科学技術振興対策特別委員会 第3号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1979/02/22
会議録
○大橋委員長 これより会議を開きます。 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案につきましては、第八十四回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取しておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関 する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕
○大橋委員長 大平内閣総理大臣に対する質疑を行います。 この際、委員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力くださるようお願いいたします。 質疑の申し出があります。順次これを許します。塚原俊平君。
○塚原委員 本日は、大平総理大臣には大変お忙しいところをありがとうございます。 私も、おかげさまで今度のお正月で三回目の国会議員としてのお正月を迎えさせていただきました。私どもが当選いたしましたときには、最初から解散解散ということでございましたので、三回もお正月を迎えられたということでまた思いを新たにいたしたわけでございます。 いろいろと政治というものは、私は全くずぶの素人から急に政治の世界に入ったということで、発想的にずいぶんほかの議員さんたちと自分自身違うところがあるのではないかということを痛感いたしておりますけれども、政治というものの最大の使命の一つは何であるかというようなことをいろいろと考えてみましたときに、やはり国民の皆様方が持っております不安を一つ一つ解消して差し上げるということが政治の大きな義務じゃないか。それぞれについて安心を保障し、安全を保障するということが大きな義務だと思います。そのことで防衛論もあれば、あるいは食生活等の問題もあると思うのでございます。それぞれの政党がそれぞれについて自分の意見を一生懸命闘わせて、よりよい道を探っていくということに一つ政治のすばらしさというものを感ずるのであります。 私は戦後昭和二十二年生まれでございますので大変若うございます。やはり若い世代というものが特別に持っている心配点、それは総理の世代でも心配点は持っていると思いますけれども、特に私どもが持っている心配点というのは、何といたしましても最近の一つ一つのエネルギー危機に見られますように、私どもが将来中堅あるいは老年に入るときに日本の資源はどうなるんだ、エネルギーはどうなるんだというのが私どもの持っている一番大きな心配でございます。そういうことで、年の若い議員といたしまして当委員会に総理においでいただけるチャンスはなかなかないものでございますので、大変短い時間を無理無理お願いをしてちょうだいをいたしまして、本日は質問をさせていただく次第でございます。よろしくお願いを申し上げます。 エネルギーの中心を占めるものは現在石油ということになっておりますけれども、この供給が最近きわめて不安定になってきている。これは一つ一つの国際情勢の変化というものでもすぐに影響をこうむるというまことに悲しむべき事態なのでございます。その代替エネルギーといたしまして原子力というものが重要であるということは、これは国際的にも共通の認識を持たれていることではございますけれども、また他方、核不拡散というような観点で、国際面から大変に重要性も認められているけれども制約も受けているというきわめてむずかしい状況にあると思います。 今回の法律というものにつきましては、わが国の再処理を中心とする自主的核燃料サイクルの確立を図ることを目的とするというふうに理解はいたしておりますけれども、アメリカ等におきましても核不拡散法を成立させる、あるいはこれに基づいて日米原子力協定の改定を申し入れてくるというような一連の動きを見ましたときに、これは核不拡散の見地から原子力利用に一定の制限を持ち込むものであると考えられると思います。やはりわが国といたしまして核燃料サイクルの確立をこれから図っていきます上に、国際情勢というものは密接な関係を持ってくると思うのでございますけれども、このことに対して、まず政府の対処というものをお伺いいたしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 わが国といたしましては、エネルギー資源に最も恵まれない国でございます。にもかかわらず、エネルギー消費におきましては上位にランクされる国でございます。したがって、エネルギーの安定供給をどうして図るかということはわが国の死活の問題であることは御指摘のとおりでございます。そのためには特定のどのエネルギーということではなくて、どん欲にあらゆるエネルギー源の確保に努めなければならぬわけでございまして、いま石油に大部分を頼っておる状態でございますけれども、石油にかわるエネルギー源を求めなければなりませんで、そのうちの一つがいま御審議をいただいておる原子力エネルギーであろうと思うのでございます。これにつきましては、どの国よりも緊切な関心を持ち、必要性を痛感いたしておるわけでございまして、それ相当の安全性の確保について周到な注意を払いながら、われわれとしては精力的にこの開発に努めなければならぬと考えております。
○塚原委員 特に私どもが生きていく上で大変必要なことでございます。どうぞよろしくお願いいたします。 核燃料サイクルの確立を図るということとあわせまして、やはり全地球的な視野に立った場合には、新しい未来エネルギーの開発というものが大変必要になってまいると思うのでございます。そのために核融合中心という一つの考え方というものが特に福田総理のときに強くあったわけでございます。福田総理は大変に御関心をお示しくださいまして、わざわざ私ども東海村にも御視察に来てくださった、そして若い研究員を非常に強く激励をしてくださったということで、わが方といたしましてもそれに大変協力をする。地元といたしましても喜んでおるし、あるいはまた若い研究員も大変に張り切って仕事をしている。しかし、今度新しい総理大臣になられてからと言ってはおかしいのですけれども、土地購入の問題等々今回核融合に関する予算づけについてちょっと後退したのではないかというようなこともちまたに言われているような状況もございますので、総理自身今後核融合というものに対してどうお考えになるのか、御所見とあわせましてぜひ一度東海村の現地を訪れていただきまして、若い所員、そして地元の皆様方に感謝と激励をしていただきたいと思う次第でございます。どうぞ御答弁をよろしく。
○大平内閣総理大臣 核融合という大きな技術の開発問題はわれわれにとってはこれからの大きな課題であろうと思います。いま当面石油代替エネルギーでもろもろのことをやっておりますけれども、そのはるか向こうに大きな技術的な課題があると思います。 そこで、これはわが国だけの力で開発するにいたしましても問題は非常に大きゅうございまして、アメリカその他の国々との技術協力の中にこの問題も考えていかなければいかぬことだと思っております。したがって、福田総理の時代にお約束ができました日米技術協力の一環としてその問題が取り上げられておるわけでございますので、ことしの予算におきましてもこの問題は取り上げまして、予算化して継続して技術協力を進めるということにいたしておりますことを御了承いただきたいと思います。 それから第二点の現場の視察でございますが、できるだけ早くそういう機会を見つけ出しまして御期待にこたえなければならぬと思っております。
○塚原委員 どうぞひとつよろしくお願いいたします。 総理、私は最近非常に出会いの重要性というものを感じるのでございます。私もまだひとりなものでございますから見合いをするわけですけれども、見合いをいたしましても大体断られる。何で断られるのだろう、政治をやっているからとか、いろいろと考えてみるのですけれども、やはり冷静に考えると、見ばが悪いというか、結局第一印象ですね、出会いというものが非常に大切であるということを感じるのでございます。 日本は、原子力というものに対しましては大変にショッキングな出会いをいたしました。ただ、そのショッキングな出会いを日本人が一生懸命努力して世界に類を見ない平和利用をしていく国となっているというのは、私ども先人に大変に感謝をしなければいけないところだと思うのでございますけれども、やはりこれから若い人たちに、われわれ生きていく上にすばらしい出会いをする機会を国としてできるだけつくっていただきたいと思うのでございます。 科学技術博覧会というすばらしい企画があるということを伺っておりますし、また当委員会のメンバーもほとんど網羅をいたしました超党派議員連盟等もできておりますので、政府としても、これをぜひ積極的に強く御推進をくださいますように。茨城県は六十年開催を目指して準備万端整えてお待ちをしておりますものですから、ひとつこのことを最後によろしくお願いをいたしまして、御質問とさせていただきます。 どうもありがとうございました。
○大橋委員 長塚原君の質疑は終了いたしました。 次に、日野市朗君。
○日野委員 総理、共通の認識があるかどうかという点について、これからの議論を進める上でも必要なことですからずばり伺っておきたいと思います。 私は、核というのはもろ刃のやいばであって、それを利用する際には大きな危険がついて回る、これについては非常に神経質に考えていかなければならないと思うのでございますが、いかがでしょうか、ずばり伺いたい。
○大平内閣総理大臣 全く同感でございます。
○日野委員 いま私の手元にスイスにおける原発の建設を行うかどうかについての国民投票を行ったとの新聞記事がございます。スイスではわずか四万五千三百四十八票で原発の推進の可否、これは可の方に決めたわけですね。これは一国の投票でわずか四万五千票やそこらの票数でありますから、非常に拮抗した数字だというのが正しかろうというふうに思うのであります。 それから、昨年はオーストリアでも同じように国民投票が行われて、これは本当に僅少の差で否の方に国民投票の結果が出た。恐らくわが国においても、国民投票でもしてみればこれと同じような結果が出るんじゃなかろうかというふうに思うのであります。これはわが国でも若干の新聞等の世論調査等があるわけでありますが、大体同じような結果を見せるだろうというふうに私は思います。 これを見ると、過半数は一応は制しているということはあっても、ほほ可否同数というような評価をするのがむしろ正しかろうというふうに思うのですが、このような非常に僅少の差における少数派という、いわゆる原発反対派というものに対する措置、処遇、こういったものはどうなるのかということは非常に重大な問題だと考えざるを得ない。いま総理もお答えになりましたように、核の利用については非常に神経質に安全性を十分に配慮しながら行っていくということになれば、こういう反対者というものに対する総理の考え方について伺いたいと思います。
○大平内閣総理大臣 原子力を平和利用することの可否を国民投票に問うことが適当なことであるかどうか、私は若干疑問を覚えます。そういうことが国民投票に付するになじむ問題かどうかということについては、私は疑問を感じます。 問題は、それぞれの国々におきまして慎重に対処する工夫をしていかなければいけないものだと考えます。したがって、わが国におきましても、そういう大原則が明示されて、民主管理ですか、それが確立しておると思うのでございまして、そういう精神にのっとりまして、原子力委員会というものがつくられておるわけでございまして、そういう権威ある機関の権威ある判断というものを尊重するということがよろしいのではないかというように私は思います。
○日野委員 各地で原発の反対運動、また場合によっては本法律案で問題になっている再処理工場、これの立地についてもかなり多くの反対者が出てくるであろうことは当然予測されるところなのでありますが、その場合、エネルギー危機の大合唱のもとに、この反対者の声を押しつぶしてまでこれを推進していくというような態度を基本的におとりにならないように、私はいまここで強く要望をしなければならないというふうに思っているのですが、いかがでしょうか。
○大平内閣総理大臣 原子力発電施設の立地に絡む地元との問題でございますが、仰せのように地元の理解、協力というものを軽々に考えてはならぬと思うのでございまして、それを確保することが一番大事な課題であると思います。したがって、力でもって押し切るというようなことはもちろん避けなければならぬと思いますが、十分の御理解を得ながら進めていくというようにありたいものだと考えております。
○日野委員 いまエネルギー危機ということが非常に大きく叫ばれておりまして、ややもすれば安全性への配慮が怠られているのではないかというふうに思われる場面が数々あるわけですね。たとえば現在再処理工場についてはもう事故が報告をされているところでありますし、各原子力の利用施設では多くのトラブルが発生していることはもう周知のことであります。ただ、これらを知る機会というものは、残念ながらその多くを内部告発に待つというのが現状であります。こういう現状について総理はどのようにお考えでしょう。このような事故の内容というのは、これは原子力基本法にもある公開の原則ということからいえば、この実情というものは広く国民に知らしめなければならないのだというふうに私は考えるわけですが、いかがでありましょうか。特にこの原子力施設を取り扱う者のモラル、これが確立されなければならない、安全性ということを大きな柱に据えたモラルが考えられなければならないと思いますが、これについてはどのようにお考えでしょう。
○大平内閣総理大臣 原子力政策におきましては、安全性の確保が最大の課題であることは仰せのとおりでございます。そしてこの問題について完全にもう間然するところない安全性確保の技術が確立しておるというようにはまだ聞いておりません。若干いつも問題になっておることは承知いたしております。したがって、この安全性確保につきましてわれわれがより一層慎重でなければならぬことは仰せのとおりでございます。したがって、その原子力管理の機構の内外を問わず、この管理についてモラルが確立しておらなければならぬことは当然でございまして、それが崩れるようなことがあってはいけないものと思います。
○日野委員 原子力開発を進めるに当たっては、これはやはり一〇〇%の安全性というものはないのだ、一〇〇%安全な設備、施設というものはあり得ないのだというふうに私は思うわけであります。 それで、この開発を進めるに当たって二つの考え方があろうかと思うのです。もうどのような危険をも排除していこうという考え方と、こうエネルギーが不足してくるエネルギー危機という現状の中では、一つ二つトラブルがあっても構わないではないか、事の大小を問わずですね、そういう二つの考え方があろうかと思うのです。総理のおとりになるのはどちらですか。もう一〇〇%これは安全なように導いていこう、あらゆる事故の可能性をシャットアウトしていこうということなのか、多少のことはあってもやはり開発を進めなければならないのだという考え方か、二者択一だと思いますが、いかがでしょう。
○大平内閣総理大臣 国民はそういう判断力を十分備えておるわけではございませんし、総理大臣である私自身がそういうむずかしい判断に的確に答えられるわけではございません。したがって、問題は原子力行政の管理に当たっておる権威ある機関の意見を私先ほど申しましたように尊重するということでなければならないのではないかと考えております。
○日野委員 どうも若干お答えにならないのではないかと思いますが、とにかく一〇〇%の安全を追求していくというのか、多少の瑕疵はあっても、それよりはエネルギーの必要性の方が優先するのかという、この二つの考え方のどちらをおとりになるかということなんです。
○大平内閣総理大臣 もちろん一〇〇%安全を追求してまいらなければならぬことは当然でございますが、一〇〇%の安全を確保するということは人事の及ぶところではないことも、いまの技術の段階においてはそういうことでないかと思うのであります。したがって、これは一〇〇%の安全が確保されなければできないというのなら原子力開発なんてできないと思うのであります。 そこで、最大限の安全をどのようにして確保するかということについて権威ある専門家の判断をまたなければならないのではないかというのが私の意見であります。
○日野委員 先ほど私モラルの点に触れて、モラルを確立することが大切であるということは総理も発言されたところでございますが、いやしくも企業秘密などという問題によって現在進んでいる原子力の開発などが妨げられるようなことがないように特に厳重にこの点は注意を喚起したいところなのでありますが、この点は御賛同いただけるでありましょうか。
○大平内閣総理大臣 企業秘密のゆえをもちまして安全性を犠牲にするわけにはまいらぬと思います。
○日野委員 この再処理工場が作動すれば核兵器、原爆の原料がどんどん生産されてくるということでありますし、核武装をやるべきだというようなことを公然と言う自衛隊の最高幹部が存在したりしますと、われわれは再処理工場をつくる、しかもそれを民間に任せるということに非常な危機感を持つ。核武装と再処理の過程、これについての総理のきちんとした考え方を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○大平内閣総理大臣 わが国は原子力基本法の基本理念に従いまして、原子力の開発利用は平和の目的に限ることを国是としておりますことは御案内のとおりでございます。この方針に基づきまして、原子炉等規制法によりまして平和利用を担保するための厳重な規制を行っておるところでございます。 再処理事業につきましても、これが平和目的以外に利用されることは全くないわけでございます。 なお、わが国は昭和五十一年、核兵器の不拡散に関する条約を批准しておりまして、今後ともこれに基づく保障措置を厳重に実施することによりまして内外の信を高めてまいる考えております。
○日野委員 これで私の質問を終わります。
○大橋委員長 日野君の質疑は終了いたしました。 次に、石野久男君。
○石野委員 総理にお尋ねしますが、近いうち、東京ラウンドの前に総理はアメリカに行ってカーター大総領と会うということも聞いておりますが、いまINFCEで再処理問題がいろいろと論議されておりまして、必ずしも日本の意向のように話は進んでないのじゃないかと思われますが、総理は、その際、カーター大統領とこのINFCEの中で論じられておる再処理工場等の問題についてどのようにお話をするつもりでおられますか。その点を先に伺わしてもらいたい。
○大平内閣総理大臣 私の受けておる報告によりますと、第二再処理工場の建設の可能性につきましては、昭和五十二年の日米再処理交渉におきましても、米側は必ずしもこれを否定しておりません。でございますから、その問題についてアメリカと改めて交渉しなければならぬものとは考えておりません。
○石野委員 そうしますと、第二再処理工場の設置は国際的には問題なく進む、こういうふうに政府は見ておる、そのように考えてよろしいですか。
○大平内閣総理大臣 そのように考えております。
○石野委員 先ほどから原子力の平和利用の問題に関連して同僚議員から質問がありましたが、この規制法の改正に当たって、私ども社会党は民営移管について反対の立場をとっております。 その理由は、再処理工場というのは、本来プルトニウムという核爆発や人類の保全についてはかり知れぬ危険な物質を生産するということ、そしてまた同時に、ここでは原発をはるかに上回るような放射能の危険性を内包しているという意味からなんです。私どもは、いままでの原子力あるいは核に対する考え方からいたしまして——一般に天然の放射能に対しては動物は体内に取り込まないように絶えず努力して、これを体内に蓄積することをきらって排出してきております。しかし、人工放射能に対して生物はそういう排出する能力がまだできていない。そのために体内に蓄積してしまういわゆる生物濃縮という実態をいま持っておるわけです。したがって、たとえばそれを一番問題にする沃素などの問題を見ますると、生物の濃縮比は非常に大きいから自然界の濃縮の百万倍、千万倍を濃縮する。そういう実態があるから沃素の問題を非常にやかましく言い、放射性沃素を吸い込んだら甲状腺被曝が警戒されるという実情になっていると思います。 人工の放射性物質は原発で大量につくられます。これも百万キロワットの発電所一つあれば、日運転すると広島型の原爆三発分が出ると言われておる。再処理工場はそれ以上に大きな危険性を持っているわけです。この放射能の毒物は廃棄もできないし消すこともできない。現在の科学技術では、これは管理保管する以外に方法がない。こういうように私は見ておりますけれども、総理はそれをどういうふうに見ておられますか。——いや、総理に聞きたい、総理の御所見を聞きたい。
○大平内閣総理大臣 それは技術の問題と思いますけれども、私の受けておる報告によりますと技術自体には問題がないと聞いておりますけれども、なお詳細は政府委員から答弁させます。
○石野委員 政府委員から聞いていると時間がありませんから……。 総理のその考え方は非常に不勉強だと思うのです。私はやはりこれは非常に危険があると思っておりますし、実際いまのところ管理以外にないわけですよ。特に原子炉等の廃炉の処理なんかについてはどう処理するかがわからない。ただ管理する以外にはないわけです。だから原発や再処理工場の最大の問題点というのは、放射性毒物に対応する方法がないままに子孫にその危険性を残しているということなんですよ。原子力に関しては、軍事的なものはもちろんですけれども、平和的な利用に対しても、安全性が科学技術で究明され保障されないまま実用化することは非常に問題があって、これは核ジャックに対する問題どころじゃない。子孫に対してこういう放射能障害を残すということに対して政治家はどう考えるかという問題の方が私は大きいと思う。 だから総理としては、いま二万年、三万年、何十万年と残るようなその新しい人工放射能をつくるということに対して、政治家の良心として人類の悠久の歴史の上に責任を感じてこれに対処しなければいけないのではないか。ある瞬間のエネルギー対策のために悠久の人類に対する放射能障害と、それに管理保管の責任を与えていくということは、現代の政治家はしてはいけないのじゃないかというふうに私は思うのです。そういうことについて、総理の所見を聞かせてもらいたい。
○大平内閣総理大臣 石野さんの御憂慮の気持ちはわからないわけではありません。ただ私は、国の内外におきまして再処理技術が検討され確立されてまいっておりまして、特に問題がないということを聞いておるわけでございまして、そういう権威ある方々のそういう報告を信頼いたしております。
○石野委員 これは信頼している、していないにかかわらず、現実に、たとえばわが国の原子炉はもうあと十年もたてば一号炉は廃炉になっていきます。その廃炉になったものをどういうふうに保管するかという技術的、科学的なはっきりした解決方法はないわけですよ。そういうような問題について、政治家としてのあなたがどういうふうに対応するかという問題を私は問うているわけなんですから、その点だけをひとつ聞かせてください。
○大平内閣総理大臣 したがいまして、安全性確保の技術につきましては、神経質なまでにこの確立について政治は推進してまいらなければならぬことと思います。
○石野委員 最後に一つ聞きますが、総理の答弁から見ましても、やはりいま科学技術の側面からしても、放射能についてはまだ研究、実験の段階である、実用化の段階にはほど遠いんだという問題設定ですね。ここで私どもと政府との間に意見の違いがある。それをやはり人類の歴史の上に私どもは問わなければいけないわけです。そういう意味で、私は総理に意見を聞いているのです。私はやはり研究、実験に重点を置くべきじゃないかという意見なんですが、もう一度総理の意見をちょっと聞かしてください。
○大平内閣総理大臣 あなたの御意見も理解できますし、そういう考え方はよく承ったわけでございます。政治が今日ばかりでなく、歴史に責任を持たなければならぬという御主張もよく理解できるわけでございまして、しからばこそ、政治といたしましては、安全確保の技術の開発と確立ということを第一にいたしまして原子力の政策には取り組んでいかなければならぬことと思います。
○大橋委員長 石野君の質疑は終了いたしました。 次に、貝沼次郎君。
○貝沼委員 いよいよ規制法の終局の段階に来まして、総理大臣に出席をいただきまして何点か確認をしておきたいというところから今回の設定がなされたと私は思っております。 そこで、この法律の特徴といたしまして、今回もしこの法律が通ったといたしまして、再処理工場をつくることが決まったといたしましても、実際に工場が運転を始めるのは十年先のことでありますので、そこに非常に特殊性があると私は思っております。ところが、日本の再処理を中心とする原子力の考え方、これからの方向があると思いますが、諸外国の様子を見てみますと、いろいろな議論がありまして、その国、その国の特徴があらわれておると思います。 そこで、わが国の場合、この再処理を中心とした前後の原子炉の炉型、それから再処理というものについての自主技術の開発ということにつきまして、今後どういうふうに考えて進めようとなされるのか、この点について総理の率直な見解を承っておきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 わが国におきましては、動力炉の開発は軽水炉から高速増殖炉へ進むことを基本路線といたしておりまして、これを補完するものとして新型の炉の開発などを進めることといたしておりますけれども、このような炉型戦略を進めるに当たりましては、仰せのように自主的な技術開発を特に重視していかなければならぬと考えております。このような観点から、すでに高速増殖炉並びに新型転換炉の自主開発を国の重要なプロジェクトとして推進しておるところでございます。
○貝沼委員 時間がありませんので進みますが、第二点目は、本法の施行後設置される再処理工場、ほほ十年先だそうでありますが、この運転開始に当たっては、安全審査の経過を当委員会に報告して、当委員会の理解の上に運転を判断するぐらいの十分な注意が必要だと私は考えております。したがって、この点についての総理の見解を承りたいと思います。
○大平内閣総理大臣 第二再処理工場の安全性に対する信頼を高める見地からも、国会の御要求に応じまして、その経過の説明、御報告を申し上げることは必要であり、当然の任務であると考えております。
○貝沼委員 それから再処理工場から発生する放射性廃棄物、特に高レベル放射性廃棄物の処理処分等に関しまして、今後の取り組み方を伺っておきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 廃棄物の処理対策が今後原子力開発利用を進める上できわめて重要であることは御指摘のとおりでございまして、このため政府は、原子力委員会が定めた放射性廃棄物対策についての基本的方針に沿って、低レベル廃棄物及び高レベル廃棄物それぞれに応じた処理処分方法の確立と、それに必要な研究開発等鋭意進めてまいっているところでございます。今後ともこれらの研究開発により原子力開発の伸展に対処してまいりたいと考えております。
○貝沼委員 次に、立地問題で所見を伺いたいと思います。 先ほどもちょっと話が出ておりまして、力で押し切るようなことは避ける、あるいは十分の理解を得ながら進めていくようにやりたいという答弁があったと思いますが、原子力の立地に際して、政府あるいは企業と地元との間で、最終的には原子力の安全性やエネルギー問題の議論よりも経済的な補償で解決することが多いと言われております。だが、この方法は安全性への疑念を残す一方、見返りの要求を期待化させ、行き詰まってきております。欧米では地元協力費を支払う例は少ないと聞いておりますが、このような解決方法を定着化させることは非常にまずい。そこで、今後わが国政府はこの立地問題に対してどのような対処を考えておられるか、この点を伺います。
○大平内閣総理大臣 原子力開発の推進に当たりましては、仰せのように、何よりもまず安全性の確保、環境の保全が不可欠であると思います。また、地元住民はもとより、広く国民の御理解と御協力を得て立地の推進を図っていくことが重要であると考えております。このため、安全規制体制の整備強化等、原子力開発の安全性の確保、環境の保全に万全を期しますとともに、その必要性について国民の理解と協力を得るよう努めておるところでございます。また、あわせて電源三法の運用改善等による地元福祉の向上など、個々の立地点の実情に応じたきめ細かい地元対策についても努力してまいっておるところでございます。政府としては、今後ともこれらの対策につきまして全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
○貝沼委員 それからもう一点は、資金問題でございます。原子力委員会が決定した研究開発十年計画の達成のために、問題は資金の確保であると私は思いますが、廃棄物対策の開発はもうすでに急務の問題になっておるし、高速増殖炉の開発は原型炉の段階に進んでいると言われております。ウラン濃縮や核融合研究も大規模化してきております。多額の資金が必要な段階に入っておるわけで、試算によりますと十年間の所要経費は四兆円、こう見込まれておるわけでありますが、この資金確保についてどのようにお考えになのか、承っておきたいと思います。
○大平内閣総理大臣 原子力研究開発の推進に当たりましては必要資金の確保がきわめて重要であることは、御指摘のとおりでございます。このため、民間資金の導入、借入金の活用等を図りますほか、多額の公的資金が必要となってまいりますので、その財源対策につきましては、一般財源はもとより、必要に応じ受益者負担の考え方も含めてその円滑な調達に鋭意努力してまいるつもりであります。
○貝沼委員 この資金の問題は、たとえば年々の予算、これらを何%増というようなやり方でいかれようとするのか、それとも全然別個のものとして対策を講じられようとするのか、この辺をもうちょっと……。
○金子(岩)国務大臣 四兆円はどういう試算で四兆円になったかと申しますと、昭和五十二年の物価指数でちょうど十年間で三兆三千億の金額になるわけでございます。それで、いまの予算の伸び一九%で伸ばしていって三兆三千億でございますから、四兆円に足らない七千億を民間資金あるいは財投あるいは受益者負担として、どの企業を受益者と見るのかいろいろ問題はありますけれども、そういうことも勘案いたしまして四兆円の資金需要には余り事欠かない、このように理解していただきたいと思います。
○貝沼委員 最後にもう一問お願いいたします。 原子力平和利用と核不拡散の両立を目指しているわけでありますが、それを達成する具体的な構想が問題になってまいりますが、これはどのようにお考えでしょうか。総理大臣、お願いします。
○金子(岩)国務大臣 原子力の平和利用と核不拡散は両立するものでありまして、これは特にアメリカはその方向に躍起となって、世界の原子力開発にいろいろな制肘とブレーキをかけております。日本もこの核不拡散に全力を挙げて協力いたしておりますので、これは両立することにいささかも不安はない、このように考えております。
○貝沼委員 終わります。
○大橋委員長 貝沼君の質疑は終了いたしました。 次に、吉田之久君。
○吉田委員 きょうは総理、御苦労さまでございます。 いま貝沼委員からも総合的な資金の調達の問題について御質問がございましたけれども、私は特に具体的に、今度この法改正が行われるといたしまして、そのことによって初めてつくられる今度の民間の再処理工場、それはいろいろ総建設費について概算が行われているようでございますが、私どもはほほ四千七百二十億円程度要るのではないかというふうに聞いているわけでございます。しかも、先ほどお話しのとおり十年、十五年にわたって大変長期間の時間をかけて建設されるものでございますから、恐らくその間の貨幣価値の変動もあろうかと思います。まずは常識的に考えて現時点で約五千億近い資金が必要であると思います。 そこで、電気事業連合会等でもいろいろその検討を始めているようでございますけれども、何せ今日までのこの種のプロジェクトに対する自己資金の額は大体一五%程度が平均的な比率であるというふうに聞いております。仮にそういたしまして、さらに総額のほほ一五%を一般市中銀行から借り入れるといたしましても、残る七〇%程度の資金、それはかなり膨大な資金になると思いますけれども、これは開発銀行等の融資を待たなければならないのではないかというふうに私は考える次第でございます。こういう資金調達について、特に大事なプロジェクトでございますだけに、この際、総理はどのような指導と配慮を行おうとなさっているかということがまず一点でございます。 それから質問の二点は、この再処理工場はどうしても昭和六十六年あたりから運転を開始しなければならない。施設の一部は七十年ごろから運転開始をすればいいんだと思うのでございますけれども、しかし当初予定いたしておりましたこの法律の改正がすでに約一年間おくれている現状でございます。しかも、どうしても先ほど申しました時点には運転を開始しなければその時点におけるわが国の需要にこたえることができないという一つのいわば国家の要請と申しますか、時代の要請があると思うわけでございます。しかも、先ほど来お話がありましたように、そのつくられるべき再処理工場というものは、まさにその安全性から見ても完璧なものでなければならないと思います。したがって、この一年のおくれを取り戻しながら最終時点において完全なものをつくるためには、その主体である民間の会社におきましてもいろいろと全力を尽くすでありましょうけれども、政府としてもかなりの指導、協力をなされなければならないと思うわけでございまして、この二点につきまして総理のお考えを伺いたいと思います。
○金子(岩)国務大臣 大変建設的な御提言でございます。一年おくれたことも加えて、これを十年後に完成するためには立地の問題もございましょうし、前段に申された資金の問題もございます。開銀の融資なども積極的に、ひとつ資金の調達につきましても政府の方で全力を挙げてその手だてをいたしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 資金調達の問題は、まだ事業主体の事業内容が明確になっておりませんけれども、その明確になるにつれまして十分検討をいたしまして、開銀融資その他の方法について積極的に考えていかなければいかぬと存じます。また、こうおくれたことでございますので、なるべく早くこの法案の成立を急いで仕事に取りかからしていただきたいとお願いする次第でございます。
○吉田委員 終わります。
○大橋委員長 吉田君の質疑は終了いたしました。 次に、瀬崎博義君。
○瀬崎委員 大平総理に伺います。 権威ある専門家の中からも再処理事業の実用化を急ぐべきではない、ましてや民営化については絶対にやるべきじゃない、こういう強い反対意見のあることは御存じと思うのです。この再処理の推進論者の中においてさえ、必然的に発生してまいります高レベル廃液、平たく言えば非常に強い放射能を持った死の灰でありますが、その処理処分、管理——管理といいましても、一人の人間の寿命でははかることのできない長期、数千年、数万年あるいはそれ以上の半永久的管理の技術が未開発であること、したがって、法律上もこの部分については空白になっているなどの問題点は認められているわけであります。ただ、民間に門戸を開くといっても稼働するのは十数年先のことだから、その間に解決すればよいということで、反対論、慎重論を押し切ってきたという経過であります。 もしもその十数年の間にこの高レベル廃液の処理処分、管理の技術が開発されなかった、こういう事態になったらどうなるか。また、民営にしてしまいますと、当然のことながら、経営の行き詰まりとかあるいは経営の放棄、いろんな変化は起こり得ると思います。そういうときに、国民の生命等に重大な危険を及ぼす、民営は間違いだ、こういうことになったときの大平総理の責任のとり方は一体どうなさるおつもりなのか。直ちに結果のあらわれるものならば、辞職して責任をとるとか、あるいは選挙に問うとか、こういう方法もあるでしょうけれども、結果が十数年先にあらわれてくる、こういう問題について、総理は本来ならばもっともっとこういう重大な方針転換は慎重であるべきではなかったのかと思うのですが、いかがか。 また、いまからでも遅くないので慎重に検討してもらいたいと思いますが、あえて法的に民営化の道を開いたとしても、法の運用はきわめて慎重でなければならないし、また危険が予測されたら直ちにストップをかけるぐらいの決意が必要なのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
○大平内閣総理大臣 何せ確保につきましては、ベストを尽くしてまいりつつ、原子力の開発を進めなければならぬという、そういうことでございまして、それがいま私が立っておる立場でないかと思います。
○瀬崎委員 しかし、その立場がもしも間違いだということが科学的にまた証明される時期があるかもしれません。そういう場合どうなさいます。
○大平内閣総理大臣 人事を尽くして天命を待たなければならぬと思います。
○瀬崎委員 きわめて厳密に科学的でなければならない問題について、しかも未知の分野を持っているにかかわらず、これを天命に任す、きわめて無責任な態度だということがはっきりしたと思うのです。 次に伺いたいのは、わが国の原子力の研究開発が対アメリカの関係でどうなっているか。大体いまの動燃の再処理工場の試運転に当たっても日米協議が必要であった。二年間九十九トン試運転が認められておりますが、御承知のように、現在事故の原因究明に手間取って試運転が大幅におくれざるを得ないという状態にありますね。 そうすると、またことし九月、この試運転の延期についてはアメリカにお伺いを立てなければならないという状態になっております。その上、せんだって十三日から十五日までですか、日米原子力協定について下協議が行われております。この中では、再処理のみならず濃縮とか貯蔵についても事前にアメリカと協議するというふうなことが出ておりますね。それから核物質の管理の問題についてもいろいろアメリカから注文が出てくる。こういうふうな状態で果たして日本の原子力の研究開発が、自前といいましょうか、自主的に行われているとお考えなのかどうか。もしそうじゃないとするならば、今後の日米の原子力協定等についてはどうあるべきだとお考えなのか、総理の御所見を承りたいと思います。
○金子(岩)国務大臣 大変御心配になって御質問なさっていらっしゃるのですが、再処理技術につきましては、英仏におきましては、もうすでに二十年前からやっていまして、大体二十年以上の実績がある、こういう事例も踏まえまして、わが国は自主開発でひとつ安全性を一〇〇%確立する、そういうたてまえのもとにこれを進めているのであります。いろいろトラブルがあっても、あれは事故じゃなくして私は故障だというような見解で……
○瀬崎委員 質問と全然違う答えなんです。私は、現在の日米原子力協定と、それに基づくいろいろな交渉が行われているこの事態を客観的に見られて、日本の開発が自主的に行われているという判断を総理はお持ちなのかどうか、こういう点を聞いているわけであります。総理にお願いします。
○大平内閣総理大臣 自主性を堅持しながら対米交渉に当たっているわけです。
○瀬崎委員 特にその中でアメリカは、自分の国の核兵器生産は全然手かせ足かせをはめない、野放しにしておきながら非核兵器国に対して厳しい保障措置や核物質防護を押しつけてきているわけでありますが、果たしてこれで核兵器の禁止につながるのかどうか、矛盾した話だとはお考えになっていないのかどうか、これが一点。 それから、今後の核物質防護、保障措置の強化をそのまま受け入れますと、核物質管理及び研究開発の情報の秘密化を強化するという名目のもとに、政府側の政策あるいはアメリカの政策に批判的な学者、原子力三原則を忠実に守ろうとする学者、専門家、こういうものが研究や核物質管理の中枢から排除されかねない危険もわれわれ感じているわけであります。総理は、そういう懸念はない、あるいはまたそういうことは絶対にさせない、そういうふうにお考えなのかどうか、伺いたいと思います。
○大平内閣総理大臣 いまの段階は、アメリカ側から、昨年三月に発効いたしました一九七八年核不拡散法並びに同法に基づき米国が他国と討議を行っておるモデル協定案について説明を受け、わが方からは適宜その内容を質問いたしておるところでありまして、わが国といたしましては、今回米側の説明も踏まえながら原子力の平和利用と核不拡散とは両立し得るとの基本的立場に立ちまして、協定改正に応ずるかどうかを含め、今後の対応ぶりを慎重に検討してまいるつもりであります。
○瀬崎委員 最後に、本当にこの軍事転用の危険を防ぎ、平和利用を担保にしながら核物質管理を行っていく道について、われわれは現在の核物質の民有制、こういうものを廃止してエネルギー公社などの国有制に移す、そして日本自身の主体性を持ちながら、政府の政策に対する批判派の権威者、専門家も含めた民主的な核物質管理体制をつくること、これが必要なのではないか。民営などは全く逆の方向でありますが、こういうことについて総理は検討をしようとされませんか。 もう一つ、やはり何といっても今後の国民の暮らしに役立つ原子力利用の推進のためには、わが国の科学技術の進歩に相応した研究開発体制をつくるべきであろうと思うのです。そういう点では、日本学術会議が勧告し、原子力基本法に定められている自主、民主、公開の三原則をますます厳しく実行していくこと、このことが一番大事だろうと思っているのですが、この点についての総理の所見も伺って、終わりたいと思います。
○大平内閣総理大臣 近年国際的には原子力の軍事転用への危惧が高まりつつあり、国際核燃料サイクル評価と核不拡散に関する検討が進められておりますけれども、わが国としても、この国際的な検討の場に積極的に参加してまいりますとともに、国内におきましても、国際的に合意に沿った適切な措置を講じながら原子力の平和利用の推進を図ってまいる考えであります。 この一環といたしまして、不法行為者の手から核物質を保護する、いわゆる核物質防護につきましても、これに関する国際条約制定の作業が進みつつあり、わが国といたしましても、その重要性にかんがみ今後とも必要な措置を講じてまいる考えであります。これは原子力基本法につきまして、民主的運営、自主的研究開発利用、成果の公開の三原則に何ら反するものではなく、むしろ原子力の平和利用確保のために不可欠なことであると考えております。もちろんこれに名をかりて治安対策を不当に強化するというふうな考えは持っておりません。
○瀬崎委員 私が聞いたことにお答えいただけてない面がありますので……。それは本当に核物質の管理体制を強化しようというのならば、再処理工場の民営化とは逆に、現在民有になっている核物質を国有制に切りかえるべきではないか、こういうことを申し上げたのです。そのことに対する総理の所見と、それから自主、民主、公開の三原則はますます厳しく実行すべき段階に来ていると思うがどうか、この点、端的なお答えをいただきたい。
○大平内閣総理大臣 再処理施設の運営を民間にゆだねましても心配はないものと私は思います。いまの原子力行政で管理は周到に保障されるものと確信いたします。 それから第二点の方は、三原則を堅持するにつきましてはますます志をかたくして当たらなければならぬと思います。
○大橋委員長 瀬崎君の質疑は終了いたしました。 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○大橋委員長 ただいま委員長の手元に、小宮山重四郎君外二名から修正案が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。小宮山重四郎君。 ————————————— 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関 する法律の一部を改正する法律案に対する修 正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○小宮山委員 ただいま提出いたしました修正案につきまして、自由民主党、民社党及び新自由クラブの提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 修正案文はお手元に配付したとおりでございます。 この修正案の趣旨は、去る第八十四回国会において成立いたしました原子力基本法等の一部を改正する法律案におきまして、原子力委員会及び原子力安全委員会の決定または意見の尊重義務の規定中、「尊重」をすべて「十分に尊重」に修正いたしましたが、本案につきましても、再処理の事業の指定等についての原子力委員会及び原子力安全委員会の意見の尊重義務の規定を前回と同様に「十分に尊重してしなければならない」に改めようとするものであります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○大橋委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○大橋委員長 これより原案並びに修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出があります。順次これを許します。田畑政一郎君。
○田畑委員 ただいままで議題に供されてきました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案並びに同修正案は、わが国の原子力発電所において発生した使用済み燃料の再処理を民間会社において行わしめることができるよう法改正を行おうとするものでありますが、これに対し、私は日本社会党を代表し、この改正案に反対の立場から意見を述べるものでございます。 その第一点は、いまさら申し上げるまでもなく、核燃料再処理工場は原子力発電所一カ年分の毒性を一日でまき散らすと言われているほどの危険性をはらんだ工場であり、国民の生命と健康、さらには将来のわれわれの子孫にも重大な影響を持つ工場であると思います。しかも、この再処理過程において放出される放射能の影響の除去や高性能を持った廃棄物の処理などについて、未解決の問題が山積しておる現状であります。こうした多くの問題を抱える再処理工場を高能率、低廉を旨とする民間企業において行わしめることについては非常に危険であり、わが党は国家的見地に立って反対せざるを得ません。また、この危険は単に今日の国民的課題であるとともに、将来の子々孫々にも重大な影響を持つものでございます。われわれといたしましては強く反対をするものでございます。 第二点といたしましては、世界的にも使用済み核燃料再処理が商業的に成功した例がないということであります。その原因は、放射能毒性による環境の汚染、複雑な機能を持つ工場内の事故及びその防止のための安全施設には莫大な費用を要することにあると伝えられております。こうした外国での失敗の例を他山の石として、使用済み燃料の再処理については、わが国としては国家的管理を基礎にして、基礎的研究、技術的開発に努力すべき段階にあると考えるものでございます。 第三点といたしましては、わが党は、政府の原子力問題の安全行政の姿勢と、それに癒着をする民間会社のあり方に疑問を持たざるを得ない点でございます。たとえば美浜一号炉における核燃料棒折損事故について、これを長年月にわたって隠蔽し、その後サイクリングを開始するやいなやプルトニウムと天然ウランの混合燃料体をアメリカから輸入して待機させていることや、各所の原子力発電所の事故及びその稼働率の低さ、東海村での動燃の再処理過程での幾多の事故を見ましても、わが国の原子力行政のあり方に疑問を感せざるを得ないのであります。もしこうした民主、自主、公開の三原則に対し、企業秘密などを盾にとろうとする民間会社に危険きわまりない再処理工場を任せたらどうなるでありましょうか。わが党は、安全に対する政府の毅然たる姿勢が欠けておる今日では、これに反対せざるを得ないのでございます。 第四点は、軍事的危険性についてであります。すでにアメリカのカーター政権は、いろいろの意味はありますが、核拡散を防止するために再処理工場にストップをかけております。また、現在世界で稼働しておる再処理工場はすべて軍事用のものであるとも聞いておるのであります。こうした中でわが国のみ自主開発の名のもとに民間会社に再処理を行わしめようとしておるのでありますが、このことは世界の大勢に逆行するやり方であり、世界諸国に対して不信を招くことになると思うのであります。わが党は、わが国の平和立国の立場を貫くために、国際管理のもとにおける再処理の方向に向かってわが国の技術と知識を傾注すべきであることを主張するものであります。 第五点は、警察国家への危険を強めることについてでございます。さきに述べたとおり、再処理工場は、プルトニウムの軍事的な悪用あるいはまた盗難による放射能危険物の拡散から、これが防護のためには警察力の飛躍的な強化が必要とされております。すでにわが国の核関係の工場では、基本的人権や労働基本権を無視した警備体制がしかれておるのであります。今後民間再処理工場の道を開くことになりますならば、警察国家への危険性を強く感ぜざるを得ないのでございます。 以上、要約した理由により、わが党は、この法案並びに修正案に対して反対をするものであります。(拍手)
○大橋委員長 次に、貝沼次郎君。
○貝沼委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案並びに同修正案に対して、反対の討論を行うものであります。 資源の枯渇が叫ばれておる中において、核燃料サイクルの確立は、核燃料の有効利用上重要な意味を持つようになりました。したがって、わが党としても、再処理問題は避けて通れない問題として重視しております。しかしながら、現段階においては、本法案に対し、反対の立場をとらざるを得ないのであります。 その理由の第一は、現在における世界の商業用再処理工場の操業状況がきわめて悪いという点であります。一九六〇年代に操業を開始したものは、七〇年代の初めにはいずれも操業を停止し、さらにその他の建設計画も大幅におくれ、あるいは計画そのものが放棄されるに至っており、濃縮ウラン用工場は、わずか昨年十二月にフランスにおいて一基操業を開始したにとどまっておるのが実情であります。わが国においても、東海再処理工場は、昨年八月放射能漏れ事故を起こして操業をストップしたまま再開の見通しすら立っていないのが現状であります。 その第二は、再処理工場による環境汚染についてであります。再処理工場から大量に放出される気体、液体及び固体廃棄物は、原子力発電所の一年分の廃棄物を一日で出すと言われながらも、その人体に与える影響については、いまだ確実な評価をなし得る状態に至っていないのであります。また、米国原子力委員会の委託調査によれば、放射線は、これまで考えられていたよりずっと低い線量でがんや白血病を引き起こすとの結論が出されており、基準値の再検討も迫られているのであります。 その第三は、放射性廃棄物、特に高レベルの廃棄物の処分の問題であります。高レベル廃棄物の最終処分方法としては、現在各国においても、地層中への処分に重点を置きながら、他の代替方式をも含めて調査研究が進められておりますが、わが国においても、いまだその見通しは立っていないのであります。 その第四は、核物質防護の問題であります。再処理の主目的はプルトニウムを取り出すことでありますが、このプルトニウムを中心として核物質の防護措置については、平和利用三原則の問題もあっていまだ十分な対策がとられていないのが実情であります。 最後に、実際に第二再処理工場が運転を開始するのは約十年先生言われているのでありますが、本法案が十年先のことを何の歯どめもなく無条件に運転を認めることに大きな不安を抱くものであります。 以上の理由によって、本法案に反対せざるを得ないのであります。 これをもって私の討論を終わります。(拍手)
○大橋委員長 次に、瀬崎博義君。
○瀬崎委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の政府原案並びに政府原案と本質的に変わりのない自由民主党、民社党及び新自由クラブ提出の修正案に対し、反対の討論を行うものです。 第一に、使用済み核燃料の再処理技術の研究開発は、まだその緒についたばかりだということです。核兵器製造用の再処理では実績を持つアメリカやイギリスなどで、今日なお満足に運転している商業用再処理工場は一つもないという現状が雄弁に物語っているところであります。こうした技術開発の現段階を無視して、政府及び動燃事業団が東海再処理工場の建設、試運転を急いできた結果、プルトニウム溶液蒸発かん事故など数々の重大事故が発生し、その多くが人身被曝を伴ったのです。そして現在も酸回収蒸発かん事故の原因が不明のまま、長期にわたって試運転休止の事態に直面しているのであります。再処理事業者が動燃事業団と原研に限定されている現行法のもとででも、もっと慎重な研究開発の態度が要求されているのに、これを民間に開放することは国民に対して余りにも無責任だと言わざるを得ません。 第二に、そもそも再処理事業は民間企業の枠にはまらないということであります。一般的に再処理事業とは、再処理過程にとどまらず、化学処理の結果必然的に発生してくる千年、万年単位の長寿命の高レベル放射性廃液の処理処分、管理を行うところまで含むものです。このような事業が民間企業の枠をはるかに超えるものであることば明らかであります。 第三に、法律上の不明確さが残されたままになっているということです。委員会の審議を通じて、法律上は高レベル放射性廃液の処理処分、管理の事業は、再処理事業の定義に含まれていないことが明らかにされると同時に、高レベル廃液の永久処理処分の方法、管理について国が責任を持つという方針はあっても、法律上は何の規定もないこと、再処理事業と高レベル廃液の処理処分、管理の事業の境界線や引き継ぎ方についても何ら規定のないことも明らかになったのであります。こうした法律上の空白をそのままにして再処理事業を民間に委ねることは無謀としか言いようがないのであります。 第四は、軍事転用に対する憂慮であります。政府は、企業秘密の保護などを口実にして、東海再処理工場についても、また原子力発電所や原子力船「むつ」の事故についても、詳細な情報の公表を制限して、事実上公開の原則を踏みにじってきました。また、非核三原則についても、政府は昨年十二月の国連総会で、核兵器持ち込み禁止決議に、世界の多数の賛成を向こうに回して、唯一の被曝国でありながら反対の立場に立ったのであります。このように、現に原子力の平和利用三原則が守られていない原子力行政、そして国会で決議した非核三原則を軽視している政府のもとで、千五百トン規模の再処理工場の建設が進められるということは、わが国に核武装の危険の有力な根拠をつくり出すものと言わなければなりません。真に安全を優先した原子力の平和利用推進の見地から言えば、再処理民営化は時代逆行であり、むしろ核物質の民有制をやめて国有制に転換するとともに、原子力三原則を忠実に具体化した民主的な核物質管理体制を確立することこそが急務となっているのであります。 以上、本法案の持つ重大な問題点と危険性を指摘し、政府原案並びに修正案に強く反対を表明して、討論を終わります。(拍手)
○大橋委員長 次に、大成正雄君。
○大成委員 私は、新自由クラブを代表しまして、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案並びに修正案の採決に当たり、賛成の討論を行うものであります。 国内ウラン資源に乏しいわが国において原子力開発利用の円滑な推進を図るためには、使用済み燃料の再処理体制を整備し、自主的な核燃料サイクルを早期に確立することが必須の要件であります。このため、再処理事業の民営化の道を開くとともに、安全規制のより一層の強化を図ろうとする本法案はきわめて大きな意義を有するものであります。また、第二再処理工場の建設には今後十余年の長期間を要することを考え合わせれば、一刻も早く本法案の成立を図る必要があります。 特に原子力をめぐる世界の情勢がとみに厳しさを増しております今日、核拡散防止には積極的に協力しつつも、再処理を中心とした自主的核燃料サイクルの確立を図るという基本的立場を国際的に貫いていくためにも、わが国において早急に第二再処理工場の建設、運転に関する国民的コンセンサスを確立する必要があると考えます。 以上述べましたように、わが党は、本法案並びに修正案の有する意義はきわめて大きく、かつ、その成立は緊急を要するものであると考えるものであり、本法案並びに修正案に賛成するものであります。(拍手)
○大橋委員長 これにて討論は終局いたしました。
○大橋委員長 これより核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び小宮山重四郎君外二名提出の修正案の採決に入ります。 まず、小宮山重四郎君外二名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大橋委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大橋委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
○大橋委員長 この際、塚原俊平君外三名から、本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。塚原俊平君。
○塚原委員 ただいま提出いたしました附帯決議案につきまして、自由民主党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブの提案者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 再処理を中心とした核燃料サイクルに関する自主技術の早期確立を図るというわが国の基本的立場を国際的に貫くよう最大限の努力を傾注すること。 二 再処理工場の立地にあたっては、環境及び住民への影響等に最大の考慮を払いつつ、地元の理解と協力を得るよう努めること。 三 再処理工場の建設及び運転のために自主技術の開発を推進し、動力炉・核燃料開発事業団において蓄積された技術と経験を十分活用すること。 四 再処理事業の実施における安全の確保及び核物質の防護に万全の措置を講じ、特に、環境に対して危険度の高い放射性物質の放出は、微量の場合も厳重に監視すること。 五 再処理工場から発生する放射性廃棄物特に高レベル放射性廃棄物の処理処分等に関する調査研究を推進し、安全な処理処分方法の早急な確立を図ること。 以上でございます。 本附帯決議案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑並びに案文を通じまして十分理解願えることと存じますので、詳細の説明は省略させていただきます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○大橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大橋委員長 起立多数。よって、塚原俊平君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 —————————————
○大橋委員長 この際、委員長より一言申し上げます。 先刻の理事会において、次のごとく申し合わせをいたしましたので、御報告いたします。 本委員会は、「核原料物質、核燃料物質及び原 子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律 案」の審査における経緯等にかんがみ、本法の 施行後設置される再処理工場の運転開始にあた っては、安全審査の経過及び結果等について政 府から報告を求め、十分検討を行うものとする。以上であります。 政府においても、本申し合わせの趣旨を体し、遺憾なきを期するよう要望いたします。 この際、金子国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。金子国務大臣。
○金子(岩)国務大臣 ただいま核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の上、御可決いただきましたこと、まことにありがとうございました。 私といたしましては、ただいま議決をいただきました附帯決議の趣旨を十分尊重するとともに、本委員会の理事会における申し合わせの趣旨にも十分に配慮をいたしまして、原子力行政の遂行に全力を尽くしてまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手) —————————————
○大橋委員長 お諮りいたします。 ただいま修正議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○大橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十五分散会