外務委員会 第12号
- 発言数
- 242 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1979/05/28
会議録
○塩谷委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 この際、外務大臣から発言を求められておりまするので、これを許します。園田外務大臣。
○園田国務大臣 私は、五月の二十日から二十五日まで、きわめて重要な時期に、お許しをいただいて、フランス、英国、ベルギーを訪問し、その間、第三回のIEA閣僚理事会に出席するとともに、これら三カ国の首相及び外相等、並びにEC委員会のジェンキンス委員長等の欧州要人と会談をいたしました。 私の今回の訪欧の主な目的は、IEAの閣僚理事会に出席するとともに、来るべき東京サミットをぜひとも成功させるために各国の協力を求め、同時に西欧との間に新しい協力関係の基礎を構築することでありました。 IEAの会議には江崎通産大臣とともに参加し、エネルギー問題全般に関するわが国の所信を申し述べるとともに、関係諸国代表と意見交換を行いました。エネルギー問題は、それ自体世界経済の先行きを左右する重大問題でありますが、来るべきサミットにおいても当然中心課題となるべき問題であり、IEAの討議を踏まえてサミットでのこの問題に関する討議を意義あらしめるとともに、もって世界経済の先行きに対する自信の回復に寄与することが必要であると考えます。 また、西欧との関係については、日欧間に十分な意思疎通のあることが、サミットを成功に導く要因であるのみならず、世界の安定と繁栄にとっても不可欠の要素であるとの観点から、EC議長国たるフランス及びEC委員会並びに加盟各国首脳との会談を通じて、相互理解の促進に努力いたしました。 今回の訪欧を通じて、東京サミットに寄せる関係諸国の期待と重要性がきわめて大きいことに、改めて印象づけられました。各地における会談において、わが国が中心となって進めている各種の準備作業に対し各国の称賛が寄せられましたが、問題は首脳会議自体をいかに意義あらしめるかであり、さらに一層の努力と検討が必要と感じた次第であります。サミットの課題については、西欧諸国よりは、エネルギー問題が中心的な重要性を有するとの認識が表明されました。また、各国首脳との会談を通じ、今回のサミットについては、単に経済的視野からのみならず、広く政治展望のもとに対処すべきであるという点において、基本的に認識の一致を見ました。 西欧においては、英国等の諸国の内政面の変化もあって、新しい機運の醸成を感じ取りました。従来の狭い西欧のからに閉じこもることなく、世界の中でのヨーロッパを目指して、特にわが国との協力を重視する風潮に強く印象づけられました。 わが国としても、日欧関係を従来のごとき二国間経済関係の枠に限定することなく、世界的視野に立って、政治、経済、文化の各面にわたり幅広い意見交換と協力を行い、それらを通じて一九八〇年代に向って世界の安定と繁栄に貢献することを目指す、新しい日欧関係の構築に努めることが肝要と考えます。また、西欧との関係については、EC委員会との接触強化に加えて、EC加盟国との相互関係をも相手国の大小にかかわらず大切にかつ丹念に強化していくことが必要でございますとの認識を新たにした次第でございます。 —————————————
○塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
○土井委員 きょう、私は、外務省からさきに五月十八日、追って五月の二十六日、二度にわたりアメリカの国務省から出されました金大中氏事件に関する文書についてお尋ねを進めるわけであります。 この問題を取り上げるに先立ちまして、まず塩谷委員長の方にお尋ねと、それからお聞かせをいただきたいと思うわけですが、塩谷委員長自身は、この金大中氏事件が起こされまして以来、最大の関心をこの問題に対して払ってこられた政治家のお一人であります。特に金大中氏とは、この事件が起こる一年くらい前のころにすでに会談をされるというふうな経緯などもあったりいたしまして、その後、金大中氏に対する原状回復に対しても多大の努力を払われてきたことに、われわれも日本国民の一人として敬意を払っているわけであります。 そういう経緯から考えまして、今回このアメリカの国務省から出されました文書から考えましても、やはり日本の国といたしまして中心課題とどうしてもなりますのは、いわゆる第一次決着、第二次決着、二度に及ぶこの政治決着についての問題であります。これに対して、当時塩谷委員長がどういうふうにお考えになったかということを踏まえまして、やはり現在外務委員長でいらっしゃいますから、当外務委員会についての運営をつかさどられる責任者でもあります。したがいまして、当外務委員会に対してどういう運営をお考えになっていらっしゃるかという御決意もあわせて伺いたいと思うのです。と申しますのは、会議録を見ますと、あの事件の起こりました八月八日以後、外務委員長でありました当時の藤井勝志委員長も、大変勇気ある御発言をこの外務委員会の場において展開をされております。したがいまして、外務委員長の立場というのはそういう点から考えると非常に重要であると思われますので、あえて私は、まず委員長に対してこの問題を御質問し、あわせて御決意を伺いたいと思います。いかがでございますか。
○塩谷委員長 この問題は確かに国際間における重要な問題だと心得ております。したがいまして、委員各位の御協力を得て、まじめに委員会の権威を守りつつ取り組みたいと思っております。
○土井委員 ただいまのはその御決意のほどでありまして、その御決意を披瀝される根拠になるところの委員長自身の御見解についてはどのようなことでありますか。
○塩谷委員長 委員長個人の見解は、現在申し上げる時期でないと思っております。
○土井委員 実はただいまこの問題にとりましては、日本の国会がどのようにこの問題に対して対応するかということが非常に重大な段階であります。したがいまして、当外務委員会にかけられております使命も私は至って重大だと言わざるを得ません。こういうときでございますから、外務委員長の私的な見解もあわせて承っておくということが非常に重要だと私は思いますので、重ねてお尋ねをいたします。
○塩谷委員長 重ねてお答え申し上げます。 委員長としての個人の見解は、現在は申し上げかねます。
○土井委員 委員長は、個人としての見解は申し上げかねるというふうな御発言でございますが、しからば委員長としては、当委員会においてこの問題が重要であるという、そうして、まことにもって重大であるという認識の上に立っての議事運営をされるということに対しては、これはきっぱりここで御決意のほどは披瀝されますね。再度お願いいたします。
○塩谷委員長 先ほど申し上げたとおりであります。 ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○塩谷委員長 速記を始めて。 土井君。
○土井委員 それでは、遠路はるばる外国からお帰りになった直後の外務大臣でございます。まことにお疲れだと思いますが、事重大な問題でございますから、きょうは外務大臣にじかに、政治家としての園田大臣に、この問題に対しての質問をひとつ私はさせていただくということで、これから質問いたしますから、率直なお答えをお願いを申し上げたいと思います。 まず質問に入る前にお尋ねをしたいことがございます。これは、ここにございますのは、五月十八日に外務省から出されましたアメリカ国務省公開文書についてという文書であります。さらに原文と仮訳がございます。次いで二十六日に外務省から出されました国務省の文書がございます。これは原文のみでございます。この一連の外務省が出されました文書、さらに本体になっております大部にわたるこの文書、これはいずれも公文書というふうに考えてよろしゅうございますね。いかがでございますか。
○園田国務大臣 外務省が出しました資料の中の、米国その他が発表したものは公文書でございます。外務省がこれを含めて出したのは資料でございます。
○土井委員 したがって、外務省はこの文書自身に対して公文書という認識でお臨みになっているということはただいまの御答弁で確認をさせていただくことになりました。よろしゅうございますね。 先日、この文書について参議院の外務委員会の席で、法務省から、公電そのものは証拠物としての能力を持っているという答弁がございました。そうしてしかもその内容といたしまして、刑事訴訟法にいうところの第三百二十一条一項三号のこの書面として扱うべき証拠能力のある証拠物であるということも確認をされております。外務省とされてはこの公文書自身に対して、信用すべき公文書であるというふうに御認識をなすっていらっしゃるかどうかを確認をしておきたいと思います。いかがでございますか。
○園田国務大臣 法務省が見解を発表いたしましたのは、外務省もそのとおりに考えております。
○土井委員 そうすると、法務省の見解と外務省のこの問題に対する御見解は同一である、その間に矛盾はないということの確認をここでさせていただきます。 さて、この金大中氏事件をめぐる一連のいままでの経緯の中で、日韓間において何としても問題になるのは、七三年十一月二日の、当時の金鍾泌国務総理がわざわざ日本に参りまして、そうして田中首相との会談で第一次政治決着と称するものがつけられたいわゆる第一次政治決着であり、そして七五年七月二十三日に当時の宮澤外務大臣が訪韓をして、いわゆる第二次政治決着がつけられたと言われております第一次、第二次にわたるいわゆる政治決着であります。 園田外務大臣は、当時は外務大臣ではございません。しかし、政治家として第一次、第二次決着当時に園田外務大臣自身が恐らくは重大な関心をお持ちになり、そしてこれに対して政治家としての御感想をお持ちになっているはずだと私は思うわけであります。 園田外務大臣自身は、私は日ごろから、中国との間の日中平和友好条約締結に至るまでのあのエネルギッシュな一連の外務大臣としての責任ある、そうして勇気ある行動を見ておりまして、尊敬おくあたわざるものがあるわけでございますけれども、この問題について、政治家として園田外務大臣は、これに対してどういう感じ方をお持ちになっていらっしゃるかということを、まずひとつお聞かせいただきたいわけでございます。いかがでございますか。
○園田国務大臣 すでに政治決着をいたしました過去のことについて、私は現在外務大臣でございまするから、これについて私個人の見解を申し述べることは誤解を招きますので、御勘弁を願いたいと思います。
○土井委員 誤解を招くとおっしゃるのは、第一次、第二次にわたる政治決着についてすんなりとしたものじゃない、疑惑がある、わだかまりがある、疑惑は解消されないままに第一次も第二次も決着がされてしまった、こういうことがいまの御答弁の意の中には含まれているがゆえに、外務大臣として誤解を招くおそれがあるからという御発言になっているのではなかろうかと思うわけでありますが、そのとおりでございますか。
○園田国務大臣 過去に決着を見ましたことについて外務大臣が見解を申し述べることは間違いであると思いますので、御勘弁を願いたいと思います。
○土井委員 過去に政治決着を見た、そしてそれはもう過去のことである、過ぎ去ったことである、したがってそれはもうとやかく言う対象の問題ではない、こういうことではまさかなかろうと思うわけであります。 今日に至るまで第一次、第二次の二度にわたる政治決着が、実は日韓間において外交問題については無関係では絶対ないのじゃありませんか。常にこれは関連をしてくる問題じゃありませんか。したがって、そういう点からすると、発言を差し控えたいとおっしゃることに大変意味があるわけでありまして、この節、発言を差し控えられる外務大臣に対しても、私は一連の疑惑を感じざるを得ないわけであります。やはり懇切、きっぱりおっしゃることが非常に大切になってきているのではございませんか。客観的情勢からしてそのことが私は考えられると思いますが、いかがでございますか。
○園田国務大臣 過去において二国間でなされた政治決着というものは、それは既定の事実として、出発点として、外務大臣はやるべきことだと考えております。
○土井委員 いろいろ外務大臣としては配慮をされながら御答弁をされる、いま御苦心の場であろうと思いますが、それではひとつ観点をかえて私は質問させていただきたいと思うわけであります。 昭和四十八年の十一月八日に当外務委員会で当時の大平外務大臣がこういう御答弁をされております。それは「主権侵害につきましては、先ほど申しましたように、加害国のほうで主権侵害を認める以外に決着の方法がないわけでございまして、韓国側は公権力の行使はないという主張をずっと続けられておるわけでございます。」こういう答弁があるわけであります。 お尋ねをいたしますが、今回アメリカの国務省から出されました資料によりますと、随所にあの金大中氏事件はKCIAによる犯行であるということを具体的に物語る内容になっております。こういうことをアメリカ側は事実として認識しているのであるということを、この文書を公文書とし、証拠能力のある証拠物として外務省としては認識をされますか、いかがでございますか。
○園田国務大臣 今回金大中事件に関する米国務省文書が公開されたことに関しては、外務省は直ちに米国政府に対し、本件文書の提供を要請したところ、米側は当該文書の存在を認め、公開した文書百四十四点を在米大使館を通じわが方に手交をいたしました。外務省は、同文書を入手して以来、その分析、検討を進めるとともに、捜査当局にもその検討のためこれを手交いたしました。 さらに、米韓両国政府に対し、本件文書についてのとりあえずの見解を求めました。 米国政府は、かねてから、金大中事件に関しては日韓間の問題であるので論評しないとの基本的立場を持していたが、今回のとりあえずのわが方の照会に対しても、米政府としては一切コメントしないとの説明がありました。 他方、韓国政府に対しては、とりあえず、今回公開された文書のうち、一九七五年一月十日付スナイダー駐韓米大使発国務長官あての電報の内容に関し照会を行いましたところ、韓国側から、通常外務部長官が韓国駐在の大使と会見したときは記録が作成されるが、本件電報において言及されておる一九七五年一月九日の金東作外務部長官とスナイダー駐韓米大使の会見の記録は存在しない、また金元外相に聞いてみたが同氏は記憶にない旨述べた、いかなる経緯でスナイダー大使がかかる報告を行ったのか推測がつかない旨の回答がありました。 米側から提供を受けた文書について、これまでにとりあえず分析、検討してみた結果では、わが国主権の侵害となる公権力の行使を明白に裏づけるようなものは見出されていないとの感触でありますが、なお今後ともさらに分析、検討を続け、必要によっては米韓双方にさらに照会を行うことも含め、真相を明らかにする努力を続けたいと考えます。 なお、先週衆参両院の本会議において、大平総理は、現在の調査の結果を踏まえ、捜査当局の意見も徴した上で今後の対応ぶりを慎重に検討してまいりたく、また金大中事件の政治決着については、その当時の政府が大局的見地から決断したものであり、軽々にその見直しを論ずることは差し控えたいと述べられた次第であるところ、私としてもこれと同じ基本認識を有するものでございます。
○土井委員 外務大臣は、私の質問に対しては、ただいま一言半句御答弁がございませんでした。よろしゅうございますか外務大臣、私のお尋ねをしたことは、アメリカ側は、今回国務省から出されました文書の内容によりますと、この文書の随所に、金大中氏事件においては韓国KCIAが関与している、KCIAの犯行である、こういうことを具体的に認識している記述が随所にあるわけであります。客観的に見て、アメリカ側はこのように事実を認識しているということはこの文書によってわれわれも認識できますねということをお尋ねしているのです。いかがでございますか。
○園田国務大臣 当時の駐韓米スナイダー大使から国務長官にあてた電報、これは当然公文書であり、事実だと判断をいたします。しかし、これに基づいてアメリカがどのように認識しているかということは、基本的には日韓間の問題であって、米政府はこれに関与しない、したがってコメントをしない、こういうふうに解釈をいたしております。
○土井委員 コメントを私はお尋ねをしているのではございません。今回出ました公文書に対してお尋ねをしているわけであります。公文書の中の記述によれば、具体的にKCIAの犯行であったという記述があるわけであります。したがいまして、アメリカ側が出したところの国務省のこの記録によれば、そのように認識をされているというふうに知ることができますね、ということをお尋ねしているのです。いかがでございますか。
○園田国務大臣 アメリカが発表しました文書は米国の駐韓大使が国務長官に対して報告をした電報でありまして、その電報に基づいて米政府がどのように考えたかということは別であります。
○土井委員 電報であるにしろ、先ほどお答えのとおり公文書なのです。アメリカにおける公文書なのです。公文書の内容でそのような記述が具体的にあり、アメリカとしてはこの事実に接しておるという事実を確認できますね。いかがでございますか。
○園田国務大臣 私あてに在外の大使から電報が来た場合、その電報は私の判断の資料にはいたしますが、電報そのものが私の判断でもなければ、電報そのものの内容が日本政府の見解でもないことはこれは当然で、と同様に、米国の大使から長官に打った電報の内容はおっしゃるとおりでありますが、これを米政府が米政府の方針としておるかどうかということは別問題であるとお答えをしたわけであります。
○土井委員 外務大臣らしくない御答弁です、日ごろの外務大臣らしくない。私は、米政府の本心を聞いておるわけではありません。終始一貫、今回出てまいりましたこの文書について問題にしておるわけでありますから、そこのところはひとつ日ごろの外務大臣らしく明確にお答えをお願い申し上げます。再度お答えくださいませんか。
○園田国務大臣 電文の内容は、スナイダー大使がそのように判断したということは全くそのとおりだと思います、しかし、その報告を受けた米政府が、その内容そのものを事実として認めているかどうかということは別個の問題であります。
○土井委員 スナイダー大使のこの電報というのが中心になっていると思いますけれども、しかしながら、それに至るまでに、追って五月二十六日に外務省から出されました事件直後の電報が二通ございますが、これまたこのスナイダー大使が当時出されましたただいま問題になっております電報に至るまでの具体的な経緯として、一貫してアメリカ側が今回出されました文書の内容はKCIAの犯行であるということを具体的に認識をしている資料以外の何物でもないわけであります。私は文書によってこれはお尋ねをしておるわけでありますから、再度この文書によってそのようなことがしたためてあるという確認をひとつ外務大臣お願いします。
○園田国務大臣 報告の文書にはおっしゃるような事実がしたためてございます。
○土井委員 そういたしますと、もう一度先ほどの十一月八日の当時の大平外務大臣の御答弁からいたしますと、「主権侵害につきましては、加害国のほうで主権侵害を認める以外に決着の方法がないわけでございまして、」こうなっているわけであります。加害国の方から一体だれに対して主権侵害を認めるか。金大中氏事件において被害国であるのはわが国日本であることは明々白々の事実でございまして、主権の侵犯というのは独立国家としてはこれは最大の恥辱であり、これは致命的な事件でありますから、事軽々しいものではないわけであります。しかし、この大平外務大臣の御答弁の中では、加害国の方で主権侵害を認める以外に決着の方法がない、この御答弁自身も私たちはおかしな御答弁だと思いますけれども、しかし、この答弁から考えますと、今回出てまいりましたアメリカ国務省のこの文書によりますと、加害者である韓国は、駐韓米大使に対して加害者であることを認めているというかっこうになるのではありませんか。いかがでございますか。
○園田国務大臣 そういう電報があることは事実でありますが、韓国側はこれを否定しておるわけであります。
○土井委員 そういうことをおっしゃいますと、これは今回の文書というのはインチキ文書かということになってくるわけであります。韓国側がこれに対して認めない限りは、このことに対しては何にもできないわけでありますか。いかがでございますか。
○園田国務大臣 さらに真相を明らかにする努力は続けますが、いまのところは韓国側はそういう会談の事実記録はない、こう言っているわけであります。
○土井委員 真相を明らかにするとおっしゃいますけれども、具体的にどういう真相を明らかにする努力を外務大臣自身はお払いになるおつもりでありますか。
○園田国務大臣 いままでの努力は先ほど報告したとおりでありますが、今後慎重にこれをわが方でも検討するし、あるいはまた、それぞれ関係者に照会するなど、努力の道はいろいろあると存じます。
○土井委員 ただいまの外務大臣の御答弁じゃどうもはっきりしないですね。その御努力に対してどれほどの決意がおありになっておやりになっていらっしゃるかというのは、まことに不確かな御答弁だと言わざるを得ません。具体的にこれほどアメリカ国務省から公文書として公に発表された文書がございます。全世界はこの文書を見てどう思うか。当事国は日本なんでございますよ。主権が侵犯された当事国は日本なんですよ。日本が一体こういう問題に対してどう対処するか、まず第一に疑問に思うことは、アメリカに対してこういう公電が駐韓米大使から本国の国務省に送付される、当然日本側にも公電が送付されてしかるべきである、常識から考えてもないはずはない、当初から日本側はこの具体的な事実に対して十分に事情を知るというそういう状況にあるはずである、これはだれしも考える至極当然の常識であります。 そこで、私は委員長を通じましてここで要求したいと思います。 先ほどの外務大臣の、これに対して真相究明のために努力をしたい、どういう努力の中身かというと、具体的におっしゃいません。ひとつ委員長を通じて要求したいものがございます。それは一九七三年の八月八日、事件発生直後、さらには七三年十一月二日、いわゆる第一次政治決着の前後、今回米国務省から出ました文書から考えてまいりまして、少なくとも七五年の一月九日スナイダー駐韓米大使と金東作韓国外相との間で会談が行われたであろうそのときの前後、さらに同じく七五年七月の二十三日、第二次政治決着の前後、以上申し上げました間における駐韓国日本大使館と外務省との間、駐米国日本大使館と外務省との間、この間に取り交わされました金大中氏事件に関する公電を全部ひとつ当委員会に対して御提出方を要求したいと思います。委員長、よろしゅうございますか。
○塩谷委員長 ただいまの資料要求について、理事会でお諮りして、善処したいと思います。
○土井委員 これは一般論としてお尋ねをする質問でございますからお答えをいただきたいと思うのですが、主権侵害にわたる行為において通常国際慣習法上あるいは慣例上、加害国は被害国に対してどのような措置をとることが普通になっておりますか、いかがでございますか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 主権侵害というのはいろいろな主権侵害の態様があるわけでございまして、その解決の方法も国際慣例によりますと多岐にわたっております。ただ、一般的にというお尋ねでございますので申し上げるとすれば、それは直接的にその主権侵害の原因となった国家機関に対する処罰でございますとか、あるいは国家としての陳謝、謝罪ないしは今後主権侵害をしないということの約束ないしは原状回復等々のいろいろな態様があり得ることだと思います。
○土井委員 もう一度一般論としてお尋ねをいたします。 日本の場合なんかは海外に旅行をする一般国民の数が最近は飛曜的に増大をいたしておりますが、一般国民が海外において私人の立場でその国に迷惑をかけたような場合、国際慣行上一々総理なり外務大臣なりがその国を訪問して陳謝するというのは慣例でございますか。いかがでございますか。
○伊達政府委員 法律論から申しますれば、一私人の行為でございまして、それを政府ないし国家そのものが国際法的な意味におきます、つまり国家責任の解除という意味におきます謝罪でございますとか、陳謝というようなものはいたさないことだと思います。ただ、それはやはり政治的な関係からいたしまして、国際法上の問題としてはともかく、両国間の関係というものによりましてはいろんなことがあり得るだろうと思っております。
○土井委員 国際慣行上は通常は私人の行為に対して一国の総理、外務大臣が迷惑をかけたことを理由に、その国に出向いて陳謝をするということはございませんね。
○伊達政府委員 主権侵害というような場合、国際法の問題といたしまして主権侵害が立証された相手国といいますか、先生のおっしゃいます加害国がその国家責任を認めたという場合に、その国家責任を被害国に対して解除するということのために、訪問をしたり陳謝をしたりいろんな解除の方法をとるわけでございまして、それでない、国際法上の法的な権利義務関係というものではなくしていろいろなことが政治上行われることはあり得ることだろうと思うわけでございます。
○土井委員 政治的な関係において陳謝を余儀なくするような場合もあるかもしれない、こういうことをいま御発言の中でお触れになりました。外務大臣、お尋ねをいたしますが、七三年の十一月に韓国の国務総理である金鍾泌氏が日本にやってまいりまして陳謝をしたと称せられております。この陳謝をしに来たのは、表にこそ出さないけれども、いまの政治的な問題、政治的な配慮、御答弁のとおりであります。言葉をかえて言うと、表には出さないけれども、主権侵害であったというふうなことを内々意に含んで、それは表に出さないで陳謝をするということになったのではないか、このように思われるわけでありますが、外務大臣、いかがお考えでありますか。
○園田国務大臣 いまのような事実は私は承っておりませんし、記録もございません。したがって、私の存ずるところではございません。
○土井委員 あの第一次決着、第二次決着の当時に、懸案になっていた問題というのはすべて解決し尽くされたと、それならば外務大臣はお考えになっていらっしゃるわけでありますか。
○園田国務大臣 一連の問題いろいろあったのが政治決着をつけた、このように承知しております。
○土井委員 政治決着をつけたときっぱりおっしゃいますけれども、条件があったはずでありますよ。そうして国民はこれに対しまして疑惑を持っているんです。疑惑を持ち続けているからこそ、今回出たアメリカの国務省の公文書に対してはこのことが重大であるという問題になるわけであります。国民の疑惑は解消されたと外務大臣はお考えになっていらっしゃるのですか、いかがですか。
○園田国務大臣 捜査はいまなお継続をしておるわけでありますが、私は日本の捜査当局を信頼いたしております。
○土井委員 外務大臣、政治家としてお考えになって、いま捜査はなおかつ継続している、そして日本の警察を信用している、そうおっしゃいました。本来、ロッキードの問題にしても今回のグラマンの問題にいたしましても、刑事事件として追及する場合に時効等々がございまして、刑事事件の追及としてはでき得ないけれども、しかし政治事件として問題は残っていくわけであります。そうして政治事件として追及するということが政治問題としては何といっても課題であります。そういうことから考えますと、この問題に対しては政治決着をまずつけて刑事事件は残る。逆じゃありませんか。非常に不自然なやり方でこの問題が進んだということについては外務大臣はお認めになりますね。
○園田国務大臣 当時の情勢から大局的見地に立って政治決着をつけたと承っております。
○土井委員 いま外務大臣は大局的見地とおっしゃる。これは国会の議事録の中でも大局的見地というのがしきりに使われるわけですが、ここらあたりでひとつ外務大臣から具体的に大臣自身がお考えになる大局的見地というものの中身をしっかりとお聞かせいただけませんか。
○園田国務大臣 捜査を継続をして、主権侵害の事実が出てくれば改めて見直すという前提のもとに政治決着をつけてあることでありまして、その内容については存じません。
○土井委員 政治決着を見直せと私は言っているわけじゃないのですよ。外務大臣、よくお聞き取りいただきたいと思います。少しお疲れのようでありますが、私の質問に対する御答弁をお願いいたします。よろしゅうございますか。 政治決着という問題に対して、当時国民は疑惑を持ってきたわけです。そうしていまだに疑惑を持っているわけです。疑惑は解消され尽くしていない。まずそのように大臣は受けとめていらっしゃるかどうか。 なぜならば、今回アメリカから出ました国務省の公文書と外務省も認識をされている中身はまことにショッキングであります。事重大であります。なぜかというと、この政治決着が国民からすると納得のいくものではなかった、疑惑はその後も渦巻いたままで、今日に至っても国民の間にある。したがって、今回この文書の持つ意味は大きい。主権侵害があったかなかったかということは、いま御答弁になりました外務大臣のお口からも出るとおりでありまして、このこと自身に対して一目瞭然、国民はわかっているのだけれども、外務省としては苦慮して、いかにしてこれを政治決着という形で意に含んだままでそのことに臨もうとしたかということの苦労を一つは考えているわけであります。したがって、そういうわだかまりはそのまま残っているかっこうでありますが、あの政治決着によってそういう問題は解消している、すべて真っ白の状態になっているというふうに外務大臣はお考えなのかということをお尋ねしているわけなんです。いかがですか。
○園田国務大臣 大小ありますが、疑問があるからこそ捜査はいまなお継続をしているわけであります。
○土井委員 そうすると、政治決着そのものに対しては疑問が残されている、そうして政治決着については疑問があるということを外務大臣自身はお認めになるわけでありますね。
○園田国務大臣 政治決着をつける場合には、捜査は続けるということを条件にしてあるわけでありますから、当時の政治決着というものは、なお捜査は続ける、こういうことで続けておるわけであります。
○土井委員 捜査を続けるとか、さらにそのことに対しての新事実をいろいろと検討していくというふうな努力をおっしゃっているわけでありますが、ここでひとつ外務省に対して申し上げたいことがございます。 それは、今回出されました関係文書は金大中氏の事件発生の一九七三年八月八日から七八年二月九日にわたっての二百四十三点だと言われております。すでに外務省としては百四十四点を提出をされております。残る部分については、日米間は親密な関係にもあり、そうしてすでにロッキードやグラマンを通じまして、アメリカにある資料に対していろいろと資料提供を日本から要求したという経緯ございます。この節、残る文書について外務省からアメリカ側に対して要求されることが私はどうしても必要だと思いますが、このための努力は払っていただけるでしょうね。いかがでございますか。それは大臣にお尋ねします。——局長は要らないです、大臣にお尋ねをいたします。
○園田国務大臣 米国には莫大な資料があるわけでありますから、今後の状態次第ではこれについて照合することはあります。
○土井委員 照会することがあるとおっしゃいますが、これは、いろいろ具体的事実に対して事実をひとつ検討する努力を払いたいということを先ほど来大臣は答弁の中でもおっしゃっているわけですから、することもあるじゃなくて、この節、重大な段階です、ひとつアメリカ側に対してこの資料要求ぐらいはされるのが当然だと思われますよ。ぜひ外務省からそのことはされるように。いかがでございますか。
○園田国務大臣 後に残った資料の中で本件を解明するに足るようなものがあるということであれば照会することはある、こういう意味であります。
○土井委員 それはどうも外務大臣、まくら言葉をお使いになるのだけれども、すでに出てまいりました資料の中からでもこのことははっきりKCIAの犯行だということをアメリカの文書によってわれわれ確認できるわけでありますが、これでも裏づけがさらに必要だというのがただいまの答弁でありますから、そうなってくれば、これはあと残るまだ外務省として入手されていない文書について検討を進めるというのは当然至極の、努力の最小限度のABCじゃないですか。必要とあらば、などとおっしゃらないで、即刻このことに対しては努力を払われてしかるべきだと思います。いかがでございますか。
○園田国務大臣 分析の結果、必要があればそういうふうにいたします。
○土井委員 分析の結果というのは何を分析なさるのですか。
○園田国務大臣 いま入手しました資料の検討、分析及びその他のことであります。
○土井委員 分析などとおっしゃいますけれども、すでにわれわれが入手している限りにおける内容からしても、これはもうきっぱりとそのことが披瀝されている文書ですよ。これからさらに何を分析なさろうとおっしゃるのですか。残る資料に対してアメリカ側に要求するということは至極当然だと思います。これはされますね。必要とあらばとおっしゃる、必要なんです。大臣の答弁どうぞ。
○園田国務大臣 後に残った本件の資料ばかりでなく全般的な問題でたくさん資料を持っておりますから、そういうことについてはアメリカに照会する必要が出てくれば照会をいたします。
○土井委員 さらに、これは第一次決着のときの中身としてございました金大中氏の自由の問題であります。原状回復も含めて自由の問題であります。この事柄はその後何ら事情に対して進展を見ぬまま今日に至っております。特に第一次決着後は、伝え聞くところによると日韓間で約束された中身に反するようなやり方を韓国側でやられたために、外務委員会においても当時大平外務大臣が遺憾の意を表明されるような事実もございました。今日に至ってもこの金大中氏その人の原状回復に対しての見通しは真っ暗やみのようでありますけれども、これは今回このような国務省からの公文書が出るに及びまして、金大中氏の原状回復に対して日本の外務省としては大変な責任があると私は思うわけであります。いかがでございますか。
○園田国務大臣 いままでも機会をとらえて、日本で起こった事件であり、重大な関心を持っておる事件でありますから、金大中氏の取り扱いについては重大な懸念と関心を持っていることはしばしば申し入れてございます。したがいまして、主権の侵害という事実があれば権利としてこちらは要求できるわけでありますが、現在の段階ではそういう点を韓国に今後も要請し続けるつもりであります。
○土井委員 いまのは抽象的でありまして、大臣、少し具体的にどういう努力を払われてきたかというあたりをここらあたりで御説明賜らないと、どうも国民自身は納得しかねますよ。いかがですか。
○園田国務大臣 各大臣が機会あるごとにとらえてやっておるようでありますが、私自身も数回にわたって金大中氏の取り扱いについては意のあるところを韓国に要請してございます。
○土井委員 意のあるところとおっしゃるのは、具体的にどういうことを伝えられたわけですか。
○園田国務大臣 それは申し上げられません。
○土井委員 しかし外務大臣、肝心のことは申し上げられませんじゃ、これはどうにもなりませんよ。意のあるところとおっしゃった以上は、意のあるところを少し誠意を込めてこのあたりで具体的にお述べになるということが、この問題についてさらに日本の国として今回どうあるべきかということをお考えになる外務大臣として、おとりになるべき立場だと私は思いますが、いかがでございますか。
○園田国務大臣 本件が主権の侵害であるという事実がわかれば当然の権利として明々白々と申し入れるわけでありますが、現在はそうではございませんので、その内容等については、金大中氏の取り扱いについて重大な懸念と関心を持っているという表現以外には申し上げるわけにはまいりません。
○土井委員 外務大臣、いまの御答弁は非常に後ろ向きになっちゃいました。というのは、金大中氏事件について、金大中氏自身の自由の問題については、主権の侵害があったかなかったかということとは関係なく、第一次決着のときにそのことに対しての努力を約束しているわけであります。どうですか。
○園田国務大臣 いま申されたことは、出国を含めて金大中氏の行動は一般韓国民同様自由であるという趣旨のことだと存じます。そういうことについては強く申し入れをいたしております。
○土井委員 一番最近にはいつ申し入れをされましたか。
○園田国務大臣 私自身が申し入れた一番近いのはことしの二月、韓国の外務部長官が立ち寄ったときに私がじかに申し入れました。
○土井委員 金東雲の犯行であるということが日本の警察の手によって明確に把握をされているわけであります。このこと自身については幾たびとなく国会の審議の席におきましても警察の方から具体的に認められておる。しかもなおかつ先ほどの大臣の御答弁では、この警察の捜査というのも続行されている、またこれからも続行されていく、こういうことをお認めになっているわけであります。金東雲の犯行であるということが明確であって、なおかつ第一次政治決着ではいろいろとやりとりがあったわけでありますから、先ほど私が質問申し上げたことからいたしますと、日本側がそれを明確に認識しているということを韓国側も承知の上であります。 そうすると、公権力の介入があったかなかったか、主権の侵害があったかなかったか、これはどれほど聞いても大臣は今後また新たな証拠が出てくるであろう、そのことに対しての検討を努力してやっていきたい、このような御答弁しか出ないでしょう。しかし第一次政治決着当時、考えてみますと、一私人である立場の人物がとった行為について、少なくとも一国を代表する国務総理が韓国から日本を訪問して陳謝をするというのは異常なことと言わざるを得ないのです。これは異常なことですよ。大臣はにやっとお笑いになりますが、大臣自身もこれは異常なことだというふうなことをお考えになるからにやっとお笑いになるのである。通常考えられないことです。 したがって、大臣自身は先ほど来御質問をしてもお答えにくいであろうけれども、一私人でなく公の立場だということを金東雲について認めた上での話し合いであったからこそ、国務総理が韓国から日本を陳謝のためにわざわざ訪問する、あるいはこれには主権の侵害があったということであるけれども、これは内々意に含んで一切表に出さずに、しかし国家対国家の形で一国を代表する国務総理が日本を訪ねて陳謝をするという、いずれにしろ一番肝心かなめのところは日韓相互間でわかってはいるのだけれども、意に含んでやったという大局的な見地があったのではないかと思われてならない。国民はそう思っていますよ。したがって、先ほど外務大臣が大局的見地と言われたその大局的見地というものについて、再度ここで私はお尋ねをいたします。いかがでございますか。
○園田国務大臣 一国の総理がわざわざ来たということは、両国にとって大変な問題であったということは私も想像ができます。その内容等については、記録のないものはわかりませんので、単なる想像を申し上げることは遠慮いたします。
○土井委員 単なる想像であることは遠慮したいとおっしゃいますが、その想像の中には、実はそれを言えば非常に大変になるので申しにくいというふうな意も含められているというふうに私は理解をさせていただきます。外務大臣のお立場としたら非常に言いにくいであろう。そのようなことですね。
○園田国務大臣 どちらに答弁しても大変なことになりますから、どちらに対しても答弁いたしません。
○土井委員 警察は御出席ですか。——それはそれじゃ後で……。 一連のこの問題の経緯からいたしますと、日本としてはアメリカの国務省から出ている今回の文書の内容を当時知らなかったはずはない。これは率直な常識であります。したがいまして、そういう経緯からいたしますと、具体的なことについてお尋ねをするのは次回の委員会に譲りますが、しかしそれに関連をする参考人に、ぜひ当委員会で直接出席を求め聴取をするということを私たちはしなければならないと存じます。その中には、その当時の外務事務次官であった法眼氏、さらには駐韓元大使の西山氏、後宮氏、金山氏、さらには第一次決着前に訪韓をされております前田元NHK会長、そうして現在政治家であります岸信介氏、政治家ではありませんが矢次一夫氏、そしてさらに現在政治家である田中伊三次氏、国内においてはさしずめこの方々に対しまして、参考人としての出席を委員長を通じて要求をしたいと思います。よろしゅうございますか。
○塩谷委員長 理事会に諮って、善処いたします。
○土井委員 先般来、このことについては、わが党の小林委員の方からも当委員会において、正式に委員長に対する要求としてございました。今回は、このアメリカからの公文書が出てまいっております。このことに対してはもうのっぴきならない、これは客観情勢だと言わざるを得ません。このことについては具体的に実現をすることをまず約束をいただいて、そうして参考人を当委員会に出席要請する、このことを再度重ねて委員長に申し上げますが、よろしゅうございますね。
○塩谷委員長 理事会においてお諮りして、善処いたします。
○土井委員 警察は来られていますか——それでは先に……。
○塩谷委員長 井上一成君。
○井上(一)委員 限られた時間ですので。外務省は、このアメリカの公文書を正式にお認めになったわけですが、これを読まれて、これを手にされて、外務省自身非常に疑問だ、そして、この点とこの点については、さらに確かめてみたいというふうにお考えになっていらっしゃる点を二、三聞かしてください。
○柳谷政府委員 御指摘のように、百四十数点の文書が入りまして、これを早速私どもも、それから捜査当局にもその都度伝えまして、先週末で一通り目を通したという状況でございます。 先ほど外務大臣からも御答弁ありましたように、近々にまた警察当局ともよく話してみたいと思っておりますので、いま何について具体的に問い合わすというところまでは、現段階では決めておりませんけれども、私どもの受けた印象では、大部分のものは新聞論調とか、それぞれの国の国会論議とかいうものでございますから、注目すべきものというのは恐らくそう点数は多くないと思いますので、それにしほりまして、これをもとにどのような照会等を行う必要があるかどうか、これを近日中に決めたいというのが、検討の現状でございます。
○井上(一)委員 たくさんのスタッフを抱え、外務省自身がまだ検討を加えているというのは、外務大臣、IEAの会議なり、あるいはその他外国にお出かけになられて大変御苦労いただいたわけですけれども、外務大臣には、常識的にこういう点についてはちょっと疑問があるんだということを報告をされた点があるのでしょうか。
○園田国務大臣 私に報告されたのは、スナイダーの電報とそれからハビブの電報二件、これが一番眼目であるという報告があります。
○井上(一)委員 私は、非常におかしいと思うのです。 それでは、私の方から指摘しましょう。五番目の電報、ページ七です。ソウル大使館から国務省あてに、八月十日早朝に打電しているのです。これは五項目目が削除されているのですよ。八月十日早朝に打電している、こういうところを考えれば、恐らく九日の夜にこの公電は作成されたものという理解をするわけです。なお、五項目を完全に削除している。そして、六項目目に「一方われわれの多くの非公式接触の結果では、誘拐事件には恐らくKCIAが関与している」と、これに報告をされているわけなんです。電報の日時等から考えて、私は発生後二十四時間でKCIAがこの問題に関与していたということにかなりの自信を持っていたのではないだろうか。この事件は、さっきから外務大臣もあるいは大平総理もそういう答弁を繰り返されるわけですけれども、日韓間の問題であるとしながら、アメリカはそういうふうにとらえているんだ。しかし、アメリカ自身はこの事件の詳細をつまびらかに本国に報告をしている。八月八日付の電報においても、アメリカはこの事件は日本と韓国の問題であるとしながらも、金大中氏の安全について非常に重大な関心を持っておった、こういうことなんです。そういうことを考えていきましたならば、日韓間の問題であればあるほど、それだからこそわが国の対応というものが明確にされていかなければいけない。そういうことを考えたら、この事件についてわが国の駐韓大使館からどんな報告を受けたのか、そのことなんです。そのことをここではっきり申し述べておいてほしい、こういうことなんです。大臣、いかがでございますか。
○柳谷政府委員 私から事実関係についてちょっと補足させていただきたいわけでございますけれども、いま御指摘のありました第五項が削除されているという点でございますが、これはその後別な日本の新聞社が米国務省から入手したと伝えられたものの中に削除されないで入っておりましたので、さらにわが方から照会したわけでございます。それが先週末先方からの説明を得まして、土曜の夕方になりましてから各方面にお知らせしたわけでございますけれども、第五項はコメントとして数行のものが入っておりました。これをちょっと読ませていただきますと、「韓国のメディアの金大中事件の取り扱いぶりは、明らかに韓国政府の機関によってコントロールされている。大使館員との会話において、政府官吏は金自身が拉致事件をはかった可能性を示唆する物の言い方をしている。彼らの示唆する他の可能性は、日本にいる韓国あるいは日本の右翼分子または北朝鮮ないし朝鮮総連の機関である。」これだけが第五項にコメントとして入っておりまして、これは後になって明らかになったわけでございます。
○井上(一)委員 それだからそれですべてが終えた、そういうふうに外務省は理解をされると思う。そこがおかしい。 さらに、それじゃ続いて十日、十一日、十二日付の電報は、外務省はどうお考えになっておるのですか。これには十、十一、十二日付の電報がないわけなんです。最初の八日付の電報からして、すべて今回の事件については、アメリカの政府の対応として、フォローしていこう、フォローすべきだというような姿勢がうかがわれるわけなんです。三日間全く電報がない。これは私はおかしい。まさにこれは秘密の電報で、この三日間の公電が真相解明に大きな役割りを持つ、その三日間の公電に私自身非常に関心を持っているわけなんです。外務省はお持ちじゃないでしょうか。
○柳谷政府委員 先ほど土井委員からの御質問にもありましたけれども、日本の通信社、新聞社が法律に基づいて米国務省に申請した、それに対して百数十点の提供があったわけでございますが、そのときに約百点ほどは提供できないという返事があわせてあったということが伝わっているわけでございます。 いま御指摘のように、それがいつのどれであるかということはわからないわけでございますけれども、私どもの印象といたしましては、これは新聞社、通信社が法律に従ってただ金大中事件の資料を求めるというのではなくて、やや具体的にこういうものについて提供してほしいということを要請されたと思いますので、それに応じて先方は抽出しまして、抽出した上で提供可能なものを提供したという経緯があると思います。したがいまして、この金大中事件が起こりましたときに、在韓国のアメリカ大使館は当然重大な関心を持っておったはずで、さまざまの情報を集めたり、報告を本国に連日していたと思います。それは必ずしも先ほどからお話のある百点に限られるのではなくて、もっと膨大なものが報告されていたのではないかと想像しております。
○井上(一)委員 園田外務大臣、私は、あえてこの三日間の公電というものについて、この資料から非常に関心を寄せざるを得ない状況である。さらに、なぜそういうことを申し上げるか。電報のナンバー九でもおわかりだと思いますが、金大中氏が自宅にあらわれて記者会見している様子を伝えているわけなんです。そしてその後で、二十二ページに大使館側のコメントを加えているわけです。「広く信じられているところによれば、金氏の誘拐と帰還はKCIAの役割りがあってこそ初めて可能であるということだ。」これはもうすでに報道もされている。ここまで米国側が断言をしているのに、日本は、いや政治決着のついた過去の問題だということで言い切っていいのであろうか、そういうふうに思うのです。 さらに、米国では金大中氏の身柄を心配して裁判の傍聴までし、その記録まで本国に打電しているのです。当事国のわが国がその後一体何をしたというのか、そしてどのような努力を重ねてきたというのか、非常に疑問でならないわけです。 外務大臣、わが党に与えられた時間がもうありません。この資料だけで問題点がもっとたくさんあるということです。外務大臣が先ほどから言われるように、今後努力いたしますということは、この資料の疑問点をやはり十分認識してもらわなければいけない、私が指摘した三日間のことも含めて、あるいは、いま申し上げたように、わが国の取り組みが公にされていないのか、あるいは全くそういうことをしようとしなかったのか、ひとつここではっきりと外務大臣のお考えを——過ぎ去った、政治決着のついた問題だということで、これでもなおあえてあなたは言い切るのかどうか。振り出しに戻ってもう一度詳しく検討してみたい、その結果、政治決着が正しかったと言うなら、私はうなずきませんけれどもまたそれなりの見解もあるでしょうが、これだけ私が指摘してもなおかつ過去の問題だということで言い切ってしまうのかどうか、もう一度振り出しに戻って真実を新しく解いていく努力をなさるのかどうかお尋ねをして私の質問を終えます。
○園田国務大臣 今後とも部内においても、捜査当局初め関係省とも連絡をしつつ真相を解明すべく努力をいたします。資料入手等についても努力をいたします。(井上(一)委員「三日間は」と呼ぶ)それも含めて努力をいたします。
○塩谷委員長 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 外務大臣がIEAからお帰りになって大変にお疲れのところだと思います。しかし、非常に重大なこの金大中事件、先ほど来質疑が展開されておりますので、私もこの問題につきまして二、三の疑問点を晴らしてまいりたいと思います。 この金大中事件は、私ども日本国民にとってはなはだ遺憾な事件であったわけでありますが、外務大臣にお伺いをする前に、いまわかっていることを確認をしておきたいと思います。 事件の真相というものがまだ明らかではないわけですが、おおむね、韓国側の公的な権力によって、日本政府の公的な在留許可を取って在日中の金大中氏が韓国へ正常ならざる方法で連行された、こういうことですね。この点をまず伺っておきたいと思います。
○柳谷政府委員 この事件の連行された経緯のお尋ねでございますけれども、これは外務省が承知するわけでもございませんので、私どもの承知している点は、まさに捜査当局から伺ったことでございますが、お尋ねでございますので、私どもが承知しているところをそのまま申し上げますと、昭和四十八年八月八日午前十一時ごろ、この金氏が宿泊先のホテルグランドパレスに友人を訪ねてきて、途中から加わった国会議員とともに二十三階で食事をとりながら懇談をしていた、同日の午後一時五分ごろ、この両氏に見送られて二二一二号室を出た途端に、六人組の男たちに取り囲まれ、隣室の二二一〇号室に押し込められ、エレベーターで地下駐車場におろされ、車に乗せられていずれかへ拉致された、事件発生から百二十九時間後の八月十三日、金大中氏は韓国ソウルの自宅付近で解放された、こういうのが外務省として承知しておる事件の経緯でございます。
○中川(嘉)委員 その辺のことはもうすでに私ども十二分に承知です。国民の皆さんももう承知のはずなんですから、そんなこと聞いているのじゃないわけで、要するに、韓国側の公的権力によって、日本政府の公的な在留許可を取って在日中であった金大中氏を、韓国へ正常ならざる方法で連行したのですねということを聞いているわけです。
○柳谷政府委員 お尋ねの趣旨はそのとおりだと思います。
○中川(嘉)委員 ということはKCIAのことを意味しますね。
○柳谷政府委員 先ほどの御質問の趣旨が、公権力の行使によってという御質問でしたら、そこは訂正しなければなりません。正常ならざる方法によってという点は、正常ならざる方法で出たわけで、その点は事実関係として私ども承知しておりますけれども、これが韓国の公権力の行使によって連れ去られたかどうかという点は、捜査当局の問題でございますが、現在、それを裏づける証拠を得てないというのが実情でございます。
○中川(嘉)委員 私の質問をよく聞いていただいた上で御答弁をいただかないといまのようなことになりかねないのです。もしそういうことであると、これはKCIAという答えがここで出てしまうわけです。したがって、八月二十一日の電文がありますが、「金大中事件においても韓国CIAが関与していることを示す新聞報道は基本的に正しい。」ということにつながってしまう、こういうことですね。 いまの御答弁はそこにとどめるといたしまして、次にちょっと伺っておきたいのは、事件処理のために日韓両政府がいろいろな交渉の末に政治的な取り決めをされたと理解しているわけですが、二回にわたるいわゆる政治的決着の内容は具体的にどんなものであったのか伺いたいと思います。
○柳谷政府委員 この政治的決着の内容については、過去においてもしばしば当委員会等で御質疑がありまして、当時の政府委員等からも詳しく御説明しておりますが、お尋ねでございますからもう一度簡単に申し上げたいと思います。時の田中総理と金鍾泌総理との間の会談ででき上がりました了解事項が四つあるわけでございます。 第一点は、韓国側としては、犯人の処理と監督責任者の処分、すなわち日本側で指紋を明らかにいたしました金東雲の容疑を認めまして、これを取り調べる。そして、これに対しては相応の措置をとる。捜査の結果は通報する。また、金東雲の監督責任者についても相応の措置をとる。これが第一点でございます。 第二点でございますけれども、これは金大中氏の自由の問題でございまして、韓国側としては、一般市民と同様、出国を含めて自由ということをはっきりさせる。また従来、日本、アメリカ等に滞在しておりましたときの金大中氏の行動については責任を問わないが、その後で韓国国内において行った反国家活動等についてはその限りではない。これが第二点でございます。 第三点は陳謝でございまして、先ほどもお話のありましたように、朴大統領からの親書を持ってまいりまして、金鍾泌国務総理が遺憾の意を表明した点でございます。 第四点は、将来の保障ということで、金国務総理が訪日されました際に、再びかかる事態が生じないように努力する、こういうことを申しました。 これが四つの決着の了解事項でございますが、ただこれは、刑事事件としてこれが済んだわけではないということがあわせて了解されておりまして、韓国側もまたわが方も、この捜査は継続するという点があわせて了解されているわけでございます。
○中川(嘉)委員 これらを踏まえまして、これから何点か御質問をしていきたいと思いますが、今回のこの各種電文ですが、これは米国の国務省がみずから公表をした文書であって、その信憑性というものは、これはもう疑いの余地がないと私は思います。政府は、このたび発表されたこの駐韓米大使と国務省との間に交わされた秘密公電、この内容の信憑性についてどのように判断をしておられるのか。状況判断では、これらの電文の信憑性というのはきわめて高いものと評価をせざるを得ないと私は思いますが、この秘密公電の内容の信憑性ですね、これの検討というものは絶対に欠かせないというふうに思いますが、政府の態度をこの際明らかにしていただきたいと思います。
○柳谷政府委員 御指摘のように、これが駐韓大使からの公電でございますから、それなりにこれは重要な米国の外交文書であるということは事実であり、こういう文書の存在は米国側によって確認されたわけでございます。 先ほども大臣から御答弁がありましたとおり、問題は、こういう公電が接到した、その接到した公電を米国政府が、その時点におきましてあるいはその後におきましても、どのように評価し判断し、米国政府としての意見を持ったかという点になるわけでございますが、この点につきましては、従来もいろいろ米国政府の見解について報道がされるたびに、米国側にその都度問い合わせたときもそうでございましたように、今回も米国側は、この問題については米国政府としてはコメントする立場にない、この金大中事件は日韓間の問題であるから介入する立場にないということでございまして、今回も同じことが、とりあえずではございますけれども、返事としてもらったわけでございます。 ただ、私どもは、これらの文書、非常に注目すべき内容もあることは事実でございますので、捜査当局ともども、なお検討をもう少し重ねたいと思いまして、その結果によりましては、さらに米国側に、一たん、コメントはする立場にないという返事ではあったけれども、さらに、事実関係とか評価については重ねて問い合わせることも排除しないでいるというのが、現在の私どもの姿勢でございます。
○中川(嘉)委員 そのように御答弁をいただいたわけですが、われわれはこの事件発生当初から、状況判断としてはこのスナイダー報告と同じ立場にあったことはもう御承知のとおりであるわけで、今回のスナイダー報告の発表によって、これまでの政治決着の前提というものを覆す新たな証拠がここに提起されたと私は確信するわけですけれども、この点に関して政府の御見解を伺いたいと思います。
○園田国務大臣 御発言のとおりに、米国の電報が一部発表になったことによって一つの事実が出てきたわけでありますけれども、しかしこれはあくまで米国の大使館の報告であって、米国のこれに対するコメント、それから韓国のコメント、両方照会し、なお続けて慎重に検討を進める努力をいたしておるところでございますけれども、いまのところこれによって新たなる見直しの必要が出てきたということは、いまの段階では考えてはおりません。
○中川(嘉)委員 まあそんなところにやっぱり関連をして、単なる伝聞であるとか、そういうふうな御答弁も従来あったわけですけれども、私は、こういったことを単なる伝聞ということでほおかぶりをしてしまう、そういうような内容ではないと思います。事実の伝聞であるのか、伝聞そのものが本当に事実に基づいたものなのか、そうでないのかをむしろ私たちはいま問題にしているわけで、伝聞だから関係がないのだというような、そういう想定は当たらないのではないだろうか、このように思いますが、この辺を踏まえて、ただいまの大臣の御答弁、そのとおりいまこの時点では受けとめるといたしましても、あくまでも事実の伝聞であるかどうかというようなところを踏まえて、なお詳細を強力に調査をしていただきたい、このように思うわけでございます。 この報告書は、金大中氏誘拐というものが、KCIAの要員であって一等書記官の肩書きを持った金東雲が中心的役割りを果たしている、このことはまず報告書によれば疑いの余地がない。そしてまた、したがって韓国の公権力が作用していたということを立証したものと言わざるを得ないと私は思います。こういった新しい事態に当面をして、政府としては金大中事件の再検討が必要となったのではないかと私は考えますが、先ほどの大臣の御答弁もいまここではまずそのとおり受けとめますけれども、こういった新しい事態に当面をして、政府としての再検討ですね、いままでの御答弁を振り返ってみますと、どうもその必要がないやに受けとめられる部分もあるわけですけれども、いま一度ここで新しい事態ということを踏まえて再検討の意思ありやなしやを御答弁をいただきたいと思います。
○園田国務大臣 今後とも慎重に検討し、捜査当局とも相談をして、これの真相解明に努力することは当然でありますから、これは続けていきたいと思います。現段階においては、大局的見地からつけられた政治決着を見直すという基本的考え方はまだ変えてはおりません。
○中川(嘉)委員 一九七五年一月十日のこの国務長官あて電文ですけれども、これは金東祚外務部長が駐韓米大使に対して、金大中氏拉致に責任ある在日韓国CIA要員の金東雲は韓国CIAから静かに解任された、このように述べたことを報告しておりますが、このことは韓国政府が金大中氏拉致事件にKCIAが介入をしたことを認めたことであって、その責任者である金東雲を隠密裏に首にしたものと解せざるを得ないわけですけれども、政府は、この電文によって、金大中氏拉致事件というものは韓国の公権力がわが国において不法に行使されたという明白な事実を認めざるをいまやもう得ないのではないかと私は思うわけです。これら数通の公電、公式電文は、金大中氏拉致事件で明確かつ公式ともいうべき新たな証拠、これを提示したものと私は確信をしておりますが、これらの電文で、KCIAという韓国の国家機関がKCIAに所属する金東雲らに、金大中氏を日本から拉致するように命令をして、これを実行に移したということはもはや疑いの余地がないんではないか。私は状況証拠というものが完全にそろっているんではないかと考えます。 先ほど大臣は、主権侵害というものが事実であることが判明するならば政治的決着を見直すというふうに言われたわけですが、重大な発言でもありますので改めて確かめておきたいと思いますが、御確認をいただきたいと思います。大臣からの答弁ですから、大臣にお願いします。
○園田国務大臣 本事件に関して日本政府のとってきました態度は、政治的決着をつけた、これが主権が侵害されたという事実が明白になれば見直しますということは以前から言ってきた、一貫したことでございまして、いまもその点は変わりはございません。
○中川(嘉)委員 そうすると、今回の米側公電が調査の結果すべて事実であれば、主権侵害というものは事実となる、このように考えられますが、そのときには政治的決着も見直さなければならないと思いますが、この点も御確認をいただきたいと思います。
○園田国務大臣 捜査当局の捜査をもってその事実が明白になれば当然だと存じます。
○中川(嘉)委員 そういう場合には政治的決着も見直さなければならない、要するに政府としては見直すんだという御答弁であったことをここで確認をいたしておきまして、次の方に移ってまいります。 金大中氏拉致事件がKCIAの手で行われたことは、先ほどから言っていますようにスナイダー報告によって反論の余地はない、ここにそういったことが裏づけされたものと私は思うわけです。すなわち金大中氏拉致事件が韓国の公権力が不法にわが国において行使されたということになりますと、いわば国際法上の違法行為であるということは疑いないんではないか、したがって、日本政府は韓国政府に対してこの違法行為に対する陳謝、処罰あるいは原状回復、こういったことを要求すべきだと私は思うのですが、政府は直ちにこれらの措置をとるものかどうか、態度を明らかにしていただきたいと思います。
○柳谷政府委員 御指摘のように、韓国の公権力の行使があったという明白な証拠がある場合には政治決着の見直しということがあることは 従来からの一貫した政府の方針でございますから、現在及び今後の捜査、調査等によりましてその事実が明確になりました場合には御指摘のとおりでございますが、現時点におきましては、今回の米側文書をとりあえず見た感触も含めましていま直ちにそう断定する証拠はないという捜査当局の見解も承知しておりますので、したがって、現時点においてはいま御指摘のような国際法上の措置をとるということを考えておりません。
○中川(嘉)委員 そういう違法行為というものが明らかになったときにはそういうふうな措置をとるということですけれども、陳謝、処罰あるいは原状回復といったこと、たとえて言えば陳謝は以前一回あったように記憶しておりますけれども、単にわびたとかあるいは再び繰り返しませんとか、そういうことであると、何を再び騒がせないのか、何を再び繰り返さないのか、この辺がまことに明白でない。単にわびたとか騒がせたとかあるいは繰り返さないとかということですと、一体何に対してということがここでは全く疑問に感じるのです。さらに原状回復一つを取り上げましても、身柄を釈放したとしても日本に来る旅券を出さなければ真の原状回復ではないのじゃないかと私は思うわけですけれども、こういったことを明確に、さらに具体的に踏まえて、陳謝、処罰あるいは原状回復ということも要求するものかどうか、いま一度御確認をいただきたいと思います。
○柳谷政府委員 これは先ほども条約局長から申しましたような一般国際法のルールがございますから、いまのような仮定の場合を考えますれば、当然そういうルールが原則として適用されると思いますけれども、現時点においてはそのような判断に立っておりませんので、ここで具体的に何をどうするということを申し上げる時期ではないと思います。
○中川(嘉)委員 このことは、新たな段階を仮に迎えた場合に大変重要な問題でもありますので、この点はいまここではこの程度において、またさらに問題を提起してまいりたいと思います。 政府は、主権国家として独自の判断をして、政治的な決着の再検討というものを韓国に申し入れるべきではないか。ただ、ここで特に政府に忠告しておきたいことは、政府が独自の判断を持って、あくまでも独自の判断を持って再検討を申し入れるべきであって、あらかじめ韓国政府の意向というものをそんたくする必要はないということ、韓国政府はわが方の申し入れにどう出るとかいうことについてはその後の問題ではないか、外交交渉というものはそこから始まるのじゃないか、このように思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 過去の政治決着をつけた経緯も踏まえつつ、新たな事実が出てくればと言ったのでありますが、ただいまのところ再検討を韓国に申し入れる時期ではなくて、その真相究明のために努力をすべきときであると考えております。
○中川(嘉)委員 それでは米側の秘密電文が明らかにされたという新しい事態にかんがみて、その検討を待って、場合によっては韓国に対してこの問題についての外交交渉を求めることもあり得るのかどうか、この点いかがでしょう。
○園田国務大臣 これは今後の解明次第でありまして、ただいまどうなったらこうするということを申し上げると誤解を招きますので、お答えをお許し願いたいと思います。
○中川(嘉)委員 くどいようですけれども、そうしますと、解明次第によってはそのような外交交渉を求めることもあり得るというふうに了解をしてよろしいでしょうか。
○園田国務大臣 解明の結果によって判断をいたします。
○中川(嘉)委員 そうしますと、関連して伺っておきたいのですが、新証拠というのは一体何なのだろうか。何をもって新証拠と言うのか。たとえばどういうものを指すのか、この点はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 新たに起こった事態から捜査当局が何らかの捜査の発展を見た場合だと考えております。
○中川(嘉)委員 非常に抽象的な段階といいますか、御答弁として残念ながら受けとめざるを得ないわけですけれども、こういうことですと、見直さないという根拠にはならないのじゃないかというような感じもしますが、金東雲がKCIAの要員であるということが明確になれば、政治決着の見直しとなるのかどうかですね、一点にしぼりますけれども、そういうことですね。
○柳谷政府委員 この辺のところは捜査当局の方の御答弁が適当だと思いますけれども、お尋ねがあったので一言お答えしますと、KCIAの要員であり、かつ、そのような指令を受けていたかどうかということでなかろうかと思います。
○中川(嘉)委員 そのようなことが判明をしたときには政治決着の見直しもあるというふうにこの場で私は受けとめておきたいと思いますが、いまだに疑問に思うのは、ちょっと問題が角度が変わっていくかと思いますが、犯人の金東雲の指紋ですね、これが検出されたにもかかわらず、これを犯罪の動かない証拠としてなぜ韓国政府に徹底的に解明を迫らなかったのか。日本政府にそういった意思がなかったのじゃなかろうかと思います。それとも、わが方で検出した指紋というものは金東雲の指紋と合致しなかったのかどうか、この点はいかがでしょう。
○柴田説明員 検出いたしました指紋は、当時の金東雲一等書記官のものと合致いたしております。
○中川(嘉)委員 先ほどの前半の質問に戻るようですけれども、こういった指紋が検出されたにもかかわらず韓国政府に徹底的に解明を迫らなかった理由といいますか、日本政府にそういった意思がなかったのじゃないかということ、その点お答えをいただきたいと思います。
○柳谷政府委員 この指紋が検出された後、韓国側には再々この事実を指摘して調査を求め、捜査を求めたわけでございまして、途中、先方からの中間的な報告に対して、これは非常に不十分であるというわが方の捜査当局の御意見があったのでさらに再々迫るということでございまして、こういうものがあるにもかかわらず余り熱心に迫らなかったんではないかというような事実は全くございません。
○中川(嘉)委員 こういったことに関連しまして、この際、これは提案のような形になるかと思いますが、金大中氏と金東雲の来日ですね、これを韓国政府に求めまして、今回の事件の真相の解明、こういったものを捜査当局に行わせるべきじゃないかと私は思いますが、韓国側にこういったことを要求するお考えがあるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○柳谷政府委員 当時以来の記録によりますと、金大中氏につきましては、この来日を求める努力はずっと続けていたわけでございますが、その後、事件後の韓国国内における例の緊急措置令違反等の事件で同氏が拘束されるというような事態になりましたので、その後はそういう要請は事実上行われていないわけでございます。金東雲氏につきましても、当初そういう出頭の要請があった経緯は御承知かと思いますけれども、これはいわゆる第二次決着の際の合意によりまして、以後は先方のこの二年間の措置をそれなりに評価して先方の説明を了承したわけでございますから、それ以後求めた事実はございません。ただ、日本において捜査が引き続き続いているということは、そのときもさらに確認していることでございます。
○中川(嘉)委員 外務省の方の御答弁でありますが、捜査当局の方としてのお考えを聞いておきたいと思います。
○柴田説明員 ただいまの件につきましては、捜査当局の立場からはちょっと見解を申し上げることは御勘弁いただければと思っております。
○中川(嘉)委員 次に、私は秘密公電による疑問を若干ただしたいと思いますが、その第一点は、一九七三年八月二十一日の電文の第二項で「本使は、あらゆる適当な機会をとらえて、韓国の指導者に対し、金大中事件と韓国CIAの活動に対する外部の反応の重大さを認識させるよう内々に働きかけている。」それからしばらくきますと、「金(大中)等をまきこむ不都合な行動が今後なされないように政府指導層に警告している。」この文脈から私は次のように状況判断をするわけです。その一つは、もし金大中氏の拉致事件が全く私人のグループによって行われたとするならば、駐韓米国大使の電文にあるように警告をするはずがないのじゃないかということ、KCIAの手によって行われたという確認がないのに米大使が韓国政府に警告を発するようなことがあったとするならば、これはもう明らかに韓国への内政干渉ではないだろうか。にもかかわらず米大使が韓国政府に金大中等を巻き込む不都合な行動が今後なされないよう警告、こういったことを行ったということは、再び金大中拉致のようなことをするな、こう言ったものであって、金大中拉致はすでに行われたものとして、今後再び繰り返すようなことのないようにという、こういう警告をしたものと解しますけれども、このことについての政府の御見解はどんなものか、伺いたいと思います。
○柳谷政府委員 いま御引用になりました電文につきましては、これをいろいろ私どもも読んでいるわけでありますけれども、いろいろな読み方、解釈の仕方はあるかと思います。ただ、これが明らかにその起案者、当事者の物の考えであるかということを第三者として断定することはやはり控えざるを得ないかと思っております。
○中川(嘉)委員 時間が参りましたので、最後に一点申し上げておきたいのですが、報道によりますと、当時の金東作外相ですね、同氏が、駐韓米大使の公電に述べられたようなことを述べたことを記憶していないと語ったようですけれども、まさか政府はこのことをもって問題の再検討拒否の理由とするということはないと思います、先ほど来の御答弁をいただいているわけですから。ただ、もし実際に金東作元外相がそういうことを公式の場で語った場合でも、日本政府はこれを反証する立場にあるわけですから、安易にこの韓国側の主張に迎合すべきではないということを私はきょうの質問の最後として政府に警告をぜひしておきたい、このように思います。金大中氏拉致事件そのものと結びつけて言うつもりはありませんけれども、被害者が加害者の言うことを聞けないといいますか、言いかえれば、犯人の言いなりになってしまうというようなことがあるとすべて無罪になってしまう、こういうことも言い得るわけですから、今後政府としても、目下調査中であろうと思いますけれども、わが国の主権侵害、非常に重要な問題にかかわるこの事件であるだけに、さらに強力な調査あるいは検討を進めていかれんことを最後に強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○塩谷委員長 渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 外務大臣は、訪欧からお帰りになったばかりでございます。御苦労さまでございました。それに関連して一、二お尋ねをさしていただきたいと思います。それからその後、いただきました時間の中でいまの金大中氏問題についても幾つか質問をいたしたいと思います。 まず第一番目に、外務大臣、ただいま報告を聞かせていただきましたけれども、その中で私ども心配をしている点が一つ落ちているように思うのです。大変友好的に各国の首脳とお話し合いをしてこられた、大変結構なことでありますが、いま私どもが非常に懸念をしておりますのは、日本とアメリカの間の経済摩擦、本当にこれは火種も消していくことができるのか、その方策は何かという問題でございます。 同時に、日本とヨーロッパ、特にEC諸国との間での経済摩擦がある。かなり厳しいものだと聞いております。これについての御感触なり、そしてまた話し合いの中で得られた、こういうふうにしなければならないのだというような点が、時間も短かったからでございましょうけれども、報告の中で欠けておりました。その点についてはどのようなお感じを持ってお帰りになりましたでしょうか、聞かせていただきたいと思います。
○園田国務大臣 米国の方は、すでに御承知でありますから、省略をいたします。 ヨーロッパ各国を訪問するに当たっては、今回はサミットの下準備、IEAの閣僚理事会、こういうのが主な目的でありましたが、各国との個々の問題もまた大事な問題であったわけでありますが、行きますときには、私より先立って安川代表が、米国との日米経済問題の交渉について米国から直ちにECへ回ったわけでありますが、この際は相当厳しい批判が加えられたようでありまして、今度私が参りましても、MTN問題、東京ラウンドをくるめて経済問題が相当強く言われるのではないかと覚悟して行ったわけでありますが、これは予想に反しまして、空気が変わった方向へ転換しているという兆しを私は感じて帰ってまいりました。 第一には、フランス、EC、英国、それからベルギーの総理、外務大臣とも会ったわけでありますが、日本とECとの経済の問題について、いままでのような感じの話は一切なかった。ただ、フランスの外務大臣がECの議長国として貿易のインバランスについて日本が努力すべきことを強調されましたので、日本はこういう努力をしておる、今後も努力をする。しかし、貿易の不均衡は日本だけの責任だと言われる議論は納得しがたい、こう私が言いましたら、フランスは、いや、それは日本だけに要求しているわけではない、われわれも一緒に努力をしなければならぬ、こういうことでありましたけれども、他の国々は、向こうの方から、いろんな経済問題は日本だけではなくてわれわれも努力しなければならぬということを考えておる、日本も今後努力を頼む、われわれも努力をする。しかし、いままでのように、日本とECの関係、日本と自分の国との関係の個々の経済問題だけとらえていってはなかなか解決は困難だ、そのためにはお互いが努力するということ、理解し合うということも必要ではあるが、経済問題だけではなくて、政治、経済、文化、ありとあらゆる広範囲の面で、しかも国際情勢も含めてお互いが終始緊密な連絡をしようではないか、こういうふうな空気に変わってきたことは非常に幸いであると存じます。 なおまた、英国初めヨーロッパの各国に底流として強く感じられたことは、それぞれの国が世界経済というものを、不況の中で自分の国の経済をどう発展させていくかという、おれたちもこれから努力しようという意欲に変わってきたという変化を見てまいりました。いずれにしましても、したがって、楽観してよいというわけではありませんけれども、今後努力のしがいがある。今後とも各分野にわたり、国際情勢も含めて、ヨーロッパの国々と終始間断なく連絡をし、しかも今後具体的に相談をいたしましょう、こういうことで帰ってきたわけでございます。
○渡辺(朗)委員 また、IEAの閣僚会議に出席をされました。そして、いま報告をお聞きいたしますと、来るべきサミットの中心課題としてエネルギー問題が据えられるであろうということを言っておられます。私もそれは当然のことだろうと思うのですが、ただ心配なことは、当初予定されていた南北問題、それの比重がむしろ薄れつつある。そして、エネルギーが当面の危機というような形で叫ばれ始めたことも関連いたしまして、非常にクローズアップしている。このエネルギー問題を論議することは当然重要でありますけれども、南北問題、途上国援助問題、こういった問題はエネルギー問題とのうらはらの関係にもある。したがって、特に日本としては、いまUNCTADの総会も開かれているさなかでもあるという中で、特にやはり南北問題というものは強く取り上げていかなければならぬのではなかろうかということを感じますけれども、外務大臣、その点いかがでございましょう。
○園田国務大臣 全く同感でございまして、各国との会談の中にも、率直に申し上げますと、向こうから南北問題を出した国は一つもございません。 そこで、エネルギー問題も、IEAの理事会で御理解願いますとおりに、非常に深刻であって、一歩処置を誤つならば大変なことになるという認識は一致しておるわけでありますが、さて具体的な解決、こういうことになるとなかなか問題が多いわけであります。 私個人として感じましたことは、一番大事な点は、IEAは、御承知のとおり、消費国の集まりであります。消費国が集まって団結をして足並みをそろえることはいいが、それが産油国と対決をするようなかっこうではこのエネルギー問題は解決していかない。私は、やはり産油国と消費国が協調をして、しかもそれは産油国、消費国ばかりでなく、開発途上国の資源開発という点も含めて、みんなが相談し合ってこそ初めてこのエネルギー問題は解決する、こう考えておるわけでありまして、そういう点からも、特に今後の世界経済というものも、先進工業国だけの責任分担によって世界経済の不況の解決はできない。少なくとも南北問題というのが、助ける者と助けられる者、こういう議論ではなくて、両方が集まって世界経済をどのように持っていくかということに開発途上国も参加をし、先進国も参加をする必要がある。そういう意味において、今度のサミットではエネルギーも大事ではあるが、南北問題もきわめて大事であるから、これに格別の御協力を願いたいということをどこでも力説をいたしました。力説いたしますと、向こうはそれに反発はしないで、いや、エネルギー問題だけ言ったが、南北問題も大事でございます、一生懸命やりましょう、こういうことでありましたが、注意をしないとエネルギー問題に隠れて南北問題の色が薄れるおそれがありますから、今後はその点は十分注意をしてサミットの準備をする必要があると、私自身も先生と同じように考えているところでございます。
○渡辺(朗)委員 外務大臣、ぜひそれをひとつ準備の過程でも推進をしていただいてほしいというふうに要望をいたします。 関連いたしますけれども、特に感じられるのは、アメリカもそうでありますが、西欧の先進諸国は近ごろ南北問題、途上国援助に対しては少しく消極的になっているような傾向がございます。むしろその点で日本が、特に外務大臣は牽引力になっていただきたいと思いますので、御要望をさせていただきます。 時間の関係で次に進みたいと思いますが、いままで討論をしておられました金大中事件であります。外務大臣も先ほどは、当面、真相究明に努力するということを言っておられました。率直に言って国民の素朴な疑問でございます。近ごろアメリカ側の方からさまざまな電報が入ってくる、公電が発表される、その中には極秘公電もある。そうすると、何かその都度大変新しい事実ではないか、こういうふうにわれわれも思います。またそれを質問すると、まだまだそれは証拠不十分、証拠能力なし、こういう返答が返ってくる。したがって、政治決着というものについての見直しの材料にはならぬというお答えであります。そしていままでも、聞きますと百四十四点のアメリカの国務省と駐韓大使の間での公電、こういうものがあるということが言われております。まだ出てくるのじゃなかろうか、これが率直なところ私ども国民の持つ疑問でございます。 しかもそれが出てくると、新聞によれば外務省首脳は、何という不手際であろうか、こんなものが発表されるとはけしからぬと言って激怒したとか、頭を抱えているとかいうような記事も載ります。果たしてそれが真実であるかどうかは知りませんけれども、余りにも真相究明とおっしゃる上において何か受け身の、アメリカから発表されたもので振り回されているような態度、これが出てきたときにますます国民としては疑惑を深めていきます。 まずその点で具体的にお聞きしますけれども、いま外務省はどれだけの、そのようなアメリカが発表をこれからもするであろうというようなもの、どのくらいあると考えておられますか。そしてその中で金大中に、特にこの事件に関連のあるものはどのぐらいだというふうに踏んでおられるのか、そこら辺、率直なところを聞かせていただきたいと思います。
○柳谷政府委員 そもそも今回の米国政府の文書が公になりましたのは、アメリカのいわゆる情報自由化法に基づきまして日本の通信社あるいは新聞社が請求をいたしたからでございます。この法律によりまして一定の手続を経、ある程度具体的な内容を示して、こういう文書について入手したいということをいたしますとこれに対する供与があるというたてまえになっておるわけでございまして、したがいまして、今回ほほ同種類のものが二つの、一方の通信社、他方の新聞社に供与されたわけでございます。 ただその過程におきまして、後刻アメリカ国務省からの説明によりますと、初め二点だけ、さらに後にもう一点、これは本来供与するべきでなかったと思われたものが混入していたという説明が追加的にあったわけでございます。したがいまして、もしこの同じ法律に従いましてどなたかが米国国務省に文書の供与を求めて、またその求める内容が今回求められました二社と違った角度からの要請をされた場合に、今回とまた違ったものが供与されるかどうか、これはアメリカ側のことでございますから何とも想像できないわけでございます。 ただ私どもは当然、あの事件が起きまして以来、在ソウルのアメリカ大使館は深い関心を持ちましたから、いろいろの極秘電あるいは情報電あるいは新聞のレジュメ等々を大量に本国政府に伝えたと思いまして、その中の公表に差し支えないと米当局が考えるものにつきましては、あるいはさらに今後公表される余地はあるかと思いますけれども、米国のこの情報自由化法におきましても、国家の安全及び外交上の機密に関するものについては供与する限りでないとなっておりますので、私どもの理解では、アメリカ側が発表に適当でないと考えるようなものが今後出てくることはないというふうに予想しております。
○渡辺(朗)委員 いまお話を聞いておりますと、いろんな違った角度から要請があったりすればまた新しいものも出てくるかもわからない、こういうことでございました。大臣がはっきり言っておられます、当面真相究明に全力を注ぐということを言っておられる。私はこれは大変重大なことだと思うのです。事実、いま国民の方の疑惑というものは、これが新しい証拠になるのではあるまいか、新しい事実ではあるまいか、こういうふうに思っている。だったら当然外務省としてはあらゆる角度から、あらゆる観点から、こういうケースはあるまいか、ああいうケースはあるまいかということで、アメリカ国務省に対して要請をされるのがしかるべき措置であろうと思うのです。私は、その点でどのような要請がいままでされているのか聞かせていただきたいと思います。
○柳谷政府委員 日本とアメリカの間におきまして、すべての外交案件についてそうでありますように、常時意見交換、情報交換があることは指摘するまでもないことでございますが、今度の金大中事件につきましては、米国側は、基本的にこれは日韓間に起こった問題であって介入する立場にないという姿勢は持しておるわけでございます。しかしながら日本政府としては、必要があると認めた場合には、過去におきましてもいろいろ事情を照会した経緯はあるわけでございます。ただ先方の答えは今回と同じような、コメントする立場にないという説明であったわけでございます。 今回このように相当大量の公文書が明らかになりましたので、特に重要と思われました件にしぼって、とりあえずの先方の評価等を求めたのに対しては、また同じように、コメントする立場にないという返事がありましたけれども、現在なお続けております日本政府内部における調査、研究、分析の結果、さらに問い合わせたい、照会したい、確認を求めたい事項が出てくることは予想されるところでございますので、その際はさらに米国に照会をしたいと思います。その場合は今回の公表の文書に限らず、米国政府のいろいろの認識等を含めた全体としての照会ということになっていこうかと思っております。
○渡辺(朗)委員 いま必要なのはアメリカのコメントではないので、こちらから真相究明のために必要だと思われるものはこれこれだというふうに考えたらそれに基づいて、いまもおっしゃったように、必要とあらば要請するという未来形の立場ではなくて、第一報が入ったのは、公電が入手できたのはたしか五月十三日か何かだったと思います。あるいはその後十八日にもまた入っている。そういう時点でいろんな角度から、新しい事実になるかならないか、そこら辺を考えて要請をされるべきが当然だろうと思います。私は、そういうことをするのが真相究明への努力だろうと思うのです。外務大臣、いかがお考えでございましょう。これは大臣の指示によって至急にやっていただきたいと思うのです。 私どもは日韓両国民の友好関係は大変大切だと考えております。だからこそ、いいかげんな、もやもやしたような政治決着などということで、臭い物にふたでもって処理をしていくと禍根を将来に残すことになる、したがって、今回疑惑を一掃できるように究明に努力をしてもらいたい、こういう立場で言っているわけでございます。大臣の御見解を伺いたいと思います。
○園田国務大臣 十二日に電報入りまして以来、それぞれ照会をし、あるいは問い合わせているところでありますが、今後もそういう努力を続けて いたします。
○渡辺(朗)委員 またこの事件は、わが国の主権侵害という問題にかかわる大事な、重大な問題であります。同時に、これはたしかライシャワー駐日前大使でございましたか、言っているように、国民の納得のできない政治解決、決着ではこれはいけないのではないか、国際的にもわが国の民主主義が問われている問題だと思います。私は新聞報道の中で、偶然といたしました。たとえば先ほども触れましたけれども、極秘公電が発表されて外務省首脳が激怒したとか、頭を抱えたとかというのは余りにも主体性のない、だらしのない外交ではあるまいか。私はそんなことがあったのかなかったのか知りませんけれども、外務大臣、実際にこんなことがあったのでしょうか、そこら辺ひとつぜひ教えていただきたいのです。そのこと自体がわが国の、特にわが国政府のこの問題に対する姿勢が明らかになる一つの問題点であろうと思いますので、外務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 そういう事実は全くございません。
○渡辺(朗)委員 それでは、再度外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。 外務省は、国務省が極秘電報を公表したのはミスであったというふうな言い方をしております。と同時に、もう一つ国民の中で出てきている疑惑というのは、カーター大統領は人権外交を就任以来言っておられました。六月の下旬には韓国にも行かれるといいます。そういうことと一連の関連がある意図的なものではないかというようなことがささやかれております。外務大臣、ここら辺の見通しについてはどのようにお考えでございましょう。
○園田国務大臣 カーター大統領の訪韓はこの問題と関連がないことは明確でございます。 この電報が発表になりましてから、米国の方から、ミスで公表しちゃった、しかし公表したからには事実を否定するわけにはいかぬ、こういうことは言ってきましたが、こちらの方でアメリカにけしからぬとかあるいは困ったとかという事実はございませんので、念のために申し上げておきます。
○渡辺(朗)委員 いままで公式には、政治決着あるいは外交決着はついている、だけれども捜査は続ける。二年ほど前でございましたけれども、私が当外務委員会で質問いたしましたときは、捜査本部は依然として設置してあり、警視庁の中にある、そして捜査が続けられているということでございました。ただし、中間報告を求めましたら、それはいろいろ差しさわりがある妙でいまの段階ではできないけれども、一定の時間が来たらそれを報告いたします、発表いたしますということがございました。この点については現状はどうでございましょうか。 まず第一点、捜査本部というのは依然として設置してあり、活動しておりますか。中間報告は今日の時点でてきますか、できませんか。——では、後ほど聞かせてもらいます。 それでは、外務省の方に先に一点お聞かせいただきたいと思うのです。 前にドイツ政府の方で同じようなケースが起こった、そのときにとった態度、またフランスに留学していた学生が拉致された事件もございました。そういう場合に、西ドイツあるいはフランスの外交官が韓国の法廷にも出席している、そして傍聴している、こういうような行為がございました。日本政府としてそのような行動はおとりになりましたか、どうでしょうか。
○柳谷政府委員 お尋ねの点は、金大中事件についてその法廷の傍聴があったかどうかということかと伺いましたが、在韓大使館においてすべて傍聴いたしました。
○渡辺(朗)委員 警察庁の方がおられなければ、再度外務省の方にお尋ねをいたします。 韓国の国会で、この問題が第一次決着、第二次決着の当時、あるいは最近でも結構でございますが、取り上げられて、国会に報告が行われているのでございましょうか。
○柳谷政府委員 韓国国会においてもこの問題が何回か議論されたことは事実でございますが、私どもが特に注目しましたのは事件当時の七三年十一月五日、六日の国会でございまして、金鍾泌総理みずからがこれに対する答弁に立たれた記録がありまして、これはかつて資料としても差し上げたものでございます。それ以後についても、すべてはちょっと手元に持っておりませんけれども、随時韓国国会におきましても取り上げられていると承知しております。
○渡辺(朗)委員 外務省の方にお願いをしたいのですが、ただいまのように何度か取り上げられたということがあるならば、その最近の議事録をぜひいただきたいと思います。これをお願いしておきます。 それから、先ほど警察庁の方にということでお願いした件はいかがでございましょう、いらっしゃいましたでしょうか。——いらっしゃらなければ、外務省の方ではその点御存じではございませんか。
○柳谷政府委員 これは正確を期すためには警察当局にお答え願いたいと思っていましたけれども、私どもの承知するところでは、捜査本部は存続しているということでございます。それから、中間報告につきましては、現時点ではまだその中間報告を申し上げる時期には達していないと考えている、これが警察の立場であるというふうに理解しております。
○渡辺(朗)委員 時間が参りましたので残念でありますが、外務大臣、最後に一点だけお聞かせをいただきたいと思うのです。 まず真相究明をしなければ、これは本当だと思います。そして、いま発表されているものが証拠能力があるかどうか、さらに関連して新しい証拠能力を持つものが出てくるかどうか、こういうところを調べていかなければいけないと思います。この問題のこれからの見通しでございますが、私聞いておりますと、何かうやむやのまま過ごして時間をかせごう、これも一つの選択肢でございましょう。また別にほかの選択肢もあるだろうと思うのです。たとえば金大中氏自身を何とかして自由の身にし、日本を含め海外にその生活の場所を求める、そういう要請をするということもまた選択肢の一つでございましょう。いずれにせよ、いろいろな選択肢の中で外務大臣はどちらの方向をいまつくろうとしておられるのか、あるいはまた見出そうとしておられるのか、お考えのほどをお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 時間をかせぐときでもありませんし、そういうつもりはございません。真相究明をしてこれが見直しをする新たなる証拠でないかどうかということは早く決めるべきことだと思います。いまの段階では、先ほどから申し上げておるとおり、見直すべきほどのことではないと考えております。 なお後のことについては、いろいろ日韓関係で内政干渉その他もあるわけでありますけれども、その点十分注意をしながら、従来主張してきました金大中氏の身分の取り扱いについては重大な関心と懸念を持っているということで、さらに韓国には要請をし続けるつもりでございます。
○柳谷政府委員 先ほどの御質問に対して私の答弁があるいは間違っていたかと思いますので、念のため一言つけ加えたいと思います。 在韓国大使館が傍聴したかという先ほどのお尋ねでございますけれども、これは、これに関する韓国国会の討論を傍聴したということでございます。金大中事件の裁判というのはそもそもございませんので、法廷の傍聴ではございません。ちょっと取り違えたかと思いますので、謹んで訂正させていただきます。
○渡辺(朗)委員 一言だけ、これは要望しておきます。いままでは、金大中氏に対しましてたとえば選挙法違反であるとかそういうことでの容疑がかかったり裁判があったりしている。これが何であろうともそのような事態が起こった場合には日本政府として正式に法廷に傍聴に出かける、派遣する、こういう立場をとっていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
○柳谷政府委員 お答えいたします。 それらの裁判については、館員が必ず傍聴しております。
○渡辺(朗)委員 はい、ありがとうございました。
○塩谷委員長 寺前巖君。
○寺前委員 捜査当局、お見えでございますか。——それでは私、最初に捜査当局に一言聞きたいと思います。 金大中事件に関する捜査本部は、一体どういう体制で現状おるのか。それから第二点に、捜査当局は金東雲のこの事件に関する指紋を明らかにしました。ところが韓国当局はこれを否定する、この事態について捜査当局はどういうふうに見ているのか。第三番目に、公権力の介入があったということについて、捜査当局としては今日どういうふうに見ているのか、KCIAの犯行と明らかに疑惑があるというふうに見ているのかどうか。第四番目に、今回のこの文書が国務省から出されたわけですが、この文書をめぐって捜査当局はどういうふうに見ているのか、金大中のこの事件に関する捜査をいかにやらなければならないと考えておられるのか、最初にお答えをいただきたいと思います。
○柴田説明員 最初に、金大中事件につきましての捜査体制でございますが、現在も警視庁に約二十名の捜査体制を維持いたして、引き続き捜査をいたしております。 次に、金東雲の指紋の問題でございますが、韓国側の捜査、これにつきましては私どもは論評を申し上げる立場にはございませんので、その点は御容赦いただきたいと思います。それじゃ自信を持っておるかという点につきましては、私どもといたしましては現場で採取いたしました指紋が当時の金東雲一等書記官の指紋と合致したという点につきましては、自信を持っております。 次に、公権力の介入をどう見ておるのか、KCIAの犯行と見ておるのかどうかという御質問でございますが、これにつきましては、現在のところKCIAの犯行であるということの証拠は何ら得ておりません。 次に、今後の捜査方針でございますけれども、今回の米国務省が公開いたしました文書につきましては、現在、外務省におかれまして全体的な検討、事実関係の調査等を行っておられるところと承知しております。警察といたしましてはその結果を踏まえまして、捜査的観点に立ちまして詳しく検討してまいりたい、このように考えております。
○寺前委員 それでは外務大臣にお聞きをしたいと思います。 この事件後の初期の段階においていわゆる政治決着というのが出されておりますが、その際においても、公権力の行使を裏づける明白な事実が出れば事件を再び取り上げ、外交決着を再検討することもあり得るということを相手国に対して明らかにしておる。それからまた国会においても、刑事事件としてはあくまでも追及するのです、追及した結果新しい問題が提起されるということになりますれば、その時点におきましてその事態をよく判断いたしまして適正な処置をするというふうに考えています、政治決着というのはずっと先々までもう決着になったという性格じゃないのですということを指摘しております。 そこで、先ほどから新しいこの国務省の文書も出てくるという事態の中で、一体この政治決着について政府として見直す必要があるのじゃないかということを各委員から指摘がありました。ところがなかなかお口はかたいようです。そこでお聞きしますが、一体刑事事件の見直しというのは、どういう事態が生まれたときを指して見直しをしなければならないというふうにお考えになっているのか、御説明をいただきたい。
○園田国務大臣 新たなる事実が判明をして、それを契機にして捜査当局の捜査が進展をし、捜査当局が間違いがないという断定を下したときに新たな見直しをする必要が出てくると考えます。
○寺前委員 金東雲の指紋問題先ほど捜査当局に聞きました。捜査当局は自信があると言う。ところが相手国の方はそれに対して確認をしない。確認をしないからそれでストップになったままになった。これ以上動かないというのが、あの一つの事件の姿であります。それじゃ全部韓国政府が否定をしてしまったならば事は進まないということになってしまうではないか、国民の疑惑はそこにあると思うのです。私はあえて突っ込んで聞いてみたいと思います。 たとえば、金東雲ら六人の諸君たちが問題になりましたが、この諸君たちの一人が自白をするという事態が見直しという事態なのか、あるいは韓国の朴大統領自身がKCIAの犯行であるというふうに言わなかったならばこれは見直しの対象にならない、そういうふうにおっしゃるのだろうか。突っ込んで聞かないと、私は一体何を見直しの新しい事態だというふうに見るのかわからない。その点どうですか。韓国の側の個人の対象者の自白か、大統領が犯行だということを言わない限りはあかぬのだとおっしゃいますか。
○園田国務大臣 わが外務省は、あくまで日本の捜査当局が公権力の行使をやった、主権の侵害を受けたということを証拠をつかみ、それを決定する段階だと思います。
○寺前委員 もう一度重ねて聞きますが、金東雲の問題については捜査当局は自信がある、これは先ほどおっしゃったところです。それにもかかわらず向こう側が拒否してしまっているところから、それはもうデッドロックに上がってしまった、こういうことになっていったら、みんななっていくじゃないか。そういう立場はとらないとおっしゃるのですね。そうすると、私は今度出てきた問題というのは、新しい事態の問題じゃないか。KCIAがやったということをちゃんと向こうから聞いたという公文書が出てきたのだから、新しい事態として、自主的な立場とおっしゃるのだったら、これは明らかに検討すべき段階に来ているという判定を下してもしかるべきじゃないのでしょうか。 重ねて聞きます。相手方がどう言おうと、われわれの自主的見解で問題を再検討していくのだ。よろしいですか。
○園田国務大臣 新たなる事態が起こって、捜査当局がこれを捜査をして、これを断定した場合、こう申し上げるとおりであります。いま米国からの電報は、米国政府の見解を示すものではなくて、米国の出先から本国に報告した電報でありますから、この電報そのものが一つの決定的なものとは考えておりません。
○寺前委員 私はあえて聞きますけれども、従来向こうの韓国の態度というのを非常に重視してこられた。韓国の方は拒否をしてきた。そこで新しい段階の問題として出てきたのが、アメリカの側が韓国から聞いておった情報というものがここに出たわけです。さて、それを私は新しい事態だと位置づけなければならないと思いますが、そこで聞きます。 韓国の閣僚の発言というのは重要な見直しの条件とはなりませんか。それはいかがなものでしょうか。
○園田国務大臣 その判断は外務省が判断すべきことではなくて、捜査当局が判断すべきことであります。
○寺前委員 捜査当局は外務省が全体として判断をしておられる、それを見た上で検討したいということを先ほどここでおっしゃいました。外務省として、外務大臣として、韓国の閣僚の発言というのは重要な位置を持つというふうには見ますか見ませんか。
○園田国務大臣 韓国の閣僚が発言しているわけではなくて、韓国の閣僚が発言したという情報を電報で本国に送っているわけであります。
○寺前委員 それではここでちょっと聞きますが、少し角度を変えます。 この電報を送っている人はスナイダーというアメリカの駐韓国の大使でありました。このスナイダーというお方は、いまアメリカでは民間人だとお聞きをしておりますが、当人の了承さえあれば、これはこの事実について確認をすることのできる内容だと思います。外務省としてスナイダー氏にこの確認をおやりになったのかどうか、やる必要があると考えられるのか、ないと考えられるのか、これが一点。 また、このスナイダー氏と会談をしたという当時の閣僚金東作というお方、この方に外務省としてお会いになったのかならなかったのか。これも民間人と聞いておりますが、外務省としても、会って明らかにされるということが重要ではないのだろうか。 私はなぜこの問題を申し上げるかというと、前に金炯旭氏の問題が国会で問題になったときに、金炯旭氏の問題というのは、これはわざわざ宣誓してアメリカの国会で明らかにしたものであるのにもかかわらず、当時国会の中で政府はどう答弁しているかというと、それは伝聞にしかすぎない。それは、金炯旭氏の言われることにそう多くの信憑性があり証拠力があるとは思えぬからだ。だから聞かないけれども、ということをあえて提起をしておられます。金炯旭氏というのは当時、KCIA部長をもうすでにやめておられるのだ。だから、したがってそれは伝聞にしかすぎないんだというお話でした。ところが現実に、このスナイダー氏にしてもあるいは金東作にしても、これは伝聞じゃなくして、直接自分ら同士が話し会った内容になるわけです。信憑性がないとおっしゃるわけにはいかないでしょう。金炯旭氏のときでさえもああいうふうに言われたのだから、今度は直接の人だから、直接調べてみることによって公権力の介入が重大な位置を占める内容としてこの問題を取り上げることができるのじゃないかと思うのですが、外務大臣、いかがなものですか。
○柳谷政府委員 いま御指摘になりましたスナイダー氏は現在、コロンビア大学の客員教授という地位にあると聞いております。先般この電報が出た後、とりあえず米国務省に照会いたしましたときに、米国務省は念のためスナイダー氏にも照会されたようでございますが、スナイダー氏のとりあえずの返答は、コメントする立場にないという返事だったそうでございます。他方金東作氏も、外務大臣の後大統領特別補佐官を経まして現在は退官されておりますが、これにつきましてはすでに申し上げたことでございますけれども、韓国の外務部から、とりあえず照会したところに対して、金東作氏はそういう会談の記憶がないという返事だった。これが現在までの事実でございます。今後どのようにするかという点は、全体の文書を詳細点検いたしました上で総合的に結論を出したいと思いますけれども、私どもは、米国務省または韓国の外務部を通ずる方法で再度これらの方の意見を聞くかどうか、あるいは直接聞くことを考えるかどうかを含めて、今後結論を出していきたいと現在のところ考えております。
○園田国務大臣 いままでの事実の経過はそのとおりでございまして、今後も必要に応じて韓国、米国両方の関係者に照会することも考えております。
○寺前委員 私は先ほども申し上げましたように、非常に明確な金東雲の指紋の段階でも、向こうの政府を通じて返ってきたものは、そういう事実はないという立場をおとりになる。また、しかも日本に公権力を行使した疑いを持たれている、公権力の介入をやったと言われるこの韓国の政府自身を通じて話を聞いている限りにおいては明確にならないことは事実だ。とするならば、一歩突っ込んで直接関係者から事情を聴取するということは、私は日本の立場において直接判断をしていくのだ、捜査当局のあれを待ってというお話をあえて言われるとするならば、その程度のことはおやりになるのは当然のことであるというふうに思います。 そこで、先ほどから外務大臣が、捜査当局の判断を待ってということを盛んに言われるわけです。それでは捜査当局にあえてもう一度聞きたいと思います。 公権力の介入であるという問題の証拠として、関係のアメリカの当時の駐韓大使とそれから韓国の閣僚とがそういう会談をやった。その記録が出てきている。これは明らかに公文書として重要な証拠能力も持つものだと思うのです。ここにKCIAの犯行であるという断定的なものが出てきているとするならば、何もほかに証拠を持たなかったならば、新しい証拠として捜査当局としてもこの分野に対するその関係者の調査をやりたいという見解を求められるのは当然だと思うのですが、捜査当局はどう考えておられますか。
○柴田説明員 私どもも、公電は外国政府の公文書でございますから、これに対しまして相応の敬意は払うべきものと考えております。ただ、これが直ちに捜査に役立つような中身を持っておるかどうかということにつきまして、とりあえず検討してみますと、御承知のとおり、これまでも金大中事件がKCIAの犯行であるという結論部分と申しますか、それはしばしばいろいろな角度から言われてきたわけでございます。私ども捜査の立場といたしましては、なぜそうだというのかという手がかりが欲しいというところでございます。そういう意味では今回の公電の中にも捜査を進展させるための新たな手がかりはないというのがとりあえずの私どもの見解でございます。 ただ、先ほど申しましたように、現在外務省におかれまして全公開公文書、これの調査御検討中でございますので、私どもといたしましてはその結果を待って、捜査上の検討もしてみたい、こういうことを考えておるわけでございます。 なお、スナイダー氏等に直接話を聞くのかという点につきましても同様でございまして、外務省側の御検討を待ちまして検討をし、外務省側と御相談をしてまいりたい、このように考えております。
○寺前委員 捜査当局に言わせれば外務省当局の検討を待ちたい、外務大臣の側から聞くと捜査当局が間違いないと断定して取り組んでもらいたい。これではあなたピンポンの球の投げ合いをやっているようなことになってしまうではないか。いずれにしたって、国会においても福田総理のときにこういうことを言っています。「アメリカでいろいろな資料が出てくるということはこれはまあ一つの参考にはなりましょうが、わが国はわが国としてわが国の正当な官憲による調査をしなければならぬ」金炯旭氏の問題でさえもここまで言ったもんです。まして直接の関係者がKCIAの犯行の断定をするようなこういう会談がなされている。この会談がうそだと言うんだったら話は別です。会談がなされていることは否定はしない。しかもそこに打たれた電報というものが、会談結果の内容についてこれまた明確に否定はされていない。とするならば、わが国の正当な官憲の手によって調査をしなければならないということに、従来の立場から言うならばなるのじゃないでしょうか。本当に日本の主権を守るという立場からお考えになるならば、当然のことながら直接わが国の官憲の手でこれを調査をするということをちゃんと外務大臣自身が捜査当局にも正式に問題を提起してしかるべきではないか、私はそう思うのですが、最後にその件を聞いて、予定された時間のようですからやめたいと思います。
○園田国務大臣 私の方と捜査当局とピンポンやっているわけではありません。当然、関係資料の入手あるいはいろいろな照会、こういうことは外務省がやりまして、外務省がやったものを基礎にして捜査当局が捜査を進める、あるいは最後の断定をする、こういうことになるわけでありますから、一つもピンポンをやっているわけではございません。なおまたいまの問題は、今後検討し、十分照会その他の努力をした上で決まるべきことでございます。
○塩谷委員長 依田実君。
○依田委員 けさから三時間になんなんとする議論をいろいろ聞かせていただいてまことにむなしい、そういう感じが端的にするわけであります。本当に政府は、例の政治決着が行われた後にお述べになったように、新しい事実が出てきたならばこの政治決着について見直しをする、こういう御意見なのかどうか、どうも疑わしいような気がするのであります。ひとつ最初にもう一度、その新しい状況が出たならば政治決着を見直す、こういう態度は変わらないのかどうか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 さらに検討、分析等調査を進めまして、必要があらばそういうこともあり得ましょうが、いまの段階では政治決着を見直すようなことはないのではないかということを申し上げているわけであります。
○依田委員 いま大臣がおっしゃったように、私の感触では、政治決着を見直す、こういうことはどうも永久になさそうだ、こういう感じがいたしまして、本当に残念だ、こう思うのであります。この七五年の一月九日に行われました金東作・スナイダー会談、この問題について韓国そしてアメリカに御照会をなさっておるようでありますけれども、アメリカに御照会なさったやり方、そしてまた向こうはこの問題についてはノーコメントだ、こういうふうに言われておるようでありますけれども、それは会談があったことの事実それ自体がノーコメントなのか、あるいはまたその公電の中の例のKCIA問題、それについてノーコメントなのか、その辺はどちらなんでしょうか。
○柳谷政府委員 先方のお答えは、いまお挙げになった全体に関してノーコメントということでございます。
○依田委員 そうならば、そのまま外務省が、はいそうですか、それで引き下がるとは実に情けないと私は思うのであります。これだけの公文書が出ました。これだけ日本の国会が騒ぎ、そしてひいてはこれは日本と韓国の将来の友好関係に大変なマイナスを与える、こういう文書であります。その文書を公表しておきながら、それについてはノーコメントだ、こう言うのはどういうことなんですか。そのままお引き下がりになったのですか。
○柳谷政府委員 はいさようですかと引き下がったわけではございません。まず、これが報道されました十二日の時点から私どもの努力が始まったわけでございますけれども、十二日、これは電話等によりまして、東京でもいたしましたけれども、ワシントンでも、まずとりあえずの事実関係の確認と何らかの説明を求める申し入れをしたのが最初でございます。その後十四日、月曜になりましてからさらにこれを行ったわけでございます。一番最近のものといたしましては、先週末、東郷大使が先方の国務次官と会談して再度この問題について話しまして、その際にも同じような論議をしたわけでございますが、先方の答えは全く同じで、論評する立場にないということでございました。ただ、先ほどから繰り返し申し述べておりますように、当該特定の電報のみならず、これらの文書の中にはいろいろ注目すべき点がほかにもございますので、それらの検討の上で、捜査当局ともいろいろ御相談した上で再度米国側に話を聞く、照会をするということも現時点ではなお考えているわけでございます。
○依田委員 これからも分析して、なおまたアメリカ側に要求するのだというお話でございますけれども、しかし幾ら分析したって、幾ら向こうから文書がたくさん出てきても、問い合わせた場合にノーコメントだなんということを言われていたのでは、これは分析のしようもないじゃないかと私は思うのであります。そういう意味で、アメリカ側にこれからもしそういう要求をするならば、いまの日本のこの問題についての状況、そしてまたこの文書が将来の日本と韓国間に与えるマイナスのいろいろなものについて、この文書を出したことについてアメリカ側に日本側が抗議すべきだろう。そうじゃなければノーコメントで結構ですと言うわけにはいかないと思うのでありますが、どうですか。
○柳谷政府委員 最初に接触したときから米国側はこういうことが起こったことに対する遺憾の気持ちは表明しておりました。 それから、いま御指摘のありました日本側の事情、いかにこの問題が日本において大きな問題であるかという点は、これは今回だけに限りません、過去においてもいろいろの機会に米国政府と接触したときにも累次申しているところでございますけれども、今般、特に先週末の東郷大使の先方との接触の際には、時間をかけましてこの点をもう一度詳しく先方に説明いたしました。先方もこの点はよく了解しているものと考えております。
○依田委員 はっきり日本側に対して遺憾だということを向こうは言ったんでしょうか。
○柳谷政府委員 お答えいたします。 先方が遺憾であると言いましたのは、手続上手違いがございまして、本来公表すべきものでないものが公表されてしまったということについて、それが起こしたいろいろな混乱ということについては非常に遺憾であったということを述べたものでございます。
○依田委員 そしてそう言いながらまたその後残余の文書を出す、あるいはまたこれから日本政府が要求すれば出す、こう言うんですか。
○柳谷政府委員 事実関係で申し上げますと、最初にアメリカ側と接触いたしましたのは、共同通信社の要請に対して出した文書、これに若干の手違いがあったということで始まったわけでございます。その後別な、読売新聞社に対しても同種の文書を出したということが明らかになりまして、したがって二つの方面にほぼ同じものを出したということがわかったわけでございます。現在のところ、私どもの承知しておりますのはそれだけでございます。 ただ、先ほど御質問があって私が申しましたのは、米国の情報自由化法がございますから、何人といえども、一定の手続を経て要請すれば、その法律によって、出して適当と考えるものを出す可能性というものは一般的にはあるということを先ほど申したわけでございます。
○依田委員 そして遺憾と言いながら、この日本側のいろいろ事実の調査についてはノーコメント、これでは何かけんかの材料だけ出しておいて、あとは要するに自分たちでやれ、こういうことじゃないかと思うのであります。そういう点でわれわれ、今後アメリカ政府に厳しく抗議をしていただきたい、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
○柳谷政府委員 今後の話し合いにおきましても、日本側の事情等をよく先方にさらに理解させる努力は当然払わなければなりませんけれども、米国側が、日韓間の問題であるので米国としては終始これに介入する立場にない、したがって、これらに関していろいろな報道あるいは情報に関してノーコメントであるという姿勢をとっておりますのを、これを一概にけしからぬということが言えるかどうか、アメリカの立場としては、これは第三国間の問題であるからノーコメントであるというアメリカの基本的な方針があるのだということを累次明らかにしているものと理解しております。
○依田委員 このいまの問題はまあまあにしまして、一方、韓国が問い合わせに対しまして、そういう会談の事実はなかった、金東作は記憶がない、こういうことでございますけれども、何やらよく日本の政治の中にある、都合の悪いところは記憶にない、こういうようなことに似通っているようなことを言っているわけでありますが、韓国側にはこれ以上調査あるいはまた事実関係をもう一度問い合わせる、そういうことはなさるでしょうか。
○柳谷政府委員 韓国側に対しましても、この報道された直後と、さらにその後の接触で二、三回同じような質問を繰り返しました。最初はこの会談の記録がないというとりあえずの返事だったわけでございますが、その後の説明で金東作氏自身に聞いたところ、記憶がないというさらに追加的な説明があったわけでございます。私どもはこれですべてもう聞かないというわけではございませんで、調査の結果も踏まえまして、さらに聞くことも考えている次第でございます。
○依田委員 もうこれは堂々めぐりでありまして、詰まるところがないのでありますけれども、しかしわれわれは、日本と韓国との長い友好関係を保つ上で、この問題についてはもう少しはっきりした決着をつけるべきじゃないだろうか、こう思うのであります。 先般、ある外務省の先輩の新聞の談話にもございましたけれども、この会談があくまでもない、こういうようなしらを切る国に対しての外交姿勢というものについては再検討したらどうだということを外務省の先輩の方がおっしゃっておるわけでありまして、われわれもこういう問題がうやむやでは、本当にそういう相手の国をわれわれ信じていいのかどうか、疑いを持たざるを得ないのであります。そういう意味でひとつこれからの日韓外交について再検討する、この問題を契機に少し外交について慎重に再検討しよう、そういう気はないでしょうか。
○園田国務大臣 日本と韓国の外交、特別な関係ではありますけれども、時代が変わり、世の中移るわけでありますから、逐次両国に納得のいくよい方向に持っていかなければならぬことは事実であります。この事件はこの事件で、これは政治的決着をするについては両国が相談し合ってやっていることでありますから、これはこの問題として捜査を続ける以外にないと存じます。
○依田委員 もちろん両国で御相談になってこういう結果になったことは明々白々でありますけれども、その相談の仕方が後世の日本の外交に悔いを残すのじゃないだろうか、こういうふうに私は思うので、一言だけつけ足させていただきました。 あと時間が残り少なくなりましたけれども、例の電電の調達問題についてしばらく動きがとまっていたかに見えましたけれども、この六月の二日ストラウス代表が来日されまして、今回でこの決着をする見通しだ、こういう報道がなされておるわけでありますけれども、その見通し、そしてもし決着に持ち込まれる可能性があるならば、その予想される内容についてお聞かせをいただきたい、こう思います。
○園田国務大臣 六月の二日にストラウス大使は中国を訪問した帰りに日本に参ります。その際、牛場日本の代表とストラウス代表が日米間の当面の問題について話し合うようになっておりますが、新聞等では解決をするとこう書いてありますが、具体的に解決をするということよりも、政府調達を含んで日米双方ともできる限り早く解決したい希望はあるわけでありますが、なかなか具体的解決はいろいろ問題があるわけでありまして、そのために今後どういうような方法で交渉をするか、その手順とか枠組みとかこういう基本的な問題について、今度了解ができれば幸いだと思っているわけでございます。
○依田委員 新聞報道より少し慎重なお答えのようでございますけれども、いずれにいたしましても私たちが望みますことは、一方的な日本側だけの開放、そういうふうに終わるのではなくて、やはり日米間相互に利益がありますような、そういう解決の仕方をしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。 残念ですが、大臣の行ってこられたIEAの方についての御質問ができません。大変申しわけありませんけれども、時間が参りましたので、ここでやめさせていただきます。どうもありがとうございました。
○塩谷委員長 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 今度の、特に七五年一月十日付のスナイダー発国務長官あて公電、これが事件を見直すに足る証拠、事実となり得ないというその判断は、一つはこれが伝聞であるということ、二番目に韓国側が否定をしておるということ、その二つと、答弁を聞いておりますと思われるわけです。その二つのうちに韓国側のこの否定が崩れたら、伝聞ということも消えるわけですから、見直すに足る有力な手がかりだと思いますか。
○園田国務大臣 それはおっしゃるとおりで、当事者が認むればこれ以上の証拠はないわけでありますから。
○楢崎委員 さて、韓国側の否定でありますが、一つは御本人にそういう会談をした記憶がないということ、二番目に韓国外務省にその会談の記録がないということ、この二つを根拠にされていますね。いいですか。——首を振られましたから、そう理解します。 そこで七五年一月十日付のこの公電でありますが、「一、金東作外相は、一月九日本使と会談した際、」会談した場所を把握しておられますか。
○柳谷政府委員 把握しておりません。
○楢崎委員 私ば、まず金東作氏自身が記憶がない、否定はしていないのですね。記憶がない、これは先ほどもちょっと話が出ましたが、わが日本の経験では、証人喚問等で証人がよく事実を隠蔽する際に使われる言葉でありますが、私は金東祚さんがそういう意向であるかというような失礼なことは申しません。しかし感じとしてはそう思います、否定はしていないけれども。 二番目に、韓国側の外務省に記録がない。これを聞いたときに私はすぐあることを思い出しました。それは何かというと、今度のダグラス・グラマン事件で、ハワイ会談に当時出席をしたアメリカ国務次官補グリーン氏が、故鶴見参事官に話をした。それは雑談の形であったから日本側には記録がなかった。この事実をすぐ思い出したのであります。 そこで、この一月九日の会談がどこで行われたか。公式に、ある部屋で正式の会談でなかったから記録がないのではないか、こう私は推測をするのであります。そしてその推測の根拠は、一月九日にスナイダー氏が金東作、当時の外相と話をしたというのは、実はソウルの郊外にある在韓米陸軍第八軍の専用ゴルフ場で、プレーをしながらこの内容の話をしたという有力な情報があります。だから韓国側の外務省には記録がなかったのではなかろうか。この情報は、スナイダー氏自身も含めて、スナイダー氏に接触した人も含めて非常に確率の高い情報である。したがって、この点は直ちにスナイダー氏にその会談の場所はこういうことであったかどうか確かめてもらいたい、これは具体的な話であるから。なお金東作氏自身にも記憶をよみがえらせていただくために、同じように問い合わせをしていただきたい。いかがでしょうか。
○園田国務大臣 その事実を否定する種も肯定する種もありませんけれども、しかし有力な資料でありますから両方に問い合わせをいたします。
○楢崎委員 私は、この事実が明らかになれば、韓国側の否定についてその一部の根拠が薄れる、こう見ておるのです、重要なところですから。そしてもし否定が崩れれば、さっきおっしゃったとおり見直しの有力な材料になる。そのことを特にお願いをいたしておきます。 なお、でき得べくんば、外務省とともに、わが外務委員会として、委員長からも両者に照会のレターを出していただきたい。理事会でお諮りをいただきたいと思いますが、どうですか。
○塩谷委員長 理事会で諮って、善処をいたします。
○楢崎委員 あと航空機疑惑の問題に移りますから、外務大臣はもう結構です。ありがとうございました。 航空機疑惑の問題についてお伺いをいたします。 一時から参議院で松野氏の証人喚問があっておりますが、伊藤刑事局長が、初めに五億円ありきと、こういうことだということは、F4E採用工作のための金としての五億円があらかじめ約束をされておった。先にはっきりなっておった、こういう意味ですね。
○水原政府委員 お尋ねの問題はまさに捜査の内容そのものを述べろという御趣旨に承れるのですけれども、この問題につきましては先日、伊藤刑事局長が参議院の航特委で答弁されたとおり御理解いただきたいと思います。
○楢崎委員 その松野氏と約束らしいものをした相手側は一体日商のだれですか。
○水原政府委員 ただいまの御質問ですが、約束があったというふうに刑事局長は答弁しておりません。初めに五億円ありきということで御理解いただきたいという趣旨でございます。そのように御理解いただきたいと思います。 なお、その相手方につきましては、これも日商岩井のこれに関する最高の責任者と申しますか、これは当時の副社長海部でございます。したがって、海部との間でしばしばF4ファントムのものについて話があったということで御理解いただきたいと思います。
○楢崎委員 約五億円というのはドル建てで話し合われた。五億円をドルに直せば百四十万ドル、大体そういうことで理解してよろしゅうございますか。
○水原政府委員 最初にも申しますように、五億円について最初に約束があったということは私どもいままで申し上げておりません。初めに五億円ありきということでございますので、現実にはドル建ての送金分もございまして、必ずしもぴったりと五億円にはなっていないということで御了解いただきたいと思います。
○楢崎委員 だから百四十万ドルであれば、当時三百六十円とすると五億四百万円になりますね。そのうち海外口座を使っての支払いが、刑事局長の答弁ではアメリカ及びヨーロッパ、こうなっておりますね。五億円のうちどのくらいの率が海外で支払われたか。 〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
○水原政府委員 そのうち何万ドルという万のけたで言うならば一けた程度のものだと御了解いただきたいと思います。
○楢崎委員 そうすると、海外で支払われたのは二けたではなしに単数の数万ドル、こういうふうに理解するわけですが、アメリカとヨーロッパと挙げられておりますが、アメリカとヨーロッパで、アメリカの方は何回、ヨーロッパの方は何回なのか。そしてまたアメリカの銀行は場所——銀行を使われましたね。それからヨーロッパの海外口座のある銀行の名前、場所、それを明らかにしていただきたい。
○水原政府委員 楢崎委員も十分御承知かと思いますが、本件約五億円に関する問題はマクダネル・ダグラス社から日商岩井が二百三十八万ドルの事務所経費ということで支払われた事実について、海部八郎氏が国会での証言の際に、全く関係ないということから、検察当局は議院証言法違反の関連事実ということで調べたわけでございます。その関係で言うならば、五億円の支払いというのは議院証言法違反事実に関する間接事実でございまして、その支払いの先がどこであるかということは、間接事実のさらに間接事実ということに相なるわけでございます。検察当局の捜査権限の及ぶ範囲は、委員も先刻御承知のとおり、大変限られております。関連以外のことについての捜査は必ずしも好ましからざることだという日ごろからの御指摘がございます。したがいまして、その先につきましても十分な御説明を申し上げることはできませんが、あえて申し上げますならば、米国にある某銀行とヨーロッパにあります某銀行にそれぞれそんなに多数回ではない、少数の回数での送金があったということで御了解いただきたいと思います。
○楢崎委員 某銀行というのは初めからわかっているのでありまして、場所はどこかということくらいは言えるのじゃないのですか。
○水原政府委員 これにつきましては、先ほども申しますように間接事実の間接事実ということになりますので、ここでの答弁は御容赦願いたいと思います。
○楢崎委員 じゃこれを最後にします。 間接の間接、つまり二百三十八万ドルの流れを追っているうちに出てきた事実だからこれ以上調べようがないのか。そうすれば、これ以上立ち入って調べるとすれば、たとえば松野氏が偽証で告発されるような事態でないと、もう捜査されないわけですね。
○水原政府委員 松野氏に関する偽証云々はさておきまして、検察当局といたしましては調べる方途はございません。
○楢崎委員 終わります。
○愛野委員長代理 次回は、来る三十日水曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十二分散会