予算委員会 第4号
- 発言数
- 602 件
- 登壇者
- 42 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1978/10/11
会議録
○委員長(町村金五君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和五十三年度一般会計補正予算 昭和五十三年度特別会計補正予算 昭和五十三年度政府関係機関補正予算 以上三案を一括して議題といたします。 ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和五十三年度補正予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁森永貞一郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認めます。 なお、出席時刻等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) それでは、これより質疑に入りますが、去る十月七日の和田静夫君の質疑に関し、福田総理大臣及び金丸防衛庁長官から発言を求められております。福田総理大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) 先般、和田議員から質問がありました、栗栖前統幕議長が「私の防衛論」という書物の中で、「自衛隊も特定の条件下に、いざという場合には独断専行をやるんだ、という教育をやっている」と述べている件について、防衛庁から説明を受けましたので、お答え申し上げます。 前統幕議長が「独断専行」なる語を、いわゆる超法規的行動という意味で使ったとすれば、許すべからざるものであります。また、この種の教育をしていると述べたものであれば、全く事実無根であります。
○委員長(町村金五君) 金丸防衛庁長官。
○国務大臣(金丸信君) 昭和五十三年十月三日の衆議議予算委員会におきまして、私は、対領空侵犯措置に関する内訓を見たことがないと申し述べましたが、これは、この内訓がいつ策定されたものであるか規定のまた内容、文言等については知らないという意味で申し述べたものであります。内訓そのものの存在やその概要まで知らないという意味でないということを述べたものでありまして、御理解をいただきたいと思います。 また、内訓を提出せよとの御要望でありますが、内訓の性格、その内訓を提出できない理由等につきましては、間々申し上げておるわけでありますが、作戦――たとえて言えば弾薬庫の弾の数とかというような問題もあることでございますから、内訓とは、「内」とは「秘」ということでございます。
○委員長(町村金五君) 伊藤防衛局長。
○政府委員(伊藤圭一君) ただいま大臣から内訓の問題についてご報告いたしましたが、まず内訓というのは、防衛庁の所掌事務に関しまして長官が発します規範的な命令でございます。この規範的な命令は、一般には訓令という形をとっておりますけれども、その中の秘密の取り扱いを要するものを内訓と称しているわけでございます。 防衛庁のスクランブルに関します内訓を提出せよという御要望がございましたけれども、この訓令は次のような理由で提出することを差し控えたいと存じますので、御了承をいただきたいと思います。 まず第一の点といたしましては、防衛庁の内訓は秘密に指定されているわけでございます。秘密に指定されているということは、国の安全、国の利益にかかわり合いのある内容であるということでございます。 二番目に、このスクランブルのやり方というものは、国際法あるいは航空法を無視してわが国の領空に侵入してきた航空機に対する対処の手続を定めたものでございます。したがいまして、事柄の性質上、その内容を公表するということは適当ではないと考えているわけでございます。 次に、こういった種類の規定というものを明らかにしている国は世界ではございません。そして、こういった内容を「秘」にしておくというのは国際常識でございます。 さらに、従来からその概要につきましては国会においても御説明したことがございますし、また御理解をいただいているところでございますので、この概要について御説明申し上げたいと思います。 まず、スクランブルで上がりました飛行機が最初に行いますのは確認ということでございます。その飛行機が現実に領空侵犯をしているのかどうかということを――もちろんレーダーによっても確認いたしておりますが、それがどういう飛行機であるかということを確認をし、その行動を監視をするというのが第一の点でございます。 第二の点は、警告という行為を行います。これは領空を侵犯いたしました飛行機、その飛行機を確認した場合には、その飛行機に対しまして領域外に退去すること、あるいはまた最寄りの飛行場へ着陸することを警告するわけでございます。 その場合に、その次に出てまいりますのが誘導ということでございます。これは、そういった飛行機を最寄りの飛行場に着陸させるわけでございますが、その際には航空総隊司令官が指示する飛行場に誘導をするという手順でございます。 そこで、領空侵犯の措置につきましてはこういった手順で対処することになっておりますけれども、御承知のように、領空侵犯機というのは外国の飛行機、しかも識別できない飛行機ということでございますから、当然のことながら軍用機であることもあるわけでございまして、そういった場合に、正当防衛または緊急避難の要件に該当するような場合には武器を使用してよろしいということを決めてあるわけでございます。 以上が概要でございます。
○委員長(町村金五君) 和田君。
○和田静夫君 内訓について、国会に提出することができないことについて了承してくれと、これを私は了承するわけにいきません。日本国憲法というのは、これはもう世界に冠たるものでありまして、その意味で、世界では明らかにしていないからなどということが理由になっていることも許せません。シビリアンコントロールを徹底するためにも、国会に手続をとるべきものである。したがって、内訓を提出しないということを了承するわけにはいきません。しかし、この問題をこれ以上ここであれこれやっていても時間の関係がありますから、意思を述べておきます。明らかにしておきます。 そこで、総理から答弁がありましたが、超法規行動を示唆したり、下令前の独断専行は軍隊の特質だと、まあ統幕議長が平然と公に言う。これは盧溝橋事件が将来引き起こされる可能性を否定できないわけであります。また、領空、領海で武力衝突が独断専行で引き起こされる可能性、それも否定できない、こういうことであります。このための歯どめが総理ございましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 防衛出動が下令されましてからのことにつきましては、これは自衛隊法である程度の決めがあるわけです。それが十分であるかどうかなお検討の余地があるということはしばしば申し上げておるとおりでありますが、さあ、その防衛出動のない前のいわゆる緊急事態、奇襲事態、こういうことに対しましてどういうふうに対処するか。まあ奇襲というようなことがもう絶対ないと、こういうことでありますればいいわけですが、絶対とはなかなか言い切れないんです。万万万一そういうことがあるかもしれない。そういう際にいかに対処するかということについては、実はこれは空白になっているんです。その空白状態はどうしても埋めなきゃならぬ。まさにお尋ねの点ですね。これをどういうふうに対処するか、これからこれは大変大事な問題でありますから慎重に検討いたしたい、このように考えております。
○和田静夫君 私は、ためにする議論をしているのではありません。問題は自衛隊員の意識、特に幹部の憲法、法令に対する忠誠心ですね。先日まで統幕議長だった人が超法規発言を行ったのに続いて、それを裏づけるような自衛隊の体質が語られる。これは栗栖氏の志のいかんとは全く別次元の問題であります。自衛隊員、幹部のごく一部分でも、場合によっては憲法、法令に反した行動をとるという意識があるとすれば、これはもう非常に許しがたいことである。そして統幕議長であった栗栖氏一人が特異な考え方を持っていたということはあり得ない。わが日本は憲法、法令に反する可能性を持った軍隊を持っているということになってしまう。この問題はきわめてデリケートでありますが、しかしあいまいに過ごしてはならないことだと思うのであります。法令の不備を云々する前に、国民が自衛隊の憲法及び法令に対する忠誠心に疑いを持たないようにすることがまず大前提である。現状では疑問に思わないわけにはいかない。この点について、総理は最高の指揮監督権者として国民にどう釈明をされますか。忌憚のない心情と見解をお聞かせください。
○国務大臣(福田赳夫君) 自衛隊は文民統制のもとで、しかもわが国の憲法のもとにおいて存在するわけであります。ですから、そのことはこれはもう間違いなく、紛れもなく徹底させなきやならぬし、私はしておると、このように考えるわけです。たまたま前統幕議長がそれに疑義があるかのごとき発言をした。ときには超法規的な活動もやむを得ないかのごとき発言をした。これは政府として見逃すことはできない。そこで栗栖統幕議長の辞任ということになったんですが、その一事をもちましても、政府が、自衛隊の行動につきましては憲法の範囲内であるべきである、超法規的というような考え方は許さないというその考え方を堅持しておるということが国民にも明らかになっておると、このように考えております。
○和田静夫君 自衛隊員は入隊に当たって宣誓書に署名捺印をしていますね。超法規論者はこれに反していることになるわけですね。宣誓書に照らして、これからもこういう事態が起こった場合には速やかに処置をされる、こういうことになりますか。宣誓書との関係。
○国務大臣(金丸信君) 私は、シビリアンコントロールとは、いつも申し上げておることですが、戦前の日本にはしていかないということでありまして、栗栖君を解任したのもそこにあるわけでありますし、また自衛隊の法令等を守らない、こういうことであればこれは即座に解任せざるを得ない、こういつも考えております。
○和田静夫君 総理、現状では多くの国民は、自衛隊の憲法、法令に対する忠誠心に――こういうことがいろいろありましたが、超法規発言がありましたが、疑問を抱いています。そこでこの際、この問題について自衛隊員に総理見解をお示しになる。憲法、法令遵守についての再教育をその意味で行うべきだと思いますが、いかがですか。
○政府委員(渡邊伊助君) お答え申し上げます。 自衛隊員に対する憲法教育につきましては、防衛大学校、防衛医科大学校、それから部隊にございます。各種の学校がございますけれども、その学校の教育を通じて、常に憲法の趣旨その他を徹底を図って教育指導を行っておるわけでございまして、隊員一同、わが国の憲法の趣旨、それから民主主義というものが近代国家の基本原理であって、わが国の憲法がそれにのっとっているものであるということば十分理解をいたしているところでございます。
○和田静夫君 私の言った趣旨はそういうところにないので、この栗栖前統幕議長の超法規的な行動発言などのこの際、それじゃどういう教育をされましたか。再教育を必要とするのではないですか。
○政府委員(渡邊伊助君) 先般の栗栖前統幕議長が辞任をされた際に、全部隊に長官所信というものを流しました。これは事務次官の名前をもって長官所信というものを全部隊あるいは機関に流しました。 この趣旨は、先ほど申しましたように、わが国の憲法の趣旨を十分によく理解をするようにということと同時に、シビリアンコントロールというものが自衛隊の基本原則であるということをよくわきまえて、いたずらに動揺することなく冷静に職務を遂行せよ、こういう趣旨のものでございます。十分長官の所信というものは部隊、機関に伝わっているということでございます。
○和田静夫君 総理、内訓について、先日私に、国益を考えると困難との報告を受けていると答弁をされたわけです。この国益を判断するのが防衛庁の当局者であるというのは、これはもう大変驚いたんですが、これはどういうことですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど防衛局長から申し上げましたように、微細なというか、事細かな作戦行動ですね、こういうことになりますと、これをあらかじめ公開しておく、こういうことになりますと、これはまた所期の目的を達し得ない場合が出てくるのじゃないか。そういうことを考えますと、いわゆる用兵、作戦、そういうようなことについての具体的な行動基準、こういうことになりますと、これをあらかじめ世間に発表しておくというようなことが、果たして自衛隊を存置するというたてまえから見ましていいのかどうかと、こういう問題があろうかと思うんです。私はそういうことを申し上げたわけであります。
○和田静夫君 お言葉ですが、国益を考えると困難との報告を受けているから、おれは内容について知らぬという――ぼくは、総理は知っておっていい、その公表の問題ではないんですよ。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま私が申し上げたようなことが私が申し上げた国益ということなんです。つまり、自衛隊は現に存しておる。その自衛隊が有効にその機能を果たさなきゃならぬ。そういう際に、事細かな点まであらかじめ公表しておくと、こういうことが果たして国益に沿うゆえんであろうかどうかということを私は考えておるわけでありまして、そのことを申し上げた次第でございます。
○和田静夫君 内訓の種類及び数、陸海空それぞれどれだけありますか。
○政府委員(伊藤圭一君) 内訓の種類、数等につきましては、例を申し上げますと、たとえば部隊の編成、あるいは先ほど大臣から御答弁いたしました弾薬の定数、装備品の定数というようなものでございますが、その数、その種類等につきましては公表を控えさせていただきたいと思っております。
○和田静夫君 領空侵犯機に対して正当防衛ないし緊急避難によって武器を使用すると、撃墜、損傷等を与えた場合に警察、検察の事情聴取を受ける、最終的には裁判所の判断を仰ぐ、そういうことになりますね。
○政府委員(伊藤圭一君) 武器を使用した際、これは申し上げましたように、内訓の方で指示してございますのは、いわゆる正当防衛あるいは緊急避難の要件に該当するような場合ということでございますから、それによって何をしてよいということではないわけでございます。したがいまして、そのときにとりましたとっさの行動というものがその要件に該当するかどうかということは自衛隊としても判断はいたしますけれども、当然司法の判断も待つことになろうと考えております。
○和田静夫君 法務大臣。
○国務大臣(瀬戸山三男君) たとえば、どっかの外国が日本の領内に入る、こういうときにスクランブルをして、あるいは攻撃を受けてそして反撃をした。こういうことで飛行機を壊し、場合によってはその乗員を殺害するということもあるかもしれません。それが犯罪になるかどうか、こういうことについて、もちろん争いがあれば最終判断は裁判で決める以外にございません。
○和田静夫君 防衛に関する秘密の範囲は私は限定されていないと思いますが、最終的には立法府の良識によって判断されるべきことであろうと思います。昨日、秘密理事会で航空侵犯についての内訓の説明を受けましたので、きょうはこれ以上この問題をお尋ねしようとは思いません。しかし、私は防衛秘密に関する国会のコントロールは第一次的に秘密理事会において説明するというルールがこの国会で確立をした、そういうふうに理解しておいてよろしいですか、総理。
○委員長(町村金五君) ちょっとおわかりにならなかったようですから、もう一遍簡単にお願いします。
○和田静夫君 時間外ですね。
○委員長(町村金五君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(町村金五君) 速記を起こして。
○政府委員(真田秀夫君) 公務員があるいは公務所が持っておりまする書類の中身を国会の国政調査権に基づいて見せろというような御要求がありました場合に、通例は常識的な線で事が処理されておるわけなんですが、もしぎりぎり法律的な制度としてはどうなっているかということになりますと、これは例の議院証言法の第五条にのっけて、そしてそのルールで事が処理されるという制度になっているわけでございます。
○和田静夫君 そうすると、内訓の問題もそういう形でやっていけばよろしいという前提になりますね。
○政府委員(真田秀夫君) もし防衛庁の職員を証人としてお呼びになって、そして防衛庁が保管しているであろう特定の書類についての提出を求められた場合に、防衛庁がそれは秘密であるというふうに申してお断りをする。そうすると、委員会の方でその理由を述べろということになりまして、防衛庁の方で秘匿しなければならない理由を述べます。そうすると、その理由について委員会の方でもっともだと判断されれば、それで実は提出問題はおしまいになります。それで、委員会の方でそういう理由ではがまんできないと、ぜひ見せろということになりますと、例の内閣の声明を出してそして事が決着される。もし内閣が一定の期間内にその声明を出さなければ、防衛庁の職員は委員会のお求めに応じて書類を出さなければならないと、こういう仕掛けになっております。
○和田静夫君 それだけ確認をしておきます。取り扱いは後ほどやります。 河本通産大臣は八日に金沢市で、有事法制の研究について強行すべきではない、それよりもほかに取り組むべき課題がある、そういう趣旨の発言をされました。よろしいですか、その真意は。
○国務大臣(河本敏夫君) 私の言いましたのは、有事体制の研究ももちろん必要だが、同時にあわせて国の安全保障というものは総合的に考えていく必要があると、こういうことを言ったわけです。
○和田静夫君 奇襲対処の問題というのは、七日の私の質問に対する伊藤防衛局長答弁で総理よろしいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 奇襲という言葉の意味の問題かと思いますが、それならば防衛局長が答弁したとおりに私も心得ております。
○和田静夫君 沿岸警備の規定を設けるべきだという意見があるが、防衛庁は沿岸警備を考えているわけですか。
○政府委員(伊藤圭一君) 沿岸警備というのは、領土の沿岸警備ということでございますと、私どもはそれは考えておりません。
○和田静夫君 領海の場合は。
○政府委員(伊藤圭一君) 平時におきます領海侵犯の対処の任務は海上保安庁が持っているわけでございます。したがいまして、海上自衛隊は海上における警備行動として必要な場合に行動することがあるということでございます。
○和田静夫君 過去に沿岸警備の必要性がなかったと言えるにもかかわらず、なおかつ万万万が一というような言い方でもって一つのものを想定する。それは軍備強化による摩擦の拡大あるいは武力の接触によって生ずる可能性しか考えられないわけですが、海上保安庁等の警察行動の方が平和国家日本にふさわしいものと私は思う。防衛庁の奇襲対処研究というのは、軍事力強化のねらいからであって、むしろ緊張の増大につながる危険性がある。総理、そう思いませんか。
○政府委員(伊藤圭一君) 奇襲対処の問題につきましては、これは何度も御説明申し上げたと思っておりますけれども、現在の自衛隊が有事に対処する行動というものは、七十六条の総理大臣の命令に基づいて行うものでございます。したがいまして、私どもはその総理大臣の命令が適時適切に下されるというために、自衛隊としては最善の努力を尽くすべきだというふうに考えているわけでございます。しかしながら、前回のこの委員会でも御説明いたしましたように、理論的に考えますと、いわゆる奇襲というものが絶無ではないと考えているわけでございます。したがいまして、そういう場合に自衛隊としてはどういう対処をすることができるかということを検討してまいりたいいと考えているわけでございまして、有事の対処というもの、いわゆる有事の行動を強化するとか、そういったものとは結びつかないものと考えているわけでございます。
○和田静夫君 防衛庁長官、きのうからいろいろ答弁をされていたのですが、ときどき趣旨が違うものだから、非常に疑問に思いながら私はあなたの発言を「国防」で読んでみました。 「国防」で、この「一億国民が総決起して侵略の排除に当たらなければならない。われわれ一般国民はどこに逃げればいいかなどの考え方があったのでは、国の防衛は成り立たない。」、ここの部分なんですよ。有事立法の時期は実はここでは問題外であります。しかし、「一億国民が総決起して侵略の排除に当たらなければならない。」、この発言は、青年よ銃をとれということであります。いわゆる国家総動員、徴兵制を示唆する、そういう発言であります。明確に。現職の防衛庁長官がマスコミでこういう発言をするというのは、政治的効果をねらってのことと解釈する以外に私はない。他の省庁の大臣の発言なら、思想を述べたものとしてまだ私は容認できるにしても、現職の防衛庁の最高責任者の発言である以上、これは許せない。防衛庁長官、これはどうなんですか。
○国務大臣(金丸信君) 私は、日本を侵す者が日本に上陸してきたら日本人はどこへ逃げればよろしいかという質問があった。私は、この狭い日本ではどこへも逃げるわけにはいかない。そんなことは当然であります。ましてや日本を侵そうとして日本に敵が上陸した、そのとき二十七万の自衛隊だけでいいのか。そういうわけにいかない。それは私はたびたび申し上げておるわけですが、防衛という問題は二十七万の自衛隊だけでやれるものじゃない。一人一人の国民のコンセンサスを得ながら積み上げていかなければならない。その積み上げる中で日本を守るという、何くそという気概がなくして日本の国土を守ることができるのか。何のためにわれわれは毎日汗をかいているのか。それは民族永遠の存続を考えておるからわれわれは汗をかいておると、こういう私は意味合いで申し上げまして、青年よ銃を持てという考え方で申し上げておるわけではありません。
○和田静夫君 いや、それは違うんだ。あなたがいま言ったような形ならばあたりまえであって、ここでは明確に、「一億国民が総決起して侵略の排除に当たらなければならない。」とあなたは言っているのですよ。国防というものは国民が、コンセンサスを得るために一人一人が考えていってその上に成り立っていくものですよ。これはもう明確に違うんですよあなた。ごまかしちゃだめですよ。
○国務大臣(金丸信君) いや、私は和田さんのいまのお話、そんな考え方で申し上げているわけじゃありません。ただいま申し上げた考え方で私は申し上げた。それが記事に載っておるとするならば、そのニュアンスが、そうとったんだろうと私は思います。
○和田静夫君 それじゃ防衛庁長官、もう一問ここで聞きますが、いまあなたが発言をされたとおりのことであるとするならば、ここの記事については訂正を求められますね。
○国務大臣(金丸信君) 私それを読んでおりませんから、十二分に見まして、私の考え方と違っておれば抗議を申し込もうと思っております。
○和田静夫君 この奇襲の対処、有事法制の研究での最近の総理及び防衛庁長官の発言を聞いていますと、防衛庁が九月二十一日にまとめた防衛庁見解の慎重な態度から大きく踏み出しているような感じがするのです。政府が本当には何をねらっているのかというのは、その意図を疑わざるを得ません。で、こうした問題というのは、国民の権利義務にもかかわる点が非常に多いわけですから、この国の運命を左右しかねないとも考えられますから、全国民的な支持がなくしては実行できることではない。ところが、この栗栖発言、金丸発言――いま金丸発言を取り消されましたが、この超法規独断専行発言から国家総動員法的な総決起発言というような、マスコミを通してそういうことを公にされる、そういうことでは国民は自衛隊に対して不信感を抱かざるを得ない。こういう状態では国論を分裂させるだけですよ。もう国論を分裂させるだけだ。そう思いませんか、総理。
○国務大臣(福田赳夫君) 政府の見解は防衛庁見解、これで統一をされておるわけでありまして、あの趣旨をるる申し上げておるわけなんですが、それによって国論が二分するとかなんとか、それはそういうふうには考えておりません。もとより自衛隊に対しましては、政党を見ましてもいろいろの見方をしておる政党があるという状態ですから、そういう意味においては国論は分かれておると、こういうふうに申し上げてもいいですが、今度の防衛庁見解がさらにそういう傾向に拍車をかけるんだというふうには考えておりません。
○和田静夫君 ともあれ、有事法制の研究というのはこれだけ問題になっているのでありますから、まず国民にこの研究方針、研究大綱、そういうものを示す、国民の前に政府がどういう意図を持っているかということを明らかにする、オープンに議論する、そういうふうにはお考えになりませんか。
○国務大臣(金丸信君) 私はしばしば申し上げておるわけでありまして、シビリアンコントロールは政治優先ということであります。国会が中心であると私は考えております。ですから、そういう研究した中間報告等も、要求があればいたします。ひた隠しはいたしません。当然国会で十二分な、われわれが研究したものを出して、うん、これは必要だという御理解を得れば、そのときまた立法ということも考えるけれども、まだ立法というまでもいってないという状況であるということも御理解をいただきたいと思います。
○和田静夫君 総理はたびたび、いつでもこの中間報告をすると答弁をされましたね。いつ中間報告されますか。
○国務大臣(福田赳夫君) まだいつというところまで決めておりませんが、中間的にこれは国会にお話しした方がいいなあという段階が来るだろうと思います。その際には御報告申し上げます。
○国務大臣(金丸信君) 私はしばしば述べておるわけでありますが、奇襲の問題あるいは有事法制の研究というような問題が混同したり、また別々にひとり歩きをしちゃっておるというのが現実の私は姿だと。前から申し上げましたように、まだ卵の卵の卵だと私は思う。そういうのが飛び歩いて非常な御批判を受けて、それは防衛庁の責任にも、私は誤解を招くような言葉もあったということでおわびを申し上げなければならぬと思うのですが、実際は全くえらくひとりで飛び歩いちゃったというのがきょうの現実でありまして、研究の暁は中間報告もしろということであればしますが、卵の卵の卵ということであるということで御理解いただきたい。
○和田静夫君 防衛庁長官、その卵の卵の卵ぐらいのところだと言われるが、そこのところが重要なんで、それを中間報告したらどうですか。次の通常国会にやられますか。あなたが防衛庁長官であるかどうか、福田内閣があるかないか知りませんけれどもね。
○国務大臣(金丸信君) 卵の卵の卵というところを報告しろといえば報告もいたします。次の通常国会でやれると思います。しかし全く卵の卵だということだけは御理解いただきたい。
○和田静夫君 いや、そこのところを報告してもらって、論議をして粉砕をしておくことがわれわれの任務なんだから、したがって固まったものを出して強引に押しまくられちゃたまったものじゃありません。よろしいですね。
○委員長(町村金五君) 和田君、一応時間が参りました。
○国務大臣(金丸信君) 私は、防衛という問題で二十七万の自衛隊があって、国が二兆円近くの予算を持っておるということを考えてみれば、何でもかんでもつぶせばいいということだけでは国の防衛は何のためにあるのだということになるので、その辺は十分御理解いただかなければ……。何でもかんでもつぶすということでなくて、ひとつこれはやっておかなくちゃならぬというものについては十分な御理解をいただきたいと、こう思うわけであります。
○委員長(町村金五君) 以上をもちまして和田君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) 次に、野田哲君の質疑を行います。野田君。
○野田哲君 まず、安保条約と日本の防衛の問題について最初に伺いたいと思うのですが、園田外務大臣、いいですか外務大臣、あなたに聞いているんですよ。安保条約の五条で規定されている日本の武力攻撃に対して共同で対処することを宣言する、この条項の前提として「自国の憲法上の規定及び手続に従って」と、こういうふうになっておりますが、この「自国の憲法上の規定及び手続」について日本とアメリカの憲法上の規定、手続はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(中島敏次郎君) お尋ねの「憲法上の規定及び手続」でございますが、御承知のように憲法上の手続に従って行動するというのは、アメリカが結んでおります防衛条約の一般的なパターンでございます。他方、わが国の場合には憲法第九条によって、共同の対処をする場合の制約がございますので、憲法第九条の枠内で対処をするということを明らかにするために、ここに憲法上の規定ということを定めたわけでございます。他方、憲法上の手続に関しましては、たとえばアメリカにおきますところの開戦の手続その他の規定があるというふうに考えております。
○野田哲君 日本の憲法上の手続というのはどういうことですか。
○政府委員(中島敏次郎君) 憲法上、このような場合に該当すべき特定の手続を定めた規定はわが憲法にはないわけでございます。したがいまして、憲法上の手続という規定がわが国に関して適用されるものは特にないと、こういうことでございます。他方、従来政府が御答弁申し上げておることは、自衛隊法第七十六条の規定に従って自衛隊が行動をとるということ自体は、ここで言うところの「憲法上の規定」の中には含まれていないけれども、この条項がそのような国内法を排除してしないという限りにおいてそのまま適用される、こういうことでございます。
○野田哲君 アメリカの憲法上の規定と手続というのは、大統領の軍に対する統帥権とそれから一条八節の議会の宣言、布告、この権限、両方が含まれますか。
○政府委員(中島敏次郎君) 米国憲法第八節によるところの戦争を宣言する連邦議会の権限と、それから第二条第二節によりますところの大統領の統帥権者としての権限と、そのいずれをも含まれているというふうに考えております。
○野田哲君 第二次大戦後にアメリカが世界の各地でこの武力介入をやっているわけですが、戦争宣言が行われてやられた例は幾つありますか。
○政府委員(中島敏次郎君) 戦争宣言が行われたケースは承知いたしておりません。
○野田哲君 去る三月の予算委員会でも園田大臣が答えておられるわけですが、アメリカの議会で一九七三年に戦争権限法が決定をされていることは、内容を含めて外務大臣は十分御承知であろうと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 存じております。
○野田哲君 この戦争権限法で、戦争宣言なしに戦争に投入されたアメリカ軍隊は六十日以内、例外として三十日の猶予期間はあるわけですが、六十日以内に撤去させなければならない。戦争宣言が行われなかった場合あるいは授権が行われなかった場合、この規定はむろん承知されておると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(園田直君) そのとおりだと存じます。
○野田哲君 金丸長官、あなたはこの規定を御存じですか。
○国務大臣(金丸信君) 私は承知いたしておりません。
○野田哲君 政府委員の方で結構ですが、二条のC項というのをちょっと説明していただけませんか。
○政府委員(中島敏次郎君) いわゆる戦争権限法の第二条のC項は、一般的な方針といたしまして、アメリカの大統領が戦闘行為あるいは戦闘行為に巻き込まれることが明白な状態に米軍を投入できるのは三つの場合であるということを言いまして、その一つは議会の宣戦布告があった場合、第二は特定の法的授権があった場合、第三に、米国、その領土、属領あるいは米軍に対する攻撃があり、国家的な緊急事態が生じた場合、こういう三つを挙げておるということでございます。
○野田哲君 八条のa項はどうなっておりますか。
○政府委員(中島敏次郎君) 八条のa項は、「米国軍隊を戦争状態又は戦争状態介入が事情によって明らかに示されるような事態に導入する権限は下記の事項から推断されるものではない。」として、法律の規定と、それから、アメリカが締結しております条約の規定ということを二つ書いております。
○野田哲君 つまり、八条のa項というのは、a項の(2)で、この法律制定以前もしくは以後に批准される条約から推定されてはならない。つまり以前に締結され批准された条約から推定されてはならないということは、つまり、この一九七三年の戦争権限法制定によって、安保条約第五条によって共同で対処をしていたアメリカの軍隊も、アメリカの議会の戦争宣言が行われなかったときには六十日、最長期間の場合でも九十日以内に撤退をしなければならない、こういうふうに規定をしていると思うんですが、いかがですか。
○政府委員(中島敏次郎君) お尋ねの、アメリカのいわゆる戦争権限法でございますが、これは何と申しましてもアメリカの法律でございます。で、ただいまお尋ねのような条項がその法律の中にあることも事実でございますけれども、一般的に申しまして、他国が採択いたしました法律について、よその国が有権的な解釈はとうていなし得ない。また、その個々の条項が具体的に全体としてどういう意味を持つかという点につきましては、軽々に論ずべきではないだろうという考えを私は持っておりますけれども、他方、いま先生がお挙げになりました条項のほかにも、いわゆる戦争権限法には、同じく第八条のd項に、この共同決議のいかなるものも合衆国大統領の憲法上の権限または現行の条約の規定を変更するものではないということを明定いたしております。したがいまして、従来も御答弁申し上げておりますが、私どもは、安保条約によりまして確立されたところの米国のわが国の防衛義務、第五条によりますところの防衛義務というものがこのような国内法によって影響されようはずがない、というふうに確信いたしておるわけでございます。 他方、この点もたびたび申し上げておりますが、この戦争権限法が成立いたしました後の昭和五十年におきましても、当時の三木総理大臣が向こうに行きましたときにも、アメリカは核兵器であれそうでないものであれ、いかなる攻撃に対しても日本を守るという防衛義務を、防衛の誓約な引き続き遵守するということを明らかにコミュニケの中で言っておりますし、その後の歴代の大臣も同じような立場をとっておりますので、私どもといたしましては、安保条約第五条によりましてアメリカがわが国を防衛する義務には、このような国内法によっていささかも変更があろうはずがないと確信いたしておる次第でございます。
○野田哲君 それはあなたの確信であって、実態としては、いま説明のあった八条のd項というのは、これは立法府及び行政府に憲法上認められた戦争権限を変更する意向のものではないんだ、あるいは合衆国の義務に影響するものではない。しかし、議会が宣言をしなかった場合には、権限法による授権がなかった場合には六十日以内なんだと、こういうふうな意味で八条d項が制定過程で決まっているわけでありまして、いまの説明はちょっと私は無理があるんだと思う。その証拠には、NATOの場合にはこの憲法条項の規定がない。つまり授権をされた形になっている。ところが日本や韓国との間の条約については憲法条項があって、すでに韓国の政府は、この戦争権限法が制定をされたことによって、NATO並みに授権をするように米韓条約の改定を申し入れているという事実もあるわけでありますから、いまのアメリカ局長が確信ということだけでは私はこれは済まないと思うんです。 金丸長官は先ほど、私はそういうことは知らないと、こういうふうに言われたわけですが、これは私は防衛の責任者としては実に驚き入った答弁だと思うんですよ。なぜならば、この防衛庁が利用している朝雲新聞が発行している「国防」という、さっきも例が出されましたけれども、「国防」の中ではこの戦争権限法の解説がされておるわけです。明確にこれは日米安全保障条約にも八条a項が適用されると。つまり六十日たったら引き揚げることがあり得るんだと、戦争宣言がない場合には。こういう解説がこの「国防」という本の中でなされているわけでありますから、これはいまのアメリカ局長の確信だけでは私は済まない問題だと思うんです。これは外務大臣にもう一回、見解、認識を伺いたいと思うんです。
○政府委員(中島敏次郎君) その前に、私から事実関係につき一点解明さしていただきます。 先生いま北大西洋条約及びその他の防衛条約の当該規定の御引用がございましたけれども、北大西洋条約におきましても、その第十一条において「締約国は、各自の憲法上の手続に従って、」――ちょっと飛ばしますと、「その規定を実施しなければならない。」というふうに書いてございます。したがいまして、北大西洋条約であろうと、わが日米安保条約であろうと、御提起の問題に関しては何ら異なるところがないということでございます。ちょっとその点だけ明らかにさしていただきました。
○国務大臣(園田直君) ただいまの野田委員からの質問は、前々の委員会からの質問のずっと継続でありまして、外務省として条約局長とアメリカ局長の見解にやや相違があるという御批判を受けている問題であります。私、詳細に検討いたしましたが、条約局長とアメリカ局長の見解に相違があるのではなくて、明確を欠いておると、こういうふうに感ずるものであります。 このような問題は、自分の主観的な希望によらずして、冷静に客観的に判断をし、それに対して対処するのが当然であると考えております。そういう意味から言いますと、両国には憲法があり、しかも両国の条約には、憲法の規定に従いという一項が入っております。日本の側から言えばこれは制限事項であり、アメリカから言えばいまおっしゃったような条項であります。したがいまして、両方が対立した場合には、その憲法、いわゆる戦争権限法というのが優先するというのが当然これは冷静な考え方であると存じます。ただ、法解釈上はそうではありますけれども、その後、総理大臣あるいは外務大臣等、あるいは向こうとの接触によって、誓約を向こうはいたしておりまするし、アメリカの国会もその憲法を承知でこの条約を承認しておりまするから、現実としてはさようなことはないであろうという確信が後についておって、法解釈は野田委員のおっしゃるとおりに解釈するのが当然であると外務大臣は心得ております。
○野田哲君 先ほどアメリカ局長が言ったように、戦後のあのベトナム戦争ですら、戦争宣言なしにあれだけの長期の戦争が行われているわけです。その反省の上に立って連邦議会でこの戦争権限法が制定されたわけなんです。そうして私は、八条a項の、この法律制定以前のこの条約から推定されてはならないと、つまりこの法律は日米安保条約にも適用されるという意味合いの方を重視しているわけです。外務省の方は八条d項の条約の変更を意味するものではないんだと、こういうところを金科玉条のように言っておられるんです。ここはやはりこの法律の読み方として重要な問題がありますので、私は、これはやはり十分検討すべきことだということを、また機会を見て検討の結果の報告を求めたいということでこの問題は終わりたいと思います。
○委員長(町村金五君) 午前の審議はこの程度にとどめます。 午後一時から委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時一分休憩 ―――――・――――― 午後一時三分開会
○委員長(町村金五君) 予算委員会を再開いたします。 昭和五十三年度補正予算三案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、野田君の質疑を続行いたします。野田君。
○野田哲君 総理に伺いますが、福田総理は今回の本会議での答弁で、数多くの有事立法の問題についての質問に対して、総理は、わざわざ本会議で言葉を言いかえられて、私は有事立法とは言っていない、有事体制だと、こういうふうにお答えになっているわけですが、総理の言う有事体制と質問者が述べた有事立法、これは、あなたがわざわざ言いかえられた有事体制というのはどういう意味なんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) わが国といたしましては、有事に備えなけりゃなりません。その有事に対する備えといいますと非常に広範でありまして、あるいは食糧の問題もある、交通、通信の問題もある。非常に広範な体制を必要とするわけです。また法制上の整備、これも必要になってくるかもしらぬ。そういう問題も検討しなけりゃならぬ。事は、もう防衛庁自体の所管のみならず、広範な検討を要すると、そういう問題であるというので、有事体制、つまり有事に対して国政全般がどういうふうに対処するんだということ、それについて検討を要すると、こういうふうな考え方なんです。そういう私の考え方を有事体制と、こう言っておるわけでありまして、有事立法とか有事法制はその重要な一部であると、このように御理解願います。
○野田哲君 いまの総理のお答えは、これは本会議で受けたニュアンスとは大分違うんですよ。それならば、その有事立法を含む有事体制と、こうおっしゃればいいんであって、本会議での質問者に対して、私は有事立法とは言っていない、有事体制を言っているんだと、こういうことで、あたかも有事立法ということは否定をされるようなニュアンスで答えられておるんで、これは私は、ちょっと本会議といまのお答えはニュアンスが違うと思うんですが、まあそれはよろしいです。 で、福田総理は、あるいは亡くなられた佐藤総理も当時そうなんですけれども、当時の三矢研究について、今度も大変問題になっているわけですが、佐藤総理も福田総理も、三矢研究がなぜ問題かという点について、これはユニフォームが独走してやったからいけないんだと、こういう意味に答えておられるわけです。ところが今度は、防衛庁長官の指示で私の了解のもとでやっておるからいいんだと、こういうふうにおっしゃっているわけですが、私は、少なくとも三矢研究についてはすでに内容が明らかになっているわけですから、これは憲法に違反をしている内容であるからいけないんだというふうに答えるべきだと思うんですが、そうは認識をされていないのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ三矢研究というのは、研究というか、そういう段階のものでありますが、ですから、研究者といたしますと幅広い部門について研究しますが、しかし基本的に、根本的に、これが防衛庁長官も知らないという間に、研究といえどもそういうことが行われるということは妥当ではない、このように私は考えておるわけであります。今回はとにかく、私の了解のもとに防衛庁長官の指示で研究するんだ、その際には憲法の枠内であることはもとより、シビリアンコントロールのこの大原則、これを踏んまえてやります。その辺が三矢研究と今回の研究は基本的に違うと、こういう認識でございます。
○野田哲君 研究であろうとも、憲法を守るということを宣誓した自衛官が憲法に違反することを研究するのは妥当ではないと、こうはお思いにならないのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 研究は、これはもう憲法の枠内で研究者もその認識でやらなけりゃならぬと思います。それからシビリアンコントロール、これにも厳重に制約を受けつつやらなけりゃならぬ問題である、そのように考えます。
○野田哲君 防衛庁長官に伺いますけれども、総理や防衛庁長官、防衛白書にも出ておりますが、昨年の八月から総理の了解のもとに必要な法制の研究を行っていると、こういうふうに言われているわけですけれども、この種の研究はいままで一切やってなかったということを断言できますか。
○国務大臣(金丸信君) 一切やっておらなかったか、やっておったか私は知りませんが、昨年の八月、三原長官が、いわゆる有事法制の研究をしなさいという命令が出た。私も二十七万の自衛隊が――たびたび申し上げることでございますが、ある以上、また国民の税金をこれだけ多くいただいておる以上、何もしないでいるということはこれは国民の負託にこたえられない。当然、国民の負託にこたえるためには、いわゆる有事があるために自衛隊というものがある以上、いろいろに対処する研究はあってしかるべきだと私は思っておるわけであります。
○野田哲君 私どもが調査をした昨年の八月以前の有事立法の研究について、これは項目がたくさんありますから、私は早口で申し上げますから、この事実について、これは政府委員で結構ですから、事実のあった、なしについて明確に答えてもらいたいと思うんです。 昭和二十九年、旧国防諸法令の検討、これは陸幕法規班。昭和三十二年、「長期及び中期見積に於ける法令研究」、陸幕法規班。昭和三十一年、「列国憲法と軍事条項-制軍機構のあり方」、防衛研修所。昭和三十三年、「自衛隊と基本的法理論」、防衛研修所。昭和三十五年、「関東大震災から得た教訓」、陸幕三部。昭和三十七年、「非常立法の本質「国家非常措置の法制研究」」、防衛研修所。昭和三十八年、「非常事態諸法令の研究」、いわゆる三矢研究。昭和三十八年、同じく「国防基本法案」、空幕法規班。昭和三十九年、「国家緊急権」、陸幕法務課。昭和四十一年、「有事立法研究、法制上、今後整備すべき事項」、これは法制調査官。昭和四十四年、「国家緊急権の史的考察」、防衛論集、これに登載されております。昭和四十六年、「国家と自衛隊」、これはクーデターの研究ですが、陸上自衛隊の幹部学校兵学研究会。昭和四十九年、「各国憲法にみる非常事態対処規程、非常事態宣言、非常措置権、緊急命令」、防衛大学校。昭和四十九年、「各国憲法にみる非常事態対処規程、戒厳令」、防衛大学校。 以上のように、私どもは調査の結果、自衛隊発足以来一貫して有事立法が研究をされている、こういうふうに調査の結果明らかにしたいと思うんですが、このことは多分間違いないと思う、いかがですか。
○政府委員(夏目晴雄君) お答えいたします。 ただいま御指摘がありました資料のうちのすべてでなくて、順番を追って御説明いたしますが、まず、三番目に挙げられました「列国憲法と軍事条項」。これは昭和二十九年の防衛研修所におきまして、当時の早稲田大学の大西という教授に委託調査をしてつくった資料がございますが、これは列国憲法の規定にあらわれた軍事に関する条項を比較研究したものと言われておりますが、これらは四十七年三月にすでに廃棄されておりまして、現物はございません。 それから、四番目に挙げられました……
○野田哲君 廃棄云々はいいですから、やったかやらなかったか。
○政府委員(夏目晴雄君) 「自衛隊と基本的法理論」、これは昭和三十三年、やはり防衛研修所の笹部所員が個人的に憲法第九条の解釈についての学説の紹介とか、各国における軍隊、軍人の地位等について調査をまとめたものがございましたが、これも四十七年三月に廃棄しております。 それから六番目に挙げられました「非常立法の本質」、これもやはり防衛研修所で一橋大学の田上教授等に委託して調査した資料がございますが、これらはイギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、ベルギー等の非常事態法について解説をしたものであるというものがあったようでございますが、これも廃棄してございます。 それから十一番目に挙げられました「国家緊急権の史的考察」、これもやはり防衛研修所の所員が防衛論集に発表した国家緊急権に関するわが国や欧米の学説を、判例等を引用して説明したものがございますが、これは現在でもございます。 それから十二番目に「国家と自衛隊」という本を挙げられましたが、これは四十六年、当時の陸上自衛隊の幹部学校のいわゆる兵学研究会という同志的な私的グループがございまして、そこの機関誌に発表されたものがあったようでございますが、現在はその会自体もありませんし、資料もすでに廃棄してないようでございます。 以上、とりあえずお答えしておきます。
○野田哲君 廃棄したことの説明があったわけですが、いま私が申し上げたことは全部研究としてはやったという事実は認められますね。
○政府委員(夏目晴雄君) 個人の研究としてやったことは事実でございます。
○野田哲君 いま私が例示をいたしましたことで廃棄という説明が幾つかあったわけですけれども、これらの全資料について提出を、資料として求めたいと思うんですが、お取り計らい願いたいと思いますが、そのことについて防衛庁のまず見解を伺った上で委員長の方でよろしくお取り計らいをいただきたいと思います。
○政府委員(夏目晴雄君) ただいま申し上げた資料のうち「国家緊急権の史的考察」というもの以外はいずれも四十七年当時廃棄処分にしておるわけでございまして、ただいま手元にございませんので提出することができません。いま申し上げた「国家緊急権の史的考察」については提出することはできようかと思います。
○委員長(町村金五君) ただいまの野田委員からの御要求に関する調査は、後日理事会でひとつ協議してみたいと思います。
○野田哲君 廃棄をしておるという説明をすれば済むという問題ではないんです。これはあるはずなんですから、ぜひ理事会で御検討いただきたいと思います。 総理、いまお聞きになったと思うんですが、私がいま申し上げたことを事実として認められたけけですが、昭和二十九年自衛隊発足以来これだけの回数で有事立法の研究、国家緊急権の研究などが行われているんですよ。しかもこの内容は全部これは憲法を否定する立場に立ったものなんですよ、御認識はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 防衛庁なり自衛隊は有事の際にどう対処するかということを研究をする、これはもう常時研究しなけりゃならぬ問題であると、いろいろな研究があるのは私は当然だと思います。ただし、それが憲法に違反し、あるいはシビリアンコントロールに違反するというような研究であっては断じて相ならぬと、このように考えます。
○野田哲君 いま挙げたのは全部憲法の中でおさまるような問題じゃないんですよ。憲法を否定しなければこれはできない研究なんですよ。総理は何回も憲法の枠内でということを言っておられますけれども、有事法制というものが現行憲法の枠内でできるというふうにお考えになっているんですか。本気でそうお考えになっているんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 本気でそう考えております。
○野田哲君 それでは具体的にこれから例を挙げてお聞きしたいと思うんですが、ここに陸幕でつくった「野外令」の一部、二部と、こういう冊子があるわけですが、きのうの新聞ですか、この問題の報道に対して、これは演習訓練における一般手続を定めたものだという人事教育局の談話とか、あるいは陸幕で訓練用の資料としてつくったものだと、訓練用の教範だと、こういうような説明が新聞になされているんですが、私はそうは思わないんです。「野外令第一部」の綱領という、これは陸上自衛隊の綱領を定めているわけでありますけれども、この第七項に、野外令は、部隊運用上の主要な原則を示すものであると、そしてその運用の妙はその人に存すると、こういうふうに綱領で書いてあるわけです。陸上自衛隊の部隊運用上の主要な原則を示したと、こうなっているんですが、こういう談話が出るということは、私が持っている野外令とあなた方が持っている野外令は違うんですか、私の言ったこと間違いないでしょう。
○政府委員(夏目晴雄君) 御承知のように野外令というのは自衛隊の部隊の指揮・運用の原則的な考え方を示した訓練用の資料でございまして、この教範というのはあくまでも教育訓練を効率的に実施するために部隊の運用もしくは隊員の動作等についての一般的な準拠を与えたものが教範であるというふうに考えます。いま先生御指摘の綱領にそういう、いま読まれたような趣旨の文章が入っていることは事実でございますが、これは教範の性格あるいは教範の使い方を言っているのであって、必ずしもこれに基づかなければ絶対いけないというふうな規範的な文章という意味ではございません。
○野田哲君 少なくとも教育訓練だけに使うものではなくて部隊運用の原則だという点はお認めになりますか。
○政府委員(夏目晴雄君) 自衛隊の部隊の運用等に関する一般的な原則、一般的な考え方を述べた教育訓練のための資料でございます。
○野田哲君 そこの押し問答だけをやっても進みませんから、具体的な例を挙げて、憲法でおさまるのかおさまらないのか。つまり、自衛隊法の百三条にこの有事法制的な例外規定を幾つかずっと国内法の中に設けられていますけれども、この百三条については、これは政令を制定しなければ実行できない仕組みになっていて、しかもこれは一昨日の答弁の中で、この政令も有事法令の研究の中で含めて検討していると、こういうふうに答えておられるわけです。ところが、百三条の実行についてはすでに具体的にこの中に例記をされているわけなんです。具体的な例を申し上げますが、「鉄道輸送は、陸上最高司令部が、関係部外機関と調整し、輸送統制に任ずる部隊を」「要地に配置して、一元的に行う。」、こういう条項があるわけです。これはちょっと運輸大臣に伺いますが、運輸大臣、陸上自衛隊の最高司令部が輸送統制に任ずる部隊を日本国有鉄道の要地に配置をして陸上自衛隊が一元的に統制をするということが現行法制の上で可能ですか。
○国務大臣(福永健司君) 私、しさいに研究はいたしておりませんが、運輸大臣福永建司としての常識から申し上げまして、現事態のもとにおいてはそういう規定は運輸省側にはないと思います。
○野田哲君 運輸大臣はこういう「野外令」に陸上自衛隊が鉄道輸送の統制に任ずるという規定があることについて何か協議を受けられたことがありますか。
○国務大臣(福永健司君) 先ほども申し上げましたように、その点の研究は遺憾ながら私には十分ありません。
○野田哲君 八十七ページから八十八ページにかけて「不動産業務」というのが記述してあるわけですが、「不動産業務は、作戦上必要とする部外の不動産を取得・利用、配分及び管理するもの」だと、で、これは「部隊の行動発起に先行して行う必要がある。」と、こういう字句があるわけですが、自衛隊法の百三条には不動産の取得という条項はありますか、どうですか。ないでしょう。
○政府委員(伊藤圭一君) 百三条には取得という言葉はございません。
○野田哲君 百三条に例外規定が設けられておる、それにないことが「野外令」にはこういう形で出ているわけです。 で、この「不動産の取得」云々、これは憲法二十九条の国民財産権とどういうふうに調整可能なんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 法律的なことをお答えする前に教範について一言説明さしていただきますすれば、先ほどの運輸交通についての記述は、あくまでも実際の部隊の移動、物資の輸送等を円滑に実施するために部内の輸送についての統制を書いてあることでございまして、特段部外者を統制するという趣旨ではございません。 それから不動産の取得につきましても、法律を遵守し、決められた法律のもとに行うというふうなことを書いてあるわけで、特段百三条云々のことの手続を言及しているわけではございません。
○野田哲君 そうすると、もう一回これむし返すと、この綱領に書いてあることとあなたの説明とは全然違うじゃないですか。綱領は、はっきりと野外令は部隊運用上の原則だと、こう書いてあるんですよ。教育訓練云々とは一言半句も書いてないですよ。これはどういうふうに受けとめればいいんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 教範の「はしがき」を見ていただけばわかりますように、この教範は部隊の指揮・運用の基本的原則のうち主として人事、兵たんに関する事項を記述し「教育訓練に関する一般的準拠を与えることを目的とする。」というふうに書いてございますので、われわれとしては、一般的な心構え、考え方を述べたにすぎないものであって、あくまでも教育訓練の資料であるというふうに理解しております。
○野田哲君 訓練というのは実行するために訓練するんですよ。そういうごまかしで了解するわけにいきませんがね。 先ほどの鉄道の問題に返りますけれども、あなたの言うような内容にはなってないですよ。「鉄道輸送は、陸上最高司令部が、関係部外機関と調整し、輸送統制に任ずる部隊を」「要地に配置して、一元的に行う。」、つまり鉄道輸送を陸上自衛隊が統制をして要地に部隊を配置して一元的に行うんだと、こうなっているわけですよ。そうじゃないですか。
○政府委員(夏目晴雄君) この鉄道輸送に関するところをよく読んでいただければわかりますが、あくまでも関係部外と調整し云々と、こういうふうに書いてございまして、われわれとしては自衛隊の物資の輸送あるいは隊員、部隊の輸送等について一元的な効率的な輸送を期するという意味から部内の管理統制をするという意味でございまして、部外者を統制するということは毛頭考えておりません。
○野田哲君 運輸大臣は全然知らないと言っているんですよ。運輸大臣が知らないことがすでにこういうふうにできているということはどういうことなんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 有事の際にはそういう機関と調整する必要があるということを述べたものであります。
○野田哲君 じゃあ「労務・役務」の関係について伺いたいと思うんですが、「労務・役務は、あらゆる部外の作業力を組織的に活用」するという、この「組織的に活用」するというのはどういう意味ですか。
○国務大臣(金丸信君) 野田さん、いろいろきつい御質問をいただいておるわけですが、これまで防衛庁の内部で有事の際の法制上の諸問題についていろいろ検討されてきたということは聞いております。聞いておるが、いずれも防衛庁としては結論を得ておらないということだから、えらく強く質問してみても一結論はないんですよ。御理解いただきたい。
○野田哲君 これは金丸長官、あなたはこの「野外令」という意味のことを御承知ないからそんなことをおっしゃるんですよ。「野外令」というのはこれは陸上自衛隊の有事の際の行動を規定したものなんですよ、一部と二部とあって。そのためにつくってあるんですよ。これ以外にはないんですよ。いわゆる昔の陸軍の「作戦要務令」に相当するものとして「野外令」がつくられているわけなんです。だから私は具体的に聞いているんですよ。憲法内でおさまるのかおさまらないのか、こういうことで聞いているんですよ。
○政府委員(伊藤圭一君) この「野外令」に書いてございますことは、先ほど来夏目参事官が御説明いたしておりますように、有事の際の自衛隊内部の統制あるいは計画、そういったものをこの基準によってやるということでございます。したがいまして、いま先生が幾つか御指摘になりましたが、たとえば土地を取得するというのは百三条によって取得するとは何も書いてないわけでございますから、当然お金を払って取得するという場合もあると思います。 それからこの労務の問題も、その作業力、これは雇用をいたしました場合に、それを組織的に集中的に使わないと能率が上がらないだろうということを教えているわけでございますから、憲法の範囲内で私どもは考えているということでございます。
○野田哲君 じゃ、これは戦時を想定しておる、有事を想定しておるわけですから、有事の際の労務・役務はどうやって集めるわけですか。
○政府委員(伊藤圭一君) この労務を集めるというのは募集をするということもあろうと思いますけれども、そういった問題につきまして、その法制的な問題というのはこれから研究しようと考えているわけでございます。
○野田哲君 募集して集めるというんですけれども、これは有事の際の緊急、緊迫したところへ、しかもこの文章では、「限られた部隊の能力を増強することを主眼として」と、部隊の能力を増強するために集めるんだということですから、これはいわゆる軍属ですよ。これは募集で集めるんですか。
○政府委員(伊藤圭一君) 有事になりました際には、部隊の運用あるいは物資の運用の関係で現在の自衛隊の人員だけではとても完全にできるとは思えません。したがいまして、そういう場合には必要な労力というものを募集し、そしてそれを集中的に使うということは当然考えなければならないことだと思っているわけでございます。
○野田哲君 先ほどの伊藤防衛局長の話ですけれども、そうすると、あなた方はこれからその必要な法制を研究するということは、つまりいま「野外令」に記述されていることは法律に基づかないことも記述をされていると、こういうことですか。
○政府委員(夏目晴雄君) この教範の最後に、各所にも出てくると思いますが、関係部外機関との関係のある分野については、関係部外機関の協力調整のもとにと、それからもう一つは、関係法令を遵守し、それから政府関係機関の責任と権限を尊重しということが前提として入っているわけでございまして、われわれの、この「野外令」がそういった法律を無視し、あるいは関係官庁の権限を逸脱してそういうことができるということではございませんで、相談をして必要なことはやらなければならないであろうということを言っているだけでございます。
○野田哲君 この「野外令」の二部に記述してあることは、これは長官はっきりと答えてください。自衛隊法の百三条によれば、ここに書かれてあることは七十六条の下令があって、それによって総理大臣が都道府県知事に命じて都道府県知事が必要な事項を処理することになっているわけです。百三条では。その百三条を実行する諸法令は、政令はこれから検討すると、こう言っているわけでしょう。この百三条で定めてあるような兵たん業務、これが政令もないにもかかわらず「野外令」の第二部ですべて網羅されている、これは百三条の否定ではないですか、どうですか、長官。
○政府委員(伊藤圭一君) 百三条におきまして土地、建物を使用するというようなことが決められているわけです。そのほかに土木事業あるいは輸送事業あるいは医療に従事している人に対する従事命令というのは決められているわけです。政令で検討しなきゃならないのは、その内容とかあるいは手続、そういったものだろうと私どもは考えているわけです。したがいまして、どういう手続にしろどういう内容のものにしろ、とにかくそういう場合には土地、建物を収容しあるいはまた必要な従事命令によってその労力といいますか、そういうものが得られるという前提に立っての、そういった力をどういうふうに使うかというのがこの教範に書いてあるわけでございますから、百三条に違反しているというふうには考えていないわけでございます。
○野田哲君 そんなことはないでしょう、伊藤さん、百三条による政令ができなければこういうことが記述されるはずはないでしょう。政令がないのにこんなことが記述されるということはおかしいですよ。だから、これは結局百三条のただし書きで、緊急を要する場合には知事には後で通知をすればいいんだと、こうなっている。そこのところで一気かせいに直接やってしまおうと、こういう考え方が出ているんじゃないですか。
○政府委員(伊藤圭一君) 直接やる、あるいは緊急の場合にはどういうやり方でやるということは一言も書いてないはずでございます。その得られた労力、そういうものをどういうふうに有効に使うかというのがそこに示されているわけでございます。
○野田哲君 だから、結局百三条の政令がなければ実行できないわけでしょう、百三条に書かれてある緊急のいろいろ具体的な措置は。政令がなければできないわけでしょう、どうなんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 具体的にお答えした方がよろしいかと思いますが、たとえば、この不動産業務の項に書いてございます最後を見ていただくとわかりますように、不動産の取得に当たっては、状況によって通常契約による調達、あるいは別に定めることろによる調達等、その処理を適法妥当に行うというふうに書いてございまして、それ以上のことは何も書いてないわけでございます。
○野田哲君 いや、私はここに書かれてある全体、兵たん業務全体が百三条の政令がなければできないことではないですかと、こう聞いているんですよ。
○政府委員(伊藤圭一君) 全部がこの政令がないとできないというふうには考えておりませんけれども、政令が出ないとできない部分もあるというふうには考えられます。
○野田哲君 別の法の制定がなければできないこともあるでしょう、どうですか。
○政府委員(伊藤圭一君) 関係機関と調整してということは書いてございますけれども、別の法律がなければできないというものについては書いてあるとは思いません。
○野田哲君 捕虜に関することが具体的に書かれておりますがね。園田外務大臣、捕虜の取り扱いの法律はあるんですかないんですか。
○国務大臣(園田直君) 国内にはございません。
○野田哲君 捕虜の取り扱いがないのになぜ捕虜の取り扱いが具体的に輸送方法まで、収容場所まで規定できるんですか。
○政府委員(大森誠一君) お答え申し上げます。 先生御指摘の点は一九四九年のジュネーブ条約、その捕虜の待遇に関するジュネーブ条約に関達しての御指摘であろうと存じます。 この条約につきましては、先生御承知のように、たとえば食糧等について十分与えなければならないとか婦女子を手厚く保護しなければならないといったような規定が設けられているわけでございますけれども、この条約の趣旨は、捕虜というものを人道的に扱わなければならない、そしてそれは一般人並みの待遇にできるだけ近づけなければならないというのがその趣旨でございます。 そこで、この条約を実施するための国内の立法措置が要るかどうかという点でございますが、この条約の一部につきましては立法措置を要する事項があるというのは、これは事実であると私は考えます。しかしながら、これらの条項につきまして考えてみますと、多くのものにつきましては必ずしもいわゆる平時において立法をいたさなくてもわが国の現行法制のままで特に差し支えが生じるということはないという面がございます。また他方、この条約で言っておりますところの、いわゆる敵対行為が生じました場合の事態について、これに対する条項というものがございますけれども、その点につきましてはそのような敵対行為が発生したと、敵対行為という事態が生じたという場合に立法すればいいというふうに考えているところでございます。
○野田哲君 これは外務大臣か法務大臣に伺いたいのですが、捕虜の扱いは国内法がなくても自衛隊だけで処理ができるんですか。
○政府委員(夏目晴雄君) この教範におきます捕虜の取り扱いについては国際法規あるいは法令に基づき処理すべきものはするということを書いてあるわけでございまして、それ以上自衛隊が何をなすべきか、どこまでできるかということについて特に言及しているわけではございません。
○野田哲君 これは特に言及しているじゃないですか。輸送方法あるいは収容の場所、具体的に言及しているじゃないですか、どうですか。
○政府委員(夏目晴雄君) 当然定められる関係法規に従うという前提でございます。
○野田哲君 その関係法規がないから外務大臣か法務大臣に聞いているんです。
○政府委員(大森誠一君) ただいま御指摘のこの輸送の件でございますけれども、この点については必ずしもジュネーブ条約ということでは特段の規定はございませんで、一般的に言って人道的な待遇を与えるべしということがこの条約の本旨でございます。そこで輸送といったような措置、その点が現行の国内法令あるいは自衛隊法の規定の中で十分であるかどうかという点は検討されるべき事柄であろうかと存じます。現在その点について国内法制が整っているかどうかという点については、私は必ずしも承知していないところでございます。
○野田哲君 だから捕虜の国内法がない、ジュネーブ協定に基づく国内法がないにもかかわらず捕虜の取り扱いを1、2、3、4項まで具体的に決めておる。あなたは先ほどは国内法にないことは規定しておりませんというけれども、具体的に規定している一例として私は挙げたわけなんです。扱えないでしょう、そういう国内法がなければ。どうなんですか。
○政府委員(伊藤圭一君) この捕虜の取り扱いにつきましてはジュネーブ協定の中で人道的に取り扱うということ、そしてそのことを国内で軍事的な教育の場面なんかで十分徹底しておきなさいというようなことが書かれているわけでございます。そこで、有事になりまして実際に戦闘いたしますのは自衛隊でございますから、そういった条約上の精神を踏まえまして、そういう場合にとにかく捕虜という形で出た者につきましては人道的な見地から取り扱いなさいということを教えていることでございまして、したがいまして、その捕虜の取り扱いというものは国内法で定められましたら当然それに従うわけでございますが、それ以前にそのジュネーブ条約の精神というものを教育しておくということは、私は特に違反するというようなものではないと考えているわけでございます。
○野田哲君 違反とかなんとかじゃないんですよ。具体的に輸送の方法とか収容の場所とか、まだあるんですよ、持っていた物品について、ろ獲品の取り扱いまで具体的に決められているわけですよ。使える物は使えと、こうなっているわけです。そんなことは国内法がなければできないはずなんですよ、国際関係は非常に重要な問題ですから。 そこで、この問題はまた引き続いてやりますけれども、もう一つ伺いたいと思うんですが、自衛隊の行っている見積もりの中では当然有事の際に隊員の損耗について見積もりをされていると思うんですが、それはいかがですか。
○政府委員(伊藤圭一君) この隊員の損耗の見積もりというのはきわめてこれはむずかしい問題でございます。したがいましていろいろな様相、態様に応じまして、こういった作戦においてこういう事態にはこの程度の損害が出るだろうということはそれぞれの想定場面においてはいたしておりますけれども、一般的なものとして何%ぐらいというようなことはいたしていないわけでございます。
○野田哲君 東部方面総監部で一カ月の戦闘で二万人の部隊が五千四百人の損耗があるというような見積もりをされた例があるんです。これは資料を私は持っておりますけれども、この「野外令」に「補充」という項目がありますが、この損耗に対する補充の方法はどういう方法を考えておられるんですか。
○政府委員(伊藤圭一君) この有事に対処する中で、いわゆる予備勢力といいますか、その損耗をどうやって補てんするかというのはこれはきわめて重要な問題でございます。したがいまして、自衛隊が発足以来自衛隊でやっておりますのは、予備自衛官制度というのがございます。これは有事の際に行動する、あるいは作戦をするに当たって膨張する分野というものを補うと同時にその損耗の補てんということも当然考えられているわけでございます。これが現在約四万人の予備自衛官制度がございますけれども、その際になおそれ以上の損耗が出た場合にはどうするかということでございますが、それにつきましては、私どもの現在の計画では緊急に募集を行ってその損耗を補てんし、そして現在の自衛隊の勢力を維持しながら戦闘をするというふうに考えているわけでございます。
○野田哲君 その緊急の募集というのは従来と同じような募集ですか。
○政府委員(伊藤圭一君) そのとおりでございます。
○野田哲君 有事のときに、いまの月給をもらっている自衛官、予備自衛官約四万人、これ以上に志願をして集まる道理はないと思うんですよ、常識で考えて。鉄砲の弾が飛んでくる中へ志願していこうというようなことはあり得ないですよ。 そこで福田総理に伺いますが、一昨日も徴兵制について触れられておりましたが、考えてないということですが、徴兵制は考えていないというのはポリシーの問題で考えられていないのか、あるいは法律、憲法の上で、法律、憲法のどの条項で考えられていないんですか。
○政府委員(真田秀夫君) 徴兵制度と憲法との関係につきましては、従来からしばしば国会の御論議の対象になっております。まずその徴兵制度とは一体何かという定義から始めないと実は議論がはっきりしないわけなんですけれども、従来の政府側の説明によりますと、徴兵制度というのは国民として兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度であろうと思うと。つまり軍隊を平時において常設いたしまして、これに要する兵員を毎年徴集して一定の期間訓練をして新陳交代をさせる。それによって戦時編成の要員として備えるという制度を言うものであろうと思うというような定義をまず考えまして、そういうような意味の徴兵制度はいまの憲法に照らせば、これはしかく明確にはいままで言っておりませんが、十八条とか十三条とかいろいろ問題があると。いずれにしてもそれは現行の憲法では認めるところではないと思うということをはっきり政府側は従来答弁しております。
○野田哲君 長官は平時ということをいま二、三回言われたわけですが、有事のときは別だという意味なんですか、平時というところを強調されたということは。
○政府委員(真田秀夫君) 先ほど申しましたのは従来からの政府の説明ぶりの定義でございますが、つまり平時において訓練しておいて、そして有事の際に新陳交代して要員として補充すると、そういうのはできない。まして、いわんや戦時の際に新たに強制的に軍務につかせると、兵隊として――兵隊と言っては語弊があるようですが、自衛隊員として強制的に役務につかせるということは、これはだから制度としてはできないというふうに考えております。
○野田哲君 有事でもできないと、こういうことですか。
○政府委員(真田秀夫君) そのとおりでございます。ただ、ちょっと一言補充して申しますと、現在百三条に先ほど来問題になっておりますような一定の業務に従事する、たとえば運送とか医療とかそういう業務に従事する人に対して、百三条の政令をつくって、あれを発動すれば、あの条文を発動すれば有事の際にそういう医療の業務とかあるいは運送の業務につかせることはできます。これと徴兵制度とは話が違うものであるというふうに考えます。
○野田哲君 その徴兵制ができないのは、なぜできないのかはっきり言ってください。十三条ですか、十八条ですか、九条ですか。
○政府委員(真田秀夫君) 九条を根拠にして自衛隊そのものが違憲だからというようなお考えの方から見れば当然九条だということになろうかと思いますけれども、政府はそうは思っておりませんので、つまり九条は必要最小限度の自衛力を持つことは認めておるという前提でございますから、九条に抵触するがゆえに徴兵制度はできないんだ、憲法がいや許していないんだとは言っておりません。先ほど申しましたように、憲法の条文として徴兵制度に絡んで問題になるものとしては、十八条の例の苦役の禁止とか、あるいは十三条の幸福追求の国政の上で尊重しなさいというような条文とか、そういう条文がいろいろ問題になるんだろうが、いずれにしても現行の憲法上は認められるとは言いがたいという考えでございます。
○野田哲君 有事の際でもできないということと、それから憲法上の十三条、十八条でできないと、こういうふうにおっしゃったというふうに理解しておきますが、そこで、自衛隊法の百三条でこの有事の際下令があったときに輸送機関、医療機関等についての特例が定めてありますけれども、この輸送機関や医療機関に従事する人たちは、そういう措置に該当したときには十八条に抵触をすることにはなりませんか、いかがですか。
○政府委員(真田秀夫君) 百三条の規定をごらんになるとおわかりだと思いますけれども、その運送なり医療に従事している人に対して百三条によって従事命令をかけるという場合のその従事命令の中身は、防衛出勤が発令されて戦火がそこで行われて弾が飛んでくるというような地域のことではないわけなんで、それのまた外側なんですね。外側なんでして、ですから、先ほど申しましたように、自衛官として鉄砲を撃てというような意味の徴兵制度は、これは苦役に当たるかもしれませんが、その周りの方でお医者さんに医療に従事しなさいと、あるいは運送業者に運送に従事しなさいという命令をかけることが憲法十八条の苦役に抵触するというふうには考えておらないのです。もし、それが憲法十八条の苦役だなんということになりますと、百三条に類似するそういう従事命令の制度は、これは自衛隊法のみならず、ほかの水防法とか消防法だとか、あるいは災害救助法とか災害対策基本法とか、類似してはいろいろあるわけなんで、これが皆憲法違反かということになると、そうは毛頭考えておらないということをつけ加えておきます。
○野田哲君 この「野外令」によると、具体的に戦傷者の扱い等が出ているわけです。それで、百三条にある輸送機関、医療機関というのは、これはつまり具体的な戦場に近接したところで部外医療機関を利用するということが「野外令」に書いてあるわけですから、いわゆる硝煙の漂うようなところへ行って輸送機関あるいは戦傷者の治療に従事しろと、こういう意味で百三条が書かれてあるわけです。そういうところへ行くのはいやだと、こういう人がいるとすれば、これはそれを強制するということは憲法の十八条苦役の禁止という条項に該当しませんかと、こういうふうに具体的に聞いているのです。
○政府委員(真田秀夫君) 繰り返して申し上げますけれども、百三条の規定は、先ほど申しましたように、戦闘がまさしく行われているそのさなかへ行けということじゃなくて、その周辺の地域で医療業務に従事しなさいということなんだから、それはあたかも災害対策基本法で、洪水が起こりまして堤防が切れそうだと、そのときにその周りの住民なり一定の人にそこで働きなさいというのだって、これも小なり危険を伴うわけなんですね。しかしそれが苦役だというふうには実は考えておらないわけなんで、そこでわざわざ百三条の規定は、内閣総理大臣が告示をするときに地域を決めまして、その中はこれは非常に危険なところであるから自衛官が鉄砲を撃ってそこで戦争をすると、そして、民間の人に従事命令を課して働いていただくのは、そんな危険なところじゃなくて、それよりも外側であるというふうに実は規定がしぼってあるわけです。
○野田哲君 具体的に厚生大臣に伺いますが、昭和三十年六月二十日に、日赤の副社長名で、日赤の各支部長あてに「救護規則施行に関する件」という通達が出ております。この通達の冒頭は、本規則は、戦時、事変等において、戦傷者や捕虜抑留者等の救護に従事しと、こういう書き出しで日赤の通達が出ているわけです。それに基づいて特殊救護班員ということで、日赤でそういう勤務に従事する者についての登録がされているわけです。そういう状態は、これは憲法十八条の苦役の禁止という条項に該当しませんか。
○国務大臣(小沢辰男君) 弾が飛んでくることを全然――御通告もなかったものですから、私資料を全然持ち合わせございませんが、日本赤十字社が世界的にやはりそういうような人道的な勤めに従事するということは、これはもう当然考えておかなければいけないことでございますので、それについて特に赤十字社の方で一定の枠内で準備をしておくということは、これはもう赤十字社の本来の任務ではないかと、かように思います。ただ、具体的ないまの御指摘の文書等について私よく拝見をいたしておりませんので正確にはお答えできませんけれども、私はいま突然の御質問についての考え方を述べれば以上のようなものでございます。
○野田哲君 すでに日赤はそういう通達が出されて必要な要員の登録が行われていると、戦時体制の準備がされているということだけ私は指摘をしておきたいと思うんです。そこで、いろいろ有事立法の問題で問答をしたんですが、政府側の方は明確な答えがなかったわけです。 最後に、この問題で総理の見解を伺いたいと思うんですが、先ほど私どもの調査の結果で申し上げましたように、昭和二十九年以来今日まで、繰り返し憲法を否定するような内容の有事立法が検討されてきている。このことは事実の問題として、是非の問題はともかくとして、総理も認められたと思うんです。ここのやりとりですから。そして、いまこの野外令の問題を私が出しましたように、百三条の政令が定められていないにもかかわらず、すでに具体的な政令に該当するようなこと、あるいはそれ以上のことまで含めて野外令に記述をされているわけなんです。まさに、これは超法規行動という分野が相当私どもの見たところであるわけであります。総理が幾ら強調されても、憲法の枠内で有事法令というものができるはずはないと、私どもはこういうふうに指摘をせざるを得ないと思うんです。 まず、金丸防衛庁長官に私は指摘をしたいと思うんですが、この野外令、これはやはり総点検をして、国民の権利を侵害するような部門については改定を指示すべきではないかと。それから、法律に規定されていない分野にまで及んでいることは改定をすべきではないか。 それから福田総理、憲法を守るという内閣の義務が課せられている以上は、この有事法制はあなたが幾ら強調されても憲法の枠ではできない。これは撤回をすべきではないか、この二つのことについてそれぞれ見解を承って、次の問題に入りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 有事体制の整備、これはもうあくまでも現行憲法の枠内の問題であります。私は、これは現行憲法の中でかなりいろんな詰めができると、このように思います。憲法で認めないということは、いかなる障害がありましてもこれはいたすべきものではないと、このような見解でございます。
○国務大臣(金丸信君) 教範の問題についていろいろお話がありましたが、この教範は法律に違反しているものではないと私は思っております。また、これを撤回するというほどのものでもないと思いますし、これは防衛庁の売店に行けばみんなどんどん公に売っておるわけでありまして、ひた隠しに隠しているものでもない。私は先ほど来たびたび申し上げておることでありますし、総理も申し上げておるんですが、いわゆる憲法の範囲内でやるということで、そんなことはできるかと言うけれども、できないことはやれない、できることを考えておると、こういうことで御理解いただきたい。
○野田哲君 総務長官、最後に同和対策特別措置法の問題で伺いたいと思うんですが、七日の日に、総理と総務長官にこの問題を竹田委員と一緒に質問をして見解が出されたわけですが、今国会で決着をつけるという方向の答えが出されたというふうに聞いておりますし、幅については、現地調査の結果あるいは各自治体で要請をしている事実からしても、残事業に対しては相当長期間が必要だというふうなお答えであったと思うんですが、もうあと実質的には一週間ぐらいしかないわけです。この臨時国会は。具体的にこの前の答弁以上の措置が進んでいるのかどうか、総務長官並びに党内調整という意味で総理の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(稻村左近四郎君) 期限といたしましては、来年の三月三十一日まで期限があるわけであります。しかしながら、この延長問題をめぐっていろいろ問題のあることもよく承知をいたしております。そういう意味から、私も過去しばしばお答えをいたしておりますように、私はこれは延長すべきであると、この基本方針には変わりはないのであります。と申し上げますのは、十一省庁にまたがっておる等等等の関係から、やはりこの法律が仮になくなったとするならば、私は大変むずかしい問題が起こるのではないかと、特に残事業も三千二百六十億という、もう最近は物価も安定をいたしまして、ここ一、二年度は下がりぎみというか安定をいたしておりまするが、その中の物価上昇率等々と物も換算もしてございませんので、相当の私は残事業があるものであると、こういうふうに考えておりますので、期限の問題については、大体行政と申しますか、政府の考え方と申しますか、どの程度なければこれは完成するものではないということは私はよく承知をいたしておりますし、この前も野田委員に勧められて現地もよくつぶさに見てきておりまして、どの程度なければ完成ができないかということもわかっておりまするが、先ほど来も申し上げましたように、各党間の意見が合意に達することの一日も早いことを私は期待をしてお待ちをしておるというのが現況でございます。
○国務大臣(福田赳夫君) 臨時措置法の延長問題につきましては、これは前国会からいろいろ論議があるわけです。延ばすことにつきましては大体合意ができたと思うんです。それをしからば何年延ばすんだというところで各党間の合意ができないと、こういう状態と承知しております。 総務長官は非常に積極的にこれ急いでおるわけですから、私も同じ気持ちで、早くもう決着をつけたらいいじゃないかと、事は来年の三月いっぱいの問題ではありまするけれども、もう先国会から論議してきておる問題だから、もうこの辺で決着をつけた方がいいんじゃないかなあという感じがいたしまして、私は与党に対しましてはしばしば今国会で何とか決着がつかないかということを督促いたしておるわけであります。なおこの上とも努力をしてみます。
○野田哲君 総理の判断としてはどうですか。今国会で見通しとしてけりがつきますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は各党譲り合って今国会で決着がつけばいいがなあと考えておるんです。で、そういう方向で、どうだ、ひとつもうこの辺で決着をつけたらどうでしょうと、こういうことを与党の関係者にはお願いをいたしておるんですが、ここで私がもう今国会で決着ですと、こういうお答えはまだできません。
○野田哲君 総理は、総理であると同時に、この法案の提出の責任者であると同時に、与野党間いわゆる各党間の合意を求めて、その上でということで、政府の態度がいまだに明確になっていないわけですが、総理はやはり与党の総裁なんですから、今国会で決着がつけばいいなあなんというような、何か人ごとのような言い方ではなくて、やはり残事業は法がなければむずかしいと、こういうことでありますし、現地の実態、各自治体からの要望からしても延長は必要だということは、多くの陳情が出ているわけですから、この辺はもう総理・総裁としてもう少し一歩前に出た見解が明らかにできませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 延長は、これはやるべきだと、こういうことにつきましては、これはまあ私は各党間合意ができたと思うんです。反対の人もありますよ、ありますけれども、大体において合意はできたと思う。何年にするかということになりますと、まだちょっとその合意ができたという段階までいっておらないんです。各党といいますけれども、自民党が大事な立場におりますので、自民党に対しましては、まあ私もうこの辺でどうです。決着つけることはできませんかということを申し上げておるわけでありますから、私は独裁者じゃございませんから、よく党員の意見も聞かなければならぬという立場もまた御理解をいただきたいと思います。
○委員長(町村金五君) 野田君、時間が参りました。
○野田哲君 一言。 独裁者ではないということを言われたんですが、やはり総理・総裁として、もう少し一歩前に出たリーダーシップをぜひ要望して終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。(拍手)
○委員長(町村金五君) 以上で野田君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) 次に、矢追秀彦君の質疑を行います。矢追君。
○矢追秀彦君 私は、最初に総理に、私がこの四月の本予算委員会で五十年代前期経済計画は改定すべきであると、こう申し上げました。しかし、総理はそれに対してノーという返事でございました。しかし先日の所信表明では中期経済計画をつくると、こういうことをはっきり言われたわけですが、この半年間でどういう理由で前の答弁を翻して改定に踏み切られたんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) この半年間に、その前からも引き続きでございまするけれども、国際通貨不安、その中で円高ドル安という現象が非常にシャープな形で出てきたわけです。それに伴いましてわが国の経済情勢が、まあ全体的に見まして一変するというくらいな大きな変化を受けておる。また、それとは別の問題でありまするけれども、構造不況業種というような問題も出てきて、わが国の経済の体質に変化を求めなければならぬというような状態もありまするし、かれこれ総合いたしまして、もう二年前の五十年代前期計画、これはもう大変ずれてしまったと、そういうような認識でございます。そのずれが来た、それもわずかじゃない、相当大変なずれの来たこの中期計画をそのままにしておくことは妥当ではない、このように考えまして、今度長期計画――七年計画で前途を展望してみたいと、このように考えるに至りました。
○矢追秀彦君 総理がいま言われたことを私はこの席でちゃんと言ってあるわけです。すでにこの春の段階で、私は円高の問題についても、議事録お読みいただけばわかりますが、二百一円になる可能性も言ってあります。いま言われたようなことは全部ぶつけた上で総理は否定をされたわけです。それをいまになって、言われたことは結局五十年代前期計画、これは総理がつくられたものですね、総理が経企庁長官当時。それがすでにこのようになったということは、結局経済計画ないしまた見通しが大いに狂ったと、こう判断してよろしゅうございますか。 それからいま七年と言われましたが、いままで大体五年で来ましたが、それを七年にされたのはどういうことなのか。また七年となると、こういった不確実の時代ですから、かなり細かいところまでは出せなくなってくると思いますが、現在の経済計画よりももっと大まかといいますか、ぼんやりしたもの、あるいは目標程度を出すものと、こういうふうにならざるを得ないと思いますが、その点も含めていかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は前から申し上げているんですが、長期計画、それを変更する、それは慎重であるべきだと。しかし、経済がときどきにおいて動く、それに応じて見直しといいますか、フォローアップといいますか、そういうことは機動的に随時やるべきだと、こういうふうに考えておったんですが、何せこの半年間、相当な為替相場の変動、こういうようなことで、経済の基調、これは変わらないと思いまするけれども、とにかくずれが来ておる。そのずれが小さなずれじゃない、これは相当大きなずれだという判断になりましたので、この際、中長期計画の改定をしようという決意をしたわけです。 そこで、いままでは五年、五年で刻んであります。それを今度は七年と、こういうことにいたしましたが、やっぱり昭和六十年というのは一つの節目でございますから、それで六十年を展望しながらいろいろ他の計画なんかもつくる向きが多うございまするから、今度のつくる長期計画も別に七年というのにそう意味があるわけでもございませんけれども、まあ昭和六十年、これに歩調を合わせまして七年計画にしたらどうだろうと、このように考えます。 それからその七年の中でいろいろ近いところは展望がよくききまするし、遠いところになりますと展望がむずかしくなるという問題もあります。その辺は経済審議会がどういうふうにこれを扱ってくれますか、いずれにいたしましても、二、三年間はまだ石油ショックの余じんが多少は残る時期であろうと、こういうふうに考えています。そういう認識のもとに経済審議会がどういう計画を策定しますか、これは今後にお待ち願いたいと思います。
○矢追秀彦君 これからつくられる長期計画の柱ですが、その柱は何ですか。いわゆる総理の言われる第三の道が取り入れられていくのですか、大体のお考えといいますか、いかがなものですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 幾つか柱となるべき問題があるわけでございますが、一つはやはり雇用でございます。申し上げるまでもない問題がございます。それから経済バランスの回復、これは対外的に、それから対内的にという問題がございます。それから雇用とも大変密接に関係いたしますが、産業構造の転換といったようなものをどう考えるかという問題があろうと存じます。それらをいわゆる地域的な広がりにおいて、都市集中型でない形でわが国の経済で展開していくのにどのようにすればよいかという問題がもう一つございまして、ただいま御指摘になりました第三の道といったような問題は、主としてこの最後に申し上げました柱と関連いたしまして検討される課題だと思います。
○矢追秀彦君 その第三の道なんですが、総理は大変第三の道を本会議の答弁でも強調されておりますが、これはいかなるものですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ最近というか、ここ数カ月の論争を見ますと、公共事業か減税かというような議論が非常に盛んです。そういうような何というか、割り切ったといいますか、どっちかに一辺倒だというような考え方でなくて、もう少し考え方を幅広くゆとりのある考え方をしたらどうだろう、つまり公共投資論もあるいは減税論も突き詰めていくとこれは一緒なんですよ。私はそう思うんです。つまり、減税にいたしましても国民の生活をここで楽にしよう、こういうことがねらいでしょう。公共投資だってそうなんです。相当長い展望に立って国民生活を豊かにしようというのですから。そういう論争のある中で、そう長い目の計画ということ、あるいは目の先の国民生活というんでなくて、その中間にやっぱり国民の生活に密着した部分ですね、これを公共投資として行うという考え方、これが私は成り立ち得るものであると、このように考えまして、そういうふうな考え方に立ちますると、在来の公共事業というんでなくて、公共投資、社会投資、それには違いありませんけれども、われわれの生活に非常に身近な、つまり減税がねらうところの効果と非常に近い関係にある住宅でありますとか、あるいは下水道でありますとか、あるいはきめ細かな道路の整備でありますとか、あるいは福祉諸施設でありますとか、あるいは文教諸施設でありますとか、そういうところに着目したらいかがなものだろうかと、こういうことで第三の道ということを私は申し上げたわけであります。
○矢追秀彦君 もう一度確認いたしますが、いま総理の言われたのでいきますと、生活関連あるいは福祉関連の公共事業を優先にすることが第三の道であると、これでよろしいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 公共事業というのをそういうふうにはいままで役所では言っておらないんですよ。公共事業というと大体建設省が施行するそういう事業です。学校をつくります。これ公共事業とは言っておりません。あるいは病院をつくる、これは公共事業とは言っておらないんです。公共事業じゃないけれども、しかし減税がねらいとするような生活を支える、生活を改善するという目的のためには相当効果があるであろうという諸施設があるんです。それがただいま申し上げたような諸施設であり、また同時に私はこういうことが頭にあるんです。矢追さんも御承知のように新三全総というものができておる。そして定住圏構想、歴史と伝統に根を張った地方文化の、あるいは地方社会圏の造成、こういう問題、そういう問題もいま申し上げました生活に密着する諸施設、これと非常に結びつくので、私は一方において新三全総、定住圏構想、これを横ににらみながらそれらの施設を進めていきたいと、このように考えています。
○矢追秀彦君 公共事業もいま言った予算の面から言えばそうでしょう。しかし私たちは、そういった文教関係あるいは福祉関係も含めて、政府ないし地方自治体、いわゆる公共団体のやるそういった公共事業を優先にしたものは結構であると。そういう意味では総理のいま言われたのは決して反対ではないのですけれども、これは大蔵大臣にお伺いしますが、今度の補正予算でこの第三の道はどのような形で出てきておりますか。
○国務大臣(村山達雄君) いま総理がおっしゃいましたのは、非常に広い意味で第三の道をお話しになったわけでございます。予算でもってやっておりますのは、従来の主要経費分類で言いますと、それにはまらない、主要経費分類で申します公共事業関係費というのがかなり狭い概念でございまして、これから外れるものを予算上は第三の道として整理してあるわけでございます。第三の道という言葉は使っておりませんけれども、従来文教・科学費とかあるいは社会保障費とかいう経費分類の中に入っているもの、あるいはその他の項目、その他というところで、たとえばことしで言いますと船舶建造費、こういったものでございます。そういう従来の公共関係事業費以外のものをひっくるめましていわば括弧でくくってありまして、その分が例年と非常に違いまして千三十七億という巨額に上っておるということを明らかにしているわけでございます。 総理のおっしゃいましたのは、もう少し概念を広くいたしまして、従来の公共事業関係費の中でも生活関連のものを重視したいということを含めておっしゃったと、かように理解しているところでございます。
○矢追秀彦君 私は逆のような気がするんです。いま船舶建造費をおっしゃいましたが、これはどうして第三の道になりますか、総理いかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) 第三の道と申しますか、要するに従来の狭い意味の公共事業費からは外れているわけです。主要経費分類から言いますと。しかし、それはやはりGNPで考えますと成長要因になるわけでございます。国民経済計算上それは公共投資に該当するわけでございますから、それはひとしく中に入れて計算してある。ですから、この前申し上げました事業費二兆五千億という中にはそういうものも入っておるわけでございます。
○矢追秀彦君 ついでにほかのも聞いておきます。栽培漁業が入っておりますが、これはどういうわけですか。これは農林大臣にお伺いしたいのですが、第三の道ということをわかって要求されたんですか。
○国務大臣(村山達雄君) 農林大臣にお答えいただきます前に、私からちょっと事務的にお答えさしていただきます。 栽培漁業のいろいろな施設がございます。これは県が主体になってやるわけでございますが、それに対しまして国は補助金を出すわけでございます。これもGNPの計算上公共投資といいますか、そういうものに計算されるので、その分も含んでいるということでございます。
○国務大臣(中川一郎君) 総理が言われましたように、生活改善という意味では栽培漁業振興施設、これは来年から稚魚が放流されるというようなものでございますので、しかもこれは公共事業費でございませんので、第三の道の一つかなあということで今度お願いしたわけでございます。
○矢追秀彦君 まだ一々聞くことがたくさんありますけれど、大蔵大臣の話によると、要するに第三の道というのは、従来の公共事業関係費には入らないもので景気刺激に役立つものと、こういうことですか。
○国務大臣(村山達雄君) 基本的にそういう概念でございます。そのうち政府投資に該当するものでございます。
○矢追秀彦君 そうなると、さっきの総理の話と矛盾しませんですか。総理は生活とかあるいは福祉に大変力を入れると、これはまあ結構なことです。私は決して今回の予算要求の中身が全部だめと言っている意味じゃないんです。ただ第三の道の概念ということをはっきりしていただく上から聞いておるんですけれども、そういうことならまだやらなきゃならぬのがいっぱいあるんじゃないですか。公共事業関係費には入らなくてGNPを押し上げる要因になるようなもので政府関係のものというのは、まだいっぱいいろいろあると思うんですね。どうして今回だけこういう船舶建造費、それからその他のところにある自然公園とか、いまの栽培漁業だけを取り上げるのか。じゃ、畜産の方はどうなんだ、米はどうなんだ、農業全体をどうするのか。構造改善といったっていろいろやることがいっぱいあるわけですよ。そういった点はいかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) 総理のおっしゃった第三の道というのは、私が申しました分類よりは多分広いのだろうと思います。その点はよくわかるのでございますが、私たちが今度予算で整理いたしましたのは、そういう総理の第三の道をも含めまして、そして従来の公共事業関係費のうち、総理のおっしゃっている第三の道、つまり生活関連部門のところに重点を置いたということのほかに、従来公共事業関係費に入っていない文教あるいは社会福祉施設あるいは船舶の建造、こういうものにも力を入れたと、こういうことだろうと思うのでございます。
○国務大臣(福永健司君) 先ほどからしばしば船舶建造費などのお話が出ておりますが、私にはお声がかかりませんけれども、先ほどから総理も生活関連等の表現をいたしておりますが、御承知のように、まあ二百海里水域時代、そして領海も広げたそういう中で、現実にそういうことになったことを担保するために海上保安というようなことを強化しなければならぬことは当然でございますが、それが同時に国民生活を潤すことにいろいろなるわけでございます。また同時にこれが造船不況にもある程度助けになる、こういうようなことでございますから、先ほどから聞いていると、その他とかいうような表現で、いかにもわれわれの関係のものがその他の中のような表現でありますけれども、このその他が私は非常に大事だと思うわけでありまして、まあ付録のような表現でありますけれども、雑誌なんかでも付録がいいから買おうかというようなときだってあるんです。だから今度の補正予算の中にもこういうものが相当見込まれている、入っているということはなかなかいい補正予算であると、こういうように御理解をいただきたいと存じます。
○矢追秀彦君 運輸大臣、誤解されてるんじゃないですかね。私はけちをつけているんじゃないのですよ。必要なものですけれども、総理、いま付録論が出ましたけれども、いまの話を聞いていると第三の道は付録みたいになりますが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私から言いますと、第三の道は付録じゃないんですよ。これは本体なんです。つまり、これからの経済運営というのを考えてみますと、やっぱり衣食住といいますが、衣食は整ってきた。住宅初めその環境を整備する、生活環境を整備する、これが非常に重大な問題になってきている。つまり成長よりは生活充実へと、こういうような考え方、そういう考え方に立って予算の編成なんかも行わなきゃならぬ。確かに公共事業というのは、これは金目から言いますと、ずいぶん公共事業に今度の補正予算でも多く使っておるわけでございまするけれども、気持ちから言いますと、まあ公共事業というよりは生活関連というところに重点を置いておると、このように御理解を願います。
○矢追秀彦君 どうも総理のいま言われたこと、これはよく理解できるんですよ。私たちも前々から、産業基盤整備のための大型の公共事業は少し遠慮しても、国民生活や福祉関連をまず充実をすべきであるということをずっと主張してきたわけです。そういった意味では総理のいま言われたのはまことに結構なんですが、そういう考えから見た場合、じゃこの補正予算を見てどうなのかというと、もう一つ第三の道の定義がはっきりしていない、概念とか内容というものが。予算制度としてこれからこの第三の道はどういうふうにやっていくのだろうか。たとえば五十四年度予算、もう概算要求が各省から出ておりますけれども、これはいままでであればその中でいろいろ話し合いをして伸ばしたり縮めたりして終わりと。いまの概算要求の中には第三の道の概念は全然入っていないわけですね。これから年内に予算折衝の中で総理のリーダーシップによってこの第三の道というものを入れていかれるんですか。要するに来年度予算の予算書のつくり方も変わってくるわけですか、その点いかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) 今度の概算要求は、前にも申し上げましたように、景気対策という観点は除きまして、骨格的な概算要求を求めているわけでございまして、これをいよいよ編成するときには来年度以降の景気情勢を考えつつ肉づけをしていくわけでございます。そのときには総理のおっしゃいました第三の道というものはやはり大きく取り上げるべきであろうと、このように考えているわけでございます。しかし、個々の問題についてそれをどのように生かすかという問題になりますと、これは予算編成の過程で具体的に考えてまいりたい、かように思っておるところでございます。
○矢追秀彦君 予算書をつくりかえることもあり得ますか、予算書の編成はかえますか、項目的に。
○国務大臣(村山達雄君) 予算書の編成をかえるというところまでは考えておりません。もしそういうものがありますれば、それはそういう角度からまた別の補充的な資料を出すことは考えられると思います。
○矢追秀彦君 総理が第三の道を本格的にお考えになって強力に進めようとされるならば、予算編成のあり方から変えていかなきゃいかぬのじゃないかと思います。こういうふうな補正予算のこういう項目でいきますと、いま運輸大臣が言われたように付録ということになって、付録がいいんだという話が出てくるわけで、もうちょっと抜本的に変えていかなきゃならぬと思う。そういったものが今度の経済計画の改定あるいは総理の言われた新三全総、そういったこととも絡んで出てくると思うんですが、その点はかなり抜本的に予算というものをつくり直されるお考えはあるのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたような思想で長期計画ができるわけです。その長期計画にのっとって予算も編成されると、こういうことになるわけであります。相当大きな傾向変化ということは出てくると思うんですが、これを予算書の上でどう扱うということは、これは非常に技術的な問題でありまして、いま私の頭に予算書の款項を変えるという、そういうことはありませんけれども、これは第三の道というか、生活関連といいますか、そういうものにはどれくらい今度はウエートがかかっておるかというようなことは国会で説明する上においてはこれを明らかにしたいと、このように考えます。
○矢追秀彦君 今回の第三の道で文教・社会福祉施設は結構なんですが、ただ補助基準とか単価の改正というのは行っていないわけです。やはりこれを行わなければ、本当に総理の言われるような第三の道への重点的な変革といいますか、できてこないと思うんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) この問題は地方財政との相関関係でございまして、事務配分をどうするとか、それに伴って税源配分なりあるいは財源配分をどうするかという問題と密接に絡んでまいりますので、一般的に申しますれば、やはり関係の方の自治省とも相談しながら慎重に検討しなければならぬと思っております。しかし、同時にまた別の角度から申しまして、超過負担の解消に努めていることは事実でございますから、その方の作業はその方面から鋭意やはり検討を進めていきたいと、かように考えております。
○矢追秀彦君 自治大臣、いまの質問はいかがですか。 それと、第三の道となりますと、かなり地方自治体というのが財政的にきちんとしていかなければこの第三の道は達成できないと思うんですが、政府直轄ばかりじゃありません、むしろ地方の方が多いわけですから、その点も含めまして、いかがですか。
○国務大臣(加藤武徳君) 御指摘のように、いわゆる第三の道は生活関連あるいは文教、福祉等が多いものでありますから、地方団体が地域住民に密着をした仕事の方がうんと多くございます。そこで、いま御審議いただいております補正予算案の中にも地方負担分が約三千二百三十四億円ございますが、これは全額起債で処置をすることにいたしておりまして、ことに補助事業につきましては、その八〇%を政府資金を充当いたすと、かようなことでございますから、まず大丈夫でございますし、それから生活関連施設では地方単独事業も相当あるわけでありまして、この二千七百億円はこれまた全額起債で充当する、かようなことでございます。そして、交付税の計算におきまして、一定のルールで算定して、そして基準財政需要額に算入して所要の財源を確保すると、かような方法をとっておりますから、まず大丈夫であろうと思うんでありますけれども、先ほど御指摘の超過負担の問題がございまして、単価やあるいは補助の範囲等が十分ではございませんので、その面の超過負担もございますし、さらにデラックスなものを建設することなどによりましての超過負担もあるのでございますが、しかし、できるだけ超過負担を軽くしてまいりませんと地方は大変に困ることでありますし、ことに法定されているものにつきましては超過負担は財政を乱すものであると、こういう考え方のもとに今後も各省庁と話し合いをして対処してまいる、かようなつもりであります。
○矢追秀彦君 大蔵大臣にお伺いしますが、この第三の道と国庫債務負担行為、これは大変関係があまと思うんですが、今度の補正における国庫債務負担行為、特に文部省の公立学校、それから体育施設補助金あるいは厚生省の国立病院特会、この内容について御説明いただけますか。
○国務大臣(村山達雄君) 個々の問題につきましてもし必要があればまた政府委員から答弁させますが、一般的に申しますと、国庫債務負担行為は、もう御承知のように会計年度独立の原則が十二条に決めてございまして、その年の経費はその年の歳入で賄わねばならぬと、こう言っているわけでございます。ところで、一つの事業を見た場合に、それが翌年度にまたがるということが十分あり得るわけでございますので、翌年度にかかる分は、その支出はことしは必要ございませんが契約は結んでおく必要があるわけでございますので、その分については財政法の十五条の定めるところによりまして、これだけ契約権限を与えていただきたいということをそれぞれ事項別に明らかにいたしておりまして、その分がそれぞれの事項別に債務負担行為として計上し、そして国会の御審議をいただきたいと、こういうつもりで載っけてあるわけでございます。
○政府委員(長岡實君) お答え申し上げます。 今回の補正で講じました国庫債務負担行為につきましては、いわゆる第三の道に当たるものといたしまして、文教・社会福祉施設等で六百八十四億円、それから巡視船等のグループが三百三億円、これが一般会計でございます。それから特別会計といたしましては、国立学校特別会計が百十二億円、国立病院特別会計二百十三億円、その他に研究学園都市の施設等の特特会計が八十五億円ございます。これが今回御審議をお願い申し上げております債務負担行為の全体の数字でございます。
○矢追秀彦君 当年度と後年度を分けられますか。
○政府委員(長岡實君) そのうち五十三年度に歳出化いたします分が、文教、社福系統で二百七十四億円、それから巡視船等で百五十二億円、国立学校特会が四十五億円、国立病院特会百億円、特特会計五十一億円、これは当該年度分の歳出予算の中にも含まれておるわけでございます。
○矢追秀彦君 結局第三の道、これは大蔵大臣、来年度以降の予算の先取りということになりませんか、いまのことから言いますと。
○国務大臣(村山達雄君) 先ほど御説明いたしましたように、工事がやっぱり二年度に分かれているものでございますから、先取りということにはなりませんけれども、契約はさしていただきたい。当然その分は来年度以降歳出としてまた来年度の予算で御審議を改めていただくことになるわけでございます。先取りということにはならぬと思います。
○矢追秀彦君 実際、国庫債務負担行為というのはかなり条文解釈上も厳格にやらなきゃいけないものであるわけです。それはいまの大蔵大臣の答弁はわからないわけじゃないんですが、今度の第三の道、総理が大変鳴り物入りで宣伝をされておる。それにしては五十三年度分というのは非常に少ないわけですね。だからこの補正予算自体も実際は少ないじゃないかという議論が大変出てくるわけですけれども、この第三の道も結局はそういうまたがる、またがるといいながら、それも含めてこういう大きい数字であらわしておいて、そして第三の道なんだ、こういうふうに、私はひねくれているかもしれませんが思われてならぬわけです。もう少し国庫債務負担行為というものがこういった景気刺激に使われることがいいのかどうか。財政法の十五条ございますけれども、この点はいかがお考えですか、大蔵大臣。これは総理にもお伺いしたい。
○国務大臣(村山達雄君) これは前にも申し上げましたけれども、二兆五千億の問題でございまして、二兆五千億のうちいろいろな国庫債務負担行為が二千五百億ございます。これは後年度の分でございます。そのうち直接今年度の景気に関係のある公共投資は二兆でございますということを概括的に申し上げました。いまおっしゃった文教とかあるいは社会福祉施設、船舶等について具体的に申し上げますならば、国費で千三十八億、財政で千三百十三億、これは今年度の分でございます。ですから、やはり相当大きなものである、このように思っているところでございます。
○矢追秀彦君 主計局長、通告はしていませんが、五十三年度がゼロであと全部後年度へ回したもの、国庫債務負担行為で、こういったものはどういうものがございますか、主なものだけで結構です。たとえば利根川の十九億とか、北海道の中央施設二十五億とかあるわけですけれども。
○政府委員(長岡實君) 国庫債務負担行為につきましては、原則としてやはり当該年度に契約をいたしますので、当該年度に若干の歳出が入っておるわけでございます。相当部分が国庫債務負担行為として来年度にまたがるものがあるわけでございますが、先ほど申し上げましたような数字で、本年度の予算に歳出予算として計上されている分は比較的少ないということでございますが、御質問の趣旨は個別の個所別――ちょっと調べましてすぐ御返事申し上げます。
○矢追秀彦君 大蔵大臣、さっき私が申し上げた後の質問にお答えいただいてないのですけれども、要するに財政法上でもこの国庫債務負担行為はかなり厳格にやらなきゃいかぬということを言っておると思うんですが、こういうふうなことでずるずるずるずる行っていいのかどうかということです。
○国務大臣(村山達雄君) 国庫債務負担行為に関する規定は財政法第十五条に規定してあるわけでございます。それから会計年度独立の原則というのが、これは歳入対経費の関係、実際の支出関係が十二条に規定してございます。そういう面から形式的に申しますと、国庫債務負担行為というものは財政法第十二条とは違うということは御理解いただけると思いますけれども、一般的な趣旨から申しますと例外的なやはり規定であろうということは言えると思います。しかし、今度つけました国庫債務負担行為はあくまでも財政法第十五条にのっとって、それを遵守いたしまして正確にやっておるわけでございますので、その点は御理解いただきたいと思います。
○矢追秀彦君 第三の道も私から言わせるともうひとつ概念がはっきりしておりませんので、今後総理の方できちっと概念、内容、予算における制度としてのあり方、いまだとただ突っ込んだだけの感じもします。雑炊のような感じを受けるわけです。 次に、経済見通しについてお伺いをしたいと思います。今回かなり改定は早い時期にされましたが、その理由はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 当初予算におきまして公共事業等予備費二千億などを予算化いたしておりましたが、これは御承知のように保留をいたしておりました。いっか解除をするときに備えておったわけでございますが、たまたま、いろいろ理由はございますが、一番身近な理由といたしまして、かねてから政策努力をしておりましたところではありますが、四月ごろから輸出がかなり数量で減り始めまして、輸入の数量の増が見えるようになりました。そこから来ますGNPの落ちを内需の充実によってやはりカバーをしていかなければならない、こういうふうに考えましたのが一番身近な補正の理由でございます。
○矢追秀彦君 日銀総裁は時間がないとおっしゃいますので、恐縮ですが日銀総裁を先に少しやらしていただきます。 日銀総裁に対しては国際経済の見通しについてお伺いをしますが、米国から今回大きなミッションが日本へ来ておりまして、輸出振興策を一応やる構えばしております。ですからエネルギー法案も少しはまあ見えてきている面もございます。国会の通過が。しかし依然として石油の輸入は多いし、この輸出振興策とても私は余り効果がないと。ということは米国のドル防衛はそう軌道に乗らないのではないか、その場合、今後ともやはり円に対する投機的な動き、攻撃等が始まるのではないかと憂えているわけですが、その点の見通しはいかがですか。
○参考人(森永貞一郎君) 昨今のように各国の利害関係が非常に絡み合っておりまして、特に基軸通貨国でございますアメリカの経済情勢が日本だけでなくて世界各国の経済に非常に影響がございますので、私どもアメリカの経済の推移につきましては終始注目しておる次第でございますが、この八月にカーター大統領がドル価値の維持の決意、インフレ抑制の非常な強固たる決意の表明がございましてから、その後いろいろな施策が相次いでおる次第でございまして、一ときのようなドルの信認に対する絶望的な感じはだんだん薄らいできておるような感じがするわけでございます。そういう情勢を映しまして、ドルの為替相場も一ころに比べると安定的な雰囲気になっておりましたのが、この一、二週間またスイスフランの動向、ドイツマルクに対する投機の集中というようなことが起こりまして、海外の市場ではドイツマルク高というようなことで日本円にも若干の影響が起こっておるのが現状でございます。全体の見通しといたしましては、先般のIMFの会議でも大方のコンセンサスが得られたようでございますが、一概に楽観はできないけれどもやや明るみが出てきたという、当時言われておりました言葉はコーシャスオプティミズムというような、注意深い楽観主義というような言葉が使われておりましたが、やや前途について暗い一方じゃなくて、明るさが加わってまいったような感じで見ておる次第でございます。今後アメリカのインフレ対策などはさらにいろいろと打たれるものと期待しておるわけでございますし、アメリカのそういう努力が功を奏し、また変動相場制もここまで動いてまいりますと、やはり貿易調整の効果がだんだん出てきておるわけでございますので、各国の国際収支の均衡というようなこともだんだんに出てまいるのではないかと。まあ少しずつよくなるというような感じを持ってもいいのではないかという期待をいたしておるのが現状でございます。
○矢追秀彦君 御承知のように、日本の輸出が大変減ってきておるわけです。これがかなりこれからも減っていくという場合、円レートにどう響いてくるのか。しかし数量が減っておりながら、黒字がそう減っていないということで依然としてアメリカは日本に対していろいろな要求をしてくる、そういったことも考えられるわけですが、その辺はどうごらんになっておりますか。
○参考人(森永貞一郎君) 輸出の数量はかなり顕著に減少しておるのでございますけれども、このドル建て価格の引き上げの点からの余地が、アメリカのインフレなどもございまして、いままでは比較的余地が多かったというようなことでございましょうか。したがいまして、円高によるこの手取りの減少のかなりの部分をドル建て価格の引き上げによってカバーしてくることができたのがいままでの状態でございました。しかし、その辺はやはり限界があるわけでございますので、これからいままでのようにどんどんドル建て価格の引き上げによってカバーできるかどうかとなりますと、これは物によって違いますけれども、だんだんむずかしくなってきたものが多いのではないか。そうしますと、逐次この金額の面での輸出にも増勢の衰えが今後出てくるのではないか。四-六に比べまして七-九、九はまだわかりませんが、はっきりとこの経常収支の金額で計算した黒字額も減少に転じておりますので、だんだんこれから金額でも減少の傾向が出てくるのではないかと見ております。
○矢追秀彦君 宮澤長官にお伺いしますが、この春の予算委員会当時は、大変まあ緩やかないわゆるローザ構想あるいは宮澤構想とまで言われたターゲットゾーンの設定ということがかなり言われてきましたが、最近は余り宮澤さんもそういう発言はしておられないようですが、こういった安定しつつあるときにこそそういった、もし検討されるとするならば、そういう検討が出てくるのではないかと思うんですが、その点はいかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 変動相場というものを固定相場に返すということは、見通し得る将来なかなかむずかしいのではないかと思いますので、まさにおっしゃいますように、だんだん落ちついてきたときにこそ何かこう余りきついものでなくとも、この安定圏のようなことがだんだん考えられるのではないかという期待を私はやはり依然として持っておるわけでありまして、あのころにもそういう議論がございました。何分にもあらしが吹き荒れているときには見当のつけようもないではないか、少し静かになってからならまたというような議論もございましたのですが、固定相場ということが事実上考えにくうございますので、あるいはまたそういったようなことに落ちついてきて、なってくれればという希望は依然として私は持っております。
○矢追秀彦君 総理、恐縮ですが、この問題についてお答えいただきたいんですけれども、総理は私の質問に対しても、本来は固定相場制論者であるということをはっきり言われましたね。いまの宮澤長官のお話だと、固定相場は無理だと。しかし、こういった安定期には考えてもいいと、こういうことですが、総理のお考えと、もしそうなら、次にまた、サミットが今度東京であるときには出してみられるお考えはあるんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は国際通貨制度につきましては大体宮澤長官と考え方は同じでございます。まあ終局的に私は固定相場がいいと思うんです。しかし、今日のような主要な国々の間にあるいは物価あるいは国際収支あるいは景気、そういうところにでこぼこがある、激しいでこぼこがある。そういう状態でとても固定相場制といってもこれは維持できません。そこで変動為替制と、こういうことになっておるわけでありますが、この変動為替制もだんだんだんだん秩序を立てなきゃいかぬと思うのです。もう変動為替制だからもう無原則、無秩序に為替相場が変動していいかというとさにあらず、やっぱり変動制のもとにおいても何らかの秩序を求めなけりゃならぬだろう、このように考えるわけでありますが、何といってもアメリカのドルが基軸通貨であります。そのアメリカが、国際収支が大変な赤字である。またインフレ率が非常に高い、こういう状態。これは克服されることが必要であると、このように考えますが、アメリカでもそのことはよく認識してきておるようです。またそういう立場に立ちましての施策が逐次とられておる。アメリカの状態が安定化に向かうというようなことになれば、私は変動為替制下における何らかの秩序というものを打ち出してしかるべき時期になるんじゃあるまいか、そのように考えております。
○矢追秀彦君 日銀総裁、あと一つの問題をお願いしたいんですが、過剰流動性が大変心配もされてきております。これからもし仮に円高が、まあなければいいんですが、続いた場合は、やはり過剰流動性の可能性が出てまいります。 それからもう一つは、いまの円高が続いた場合、四十六年の例になるわけですけれども、今回補正もかなり大きい補正ではありますが、また来年度五十四年度予算もかなり概算要求等から見ますと大型の予算になってきております。そうしますと、やはり国債発行ということも依然として避けられない。なかなか政府の目指す五十七年度に国債をなくすということはむずかしいんじゃないか、赤字国債、そういうふうにも考えられます。その場合、やはり過剰流動性、現在の動きの上から、現在M2がたしか一%ですか、なっておると思いますが、現在の状況、それから今後どういう条件の場合起こり得るのか、それに対する歯どめはどうなのか、その点お伺いしたいと思います。
○参考人(森永貞一郎君) 現在のところマネーサプライの動きに非常に心配な要因が加わっておるとは思っておりません。なるほど昨年の秋からことしの初めにかけまして、マネーサプライ、いわゆるM2の動きは一〇%台で推移いたしておりましたのが、最近は一一%から一%台、七-九月は私ども初めて予測を発表いたしまして、一一%台、上振れいたしましても一%そこそこという予測を公表いたしたのでございますが、結果としては恐らく一%を〇・二、三%上回るようなこの程度の増勢でございますれば、十分説明もつく程度の範囲内でございますし、いますぐにマネーサプライの動向が心配な状態にはないと思っております。 一つには、景気の動向がいま一つはっきりいたしませず、投資意欲等も沈滞したままでございますので、企業の資金需要が比較的鎮静した状態がずっと続いておるわけでございます。マネーサプライ増加の要因、大きな要因はやはり財政と金融でございますが、金融の方はそういうことで、余り変化がございません。財政の方は昨今少しずつ増加いたしておりますけれども、民間資金のいまのような状態が続く現状においては、やはり大した増勢にもならないで済むのではないか。ただ、今後景気がだんだん回復してまいりまして、民間資金の需要が出てきた場合にどうするかという問題、これはマネーサプライのコントロールにも非常にむずかしい問題を投げかけるわけでございますので、私どもといたしましても、そういう事態に備えて、いまからいろいろなことは考えておかなければならぬと思っております。公民の資金需給の調節をどうやってうまくやるかという、そういう問題になるわけでございまして、民間資金の需給の調節にわれわれとしては一層努力をしなければならぬことはもちろんでございますが、同時に財政の面でも、たとえば公債発行高等について適切な御配慮をいただくような必要も将来は出てこないとも限らないと思っておるわけでございまして、その意味から申しますと、やはり金利の自由化によって、金利機能がフルに発揮されるような、そういう状態をやはりいまからつくるように努力してまいることが将来に備えるゆえんじゃないかと思っておる次第でございます。
○矢追秀彦君 大蔵大臣、いまの問題について、大体日銀総裁と同じ考えですか。特に、最後の金利の自由化はどうですか。
○国務大臣(村山達雄君) いま日銀総裁がおっしゃったことについては、基本的には同じように思っております。 二点だけ申し上げますと、やはり財政と金融のかかわり合いの問題でございますが、現在のところは私もマネーサプライがそんなに心配だとは思っておりませんが、将来民間資金需要が出てきたときに、財政の方はよほど節度を保っていかないと、全部が金融当局にしわを寄せてしまうわけでございます。その場合はなかなかむずかしいということは過去の実例が物語っているわけでございまして、それであればこそいろいろな、財政上の節度維持のいろいろな規定が入っているのも、さような経験にあるのでございまして、頭の上で考えて、その場合にはこういうマネーサプライのやり方をすればいいじゃないかというようなことでは、なかなか実際問題としてはうまくいかないのでございまして、財政も当然そのときの用意をしなければならぬ。われわれが赤字国債から早く脱却すべきであるということを申し上げているのも実はそこの接点を考えているからでございます。 金利自由化の問題につきましては、私は一般論といたしましては日銀総裁のおっしゃったとおりであろうと思うのでございますが、ただ日本の実体経済というものが、やはりいろいろな二重構造あるいは三重構造というぐあいに、いろいろあるわけでございます。そういう問題を片面で見ながらやっていかなければならぬのでございます。その問題は主として政府機関側の金融機関が受け持つ問題にはなりましょうけれども、今日それがかなりまだ大きいのでございます。われわれは、金利の自由化という問題を通じまして、それを漸進的に進めることによって、そしてまた実体経済の方もそれと相呼応して、二重構造のようなものは早くなくなる。そのときには、本当に金利の自由化というのが一般金融、政府金融ともに行われる地盤が完全にそろってくるのじゃないであろうか。早くそのときが来るように望んでおりますし、その方向でやってまいりたいと、かように考えているわけでございます。
○委員長(町村金五君) 森永参考人には御多忙のところ御出席をいただき、ありがとうございました。御退席くださって結構でございます。
○矢追秀彦君 それでは、経済見通しの改定の問題に戻りますが、昨年とことしともやはり大変似た状況が出てきていると思います。特に違っているのは、私は輸出の減だと思いますが、成長率を四半期ごとにとってみますと、かなり上半期ではよくても下半期、後の方でだめになってくる、こういうのが出てきておりますので、 〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕 昨年が六・七と変えられたのが五・五しかいかなかった、そういった反省の上から今年度も補正予算等を組まれたと思うんですが、私は、いままでの状況から見まして大変七%がむずかしいと、こういうことをいまから逐一理由を挙げて申し上げたいと思います。宮澤長官としては、今後ともこれはできるという見通しをお持ちですか。七%程度は必ずできると、それだけの根拠はお持ちだと思いますが、その点いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 輸出入という新しい要素はございますけれども、まずまず大体いけるのではないかという感じを私はただいま持っており ます。
○矢追秀彦君 いま申し上げました四半期別の成長率をとってみますと、昭和五十一年の四月から六月が一・四、七から九月が〇・九、十月から十二月が〇・八、五十二年に入りまして、一-三月が一・八、四-六月が一・八、七-九月が〇・一、十月から十二月が一・五、本年に入りまして一-三月が二・五、四-六月が一・一、こういうふうなデータが出てきておるんですが、一応統計をちょっとグラフにしてわかりやすくさしていただきましたが、この黒いのが成長率です。この横のは寄与率、実質国民総支出の需要項目における寄与率を出してみました。個人消費、民間部門、経常海外余剰、それから政府支出等、こうやってみますと、やはり五十二年度は特に民間部門が足を引っ張って、大変、特に鉱工業生産なんかこうなっておりますし、それから景気動向指数は、御承知と思いますが、こういうふうに大変マイナスが四-六から六、七、八、この辺で出ておるわけです。ことしはいま申し上げた輸出の減というのが大変この寄与率の場合足を引っ張る。これが四-六月ですでにこうですから、今後かなり減ってくる可能性が出てきますと、私はいま長官が言われたようなことにならぬ。また去年と同じようになってしまう。それを裏づけるように民間でも、民間の見通しというのはかなり政府よりも下回っていることは御承知のとおりです。また、きのうの新聞によりますと、山一証券の方は四・八という数字を出しておりますね、補正予算の見直しも入れて。そうすると、かなり政府より下回っているというのが出てきておりますが、こういった点から言っても、長官、依然として七%程度はできると。私はできないという一つの、これは一つの例です。後でまたいろいろ申し上げますが、これはいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 輸出の減少による増加ということはこのたびの見通し改定の場合にはかなり読み込んでおりまして、年度といたしましては、寄与率で海外関係がマイナス一・二と、かなり大きくマイナスを見込んでおります。したがいまして、内需の成長は八・二必要だということになりまして初めて七になるわけでございますが、その程度の輸入増、輸出減は見込みまして実は考えております。問題はそれ以上にその幅が大きくなるかどうかということでございますけれども、何分にも輸出につきましては一-三月期の駆け込みの輸出がかなり多うございまして、その反動減が四-六にあらわれておるというふうにも見られますので、四-六が落ちましたほど今後ずうっと落ち続けるというほどまでに考えなくてもいいのではないか。それでも年度間といたしましては数量で六%ないし七%の減少を見込みました上でマイナス一・二というふうに考えておるわけでございます。
○矢追秀彦君 いま輸出数量の減少が経済成長率を下方に押し下げる、これはそのとおりでして、いまマイナス一・二と言われたのは、これはGNPベースなのか、IMF換算の輸出あるいはドルベースなのか。その点いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げましたのは、先ほど矢追委員が言われましたのと同じ七%成長に対する寄与度でございます。マイナス一・二、その中で実は輸出がマイナス〇・二で、輸入がマイナス一でございまして、輸入の増の方がこたえ方としては大きくこたえますが、いずれにしても両方ともマイナスにこたえるわけでございます。寄与度でございます。
○矢追秀彦君 いろいろな計算もあると思いますけれども、五十二年度平均レート二百五十八円、現在百九十円、こういうことになって、仮にまあ若干戻しても二百円そこそこ、そういった場合、二百円で計算をし直した場合はもう少しふえるんじゃないですか、マイナス一・二が。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私ども大体四月から七月までは実績のレート、二百十五円ほどでございますが、を使っておりまして、それから後はほぼ二百円ということで仮に置きまして計算をいたしております。非常なまた円高になったということになりましたら別でございますが、まあ数量で六%ないし七%の輸出の減というのはほぼ穏当なところではないかなとただいまとしては考えております。
○矢追秀彦君 私はもっと大きくなる、極端に言いますと三%近く減るのではないかと、このように計算を実はしておるわけですけれども、それは、その議論をやっておりますと余り時間がありませんので、また次の機会に譲らしていただきます。 昨年と非常に類似しておるということで、まず個人消費支出、これは五十二年当初、改定見通し、実質、これはどうなっておるのか。パーセントと金額、両方言っていただけるとありがたいです。それから、その次に民間企業設備、それから民間住宅、こういった点で去年の実績を言っていただたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実質値で申し上げました方がわかりやすいと思いますのでそうさせていただきます。昨年度の、昭和五十二年度の消費支出は前年度に比べまして三・七のプラスでございまして、ことしは五・三を見ておりますが、なお、今年度見直しをいたしましたときに変えましたのは雇用者所得、いろいろ春闘あるいは公務員の勧告等々から雇用者所得一人当たりをかなり落としております。しかし、結果といたしましてはデフレーターがかなりよくなっておりまして、実質は五・三、皆当初と変わらずに考えております。あと企業設備投資は大体当初考えておりましたのと大きな違いはございません。非製造業中心の伸びでございますが、変化と言えば多少デフレーターがよくなっておりますので実質値が多少上がっておる、大体そんなことでございます。
○矢追秀彦君 去年は、個人消費支出は大体実績と改定で三%違いますね。それから民間住宅は、これは大変落ち込んでおりまして、改定で一七%が実際は六・五%。民間設備投資は、これはまあ六%から四・四。しかし、最初が八ですから、これは下方修正。今回の、本年度は一一%と、民間設備投資は上方修正されております。民間住宅あるいは個人消費、実際五十三年度私も大変楽観はできない。いま長官は大丈夫だとおっしゃいますけれども、現実にこれは、特に民間住宅などは昨年はがたんと違うわけですから、やはりことしもそう変わらない状況だと私は指摘せざるを得ないんですけれども、それでもなおかつ七までいくのかどうか。私は五・五ないし五・六ぐらいが大体妥当ではないかと、こういうふうな私自身のいろんな計算方法から申し上げておるんですけれども、その点は政府と大分違うわけですけれども、私の方の計算が正しくなるか、これは将来のことですからわかりませんけれども、来年の予算委員会のときに答えがはっきり出ておると思いますけれども、私はそういう考えです。通産大臣は大体どんな感触ですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 私もいま宮澤長官がお述べになりましたことと大体は考えは一緒なんです。ただ、何分にも急激な円高ということのために輸出が相当落ち込みますので、現在のところは数量的には六、七%ぐらいの落ち込みかなと、こう思っておりますけれども、これが大きく違うとか、あるいはまた新しい変動の要素が別に出てくるとか、こういうことになりますと話は別になりますが、しかしながらこの予算委員会を通じまして総理も宮澤長官もこれからの経済は機動的に運営をすると、そういうお話でございますから、私はこの点が一番大事じゃないかと思います。要するに、機動的に運営をする場合に機動的に運営をできるだけの力を日本経済が持っておるかどうかということだと思いますが、その点に関しまして、私は日本経済は十分な力を持っておると、このように理解をしております。
○矢追秀彦君 総理、総理もこの表をよく見ておいてくださいね。 この二・五というのは、今後七%をやるためにはこれぐらいいかなきゃだめなんですよ、各期。これから後三月までね、一-三月、十-十二月、それから七-九月ね、いままでこういう二・五とか、この春はできたんですけれども、後半でこうやったことないんですよ。これは前も調べたらおわかりになると思いますが、要するに下半期というのはいつも下がっているわけですよ。だからもうこういう例からいきまして、いまの経済の大体の動きからいって、相当内需が強力に上がらぬ限りは絶対いかないですよ。極端に言うと高度成長のスピードに、いま通産大臣はあるとおっしゃいますけれども、いかないと七は絶対いかない。こう私は確信をしておるわけですよ。しかもこの補正予算で果たしてどれだけの内需拡大までいくのかどうかも疑問ですし、私はそういういろいろなところから五・五、六しかいかぬというのが私の予想です。総理いかがですか。それでもなおかっこの二%台の成長をあと三期にわたってやれるだけの自信がおありですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま日本の経済全体として見まするときに、どうも弱い点はこれは円高なんです。ほかの要素というのは大体順調に動いておる。国民消費もこれは着実と言っていいと思うんです。それから住宅もかなり活発にいま進んでおります。それから設備投資は、一般の製造業の投資こそ起こりませんけれども、電力は政府の方でもお願いをしておるわけですが、かなり進むわけであります。で、政府見通し程度のものは確実に実現できる、あるいは余りが出るかもしらぬ。それから政府のあれがあるでしょう、今度の予算も加えましての公共投資、これも非常に高い水準でございますから、内需の方はすべていいんですよ。ただ問題は輸出がどの程度になるか、いまは数量的に七%ぐらいは減るだろうと、こういうふうには見ておりまするけれども、その辺がどういうふうになりますか。まあ大体その辺でおさまるんじゃないでしょうか。そんなふうに見ておりますが、そうしますと輸出がそれだけ減る落ち込み、これを補うにはどうするかというと、今度の二兆五千億円のGNP効果を持つところのこの補正予算その他の諸対策、これでまあ大体カバーできると、こういうふうに考えているんですが、私は七%成長に自信を持っています。
○矢追秀彦君 結果はまた来年の予算委員会で、総理がそのまま総理でいらっしゃったら、私の方が正しかったか総理が正しかったか議論したいと思います。 次に、公取委員長と通産大臣にお伺いしますが、円高に伴う下請企業への不当なしわ寄せ、これに対する九月二十日に出された文書。これの説明、それから現状、検査方法等について伺いたいと思います。
○政府委員(橋口收君) 九月二十日に通産大臣と連名で「円高に伴う下請取引の適正化について」という要望通達を出したのでございますが、要請書といたしましては四千七百五十四通発しております。さらに主な親事業者の団体を通産省に招致をいたしまして、公取の関係官立ち会いのもとにその趣旨の徹底を図ったところでございます。こういう通達を異例な措置でございますが、特に用意をいたしましたのは、最近の円高に伴いまして親事業者の下請事業者に対するいわゆる締めつけが強くなりつつある、こういう情勢判断をしておるわけでございまして、現在の下請行政は、御承知のように下請代金支払遅延等防止法という法律の題名で明らかになっておりますように、主として親事業者の下請事業者に対する支払い条件の改善、是正ということが中心でございますけれども、昨年の半ば以降からの円高に伴いまして、親事業者の下請事業者に対する契約単価の不当な切り下げ、不当な値引き、あるいは不当返品というような実際の取引に伴う問題が発生をしてまいりまして、そういう点に対する下請事業者からの要望、申告等も逐次ふえつつあるような状況でございます。 また昭和五十三年度予算におきまして、公正取引委員会に百三十四万円程度の金額でございますけれども、下請取引の実態に関する規制措置に関する予算措置が認められた関係もございまして、この予算を行使いたしまして、すでに下請事業者に対しましての実態調査の調査表も配付いたしておるところでございまして、そういう実態関係、実体経済の変化に伴いまして、下請行政の重点も漸次、従来の支払い条件の改善から実体取引の是正に向かうべきではないか、こういう認識を持っておるわけでございます。また下請事業者からの申告の件数、それから中小企業庁長官から公正取引委員会に対する措置請求もふえてきております。そういう点から申しまして、現在の下請行政というものは大変重要な段階に差しかかっている、こういう認識に基づいて、従来以上にその行政を強化してまいりたいというふうに考えております。
○矢追秀彦君 通産大臣にお伺いしますが、下請が単価を引き下げられておるそういう理由ですね、およそ親企業からどういうふうな名目で言われているか御存じですか。
○国務大臣(河本敏夫君) いま下請関係の法律に下請代金法と下請振興法とがありますが、この二つの法律に基づきまして下請に対する不当な圧迫がいかないようにいろいろ配慮をしておることは、いま公取委員長がお述べになったとおりでございます。ただ、このような急激な円高ということになりますと、親会社自身が非常に大きな打撃を受けておりまして、もともとその場合に、親会社自身の合理化によってこの問題を吸収しなければならぬという立場でありますけれども、ややもしますと下請に対して不当な圧迫、しわ寄せがいきつつあるということは、これはもう御指摘を待つまでもございませんで、私どももよく承知をしております。 その理由につきましては千差万別です。それぞれのいろいろな理由でしわ寄せが行われておる。企業ごとに違っておりますし、また業種ごとに違っておりますが、要は不当なしわ寄せがきますと、これはわが国の産業全体に大きなひびが入りますので、そういうことのないように通達を出しますと同時に、いろいろな調査等も並行して進めまして、できるだけのことはしなければならぬと、こういう姿勢で取り組んでおります。 〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕
○矢追秀彦君 通産大臣に実情をよく知っていただきたいために申し上げますけれども、大体どういうときに引き下げがやられているかと言いますと、オイルショックのときはもちろんそうですし、あるいはドルショック、円高、また課長就任祝いのために値下げ一割というのがあるんですよ。 それから大臣、「かんばん」方式というのを御存じですか。御存じなかったら公取委員長。
○政府委員(橋口收君) 「かんばん」方式と申しますのは、一昨年ごろからトヨタ自動車工業が下請事業者に対してとった措置でございまして、いわゆる在庫管理の革命と言われているものでございますけれども、一言で申しますと、親事業者が在庫品を持たないで下請事業者が在庫品を持つと、そのために従来の発注方式に対しまして基本的な変更を加えまして、内示数量を掲げて、下請事業者はそれを見て生産をする、それで指定された日に注文品を納める。その場合に、最初の内示数量と決定数量との差等がほとんどない場合はよろしいわけでございますけれども、差があります場合にはその影響が下請事業者に及ぶという問題でございまして、これは昨年公正取引委員会でトヨタ自動車工業に対して指導をいたしまして、その内容につきましては改善措置がとられております。ただ、自動車工業につきましてはそういうことで改善措置がとられましたが、トヨタ系列の各社におきましてやはり同じような方式を採用いたしまして、それに伴いまして幾つかのトラブルがございました。これもことしに入りまして公正取引委員会が指導いたしまして、ほとんど例外なしに是正の措置が完了いたしております。その中には契約単価はそのままにしておきまして、いま課長就任祝いとおっしゃいましたけれども、その契約単価はそのままにしておきまして、一定の率で金額を召し上げる、こういう措置をとっておったトヨタ系列のある会社がございまして、これに対しましては指導いたしまして、一律に徴求いたしました金額を小切手で返還すると、こういう措置もとらしておるところでございまして、いまおっしゃいましたようないろいろな事件に籍口して金を取り上げたり、あるいは単価を切り下げるという措置に対しましては、申告があり次第最善の措置をとり善処いたしたいというふうに考えております。
○矢追秀彦君 大変下請の方は困っておりますので、総理も実情をよく勉強していただきたいと思います。 また、ある種の商工会議所のデータによりますと、親企業が史上最高の利益を出しておりながらも、この四-六月期の下請は横ばいあるいは悪化と、こういうデータがはっきり出ておるわけです。結局、下請の犠牲の上に親企業の利益がなされておる。しかも、為替差損、為替差損と言われておりながら、自動車についても、あるいはカラーテレビ等についてもかなり海外では値上げが行われているわけです。差損はないという判断をしてもいいわけです。そういった点もひとつよく実態を調査していただいて、通産大臣はよく行政指導をやっていただきたい。重ねてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 御指摘の点は非常に大事な問題でございますから、十分注意をいたします。
○矢追秀彦君 最後に、時間なくなりましたので一言だけ有事立法に触れたいと思います。 総理、かなりこの危険な考え方といいますか、相当、一般的な言葉で言いますと、右寄りあるいはタカ派的と、いろいろな答弁からうかがえるわけです。やはり憲法擁護の上から言いましても、この有事については相当慎重にやっていただかなければ困る。しかも有事立法そのものにも憲法違反という問題が議論されておるわけですから、私は、いまこの時期になって大変総理がハッスルされておると、ちょっと何か疑いを持つんですが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 別にハッスルしておるわけでもないんです。当然のことを申し上げておるわけです。自衛隊はとにかく現に存しておりますね、二兆円近くの金を毎年使っている。そういう自衛隊が何のために一体おるのかということを考えれば、これは有事のためにあると、それ以外に自衛隊の存在の理由はないと言っても支障はないくらいなものです。その有事の際にいかに自衛隊がその与えられた任務を遂行するかということを常時考えておかなければならぬこと、こういうふうに思うんですが、それが十分でないと、こういうことでありますので、まあいろいろ論議があるこの機会はいい機会ですから、こういう機会に思いを新たにいたしまして、有事体制の整備、これにつきまして検討いたしたい、こういうことを考えておるわけであります。これは別に私ども非常識なことをしておるわけでもなし、憲法に従い、文民統制のもとにおいてそれをやるんだと、こういうことでありますので、御理解のほどをお願い申し上げます。
○峯山昭範君 委員長、関連。
○委員長(町村金五君) 関連質疑を許します。峯山君。
○峯山昭範君 先ほどから有事立法の問題が相当出ましたが、総理、有事体制ということで、総理は先ほど答弁なさっていらっしゃいますが、その答弁はあくまでも憲法の枠内ということを強調していらっしゃいます。 そこで、まず第一番目に、憲法の枠内で可能ないわゆる有事法制の研究ということになりますと、具体的にはどんな内容のものを含むのかということをまず一つ。それから憲法の範囲外というものは具体的にどういうことを考えていらっしゃるかということ。 それから二番目に、憲法の範囲内という規範が強調されているわけですけれども、それを判断されるのは一体だれが判断をされるのか。それは憲法の範囲内であるかどうかという判断ですね、これはだれがされるのかというのが二番目です。 それから三番目に、先般、防衛庁に総理が指示をしたという問題があります。これはその際防衛庁に対して憲法の範囲内の中身ですね、具体的にこういうことをやれというふうに指示したのか、憲法の範囲内というように抽象的にやったのか。この点はどうか。 それから四番目に、総理の具体的な指示がないとすれば、現実の問題として先ほどからの答弁を聞いておりましても、防衛庁みずからが憲法の範囲内という判断と、それから総理の言う憲法の範囲内という判断とはこれは幾分食い違っているように見えます。これらの点について、まず答弁をお伺いしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 私が指示したと、こういうよりは、むしろ防衛庁長官のさような見解を私が了承した。さような見解というのは防衛庁に有事の体制がまだ整っておらぬ面がある、その検討をいたしたい、こういうことでございまするが、私はその際防衛庁にもはっきり申し上げておりますが、これはあくまでも文民統制、また憲法の枠内、この二つの大枠の中で研究を進められたいと、こういうことであります。具体的にどういう点をということは、これは私から指示しているわけでもなし、まだ私はこういう点を研究したいという研究項目について意見を求められたことはありません。
○峯山昭範君 私の前段の質問に答弁がございませんので、これは後で局長の方から答弁いただくとしまして、もう一点、総理は機密保護法の問題について将来は検討すると、将来というこの問題は非常に重要な問題でございます。特に言論統制という問題も絡んでおりますし、憲法の基本的人権という問題にも絡んだ重大な問題であります。私は、この問題もやはり憲法の範囲内であるかどうかという問題が一つ。それからもう一つは、総理の言うように、憲法の範囲内と強弁したとしても、その検討を将来の時点でやると。そういうふうにしたとしても、この機密保護法というのは、私はやはりどう考えても憲法違反の疑いがある。したがって、この問題についてはやはり撤回すべきだと、こういうふうに考えます。 前段の問題は局長にお願いします。それから後段のただいまの問題については総理にお願いします。
○国務大臣(福田赳夫君) 防衛庁の統一見解で徴兵法は研究対象にはしない。戒厳令につきましても研究対象にしない。それと並んで秘密保護法ですか、それにつきましても検討の対象にしないと、こういうふうになっておりますが、私はそれらの設例ですね、見てみますと、これは戒厳法でありますとか徴兵法でありますとか、そういうものはこれは今後といえども検討の対象にいたすことはできない、こうように考えますけれども、秘密保護法、いま言論統制というようなお話ですが、そういう大げさな話を私は言っているわけじゃないのです。いまわが国の機密防衛体制は、自衛隊の関係する面から見ましても非常にこれは力弱いものです。つまり自衛隊員に対して秘密遵守義務を命じまして、それに違反してはならない、違反したら三万円以下の罰金で一年以下の懲役だと、こういうようなこと。しかし、それだけで一体自衛隊の任務遂行に必要な秘密というものが保てるだろうか。ことに有事になったと、平時はそれでいいかもしらぬ、しかし有事になったという際に、三万円の罰金で済むんだ、一年以下の懲役で済むんだ、ひとつこの機密を漏らそうというような人が出てこないとも限らないわけですから、そういうような一事を見ましても、秘密問題につきましては、なおなお私は有事の際のことを考えますと検討の余地がある、このようなことを申し上げております。ただ、当面は検討をしない。まあしかし先々いったら検討することがあるかもしらぬ、こういうことを申し上げておるわけです。
○政府委員(伊藤圭一君) 憲法の範囲内ということにつきましては、ただいま総理からも御説明がございましたが、先ほど防衛庁長官から御説明いたしましたように、有事立法あるいは有事法制というものがきわめて広い範囲で何か非常に大げさなことをやっている、そのことが一人歩きをしているんじゃないかということで防衛庁の見解を出してございますが、その中にまず第一に書いてございますのが、自衛隊法七十六条の規定によって防衛出動を命ぜられたような事態において、その自衛隊が任務を有効に遂行する上での問題ということでございます。そしてさらに、ただいま総理からお話がございましたように、現行法の範囲内で行うということでございますので、戒厳令とか懲兵制というようなものは考えていないということで御理解いただきたいと思うわけでございます。
○峯山昭範君 前段の質問の答弁がなってない。
○矢追秀彦君 憲法の範囲内か範囲外かのあれをだれが決めるか。
○政府委員(真田秀夫君) まだ防衛庁における検討が全然進んでおらない段階で、そこまで私がお答えするのはいかがかと思いますけれども、まず検討ができあがって何らかの成案が得られた場合に、それが憲法に違反するかどうかということは、政府部内においては総理が御判断になります。御相談があれば私がまた御意見を申し上げるということもありましょう。また、国防会議に御相談するということもありましょうし、それからそれが立法事項を含んでおれば、もちろん国会に御提案申し上げて国会の御判断をまつと。また、最終的に有権的な憲法適否の判断は、これは申し上げるまでもなく裁判所が行うと、こういうことに相なろうかと思います。
○矢追秀彦君 いまの法制局長官の答弁ははなはだ不満なんですが、総理はいかがですか。結局総理が決めるわけですね。
○国務大臣(福田赳夫君) 私も法制局長官の御答弁のとおりに心得ております。
○矢追秀彦君 時間がありませんので、次に。 先ほども少し議論が出ておりましたが、自衛隊法第七十六条の防衛出動が下令される以前の自衛隊の対応について、防衛庁は刑法の正当防衛、緊急避難等による対応、これを強調しておられますが、この考え方はいつから採用されたのか、またその際の政府部内の意見統一はされているのかどうか。それから防衛庁と法制局は集団的な正当防衛ということを検討しているというふうに言われておりますけれども、これはどういうことなのか。しかも、刑法上個人に認められた法概念を武力集団ですね、そういったものに無理に適用させているところに問題はないのかどうか。この点については法務大臣からもお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤圭一君) この正当防衛、緊急避難の問題につきましては、従来から防衛庁といたしましては、そういった奇襲といいますか、突然の攻撃を受けるような場合というものは、平時におきます領空侵犯措置について起こり得るかもしれないということで、御承知のように内訓でそれに対する対処というものを、正当防衛あるいは緊急避難の要件に該当するような場合には武器を使ってよろしいということで従来は御説明しておったわけでございます。さらに、この八月の内閣委員会におきまして、そういった奇襲があった場合にどうするんだというようなお話でございましたので、自衛隊員といえどもやはり非常に危機が迫っておるときには、やはり一般の人と同じように生き残る権利がありますから、そういった意味で正当防衛、緊急避難の要件に該当するような場合には、いわゆるそれに対処ができるだろうというふうに御説明申し上げたわけでございます。しかしながら、御承知のように奇襲という問題が、まあほとんどないと思いますけれども、いろいろな場合に考えられるのではないかということが一方にございます。そしてまた、一方には自衛隊というものは部隊で行動するのが本旨でございます。そこで、いわゆる国家の正当防衛権として武力を行使するのは七十六条の総理大臣の命令のもとに行うわけでございますが、さらに各個人が生き残る権利、そのほかにやはり自衛隊としては部隊行動をしておるのでいろいろな対処の仕方があるかもしれないということで、そういうことを具体的に検討しようというのが現在の状況でございます。しかし、ここで非常に大きな問題になりますのは、七十六条の武力行使といいますか、総理大臣の命令に基づきます防衛出動とそういった場合の対応措置との間、その間の問題等につきまして検討をしてまいりたいと考えているわけでございます。
○国務大臣(瀬戸山三男君) この問題についてはしばしば法務省としてお答えしておりますが、刑法の三十六条ですか、正当防衛は、急迫不正の侵害がある場合に、これは生命を持っておる者の当然の本能として反撃をする姿勢があります。その際に、刑法に定めてある罪の形を持った外形があってもそういう場合には罰をしない、罪にならないと、こういうことを規定しておるわけでございまして、いまお話に出ておりますような自衛隊の行動そのものに関するものではない。ただし、そういう考え方というものは法理論の中にあることは事実でありますから、刑法を適用するしないの問題でなしに、そういう場合に自衛隊がいかにするかは別途に研究すべきものだと思います。
○矢追秀彦君 法務大臣にちょっと重ねて伺いますが、私の質問は、そういう刑法に決められておる一人一人の正当防衛というものを、かなり強力に機械化された集団である自衛隊、そういったものに当てはめることはいいのか悪いのかということを聞いているのです。
○国務大臣(瀬戸山三男君) いまも防衛局長かちお答えした中にあったと思いまするが、自衛隊がいまいろいろ憲法上の問題で、九条の問題で議論されておりますけれども、残念ながらわが国に驚いては。これは自衛隊の、憲法九条の規定にかかわらず独立国としては自衛権というのはあるんだと、この自衛権そのものが、いま申し上げたように生命体を持っておるものは不正の侵害に対してはこれに反撃をしてみずからの生命財産を守るという、これは生命体の原理でございます。それがあるから、わが国においては憲法の規定はあるけれども、そういう意味の防衛の組織は必要であると、こういうことで今日に至っておるわけであります。ただ、その発動については、いま防衛局長から話がありましたが、自衛隊法七十六条の規定がある、それによってやる、こういうふうに書いてあるわけであります。それ以上のことは、もしありとすればもっと検討の要がある、かように考えます。
○委員長(町村金五君) 矢追君、時間となりました。
○矢追秀彦君 防衛庁長官、最後に一言お伺いしますが、防衛庁長官が九月十三日のある会合で偵察衛星が必要であるということを言われておりまして、新聞報道にも出ておりますが、これは専守防衛の域を逸脱するものだと思います。やはり衛星は大変いま世界の、何といいますか、特に米ソが衛星をどんどん打ち上げて、軍事衛星としてかなり強力に働いておりまして、そこに核を積めば大変なことになるわけですから、これは私は問題発言だと思いますが、この点はいかがですか。
○国務大臣(金丸信君) 警戒衛星という問題につきましては、私は奇襲という問題、奇襲はないようにすることが政治だと、こういう考え方の中で警戒衛星という問題を私個人の考え方としてそういうもの、あるいはレーザー、あるいは通信網の整備、情報の完備、こういうような考え方の中で警戒衛星と。しかし、警戒衛星をただいま防衛庁が考えておるわけではありませんし、将来、ただいま先生もおっしゃられましたように内外に及ぼす影響というような問題も考えなくちゃならぬでしょうし、またこれ以上にいわゆる情報を確保する方法があるとするならば、それも考えなくちゃならぬでしょうし、いわゆる対効果という問題も考えなくちゃならぬと私は思うわけでありまして、いまここでどうしようというような考え方でなくて、いわゆる奇襲をなくするためにはどういう方法をとるのかという中で申し上げておるわけであります。
○委員長(町村金五君) 以上で矢追君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) 次に、志苫裕君の質疑を行います。志苫君。
○志苫裕君 まず、総理にお伺いしますが、総理は本年六月二十二日、ニューオータニで開かれた自治省政務次官の次官就任お披露目を兼ねた出版記念と励ます会。パーティーに出席されましたか。
○国務大臣(福田赳夫君) たしか出席したと思います。
○志苫裕君 出席者は多彩な顔ぶれだったらしいのでありますが、その中に暴力団住吉連合の堀政夫会長ら幹部十数人が出席していたと言われるが、御存じですか。
○国務大臣(福田赳夫君) それは承知いたしませんです。
○志苫裕君 警察当局にお伺いします。 警察当局は承知をしておりますか。
○政府委員(小林朴君) お答えいたします。 私どもも新聞に出ました程度しか存じておりません。
○志苫裕君 警察当局、住吉連合というのはどういう団体ですか。
○政府委員(小林朴君) これは私どもの方で把握いたしておりますのは、暴力団として認定をしておる団体でございまして、大体六千二百名程度の組員がおる団体だと承知いたしております。
○志苫裕君 いわゆる暴力団、組織的暴力団として警審当局が認定をした団体、言うてみれば常時監視体制にある団体であります。それの会長以下十数人の挙動がわからないというのはどういう意味ですか。
○政府委員(小林朴君) 私どもは犯罪捜査をする立場にあるわけでございます。それぞれの行動につきましてはいろんな形で情報をとりますけれども、それは犯罪捜査に関連をしてとっておるわけでございます。パーティーに出たか出ないかというようなことにつきましては申し上げることを差し控えたい、こういうことでございます。
○志苫裕君 それで、私は、けさ質問の通告をいたしました。それ以来、そのことを確認しましたか。
○政府委員(小林朴君) 確認といいますか、新聞等において承知をしておる程度のことでございます。
○志苫裕君 だから、それに基づいて確認をしたかと聞いている。
○政府委員(小林朴君) 確認はいたしておりません。
○志苫裕君 警察当局、怠慢ですよ。いわゆるこの種の暴力団はその辺ではずみで暴力をふるうという団体ではない。いわゆる警察当局によって指定をされた団体であって、それは原則として常時監視体制にあるということを常々諸君は述べておるじゃないか。私は現認できていないというのも答弁としては納得できないが、いずれにいたしましても、総理、今日特に山口組をめぐる暴力事件について大変心を痛めています。総理も、一昨日の答弁では、一日じゅう憂慮しておる、こういう趣旨の答弁が本委員会でもありますが、そういうときにいわゆる政治家と暴力団の、これはパーティーに堂々と組織暴力団の幹部がずらりと居並ぶという、こういう不見識といいますか、私は何よりもそれが福田内閣の準閣僚であるということを重視をする。そういう状況のもとで総理がどんなに暴力団対策を説いてもそれは何らの説得力を持たない。所見はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 代議士を励ます会というのが非常にいま流行しているのです。そういう中に会員という資格ですか、あるいは協力者というような資格でしょうか、暴力団がそういう立場に立つということはこれは私は好ましくないことだ。私はいま染谷誠代議士を励ます会のことを初めて伺いましたが、これは染谷代議士にも私注意しておきます。そういうような際にはもっと注意しなきゃならぬと、そう思います。
○志苫裕君 よくしばしばこの種の問題が問題になるのですが、いま、総理、もう一つ進めて、あなたのところの準閣僚です。福田内閣の威信にかかるんです。そのことは同時に暴力団対策について警察当局を初め内閣に信をおくかどうかの問題だ。改めて所見をお尋ねします。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は住吉組というのがどういう暴力団かよく知りませんけれども、とにかく暴力団と銘打った人が代議士を励ます会の会員だ、協力者だといってそこへ出てくるということは、これは私は好ましくないと思うんです。ですから、私は染谷代議士にはこれは厳重に注意をいたします。
○志苫裕君 警察当局、もう一度。総理は住吉連合という団がどういう団だかわからぬそうだ。最近の新聞は西側ばかり向いているけれども、東における住吉連合の位置、これらについて篤とひとつ総理に説明するように答弁してください。
○政府委員(小林朴君) 私どもでは、把握しております限りにおいては、山口組に次ぐような大規模な連合組織だというふうに考えております。なお、ここの事務所は新橋にあるように聞いております。
○志苫裕君 総理、そういう団体です。最近では手首をラーメンのスープにとったとかとらないとか、そういうこと御存じでしょう、そういう団体なんですよ。注意をするという程度の問題じゃないと思う。改めて所見を問います。
○国務大臣(福田赳夫君) 厳重に注意をいたします。
○志苫裕君 私は、福田内閣として責任のある対処を要求をして見守ることにしましよう。 自治省、この種のいわばパーティーがしばしば行われておる、そのことについてどうこうというのじゃありませんが、この種の収入は政治資金法上どういう扱いになりますか。
○国務大臣(加藤武徳君) 政治家を励ます会がしばしば行われておりますが、その主催をいたします団体が政治資金規正法に基づきます届け出の団体である場合が多うございます。この場合には、政治資金規正法には「機関紙誌の発行その他の事業」、かような事業の中に含まれておると判断をいたしまして、そして収支の報告書を求めておる。もとよりこれは前年のものを翌年三月三十一日までに届け出をいたしまして公開いたしておる、かようなことでございます。ただ、政治資金規正法上の団体が主催をしておらず、個人もしくは複数の有志によって主催をされております場合には、その益金が生じました場合に政治資金規正法の団体に寄付がなされました場合には、それは寄付としての届け出をいたす、かようなことでございますが、しかし、励まされた政治家個人にその益金が渡りました場合には、今日何らの規制をいたしておらぬ、これが法の解釈でございます。
○志苫裕君 国税庁、同様の見解を伺います。
○政府委員(磯邊律男君) お答えいたします。 〇〇議院を励ます会という会そのものが法人税法で言うところの人格のない社団に該当することになれば、その励ます会等の主催する行事は税法上の収益事業ではありませんので、その収益に対する法人税の課税は生じないわけでございます。ところが、励ます会というのが臨時的なものでありまして、単に一時的な寄付金集めのための通り抜け的なものであるとすれば、励ます会等の収益の帰属先が問題となるわけであります。これが特定政治家の後援会であれば、その後援会は通常法人税法上の人格のない社団等に該当するものと考えられますので、その収益に対する法人税の課税は生じません。ただ、その収益の帰属先が政治家個人でありますと、政治資金にかかる雑収入の収入金額となりますので、各種の政治資金の収入と合わせたものから政治活動のための費用を差し引き所得計算をする、したがって、ここでいわゆる政治資金に対する課税一般の問題になるわけでございます。
○志苫裕君 いずれにしても、この種のものがはやっておる。そのことの評価についてはこの際は触れませんが、一部の報道によりますと、あるいは関係者の話などを総合しますと、このパーティーが二万円券で、実に全日警という一つの企業が、ある人は三百枚とも言い、ある人は五百枚とも言いますが、仮に五百としましよう、五百枚を引き受けているということがあるようであります。五百といえば一千万円。政治家のパーティーに一つの企業が一千万のパーティー券を引き受けるということについて、総理の感想を伺いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) ちょっと私も想像できないようなケースについての御質問でありまして、何ともお答えようがありませんです。
○志苫裕君 自治大臣、政治資金を扱う立場から見て、そのような、一つの企業が仮に一千万としましよう、事実上、パーティーという名前にせよ、拠出をするということについてどう思いますか。
○国務大臣(加藤武徳君) この種のパーティーの場合に、まずパーティー券が幾らでさばかれておるか、このことが問題になろうかと思うのでありますが、社会通念上、まずこの程度といいますものは常識的におのずからの線があろうかと思います。いま一つは、ただいま申されました特定の企業が大量に引き受けることでございますけれども、しかし、引き受けました企業が、何枚でありましたか、これは当然出席をいたすことを前提にいたしておりますならば、政治資金規正法上寄付金としての扱いはなされないのが常識であろうかと思うのでありますけれども、しかし、著しく均衡を欠いております場合には、政治資金規正法上のいわゆる寄付金として扱われる場合がある、こう判断をいたします。
○志苫裕君 いま、大臣、あんまり事務的な答弁でなくてね、政治資金を扱う所管として政治資金規正法の趣旨から言って常識的であるかどうかということを聞いているのですよ。
○国務大臣(加藤武徳君) 私も、ただいま志苫議員が御指摘になりましたような新聞の記事を見ました。そこで染谷政務次官を呼びまして何点かについてただしたのでありますけれども、その中の一点に、特定の会社が大量の枚数を引き受けているという記事があるがどうかと、かようにただしましたところ、実は後援会の支部などを通じてさばいておりますので私にはよくわからないんでありますと、こういう返事をいたしましたが、よく調べてもう一遍返事をくれとこう申しておきましたところ、染谷政務次官が言ったままのことを申しますと、紙上書かれておる警備保障会社の全日警は社長が一枚買ったのみでございますと、かような返事を私に返してきておりますので、このことを申し上げておきます。
○志苫裕君 あとの四百九十九枚はどこへいったかはここでいまにわかに追及をするテーマではないので省略しますが、いずれにしても私は常識的でない。特に重視をしたいのは、自治省政務次官と言えば政治資金等を扱う所管の政務次官。政治資金には御存じのように、総量規制、限度規制というものがそれぞれ個人、企業に課されて法改正を行ったことは御存じのとおりであります。それに抜け道を探すことはそれなりに、まあ私は四角四面でけしからぬとは言いませんけれども、しかし、その法の精神を担当する次官としてはふさわしくないというふうに考えるのですが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 励ます会というのがありまして、会員券を売りますというか、そういうケースを私知っておりますが、五百枚の会員券を一企業が受けるというようなことはもうちょっとあり得ざることじゃないか。私はいま自治大臣の話を聞きまして、そうだろうなあというような感じがいたしましたですがね、まあとにかく、もしそういうことがありますれば、これは政治資金規正法の精神には反するわけですから、厳重に取り締まらなければならぬ、そのように考えます。
○志苫裕君 ところで、この全日警という企業についてでありますが、同社の内紛に絡む暴力団住吉連合がかかわる脅迫事件あるいは警備業法上の問題、会社経理の問題等々について、警察当局、国税当局は何かの調査ないし捜査をしていますか、簡単で結構です。
○政府委員(小林朴君) この問題につきましては、たしか八月の二十二日の新聞に出ました。現在、私どもの方で捜査中でございます。
○政府委員(磯邊律男君) お尋ねの会社に対する税務調査でありますが、これは八月の二十九日から所轄の税務署の方で調査に入っております。現在までの調査実績は延べ二十九日程度になっておるわけでありますが、その後、ある新聞に同社に関するいろいろな記事が出ておりまして、調査中のことでありますから、当該税務署もその記事の内容に興味を持って調査をしたわけでありますけれども、調査はほぼいま終局に近づいておりますが、私の報告を受けました範囲内におきましては、税務上の問題で特に大きな取り上げるべきことはないという報告でございます。
○志苫裕君 ちょっと皆さんの答弁は、新聞に出たから捜査、調査ですか。告訴、告発等はございませんか。
○政府委員(小林朴君) 警察には受け取っておりません。
○政府委員(磯邊律男君) 税務当局の方も告訴、告発は受け取っておりません。
○志苫裕君 いずれこの問題は所管の委員会等でやることにいたしまして、以上でこれは終わります。 日中条約についてお伺いいたします。 日中平和友好条約の締結を喜び、園田外相初め関係当事者の労を多とします。同時に、中国のことわざに言う井戸を掘った人々に感謝の意をあらわします。条約は、そこに記録された文言のほかに、条約締結のタイミングであるとか、あるいは国際環境、締結に至るまでの論議の仕方あるいは双方の理解の仕方等が非常に重要でありまして、早い話がわれわれもこの条約のために努力もいたしましたし、また賛成でありますけれども、しかし、それが政府と同じねらいや理解の仕方とは限らないわけであります。そういう立場で以下少しお伺いいたします。 第一に、国内外の状況から見て、この時期に締結したこと、締結できたことに特別の意味がありますか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは昭和四十七年ですね、共同声明以来の懸案になっておるわけです。それが田中内閣の末期に一度交渉があったんですが、その交渉も深くは入らなかった。それから三木内閣のとき、ここにおられる宮澤外務大臣と中国の外務大臣との間で、あれはニューヨークですね、国連総会のみぎりにいろいろ話があったんですが、これも実りないことで、それだけで打ち切りになったわけです。それから私の時代になりましてから、鳩山外務大臣と中国の外務大臣との接触がありましたけれども、これも議論が平行線というようなことで進行せず。なぜ進行しないんだというと、覇権条項、あれの認識につきまして両国の間で意見の相違があった、こういうことでありますが、中国におきましても、華国鋒、鄧小平体制という新しい体制になってきておる。そして四つの近代化を進めるというようなことでいわゆる自由主義工業国、これとの関係を緊密にし、かたがた近代化を進めようというような路線が非常に強く出てきた、そういうような国際的な背景があるわけです。 わが方といたしましては、中国側が覇権条項についてのわが国の立場を理解するならばいつでもと思っておったんですが、やや中国側におきましても柔軟な態度をとるようになり、八月十二日に両国外務大臣による署名調印と、こういう運びになったわけであります。
○志苫裕君 覇権問題の取り扱いが交渉の最大焦点だったと述べておりますが、一九七二年の日中共同声明ですでに反覇権を掲げておるのに、条約への盛り込みに難渋をしたのはなぜですか。
○国務大臣(園田直君) ただいまの覇権問題については、今般の私の友好条約の交渉においては両方から合意されたことでありまして、覇権問題そのものについて障害になったわけではございません。
○志苫裕君 条約の説明書によりますと、覇権問題が最大の焦点となった、と書いてあるじゃありませんか。
○国務大臣(園田直君) 覇権問題が最大の焦点になったと申しますのは、覇権という言葉の意義でございますが、御承知のとおりに国際法的な定義はございませんが、一国が相手の国に力をもって意思に反して押しつける行為という概念はすでにでき上がっておるわけでありまして、覇権そのものについての問題ではなくて、覇権をめぐって中国と日本の立場が若干違っておりましたので、その合意を得るために手間取ったわけでございます。
○志苫裕君 覇権の解釈ではなくて、その覇権の概念をめぐって立場が違ったと。そこで私聞いておりますのは、一九七二年の共同声明でそのことを載せているわけですね。で、ほぼそれと同じ文言なわけですが、それが今度の条約の盛り込みに特に支障を来したのはなぜかと聞いている。
○国務大臣(園田直君) これは当初覇権問題をめぐって、日本は御承知のとおりに憲法があり、かつまた日本の外交方針は全面平和外交ということでどこの国とも敵対をしない、こういうことが日本の覇権を中心にする立場でございます。 なおまた、もう一つは、この覇権の判断は、お互いがそれぞれの立場において判断をするということ、協議によって覇権行為を判断するのではない。さらに覇権行為があった場合には、それぞれの国の立場で覇権に抵抗をする、共同でこれに抵抗するものではない、こういう大体の点が問題になったわけであります。
○志苫裕君 答弁としては正確ではないけれども、もう一度改めて聞きますが、覇権とは一体いかなる概念ですか、その解釈といいますか定義といいますか、これをひとつ正確に申してください。
○政府委員(中江要介君) 覇権の定義につきましては、いま園田外務大臣が御説明の中で申されましたように、一国が自分の意思を力でもって相手に強いるたぐいの行為であって、これは国連憲章の精神にも反するようなものであるというのが日本政府が一貫してとっておる定義でございます。
○志苫裕君 その場合、いまのを言いますと、一国が他国の意思に反して力により自己の意思を押しつけようとするがごとき行為ということですね、いまの話を聞きますと。力というのは、この場合はどういう概念ですか。
○政府委員(中江要介君) これはそのまま力ということで私ども認識しておりまして、その力が何であるかということについて細かく議論し、あるいは定義づけるということはいたしておらない、事情に応じ、ケースに応じて判断する、こういうことでございます。
○志苫裕君 外務省、政府委員でいいですが、千九百何年でしたか、日ソ共同宣言の第三項をちょっと読んでもらえませんか、日ソ共同宣言の第三項。
○政府委員(大森誠一君) 日ソ共同宣言の第三項は以下のごとくでございます。 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、相互の関係において、国際連合憲章の諸原則、なかんずく同憲章第二条に掲げる次の原則を指針とすべきことを確認する。 (a) その国際紛争を、平和的手段によって、国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように、解決すること。 (b) その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使は、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むこと。 以下ずっとお読みいたしますか、よろしゅうございますか。
○志苫裕君 結構です。 大臣、ただいまの項目も反覇権の概念に入りますか。
○国務大臣(園田直君) 入ります。
○志苫裕君 覇権条項を条約に盛り込んだということは、日本国憲法及び国連憲章の精神の発露であって、対中関係にとどまらず、わが国内外政策の基本を宣言したものである、こう理解をしていいですか。
○国務大臣(園田直君) そう御解釈願って結構でございます。
○志苫裕君 私は、ただいまの答弁を非常に重視をするものでありまして、今後日本の内外政策の基本として、当然のことながら、わが国の政府自身をも拘束をする大宣言である、こういうふうに理解をしておきますが、その種のいわば憲法の発露、国連憲章の発露であるまさに人類普遍の原則を宣言をした条約が十年の期限を付されておるのはどういうわけですか。
○国務大臣(園田直君) 今度の友好条約は、御承知のごとく、過去の結末というよりも日中両国の未来にわたる友好関係を規定するものであります。したがいまして、これは長きにわたる友好関係でありますけれども、国際情勢その他の変化がありますから、まあ十年一昔と言いますから、両方合意で十年にしたものでございます。
○志苫裕君 条約に期限を付したもの、付さないもの、いろいろあるようですが、これの基準は何ですか。
○政府委員(中江要介君) 条約局長が先例その他について御説明いたす前に、ただいまの外務大臣の御答弁の補足をいたす必要があると思いますのは、この条約の期限を十年にしているということではないということでございまして、この条約は無期限な条約でございますが、これを一年の予告で廃棄し得るようになるのは十年以降である。こういうことで基本はあくまでも子々孫々、恒久的な平和友好関係という条約でございますので、条約の期限が十年であるという認識の仕方でありますと、それは事実に相違するということを一言申し上げまして、先例につきましては条約局長から説明すると思います。
○政府委員(大森誠一君) お答え申し上げます。 条約に有効期限を付するか付さないかということについて、特に国際法上一定の基準があるわけではございません。しかし、過去の先例に照らして申し上げれば、処分的なもの、たとえば平和条約あるいは沖繩の返還協定等、処分にかかわる条約については期限がないというのが一般的な例でございます。他方、その他の分野において、二国間あるいは多数国間でそれぞれの分野における国際間の権利義務関係を設定して、それを忠実に実施していくという、そういう種類の条約については一般に有効期限が付されているというのが通例でございます。
○志苫裕君 大臣、最初は国際情勢の変化を考慮に入れて十年、それを政府委員の方で最初の十年のことで補足がありましたが、まさに万古不変の人類の原則のようなものをうたうのに、国際情熱の変化を入れて――これなんか見ると、ほかのいろんな取り決めがあるというのとわけが違う。将来平和にやっていこうという、一口に言えばですね、というその宣誓規定が、これは十年限りですよと、簡単に言えばですね、あるいは十年の間に国際情勢が変わるかもしれないということを想定に入れることは何とも腑に落ちないので聞いているわけであります。覇権に別の解釈があって、十年たったら覇権の概念も変わってくるかもしれないので、そのときにまた見直そうというのであれば一理屈あるかもしれない。そうではない、まさに人類普遍の原則をうたってそれを内外に宣言をしたというものに、どうしても十年というのが入るのが解せないと同時に、日韓条約に期限はありますか。
○政府委員(大森誠一君) 先生ただいま御指摘の日韓条約というのは、日韓間の基本関係に関する条約についての御指摘かと存じますが、その条約につきましては有効期限はございません。
○国務大臣(園田直君) 私が十年と申し上げましたのは言葉の間違いでありまして、私自身がアジア局長に期限ではないぞと注意したとおりでありまして、これは有効不変のものでありまして、状況の変化等で十年たったらお互いが意見を言い合えるという余地をつくっただけでございます。
○志苫裕君 「最初の十年の期間の満了の際又はその後いつでもこの条約を終了させることができる。」となっていますね。いやになったらやめるということを極端に言えば書いてある。私は、こういう普遍の原則をうたったものには期限がない方が常識的なのであって、日韓基本条約のように、現実にあそこに南と北との分断国家が存続をしておって、国際状況の推移によってはどう変わるかもわからない。そういうのに、いわば韓国は朝鮮半島全体の唯一の国であるというふうな規定、そういうものこそ情勢が変わるかもしらぬから期限を付するというんなら理屈はわかる。 改めて聞きますが、どうしてこういう平和宣言のような条約に期限が入るんですか。
○国務大臣(園田直君) 理論的に申しますと、二国間の関係は変わることもありますからおっしゃるとおりでありますが、この日中友好条約は、日中間を規制するのみならず、アジアの平和と繁栄のためにお互いに貢献しようということでありますから、期限はない方が理論的には適切であると思いますが、話し合いの上でそういうことができるということをつけておるだけでございます。
○志苫裕君 いずれにしても、私の言う日韓条約には期限を付す方がいいんじゃないかと、総理どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 日韓基本条約は、あれはいわば平和条約みたいなものなんです。あの時点までの日韓のいろんな問題がありますが、一切あれで解消する、こういうことになったんで、条約局長が処分的なものにつきましては期限は付さないのが通例であると、こういうふうに申し上げましたが、まさにあの条約は処分的なものなんです。 日中平和友好条約の方は、あれは処分的なものじゃないんです。処分的な部分はもうすでに共同声明の時点で一切決着がついておるわけでありまして、これから先々の日中関係をどういうふうにするか、こういうものでありまして、日韓基本条約に期限がない、これはもう国際条約の通例に従って処分的な性格の日韓基本条約には期限はっけなかった、こういうふうに御理解願います。
○志苫裕君 全然説明にならない。あなたは財政も余り強くなくなったが、ぼくは外交的にも全然わからない。いずれにしても、やっぱり少し論理的でないというふうに私は指摘をいたします。 国と国との話でありますから、ときどき丸めてぽいという措置もありましょうからあれですが、どうも外務大臣の説明も余り理論的でない。どちらが言い出したなどというやぼなことはこれは聞かぬことにしましよう。で、いままで日本の反覇権の意味についてお伺いしました。先ほどの答弁でもいささかニュアンスが出ておりましたが、必ずしも中国の考える反覇権の意味と一致しているとは限らない、このように理解をいたしますが、中国の外交戦略あるいは反覇権テーゼの基本認識について日本政府の認識はどうですか。
○政府委員(中江要介君) 中国の外交戦略といいますか、基本的な外交政策というものは、これは私どもは外国でございますから推しはかる以外にないわけですが、公にされております中国の憲法、その他ときに応じて出されます政策発表などから推測いたしますと、ソ連のいまとっております政策、これを覇権主義であるというふうにきめつけまして、ソ連のその覇権主義に対して厳しい政策をとっている、こういうふうに受けとめております。
○志苫裕君 外務大臣。
○国務大臣(園田直君) 中国のとっております外交戦略とは別個に、今度結びました友好条約に盛られた覇権については、最後には全く合意したものであります。当初、私は、私の方から反覇権条項というものは特定の第三国に向けられてやるべきものではない、そういうことをやればこれまた数年ならずして状況の変化によって名存実亡になる、むしろ一番大事なことは中国と日本が第一にお互いに覇権を行わない、こういうことであるということから、中国と日本がお互いに侵し侵さない、こういうことが議論の大部分でありまして、最後には、この点は双方で合意をしたわけであります。
○志苫裕君 中ソ同盟条約は名存実亡という評価を中国側は述べたと言われるわけでありますが、実際に来春廃棄通告がなされると見ていますか。
○国務大臣(園田直君) それは間違いないと判断をして帰ってまいりました。
○志苫裕君 したがって中ソ改善はあり得ないという認識を日本政府も持ったわけでありますか。
○国務大臣(園田直君) 中ソ同盟条約というのは、かつて中ソが日本が敵国ときめつけた条約でありまして、そこに問題があるわけでありまして、これが破棄されたからといって未来永劫に中ソの対立が緩和しないとは考えてはおりません。
○志苫裕君 中ソ条約の廃棄の事態は極東にどんな影響が想定をされるか、検討したことがありますか。
○国務大臣(園田直君) 中ソ同盟条約の破棄によって極東に特別の変化があるとは考えません。
○志苫裕君 日本敵視条項を含む中ソ同盟を問題にしながら、一方で本質的には中ソ敵視の安保条約を存続させることは言行不一致である、こう考えますが、いかがですか。
○国務大臣(園田直君) ソ連でも、中国でも、私は、日米安保条約及び日本外交は基軸であって、その基軸の上に平和外交を進めていく、こういうことをはっきり申し上げました。ソ連の方では、これには反論は何にもございませんでした。中国は理解を示されました。
○志苫裕君 そういうことを聞いているんじゃないんです。おたくの持っておる条約はこちらに筒先が向いていますからやめてくださいよと言ったわけですね。こちらが持っている条約はおたくに筒先が向いていますという内容になっているでしょう、矛盾じゃないですかと言っているんですよ。
○国務大臣(園田直君) 日米安保条約というものは、中ソ同盟条約と同じように一つの国を敵と規定して、きめつけてやられたものではなくて、抑止力によって平和を求めようとする条約であると考えておりまするから、同様のものではないと私は考えております。
○志苫裕君 具体的な矛盾の問題として、安保条約第六条に関連をする極東条項、わけても台湾条項について和田委員の方からも質問がありまして、突き詰めて言うと、総理はイエスもノーもあり得るという、論理的にはそうなるという答弁をいたしました。これを部分を抜いて恐縮ですが、イエスがあり得るという答弁だということですね。イエスがあり得るというのは、アメリカが台湾に覇権行為を行って、それに加担をする、それがイエスという意味でありますから、日中間に覇権を求めないという条約を結んでおいて、そのもう一方の手で論理的に覇権を行使をするという、そういう関係を持つということは一体どういうことですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 台湾海峡ですね、あの地域はこの安保条約によって安保条約のカバーする地域である、こういうことになっております。これが今回の日中平和友好条約、また、さかのぼってはこの共同声明、これによって何らの影響を受けるものではない、こういうふうな見解でございます。したがって、わが国から米軍が発進をする、そういう際においてわが国に事前協議があったといたしますると、その際におきましては、これはわが国といたしましてはそれに対してイエスと言う場合もあるしノーと言う場合もある、これはもうこの条約の解釈上の理論的な側面を申し上げております。 しかし、とにかく日中はこれから未来永劫仲よくしていきましょうという条約ができた、いままでと中国と日本との関係というものが変わってきた、そういう現実につきましては、篤と頭にこれを置きながらイエス・オア・ノーの判断、これにつきましてはそのようにいたす、こういうことを申し上げているわけであります。
○志苫裕君 台湾条項は名存実亡ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私からいろいろ申し上げますと、またいろいろ国際的な響きもありまするから、名存実亡かと言われて、それに対して私がそうだという返事はいたしませんが、ただいま私が申し上げたとおり、条約の仕組みとしては残っておるんです。しかし、日中間の友好な関係、これを篤と頭に置きましてイエス・オア・ノーを判断する場合の基準とする、このように御理解願います。
○志苫裕君 ですから、私はいま条約の廃棄に触れていない、名存実亡かと聞いている。
○国務大臣(福田赳夫君) 名存実亡というと、これは人の使った言葉でありまして、私の使った言葉じゃございません。ですから、私の使った言葉で御理解を願いたい、もう十分御理解願っておるんじゃないでしょうかと、このように思います。
○志苫裕君 外務大臣、あなたは名存実亡という言葉を鄧小平さんと会って聞いてきたんですが、名存実亡ですか、これ。
○国務大臣(園田直君) 六年前の共同声明が台湾の立場に触れられなかったと同様、今度の友好条約もこの問題では全然両方から触れてはおりません。極東の範囲に台湾が入るかどうかとなれば入っているわけでありますけれども、しかし、当時と情勢は非常に変化をいたしまして、日本は台湾が中国の領土の一部であることを尊重し理解を示す、かつまた、米中それから台湾を含む情勢は大きく変化し、ここに武力紛争が起こる可能性はなくなってきた、こういうふうに判断をいたします。
○志苫裕君 台湾地域での武力紛争の可能性はなくなったが、可能性の問題で言えば、アメリカが中国に対して台湾の武力解放をやめてくれと言って求めたところ、それに対しては返事をしなかった、そういうわけにいかないと、これは主権国として当然のことです。可能性の問題としては、依然としていわば武力であるかどうか、力の解放は中国固有の権利としてあるわけであります。そういう点についてはどうですか。
○国務大臣(園田直君) その点は見解が違っておりまして、私が武力紛争の可能性はなくなったとあくまで判断をいたします。
○志苫裕君 それなら台湾条項を外したらどうですか。
○国務大臣(園田直君) したがいまして、共同声明、それから当時の台湾に対するわが方の中国に対する理解、尊重、そういう逐次の変化から見て、私は逐次世界情勢は変わってまいりますが、たてまえと本音がありますが、大体いまのようなところで逐次、だんだんいい方向へ参るものと判断をしております。
○志苫裕君 いずれにしても、高らかに反覇権をうたい上げて、その直接の相手の当事国に対して、可能性として覇権行為を行う余地を残しておるというのは、何としてでもこれは首尾一貫しないということをこの際指摘をしておきますが、いずれにしても今度の日中条約はいまの問題等を含めて日本外交の自主的な選択だと、こう言われてはおりますけれども、台湾条項一つを見ても、あるいはまた伝統的な戦後の日米関係から見ても、アメリカの了解なしに日本が選択をしたとも思えない。あるいはまた、台湾問題等を言えば、中国ともその辺の点についての何らかの合意がなければ、この問題こっちとこっちは別だということはとうてい考えられない。そういう意味で、この問題については日米中の間に何らかの合意がありますか。
○国務大臣(園田直君) 日米中の合意はございません。
○志苫裕君 先ほど来の総理大臣及び外務大臣の答弁は勝手な推測ですか。
○国務大臣(園田直君) 勝手な判断ではございません。もろもろの情報、もろもろの局面を判断して、そのような武力紛争の可能性はなくなった、こういうことを考えておるわけであります。
○志苫裕君 総理、五月のワシントンにおける首脳会談でこの点を話し合いませんでしたか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、対中関係、これはまあ機が熟すれば平和友好条約締結にまで持っていきたい、こういう話をカーター大統領にしました。それに対してカーター大統領は、御成功を祈ります。こういう短い言葉でありましたが、そのくらいなやりとりでありまして、深い話はいたしておりません。
○志苫裕君 いずれにしても、厳しい国際環境の中では下手をすると大国間のパワーゲームに引きずり込まれるという可能性はいつでもあり得るわけでありまして、それと厳然たるこの立場を堅持をしてわが国の平和外交を進めるということをこの際主張しておきたいのでありますが、それにしても、そのとおりになるかならないかは今後のいわばこの条約の運用にかかると思います。 まず日中間でありますが、経済協力の進展が目覚ましいようでありますが、展望はいかがですか。また、近くパリでココムの見直し協議が行われるようでありますが、日本側の態度はどうですか、通産大臣。
○国務大臣(河本敏夫君) 日中間の経済協力関係は、この二月に両国で取り決めました長期貿易取り決めがございますが、これを基礎にいたしまして本年来ずっと発展をいたしておりますが、さらに今回の条約締結を機会に飛躍的に拡大をするものと期待をいたしております。 ただ、問題点が二、三ございますが、そのうち一つがいま御指摘のココムの問題であります。ココムの問題につきましては、科学技術の進歩、それから国際情勢の変化等を背景といたしまして、その都度見直すということになっておりまして、ただいまは十月二日から見直し作業に入っております。日本といたしましては、できるだけ緩和の方向に持っていきたいといま努力をしておるところでございます。
○国務大臣(園田直君) ココムについては通産大臣が言われたのと全く同じ意見でありまして、技術その他の進歩、それから規制は最小限にすべきであるという考え方のもとに緩和の方向に向かって積極的に努力をする所存でございます。
○志苫裕君 日中特需という言葉がいま出ています。この条約を何か構造不況を背景とした場当たり的な市場拡大にのみ解釈をしたような、そういうエコノミックアニマル的な暴走の気配を感じて不愉快であります。見解はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 中国はいま四つの近代化ということで、大変熱心にその方向の施策を進めているんです。そういう立場から先進工業国との技術協力、非常にもうこれを期待しておる。そういう情勢下におきまして、わが国ができることがあれば中国に協力をしていくということは、私は、これは今度条約もできたんだし、当然なすべきことである、こういうふうに思います。かたがた中国からはわが国に対しまして、石油だとか、あるいはこれから先の問題ですが、石炭だとか、そういう原材料の供給というようなことがありますから、双方の立場を彼此勘案いたしまして、双方が満足し得るような形で経済協力体制ですね、これも進めていくべきかと、こういうふうに考えております。
○志苫裕君 いずれにしても、節度を持って大いに交流を拡大をしてもらいたい、このように要望いたしますが、しかし、軍事面での交流、協力、提携、これは厳に慎むべきである、行うべきでない、このように考えます。 この点では、中国要人の発言に間々安保評価であるとか自衛隊増強論などの言動があるようでありまして、慎重な心配りを求めたいところでありますが、外務大臣、ニューヨークにおける外相会談でも、この軍事面での協力については、しないという意見の交換等があったようでありますが、内容を含めて所見を伺いたい。
○国務大臣(園田直君) 先ほど中国との貿易について十分注意をしろとおっしゃいましたが、全くそのとおりであると存じます。と申しますのは、ヨーロッパの各国、それからASEANの各国、それぞれの国から友好条約締結について祝辞をいただき、歓迎するということでありますけれども、一方では、日本がいま言われたような中国と特に内密の提携をして、そして中国と日本だけが排他的になるんではないかという不安がなきにしもあらずであります。ASEANの国々では、また、日本と中国が本当にお互いに覇権を行わず、しかも日中が提携をしてアジアに対して支配をするのではないかという不安がありますが、この三つは非常に今後運用上注意すべきことであると思います。 すでに中国側とは、交渉の際に、貿易という面ではなくて、近代化に協力をせよという話がありましたから、軍事面の協力は一切できないが、他の協力は応分にいたしますと。なお、この際、両方で注意をしなきゃならぬことは、中国の現状からいっても、近代化の膨大さからいっても、日中だけで近代化をやっておっては排他的になって、これは必ずしも効果は上がらないから、他の国々ともよく相談をし協力してやろうじゃありませんかと、こういう点は合意をいたしております。 なおまた、軍事面の協力のできないことは、国連総会の演説においても、それからグロムイコ外務大臣に会った場合にも、その他の外務大臣に会った場合にも、日中についても軍事協力はしないということははっきり明言をしてきたところでございます。
○志苫裕君 日ソ平和条約が領土問題の解決を含んで締結されるとした場合、この平和条約と日米安保との関係はどうなりますか。
○国務大臣(園田直君) 仮に平和条約がうまく運びまして、日本とソ連の間にできた場合も、安保条約は日本外交の基軸であるということは最初から言っておりますから、これに対して特別の問題はないと存じます。と申しますことは、私はソ連にも参って率直に意見を聞きましたが、ソ連自身も、米ソの対立の中で進んで事を起こそうという考え方ではなくて、やはり抑止力による平和ということを真剣に考えておられる。米国の方もまた同様、戦争を起こしてはならぬという抑止力の平和を考えておる。軍備その他を見るとなかなか簡単ではありませんけれども、世界のすべての国々が戦争を起こしてはならぬということは根底にあるわけでありますから、安保条約と日ソ平和条約がそこで問題になって食い違うことはないと判断をいたします。
○志苫裕君 北方領土が返還されたときの利用計画を立ててもいいではないか、こう思うのでありますが、少なくともそれらの地域を非武装地帯に設定をするという考えはどうですか。
○国務大臣(園田直君) 常識的にはいろいろ考えられるところでありますが、とらぬタヌキの皮算用でございまして、まだ返すという話がないうちにとかくの話をすることは外務大臣としては差し控えたがよいと存じております。
○志苫裕君 とらぬタヌキの皮算用という話ですが、しかし、その皮算用がまた全体の推進に役立つという微妙な外交関係だってあり得るということをこの際指摘をしておきたい。所感はいかがですか。
○国務大臣(園田直君) おっしゃることは十分わかります。
○志苫裕君 政府は、一九五六年の日ソ共同宣言及び交換公文による領土問題を含む平和条約締結の交渉は、ソ連の一九六〇年一月の対日覚書等によって拒否されているという認識に立っていますか。
○政府委員(宮澤泰君) 日ソ共同宣言は両国間の正式な合意文書でございますが、ただいまおっしゃいました一九六〇年のものは、グロムイコ覚書と称するもの、これをおっしゃっておると思います。 これはソ連側が一方的に、外国軍隊が日本に駐留している限りは領土の返還はあり得ないという趣旨を述べたものでございますが、国際的な合意を一方的に変更するということはあり得ないわけでございますので、私どもといたしましては、そのようなソ連側の主張は通らない。したがって一九五六年の共同宣言の主張は今日なお正当に生きているものと当然解釈いたしております。
○志苫裕君 いまの答弁、少し私ニュアンスが違いますが、いろいろ困難なやりとりはありますけれども、私どもの承知をしておるところでは、にもかかわらず、一九五六年の共同宣言及び交換公文にあるところの領土問題を含む平和条約締結の交渉そのものは否定されておらないというふうに理解をいたします。外務大臣いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 私もそういうつもりでございまして、したがって日ソの平和条約を中心にした定期外相会議を持っておるわけであります。先般もグロムイコ外務大臣とその話をいたしまして、結論としては、今度はソ連の方から来る番でありますからおいで願いたい、行くが、時期はまだここでは返答できぬということで、今後、日ソ両方が友好関係を進めることには合意をしてきたわけであります。
○志苫裕君 中国との関係が非常に友好的に改善をされて、それがまた実を上げるには、この複雑な国際状況のもとでなお対ソ改善が非常に重要であるということがしばしば指摘をされておるわけであります。しかし、条約締結の基礎的な条件をめぐって双方にまた厄介な対立があるということも事実であります。対立問題をそのままにしておいて、お互いにただ言い合っても改善できるものではない。で、わが国がどのような態度を持ついかんにかかわらず、中ソ対立という厳しい現状のもとで、ソビエトが幾らか神経をいらいらさしておるということもこれ現実であります。 そういう意味で、従来進めておる対ソ友好のこのレベルといいますか、そういうものをより高めるという必要があり、そのとっかかりとして、この膠着状態の領土問題の前進にも資するために、政治原則等を確認をするなど、何らかのアクションが必要ではないか、こう考えるんですが、総理及び外務大臣いかがですか。
○国務大臣(園田直君) おっしゃるとおりでございまして、まず話し合いの機会をたくさんつくろうではないか、お互いに率直に話をしようではないか。正月に帰るときに、日ソ間には問題がいろいろあるけれども、いろいろ話し合えば必ず解決の方向へ向かって前進するよとあなたおっしゃったじゃないか、われわれはその用意がある、こういう話を率直にしてきたところでありまして、すでに経済事務会議あるいは漁業会議、その他の会議は予定どおりに行われる予定になっておりますが、先般、ソ連の方でも心がけられて超党派と社会党の訪ソ議員団の招待があり、今後とも個人あるいは議員の招待等を考えておられるようでありますが、そういうことをきっかけにして盛んに交流を深め、そして話し合いを深め、そしてお互いに何を欲するかという相互理解をやって、友好関係を進めていきたいと考えております。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま外務大臣からお答えしたとおりに考えております。
○志苫裕君 ただ従来もやっていますし、その延長というのではなく、一段と高めるアクションということを主張しているわけでありますが、首脳会談等の希望を示唆したようでありますけれど、総理は、具体的にそこでこういうふうにしようという何か展望はありますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 日ソ間では定期協議というのがあるんです。それで外務大臣同士で話し合う。ことしはソビエト連邦側がわが国へやってくる番なんです。これを何とかして実現をさせる、これが私は非常に大事じゃないかと思うんです。わが国からは田中首相が訪ソをしたといういきさつがありますので、向こうのブレジネフ、コスイギン、そういう首脳が来日をするということも考えられます。がですね、しかし、とにかく定期協議というのがあるんですからね、その定期協議に従いましてグロムイコ外務大臣が来日をする、そういう機会に総合的に日ソ関係をこれからどういうふうに向上させるかということを考えるべきかと思っております。
○志苫裕君 一九七五年、第三十回国連総会の朝鮮問題に関する決議について、外務大臣の所見を伺いたい。
○政府委員(中江要介君) ちょっといま御指摘の決議文そのものを手元に持ち合わせておりませんので、それを正確に見た上で御意見を申し上げる方がいいかと思います。
○志苫裕君 じゃ、どこへ行って正確に見る。あした見るというんじゃないんでしょうな。
○政府委員(中江要介君) こちらに持ってきている資料の中にございませんので、いますぐ取り寄せて御答弁さしていただきます。
○志苫裕君 これやりましょうか。これおたくが訳したやつだよ、訳が正確であるかどうかわからぬですが。
○国務大臣(園田直君) まことに恐縮をいたしまして、資料をちょうだいいたしてその資料を拝見したわけでありますが、これは御承知のとおりに、この決議は北と南の言い分を併記してございます。そして、一致したところは、いずれにしても両方の話し合いによって統一を図るということが共通の決議になっているわけでございます。その方法論については両方が意見が違うわけでございます。 わが国は、いずれにいたしましても、先般の国会演説で私申し上げましたとおり、朝鮮半島の平和と安定はわが国にとって重要な問題でありまするから、両方が話し合いによって平和と安定が来るように、その環境づくりに努力をする所存でございます。
○志苫裕君 朝鮮問題が非常に大事なんでありますから、第三十回国連総会の決議と言ったら、あああれだなと、こう思わなきゃだめですよ、あんた。アメリカの方ばっかり向いているから、日本海の方がわからない。 いずれにしても、いま大臣答弁がありましたが、国連総会のあなたのお話も、総理のこの間の委員会における、衆議院の場合でありますが、答弁もですね、何とかしなきゃならぬと言っているわけでありますが、何をするとは言っておらないという点で非常に不満であります。で、多くを述べる時間がありません。共和国側に対して国として接触を考えるという発想はありませんか。
○国務大臣(園田直君) 事あるごとに接触を深めて、相互理解を深めたいという気持ちを持っております。
○志苫裕君 障害は何です。
○国務大臣(園田直君) ただいま国交がまだ回復いたしておりませんが、いろいろ問題があるわけでありますから、その問題ごとにお互いが話し合いをし、あるいは人事の交流等をやっていけば、相互理解はだんだんついてくると存じます。
○志苫裕君 まあアジアの大国日本と中国が反覇権を誓ったのは、平和と安定に役割りを果たすと同時に、日中主導のアジアになるのではないかという懸念も一方にあることは否定はできません。東南アジア、とりわけインドシナの情勢でありますが、大変厳しい。それで日中両国ともこの地域に深いかかわりをまた持っているわけでありますが、反覇権条項はこの地域にどう適用されますか。
○国務大臣(園田直君) ただいま発言されましたアジアの国々で、日中が提携をしてそして力を強めるのではないかという遠い不安があることは事実でございます。各国の外務大臣と直接会ってそういう意見を承ったり、また、私からもそういう話は十分説明をし、中国ともそういう点は十分お互いに慎重に配慮をして、真に日中友好条約というものがアジアの平和と安定のために役立つように、繁栄に役立つように、実行をもって努力しましょう、こういう話もしておるわけでございます。
○志苫裕君 国連の安保理事会がアフリカのナミビアに国連独立移行援助グループを派遣することになりましたが、これに対する日本政府の対応を聞きたい。
○説明員(小林俊二君) ナミビアにつきましては、国連が決定いたしております独立支援グループが実施されるということを前提といたしまして、国連事務局からの非公式要請に基づきまして選挙監視を任務とする純然たる民生部門についての要員派遣あるいは資機材の供与ということを通じて協力してまいりたいと存じております。
○志苫裕君 ちょっとその内容をもう少し言ってください。
○説明員(小林俊二君) 国連事務局からの要請はいまだきわめて非公式なものでございますが、その非公式要請の中におきまして、わが国に対して寄せられている期待は、選挙監視のための要員、すなわち文官の派遣と、それから運輸関係の機材の供与ということであると承知しておりますので、そういう面で要望に沿い得るように内々の話し合いをしているという段階でございます。
○志苫裕君 文官は何名ですか。
○説明員(小林俊二君) 先方は二十五名ということを言っておりますので、私どももなるべくそれに近い数を出したいということで内々の話し合いをいたしております。
○国務大臣(園田直君) 人員あるいは具体的な業務等については、正式な要請があった後、具体的に進めていく考え方であります。
○志苫裕君 平和維持軍の派遣を検討したとされるが、事実ですか。
○説明員(小林俊二君) ナミビア問題につきまして平和維持軍への参加ということを検討した事実はございません。
○志苫裕君 文官二十五名といたしまして、それの派遣の法的根拠、選考の基準などについて承りたい。
○説明員(小林俊二君) 派遣されます要員は、現在のところ考えられておりますのは官公吏及び民間からの志願者という両面がございます。国家公務員につきましては、派遣法という法律がございまして、その法律に基づいて休職の扱いをしながら派遣するということが可能でございます。民間人につきましては、これは国連事務局との一時的な契約ということで国連事務職員のステータスを与えられることになっておりますので、そこで個人の資格で派遣されるということになるわけでございまして、その点につきましては、政府があっせんをするというサービスを提供することになるわけでございます。
○志苫裕君 こういうパターンの派遣、あるいは要請というのは初めてですか。
○説明員(小林俊二君) 正式な要請はまだないわけでございますけれども、内々の話であっても、人員の派遣ということにつきましては、実は、国連そのものがこういう文官を組織して選挙を監視するという役割りを果たすということが初めてでございます。いままでのところすべて平和維持活動、すなわち停戦監視団あるいは平和維持軍の派遣ということに限られておりましたので、わが国はその国情の上からそれに応じ得ないということを国連事務局も了解いたしまして、今日まで私どもに対して正式に要請がその面であったということはございません。
○志苫裕君 国連への協力、ここでは文官でありましたが、国連軍への協力ということで関係法令の改正を検討していますか。
○説明員(小林俊二君) 具体的な検討はいまだいたしておりません。現行法の範囲内で可能なことを実施していくという現在のたてまえでございます。
○志苫裕君 在外公館警備のために警備官五十名が派遣されるという報道がありますが、その内容をお伺いしたい。
○政府委員(山崎敏夫君) 在外公館の警備のためには、現在も外務省、法務省、警察庁から合わせて三十名程度の警備官が配置されております。さらに本年度内に五十名程度の警備官を新たに配置する予定でございます。これは昨年ダッカ事件の後にハイジャック等非人道的暴力防止対策本部で決定されましたハイジャック等防止対策の一環として外務省は在外公館の警備強化を図ることにいたした次第でございます。
○志苫裕君 自衛官が含まれるということについてはどうですか。
○政府委員(山崎敏夫君) 今回、五十名程度の警備官を派遣するに当たりまして、警備について知識、経験を有しておる者を補充いたしますため、警察庁及び防衛庁に適任者の出向を依頼した次第でございます。これらの警備官は親元省庁の別を問わず、すべて外務事務官に任命された後に、他の外務職員と同様の資格で在外公館に配置されるものでございます。したがいまして自衛官出身の警備官についても全く同様でございまして、自衛官として派遣するものでございません。
○志苫裕君 いや、それは自衛隊から持ってきて外務省の洋服を着せるだけですから。私が聞いているのは、在外公館の警備は専門家なら警察庁から募ればいいでしょう、なぜ一体自衛隊からそれを集めるのですか。
○政府委員(山崎敏夫君) 先ほども申し上げましたように、今回は特に五十名の警備官を派遣する、緊急に派遣する必要があるわけでございまして、その点からこれを警備関係で特に知識、経験を持っておられる大きな役所として警察庁と防衛庁にそれぞれ二十五名ずつ派遣をお願いした次第でございます。
○志苫裕君 これは、いま防衛駐在官というのがおりますが、それ以外に事実上の自衛隊員を海外へ持っていく初めてのケースでしょう。外務大臣、総理大臣、いかがですか。
○政府委員(山崎敏夫君) いままでも防衛駐在官として自衛隊員が在外に派遣されております。この場合も全く外務事務官として勤務いたしておるわけでございます。今回の警備官も同じステータスで勤務するものでございます。
○志苫裕君 だから防衛駐在官と警備官は違うでしょう。自衛隊は日ごろ警備をやっているんじゃないでしょう。
○政府委員(山崎敏夫君) 防衛駐在官と警備官とは任務が異なります。しかし、いずれも外務事務官として全く外務省に所属する者として勤務する次第でございます。
○志苫裕君 答弁になっていないです。大臣どうですか。
○国務大臣(園田直君) これはいま官房長から申し上げましたとおり、外務事務官として赴任するものでありまして、駐在武官よりも格ははるかに下でありますから、海外派遣等の心配はないと存じます。
○志苫裕君 幾つかの質問を用意しましたが、大分カットしまして最後に一つ。 衆議院の補正予算の通過に絡んで、政府・自民党と新自由クラブとの間に取引というのですかな、合意事項がありまして、公共事業の傾斜配分に関する合意があるようですが、内容の説明を願いたい。
○国務大臣(村山達雄君) 新自由クラブとわが党の間に一種の取り決めが行われました。 事項は、来年度の予算の編成に関しまして、教育関係についての父兄の負担を軽減するということ。それから今度の特定不況地域の問題に関連しまして、現在言われております十六地域ぐらいの地域を目途として二十八ぐらいにし、そして各党から言われております公共事業費のかさ上げについても一種の目途を決めまして三百五十億程度にするということ。それからさらに、雇用給付の関係、昔の失業保険の関係……
○志苫裕君 公共事業分だけでいいです。
○国務大臣(村山達雄君) 公共事業につきましては、そういうことでございます。 さらに、政調会長との間で、不況地域に対する金利につきまして、すでに実施しているわけでございますけれども、金利を二%程度引き下げるということ、そういったことが主な内容でございます。――ちょっと申しわけございません。金利は〇・二%でございます。引き下げが。
○国務大臣(加藤武徳君) 不況地域に公共事業を傾斜配分をいたすことになったのでありますけれども、その裏負担が全額起債によって賄われるのでありますから、本年度の事業執行に関してはまず問題がないと考えますが、しかし、特別交付税等で措置をする、かようなことでございます。裏負担分は、御承知のとおり、交付税で措置がされ、そして基準財政需要額に算入されて予算措置がされておるんでありますけれども、全額ではないので、その間のすき間がございますから、そのすき間を埋めるための特交の配慮と、かように理解をいたしております。
○志苫裕君 自治大臣、それは新自由クラブと予算を通すための話でしょうけれども、特別交付税というのは自治体固有の財源ですよ。政府が政策を遂行するためにほどほどに使うというものじゃない。特別交付税で措置をするということは承服できない。いかがですか。
○国務大臣(加藤武徳君) おっしゃいますように、交付税は地方団体固有の財源でございまして、そこで元利償還に関して特交で措置がされるといたしますならば、その財源はさらに大蔵省等とよく詰めていかなければならぬ、かような考え方を持っています。
○志苫裕君 大蔵大臣、その点はどうですか、別枠で考えますか。
○国務大臣(村山達雄君) これはいろいろ問題を含んでおります。したがいまして自治当局と十分善後措置については検討してみたいと思っております。
○志苫裕君 別枠で措置するかどうかを答えてくださいよ。
○国務大臣(村山達雄君) 御承知のように、特別交付税財源は毎年交付税総額の六%で行われるわけでございます。したがいまして今年度の六%という問題をどういうふうに措置するか、これは自治省の問題でございます。来年度の問題につきましては、すべて来年度との関係におきまして、財源不足債がどれぐらいあるか、そのうちどのように財政的に措置すべきであるか、こういう問題を検討いたしまして、自治省と十分検討してまいりたい、かように思っておるところでございます。
○志苫裕君 答弁なってない、それは答弁になっていませんよ。その分の財源は別枠で見るべきだと言っているのですよ。
○国務大臣(村山達雄君) ですから、来年度の問題について申しますれば、財源不足債というものを、普通計算しまして、ことしの方式でございますれば、そのうち財源対策債を幾らにし、特別交付税を一体幾らにするのか。これは地方の財政不足の方からまずまいりまして、そのうち交付税総額が決まりますれば、そういう過程でそのうち六%を特別交付税に充てるわけでございますから、ですから、その中で措置できるかどうか、要するに財源不足債総体の中で決まることであろう、そういうものの一環として考えてまいりますということを申し上げているわけでございます。
○志苫裕君 いずれにしても、ほかの地域の財源をむしってきて新自由クラブとの約束を果たすという形になるので、それは承知できない。政府の責任で別途に独立の財源措置をしなさいということを言っているのであって、自治大臣もこれはもう断固としてやらなければだめですよ。この点はひとつ要望しておきます。 で、質問をまだ残しましたが、終わることにいたします。 私で社会党のバッターとしては最後になるわけでありますが、ずいぶんとこの予算委員会でも有事論争が行われまして、聞いていると、いまにでも何か戦争が起きそうな、こういうような錯覚にさえ襲われるような状況でありまして、今日世界の基調というのは平和であって、それこそ万万万が一というまさにppmの可能性さえあるかないかわからない。こういう有事や奇襲を声高に論じられておるのも、実は、考えてみると、発足以来二十八年の蓄積を背景にその存在証明を求めておる自衛隊制服の力の投影だと、私はそう思う。有事と言えば、それが戦時戒厳の体制であることはもう当然であって、いたずらに言葉の遊戯をもてあそぶことはない、私はそう思います。 自由民主党は、わが国に自由と民権を打ち立てた健全な保守政党の流れをくむ部分もある。自由と民主主義、そして政党政治がなめたかつての歴史に徴して、今日のこの雰囲気に本当に何らの危惧を感じないのか。私はこれは一内閣の問題ではない。日本の戦後体制、言うてみれば「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうに」決意をした日本の体制のことなんです。これが問われておる問題でありますから、一福田内閣の問題じゃない、私はそう思う。 だから、閣僚のうちだれでもいい、次々と所見を問いたい。本当に諸君は危惧を感じないのかということについて所見を問いたいのでありますが、みんなに聞いているわけにもいかぬから、河本さん、それから村山さん、櫻内さん、そして福田さんに次々とお伺いをしたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 有事体制にどう対処すべきかということについての研究は必要だと思いますが、しかし、有事体制と言えば、いま御指摘のように戦争が起こるということでありますから、こういう事態をなくするということが政治の一番の大事な点だと思います。それから、あわせて総合的な安全保障という角度からの検討ということが非常に必要だと考えております。
○国務大臣(村山達雄君) 総理並びに防衛庁長官が再々お答えしているのと同感でございます。
○国務大臣(櫻内義雄君) 有事体制の研究は研究、戦争はあくまでも避けるという、そういう信念はかたくみんなが堅持すべきものだと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 有事体制というような、有事にならないように政治は万般の努力をしなければならぬ、このように考えます。
○委員長(町村金五君) 以上で志苫君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) 次に、矢原秀男君の質疑を行います。矢原君。
○矢原秀男君 まず年金の問題について質問をいたします。 高齢化社会の訪れとともに、国民の年金に対する高まりもウナギ登りになっております。そういうことで、年金は一体幾らもらえるのかということは、年金が老後の所得保障であるならば当然のことだろうと思うわけでございます。国民が、自分の年金額を知りたい、こういう場合に、どこへ問い合わせたらいいのかというのは、皆さんは大概わかっておられますけれども、国民の一部の方方からとりましても非常に重大なことだと思うわけでございます。この点についてはいかがでございますか。
○国務大臣(小沢辰男君) 確かにこの点が非常に大事な点でございますので、私どもは、全国の社会保険事務所をオンライン化いたしまして、常時相談に乗れる体制をつくり上げる努力を始めたところでございます。なお、現在のところはまだそこまで至っておりませんので、それぞれ事務所等で相談業務をいたしまして、お尋ねの向きにはいろいろ調査をして便宜を図っておるところでございます。
○矢原秀男君 一日二千件ということ、これは社会保険庁の業務課にかかってくる電話での年金相談の件数でございます。業務課の説明では、何度ダイヤルを回してもお話し中のためあきらめる人も毎日二、三千人はいると、こういうことでございます。ですから、電話だけとは限らずに、実際に業務課に訪れる人、手紙で問い合わせをする人も多いわけでございます。また、各市町村の窓口での年金相談の件数もここ一、二年の間にウナギ登りにふえているようでございます。この年金に関する問い合わせの激増は、年金制度が改善をされてようやく老後の生活に大きなウエートを占めるようになってきたものの、年金制度の仕組みがなかなか複雑でわかりにくいというところに大きな理由があるわけでございます。 私も老齢年金の額についていろいろと考えてみましたが、老齢年金の額というものは定額部分プラス報酬比例部分。定額部分というのは、千六百五十円掛けの加入年数、まあここらまではわかるわけですね。ところが、比例部分については、過去の平均月収掛けることの百分の一掛ける加入年数、ここらまで来るといろいろと問題点が出てくるわけでございます。厚生年金の場合も、被保険者数が五十三年度で二千五百万人もいらっしゃるわけです。国民年金の該当が五十二年九月で二千七百万人、こういうふうなことでございますので、いま大臣も答弁がございましたが、社会保険庁の業務課一カ所ではこれは非常に問題点があろうかと思います。こういうふうなことでございますから、現代のコンピューター時代というのは、銀行でも国鉄でも全部使っているわけでございますから、社会保険事務にコンピューターの端末をつけていく、こういうことは、いま大臣がお話しなさったことと私も同感でございます。 ここで具体的に質問をしたいわけでございますけれども、厚生省は年金のオンライン方式を優先的に考えているということでございますけれども、今後の予算措置、そうして経過、こういうふうな点をもう少し細かく答弁を願いたいと思います。
○政府委員(持永和見君) お答えいたします。 社会保険庁で計画しておりますコンピューター利用によります全国の社会保険事務局を結ぶオンライン計画でございますが、五十四年度を初年度といたしましておおよそ三カ年計画で、各社会保険事務所が個別の相談体制にコンピューター利用によってお答えできるようなそういう体制をつくりたいというふうに考えております。
○矢原秀男君 厚生省として調査費を計上されたそういう年度別の金額を答えてください。
○政府委員(持永和見君) コンピューター利用によりますシステム設計でございますけれども、昭和四十八年度からシステム設計のための調査をいたしまして、今年度でおおよそシステムが完了いたしまして明年度から実施に移したいと、こういう経過でございます。
○矢原秀男君 大蔵省はこれについてはいかがでございますか。
○国務大臣(村山達雄君) ただいまお話がありましたようなことで、三年計画でコンピューターシステム、つまり社会保険事務所の末端でわかるようにしたいという計画があるということで、いま相談中でございます。
○矢原秀男君 じゃ、大臣、重ねて伺いますけれども、これは三年程度でできるわけですか。
○国務大臣(小沢辰男君) 大体打ち合わせもできておりまして、具体的には来年度の予算から三年間でこれを完成いたします。
○矢原秀男君 よろしくお願いしたいと思いますが、ただ、ここで御注意をお願いしたいわけでございますが、やはり、働いておられる方々、こういう方々に対して、いま民間で行われているような減量調整だけが決め手であるというふうなことではなしに、やはり私はそういう点をよく留意をしていただいて、犠牲者の出るようなことのないように、その点だけは重ねてお願いしたいと思うわけです。この点、大臣、もう一度。
○国務大臣(小沢辰男君) 年金業務につきましては、現在の定員でも足らないぐらいでございます。先ほどおっしゃいましたように業務課がもう大変な実は繁栄でございます。決してこのオンライン化によって、今日のような雇用状況のときでもございますので、首切り等を行うような意思はない。社会保険事務所はその他の健康保険のいろいろな仕事につきましても徴収事務、給付事務その他いっぱいございますので、その御心配はないものと考えていただきたいと思います。
○矢原秀男君 じゃ、時間の都合がございますので、二点目に入ります。 第二点目は瀬戸内海浄化の問題でございますが、まず第一点は赤潮の問題について質問をしたいと思いますが、総理大臣ね、毎年夏になると原因追求であるとかいろいろな問題が出てくるわけですけれども、なかなかその対策が出ておらない、まあこういうことでございますけれども、瀬戸内海の沿岸には十一府県の、人口二千万以上の方々、そうしてそこでとれる魚というものが二百海里時代を迎えてたん白源の非常に重要な、国民生活にとって健康とあわせて非常に大事な源になっているわけです。私は、一口に言って、政府がもう十年以上もずっと力を入れながらなぜよくなってこないのか。夏が過ぎて秋、冬、台風、洪水が出る、自然浄化の中で、ああ、いつの間にか解決できたなあ、こういうふうな無責任な姿では私はいけないと思うのですね。 まず、最初に、総理大臣、瀬戸内海の浄化はどうすればいいのかということをまずお答えをお願いしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 瀬戸内海につきましては、特別の浄化のための立法があるわけですが、あの立法を基本といたしまして対処する、こういうほかないと思うのです。赤潮につきまして特別に御指摘がありましたが、これもずいぶん各省は努力をいたしておるのですけれども、その原因の的確な究明ができない、そういうようなこともあって、対策もどちらかというと手おくれだと、こういうようなことでございますが、これは非常に重大な問題でありますので、鋭意取り組んでまいりたいと、このように考えます。
○矢原秀男君 福田総理、こういうことを覚えていらっしゃいますか。昭和三十九年六月、ちょうど私は兵庫県で市会議員のときでございましたが、瀬戸内海沿岸の十一府県及び大阪、神戸、北九州三市の首長が集まって、当時の河野建設大臣を迎えて、神戸から別府に至る船中で、瀬戸内海開発のためのお祭り騒ぎのような会議を催して、新聞は連日一面で書いて、本当にもう開発のためのそういうムードがぐっと出てきたわけです。そうして、それから七年たった昭和四十六年の七月には、同じ十一府県、三市の首長たちが再び神戸市に集合をしたが、今度は瀬戸内海の汚染対策を真剣に検討した。 総理、一日で結構でございますが、これは政府の施策が瀬戸内海を通して正しかったのか、それとも万やむを得ず変更を認めざるを得なかったというのか、こういう点を所懐をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 開発と言いますと、やっぱり環境汚染がつきまとうわけでありますから、やっぱり開発という場合には環境問題を十分とらえまして、そして環境問題に不都合がないという状態において開発をするべきだと、こういうふうに思いますが、いまお話しの洋上会議ですか、あれはなかなかはでに打ち出されたということを私も記憶しております。おりますが、あのころは環境問題はさほど論議されなかった、そういう時期であったのじゃないかというような感じもいたしますが、いずれにいたしましても、今後は環境優先と、こういうことでやっていきます。
○矢原秀男君 環境庁にお伺いしますけれども、私は率直に言いまして、環境破壊の要因は、一つは、自然環境については瀬戸内は環境破壊に対する体質的な脆弱性、そういう中で沿岸遠浅の地勢というものが、海流に洗われることなく汚水がよどんでいる。これはもう私たちもずっと現地におりますから。二番目には、海水の交代がきわめて少ない。一たび汚染をされれば袋の中の汚染水の状態である。三番目には、浅くて水量が少ないために、希薄作用とか自浄作用に恵まれない。そういうところへ、社会的な環境としては、急速な工業の進出で用地埋め立ての増加、生産及び出荷額の増勢と人口増加、こういうふうなもろもろのものが重なってきているわけですね。 ここで、環境庁に対しましてお願いしたいことは、環境庁としては本当に赤潮だけではなしに瀬戸内海を浄化するためにはどうしたらいいんだと、こういうことを具体的に御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(山田久就君) 瀬戸内海の環境保全ということについてはわれわれも非常な意を用いて、御承知のように、瀬戸内海の環境保全の後継法というものもつくりまして、したがって、それについては非常に意を用いておる。その一環として、いま御指摘の赤潮問題につきましても、これは同時に今回行われることになりましたいわゆる瀬戸内海の汚濁の総量規制というものの実施とともに相まって、この赤潮機構の究明ということにつきましては、御承知のように、赤潮研究会というものもつくりまして、まあこれについては各関係の機関及び専門家をもって構成いたしまして、累次この対策を検討いたしております。最近では、さらにこの機構の中に幹事会も設けまして、各専門分野というものがよく動いて、何とかこれの解明に組織的、計画的に推進できるようにということで鋭意努力をしておりますし、今後においても特に意を用いてやっていきたいという態勢で臨んでおる次第でございます。
○矢原秀男君 赤潮について一点だけお願いしたいのですけれども、国として赤潮発生機構の早期解明という大きな課題があるわけです。これに対して私が今度びっくりしましたのは、赤潮で被害を受けた養殖業者の方々にいろいろ伺っておりますと、われわれの問題よりも、瀬戸内の赤潮、これについての解明を真っ先にやってほしいと、こういう今度は変わった意見が率直に出ているわけなんです。それに対して政府が実際に積極的にやらないというようなことになれば大問題だと思うわけですけれども、 〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕 この点についてはどう取り組んでいこうとされているのか、伺います。
○国務大臣(山田久就君) ただいま申し上げましたような努力、その中心問題といたしまして、御承知のように富栄養化対策ということに対しまして、先ほど申し上げましたように、総量規制とあわせまして赤潮発生要因の物質の一つと考えられておる燐の削減対策を計画的に努力いたしておることは御案内のとおりでございます。この燐対策について、先ほど申し上げましたような機構解明の努力によりまして、赤潮発生の抑制に資することができればと、こう考えておるわけでございまして、そのほかに、いわゆる窒素対策というものも当然考えられなきゃいけない、これはわれわれもそう思っております。ただ、窒素の問題になりまするというと、空中に窒素というものがありまして、随時これが水の中へまじっていくというようなことで、この処理対策というものが燐というものとは比較にならないような非常にむずかしい状況になっております。そこで、せめてこの努力が比較的有効な燐ということに非常な主力を置いてひとつこの赤潮対策というものについて有効な措置を上げたいということで努力しているような次第でございまして、ひとつまたその点について御了解を得たいと思います。
○矢原秀男君 大臣ね、予算措置としては大体赤潮対策は幾ら組んでいらっしゃるのですか。
○政府委員(馬場道夫君) 赤潮対策の予算でございますが、環境庁といたしまして直接赤潮対策として組んでおりますのが五十三年度は二千万余りでございます。ただ、それに関連をいたしまして富栄養化対策等いろいろ合わせますと約一億六千万程度でございます。
○矢原秀男君 いまの御答弁を聞きましても、政府も本当に真剣で取り組んでいると、こういう様子が見えません。本当に責任を持ってやっていただきたいと思います。 ここでちょっと苦言を呈したいわけですけれども、水産庁が赤潮発見装置を全国的に行われているわけですけれども、兵庫県には明石海峡に一つ設置をされたんです。これと赤潮発見とはどういう理由があるのか、関係性を答えていただきたい。
○政府委員(森整治君) 御質問は恐らく自動海況観測装置についてのお話だと思いますが、これは当初ノリ養殖の海況なり漁況を予報するということで四十七年から設置されたものでございます。三年間やりまして、その後管理費をつけて今日に至っておるということで、直接赤潮と結びつけた考え方ではなかったわけでございますけれども、もちろん赤潮の予測に役立つということでございまして、今後はこれにつきまして赤潮についての総合的な観測のシステムのあり方との関連で今後どういうふうにこれを運用してまいるかということを検討してまいりたいというふうに思っております。
○矢原秀男君 御注意申し上げたいわけですが、皆さん専門家ですから、潮流の一番激しいところへこういう自動観測装置をつけるということは、赤潮の発生するところは水の流れないそういうところで調査をすべきであって、一番潮流の速いところにこういう装置をつけるのは、皆さんが現地で何回も見ていただいたら、赤潮に対してのそういうような状態はわかるわけなんですよ。だから、こういうことは今後は注意をしていただきたい。本当に赤潮発見装置の一連のものであるならば、そういう場所ははっきりしているわけですから、注意をしていただきたいと思います。 ここで瀬戸内海浄化のもう一点でございますけれども、公共投資とこれは関連するわけです。こういうわけで、下水道の整備促進というのは瀬戸内海で一番大事です。いま、都市下水道の普及は先進国よりおくれております。そうして、内海沿岸の諸都市の下水道は、瀬戸内の周辺が非常に人口急激なために、膨張して、追いつけない状況です。こういう中で、政府がどういう予算措置をされていらっしゃるのか、この点をまずお伺いをいたします。
○政府委員(小林幸雄君) お答え申し上げます。 瀬戸内海沿岸の各府県の下水道普及率でございますが、十一府県平均いたしまして、普及率は三二%でございます。この中には、大阪府のように戦前から非常に整備が進んでおりまして普及率の高い二府県と、また、ごく最近に至りまして下水道の整備を始めました和歌山、徳島、その他の県もございまして非常に低いところもございますが、平均しましてそういう状況になっております。なお、全国の普及率に比べましてやや高いという状況でございます。
○矢原秀男君 瀬戸内海に面している各府県の下水道の普及率を各府県別に答えてください。
○政府委員(小林幸雄君) お答え申し上げます。 大阪府五六%、兵庫県四二%、和歌山県二%、岡山県一五%、広島県一八%、山口県一八%、徳島県七%、香川県一一%、愛媛県八%、福岡県二七%、大分県八%、以上でございます。
○矢原秀男君 総理ね、公共事業の関連で国内需要を喚起していく。そうして、瀬戸内は海に囲まれた日本として非常に大事なところです。ですから、政府がいま真剣にやっているのかどうかということについては、下水道の普及率で和歌山県やなんか二%です。五カ年計画で。何をやっているんですか。これは県が悪いのではなしに、国として総合的に協力をする姿勢というものがないということなんです。瀬戸内海浄化は口だけなんです。二〇%以下というのが、岡山県が一五%、広島が一八、山口が一八、徳島が七、香川県が一一、愛媛が八、大分が八、この関連には重化学工業がずらっと並んでいるんです。そうして公共下水のこういうふうな下水道の普及率はたったこれだけなんです。これで瀬戸内海を浄化しています。予算をつけている――やっていない証拠です。これは。総理、これをどういうふうに考えていらっしゃいますか、この数字を見て。今後どう対処されるのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 下水問題というのは、わが国が当面しておる、住宅問題の関連でございますが、もう最大の問題だと、こう思います。ただ、この下水問題が着目されたのが戦後もよほどたってからの話であると、こういうようなことで、欧米に比べますると大変な立ちおくれになっておるわけですが、いまその立ちおくれを取り戻さなければならぬという立場にあるのが日本社会であると、このように考えていますが、とにかく下水道というのは、国の予算といたしますと、相当の重点を置いてやっておるわけであります。 〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕 この上とも、下水道が、瀬戸内だとか琵琶湖だとか、特にそういう内海、湖水ですね、そういうところと非常に関係が深いわけでありまするから、とにかく一生懸命やります。
○矢原秀男君 前後しましたけれども、これは建設大臣の所轄ですね。一言決意を述べてください。
○国務大臣(櫻内義雄君) 下水道事業の重要性は言うまでもございません。したがいまして、現在他の各種事業よりも補助率も相当高い補助率で事業を遂行しておるわけでございます。また、ただいま御指摘のように、県によりましては普及率の低いところもございます。これには技術者などの不足もあろうということで、下水道事業団が各県の要請にこたえて事業を進めるように工夫もしておるわけでございますが、最も大事な点は、下水道処理施設を設置する場合に、こういう閉鎖性水域の特殊事情があるにもかかわらず、なお地元住民の協力が十分得られないというような点もございますが、しかし、現状は先ほどからの御批判のとおりの状況にございますので、今後鋭意下水道普及のために努力をいたす考えでございます。
○矢原秀男君 特に要望しておきたいと思うのですけれども、下水の第三次処理施設の普及というものが今後大事であろうと思うわけです。東京湾とか瀬戸内海とか大きな人口を抱えた水域において水質汚染が非常にはなはだしいのは、一つは、下水道の未普及、まあこれもありますけれども、今日の下水道の処理法では、窒素とか燐等の水質の富栄養化の原因物質を処理し得なかった点にあろうかと思います。政府も四十六年度からこの第三次処理技術のプロジェクトを発足されておるわけでございますけれども、こういうような点で重ねてお伺いをするわけですが、第三次処理技術の見通し、そうして用地確保の諸計画、こういう点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) 現在の二次処理で都市排水中の窒素、燐の二〇ないし四〇%の除去が可能でございまして、その点、下水道の整備が赤潮対策上ある程度寄与することは論をまたないところでございます。 そこで、三次処理についてのお尋ねでございますが、現在では、私の記憶では、まだ二カ所程度の設備、施設がある程度だと思います。この三次処理の中で、先ほど環境庁長官も言われましたように、窒素の処理は非常にむずかしいのでありますが、燐の処理については相当程度やり得ると思いますので、今後、御指摘のように、三次処理についてさらにわれわれとしては努力をしてまいりたいと思います。
○矢原秀男君 どうか、総理大臣を初め、瀬戸内海の浄化には全力を尽くしていただきたいと思います。 では、最後の質問に移りますけれども、構造不況業種の一つでございます造船業界においての不況ぶりはやはり目に余るものがあります。非常に深刻な状況を呈しているわけでございますが、まず造船界の今日の実態を御説明をお願いしたいと思います。
○国務大臣(福永健司君) 造船業は、ただいまも御指摘のごとく、非常に深刻な状態でございまして、世界的な景気の低迷や、長引いております海運不況等の影響を受けまして非常に注文が減ってきている、こういうことでございまして、そういう情勢に加えまして、最近、円高ということでさらにまた拍車をかけるということに現実はなって八年度には史上最高の約三千三百八十万総トンを記録したのでありますが、自来急激な減少を見ておりまして、五十二年度は四百九十五万総トンと最盛期の一五%程度の低水準にとどまっております。五十三年度上半期の受注量も前年よりさらに減っているというような事情でございまして、言うなれば不況は長期化の様相を呈しております。したがって、その経営について今度は見てみますと、これも悪化の一途をたどっております。五千総トン以上の建造施設を有する造船企業六十一社について見ましても、赤字企業数が五十年度では五社であったものが五十二年度には二十九社にも達しているということでございます。いずれにいたしましても、大変厳しい状況でございます。 御希望の中に建造量等についてもということでございましたが、四十九年に千七百八十一万総トン程度のものが、五十年にはまだよかったんですが千八百二十三万トンで、五十一年に千四百九万総トン、五十二年には九百七十四万総トンというようなことで、五十一年、五十二年等にはそれぞれ前年比二三%減とか三一%減というようなことになっております。 従業員数につきまして申し上げますと、四十九年十二月末で二十七万四千人、これをピークといたしまして、五十一年末が二十四万四千人、五十二年末が二十一万六千人、五十三年三月末が二十万九千人というような数字を示しております。 これを要するに、非常に厳しい状況下にあえいでいるというのが現状でございます。
○矢原秀男君 いま御答弁いただきましたように、確かに、資料を見ておりましても、赤字企業数の推移、それから新造船受注量の推移につきましても、従業員数の推移にいたしましても、非常に冷え切ってしまった残念な状態になっているわけでございます。全国的なものについての説明はいま伺ったわけでございます。私も一部の地域を具体的に調査をしたわけでございますが、兵庫県における造船業の不況状況、こういうふうなところも調査をしてまいったわけですけれども、非常に厳しい数字が出ております。これは兵庫県だけではなしに、いまお話があったように全国的にも同じ状況であろうかと思います。 ここで、大臣にお伺いしたいわけですけれども、四十九年と比較して大幅に建造実績がダウンしているわけですけれども、現状の非常に厳しい先ほどもお話がございました分析の中で、今後の見通しを、抽象的でなしに具体的に二、三挙げて、どうすればいいのかということをお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(福永健司君) 今後の見通しにつきましては、先刻も少し触れましたように、この不況が長期化の傾向にありまして、簡単によくなりそうにないというところに悩みが一層強いものがあるわけでございます。先般、対策等につきまして、海造審等である種の数字を出しております。これはこれで参考とすべきものでございますが、これは余り深刻な表現をいたしておりません。いろいろ影響があるからということも考えたのでありましょうか。でございますが、そういう深刻な状態でありますから、いずれにしても何とかして需要を増すことを考えなきゃならぬ。これにつきましては、それなりに船そのものをよけいつくってというような観点から、古いやつはもうできるだけ早く新しく取りかえるとか、外国の需要もできるだけ増すようにしなければならぬとか、また、一部造船業が持っております技術をほかのことで生かすということで解撤事業もやらせるとか、あるいは、陸上部門等で不況対策でいろいろな仕事をいたしますが、造船の関係の者がこれに携わってできないことはないではないかという仕事等もたくさんございますし、また、これはまあ私どもがそういうことを一部言っているのでございますが、飛行場なんかについても、必ずしも陸の上に置かなきゃならないと考える必要はないじゃないか、できるだけ海上等も活用すると、言うなれば小さいながら新しい島ができたような状況にするというようなことで、そういうことで鉄の需要も増すんだし、船の仕事をやっていた連中にこういうこともやらせて不況対策にすると、まあいろいろそういうようなことが必要でございまして、ただいま私が申し上げましたこともほんの一部であろうかと思いますが、これを要するに、広く考えて――広くという意味は、いろいろな業種について考えるということと、全世界的に眼を向けて対策を講じていかなきゃならない。ただいま造船のことについてよく御認識のお話をいろいろ伺っておるわけでございます。私どもも何とかしてこの危局を脱するように政府としても配慮してまいりたいと、そういうように考えております。
○矢原秀男君 私たちが調査をしましたところでは、下請団体では、これは三菱造船の神戸工場ですけれども、ここは新造船が十二月いっぱいはあると、しかし今後は全く不明という今後の見通しですね。川重関係では、四十九年の操業度に比べて四七%ぐらいにダウンしている。今後の見通しは、解撤は神戸ではもう全然やっていない、十月以降は修繕船もない、新造船は全くないと。そして、石川島播磨重工でも、四十九年の操業度に比べて現在が一七%。今後の見通しとしても、新造船は年内はあるが以後不明陸上部門へ進出し活路を見出したい、しかしなかなかだめだと。もう一つ、石川島播磨重工の相生の第一工場の方では、四十九年の操業度に比べて現在は四五%から五〇%。今後の見通しは、官公需の受注なし、来年三月の操業度三〇%の見込み。神戸造船の関連工業会は、四十九年の操業度に比べて現在三〇%程度。今後の見通しは不明であると。川重の協力工場は、四十九年の操業度に比べ現在六〇%、造船エンジン部門は幸い八五%、陸上部門が一五%。今後の見通しはわからないと、こういうふうな非常に先行き暗い状況が出ております。 ここで、河本通産大臣も、選挙区でございますし、船は専門でございますので、あなたの方でまた今後の見通しとしてはこういう問題があるのではないかという所見がございましたら、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 兵庫県下の造船事業が非常に深刻な状態にあるということは、いまお話しのとおりでございます。これの対策といたしましては、なかなか緊急にいい方法が見つかりませんが、いま運輸大臣がお述べになりましたような幾つかの船をつくることにかわるべき新しい仕事の分野を開拓していくよりしようがないのではないかと、私はこのように思っております。通産省といたしましても、たとえば石油備蓄基地のタンクを全国の造船所の仕事に回すとか、あるいはいま海外との間にバージプラント船と言いまして、発電バージとか、あるいはそのほか製紙プラントバージ、あるいはLNGのプラントバージ、幾つかのバージプラント船の引き合いがございますが、こういうものを経済協力を進めるという立場からもどんどん進めておりますが、造船所の方へ回すとか、あるいはいま電源開発関係の仕事が進んでおりますが、その一部の仕事を回すとか、そういうことで運輸省と十分連絡をとりながら側面的にできるだけお手伝いをしたいと、こう思っております。
○矢原秀男君 確かに、いま、陸上に上がるといっても、先ほどもお話しございましたが、公共事業との関連の仕事というのが、既定の業者がもういっぱいおりますので、やはりなかなか官公需の仕事がとれない。こういうふうなことで数字的にも明確になっておりますけれども、この造船不況というだけではなしに、各全国に散らばっております地場産業であるとか中小零細の企業というもの、そこにお勤めになっていらっしゃる方々は、みんな生活がかかって、国の何とかいい施策がないのか、こういうふうなことで、わらをもつかむ思いで一生懸命働いていらっしゃるわけでございます。そういう意味で、私、大臣にもう一度、今度は幅を広げて全般的に、これは総理大臣が締めくくりで一番いいかと思いますけれども、中小零細企業救済、そうしてそこで働いていらっしゃる方々の生活不安を取り除いていくためにはどうしたらいいのか、こういうふうなものを現況を踏まえて総理から明確なる具体的な話がございましたら、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) いま、わが国におきましては、経済全体として見ましてまだ操業度が十分でないのです。いま御指摘の造船業は、これはもう本当に特殊なものでありまして、いわゆる構造不況、その中で最も深刻な状態に置かれておるのが造船業であると、このように見ておりますが、そういう企業企業によりましてこれは特殊の対策が必要だと思うのです。たとえば、造船業につきましては、これはもういま通産大臣もお答え申し上げましたし、運輸大臣からも答弁がありましたが、いろいろ工夫はしておるのです。おるけれども、結局はかなりの設備廃棄をしないとこれは対処し切れない、そういうことかと思いますが、そういう構造的な不況業種につきましてはそれぞれ対策をとる。同時に、経済全体のかさ上げをいたしまして、底上げをいたしまして、そして企業操業度がなるべく早く好ましい水準に、まあ私は八五%水準と、こう言っておりまするが、その辺に来るように、いま八〇%ぐらいと言われております――というので、総体的の需要創造のための努力をいたしておると、こういう最中でございますが、そういう五年になる不況でありますから、ことに中小の企業なんかはお困りだと思います。そういうことで、地域対策をとったり、あるいは円高不況業種対策をとったり、いろいろなことをしておりまするが、何せ根本的なことは、操業度を改善して、そして、雇用の機会をつくり、また収益の改善を図るということにあろうかと思いまするので、せっかく努力をいたしたいと存じます。
○委員長(町村金五君) 以上で矢原君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) 次に、内藤功君の質疑を行います。内藤君。
○内藤功君 まず防衛庁にお伺いいたしますが、今臨時国会で大きな問題になったいわゆる航空自衛隊の領空侵犯に関する対処の内訓ですね、この内訓について伺いますが、防衛庁の中では、内局、さらに航空自衛隊、この両面におきましてどの範囲の人がこれを知ることができるのか、この点をまず伺います。
○政府委員(伊藤圭一君) この領空侵犯措置というのは、その任務を持っておりますのが航空自衛隊でございます。したがいまして、この領空侵犯措置の内訓につきましては、内局の防衛局運用課の者、それから航空自衛隊の防衛部運用系統の者、それからさらには総隊司令官、それから方面隊の司令官がございます。そして、それぞれの任務を持っております航空団、さらにその任務に従事いたしておりますパイロットというようなところが知っているわけでございます。
○上田耕一郎君 関連。
○委員長(町村金五君) 関連質疑を許します。上田耕一郎君。
○上田耕一郎君 きょう午後、伊藤防衛局長が、この内訓について、訓令の中のマル秘のものだと言われましたね。内訓というのはどうも全部マル秘のようですけれども、この防衛実務小六法の中に七百四十五ページには秘密保全に関する内訓というのが全文改正が載っているんですよね、秘密保全に関する内訓が。内訓というのは全部マル秘で公表しないというようなことは、もうこれを一つ見ても違うのですね。どうも答え方がおかしい。納得いかないんですけれども、局長にお伺いしたいのは、内訓は、法制局長官、また衆参両院の議長、内閣委員会の委員長、こういう人は見ることはできるのか、国会には提出しないというんですけれども、この点をお伺いしたい。 それからアメリカの第五空軍関係者はその内容を知っているのかどうか、これをお伺いしたい。 それから関連して法制局長官にお伺いしますけれども、九日に、長官は、内訓を私は見ていないけれども、禁止規定がないんだから武器は使ってもいいだろうという答弁をされました。これは、私は非常に新解釈で重大だと思うのですね。あのときにも申し上げましたけれども、自衛隊法には、治安出動の場合にも、海上の警備行動の場合にも、武器の防護の場合にも、厳密に法律で決まっておるわけですね。警職法の準用だとかあるいは独自の規定をやって、刑法の三十六条、三十七条に関しても警職法の準用あるいは独自の規定に基づいて生まれているわけですね。ところが、八十四条の領空侵犯の場合には何らの規定がないので、私は、領空侵犯の場合には武器使用できない、もしする場合には法律改正が必要だという答弁が長官からあるべきだと思うのですね。ところが、そういう答弁をしないで、しかも内訓さえ見ていないで、武器使用をしてよろしいというような答弁をされるのは非常に大変な問題だと思うのですけれども、改めてそう言われる理由をはっきりお伺いしたいと思います。
○政府委員(伊藤圭一君) まず、最初に申されました秘密保全に関する訓令、これは内訓ではございません。訓令でございまして、秘密保全に関する訓令で、用語の定義初め秘密区分の基準等が書いてあるわけでございます。 それから……
○上田耕一郎君 内訓と書いてありますよ、ここに内訓と。
○政府委員(伊藤圭一君) 秘密保全に関する訓令は内訓ではございません。
○上田耕一郎君 「秘密保全に関する内訓の全部を改正する。」と書いてありますよ、内訓と。
○政府委員(伊藤圭一君) 内訓ではございません。訓令です。
○上田耕一郎君 誤植ですか、じゃこれは。
○政府委員(伊藤圭一君) そう書いてあるとすれば、誤植でございます。
○上田耕一郎君 まあお聞きしておきます。
○政府委員(伊藤圭一君) それから内訓というのは防衛庁の所掌事務に関しまして法令の範囲内で長官が発します規範的命令であるということは前にも御説明いたしましたが、これは訓令の一種でございまして、その中の秘密の取り扱いを要するものでございますから、防衛庁内の関係者以外にはこれをお見せするようなものではございません。ただ、必要がある場合にその概要について御説明するということはあると考えております。
○上田耕一郎君 第五空軍はどうですか。
○政府委員(伊藤圭一君) これは防衛庁の内訓でございますから、第五空軍にはもちろん見せておりません。
○政府委員(真田秀夫君) お答えを申し上げますが、一昨日も詳細に御説明申し上げましたとおり、自衛隊法の八十四条には「(領空侵犯に対する措置)」という規定が置いてございます。この中で、航空自衛隊は、わが国の領空に対する侵犯機があった場合に、いわゆるスクランブルをかけて、そしてその当該侵犯機を着陸させ、または領海外に退去させるために必要な措置をとることができると、長官がさせることができると書いてあるわけでございまして、この規定によって、その業務に従事中に相手方の侵犯機が不法にも発砲してきたと、その発砲を受けて自衛隊機は何もしないで飛行機と一緒に落っこって犬死にをしなさいということを八十四条が命じているとはとても考えられないわけなんでございまして一この八十四条に規定しておる任務、その任務の一環として、そういう場合に、少なくとも正当防衛に該当する場合には、過剰防衛に至らない限度でこれに対して反撃をするということは当然八十四条の許容するところであると、こういうふうに解釈しているわけでございます。
○上田耕一郎君 法制局長官のいまの答弁は、法律に基づかないで自衛隊に武器使用を認めるという非常に重大な問題だと思うのですね。長官は正当防衛とか何とか言われるけれども、あなた、内訓を見ていないのでしょう。内訓というのは恐らく大変なものですよ。第五空軍の交戦規則を準用したものだと言われているものですからね。恐らく何十条もあるでしょう。こんなに部厚いものだとさえ言われているのですから。いざとなればミサイルの撃ち合いになりそうなそういう内訓なんですね。そういうものをあなたが見ないでそういうふうな答弁をされるのは、私はまことに無責任なことだと思うのです。先ほど防衛局長は部外の者には見せないと言われたけれども、必要がある場合にはということを言われた。私はこれほど国会で重大な問題になったものなので、法制局長官としては、本当に内訓が法律に基づかない大変なものでないのかどうか、非常に部厚いものだそうですから、ぜひ必要があるとして防衛庁に申し出て、それをあなたごらんになって、その上で、これがどういう問題点があるかないか、本予算委員会に報告していただきたい。このことを私は要望いたします。 それから防衛局長は在日第五空軍には見せていないというふうに言われましたけれども、これはすでに国会でも問題になりましたように、この内訓と関連がある達ですね、米軍の了承を得ていないので国会に出せないということを宍戸元防衛局長が言っているわけですね。いまでもあなた方は、この航空総隊の領空侵犯の措置実施に関する達、こういうものは米軍の了承がなければ国会に出せないというふうに思っておられるのかどうか、その点をお伺いしたい。そして、私は、国会にも出せない、米軍の了承がなければ出せぬ、米軍が知っているというようなことは、これは主権の問題になると思うのですね。 私は最後に申し上げたいのですけども、内訓がもし出せないんなら、まず第一に、この内訓のもとになった三十四年の九月二日の松前・バーンズ協定、これは防衛局長がこの松前・バーンズ協定が結ばれたときに内訓を定めたと衆議院の予算委員会でも答えられておるので、松前・バーンズ協定、それからこの松前・バーンズ協定を国内に適用しました……
○委員長(町村金五君) 上田君、時間がまいりましたから簡潔に願います。
○上田耕一郎君 あとちょっとです。九月九日の日本の防空実施のための取り扱いに関する通達、それから三つ目に宍戸防衛局長が米軍の了承なしには出せないと答えたことのあります領空侵犯の措置実施に関する達、松前・バーンズ協定と達二つですね、これをぜひとも国会に提出いただきたい、このことを要望いたします。 法制局長官と防衛局長から答弁いただいて、委員長にぜひ適切な措置をとられるようお願いいたします。
○政府委員(真田秀夫君) 私の態度が非常に無責任であるというふうな御発言がございましたので、一言釈明をさせていただきます。 一昨日も、実は私はその内訓なるものの中を読んでおらないからということでお答えを控えさせていただきたいとしましたところが、上田委員が、いや、それは概要はもう向こうで話をしたんだからおまえ知っているだろう、ぜひ答えろというような御発言がございましたので、私はそれを前提にしてお答えをしただけでございまして、決して無責任な態度をとったとは私は毛頭思っておりません。
○政府委員(伊藤圭一君) まず、宍戸防衛局長が米軍との関係で達が出せないと言ったのは、これは松前・バーンズ協定は米軍との関係で出せないという意味でございます。航空自衛隊の達というものは秘に指定されておりますし、先ほど内訓についても出せないという理由と同じ理由でこれは出せないということでございます。
○委員長(町村金五君) 上田君、資料の件は理事会で協議いたします。
○内藤功君 ミサイルの一発で日本の国が交戦状態に巻き込まれるこの内訓というものが国会にも法制局長官にも知らされずにやられている。この問題は引き続き徹底的にわれわれは究明したいと思うのです。 さて、総理にお伺いいたします。総理は、自衛隊法の秘密保護の規定に触れまして、自衛隊法のようないまの刑で十分かどうか将来検討すると、こう答弁をしておられる。これは、自衛隊法の自衛隊員に関する刑を引き上げるということにとどまるのか、それとも、あなたは日本はスパイ天国だと言いましたが、隊員以外の一般国民の行為をも処罰の対象にする法律を考えているのか、そのどちらですか、その点を明確にしてもらいたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 別にいま法律を考えているわけじゃないんです。一例といたしまして、機密保護機密保護と言うが、いまの自衛隊の機密は三万円、一年と、あれで保護されておると、こういうことでございますが、これは平時ですよ。有事になったら一体それでいいのかという疑問が私ども起こるんですよ。だから、そういう問題も含めまして、とにかくこれは憲法の制約はあることはよく承知しております。その憲法の制約の中で機密保護をどうするかという問題は当然考えなけりゃならぬ問題である。ただし、いまはその検討の対象にはしておらぬ、こういうことであります。
○内藤功君 私の質問は、有事になった場合、つまり将来の検討の対象は、隊員だけではなくて、一般国民に対しても、たとえば探知とか収集とか漏らすとかいうような罪ですね、これを考えているのか、検討の対象にするのかという問題です。
○国務大臣(福田赳夫君) 有事の際を考えると、いまの機密保護の状態というものは、これはまあいろいろ問題があるのじゃないかと思うんですよ。でありまするから、自衛隊員のこと、これはもうもとよりでありまするけれども、その他の問題につきましても憲法の範囲内においてどれだけのことができるか、これを検討いたします。
○内藤功君 その他の問題というのは、自衛隊員以外の国民についても処罰を考えると、こういうことですか。
○国務大臣(福田赳夫君) それはもう当然そういうことであります。
○内藤功君 これは重大な問題です。隊員以外の者について、秘密を探知、収集、漏らすと、こういう行為がいままでいろいろな法律で処罰の対象になってきましたが、それを将来は考えることを検討すると、こう言われるのですね。
○国務大臣(福田赳夫君) いずれにいたしましても、国益にかんがみまして有事の際に秘密を保護しなけりゃならぬ、これは当然でありまするから、それらのことにいまの法制で抜かりはないのかということを検討するということを申し上げておる。
○内藤功君 これは戦前の軍機保護法、国防保安法、いまはMSAの秘密保護法、これは全部国民が秘密を探知し収集し漏らす、つまり、たとえばいまの軍事基地の状況はこうなっているよ、戦争の状況はこうなっているよということを漏らしたり、場合によっては言論機関、報道機関の人がそれをニュースで流すということが、あの戦前の歴史の中でみんな漏洩罪で、探知罪でやられたんですね。こういう歴史を繰り返しちゃいかぬと思うのです。私はそういうものの復活に通じる言論統制じゃないかと、将来であっても言論統制を考えていると、こう言わなきゃならぬと思うのです。どうですか、この点は。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は言論統制は考えておりません。秘密保護をどうするか。有事の際はこれはもう国がひっくり返るかどうかと、そういう際に国を売るというような行為があっては断じてならぬと、そのように考えております。
○内藤功君 有事の際と言われますけれども、日本の憲法の二十一条ですね、言論、表現、報道の自由が明確に決められております。十一条には、侵すことのできない永久の権利だと、こういうふうにうたわれているのですね。戦時の場合にこれを制限していいと、これは明治憲法、旧憲法の三十一条では戦時大権というのがありました。しかし、いまの憲法ではない。どういうふうに頭をひねったって、言論を統制する、つまり秘密を漏らすことに対して処罰をするということは、いまの憲法上は私は絶対にできないと思うのです。こういう問題について、はっきりとあなた方どういうふうに考えているのか。法律論じゃない。政府の考え方、総理の考え方、認識の基本に関する問題ですよ、これは。
○国務大臣(福田赳夫君) これは憲法の範囲内であることはもちろんでありますが、憲法の範囲内といえどもいろいろ工夫はあると私は思うのです。とにかく、戦争というか有事の際だと、国がどうなるかという場合において、国の秘密を売るというような行為は断じて私は許すことはできないと、このように考えております。
○内藤功君 どういうような行為が戦前においてやられたか、いろいろな判例がありますけれども、たとえば戦時、平時の師団の編制を小説を書くためにある予備中尉に対して聞いたと、それに対して答えが来たと。それだけでもって軍事機密の探知としてやられた例があるんですね。もうこれは言論報道機関に対する重大な侵害法規として働いたんです。私たちはこの歴史を繰り返しちゃいかぬと思うから、このような言論侵犯法規というのは絶対につくるべきじゃない、侵すことのできない永久の権利を侵すものだと、こういうふうに思うのです。恐らく、あなた方は、公共の福祉、公共の福祉と言ってくるでしょう。しかし、その場合どういう公共の福祉があるのか、これが大きな問題です。私は、こういう点で、いまの総理の答弁は、いまの総理の体質といいますか、これを非常によくあらわしたものだと思うのです。厳重に私はこの答弁については抗議をし、われわれは断じてこれは承服できないということを申し上げておきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 基本的な見解の相違であります。
○政府委員(真田秀夫君) 内藤委員もローヤーでいらっしゃいますからもう十分御存じのはずでございますが、特に憲法第三章に定める基本的人権といえども絶対これは制約しちゃいけないものだとは実は普通は言われていないものでございまして、これはもちろん権利の性質によりましてはそういう制約になじまないものもございます。ございますが、少なくとも二十一条の表現の自由、これについては、公共のために必要がある場合には合理的な範囲内においてある程度の制約をすることは憲法の認めるところであるという、これはもう累次の判例がございますので、問題はその中身のことだろうと思うのですね。中身、つまり構成要件の決め方としていかにもひどいということであれば、これは先ほどの御質疑にもありましたが、行政部内においても、また立法事項があれば国会においても御判断を願って、憲法の範囲内において必要な合理的な言論の制約は、これはいたし方がないと、憲法違反とはちっとも考えておりません。
○内藤功君 話を具体的に進めましょう。 いままで日本にあった法律、軍機保護法、国防保安法、さらにいまのMSA秘密保護法、こういう法律は、収集、探知、漏洩ですね、さらに予備行為、陰謀行為、それから未遂、過失で漏らしたもの、こういったものまで懲役刑を含む刑罰で対処してきたのです。こういうものを当然あなた方はモデルにしてやらなきやならないと思うのです。モデルにしないというなら、どういうふうにこれを考えるのか。モデルはこれしかないんです。あなた方が秘密保護法というのはもうこの道へ進むしかないと私は思うのです。どうなんです。
○政府委員(真田秀夫君) いまおっしゃったような意味があるから、そこで、先ほど、問題は内容でございますということを申し上げたのでございまして、戦前の軍機保護法、国防保安法等が、防衛庁が研究される当然そのモデルになるとはちっともそういう話が決まっているわけじゃなくって、これから研究をして、憲法の許す限度内において合理的な範囲の制約は憲法違反にはならないということを私は信じているわけでございます。
○内藤功君 しかし、昭和三十八年に三矢研究で行われた非常法令の研究の中には、明らかに、国防秘密の保護のところに大東亜戦争中の法律として国防保安法、それから軍事秘密の保護の中に軍機保護法というものが参考条文にされているんですね。これしかないんです。 重ねて聞きますが、この方向に行くしかない。濃さ右舷実に防衛庁は研究しているんです。どうなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ内藤さんは非常に極端な場合の話をされておりますが、私どもはそんな極端なことをするというようなことを研究すると、そういう考えは持っておりません。とにかく有事の際に国を売られちゃ困るんですよ。それに対する備えだけはしなけりゃならぬだろう、その研究をすると、こういうことなんです。しかも、研究をこれからするということなんです。
○内藤功君 研究といいますけれども、大学の研究じゃない。これは一定の目的を持った研究なんですね。しかも、四十一年の二月には、防衛庁の法制調査官室が国家防衛秘密保護法というものをちゃんと設けているんです。研究の対象にしておるんです。これはもう実際やる準備なんですね。 しかも、もう一つ聞きたいんですが、警務官の秘密保護法についての権限です。秘密保護法についていま警務官は一般隊員以外の者に対しては捜査できないんだけれども、これを捜査できるようにすると。つまりこれは憲兵の復活だとある新聞は言っています。昭和三十八年の三矢研究でも言っているし、四十一年の防衛庁の調査官研究でも言っている。こういう警務官の捜査権限の拡大、この問題について防衛庁は研究していると思いますが、どうですか。
○政府委員(伊藤圭一君) 防衛庁は、そういった内容のことをただいま研究いたしておりません。
○内藤功君 これは重大な問題です。これはただいま研究していなくても、将来においてやるというのと同じことなんです。 私はさらにこういう点も聞いておきたい。総理は、旧国家総動員法、それからそれに関連する勅令、こういったような法令の検討、研究を指示したり、考えたりはよもやしていないと思いますが、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 国家総動員法の検討はいたしておりませんです。
○内藤功君 ところが、「国防」という雑誌がありますが、この「国防」という雑誌の五月号には、宮崎弘毅という元陸将補、保安庁第一幕僚監部の法規班長をやった人です。この人が、国家総動員法というものに類似した法制が自衛隊法の百三条のほかにどうしても必要だということを、これをはっきりとここで明言をしておるんですね。宮崎弘毅という自衛隊法制定のときに関係をした人であります。こういう動きが現実にやはり防衛庁の中にある。私はこれは軽視すべからざる動きだと思うのです。総動員法というのは、これは戦時立法の最たるものでありますから。こういう点について、総理は、絶対にこういうものは許さないという考え方をここで明言できますか。そのような研究をやっていたとしたら、これは絶対にやめさせるということを明言できますか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは研究対象にはなっておりませんです。
○内藤功君 現在じゃなくて、将来においてもこういうような研究は一切やらせない、国家総動員法なり総動員体制なり、そういう研究はやらせないとここで明言できますか。
○国務大臣(福田赳夫君) とにかく、日本国憲法、この憲法の範囲内における検討はいたしますが、いま総動員法の話が出ましたが、総動員法は検討の対象にはいたしません。
○内藤功君 そこで、まず伺いたいのは、笹部益弘という人は防衛庁でいまどういう地位にありますか。
○政府委員(夏目晴雄君) ただいま防衛研修所の研究部長をしております。
○内藤功君 この人は、有事立法については衆議院の内閣委員会等で答弁をしているようですが、有事立法研究にはどういう関係を持っていますか。
○政府委員(夏目晴雄君) 今回防衛庁で行っております有事法制の研究には一切関与しておりません。
○内藤功君 この笹部益弘という人が、昭和三十三年にすでに防衛研修所の講義で再軍備を前提とした法制の整備というものを研究しておるんです。これを見たことはありますか。
○政府委員(夏目晴雄君) 先ほど来その本が議題になっておりますが、その本は、残念ながら四十七年にすでに廃棄されておりまして、私ども手元に持っておりませんので、見ておりません。
○内藤功君 これは何でも一たん廃棄にしてその後の研究の中に生かしていくというのが防衛庁の手なんです。これは三矢研究しかりであります。あらゆるものがそうなんです。 この第六篇に「再軍備に伴う国内法制の整備」というのがあります。そして、この中に、戦時緊急措置法から戒厳、あらゆる戦時中の立法を研究の対象にしてやっております。これは講義の内容ですが、この中に、「現憲法下において、いかなる法制を必要とし、又いかなる限度において、これらの法制が現憲法下に許容せらるものであるかの検討を必要とする。しかしこゝにおいてはそれらの余裕を持たない。」そして、当面は、「再軍備後における整備せられた国内法制は、いかなる態様にあるかを概観し、」そうして「現憲法の精神下にどの程度迄許容せられる」かを準備をするんだと、こう書いてある。つまり、憲法改正を前提として、いろいろな第二次大戦争中の法律をもとにした研究項目をここに列挙して、そうしてその中でいまの憲法下でできるやつを整理していくと、こういうふうな考え方をもって笹部さんという人はこの考え方を打ち出しているわけです。 私は総理にお伺いしたいのは、いま憲法の範囲内で研究をすると、こう言いますけれども、それは憲法に反するか反しないかということにかかわりなく、部隊の運用上の必要、軍事上の必要からまずこういうものが必要だというのを列挙して、それからそのチェックをしていく、こういうやり方なのか、あるいはそうでないのか、憲法の範囲内というのはどういうことなのか。憲法に違反するかしないかを問わず、あらゆる軍事上の必要性のあるものをまず列挙してそれからいくという発想方法であるとしたら、これは重大な問題だと思うのですね。その点はどうなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは憲法違反だとか、あれは憲法に違反しないとか、これは常識で大体わかるんです。そういう常識、良識に従いまして検討する。その結果、どうも憲法違反の問題が提起されておるということであれば、またその際それは撤去すると、こういうことであります。
○内藤功君 これは、あなた方の憲法の解釈というものがですね、大体、核兵器の解釈を見てごらんなさい、それから労働争議権についての解釈を見てごらんなさい、これが解釈だというものを法制局長官がまず打ち立てて、そうしていままでの学問上の成果、あるいは裁判所の判例の成果、こういうものを無視をした形でどんどん押してきているんです。ですから、私はあなた方の憲法の範囲内ということを信用することはできないんです。憲法の範囲内というのは政府があるいは自民党が考えた憲法の範囲でぐっと押してくる、これがいままでのことです。その法令の研究が憲法違反かどうか、この判断をしないで、そうしてまず軍事上の必要からやる。これがいまの防衛研究のやり方だと私は思うのですね。 そこで、私はお伺いしたい。こういうような秘密保護あるいはその他の立法というものを憲法改正を待たずしていまの段階でやる、しかもいわゆる有事という状況に入らない平時の時期から準備をする、こういう考え方であるかどうかという点を伺いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 自衛隊は有事の際にあるものです。それに備えておるわけです。しかし、有事になってからこれは憲法違反であるかどうか、まあいろいろ研究したと。それじゃ間に合いませんよ。ですから、そういう問題を間違いないようにあらかじめ平時において検討しておくと、こういうことであります。
○内藤功君 それからもう一点伺っておきますが、有事の際といえども可能な限り国民の権利が尊重されると、こういうことが防衛庁の統一見解にうたわれております。そこで、私は防衛庁にお伺いしたいのですが、この可能な限りというのは、いまの日本の憲法では、最大限の尊重を必要とする、これが日本の憲法の考え方です。日本の憲法には旧憲法の三十一条のようなものは存在しない。私は、こういう可能な限りということを一体だれが判断するのかという問題です。ここのところはどういうふうに考えているのか。
○政府委員(伊藤圭一君) 現在の自衛隊法におきましても、百三条におきまして土地、建物収用その他の問題が法律で決まっているわけでございます。ああいう場合にも可能な限り人権というものは尊重しなければならないというふうに私どもは考えているわけでございます。
○内藤功君 再度繰り返しますが、これは可能な限りであってはならない。憲法の十三条、十一条の趣旨からして侵すことのできない永久の権利としてこれは保障されている、こういう問題だと私は思うのであります。 私はこの点において防衛庁にもう一点伺いたいのは、自衛隊法の九十二条、これは一体防衛出動の場合にどのような行為が自衛隊においてできるのか、この点を御説明願いたい。
○委員長(町村金五君) 内藤君、時間が参りました。
○政府委員(伊藤圭一君) 九十二条では、防衛出動時に自衛隊が武力を行使するほか、公共の秩序の維持のために行動することができるということが認められておるわけでございまして、これにつきましては、私どもは、いわゆる治安出動で出た場合に、警察の力で足りないようなときには自衛隊が治安出動することになっておりますが、それと同じようなことだというふうに理解いたしております。
○内藤功君 しかし、現実においては、百三条に罰則をつけるつけないというような問題があり、そしていろいろ答弁がありましたけれども、これが国民に対する非常な権利侵害の条項として発動するだろうと私は思うのです。 私は、時間がいま参りましたので、以下の質問は次の機会に譲りますけれども、最後に、有事立法についての先ほどの福田首相の答弁、特に秘密保護について将来国民をも対象にするという答弁は非常に重大であり、今後この問題は憲法違反の問題としてわれわれは徹底的に究明するということを申しまして、私の質問を終わります。(拍手)
○委員長(町村金五君) 以上で内藤君の質疑は終了いたしました。 明日は午後二時四十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会したします。 午後六時五十五分散会