科学技術振興対策特別委員会 第6号
- 発言数
- 396 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1979/04/11
会議録
○大橋委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 この際、米国スリーマイルアイランド原子力発電所の事故について発言を求められております。これを許します。国務大臣金子岩三君。
○金子(岩)国務大臣 去る三月二十八日の米国原子力発電所の事故について、これまでに入手いたしました情報に基づき、御報告申し上げます。 本原子炉は、バブコック・アンド・ウイルコックス社製の加圧軽水型炉でありますが、これが三月二十八日午前四時ごろ、蒸気発生器二次側の給水系の故障を起こしましたのが今回の事故の発端であります。 その後、後ほど政府委員より御説明申し上げることにしますが、一部の重要な機器が作動しなかったり、あるいはこれらが過って操作されたりすることが重なり、結果的に周辺環境に放射性物質が漏洩し、周辺住民に多大の不安を与えることになったわけであります。 本件事故に関しましては、わが国としても、原子炉の安全対策を考える上で重要な意味を持つものと受けとめ、事故の第一報入手以来、鋭意情報の収集分析と対策の検討に取り組んでまいりました。 特に原子力安全委員会におきましては、私からもお願いいたしまして、米国原子力規制委員会から発表される情報を逐一分析し、わが国の原子力発電所に係る対応策を検討するとともに、内田原子力安全委員会委員を初めとする専門家の派米、本件事故の調査のための専門部会の設置等の措置がとられているところであります。 また、行政当局におきましても、原子力安全委員会の意見に基づき、わが国の原子力発電所等の管理体制の再点検を指示する一方、閣議における総理大臣の指示に基づき、災害対策基本法に基づく原子力発電所の防災体制について関係省庁が協力して、その機能性、具体性を再検討することといたしました。 本件事故の詳細及びその原因の究明については、今後の調査の進展にまつ必要がありますが、政府としては、原子力安全委員会の意見を十分尊重しつつ、原因究明、対策立案に積極的に努めるとともに、このたびの教訓をわが国の原子力安全確保対策に積極的に取り入れる所存であります。
○大橋委員長 次に、牧村原子力安全局長。
○牧村政府委員 お手元に科学技術庁並びに通産省が取りまとめました「米国スリー・マイル・アイランド原子力発電所の事故について」という資料をお配りしてございますが、そこの五ページ以降に事故経過の概要が記載されております。 この事故経過につきましては、アメリカの規制委員会の資料発表等からまとめたものでございますが、今後より詳細な情報によりまして修正を加えていかなければならないと思っております。これに基づきまして簡単に事故の概要を御説明させていただきたいと思っております。 まず、事故の発端でございますが、四ページに概念図がございまして、この右側のタービン建屋の真ん中辺に二次給水系、一というのが書いてございます。いろいろ伝えられます情報によりますと、脱塩装置を操作しておりましたときに、何らかのふぐあいによりまして、ここに弁がございますが、この弁が閉じてしまったために主給水ポンプ、三でございますが、これがとまってしまったということでございます。これがとまりまして、原子炉炉心の高圧水から蒸気を取り出します系統が不作動になったわけでございます。したがいまして、蒸気発生器の機能が落ちたわけでございます。 そういたしますと、炉心、ここでは原子炉容器、十七でございますが、この中の温度圧力が上がってまいりまして、これを調節いたします加圧器、炉心の上に五と書いてございますが、これが同じように圧力を増大いたします。この段階におきまして原子炉は、制御棒が駆動いたしましてシャットダウンしたわけでございます。このような状態になりますときに、タービン建屋の下の方に書いてございます補助給水系、七が当然作動する機構になっておりますが、この作動が、ここに書いてございます弁が閉まっていたために、補助給水ポンプが稼働いたしたにもかかわらず補助給水が行われずに蒸気発生器、格納容器の中の二でございますが、この中が空だきになってしまったというような状況が引き起こされたわけでございます。 その後、炉心の圧力が高まりましたので、加圧器の圧力逃がし弁、これは格納容器の上の方に書いてございます六でございますが、六を通しまして放射性物質を含む一次冷却水がここに逃れてまいりまして、これが線図で示しておりますようなルートを通りまして、原子炉格納容器の下の方に加圧器逃がしタンク、八に導かれまして、この中が所要の量、圧力以上になりましたので、このタンク圧力逃がし装置、九というところから熱水、蒸気が噴き出まして、下の格納容器サンプというところに水が流れ込んできたわけでございます。 このような経過をたどりまして圧力逃がし弁から蒸気が出てきたために炉心の圧力が低下したわけでございますが、この際、一つの事象として、加圧器の逃がし弁がずっと閉じていないというような現象がありまして、原子炉圧力はさらに低下いたしまして、非常用炉心冷却装置、ECCSと言っておりますが、そのうちの高圧注水系のECCSが自動的に作動して炉心に注水を行っておるようでございます。これが説明書の五のところでございます。 こういう炉心の異常事態が起きますと、ECCSは自動的に常時注水を継続するのがわが国では通常とされておりますが、六のところでございますが、運転員が高圧注水系、十一を動かしまして、手動で停止しております。これは加圧器の水位が異常に上昇して圧力調整ができなくなることを恐れたとも言われております。そのような状態でなお逃がし弁が開きっ放しになっておりまして閉じることができなかったために、炉内にございます一次冷却水がどんどん出ていったわけでございます。そのときに運転員が、この原子炉圧力容器の中の十二という一次冷却水ポンプがございますが、これをポンプの破壊を防ぐというようなことで停止したようでございます。これが七のところに書いてございますが、原子炉冷却水中のボイド等を発生させ、自然循環を妨げ、燃料を破損させる原因になったのじゃないかというふうに言われておるところでございます。 その後、原子炉は、補助給水系、七の弁をあけまして、手動で動かした。また、高圧注水系も再度作動させるというような操作が行われております。このように高圧注水系を断続的に作動したために、原子炉冷却系統中にボイドが発生したのではないか。後ほど御説明いたしますが、そのボイドの中に水素等があること並びにボイドが発生したために原子炉の冷却が非常にむずかしかったというようなさまざまな状態を生じさせておるところでございます。 それから七ページの方に移らせていただきまして、この格納容器の底にたまりました——格納容器サンプというのが一番下のところに書いてございます十三のところでございますけれども、このたまりました水が、いかなる理由によるものか、次の左側の補助建屋の方のここのポンプが作動いたしまして、次の建屋に送られております。ここに移送ポンプとありますが、十五のところでございます廃液貯蔵タンクに運ばれた。このときに、弁のふぐあいか、廃液を多量にオーバーフローさせております。これが一次の事故によりまして放射性希ガス等を外界に放出した。環境を汚染する最初の原因になったところでございます。通常この移送ポンプは、ECCS等は、わが国では働いておる場合には確実に閉まることになっておるのでございますが、アメリカの場合そのような措置がなかったもののようでございます。そういうような事象でまず第一回の大気中への放出があったわけでございます。 それから、十四のところに説明しておりますが、三月三十日になりまして、ここの説明図では、補助建屋の中に十六としてガス減衰タンクというのが書いてございますが、通常の運転時では放射性ガスはここにためておきまして、ある一定期間減衰を待ちまして放出するわけでございますが、事故の発生後、三十日に至りまして、NRCに通報の上、ここにたまっておりますガスを大気に放出しております。 この状況に至りまして、ペンシルベニア州知事が半径八キロメートル以内の妊婦、児童の退避を勧告するというようなことが行われたわけでございます。この十六にも書いてございますように、同日午前のサイトの境界の放射線レベルは、二十ないし二十五ミリレントゲン・パー・アワーというような程度の放射線の放出が行われたわけでございます。 その後、先ほどもちょっと触れましたけれども、このようなECCSの作動あるいは断続的な作動、一次冷却水ポンプの停止というようなことによりまして原子炉圧力容器の中にガスがたまり、そのために冷却がなかなかスムーズに進まなかったというような事象が大きく報道され、その中のガスの中には水素が入っておりますので、格納容器から漏れ出ました水素が格納容器の中で水素爆発というような懸念がされたわけでございます。一部には、部分的にこの水素爆発があったという記録も報告されておる次第でございます。九ページの二十一のところにも書いてございますが、四月の二日ごろには原子炉圧力容器の中のガスは急速に減少いたしまして、また格納容器内の水素ガスと酸素を結合させまして水にするリコンバイナーの作業開始によりまして水素の濃度は急速に低下し、現在におきましては炉心のボイドもとれておりますので、原子炉の冷却は順調に進んでおるということでございます。 それから、九ページの二十三のところに書いてございますが、四月の三日ごろのNRCのデータでは、環境中の放射性沃素がミルクに若干検出されるようになったという報告が出されております。その濃度は十四ないし四十ピコキュリー・ア・リッターでございます。これは一般の人の健康に及ぼす影響は非常に少ないと言われておりますが、炉心から格納容器を通じ外界にこのような沃素が出て、それがミルクに検出されるというような事象も起きておるということでございます。 この中で、アメリカのNRCも指摘しておりますように、二次給水系のポンプがとまったときに、補助給水系のポンプが動いたにもかかわらずなぜ弁を閉めたままにしておいたか。これはいろいろ言われておりますが、前の定期検査を行いました運転中の検査で作業員が弁を閉めっ放しにしておったということの報道もございますけれども、この補助給水系の弁が開かなかったためにこのような大きな事故を起こしたということ、それからECCSが作動したにもかかわらず手動で適宜運転をされたこと、一次冷却水ポンプをその間とめて原子炉が一時的に空だきになって、相当量の燃料、約四分の一の燃料が破損されておるというふうな事態を招いたこと、それから圧力容器から加圧器を通じまして圧力格納容器に出ました水を移送ポンプを使ってわざわざ放射線を外に出すような操作をしたこと等、いろいろなミスオペレーションを含めまして、いろいろな問題点を提起しておりまして、私どもこの辺の原因等早急に調査いたしまして、わが国の原子力安全の強化に大きな参考としてまいりたいというふうに考えておるところでございます。 …………………………………
○大橋委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。小宮山重四郎君。
○小宮山委員 三月二十八日、米国で起きたスリーマイルアイランドの事故、これは大変な事故で、日本でも深夜テレビで人工衛星を使って放送された。また、われわれにとっても、日本が一千万キロ時代を迎える、また国土が狭い、こういう中で、もしこのような事故が起きていたらどうするんだろうという大変なショックを受けております。たまたまこの事故が起きたときに、田島先生はアメリカにいらっしゃって米国のNRCを訪問中だということでしたが、なかなかはっきりしたニュースがわれわれの手元に入っておりません。いろんな報道が出ております。また、通産省では各県の担当者会議を開いて地元住民に納得していただくにはまだ情報が確定していないということで、不安感を抱いておるというような事実もございます。アメリカで得た情報あるいはアメリカで得た感覚というようなものをちょっとお話をいただければありがたいと思います。
○田島説明員 ただいま御質問がございまして、当時私アメリカにおったわけですが、最初にお断りしておきますことは、アメリカにおったために的確な情報が恐らく得られているだろうというふうなお話のようですが、実は逆でございまして、私がおりましたときは事故が起きました初期でございますので情報が乱れ飛んでいるようなとき、実はそういうときにワシントンを離れておりますので、的確な情報という意味では後の方が的確な情報になろうかと思います。しかしながら、現地で私が体験したもの、生のという意味では御参考になろうかと思いますので、私の旅行の大体の目的その他スケジュール、どういうふうになったかということをお話し申し上げたいと思います。 今回参りました出張の目的は、日本の原子力行政が変わりましたので表敬と言っていいのかわかりませんですが、日本の原子力行政の組織をアメリカのしかるべき組織に報告して了解を得るというのが一つの大きな目的でありまして、あわせまして研究所その他を二つ見る、あるいは技術的な討論をするために伺ったわけです。 訪問先を時間の経過で申しますと、EPA、NRC、DOE、OTA、OTAというのはなじみがないかもしれませんが、オフィス・オブ・テクノロジー・アセスメントというコングレスの調査機関のようなものでございます。それがアメリカの原子力に関する行政組織の主要なものでございますが、その後、バーンウエルという再処理施設並びに廃棄物施設、これは見なかったのですが、バーンウエルに行きまして、それからサンデア・ラボラトリーに行って、それで帰ってきたというところでございます。それが全体の日程でございます。 ついでと申しますか、日本の原子力行政に対しまして、これらの機関はかなり強い関心を寄せまして、いろいろ質問なり行政機構の変革について話し合いをしてまいりました。特にNRCは、日本の改革に対してかなり関心を示したわけです。 三月二十六日にワシントンに着いたわけですが、三月二十八日、NRCの委員長のヘンドリーさん以下コミッショナーと食事をしてお話し合いをする予定で、現地時間で十時にNRCの事務室に行きましたところ、やや騒然——ややと言いますか、ちょっと予定が狂った。予定どおりに進まないわけです。そのうちコミッショナーのケネディーとケネディーの事務室で面会いたしまして、いろいろわれわれのことを説明しておる間に、実は十時ちょっと過ぎておったと思いますが、電話が入ってまいりまして、そこで、実はわれわれの前でスピーカーで相談が始まったわけです。その相談の相手は、後でわかったのですが、コミッショナーのギリンスキーとベセスダのオペレーション・オフィスの責任者の多分ステロという方だったと思います。後で会うわけです。その三人とが、その距離は全部離れておるわけですが、離れたまま、そこで相談が始まったわけです。 それは想像いたすところによりますと、先ほどもお話がありましたように、四時ごろ事故が発生いたしまして、七時にそれが宣言されたわけですが、そのコミッショナーたちは七時に知ったらしいのです。その七時に知ったときに指令を出したらしいのです。いろいろな指図をしたわけですが、その指図の結果が恐らくそのとき出てきたようなぐあいに思います。と申しますのは、被曝した人はどのくらいいるかとか、それから外にどのくらいの線量が出ているかとか、あるいは牛乳のサンプルをとったとかいうふうなことが出て、スピーカーを通してお互いに相談をしているわけですが、そのとき、周辺一帯のミルクのサンプルを分析した結果が出てまいりまして、不確実であるけれどもミルクにヨードが出たというふうな話もあります。被曝は六人の作業員が規定以下ではありますが、通常の被曝よりも多い被曝を受けたというような話もありまして、そういう話が行われております。私たちもそこで初めて事の重大さを知ったわけであります。 そのときは実はヘンドリーさんがちょっとした病気で病院に入っておられたので、ギリンスキーさんがチェアマン代理をやっておるわけですが、ギリンスキーさんのところに行きましても、どうも電話が多くて一応の説明で終わったわけですが、いろいろギリンスキーさんと食事をして意見を交換してきたわけです。 面会の時間が切れまして、そこで早速私たちは東京にこの事実を電話で報告いたしました。しかしながら、このまま後の経過を追うべく、私たちとしましてはもう一度NRCと連絡をとりまして、その事故の状況をもう少し説明してほしいということを申し入れまして、そこで翌日NRCの適当な人に会わせてもらうことになりまして、翌日ベセスダのステロという、先ほど申しました人に——これはワシントンから四十分くらい自動車で行くところですが、ビクター・ステロという人に、これはディレクター・オブ・オペレーション・リアクターなんですが、ここに行って話を伺ったわけです。 そこはどういう立場のところかと申しますと、御承知のようにアメリカはアクシデントのときに五つの区画に分けまして、リージョンワンからリージョンファイブまでございますが、これはリージョンワンに起きた事故でありますので、そこのオペレーションオフィスがベセスダにございまして、そこの責任者ということで会ったわけです。 いろいろ事故の経過を聞いたわけですが、その経過は、タービントリップをしたとか、二次系の補助のバックアップ系統が働かなかったとか、リリーフバルブがあいたけれども閉じなかったとか、一次冷却水が六万ガロン出て、そのうちの一万ガロンが建屋の方に行ったとか、あるいはヘリコプターで上を測定すると放射能が非常に高いので初めはびっくりしたけれども、その線量は実はフォールアウトによるものではなくて補助建屋からの直接ガンマであるとか、そういう種類のことがございました。ただ、それが三時から七時までの間は何が起きたかまだわからない、全く事実関係だけしかわかっておらなかった次第です。したがって、この辺のデータは、むしろその後のNRCの発表あるいはその後にわかった発表の方がもっと正確であります。 そこで、私は二十九日に東京に電話を入れまして——二十八日だったか二十九日だったか、ちょっとはっきり覚えていないのですが、私はワシントンに残るべきであるかどうかということを委員長に伺いましたところ、委員長からは、私は予定どおり旅行を続けてよろしいという返事をいただきました。そこで、飛行機の時間ぎりぎりにワシントンを離れまして、それから先ほど言いましたバーンウエル及びサンデアのラボに行ったわけです。そのサンデアのラボにも、このアクシデントを解析している有力な技術者がおりまして、その人から、二次系の補助ポンプの系統のバルブが閉まっておって、これは操作員のミスである、何ということをしてくれたのだということを初めてそこで伺ったわけです。後はサンデアから日本に帰ってきて、私と一緒に随行しました佐々木安全室長はまたワシントンに戻ってその後の情報収集をやって、ただいまワシントンにいるというふうな状況が大体の経過でございます。 以上でございます。
○小宮山委員 ありがとうございました。 今度の事故は、いろいろな新聞等を読みましても、発生後もミスの連続とか連続故障のなぞとか、ずいぶんミス、ミスということが書いてあります。このような記事を読みまして、日本でもこのようなことが起こり得るのかという問題、あるいはコンピューターのプログラムのミスによるものとか、あるいはヒューマンエラーというのですか、そのようなことが行われて、アメリカの原子力の三十年の歴史、ハードウエアのみを信じてきたというようなこととか、日本も昭和四十一年に東海村がスタートしてからもう十何年かたつわけでありますが、そういうようなことから考えましても、今後原子力行政等について考え直さなければならないのでありますけれども、その前に、四月五日、NRCの検査実施局の発表した六つのポイント、人為的、設計上あるいは機械上のミスは次のとおりであるという、科学技術庁で翻訳したものを見せていただいておるのですけれども、この六つのポイントについてどのようにお考えになるのか、あるいは今回のこのような事故が日本で起こり得るのかどうなのかということをお聞きしたいと思います。
○児玉(勝)政府委員 先生ただいま御指摘の四月五日付NRCの発表によりまして、六つの可能性が指摘されております。これらの問題については、さらに正確な情報を入手いたしませんと、はっきりした断言と申しますか対応策を申し上げる段階ではないかと思いますが、ただいままでに得られました情報と、それからわれわれの方の若干の推測を入れましてその要因を考え、それをわが国におきますPWR型の原子力発電所に当てはめた場合にどうかということでお答えしたいと思います。 第一番目には、二次給水停止時に補助給水系統が動かなかったということでありますが、それが二系統ともバルブが閉められておったわけでございますが、これは日本におきましては、まず第一に、原子炉を臨界にする前に補助給水ポンプは二台とも運転可能になっておるということと、それからバルブが開である、開いておる。それは空気の弁が開である。電磁弁の方はもちろん閉まっておるわけでありますけれども、そういうことで確認をいたしまして、そうした後に原子炉を臨界にするということにしております。 また、主給水系が異常を発生いたしました場合には、これを直ちに検知いたしまして電動補助給水ポンプが自動的に起動いたします。そのとき補助給水系は相互に独立でありまして、弁によってつながっておるとかというようなことではございませんで、全補給水停止というのは考えられないわけでございます。電動補助給水ポンプが動きますときには電動バルブは自動的に開に開くようになっておりますので、たとえ操作員がミスいたしましてバルブを閉めておりましても、モーターが回ってポンプが動き出すと同時にバルブも開くということで操作員のミスが防げることになっております。また、この弁の開閉というのは中央制御室でもってすべてその状況が出ておりまして、モーターが回っても弁が閉まっておるというときには警報が鳴ります。そういうことで直ちにそれを手動で開にするということもできるようになっております。 それから給水ポンプ出口の手動バルブがございますが、これは誤操作防止のためにハンドルを施錠するようになっております。それはもうすでに臨界になるときにその点検を行っておりますので、運転中にその施錠を外して閉にするということはあり得ない、こう考えております。 それから二番目に、炉内圧力の上昇により開きました加圧器圧力逃がし弁が圧力が下がって規定値になっても閉じなかったということがございます。これにつきましては、スリーマイルアイランドの発電所におきましては電磁先駆弁というのを使っております。しかしながら、日本では空気作動弁というのを使っておりまして、これは比較的昔から使われておりまして、その作動原理も非常に簡単でございますし、その機能も非常に安定しておるということで採用しておるわけでございますが、そういうふうに弁そのものがまず違うのが一つでございます。また、これは手動によりまして、手動というのは制御室からでございますけれども、空気の動作によりまして自動的に閉止することもできます。そういうことで、その加圧器逃がし弁の作動状況、それからそのコントロールというのがともに中央制御室でできますし、さらに必要に応じましてはその加圧器逃がし弁のもとに元弁というのがありまして、これは電動弁でございますが、それを閉めるということもできるようになっております。 次に、加圧器の水位が適正に指示されなかったために運転員がその判断を誤りまして高圧注入系を早目に停止させてしまったということがあります。これはECCS作動後高圧注入系が入ったわけでございますけれども、それを途中で切ってしまった、こういう話でありますが、日本におきましては、ECCS作動後の高圧注入系は、一次冷却系の温度、圧力、水位等全般的な状況を十分考慮して適切な運転を行う必要がありますので、運転係長または運転課長または所長、そういう運転責任者の指示がある場合は勝手に操作してはならないということにしております。 四番目でございますが、高圧注入系を起動した際、格納容器が隔離されなかったために逃がし弁から放出された高い放射性の水がその補助建屋内に送られたという問題でございますが、日本の場合ですと、ECCSを働かせなければならないような非常事態になりますと、そのECCSを作動させる信号によりまして格納容器隔離という信号が出まして、格納容器と補助建屋とをつないでおりますすべての弁が閉止することになっております。そういうふうなことで、格納容器が隔離されたと同時にといいますか、ECCSが働くと同時に隔離されると言った方が正確でございますが、隔離されまして、それで格納容器の中にすべてその放射性のものがためられ、外には出さないということでやっておるわけでございます。その辺のシークェンスがスリーマイルアイランドのものと日本のものとはどうも違うようであるというふうに思われます。スリーマイルアイランドの場合には手動で隔離することもできますし、それから格納容器圧力高という信号が出たときに自動的に閉まる、そういうふうに聞いておりますので、そういう事態に至るまでは隔離弁があいていたというふうに類推しておりますが、日本の場合にはECCSが動くときにはもうすでに全部隔離させるというふうにしておりますので、放射性のガスが外へ出るとかサンプ内の水が外へ運び出されるとかということはまずあり得ないわけであります。 それから五番目に、逃がし弁から出ます一次冷却水を保管するために高圧注入系を間欠的に動作させまして、一次系の冷却能力を必要以上に低下させたということであります。これはいろいろ炉の状況を判断しながら高圧注入系を操作したわけでございますが、その辺いろいろな状況がはっきり把握できないために、恐らく炉水の水位低下とか、それから急激な圧力低下とかということを招きまして、一次冷却水中に気泡ができるというようなことをもたらしたわけでありまして、それがポンプの機能を著しく阻害いたしまして、そしてその一次系のポンプが振動を起こしてうまく動かなくなるというようなことで停止したこと等も類推されますので、高圧注入系ポンプが作動した場合には、これは自動操作することを基本としておりまして、炉の状態が全体的に安定するまでずっと注入を続けるということを基本にしておりまして、手動操作に切りかえないということを原則としております。 それから六番目に、原子炉冷却水ポンプの振動による損傷を防ぐために途中で原子炉冷却ポンプを停止させたということがありますが、これはちょっと五番目と関連がありまして申し上げましたが、振動を起こしましたのは、そういう気泡等が入りまして、炉水の中の気圧がある程度下がり、気泡も発生したのではないかと思いますが、キャビテーションという振動現象を伴う問題が起こってまいりまして、それをそのために停止させてしまったということであります。こういうこともなるべく冷却材ポンプの台数を減らすとかというようなことの操作をしながら、やはり一次冷却系のポンプはなるべく持続して運転させるということが望ましいというふうにしておるわけでございます。 以上でございます。
○小宮山委員 大変専門的でなかなかわかりにくい。いわんや国民はもっとわからないのだろうと思います。これは科学技術庁に要望しておきますけれども、もっとわかりやすく、安全性がどうあるかというようなことを発表していただきたい。特に日米間には日米原子力施設規制情報交換取極という約束があるはずです。ですから、このバブコック・アンド・ウイルコックス社とか、ゼネラル・パブリック・ユーティリティーズ社とか、メトロポリタン・エジソン電力会社とか、もちろんNRCからも情報をとって、もっとわかりやすく国民に知らしめる必要がある。田島先生がいらっしゃいますけれども、「むつ」事件のときも、ある意味では非常に誤解等もございまして非常に混乱した。しかし、それが安全委員会を生み出したことになっておるわけであります。今度の事件というのは、そういう意味では日本の原子力行政の中で大変大きな影響力を持っている。そういう意味でも、アメリカが三十年たった原子力行政に自信というか自信過剰というか、先ほど申しましたように、ハードウエアばかりに頼る、いわゆる人間の人為的なミスを見過ごすような、あるいは訓練を見過ごすようなことをやっておったのではないかというようなことも感じます。そういうことも考えて、原子力行政についての安全性は日本は世界一きつい国だと言われておりますけれども、やはりそれなりに歴史的な問題が日本にはございますので、こういう面については今後もっと国民にわかりやすく言っていただきたい。 それから、そういう問題と関連して、つい最近、安全委員会は、一般からどうも安全宣言をしたのではないかと誤解をされるような発言がございます。原子力安全委員会がそういう発言をされたので、ある意味では国民がアメリカのような事故を起こさないということで非常に安心をしたという面もあるのであろうと思います。しかし、一部マスコミ等ではこれが安全宣言だというような記事になっておりまして、そういう意味では非常にいろいろな誤解あるいは憶測が飛んでいるのが事実であります。 それで、この委員会の中ではどのような討論が行われたのか。大変長時間、十時間以上にわたって討論が行われたと聞いております。また、ほかの新聞によりますと、特別部会では、日本では起こらない事故とは言えないという立場をとったというようなニュースも流れております。そういうようなこともございますので、この辺について討論の内容、また委員長発言というか報告というか、そういうものについての御説明をいただきたいと思います。
○吹田説明員 安全委員会委員長談話が少しいろいろなところで問題になりました。 まず、お手元の資料の十四ページをおあけいただきたいと思います。それが委員長談話の全文でございます。 安全委員会といたしましては、このアメリカの事故の情報をキャッチいたしましたのは日付の関係上二十九日でございまして、早速翌日の朝の九時半に安全委員全員を招集いたしました。田島先生がちょうど渡米中でございましたので、四人の安全委員で、それまでに入りましたいろいろな情報を分析いたしました。われわれだけでは足りませんので、早速審査委員の専門家に午後来てくれるように、これは七人でございますが、招集いたしました。 まず、この談話の全文をごらんいただきますと、四つの項目から成っておることがわかります。いろいろな背景はまたそれぞれのところで申し上げますが、まず四つから成っておるということでございます。 一は、まず私たちが考えたのは、これは非常に重要なことであって、こういう事故を日本では起こしてはならないというのがわれわれのまず最初の考えでございます。 それでは、まずその事故の正確な情報を得ようというのがその次でございますけれども、非常にまちまちな情報の中から何が最も確からしいかということで、われわれはその確かな信号を雑音の中からより出さなければならない。単に雑音だからということで詳細なデータがわかるまで手をこまねいて待っておるわけにはいかない。われわれ日本国民の健康と安全はわれわれ日本人で守らなければならないという気持ちが非常に強くわれわれ委員の間に働きました。安全委員会というのは、国民の負託にこたえるためには、原子力を考える場合に座標の原点をやはり国民の健康と安全に置きましていつもながめるという姿勢をわれわれとしては貫きたいと、そのときも思いました。しかし、その見る原点の座標というのは、あくまでも科学技術的な座標でなければならない。その原点を国民の健康と安全という原点に持っていくということは私たち委員の全員が心得ております。 そういう立場からこの事故のいろいろな情報からキャッチしました正しいであろうという信号が二つございまして、その一つは、この事故が二次系のクーリングシステムの故障からスタートしているという、その時点におけるいろいろな情報から得ました一つの最も確からしい一これはおっしゃるようにハードウエアとソフトウエアとございますが、とにかく二次系のクーリングシステムからスタートしている。もう一つは、これに人為的な非常なミスが重なっておる。この二つが九時半から開きました十時間ほどの委員会で、非常にまちまちの情報の中から私たちがくみ取りました二つの確からしい情報でございます。 それでは、先ほど申しましたように、この確からしい情報から私たちが科学技術的に判断いたしまして、どういう措置を安全委員会はとり得るであろうか。それを諮問機関である私たちは行政に対してある指示をする必要がございます。どういうことができてどういうことをすべきであるかというのを考えましてまとめましたのが実はこれでございます。 その一は、これは非常に重要であるという点を強調いたしまして重視する。そのためには「正確な情報の入手」と「詳細な検討」が必要である。それが一でございます。 二は、その二次系のクーリングシステムから故障がスタートしておりまして、そのときには向こうのB&Wのいろいろ詳細な設計図はわれわれの手元にございませんでしたが、日本でそういうことが、つまりいま起こっている状態に持っていくには一体どういうパスを通っていけるのか、いろいろな試行実験をやってみました。つまりシークェンスをいろいろなパスを通って試みたのであります。そういたしますと、これまでの多重防護の思想から言いますと、これはいまのようにソフトとハードと両方ございまして、ここに書いてありますように、「安全審査、及び使用前検査、定期検査」、そういうような一つの見方の多重の防護がございますと同時に、実際ハードの面を考えてみますと、バルブでありますとか、その他重要なハードウエアのいろいろな検査、多重防護のレーヤーの一つ一つを確認してきたかどうかという日本のこれまでの実態を実は二で述ベたのでございます。そういういろいろな実態を踏まえまして、そういう事故まで二次の冷却システムの故障からいくかどうかということを検討してみますと、ほとんどいかないのでございます。というのが「ほとんどないものである」というような表現でございます。ところが、事故というものはほとんど起こらないものであるということで片づけられませんで、アメリカで現に起こっております事故をわれわれは非常に重視いたしました。 それでは、どういうことがいまわれわれとしてなすべきことであるかといいますと、それはその三で示したのでございます。これが実は安全委員会の判断でございまして、わが国の原子力発電所においては、いま言いましたように、各それぞれの層の質と量とを非常にいま再検討というよりか点検する必要があろう。中身の方もやはり時間をかけて再点検する必要がございますが、とにかくさしあたって、いろいろな意味で、運転中のものも、運転してないいま定検に入っているものも、わが国の全部の原子力発電所についてそういうことをいまやっておくことが、そういう事故に発展するかもしれない非常に小さな確率をゼロの方により持っていくためには必要であるというのが一つでございます。 それからもう一つは、人為的なミスがあるという二つ目の最も確からしいことに対しましては、やはり人間に関したことでございますので、「保安規定、運転要領、運転中の監視の実施等について」これは早急に検討させるべきである。そういう二つのことをわれわれはいますぐに全原子力発電所につきましてこれを行うべきである。そして詳しいデータを待っておるためには、まず正しい情報をキャッチするためにどういうことをしたらよろしいかというのが四になります。つまり正しい情報のために、的確に反映するために専門家を派遣する。そしてわが国の頭脳を結集するために、調査審議をさせるために特別のそういう部会をつくろうというのが四でございまして、この四つの項目につきまして私たちは発表したのでございます。その三の事項につきましては、その十五ページ、十六ページに資源エネルギー庁長官並びに安全局長から、各発電所、原子炉を持っておるところに対しまして通達がございまして、この私の談話にはそういう詳しいことはございませんが、これは安全委員会に与えられました権限が三つございまして、安全確保のために、いろいろな事項を企画し、審議し、決定するという三つの権限がございます。普通、安全委員会は再チェック、いわゆるダブルチェックということが主なる仕事でございますけれども、こういう緊急の場合には、私は、企画して指示を与えるという態度を最後まで貫きたいと思いまして、これは行政庁に指示のかっこうをとりました。したがって、報告書はできるだけ早く報告しなさい、その報告に対して、いまの審議、決定するという平常時で行っております再チェックをすることになっております。いま進行中でございまして、私たちはあくまでも科学技術的な立場から、そういう緊急の場合でも、できるだけ冷静に、しかも国民の健康と安全を守ることに少しでもそのリスクを減らすように実はやっておる。そのやっておることを国民の前に、われわれはかく考え、かく行われておるということを適時知らせることはやはり安全委員会の責務であろうと私たちは考えまして、この談話を実は発表したのでございます。一見非常に唐突に見えたかもしれませんが、われわれといたしましては、これまでのいろいろな経験と知識とを一日に集約いたしましてこういう談話になりましたが、そういう経過でございます。
○小宮山委員 安全委員会が冷静にチェックをし、また安全委員会が与えられた三つの事項を推進する、かつ確率がゼロになる。国民の方はいつでも確率がゼロだと思っておる。また反対する人たちは、確率がゼロでなければやってはいけないという考え方、そういうところがやはり一つの大きな問題点であります。ただ、安全委員会がこのような談話を発表になったことは私も大変評価いたします。しかし、それが安全宣言のようにとられたということは大変残念でありますけれども、いまのお話を聞きまして、真意が非常によくわかり、かつ冷静にチェックされていることを大変評価いたします。ただ、アメリカにおけるこのコンピュータープログラムのミスによるECCSの耐震性の強度の不足によって、NRCがPWRの五基、合計電力出力四百十万キロワットの運転の停止をして再点検を命じた直後に起きたというような点で、私としては今後原子力安全委員会がやはりこういうようなことを十分踏まえてやっていただきたいと思います。 そこで、安全委員会委員長の談話を受けて、科学技術庁長官あるいは通産省にお伺いしたいと思いますけれども、この談話をどのように行政に生かしていくか、エネルギー庁長官の発言等がございますけれども、法制化あるいはどのような形で、いま動いている軽水炉についてはどういうふうにやっていくんだということを長官と通産省からお答え願いたいと思います。
○児玉(勝)政府委員 ただいま委員長からお話がございましたように、とりあえず打つべき手というのは早く打った方がいいということでありまして、原子力発電所におきます管理体制、それから運転員の教育を含めました運転要領の見直しということをすべきじゃないかという御指摘がございまして、私たちといたしましては、三月三十一日付でエネルギー庁長官名でそのような内容の通達を出しまして、四月十日を限度にまず急いで報告をするように求めておるところでございます。今後、その内容を検討いたしまして、訂正すべき点については積極的に訂正いたしますとともに、また立入検査等の必要がございましたら、そういう手も打ちたいと思います。 また、現在運転中のものにつきましては、直ちに補助給水ポンプの起動試験、弁の開閉の状況の点検、それからECCSの起動試験、そういうことは全部終わっておりまして、現在運転中のものは現在異常なくそういう機能が発揮されることを確認しております。
○牧村政府委員 科学技術庁といたしましては、まず二つの立場がございます。先ほど安全委員長の指示が出ました点につきまして、私ども研究開発段階の炉並びに研究炉等の安全規制をやっておるわけでございます。この事故は商用の発電炉で起きたことではございますけれども、研究用等の原子炉にこういうことが起きてはならないという姿勢でもって厳重な安全規制を進めたいということを常々考えておるわけでございますが、とりあえず、ただいま通産省からも御説明がありましたと同様の見直しを鋭意進めておるところでございます。 また、安全委員会の事務局といたしましては、この事故を非常に重大なものと私どもも受けとめておりまして、現地のいろいろな情報を的確にとり、安全委員会の御審議に役立てたいということ、また安全委員会といたしましては、今後この原因等の究明が進むにつれまして、安全規制に必要な基準の再チェック、あるいは現在、原子力発電所で行われております運転のいろいろなマニュアル等、幅広い問題に反省すべき点が出てまいるかと思いますが、そういうような事柄に対します安全委員会のお仕事にできるだけの事務局としての役割りを果たしてまいりたいと考えておるところでございます。
○金子(岩)国務大臣 私の方では安全委員会が私の所管になっておりますので、安全行政にどのように今後手を打っていくか、アメリカの事故は大変教訓になったので、安全委員会の中に専門委員会もありますし、鋭意情報が入り次第逐次ひとつ検討を続けさせまして、通産省ともよく相談をして安全行政のために万全の対策を立てていきたい、このように考えております。
○小宮山委員 もうほとんど時間がなくなってきて最後の質問をしたいと思いますけれども、このような事故で、日本ではやはり反対運動が大変強くなると思います。これはバックグラウンドがどうあるかは別といたしまして、まず科学技術庁長官に聞きたいのは、そういう反対運動に対してどのような姿勢で対処していくか、これが第一点です。 第二点は、確率ゼロということはとうていあり得ない。確率ゼロ論争をやりますと、これは大変な問題でございますけれども、また絶対というような言葉もなかなか使い切れないことでありますけれども、今度の事故を見てみましても、やはり事故が起きてから三時間以上もおくれて通報したとか、あるいは人為的ミスが相当大きかったというようなことを考えてみますと、やはり情報システムあるいは機械工学的な問題でどのような形がいいのかというような検討もしなければならぬ。そういうような問題も含めて、確率ゼロでないから起こらないとは言い切れないけれども、今後原子力発電所にもし事故が起こったときに、そういう問題をもう一度見直していくのか、いままでと同じようにやっていくのか、あるいはその辺の防災対策というような問題についてどのようにお考えになっているのか、お聞きしたい。 三番目は、いま建設中あるいは計画中の原子炉が相当ございます。そういうものを今後とも推進していらっしゃるのか、計画どおりやられるとすれば、どのようなことを新しくお考えになってやられるのかということをお聞きいたしたいと思います。
○金子(岩)国務大臣 今度の事故で、いろいろと原子力の利用はもうしばらくやめるべきではないかというような申し入れも受けていますけれども、あの事故が起こった当時、原子力の平和利用に大変積極的な国は、世界的に同じような混乱が起こっておったのじゃないかなと想像するわけでございます。日本の場合も、やはりあの直後は混乱時期があったというように私は理解しておるわけでございまして、この事故の原因、内容が逐次分析されるに従って、いろいろと関係住民の考え方も大変変わってまいっておるというような感触でございます。福井県などは原子力発電所が九基もあるのでございますから、副知事が先頭に立ちましていろいろと役所にも参りました。いろいろな安全対策あるいは防災対策についての申し入れがあっております。こういう申し入れに対しては直ちに取り上げまして防災対策を考えていかなければならない。 先ほど御報告にも申し上げたとおり、総理の発言で、閣議でも、災害対策基本法がありますけれども、原子力発電所のような施設に対して、もしアメリカで騒がれたような事故があった場合の対策というものを具体的に立案すべきであるというようなことで、関係省庁が皆協力をして具体的に総理府を中心にして取りまとめていって防災対策を講じようとしておるのでございます。 今後どういうふうに建設中のもの、計画中のものを含めて原子力発電所を扱おうとしておるかということでございますが、これはどちらかというと通産省にその権限があるのではないかと思いますけれども、私どもはやはりいかにして安全性を確保するか、これまでと違った手だてをして安全を確立して、国民、関係住民に特に不安感を与えないように、いままでより以上に安心をしていただいて心配をなくすような方法、手段を講じなければいけないと思うのですが、それはやはり安全委員会の中の専門委員会、特に専門家の努力によって、一〇〇%ということはあり得ないことでございますから、日本の場合は九九%まではかってのアメリカのような事故は起こすことはないんだというような安心をしていただくところまで鋭意検討を続けて結論を出していただいて、わが国は皆さんも御承知のとおり資源に乏しい国でございますから、代替エネルギーは原子力が一番手っ取り早いということでございますので、ただこれにはその前段にやはり絶対に安全性を確立することが条件であるという大前提がついているのでございまして、今後とも原子力の平和利用には鋭意努力を続けていきたい、このように考えておるわけでございます。
○児玉(勝)政府委員 先ほど来お話が出ておりますように、今回の問題につきましては、謙虚にかつ冷静に受けとめて迅速かつ的確な対応をするというのが基本的な態度であろうかと思います。原子力発電が日本におきましても一千万キロになりまして、建設経験が約二十年、それから運転経験約十年という実績もございますし、外国から参りました技術につきましても国産率は九〇%以上ということで、実際つくるのも日本人であるし、安全に関してそれを理解し、実際運転しているのも日本人であるという意味からいきまして、日本の安全は日本人でそれを築くということが基本ではないかと思います。 そういう意味で、今回のアメリカにおきますいろいろな事故を十分教訓といたしまして、さらに日本の国においては従来の安全性の問題を確認するという意味で、りっぱに原子力発電所を安全に運転してみせるという実績を重ねることが最も大事なのではないか、こう思っております。そういう意味で、ただいま行っております電力会社等に対する保安管理、運転等の体制の検討、そういうような結果を国民に公表いたしまして、どういう状態であるかということをお知らせし、そして国民の理解と協力を求めるということでなければならない、こう思っております。 またさらに、いろいろな情報が入りまして、現在のようなソフトの検討にとどまらず、もっとハードの問題についても検討すべきであるということがありましたら、これまた原子力安全委員会とも御相談いたしまして、その方法につきまして御指示をいただきながら、その対策を練っていきたい、こう考えております。
○小宮山委員 質問を終わります。
○大橋委員長 次に、日野市朗君。
○日野委員 先ほど牧村さんから説明があった中でちょっとわかりにくい点があったので伺いますが、炉心部にボイドが発生したという、私どうも英語を解しませんので、そこいらよくわかりません。ちょっと教えてください。
○牧村政府委員 大変申しわけございません。 気泡が炉心内に発生いたしまして、炉心の上部にどうも相当量たまったようでございます。そのために原子炉を冷やす水がなかなかうまく流れませんで、冷却を妨げたという意味で申し上げたわけでございます。 その際、やや詳しく御説明いたしますと、この運転操作のミス等によりまして燃料が相当数破損されておるということが言われておりますが、そのボイド、気泡の中には、水と燃料の被覆管のジルコニウムとの反応によりまして発生しました水素がその中にある程度含まれているということは当然予想されるわけでございます。したがいまして、その気泡と申しますのは、水蒸気であるとか放射性のガス並びに水とジルコニウムが反応した水素並びに水が放射線の影響によりまして分解されたガス状の水素と酸素、こういうものが主体になったものであろうかと思います。
○日野委員 要望しておきますが、固有名詞とか日本語化している英語であればまた格別、できるだけ日本語で、私英語を解しませんのでお願いをいたしたいと思います。 この事故が起きましてから鋭意情報の入手についての努力をなさったということでございますが、まず第一報はどのようなものであったか、それからどのような手段、方法で情報の入手に努められたのか、どのような情報が入ってきたのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
○牧村政府委員 この事故が発生しまして、わが国に届いたものは、外電と申しますか、マスコミの情報が一番早かったわけでございますが、その後私どもとしてはできるだけ正確な情報をつかむ必要があるということを考えまして、先ほど田島委員からもお話がございましたように、田島先生の出張の際随行いたしました科学技術庁の職員がアメリカに行っておりましたので、それに直ちに指示いたしまして、外務省のワシントン大使館におります、当庁から出向しております科学アタッシェに協力させるようにいたしまして、まず在米日本大使館から外務省を通じて、その外交ルートでできるだけ正確なと申しますか、アメリカの規制委員会の情報を至急とるようにという指示をしたところでございます。 そのほか、日本とアメリカの間には日米原子力施設規制情報交換取極というのがございます。これにつきましてNRCと科学技術庁並びに通産省がこの取り決めを結んでおるわけでございますが、このルートを通じましても的確な情報を早く流してほしいということで努力しておるわけでございます。この情報入手のラインには、在日アメリカ大使館の担当者に、そういう点につきまして要請をしておるところでございます。 また、最近に至りまして、日本から原子炉安全専門審査会の委員でございます何人かの専門家を派遣しております。そのような方々がとりました情報につきましては、外務省経由と別に、実は電力会社が非常に速い通信網を持っておりますので、そのラインを使わせていただきまして、二つのルートから現在では非常に早く現地の発表等が入手できるようになってきております。 それらの情報を現在的確に安全委員会に流すということと同時に、通産省等にも適宜同時に流しまして、行政としての対応をしておるところでございます。
○田島説明員 私ワシントンを去るときにNRCのラフルーアという方に会いまして、この事故について情報を特に提供していただくように、特にお願いしてまいった次第でございます。
○日野委員 これの第一報が入ったのは何日の何時でしょう。
○牧村政府委員 私どもに入りました公式の情報といたしましては、三月二十九日の朝に、在米の鈴木アタッシェ——先ほど申しましたが、科学技術庁出向の人間でございますが、それからの電話連絡で、アメリカの原子力の事故の状況が入ってきております。その中には、当時から言われておりました冷却水ポンプの故障、格納容器内に蒸気が漏洩したこと、ECCSは作動したこと、当然でございますが原子炉をシャットダウンをしたということに関連する情報を入手しております。 それと同時に、二十九日には日米原子力施設規制情報交換取極に基づきまして、在日大使館のヒルという担当官がおりますが、そこから科学技術庁に同様の情報が入ってきております。
○日野委員 二十九日にその情報が入って、それから三十日段階における知り得た情報、これは電話連絡にさらにつけ加わるものはございましたか。
○牧村政府委員 さらにやや詳しく御説明申し上げますと、三月二十九日の正午には在米大使館から公電で情報を受けております。それから三月三十日には、科学技術庁から出張しておりました佐々木安全調査室長から、現地の発表等について電話連絡を受けております。また、三十日の朝には、NRCのプレスリリース等を在米大使館公電で入手しておるところでございます。 そのほか、三十日現在で受けておりますのは、そのNRCのプレスリリースに関連いたしまして、米国の下院内務委員会での公聴会のメモ等も同様に入手しておるところでございます。
○日野委員 一応アメリカから入ってきた情報があるようでありますけれども、これらはどうなんでしょう。むしろ断片的な情報にすぎないかのように私には思われるのですが、アメリカで一応この事故に対して系統立った公式的な発表またはレポートがなされているというのは、四月四日NRCの公式報告というのがございますが、それ以前のもので系統立ったものがあったのでしょうか。
○牧村政府委員 御指摘のように、情報は必ずしも完全なものであったわけではございませんが、事故のシークェンスと申しますか、発端になったいろいろな事故、こういうものについては、その当時から相当あったわけでございます。しかし、そのような状況がどうしてこういうふうなことを起こしたんだろうというようなものにつきましては、なお非常に不十分であったかと思っております。
○日野委員 アメリカ側の公式のもの、またはある程度まとまったものというのは、四月四日のNRCの公式報告であり、それからそれ以前にアメリカ原子力産業会議レポートというのが三月三十日付で出されているようであります。これらが一応この事故の概略を体系的に述べているわけでありますが、それ以前には、いろいろ公電であるとか、報道関係からの情報、それからアメリカに駐在していた人たちからの通信、そういったものに依拠したものである、このように伺ってよろしいですね。つまり、それ以前に系統立ったアメリカの原子力産業会議レポートのような形のものはなかった、またはNRCの公式報告のようなものは事前に日本に通知、通報されていたということはなかったということですか。
○牧村政府委員 先ほどもちょっとお話し申し上げましたが、米国の下院にNRCが今回の事故の概要を説明しております。その情報は、当時のNRCの正式見解でございまして、それがこの時期におきます一番の信頼のある情報であったかと私どもは思っておるところでございます。
○日野委員 下院公聴会は何日に開かれたのでしょう。
○牧村政府委員 この情報の現地発表は三月二十九日になっておりまして、私どもがこれを入手いたしましたのは、三月三十日の午前十一時ごろでございます。
○日野委員 これはついでに伺っておくのですが、世界各国でかなり原子炉におけるトラブルがあるわけなんですが、こういうトラブルとか事故の情報の入手方法はどのようなものに依拠しておられるのか、ここで伺っておきたいと思います。
○牧村政府委員 こういうような事故が起きましたときの情報の入手で公のラインとしては、当然外務省の公電によることに相なっております。国外の主要な原子力を開発している国々には科学技術アタッシェがアメリカと同じように滞在しておりますので、その際、そのアタッシェの活動によりまして情報を入手するというのが役所としての一般的な情報入手のラインでございます。 また、そのほか、アメリカと同様にフランスとドイツにつきましては、技術情報の交換の取り決めがすでに結ばれておりますので、この国々につきましては、そのラインを通じて的確な情報をお互いに交換するということで約束しておりますので、そういうラインからも公式な情報が流れてくることを期待しておるところでございます。
○日野委員 当委員会において配られました「米国スリー・マイル・アイランド原子力発電所の事故について」と題する昭和五十四年四月九日付の文書、これはNRCの公式報告なども加味して科学技術庁と通産省の資源エネルギー庁で判断をした事項が記載されている、このように伺ってよろしいでしょうか。
○牧村政府委員 本日お手元にお配りしました事故の経過は、先生御指摘のとおりのものが中心でございます。
○日野委員 それでは、今度は事故の内容についてわからない点を幾つか私の方から伺っでおきたいと思います。 この事故を起こしました当該原子炉、これは二次冷却系の主ポンプは二つでありますね。これが二つとも故障をして給水を停止したわけでしょう。
○牧村政府委員 二次冷却系の主ポンプは、バルブが閉鎖になったために当然動かなくなったわけでございます。
○日野委員 結局ポンプは二つでもバルブは一つだということになるのでしょうが、そうすると、これはポンプではなくてバルブが閉鎖したことが水を送れなくなった原因であるというふうに伺ってよろしいですか。
○児玉(勝)政府委員 給水ポンプの入口弁が閉まったわけでございます。
○日野委員 この原因については、いろいろ言われているようでありますが、現状で正確に把握できているのでしょうか。
○児玉(勝)政府委員 その原因につきましてははっきりしておりません。いま先生おっしゃいましたように、一部の報道では脱塩装置のトラブルというふうに聞いておりますけれども、はっきりした原因はわかっておりません。
○日野委員 当該原子炉は定期点検後どのくらいの期間たったものでしょうか。
○児玉(勝)政府委員 事故を起こしましたスリーマイルアイランドの二号機は、十二月の末に運転開始をしておりますので、日本で言います定期点検は実施しておりません。
○日野委員 米国における点検は、私よくわからないのですが、日本のように炉の操業をストップして定期点検をするというような形をとっているのか、炉を動かしたまま問題になる個所をチェックしていくというものなのか、どうもぼくはよくそこのところがわからないので、ちょっと教えていただけませんか。
○児玉(勝)政府委員 アメリカにおきましてはテクニカルスペックという運転技術要領みたいなものがございまして、それに基づいて行うことになっております。それで、定期点検はございますが、燃料取りかえ時に行うということで、日本のように運転開始後一年以内に定期点検を行うということと違いまして、燃料取りかえ時でございますので、一年以上運転させるということも十分ございます。また、運転中にいろいろ起動試験等々させるということも決まっておりますので、そういうことはやっておるかと思います。
○日野委員 この当該炉ではバルブですか、これは補助ポンプと主ポンプですね、弁は当然違うようでありますが、弁はどのようにして閉じてしまったのか。これは主ポンプですよ。これが正確にわからないと、もし補助ポンプが動いても、補助ポンプの弁についても同じようなトラブルがあり得たのではなかろうかという想定は立ちませんか。
○児玉(勝)政府委員 その一番最初の発端になりました弁が開閉するということがわれわれとしても非常に関心を持っておるところでございます。これはまだ未確定情報ということでお聞き願いたいわけでございますけれども、空気制御系、空気でもってこの弁を開閉しておるようでございますが、その空気制御系のトラブルではないかというふうに類推しております。 それで、向こうの図面も見ますと、いまおっしゃいましたように、補助給水系にも空気弁がついておりますので、その空気制御系がどういうふうにつながっているか私たちよくわかりませんので、主給水ポンプ系の空気弁の系統と、それから補助給水系の空気弁の系統とがもし一緒につながっており、また同じ原因でもって同時に共倒れになるというようなことでもありますと、弁が両方とも閉まってしまうというようなことも考えられないことはないと思います。
○日野委員 この弁のトラブルについては、主ポンプの弁と補助ポンプの弁というのは共倒れになるという可能性はあるということはよくわかったのですが、日本の場合こういう補助ポンプ、それから弁の関係はどうなっておりますか。
○児玉(勝)政府委員 日本におきましても、主給水ポンプの方は、空気で弁を作動するようになっております。それから補助給水ポンプの方は、大飯発電所を例にとりますと、モーター駆動のポンプが二台、それからタービン駆動のポンプが二台ということになっておりまして、これがおのおの独立に主給水系に入るようになっております。 それで、日本では主給水系がとまりますと、直ちに補助給水系のモーター系が動きまして、それでポンプを起動し、そして電磁弁が開きます。これは空気弁がついておりません。先ほど申しましたように、モーターが動きますと電磁弁が自動的に閉になっておりますものが開になるということで、これはたとえ誤操作で閉にしておきましても開くわけでございます。 それからタービン系の方につきましては、モーター系がたとえば停電でとまった場合には直ちにタービン系に切りかえましてタービンのポンプが二台始動いたしますが、そのときは空気弁になっております。この空気弁は常に開ということになっておりまして、それで日本の場合には、主給水系の方は空気系が故障になりますと閉鎖することになっております。ところが、補助給水系の方は現状維持という信号でこれは開きっ放しになるようになっております。したがいまして、空気系の制御系が壊れましても、現状維持のままポンプの水が外へ出るというかっこうになっておりまして、いわゆるフェールセーフといいますか、安全側に物事を考えるというふうな仕組みにはなっております。
○日野委員 日本のは主ポンプが一つ。そうすると、補助ポンプが二つということになりますか。どうですか。
○児玉(勝)政府委員 大飯の例で申し上げますと、主給水系ポンプは三台ございます。それで、タービンで二台動きまして、一台が補助です。ですから、トラブルが発生いたしましたら、その主給水ポンプの補助を動かすということはまず最初ございますけれども、今度のように急に弁がとまったような場合には、もう補助給水系が動くわけでございます。そのときに四台ありまして、二台がモーター、二台がタービンということになっております。
○日野委員 まず、現在の段階でも、アメリカのスリーマイルアイランドの当該炉の弁がなぜ閉まったのかということについては、これをつまびらかにはし得ていないのだ、そういうふうにそこは確認してよろしいですね。
○児玉(勝)政府委員 NRCの情報を見ましても、いまのところはっきりした情報はございません。
○日野委員 一応ポンプはそのように伺っておきますが、これについて、点検時に弁を閉めたままずっと操業を続けていたというような疑いもあるようですね、これはもちろん補助ポンプの弁ですけれども。
○児玉(勝)政府委員 NRCの見解を見ましても、そう書いてございますのは確かかと思います。
○日野委員 何か新聞報道によりますと、こうやって弁は閉じてあるからこれを開くようにという指示がちゃんと張ってあったんだ、それを気づかずにか怠ったのか知りませんけれども操業したというような非常に重大な人為的なミスがあったようにも、新聞等の報道を総合すると読めるのですが、そのような事実はどうでしょう。
○児玉(勝)政府委員 新聞報道以外私たちのところに、そういう細かい話はよくわかりません。しかし、日本の場合に照らしまして、先ほど申し上げましたように、電磁弁の場合には自動的に弁は開きますし、それからポンプが回りましても弁が開かないで水が外へ出ていかないという場合には、その弁の開閉問題は中央制御室で全部わかりますので、そのときに手動で開閉いたしましてもできることになっております。
○日野委員 それから、ECCSが一応順調に作動はした。しかし、これをどういう判断か知りませんが、とめているわけですね。このとめるという心理なんですけれども、これはやはり炉内の圧力が上がっていくことについて、オペレーターが不安感を持ったような感じも私受けているのですが、そこいらはどうなんでしょう。
○児玉(勝)政府委員 そのECCSを途中でとめたということについては、どういう理由でとめたか私たちよくわかりません。しかし、いろいろ類推いたしますと、水位が上がりまして——PWRの場合は加圧器に水位計がついておるわけであります。それで、そこに水位が回復したし、炉の状況も安定したと判断したのではないか、こう思うわけでございます。そこで、だれが指示したのかわかりませんが、切ったということではないかと類推しております。
○日野委員 これはやはり新聞情報なんですけれども、緊急炉心冷却装置を動かして、五分後に手動で停止をさせているという事態があるし、また今度はECCSを動かしているわけですね。そしてECCSを動かしたので冷却水がどんどん入り込む、そのことによって原子炉容器内の圧力、それから加圧器、これらに圧力がかかり過ぎて変調を来すのではないかというようなことが理由だったのではなかろうかと言われているわけですが、ECCSをまたストップさせた。こういう場合、ECCSがずっと動かしっ放しになっていくと、一般にどういう変調が出ると考えられているのでしょうか。何か炉に変調を来すものかどうか、そこいらを教えていただきたい。
○児玉(勝)政府委員 ECCSを途中で停止したという内容についてはNRCから何もございませんので、NRCもまたなぜそこでとめたかということにつきまして疑問視しているようでございます。 それで、いま先生御質問の問題について、日本の炉についてはどうかということでお答えいたしますと、高圧注水系はずっと入れっ放しにしておいた方が炉の安定のためにはいいわけでございまして、遮断後ですとまだ相当熱を持っておりますので、ずっと水づけにするということが最も望ましい状態であったのではないか、こう思っております。とめない方が炉のためにいいということが結論のように思っております。
○日野委員 私もそうだと思うのです。とめないでずっと使っていればその方が一番いい方法なんだろうけれども、とめたというところに私も何か疑問を感ずるのです。オペレーターがこれをとめたいという心理はどういうふうにして生ずるものなのか。本当はこれは圧力がかかり過ぎるとかなんかというような、これをずっと入れっ放しにしておいて、炉がだめになるとか炉の重要な部分が破壊をされるというような事態は生じないものなんですか。
○児玉(勝)政府委員 逃がし弁が開きまして、炉の中の圧力は相当下がっておりますので、炉の中の構造物が圧力によって壊れる、それからまた一次側のいろいろ系統全体の圧力の防護が壊れるというようなことはないかと思います。
○日野委員 これはいかに精密につくっていた炉であっても、精巧なものであったにしても、やはりそれを動かしていくのは人間なわけであります。人間のポカが装置のミスを招いていくというようなことはよくあることだと思うのです。人間の判断力、それから人間の動作、これらについてはどの程度の正確性を期し得られるものかということは永遠のなぞみたいなことになってくるのではないかと思いますが、人間の行動というのは、いろいろ二重三重に点検をしても非常にミスをやるわけですね。日本の例なんかでも、国鉄の運転手あたりが十分に指差称呼というのですか、自分の行動を自分で一々声を出しながら点検をしていてもポカをするという例はよくあることであります。こういう人間の行動の不確実性というものは、安全審査なんかをやる際にも十分考慮すべきことではないかと思いますが、こういう点についてのチェックはどのようにお考えになっておられましょう。これは安全委員会の方に伺いたいのです。
○牧村政府委員 まず制度から申し上げますと、安全審査に当たりましては、その原子力発電所を建設し、また将来運転する人たちがどのような訓練を受けておるか、あるいは受ける予定になっておるかというような技術的な能力の判定を審査いたしております。 それから、原子炉が運転に入ります前に、そのような人間の操作をどうさせるかというようなことにつきましては、保安規定というものを定めさせることになっておりまして、その保安規定につきましては、原子炉の主務大臣が認可をすることになっておるわけでございます。設置者はその保安規定に基づきましていろいろな下部の規則を設けておりまして、実際のオペレーターが事故時に対処する措置その他を決めておるところでございます。
○吹田説明員 今回のアメリカの事故から学びます非常に重要な事柄は、先生御指摘のように人為的なミスでございまして、われわれ安全委員会といたしましてもその点、今後詳細な経過がわかりましたならば、十分規制の面に生かしていきたいと思います。 一般的に申しまして、機械と人間とを考えます場合に一番重要なのは、機械と人間の相互作用の、つまり境界領域でございます。機械だけでやりますと非常に簡単にミスを防げるようにできますし、人間だけでやりますとある程度防げるのですが、人間と機械の境界領域になりますと、アメリカの事故から考えますと、いまのECCSをなぜ五分後に手動でとめたかというところになりますと、たとえば間違った表示をする機械があったのをオペレーターは間違った判断をしている、つまりそこに機械の誤りと人間の誤りがオーバーラップいたしますと非常に大きな事故が発生するという事実でございますが、そういうことをやはり日本におきましてもこれまで以上に重視していきたいと考えております。
○日野委員 人間のミスというのは、保安規定をつくる、細かいいろいろな取り決めをする、訓練をする、そういうことがあってもなおかつ生じるものだというふうに考えた方がいいのではないかというふうに私としては思うのですが、この点についての見解はいかがでしょう。
○田島説明員 おっしゃるとおりだと思います。今度の事故は重大な人間の間違いが不幸にして折り重なって出てきたものですが、われわれはそれによっていろいろ教訓を得て今後の安全審査に反映させていきたい。それはいろいろ多重防御とかフェールセーフとかいうふうな原則によって、ハードな面とかあるいは保安規定等のようなことによって事故が起きないようにしようということは申すまでもないことであります。ところが、それにしてもただいまお話がありましたように、人間の事故というようなのは小さな確率であっても残るんじゃないかというのはごもっともなことでありますので、われわれはそれによって一〇〇%の安全が最終的に確保できるというふうな立場はとらないのであります。 それにはどうするかというと、万一のことが起きたときに災害対策というようなものでそれをカバーしていきたい、被害を最小限度にしていきたいというような考え方を持っておりますので、災害対策の面を今後とも詰めていかなければならない、そういうふうに考えております。
○日野委員 そうすると、一〇〇%の安全ということは人間の能力とか機械のいろいろなトラブルから言ってもう期待できないんだ、そしてもし最後の〇・何%になるのか知りませんけれども、そういう事故が起こった場合、災害対策でそれをカバーしていくしかないというお考えであるというふうに伺ってよろしいですね。
○田島説明員 その起こる確率をゼロに近づけようとすることは期待できると思いますが、絶対に一〇〇%安全であるという立場をとることがむしろぼくは不安全になるだろうというふうに考えております。
○日野委員 別の点についてですが、気泡の発生ですが、気泡の発生ということは原子炉の設計段階から想定されていることなんでありましょうね。
○児玉(勝)政府委員 BWRにおきましては、これは全部水づけということでありますので、通常運転時においては気泡の発生ということは考えておりません。しかし、非常時といいますか、大破断のような事故が起こったときには水素ジルコニウム反応によって水素が発生する可能性ありということでの対応は一応しております。
○日野委員 今回のような水素を含んだガスが炉内にかなり大量にたまる、このような事態はいままで想定されておったでしょうか。
○児玉(勝)政府委員 いまの御答弁をする前に、先ほど私PWRと申し上げたつもりでございますが、Bと申し上げたようですので、訂正させていただきます。 今度のような事故において、PWRの中に気泡ができまして、まさにBWR型のような原子炉の状態になるということについては考慮しておりませんでした。
○日野委員 気泡というかガスが大量にたまった原因、これについては現時点で正確に究明されておりますか。
○児玉(勝)政府委員 これはまだNRCの方の情報がはっきりしておりませんので明言はできませんが、私たちの類推では、一つは気圧が急に下がったための蒸気の発生、それからもう一つは水素ジルコニウム反応による水素の発生、それから放射線による水の分解による水素の発生、その三つぐらいが考えられるのではないかと思います。
○日野委員 これは私たち素人から見ると非常にこわいことだと思うのですね。水素というのは非常に爆発しやすいものでありますから、もしこれが爆発したということになると、圧力容器が非常に丈夫につくられていたにしたってとうてい耐え得るものではないだろうと思うのです。加圧水型の場合大体どの程度の圧力に耐えるように容器は設計されているのでしょうか。日本の場合とアメリカの場合と分けて御説明いただきたいのです。
○児玉(勝)政府委員 日本の場合といいますか、これは大飯の例をとらしていただきますが、通常運転が百五十七キロでございます。それの一・二五倍の圧力に耐えることを実際の検査でもって確認しておりますので、そこまではもっと思います。それからスリーマイルアイランドの方は運転圧力が百五十四キログラムでございますので、これの何倍かの圧力の検査はしておると思いますが、日本とそう変わらないと思います。
○日野委員 それでもたまった水素ガスがもし爆発を起こすということになれば、これは耐えられる強さではないですね。
○児玉(勝)政府委員 今度の報告を見た段階におきましては、圧力容器の中は空気がありませんので水酸素爆発が起こったとは聞いておりません。逃がし弁から出まして格納容器の中でローカル的に水素の爆発があったのではないか、こういう情報をつかんでおります。
○日野委員 たまった水素が、もし酸素量がふえてきて爆発を起こしたという場合、容器は壊れるかどうかということなんですよ。
○児玉(勝)政府委員 これは解析がはっきりした上でお答えするのが筋かと思いますが、いまのところ、ちょっと私の感じだけで申し上げますと、逃がし弁以外に安全弁がございまして、そういうところが開放されますと圧力はそれほど高くなりませんし、そこから抜けることができると思います。
○日野委員 そのかわり放射能は野放し状態、放射能を含んだガスとなって噴出してしまうということになりますね。仮に容器が壊れないにしてもですよ。
○児玉(勝)政府委員 格納容器の中に噴出すると思います。外気には出ないと思います。
○日野委員 あんまり細かいことは、いま安全委員会からアメリカに調査団が行っているようでございますから、その帰国を待ってさらにいろいろ伺いたいと思いますが、もう一点だけ、圧力逃がし弁の故障の原因、これは何だったのでしょうか、開きっ放しになったというのは。
○児玉(勝)政府委員 逃がし弁の動作の不良の原因につきましては、公式的な見解は聞いておりません。
○日野委員 日本の加圧水型はウエスチングハウス社のものであって、当該炉はメーカーが違うわけですね。バブコック・アンド何でしたか、という炉ですが、これの違いは概略つかめておりますか。
○児玉(勝)政府委員 向こうで使っております弁が電磁先駆弁でございますし、日本の場合は、先ほど申し上げましたが空気作動弁でございますので、向こうの弁がどういう問題を含んで故障を起こしたのかということについて、まだ解析はしておりません。
○日野委員 この弁に関しては日本のとは違うから余りこちらでは注目していないということですか。
○児玉(勝)政府委員 いえ、これはPWRの逃がし弁としては使っておりませんけれども、ほかの弁としては使っておることもございますので、それの参考にいたしたいと思っております。
○日野委員 幾つかの問題点について伺ったのでありますが、どうもいわゆる巨大科学技術とでもいいますか、このような非常に巨大な技術というものの制御は非常にむずかしいなというふうに実はこの事故を見て考えざるを得ないと私思うのです。 アメリカでの安全審査なんですが、これはどんなふうにやられているか。日本の安全審査も非常に優秀なレベルで安全審査をやっておられると思うのですが、恐らく国民は、アメリカでは安全審査なんかしてないのかなと思っているに違いないので、アメリカでの安全審査の体制、これは日本とどんなところが違うのか、対比をしながら御説明いただけませんでしょうか。ちょっとかなりむずかしい大ざっぱな質問で申しわけありませんが……。
○早川説明員 日本とアメリカの制度を比較いたしますと、日本は、基本設計あるいは基本的な設計方針をまず審査をするという許可段階がございます。許可の段階を経まして具体的な詳細設計になりますと、いわゆる設計及び工事方法の認可、こういう段階を経まして実際に建設が始まるということでございます。 一方アメリカの場合には、最初にプレリミナリー・ハザード・エバリュエーションということで、日本の基本設計及び詳細設計を一括したような形で審査が行われます。建設を終わりまして、そこでファイナルなハザード・エバリュエーションというものが出てくるわけでございます。これをまた規制当局はチェックをいたしまして、同時に検査をしましてオペレーティング・ライセンスを出します。 日本の場合には、まず工事の途中では、工事中の検査といたしまして使用前検査というものがございます。その他部品の検査等もございますが、大ざっぱに言いますと使用前検査が行われ、設備が完成いたしますと、そこで最終的な使用前の検査を行って本格的運転を許可する、いわゆる合格証を出すということになっているわけでございます。 全体的な流れからいたしますと、実際の検査のプロセスは、向こうの方は主として自主的な体制と申しますか、保険会社等の第三者的な機関がそれをチェックをする、あるいは規格等で決められたものを使うということで、日本のように国の検査官がすべてのプロセスをアクセスいたしまして検査をし、合否を判定するというシステムにはなっていないわけでございます。 安全審査の内容といたしますと、その深さ等については、設計段階と工事段階を含めますと日本の場合の方がはるかに深さは深いということが言えると思いますが、許可の段階は基本設計の段階ということで、アメリカのプレリミナリーなハザード・エバリュエーションとイクイバレントではないかというふうに私ども考えている次第でございます。
○日野委員 制度上の問題についてはある程度お述べをいただいたわけでありますが、まずNRCのスタッフについてもっとわかりやすく伺いたいのですけれども、NRCの委員と、それからその専門職員をどのくらい使っているか、その数ですね。常勤になっているのか非常勤になっているのか、おわかりになりますか。
○牧村政府委員 ただいま正確な数字を持っておりませんが、職員は約二千六百人であったと思います。それから委員会の委員はたしか五人であったかと思います。
○日野委員 日本ではこれを担当しておられる方は何人おられますか。これは正確につかめるでしょう。
○児玉(勝)政府委員 安全審査を担当しております当庁の職員は三十名でございます。それで技術的な問題の諮問機関といたしまして原子力発電技術顧問会の先生方が六十余名おります。検査といたしまして二十名、それから地方には約百名検査要員がおります。
○日野委員 この事故をめぐって検査体制に対するいろいろな批判、日米間の比較というようなものも識者によって指摘されているところですけれども、日本の安全審査体制、それはいま述べられた制度上の問題、制度上の相違、また人数上の相違、これを幾ら差し引き計算しても、人数の差だけで比較すれば、これは荒っぽいかもしれませんけれども、アメリカの方が日本よりももっともっと手をかけている、非常に熱意を持ってやっているということは言えるのじゃないでしょうか。しかも、本件の事故が起こります前に、五基の加圧水型に対してきちんと停止命令を出した。ここいらは自分たちの使命というものを非常に強く考えて、自分たちの使命感に燃えてやっているという向こうの当局者のモラルが非常に真剣なものだということがわかるような気が私はするのですよ。これはある識者からの指摘ですけれども、「関西電力等は、住民の運転停止要求に対し、原子力委員会の安全審査を受けているから安全であると言っているが、米国では原子力規制委員会がその多数の専門職員の調査をもとに念入りな安全審査をしているのに対し、日本の場合にはほとんどパートタイマーの委員が書面審査をしているにすぎない。」こんなふうに言っているのです。こういうような現状と人数の上での違いとか、こういった指摘が現実にあるということに対して、大臣はどうお考えになりますか。
○牧村政府委員 先ほど私がアメリカの規制委員会の職員の人数を二千六百人と申し上げましたのは、原子炉規制をやっておる方以外に、この規制委員会にはたとえば核物質の保障措置の仕事であるとか、原子力の安全規制のための研究を実施しておる人々等が含まれておりまして、必ずしも二千六百人が原子炉の規制のための検査あるいは審査をやっているものではございませんので、日本の規制の業務をやっておる職員と、アメリカの職員と原子炉の数とを割りますと、それほど大きな職員の差があるわけではないことをひとつ御理解を賜りたいと思います。
○日野委員 それはそうですが、その数字は、さっき牧村さんが言われたのは、それだけ出したのでは、これは比較の対象にならないことは私もよくわかります。しかし、アメリカの場合専門家が常勤していて、多数の常勤専門家を擁して、そして常勤の委員たちがきちんとやっているわけです。こういう点について、私は日本でも考えなければならない点であろうと思いますし、大体安全規制をするという点についてのモラルが私は違うと思うのです。アメリカ側ではきちんと停止命令を出して調査をさせる。しかし、日本の場合の本件事故についてとった安全委員会の態度については、モラルの点ではえらい違いがあるというふうに私は思います。 そこで、安全委員長の出された談話、これは先ほど安全委員長が釈明をなさいました。しかし、私はあの釈明はとうてい納得いきませんので、私の方からも少しこの点についての質問をしたいと思いますが、大体安全委員会というのは何をやるところだというふうに御理解ですか。
○吹田説明員 安全委員会は、国民の健康と安全を守るというのを大前提にいたしまして、そして日本における安全規制の確立を図っていこうというのが一番大きな眼目だと思います。
○日野委員 私いまずっと話を伺ってまいりましたが、少なくとも三月三十日現在入手された公式的なものというのはなかったように思う。断片的な情報がアメリカからいろいろなルートを通してもたらされた、それを総合されたのだと言われることは、これは結構でしょう。恐らく専門家たちが集まってそれらの情報を総合的に検討されたということは確かでありましょう。しかし、この事故についてだれも断言を避けていた段階で、これはとても危なくて断言なんかできないと言われる段階で、「わが国の原子力発電所では、この種の事象が本件に類する事故へ発展することはほとんどないものである」こう断言される。これからの日本の原子力行政の中で、一体そのことがどのような意味を持つのですか。
○吹田説明員 この談話を全部ごらんいただきますと、私が先ほど申し上げましたように、二というのは日本における実態を申し上げたのでございますが、実は三のところが非常に重要でございます。われわれ安全委員会というのは、先ほど申しましたように、国民の安全を守るという点に少しでもリスクがありますと、それをできるだけ小さくしようというのが一番の大きな任務でございます。それに対しまして、私たちの安全委員会というのは、御承知のように学識経験者の集団でございまして、そういう科学技術的な判断から、先ほど言いましたように非常に雑音的な情報の中から正しい信号を聞き分ける耳をわれわれは持っております。それに頼りまして私たちがそのときに私たちの任務を少しでも果たすとするならば、日本における原子力発電所に対して先ほどの人為的なミスは少しでも少なくいたしまして、われわれの任務を果たそうとするとこういう四つのことをすべきであるという結論に達したのでございます。 その後、詳細なデータをとることはもちろん、四で示してありますように、それとは並行して、そのとき打つべき一番重要な点はここであって、これこそ詳細なデータを待つまでに私たちがなし得ることだと判断いたしました。そしてこれを国民の前に示したことは、原子力三原則の公開の原則に従って私たちは行ったものでございます。
○日野委員 この談話の内容を見ただけでも、非常に矛盾に満ちているのですよ。二においては「この種の事象が本件に類する事故へ発展することはほとんどない」、安心しなさい、大丈夫ですよ、こう言っているわけですね。そうして三にいっては「安全確保に万全を期するため、本件事故に関連する事項に関し、保安規定、」以下「について早急に検討を実施させる。」、全く矛盾じゃありませんか。
○吹田説明員 私は矛盾してないと思います。それは二で、われわれがこれまで行ってきたことはこういうことでございますよということをまず示して、ほとんど起こり得ないと思うが、実際に事故があることを直視したのが三でございまして、二だけで放置しておきますと、それは私たちの任務を果たしてないということになりますが、実は二と三とお読みくださいますと、三でわれわれは行政を指導しようという強い姿勢を示しまして、それは先ほど言いましたように、原点を国民の安全を守るという視点において判断した一つの行為でございます。それで二は実態を述べ、三はわれわれの行ったことを示したのでございます。
○日野委員 この談話を出すまでにかなり長時間の論議をなさったということですね。それはどのくらいの時間ですか。
○吹田説明員 先ほど申し上げましたように、これを記者諸君に発表したのは三十日の恐らく八時半か九時ごろになったと思いますが、実質上十時間くらいであります。九時半から委員と専門職の事務官を入れて検討いたしまして、三時から正式な緊急の会議を開きました。ですから、実質十時間過ぎておったかと思います。
○日野委員 十時間も話をされたわけですが、その事故の分析とかなんとかに要した時間はどの程度の時間ですか。
○吹田説明員 そのうちの大部分を事故の分析に当てましたが、この談話を発表しようということになりまして、これを検討いたしましたのは、後半恐らく二時間くらいじゃないかと思います。
○日野委員 このような文章にするということについては、一応二時間議論はされておるわけですね。そうすると、かなり異論もあったということですね。すぐには決まらなかった、そうでしょう。
○吹田説明員 委員会というのは、全委員が全く同じ意見になるということはほとんどございません。むしろニュアンスが違うというところが健全な委員会でございまして、四人の委員は、言葉のいろんなニュアンスに対しましてはもちろん違ったものでございますが、発表いたしましたこの委員長談話は全員一致の結論でございます。
○日野委員 この談話の文章を起案されたのはどなたでしょう。
○吹田説明員 われわれ委員のいろいろな意見を黒板に書いたのは事務局でございますが、この中の内容はわれわれの意見でございます。
○日野委員 こういう談話を発表されたわけですが、この談話を対外的に発表しようとなさった理由は何ですか。原子力安全委員会がこのような考え方を持っているにしても、一応そういう意見を持ったにしても、事故の原因がかなりの程度明らかにされ、しかも系統立った検討が加えられた後でなければ、このような原子炉の事故が日本でも起こり得るかどうかについての立言を差し控えるのがその衝にある者としては当然であるし、現にみんなそうされた。しかし、原子力行政についてチェックの機能を一番果たすべき原子力安全委員会が大胆にもこのような「事故へ発展することはほとんどない」という強い、私から言わせれば現在の原子力行政擁護、原発擁護の発言をされた。その必要性はどこにあるとあなたはお認めになったのか。その必要性を述べてください。
○吹田説明員 この談話は、何回も申し上げますように、二だけをとりましてこれをひとり歩きさせますと、先生のおっしゃるように、これは非常にまずいと思います。しかし、われわれが考えたのは、一から四までを全部国民の前に示すことにあったのでございます。いまから反省してみますと、われわれの真意が伝わらなかったということは非常に遺憾でございます。そうでありますが、われわれがあの時点でこういう判断を下したというのは、その後のNRCの経過を見ておりましても、同じような方向で指示をしております。ですから、その当時のわれわれの判断、その時点の正しい信号というのは、いまから考えましても大体正しい信号であったと考えております。これを国民の前に示すのは、この四つが全部示されてあればよかったという感想を私は持ちますけれども、これ自身を行ったことが原子力基本法に反するという考えは持っておりません。
○日野委員 言葉というのは、全体の脈絡の中で受けとめられなければいけない。それが発言される周囲の状況の中で、きちんとした言葉の意味というものは決まってまいります。だれが見たってこの談話は、わが国は絶対安全なのですよ、こういうことを原子力安全委員会が委員長の談話の形で発表したと受けとめるのですよ。現にごらんください。各紙の関連記事を全部ずっと私持っています。原子力安全委員会は、日本の原子力発電所は絶対に大丈夫だという発表をした。一紙の例外もなしにこう言っているのです。どこから見たって、現在私がこの文章を読んだって、この談話はそういう意味のものとしか受け取れない。あなたがいかに抗弁しようと、それ以外に理解することは不可能であります。委員会の諸先生は、私はそういう慎重な対処の仕方を十分に身につけられた、人生経験も専門的な知識も豊富な方々というふうに理解をいたしますが、そういう判断はしなかったのですか。この時点でこういうものを出したら、わが国の原発は絶対安全ですと委員会が言った——私も真意はそこにあるのだろうと思っているのですが、そうとしか読めないのです。そうとしか受け取られないというふうに思いませんでしたか。
○吹田説明員 私たちは科学技術的な立場からできるだけ純粋に物を判断いたしまして、それが国民の健康と安全を守るという一番大きな任務に貢献するのでありましたならば、ほかの人がどう思っても、われわれとしてはそれをやるべきだと思います。そういう考えのもとにこの談話を発表いたしました。
○日野委員 そうすると、そういう強い意思のもとで、この文章の全体の脈絡をどう読むかは別として、「この種の事象が本件に類する事故へ発展することはほとんどない」、このことを国民に知らしめることが必要である、こう考えられたわけですか。
○吹田説明員 それは、三を言うためにはやはり二ということで実態を知りませんと、三ということだけを抜き出しますと、この全体はむしろ非常に読みにくくなります。
○日野委員 あとは文章の理解力の問題であり、これは日本の国民全体が判断することでありましょうが、しかしどうですか。原子力安全委員会の姿勢というものは、いまあなたが言われたようなものとは私とうてい理解できませんよ。 これは昨日の読売の夕刊に発表されたことですが、「原発見直しは必要ない 内田団長米で語る」、こういう見出しがついています。内田さんという方は侍ですな、大胆なものだ。「内田秀雄原子力安全委員は、ワシントンで九日、「今度の事故でわが国の原発の設計や保安規定を変える必要はない」と語った。」そのほかにも出ておりますが、この記事はお読みになりましたか。
○吹田説明員 私は、実はそれを見て驚いたのでございます。それで早速内田委員に電話をいたしましてその真意を確かめたのでございますが、内田委員は先生がお読みのようなそういうことを断言したことはない、真意はむしろ伝わってないということを確かめました。それでもう少し詳細を調べることにしております。
○日野委員 これはいろいろな言い逃れの方法はありましょう。真意が伝わらないとか言葉のあやだとか、いろいろな言い逃れはありますが、私はこう思うのです。あなた方より人生経験は浅いですが、大筋というものはディテールでカバーすることはできないのですよ。受け取る方は大筋を見てその人の発言を理解するものであるし、委員会の行動、言動はやはり大筋がどういうものであるかによって決まるのであって、二でこう言った、ところが三も読み合わせてくれと言われたって、この時点でこういう表現で書かれれば、ああ日本の安全委員会というのはそういうものなのかなというふうに理解せざるを得ない。そしてこういうふうに外に発表されたものというのは安全委員会の性格をきちんと表現しているものだと私は思います。自分の真意ではないと言ったって、その人の真意などというものは、その人の脳みそをぶち割ってみたってわかるわけではありません。その人の行動、発言というものが内心を象徴するのだと私は思うのです。こういうふうな発言をされ、しかも内田さんがこんな——私は無謀だという言葉を使いましょう、無謀な発言をする。こんな者を安全委員にしておいていいのか。私はいま非常に冷静に話しているつもりだが、内心では深い憤りを持っているのですよ。どう思いますか。
○吹田説明員 委員会は規定どおり、この事故の特別専門部会を直轄の専門部会といたしまして、全力を挙げてこの事故の評価をいたしたいと思います。それをわが国の規制に反映する努力をいたしたいと思っております。いろいろな非常に貴重なアメリカにおける事故をわれわれは日本の安全規制を確立する上にできるだけ吸収いたしたい、確実な情報と、それに対して日本の全頭脳を動員いたして安全委員会直轄の専門部会をスタートすることにいたしました。
○日野委員 この問題については、ほかの委員からも追及があるでしょう。 もう一つ、安全委員会の姿勢について私伺っておきたいのですが、安全委員長さんは、記者会見で、原子炉のメルトダウンというようなことを考えたら安全審査なんというものは全然する意味がないのだという趣旨の発言をされたということが新聞報道されております。そういう発言をなさいましたか。
○吹田説明員 その言葉遣いなんですけれども、メルトダウンはどういう機構で起こるかとか、メルトダウンを考えますとどういう条件でどういう現象が起こるかということを追究しませんとメルトダウンということは考えられません。しかし、安全審査をいたします場合には、仮にメルトダウンをしたと同じ程度のことを、われわれは公衆に対する放射線の影響を考える場合に、そういうものと同等なものは考えておりますが、現実にメルトダウンの物理的な現象を考えておりませんという意味でございます。
○日野委員 どうもよくわからなかったのですが、安全審査というテクニックだけに走って最も大事なこと、つまり国民の健康を守る、環境を守る、そういったことの配慮を本当にやっていただいているのかと私は疑問に思うのです。少なくとも炉がメルトダウンするというような——私はいろいろな細かい概念の違いなんかわかりません。しかし、私たちが理解するメルトダウンなんというのは予想される最悪の事故でございますから、こういう事故に至らないようないろいろなステップを踏みながら審査をやっていかなければならないだろうと私は思っているのですが、あなたの記者会見でのメルトダウンというものは最初から予想なんかしない、その必要性はないのだというような発言であるやに私としては理解したので非常に遺憾だと思ったのですが、もう一度あえて釈明を求めたいと思います。
○吹田説明員 メルトダウンが物理的にどういうふうに起こるかということを考えませんと、私たちはそのメルトダウンを考えるという言葉を使うことができません。ただし、その中にある放射性物質が全部出たというような仮定をいたしますと、それはちょうどメルトダウンと同等な、どういう機構で起こったにいたしましても、そういうことは考えております。私たちがこういう談話を出しまして非常に慎重にアメリカの事象を追究してまいりましたのは、そういう日本における規制の中でカバーできないような事象が起こるとすれば、私としては日本の原子力発電所に対して違った措置を次にとらなければならないと実は思っております。
○日野委員 先ほど吹田さんは、この談話は原子力基本法には違反していないと思うとおっしゃった。私は違反していると思います。原子力基本法の当該法条は、第五条に任務の規定がある。その中で「原子力安全委員会は、原子力の研究、開発及び利用に関する事項のうち、安全の確保に関する事項について企画し、審議し、及び決定する。」こうなっております。つまり原子力安全委員会が置かれた立場は、あくまでも諮問委員会的なものであることは御承知のはずである。独自の行政措置、行政行為、これができないことは言うまでもない。 法律行為という概念、これは私どもが専門家で、逆に非常にわかりにくくなるかもしれませんが、行政行為という概念は、少なくとも諮問に応ずるという立場、これとは相入れないのですよ。安全委員会は行為者ではないのです。どのような意味であれ行為者ではないのです。企画、審議、決定をして、これを諮問に応じて出していくわけです。ところが、今度はこれをわざわざ外部に、新聞記者に対して発表された。これは明らかに越権だと私は思うのですが、あえてこのような事態で、このような表現で出さねばならないとなぜお考えになったのですか。なぜ出したのですか。
○吹田説明員 私は、安全委員会に課せられたる任務から、ああいうときこそ国民にわれわれの姿勢を示すべきだと思いました。企画、審議、決定は、確かに全く普通の諮問機関でありますと先生のおっしゃるとおりでございますが、われわれは勧告権というのがありまして、総理大臣を通じて各省庁に勧告することができる。だからそれに近い各行政機関の長に、受け身の形であると同時に私たちはそれを指示することができると私は思っております。
○日野委員 これは指示するのはあなたではないでしょう。これを指示するのは、あなたの方がこういうふうに決めましたよと言う、そうするとそれは政府、各責任者である大臣、こういうことになるはずですね。あなた方はこういうことを決めて、こういうことを出していいという大臣の決裁を受けましたか。大臣、これは決裁しましたか。
○吹田説明員 私は、それは安全委員会としては独自にできると考えておりまして、行政庁に指示を与えました。
○日野委員 こういうことをやれると考えたのはだれの判断ですか。
○吹田説明員 私は委員長を仰せつかってから、企画、審議、決定という線で、そして行政庁とはある距離を置きながら行政庁のすることを見ていく、そういう任務があるということを委員長就任のときから考えておりました。
○日野委員 この談話を出すこと、これについて大臣、相談を受けましたか。
○金子(岩)国務大臣 私は別に相談を受ける筋合いじゃないのでございまして、私は新聞で談話を拝見して初めて大変権威のある談話を発表したなと大いに敬意を表した次第でございます。
○日野委員 少なくともほかの関係機関が、この事故がこれからどのように発展するんだろう、自分たちはどのように対処しなければならないのだろうと息をひそめてじっと成り行きを見守っている間に、安全委員会が独自の判断でこのような、どう見てもわが国の原子炉は安全なんだから騒がなくたっていいんだよというような、そのようにも読める——にも言いましょう。私はそれ以外に読みようがないと思うのですが、そのようにも読める文書を出された、これは間違いありませんね。
○吹田説明員 安全委員会はその重要な任務ゆえに非常に強い権限を与えられておりまして、みずから必要と考えたときには行政庁の諮問に応じなくてもみずから企画、審議、決定ができることに法律論からもなっておるということを私は事務局から聞かされております。
○日野委員 いま聞いてわかったわけですな、後ろから紙が回ってきてね。
○吹田説明員 私は、この法律論がなくても、全くこれと同じことを ——先ほど申し上げましたように、できるという、企画するという、そのところに私たちの重点がございます。
○日野委員 われわれがこの原子力基本法の改正案を審議し、安全委員会を置く場合に最も心配したのは、安全宣伝委員会だ、安全委員会がすべての隠れみのになってしまうということを最も心配したのですよ。その心配が最も端的な形で現在出た。そうですね。あなた方、これについて自分の良心に恥じるところはありませんか。安全宣伝に狂奔したとしか私には見えない。
○吹田説明員 私は学者的良心に従ってこの談話を出しまして現在に至っておりますので、国民の安全を守る上に、行政庁にああいう指示を与えたということは、いまも間違ってなかったと思っております。
○日野委員 時間切れですからこれでやめますが、この続きは必ずいたします。そのことだけ予告をしまして、私の質問を終わります。
○大橋委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時五十二分休憩 ————◇————— 午後一時三十九分開議
○大橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。田畑政一郎君。
○田畑委員 今度のアメリカにおける原子力発電所の事故を契機といたしまして、わが国においても積極的な対策を講じていただかなければならぬと思うのでございます。特にアメリカのは給水ポンプのいわゆる異常といいますか、それから人為的ミスが重なったと言われておるわけでございますが、わが国におきまして、ただいま原子力発電所問題において一番大きな問題になっておりますのは、支持ピン、たわみピンにおけるところの事故ではないかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、その点にしぼってお伺いをいたしたいと思うのでございます。 まず第一に、高浜二号機でございますが、これは一カ月早めて定検に入っておるわけでございますが、その辺の事情についておわかりの方から御説明いただきたいと思います。
○児玉(勝)政府委員 関西電力の高浜発電所の二号機は現在定検中でございまして、予定よりは約一カ月ばかり早く定検に入っております。
○田畑委員 その理由を聞いているのです。
○児玉(勝)政府委員 当初の計画より約一カ月早かったということでございまして、これは需給上の問題でございます。
○田畑委員 それではお伺いいたしますが、定検に入りましてから以後、たわみピン十七本に折損事故と申しますか、そういうものが発見されておるわけでございますが、その問題と、この定検を早めたこととは関係ございませんか。
○児玉(勝)政府委員 直接には関係ございません。
○田畑委員 原子力委員会委員長にお伺いしたいと思うのでございますが、支持ピン、たわみピンの折損事故は原子力発電所の安全にとってどの程度の意味を持つものか、また、それに対してとられた措置についてお伺いいたしたいと思います。
○吹田説明員 私たちはそういう報告を受けまして、これは制御棒クラスターの案内管、つまり制御棒に関係しているということを重視いたしまして、原子炉の安全性にすぐに影響を与えるものでないということは、そのときのいろんな説明、それから以後のいろんな関連実験から判断しておりますが、ある意味では非常に重要と考えましたので、念入りに報告を受けて、その結果によってはいろんな措置を講じたいと考えておりまして、逐次報告を受けております。一方、審査会の下に発電炉部会がございますので、そちらの方でも検討しておりまして、新しい事実がわかりました時点でいろんな判断を下して次の措置を講じたいと考えております。
○田畑委員 美浜三号炉に支持ピンの折損事故が発見されたのでございますが、それが去年の九月からこの三号炉は定期検査に入っているわけでございますね。ところが、ことしの三月下旬時点で支持ピンの折損があった。しかもそのうちの一本は完全に折れてしまっておりまして、蒸気発生器というのですか、その中を舞っていた破片の断片が発見されました。私は、原子力問題は非常に慎重、重要な問題だと思うのでございますが、こういうピン——ピンといいましても針のようなものではございませんで、相当大きいものが折れてよそへ移動いたしましてがらがらと回っている。それでも中の故障に気がつかない。しかも、定検に入ってから五カ月も六カ月もして初めてその内容が公表される。公表されて調べてみますると、支持ピン一本だけでなくて全部について亀裂を生じている。これは大変なことでございますね。委員長は差し支えないんだとおっしゃるけれども、現に折れたものが一本あるわけですね。しかも、ほかのものは全部亀裂を生じているのですよ。それで果たして安全でしょうか。制御棒というのは、炉心の中心に対してかげんをしたり制御したりする緊急冷却装置以上の非常に重要な役割りを果たすところであると思うのです。そういうところのいわゆるとめ金みたいなものに全部亀裂を生じておる。しかも、折れているのに六カ月も七カ月余りも、折れたときにわからないで、定検に入ってもまだわからない。これはどうですか。これでわが国の原子力発電所でアメリカのような事故は起こらないというふうに言えるのかどうか。これは私、素人考えでございますが、率直に危惧を感じておるわけでございます。 そういうことについて、原子力委員会としては、これは後から聞いたら大したことはないんだ、そういうことでは困るのであって、もっとしっかりした対策を講じていかないと地域住民はたまったものじゃありませんよ。東京ではそれで済むかもしれませんが、周辺地区に住んでおる住民なり関係自治体にとってはとても耐えられないことだと私は考えておるわけでございます。ひいては原子力行政自体の進行にも大きい影響を及ぼすと思うのでございまして、この点、委員長からも大臣からもきょうはしかと御返答いただきたい、こう思うのです。
○吹田説明員 御指摘のあったとおりでございまして、私たち安全委員会も先生と同じように考えまして、これは実は大したことないのじゃなくて、これが大したことに発展する可能性はないかということを検討いたしました。その一つは、同一のメーカーの製品にずっと全部出るというのは非常に重要でございます。先ほどアメリカのNRCが五基の原子炉をとめたと言いますのは、それと全く同じ会社で使っていたコードが間違っている、全くあれと同じ現象がこういうピンにあらわれたのじゃないか、そういう点で非常に重要視しました。 それからもう一つは、先生御指摘のとおり、私たちも定検で初めてそういうのがわかるということは、技術上もう少しできるはずだ、今後その点をよく考えなさいということで、それ以後はそういうことも考慮して処置をとるようにはなりましたが、御指摘のとおりでございまして、今後安全委員会といたしましては、審査だけでなくて、それ以後のいろいろな過程で報告を受けて、直ちにそれに対してわれわれは対応していろいろな指示を与える、つまり再チェックを運転中のものについてもやることになっておりますので、その機能を十分に発揮して、今後のいろいろなデータを見た上で次の措置を講じたいと考えております。
○金子(岩)国務大臣 御指摘の事故は私もいろいろ新聞で拝見いたしまして、私が記者会見で未完成だと言ったことを、その後予算委員会ですかでちょっと質問されましたが、私はアメリカの事故を聞きましてからつくづく、これはこれからこの事故を大いに教訓にして改良、改善を加えて完成をしなければ、現時点ではまだまだ未完成だなというような心情でおるわけでございます。 私は技術者でありませんから技術的にわかりませんけれども、政治的に、原子力を今後大いにわれわれが平和利用するとするならば、やはり謙虚な気持ちで、そのように未完成だというような気持ちでこの原子力行政に取り組んでいく心構えを申し上げておるのでございまして、御指摘の点は、私もともに思いは一緒でございまして、同じ心配をしておるものでございます。
○田畑委員 それでは、これからは支持ピンなどが折れまして他に移動して回って歩くというような重大な問題については予見できるように、わかるように措置されたというのは間違いございませんですね。重要なところだからはっきりしてください。
○児玉(勝)政府委員 ただいま御指摘の、ピンが折れてそれが炉の中を走るといいますか動くときに、それをキャッチすることができるかということでございますが、ピンが折れました問題、それからそれの善後処置についていろいろ安全委員会に御報告申し上げたわけでございます。 そのときに、先ほど委員長がおっしゃいましたように指示をいただきまして、ただいま点検中でとまっておりますけれども、すべてのピンについて点検を行いまして、そのピンについての善後処置といいますか、具体的に申しますと、なぜひびが入ったかということは、これはピンの熱処理の問題で、非常に感受性が高い熱処理をしたということでありまして、ピンのひび割れがしやすい熱処理であったことが一つわかりましたし、もう一つは機械的締めつけ力も少し高過ぎたのではないか、そういう反省もございます。 したがいまして、当庁といたしまして、どういう対応でピンについてのひび割れがないような措置をするかということについて近いうちに委員会にまずお諮りしたいと思っておりますし、また部品がとれまして炉の中を回るのを検出する機械、これはルーズ・パーツ・モニターと言うわけでございますが、それを取りつけることにいたしまして、先生の御心配のないようにいたしたいと思っております。
○田畑委員 これはどうなんですか、美浜三号機では百六本の支持ピンが全部ひび割れしているのですね。これと同じようなことが考えられる炉というのはほかにどこがあるのですか。それをどういうふうにしておりますか。
○児玉(勝)政府委員 美浜の三号機につきましては、先生おっしゃいましたように全部で百六本ございますが、百六本とも超音波探傷装置において異常の値が出ております。そういうことで恐らく全部について異常があるのではないかということであります。 それから高浜の二号機でございますが、これも百六本ございますが、そのうち四十二本について異常の信号があることがわかっております。 それから玄海の一号、これは六十六本ございます。これも超音波探傷の検査はすべて終わっておりますが、玄海では明らかに異常信号と認められるものはありません。 それから伊方の一号、美浜の二号につきましては、現在検査中という状況になっております。
○田畑委員 いまおっしゃったようなところは、製造元は同じでございますね。
○児玉(勝)政府委員 各発電所でおのおの違いまして、美浜の三号では三菱金属、それから高浜の二号におきましては、五十四本がウエスチングハウス、五十二本が三菱金属でございます。玄海におきましては三十四本がウエスチングハウス、三十二本が三菱金属でございます。それから伊方の一号は全数三菱金属でございます。美浜の二号につきましては、全数ウエスチングハウスでございます。
○田畑委員 そうすると、これは三菱金属以外にウエスチングハウスのものもひび割れがあるのですか。
○児玉(勝)政府委員 ウエスチングハウスのものは、いまのところ異常信号のものはございません。
○田畑委員 さらに問題を進めたいと思うのですが、同様な検査の結果、たわみピンにも異常を生じていることが明らかになっております。もちろんこれは新聞で知る限りでございますが、美浜三号炉で六本、高浜二号炉で十七本、玄海一号炉で五本、私どもは知っておるわけでございます。しかもその中には、高浜二号炉におきましては三菱の製品とウエスチングハウス社の製品とが、それぞれ同じような亀裂を生じておるということになっておる。 そうしますと、先ほどお答えがございました熱に対する耐久力とかいろいろなことが、いわば一つの会社の製品についてだけそういうことが言われておるならまた別でございますが、複数の会社、ウエスチングハウスにおいても、また三菱においても同様な亀裂を生じるということになりますと、これは炉の安全の問題について根本的に考え直さなければならぬのではないか。三菱だけ、ひとつこれを直せというだけではなくて、アメリカの会社もやはりこれを直してもらわなければならぬという問題が生ずるわけでございます。 先ほど言いました支持ピンにいたしましても、さらにたわみピンにいたしましても、いずれもいわゆる燃料棒の制御に関するまことに中心的な重大な部分でございまして、これを避けて通るわけにはいかぬと私は思うのです。だから原子力安全委員会としましても、完全にこの点の処置ができない限りは恐らく運転の再開はあり得ないと私は考えておるわけでございます。だからこういうような点について、運転の再開の時期、あるいはこれをどのように直していくのかというような問題等について、これはもう少しはっきりしたことを私は住民にかわって聞きたいと思うのです。
○児玉(勝)政府委員 先生おっしゃいますように、支持ピン及びたわみピンの折損の問題は、原子炉の内部構造物の中の問題としてやはり重要な問題であるというふうにわれわれも受けとめております。ただ、いろいろピンがございますけれども、これは各会社別というよりは、その会社におきましてのいろいろな熱処理のロットがございますので、何個かその熱処理をしたときのグループの仕方が悪かったという、品質管理の問題が指摘されようかと思います。 そういう意味で、品質管理の問題をもっと厳重に行うということで善後処置を考えておりまして、近く通産省においてその善後策を考えました上、安全委員会にお諮りしましてその善後策を決定したい、こう考えております。
○吹田説明員 われわれも、その現象に対しましては、熱処理のほかにもいろいろな設計上の共通のまずいところがあるんじゃないかと、御指摘のように制御棒に関するところでございますので、この点は非常に慎重に、通産の報告を受けて検討いたしたいと考えておりまして、それは委員長の発言としてすでに発表したところでもございますが、今後審査会の発電炉部会等で十分検討して、その後の措置をとりたいと考えております。
○田畑委員 私これは推理するわけじゃありませんが、推理小説家ではないのですけれども、一定の推理に従いますと、美浜三号炉でございますが、これは五十一年の末から運転開始になっている。それから高浜二号炉は五十年の十一月から運転開始になっておる。玄海は五十年の十月。こういうところでいずれもこういう事故が発生しておるわけですね。最近の新しい炉、いまのアメリカの事故の原子力発電所ではございませんが、全部新しい発電所でこの問題は出ているわけなんです。これからだんだん調べていただくとまだ広がるかもしれませんが、私は、なぜ新しい炉にこういう欠陥が率先して見つかったのかということについて、一つの推理みたいな、疑問みたいなものを実際は感ずるのですね。原子力安全委員長、いかがですか。そういうことは考えられませんか。
○吹田説明員 どちらかといいますと時間的な要素も含まれた現象のように考えられますが、一つは熱処理と、一つは設計上の何か共通なミスがあるんじゃないかと実は考えられますけれども、それはもう少し通産からの詳細なデータを検討した上で判断いたしたいと思います。
○田畑委員 これは仮定の問題で大変失礼なんですが、もし美浜三号炉のように全支持ピンが折損しまして、しかも何本かが折れる、その上たわみピンも何本か折損するというようなことをずっと繰り返していたとしますと、どういう事故が発生するのですか。どういうことになりますか。
○吹田説明員 実は、そういう点、折れたものがたとえば炉心の中に入ってくるようなことがありましたならば、これは安全上大変問題なんでございます。いますぐにこれをどうこうというのではありませんが、その可能性がございますので、通産のデータを十分検討いたしまして、安全に少しでも不安がございましたならば適当な措置をとりたいと考えております。
○田畑委員 これは原子力安全委員長に申し上げますが、さらに調査をして問題ならば適当な措置を講ずるということでは遅いのじゃないかと私は思うのです。一つだけ起こっているのなら別ですよ。二つも三つも続いてそういう問題が生じておるのですね。それにかかわらず、どうなんですか、これは。しかも、この三つに共通していることは、いずれも出力が高いということですね。出力の低いところでは余り問題になっていない。ところで大飯の一号炉は日本で最高に高いのじゃないですか。同じものを使って何年も動かしているのです。なぜ検査をしないのですか。もしこの一番大きいところで問題が起きたらどうするのですか。大臣、あなたはどういう責任を感じるのですか。私は、地元の住民がそういうことを不安がるのは当然だと思うのです。だから、その疑問というか、不安に対して、原子力安全委員会といい、あるいはまた科学技術庁長官といい、大丈夫だと言って明確に答弁できて運転させられるのなら、それは別でございますが、私は、この点に関してだけは、きょうは明確にあなた方にお聞きしたいと思うのです。いずれも出力の高いところ、最近できたところで事故が起きておるのに、しかも一番高い原子力発電所をそのまま動かしておるという無神経さというのは、私はどうしても納得できないのです。御答弁いただきたいと思います。
○児玉(勝)政府委員 ただいま大飯の問題でありますので先に答弁さしていただきます。 支持ピンの件につきましては、これはひび割れがしやすい感受性の熱処理であろうということから、大飯の熱処理はどういうふうにやったかということを追跡いたしまして、いままで出ております美浜三号、高浜の二号、そういうものとはまた違った熱処理を行ったということで、ひび割れの感受性は少ないという確信を持っております。 それからもう一つは、たわみピンでございますけれども、大飯にはたわみピンはついていない燃料集合体を使っております。
○田畑委員 いまのあなたの答弁はおかしいですね。支持ピンの折損が発見されたのはことしの三月二十四日、そうでしょう。大飯の発電所というのは、大体その時分から動き出したのじゃないですか。それを何であなたはこれは違うようにやったんだから大丈夫だとどこでわかるのですか。私は、そういう点はもう少し、事故が出てから、やはりとめて十分検査をするとかなんとかぐらいのことはしてもらわないと、地元の人だって納得できないのじゃないかと思うのですね。
○児玉(勝)政府委員 美浜の三号機の定期点検は昨年の九月十五日に入りまして、三月の二十日にそのピンが発見されたわけでございます。したがいまして、十月の初めぐらいからこのピンの折損の問題についてずっと検討してまいっておりますので、大飯は当時試運転をやっておりましたので、実際の営業運転に入りましたのはその後でございますけれども、その間勉強した、こういうことでございます。
○田畑委員 だから、そういうところに原子力行政の問題点があるのですよ。そうでしょう。去年の十月からわかっていたものをなぜ住民なりわれわれに対しては三月時点まで伏せておくのですか、五カ月間も。あなた方だけは研究してやっておるかもしれないけれども、私は福井県に聞いたら、そういう問題が起きると、前の燃料棒折損事故ではございませんけれども、三年間も隠しておくとか、五カ月間も隠蔽しておくとか、そういう形ではとても住民に対するいわゆる管理ができないと言って強く私どもに対して抗議があったのです。これは公開の原則といいますか、オープンでやるならオープンでやるようにもう少ししっかりしてやってもらわないと私は困ると思うのでございます。その点、われわれとしては非常に疑問に思う。
○児玉(勝)政府委員 ただいまの私の御説明ですが、九月十五日に定検に入り、九月二十日に見つかったのでございまして、私が三月二十日と申し上げたのは間違いでございます。
○田畑委員 われわれが聞いたのは三月二十五日なのですよ。そうでしょう。新聞でもってわれわれ自身が知ったのは三月二十五日。あなたは定検に入った時点から知っているのじゃありませんか。なぜそれを隠しておくのだというのですよ。そんなことをしていますから、原子力行政に対する国民の疑惑が解けないのだと私は思うのです。そこを聞いているわけですよ。あなた勘違いしてもらっちゃ困りますよ。
○児玉(勝)政府委員 通産省といたしましては、定期点検に入りますと月に一回定期点検の状況を報告しておりまして、たしか十月の時点でこのピンが出てきたことを申し上げてあると思います。
○田畑委員 だれにですか。
○児玉(勝)政府委員 記者発表しております。
○田畑委員 われわれが知ったのは三月二十五日付の新聞でございまして、そういう点はもう少し早く明確にしていただくということが必要かと思うのです。 ともあれ最大の出力の大飯発電所の運転でございますね。これについて原子力安全委員長と大臣の方から、もう間違いないのだと胸をたたいておられるのかどうか知りませんけれども、ともかく一応は御答弁といいますか、御見解をひとつ最後に出していただきたいと思うのです。
○吹田説明員 いままでの通産からの報告を基礎にいたしましていろいろ検討いたしました。いまのところ、運転には差し支えないという通産の考え方はまず妥当であるという判断に達しております。 しかし、安全委員会としては、先ほどから先生御指摘のようにこの点は非常に重要と考えますので、今後ともこの大飯の方のいろいろなデータをも注視していきたいと思います。重要視して、われわれが運転をとめた方がよろしいと判断いたしました場合には、そういう措置を即刻とりたいと考えます。いまのところ、通産の措置は妥当であるという判断に達しております。
○金子(岩)国務大臣 田畑さんの質疑は通産関係でございまして、私の方は、営業に入っておる原子力については余り責任のある答弁はいたしかねるわけでございます。 ただ、原子力の平和利用、これの行政全般にわたっての考え方は先ほど申し上げたとおりでございまして、やはり心配があるということは田畑さんと同じですよ。同感でございます。
○田畑委員 時間が参りましたので、私の質問はこれで終わりますが、さっき私は三月二十五日と申しましたが、われわれが知りましたのは、ともかく三月の下旬の時点ですね、一斉に支持ピンのひび割れ問題が報道されましたのは。したがって、あなたが知っていたのは十月から知っていたわけです。その間どうなっていたのか、これは私どもこれから問題にしたいと思いますが、そういうことでは困るということですね。ひとつなるべく早く遅滞なく問題点は知らしてもらいたいということをきょうは要望しておきたいと思います。 それから大飯の発電所を動かしておることにつきましては、これはアメリカでもそうでございますが、類似のものについては総点検をやるということを言っておられるわけでございまして、日本の原子力安全委員会としましても、それくらいのことはきちんとしてもらわないと、住民の側も安心して原子力行政に身をゆだねていくというわけにいかぬと私は思います。その点は私ここで最後に強く要望をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○大橋委員長 次に、石野久男君。
○石野委員 今回の事故に関連いたしまして、最初に原子力安全委員長にひとつお聞きしておきたいのですが、この事故から、いわゆるラスムッセン報告なるものについて委員長はどういうふうにお考えになっておられるか、そのことをひとつお答え願います。
○吹田説明員 ラスムッセン報告は、先生御承知のように確率論的ないろいろな取り扱いを原子炉の事故を対象にして新しい方法論的な計算で出しておりますけれども、確率論的となりますと、定量的にいろいろな非常にむずかしい問題をはらんでおるものと思います。私も実は破壊の研究を長年やってまいりました経験上、壊れることを正面から取り上げますと、その幅がわれわれが想像する以上に非常に広うございますので、ラスムッセンの確率論的な結果からいろいろな数字が出ておりますが、あれの幅に関しましては、ルイスレポートにもありましたように、あるいはNRCのポリシーステートメントにありましたように、方法論としてはこれからやるにはよろしいのですけれども、数値自身が一人歩きすることは私も賛成はしておりません。
○石野委員 事故の問題については、いろいろそのよって来る理由がみなあると私は思いますが、しかし、今度のスリーマイルアイランド原発事故というのはいろいろと私たちに教訓を与えておると思います。特にこの事故が、言われるように人為的なものが主であるというふうに見られるかどうか非常に疑問だと思います。むしろ本質的には設計上の問題もありましょうし、あるいは材質上の問題もありましょうし、いろいろあったと思うのですが、デントンNRC部長が、危険なあわがたまることは予想されず、設計段階でもあわ除去は全く除外されておる云々ということを、いわゆる水素泡の問題について話されております。こういうような実態は日本の原子力発電所なんかでも同じように考えられるべきものだろうし、また、この種のPの場合ではそういうことは想定もされていなかったのだろうと思いますが、その間の事情は日本ではどうだったのでしょうか。
○吹田説明員 石野先生のおっしゃるように、そういう現象をまともに取り上げて考えたことは、私の知る限りではございません。詳細ないろいろなデータが出ましたならば、それに対する対応を規制面でより考える必要があろうかと実は思っております。水素に関することは、一応格納容器内のいろいろな現象としてはこれまで考えておったのですけれども、リアクター・ベッセルの中にああいうふうにたまるということは、私は初めて聞きました。
○石野委員 事故の詳細がまだわかりませんし、私なども余り技術的には十分でございませんから、調査の資料が整った上で細かいことをお聞きしなければならないと思いますけれども、二、三の問題についてお聞きしておきたいと思います。 今回の事故は、事故としては最大級の事故だというふうに見るべきではないか、私はこう思っておるのですけれども、委員長はどういうふうにお考えでしょうか。
○吹田説明員 ある意味では、非常に大きな事故だったと思います。それは周囲の公衆に対しまして実害はなくても、ああいう心理的なパニック状態に近いようなことを起こしたという意味では、私は非常に重要だと思います。 日本として、私たちがあの教訓から学びますいろいろなことがございますけれども、その一つは、ああいう災害と申しましょうか、非常に突発的な事故が起こった場合にどういう措置をとればよろしいかという防災対策がございます。やはり情報とかその他いろいろ含めまして、そういうものを非常に重視いたしますならば、日本にとっても非常に大きな事故であったと私は考えます。 原子炉施設自身を後から振り返ってみますと、ある意味では、放射性物質が外に出ましてもその量はそう大したことはなかった。しかし、私たちが非常に重要と考えますのは、先刻申し上げましたように、機械的な間違った指示を間違った判断を人間がした、つまり機械と人間の相互作用というところにこれまでの考え以上に教えられるところがございました。そういう意味では、現象自身は後から見ますとそう大したことはないとも考えられますけれども、あれに発展いたしましたその過程を考えますと、非常に重要な教訓を得ました。
○石野委員 いま炉自身としては大した量はなかった、誤った判断、こういうお話がありましたが、今回の事故で、委員長はいま得られている情報の中でお考えになっておられます誤った判断というのはどういうことだったのでございますか。
○吹田説明員 私も、ほかは余り詳しくはないのですが、たとえば非常に水面が乱れたような場合、そういう過渡的な現象に対しましては水位計のようなものは非常に不安定な指示を与えます。ときには非常に間違った指示を与えます。ですから、そういうときにはその水位計だけに頼らずに、ほかに圧力計とかいろいろなメーターがございますが、二重、三重にしておく必要がありまして、恐らくそういう装置があったはずでございます。それをオペレーターが非常に重要な過渡現象のときに一つだけの計器に頼って、それが非常に間違った指示を与えておる。そういうような事情のときに人間と機械との相互作用というのは非常に重要になってきます。そういうことでございまして、機械の間違った表示を人間が間違って判断したというところに非常に大きなミスになったのじゃないかと思います。
○石野委員 私は、過って操作したということの意味は、どこのところのどういう作業であったかわかりませんけれども、たとえばECCSをとめたというようなことが例になっているのかもしれませんが、しかしECCSをとめたということが操作ミスであったのか、それとも、そうせざるを得なかった事情であったという判断は軽々には断ぜられないだろうと私どもは思います。たとえばECCSが動き出す前には、すでに高熱で水が切れておりますから、とにかくジルカロイが水から露出して外面が千度くらいの熱にまでなっていたのではなかったのかという推定ができるのだそうでございますけれども、そうだとしますと、いやでも応でも、水が入って高燃で水蒸気になっておったために、圧力が上がってしまって、逃がし弁が開いたままになってしまっている。そういうときに、高圧だから閉まらない。ECCSが作動したときにはすでに水素が発生していたと考えられるので、千度くらいに上がっておって、水蒸気が発生し、圧力が上昇しているから、運転員が爆発を恐れてあれはとめたのだろう、こういうふうに言われておりますね。私どもも、もし水素が発生しておって、圧力関係から爆発の危険があるということになれば、そこでとめたことがむしろ妥当であったかもしれないという判断があるわけですね。ですから、これをしも操作ミスであるというふうに断定するのがいいのかどうなのか、私はなかなか疑問だと思うのです。だから委員長がそういうような形でお話しすることについては、ここで論争してもわかりませんし、私も技術屋でありませんが、そういう判断をいま軽々にしていいのかどうなのか。むしろこれは運転員の操作ミスではなくて、当然そうせざるを得なかった事情じゃなかったのかという判断もあると思うのです。これらの問題は設計上の問題もあったり、それから私たちが予想しなかった事態が次から次に出てくるということの関連がありますので、委員長がそういうようなことで軽々な発言をなさることについては、実を言いますと私はちょっと信頼がしにくいのです。これはそう申し上げておきたいと思うのです。 一つお聞きしますが、一次系統にああいうことがありました場合に、二次系統にあのような状態が及んでくるであろうということを予想しておったのでしょうか。いま設計上はそういう予想がされておるのでございますか。
○吹田説明員 どういう過程で二次から一次の方にああいう過渡的な状態が移っていってあの事故に移っていったかという、そのものは日本では審査はしておりません。しかし、あとの方の、どういうところからそういう故障が起こってそこにいったかという過程は別にいたしまして、最後の状態、たとえばろ過のときどうなるかとか、一次冷却管の破断が起こった場合どうなるかという結果のところはやっておりますけれども、過程のいろいろなシークェンスについては、私はやっていないと考えております。
○石野委員 今度の場合は、二次から一次へのああいう状態というのは、これは当然の連鎖事故だというふうに考えてよろしいのでしょうか。
○吹田説明員 ああいう二次に起こりました故障が一次にいくということは設計上はほとんどないようになされておりますけれども、あの事故を実際直視いたしますと、そういういろいろなことが重なりますとああいう事故になるという実例でございますので、日本ではああいう事故を想定はしておりません。設計上はそういうことはあり得ないと考えられるのですけれども、事故というものは大体そういうものでございますから、私は、米国のああいう二次から一次へ移っていったシークェンスをよく調べまして、日本でもそういうシークェンスをどこかで断つためにはどうしたらよろしいかということを真剣に考えたいと思っております。
○石野委員 今度の事故についてそういう問題はこれからも検討を加えなければならぬということですから、それはそういうふうにしていただきたいと思いますが、私どもは、あれは何か人間がバルブを締めておったからとか、そして水が入らなかったからということではなくて、当然のこととしてああいうふうになっていくもののように思われます。 今度の事故をずっと通じてみますと、格納容器というものは絶対に放射能は外に漏らさないのだと言い切ってきました。特にこれがメルトダウンでもしないような場合はめったに外には出ないのだというふうに言ってきたにもかかわらず、そうならなかったのに放射能が外に出た。これはもちろん補助ビルへ水が流れていったからではありますけれども、こういうことから言いますと、格納容器というものは完全に放射能を遮蔽し切れるものだということは言えないと私は思いますけれども、その点についての委員長のお考えはどうですか。
○吹田説明員 アメリカの事故を見ますと、先生御指摘のように外に、つまり格納容器そのものは、リークはなくてもああいう操作によりまして外に出せるようになっておりますけれども、日本のいままでの設計ではああいうのは非常に出現しにくいような状態にはなっております。今度の事故で私たちも規制面から考えさせられますのは、格納容器の外に放射性物質をどういうことがあっても出さないようにしないといけないのではないか。そういうことはこれまで十分やってきておりますけれども、アメリカのいろいろなデータがわかりました上で一層そういう規制を十分いたしたいと考えております。
○石野委員 この格納容器は絶対に放射能を外に漏らさないということが常に安全論争の中では一つの接点になっていくわけです。原発の推進を説く方々は、常にこれは絶対を説いてきたわけですよ。アメリカのものと日本のものとは違うということで、今度の場合の事故を見ていくことがわれわれにとっていいのか悪いのかというこの問題が一つあるわけです。私は技術屋でない立場から見ましても、この問題に技術屋さんが絶対の自信を持っておられることにも不信はありますが、まあ自信はあるでしょう。けれども、そういう技術屋さんの自信では押し通せないという事実を私はここで見ておりますから、絶対に大丈夫だということは言うべきでない。 数年前に私は、予算委員会で当時の三木長官に対してもそのことを申し上げたことがございましたが、やはり今後安全に関する限り絶対安全であると言ってはいけないということを今度の事故はわれわれに教訓として与えていると思います。安全委員会としては、各省庁に対して、その関係する人々がそういうことを発言することは差しとめさせなければいけない。先ほどの権威ある行動の中の一つのあれだと思いますから、委員長にはひとつそのことをしっかりと踏んまえてもらいたいと思いますが、この際委員長の所見を聞かしてもらいたい。
○吹田説明員 よくわかりましたので、今後そういうことをよく注意してやりたいと思います。
○石野委員 このことは、二重、三重の安全装置があっても、やはり事故が起きるときは、それはとても安全宣言だからなどというようなことで過ごせるものではないということを示しておると思いますので、くどいようですけれども、安全委員会の全員はぜひそういうふうにお考えいただきたい、このように私は思います。 この点について科学技術庁長官にひとつ所見を聞いておきたいのです。
○金子(岩)国務大臣 先ほどからも申し上げたと思いますが、あれは一〇〇%安全だということは申し上げる自信もないのでございますが、安全委員会でいろいろと御検討なさって、アメリカの事故の場合は日本ではあり得ないことだということを申されておることは、私は大変権威のあることだと信じておるのでございます。 原子力の平和利用について私どもが今後どういうふうな考え方に立ってこれを推進していくかということであれば、先ほどからもちょっと触れましたとおり、まだ完成品ではないというような謙虚な気持ちでより改善、改良を加えて、絶対安全だということを自信を持って言えるようなところまで大いに努力をし研さんを積まなければならない、このように考えております。
○石野委員 長官にいま一つお聞きしておきたいのですが、長官はそういう御発想でありましても、政府の内部で、今度は基本法の改正等もあって、科学技術庁、通産省、運輸省等所管が分散してしまいましたので、こういう問題に対する管理監督という点ではそれぞれ考え方の違いもある。そのときに、科学技術庁長官のそういう考え方と他の省の長との間に違いがあったのでは、政府の方針が一般の国民に対してはっきり映ってきませんから、そこのところを政府内でもっと一致した見解に持っていっていただくような努力をしてもらわないといけないと思います。その点、この際私は科学技術庁長官に篤とお願いしておきたいのですが、長官はそれを今度閣議でも話を持ち出していただけますか。
○金子(岩)国務大臣 御指摘の点は同感でございます。ただ、仮に原子力発電所を考えますと、通産省はこれを大いに推進していかなければならない役所でございます。安全委員会は、私の方の所管で事務局的役割りを果たしておりますので、安全委員会をつくった、安全局をつくったというのも、ただいちずに平和利用の推進に全力を挙げる、その前提に、やはりチェックをし、歯どめをし、それをやる機関が必要だということでこの安全委員会ができておるわけでございますから、吹田委員長のところで国民が安心するような信頼の置ける結論を出していく、それがいわゆる関係省庁をチェックをしていくことになるのじゃないかと思います。安全委員会は、国会の御承認を得て総理大臣が任命しておる大変使命の重い委員会でございますから、この委員会に権威を持ってお仕事をしていただくことが原子力の平和利用の今後の開発に大いに意義あることではないか、大事なことではないか、このように私は理解しておるのでございます。
○石野委員 安全委員長にお尋ねいたします。 いま大臣からもそういう話がありましたように、安全委員会の持っておる使命は非常に大きいと思うのです。諮問に答えて出す皆さんの御意見というものは、政府の各省間におけるまちまちな意見に対しても一つの権威あるものとして一定の成果を上げなくてはいけない。大臣からもいまのようなお話がありましたが、安全委員会としては—いま金子長官は、原子炉についてはまだ完成していないものだというような考え方で見るべきじゃないかというお話でございました。しかし、従来政府の答弁なり原子力委員会、安全委員会等の皆さんの御意見を聞いておりましても、もう炉は一定の完成の域に達しておるものだということでの御意見でございました。こういうことでありますと、それといまの長官の意見とには若干の見解の違いも出てくるわけでございますし、今度のスリーマイル島の原発の事故はまさに金子長官の発言を裏づけるように私たちも受けとめられる。そのとき安全委員長は、従来の政府の考え方と今日のこの問題に対する考え方の間に立って今後政府の諮問にどういうふうに答えていかれるか、その立場を一応所見として聞かせていただきたい。
○金子(岩)国務大臣 ちょっとその前に申し上げますが、安全委員会の使命、それから安全委員会のメンバー、こういう方々は技術的に自信を持って、これはもう完璧を期した、完全に近いものだという信念に基づいてお仕事をなさっておるわけでございます。私は技術屋ではないので、この方面の知識は全くないのでございますが、ただ政治的に物事を判断して、原子力の平和利用をわが国としては今後どういうふうな考え方に立って推進していくかという精神を私は申し上げておるのでございまして、技術専門の学者の方々が結論を出して声明を出したりすることと、政治家である私の考え方とはちょっと反りが合わないわけでございますから、それはひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
○石野委員 いま大臣の言われるとおりに私も理解しております。大臣は政治的な立場で御発言をなさっていらっしゃる。安全委員会は技術的な側面から見ていたと思うのです。しかし、安全委員会は仮に専門技術屋さんであったとしても国民の安全にこたえなければいけない。安全にこたえるという側面からいたしますれば、政治家の見解とほぼ一致すると私は信じております。そこへ判断を持っていくまでの過程が政治家と専門屋との違いであろうと思うのです。それはあってもいいと思うのです。あってもいいけれども、結論として国民に心配をかけたり迷惑をかけたり、あるいはここでは被曝をさせるということがあってはなりませんから、そういう立場で私は安全委員長の所見を聞きたい。
○吹田説明員 大臣の御発言は、いずれにしろ原子力開発において安全性というのはより一層重要と自分は考えるということだと私は了解しております。御指摘のように安全委員会というのは、結果から言いますと非常に政治性のあるものであることは私も知っておりますけれども、そちらの方に重点を置きますと私たちの科学技術的な判断というのはだんだん曇ってくる心配がございますので、あくまでも第一義的には、私たちは科学技術的な立場に立って冷静にその現象を見詰めていきたいと考えております。
○石野委員 田島委員にお尋ねします。 この事故のありましたときにアメリカにおいでになって、細かい資料まではお持ちになって帰ってはいないのでしょうけれども、当時の状況はわれわれよりもよくおわかりだと思うのです。一つお聞きしておきたいことは、こういう事故が起きたときに、原子炉周辺の住民なりあるいはその他の国民の間にこの問題がどういうふうに受けとめられており、あるいはまた避難等が行われる間どういうような点をわれわれは注意しなくちゃいけないかということについてひとつ所見をお聞かせいただきたいと思います。
○田島説明員 実際現地に行ったわけでもないのですけれども、新聞、テレビその他のことから推察いたしまして、非常に混乱が生じたことは確かでございます。ことに退避の問題のときにおきまして、退避のアクションレベル、要するに退避を起こすレベルというのが千ミリレム・パー・アワーということに決まっているわけですが、実際退避が発動されましたのはそれよりもずっと低いレベルで発動されております。牛乳を例にとりますと、もし牛乳が問題で退避を宣言したとすると一万分の一くらいなアクションレベルよりも非常に低いというようなことになっております。 非常にいろいろのことがあったのだろうと思いますが、先ほどもどなたかの先生からお話がありましたように、一番不信感が住民の間にわいたようでございます。そのわきました理由の一つは、四時から七時までの間のブランクの時間、これに対する説明が何もなされていなかった。要するに、わかったのは七時であって、事件が起きたのは三時じゃないかという、そこの不信感であります。 それからもう一つは、先ほどどなたかの先生がおっしゃったように、政府当局、州政府ですかNRCですか、その説明が非常に専門的でわかりにくかったということ、わかりにくいばかりではなくて、誤解を生ずる説明、文章、言葉がたくさん入っているという批判が出ておりますので、これについてはわれわれもかなり気をつけなければいけないだろう。ことにメルトダウンという言葉が非常に誤解されたようでありまして、終わりごろになりますと、メルトダウンの意味を解説しながら発表を行っていたという状況であります。 この避難その他の事柄は、ウインズケールに次いで二回目の外に出た事件でありますので、われわれとして見ても非常に大きな教訓が含まれていると私は受け取っております。どういうふうにこの教訓を日本に生かしたらいいかというのが今後の問題ではなかろうか、そういうふうに考えております。
○石野委員 周辺住民並びに国民の間に不信感が非常に大きくなってきた、これがこのような事態のときに一番大きい問題になろうかと思うのです。お話の中には、事実を皆さんに知らすことも遅かったとか、あるいは説明が非常にむずかしかったとかいうこともありますが、これらのことから感じられることは、やはり事故というのはいつどういうふうに起きるかわりませんし、それが絶対にないのだというラスムッセン報告を信奉して安全宣言そのままでいけば何にも準備は要らないかもしれませんけれども、そうでないとすれば、やはり一定の準備なり訓練なりというものが絶対に必要なように私は思うのです。私はもう十数年前からこのことを申しておりますけれども、なかなかそうはいかないできました。 今度の場合、率直なところを田島先生にお尋ねしますが、やはりこれは訓練でもやってあればもっと違ったのではないだろうかという感じが私はするのですけれども、その辺どういうふうにお感じになりますか。
○田島説明員 訓練があったら結果が違ったろうかということについてはちょっと私も答えようがないのですが、ただ、アメリカの場合には計画その他はかなりよく綿密につくられているはずだと私は思います。それは二つ意味がございまして、一つは、核戦争を想定しているということからかなりいい準備が行われていたということ、もう一つは、多分原子力発電所を置くところではこの訓練組織——退避その他の災害対策組織を義務づけられているように聞いておりますので、計画としてはかなり綿密な計画があったもの、そういうように想像いたします。それにもかかわらず、いま御指摘のようにアメリカとすればかなり困難な事態が、パニックと言っていいかどうかわかりませんが、そういう状態が一時は起きたということは事実のようであります。 そう考えますと、日本はそれぞれのこともないということになりますと、やはりこの際しっかりその点を煮詰めなければいけないだろうというふうに考えるわけですが、日本の場合ですと、恐らく災害対策基本法にのっとって行われることになろうかと思いますが、この基本法は原子力関係以外の、たとえば洪水その他のことについてはかなり一かなりと言っていいか非常にと言っていいかわかりませんが、ワーカブルにといいますか、実際的に行われているわけですけれども、その枠の中で放射線に関することをいかにワーカブルにするかということがこれからのことでなかろうかというふうに考えております。 これはなかなかむずかしい問題でありまして、行う主体が地方自治体ということになっております。ただ、地方自治体は中央の指導といいますか、強力な指導がないと恐らくできないだろうということが一つありますので、その辺のソフトの——ソフトと言っていいか何かわかりませんが、そういう組織づくりというふうな面が一つ今後の大きな問題であるだろうと思います。 それからもう一つは、そういう体制をつくりますのに、緊急体制についていろいろな開発する面をまだ日本では余りやっておりませんので、そういう面の研究開発というふうな事柄が測定器にしろ何にしろ普通の常時使っているものは必ずしもいつでも間に合うとは申せませんので、そういうハードといいますか、そちらの方のことも追求しなければいけないだろう、そういうふうに両方から開発研究を進めまして、いかにワーカブルな組織づくりをするかということが今後の問題だろう、そう考えております。
○石野委員 災害対策基本法によって放射能に対するこの種の問題の退避なりあるいは災害防止対策としてのワーカブルなものができるだろうかどうだろうか。私はいまの状態から言うと、災害対策基本法は、これは救助規定で原子力関係は外しておりますね。ですから、そういう点からするとこれは独自なものとして考えなければならないのではないだろうかというふうに考えますが、委員長どうですか。
○牧村政府委員 災害対策基本法の中には、大量の放射性物質の放出で住民等に危険を及ぼすおそれがあるときには、この法律に基づいて必要な措置を講ずるように定められております。
○石野委員 そうすると、いま現にそれの対策としての法令なり条例というのはどういうふうにできているのですか。
○牧村政府委員 したがいまして、原子炉を設置しております都道府県におきましては、地方公共団体におきまして地域防災計画が定められておりまして、これは水害その他の災害と同様にすでに設けられておるわけでございます。その下の機構として、当然市町村がそれぞれ設けることになっております。 一応の枠組みは一部の市町村を除きましてすでにできておるところでございますけれども、ただいま田島先生の御指摘は、どういうような時点で本部を置く必要があるかとか、その辺の問題がなかなかワーカブルになってないことも事実でございます。その辺の検討が必要であるという御指摘があったものと私どもは考えております。
○石野委員 そこで災害対策基本法では、そういうことで災害計画を各自治体につくらせておりますし、現にそれはそこからの強い要望もあるわけです。 私は、いま一度これは田島先生にお尋ねしておきますが、ワーカブルということですね、主としてこれは放射能に対してというふうに私は受けとめておりますから、その点について牧村局長からそれは基本法の中で処理できる、こういうふうになった場合のそのワーカブルな問題というのはどういうことをいま注意せねばならぬかということを一応お聞きしておきたい。
○田島説明員 これは二つ申し上げたいと思うのですが、放射能の問題として取り上げられたわけですが、全体としての災害を少なくするという意味で、その中に放射能問題が入るというふうに私は取り上げたいと思うわけです。 それからもう一つ、後どうしたらいいかということになりますと、これは非常に参考になりますのは、幾つかの論文で報告がございまして、それをそらで申し上げるわけにはいきませんですが、たとえばこの災害対策問題というのは非常に省庁が関係する問題でございます。したがって、緊急時のその省庁の役割りとか責任をまず明確にしておかなければいけない。その責任の範囲でやらなければいかぬというふうなことが一つは申し上げられるかと思います。 それからもう、一つは、いろいろなアクションをとる場合のグレードというものをつくっておかなければいかぬだろう、そのグレードに応じてどれだけのところをどれだけ動かすかというふうなことをきちっとしておかなければいかぬだろう、連絡系統とかいうことはもちろんのことですが、そういう種類のことをかなりつくって、少なくともペーパーで机上演習みたいなものをやっていきますと、実際の場合にはそれの応用がきくというふうなことになろうかと思います。 その他、いろいろな注意を書かれた報告書がございますので、それによってワーカブルなものにしていきたい、そういうふうに思っております。
○石野委員 いま一度お尋ねしておきたいと思いますのは、そういうようなワーカブルなものをとにかく準備しておいても、仮にアメリカの場合で言いますると、退避命令が出る一定の基準よりも非常に低いレベルでもう騒ぎが始まってしまった、こういう事実をわれわれ見ているわけです。そうすると、ふだんこれなら安全だと言っておっても、民心はそういうふうにはいかない。民衆の動きというものはそういうふうにいかないということになれば、何の効果もないことになってしまいます。したがって私は、やはり一定の行動に対するマニュアルができておる場合でも、それの実行に当たって大衆がどう応じてくれるかという問題になれば、非常に強力な指揮命令系統のようなものがあって、一斉にそこへぐっと引っ張っていくということになれば別ですけれども、これはそんなことを期待したってなかなかできるものじゃありませんから、当然のこととして私はやはり退避訓練とかなんとかいうものはふだんやっておかなければいけないのじゃないだろうかという感を非常に強くいたしますけれども、率直に先生、どういうふうにお考えでございましょうか。
○田島説明員 なかなかはっきりしたお答えをすることができないと思うのですが、退避の問題だけに関して申しますと、まさしく退避訓練をやっておくということは非常に重要なことで、かけがえのないことだと思うのですが、退避訓練をやるということがあらざるところの危惧を生むというエフェクトをどうバランスさせるかというようなことがございますので、退避訓練をやる場合には、よほどその事情の説明が納得された上でやらないといけないのではなかろうかというふうに考えておりますが、必ずしもいまのところすぐ退避訓練にまでいっていいかというよりも、私のいま頭にありますのは、その案をどうワーカブルにするかということに向けられておるわけです。
○石野委員 ちょっとそこのところ、先生、わかりにくいのですが、どうそのワーカブルなものをつくるかということ、それは仮にわかっておりましても、仮に用意されていても、今度の場合は、現実にはそれは適用されなかったわけです。にもかかわらず、そういうようなものを整備しておれば、こう言っても、これは意味をなさないと思うのです。そうすると、仮にそのことをやることから副作用的に別なものが出て、本来のものよりも、たとえば端的に言えば原発阻止運動に走っていくのじゃないか。そういうようなことを考えているのかどうか知りませんけれども、余り危険感が多くなってしまってよけいなことだというようなことをいまここで考えるべきなんだろうかどうだろうか。むしろそういうことが仮にあったとしても、これにならしておかないと、一朝事のあったときに困るのではなかろうか。今度の事故は相当大きな事故であるけれども、これ以上に大きい事故が出ないとは限らないわけです。だとすれば、一度あることは二度あるということも言わなければいけませんから、私どもはやはり最大限の対策というものを考えておく必要があるように政治家としては考えます。そのとき、技術の側面から、これは委員長さんに良心的にどういうような御忠告をいただけるのかどうか、ひとつ所見を聞かしていただきたい。
○田島説明員 どうも明快な答えができないで申しわけないのですが、その理由は、この問題は技術的な問題でなしに、社会的な問題がかなり含まれているわけです。社会的な問題に対して私は判断する自信がちょっとないものですから、そこのところで回答が明快でないということでありまして、技術的な面だけから申せば退避訓練をやる方がよろしいということは言えるわけです。そのほかの社会的なエフェクトというのは、地震の場合その他のことがありますし、どういうエフェクトが副次的に出てくるかということまで判断が及ばないものですから……。そういうことです。
○吹田説明員 安全委員会でもこの問題は非常に重要視いたしまして、専門部会をつくりましてわれわれが積極的にどういう寄与ができるかということを考えながら、いろいろな科学技術的な面からその問題に接近していきたいと思っております。
○石野委員 自治省の方おいでになっておりますか。——これは自治省じゃなくて、通産省とか科学技術庁に、私は茨城県でございますが、茨城県の方から要請書が出ているはずです。その要請書は三つから成っておりまして、時間が余りありませんから細かく申しませんが、「防災上の具体的諸対策を早急に確立すること。」という要請が出ておる。私は県の段階に参りまして、この意味はということでいろいろ論議しました。それで、いまの退避の問題も話し合ったわけです。地元の方としては、その必要性は認めていても中央の指令、中央の方針、そういうものが出ないと物を言えませんというのが率直な腹を割ったところの意見でありました。いま自治省は、こういう問題を踏んまえて、どういうふうに政府の中でこれに対応する働きかけをしておられるか、あるいはまた又各都道府県に対してどういうような指示を与えておられるのか、この際ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○中川説明員 私は消防庁でございますが、消防庁の立場からいたしますと、現在事故の問題は非常に複雑でございまして、われわれの方ではちょっとわからないことであります。そのために住民に対する指示、伝達方法、それから避難するときの地域はどれくらいにするか、あるいは退避の方法、それから避難場所等、これは一応決めておりますけれども、そのほかに避難の時期、どのぐらいになった場合に避難した方がいいかとか、それからどのくらいのところまで逃げたらいいかとか、そういういろいろ検討すべき事項もございますので、今後はそういうふうなことも、アメリカにおける事故を参考にいたしまして、関係している各省庁とも連絡して具体的な方策を立てていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○石野委員 そうしますと、いまのところは、この種の問題についての対応の具体的な策は明確にはできていない、こういうことですね。
○中川説明員 早く言いますとそういうことになります。
○石野委員 これは非常に重大でございます。したがって、できていないものをいろいろ聞いてもしようがありませんが、これは安全委員会の方からも特に政府に対して要請を強くしていただきたいと思いますし、それから大臣の方は早急に政府内部においてこの種の問題について具体的にどうするかということに対する策を立てるようにしてもらわなければいけない。それもだらだらやられては困るので、もうでき得るならば素案のようなものは今国会中にでも出してもらうようにしてもらわなければ困ると思うが、そういうことについての大臣の所見をちょっと聞いておきたい。
○金子(岩)国務大臣 原子力発電所を抱えた都道府県では、石野先生のような御心配は当然だと思います。先ほどもちょっと触れましたが、ちょうどアメリカのあの事故が発生しまして、災害対策基本法による対策をどうするんだということでいろいろ議論が出まして、結局自治大臣が五十三年度のいわゆる防災対策には入れておるという説明をしておりました。 どちらにしましても、具体的に問題を掘り下げると、どうも余り確信の持てるような結論が出なかったので、総理府が中心になりまして関係省庁皆ひとつ意見を出しまして最善のいわゆる放射線の防災対策を講じよう、こういう取り決めをしておりますので、御指摘のとおり早急にこの問題を具体的に進めていきたいと思います。
○吹田説明員 その点に関しましては、できるだけ安全委員会としても積極的にやっていきたいと思います。
○石野委員 非常に時間がなくなっておるのですが、一つだけこれは安全委員長に、やはり先般委員会で出された談話の問題についてどうしても聞いておきたいと思うことがございます。 先ほど日野委員からもこの問題についての御意見を聞いておりますし、委員会の考え方もお聞きしました。問題は、この時期において委員会が訴えるべきものは何だったのかということなんですね。ここで日本の原子炉は安全だということを訴えるべきだったのか、あるいはアメリカの事故に対応して日本はどうすべきかということを訴えるべきだったのかということが一つ大きい焦点になると思うのです。 先ほど同僚議員も言いましたように、このいわゆる委員長の談話というのは、ウエートはやはり聞く方からしますと二の後段にかかってきます。皆さんはどういうふうにあろうと。先ほど委員長は、国民の前に示したことは正しいんだ、真意が伝わらなかったのは遺憾である、こういうふうに言っておりましたし、それからどなたがどう言おうとも私は信念でと、こういう話もございました。皆さんが科学的な問題について御意見を出されることは結構です。ただし、「わが国の原子力発電所では、この種の事象が本件に類する事故へ発展することはほとんどないものであることが、基本設計に関する安全審査、及び使用前検査、定期検査等で確認されている。」これは何のためにこういうものを書かれたか、意味がわからない。こういうことをやっていることは百も承知していますよ。しかし、その安全審査の中から幾つかの事故が出てきているのです。皆さんがそういうことを予想しなかった事故がもう数多く出てきている。現に先ほどの話のように、いわゆる支持ピンの中からの事故なども、安全審査のときはそんなのは考えていなかったはずだ。そういう事故が現実にあるのに、こういうことを言う意味は何なんだ。 私は、原子力安全委員会ができた経緯をひとつ委員長初め各委員に考えてもらいたいと思うのです。この委員会ができたのは「むつ」のいわゆる中性子漏れの問題を契機として、安全審査委員会で審査した基本設計というものが詳細設計と連結していなかった、そのためにこの安全に対する責任をどちらがとっていいかわからないというような事情になってしまって、これではいけないから安全委員会をつくらなければいかぬということになった。したがって、安全委員会の意図するところのものは、率直に言って経済的、社会的問題を顧慮する必要はないのですよ。そうじゃなくて、全く科学的に安全そのものを国民に対して明確にすべきだったと思うのです。そういう意味からすれば、この二の項の後段というのは何の意味も持っていない。これはむしろ事故隠しですよ。あらゆるものに対して事故を隠し、将来に対して目をふさごうという意図のほかにわれわれは何も受け取ることはできないと思います。これは反省すべきだと思うのですよ。 委員長は、先ほど自信を持ってと言いましたし、われわれの真意をようくみ取ってもらえぬのは遺憾だと言ったけれども、しかしその真意をくみ取ってくれないから云々ということは、それはほとんど報道機関に対してのことだと思います。報道機関がそう伝えたのだから。そういうことを考えますと、皆さんの考え方というのは思い上がりということなのか、それともやはり目の向け方が違うというのか、私は疑います。少なくともこの委員長談話の後段の問題だけは、いまからでも委員長は取り消すべきです。こういうことをこの段階で言うことを原子力安全委員会の委員長がもし固執するとするならば、委員長の責任を問わなければいけないと私は思います。国会はこういうことを言わすために委員会をつくったのじゃないのだから、これは委員会として考慮していただきたいと私は思いますし、委員長の所見を聞いておきたいと思うのです。 同時にまた、長官に対しては、政府という立場で——私はこういうようなことを原子力安全委員会が大臣や政府の、言うなら総理大臣の諮問に答えるという形でなくして自発的にやったというその気持ちは、私どもはもともとこれは三条委員会にしなくてはいけないということを言っておったのですから、もしそれであるならばこれでよかったと思うのですよ。だが八条委員会ということになりますと、これはそういうわけにいきませんよ。越権ですよ。その問題について委員長はどう考えるか、政府はどういうように見るかということをひとつ聞いておきたいと思います。
○吹田説明員 この委員長談話は、ある意味で十分われわれの意をくんでいただけないようなアレンジの仕方であったことは、振り返ってみまして私非常に遺憾だと思っております。今後こういうことを発表する場合には、そういう誤解を招かないように注意をいたしたいと考えております。 私たちも、一番力を入れましたのが実は三でございまして、その三十日の時点でわれわれは何をなすべきかということを非常に考えまして、それは余り時間をとらずに、こういうことをすれば日本の安全に対するリスクを少しでも小さくすることができるのではないか、そういうことを実はいちずに願いまして、二の文章はその三を出すためのいわば実態を示したというのが本当でございまして、その二と三との続き方をいまから考えますと、もう少しうまくわれわれとしてはできたかなと思っております。今後こういうものを出しますときには、そういう点も十分注意いたしたいと実は考えております。 それから、安全委員会が行政庁に対して、諮問機関であるのにダブルチェック以外のような指示をするのは越権ではないかという御質問でございますが、安全委員会は確かに企画、審議、決定の三つの権限を与えられております。しかし、安全委員会の決定を各省庁は十分尊重するということになっておりますので、そういう意味で、安全委員会がこういう意思表示をしたのを受けて各行政庁が有効にこの趣旨を生かすことは私は違法ではないのじゃないかと思ってやりました。 〔委員長退席、木野委員長代理着席〕
○石野委員 私は、この委員長談話を出すということそれ自体を決して悪いとは言っていませんよ。しかし、出すについても内容の問題があると思うのです。その内容が著しく影響が大きい、それはどの方面に影響が大きいかは別としまして、影響の大きい問題についてやはり考慮すべきものがあるはずです。私は、この四つのうち特に三に重点を置こうという意図もよくわかります。よくわかるけれども、この三のことを強調しようとする前に、二の後段というものは、率直に申しまして必ずしも効果を明確にしません。三の項目は言いわけにすぎないということになります。二の項目が出ている以上は何のためにこんな三が必要になるのかということになる。二を見てごらんなさい。確認されているから何も心配要りませんと書いてある。三の項目なんて必要ないじゃないですか。だからもしこの趣旨を生かそうとするならば、いまからでも遅くないですよ。この二の後段は委員長談話から取り消すべきです。そうすべきだと思います。これは後でひとつ考えてください。私どもはこれを非常に重要視します。だからひとつ委員長の所見を聞いて、後で大臣から所見を聞かしていただきたいと思います。
○吹田説明員 三十日の会のときには、私の理解は「基本設計に関する安全審査、及び使用前検査、定期検査等で確認されている。」という表現は現在の実態を示しまして、もう一つ非常に重要なことは、そのとき私考えましたのは、多重防護の各レーヤーを非常に強くするという考えでございます。ですから、これは基本設計に関する安全審査も十分やりなさいよ、それから使用前検査もしっかりやりなさい——定検でもそういうのをしっかりやりませんと多重防護の意味が非常に弱くなってまいりますので、そういう意味で、これはある意味の多重防護の一つ一つを書いてあるのでございます。 それで、そういうことを踏まえた上で三を実は考えたわけでございまして、やはりすぐにこれを取り消すかどうかというのは私いま考えておりません。これがございませんと、いまの多重防護の少なくとも三十日の時点で私の考えたこととは違ってまいりますので、やはり三を導くためにはこういう実態をも示して、その実態の中で多重防護の各防護壁を十分強くする意味で、たとえばこういうものをされておるが、しかし実際事故というものはこういうものだけでは防ぎ得ないということの事実を見せつけられましたので、私は三というのをこの文章の中では一番重点を置いたのでございます。
○金子(岩)国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、原子力安全委員会は国会の皆様方の御承認をいただいて総理大臣が任命した、いわゆる権威を持った高い立場の委員会でございます。 〔木野委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、この委員会で本当に学問的に、他の一切は考慮に入れずに論議をしてその結論を出した、その談話について私どもがとやかく申すわけにはいかないと思います。石野先生のお気持ち、御意見は私もよく理解できますけれども、私の立場でこの問題について批判を加えたり意見を申し述べることは筋違いと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
○石野委員 時間がありませんのでこれでおきますが、吹田委員長の最後のなには承ることはできませんので、他日またこの点については論議さしていただきたいと思います。
○大橋委員長 次に、貝沼次郎君。
○貝沼委員 きょうは午前中からずっとスリーマイルアイランド原子力発電所の事故のことでやっておりまして、大体論点は出たように私は思っております。したがいまして、ダブるところはなるべくやらずに、何点か確認をして終わりたい、こう思っております。 まず第一番目に大臣に伺っておきたいと思います。それから安全委員長にも伺いたいし、田島先生の方にも伺いたいと思います。これは同じ安全委員会でありますけれども、田島先生の方はちょうどそのころ米国にいらした関係から伺いますが、その問題は、今回のアメリカの事故でありますけれども、この事故でわが国は一体どういう教訓を得ただろうかということなのであります。もちろんこういうところに力を入れなければならぬということもあるだろうし、アメリカの技術の信頼に対して疑いを持った点もあるかもしれません。どういうふうに教訓として受けとめられるか、この辺を伺いたいと思います。
○金子(岩)国務大臣 われわれがいままで考えていなかった騒ぎが起きましたので、わが国の原子力の今後の平和利用の推進についてはいい教訓であったというような感じを受けています。この教訓に基づいて、いわゆる原子力開発の大前提である安全性の確保、確立に一段といわば新しい考え方に立ってひとつ検討を加えていくべきだ、このように考えております。
○吹田説明員 アメリカの今回の事故から学びます教訓の中で一番大きいのは、やはり原子力のようなものは、先ほどから出ております各省に関係することが非常に多いのでございますが、その中でいまの防災のようなものはその一つでございまして、先ほどから田島委員も申し上げておりますように、われわれといたしましてもまず日本でそれを具体的にやっていく必要があろうかと思います。 それからもう一つは、事故というものは幾らいろいろな設計なり人間的な要素を考えてやりましても起こるものだということでございます。それに対しまして、われわれは全力を尽くしてそれが出現しないように科学技術的な立場から進めていく必要がある、そういう面でこれまでの日本における規制をいろいろな意味で洗い直してみたいと思っております。
○田島説明員 今度の事故では、人間のミスがあるとはいうものの非常に大きな教訓がありますので、それを厳粛に受けとめて対処していくべきだろうと思います。 その内容と申しますと、一つは、個々の設計、ハード的な設計の面でも教訓とされるものがあるだろう、そういうふうに考えます。 それと同時に、先ほど来言われておりますように、人間のミスというものが、言われているところによりますとかなりの比重を占めているということで、人間に対する教育訓練、再教育というふうなところをかなり重く見ていかなければいけないだろうというふうに考えております。とかく何事もなく事態が過ぎているときには、教育訓練、再教育というようなものが忘れがちになりますので、その点は特に今度の教訓の大きな一つではなかろうかというふうに考えております。 それからもう一つは、先ほど来言っておりますように、ともかく外に放射能が出た、現実に退避という事態が起こるような事故が起きたわけでありますので、それが日本に起きないというわけにはまいりませんので、それに対する十分な対処の仕方を早急に考えなければいけないというふうなのがいま考えますところの得られた教訓、そう考えております。
○貝沼委員 この問題は、いつかはこういうことは起こったのではないか。わりといままで原子力発電の場合は、いろんな故障、トラブル、そういったものはありましたが、いわゆる事故というものは余り見えなかった。ところが、これが早目に起これはむしろ真剣に対策を講ずるわけでありますからいいのでありますが、これが遅くなるに従ってより深刻な問題になっていくのではないかというところから、今回の事故は、大事故とはいうものの、そういう面では深刻に受けとめる材料としては非常に重要なものではないか、こう思っておるわけであります。 それで、先ほどからいろいろと議論がありまして、防災関係あるいは安全性の問題などたくさんありましたが、専門的にこれを勉強しておられる方々が、いや一〇〇%安全なものなどは人間がつくれるはずはありませんと言われるようなところからわかるのでありますけれども、一般住民の方々は、たとえばいまもお話がありましたように、日本はこの談話の中にもありますように、安全審査及び使用前検査、定期検査等で確認されているというようなことで、何か言葉だけを見ていくともう安全なんじゃないか、こう思う。ところが、先ほどからの質問の答弁を聞いておりますと、いやまだ完成されたものじゃないんじゃありませんかという言葉がまた出てくる。専門家はわかるのでしょうけれども、一般住民としては、日本の原子力発電というもの、あるいはその技術というものは安全なものなんだと受けとめるべきなのか、まだまだ心配が相当あるというふうに受けとめるべきなのか。私は住民の立場からどう受けとめたらいいのか、この点をまず大臣にお伺いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○金子(岩)国務大臣 私は、技術的に完全なものができ上がった、このように安全委員会等で申されていることは正しいと思うわけでございます。ただ、私どもが住民感情等も含めて政治家としてこの問題を考える場合、これを一〇〇%完全無欠なものだということは言い切れないというようないわゆる政治的な信条を私は持っております。
○貝沼委員 そうすると、やっぱりまだまだある程度危険性というものは同居しておる、したがってその対策あるいは技術の開発、こういったことは今後さらにどんどんやっていかなければならない、こういうふうに考えてよろしいですか。
○金子(岩)国務大臣 御指摘のとおりでございます。今度のアメリカの事故は、先ほどから申し上げておりますとおり、いわばこれによって大変な教訓を受けたというような受けとめ方、謙虚にまだまだこれからが大変だというような受けとめ方をして、ひとつより以上この原子力については自主開発を進めていくべきだと思います。 いろいろそうしてやってもやっぱり万々一何かが起こった場合は一体どうするんだという対策もあわせて立てておかなければ、地域住民は安心しないのじゃないでしょうか。それでいわゆる災害対策基本法をもとにして、この機会にひとつこの種の事故が万々一生じた場合の対策をこれからあわせて立てていきたい、このように考えておるのでございます。
○貝沼委員 いま大臣の言われた万々一の場合の対策を立てておくべきだということですが、私もそう思います。 そこで、いままでは、たとえばそういう対策を立てたりあるいは退避の訓練をしたりなんかいたしますと、相当危ないのじゃないかという心配があるということで、かえって危険のPRになるのじゃないかということで心配されたようでありますけれども、先ほどからずっと議論を聞いておりまして、アメリカでいまこういうようなことが起こった以上は、やはり対策を立てるなり、あるいは訓練をするなり、もう必要以上なぐらいどんどん対策を講じていくことが安全ということにつながり、コンセンサスが得られるのではないかと私は思うわけでありますけれども、この点はいかがでございますか。
○金子(岩)国務大臣 全く同感でございます。
○貝沼委員 それから大臣は、先ほど教訓といたしまして新しい考えに立って検討を加えたい、こういうふうにおっしゃいました。この言葉はいろいろ考えられるわけでありますが、一つは、今後の原子力発電の計画その他についても新しい考え方に立とうとされるのか、別の言葉で言えば計画の変更もあり得るということなのかということですね。いま総点検その他やっておるようでありますから、その結果によるとは思いますけれども、そういう計画の変更をも含めた上で新しい考えに立って検討をされるということなのか、その辺のところを少し詳しく伺いたいと思います。
○金子(岩)国務大臣 私が今後のことをいろいろと強調しておりますのは、ただこの原子力の平和利用の推進には大前提がある。それは安全性の問題でございます。その安全性の問題について、いままでよりも、より以上の受けとめ方をして、九九・九%までの安全を確立していかなければならない、そうした前提のもとに、やはりわが国ではエネルギーは皆さん御承知のとおり全く自分で資源としては持たないわけでございますから、どうしても原子力平和利用の開発推進は、今後ともこの事故によって何ら変更することなく推進をしていかなければならない、こういう考え方に立って、その前提に完璧を期していきたい、こういうことでございますので、計画とかあるいは建設とか、そういうもろもろの原子力発電について変更は加えない、加えなくていいんではないか、このように考えております。
○貝沼委員 安全委員長に伺いますが、吹田委員長は日経のインタビューで「少し遅れることになると思う」というようなことを言っておるようでありますが、恐らくこれは原子力の計画の話だろうと私思っておりますが、今度の事故がそういう原子力計画に影響を及ぼすというふうにお考えでしょうか。
○吹田説明員 原子力発電所、特に原子炉というのは潜在的にその内部に放射性物質を持っております。つまり潜在的な危険なものであるという認識に私たちは立っております。しかし、それがそのまま周辺の国民に危害を与えるかということは、それはすぐには考えていませんで、そのためには何重もの工学的な防護施設がございます。しかし、今回の事故というのは、そういう何重にもやっておりましても、あるいは何段階のああいう審査とか使用前検査とか定検をやりましても、なおかつ事故というのは起こるという事実をあらわしておりますので、そういう点から私は日本の安全規制をこの際見直すべきではなかろうか、そしてその中にアメリカで起こりました事象でわれわれが規制に反映すべきものは十分反映していきまして、まずこれまで以上の安全を増していきませんと、ああいう事故をゼロに近づけるということは非常にむずかしいんじゃないか、そういう意味でこれまで以上に、私はそういう目でながめますと、それは早める方向には絶対にまいりませんで、むしろ遅くなるのじゃないかというのがあのときの私の考えでございます。
○貝沼委員 大臣、吹田委員長は、深刻に受けとめ、そしてそれを真剣に究明をしてやっていった場合に、早めることは当然ない、場合によってはおくれることはあるいはあるかもしれないということですが、大臣は計画の変更はないということですけれども、それは計画の変更は含めてもいいんじゃありませんか。どうですか。
○金子(岩)国務大臣 まだ安全委員会から私どもにいま貝沼さんが言っているような意味についての御意見も出ておりません。したがって、私は先ほどから申し上げておりますとおり、安全委員会は、私どもの上に高い権威を持って学者グループでつくられておるもので、原子力のわが国の平和利用の今後の開発については最も高い権威を持った委員会でございますから、この委員会の御意見がもし出たとすれば、いま貝沼先生が言われたように、われわれの計画中のもの、あるいは建設中のものに何か検討を加えなければならない段階が来たならば、それは検討を加えますけれども、まだ安全委員会から何も意見が出ていないのでございますから、私は既定の方針はまだ変更しない、こういうことを申し上げておるのでございます。安全委員会から何か御意見が出てきたら、その時点で検討をすることになる、このように思います。
○貝沼委員 これだけの事故ですからまともにいくとは考えられません。安全委員会からそういう話があった場合は、ひとつ前向きに検討していただきたい、これが国民が理解する唯一の方法だと思います。 それから、先ほどから問題になっておりました原子力安全委員会委員長談話、この話をずっと聞いておりまして確認だけしておきたいと思いますが、どうもはっきりしない点がございます。それは先ほどの二のところですね。現在の実態と、多重防護を強くするためにというふうにいま委員長から話がありましたけれども、この二の先ほど問題になりましたところですが、「わが国の原子力発電所では、この種の事象が本件に類する事故へ発展することはほとんどないものであることが、基本設計に関する安全審査、及び使用前検査、定期検査等で確認されている。」これは私は何も日本だけじゃないと思うのですね。アメリカもちゃんとやっているだろうと思うのです。アメリカはやっておりながら事故が起こった。日本はやっておるから大丈夫ということは果たしてどういうものかなという感じなんです。アメリカがやっていないというなら、日本はやっているから大丈夫ということも言えるかもしれませんが、恐らくアメリカもやっているだろうと思うのですね。そうすると、このくだりは余り説得力がなくなってくるのではないかと考えるわけでありますが、アメリカと日本の違いというのはどういう点があるわけですか。
○吹田説明員 私は安全のレベルから言いますと、ほとんど変わらないんじゃないかと思います。しかしそれぞれの、たとえば使用前検査とか定期検査等、実際に基本設計以外のところでその施設を安全にしようという姿勢は、日本はいろんなこれまでの経験からして非常に丁寧にやっておりまして、そういう点は違っております。ですから、ここで書きました「基本設計に関する安全審査、及び使用前検査、定期検査」というのは、こういうふうに非常に確認はされておりますけれども、しかし事故を考えると、われわれいまこういうことをやっておきますと安全に対するリスクというのがだんだん減ってくるというのが三でございます。ですから、ここに書いてありますことはそういう実態を表現して三につなぐのでございますが、そこのところを私たちがもう少し考えればよかったかと実は思っております。
○貝沼委員 いま申しましたように、何かこれを読むと、アメリカはやっていない、日本はやっている、だから安全だ、こういうような感じで受け取られますので、アメリカもやっておるなら同じことじゃないかというふうなことなんですね。 それからもう一点は、米国の場合、人為的にミスがあったと言われております。わが国の場合でも同じようなことをやっているのなら、やはり人為的なミスが起こった場合に事故は起こり得るのではないか、こういう疑問が率直なところ出てくるわけでありますが、この点はいかがでしょうか。
○吹田説明員 そういう心配がありましたので、三を行政庁に指示したのでございます。つまり人為的なミスがないように、保安規定とか運転要領とか訓練をやっておるのですけれども、この際、すぐにそういうのを見直して徹底的に総点検しなさいよというのが三でございます。
○貝沼委員 それで人為的ミスというのは実際どんなところで起こるかわかりませんが、大変だと思うのです。結局はオペレーターの訓練も大事だと思うのですね。たとえばこういうふうな状況になった場合には異常であるということを教えられておっても、異常事態というものはそうあることじゃありませんから、なかなかすぐ反応を示すということはむずかしいかと思います。したがって、日ごろの訓練とか、そういったことが非常に大事ではないか、こう考えるわけでありますが、その辺の教育訓練の面については、たとえば今後さらに強化をするとか、あるいは別の方法を考えてやるとかいうような方法は考えておりますか。
○児玉(勝)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、長官名で出しました通達の報告によりまして内容を詳しく検討いたしたいと思いますが、現状におきましても、PWRにおきましては原子力発電訓練センター、BWRにおきましてはBWR運転訓練センターというのがございまして、そこで約六カ月間、平常時並びに異常時の訓練というのは実際に常時やっておるわけでございます。しかし、先生御心配のとおり異常時というのは突然参るものでございますので、ふだんからの備えをよくしなければならないという意味で、こういう訓練の頻度をもう少し上げるべきか否かということについてなお検討いたしたいと思います。
○貝沼委員 通産省の方にお伺いいたしますが、これも先ほどよくわからなかったことですが、今回の場合、圧力逃がし弁が締まらなかった。そこはわかるのです。ところが、これは締まるべきものが締まらないということがわかっていて手動で締めなかったのか。これは恐らく手動で締めることができる弁だろうと思うのですね。それが締まらなかったといってぼうっとながめていることはないんであって、締めなければならないと思ったときには恐らく締めただろうと思うのですね。ところが、締まらなかったと言って待っていたことは、締めなかったことなんですね。だからこれは締まるべきものが締まらないとわかっていて締めなかったのか。あるいはまだ圧力が高くて締まる条件でなかったと判断していたがために締めなかったということなのか。その辺はどうなんでしょうか。
○児玉(勝)政府委員 いま先生の御指摘の点は、正直言ってまだはっきりした情報が入っておりませんので、はっきり申し上げるわけにはまいりませんが、私たちの日本における逃がし弁の使い方からいきますと、規定値で放出し、規定値になりましたらまた閉じるということで逐次炉の中の圧力を放出していくというようなやり方が通常ではないか。ずっと出しっ放しということは普通ちょっと考えられないわけでございます。そういうところから、さっき類推してミスがあったんじゃないだろうかということを申し上げたわけでございまして、そういう点で想像したのであるということでございます。
○貝沼委員 ではもう一声そこを……。日本のPWRの場合は、こういうことは起こっても不思議ではありませんか。
○児玉(勝)政府委員 逃がし弁が機能を喪失してしまったのをそのままに放置しておくということは、まず日本の場合はあり得ないと思いますし、手動で締めることはもちろんできるわけでございますので、コントロールルームからその指示を与えて逐次とめたりあけたりということはできるかと思います。
○貝沼委員 恐らくアメリカもそうだろうと思うのです。締めようと思えば締まっただろうと思うのですけれども、締めなかった。その辺に問題があったのだろうと思うのです。それなら同じ条件で日本にもあり得るのではないかという感じがするわけであります。それでは、日本とアメリカの違うところというのは何ですか。
○児玉(勝)政府委員 これはまた想像でございましてあれでございますが、私たちがふだん電力会社にいつも指示しておる問題の中から考えますと、逃がし弁を締めるときの状況というのは、やはり炉の状況がどうかということを考えた上で締める、それからあけるということであろうかと思います。そういう意味で、加圧器の水位計ということばかりでなくて、それ以外の炉全体の状況をあらわしますいろいろな指示メーターがございますし、またデータロガーと申しまして、その状況が逐一紙の上に全部印刷されておるわけなんで、そういうものを見た上で総合的に判断をすれば、やはり閉じるチャンスはあったのではないかと考えます。
○貝沼委員 アメリカと日本の違いがはっきりいたしません。こういうことははっきりしておいた方がいいと思いますね。 それからもう一点は、二次給水系の主給水ポンプの前段階にあるバルブを締めたままにしていたのではないかと言われておるわけでありますが、先ほど日本の場合は、こういう場合は運転できないみたいな答弁でしたが、日本の場合にもこれは起こり得るのですか。
○児玉(勝)政府委員 主給水ポンプの入口弁が締まりますと、主給水ポンプ系での運転はできなくなります。
○貝沼委員 それから十番目の「原子炉格納容器10内に流出した放射性物質を含む一次冷却水を、移送ポンプ13で補助建屋14の廃棄物処理系のタンク15に移送。」というところでありますが、このことが事故を大きくしたのではないか、こう言われておりますが、わが国の場合、圧力逃がし弁が万一あけっ放しになっておったとして、さらにECCSが作動していても、どんどん水が入っておっても、このような措置はしなくとも済むわけですか。どうなんですか。
○児玉(勝)政府委員 格納容器隔離ということでございますけれども、これはこの移送ポンプの格納容器側に一個バルブがございまして、それから補助建屋の方に一個バルブがございますが、この二つともバルブが締まるようになっております。その条件は日本の場合はECCSが働くという信号と、それからもう一つは格納容器内の圧力が高くなる、その二つの信号で、おのおの別々でございますけれども、隔離ができるようになっております。
○貝沼委員 したがって、日本の場合にはこういうようなことはまずないと考えてよろしい、こういうことですか。
○児玉(勝)政府委員 スリーマイルアイランドの発電所の方では格納容器の圧力高といいますか、そういう信号だけで隔離ができるようになっておりますので、ECCSが働いた後も隔離されてなかったというのがわかるように思います。そこで、スリーマイルアイランドのような補助建屋の方に高放射性の水を送るということは日本の場合にはない、こう考えております。
○貝沼委員 それからもう一点、よく言われるメルトダウンでありますが、こういったことまで事故想定をして日本は対策を考えたことがございますか。
○牧村政府委員 一般的に言われますメルトダウンの事故想定はいたしておりません。 しかしながら、先生すでに御存じかとも思いますが、日本の安全審査におきましては、原子炉施設の異常な現象を未然に防止するという観点から、メルトダウンと言われるような大きな事故ではなくて、各種の事故も想定しております。その各種の事故につきましては、すべて原子炉の安全装置が働いて大きな事故には至らないということを安全解析上も確認する。さらにその上に重大事故、仮想事故というものを想定しておるわけでございます。 重大事故、仮想事故につきましては、科学技術的にも考えられないような事故につきまして、万々一原子炉格納容器等から放射性物質が出た場合に、住民に危害を与えないような敷地の広さと申しますか、隔離する必要の面積を定めるという思想で行われておりまして、その場合に、たとえば仮想事故の場合には内蔵いたします放射性希ガスの全部が外へ出たようなことも想定して安全上の必要とする敷地基準、敷地の広さを決めるというふうなことをやっておるところでございます。
○貝沼委員 科技庁は原賠法をつくるに当たりまして、科学技術庁が日本原子力産業会議に委託して調査してもらった、いわゆる大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害に関する試算という、これの総論的なものが当委員会に配られたことがあるそうでありますが、その中身については余り公にはなっていないようであります。全般的なことについてのみ出ておるようでありますが、この試算は一体どういう目的のもとに、どういう条件のもとにどうなるのかという内容についてひとつ説明を願いたいと思います。 それから、この前半の方だけは委員会に出されておりますが、細かい部分について公になっていない理由というのはどういうところにあるのか、その点を伺っておきたいと思います。
○山野政府委員 御指摘の調査報告でございますが、まずその内容につきましては、四つの問題を扱っております。 第一点が、分裂生成物が原子炉から放出されて、公衆のいる地域へ放散される可能性いかんという問題。 第二点は、放散された放射能の公衆地域への分布を決める要素、または条件いかんという問題。 第三点は、人的または物的損害を生ずる曝射あるいは汚染の水準いかんという問題。 第四点は、万一分裂生成物の放散があったとき、その結果生じ得る死亡者、障害者の人数及び物的、人的損害額いかん。 こういった四つの問題を扱っておるわけでございまして、この検討の原子炉モデルとしましては、ウランを燃料とする熱出力約五十万キロワットのものを想定いたしております。 この原子炉におきまして発生があり得ると考えられます最悪の事故を超えるような事故が起こった場合、これが具体的にいかなるものであるかということは触れておりませんが、そのようなものが起こった場合、具体的には十の四乗キュリーを超えるような量が大気中に放散されるようなケースが起こった場合につきまして、人的、物的な損害の試算をしておるわけでございますが、その際、さらに拡散による放射性煙霧の分布を決める要因としまして、天候が乾燥しておる場合、雨が降っておる場合、さらに大気は安定しております場合でも温度の低減のある場合、あるいはかなり強い温度の逆転がある場合、さらに煙霧の上昇の高さにつきまして低温放出の場合、高温放出の場合と、いろいろな要因を置きまして試算をしております。 この結論としまして損害額の試算の数字でございますが、これはいろいろなものがございますが、非常に大きい場合を申し上げますと、十の七乗キュリーの放出があります際に、一兆円を超える損害があるであろうという試算をいたしておるわけでございます。ただ、これは目的としまして、先生がおっしゃいましたように原子力損害賠償法案の起草の参考にするためにいたしました調査でございまして、この報告書の中にもございますように相当大胆な仮定を置いて試算をしておるわけでございまして、この結果の数字だけを乱用しないようにという注がついておるわけでございます。 さらに、そのような事故が発生する可能性というものにつきましては、この報告書では確率論的な事故発生の評価といったふうなものは行ってない、つまりそのような事故が発生する可能性があるという立場をとっておるというわけではないということを特に申し上げておきたいと存じます。
○貝沼委員 いまのところで答弁漏れがありますので……。
○山野政府委員 答弁漏れがございましたが、昭和三十六年当時、国会の方にこの原子力損害賠償法の審議の御参考としまして本文を配付資料としてお配りしておるようでございますが、その際、先生のおっしゃいました細かい部分は出していないという点は、恐らくこの報告書に付せられております付録の部分であろうかと存じます。ただいま私が要約を御紹介申し上げました本文の部分と申しますのは、この付録の検討結果を取りまとめて本文としてあるものでございまして、特にこの付録を配付しなかったということにつきまして、政府サイドにおいて特段の事情があったというものではないというふうに理解をいたしております。
○貝沼委員 こういうような資料もどんどん出した方が私はいいと思うのですね。いろいろな資料があったらいろいろな憶測が出てくるということを心配しておるよりは、もうどんどん出して、そして国民の理解を高めていくという方がむしろ大事な方法ではないか、公開の原則ではないか、こういうふうに思うわけであります。 それから、この安全委員会委員長談話の三番目で、たとえば「保安規定、運転要領、運転中の監視の実施等について早急に検討を実施させる。」というふうになっておりまして、恐らくその後この趣旨を受けて、通産省か科技庁かわかりませんが、その実施をやっておるだろうと思いますが、これの結果というのはいつごろ出る予定でございますか。
○児玉(勝)政府委員 四月十日までという期限で提出を命じておりますので、提出は一応されておると思います。もう本日から係官がその内容についての検討をしておりますので、なるべく早くその検討内容の要約を決めまして公表したいと思っております。
○貝沼委員 四月十日というのはもうきのうですけれども、内容を要約したらすぐ公表するということですか、それともその公表の時間とのずれはありますか。
○児玉(勝)政府委員 まとめまして安全委員会の方に御報告した上、出したいと思っております。
○貝沼委員 それから安全委員長にお尋ねいたします。この四番目でありますけれども、「本件事故の経験をわが国の原子力安全確保に反映させるため、原子炉安全専門審査会において調査審議を開始させる。」その後はよろしいのですが、この意味でありますけれども、これは少なくとも前よりは安全審査基準を厳しくする方向で変えることも検討するというふうに理解してよろしいでしょうか。
○吹田説明員 まず、現在安全専門審査会のもとに調査機関、事故調査特別部会というのがございます。それを非常にこの重要性にかんがみまして、私たち安全委員会の直属の調査専門部会にいたすことになりました。恐らく今週か来週ぐらい、そちらの方に発展的に解消させまして、基準部会等の審査委員以外の基準部会の専門家も入れまして、アメリカの詳細なデータが参りましたならば、これを日本の原子力安全規制に反映させるようにいたす覚悟でございます。もちろんいろいろな広い視野でこれを検討いたしまして、規制あるいは基準に反映できるところは早急にいたしたいと考えております。
○貝沼委員 今回のこの事故で教訓になった一つは、日本はやはり自主技術を持たなければだめじゃないかということなんですね。それで、アメリカの場合は自主技術でありますから、水素の発生だとかあるいは予想外のことがいろいろ起こっても、すべて対応することができたわけであります。ところが、日本の場合は、アメリカで事故が起こるとすっ飛んでいって、検査をしたり、いろいろ聞いたり、勉強しなければならない。そこで、日本の自主技術というものがどうしても大事なんではないか。この自主技術の開発ということは、今回の教訓から特に力を入れてやらなければならないのではないかという感じがするわけでありますけれども、これは大臣、いかがですか。
○山野政府委員 自主技術の重要性につきましては、私ども原子力委員会におきましても、つとに認識されておるところでございまして、ただいま先生御指摘のように、今回の事故につきまして原子力委員会の内部でいろいろ御懇談いただきましたときにも特にその点が議論されたわけでございまして、従来にも増しまして、各種新型動力炉の開発あるいは燃料サイクルの格段の開発といった広い分野にわたりまして、自主技術の開発というものを特に進めてまいりたいというふうに考えております。
○貝沼委員 軽水炉の設計の標準化が進められているという話も聞いておるわけでありますが、これは果たして進んでおるのかどうかということと、それから日本型の軽水炉というものをつくるというふうな話はあるのかどうか、この辺のところを伺いたいと思います。
○児玉(勝)政府委員 日本型の軽水炉ということで、従来国内に入ってまいりました原子力発電所のいわゆる運転実績、また建設の経験を踏まえまして、それの改良型をつくるということで、五十一年度から通産省においてその作業をしてまいりまして、五十三年度にその第一次の設計の仕様を発表いたしまして、さらに五十四年度と五十六年度までの三年間に、第二次のその仕様を設けたいと思っております。今度のいろいろな事故の経験も踏まえまして、より安全な、よりメンテナンスがしやすい発電所をつくるようにその中に組み込みたい、こう思っております。
○貝沼委員 それから安全委員長にお尋ねいたしますが、この談話作成のときに、安全委員会がかなりもめたということは、先ほども、十時間もかかったというような話がございましたが、会議の冒頭に吹田委員長は、全部の原発をとめて点検させるというパターンが一つ、それから事故を起こした加圧水型軽水炉だけとめるというパターン、それから運転を続けたまま点検させる、こういう三つの措置を示したと言われておりますが、これはどういう考えのもとにこの三つの措置が示されたのか。
○吹田説明員 私は、安全委員会の会議の議長を務めておりますから、そういうところでこういうアメリカの事故を日本で考える場合には一体どういう問題があるかということを、つまり討論が抜けないようにといろいろ述べたのでございまして、この三つの案とは限りませんで、まだたくさん、私はその都度、考え落としのないようにというのでいろいろなケースを、私がそれに賛成であるという意味でございませんで、議長としては、ああいうときでもございますので、いろいろな先のことも考えまして、いろいろなケースもありますよというふうに私は議事を運んでまいりました。ですから、あの三つだけとは限りませんで、もちろんあの三つも含まれております。もちろんああいう場合も考えられるわけでございますから、いろいろなケースを私は申したはずでございます。
○貝沼委員 私は、委員長がこういうふうにおっしゃったことはわかりますし、PWRで動いているのは一基でありますから、本当に先ほどからのいろいろな答弁のとおりであるならば、PWRぐらいはとめても、やはり徹底的にやるべきじゃなかったかな、その方がむしろ国民は安心したんじゃないか、そう私は思うわけであります。それから大臣も、やはり談話の出た三十日、閣議後の記者会見で、三カ月でも四カ月でもかけて、原発の総点検をやらせ、安全性の完璧を期したいという強い決意がうかがわれるわけでありますから、それは経済的なものを考えたら動かしてもできるのかもしれませんけれども、やはり効果という面から見たらPWRぐらいはとめても徹底的にやるべきではなかったか、こんな感じがするわけでありますが、この点はいかがでしょうか。
○金子(岩)国務大臣 先ほども触れましたが、せっかくこれからの日本の原子力発電について安全委員会でアメリカの資料を入手しつつありますから、それがほとんど入手できまして、そして検討した結果、私がその当時申し上げましたとおり、やはり一時全部総点検をすべきじゃないかという結論が出たらそのとおり取り計らうことが適当ではなかろうかと考えております。
○貝沼委員 それで通産省に一言お願いしておきたいと思いますが、同じころ電力業界が、談話を見て、わが国では米国のような原子力発電所の大事故は起こり得ないと確信しているという強気の発言をしておりまして、これまた刺激をしておるわけですね。したがって、通産省がこういう指導をしておるとは私は考えたくないわけでありますけれども、こういう人の顔を逆なでするようなことでは好ましくないと私は思うわけでありますが、通産省はどう考えますか。
○児玉(勝)政府委員 今回の事故に関しまして、この事故を原子力発電開発の上での非常に重要な問題と受けとめて、冷静にかつ謙虚にこの問題を処理するのが適当であると思います。その文章を実はよく知りませんので、もしそういうことがありましたら十分に注意いたしたいと思います。
○貝沼委員 それから先ほど田島先生の方からも防災の問題についていろいろお話がございましたが、私もこの防災問題は非常に大事だと思っております。たとえば地震であるなら、ぐらっときたら火を消せとか、何かあるのですけれども、ある発電所から放射能が出たら、われわれは何をしたらいいのでしょうか。これが何もわからないわけです。 それで、アメリカの場合も、先ほどいろいろお話がございましたが、報道等によりましても、たとえば銀行に走った、ガソリンスタンドがいっぱいになった、食料品店が閉まってしまった、保存食品が売り切れたとか、原子力保険の支払い請求が続出したとか、また移転をしてしまいますと、その後治安上非常に問題があるので、財産を守るためにどうするかというような非常にたくさんの問題があるようであります。したがって、これは総理からも話が出ておるようでありますけれども、やはり早急に具体的なものをつくらないといかぬと思うのです。地震対策みたいに、どこどこに避難すればいいと言っても、通る道がないような、あるいは道が細くて通れないようなそういう机上の空論ではなしに、具体的なものをやはりつくらなければならぬと思っておりますので、これは強く要望しておきたいと思います。 時間があれば、避難場所の問題だとか情報の出し方とか、いろいろお尋ねしたかったのでありますけれども、これらを含めてお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○金子(岩)国務大臣 先ほど申し上げたとおり、総理府で総括的にその非常事態が起こった場合の対策を早急に立てまして、御心配の点に沿いたいと思うのでございます。
○貝沼委員 事務局の方にちょっと確認しておきたいと思いますが、米国の場合、避難命令というのが出されました。避難命令が出たときにはその対象になる人物がおるわけでありますが、これは妊婦とか子供とかというふうに限定した。ところが、妊婦、子供だけでなく別の人も避難した、あるいはその命令に該当しない自発的に避難した人もおる、こうなっておるのですね。そうなってくると、原賠法の適用というのは一体どう考えるのかということです。避難命令に該当する人と該当しない人と一緒に避難しておるわけですけれども、その場合原賠法の適用というのはどうなるのですか。
○山野政府委員 原賠法は、御承知のように起こった事象が原子力損害と認定し得るかどうかという問題でございまして、個別具体的にどういう条件でどういうものが起こったかということを判断しないと、一般論として一概には言えないことであろうかと思います。その関係もありまして新聞等では、米国におきましてこの避難に要した費用等が保険で支払われたといったような報道もあるものでございますから、この辺、米国における扱いというものについていま調査を依頼しておるところでございまして、非常に歯切れは悪うございますが、ただいまの先生の御質問に一義的にこうであるという御返答はむずかしいかと存じます。
○貝沼委員 それからもう一点、これは私の主張でありますけれども、先ほど安全委員長の談話の話から、あるいは越権行為ではないかという話もございましたが、私は、安全委員会というものが相当強力でなければ安全性を高めることは大変なのじゃないかというところから、前々から行政委員会を主張しておるわけであります。しかしながら、行政委員会になっていないのでいろいろ問題があるのでしょうけれども、改めて私は、これは行政委員会にすべきであるということを主張しておきたいと思います。 なお、電力会社の手に負えない事故の際に、原子力研究所や動燃事業団、各メーカーの技術者を結集して支援するという体制も組んでおく必要があると考えます。それから、安全委員会のスタッフをもっと強化すべきだと考えるのですが、この点について答弁をいただきたいと思います。
○牧村政府委員 現在の災害対策基本法の中に原子力研究所並びに放射線医学研究所が関連いたします公共機関の一つに指定されておりまし、原子力災害が起きましたときにこの指定機関から専門家を派遣する義務を負っておるところでございます。科学技術庁の防災業務計画にも専門家の派遣という条項を設けておりまして、その専門家は主として原子力研究所、放医研を考えておるところでございますが、ただいま先生の御指摘もございましたようにそれだけではなお不十分であろうかと思いますので、その幅を広げる等の検討はぜひ行いたいと思っております。この二つの機関につきましては、常々何か起きましたときには専門家を派遣できるような体制をとってもらうようにお願いしてあるところでございますが、今回の事故発生以後もさらに要請をいたしましてその対応をお願いしたところでございます。 なお、安全委員会につきましては、先ほどの田島先生のお話にもありましたが、アメリカの州政府が、退避を行うに当たりましても向こうの規制委員会といろいろ連携があったようでございます。わが国でも、そのようなことが起きたときに安全委員会がどう対応するか、常日ごろそういう関係の専門家に委嘱いたしまして、安全委員会が下すアドバイスが的確に出るような制度もあるいは必要かもしれないと考えておりますので、この辺は私ども事務局として安全委員会といろいろな御議論をさせていただきたいと考えておるところでございます。 それからもう一つ、私が事故想定のところで正確な表現をしていない点を訂正させていただきたいと思います。 仮想事故のときに、放射性希ガスの一〇〇%が放出されるという想定をしておるということをお答えいたしましたが、これは正確には、格納容器の中に放出されるというふうに想定しておることでございますので、その点修正させていただきたいと思います。
○貝沼委員 終わります。
○大橋委員長 次に、瀬崎博義君。
○瀬崎委員 まず大臣に伺いたいのですが、今度のスリーマイルアイランド原子力発電所の事故について、原子力発電所にはつきものの事故、あり得る事故、予期された事故というふうに受けとめられたのか、全く予期せぬ事故、意外な事故というふうに受けとめられて対処していらっしゃるのか、どちらですか。
○金子(岩)国務大臣 私は予期せざる事故と受けとめております。
○瀬崎委員 先ほど来の質問に田島先生お答えいただいておるのでありますが、たまたまアメリカにいらっしゃったときにこの事故に遭遇されて、一方では相当事故時の計画等は十分行われておったであろうということもおっしゃっておりますが、一方では住民の間にはパニックに近い状態もあったらしいというふうにおっしゃっていますね。アメリカは原子力発電所の最先進国でありますし、百基に近い原子力発電所を持っておりますね。こういう中で、原子力発電所にはたまたまこういう事故があり得るんだというふうな、あったときにはこういう心構えが必要だ、そういう意識が住民の中にあったように見受けられますか、あるいはなかったように見受けられるか。同時に、いろいろ指導に当たった州あるいは政府当局者がこういうふうな事態をふだん日常的に意識しておったであろうかどうか、そういう点の御意見をちょっと聞いてみたいと思います。
○田島説明員 よく調査したわけではございませんが、NRCのコミッショナーの方々はちょうど第二報が入ったところに居合わせたわけでございますので、こういう事故についてろうばいと言っていいのですか、そういうことはなかった、非常に冷静に対処しておった、そういうところから見ますとあり得るというふうに考えておったのではなかろうかと私は推定いたします。非常に冷静な対処の仕方をされておりまして、それにはいささか私も意外なくらいで、私と食事を約束した者もちゃんと食事には出る。日本の場合ですと、ああいう場合に一体どうなるのかなということを考えますと冷静な対応の仕方だった。 それから、住民の間にそういうことがあったかどうかというようなのは私にはよくわかりませんが、結果的に見ましてそうは思ってないんじゃなかろうか、やはりもっと安心しているというふうに私は新聞から思っておりますが、御承知のように州政府がかなり権限を持っておりますので、州政府並びに原子力発電所の方々は、かなりの準備をされておるようです。御承知のように州のエマージェンシープランは、素案ができますとNRC及びEPAの両方に承認を得るようなかっこうになっておりまして、その承認のもとで行われております。現在は全部の州にエマージェンシープランはございませんで、逐次それをつくっていくというふうなかっこうになっているように聞いております。
○瀬崎委員 ただいま大臣は予期せぬ事故という受けとめ方をされ、田島先生のお話によれば、アメリカ政府当局者はある程度こういうことも予測しながら冷静な対応をしておったということですね。大分違いがあると思うのですが、そのアメリカですらパニック状態が住民の間に起こった。そうすると、日本の政府当局者の最高責任者の受けとめ方が予期せぬということになりますと、どんなことになるかなという心配を一つ持つのです。 そこで、スリーマイルアイランドの原子力発電所は昨年末ぎりぎりに営業運転の許可を得ていますから、まだ日が浅いですね。そういう点では最新型に近い原子炉ではないかと思うのですが、そういう認識でよろしいですか。
○牧村政府委員 私どもも昨年の十二月に運転を開始したと聞いております。
○瀬崎委員 営業運転に入ってわずか三カ月なんですが、その間に今回の事故以前に一応原子炉をとめて点検したり修理したりせざるを得ないようなトラブルもあったというふうに私は聞き及んでいるのですが、政府の方は、その点情報をどのように得ておりますか。
○牧村政府委員 原子力委員会からの正式な発表におきましては何ら来ていないわけでございますが、伝えられる情報によりますと、脱塩装置を運転中に何らかの操作をしておったという情報がございます。それを日本の場合に当てはめますと、いろいろな内規によりまして、運転中といえども、主要な運転中にできる点検はたとえば月一遍ずつ点検をするというふうな規定もあるわけでございますので、場合によりましてはそういう点検を行っておったのかもしれない。しかし、それは確かな情報はございませんのではっきりいたしません。
○瀬崎委員 たとえば一月には蒸気タービンの安全弁が壊れて飛ぶというようなことがあって、原子炉を停止して修理をしたとか、あるいは二月に入って二次冷却水系のタービン直前にある調整弁で水漏れが起こって、これもやはり原子炉をとめて修理をしておったとか、それから二次冷却水系の予備のポンプの曲がり部分にひび割れがあって原子炉をとめて交換が行われたとか、また二次冷却用の補助ポンプ、蒸気で回る方とか聞くのですが、故障しておった。これはかつての美浜で起こった故障とよく似ているというふうなことを私は聞き及ぶのですが、政府側はこういう点についてはどうですか。
○児玉(勝)政府委員 営業運転に入る前の試運転段階で若干トラブルがあったというのは、NRCの正式な報告ではございませんけれども聞いております。それから営業運転後、いま先生おっしゃったようないろいろなトラブルがあったというのは私は存じません。
○瀬崎委員 一度これは政府側としても、そういうふうな事情についてきちっとした調査をして報告してほしい。私の言っていることが絶対とは思わないのですが、そういうことがあったやに聞くのです。
○牧村政府委員 その点につきましては、ただいま安全委員会が派遣いたしました専門家に頼みましてできるだけの詳細な情報をつかんでまいりたい、このように考えておるところでございます。
○瀬崎委員 いま営業運転に入る以前では若干のトラブルがあったやに聞いていると言われましたが、どういうふうなトラブルがあったと承知しているのですか。
○児玉(勝)政府委員 詳細な記録とかそれの文書等は別にないわけでございますけれども、給水ポンプ系でトラブルがあったということを聞いております。
○瀬崎委員 これも私の聞き及んだところなんですが、臨界に入りました昨年の三月二十八日から昨年末営業運転に入るまで約二百七十日間に、この原子炉を一たんとめて点検なり修理に及んだ回数が百九十五回ほどある。その中にはECCSが作動し出したのが数件とか、あるいはまた原子炉が自動的にストップに入るようなことも数件あったように聞くのですが、原子力安全委員会として、こういう点についてその後得られた情報とか聞き及んでいることはありませんか。
○吹田説明員 行政の方から説明がありました以上は私どもまだ聞いておりません。専門家がちょうどいま行って調べておりますので、そういう点も調べてくることになっておりますので、それで承知できると思っております。
○瀬崎委員 私がこういうことを申し上げるのは、アメリカと日本の行政上の多少の違いはあるでしょうけれども、営業運転の許可の出たのが十二月三十日だと聞きます。もう年末のぎりぎりのときですね。こういうことも少し異常なことを感じる。それから許可がおりてわずか三カ月で今回の大事故にぶつかっているわけですね。若干伝えられるこういうふうな中間のトラブル等を総合すると、もともと安全審査上許可すべき炉ではなかったのではないか、そういう安全審査上の大きなミスというものを感じるのですが、そういうような点について安全委員長として疑問はお感じになりませんか。
○吹田説明員 現時点では、そういう結論をすぐ出すことは私ちょっとできないと思いますので、そういう点もちょうどわれわれの下に直属の専門部会ができますので、そこでその資料を十分検討いたしまして、もしも審査段階でのミスのようなものがありましたならば、それは十分わが国の方にも反映したいと思いますが、いまのところわかりません。
○瀬崎委員 これは大臣にもお願いしたいのですが、これは私個人じゃなくて一般的に国民としては、いまのような点は非常に疑問に思う点なんです。だからこれはしかと安全委員会の方に御尽力いただくなり政府自身も努力して、国会にも納得のできるような報告をしてほしいと思うのです。お願いしたいと思います。
○金子(岩)国務大臣 御指摘のとおり努力いたします。
○瀬崎委員 それと同時に、よく私も前の委員会のときに質問をいたしましたし、先ほども質問がありましたが、美浜の発電所で支持ピンが折れて飛んじゃった。何でもないことのように言うけれども、あの発見過程を見ておりますと、蒸気発生器のところに黒い金属破片があった。真っ黒けだったから何かしら最初わからなかったと関電は言っていますね。相当期間あれこれ探した結果、支持ピンの折れだということがわかった。もともと支持ピンというのは定期検査の外観検査には一般的に入っているけれども、特別に超音波で探傷するような定期検査にはなっていないという答弁がこの間政府側からあったぐらいで、もしあの破片が発見されないまま運転しておったら、もっともっとちぎれた部分が多くなっただろうと私は思いますね。そういうふうにこの間児玉審議官も答えたと思います。その前には燃料棒の切損事故ということもありましたし、こういうものをマイナートラブルだといって片づけることは非常に危険だ。やはりそういう小さい事故が幾つか起こっている中に大きな事故の芽生えがあるという意識でそういう小さい事故を見ていかなければいけないんじゃないかと思うのですが、この点についても安全委員長の御見解を聞いておきたいと思います。
○吹田説明員 私たち安全委員会も、先生御指摘のように、ああいう事故が定検でないとわからないというのを非常に問題にいたしまして、今後そういう問題を解決するためにどういう——たとえば安全研究にいたしましても、そちらのそういうマイナートラブルのようでございますけれども、非常に重要な研究を今後わが国でもやるべきだと実は考えております。
○瀬崎委員 それではスリーマイルアイランド原子力発電所の事故そのものについて、国民が関心を寄せているといいましょうか、少し疑問を感じているような点について質問をしてみたいと思うのです。 その一つは、先ほど来指摘されているこの補助給水系の弁が閉鎖しておった問題です。これは事前に、先ほども何か修理でもしておって間違って弁を締めたまま運転に入ったのではないか、こう言われるのです。ところが、私どもどうも合点がいかないのは、弁が締められておれば弁が締まっておるという表示は当然制御室のパネルに出ておらなくちゃいけないと思うのですが、そもそもこの原子炉というのはそういう表示がもう出ないような仕組みになっているのか、出ておってその表示そのものに間違いがあったのか、見誤りがあったと考えるのか、どの辺が大体技術的には考えられる点ですか。
○児玉(勝)政府委員 公式的な見解といいますか発表は別にございませんけれども、私たち日本の原子力発電所で考えますと当然表示は出ておるはずでございます。
○瀬崎委員 あるいはウエスチングハウス型のように、運転に入ればたとえ締められている弁でも自動的に開くということになっていないまでも、当然表示がある限りはそこでオペレーターの方がチェックができたのじゃないかと思うのです。それができなかったのは、単にこれはオペレーターミスで済むものだろうか、そんな簡単な見落としで大事なスイッチオンができるようになっていないと私は思うのです。何かそこにはもっと重大な問題があったのではないかと私には思えてならないのですが、この点はいかがですか。
○児玉(勝)政府委員 これは若干類推ということでお許しいただきたいと思いますけれども、B&Wの補助給水系の図面を見ますと手動のいわゆるバイパスがついております。ですから、そこのいわゆる電磁弁を制御室から押せば恐らくバイパスで出たのではないかなというふうに思います。
○瀬崎委員 吹田さんに伺いたいのですが、日本で安全審査をする場合バルブが締まっておれば表示は出る、しかしその表示をもしオペレーターが見誤った場合、直ちにこういう大きなミスにつながるような設計になっている場合、これは安全審査として認めますか。いかがですか。
○吹田説明員 それが非常に重要な場合には恐らく認めないと思います。重要なときには恐らく二つ以上の表示が同時に出るのじゃないかと思います。
○瀬崎委員 そうすると、これもアメリカの安全審査の基準と日本の安全審査の基準が一体どういう関係になっているのか、これは一遍十分検討していただいて私どもにも御報告いただきたいと思うのです。お願いしておきたいと思います。 それから二つ目は、これも先ほど来指摘されておりますのを角度を変えて質問いたしますが、移送ポンプの問題であります。 格納容器内にあふれてきた放射性物質を含んだ一次冷却水を移送ポンプで補助建屋の方の廃棄物処理タンクに移しかえた、このことが大気中に放射性物質が放出された直接原因になっていますね。ここがもし完全にシャットアウトされておればこういうことは起こらなかったであろうと考えられます。そこで、移送ポンプの前後の弁は、先ほど来言われているように本来ならば格納容器内の圧力が上がるとか、あるいはECCS作動のときにはインターロックになっていなければならないと思うのですが、アメリカの場合はECCSに対してはインターロックになっていなかった、こういうことですね。だけれども、その圧力に対してはインターロックになっていたといういまの説明ですが、それが作動していない、締まっていないというのはどういう現象が考えられるのですか。
○児玉(勝)政府委員 一つは、これまた公式的な見解がないので、そうであるかどうか断定はできませんが、類推いたしますと、格納容器内の圧力がそれほど高くならなかったのではないかということが一つと、圧力容器内の設定値が幾らであったのか私よくわかりませんけれども、そこの設定値の問題もあるのではないかと思います。
○瀬崎委員 これは恐らく政府関係者も皆承知していらっしゃると思うのですが、たとえば原産の資料室がアメリカの原産から得た情報を発表していますね。「(三月三十日二十時三十七分〈米東部時間〉発)−第七報」を見ますと、「格納容器建屋内の水位は装置やケーブルの冠水(水びたし)が懸念される程度に達していた。そのため格納容器内の排水ポンプ(サンプポンプ)を作動させ、一万ないし一万五千ガロン(三十七・九ないし五十六・八立方メートル)の水を格納容器外にある補助建屋の排水タンクヘ移すとの決定が下された。」こうありますので、これはいま児玉審議官の言ったようなことではなくて、まさに意識的に、放射性物質の含まれた一次冷却水があふれてきたので補助建屋に移しかえた、こういうことではないかと思うのです。 しかも、これは何も原産の分だけではなしに、電事連が発表している「スリーマイル島原子力発電所と我国の加圧水型炉の比較」という、全体として私はこんなものは余り芳しいものとは思いませんが、そこにもいまの移しかえの原因として「格納容器サンプへ流れ込んだ冷却材により格納容器内の機器等が水没するのを防ぐ為、格納容器サンプポンプを運転して、水を補助建屋内のサンプタンクに移送した。」こう書いてあるのです。だから、結果的には、この格納容器内の機器を救わんがために、あえて大気中への放射性物質放出の危険を承知しながらこういう行為を行った、こういうふうに見られるのではないかと思うのですが、いかがですか。
○児玉(勝)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたような情報が、たしかその当時流れたことは間違いございません。その後、時間ごとにずっと追った記録や何かを見ますと、数分後に格納容器サンプ輸送ポンプが自動起動しておりますので、そのサンプタンクのいわゆる指示によって自動起動したというふうにとれるわけでございます。したがって、格納容器の中にどんどんたまっていって、大分たまってしまった上で送り出したというふうにはちょっと解釈できないわけでございます。
○瀬崎委員 しかし、たまったであろう水の量が、いま申し上げました一万ないし一万五千ガロンという数字もあれば、また、これはタイムか何かだったか、これには放射性水が六フィート—六フィートですから約二メートル近いのですか、に達し、機器の水没を避けるために、ここは数千ガロンを補助建屋へ移しかえたという報道も出ていますね。 だから、いま児玉審議官がそうだと言われるならば、ここらも国民としては全く重大な関心事です。一体機器を救うのが大事なのか、それとも周辺住民に対する安全が優先されるのか、これはまさに焦点ですから、こういう点は根拠のある報告をわれわれにしていただきたいと思うのですが、よろしいですか。
○児玉(勝)政府委員 ただいままでに得た情報でいまお答えいたしましたので、先生おっしゃいますように、その詳細な調査をした上でまた御報告したいと思います。
○瀬崎委員 それから三つ目は、このいわゆる格納容器内に水があふれてきた原因である圧力逃がし弁ですが、これも先ほど来一定の指摘はされておりますが、その指摘のない部分を少しお尋ねしてみたいと思うのです。 もちろんこの圧力逃がし弁が作動するというのは緊急中の緊急事態だと思うのです。したがって、こういうところが閉じるべきはずなのに閉じなかったなどというのは、これまた常識的にはちょっと考えられないんですね。二重、三重の安全構造があって、どんな事態でも安全に開いたり閉じたりするようになっているはずだと思うのです。 特に私が合点がいかないのは、一たん故障があったからこそ閉まるべきものが閉まらなかったのに、一定の時間経過後にこれが閉まっているわけですね。これは一体どういうふうな手段でこの機能回復が行われたのですか。
○児玉(勝)政府委員 逃がし弁が開きましたのが三秒から六秒後、それから隔離弁が閉まったのが二時間二十分ということになっておりまして、この間についてはっきりした、なぜ隔離できたかということについてちょっとわかりませんので、お答えできません。
○瀬崎委員 それではこういう逃がし弁が閉まるべきものが閉まらないような事態が起こったとき、この基本的なマニュアルといいますか作業手順、そういうものではどういうふうになっているのですか。あるいはこの保安規定の中の運転要領上でもいいのですが、とにかくどういうふうにオペレーターは対処せよということになって安全審査が通っているのか、あるいは運転許可になっているのか、その点いかがです。
○児玉(勝)政府委員 逃がし弁が開きます場合には当然原子炉が停止しておりますので、原子炉が停止した場合には、それの事後処置として、その運転員は、運転係長または運転課長、それからまた所長になりますが、そういうところの指示を受けて逐次やることになります。ですから逃がし弁につきましても、それはどういう状況で逃がし弁が開いたのかという事故の状況とその後の炉の推移を見まして、運転課長または所長の命によって逃がし弁を閉める時期を決めるということになろうかと思います。 しかし、この場合ECCSが動いておりますので、ECCSのときにはその逃がし弁を開けたままでそのECCSを入れるという状況もまた考えられますので、その辺総合勘案して考えなければいけないかと思います。
○瀬崎委員 それがいわゆるアメリカの安全解析上どういうふうになっておったのか、それは承知しているのですかということなんです。
○児玉(勝)政府委員 状況として知っておるだけでございまして、中身のその実際上の必要性ということについては全然解析しておりません。
○瀬崎委員 わが国の場合に、機器の操作上、機器の仕組みも全然違うのでこういうことは起こり得ないという話が先ほどありましたが、それでもなおこの逃がし弁に故障という事態が起こった場合は、どういう対処をオペレーターはするようにマニュアル上はなっているわけですか。
○児玉(勝)政府委員 操作員は、その責任者たる運転係長または運転課長それから所長の命を受けて、その指示を受けるということに一応なっております。 それで、その運転課長それから所長は重大事故時のいわゆるマニュアルに沿いまして逐次その炉の状況を見ながら判断を下していくといいますか、運転員に命令を下していくということになっております。
○瀬崎委員 先ほど吹田先生だったと思うのですが、こういう非常事態のとき、特に水系の状態を示す計器指示は、ある一つのものだけに着目していると、非常に不安定な状態を示しているから判断を誤る場合がある、だから他の計器を複数見て判断すべきだとおっしゃっているのですが、そういうことはちゃんと日本のマニュアルの中に決まっているわけですか。こういう計器、こういう計器、こういう計器を見た上での判断でなければならないというようにですね。ただ単に所長の判断という抽象的な文言だけになっているのですか。その点はいかがなんでしょう。
○児玉(勝)政府委員 ただいま運転要領の点検をやっておりますけれども、それによりますと、一、二でございますが、具体的にはどうも入ってないようでございます。
○瀬崎委員 この点では、アメリカで起こったことが日本でも起こり得るということを示しているので、これは先ほどの吹田さんの御指摘が正しいとするならば、直ちにここを改めてもらわなければいかぬわけですね。委員長に聞いておきたいのですが、お答え願いたい。
○吹田説明員 恐らくそういう報告が近いうちに安全委員会の方にも参ると思いますので、それをよく見まして措置をとりたいと思います。
○瀬崎委員 四つ目は、いわゆる水素爆発の可能性の問題です。これも私も素人考えですからあるいは違っているかもしれませんが、結局水素爆発の危険がたとえ一時的にもせよあった。また、現に小規模の爆発があったと言われていますね。そのために一次系に対する給水が非常にむずかしくて、そのために今回の事故の規模を大きくしているというふうに思えるのですが、原子炉容器内のガス滞留から水素爆発の危険がある場合、作業手順として、アメリカの場合一体どうなっているんだろうか、それから日本の場合一体どうなっているんだろうか、説明をお願いしたいのです。
○児玉(勝)政府委員 アメリカの場合はちょっと存じ上げませんが、日本の場合でも圧力容器内での水素爆発というのは、具体的にはちょっと起こりがたいのではないかと思います。格納容器の中に逃がし弁から出てきた後、酸素と混合してローカルのスパイクが起きるということはあり得るのではないかと思います。
○瀬崎委員 先ほどからアメリカの場合は存じない、存じないと言われるのだけれども、しかし大体アメリカでは安全解析報告書であるとか、あるいは環境報告書であるとか、あるいは故障、欠陥、異常、事故等いろいろなこういう報告書が全部ドケットシリーズの中におさめられておって、政府なんかだったら直ちにこういうものを調べれば、アメリカの安全審査はどうであったのか、あるいはアメリカのマニュアルなどはどうなっておるのか、わかるんじゃないですか。それをやってないのですか。
○児玉(勝)政府委員 東京の、東京といいますか原研が原子力関係の情報交換の窓口になっておりますけれども、そこにもいまのところちょっとないようでございますし、また、ローカルのそういうスペックのいわゆる日本で言います運転要領のようなものは、特に一つの記録としては集積されていないということでございます。
○瀬崎委員 たとえばスリーマイルアイランドの二号炉の場合ですとドケットナンバ一五〇三二〇、こういうふうになっていますね。これをずっと枝番を調べていけば大体その中に出てくるのじゃないですか。簡単に調べられるのに調べないんじゃないですか。
○牧村政府委員 ただいまの補足をいたしますが、私ども向こう側のセーフティエバリュエーションの資料は入手いたしまして、いろいろ調べております。しかし、先生御指摘の水素があのような形で発生し、ローカルに格納容器の中で水素爆発があったというようなことについて、アメリカでも最初に許可をいたしますときに、そのような想定はしていないようでございます。 また、アメリカの運転マニュアル等については、残念ながらまだわれわれの手元に入手していないということでございます。
○瀬崎委員 そうすると、ちょっと話が横へそれるのですが、先ほどから作業ミスとかオペレーターミスとかなんとか言われるけれども、これはアメリカのマニュアルも取り寄せないままミスだとかミスでないとかいう話をされているわけなんですか。どうなんですか。
○牧村政府委員 私どもがアメリカにおけるこの事象についてミスであるとかなんとかいった表現を仮に使います場合は、必ずNRCの発表に基づいてやっておるわけでございます。その辺が今回の事故を評価し、日本の規制に反映させるために非常に重要なことでございますので、ただいま安全専門審査会の先生四人に行っていただいておるわけでございますが、その先生方にその間の事情をできるだけ詳しく入手してきてほしいというふうにお願いしておるところでございます。
○瀬崎委員 そうすると、これは吹田先生や田島先生には失礼な言い方になるかもしれませんが、先ほど来多分にいまの作業ミスを強調されたんですが、作業ミスであるという判断を下すもとですね、つまりオペレーターがマニュアルどおりにやっておって起こっておれば、これは作業ミスと言えないように私思うのですね。そういうことがまだ資料が入手されていないのに、安全委員会としてそういう見解を出されるのは余り科学的ではないのではないかという気がするのです。どちらの先生でも結構ですが、一言見解を聞いておきたいですね。
○吹田説明員 安全委員会といたしましては、三十日の時点でいろいろ入ります状況を判断いたしまして、そしてこの三に書きましたのは、実は設計ミスかもしれないというのが前半でございます。「わが国の原子力発電所については、前項の検査を十分に実施させるほか、」という表現に書いてあるのが、設計ミスかもしれないという懸念があったものですから、それはつまり二次系の故障がああいうふうに事故に発展したという過程には、設計上のミスもわれわれは見逃してはいけないというのが、その三の前半でございまして、それにプラス人為的なミスが重なったというこの二つを三であらわしているのでございます。
○田島説明員 二次の補助系のポンプのバルブが閉まっているというのは、多分アメリカの国会でミスであるというふうに断定しているんじゃなかろうか、そう思っております。
○瀬崎委員 そのミスであったとしても、私がさっき言ったように、それならそれで表示との関係が生まれてきますから、そんな表示見落としで簡単にスイッチを入れられるようなことにはぼくはマニュアル上なってないんじゃないかと思うので、そこを一遍はっきりしてもらわないと、単純にバルブを閉めたのが悪かった、そんなことで原子炉がこんな大きな事故に至るようなちゃちなことにはなってないと思うんですよ。国民が納得できない、そういうことを申し上げているんで、やはり詳細な向こう側の作業手順なり運転要領なりを取り寄せて、それにそもそも問題があるのか、あるいはそれに従っていない運転だったのか、そこから運転が外れたときに安全をチェックする機能はなかったのかというふうに調べていただきませんと、ちょっと納得しがたいと思うんですね。それ以前に余り軽率な見解が出るのは、ぼくは、先ほどから言われる科学的に安全委員会が判断されるとするならばどうかなという、ちょっと失礼な批判をさしていただいているわけなんです。 またもとへ戻りますが、水素発生の原因については三点挙げられましたね。ガンマー線の発生による水素分離が起こった。それから崩壊熱で水とジルコニウムの反応が起こった。それから断熱膨張というふうにおっしゃっているわけなんですが一これだけの原因が明らかになるならば、大体計算値としてどのくらいの水素量が最悪の場合発生するであろう、そのことによってどのくらいのエネルギーの爆発が起こり得ることが予測されるということもあるんじゃないかと思うのですが、そういうことは予測がついたんですか。
○牧村政府委員 日本におきましては、安全審査の際に行いますLOCA現象を想定した事故解析をやっておりまして、その中でどのぐらいの水素が発生するかというような試算をいたしまして、その影響が圧力容器にどう及ぼすかという点につきましては十分な安全審査をやっておるわけでございます。しかしながら、今回のアメリカにおきます事故につきましては、原子炉のECCSが働いて、またそれが切られたりというようなときに起きます、燃料が途中で空だき現象と申しますか、そういうふうにさらされておるというような現象も起きておるわけでございますので、今回の事故の評価をいたします場合には、そのような過渡期における原子炉の状態がどうであったかということを十分承知いたしましてその上で判断すべきことではないかということで私どもは考えておりまして、専門家の派遣に当たりましては、その間の事情もあわせて十分調べてきてほしいという要請を出しておるところでございます。
○瀬崎委員 そうすると、これはもうアメリカにおいてもわが国においても、このような水素が格納容器内にある程度滞留してくるというふうなことは過去の想定には入っていない全く新しい現象であった、こういうようにわれわれは理解していいわけですか。
○児玉(勝)政府委員 PWRにつきましては全く予測しない事態だったと思います。
○瀬崎委員 ここらが大事な点だと思います。実用段階だと言っても、こういう全く予想しない問題が出てくるということは十分検討の余地がある問題で、こうなってくると日本の場合だって同じような条件を想定すれば一応考えておかなければいかぬと思います。 もう一つ五つ目の問題として蒸気発生器の一つが一次系から二次系のリークを起こしておったために使えなかった。AとBがあってA表示の方だけを使ったというふうに聞くのですが、この蒸気発生器のリークというのは今回の事故によって発生したリークなのか、それ以前から起こっておったリークなのか、どっちなんですか。
○児玉(勝)政府委員 その点についてははっきりしておりません。
○瀬崎委員 これも結局仮定の話になりますが、前からあれば、運転しておれば当然表示の方に何かあらわれてくると思うのです。事故途中で二次系の水が非常に少なくなったとか、あるいは蒸気発生器内そのものに二次系の水がなくなったかもしれない、そういうことが影響したのかなと素人考えで思ったりするのです。たまたま一基生きておったからいいけれども、これがもしリークを起こしておったとすると事実上一次系の循環はもう完全にストップせざるを得なくなって、もっともっと悪い事態が予想されたんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
○児玉(勝)政府委員 先生おっしゃるとおり、現在の事故の状態よりもっと悪くなったかと思います。高圧注水系が入りましてそれが下にたまり、それを余熱除去のループで余熱除去ができればだんだんとよくなりますけれども、現在のような状態よりは悪いことは間違いないと思います。
○瀬崎委員 今回の事故も、先ほどの吹田先生の話などを伺っておりますと社会的に与えた影響から見れば非常に重大な事故だけれども、工学的、技術的に見た場合そこまでのという感じを私ちょっと受け取ったのです。しかし、いまずっとお聞きしておりますと、これはまだまだ不確定要素はあるもののもっと悪い状態も予想された事故であった。そういう点では現在の原子炉を工学的、技術的に見た場合にもきわめて不完全な状態をさらけ出したのではないか。そういう見方で、いままだはっきりお答えいただけないようなものについて十分検討していただく必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○吹田説明員 仰せのとおりでございまして、ある見方をすればそういうこともできますけれども、われわれとしては非常に重要視しておりますので、その点はできるだけ安全規制の方に反映していきたいと思っております。
○瀬崎委員 先ほど来指摘した中で、結局作業ミスが、本当にオペレーターがマニュアルどおりやってなかったのか、それともそもそもマニュアル自体に大きな問題があったのか、そこが不明確なままであったように思います。これはどっちにしても明らかにしていただく必要があると思うのですが、私も素人考えで、こんなにミスが重なるものだろうかという疑問を持つわけです。ざっと先ほど来出てきたものだけを考えましても、二次水系の補助給水ポンプの弁が閉鎖のまま運転に入っている。これが一つの大きなミスですね。このミスが、バルブを締めたこともミスならば締まっている表示を見落としたこともミスだ。こんなことが重なるものだろうかという疑問を持ちます。 それから、ECCSを圧力容器内の圧力が低下したのに伴って手動で停止したというのですが、これも現在はまだマニュアルを調べていらっしゃらないとおっしゃいますから、マニュアルどおりやってこういうふうになったのか、マニュアルにはないことを所長なり課長が指示してこうなったのかわかりませんけれども、これも一つのミスだと言われている。 それから、一次の給水ポンプを炉内圧力との関係で一時ストップしたというふうなことも、マニュアルが第一そこまで指定しておったのか指定が抜けているのか、マニュアルどおりやってまずかったのかわかりませんが、これも一つのミスだと言われている。 それから、移送ポンプを作動して補助建屋の方へ一次冷却水を送った。先ほど児玉審議官は、いや自動的に作動したんだとおっしゃいますけれども、それならそれで自動的な作動をとめる手段はあるはずなのに、なぜこれをしていなかったのかという疑問が当然われわれの方から反論として出てくるのです。 こういうふうな幾つものオペレーターミスというものが本来重なるものなのかどうかという疑問も大変持つわけです。もしこれがすべてオペレーターミスだと言われるならば、きわめて幼稚な運転員、作業員に仕事をさせていることになるので大変だと思うのです。こういう点で現在のアメリカの原子力発電所の運転の技術水準が評価するほど高いものか、それともきわめて低いものか。むしろ数がどんどんふえてきたのに余りオペレーターの養成がついていってないんじゃないか。教育も不十分であれば経験も不十分というふうな事態が起こっているんじゃないかという心配等を持つのですが、そういうアメリカの事情等はいかがでしょう。これは先生、どちらか御存じの方にお願いいたします。
○田島説明員 こういう事態を見ますと、ある意味ではそういうふうな見方もできるかと思います。しかし、確実なことはやはり調査した結果でないとはっきりした判断はできない、そう思います。
○瀬崎委員 感じとしてなんですけれども、こういう非常事態というものを含めて必ずしもマニュアルが考えられていないのじゃないか、保安規定にしても運転要領にしても。こういう点ではわが国もほぼ全面的に見直す必要がある問題だろう、こう思うのですが、その点はいかがですか。
○吹田説明員 全く同感でございまして、この委員長談話を出すときに議論いたしましたのも、マニュアルを単に遵守するというのでなくて、その内容も検討すべきであるというのが、そこに実ははっきりとあらわれておりませんが、そのとき議論した点でございます。
○瀬崎委員 そこで少し大胆な想定の話になってくるのですが、こうなってまいりますと、わが国の国民にも、原子力発電所というものは科学の粋を集めて安全を保ってはいるけれども、実際はきわめて危険なものを扱っているんだ、こういう認識はこの機会に理解していただく必要があろうと思うのです。その場合、むずかしい話をしてもなかなかこれはぴんとこないものなんで、できるだけやはり具体的である方がいいと思うのです。 わが国で一番大きい発電所を一応とりまして、原電の東海二号炉の場合、これは最近運転に入っているわけですが、現在核燃料に蓄積されたと考えられる核分裂生成物質、わかりやすく言えば死の灰になりますが、これは現在どのくらいの量になっているわけですか。
○児玉(勝)政府委員 百八十日連続運転いたしました直後で計算いたしまして十の十乗キュリーぐらいあります。
○瀬崎委員 これは百十万キロワットですね。先ほど山野さんが、この前国会に出された原子力損害賠償保険のときの試算の内容を言われた。あれは五十万キロワットで、一応そういう最悪の事態と考えられる下限が十の四乗キュリー、これだけのものが大気中に放出されたらという仮定をしたと言われましたね。そうしますと、これは一万キュリーですから、十の十乗、つまり百億キュリーになるんですか、その想定からいけば、実に百万倍のものが現在の東海の原電二号の核燃料には蓄積されている。さらに、先ほど一兆円の損害規模と言われましたのが十の七乗キュリーの放射能が放出されたときというふうに言われました。これに比べれば、原電東海の蓄積量は十の三乗ふえますから約千倍になるのですか、いかに原子力発電所の中には危険なものが蓄えられるものかというのは、こういう点ではやはり国民にあらかじめぼくは理解しておいていただく必要があろうと思うのです。 それと同時に、これが全量環境に拡散されるような事態になれば、これは大変なことで、あり得ないと思いますけれども、また、あり得ないようになっていると思いますが、しかし、それでもこの間のスリーマイルアイランドの事故では、先ほどのお話で、一時空だき状態になって、四分の一の燃料棒は損傷を受けている、こういう話ですね。したがって、もしもこの東海の原電二号で現在四分の一の核燃料が損傷を受けて、それがいわゆる環境に拡散されたとした場合は、放射能によって死者が出る範囲というのは、平均的な気象条件ではどのくらいの範囲と考えたらいいのですか。
○山野政府委員 先ほど申し上げましたように、十九年前に原産会議で行いました調査も、これはきわめて大胆な前提を置いて試算したものでございますので、ただいま先生からそのような御質問をちょうだいしましても、いま直ちにどの程度のものであろうというお答えはできないかと存じます。これはいろいろな前提を置きまして、こういう前提を置けばこうなるでしょうといったふうな試算はあるいはできるかもしれませんが、いま直ちに数字を申し上げるわけにはまいらぬと思います。
○瀬崎委員 いまのお話じゃないけれども、先ほどは十数年前の試算なんです。大胆な前提を置いたかもしらぬが、十数年前で、しかも五十万キロワットの話ですね。ところが、それに比べると現在は百十万キロワットクラスになって、これをざっと七千時間余り運転してくると、先ほど言いましたように、山野さんがさつき言われたような数値の千倍程度のものが蓄積されていることは事実なんですね。 一方、今回のアメリカの事故ではやはり四分の一の燃料に損傷が起こったことも、これまた事実なんです。だから、四分の一全部外へ出たら大変だけれども、今回のアメリカの事故の場合も、まだ最悪の事態に比べればあるところでとどまってくれているような感じがせぬでもない。だから、やはり最悪の場合はということは考えざるを得ないと思うのです。したがって、一度現時点でのこういう日本の一番大きい原子力発電所で予想される最悪のケースが起こったときには、どういう範囲に住んでいる人々にどういう影響が出てくるのか、これを計算しない限り、今後防災対策を立てると言っても立てようがないと思うのです。そういう点は、いま直ちに答弁できないならこの次の機会でもいいから、一度計算して報告をしてほしいと思うのです。
○山野政府委員 そのような事故が起こる確率自体、先ほど御紹介しました調査でも評価していないわけでございまして、もしそれが起こったと仮定したらどうかという点が出発点になっているわけでございます。そういう前提におきまして、いま私ども事務レベルだけで検討できるかできないかということを検討させていただきます。
○瀬崎委員 これは比較するにはちょっとちゅうちょはするのですけれども、飛行機とか新幹線とか大量の輸送機関も、もう二重、三重の安全装置があって、めったなことでは事故は起こさないと思うし、またあってはならないし、だからちょっとでも事故があれば世論の批判は厳しいわけです。それでも乗っている人は、万が一衝突があったときとか、万が一墜落があったときにはどんなことになるかは、大体皆さん承知していらっしゃいますね。ところが、原子力発電所でいわゆる万々一の事故が起こったときに、周辺に住んでいる人はどの範囲の人がどんな影響を受けるのかということはさっぱりわからないわけですよ。こういう点が非常にいままでの政府の安全行政では臭い物にはふたをする式でありまして、危険は危険だとはっきり言って、だけれども、これだけの安全装置を講じてあるのだからそう心配には及びませんというのが正しい親切な国民に対するPRだと思うのです。こういうふうな点で、十何年前の試算がある限りは、今回は現時点での一番大きい原子力発電所でアメリカのこれを教訓にしながら、起こり得るであろう場合を想定して、一遍国民に警鐘は鳴らしてほしいと思うのですが、これは安全委員長、いかがでしょうか。
○田島説明員 後で委員長が……。 この前やりましたものをそのままスケールアップして倍のFPが中に入っているから倍にするというふうな計算が果たしていいものかどうかということは、非常に吟味を要することだと思うのです。あれから非常に大きな安全装置その他のことは改良されておりますので、それは当然考慮されていなければいかぬだろう。その範囲において最悪といいますか、そのことを考えなければいけないということが一つ考えるべきことではなかろうかと思います。 それからもう一つ、これは私の全くの私見なのでございますが、災害対策を行う場合に、一番初めから最悪の場合を頭に入れてやるのがいいのか、あるいはたとえばスリーマイルアイランド程度と言っては語弊があるかもしれないが、そのところのものを第一段としてやって、だんだんスケールアップしていくというやり方の方がいいのかということは検討させていただきたいと思います。
○瀬崎委員 これは大臣にも伺っておきたいのですが、いずれにしても、大臣は、最初の所信で、災害対策基本法に基づいて原子炉事故に対する防災計画は改めて検討していくとおっしゃったわけです。だから当然検討するに当たっては条件がなければ検討のしようがないと思うのです。ですから、いま田島先生がおっしゃったそういうことで、これは専門家の方々がどういう形で事故の想定をされるかわかりません。それはやはり科学的にやっていただいていいと思うのです。それにはやはり忠実に対応して防災計画を立てられる、その決意はありますね。
○金子(岩)国務大臣 安全委員会の結論を得ましたならば、その御意見を当然尊重して防災対策を立てることをお約束しておきます。
○瀬崎委員 それと、最後になるのですが、先ほど来ずっと御答弁を聞いていて思うのですが、アメリカの今回のスリーマイルアイランドの原子力発電所、原子炉はこれが最新式であるにかかわらずこういう欠陥を暴露している。最新式という言葉が当たるかどうかわかりません。ただ新しいというだけかもしれませんが、とにかく素人考えから言えば一番新しいのだから新式だろう、こう思うのですね。それでもこういう欠陥をさらけ出した。 先ほど操作ミス的なものはまとめて申し上げましたが、では機器の方に問題がなかったかというのも、拾い出してみると、先ほどいろいろ教えていただいた中から見れば、まず第一に主給水ポンプが二台とも不良であったという問題がありますね。 それから二つ目には、補助給水弁が閉じたまま運転に入れるような仕掛けであるということも明らかですね。チェック機能がない。 それから三つ目は、圧力逃がし弁が閉じるべきなのに閉じなかった。閉じなかったことに対してそれをカバーする装置がどうもなかったらしい。 四つ目は、一次水が格納容器内にあふれ出した場合、機器保全対策を講じなければならないような機器の配置になっておったのではないか。先ほどの電事連なんかの報告から見ると、こう見られますね。 それから五つ目には、移送ポンプの弁にインターロックがECCSとの関係でないというのがありますね。 それから六つ目には、これも先ほどの原産会議の方の情報にあるのですが、「ポンプのシール(密封)が不完全であったことは確かであり、そのため少量の水が補助建屋内のポンプ室の床に流出した。」こういう指摘があるので、どうもシール不完全ということもあるようですね。 それから七番目には、ECCSの作動が全自動ではないし、一部手動で、手動で間違いが起こったときにカバーする装置がないようですね。 八つ目には、蒸気発生器の一基が故障しておった、リークがあったということが営業運転に入ってわずか三カ月のこの機械にあるわけです。 だから、最初に戻って、果たして営業運転を認めた安全審査が正しかったのかどうか。むしろこれだけの条件が出てくれば、これは欠陥原子炉ではないかと考えるべきではないかと思うのですが、これが二つ目。 それから、もしアメリカの安全審査がそもそも間違っている、アメリカの安全審査の基準が甘過ぎる、こういう危険な原子炉がアメリカでたくさん運転されているということになりますと、これは世界全体の問題としても放置しにくいと思うのです。もしそうだとすれば、日本政府としてもアメリカに対して何がしか申し入れもしてもらわなければいかぬような事態じゃないかと思うのですが、以上三点をそれぞれの立場の方から伺って、終わりたいと思うのです。
○牧村政府委員 この事故が起きまして、アメリカのB&Wとウエスチングハウスとの設計等の比較をしてまいりまして、私どもの目から見れば、ある意味では安全サイドの方には向こうの炉に欠陥があるようにも見える考え方が出ておることは否めないところでございます。その点につきましては、いま詳細に調査し、わが国に改めるところがあればなお改めるという姿勢でございます。 また、この問題はアメリカの一つの型の炉で起きたわけでございますけれども、世界じゅうの趨勢としては、大きな意味では似た一つの軽水炉で起きておるわけでございます。 私どもは、諸外国のこの問題に対する動き等も注視しておるところでございますが、すでにOECDの下部機構のNEAという原子力機関がございますが、ここでいろいろ国際的にこれを見直そうではないかという動きも始まりかけております。私ども国際的な場でもこういう問題に対していろいろ積極的に参加していくべきだと思っております。 先生、アメリカに抗議せよというふうな御指摘ではございますが、私どものいまの立場は、アメリカにこの事故の情報を詳細に提供せよということで、それを他山の石といたしまして日本の規制に反映させるという気持ちから強く申し入れておるところでございますので、まあ抗議を申し込むということにつきましてはいかがかと思っておる次第でございます。
○吹田説明員 今回の米国の事故は本当に貴重な、世界的な実験をやったような感じがいたします。それでわれわれといたしましては、それからできるだけいろいろなことを学び取って、日本の原子炉の安全規制に反映していきたいと思っております。
○金子(岩)国務大臣 いま吹田委員長、安全局長からいろいろ申し上げておりましたが、発電に入っておる原子力発電所は通産の所管でございますが、安全委員会がぼくの方の役所に所属しておるという関係で、安全についての責任は私は非常に重大だと考えております。ただ、原子力を推進していく側は通産の方にあるのでございますから、どうかひとつ瀬崎先生、商工委員会において大いに論陣を張っていただきたいと思います。
○瀬崎委員 最後に一言だけ。 大臣のその態度がぼくは問題だと思うのですよ。通産というところは開発官庁ですから、こういう事故はできるだけ過小評価して早く計画どおりに発電所をつくりたい方でしょう。それに対して足を引っ張る役目をしてもらうのがまさに安全委員会であり、それを所管されているのは大臣です。いま問題になっているのはまさに安全サイドから問題になっているのですよ。そういう意味では、通産に言ってくれとか商工委員会でやってくれとか言う前に、いまここで論じられた安全問題が安全委員会で一いま委員長さんもあれは貴重な実験だった、十分教訓を学んでみたいとおっしゃっているのですから、そこから生まれてくる教訓に従って政府を代表して大臣が通産の急ぎ過ぎ、あるいはまた通産の安全審査の簡略化の方向等にはきちっと歯どめをかけていただく、こういう必要があろうと思います。政府を代表して安全問題について責任を持ってもらいたい、このことをもう一遍はっきりしてもらいませんと、じゃ安全の責任を持つ大臣はどこなんだという問題がこれまた起こってきますね。その点はひとつはっきりしてください。
○金子(岩)国務大臣 それは先ほどから申し上げておるとおり安全委員会の所管は私の方でございますから、安全については私は全責任を持って推進しているということでございます。あわせて原子力の開発推進もわが国としてはやらなければならないので、その方の所管が通産になっておりますから、そういう話を通産の方にもすることは私は非常に有意義だと思うわけですね。別に責任のなすり合いをするわけじゃないのですよ。通産にもひとつ瀬崎先生のような貴重な意見は大いに述べていただくことは有意義だ、こういうことを申し上げておるわけです。
○瀬崎委員 開発推進を言ったのじゃなくて安全を言ったのですからよろしく。 では終わります。
○大橋委員長 児玉審議官から補足説明の申し出がありますので、児玉審議官。
○児玉(勝)政府委員 ただいま水素発生につきましての御質問がありましたときに、私の答えの中ではっきりしておらない面がございましたのでここで訂正させていただきたいと思います。 PWRでは圧力容器の中での水素の発生、滞留は考えておりません。しかしながら格納容器への水素の滞留ということは安全審査上予想しております。 以上でございます。
○大橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十九分散会