と大統領と通訳を交えずにお話をいたしました。その際、福田総理の訪韓の話が出まして、そこでこれが首脳者会談ということになったわけでありますが、政局が変わりましたので、それはそのまま立ち消えになったわけであります。しかし今年は日韓関係閣僚会議が日本で開かれる番でございます。これもまだ他の問題に紛れていつやるかは決ってないわけでありますが、そういう際も考えて検討してみたいと考えております。
○渡辺(朗)委員 もう一つ、二つ、先ほどの総理のお答えと関連をいたしまして、私、外務大臣にもう一遍お聞きしたいと思うのです。 今度のサミットなんですけれども、ジスカールデスタンが今度のサミットに消費国としてOPECに対して警告を発しなければならぬ、それを提案する、こういうようなお話があったやに聞いております。少なくとも新聞紙上にはそのように出ております。それに対して総理は、先ほど何か、主催国であるから皆さんの御意見を聞くことなんで、こっちの方から何も言ってはならぬみたいなお話がございましたけれども、それでは幾ら何でも主体性がないと思います。私は、せめて外務大臣として、当外務委員会において、そのような見解がたとえばフランス側からある、それに対して私はどう思う、日本としてはこうしたい、そこら辺はやはりおっしゃらないと、このサミットの会合というのは貸し座敷みたいなもので、座敷だけを提供するのが日本であるぐらいなことになってしまうのではあるまいかと懸念をいたします。それゆえに、先ほどのフランスの、サミットにおいてOPECに対する警告を発するというような提案に対してはどのようにお考えになりますか。
○園田国務大臣 私も新聞で拝見をいたしましたが、フランスの大統領が産油国に対して警告を発するということは誤報であると思います。ということは、よく御承知のとおりにフランスはIEAの会に参加いたしておりません。加盟しておりません。加盟をしていないゆえんのものは、消費国だけ集まって団結をして産油国に何か威力を示すようなことではエネルギー問題は解決しない。やはり産油国と消費国が相対立するのではなくて、共通の問題としてエネルギーをどうやっていくか、もっといろいろな広範囲な問題から両方で相談すべきだというのがフランスがIEAに加盟していない原因であります。したがって、会議はパリでありながらフランスはこれに加盟していない。こういうことでありますから、大統領が、サミットで先進国が集まって産油国にけしからぬというような発言をなさることは万あるまいと考えております。 私はこの問題についてはややフランスの大統領と同じ考え方を持っておりまして、やはりエネルギー問題について消費国が足並みをそろえることは大事でありますけれども、その消費国が集まって、石油の値上げはけしからぬとか、あるいはどうだとか力んでみることよりも、産油国とお互いに話し合って、そして両方で、限界のある石油というものをどう長く使うようにするか、また産油国には産油国の悩みがあるわけでありまして、限りあると言われておる石油がなくなったらその先はどうやって自分の国をもっていくのかなどという悩みもあるはずでありますから、共通の問題を両方が相談し合ってやる、こういうことが大事であって、エネルギー問題はまたほかにもいろいろ問題があるのじゃなかろうか、こう思っております。
○渡辺(朗)委員 私大変心配するのは、一九七三年から七四年、あの石油危機のときに、産油国と消費国の鋭い対立が生じたわけです。同じようなことが東京サミットを契機にしてまた出てくるのでは、これは大変なことになるな、まして現在アメリカはエジプト・イスラエルの平和条約を軸とした中東政策を非常に進めようとしている、そのような中東政策に反対するアラブ諸国、これが石油を戦略兵器として使っていこうとする気配濃厚だ、こういう情勢の中で、中東政策に対して日本が、これはよそごとだでは済まされない。したがって、中東問題について幾つか、日本政府のとるべき政策、いまとろうとしておられる政策、こういうものを私お聞きしたいと思うのであります。 一つはトルコに対して、トルコもやはり私は中東政策の枠の中における国だと思いますか、七千万ドルの経済援助、それも本年分七千万ドル、こういうふうに聞いております。とすると、総枠があって本年分があったのではあるまいか。総枠というものはどこでどういうふうに協議しておられて、そしてことし七千万ドル、こういうことになったのであろうか、まずそこら辺からお聞きしたいと思うのです。
○園田国務大臣 トルコに対する援助、輸銀のあれも入れて三千五百万ドルと三千五百万ドル、七千万ドルでございます。これは今年分で、来年もこれをやるというわけではございません。今回の話をしただけでございます。総枠か幾らか、これはトルコに対する援助の中の幾らを日本が受け持つかという意味の御質問だと思いますが、これは全く違います。 経過を申し上げますと、一番最初に私に話をしたのは西ドイツのゲンシャー外務大臣が、トルコに対する援助を頼むという話がありました。そこで私は、そのままのことを申し上げますと、私はその場でノー、こう言いました。ゲンシャー外務大臣に、あなた方四人が――四人がというのは英、独、仏、米というのがどこかの島に集まってトルコの援助を相談をして、そして日本にも頼むなどということは、考えてみろ、お祭りの寄付だって勝手に決めたことをおまえも出してくれと言われて聞けるものか、だからノーだ、こうはっきり言ったら、ゲンシャーは苦笑いをしながら、いやそうではないという懇々と事情の説明があり、その晩一晩丁寧に事務当局を派遣してわが方の事務当局に説明をしたものであります。そしてなおゲンシャー外務大臣は、日本に対しては非礼の分はおわびをする、したがって、特使を出してでも日本に対する非礼をおわびするからと、こういう話があったわけで、しばらく続いたわけであります。その後米国に行きましたときにもその話がありましたが、額やその他は一切話がありません。私はゲンシャーに対すると同じような返事をしました。その後ドイツからは、冗談かと思ったら本当に、総理大臣のシュミットの片腕である人が総理特使として日本にやってきて、これに対するわびと相談がありました。それと前後してその前にトルコの方から直接文書をもって援助の依頼がありましたから、初めて私は検討したわけであります。その後トルコの外務大臣がやってきて私と会談をし、その結果トルコの援助を決めたものでありまして、今年分とか来年分あるいは総枠の中の幾らということは全然関係がございません。日本独自の立場でやったものでございます。
○渡辺(朗)委員 外務大臣はこのことに関連して他の委員会で、トルコの戦略的重要性にかんがみて、そして援助を、こういうふうにおっしゃったやに聞いておりますが、その点はいかがでございましょうか。
○園田国務大臣 これは大臣特に注意をしているところでありまして、全く違います。先生おっしゃるのはきっと新聞でごらんになったことだと思います。(渡辺(朗)委員「はい、そうです」と呼ぶ)これは実はいま会議をやっておりまするところで、日本の代表がOECDの会議の中でこのトルコの援助問題を発表したわけで、外務省で書き物にして出したわけであります。その書き物にして出したのに、日本はやはりこれだけ援助するんだということを宣伝する意味があったのだと思いますが、これを配って、その末尾に「わが国としては、トルコとの伝統的友好関係および中東におけるトルコの戦略的重要性の見地から」という言葉を使っているわけであります。私も新聞を見てびっくりしまして、直ちに担当者に注意をしましたけれども、配った後でございまして、手おくれでございますが、これは決してトルコの戦略的重要性ということからやったものではございません。わが日本とトルコとの伝統的な友好関係、それからもう一つは、あの地域におけるトルコの重要性ということは私は考えております。ただいまわが方のタンカー、片道百杯、往復二百杯のタンカーがあの付近を通過しているわけでありますから、トルコがいろいろがたがたされるとこの二百杯のタンカーの運航の自由を失う、こういうことで、重要性は認識しておりますが、戦略的重要性などということは考えておりませんので、お許しを願いたいと存じます。
○渡辺(朗)委員 これは記録に残ると思いますので、そうすると、誤解されるソ連に対する包囲網あるいはソ連の勢力が中東に発展をしていくことに対する歯どめの役割りとしてのトルコ援助、そういうものではないという意味でございますね。
○園田国務大臣 全くそのとおりでありまして、わが国の伝統的友好関係及びわが国の国益を在るために出した援助でございます。
○渡辺(朗)委員 エジプトに対する経済援助、これは現状どうなりましたでしょうか、新たに借款をお出しになる用意があるやに聞いておりますが。
○園田国務大臣 エジプトに対する援助は、いままでずっとわが日本が援助をしてきておることは御承知のとおりであります。 そこで、このエジプトに対しては今度の米国の、エジプト・イスラエルの条約について、両国に、特にエジプトにいろいろ契約がございます。その契約を日本が受け持つなどという情報が飛んでおったわけでありますが、これは全く間違いでありまして、私が、米国ではバンス国務長官にもその他の関係者にもはっきり言ってきたことは、日本はエジプトに対する応分の経済援助は引き続いて行う、しかし、米国の公約の一部分でも受け持つということは断じてない。もう一つは、米国と日本は違う。このイスラエル、エジプトのことに対して中東には反発が起こっておる、反エジプト・アラブ諸国がこれに反対をしておるが、この米国に反対している国々にもわが国は応分の援助を行うものである、したがって、米国と相談したり、あるいは米国の要請によって援助するものではなくて、わが国独自の立場で行う、こういうことで、額その他はまだ決めておりません。 ただ問題なのは、いままでの経済援助の継続だと、こう言ってみましても、反エジプト・アラブ諸国から言えば、自分たちとけんかしているエジプトに日本が肩を持つのはけしからぬ、こういうこともあるわけでありますから、いつから援助をするか、その援助をいつ打ち出すか、こういう時期も内容も含めて、反エジプト・アラブ諸国の気配等もうかがう必要がありますので、ただいま慎重に気配をうかがっているところでございます。
○渡辺(朗)委員 これも伝えられるところでありますけれども、UNCTADにおいてPLO問題が出てきた、これに関連をいたしましてアメリカがUNCTADから脱退というようなこともあり得るというふうな態度がとられたということが事実でございましょうかどうでございましょうか。そしてそれに対しては日本はどのような態度で臨まれますか。
○園田国務大臣 私もこれは新聞で見ただけで、まだ在外公館その他の報告も来ておりませんし確認もいたしておりませんが、私は新聞に書かれたほどのことはあるまい、むしろUNCTADの総会では、日本が中心になってASEANと一緒に獲得をいたしましたコモンファンド、旨さん方のお力添えもいただきましたコモンファンドめ第二の窓について、なかなか先進国の中では消極的なところもありまして、日本の国の方は無事で済んだわけでありますが、一方の方などは、演説が終ったら公開質問状を出すなどと言ってアフリカグループが騒ぐなどということがあり、これをフィリピンのロムロ外務大臣が納得させることもありましたけれども、その後は非常にうまくまとまりまして、米国初め日本と協力をして第二の窓についても一昨晩無事に解決をしまして、近く会議を開いてこれをやろうということになりましたので、ほっとしているところであります。 パレスチナ問題では、日本は御承知のとおりに、これは包括和平でなければならない、そのためにはパレスチナ問題というものも国連決議の線に従って解決すべきである、こう言っておりますが、そのことでアメリカが脱退するなどという騒ぎはあり得ない、そういうことを言うならアメリカは余り賢くない、こう思っております。
○渡辺(朗)委員 時間が参りましたのでまたの機会にと思いますが、一つ御要望だけぜひさせていただきたいと思います。 それは、いまのような情勢の中で中東政策というのは大変に重要だろうと思います。ただいま外務大臣のお話を聞いておりますと、非常に日本としての国益の立場、そしてグローバルな観点から中東諸国に対する協力の姿勢を持っておられるように聞いております。 これは主観として非常に重要なことだと思いますが、しかし実際には援助があるいは協力が打ち出されたところというのが、結局アメリカの中東政策の何かラインに沿っているという客観的なことになってしまいますと、大変に私は日本としてフリーハンドを失っていくであろうし、大事なことになってくるだろうと思いますから、慎重に対処をしていただき、進めていただきたいと思います。
○園田国務大臣 大事なところでありますから、特に注意をしてやりたいと考えております。 現にイランなどは、米国は全然切れておるわけでありますが、わが国はいまのところ非常にうまくいっております。ただ、イラン国内の情勢が微妙でございますので心配をしておるところでございます。
○渡辺(朗)委員 ありがとうございました。
○愛野委員長代理 本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十八分散会 ――――◇―――――